第13号 令和3年3月31日(水曜日)
令和三年三月三十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 木原 誠二君
理事 平 将明君 理事 冨岡 勉君
理事 中山 展宏君 理事 藤原 崇君
理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君
理事 後藤 祐一君 理事 濱村 進君
安藤 裕君 池田 佳隆君
岡下 昌平君 金子 俊平君
神山 佐市君 神田 憲次君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
高木 啓君 永岡 桂子君
長尾 敬君 西田 昭二君
本田 太郎君 牧島かれん君
牧原 秀樹君 松本 洋平君
宮崎 政久君 宮澤 博行君
吉川 赳君 和田 義明君
阿部 知子君 大西 健介君
川内 博史君 玄葉光一郎君
森田 俊和君 森山 浩行君
柚木 道義君 吉田 統彦君
江田 康幸君 古屋 範子君
塩川 鉄也君 足立 康史君
岸本 周平君
…………………………………
内閣総理大臣 菅 義偉君
国務大臣
(デジタル改革担当)
(マイナンバー制度担当) 平井 卓也君
内閣府大臣政務官 岡下 昌平君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
内閣府大臣政務官 吉川 赳君
厚生労働大臣政務官 こやり隆史君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 北波 孝君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 森野 泰成君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山内 智生君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 西 浩明君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 福浦 裕介君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局次長) 並木 稔君
政府参考人
(総務省大臣官房政策立案総括審議官) 阪本 克彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房公文書監理官) 三富 則江君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 岡崎 毅君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岩井 勝弘君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 赤澤 公省君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 江口 純一君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
長尾 敬君 神山 佐市君
阿部 知子君 川内 博史君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 宮澤 博行君
川内 博史君 阿部 知子君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 博行君 長尾 敬君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)
デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)
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○木原委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官時澤忠君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。
○宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。
このデジタル改革関連法案、質疑も進んでまいりました今日、質疑の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきます。
今回のこのデジタル改革関連法案、平井大臣が法案の趣旨説明で述べられておりますとおり、データの利活用によってあらゆる分野における創造的かつ活力のある発展を実現しようというものであります。
ただ、デジタル化を強力に進める前提として、既存のサービスにおけるアナログ対応や不十分なシステム連携を理由とする煩雑な手続の負担や手間といった、現状の足りない部分をまず改めていかなければいけないわけであります。今なお社会に残っているアナログ的なものを、いいものはもちろん残すわけでありますが、国民本位の観点から再点検、再構築をしていくことがあって初めて真のデジタル社会というものにつながっていくものと考えております。
大臣所信の中でも、今回の法案に関連づけて、国民が当たり前に望んでいるサービスを実現し、誰もがデジタル化の利便性を実感できる、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会を実現するということを理念として掲げておられます。私もこの理念には大変共感をしている一人であります。逆に言うと、誰一人取り残されないデジタル化を進めていくためには、最先端のデジタルインフラを整備することはもちろん重要でありますけれども、まずは、既存のアナログサービスで感じていた国民の不便を軽減させたり、これまでの手間や負担が多いがゆえに泣き寝入りになっていた人々が幅広くデジタル化の利益を享受できるような環境を整備していくこと、これも併せて重要であるわけであります。
この国民目線でアナログ的な行政サービスの不利益を解消するという観点から見ますと、今回の法案に含まれているマイナンバーと預貯金口座のひもづけというのは大変重要なポイントであります。煩雑な申請手続を何度も窓口で繰り返すという従来のアナログ的な行政サービスを転換するという意味でも、極めて分かりやすくて重要な一歩であるというふうに考えています。
アナログサービスからの脱却を図るという意味で、このマイナンバーと預貯金口座のひもづけは評価に値しますし、また、ワンストップによって国民が利便性を実感できるように、その活用を着実に広げていってもらう必要があるわけであります。
そこで、このひもづけ口座情報の利活用の範囲が災害時の対応と相続の発生時という二つの場面に限定して開始するということになった趣旨について、まず御説明いただきたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
預貯金口座個人番号利用申出法案につきましては、本人の同意を前提に、一度に複数の預貯金口座への付番が行える仕組み等を設けまして、預貯金口座への付番を推進するということとともに、相続時、災害時におきまして、マイナンバーが付番された預貯金口座の所在を国民が確認できる仕組みを新たに設けるものでございます。
これらは本人ないし本人の地位を受け継ぐ者が見られるというふうになっておりまして、これを手始めに、こういった預金者の利便性を向上という観点からも、今後、いかなる場合にどういうふうなことをやっていくのかというのは更に検討していく余地があるものと考えております。
○宮崎委員 今御答弁にあった、国民の利便性を向上させる、さらに国民が利便性を実感できるという観点は極めて重要でありまして、今、最後の方でも触れられておりましたけれども、今後の制度をどんどん発展させていくという観点からも、こういった国民の利便性実感というのは重視していく必要があるわけであります。
先ほど触れさせていただいた大臣の理念、国民が当たり前に望んでいるサービスを実現して、誰もがデジタル化の利便性を実感できる、人に優しいデジタル社会を実現するというフレーズでありますけれども、実は、私も二十年以上弁護士としてずっと仕事をしてきて、弱い立場の人に寄り添うということを信条として今も生きております。立法府に送っていただいてからも、困っている人を助けるためにこそ法律の力というのは使われるべきじゃないか、そのために社会の制度がつくられるべきであって、こういう弱い立場の国民にどういった手を差し伸べられるのかというのは立法をする過程では常に頭に置いておかないといけないと思っている一つの理念です。
今回のデジタル改革関連法というと、ちょっと、ぱっと聞くと少し違う方向感の話のような感じがしますが、今日は一つ、困っている人という意味で、子供の貧困とか離婚に伴う子供の養育への影響という観点から、今、社会問題とも言われて久しい養育費の不払い問題というところを、アナログサービスによる弊害があって、国民の不便を生じているがゆえにこれからのデジタル活用が期待されるという関連で取り上げさせていただきたいと思っております。
今、一人親世帯のお子さんが二百万人を超えるということであります。その半数が貧困の状態にあって、厚生労働省の調査では、子供と別居している親が支払うべき養育費の実に八割が不払いになっている。一人親世帯の子供の貧困、一人親世帯の貧困があって、そして子供さんの困っている状態を招来しているのは養育費の不払い問題だというふうに言われております。
実は、今朝の朝刊各紙にも報道されていましたけれども、養育費の不払い問題などの解消に向けた法制度の在り方について、昨日から法務省の法制審議会で検討が開始された、こういう報道がありました。私は、この場面でも、デジタル改革という関連で、先ほど取り上げたマイナンバーとひもづけた口座情報の活用というのは検討されていいんじゃないかというふうに思っております。
もちろん、養育費の請求権というのは、今回の法案にある公金受取の際の災害時であるとか相続時という場面とは異なるわけでありまして、これは養育費を請求する権利者と支払わないといけない義務者という私人間の対立構造があるというところが、構造上の違いは当然あるわけであります。ただ、例えば調停だとか審判だとか、こういったところで養育費の金額などが確定しているという場合での強制執行の場面であれば、裁判所の手続の中で、子供の生活を守る、もっと言えば子供の生存を守るという観点からも、マイナンバーとひもづいた口座情報を活用していくことが検討されていいんじゃないかと考えています。
そこで、本法案は、ひもづけ口座情報の利活用の範囲として災害対応と相続の二つの場面に限定しておられますけれども、今後、養育費の取立てに関する強制執行の場面における活用など、ひもづけ口座情報の利活用の範囲を見直してその範囲を拡大するということは想定できるのか、政府の見解を確認したいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度は、先生御承知のとおり、税、社会保障、災害というふうな分野で使われておりますけれども、先生御指摘の養育費の問題というのは、まさに子育て問題であり、あるいは少子化問題であるという点におきましても、社会保障的な側面は十分に持っているものと考えております。
その上で、先生の御指摘になりました養育費の問題でございますけれども、現在既に社会保障的な施策がある場合もありますけれども、先生の御指摘の部分というのはまさに私的な法律関係ではございますけれども、私的な法律関係であるからといって別にマイナンバーの使用を制限するわけではございませんし、また、先生御指摘の養育費の問題につきましては、法制審で審議が開始されたということでございます。
私どもも、元々マイナンバー制度というのがそういう子育てと親和的であるというふうに考えておりまして、と申しますのは、当事者が割と年齢層が若い、デジタルネイティブの方が多いということもございまして、マイナポータルなんかの制度でもそういった子育て問題は中心的に取り上げてきたところでございますので、法務省の法制審での検討を見ながら、私どもといたしましても法務省とともにしっかり検討してまいりたいというふうに思います。
以上です。
○宮崎委員 ありがとうございます。
私も、実は今のお答えにあったことを次にちょっと指摘したいなと思っていたところなんですけれども、この養育費の問題というのは、子供が成人に達するまでの間の話であるわけでありますので、子育て世帯という意味ではデジタルというものと非常に親和性が高いというふうに考えております。
利活用の範囲を広げることによって、もちろん、弱い立場、困っている立場の人にデジタルの活用によって救いの手を差し伸べるという意味もありますけれども、広く我が国全体にデジタル社会を広めていくという意味でも、いろいろな目のつけどころがあるのではないかというふうに思っております。そういった意味でも、昨日から始まったという報道があった法制審の議論、これはスピード感を持って確実に着実に検討を進めてもらいたいというふうに思っております。
ただ、この点は、もう既に多くのところで、子供の福祉という観点から多くの課題が指摘されているところです。現行の制度では、養育費の請求権について、任意の支払いがない場合には強制執行を申し立てるということになっているわけですけれども、養育費請求権の権利者の側、特に、つまり一人親で子供を育てていらっしゃる方にとっては、別れた配偶者である支払い義務者の財産を把握するということは容易なことではないわけであります。また、財産を把握することができたとしても、強制執行を達するまでには数度の申立てを要するということも制度上の大きな負担になっているわけです。
こういったハードルを下げていくということによって子供の貧困の解消につなげていきたいということはあってしかるべきだと思いますし、そういった社会政策的な観点からも、養育費の回収という場面に限定をして、強制執行のための財産把握に、強制執行の手続においてマイナンバーとひもづいた口座情報を活用することを検討してもいいのではないかと私は思っておりますが、この点は法制審の審議も始まったということでありますので、法務省の方から見解を聞きたいと思います。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
養育費の不払いを解消していくことは、父母の離婚後の子の生活や未来を守る観点から大変重要な課題というふうに認識しておりまして、法務省としても、厚生労働省などと連携して取組を進めてきたところでございます。
強制執行手続の負担軽減につきましては、法務省の有識者会議である養育費の不払い解消に向けた検討会議の取りまとめにおきましても、権利者である一人親が相手方の住所や財産を調査する負担を軽減するために、新たな制度上の措置について検討を進めるべきとされたところでございます。
また、自由民主党女性活躍推進特別委員会からも、本年二月に、養育費の支払い確保の場面でマイナンバーの活用について御提言をいただいたところでございます。
そして、委員から御紹介いただきましたとおり、養育費の不払い解消を含め、離婚及びこれに関連する制度の見直しにつきましては、昨日、法制審議会において会議が開催されたところでございます。
今後、法制審におきましては、御指摘のマイナンバー活用の点を含めまして幅広く検討が行われることになるものと考えられますが、法制審議会において充実した調査審議が進められるよう、事務当局を担う立場からしっかり対応するとともに、マイナンバーの活用に関しましては、内閣府を始めとする関係省庁等との間で必要な協議を進め、連携を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮崎委員 自民党でも、この問題は幾次となく検討して、また提言をしております。
こういった問題は、私は党派性があるとは思っていないものですから、野党の皆さんもそれぞれの中で様々御提言をされたりしていることを実は承知をしております。社会の中で困っている課題に対して対応していく、こういったことを立法府の務めとしてやっていくということは極めて重要なことであると思っております。
国の務めとして、様々な手を、知恵を出し合って助け合っていくというような意味でも、今回のこの法制審での審議、しっかりやってもらいたいと思っておりますし、これは実は、私はスピード感が重要じゃないかなというふうに思っております。困っている人をそのままほっぽらかしておくみたいな形になっちゃいけないと思っておりまして、着実な議論の展開、検討の展開をしていただきたいと思っているところでございますので、是非、法務省の方でこういったところもリードしてもらえればありがたいと思っております。
今議論してきた、仮にですけれども、強制執行の場面でマイナンバーとひもづいた口座情報を活用するということ等をした場合なんですけれども、手続の煩雑さや負担を軽減するという観点からの抜本的な見直し、特に強制執行の利便性を向上させるという言い方が合っているのかどうか分かりませんが、強制執行をしっかりと使ってその目的が実現できるような、いわゆる利便性向上による抜本的な見直しというのも当然検討されてしかるべきだと私は思っております。
今回、この法案の中でも、マイナポータルを通じたワンストップサービスというものが強調されております。各地、私の地元などでも、市役所でのマイナンバーカードのいろいろな様々な手続を市民の皆さんに御理解いただいて、また、市町村長の皆さん先頭に様々広報していきますけれども、実際、このマイナポータルの話というのは出て、よく一生懸命頑張って広報しているところであります。
国民本位のインフラとして成立させるためには、利用者の目線でのワンストップ、ワンスオンリーのサービスの実現というのは極めて重要であるわけです。先ほど述べたように、養育費の不払いによる子供の貧困を解消するために、養育費の回収の場面に限定をして、既に債務名義を持っている権利者であれば、一回申立てをすれば、裁判所において義務者の財産情報を適切に集めた上で、その個別財産を最終的に差し押さえるところまで進められるというワンストップ、ワンスオンリーのシステムというのがこういった場面でも検討されていいのではないかと私は考えております。
政府の見解を聞きたいと思います。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました法務省の有識者会議である養育費の不払い解消に向けた検討会議の取りまとめにおきましても、養育費に関する強制執行手続に関しまして、御指摘のような、一回の申立てによりワンストップで養育費の回収まで可能となる簡易な手続を検討すべきではないかといった意見が紹介されているところでございます。
また、法務省の担当者も参加いたしました家族法研究会におきましても、養育費債権の回収のために必要な強制執行に関する複数の手続、これには債務者による財産開示手続や第三者からの情報取得手続のような強制執行の準備のための手続も含みますけれども、こういった手続を権利者本人が準備して遂行することは難しいといった指摘を踏まえまして、強制執行に関する手続の簡易化に向けて更に検討を進めることが提案されているところでございます。
このように、養育費回収のための強制執行手続につきましては、一人親等の権利者にとって手続的な負担が重いと問題点が指摘されていることは承知しているところでございます。
養育費に関する強制執行手続の在り方につきましても、先ほど申し上げた法制審議会における今後の調査審議の検討事項の一つになるものと考えられており、御指摘のような手続的負担の軽減に向けた検討が進められるものと考えているところでございます。
○宮崎委員 ありがとうございました。
私も、現場の一人の弁護士として仕事をしている中で、この養育費の問題、実は何度も扱ったことがあります。多くの場合は、日本の場合は、やはり離婚をして女性が子育てを、お母さんというか妻の側がしてというパターンが多いです。別居している親が男性であるということが多い。その中で、もちろん、言ってみればふらちな男も多くて、払わないから、なめてかかっているからみたいなケースも多々ありましたけれども、手続をやってみると、やはり手続の負担が大きくてなかなか実現にいかない。その中で心が折れちゃったりとか、例えば財産把握が一番難しいんですけれども、財産把握のところがうまくいかなくて、結果、何が起きているかというと、やはり子供の貧困の状態、一人親世帯の貧困が、子供が本当に生活に困るという状況になっている。
今、堂薗審議官から話があった中にも手続的負担が重いという表現がありましたけれども、そのとおりなんですね。ここのところを解消していく、ワンストップ、ワンスオンリーでできるようにしていくというのは、実は、今回のこのデジタル改革関連法案での行われた質疑と、趣旨としては、私は同じではないかなというふうに思っております。ここのところをしっかりと進めていけるようにしたいと思います。是非、法制審の審議、しっかり取り組んでもらいたいと思っております。
国民が利便性を実感できるという観点、極めて重要です。ここのところをしっかりと取り組んでいけるという意味で、今日質疑をさせていただいたというふうに考えております。
冒頭触れさせていただいた、平井大臣が所信で触れられた、国民が当たり前に望んでいるサービスを実現して、誰もがデジタル化の利便性を実感できる社会の実現という意味で、今日ここで取り上げさせていただいた子供の貧困問題を抜本的に解決していくんだということにも通じていると思います。養育費の不払いというのが一人親世帯の貧困を導いて、その結果、日々の生活に困窮しているお子さんがいる。そうであれば、国民が当たり前に望んでいるサービスとして、養育費の不払い問題を解決するために、マイナンバーとひもづいた口座情報の活用ができて、結果、デジタル化の利便性を実感できる社会になっていくという意味で、この法案の理念とそこを同じくするという意味で、今回の法案の成立後、次のステップの課題として、是非政府の検討をお願いしたいと思っています。
繰り返し述べるようでありますけれども、立法府の大きな役割の一つは、やはり、困っている人や弱い立場の人に法律の力を使って手を差し伸べていくということだと私は思っています。デジタル化を実現するという場面においても、こういった今日挙げさせていただいた、今後の課題でありますけれども、養育費の場面でのマイナンバーの活用も含めて、国民の誰一人も取り残されないようなデジタル社会の実現が求められていくべきだと思っています。
そのために実はやっていくこととしても、国や地方公共団体のデジタル化の遅れであるとか不十分なシステム連携を乗り越えていく、その中核として、今後とも、マイナンバーの効果的な活用と、より多くの国民の皆様が利便性を実感できる成果の実現に取り組んでいくことは、私の地元で見ていても本当に大切な課題だと思っているところであります。
今日、こういった質疑をさせていただきました。平井大臣の所感をお聞きしたいと思います。
○平井国務大臣 弱者に寄り添う弁護士として活躍されてこられた先生の問題意識は、よく分かりました。
デジタル化の問題にしても、口座にマイナンバーの付番をすることにしても、これは目的ではなくて手段でしかありません。ですから、弱者を救うというためにその付番が必要であれば、政策的な判断をしていただければ、マイナンバー法を改正することによってその範囲は広げていけるというのは当然のことだと思います。
ですから、明らかにデジタル化によって便利になる部分、利便性が上がるというものは明らかなので、そういうものをいろいろな政策実行の場面で使っていける社会が、恐らく国民の皆さんがデジタル化のメリットを実感できるんだろうというふうに思います。
そういう意味で、法曹界の皆さんもデジタル化にこれから取り組もうということでございますし、この問題は、先ほどお話に出た自民党の女性議員の皆様方が私のところに陳情に来られました、そのときにもいろいろ意見交換させていただきましたが、結構大きな問題なんですね。私もそのことを十分に認識させていただきました。
今、法制審で検討が始まったということでございますが、我々も、マイナンバーの利用に関しましては、関係省庁等と連携して検討していきたいと思います。
○宮崎委員 平井大臣、ありがとうございました。
誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会を実現する。今回、この通常国会の中で、この内閣委員会でこういった議論がずっと続けられていく中で、この法案の成立、私も与党の一人としてしっかりやってまいりたいと思っております。
また、男性議員、女性議員、そして与野党問わず、弱い立場の人に寄り添い、また社会を前に進めていくという活動はしているものと思っておりますので、多くの皆様と手を取り合ってこういった社会を実現してまいりたいという決意を述べて、今日の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
先日も申し上げましたが、私、かねがね、国会廃止法案というのを半分冗談で申し上げることがあります。今、日本が生産性、生産性という議論がある中で、国会の生産性がいかがなものかという議論をしてきたことがあります。特に官僚の諸君にはそういう言葉を励ましの意味も込めて申し上げることがありますが、ただ、この内閣委員会は、木原委員長の差配の下、本当にいい議論ができてきたと思います。デジタル担当の平井大臣の真摯で端的、明瞭な御答弁にも助けていただいて、この審議、大変付加価値の高い、生産性の高い議論ができてきたというふうに思っております。
今質問された宮崎政久議員の養育費の話も大変重要だと思います。法制審がまさに始まって、養育費の話、あるいは共同親権の話、いろいろな重要な議論が法制審、法務委員会でもなされていくと思いますが、まさに弁護士でもあられる宮崎委員の今の御指摘なんかを踏まえると、やはり、銀行口座、預貯金口座のマイナンバーひもづけは当然のインフラじゃないかなと、私は改めて、宮崎先生の質疑を見て感じたところであります。
今日、理事会でももうお配りいただいているので言及してもよろしいかと思いますが、国民民主党の岸本周平議員と一緒に、採決に向けて、預貯金口座とマイナンバーのひもづけ義務化のための修正動議ということを準備をいたしております。まさに私たちは、宮崎先生がおっしゃった、しっかりと手を差し伸べるべき方に手を差し伸べていく。取るべきところからしっかり取って、手を差し伸べるべき方々にはしっかりと手を差し伸べていく、そんな公正公平な社会をつくっていくために、今回の平井大臣率いるチーム平井のデジタル法案、大部でありますが、大変意義のあるものと考えております。
私からは、今日は障害者の話を取り上げます。
障害者の方々へのデジタルの活用ということについては、これも理事会で配られましたが、立憲民主党の後藤祐一議員が主導して、政府の原案では「身体的な条件」と書いてあったところを、障害の有無等の心身の状態というふうに、障害は、言うまでもなく身体だけではありません、精神、知的、あるわけでありますから、そういうものを含めた記述に、この基本法である、基本法というか、デジタル社会の基本法に、しっかりとそういう趣旨が明確になる修正案が、これも出てくるということが想定されていますので、日本維新の会としては本件についても賛成ということで取り組んでまいりたい、こう思います。
その障害者でありますが、私は昨年の二月の十八日、まさにコロナがいろいろと大変になってきた、そもそも一月に、どの政党よりも早くコロナ対策本部を党につくって、事務局長に自ら就任したのが私でありまして、当時、一月に対策本部をつくって、二月の十八日の総務委員会で、厚労省に、テレワーク、テレワークと言うんだけれども、就労支援の利用者、通所の利用者の皆様は制度上テレワークができないのではないか、これをしっかりと対応できるようにしていただくことが必要ではないかということを申し上げました。
それについては特例という形で認めていただいたわけでありますが、その後、私が指摘した問題意識を厚労省は深く御理解をいただいて、報酬改定にあっても、通所が困難な方だけではなくて、全ての障害を持たれている方々にデジタル化を通じた在宅利用、いわゆるテレワークでの就労支援を認める報酬改定をしていただいたと承知しています。
