第11号 令和3年3月19日(金曜日)
令和三年三月十九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 木原 誠二君
理事 平 将明君 理事 冨岡 勉君
理事 中山 展宏君 理事 藤原 崇君
理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君
理事 後藤 祐一君 理事 濱村 進君
安藤 裕君 池田 佳隆君
岡下 昌平君 金子 俊平君
神田 憲次君 黄川田仁志君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
高木 啓君 永岡 桂子君
長尾 敬君 西田 昭二君
本田 太郎君 牧島かれん君
牧原 秀樹君 松本 洋平君
宮崎 政久君 村井 英樹君
吉川 赳君 和田 義明君
阿部 知子君 大河原雅子君
大西 健介君 玄葉光一郎君
森田 俊和君 森山 浩行君
柚木 道義君 吉田 統彦君
江田 康幸君 古屋 範子君
塩川 鉄也君 足立 康史君
岸本 周平君 高井 崇志君
…………………………………
国務大臣
(デジタル改革担当)
(マイナンバー制度担当) 平井 卓也君
総務副大臣 熊田 裕通君
厚生労働副大臣 山本 博司君
内閣府大臣政務官 岡下 昌平君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
内閣府大臣政務官
兼復興大臣政務官 吉川 赳君
総務大臣政務官 谷川 とむ君
財務大臣政務官 船橋 利実君
文部科学大臣政務官 鰐淵 洋子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 二宮 清治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 成田 達治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 田中愛智朗君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山内 智生君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 彦谷 直克君
政府参考人
(内閣府大臣官房総合政策推進室長) 三上 明輝君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 村手 聡君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 福浦 裕介君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 井藤 英樹君
政府参考人
(総務省大臣官房政策立案総括審議官) 阪本 克彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 今川 拓郎君
政府参考人
(国税庁課税部長) 重藤 哲郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 塩見みづ枝君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 堀内 斉君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 三浦 章豪君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 木村 典央君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
長尾 敬君 黄川田仁志君
牧原 秀樹君 村井 英樹君
岸本 周平君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 長尾 敬君
村井 英樹君 牧原 秀樹君
高井 崇志君 岸本 周平君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)
デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)
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○木原委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官時澤忠君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。
○牧島委員 皆様、おはようございます。自民党の牧島かれんです。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
東日本大震災から十年がたちました。それでも、被災された方たちの心の傷はまだ癒えることなく、復興に向けて歩まれておられます。
自民党青年局としては、これまでも、東北の皆様の復興に向けて心を合わせていくこと、そして、全国各地、被災された地域の復旧に向けて力を尽くしてまいりました。また、防災、減災というのも活動の柱に据えさせていただいています。先週は、福島県と宮城県を訪問させていただきました。防災とデジタルというのは大変関連性の高いことでございますので、デジタル改革関連法案の質疑に入ります前に、防災に関連する質疑を何問かさせていただきたいと思っています。
福島県では、福島ロボットテストフィールドを訪問させていただきました。ここは総理も行かれたところでありまして、無人航空機エリアとか、又は、インフラの点検そして災害対応エリア、水中、水上のロボットエリアなどがあって、陸海空それぞれのフィールドで、いかにロボットがその性能を生かして命を救うことができるのかという研修や研究が行われています。
水没してしまった家屋から人を救出する、又は、ドローンを飛ばして被災された状況を正確に把握しようとする、また、復旧に当たってトンネルとか橋梁の点検をいかに行っていくのかなど、まさに東日本大震災の教訓を世界に発信する場所になっているのではないかと思っています。
サイバー空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と、そして社会の課題に対する解決を両立して示していく場所でもあります。
これはまさに、菅総理や平井大臣始め現政権が進めようとしている、誰一人取り残さない社会、人に優しいデジタル化といったことにも相通ずるのではないかと思います。
今日は、復興担当の大臣政務官にもお越しいただいておりますので、冒頭、この福島ロボットテストフィールドに対しての期待をお答えいただきたいと思います。
○吉川大臣政務官 質問ありがとうございます。
まず、牧島先生におかれましては、現在、自民党の青年局長として、東北被災三県を主にした復興に関して大変お心を寄せていただき、また、様々な政策を御提案いただいておりますことに感謝を申し上げる次第でございます。
御指摘いただきましたこの福島ロボットテストフィールドでございますが、福島イノベーション・コースト構想の一環といたしまして、委員御指摘いただいたとおりの様々な実証実験、研究等が行われているところでございます。
これを災害対応の技術開発や訓練に大いに活用をしていきたい、復興庁としてもそのように思っているところでございますが、同拠点の研究棟には、全国から二十の企業が入居いただいております。この中には警備会社等も含まれておりまして、研究にとどまらず、現場での技術を生かした実証実験等も現在行われているところでございます。これが、全てで三百十二件の実証実験、訓練等が現在行われているというように認識をしております。
復興庁といたしましては、このロボットテストフィールドにおける研究や実証、訓練等の取組が、新たな産業集積等を促進して、福島浜通り地区ほか被災地の復興につながることを大いに期待すると同時に、日本全国の防災向上に資することを期待しているところであります。
○牧島委員 ありがとうございます。
既に実証、実装に向けてこのロボットテストフィールドを使われているということがよく分かりましたし、日本列島また世界でも、様々な災害、対応しなければならないときにこの知見が生かされるのだと思っております。
復興大臣政務官への質問は以上でございますので、御退席いただいても構いません。
続いて、小此木防災担当大臣の言葉を少し御紹介したいと思います。
大臣はメディアインタビューに答えて、デジタル技術を駆使して広域の避難のシミュレーションを行うということをお話しされています。今国会では災害対策基本法改正案も審議されることになると思いますが、小此木大臣は、避難情報をできるだけ早く発信して命を守る行動を取っていただく必要があるんだ、そして、デジタル化も周知方法としてしっかりと視野に入れていくということも話していただいています。
組織を超えた防災情報の共有をどのように実現していくのかということを考えたときには、自民党デジタル本部でヒアリングをいたしましたSIP4D、基盤的防災情報流通ネットワークが生かされるのではないかというふうに考えています。コンセプトはシンプルだと私は思っています。いろいろな組織に情報があるので、その情報を効率的に一元化して、そして効率化も最適化していくということではないかと思います。
一般的に、様々な複数の組織に情報がある場合、それを連結していこうとすると、その組織の数分の、又はそれ以上の連接工程が必要になります。組織の数がNであれば、N掛けるNマイナス一通りの連結が必要なのではないか、そうしたシステム構築をしなければならないのではないかという指摘がされていたところですが、SIP4Dは、ここに一か所つないでいけば、効率的に双方向の情報共有ができて、また、地図なども表現されてビジュアライズ化される、見える化されていくというところに大きな強み、特徴がございます。
先月の福島県沖の地震に際しても、クライシスレスポンスサイトを開設しています。地図を見れば状況が把握できるものになっているのですが、課題があります。それは、このSIP4Dの技術を被災された皆様の現場に一番近い地方自治体の皆さんがどれぐらい知っているのか、この周知が行われているのか、又は防災訓練やシミュレーションのときに活用されているのかどうかという点でございます。
この現状、御報告、御答弁いただければと思います。
○村手政府参考人 お答え申し上げます。
大規模災害時に関係機関が迅速かつ的確な災害対応を行うためには、各機関が有する情報というものを集約、共有し、認識を統一することが重要と考えてございます。
このため、内閣府では、委員御指摘の、各種災害関連情報を電子地図上に取りまとめて情報提供を行うシステムでございますSIP4Dを活用して、現地で災害情報を集約、地図化し、関係機関に提供するISUTという現地派遣チーム、令和元年度から運用をしてございます。
一方で、ISUTの派遣につきましては、大規模な災害の発生時に限られていることから、おっしゃるとおり、周知が重要な課題ということになります。平時におきましても、都道府県などが行います訓練にISUTが参加いたしまして、訓練で活用するためのSIP4Dを活用した電子地図の提供等を行うことで、災害時における自治体の活動の円滑化を図っているところでございます。
加えて、これまでの災害対応でのISUTの経験も踏まえまして、電子地図の作成手順や活用場面をまとめた事例集を作成するとともに、来年度には、この事例集も活用して、自治体職員などを対象とした研修にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
引き続き、こうしたISUTに関する取組を通じ、SIP4Dを活用した自治体の災害対応の円滑化、迅速化を図ってまいります。
以上でございます。
○牧島委員 ありがとうございます。
来年度は自治体職員の皆様と一緒にしっかりと研修、シミュレーション、防災訓練をしていただけるということですので、期待をしていきたいと思います。
スーパーコンピューター「富岳」とか国土地理院の3D地図などを活用して、被災された状況を地図化して、それを皆さんと一緒に情報共有して、そして救出を早くしていくというのが大事なことだと思いますし、道路がどのような現状になっているのかとか、通信が遮断されていないのか、又は電力は行っているのかどうかといったようなことは、衛星写真、空中写真というものを使って確認することもできると思います。こうした点では、民間の企業の皆さんとの連携というのも不可欠になってくる。データのDXの事例の一つだと思います。
一方で、幾らAIなども使って災害対応を進めていても、実際の避難所の状況などは基礎自治体の皆様でしか分からないところもありますし、この被災されている状況を基礎自治体の皆さんが都道府県や又は国に対してどのように報告をしていくのか、情報共有できるのかというのは、これまでもずっと課題だと言われてきました。
そこで、防災訓練の在り方について質問したいと思います。
マイナンバーカードを活用した避難所の管理ということを視野に入れた自治体も出てきています。避難所の入口で、マイナンバーカードだけ持って何とか被災を逃れて避難所まで来られた方が、読み取り機にピッとかざせば、どなたがこの避難所に避難することができたかというのを確認できますので、そうすると、救出、どこに行かなければならないのかということも瞬時に判断することができる。また、被災された方にとっては、入口で紙で、ペンで自分の名前や連絡先を書かないでも済みますし、それをデータ化するのに自治体の方が打ち込まなくちゃいけないという手間も省くことができます。
ここで、質問は、こうしたマイナンバーカードを使った避難所の運営又は防災訓練といったものについて、好事例を展開していきたいので、既に取り組んでおられる好事例の御紹介をお願いしたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全確実な本人確認を行える、デジタル社会の基盤となるものでございます。
市区町村におきましては、番号法第十八条に基づきましてカードの利用に関する条例を制定することで、カードのICチップ内の空き領域の活用が可能となってございます。
お尋ねの、訓練時を含めた避難所におけるマイナンバーカードの活用についてでございます。例えば、新潟県三条市におきまして、マイナンバーカードの空き領域を活用し、避難所の入退所受付を行うことで、避難者の特定と迅速な受付を実現している事例があるものと承知してございます。
○牧島委員 ありがとうございます。
今後は、避難所におられる方がどのようなお薬を必要とされているのかとか、アレルギーがあるのか、妊婦さんなのか、小さなお子様のおられる御家族なのか、又はペット同伴でおられるのかといったきめ細かい情報をデジタル化して対応していくこともできると思いますし、していかなければならないとも思っています。
また、こうしたスキルを持っている企業や団体の皆さんも大勢出てきておられますので、地方自治体の方との連携も進めていただきたいと思います。
災害時連絡協議会のような、いろいろな職種、団体の方たちと平時からつながりを持って、コミュニケーションを図って、いざ発災したときには迅速に機動的に行動できる体制を私も取り組んでいきたいと思います。
また、自治体間で災害時応援協定というのを結んでいるケースもあります。
私の地元小田原の郷土の偉人、二宮金次郎先生のゆかりの地でつながった全国報徳研究市町村協議会災害相互応援協定というものがあります。この中で被災された自治体があると、自治体の職員の皆さんが応援に入られるんですけれども、そのときに発生する自治体職員さんの旅費とか人件費というものを、後で求める、求償するということになっています。
ところが、ここで、ほかの分野でもいろいろ出てきていることですが、統一された書式がありませんので、被災された自治体の皆さんが作られた書式に沿って書類を作成する、又はレシートのような証拠書類になるものを紙で保存して、それを手で仕分して、手で計算しなければならないということがずっと行われてきました。
熊本地震が発災したときには、そのとき担当でした河野太郎防災担当大臣は、段ボール箱で二十箱分までになったというふうに話されています。そのとき私は防災担当の大臣政務官で、熊本地震政府現地対策本部長も務めていたので、こうした被災された自治体の事務の負担というのはできるだけ軽減していきたいというふうに思っています。
そこで、この救助事務費に係る統一の様式というのがいつまでに作成されて自治体の皆様に伝えられていくのか、そしてシステム開発はいつまでに終了するのか、御答弁をお願いします。
○村手政府参考人 御指摘の救助事務費に係る様式作成や証拠書類の処理についてのシステム開発につきましては、河野規制改革担当大臣からの検討の御要請をいただきまして、検討を進めてきたところでございます。
検討の結果、様式につきましては、被災自治体からのヒアリングを行った上で、今月中に統一の様式を作成して自治体に通知する予定としてございます。また、証拠書類につきましては、現在、特段自治体の会計事務と異なった取扱いを救助事務で明示的に求めているわけではないんですけれども、現実に、通常の会計事務と救助事務の会計事務にどのような違いがあって支障が生じているかということを今現在把握していないことから、その違いがあるかなどについての自治体アンケートを今月中に実施いたしまして、その違いがあるのであれば、来年度前半、令和三年度前半に、全国知事会などとも議論を行いまして、その結果を踏まえて必要なシステム開発を行う方向で検討してまいります。
○牧島委員 ありがとうございます。
システム開発についても進めていただいていると同時に、書式の統一については、今月中、あと十日余りで皆様に伝えていただけるということですので、ありがたく思います。
続いて、このデジタル化、今までは防災のお話をしてまいりましたが、準公共分野という点でいえば、医療について、ここは平井大臣も大変力強いリーダーシップを発揮してくださった分野なので、質問させていただきたいと思います。
医療、介護、福祉の分野でも、国民起点のデータヘルスの戦略というものを考えていかなければならないと思っています。最適な医療や介護を一人一人が受けることができるようにしていく、そんなデジタル社会を目指したいと思います。
例えば、健診結果、ワクチン接種、臨床検査結果、診断名、既往歴、薬歴、カルテ、レセプト、処方箋といったものがデジタル化して、一つの場所で見ることができれば、患者さんや、また場合によっては御家族の方が、自分自身のデータにアクセスすることができるようになります。ばらばらに管理するのではなくて、PHR、パーソナル・ヘルス・レコードといったプラットフォームをしっかりと確立した上でアクセスできるようにする、又はマイナポータルとどのように連携することを検討するのかという時期に来ていると思います。これは、災害時とか救急時にも効力を発揮するものとなるはずです。
さらに、医療機関の診察や会計の待ち時間が長いという声もたくさん届いています。コロナ禍でオンライン診療も始まりました。AIやICTを活用した相談や問診サービスという実装が既に民間企業の皆さんからは出てきています。こうした知見を十分に生かしていく必要があると思います。
医療のデジタル化をどのように進めていくのか、是非大臣の御所見をお聞かせください。
○平井国務大臣 質問ありがとうございます。
医療分野においては、一人一人がデジタル化による恩恵を最大化するために、まずは十分なセキュリティーとプライバシーへの配慮を前提に、一人一人の患者や医師等の、各ステークホルダーを識別し、関連づけていくためのID連携、様々な医療データを円滑にやり取りするためのデータ標準化、多様なステークホルダーが相互にやり取りする基盤となるベースレジストリーとデータ連携基盤の構築が非常に重要だと思います。これらの事項について、既に、先生もよく議論に参加されておりますので、IT室内にチームを設置して検討をしています。
今後、デジタル庁の創設に向けて更に議論を加速化しなきゃいかぬというふうに思っておりますし、これは国民の期待が大きい分野ですので、早期の社会実装を通じて、一人一人にとって最適な医療が受けられるデジタル化社会の実現に注力しなきゃいかぬなというふうに思っています。
災害と医療の話、どちらにも役に立つ一つの事例として、私の地元の香川県では、この四月から、診療支援システム、K―MIX・R・BASICというのがスタートします。これは名前はちょっと長々しいんですけれども、基礎自治体で二年間の実証実験をやって、レセプトデータをいかに、診療の、要するに現場で使えるかということをついに実装したということです。
ですから、このレセプト、診療報酬明細書を活用して、先生がさっきお話しになっていた受診歴とか投薬など、過去の診療情報を臨床の現場で見ることができるんですね。本人のマイナンバーカードを使って、そしてお医者さんは自分のHPKIを使って、診療で見ることができるということで、しかも、かかりつけ医と中核病院、薬局がその情報を共有することができる、全部患者さんが望むなら共有することができるというシステム。これは、実は今回のワクチン接種にも役に立つわけです。
レセプトというのは、専門家の阿部先生もおられますけれども、全部見ちゃったら、これはもう量が多過ぎてはっきり言って何が何だか分からないのを、ちゃんと整理をして、その人の今の状態が分かるように、これは、データを本人の了解の下にクレンジングをして格納しておいて、それを診療の現場につくるということで、これは、医師会の先生方が非常にこの二年間いろいろ考えて、ついに実装することができたということです。
これが、災害の現場で、さっき先生がおっしゃったように、カードを持って出たら、そこにお医者さんがいたら、そのお医者さんに、今まで自分がどういう治療を受けた、どういう薬を飲んでいるというようなものを、お医者さんに過去のレセプトのデータ、サマリーを見てもらって判断できるということですから。
そういう意味では、これは救急搬送のときもそうだと思います。意識がなくなった状態になったときに自分で自分のことを説明できないとなると、検査の時間を大幅に短縮できるということだと思うんですね。
そういう意味では、是非、こういう事例とか、あと、ほかにもレセプトを使っている各自治体のいろいろな取組があるので、いろいろなベストプラクティスをやはりどこかでうまく共有できるようにしたらいいなというふうに思います。
そして、病院に滞在する時間を短くするというのは非常に重要だと思うんです。
私はかねてから思っているんですけれども、会計で並ぶというのはいかがなものかなと。なぜかというと、診療が終わった時点では、はっきり言って、これは保険診療ですから債権債務が確定しているわけではなくて、その人が会計で払うというのは、ある意味、仮払いなんですよ。最後、支払基金でちゃんと調整がついて確定するということですから、後でちゃっと払うよということを決めておけば、その方が本当は正確なんだろうと思います。
ですから、医療現場のデジタル化というのは、もう改善点がたくさんあるので、やればやるほど効果が出る分野だとも考えております。
○牧島委員 ありがとうございます。
医療現場のデジタル化、それぞれの患者さんが、最適な、そして最高の質の医療サービスを受けることができるようにする、そうした思いで大臣から直接御答弁をいただいたこと、ありがたく思います。被災された方が避難所で何のお薬を飲んでいますかと言われても、片仮名の長い名前を覚えていて答えられる方はほとんどいない。大臣もかねてよりおっしゃっているとおりだと思っています。
続いて、教育という準公共分野についても質問いたします。
今、もう既にベースレジストリーのお話が出てきていますが、これも同様の精神が必要だと思っておりまして、教育の現場である教職員の方たちの起点のみならず、生徒さん、そして学生さん、保護者さん、国民起点のデータということを考えなければならないと思います。
さらに、学習履歴、スタディーログをどのように蓄積すればいいのか。先生が異動していく、又は生徒さんが転校していく、そうしたときにも、自分のデータを保存して、そして活用することができるためにはどのようにしたらいいのかといったような論点がこれまでも出てまいりました。
さらに、学校以外の教育機関、民間教育サービスとの連携ということも今後出てくるのではないかと思います。
教育のデジタル化、今後どのように進められていくのか、御答弁をお願いいたします。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
教育のデジタル化につきましては、平井大臣が、萩生田文部科学大臣それから河野規制改革担当大臣と、いわゆる2プラス1を実施しておりまして、その後、いわゆるデジタル教科書における規制の撤廃の方向性が出されるなど、一定の成果が出ているものと考えております。
その上で、教育分野で真のデジタルトランスフォーメーションが進んだと評価されるためには、更なる利用者の方々の目線でサービス改革を進めていくということが必要だと考えております。
例えば、子供たち一人一人のニーズに応じた教育の提供に向けて、GIGAスクール構想による端末配備にとどまらず、教育データの標準化やクラウド上での多様な教育教材の提供等を進めていくことが必要だと考えております。
政府といたしましては、関係省庁との緊密な連携の下、教育のデジタル化に向けた取組を強力に推進してまいりたいと考えております。
○牧島委員 是非よろしくお願いいたします。
続いて、公共の分野についてお尋ねいたします。
住民の皆さんが役所に行って手続が大変だと思っているのは、引っ越し、死亡、相続であるというのもずっと言われてきたことです。
引っ越しに関しては、行政機関だけではなく、民間企業、サービスに対しても、私が引っ越します、新しい引っ越し先はここですというのを言わなければならないし、人によってその情報を伝えるべき場所が違いますので、引っ越しに関する手続の全容というものがなかなかつかめないゆえに、情報を伝え忘れてしまう、漏れてしまうということが指摘されてきました。それに伴って、引っ越しワンストップサービスが必要なのではないかということを指摘をしてまいったところでございます。
引っ越しポータルサイトの進捗がどのようになっているのか、あわせて、煩雑性が指摘される死亡、相続の手続というのはデジタル社会でどのように変化していくのか、教えていただきたいと思います。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございました引っ越しワンストップサービスでございますが、これまで、自治体それから民間の両手続につきまして、民間事業者が提供する引っ越しポータルサイト等と連携した、マイナポータルと連携するといったような取組、この実証実験の実施等により検討を進めてきております。
それから、自治体の窓口での転出転入手続につきまして、マイナンバーカードとマイナポータルを使いました転出手続と転入予約のオンライン化、それから、転出者の方々の情報の転入地への事前の送付、こういったことによる転出転入手続のワンストップ化を令和四年度中に実現できますよう、デジタル改革関連法案におきまして住民基本台帳法の改正を盛り込んでいるところでございます。
それから、死亡・相続ワンストップサービスについても御質問ございました。
死亡に関する手続につきましては、オンラインで完結する仕組みの構築に向けまして、法務省、厚生労働省とともに、令和三年度内に、課題を整理の上、速やかに対応することとしております。
さらに、相続の手続、これにつきましては、法務省と連携をいたしまして、電子的な戸籍記録事項の証明情報の仕組みを活用いたしまして、法定相続人の特定に係る遺族の方々の御負担を軽減する方策について検討を行うこととしております。
政府といたしましては、引き続き、関係省庁や民間事業者の方々とともに、引っ越しや死亡、相続等のワンストップサービスの推進やその具体化に努めてまいりたいと考えてございます。
○牧島委員 今御答弁いただきましたとおり、この法律が成立すれば、住民の皆さんが、ああ大変だと思っている様々な手続が簡素化されていくんだ、そのように努めていきたいと思います。
そして、このデジタル関連法案が成立することで、人々の暮らしの一番身近なところにある地方自治体が変わっていくのではないか、そうした期待の声も集まっています。
自治体の中には、職員の皆さんが通常使っているパソコンがインターネットにつながっていないとか、一人一人にメールアドレスがないといったようなことで、業務に支障が出てきているのもよく聞こえてきています。
私自身の体験でいえば、自分の地元の市役所にマイナンバーカードの更新に行ったんですけれども、そうしたら、紙を渡されまして、その紙に名前と連絡先を書くようにと、基本情報をここに書けと言われたんですが、マイナンバーカードの更新に来ているのになぜ繰り返しここに書かなくちゃいけないのかなという大きな矛盾を感じていました。
ただ、よくよく観察してみますと、この紙というのは役所の皆さんのお仕事のフロー上必要なものになっているので、そういう意味では、自治体の皆さん、デジタル庁が設置されてガバメントクラウドができるまで何もしないで待っていればいいというわけではなくて、今こそ、ペーパーレス化ができないかとか業務の改善をすべきところがないのか、住民サービスの効率化又は高度化のために何ができるのかということを考えていただきたいなというふうに思っています。
ここはよく問われるところですので、是非大臣から、今、地方自治体は何をすべきか、御答弁をいただきたいと思います。
○平井国務大臣 非常に大事なところですね。住民サービスの向上もさることながら、役所で働いている皆さんの業務フローが本当に今のままでいいのかという見直しは常にやっていかなきゃいけないと思っているんです。
今までの当たり前を疑え、私、最近、ダウト・ワット・トゥー・テイク・フォー・グランテッドという言い方をしているんだけれども、今まで当然と思っていたことはやはり疑わないと駄目だよと。そこが一番、役所が苦手な分野なんですよ。今までこうやっていたからやはりこうやらなきゃいけないというふうに思っている。そこを変えてもらうチャンスでもあるし、自分たち、本当に真剣に考えれば、こうしたいというのはあると思うんです。
そういうことが非常に重要でありまして、今回、地方自治体の情報システムについては、我々、統一、標準化というものを進めます。これは、地方自治体が情報システムを個別に開発することによる人的、財政的負担を軽減して、地域の実情に即した住民サービスの向上につなげることが一番重要だと思っていて、新たなサービスの迅速な展開を図るようなことができたらいいなというふうに考えます。
