衆議院

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第15号 令和3年4月7日(水曜日)

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令和三年四月七日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      小倉 將信君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本あき子君

      玄葉光一郎君    白石 洋一君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      早稲田夕季君    江田 康幸君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    岸本 周平君

      山尾志桜里君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    坂本 哲志君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   厚生労働副大臣     三原じゅん子君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 酒田 元洋君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 藤野  克君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            佐藤  淳君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 土谷 晃浩君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     出倉 功一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           度山  徹君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小倉 將信君

  吉川  赳君     佐々木 紀君

  大河原雅子君     早稲田夕季君

  吉田 統彦君     白石 洋一君

  岸本 周平君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     鬼木  誠君

  佐々木 紀君     吉川  赳君

  白石 洋一君     吉田 統彦君

  早稲田夕季君     岡本あき子君

  山尾志桜里君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     池田 佳隆君

  岡本あき子君     大河原雅子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤(裕)委員 おはようございます。自民党の安藤裕でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 子ども・子育て、少子化問題、まさに今の日本の国難と言われている問題ですけれども、やはり我々はこの問題に正面から取り組んで、一日も早く解決をして、若い人たちが安心して子供を産んで育てられる、そういう環境をつくっていかなくてはいけないと思っております。そういった意味で、一つ一つ問題を解決をしていく必要があると思いますが、本日議題になりました子ども・子育て支援法もその一環であるというふうに思っております。

 まず、今回の改正の内容について一部確認をしていきたいと思います。

 六十一条の三項で関係機関相互の連携の推進に関する事項を追加することができるようにするということがあります。やはり地域のいろいろな実情に応じて子ども・子育ての支援ができる体制を整えなくてはいけないと思いますが、昨今入れられております企業主導型保育事業というものもあります。これが一部、地域の市町村等との連携が取れていないのではないかというふうな指摘があったりもしますけれども、そんなことも踏まえながら、この関係機関相互の連携の推進に関する事項というものはどのようなことを意図しているのか、まず、その御説明をいただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 在宅で子育てを行う家庭等により効果的な支援を行っていくために、地域の関係機関相互の連携を図っていくことが重要だと考えております。そのような取組を促進するために、本法案においても、市町村計画において定めるよう努めるべき事項に、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込みまして、利用者支援事業、地域子育て支援拠点事業、それから保育所、幼稚園、それから、御指摘の企業主導型保育事業等の連携を進めることとしております。

 なお、こうした関係機関の連携を進めることによりまして、子育て家庭個別の状況を機関相互で共有して、そして、家庭の状況に応じた必要な支援と結びつけられるなどの効果が期待されると思っております。引き続き、地域の子ども・子育て支援の取組を推進してまいりたいと思っております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 やはり地域の市町村の方もいろいろと、子供がどのぐらい生まれてきて保育所のニーズがどのぐらいあるのかということを予測しながらやっています。やはり、地域の連携というものは非常に大事だと思いますし、関係機関相互の連携というものは非常に大事だと思いますし、より密にしていただいて、一方がよくて一方が何かうまくいかないみたいなことがないように、是非万全の体制を整えていただきたいと思います。

 それから、次ですけれども、事業主の拠出金の上限割合を引き上げるということも今回の改正に入っております。事業主の御負担をお願いして子育ての費用を捻出するということをやっておりますけれども、この上限割合を引き上げるということの意義について改めて御説明をお願いしたいと思います。

吉川大臣政務官 まず、上限割合の引上げの全体像でございますが、今回の子育て安心プランに基づいて、ゼロ歳から二歳児の保育所等の運営費に充てることとしている事業拠出金、これは総額で二千億円となります。今般、新子育て安心プランの実現に向け、追加に必要となる約一千四百億円のうち約一千億円の財源を経済界に追加拠出いただくことで確保したところですが、現行の充当割合の上限である六分の一を超えてしまうということが見込まれます。経済界と協議し、上限の割合を引き上げることといたしました。

 結果として、具体的には、令和七年度に見込まれるゼロ歳から二歳児の保育所等の運営費の必要額が約一・六兆円となり、そのうち経済界からの拠出金の額が約三千億円となることから、五分の一を上限割合としたものとなります。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 これも、事業主の方に、経済界にお願いをして、二千億円から三千億円に金額を引き上げていただくということであります。

 後ほどこの財源論についても少し触れていきたいと思いますが、やはり、今回、コロナでかなり傷んでいる企業さんもいらっしゃいます。そういった企業さんにこのような追加で子ども・子育ての経費を御負担をお願いをするというのは、これは景気対策としてはどういう効果があるかということは改めて考えなきゃいけないと思っています。

 これは、定額で負担をお願いをするとなると、人件費に対して負担をお願いするということになりますから、人を削減をすれば事業主負担も減らすということができるということになります。この事業主負担を引き上げることによって、人を雇用するのを減らそう、あるいは人件費を下げようというふうな動きを引き起こすのではないか、そんなような懸念も実は私は思っております。

 やはり、子ども・子育ての経費というもの、費用というものは国が責任を持って賄うべきものだと思いますし、これも、今、国には財源がない、お金がないという縛りの中でこういう案が出てきていると思いますけれども、これも将来考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 それから、次の話ですけれども、事業主に対する助成制度というものも今回新たにつくられるということです。子育て支援に積極的に取り組む事業主に対して助成制度をつくるということですけれども、これは具体的にどのような制度を想定しておられるか、これを御説明いただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 企業において従業員に対する育児休業の取得を促進することは、従業員がその置かれている環境に応じた自らの選択に基づく子育てを行うことができる環境の整備につながるものだと考えておりまして、子育て支援として意義があるものと思っております。

 こうした観点を踏まえまして、従業員に対して育児休業の取得を促進するなど、子育て支援を積極的に行う事業主に対する助成制度を創設いたしまして、これを新子育て安心プランの支援策として位置づけることといたしました。

 具体的には、厚生労働大臣が認定するくるみん認定等を取得しました中小企業の事業主に対しまして五十万円の助成を行うこととしておりますけれども、今後、制度の詳細につきましては、経済界の意見も踏まえながら、厚生労働省とも連携しつつ、更に検討を深め、令和三年の下半期から本助成事業を開始することとしたいというふうに考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。是非これは進めていただきたいと思います。

 私も、国会議員になる前は会計事務所、税理士事務所を経営しておりましたけれども、そこの従業員のところに子供が生まれて、保育園に預けていたということがありました。やはり、そのときに、共働きの家庭でしたから、子供というのは熱を出したりいろいろ病気をしたりするのが仕事というところもありますので、保育園から急に電話がかかってきて、すぐに迎えに来てくれというようなことがあります。そういったときに、お父さんでもお母さんでも、どちらでもいいからすぐに行っていいよという環境をつくっておくというのは非常に大事だと思いますし、そうすると、子供も安心して育てられるし、保育園に預けて何かあってもすぐに迎えに行ける、そういった環境がつくれると思います。

 そういったことをやってくれる事業主を支援するというのは非常に効果的であると思いますし、是非この制度はいろいろな柔軟な形で広めていただいて、そして、子ども・子育てを経営側、事業主の立場からもしっかりと応援をしていただきたいというふうに思っております。是非よろしくお願いします。

 それから、次ですけれども、資料を皆さんのお手元にお配りをしておりますが、それの一枚目を見ていただきたいと思います。出生数と合計特殊出生率の年次の推移です。二〇一九年が衝撃的な数字で、最低の出生数ということで、八十六万五千人ということでした。

 さらに、昨年、二〇二〇年はもっと少なくなっているという報道もございます。そして、昨年のコロナの影響で、実際に子供が生まれてくる、コロナの影響を受けて一番その数字が表れてくるのは令和三年、今年、二〇二一年に更に減るのではないかということも予想されていますけれども、今現在で、令和二年あるいは令和三年の出生数はどの程度になると見込まれているか、今の内閣府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症が流行する中で、婚姻件数や妊娠届出数について減少傾向が見られることは事実でございます。

 そのような中で、厚生労働省から公表されました人口動態統計速報によりますと、昨年、二〇二〇年でございますけれども、一月から十二月までの出生数の速報値は、二〇一九年と比較して二・九%の減少となっております。妊娠から出産までの期間を踏まえますと、二〇二〇年十二月頃から新型コロナウイルス感染症の影響が出始めるものではないかというふうに考えております。

 今後の出生数の見込みについて予断を持って言及することはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますけれども、我が国の少子化の進行が深刻さを増す中で、新型コロナウイルス感染症の流行が、結婚行動とか、あるいは妊娠活動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものというふうに受け止めておりまして、今後の推移については危機感を持って注視していく必要があるものと考えているところでございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 確かに、今予断を持ってどのぐらいになるということは言えないというのはそのとおりだと思いますが、今のお話のとおり、やはり、経済的な社会の不安、先行きの不安ということがあれば、なかなか結婚することもちゅうちょしてしまう、それから、子供をつくるということもちゅうちょしてしまうというのは、これは普通の、責任感のある大人であれば当然そういう判断をするんだろうと思いますし、それが現在の出生数の、恐らく低下ということに結びついていくんだろうというふうに思います。

 そんな中で、今日、皆さんのお手元に資料をお配りしておりますが、二枚目を見ていただきたいと思いますが、これは婚姻件数と婚姻率の年次推移ですけれども、これもどんどん減ってきております。二ページ目ですね。

 それから三ページ目が、これが五十歳時の未婚割合の推移と将来推計です。これらの一連の資料は内閣府の子ども・子育て本部が作っているものから取ってきたんですけれども、五十歳時の未婚割合、一度も結婚したことがない男性が、二〇一五年の段階で二三・四%、女性が一四・一%いる。男性のうち実に四分の一ぐらいは五十歳までに一度も結婚していないということが、これはデータとして出ております。

 それから、次のページを見ていただきたいと思いますが、これが完結出生児数の推移ですけれども、これは夫婦の間で何人子供をつくっているかということですが、二〇一五年の調査で一・九四人ですけれども、大体二人ぐらいのお子さんは夫婦の間でつくっているということがデータとして出てきています。したがって、結婚をしていただければ、二人ぐらいの子供は持とう、実際に持っているということがこういうデータで明らかだろうと思います。

 それから、次の資料ですけれども、未婚者、十八から三十四歳のうち、いずれ結婚するつもりと答えた者の割合は、男性で、二〇一五年調査で八五%、女性で八九%。だから、九割近くの人たちはいずれ結婚するつもりであるという思いは持っているわけですね。いずれ結婚するつもりだけれども、五十歳まで結婚できない人も相当数いる。

 それから、次の資料ですが、六ページ目ですけれども、これは若年層の非正規雇用割合の推移です。男性側の、一番下の青い線で出ていますけれども、男性が二十五から三十四歳の非正規割合、一九九一年には二・八%だったものが、二〇一九年には一四・四%まで非正規雇用の割合は増えています。それから、女性もそうですね。女性の場合は、二十五から三十四歳でも、以前は二五%だったのが、今三九%まで増えています。女性全体で見ると、以前は三七%非正規だったものが、五七%まで非正規雇用が増えている。男性もそうですね。要するに、男性も女性も非正規雇用の割合というのは非常に増えていっています。

 それから、次の資料を見ていただきたいと思いますが、これの右側の三十歳代の所得階層別の雇用者構成を見ていただきたいと思いますが、三十歳代、一九九七年に最も多い所得階層というのは五百万から六百九十九万円。ここが一番多かったわけですね。これが、じゃ、二十年たって二〇一七年にはどうなったかというと、一番多い所得階層は三百万から三百九十九万円。

 この資料を見ていただくと分かるとおり、三十歳代の所得階層というものは、二十年前、一九九七年に比べて、二〇一七年は明らかに左側にシフトしています。右にシフトしているのならいいんですけれども、左側にシフトしている。これは、明らかに所得が三十歳代は低下をしているということがこのデータから明らかではないかと思います。

 それから、次のページ、八ページ目ですけれども、男性の職業上の地位、雇用形態別有配偶率ですが、三十から三十四歳を見てみると、正規の職員、従業員であれば、六割ぐらいの人が有配偶者、配偶者がいるということになっておりますが、非正規の職員、従業員だと二二%、そのうち、パート、アルバイトが一五%いるということですけれども、職業上の地位によって、婚姻率には、有配偶率には、明らかに差があるということになります。

 それから、次のページ、九ページ目ですけれども、これは男性の年収別有配偶率ですが、これも、年収と配偶者がいる率というものにも明確な相関関係がありますね。

 そして、次のページ、十ページ目ですけれども、妻の年齢別に見た、理想の子供の数を持たない理由。一番多いのは、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから。それから二番目に多いのが、高年齢で産むのが嫌だからということになります。

 したがって、結婚をしたいけれどもできない。子供を産み育てたいけれども、子育てや教育にお金がかかり過ぎるので、これがなかなかできない。お金をかけようと思っても、所得が下がっていてこれができない。結婚するのも大分遅くなっていますから、子供を産むのが遅くなって高年齢で産むことになってしまう。

 したがって、これもなかなか子供を、理想の子供の数が持てない理由になるということを、こういった資料を、これは内閣府の方で作っている資料ですが、これを見ていくと、やはり少子化の根本原因、一番大きな要因というのは婚姻数が減少していることであって、それから、所得と婚姻率というものは比例をしている、それから、この職業上の地位も、非正規か正規かということによっても、これも完全に比例している。したがって、これにどう対応していくかというのがこの少子化問題の一番大事なポイントだと思います。

 若年層の安定雇用と所得の増、これにいかに対応していくべきと今内閣府でお考えか、それをお答えいただきたいと思います。

吉川大臣政務官 先生の、経済的な要因、そして、さらには雇用の安定、こういったものを踏まえた中での未婚、少子化に対する問題意識、ごもっともだと思います。

 私も、子供、娘が二人いるわけですが、娘二人が小学校のときに、二度目の選挙で落選をしまして、経済的にまさに困窮をするということを経験したわけであります。まさにそのときは暗たんたる思いでございましたし、やはり、まさに経済の安定というものがしっかりとないと、なかなか子供を産み育てるというような気持ちには至らない、また同時に、結婚という意識には至らないのだと思います。

 その中におきまして、まず内閣府といたしましては、やはりこれに関してはしっかりと安定雇用ということを求めていくということであります。非正規雇用の皆様方の安定雇用のため、まず経済基盤を確保することが重要であると考えております。このため、少子化社会対策大綱では、若い世代の経済的基盤の安定に向け、若者の就労支援、非正規雇用労働者の正規雇用転換、待遇改善を進め、若い世代の雇用の安定を図るということを目指しているところであります。

 そのほかにも、厚生労働省と連携をしながら、若い世代が将来に展望を持てるような雇用環境の整備を通じて、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるよう環境整備に取り組んでまいりたいと思っておりますし、また同時に、非正規から正規というだけではなくて、今般の同一賃金同一労働、こういったもので経済的な安定を図っていくということもございます。

 また、さらには働き方改革によって、先生のデータは男性の所得に着目したものが多かったわけでありますが、今では、共働きで、両方の収入で家庭を営んで子供を育てるという家庭も圧倒的に増えてきました。やはり、その中で男女共に働き方改革によってワーク・アンド・ライフ・バランスを整えていく、こういった点も考慮しながら、今後しっかりと対応してまいりたいと思います。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 今、共働きが当たり前になっているというお話でありましたけれども、これも、私が思うのは、男性の賃金が下がっていって、女性も働かないと子育てできるだけの所得が得られないという環境になっている気がするんですね。やはりちゃんと、男性でも女性でもいいから、一人、家庭で働いていれば家族が養える賃金がもらえる、それで、夫でも妻でもいいけれども、働きたい人は更に働いてもっと所得を得ればいいけれども、働かない自由もあるという環境にしておくということがやはり私は必要なんじゃないかと思いますし、やはりそういった環境をつくってこそ本当に子ども・子育ての支援になるんじゃないかなというふうに思います。

 それから、その子ども・子育ての一環で、今、若い人たち、奨学金を借りて大学に行っている、高校の頃から借りている方もいらっしゃいますけれども、これが非常に社会に出た後に重荷になっていると思います。これは、子ども・子育ての、少子化対策の一環として、内閣府の方から奨学金の返済免除等を提案するべきではないかと思いますけれども、お考えをお答えいただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 先生からの御指摘、何度も頂戴しているところでございますけれども、政府といたしましては、奨学金事業というのは、返還金を再度奨学金事業の原資とすることで、より多くの学生等への奨学金の貸与を行うこととしておりまして、奨学金の返還に係る債務の免除ということを行うことにつきましては、財源の確保等の観点からちょっと困難であるというふうに承知をしておるところでございます。

 ただ、卒業後、厳しい経済環境に置かれて奨学金の返還が困難な方に対しましては、これまでも、返還期間の期限の猶予とか、あるいは減額返還制度など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたというふうに承知しております。

 さらに、子育て世代の経済的支援の一環といたしまして、真に経済的支援が必要な子供たちが経済的な理由で大学等への進学を断念することがないように、昨年の四月から、授業料等の減免措置と、それから給付型奨学金の支給の拡充を併せて行う、いわゆる高等教育の修学支援新制度を実施しているところでございまして、こうした取組も含めまして、引き続き、少子化社会対策大綱に基づいて、安定的な財源を確保しつつ、ライフステージに応じた総合的な少子化対策を大胆に取り組むことで、個々人の結婚や出産、子育て希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。是非検討していただきたいと思います。

 それで、やはりここでも財源論ということが出てまいりますけれども、この財源、皆さんのお手元に、次のページ、十一ページ目に、イングランド銀行と、それから全国銀行協会が出している「図説 わが国の銀行」の抜粋を持ってきておりますが、これは、融資をすることによってお金が生まれてくるという信用の創造について説明をしているところです。

 イングランド銀行は、「商業銀行は、新規の融資を行うことで、銀行預金の形式の貨幣を創造する。」ということを説明しておりますし、全国銀行協会も、「図説 わが国の銀行」という本の中で、「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのではなく、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。つまり、銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである。」というふうに説明をしております。つまり、お金を借りるという行為は新しくマネーを生み出すという行為であるということです。

 日本銀行に二問、お伺いしたいと思いますが、まず、国債を発行して国民に支出をすると、マネーが増えて国民は豊かになる、その認識でいいかということと、それから、例えば増税等をして国債を償還すると、その分マネーは減少して国民は貧困化をする、そういう認識でいいかということについてお答えいただきたいと思います。

清水参考人 お答え申し上げます。

 発行された国債を銀行が保有し、財政支出が行われれば、同額の預金通貨、今御指摘いただいたマネーが発生することになります。なお、これは事後的に成り立つ関係でございまして、財政の中長期的な持続可能性に対する信認の状況や、将来の経済、インフレに対する見方などを背景に、国債に対する需要自体が変動する可能性には留意が必要と考えてございます。その上で、マネーが増加する局面の経済状況につきましては、一般的に申し上げれば、経済活動が活発になり、企業収益や雇用者所得が増加しているということが多いというふうに認識してございます。

 続きまして、一方、国債を償還した場合ということでございますけれども、銀行が保有する国債が償還されて国債の発行残高が減少する場合、そのこと自体は、今申し上げた預金通貨、マネーの減少につながります。もっとも、経済全体の観点から申し上げますと、国債残高が減少するような経済情勢では、民間の経済活動がより活発化し、貸出しが増加している可能性も高いと考えてございます。その場合は、全体としてマネーが増加するか減少するかは様々であるというふうに考えてございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 端的に言えば、国債を発行するとマネーが増えて、それを国民に支出をすれば国民は豊かになる。逆に、国債を償還すれば、その分マネーは減って国民は貧困化をするということであろうと思います。

 皆さんにお配りした資料の一番最後のページですけれども、これは日銀の資金循環統計の資料です。最新版ですけれども、これの一番上のデータを見ていただければ、一般政府の債務が物すごい、昨年の第二・四半期は拡大しています。これは、定額給付金等を配りましたから、政府の債務は拡大しましたけれども、その分、家計の金融資産は増加しています。

 これは、今の御説明のとおり、国債を発行して家計に支出をすれば、当然家計の金融資産は増える、極めて当たり前のことが明らかになっている。政府が負債を拡大をするということは国民を豊かにする。誰かの赤字は誰かの黒字ですから、政府が赤字をつくれば国民は黒字になるということがこういったデータからも明らかではないかというふうに思います。

 それから、最後に財務省に伺いたいと思いますけれども、よく、国債を出し過ぎると金利が暴騰するとか、物すごいハイパーインフレになるとか、あるいは為替が大混乱になるとかということも言われていますけれども、これだけコロナで大量の国債を発行しましたが、物価も金利も上がらず、為替も安定しています。その理由、今、財務省はどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えします。

 議員御指摘のとおり、新型コロナ対応ということで、非常に厳しい経済状況の中で国債を発行して、様々な対策をさせていただいております。そういった中で、財政状況は非常に厳しいという状況でございます。

 現在のところ、マーケットにおきまして、大量の国債、これが低金利かつ安定的に消化をされているところでございます。これは、日本の財政運営に対するマーケットの信認というものが前提になっておると考えておりまして、現在、市場がこれまで大丈夫だからといって、あした以降もまた大丈夫という保証はないのではないかというふうに我々は考えております。

 仮に市場の信認を失うような事態が発生しますと、金利が上昇し、市場からの資金調達が困難となるような可能性もなくはないというふうに思います。

 したがいまして、財政の持続可能性に対する市場の信認をしっかり確保していくために、社会保障の受益と負担のアンバランスの解消など、歳出歳入両面にわたる改革をしっかり続けていくことが重要だというふうに考えております。

安藤(裕)委員 世界も、アメリカでも二百兆円の追加の財政支出を決めましたし、更に追加で二百兆円やるということも言っております。また、IMFも、もっと世界各国は財政出動を拡大するべきだということを言っております。

 日本がこれに乗り遅れたら、本当に世界各国のコロナからの立ち直り、あるいは経済成長というものに乗り遅れていくということになると思います。国債を発行する、そして国が国民に支出をするということは、国民を豊かにすることであって、経済が成長することだ。是非発想の転換をこれから国会議員全員でやっていかなきゃいけないと思いますし、是非皆様にも御理解を賜りたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 本日は、質問のお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 今、安藤裕先生から、国の財政論の話を含めて、大変大きな課題のお話があったわけでありますが、まさに子ども・子育て、将来を担う我が国の人材を育てていくというときに、どういう財源でこれを賄っていくのかということは根本的に私は大事な話だと思っておりまして、安藤先生がおっしゃられたことというのは、まさに国が責任を持って子ども・子育てに取り組んでいく、そのための財源というものをしっかりと、私たち国会議員もそうですけれども、行政機関、省庁、そして大臣も含めて、どうあるべきなのかということを私は問われたんだと思っておりまして、大変重要な質問だと思いました。

 そして、安藤先生の御主張のとおり、やはり、マネー論にあったように、マネーを供給をしていくということは国民を豊かにしていくというこの考え方を私たちはもっと精査をして、国民全体にこのお話というか考え方を広めていくべきだというふうに私は思っております。

 さて、今日は子ども・子育てに関する質疑でありますので、最初にこども庁創設についての質問をさせていただきたいと思います。

 菅内閣が発足をした直後に、令和二年九月十六日、閣議決定をされた内閣の基本方針というのがございます。この内閣の基本方針の第四番目に、少子化に対応し安心の社会保障を構築、こういうことが掲げられたわけであります。

 そして、先日、我が党の議員グループがこども庁創設を要望する緊急提言を出しまして、菅総理に提言をお持ちをしたわけであります。そこで総理から、強い決意で取り組んでいきます、そして、若者の負担軽減と財源確保にも取り組んでいきたいという大変力強いお答えをいただいたと聞いているわけであります。

 私たちは、この議員グループでの勉強会などで常に話し合ってきたことは何かというと、こども庁にはやはり専任の大臣が必要ではないか、そして、子供関連政策を一元的に所管をしていく執行権、これが必要ではないか、そして、それを担保する予算が必要なのではないか。つまり、組織と権限と財源と、これがそろって初めてこども庁というのが私は成立をする、私たちはそういう議論を実はしてきたわけであります。

 したがいまして、私たちが目指すこども庁というのは、多くの省庁にまたがっております子供政策を一元化をすること、そして、行政の縦割り、これは菅内閣の大きな方針でもありますけれども、この行政の縦割りを排除をする、このことによって実現をするんだというふうに思っているわけであります。

 一昨日、参議院で、自見はなこ先生が菅総理にこのこども庁のことを質問して、総理からも答弁をいただいているわけでありますけれども、改めて坂本少子化大臣に、こども庁創設に向けての決意を是非お聞かせいただきたいと思っております。

坂本国務大臣 総理も先日お答えされましたとおり、日本の将来を考えれば、国の宝である子供たちのための政策を進めることは重要であり、まさに政治の役割であります。

 委員御指摘のとおり、先日、自民党内の有志議員におきまして、こども庁創設に向けて、積極的な提言を取りまとめていただきました。まずは、党において日本の未来という大きな視点から更に検討を深めていただくことになると承知しております。私といたしましても、その議論を注視してまいりたいと考えております。

 政府といたしましても、子供たちが生まれ、育ち、そして学んでいく、それぞれの段階に光を当てまして、前に進めていきたいと考えております。

 例えば、不妊治療助成の拡充を含む妊娠、出産への支援、さらには、待機児童解消のための新子育て安心プランの実施、そして男性の育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備などを、ライフステージに応じた支援策を全体として充実させることとしております。

 政府では、個々の課題に応じて関係府省が連携を図りながら取組を進めていますが、子供たちのために何が必要かという視点に立って組織の在り方を考えていくことも必要であると思います。大切なことは、未来を担う子供たちを社会全体で支えていくことであり、政府全体として子供関連施策をしっかりと前に進めていくことが重要であると考えております。

 内閣府といたしましても、子ども・子育て支援施策を総合的に推進してまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 是非、坂本大臣に担当大臣として更にこの問題を進めていただきたいと思うんですが、答弁にもありましたように、子供たちにとって何が必要なのか、そして、社会全体でという話がありましたが、我が国は、かつてから子供を大切にする国だったと私は思います。

 幕末に来日をされた多くの外国人が、日本という国は子供を本当に大切にする国だということをいろいろな書物に書き残していると思います。内閣府のホームページにもこれは出ておりますが、例えば、イギリスの外交官であったオールコックは、子供の楽園というふうに日本を表現しました。そして、大森貝塚を発見したモースは、子供の天国という表現をして物を書いています。さらに、イザベラ・バードは、「日本奥地紀行」という書物の中で、私は、これほど自分の子供をかわいがる人々を見たことがない、こう書き残しています。つまり、私たちの先人たちは、やはり、子供にとってすばらしい国であるべきだ、そして子供をかわいがる国であった、このことを実現をしてきて、外国の人たちはそのことに非常に、日本という国はすばらしい国だということで、驚嘆をされたという部分があると思います。

 さらには、識字率、文字を読める人がどれだけいるのか、その識字率が高水準であったということを見ても、やはり、我が国の子供たちというのは、そうやって大人たちに守られてきたし、また、教育もそうして施されてきて、子供たちを育んでいくという思いというのは、やはり私たちの国の基礎に私はあるんだろうと思っていますから、是非こども庁は、そういう考え方で、子供たちを大切にする国をつくっていく、その一つの道しるべというか、目標というか、これがあって、更に子供たちが大切にされる国になるということを是非実現をしていただきたいと思うわけであります。

 続きまして、児童手当法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。

 今回、特例給付の対象者の規定が変更になって、主たる生計維持者の年収が一千二百万円を超えると例外なく特例給付支給対象外になるというふうに多くの国民の皆さんが思われているのではないかというふうに私は思っています。しかし、これは扶養人数等に応じて支給対象収入額は政令で定めることとされておりますので、この点の丁寧な説明が私は必要ではないかというふうに思っています。

 これは、前回の内閣委員会の質疑で、私、時間切れになってしまって、このことを丁寧に説明してくださいと要望で終わってしまったんですが、今日は是非答弁をいただきたいと思うんですけれども、現状、この制度がどのようになるのか、その方針を是非明らかにしていただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 児童手当につきましては、児童二人と、それから年収百三万円以下の配偶者がいる御家庭で、年収千二百万円以上の方を月額五千円特例給付の支給対象外とするというふうにしたい、こういうふうに考えておるところでございますけれども、所得判定に当たりましては、委員御指摘のように、児童の数等に応じた所得の上限額をいろいろ設定することとしています。

 具体的には、扶養親族一人につき三十八万円ずつ基準額を上下させて設定することとしておりまして、例えば、扶養親族が四人ですと千二百三十八万円、それから五人になりますと千二百七十六万円と、引き上がるということになります。

 こうしたことについて、法律が成立いたしましたならば、速やかに国民の方々に丁寧に周知をしていきたいというふうに考えています。

 なお、現在の児童手当の本則給付の所得制限限度額である九百六十万円というラインがございますけれども、これにつきましても、やはり、児童の数等に応じた同様の仕組みとなっているところでございます。

