衆議院

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第8号 令和3年3月12日(金曜日)

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令和三年三月十二日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    井出 庸生君

      池田 佳隆君    小田原 潔君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      古田 圭一君    細田 健一君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      大河原雅子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    中谷 一馬君

      本多 平直君    森田 俊和君

      森山 浩行君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    江田 康幸君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    岸本 周平君

      高井 崇志君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル改革担当)

   (マイナンバー制度担当) 平井 卓也君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   防衛副大臣        中山 泰秀君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   総務大臣政務官      谷川 とむ君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   法務大臣政務官      小野田紀美君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           黒田 岳士君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          福浦 裕介君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       阪本 克彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     細田 健一君

  長尾  敬君     古田 圭一君

  宮崎 政久君     井出 庸生君

  玄葉光一郎君     本多 平直君

  森田 俊和君     中谷 一馬君

  岸本 周平君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     宮崎 政久君

  古田 圭一君     小田原 潔君

  細田 健一君     根本 幸典君

  中谷 一馬君     森田 俊和君

  本多 平直君     玄葉光一郎君

  高井 崇志君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     長尾  敬君

  根本 幸典君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)

 デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)

 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)

 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)

 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官時澤忠君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。立憲民主党の今井雅人でございます。

 菅政権の看板政策であるデジタル法案、私たちも、重要広範ということで、大変重要な法案であるという位置づけをして、待ち構えていたわけでありますけれども、入口で本当にもうあきれてしまうようなことが起きまして、要綱、正誤表などで、全部で四十五か所、聞いたことがありません、四十五か所も間違いがあった。ちょっと余りにあきれて物が言えないんですが。

 まず、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、そもそもどうしてこんな間違いが発生したんでしょうか。その原因は一体何だというふうにお考えでいらっしゃいますか。

平井国務大臣 まずは、本当に、野党の皆様、とりわけ今井筆頭には大変御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 今回のデジタル改革関連法案について、参考資料に誤りがまずあった。そして、国会への説明が遅くなった。そして、提出した正誤表が最終版ではない途中のものを配付した。この三点が本当に申し訳なく、心からおわびを申し上げたいと思います。

 二月十二日に衆議院内閣調査室から、整備法案の参考資料のうち、「地縁」というものが「地緑」となっているとの指摘があったことから、事務方が気づいたものであります。そして、十二日に誤りが判明した後、週末に事務方が精査して、二十か所以上の誤りが見つかった。そして、翌週の十六日火曜日に私が一報を受けました。

 ただし、そこだけかと、本当に、誤りはということで、その全容の把握をしっかりするように指示をしたのではございますが、結局、トータルの合計が四十五か所であるとの報告を受けたのは、実は三月九日でございます。

 これは、原因はいろいろあると思います。いろいろあるんですが、やはり内部の連絡ということと、国会対応というものも非常に不十分だったと思いますし、あと、この白表紙を作るまで、もっと早くにいろいろ動けたはずなのに、それが用意できたことがちゃんと用意したというふうに事務方が判断してしまったために、私に対する報告も遅れてしまいましたし、皆様方に大変御迷惑をおかけしたと思います。

 今、時系列的にどういう事態が起きたかということは、私も報告を受けましたけれども、なぜ起きたかということに関して言いますと、非常にいろいろ考えさせられるものがあります。

 大部にわたるものを若い職員だけで読み合わせをするには、もう何十時間もかかりますし、これは本当に働き方改革の面でも問題だとは思いました。それと、閣僚のこういう案件に対する関わり方ですけれども、情報が上がってくるまでに時間がかかるというのは、やはり内部連絡のガバナンスが十分でなかったんだろうと。そして、それぞれの人間がそれぞれの思い込み、そういうものが重なってこういうようなミスになったと私自身は思っております。

今井委員 今、いろいろ経緯を説明していただきましたけれども、これは責任者は大臣ですので、やはり大臣の監督不足だということで、そういう御認識でよろしいんですね。

平井国務大臣 はい。いかなる経緯があるにせよ、最終的な責任は私にある、そのように考えております。

今井委員 その上で、ちょっと今説明が少しありましたけれども、皆さんに経緯を、政府が作ってきたものをお渡ししていますが、今あったように、二月十二日に判明したんですけれども、大臣への報告も遅れています。それで、与党の国対の幹部には二月二十六から三月一日に報告が行っているんですね。しかも、先ほど理事会で政府から説明がありましたが、ホームページは二月二十六日内閣府、それから、内閣官房は三月一日にもう修正しているんです。

 ところが、私がこの話を聞いたのは三月の九日の午後です。もう本会議でこのデジタル庁法案が、審議が始まっている後です。ばかにしているのもいいかげんにしろと。ひどいんですよ。正直、人間にはミスがありますから、絶対にミスをするなということは言えないんですけれども、やはりその後の対応が本当に大事なんですね。この後の対応が余りにお粗末です。

 それと、今いろいろ原因をおっしゃられましたけれども、これは、こんなたくさんの法案を束ねで出しているからこんなことが起きるんじゃないですか。量が物すごい量になってしまったからチェックが漏れたんじゃないですか。その点はどう思われます。

平井国務大臣 今までも郵政民営化等々、大部の法案とか、いろいろあったと思いますが、今回、束ねていますけれども、それ自体が今回の事態を招いたということではないと私自身は考えています。

 先ほど、今井先生には本当に申し訳なく思うのは、これはもう担当者に何度も聞いたんですけれども、勘違いによって、三月四日木曜日に既に資料を送付したものと誤って認識してしまったために、御本人から九日午後に資料が届いていないとの指摘があるまで資料を送付したというふうな勘違い、ここが本当に、他意はなかったにせよ、本当に申し訳ないというふうに思います。

 今井筆頭に資料が届いていないということを私が知ったのも一昨日であり、本当に申し訳なく思います。

今井委員 これからデジタル庁をつくっていくわけですよね。これは省庁横断でつくっていくわけですよね。まさに今の担当しておられる方がこれを担っていかれるんじゃないんですか。

 こんなミスばかりする人たちに本当にデジタル庁を任せて大丈夫ですか。いや、そう思わざるを得ないですよ、これは。デジタルは手段ですから、使うのは人なので、人がしっかりしていなかったら、そんなのはうまくできませんよ。

 これから審議が始まりますけれども、質疑のときにも、もうこういうことが二度とないように。次あったら、本当にこれは大臣の責任問題になりますよ。そういう御認識で今後も臨んでいただきたいので、一言、今後の決意を述べていただきたいと思います。

平井国務大臣 御指摘のとおりでございます。今回、デジタル改革法案の準備室、若い方を中心に約百人体制で、今回、各省から来ていただいて臨んで、連合チームであったというところも少し弱いところがあったのかもしれません。

 再発防止の徹底を図るという意味で、私と藤井副大臣の関与の下で、今回の事案を検証する再発防止チームを設けて、業務の在り方、国会への御報告の在り方、具体的な改善策について、早急に検討して、また先生に報告をさせていただきたいと思います。

今井委員 もう一点、先ほども言いましたけれども、与党の方にはもう二月中に行っているんですね。私たちには、それよりも一週間も後にしか報告が来ていないわけです。これはやはりフェアじゃないですよね。

 少なくとも、やはり与党と野党には同じ段階でこういうのはしっかり説明する、今後はそういうことに心がけるということを是非ここでお約束いただきたいと思います。

平井国務大臣 そのような気はもう全くなく、これからはきっちりと、情報共有が速やかに、そして同じタイミングでできるように、全力で努めたいと思います。

今井委員 あと、委員長にもちょっとお願いしたいんですが、今も申し上げたとおり、与党の幹部の方は知っていらっしゃったのに、理事会等でそういう説明も我々は一切受けておりませんので、これもやはり極めて不誠実だと思いますので、今後こういうことがないように、委員会の運びをしっかりしていただきたいと思います。

木原委員長 今、今井筆頭からお話がありましたとおり、理事会の場、また委員会の場、公正中立にできますように、しっかり取り組んでまいります。

今井委員 今後のことについて、二度とそういうことが起きないということで御発言いただきましたので、少し時間が余っていますが、私はこれで終わります。

 くれぐれも、今後の質疑の中で不手際がないようにしていただきたいということを申し上げまして、まずは、質疑をこれで終わらせていただきたいと思います。

木原委員長 次に、本田太郎君。

本田委員 おはようございます。自民党、京都五区選出の本田太郎でございます。

 この度は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、デジタル改革関連法案についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、デジタル社会形成基本法案について質問をいたします。

 昨年、新型コロナウイルス感染症対策として一律十万円の特別定額給付金が給付されましたが、その申請のオンライン手続において不具合が露呈をいたしました。また、書面や対面のみを前提とした社会システムや、さらには、テレワークの環境が未整備であることなどが明らかになり、我が国のデジタル化の遅れが顕著なものと分かってまいりました。

 こうした状況を打破するために、IT基本法の全面的な見直しを行い、国と地方公共団体を通してデジタル社会を形成するということによりまして、我が国の国際競争力を強化し国民生活の利便性を向上するということが極めて重要な課題として浮き彫りになってまいりました。

 デジタル社会形成を実現するためには、我が国のデジタル化の遅れとその原因を客観的に分析をして、同時に、政府全体に横串を刺す大胆なデジタル改革を進める必要があると考えております。そして、こうした改革を進めるに当たりましては、国と地方公共団体、事業者など様々な関係者が存在することから、これらの関係者に対して政府が目指すべき社会像を提示して、関係者がその社会像について認識を共有した上で取組を進めることが重要だと考えます。

 そこで、デジタル社会形成基本法によって政府が目指す社会像について、平井大臣のお考えをお聞かせください。

平井国務大臣 質問ありがとうございます。

 私といいますか、法案が描く社会像は、デジタルの活用によって国民一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会であると考えています。誰一人残さない、人にとても優しいデジタル化を進めたい。

 このような議論は実はもう長くやってきておりまして、超党派でつくるデジタル社会推進の議連の中でも、次の社会像の一つとして、経団連がソサエティー五・〇というような言葉を使いますが、今回初めて、基本法の中で、デジタル社会という言葉でこのような考え方を要するに規定させていただきました。

 こうした社会を実現するためには、ユニバーサルデザインを考慮した設計による機器開発によりアクセシビリティーを確保すること、徹底した国民目線に立った価値創出により経済の好循環につなげていくこと、分散と成長の両立によりレジリエンスを強化すること等が非常に重要だというふうに考えています。

 デジタルというのは時間と距離の概念を変えますので、地方にも大きなチャンスが出てくるというふうに思っていますし、実は、今回デジタル庁で内定をさせていただいた民間の方々も、関西在住のまま、デジタル庁で勤務をしていただけるという方もいらっしゃいます。

 分散しても成長するということが可能になる社会でもあると考えています。

本田委員 ありがとうございました。

 様々、今後の社会像につきまして御提示をいただきました。

 日本国は、様々な地域、そして様々な人々から成っている。こうした人々の力を結集して、利便性の高い国民生活が実現できるように、今後も頑張っていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、デジタル庁設置法案について質問をいたします。

 今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきまして、国や自治体の情報システムがまちまちで、地域そして組織間で横断的にデータを十分に活用できていない、また、デジタル人材が不足している、さらには、行政手続が非効率で煩雑であるなど、様々な課題が見えてまいりました。

 こうした課題を根本的に解決するために、行政の縦割りを打破して、大胆に規制改革を断行する旨、菅総理からも発言がございました。

 私も、社会全体のデジタル化を迅速に成し遂げるためには、行政の縦割りを打破して、政府全体に横串を刺す強力な司令塔を設けることが必要だと考えます。

 そして、具体的には、国や自治体のシステムの統一化、また、マイナンバーカードの普及、各種給付手続の迅速化やデジタル化、さらには、オンライン診療やデジタル教育など、真に利便性を感じることのできるサービスを国民目線で構築していくことが何よりも重要だと考えています。

 こうしたことを実現するために、さらには、行政の縦割りを打破する司令塔としてデジタル庁を設置する意義があると思いますので、私も大変期待をしているわけでありますが、この司令塔機能を担保するために、デジタル庁には具体的にどのような仕組みが講じられているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

平井国務大臣 委員のおっしゃるとおり、デジタル庁は、行政の縦割りを打破して、国民がデジタル化の利便性を実感できる社会をつくるために、強力な司令塔機能を果たす必要があると考えています。

 そのため、デジタル庁は、各府省に対する勧告権などの強力な総合調整権限、マイナンバー等のID制度や公的機関が保有する社会の基本的なデータの整備に関する企画立案など、デジタル社会の形成に向けた企画立案権限、そして、各府省、地方公共団体、準公共部門等の情報システムを統括、監理して、重要なシステムについて自ら整備する権限を有することになっています。

 また、デジタル庁は、システムに詳しいエンジニアに参画してもらい、官民問わず、適材適所の人材配置による体制強化を行うというふうに考えておりまして、柔軟かつ魅力的な執務環境の整備を行うことで能力の高い人材が集まり、国民目線で社会のデジタル化を構築していく組織を目指しております。

 デジタル庁を、このような強力な権限、体制を持つという組織にすること、そして、皆さんがやはりそういう同じメンタリティーで仕事をするという組織、ですから、組織文化をこれからつくり、それを維持していくのも非常に重要だと思っています。

 その意味で、今までにない、いわば権限をいただくわけですから、それによって多くのシステムが改善され、そして、よってそれが国民のためになるんだという成功事例をこれからできるだけ早く示せるように頑張っていきたい、そのように思います。

本田委員 ありがとうございました。大変心強い答弁だと思います。

 デジタル庁のいわばスタートアップの段階におきましては、様々こういった、大臣がおっしゃったような権限、そして人材を集めていくことが可能だと思われます。しかし、社会の進展は常に続くわけでありますので、人材につきましても、今回だけではなく、引き続き、継続的にデジタルに通じた人材を獲得していく必要があるわけでありますので、もちろん民間の人材の活用というのは重要でありますが、同時に、政府の中においてもそういったデジタルに強い人材を教育、育成できるようなことも考えていかなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 個人情報保護制度の見直しについて質問をいたします。

 個人情報保護制度については、これまで地方公共団体が国に先駆けて礎を築いてきた分野と言えます。

 近年、国においては、個人情報の保護の要請や利活用のニーズの高まりに応じて累次の法改正が行われており、地方公共団体では小規模な自治体を中心に、こうした国の動きに対応して条例改正作業を行うのが大変である、そういった声も聞かれているところです。

 今回の法改正は、こうした課題を解消して地方公共団体の負担を軽減する、そういう意味では評価できるものだと考えています。

 一方、地方公共団体における個人情報保護制度については、これまでそれぞれの自治体で条例を定めてきたことから、各自治体における規律や運用の違いが情報の流通の妨げになり得る、そういった課題がいわゆる二千個問題として指摘をされています。こうした課題については、この度の新型コロナウイルス感染症への対応の場面でも表出しているのではないかと考えますが、今回の法改正によりましていわゆる二千個問題はどのように解消されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 社会全体のデジタル化に対応いたしました個人情報保護とデータの利活用の両立が要請される中で、議員御指摘のいわゆる二千個問題といたしまして、地方公共団体ごとの条例の規定やその解釈が異なることがデータの利活用の支障となり得る、あるいは、条例がないなど求められる水準を満たしていない団体がある、こういった御指摘がありまして、データ利活用を円滑にするためのルール、あるいは運用の統一を求める声が高まってきたところでございます。

 今回御提案申し上げております個人情報保護法の改正によりまして、法律で規定する全国的な共通ルールが全ての地方公共団体に適用されまして、さらに個人情報保護委員会がその解釈を一元的に担うことになるものでございます。これによりまして、御指摘のいわゆる二千個問題は解消されるものと考えているところでございます。

本田委員 ありがとうございます。

 その法解釈を個人情報保護委員会が一元的にやることによって二千個問題が解消するということでございますが、法的には絶対的にそうかというと必ずしもそうじゃないというふうに思います。

 といいますのも、法解釈、それぞれの自治体が国の解釈と違う解釈をすることも可能といえば可能でございますので、そこら辺は、法律を作ったからそれで二千個問題が完全に解消すると考えるのではなくて、国が統一的な解釈基準のようなものを積極的に示して、地方が、デジタル情報がしっかり流通するようにという、皆さん、認識をしていただいて、それによって統一的な解釈が、皆さん、各自治体、納得の下にできる、そういう構成にしていかなければ、真の意味での二千個問題の解決にはならないという点も指摘をしておきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 次に、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律について質問をいたします。

 昨年、一律十万円の特別定額給付が行われた際に、オンライン申請のためにマイナンバーカードを取得する人々が自治体の窓口に殺到したり、暗証番号の誤入力によるロック解除の申請で窓口が混雑するという事態が生じました。また、オンライン申請後も、結局は、申請データを印刷した上で、給付対象者リストと突合するといった作業を行う場合もあり、自治体にとって大きな事務負担となって、手間を省くはずのオンライン申請がかえって負担を招く事態となってしまいました。

 こうした事態を今後引き起こさないためにも、給付金を迅速に支給できるようにするために、マイナンバー制度を根本的に改善する必要があると考えます。

 そこで、本法案において、預貯金者が公金受取のための口座をマイナンバーとともに登録することを求めることができるということにしておりますが、預貯金者である国民の側からすると、口座をマイナンバーとともに登録することによって、具体的にどのようなメリットがあるのか、とても気になるところであります。

 そこでお尋ねをしますが、本法案によって、緊急時の給付金等の支給はどのように迅速になるのでしょうか。また、その際、マイナンバーは具体的にどのように活用されるのでしょうか。お尋ねをいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、国民の皆様に、任意で、公金受取のための口座をマイナンバーとともに登録していただきまして、その口座情報を災害や感染症などの緊急時の給付金等の支給に利用できるようにするものでございます。

 これによりまして、具体的には、緊急時の給付金等の申請におきまして、口座情報の記載や通帳の写し等の添付、あるいは行政機関における口座情報の確認作業等を不要とすることができるということでございます。

 加えまして、昨年の特別定額給付金の事務におきましては、行政機関で、世帯ごとの申請であったがためにマイナンバーが利用できないので、申請者と給付対象者の照合作業というのが非効率になったということもございます。

 本法案では、緊急時の給付金の支給事務等にマイナンバーが利用できることとしているところでございます。これによりまして、今後の災害や感染症などの緊急時の給付金等におきましても、申請手続の簡素化や給付の迅速化を実現し、国民の命を守り、真に必要なサービスをお届けするというマイナンバー制度の趣旨を体現していくことができるものと考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 続きまして、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律について質問いたします。

 この法案は、金融機関に預貯金口座とマイナンバーのひもづけを申し出ることによって、預貯金口座とマイナンバーをひもづけることが可能となりますが、一部では、政府が個人のデータを不当に収集するのではないかとの指摘もございます。したがって、この法案の意義については、誤解のないよう政府が説明を尽くす必要があると考えます。

 まず、この法案により、国民の皆様にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。また、この法案によって、口座へのひもづけは果たして進むのでしょうか。お尋ねをいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、預貯金口座への付番を促進するため、付番の申出のしやすさ、その結果受けられる具体的な国民の皆様のメリットを充実させることとしてございます。

 例えば、一回の付番の申出を行うことにより、本人が他の金融機関にお持ちの口座につきましても、個別に申出をする必要がなく、預金保険機構を通じて自動的に付番がなされる仕組み、それから、相続時、災害時に口座の所在を的確に確認できる仕組みを規定しまして、付番の実効性確保を高めることとしてございます。

 預貯金口座に付番していただきますと、例えば、親が亡くなったときに親の口座が全部分かる、親がマイナンバーで登録していただければ親の口座が分かるということで、私も相続を経験しておりますけれども、必ずしも親の預金を全部把握しているかとはいまだに自信がございませんけれども、親がマイナンバーで登録しておけばそういうことはなくなるということでございます。

 このようなメリットを十分に説明することが非常に重要であると考えておりまして、国と金融機関が密接に協力いたしまして、付番の申出の具体的なメリットと併せて、付番の申出によりデメリットが生じないことも分かりやすく金融機関の窓口等で国民に対し説明し、付番を促進していくことが重要であると考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 御答弁によりまして、国民が任意でひもづけを申し出るということ、また、それによって相続等のときに大変便利である、利便性が上がるということがよく分かりました。ありがとうございます。

 ただ一方で、先ほどもちらりと申し上げましたけれども、預貯金口座とマイナンバーのひもづけについては、国が口座の中身をのぞくんじゃないかとか、口座情報を収集しようとしているのではないかといった懸念の声がある、このようにも聞いておりますので、こうした懸念については、再度になりますけれども、政府はどのようにお考えなのか、もう一度お願いをできますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 預金口座にマイナンバーをひもづけするということによりまして、直ちに預金口座の情報あるいは中身が国に筒抜けになるのではないかというふうな懸念があることは重々承知しております。

 一方では、この付番という行為は、物事を特定する、個人を特定するものでございまして、必ずしも、特定すること自体が情報が流れるということでは決してないということでございます。

 例えば、私が向井でございますけれども、向井という名前が私を、個人を特定する一手段であるのと同様、マイナンバーというのは、そういう点では、同姓同名がいない、国民唯一無二でございますので、一人を特定できるという特定力は強いですけれども、それは単に特定するにすぎないということになろうかと思います。

 現行の制度上、政府が法律に基づきまして国民の金融資産を調査するという場合は、例えば生活保護とかあるいは税務調査等であるわけでございますが、そういう調査というのは、預金口座にマイナンバーが付番されているか否かにかかわらず調査対象となっているものでございまして、付番の有無とそういった調査との可否というのは基本的に無関係でございます。

 一方で、マイナンバーで付番されるということは、預金口座とひもづくだけで、口座の中身とひもづくわけでは決してないので、そういう点では、マイナンバーが特定するものというのはまさに口座そのものにすぎないということでございます。

 そういった、マイナンバー制度というのは、基本的には、行政の効率化、国民の利便性向上という目的に沿って常にその普及を図ってきておるところでございまして、こういったマイナンバー制度の趣旨あるいは今回の付番の仕組み、特に、先生おっしゃるとおり、いまだにそういう不安があることは重々承知しておりまして、私どもも、そういう不安を解消できるように、しっかり頑張っていく必要があるのではないかというふうに考えております。

本田委員 御答弁ありがとうございました。

 大変私はよく分かりました。付番をすることによって口座を特定をするということ、特定をするということと口座の中身を見るということは別のことだということだと理解をいたしました。

 中身を見るという行為自体は、今も税務調査等々で、やろうと思えばやる、やる必要があるときにはやることができる権限は国若しくは税務署にはあるわけでありますけれども、これは不用意にやっているわけでは現在もない。付番によってまさかそんなことをやれるようになるわけではないということだと思いますので、付番によって特定はするけれども、情報の中身が全部国に漏れているということとは別の話だということだと理解をいたしました。

 こういった情報をやはり国民の皆様に広くお知らせをして不安を解消していくということがとても大事だと思います。それがひいては、情報の流通性、利便性を高めるための基礎となる国民の信頼の獲得につながると思いますので、引き続きの御尽力をよろしくお願いいたします。

 次に、いわゆるデジタル弱者と言われる方々についての質問をいたします。

 我が国の国際競争力を強化して国民生活の利便性を向上するためには、今後、デジタル改革を強力に推し進めなければならないと考えています。そうした前提の下、お話をさせていただきますが、高齢者を始めデジタルデバイスを使えない方や、また、デバイスをそもそも持っていないという方がいらっしゃるわけでありまして、そういった方々への配慮が求められると思います。この度のコロナ対策において、持続化給付金などのようにデジタル申請のみとした制度では、申請に苦労された事業者が多数おられたのも事実ですから、今後、デジタル化を進めるに当たっては、こうしたいわゆるデジタル弱者をサポートする仕組みも同時に検討することが重要だと思います。

 一部には、デジタル弱者への配慮から、全ての人にとってデジタル上のハードルがゼロとなるようなシステムを要求する、そういった向きもありますが、それは現実的にはかなり困難でしょうし、また、できるとしても、コストが高くなって、本末転倒になりかねないと思います。私としては、システム全体ではある程度のハードルまでに抑えればそれで足りるとしておいて、それに対応できない方々を個別に拾い上げて対応する、そういう発想で進めるべきだと考えます。

 例えば、行政手続の電子化と並行して、行政窓口も、役場の窓口だけじゃなくて、AIチャットやビデオ通話システムを用いてオンライン化するなどすれば、電子でのやり取りに戸惑いを覚える利用者も拾い上げ、さらには、役所に行けない方々、そういった方々へも門戸を広げることが可能であります。むしろ、移動の難しい高齢者や障害をお持ちの方にとりましてはありがたいデジタル化だと言うことができるのではないでしょうか。やり方次第で、単に利便性を上げるにとどまらず、今よりも拾い上げることのできる方々を増やすことが可能だと考えます。

 そこで、政府としては、いわゆるデジタル弱者の方々に対してどのような目配りを行っていくおつもりなのか、お尋ねをいたします。

平井国務大臣 デジタル弱者、今までもデジタルデバイドの議論というのはもう本当にずっと長くしてまいりました。

 今回、我々が目指すデジタル改革は、誰一人取り残さないという視点が不可欠だと考えているのは、例えば中国とかアメリカのデジタル化等々の進展を見ていますと、やはり置き去りにされる方々が非常にいる、しかし、経済としては、全体としてはそれでプラスになる。ですから、デジタル化の恩恵を受けられる人、そうでない人の格差も容認する中で進めているというデジタル化と我々は一線を画したいという思いで、誰一人取り残さないというような考え方になっています。

 デジタル社会形成基本法案においては、全ての国民がデジタル社会におけるあらゆる活動に参画することを可能にするという基本の理念の下、デジタル機器等の利用機会の格差の是正を着実に図りたいというふうに思います。

 例えば、高齢者などデジタルに苦手意識がある方にとって使い勝手のよい、UI、UXがよい行政サービスへの刷新とか、身近な場所で身近な人からそういうサービスの利用方法を学べるデジタル活用支援員、これは総務省の方で全国に配置をしていただいていますが、リテラシー向上に関する政策も必要ですし、実は、やはり、できる人ができない人を助けるというのを、社会全体でやはりそういうふうにしたいんだというふうに多くの人が思っていただけるようにしたいなというふうに思っています。

 私の母親も今年で九十になるんですが、iPadを使わせているんですが、もうしょっちゅういろいろ止まったりするたびに連絡が来るんですが、やはり、誰か身近な人がちょっと触るだけで、それは問題ではないというふうになるんです。

 ですから、できる人が助ければ非常に便利なもの、特に高齢者の皆さんにとってはありがたいデジタル機器、デジタル機器というのは高齢者にとってとても優しいという一面もあるのではないかというふうに考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣が披瀝されましたエピソード、私も同様のことを実感しております。私の母親も七十を超えてから初めてインターネットで買物をして、こんなに便利なんだ、足が痛いときでもこんなにできるんだと。また特に、私、選挙区が中山間地でございますけれども、そういったところでは、やはり天候が悪くて外出できない、若しくは、体調が悪くて電車もないので車の運転は今日はできないな、そんなときにデジタルデバイスをうまく使う、そしてまた、それを支援する近隣のもう少し年の若い中高年の方々、そういったことを近隣のおじいちゃん、おばあちゃんに教えてあげることができれば非常に有用だと私も思っております。そういったデジタルというものを通じて、逆に若年層、若しくは、年齢の大きい方々の間のコミュニケーションが取れればよいなというような側面も感じたりもしております。

 今回の関連法案によりまして様々な形でデジタル化が一層進展しまして、結果的に我が国の国際競争力、そして国民生活の利便性が向上するということが実現できるように、私も尽力して協力をしてまいりたいと思いますので、今後ともの御尽力をよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。