私は、この点は、障害者福祉の歴史の中でも、まさに極めて大きな前進だと思っていますが、その一連の経緯、御紹介をいただけたらと思います。
○赤澤政府参考人 お答え申し上げます。
障害者の多様な働き方を実現していく上で、テレワーク等の在宅での就労を推進していくことは重要であると認識しております。いわゆる就労移行支援、それから就労継続支援における在宅でのサービス利用につきましては、従来は、通所利用が困難で在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者に対して認めてきたということでございますが、新型コロナウイルス感染症の流行、それから議員の御指摘も踏まえまして、その利用要件を緩和するなど、自治体に対して柔軟な取扱いを認めてきたところでございます。
さらに、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、新たな生活様式の定着を見据え、本人の希望や特性を踏まえつつ、テレワーク等の在宅での就労を促進していくため、令和三年度以降は、ICTを活用して在宅での就労を希望する方につきましても、広く在宅での就労支援の利用を認める恒久的な措置とさせていただいたところでございます。
今後とも、引き続き、障害者の在宅就労の推進を図るために必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○足立委員 ありがとうございます。本当にこれは、現場、利用者の皆様も深く感謝をしておられると聞いています。
部長さんは替わられたんやね。何月、まあいいや、そこを質問したらあかんな。
当時、昨年の二月、私が初めてこの問題を国会で取り上げたときには、橋本泰宏部長、障害保健福祉部長さんが大変真摯な御答弁を下さったことを覚えています。これは、役所は一部、閣僚ばかりが注目されますが、本件については、諏訪林さんという就労支援係長さん、まさにこういうきめ細かな、大事な論点をしっかりとフォローしてというか、ピックアップして対応してくださった、中心的にやっていただいたのは、そういう係長さんなんですね。だから、私は、橋本部長、諏訪林係長を始めとして、担当のラインの方々に改めて感謝を申し上げておきたいと思います。
今日は、生活保護についても申し上げたいと思います。これは、ちょっと細かい、本当に細かいことで恐縮なんですけれども、就労支援を受けられている利用者の方は生活保護を受けられている方が多いんです。でも、生活保護費というのは、生活保護の対象になっていない低所得の皆様の生活の出費の内容を参照して決められているので、実は、テレワーク、要はWiFi環境とかテザリングとか、そういうもので、ネットでいろいろできるようなことの通信費がカウントされていないんじゃないかと思います。
こういうところについても、まず、現状、どうなっているかを御紹介ください。
○岩井政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護においては、保障すべき最低生活の水準は、一般国民生活における消費水準との比較における相対的なものとして設定しております。具体的には、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているかという観点から生活扶助基準を検証した上で、検証に基づく改定を行うこととしております。
この比較対象となる一般低所得世帯の消費実態には通信費の支出も含んでいることから、基準額は一般低所得世帯が消費している通信費と同等の通信費を支出できる水準となっております。
また、この生活扶助とは別途、昨年五月より、学校教育においてオンライン学習に必要な場合には、そのための通信費を実費で支出することとしております。
引き続き、一般国民生活における消費水準を踏まえつつ、必要な対応を図ってまいります。
○足立委員 ちょっと今の御説明は難しいんですが、私は不十分だと思っています。
今、菅政権が携帯電話の改革に取り組んでいただいているので、相当安いプランも入ってきていますので、すごく分かりやすくというか乱暴に言うと、一日百円で月のテレワークを実行できるというようなイメージだと思いますので、私は、そういうものも、何か、たかが百円かとおっしゃるかもしれませんが、就労支援を受けていらっしゃる支援の利用者の皆様にとっては、その月々百円の積み上げが生活に関わる問題なんだということを指摘をしておきたいと思います。
赤澤部長、もう一つ、今のような生活保護の体系では難しいが、別途、就労支援の観点から通信費の支援ができないかという論点、それからもう一つは、設備基準が、今、オフィス需要がぐっと減っている。あれはなぜかというと、労働者というか、ワーカー一人一人に全てデスクが要らなくなるわけです、テレワークすれば。そうであれば、就労支援の設備基準だって柔軟に考えることができて、それを対応していけば、まさに労賃等に十分な手当てができるようになる、好循環をつくっていけると思いますが、そういった見直し、改善、御検討いただけないでしょうか。
○赤澤政府参考人 お答え申し上げます。
今般の在宅でのサービス利用に係る措置はこの四月一日から適用になるものでございますので、まずは、その取組状況や在宅における支援事例等の把握に努めて、在宅での就労を推進していく上での課題を把握したいと考えております。
その上で、議員御指摘いただきました利用者の通信費の支援や事業所の設備基準の見直しなどにつきましては、今後の検討課題として考えていきたいと考えております。
○足立委員 ありがとうございます。注視をしておりますので、引き続き丁寧に御指導いただきたい、こう思います。
最後になりますが、今申し上げたように、このコロナ禍の中で、一般のオフィスの働き方、これも変わってきております。そういう意味では、ポストコロナ、ウィズコロナの社会の在り方は、本当にこれまでの、それ以前の社会のありようと大分変わってくる、そういうふうに思っております。
そうした中で、今御紹介を申し上げたように、昨年来御指摘を申し上げる中で、就労支援のフレームの中にしっかりそういう在宅での就労支援というものが位置づけられ、報酬改定にまで正面から取り組んで位置づけていただいたことには、心から敬意を表したいと思いますが、問題は、それが、その制度をしっかりと全国の作業所の経営者あるいは利用者の皆様に、このデジタルの利便性を享受していただくことですね。ところが、なかなかこれは容易ではありません。
しかし、私が承知している先進事例を見ると、本当に在宅利用に、テレワークに取り組むことによって収益性が向上して、そして、工賃の向上が期待できます。明らかに工賃の分布がぐっと右にもっと寄せていくことが確実にできることを私は確信しております。是非、そういう先進事例を広く関係の方々に周知をしていく、そんな取組もお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○赤澤政府参考人 お答え申し上げます。
就労継続支援事業所におきまして、在宅でのサービス利用を通じて障害者の就労能力の向上を図り、賃金それから工賃の向上につなげている事例が見られるというのは、私どもも承知しているところでございます。
厚生労働省では、令和二年度の調査研究事業において、就労系福祉サービスにおける在宅でのサービス利用につきまして実態調査を行っておりまして、調査結果を基に、就労継続支援事業所等において在宅支援に取り組む際のガイドライン、それから、在宅サービスの利用に係る好事例の提供をすることとしております。
今後も、引き続き、障害者の在宅就労の推進を図るため、好事例の提供、それから必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○足立委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
大臣、午後、質問させていただきます。
ありがとうございます。
○木原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
最初に、デジタル関連法案の誤りの問題についてお尋ねいたします。
この国会では、二十一法案、一条約、百三十四か所の誤りがある。政府全体の問題として、極めて重大であります。その百三十四か所の誤りのうちの三分の一がこのデジタル関連法案の資料の誤りであったという点で、極めて重いものがあると言わざるを得ません。
そこで、平井大臣にお尋ねしますが、平井大臣は、デジタル法案の関連資料の誤りについて、全容把握の時点での報告を事務方に求めていなかったんですか。
○平井国務大臣 まずは、デジタル改革関連法案について、参考資料である要綱、新旧対照条文及び参照条文に誤りがあったこと、国会への御説明が遅くなったこと、提出した正誤表が最終版でない途中のものを配付したことの三点について、改めておわびを申し上げたいと思います。
二月十二日に整備法案の要綱に誤りがあることが判明した後、週末に法案策定部局が法律案と参考資料の精査をしたところ、参考資料に少なくとも二十か所以上の誤りが含まれていたことが判明したため、翌週十六日に事務方から暫定的な確認結果について一報を受けました。私からは、誤りの全容の把握を素早くやるようにという指示を出させていただきました。その後、事務方からの、誤りの合計が四十五か所であると報告を受けたのは三月九日であります。
この間、特段の報告がなかったことから、事務方が適切に対応しているものと考えていたが、国会への報告だけではなく、私への報告も遅くなっていたというふうにも考えます。
予算審議等で不在にしていたこともあるとはいえ、部内の連絡を密にするように、今後、改めていきたいと思います。
そして、今週二十九日に藤井副大臣をトップとする再発防止チームが取りまとめた当面の再発防止策においても、精査作業に相当の時間を要した、その結果、対内的及び対外的な報告や説明が遅れたことが課題であると明記した上で、速やかに講ずべき改善策として、法案策定部局は迅速に事案の報告を行うことを徹底するとさせていただきました。
今後、こうした再発防止策を徹底してまいりたいと思います。
○塩川委員 全容把握の指示は出したけれども、その報告自身が非常に遅かったという点でも、大臣自身が何をやっていたのかということも問われますし、加えて、平井大臣は、このデジタル法案資料の誤りについて、国会への説明をきちっと行えという指示をされたんでしょうか。
○平井国務大臣 二月二十六日に、法案策定部局から、参考資料に少なくとも二十か所以上の誤りが含まれているとの暫定的な確認結果について一報を受けた際、私からは、先ほども申し上げましたが、誤りの全容の把握をしっかり行うようにと強く指示をしたところでございます。
その後、三月九日に事務方から誤りの合計が四十五か所であると報告を受けるまで、特段の報告がなかったとはいえ、国会への報告が遅くなったことについて、改めて深くおわびを申し上げたいと思います。
そして、再発防止チームが取りまとめた当面の再発防止策においては、国会への報告が遅くなった原因について、法案策定部局が法律案と参考資料の全体の点検を最優先したところ、約二千ページと大部であったこともあり、精査作業に相当の時間を要したこと、法案策定部局において、国会への報告資料としては、誤り部分を修正した白表紙を整えて配付することをもってきちんとした資料で対応したことになるとの思いが強かったこと、国会及びその関係者への報告手順の確認や報告状況の管理が適切に行われなかったことなどが示されております。
当面の再発防止策が示した改善策を踏まえ、国会及びその関係者に対し迅速に事案の報告を行うことを徹底するとともに、今回の事案を踏まえて、体制を強化した国会対応の専任ラインに対して迅速に報告、相談を実施することを内閣官房情報通信技術総合戦略室の全職員に周知徹底することなどにより、再発防止策を徹底してまいりたいと考えております。
○塩川委員 いや、この誤りについて、大臣から、国会にちゃんと報告しなさいという指示をしたのか、しなかったのか。
○平井国務大臣 もちろん私からは、そのような話はしております。
○塩川委員 いつの時点ですか。
○平井国務大臣 まず、私が最初の一報を受けたときに、その全容把握とともに、国会への報告は、これは必要なので、早く全容を把握しろということは、もう最初から言っております。
○塩川委員 であれば、何であんなふうに放置されていたのかという問題にもなるわけです。そういったことについて、今回の報告書に何にも書いてないんですよ。
こういうことについて、国会と政府との関係の問題について、改めて、報告書は不十分だと言わざるを得ません。そういう点での改めての精査、検討というのは必要だということを申し上げておきます。
国民に権利義務を課す法律だからこそ、その制定に当たって、国民の代表機関である国会での慎重な審議、議決が求められております。法案関連資料の誤りについては、直ちに国民、国会に報告することが必要であります。その報告を放置したことは、国民の権利保障という点でも、議会制民主主義の観点からも、極めて深刻な問題だと指摘をしておくものです。
それでは、デジタル庁に関わって質問をいたします。
二〇〇〇年以降、官邸機能強化の下で、政権中枢の内閣官房や内閣府において、民間企業から出向してきた人が非常勤の国家公務員として勤務し、重点政策の企画立案を行っている事例が増加をしております。
そこで、IT総合戦略室についてですけれども、一月一日時点での常勤職員数、非常勤職員数、非常勤職員のうちの民間企業出身者の数は何人かを示してください。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
令和三年一月一日現在における内閣官房IT総合戦略室の室員として発令されている職員の数は三百名であり、その内訳は、常勤職員の数が百七十人、非常勤職員の数が百三十人でございます。また、非常勤職員のうち民間企業出身の職員の数は百二十七人でございます。
○塩川委員 三百人の体制で、非常勤、民間企業出身の人が百二十七人ということであります。
この非常勤職員の人は、兼業が可能だということを理由に、出身企業からの給与補填は容認をされておりますね。
○冨安政府参考人 私どもとして、具体的にどのように補填されているかは承知しておりませんが、委員もおっしゃるとおり、兼業することは可能と考えております。
○塩川委員 兼業ですから、給与補填は禁じられていない、可能だということで、実態とすれば出向という形になっているのが現状であります。
その点で、このIT総合戦略室には、様々な民間企業に在籍をしている人が非常勤の国家公務員として勤務をしております。
そこで、IT室におけるLINE社、ヤフー社、Zホールディングス、またソフトバンクの社員の人は何人いるのか、それは非常勤ということでいいのか、その点についてお答えください。
○冨安政府参考人 お答え申し上げます。出身ということでよろしゅうございますでしょうか。
もう退職されている方もいらっしゃると思いますので、今、出身ということで申し上げさせていただきます。
令和三年一月一日現在における内閣官房IT総合戦略室の非常勤職員のうち、議員御指摘の民間企業出身の職員の数は、それぞれ、LINE社が二名、ヤフー社が二名、Zホールディングスが一名、ソフトバンクが二名でございます。
○塩川委員 退職している人は、このうちのどこに当たりますか。
○冨安政府参考人 直前に確認しておりましたけれども、ヤフー社の一名が既に籍はないと承知しております。
○塩川委員 ですから、多くの方がそれぞれの企業に在籍をしたまま、出向という形で、非常勤の国家公務員としてIT室で勤務をしている。ちなみに、番号室にもヤフーの方が一人いらっしゃるということでした。
例えば、そのLINE社の方はどのようなお仕事をIT室でされておられるんでしょうか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
LINE社の方は、お一人の方が、私ども、ワンストップサービスというのがございます、死亡や相続の場合のワンストップサービスの御担当をしていただいております。もう一人の方は、今後の省庁のインターフェースのところでUI、UXの改善が必要だということで、そういったことをしていただいております。
○塩川委員 そういう意味では、中核となるような仕事にも従事しておられるということです。
この間、LINE利用者の個人情報が中国から閲覧可能となっていた問題で、LINE社は大量の個人情報を扱う事業者としてその責任が問われております。
政府は、行政機関がLINEを利用する際のガイドラインを策定するとしております。策定までの間、個人情報など機密性の高い情報を取り扱うLINEの利用は一旦停止するという措置も取っているということであります。
このようなときにIT室にLINE社の社員が在籍をしているということですが、大丈夫でしょうか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
これらの職員につきましては、採用に当たりまして公募をいたしておりまして、条件なども提示いたしまして、応募いただいて採用いたしております。特定の企業ということではございません。
また、民間から採用される職員につきましては、その採用方法にかかわらず、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されているものと考えており、その遵守を徹底しているところでございます。
○塩川委員 人事院にお尋ねします。
人事院が所管をする官民人事交流法というのがあります。ここでは、民間企業から国の機関に交流採用をするとき、雇用継続型の場合は、出身元企業の業務に従事をすることや給与補填を禁止する等の規制を定めております。それでよいかということと、その理由は何かについてお答えください。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
官民人事交流法による交流採用職員の服務等につきましては、交流元企業の業務に従事することや、交流元企業に対する許認可等の業務を行う官職に就くこと等はできないこととされております。また、給与につきましては、国が給与を支給することとされており、交流元企業からの給与補填は禁止されております。
これらの点につきましては、交流採用職員は交流元企業への復帰を前提として採用されるものであることから、国家公務員が、全体の奉仕者であり、公務の公正性等が求められていることを踏まえ、守秘義務等の国家公務員法が定める服務義務に加えて、このような措置を講じているところでございます。
○塩川委員 ですから、守秘義務のような服務の規律にとどまらず、公務の公正性を確保する立場から、出身元企業では仕事はしない。もちろん、出身元企業からの給与の補填は禁止をするという形で、公務の公正性の確保を行っているわけであります。
しかしながら、非常勤の国家公務員としてIT室で働いている企業の社員の皆さんは、出向元企業に在籍をしたまま、その給与の補填も行われて仕事をするということになると、平井大臣、これは公務の公正性に疑念が生じることになりませんか。
○平井国務大臣 デジタル庁においては、能力と志を併せ持つ優秀な民間人材を広く集めるべく、原則公募による採用を行うこととしており、現在、第一弾としての民間人材採用を実施しておるところであります。
今般の採用でも、兼業も可能な非常勤職員として採用することとしており、優れた専門性を有する人材が、常勤、非常勤、兼業、副業といった多様な働き方を通じて社会全体のデジタル化の推進に関わっていくことのできる環境を用意していきたいと考えています。
他方、非常勤職員の民間人材を受け入れることで公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう、十分留意することが必要だと考えます。
民間から採用された職員についても、その採用の方法にかかわらず、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されます。
また、公正な予算執行を確保していくことは当然であり、民間出身の職員がシステム調達に関わる場合の所属企業の入札制限の在り方や具体的な運用方法等について、有識者を含めた検討の場を設け検討していきたいと考えており、こうした取組を通じ、公務の公正性に疑念が生じる事案の発生防止に努めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 民間の優秀な人材を選考採用等を通じて国家公務員として採用するということは当然あるわけです。しかしながら、非常勤の国家公務員、兼業が可能だということをいいことに、民間企業の人がそのまま国家公務員として仕事をする、そうなると、給与の大半は出身の企業、所属をする企業からもらっているということになるんじゃないですか。非常勤の国家公務員だから、年間積み上げたって二百万か三百万ですよ。だから、出身企業からもらっている給与の方が多いということになったら、まさに公務の公正性が疑われる事態になるんじゃないのかということなんです。
LINE社についても、国、地方で多数の行政サービスを担っています。今後、デジタル庁は、強い権限を持って、国、自治体の行政サービスのデジタル化を推進をします。このようなデジタル庁に行政サービスを担う民間企業在籍者が非常勤職員として勤務するということは、公務の公正性に疑念が生じる事態、これは拭えないと言えると思うんですが、改めてお答えください。
○平井国務大臣 社会全体のデジタル化を進めていくに当たって、その人材を社会全体でどのように活用していくのかということは非常に大きなテーマだと思います。
我々は、国家公務員として、その人の能力に対して、また仕事に対して具体的なプロジェクトに参加をしていただくわけで、そういう方々の力が今後国や地方自治体のシステムの最適化を図っていく上でも非常に重要だと思っています。
このデジタル化の流れの中でそれぞれのスキルをいろいろな場で発揮していただける、しかし一方でその公正性を保てるように、両立していかなければならないんだろう、そのように考えております。
○塩川委員 公正性が保てないんじゃないのか、お給料の大半を自分の企業からもらっているとなれば、それは誰のために仕事しているのかという、まさにその公正性の確保に疑念が生じる事態というのは拭えないのではということを言わざるを得ません。
○木原委員長 時間が来ておりますので、おまとめください。
○塩川委員 今まで以上に民間企業の都合を優先したルールづくり、予算配分が行われる懸念がある、危惧があるとデジタル庁の問題を改めて指摘をして、質問を終わります。
○木原委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
委員長、そして理事の先生方にお許しをいただいてこの大事なデジタル法案の審議に当たって発言の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。平井大臣、よろしくお願い申し上げます。
デジタルを使って世の中を便利にしていこうねと言うと、もう誰も反対できないというか、そうだね、そうだねというふうに言わざるを得ないわけですけれども、しかし、便利さの裏には不便さもあるというか、弱点もあるというか、気をつけなければならないこともたくさんあるんだろうというふうに思います。
そこで、まず今日は、いわゆるオリパラアプリに関連して幾つか教えていただきたいと思います。
この前、オリパラアプリの入札の公示の書類をいただいたら、書類の締切りが今年の一月八日ですよ、一月八日の正午までに書類を出してねというふうに入札説明書に出ておりました。随分、年始早いときに締め切ったんだなと思いまして、入札の公告、公示をしたのはいつだったのかということを教えていただきたいと思います。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのシステムの調達でございますが、公示をいたしましたのが令和二年の十二月二十八日でございます。
○川内委員 委員長、びっくりしたでしょう。十二月二十八日、年末の御用納めの日に入札の公示をして、二十九、三十、三十一は休みですよね。お正月、一、二、三、休みで、四、五、六、七、もう八日の午後には締切りだから、四日半しかないんですよ。七十数億のオリパラアプリ。外国からの観客はもう受け付けませんよというふうに聞いているが、この四日半で書類締め切ってですね。
これは一体どういうことなんだろうと思ってまたよくよく考えてみたんですけれども、じゃ、このオリパラアプリの入札の書類について、専門的な知見等も必要でしょうから、いろいろな事業者から事前に、公示の前にヒアリングをしたというふうに思うんですけれども、どのような事業者からヒアリングしたのか、何社からヒアリングしたのかということを教えていただきたいと思います。
○時澤政府参考人 お尋ねのありましたシステムの調達の公示日の十二月二十八日でございますが、それより前に、内閣官房IT総合戦略室におきまして、複数の事業者から技術動向や一部機能の実装可能性についてのヒアリングを行ったところでございます。
○川内委員 複数のと。何社というのも教えていただけないんでしょうか。
○時澤政府参考人 十社でございます。
○川内委員 ちなみに、その十社からいろいろヒアリングをした結果として、入札の書類を作って、十二月二十八日に入札の公示をして、一月八日に書類を締め切ったと。
結果として、総合評価落札方式における本件入札は、一者入札ということでよろしいですね。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
入札方法は総合評価落札方式の一般競争入札でございまして、一者が応札をしたところでございます。
○川内委員 委員長、私、このオリパラアプリの企画、開発について、履行体制図もいただいたんです。履行体制図、どういう会社がこのオリパラアプリの作成に参加をしましたかということで、たくさんの会社が出ているんですけれども、その先ほど聞かせていただいた公示書類を作るためにヒアリングをした十社というのはこの履行体制図の中の会社であるということでよろしいですか。
○時澤政府参考人 ヒアリングを行いました個別の事業者名が明らかになることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○川内委員 個別の会社名を私は聞いていなくて、この履行体制図の中にある会社からヒアリングをしましたかというふうに聞いております。これは言わなきゃ駄目でしょう。
○時澤政府参考人 これも先ほど申し上げましたように、ヒアリングを行った個別の事業者名が明らかになることから、お答えは、先ほどのお答えと同様、差し控えさせていただきたいと思います。
○川内委員 いや、だから、個別の会社名は明らかにならないですよ。この履行体制図の中には三十社ぐらい会社が出ていますから。この中にヒアリングを行った事業者がいますかということを聞いているんです。
○時澤政府参考人 そこにつきましても、特定をされる可能性というのもございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○川内委員 いや、行政が行政として仕事をしたことに関して、まあ、そのヒアリングをした書類等は公文書として作られているわけですけれども、誰にヒアリングをしたのかということを言いませんということに関する法的根拠を述べてください。
○時澤政府参考人 この件につきましては、事業者側の任意の協力を得てヒアリングを実施したものでございまして、IT戦略室といたしまして、勝手に事業者名を明らかにいたしますと、今後任意のヒアリングにも応じてもらえなくなるおそれがあるということでございます。
また、仮にヒアリングを受けたにもかかわらず落札等をしていないといったことが明らかになりますと、事業者としてマイナスイメージを持たれるということを懸念することも想定されるところでございまして、このように、事業者の事業運営に影響を及ぼすおそれがありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと御答弁申し上げたものでございます。
○川内委員 いや、事業者名を明らかにしてくださいと言っていないですよ。