高木(啓)委員 その部分をよく説明をしていただきたいと思います。

 つまり、今お話がありましたように、例えば、扶養親族が五人という形になれば、収入の目安というのは千二百七十六万円、こういうことになると思います。ここがなかなか周知をされていないのかなというふうに思います。十分ではないと思いますけれども、こうしたことをやはり政府として積み重ねていって、国民の皆さんにできるだけ御理解をいただけるようにすべきだと思っています。

 さて、今申し上げたように、扶養親族が五人という家庭は多子世帯というふうに言われると思うんですが、この多子世帯の問題についてちょっと伺いたいと思います。

 昨年末策定をされました全世代型社会保障改革の方針では、多子世帯への給付の拡充を検討する、こう書かれているわけであります。年収が高い世帯でも、多子世帯の子供にかかる費用というのは、特に教育費の負担が重いということが、私たちの勉強会のアンケート結果でも、これは明らかに出ているわけであります。

 この多子世帯への給付は、私はより手厚くすべきだというふうに思うんですが、この児童手当の問題も含めて、多子世帯への対応というのをもう一段是非レベルアップをしていただきたい、このように思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 児童手当につきましては、多子世帯や子供の年齢に応じた給付を求めるという拡充の御意見がございます。一方で、世帯間の公平性の観点から、世帯合算の導入を求める重点化の御意見も頂戴しているところではございますけれども、改正法案では、今後につきまして、附則に検討規定を設けまして、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしておるところでございます。

 その際に、少子化の状況も始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況とか子育て家庭への影響等もよく注視をしながら、少子化の進展への対処に寄与する観点からということで検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

高木(啓)委員 あえてちょっと意見だけ言っておきますが、政府が言っている多子世帯というのは子供何人のことをおっしゃっているんでしょうかということを是非問いたいと思います。

 今、我が国の直近二〇一九年の出生率が一・三六と言われている中で、つまり子供を一人から二人お持ちになるということが普通になっている中で、どちらかというと一人に近いわけですよね、一・三六ですから。ですから、もう二人以上は多子世帯だというぐらいの子供の政策が私はやはり必要なんだと思いますよ。ですから、多子世帯というと、もう四人も五人も子供がいる家庭というのは今かなり少なくなってきていますので、出生率を見れば、第二次ベビーブームの一九七三年以降、二を超えたことはないわけですよ。

 ですから、これからも出生率というのはなかなか、上げなければいけないとは思いますが、上がるというのはそう簡単ではないという中にあっては、多子世帯の規定というのを是非私は二人以上にすべきだというふうに思いますので、そのことだけ申し上げておきます。

 続きまして、子ども・子育て支援法の一部改正についてお伺いします。

 昨年末策定をされました新子育て安心プランの下、今回、事業主拠出金を充当する事業が更に拡大されることになりました。事業主団体は当然反対の意思を示されたんですが、事業主と国民のこの問題に対する納得感というのをどう考えるかということが私は非常に大事だと思っています。

 令和三年から七年までの五年分として、三歳未満の保育所の運営費約一千億が新たな事業主拠出金を財源ということにしたわけでありますが、新たな子育て支援策がつくられるたびに事業主拠出金の拠出金率は政令によって引き上げられてきたわけであります。現在の拠出金率〇・三六%、令和七年度に向けてこれはどのようになるんでしょうか。これは決まっておりますから、法定の拠出金率は〇・四五で決まっていますから、法定の拠出金率を前提にしていうと、〇・三六がどうなっていくのかというのは経済界にとってはとても大事な話ですので、この見通しを是非教えていただきたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの感染状況が収まらない中で企業が置かれている状況というのは厳しいものというふうに認識しておりますけれども、一方で、待機児童問題も早急に解決すべき問題だというふうに考えております。

 この度の新子育て安心プランの実現に向けましては事業主拠出金の追加の御負担をお願いすることとはなりますけれども、その際、既存の経費を精査をいたしまして、負担ができる限り増えないよう配慮を行い、今回、法律で定められた拠出金率の上限の〇・四五%の引上げは行っておりません。その上で、拠出金率の引上げは段階的に実施することとして、足下の令和三年度につきましては、積立金を活用するなどいたしまして、拠出金率を〇・三六%に据え置くということで、コロナ禍である現下において追加的な負担を求めることのないように配慮したところでございます。

 今後の拠出金率の見通しでございますけれども、これにつきましては、事業主拠出金の収支やあるいは積立金の状況等も踏まえながら、毎年、経済界とよく協議の上、検討してまいりたいというふうに考えております。

高木(啓)委員 事業主拠出金は、始まったときに〇・一五%だったんですね。だから、これが今〇・三六まで増えてきているわけですが、この事業主拠出金というのは打ち出の小づちじゃないんですよ。赤字の企業でもこれは払わなきゃいけない。外形標準課税と同じですよ、これは。こういうことをどんどんどんどん政令で、まあ法定は、これは法律ですから法律改正をしなきゃいけないんだけれども、政令でこれを上げていくというのはどうかなというふうに私は思いますよ。

 そもそも子育ての支援策の拡充というのは、一番最初に申し上げたように、国の責任じゃないんでしょうか。国がしっかりやらなきゃいけない、負担すべきものじゃないかと思います。

 現在の法定拠出金率、上限〇・四五%ですが、コロナ対策で企業は疲弊している時期でもありますので、本来、現状は、むしろ法定拠出金率というのは私は引き下げられるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

嶋田政府参考人 事業主と国民の納得感をどういうふうに考えるかということにも関連いたしますけれども、先ほど申しましたように、少子化対策というのは社会全体で支援をしていくということが大事だというふうには認識しているところでございます。

 新子育て安心プランにつきましての受皿確保につきましては、先ほど申しましたように、経済界に対して拠出金で一千億円の追加拠出をお願いしたところでございますが、その考え方といたしましては、待機児童の九割がゼロから二歳児となっているところでございまして、その受皿として子供の預け先を確保する必要性が高い保護者のみならず、企業にとっても労働力確保に資するというふうに考えていまして、このような観点から事業主に対して御負担をお願いしたというところでございます。

 先ほどの引下げの話でございますけれども、令和七年度までどうするかということでございますけれども、拠出金率引上げというのは慎重に、段階的に実施するというふうにしておりますけれども、今後の具体的な率につきましては、先ほど申しましたように、事業主拠出金の収支や積立金の状況などを踏まえながら、毎年度、経済界とよく協議をしながら検討してまいりたいと思います。

高木(啓)委員 おっしゃられたように、社会全体で子ども・子育てをやらなきゃいけないという前提でいえば、これはまさに国の責任じゃないですか。だから言っているんですよ。国の責任なんですよ、これは。社会全体でやることなんです。事業主だけに負わせることじゃないんですよ。だからこそそういう話をしているので、是非そこは考えていただきたいと思います。

 それから、児童手当の特例給付の見直しで、令和三年から七年度までの五年分として約四百四十億円の新たな財源を見出した、資料にはこう書いてあるんですね。三歳以上児とそれから幼稚園の預かり保育の拡充に充てるということが新子育て安心プランにも示されているわけで、この部分の充実というのは、私はこれは政策としてはすごくよいことだと思っています。しかし、特例給付の見直しを財源とするということは、いかにも場当たり的な感じがします。

 この部分の対策というのは、私は、子供関係予算全体のやはり増額を図るということが前提にあって、そして熟議の上でしっかり予算措置をすべきだというふうに思いますが、見解を伺います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 子育て世帯に対する支援といたしましては、これまでも幼児教育、保育の無償化などを行っておりまして、今般、更に、不妊治療助成の拡充とか、あるいは新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行っていくことから、子育て世帯全体への支援を充実させてはまいります。

 そのうち、先ほど言いましたように、待機児童問題につきましては、四年で十四万人分の保育の受皿を整備することで最終的な解決を図ることといたしましたが、この運営に毎年度必要となる追加費用約一千四百億円につきましては、社会全体で子育てを支援していく大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加えまして、企業からも、先ほど言っております千億円の追加拠出をいただき、所要額を確保したところでございます。

 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策については様々な議論があるというふうに承知をしております。引き続き、少子化社会対策大綱に基づきまして、必要な安定財源を確保しつつ、少子化対策を全体として確実に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

高木(啓)委員 子供関係予算全体のやはり増額、これが大事だと思いますから、是非そういう方向で考えていただきたいと思います。

 続きまして、待機児童解消のために更に保育士の確保が必要なのは、これはもう論をまたないわけでありますが、その数については、私はいろいろな方策があると実は思っています。保育水準に支障を来さない範囲で保育士配置基準などの弾力化も考えながら、この保育士の確保というのを考えるべきだと思いますが、御見解を伺います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 新子育て安心プランにおきまして、令和六年度末までの四年間に十四万人分の保育の受皿整備を行うことに伴いまして、保育士のほか、小規模保育事業や幼稚園の預かり保育等における保育士以外の保育従事者も含めまして、あくまで機械的な試算でございますけれども、新たにおよそ二・五万人程度の保育人材を確保することが必要と見込んでおります。

 保育人材の確保に向けまして、処遇改善のほか、保育士資格の取得促進、就業継続のための環境づくり、離職者の再就職の促進、保育現場と職業の魅力向上に総合的に取り組んできたところでございます。

 特に、保育士の業務負担軽減を図るため、保育業務のICT化や保育補助者の雇い上げの支援、こういったことに取り組んでおりまして、こうした取組により、保育の受皿整備に必要となる保育人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 保育士の配置基準というのは国の基準があって、しかし、私は東京で都議会議員をやっていたのですが、東京には認証保育所という制度がありまして、これは実は、国の保育士の配置基準とは違う配置基準でやっています。

 認証保育所というのは特徴がありまして、いわゆる認可保育園と三つの点で違うところがあります。一つは、保育時間が基本的に十三時間。そして、保護者と保育園が直接契約をする、これが二つ目の違い。三つ目の違いが、保育士の配置基準なんです。保育士の配置基準は、これはいわゆる保育資格を持っている人が六割以上であればいい、こういうことになっています。

 そこで、東京都では、全体で毎年二万四千人から二万五千人のお子さんたちを預かっているわけでありますが、認証保育所のこの制度で全く問題は起こっておりません。だからこそ、この保育士配置基準を含めて、保育士が必ずしも全部常勤で全部必要なんだという話ではなくて、もう少しいろいろな手法というのは考えられないのかということを問題提起をさせていただいたわけであります。どうぞ、是非御検討いただければと思います。

 さて、保育の無償化がスタートをするときに、認可外保育施設をどこまで無償化の対象に含めるのかというのは一定の議論になったわけであります。最終的に、五年間の経過措置の間に国が定める指導監督基準を満たす前提で、対象をできるだけ幅広く取ることで決着をされたわけであります。

 そして、無償化スタートから今年で二年になるわけでありますが、この認可外保育施設の問題は現在どのような検討が行われているのか、お伺いいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 認可外保育施設は、原則、都道府県等に届出を行い、国が定めます御指摘の指導監督基準を満たすことを条件として無償化の対象とされたところでございますが、指導監督基準を満たさない施設が基準を満たすため、五年間の猶予期間を設けたところでございます。

 この猶予期間につきましては、法施行後二年、令和三年十月一日になりますが、を目途とした検討規定が置かれてございます。現在、法施行後の都道府県等による認可外保育施設への立入り状況ですとか、認可外保育施設の指導監督基準への適合状況等につきまして調査を実施しているところでございます。

 今後、その調査結果等を踏まえつつ、地方自治体との協議の場などにおきまして、実務を担う地方自治体の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 検討はいつまでにやるんですか、これは。もう一度お願いします。

岸本政府参考人 検討につきましては、現在、その調査を行っているところでございますが、法律の定めとしまして、法施行後二年を目途とした検討規定が置かれております。

高木(啓)委員 ということは、今年の秋という認識でよろしいということですね。この秋にその検討の結果が出るということを私は理解をしましたので、そういう方向で是非検討していただきたい。

 この認可外保育所というのは、歴史的に見て、なぜ認可外保育所と言われているのか、あるいはなぜ認可外保育所があるのかということは、私は、国にとっても、これは是非考えていただきたいと思うんですが、必要があるから認可外保育所があるんですね、認可だけじゃないんだと。認可外保育所というのは、やはり社会の必要性があるからこれはあるわけであって、認可外保育所問題というのは、ですから、何か、今回も無償化を含めるときにもいろいろ議論になりましたけれども、これはやはり我が国の社会にとって必要だという認識の下で是非検討を進めていただきたい、このように思います。

 最後に、子ども・子育て支援新制度が始まるときに、いわゆる〇・三兆円問題というのがあったんですね。この〇・三兆円問題というのは、保育の人材に対する支援あるいは保育の質の向上、このことに対して、全体として保育が一兆円の事業である中で、〇・七兆円は手当てをしました、しかし残りの〇・三兆円は今後の課題というふうに置かれたわけであります。しかし、今、この〇・三兆円問題というのは、その後どうなったのかということがなかなか私たちの目には見えません。この〇・三兆円問題、今どうなっているんでしょうか。このことを是非お答えいただきたいと思います。

木原委員長 内閣府嶋田子ども・子育て本部統括官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

嶋田政府参考人 御指摘のありました〇・三兆円の実行につきましては、これまでの取組といたしまして、保育士等の二%の処遇改善の実施でありますとか、一号認定子供の副食費相当額の免除措置を年収三百六十万円未満相当の世帯まで拡充すること、あるいは栄養管理加算の充実など、可能なものから実施してきたところでございます。

 まだ宿題はいろいろ残っておりますけれども、三兆円の事項につきましては、引き続き必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 〇・三兆円問題を含めて、財源確保を含めて、保育の充実にこれからも取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。本会議に引き続きまして、質問をしてまいります。

 まず、政府が十六日に発表されました新型コロナウイルス感染症の影響で困窮する人への緊急支援策について、一問お伺いをしておきたいと思っております。

 緊急事態宣言が解除をされ、今、三府県には蔓延防止措置が発せられております。その中で、企業、店舗の倒産、休業、また時短営業に伴う働き手の失業あるいは収入減、雇用情勢は依然として厳しい状況にあるというふうに認識をしております。

 とりわけ、低所得者家庭におきましては、非常に大きな打撃を受けております。昨年、二回にわたりまして、特例給付、一人親世帯には支給をしていただきました。そして、何とか年を越せたという御意見を伺っております。しかし、今迎えております新学期を前に、三月でありますけれども、こうした一人親の家庭の団体、あるいは子供の貧困対策に取り組んでいる方々から、更に給付をお願いしたい、それも一人親家庭だけではなく、二人親家庭がかなり厳しいのだと。特に、二人親家庭で多子世帯、中学、高校というようなお金のかかる子供を抱えている家庭は非常に困窮しているという要望を伺いました。

 ざっくり言うと、一人親家庭と二人親家庭ですと、手当、支援等で、年間百万ぐらいの差が今出てしまっているということでありました。それを三月十五日、緊急提言に盛り込みまして、菅総理にお届けをしたところでございます。

 そして、今回の緊急支援策の柱の一つとして、所得の低い子育て世帯を対象に十八歳までの子供一人当たり五万円の特別給付金を支給するということが決定をされました。本当に関係者から、声を詰まらせて、感謝の声をいただきました。

 今回、二回の給付金と違って、二人親世帯も含めて住民税非課税の子育て世帯全体に広げるということが本当に大きな前進だと思っております。そして、両親がいたとしてもコロナ禍で減収している、そうした家庭があるということで、支給額、第二子以降も今までと違って一律五万円とされました。大変これは大きな支援策だと思います。

 また、更に困窮者向けの貸付制度の利用もしやすくしてくださっております。休業、失業をした困窮者への緊急小口資金、また総合支援資金の特例貸付制度、合計最大二百万円なんですけれども、申請期限を六月末まで延長するということでございます。その総合支援資金の返済免除要件というものも明確にされました。初回分は二〇二一年度又は二二年度、二回分は二三年度、三回目、再貸付分に関しては二四年度に借受人と世帯主が住民税非課税であれば返済を一括免除する。返済が困難だから借りることをためらう人にも利用を促す効果があるのではないかというふうに思っております。

 本委員会でも、二月の十九日、私も質問をさせていただいて、こうした緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付けの申請期間の再延長、また、全ての困窮者世帯への経済的支援を求めました。これを盛り込んでいただいたことに感謝をしている次第です。

 それで、真に支援を必要とする人に漏れなく支援の手を届けていくということから、情報の周知が必要だと思います。一刻も早く給付金を届けてほしいと思っております。この周知徹底また給付金の速やかな支給について大臣の御見解を伺いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、対象となる低所得の子育て世帯に対しまして適切に支援の手を届けるため、周知、広報をしっかり行っていくことは大変重要であると考えております。

 また、特別給付金の支給に当たりましては、実務を担っていただく自治体において可能な限り事務負担の軽減が図られるよう、きめ細やかな情報提供を行う必要があるとも考えておりまして、一人親世帯につきましては、迅速な支給を実現する観点から、給付を決定いたしました三月十六日以降、支給対象者や支給スケジュールを始めとしまして、自治体が準備に必要とする情報を順次お示ししてきております。

 その他低所得子育て世帯につきましては、今回新たに支給するものでございますので、現在、実務について自治体と意見交換を行いながら、対象者の範囲や所得の状況の把握の在り方も含めまして、具体的な制度設計を行っているところでございます。

 いずれにしても、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 済みません、参考人の答弁で結構でした。失礼しました。

 低所得の一人親世帯に関しては、四月分の児童扶養手当受給者について可能な限り五月までには支給をしたいということでございます。申請不要ですので、着実に支給をお願いしたいと思います。また、その他の低所得の子育て世帯に関しましても、自治体とも調整を行った上で速やかに、できる限り早急に支給をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成制度の創設について伺ってまいります。

 本法律案では、令和九年三月三十一日までの間、子育て支援に積極的に取り組んでいる事業主に対して新たに五十万円の助成を行うということを創設していくということでございます。本会議でも申し上げたんですけれども、この事業は企業に対する直接的な支援となっていて、画期的な支援だと思っております。

 助成対象が、次世代育成支援対策推進法に基づいてプラチナくるみんの認定を取得している中小企業及び当年度又は翌年度にくるみん認定を取得する中小企業ということを想定しております。本事業を創設することによりまして具体的にどのような効果が期待されるのか。

 また、令和三年度予算として二億円が計上されております。事業者当たりの支給額は五十万円ですから、約四百社が該当するということになると思うんですが、この予算で十分と考えていらっしゃるのかどうか。

 これについてお伺いをいたします。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 今回の助成制度は、従業員に対して育児休業の取得を促進するなど子育て支援を積極的に行う事業主に対して助成を行うものでございます。これにより、従業員の子育て支援を積極的に行う事業主を後押しをしまして、企業における子育て環境の整備を進めてまいる、そういった効果が期待されるものというふうに考えております。

 また、平成三十一年四月から一年間にくるみん認定を取得した中小企業は百十六社ございまして、また、令和元年の末時点でプラチナくるみん認定を受けている中小企業は五十九社という状況でございます。今年度取得する企業が一定数増加したという場合であっても、計上した予算の範囲内で執行可能ではないかというふうに考えております。

 今後のくるみん認定及びプラチナくるみん認定の取得促進につきましては、今回の助成制度の周知と併せまして、くるみん制度のそもそもの所管でございます厚生労働省とも協力しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 中小企業の数全体からいいますと、三百五十七・八万社の中で、くるみん取得百十六社、また、プラチナくるみんにおいては五十九社ということですので、まだまだ少ないというふうに思います。もちろん、今、コロナ禍で、企業においては厳しい経営が続いているわけですけれども、子育て支援に積極的に取り組む企業、くるみん認定、プラチナくるみんの方ももっともっと増やしていく必要があるのではないかと思います。厚労省とも協力し、底上げをしていきつつ、必要な予算の確保、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、児童手当法改正について質問をさせていただきます。

 今回、特例給付の見直しに関しまして、世帯合算ということは見送りとなりました。高所得者を対象としている特例給付、年収一千二百万円以上の方は対象外とするというわけです。

 財政制度等審議会におきまして、昨年の十一月の建議では、児童手当の見直しとして、所得制限を超える者への特例給付の廃止とともに、世帯合算の所得に基づき支給を判断する仕組みへの変更、すなわち、現行の児童手当の支給要件とされる所得については、世帯における就労形態の多様化等を踏まえ、主たる生計者のみの所得で判断するのではなく、世帯合算で判断をする仕組みに変更すべきだということを主張されております。

 世帯合算につきましては、子育てをしていくために共働きをしなければならない、あるいは、よりよい教育をしていく上で、共働きをして世帯の収入を増やし、そして子育てに充てていく、こういう家庭が多いわけです。また、女性でも、当然、妊娠、出産を経ても自分のキャリアを続けていきたい、こういう女性たちも多くいるわけです。少子高齢社会の中で労働力人口が減少していく。女性にも意欲のある方は働いていただくということが我が国の活力を得ていく上で重要な要素の一つだと思うんですね。

 そういうことも進めている中で、昨年十二月に閣議決定をされた全世代型社会保障改革の方針で、世帯合算方式の導入について引き続き検討されることとなっておりまして、私は、本法案で見送られたことは本当によかったと大いに評価をしているところです。

 この財政審の指摘についての御見解、また、今後の見通しについてお伺いをいたします。

坂本国務大臣 委員御指摘のとおり、世帯合算につきましては、財政審等から、世帯間の公平性の観点から導入を求める重点化の御意見がありました。しかし、一方で、導入した場合、今委員も御指摘されました共働き世帯への影響があるとの御意見もございました。検討の結果、今回の見直しでは導入を見送るということにしたものであります。

 改正案では、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討をしていくことというふうにしております。その際には、少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、そして、何よりも、子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいらなければいけないというふうに思っております。

古屋(範)委員 総理も、子供は社会の宝であるということを明言されております。その中で、児童手当を拡充していくということは非常に重要なことだと思っております。我が党も、児童手当の創設を提案をし、今日まで累次の拡充をし、様々な経緯を経て今の制度になっているわけであります。改めて、世帯合算はすべきではないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、新子育て安心プランの財源についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 政府は、令和七年度までに必要な追加額として約一千四百四十億円を確保するとしています。保育の運営費、ゼロから二歳に当たりましては約一千億円、事業主拠出金です。残りの四百四十億円を、今回の児童手当の特例給付の見直し等により生じる財源を充当していくということであります。

 児童手当の特例給付の見直しによって新子育て安心プランの財源を捻出することについては、本会議でも申し上げましたけれども、子育て関係の予算全体を抜本的に増やさないで、その枠の中で財源をつけ替えるにすぎないのではないかという指摘もありまして、私は、もっと国全体として子育てのための財源を確保していく必要があるというふうに思っております。

 少子化対策、また子育て支援に必要な安定財源の確保については、社会全体で子育てを支援していくという大きな方向性の中で、税財源の検討のみならず、政府全体の予算の中で幅広く検討を行うべきであるというふうに思っております。この点に関して再確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

坂本国務大臣 子育て世帯に関する支援といたしましては、これまで、幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに、不妊治療の助成の拡充、そして、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行っていくことから、高所得者の方も含め、子育て世帯全体への支援をこれからも充実させてまいります。

 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することといたしました。この運営に必要となる追加費用につきましては、今般の児童手当の見直しによりまして生じる財源等に加えて、企業からも一千億円を追加拠出していただきまして、所要額を確保しております。

 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策につきましては、様々な議論があると承知しております。引き続き、少子化社会対策大綱等に基づきまして、必要な、そして、安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいる覚悟でございます。

古屋(範)委員 公明党は、二〇〇六年に、少子社会トータルプランというものを発表いたしました。これは子育てに関する政策の集大成というべきものでありまして、一年半かけまして、約百五十ページにわたる政策をつくりました。

 この中で、最終提言の手前で、二〇〇五年に中間取りまとめをして、緊急提言を発表いたしました。チャイルドファースト、子供最優先の社会をつくるという上で、内閣府に特命担当大臣を置くべきだということを主張いたしました。そして、少子化担当の特命大臣が設置をされました。

 ですので、坂本大臣、今その延長にいらっしゃるということなんですけれども、確かに子育てに関する政策というものは多省庁にまたがっているという中で、子育てに関する特命担当大臣が必要だと我々も考えておりました。ですので、坂本大臣には、是非とも、子育て支援、また、少子化対策に関する財源確保については、お力を発揮していただいて、しっかりと確保をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、子供の権利を守るための基本法の制定についてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 子どもの権利条約は、一九八九年十一月二十日に国連で子ども権利条約が採択をされまして、三十年以上が経過をしております。

 児童の権利に関する条約、子どもの権利条約は、子供の基本的人権を国際的に保障するために定められた条約であります。十八歳未満の児童につきまして、子供であっても権利を持つ主体と位置づけ、大人と同様、一人の人間として人権を認める、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子供ならではの権利も定めております。十八歳未満を子供と位置づけて、世界全ての子供たちに自らが権利を持つ主体であることを約束したものです。前文、本文五十四条から成っておりまして、子供の生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現する、確保するための必要な、具体的な事項を規定しております。

 二〇一九年現在、この子どもの権利条約は、国連の加盟国数を上回る百九十六の国と地域で締結をされておりまして、世界で最も広く受け入れられている人権条約であります。ただし、子どもの権利条約を締結しただけでは子供の権利は守られないということであります。

 この子どもの権利条約が採択されて以来、我が国において、五歳未満の子供たちの死亡率は低下して、強制労働が強いられる子供というのは減少したんですけれども、こうしたところから取り残されている子供たちがいることを忘れてはならないというふうに思います。条約を批准した各国政府は、条約の各条項が規定する子供たちの権利を実現するために、当然、国内法の整備など、具体的に進める必要があります。

 公明党の女性委員会では、この三月十六日に、末冨芳日本大学の教授、あるいは、公益財団法人あすのば、子供の貧困対策に取り組んでいる団体の小河代表理事、また、甲斐田万智子国際子どもの権利センター代表理事から、子供の権利保障のための原理原則を定める子供基本法制定の必要について伺いました。

 末冨教授たちは、児童虐待通報の急増が指摘をされている、また、自死も多いという中で、いじめ等の問題に言及をされまして、子供の生存、発達の権利などが守られている状況とは言い難い、子供の権利について、国の基本方針、理念、権利保障のための原理原則が定められる必要があるということを主張されました。

 日本では一九九四年に子どもの権利条約を批准をしております。このとき日本政府は、現行法で子供の権利は守られているとの立場を取って国内法の整備は行わずに、現在も子供の権利を総合的に保障する基本法というのはないんですね。二十五年以上が経過をして、児童虐待も増えています。いじめ、自死、不登校など、深刻さが増していると思います。子供にとっても生きづらさというものが高まっている、この中で、子どもの権利条約が定めている子供の生存、発達の権利、子供の最善の利益、こうした子供の意思の尊重などの権利が守られているとは言えないのではないかというふうに思っております。

 日本では子供に関わる個別法だけがあります。あらゆる面で子供の権利を包括的に定めたいわゆる子供の基本法のようなものがない。児童福祉法とか子どもの貧困対策法はあるけれども、子供の意思の尊重とか子供の最善の利益の優先などを定めるのはあるんですけれども、教育、司法分野においてこれは及ぶものではないんですね。

 国連は基本法の制定を政府に繰り返し求めています。政府は、児童福祉法や児童虐待防止法など、既存の法律で対応しているのだという姿勢です。国際的に見ては、こうした子供に関する法整備が遅れているのではないかというふうに思います。

 この三月なんですけれども、東京都におきまして、議員提案の東京都こども基本条例が成立をいたしました。三月二十六日、子供を社会の一員、権利の主体とすることを明記した議員提案の東京都こども基本条例が成立しました。これは、公明党のまつば多美子都議会議員を座長とする東京都こども条例検討プロジェクトチームというのを会派内に立ち上げて、識者と意見交換をしながら一貫してリードしてきたものでございます。国連で採択をされた子どもの権利条約に基づいて子供の意見が都の政策に適切に反映をされていく、年齢や発達段階に応じて社会参加ができるような環境の整備を定めたものでございます。

 新型コロナウイルス感染症は大きな変化をもたらしました。とりわけ子供への影響というものは大変大きなものがあります。児童虐待、性虐待、性被害だけではなくて、不登校の子供の学習機会の確保など、教育格差、また親が外国人の子供への差別防止など、解決すべき問題はたくさんあるというふうに思っております。こうした子供をめぐる問題を抜本的に解決するため、養育、教育、保健、医療、福祉など、子供の権利施策を幅広く整合性を持って実施するために子供基本法を制定すべきだというふうに私は考えております。

 今るる述べましたけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 非常に崇高な理念、ありがとうございます。

 平成二十一年に我が国においても子ども・若者育成支援推進法というのができました。その基本理念の中には、子供、若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮することということが明記をされております。