木原委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 内閣委員会での質疑ということなので質問をさせていただきますが、まず、先日、三月九日、本会議がデジタル改革関連五法案の質疑について様々あった中で、サイバーセキュリティーに関しての答弁の中でちょっと気になる言葉が出てきたんです。それは何かというと、デザイン思考なんですが、私、デザイン思考という言葉はずっと昔から職場で使っておりましたが、どういう意味合いで使っているのかがよく分かりませんでした。

 サイバーセキュリティーに対する質問の文脈の中で使われているんですね。ちょっと引用すると、国民目線に立ったデザイン思考とセキュリティー・バイ・デザイン、すなわち使い勝手のよさと安全性の高さの両立を前提として、国民がデジタルの恩恵を安心して受けられるような社会を目指してまいりますと答弁されておられます。

 この文脈でお使いになられているデジタル思考という言葉、どういう意味合いでお使いになられているのか、平井大臣にお伺いしたいと思います。

平井国務大臣 先日の答弁において、セキュリティーを高めることだけを考えると使い勝手のよさに影響が出る場合もあり、この両立が重要という文脈で申し上げたと思います。

 先生御指摘のとおり、デザイン思考は単に操作性がよいといった問題にとどまるものではないので、そこら辺りのところで、私は、サービス・バイ・デザイン、セキュリティー・バイ・デザインというのをよく言葉として使いますが、そういう意味で誤解をされたのであれば非常に申し訳ないなというふうに思います。

 そもそも、行政サービスは、国民や企業に価値を提供するもの、また国民や企業が価値を創造する助けになるものでなければならないというふうに考えておりまして、基本法を作る前に作った基本方針の中でも、デジタル社会を形成するための十原則の中で、新たな価値の創造を原則として、利用者視点での付加価値を生むイノベーションを促進し、経済や文化を成長させるということをうたっています。

 また、身近な行政手続についても、デジタル化自体を目的とするのではなくて、利用者と行政機関間のフロント部分ではなくて、バックオフィスも含めたエンド・ツー・エンドでデジタルを前提として業務プロセスを再構築する業務改革、すなわちBPRを徹底しなければならないと考えております。

 そういう意味で、デジタル・ガバメント実行計画を始めとして、今申し上げたような意味でデザイン思考という言葉を使っていたということでございます。

濱村委員 簡単に言うと、私は余り理解できませんでした。

 実は、私は、デザイン思考を、ビジネスにおけるデザイン思考ということの文脈で使ってくることが多かったので、その文脈でいいますと、イノベーションを起こす方法論として私は認識しておりました。世の中的に見ても、それが一般的なんじゃないかなと思うので、こういう使い方をすると誤解を与えるんじゃないかしらとちょっと思っています。

 今、大臣の答弁をお伺いしても、今もまだ、何というか、誤解を生んじゃうよという懸念は正直消えておりません。なので、もう少し、新しい言葉に飛びつくとかというわけではないんでしょうが、ちゃんと世の中とすり合った言葉の使い方をしていただきたいなというふうに思っております。

 新たな価値の創造というようなところについて否定するものでもございませんし、デジガバの実行計画の中において、デジタルだけじゃなくてちゃんと業務も変えていかなきゃいけない、いわゆる昔から言われているBPRもやらなきゃいけない、こうしたことについてもよくよく理解はしておりますが、その上で、デザイン思考と言われると、サイバーセキュリティーの中のデザイン思考と言われてもよく分からぬなというのはちょっと思ったので、またここは議論を深めたいと思いますが、大臣がせっかく手を挙げておられるので、どうぞ。

平井国務大臣 私は先生に同意します。同じような感覚を持っております。不用意にデザイン思考という言葉を使うべきではないと、私自身も今、先生の話を聞いていて思いました。

濱村委員 何か、拍手をいただくのがいいのかどうか分かりませんが、恐らくこれは、本会議でいえば、自民党の小林先生からの質疑でもそういう答弁があったんですが、たしか、ちょっと私、今手元にあるんですが、ぱっと出てこないんですが、塩川先生も同じように聞かれていたのか、あるいは立憲の森田先生だったか、ちょっと忘れましたが、同様の箇所が二か所ほどございましたので、今後の議論を積み重ねていく中で少し理解を深めていければと思っています。

 ちょっとケーススタディー的な話で、COCOAを例に、いろいろ議論をしていきたいと思います。

 まず、COCOAについてはいろいろな話があって、けしからぬという話は当然あるわけですけれども、今日はちょっと厚労省さんにもお越しをいただきました。COCOAって、アプリとして果たすべき役割とは一体何だったんでしょうかというところからまず教えていただきたいんです。

 私が認識しているのは、スマートフォンでブルートゥースの機能を使って、一メートル以内、十五分以上、端末同士がその範囲内にあれば、陽性者登録をされれば通知が行われる。この陽性者登録も、簡単に、陽性と判定されていないにもかかわらずできるのかというと、そうじゃなくて、ちゃんと陽性者と保健所なりで認定された上で処理番号というのが発行される。これを、HER―SYSから処理番号が発行されたものを受けた上で、陽性者の方が善意に基づいて、スマートフォンの端末でその処理番号をもって陽性の登録をする。陽性が確定したよということで登録すれば、接触の可能性のある方に帰国者・接触者外来等において受診を案内する。これがCOCOAの機能であると思っています。端的に言えば、濃厚接触者の調査に関しての補佐的役割を果たすのではないかと私は思っています。補佐的というのは余りいい言葉じゃないかもしれませんけれども。

 本来であれば、濃厚接触者の調査というのは、保健所で保健師さんによって行われる聞き取り調査が大原則だと思っているんですね。この大原則の下に、まあ、そうはいっても人間の手による聞き取り調査というのは漏れもありますね、記憶にも限界はありますねということなので、全て把握ができないという可能性もございます。この可能性の部分を機械的に埋める、補佐する、そういうことができ得る可能性があるのがCOCOAなんだ、私はそう認識しているんですが、厚労省の御見解を伺います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、COCOAに関しましては、アンドロイドをお使いの方につきまして、九月末より不具合がございまして、先日、改善を図る修正版を配布いたしましたところでございますけれども、この間、このアプリを御利用いただいている多くの国民の皆様の信頼を損ねましたことを、改めておわびを申し上げます。

 御質問の、位置づけ、役割ということでございますけれども、先ほど委員より御紹介いただきましたとおり、この接触確認アプリにつきましては、利用者の方が陽性となった場合に、その利用者の方御自身が登録をいただくことで、当該陽性者と接触したほかの利用者が通知を受け取ることができて、通知を受けた利用者の方に対してアプリ上で相談先等を案内することにより行政サービスにつなげていくという仕組みでございます。

 基本的には、積極的疫学調査、保健所が行います調査におきまして、例えば、典型的には、職場での会話ですとか、あるいは親しい方の間での会食ですとか家族の間ですとか、そういう典型的なものはまさにそういうところで把握できるわけですけれども、例えば不特定多数の方との飲食ですとか、そういう場合にはなかなかそこで把握できない場合もあり得るということで、この接触確認アプリを使うことで、保健所による積極的疫学調査をまさに補完する、あるいは委員の御指摘を踏まえれば補佐する、そういう手段としての位置づけであるというふうに認識をしておりまして、これは、保健所に対する積極的疫学調査の実施要領の中でも、そういう役割だということでお示しをしているところでございます。

濱村委員 信頼を損ねたというところについてはおわびもあり、そして真摯に反省をされていると私は思っておりますし、このCOCOAの開発自体、非常に難しいことをされたなと思っているので、それはそれとしてちゃんと真正面から受け止めておられるなと思いつつ、また、このCOCOAの機能というのは補完する機能だということもちゃんと冷静に捉えるべきだと思っています。

 それはもちろん、御協力いただいている国民の皆さんからすれば、何だよ、せっかくインストールしたのにというようなお気持ちになるというのは当然でございますので、こうしたことはあってはいけないということを大前提としつつも、システム開発において不具合というのはつきものであるということ、この不具合がどの程度であれば許容できて、どの程度だったら駄目よということは、ちゃんと社会の中で許容していかなければいけない、また適正に評価していかなければいけないと思っています。今後のデジタル庁が主導するシステム開発においても、ちゃんと、こういう障害における信頼性とかについても議論していっていただきたいんですね。

 例えば、IBMさんが考えて社会に流通しているような、障害が起きた場合にどういうレベルで評価すべきかという評価指標がございます。五つあるんですが、信頼性、可用性、保守性、保全性、機密性というものがその指標の軸になっています。

 今回のCOCOA、先ほども厚労省さんから信頼を損ねたというような言葉がありましたが、これは厚労省が積極的疫学調査を補完するためのアプリとしてのCOCOAについて全体として信頼を損ねたという話であったと思っておりますが、障害の発生のしにくさというような、障害に耐え得るというような観点からすれば、今回COCOAはアプリとしてどの程度の信頼性を確保しておかなければいけなかったのか。

 絶対何が何でも一〇〇%稼働しなきゃいけないんだ、そうじゃないと厚労省による新型コロナ対策の積極的疫学調査というのは機能しないんだということであれば、それは何があってもダウンタイムがあってはいけないねとなるんですが、そこはそのように評価されていたのかとかということで考えると、アプリとしての信頼性、これはどのように考えておられたのか、厚労省に伺いたいと思います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この接触確認アプリCOCOAにつきましては、まさに端末側の稼働状況などを国側で常時把握する仕組みになっていない、プライバシーの確保という観点でそのような仕組みをあえて取っているということなど、かなり技術的な難しさを抱えている中でのチャレンジになっておりますけれども、システムとしての、あるいはアプリとしての信頼性、あるいは可用性に関する事項といたしましては、契約書の中では、仕様書という形で、端末での稼働率を九八%以上、サーバーの稼働率を九五%以上という形で定めて契約を行っているところでございます。

濱村委員 今、可用性の話をいただきました。可用性においてはアプリ九八パー、サーバー九五パーという話がありましたが、それは理解しました。

 その上で、この可用性というのはちょっと信頼性とはまた違う概念なんですね。恐らく、信頼性というところは本来果たすべき機能との兼ね合いから評価するべきものと私は思っております。そうしたところも今後の開発においてはちゃんと議論をしていただきたいということを、デジタル庁を設置するに当たっては、申し上げておきたいと思うんです。

 その上で、同じ質問、この信頼性のレベル、どの程度確保すべきだった、どの程度だと考えておられるのか、これは内閣官房にも伺いたいと思います。

内山政府参考人 お答え申し上げます。

 接触確認アプリの仕様を検討しました内閣官房新型コロナウイルス感染症対策テックチームが昨年五月二十六日に取りまとめたシステム仕様書によれば、信頼性、可用性に関する事項としては端末での稼働率九八%以上、それから継続性に関する事項としては障害時には七十二時間以内の復旧を目標とするとされておりまして、厚生労働省によるシステム開発、運用・保守契約に反映されたものというふうに考えております。

 今般の長期間に及ぶ不具合の発生経緯等については、厚生労働省のCOCOA不具合調査・再発防止検討チームにおいて調査中と承知しております。

濱村委員 ある一定の評価指標がある中で、それをクリアしているかどうかというのはちゃんと検証しなければいけないわけですが、信頼性レベルというか、可用性も含めてですけれども、これはそもそも、じゃ、このレベルを下回ればベンダーに責任が及ぶんですかというような議論にもなりかねないので、その辺りについても少し後ほど議論をしていきたいと思いますが、それよりも先に、ちょっと一旦お伺いしたいのは、今回のCOCOAの難しさというところについて議論を移したいと思います。

 よく言われるのは、COCOAはオープンソースで開発されましたと。オープンソースの何が難しいんだと言われると、私も開発したことがないので分かりません。多分ここに、存じ上げないので、いらっしゃるかもしれませんけれども、ソースコードを書ける人とかがいるのかどうかも分かりませんが、そもそも、オープンソースで書くこと自体が難しいのか、何が難しいのかということを、ほぼ国会議員がみんな評価できなくなってきているんじゃないかなと思っているので、この辺り、ちゃんとまともに、この機会に、政府の認識とか、あるいは我々もちゃんと知識をアップデートしていかなきゃいけないんじゃないかとかということを踏まえた上で質問をしたいと思っております。

 まず、これまで、政府調達において、オープンソースで開発されてきたものを調達した実績というのはあるんでしょうか。

時澤政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房におきまして、オープンソースソフトウェアを用いた情報システムの調達の実績、これは網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えばOS、データベースの構築のためにオープンソースソフトウェアを用いる事例はあるということで承知をしております。

濱村委員 なるほど。今までもあったんですね。私、知りませんでした。知らなかったんですが、世の中的な評価からすれば、よくやったねという評価なんですよ。オープンソースみたいな危なっかしいものでよくやったねと。

 簡単に言うと、システム開発を請け負った例えばベンダーの立場からすれば、これは枯れた技術でやるのが当たり前なわけです。枯れた技術というのは、今までも何度も何度も開発をしてきて、実績があって、安定的に稼働することを保証できる、顧客に対してサービス提供するのが自信を持ってできますよと。新しいプラットフォームとかを使いながらやるというのは、やはりリスクが大きいわけです。オープンソースというのは、みんなで開発しもってやりましょうというようなプラットフォームになってくるわけですが。

 じゃ、その上でちょっと確認したいと思いますが、オープンソースで開発した場合に、システムができました、それをその後保守していくというのも、保守、運用というフェーズに移行していくわけですが、一般論として、私は、これを保守していくのは結構難しいと思っています。今回も、OSが、iOSにせよアンドロイドにせよ、どんどんどんどん変わっていくというようなこともあり、その都度バージョンアップをしなければいけないというような難しさがCOCOAに関して言えばあったと思っております。

 そうした観点からしても、一般論として、オープンソースでの開発における保守契約については、どのような難しさがあるとか、どのような評価をされておられるのか、伺います。

時澤政府参考人 一般論として申し上げたいと思いますが、オープンな標準的技術を採用することは、調達コストの削減につながるというメリットがあります。一方で、留意点といたしまして、オープンソースソフトウェアでは、アップデートが頻繁に行われることで、最新情報を収集するための手間がかかるということがございます。また、システムの不具合や脆弱性が発見されたとしても、必ずしも開発者が責任を持って対処する仕組みとはなっていないというような点もございます。

 こういったことを考慮に入れつつ、調達するシステムの性質に応じて適切に手法を選択することが重要であるというふうに考えております。

濱村委員 開発者の責任分界点というのは極めて重要なところで、そういうのが担保されない中で政府の調達をオープンソースでやっていいんだっけというような議論はあろうかと思っております。

 ちょっとCOCOAについて確認をしておきますが、厚労省さんにお伺いします。SLAは締結されておられたのかどうか、サービス・レベル・アグリーメントですね、SLAは締結されていたか、伺います。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 仕様書におきましては先ほど御答弁申し上げましたような事項を示しているところではございますけれども、本体契約とは別にCOCOAに関していわゆるサービス・レベル・アグリーメントというようなものを締結しているということではございません。あくまで仕様書の中に関連する事項が入っていたということでございます。

濱村委員 じゃ、重ねてお伺いしたいと思いますが、今回、不具合発生期間においてサービス提供できませんでした。こうしたことによってベンダー側には瑕疵担保責任を伴うというふうに考えておられるかどうか、伺います。

宮崎政府参考人 COCOAに関する契約の中では瑕疵担保責任に相当する契約不適合責任という条項がございまして、契約不適合が見つかった場合には、受託者の費用負担により修理等を行うこと、代金の減額を行うことのいずれかを請求することができることとなっております。

 このアンドロイドの不具合問題に関しても、こうした条項に従って対応していくということだと思っておりまして、既に、その修正版のリリースを、事業者側の責任においてリリースをしていただいたところでございますけれども、さらに、こうした責任の所在も含めまして、検討につきましては、現在、省内でこれまでの経過を含めまして調査を行っているところでございます。それを踏まえて対応していきたいと考えているところでございます。

濱村委員 今、現在進行中の話でもあるので、契約不適合責任が発生するというところはちゃんと明確化していくのは今後の政府調達における重要な指標になってくると思いますので、しっかりと御議論いただきたいと思っております。

 その上で、伺います。

 政府のIT調達全般でございますが、瑕疵担保責任、契約不適合責任でも結構です、これにつきましては契約においてどのように記載されてきたのか、伺います。

時澤政府参考人 瑕疵担保責任につきましては、アプリケーションプログラム等の成果物に不具合が発覚したときの責任の期間、内容及び責任分界点につきまして仕様調達書などで明確にすることが重要でございます。

 このような考え方に基づきまして、デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインなどにおきまして文書で共通ルールを作成をしております。これに従って仕様書を調達し、事業者との合意を行うよう周知徹底を図っているところでございます。

濱村委員 続けて伺いたいのがアジャイル開発なんです。経産省さんにもお越しをいただきました。

 アジャイル開発における瑕疵担保責任、契約不適合責任でございますが、これはIPAがアジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」を公表されておられます。何が変わっているかというと、ウォーターフォールとは違うということだと思っておりますが、その上で、開発対象全体の要件、仕様を確定してから開発を行うウォーターフォールとは異なり、アジャイル開発は、そのプロセスの中で、機能の追加、変更、優先順位の変更、先行リリース部分の改善などに柔軟に対応することができる手法です、そのため、本版は、あらかじめ特定した成果物の完成に対して対価を支払う請負契約ではなく、ベンダー企業が専門家として業務を遂行すること自体に対価を支払う準委任契約を前提としていますと。準委任契約を前提としていますということなんです。

 これによってベンダーの瑕疵担保責任はどこまで及ぶのか、伺いたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のモデル契約書でございますけれども、これにおける準委任契約については、その契約の性質に照らし、請負人の担保責任、いわゆる瑕疵担保責任について定めた改正前の民法第六百三十四条の規定でありますとか、若しくは契約不適合責任について定めた改正後の民法第五百六十二条の規定というものは適用されないものと考えております。

 そもそも、アジャイル開発契約の契約時においては、ユーザー企業とベンダー企業が、作業分担、成果物のイメージをしっかりと共有し、相互の責任関係などについてしっかりと合意を得てから開発を実施することが重要であります。経済産業省及びIPAにおいては、このような考えから、ユーザー、ベンダー間の合意形成の一助とすべくモデル契約書を作成しているところでございます。

 当事者間の合意形成を通じて個別契約における責任関係の明確化が図られるよう、モデル契約書の普及に努めてまいりたい、このように考えております。

濱村委員 じゃ、民法が改正されて、六百三十四条、請負人の担保責任が削除され、契約全般に対して契約不適合責任が適用されるようになったということを受ければ、この責任範囲の在り方については、IPAのモデル契約書を改定、アップデートしなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 民法自体の解釈についてお答えする立場にはございませんけれども、御指摘のモデル契約書でございますが、民法の改正も踏まえた内容となっておりまして、いわゆる契約不適合責任について定めた改正後の民法第五百六十二条の規定というものについても適用されない形でまとめているというものになっていると考えております。

 いずれにせよ、アジャイル開発の契約によってソフトウェア開発を行う場合には、責任関係、この点についてしっかりと個別契約で整理をして定めるということが重要ではないかと考えている次第でございます。

濱村委員 質問時間が来たので終わりますが、今の点は、民法の解釈についてもう少し整理された方がよいと思っています。一般的には、どう受け取ればいいのという認識が必ずしも定まっていないということだけ申し上げて、また今後も質疑を続けたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。

 内容が多岐にわたっておりますので、いろいろと細かい点もお伺いをしたいとは思うんですが、初日ということでございますので、まずはちょっと全体像をいろいろと伺っていきたいと思います。

 先ほど申したとおり、デジタルというのはあくまでも手段であって、デジタルを使って様々なインフラをつくっていくというのがこの法案の骨子なんだと思うんですけれども、その前にやはり、デジタル社会でどういう社会をつくるのかという社会像があって、そこに手段があるべきだと思うんですね。

 平井大臣は、デジタル社会というのはどういうような社会像だというふうにまず考えていらっしゃるでしょうか。

平井国務大臣 社会像としては、デジタルの活用によって、国民一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せを実現できる社会、つまり選択肢が多い社会にしたい。都市部に住むのか、地方に住むのか、また、どういう働き方をするのかというようなことも含めてですね。そして、それで格差を広げないように、誰一人取り残さない、人間に優しい、人に優しいデジタル化というものを目指したいというふうに思っています。

 まず、徹底的なユニバーサルデザインを設計の段階から開発して、アクセシビリティーも今回非常に重要視させていただきました。どのような障害があってもアクセスできるように、これは開発の段階から、設計の段階から入れたいというふうに思っています。

 そして、国民側から見て価値があるなというふうに思われるような新しい価値を創出するということと、やはり経済の好循環につなげるということ、そして、先ほども少しお話ししましたが、分散していても成長する経済モデル、そして、レジリエンスは、特に災害等の分野では、これから情報連携等で、複合の災害とか、いろいろ起きます。昨日はちょうど東日本から十年たって、振り返ってみますと、やはり情報というものの連携は、今後いろいろな災害が起きる日本においては絶対不可欠だなというふうに思っています。

 その意味で、今、日本というのは、やはり世界でも一番のスピードで高齢化が進んでいるし、いろいろな社会問題も顕在化してきました。そういうものを、デジタルをツールとして解決できるものであれば、それにはすぐ取り組んでいくというようなことだと考えております。

今井委員 この手の議論をするときに一番やはり心配になるのは、国家が監視国家に向かっていくんじゃないかということなんですね。

 事実、やはりほかの諸外国を見ると、個人の情報を全部国が管理して、監視しているような国も見受けられます。日本がそういう国になるという、息苦しい国になるということだけはやはり避けなきゃいけないと思っているんですね。

 だから、その点についてのデジタルの使い方、政府も含めて、そういうことに関しての社会像という意味においては、どういうふうにお考えですか。

平井国務大臣 監視社会型のデジタル化という意味においては、その最たるものは中国だと思います。非常に効率的だし、しかし一方で、我々ではとても容認できるようなものでは全くないと思っています。

 先ほど厚生労働省がお話しになっていたCOCOAの話にしても、個人情報を非常に抑制的にしか使わないという意味で、プライバシーとか個人情報に最大限要するに配慮したものになっているので、効果としてはちょっともどかしいもの、これはトレードオフの関係だと思います。

 日本というのは、政府による情報の一元管理であるとか個人情報とかプライバシーに関して、一番やはり国民は厳しい目で見ているというふうに考えているので、我々自身は、監視社会というようなものは全然想定しているわけではありません。

 その意味で、最大限の配慮をした開発を常に続けてきているという歴史があるので、そこで非効率的な部分もある、コストがかさんだ部分もあると思いますが、それは日本としてデジタル化の中で守っていきたい一線だと考えております。

今井委員 恐らく皆さん同じことを考えていらっしゃると思うんですけれども、やはりデジタル化のときに一番懸念になるのは二つだと思うんですね。一つは、今の、監視社会になるのではないかということと、それから、取り残される人がいるんじゃないだろうかという、この二点だと思いますので、ここがちゃんとしっかり担保されていくかということを、やはり質疑の中でしっかりと明らかにしていきたいと思います。

 次に、今、日本の置かれているデジタルにおいての位置なんですけれども、昨年の世界電子政府ランキング、国連の発表しているものでは、日本は今十四位ということで、デンマーク、韓国、エストニア、この辺のところに比べては大きく遅れているという評価なんです。

 そういう公的なものも含めまして、世界的に見て、日本はどういう位置にいるというふうに認識しておられますか。

平井国務大臣 デジタル化の取組については、ほかの国々と我が国とでは社会的背景とか国家規模も異なるため、一概に比較できるものではないんですが、委員御指摘のとおり、二〇二〇年の国連の世界電子政府ランキングでは、日本は百九十三か国中十四位で、非常に高いレベルの電子政府化が進んでいる十四か国の一角というふうにいっても、これは一番最後ということになるんですが、私は相当今遅れている状況だというふうに思います。

 というのは、官も民もそうなんですが、特に日本の企業の生産性とか競争力というのは、デジタル化の遅れによって顕在化してしまっているというふうに思います。そして、デジタル人材という面においても、はっきり言って、世界的にも二十位以降のポジションにいるんだと思います。そして、教育現場でいうと、教育現場のデジタル化はOECDの中で最下位というようにも指摘をされておりまして、デジタル化自体は手段であって目的ではないにせよ、社会実装してそれを国民に大きなメリットをもたらしていく、成長につながしていくという意味では、大分出遅れているというふうに考えています。

今井委員 遅れているという認識だということなんですけれども、今、今後日本の社会をつくっていく上において、ほかの、他国で、見本とするというか、ここをこういうふうに持っていきたいというふうに参考にしているような国はありますか。

平井国務大臣 各国いろいろな取組を見ていますし、私自身、特にエストニアとは、議員連盟の、長く務める中で、いろいろと彼らの進んでいるというところも見ています。あと、アメリカ、シンガポール、エストニア、イギリス、デンマーク、韓国も相当進んでいるんですけれども、皆さんそれぞれ事情が違う。規模も違うし、国民感情も違うし、デジタル化に取り組んだきっかけも違うと思うんです。

 私は、いろいろな国のいいところ悪いところを全部ちゃんと調べた上で日本流のデジタル化を進めていく以外に道はないんだろうと。ですから、どこかの国に追いつく、追い抜くということではないというふうに考えています。

今井委員 分かりました。

 次に、デジタル庁についてちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、デジタル庁の一つの大きな役目は、やはり公的なもののシステムの一元化を目指していくということがあると思うんですけれども、デジタル社会というんですから、やはり公的な部分だけじゃなくて民間の環境も整備していかなきゃいけないということで、法案の中にも、行政機関は民間の活動のために環境を整備するということがあります。具体的には、公的なのはシステムをつくっていけばいいんですけれども、それ以外の民間の環境整備というのは、例えばデジタル庁としてはどういう役目があるんでしょうか。

平井国務大臣 今回のデジタル社会形成基本法案において、デジタル社会の形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則として、国及び地方公共団体は、民間の活力の発揮や国民の利便性の向上のための環境整備を中心とした施策を行うとされています。

 行政機関は、具体的には、国、地方公共団体及び公共分野の民間事業者の情報システム整備の基本方針の策定、また、全て共通に使うベースレジストリーの整備であるとか、データの標準化、APIなどデータ連携に関する基盤やルールの整備、ガバメントクラウドの整備などをすぐに行うという予定であります。

 そして、行政機関と民間の役割分担の例として、あしたからなんですけれども、民間事業者のアプリとマイナポータルを連動させることによって、デジタル障害手帳による障害者割引の適用が全国のJR各社、そのほかの公共交通機関もそうなんですが、一斉に始まります。これによって、移動や外出の負担が大きく、様々な恩恵から取り残されがちな障害者の負担軽減が期待されるというように、行政と民間が協力してサービスをつくるということはこれから増えてくると思います。

 例えば、マイナポータルも、今行政手続のことしか皆さん言われませんが、これから、民間とのAPI連携で、民間との接続で非常にやはり便利になっていかないと、エストニアのカード等々はまさにそこです、国民が一番要するに便利に思うものは何か。行政手続というのはそんなしょっちゅうあるものでもありませんし。

 そう考えますと、そういうものの安全性を担保した上で民間の力を引き出していくというのは、当然デジタル庁がやらなければならないことだと思っています。

今井委員 そのデジタル庁ですが、スタートが五百人程度ということですけれども、これはどういう構成になるんでしょうか。

平井国務大臣 デジタル庁が強力な司令塔機能を十分発揮するためには、そのための体制整備が不可欠だと思っておりまして、デジタル庁では、長を内閣総理大臣として、長を助けるデジタル大臣、副大臣、大臣政務官に加えて、デジタル監等を置くとともに、発足時の規模は五百人程度とすることにしております。