今改めて数えましたけれども、この履行体制図の中には四十二社会社があります。じゃ、聞き方を変えましょう。この履行体制図の中にある会社からも、もという言葉をつけますから、もヒアリングをしましたか。要するに、この履行体制図の外の会社からもヒアリングを受けたかという可能性を残した言葉で聞きますから。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
履行体制図の中にあった会社は含まれております。
○川内委員 いやあ、ここまで、委員長、十分かかりました。
それで、平井大臣、ここでちょっと御見解をいただきたいんですけれども、結局、履行体制図の中にある会社からもヒアリングをした、その結果として、公示の書類を作って、一者入札であったと。しかも、十二月二十八日、御用納めの日に公示をして、書類の締切りは一月八日であったと。実質四日半しか、世間に対してですよ、広く公示はされていないという中において、履行体制図の中にある会社からも聞いて、この人たちが仕事をしているということに関しては、入札の公正性に関して疑義が生じている。しかも、七十三億も使って、結局このオリパラアプリは何だったのということになっているわけですよね。
これは、デジタル庁とかデジタル改革というのはすばらしいけれども、こういう実際の一つ一つの仕事のやり方において、信頼が失われていくとまずいんじゃないかというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですけれども、大臣、この入札の、本件の在り方についてどう思いますか。
○平井国務大臣 本件の調達というのは、やはり異例な部分もあったなというふうに思います。目前に迫ったオリンピック・パラリンピックの開催に当たって、このようなシステムが必要だ、そして、民間企業における開発期間を確保するという意味で、スケジュール的には相当きつい、タイトな開発、しかも、これは失敗が許されないとなりますと、相当なリスクを負う調達になるというふうに思います。
今ほど答弁していたIT室においては、関係する各省各機関からの要請、あれをしろ、これをしろという指示に基づいて調達に必要な仕様書等を速やかに策定したということでありますが、結果として年末の公示になったのではないかと思います。
調達に当たっては、入札意欲のある者が期間のうちに必要な積算や技術等の提案ができるよう、可能な限り仕様書等を充実させたと承知していますが、本当に難易度も高い案件でもあり、結果として落札者のみが応札したということになったというふうに思います。
スケジュール的には異例中の異例、タイトではありますが、本件調達に係る手続において、関係法令に基づいたという意味では適正であったということになります。
○川内委員 法令とか手続には違反していないけれども、限りなく、外から見たときに、入札の公正性に関して疑義が生じているのではないか。だから、本件については、また引き続きいろいろ教えていただこうというふうには思いますけれども、デジタル関連で、システム投資、毎年、国は八千億、一兆円というデジタル投資をされて、今後、デジタル庁がそれを仕切っていかれるわけですから、本件のようなことがゆめゆめ続くことがないように、大臣の方でも御指導をされたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、デジタル関連法案について、行政機関が保有する個人情報の保護に関して質問します。
個人情報が集約されて利用されている、便利になるのはいいけれども、自分の情報はどうなるの、誰が守ってくれるのということだと思うんですけれども、今日は総務省に来ていただいていますから、改めてお聞きしますが、令和元年度で、国の行政機関等が保有する個人情報のファイルの数、データベースの数というのは幾つになるんでしょうか。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
令和二年三月三十一日現在におきまして、行政機関及び独立行政法人等が公表しております個人情報ファイル簿に記載されている個人情報ファイルの数は、計九万百六十五ファイルでございます。
○川内委員 配付資料の一ページにあるように、この九万百六十五件の個人情報ファイル、国が保有している情報ファイル、これらの管理する業務とか開発する業務とかを外国企業に委託あるいは再委託をしているものがあるのか、あれば、その件数を教えていただきたいと思います。
○阪本政府参考人 お答えします。
管理を外国に委託あるいは再委託をしているものの件数についてお尋ねがございましたが、それらのファイル数については把握しておりません。
○川内委員 把握しておらないと。
じゃ、サーバーが外国にある個人情報ファイルは何件ありますか。
○阪本政府参考人 恐縮でございますが、お尋ねのファイル数につきましても把握しておりません。
○川内委員 今、大臣、LINEのことが大問題になっているわけですけれども、LINEの個人情報保護というのは、外国企業に業務委託をしていた問題、あるいはサーバーが外国にあることが問題になっております。
行政機関が保有する個人情報ファイルの場合は、管理する業務等を外国企業に委託、再委託していても、法令上は問題ないんですよ。ですよね、大臣、そうですよね。
○平井国務大臣 法令上は問題ありません。
○川内委員 だから、民間のLINEの場合は、これは大問題だと言っているわけですけれども、国の場合は問題ありませんって、一体、じゃ、個人情報の保護はどうなるのという話でありまして。
そこで、行政機関の保有する個人情報保護については、内閣官房のサイバーセキュリティセンター、NISCが政府統一基準を作っているそうです、こういうふうにしてねと。その統一基準に、外国企業への委託、サーバーが外国にあること等についての基準というものがありますでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
政府統一基準、これは、政府機関等における情報セキュリティー対策の基準を定めております。この中では、委託先において必要な情報セキュリティー対策が確実に実施されるように、委託先、これは国内外を問いません、委託先によるアクセスを認める情報、それから情報システムの範囲を判断する基準を整備をしてくださいということを求めております。これを受けまして、各行政機関において、委託する判断基準を作成をするというものと認識をしております。
先ほどのお問合せの件で申し上げると、個別の詳細について我々が承知をしているわけではございませんが、委託業務において取り扱われる情報、これが海外のデータセンターに存在する場合においては現地の法令等が適用されます。したがいまして、国内では不適切と判断されるアクセスが行われる可能性があるということを注意をしてくださいということを、この政府統一基準では求めております。
○川内委員 各省ごとに基準を作ってねということなんですけれども、各省ごとの状況というのはNISCの方で把握していらっしゃるんでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
委託判断基準の詳細、それから個別にどうなっているかということについて、私どもで具体的に承知しているわけではございません。
○川内委員 大臣、個人情報の保護について、民間に対しては非常に厳しいけれども、行政機関というのは、法令を遵守する、悪いことはしないということが前提なので、しかし、国民から見れば、個人情報の保護という意味においては民間も行政機関も一緒なので。
今回のまとめ法案が成立すると、来年四月一日からは行政機関等個人情報保護法は個人情報保護法に一本化されるそうです。それまでに、行政機関の保有する九万余の個人情報ファイルの管理がどうなっているのか、サーバーが外国にあるのか国内にあるのかというようなことについて、きちんと調査を行って国民に明らかにして、個人情報の保護に万全を期すべきではないか、行政機関が保有する情報ファイルについてもと思うんですけれども、大臣、御見解はいかがですか。
○平井国務大臣 それぞれのファイルに関して、個別に、やはり適正にそれぞれが判断してきたと思います。
悉皆調査の話だと思いますが、これは、全体の状況を私自身も今把握しているわけではございませんので、関係機関に協力いただいて今後検討を進めていきたいと思います。
○川内委員 それで、今後、個人情報について、個人番号、マイナンバー法上の、何というんでしょうか、個人情報は、改正前も改正後も行政機関に対して個人情報保護委員会が、個情委というそうですけれども、この個情委が立入検査をできると。マイナンバーにぶら下がっている個人情報は、個情委は行政機関に対しても立入検査ができる、罰則もある。しかし、来年四月から個人情報保護法に一体化されると、マイナンバーにぶら下がっていない個人情報、行政機関が保有する個人情報は、実地調査まではできるけれども、検査の権限はありませんと。マイナンバーの情報は検査できるけれども、それ以外の情報は調査しかできないということで、何かよく分からないたてつけになっているんですよね。
調査ですから、個人情報保護委員会が調査しようとして、調査先の行政機関が、嫌だ、調査されたくないというふうに拒否すると、これは調査できないということになるわけで、個人情報保護委員会と調査対象である行政機関とのこの対立をどう仲裁するか、解決するかというのは非常に大事な問題だというふうに思うんですけれども、これは大臣、どのように解決をされますか。
○平井国務大臣 個人情報保護法とマイナンバー法のことに関してはよろしいですか。(川内委員「いいです、いいです、分かっています」と呼ぶ)分かっているんですね。
個人情報保護委員会は、国会同意に基づいて総理から任命された委員から構成される独立規制機関です。委員会が行う実地調査の権限行使は、行政部内においては当然尊重されなければならないものであります。したがいまして、行政機関が個人情報保護委員会が行う実地調査に従わないということは、法の趣旨に照らしても想定されないと考えます。
万が一、行政機関が実地調査に協力しない場合、個人情報保護委員会が行政機関における個人情報の取扱いに対して勧告を行い、適正な取扱いは確保されるというふうに考えております。
○川内委員 だから、それらの勧告に従わない場合はどうなるんですか。
○平井国務大臣 独立規制機関である個人情報保護委員会が行う勧告は、罰則による担保はないんです。しかしながら、行政部内において当然尊重されるものであり、先ほども申し上げたとおり、法の趣旨に照らしても想定されない。
万が一、行政機関が勧告にも従わない場合、最終的には、内閣の長たる内閣総理大臣の指導の下、行政全体としての個人情報の取扱いの統一が図られるものと考えられております。
○川内委員 しっかりと調査をするためには、最終的には内閣総理大臣が行政の長としての指示を行う、調査を受け入れなさいという指示を行うということでよろしいですね。
○平井国務大臣 あくまでも内閣の首長たる内閣総理大臣の立場からそういう指示をするということになります。
○川内委員 次に、配付資料の二ページ目以降を見ていただきたいと思います。
こんな真っ黒な資料は久しぶりに見たみたいな資料なんですけれども、これは、日本年金機構においてマイナンバーが流出したのではないかとする事例、その業務の委託について、年金情報、年金個人情報の入力業務の委託の仕方に違法があったのではないかという問題について、個人情報保護委員会の検査結果を日本年金機構、厚生労働省に通知をしたものです。なぜか真っ黒なんですけれども。
これは日付が平成三十年の三月八日ということになっておりますが、平成三十年三月八日の個人情報保護委員会でこの通知文は決定をされて、日本年金機構に通知をされたということでよろしいでしょうか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
今議員御指摘のとおり、三月八日に委員会にお諮りをして、その結果を厚生労働省に通知したということでございます。
○川内委員 個人情報保護委員会のホームページの平成三十年三月八日の個人情報保護委員会の議事録には、個人情報保護委員会に、年金機構にこれで通知するがよろしいかということを諮りましたという記録が議事録上一切ないんですけれども、どういうことですか。
○福浦政府参考人 従来からの取扱いといたしまして、監視、監督案件につきましては非公表という形にさせてもらっているところでございます。
○川内委員 いやいや、監視、監督関係については非公表って、議事録にも載せないんですか。この件について諮った、中略、異議なしというようなことも書かないんですか。それじゃ議事録じゃないでしょう。
○福浦政府参考人 従来からの取扱いはそういう取扱いをしてまいったということでございます。
○川内委員 その取扱いを変えた方がいいと思います。きちんとこういうことも諮りましたということが国民にお知らせするホームページ上に一切ない、だけれども、なぜか文書は出ていましたということでは。議事録として載せているわけですからね。
じゃ、この問題をやっても切りがないので次に行きますけれども、年金機構のこの事案は、平成二十九年十二月三十一日の内部通報メールから始まったとのことでありますけれども、要するに、中国企業へ入力について再委託をしていたということなんですけれども、この契約違反問題とともに、マイナンバーが流出していたのではないかということについて、個人情報保護委員会はマイナンバーの流出についての調査はされたんでしょうか。
○福浦政府参考人 行政機関等には、その取り扱う特定個人情報については、漏えいのおそれのある事案が発覚した場合には、まずは当該機関において事実関係の調査、原因の究明を行うこと、そして当委員会に報告をしてもらうということを求めてございます。
したがいまして、今般の件におきましても、当委員会が自ら調査を行ったのではなく、厚生労働省の監督の下で日本年金機構において事実関係の調査等が行われ、結果について報告を受けたということでございます。
○川内委員 個人情報保護委員会としてのお役目がきちんと果たされているのかという観点でお尋ねしたんですけれども。
結局、この平成三十年の三月八日の時点では、マイナンバーが流出していたか否かということについては厚労省もまだ調査結果を出していないんですよ。六月に出すんです。厚労省もまだ調査結果を出していない三月の時点で、個人情報保護委員会が、今おっしゃいましたね、自分たちでは調査もせず、厚労省からどういう報告を受けたのかも分からないけれども、自分たちで結論文を年金機構、厚労省に通知するというのは、ちょっと私には理解できないことだなと。
もうちょっと個人情報保護委員会はしっかりしてくださいというふうに言わざるを得ないし、今日、事務方に御答弁いただいているわけですけれども、今後、個人情報の保護問題というのはめちゃめちゃ大事な問題になるし、公正取引委員会の委員長と同様に、個人情報保護委員会の委員長も国会に出てきて御答弁をいただく必要があるというふうに思います。
これは、政府提出の法案では改正ができないこと。なぜなら、国会法が定めることだから、与野党でしっかり議論をしていただいて、今後、委員長に出てきていただいて御答弁をいただけるように、このデジタル改革に合わせてしていくことをお願いしたいというふうに思います。
この年金機構が保有する個人情報を民間企業に入力委託し、そこから更に中国企業に同意なく再委託をするということは、これは、委託された民間企業が中国の民間企業に契約して入力をお願いするというのは、民民で個人情報を受け渡すということになるわけですね、委託と再委託の関係では。そうすると、特に外国企業に対して個人情報を渡すという場合については同意を取らなければならなかったのではないか。すなわち、本件は、契約違反だけではなくて、個人情報保護法違反、二十四条違反ではないかというふうに思いますが、厚労省並びに個人情報保護委員会の御見解を聞かせていただきたいと思います。
○福浦政府参考人 一般論として申し上げますと、個人情報取扱事業者が個人データの取扱いを外国にある第三者に委託、これは提供する場合でございますけれども、議員御指摘のとおり、二十四条の規定に基づきまして、原則、以下のいずれかによることが必要でございます。まず一つが、本人の同意を得ること、二つ目として、外国にある第三者が法の趣旨に沿った措置を取っていることを確認することでございます。
本件におきましては、そういう問題もさることながら、委託契約に違反をして再委託が行われたということが重大な問題だというふうに認識をいたしておりまして、当委員会におきましては、委託業者に対する監督体制等についての改善を求めたということでございます。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま個人情報保護委員会からお答えがございましたとおり、一般論といたしまして、まず、個人情報取扱事業者が個人データの取扱いを外国にある第三者に委託する場合は、個人情報保護法第二十四条の規定に基づきまして、原則、本人の同意を得ることが必要というふうに承知してございます。
その上で、本件につきましては、委託先が委託契約に反して再委託が行われましたことですとか、委託先に対する適切な管理等について改善が必要な状態にあったというものでございまして、このため、平成三十年の六月には業務改善命令を発出いたしておりまして、インハウス型委託の推進ですとか、総合評価落札方式の適用の原則化など、様々な再発防止策を講じてございます。
こうした取組が徹底されるよう、引き続き日本年金機構を適切に指導監督してまいりたいと考えてございます。
○川内委員 時間が来ましたので終わりますけれども、大臣、行政機関というのはやはりなかなか間違いを認めないんですよね、自分たちがやったことの。素直に二十四条違反でしたと言えばいいものを、いや、それはさておき契約がとかですね。結局、そういう中で、個人情報がわあっと集められて、利用しやすいようにしようね、個人情報の保護もちゃんとやりますからねと言われても、なかなか我々国民の側では、それは何かあったときにまたどうせ言い訳されるんだろうなとか、こう思うと、素直に、ああ、いいことですねと手放しというわけにはいかないなと。
また発言の機会を委員長にいただければ発言させていただきたいという希望を申し上げて、終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 続きまして、立憲民主党、森山浩行でございます。
今回のデジタル関連法案の質疑が始まってからの三月十七日、二週間前ですけれども、LINE社の個人情報の問題、これが朝日新聞の朝刊などで報じられました。それから二週間たっておりますけれども、この間の調査それから対応についてお聞かせください。
○福浦政府参考人 対応状況について御報告申し上げます。
当委員会では、中国に所在する業務委託事業者から日本ユーザーの個人情報へのアクセスは本年三月二十三日までに遮断した旨の報告を受けまして、二十六日にその時点の調査状況を公表いたしたところでございます。
セキュリティーの問題もございますので、詳細にはお答えできない部分もございますが、委託先に付与していたアクセス権限、ログIDをサーバーから削除するとともに、中国の委託先のIPアドレスから接続できないよう、ネットワークレベルでの遮断をしたという報告を受けてございます。
当委員会としましては、これらの方法は一定の信頼は置けるものと考えておりまして、これらの方法が行われていることについて一定程度確認をいたしたところでございます。
調査におきましては、引き続き調査を行いまして、仮に規律が遵守されないという判断がされる場合には、指導等、必要な対応を行ってまいります。
○森山(浩)委員 二十三日に遮断をしたのでここから先は大丈夫だという御報告でありますけれども、三月十七日の報道以降、まずどのような形で調査を進められましたか。
○福浦政府参考人 当初、任意の報告を求める形でスタートいたしましたが、より真正性を求めるという意味で、法律に基づく報告徴収という手続を取らせていただきました。
さらには、立入検査につきましても、実施できるように今準備を整えているところでございます。
○森山(浩)委員 済みません、当初出してくださいと言ったけれども、法律に基づいての報告徴収、これは何日ですか。
○木原委員長 個人情報保護委員会福浦事務局長、確認できていますか。
○福浦政府参考人 申し訳ございません、三月十九日でございました。
○森山(浩)委員 いただいている数字ですから、さっと答えていただければと思いますが。
十九日に報告徴収をし、それに対して、それの期限が三月二十三日ということで、それ以降毎日やり取りをしていますというような言い方をされましたけれども、立入検査、これはいつになりますか。
○福浦政府参考人 委員会に昨日お諮りいたしまして、本日から実施をしているところでございます。
○森山(浩)委員 二週間たって立入検査ということであります。
契約書については、日本から韓国、韓国から中国というような形で、それぞれの契約書は取っておられますか。
○福浦政府参考人 当委員会の方で、先ほど申し上げた報告徴収の手続によりまして、LINE社から委託契約書が提出されております。
○森山(浩)委員 契約書そのものとLINE社で訳したものを取っておられるということでしたけれども、内容については不合理ではありませんでしたか。
○福浦政府参考人 LINE社から提出されました委託契約書には、委託先に法の遵守を義務づけるとともに、同委託先への定期監査を実施することなど、個人情報保護法ガイドラインに記載された内容が盛り込まれておりまして、委託契約書の内容に直ちに問題があるとまでは考えてございません。
ただ、個人情報保護法二十二条及び同二十四条の遵守状況をより正確に判断するためには、契約の記載だけじゃなくて、委託先におけます個人データのアクセス権限の管理とか、委託先における監督状況の実態などを確認する必要がございまして、これらの調査を現在継続しているということでございます。
○森山(浩)委員 契約書自体は手に入れて、まあ問題はないかなというようなお話ですけれども、これは、改ざんをされた可能性はないでしょうか。アクセスのログ、あるいは改ざんの痕跡というようなものもチェックをされましたか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたとおり、報告徴収という手続を取って提出をされた資料でございます。仮に虚偽であった場合には、個人情報保護法八十五条によって、罰則の対象ということになります。したがいまして、真正なものというふうに考えてございます。
○森山(浩)委員 罰則の対象となるから真正なものと考えるというのは、性善説ですよね。韓国とか中国とか、海外にある企業について、罰則の対象になりますというのが、本当に信頼できるものなのかというのがあります。これについては、やはり契約書自体が後で書き加えられたりしていないかというのはきちんと見ていただきたいと思います。
さらに、二十三日以降、遮断をしたことによってそれ以降のアクセスはないのだというお話でしたけれども、それ以前の中国での不適切なアクセス、このログについては提出を受けておられますか。
○福浦政府参考人 LINE社からの過去一年間のアクセスログを内部調査した結果といたしまして、従業員四名、計三十二回のサーバーのアクセスがあったという説明を受けてございます。なお、当該アクセス権を現在では付与を止めたという説明を受けてございます。
アクセスログについてのお尋ねでございますが、現在、順次提出を受けてございまして、鋭意検証を行っているところでございます。
○森山(浩)委員 調査というのは、出してくださいといって順次出すというのは、どんな整理が必要なんでしょうね。
まず、今の状態というものを丸ごと提出をしてもらってそれをチェックをする、あるいは、立入検査の権限を持っているわけですから、この立入検査というのを速やかに行って取らなきゃいけないということですけれども、もう二週間たって今日からということ、これはまずいものがあったならば中身を隠すには十分な時間ではないかと思いますけれども、これはやり方はどうですか。
○福浦政府参考人 アクセスログについては、情報を吐き出すのにやはり物理的な時間がかかるということでございました。
ただ、大至急確認をしないといけないと思っておりまして、提出を受けるとともに、立入検査においてもその辺りも対象として考えたいというふうに思ってございます。
○森山(浩)委員 基本的に、会社の側の潔白をきちんと証明するためにも、これだけの徹底した調査をやりましたということをきちんと委員会がやっていただくことが大事だと思うんですね。すぐに入って、そして全部持ってきました、その中で話合いをしながら中身を説明してもらっていますというような形にしないことには、その間に何かあったんじゃないかというような疑念が拭えないまま、今、LINEを使っちゃいけないよというようなことがちまたにも言われてしまっています。これは非常に被害が大きくなるのではないかというふうに思いますので、立入検査を速やかにやる。これは遅いと思います。さすがに、きちんと中身を検査をするというその前提の部分、ここでサボってしまっては、遅くなってしまっては会社にも迷惑をかけるということも含めて、これはもっと早くやるべきだと思いますが、いかがですか。
○福浦政府参考人 議員からの御指摘、しっかり受け止めまして、迅速に対応してまいります。
○森山(浩)委員 済みません、迅速にやりますという話なんですが、例えば今回、二週間です。これが迅速にやったら一週間でできるのか、その日のうちに一遍会社に行って、中身を出してくださいというような対応ができるのか。これは法的に、あるいは実態としてどうですか。
○福浦政府参考人 二週間、資料を全然受け取らなかったというわけではございませんで、最初、スタートのときは任意の形で受け取りましたし、報告徴収の形で手続を踏んだ以降も資料を受け取っておりますし、直ちに、今後、立入検査という手法も使いながら、迅速に対応してまいりたいと考えてございます。
○森山(浩)委員 いや、五月雨的にやっても、その間に何かあったかもしれないという疑念が拭えないんですね。だから、まず最初にががっと押さえてしまうというところ、これは会社ともやり取りをされたらいいですけれども、押さえた上でやるというような形にしないと、これは本当に相手にも迷惑をかける話ですから、きちんとやっていただきたいと思いますが、今のままではちょっと、大きな権限を持った状態で個人情報をお預けをするというようなところについて、不安が残ります。
さらに、EUとは、先日の私の質問の中でも、GDPRで価値観が共通である、むしろ日本の方がもっときちんとやってくださいよと言われているというお話がありました。
韓国とはどうですか。
○平井国務大臣 韓国はGDPRではありませんので、個人情報の取扱いに関して韓国とどのようになっているかということは、私、今時点では存じ上げませんが、CBPRとかそういう形で枠組みが今後広がっていくのかどうなのか、これはまたちょっと勉強させていただきたいと思っています。
○森山(浩)委員 さらに、中国については、中国の会社について、国家から提出を求められた情報を出さなきゃいけないというようなことも、法律があるんだというふうな話も出ていますけれども、中国についてはいかがですか。
○平井国務大臣 当然、個人情報の取扱いに関しては、中国は別の法体系を持っていると考えております。
○森山(浩)委員 そうなんですよね。だから、国内での再委託あるいは再々委託というような部分についてのルールに加えて、先ほども川内さんの質問でもありましたけれども、海外のサーバーあるいは海外の会社に個人情報が出るというときに、相手方の制度をきちんと見た上で、この国のこの会社なら大丈夫だと、契約書だけではなくて国の制度との関係も出てきますので、これについてのルールをきちんとしなきゃいけないと思いますが、委員会としてはいかがですか。
○福浦政府参考人 議員おっしゃるとおりで、個人データを越境移転する際には、その移転先の、海外の場合、どういうリスクがあるのかということを本人がしっかり認識をするということは必要だというふうに考えてございまして、そういう点を踏まえまして、令和二年の改正におきまして、越境移転の際の本人同意の際には移転する外国の国名、外国の制度についてしっかり情報提供をするというような制度改正を行ったところでございます。