 同法に基づきまして、昨日、子供・若者育成支援推進大綱というのを、これは第三次になりますけれども、決定をいたしました。その中におきましても、子供、若者の人権、権利の保障の課題を挙げております。

 これらを踏まえながら、子供、若者の権利保障を徹底していくことが重要であるというふうに考えております。

古屋(範)委員 児童虐待の死亡案件につきまして、結愛ちゃんの事件、また、心愛ちゃんの事件、本当に悲しい、悲惨な案件がございました。

 その中でも、子供も、例えば教師に対するアンケート調査の中で、自分は暴力を受けているということを表明をしておりました。しかし、それがなかなか生かされずに、受け止められずに、最後、死に至ったということもございました。

 また、他の案件でも、これは中学生なんですけれども、児童虐待で一時保護をされて、それで、自分は家に帰りたくないということを言ったんですけれども、それほど緊急性がないだろうということで一旦家に帰り、その直後に自殺をしたという案件もありました。

 子供だから、むしろ大人であれば、そのような訴えをしたときに、暴力を受けているということであれば傷害ということになると思いますけれども、子供が訴えた、それを真摯に受け止めて、そして、あらゆる、教育や医療や警察などなど、真剣に受け止めていかなければいけないということを考えますと、やはりそうした、子供の権利を保障する、子供の権利を尊重する基本法が必要なのではないか、そのように考えております。

 是非とも、今回の大綱においてそうした視点が盛り込まれたということは大いに評価すべきであり、これからもそれに沿ってしっかりと大臣には子供政策を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

木原委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は党の子ども・子育てプロジェクトチームの座長というのをやっていまして、昨年末の予算編成のときに児童手当の削減の議論が出てきて以来、私どもは、児童手当を削減することは、これは少子化に逆行するものであるということで、反対をしてきております。

 先日は本会議でも質問させていただきましたけれども、そのときに提示をさせていただいた論点について、今日は坂本大臣と議論を深めていきたいというふうに思いますので、政府参考人ではなくて、大臣にお答えをいただければというふうに思います。

 まず、本会議場でも申し上げましたけれども、コロナ禍の下で、婚姻数も、それから妊娠、出生数も、いずれも激減をしております。このままでは出生数は史上最低で、八十万人を切ってしまうんじゃないかということが懸念をされているわけですけれども、まず、これは本当に私は危機的な状況だというふうに思いますが、少子化担当の大臣として、八十万人を場合によっては切るかもしれないというような現在のコロナ禍の下での少子化について、どのような認識を持っておられるかを、まずちょっと聞きたいというふうに思います。

坂本国務大臣 私たちも非常に、このコロナ禍の中で、八十六万ショックから、さらに、その後の妊娠届出、あるいは婚姻率、婚姻数、届出、こういったものを考えたときに、深刻に考えております。

 そういう中で、今後、総合的に様々な政策というものを進めていかなければいけないというふうに思っております。結婚、そして妊娠、出産、さらには子ども・子育て、それぞれのライフステージの中で政策を充実していきたいというふうに思っております。

大西(健)委員 私が聞きたいのは、この深刻さ、これをどう受け止めているかということなんですけれども。

 例えば、コロナでも、緊急事態宣言というのが出ると、やはりみんな意識も変わるわけです。私は、九十万人を切ったときに、先ほどお話があったように、八十六万ショックと言われましたけれども、もし八十万を切るようなことがあったら、少子化非常事態宣言みたいなものを出すようなことを考えてもいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、どのように思われますか。

坂本国務大臣 その深刻さにおいては、私たちも委員のお考えと変わることはないというふうに思っております。

 しかし、一方の方で、今後の具体的な出生数の見込み等につきまして予断を持って言及することは差し控えなければなりませんけれども、とにかく、我が国の少子化の進行が深刻さを増しているということについては、非常に懸念をしているところでございます。

 今後、新型コロナウイルス感染症の流行が更に結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を及ぼしていくということも十分考えられ、そのことについては危機感を私たちも受け止めているところであります。

大西(健)委員 今、少子化担当の大臣から、深刻さは共有しているというふうに言っていただきました。じゃ、なぜそういう状況の下で児童手当を削減するのか。子育て世代に対して、政府は少子化を解消する気が本当にあるんだろうかというふうに私は映るんじゃないかと思います。そういう誤ったメッセージが伝わることが取り返しのつかないことになるんじゃないか、そのようなことを懸念しています。

 じゃ、どのように子育て世代がこれを受け止めているかということですけれども、資料をお配りしていますけれども、この資料の一ページ目、これは昨年の十一月に株式会社カラダノートが、この児童手当削減についての議論が行われていたときに緊急で行ったアンケートです。ここにありますように、約八割の方が不安や不満を感じておられるということであります。待機児童が解消するなら納得すると回答したのは僅か七・四%ということになっています。

 私は、これがまさに子育て世代のリアルな受け止めであると。まさに大臣が、いやいや、そうじゃないんです、全体としては子育て支援の充実をやっています、やっていますと言っても、結局、受け止めている方はそう受け止めていないんですよ。

 八割の方は不満や不安を感じている。そういうメッセージが伝わってしまっていることが私は大問題だというふうに思いますけれども、これを見ていただいて、どう思われますか。

坂本国務大臣 私たちが現在やっている政策について、十分今後も周知をしていかなければいけないというふうに思います。幼児教育、保育の無償化、あるいは不妊治療への助成の拡充、さらには新子育て安心プランの実施による待機児童の解消、それぞれの方々に対して、ライフステージに対しまして、子育て世帯全体への支援を私たち自身は充実させていっているというふうに思っております。

 トータルでの支援が確実に拡充されているというふうに認識しているところでもありますので、引き続き、子育て支援の更なる充実を図っていくことで、子育て世帯が希望を持って生きることができる、生活することができる社会となるよう、これからも更に国としてのメッセージを発信してまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

大西(健)委員 私も、全く努力していないと言うつもりはありません。トータルとして子育て支援を充実させていっている、あるいは、不妊治療の支援、我々もやるべきだと思います。

 ただ、繰り返して申し上げますけれども、この児童手当を削減するということをやってしまったがために、子育て世代の皆さんは、いや、国は本当に少子化を解消する気はあるんだろうかというふうに、これ一点をもって思ってしまっているところが私は問題だというふうに思います。単に、今までもらえていたものがもらえなくなるというのは、確かに不満でしょう。だけれども、私は、それだけにとどまっていないのが深刻だと思っています。

 例えば、この資料の右側の方を見ていただきたいんですけれども、ちょうど真ん中のところですけれども、特例給付の廃止や児童手当の見直しが行われた場合に、二人目以降を希望するという方が見直し前は現状三二%なのが、もし見直しが行われれば、二人目、三人目が欲しいですかというのが一二%に減るんです。つまり、二人目、三人目を希望する人が、このことによって二〇%減ってしまう。特例給付の一部廃止によって二人目、三人目を諦めるという人が出てくれば、それは少子化を加速させることになってしまうんです。それこそ私は、もう実害が出ているというか、大問題だと思うんですけれども、大臣、これを見ていただいて、どう思いますか。

坂本国務大臣 子育て世代のアンケートでは、今おっしゃいましたように、理想の子供の数を持たない理由としまして経済的理由を挙げる割合が高いということがあることは承知をしております。

 政府といたしましても、子育て世代に対する支援として、先ほどから言いますけれども、幼児教育、保育の無償化や私立高校の高等学校等就学支援金の拡充など、経済的な支援も行ってきたところでございます。

 そういうことで、今回、年収一千二百万円相当以上の方々の月五千円の特例給付を見直すこととしておりますけれども、子育て世帯へのトータルでの支援は確実に今拡充されておりまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、引き続きしっかりとその周知に取り組んでまいりたいと思っております。

大西(健)委員 ですから、私は、トータルでの支援を何にもやっていないとは言っていないんです。ただ、児童手当を削減したがために、二人目、三人目はやはりやめようという人が実際に出てしまっているということを是非受け止めていただきたいと思います。

 そういう意味では、私たちは、先ほどもお話ししましたけれども、あるいは与党の議員からも話があったように、今は子育て予算を減らすときじゃなくて、むしろ増やすときだと。

 ただでさえ、我が国の家族関係社会支出というのは、先進国の中で最低水準だと言われています。待機児童対策のために同じ子育て予算の中で予算をやりくりするんじゃなくて、家族関係社会支出全体を増やしていくこと、これこそが少子化対策につながると我々は主張してまいりました。

 そこで、二ページ目を御覧いただきたいんですけれども、これは東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授の資料ですけれども、家族関係社会支出と出生率は正の相関関係があるという資料です。

 まず、大臣、このことをお認めいただけますか。家族関係社会支出を増やせば増やすほど出生率は上がるんだということをお認めになりますか。また、少子化を克服していくために我が国の家族関係社会支出を大幅に増やしていくという決意がおありかどうか、このことを併せてお聞きしたいと思います。

坂本国務大臣 家族関係社会支出とそれから合計特殊出生率の相関関係に言及されました山口慎太郎先生の研究があることは承知をしております。ただ、国によって国民の負担率などが異なることから、単純に様々な各国との比較は適当ではありませんけれども、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は欧州諸国に比べて低水準になっているということは認識をしているところでございます。

 そういうことで、総合的な少子化対策を大胆に今後進めていくためには、必要な安定財源を確保しつつ、効果的な少子化対策によって、できることから速やかに着手をしていくということが重要であるというふうに考えております。

大西(健)委員 たしか山口先生は、国のエビデンス・ベースド・ポリシーの検討会ですか、そのアドバイザリーボードか何かの委員にもなられていたと思いますけれども、まさに科学的に、客観的に、データがあるわけですから、これをしっかり踏まえて、国の家族関係社会支出を増やしていくんだということを少子化担当大臣としては強く言っていただきたいと思います。

 次に、資料の次のページを見ていただきたいんですけれども、これは民主党政権当時の、二〇一一年の三月十日付の坂本大臣のフェイスブックですけれども、「子ども手当問題」という記事を書かれています。ここに下線を引いておきましたけれども、「所得制限も無く高額所得者にも全てに子ども手当を交付するというのは問題です。」というふうに書かれております。

 坂本大臣はなぜ所得制限が必要と考えているのか。お金持ちにまで現金給付するのはとんでもない、ばらまきだ、こういう考えでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 多分、このとき書いたのは、現金給付としての制度とそれから現物給付としての制度、少子化対策に対して、あるいは子育て対策に対して、それぞれの制度の中でそれぞれのやはり対応の仕方があるという思いでフェイスブックのこういう日記を書いたんだろうというふうに思っております。

大西(健)委員 先ほどの他の委員の質疑の答弁の中で、大臣、大切なのは未来を支える子供たちを社会全体で支えることだということをたしか言われたと思います。

 私たちは、社会全体で子供の育ちを支える、こういう理念をずっと言ってきました。ですから、親の年収に関係なく、全ての子供に対して手当というのは支給すべきなんだというのが私たちの基本的な考え方です。

 例えば、富裕層の子供に対して義務教育を施すことをばらまきと批判する人はいません。こうした考えが普遍主義と言われる考え方ですけれども、これに対して、例えば、より貧困層にターゲットを絞って給付を行うという考え方が、普遍主義に対して選別主義と言われる考え方です。

 私たちは、どんなに綿密に対象者を絞り込んでも、支援が届かない子供とか漏れてしまう子供が出てしまいます。ですから、私たちは、子供に対する支援は普遍主義であるべきだというふうな哲学に立っています。

 ところが、政府は、不妊治療や幼児教育の無償化では所得制限を行わず普遍主義という立場に立ち、一方、児童手当については選別主義的な政策を取っている。ここに貫く哲学というのが私は見えないと思っています。

 先ほど大臣は、私の今の質問に対する答弁で、いや、現金給付と現物給付は違うんだというようなことも言われましたけれども、じゃ、現金給付については所得制限を設けるけれども、現金給付は選別主義的にして、現物給付は普遍主義的にする、こういう哲学に立っているんですか。この哲学、子供政策、子供支援に対する政府の哲学はどこにあるのかということを教えていただきたいと思います。

坂本国務大臣 少子化の背景にある個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路が様々ありますので、これを打破することに強力に取り組むこと、これが重要であるというふうに考えております。

 政府では、これまでも、幼児教育、保育の無償化、あるいは高校教育の修学支援など、子育て世帯全体の支援を充実させてきておりまして、少子化社会対策大綱に基づきまして、必要な安定財源の下に、今後も確実にその政策を進めてまいりたいというふうに思っております。

 児童手当に関して言いますと、家庭等における生活の安定と児童の健やかな成長に資することを目的として、支給要件に該当する児童を監護する方に支給をしております。

 児童手当の本則給付は一定所得までの方を対象としており、それ以上の方には、平成二十四年改正時に、改正による所得制限導入に伴う影響等を踏まえ、当分の間の措置として特例給付を給付しているものであります。

 年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しにつきましては、総合的な少子化対策を進める中で長年の課題であります待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

大西(健)委員 結局、哲学というのがお答えいただけなかったんですが。

 例えば、他の先進国で児童手当と似たような制度を持っているところでも、高所得者に対して給付額を減らしているような国はあります。だけれども、やはり基本的には普遍主義的な考え方に立って、特例給付のように、五千円であっても支給されるということが私は大事だと思うんですよ。支給されない子供が出てくるということに今回の問題があるというふうに思っています。

 私は、やはり、哲学をお答えいただけなかったんですが、根底には、高所得の者は助けてやる必要がないんだという考え方が、大臣、あるんじゃないかなと思うんですね。

 そこで、大臣に改めてお聞きしたいと思いますけれども、今回、特例給付の対象者から外される年収一千二百万円という人は、大臣、これは高所得だというふうに認識をされているか。そうかそうじゃないか、端的にお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 今般の年収一千二百万円相当以上の方の特例給付の見直しの影響児童は、全体の四%と見込んでおります。また、十五歳以下の子供がいる世帯の就業者である父母について見ますと、年収一千二百万円以上の方は全体の上位二・二%でありまして、うち、父親では上位約三・六%、母親では上位約〇・三%となっておりますので、上位に位置されているというふうに理解しております。

大西(健)委員 上位に位置されているということですけれども、国税庁の民間給与実態調査によると、日本人の平均給与が四百三十六万円となっていますので、私も、年収一千二百万円というのは高所得者と、一般的には高収入と言ってもいいとは思います。

 ただ、じゃ、この年収一千二百万というのをもう少しちょっと中身をよく見ていきたいと思うんですけれども、まず、これは手取りでいうとどうなるか。数字のことですけれども、通告していますので、年収一千二百万円の方というのは手取りでいうとどれぐらいになるか、お答えいただけますか。

坂本国務大臣 これは二〇一九年の総務省によります家計調査でありますけれども、世帯主が勤労者である世帯の家計支出を見ますと、一か月の可処分所得では、世帯主の年収相当が九百六十万円程度の世帯では世帯全体で一か月七十二万円、それから、世帯主の年収相当が約一千二百八十万円相当の世帯であれば世帯全体で一か月約九十万円が可処分所得であるというふうになっております。

 なお、可処分所得につきましては、世帯員全員の現金収入の合計から、直接税それから社会保険料など非消費支出を差し引いた額でございます。

大西(健)委員 ちょっとすれ違っているんですけれども、私が聞いたのは可処分所得ではなくて、一千二百万円の家計の実態についても議論していきたいんですが、まずは、税金と保険料を引いた手取り、これを聞いたんですけれども、ちょっと時間もあれなので、こちらからお答えしますけれども、ちょっと正確な数字、いろいろな計算の仕方によっても違ってくると思いますけれども、ざっくり言うと、一千二百万といっても、税金や社会保険料を引いた手取り額は大体八百二十九万とか、これぐらいになる、一つの計算の仕方でいくと。

 先ほど平均年収四百三十六万と言いましたけれども、例えば年収四百万円の方の手取りはどれぐらいになるかというと、三百十五万円です。四百万と一千二百万を比べると、年収は三倍ですけれども、手取りは、三百十五万と八百二十九万なので、三倍にはなりません。もっと言うと、年収一千二百万円の人が払っている保険料や税金というのは、四百万円の人が払っている税金、保険料の四倍。更に言えば、年収四百万円の手取り額よりも多い税金や保険料を年収一千二百万円の方は負担をしているということなんですね。かつ、年収の高い人というのは、一般的に言うと都心に暮らしているケースが多い。そうなると、家賃だとか生活費もかかります。

 そういう中で、先ほど可処分所得の話がありますけれども、例えば、具体的な例でいうと、夫の年収が大体一千二百万から一千三百万円の間であって、妻が専業主婦で、幼稚園に通う五歳と三歳の第一子と第二子がいて、一歳の第三子がいて、更におなかの中に第四子がいるという家庭で、特例給付がなくなった場合の影響をファイナンシャルプランナーにシミュレーションしてもらったところ、第一子が高校に入学してから第四子が大学卒業するまでの十二年間は毎月赤字になるという結果が出たそうです。

 つまり、何が言いたいかというと、年収一千二百万、相当高収入だろう、楽に暮らせるじゃないかと思うんですけれども、実はそうでもないケースが考えられるということですけれども、大臣、これを今聞いていただいて、どう思われますか。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

坂本国務大臣 多子世帯におきましては、子育てなど様々な面における経済的負担の重さが指摘されておりまして、児童手当につきましても、多子世帯への給付を拡充すべきという御意見があります。

 改正法案では、そういうこともありまして、附則に検討規定を設け、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討するということにしております。

 その際、少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況、子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討をしてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)委員 先ほど与党の委員からも質問がありましたし、今大臣にお答えいただいたみたいに、同じ年収一千二百万円であっても、扶養する子供の数によって事情は全く異なると思います。そういう意味では、子供の数を考慮した制度にすべきだと思いますし、特に、多子世帯への配慮というのは必要だと思います。

 また、むしろ、言えば、経済的に余裕がある高所得者の皆さんに三人、四人と育ててもらった方がいいとも言えます。ところが、先ほど最初に言ったように、今回のことによって、三人目どころか、二人目、三人目を諦めようという人が出てしまっているということです。

 先ほど私申し上げたように、年収一千二百万円の方というのは、年収四百万円の方の四倍の税金や保険料を支払っています。一方で、元々児童手当も特例給付の五千円だけしかもらっていませんし、所得制限で高校授業料の無償化の恩恵もないし、貸与型の奨学金を借りることも所得制限でできない。

 これは二〇一五年とちょっと古いんですけれども、収入階層別に見た受益と負担の関係という内閣府の資料があるんですけれども、これを見ると、年収一千二百万どころか年収八百万円以上の子供二人世帯では税や社会保険料の負担が受益を上回っている、トータルで見た場合に、プラスマイナスでいうと、払っている方が多くて、もらっている方が少ない、高所得者ほど負担が受益を上回る傾向が見られます。

 つまり、子育て世代は、頑張って稼げば稼ぐほど損する、こういうことになってしまっている。このことを、大臣、どう思われますか。

坂本国務大臣 高所得者世帯、年収一千二百万以上の世帯においても受けられる子ども・子育ての支援施策というのがあります。

 幼児教育、保育の無償化として、三歳から五歳までは全員が対象でありまして、不妊治療の助成につきましても、所得制限を撤廃して助成額を増額しております。出産育児一時金も全員が対象であるほか、利用者支援事業、そして地域子育ての支援拠点事業等も全員が対象であります。

 中学生までは義務教育が提供されておりますので、私は、その点は、高所得者世帯に対してもでき得る限りの支援措置というのが用意されているというふうに思っております。

大西(健)委員 ちょっと順番を変えますけれども、今の御答弁にもあったように、高所得者であっても幼児教育、保育の無償化の恩恵は受けているんだということを本会議でも繰り返し答弁されていますが、一方、例えば、今回特例給付をもらえなくなる人のうち、現在の小学校三年生以上の子供を持つ世帯は、幼児教育無償化の恩恵は全く受けていないんです。つまり、純粋な負担増になっていて、彼らからは、自分たちは外れくじ世代だというふうな声が上がっています。

 そういう意味では、いやいや、幼児教育の無償化は高所得者も恩恵があるんですと言うけれども、もう既に小学校三年生以上の人たちは何の恩恵も受けていないんですけれども、これは、大臣、いかがなんでしょうか。

坂本国務大臣 子育て世帯が安心して子供を産み育てられるよう、子供の成長ステージに応じた支援をしっかりしていくことが重要であるというふうに考えております。

 本法案でも、子育て支援に積極的な企業への助成事業の創設や、あるいは、所得の多寡や共働き世帯か否かを問わず、様々な地域の子育て支援を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込みました。支援の充実を図っているところでございます。

 また、幼児教育、保育の無償化の恩恵を受けられない小学校以上の子供がいる世帯への支援といたしましては、このほかにも、新・放課後子ども総合プランに基づきまして、放課後児童クラブの整備を推進をしております。

 今回、児童手当の特例給付の見直しを行うこととしていますけれども、このように小学校以上の子供がいる世帯も含めて総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものでございます。

 引き続き、子育てに希望を持つことができるような社会となるよう、各家庭の状況や子供の成長のステージに応じた子育て支援の充実を図ってまいりたいと思っております。

大西(健)委員 いや、何か読んでいる答弁書がちょっと違っているんじゃないかと一部思いましたけれども。

 言っているように、取られるばかりだ、受ける受益は少ないという不満を持っておられる中高所得者層が多いのがやはり問題なんですよ。社会全体でという言葉がさっきからありますけれども、そういう人たちが納得していない、不満を持っている状況では、社会全体でというふうにならないんだと思うんですね。

 もう一つ、資料、次のページですけれども、四ページ目ですかね。児童手当が、じゃ、どう使われているのかということなんですけれども、これを見ると、子供の将来のために貯蓄しているというのが実態なんです。

 先ほども言いましたように、所得制限があるために、高校授業料の無償化も対象外になるし、大学の貸与型奨学金も借りられない世帯というのは、大体、小中学校の間の児童手当を計画的に貯蓄して高校や大学の進学費用に充てている、これが実態だというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 先ほどと同じようなお答えになりますけれども、子育て世帯に対する支援といたしましては、これまでも、幼児教育、保育の無償化や不妊治療助成の拡充などを行いまして、子育て世帯全体への支援を充実をさせているところであります。

 年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しにつきましては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である、先ほども言いましたけれども、待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいと思います。

大西(健)委員 せっかくいい議論をしようと思っているんですが、なかなかお答えいただけないんですよね。

 だから、さっきから言っているように、取られるばかりなわけですよ。じゃ、年収一千二百万、高所得だからいいだろうと言うけれども、実際には教育にお金がかかるから、こうやって小中学校のときの児童手当を計画的にためて、そして大学進学とか高校進学に備えているという、これが実態なんです。

 資料の次のページですけれども、今回の法改正に関して参考資料という形で政府から配られたものの中に、世帯年収別の家計収支差と金融資産の状況、こういう資料が入っているんです。これを見ると、丸の二つ目ですけれども、年収一千二百五十万円以上の世帯では、年収一千二百五十万円未満の世帯に比べて保有する金融資産の額が大きいと。

 私、さっきから言っているように、根底に金持ちだからいいだろうという考え方があるのかもしれないですけれども、こういう資料をわざわざこの法案の参考資料の中に政府が入れているという意図は何なのか。こういうものを入れるんだったら、私は、所得制限でやるんじゃなくて、累進課税を強化するとか金融資産課税を強化するとか、税制で対応するのが筋だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 御指摘の資料につきましては、総務省の統計を使い、勤労世帯年収ごとの金融資産の状況をまとめたものでありまして、年収一千二百五十万円以上の世帯とそれ未満の世帯を比べますと、保有する金融資産の額に違いがあるということが示されております。

 なお、児童手当に関しまして、年収一千二百万円相当以上の方については月額五千円の特例給付を支給しないこととしておりますが、これは他の制度等を参考にしながら総合的に検討した結果でございます。

大西(健)委員 ですから、先ほど来、私、順番を追って議論してきたつもりなんですけれども、私たちは、普遍主義、つまり親の年収によって子供に対する給付に差を設けるべきじゃないと。むしろ、いや、お金持ちだからそこに支給する必要があるのかというんだったら、それは税で取るべきだと私は思いますよ。それがまさにこの資料の示していることじゃないかというふうに思います。

 次に、今回、高所得者の児童手当を削って待機児童対策に充てるとしているんですけれども、これについても幾つかちょっと聞きたいんですけれども、まず、保育所を利用する世帯というのは、これは共働き世帯が多いと思うんですけれども、待機児童対策というのは共働き世帯に向けた支援になる。それ以外の世帯は恩恵にはあずかることは少ないと思いますけれども、この点どうなのか。

 あと、併せてお聞きをしますけれども、例えば待機児童が深刻な地域では、世田谷とか川崎のようなところでは保活というのは点数制になっていて、認可保育園に入園可能な基準というのは点数で見るんですね。でも、点数が同じ場合には世帯所得が低い順に優先されるために、年収が一千万円を超えると、大体、今はもう川崎とか世田谷だと認可保育園には入れないそうです。そうすると、待機児童対策のためだといって特例給付を召し上げられた挙げ句に保育園にも入れないということになりかねない。あるいは、待機児童が解消される頃にはもう子供は小学校に上がっているかもしれません。

 つまり、ここでも取られるだけ取られて恩恵にはあずかれないというふうになってしまうおそれがあると思いますけれども、併せて、この共働き世帯への支援という、共働き世帯だけが恩恵をあずかる、あるいは、恩恵にそもそもあずかれなくて、取られるだけに終わるんじゃないかということについてお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 幾つかの御質問がございました。

 まず、共働き世帯だけというようなことでございますけれども、今回の法律改正では、専業主婦世帯などへの支援となる、子育て支援を行う関係機関の連携や不妊治療助成の拡充などを行うこととしております。共働きや片働きにかかわらず、トータルでの支援は拡大しているものというふうに考えております。

 それから、保育所の利用調整のこともお聞きされました。保育所につきましては、それぞれの市町村が定める基準に基づきまして、保育の必要性などから優先順位をつけているものでありまして、その状況は各市町村ごとに異なるものでありますけれども、いずれにせよ、新子育て安心プランの取組により、待機児童の解消に努めてまいりたいというふうに思います。

 待機児童の状況は各市町村ごとに異なりますが、昨年四月時点で全国で一万二千人以上の待機児童がいることへの対応として、全国トータルとして、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することで最終的な決着を図ることといたしました。

 今回の児童手当の見直しは総合的な少子化対策を推進する一環と考えておりまして、待機児童がいない自治体においても、法改正事項である市町村子ども・子育て支援事業計画を改定するなどして、更なる子育ての支援の充実を図ってまいりたいと思っております。

大西(健)委員 今、私が次に聞こうと思ったところも多分併せて読んでおられるんですけれども、私が申し上げているのは、つまり、これは待機児童対策に充てるためだから特例給付を我慢してくださいと言っているけれども、待機児童対策が改善されることも本当にちゃんと受益と負担の関係になっているのかなということを聞いているんです。

 それで、今大臣が一部お答えになったことなんですが、資料の最後のページを見ていただきたいんですが、待機児童のいる市町村というのは、百人以上いるところは二十二しかありません。五十人以上を合わせても七十五なんですね。一人以上、つまり一人でも待機児童がいるところを全部合わせても四百です。これは全市町村の二三%にすぎないんです。

 また、下の方の、表六のところの下に書いてあるのを見ていただければ、都市部、首都圏、近畿圏それから指定都市、中核市を合わせて全体の待機児童の六三・五%を占めている。つまり、待機児童問題というのは、極めて当たり前ですけれども、都市部の問題なんです。

 今回、全国どこに住んでいても、高所得者、一千二百万円以上の収入のある方は特例給付を召し上げられるけれども、待機児童問題は一部の地域の問題なんです。ここが、何というか、リンクしていない。待機児童対策のためですから我慢してくださいと言うんですけれども、やはり取られるだけと思っている人が出てしまうのは、私はしようがないんじゃないかと思うんですけれども、これはどう思われますか。

坂本国務大臣 子ども・子育て支援につきましては、児童手当だけではなくて、子育て世帯の様々なニーズに沿って総合的に支援を行っていくことが重要であると考えております。

 今回は、総合的な少子化対策を進める中、全体のバランスを考えた上で児童手当の特例給付を見直すこととしたものでありまして、心苦しいところではありますけれども、見直しについて御理解をいただきたいというふうに考えております。

 今後とも、政府として、強い思いを持って取り組んでいる少子化対策の内容を国民の皆様に御理解いただけるよう、丁寧に説明してまいります。

大西(健)委員 待機児童対策のために特例給付は我慢してくださいと言っているのに、総合的とか言い出したら元も子もなくなってしまうし、そんなことを言うんだったら、公費でやってくださいよ、ほかのところから持ってきてくださいよということになるんです。今日の議論というのは、私は、突き詰めて言えば、そういうことだと思いますよ。先ほど与党の議員からも、子供予算全体を増やすべきだ、ほかから持ってくるべきだという話がありました。