委員と全く問題意識は一緒で、地方自治体の皆さんが、まず、ガバメントクラウドへの移行を待つまでもなく、デジタルファースト、ワンスオンリー、ワンストップのデジタル三原則を実現する観点から、積極的に業務の見直し、BPRを行い、それが最終的に、現在国が進めている標準仕様に反映されるような提案が地方自治体からたくさん来たらいいなと思っています。そういう提案も実はたくさん来ていまして、デジタル改革共創プラットフォームの中では、いろいろな自治体の職員の皆さんと、今、政府の皆さんの、職員が前向きな議論をしています。
いわゆる今まで言われたお役所仕事というもののやはり見直しというのは当然必要だし、実は、若い職員の皆さんが今非常にこういう問題意識を持っておられて、デジタル庁と同じような組織を県や市でつくられているところも出てきました。そういうチームを各部署から集めて組成して新しい取組をやろうというところが徐々に増えてきているのは非常にいいので、そういうところと更に意見交換をしながら、デジタルを実装することによるメリットというのをやはり官民そしてその組織内でも共有できるようにして、一気に進めるのが私は正しいと思っております。
○牧島委員 ありがとうございます。地方自治体からの提案も必要ということだと思います。
時間の関係で、二問続けてまとめて質問いたします。
クラウドについてです。
IaaS、PaaS、SaaS、それぞれ分けて考えなければならないというふうに思っておりまして、ISMAPの評価、登録は重要ですが、国内のIT産業の育成のためにも、イコールフッティングで競争できる、共通の条件を設定していくことが望ましいのではないかというふうに考えています。
また、ベンダー側への発注、著作権がどうなるのか。特に、地方自治体の皆さんにとってはアジャイル開発というのはまだなじみが薄いので、ガイドラインといったものが必要なのではないかと思います。
さらに、今後ベンチャー企業への発注の機会も増やしていきたいという観点、御答弁いただければと思います。
続けて、セキュリティーについてですが、NISCが出している政府統一基準をベースに現段階では各府省庁が対策を取っていますが、今後デジタル庁ができてきますと、セキュリティーの強化、事故の把握、どのようになっていくのか、お願いいたします。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、御指摘ありましたアジャイル開発でございますが、これは、多様な利用者のニーズに迅速に応えていく、あるいは、情報システム整備の効率化に資する開発手法として、行政機関におきましても今後活用が広がっていくというふうに考えております。
このため、アジャイル開発のメリットあるいは留意点も含めて、発注者の方々が基本的な知識を共有できるように、ガイドライン等を策定して周知を図っていきたいというふうに考えてございます。
それから、ベンチャーの件もございました。
情報システムの調達に当たりましては、ベンチャー企業等が持っております新たな技術を積極的に取り入れていくことも必要だと考えております。特に、発注者側において目利き能力を高めながら情報収集に努める、こういったことが必要だと思っております。
デジタル庁では、技術に精通をいたしました民間の人材を集めて、技術力のある事業者への発注機会を増やしていく、こういったことも率先して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
それから、セキュリティーに関しても御質問ございました。
現在進めておりますデジタル改革におきましては、国民目線に立ったいわゆるデザイン思考、それとセキュリティー・バイ・デザイン、使い勝手のよさと安全性の高さの両立を前提として、国民の皆様がデジタルの恩恵を安心して受けられるような社会を目指しております。
そのため、デジタル庁におきましては、内閣サイバーセキュリティセンターとも連携をいたしまして、情報システムに関する整備方針におきましてサイバーセキュリティーについての基本的な方針を示し、その実装を進めるとともに、デジタル庁にセキュリティーの専門チーム、これを置きまして、整備、運用するシステムを中心に検証、監督を実施することといたしております。
国民の皆様の重要な情報資産、これをしっかりと保護していく、同センターとの連携体制を含め、デジタル庁でその体制について、あるいは対策について具体化を進めてまいりたいと思っております。
○牧島委員 ありがとうございます。
残り五分の紙が来ましたので、一問飛ばさせていただいて、大臣にあと二問御質問できればと思います。
学生部の皆さんや学生インターンさんと話していますと、デジタル庁への期待、すごく高いものを感じます。既に、民間人材の採用に当たっては、倍率四十倍だったという報道もありました。是非、大臣に、これからデジタル庁、どのような人材が集まってきてくれるといいなと思っていらっしゃるのか、そして、どのように成長させていきたいという思いを持っていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたします。
○平井国務大臣 確かに、本当に、いろいろなエンジニアの方々が今公募に応じてくれているので、心強く思っています。
行政サービスを抜本的によくしたい、そういうふうに思っている人たちもたくさんいるし、やはり、DXが遅れているこの国で、それを国民目線で変えていくというところに物すごく共感してくれている若い人材の皆さんがたくさん手を挙げてくれているんだと思います。
そういう、特にUI、UX系の専門家という方々とか、クラウドエンジニア、この辺りが本当に感度高く我々に、公募に対応してくれているのは非常にいいことだと思いますが、あとは、それをちゃんと使えるかなんですよ。彼らがそれぞれ働きがいを持ってそういうところで能力を発揮できるような組織をつくらなきゃいけないし、その組織をマネジメントする人たちも物すごく重要だと思っています。そういうことが一つある。
そして、令和四年度に向けて国家公務員の採用試験に新設が検討されているデジタル区分、これで霞が関にデジタルキャリアのパスができるというのも、今までとはやはり変わっていくんだろうというふうに思います。
何せ、私、今起きているこのデジタル化というのは、やはり、百年に一回の大型パンデミックというような、地球全体というか人類全体がこの試練に向き合う中で、一気にこれから進む、すごいタイミングになったんだろうというふうに思います。そういうときに、能力を発揮したい、やる気と危機感と使命感を持っている人に参加してもらいたいと思います。
○牧島委員 ありがとうございます。
デジタルキャリアという新しい制度ができてくる、挑戦される若い世代の方も増えてくると思います。
また、今、大臣、UI、UXについて触れていただきました。
このコロナ禍で、大臣が委員長としてオンラインの会議を連日行う中で、インターネットの父と呼ばれる村井純教授にも会議に参加をしてきていただいていました。そこで私がとても印象的だったのが、コロナ禍でインターネットが何とかぎりぎり間に合ったという言葉であります。そして、インターネット技術は最初から全ての人のためにという思いでスタートしたものだというふうにもおっしゃっています。
村井教授は、二〇一一年七月二十四日の地上デジタル放送への完全移行の事例をよく挙げられていまして、最後の最後までお助け隊で皆さんにその技術を使っていただけるようにするんだということもお話しされています。
また、インターフェースをつくるときに、どうしても健常者であることを基本に考えがちではないか。目が見えること、耳が聞こえること、指が五本あること、そして指が震えずにボタンを押せること。しかし、そうじゃない人もたくさんいるし、自分が将来そうならないという保証もないんだ、インターフェースを突き詰めるというのはそういうことなんだ、全ての人が使える状態を目指すんだということもおっしゃっています。
このアクセシビリティーの考え方について、是非最後、大臣からコメントをいただきたいと思います。
○平井国務大臣 これは、村井先生を始め、今回のワーキングチームの皆さんが一番、最重要視されたテーマだと思います。
実は、私もこの立場になってから、昨日もそうだったんですが、視覚障害者の方々と、エンジニアの方々とネットでいろいろ議論をしていて、やはり、政府のあそこが使いづらい、ここは駄目だというような御指摘もいろいろ受けましたが、それは全部改善できるというふうに思っています。
ですから、そういう障害を持ったエンジニアの皆さんにもこのUI、UXの改善というものに積極的に参加していただこうというふうにも思っています。
法律の中では、地理的、年齢的、身体的、経済的な状況その他による機会の格差是正を掲げて、その格差が生じないように必要な措置が講じられるべき旨を定めていて、アクセシビリティーの確保というのは非常に重要で、これはダイバーシティーをちゃんと考えた上で、とてもやはりインクルーシブな社会をつくっていくということだと思います。
デジタルが使えなかったからその恩恵がないという話をされる方もたくさんいるんですけれども、究極に目指すのは、デジタルを意識しないデジタル社会だと思います。
ですから、デジタルが裏でちゃんと機能すれば、アナログの今の生活のレベルも非常に上げていくことができる、そういうことも全部含めて、人に優しいデジタル社会をつくっていくために、このアクセシビリティーは最重要視して取り組んでいきたいと思います。
○牧島委員 ありがとうございました。
時間となりましたので、以上で終わります。
○木原委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
早速質問に入りたいと思いますが、まず、NISCにお伺いします。
ISMAPの評価、登録を受けるために、クラウドサービスプロバイダーはサーバーを国内に置く必要がありますでしょうか、伺います。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
ISMAP、政府情報システムのためのセキュリティー評価制度でございますが、クラウドサービスの登録申請を行う際に、申請を行ったクラウドサービス事業者に対して、利用者が選択できるサーバーの設置場所であるリージョンを明らかにするように求めております。
このISMAPの中で、リージョンを国内に限定するということは義務づけてはおりません。ただし、ISMAPに登録をされたクラウドサービスリスト、これは公開をしております。この公開をする際に、国以下の単位でリージョンの情報を公開をする形にしております。
こうした情報を提供することによりまして、政府機関が個別の情報システムを調達する際、このリージョンの場所を考慮しながら、リスクを勘案をして、適切なクラウドサービスを選択できるようにする、こういう形にしてございます。
○濱村委員 リージョンをちゃんと把握した上で、必要とあらば、その必要がどの程度と評価すればいいのかは、私にはよく判然といたしませんが、必要とあらば国内にサーバーを設置したりするということなんだと思います。
質問を一個飛ばして、セキュリティーの話にちょっと移りたいと思うんです。
デジタル社会形成基本法には、サイバーセキュリティーの確保というのが規定されております。このこと自体は重要だと思いつつも、サイバーセキュリティーという用語というのは難しいなと思っているんです。
私も、党の方で法案審査等をやっているさなか、サイバーセキュリティーと情報セキュリティーってどう違うんだっけという議論になったんですね。その辺りを少し整理しておきたいと思っております。
実は、ISOが考えているサイバーセキュリティーのためのガイドラインというものがございますが、それに従えば、サイバーセキュリティーというのは情報セキュリティーという大きな概念の中に包含されております。逆に言えば、情報セキュリティーの方が大きい概念ですと。この法案におけるサイバーセキュリティーと言っているのは、情報セキュリティーという概念に包含されたサイバーセキュリティーの確保のみが射程、つまり、非常に、極めて限定的ですよと私は思っているんです。
例えば入退室管理、機密性の高い情報を扱っている、あるいは、普通に個人の情報にアクセスできるような端末が置いてあって、その部屋に誰でも彼でも入室できるよというようなことがあり得たら、これは情報セキュリティーの観点からはよろしくないんじゃないかと思っているんですが、そういうことについては、今回、デジタル社会形成基本法については対象外ですというふうに思っているんじゃないかと整理しております、私は。その辺りをまず確認的に明確にしておきたいなと思っております。つまり、サイバーセキュリティーというのは非常に限定された領域でしかないということ、この点について、どのように整理すればよいか、お伺いいたします。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル社会形成基本法案におきましては、サイバーセキュリティーの定義として、サイバーセキュリティ基本法の規定を引用してございます。同法におきまして、人の知覚によっては認識することができない方式により記録、発信、伝送、受信される情報の漏えい、滅失、毀損の防止等並びに情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保のために必要な措置が講じられ、その状態が適切に維持管理をされることと定義されているところでございます。
御指摘の、国際標準化機構、ISOが二〇一二年に発行いたしましたガイドラインにおきましては、サイバーセキュリティーはサイバー空間における情報の機密性、完全性、可用性の保護を、情報セキュリティーにつきましては情報の機密性、完全性、可用性の保護一般をそれぞれ意味することとされているところでございます。
この間の差分については、なかなか、法律上のサイバーセキュリティーと、法律上定義をされておりませんISOのガイドラインにおける情報セキュリティー、これを直接比較することは必ずしも、困難でございますけれども、強いて申し上げると、サイバーセキュリティ基本法上のサイバーセキュリティーは、いわゆる機密性、完全性、可用性の保護のほか、情報通信ネットワークなどの安全性及び信頼性の確保にも力点を置いた概念でございまして、その意味で申し上げますと、ISOのガイドラインにおける情報セキュリティーに必ずしも包含されない部分もあり得るというふうに承知をしているところでございます。
また、サイバーセキュリティーに関する政策の動向を見てまいりますと、サイバーセキュリティーは、広く、サイバー空間に係る安全性、信頼性確保の取組を推進する必要性、取組姿勢も示すものといたしまして、情報セキュリティーに代わって、特に公的分野を中心に国際的にも広く用いられているものでございます。
このような観点から、御指摘の情報セキュリティーにつきましても、サイバーセキュリティー政策によって確保を前提として、し得るのかなというふうに考えているところでございます。
先生御指摘の、一般の情報セキュリティーの対象範囲に含まれることとなります手書きのメモとか記録とか、そういったアナログ情報は必ずしもサイバーセキュリティーに含まれるものではないかもしれませんが、本法案は、あくまでもデジタル社会の形成に当たっての基本施策を規定するものでございまして、申し上げた規定ぶりとしているものでございます。
○濱村委員 非常に長い答弁を丁寧にしていただいたので、私の頭では即座には理解できませんでしたが、情報の機密性、完全性、可用性についてはしっかり担保していかなければいけない、そして、世間で言うISOの定義とはちょっと違って、少し、サイバーセキュリティーと言っている中でも、一部、情報セキュリティーに入っている、重なり合っている部分があるんじゃないかというような話もございました。
この辺り、必ずしも判然としないというのは、民間においても判然としないまま走っているというのも実態だと私は思っておりますので、明確に、きれいにせよと言うつもりはありません。大事なことは、情報セキュリティーをいかにして担保していくのかだと思っております。
その上で伺いますが、そもそも、先ほど申し上げたような入退室の管理とか紙で情報を持ち出したりするような事案、こういうことも防がなければいけないというのはセキュリティーの観点からは重要です。ごみ箱あさりとか成り済まし電話による口頭での情報漏えいとか、いろいろな形でセキュリティーの観点で漏えいするリスクというのはあるわけでございます。
ただ、こういうところは、必ずしも、このデジタル社会形成基本法のサイバーセキュリティーで担保しようとするところからは漏れているんじゃないかなとは思っています。でも、私はこれは別に漏れていてもいいと思っているんです。要は、対象をちゃんと明確にした方がいいという立場です。
その上で伺いたいのが、情報セキュリティーという大きな概念についての確保については、NISCが中心と考えているんですね。NISCは、政府機関等の対策基準策定のためのガイドラインを規定されておられます。一方で、ガバメントクラウドを考えていったときに、じゃ、自治体はどうしていったらいいんでしたっけという整理をしていかなければいけないんだと思っていて、実は、総務省においては、自治体情報セキュリティー対策の見直しを行って、これは政府機関等の、先ほど言ったNISCのガイドラインに反映させるべきだというふうに整理されておったんです。
なので、ちょっと伺いたいと思っているんですが、政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン、ここの中で、情報セキュリティーの確保については取り組んでいくんだという理解をしているんですが、ガバメントクラウドの利用を推進するためには、自治体側もちゃんと寄せていかなければいけないと考えております。情報セキュリティー対策を自治体においてどのようにコントロールしていこうと考えているのか、NISCにまず考えを伺いたいと思います。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
今委員の方から二つ御質問いただいたかと承知をしております。
まず、セキュリティーについて。これは、委員御指摘のとおり、多様な観点があるかと思います。個別具体的な検討をしなくてはいけない部分がございますので、一概になかなかお答えしづらいとは思いますが、例えば、御指摘の事例で申し上げると、サーバー室への入退室、その管理、パソコンから出力をされた紙、書面の取扱い、こういうものにつきましては、先ほどおっしゃっていただきました政府統一基準群、ここの中で規定をしております。
したがいまして、必ずしも、先ほどおっしゃっていただいたような、サイバーセキュリティーに入っているかどうかはなかなか難しいが、情報セキュリティーの観点からというものについても、この政府統一基準の中で規定をまずしております。
このような、広くサイバー空間に係る安全性、信頼性の確保、これは先ほど答弁がございましたが、この観点の取組につきましては、NISCは関係省庁と緊密に連携を図りながらデジタル化の中で進めていきたいというふうに思っております。
それからもう一つ、地方公共団体の情報セキュリティー対策でございます。
これは、総務省が、今申し上げた政府の統一基準群を参考に、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン、これを策定をしております。
今般のデジタル改革も踏まえ、今後、必要な見直しが行われるものと承知をしておりますので、NISCとしても引き続き、地方公共団体のこのような見直しについて、安全基準の策定への支援を通じて、デジタル化に合わせたサイバーセキュリティーの確保を図ってまいりたいと考えております。
○濱村委員 総務省に伺います。
自治体情報セキュリティー対策の見直しは、取りまとめた後、どのように扱われているのか、伺いたいと思います。
○黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のありました、昨年、令和二年五月の取りまとめでございますけれども、その後、地方公共団体の意見をお伺いしながら更なる検討を行いまして、年末の十二月二十八日に、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定を行ったところでございます。
今回のガイドライン改定は、十二月二十五日の閣議決定、デジタル・ガバメント実行計画等において、地方公共団体の情報セキュリティー対策について、「業務の利便性・効率性の向上を目的とした見直しを行い、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改定する。」というふうにされたことを受けたものでございます。
なお、このデジタル・ガバメント実行計画においては、同時に、「地方公共団体の業務システムの標準化・共通化を踏まえ、「自治体の三層の対策」の抜本的見直しを含めた新たなセキュリティ対策の在り方の検討を行う。」ともされているところでございまして、今後とも、関係省庁と連携をしながら、自治体の情報セキュリティー対策の更なる見直しの検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○濱村委員 確かに、三層の対策とかはちゃんと明確にされております。デジガバ計画の中でちゃんと反映されていかれるべきだと思っておりますが、ガバメントクラウドをしていくに当たって、これもまた少し手を加えた方がいいと思っています。NISCと内閣官房と、今後はデジタル庁になるんだろうと思っていますが、あと総務省で、三者でしっかり協議をした上で、ガバメントクラウド移行を見据えた形にちょっとアップデートをしていただきたいなというのが私のお願いでございますので、よろしくお願いします。
その点、また大臣も御認識がおありだろうと思っておりますので、是非お願いしたいなと思っておりますのとともに、ちょっと飛ばした質問に返りますが、ガバメントクラウドは、導入いたしますと、ISMAP対応可能な事業者とそうでない事業者で、なかなか、本当にガバメントクラウドを導入することで、クラウドサービス提供事業者は、ちょっと経営判断をしていかなければいけないんじゃないかなと思っております。
ISMAPに対応するのはなかなか難しい。これは、二年ごとに認証を受けなきゃいけないとか、そんなことになるんですね。大手監査法人にちゃんと認証登録をお願いしてやっていただかなければいけないというようなこともあるので、結構ハードルが高いんじゃないかなと思っています。
ただ、ガバメントクラウドに入れないからといって、公共向けのサービスは一切できないかというと、そうじゃないんだろうということもこの間の質問で分かったわけではありますが、そうはいっても、なかなか、極めて限定的なサービス提供でしかないということになる可能性はあるわけです。
ISMAP非対応になりながらも、クラウドサービスを公共向けに提供していきたいというような事業者の皆さんが今後の経営の見通しを立てるためにも、この辺りをどういうふうにしていこうと考えているのか、これは、地域におけるクラウドサービスの提供事業者の方々の予見可能性を担保するためにも非常に重要な方向性だと思っております。
ですので、大臣に是非この辺りを明らかにしていただきたい、見通しが立つような形にしていただきたいと思っているんですが、簡単に言うと、自治体向けのアプリケーションの提供、開発というのは極めて限定的なので、もうこういう公共サービスからは撤退するというような話も私はあり得ると思っています。これを否定するつもりはありません。私は、撤退していただいて、民間の稼げる仕事にどんどん経営資源を投入してもらいたいという考え方を持っておりますので。地方のベンダー切捨てかと言われたら、まあちょっと、そういう言い方をされると、そうかもしれませんねと言わざるを得ません。
ただ、やはり、ITリソース、デジタルリソースは限られています。その資源をどこに振り向けていくのかということも非常に重要だと思っておりますが、大臣、デジタル産業の育成、地域のベンダーの育成、こうしたところについて御所見を伺います。
○平井国務大臣 委員と全く同じ問題意識で、やはりビジネスモデルが少しずつ変わっていくんだろうというふうに思います。
そこで、今回のガバメントクラウドを推進するに当たっては、IT連、これは全国の中小も含めた業者が入っていますし、ASPICさんとかそういうところと丁寧にコミュニケーションを図りながら、また、中小ベンダーの皆さんの意見を聞いていると、チャンスだと思っている方々と、大変なことになったなと思っている方、両方いらっしゃるんですよね。
しかし、デジタルトランスフォーメーションがどんどん進んでいくと、やはりセキュリティーの問題にどこまで責任を負ってやるかということは経営判断になると思います。特に、先生の御認識のとおり、ISMAPはハードルが高いですよね。とても高い。ここを取ってまでやろうというクラウド事業者というのは、これは相当な資本もないとできないし、そういう意味で、ローカルでパブリッククラウドをやろうという事業者は本当にいるのだろうかと。データセンターそのものを構築するというのは、ある程度の資本のある会社がやると思うんですけれども、そういうところがいろいろなSLAを結んでいろいろな事業を提供するというのは非常に大変なんだろうと思います。
一方で、この間の質問でも、IaaS、PaaS、SaaSの話がありましたけれども、SaaSモデルとしていろいろなことを取り組んでいくというようなことは、これはどんどんできるというふうに思いますし、地方自治体に対するきめ細やかなサポートというのは仕事としてはなくならないというふうに思うし、例えば、地方自治体の業務のアウトソーシングの一端を担うというようなこともあるんだとは思います。
ですから、この辺りの状況の変化ということに関して情報を共有しながら、地方自治体の皆さんとまた意見交換をしながら進めていきたいと考えております。
○濱村委員 時間が来たので終わりますが、ちょっと今日、文科省さんに来ていただいたんですが、済みません。
端的に言うと、GIGAスクールで端末が導入されたんですが、これからどんどん使っていくに当たってセキュリティーも大事だよと。校務系と児童生徒が使う端末と、両方セキュリティーをちゃんと確保していきましょうねという話をしたかったところでございますが、別の機会に任せたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○木原委員長 次に、玄葉光一郎君。
○玄葉委員 玄葉光一郎です。
このデジタル改革関連法案のそれぞれの質疑、内閣委員会に座らせていただいて聞いていて、興味深く思っています。それで感じた素朴な疑問を幾つか、ほとんど総論ですけれども、聞かせていただきたいと思っています。
まず一つは、私自身はマイナンバーのときの議論というのは余りコミットしていなかったのですが、座っていて、まず思い出したのが住基ネットのときの議論なんですね。大論争だったというふうに思います。導入したいと思う方々は電子政府の基盤になるということでありましたけれども、他方で、覚えておられると思いますけれども、国民共通番号になるのではないかということで、かなり、イデオロギーに関係なく、左右の論者の方々が先頭に立って反対運動を展開をされたということです。
例えば私の選挙区でも、小さな町ですけれども、矢祭町という町が住基ネットにつながないといって結構騒ぎになりましたけれども、住基ネットのあのときの大論争というのは一体何だったのかということについて、平井大臣はどう評価をし、どう総括をされておられるかということをまず聞いてみたいなというふうに思います。
○平井国務大臣 私も、マイナンバー導入のときの議論を進めたときに野党だったんですね、政権交代していて。それで、野党の責任者として当時の政権の皆さんとも意見交換しました。やはり、そうすると、昭和四十年代の国民総背番号制の議論になり、また、グリーンカードとか、今までのいろいろな議論があって、住基の訴訟とか、そういう中で、時の政権が勇気を持って進められたのがこのマイナンバー制度だというふうに思って、我々もそれと一緒になって進めてきて、最終的な法律が通ったのは、その後、我々がまた政権を奪還してからということになったと思います。
住基ネット導入に係る様々な議論、これは住基ネット訴訟の最高裁の判決というのが一つ重要だと思います。本人確認情報の目的外利用又は本人確認情報に関する秘密の漏えい等は懲戒処分又は刑罰をもって禁止されていること、個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体は存在しないこと等から合憲とされた。
これらの判決を踏まえまして、マイナンバー制度において、制度面では、要するに、マイナンバーの利用範囲や情報連携の対象については法律又は地方公共団体の条例に規定する、不法行為を抑止するための罰則を整備する、独立性を有する三条委員会である個人情報保護委員会が監視、監督を行うこととするとともに、システム面では、各行政機関の保有する個人情報は一元管理を行わず、各行政機関、まあ国税庁とか市町村等ですね、で分散管理すること、そして、各行政機関の間でやり取りをする際には、マイナンバーではなく、暗号された符号を利用すること等で、マイナンバーを悪用して、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとしたところです。なので、システムコストは相当にかさんだということもあります。
また、今回、デジタル社会形成基本法においては、情報の活用により個人の権利利益が害されることのないようにされなければならないことを基本理念で規定しています。
そして、デジタル庁設置法案においては、デジタル庁がマイナンバー制度全般の企画立案を一元化することとなっており、マイナンバー制度のこれまでの制度面やシステム面での個人情報保護措置を維持しつつ、一層の国民の利便性の向上を図るために、情報連携の拡大を始め、マイナンバー制度の利活用を促進して、デジタル社会の基盤の一つとしたいということであります。
そして、一番重要なところは、やはり個人情報保護委員会だと思うんです。この存在が三条委員会として機能することがデジタル社会としては健全に発展するということでございまして、個人情報保護法の改正によって全体の所管を、独立性を有する個人情報保護委員会に今回一元化するということになっています。
ですから、このような今回の法律によって十分な個人情報保護措置を講じながら、デジタル社会の形成を図っていくということを目的にしております。
○玄葉委員 〇八年の最高裁の判決が大変大事だというのは、私もそうだろうなというふうに思いますし、ある意味、決着がついたのかなという感じがしますけれども、率直なところ、あの住基ネットの大論争というのは、これはやはり必要なプロセスだったというふうに認識をされておられるのか。むしろ、例えば、先ほども一部話がありましたけれども、日本のデジタル化というのは遅れているという側面がある、例えば、それは、システム開発に時間がかかった、もしかしたら、あの住基ネットの大論争があったからかかったんじゃないかということもあるわけで、一体あの大論争というのは、もしかしたら、遅れることにつながる、足を引っ張ることになったのか、必要だったプロセスなのか、そこはどういう判断をされていますか。