○森山(浩)委員 今回の件は本人同意があったという認識ですか。
○福浦政府参考人 現在検証中でございます。プライバシーポリシーには他国への移転もあり得るという記載はありまして、それに基づいて同意をしているとみなすのか、あと、二十四条の基準が、ちゃんと体制整備された基準に乗っかって事業者の方に移転したのか、その両方の手段がございますので、どっちの整理にできるかと今検証中でございます。
○森山(浩)委員 他国の中で処理をする可能性がありますというのが同意というのであれば、それはヨーロッパのGDPR、これをちゃんとやっている国なのか、そうじゃないところなのか、若しくは、韓国あるいは中国というような形で、今問題、課題じゃないかと言われているところなのかというのは判断できませんから。小さい字で書いてあるからオーケーだというところにもひっかからないと思いますけれども。
○福浦政府参考人 更に精査を進めたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、制度改正の話を申し上げますと、そういう、本人が関与する上でのリスクをちゃんと認識してもらうということは重要な問題だと思っておりますので、そういうことを踏まえて、先ほど申し上げたような令和二年改正の制度改正を行ったということを御理解いただければと思います。
○森山(浩)委員 でも、それが守られていなかったということでありますので、形だけやるということではなくて、実態として、また、先ほど、九万の政府の情報のファイルが海外にあるんだというようなところもありまして、これも管理をしていただくことになりますので、個人情報保護委員会の在り方について、二十四条をきちんと精緻化して適用するということ、それから、立入検査を含めて迅速に対応するということ。今の体制のままではとても個人情報、安全だよというような形で認めるわけにはいかないというふうにも感じています。
残念ですが、今回の対応というものについてしっかり反省をしていただいて、今後どんな形にするべきかという部分については改めて精緻化をいただきたいと思います。
それでは、法律の中身について確認をしてまいります。
まず、デジタル社会形成において、自己情報コントロール権、データポータビリティー権、忘れられる権利、プロファイリングされない権利など、きちんと形として書き込みがされていないと思われる、見える部分がありますので、これについてどうお考えか、お答えを願います。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
委員御指摘ございました自己情報コントロール権あるいはデータポータビリティー権、忘れられる権利等につきまして、その内容、範囲及び法的性格に関しまして様々な見解があると考えておりまして、我が国において明確な概念として確立していないと考えておりますので、今回の法案においては明記はいたしておりません。
ただ、個人情報の取扱いにつきまして、本人が関与するというのは重要なことと考えておりますので、改正案におきましても、本人による開示、訂正、利用停止請求等を可能とする規定を設けておりますし、個人が予期せぬ不当な取扱いを受けること等を防ぐ観点から、個人情報の目的外利用を制限するとともに、個人情報の不適正利用を禁止するということをいたしております。
改正案の内容につきましては、これらの規定によりまして個人の権利利益を実効的に保護していくものとなっていると考えているところでございます。
○森山(浩)委員 明記されていないんですね。ですので、個人の権利利益の保護を図るために、自己に関する情報の取扱いについて自ら決定できる権利、いわゆる自己情報コントロール権、それから、本人の意思に基づいて自己の個人データの移動を円滑に行うこと、これはデータポータビリティー権といいますが、個人データが個人の意図しない目的で利用される場合等に当該個人データの削除を求めること、これは忘れられる権利、及び、本人の同意なしに個人データを自動的に分析又は予測されないことの確保、これはプロファイリングされない権利というようなことで呼んでおりますけれども、これの在り方について検討を加えて、必要な措置、これは法文に明記をされていなくても対応すべきと考えますが、大臣、いかがですか。
○平井国務大臣 個人情報保護の考え方、また、データの利活用による個人のメリット、そういうことで、最近いろいろな自治体、特に最近注目している、この間話題になりました会津若松市などは、完全にオプトイン型で、昨日電話で確認すると、市民の二割がそれに参加していると。そこには、健康情報、そして災害のとき、そして、あそこは地域通貨にまでオプトインを使うということですので、本人の同意に基づいてそういうものが広がるということが実際スタートしているんだなと思います。
この話と、データポータビリティーとか情報銀行であるとか、非常によく似ていますよね。誰かに預けて、自分の個人情報を適切に扱ってもらうことによって本人が利益を得る。これはやはり、これから、基本的な考え方さえちゃんとあれば、デジタル化の進展に伴っていろいろなビジネスモデルが収れんされていくんだろうというふうに思います。
ですから、個人の権利をきっちり守るという基本方針の下に、そういうものの変化に対して、我々、やはり常に注意を図っておかなければならないと考えております。
○森山(浩)委員 そうですね。だから、個人が自分からいいよと言った場合と、そうじゃなくて、知らないうちにやられちゃったよ、あるいは国がいつの間にか決めていたよというようなことにならないように、これら先ほど申し上げた権利については、国としての侵害が同意なしにないようにということを、当然これは留意をしていただかなきゃいけないんですけれども、大臣、それは大丈夫ですよね。
○平井国務大臣 それは基本的な考え方として、やはり、それぞれの国民が納得できるような形、安心して自分の個人情報に関してそれを取り扱っていただけるようにするというのは国の責任だと思っております。
○森山(浩)委員 検討を加え、措置を講ずるということでいいですよね。
○平井国務大臣 附帯決議のお話でしょうか、については、私、まだ存じ上げませんので、これはそちらの、国会の方で皆さんで御議論いただいてお決めいただければと思います。(発言する者あり)
○木原委員長 御静粛にお願いいたします。
○森山(浩)委員 権利ということを明記しなくても、これらの権利についての検討を加えて必要な措置を講じていただくということでお願いをしたいのですが。
○冨安政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、委員もおっしゃいましたが、権利という文言は、明確な概念として確立しておりませんので、そういう権利に基づいてということではないかと思います。
ただ一方で、御本人さんが自分の情報について関与していくということは重要な取組と考えており、今改正案においてもそういう規定をいろいろ設けておりますけれども、今後、そういう議論に応じて必要な検討は行ってまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 権利という言葉は使えないけれども、中身についてはきちんと措置を取る、検討を加えて措置を取るということで、大臣、よろしいですね。
○平井国務大臣 言われていることの意味は理解します。今回の法案等の修正の話ですので、私の方からは今ここでどうこう言う話ではありませんが、委員の御主張は十分に理解させていただきました。
○森山(浩)委員 権利という文言は使えないけれども、中身については検討するということでございますね。
では、学究、研究目的における個人情報の取扱いについての部分ですけれども、個人の権利利益を不当に侵害する場合は個人情報の取扱いに関わる制限の適用除外とならないということになっておりまして、要配慮個人情報を含む個人情報の適正な取得、提供、保護、これについて許可をしなきゃいけないと思いますけれども、今回の改正についてはいかがですか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
まず、現行の個人情報保護法でございますけれども、学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合には、包括的に各種義務の適用を除外しているところでございます。
今改正案におきましては……(発言する者あり)失礼しました。今改正案におきましては、学術研究分野を含めたGDPR十分性認定への対応を目指し、安全管理措置や保有個人データの開示等の義務については学術研究機関にも適用することといたしております。
加えまして……(発言する者あり)
○木原委員長 御静粛に。聞こえない場合は私から申し上げます。
○冨安政府参考人 失礼いたしました。申し訳ございません。
加えまして、改正案におきましては、学術研究機関が学術研究目的で行う要配慮個人情報の取得や個人データの第三者提供につきましても、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合には本人の同意を要することとしておりまして、本人の同意なくしてこのような個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合において、要配慮個人情報の取得や個人データの第三者提供は行われない仕組みとしているところでございます。
以上でございます。
○森山(浩)委員 一部、学術研究についても適用していく、今まで全部適用除外だったけれども適用していくというようなことになっていますけれども、やはり、要配慮個人情報を含む、あるいは、学術目的で取得をしたけれども、ほかの使い方をされるというようなことも含めてチェックをしなきゃいけないという部分、まずは学術団体で、そして、何か被害が起こったときにはそれを救済するというようなことも含めて強化をしていただきたいというふうに思いますし、これは対応をいただくということでお願いします。
大臣、よろしいですね。
○平井国務大臣 いずれにしても、個人情報保護委員会による改正後の法の適切な執行を通じて、学術研究分野においても個人情報の適正な取扱いが図られることを期待したいと考えています。
○森山(浩)委員 個人の情報だけではなくて、例えば、ここの小学校の成績がいいとか悪いとか、ここの地域についてどうだとか、そういうことも含めて被害が発生する可能性がありますので、学術研究目的ということで全部が免罪符にならないように、学術団体ともしっかりと話をしていただきながらやっていただきたいと思います。
今回、従業員の転職のとき、事業者間で特定個人情報の提供を行うということができるというふうになっていますけれども、これについてはどんな状況になっていますか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
マイナンバーは、全住民に悉皆的に付番され、原則生涯不変の番号であり、他の識別子に比べ個人を特定する機能が極めて強いため、個人情報保護の観点から、マイナンバーつきの個人情報の提供は、マイナンバー法に規定された場合を除き認められておりません。
このため、これまで、転籍による従業員の雇用先の変更等に際して、事業者は従業員から再度マイナンバーの提供を受ける必要があり、国民、事業者双方の負担が極めて大きいとの指摘もあったところでございます。
そうした状況を踏まえまして、今回の改正案におきましては、従業者等の転籍、退職があった場合に、御本人さんの同意があるときは、転籍、退職前の勤務先から転籍、再就職した勤務先に対し、マイナンバーを含む個人情報の提供を可能とし、御本人様含め、負担の軽減を図ることとしたところでございます。
○森山(浩)委員 これはマイナンバーにひもづく情報だけということでいいですよね。というのも、例えば、前の会社で欠勤が多かったとか、上司とけんかしたとか、いろいろな情報がぼこぼこくっついて次の会社に行くというようなことになると本人の不利になる、こういう可能性もありますし、あるいは、事実上、次の会社に渡したいけれどもいいですかと聞かれて、嫌だと言うのはなかなか言いにくいというところもあるかと思いますけれども、ここについては配慮はできますか。
○冨安政府参考人 マイナンバー法におきましては、個人情報保護委員会が、法律の施行に必要な限度において、マイナンバーを取り扱う事業者に対し、特定個人情報の取扱いに関し、必要な指導及び助言をすることができる等とされておりまして、これらの規定に基づきまして適正な監督を行うこととしております。
今もございました、半ば強制に近いような同意みたいなものがあるなど問題のある事業者につきましては、今申し上げました規定に基づきまして、個人情報保護委員会において適正な監督が行われると承知しております。
○森山(浩)委員 そうですね。これはやはり半強制になるという可能性も十分考えられますので、しっかり監視をしていただきたいというふうに思いますし、個人から訴えができるような体制にしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○平井国務大臣 議員のおっしゃるとおりです。本人同意というのは自由意思によるものですので、従業員の意思に反して行われることがあってはならないのは当然だと考えていますので、マイナンバー法を所管する内閣府において適切に周知、広報をするというふうにさせていただきたいと思います。
○森山(浩)委員 広報に限らず、こんな形でやるんだよというガイドラインをつくるとかいうことも含めて、これはやはり企業対個人というような形になってしまうとなかなか交渉できるものでもありませんので、しっかりつくっていただきたいというふうに思います。
さて、地方公共団体情報システム機構のことですけれども、最新の住所情報等を署名検証者に提供するための本人同意については、同意後に事情変更があるということも踏まえて、同意の取消しを可能にするということ、それから同意の有効期限を設けるなど、いろいろなやり方があると思いますが、少なくとも取消しができるようにするというような運用をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今お話がございました、同意をした後にそれを取り消すとかいうことにつきましては、これからの検討になりますけれども、しっかりとそういうことができるような形で検討してまいりたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 さらに、生成した署名利用者符号、これについては、マイナンバーカードに記録をした後、復元不可能な形で確実に廃棄されるよう、これは省令で明記をしていただきたいと思います。いかがですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今御質問ございました電子証明書の秘密鍵の関係でございます。これにつきましては、市町村が秘密鍵の作成を行うとされておりますけれども、公的個人認証法施行規則の規定に基づきまして、J―LISに委任されております。
市町村長は秘密鍵を電子計算機に記録しないものとする旨を公的個人認証法の施行規則でもう既に定めてございまして、J―LISに対してもこれが適用されることになるということでございます。
このため、今現在も秘密鍵については、マイナンバーカードへ記録した後に、J―LISにおいて廃棄をしているところでございます。
○森山(浩)委員 確実にやっていただきたいと思います。
さらに、地方公共団体情報システム機構の件ですけれども、情報システムに関する高度な専門的知識を有する人材の確保及び育成、これが大事になってまいります。これをしっかり確保をするというのとともに、天下りの温床だというような形に言われることがないように、退職後の国家公務員の再就職、これについては認めないというふうにするべきだと思いますが、いかがですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
J―LISにおきます専門人材の確保及び育成につきましては、これまでもJ―LISにおきまして、様々な資格取得を目指す職員への支援など、力を入れてきているところでございます。
J―LISが発行を担うこととなりますマイナンバーカード、それからそれに搭載される電子証明書は、今後のデジタル社会の基盤となるものでございます。システムの安定性の確保とともに、御指摘ありましたように、組織の専門性を更に高めていく必要があるものと考えております。
このため、国におきましても、J―LISに対する国のガバナンスを強化する今回の法改正を契機としまして、J―LISによる専門人材の確保及び育成に対し、中期目標における適切な目標設定や研修機会の確保などを通じ、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
また、J―LISの役職員人事でございます。国と地方公共団体が共同で管理する法人として、地方三団体の代表を構成員に含む代表者会議の意思決定によるガバナンスの下で行われるものでございまして、地方の意向も踏まえ、J―LIS自身で適切に判断されるものと考えております。
○森山(浩)委員 公務員の再就職という部分についてはやはり批判が大きいですね。現職の方が行くというふうな形で、国とのパイプというかやり取りはできているというふうに思っていますし、説明をされていましたので、退職公務員の行き先というような形で批判が集中するようなことのないようにこれは運用していただきたいと思いますが。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今お話ございましたように、現在、常務理事のうち二名が役所の方から行っておりますけれども、いずれも再就職者ではないということでございます。
選任に当たりまして、地方における情報システムの状況等、地方公共団体の業務運営に知見を有しているということなどから、J―LISにおいて、当該二名を適任と判断した、代表者会議の同意を得て理事長が任命したものと承知してございますので、今後もそのような形で、J―LISで適切に判断をしていただくものだというふうに考えてございます。
○森山(浩)委員 これについては、スタートしてからもきちんとチェックをしていただきたいし、我々もチェックをしていきたいというふうに思います。
マイナンバーカード、これは、カードを持っていなくても、移動携帯の、いわゆるスマホに搭載ができるというような形にすると、それこそカードを取りに行くという手間が省けますけれども、これについてはいかがですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
携帯というお話でございます。移動端末設備用電子証明書という名前でございます、法律でございますけれども、これにつきましては、市町村窓口における対面での本人確認を経て発行されたマイナンバーカードの電子証明書を信頼の基礎として用いるということで、オンラインで簡便かつ確実に発行することを可能としたいというふうに思っております。
これに対しまして、仮にマイナンバーカードを持っていない者に発行することとした場合でございますけれども、移動端末設備用電子証明書の発行のために改めて窓口で対面での本人確認を行う必要がありますし、また、電子証明書の更新時やスマートフォンの機種変更等の際も同様に対面での手続が必要でございます。このことは、利用者にとっても、対面での手続を担う行政機関にとっても、過度な負担になろうかと存じます。
マイナンバーカードは、対面でマイナンバーの確認と身元確認を一枚で行える唯一の公的な顔写真つきの本人確認書類でございまして、デジタル社会の基盤として引き続きマイナンバーカードの普及を進めることが重要でございますことから、この観点からも、マイナンバーカード所持者に対しまして移動端末設備用電子証明書を発行することとしているところでございます。
○森山(浩)委員 そうですね。カードを発行してもらう、まあ、対面でやらなきゃいけないという部分はあるにしても、カードを発行してもらってその場で搭載してもらったら、もうカードは持って帰れなくてもいいんじゃないですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今の御質問でございますが、先ほども御答弁させていただいたことでございますけれども、実際窓口に来て、それでそれを実際に搭載するということになりますので、行政機関の方でも、過度な負担といいますか、それらについての対応ということになります。
マイナンバーカードを使ってオンラインでやりますればそういうことがないということでございますので、そこは御理解いただければと思っております。
○森山(浩)委員 さらに、端末に電子証明書を搭載をした後、なくしました、あるいはスマホを新しく替えますといったときに、搭載したデータを削除してしまわなければいけないわけですけれども、まず事業者の方にきちんと削除をするというところを義務づける、あるいは、失効済みであること、それから復元不可能な形で削除済みであることを確認をするというようなことを指導しなきゃいけないと思いますが、これはいかがですか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
移動端末設備用の電子証明書の不正利用対策は、公的個人認証サービスの信頼性に関わる重要な問題だと認識してございます。
具体的には、御指摘ございましたけれども、移動端末設備は、マイナンバーカードと異なり、譲渡、売買等により使用者の変更が想定されますことから、本改正におきましては、移動端末設備の使用者に対しまして、移動端末設備の使用停止時に失効申請を行うことをまず義務づけております。
これに加えまして、携帯キャリアや中古端末取扱事業者に対しまして、窓口において電子証明書が失効、削除済みであることを確認するよう要請するなど、重層的な措置を講じていきたいというふうに考えてございます。
○森山(浩)委員 そうですね。やはりこれは、それこそ唯一の証明書ということですので、確実にきちんと受付をして削除ができるようにしていただきたいと思います。
さらに、預貯金の口座、これのひもづけの話が出ています。
預貯金口座への個人番号の付番によって個人資産が国により把握されることに対する国民の懸念、これに対して、税務調査等の法令に基づく調査以外で国が預貯金口座の利用状況を確認することがないということをきちんと確認をいただきたいと思います。いかがですか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
委員御指摘のとおり、法令等に基づく調査等に限り使うということで、委員御指摘のとおりかと存じます。
○森山(浩)委員 済みません、法令等に基づく場合に限りですね、等ではありませんよね。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
法令に基づく場合でございます。
○森山(浩)委員 答弁は正確にお願いいたします。
さて、大臣、デジタル化を推進をするということなんですけれども、政治資金の報告書というのがあります。私も実は判こを押してアナログで出していまして、UI、UXの面でなかなか難しいなという気はしていますが、お聞きをすると、国会議員の関係団体でも数%というような部分しかデジタルでの報告はないということであります。
大臣自身も去年の報告書はアナログで出されていると思いますけれども、その理由、それから今後の対応についてお聞かせください。
○平井国務大臣 今月初めて私の地元の秘書が、自民党の香川県第一選挙区支部の収支報告書について、オンラインシステムを使って香川県選挙管理委員会事務局に提出しました。しかし、領収書については、膨大だったために、これはスキャンするのを諦めて持参したということで、ハイブリッドみたいなことになってしまったんですけれども。
これは結局、一般的に言っても、デジタル化に当たっては、デジタル化自体を目的にせず、やはりBPRを徹底することが必要だと思うんです。
この政治資金関係申請・届出オンラインシステムは、利用率が低いんですよね。先生もお使いになったんですか。(森山(浩)委員「ダウンロードして」と呼ぶ)これは、絶対原因があると思います、これだけ皆さんが使わないということでございます。
これは、制度を所管しているのは総務省でございますので、是非見直していただいて、我々も技術的な観点から協力をして、使っていただいてこそその意味があるというふうに思います。
○森山(浩)委員 倫選特でも御一緒に理事をさせていただいたこともありまして、これはデジタル化をすることにより公開のスピードも速くなるというような部分もあります。
また、コピー、大変だけれども、PDF化をするコピー機というのも出ていますので、今の制度でやれることというところと、やはり、どういう形にすれば出しやすいかというようなことも含めて、隗より始めよだと思いますので、使う人は我々しかいませんので、我々の中できちんとやっていきたいと思いますが、これは是非リーダーシップを取っていただきたいというふうに思います。
さて、デジタル社会形成基本法というところで、国民が義務を課されるものではないというこの基本の部分、それから、事業者の義務についてもできるだけ、最大限少なくしていくというところについて確認をしたいと思います。
○平井国務大臣 デジタル社会形成基本法案においては、国民の義務、責務は規定しておりません。
これは、三月十二日、後藤委員との質疑で答弁したとおり、第三条は、全ての国民が高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用するとともに、情報通信技術を用いた情報の活用を行うという手段により、デジタル社会におけるあらゆる活動に参画すること及び個々の能力を創造的かつ最大限発揮することが可能となる旨規定していることから、情報通信技術を用いた情報の活用やデジタル社会におけるあらゆる活動に参画することは全ての国民の義務ではないということでございます。
また、基本法案第十六条においては、事業者は、その事業活動に関し、自ら積極的にデジタル社会の形成の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するデジタル社会の形成に関する施策に協力するよう努めるものという旨を規定しておりまして、この規定は努力義務を定めるものであって、各事業者は、事業の内容等を踏まえて、自らの事業においてデジタル化を推進するかどうかを含めて判断するものであって、デジタル化は不要と考える事業者に対して義務を課す趣旨の規定ではございません。
これはやはり、国民も事業者も理解をしていただいて、全体としてデジタル社会の形成ができるように、我々もしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 さらに、基本のところですけれども、国と自治体の関係というところで随分いろいろな議論をしてまいりましたが、自治体が独自でやっている様々な政策、これを全部移し替えるということになりますと、一つは、独自政策をやっちゃいかぬのかというようなところ、もう一つは、このコロナの大変な時期に作業量が非常に増える、これも心配な部分でもありますので、この辺りのところの、自治体に対していつまでに何をやるというところの工数が多くなり過ぎないようにというような部分も含めて、大臣のお考えをお願いします。
○平井国務大臣 自治体の負担というものはこれから軽くなっていくためのデジタル化だというふうに思っておりますし、地方においてもデジタル化の恩恵が受けられるということこそ、いわば、国民側から見たら、地方のこれから大きなメリットだとも考えています。
いずれにせよ、地方自治体との連携というのは最重視しておりますし、その意味で、これから、コミュニケーション、いろいろな手段を今回講じておりますが、更に深めてまいりたい、そのように思います。
○森山(浩)委員 大きなシステムを入れるということになると、最初はどうしても調整やらミスやら出てくるものですので、コロナの大事な、対応しなきゃいけない時期だということを十分に踏まえていただいて、自治体の負担について、なり過ぎないようにということをお願いをしたいと思います。