 同じような話として、最後に言いますけれども、これも納得がいかないのは、今回、特例給付を一部廃止して、それから現況届の廃止等があって、システム改修に二百八十九億かけるというんです。今回、財源効果が三百七十億円、この特例給付廃止で生み出される効果が三百七十億円なのに、二百八十九億円システム改修にかけるといったら、これは特例給付を廃止される人は怒りますよ。ネット上にもそういう声があふれています。

 やはり、これはさすがにまずいんじゃないか。少なくとも、これは内閣府の子ども・子育て予算の中からまさかやりくりする話じゃなくて……

木原委員長 大西君、時間が来ておりますので。

大西(健)委員 別途ちゃんと手当てするんだと思いますが、最後にそのことを聞いて、終わりたいと思います。

木原委員長 坂本大臣、手短にお願いいたします。

坂本国務大臣 はい。

 これは、令和四年十月からの支給分に備えるものであります。そして、千七百四十一ある全ての市町村でシステム改修等が円滑に進むようにするものであります。そして、システム改修ができますと、現況届の届出義務を廃止して受給者の利便性を向上させることができますので、これは合理的な予算措置であるというふうには思っております。

大西(健)委員 時間が過ぎましたので、終わります。

木原委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。

 子ども・子育て支援法改正関連で質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 政治は何のためにあるのかという部分でいいますと、子供たちがどんな環境に生まれ育っても、しっかり教育を受け、また医療も受け、社会で活躍できるようになる、この部分が非常に大きいのだというふうに思います。そして、一定の枠内に収まった子供たちだけが助けられるのではなく、きちんと、いろいろな、多様なニーズに合わせて準備をしていくというのが政府また政治の役割であろうというふうに考えています。

 そういった意味では、子ども・子育て支援法、これを改正するということで、市町村子ども・子育て支援事業計画という中に任意的記載事項として関係機関相互の連携の推進を入れるというのは非常にいい話だなと思っておるわけですけれども、既に市町村の計画については、一期計画が終わって、二期目が令和二年度からスタートをしています。これの達成状況それから課題について、どう把握をされておりますでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 市町村子ども・子育て支援事業計画につきましては、市町村ごとに、質の高い教育、保育等が適切に提供されるよう、地域の実情に応じた課題の下、計画を立て、教育、保育の提供体制の確保を行っているところでございます。

 そのため、一概に総論を申し上げることは困難でございますけれども、各市町村においては、令和二年度から五年間の第二期計画を策定する際に、第一期計画の達成状況や課題等を踏まえて、それぞれ各市町村の子ども・子育て会議などで議論をしていただいているものというふうに認識をしております。

 政府としましては、第二期計画の初年度である令和二年度においても、待機児童がいることなどを踏まえまして、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消を含む総合的な子ども・子育て支援の充実を推進してまいります。

 以上でございます。

森山(浩)委員 市町村が各々やっていますという答弁です。

 計画を立てるに当たって、それぞれの現場で何に困っているのかというのをしっかり話し合った上で第二期計画に移っているわけですので、これは、政府としては、どこでどんな問題が起こっているのか、共通の問題もあるだろうし、また、共通ではない、都市部の問題、農村部の問題、また地域ごとに特殊な問題もあるかもしれない、こういったことをしっかりとお聞きになって、その上で政府全体の計画に反映をすべきだと思いますが、聞いていないということでいいんですね。

嶋田政府参考人 子ども・子育て会議等の場でもいろいろな情報が集まってまいります。そうしたところでの議論を含めまして、引き続き、市町村とか都道府県、あるいは関係団体、関係省庁と連携を深めて、課題の把握に努めてまいりたいと思っています。

森山(浩)委員 そうですね。是非頑張っていただきたいというふうに思います。現場にこそ課題そして解決の糸口というのは見つかるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さらに、今回、子ども・子育て支援の提供を行う関係機関相互の連携の推進というふうに、任意的記載事項というのが追加をされるという提案でありますけれども、この趣旨についてお知らせください。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 在宅で子育てを行う家庭等により効果的に支援を行っていくためには、地域の関係機関相互の連携の推進を図っていくことが重要だと思っております。

 このため、令和三年度予算においては、利用者支援事業の拡充でありますとか、ファミリーサポートセンター事業の地域子育て支援拠点等との連携の強化などによりまして、地域における各子育て支援の実施者の連携協力を図っていくこととしております。

 そのような取組を促進するために、本法案におきましても、市町村計画において定めるよう努めるべき事項といたしまして、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込むこととしたところでございます。

 こうした関係機関相互の連携を進めることによりまして、子育て家庭の個別の状況を機関相互で共有しまして、家庭の状況に応じた必要な支援と結びつけられることが期待されるところでございまして、引き続き、地域の子ども・子育て支援の取組を推進してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 利用者支援事業について、二分の一を三分の二に引き上げる、あるいは推進をしていくんだというメッセージを出すということで、大臣、メッセージを出すというのは大臣の重要な役割だと思いますが、例えば無認可の保育所であるとか、あるいは、森のようちえんネットワーク、これは予算の分科会でも出ていましたけれども、といったNPO、それから、教育機会確保法がスタートするまではほぼ地元の自治体とは関係がないというか、むしろ邪魔にされたというような経験を持つところも多いフリースクール、また、そういった様々な主体、法人格のあるなしも含めて、様々な主体が、それぞれの子供たちのニーズに対して、できることをやろうというようなことで頑張ってきていただいている。この現場の状況、まず、先ほどのお話にありました、市町村の現場からしっかりと政府として話を聞いていただくとともに、それぞれの現場の各団体、組織に対しても、是非一緒にやりたいんだというメッセージを出していただきたいと思いますが、いかがですか。

坂本国務大臣 子ども・子育て支援の提供に伴う関係機関といたしましては、市町村の委託を受けて地域子ども・子育て支援事業を行う事業者、保育所、幼稚園、認定こども園等を想定をしております。地域の実情に応じて、NPO法人やそれからフリースクール等も含まれてくるというふうに考えております。

 本制度改正の趣旨につきまして、法案が成立しましたならば、丁寧にそのことを周知していきたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 関係が悪くなってしまって今さら仲よくできないというような現場同士の確執というようなものがある場合もありますので、ここは、場合に応じてということではなくて、とにかく子育てをやっているところに関しては市町村から呼びかけをしっかりしてくださいねというようなふうにお願いをしたいのですが、そこは大丈夫ですか。

坂本国務大臣 しっかり周知を図りたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 さらに、子育て支援に取り組む中小企業に対しての助成ということで、プラチナくるみんやくるみんの認定されたところについてやりますよということですが、現在の認定数の現状、それから、今回の制度というのはこの認定を増やすためということでよろしいですか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 くるみん認定企業につきましては、令和二年三月末時点で三千三百十二社となっておりまして、政府としましては、令和七年までに四千三百社とすることを目標としているところでございます。

 今回の助成制度でございますけれども、従業員に対して育児休業の取得を促進するなど子育て支援を積極的に行う事業主に対する助成を行うことで、こうした支援に取り組もうとしている事業主を後押しをしまして、企業における子育て環境の整備を進めることを目的とするものでございます。

 くるみん認定及びプラチナくるみん認定の取得促進ということにつきましては、今回の助成制度の周知と併せまして、所管官庁であります厚生労働省とも協力をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 縦割りの壁を越えて頑張るということですけれども、今回、企業規模にかかわらず一律五十万円というふうにされているのはなぜでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 五十万円という助成金額につきましては、仕事と子育ての両立に資する取組を行う事業主を支援する他の助成金の水準も踏まえながら、中小企業の取組を促進するためのインセンティブということで、経済界とも協議をしまして設定をしているところでございます。

 使途につきましてでございますけれども、今後の検討課題でございますけれども、大企業と比べまして、企業数に比してくるみん認定の企業の割合が低い中小企業につきまして、労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするための整備に幅広く活用していただきたいというふうに考えておりまして、例えば、育児休業等を取得する職員の代替となる職員を確保するための費用でありますとか、あるいは所定外労働の制限とか短時間勤務やフレックス制度の導入、周知の費用などに充てていくことを想定しているところでございます。

森山(浩)委員 まあ、五万円じゃ人を雇うことはできないということだと思いますが、確かに、最初のスタート、非常に大事だと思います。

 さて、大臣、これは今回、予算は規模二億円となっていますけれども、これで十分ですか。

坂本国務大臣 平成三十一年四月から一年間にくるみん認定を取得した中小企業が百十六社でございます。また、令和二年三月末時点でプラチナくるみん認定を受けている中小企業が五十九社。大体、二つ合わせて百七十社ちょっとでございます。ですから、それを二百社と計算しまして、これを倍増させたいということで四百社。それが二億円というような予算措置になったわけでありますので、一定程度、かなり増加した場合であっても、執行可能というような予算を計上しておるところでございます。

 先ほど事務方からも言いましたように、厚生労働省が主管でもございますので、厚生労働省と協力しながらこれから取り組んでまいりたいと思いますし、令和七年までには、くるみん企業の認定につきましては、令和二年の三月末時点での三千三百十二社から四千三百社にするということを目標にしております。

森山(浩)委員 二億円を使い切るつもりで頑張るぞというような御決意をいただきました。是非お願いをしたいと思います。

 それでは、現場の問題を幾つか確認をしたいと思います。

 子ども・子育て関連の保育士、幼稚園教諭、また、こども園も含めての専門職の皆さんの待遇改善というのは、我々はずっと提案をしていますけれども、その中で、全体としての部分もあるんだけれども、地域区分というのがあって、市町村によって掛ける倍率が違うんだというふうな話があります。この基になる地域区分について、人事院さんから御説明をお願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の地域手当は、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員の給与が高いのではないか等の議論がある中で、全国一律に適用されます俸給表を補完し、地域の民間賃金水準を国家公務員給与に適切に反映させるために、民間賃金水準が高い地域の国家公務員給与の水準を調整する手当として設けられたものでございます。

 この地域手当の支給地域や支給割合につきましては、国民の理解が得られるものとなるよう、政府統計を用いて算出した客観的なデータに基づいて、統一的な基準により定めることが必要であると考えておりまして、具体的には、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用いて算出しました賃金指数に基づきまして、国家公務員が在職している地域について、民間賃金水準に応じました支給割合を定めているところでございます。

森山(浩)委員 この算定なんですけれども、要は、その地域にある、市町村にある企業の平均賃金、これを基にやるんだという御説明なんですけれども、大きな町で、そこが経済圏一つだというようなところはそれでいいのかもしれませんが、我々、例えば地元大阪ですと、堺市の人は大阪市に働きに行く、その子供たちが保育園、幼稚園で預かってもらう、あるいは、堺市よりも南にある高石市であるとか、あるいは横にある松原市の方が地域区分が高いというようなことで、常に地元では話題になっております。

 例えば、賃金の水準という話になると、中小企業がたくさんあるような町は、これは下がっていくんですね。大企業がどんとあって中小企業が少ない町は、これは上がっていくというようなこともあります。これの工夫の仕方というのが、例えば、そこの町に住んでいる人たちの平均の所得であるとか、いろいろなものを掛け合わせていきながらやる、あるいは、もうちょっと大くくりにした方が、経済圏というような感じで考えた方がいいのではないかというようなこともありますが、人事院さん、いかがですか。

佐々木政府参考人 国家公務員の地域手当につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地域の民間賃金水準を国家公務員給与にできるだけ反映させるということを目的にしたものであるために、今現在は、行政区域の最小単位でございます市町村、これを支給単位、支給地域及び支給割合をこの単位できめ細かく定めているところでございます。

 一方、こうした地域手当の在り方につきましては、今先生からも御指摘ございましたけれども、指定の単位を広域化を図るべきである等、様々な御指摘をいただいているところでございます。

 人事院といたしましても、これまで、地域の一体性を考慮しまして、いわゆるパーソントリップを用いました支給地域や支給割合の補正を拡充するといったような取組をしてきたところでございます。

森山(浩)委員 これは国家公務員さんの給与に反映させるためのもので、これを参考にして保育士等の給与をやるんだということですから、厚生労働省さんの方から、保育士なりの方はもうちょっといろいろ工夫する必要があるんじゃないかということについてお伺いしたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援の新制度の公定価格では、介護保険制度と同様に、民間企業について地域差があることを反映するために地域区分を設けているところでございます。

 この具体的な設定に当たりましては、先ほど御説明ありましたように、公務員の地域手当に準拠することを基本としつつも、介護保険制度等における対応も踏まえまして、周辺地域との格差を緩和する取組を従来から行っておりまして、例えば、平成二十七年度から、公務員の地域手当の設定がない市町村について、設定がある市町村に複数隣接している又は囲まれている場合には、隣接している市町村のうち支給割合が最も近い市町村の地域区分まで引き上げるでありますとか、また令和二年度からは、公務員の地域手当の設定がある市町村につきましても、当該市町村の地域区分よりも支給割合の高い市町村に囲まれている場合には、当該地域を囲んでいる市町村のうち支給割合が最も近い地域区分まで引き上げるなどといった工夫を行っているところでございます。

 一方で、地域によって公定価格が異なることにより、隣接する地域と比べて地域区分が低い地域においては人材確保が困難になるというような指摘があるところも承知しておるところでございます。

 地域区分につきましては、地方自治体の皆様にも様々な御意見があるというのも従来から承知をしておりまして、令和元年十二月の子ども・子育て会議の取りまとめにおきましても、その在り方を引き続き検討するということで宿題になっておるところでございます。

 これを踏まえまして、今年度、地域区分の在り方に関する自治体への調査を行いますとともに、あるいは、引き続き議論を行いまして、公務員の地域手当に準拠して設定するという基本的な考え方は維持しつつも、地域手当が地域民間給与の適切な反映を目的とする手当であることや、介護保険制度を始めとした他の社会保障分野における補正ルールとの整合性を踏まえながら、必要となる財源を確保しながら、それと併せて検討していきたいというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 しっかり現場の意見を聞いて、改定に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、子供食堂なんですけれども、最近あちこちで、また私の地元などでも区の中にも幾つもあるというような状況でありますけれども、これは、自治体との関係によって補助金の額がばらばらであったりして、あそこはもらえているのにこっちはというような話でなかなか苦しんでおられるところが多いのですが、地域子供の未来応援交付金というのが今回の予算に出てきています。この内容についてお知らせください。

坂本国務大臣 子供食堂につきましては、子供の食事の確保はもとより、子供たちが安心して過ごせる居場所提供という意味でも大事であるというふうに思いますし、あわせて、子供たちの世代間の交流や学習の機会を提供するというような、非常に大変多様で有意義な活動であるというふうに思っております。

 そして、今回、コロナ禍の中で子供たちが、私も孤独、孤立担当の大臣も務めておりますので、子供たちが孤独や孤立に陥らないようにということで、三月十六日に決定いたしました緊急支援策に基づきまして、今委員おっしゃいました地域子供の未来応援交付金につきまして、自治体が子供食堂などの子供の居場所づくりなどの事業をNPO等へ委託した場合の国の補助率を二分の一から四分の三に引き上げたところでございます。三月二十六日に自治体に対して既に通知をいたしました。

 あと、この通知が有効にやはり自治体として伝わるかどうか、自治体の方が行動を起こしてくれるかどうかということでありますけれども、今後、オンラインによりまして自治体向けの説明を開催をいたします。それから、NPOの方に自治体に交付金の活用を働きかけてもらうよう、NPO向けのリーフレットを作成し、そして公開をしまして、NPO団体等と連携をした説明会を検討中でございます。

 ですから、NPOの方から自治体に言ってもらう、私たちの方から自治体に言う、この両面作戦で周知を徹底して、一層のこの交付金の活用の促進に努めてまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 四分の三で一団体当たり百二十五万円、そして団体数の上限なしと、かなり思い切った緊急支援ということですので、是非しっかり周知をしていただいて、現場で使っていただけるようにしていただきたいと思います。

 次に、放課後児童クラブ、これは厚労省、放課後子供教室、文科省というのがあります。うちの放課後ルームではサッカー教室をやってくれないんだというようなことで、隣の学校との格差があるんだというような話をよく聞きます。

 これは一体型を推進をしているということですけれども、状況についてお伝えください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 新・放課後子ども総合プラン、令和五年度までのプランでございますけれども、このプランにおきまして、全小学校区で放課後児童クラブと放課後子供教室を一体的又は連携して実施することといたしておりまして、そのうち、また一万か所以上は小学校内で一体型として実施することを目指しているところでございます。

 こういったことに向けまして、一体型の設置促進のため、新・放課後子ども総合プランに基づいて、学校敷地内で一体型を創設、整備する場合の補助基準額の引上げですとか、一体型実施のために必要となる設備の整備、修繕、あるいは備品購入費用に関する経費の上乗せ補助、それから、学校施設を活用して放課後児童クラブを実施する場合に学校長の先生と協定書を結ぶ場合がございますが、このひな形の作成、また、全国児童福祉主管課長会議の場などあらゆる機会を通じて一体型の取組の効果について周知といったことを行っておりまして、こうした取組を通じまして、文科省とも連携をしながら、一体型の放課後児童クラブの設置促進に努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 現在五千か所余り、これは、小学校全部でいうと一万七千ですから、何とか全体に広げていただきますようにお願いをいたします。

 次に、発達障害児の支援ということで、私、市議会の最初の頃に、この親の皆さんと一緒に、いかに周りに知ってもらうかというようなことについて一緒に冊子を作ったこともあるんですけれども、最近よく言われるのが、発達障害児者についての支援というのは随分と進んできた、しかし、親に対してもっとフォローが必要なのではないかという部分です。

 というのは、せっかくいろいろないい療育を受けても、親との関係が悪くなったり、あるいは親が受容し切れないことによって、本当におまえはというような形のディスコミュニケーションが子供を傷つけてしまうというような話もございます。

 この親支援への単位加算というのはどうなっておりますでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 今議員から御指摘ございましたように、発達障害児の保護者について、発達障害の受容に対する相談援助等を含めて、その支援体制を構築していくことは極めて重要というふうに認識しております。

 本年四月から、令和三年度障害福祉サービス報酬改定におきまして、児童発達支援や放課後等デイサービスを行う事業者においても家族支援に係る取組が推進されるよう、事業者で保護者に対する個別の相談援助を行ったときの加算の単位の引上げという充実を図るほか、新たに、グループでの面談やペアレントトレーニング等を実施したときの加算を創設するというようなことを行っております。

森山(浩)委員 ようやく親支援についても単位加算がなされてきたということでございます。よろしくお願いいたします。

 さらに、児童虐待の防止策ということで、児童相談所における児童福祉司の増員の状況についてお知らせください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 近年増加する児童虐待の対応をより適切に行うため、平成三十年十二月に、新プラン、児童虐待防止対策体制総合強化プランを決定いたしまして、二〇一九年度から二〇二二年度までの四年間で、約三千人の児童福祉司を約五千人体制とするということにしたところでございます。

 二〇二〇年四月一日現在で四千二百三十四人の児童福祉司が配置をされておりまして、二〇一七年度、プランの前の年度と比べますと、九百九十九人増加をいたしました。

 二〇二一年度につきましては、児童福祉司の増員について、計画を一年前倒しをいたしまして、五千二百六十人となる体制を確保できるよう取り組むこととしたところでございます。

 こうした目標が達成されるよう、引き続き自治体の取組を支援してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 目標の年度を前倒しをして増員を図ることができたということでございますが、これはどうやって動いてもらうかというのが大事。

 家庭にどうタッチができるかという部分で、ドイツでは十回の乳幼児健診があります。日本の場合、定期健診の未受診者への後追いの訪問をする、例えば、もしかしたらネグレクトや虐待につながっているかもしれない、あるいは、未就園の幼児の家庭、これについても、虐待が行われていても見えないかもしれない、こういった部分についてしっかり家庭訪問してもらうということについては、どのようにお取り組みでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、乳幼児健診未受診者ですとか未就園児など、福祉サービスを利用しておらず地域とのつながりのない子供の安全を確保することは、児童虐待防止の観点から重要であると考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、市町村に対しまして、平成三十年度から毎年、乳幼児健診の未受診者、未就園や不就学などで福祉サービス等を利用していないなど、関係機関が状況確認をできていない児童につきましてリストアップをして、当該児童を対象とした家庭訪問を実施するなど、状況確認を行うようお願いしているところでございます。

 こうした市町村における継続的な取組を支援するため、児童の状況確認を実施した場合には訪問費用等を補助対象とする、未就園児等全戸訪問事業を実施しております。

 こうした取組を通じまして、引き続き、関係府省庁、自治体と連携しまして、子供の安全の確保のための取組を進めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 しっかり自治体現場を後押しをしていただきたいというふうに思います。

 最後に、文化芸術、これは家庭の状況によって大きく差があるんですね。だから、この体験をするというのが家庭の事情によって偏らないように、文化芸術団体との連携も含めて、しっかり体験をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 委員からもお話がありましたように、次世代を担う子供たち皆が、優れた文化芸術に身近に触れ、体験することは、豊かな感性、情操や創造力などを養う上で大変重要だと考えてございます。

 このことから、文化庁では、これまで、文化芸術による子供育成総合事業、これを実施しており、小学校、中学校等の児童生徒に対し、一流の文化芸術団体や芸術家が学校を訪問し、質の高い文化芸術を鑑賞、体験する機会を提供するとともに、芸術家による実技指導やワークショップ等も実施しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じまして、文化芸術団体と連携をしながら、引き続き、児童生徒が文化芸術を鑑賞、体験ができる環境を整えてまいりたいと考えてございます。

森山(浩)委員 様々な教育を行っている子育てに関連する団体が、公的教育は壁が高いんだというような話をあちこちの現場で聞きます。しっかり、今回、連携だということをおっしゃっている中ですから、徹底をしていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。

 三十分、お時間をいただいております。早速質問させていただきます。

 坂本大臣、そして厚労の三原副大臣にもお越しいただいております。よろしくお願い申し上げます。

 まず、私自身、初めにお断りしておかなければいけないなと思っているのは、私に子育てを語る資格はございません。少なくとも、うちの家庭の中ではそういうふうに言われております。

 どういうことかというと、うちは三人、年子で娘がいるんですけれども、平成十五、十六、十七年生まれと、三人の娘がいまして、三人、年子なものですから、第一子、長女が生まれたのが、二十八のときに最初に県議選に出たんですけれども、県議選の、四月ですから、一月の生まれでございまして、一番最初の娘は。そこから、最初、浪人しました、四年間。その浪人期間中に第二子が生まれ、第三子が生まれということで、第三子が生まれるときには、もう下ろしたいという話を家庭の中でされました。こんな乳飲み子で、おむつをしなくちゃいけない小さい子がそんなに三人も立て続けに、私はもう面倒を見られないという話をまずされたんですけれども、ただ、せっかく授かった命だからということで、三人目を産もうよということで話をしたんです。

 そのときに、最大限の協力をする、全面的な協力をするからということで、そこのところでまず手形を切ったわけなんですけれども、ところが、やはり、浪人中とはいえ、いろいろ次に向けての準備をした活動をしていますから、ちょうどたまたまそのときに介護の仕事も立ち上げて、訪問介護の仕事から始めたんですけれども、そういう仕事のこともあったし、それから、地域のいろいろな会合があったりすれば、あと、青年会議所なんかにも入れてもらったりしたので、そういう会議に出たり。そういうときには、真ん中の子をおぶって会議に出ていったりイベントに出ていったりして、相当周りから文句を言われたり白い目で見られたりもしました。

 いずれにしても、そういうこともあったんですけれども、そのときに言われたのは、あなた、一週間ぐらい、三人、子供を全部一人で世話しなさいよと言われたことがありました。浪人中でもあるし、自分でどうにもなるんだから、そんなの、一週間ぐらい、自分で時間をつくって何とかしなさいよと。私なんか、実家を離れて、実家は小田原なんですけれども、小田原を離れて、埼玉の片田舎に引っ込んできて、友人、知人もいない、それから仕事も、銀行で勤めていましたけれども、それも辞めてこちらに引っ越してきて、勝手に選挙なんか出て、おっこちて、何だと。子供も全部私が面倒見なくちゃいけないなんて、とんでもないという話がありまして。そういうところから始まって、昨日、おとといぐらいもそのときのことをやはり言われまして、一週間、あんた、やらなかったよねと。

 そういうことでありますので、私に資格はないんですけれども、大事なことですから、私なりの幾らかの経験を基に、いろいろと議論を進めていきたいなと思っているんです。

 例えば、保育園も、三人、娘が立て続けにお世話になっていたので、私も、一日保育士体験とかという形で、朝行ってから四時ぐらいまでだったですかね、お昼を挟んで、先生たちと一緒に子供たちのクラスの中に入ってやったりもしましたけれども、子ども・子育てを担当されている大臣なので、全然通告はないんですが、子育てとかに対しての大臣の思いというのは、どういう思いを持ってこの法案に臨んで、まあ法案に臨まなくてもいいんですけれども、子育てに対してどういう思いを持って臨んでいらっしゃるかなというのをちょっとお聞かせいただけないでしょうか。

坂本国務大臣 委員と同じで、子育て、もう私の場合は終わっておりますけれども、その当時の深い反省を顧みながら、今、担当大臣として仕事に当たっております。

 ちなみに、私の妻も小田原でございまして、身につまされる思いで今聞いていたところであります。

森田委員 今まで答弁されている姿勢からちょっと変わった感じが見られたので、とても安心しております。

 私たちも人間ですから、法律とか制度とかというのはもちろんありながらも、やはり、人間同士として、大人として、子供として、あるいは、子供を育てるということもあるし、やはり子供と触れながら親が育ててもらうというところもあると思うので、是非、そういったところも含めて、人間同士としての議論を深めていきたいなという思いでやっております。

 最初に伺いたいのは、本当に根本的なところなんですけれども、よく待機児童というような言葉を使いますが、子供たちの思いというのは何なんだろうなといつも考えるようにしています。待機児童って、待機しているわけはないので、自分たちが入りたくて待機しているわけでは全くないので、やはり、そういうところというのは、誰のための保育なんだろうなとか。

 私たちはいろいろな事情で保育園に預けたりなんだりということをしなくちゃいけないわけなんですけれども、でも、やはりそこで忘れてはいけないのは、物を預けているわけではなくて、私たちの大事な家族の一員である子供たちを、どこかほかのところの施設に、どこかほかの方の力を得ながら子育てを一緒にやっているんだ、こういう感覚を絶対忘れてはいけないなというふうに思っております。

 この一番大事な視点である子供たちの声を、しかも、しゃべれるわけでもないし、有権者でもないし、こういった子供たちの声をどういうふうにいろいろな法案だったり制度を考えるときに把握しようと努めていらっしゃるか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂本国務大臣 子ども・子育て支援を進めていくには、やはり二つあると思います。一つは、保護者の保育ニーズ、これをしっかり捉えて対応していくために保育の受皿等をしっかり整備していくこと、それから二つ目は、今委員が言われました、子供の立場に立って保育の質を充実をさせていくことというふうに思っております。

 保育の質につきましては、第三者委員会、第三者による評価の仕組み等を活用しながら、その改善を図っていかなければいけませんし、また、食事の提供その他においても、やはり子供の立場に立って献立の作成やアレルギーへの対応なども考えていかなければいけませんし、そういう場合には運営費の加算を行うというような措置も行っているところでございます。

 一人一人の子供が健やかに成長できるように、有識者や地方自治体、あるいは事業者団体や保護者の声などを通じながらも、あくまでも、やはり子供の立場に立って保育所等における更なる保育の充実を図らなければいけない。子供の立場に立ってやはり考えること、これが大事であるというふうに思っております。

森田委員 ありがとうございます。

 大臣の言葉から保育の質というお話が出てまいりましたので、ちょっと踏み込んで、三原副大臣の方にも伺っていきたいなと思っております。

 私も、介護の施設をやっておりますと、常勤の職員がいて、そこを埋めていただくような形でパートの職員がいてとかという形に、常勤の職員が核になって、そこを埋めていくというふうな形になっているわけなんですけれども、最近、常勤のスタッフがいなくても保育のクラスが成り立つようなことになっているということなんですけれども、その背景についてちょっとお聞かせいただければと思います、副大臣。

三原副大臣 お答えいたします。

 短時間保育士の取扱いにつきましては、三月十九日付で自治体に対して、保育士については、各組に一名以上の常勤保育士がいることが望ましいとの考え方に変わりはないが、常勤保育士が確保できないことにより子供を受け入れられず待機児童が発生しており、市町村がやむを得ないと認める場合に限り、常勤保育士確保までの暫定的な措置として、保育士資格を有している二名の短時間勤務の保育士を充てても差し支えないこととお示しをさせていただきました。