 五百人程度の構成については、一般職の常勤職員が三百九十三人、一般職の非常勤職員が百二十八人分でありまして、常勤職員についても、民間人材等を採用していくことで、行政と民間の人材が効果的に連携して業務を進める組織文化を醸成する、非常にチャレンジングなことなんですが、これをやらざるを得ないというふうに思っています。

今井委員 そうすると、民間から来た方も一般職の国家公務員になるということですけれども、この民間からの人材の確保というのをどうするかというか、数だけじゃなくて、やはり高い質の人材を集めないといけないと思うんですけれども、その点の見込みはいかがですか。今の国家公務員という処遇で、果たして優秀な人材が来るのかということはどうお考えですか。

平井国務大臣 もう先生のおっしゃるとおりでございまして、民間からの人材確保というのが最重要なテーマになっています。

 そして、デジタル庁においては、能力と志を併せ持つ優秀な人材を集めなければならないんですが、原則的には公募形式で民間の人材の採用を進めるというふうに考えています。

 その第一弾として、四月に向けた民間人材採用を実施しました。約千四百件もの応募をいただき、現在、鋭意選考を進めているところでありまして、いろいろな職種、ジョブディスクリプションを明確にした上で随時募集を図っていきたいというふうに思います。

 給与等の処遇については、職務内容等を勘案しながら決定するということになるんですが、優秀な人材の確保を図る観点から、民間の実態を踏まえたものにできるように検討していきたいと思います。

 その上で、デジタル庁としては、採用された人材がデジタル庁での経験を生かし、民間の様々なフィールドで御活躍いただけるように、いわゆるリボルビングドア、回転ドアについても推進して、社会全体のDXを推進していきたいというふうに考えます。

 デジタル庁は、様々なバックグラウンドを有する人材を広く世間から集め、また、そうした人がデジタル庁の経験を踏まえて社会で活躍いただけるように、情報と人材の結節点となって、必要な情報へのアンテナ感度を高めつつ、デジタル庁の価値観を共有し得る優秀な人材の採用を進めていきたいと思っておりまして、やはり、今、デジタル庁が取り組もうとしていることに関しては、全体としては賛成です、しかし、個々に取り組む仕事がやはり魅力的でなければ、人材はその能力をかしてくれません。そういう意味で、いかに魅力的な仕事をつくっていくのか、やりがいのある仕事をつくっていくのかということもデジタル庁にとっては非常に重要なテーマであります。

今井委員 その上で、人材ということなんですけれども、基本法の二十五条のところにも人材の育成ということが、様々な分野でのというのが書いてありますが、民間の調査をちょっと今見ているんですけれども、大学の年間卒業者数、IT部門の専攻、一万人当たり、中国が百十八、アメリカ十四・八、インド五十五、日本は三・四ですね。それから、STEMの関連の分野を出ている方も、中国が一万人当たり二十六人ぐらい、インドは百十四人、アメリカは二十八人、イギリスは十人、日本は三人です。

 もう圧倒的にIT人材が不足しているわけですけれども、この人材の育成というのは基本法には書いてありますが、じゃ、どうやって育成するかということなんですね。育成をやはりしていくためには、そもそも教育制度のところに手を突っ込まないと、あるいは試験制度とか、そういうものを変えていかないと、人材というのは育成は実際はできないと思うんですね。

 今回は、今後、そういう教育分野というところにも何か改革というか、そういうものを目指しておられるんでしょうか。

平井国務大臣 我が国におけるデジタル人材は、国の行政機関のみならず、民間企業や地方公共団体を含め、全体として不足しています。ですから、今回、ありとあらゆるところで人材を募集しているので、デジタル庁とバッティングをしているというようなところもあります。

 デジタル社会形成基本法案では、全ての国民のデジタルリテラシーを向上させるための教育及び学習の振興、デジタル社会の発展を担う専門的な知識又は技術を有する創造的な人材の育成を基本方針の一つにしております。

 こうした基本方針も踏まえつつ、今後、政府の関係省庁において、民間人材も含めたデジタル人材の育成に取り組んでいくということなんですが、デジタル庁に関しては、令和四年度の創設を今検討しているんですが、国家公務員の採用試験におけるデジタル区分とか、高度な民間の専門人材の確保によって、まずはデジタル人材を確保する。そして、先ほどもお話ししたとおり、リボルビングドアによる民間人材の活用、育成。

 結局、デジタルによるキャリアパスというものをはっきり見せていかないと、今までは、はっきり、十分に処遇されていなかった人材もたくさんいると思います。そして、民間企業も、エンジニアの皆さんというのがそのまま経営者になっているケースというのはほとんど今までなかったんです。そういう意味で、そういうものを、今、私は正直申し上げて、テクノロジーに対する理解のない経営者は今後ますます苦しくなると思います。

 そういう意味で、これからのデジタル人材というのは、将来の道をいろいろ切り開くチャンスが今広がっていると思いますし、そういう方向でデジタル庁がいろいろなシステムを開発したりプロジェクトを進めることによって、そういう人たちを更にインスパイアできたらというふうに思います。

 そして、今、河野大臣と私と、プラスして萩生田大臣に参加していただいて、教育現場のデジタル化、GIGAスクールはスタートしたんですが、仏作って魂入れずでは困るので、本当にやりがいのあるデジタル教育というものを現場の皆さんにこれからやはりつくっていただけるように、これからもいろいろと要請をしていきたいというふうに考えております。

今井委員 ちょっと私はそれは認識が甘いと思うんですね。

 私は昔、インド経済研究所というところにおりまして、インドの大学とかもいろいろ見てきましたけれども、工科大学なんかは本当にもうすごいレベルまで行っていて、とにかく、小学校の頃からそういうところを目指すという教育になっているんです。だからこれだけの人材がいるんですね。

 やはりそういうところにまで対策を考えていかないと、そんな人材の育成なんかはすぐできるはずがない。今ある人を集めることは、それはできるかもしれませんけれども、本当に裾野を広げるためには、やはりそういうところまで政策を考えていかないと、人材の確保というのはなかなか難しいと思います。

 次に、これが一番大事な部分なんですけれども、先ほどもちょっと話がありました基本法の八条、利用の機会等の格差の是正ということですね。「デジタル社会の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、身体的な条件、経済的な状況その他の要因に基づく高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用に係る機会又は必要な能力における格差が、デジタル社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることに鑑み、その是正が着実に図られなければならない。」というふうになっています。

 ここで出ているのは、まず地理的な問題ですね。それから年齢、高齢者の人をどうするか。それから身体的な条件、これは障害者の皆さんだと思います。経済的な状況、これは生活困窮者の皆さん。こういう皆さんが取り残されるのではないかということがとても心配されているわけです。

 まず、高齢者や身体障害者の皆さんには具体的にはどんなサポートをしていくんですか。

平井国務大臣 デジタル改革には、誰一人取り残さないという視点が非常にやはり重要だと思っています。

 デジタル社会形成基本法案においては、全ての国民がデジタル社会におけるあらゆる活動に参画することを可能にするという基本理念の下、年齢等に起因するデジタルの利用機会の格差是正が着実に図られなければならないという規定があります。

 具体的な施策としては、例えば、高齢者などデジタルに苦手意識がある方にとって使い勝手がよいサービスへの刷新、これはUI、UXですね。身近な場所で身近な人からそういう機器のサービス利用の方法を学べるデジタル活用支援員、これは総務省が、各自治体にそういう支援員を配置するということで、予算要求もしています。

 リテラシーの向上に関する施策を充実させなきゃいけないんですが、この基本法を作るときのワーキンググループの中に、八十五歳の若宮さんという、最高齢のエンジニアと言われる方に入っていただきました。彼女がこれを作るときに非常に積極的に意見を出してくれて、彼女がやっているメロウ倶楽部という、八十五歳以上の、平均八十五ぐらいの御老人のネットワークに私も招かれて入ったんですが、相当リテラシーが全員高いんですね。驚きました。

 要するに、高齢者にとってデジタルというのはとても優しいと。出かけていかなくとも友達とつながっていられるし、その中の多くの皆さんは施設の中におられました。施設の中にいても、そういうネットワークでつながっているので寂しさを感じたことはない、これを多くの皆さんにやはり知ってもらいたいということで、そういう皆さんもいらっしゃるので、さらに、どうすれば高齢者の皆さんがそういうものにもっと身近に参画できるかということを、いろいろな方々の意見も聞きながら、これはありとあらゆることに挑戦していきたいと思っています。

今井委員 私の母は八十三なんですけれども、パソコンを使って編集もするし、資料も作るし、僕より使えるんですね。独り暮らしなんですけれども、やはり、ネットでみんなとつながっているので全然寂しくないと言うので、そういう人もいるんですけれども、ほとんどの方はそこのレベルに行っていないわけです。

 ですから、今おっしゃったように、リテラシーを上げる手伝いをするということと、サポートしてちゃんと使ってもらえるようにするという両方を、やはり基盤をつくっておかなきゃいけないということですね。それは、ちょっと今日は触りで、また詳しくお伺いしたいと思います。

 最後にもう一点。あと一分なので。

 今、地理的な条件とありましたけれども、やはり、地区によってネットワーク、いわゆるベースになる基盤が差があると思うんですよ。これがやはりきちっと統一されていかないと全国的に格差というのは解消されないと思うんですけれども、ここについて政府は今後どうされるおつもりですか。

平井国務大臣 今回廃止する平成十二年に施行したIT基本法の制定時に掲げた目標が、超高速ネットワークインフラの整備、それはそれでやってきたと思います。光ファイバーの世帯カバー率が超えるとか、目標はある程度達成はされていますが、まだまだと言われる方もいらっしゃいます。

 政府においては、今、5Gの速やかな全国展開のほかに、離島も含めて全国的に光ファイバーを張り巡らせるということを進めておりますし、ここでやはりアクセシビリティーを保障するということでありましたら、インフラ整備というものは非常に重要な点だと思っていますので、政府の重点政策に、我々も、是非ということでお願いをしていきたいと思います。

今井委員 遠隔地こそ、やはりこういうもので距離を縮めていくということが大事ですので、それを是非お願いしたいと思います。

 法務省さん、済みません、今日、ちょっと来ていただいて、押印の法的効力についてお伺いしようと思ったんですが、別の機会にさせていただきます。済みません。

 終わります。

木原委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 通常の内閣委員会の委員ではないんですが、党のプロジェクトチームで個人情報の担当をしておりますので、今日は理事や委員の皆さんに御理解いただいて質問させていただきます。ありがとうございます。

 本来、個人情報の観点で非常に重要なポイントがたくさんあるので、中身の準備をしてきたんですが、今井理事も質疑をして、一定の質疑はさせていただきましたが、私個人は、済みません、昨日から、やはりこの修正問題、訂正問題、私自身は納得がいっていないので、もうちょっと質問をさせてください。

 なぜかというと、実は、昨日の党の朝八時からあった会議で、内閣官房の方が来て謝罪をされました。修正、間違いは人間に誰でもありますので、そもそも、官僚の方が悪いというより、菅総理の政治的な思惑で、こんなに、これは可視化するために持ってきましたけれども、調査室と法案の基本的な資料だけでこれだけ分厚いものを私、わざわざ部屋から運んできました。こんなものを半年の準備で、突貫工事でやられたらこういうことになるんだ。官僚の方は悪くないと思っています。ですから、謝罪をされたら、それでよしとして、中身の議論に入ろうと思っていました。ところが、結局、いつ、どこに説明に行ったのかというようなことを私、質問をしたら、しどろもどろで答えられないというのが昨日の朝の八時の立憲民主党の会議でした。

 それで、まあしようがない、じゃ、あした質問だから、昼ぐらいまでに、今朝配られたこの訳の分からない紙、持ってきてくださいと言っていたんですが、午後にさんざん電話をしても、最終的に私の部屋にこれが届いたのは十九時でした。

 ですから、質問の通告もできなかったので、今から大臣に聞きたいんですが、問題は、やはり一か月もたっているということなんですよ。単なる遅れじゃなくて、私、これはこのままやり過ごそうとしたんじゃないかとか、いろいろな疑惑が出てくるんですよ。

 間違いが判明したのが二月の十二日で、閣議決定はいつしているんですか。

平井国務大臣 二月九日です。

本多委員 閣議決定のときに、内閣総理大臣を始め他の大臣はこの間違っていた資料を見ているんですか。

平井国務大臣 今回間違っていた部分が参考資料なので、閣議では配られません。

本多委員 その後、この昨日いただいた資料で何が問題かというと、いろいろな議員に説明した日付だけはやっと出てきましたけれども、何がいつあったかが分からないんですよ。与党審査がいつあったのか、議運の理事会で本会議立てがいつあったのか。私は分からないですよ、今井さんは知っているかもしれないですけれども。これが入っていないから、いつ知るべきだったのかというのが分からない。

 例えば、今、閣議決定はこの資料は関係なかったと。しかし、これを見てしまった人、間違った資料を見てしまった人がいついたのかというのが載っていないんですけれども、これはきちんと、大臣、この紙を見て今回の問題を把握できますか。私は全く把握できません。

 いつに正しいものを見るべきだった人が間違ったものを見てしまったのか、その人にきちんといつ訂正されたのかが全く分からないので、正しい資料を見るべきだった人にいつ間違った資料が渡っているのか、それが全く示されていないんですけれども、きちんとした資料を作って、理事会に提出していただけますか。

平井国務大臣 まず、今回は、参考資料に誤りがあったこと、そして、国会への説明が遅くなったこと、提出した正誤表がその最終版でない途中のものを配付した点、この三つが複合的に起きて、皆さんには大変御迷惑をおかけしたというふうに思っています。

 二月十二日に誤りが判明した後、週末に事務方が精査したところ二十か所以上の誤りが見つかったために、私に、二月十六日に一報を受けました。一報を受けて、えっということになって、全部の、誤りがあるんだったら、それはまだほかにもあるかも分からないので、指示を出して、最終的に私がその四十五か所の……(本多委員「ちょっとごめんなさい、人の時間を奪わないでください。分かっていますから、理事会にきちんと、必要だった場所、配った場所を明示した資料を出してください」と呼ぶ)

木原委員長 本多委員に申し上げます。今大臣が答弁中ですので、答弁が終わるまでお待ちください。(本多委員「いや、ちょっとひどいでしょう、これ。質問しているんですから」と呼ぶ)指名を受けてから御発言いただくようにお願いをいたします。

 どうぞ、大臣。

平井国務大臣 誰にした、配ったかということは網羅的な情報の管理ができていなかったというところが、今回、非常に我々の反省点であります。

 そういう意味で、それがきっちりとできていればこういうことはなかなか起きていなかったのではないか、そのように思います。

本多委員 単なる、この法案の、こんな急がせて作らせた法案の要綱に誤りがあったことは、私は政治の責任だと思いますよ、与党の。しかし、この後の対応は、ということはですよ、大臣、あっちこっちに等があるので、全部聞こうと思ったんですよ。二月二十六から三月一日、与党国対幹部等に一報、それから、三月四日と五日は与野党の国対・政調事務局等って何ですか。

 私は、こんな等なんという資料を求めたんじゃないんですよ、昨日の朝。きちんと全部どこに報告したのか出してくださいということをお願いしたのに、等で来ていたら分からないじゃないですか。どういう基準で報告しているんだよと。

 この二つの等は何を意味しているんですか。

平井国務大臣 まず、与党の国対幹部等、確認できているのは森山国対委員長でありまして、森山委員長からも、早急に精査して資料で野党議員にも説明するようにという指示がありました。

 さらに、与党国対幹部等に一報を入れた際に具体的にいつ説明を入れたかどうかは網羅的に把握しておらず、ここが国会対応において体制の至らぬところだと思います。

 この等に関して言うと、内閣委員会の与党筆頭理事である松本先生であるというふうに聞いております。

本多委員 松本剛明先生は与党国対幹部なんですか。

 だから、きちんと具体名で示してくださいというのを私はお願いしたんですよ、昨日の朝八時に。だから、そもそも、この一か月、間違ったことじゃないですよ、一か月の対応がひどいのに加え、昨日の朝八時に、せっかくの、我々、法案の中身を、内閣官房の人と話したい会議が、この話でぐちゃぐちゃになって、昼まで待っていて出てきた資料は個人名も何にもないから、今聞くしかないじゃないですか、これが松本剛明先生を指しているかどうか。

 こっちの、与野党の国対・政調事務局等は何なんですか。

平井国務大臣 白表紙とか正誤表を配付した議員等の御了解も得るべきと思われるので、今ここでその具体のお答えは控えさせていただきたいと思います。

本多委員 違うでしょう。白表紙を配付した人はその下に書いているでしょう。閣議決定後に資料要求等に伴って法案資料を配付していた議員。

 確認を取って、オーケーを取った方のお名前を教えてください。その上ですよ。与野党の国対・政調事務局等というのは何ですか。

平井国務大臣 各会派に対しては、自民、公明、立憲、国民、共産、維新、希望、これは国対事務局でありまして、それ以外に関しましては、議員事務所を訪問して配っているということでございます。

本多委員 こんなことを長々やりたくないんですけれども、きちんとそういうことを、なぜ、自民党は森山国対委員長で、こちらは安住国対委員長に直接行かないんですか、すぐに。事務局で、かつ、等という誰か分からない資料を昨日の夜七時になってから出してくるんですか。質問なんかできるわけないじゃないですか、これについてやると言っているのに。

 だから、きちんと、今私が指摘したような点を、本人の確認が要るんだったら要るで、別に相手方が悪いわけじゃないんですから。ただ、皆さんの説明ぶりに、今回、これ、本当に我々野党にこの法案について説明する気があったのかどうかと私は疑念を感じているんですよ。単なるミスだと思っていないんですよ、もう。こんなに遅れている以上。

 だから、きちんと資料を出してもらえますか、もっと細かい資料を。お願いできませんか。

平井国務大臣 御本人の了解を得ながら、了解を得られれば、それは出せるというふうには思います。しかし、ちょっと今回、このいろいろな修正等のフォローで、今人員を補強をするというようなこともこれからやらなければなりませんし、そういう意味で、委員の御希望どおりすぐにできるかどうかは、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

本多委員 私、個人の、相手が出すなという人のまではよく分かりません。それ以外の情報を出してもらわないと審議できないですよ。出すと言ってくださいよ、そんなことぐらい。

平井国務大臣 議員の御要望どおりのものが出せるかどうかも含めて検討させてください。

本多委員 きちんと理事会で協議してください。

木原委員長 理事会にて協議をいたします。

本多委員 私、この経緯、全然納得していませんから。こんな紙、昨日の十九時にもらって、いつ閣議決定したのか、いつ議運が開かれたのか、それも分からない、与党審査はいつやったのかも分からない紙を昨日の十九時にいただいて、こんなことで時間を奪われて、本当に不愉快です。

 それから、この法案の問題点に入っていきたいと思いますが、中身の前に、私、今日これを持ってきたんですよね。これは基本資料です。法案の資料と、調査室が作った資料がこのピンクの方です。こんなに束ねているんです。

 通告していませんけれども、大臣、今回これをここで採決すると、何本の法案が改正されるか把握されていますか。

平井国務大臣 数でいいますと、基本的には五本。しかし、整備法の中に四十九本、そして……(発言する者あり)四十九と私は記憶していますけれども。

 それで、これはいろいろなところで、跳ねる改正というものはいろいろなところにあるというふうに思いますが、基本は五本、あと総務委員会に関わっている一本、ですから、改革関連法は大きくは六つ。整備法の中が、正確な数は今ぱっと言えませんが、相当な数があるということであります。

本多委員 大体中身が変わるのが六十本ぐらい、自動的に当てはめて変わるのが八十本ぐらい、百四十本ぐらい。つまり我々は、各委員会で、農水委員会であるとか経済産業委員会であるとか、三時間、五時間、十時間かけて改正をしていく法案が、こんな、百四十本も束ねられているんですよ。(発言する者あり)

木原委員長 不規則発言を控えるようにお願いいたします。

本多委員 中身が変わるものも六十本あると申し上げました。そちらから発言しないでください、あなたと議論しているわけじゃないんですから。

 そういう法案を束ねてきて、ましてや、いいですか、そこに、今変えられる法律、それぞれの分野の議員にとっては大事なものがたくさん入っています。私にとっては、例えば個人情報保護法。つまり、これは制定のときでも国会をまたいで成立している法案ですよ。そういうもの。それから、マイナンバーカードも、何度も何度も議論をして、国会をまたいで成立しているような大きな法案が束ねられているんですよ。

 こういう、まずデジタル庁をつくるとか、そういうところを一個一個分けてきちんと議論したらどうなんですか。こんな巨大な、束ね法案はいろいろ見てきました、それを常に私たち、野党であると特に批判をしてきましたし、いろいろなケースはあると思います、事情もあると思いますけれども、今回のは、これはひど過ぎると思うんですけれども、大臣はそういう認識はないんですか。

平井国務大臣 デジタル改革関連五法案は、やはり、デジタル社会の形成についての基本理念を定めるデジタル社会形成基本法と、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に遂行するためのデジタル庁の設置法案を中心に、これらと密接に関係する法制上の措置を我々今回しようと考えています。

 デジタル社会の形成のための企画立案、総合調整というのは当然なんですが、マイナンバー、マイナンバーカードや公的個人認証というのはデジタル化の基盤なので、これは是非一緒に整備をさせていただきたいというふうに思っておりますし、デジタル庁が推進する、デジタル社会の形成に不可欠となる、例えば、個人情報保護委員会に官民の個人情報制度が一元的に所管されて、個人情報の保護と利活用のバランスの取れた社会を実現するための個人情報保護法の見直し、そして、これは規制改革の分野になるんですけれども、デジタル化を活用した社会の実現に向けた書面、押印の見直し、デジタル庁が所掌するマイナンバー、マイナンバーカードや公的個人認証に関する法律等を一括して整備法として今回出させていただいています。

 これは、例えば今回の預貯金口座に関しても、やはりこれは多くの皆さんから、去年……(本多委員「そういう議論は後でするので、短くしてもらえませんか」と呼ぶ)はい。

 結論から言うと、この五つの法案、大きくは五つの法案は、相互に密接不可分であることから一括審議をお願いしている。ただ、白表紙がそんなに大部になるのは、これは日本のやはりデジタル化の遅れもあるなと最近つくづく思っています。

本多委員 それでは、少し中身の話をしたいんですが、ちょっと通告していませんけれども、大臣はジョージ・オーウェルという人が書いた「一九八四年」、一九八四という小説をお読みになったことはありますか。

平井国務大臣 読んだかもしれませんが、今思い出せません。

本多委員 デジタル監視社会について先ほど今井議員から指摘がありました。そういう社会にはしないということなんですけれども、まさにこれは一九四〇年代に英国の作家が書いた小説で、私は大学時代に読みました。つまり、これだけIT技術が進歩する前に、全体主義国家で双方向で見られるテレビが国民を監視し、それで国民が監視をされる社会というのを描いていて、一九八〇年代に読んだ私は、こういうのはSFだと思って読んでいたら、その後の三十年、四十年でそういうことが可能になってしまったわけです。

 私、この後に中国の認識を聞こうと思っていたら、先ほど今井議員に、きちんと認識をされていたので安心をいたしました。国名は避けますとか、そういう答弁をされるんじゃないかと心配していたんですが。

 中国が非常にデジタルを使って、国民にインタビューをしたり、私も友達に聞いてみるんですよ、あんなスコアリングをされて、町じゅうに監視カメラがある社会はどうなんだと言うと、もちろん自由に物が言えないところもあるのかもしれないですけれども、でも、テロが減ったとか犯罪が減ったとか、プラス面を言う。ある意味そういう現実があるんですが、そういう社会にはしたくないという大事な確認はできたんです。

 ところが、私、平井大臣は少し甘いと思うんですよ。中国は、そういうことを犯罪を起こさせないためにやるんだと、ある意味宣言をしています。法律も作っています。国民もある程度分かっています。監視をされている。私は嫌ですけれどもね、そういうところに住むのは。しかし、大臣、世界では別にそういう宣言をせずにやっている国もあるんです。その代表例がアメリカなんです。

 スノーデンという人のことを御存じですよね。

平井国務大臣 はい。映画も見せていただきました。

本多委員 政府は、今公式には、アメリカの国家安全保障局が、要するにテロに対するものとか、いろいろ調べるのは、いろいろな法律を作りました。ところが、それに乗じて、法律の規定もないのに、一般国民のインターネット、何を見たか、メール、こういうところまで、特定の人に絞るのではなくて収集をしていた。これはさすがに告発をしなきゃいけないということで、命の危険、二度と祖国に戻れない危険も冒してこのことを告発したんです。

 平井大臣は、アメリカにおいてこういうことが起こったということは想定できると思われますか。証拠はもちろんあるとは思わないですけれども、あれだけの覚悟をして、証言をして、たくさん事実関係と符合する文書も私は読んでいます。アメリカにおいてこういう監視社会みたいなものが一時期、今もなのかもしれませんが、起こっていたという認識はありますか。

平井国務大臣 それは私の所管ということでもないのでちょっと答えづらいんですけれども、アメリカも、やはりテロ対策という意味で、あらゆる機関がそういうテロを防ぐということでいろいろな活動をしているというふうには理解をしています。

本多委員 映画も見られたということですから。つまり、宣言をしてやっている中国のような監視社会も怖いけれども、別に捜査当局の個人個人はみんな、九・一一みたいなことを見てしまったら、テロを防がなきゃという善意の塊だったかもしれない、善意の積み重ねだったのかもしれないですよ。しかし、スノーデンが告発するような事実上の監視社会が世界で一番自由を重んじている国で秘密裏に起こっていた可能性がある。

 このことを、今回こんな分厚い、私は全部チェックしたいですよ、本当に国民を監視する条項がないのか。この分厚さの中に隠れていないといいと思いますが、それは時間が必要ですよ。この間もらったばかりなので、これ。訂正も来たばかりなので。

 だから、中国だけじゃないんだ、自由主義国家においてもそういうことが起こっているんだということをしっかり認識をしてこういう法案を提出をされているということでよろしいですか。

平井国務大臣 私も大臣になる前に、デジタル化を推進ということで、いろいろな各国の皆さんとお話をしたりいろいろする中で、中国型、ヨーロッパ型、アメリカ型といろいろあると思うんですが、セキュリティーと、そして情報の管理みたいなものの議論はいろいろあると思います。私が感じているのは、日本が一番そういうことに抑制的であり、逆に、海外からはちょっとイノセントだと言われるという状況でもあると思います。

 そういう意味で、日本というのは、やはりこれから非常に、政府の情報の管理の一元化に対しても、これだけ配慮をしたシステムのつくり方というのは、普通の国だったらやらないと思います。そういうところまで配慮をしているので、委員の御心配のようなことは日本が一番ないんだろうというふうに思います。

本多委員 ちょうどいい前振りをしていただいたので、本当にそうなのかという例で、今日は防衛副大臣に来ていただいているんです。

 スノーデンの出したファイルの中に、二〇一三年四月八日の文書に、アメリカの国家安全保障局は、今度、防衛省情報本部電波部に講師を派遣をする、その講師には、以前提供したXキースコアというソフトウェアを使っていろいろ講習をするという記述があります。

 Xキースコアは何か御存じですか、大臣は。

平井国務大臣 申し訳ありません、存じ上げません。

本多委員 要するに、スパイのグーグルと呼ばれていて、アメリカ国家安全保障局でこのXキースコアに例えば平井、批判とかと入れると、平井大臣を批判している私のような人間がずらっと出てくるという装置なんですね。

 ということは、防衛省は、私は、いろいろな相手国の電波などを傍受している、これは防衛のために必要なものだと思います。場合によってはそれはネット情報もあるのかもしれませんが、インターネットのメールの情報は防衛省といえども見ては駄目なんだと思いますが、そういうことはしていないですよね。