○平井国務大臣 結果的には必要だったプロセスだったと思います。
日本のデジタル化の恩恵を個人に返せなかったというのは、やはり個人のIDがないということも、これは非常に珍しい国で、これからまた議論されると思いますが、名前の読み方がまだ法律的にはフィックスできないというのは恐らくなかなかない状態だと思います。
なので、当時、年金が消えた話も、あの当時、マイナンバーがちゃんとあって、ひもづけていたら消えるはずがなかった。ですから、よくぞ今まで、このID基盤のない中で、行政はうまくやってきたなというふうにも思います。ただ、デジタル社会がここまで進んでしまったときに、やはり、これはもう今後無理だというのは、民主党政権だった時代に当時の政権が判断したと思いますし、それは時代の要請だったと思います。
ただ、昭和四十年代からのいろいろな議論の皆さんの意見をつぶさに読んでいると、さりとて心配だということがやはり多くの国民の中にあったので、ああいうような今までの過程があって今があって、個人情報保護委員会をつくってという、こういう流れは、やはり日本の社会の中では必要なことであったというふうに思います。
もうここまでこういうプロセスを踏んでいるので、私としては、デジタル化の遅れを今度は逆にアドバンテージにして、各国の失敗事例とかいろいろ見ながら日本中のデジタル化が進められたらいいな、そのように思っています。
○玄葉委員 理解しました。
あと、素朴な疑問の二つ目は、これまでも、IT基本法というのがあって、累次にわたってIT戦略というのが策定されて、IT総合戦略本部というのがあって、首相がトップで、CIO制度があって、これは危機管理監と同じレベルの、つまりは事務次官級以上なんですよね。今度デジタル庁で設けるいわゆるデジタル監以上のいわば高い立場にある方です。勧告権もありました。関連予算も一括計上しようと思えばできたはずであります。民間人材の登用もできたはずであります。
そういう意味では、法律上、これまでも強い司令塔機能を発揮することは可能だったのではないかというふうにも思われるんですけれども、何が問題だったのか。これまでも一部議論になっていたのは承知しているんですけれども、端的に、何が足りないというふうに感じてこういう組織替えをするということなのか、ちょっと国民に分かりやすく簡単に説明していただけますか。
○平井国務大臣 分かりやすく説明するのはちょっと難しいかなと今思いますけれども、結局、これまでも、内閣に、内閣総理大臣を本部長として、全閣僚、さっきお話しになった政府CIO及び有識者を本部員とするIT総合戦略を設置して、データ利活用やデジタルガバメントの、社会全体のデジタル化の推進の総合調整は行ってきたんですね。
私、だから、三年前か二年前ですかね、IT担当大臣をした、最後、辞めるときの記者会見に、IT担当大臣は無任所大臣なんですよ。要するに、内閣府の特命担当大臣というのは、今回マイナンバーの方はそうですけれども、IT担当大臣は何にもないんですね。無任所大臣、もう御存じだと思うんですけれども。その代わり、政府CIOにはさっき言ったような勧告権があるわけです。総理に対して話をしてと。ただ、そんなものは抜かずの宝刀で、一回も使ったことはない。
じゃ、各省のシステムを見るに当たっては、十億円以上のものはやはり見ようということにしたんだけれども、あれだけの人数ではちょっとなかなか見切れないし、実は、各省はそれぞれ勝手にいろいろなシステムをつくる。CIO補佐官というのを置いていますけれども、CIO補佐官というのは責任がないんですね。アドバイザーという形で入っている。そして、各省は、そんなにITの専門家がいるわけではないということで、ベンダー丸投げ的なものが結構やはり多いというふうに思いました。
今回、やはり過去を振り返るという意味では、政府CIOを本当に支えるスタッフ、民間からよりすぐりの発注能力のある人たちをいっぱいそろえていたらもっと違うのかなというふうにも思ったんですけれども、IT総合戦略室は、各省からいろいろな方々が来られて、大体二年でまたいなくなるというようなこともあって、民間からも来ていただいているんですが、組織としては、強いガバナンスを発揮できるというような状況ではなかったんですね。
今回初めて私は勧告権を、マイナンバー担当の内閣府特命大臣としては持っているわけですよ。そういうことで、今回法律を通していただくと、次はデジタル大臣として、これは復興庁と並びの組織ですので、首相直轄ですけれども、勧告権を持つ。そして、それを十分に尊重せよということまでその法律の中に書かせていただいた上で、予算を一括で、要するに要求するというようなことは今まで誰もやっていなかったわけですね、一部、予算というものを見ていましたけれども。
そういう意味で、今まで、やはり一番の問題は縦割りだったんですよ。要するに、省庁は、ほかの役所と連携するなんということは考えないんですよ、全く。考えずに、それぞれがやはりつくり込んできたものばかりだったんですね。そこを打破しないと、本当に国民の期待に応えられるような、要するに政府としてサービスが提供できないということで、そういう組織をつくるという経緯でございます。
○玄葉委員 これは、デジタル庁という復興庁並びの組織をつくるということでありますけれども、まさに復興庁の組織づくりには、私、関わったんです。まさに設置法そのものを作った方でありますけれども。
復興庁をつくってみてつくづく思うのは、これは恐らくIT総合戦略本部でも、済みません、私、かつて、二年前とか、平井大臣が担当大臣だったと存じ上げずに聞いていたんですけれども、かなり人によるのかなというふうに思っていたところがあって、これは新しい組織ができても、きっとかなりの程度、人によるんじゃないかということを感じるんです。
特定の方をどうだこうだということを申し上げるつもりはないんですけれども、復興庁というのができて、復興庁が本来の機能を発揮するかどうかというのは、すぐれて属人的なんですね。すぐれて属人的で、誰が大臣をやるかで全く、はっきり申し上げて、機能を発揮するときと発揮しないときがある。
だから、これはデジタル庁ができても恐らく担当大臣に相当よるんじゃないかな、もっと言うと、総理大臣の強い意識、優先順位と、恐らく担当大臣によるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点はどういう御認識ですか。
○平井国務大臣 担当大臣によるといいますか、それはどの省もある程度あるなと思いますが、特にこの分野はあると思います。
ただ、今回は、そういう強い組織をつくるというところ、そして、その組織をうまく今後マネジメントできたらその機能はずっと発揮できるんだと思うんですよ。
ですから、私の役目は、要するに、最初の志を忘れないような強いDNAを組織の中に入れないと、また昔に戻るようなことがないような組織にするというのが非常に重要だと思います。そういう意味で、強いそういう組織文化をいかにつくっていくかということが今非常に重要なテーマだと思います。
○玄葉委員 まさに、復興庁を見ていると、本当にそうなんですよ。復興の問題に関しては他省庁を引っ張る役割なんだけれども、大臣によってかなり違ってくるので、自民党政権であろうと民主党政権であろうとそうだったので、だから、これは本当に大臣が大事だと私は思います。
あと、民間人材の活用という意味で、私が自分で若干の経験があるのは、国家戦略室なんですね。民間人が入ったんですよ。私も国家戦略担当大臣というのを一年ぐらいやっていたので、あのときに感じたのは、なかなか役割分担が大変だなというのと、やはり、文化が結構違うので、どうしても自然とグループができちゃうみたいなところがあります。
ですから、この辺りをどういうふうに運営していくのか、責任の所在をどうするのか、あるいは、よく言われているのは、例えば、デジタル庁にこういうものをシステムとして開発しましたとかと相談してきたときに、いや、あの人に言ったらあの元々の企業に流れちゃうんじゃないかとか、国家戦略室は率直に言って出向みたいな形で来ていたわけですけれども、そういう辺りもどうするのか。
どんなお考えですか。
○平井国務大臣 非常にいい質問といいますか、私もそこに問題意識を持っています。
デジタルの分野で組織をうまく、民間の皆さんの能力を発揮させるためには、ある程度フラットな組織にしないと、スピード感も出ないし、また、情報共有のやり方も非常に重要だし、意思決定のやり方も非常に重要で、今回、要するに、ラインの中に民間人も入ってもらった混成チームでスタートするので、その初動が大変だと思います。そして、その上にまた民間から全体のマネジメントをお願いする人たちを置こうということですから、霞が関の今までの文化とはぶつかり合うことにはなるんですけれども、いいぶつかり合いをしてもらおうというふうに今考えています。
民間の人たち、今、公募して、物すごい、この間も千四百人ぐらい来ていただいて、若い方々なんですけれども、親会社というか、今働いているところに言われて手を挙げている人というのは余り見当たらない。専門的な技術、スキルを持っているエンジニアの皆さんが挙げている。自分がそこで力を発揮できるかどうかということで、今、多くの方々が公募に応じてくれているんですね。
やはり中にはいらっしゃると思いますよ、自分のところの会社にプラスになるんじゃないかなと思って出す人もいると思うんだけれども、それは選考の過程で恐らく、そういう方々はどんどん排除されていくんだろうというふうに思います。
結局、さりとて、民間から入ってきた方々は、やはり国家公務員に求められる高い倫理観を持った者であることとともに、完全に役所の文化に入るのではなくて、一緒につくる新しい組織文化に適合しようということと、基本的には、国家公務員法の秘密保持義務が課されるんですよ、やはり。いろいろな形でも。そして、常勤であろうが非常勤であろうが、職員が情報管理に当たって遵守すべき規定を設けて適切に整備、運用することが重要ですし、機密性の高いようなものに関しては完全なアクセス制限をするということだと思います。
非常に難しいんですけれども、それをうまくやっていかなきゃいけないし、今回、今までできなかったことをやるためには、やはりできる人たちの力をかりなきゃいけないので、そういう人たちをどうやって組織の中でちゃんと責任を果たしてもらえるようにするのか、それが今から大きなチャレンジになると思います。
○玄葉委員 結構大変じゃないかなというふうに想像しますね。言うはやすく、言うはやすくというか、大臣も御認識されているように思いますけれども、大変だと思いますけれども、是非チャレンジをしてほしいなと思っています。
それで、もう一つ、基本法の関連で、デジタル経済社会に移行する中で守るべき基本的な価値というか、そういうものとの関連で、SNS上でどのような言論空間をつくっていくのか、構築するのかということについてお尋ねしたいんです。
平井大臣は、トランプ大統領がツイッターのアカウントをツイッター社から永久凍結ということをされたわけですけれども、このことをどういうふうにお考えになられているかなと。メルケルさんなんかは、ドイツの首相はツイッター社を批判したわけです。だけれども、私なんかは、いや、あそこまでルール違反していたらいいんじゃないのという感じもするんですけれども、平井大臣はどういう評価ですか。
○平井国務大臣 非常に難しい質問ですけれども、やはり、表現の自由の話と、SNSの中でのまともな投稿かどうかという判断とか、非常に難しいですね。プラットフォーマー側もよく勇気を持ってやりましたね、ある意味。これは、それぞれのプラットフォーマーの判断によるもので、決まっていないと思うんですよ。削除するところもあれば、しないところもあるだろうし。
そういう意味で、私自身は、これはやはり、多くの方々がどのように感じておられるのかなと思います。ですから、はっきりどっちが正しいとも私は言い切れないところがあるので、これはやはり、その時々のいろいろな状況によって、判断するべき人が判断していくのだろうと思います。
○玄葉委員 表現の自由を担保しながら問題の書き込みをどう規制するのかというのは、世界共通の課題に今なってきているんじゃないかなというふうに思います。例えば、EUの立法例なんかを見ると、違法なコンテンツを、どういうものなのかというものをきちっと明示しなさいとか言っているわけです。
例えば、こういうSNS上でどういう民主主義を構築するのかとか言論空間を構築するのかという話に、平井大臣、デジタル庁というのはどういうふうに関わっていくことになるのかなと。
○平井国務大臣 SNS上での言論空間を含めて、国民が安全で安心してデジタル社会に参画できるというのは非常に重要なポイントだと思うんです。
今回、デジタル社会の形成のための十原則において、公平・倫理、安全・安心というのを、これもワーキングチームの皆さんからも強く言われたところで、掲げました。それを踏まえた今回の基本法になっているんですが、基本理念として、個人の権利利益等が害されることのないようにされなければならない旨規定するとともに、基本方針として、個人情報の保護その他の国民が安心してネットワークの利用やデータの活用を行うことができるようにするための必要な措置を講じなければならない旨を規定しています。
また、デジタルが適正かつ効果的に活用されて、国民が安心してSNSを利用するためには、国民のデジタルリテラシーを向上させるような教育も重要であり、これはまさに関連省庁と連携していかなきゃいけないし、今、ちょうど総務省の方で法律改正をして、総務省、法務省で、例の誹謗中傷みたいなものに対する法改正がこの国会でなされるというふうに聞いておりますが、そこのところはデジタル庁がやることではないわけでございます。
○玄葉委員 ですけれども、多分直接そういう法案を作るのはそうなんだと思うんですけれども、多分、どういう全体像をデジタル社会でつくっていくのか、全体像の中でSNSの言論空間をどうするのかということには私は関わるべきなんだろうなと。それこそ、企画調整というか、全体のいわば枠組みをつくっていくデジタル庁の役割なんじゃないかと思いますけれども。
○平井国務大臣 デジタル庁を、私、最初に政府のシステムを最適化するということでスタートして、いろいろな皆さんの議論を聞いたりしているうちに、どんどんどんどん宿題が大きくなって、これを小さなリソースでどうやってやるんだろうというぐらい。
先生がおっしゃった分野も当然問題意識はあるんですけれども、これは社会全体でいかに健全なそういうSNSの空間をつくっていくかということで、その分野でデジタル庁が貢献できるとしたら、やはり、システムの安全性であるとか、そういうことになるんだろうと。特に、国もそういうSNS的なものをいっぱい使うわけですから、そういうところで、間違いのない使い方とか、あと、やはりいろいろなもののリテラシーを上げていくというのは各省庁と協力してやっていかなきゃいけないし、それはデジタル庁プラスいろいろな役所との共同作業になっていくんだろうと思います。
○玄葉委員 少し時間をいただいて、もうちょっと質問させていただきますけれども、今のところは、やはり全体のまとめ役というか、そこは、全体を見ている、まさに他省庁よりある意味高い位置にこのデジタルの政策に関してはある省庁がデジタル庁だし、トップは総理大臣なので、私は、やはりデジタル庁がやった方がいいんじゃないかなというふうに、きちっと守備範囲に入れていくべきなんじゃないかなというふうに、意見として申し上げておきたいと思います。
最後に、会派の中で時間調整ができていますので、もう一問申し上げたいと思いますけれども、基本法の基本理念にある、活力ある地域社会との関連です。
このデジタル化というものを地域社会の活力につなげていくということが当然必要なんだろうというふうに思いますけれども、私、福島県なんですけれども、福島県の会津若松市のICTの活用の事例がよく先進事例で取り上げられるケースが多いんですけれども、平井担当大臣、これは、事前に御通告申し上げておきましたので、どういう評価をされておられるかなというのをまず聞きたいと思います。
○平井国務大臣 私は、非常に高く評価しているということもあるんですけれども、実は、計画段階のとき、会津若松を選定する段階から関わっておりまして、スタートから全部理解をしておりますし、まず、産官学でスタートしたんじゃないんですよね。産官学金労言、要するに、地域社会の合意の中で進んできたというところがまずすばらしいと思います。
ですから、労働組合とかマスコミなんかも、最初から、用意ドンからどのように進めていくかというところ、そこからスタートしていって、そしてだんだん盛り上がってきて、ついに、今、AiCTというイノベーションセンターをつくったと思うんですけれども、あのようなものが、これから、地方自治体、たくさんつくっていくのではないかと思います。まさに地方が元気になる先進事例ですし、首都圏からエンジニアが地方に移住する一つのモデルとしてこれからやはり成功していくだろうと思います。
ですから、あの先進的な取組は、あそこまでほかが全部できるとは思わないんですけれども、非常にやはり各自治体の中でも評価されるべきだろうというふうに思います。
○玄葉委員 関連して二つ申し上げたいんですけれども、一つは、私も実は評価をしていますけれども、他方で、あの会津若松でさえ実はマイナンバーカードの普及率は二七%なんですね。更に言うと、御承知のとおり、オプトインで、事前の許可、事前の同意を得た人にいろいろな情報を出している、レコメンド型、プッシュ型で出しているということなんですけれども、その登録者というのは一割ぐらいなんですね、実は。だから、デバイドというか、このデジタルデバイドを本当に地に足をつけて具体的にどうしていくのかということが一つと、例えば、ざっくばらんに言うと、公明党の代表は、もうこの際、会津若松にデジタル庁を設置したらどうだ、こういう話もあるわけですけれども、菅首相は、地方にいても都会と同じ生活、こう言っているわけですね。だったら、例えば、人をきちっと積極的に、デジタル庁ができたら、それぞれ、会津若松だけじゃなくて地方に出していくとか、そういうことまで含めてやはり考えていったらいいんじゃないか、そう思っていますけれども、いかがですか。
○平井国務大臣 まず、デジタル庁というのは、今回人を募集していますけれども、最初からリモートワークオンリーの人もオーケーにしているので、福島におろうがどこにおろうがデジタル庁で仕事をすることができます。日本人であれば、海外に住んでいてもデジタル庁で仕事をすることができると思います。AiCTみたいなものがサテライトオフィスとしてあれば非常にいいなというふうにも思いますし、これは、会津若松に限らず、日本中どこでもそういうふうにチャンスはあるんだろうと思っています。
これから、やはり、分散が始まると思うんですよね。東京に住まず、地方で住んでエンジニアとして生きていきたいという選択肢が広がるのが今回のデジタル化だというふうに思っているし、今回のコロナで、さんざん皆さん、通勤とかそういうので苦労、つらい目にもお遭いになっているわけです。そういうものを解消していくためにも、デジタル化の一つの大きなメリット、時間の概念と距離の概念を変えるという意味では、地方の活性化につながるような要するにデジタル化というのは、今、各自治体が、例えばサテライトオフィスの補助金なんかも国が用意しているので、一斉に考えておられると思います。その先行事例みたいなものが会津若松で、デジタル庁というのは今回はやはり永田町の近いところに置かざるを得ないわけですけれども、エンジニアの皆さんの居住する地域はどこでもいいというふうに考えています。
○玄葉委員 先ほど申し上げたように、その若松でさえ、残念ながらまだ進んでいないところがある。
○平井国務大臣 オプトイン型で会津若松プラスに登録した人は一割ですか。僕は二割と聞いていたんですけれども。(玄葉委員「一割だと思いました、たしか」と呼ぶ)そうですか。でも、自分の個人情報を出しても、要するに、防災、今回防災に広げるんですけれども、医療のデータもそうですよね、これは出すということに、一斉に皆さんがそういうふうにはならないと思うんです。ただ、マイナンバーカードの取得率が低いのは不思議でならないんですけれども、これから会津若松市も取り組んでいただけるようなので、増えたらいいなと思います。
これは各先生からいろいろな質問を受けていますが、やはり、自治体に対する信頼であったり、個人情報をどう扱われるのかが心配だったり、それで、具体的などういうメリットがあるのかということをちゃんと説明を受けて納得した人が、そのオプトインという形を取っているんだと思うんですね。ですから、これもちゃんとそういうところを説明していけるようになればどんどん増えていくんだろうと思うし、そういう人はこれからやはり多いと思います。
○玄葉委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。
終わります。ありがとうございます。
○木原委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。
早速質疑に入りたいと思いますが、今や社会インフラともなっております、日本人八千六百万人ですかね、使っていると言われるLINEについて、個人情報が中国の孫会社の四人の方からアクセスされたという事案が発生いたしましたが、今日、個人情報保護委員会事務局長にお越しいただいておりますが、まず事実確認です。
少なくとも四人による三十二件のアクセスがあったと言われておりますけれども、その数字の確認と、その中に個人情報保護法上の個人情報が含まれるのかということと、この四人による三十二件だけなのか、これが例えば百万とかそういう単位に広がっていくことがあるのかどうか、事実関係を教えてください。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
まず、LINE社からは、日本のデータセンターに御指摘のデータを保管していると聞いておりますけれども、これらは他の情報と容易に照合できるということでございますので、全体としまして特定の個人を識別できる情報、個情法上の個人情報に該当すると説明を受けてございます。御指摘の中国の事業者の従業員からアクセス可能であったデータについても、同様に個人情報であったというふうに考えられます。
LINE社からは、過去一年間のアクセスログを内部調査した結果としまして、中国に所在するシステム開発の再委託先であるLINEデジタルテクノロジー社の従業員四名に、開発システムのリリース時の検証又は不具合発生時の原因追跡のためにユーザー識別子、通報されたコンテンツ等の情報へのアクセス権を付与していたということ、また、これら四名につきましては、調査を行った範囲で三十二回日本のサーバーにアクセスをしていたという説明を受けてございます。
○後藤(祐)委員 四人による三十二件のアクセスから更に広がる可能性について、いかがですか。数件広がるという単位なのか、あるいは数百万人とかいうことがあり得るのか、いかがですか。
○福浦政府参考人 私どもが把握している範囲、説明を受けた範囲では、過去一年間のアクセスログの分析の結果、今申し上げた四名三十二回ということで、それ以上のことについての説明は受けてございません。
○後藤(祐)委員 現時点ではまだ分からないということだそうですが。
もう一つ確認ですが、LINE株式会社が親会社としてあって、更に言うとその上にZホールディングスさんというのがあって、LINE株式会社の子会社としてLINEプラスコーポレーション、これは韓国の会社と伺っています、というのがあって、その子会社として、つまりLINE株式会社の孫会社としてLINEデジタルテクノロジー、正確に言うと(上海)リミテッドというそうですが、これが中国にあって、実際には大連でこの作業をしていたそうですが、という、全部一〇〇%子会社関係になっているということでよろしいですか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、LINEプラス社はLINE社の一〇〇%子会社、LINEデジタルテクノロジー社はLINEプラス社の一〇〇%子会社というふうに伺っています。
○後藤(祐)委員 この四人がアクセスした会社であるLINEデジタルテクノロジー社、中国の会社なんですが、これは中国の法令上、中国政府又は中国共産党はこれら日本の個人情報について入手することは可能なんですか。
中国では、国家情報法というのがあって、第七条で、国民と組織は、法に基づいて国の情報活動に協力しと規定されています。また、その国家情報法の十四条では、国家情報機関は、関係する機関、組織、個人に対して必要な支援、援助及び協力の提供を要求することができるとされているんですね。
ですから、この中国の孫会社に対して中国の国家情報機関は日本の個人情報を求めることができるというふうに読めますが、いかがですか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘の法律につきましてでございますけれども、外国法令の解釈に関する事柄でございますので、当委員会からお答えするのは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
なお、LINE社からは、四人がデータにアクセスをした中国の事業者におきましては、中国政府又は中国共産党から情報提供を求められたことはなく、自ら提出をしたこともないとの説明を受けてございます。
○後藤(祐)委員 平井大臣、これはかなり深刻な話なんですよ。求められることがなく、提供していなくても、どこで何をやっているか分からないですからね。勝手に抜いている可能性もあるわけですよ、技術的に。
これは平井大臣にも通告していますから聞きますけれども、このLINEの例えばトーク、私もよく使っていますから、LINEで個人間ですとかでやり取りする機能ですけれども、このトークなどのデータが中国政府あるいは中国共産党に伝わっている可能性が全くないとは言い切れないんじゃないんですか、平井大臣。
○平井国務大臣 今回の話は、最初、Zホールディングスの方から個人情報保護委員会にそういう問題の報告があって、今聴取をしている段階だと思いますので、ここはもう徹底して、個人情報保護委員会が、その機関の責任として、迅速に全て調べるべきだというふうにお願いをしているところでございます。
今、事務局長の方からお話があったら、そういうことはないということですけれども、中国の法律はもう我々とは全く違うデジタル社会の考え方から出てきている法律だと思うので、それはやはり、私個人としては大変脅威に思います。国民が不安に感じるということであれば、事業者も自分のビジネスモデルをやはり変えていくんだろうというふうに思うので、そういう方向に期待をしたい、そのように思っています。
○後藤(祐)委員 もう一度伺います。
このLINEのトークなどのデータが、中国政府あるいは中国共産党がもしかしたら入手している可能性を全く否定することはできないんじゃないですか。
○平井国務大臣 これは予断を持ってお答えすることはちょっとできないことだと今申し上げたいと思います。
○後藤(祐)委員 そうなんですよ。何をやっているか分からないんですよ。性善説に立てば、それは渡していません、求められていませんかもしれませんが、そもそもその会社とつながっている回線をいろいろ何かやっているかもしれませんから。
さて、法律との関係を見てみましょう。
お配りしている配付資料の二ページ目でございますが、個人情報保護法の二十四条というところで、外国にある第三者への個人情報の提供というのは、例えば今のケースというと、LINEデジタルテクノロジー社の四人がLINE株式会社にある日本の個人情報を、アクセスできたということは提供したということなんですけれども、その場合には、本人の同意、すなわちLINEの利用者の同意を取るか、もし取っていない場合は、一定の基準に適合した体制を整備していなきゃいけないということになっています。まあ、細かく言うともう一つあるんですが、それは該当しませんので。
まず、この二十四条に該当しているんですか。二十四条の本人同意は取っていたんですか、事務局長。
○福浦政府参考人 個人情報保護法二十四条につきましては、議員御指摘のとおり、本人の同意を取得するか、日本の事業者が講じることとされている措置に相当する体制を提供先が整備していることを確認するということが求められております。
そのため、LINE社において、本人の同意を取得していない場合には、日本の事業者が講じることとされている措置に相当する体制を提供先が整備していることを確認することが必要になってまいります。
現在、LINE社の提供先における体制が個人情報保護法上の基準を満たすものであるかどうか等につきまして、LINE社に対しまして資料の速やかな提出を求めてございます。もし仮に基準を満たさないと判断される場合には、指導等必要な対応を行ってまいります。
○後藤(祐)委員 二十四条の本人の同意は取っていないということですね。
○福浦政府参考人 本人同意を取るか、基準に沿った体制ができているかどうかの確認、両方の手段がございまして、整理上、今どういうふうに整理するかということも含めまして、資料に基づいて、私ども、どういう形であったのかということを判断したいというふうに思います。
○後藤(祐)委員 二十四条に基づく本人の同意は取っていたんですか、取っていないんですか。それとも、今の段階で確認できていないんですか。
○福浦政府参考人 そこも含めまして、LINE社に資料の速やかな提出を求めまして、基準を満たしているかどうかを慎重に判断したいというふうに思います。
○後藤(祐)委員 今の段階では、二十四条の本人の同意が取れているかどうか分からず、これに関わる情報提供を求めている状態だということですね。違法の可能性があるということじゃないですか。
もう一つ、法律にひっかかり得るところがあって、一ページ目に戻りますが、委託先の監督という責任があります。これは孫会社に対してもあって、A社、B社、C社となっていますが、A社がLINE株式会社だと思ってください。B社がLINEプラスコーポレーション、韓国の会社。C社、孫会社がLINEデジタルテクノロジー社だと思ってください。
A社はC社における委託先、再委託先の監督責任もあることになっていますが、この個人情報保護法二十二条、二ページ目に条文がありますが、二十二条では、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないとありますが、今回、このLINE社、A社は、再委託先も含めて、二十二条の委託先の監督責任を果たしていたんですか。適法ですか、違法ですか。