 その背景といたしましては、やはり保育士不足で待機児童が発生している場合があることに加えまして、保育士が再就業する場合の希望条件といたしまして、勤務時間や雇用形態というのが挙げられている現状を踏まえたものであると考えております。

森田委員 先ほど申し上げたように、介護の現場なんかでも、やはり核になる職員がまずいて、そこの穴埋めをするという形での役割分担が望ましい。先ほどの自治体への文書の中でも、それが望ましいというようなことで表現をされていらっしゃるんだと思います。

 やはり、特別なのは、先ほど申し上げたように、物を預けているわけではなくて、大事な家族の一員を預けているということになりますので、例えば、今、長時間保育ということになっていて、元々は八時間とかでやっていたものが、十一時間になり、先ほどもお話が出ていましたけれども、十三時間になったりすると、とても一人の職員さんが保育で責任を持って一人の子供に相対をしていくということが難しい状況になっていて、今までは、クラスがあれば、クラスで常勤の職員さんがいて、それを例えば、朝、朝勤の人がいて、夕方を埋めるまたパートさんがいてみたいな形で、核になる職員さんがいて、プラスアルファで埋めていくという形もできたかなと思うんですけれども、やはり、何かトラブルがあった、問題があったというときに、いわば担任みたいな形の常勤の方がいないといったときのリスクだとかいろいろな不具合も考えると、非常に怖いものもあるのかなと思っております。

 常勤の保育のスタッフがいないということに対しての弊害というものをどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

三原副大臣 先ほどもお話をいたしました、三月十九日付で短時間勤務の保育士の取扱いをお示しした際には、各自治体に対し、留意すべき点として、一貫した保育の提供のために共同の指導計画、記録の作成や適切な引継ぎ時間の確保等を行うこと、日によって異なる短時間勤務の保育士を配置しないこと、同一労働同一賃金の観点から、常勤の保育士と短時間勤務の保育士間での不合理な待遇差を設けないこと、自治体による指導監査を通じた状況確認を行うことなどを併せてお示ししているところであります。

 引き続き、先生おっしゃるとおり、質の高い保育環境を整備できるように努めてまいりたいと思っております。

森田委員 子どもの権利条約、国連の権利条約の中には愛着に関係するところがございまして、個別的、継続的な養育者との関係といったものを子供の権利として位置づけているということもあります。

 また、発達心理学者エリック・エリクソンによると、愛着が欠けるということが、将来的には、例えば精神的なトラブルにつながったりだとかという形で、いろいろな形で、家族の環境の中で、あるいは、学校に行けば学校の中でいろいろと、学級崩壊につながるようないろいろな問題行動が出てきたりとかですね。

 これは、実証的に研究がされているかどうかというと、まだまだ日本ではそうじゃないこともあるのかもしれませんが、よく幼稚園と小学校との連携みたいな中で、やはり、いろいろ問題行動を抱えていた子供たちが、じゃ、小学校に行ってどうなっているかと。あるいは、小学校で問題があった子供たちが中学校に行ってどうなっているかという辺りを継続的に見ていらっしゃる方たちというのは、その辺のところが何となくやはり見て取れると。

 私の子供たちが通っていた、なでしこ保育園というところは、小学校の六年生とかになると、卒業の集いみたいなのがあって、子供たちがまた帰ってきたりするんですけれども、やはり、そうやって継続して流れを見ていく中で見て取れる問題点というのも恐らくあるのではないかなというふうに考えております。

 是非これは、今現在の保育の現場というだけで見ていると、それは別に余り問題にならないというところももしかしたらあるのかもしれませんけれども、本当に、三つ子の魂百までもということで、特にゼロ、一、二歳の子供たちがどういう環境で育っていくのかということは、大人になってからも非常に大きな、先ほど言ったような、愛着から生まれる精神的な安定だとかも含めて、そういったところにつながるということもありますので、しようがないよねという話がありながらも、やはりそこは注意をして見ていく必要があるんだろうなというふうに思っております。

 人手が足らないということの一つの解決策ではないんですが、本来、やはり誰が見るべきかといったら、親が見るべきだというのは、これはもう当然の話でありまして、今の制度でいうと、例えば、パート、アルバイトで、アルバイトだったらちょっと分かりませんが、二時間、勤務の証明が出れば、十時間とかの保育を受ける権利が出てくるとか、そういうこともあるんだろうと思います。

 本当に必要なところで本当に必要な人材が手当てできているのであれば、もしかしたら今みたいな不足にはならないというようなことを言われる保育園の園長先生もいらっしゃいます。

 ですから、やはり親が一義的に責任を持って育てるということを、親が大変だから保育園ということではなくて、親が大変だけれども、じゃ、それをどうやっていろいろな形で支えていくかということを考えるということも必要なことかなと思っていまして、本当に人手が、ゼロ、一、二歳で保育士さんが足らないということであれば、やはり親がまず見るということを根本でもう一回考え直す必要があるのかなと思っております。

 そういった意味では、直接、この前、無償化のときにベビーシッターにお金を出すとかという話もありましたが、親に対していろいろな形での現金給付をして、自宅での保育を促すような形というのも選択肢としてはあり得るんじゃないかなと思いますけれども、この辺りのことについて、大臣、よろしいでしょうか、御答弁お願いします。

坂本国務大臣 委員おっしゃるとおり、幼児期における、これは人手不足等解消だけではなくて、親子の愛着の形成というのは、子供の成長にとりまして重要であるというふうにも思っております。

 ただ、一方で、子供の発達過程におきまして、集団行動を通じまして社会性を育むことも重要であります。自宅での子育てが子供の成長にとってより好ましいとは一概には言えないというふうに考えております。

 子供を持つ家庭におきまして、保護者が自らの選択に基づいて子育てを行うことができる環境を私たちは整備していかなければいけないというふうに思います。

 児童手当におきまして、三歳未満の子供につきましては月額五千円の加算を行っております。また、育児休業を取得した場合には育児休業給付が支給をされています。加えて、今般の改正法案には、育児休業を促進することを目的とした、企業への助成事業も盛り込んでおります。

 こうした経済的な支援に加えまして、在宅で子育てを行う家庭への支援といたしまして、利用者支援事業を設けておりまして、今般の改正法におきましても、地域における各子育て支援の実施者の連携協力を進めていくこととしております。

 新子育て安心プランの実施を通しまして、保育所等における子育て支援の充実を図るとともに、在宅での子育てを希望する方に対しましては、その希望が実現できる社会環境の整備を進めてまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 育児休業の話も出していただきましたけれども、例えば、一回職を離れて育児をして、もう一回パートさんの働き口を見つけて働き始める、そういう方にとっては、なかなか育児休業とかというのが、そもそもゼロ、一、二歳の辺りを埋めていくものにはならないということもあると思いますし、先ほど、集団行動をいろいろと身につけていくということなんかは、やはりゼロ、一、二歳以降の、いわゆる年少以上のお子さんたちのいろいろと集団行動の場というのがあり得るかなと思いますので、ゼロ、一、二歳辺りの子供さんたちへの保育の手のかかり方、一対三とか一対四とか、そういう手のかかり方と、それから、それに対する行政からの費用の出方ですよね、そういったものを比較検討したときに、それから、あと、もちろん大事なのは、子供たちに対する影響といったものも含めて、そこの辺をどうやって捉えていくかということが大事なんじゃないかなというふうに思っています。

 先ほど育児休業のお話も出していただきましたけれども、まだまだ現場の、例えば、本人はいいにしても、周りの雰囲気とか、やはり取りたいけれども取れないと。

 例えば、女性が取ろうと思うと、キャリアへのそれが障害になっていくということを考えたりすると、やはり男女問わず、男性でも女性でも、ゼロ、一、二歳の子供がいる期間というのは特別な研修期間だ、人生におけるこれほど貴重な研修期間はないんだから、とにかく、キャリアは確かに大事かもしれないけれども、仕事ということも大事かもしれないけれども、人生そのもののことを考えると、やはりゼロ、一、二歳の子供がいるこの期間というものを大事な期間として、会社もそうだし、地域もそうだし、みんなでそうやって考えていこうよということも含めて、育児休業というものを取りやすくするということが必要かなと思うんですが、こういうことをしていきながら、やはり保育園の負担を減らしていくということを考えることも必要かなと思いますけれども、この辺り、いかがでしょうか、副大臣。

三原副大臣 委員がおっしゃるように、育児休業を原則一歳までとしている理由は、その時期が子の養育に最も手厚い手当てを必要としているからであります。保育所に入れない場合等に限り最長二歳まで延長可能となっております。

 原則二歳や三歳までの取得を可能とすることについては、男性の育児休業取得率が低くて女性に育児の負担が偏っているという現状に鑑みると、女性の職場復帰に課題がありまして、企業の労務管理が難しくなるといった声もあり、女性活躍に逆行することとならないかなど、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。

森田委員 子供を育てた経験がある男性が発想するいろいろなアイデアだとかというのは、多様性が広がっていくとか、また、深みがあるとか、器が広がるとか、やはりそれを経験したことによるプラスアルファというのは本当に大きなものがあると思っております。是非そこは男女問わず、三歳まではとかという形で広めていけるように、これは政府全体で取り組んでいっていただきたいことですけれども、そんなような形の取組をお願いしていきたいなというふうに考えております。

 それから、もう一つの大きなテーマで、予期せぬ妊娠のことについてお伺いしていきたいなと思っております。

 主には中高生の妊娠に関わることなんですが、余り表に出てくることではないですけれども、私の地元にさめじまボンディングクリニックという、鮫島先生という先生が、非常に若年層の妊娠、出産の問題に熱心に取り組んでいらっしゃいまして、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会、あんさん協というふうに略称で言っているらしいですが、ここに二十の産科の先生方が参加をされて、こういう協議会を組んでいらっしゃって、若い中高生の方たちの妊娠だとか出産に関するトラブルの相談をまず電話だとかメールだとかで受けていると。

 やはり一番この問題が深刻なのは、予期せぬ出産で、自分で人目を避けるようにトイレで産んでしまって、最悪の場合は、水に入ってしまって、そのまま亡くなってしまって、死体遺棄ということで、いろいろなトラブルの元になっていってしまう、人知れずいろいろなことをやっちゃった場合に。ですから、どうやって望まない妊娠をした若い方たちを守っていくかというのを考えていく必要があるかなと。

 これは、女性が子供を産み育てるということ、自己決定権を考える上では非常に大事なところではないかなというふうに思っておりますので、やはり、つらい経験をしたことが余り早くからあると、妊娠だとか出産に対する拒否的な反応というのも出てくるかなと思いますので、この入口の部分を制度的にも支えていくということが必要だと思うんです。

 そこで、先生がおっしゃっていたのが、最初の健診に来ないというんですよね。来ないと、やはり、どんどんおなかも大きくなっちゃって、いざ出産となっても、産院も、いきなり妊婦の状態で来られても、いろいろな検査もしていないし、どういう状態で母子共にあるのか分からないので、なかなか、じゃ、出産しましょうということにならない。やはり、いろいろな健診を受けながら、経過をたどっていって、無事に生まれましたねという、こういう経過をたどりたいというのは、これは先生の立場だったら当然だと思うんですが、やはりその入口の部分できっかけを失っちゃっているという若い方たちが非常に多い。

 この二十の産院の組織では、この最初のところを無償化して、要するに自己負担をしていただいて、最初の部分、取っかかりを、なるべくそのハードルを低くしようということでやっていただいているらしいんですが、やはり今、このコロナ禍で、いろいろ先ほどもお話が出ていましたけれども、妊娠、出産の機会を持つ方が非常に少なくなっているということで、産婦人科の先生方も非常に経営的にも大変な中で、やはり費用的になかなか持ち出しでやるというのはつらいものがあるということなので、是非、この無償化、最初の健診のところの無償化をお願いしたいという話が出ていたんですけれども、これはいかがなものでしょうか、副大臣。

三原副大臣 安全かつ安心して妊娠、出産できるように、妊娠健康診査等に関する経済的負担の軽減を図るということは非常に重要なことと認識しております。

 このため、妊娠届提出後の妊婦健康診査の費用につきましては、平成十年度から段階的に地方交付税措置を講じてきておりまして、平成二十五年度からは、十四回分の妊婦健康診査に係る費用の全てが地方交付税として措置されているところでございます。

 今議員御指摘の妊娠届提出前の妊婦健康診査につきましては、予期せぬ妊娠をした者に対する心のケアを含め、非常に重要であるということは私どもも考えているところでありますが、なかなか、厳しい財政状況等を勘案すると、現時点では難しいものと考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省としては、今後とも、安全かつ安心して妊娠、出産できるような必要な支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

森田委員 大臣、さっきお伺いしていただいたと思うんですけれども、その一番最初の取っかかりの部分が今無料になっていないというところなんですね。

 やはり安心に子供を産み育てたいと思う、特に若年の方たちは千円、二千円というお小遣いを積み重ねていってやっている方たちですので、そこからお金を取るというのは非常に大変なこともありますので、子供を産み育てるということを地域で、社会でと言うのであれば、その最初の取っかかりの部分から是非そこは手当てしていただきたいなと思っておりますので、要望させていただきたいと思っております。

 それから、妊娠してしまった中学校二年生、十四歳の女の子が、これは先々週ぐらいの話らしいですけれども、パートナーと一緒に二つぐらい産婦人科の先生のところを回ったらしいんですけれども、断られてしまったと。若い二人だけで来たので、親御さんのあれもないしというので多分断ったと思うんですけれども、これも非常に寂しい話だなと思うんですが、この辺、何とかならないでしょうか。

三原副大臣 医師法におきましては、医師は正当な事由がなければ診療を拒んではならないとして、いわゆる医師の応召義務というものを規定しております。

 正当な事由の有無については、個々の事情に即して具体的に判断する必要があり、一概にお答えすることは困難でありますけれども、患者の年齢のみを理由に診療を拒否することは、正当な事由があるものとは言えないと考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省としては、若年妊婦等が妊娠期から必要な支援につながる体制を整備することが重要であると認識をしておりまして、令和二年度より、若年妊婦等への支援に積極的なNPO法人等によるSNSやアウトリーチを活用した相談支援等を実施しているところでございます。

 こうした取組を通じながら、若年の妊婦さんたちが妊娠期から必要な支援につながるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

森田委員 やはり、未成年ですし、非常に弱い立場に置かれている若者たちが、勇気を振り絞って行ったところで断られたというのは、非常に精神的にも大きな痛手を負ったのではないかなと思っております。是非きちんとフォローしていただきたいなと思っております。

 最後に、中学、高校において、こういった何かあったときのトラブルの窓口、相談の窓口になってくれるようなところを、やはりいろいろな形で示しておく必要があるんじゃないかと。いざとなったときに、こうすればいいんだよというところの、駆け込み寺みたいなところを丁寧に説明しておいてあげる、周知しておいてあげるということは必要かなと思いますけれども、学校でのお話、どうでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 中学校や高等学校の生徒が望まない妊娠をした場合、学校におきましては、養護教諭やスクールカウンセラーなど周りの大人たちに相談できるような体制をまず整備をし、生徒の悩みに応じてそこから医療機関を含む関係機関につなぐこと、あるいは、当該生徒の安全確保の観点から、教育活動の工夫など、学業の継続に向けた教育上の配慮を行うといったような必要な対応を現在行っております。

 また、地方公共団体独自の取組として、思いがけない妊娠に悩む方が電話やメールで相談をできる相談窓口を設け、こうした窓口の周知のために高校生に案内カードのようなものを配布をするといったような取組があるということも承知をしてございます。

 このほか、文部科学省では、妊娠に限ってはございませんけれども、妊娠を含めて様々な悩みを抱える生徒がいつでも相談をできるように、二十四時間の子供SOSダイヤルというのを設置をしてございます。教育委員会を通じて各学校に対してその活用を周知してございますけれども、その際には、周知用のポスターとか、あるいは小さなカードに電話番号を書いたようなものといったようなものを作成をいたしまして、ポスターを掲示したりカードの配布などについても依頼をしてきているというところであります。

 文科省としては、今後も、悩みを抱える生徒がいつでも相談ができますように、引き続き相談体制の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

森田委員 大臣、是非、乳幼児にもそうですし、若い方たちもそうですし、寄り添った対応というものを重ねてお願いしておきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。早稲田夕季君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 質問の時間をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、この子ども・子育てに関しまして、特に児童手当の特例給付廃止法案につきましての質疑をさせていただきたいと思います。

 午前中も詳細なものがございましたけれども、私からもあえて追加をして質疑を大臣にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この問題は、昨年十一月、私が内閣委員だったときに報道を受けて坂本大臣にただしました際に、大臣は、財務省、財政審から重点化を指摘される一方で、拡充を求める意見もあり、少子化社会対策大綱で財源確保の基本的な方策と併せ、総合的に検討していると答弁をされました。その年度末にかけて、拡充ではなく重点化、つまり、特例給付対象を削減する閣議決定がありまして、これは子育て罰そのものではないかと大変世論が沸騰をしました。

 子育て罰というのは、子育て、つまり子供を産み育てることにペナルティーを与えると。少子化社会にあって、こういう政策に、自民党、公明党、与党の、そしてまた菅政権はかじを切ったということになるのであると私は思います。

 このタイミングですから。特にコロナ禍で、いろいろ、保育の現場も混乱している、子育てしているお父さん、お母さんも大変な思いで子育てをしていらっしゃるときに、このタイミングで、幾ら一部とはいえ児童手当を削減をしていく。大変、これは少子化対策にも逆行するものだと言わざるを得ません。

 そして、まず伺いますが、実際に年収千二百万円以上の生計維持者の世帯にとっては、子供の就学後、公的な支援はほとんどないですよね、大臣。あるならば御答弁いただきたいと思います。

坂本国務大臣 小学校以上の子供のいる世帯への支援といたしましては、新・放課後子ども総合プランに基づきまして、放課後児童クラブの整備を推進するなどとしているところでございます。

早稲田委員 学童、これぐらいですね。そして、高校の無償化ももちろん外れております。それから、配偶者控除もないわけです。

 大変、子育てに関するだけでももちろん恩恵を得ていないし、たくさんの税金を払っていろいろ貢献をしていただいている世帯であります。この子育て世帯にとっては、特に年少扶養控除の廃止、これがありまして、これによる増税だけが残ってしまった。これを子育て罰と呼ばずに何と言うんでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

坂本国務大臣 子育て世代が安心して子供を産み育てられるよう、子供の成長のステージに応じた支援をしっかりと実施していくことが重要であると考えております。

 本法案でも、子育て支援に積極的な企業への助成事業の創設や、所得の多寡や共働き世帯か否かを問わず、様々な地域の子育て支援を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を盛り込み、支援の充実を図ってまいりました。

 年少扶養控除につきましては、所得制限のない子ども手当の創設に併せて廃止されたものでありますけれども、廃止以降も、幼児教育、保育の無償化を実施するなど、高所得者の方も含め、子育て世帯への支援は拡充をしてきています。

 そのため、今回、年収千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付を廃止したといたしましても、今言われました、必ずしも年少扶養控除を復活しなければならないものではないというふうに考えております。

早稲田委員 いや、それでは何も、今該当していらっしゃる除外をされる方たち、児童手当が廃止をされるその方たちは、恩恵は学童だけなんです。それで、学童に通っていない子もいらっしゃる。それから、もう保育のステージを終わった方もいらっしゃる。その中では全くゼロということなんですよね。そして、税金だけはたくさん支払っているという中で、幾ら大臣がそのように拡充とおっしゃっても、とても拡充にはなっていません、この世帯に対して。

 ですから、私が申し上げたいのは、とにかく、合計出生率、令和一年で一・三六、これは二十五年間日本では上がっていないということは、もう世界的にも、大いに恥ずかしいことですけれども、注目をされていて、日本の少子化対策は間違っていると言われているとも聞いております。

 そのような中、さらに、令和二年の前半では結婚数が大幅に減少しています。そして、当然、出生率もまた大幅に下がるだろうという予測も立てられている。そのような中で、このタイミングでなぜ坂本大臣は少子化対策担当大臣であられるのにこれに踏み切られるのか、私には大変理解ができません。

 一方で、二月の予算委員会で、不妊治療に対して熱心な菅総理に質問いたしました。菅政権は、十二月、不妊治療への助成を百五十一億から三百七十億に拡充して、七百三十万円未満の所得制限を撤廃しました。これと、その一方で、児童手当には所得制限を導入する、そして四百四十億円の捻出をするというようなことは、まさに矛盾をする、相反することだと思いますし、政策の整合性も取れません。大臣、いかがですか。

坂本国務大臣 不妊治療の助成の拡充につきましては、不妊治療への保険適用を実現するまでの間、現行の助成制度の拡充を行うこととしているものであります。所得の多寡にかかわらず、支援が必要な方に対し必要な支援を重点的に提供するとの考え方から実施するものであります。

 一方で、児童手当は、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として現金を給付するものであります。

 このように、各制度において所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じて判断されるべきものというふうに承知をしております。

早稲田委員 不妊治療ともちろん政策目的が違うからということですが、給付を減らしてもいいということはありません。少子化対策にこの給付が意味がないとでもおっしゃるんでしょうか。

 これは資料二の方を御覧ください。OECD諸国の家族関係支出が出ております。

 高校無償化というものをやったので、二〇二〇年一・九、これはOECD諸国のGDP比ですけれども、これは随分上がりましたが、給付だけを見ていただくとほかよりも本当に劣っています。特に二〇二〇でも〇・五ということになっておりまして、非常に、フランスなんかは倍以上ですね、一・一〇。まあ、いろいろ外国の比べ方はありますから一概には言えない部分はあっても、圧倒的に給付が少ないということは大臣もお分かりになるのではないでしょうか。

 それから、資料一を御覧ください。

 私も不妊治療の助成拡大はもちろん賛成です。でも、大臣が所管する少子化対策大綱に基づく子育て予算を取りまとめた表であります。令和三年度の詳細はまだということでありますけれども、令和二年度の方を見ても、内閣府、厚労、文科、総務省、国交省、警察庁など、大変多くの府省にまたがる様々な政策、予算が計上されておりまして、その合計額、五兆九千五百七十七億円。ほぼ六兆円です。

 大臣、この六兆円の中から、そこから見ればこの四百四十億円というのは大変僅かな額でありまして、そこを、財源確保の具体的な方策を総合的に検討をきちんとされたんでしょうか。この六兆円から四百億の財源さえも捻出されなかった、それは少子化対策担当大臣として力不足と言うよりほかないのではないでしょうか。いかがですか。

坂本国務大臣 予算編成に当たっては、全体的なバランスを考えながら、最終的に六兆円弱ということになりました。そういう中で、全体のバランスと、全体的に子ども・子育ての政策を充実させるということからいえば、私は、少子化対策あるいは子ども・子育て対策につきましては充実をしてきているというふうに思っております。

早稲田委員 充実をしているかどうかは国民が決めることです。

 児童手当の削減ということに対して、大変、党の方にも、私の方にもメールがたくさん来ています。なぜ、少ない、子育て、家庭的予算の中から削るのか、そしてこちら、AからBにつけ替えるのかということ、多くの方がおっしゃっています、疑問だと。そして、それは、自分は高所得者の方には入らないんだけれども、非常に、子育てしている自分たちにとって、ああ、これはもう我慢してください、そしてまた、そのうち世帯合算がなされれば更に児童手当の削減が広がっていくんじゃないか、この国は本当に子供を社会で育てるという気持ちがないんだなということを、大変皆さんがっかりしている、残念である、そういうメッセージをたくさんいただいています。

 だから、高所得者とおっしゃいますけれども、私は高所得者という言葉自体が当てはまるのかどうか疑問ですが、その方たちだけじゃなく、子育て世代全体に非常に悪いメッセージを出している愚策だと言わざるを得ないと私は思います。今の御答弁も全く納得いきません。

 それから、今、四百四十億、また財政効果で三百七十億円というのがありますが、影響児童数は六十一万人です。保育の受皿十四万人分を整備するためにやむを得ないというのは全く理解できません。こども庁をつくるということが菅政権で言われておりますが、こども庁をつくるなら、その前にきちんと子ども・子育て予算の拡充を進めるべきです。そこを、一方で児童手当を削っておいて、こども庁というと何か聞こえがいいから、選挙対策にいいから、そういうことで政策を選んでいただいては、大変国民に対してこれはよくないことです。失礼です。

 だから、私は、子育て予算、家庭的予算を、坂本大臣、是非これを増やしていただきたい。そのための、六兆円というのが今ありますけれども、それをもっと、全体のパイを増やしていただくように強く要望したいと思いますが、大臣のお考え、お聞かせください。

坂本国務大臣 先ほど申しましたとおり、全体的なことを考えながらそのボリュームを考え、そして充実させてきているというふうに私たちは考えております。そのことをしっかりと国民の皆様へのメッセージとして周知をしていただく、そういう努力をしてまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 いや、だから、OECD諸国で見ても本当に低いんですよ。そこはもう紛れもない事実ですから、そこをどうやって増やしていくか。二十五年間、一・五以上に行かなかったということをもっと重く受け止めていただいて、何かを削るということではなく、全体の子育て予算を上げる工夫を是非していただくよう強く要望させていただきます。

 そして、私たちはこの児童手当の特例給付廃止には反対ということを申し上げて、次の質問に移ります。

 企業主導型保育園についてです。

 これは、立憲民主党の子ども・子育てPT、阿部座長の下で、この企業主導型については、最初、大変混乱をいたしましたし、今も多分続いていると思いますが、それでぎりぎりとやらせていただきました。その中で、大変不適切な事例が噴出をいたしました。

 それは次に質問いたしますけれども、まず、この企業主導型、企業の拠出金によって、安倍政権時代の待機児童対策の目玉でありました。平成二十八年度から二年度まで、受皿の拡大の目標は十一万人でありましたけれども、それでは、令和二年度末の定員見込み数、どのくらいでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業では、令和二年度までの子育て安心プラン等における保育の受皿の目標は十一万人としていたところでございます。

 令和二年度の新規募集におきましては、昨年四月から六月まで企業主導型保育施設の公募を行った結果、約一・六万人の受皿整備を新たに行うこととなっております。令和元年度末の定員数が約八・六万人となっておりますので、これに新規募集施設に対する新たな助成決定分等を加えた受皿は、合計で約十・五万人分となる見込みでございます。

早稲田委員 重ねて伺いますが、企業主導型の定員の充足率、どのぐらいでしょうか。

坂本国務大臣 令和二年十月一日時点における企業主導型保育事業の定員の充足率は七三・二%となっております。

早稲田委員 大変低いですよね。これでも上がった結果が七三です。六〇%台だったと思います。会計検査院からも厳しく指摘をされておりました。つまり、地域と連携をしていないんです。当初、首長も知らないところにぼんぼんぼんぼんできていた。そういうことのひずみが全部ここに出ているんですね。

 そうすると、十・五万人と先ほど参考人の方がおっしゃいましたが、七万人しか入っていないということです、入れないということです、いろいろな事情で。地域偏在もあるでしょう。そうすると、この十・五万人で見込みを達成しましたと言えないと思うんですけれども、いかがですか。

坂本国務大臣 充足率の向上に向けまして、これは、企業と施設とのマッチング支援等相談支援の充実、それから令和二年度の新規募集の審査におきまして定員の設定が適正か厳格に確認をする、そして各施設の充足状況の公表ということなど、具体的な改善策を私たちは講じております。

 今後、新規募集におきましては、統括官からお答えさせていただいたとおり、子育て安心プラン等における受皿目標十一万人分と令和二年度新規募集施設に対する助成決定分を含めた実際の受皿との差分で募集を行うことを検討中ですが、詳細については決定次第周知をしたいというふうに考えております。

早稲田委員 十万人の受皿目標で、目標というか受皿で、それで七万人しか児童が通っていないというところの差も考えて、それでは、次の新子育てプランの十四万人分の整備目標のうち、何万人これは計画をしていらっしゃるんでしょうか。

嶋田政府参考人 今後の整備予定でございますけれども、実は、新子育て安心プランにおきましては、市町村計画の積み上げとか女性就業率の上昇見通しを基に、約十四万人の保育の受皿をすることとしたものでございますけれども、約十四万人分の受皿整備そのものについては、これまでの市町村における受皿整備量を踏まえれば、市町村において整備可能であるというふうに考えられておりますので、企業主導型保育施設の整備は含まれておりません。

 また、先ほど大臣から御答弁ありましたけれども、令和三年度の新規募集につきましては、子育て安心プラン等における受皿目標十一万人分と、それから、令和二年度の新規募集施設に対する助成決定分を含めた実際の受皿の差分について募集を行うことを今検討中でございますけれども、詳細については決定次第周知させていただきたいと思っております。