COCOA、あるいはオリンピックのものなども含めて、発注方法、これの改革というのが必要なのではないかということで、何というんでしょうね、会社で、自分のところでアプリを作るときには、どれだけお客さんに来てもらってそして使ってもらうかというところまでやって仕事だけれども、国の発注の場合には、仕様書どおりに作ればそれで仕事になるんだというような部分、ITの業者の皆さんからも言われるところもあります。
民間からどう集めるかというところについても、中から情報を抜いて自分のビジネスに使ってやろうということではなくて、中でやること自身が非常に今後のキャリアにも役立つというようなことも含めて、公的な部分でのデジタル、これが、民間に帰ってきちんとやっていくための人材に対するメリット、それから発注方法の改革について、お考えをお願いします。
○平井国務大臣 今回いろいろな問題が露呈しましたけれども、やはり、要するに発注者側にベンダーと同等の能力を持っている人がいないということだと思います。その意味で、デジタル庁では、そういう民間のいわばベンダーのエンジニアと同等以上の方々の協力を得てこれからシステムというものをつくっていきたいというふうに考えているんですが、優秀な人材を集めたいということで我々は今頑張っていますが、なかなか、給与等の問題もあって、実はそんなに容易ではありません。ただ、非常にやりがいのある仕事であることも事実なので、そういう理解を得ながら皆さんの協力を得ていきたい、そのように思います。
○森山(浩)委員 最後に、デジタル庁の組織ですけれども、内閣直置きになっていまして、同じような組織としては復興庁だけだというふうにお聞きをしています。復興庁は特別なことで、十年で一応やめるんだという話をして、今回十年延長になりましたけれども、基本十年でやめるんだということを目標にやってきたわけですが、デジタル庁、デジタル化においても、実は、例えば厚生労働省、例えば経済産業省、各省のデジタル部門で最終的には発注もきちんとできるようになるというためのシステムではないかというふうに考えますけれども、十年でやめるということになっていないという理由をお聞かせください。
○平井国務大臣 デジタルトランスフォーメーション、デジタル化というのは、多分、終わらないということがDXそのものだと思います。ですから、常に最適化を図り、変わり続ける、その強い決意を持つということ自体が今回非常に重要だというふうに考えているのと、今まで各省がやってできなかったのは、各国でも同じように問題になったのは、サイロという言い方をしますけれども、分かれて情報連携ができない、そして、それが国民のメリットにならないというのは、各国の同様の機関も全く同じ意識でいろいろな取組をしております。そういう意味で、この終わりなき闘いに臨むのがデジタル庁だというふうに考えておりますので、その意味で、時限ということではないということだと思います。
○森山(浩)委員 とはいえ、遅れているデジタル化、何とか追いつくんだというような部分でいうと、目標を持ってやってもらわないといけないと思います。最初の十年でここまでやるんだというところについてまず目標を設定をし、そして、十年後の見直しのときには、やはりもうこれは現場で大丈夫だねというようなことになるように、頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。
○木原委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
前回積み残した米国のNISTの話から再開したいと思っておりますが、LINEさんが、アメリカのNISTの基準に準拠するようなデータセキュリティーのガバナンス体制を強化するとおっしゃっているんです。
NISTというのは、実は工業技術の標準化の話を定めているような機関でございまして、私も実は、恥ずかしながら知りませんでした。何これ、NIST、何という。
多分、そうはいっても、私、それなりに勉強しているので、多少ITについては詳しいはずなんです。多少ですよ、多少です。一応、情報処理技術者試験でいえば、基本情報処理試験からITストラテジストまでいろいろ持っているんです。
ただ、そんな人間なんですけれども、はっきり言って、現場に出れば使い物にはなりません。というのは、私の知識はもう既に陳腐化しているということもあろうかと思っておりますし、そういう観点も含めて、多少資格は持っていたって使い物にならない人間が話をしているという大前提をもって話を聞いていただきたいと思っております。
NISTの中にはいろいろな基準があって、工業規格もあるんですが、じゃ、LINEさん、何言っているんだろうなと最初思いました。サイバーセキュリティーフレームワークというのがNISTの中では記載されているんですが、これはコンピューターセキュリティーの分野において定められていることでございます。CSFといいますけれども、サイバーセキュリティーの話でいえば、主に重要インフラ向けのサイバーセキュリティー対策と言われているんですけれども、業種とか企業規模には依存しないサイバー攻撃対策が中心となっておりまして、これについて要求事項が汎用的に記載されているというふうに理解をしております。
プライバシーフレームワークというものもCSFの中にはPFとして盛り込まれているわけですけれども、そもそもNISTの基準としているデータセキュリティーの基準はどういうものなのか、経産省に伺いたいと思います。
○江口政府参考人 お答え申し上げます。
米国国立標準・技術研究所、NISTのサイバーセキュリティーフレームワーク、CSFと呼ばれているものでございますが、委員御指摘のとおり、元々は重要インフラ向けに策定されたものでございます。ただし、非常に実務的に利用しやすいものであるということで評価をされており、重要インフラ以外のものについても幅広く参照、活用されているものと承知をしてございます。
このフレームワークでございますけれども、セキュリティー対応を特定、防御、検知、対応、復旧というフェーズに整理をした上で、各フェーズにおけます対策を提示をし、具体化をしていくというものでございます。
データのセキュリティーにつきましては、防御というものの一環といたしまして、保存中ですとか伝送中のデータの適切な保護ですとか、データ漏えいに対する防御対策を実装していくということなどの必要性について提示をされており、それらについての対策を取りまとめるというものとして提示をされたものでございます。
○濱村委員 ありがとうございます。
今、江口さんからお答えいただいた中で、実はCSFはコアとティアとプロファイルがあって、コアについては特定、防御、検知、対応、復旧という五つ、IPDRRということで、五つの機能と二十三のカテゴリーで構成されているということです、フレームワークですから。ティアについては四段階の成熟度について評価基準が定められておりまして、部分的、リスク情報を活用している、繰り返し適用可能である、適応しているというような四段階があって、プロファイルが更にその後あって、これはビジネス上の要求事項とかリスク許容度、割当て可能なリソースについてちゃんと調整していこうということなんですが、アズイズとトゥービーをちゃんと定義している。私、このアズイズとかトゥービーとか、研修でしか聞いたことないなと思っておるので、ああ、もう世の中はここまでやっているんだなというふうに感じております。
ちなみに、その上で聞きますが、先日、二十三日でしたかね、LINEさんが出された中でいうと、CBPRの認証についても得ていくというような話がありました。CBPRは、先ほども委員会の中で出てきましたが、APECの越境プライバシールールシステムでございまして、これも基本的には個人データ越境移転の話でございますが、どういうものなのか、一応経産省に伺いたいと思います。
○江口政府参考人 お答え申し上げます。
APEC・CBPRシステムにつきましては、事業者などが個人情報の越境移転に関しましてAPECプライバシーフレームワークに適合する適切な保護を行っているということを認証する制度となっております。
具体的に申し上げますと、個人情報の不正利用とそれによる損害を回避するための保護措置を講じていること、個人情報の収集やその目的等につきまして明示的に通知を行っていることなどが要求事項として求められているものでございます。
認証を取得するためには、APECから認定を受けました認証機関による審査を受けることが必要となっておるところでございます。
CBPRには、APECに参加する国、地域のうち、希望する国、地域が参加する自主的な取組となっているところではございますが、現在、日本、米国、韓国、シンガポールなど九つの国、地域が参加をしているという状況でございます。
○濱村委員 九つということですが、CBPRは、恐らく、日本以外で九つなのかな、米国、シンガポール、韓国、メキシコ、カナダ、オーストラリア、台湾、フィリピン、日本、九か。失礼しました。
実は、韓国は、CBPRの認証を受けている企業はあるんですよね。だから、仮にLINEさんが韓国にデータを保管していますと言ったところで、CBPRに準拠している、認証を得ている企業であれば特段問題ないじゃんという話になります。ですが、そこについてどうなのかというのは、これは個情委が適切に判断することですので、我々からは言わないというのが私は筋だろうと思っております。
ちょっと、この点で個人情報の話をさせていただきたいと思いますけれども、個人情報保護法でいえば、二十四条は海外移転の話があって、二十二条には委託先における適切な管理がなされているかどうかについて規定があるわけですが、本人同意を取るということ自体は本来であれば最終手段なんですね。
どういうことかというと、まず大前提として、個人情報保護委員会が安心して越境移転していただいて結構ですよというような国、これは、いわゆるGDPRに準拠されているようなEUであったり英国であったり、そういう国々が含まれるわけです。
CBPRに準拠して、CBPRの認証を得ている企業かどうかというところ、こうしたところには安心してデータを移転できるということなんですが、そうじゃなかったらどうしますかということなんですけれども、これはどんな基準であるかというと、個人情報保護委員会が、個人情報保護法にのっとってちゃんと適切に管理しているかということを、管理していれば別にいいんですよ、例外的に。個情委の規則に従って、委託先海外企業の個人情報保護の体制を委託元の日本企業が確認して監督しながら業務を執行していれば、個別的に移転が可能でございます。
この点がなかなか整理されずにごちゃっと議論されているなと私は思っていますが、その上で、なかなかこうした環境にない委託先にデータを移転しなきゃいけないな、そういう状況にある場合は、本人同意を取るという手段が残されているというふうに解するべきだと私は思っております。
LINEさんが委託先において適切にデータを管理しているかどうかを監督して業務をしていたのかどうかというのは、これは個人情報保護委員会が判断することなので、我々がどうこう言う立場のものではありません。
その上で申し上げたいのが、今、LINEさんは残念ながら、残念ながらと言うと、私から見れば残念なんですが、海外からのデータアクセスを遮断してデータ保管を国内化しておられるんですけれども、これは緊急避難だと私は思っています。
冒頭お話ししたとおり、NISTのCSFであれば、特定の国や業界、技術に特化した内容にはなっておりません。ですので、中国の国家情報法があるということであれば、対応がなかなか十分と言えるのかどうか分かりません。
LINEさんは、今、緊急避難的にデータローカライゼーションともいえる行為を行っておられるわけですが、グローバルなビジネス環境の構築とは逆行する行為でございますし、多くのITベンダーさんは中国でオフショア開発を行っており、海外でデータセンターを活用したり、ITとかデジタル企業に限らず多くのテクノロジー企業が開発拠点を中国に持っている今の現状、この中で、中国のように国家情報法を持っているという国において、どうやって経済安全保障の観点を踏まえてデータ管理の方針を定めていくか。これは、国に非常に大きな宿題をしょわされたんじゃないかと私は思っております。
この点、平井大臣に御所見を伺いたいと思います。
○平井国務大臣 非常に難しい問題だと思います。
今回、先生も冷静にLINEの問題を分析しておられましたけれども、元々、やはりインターネットというのがグローバルなものだという前提で、それを使うことが前提となった社会の中で、いろいろなSNSとかそういうものが出てくる、企業もグローバル的にいろいろな情報を使う。そうしたら、当然、要するに、全世界的な、いろいろなリソースを見ながら最適化を図るということだと思います。
我々は、データローカライゼーションに関しては、我が国としてG20大阪サミットにおいてデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストを提唱しておりまして、信頼性のあるデータの自由な流通は重要であるとの観点から、国際社会におけるDFFTの浸透のリーダーシップを図りたいという立場でございます。
そういう中で、今からいろいろな問題に関して具体的に検討していかなきゃいけないときなんだろう、そのように思います。
○濱村委員 DFFT、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト、非常に重要な概念ですし、EUあるいは米国、それぞれ、データの在り方というのはしっかり規定しながら、安心して事業活動を行えるようにということを体制として整備しているんですけれども、我が国は中国と物理的に近いということもあって、中国の留学生が日本企業に来て、いろいろ技術的なことを学んで母国に帰って発展しているというような状況もございます。こうした状況をちゃんとお互いに活用していくことは非常に重要です。
中国だから全部駄目だとかということで思考停止するんじゃなくて、中国で活用できるリソースは何なのか、そして、やっちゃいけない行為は何なのか、データアクセスはどうあるべきか、データの保存は、保管はどうあるべきか、こうしたところをちゃんと個別細目的に整理することが今政府に求められていることだと思います。
いたずらに、中国だから駄目とか不安だとか、そういう話ではなくて、ちなみに言うと、韓国はCBPR認証を受けている企業もあるんですから、適切に管理すれば構わないよというようなところを、ちゃんと事実を確認していくことが重要であるということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、岸本周平君。
○岸本委員 国民民主党の岸本周平です。
今日も質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
今日は、もう大詰めに入っておりますので、平井大臣とは、預金口座とマイナンバーのひもづけの問題について議論をさせていただきたいと思います。
発端は、昨年の一人十万円の給付。これが、本当は低所得でお困りになっている人のところへ限って多めに給付するというのが筋ではないかという議論があった一方で、いや、それでは間に合わない、確定したり手間がかかるから、もう今は大変だ、その中で、ともかく所得制限をせずに一律十万円配ることによって本当に困っている方がスピーディーに救済を受けられるということで、これは与野党共に、いいことじゃないかということで踏み切ったわけです。
これが経済効果がどうであったかというのは、後ほど、このコロナが収まってから検証すべきだと思います、結局九割ぐらいが貯蓄に回ったとかいうエコノミストの推計もありましたから。しかし、ここは、本当に困っている人に一分も早く救済の手を差し伸べるということが必要だということでした。
そのインフラが残念ながら我が国にはなかったということも、今回の一連の流れの中で分かってしまいました。途中まではデジタル化していたんですけれども、途中で、紙にプリントアウトして照合するというような、びっくりするようなことが起きてしまっていた。
なので、今回、一つの預金口座で結構ですからあらかじめ登録しておいてください、そうすれば、いろいろな天災、あるいは今回のようなパンデミック、あるいは場合によったら世界恐慌のようなときに、非常にスピーディーに本当に困っている方に手を差し伸べることができますということだろうと思います。この趣旨に私は賛成であります。
一方で、そうだとするならば、その救済を受けられる口座をできる限り多くの方が登録することが効率的でもありますし、まさにそのことが必要になってくると思うんですね。
ところが、これはもうデジタルに詳しい平井大臣ともやりましたけれども、デジタル、デジタルといっても、デジタルを強制するわけじゃない、非常に包摂的に、優しく包み込んでいくので、アナログでやりたい人にはアナログでということもありますよということは平井大臣からも再三お答えいただいているんですが、しかし、高齢者の方々で、銀行に行きますよね、銀行の窓口に行って、銀行の方が説明するわけですよね、預金口座をひもづけられると、おじいちゃん、何かあったときにすぐ振り込まれますよと。いや、しかし、マイナンバーはわしは知らぬし、どうやねんというような話になったときに、どれだけ本当に登録してくださるのかということがあります。そういう、少しデジタルあるいはマイナンバーというようなものに対して疑心暗鬼の方々に対してどういう手当てをするのか、高齢者への配慮はどうするのか。
さらには、お答えいただきたいんですけれども、その上で、次の問いとあれなんですけれども、例えば今でも、年金、すごい数の口座に直接政府からお金が入っているわけです。それは、郵便貯金の口座もあればメガバンクの口座もある。これは膨大な数です。そこの口座は既に政府が知っているわけですから、例えば年金、社会保険庁みたいなところとタイアップしながら、年金なんかと少しコラボするようなことで高齢者に配慮するというようなこともあるのではないかと思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○平井国務大臣 委員とは本当に問題意識が全く一緒なので、いつも話がかみ合うという意味では大変うれしく思っているんですが。
今回、デジタル化するためにはいかにアナログの世界で汗をかくか、それをやはり重視すると思います。
今回、マイナポータルからのオンライン申請のほかに、例の公金受取口座ですね、国民が日常的に利用する金融機関の窓口においても申請できるし、そこを手厚くサポートする必要があると思います。
年金の話も全くそうだと思っております。委員御指摘の年金の手続を含めて、既存の事務において口座情報を多く取得している行政機関に対応していただけるようにこれから調整を進めていきたい、そのように思います。
○岸本委員 是非、高齢者の方も実質的にこの制度の恩恵が受けられるように、政府を挙げてお取り組みをいただきたいと思います。
その一方で、天災とかパンデミックとか、あるいは大きな恐慌的なものが起きたときにはもらえますよということであったら、なかなか、モチベーションといいますか、じゃ、分かりましたと、銀行の方にも言っていただいて登録をしたときに、その方が、二年たち、三年たち、四年たち、何も起きませんでしたと。それは望みますよね、我々としては天災が起きない方がいいし、パンデミックが起きない方がいいわけですから。何も起きない、四年たち、五年たちというときに、何か、まさかのときのためのというのがだんだん記憶が薄れていくということになったときに、例えば口座を解約することだって十分あります。登録している口座かどうか忘れちゃっていて、この口座を解約しましたと。あるいは、住所が変わる、あるいは、結婚された場合、選択制の別姓制度のあれはありますけれども、結婚して姓が変わる、いろいろな形で口座の情報が変更していく、更新されないというような可能性があります。
これについて、登録情報の正確性を今後どうやって担保していくのかということについて、政府のお考えを伺いたいと思います。
○平井国務大臣 まず、災害のときとかということ以外に、今回、年金、児童手当、失業手当、生活保護の支給、国税の還付等、六十八の事務において口座情報を利用することにしております。
そして、委員御指摘の、公金受取口座や登録情報の変更については、預貯金者から登録口座の変更の登録申請や登録情報の修正の届出を行っていただくということにはなっているんですが、こうした預貯金者本人からの申告のほかに、登録主体であるデジタル庁においても、定期的に、住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報、個人番号、氏名、住所、性別及び生年月日を利用した確認を行うことによって、これは年に一回程度ですかね、登録情報の正確性を確保するということにしております。
こうした取組によって、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施につなげたいと考えております。
○岸本委員 是非、公的給付の制度をしっかりと現実的に実効的なものにしていただくようにお願いをしたいと思います。
それで、実は、私ども国民民主党としては修正案を出させていただいております。それは、今大臣おっしゃったように、運用上しっかりやりますよということも結構なんですけれども、むしろ、そうであるならば、最初から全ての預金口座、例えば岸本が持っている預金口座に全てマイナンバーを義務的に振っておけば、それは非常に運用上、汗をかかなくても、政府は効率よく実施ができていくということにつながると思います。
私どもの出している法案のたてつけは、国民に義務を課すのではありません。国民の方に、何が何でも全てのあなたの預金口座をひもづけしなさいというのではなくて、金融機関に義務を課すんです。金融機関に対して、口座を開きたいと言ってきた人がいたら、銀行が、金融機関がマイナンバーとひもづける義務がある。その際に、お客様が、いやいや、私はそんなの嫌です、マイナンバーと私の口座をひもづけるのは嫌ですと言ったときは、銀行は断ってもよいという規定にしています。
普通、民法上の問題とかビジネスの問題がありますけれども、修正案では、銀行はマイナンバーと預金口座をひもづける義務があるので、お客さんが嫌だと言ったらそれは引き取られなくていいですよ、やらなくていいですよ、こういうたてつけにして、そうすると、お客様は口座がないと困るということであれば、じゃあどうぞひもづけてください、こういうことになる。そうして、一つの口座をマイナンバーとひもづけた瞬間に、預金保険機構はその方の全ての口座情報を持っていますので、自動的に預金保険機構を通じてその方の全ての預金口座がマイナンバーとひもづけられる、こういうたてつけになっております。そのためには、セキュリティーもしっかりしていただかなきゃいけませんし、漏えい防止等々いろいろな義務を課すわけですけれども。
大臣、そろそろ、お立場も分かるんですけれども、こういうことについても政府として、今回はなかなか難しいかもしれませんけれども、ひとつ将来的な課題として、この義務づけ、これは多分、何年かすると閣法でこれと同じ条文が出てくると私は確信しておりますので、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○平井国務大臣 今回の法改正でどこまでいけるかということもあると思いますが、私自身も、銀行口座にマイナンバーが付番された世界観というものはあるべき姿として共有しておりますので、今回の改正によって多くの国民の皆さんに理解していただいて付番が進むことを期待しているというところでございます。
○岸本委員 この問題は、午後、とても私ども短い時間なんですけれども、菅総理にも答弁を求めたいと思っております。
あともう一問だけお聞きをしたいと思います。
それで、今、運用上いろいろなお知恵を出される、そして鳴り物入りのこの法案が通って実施をされていく中で、では、この公的支給あるいは公金を受け取る口座の登録がどの程度のスピードで、どの程度の数、進んでいくのかということについて、これは、支給の迅速化や効率化あるいは事務負担の軽減のためには、さっき私が申し上げましたように、できるだけ多くのものをスピーディーに登録していただく必要があろうかと思いますが、ここは政府として当然、私も役所にいた側ですけれども、当然、政府としたら、いつの時期までにはどれぐらい登録数が来るだろう、あるいは来るべきだ、来るようにしようと、目標というか予測というのは必ず立てるはずだと思っています。
そういう意味で、答えられる範囲で結構ですけれども、今、大臣の頭の中には、いつ頃までにどの程度の登録があるべきだ、あるいはあるようにすべきだ、あるいはこう予測している、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○平井国務大臣 預貯金者本人の希望に基づくということですから、多くの国民に登録いただけるように我々は努力していかなきゃいけないというふうに思います。これは、いろいろなチャンネルを通じて行えるようにする、口座登録をですね。あと、金融機関との連携も必要ですし、この制度の周知、広報も非常に重要だと思います。
今、具体的な数字はまだちょっと見込むのは難しい面がありますが、新しい取組をしっかりと取り組んでいきたい、そのように思っております。
○岸本委員 それでは、時間が参りましたので、午後の質疑に回したいと思います。
本日は、ありがとうございました。
○木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。
○平委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いをいたします。
まず、配付資料をお配りをしているんですが、それを御覧いただきたいと思います。
デジタル遷都三か年計画、実はこの紙は、昨年の六月に、私はIT担当の副大臣をしておりましたが、そのときに、その前年は台風十五号、十九号の対応があり、ITで何ができるかという対応をし、そして、去年はまさにこのコロナにおいてITで何ができるかというのをIT担当副大臣として対応してきました。
そんな中で、いろいろやりましたが、もうこれは対症療法では限界があるなというのを痛感をいたしました。毎回、同じ問題、課題にぶち当たるわけであります。一方で、災害対応とかパンデミック対応は、必要な支援を迅速に国民の皆さんに届けなければいけないという思いがあって、これは何とかしなければいけない。
私がたどり着いた結論は、日本はITが遅れていると言われていますが、これはテクノロジーの問題じゃなくて構造の問題だろうということであります。
そのときに、昨年の六月に、ちょっと個人的な整理をまとめて、当時の官房長官であった菅総理にお持ちをしたペーパーであります。
何が書いてあるかというと、これは、私の私案なのでちょっと、今回の関連法案とは一致をするわけではないんですが、やはり俯瞰をして、生態系全体を俯瞰をして、解決すべきところをしっかり解決をしないといけない。地方の自治体のシステムの標準化とか政府との連携もそうですし、1番にありますけれども、デジタルガバメント庁をつくらないともう駄目だと。
これはまさに、平井大臣と自民党の中でもしっかり議論してきたことでありますけれども、しっかり、デジタルガバメント庁をつくるべきだし、専門的な人材を採用すべきだし、政府クラウドにすべきだし、そして、デジタルガバメント庁が調達とか計上とか執行まで一括でやるべきだとか、2番の自治体のシステムの統一化では、J―LISの抜本的な見直しやマイナンバーカードのシステムの刷新などなど書かせていただきました。さらには、広報戦略。そして4番には、地方関連法規で、いわゆる個人情報の二千個問題、これを解消しないとどうにもならないという問題意識から書かせていただいて、下にもありますけれども、縦割りの壁や、地方の壁や、国民の意識、何となく不安だという、払拭も含めてやっていかなければいけないということを当時の菅官房長官にお話をさせていただいたわけであります。
私もビジネスをやっていましたので、何か回らないときは、俯瞰をして生態系として捉えて、どこに目詰まりがあるかを見て、その目詰まりを、同時に目詰まりを排除しないと、取り除かないと生態系は回らないということだと思うんです。