○福浦政府参考人 個人情報保護法上、委託につきましては、委託元は、委託に伴って提供する個人データにつきまして、自ら講ずべき安全管理措置と同等の措置が講じられますように、委託先に対して適切な監督を行うことが求められます。委託先が更に再委託を行う場合には、委託元は、委託先に対する必要かつ適切な監督を通じまして、再委託先における安全管理が図られるようにする必要がございます。
この点につきましても、現在、LINE社及びその委託先のLINEプラス社が再委託先のLINEデジタルテクノロジー社に対して必要かつ適切な監督を行っているのかどうか、いたのかどうかにつきまして、LINE社に対して資料の速やかな提出を求めてございます。仮に適切な監督を行っていないというふうに判断される場合には、指導等必要な対応を行ってまいります。
○後藤(祐)委員 資料の速やかな提出って、もう遅いんじゃないですか。
まず、第一報が個人情報保護委員会にもたらされたのは何日ですか。
○福浦政府参考人 私どもに第一報がございましたのが三月八日でございまして、LINE社の親会社のZホールディングス社から当委員会に対しまして、LINE社に中国関連会社が存在し、同社がLINE社のシステム開発を行っていたということが分かったとの一報がございまして、その場で、先方に対しましては、更なる情報提供を求めました。
その後、三月十七日に各紙報道、LINE社による報道発表があったことを踏まえまして、同日、十七日に、当委員会におきまして説明を求めました。さらに、委託契約書を含め、その根拠となる資料の提出を同日求めたということでございます。
○後藤(祐)委員 何をやっていたんですか、三月八日から三月十七日まで。先ほどの法律違反の可能性があるんですよ、個人情報保護法二十二条及び二十四条。これに必要な資料の提出を、速やかに提出するよう求めていると言いますが、具体的には何ですか。
これは委託契約なんじゃないんですか。親会社、子会社間、あるいは子会社と孫会社の間、場合によっては親会社と孫会社の間もあるかもしれない。この委託契約でもって、例えば、二十四条における基準に適合した体制を整備することとかと書いてあるかないか、実際にやっているかやっていないかということになるでしょうし、二十二条の委託先の監督というのも、委託契約で通常は義務づけると思うんですが、二十二条、二十四条の法律にちゃんと適切に対応しているかどうか、適法かどうかは、この委託契約が少なくとも必要じゃありませんか。それを求めているんですか。そして、いつ求めて、まだ出てきていないんですか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
三月十八日、昨日、LINE社から委託契約書の提出を受けました。LINE社が適切に委託先を監督していたか、また、個人データの越境移転規制を適正に遵守していたか、確認するに当たりましては、御指摘の委託契約書を含めまして、複数の資料を、当該文書に基づいて実際の事業者の対応状況を確認して行うものでございまして、その他の資料や実態確認も併せまして、適切にかつ速やかに調査を進めてまいりたいと考えてございます。
○後藤(祐)委員 昨日のいつ頃ですか。昨日、実は、参考人質疑をやっている間、私は、ちょっと参考人には申し訳なかったんですが、この問題、ヒアリングしていて、委託契約書を早く出させないでいいのかと私から言ったんですよ。まさか、その後じゃないでしょうね。
○福浦政府参考人 委託契約書を含めまして、必要な書類の提出は、先ほど申し上げたとおり、三月八日を始め、私どもに一報があった際にも申し上げましたし、それが実際出てきたのが三月十八日、委託契約書については三月十八日だったということでございます。
○後藤(祐)委員 三月八日に委託契約書の提出を求めたんですか。
○福浦政府参考人 申し訳ございません、委託契約書につきましては、三月十七日に、具体的に委託契約書を出してくださいということを求めた。
○後藤(祐)委員 遅過ぎじゃないですか。三月八日に第一報があって、まず、事実確認と法律上違法でないかどうかを調べるのが皆さんの仕事じゃないですか。委託契約書がちゃんと二十二条、二十四条を満たしているかどうかを調べるのが皆さんの仕事じゃないですか。何で、三月八日に一報があって、三月十七日に委託契約書を求めているんですか。
大臣、これはまずくないですか。民間事業者に対して、個人情報保護法上、個人情報保護委員会は資料を出せと言う権限を持っているんですよ。大臣の見解を求めます。
○平井国務大臣 委員御承知のとおり、三条委員会組織でございまして、強い独立性を持っている組織が、やはりスピード感を持って取り組んでもらうことを私も期待をしたいと思います。
○後藤(祐)委員 改ざんされていた可能性はないですか。
だって、この委託契約書が二十二条、二十四条を満たしているんだったら、すぐ持ってくるでしょう。何でこんなに時間がかかっているんですか。だからすぐ踏み込まなきゃいけないんですよ。
委託契約書が保存されていたサーバーのログ、チェックしましたか。改ざんされていないかどうかのチェックをしましたか。
○福浦政府参考人 今、その点も含めまして、LINE社の方に必要な書類の提出を求めているところでございます。
○後藤(祐)委員 大丈夫ですか、これは。ちゃんとやってくださいね。
大臣はいつ知ったんですか、この事案。
○平井国務大臣 十七日、私も朝、ネットで新聞を見ていて知ったということでございます。
○後藤(祐)委員 確かに、十七日、この委員会で柚木議員がこの話を平井大臣に聞いていて、私も今朝新聞で確認をさせていただいた、つまり、新聞で知ったんですね。
個人情報保護委員会を平井大臣は担当大臣として担当していますが、個人情報保護委員会から大臣に対しては、新聞で見るまで何の報告もなかったんですね。
○平井国務大臣 はい、ありません。
○後藤(祐)委員 これは、中国に日本の個人情報が流れている可能性を先ほど大臣は否定しなかった。その案件について、三月八日に一報があったのに、この違法状態になっているかどうか確認するのに必要な委託契約を十七日まで求めていなかった。そして、担当大臣にそもそも何の報告もせず、大臣は新聞で知った。
何ですか、これは。こんなことで日本の個人情報を守れるんですか。大臣、ちょっと一言あってしかるべきじゃないですか。
○平井国務大臣 もう委員も御存じで、あえてそういうふうにおっしゃっているんだと思うんですけれども、個人情報保護委員会の委員長及び委員は独立してその職権を行うとされておりまして、委員長及び委員が職権を行使する際には、内閣総理大臣の指揮監督権限を受けないだけではなく、全ての主体から独立が保障されているんですね。非常に強い独立性を持っているから個人情報という保護ができる。つまり、私の指示でああしろ、こうしろということになってしまったら、かえってそれは皆さん問題視するのではないかというふうに思うんです。
よって、私より委員会に対して、個人情報保護法に基づく権限行使をするよう指示することは実はできないということでございます。
○後藤(祐)委員 何も個人情報保護法に基づくこれをやれ、あれをやれと言っているんじゃないんですよ。日本国の個人情報が中国に漏れているかもしれない話なんですよ。もっと深刻な話になっている可能性だってあるんですよ。極めて高いレベルのやり取りがLINEでなされていて、それを中国政府が知っている可能性だってあり得るんですよ。そういう意味では、まず一報あってしかるべきでしょう、担当大臣ではある大臣に。日本国政府の危機かもしれないんだから。ああしろ、こうしろと言えないのは分かりますよ。一報がないのは、これは危機管理としてまずいと思いますよ。
委託契約書、この委員会に提出していただけますか、事務局長。
○福浦政府参考人 提出を受けた後、どういう形でお示しできるかどうかも含めまして検討したいと思います。
○後藤(祐)委員 確かに、個人情報ですとか営業秘密ですとかあると思いますので、特に二十二条と二十四条の法律との関係が分かるところをちゃんと分かる形で、必要な黒塗りですとか、もちろんそれは施していただいて、この委員会に提出していただけるよう、これは委員長も理事会でお諮りください。
○木原委員長 理事会にて協議をいたします。
○後藤(祐)委員 平井大臣、これと似たようなケースがあるんじゃないんですか。現に起きている可能性があるんじゃないんですか。
実際、このLINEのような大きな、何千万人という方がユーザーの会社はたくさんありますし、日本の中だけだと、人件費の問題ですとかいろいろあるでしょう、技術の問題ですとか。調べるべきじゃないですか。同じような、海外に委託なりして日本の個人情報が海外に流出している可能性はないか、そして、個人情報保護法上問題なケースがあるのではないか。今すぐ、特に大きい規模でやっているところについては調査すべきだと思いますが、いかがですか。
○福浦政府参考人 日本企業の海外委託先の従業員が日本国内のデータセンターのデータにアクセスをして委託業務を行うという事例は多く見られると承知をいたしております。
そういう実態があるという中で、実態調査につきまして前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 これは、報告が遅かったということ、あるいは、資料を求めるのが遅かったというのもあるんですが、それと、何でこういう体制でやっていたのかということも含めて、このLINE株式会社、あるいは、場合によっては、その親会社であるZホールディングスの責任者にこの委員会に来ていただいて、質疑を行うよう求めたいと思います。
○木原委員長 理事会にて協議いたします。
○後藤(祐)委員 続きまして、次の話題に行きたいと思いますが、このデジタル化で何が便利になるのかということを具体的に、確定申告がマイナンバーカードでできるようになるということについて伺いたいと思います。
従来、私も、国税庁のホームページに、数字を入力するのは比較的分かりやすいページがあって、そこで入力が終わった後、これは掲示許可をいただいているので示しますが、こういった生命保険料の控除のやつだとかプリントアウトしたやつをつけて、これを郵送したり税務署に持っていったりするんですけれども、これが実は一番簡単なんですよね。
それを、あえて最後のところを、あるいはこの生命保険料控除のやつをリアルじゃなくてマイナンバーでひもづけて、マイナポータルなんかでこれがちゃんと電子的に添付されるような形にして、マイナンバーカードでもって提出するということができるようになっているわけで、私も挑戦しました。
それで、内閣官房、あるいは財務省、総務省、是非政務三役に挑戦していただきたいと。要は、平井大臣は、UX、ユーザーエクスペリエンス、つまり、デジタルの世界がこれだけ便利になっていますよというのを経験しながら、だけれども、やってみると難しいじゃん、ここでスタックするじゃん、だから、それをもうちょっと直していきましょうというのをやっていくことが大事だと思うんです。
実際挑戦していただいた政務三役にお越しいただいていると思うんですけれども、ちょっと私の経験をまず申し上げたいと思いますが、正直言うと、私、二日かかりました。
まず、パソコンにソフトをインストールするところでかなりスタックをしまして、配付資料の三ページ目に苦労の歴史があるんですが、国税庁の確定申告書作成コーナーというのがあって、その資料の左上ですけれども、ここから、生命保険料控除の証明書、これを入手するにはマイナポータルに飛ばなきゃいけないんです。ところが、このマイナポータルに飛ぶと、その右上のようなことになって、民間送達サービスと連携していないため控除証明書等を取得できません、何度やってもこれで動かなくなっちゃう。
更に言うと、じゃ、ほかの方法はないのかといって戻ろうとすると、左下のところで、このマイナポータルで、ブラウザーが複数起動しているため処理を続行することができませんとなって、全部ブラウザーを閉じてこれ一個にしているのに、複数起動しているため処理を続行することができませんと何度も何度も言われて、国税庁のページにどうやって戻ったらいいか分からなくなっちゃうんです。これは多分多くの方が経験していると思うんです。
国税庁のページで、確定申告書作成コーナーでいろいろやっていくんだけれども、マイナポータルに飛ぶとマイナポータルの世界になっちゃって、そこから戻れなくなっちゃうんですよ。実際やった方は、ほとんどの方はこれを経験しているんじゃないかと思うんです。
結局、確定申告書等作成コーナーの初期画面から、最初からやり直しになって、すごろくでいう振出しに戻るというのを三回くらい私やりまして、もうスマホをぶっ壊しそうになりましたけれども、マイナポータルに飛ぶことをもう諦めて、この国税庁の確定申告書等作成コーナー、これはまあまあよくできているんです、分かりやすい、私も前から使っていますけれども、で入力するんですが、従来私はパソコンで入力していたので、生命保険会社の住所とかを入力しなきゃいけないから、結構面倒くさいんです。
ところが、パソコンでやると最後の提出がまた面倒くさいから、スマホで何とか頑張ろうと思ったんです、私、マイナンバー、これで認証できるので。これで住所を入力するのもまた大変なんですけれども、パソコンで一回全部入力したやつがあるんです、実は私。それで出せば簡単だったんだけれども、パソコンで入力したその情報をスマホで読み取ることができない。これは改善してほしいですよね。
で、最後の最後、やっていったら、何と、このマイナポータルを使う理由の一つは生命保険料控除のこういったものをマイナンバーでひもづいているからというのがあるんですけれども、私の場合は生命保険料控除のやつはつけなくて結構ですという表示が最後に出て、だったら、マイナポータルに行く必要は最初からないじゃんと。そこで私が四時間ぐらい格闘したのは何だったんだろう、最初からこれは要らないと言ってよと。まあ、人にもよるのかもしれませんけれどもね。
となって、配付資料の右下のページ。最後の最後、提出しようと思ったら、署名処理中にエラーが発生しましたと。全部終わって、最後、提出しようと思ったらこのエラーが出て、これをよく見てください、上、二時三十分って午前二時三十分です。右上のところを見てください。スマホの電源はあと一四%です。これで私の苦労が見えると思うんですけれども。でも、これは何度かやったらできました。合計多分七時間ぐらいかかっていると思いますけれども、これが私のUXです。
私は決してこういうのは得意な方ではないから私が下手なだけだと思いますが、是非こういうことを責任者である政務三役が経験していただいて、特に、マイナポータルに飛ばなくてもいいんだったらすごく簡単なんですよ。あるいは、国税庁のページでマイナポータルに飛んだのと同じようなことができるような、平井大臣の言うUI、ユーザーインターフェースにつくり込むこととかもできると思うんですよ。
というような、いろいろな改善点も発見できると思うんですけれども、熊田総務副大臣、ありがとうございます、御経験と、こういうところが改善した方がいいんじゃないかみたいなものがありましたら、御開陳ください。
○熊田副大臣 後藤先生、ちょっと誤解があってはいけないんですが、私は、確定申告は税理士にお願いをしてもう既に終了をしておりますので、作業をしておりません。誠に恐縮でございますが、そんな答弁になります。
○後藤(祐)委員 私、たくさんいる政務三役の中で、もう確定申告しちゃった方はしようがないから、まだしていない方、今年、四月十五日まで延びていますからね、まだしていない方は、デジタル化で便利になるところで国に対する直接の手続ってこれじゃないですか、なので、やってみてください、やった方に来てくださいと言っているんですが、もうお一方お越しいただいています、船橋財務大臣政務官、いかがですか。
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
私も、既に私自身の確定申告についてはその手続を終了いたしておりますが、私自身が手がけたものではなくて、税理士に依頼をして済ませております。
○後藤(祐)委員 平井大臣、UXってどうやったらできるんですか。これは、ものを変えられる立場の人が実際苦労してみて、ここはやめた方がいいよねと。私がもし財務省のそういう立場にあったら、この国税庁のページで、マイナポータルに飛ばなくても、だって、マイナンバーカードでもう認証できているんだから、飛ばなくても生命保険料控除のやつがちゃんと取れるようにとか、そういう指示をしますよ。
ちょっと、だから、本当に全員、誰もいなかったんですか。私、広めに、政務三役誰でもいいんですからと言ったのに、今のお二人の答えからすると、どなたもやっていないということなんですか。皆さんの情報を集約して平井大臣にお答えいただくよう通告していますが、政務三役の皆様でやった方はいないんですか。そして、この状況ですと、ユーザーエクスペリエンスなんて全然政務三役はできていないと思うんですけれども、いかがですか、大臣。
○平井国務大臣 先生でも半日ぐらいかかっているということですから、これはやはり、UI、UXはよくないんだろうというふうに思います。現時点でこれだけ時間がかかるというのはやはり問題があると思います。
ただ、一方で、IT業界の方々は、もうほとんど、この電子申告、特にこういうふうにスマホからやったという方々もいらっしゃって、世の中便利になったねと言う人もいるんです。
一方で、私もやっていないんです、税理士にお願いしているので。うちの秘書が、先生と同じように確定申告をやろうとしたところ、パソコンで国税庁のホームページのツールを使ってデータは作成したけれども、申告の際にデータをiPhoneから送信できなくて、結局郵送したという話になったという報告を受けました。
これは、やはり是非皆さんが、添付書類とかいろいろ考えたら便利になるはずなんですけれども、これは何かがやはり間違っているとしか思えません。今までここにいろいろ関わってきた方々もおられますので、そういう面で私の方もやはり改善を求めて、これからやっていきたい、そのように思います。
○後藤(祐)委員 何千億円かけてマイナンバーカードの仕組みをつくって配って、マイナポータルにアクセスしたら五千ポイントもらえるというやつ、これは二千五百億円ぐらい予算をかけていますよね。これで確定申告一つ便利になっていないわけですよ。
これが日本のデジタル化の現実だということで、せめて、平井大臣、マイナポータルに行かなくても、国税庁の確定申告書等作成コーナーの中で、UI上は、見た目上はいろいろな手続が完了するように、そこの工夫だけでもしてくださいということを申し上げておきたいと思います。
それでは、条文の詰めに行きたいと思いますが、公的個人認証法についてまず聞きたいと思います。
配付資料四ページ目、熊田総務副大臣、お越しいただいていますけれども、今回、公的個人認証法の改正で、その四ページ目の署名検証者というのは、例えばオンライン証券みたいな会社ですけれども、オンライン証券が顧客である方の名前とか住所とかを持っているわけですけれども、顧客の同意をいただいた場合には、その顧客が引っ越した場合、住所が変更になった場合、J―LISというところが引っ越した先の住所、分かりますので、このオンライン会社である署名検証者は、J―LISに自分の顧客の転居先の住所を教えてもらうことができたりします。
それ自体は便利になる話だと思うんですが、問題は、基本四情報と言われる、氏名、生年月日、住所と、あと性別のこの四つがJ―LISから提供いただけるということになっているんですが、住所はいいかもしれない、だけれども性別はまずいんじゃないんですか。
性別が変わった場合にJ―LISからその情報提供を受けることができるというのは、性別が変わるというのはかなり重大なことですから、かつ、これは極めて機微な情報だと思いますので、このJ―LISからの情報提供される情報のうち、性別は認めるべきじゃないんじゃないですか。
○熊田副大臣 本改正により可能となる、J―LISから署名検証者等への基本四情報、先ほど御指摘がありました、は本人を特定するための基本な情報として広く利用されているものであるとともに、その提供は利用者本人の同意が前提であるため、利用者の意思に反した情報の提供は行われないものと認識をしております。
また、署名検証者等にとっても、健康診断に関わる事業など、性別の情報によってそれぞれの需要に応じたサービスを提供する場面も想定されるため、性別情報の提供は一定の有用性があると考えているため、今回の仕組みに含めることといたしたところでございます。
○後藤(祐)委員 かなり昔に最初の段階で同意をして、かなり年限がたって、例えば性別を変えるということが起きて、その昔の意思でもって判断されちゃう可能性もあるわけですよ。やはりここは慎重であるべきだと思うんです。
この公的個人認証法十八条三項に基づいて定める政令というのがあって、その政令の中で、例えば性別については対象外とすることはできるんでしょうか。もしできるのであれば、そうするということを約束してください。
○熊田副大臣 基本四情報の提供に関するスキームの詳細については、今後、政省令で定めることと予定しておりますけれども、利用者本人の意思に反した基本四情報の提供が行われることがないよう制度設計することが重要であると考えております。
具体的な運用につきましては、例えば、性別情報を除いた同意も可能とすることや、同意後もその同意の取消しが可能な仕組みとすることなどを含め、システムを運用する地方公共団体情報システム機構などとともに協議をしながら、丁寧に検討してまいりたいと思っております。
○後藤(祐)委員 そうすると、性別を除いた同意を取るという形で、総務省としては、各署名検証者に対してそういう通知をするということでよろしいですか。政令で決めてそういう通知をするということでよろしいですか。
○熊田副大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、この政省令で定める段階において、しっかりとシステムの運用を含めて丁寧に協議してまいりながら、この性別についてはどうするかということを検討してまいりたいということでございます。
○後藤(祐)委員 ここではっきり言えば条文を変えなくていいのに。はっきり言わないから、これは条文修正を求めたいと思います。条文に書けばいいんですから、三情報だけできると。
続きまして、預貯金口座管理法についてお伺いしたいと思いますが、配付資料五ページ目です。
これは、そこにあるAさん、預金者ですね、預貯金者が自分の口座を持っている金融機関Aの窓口に行って、ほかの私の口座がある金融機関を教えてくださいと言うと、この金融機関Aが預金保険機構を通じて、預金保険機構はこのAさんの四情報を全ての金融機関、ここでいうB、C、Dだけじゃなくて、全ての金融機関に流して、このB、C、Dから、Aさんのがありますよといって預金保険機構に返ってきて、預金保険機構がAさんのマイナンバーをB、C、Dに流す、こういう仕組みだそうです。
問題は、預金保険機構がこのAさんの口座がどの銀行にあるか分かっちゃうということなんです。これは分かっちゃうんですか、預金保険機構は。
○向井政府参考人 お答えいたします。
預金保険機構が、金融機関から通知された預金者の口座の存在の有無については、事務処理の記録として保存することを想定してございます。預貯金者の口座の存在の有無について事務処理の記録として必要な期間保存する、そういう意味で分かるということでございます。
○後藤(祐)委員 Aさんがどこの銀行に口座があるか、預金保険機構、すなわち国が知ってしまうんです。Aさんが犯罪を犯すかどうかはともかく、例えば犯罪を犯したら、あの銀行、A、B、C、Dの銀行に口座を持っているからそこをちょっと洗えと、すぐできちゃうわけですよね、場合によっては。
これは気持ち悪いんですよ。Aさんがすごいお年寄りの方で、Aさんの子供さんなんかが、もし何かあったときの場合にどこに口座があるかというのを調べたいというのは、これはニーズはあると思うんですよ。ですが、どこの銀行に口座があるかを国に知らせたくないというニーズはあると思うんですよ。
ちょっと二つお願いしたいんですけれども、一つは、まず預金保険機構がどの銀行に口座があるか分かってAさんに伝えたら、その情報は廃棄することを義務づけるべきじゃないですか。それと、もう一個違うやり方として、最初からAさんがマイナンバーそのものを全ての金融機関にもう伝えちゃっていいですということを言えば、預金保険機構に返さないで、それぞれの金融機関が直接Aさんに返せばいいわけですから、マイナンバーを最初から全金融機関に知らせちゃえば。そういうスキームも用意すべきじゃありませんか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
まず一つ目の方でございますけれども、預金保険機構におきましては、その事務処理の記録につきましては必要な期間保存することを想定しておりますけれども、必要な期間が経過後につきましては廃棄すると。それから、預金保険機構自体は国とは別の機関でございますので、したがって、預金保険機構からの情報が、この情報が行政機関に通知されるということは基本的にはございません。
それから、二点目につきましては、マイナンバーを全金融機関に、要するに、全金融機関に問い合わせるときに、基本四情報で問い合わせるのか、マイナンバーで問い合わせるのかの選択だと思います。やはりマイナンバーそのものを全金融機関に通知するというのは、ちょっとやはりやや無理があるのかなと。無理があるのかなというのは、マイナンバーの方が個人情報の保護が通常の個人情報よりはややきつめになっているということも勘案いたしまして、余りに広くマイナンバーというのをまくのはどうかなということから、基本四情報を通知する、そういうスキームにしたものでございます。
○後藤(祐)委員 このAさん、預貯金者が、どこに口座を持っているかを国に知られる方が嫌だ、マイナンバーを全ての金融機関に知らせても別にそんなに嫌じゃないと。私なんかもそうですよ、別にマイナンバーが金融機関に知られてもそんなに嫌じゃないけれども、どこの銀行口座を持っているかを国に知られる方が嫌ですよ。
それがどっちが嫌かというのは預貯金者が決める話であって、国が判断する話じゃないんじゃないですか、平井大臣。これは是非選択肢を用意すべきだと思いますし、今の御答弁は、その選択肢を用意するつもりはないということだと思いますし、基本的にはございませんということは、こんなの、だって、警察がよこせと言ったら、さっきの利用目的外提供みたいな、これからやる議論になってきちゃうわけですよ。
あったら使うんですよ、情報は。こういうところで曖昧な答弁をしているから、デジタル化について心配な方々が、こういうのを進めるのはよくないという話になっていっちゃうんです、今みたいな答弁が。こんなの、だって、預金保険機構に情報が来たら即廃棄でいいじゃないですか。そこに下心を感じるんですよ。まあ、でも、今の答弁だと、ここも直してもらう必要があるかもしれないですね。
続きまして、個人情報保護法の定義の話に行きたいと思いますが、個人情報保護法の二条、配付資料八ページにございますが、今回、行政機関個人情報保護法から個人情報保護法に全部が統一されることに伴って、行政機関における個人情報の定義が変わります。
民間と同じになるわけですが、今までは、行政機関個人情報保護法で、「他の情報と照合することができ、」、これは広い定義で、行政機関の持っている情報は広く個人情報が定義されていたわけです。これに対して、民間においては、個人情報の定義が、「他の情報と容易に照合することができ、」、容易に照合できるものというのは狭いですから、民間企業の方が個人情報の定義が狭かったんですね。
それが今回、行政機関における個人情報の定義も民間に合わせる、つまり、「他の情報と容易に照合することができ、」という狭い定義に行政機関の個人情報の定義も合わせることになりますが、これについては、この「個人情報保護法の逐条解説」、宇賀克也教授の本ですが、これは多分、実務的に皆さん使っている本だと思いますけれども、この四百十一ページに、民間部門にも適用されるため、民間の営業の自由への配慮から個人情報をある程度限定することが必要なのに対して、行政機関の長が保有する個人情報については、公権力を行使して取得したり、申請、届出に伴い義務として提出されたりするものも多いので、本法においては、より厳格な個人情報保護が必要であると考えられるとして、差を設けている理由を説明しています。
今回、これを同一化するということは、この宇賀教授の見解はどうなってしまうんですか。「容易に」をなくして同一の定義にすることに問題はありませんか。これは平井大臣に通告している。これは平井大臣。
○平井国務大臣 現行の行政機関個人情報保護法における個人情報のうち、今回の改正後は、個人情報に該当しないこととなる情報があると。それは例えば、匿名加工情報とか、外部から取得した仮名加工情報であるとか、提供元では個人を識別できないが提供先で個人を識別可能となる情報の三種類が想定されるのではないかなというふうに思います。
行政機関個人情報保護法における現行の個人情報のうち、今回の改正後は、個人情報に該当しないこととなる情報について新たに収集等をするということは考えていないんですね。そのことについて、詳細については、できれば政府参考人に説明させたいと思います。
○後藤(祐)委員 考えていないって、平井大臣が考えていなくても、各行政機関はやっちゃうかもしれないじゃないですか。
この定義が広がったことに伴って、新たに収集することはしないようにすることと、例えば基本計画等で定めてくださいよ、大臣。
○時澤政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げました、隙間につきましては三つの類型が考えられますけれども、この情報のうち、匿名加工情報と外部から取得した仮名加工情報につきましては、本人を識別するために他の情報と照合してはならない義務、そして、保有個人情報の安全を確保する措置を取る義務というのを新たに措置をいたします。
そして、提供元では個人を識別できないが提供先で個人を識別可能となる情報につきましては、提供先への措置要求義務等を新たに措置する、このことによりまして、差が生じていましても保護の質が低下しないというふうな措置を講ずることとしているものでございます。
○後藤(祐)委員 新しく収集しないと約束できないじゃないですか。こういうところが下心になっちゃうんですよ。そこは、新しく集めないとはっきり言うとかすれば、こういう、定義が広がるということに対しての懸念が一つ減るわけじゃないですか。ここを心配しているわけですよ、大臣。
時間がないので次に行きますが、目的外利用制限、六十九条。配付資料十ページですが。