早稲田委員 そうしますと、十四万人分の幾らかの割合でこの企業主導型をやるということはもうないと、ほぼ決定されているということですね。

 それでも、今までのこの差分は残っておりますから、しっかりと、まだやりたいと言っていらっしゃるいい事業者もたくさんおられます、不正受給が報道ではされますけれども。そして、そこでは、きちんと地域と連携をして、どこにどれだけの保育の需要があるのかということをしっかりと児童育成協会もウォッチをして、そして差分をきちんと埋めていただくような、そういうやり方でやっていただきたいと思いますが、大臣のお考え。

 それから、この拠出金、それでも上げられましたよね、上限の割合。これは、この新子育てプランの十四万人と関係ないけれども、企業にお願いをしたということですか。

坂本国務大臣 差分については、その需要動向も含めながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、拠出金につきましては、これは私の方から経済界の方にお願いして、経済界の方で、一千億円というようなことで拠出をしていただいたということでございます。

早稲田委員 いえ、上限額の割合を、率を上げていますよね。そのことは、この企業主導型の方をもう新子育てプランの方ではやらないということも踏まえても更にということで、上限額を、率を上げたんでしょうか。

嶋田政府参考人 事業主拠出金の上限につきましては、〇・四五ということで据置きということにしておりますけれども、その中で、今回は、積立金の活用とか、そういったことを工夫して、足下は〇・三六に抑えるということです。

 それからあと、まだ企業主導型保育施設に対しての、実質的な予算額の余りがあるということで、そこら辺の余りも、余りというか、残額なんかも工夫しながら、拠出金率を抑えていくというような工夫をしているところでございます。

早稲田委員 今回は据置きかもしれませんけれども、上げていますよね、途中で。それを伺ったんですが、また詳細、調べます。

 それで、次の質問に行きますが、この企業主導型保育の中で、非常に、不正受給などで助成を取り消された事例、それからまた、取りやめを事業者自らやっている事例、そうしたものが大変多くあります。

 その中で、私、令和元年の六月十二日の内閣委員会の質問で、二十八年度、二十九年度に関して、取消し、取りやめ九件、三億三千七百八十七万円、これの返還要求をしていると当時の大臣から答弁をいただきましたが、それでは、この二十八、二十九年度分、返還をされたのでしょうか。

坂本国務大臣 御指摘の平成二十八年度及び二十九年度における、助成決定取消し又は事業の取りやめにより、児童育成協会から事業者に対して返還を求められている約三・四億円を含めまして、現時点において返還を求めている額は十三・九億円であります。うち返還済額が〇・八億円となっていると承知をしております。協会から内閣府に対する具体的な返還に係る方針につきましては、協会から事業者に対する返還請求の状況などを踏まえつつ検討してまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 ずっと続いているんですけれども、検討、検討なんですね。これはもう二十八年からの話です。

 そして、今おっしゃったものをまとめましたのは、二のペーパーでございますけれども、この要返還額が、これまでに十三・九億円にも上っているということですよね、これは結審したもので大体おっしゃっているんだと思いますが。その中で返還されたのは僅か八千万円しかない、その状況です。そして、この数字が出てきたのはいつですか。

嶋田政府参考人 今年の二月時点で出てきた数字でございます。

早稲田委員 二月なんですね、今年の。

 そうすると、児童育成協会、これは実施主体として再決定をされたのは令和二年の三月六日です。この事業主体が、児童育成協会がどのような会計処理をしているのか、そしてまた、補助金の適正化の問題で、大変これだけの不正受給が積み上がっている、幾ら返還要求しているのか、幾ら返ってきているのか、そのことがつまびらかにならないまま、なぜ児童育成協会、再決定するんでしょうか。理由を教えてください。

坂本国務大臣 まず、協会から内閣府に対する返還方針につきましては、協会から事業者に対する返還請求の状況のほか、今後、企業主導型保育事業に及ぼす影響も考慮しながら慎重に考えてまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 慎重って、いつまで考えるんでしょうか。二十八年、二十九年、そして、この十三億円、その積み上げ分。今までずっと申し上げてきましたけれども、一向に返還が進んでおりません。いつまでこれを検討されるんですか。

坂本国務大臣 協会から事業者に対する返還請求の状況なども踏まえつつ検討していきたいというふうに考えておりますけれども、補助金適化法の趣旨を踏まえ、難しい問題も抱えております。対応方針につきましては、事務方にしっかりと検討させたいというふうに思っております。

早稲田委員 いつをめどと言っていただけませんでしょうか。これは公金ですから、そんないつまでも、それで、もう既に事業者がいない、法人がなくなっているところもありますよね。個人に対して請求していくんだとおっしゃいますけれども、本当にそんなことが可能でしょうか。結局、未回収になるんじゃないですか。そういうことも多く懸念されますから、いつまでと、めどをということ、大臣、ここでしっかりとおっしゃっていただきたいと思います。

坂本国務大臣 繰り返しになりますけれども、補助金適化法の趣旨を踏まえ、様々な課題があります、そういうことも踏まえて、対応方針については、事務方にしっかりと検討をさせていきたいというふうに思っております。

早稲田委員 残念です。納得できません。十三億円ですから。そして、ずっと言われてきた。この問題をやはりしっかりとやらなければならないと思うんですね。国民にも負担を求めているわけですから。

 それでは、この企業主導型保育事業の執行状況から質問したいと思いますが、これは、毎年この企業拠出金からいただいた額で事業をやっても、大体五百億円ずつぐらい、その年度によって違いますけれども、もう五年間ぐらい積み上がっています、返納金が。つまりは執行できないお金です。執行残というんでしょうか、それが積み上がっている。大体、こういう立て方自体がおかしいと私たちはずっと申し上げてまいりました。それでもそのまま五百億円が積み上がっている。

 そして、基金には多分二千五百億円ぐらいこれが積み上がっているのではないかと思いますが、児童手当の特例給付廃止をしないで、これを財源に充てたらいかがですか。もちろん、これで、五年間でなくなってしまうという話もありますけれども、その後、先ほどおっしゃったように、十四万人の新子育てプランでは、この企業主導型はもう整備をしないということですから、そうすると、運営費だけ、それだけをこれから何十年間か拠出をしていくということになります。大分減ります。そのことも財源の一つとしてしっかり考えるべきではないでしょうか。二千五百億円ですよ。

 これをどうするんですかと言うと、いや、基金に積んでいますから大丈夫と。いや、分からないんですよ、基金というのは。一番見えにくい。何にどう使われるか、分かりません。そうではなくて、今ここで、財源が足りないから児童手当廃止するなどとおっしゃらないで、是非、大臣、リーダーシップを持って、こういうものをいろいろかき集めて、絶対、児童手当の特例給付廃止を撤回していただきたい。

 この財源について、これも是非御検討いただけないでしょうか。伺います。

坂本国務大臣 御指摘のように、企業主導型保育事業につきましては、執行上不用となり返納された額は一時的に積立金に積み立てられていますが、その後、拠出金を財源としている各事業に充当することとなります。

 〇―二歳児分の保育所等の運営費に必要となる一千億円について、経済界に対して事業主拠出金の追加拠出をお願いをしていますが、その際、積立金を可能な限り活用するなどをして、なるべく事業主の負担が増加しないよう対応することとしております。

 御指摘のように、公費で賄うこととしております三歳から五歳児分の保育所等の運営費にまで事業主拠出金を充当することとした場合に、事業主へ追加負担を求め、拠出金率の更なる引上げ等の影響が生じることから、経済界からの理解が得られないというふうに考えております。

早稲田委員 いや、おかしいですね、今の御答弁。これは、五百億円ずつ、全然使っていません、これまでも。使わないで基金に積み上げている額ですから、その御答弁はちょっと違うと思いますけれども。

 じゃ、これから使っていくんですか。だったら、児童手当の特例給付廃止、やらなくてもいいんじゃないんですか。そういうことになりますから、もっと、この六兆円の子育て大綱の予算、これも含めて、是非再検討していただきたい。それを申し上げたいと思って、この質問をいたしました。

 そして、この特例給付廃止の撤回を求め、だって、一方で、不正受給の十三億円さえも返してもらっていないんですよ。取りにくいところからは、いつとも言わない、検討、検討。だけれども、取りやすいところからは取っていく。そういうことでは国民の信頼は得られません。

 ほかの一般の方よりも少し高い収入があっても、それはそれで大変なんです、子育てのかかるお金というのは。だからこそ、この五千円という、月額五千円で年間六万円を貯蓄して、そして子供が高校、大学のときにはそれを使おうというふうに計画を立てていらっしゃる世帯がたくさんいらっしゃいます。そこを踏みにじるような、そして一方では、不正受給を返してもらわなくても、これから、これからという答弁では、全く国民の信頼は得られない、そして、少子化大臣としての責任も果たしていないと私は思います。更にこの特例給付の廃止撤回を求めまして、私たちも議論をしてまいりたいと思います。

 次の質問です。大変低い保育士給与の改善についてです。

 これは、平成三十一年三月十五日の内閣委員会で、処遇改善の質疑をいたしました。このとき、全産業の平均四百九十一万円、保育士が三百四十二万円で、百四十九万円もの格差が生じていますと。これをどうやって改善するんですか。私たちもこの処遇改善の法案も出しております。与党の協力は得られておりませんけれども、是非こういうことをやっていかないと、いつまでたってもその格差が埋まらない、それを申し上げたんですけれども、その当時の宮腰大臣からは、保育の無償化に合わせて処遇改善もしている、これまでも段階的に七%引き上げて、今回も一%上乗せします、そういう御答弁でした。それだけでは到底足りないから申し上げているんですね。

 じゃ、令和三年度の処遇改善、これはどうなっていますでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 保育士等の処遇改善は大変重要な課題であると認識しておりまして、これまでも、平成二十五年度以降は、月額四万四千円に加えまして、平成二十九年度からは、技能、経験に応じた、月額最大四万円の処遇改善を実施しているところでございます。

 令和三年度予算につきましては、恐れ入りますけれども、更なる処遇改善については盛り込んではいないところでございますけれども、高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々が長く働くことができるよう、引き続き、安定な財源を確保しながら、必要な支援を着実にしてまいりたい、そういった考えでございます。

早稲田委員 令和三年度は更なる処遇改善は盛り込んでいないというふうに御答弁ありました。

 そして、これは、基本の部分が人事院勧告に準拠したところで、下がっているんですね、令和三年度、下がります。それも大変大きな問題だと私は思います。これは下がるわけなんです。ですから、幾ら処遇改善、そのまま前年度から引き続きですと言っても、実質は下がるんです。そのこともよく考えていただきたい。

 そして、今回で、三月の末に、私立保育所の運営に関する費用について内閣府の子育て本部から通知が自治体に出されました。

 この公定価格の基本分の単価の内訳が各地域ごとに示されまして、各地域区分で人件費額が明示されたことは、大変大きな第一歩だと私も評価をさせていただきます。今まで出てこなかったし、全国平均では、とにかく言っても議論が前に進まない。でも、今地域でいろいろ諸事情によって変わっているわけですから、そこの詳細を出していただいたことは大変よかったと思いますし、これを是非処遇改善のために活用していただきたい。

 それで、表の三ですけれども、私の方で計算をしたのもありますし、経営実態調査から見てみましたが、基本分の公定価格の人件費は、一番高い東京都で四百四十二万円、それから、次の横浜市それから大阪などでは四百二十七万円、そういうふうになっているわけなんです。

 だけれども、実際に保育士さんが受け取っている実態の実績、年間賃金の実績、これが公定価格とどのくらい差があるのか、お尋ねします。

坂本国務大臣 令和元年度に私たち内閣府が実施しました経営実態調査によりますと、私立保育所における常勤保育士の年収は、東京二十三区、百分の二十で一番高いところでありますけれども、約三百八十一万円、横浜市や大阪市等の百分の十六地域では約三百八十四万円となっております。

 一方、私立保育所の委託費について、施設における運用の参考とするために、公定価格の改定に合わせて予算積算上の事業費や管理費、人件費の内訳を通知で示しています。これは、今委員おっしゃられたとおり、百分の二十地域では四百四十二万円、それから百分の十六地域では四百二十七万円で、百分の二十地域では調査費との差約六十一万円、それから百分の十六の地域では調査との差が四十三万円というふうになっております。

 ただ、この数値については一定の留意が必要であるというふうに考えております。職員の人数や経験年数それから賃金体系などは、保育所ごとに異なります。例えば、委託費で算定されている職員数を超えて職員を雇用する保育所では、職員一人当たりの賃金が低くなっていく可能性もあります。予算積算上の人件費と実際に支払われる人件費との差額のみをもって単純に給与水準の適否につきまして判断することは適当ではないというふうに思っております。

早稲田委員 今、大臣が答弁されました。六十一万円、一番高いところですね、東京都二十三区。でも、これは処遇改善加算が入っていない額ですから。そこを比べられて六十一万円と言われても、大分少なくなります。それはおかしいじゃないですか、令和元年度と令和三年度で次元は違うんですけれども、こっちの実際賃金の方は、当然、処遇加算が入ったものです。処遇加算が入ったもので計算をしていただかないと実態は分かりません。

 そして、私の方でやったものでありますと、これは六十一万円なんてとんでもないんですね。全部の、いろいろな東京都の独自の加算もありますから、七年目加算というのも、そこまで含めた段階で申し上げますと、最大で百八十四万円、それから最小でも百三十六万円の差が生まれています。そして、大臣がおっしゃった、これはいろいろ保育士の人数の配置等々で変わるんだということはありますけれども、それでもこれだけ、百万円以上、最大でいえば二百万円近い差があるということをしっかり認識をしていただきたいと思います。そして、それをどういうふうにしていくのか。

木原委員長 早稲田さん、時間が来ておりますので、まとめてください。

早稲田委員 はい。

 そして、予算の流用、委託費の流用ということも大変問題になっておりますので、ここも是非、大臣には全国の実態調査をしていただきたい。これを強く要望をさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。

 今日は子ども・子育て関連の質疑で、恐らく、ここに御参加の全ての委員、そして坂本大臣も含めて、この分野の予算の拡充、あるいは現金給付、現物給付ともの充実を求めておられる思いは変わりがないのだと思います。そして、それゆえに厳しい質疑もあろうかと思いますが、大臣に頑張っていただかないと、大臣こそ、その窓口、第一人者でありますので、ここをよろしく御理解の上、お願いを申し上げたいと思います。

 先ほど来、皆さんは、主には児童手当のことを御質疑でありますが、私は、もう一つの柱の保育、特に待機児童問題から、あるいは企業主導型保育問題まで、子供の育ちをしっかりと支えるための保育の現状についてお伺いをしたいと思います。

 まず冒頭、お手元の資料を見ていただきたいですが、これは菅政権になって新子育て安心プランというものを発表されたものをここにそのまま持ってきております。

 政権交代、民主党から自公政権に交代以降、安倍総理の下、待機児童解消加速化プラン、そして平成三十年からは子育て安心プラン、さらに、菅総理の下、新子育て安心プランという形で、各々整備目標が示されておるところで、これを全部達成すると八十二万人ということで、令和三年度以前にその数になるということではございます。

 まず冒頭、今日は厚生労働政務官の大隈政務官にお越しをいただきましたが、この数値でありますね。ここに書かれているのは令和元年度末時点の数値でございますが、二〇二〇年度末、すなわち今年の三月三十一日、四月一日と申してもいいですが、その時点で果たしてこれはどこまで整備をされておりますのかというのが第一点。

 さらに、今回、菅政権の下で新子育て安心プランの必要量を算定する場合に、これは各都道府県が上げてこられた保育の実際の必要量見込みというものの積み上げで十四万人というふうにしておられると理解してよいのか。

 二点にわたってお願いいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 現時点での見込みとして七十二万人まででございます。

阿部委員 ちょっと違うんじゃないですか。現時点で七十二万人でいいんですか。ちょっと、こんなことで時間を取らないでほしいんですけれども。

 待機児童解消加速化プランで五十三・五で、子育て安心プランで二十・一で、単純に足しても七十三・六で、恐らく二〇二〇年度末までには三十一・二万人というふうに物には書いてございますけれども、余りにひどい答弁で、政務官、ちょっと何とかしてくださいよ。担当でしょう。お答えください。答えられないなら、申し訳ないが、こんな事実の前提でそんな頼りない答弁をされては、質疑が続けられません。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げた七十二万人という数字は、これまでの実績でございまして、残り十万人については調査をいたします。

阿部委員 何を言っているのかよく分からない。申し訳ないが、ちょっと止めていただいて、私の質疑の内容を確認してください。

 二〇二〇年度の末ですよ、年度末、この新子育て安心プランが始まるまでには一体何人になるんですか。止めて。ちゃんとした答えが出るまで待っています。

木原委員長 厚労省、答えられますか。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省岸本子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長。指名しておりますので、どうぞ。

岸本政府参考人 申し訳ございませんでした。

 約三十二万人の受皿確保を目標としまして、二〇一八年度から二〇二〇年度まで、令和二年度末までの受皿拡大見込み量は、現時点で三十一・二万人というふうに把握をしております。

阿部委員 ですから、新子育て安心プランの前に、待機児童加速化プランで解消の五十三・五、それから、その次の子育て安心プランで三十一・二万人になるというふうに書かれております。そこで確認をしただけです。本当にそうなるかどうかは、残念ながらこれから質疑させていただきますから、おいおい分かってくると思います。

 大隈政務官にお伺いいたしました、新子育て安心プランは各都道府県の保育必要量を積み上げて十四万人としておられますか。お願いします。

大隈大臣政務官 大変失礼いたしました。お答えいたします。

 今御指摘の十四万人ということは、各自治体のものの積み上げということで理解しております。

阿部委員 では、大隈政務官には、各自治体から出されているその自治体の様々な保育の必要量の見込みの表を御覧になったことがおありでしょうか。これは、もしおありでなかったら是非見ていただきたいんですけれども、平成二十九年に待機児童というものの概念が見直されまして、例えば、取りあえずであってもどこかの保育園に行っている、それは第一希望でなくても待機児童ではなくする、あるいは、地域の認証型保育、横浜のような、そういうものも待機児童でなくするとして、その上の待機児童算定で一・二万人ということなんです。

 これはしかし、子供を預ける側から見ると、例えば兄弟二人が別々の保育園に行ったりした場合に、希望どおりのところに入れない、だけれども入れているから待機児童ではありませんねとされるのは、本当に実際的ではないんです。

 プラス、御覧になれば分かりますが、年々取りあえず入っている保育園というのが多くなってきています。今、四万六千人余りです。それを、全部じゃなくても、待機児童と見るかどうかで、保育の必要量は変わってまいります。

 この点について、どうでしょう。

大隈大臣政務官 御指摘の、いわゆる需要と供給の一元的なギャップによる待機児童というだけではなくて、潜在的なニーズやミスマッチという点でもしっかり目を配っていかなければいけないということは重要だというふうに考えております。

 御指摘のように、待機児童といいましても、実際に利用している者の数というのも見ておりますが、特定の保育園等を希望している者や、育児休業中の、いわゆる除外四類型、これはもう御存じのとおり、距離の問題ですとか、あるいは育休中の方ですとか、求職していない方ですとか、地方独自の保育園を利用しておられる方とかいうことを除くわけですけれども、そういう点での待機児童ということを定義させていただいております。

阿部委員 私が担当の厚労省に是非お願いしたいのは、ミスマッチが増えているということなんです。単に数の計算で、一万二千で減っているだろうではない。まして、その数すら即答できなければ、役所の仕事ができないと思います。忙しいとは思いますが、これはもう出されているものですので、きちんと御答弁をいただきたいです。

 次の質問に行かせていただきますが、この二枚目、開けて、今度、企業主導型保育について伺わせていただきますが、これは事務方でも結構です。この整備目標の一枚目の中で、企業主導型保育は、二十五年度から三十年、それから三十年度から令和三年度の前までで、各々幾らでしょう。企業主導型の担当でいいです。

嶋田政府参考人 恐れ入ります。お答えいたします。

 まず、待機児童解消加速化プランにおきましては企業主導型保育所で五万人、それから、子育て安心プランで企業主導型保育所六万人ということで、計十一万ということでございます。

阿部委員 先ほど早稲田委員もお尋ねですが、それが果たしてどこまで進んでいるかというところで、極めて私は事実に基づかない議論が行われていると思いますので、次の質問をいたしますが、開けていただいて二ページ目の資料ですね。「企業主導型保育事業 施設数と定員数の推移」というものを、これはこの間の数年の審議の中で初めて出していただきました。

 十一万人という目標の中で、平成三十年度、助成定員数、助成を決定した定員数が八万六千三百五十四人、次、令和元年度が八万六千六百九十五人、それで、ぽんと飛んで令和二年度が十万五千人となるという先ほどの御答弁でしたが、そもそも、この表をよく見ていただくと、平成三十年度から令和元年度までは三百四十一人しか助成決定定員で増えておりません。今度、これはなぜかというのはもうお時間を取るので私が言ってしまいますが、募集をしなかったからであります。だから増えていない。

 そして、さっきの御答弁では、令和二年度は、四月から六月、一・六万人分の定員を増やすんだとおっしゃいましたが、この八万六千六百九十五に一・六を足しても、どうあっても十万五千にはなりません。どうしてですかというのが一点。ならないでしょうというのです。

 それからさらに、もっと現実的に言えば、これは助成決定しただけで、実際の開所定員数は、下の段を見ていただくと、八万四千四百六十二しかないわけです。八万四千四百六十二にどんなに頑張って一・六万人を上乗せしても、ひっくり返っても、十万五千にはなりません。果たして、どうやって計算して十万五千と言うのでしょう。教えてください。

木原委員長 答えられますか。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 嶋田子ども・子育て本部統括官。

嶋田政府参考人 恐れ入ります。

 この八万六千の数字に加えまして一・六でならないがということでございますけれども、一・六につきまして、これは新規に募集して追加される定員でございます。残りにつきましては、今度、既存施設が定員を増やすということで確保していくものでございます。

阿部委員 それでは、いつもそういう曖昧なことをおっしゃるんですけれども、補助した額よりも、実際に開所する定員数は減っておるわけです。これからおいおい増えていきますって、その見込みもなく、一・六を足しても、今の令和元年度の現在の定員数に一・六を足せば十万人しかなりません。

 私は昨日、一時間以上かけてレクをさせていただきましたが、例えば令和二年十月一日時点で、実際に施設に問い合わせたところ、七万九千九百二十五人の定員しかいないの、定員ですよ、定員しかない、いないんじゃなくて、ないんです、定員が。この後、まだ半年あるから、ここが三万人以上増えるなんて、とても思えません。

 非常にいいかげんな見通しだということを私は指摘したいです。どうですか。

嶋田政府参考人 この令和元年度の開所定員数、八万四千四百六十二人というのは、令和元年度末時点で助成決定された施設について、これは網羅的に調査を行ったものでございます。

 一方で、令和二年度の開所定員数、七万九千九百二十五人というのは、これは少ないじゃないかという御指摘でございますけれども、これは、年度の途中の令和二年十月一日時点で、児童育成協会が定めた期限までに報告のあった施設の結果をまとめたものでございまして、これは実は、全ての施設を網羅したものではございません。そのため、資料中では、令和元年度よりも二年度の開所定員数が少なくなっているように見えるわけでございます。

 また、令和二年度の開所定員数につきましては、各施設から児童育成協会に年度を通じた事業完了報告が提出された折に、がっちり確定させまして、公表することといたしたいと思っております。

阿部委員 それがいつ出るんですか。必ずここに報告していただきたいです。いつも、一年遅れ、一年半遅れで、論議の土台がそろいません。

 まして、この定員数から現員数は、先ほどの充足率を見ていただけば七割ですから、現員数は六万人弱なんですよ。整備した、整備したと言っている、報告がないからまだ分からないと言っている、でも現員数は六万、これに、整備目標十万五千とおっしゃいますが、私は、この企業主導型保育の数え方が極めてずさんだと思うんです。

 そして、何と、皆さんが令和元年度に出された八万六千六百九十五人の助成枠ですよ、助成して決めた枠、これがもう、厚生労働省の方では、準備した受皿数に数えられているんです。物すごくいいかげんだと思います。受皿数は、下にあるように、開所されたのはこれしかないんです、八万四千しか。厚労省と内閣府は、数値一つすり合わせていないということなんですよ。聞けば、今問い合わせているということが来るだけです。

 委員長にはお願いがあります。

 これは、内閣府が把握し次第、委員会に報告を求めます。

木原委員長 理事会にて協議をいたします。

阿部委員 その上でお伺いをしたいと思いますが、この数の問題だけではなくて、企業主導型保育についてはお金の問題、収入、支出の問題も大きく問題があるとさっき早稲田委員が御指摘をされましたが、私はちょっと、今日の坂本大臣の答弁を聞いて、正直言ってびっくりしてしまったんですけれども、私は、この企業主導型保育が、資料の三枚目、おめくりいただきますと、平成二十八年度から始まって令和元年度まで、今、返納額、すなわち剰余金が出ておりますが、毎年毎年どうしてこんなに剰余金が出るんですかということを、必ずここで質問をしてまいりました。

 そういたしましたら、この企業主導型保育がこれからまだ続くし、もっと加速化されたらこの金も使うからと、簡単に言えばそういう御答弁でありましたが、先ほどの坂本大臣の御答弁だと、ここで余ったお金は他の子ども・子育て関係の企業の拠出による事業にいわば転用することができるという御答弁でありましたか。ずっと余しているお金、現在、企業主導型保育のいわゆる積立金の総額が幾らあるか、坂本大臣、御存じですか。お願いします。

 これは私も、昨夜、担当の方、頑張っていただいて、夜中に本当に申し訳ない、データが参りました。

 私のところに来たデータを見ると、三千八百五十五億円、これは企業主導型だけの特別会計で、事業主拠出分財源のみの、いわば積立金残高三千八百五十五億円となっておりますが、これは、大臣じゃなくても、実務者サイド、確かにこれでいいですか。いただいたのが昨夜遅かったので、今日資料は間に合いませんでした。でも、ここに、その数値を見ますと、これは令和元年度の決算の積立金残高三千八百五十五億円。いかがでしょう。

嶋田政府参考人 令和元年度の決算ということで、歳入歳出の差、収支ということ、それから積立金、その結果として生ずる積立金残高は三千八百五十五億円ということでございます。

阿部委員 先ほど早稲田委員は、多分その前年のを見ておっしゃったんではないかなと思いますが、現状で、令和元年度の決算では三千八百五十五億円の積立金残高が、この事業主拠出財源であるわけです。坂本大臣、これは多分御存じがないと思うんです。

 それで、企業主導型保育から余ったお金だけではないかもしれません。私も、いろいろ会計の区分を見ても、よく分からないのです。私に分かることは、毎年五百億以上のお金が企業主導型から余っているという。それで、全体に示された令和元年度の決算の最終的な積立金残高が三千八百五十五億円、企業主導型保育、企業拠出の積立金の残高です。これを確認していただきたい、事実として。

 大臣も今日初めて聞かれたかもしれません。もしかして御存じだったかもしれませんが、いかがでしょう。

坂本国務大臣 先ほどお答えしましたとおり、一時的に積立金に積み立てられ、そして、その後、拠出金を財源としている各事業に充当されている、そして、今数字が出ましたけれども、その積立てが三千八百五十五億円ということでございました。

 今後、もう一度、事務方としっかり整理をして、そして、御報告をさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 私は尋常な額ではないと思うんですね、この三千八百五十五億円という額は。

 それで、大臣は先ほど、今後は他の事業にも回すかのようなことをおっしゃいました。開いて四ページ目の資料を見ていただきたいですが、この事業主拠出を充当する事業で、大きく四つの区分がございます。児童手当、地域子ども・子育て支援事業、企業主導型保育事業、保育の運営費と、大きな区分。私は区分ごとにどのくらい余っているのか出してくださいと言ったのですが、なかなか担当がそれが難しかったようで、私のいただいたのはざっくりした三千八百五十五億円の積立ての、今残っているものであります。

 今日は様々な御意見があって、例えば、それを、児童手当を削減しないでそれに使ったらいいんじゃないのという意見もありました。保育の充実、保育士さんの処遇の改善に使ったらいいんじゃないのと。

 私は、大臣にお願いがありますが、まず、ここの特別会計にこれだけのお金がたまっている、各々どうしてそういうふうにたまってきたのか、年余にわたっていると思うんですね。この論議を機会に、大臣自ら解明して、事業主に更なる負担をお願いすべきなのか。私は、事業主負担はいいことだと思っています、協力していただいて。それでも、明朗会計にしなければ申し訳ないと思いますので、大臣、お願いがあります。三千八百五十五億、一体どこから湧いてきているのか、私どもに分かるように説明していただきたい。そして、それは各事業ごとでできれば教えていただきたいが、どうでしょう。