中山副大臣 ありがとうございます。

 スノーデンCIA職員が不法に持ち出したとされる出所不明の文書の内容を前提とした質問ということであれば、コメントはその点については差し控えさせていただきますが、防衛省におきましては、我が国の防衛に必要な情報を得るため、我が国上空を飛来する軍事通信電波や電子兵器の発する電波などを全国各地の通信所などで収集、整理、分析をしているというのは、今委員の御指摘のとおりでございます。

 電波情報業務の具体的内容につきましては、将来の効果的な情報活動の支障となるおそれがありますことから、お答えを差し控えさせていただかなければなりませんが、防衛省・自衛隊におきます情報収集活動は、我が国の防衛に必要な情報を得るために行っているものでありまして、委員が御懸念をお持ちのインターネット上のメールの傍受を含め、一般市民の監視を行っているものではないということでございます。

本多委員 平井大臣もちょっと聞いていただきたいんですけれども、この質問というのは実は共産党の宮本徹議員が過去に委員会でしていまして、今副大臣が読み上げた答弁を三回、同じことを政府委員が答弁しているんですね。

 ただ、私、点の打ち方がよく分からないので、日本語の読み方を教えていただきたいんですよ。いいですか。

 何度も言っている同じ文章、「防衛省・自衛隊におきます情報収集活動は、」ここまでいいですよね、「我が国の防衛に必要な情報を得るために行っているものでありまして、」これもいいですよね、「インターネット上のメールの傍受を含め、」ここから分からなくなるんですよ、いいですか、「インターネット上のメールの傍受を含め、一般市民の監視を行っているものでは全くありません。」

 これは、情報収集はしています、インターネット上のメールの傍受を含め、一般市民の監視を行っているものでは全くありませんと書いているんですけれども、一般市民の監視というと、定義が、一般って誰なんだ、本多みたいに与党とか政府の悪口ばかり言っているやつはしていいのかとか、監視のため、監視のためじゃないですよ、情報収集のためですよとかと目的を変えたら、インターネット上のメールの傍受はやっているんですか。つまり、インターネット上のメールの傍受もやっているけれども、市民の監視のためのものではないというふうに読むのが正しいのか。

 インターネット上のメールの傍受なんというのは私はやっちゃ駄目だと思うんですよ、実は法律がないので、今。通信の秘密ですから、これは。電波と違いますからね。電波はある程度可能な法理論を私も勉強しましたが、残念ながら、通信は、警察でさえ、犯罪を限って条件を課しているわけです。

 これは今できないはずなんですけれども、メールの傍受も含め、一般市民の監視を行っているものでは全くありません、この読み方はどう読んだらいいんですか。

中山副大臣 今御指摘をいただいたような形で、まず、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、一般の市民の監視を行っているものでは全くないということでございますので、先生が御懸念をお持ちのような形でのインターネット上のメールの傍受も含めて、御懸念のようなことはないということを申し上げておきたいと思います。

本多委員 一般市民の監視のためではないインターネット上のメールの傍受は行っているんですか。

中山副大臣 基本的には、日本の民主主義国家というのは公開が前提である、全ての情報は公開されるべきだというふうに思っております。

 他方で、そういったものが国家的なリスクになる場合においては、この部分に関しては差し控えなければいけない答弁というのもあるということでございます。御理解いただきたいと思います。

本多委員 平井大臣、これが今の日本の、私、安全保障委員会にも所属していますので、今日、やっているということをお認めになったんですが、それは法的な、通信の秘密を、いいですか、つまり、警察や検察に、私個人は、通信傍受法、かなり反対なんです。当時の野党は牛歩戦術までしました。今、部分的には、日時がたって、薬物犯罪、しかし、これは、もし防衛上必要なら要件を絞るとか何かしないと、今、憲法違反のことをやっていることになっちゃいますよ。いいんですか。

中山副大臣 防衛省のこういった情報収集、分析というのは、基本的に、国防、安全保障に資するものに限られているということでございます。

 先ほど来申し上げていますように、インターネット上のメールの傍受、こういったもの、そしてまた一般市民の監視というのは行っているものでは全くありませんということでございます。

本多委員 本当に、一般市民ってどういう定義なのか。監視のためではないけれども、情報収集のために一般じゃない特殊な市民の傍受を行っているとしたら、これは、防衛のための切り分け、立法もないです。平井大臣、デジタル庁は防衛省も勧告権限、出せるんですよね。これは今聞いていてどうですか。

 つまり、日本政府は、私、北朝鮮軍の飛んでいる電波を聞くのを駄目と言っているわけじゃないですから、勘違いしないでくださいよ。しかし、メールをやり始めたら、通信の秘密との関連が出てくるんじゃないんですか。それはいいんですか、平井大臣、こういうことで。

平井国務大臣 デジタル庁は政府情報システムの整備、管理を担うんですけれども、デジタル庁設置法案において、国の安全等に関する情報システムは対象外、除外するということになっているんです。

 そういう意味で、防衛省のバックオフィスの一般的な業務のシステムは見ますが、安全保障に関わるところは我々の担当外ということになります。

本多委員 大臣、いいですか、中国はデジタル監視社会と言っていて、アメリカでも一定のことがテロ対策で行われていると言って、日本にも疑惑はあるわけです。今日、大臣、副大臣の答弁を聞いていただきましたよね。これは、もしかすると必要なこともあるかもしれないけれども、法律がないまま、憲法に関する、メールの傍受を行っている疑惑が出ているんですね。

 ですから、何か日本だけ、それは政府の失策でこの二十年遅れてきたというのは、政府のデジタル化とか、絞って言えば、それから、民間の方から見たら、規制緩和をここはしてほしい、私はそれは否定しませんよ。一個一個やればいいと思っているのを、こんな何か束ね法案で、デジタル社会形成基本法って、まず私は名前からしてすごく不可解なんですよ。社会を法律で形成をしていく。社会って元々あるものだというのが私の考えなんですよ、自由主義社会において。

 例えば、言葉尻で言うと、男女共同参画社会なんていうのは、まあまあ、それはいいでしょうと思うんですけれども、私は、デジタル社会に住みたいかというと、別に住みたくないんですよ。社会とついている法律ってそんなに数があるわけじゃないんですよ。なぜこの社会だけ政府がわざわざ社会を形成しなきゃいけないんですか。

平井国務大臣 形成とは形ができ上がることや形作ることを一般的に意味するという意味で、形成と社会を組み合わせている用例は、法律の名称で用いている例えば高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、IT基本法ですね、この法律の前のやつ、及び、循環型社会形成推進基本法を始め複数あるんです。

 今回は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法に次ぐ法律ということで、そのまま形成という言葉を使ったところであります。

木原委員長 本多君、時間が来ておりますので、お取りまとめください。

本多委員 そういうことをおっしゃると、じゃ、質問させていただきますけれども、私はそういう発想じゃないんですよね。

木原委員長 本多委員に申し上げます。時間が来ておりますので、おまとめください。

本多委員 高度情報通信ネットワーク社会というのは、二〇〇〇年に作ったIT基本法でつくろうとしたけれども、つくれたんですか。

平井国務大臣 これは、だから、ITのインフラを中心に皆さんが高度情報通信ネットワークに参加できるようにということが目的だったので、それはある程度達成できていると思います。

 しかし、それを使い切れなかったというところが日本の一番弱みだというふうに思っていて、使えるネットワーク、そして、もうインターネットを使うことが前提の社会に変わってしまったので、考え方をバージョンアップしようというのが今回の法律だと考えています。

本多委員 時間が来ましたので終わります。

 引き続き、機会があれば質問させていただきたいと思います。

木原委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 私は、その正誤の、直る前の白表紙をいただいてこんなに勉強しちゃったんですけれども、全部の条文、目を通しましたけれども、その後に間違えていたというのが来た被害者の一人であることを申し上げておきます。

 平井大臣、今日はたくさんの質問を用意していますので簡潔に御答弁いただきたいと思います。

 まず、今の本多委員の最後の質問の関係で、何でこの法律、デジタル社会なんですか。今までの高度情報通信ネットワーク社会とか、あるいはIT社会とかというなら分かるんですけれども、アナログによる通信というのは概念上ないんですかねということも含めて、デジタル社会という言葉にする必要がなぜあるんですか。今までの高度情報通信ネットワーク社会でいいじゃないですか。

平井国務大臣 これはまたいろいろな議論もありまして、有識者の皆さん方等いろいろ考えた上で、今までよく言われているソサエティー五・〇とか、そういう言葉で表現されていた、次の時代の日本の社会をどういう言葉にしようかという議論の中で、このデジタル社会というふうに収れんしたというふうに聞いております。

後藤(祐)委員 アナログによる情報通信技術の活用は含まれないんですか。

平井国務大臣 ファクスのようにアナログのものというのは当然あるというふうに思いますし、アナログを排除するものではなくて、要するに、デジタルを実装して社会全体が更に国民がいろいろな目的を実現しやすいものにするということで、アナログを排除するということではありません。

後藤(祐)委員 アナログを排除しないデジタル社会なんですね、これは。だったら、高度情報通信ネットワーク社会の方が正確じゃないですか。

 それでは、行きたいと思いますが、ちょっと今のところも疑問が残りますが、特に今日は、まず、大量な法律ですけれども、デジタル基本法から行きたいと思いますが、皆さんのお手元に白表紙もありますか。私の配付資料もあるので、条文を見ながら、是非御覧いただければと思います。

 まず、デジタルデバイドから行きたいと思いますが、八条に、デジタル活用に係る機会や能力格差の是正義務というのを定めているんですが、その要因の一つとして、「身体的な条件」という言葉が条文に入っています。これは、何で身体的な条件なんですかね。障害者のことを考えると、身体障害者は入るけれども、精神障害や知的障害の方は入らないとしか読みようがないですよね。そういう方は、その後の「その他の要因に基づく」というところになってしまうような気がするんですが、この精神障害、知的障害を含めて、ここは、障害の有無だとか程度、内容ですとか、そういったもう少し広い書き方をした方がいいと思いませんか。

平井国務大臣 御指摘の第八条は、高度情報通信ネットワークの利用やデータの活用の機会又は必要な能力における格差の是正が重要という認識の下、他法律の規定ぶりも参考に、地理的な制約、年齢、身体的な条件、経済的な状況を格差の要因になり得るものとして例示した上で、当該格差の着実な是正が図られなければならない旨規定したものであります。

 精神的障害や知的障害は、その他の要因に含まれ得るものであり、これらを要因とする格差を軽視するものでは断じてなく、そのような格差があれば、その是正に着実に取り組むことが求められると思います。

 例示をしていないということをもって精神的障害や知的障害を要因とする格差を軽視するものではないというふうに考えておりまして、いずれにせよ、本条に基づき、精神的障害や知的障害を要因とする格差についても、着実に取り組んでいきたいと思いますし、今、先生とこの話をしていて、デジタル社会の超党派の議連で、前の法律のときに先生から御指摘がいろいろあった、あの幻の議員立法ですけれども、それは今回の法案の中に相当部分入っているというふうに我々は思います。

後藤(祐)委員 是非、この条文を見ると、精神障害、知的障害の方はがっかりしてしまうと思いますので、障害全般が明示されるような形の修正なんかも考えていきたいなと思います。

 続きまして、二十三条を御覧ください。私の配付資料ですと三ページ目です。

 ここも、デジタルデバイドに対して必要な措置を講じなければならないという条文ですが、この「全ての国民に当該機会の確保が図られるようにするために必要な措置が講じられなければならない。」、この「全ての国民」とは一体誰のことですか。つまり、これは、全ての国民だと、一体誰に向けて、デジタルデバイドになってしまいそうな方々に、ちゃんと、そうならないように必要なことをやりますよという条文なんだとすれば、例えば、今の障害者の方もそうですし、先ほど今井議員からあったような高齢者もそうですし、あるいは、これから5G時代を迎えて、離島だとか中山間地に5Gが行くのかとか、そういう地理的に不便な地域に居住する住民とかいうこともあるかもしれませんし、こここそ例示しないと、一体何に、どういう方向に向けてやるのかがちっとも分からないんですけれども。

 ちょっと提案します。二十三条、これは読みにくいんです、非常に。ちょっと皆さん、条文を見ながら御覧いただければと思いますが、二行目まで読んで、「情報の活用の機会における格差が生じないよう、」の後に、例えば、障害者、高齢者、地理的に不便な地域に居住する住民などとか、例示をして、など全ての国民に対しとそこに入れて、その後、「情報の取得及び利用の機会を確保するための情報通信機器の研究開発の推進及びその導入の促進その他の」「機会の確保が図られるようにするために必要な措置が講じられなければならない。」とすると、非常に何を言っているか分かりやすい条文になると、平理事、思いませんか。そう書かないと、「全ての国民に」って、何を言っているか分からないんですね。ユニバーサル過ぎて分からないというのはやはりちょっと例示をすべきだと思いますが、いかがですか、大臣。

平井国務大臣 二十三条における「全ての国民」とは、その文言どおり、御指摘の障害者、高齢者、地理的に不便な地域に居住する住民も、全部含むものであります。

 この点について、第八条において、地理的な制約、年齢、身体的な条件、経済的な状況その他の要因に基づく高度情報通信ネットワークの利用及び情報の活用に係る機会又は必要な能力における格差の是正が着実に図られなければならないという旨を規定していますので、第二十三条において、同趣旨であることから、あえて繰り返して規定する必要はないと考えたんだと思います。

後藤(祐)委員 ここは分かりやすく規定をするよう、これは是非、条文修正もお考えいただきたいと思います。

 続きまして、透明性の向上についてですけれども、まず総論として、第九条に「透明性の向上のための環境整備を中心とした施策を行うものとする。」とあって、これは評価したいと思いますが、その具体策、施策については三十条で触れていて、三十条に「国民が容易に活用することができるようにするために必要な措置が講じられなければならない。」この記述は、私は、分かりやすくて評価したいと思いますが、「国民が容易に活用することができるようにするために必要な措置」とは一体何なんでしょう。現在行われていなくて今後行うものとしては、具体的にどんなものがあるんでしょうか。

 特に、逐条解説の類い、私も今回、「個人情報保護法の逐条解説」という、こんな高いやつを買いましたよ、宇賀先生のやつ。だけれども、個人情報保護法の何条のこれはどういう意味だというようなことは、それこそホームページに全部書いてあるべきじゃないですか。

 あるいは、いろいろな予算、補助金ですとか交付金なんかがどういう要件を満たした場合にいただけるのかというのは、これは、全国民、あるいは地方公共団体とか会社も含めて、非常に知りたいことなんです。でも、補助金交付要綱というのは公表されていない場合も結構あって、どういう人がもらえるのか、よく分からないわけです。

 少なくとも、こういう法令だとか予算だとか税だとかいうものを細かく具体的に分かりやすく示すようなものについては、この三十条、私、三十条のこの表現は評価しますよ、今まで全部公表されていませんから、全部、法令、予算、税に関するものは、具体的な要件なんかを示した補助金交付要綱とか逐条解説は、全部ホームページに載せるということをお約束いただけませんか、大臣。

平井国務大臣 また是非検討させていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 是非、三十条に規定される意味は大きいと思いますので、しかも、隠す話じゃないはずですから。今回だって、個人情報保護法の各条文の意味というのはかなり難しいんですよ。それは、やはり国民全体の共有財産だという観点から、是非公表していただきたい、隠すものでは全くないはずですから、していただきたいと思います。

 続きまして、自治体のシステムの共同化と標準化という難しい表現について伺いたいと思います。

 標準化については、別途、総務委員会に標準化法がかかりますが、この基本法の中の二十九条に「国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進」ということが書かれているんですが、地方公共団体にとっては、標準化についてはどの程度の細かさでもって従わなきゃいけないのかという議論は、ちょっと後に少しやりますけれども、これは標準化法案の話かもしれませんが、この基本法の中では、この共同化又は集約というのは地方公共団体にとって義務なんですか。

平井国務大臣 国や地方公共団体の情報システムについては、ガバメントクラウドの活用などの情報システムの共同化又は集約を推進することが、効率的な行政運営を実現する上で非常に重要だと考えています。

 そのような認識の下、本法案の第二十九条では、国及び地方公共団体がデジタル社会の形成に関し講じるべき施策の根幹を成す規定として、国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進といった措置が講じられなければならない旨を規定しています。

 これにより、地方公共団体には、情報システムの共同化又は集約の推進に係る義務が課されることに加えて、本規定に基づく施策と一体となって取組を進めていくということになると思います。

 地方公共団体におかれては、積極的に情報システムの共同化又は集約を進めていきたいと考えておりまして、国としても、地方公共団体がガバメントクラウドを活用する支援をしていきたい、そのように思っています。

後藤(祐)委員 この二十九条の読み方として、地方公共団体が共同化、集約をしたい場合に、要は、小さい町村なんかですと、自分のところでシステムを組むのは大変だから、ほかのところ、あるいは国が用意するものをそのまま使いたいというようなことはあっていいと思うんですよ。それを共同化又は集約というのであれば、そういうことを地方公共団体がしたい場合に国はそのための必要な措置を講じなければならないというのが二十九条の意味なのであれば、私はいいと思うんですけれども、今の答弁の途中で、地方公共団体にとって共同化又は集約は義務であるというような答弁に聞こえましたが、義務なんですか。もう一度確認させてください。

平井国務大臣 委員御指摘のとおり、例えば、地方自治体でもいろいろありまして、本当に、基礎自治体、大体三つぐらいのレイヤーで我々は考えているんですけれども、それぞれガバメントクラウドへの参画の仕方というのは変わってくるというふうに思います。

 ただし、一緒につくっていこうということですから、地方自治体の皆さんにも参加してもらえるものだというふうに思っていますし、こうでなければならぬということではなく、一緒になって、今も共創プラットフォームの中で、ワクチン接種のシステムの問題や、このガバメントクラウドの問題、多くの自治体の皆さんからもいろいろな御意見も聞いています。そういうものを聞いた上で、この集約化とか共同化というのは自然の流れだというふうに私は感じています。(後藤(祐)委員「答弁していないです。答えていないです、二回聞いたけれども」と呼ぶ)

木原委員長 後藤君、もう一度質問していただいて。

後藤(祐)委員 地方公共団体にとって、共同化又は集約の推進は義務ですか、義務でないんですか。お答えください。

平井国務大臣 基本的には義務だと思っています。

後藤(祐)委員 これを地方公共団体は恐れているんですよ。共同化した方がよさそうなものについては、地方公共団体の方がしますよ、コストが低いとか、これは合わせておいた方がいいとか。だけれども、自分のところでやっているものが既にあるような場合に、これを共同化されると困るというような、利害が反する場合があり得るんですよ。でも、それを、これは義務だと言ってしまうと、何のためにやっている法律だという話になってきちゃうんですよ。

 いや、今の答弁は大きいですよ。そうなるとなかなか、そもそも、総務委員会の方でかかる法案よりも、ここの方がより深刻じゃないですか。この共同化の話の方が深刻じゃないですか。

 じゃ、ちょっと具体的に聞きますね。どういうことを自治体が懸念しているかなんですけれども、例えば、配付資料七ページに、今回の標準化法の方でかかる十七の標準化対象事務を並べていただきました。これは総務省の資料ですけれども。

 これは全部標準化しなきゃいけないんですね。標準化すること自体はいいかと思うんですけれども、法定受託事務の場合は、自治体にとっても、これは国にやれと言われることが、義務づけられている話だから、ある程度しようがないという面があるんだけれども、自治事務については、自分たちでやる事務ですから、それをこのやり方でやれと強制されるのはいかがなものかというふうに聞いています。

 この丸、バツ、三角は、自治事務が丸、法定受託事務はバツ、両方の側面が混ざるものが三角というものなんですが、一個一個聞かないとよく分からないんですけれども、つまり、自治事務であっても、この標準化の対象になっているものは物すごくいっぱいあるということなんです。

 自治事務の中でも標準化すべきものが並んでいるということなんでしょうが、実は、こういう場合がすごく懸念されているそうなんですね。例えば、就学援助に対して市町村ごとに、特に財政的にゆとりのあるような市町村は上乗せをしていたりします。これは当然、自治事務で、かつ、それぞれの自由度でもってやっているんですけれども、就学援助の上乗せを市町村がやろうとしたとき、システム的にどういうものが必要になるかというと、例えば、この七ページ、上から御覧いただけると、住民基本台帳が必要だったり、例えば住民税非課税世帯を対象にする場合には個人住民税というデータが必要だったり、あるいはこの中の児童扶養手当というものが必要だったり、児童手当が必要だったり、そして、何年生のお子さんがいらっしゃるかという意味で、就学に関する情報が必要だったり、ここにあるような情報が必要になってくるんです。

 ここにあるようなものが、もうこれでやらなきゃ駄目ですよと言われてしまうと、今までこの就学援助の上乗せを自前でつくっていたシステムで、そこにぶら下げるような形で自前で就学援助上乗せシステムを構築しているような市町村があるわけですね。ところが、その前提となっているここの七ページにあるようなものが、違う形でやらなきゃ駄目ですよとなっちゃうと、もう一回その上乗せ部分をつくり直しみたいになっちゃうと、お金もかかるし人もかかるし、今、ほっておいてくれればうまくいっているんだけれどもというのが市町村の本音なわけです。

 今のような、市町村が自前でやっているようなシステムと、今回、標準化どころか、今の答弁で共同化までしなきゃいけない可能性も出てきているわけですが、そういったことで、自前の上乗せでやっているようなシステムが使えなくなっちゃうというようなケースが起こり得ると思うんですが、これに対してはどう対応するんですか。これは、総務省の宮路政務官。

宮路大臣政務官 お答え申し上げます。

 この度の標準化法案においては、条例などに基づく地方公共団体の独自サービス、先ほど御指摘いただいた就学援助の上乗せなど、標準化対象事務と一体的に処理することが効率的であると認めるときは、標準に準拠したシステムの機能などに一定の改変や追加を行うことを可能とする規定、具体的に言うと八条二項ですが、盛り込んでおります。

 ですので、先ほどおっしゃったような上乗せ助成を行っているような場合を想定したものでありまして、したがって、標準化対象事務以外の地方公共団体の独自の取組が行えなくなるものではないというふうに考えております。

後藤(祐)委員 だけれども、今は自前でここの七ページにあるようなものはシステムを設計していて、自前でそれに上乗せのシステムをつくっているのを、七ページにあるようなものは、今度は共同化するかもしれないし、少なくとも標準化しなきゃいけなくなって、それでつくり直すと、上乗せ部分もつくり直さなきゃいけなくなるケースがあるんじゃないですか、そのお金は当然出してくれるんでしょうね。

宮路大臣政務官 この度の標準化法案は、基本的に、事務処理の内容が共通しているものについて標準化を行うというものでございます。したがって、まずそこで効率化が図られるということですので、自治体にとっては、その意味で、要は効率化、つまり財源の削減も可能であるということでございますので、その上で、上乗せについて仮に改修が必要になる場合、これについては、国でその財源について見るかどうかというのはこれから検討の余地はあると思いますけれども、基本的な考え方としては、標準化することによって自治体にも大きなメリットがあるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 これから検討なんですか。だって、今動いているシステムなんですよ。だから、余計なことをしなければ追加コストゼロで、ゼロというか、保守点検はあるかもしれないけれども、極めて低いコストで、今動いている上乗せシステムが標準化、場合によっては共同化によって動かなくなっちゃう可能性があって、それは国が全額出さなきゃ駄目でしょう。だって、全額出さなかったら地方公共団体にとって損するだけじゃないですか、このシステム化は。

 でも、今のこれから検討というのはちょっとひどい答弁ですね。そんなんじゃ標準化法はもたないですよ、総務委員会。

木原委員長 後藤委員、宮路総務大臣政務官から答弁がありますか。

後藤(祐)委員 いやいや、だって、今もう答弁したんだから、これから検討の答弁、二度なら求めないですよ。

木原委員長 よろしいですか。それでは続けてください。

後藤(祐)委員 少なくとも、標準化なり共同化なりで、自治事務、特にこういう上乗せをしているような事務ができなくなることはないと断言していただけますか、総務省として。

宮路大臣政務官 繰り返しになりますが、先ほど申し上げたとおり、この度の法案によって、標準化対象事務以外の地方公共団体の独自の取組が行えなくなるものではないというふうに考えております。

後藤(祐)委員 行えなくなることはない、だけれどもお金を出すかどうか分からない、お金がなかったらできないじゃないですか。

 いや、これはちょっと、与党、本当にしっかりしてくださいよ。ちゃんとお金は全額出すと言ってくださいよ。そうしなきゃ、こんなの、市町村にとっては、損するだけじゃん、この話となっちゃいますよ。ついてこられないですよ。(発言する者あり)差引きなんというのは、長期的に見ればそうかもしれないけれども、短期的には出ていくことになるじゃないですか。駄目ですよ、それは。

 続きまして……

木原委員長 委員会の皆さんに申し上げます。

 委員同士の議論ではありませんので、是非そこはお気をつけて、外からも不規則な発言は控えるようにしてください。

 どうぞ、お続けください。

後藤(祐)委員 いや、私は別に、こっちを向いてしゃべっているだけで、内容的には、別に誰かに話しかけていませんよ。

 じゃ、基本法に戻りますが、ちょっと、今の総務省の姿勢では、地方公共団体の立場に立った答弁とは思えません。

 三条に行きたいと思いますが、この三条が、またこれが読みにくいんですね。情報通信技術を用いた情報の活用やデジタル社会におけるあらゆる活動に参画することは全ての国民の義務なんですか、大臣。

平井国務大臣 デジタル社会形成基本法第三条は、基本理念として、デジタル社会の形成は点々々行われなければならない旨規定しているものであって、具体的な主体を念頭に置いて義務づけているものではないんですが、強いて申し上げれば、責務が規定されている、国、地方公共団体、事業者が想定されます。

 そしてまた、同条は、全ての国民が高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用するとともに、情報通信技術を用いた情報の活用を行うという手段によって、デジタル社会におけるあらゆる活動に参画すること及び個々の能力を創造的かつ最大限発揮することが可能となる旨規定しているということから、情報通信技術を用いた情報の活用やデジタル社会におけるあらゆる活動に参画することは全ての国民の義務でないということでございます。

後藤(祐)委員 全ての国民の義務ではないというところははっきりしましたが、だとすると、これは読みにくいんですよ。例えば、情報の活用をしやすくするとか、あらゆる活動に参画しやすくするとかという言い方であれば分かりやすいし、あと、主語が、国、地方公共団体及び事業者は、例えば、努めなければならないというような主語、述語関係であれば非常に分かりやすいと思います。

 総じて日本の条文というのは、主語が書いていないことによって非常に無責任な条文になっている場合が多くて、基本法的なものは特にそうなんです。その結果、あれ、国民は情報活用が義務になっちゃったの、いつの間にかというふうにこの条文は読めなくないんですよ。なので、今の答弁は実は重要な答弁だと思っています。

 同じように、今、事業者の責務が規定されていると言っていましたが、十六条ですね、事業者は責務なんですか。つまり、私はもうデジタルなんか関係ないという仕事の仕方をしている事業者というのはいっぱいいるわけですけれども、デジタルに全く取り組みたくないとかいう人だっていると思うんですよね。ただ、デジタル的な手段を用いるときは一定のルールに従う責務を負う、これは分かるんですけれども、そういうのを一切やっていないという事業者にとっても、この十六条の責務、努力義務はかかるんですか、大臣。

平井国務大臣 十六条においては対象となる事業者は限定していないので、全ての事業者が対象ということになります。

 この規定は努力義務規定であって、各事業者は、自らの事業の内容や事業実施の理念等を踏まえて、自らの事業でデジタル化に取り組むかどうかを含めて判断を行うものであって、デジタル化は不要と考える事業者に対しては、デジタル化の義務を課すという趣旨の規定ではありません。