ですから、結果として、今回、この目詰まりを全部取ろうとすればあらゆる法律を変えなければいけないということで、我々所管で五法案、総務委員会に一法案で、多分百個を超える法律に響いてくると思うんです。一部には、これは法律を束ね過ぎだ、一個一個丁寧にやったらいいじゃないかという意見もありますが、こういったパンデミックとか自然災害が、毎年のようにこれに対応しなければいけない現在において、私は、一気にこの目詰まりを取り除いて、デジタルガバメントを実現をして、そして、本当に必要な人に必要な支援の手を届ける、これが重要だろうと思います。
そこで、総理にお伺いをしたいのは、この目詰まりを一気に取り除くんだということと、デジタルガバメントを一気に進めるんだと私は思っておりますが、総理の所感と、あと、御決意などあればお聞かせいただければと思います。
○菅内閣総理大臣 全くこのペーパーのとおりだというふうに私も認識しています。
昨年六月に、高度な人材と強力な権能、予算の権限を有する新たな組織を立ち上げること、自治体システムの統一、標準化を実現すること、これも大変なことだったと思います。国民に対しても丁寧に説明していくこと、こうしたことについて、議員などから、党の皆さんから私に要望がありました。
まさに行政の縦割り、自治体のシステム、国民の不安といった問題の解決なしには、経済社会の進展と、その思いの中でデジタル化を推進するために、今回の法案になったところであります。
役所に行かずともあらゆる手続ができる、都会と同じような暮らしが地方でもできる、まさにそうした社会を目指して改革を一気呵成に行うために、平井大臣の下で今まさにこの計画を迅速に実行している、こういうふうに思っています。
○平委員 ありがとうございます。
このペーパーを持って官邸にお邪魔をしたときに、私は、デジタル遷都、パンデミックで、行政機能を、サイバー空間に都を移す三か年計画と題してお持ちをしましたが、ただ一方で、副大臣で現場を預かる身としては、これを実現するのは大変なことだ、どれだけの時間と労力がかかるんだろうという、ちょっと暗い思いも、思っていたんですが、当時の菅官房長官に、ここをやらないともうどうにもなりませんと言ったときに、菅官房長官が、全部分かっていると一言言っていただいて、本当に意を強くしましたし、あれからまだ九か月しかたっていない中で、ここまで網羅的な法案の審議がここまで進んでいるということは、本当にスピード感を持って対応されているというふうに思います。しっかり我々も進めていきたいと思います。
次に、一部慎重派の方々からは、今回の関連法案を捉えて、デジタル監視法案だというレッテル貼り、いつものレッテル貼りですが、そういうような指摘もありますけれども、私は全然違うと思います。
DXやデジタルガバメントを進めていく上で、個人情報をしっかりと保護する、そしてその体制を強化することは大変重要で、私と意見の違う人といろいろ議論したときも、個人情報保護委員会が全部見るべきだ、マイナンバーのみならず、政府も自治体も全部見るべきだと。私もそういう思いがあったから、今回、この法律では、三本の法律を一本化して、独立性の高い個人情報保護委員会に、まさに国の行政機関、独立行政法人、民間事業者、地方公共団体を一元的に監視をする形をつくったわけであります。
これからDX、デジタルガバメントを進めていく上で、個人情報がちゃんと守られているかどうかの体制をしっかり整備をしていく、個人情報保護委員会の体制なども含めて強化すべき、これがまさに車の両輪だと思いますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。
○菅内閣総理大臣 御指摘のように、デジタル社会の構築に当たっては、データの利活用、これによって国民の利便性向上を実現するとともに、個人情報、この保護に万全を期していくことが重要だと思っています。
今回の法案は、行政機関の個人情報保護を独立をした個人情報保護委員会に所管させることで、第三者的な立場から行政機関等に対する監督を強化し、そして我が国全体の個人情報保護の水準の向上を図るものだというふうに思っています。
また、今回の法案は、あくまでも、個別の法律で定めていた個人情報保護に関する規定を一つの法律に一元化するものであって、個人情報全体を集中管理するものではないことから、デジタル監視法案との御指摘は当たらない、こういうふうに思います。
○平委員 今、やじで、できていないもんねと気楽なやじが飛んでいますが、総務省の行管からこの権限を取ってくるのは大変だったわけです。そういうことが何も分からない人はそういうことを言うんだろうと思いますが、ただ、やはり、いろいろな懸念もあるのも事実ですから、DX、デジタルガバメント、さらには個人情報保護をしっかり見る体制を両輪で進めていく。
あと二十秒しかないので、私が一方的にしゃべって終わりますが、個人情報保護、デジタルガバメントと、データ・ドリブン・エコノミーにおけるデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの推進は車の両輪です。意外とこれを分かっていない人が多いので、しっかりと個人情報の標準化、二千個問題を解決をするということが、まさに個人情報の越境、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの世界戦略に直結をすると思いますので、ここは譲ることなく、しっかりと推進をしていただきたいと思います。
終わります。
○木原委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。
まず、総理にお伺いします。
デジタル社会を形成していく、特に今回は自治体の集約化を図っていくということでありますので、そういう個人のデータを行政が握っていくということになるわけですけれども、それに際しては、まず行政への信頼というのが何よりも不可欠だ、大前提だと思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 そのことは、ありとあらゆることに必要だというふうに思っています。
○今井委員 その上で、最近いろいろなことが起きているんですが、特に、これからこのデジタル法案を進めていくに当たって、重要な役割を担っているのは総務省です。マイナンバーもありますし、それから地方の標準化も待っています。ですから、総務省に対する信頼感というのは非常に重要なんですね。
ところが、そこを今所管している担当大臣、私もずっと見ていますが、非常にやはり態度に問題があると思うんですね。接待の話を聞かれても、ずっと同じことばかり言っている。私も画像を聞きましたけれども、役人が歩いているときに、記憶がないと言えというふうにささやいていました。
さすがに私もひどいと思ったんですが、三月十六日の衆議院の財金委員会でも、麻生財務大臣もこうおっしゃっています。何回も同じことを言っている、テレビを見ていたらどんなふうに取られるかと。ということで、見ている麻生さんも、さすがにこれは問題だということをおっしゃっているんですね。
そういう方がこれから個人情報をしっかり担っていくという総務省のトップにいるということは、私は不適切だと思いますけれども、総理はどうお考えですか。
○菅内閣総理大臣 まず、総務省の事案について、政府としては、行政に対する国民の信頼を大きく損なうことになったと大変申し訳なく思っております。
また、武田大臣については、これまでもしっかりと職責を果たしてもらっている、こういうふうに私自身は思っています。一連の事案について真相を究明をして、総務省そのものを立て直してほしい、このように考えています。
○今井委員 私は、役人の人たちも随分と処分を受けましたけれども、やはり政治家が誰も責任を取っていない、そのことがこの規律を緩ませる原因になっていると思います。
政治家にはそういう責任はないんでしょうか、監督責任というのはないんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 武田大臣は今回のところで、たしか三か月の給与返納というのをさせていただいているというふうに思っています。
いずれにしろ、しっかりと職責を果たして、この総務省改革を行っていただきたい、このように思っています。
○今井委員 私は、この大臣の下ではデジタル化は進められないというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、今度は厚労省ですね。
厚労省も、実は今、マイナンバーを健康保険証として使えるということもやっているんですが、四月をめどに、本当は今頃もうスタートするはずだったのが、十月に延びています。いろいろな原因をお伺いしましたけれども、非常に、そういう意味では厚労省も大事な省庁です。
ところが、ここも規律が緩んでいる。御存じのとおり、二十三人の人が送別会をやっていました。それもあきれたんですが、私、まず、そもそもあきれたのは、わざわざ十一時まで開いている店を探したというんですよ。つまり、東京都の時短営業に応じていない店をわざわざ選んだんだそうですよ。すごいですよね。それでいて、四時間いて、十二時以降まで人がいる。
こんなことをしている省庁が、本当に信頼される行政をやれると思いますか。
○菅内閣総理大臣 今御指摘をいただきましたように、厚生労働省において、深夜まで大人数の会食が行われた、このことについては、政府としては、大変国民の皆さんに申し訳なく、心からおわびをさせていただきます。
そしてまた、こうしたことが二度と再び起こることのないように、しっかりと綱紀粛正、取り組んでいきたい、こういうふうに思います。
○今井委員 この件に関して、田村大臣の責任というのはどうでしょうか。監督責任があるんじゃないでしょうか。
○菅内閣総理大臣 田村大臣も大いに反省をいたしておりまして、自らも給与二か月返納をさせていただくという中で、さらに、この責任者でありました課長を更迭し、徹底して、省内においてこうしたことがなかったのかどうか、そうしたことを調べ、うみを出して、国民の信頼に応えるように取り組んでほしい、こういうふうに思っています。
○今井委員 田村大臣に関しては、この委員会でも一つ問題があるんです。
今回のデジタル法案も、実は、入口で、四十五か所、参考資料に間違いがありましたけれども、全部をチェックしたら、何と、特措法を審議しているときに、特措法の中の感染症法の政府の提出の法案に条文の誤りがあった。ところが、それを、修正協議の中で、厚労省の担当者は、そのことを衆議院の法制局から伝えられて事実を知っていたのにもかかわらず、そのまま放置していました。これは、担当者ですから、個人の問題じゃありません。組織として情報を持っていたにもかかわらずそれを報告しなかったんです。これは隠蔽と言われても仕方ありません。
こういうことをする省庁が本当に信頼されるんでしょうか。田村大臣のやはり責任はあるとお考えではないでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まず、今般、厚労省だけに限らず、多くの省庁の中でそうした誤りが判明をしましたこと、ここは大変申し訳なく思っています。政府として、徹底して、こうしたことが二度と再び起こらないように取り組んでいるところであります。
また、田村大臣には、この新型コロナを始めとする問題に、まさに昼夜問わず全力で取り組んでいただいているというふうに私は信頼をしています。
○今井委員 私は、田村大臣にも大変監督責任があるというふうに考えております。
そのほかも、ワクチンでも今混乱が起きています。
今、ワクチン接種記録システム、いわゆるVRSですね、これを利用してマイナンバー法の例外を、例外規定があるんですけれども、これを適用していろいろ使おうというところで準備が進んでいます。そんな中に、それを主導するリーダーの人たちがまた混乱している。小林大臣補佐官が、会場を選べば打つワクチンを選べる、つまり、自治体を変えて行けば自分の好きなワクチンを選べますということを説明をしていました。ところが、河野大臣が慌てて火消しをして、実はまだ何も決まっていません、あのことは間違いでしたというふうに謝罪されました。僅か一日か二日の間のことです。
私も地元を回っていて、今のワクチンの接種のことで、自治体もそうですし、医療関係者の人も、予定がころころ変わるので本当に困っているという声を本当に多く聞くんです。担当者のところで違うことを言ってまたひっくり返す、こういうことがあると、ますますやはり行政の信頼度が落ちると私は思うんですけれども、この点に関してはいかがですか。
○菅内閣総理大臣 河野大臣から小林補佐官に注意をしましたけれども、不用意な発言であったというふうに思っています。
いずれにしろ、大臣を中心に一致結束して取り組む問題でありますので、そこは申し訳なく私からも思っています。
○今井委員 もう一分しかありませんので、最後に。
先ほどマイナンバーの健康保険証の件も半年延びたと言いましたけれども、デジタル庁をつくって、これからいろいろそのスケジュールを考えていますよね。これはスケジュールどおりできますか。今のいろいろなミスとかこういう情勢を見ていると、とてもスケジュールどおりにやれると思えないんですけれども、総理は、今の計画どおりにいろいろなものがちゃんと進むと自信を持っておられますか。
○菅内閣総理大臣 私自身は、間違いなく進めるという自信はあります。
例えば、昨年十二月にまとめた工程表ですけれども、スマホのマイナンバーカード機能の搭載は令和四年度中、また、運転免許証とマイナンバーカードの一体化は令和六年度末に実現する。さらに、こうした工程に基づいて国、地方のデジタル化、そこはしっかりと着実に進めていきたい、こういうふうに思います。
○今井委員 時間が来ましたから終わりますけれども、今の状況を見ていると、私は、とても行政に国民の皆さんが個人情報を預けようという気にならないと思うし、計画も予定どおり進むように思えません。しっかりもう一度引き締めてやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○木原委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。
総理に伺いたいと思います。
このデジタル関連法案、デジタル化を進めること自体は私は賛成でございますが、いろいろ配慮しながら進めなくてはいけません。
これは総理のお言葉をいただきたいんですが、五つぐらいあると思うんです。まず一つは、多くの国民にとって実質的に便利になるデジタル化であること、二つ目は、デジタルが苦手な人が置いていかれない、不利にならない、そういう配慮をすること、あと、三つ目は、個人情報保護、これを徹底すること、四つ目は、セキュリティーをきちっと確保して進めること、五つ目は、国民を監視する手段にしないこと。
もう一回言います。多くの国民にとって実質的に便利になること、デジタルが苦手な人が不利にならないこと、個人情報保護を徹底すること、セキュリティーを確保すること、そして国民を監視する手段にしないこと、この五つぐらいがやはりデジタル化を進める上で大事だと思うんです。
同じ認識ですか。
○菅内閣総理大臣 全くそのとおりだと思っています。
○後藤(祐)委員 安心しました。
では、まず一つ目の多くの国民にとって実質的に便利になるかということについては、先週、マイナンバーカードを使って確定申告ができるようになるということで、政務三役の方々、やっていますかと言うと、一人もやっていません。私、挑戦して七時間かかりましたという話をしたんですが、菅総理、マイナンバーカードを持っていらっしゃるということは臨時国会で聞いておりますけれども、マイナポータルにログインしたことはありますか。健康保険証として使える申込みはされていますか。そのほか、確定申告など行政手続をしたことはありますか。
○菅内閣総理大臣 ログインしたことはあります。それで、健康保険証に、これも登録しています。さらに、確定申告でありますけれども、毎年私、税理士の方にお願いをしていまして、ですから、マイナンバーカードで確定申告はしておりません。
○後藤(祐)委員 是非、そこでどういう苦労があったかというのを、これは先週平井大臣にも申し上げたんですが、総理も体感していただいて、確かにこれは一般の方が、特にお年寄りなんかがやろうとすると難しいねと、権力のある方がそれを感じていただくことが、デジタルが本当に多くの方にとって便利になるということになると思いますので、是非そこは、お忙しいと思いますが、一般の方の代表として、デジタルを使ってみていただきたいと思います。
じゃ、これがどれぐらいのお金でできているのか。特に、マイナンバーシステムについては、まずマイナンバー制度を構築するところから始まって、地方とつないで、マイナンバーカードを交付する。そのために、うちの家族なんかにも、まだあなたはマイナンバーカードを取っていないから取りに来てくださいねと封筒が来たりしていますけれども、あるいは、マイナポータルを構築する、国民に広報する、堺雅人さんのコマーシャルとか、いろいろなお金がかかっていますが、このマイナンバー関係の予算というのは、これまで累積で、総理、幾らかかっていらっしゃるんですか。
○菅内閣総理大臣 マイナンバー制度の関連国費の総額については、マイナンバー法成立以降の九年間の累計で約八千八百億円になっています。
詳細については平井大臣から説明させてください。
○後藤(祐)委員 八千八百億円、マイナンバー関係でかかっているんです。
私は、マイナンバー制度はうまく使えばいいものだと思うんですが、例えば配付資料の二ページ目に、先週申し上げた、確定申告をマイナンバーカードでやっている方はどのぐらいいるんですかと聞いたところ、五十九万七千人というのが令和元年の数字だそうです。二千二百万人のうち六十万人というのが多いかどうかはともかく、今のところ、マイナンバーカードを使って行政手続をやっているという話は周りでそんなに聞かないわけです。
今のところ、コストパフォーマンスが悪過ぎじゃありませんか、総理。
○菅内閣総理大臣 確かに悪過ぎると思います。
実は、私自身、内閣官房長官として、たしか三、四年前、このマイナンバーカードについて、もう一度一からやり直そうと思いました。そのとき、今申し上げましたような莫大なお金、特に設置の際は五千億ぐらいかかっていました。そうしたお金がかかっていて、たしか十数%の利用率だったんです。国民の皆さんに申し訳ない、そういう思いの中で、何が一番早く、また国民の皆さんにお役に立てるかと考えたときが、保険証だったんです。それで、厚労省を私、説得をして、ここをマイナンバーカードでできるようにしました。今、若干遅れていますけれども、そういう道筋をつけ、そして免許証も、警察庁と話をして、これも可能な方向性をつくりました。
ですから、これだけ多くの国民の予算を投入して、なかなか、十数%、たしか一二ぐらいだったと思いますけれども、そういう中で、このマイナンバーカードというものを国民の皆さんに充実をし、先ほど委員からお話ありましたけれども、誰一人取り残すことがないように、国民の皆さんがよかったと言えるようなことに、今全力で取り組んでいるところであります。
そういう中で、私、デジタル庁をつくる、そういうことを自民党総裁選挙で約束をして、当時取りまとめていた平井さんを大臣にして、今取り組んでいるということです。
○後藤(祐)委員 コストパフォーマンスが悪いという御答弁がありましたけれども、菅総理は官房長官でおられたわけですから、過去についても責任を負っているということについては申し上げておきたいと思います。
その上で、最初に申し上げた五つのうちのセキュリティーについてお伺いしたいと思いますが、総理のセキュリティーです。総理の携帯電話、大丈夫ですかという話です。
ヒラリー・クリントンさんは国務長官のときにメールを私的で送っていた、これはパソコンもあるかもしれませんが、これは大変な問題になりましたし、あとは、スノーデンのファイルが出てきたときに、ドイツのメルケル首相は十年間にわたって携帯電話を盗聴されていたということが明らかになりましたが、菅総理は、携帯で国政の重要なことについて通話したり、あるいは電子的にメールなどを送ったりといったことはされていますか。あるいは、するとしたら、私的な自分の携帯なのか、公的に支給された何かセキュリティーのある携帯なのか、そこも含めてお答えください。
○菅内閣総理大臣 私自身は、できるだけ携帯でそういう公の話は、外に漏れて困るというんですかね、海外に漏れて困るようなことはしないようにしています。
○後藤(祐)委員 できるだけだと困るんですが、一切していないということでよろしいですか。
○菅内閣総理大臣 一切といえばどうかはありますけれども、基本的にはやらない方向です。
○後藤(祐)委員 基本的にはでは困るんですね。党務は百歩譲っていろいろあるかもしれませんけれども、行政の中のことに関しては、そこがメルケル首相のように盗聴されていたら、それは国家機密が漏れちゃうじゃないですか。基本的にはでは困りますよ、総理。
総理、どういったことについては、内閣のことについて私的な携帯で話したりメールを送ったりしていたのか、どの程度やっていたのか、お答えいただけますか。
○菅内閣総理大臣 内閣というか行政については、私は携帯でメールのやり取りとか通話はしていません。
○後藤(祐)委員 していないということですね。しては困ります。実際、どうしても緊急に連絡を取りたい場合はあるでしょうから、セキュリティーの施された何らかの方法で連絡を取る体制を整備すべきだというふうに思います。
続きまして、行政による監視を行ってはならないという最初に述べた五つ目の話なんですが、これも総理に伺いたいと思いますが、我々野党の国会議員、あるいは与党の国会議員もそうかもしれません、あるいは各府省の幹部官僚、こういった方々の行動について、例えば携帯電話の通話を盗聴というか何らかの形で聞いたり、あるいはメールですとか、あるいは位置情報ですとか、こういったことについて、情報収集を何らか、政府あるいは政府から委託された者も含めて、やっているということはありませんね。
○菅内閣総理大臣 政府において情報収集しているのは、法令にのっとって適法のものについては適切に情報収集はしていますけれども、それを超えるようなことは一切やっていません。
○後藤(祐)委員 今、与野党の国会議員と各府省の幹部官僚しか挙げていないんですが、この両者に対して適法な形でやっているんですか、情報収集を。
○菅内閣総理大臣 法令にのっとって情報収集はやっていますけれども、法令に載らないことはやらないということです。与野党の人たちは、そういうことをやることは法律違反になるんじゃないですか。
○後藤(祐)委員 与野党の国会議員、各府省の幹部官僚に対して、法令にのっとってでもいいですが、やっているんですか、情報収集、携帯の情報なんか。やっているということですね、今の答弁は。すごい答弁ですよ、今の。やめてくださいよ。
犯罪しているような人に対して犯罪捜査する場合は認められていますよ、刑事訴訟法上。あるいは、共謀罪ですとか通信傍受法ですとか、法律に基づくものはありますよ。だけれども、それだけですか。
じゃ、与野党の国会議員、各府省の幹部官僚が、今言った犯罪捜査、通信傍受法、共謀罪法、組織的犯罪処罰法、これに基づく確かに犯罪を犯しているような状況のときを除いては、与野党の国会議員、各府省幹部官僚に対しては情報収集していないということでよろしいですね。
○菅内閣総理大臣 私、申し上げていますけれども、法令に基づいて行うこと以外はやっていませんということを言っています。通信傍受とかそういうのは、法令に基づいての決まりがある中で、ルールの下にやっています、それは当然。国会で法案が通ったわけですから。今、与野党の議員とか、そうしたメールとか通話とか、そういうものは法令に基づいていないわけですから、法令に基づかないものはやっていないということですよ。
○後藤(祐)委員 与野党国会議員、各府省幹部官僚の情報収集を法令に基づいてはやると。
その法令とは、刑事訴訟法、通信傍受法、組織的犯罪処罰法、その三つ限定ですか。ほかにありますか。
○菅内閣総理大臣 まさに我が国は法治国家ですから、法令に基づいて情報収集は、これは国家としてやっていますけれども、法令に基づかないものはやらない、これは当然のことだと思いますよ。ですから、与野党の方のメールとか通信というのは、これは大変なことになるんじゃないですか、そういうことをやったら。法令に基づかないことは一切やっていないということですよ。
○後藤(祐)委員 質問にお答えください。
先ほど刑事訴訟法が抜けていました。
刑事訴訟法、通信傍受法、組織的犯罪処罰法、これ以外の法令は根拠がないと思うんですが、例えば内閣法に基づいて内調がやっているとかというのは根拠にならないと思うんですけれども、今言った三つの法律だけですね、もしやるとしても。お約束ください。
○菅内閣総理大臣 事柄の性質上、お答えすべきではありませんが、いずれにしろ、法令にのっとって適正に情報収集活動を行っているということです。それ以外はやっていない、これは当然のことだと思います。(後藤(祐)委員「答弁していない。質問に答えていない」と呼ぶ)
○木原委員長 後藤君、質問を続けてください。
○後藤(祐)委員 その総理の言う法令とは、刑事訴訟法と通信傍受法と組織的犯罪処罰法だけですか。それ以外にあるとしたら、どの法律ですか。お答えください。
○菅内閣総理大臣 ですから、国の法律で認められていることの中で情報収集は、これは当然やっていますけれども、認められていないことについては一切行っていない、これは当然のことだと思います。(後藤(祐)委員「答えていないですよ。通告していますよ」と呼ぶ)
○木原委員長 しっかり答えていると思いますけれども。きちっと法令に基づいてやっていると答えていますので。(後藤(祐)委員「通告している」と呼ぶ)総理にそこまで細かく通告されているんですか。(後藤(祐)委員「通告している」と呼ぶ)
後藤祐一君に申し上げます。答弁をされていますので、質問を変えながら具体的に御質問をしてください。
○後藤(祐)委員 いかなる法的根拠によるものかと、私、通告しているんですよ、文字で。
それで、今申し上げた刑事訴訟法と通信傍受法と組織的犯罪処罰法だけですかと聞いているのに、それ以外にあるかどうかについてお答えにならないのは、これはおかしくないですか。内閣法に基づいて内調がやっているとか言われても困るんですよ。これは、きちんと、今言った三つの法律以外に、いかなる法律に基づいて行っているか、あるいは行っていないかについて、文書での提出を求めます。委員長、お取り計らいください。
○木原委員長 理事会にて協議をいたします。
質問を続けてください。
○後藤(祐)委員 今の話に絡みますが、総理動静を見ますと、総理は大体一週間に一、二回は内閣情報調査室滝沢内閣情報官からレクを受けておられます、昨日も受けておられたようですけれども。その中に個人情報に該当する情報は含まれていますか。
○菅内閣総理大臣 一般論として、内閣情報調査室では、自ら情報を収集しているほかに、関係省庁が収集し、また分析した情報を集約しており、いずれにしろ、行政機関個人情報保護法など関係法令にのっとって適正に行われている、このように承知しています。
○後藤(祐)委員 それは多分、私が次にする質問だと思います。総理、動揺しているんじゃないですか。
まず、内調のレクで、個人情報を含めたレクを受けていますか。多分それを受けているという前提で、私はこういう質問をしようと思ったんですね。内調が総理にレクするときに個人情報が含まれているとするならば、これは、行政機関の保有する個人情報保護法第八条に基づいて、他の行政機関から、内調は、個人情報の提供をこれに基づいて受けなきゃいけないはずなんです。これは全部法律に基づいて提供を受けているんですか。
○菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたけれども、内調から私への説明に含まれる個人情報は、内調が収集した情報、また、他の行政機関が収集した個人情報が含まれる場合に、行政機関の保有する個人情報保護法第八条に基づいて提供された、そうした情報に、関係省庁が集約した、分析した情報を集約しており、いずれにしろ、行政機関個人情報保護法など関係法令にのっとって適正に行われている、こういうふうに承知しています。
○後藤(祐)委員 最後、何か穴が空いていますよ。