現行の行政機関の個人情報保護法、この新旧、皆さんのお手元の新旧と違って、行政機関個人情報保護法と新しい個人情報保護法の新旧になっていますが、上で見た方が分かりやすいかな、この六十九条の二項のところの二号に、行政機関等が法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で、相当の理由があるときは、本来集めた目的とは違う目的で利用、提供ができてしまうという条文なんですけれども、この法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度って、それは行政機関は所掌事務に基づいて仕事しているわけですから、およそほとんど全ての行政機関の仕事に必要ならやっていいですよというふうにしか読めないんですよ。ここが心配の一つなんですよね。
だから、これを、およそほとんどの事務ということにならないように、どうしてもこれがないと業務に物すごい支障が出ちゃうとか、何らか限定するような規定ぶりにする。あるいは、相当な理由なんというのは何だって説明できちゃうわけですよ、役人は説明の天才だから。そうじゃなくて、物すごい限定された理由みたいな形に変えないと、これはまずいんじゃないんですか。
○平井国務大臣 改正案では、現行法と同じで、法令に基づく場合を除き、個人情報の目的外利用、提供を原則禁止した上で、本人の同意がある場合や法令の定める業務の遂行に必要である等の場合は、例外的に目的外利用、提供を可能としています。
地方公共団体の現行の個人情報保護条例においても、団体ごとに規定ぶりに差異はあるものの、個人情報の目的外利用、提供を原則禁止としつつ、例外的な可能な場合を規定する形式が一般的であり、また、多くの団体で目的外利用、提供を可能とする包括的な規定が設けられております。したがって、改正法案の下においても、これまで条例で行ってきたものと基本的に同様の運用が可能と考えておりまして、これに加えて、条例で目的外の利用、提供を制限する必要が生じるということは通常想定されないと思います。
○後藤(祐)委員 これだけ広いと何だって要求できちゃうわけですよ。
最後の今の答弁はちょっとおかしいなと思っていて、個人情報保護委員会が悉皆調査で全ての地方公共団体に個人情報保護条例の中身を調べたやつなんですが、この目的外利用については、例えば統計作成、学術研究目的で提供することを認めているかとかいう質問に対して、都道府県だと七二・三%が認めている。逆に言うと、二八%ぐらいの都道府県は認めていないんですよ。市町村においては三六・九%しか統計ですら認めていない。六三%ぐらいの市町村は認めていないんですよ。
今そういう運用になっていますから、これからも、この法律が施行された後も、条例で、うちの地方公共団体はこういうのは厳しくやりますよという条例を定めるのはありですか、大臣。
○平井国務大臣 基本的には、国の法律の範囲で条例というものは収め、作られるものだと私自身は理解しているんですが、それを自治体が、よく横出しとか深掘りとかいろいろな言い方をしますけれども、そういうことは基本的には想定していません。
○後藤(祐)委員 想定していませんって、だって、それは地方公共団体が判断することですよ。その条例を制定していいかどうかということは、想定していないということじゃないでしょう。どういうところまで条例でやっていいか、よくないか、そこは、基準を国が示すのは本当はおかしいと思いますけれどもね、これは条例制定権の話だから。ここをもうちょっとやりたかったんだけれども、時間が来たので、これは午後、森田さんあたりも是非やっていただきたいと思います。
まだまだ聞かなきゃいけないところがいっぱいありますので、今のところ、地方公共団体は極めて重要ですから、これからも質疑を続けたいと思います。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、吉田統彦君。
○吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします、大臣。
この法案は、もうかなり質疑が進んできておりますが、個人情報保護に関する問題、また、地方では画一的なデジタル統合を進めることによる弊害など、克服すべき課題、問題が多い、そういったことが明らかになっています。
ただ一方、我が国のデジタル環境は他国に比べれば大きく遅れているということは、政府、民間共通の認識であると感じます。
そこで、今回、デジタル関連の法案を、大臣、出されたわけだと思いますが、この法案が示された中で、デジタル業界や若年層からは失望の声も実は結構聞こえてきます。私は、若い世代に合ったデジタル化政策、そういった意味でも、建設的、ポジティブな政策議論をさせていただきたいと思います。
まず冒頭申し上げますが、国内の月間利用者が八千六百万人に上る無料通信アプリを運営するLINEが、利用者間でメッセージをやり取りするサービス、トークに投稿された全ての画像、動画を韓国内のサーバーに保管していた、そして、利用者の氏名、アドレス、個人情報が業務委託先の中国企業から閲覧できる状態であったことが報道でありました。
LINE社の個人情報に関する指針ではこういった状況が利用者に十分に説明されておらず、同社側の対応に不備があった可能性があるとして、国の個人情報保護委員会に報告したということですが、大臣、デジタル法の審議中にこういったことが明らかになったことは極めて遺憾であります。
デジタル化において個人情報の保護は一丁目一番地であり、これを確保されていない、そういった状況では、デジタル法の審議そのものが意味がないものになってしまいます。
政府におかれましては、個人情報保護委員会、LINE社とも協力して原因究明を一刻も早く進めるとともに、個人情報が確実に保護される状況を確保して、このようなことが二度と起こらないようにお願いを冒頭させていただきたいと思います。
では、質問に入ります。
まず、大臣、世の中には、個人の信念の下でデジタル化を拒んでいる人がいるんです。例えば、デジタル化がかなり進んでいるように見えるアメリカでも、アナログの暮らしを続けている人がかなりいます。
アメリカでは、百ドル札は偽札の可能性もあるものですから、支払いをすると嫌がられます。松本先生なんかも国際経験が豊富なので御存じだと思うんですけれども、嫌がられるんですよ、百ドルを出すと。私がいたジョンズ・ホプキンス大学の附属病院でも、駐車場には五十ドル以上お断りと実は書いてあるんです。
そもそも現金を持ち運ぶことがアメリカではリスクですので、家賃なんかは、大臣、いまだにチェック、小切手で払っている人がいっぱいいますよ。というか、それがスタンダードです。また、年配の方が日用品とか食料品を買う際に、その代金を毎回チェックで支払っていることをよく見受けます。また、宗教的な理由で、プリミティブ、原始的な生活をされている方もたくさん実は米国にもいらっしゃいます。
そういった中で、つまり、アメリカはデジタル大国のように見えるんですけれども、こういったアナログな暮らしが十分可能だという意味なんです。
我が国でも、給与の振り込みを拒否して現金で給付を受けたり、公共料金を銀行や郵便局、コンビニで毎月払う人たちもいらっしゃいます。今回、法案でデジタル化を進めるといっても、こういった生活様式を容易に変えられるとは思わないわけであります。
そこで、このような自己の信念の下で従前の生活様式を守り、デジタルを利用しない生活を続けたい方に対して、生活上のデメリットがないシステムというのが果たしてつくることができるのかということであります。様々な制度、手続が利用できることは当然としても、デジタルを用いないことが理由で取り残されたり不利益を被ることがないように配慮する必要があると考えます。
大臣、例えば、最近では、御高齢の方が家庭用の電子機器について問合せをしようと思っても、コールセンターの番号を書いていないことが結構あります。ホームページ上のチャットやSNSなどへ誘導されて、その使い方がよく分からないということをよく聞きます。電話番号は、最近、本当に書いていないことが多いですよね。
そういった方が取り残されることがないデジタル化として、具体的にどのような配慮をしていくべきなのか、大臣にお聞きしたいんですが、具体的に施策を例示して御答弁いただきたいと思います。
○平井国務大臣 委員が最初にお話しになった、個人がデジタル機器を利用しない生活様式とか選択も、当然やはり尊重しなきゃいけないと思います。絶対嫌だという人は当然そうだし、いまだに、瀬戸大橋を渡るのに、現金、物すごく高いんですよ、ETCに比べて。現金でわざわざ乗る人もいるし、それは個人の選択ということなんですけれども、デジタル化全体の話をすると、アナログの生活をしている人にとっても、どこか知らないところでメリットもあると思うんですよ、ある意味。
だから、そういうことも含めて、全体のデジタル社会の進展というものはやはり進めていかなきゃいけない。個人の自由な暮らしに関して、それに制約を加えるものではないというふうに思います。
具体的な例示というふうに言われても今すぐには思いつかないんですが、もし先生の方で何かイメージがあったら、お話しいただければありがたいと思います。
○吉田(統)委員 大臣、さっき御答弁の中でおっしゃっていましたものね。自覚しない中でデジタル化されていくというようなことが趣旨だというようなことがございましたよね。まあ、私がそう解釈したんですが。しっかりとここはやっていただきたいと思います。
次に行きますが、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、一月十九日に大臣はツイッターで、「マイナンバーを持っていない国民はおりません。」とツイートされましたね。
国籍法によると、日本国民たる要件は、「一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」「二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。」「三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。」と規定されていますね。
一方、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法ですね。マイナンバーは、国籍に定める日本国民全員ではなく、住民基本台帳に記載されている人のみ付番されるということになっています。
すなわち、ずっと海外におられる在留邦人などはマイナンバーは付番されていないわけですよね、大臣。そうすると、大臣がツイートされた、マイナンバーを持っていない国民は一人もいないということは、政府の認識と異なるということになりますが、ここは、大臣、大丈夫ですか。
○平井国務大臣 そこは大丈夫です。
これは、私のツイートを見ていただいたんだと思うんですけれども、見ていただいたんですね、ありがとうございます。このときに、ワクチンを打つにはマイナンバーが必要なのですかという国内でワクチンを打つときの話なので、国内でワクチンを打つということは、今回は間違いなくマイナンバーを持った人ということなので。
先生のおっしゃるとおり、マイナンバーを持っていない日本国民というのはおられます。海外で生まれて、一度も来ていないけれども日本人というケースだと思います。ただ、そういう方も、日本で、帰ってきて、これは知らないですよ、まだ決まった話とかそういうのは分かりませんが、ワクチンを打つときには、当然、マイナンバーというか、住基にひもづけてやろうとしているオペレーションですから、そうなるんだろうということで。
そういう意味では、先生のおっしゃることは正しいと思いますが、私のこのやり取りはワクチンのやり取りだと御理解いただければと思います。
○吉田(統)委員 まあ、分かるんですけれども、やはり大臣でいらっしゃるので、もう少しその辺は気をつけて、誤解がないように。在留邦人の方は、自分たちはマイナンバーもないし、日本国民じゃないのかということになってしまいますし、大臣、これはちょっと気をつけられた方がいいと思いますよ。
大臣のおっしゃる趣旨は分かりましたし、ワクチンであれば国内で接種をする場合ということは分かるんですが、大臣は明らかにそうやってツイートされていますからね。ツイートされている事実はお認めになられると思うので。
これは、だから、大臣、誤っていたということですよね。というか、誤解を与える言い方だった、事実、誤っていたということでよろしいですよね、大臣。
○平井国務大臣 これは、ワクチンの質疑で、私がツイートしたのではなくて、誰かのツイートに対して、聞かれたので、ワクチンを打つ人はマイナンバーがあるでしょうということなので。謝らなきゃ駄目ですか、これ。(吉田(統)委員「いえいえ。そういう誤解が与えられることだということでいいです。謝らなくていいんですけれども」と呼ぶ)ああ、そうですか。
まあ、やはり誤解のないような書き方をすべきだし、海外でマイナンバーを持っていない方がいるということを一般の国民の方は知らなかったんですけれども、この質疑の中でそれが今回明らかになったということでよろしいのではないでしょうか。
○吉田(統)委員 大臣、別に謝罪しろと言っているわけじゃなくて、誤解があると大臣にとってもよくないので、この場で、しっかりと国会の場で訂正というか、理解をしていただきたいという趣旨ですので、それでもう十分です。
次に行きますが、電子化ということですね。
デジタル化ということですと、紙媒体をなくして電子データに置き換えていく、結果として物理的なものが残されないというイメージもあります。しかし、大臣もそうでしょうし、我々みんな、仕事上あるいは日常生活上の知恵として、残した方がいい場合があるのは分かっていますよね。紙媒体等も、バックアップも含めてということであります。パソコンで作成、使用したデータやファイルは、USBメモリーやクラウド、共有ファイルなど様々な手でバックアップを取って、復元できるようにリスクヘッジを行います。
古い話では、古代エジプトのパピルスですね。あれは、古代エジプトの新王国時代、今から三千年から三千五百年前の古代エジプト人の死生観、死の捉え方を現時に伝えるという。紙というものは保存に非常に適していた、パピルスは紙の一種ですけれども、といったことが分かっています。例えば、人類がいつか生物として滅んでいった場合も、パソコンとかの電子ファイルは一切消滅して恐らく残らないでしょう。しかし、紙の一部は残って、現代の文化、文明を後世に伝えることができる可能性も大いにあります。
つまり、電子ファイルというのは脆弱であって、全てを電子化してしまうことはリスクではないかと考えるんです。危機管理という点からも、多くの重要なデータやファイルに関しては、紙などアナログな形でも、一定程度の要件をつけてバランスよく残すべきではないかと思いますが、大臣、どう思われますか。
○平井国務大臣 まず、デジタル化を進めるに当たっては、サイバーセキュリティー対策であるとかバックアップとか、電子データの適切な保管というのは、これは大前提だと思います。
その上で、これまでデジタルファーストとして、例えばデジタル手続法を制定する、これも私、担当でやらせていただいたんですけれども、これはあくまでもオンラインにより実施する手続を増やすことなどを通じて行政の手続の利便性の向上を図るものであって、要するに、デジタル以外の手続を否定しているわけではないんですね。データの保存に関しても、デジタル化することによってアクセスログを確認することができるようになったり、保存コストが抑えられたり、検索性が向上する、そういった効果が得られるものとは思いますが、デジタルによる保存を義務とするものでもないんです。ですから、これは最大限いいところをちゃんと考えながらやるということだと思います。
ただ、紙の場合、誰に見られたかも分からないとか、そういう怖さもあるし、バックアップができなかったり、劣化したり。ですから、紙は紙、デジタルはデジタルというもので、一定の役割があるんだろうというふうに思います。
○吉田(統)委員 ありがとうございます。紙のこと、デメリット等もおっしゃっていただきました。
じゃ、ちょっと厚生労働省に伺いますが、厚生労働省は、かなり積極的に電子カルテ化というのを推進してこられましたね。しかし、約十年前、東日本大震災が十年前ですよね、あのときに、東北地方の広い範囲で、停電、大きな揺れによる物理的損壊で、電子カルテはほとんどシステムダウンして復旧できませんでした。それに対して、地域によっては波に流されたり汚泥をかぶったり、そうした例はあったんですが、紙のカルテは生き残って、その後のしばらく、診療の役に立ったんですよ。私自身もボランティアで石巻等いろいろなところで診療しましたが、当然、紙のカルテを使わざるを得なかったし、使っていたということであります。
電子カルテは、確かに、医療機関の連携とか職種間の連携ができますし、メリットはすごくあります。しかし、共有化の部分が不必要に多い場合、個人情報の漏えいとかが起こってきます。
一般論として電子化はしていくべきなんですが、災害時の脆弱性などを考えると紙のカルテもやはり併存させていく必要はあると思うんですが、この点に関しては、平井大臣じゃなく厚生労働省の方がここはいいですよね。厚生労働省、お願いいたします。
○山本副大臣 ありがとうございます。
電子カルテに関しましては、医療機関の業務の効率化、又は医療従事者間の円滑な連携を図るなどの効果がございますので、平成二十七年六月の閣議決定で、二〇二〇年度までに、四百床以上の一般病院における電子カルテの普及率、九〇%以上にするという目標を掲げておりまして、今、年々普及率は上昇しております。平成二十六年七七・五%から平成二十九年八五・四%、年々上昇しているわけでございます。
この導入に当たって、医療機関が留意すべき事項を定めたガイドラインを定めておりまして、その中で、医療機関が遵守すべき最低限の事項の中に、当然、個人情報保護に関する方針を策定すること等を明記しておりますけれども、災害などIT障害の非常時に備えて、紙での運用等の代替手段も準備すること等も示している次第でございます。
このように、情報漏えい対策、又は非常時の準備に万全を期した上で電子カルテを導入することとしておりまして、こうした点も留意しながら電子カルテの普及に努めていきたいと思う次第でございます。
○吉田(統)委員 副大臣、ありがとうございます。
その中で、副大臣、ちょっと今の御発言にも申し上げたいことはあるんですけれども、ちょっと大事なことを聞きます。
令和元年度の健康保険法改正の際に、医療情報化支援基金として、現在、百五十億円の予算措置が取られたと承知しております。そのときに同時に基金化されたオンライン資格確認の方は、現在、積み増しキャンペーンなどを行われて、よく動いているんですが、電子カルテの方は、度々私、フォローしているんですが、何も聞こえてこなかった。あるいはコロナの影響もあると思うんですが、デジタル関連法の審議を始める前提として当然こういったものも動き出さないといけないと思うんですが、この基金の現状を簡潔に御説明ください。
○山本副大臣 ありがとうございます。
厚労省として、やはり電子カルテの推進をする意味での標準化ということが非常に大事だということで、令和元年の十一月に、内閣官房健康・医療戦略室の検討会において、情報交換方式の普及が、一つの方向性が示されたわけでございます。
これを受けて、今年度、健康・医療・介護情報利活用検討会、これを開催しまして、データ交換に係る厚労省の標準規格につきまして、例えば、次世代の国際的な情報交換方式の規格を用いるなどの、こういったことを検討するということをしている次第でございます。
こういう方向性に基づきまして、標準規格を採用することにつきましては、民間団体に御審議をいただくとともに、標準規格となった場合には、こうした電子カルテへの実装、これを進めていくためにも、医療情報化支援基金、これを活用して支援するということを検討していきたいということを今考えている次第でございます。
○吉田(統)委員 副大臣、今共通規格を決めようという話をされていましたが、これはまさか外国産じゃないですよね、日本国内のシステムですよね。大丈夫ですか。
○山本副大臣 それも含めてしっかり検討していきたいと思います。
○吉田(統)委員 私が聞いているところだと、何か外国産のシステムを使うなんという話を聞いていますけれども、これは、ちょっと国産でそろそろやらないと、技術立国日本、本当に大変なことになりますよ。
副大臣、ここでちょっと、国内のシステムでこういった規格をやっていくと約束してくださいよ。
○山本副大臣 委員の御指摘をしっかり受け止めて検討していきたいと思います。
○吉田(統)委員 松本剛明先生から、ちょっと、日本の技術に対する寂しい評価が横からぼそぼそとありましたけれども、ただ、頑張らないと駄目ですよ、本当に。国内のシステムで、デジタル大臣、頑張りましょうよ、これ、本当に。ちゃんと連動して、国内のすばらしいシステムをつくり上げてくださいよ。まさか外国産だと、また私、質疑でもやりますけれども、大変残念ですよ。私が漏れ伝え聞いているところでは、海外の規格を使った方がいいんじゃないかというお話を聞いていますけれども、本当、それじゃ困るんですよ。
今回のLINEの話もそうですけれども、カルテは究極の個人情報ですから、剛明先生いらっしゃいますけれども、剛明先生の健康状態から住所から全部、体重、身長まで全部分かっちゃうんですよ。ですから、本当に、そこは海外に頼らずに我が国独自のものをつくり上げていく気概が、厚生労働省にも、もちろん平井大臣にも必要だと考えますよ。
では、少し時間がなくなってきましたので、建設的な部分でちょっと提言をしていきたいと思います。
菅政権の看板政策の一つはデジタル化ですよね、ですから今こうやってやっているわけでありますが。実際、デジタル化は、ホームページ、メールからSNSへと、一方向から双方向へと技術革新が進んでいます。
特に十代だと、総務省の統計だと、二〇一九年、休日のコミュニケーション手段、SNS八十三・四分、メール二十・六分、携帯電話三分、固定電話〇・四分にすぎません。一方、休日のインターネットの利用時間二百四十分強となっていますが、八二%余りがモバイル端末を使っているということで、SNSからの情報取得が増加していると考えられます。技術革新でSNSのAPI技術が向上しているから、SNSの方がホームページより高機能になっているわけであります。
実際、ある調査によると、十代、最近よく使う検索サービスはの問いに関して、グーグル三三%、ヤフー一二%に対し、ツイッター三一、インスタグラム二四%とSNSが多くなっていて、若者のホームページ離れ、SNSがメインの利用という実態が明らかになっています。
民間企業や国民で、ホームページからSNSへ、一方向から双方向へが進んでいる中で、行政だけが古いホームページを中心に運営していて、本当に、一方向のデジタルのまま取り残されて、国民とミスマッチを起こしているという状況であります。この法案では、残念ながらその改善策が明確には示されていない、明示されていないんですよ。
実際、デジタル化する中で、時代に沿ったデジタル化になっているのか、ホームページからSNSへの時代において、こういった国民の変化に対して時代遅れにならずに対応していくのかということに、大臣、お答えいただけますか。
○平井国務大臣 デジタル社会基本法案では、SNSの浸透なども念頭に、多様なサービスの価値を高める、また、新しい価値を生み出すことによって、利便性の向上とか多様化及び選択の機会の拡大を図られるものではならないという、これは五条の基本理念の中に入れさせていただきました。また、広く国民の意見が反映されるよう、必要な措置を講じなければならないということをその十九条に入れておりまして、この規定は、インターネット等を活用した双方向のコミュニケーションが日常的になっていることを踏まえたものであるということが非常に重要だと思っています。
デジタル社会の在り方の検討に関しては、SNSとも連動する形でデジタル改革アイデアボックスというのをスタートしたんですが、これは先生も是非見ていただきたいんですが、相当活発な、広く国民の、本当に前向きで建設的な御意見をいただいています。
そして、全国の自治体職員と省庁の職員が地方自治体のシステムについてオンライン上で一緒に議論する場としてデジタル改革共創プラットフォームを立ち上げて、これもまた積極的な意見交換を行っています。
今、各省庁がSNSによる広報をどの程度やっているかは、実は今、私、知らないんですね。知らないんですが、恐らく相当に進められているんだろうというふうに思っていて、ホームページの、そこに誘導するのは大変ですよね、今、実際。ですから、いかにうまくランディングページを作っていくのかということになっていくんだろうと思いますが、このSNSも、やはりこれから全体どういうふうに変化していくかも分かりませんので、そういう状況を見極めながら、一番効果的なことを選んでいくということを基本理念の中に描いているつもりでございます。
○吉田(統)委員 大臣、御説明ありがとうございます。
ただ、今の御説明で具体的に、大臣、詳しく申し上げましたが、省庁ごとに相当違う、差があるんですよね。
大臣がいろいろ御説明いただいたので、次、ちょっと項目を飛ばしながら行きますが、実際、昨年のコロナの給付金について、総務省は、特別定額給付金十万円給付のオンライン申請では、マイナンバーカードのリーダーを数学的な必要条件にしていました。一方で、文科省は、学生支援給付金のオンライン申請では、LINEの専用アカウントで申請を受け付けて給付金を配りました。SNSで物を購入したり予約をする時代において、学生のニーズに合ったもので、これはこれでよかったと考えます。
それで、マイナポータルのSNSアカウントは、キャッシュデータすら残さず、何度も同じ質問をしてきますね。実際の申請もできないという、民間や国民の現状に比べて大変残念なものになっています。利用者のニーズに合わないものになっているという指摘がありますが、この点、具体的に改善されますか。
○平井国務大臣 マイナポータルに関しては、UI、UXの話は本当にずっと指摘されておりますので、これは本当に、行政と個人、暮らしをつなぐポータルとしてこれから育てていかなきゃいけないというふうに思います。
今、デジタル改革アイデアボックスの中にもマイナポータルの新デザイン案を掲載して、広く国民の意見を募集したり、要するに、UI、UXの改善に多くの国民の皆さんにも協力してもらおうというふうに思っています。
UI、UXの改善というのは、これでいいというのがないじゃないですか。だから、常に改善できるように、海外の大きなプラットフォーマーは、それをもうAIにやらせたりしているんですよね。
そうはいっても、我々が目指しているのは、UI、UXの改善や民間サービスとの連携を深めてマイナポータルの利便性を図ることによって、最終的には、誰でも、どこにいても、スマートフォンで全ての行政手続が六十秒以内に完結できるようなUI、UXをつくりたい、そのように思っています。
○吉田(統)委員 頑張ってください。
山本副大臣、もう大丈夫ですよ、お忙しいと思うので。ごめんなさい、申し上げ忘れましたが。
じゃ、大臣、具体的にちょっと聞いていきますが、経産省のコロナ事業サポートのSNSには問合せのチャットボットが入っていますね。土日祝日関係なく二十四時間対応のSNSの自動回答、これはまさにデジタル化の見本と言えるんじゃないかと思うんです。さっき、常に入れ替わっていく、求められるものが変わっていくというお話があった。ただ、残念ながら、これは、先日確認したら、三月十二日でSNSの相談窓口は終了しちゃっていますね。また、国税庁のSNSのチャットボットは、見ると今も稼働中で、令和二年度の確定申告の相談を受けている。
このような自動回答のSNSをやはりもっと他省庁でも幅広く導入すること、これはデジタル化の一つの鍵だと思うんですが、さっきの大臣の答弁に加えて、ここをちょっとどう考えられるか、簡単に、簡潔に、もっと問いたいことがあるので、お願いします。
○平井国務大臣 チャットボットの活用というのは非常に重要だと思うし、これもUI、UXの一つだと思うんですけれども、常にチャットボットだってよくなるじゃないですか、時間とともに。こういうものをどんどんやはり使っていくべきだと思います。先生もそのような御意見だと思いますので、同じでございます。
○吉田(統)委員 大臣、是非頑張ってください。三月十二日、急に終わっちゃったので、ちょっとびっくりしたんですけれども。
じゃ、文科省、せっかく政務官に来ていただいていますので。
学生が電話を使わなくなったとさっきお話ししましたね。SNSで相談なんかをする時代ですよね、政務官。教育委員会でSNS相談を実施している自治体において、配付したGIGAスクール端末の初期設定でSNSが禁止されたまま納品されたという先行事例を聞いています。
ほとんどもう、総務省の統計でも、若者、電話一分、SNS五十四分なんというデータもあるわけです。各教育委員会では、やはりSNSでの相談事業が成果を上げていますよね、政務官。しかし、文科省が配るGIGAスクール端末はわざわざSNSをダウンロードできない仕様にしてあるものがあると聞いているんですが、これだと、この端末を使っては教育委員会の相談窓口に相談できない、それが制限されるということになります。
御存じのとおり、あと、学習動画や学習問題のコンテンツ数は、今、ホームページのプラットフォームよりも、SNSプラットフォームの方に圧倒的に多く存在しているのも御存じですよね、政務官。そうすると、SNSをインストール禁止にしたままだと、場合によっては学習効果も激減する可能性もある。
また、メールを容認していてSNSを禁止するということで、知らない人からのメールや詐欺メールは普通に通過してくるわけですよね。逆に、教育委員会の相談、学習コンテンツを制限するということはちょっと整合性が取れないように私には思えるんですが、文科省の御意見をお聞かせ願えますか。
○鰐淵大臣政務官 御質問ありがとうございます。
ソサエティー五・〇時代を生きる全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現する上で、ICTの活用は必要不可欠であり、GIGAスクール構想により整備されるICT環境を大いに活用していただきたいと考えております。
一方で、関係者に十分な説明がなされないまま学習用ツール等の利用を制限している事例もあることを踏まえまして、文部科学省として次のような通知を発出しております。
利用に関して課題がある場合には、安易に制限を行うのではなく、一人一台端末を積極的に利活用する中で解決を図ることが重要であること、また、学校現場を始めとする関係者との緊密な調整や、保護者等の理解を得る、こういった努力を丁寧に行うこと、こういったことを通知をさせていただいております。