 この規定は、事業者においてもデジタルトランスフォーメーションやレガシーシステムの対応等が求められること、官民一体となったベースレジストリーの整備やAPI連携の促進といった取組に民間事業者の協力が不可欠であることを念頭に置いたものであり、可能な限り事業者の皆様にもこの趣旨を踏まえた対応をお願いしたい。

 情報技術を用いた情報の活用を行う事業以外でも、デジタル技術の活用によって、経営の効率化とか事業の高度化、生産性の向上等の効果も見込まれるので、そうしたデジタル化の可能性を広く御理解いただけるように努めていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 全事業者の努力義務なんですね。この辺りが、例えば、持続化給付金はデジタルにしか申し込めないというようなところにもう表れてきてしまっているんですよね。あれがどれだけ、ああいうのだったらちょっと俺は申し込めないなという人、皆さんだって、地元で言われていませんか。もう既に表れてしまっているんですよ。

 もう一つ主語が分かりにくいところ、十一条です。「情報通信技術の進展について、適確かつ積極的に対応しなければならない。」という主語は誰なんですか。これはもし、国民あるいは全ての国民だとすると、国民は情報通信技術の進展に対応する義務を負うんですか。国民でないとすると、一体誰なんですか。

 先ほど大臣がおっしゃった、国、地方公共団体及び事業者はということであれば、十一条の冒頭に加えるべきじゃないですか。

平井国務大臣 これは、具体的な主体を念頭に置いて義務づけているものではないんですが、委員がおっしゃるとおり、強いて申し上げれば、責務が規定されている、国、地方公共団体、事業者ということが想定されます。

後藤(祐)委員 国民の義務ではないんですよね。でも、十一条は、国民の義務に読めますよ。国民の義務でないですよね。

平井国務大臣 先ほどお話しした、このような規定の趣旨を踏まえれば、十一条に基づいて、国民に具体的な義務が生じるものではありません。

後藤(祐)委員 そうすると、この主語は何であるかというと、これは国民に見えますよね。皆さん、どうですか、読んでみて。ここは主語を加えないと、国民にこの義務がかかるとしたら、これは、みんなスマホを持たなきゃいけませんみたいな話じゃないですか。そうでないとしたら、筆頭理事、主語を加えましょうよ。というように、直すところがいっぱいあって困るんですけれども。

 二十条。二十条も、「情報通信技術を用いた情報の活用に係る機会の確保及び必要な能力の習得が不可欠」とあるんですが、国民はこういった能力の習得が不可欠なんですか、大臣。

平井国務大臣 本法案が目指すデジタル社会では、国民の幸福な生活の実現に向けて、全ての国民が制約を受けることなく、主体的に情報やその処理、流通の手段を選択できることなど、デジタル社会に必要なリテラシーを向上させることが、より一層重要になるとまず考えています。

 このため、高齢者や障害がある方、デジタルに苦手意識がある方も、支援を受けながら、各人に応じた機器やサービスを使いこなせるようになるなど、国民一人一人が安心してデジタル社会に参加できるよう、必要な能力の習得が不可欠と考えています。

 一方、本法案では、全ての国民に能力の習得を一方的に求めているのではなくて、全ての国民が能力を向上させることができるような教育や学習を振興することを定めています。

後藤(祐)委員 全ての国民にとって、能力の習得は不可欠なんですね。

平井国務大臣 あった方が望ましいということだと思います。

後藤(祐)委員 いや、あった方が望ましいじゃなくて、不可欠なんですね。

平井国務大臣 一人一人安心してデジタル社会に参加できるよう、必要な能力の習得が不可欠だと考えています。

後藤(祐)委員 驚きの答弁じゃないですか、今の。国民は情報通信技術を用いた情報の活用に係る能力の習得は不可欠だというのが、この法案の条文です。不可欠なんですか。いや、これって相当なことだと思いますよ。

 不可欠になりつつある状況であることに鑑みとか、書き方はいろいろあると思うんですよ。事実上そういう状況になりつつあるという状況を説明している用語だとかいうならともかく、こういう技術の能力の習得は不可欠であると大臣が断言したというのは、意味が違いますよ。(発言する者あり)言いがかりじゃないですよ。これは、だって、条文そのものだから。条文の意味を確認して、不可欠だと言い切ったわけだから。

 あと、十条。十条の「デジタル社会の形成に当たっては、」「個人及び法人の権利利益、」「が害されることのないようにされるとともに、」とあるんですけれども、個人及び法人の権利利益が害されることのないようにするとともにじゃないんですか、ここは何で「されるとともに」なんですか。これは尊敬語ですか。

 受け身だとすると、それは、「個人及び法人の権利利益、国の安全等が害される」、ここが受け身なのは分かるんですけれども、「害されることのないようにされる」って、何でこれは尊敬語が入るんですか。害されることのないようにするとともにの間違いじゃないですか、これは。

木原委員長 どなたがお答えになりますか。どなたか答えられますか。

 ちょっと時計を一回止めてください。速記を一回止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 それでは、速記を起こしてください。

 平井大臣。

平井国務大臣 国民にとって不可欠というようなことが、要するに、何か皆さんに無理やり何かをやらせるというイメージになると、これは私は非常に心外なんです。

 結局、デジタル社会の形成をするためには絶対に不可欠であって、国民が全員持たなきゃいけないという不可欠ということではない条文だと考えています。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも先生御指摘のように、主語のない条文が幾つか出てまいりましたけれども、これも同様でございまして、主語が書かれておらず、受け身で書かれているということでございますので、したがいまして、主語が書かれずに、何といいますか、そういう状況を指すといいますか、そういうふうな表現になっているということでございます。

後藤(祐)委員 いや、その部分は、「個人及び法人の権利利益、国の安全等が害される」という、ここが受け身なのは分かるんですよ。「ことのないようにされる」というのが、何の受け身なのかが説明になっていないんですけれども。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 このデジタル社会の形成に当たっては、国の安全等が害されることのないような、そういう、何といいますか、形成を行うというのを裏から受け身で書いたというふうな表現になってございまして、非常に分かりにくいという点におきましては、先生のおっしゃるとおりだと思います。

後藤(祐)委員 これは、国語的に間違っていませんか。な形成を行うとか、今おっしゃったような形で、ちょっとこれは国語的に通るように直しましょうよ。基本法ですからね。

 ちょっと時間がかかってしまったので、基本法を幾つかまだ詰めるところがあるんですが、デジタル庁法案にもちょっと触れなきゃいけないので、デジタル庁法案に行きたいと思います。

 火曜日の本会議の我が党の森田議員の質問で、勧告権についてやりました。勧告権を持つ、こういう新しいことができるようになるという具体的なメリットとはどんなものですか、新しい具体的なメリットは何ですかという質問に対して、総理から、特に必要があると認められるときには内閣総理大臣に意見具申することで、迅速、強力な政策調整が可能になりますと答弁しているんですけれども、これは今でもできるんじゃないですか、大臣。

平井国務大臣 今でもできるというのは、政府CIOが総理に対してそれが言えるということですよね、現行の法律でいえば。

 今回のは、担当大臣がそのまま勧告権を持っているというのがまずあって、その上で総理に上げることもできる、平たく言うと、そういうことだと理解しています。

後藤(祐)委員 平井大臣は、特命担当大臣として勧告もできるし、報告を求めることもできるし、特に必要があると認めるときは内閣総理大臣に対して意見具申することもできるんじゃありませんか。

平井国務大臣 マイナンバー担当大臣としてはできるということであります。

後藤(祐)委員 こんな大事なところ、後ろから聞かれないと分からないんですか、平井大臣。

 平井大臣は、マイナンバーについてだけ特命担当大臣で、それ以外は特命担当大臣じゃないということですよね。(平井国務大臣「そうです」と呼ぶ)

 特命担当大臣である部分については同じじゃないですか。勧告ができる、報告を求められる、総理に意見具申できる。同じじゃないですか、全く。

平井国務大臣 予算要求の段階から一元管理、それは今まで全くやっていなかったことを、今度、要求段階から執行までデジタル庁で見ることができるようになります。

 今までの総合調整機能では……(後藤(祐)委員「聞いていないです。勧告権です、勧告権と意見具申」と呼ぶ)いや、勧告というのは、今まで誰も使っていなかった勧告権ですね、いわば抜かずの宝刀みたいな形で確かに持っていましたけれども、具体的に勧告をしていくというようなことは今まではなかなかできなかったと思います。

 ただし、今度のデジタル庁は、最初から、プロジェクトを進める進めないも含めて……(後藤(祐)委員「法律上、同じかどうかを聞いています」と呼ぶ)法律上はどうなんですかね、これは組み合わせると効力が変わってくるというふうに私は理解をしています。

後藤(祐)委員 現行内閣府設置法第十二条に基づいて行う勧告、報告を求める、そして意見具申することはできると、このデジタル庁設置法案で規定されたものと法的に何か違うんですか。

平井国務大臣 私が言っているのは、法律の規定と、そして今回の持っているデジタル庁の権能と、その両方を比べると、明らかに内閣府の特命大臣とは違うというふうに思います。

後藤(祐)委員 法律上、条文は全く一緒ですけれども。

 ほかの権限と組み合わせるとかいう話はおいておいて、この勧告権、意見具申、ここについては、現行の内閣府設置法十二条の二項、三項、四項と今回のデジタル法と、何か法的に違うところはあるんですか。条文上、全く一緒ですけれども。

平井国務大臣 条文が同じであればそれは同じなんですけれども、実質的に、今回は、十分に機能していなかった勧告権をきっちり使えるように制度設計をしたというふうに考えています。

後藤(祐)委員 確認させてください。

 法律上は同じですか。それを、運用の仕方をいろいろ工夫していくのは、それはあっていいですよ、ほかの権限と組み合わせるとか。法律上は、条文を見ると一緒だから、全く。法律的には同じでよろしいですか、大臣。

平井国務大臣 勧告することができるということは一緒なんですが、その後、「この場合において、関係行政機関の長は、当該勧告を十分に尊重しなければならない。」というところが、そこは違うというふうに思います。

後藤(祐)委員 十分尊重というところがプラスアルファなんですか。だとしたら、内閣府設置法もついでに変えて、ほかの特命担当大臣も同じ権限を持たせるべきじゃないですか。

平井国務大臣 それはそれでまた御検討いただければと思うんですが、今回の場合はそれをプラスしているということです。

後藤(祐)委員 特命担当大臣が弱いということを証明しちゃったやり取りなんですけれども。ちょっと、これは内閣府設置法も変えた方がいいですよ。

 デジタル庁の機構・定員について聞きたいと思いますが、お手元の資料八ページです。

 通常、機構・定員というのはスクラップ・アンド・ビルドになっている場合が多いんですが、今回、デジタル庁は、新たな仕事、特に民間の方をたくさん入れるという意味で、全体として純増になっているのは当然あってしかるべきだと思いますが、イメージとして、民間から来る方の分が増えるのはいいと思うんです。ところが、官僚の方は、どこかに席があるわけですから、その方が移るだけなわけですから、霞が関全体で見れば、どこかが減ってどこかが増える、プラマイ・ゼロになっていなきゃおかしくて、それを確認させていただきたいと思うんですが。

 まず、デジタル監というのは、内閣情報通信政策監。これは民間の方で、ここは一対一対応ですね。

 デジタル審議官というのは、これは次官級ですけれども、これは何もスクラップがない純増で、しかも、これは官僚が座るということでよろしいですか。

 統括官、局長クラスですけれども、これも、局長クラスのスクラップは一つもありません。かつ、これは、民が一人、官が三人と聞いていますが、そういうことでよろしいですか。

 審議官が四枚増えますが、これは、内閣審議官が三、総務省審議官が一ということで、ここは、審議官の数、四、四で合っていて、審議官に民間の方が一人というふうに聞いていますが、それでよろしいですか。そうすると、官僚はここで一つ確かに減になっているので、それが局長なんかのスクラップ財源になっているという説明かもしれません。

 参事官は十七増えますが、そのためのスクラップは、ちょっとこれは見にくいですが、参事官、七がスクラップになっているということでよろしいですか。民間はこのうち何人ですか。

 企画官は十八枚増えますが、スクラップは二十五枚と聞いています。ここはスクラップの方が多いので、その上のもののスクラップ財源になっていると思いますが、以上で合っていますでしょうか。

 あと、参事官、企画官の民間の数をお答えください。

平井国務大臣 デジタル庁に、デジタル監、デジタル審議官、統括官、審議官、参事官、企画官、ですから、統括官四、審議官四、参事官十七、企画官十八を設置することとしており、このうち、少なくとも、デジタル監、統括官一、審議官一、参事官三、企画官五については民間人材が就くことを念頭に置いています。

 その一方で、内閣情報通信政策監、審議官級四、課長級七、企画官級二十五の機構廃止を行うこととしているんですが、このスクラップ・アンド・ビルドは一対一ではなく、全体で調整しているということになります。

後藤(祐)委員 いや、全体として、プラマイが合っていれば全体でいいんですけれども、明らかに合っていないじゃないですか。

 民間の分は純増でいいんですけれども、今聞くと、官僚の分だけでもう合っていないじゃないですか。これは焼け太りじゃありませんか、大臣。

平井国務大臣 焼け太りというふうには考えていなくて、はっきり言って、デジタル庁といっても、民間だけで回らないというのは、今回の法案の、今回の我々のいろいろなミスと御迷惑をかけた実態を考えても、これはもう、やはり、非常に、そういう人たちも必要だということは、十分、骨身にしみました。

 ですから、ある意味で、官民のうまいバランスの下にスタートをさせないと、国会の要請にも応えながら、実はシステムの改修もするということを、両方やっていかなきゃいけないので、そこのところが組織としては非常に大きなテーマなんですが、これでスタートさせていただいて、これで全てうまくいくとも思っていなくて、いろいろな問題を受けてここは柔軟にまた変えられるようにお願いもさせていただきたいし、民間の人材は更に増やしていきたい。そうでないと、システムを全部見るというのは不可能だというふうに思っています。

後藤(祐)委員 マイナンバー法のときも、法律の目的に行政の効率化というのが入っていないじゃないかと、こういった質疑で私から提案をして、それは入りました、修正で。

 つまり、マイナンバー化だとか、こういったデジタル化とかというのは、短期的にはともかく、少なくとも、長期的には、いろいろなものが効率化されて、むしろ付加価値を生んでいくというためにやっているんだと思うんですけれども、まず、官僚のポストがプラスアルファになりましたというところから始まるということですよ。ちょっとこれは増やし過ぎだと思うんですよ、大臣。べらぼうじゃないですか。次官ポストも増えて、局長ポストが四つも増えているんですよ。局長ポストって、全体で百ちょっとしかないようなポストですよ。これはちょっとやり過ぎですよ、大臣。

 民間の方のポストをどれだけ増やしても私はいいと思う。だけれども、官僚の方が得するというのは、それは焼け太りと言うんじゃないですか。ちょっと厳しくやった方がいいと思いますよ。

 もう時間がなくなってきてしまったんですが、今日ちょっと、法制局長官にお越しいただいているので、個人情報保護の話に少し入りたいと思いますが、まず、この個人情報保護に関して、デジタル基本法案の目的規定だとか、あるいは基本法の十条にも、個人及び法人の権利利益が害されることのないようにとは書いてあるんですが、個人情報を保護するということは具体的には書いていない。そして、個人情報保護法の一条の「目的」にも、個人の権利利益を保護するということは書いてあるんですが、個人情報の保護そのものは目的として書いていない。

 これは何でなんですか。個人情報の保護そのものが極めて重要な目的じゃないですか。基本法のせめて十条、本来は一条、そして個人情報保護法の一条に、それぞれ個人情報の保護そのものを明示すべきじゃありませんか、大臣。

平井国務大臣 本法の法案の、第一条は、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。」と規定しています。

 この目的規定は、個人情報を保護することを当然の前提とした上で、個人情報の保護の実現の方法やそれを通じて保護する利益を明らかにしたものであって、このように、個人情報の保護は目的規定においては前提であり、個人情報の保護が適切に行われるように取り組んでいきたいと考えています。

後藤(祐)委員 法律の目的というのは、前提を書くのが目的規定なんじゃないんですか。当然の前提と思われることを明確に示すのが目的だとか任務の規定なんじゃないんですか。何で個人及び法人の権利利益だとか曖昧な書き方をするんですか、あるいは、個人情報保護法は、「個人の権利利益を保護」と。個人情報の保護と明確に書くべきだと思いますよ。

 これに関しては、もっと大きな深遠な議論があって、自己情報コントロール権という議論がございます。法制局長官、ありがとうございます。

 住基ネット訴訟の最高裁判決というのがあって、配付資料の九ページ、この中では、平成二十年の判決ですが、「自己の私的事柄に関する情報の取扱いについて自ら決定する利益(自己情報コントロール権)は、人格権の一内容であるプライバシーの権利として、憲法十三条によって保障されていると解すべきである。」というふうに判示しておりますけれども、内閣法制局長官に伺います。自己情報コントロール権は、人格権の一内容であるプライバシーの権利として、憲法十三条によって保障されておりますか。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 お尋ねの自己情報コントロール権につきましては、その内容、範囲及び法的性格について様々な見解がありまして、現在のところ、明確な概念として確立しているものではないというふうに認識しております。

 お尋ねの、配付資料のところは、御指摘の最高裁判決において破棄をされました原審である大阪高裁の判決が示した考え方ではございますけれども、最高裁の方におきましては、この後に、この資料には載っておりませんが、その後に最高裁の考え方が出ておりまして、「憲法十三条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものであり、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解される」というふうに判示しておりまして、自己情報コントロール権というものが認められるという判断はしていないというふうに理解しております。

後藤(祐)委員 内閣としてはいかがですか。

木原委員長 どうぞ、近藤長官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

近藤政府特別補佐人 内閣全体としてということで、法制局としての見解としてそう理解しておりますので、内閣の中でもそういう理解で共有されていただけるんじゃないかというふうには理解しております。

木原委員長 後藤委員、取りまとめてください。

後藤(祐)委員 ここは極めて重要な論点なので、これは相当長い時間、この法案、いずれにせよ必要ですね。

 慎重な審議を求めて、終わります。

木原委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時一分開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず冒頭、クリーン、フェア、オープンなデジタル改革及びDXの推進についてというテーマで伺わせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスの大流行、これは、私たちの生命財産、これを脅かすだけではなくて、実体経済に大きな影響を与えています。そうした中で、やはりこの新型コロナの感染拡大、これを防いでいくために、感染症対策を抜本的に見直すこと、そして、国民の生命及び財産、これを守っていくことというのは非常に重要なことだと思っています。そのためには、既知の発想にとらわれず、あらゆる観点からデジタル化を推進をしていくことであったりとかDXを進めていく、こうしたことが僕は非常に重要だと思っておりまして、個人的には平井大臣には非常に期待をしているところでございます。

 そうした中で、今、デジタル改革関連法案が出てまいりましたが、今出てきているものを仮に全部パーフェクトにできたとしても、残念ながら、世界のトップランナーに追いつくにはまだほど遠い現実があるんじゃないかなということを思っております。

 なので、本日は、特に、今回のこの関連法案において欠如してしまっているなと思う部分に対して、意見、提言を交えながら質問をさせていただきたいということを思っておりますので、政府の皆様方には是非前向きに御答弁をいただければなということを思っております。

 先日、議連の仲間たちとともに、台湾のオードリー・タン大臣と意見交換をさせていただきました。その際、大臣がおっしゃっていたのは、デジタル技術を活用したコロナ対策が成功した理由としては、ファスト、フェア、ファンだということをおっしゃっていました。要するに、台湾ほどデジタル化が進んだ国であれば、データやAPIを利活用して有事に対応したシステムというのを迅速につくることができた、そして、政府と国民との信頼関係もあったものですから、ユーモアを交えながらインフォデミックへの対応ということも広報がしっかりできたんだろうということを推察をしました。

 しかしながら、残念ながら日本においては、その前段階で、国民の信頼を得るためのクリーンさであったりとか、あとは、各施策においてのステークホルダーとのコミュニケーション、これをもっとちゃんと図っていけるような体制というのをつくって、オープンにやっていかなきゃいけないんじゃないかなということを思っております。

 そこで、冒頭、平井大臣に伺いますが、大臣は、クリーン、フェア、オープンに政治、行政運営におけるデジタル改革及びDXを進めていかれることには前向きでしょうか、それとも後ろ向きでしょうか。御所見を伺います。

平井国務大臣 委員がおっしゃるクリーン、フェア、オープン、これは完全に同意します。

 今回、十二月に、デジタル社会実現のための基本方針、十の基本原則というのを取りまとめるときに、実は、このオードリー・タンさんのスリーFというものもワーキンググループの中では当然議論になり、実は、この十原則というのは、日本語でまとめましたけれども、過程においては全部英文にして、そしていろいろな方々の意見ももらいました。そういうことであって、オープン・透明とか公平・倫理とか安全・安心といった内容も掲げられておりまして、全面的にこの内容を踏まえたものになっています。

 こうした趣旨を全うして、関連施策を迅速かつ重点的に実施していくことが政府の信頼性を確保していくということだと思いますし、私はかねがね思っているのは、やはりデジタル化のプロセスは透明化しないと駄目だと。これは私はもう何度も何度も部内で話していることです。そういうことができるような組織にしたいと思っています。

中谷(一)委員 前向きな御答弁をいただきました。完全に同意をしていただいたということで、私も非常に必要だと思っている観点なんですね。

 残念ながら、やはり今までの政権運営の中で、クリーン、フェア、オープンな規範に基づいた政策を必ずしも政府が打ち出していないんじゃないかと多くの国民が疑義を持っているところがあると思います。これを、やはり課題解決をして、しっかりと、いや、政府は信用できるねと思っていただけるような状態をつくっていくことが、すなわちデジタル化を進めていくことに僕は直結するということを思っておりますので、是非前向きな改善を行っていただきたいということを思っているんです。

 まず冒頭に、デジタル改革関連法案の六法、これは束ね法案で提出をされましたが、この弊害について私はちょっと伺っていきたいということを思っているんです。

 六法それぞれ、これは非常に大事な法案だと思うんですね。デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、整備法案に公金受取口座登録法案、マイナンバーの利活用の預貯金口座を管理する法案であったりとか、あとは地方公共団体のシステムの標準化法案、どれも非常に重たい法案であります。なんですが、これをやはり束ねたことによって、スケジュール上、かなり無理が出た結果として、四十五か所の誤記が発生するという前代未聞の事態が発生してしまったんじゃないかなということを思っておりまして。

 先ほど今井議員に対して、大臣、御答弁をされていたんですが、法案を束ねたこと自体がミスの原因ではないということを答弁をされていたんですけれども、今回のミスに関しては、束ね法案として提出したことによって起こった問題や弊害は何もなかったとお考えでしょうか。また、もしそう考えられているのであれば、どのような根拠に基づく発言であったのかということを是非教えていただけませんか。

平井国務大臣 今回の誤りについては、要綱、参照条文などの参考資料に関して、法案担当者の確認が不十分であったこと、法案担当者以外による重層的な確認が不足していたことに問題があったと考えており、法案の束ねが要綱の誤りの原因になったとは考えていません。

 私も、この法案を作る過程でいろいろな議論にも当然参加しているわけですけれども、これは、やはりデジタル化というのは手段ですから、最終的には、国民に具体的なメリットを出していくには、実は今回束ねた法案以上に本来はもっとやらなければならないというふうに考えています。

 ただ、見ていて思うことは、これは委員だからちょっと私の本音を申し上げますが、法案のミスをなくすための例えば読み合わせみたいなものは、本当に職員の皆さんに大変な負担になるということは間違いないなと思いました。ですから、人員を増やして、そして体制を強化しても、一〇〇%、今のやり方で今後ともミスが永久に起きないのかということに関しては、今もって自信が持てないところもあります。これはまた是非国会全体として考えてもらいたい、別の問題として。

 ただ、今回は、本当に我々のミスにミスが重なったということで、特に国会への説明が遅くなったことに関して、本当に申し訳なく思っております。

中谷(一)委員 お気持ち、共感をするところがあります。私自身、企業経営に携わっていた経験があるものですから、日本の頭脳とも言える優秀な官僚の皆さんがこんな四十五か所の凡ミスを見逃すというのは、僕は普通の状態だったらあり得ないと思っているんですね。

 ということは、属人的な多分それぞれの理由であるというよりも、ガバナンスの問題だったりとか、そもそもの大量の法案を作るそのスケジュール感が適切だったのかとか、あとは、指示を出すトップが適切なマネジメントができていたのかとか、そっちの方が問題じゃないかなと思っているんです。

 平井大臣の構想されていることを全部やろうと思ったら、僕も多分、どちらかというと感覚的には近いと思っているんですけれども、まだまだやり足りないことはたくさんあると思うんですね。それでもリソースには限りがあって、できる範囲のことをこつこつ、一歩一歩進めていかなければ、多分急がば回れになっちゃうんじゃないかと思って、逆に心配をしているんですね。

 なので、そういうことに関して言うと、今度、再発防止チームを立ち上げて国会に報告されるということだったんですが、この検証は、僕は、二度とミスを起こさないためにもとても重要だと思っているんですが、どういうふうに検証されていこうと想定をされているのかということを聞きたいんですけれども、束ね法案の例えば作業工程など、スケジュールに関するガバナンス的な問題がなかったのかとか、官僚の皆様の働く環境、例えばそのアプリケーションは適切なものを使っていたかとか、こういったものについても含めて、どのような検証をされようと思っているのかということを教えてください。

平井国務大臣 まず、今回の再発防止チームに関しては、三月十五日の週に立ち上げて、三回程度開催して、三月末には何とかまとめたいというふうに思っています。

 国会への提出資料の確認、資料管理、誤り発見時の対応手順、業務の在り方の改善、そして体制の充実、これは必要に応じて、人員面の強化とか、ここは働き方改革も含むと思うんですが、人員不足に対応するために、例えばRPAとかデータベースですとかAIの活用については、これは中長期的な課題として整理をまずしていかなければならないと思います。

 まずは、今回起きた事案に関しては、先ほど前段で申し上げた方向で検証をさせていただきたいと思います。

中谷(一)委員 検証をしっかりと行っていただきたいと思います。というのも、大臣は否定をされますが、私自身は、無理なスケジュールで動かしてしまったことに対する問題というのはやはり必ずあるんじゃないかなということを思っているんです。

 先日の毎日新聞で、デジタル関連法案に対してこんな報道が出ていたので読み上げます。通常国会では例年、翌年度の当初予算案を三月下旬に成立させた後に法案審議に入る、しかし今回、予算案の参院審議中に関連法案を衆議院で審議入りさせた、政府・与党は四月中に法案を成立させたい考えだ、自民党中堅は実現した政策を並べて解散というのが首相の頭の中にあるのではないかと指摘するという内容でした。

 これは本当か、真偽はもちろんいろいろあると思います。なんですが、これは緊急事態宣言の延長時にもささやかれたんですけれども、やはり、エビデンスに基づいたちゃんと政策決定だったりリソースの配分がされたのかということを、疑義を持たれるような状態というのはよくないと思うんですよ。

 デジタル化を僕自身は本当に進めてほしいなということを思っているものですから、逆に、透明性を確保していく観点であったりとか、野党のこういう審議に対してもちゃんとやはり堪えられるような体制というのを、本来は政府・与党にはちゃんとつくっていただきたいなと思っています。

 僕たち自身も、やはり、審議でやっていく中で、いろいろな、さっきの後藤議員の提案でも、あれだけの数が出てくるわけですよ。あっ、これは問題じゃないかなと思うことがたくさんあって、こういう審議時間も、六法束ねだとどうしても抜け落ちるところが出てくるんじゃないかなと思うので、基本的には、やはり各法案ごと、めちゃめちゃ大事なものですから、切り分けていただいて、フェアにその審議の機会を確保していただきたいと思いますし、スピード感だけじゃなくて、制度との両立を図れるような適切なスケジュールでの法案作成を行っていただきたいということを僕は思っているんですが、大臣、所感はございますか。