坂本国務大臣 今お答えいたしましたとおり、三千八百五十五億円、これについての整理をしっかりやって、そしてまた御報告をさせていただきたいというふうに思います。

阿部委員 では、この続きはあさって私どもの今井筆頭がやってくださるということですので、早急な御準備をお願いを申し上げます。

 私にいただいた時間で、私は今、保育の量の拡大ということを目指した安倍政権のこの間の待機児童対策に対して、待機児童についてはミスマッチが起きている、そして、待機児童解消、保育の受皿づくりを加速させるんだとやってきた企業主導型保育を含めて、本当にどこまで整備されたのか、数が不明朗である、不明確である、プラス、企業主導型にはたくさんのお金が余ってしまった。この三つを指摘させていただきました。

 その一方で、この保育ということに関しては、実は二〇〇〇年から、これは小泉政権が始まったときから、いわゆる株式会社の参入ということも含めて、保育の規制緩和ということが行われまして、その一番の大きなものは、運用費、委託費とされるところの、保育園を運用していくところの費用の弾力運用と申すものであります。普通は、委託費は、保育事業にかけるお金、保育の人件費にかけるお金、あるいは保育施設を整備するためのお金、この三つの区分があって、本来は人件費として出たものは人件費として使われるという区分であったものが、二〇〇〇年からこれを弾力的に橋を渡してよいということになり、そのことによって起きている弊害がここに来て著しいと思うので、その点について御質疑をいたします。

 まず、坂本大臣には、前回私が内閣委員会でお尋ねさせていただきました、企業主導型保育において内部通報窓口というものが二〇一九年からできておりまして、年々通報数は増えておりまして、二〇二〇年が六十九件でしたが、その内容、例えば何が何件とかがお分かりであるのか、そして、調査員も増やして立入調査もしておるということでありますが、窓口自身の充実はどうなっておるのか。これは、質問、投げてございますので、よろしくお願いします。

坂本国務大臣 令和二年度に児童育成協会の内部通報窓口に寄せられた相談件数は百二十六件となっております。

 主な相談内容は、一つは、保育士による不適切な保育の実施、そして、二つ目は、施設運営費の申請内容に関する通報というふうになっております。

 児童育成協会におきまして、これらの通報等の内容を随時精査をいたしまして、児童に対する不適切な保育の実施が疑われるケースなど、調査の必要性があると認められる施設に対しましては、緊急性の高い事案を優先しつつ、全ての対象について特別立入調査を実施しているところでございます。

 また、特別立入調査を実施する児童育成協会の職員につきましては、現在六人でありますけれども、正規の職員三名、そして契約社員二名、派遣社員一名というふうになっております。今後、特別立入調査の経験が浅い者に対しましては、調査における同行指導や研修を実施しながら、特別立入調査の質の向上に努めることとしております。

 児童の安全の確保は最優先でありまして、今後とも児童育成協会における特別立入調査の実施状況等に課題が生じたときは、調査部門の体制の拡充も含め、内閣府として必要な指導を行ってまいります。

阿部委員 近々が百二十六件と、更に増えているということで、不適切事案が多いんだと。大臣が今、虐待等々の不適切事案もあるというお話もされましたし、あるいは、費用の、経理の不明朗などもあると。これは、そもそも保育の質に大きく関わりますので、今、大臣、御答弁でありますが、これは前回も私はお尋ねをいたしまして、更に充実していただきたい。

 半分が非常勤の非正規雇用であることも問題です。そうした立入調査等々をやっていただくのに、しっかりと継続性と、本当の改善をしていただかなきゃいけないスキルが必要と思いますから、重ねて申し上げます。

 さて、厚生労働大臣政務官にお伺いいたしますが、昨今、保育園で虐待ということが大変多くなって、クローズアップをされております。

 保育という、本来、子供を守るという場で、保母さんたちが、保育士さんが虐待をしてしまう、非常に深刻な事態と思いますが、厚生労働省ではどんな認識をお持ちで、現在、何を進めておられるのか、お願いいたします。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 今先生御指摘の不適切保育を含めた子供の虐待ですとか、やはり子供の命に直結する安全ということを考えますと、医療と同じで、やはり、量ももちろん大事なんですが、質をしっかり高めていく、質を担保していくということは何より大事なことだというふうに考えております。

 その点におきまして、虐待を含む不適切な保育につきましては、都道府県及び市区町村の対応等に関する実態調査の実施、また、それらを防止するための方策や発生したときの対応についての手引の作成を目的といたしまして、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業におきまして、まさに調査研究を実施したところでございます。

 間もなくこれもまた発表になるかというふうに考えておりますが、実態調査につきましては、不適切な保育の事実が確認された件数及びその行為の類型や不適切な保育の事実確認後の対応件数などを調査項目に盛り込んでおりまして、しっかりと、公表された後、各自治体において適切な対応が図られますように周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

阿部委員 これも早急にお願いをしたいと思います。間もなくというのは、いつが間もなくなのか分かりませんので、こうした事態は、きちんとそれを問題化して対応すれば改善に結びつくものでありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 坂本大臣にお伺いいたしますが、大臣は、この部署の担当になられてから、内閣府の子ども・子育て本部でやっていられる事故報告の集計とか、あるいは有識者会議の保育事故の年次報告などにお目を通したことがあると思いますが、ここで明らかなことは、死亡事故は、大半、ゼロから二歳の間で起こっております。

 冒頭、今日安藤委員が御質疑でしたが、ゼロから二歳における保育士の配置基準の見直しは、特に一歳、二歳児ですね、三千億円の一部の手当てがつかないためにずっと先延ばしをされております。保育士の配置ということにおいて、待ったなし。特に一歳児、二歳児の、これから十四万人増やして、そこに運営費補助をしようというときに、しっかりとした配置基準がないということは大きな問題になります。

 今ある基準は昭和四十三年につくられたものであると。一歳から二歳が、六人の子供で保育士が一人。大臣、考えてみてください。二本の手で六人の子供なんか見られない。それから、食事中の事故や睡眠中の事故をなかなか見つけられないということになります。

 先ほどの御答弁、私は、冒頭、もうちょっと力強く、絶対にこの部分の配置は自分の任において実現すると言っていただきたい。一歳児、二歳児の保育のいわゆる配置基準を一対五にすること、いかがですか。

坂本国務大臣 職員配置の改善につきましては、三歳児の配置改善に関しまして、平成二十七年度から取り組んでいます。

 一方で、委員御指摘ございました、〇・三兆円超の質の向上事項に含まれる一歳児の配置改善につきましては、未実施となっているところであります。

 教育、保育の質の向上を進めることは重要と考えておりまして、これらの実施につきまして、各年度の予算編成において必要な財源の確保に努めてまいりたいと思います。

 一対六、一対五の問題は、重々、私の方も重く受け止めております。

阿部委員 これまでの少子化担当大臣が一体どうしてこられたのか。平成二十五年度からですから、この指摘は量と質の充実の、質の充実の一つの項目ですから、今、重々と言っていただきましたので、即々やっていただけますようお願いをいたします。

 加えて、先ほど取り上げました運営費の弾力運用で、では、人件費比率というものは一体どのくらいふだんは算定されておるのか。また、健全な運営のためにはこの人件費比率を公示してはどうかと思いますが、いかがでしょう。

坂本国務大臣 私立保育所の委託費の基本単価におきまして、想定している人件費の割合は約八割となっております。これは、利用定員九十人の保育所を想定いたしまして、全国の私立保育所における平均的な年齢構成割合を用いるなど、一定の前提を置いて機械的に計算したものであることに留意が必要でございます。

 それからもう一つ、保育の現場で働く人に適切に賃金が支払われることは重要でありますので、人件費の割合の目安につきましては、賃金が労使の協議により決定されるものであります。また、もう一つは、職員の年齢や経験年数により変わり得るものであることから、国として一律に示すということは現在しておりません。

阿部委員 そういうことを言っているから、保育現場はよくならないんだと思います。

 委託費の問題で、東京都の試み、大臣も御存じだと思いますが、東京都はいろいろな保育の見える化に工夫をしておられまして、それゆえに不祥事もよく見えるわけですが、様々な流用問題が起きております。例えば、カードを作って勝手に自分たちの飲食に使ったり、あるいは、特定の人に毎月十六万円とか交通費を支給したり。そういう不明朗な、また不正な事案が起こらないようにどうすればよいかというのの一つが、私は、人件費の比率を定めなさいと。

 そして、大臣はそれぞれの事情があるとおっしゃったので、では、せめてその各事業所の人件費比率を見える化する方法はないものかということで、東京都の事例を御紹介をしたいと思いますが、これは、要件の一つにその財務情報等のホームページによる公表を設けて、東京都では、公表させることによって、どのくらいの人件費がそこでは払われているかということを明らかにするということをやっております。そしてそれを、「とうきょう子供・子育て施設ポータルこぽる」というところに集約をしておりまして、そこで見ることができます。すなわち、その保育園がどのくらいの人件費で運営されているのかが利用者から見える化されるということであります。

 私は、親御さんにとって、保育園に預けたけれども、事故に遭った、あるいは虐待された、もういたたまれません。こういうことをなくすためにも見える化が不可欠と思いますし、内閣府も「ここdeサーチ」というホームページを始めておられますから、そこに各保育所の人件費比率の財務諸表も出していただいてはどうかと思います。

 見える化について、大臣の御見識を伺います。

坂本国務大臣 東京都の見える化の取組につきましては重々承知をしているところでございます。

 令和元年十二月の子ども・子育て会議の取りまとめにおきましても、更なる処遇改善について、必要な財源の確保や改善努力の見える化と併せて引き続き検討することとされておりまして、処遇改善の取組状況の公表に関する他制度や自治体における先行事例、先ほどの東京都、あるいは、他制度といいますのは、介護制度の方で様々な取組をやっていらっしゃいますので、そういったものを参考にしながら検討をしてまいりたいというふうに思っております。

阿部委員 今の見える化は、東京都ではキャリアアップ助成金のときにも使っております。いい保育をよりよくしたいということです。

 最後に申し上げます。

 今、お母さんたちは、保育園に預けて、先ほどの事故とか、あるいは不適切な保育とか、そういうことで悲しい思いをして、自分が働くことを諦めて、保育園も入れないという親御さんが多く声が寄せられます。給食もひどい内容になっているところもあります。本当に子供を守るためにやらねばならない大臣の役割は大きいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

木原委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 私自身、やはり、子ども・子育て、ライフワークにさせていただいておりますので、質問の機会をいただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 最初に、坂本大臣に、一点、根本的なところを確認をさせてください。今までのやり取りを伺っていて、今回のこの法案の改正については、保育の需要で、更に十四万人新たな保育需要が必要なんだ、そのために財源が必要として特例給付を廃止する、こういう趣旨で間違いないでしょうか。

坂本国務大臣 十四万人の受皿をつくるために特例給付ということではありません。私たちは、全体的な子ども・子育ての充実、保育の充実、こういったものをしているわけでありますので、全体のボリューム、バランスから見て、今回の法案の改正になっているということを御理解いただきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 十四万に限らずというところは理解いたします。

 保育の需要の増大に対応するために特例給付を廃止し、それから事業主拠出金の御協力をいただく、こういうことで間違いないでしょうか。

坂本国務大臣 事業主拠出金につきましては、これは私の方からいろいろとお願いをして、そして一千億円の協力をいただきました。そして、その中で、今後の十四万人の受皿をつくっていく。

 それから、基本的な考え方として、先ほど言いましたけれども、子ども・子育て支援の全体の充実というものも考えておりますので、例えば、企業主導型ベビーシッター利用の補助への倍増とか、あるいは、中小企業への五十万円の助成とか、こういったものを含めて、今回、公費に加え、企業からの、先ほど言いました一千億円を追加いただきながら、十四万人の保育の受皿を確保するというふうにしたものでありまして、全体のバランス、全体のボリューム、こういったものから私たちは判断して、政策、あるいは法律の改正を御提案しているということでございます。

岡本(あ)委員 原則は保育の需要が増大しているという現象を見ているんだ、その結果として保育が、企業主導型保育、ベビーシッター、様々な保育の仕方にも対応していく、ひいては、ちょっと最後微妙なところが、要は子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成ということで、ちょっとここだけ曖昧な部分が残るかと思いますが、基本的には保育の需要の増大に対応するんだということがそもそもの理由だと受け止めて進めさせていただきたいと思います。

 それでよろしいでしょうか。もう一回、前提が違うと議論が異なっていきますので。

坂本国務大臣 今後、これから、女性の活躍、そういったものも進めていかなければなりません。ですから、保育の需要拡大に応じてそれぞれの施策の幅を広げていく、充実させていくということであります。

岡本(あ)委員 またちょっとずれてきたんですが、女性の活躍になってしまうと、また論点が変わってくると思います。あくまでも子ども・子育て支援なんだというところは限定していただきたいと思います。いかがでしょうか。

坂本国務大臣 児童手当の見直しは、これから総合的な少子化対策を進める中で、待機児童問題の最終的な解決を図るものでありまして、先ほどから申し上げておりますとおり、全体のバランスを考えた上での措置ということで御理解いただきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 どんどん幅が広がっていくので、ちょっと私の意見としては、そこはなかなか承知しにくいと思っております。ちょっとこの議論はまた後ほど行わせていただきますが、先に、低所得子育て世帯給付金について伺わせていただきます。

 私、一月二十五日の予算委員会で、この低所得の子育て世帯への支援を求めました。資料を見ていただければ分かるとおり、特に三月、四月、新入学の際に非常に子供に対してのお金がかかります。小学校入学でも九万円、中学校では十二万円、高校では三十万円を超える金額が、一時金として非常に負担がのしかかってきます。是非支給をと呼びかけさせていただきまして、三月十六日の閣議決定で、低所得の一人親に限らず、低所得の世帯へ支給を決定していただきました。

 非常に喜んだんですが、四月になって今なお設計が見えておりません。余りに時間がかかり過ぎていませんでしょうか。お答えください。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 低所得者世帯の子育て世帯に対しました生活支援ですけれども、三月十六日に決定いたしました緊急支援の一環として、一律五万円の給付を行うこととしております。

 こうした方針の下で、それぞれの自治体におきまして迅速な支給ができるように、令和二年度内から準備を行うことができるように、令和二年度の予備費において必要な財源を措置し、具体的な制度設計等を行いつつ、令和三年度に繰り越して使用することとなっております。

 御指摘のように、じゃ、いつなんだと早く、待っておられる方は当然おられると思います。給付金の支給につきましては、実務を担っていただく自治体において、可能な限りまず事務負担の軽減を図る、これはコロナで今、大変な、ワクチンの接種もありますので、負担を軽減しながら、きめ細かな情報提供を行う必要があると考えておりますが、一人親世帯につきましては、もうこれは五月に給付されるということで。

 それから、そのほかの低所得者子育て世帯、二人親世帯ですね、今回新たに支給するものでありますから、現在、実務において、自治体と意見交換を交わしながら、対象者の範囲や所得の状況の把握の在り方も含めまして、具体的な制度設計を行っているところでございまして、とにかく詳細が決まり次第ということで、スピード感を持ってやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岡本(あ)委員 一人親世帯は今五月と伺いました。昨年末のときは、十二月十一日に閣議決定をされ、大方の自治体が年内に一人親に関しては、児童扶養手当受給者でしたので、振り込み終えています。

 自治体の方は、方針、指示さえ出してくれれば、一人親は三週間で出せるんだと思うんです。五月ではなくて、四月中ということはできないんでしょうか。

大隈大臣政務官 ちょうど児童手当の支給月に合わせてということでやらせていただいておりまして、五月になっております。

 御指摘のように、できるだけ早くしたいということもありますが、自治体の規模によっては多少前後するということもございます。

岡本(あ)委員 四月も妨げないと言っていただければありがたいなと思っています。

 昨年十二月は、本当に自治体が頑張られて、何とか年内に支給を、明るく年を越していただきたいということで、十二月付で支給をされておりますので、前倒しは可能なんだという判断はしていただきたいと思います。これが一点。

 もう一つ、二人親の方は時間がかかるというお話でした。私、非課税世帯に関しては、昨年の六月で一年の所得把握というのは自治体ではできます、昨年の年央の段階で、非課税の二人親の世帯には、まず対象として、一人親と同じように速やかに支給対象にするべきじゃないかと思います。

 そこから漏れる方については、児童扶養手当と同じように、家計急変という扱いで、最終的には今年の六月の所得の確定というところもやむを得ないと思いますが、二人親でも非課税世帯に関しては、昨年の六月時点の所得が確定した方、非課税の世帯が確定した方をまず対象にして、同じように支給するべきじゃないでしょうか。いかがでしょう。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のように、まず令和元年度の所得で該当する者に早期に支給すべきではないかという御指摘ですけれども、やはり、令和元年度、昨年度の所得の増減、減収も含めて、それから今年度という形で、そのときそのときで、やはり昨年度の方が下がったという方もおられまして、できるだけ直近の精度の高い収入というものを把握したいというふうに考えておりまして、現在、具体的な制度設計を行っているところでございます。

 とにかく、委員御指摘のように、迅速に、できるだけ一日も早く、スピード感を持って支給できるように努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 もう一度聞きます。昨年の収入の段階でという選択肢はないんでしょうか。昨年の、要は、確定申告している時期なので、次、直近で正確に把握するとすると、今、四月十五日まで確定申告は延期になっておりますが、確定するのは多分六月頃じゃないかと思います。そこから支給を始めると、下手したら八月になっちゃうんじゃないかという懸念があります。

 昨年の六月の所得が確定した段階という選択肢というのはないんでしょうか。

大隈大臣政務官 しっかりと検討してまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 是非選択肢としては残していただきたいですし、それであれば、一人親の家庭と同じような形で、より早く支給することができます。

 それは確かにおととしの収入になりますけれども、その段階で非課税世帯が、昨年のコロナの状況で、非課税から脱却するぐらい物すごく収入が増えて、非課税世帯から脱却できるぐらい収入が上がっているという方は、率でいくとそんなに、その方々にプラスでつけたら、申し訳ないけれども喜んで返していただけませんかぐらいのことは言えるかもしれませんが、大方は、昨年の段階で非課税であれば、更に苦しくなっている状況も見受けられます。その方々に一日も早く支給をするということを優先していただきたいと思います。もう一度お答えいただけますか。

大隈大臣政務官 ちょっと補足させていただきまして、一つ前のところで、私、児童手当の支給月と申し上げましたけれども、児童扶養手当という形で訂正させていただきます。

 今、御指摘のとおり、しっかりと検討するということ、また、とにかく、昨年、一昨年と収入がかなりばらつきが、増減がばらつきがあるということを考えると、直近がかなり減収になったという方も中にはおられると思いまして、いずれにしても、精度をしっかりと確保しながら、迅速に支給するためにあらゆる手段を尽くしていきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 もちろん、直近で減収した人を対象にするななんて言っていません。そこは家計急変でしっかり捕捉する、最悪、今年の六月の収入の確定が一番遅いスケジュールであって、もっと前倒しをして把握する仕組みというのを考えてほしいというのが私の提案です。

 次に、児童手当の特例給付廃止法案について伺わせていただきます。

 先ほど、保育の需要の増大等に対応しというところで、坂本大臣に確認をさせていただきました。今までの同僚議員、先輩議員から、企業主導保育事業の、毎年五百億ぐらい余っている、総額として三千八百を超えるお金があるんだから、そこからつけていいんじゃないかというお話がございました。全く私も賛同いたします。

 今回の特例給付廃止という制度は、今までも、例がありましたが、上のお子さんのお小遣いを取り上げて下のお子さんにつけるような制度だという指摘もございます。誰かから取り上げるのではなく、まず、本来使われるべき予算として確保をするべきだと思っています。

 ところで、本来、保育の受皿確保として予算がついている本予算がございます。待機児童解消施策の予算として、厚生労働省の保育施設等整備交付金、それから、同じく厚労省の保育対策事業費、それから、先ほど来話題になっております企業主導型保育事業費補助金、この三つについて、直近で分かりましたら、三つ、それぞれ御報告いただきたいんですが、予算に対しての執行率ですね、何割が予算に対して執行されたのか、それから繰越額、これは金額、それから、結果として国庫に戻す不用額、これも金額です。この三点を、この三項目、一、二、三について分かりましたら数値をお示しください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 保育所等整備交付金とそれから保育対策事業費補助金についてお答え申し上げます。

 執行額が確定しております直近の令和元年度予算におきまして、まず、保育所等整備交付金でございますが、予算現額一千七百二十三億円に対しまして、支出済歳出額が一千四十六億円、予算現額に対する割合としては六〇・七%となります。翌年度繰越額は五百七十億円、不用額が百七億円でございます。

 それから、保育対策総合支援事業費補助金でございますが、予算現額五百七十一億円に対しまして、支出済歳出額が四百四十四億円、予算現額に対する割合は七七・八%でございます。翌年度繰越額が五十四億円、不用額が七十三億円となっております。

嶋田政府参考人 企業主導型保育事業における予算についてお答えいたします。

 執行額が確定している直近の令和元年度の予算におきましては、予算額二千十六億円に対しまして、確定額が一千四百九十一億円であり、返納額が四十三・九億円となっています。執行率に直しますと七四%という状況でございます。(岡本(あ)委員「不用額というのはあるんですか」と呼ぶ)

木原委員長 不用額、お願いします。

嶋田政府参考人 返納額ということで、四百三十九億円でございます。

岡本(あ)委員 本来の保育整備にかけるお金で、令和元年度でいきますと、保育所等整備で五百七十億が使わずに残って、次の年に動かしています。百七億円は余って戻しています。保育整備に使わずに戻しています。それから、二つ目の保育対策事業補助金についても、同じように、使わずに戻したのが七十三億円あります。それから翌年度の繰越しで五十四億。それから、企業主導型に関しては、七四%ですが、毎年五百億円くらい余って国に戻しております。これを足し合わせるだけで、一千億出てくるんじゃないかと思うんですね。

 単年度で整備に使っていなくても、先ほど阿部知子議員から指摘がありましたように、直近までで、計画、五十三・五万人、それから、三年間で三十二万人。多少ずれはあるにしても、ほぼ目標を達成しつつある。予算額は少なくて済んでいるけれども、この受皿の数は確保しております。

 であれば、予算額をせっかく確保しているのであれば、本来の予算の中で待機児童解消の保育予算をしっかり確保できる見通しがあるんじゃないでしょうか。この点、いかがお考えでしょう。

坂本国務大臣 まず、企業主導型保育事業についてでございますけれども、先ほどから報告させていただきましたけれども、執行上不用となり返納された額は一時的に積立金に積み立てられますが、その後、拠出金を財源としている各事業に充当されることとなります。このトータルでいえば、先ほど阿部委員の方から言われました三千八百五十五億、これは後ほど整理をして御報告をさせていただきたいと思います。

 そして、〇―二歳分の保育所等の運営費に必要となる一千億円につきまして、経済界に対して事業主拠出金の追加拠出をお願いしていますが、その際、積立金を可能な限り活用するなどして、なるべく事業主の負担が増加しないよう対応することというふうにしております。

 また、新子育て安心プランに基づきます保育所等の運営費につきましては、毎年度必要な予算でありまして、そのための安定財源については、恒常的措置である制度改正に基づいて確保する必要があります。

 今回、年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しを行うことといたしておりますけれども、幼児教育、保育の無償化や不妊治療助成の拡充など、様々な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいと思います。

 先ほど言いましたように、安定財源については、恒常的措置である制度改正に基づきながら、しっかりと財源を確保する必要があるということであります。

岡本(あ)委員 私は、本来の保育所整備交付金、それから補助金、また企業主導型、ちゃんと予算を確保しているのに、ちゃんともっと執行率を上げたら待機児童の解消にもっと寄与するんじゃないか、それがなされていないということで、こっちの方のお金を余しておいて、待機児童、十四万人足りないから新たな財源確保をしなければいけないという理由立てということについては、私とすると納得がいかない部分です。

 そもそも、幼保無償化する際に、私たち、当時から、まずは待機児童解消の方が先じゃないか、それを見据えて幼保無償化に踏み込むべきじゃないかということを指摘させていただきました。無償化に反対しているわけではないですけれども、無償化をすることで保育所の待機児童が増える可能性があるということも当時指摘をさせていただきました。その際の制度設計がそもそも甘かったんじゃないかということも指摘をさせていただきます。

 民間のアンケートでいくと、無償化したから保育園、幼稚園を利用しようと思ったと答えている方もアンケートの中では一定数いらっしゃいますので、本来の部分をしっかり執行するということができていたら、システム改修費の二百八十九億円も要らないですし、恒常的な保育整備の予算として、ずっと厚労省、それから企業主導型、企業主導型も事業主さんに一千億と言っていますが、毎年五百億余っているとすると、一千億じゃなくて五百億で済むということにもなりかねないですよね。ちょっとこれは、毎年五百億も余しているということ自体も疑問だということを指摘させていただきます。

 次に移らせていただきますけれども、今回、コロナの影響で、婚姻数、出生数など、少子化に拍車がかかっているのではないかと考えます。

 資料二になりますけれども、資料二の年度途中まで折れ線グラフがついているところが今年の状況です。妊娠届出数も前年に比べて非常に少ない状況、それから、婚姻数も低迷をしている状況です。コロナの影響で、少子化社会の大綱そのものが大きな影響を受けているのではないかと私は思います。

 資料三に、その大綱に説明を加えましたというところがありますけれども、社会経済や国民生活の変容を見通しつつ、総合的に取り組んでいくという言葉ですが、それ以上の影響が今迫っていると思います。

 もし私が大臣であれば、速やかにこの大綱、例えば、コロナの収束した、する、見えた辺りでもう一回見直すという判断をすることも、もし私であれば、この計画、五年間待たずにしっかり見直すということをやると思いますが、大臣はいかがでしょうか。

坂本国務大臣 昨年五月に策定いたしました少子化社会対策大綱におきましては、このコロナ対応というものを盛り込んでいます。新型コロナウイルス感染症につきまして、今後も事態の推移を見極め必要に応じて柔軟に対応するということを入れております。

 それから、併せて、大綱の推進に当たっては、平常時と併せて非常時の対応にも留意しながら、事態の収束後に見込まれる社会経済や国民生活の変容も見通しつつ、総合的な少子化対策を進めることとしております。

 新型コロナウイルス感染症を踏まえた取組をしているところでございますけれども、今ちょっとお話が出ました結婚支援につきましても、結婚に伴う新生活のスタートアップを支援する新婚新生活支援事業につきまして、コロナ禍における経済的打撃や将来不安が結婚に及ぼす影響等を考慮し、年齢、年収要件の緩和などの充実を実施いたしております。同時に、オンラインによる結婚支援など、コロナ禍での新たな取組を推進をすることとしているところであります。

 また、感染症流行下におきまして、妊産婦の方々の不安の解消を図らなくてはなりません。安心して子供を産み育てられる環境を整備することが重要であり、厚生労働省におきまして、不安を抱え、困難な状況にある妊産婦への相談支援やオンラインによる保健指導などの総合的な支援を実施しているものと承知をしております。

 子育て段階におきましても、非正規雇用労働者や子育て中の女性等の円滑な就労に向けた支援、昨年四月に策定いたしました子どもの見守り強化アクションプランを踏まえた見守り支援の強化など、新型コロナウイルス感染症を踏まえた取組を進めているところでございます。

 こういったコロナ感染症に対応した少子化社会対策大綱に基づきまして、関係省庁とも連携しながら、今後、安心して結婚、妊娠、出産、子育てができる環境整備に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 今、コロナ禍の中での対応、いろいろな手当てをしてくださっていることには感謝申し上げたいと思いますし、そこが安心につながることを期待したいと思います。

 一方で、ポストコロナという言葉をずっと使っています。この大綱は、残念ながら、一昨年の年末に大方を固めて、そこから五月までの間のコロナの状況を見て発表されています。まさかこんなにコロナが長引いて、しかも、まだまだ収束が見据えられない、それから、その後の不安材料もどんどん積み重なっているという意味でいくと、この大綱が本当に実効性が上がるのかという意味でいくと、必要に応じて見直しということも御判断いただければと思っています。

 時間が限られているので、コロナの感染のことについて先に進めたいと思います。

 ちょっと、質問項目、一番最後になるんですが、実は、変異株が今話題になっております。イギリス型とかブラジル型とか、501Yという部分については感染が強力になるという懸念が広がっているという報道がありますが、一方で、実は、私の地元宮城県仙台では、Eの484Kという変異株で、これが、501Yと連係している部分もあるんですが、単独の変異株というのが百件を超える件数、出ております。これについて、今の段階では何ら対策を講ずるという対象になっておりませんけれども、速やかな調査研究をするべきだと。

 このコロナの変異株に対してはどんな対応が必要かというところ、今の時点での情報をお示しください。

度山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘いただきましたE484Kという変異に関してですけれども、国立感染症研究所の方でずっとモニターはしております。

 今時点での結論を申しますと、いわゆる英国型に見られるようなN501Yの変異のように感染性とかが非常に高いとか、そういう形ではないというふうになっております。一方で、免疫とかの関係のところにちょっと変異が生じている関係で、例えば、一度かかった人が再度かかりやすくなるのではないかとか、あるいは、ワクチンのいわゆる有効性について少しマイナスに作用する可能性があるのではないかというようなことが指摘をされているという段階です。