また、今委員から御指摘のございましたSNSの利用につきましては、国として一律に制限しているものではなくて、教育委員会などの学校設置者や学校現場において、児童生徒の発達段階や、情報モラルを含む情報活用リテラシーの習熟度合い、保護者を始めとする関係者の理解を得ながら、各学校、教育委員会が適切に判断をいただくことが重要であると考えております。
○吉田(統)委員 政務官、ありがとうございます。
もうおっしゃっていただきましたが、SNS導入反対の理由の一つとしては、やはり、有害事象へのアクセスとか、そういったものが心配されると。
個々の教育委員会がしっかり判断していく、それは大事だと思います。ただ、余りにも濃淡の差があるのは、やはり平井大臣の進めるデジタル改革とは違うんじゃないかと思うんです。だって、ウェブでも有害事象にアクセスできますよね、SNSだから特別悪いということはないわけであります。
そこで、政務官に十分に御説明いただいたので、最後に、もう時間が来て、終わりたいと思いますので、平井大臣に、今の御答弁を聞いて、やはり、各教育委員会で余りにも濃淡があり過ぎることなどは調査するなりして、一番いいと、国家が、文科省と平井大臣で相談して、ある程度は決めていくべきだと思うんですね。そこに関して、大臣、ちょっとどのようにお考えになるかということをお答えいただけますか。
○平井国務大臣 萩生田大臣に頑張っていただくということだと思いますが、世の中、スチューデントファーストで考えたときに、やはり当然やっていかなきゃいけないことというのはあるんだろうというふうに思います。
○吉田(統)委員 ちょっと大臣、もうちょっとはっきり言っていただきたい。
つまり、私が問題だと思っているのは、スチューデントファーストなんですよ。学生のために本当に制度を考えていただかなきゃいけないんですが、余りにも、今の話を聞くと、やはり、均てん化されていなくて、濃淡がかなりある状況があると考えられるわけです。
デジタル化のこういう法案がある中で、どっちが悪いと私は言っているわけじゃなくて、濃淡があるのがやはり機会の公平性というもので問題があるんじゃないかと思っているだけであって、そこに関しては、大臣、やはり一定程度全国一律に調査をして、ベストマッチと思うような状況を、デジタル化の中でするべきじゃないかということを私は問うているので、そこはどうですか。簡潔にお願いします。
○木原委員長 平井大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
○平井国務大臣 デジタル化の遅れが顕在化したのが医療分野と教育分野、そして災害対応、この辺りはデジタル化という中で非常に重点分野だと思います。
そういう意味で、デジタル化の重点分野に関しては、我々もやはり力を入れてやっていきたい、そのように思います。
○吉田(統)委員 時間が来ましたので終わります。
ありがとうございました。
○木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。森田俊和君。
○森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。
最初に、午前中の後藤委員の質問の関連のところから質問させていただきたいと思っております。
個人情報の取扱い、保護に関しての法律と条例の関係のことについてでございますけれども、ちょっと午前中の答弁を確認したいと思うんですが、法律のほかに、個人情報に関しての条例を制定するというのを想定していないというお答えだったと思うんですが、ちょっと確認をお願いできればと思います、大臣。
○時澤政府参考人 今回の個人情報保護法の改正につきましては、地域や団体によって保護水準のルールあるいは内容が異なるべきではないというのが基本原則でございますが、条例による独自の保護措置等につきましては、地域の特性に応じて、必要な場合には規定される、あるいは内部的なもの等必要なものは定めることができるものでございます。
ですから、全然定めることができないというものではないというふうに御理解いただければと思います。
○森田委員 ということは、想定されるということでよろしいんでしょうか、確認ですが。大臣。
○平井国務大臣 今事務方から話したとおり、基本的に考えて、法律を超えて条例が自由に、例えば個人情報の保護を緩めたりとかはできるはずがないということで、想定していないということをお話ししたつもりでおります。
○森田委員 そうしましたら、いろいろ今自治体の中で個人情報に関する条例が定められておりますけれども、例えば、目的のところですよね、保護というところから一歩踏み込んで、今までも、昨日も参考人の方のお話に出ていましたけれども、自己情報コントロール権といったような権利規定を一番冒頭のところに盛り込んだ条例を制定していたり、あるいは、自治体によっては死者の方の情報を取り扱うというようなこともしておりますし、また、情報保護の観点から、オンラインでの結合、接続を制限する、こういったようなことですとか。
いろいろと、こういうことに関連して自治体の方でも個人情報の取扱いに対しての議論を深めていって、しかも、その蓄積をしているというところがあると思いますが、やはり、地方自治の尊重という意味からも、こういった今までの取組というものをいわば深めていくことによって、国の方にも行く行くはそういったものをまた、深まったものを反映していくということも必要だと思いますけれども、例えば、こういうことをやりたいと思ったときに、自治体が、こういう条例を作りたいんだ、今ある条例に、法律が今度入ってきて、法律のほかに上乗せだとか横出しだとか、今までも条例に関するいろいろな蓄積がありますけれども、こういったものをしたいんだといったときの国の対応というのはどうなるんでしょうか、大臣。
○平井国務大臣 現行の地方公共団体の条例の規定は、基本的には改正法の施行までに一旦リセットしていただくことになり、独自の保護措置として存置する規定等については改めて規定していただくことになると思います。
その際、現行の地方公共団体の条例の規定のうち、改正案の施行後も独自の保護措置として規定を置くことが想定される事項については、改正案の中で明文の規定を置いております。
ちょっと詳細について、少しだけ参考人に説明させてください。
○時澤政府参考人 現在、法律案の中におきまして、具体的に明文の規定で条例の中で取り込むことができるものは幾つかございまして、例えば、条例要配慮個人情報の内容でありますとか、個人情報取扱事務登録簿の作成、公表に係るものでありますとか、本人開示等請求における不開示情報の範囲でございますとか、本人開示等請求における手数料、そして本人開示請求の手続、審議会等への諮問、これは既に法律の中で、条例で定めるということができるというふうにされております。
そのほか、明文の規定はないんですけれども、例えば、法の実施のための細則でありますとか、団体内部の手続でありますとか、法的効力を伴わない理念的事項でありますとか、個人保護以外の観点から定められる事項、こういったものにつきましては、条例で定めることができるものでございます。
先ほど例示として挙げられました、例えば目的規定、自己情報コントロール権等につきましては、それが具体的な法的効力を伴わない理念的な事項であれば、それは規定を置くことができるというふうに考えております。
例えば、死者の情報につきましては、個人情報は生存する者ということでございますので、死者に関する情報を条例で個人情報に追加することはできないわけでありますが、例えば、災害等で亡くなった方の情報の取扱いについて、遺族感情の尊重の観点から、個人情報とは別の観点から条例で定めるというのはできるというふうに考えております。
あとは、さっきのオンライン結合制限につきましては、これは全体的に、オンライン、オフラインを問わず安全配慮をしますので、オンラインにつきましては今回規定を設けておりません。ということは、オンラインにつきましては全て、オンライン結合制限というのは、これは条例で上乗せはできないというふうに整理をしているところでございます。
細かいことでありましたら、またお答えさせていただきたいと思います。
○森田委員 そうしましたら、今挙げたような例を含めて、条例を制定する場合には、独自の上乗せなり横出しなりということでやる場合には、あらかじめ国と協議、相談、連絡等を行わなければならないんでしょうか。あらかじめ協議を行わなければならないんでしょうか。
○時澤政府参考人 条例の制定に関する義務でございます。これは、条例制定後、個人情報保護委員会への届出ということが規定されております。制定前に事前に国との協議というのは不要でございまして、事後に届出をしていただければ結構でございます。
○森田委員 確認ですが、そうすると、個人情報の取扱いに対して、今までのようなことで自治体が独自のことを盛り込めるということでよろしいんでしょうか。大臣、確認をお願いします。
○平井国務大臣 例えば、個人情報の範囲等々に関して言えば、これは法律の枠の中でということになると思います。ですから、先ほどお話があったとおり、死者の情報は個人情報に入らないので、個人情報保護法とはまた関係なく条例で定めていただくということで、あくまでも基本的にはやはり法律の枠内で条例を定めていただくということだと思います。
○森田委員 分かりました。
これから具体的に、条例を廃止したりとか、あるいは新しいものを作ったりということが出てくると思います。いろいろとそのQアンドAもこれから整えられることだと思いますが、是非具体的な、今あるものに、要するに、法律が今度、新しいものが突っ込んでいくわけですから、そこの自治体の方たちが今まで積み上げてきたものというものを是非尊重していただいて、将来に向けてのまた議論が深められるような地盤というものをつくっていただきたいなというふうに思っております。
それから、個人情報保護委員会の権限についてお伺いしたいと思いますが、先ほど、LINEの問題がございまして、立入検査あるいは命令といったお話も出てきました。行政機関に対しての立入検査あるいは命令といったものができないのは何ででしょうか、大臣。
○時澤政府参考人 個人情報保護委員会は、職権行使につきまして高度の独立性を有する機関ではございますけれども、我が国の行政組織の体系上は内閣府の外局でございまして、内閣の下、他の行政機関と基本的に対等の立場にございます。したがいまして、個人情報保護委員会と他の行政機関とは上下の指揮命令関係にはございません。このため、個人情報保護委員会が他の行政機関に対して法的拘束力のある命令を行うことは、我が国の行政組織の基本的な体系と整合しないと考えられるところでございます。
改正案におきましては、個人情報保護委員会は他の行政機関に対して勧告権を持つということとしております。この勧告は、法的拘束力を持つものではございませんが、独立規制機関の意見として当然に尊重されることが予定されておりまして、行政機関が勧告に従わないということは、通常は想定されないと考えております。
立入検査につきましても、個人情報保護委員会と他の行政機関とが、先ほど申し上げましたように、上級、下級の指揮命令関係にないことを踏まえまして、拒否に対して罰則の科される立入検査というものではなくて、罰則による担保のない実地検査を認めるということとしているものでございます。
○森田委員 それでは、大臣、確認ですが、重大なミス、トラブルが行政機関の中で発生した場合にはどのようになるんでしょうか。
○平井国務大臣 例えば、故意に個人情報の漏えい等を行った場合の罰則に関しては、行政機関の職員に対しては民間事業者よりも重い罰則が科されることとなっているなど、要するに、改正法案全体を見た場合には、行政機関に対する規制の方が民間より弱いというふうにはなっていないと考えます。
○森田委員 いろいろと後でまた、文書の改ざんですとか破棄等についてもお尋ねしたいと思っておりますが、是非、情報を扱うということについては、民間も行政もなく、非常に重たいものだというふうに思っておりますので、お取り計らいをお願いしたいというふうに考えております。
後藤委員の関連質問については以上で終わらせていただきまして、先日、本会議で質疑をさせていただきましたときに、いろいろ総理にも御答弁いただいたということも含めて、その関連の質問という形で進めさせていただければと思っております。
まず、今回のデジタル化の一番の目的というのが、国民の幸せ、幸福にあるということで、これは総理に先日もお伺いしたわけですけれども、この前の質疑を伺っていると、平井大臣は、デジタルにできることはデジタルにやってもらって、余ったところの人手を、例えばほかの、やはり人でなければできないようなところに集中して投下していくというようなお話がございました。
大臣に伺いたいのは、これは、国民の皆様にこれから、デジタル社会というのはこうですよということをいろいろな場面で御説明をいただくようなところがあると思うんですが、例えば銀行の窓口なんかを見てみますと、元々は銀行の窓口は、本当に窓口に人が座っていて全部相対でやり取りをしていたというところから始まったと思うんですが、そこにATMが出てきたり、それから今は重要な手段として、オンラインバンキングみたいなものも、インターネットバンキングというものも出てきている。
今、銀行の支店に入っていくと、一番最初に目につく人は、何か、行員さんの中でも、パートさんとか、あるいはOBのような方かなと思うような、そういう嘱託の方がいらっしゃって、御用は何でしょうかみたいな話で、まず最初にそういうところの受け答えをしていただいて、じゃ、これはATMでできますねとか、あるいは窓口に行って番号を取ってくださいとか、そんなお話が出てまいります。
昨日、私、地元の熊谷市役所に行ってきて、一階に何が入っているかなと思って改めて見てきたんですけれども、市民課の窓口があって、要するに、住民票の受渡しとか引っ越しだとか、あるいはその隣には年金課があって、その隣に出納の窓口があったりして、そんな組立てになっておりまして。
これも恐らくは、いろいろなものがデータ上でやり取りできるようになると、オンラインでやり取りができるようになると、まず、目に見える風景というのが変わってくるんじゃないかなと思っています。例えば、ホテルでいえばコンシェルジュみたいな、お客様御相談係、市民御相談係みたいな人が何人かいてくれて、どんな御用ですかと聞いて、そこから誘導、案内をしてもらえるとか、あっちの階に行ってください、こっちの階にと、今いらっしゃる方は多分単なる案内係だと思うんですけれども、そうではなくて、御相談係というような方が何人かいていただいて、ありとあらゆるところに熟知したような方が誘導していただける。こんなようになってくるという未来像というか、そういった形も出てくるんじゃないかなと思います。
大臣の今までの御経験の中で、こういうところがこういうふうに変わるだろうというような具体例がありましたら、是非御披露いただければと思います。
○平井国務大臣 今回、去年、コロナ禍で、人が外に出られない、接触できないというような状況の中で、やはりデジタル化をもっと進めておけばよかったというのはあります。ですから、わざわざ窓口に足を運ばなくても自分のやりたいことがやれるというのが一つだし、これは、官民挙げて、多分そういうことだと思います。
結局、今回はコロナ禍で、人と人というものが接触するのをやはり避けなきゃいかぬということのデジタル化だったんですけれども、日本はやはり高齢化もどんどんどんどん進んでいるので、高齢者の方々にわざわざ足を運んでいただく必要があるのかというようなことも考えていかなきゃいけないと思います。
そういう意味で、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化というのは、そういうきめ細やかな、一人一人のニーズに合ったサービスを実現できることが幸せにつながるだろうと考えて、我々が掲げたことです。
これからまた、デジタルネイティブの世代がどんどん世の中の中心になってくるわけで、二十四時間スマートフォンで、使いやすいインターフェースを通じて、さっきもお話ししましたけれども、できれば一つの手続は六十秒以内で完結するぐらい、インターフェースをちゃんとやっていきたい。七時間もかかったらえらいことになりますので、そう思っております。
もう一つは、やはり、地方自治体とか教育現場もそうだと思うんですけれども、そこで働く職員とか先生方の仕事も楽になる、そのことによって、対面で、マンツーマンで相談に乗ったりハイタッチなサービスができる。そういう人たちがそっちに向けられるというのは、まさに人に優しいデジタル化ということではないかと思います。
ですから、行政というのは、国民の生活をよくするためのサービスをユーザーたる国民、住民の目線で提供する主体であって、提供するサービスについて、技術の進展や社会課題に柔軟に対応して、迅速かつ不断に改善を重ねていくという存在だと国民にイメージしていただけるように努力をしなければならないんだろうと考えています。
○森田委員 デジタル的に言うとプッシュ型のなんていうお話をしますけれども、昔でいえば、三河屋さんが御用伺いをして、お酒なり、みりんなり、しょうゆなりというのを各家庭に届けるみたいな。それは、今風に言えば、やはりプッシュ型の、困っている方に、かゆいところに手が届く、情報が分からない方に、お困り事はないですか、トラブルはないですかということが、こちらからアプローチできるということも大事なことだと思っております。
そういった意味では、デジタルにできることはデジタル、余った人的資源というものを是非そういった行政サービスに、こちらから困った方に手を差し伸べていくというような形でできるように、是非大臣の方からも、いろいろな省庁との連携を図っていただきたいなと思っています。
今回のこの内閣委員会の議論が、本会議からそうですけれども、ずっと続いている中で、圧倒的にやはり片仮名が多いというか、これは聞いているだけで嫌になっちゃうという方がいるんじゃないかなと思うぐらい、いらっしゃいまして、午前中の話を聞いていただけでも、マイナポータルだとかセキュリティー、ガバナンス、UI、UX、ユーザーフレンドリーとかベンダーとか、何かほかの言い方もできるんじゃないかと思うような言葉までなぜか片仮名語に置き換わってしまっていて、非常に議論も、関係あるとか興味がある人にはすごく何か深い話をしているんだけれども、それ以外の方には、本当に興味をまず失ってしまうような議論がなされてしまっているということもありまして、利用者目線、ITとかデジタルに強い方も弱い方も是非いろいろな議論ができるように、まずその下地を用意しなくちゃなというふうに、私自身は思っております。
それから、先ほど国税庁のお話がございました。私は、またちょっと後藤先生とも違って、何年か前に熊谷税務署の窓口へ行ったら、元々は、カードを使って、カードリーダーに入れて、補助金が出た時代がありましたよね、あれは五千円か何か、多分、補助金が出た時代があって、そのときに買って使っていたんですけれども、あるとき、中の、電子署名といいましたかね、あれが切れちゃって、カードは生きているんだけれども中身が使えませんみたいな話が起こっちゃって、しようがないと思ってプリントして、税務署に出しに行ったということがありました。そこで、帰るときに税務署の職員さんに止められて、これは大変でしょうから、IDとパスワード方式にしてもらえば次から楽ですよと言われたので、ああ、そうですか、いいものを教えていただきましてと言って、それから私、IDとパスワード方式でやっておりまして。
何か、今の話を聞いていると、税務署的にはすごく優しい御提案をいただいたんですけれども、マイナンバーカード的にはどうなんだろうというようなことがございました。
それはそれとしておいておいて、HER―SYSの、コロナウイルスのシステムの話がございまして、これは多分、公表されている学会誌でしょうからいいんでしょうけれども、港区のシステムをやっていらっしゃる、これは職員さんなんでしょうかね、書いていらっしゃる方がいらっしゃって、あれはもう、あのシステム自体が非常に緊急避難的に立ち上げたものだったのでしようがないんでしょうけれども、二週間ぐらいで施行が始まった、そのときにいろいろシステムのことで説明しに来てくれたりしたらしいんですけれども、とにかく、現場を見たことがないという人がそれをつくっていたと。
厚労省の中でも、こういうときですからどうしようもないんですけれども、応援部隊の方がそれに関わっていて、結局、感染症法にも知識がないので、例えば情報入力が、発生した患者さんというか感染者の方の情報をどういうふうに入力するか、そのお医者さんがある管轄の保健所で入力するものなんですよということすらその担当者が知らなかったというところから始まって、結局、その情報の入力量が、今までの処理していたものより百倍ぐらい大変なものになってしまったというような、公表されている資料ですから言っちゃっていいと思うんですが、そういうことがあったというふうに聞いています。その入力を改善した提案が受け入れられたのが半年後であったというようなこともありまして。
さっきのマイナポータルの話も含めてですけれども、やはり、使っている方の目線にどうやって立てるかというのが、これからデジタル化を進めても、もう面倒くさいから嫌だというふうに思う方が、特に初期はやはり多いと思うんですよね。そこで、どうやってそれを食い止めて、早い段階でシステムの更新なり改善というのを進めていくかというのが、これから国としても非常に重要なポイントになっていくかなと思っております。
その辺りの改善の提案の受け止め方と改善の手法の今のところのお考えについて、大臣から御答弁をお願いできればと思います。
○平井国務大臣 HER―SYSに関しては、私が担当していたわけじゃない、厚生労働省が評価するべきものだとは思いますが。
厚生労働省のいろいろな、やっている仕事というのは、地方自治体にお願いしたり、地方の保健所にお願いしたり、つまり、こっちにいて全部頭で考えて、うまく完結するというようなものがないんですね。要するに、現場のことが非常にある。
一方で、今回、全部、時間がない中でそういうシステムをつくっているので、仕事のやり方が今のままでいいのかという見直しもせず、取りあえず、まあ、つながるようにしようということなので、本来のデジタル化ということからいうと、十分な条件をそろえていなかったというふうに思います。
結局、国民の使い勝手がよくなるということ、当然、そこに関わる人たちの使い勝手もよくならなきゃいけないので、それは要するに、使い勝手のよさと全体のシステムの設計思想なりアーキテクチャーというものが、やはり同時に最初から考えられなきゃいけないんです。
それから、あるシステムで使い勝手だけよくしようというのも非常に難しいし、だから、最終的に、使っている人たちによってベストなものをつくるということを設計するためには、現場の意見、また国民の要望をきっちり捉えてから設計をするということだと思います。
そういうものが今までやはり不十分だったんだろうということは私自身も感じているので、今後、デジタル庁が関わっていくシステムに関しては、そこにこだわりたいと思います。
○森田委員 担当の省庁にいろいろな苦情なり御提言が来る部分と、それから全体を統括するデジタル庁に来る部分とか、いろいろあると思うんですけれども、いずれにしても、円滑なそういった声の吸い上げというものを改善に生かしていただきたいなというふうに思います。
コロナ禍でいろいろな支援がありました。定額給付金一人十万円というものだとか、あるいは、企業、事業者の方に対する二百万円、百万円の持続化給付金がありました。あれも、もうしようがない、緊急避難的に一律で、画一でやりましょう、スピード重視ということでやったわけですけれども、ちょっとこれは、これを検証してどうのこうのということよりも、こういうことが、例えば、仮に、十年後とか十五年後、まあそれはいつでもいいんですが、ちょっと今の流れと切り離された中で、行政がデジタル化した中でやるとこういう支援策があり得たんじゃないかみたいな話を、是非御専門である平井大臣からお聞かせいただきたいと思います。
○平井国務大臣 将来目指す社会像というのが当然そこには出てくると思うんですけれども、先生さっきおっしゃったプッシュ型のサービスというのも、ほぼほぼない、まあ、ちょっとぐらいはあるという感じだと思います、現状では。
でも、それは要するに、国民なりそこに住む人たちに一律に何かのサービスを提供しようと思ってつくっているものがほとんどです。これは民間も一緒だと思うんですよね。今まで、物を作ってたくさんの人に売るから、取りあえず在庫を抱えて売る。
だけれども、そこが大きくこのデジタル化によって変わってきたのは、今までは、やはり匿名経済、匿名だったんです。それがもう、この人にという、顕名というか、顕名経済というか、そういうものに世界の潮流として変わってきているので、やはり、それじゃないと多分評価されない時代が来るんだろうというふうに思います。
そうなると、それに向けてサービスを提供していくためには、やはり省庁の縦割りによる部分的な最適化みたいなものでは絶対にできなくなってくるというふうに思いますし、今デジタル庁で取り組もうとしているのは、ベースレジストリーということ、これは、法人からいって、個人もやろうと思っているんですけれども、結局、相手を、どういう状況にあるのかということが分かったら、当然、それに対応した政策をきめ細やかに、だから、これは将来の政策判断ということになるんだと思うんですが、結局、特別定額給付金のように、一律十万円、まあ、結局、あれは何だかんだ言いながら、千五百億円ぐらいのオペレーションコストがかかったというふうに思っていますが、ああいうことじゃない選択肢が恐らく将来はあるんだろうと。
ですから、要するに、その人の立場に応じたサービスを提供できるようなことを可能にするのがデジタル技術だと考えています。
○森田委員 オーダーメイドの支援というものができるというようなお話だったと思いますが、そのもうちょっと前の段階として、今回も私も、いろいろお店、事業者さんのところを回っている中で、やはり一律というのはなかなかきついと。事業規模、中には助かったという方もいらっしゃいますし、いや、これじゃ全く足りないよという方もいらっしゃるので、一律ではなかなかきついんだと。
そういうときに、例えば行政が持っている情報とすれば、所得税の関係であれば国税庁であったりとか、あるいは市民税とかということであればその自治体、あるいは法人事業税なんかだったら都道府県になると思うんですが、そういった、いろいろな自治体だとか国が持っている、今までの経済というか、家計だとか会社の経営状況だとか、そういったものについてのデータというものを参照することによって、例えば粗利の、このくらいを補填できるような形にしていくとか、そういった形もあり得ると思うんですが。
これから、これはもちろん情報を持っている方の許可を得てということにはなると思うんですが、ほかの省庁とのいろいろな政策の中でそういったものを、情報を活用するということについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○平井国務大臣 ワンスオンリー、ワンストップみたいなことをやはり考えていくためには、当然情報連携があってこそできるということだと思います。
そういうことを実現するためにも、やらなければならないことが結構たくさんあるんですよね。だから、例えば法人といっても、いろいろな形態の法人、個人事業主も当然ありますよね。そういうものがやはり悉皆的にちゃんとデジタルの世界の中に入ってもらって、そして、そのほかの情報と連携することによって適切な支援をするというようなことが可能になるためには、まだまだやらなきゃいけないこともあるし、政策的に判断しなければならないこともあるだろうと思います。
○森田委員 それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、文書の改ざんとかあるいは破棄、こういったものを、デジタル上のことも含めて、どういうふうにこのデジタルの時代で対策として取り組んでいくかということですが、いつとは言いませんが、あったはずの文書がなくなったりとか、こう書いてあったはずのものが白塗りになってしまっているとか、こういったことが起こってしまうと、やはり国民の皆様の信頼というものに応えられず、結局は情報を提供してもらうという基盤そのものがなくなってしまうということになるんだろうなと思います。
是非、このデジタルの時代を踏まえて、改ざんとか破棄だとか、こういったものをどうやって防いでいくのかということについての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○三上政府参考人 お答えいたします。
公文書管理は、現在と将来の国民に対する説明責任を全うするため、極めて重要な業務でございます。公文書の改ざんや不適切な廃棄、これはあってはならないものと認識しております。
政府におきましては、平成三十年七月の行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議の決定に基づきまして、決裁文書の事後修正を禁止するルールを明確化したり、あるいは、文書管理の人事評価や懲戒処分への反映、各府省におけるチェック体制の整備、これは、各府省に公文書監理官、いわゆるCROを配置するなどでございますけれども、そういった様々な改善、充実を実施してきたところでございます。
また、情報システム面の取組といたしましては、例えば電子決裁を修正できない仕組みを導入したり、あるいは記録用フォルダの読み取り専用化を行うといったことなどを通じまして、改ざんや不適切な廃棄がなされないように取り組んできているところでございます。
さらに、行政や社会全体のデジタル化が急速に進められる中、本年一月に開催した公文書管理委員会におきまして、デジタル時代の行政文書管理の在り方について議論を始めたところでございます。
改ざんや不適切な廃棄を防ぐための措置も含めまして、公文書を適正に管理していくための方策について、関係機関ともよく検討し、それを実行に移してまいりたい、このように考えております。
○森田委員 例えば、ブロックチェーンの技術だとか新しい技術が出てきて、不正だとか故意の改ざんだとかというのを防ぐといういろいろな技術も出てくるんだと思います。
先ほど御答弁にもあったように、やはり現在の私たちに対することもそうだし、将来の日本国民に対する責任というのもこれはあると思いますので、ちょっとこの辺り、いろいろ技術にもお詳しいところで、大臣から文書の取扱いについて一言いただけないでしょうか。
○平井国務大臣 まず、紙の文書のやはり改ざんリスクとか、要するに、誰が見たか閲覧記録が残らないとか、紙は紙でいいところもあることは否定はしませんが、管理の面からいうと、やはりデジタルより劣る部分が非常に多いと思います。