平井国務大臣 昨年、新型コロナで、人が動けなくなるということがこれだけ大きなマイナスで、特別定額給付金に関しても、入口はデジタルだったけれども、途中は完全にアナログに戻ってということで、エンド・ツー・エンドで全く機能していない。

 つまり、今までデジタル化でいろいろな投資をしていたものが国民のメリットとして生かされなかったということを考えて、これはいち早く、やはり、このデジタル化というものは根本的にやり方を改めて一気に進めないと国民のためにならないというふうに思いました。

 そういう意味で、確かに、スピードを重視して今回の法案の取りまとめをやったことは事実です。しかし、デジタル化というのは、これは一刻も猶予がないというふうにも思っておりまして、そういう中で今全力を尽くしているところでございます。

中谷(一)委員 平井大臣の気持ち、僕は分からないことはないんです。ただ、ビルの十階から十階に渡るときに、例えば、最短距離は十階から十階をつないだものだと思うんですけれども、多分、最速距離は、一階に下りて、横断歩道を渡って、十階に上る、これだと思うんですね。やはり、急がば回れじゃ駄目だと思うんです。なので、着実に、大臣は知見のある方ですから、僕は進めていっていただきたいなと思うからこそ、スピードも大事ですけれども、正確性を持ってデジタル改革を進めていただきたいなということを要望をさせていただきます。

 続けて、やはりクリーンな観点というのは僕は非常に必要だと思っています。国民の信頼を得るためには、やはりまず、自分自身の意思決定や行動に責任を持って、うそ偽りなく透明性を保つことが必要で、ルールを遵守するクリーンな姿勢、これを体現することが政府には求められているんじゃないかなということを思っています。

 そうした中で、まさに、公文書の改ざんとか、招待者名簿の廃棄とか、森友、桜と、いろいろな問題が今までもありました。そのときには、記憶にない、記録にない、廃棄した、こんなことがやはり政府だけが許されるような状態になっちゃいけないと思うんですね。

 そういった意味合いでいえば、やはり、こうした問題が絶対に起こらないように、デジタル技術を活用すれば、今は、紙の文書、これは容易に電子データ化することができますし、コストも極めて安価になってきました。そういった意味でいえば、やはり、電子化することによって、検索する利便性だって上がりますし、改ざんをしなくなるような防止性も高まって、結果として、保存期間をいたずらに短くする必要だってなくなってくるわけです。

 こうした観点からいえば、これは所管の三ッ林副大臣に伺いますが、行政文書の作成、取得から移管までの処理、これは、一〇〇%デジタルで完結させることを前提として、処理のフローや要件の定義を再設定した上で、僕は全ての行政文書を電子データとして長期間保存する運用に改善すべきだと考えているんですが、いかがでしょうか。

三ッ林副大臣 お答えいたします。

 政府におきましては、行政文書の適正な管理を一層推進する観点から、作成する行政文書は電子的に管理することを基本とするなど電子的管理の取組を進めてきており、さらに、本年一月から、公文書管理委員会において、デジタル時代の行政文書管理の在り方について検討を開始したところであります。

 全ての文書を長期間保存することについては、歴史的に重要な文書に当たらず、将来的に利用が見込まれないようなものまで長期にわたり保存し続けることになり、公文書の体系的管理や効率的な行政運営の観点から、慎重な検討が必要であると考えています。

 一方で、意思決定の過程や事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証できるよう、適切かつ確実に文書が作成、保存されることが重要であり、デジタル時代にふさわしい行政文書管理の在り方について、有識者の御意見を踏まえながら、検討を進めてまいりたいと思います。

 行政文書管理のデジタル化の推進は重要な課題であり、デジタル化を一層加速、徹底させられるよう、関係機関と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

中谷(一)委員 今の答弁を受け止めさせていただきますけれども、僕自身は、決裁文書や、やはり完成データというのは、今は保存コストは極めて安くなっていますから、今おっしゃられたようなことを例外なく、ブラックボックスなくやっていくべきだと思っておりますので、是非御検討をいただければと思います。

 三ッ林副大臣、もうここで退席していただいて大丈夫でございます。ありがとうございます。

 続けて、私の方から個人情報の利用の話を伺いたいなということを思っております。

 個人情報保護制度の見直し、これを行うためのデジタル社会形成整備法案についての提言という形で申し上げさせていただきたいんですけれども、データの捏造や情報の隠蔽、改ざん、こうしたものが続いてしまうと、国民の不信感、これがやはり高まってしまって、デジタルが結果として普及しなくなるというのは今までもずっと言ってきたとおりです。そうした観点でいえば、やはり国民から、この政府にだったら情報を渡してもいいねと思ってもらえるような公正性だったり透明性、これを得られるような制度やシステム、これをちゃんと担保していく必要があると思っているんですね。

 その中で、例えば、現在、国民が自分の個人情報を誰に閲覧されているのかということが気になった場合、マイナポータルにおいて、自分の個人情報がいつ、どのような形で提供されたのかということを確認することができるんですけれども、誰にということに関しては、システム上、照会した行政機関の部署までしか確認をすることができなくて、特定のやり取り履歴に関して疑問を持ったとしても、照会機関に対して更なる開示を行おうとしたとしても、なかなかそれに応じていただけるような現状にないようなことを伺っております。

 その中で、個人情報を扱っている各行政機関の組織の内部においても、個人情報を要するに誰が閲覧して扱っているのか、それを知るすべがないということでございますので、こうしたものの改善が必要だと思っています。

 そうした中で、エストニアの場合、大臣よく御存じだと思いますけれども、説明請求した場合、アクセスした機関、人、これをちゃんと説明してくださいよといったときには、その理由を回答していただいて、回答が不十分だった場合には、エストニアン・データ・プロテクション・インスペクトレートという機関などがちゃんと調査に乗り出してくれて、内部で処罰や裁判などが行われる状態がシステムで担保されているということですね。

 なので、このように、できることとできないことのブラックボックスを政府の裁量でつくるんじゃなくて、誰が何の目的で自分の個人情報にアクセスしたのかということのログをちゃんと残していただいて、それで、個人が希望すればそれを知ることのできる体制整備と具体的な社会実装を行うためのシステムの構築、これを進めていただくことが、個人情報の取扱いに関してより透明性を向上させることに私はつながると思いますし、デジタル化を進展させる原動力になるんじゃないかと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

平井国務大臣 今先生エストニアの例をお出しになりましたけれども、いつ、誰が、何のためにというのをちゃんとチェックできるんですね。私がエストニアというのはすごいなと思ったのは、元首相のカルテが漏れたんですね。漏れたときに、二人の要するにアクセスした人たちが理由を書いていなかったんです、何のためにと。この二人は完全に処分をされたというふうに聞いております。これはやはりデジタルだからできたということだと思うんですが、同じ頃に、F1ドライバーのシューマッハさんのカルテが漏れたんですね。このときには、これは紙だったんですね。結局、誰が漏らしたかというのが分からない。

 つまり、デジタル化のプラスの面というのは、行政の透明性を上げることもできるんです。ですから、それは運用もやはり考えていかなきゃいけないということで、先ほど委員からは不十分だと言われたマイナポータルの個人情報のチェックする機能というもの、これも考えてみれば初めて今回搭載するということです。

 私も委員と同じ問題意識で、デジタル化はやはり行政のプロセスを透明化するためのツールとしてもっと使えるのではないかという問題意識は持っています。その第一歩を今回実装したということと理解しています。

中谷(一)委員 第一歩ということでございます。問題意識も共有できていると思いますので、是非第二歩、第三歩進めていただくことを、こちらに関しては要望させていただきます。

 そして、次に、やはりクリーンの話を今までずっとしてきましたが、フェアな観点でのデジタル政府、行政、こういったものをつくっていくことというのが必要だと思っています。その中で、やはりデジタルデバイド対策は、僕は一丁目一番地だと思っているんですね。

 デロイトトーマツの試算でも、G20の中で、二〇三〇年までに最大五・四億人のバーチャルスラムが生まれるということが試算をされています。デジタルが使われることによって、使える人には恩恵があるんだけれども、使えない人にも格差が開いてしまうということ、やはり、誰一人取り残さないデジタル社会というスローガンを実装するのであれば、これはちゃんとやらなきゃいけないということを思っているんです。

 その中で、今回の基本法案の中でも八条、二十三条などに利用機会の格差是正ということが掲げられているんですけれども、これを、やはり具体的に何をしていくのかということが僕はとても重要だと思っているんです。

 そうした中で、例えば韓国では、放送通信委員会の中で、生活保護受給世帯など低所得者や例えば障害を持っている方、この方々に対して、月額のモバイル通信の基本料だったりとか通話料、こうしたものに対する負担軽減を行ったりとか、ソウル市内の自治体ではPCの無償レンタルを行ったりなど、デジタルの触れられる環境というのはちゃんと具体策として掲示しているわけです。

 なので、大臣が、この法案を通された後、具体的に、特に経済的なデジタルデバイドの是正について、国、自治体に対してどのような指示を出そうと考えているのか、もし具体的な構想があれば教えてください。

平井国務大臣 デジタル改革には、誰一人取り残さないという視点がやはり重要だと思います。ですから、デジタル社会形成基本法案においては、経済的な状況に起因するものも含めて機会の格差是正が着実に図られなければならない旨を規定させていただいています。

 今回、経済的な状況でその機会が制限されることがないよう配慮する観点から、本法において、是正するべき格差の要因として明示させていただきました。このことは非常に重要だと考えておりまして、政府が進めている政策としては、これまでも具体的な施策として、例えば高等学校段階の低所得世帯等の生徒を対象とした端末整備支援を講じているほか、低所得世帯へのオンライン学習の通信費支援といった施策も用意させていただいています。

 この法律を契機に必要な施策を引き続き実施していくとともに、これこそ、この法案が通ればニーズを踏まえた新規の施策を充実させていく必要があると思います。是非、また建設的な御提案をいただければと思います。

中谷(一)委員 大臣、今までの話は、僕ももちろん勉強しているので、よく分かっているんです。なので、大臣はこれからどんな構想を出そうとされているのか、国や自治体にどんなことを言っていきたいなと思っているかというのを、やはりこの法案を通すことで、本会議でも森田さんたちも語っていましたけれども、どう社会がよくなるのかということを、具体的にみんなの生活の実感値の中で落とし込めるようなことを打ち出していただきたいなと思うんですよ。なので、今の大臣のお考えを教えてください。

平井国務大臣 デジタル社会ということを今回規定しますけれども、我々が生きている空間はアナログ空間なんですよね。我々のインターフェースもつまりアナログで、デジタル空間ではおなかいっぱいにもならない。つまり、我々の生きている世界にどれだけデジタルが貢献できるかというところがデジタル社会というところで非常に重要で、最近よく誤解されてしまって、デジタルというと何もかもデジタルが全てというふうに多くの方々に指摘をされてしまうんですけれども、そうではなくて、あくまでも我々の生きている空間のためにデジタル技術を使うということが重要だと思います。

 そして、この法案で、いろいろな機会均等といいますか、この基本法の中でアクセシビリティーの問題を最重要視させていただいているんですね。ですから、これは要するに、経済的な理由だけではなくて、障害をお持ちの方、デジタル庁では既に、そういう方々の協力を得ようということで、今、雇用の方向も考えています。

 つまり、あらゆる条件、いかなる理由でも、アクセシビリティーを保障するためにありとあらゆることを進めていかなければならないというふうに考えていて、その政策の幅は、これはまだ各省にもお願いしなきゃいけないことにはなるんですけれども、これから相当進める範囲はあるなと考えています。

中谷(一)委員 分かりました。

 アクセシビリティーを重視をして進めていかれるということでございますので、その言葉に期待をして、特に貧困層や障害をお持ちの方であったりとか、要するに、格差の、まさに取り残されやすい層に対してしっかり重点的な格差是正の措置を講じていただくことを要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 オンライン議会を開催するための環境整備ということで、本日、熊田副大臣にもお越しをいただいております。ありがとうございます。

 私は、危機管理、業務の効率化、そして共生社会、これらの三点の観点から、オンラインを活用した議会の開催、これを選択できる環境の整備というものが必要だなということを思っています。

 やはり、私たちの仕事は、国民の生命や財産を預かる立法や行政という業務を預かっていますから、業務を止めることはできませんので、危機管理上も非常に重要ですし、今、移動、あとは紙を使う、まさにこの今の法案の冊子もそうですけれども、こういう負担をやはり極力減らしていくということも重要でありますし、共生社会的な観点でいえば、私たちも批准をしている障害者権利条約においても、情報通信技術の活用、障害者に対してもあらゆる社会参画の機会の保障であったりとか、又は女性議員が出産を行うときの議決権の行使、こうしたものを環境として整えるということは非常に重要だと思っています。

 その中で、スペインの議会、日本の憲法にもとても似ている憲法を持っているスペインですけれども、彼らは、出席の読み方、解釈に関して、議会での議決に対しては過半数の賛成が必要という明文の中で、下院規則で、議院理事部が出席していいよと言った人に関しては、たとえ議場にいなくても出席していいよということにしているんですね。

 要するに、日本においても、本来は、僕は、この国会でも関係条文をしっかりとオンライン国会に対応できるように整えるべきだと思っているんですが、その観点から、今日は地方自治体のことについて伺っていきたいということを思っているんです。

 現在、十八の自治体から、オンライン本会議の実現に必要となる地方自治法の改正が求められる意見書が提出をされています。これは全国都道府県議会議長会からも同様の意見が出されていて、私は、国が、国の事情の中で、地方自治体議会のオンライン本会議の開催のボトルネックとなるような縛りをかけるべきではないと考えていて、地方自治体、第百十三条及び百十六条における出席の解釈、これを変更していただく、若しくは、会議規則により参集場所又は出席の場所の複数指定や変更ができる旨を地方自治法において明文化するなどの法文改正を行って、地方自治体がそれぞれの事情に応じた判断の中でオンライン本会議の開催是非を決定できるように環境整備すべきであると考えているんですが、まず所管の熊田副大臣から御所見をいただきたいと思います。

熊田副大臣 お答えいたします。

 地方議会は、多様な住民の意見を集約して団体意思を決定する重要な役割を果たしていることから、議員の意思表明は疑義が生じる余地のない形で行われる必要があり、また、議会の会議の内容及び議員の活動は住民にも公表することが求められるものであります。

 御指摘のように、地方議会の本会議への出席の在り方につきましては、現在、幾つかの地方議会において実施されている新型コロナウイルス感染症対策としてのオンラインによる委員会の開催や取組、運営上の工夫など、よく踏まえていただいておりますが、先ほど御指摘がありましたように、また、国会における出席という考え方にも留意しながら考えていく課題だと認識をしております。

中谷(一)委員 熊田副大臣、それは、実は、同じような質問をしたときに同じ答弁をなされているんですね。なので、それに対してまさに伺わせていただきたいんですけれども、委員会も本会議も多様な住民の意見を集約してやる場ですから、委員会だけ認められて本会議だけ認められないというのは合理的な理由には全くなっていないと思います。

 それで、それをまた運営上もいろいろなことを考えて検討していかなきゃいけないねという趣旨の答弁でしたが、それをいつまでにどう判断するんですかということがまさに求められているんだと思うんです。

 もちろん、オフラインであった方が温度感も伝わりますし、この方々の例えば視線だったり、どういうことを考えているんだろうなと、より吸収できるものが、百聞は一見にしかずで、あることはあるんです。

 ただ、こういうコロナ禍の時期においては、当然、感染防止であったりとか、要するに業務の継続性というものを担保しなきゃいけないので、そういったトレードオフの関係になるものの中で、ゼロ、一〇〇じゃなくて、自治体によってはもちろん、五〇を選択したいところだってあるわけですよ。本会議も、やはり業務の継続性、ここでクラスターが起こったら困るからオンラインでやりたいんですと思う議会だって当然あってしかるべきなので、そのボトルネックに僕たちがなるべきじゃないということを私は申し上げているんですね。

 その中で、そもそもこの法律、制定されたのが昭和二十二年五月、そして出席は採決の際に議場にある議員と解されたのが昭和二十五年なんです。少なくとも、要するに、七十年以上前に、ここにいて出席しなきゃいけないということを、議場にいるように解されるようになっている現実があるわけです。

 熊田副大臣、これは感想として教えてほしいんですけれども、七十年前に、オンラインにおける出席という概念はそもそも想定されていたと思いますか、想定されていなかっただろうなと思いますか、どうですか。

熊田副大臣 恐らく想定はされていなかったと思っております。

中谷(一)委員 そうなんです。

 想定されていなくて、七十年も変わっていない法文の解釈をこのまま残すことは時代のニーズにも合っていませんし、法文改正や解釈変更をこのまましないということはやはり余りにも怠慢だと私は思うので、平井大臣にちょっと伺いたいんですけれども、本来、合理的に進めるべきデジタル化を、僕は政治的な事情で止めるべきじゃないと思っているんです。なので、デジタル社会の形成に関する基本方針だったり、企画立案だったり総合調整だったり、重点計画の作成だったり、こうした推進を担う平井大臣のリーダーシップで、むしろ総務省とコミュニケーションを取っていただいて、改善に向けた議論を進めていただけませんか。どうでしょう。

平井国務大臣 デジタル改革を進める立場からすれば、新型コロナウイルス感染症対策として取り組まれているオンラインによる委員会の開催状況等々も踏まえながら、オンライン開催の在り方について前向きな議論を行われるタイミングだと思います。

 所感ということで、これは余談になって、言っていいかどうか分かりませんが、この間の衆議院の本会議で、予算の採決のときに、木札を持って手渡しをして議場を回るというのは、感染症対策ということを考えたらこれは大きな問題があるなと個人的には思いました。

 ですから、地方議会もさることながら、我々立法府にいる人間も、これは院の問題で、今私が言う問題ではありませんが、これはやはり地方議会だけという話でもないなというふうに思いました。

中谷(一)委員 検討をしていただきたいと思います、総務省と平井大臣たち中心に。もちろん、国会、地方自治体議会がそれぞれどういう判断をされるかというのは、それぞれの裁量の中であると思うんですけれども、少なくとも選択できるようにしておかないと有事のときに僕は対応できないと思っているので、そういった意味でいえば、是非検討していただき、具体的に僕は実装していただきたいと思いますので、要望を申し上げたいと思います。

 続けて、コロナ禍における参政権の保障と具体的な投票方法について伺わせていただきたいと思います。

 インターネット投票に関して大臣に伺いたいんですけれども、今主催されているデジタル改革アイデアボックス、本日時点における人気ランキング一位はインターネット投票です。多くの国民が、インターネット投票の実現に対して期待を寄せているところです。これは新経済連盟などの各種団体もネット投票の解禁を求めている現状があるんですけれども、平井大臣は、そもそも、このインターネット投票の実装に向けた取組を進めることには賛成ですか、反対ですか、端的に御所見を伺います。

平井国務大臣 これは選挙制度に関わることですから、私の所管ではないし、公職選挙法は議員立法ということなので、与野党の幅広い議論が必要だと思います。

 そういう前提の上で、私自身が思うのは、エストニアの、要するに、国の選挙も地方選挙も全てオンラインでできるというシステムは、非常によくできていると思います。あのときエストニアが喜ばれたのは、若い人が投票に行くということではなくて、山間部の高齢者とか、冬は寒いので、そういう人たちが投票所に行くのは命懸けなんですね。そういう方々の投票率が上がったという事実を考えると、日本も、高齢化がこれからどんどん進んでいくときに、投票自体が命懸けになるというようなのは、これはあってはならないことだと思うんです。

 そういう意味で、やはりこれからいろいろな議論が進むと思うんですけれども、そのためにはやはり本人確認というのが基本のベースで、それから後は、いろいろな議論があるんだと思うんですけれども、マイナンバーカードをほぼ全ての国民が持った時点で恐らくその議論は加速するのではないかと思います。

中谷(一)委員 本人認証をどうしていくかという課題はあると思います。

 その上でなんですけれども、今、コロナ禍で、参政権を僕はまず保障しなきゃいけないなということを思っています。いろいろなレイヤーでの選挙が行われていますけれども、やはり今の投票制度の中では、例えば、コロナに感染をしてしまった、濃厚接触をしてしまった方が、現実的に、多分、投票日に投票に行くということが非常に難しい状況にあると思います。

 そうした中で、今、日本IT団体連盟、これが提案されていまして、平井大臣も要望を受け取られていると思いますけれども、彼らが提唱したのは、例えば、隔離されている施設だったりとか病院に対して、特殊な専用回線で、VPNだったりとか、そういったものを使って、オンラインでの投票、セキュリティーが守られた環境の中でまずやってみたらどうかということを言っていました。

 もちろん僕はいわゆるインターネット投票が実装できればそれが一番理想だと思っているんですけれども、まだまだそこまでの、システムに対するセキュリティー面も踏まえれば、現実的には、例えば今年、来年にできる話じゃないと思っていますので、このオンライン投票というのはあり得る選択肢だなと思いました。

 また、今総務省が在外におけるインターネット投票の実証実験をやられていますけれども、これも、本当は、結構いい感じに進んでいるという話を伺っていますので、こういったものを転用することによっても、このコロナ禍の参政権の保障という観点でいえば、僕は有効に使える可能性があるんじゃないかと思っているんですが、大臣、御所見はございますか。

平井国務大臣 選挙制度のことなので、私自身の所管ではないので、どうするということではなく、感想的に言わせていただきますと、必ずやいつかそういう時代が来るだろう、これは完全に、いろいろな条件を考えても、時代の要請になるだろうというふうに思います。

中谷(一)委員 時代の要請になると思いますし、今、衆議院選挙もいつあるか分からない、また、都道府県議会でもいろいろな首長選挙が行われている、こうした現状下の中で、やはり参政権を保障するという憲法で定められた基本的なことをどう国が担保していくのかというのはみんなが考えていかなければならない議論だと思いますので、引き続きこの議論に関しては行わせていただきたいと思います。

 そして、最後に伺わせていただきますが、デジタル社会形成基本法案において、国により重点計画の案を作成するに当たっては、第三十七条五項において、地方自治に重要な影響を及ぼすと考えられる施策について定めようとするときは、都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長又は町村議会の議長の全国的連合組織、いわゆる地方六団体の意見を聞かなければならないとされております。

 その一方で、地方公共団体のシステムの標準化において、国により基本方針を作成するに当たっては、第五条四項において、関係者の意見を聞くことになっておりますが、都道府県知事、市長又は町村長の全国的組織は明示をされているものの、その他の関係者については、誰から話を聞くかは内閣総理大臣、総務大臣及び所管大臣が定めるものと承知をしております。

 これは熊田副大臣と平井大臣にそれぞれ伺いますが、まず熊田副大臣に、地方公共団体情報システムの円滑なデジタル化を進めるためには、現場で働く者であったりとか、住民と近い立場で声を聞く立場にある地方自治体議員を代表する者の声を聞いた上で進めた方が、急がば回れで、結果として理想とするデジタル化につながるんじゃないかと僕は考えていますので、その他の関係者の部分において、議長会だったりとか全日本自治団体労働組合など、関係する労働団体の代表者の話を僕は聞くべきじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうかというのが熊田副大臣に。

 続けて、平井大臣にですが、平井大臣には、地方自治に重大な影響を及ぼすと考えられる重点計画を定めるに当たっては、僕はあらゆるステークホルダーからやはり話を聞いた方がいいと思っているんですね。これもまさに急がば回れで、結果としてデジタル化が進むことに僕はいろいろな人の声を聞いた方がなると思っているので、地方公共団体の情報システムの標準化法案のようにバスケットクローズをちゃんと作っていただいて、その他の関係者の項目を定めて、幅広く意見を伺うことを想定した法案にした方がいいんじゃないかなと思うんですが、平井大臣、いかがでしょうかという問いでございます。

木原委員長 それでは、まず熊田総務副大臣。時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

熊田副大臣 御答弁いたします。

 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案では、基本方針が、地方公共団体が利用する特定の情報システムを対象とした具体的な推進施策についての方針を定めるものであるということを踏まえ、直接的には、影響が生じる都道府県知事、市長又は町村長の全国的連合組織が立案段階から関与することができるよう規定をしております。また、法律案で規定しているその他の関係者としては議長会等を想定しており、基本方針の案の作成に当たっては、地方公共団体の意見を十分にお伺いしながら進めるべきものと考えております。

 加えて、情報システムの標準化、共通化を円滑に進めていくためには、情報システムを担当する現場の職員の御意見もお伺いし、先進的な特例、取組事例や課題の把握に努める必要があると考えております。

 これまでも、地方六団体と総務大臣との意見交換を開催し、意見をお伺いしながら検討を進めてきましたが、今後も引き続き、関係省庁とも連携し、様々な場を活用しながら地方公共団体の御意見を丁寧にお伺いし、標準化、共通化の取組を進めてまいりたいと思っております。

木原委員長 続いて、平井大臣。簡潔にお願いいたします。

平井国務大臣 デジタル社会形成基本法におけるデジタル社会の形成のための基本的な方針等に関する重点計画は、広く地方公共団体の地域や住民に影響を与える施策も含まれているため、意見を聞くべき者として、住民の代表である地方議会の代表機関を含めた地方六団体が規定されているものと理解しています。

 いずれにしても、地方自治体の情報システムの統一、標準化の取組を実際行っていく上では、地方自治体の意見を丁寧に伺いながら進めていくということが必要不可欠であって、例えば、今、全国の自治体職員との議論の場として、デジタル改革共創プラットフォーム、これはフェイスブックでまずは立ち上げたんですが、非常に活発な議論をしています。自治体の職員の皆さんと丁寧に対話を重ねるというのは、非常に重要なことだと思います。

 このような場を含めて、様々な機会を捉えて、御指摘の地方議会や労働団体などの皆さんの意見も幅広く聞きながら、地方自治体の関係者の皆さんと一緒にデジタル改革を進めていきたい、そのように思います。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 デジタル化を進めていくに当たっては、現場で働く人の声を聞くということが非常に重要だと思いますので、是非皆さんの声を聞いてください。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私からも、冒頭、このデジタル関連法案について、要綱等、関連資料の間違いがあった、この問題について取り上げたいと思います。

 元々、四日の木曜日の夜に白表紙を政府の方が持ってきて、届けに来たついでのように、いや、若干間違いもありますのでみたいな説明だったんですよ。本来、そこで正誤表を持ってくるならまだしも、そういうのもなしに、正誤表の要求をしたにもかかわらず、ずっとそのまま放置されるような状況だった。

 大臣は、この正誤表そのものがいつできたかというのは御存じですか。

木原委員長 すぐ出ませんか。

 速記を一回止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 平井大臣。

平井国務大臣 これは、五日の指摘を受けて、三月八日、九日、ですから、正誤表というのは八日、九日ということになるんですね。

 これも、随時作っていたもので、バージョン管理ができていなかったというのが今回の先生に御迷惑をかけた一つの原因になっているというふうに今調査しているところでございます。

塩川委員 要するに、正誤表は三月の八日、九日だということですよね。

 そうなりますと、おとといの理事会に内閣官房、内閣府が、要綱等の誤りについてというペーパーを出しました。ここのところには、四日から国会の皆様に御報告を行っているとあるんです。要綱等の誤りについて四日から報告を行っている。これは、正誤表がない中でどうやっているんですか。

平井国務大臣 ここが、修正済みの白表紙を配付することをもってきちんと対応になるとの思い込みが余りにも事務方に強かったということで、四日、五日に配付した際に正誤表をつけていなかったと。つまり、白表紙にこだわり過ぎたというふうに思います。