内調が総理にレクするときの情報に個人情報が含まれている場合、内調自ら集めた情報でない場合、ほかの機関から集めた情報を内調が集約して総理にレクするような場合は、全て行政機関の保有する個人情報保護法第八条に基づいて提供されているということでよろしいですね。それでなかったら法律違反ですよ。
○菅内閣総理大臣 その辺は、申し上げましたように、行政機関個人情報保護法など関係法令にのっとって適正に行われている、こういうふうに承知しています。
○後藤(祐)委員 ほかの法律にのっとってもいいですけれども、全て行政機関の保有する個人情報保護法八条にのっとって提供を受けていますね。
○菅内閣総理大臣 これに違反しないような形で、のっとって情報を受けているということです。
○後藤(祐)委員 今のは全部八条にのっとってやっているということだと理解しましたが、よろしいですね。これは八条にのっとらなきゃできないはずなんですよ。
もう一度聞きます。八条にのっとってやっていますね。
○菅内閣総理大臣 ですから、その八条に違反しないように、のっとってやっているということです。
○後藤(祐)委員 もしそうやっているんだったら、最初からそう答えるはずじゃないですか。穴が空いているんじゃないんですか。
○木原委員長 申合せの時間が来ておりますので、お取りまとめください。
○後藤(祐)委員 八条にのっとってやっている場合は、全てこれは報告されているんです。目的外利用の場合は、ほかの機関に提供する場合というのは全部ホームページに出ているんですよ。でも、内調なんて、その中に出てこないんですよ。これはどういうことですか。
○木原委員長 後藤君に申し上げます。申合せの時間が来ておりますので、終了してください。(後藤(祐)委員「今、質問しました」と呼ぶ)いやいや、もう時間外ですので、終了してください。
○後藤(祐)委員 はい、分かりました。
ここは大きなテーマだと思いますので、これからも聞きたいと思います。
○木原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
デジタル関連法案について菅総理に質問いたします。
午前中でも質疑をしてきたところですけれども、デジタル庁の創設に当たって、その母体の一つとなるのがIT総合戦略室であります。このIT室には百人以上の民間企業出身者がおり、その多くが、民間企業に在籍をしたまま、非常勤国家公務員として勤務をしております。
人事院所管の官民人事交流法では、民間企業に籍を置いたまま国の機関で働くときは、出身元企業で働くことや給与の補填を禁じております。その理由は、公務の公正性を確保するためであります。
しかし、このIT室の民間企業から出向している非常勤職員は、在籍企業からの給与の補填を禁じられておりません。これでは、データの利活用でもうける企業に都合のよいルールや予算執行が行われるのではないかといった、公務の公正性の確保に疑念が生ずるのではありませんか。
○菅内閣総理大臣 民間人材の活用に当たっては、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分注意することが必要だというふうに思っています。
このため、IT総合戦略室では、非常勤職員が過去二年間属していた事業者について、当該非常勤職員が関係する調達案件には入札できない、こうしたルールを設けることで、公務の公正性が損なわれることがないよう運用している、そのように承知をしています。
○塩川委員 入札制限のお話がありましたけれども、しかし、このIT室というのは、まさに政府全体のIT政策、デジタル政策についての司令塔として企画立案、総合調整を行います。つまり、様々なデジタルについてのルールをつくるところなんです。だから、入札の話ももちろんあるんだけれども、それをおいておいても、そもそも、デジタル政策に関わるIT室に、民間企業出身者の人が民間企業に在籍をしたまま仕事をしていたら、これは公務の公正性に疑念が生ずるんじゃありませんか。
○菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、疑念が生じないように、入札できないルールをつくって対応しているということです。
○塩川委員 入札の話をしているわけではありません。まさに、デジタル政策をつくるという、企画立案、総合調整、それに関わるこのIT室に民間企業出身者がいるとなれば、まさにそのルールにおいて、民間企業に都合のいいルールをつくることになるんじゃないのか、その点の歯止めは何かあるんですかとお聞きしているんです。
○平井国務大臣 優れた専門性を持っている人材が、常勤、非常勤、兼業、副業といった多様な働き方を通じて様々な形で社会全体のデジタル化の推進に関わっていくような環境を用意することが非常に重要だと思っています。
このため、常勤、非常勤といった雇用形態や働き方については、募集職種の職務内容や個人の働き方のニーズ等も踏まえて、多様な選択肢を柔軟に提供していきたいと考えています。
そして、先ほど総理から説明がありましたとおり、入札には大変厳しいルールを適用しておりますし、これは、兼業した場合、まだ兼業を認めていない企業というのも多数あって、実は働きたいけれども働けないというケースもあります。そういう中で、兼業も認める企業との間で我々がうまく条件が折り合った場合には、そういうことで来ていただけるということになります。
いずれにしましても、疑念を抱かれないようにするということは当然ですし、やはり国家公務員としての義務がいろいろかかってまいりますので、ある意味、これからそういう有為な能力を持っている方々に働いていただいて、疑念が生じないように更に我々は努力をしていきたい、そのように思います。
○塩川委員 今、平井大臣、もう午前中のやり取りもしたわけですけれども、兼業も認めるという話になるんですよね。
そうしますと、官民人事交流法では、民間企業に在籍をしたまま官の方に来たときには、その出身元企業では働きません、出身元企業からは給与はもらいませんというルールなんです。それは、公務の公正性の確保のために行うわけなんですね。
だけれども、非常勤の国家公務員だと民間企業からお金をもらっているわけですよ。そうなれば、非常勤の国家公務員、年収でいえば二百万とか三百万。それ以上に、圧倒的多数の部分が民間企業から給与をもらったら、これは、企画立案、総合調整というIT室において、出身元の企業に都合のいいルールに関わるといった疑念は晴れないんじゃないんですかと聞いているんです。そこのところを、総理、お答えいただけませんか。
○木原委員長 平井大臣。(塩川委員「総理、総理に」と呼ぶ)平井大臣の答弁に対する追加ですので。
○平井国務大臣 民間の非常勤職員を受け入れることで公務の公正性に疑念が抱かれることがないように十分留意することは当然必要です。
民間から採用された職員についても、その採用方法にかかわらず、公正な職務の遂行、維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されます。これはもう先ほどもお話しさせていただきました。
総理からあったように、こうした規定に加えて、在籍又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないといったルールを設けて運用しているということであります。
ですから、デジタル庁は、民間の人材を確保するにも、そういうことに配慮しているがために、実は簡単ではないということでございます。
○塩川委員 企画立案の問題なんですよね。
ですから、総理、伺いますけれども、新たに発足するデジタル庁というのは、多くの非常勤の国家公務員が勤務することを前提にしております。民間企業の身分のままデジタル庁で働くということで、この企画立案、総合調整を担うデジタル関連予算を執行するデジタル庁に民間企業在籍者が多数勤務することになれば、官民癒着が問われることになりませんか。
○菅内閣総理大臣 デジタル庁には民間から百名規模の高度な専門人材を迎えて、国、地方、民間の人材が新しい発想でマネジメントを行い、成果を出してまいりたいと思っています。
デジタル庁における民間人材の確保に当たっては、原則公募による採用を進めるとともに、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することが必要だというふうに認識しています。
具体的には、委託などの手続に係るルールづくりについて透明性を確保する、民間企業と利害関係者が相反する際には職員を当該業務から隔離する、こうしたことを行った民間人材の活用により、公務の公正性が損なわれないようにしっかりと進めていきたい、こう思います。
○木原委員長 塩川君、申合せの時間が来ております。
○塩川委員 やはり、出向元の企業から給与を受け取っているということになれば、行政がゆがめられるという指摘は免れないということを申し上げて、質問を終わります。
○木原委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
六分しかありませんので、質問したいと思いますが、一言。
先ほどの後藤祐一議員の質問、とてもいい質問だと思いますね。ただ、政府に聞くだけというのは、私はこれはひきょうだと思います。やはり、民主党政権三年三か月のときはどうしていたのかということを語らずに自公政権にだけ聞くのは、これは国家の統治を危うくする非常に一方的な質問であって、万年野党でないのであれば、正々堂々と、民主党政権のときはどうしていたかを説明した上で質問すべきであると訴えておきたいと思います。
総理、今回のデジタル法案、平井大臣のリーダーシップで大変いい議論が国会でもできました。
今回、修正動議ということをかけさせていただきますが、立憲民主党の後藤さんを中心にやっていただいた障害者に係る修正、これは私たちも、大変いい修正ですので、賛成していきたいと思いますが、菅政権、このコロナ禍の中で、デジタル社会における障害者支援について大変大きな取組をしていただいています。総理から改めて御紹介をいただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 障害がある方が、自らの力を発揮し、生き生きと活躍できる社会を実現していくためには、やはり、ICTも活用しつつ、障害特性に応じた多様な働き方を用意していくこと、このことが重要だと考えています。
今議員からも、同様の観点から、テレワークにおける就労支援の実施について従前より御提案をいただいていたものというふうに承知をしています。
このため、令和三年度報酬改定においては、通所による利用を基本とする就労支援事業について、ICTを活用して在宅での就労を希望する方も広くその対象にしたところであります。
政府としては、今後とも、障害のある方がその希望に沿った働き方を実現できるよう全力で支えていきたい、このように思います。
○足立委員 ありがとうございます。
本当に、このデジタルの恩恵は、今日、宮崎先生も御指摘あった子育て、養育費の問題もそうだし、こういう障害者の問題も、本当に様々な、これまで手を差し伸べ切れていなかったところに手を差し伸べていく、大変重要な分野ですので、菅政権が一丁目一番地に位置づけていただいたことを感謝申し上げたいと思います。
最後に一問。
我が党は、これから本格的に、税、社会保障、成長戦略、本格的な経済社会政策の打ち出しを今年はやっていきたい、そう思っています。そうした観点から、デジタル社会形成基本法案の九条に、国民の利便性の向上、それから行政運営の効率化に加えて、公正な給付と負担の確保ということを三本目の柱として追加いただくよう、今提案をしているところでございます。
こうした給付と負担の公正さを確保していくために、デジタルは大変有効であると私は考えていますが、総理の見解をお願いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 マイナンバー制度は、デジタル社会のインフラとして、行政の効率化、国民の利便性向上を実現するものだというふうに考えています。
マイナンバーによって行政機関の間で迅速に情報の照会や提供、こうしたことを行うことにより、正確な所得情報を基に社会保障サービスを提供することが可能となるなど、公正な給付と負担の確保に資するものだというふうに思います。
また、今回の法案で、預貯金口座にマイナンバーを付番することによって、所在の分からない口座情報の把握や、より迅速な給付を行うことができるようになるというふうに考えます。
○足立委員 ありがとうございます。
今、立憲民主党の修正案、そして日本維新の会の修正案に絡めて総理に質問させていただきました。今日、この後の一時間で終局に近づくわけでありますが、本当に改めて、一丁目一番地のデジタル政策、私たちも修正案という形で付加価値をつけながら成立を期していきたい、そう思います。
一言。もう終わりますが、先ほど、冒頭、後藤さんの質問について言及しました。追及するだけなら共産党でもできます。やはり、政権を争う野党第一党であれば、公正な形で、政府に厳しく当たるだけじゃなくて、自分にも厳しく、これは身を切る改革もそうです、あらゆる点で野党第一党にはそうした我が身を正していくことを改めてお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○木原委員長 次に、岸本周平君。
○岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。
総理に御質問をさせていただきたいと思います。
今の維新の質問の流れでもありますが、マイナンバーと銀行口座のひもづけの関連であります。
本会議場での代表質問でもお聞きしました。政府が、今回一歩前進で、一つの預金口座をマイナンバーとひもづけることによって特別の給付金なんかが速やかに給付されるような法律改正を提案されました。一歩前進だと思います。高く評価したいと思いますけれども、しかし、一つだけですと、例えばその口座の管理、御本人がしますけれども、引っ越しをする、結婚で名前が変わる、あるいは休眠口座みたいになってしまうというようなこともあり得るわけであります。これは予算委員会で総理とも議論させていただきましたけれども、今後、将来のことを考えたときに、やはりマイナンバーを使って公平公正な社会をつくり、まさに所得再分配を行っていく、そのことによって将来の孫子の世代に余分な負担を残さない、このような議論もさせていただきました。そのためには、やはり全ての預金口座をマイナンバーでひもづけていくということが最も効率がよく、公平公正さも担保されるのではないかというふうに考えております。
その意味で、私ども国民民主党も修正案を出させていただきました。これについては、午前中、平井大臣とも既に一度御議論させていただきました。維新の皆さんも私どもの提案に賛成をして、共同提出者になっていただきました。
どういうことかといいますと、預金者の方が銀行に行って口座を開きますよというときに、その方にマイナンバーとのひもづけを義務づけるのではないんです。国民の方に義務づけるのではなくて、金融機関に義務づけをします。お客様が来たら、金融機関がその口座にマイナンバーをひもづけない場合は取引ができませんよ、そういうふうにしてあります。
そうすると、銀行はそんなの、普通ならビジネスは断れませんけれども、この修正案だと断る権利が出てきます。となると、個人の方は必ずマイナンバーをひもづけしないと取引できませんから、そのことによって結果的に進むのではないか。しかも、その際に、預金保険機構は全ての預金口座の情報を持っていますので、A銀行にマイナンバーと預金口座をひもづけた場合には、自動的に預金保険機構から、その他全ての、その方、Aさんの預金口座とマイナンバーがひもづけられる、一切落ちはない。そのことによって、公平公正な所得の再分配にも資するし、さらには、特別の給付を速やかに支給するような制度もできる限り効率よく運営されるということで修正案を出させていただきました。
このことについての総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 預金口座にマイナンバーを付番することによって、公正な給付の実現や、所在が分からない、また口座情報の把握、こうしたことができるようになります。
証券口座について、口座名義人からのマイナンバーの告知を義務づけていましたけれども、しかし、付番が進んでいなかったんです。
そうしたことも踏まえて、今回の法案では、全ての預金口座を付番することまではせずに、まずは、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求める、このことを義務づける。
そこから先をまた議員はおっしゃっているわけでありますけれども、まさに今回においては、法案を成立させた上で円滑にこうしたことを実施をさせていただきたい、このように思います。
○岸本委員 ありがとうございます。
少し将来について含みのある御答弁をいただきまして、勇気をいただきました。
今回、デジタル法案関連法案、いろいろ、まだまだ足りないところもあると思いますけれども、私もこの世界に関わって平井大臣と一緒に十年以上やってきた中で、前進しているんです。一歩前進、二歩前進していますので、前進しているところは前進で評価をし、足りないところは今後もしっかりと与野党関係なく前に進めていくように協力していきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○木原委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
質疑を続行いたします。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 引き続きまして、平井大臣に伺いたいと思います。平井大臣、よろしいですか、時間がないので。
配付資料に、参考資料も含めて今回の条文の間違い、これに対しての再発防止策で配られた、文書チェックの体制についてという紙を一ページ目に配っておりますが、これによりますと、IT総合戦略室に新しいラインをつくって審査しますとありますが、これは違うんじゃないですか。委員長も財務省ですとかで御存じだと思いますが、財務省には官房文書課というのがあって、経産省には官房総務課というのがあって、そこに物すごいチェック能力が高い方がずらずらっと並んでいて、そこでチェックするんですよ。
だから、内閣官房は内閣参事官室とか、あるいは、内閣府は内閣府の官房総務課にそういうチェック能力が高い人を増やして、そこでチェックすべきじゃありませんか。このIT総合戦略室に置いたってしようがないですよ。大臣、いかがですか。
○平井国務大臣 今般のデジタル改革関連法案に係る資料及び正誤表の誤りについて、文書チェックの体制が取られておらず、目視確認や読み合わせが不足し、誤りの発生時における報告意識が不足していることが課題であると考えており、対応策として、早速、三月二十三日に内閣官房IT総合戦略室に文書チェックラインを構築し、体制強化を図ったということでございます。
内閣官房及び内閣府官房部局においても、今回のデジタル改革関連法案についてそれぞれの所管部局の法令審査を行ったが、結果として全ての誤りの発見に至らなかったということです。
新たに内閣官房IT総合戦略室に設置する文書チェックのラインは、将来のデジタル庁における官房機能、内閣官房IT総合戦略室及び内閣府番号制度担当室の法案を審査ということを、当然デジタル庁も官房機能が要りますので、見据えて構築するということでございます。
○後藤(祐)委員 それだとデジタル庁は将来よくなるかもしれないけれども、この内閣委員会に物すごくたくさんの法案が来ているように、内閣官房とか内閣府というのは物すごく法案をいっぱい作るんですよ。ですが、ほかの省に、ほかの省も今駄目だからしようがないんだけれども、内閣官房、内閣府にこの法令審査をきちっとやる機能を増やさないと、それだとデジタル庁だけよくなるだけじゃないですか。政府全体でできていないじゃないですか。是非、内閣官房の参事官室と内閣府の官房総務課、ここに法令審査の体制を充実するということをやるべきだと申し上げておきたいと思います。
続きまして、先ほどの総理入りのときの内調の話の続きをしたいと思いますが、こうなると思いまして、森野内閣情報調査室次長、お越しいただいております。先ほどの続きです。
内調が集めた情報はともかく、ほかの行政機関が集めた個人情報を内調に提供していただいて、あるいは総理にレクするなり使うという場合には、全て、行政機関の保有する個人情報保護法第八条に基づいて提供されているということでよろしいですか。
○森野政府参考人 お答えいたします。
先ほど総理から再三にわたって御答弁されて、ちょっと繰り返しになるんですけれども、関係省庁が内閣情報調査室に個人情報を提供するという場合には、行政機関個人情報保護法等、関係法令にのっとって適正に行われているというふうに、私ども、考えております。
関係省庁がどのような法的根拠で内閣情報調査室に情報提供しているかについては、内閣情報調査室としては最終的にお答えする立場にはないということでございます。
○後藤(祐)委員 行政機関の保有する個人情報保護法第八条の解釈を伺いたいと思いますが、これは、第八条に基づく形でなければ、ほかの行政機関に個人情報は提供できないということでよろしいですね。これは、これを所管する府省、総務省かな。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
まさに、利用目的以外の目的のための利用、提供の場合は、この第八条に基づいて行うということになります。(後藤(祐)委員「ちょっとよく聞こえなかったんだけれども」と呼ぶ)
○木原委員長 もう一度、はっきりと御答弁ください。
○阪本政府参考人 はい、申し訳ございません。
まさに、利用目的以外の目的のために利用あるいは提供するという場合には、この第八条に基づいて行うことになります。
○後藤(祐)委員 内調に伺いますが、利用目的以外の利用だったのだとすれば、この八条に基づいてしかできないという総務省の答弁がありましたが、利用目的内の提供だったんですか。その場合は別の法律があるかもしれないけれども。利用目的外の個人情報利用は全て第八条に基づいて行わなければならないのですが、利用目的外の個人情報の提供に関して、八条に基づく提供を全て受けているということでよろしいですか。八条以外の根拠はないということでよろしいですね。
○森野政府参考人 繰り返しになりますけれども、内閣情報調査室が関係省庁から情報提供を受ける場合に、その関係省庁がどのような法的根拠で内閣情報調査室に情報提供しているのかということについては、私ども、お答えする立場にはないということでございます。
○後藤(祐)委員 じゃ、全て利用目的内提供だということですか、内調は。
○森野政府参考人 繰り返しになりますけれども、内閣情報調査室として、そこについてお答えする立場にはないということでございます。
○後藤(祐)委員 それでは、内調から、各府省から提供を受ける場合に、利用目的内なのか外なのかを確認して、この委員会にその結果を報告していただくようお願いします。
○森野政府参考人 突然の議員からの御示唆でございますので、最終的にお答えすることはできませんけれども、内閣情報調査室からそのような照会を各行政機関に対して行えるのかどうかということについては、ちょっと本日お答えすることは差し控えたいと思います。
○後藤(祐)委員 これは極めて重大な問題です。行政機関の保有する個人情報保護法第八条に基づいてしか、少なくとも利用目的外提供はできない、これは明確な答弁が総務省からありました。だとすると、利用目的内提供しかできないはずなんですが、これは実際にどうなっていたか。利用目的内提供だからできたのであるという説明だったら、それはそうかもしれません。利用目的外提供を八条に基づいて行ったというんだったら、それでいいかもしれない。でも、利用目的外提供を八条に基づかないで行っていたんだとすれば、それは違法です。
これについて、まとめた上で、この委員会に文書を提出していただくよう、お取り計らいください。
○木原委員長 理事会にて協議いたします。
○後藤(祐)委員 次に、LINEに行きたいと思いますが、立入検査が入ったそうですけれども、これは総理に聞きたかったんですが時間がなかったので、平井大臣。
中国は、国家情報法に基づいて、中国の会社に対して中国政府が情報を出せと言ったら出さなきゃいけないという法律があるわけですから、大臣、話を聞いていただけますか。(平井国務大臣「はい、聞いていますよ、ちゃんと聞いていますよ」と呼ぶ)はい。中国企業に日本人の個人情報を扱わせることはリスクが大きいと思いますが、いかがですか。
○平井国務大臣 特定の国にそういう個人情報が寄った場合にリスクが大きいかどうかというようなこと、これは中国以外の国もそのような法律があるかどうか、私、存じ上げませんが、インターネットがグローバルで、そういう情報がグローバル的に動くという状況の中で、当然、そのリスクに対してはやはり考えていかなければならないというふうに思います。
その上で、やはり法制上のリスクを評価するということと、移転の必要性を吟味して本人にも分かりやすく情報提供を行うということが今回の個人情報保護法の中で言われているわけですが、そういう意味で、この問題に関して言えば、非常に重要な問題があるという問題意識は議員と一緒であります。
○後藤(祐)委員 LINEの話について伺いたいと思いますが、お手元、配付資料五ページ目に、個人情報保護法二十二条と二十四条、今回LINEがこの条文を満たしているのかどうかがポイントになるわけです。
個人情報保護委員会事務局長に伺いますが、今回のLINEの事案に関して、個人情報保護法二十二条、二十四条違反の可能性がありますか。
○福浦政府参考人 LINE社から提出をされました委託契約書には、移転先に法の遵守を義務づけますとともに、同委託先への定期監査を実施することなど、個人情報保護法ガイドラインに記載された内容が盛り込まれておりまして、委託契約書の内容に問題があるとまでは考えてございません。
個人情報保護法二十二条及び二十四条の遵守状況を判断するためには、今申し上げた契約書の記載だけじゃなくて、委託先における個人データのアクセス権限の管理とか、委託先に対する監督状況の実態なども確認する必要がございまして、現在、これらの調査を継続しているところでございます。
○後藤(祐)委員 本当ですか。
まず、委託契約書の内容について行きたいと思いますが、七ページ目が、LINE本社と関連会社との間の個人情報保護に関する契約書。この中に、LINE社とLINEプラス、韓国にある子会社ですね、の間の契約も含まれますが、八ページ目は、その韓国にある子会社であるLINEプラスと、中国にある孫会社である「LDTS DL」、これはLINEデジタルテクノロジー(上海)リミテッド・ダリアンブランチというそうですが、の間の契約書、二つ並べてありますが、この子と孫の間の基本契約書には、八ページですが、例えば、「個人情報保護に関する法令を遵守し、」とか、「個人情報保護に関する法令」の規定によってとか、あるいは、その上の二十三条というところでも、「諸般法令事項を遵守する。」とあるんです。法令を守れと書いてあるんです。
ところが、親と子の間の、七ページの契約書においては、これはほかのところを見ても、法令を遵守することと書いてないじゃないですか。これでもって、何でこの契約書に問題ないと言えるんですか。
日本の国の法令を守れと、LINE本社と子会社であるLINEプラスの間の契約書に書いてないじゃないですか。LINEプラスは日本の法令を守る義務がないんじゃないですか。
○福浦政府参考人 個人情報保護に関します契約書の第十九条におきまして、本契約に関する紛争については日本法を準拠としてと規定をされておりまして、この規定によって、LINEプラスとLINEデジタルテクノロジーに対しまして日本の法令を遵守させる義務を負わせているとの報告をLINE社から受けてございます。
ただ、いずれにしましても、法の適用に関しまして契約の内容が明確でないというふうに思われる部分があるのは否定できません。必要に応じて助言を行ってまいりたいと考えてございます。
○後藤(祐)委員 何でこの契約書で十分だとさっき答弁したんですか。十分なんですか、この契約書が。