デジタル化というのは、やはりいろいろな行政のプロセスを透明化していく意味で、優れた、いつどこで誰が何を何のためにというようなこともちゃんと残すことができるとしたら、それをちゃんとそういう行政の仕事のやり方の中で使っていただけることが望ましいと私自身は思っています。
○森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○木原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、最初に、ガバメントクラウドについてお尋ねをいたします。
国、自治体の行政情報システムが置かれるというガバメントクラウドはどのようなものになるのか、そこには、データそのものはどこに置かれるようになるのか、この点について簡単に御説明いただけますか。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
ガバメントクラウドでございますけれども、今、デジタル庁が整備し、各省庁や地方公共団体が利用するということを想定しておるわけでございますけれども、個々の業務システムに関するデータも格納するというものでございます。
○塩川委員 十七日の質疑の中で、公文書管理のやり取りの際に、日々の行政文書を作成、保存するための政府の基幹的な情報システムをデジタル庁が整備をする、紙媒体だと一つの行政文書が存在することになるが、クラウド上の電子情報になると関係機関が共有することになると述べておりました。
そうしますと、ガバメントクラウドを利用してそれぞれの業務を行う職員が、どこまでデータにアクセスできるんでしょうか。
○時澤政府参考人 ガバメントクラウド上でのデータへのアクセスでございますけれども、このデータのアクセス権限は、データを所管する行政機関がそれぞれを設定するということでございます。
当該データが格納されるクラウド上の領域におきましては、他のデータが格納される領域と論理的に分離することとしております。
このため、従前と同様に、データを所管する行政機関以外には当該データにはアクセスすることができないものでございます。
また、ガバメントクラウドの実装に当たりましては、最新かつ最高レベルのセキュリティーアクセス制御技術を持つ複数のクラウド環境を採用することといたしておりまして、分散管理や不正アクセス防止策は現行システムよりも高度になるものと見込んでいるものでございます。
○塩川委員 デジタル庁は、ガバメントクラウドの統括、監理を行い、国の情報システム予算の一括計上、予算配分を行うとしております。そうであれば、デジタル庁職員は、このガバメントクラウド上にある他省庁や自治体のデータにアクセスできるようなことになりはしないか。この点、いかがでしょうか。
○時澤政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、データを所管する行政機関がそれぞれアクセス権限等を設定をいたしますので、デジタル庁の職員がそれを見るというようなことは不可能だというふうに考えております。
○塩川委員 データを所管する省庁にということですけれども、これは何か法的な担保という形のものというのはあるんでしょうか。
○時澤政府参考人 法的な担保というよりも、そのようなものを目指してということでございまして、例えば、政府によるクラウドセキュリティー評価というのがございます、ISMAP、これの評価、登録を受けたクラウドサービスを使うということとか、あと、所管の、国内とかというのもありますけれども、先ほど申し上げましたように、データをそれぞれ論理的に分離するということで、分散管理をするということで高い機密性を確保する、あるいは専用回線でセキュリティーを確保するというようなことを考えているところでございます。
法的という、法律によるものということでは、法律にはございません。
○塩川委員 そういう意味では、ガバメントクラウドという新しいものをつくる、そういった点については、法文上、ガバメントクラウドそのものを何らか規定するような形になっておりません。もちろん、つくり込みで、いろいろな形でやるんでしょうけれども、やはり、こうやってデジタル庁が大きな権限を持つときに、法的な根拠がない形でのガバメントクラウドの在り方というのは非常に懸念があるということを、不透明さがあるということを指摘しておきたいと思います。
もう一つ、マイナポータルの関係なんですが、政府が管理運営していますウェブサイトであるマイナポータルにおいて、本人が知らないところで行政が持っている自分の個人情報が外部で使われるんじゃないかという不安の声があるんですが、この点についてはどのように御説明をされているんでしょうか。
○冨安政府参考人 お答え申し上げます。
今委員おっしゃいました、マイナポータルで自分の情報が外部の民間事業者等に提供されるというような話かと思います。
マイナポータルにおきましては、御本人さんの意思によりまして、御本人さんの情報を民間事業者に提供できるというようなサービスを提供しております。マイナポータルは、ウェブ画面を通じて国民に各種のサービスを提供するだけでなく、順次、APIを開発、提供することによりまして、民間事業者や行政機関など様々なウェブサービス提供者と接続しサービスを提供するという意味で、利便性の向上に努めているところでございます。
ただ、今申し上げましたとおり、あくまでも自分の情報を自分の意思により提供するということになっております。
○塩川委員 自分の意思ということで、本人確認や本人同意、その上で利用するという話だと思います。
政府は、マイナポータルでの情報連携を強化しております。平井大臣も、今日もマイナポータルのプッシュ化、プッシュ型サービスという話もされておられました。プッシュ型サービスという場合については、そのプッシュする側が個人データを持っているから求められるであろうサービスを提供することができるということになります。
そうしますと、マイナポータルはまだ入口ですから、その先に道がつながっているという格好でしょうけれども、マイナポータルを通じて、本人だけでなく、行政とか事業者はどこまでデータにアクセスできるのか、その辺はどういうふうになっているんでしょうか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
APIをマイナポータルは民間事業者に提供するわけでございますけれども、その適正を図るために、利用に関する規則及び利用規約を定めて、民間事業者の利用要件や手続を定めるとともに、システム上の安全管理処置を厳格に講じているところでございます。
また、自己情報を提供するAPIの利用に当たりましては、民間事業者の利用要件や手続として、ただいま、どこまでの情報ということがございましたけれども、あらかじめ、利用目的、利用する自己情報についても審査いたしまして、目的に照らしまして必要な自己情報のみを提供するというふうにさせていただいているところでございます。
○塩川委員 目的外の利用はできないという話ですけれども、そもそも、このマイナポータルがどのようなサービスができるのか。これ以上はできないとか、こういったものを何らか定めているような法的な根拠はあるんですか。
○平井国務大臣 先ほども答弁にあったとおり、順次APIを開発、提供することによって、民間事業者や行政機関などいろいろなウェブサービス提供者と接続してそのサービスを提供していくということなので、将来どこまで広がるかということは、国民が利便性を感じるというようなものに関してはこれはどんどん広がっていくんだろうというふうに思います。
ただ、このAPIによる個人情報の提供は、行政機関から本人に提供された自己の情報を自己の意思によって民間事業者に提供するものであって、個人情報保護法やマイナンバー法に提供の根拠となる具体の規定があるわけではないんですが、APIの民間事業者等への提供については、利用に関する規則及び利用規約を定めて、システム上の安全管理処置は非常に厳格に講じようというふうに思っています。
そういうことで、あくまでも、先ほどのプッシュ型の話にしても、本人が望む場合ということですから、そういう意味で、あくまでも自分の同意に基づいて広がっていくものだと考えております。
○塩川委員 本人が望む、本人同意ということが前提だという話ですけれども、この後LINEの話もしますが、本人同意というのもいかなるものかという点は改めて問われるところだろうと思っております。
政府のサービスでありながら、この法的根拠が示されない。個人情報を扱うサービスでありながら、マイナポータルは個人情報保護法の規制の対象にはならないですよね。
○冨安政府参考人 マイナポータルも行政機関、内閣府でございますので、行政機関個人情報保護法の対象になります。
○塩川委員 個人情報保護法の対象になる。(平井国務大臣「なります」と呼ぶ)はい、分かりました。
そういったことも踏まえて、この制度設計の在り方そのものをしっかり見ていかなければならない、国民の不安、そういうようなことがあってはならないということを申し上げておきます。
そこで、LINEの問題です。
国内の月間利用者八千六百万人という無料通信アプリLINEの利用者の個人情報に中国の関連会社からアクセスできる状態になっていたという点で、極めて重大な問題であります。このLINEの問題について政府としてどうしていくのか、大臣から一言と、個人情報保護委員会の事務局から説明を求めたいと思います。
○平井国務大臣 個人情報保護上、外国の第三者への個人データの提供に当たっては、本人の同意を取得するか、日本の事業者が講じることとされている措置に相当する体制を提供先が整備していることを確認することが求められています。また、個人データの取扱いを別の事業者に委託又は再委託する場合には、委託元において、当該委託先等における個人データの安全管理について監督を行うことが求められています。
本件については、個人情報保護委員会において、個人情報保護法の規律の遵守状況を含めて、事実関係の詳細について、Zホールディングス社及びLINE社に説明を求めていることを私も承知しております。
ですから、国民からの関心も非常に高い、そして多くの方々が使っているということでございますので、個人情報保護委員会において迅速に対応してもらいたいと考えています。
○福浦政府参考人 私どもといたしましては、個人情報保護法上の規律の遵守状況を含めまして、事実関係の詳細につきまして把握すべく、Zホールディングス社及びLINE社に説明を現在求めているところでございます。その規律がちゃんと守られているかどうかという点をチェックポイントとして、今後チェックしてまいりたいと考えています。
○塩川委員 外国の第三者へのデータ提供の本人同意の問題、そして委託の問題、しっかりと明らかにしていくことを求めたいと思います。
それで、本人同意の点で、LINEの利用規約を見てみますと、その中にLINEプライバシーポリシーというのがあって、それを開けるとずっと書いてあるわけですけれども、「お客様から同意を得た場合」、「お客様のお住まいの国や地域と同等のデータ保護法制を持たない第三国にパーソナルデータを移転することがあります。」と書いてあります。しかし、そこだけでチェックするというわけではないわけですよね。全体で認めるかどうか。つまり、サービスを利用しようと思ったら、全体を丸、同意という形にしなければならない。
こういう一まとめで本人同意を求めるやり方で本当にプライバシーが守れるのかと思うんですが、その点、どうでしょうか。
○福浦政府参考人 個人情報取扱事業者が本人の同意を取得する場合には、事業の性質及び個人データの取扱状況に応じまして、「本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない。」という旨を私どものガイドラインで示してございます。
私ども委員会としましては、本人が同意するに当たりまして適切な判断ができるように、今後とも、今申し上げたようなガイドラインの考え方を示していくとともに、不適切な事案に対しましては必要な監督を行ってまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 大臣に伺いますが、大臣も、LINEはインフラだということもおっしゃっておられました。公共財という性格もあるんだということになりますと、それなりにプラットフォーマー側は非常に強い立場がありますから、個別の選択肢を示さないで一まとめで利用者に同意を強いる、こういうやり方がやはり不正常な事態につながっているんじゃないか、その点についてはどのようにお考えですか。
○平井国務大臣 プラットフォーマーというのはこれからすごい競争環境の中に置かれると思います。今回、Zホールディングス社が個情委の方に自らそういう状況を報告に行ったというのも、やはり、今後、LINEであるとか、今度新しいZホールディングスがやる、プラットフォーマーとしての信用がなくなるということを一番恐れたから報告に行ったのではないかと推察しています。
ですから、多くの国民の皆さんがそれを信頼しなくなった途端に事業モデルとしては成り立たない時代というふうに考えているので、そこは各社、やはり競いながら、そういう国民からの信頼をいかにかち得るかということで、そこのところもやはり競争になっていくんだろうというふうに思いますし、あとは、個人情報保護委員会が適切にそういうものを監視していくということが非常に重要なのではないかと思います。
○塩川委員 個人情報の利用者、管理者の方にきちっと縛りをかけるというのを緩めてきているのが、この間の個人情報保護法制でした。そういったときに、やはり、そうではなくて、個人情報保護、プライバシーの権利、自己情報コントロール権、ここをしっかりと強化することこそ今必要なんじゃないか。そういう点で、サービス提供者の都合が優先をされて本人同意が形式的なものとなっている、こういう現状こそ見直すときだと思います。
個人情報保護の立場で本人同意の在り方を見直す必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○福浦政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、本人同意につきましては、その在り方についてガイドラインでお示しをいたしております。当委員会としましては、本人同意が適切な判断の下で行われますように、今後とも、ガイドラインの考え方を示しますとともに、不適切な事案に対しましては必要な監督を行ってまいります。
○塩川委員 そのガイドラインが不十分なんじゃないかということです。データ主体の権利保護というのは国際標準となっていて、自己情報コントロール権というのはプライバシー権の中核だという話、昨日の山田参考人の話も伺って、なるほどと理解を深めたところであります。こういう立場での対応こそ求められている。
あわせて、昨日の参考人質疑で山田参考人も指摘しておりましたが、データの集積が進み、利活用が進めば、システムが大きくなり、業務委託も拡大をし、重層下請構造にもなります。LINEの一端もそういうところに表れていると思います。これは、やはり漏えいの危険も高まり、保護義務の徹底が困難になる、こういう重層下請構造の実態というのはそういうものを生じさせるものではありませんか。
○平井国務大臣 さっきの、結局、下請構造とかそういうものもやはりオープンにしていくというのが非常に重要なこともあって、そういうことをやはりトータルで消費者というものは判断していくんだろうというふうに思います。
ですから、使ってもらえるためには、やはりそのトラストをいかに国民の中で醸成していくかということですから、そういうことも含めて、各企業が法律に従い、またいろいろな規則に従いながら、また更に国民の納得を得られるようなやり方をやるということだと考えています。
○塩川委員 重層下請の話は民間だけの話じゃありません。国の情報システムでも起こっている問題でもあります。この間のCOCOAのアプリの開発の再委託もありましたし、日本年金機構のデータ入力業務の再委託の問題や、持続化給付金では、事業の再委託、丸投げという形での、これは在り方そのものの問題でもありますけれども。
このような、やはり大きなこういう情報管理をする、大きな集中管理のシステムを更に大きくすると、こういった保護義務の徹底が困難になるというのは、まさに国の情報システムでこそ問われているんじゃないでしょうか。この点はどうですか。
○平井国務大臣 システムをより、大きさだけじゃなくて、いろいろなことを実現しようとすると、そういう、それぞれやはり得意分野を持っているいろいろなエンジニアを集めて、一つの新しい価値をつくるということになっていくんだろうと思います。
そこで、やはり一番重要なのは、そういうプロジェクトをマネジメントしていく体制、そして、それをきっちりとつくっていくということにお金が今後、コストもかかっていくんだろうというふうに思います。
ですから、たくさんの下請を使うということが悪いわけではなくて、それをきっちりと説明責任を持ってマネジメントできる、その体制をこれからやはり企業には求めていかなければならないと考えます。
○塩川委員 企業への説明責任はそれはそれで重要ですけれども、そのシステムの在り方の問題、重層下請構造を必然的に生じさせるような今のデータの集中のシステムの問題についてこそ、方向を示す必要があるんじゃないかと思うんですが。
○平井国務大臣 それは、システムのアーキテクチャーの問題と、その下請の問題とはちょっとレイヤーが違う話かなというふうには思うんですけれども。
やはり、誰から見ても納得できるような形の、説明が得られるような開発体制をつくった上で、システム自体がどんどんどんどん下請に行くわけではないわけで、一つのシステムをつくり上げる過程でそういうことになるわけですから、そこら辺りは、先ほども申し上げましたけれども、全体のマネジメントと説明責任というものが更に強化されるべきだと思います。
○塩川委員 行政の情報公開、透明性の確保、これがやはり国民の信頼をつくっていく一番の土台だ、こういうことの取組の仕組みづくり、これこそ行うべきではないかということを指摘しておきます。
それで、山田参考人のお話で、個人情報保護法の歴史を振り返っての説明がありました。第一世代である一九八〇年代のコンピューター上の行政機関保有情報に関する個人情報保護法。第二世代である二〇〇〇年代の個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人個人情報保護法。そして、第三世代の、二〇一五年、それから二〇二〇年、昨年もあると思いますが、改正個人情報保護法というのは、実際上はビッグデータ活用法と指摘をしておられました。
第四世代である今回の改正案は、一元化、自治体の上乗せ、横出し規制、オープンデータを押しつけるなど、まさにフルスペックで、利活用がしやすい個人情報保護法に変わる、こういう指摘をどう受け止めておられますか。
○平井国務大臣 改正後の個人情報保護法第一条は、改正前と同様に、法の目的について、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを規定しています。
個人情報の有用性に配慮しつつというのは、要するに、情報を使わないことによる不利益というものもあるんだろうということだと思います。
そして、今回、個人情報保護法の主たる目的が個人の権利利益の保護にあることを明示した上で、個人情報の有用性への配慮もこの主たる目的に付随するものであるという趣旨を示すものであるというふうに思います。
この法律の目的に従いまして、個人情報保護とデータ利活用とのバランスの取れた社会全体のデジタル化が望ましいと考えております。
○塩川委員 データ利活用と個人情報保護のバランス、両立というお話でしたけれども、率直に言って、このLINEの事件も、この個人情報保護法がデータの利活用に大きく傾いていく、そういう法律になってきたがゆえに生じた問題なんじゃないのか。
こういう認識が求められているんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 私はそのようには思っていなくて、やはり国民が求めているサービスを提供する事業者が、こういうデジタル化で世の中が急速に変わっているところ、新しい価値を創造しながら提供してきたということで、個人情報というものを保護を緩めたからそういう事業者が出てきたというのは、アメリカとかヨーロッパのことを考えてみてもちょっと当たらないのではないかと思います。
○塩川委員 やはり、自己情報コントロール権、プライバシーの権利、これをしっかりと拡充をしていく、そういう方向こそ求められている。データ利活用を個人情報保護に優先してきた政策の転換こそ必要だと思います。
個人情報保護委員会の在り方も問われていると思います。
この間、経産省が進めてきた生産性向上特措法に規制のサンドボックスというのがありまして、一連の規制緩和措置、規制緩和の穴を空ける、こういうスキームをつくってきたんですけれども、このサンドボックスを活用した革新的データ産業活用計画の認定において、活用するデータの中に個人情報が含まれる場合には、あらかじめ個人情報保護委員会と事前協議をすることになっております。これにより、個人情報の利用に歯止めがかかっていると説明してきましたが、しかし、個人情報保護委員会との協議を行った五十七の案件について、全て個人情報委員会が了承すると。
個人情報保護委員会で審査したというのは最初の方だけで、その後は事務局で処理をする。これは余りにも、個人情報の取扱いとして保護と言えるのかということが問われると思うんですが、個人情報保護委員会、どうでしょうか。
○福浦政府参考人 当委員会では、生産性向上特別措置法に基づく革新的データ産業活用計画の認定につきまして、当該計画で用いられたデータに個人情報が含まれる場合であって、政令で定める場合には、主務大臣から協議を受けるということとされております。これまで受けた協議に対しまして、当委員会において申請書を確認の上、個人情報保護法等を遵守の上実施されたい旨を回答をいたしております。
本件につきましては、個人情報保護委員会行政文書取扱規程によりまして、本来、事務局長の専決事項とされておりますが、新たな制度を適切に運用する観点から、案件ごとに委員会で審議することとして運用開始をいたしました。
その運用開始後、実際に協議を受けた案件について検討いたしたところ、個人情報保護法の観点から、実質的な法的な確認を要するというような案件ではなかったということから、以後、同種の案件について協議を受けた場合は、原則どおり事務局長の専決事項として処理することといたしたところでございます。
○塩川委員 個人情報保護委員会の中で議論したものも、そのやり取りが出てこないのでさっぱり分からないんですよ。
事務局長にお任せですと、こういうやり方というのは、このサンドボックスという規制緩和についてのまさにチェック機能として個人情報保護委員会が期待されていたのに、その役割を果たしていないのではないのか。こういった案件の了承の後に、実際にどうなったかのフォローアップも定められていないという点も重大だということを指摘をして、質問を終わります。
―――――――――――――
○木原委員長 この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○木原委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今日は、デジタル改革関連法案ということの審議の二回目ですので、今朝の内閣委員会理事会で始まりました法案の修正に向けた与野党協議に日本維新の会として提案をしている、提示をしている改正事項、要望事項、必要だと思う論点メモですね、これに関連する質問を政府に申し上げたいと思っていましたが、それもいたしますが、ちょっとLINEの問題が大変大きな課題になっていますので、少し取り扱わせていただきたいと思います。
今日かな、いつかな、これは、自民党の山田宏議員が、LINEの個人データ、これは委員会の動画がネットに上がっていまして、今日だと思うんですけれども。LINEの個人データが中国からのぞき見可能な状況が二年三か月続いてきた、危険性が明らかになったので政府の中ではLINE使用を停止すべき、また、情報管理できているか国が確認できるようにするのは安全保障上も必要なので、国産通信アプリ育成の検討をという発言をされたそうです。
国産アプリ育成というのは、よく分かっていない人が言うんですけれども。いや、それは大事です、大事なんだけれども、じゃ、まず、LINEはどこの国のアプリですかね。
LINE社あるいはZホールディングスの資本関係について、三浦審議官、今日、急にごめんなさいね、ちょっと、やはりこれは今日やらないと、週末、土日を挟むと被害が拡大するなと思いましたので、お越しをいただきました。よろしくお願いします。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
三月一日付で、Zホールディングス株式会社とLINE株式会社が経営統合し、現在、LINE株式会社はZホールディングス株式会社の一〇〇%子会社となっているものと承知をしております。
三月一日付のLINE株式会社のプレスリリースによりますと、Zホールディングス株式会社の株主は、Aホールディングス株式会社が六五・三%、一般株主が三四%となっております。
○足立委員 すると、会社の国籍というのは簡単な議論ではないんですが、国民向けというか、広く国民の皆様に認識をしていただく、これだけ米中戦争とかやっている中ですから、中国の会社なのか、韓国の会社なのか、日本の会社なのかということがやはり大事だと思います。
私は今の御説明のとおりだと理解をしておりますので、この三月一日付で、韓国企業、韓国の会社から日本の会社に、MアンドAを通じて日本の会社になったと私は理解していますが、正しいでしょうか。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
経営統合以前については、LINE株式会社は韓国に本社を置くネイバー社が過半数の株を保有していたものと承知をしております。
三月一日付で、LINE株式会社は日本に本社を置くZホールディングスの一〇〇%子会社になったものと承知をしている次第でございます。
○足立委員 まさに、山田宏議員が何かあおっていて、自民党の議員でたまにあおる人がいるんですけれども、今このタイミングで、これだけ国民の皆様が不安に思うような報道が続いている中で、政府・与党、与党の議員が国民に向けてあおるような質疑をするというのは、私は、センスが悪いというか、見識を疑う。あっ、余り、上品にやります。私は本当にそう思いますね。だから、本当に恥ずかしいこと、あっ、やめておきましょう。問題があると思います。
だからこそ、私は、言葉は上品にやりますが、そういう議員がまだ国会にいるものですから、そういう発信に対して、やはりこれは正確な議論を今日しておく必要があると思って、三浦審議官に無理をお願いして国会にお越しをいただいた次第であります。日本企業であります。
さて、そういう中で、確かにいろいろな課題があるわけでありますが、今回のような問題、これはまさに、米中貿易戦争の中で、デカップリングという議論があります。まさにサプライチェーン、ものづくりだけではありません、まあ、これもものづくりですね。まさに、こういうソフトとかアプリとか、こういうクラウド上の様々なサービスのサプライチェーンがあるわけでありまして、そのサプライチェーンの中で、中国には国家情報法というような様々な問題のある法律が、海警法だけではありません、こういう、ソースコードとか機密情報を国家が取れるような法体系があるわけですから、これはもう徹底してそういう対策を、経済安全保障ということで、平先生とか、木原先生もそうですけれども、自民党が甘利さんの下で、私が尊敬する、TPPを仕上げた大功労者である甘利衆議院議員の先生の下に経済安全保障の議論をしているのは、まさにそういう議論をするためであると思っています。
そういう観点でいうと、確かにLINEには問題があったと思いますよ、でも、これは日本企業になったから分かったんだと私は勝手に思っています。だって、この三月一日に向けて、ここ二、三年、ずっとそれをやってきたわけです、作業を。そういう中で、いろいろなものを日本企業が把握することができて、それを朝日新聞が抜いて、こうやって大々的にやった。
朝日新聞がなぜ一生懸命これを報道しているかって、多分、日本企業を潰したいからじゃないですか。私はそう思っていますね。なぜ朝日新聞がこのLINEをめぐる情報を抜いて、それを大々的に報道しているかといえば、いよいよLINEが日本の手に落ちた、日本のものになった、だから朝日新聞はこれを潰したいと思って攻撃しているんですよ。
だから、私は、今や日本企業になったLINEに何か過剰反応をちょっとし過ぎじゃないか、山田宏議員、こう申し上げているわけであります。
それで、ここからは、通告は余りちゃんとできていないんですけれども、平井大臣、ちょっと通告をちゃんとしていないんだけれども、いや、できていないです、こういう状況だから、できていないんですけれども、ちょっと議論しておきたいのは、ああ、そうだ、個人情報保護委員会にちょっと見識をお伺いしたいのは、ちょっと通告できているかどうかもよく分からないんだけれども、確かに、今回、問題があるよね。じゃ、ほかの会社、ほかのプラットフォーム、LINE以外のプラットフォームやアプリは、では、こういうことはないということを日本政府は確認できていますか。
○福浦政府参考人 議員お尋ねの実態につきましてはまだ把握できておりませんで、今後その実態をどうやって把握していくのかというのが課題だというふうに思ってございます。
○足立委員 したがって、また月曜日に、土日を挟んで月曜日に、NHK予算の審議がありますので、総務委員会でこの問題を改めて取り上げますが、今、事務局長から御説明があったように、分かっていないんですよ。フェイスブックはどうなの、アメリカの会社は、日米同盟の中で、国民的には安心かもしれないけれども、サプライチェーンはどうなっているか分からないですよ。だって、iPhoneのサプライチェーンだっていろいろあったわけでしょう。その中で、じゃ、アメリカのフェイスブックやいろいろなものが、サプライチェーンで本当に中国に入っていないかということは誰もチェックできていないと思う。
そういう中で、LINEについては、今月から日本企業になったので、日本企業が、日本国民の安心や安全のために、これは多分、日本企業がこういう実態を把握できて、初めて把握できたので、それが今、表になりつつあって、そして、だからこそ、私は、ちょっと山田さんに相当僕は違和感があってね、ちょっと極端なことを言いますけれども、今や日本企業であります。これだけマスコミに注目されています。LINEが一番安全なんじゃないかと思うんですね。
大臣、私がちょっと申し上げていることは、何となく、言っていることは分かりますよね。(平井国務大臣「よく分かっていますよ」と呼ぶ)