 そしてまた、御指摘のとおり、その時点で正誤表をつけなかったのは丁寧な対応ではなかったと思っており、大変反省しております。申し訳なく思っております。

塩川委員 ですから、正誤表もないのに説明したと言えないんですよ。だって、どこが間違っているかって分からないんだから。何を直しましたということもないんだから。それを、報告しましたというのをペーパーで出してくるのがそもそもおかしいんじゃないですか。また理事会でこういう誤った説明をしているのかという話になるわけであります。

 それで、ホームページの差し替えの話もありました。

 内閣府の方は二月の二十六日、内閣官房の方は三月の一日ということですけれども、その処理を行ったのはいつなんでしょうか。(平井国務大臣「何の処理ですか」と呼ぶ)ホームページ上に記載をしたのはいつの時点ですか。

平井国務大臣 内閣官房及び内閣府のホームページの国会提出法案資料の掲載に関して、誤りの箇所が確定した後、内閣府の所管法律案については二月二十六日に、また内閣官房の所管法律案については三月一日にそれぞれ修正したというところでございます。

塩川委員 それを実際にホームページ上に記載をしたのはいつの時点なんですか。

平井国務大臣 二月二十六日に手続をしたと思われますが、まだ正確には今分かりません。

塩川委員 それは違うんじゃないですか。つい最近のことじゃないですか、直したのは。

 要は、二月の二十六、三月の一日の時点で間違いは分かっていました、ホームページ上も直しました、与党に対しては二十六、三月の一日に説明をしていました、直したタイミングですから。それなのに、国会への報告、国民への公表、それがずっと放置をされていた。ホームページ上の変更というのもつい最近のことですから。

 こういったように、国会、そして野党、国民の皆さんへの報告がこんなに遅れたというのはなぜなんですか。

平井国務大臣 ホームページ等々は国民に対してオープンにするということだと思うんですが、今回、事務方において、国会に報告する資料としては、誤り部分を修正した白表紙を整えて配付することをもってきちんとした資料で対応したことになるという強い思い込みで遅れたと私は思っています。

塩川委員 ですから、事前に取り寄せた人は間違っていると思わないんですよ。そのことについて何の配慮もないということですか。

平井国務大臣 事前にお配りした人に関しては、修正があるということで、その白表紙をお配りしたと聞いております。

塩川委員 ですから、正誤表はつけていなかったわけでしょう。それでどうして事前に配付をした人に対しての説明になるのかという話なんですよ。

 こういう形で、ホームページ上にはこっそりと直しました、元々二月二十六、三月一日に分かっていました、与党には説明しました、だけれども、国会において、野党に対してはずっと一週間以上も放置をした。それはなぜなのかというのをもっとしっかり答えてください。

平井国務大臣 今回は、参考資料に誤りがあったこと、国会への説明が遅くなったこと、提出した正誤表が最終版ではない途中のものを配付したこと、この三点が我々の大きなミスで、おわびを申し上げたいと思います。

 ただ、何度も同じ答弁になって申し訳ないんですけれども、国会に対してはきちんとした資料で説明する必要があると考え、誤り部分を修正した白表紙を整えて配付することをもってきちんとした資料で対応したことになる、その思い込みが非常に強かったということでございます。

塩川委員 大体、与党も、説明を受けたといっても、正誤表もない中で何で間違いが分かるんですかね。与党の皆さんはそれで納得されていたんですかね。そういう点でも、行政府と立法府の関係が問われているんですよ。法案審議をするというときに、こういった間違いについてきちんと報告もしない。

 こういった大本にはやはり、菅総理の看板政策だから、とにかく早く出す、早く進める、こういう拙速な対応が結果としてこういう事態になっているんじゃないのか。そのことへの反省がまずは必要なんじゃないですか。

平井国務大臣 今回のことは本当に心からおわびを申し上げ、再発防止策についても、今、藤井副大臣とともに今月中に取りまとめたいというふうに思っておりますし、本当に先生方に御迷惑をおかけしたことに心から申し訳なく思います。

塩川委員 本多さんが要求されておりましたけれども、一連の経緯についてきちっと調べて報告をいただきたい。それを踏まえて、また政府の対応方についてただしていきたいと思います。

 それでは、法案の内容でお聞きします。

 一月の施政方針演説で、菅総理は、今後五年間で自治体のシステムも統一、標準化を進めると述べておりました。ここで言う標準化というのは何なのかについて説明をしてもらえますか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 標準化につきまして、これは、地方公共団体が各団体で共通した事務を行っている場合に、機能等について統一的な基準に適合した地方公共団体情報システムを利用することなどを指すものということでございます。

 現在、国会に提出させていただいております地方公共団体情報システムの標準化に関する法律におきましても、地方公共団体情報システムの標準化とは、「地方公共団体情報システムに必要とされる機能等についての統一的な基準に適合した地方公共団体情報システムを地方公共団体が利用すること」と規定をしているところでございます。

塩川委員 標準化法で規定をしているということですが、統一というのは何でしょうか。

時澤政府参考人 統一とは、地方公共団体の情報システムに必要とされる機能等のうち共通的に利用できるものを地方公共団体が利用することを指すものでございます。

 例えば、地方公共団体がシステムを共通のクラウド基盤に構築することによりまして共通のハードウェアやOS等を利用することなどを指して統一としているところでございます。

塩川委員 この統一という文言は基本法案にはないんですけれども、なぜ法文で規定していないんでしょうか。

時澤政府参考人 標準化につきましては、先ほど申し上げましたように、総務省が提出している法律で規定をしています。

 統一というのは法律上使っている言葉ではありませんで、私どもが標準化に合わせてクラウド基盤にシステムを載せまして、それを使っていただくということを指して統一、標準化というふうに使っているものでございます。

塩川委員 基本法にある情報システムの共同化、集約との違い、異同があれば教えてほしいんですが。

時澤政府参考人 「共同化又は集約」というのは使っております。これは、標準化とは違いまして、一部に異なる事務を行っております府省間、あるいは府省と地方公共団体間、都道府県と市町村間において同一のシステムを利用することを意味するものというふうに考えております。

 例えば、府省間で政府共通プラットフォームを利用すること、都道府県と市町村間で自治体情報セキュリティクラウドを構築するなどを指しまして「共同化又は集約」というふうに使っているところでございます。(塩川委員「統一との違い。統一という意味との違い。統一という言葉と……」と呼ぶ)

木原委員長 塩川委員、もう一度御質問いただいてからお願いいたします。

塩川委員 統一という用語と、共同化、集約との違い。

時澤政府参考人 先ほど言いましたように、統一、標準化というのは、今回の我々の施策としてやろうとしております、標準化したシステムをクラウド上に載せまして使っていただくという意味で、統一、標準化というふうに使っております。

 今回のデジタル社会形成基本法で使っております「共同化又は集約」というのは、先ほど申し上げましたように、標準化、統一化とは違いまして、基本的には、異なる事務を行うものの間での利用というのを想定をしまして「共同化又は集約」というふうに申しておりますが、ただ、市町村間という同一のものも含まれるという概念として御理解いただければと思います。

塩川委員 国、各府省、それぞれ同じことをしているわけではありませんので、そういった事務の違いを前提に行う、都道府県と市町村もそういう関係もある、しかし、市町村間、都道府県間というのも含むという意味ということですから、そうした意味では、非常に広い範囲での使い方になっております。

 この基本法案の第二十九条では、「国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進」とありますが、これは、国と地方のシステムを一体化をする、一つのものにしていくという意味があるということでしょうか。

時澤政府参考人 これは、まずは国の同士でというふうな使い方もございますし、地方同士という使い方も想定がされますし、国と地方が共同でということも想定をされます。様々なことを想定されるという内容となっております。

塩川委員 そこで、先ほど後藤さんも指摘をしておりましたけれども、この「国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進」というのが、自治体にとって共同化、集約は義務だという大臣の答弁がありましたが、それはそういうことなんですか。

平井国務大臣 全体としてメリットのある方向は地方自治体も理解していただけるというふうに思うし、最終的に、今、国も地方のシステムも全部そうなんですけれども、維持管理コスト、そして法律を変えたりしたときの改修コスト、実はそこが非常に大きいと考えています。

 その意味で、クラウドというのは一定のコストダウンということは間違いなくできるし、私は、かえって、そういう意味で地方自治体の皆さんにとって喜ばれる考え方ではないか、そのように思っています。

塩川委員 いや、でも、上乗せ、横出しをどうするのかという問題があるわけですよ。そういうことについて共同化、集約というのが、上乗せ、横出しの問題について基本法案を見てもその点ははっきりしないわけですから、そうなると、これは自治体にとっては地方自治の侵害になりはしませんか。

平井国務大臣 法令によって委任された地方自治が条例で定めることとされているサービスを提供する場合には、標準準拠の情報システムにおいて該当するサービスの設定を変更できる、いわゆるパラメーター処理といいますか、標準仕様にする考えです。

 法令により委任されているわけではないが地方自治体が独自に提供するサービスについては、標準準拠システムとは別に構築、いわゆるアドオンして、必要に応じて標準準拠システムと情報連携が可能となる標準仕様とするという考え方でありまして、そのような工夫をしてもなお地方自治体の独自のサービスを提供できない場合には、標準準拠システムについて必要最小限度のカスタマイズはやむを得ないとは考えますが、なるべくそのようなカスタマイズをしなくても地方自治体の独自のサービスを提供できるような対応をしてまいりたいというふうに考えています。

 いずれにしても、標準仕様を策定する各制度所管府省に対して、地方自治体の意見をしっかり聞くように各制度所管府省に求めているところでありまして、内閣官房としても、独自サービスを提供する場合のシステムの在り方について技術的な観点から各制度所管府省を支援していきたいと考えています。

塩川委員 必要最小限と言うけれども、それは義務がかかっている下で国がそれを小さくしていく、自治体の行うべき自治事務の範囲に口を挟んでいくということにもなりかねない、そういうことにつながりませんか。

平井国務大臣 我々は、基本的にシステムの最適化を目指しているものであって、自治体がその自治体で決める政策の選択肢を狭めるということではないと考えています。ですから、システムはそういう政策判断を制約するものではない、そのように思います。

塩川委員 そのシステムというのはこういうものだということは示せる段階なんですか。

平井国務大臣 これも今、共創プラットフォームとか、いろいろな形で議論をしているところなんですが、自治体といっても本当にそれぞれ、大都市、政令指定都市、そして小さな自治体、全部違うんですね。ですから、ガバメントクラウドというのは一つではないんです。幾つかの複数のクラウドをそれぞれ使いやすい自治体のために一緒に構築をしていくという考え方ですので、そういう意味で、これは今まさにコミュニケーションが物すごい勢いでスタートしていますので、徹底的に自治体の皆さんの意見を聞いていこうと、今、共創プラットフォームの中でも相当な議論が進んでいると聞いております。

塩川委員 レイヤーの区分によって、幾つかの、複数のシステムの話とかクラウドの話が出てきておりますけれども、しかし、制度設計そのものもよく見えないような段階で、義務だけかかるとなった場合に、自治体の独自の事業について差し障りが出るようなことが起こり得るといった点でも、こういう規定の在り方というのは極めて重大だと言わざるを得ません。

 それとの関係で、自治体の独自の施策の関連をお尋ねいたします。

 平井大臣にお聞きしますが、国保ですとか介護保険料、市町村民税減免ですとか、子供医療費の無料化など、自治体独自の施策について、このような共同化、集約された情報システムではきちっと実施できるのかどうか、この点について教えていただけますか。

平井国務大臣 先ほども一部お話しさせていただきましたが、御指摘の、国保、介護保険料、市町村住民税のように、法令によって委任されている地方自治体が条例等で定めることとされているサービスを提供する場合には、標準準拠の情報システムにおいて該当するサービスの設定を変更できる、いわゆるパラメーター処理、標準仕様にする考えであります。

 また、御指摘の、子供の医療費の助成のように、法令により委任されているわけではないが地方自治体が独自に提供するサービスについては、標準準拠システムとは別に、いわゆるアドオンし、必要に応じて標準準拠システムとこれは情報連携が可能になるような仕様とする考えであります。

 これも先ほどお話ししましたが、そのような工夫をしても独自のサービスを提供できないという場合は、標準準拠システムについて必要最小限のカスタマイズはやむを得ないと考えていますが、システム全体としては、できるだけそのようなカスタマイズをしなくても自治体の独自のサービスが提供できるような対応をしていきたいというふうに考えています。

 いずれにしても、地方自治体の意見をしっかり聞きながら、各制度所管府省と相談しながら進めていきたいと考えています。

塩川委員 実際には、そのガバメントクラウドの制度設計はどうなるのか、あるいは仕様書をどうするのかということ自身で大きく左右される問題ですから、その点が実際どうなるのかというのは非常に不透明であります。

 その点で、自治体クラウドの実績がどうなのかという問題があると思います。一昨年のデジタル手続法、そのときも平井大臣とやり取りしましたけれども、富山県の上市町の事例を紹介をしました。

 我が党の町議が、三人目の子供の国保税の均等割の免除、また六十五歳以上の重度障害者の医療費窓口負担の償還払いを現物給付に、こういう具体的な提案を議会で行ったところ、町長からは、自治体クラウドを採用しており町独自のシステムのカスタマイズはできないということで、できませんという答弁を受けたということであります。自治体クラウドで、既にこのような事態が生じております。

 ガバメントクラウドによって行政の仕事内容をシステムに合わせることとなり、自治体独自の行政サービスの提供が阻害される事態が生じるのではないのか。この点ではどうでしょうか。

平井国務大臣 地方自治体のシステムの統一、標準化の対象としている住民記録、地方税、介護、福祉といった、地方自治体のまずは十七業務について、令和七年度末までに、ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへ移行することを目指しているということでございまして、令和三年度及び令和四年度において、ガバメントクラウドを活用した基幹業務システムの先行事業というものを行うということにしています。

 この事業を通じて、ガバメントクラウドの活用の安全性そして効率性等を実証し、地方自治体が安全かつ安心して業務が行えるような取組を進めることにしていきたいというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、地方自治体の御意見を丁寧に伺いながら、総務省と協力して、地方自治体と一緒に進めていくというスタンスでございます。

塩川委員 富山県について、自治体クラウドのJ―LISの資料なども見ますと、富山県情報システム共同利用推進協議会では、カスタマイズ抑制のために四つの方策を実施した、これにより結果的にカスタマイズを大幅に抑制できることができた、こういう総括をする文書なども作っているわけです。

 この間、総務省は、カスタマイズ抑制に関する基本方針を示して、ノンカスタマイズが原則だとしております。つまり、国がカスタマイズさせない仕組みをつくっているから、こういう上市町の事態のようなことも起こってくるんじゃないでしょうか。いかがですか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、富山県の上市町における議会でのやり取りということでございます。

 今おっしゃっていただきました基本方針でございますけれども、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきという記述があるということでございます。同方針におきましては、同時に、住民サービスの維持向上等の観点からパッケージ機能による対応では不十分である場合であって、カスタマイズ以外の代替措置で対応することが困難であるなどの事由がある場合にはカスタマイズを行うこともやむを得ないとの考えを併せてお示しをしているところでございます。

 それぞれの団体での状況については、個別にコメントは差し控えたいと思っておりますけれども、同方針が様々な団体の政策決定の支障になるものではないというふうに考えております。

塩川委員 現場ではいろいろなカスタマイズを抑制する話ばかり出ているんですよ。例えば、滋賀県湖南市の事例などでは、自治体クラウドはノンカスタマイズが主流であり、湖南市の独自性が損なわれるんじゃないかという市会議員の質問に、市長は、事務については無理にカスタマイズするよりは簡素化を図って業務を減らしていくことも大事だ、こういう答弁をしているとか、滋賀県甲賀市の例では、自治体クラウドの標準パッケージに合わせて、国保税の年間の納期、十二回に分けて行うのを十回にするという改正の提案があったときに、一回当たりの加入者の負担感は大きくなる、カスタマイズの検討はしなかったのかという市議の質問に対して、市当局は、大きなコストが発生すると受け入れなかった。

 このように、クラウドの標準パッケージに合わせて、個別の住民要求に応えた施策のカスタマイズを受け入れない事例というのは全国各地にあります。住民要求に応える新たな制度導入が、システムとコストを口実に制限されるような事態、実際そうなっているんじゃないですか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘るるいただきましたけれども、自治体クラウド、複数の市町村が共同で情報システムを利用するということでございまして、団体にとりましても様々な、例えば費用の削減でありますとか、効果を上げてきているというふうに認識しております。

 クラウドの取組を進める上で、システムの差異、今ほどもそのお話がございましたけれども、情報システムに差異がありまして、そこの調整がなかなか負担になりまして、クラウド化が進まないというような面もあるというふうに認識しております。

 この辺りにつきまして、この度標準仕様の話もしておりますし、自治体クラウドのことも、今までも進めてきてございますけれども、こういう形で、幾分かの、それぞれの自治体間の機能面の調整というものはいただく必要があると思っております。

 この辺りをしていただきながら、全国的なクラウド展開ということにしていきたいと思っております。

塩川委員 最後に大臣に伺います。

 こういうノンカスタマイズなどに取り組む自治体には、J―LISが助成金を出す仕組みもつくっている。こんなように、総務省がカスタマイズ抑制方針を出して、住民要求に応えたカスタマイズを抑制する旗を振っているというところが問題で、そういう意味で、昨年七月閣議決定の成長戦略フォローアップでは、自治体のデジタル化の推進について、自治体の情報システムをより広域的なクラウドに移行するためには、各自治体が行っている情報システムのカスタマイズをなくすことが重要だとしております。このような国が推進するガバメントクラウドは、住民自治、地方自治を侵害するものになりはしませんか。

木原委員長 平井大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

平井国務大臣 いずれにいたしましても、システムの統一、標準化の取組というのは、地方自治体の意見を丁寧に伺いながら、総務省と密に協力をさせていただいて、これは国だけでできるものではありませんので、自治体の皆さんと一緒に進めていきたいと考えております。

塩川委員 終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日はデジタル法ということですので、しっかり御質問したいと思いますが、ちょっとその前に一言申し述べたいんですが、報道等を拝見すると、例の重要土地等調査法案、安保土地等法案、公明党との調整が大変難航していると報道されていまして、大変危惧をしています。

 我が党はかねがね、事前届出だけではなくて、事前審査も含めて、有効性の高い土地取引規制法案を用意をして国会にも出しております。

 報道されている限り、今回の自民党の案は、私たちからすれば、ちょっとモデレート過ぎるというか、これでは事前届出だけですから、これで法の趣旨をエンフォースし切れるのかということで、大変不十分なものだと思っていますが、大分時間がかかっていますから、一歩前進ということで一定の理解をしてきたわけでありますが、これ以上後退するようなことがあったら、これは大変なことになります。

 国民の生命と財産を守るために必要な法制ですから、公明党は、必要以上に時間を引き延ばすのではなくて、まさにそんなことをしていたら何のために責任政党としてやってきたのか分からないと言われますから、公明党には改めて考えていただいて、十六日の閣議決定を目指して、まあ、それはもう無理かな、しっかりと対応していただくよう公明党の関係者にはお願いをしておきたいと思います。

 そもそも、公明党は最近ちょっと調子が悪いですね。私の地元でも、憲政史上初めて、地方自治法に基づく委員会から維新の会を排除するとか、とんでもない暴挙をして、公明党大阪府代表は、いや問題ないと言って、私に公言してはばからない。最近よく行政がゆがんでいるとかいう議論がされていますが、政治はその根本でありますから、政治がゆがむようなことがないように公明党には善処をお願いしておきます。

 さて、デジタル法案でございますが、この法案がこういう形で審議入りしたことを大変喜ばしく思っております。私は、かねがねデジタルについては、まさに今回、平井大臣を中心にやってこられたお仕事については、もう十年前から必要だということを申し上げた立場ですので、大変高く評価をしています。

 ところが、幾ら平井大臣が旗を振っても、関係省庁が動かなければ、これは動きません。総理のイニシアチブを期待しているところでありますが、先日、本会議で菅総理に在留カードの問題を取り上げたら、総理の方から、在留管理の在り方については、マイナンバーカードの利用も含め、幅広く検討してきたが、在留カードが有用であることなどを踏まえ、対応する必要があると。おかしいですね。おかしいでしょう。本当は思っているでしょう、そういうふうに。やりましょう、これ。

 実は、なぜ私がこれにこだわるかというと、法律に書いてあるからです。入管法を改正したときに、私たちが入管法に賛成をするための大前提として、マイナンバーカードをちゃんと使おうねと。そういうことについて、検討規定を、法律を改正して入れたんですよ。法律を改正してから二年以上。法務省、どうなっていますか。

小野田大臣政務官 お答えいたします。

 在留カードとマイナンバーカードの一体化については、委員御指摘のとおり、平成三十年十二月以降、タスクフォース等において検討を重ねてきたところです。両制度は、それぞれ趣旨、目的が異なっていることから、二つのカードの一体化の検討に当たっては、在留カードの券面の記載事項や常時携帯義務に関する問題などの諸課題の検討に時間を要しておりました。

 具体的には、在留カードの券面には、在留資格、在留期間、就労制限の有無などの記載があって、一体化した場合にそれらの情報をどのように確認をするのか、また、在留カード常時携帯義務がありますので、この点について、マイナンバーカードとの関係をどのように整理するのか、さらに、一体化カードについて、法務省と市町村との連携をどのようにするのかなど、制度、運用の両面から関係省庁間で幅広く検討しております。

 法務省としましては、こうした状況を踏まえ、両カードの一体化について、引き続き、関係省庁と連携し、本年中に結論を得て、令和七年度中に円滑に交付を開始することができるよう、法改正やシステム開発等、必要な措置につき検討を進めてまいりたいと思っております。

足立委員 制度というのは、今の制度と比べて改善するなら、やらなあかんのですよ。

 今の制度はどうなっていますか。在留カード、一体何百万枚偽造されているんですか。小野田さん、分かっていますよね。あれだけ組織的に偽造されて流通している、その偽造されている在留カードの券面を確認して何の意味があるんですか。価値ゼロですよ。それだったら、ちゃんと、だって、もうスマホで、アプリ一つでぴっと券面を見ることができますよね。ねえ、平井大臣。もう御答弁は求めませんよ。平井大臣からしたら、あほか、早くやれと。あほですよ、本当に。

 だって、スマホでぴっとやったら券面が見えるんでしょう、券面なんかがなくても。偽造されるような券面じゃなくて、健康保険証はマイナンバーカードでできるように今月からなっているんだから、なぜ厚生労働省でさえできることが小野田政務官にできないんですか。恥ずかしいと思わないの。

 年内に検討するというけれども、マイナンバーカードで代わりにして、それを常時携帯義務化する方向でやると、ちょっと決意表明してください。

小野田大臣政務官 先ほども最後の方に御答弁させていただいたんですけれども、令和七年度中に円滑に交付を開始することができるように、前向きに検討を各省庁と重ねております。

足立委員 前向きにお願いしますよ。一体何年かかっているんだと。その間に、改正入管法でどんどん、まあ今コロナがあるけれども、外国人を入れるということになっているわけですよ。だから、これはもう小野田政務官のプロジェクトにして、小野田プロジェクトにして、これはできなかったらもう、もう何かどうということはないけれども。頼みますよ、本当に。これができないと、何かデジタル改革関連法案の審議に入れないと思って。本会議でも総理に聞いたし。前向きにお願いします。

 平井大臣、もう一つ私が入口で、これも本会議で菅総理にも伺いましたが、繰り返しで申し訳ありませんが、預貯金口座のひもづけ義務化ね。

 党内でもいろいろな意見があったということですが、私が分からないのは、反対を主張される方がこの中にもいらっしゃるんでしょう、与党に。反対される方のロジックが分からないんですね。理屈と理屈で調整したらいいと思うんですけれども、反対される方の理屈が分からないものだから、何をちゅうちょしているのかが分からない。ちょっと何か御紹介いただけることはないでしょうか。

平井国務大臣 私も、地方のいろいろな会合で皆さんの意見を聞いていると、必ずこの意見が出てくるんですね。結局、明確な理由とか根拠はないんだけれども反対という方々が多いです。やはりそれは何となく心配というようなことで、そういう意味で、資産状況を一元的に把握できるようになるとか、口座情報が漏えいするリスクが高まるとか、これは誤解なんですけれども、この誤解を我々はまだ払拭できていないんだな、そう思います。

 そういう意味で、これから、丁寧な広報とか、先生の発言は影響力が非常に大きいので、どんどん誤解を解いていくということが今必要ではないかと思います。

足立委員 本当に、誤解を広めてきたのは共産党でありまして、例えば、例のあのマイナンバーカードの袋があるでしょう、袋に目隠しが貼り付いている。あれは意味がないわけです。しかし、国会対策で、国会でうまく法案を通してもらうために忖度をする。役所が忖度するのは菅総理じゃないんです、共産党なんです。国会対策、自民党の国対という立派な組織。国対って何をやるか。野党と取引するわけですよ、円滑に国会審議をやってもらうために。

 だから、私が危惧するのは、菅総理への忖度、安倍前総理への忖度じゃないんです。共産党や立憲民主党がしようもないことを言うことに対して忖度をし過ぎるとよくない。さっきの重要土地法案なんて、公明党なんか、もう言うことを聞かなくていいですよ、そういうことはと、ユ党である私たちは常々思っているということを申し上げておきたいと思います。

 今大臣からおっしゃった、合理的な理由がどうも思い当たらないということですので、私たちはやはり、全ての預貯金口座のマイナンバーひもづけ義務化、これを引き続き訴えてまいりたいと思います。

 もう一つ大臣に伺いたいのは、立憲民主党に移られた後藤さん、後藤さんも、国民民主党のときはいい感じでやっていらっしゃったんですけれども、立憲民主党に移って何か立憲っぽくなっちゃいましたが、まあまあ、大事な指摘もある。条文を一つ一つ指摘されることは大事だと思いますが、国会ですから、もっと、細かいことは行政官にしっかりと詰めていただく、その上で、政治家としてやはり議論すべきはデジタル改革のビジョンですよ。

 そのときに、二つあります。一つは、今回のデジタル改革関連法案が、デジタル社会をつくっていく上での基礎としては、一つのパッケージとして完結しているのか。本当は平井大臣の頭には二階も三階もあるんだけれども、取りあえず時間がないから一階だけ今回は出しましたということであれば、二階、三階がどうなっているか知りたい。その辺、いかがでしょうか。

平井国務大臣 デジタル化というのは終わりがないと思うんですよね。だから、デジタルトランスフォーメーションというのも、これでよしという時点はなく、永久に常に何かを変え続けなきゃいけないという決意をするということだと思います。

 この法案を通していただいて、これから、AIとか自動運転、リモート、ブロックチェーンなどの技術の進展、社会への浸透は、このコロナでスピードが十倍ぐらいに上がっています。したがって、現時点では想定できないような課題も表れてくるということをもう既に我々は織り込み済みですので、ここは柔軟に対応していく以外にないというふうに考えておりまして、デジタル庁はスタートさせますけれども、これも、変化に対応できる、いわばアジャイルガバナンスに近い組織にしておかないと、要するに役に立たない組織になってしまうんだろうというふうに思います。

 ですから、委員のおっしゃるとおりに、二段、三段というのは当然やり続けることがデジタルトランスフォーメーションだと感じております。

足立委員 ありがとうございます。

 私もそう思いますので、私たちも、しっかり私たちの案というのをまた出しながら、共にデジタル社会をつくり上げていきたい、こう思います。

 最後、あと十分かけてやりたいテーマは、その一つのアイテムで、私は、一番難度が高いと思っているけれども、これができたら社会は変わる、こう思っているアイテムの一つが歳入庁です。