○福浦政府参考人 繰り返しでございますけれども、法令の適用に関しましては、日本の法令を遵守させる義務を負わせているという報告をLINE社から受けてございますけれども、繰り返しですが、法の適用に関しましての契約内容が明確でないところについては、必要に応じて助言を行ってまいります。
○後藤(祐)委員 LINEプラスは直接日本の法令を適用されないんですよ。LINEがLINEプラスに対して守らせる義務を個人情報保護法上負うんですよ。だから、契約書で、LINEはLINEプラスに対して日本の法令を守ることと義務づけなきゃいけないのに、書いてないじゃないですか。契約書だけでもって、LINEプラスは日本の法令を守る義務が法的にありますか。
○福浦政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、契約書の第十九条におきまして、本契約に関する紛争につきましては日本法を準拠法というふうに規定をされてございまして、この規定をもってして日本の法令を遵守させる義務を負っているという報告をLINE社から……(後藤(祐)委員「させるじゃなくて、プラスが義務を負うのかという質問をしているんです」と呼ぶ)義務を負わせているとの……(後藤(祐)委員「負わせるじゃなくて、プラスは義務を負うのかと聞いているんです、何度も」と呼ぶ)
○木原委員長 後藤祐一君に申し上げます。
再度御質問ください。どうぞ、もう一度。
○後藤(祐)委員 LINEが守らせるじゃなくて、LINEプラス、韓国の会社であるLINEプラスは、この契約でもって日本の法令を守る法的義務が発生していますかと聞いているんです、守らせるじゃなくて。
○福浦政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、日本法を準拠としてと規定されてございまして、この規定によって日本法を遵守する義務を負っているというふうにLINE社から報告……(後藤(祐)委員「プラスが」と呼ぶ)プラスが、はい、と報告を受けてございます。(後藤(祐)委員「報告って、だって契約書に書いてないじゃない」と呼ぶ)その契約の考え方についての報告を受けてございます。
○後藤(祐)委員 契約書に書いてないじゃないですか。書かなきゃ駄目でしょう。何で法律上の義務を負っているんですか。書いてないじゃないですか、契約書に。何でそんな、LINEがそう言っているからそうですって、そんなので公取みたいな三条委員会になれるんですか。
このLINEプラスが直接日本の法令を守る義務が契約書上あるかないかについて、文書にしてこの委員会に提出していただくよう、委員長に求めます。
○木原委員長 理事会にて協議いたします。
○後藤(祐)委員 八ページ目の、LINEプラスと「LDTS DL」の間の基本契約書の方がよくできているんですが、これはこれで一つ問題なんです。つまり、「法令を遵守し、」というのは、中国の法律、すなわち中国の国家情報法を遵守するという意味も含みますか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
中国の企業に対しましては、現地の法令等が適用される可能性はありますが、LINE社からは、中国当局から個人情報の提出を求められたことはないという報告……(後藤(祐)委員「そんなこと、聞いていない。含まれるか、含まれないか。ちょっとひどいよ」と呼ぶ)
○木原委員長 事務局長、もう一度御答弁をお願いいたします。
○福浦政府参考人 申し訳ございません。
業務委託サービス基本契約書第二十三条で規定する法令とは、日本法、韓国法を指しまして、同契約書二十四条で規定する法令とは、日本の個人情報保護法を指してございます。中国の国家情報法を含むものではないというLINE社からの報告を受けてございます。
○後藤(祐)委員 何でそんな解釈が可能なんですか。これは韓国の会社であるLINEプラスと中国の会社である「LDTS DL」の間の契約書ですよ。それで、「個人情報保護に関する法令を遵守し、」とか、「諸般法令事項を遵守する。」といって、何で中国の法令が入らないんですか。何でそんな解釈が可能なんですか。その根拠は。
○福浦政府参考人 この解釈につきまして、LINE社から報告を受けた内容は今申し上げたとおりでございますが、私どもとしても、この辺りをもう一度検証してみたいと思います。
○後藤(祐)委員 そうでしょう。これは無理があると思いますよ。これは日本の会社間じゃないんですよ。韓国の会社と中国の会社の間の契約で、何で中国の法令が対象にならないんですか。あり得ないですよ。しかも、韓国の会社が中国の会社に仕事をお願いしているんですよ。それで中国の法令を守らなくていいって、どんな解釈なんですか。
中国の法令に詳しい弁護士とかにちゃんと確認した上で、この委員会に文書で提出してください。委員長、お願いします。
○木原委員長 理事会にて協議いたします。
○後藤(祐)委員 その上で、契約書だけでは分からない、そのとおりなんです。
実際にどういう業務になっていたかが大事で、その上で守らなきゃいけないのは、六ページ目の個人情報保護法ガイドラインの中の技術的安全管理措置というので、「適切なアクセス制御を行わなければならない。」というガイドラインがありますが、ここで、先ほどの中国にあるLINEの孫会社が、中国政府からは情報を出すように求められていないし、出してもいないというんですが、そもそも、日本の物すごい個人情報をアクセスできるかもしれない孫会社であるこのLDTSに対して、中国政府なり中国共産党が網の目を張っていないわけないと思うんですよ。場合によっては、途中の回線ですとかそういったところを、何らかの方法でもって情報を収集している可能性はあり得ると思うんです。この可能性について調査していますか。
そして、情報を収集されていた場合には、このガイドライン八―六の技術的安全管理措置は満たしていないということでよろしいですか。
○福浦政府参考人 LINE社からは、LINEデジタルテクノロジー社におきまして、中国政府又は中国共産党から情報提供を求められたことはなく、自ら提出したこともないとの説明を受けてございます。
LINE社からの説明と異なる仮定を置いた上での個人情報保護法上の義務違反の有無については、お答えすることを差し控えたいと思います。
○後藤(祐)委員 ちょっと最後のところがよく分からなかったけれども、実際にアクセスされているかどうかは、これからちゃんと調べてください。
その上で、これは質問に答える必要がありますよ、個人情報保護法ガイドライン八―六技術的安全管理措置においては「適切なアクセス制御を行わなければならない。」としていて、要は、孫会社が中国でちゃんとアクセスされないようなディフェンスをしている状態にしなきゃいけないわけですよ。だから、例えば中国政府、中国共産党、それ以外の第三者も含めてアクセスされた場合には、日本の個人情報が抜かれちゃっているかもしれない状態になった場合には、この技術的安全管理措置を満たしていないということでよろしいですか。これは次、大臣に聞きますから、大臣、よく聞いておいてください。
○福浦政府参考人 一般論として申し上げれば、国内事業者が、個人情報保護法上の基準を満たす体制を外国事業者が整備していることを確認した場合には、本人の同意を得ることなく、委託等によって個人データを提供することができます。個人情報保護法上の規定に沿った措置の実施を義務づける義務がございまして、その一環として、委託先の外国事業者における適切なアクセス制御が求められてございます。
具体的な事案においてこの義務に違反するか否か、個別に判断する必要がございますけれども、外国事業者が取り扱う個人データについて適切なアクセス管理を怠った結果、第三者が不正にアクセスできる状態が継続されている等の場合には義務違反となると考えてございます。
○後藤(祐)委員 ちゃんと通告しているんだし、答弁も用意しているじゃないですか。しっかりしてくださいよ。
これは重大な事実なんですよ。つまり、日本の個人情報を扱う会社が中国にありました、まあ、これは中国に限らないですよね、そこで第三者にアクセスされ得るような状態になっている場合は、この個人情報保護法ガイドライン違反であるという答弁なんです、今のは。これはすごく重要なことなんですよ。もう置けないですよね、大臣。今の答弁、すごく重要なんですよ。適切なアクセス制御をどこまですればいいかなんて分からないから、相手の方が技術は上かもしれないんだから。
大臣に伺いたいと思いますが、そうなると、先ほどリスキーだねという話をしたと思いますが、LINEは、韓国に置いてある個人データを全て日本国内に移すことにされました。賢明な判断だったと思いますが。同じように大量に個人情報を扱うような事業者は、日本国内に個人情報を、個人データを置くことを義務づけるというところまで検討すべきじゃありませんか。
○平井国務大臣 先ほど濱村議員の質問にもあった話ですけれども、個人データの外国への移転に当たっては、まず、移転元の国内事業者が、移転先の国による個人情報へのアクセスを含め、法制上のリスクを評価した上で移転の必要性を吟味し、本人にも分かりやすく情報提供を行うことが必要だと。現在の個人情報保護法では、それを前提として、本人同意の取得に関しての情報提供を求めています。
一方で、我が国は、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト、DFFTですね、この考え方も非常に重要だと思っています。個人データの国内保管の義務づけについては、私自身は慎重であるべきだと考えておりますし、個人情報保護に配慮しながら、国際社会におけるデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの具体化に力を入れるべきだろうと考えます。
○後藤(祐)委員 かなりネガティブな答弁なんですが、相手の方が技術が上の場合、これは法律違反があっという間に起きちゃうかもしれないということはよく考えた上で、どの程度の義務にするか、あるいは大量の場合だけにするかとかという具合はあると思いますが、是非御検討いただきたいと思います。
これに関連して、行政機関はどうか。これは、附帯決議で、これは与野党の間で議論させていただいて、お手元の配付資料三ページ目、二の8というところで、国、地方、独法も含めて、が保有するデジタルデータについては、その管理を外部委託した場合も含め、データを国内に置くなど適切な管理を行うことと、かなり前向きな附帯決議を合意させていただきました。
これは、業務上困難な場合を除きと、私から提案したときは入れておいたんです、いろいろな場合があり得るから。むしろ与党側でそれを削除して、もっと前向きな形で返ってきたのでびっくりしたんですけれども。
平井大臣、国や地方公共団体の持つデジタルデータは、その管理を外部委託した場合も含めて、データを国内に置くという方向を目指すことでよろしいですか。
○平井国務大臣 国が保有するデータの管理については、今後クラウドサービスの利用が進むことが考えられますが、政府としても、既にクラウドサービス利用の基本方針を策定しております。この基本方針では、データセンターが国内にあることを原則としておりまして、政府として、引き続き、データの性質を踏まえつつ、データの安全な管理を推進したいと考えます。
○後藤(祐)委員 是非、与党の先生方もよくそこはチェックしていただきたいと思いますし、その方向で進めていただきたいと思います。
最後に、こやり厚生労働政務官にお越しいただいています。配付資料、最後のページですが、オンライン資格認証の関係なんですけれども、そもそも、保険者、すなわち保険を払ってくれる方ですね、が我々の、被保険者の医療情報をいっぱい持っています。薬剤情報とか特定健診情報、私のいろいろなデータも持っていると思うんですが、それ全部、支払基金、国保中央会というところに一元化されて、一億人以上のこういった特定健診情報なんかは一元化されているんですか。
○こやり大臣政務官 後藤委員にお答えいたします。
保険者が保有する被保険者に係るレセプト情報あるいは特定健診情報等の医療情報につきましては、令和元年の健康保険法等改正法により導入したオンライン資格確認の仕組み、これを契機といたしまして、医療保険各法の規定に基づく支払基金、国保中央会と各保険者の委託契約により、支払基金又は国保中央会が収集、管理等をすることとなっております。
○後藤(祐)委員 そういうことなんですよ。無保険者の方を除いて、一億二千万近い方の、こういう、どんな薬を使ったかとか私の健診の結果とか一元化されちゃっているって、皆さん御存じでしたか。これはすごいことだと思うんですが、これは漏れたら大変なことになりますし、いろいろな医療に関する個人情報のビッグデータを用いてこれからの薬を作るとかということは私はやるべきだと思うんですが、それは、是非、個人が特定されないような匿名性を確保して行うということを徹底していただきたいんです。
これは匿名性を確保される形でやっているのかどうか心配なんですが、その前に一つ、この支払基金、国保中央会が持つ膨大な一億人以上の医療情報、これはほかの外部で知り得る人はいるんですか。どういう目的かはともかく、制度上知り得る方はいるんですか。
○木原委員長 こやり厚生労働大臣政務官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔に御答弁ください。
○こやり大臣政務官 委員御指摘の特定健診情報等の医療情報につきましては、外部、例えば行政機関、その他の行政機関、あるいは保険会社等が知ることはありません。
○後藤(祐)委員 そこは厳密に守っていただきたいと思います。
終わります。
○木原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
引き続いて、公務の公正性の確保の点についてお尋ねします。
IT総合戦略室に多数の民間企業の方が、その企業に在籍をしたまま非常勤国家公務員として勤務している例を紹介しました。この点ではベンダーなどの企業もあります。
そこでお尋ねしますが、IT総合戦略室におけるNEC、富士通それから日立、それにNTTデータの社員の方はそれぞれ何人いらっしゃるか、その方は非常勤ということでよいか、退職者の方がいればその人数も教えてもらえますか。
○冨安政府参考人 御答弁申し上げます。
令和三年一月一日現在における内閣官房IT総合戦略室の非常勤職員のうち、議員御指摘の民間企業出身の職員の数は、それぞれ、日本電気が一名、富士通が二名、日立製作所が一名、NTTデータが二名でございます。私の知る限りでは、退職で来ている方はいらっしゃらないんじゃないかと思います。
○塩川委員 皆さん出身企業に在籍をしたまま、いわば出向として勤務をしているということです。
平井大臣、お尋ねします。
このNEC、日立、富士通などは、総務省の自治体システム標準化検討会のメンバーでもあります。自治体の情報システム業務に深く関与しているわけです。
例えばNECは、総務省の調査研究事業等に積極的に取り組んできました、そこで培ったデータの匿名加工化や可視化、分析といった技術と実績を利用して、新しいデータ駆動型行政を目指す自治体を住民情報システム保有データ活用ソリューションのサービス提供によって支援していきますなどと、国の政策の企画立案に関与していることを自治体向けのセールストークにしております。
民間企業からの出向という形で非常勤国家公務員として働くというのは、これは行政をゆがめるということになりはしませんか。
○平井国務大臣 今言われた政府システム受注実績の多い大手ベンダーというのは、ある意味では、なかなか人を、非常勤とはいえ、本当は出しづらいんだろうというふうに思います。調達制限にかかるケースが非常に多くなるし。そう思うんですけれども、基本的には、やはり、そういう政府のシステムというのは大型のシステムが非常に多いという意味で、個々のエンジニアもそうなんですが、大きなシステムの開発に関わったことのある経験というのは非常に重要だというふうに思っているんですが、そこにいるからといって、政府の基本的な方針とか、そういう戦略に大きく一人の職員が関われるということは基本的にはないというふうに考えています。
そういう意味で、民間から採用した職員については国家公務員法の服務に関する規定が適用されているので、私も何人かの方々にお会いしましたけれども、そういうことは大変気をつけているんだな、そのように感じております。
○塩川委員 政府の政策方針に関わることはないというお話をされておられましたが、先ほど総理とのやり取りのときに平井大臣答弁されていましたが、兼業を認める認めない、認める場合もあるけれども認めない場合もあるということを申されました。そういう点では、何らかの線引きがあるんだと思うんですけれども、そういったルールというのはお持ちだということなんですか。
○冨安政府参考人 非常勤の職員につきましては兼業が可能だというふうに、制度上そうなっていると認識しております。
ただ、先ほど人事院からお話がありましたのは常勤の方の話だったんじゃないかなと思いますけれども。特定任期付の方の話は。
○平井国務大臣 こちらは雇う側の方ですが、出す側の民間企業が兼業を認めていないというケースが結構あるんですよ。それで出せないということを先ほど申し上げました。
○塩川委員 了解しました。
そうしますと、官の方のルールというのはないということで、兼業は認めているものだ、非常勤についてはという答弁だったわけです。
そこで、カジノ管理委員会の事務局にお尋ねをいたします。
私、昨年一月の予算委員会で、カジノ管理委員会の事務局の中にカジノのコンサルをやっている事業者のスタッフが非常勤の国家公務員として在籍しているという問題を取り上げました。これについて、その後、私の予算委員会の質問の後、カジノ管理委員会の事務局において、このカジノコンサル業者の非常勤職員について常勤化をしました。非常勤を常勤化した。そのときの、その後の内閣委員会で質問したときに、その理由について大臣はどういう答弁をしたのかということを教えてもらえますか。
○並木政府参考人 お答えいたします。
カジノ管理委員会事務局におきましては、令和二年一月の設立当時、厳格なカジノ規制を立案する上で必要な能力、経験に着目いたしまして、公認会計士等を非常勤職員として雇用していたところでございます。
しかしながら、令和二年度から、一定の増員を含めまして、カジノ管理委員会事務局が本格的に業務を行う体制となります中で、そもそも、カジノを含むIR事業を推進していくに当たっては、国民の信頼の確保が重要であることや、実際に、新たな接触ルールも盛り込んだ基本方針が決定、公表されまして、自治体、事業者による準備作業が本格化していく中で、中立性、公正性の確保に一層の配慮が必要となるということなどを踏まえまして、令和二年度を区切りに、これら専門的職員の雇用形態についても変更を行うことといたしまして、公認会計士等を特定任期付職員として採用を行ったところでございまして、こういう対応、趣旨を大臣が御答弁申し上げたところでございます。
○塩川委員 いや、去年の三月の内閣委員会で、この問題への、武田大臣でしたけれども、大臣の答弁がどのようなものだったかの確認を求めたんですが、そこはどうですか。
○並木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま申し上げた内容が武田大臣が御答弁した趣旨ということで申し上げたところでございます。
○塩川委員 趣旨で丸めるんじゃなくて、きちっと言ってほしいんですが。
武田カジノ管理委員会の担当大臣は、非常勤職員として雇っていた公認会計士、弁護士、これがカジノのコンサルの事業者の方だったわけですが、特定任期付職員として採用するための公募をした、これはだから常勤になるわけです。特定任期付職員は出身元企業と兼業関係が生じず給与も全額国が支給をする、国民の疑念を払拭していかなければならないと答弁をしていました。ですから、これまでの非常勤職員ではカジノ規制に当たっての透明性、中立性に問題があったと認めるものだったわけであります。
平井大臣にお尋ねします。
カジノ管理委員会という、まさに透明性、中立性が問われるそういうところにおいて非常勤を常勤化をした、国民の疑念を払拭する、給与も全額国が支給をする、こういうことで常勤化をしたわけですから、このIT室においても、そして今後のデジタル庁においても、民間企業からの出向という形での非常勤職員のままではやはり官民癒着の批判は免れないのではありませんか。
○平井国務大臣 いろいろな形を考えておりまして、委員御指摘の特定任期つきも考えております。
○塩川委員 非常勤のままでは疑念を拭えないということを申し上げて、質問を終わります。
○木原委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
先ほど、対総理質疑で、我が党が修正案を出しております公正な負担と給付の確保、これについて総理に御答弁をいただきました。
今日は内閣官房の社会保障担当あるいは厚労省にもお越しいただいていますが、総理から御答弁をいただいたことは御存じ。作られたものね。そこで、更に何か皆様から、いや、総理はここまでおっしゃっていただいたけれども、もうちょっと言えるぞという何か付加価値はありますか。付加価値、ない、ある。ちょっと、じゃ。
○北波政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと例示でございますが、基本的には総理がお答えになったとおりでございますが、現在やはり、児童手当の申請など、給付事務、それから税の申告等にマイナンバーカードが活用されているという状況です。
やはり、税務署等における事務が正確かつ効率的に行われるということから所得把握の正確性が向上し、より適正、公平な課税につながる、また、社会保障改革でも、正確な所得情報の下に基本的には制度を構築するというのが大事でございますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○足立委員 ありがとうございます。今、総理に対して付加価値があるのかという若干笑いが起こりましたが、総理からは骨太な御答弁をいただきましたので、より詳しい御答弁をありがとうございます。
今御紹介があったように、私たち日本維新の会は、マイナンバーをフル活用する形で公正公平な社会をつくっていく、公正な負担と給付を確保していく、そのための経済社会政策、税と社会保障の一体改革だけではなくて、税と社会保障と労働市場、成長戦略、そして経済と社会の一体改革、これを今年はしっかり打ち出していくことを申し上げておきたいと思います。
大臣はもういいですね。大臣には、マイナンバーというか、デジタル大臣としてもサポートいただくという質問になっていますが、あっ、是非、じゃ、お願いします。
○平井国務大臣 御意見はもうよく分かっておりますので。
我々も、やはり公平公正というのは非常に重要だと思っています、利便性に加えて。そういうデジタル社会を目指して頑張っていきたい、そのように思っております。
○足立委員 ありがとうございます。
度々申し上げていますが、本当に、平井大臣の質問者に寄り添った答弁、感謝を申し上げます。
さて、残る時間も余りありませんが、今日は午前中に、個人情報保護委員会がLINE社それからZホールディングスに立入りをされました。
昨日、検査命令書が出て、そして今朝、検査の実施についての通知を両社にされたと承知していますが、御紹介いただけることがあれば事実関係をお願いします。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
手続については今議員おっしゃったとおりでございまして、今回の立入検査につきましては、報告徴収により提出を受けた内容につきまして、現在、実態を検証中でございます。
例えば、委託先の体制整備の確認を行っているかどうかなどの検証を行ってございますが、そういう検証を行うに当たりまして、効率的に実行していくということから立入検査を行ったものでございます。
○足立委員 個人情報保護法の四十条の一項に基づくということだと承知していますが、この同じ四十条の三項には、立入検査の権限は犯罪捜査のために用いられたものと解釈してはならない、こうございます。
立入りしたぞというと、何かLINE社が悪いことをしているかのような印象を持つ国民もいらっしゃるかもしれない。そういう何か嫌疑があるとか、疑惑があるとか、容疑がある、そういうことでは全くないのであるということであれば、それはしっかりその旨御答弁ください。
○福浦政府参考人 LINE社等に対しまして立入検査を行っているのは、何らかの嫌疑が生じたことによって行っているものではございません。
本件につきまして、さっき申し上げたとおり、資料等を確認することでより迅速な調査が可能になるという判断の下で行ったものでございます。
○足立委員 今、後藤祐一委員が何か横から不規則発言されていますが、立憲民主党は何かよく分からないんですよ。LINE社が韓国企業であったときは一切取り上げなくて、LINE社が日本企業になった途端に法律違反だ法律違反だと言ってLINE社を潰しにかかる。
繰り返しになりますが、具体的な嫌疑があって立ち入ったものじゃないんですよ。ただ、経済安全保障の観点から、大変重要なタイミングでこういう議論をされているので、私はその個人情報保護委員会の取組に敬意を表したいと思います。
事務局長、今日午前中立ち入って、何か分かったことがありますか。
○福浦政府参考人 今日分かったことは、私はまだ報告を受けてございません。
○足立委員 やはりこれだけ報道されていますので、国民の関心も大きいです。是非しっかり逐次説明を、国民に対する説明責任を果たしていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
LINE社については、とにかくもみくちゃになっていますが、私は改めて、経済安全保障の観点から、LINE社の問題にとどめる、矮小化することなく、政府そして国会でしっかり取り組んでいくことをお誓いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○木原委員長 御質問がありましたらどうぞ。(足立委員「あっ、まだ時間あるの。私、もう時間がないと思って。あと三分。委員長、さっきから、時間がない、ないと思っちゃってさ。まだ時間あるのね」と呼ぶ)そのうちに時間がなくなりますので、質問をどうぞしてください。
○足立委員 じゃ、委員長、ちょっとデジタル社会の在り方について、ちょっと委員長、一言語って。
済みません、もうこれで質疑終局、与党は質疑終局と言っている、野党はそれはまだ分からないと言っているという状況ですが、私は本当にこの委員会で、今日も三回マイクを握らせていただきましたが、いい議論を政府、与党、野党でさせていただけたと感謝をしております。
ただ、いろいろな質疑の中で明らかになったのは、経済安全保障に関する不備はやはりあるなと。平先生もそう思っていらっしゃると思います。だから、国会で、何か政府を痛めつけるだけじゃなくて、今日、宮崎先生もおっしゃっていた、このデジタルの話は与党も野党もありません。だから、みんなで知恵を出し合いながら、平井大臣の下で、よいデジタル社会、国民の利便性、行政の効率化、それから給付と負担、社会保障等の公正さ、これを確保していくためにみんなで頑張っていきたいということで、何か選挙演説みたいになってきましたが、いいでしょうか。
ちょっと、ごめんなさいね、三分前が終わりだと勘違いしていまして、失礼しました。
ありがとうございます。
○木原委員長 次に、岸本周平君。
どうぞ質問席の方へ。時間が経過しておりますが、どうぞ質問席へお越しください。
ただいま、立憲民主党・無所属、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ所属委員が退席されました。
理事をして御出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○木原委員長 速記を起こしてください。
立憲民主党・無所属、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。
この際、暫時休憩いたします。
午後三時休憩
――――◇―――――
午後三時一分開議
○木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時二分散会