そうであれば、先ほど、総務大臣が、総務省で使うのをやめるとか、総務大臣じゃない、総務省が今日発表しているんです。総務省が、総務省としてはLINEの使用を停止すると言っているんです。そんなことをしたら、ワクチンとか、自治体だってみんな使っているわけでしょう。これ全部止めるんですかということになります。
恐らく、今日金曜日、土曜日、日曜日、月曜日に僕はもう一回これを国会でやりますけれども、この情報がどう流通するかによって、まさに、ようやく日本が、日本国籍というか、日本の旗がついた、日本の企業が保有することになった、これだけドミナントな、便利なLINEが、朝日新聞の、どんな企図があったか分かりませんが、報道によって、それに脊髄反射する形で、平井大臣は分かりますけれども、普通の大臣は脊髄反射しちゃいます。
だから、政府・与党なんだから、少しは脳みそを使って、脊髄で反射するんじゃなくて、そうやって停止をしたら一体何が起こるんだと。それは、経済的にあるいは安全保障の面から合理的な判断なのか。それを、私は、平井大臣によく閣内で議論していただいて、総務省を含めて、あるいは自治体、総務省は大事ですよ、総務大臣が停止したら、総務省が停止したら、全国の自治体が、今日、あした、あさって、月曜日と、大もめにもめますよ、これ、アプリ。
そうだよね。ちょっと誰か、この報道、総務省の人、いないよね、今日呼んでいないから。報道されているよね、今井先生。
○木原委員長 足立委員、質問をお続けいただいて。せっかくの時間ですので。
○足立委員 そう大々的に報道されています。総務省がLINEの使用を停止すると。
それから、これも脊髄反射をしているのが立憲民主党です。あっ、今井先生は頭を使っていますけれどもね。特に国対委員長、あっ、やめておこう、訂正します。立憲民主党の国対の幹部が、立憲民主党はLINEを使わないなんということを、もう本当、脊髄ですよね。
ごめんなさい、平井大臣、私も今日、準備なく質問に立っていますが、平井大臣も準備ないと思いますが、ちょっとこれは、今日の審議の後、総務省とも議論していただいて、今日中に何か、もう少しちゃんとしたメッセージを平井大臣として国民向けに出されることを私は期待したいと思いますが、ちょっと、検討はいただくということでいかがでしょうか。
○平井国務大臣 総務省のことなので、私は今、事実関係は存じ上げないし、コメントする立場にないというのも御理解いただきたいというふうに思うんですが、私自身は、個人ですよ、個人としては、LINEの使用をやめておりません。ただ、役所は多分、私の記憶が正しければ、元々使っていないと思います。
しかし、こういう国民の関心事であると同時に、八千万人を超えているわけですから、一種のインフラだとかつて私は発言しましたが、それは事実だと思います。こういう影響力が非常に大きい事案だけに、個人情報保護委員会には、もう今までにないスピードで迅速にそして適切に対処してもらいたいというのが、私の立場としてはぎりぎりのところなんです。それを御理解いただきたいと思います。
○足立委員 福浦事務局長、私が今申し上げたことを聞いていただいて、私はとにかく、合理性ですね、合理的に考えると、感情じゃないですよ、政治家はみんな感情で政治をやっていますけれども、今大事なことは冷静な判断です。冷静に考えて、国民に、LINEは危ないからやめろ、あるいはそういうことを、閣僚、中央省庁、霞が関がそういうふうに脊髄で反応しつつある中で、特にLINEをたちまち、まずはやめてほしいという状況では全くない。むしろ、ここは私の私見ですけれども、日本企業だ、ちゃんとコミュニケーションも取れる、これだけ注目されているから、中国だって変なことをしにくい。
いろいろなことを考えると、むしろ私は一番安全だと、少なくとも、LINEだけ今国民にすぐやめなさいというようなものではないと思いますが、いかがでしょうか。
○福浦政府参考人 私ども、個人情報保護法の所管でございまして、先ほど大臣からもありましたとおり、今、新聞報道等ございました事案が、個人情報保護法上どういう点で規律に対してどういうふうに関わっているかということを早急に調査するのが当面の任務だというふうに思っています。
○足立委員 三浦さん、コーポレートガバナンス・コードの話をちょっとしてほしいんですけれども。
一つは、経済安全保障の重要性。
これは恐らく、この委員会にいる人間はみんな、共産党は余り分からないかもしれないけれども、みんなよく分かっています。そういう中で、例えば個人情報保護委員会におかれては、個人情報保護法のガイドラインにおいてどれだけプライバシーポリシーを分かりやすくするべきだとか、そういうことをもっともっとガイドラインを強化をしていく、そういう観点でもっとコンシャスにそこを作り替えていく、強化していく、経済安全保障の観点から強化していくことが私は必要だと思います。まず一つ。それをやる用意はまだないよね、まだない。それはだから、もういいや、聞いても仕方ないから。
三浦さん、一方で、コーポレートガバナンス・コードというのは、私が今申し上げた意味でも、データガバナンスを強化していくという意味で、大変重要な規律づけになっていると思いますので、ちょっとその辺を御紹介をいただきたいと思います。
○三浦政府参考人 お答え申し上げます。
製品、サービスのサイバーセキュリティーを確保するためには、委託先、取引先を含めた設計、開発、運用などのサプライチェーン全体での信頼性確保、これが重要だと考えております。
ソフトウェアの開発、運用を外部の企業に委託する場合、開発段階ではバックドアなど悪意あるコードの埋め込み、運用段階ではソフトウェアのアップデートを通じた不正な機能変更、こういったリスクに対応していくことが必要ではないかと考えております。
特に海外の事業者を活用する場合には、国や地域によって、インターネット環境、さらにはデータ管理に関するルール、こういったものが異なるという点に留意が必要でございます。サプライチェーンにセキュリティー上の脆弱性を持ち込まないよう、グローバルガバナンスを確立することが重要と考えている次第でございます。
経済産業省では、コーポレートガバナンス・コードの実務への当てはめに関する指針として、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針、こういったものを策定しております。
その中で、サイバーセキュリティー対策の在り方を位置づける、こういったことなどを通じて、サイバーセキュリティー経営を促進しているところでございます。
本指針の周知などを通じて、産業界の対策強化というのを促進してまいりたいと考えている次第でございます。
○足立委員 まさに今、三浦審議官が御紹介いただいた、これは所管、コード自体は金融庁が見ているそうでありますが、これをどうやって企業の企業活動に埋め込んでいくかということは経産省の仕事でありますので、今御答弁があったように、しっかり経済産業省あるいは内閣官房、関係機関が連携して、今、こういう国民の不安にしっかりと応えていくことが大事だと思っています。
あと五分となりましたが、法律の議論はまた理事会でやるんですが、せっかくあと五分あるので、もう少しちょっと話をさせていただくと、私は、別に、LINEを何とか守りたいとか、何か別に、献金も、日本維新の会は企業・団体献金禁止ですし、全く利害関係もなければ、おつき合いも、お友達はLINE社にもいますが。
ただ、繰り返しになりますが、日本企業になりました。その結果、いろいろなことが分かってきました。こうやって報道もされて、注意喚起もされた。ここで中国は、すぐにサプライチェーンが変わらないにしても、今悪いことをできる人はほとんどいないと思いますし、実際に、Zホールディングスは、この買収に当たって、今年に入ってから、遮断すべきは既に遮断をし、そして何か委員会を、グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会というのをつくられて、もう今日か明日にも報道があると思いますが、相当ちゃんとした学者、有識者、弁護士を集めてやっていらっしゃるようです。
結論から言うと、大臣、もう聞きませんけれども、今申し上げたようなことです。先ほど事務局長からもあったように、ほかだって何をしているか分からないです、そのサプライチェーンの中で。その中で、せっかく日本の企業となった、かつ八千万人が使っているアプリ、今、ワクチンの関係でも自治体が積極活用をしている、防災のときにも使っている、そういうまさに日本の企業を、かつてうそばっかりついてきた朝日新聞が潰しにかかっている中で、だって、これは本当にみんなが使わなくなったら大変なことですよね。だって、自治体を見ているその大ボスである総務省が使わないと、今日、NHKで報道されているわけです。よくないよね。それをあおっているのが自民党の一部ですよね。
だから、私は、平井大臣、もうここで御答弁は要りませんが、是非、やはり何らかの、ちょっと冷静にやろうぜと。これだけは言っていただけるんじゃないかな、要するに、脊髄反射はするなということを、是非ちょっと。
○平井国務大臣 その言い回しは、私、一回も使ったことがないので、なかなか口にはできないんですけれども、こういうときには事実関係をきっちりと調べて、それを公表するということが一番重要で、あとは、そのスピード感だと思います。
○足立委員 ありがとうございます。
ただ、事実関係ってやはり時間がかかるんですよ。だから、全ての事実関係に関する情報が全てに、要は、事実関係が全部集まってから判断するんだったら、役人でもできるんです。情報が不完全な情報、私も不完全です、でも、私は判断しました。私が持っている不完全な情報だけれども、私は、政治家として、これはゆゆしき事態だと。山田宏さんの発信は間違っている、間違っている可能性が高い。だから、私が権力を掌握していたら、私はそういうことはやりません。私が総務大臣だったら、そういう安易なメッセージを国民に送ることはしません。
だから、やはり、大臣、そこは、事実関係、事実をまず把握するではなくて、限られた情報だけれども冷静に判断していくことは大事だねと。大臣、ちょっと待って。これはニュースにならないと意味がないんですよ。だってそうでしょう。私の言っていることがニュースにならないと誰も見ないですね。平さんと木原さんがそうだねと言っていても仕方ないわけです。ちょっとニュースバリューのある発言をお願いします。
○平井国務大臣 非常に難しい御注文をされますけれども、常にやはり冷静に判断していくということは非常に重要だと思います。
そして、今国民が利便性を感じているから使っているということと同時に、やはりその企業に対する信頼感があるから今まで使われてきていたということだと思います。企業はその信頼感をちゃんと維持していくために、ここはもう全力でそういうことに対する説明責任を果たすものだと思っています。
○足立委員 時間が来ましたので、終わります。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。
今日も出番をいただいて、ありがとうございます。岸本委員の代わりに、岸本委員はいるんですけれども、私に出番を与えていただいて、本当に感謝を申し上げます。
ということで、貴重な時間なので法案の中身を聞きたいんですが、ちょっと私も、どうしても一点。
今日、総務省に来ていただきました。
私は、これまでこの総務省の接待の問題は一切取り上げてきませんでした。国対委員長から予算委員会の集中質疑で立てと言われたんですけれども、それもお断りしてこれまで取り上げてこなかったんですが、ちょっとやはり、昨今の報道とかを見ておりますと、あるいは大臣が会食もしていたということに対して、総務省の姿勢が私はちょっとどうしてもやはり納得いかないということで、冒頭ちょっとだけ取り上げさせていただきます。
私は、実は辞職した谷脇総務審議官の直属の部下でございました。そういうこともあって、これまでなかなか質問に立たなかったんですけれども、もちろん、国家公務員倫理法、規程違反、それは許されることではありません。しかし、谷脇総務審議官のこれまでの実績、これは決して否定されるものではない。とりわけ、平井大臣もうなずいてくださっていますけれども、このIT分野において谷脇さんがどれだけの功績を上げてきたか。さっきまでいた向井さんは、いなくなっちゃいましたけれども、私は、本当に、向井さんと谷脇さんがコンビでこの日本のIT政策、デジタル政策を引っ張ってきた、平井大臣も随分助けられたんじゃないかなと思います。
そういう意味では、更に総務省の幹部が今回処分を受けたり、今後調査で本当に優秀なエースが軒並みいなくなるなんということになったら本当に大変だなと。本当にこれは、せっかくデジタル庁をつくって、私は前から、総務省の情報通信三局を丸ごとデジタル庁に入れて、そのくらい内閣官房に強い組織をつくればいいとずっと提案してきましたが、それがなくても連携はしっかりしていくべきところが、今回このような残念なことで、本当に私は、このデジタルの将来が非常に危うい、暗い気持ちになっております。
そういった中で、私は、今回のこの問題の本質を考えると、一つは、やはり一番大きなのはNTTのドコモの完全子会社化だと思うんですね。これほど大きな話はない。私が郵政省に入ったその前から、一九八五年にNTTに民営化したときから、九二年にドコモが分社化し、そして九九年にNTT東西、それからコミュニケーション、分離分割、十五年かかってやってきた、それが何か突然、完全子会社化するというのがあっという間に決まった。これは私は本当に腰を抜かすほど驚いたんですね。
それで、これは何で決まったんだろうということを考えていたんですけれども、今回、NTTの社長がいろいろな方が会っていたと。その中で、やはり大臣とも会っていた。しかし、武田大臣は実は子会社化が決まった後会っているので、その前の高市総務大臣であったり野田大臣であったり、あるいは政務三役の方も会食をしていた、こここそ私は一番調べなきゃいけないテーマだと思うんですが。
総務省、来ていただいていますけれども、今、第三者検証委員会が立ち上がりましたけれども、報道によれば政務三役も対象になると書いていましたが、私は、今言ったように、ドコモの子会社化が一番大きな問題ですから、その前にNTT社長と会っていた方が問題で、そういう意味では、歴代の総務大臣や政務三役まで調査を広げないと意味がないと思いますけれども、そこまで広げる考えはあるんでしょうか。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の情報通信行政検証委員会におきます具体的な検証内容、検証方法につきましては、委員会の議論で御判断いただくことではございますが、去る三月十七日に開催された第一回会合では、各種の関係事項について聴取、説明があった後、今後の委員会における調査、検証の進め方について討議が行われましたが、それを踏まえて、吉野座長におきまして、次回の開催までに準備等すべき事項を整理することになった、そのように承知しております。このため、具体的な検証内容やヒアリングにつきまして、何らかの委員会としての判断が行われたとは承知はしておりません。
ただ、いずれにしましても、総務省といたしましては、委員会として検証やヒアリングを行うこととなったものにつきましては、これを円滑に実施することができますよう、万全の協力をしてまいる所存でございます。
○高井委員 総務省電気通信事業部長、今川さん、今日来ていただいていますけれども、ドコモの子会社の話を総務省が最初に聞いたのはいつか、それからドコモが発表した日付も、もし御存じでしたら併せてお答えください。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTTドコモの完全子会社化の件については、昨年七月にNTTから説明を受けたものでございます。NTTドコモ完全子会社化につきましては、九月二十九日に公表されたものというふうに考えております。
○高井委員 七月のいつかは教えていただけなかった。まあいいや。だから、二か月ちょっとなんですよね。
本当に、十五年かけてNTTの分離分割論というのはあって、しかも、これを発表したら電気通信事業者は大騒ぎで、二十八社が撤回を要望するというような、そんな大きな話が、私は二か月足らずで総務省に伝えられて決まったというのは到底信じられないというか、もし現実にそうなら、それで総務行政は本当にいいのかと思いますし、やはりこの問題は、非常に私は大きな問題で、これは官僚の皆さんが、谷脇さんが幾ら力があるといったって、谷脇さんの一存で決められるような話じゃありません。総務大臣ですら分からない。
私は、菅総理の意向というのは非常に重要だったと思いますから、そういう意味では、菅総理も総務大臣経験者ですから、菅総理も含めて、政務三役経験者がNTTと会っていたのかどうかということを、しっかりその第三者検証委員会では調べていただきたい。いつも原官房長が第三者検証委員会には伝えますと言っていますから、伝えてくださいね。是非そのことをお願いをしておきたいと思います。
この総務省の問題はこのくらいにいたします。総務省関係者はもう結構です。
それでは、法案の中身に入っていきたいと思います。
まず、我々も国民民主党会派として修正案を出させていただくという話を、前回のこの委員会でもかなり具体的な法案の中身までお話しして、平井大臣からもコメントをいただきましたけれども、預金者のマイナンバーの義務づけ、これを図るために、金融機関に義務を図ると。周知する義務じゃなくて、手続、マイナンバーをもらわないと銀行の取引がもうできなくなるということで、実質的にこれが義務化できるんじゃないかという法案を出そうと思っています。
一方で、党内、会派内で議論していて、義務化は非常に重たいものですから、やはり国民の皆さんからすると、本当にセキュリティーは大丈夫なのという問題が出てまいります。
そこで、情報の自己コントロール権という、これは平井大臣に通告していますけれども、これをやはりきちんと法律の中に明記すべきではないかと。
これも前回申し上げたんですけれども、更に一歩進んで、これも我々、間に合うかどうか分かりませんけれども、法案にした方がいいんじゃないかと思っていますのは、エストニアとか、ヨーロッパ、EUの諸国なんかを見ると、例えば預金口座にマイナンバーが付番されたときに、利用者の方は、自分の口座を勝手に見られているんじゃないか、誰が見ているか分からないし、ハッキングされて盗まれたりしたら嫌だ、そういうことですから、しっかりそこを、単に一般的にセキュリティーを強化するとかではなくて、じゃ、預金口座に誰がいつアクセスしたんだ、そういったものをきちんと見られるようにする、あるいはそのログも保存するというようなことを含めた、そういう仕組みを私は法律にしてつくるべきじゃないかと思います。
大臣、もう今、五本の法律を出しているので、更に次の法律の話はまだ早いかもしれませんけれども、ちょっとこういうことも含めてやはり考えていただくということを、少し将来を見据えて御答弁いただきたいんですが、お願いします。
○平井国務大臣 この自己情報コントロール権という言葉は、これは難しいですね。その定義とか範囲とか、いろいろな意味で。しかし、定まった概念はないにせよ、自分が主体的に関わって、自分にプラスになることを選んでいく。そしてまた、自分の情報に誰がアクセスしたか、何のためにしたか、いつしたかみたいなものを知るということは、やはり国民の要求としてはあるということは理解しています。
エストニアは、先生のお話のとおりで、そこはきっちりやっているがために、勝手に誰かが見たというものを罰する、理由なく見たみたいなものを罰するという事案も結構起きています。
その第一歩に近いんだろうと思うんですけれども、マイナポータルの機能で、全てではないですけれども、自分で自分の情報の役所のやり取りをチェックするという機能は、これはもっとPRしてもいいのかなと。ほとんどの方々はまだ知らないんですね、そのことを。こういうことをやはりちゃんとして理解をいただくと、デジタル化が更に進んでいくんだろうというふうに思います。
ですから、やはりもっとデジタル化ということに慣れる人が増えてきた段階で、今のマイナポータルの機能というものの評価も変わってくるのではないか、そんなふうに期待しています。
○高井委員 確かに、そのマイナポータルなどを使った、全くなかったときに比べれば一歩前進ではあるとは思うんですけれども、それで本当に国民の皆さんは安心するかなと考えると、やはり世界で、エストニアを始め、いろいろな国でもうそういうやり方をやっているわけですから、恐らく技術的にできないこともないはずなので。
ただ、一方で、それだけを入れるんじゃなくて、預金者の預金口座へのマイナンバーのひもづけ義務化のようなものとセットで、私は、これは、なかなか政府で預金口座の義務化も難しいということであれば、以前のように、超党派の議員立法、議員連盟、まさに委員長が、あるいは松本筆頭が中心になってやっておられた、我々も当時協力して、ちょっと力不足で党内をまとめられなくて、そのときは申し訳なかったんですけれども、ああいう形で、まさに委員長提案で、委員長、どうですか、委員長提案で是非やっていただけませんか。ちょっと一言。
○木原委員長 御意見として承っておきます。
○高井委員 なかなか委員長の立場では難しいかもしれませんが、是非そういう形で。
あと、あの当時は、政府も協力して、向井審議官などにも協力いただいて作ってまいりましたので、まさにこの分野は超党派でやっていこうということでは、私も、政府がやろうとするとなかなか難しいことも議員立法でできるといういい例だったなというふうに思いますので、是非これは平井大臣とも連携して、議員立法でやるというのも一手ではないかと思っていますので、よろしくお願いいたします。
ちょっとそのことに関して、じゃ、平井大臣。
○平井国務大臣 今回の法案では、銀行にマイナンバーの告知を求める義務を課して、預金者には、付番の申出のしやすさ、その結果受けられる具体的な国民のメリットを充実させることによって、付番の実効性を高めるというところまでなんですよね。
まずは、この法律を成立させていただいて、円滑に実施して、国民の皆さんの理解を得て、結果的に皆さんに付番が進むということが絶対に望ましいと私はやはり考えているんですね。
ですから、そういう意味で、国民の理解を得るというところは、これは超党派でできれば一番望ましいと思います。
○高井委員 私は、今回の銀行の付番はうまくいかない気がするんですよね。これは前にも質問したんですけれども、やはり窓口の人がそこまでちゃんと説明できるかと。結構時間がかかると思いますし、話しているうちにお客さんが嫌になっていなくなっちゃったり、あるいはそれで怒る人も、何でマイナンバーなんかとくっつけなきゃいけないんだみたいに。そうすると、銀行とすれば、やはり自分たちのお客さんを逃したくないから、結局、義務化といっても私は実効性が余り高まらないと。
それは、やってみなきゃ分からないということかもしれません。でも、やってみた結果やはりうまくいかなかったときには、いよいよ、我が会派が提案する法案、修正案であったり、あるいは議員立法でもうちょっと大きな枠組みで考えるということを是非進めていきたいと思います。
それでは、次の問題は、個人情報保護二千個問題というものですね。これは、ついに、ようやく解消に向かうということで、私は非常に大きな前進だと思いますが、一方で、何で今までできなかったのかと。
もう五年ぐらい前だったと思いますけれども、平井大臣と私と、あと足立さんもいて、濱村さんもいらっしゃったんじゃないかな、各党みんなでシンポジウムをやって、これは何でできないんだということをやって、そのときはみんな一致して、これはやらぬといかぬということだったんですけれども、結局、政府が、私も何度も総務委員会でも質問したし内閣委員会でも質問しましたけれども、何か、地方自治体の条例がやはり変えられないんだ、条例の方が古いんだと。確かに古いんですよ。個人情報保護法より各地方自治体が作った条例の方が古くて、だからできませんという答弁だったんですね。
それが何でできるようになったのかということ。できるようになったからいいじゃないかということかもしれませんけれども、やはり、過去の答弁等含めて、ちょっと腑に落ちないところがあるので。これは何でできるんですかね。
○平井国務大臣 委員のおっしゃるとおり、我が国の個人情報保護法制が地方公共団体の先進的な取組によって主導されてきたのは紛れもない事実であって、今後も、個人情報保護法の定期的な見直しにおいて、住民に密着した行政を行う地方公共団体の意見や提案は非常に重要だと思っています。
いわゆる二千個問題として、地方公共団体ごとの条例の規定やその解釈が異なることがデータの利活用に支障になった事例が出てきた。条例がないなど、求められる保護水準を満たさない団体等もある。従前から、地方公共団体ごとの条例の規定や解釈の違いが存在していたものも、今回、新型コロナウイルス感染症の流行への対応等の全国的な課題をめぐって、地方公共団体により個人情報の取扱いに関する対応が分かれたということ、個人情報保護とデータの利活用の適正なバランスを図るための全国的なルールを設定する必要性が、これは国民の中にも強く認識されるようになってきたことが大きいと思います。
加えて、国際的なデータ流通が増えている中で、個人情報保護について、GDPRを始めとする国際的な制度との調和を図る必要も当然あるわけですね。そのときに、その前の状態というか、ここの二千個問題を解消しなければ、例えば十分性の認定ということにも問題になろうというふうに思います。
ということで、今回の法改正では、地方三団体や地方公共団体の意見を丁寧に聞きながら、地方公共団体における個人情報の取扱いに関する全国的な共通ルールを法律で設定して、その解釈を個人情報保護委員会に一元的に担わせるのですっきりするということです。
委員と私も全く気持ちは一緒で、今までずっとできないできないと言っていたものが何でできるのかと言われると、やはり、今回はそういうふうにいろいろな状況が変わった中で決断した、いよいよそれをやろうということになったということでしかないと思います。
○高井委員 大臣からは答弁しづらいと思いますけれども、私は、やはり総務省の怠慢というか、総務省が管轄していて、早く個人情報保護委員会で吸収していればもっと早くできたんじゃないかと思いますが、今回、それも含めてやれることが個人情報保護法制の一元化で、これは非常に大きな前進で、世界とこれから戦っていかなきゃいけない問題ですから、個人情報保護委員会の増強も含めて、何なら総務省から人も引っ張ってくるぐらいのことをやって、是非やっていただきたいと思います。
それでは、次の問題は、ちょっと少し飛ばして、大臣に通告しているのを先にやりたいと思うんですけれども。
DX法制局という、実はちょっと我が会派でヒアリングをいろいろな団体として、新経済連盟からの提案で、なかなか鋭いなと思ったんですけれども、いろいろな法律が今あって、内閣法制局が法律の観点から審査しますけれども、DXの、デジタルトランスフォーメーションの観点からその法律がそういったことを阻害しないかというようなことを審査する機能をまさにデジタル庁でやったらいいんじゃないかという、これは非常にいい提案だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○平井国務大臣 これはデンマークでしたか、先にそういう法制をしたのは、たしか。
デジタル社会形成基本法は、同法案に示された基本理念にのっとったデジタル社会の形成に関する施策の策定、実施を国の責務としているという、これは十三条ですね、それによって府省においてDXを進めていくことが求められるというふうに思っています。
デジタル庁においては、行政の縦割りを打破して、デジタル社会の推進を担う強力な司令塔として重点計画を作り、システムの統括、監理をし、関係予算の一括計上、配分をし等々によってこれからDXを進んでいこうということなんです。DX法制局というのは、DX、デジタル化にかなうものじゃないと法律を出しちゃ駄目だというようなことだったんじゃなかったかなというふうに思うんですが、ここは私自身の今担当ではないんですけれども、やはりDXが必要だということに関して言えば、日本の法制に関しても随分と改善する方法はあるなというふうには感じております。
○高井委員 それでは、最後の一問になると思いますが、同じくヒアリングで、電機連合さんという、ベンダーさんで働いている方も多い労働組合ですけれども、ここから、私、なるほどと思った提案があったんです。それは、デジタル庁に今、民間人材を集めると言っていますけれども、コンサル会社の方ばかりが集まっちゃうと、今も現実になっているそうなんですけれども、コンサル会社の人がいろいろな仕様書を作ったりすると、現場の実態にそぐわない、あるいは予算額と乖離した仕様書になって、非常にやはりよくないという実態も現実にあると。なかなか我々は気づきにくいところなんですけれども、なるほどと思いました。
こういったこともやはり頭に入れながらデジタル庁の人材は集めなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 コンサル系の人ばかり来られちゃうと、デジタル庁は回りませんよね、全く。やはり、頭も動くけれども手も動くし、実際にエンジニアとしてのスキルを持っている人。今のところ、募集している人のジョブディスクリプションを見ていると、そういう方ではないんですね。ちゃんとやはり自分でコードも書けるし、実際現場を踏んできたエンジニアということです。
今回、民間人材の採用に当たっては、職種ごとに、求める人材像とスキルセットを個別に細かく定めて募集しているんです。組織がそんなに大きくないので、そういうちゃんと使える人を集めなきゃいけないというふうに思っていて、ですから、さっき言ったプロジェクトマネジメントの能力を求める職種というのがコンサルに近いんだと思うんですが、現場に近い、個別分野の専門能力というものもちゃんと書いた上で募集をしているので、そのようにならないようにしたいと考えております。
○高井委員 ありがとうございました。
これで終わります。
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○木原委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
ただいま審査中の各案に対し、総務委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、連合審査会の開会日時等につきましては、総務委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。
次回は、来る二十四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十七分散会