 歳入庁は、民主党政権のときにも何か五大臣会合とかいって一生懸命やっていました。ところが、せっかくそういう大事なことを言っていたのに、野党に落ちるともう何も言わなくなる。もったいない。私たちは、歳入庁は結党のときから言っているわけですね。

 ただ、かつてのような歳入庁構想はもう要りません。だって、マイナンバーが入れば、もうバックオフィスでバーチャル歳入庁ができるわけですから、省庁の垣根なんてあってなきようなものになっていくわけでありまして、私は、バーチャル歳入庁というのは実現して当たり前だと思っているんです。

 今日は、財務省、伊藤さん、ありがとうございます。公明党、いい人もいるんですけれどもね。伊藤副大臣には期待をいたしておりますが、どうですか、年金機構のことは余り好きじゃないと思うんですけれども、しっかり連携していく、多少は進めていただいていると思いますが、どんな感じか御紹介をください。

伊藤副大臣 ありがとうございます。

 税や社会保険料の徴収に当たっては、デジタル技術を活用した関係機関による情報連携等によりまして効率的、効果的に行うことは当然重要だと考えております。

 これまで、二〇一五年六月にまとめたアクションプログラムを踏まえまして、国税庁と厚生労働省との間で情報ネットワークを整備をし、法人情報を共有するなどの取組を行ってきているところであり、引き続きこうした連携を強化をしてまいりたいと考えております。

足立委員 ちょっとよく分からない。

 今日は厚労省から大隈政務官にもおいでをいただいています。いつも辻元さんと頑張っていただいていて、ありがとうございます。維新の会が支部長をちゃんと立てていますので、応援はできませんが、共に頑張りたいと思います。

 厚労省から見ると、どうなっていますか。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、関係省庁間で連携していくというのは非常に大事でございまして、今伊藤副大臣の方からもお話がありましたように、厚生年金の事業所の情報ですとか、あるいは、大体、保険料の徴収は、なかなか悪質な滞納をされる方がおられて、そういう方を国税庁に滞納処分の権限を委託するですとか、あるいは、マイナンバー、マイナポータルを通じまして、コロナの時代ですから、例えば、ワンストップで、オンラインで様々な手続ができる、そういうようなこともしっかり進めて、厚労省でもできると足立委員に御評価いただけるように、しっかりとまた頑張っていきたいと思います。

足立委員 もう少しやりたいんですけれども、民主党政権のときの五大臣会合のときの議論、これはちゃんと見ておいてねということを申し上げました。大隈政務官、結局、いや、ちょっとはやっているよということなんだけれども、あるいは悪質なものについては国税にも委託をして助けてもらっているということなんだけれども、マイナンバーというのは、まさに税と社会保険と、この組織の垣根が事実上なくならせることができるわけですよ。そういうバーチャル歳入庁を目指して、これからも連携を深めていくんですか、それか、どういう方向なんですか。

 私は、バーチャル歳入庁、今日いらっしゃっている伊藤副大臣と、今日は内閣委員会だからこうなっていますが、また予算委員会で大臣には質問したいと思いますが、伊藤副大臣と大隈政務官がちゃんと話し合えば、本格的なバーチャル歳入庁というのができると思うんだけれども、何かその熱意が全く伝わってこない。

 財務省は嫌がるんですよ。知っていますよね、御存じですよね。だから、これは大隈さんから伊藤さんに、やろうよ、選挙も一緒にやっているじゃないというふうに、ちょっとお願いします。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 歳入庁の議論というのは過去にいろいろありましたけれども、例えば税の面でいいますと、所得を得て納税をされる、一方、年金とかになりますと、例えば退職をされて、余り納税という点ではされていない方もおられる、そういう点での整合性があったり、あるいは、歳入庁となりますと、例えば、今年金を扱っている事務の部分が公ではないわけですから、そこのところをまた公務員に戻すかどうかという議論はあるんですけれども、いずれにしても、御指摘のように、しっかりと省庁間で連携して、効率を追求していくということに関しては変わりないと思いますので、しっかりとやっていきたいと思います。

足立委員 今大隈さんがおっしゃったのは、まさに歳入庁が必要な理由なんです。まさに、税は税、それから社会保険は社会保険、それから生活保護は生活保護といって全部ばらばらにやっているから、コロナのときにみんなよく分からなくなっちゃったわけだ。

 先日、予算委員会で麻生副総理・財務大臣に、伊藤さん、御存じですよね、この間私が申し上げたら、要は、国税庁はマイナンバーと法人番号で仕事すればいいのに、整理番号というのがあったわけだ。それで、その整理番号はなくしていくわけですね。それは御存じ。余り御存じでない。ちょっと予算委員会見ておいてよ。だから、整理番号はもうなくすとおっしゃいました。何年かな。ちょっと事務方、分かる。分かる人いるよね。事務方いないの。

 だから、その整理番号をなくすプロセスがこれから二、三年続くわけです、作業が。その作業の中で、社会保険との一体化というか、まさに歳入庁が目指しているような徴収の効率化とか、そういうものについては、改めてしっかりと、単に整理番号をなくすということだけじゃなくて、より積極的に社会保険との調整をやっていくということで、ちょっとここは公明党の根性を見せていただいて、お願いします。公明党にこだわっていて恐縮ですけれども、お願いします。

伊藤副大臣 ちょっと先生の意に沿わない答弁になるかもしれませんが、少し、もう一回、今までの議論だけ御報告させていただきます。

 御存じのとおりかと思いますが、これはかつて麻生大臣も答弁されていますけれども、いわゆる二〇一三年の検討チームの論点整理で、今日はバーチャル歳入庁というふうにお話しをいただいていますが、そもそもそのときの目的の一つが、年金の保険料納付率向上等の課題が解決することを考えてそういう議論があったんですが、そのときの検討チームの結論は、そういうことが解決するものではないという結論に至っておることは御存じかと思います。(足立委員「えっ、知らぬ」と呼ぶ)そうですか。そういうふうになっているんです。

 ちょっと紹介させてもらいますと、具体的には、現在、先ほど厚労省からも答弁ありましたけれども、非公務員が行っている年金業務を公務員に行わせることになり、幾らバーチャルになっても最終的に徴収は人間がやりますからね、しばらくは。要するに、公務員に行わせることにより行政改革の取組に逆行をすること、年金保険料は、負担と給付が結びついている点で税と基本的な性格が異なっており、同一の滞納者に対して同時に納付の折衝を行うのは実務上困難が生じることなどがあって、そもそも適当じゃない。つまり、徴収業務は、先生が構想されているバーチャルになっても、最終的に徴収業務のところでこういう課題があるという結論に至っています。

 その上で、先ほど来答弁しておりますとおり、徴収体制の強化に向けたアクションプログラムを踏まえまして、国税庁からの情報提供に基づいた日本年金機構による厚生年金適用対策の強化や国税庁への強制徴収の委任の強化などの連携強化を進めて、引き続きこうした取組を推進してまいりたい、つまり、それぞれの得意分野を生かしながら、その本来の目的である納付率の向上ということは是非とも進めていきたいという結論に至っているということで、御理解いただければと思います。

足立委員 じゃ、整理番号を廃止することとは関係ないということですね。ちょっと一応言ってください。

伊藤副大臣 令和八年から徐々に整理しということですけれども、それといわゆる当時の歳入庁構想の根本的な目的であったこととは少し違うのではないかというふうに理解しております。

足立委員 ここでまさにマイナンバーというかデジタルについて議論するときは、まさに、何をやっても、我々が思っていることと財務省が思っていることは違うということは明らかになります。それはいいことです、立場が違うんだから。与党と野党だからね。それはいいと思うんだけれども、私は、せっかく整理番号をなくすんだから、さっきの何か人事の問題とか、結局、そういうリアルワールドのこれまでの経緯が、要は尻尾が胴体を振り回すみたいなことになっていると思うので、是非やる必要があると思うんです。

 平井大臣、デジタルとかマイナンバーとかそういうことで言うと、これは政策判断で、別に、制度上、そういう両者を融合させていくことに何かデジタル面で課題があるわけではないですね。

平井国務大臣 マイナンバー制度等を活用して、既存の組織間で業務に必要なリソースを相互に活用できるようになったら、新しい組織をつくることなく効率的で利便性の高い行政サービスの提供が可能になるというのは、先生と全く同じ意見です。

 その上で、これは所管省庁で検討されるものと承知していますが、そのような制度においてマイナンバーの利用が必要となる場合には、番号法の改正とシステム改修等が必要になりますが、仕組みとしては、マイナンバーの利用は全く問題なく、可能だと考えています。

足立委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わりますが、これからも、いい公明党は応援し、悪い公明党とは戦う、そう宣言して、質問を終わります。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日は、デジタル関連五法案、本当に、これだけの法律をよく一括で審議するなというのが率直な感想ですけれども、正直、何十時間やっても足りないんじゃないかというぐらい、非常に重要な、重たい法律だと思いますし、我々国民民主党会派は、方向性は是非、大いに賛同させていただきます。

 もし反対するとすれば、これはやはり足りない、むしろもっとやってくれという方向で、もう党内でも議論を始めていますけれども、ちょっと、そういう意味で、是非追加をしてほしいという質問を今日はさせていただきたいと思います。

 まずは、一番大事なデジタル社会形成基本法、平井大臣も、ITの憲法のような位置づけだということで、二〇〇〇年、二〇〇一年ですかね、IT基本法ができて、それを、私もびっくりしましたが、改正するのかと思ったら、全部作り変えると。こういう例ってあるんですかと聞いたら、ほとんどないそうですね。一番大きなのは、農業基本法を一九九九年に食料・農業・農村基本法に変えた。こういうやはり大きな大改正というか、まさにこれも農業の憲法なんというふうに俗に言われている法律ですが、しかし、その割には、我々、ちょっと不十分なところがあるなというのが率直な印象です。

 国民民主党は、去年の年末に憲法改正草案というのをまとめました。その中で一番大きな柱にあるのが、デジタル時代の人権、データ基本権の保障というのをイの一番に掲げているんですね。

 ちょっとそれを幾つか紹介しますけれども、例えば、サイバー空間における人権保障であったり、あるいは情報の自己決定権であるデータ基本権を保障するというような中身、あるいは、AIを用いたプロファイリングなんかで遺伝的属性に応じて不当な差別がされるなんということを、きちんと差別を禁止するということであるとか、あるいはデータポータビリティー権であったり、こういった、個人情報保護法にも自己情報に関する個人の自律的な関与が実効化されるようにしていくべきと。

 あるいは、情報法制に関する先進各国では既に標準装備となっている独立機関としてのデータ保護機関の設置をすべきであるとか、あるいは、プロファイリングによって、個人の意思形成過程において様々な過度な干渉が及ぶことを防ぐでありますとか、それから、プラットフォームですね、これも今非常に、国家と同等、それどころか、情報やデータの文脈ではそれ以上の社会的権力、いわゆるGAFAといわれるプラットフォームが新たな統治者になっていて、そういったプラットフォーム提供者に対して、透明性、公平性を向上させるための一定の責務を課すなどを憲法に書くべきではないか。こういうことを草案として、まだたたき台ですけれども、出しているわけです。

 もちろん、憲法に書くべきということをなかなか法律には書けないのかもしれませんが、ただ、我々も正直、ここまで憲法に書く必要があるのかという点もあります。むしろ法律でいいんじゃないかということも議論の中でありますから、そうであれば、ITの憲法というものを今回作るのであれば、こういった、今私が申し上げたようなことをこのデジタル社会形成基本法の中に是非盛り込んでいただければ、我々も大手を振って賛成できるわけですけれども、その辺りの大臣の御見解をお聞かせください。

平井国務大臣 まず、国民民主党さんがデジタル時代を見据えた憲法改正について議論を呼びかけておられることに関しては、心から敬意を表したいというふうに思います。

 ここは憲法の改正について議論する場ではございませんので、現時点で、この法律はあくまでも憲法の下位規範である、かつ、基本法という性質の枠内であるんですけれども、国民民主党が提案されているデジタル時代の人権保障等の課題意識に対した内容は盛り込んだつもりなんですね。先生とは長い間ずっと一緒に議員立法もやってきた間柄ですから、そこは理解していただけるというふうに思います。

 そういうことで、是非、実際の政策を進めるという過程で先生の言われたことを実現できれば、そのように思っています。

高井委員 私も、平井大臣は今申し上げたような問題意識は十分持っておられるということは理解しておりますが、実は、今日、この質問は、玉木代表から、是非こういう視点でと。やはりここが一番の問題じゃないかというふうに玉木代表は言っていました。

 今ざっと言いましたけれども、一個一個やっていくと、本当にそれだけで三十分ずつぐらいいただきたいような重たいテーマでして、やはりこういった面をどこまで、まあ、全て入れるのは、これは憲法じゃないというのはおっしゃるとおりなので、しかし、その中で、そのエッセンスを入れていける部分、あるいはもう盛り込まれている部分もあるのかもしれません。そういったことも、本来なら時間をもうちょっとかけて議論していきたいと思いますが、今日は二十五分しかありませんので、次の質問に行きたいと思います。

 次は、これも我々とすれば不十分だと思っているのが、銀行口座とマイナンバーとのひもづけ、これも、さっき足立委員が言ったのと同じで、我々は義務化をすべきなんじゃないかということを考えています。

 私も、改めてマイナンバーの歴史をちょっとひもといてみました。

 昭和四十五年に遡って、個人番号というのが打ち出された。私はまだこの頃は子供でしたけれども、でも、うっすら覚えています。国民総背番号制大反対ということで反対をされて進まなかった。その後、昭和五十三年には納税者番号というのが出てきました。それから、平成十三年になって、今度は社会保障番号という概念になりました。その後、平成十九年に消えた年金問題が大問題になって、やはりこういうのは必要だねということになって、平成二十一年、これは麻生内閣ですが、納税者番号制度の導入を含め、納税者の利便性向上と課税の適正化を図るということが、これは所得税法の中に出てくるんですね、それを検討することというのが出てきます。

 そのすぐ直後、民主党政権になります。民主党の当時のマニフェストには、こう書いてあります。所得の把握を確実に行うため、税と社会保障制度の共通の番号制度を導入すると。まさに所得の把握を行うために、あれだけの国民的支持を得た民主党のマニフェストの中にそれが入っているわけですね。

 その後、マイナンバー法を作ろうということになって、民主党が一生懸命やって、三年かけてマイナンバー法がようやくできて、当時、与野党が協議をしている間に、野田総理が突然、三日後に解散しましょうみたいに言っちゃって、結局この法律は廃案になってしまい、それを受けて、でも、今度は自民党さんが与党になってマイナンバー法ができたということなんですが、ただ、そこで、やはりその当初の理念がだんだん、我々からすれば、後退していっているのではないかという部分があります。

 今回、この口座の付番の義務化に反対する理由をアンケートを取ったところ、約半数が、やはり個人情報の漏えいが心配だという理由です。政府に資産情報を把握されるというのは、これは二割弱でした。政府に資産情報を把握されて困るというのは、やはり脱税というか、税逃れをする人は確かに困りますけれども、多くの一般国民は、やはりちゃんと税を公平に取ってほしいよということですから、私は、この資産情報を把握されるということは、きちんと説得をすれば国民の皆さんは理解してくれると思います。

 やはり、さっき言った個人情報の漏えい、これが心配だと。つまり、政府あるいはセキュリティーに対して信頼がないということが、やはりこのマイナンバーに対しての非常に後ろ向きな国民の反応になるんだと思いますが、これは、今のこの法律をやろうとするときに、どのように政府がその信頼を取り戻していくのかについて、平井大臣のお考えをお聞かせください。

平井国務大臣 今、委員のお話を聞いていて、私も、昭和四十年代からの国民総背番号制というような議論、グリーンカード、その他、いろいろな番号が出てきて、そして、民主党政権になって、このマイナンバー制度の政策が一気に進んだ。私は、その当時、野党でこの話をずっと一緒にさせていただいていたので、いまだに、そういう方々とは同じ思いでこの制度について考えています。

 これはさっきもお話ししたんですけれども、理屈では預貯金口座の情報を管理していないということを理解されても、何となく嫌だというのは、先生がおっしゃったとおり、個人情報の漏えい等々が心配だと言うんですけれども、何となくやはり、本音の話を聞いていると、何か人に知られるのが嫌だというのは、別に隠したいわけじゃなくて、嫌だということなんだと思うんですね。

 この国は、最終的には休眠口座というのが毎年五百億程度出てくるというのは、結局、誰のものか分からない状態になる可能性があったとしても、人に知られたくないという方々がやはり一定程度以上いるんだろうというふうに思います。そして、これは説明をし続けるしかないというふうに思っておりまして、セキュリティーというのはデジタル化の基盤なので、これからも、不安やそういう誤解を払拭されるように、引き続き、あらゆる角度から丁寧な広報、周知をしていかなきゃいけないな、そのように思っています。

高井委員 これは、ずっと平井大臣とも議論してきて、何か、行き着くところ、日本人の国民性じゃないかみたいなふうに考えたくもなるんですけれども、でも、それで片づけてしまうと前へ進みませんので。

 実は、よくヨーロッパ、北欧諸国なんかは、進むのは政府への信頼が厚いからだみたいなふうに言われるんですけれども、ある調査によると、エストニアが世界で最も進んでいますが、エストニアの国民がIDを信頼しているのは、実は、政府を信頼しているかという質問は三四%しかイエスと答えていないんですね。だから、そんなに政府を信用しているわけじゃない、エストニア国民も。ただ、デジタル国家であることを誇りに思うかという質問には七六%が、エストニア国民がイエスと答える。つまり、やはり政府の信頼とかよりも、デジタルに対する信頼、デジタルへの取組、ここが肝なんだろうなと。

 そういう意味では、平井大臣、今回のデジタル庁なり、このデジタル五法案がまさにここは重要になってくるわけですけれども、今の預金口座のひもづけに関して言えば、これは私は、今の法律では、銀行の窓口の人が案内をすることは義務づけているんですけれども、案内して、あとはもう利用者の方が好きに選べばいいわけですし、しかも、案内で一々長々と説明していたら、多分、利用者の人も、もういいわとか言って帰っちゃいそうな気もするし、結局、私は、これはほとんど付番が進まないんじゃないかという感じがするんですね。

 ですから、やはりここはもうちょっと踏み込んだ法律を是非作ってほしいということで、我々国民民主党会派では、今、修正案を出そうかなという議論をしています。

 ちょっと一端を紹介すると、まず、法律の題名の「預貯金者の意思に基づく」というところをもう取っちゃう。預貯金者の意思とは関係なくやるということ。具体的にはどうするかというと、金融機関が、金融に関する取引を行おうとする場合には、預貯金者から個人番号の提供を受けなければならないとするということです。

 よく平井大臣は、国民に義務づけるのはなかなか難しいとか、罰則をかけるのはと。そこまで我々も考えていません。そうではなくて、金融機関が取引するときに必ずマイナンバーを確認しなさいと。そうすると、国民の利用者の中には、いや、そんなの嫌だよという人もいるかもしれません。その場合は、もう取引できないんですよ。つまり、口座を作れないし取引できませんから、結局は、銀行と取引しようと思ったらマイナンバーを出さざるを得ない。私、国民に義務とか罰則はちょっとやり過ぎだと思いますけれども、そのくらいはできるのではないかと。

 ちょっとそういう修正をすべきだと思いますけれども、大臣、御見解いかがですか。

平井国務大臣 議員御指摘のとおり、この法律では、金融機関への義務として、新規口座開設時の際に、国民に対して、本人同意を前提としてマイナンバーをお尋ねするという義務を規定しています。

 これまで、特定口座など、証券口座は口座名義人本人に告知義務を付したが、結局付番が進まなかった。罰則がない義務化というのは、この場合、非常に効力には疑問もあるという結果になりました。

 結果的に、どうすれば一番付番がスムーズに進むかということが非常に重要だと考えて、利用者のメリットを充実させることで付番の実効性を高める観点から、希望者を対象ということにしているんですね。預貯金口座へ付番することは非常にメリットがある、そういうメリットを十分に説明することが重要であり、国と金融機関が密接に協力して、付番の申出の具体的なメリットと併せて、付番の申出によってデメリットが生じないことも分かりやすく金融機関の窓口で国民に対し説明し、付番を促進していく。

 今の委員の御提案だと、結果、マイナンバーを確認できなければ要するに口座開設とかができないということは、これは義務化よりきついなという感じがしたんですが、これはこれからの議論だろう、そのようにも思います。

高井委員 ふだん、平井大臣とは原稿なしでいつもやり取りするんですが、今日は原稿を読まれているところを見ると、やはりこの問題については、平井大臣も本当はやりたいんじゃないかな、元々そういう方向で党にいらっしゃるときは議論していたのが、やはりいろいろな要素で渋々こうなっているんじゃないかと拝察いたしますが、ですから原稿を読んでいるんだと思いますが、是非ここはもうちょっと議論を深めていきたいと思いますし、あと、我々は、一方で、セキュリティーもちゃんと万全にしなきゃいけないと。

 これも一つエストニアが参考になると思いますが、エストニアは、いつ、誰が、どんな方法で、どんな目的で個人情報にアクセスしたか、銀行口座にアクセスするかみたいなことを、ちゃんとその履歴の保存を義務づける、そういうようなこともやっていますので、その法律が必要なら法律を作ればいいと思いますし、やはり、そういうことをやって、併せてセキュリティーとしっかりセットでいけば、国民の皆さんは納得してくださるし、やはり一番大きなのは税の公平性。一番最初に、昭和四十五年から始まったのも、クロヨンとかトーゴーサンピンとか、最近余りそういうことを言わなくなりましたけれども、やはり税の不公平を正していくということを、諸外国もみんなそれでやっているわけですし、日本だけやらずに税が不公平なままというのは私はいかがなものかと思いますので、是非この議論をまた深めていきたいと思っております。

 それでは次の質問に行きますが、先日、この内閣委員会で平井大臣とお話しした、デジタル庁に民間の優秀な人をどうやって集めるか。私はそのとき、いろいろな民間の方と話していて、民間から出向者が百人とか集まっても、結局どこかの大手の方とかが、まあ一旦辞めて来るそうですけれども、それでも結局どこかでつながっていて、デジタル庁を辞めたらまた戻るみたいな、そういうことだと、なかなか情報が漏えいしてしまって本音の話がしにくい、新しいサービス、ベンチャーで考えているんだけれども、それを持っていきづらいという質問をしました。

 そこで平井大臣、すらすらと答えていただいたんですが、ただ、ちょっと私、その中で気になったのが、兼業を可にしますよ、民間人材を兼業可にして優秀な人材を集めます、それは、優秀な人材を集めるには兼業可でいいんですけれども、私が今申し上げたような視点からすると、かえって、兼業している人にそんな秘密を話せるわけがないということで、ここは大きく矛盾するんですけれども、今のこの兼業可ということで情報が集まらなくなるという心配はありませんか。

平井国務大臣 この間も答弁させていただきましたが、専門性を持っている人材というのを、常勤、非常勤、兼業、副業と、それも全部オーケーにして組織に参加をしてもらいたいというふうに思っています。

 民間人材の募集の際には、必須条件として、国家公務員に求められる高い倫理観を持った者であることを求めると同時に、選考の中で今回の組織文化への適合を確認する。そして、常勤、非常勤の別を問わず、国家公務員法の秘密保持義務が課される。そして、これは常勤、非常勤の別を問わず、職員が情報管理に当たって遵守すべき規定を設けて適切に整備、運用することとして、特に機密性の高い情報についてはアクセスできる職員を必要最小限に限定するということです。

 委員御存じのとおり、仕事のできる人はやはりなかなか全部辞めてこられない人が多いんです。ただ、この間、千四百人の応募があって、最終面接に残った方々というのは、大手ベンダーという方々ではなかったです。そういう意味で、今回デジタル庁のスペックに合うような方々がいろいろな分野から参加の意向を示してくれているのではないかな、そういうふうに思っています。

高井委員 本当にその百人なりが、何というか、片道切符というか、戻るんじゃない、企業とつながっていない形であればそれでいいと思うんですけれども、やはりそうじゃないケースは、前段、答弁を読まれましたけれども、多分、平井大臣も読みながら、何か、これで本当に大丈夫かなと思いながら読んでいたんじゃないかと思いますけれども、秘密保持契約を結ぶとか、何かデータアクセス権を分けるとか、そんなものでは到底やはり。

 一番問題は、民間企業側が心配しちゃったら情報を持ってこなくなるわけですよ。実際漏えいするかどうかは別として、いろいろな相談に行きたい、貴重な情報がある、だけれども、あそこ、デジタル庁のあの顔ぶれを見たらとてもちょっと相談に行きたくないとなったらそれは逆効果で、まだ役人が、官僚がやっていたときの方がよかったとなるんじゃないかということを実際に懸念しているIT企業の方がたくさんいらっしゃるので、是非そこの仕組みは、これは本当に肝だと思いますので、改めて大臣のリーダーシップで考えていただきたいと思います。

 それでは次の質問ですが、今回の五法案で、これは経済界とかITの経済団体なんかとも意見交換していますが、かなりやはり評価はしています。特に、押印、書面原則が廃止というか改善されたということは大いに評価しているんですが、ただ、ずっと、押印廃止、書面原則、それから対面原則ということ、これを三つセットで結構、経済界は言ってきたんですが、やはりちょっと対面原則のところが進んでいないんじゃないかと。

 オンライン診療であったり、医薬品のネット販売であったり、不動産取引のデジタル化とか、その他たくさんあるんですけれども、ここの部分がちょっと弱いんじゃないかなと思いますけれども、大臣、いかがですか。

平井国務大臣 私も、押印、書面、対面というこの三つセットで今まで議論をしてきました。

 対面原則の見直しに関しては、規制改革推進会議で今議論していると思うんですが、別途、私と河野大臣の間では、2プラス1、要するに、私と河野大臣で、規制改革の部分を含めてターゲットを絞って、それをデジタルと融合させて大臣と交渉するというのを続けてまいりました。

 それも徐々にいろいろな成果が出てきているんですけれども、この規制改革とデジタル化というのはコインの裏表だと思うんですね。なので、やはりセットで進める効果が一番大きい。ですから、対面原則に関しても、これからどんどん規制を緩和できるように、規制を見直していただけるように私自身は働きかけたい、そのように考えております。

高井委員 じゃ、最後の質問にいたしますが、総務省にも一点聞いておきたいと思います。

 J―LISの改正、本当は、私、総務委員会だったので、J―LIS法の改正だけで一本の十分な審議が必要だと思いますが、これは今回、国の関与が強まる、それから肥大化しているという印象がありますが、放っておくと、私はこれは天下りの温床になりやしないかと。今も副理事長と理事が現役出向という、それがいいかどうかというのはあるんですけれども、出ていますけれども、これはどうですか。天下りのようなことにはならないような防止策、そういったものはしっかりあるんでしょうか。

木原委員長 総務省官房審議官阿部知明君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正では、マイナンバーカードとこれに搭載される電子証明書がデジタル政府、社会を支える基盤となるものであり、国の責任において安定的運営を確保する必要があることから、マイナンバーカード及び電子証明書の発行を担っているJ―LISに対する国のガバナンスを強化することとされております。

 その観点からは、例えば、J―LISの代表者会議が行うこととしているJ―LISの理事長及び監事の任命については、国が認可することとなります。

 しかし、役職員人事も含めたJ―LISの運営につきましては、国と地方公共団体が共同で管理する法人として、国の選定した委員のみならず、地方三団体の代表及び有識者で構成される代表者会議の意思決定によるガバナンスの下で行われるものでありますので、地方の意向も踏まえ、J―LIS自身で適切に判断されるものと考えております。

高井委員 今の部分は役所に任せていては危ないので、是非これは政治家として平井大臣も目を光らせていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十八日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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