 ただ、ワクチンの効果については、いろいろ議論もありますし、これからの科学的な知見もあると思いますが、そのことでワクチンが意味がないとか、ワクチンが全く効かないとか、そういうことではないというのが現段階の評価です。

 そういうこともありますので、今の段階では、変異株が感染全体のどのくらいのウェートになっているのか、特に東日本地域で非常に、感染した人の中の発見の割合がだんだん高くなってきているということが言われておりますので、そういうことについては引き続ききちんと継続して把握をしていくというのが今時点で必要な対応ということで、感染症研究所の方でまとめられているというふうに承知しております。

岡本(あ)委員 501Yとかの変異株については、陽性者に対して、患者の入院した場合の退院基準というのも異なっております。既存のウイルスの方々は、症状が軽くなってから十日たてば陽性のままでも退院できることになっていますが、501Yとかの変異株の方は、二回陰性が確認できない限り退院できないとなっています。Eの484Kの陽性者はどうなるんでしょうか。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 Nの501Yについてその対応を取っているのは、いわゆる感染性が高いということなので、発症をした後に感染力がだんだん減衰していくわけですけれども、その減衰スピードが従来株と同じかどうかということをちょっと評価するまでは少し安全を見ておこうということで、そういうことをやっていますし、それから、今現在、退院の基準が異なることについては、そこまでの対応が必要かどうかということについてきちんと評価をした上で、その評価に基づいた退院基準というものをお示しできればということで動いているということです。

 E484Kの変異に関しては感染力に係る部分ではありませんので、ここについては従来株と同じ形の評価をしておりますので、今時点で分かった人についても退院の基準は同じ形で対応をしております。

岡本(あ)委員 E484K、注視をしている、感染力については今のところは影響が変わらないという評価だということで受け止めました。

 それで、退院基準が異なるということでやはりちょっと現場が混乱していまして、Nの501Yの方もサンプリングでしか分かっていないんですね。陽性になった方全員をもう一回解析して、この方は既存のウイルスで、あるいはこの方はNの501Yだというのを全部確定していないので、サンプリングで分かった人についてはこの退院基準を長く見ているというところも、ちょっと現場の方で混乱を来しておりますので、正確な指示を出していただきたいと思います。

 そしてもう一つ、ちょっとこれはおかしいんじゃないかという御指摘をいただいたのがあります。無症状陽性者の方は、感染しても、自分が陽性になっても、十日たてば人に感染をさせるリスクがないということで、十日たつと、ホテルだったり自宅待機だったり、無症状なので入院はないですが、ホテルだったり自宅待機だった方は、陽性者の場合は十日で解除になります。一方で、症状がない濃厚接触者は、陽性になっていないのに十四日間自宅待機に今なっております。これは逆じゃないかと思うんですが、間違いないでしょうか。もしこのとおりであれば、なぜそういう状況なんでしょうか。

度山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘いただいた点については、我々の方にもいろいろな苦情という形で伝わっているところです。

 ただ、ここからは科学的な知見ということで、どういう整理になっているかということを申し上げますが、感染後の経過というのは、感染者の状況とかということで知見がかなり蓄積されて、最初は二回陰性が出ないと退院できないと言っていたのが、十日もたてば感染力がなくなるということが分かったので、そういう退院基準にしたということです。

 濃厚接触者の場合には、何といいますか、潜伏している可能性が高いということで濃厚接触者になっているということですが、この潜伏期間、いわゆる最初にウイルスが体に入ってから体の中で潜伏している期間に関しては、普通は何の症状も出ませんし、それからPCR検査を幾らやっても陰性のままということになりますので、発症するかしないかということの見極めが、結局、時の経過を経ないと分からない。現に、十数日たってから発症したというような方も実際にいらっしゃるということで、さすがに十四日間もたてば、そこから先、発症することはないというエビデンスの下に、これは実は我が国だけではなく、WHOの方でも基準を作って、ほとんど、多くの世界の国でこういう取扱いになっているということです。

 もちろん、感染が分かった人は十日で陰性が出ているのに十四日というのは、非常によく分かります、そういうことを言いたくなる気持ちは大変よく分かりますが、科学的にはそういう知見に基づいて処理をしているということで、大変御迷惑をおかけしておりますけれども、感染症の蔓延防止の観点から世の中にとって必要な期間だということで、御理解をいただきたいというのが今の見解でございます。

岡本(あ)委員 普通に考えると、やはり、御理解いただきたいと言われて、陽性になった人は十日で自宅から出られるのに、要は、その人がうつしてしまったかもしれない相手が二週間、更に四日も拘束をかけられて、感染源になったかもしれない人の気持ちを思うと、非常にこれはおかしいんじゃないかと思います。

 この二週間というのは、二類感染症の基準に基づいてなんだと思います。逆に、濃厚接触者の無症状者は、多分科学的知見を高める努力はしていないんじゃないかと思います。それがない限り、ずっとこの二週間は続くことになるので、この例についてはしっかり科学的知見を高めていただきたいと思います。

 宮城県は、今、蔓延防止等重点措置地区に指定をされておりまして、県民の皆さん、非常に努力をされています。ただ一方で、今指摘を申し上げたような矛盾をしていたり、不安なのに情報がなかったり、そういうような状況が多々あるという中で努力をしておりますので、正しい情報をしっかり適宜提供していただきたいと思います。

 最後に、この蔓延防止措置、県でも基金を取り崩して一生懸命頑張っておりますが、飲食店以外のところに対しても、協力金等は、残念ながら国の直接的な制度はございません。飲食店以外、経済に与える影響、あるいはいろいろな制約、経済だけじゃなくいろいろな制約がございます。補償に対する拡充を、蔓延防止等重点措置地区に対しても求めたいと思います。最後、お答えいただきたいと思います。

梶尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の飲食店以外の事業所でございますけれども、緊急事態宣言地域の飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動自粛の影響で売上げが五〇%以上減少した中堅・中小事業者に対しては、地域、業種を問わず、最大六十万円の一時支援金というのがございました。

 さらに、今般の蔓延防止等重点措置対象地域の飲食店の時短営業の影響で売上げが五〇%以上減少した中堅・中小事業者に対しては、新たに月当たり上限二十万円の支援を行うということを決めておりまして、現在、所管の経済産業省の方で詳細な検討を急いでいるところでございます。

岡本(あ)委員 全国民で一生懸命努力をしているということをしっかり受け止めた政策の立案、私たちも提言をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 子ども・子育て支援法、児童手当法に関連して質問いたします。

 最初に、保育所等におけるコロナ対応の問題ですけれども、保育所などは、コロナの緊急事態宣言の下でも、社会の安定の維持の観点から仕事の継続が求められた、そういう職場であります。看護師や医師の方の子供を受け入れ続けるなど、命と暮らしを守るために取り組んでこられました。

 コロナ対応には大きな負担がかかるということで、例えば、横浜の保育問題協議会の調査では、おもちゃの消毒に大変時間がかかるということが取り上げられておりました。半数以上の保育園で、おもちゃの消毒に一時間以上、二時間近くかかる、また二時間以上という保育園も三割に達したということであります。感染予防対策の徹底など、強い緊張感の中で保育サービスなどを提供してきたと。

 大臣、こういった保育園における感染症対策での大変な大きな努力の実態、こういうことについては御承知でしょうか。

坂本国務大臣 一部、様々な情報もございましたので、聞き及んでいることは事実でございます。

塩川委員 大変な御努力をされておられます。そういったコロナ禍の中で、保育士の方が感染の不安と向き合いながら保育に従事をしております。こういった、子供と接することが働きがいとなっている保育士の方にとって、子供との接触が感染リスクにつながるというのは大変強いストレスであります。

 保育所を始めとして、子ども・子育て支援施設で働く職員の方に慰労金の支給を行うべきではないのか、こういうことについてお答えいただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、保育所で働いている皆様方は、御自分の健康管理に加えまして、感染防止に取り組んで、保育の提供、これを継続していただいていることに、大変感謝を申し上げているところでございます。

 このために、慰労金という形ではないのですけれども、施設が職員の皆様に対して、今先生がおっしゃいましたような業務時間外の消毒、清掃等を行った場合の業務外の手当、また、感染を防ぐために職員の皆様が購入されました消毒薬等々、こういったものに対する補助を行っているところでございまして、こうした取組を通じまして、きめ細かい支援を続けてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 今やっているというのは、あくまでも消毒等の感染症の防止対策の範囲内でしかありません。そういったことではなくて、この間、医師や看護師の方、医療従事者の方への慰労金なども行われてきている、そういった際に、まさに、そういった方々の子供たちも保育をする、そういう意味では、本当に日常的に社会を維持していく上で不可欠な組織でもありますこういった保育所における保育士の皆さんに、しっかりとコロナ対応の慰労金を出すということは極めて重要だと思いますけれども、大臣の方から、その点、お答えいただけますか。

坂本国務大臣 私の方から云々ということはなかなか言えませんけれども、厚労省の判断にお任せしたいというふうに思います。

塩川委員 是非、子ども・子育て支援全体を前に進めていく上でも、今のコロナ禍で本当に求められる、そういう措置を直ちに行ってもらいたい。野党は、保育士の方も含めた慰労金法案も提出をしているところであります。是非、政府・与党としても受け止めて、実現のために力を発揮していただきたいと思います。

 それから、保育所において、保育現場は子供が生活をする場でありますし、子供と触れ合うことが職員の仕事であります。そういう点でも、子供と家族、職員の健康を守り保育を維持するためにも、保育所を対象にした職員への頻回、定期的なPCR検査を社会的検査として実施することが必要ではないかと思いますが、この点についてお答えいただきたい。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 クラスターが保育所において例えば発生した場合には、これはもちろん、保健所の判断、御指導の下で行政的な検査が行われるということになっております。

 また一方で、保育所は、高齢者施設ですとか医療機関等々と異なりまして、必ずしも重症化しやすいというエビデンスがあるわけではないということから、感染者がまだ発生していない段階で、一斉に定期的に検査を行うという対象にはしていないところでございます。

 ただ一方で、感染症が多数発生している地域で、現に感染が発生した施設ですとか店舗等とかに限らず、地域の関係施設を一斉に検査する、こういった場合には、当然ながら保育所もその対象になり得るというふうに考えております。

塩川委員 安心、安全を確保するということが何よりであるわけであります。そういった際に、職員の方が、地域での生活もあり、そして園での仕事があるといった際に、職員の方を中心にした頻回で定期的な検査というのは、これは高齢者の入院、入所施設でも同様でありますけれども、非常に意義のあることだと思います。

 こういう取組を行うことによってしっかりと感染症対策に備えていく、この必要性はあると思うんですが、改めて。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げたことと重複して恐縮でございますけれども、一斉に定期的に行うというには、やはり感染しやすいですとか重症化しやすいといったエビデンスに基づくものではないかというふうに考えておりますので、今回、保育所が必ずしもそうしたエビデンスがあるという見解はいただいておりませんことから、このような対応をしております。

塩川委員 是非実施を求めたいと思いますし、感染が蔓延している地域においてという話もありました。そういう点でも、社会的検査を行う場合に、これは感染症法で、自治体の仕事ということだったら、自治体の財政措置、それに対して国が二分の一補助というスキームですけれども、しかし、自治体がお金を出すというところに、やはり、財政上の事情があってなかなか踏み出せない、社会的検査を十分にやれないということがあるわけです。そういう点でも、知事会などについても、その点での改善策というのは要望がされております。

 地方創生臨時交付金が使えるじゃないかなんということもありますが、直接充てることはできないわけですよ。そういう点でも、国が直接手当てをする形でこういった社会的検査ができる、こういうスキームというのは是非考えられるべきだと思いますが、改めてその点についてお聞きします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 そういったスキームを活用するかどうかということも科学的なエビデンスですとか地域の実情に応じて判断されるものだというふうに考えておりまして、今時点におきましては、必ずしも保育所がそうした対象になり得るという見解は持っていないというところでございます。

塩川委員 いや、今の話は、まあ保育所も当然念頭にありますけれども、それにとどまらず、社会的検査を自治体が行うといった際に、財政措置として国が直接その費用を持つということを行うべきではないのかということを求めているんですが。

大坪政府参考人 大変失礼いたしました。

 感染の蔓延の状況、そういったところを踏まえて、国の負担率、こういったところは都度検討されるものだというふうに考えております。

塩川委員 いや、国の負担率というか、国の負担率って、意味がよく分からないんですが。

大坪政府参考人 先ほど先生の御質問の中で、例えば、感染症予防事業の負担金ですとか、地方創生臨時交付金の算定の対象となる、こういったときに都道府県の負担分というものが発生するということを御指摘いただいたのかなというふうに思いましたので、そのように答弁させていただきました。

塩川委員 都道府県の負担分、都道府県が自ら負担するというたてつけになっている、その部分を、例えば、震災復興特別交付税という形で、交付税措置によって自治体の財源にしていくということになれば、その自治体の二分の一の部分を手当てできる、こういう交付税措置でやるということはあるんじゃないかと思うんですが、その点、地方創生臨時交付金が直接の担当でもありますし、それとは違って、今言った交付税措置なども考えたらどうかという点ではどうですか。

坂本国務大臣 私の立場としては、地方創生臨時交付金の単独事業分、これを活用していただきたいというふうに思いますし、復興交付税措置の場合には、私が答えることではありませんけれども、別途、住民税あるいは所得税から財源をつくってまいりましたので、そこから充てられていたんだろうというふうに思います。

塩川委員 財源、手当ての話は、それはそれとして考える話であります。今でいえば、富裕層や大企業の優遇税制を見直せという声も広がっているところですから、そういったことを含めて、自治体における社会的検査が進むようなスキームというのを是非考えるべきだ、具体化すべきだということを申し上げておきます。

 次に、新子育て安心プランに関連してお尋ねをいたします。

 この新子育て安心プランの中に、短時間勤務の保育士の活用促進ということが挙げられております。待機児童が存在をする市町村において、各クラスで常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするという話であります。

 そこでお尋ねしますが、三月十九日付で厚労省が事務連絡の文書を出しております。その中にも、最低基準上の保育士定数は常勤の保育士をもって確保することが原則としておりますが、このように、常勤の保育士をもって確保することが原則としている理由は何かについて御説明ください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 保育の質の確保の上で最低基準として定められているものは、これまで多くの議論の経過を経まして一定程度定まっているものがございますので、そういったところがまずは最低基準としては一応の原則であるという観点から、そのような通知で発出をさせていただいたところでございます。

塩川委員 最低基準の原則の話でしたけれども、この短時間勤務の保育士の導入については、一九九八年からということで、通知、事務連絡文書が出されています。そこを見ますと、「保育の基本は乳幼児が健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境の中で、健全な心身の発達を図ることであり、また、保育所の利用が一般化する中で従来にもまして保育士の関わりは重要であるばかりでなく、保護者との連携を十分に図るためにも、今後とも最低基準上の保育士定数は、子どもを長時間にわたって保育できる常勤の保育士をもって確保することが原則であり、望ましい」としています。

 つまり、子供との関わりとの関係でも、保護者との連携を十分に図るという点でも常勤の保育士が必要だということを言っている、そういうことでよろしいですか。

大坪政府参考人 先生の御指摘のとおりでございます。

塩川委員 ですから、一人一人の子供と接する上でも、また、その保護者の方と日常的に、家庭での生活を含めて、子供たちの様子をしっかりと情報共有、連携をしていく、子供を慈しむということでの十分なコミュニケートを図っていくという点でも、常勤の保育士が必要だということであります。

 保育所の保育指針には、「保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うもの」であるとされています。

 このことは、保育士は、子供の発達を支援し、健康や安全を確保し、保護者への相談支援などを行うといった保育の専門職として重要な役割を担っているということを示しているということでよろしいですね。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおりだというふうに認識をしております。

塩川委員 専門職として重要な役割を果たしてきたのが保育士であり、その専門性を発揮をする上で、常勤の保育士を配置することは当然の措置であります。

 この間、保育は長時間化が進んでおります。その点でも、働き方の在り方そのものを見直すことが求められておりますけれども、子供の長時間保育ということも進んでいるところです。

 その一方で、職員配置の最低基準は改善されないままということで、保育所の運営において、短時間勤務のパート保育士が欠かせないという現実があります。子供が一日の大半を過ごす保育所で、保育士が次々と入れ替わる細切れ保育では、パート保育士も常勤保育士も共に負担が増えて、保育の質の低下は免れないのではないのか、この点についてお答えください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、保育士について、長時間の常勤の保育士がいることが望ましいということの考え方には変わりはございませんが、一方で、保育所の中で空き定員があるにもかかわらず常勤の保育士がいないことによって児童をお預かりすることができない、それによって待機児童が発生する、こういった事態が生じていることも事実でございます。そのために、市町村がやむを得ないと認める場合に限って、常勤の保育士が確保されるまでの暫定的な措置として、今回、このような通知を出させていただいたというところでございます。

 一方で、先生がおっしゃいますように、保育の質が低下してよいのか、そこは細切れになってよいのかと。それは全くそうではございませんで、この通知の中では、保育の質を確保する際の留意すべき事項として、一貫した保育の提供が必要であるということ、そのために、共同の指導計画や記録の作成、引継ぎ時間の確保、また、日によって異なる短時間勤務の保育士を配置しないこと、そういった様々細かい留意事項をこの通知の中に一緒に記載をさせていただき、自治体にお示しをしているところでございます。

塩川委員 ですから、共同の指導計画ですとか引継ぎをちゃんとというのは、まさに細切れだからこそそうならざるを得ないということであって、これは子供たちにとってみても、一日の大半を過ごす保育所の中で保育士が次々と替わっていくという状況になります。これは、子供たちにとっての安心、安全な環境の確保につながらないんじゃないでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 必ずしもその形が望ましいというふうに申し上げているのではなくて、先ほど申し上げましたように、空き定員があるにもかかわらず常勤保育士が見つからないことでお子様を預かれない、そういうことで待機児童が発生している地域に限った暫定的な措置ということで御理解をいただければというふうに考えております。

塩川委員 暫定的な措置だ、市町村がやむを得ないと判断した場合に行うことなんだと。ただ、それはやはり保育の質の低下の懸念や、細切れ保育と言われた、子供たちにとっても負荷がかかるような、そういう保育になりかねないという懸念は当然承知をしているということでよろしいですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 したがいまして、そういったことがないようにという意味で、同じ通知の中でかなりきめ細かい留意事項をお示ししているところでございます。

塩川委員 そもそも、なぜ常勤の保育士の確保が困難なのか。この点についてはどのように把握をしておられますか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 保育に関しまして、様々、自治体の御意見ですとか、アンケートなどを行っておりますが、保育士の確保の現状といたしましては、やはり、仕事量が多いのではないか、また、再就職をするに当たりましても、勤務時間が長い、例えば雇用形態が非常勤であれば再度就職することができるといったようなアンケートが多数見受けられます。これは、東京都の保育士実態調査報告、こういったところからもうかがい知れる状況でございます。

 したがいまして、そういった長い時間の勤務というのがなかなか難しくなっている中で、保育士の確保をどのようにやっていくかといったことも行政の中で検討を様々積み重ねているところでございます。

塩川委員 仕事量が多い、勤務時間が長い、こういう長い時間の勤務が常勤の保育士としての勤務を難しくしている、非常勤なら再就職できるという言い方でしたけれども、でも、常勤の保育士の長時間労働というところがそもそも問題であって、保育士不足の根本的な原因は、仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないからではないか。その点はどうですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の方々の処遇改善、これはもうずっと長らく御指摘をいただいているところでございまして、これまでにもその待遇を改善するような政策は様々取ってきておるところでございます。

 今後とも、引き続き、また、民間賃金との比較などを踏まえながら検討を続けてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 いや、認識の話をお聞きしているので。

 長時間労働、仕事量が多い、そういった実態がありながら、そういった仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないことが保育士不足の根本的な要因ではないか。その点について。

嶋田政府参考人 保育士などの処遇改善は、大変重要な課題であるというふうに認識しております。これまでも、平成二十五年度以降、月額四万四千円に加えまして、平成二十九年度から、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してきているところでございまして、高い使命感と希望を持って保育の道を進んだ方が長く働くことができるように、引き続き必要な支援を着実に実施してまいりたいと思っています。

 また、厚生労働省におきまして、保育士の業務負担の軽減とか、あるいは勤務環境の改善を図るということのために、保育業務のICT化や保育補助者の雇い上げの支援などに取り組んでいるというふうに承知しているところでございます。

塩川委員 いや、ですから、処遇改善とか業務負担の軽減等を行ったということなんですが、その前提というか、なぜそれをするのかといえば、仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないということが保育士不足の根本的な要因ではないのかということにお答えいただきたいんですが。

坂本国務大臣 保育士の配置の改善につきまして、子ども・子育て支援の質の向上のメニューといたしまして、三歳児に対しましては、配置を二十対一から十五対一に改善するための加算を平成二十七年度から実施をしているところであります。それから、一歳児そして四、五歳児は未実施でございますけれども、一歳児に係る職員配置につきましては六対一を五対一に改善する、四、五歳児に係る職員配置につきましては三十対一を二十五対一に改善するということでございますけれども、このことにつきましては、各年度の予算編成におきまして必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

 引き続き、保育士の確保に向けまして総合的に取り組んでまいります。

塩川委員 これはこれで、この後また質問しようと思いますけれども、保育士不足の根本的な原因は何なのかということを端的に言ってほしいということなんです。

木原委員長 厚生労働省大坪審議官、端的にお願いをいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の処遇改善といいますか、賃金格差というところも一つの課題だというふうにも思っておりますし、また、労務の過多、これについては、先ほど御答弁がありましたように、様々な工夫で、ICT化を図るなど、また、ほかの補助の方を入れるなど、様々な対策を取っているところでございます。

塩川委員 賃金格差の問題、また業務における負担が非常に大きいというお話でありました。その点は長時間労働という側面にも当然つながってまいります。重大な問題だということです。

 今日の議論にもありましたけれども、賃金格差という点で、保育士の賃金と全産業平均の賃金では月収換算でどれだけのギャップがあるのか、簡単に御説明いただけますか。

嶋田政府参考人 厚生労働省の調査を基に算出した保育士の年収は、全産業平均と比べまして、令和元年度で百三十七万円の差がございます。

 処遇改善に取り組み始めた平成二十五年度と比べますと、六年間で全国平均で約五十四万円増加しておりまして、一定程度、処遇改善の効果は出ているというふうに考えております。ただ、男女の全産業平均の年収につきましては、勤続年数による差がありますことから、単純に比較したり目標にしたりすることはちょっと困難でございますけれども、こういった差も念頭に入れながら、引き続き着実に支援を実施してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 十一万円の差があるということです。保育士と全産業平均では月収換算で賃金に十一万円のギャップがある、この賃金格差の解消が必要だということで取組をやってきているという話ですが、保育士の賃金水準の引上げが必要なときに、政府として、保育士の賃金についてはどのような水準に持っていこうと考えておられるのか、そこを教えてください。

嶋田政府参考人 処遇の改善ということで引き続き継続的に取り組んでいるところでございますが、ただ、目標につきましては、やはり、先ほども申しましたように、勤続年数に差がありますとか、ちょっと単純な目標設定はなかなか難しいのではないかということでございます。

 いろいろな産業の差分とかそういったことも参考にしながら、保育という現場が高い使命感と希望を持って働ける道になるように、着実な支援を進めてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 いろいろ、勤続年数の話等もありました。そういうのを織り込んだ上でも、全産業平均との関係で、いつまでに例えば全産業平均にたどり着くとか、目標とか達成時期とか、そういうものというのは持たないんですか。

嶋田政府参考人 いつまでにという、なかなかそこの部分は断言することはできませんけれども、いずれにしましても、そういう差があるということを念頭に置きながら、その幅を縮めていきたいということで、必要な支援を実施してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 保育士の賃金改善の目標ですとか、その達成時期というのを持たずに改善策を進めることができるのか。その点、どうですか。

嶋田政府参考人 保育士の処遇改善につきましては、女性が保育士であるケースが多うございますので、まず、女性の全産業平均との差がなくなるように、安定的な財源確保を併せて取り組んでいくこととしているところでございます。

 ただ、最終的には、やはり男女の全産業平均というのを目指していきたいというふうには考えているわけでございます。

塩川委員 男女差別の根幹は賃金格差ですから、女性の賃金との関係で保育士の賃金を比較するような、そういうやり方自身がおかしいということを申し上げておきたい。全産業平均との関係でも、しっかりと目標を持って、達成時期も明示をして改善策を進めることが必要だということであります。

 そういうときに、常勤保育士に代えて、短時間のパート保育士に置き換えるという措置は、常勤保育士の処遇改善を妨げるものになりませんか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来の答弁と繰り返しになりますが、常勤の保育士が確保できる場合には、もちろんそれが望ましい姿でありまして、それに代えて短時間の保育士を置いてよいとしているものではございません。ですので、そういったところは望ましい姿というものを確保することに努めていただくことがまず第一かというふうに考えております。

塩川委員 ですから、常勤保育士が確保できるような賃金水準というのを行うことこそ必要でありますし、長時間労働の解消という点でも、やはり保育士の配置基準の問題というのは避けて通れないということであります。

 この職員の配置基準の見直しのところ、先ほど坂本大臣からも先駆的に御説明をいただきましたけれども、今年度から、小学校において順次三十五人学級を実現をしていく取組となりました。三十五人以下ということであれば、二十五人程度の学級ということにもなるでしょう。一方で、保育所等の四歳児、五歳児の配置基準については、三十人に保育士一人という状況です、先ほどの大臣の説明もありましたけれども。

 この三十人に保育士一人というのは七十年前と同じ基準をそのまま引っ張ってきているという点でも、安全、安心で質の高い保育を保障するために、職員の配置基準の改善、職員の大幅な増員を図る、こういったところで大きく踏み出す必要があるということで、改めてお答えいただけますか。

坂本国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、四歳、五歳児に係ります職員配置、三十対一を二十五対一に改善していく、あるいは、一歳児に係る職員配置について、六対一を五対一に改善していく、この配置改善につきましては、各年度の予算編成において必要な財源の確保に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 じゃ、例えば、四歳児、五歳児を二十五対一にするというのはいつできそうなんですか。

坂本国務大臣 毎年度の予算編成において必要な財源を確保するように努めながら、実現に向けて努力をしていきたいというふうに思います。

塩川委員 いや、いつというのはどうでしょうか。

坂本国務大臣 そこまで明確にお答えすることは今できません。

塩川委員 壁に貼り出しているだけだと、それは現場にしてみれば、そんなのは納得いく話ではありませんので。こういった点で大きく踏み出すということが極めて重要だ、そういうときに、この常勤保育士に代えて短時間のパート保育士に置き換える措置というのは、かえって常勤保育士の処遇改善を妨げるものになる、このことを指摘せざるを得ません。

 それと、保育士の資格を持たない保育補助者の活躍促進を掲げて、勤務時間三十時間以下という補助要件を撤廃をする、これはどうなんでしょうか。保育現場の、保育士の処遇改善につながると言えるのか、この点はどうですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来、先生から、保育士の確保が難しい原因は何であるかというお尋ねもございまして、勤務の状況ですとか労働の過多、また、様々御指摘をいただいたところでございます。

 その中で、国といたしましては、配置基準の必要となる保育士の配置、これは維持した上で、保育士の業務負担をいかに軽減していくか、こういったことを様々検討を重ねてきたところでございまして、その中の一つといたしまして、保育補助者という方の雇い上げを補助、支援をしているというところでございます。

塩川委員 今、活用状況、実績はどんなふうになっていますか。

大坪政府参考人 大変申し訳ございません。ただいま数字を持ち合わせておりませんので、また改めて御報告させていただきたいと思います。

塩川委員 おととしこのやり取りをしたときに非常に少なかったということもありましたけれども、この活用が進んだとしても、実際に常勤の保育士の方が、一人一人の子供たちの生活の状況をきちっと記録にとどめるような作業というのは、どうしてもやはり保育に従事をしているということによって成り立っていることというのは大変大きくあります。

 やはり、保育士の処遇改善、労働実態などを改善することを通じて保育の専門性を生かした仕事につなげていく、こういうことにこそ力を入れるべきだ、その方向での取組が求められていると思います。こういった新子育てプランにおける短時間保育士の配置については、これは取りやめるべきだということを申し上げておきます。

 それから、残りの時間で、児童手当法の改正の特例給付の一部廃止の問題ですけれども、日本の家族関係予算が主要国の対GDP比の家族関係支出と比較して少ない実態を見たときに、児童手当の削減というのはおかしいんじゃないのかと率直に思います。この点について、まずお答えください。

坂本国務大臣 子育て世代に対する支援といたしましては、これまでも幼児教育、それから保育の無償化などを行ってまいりました。

 さらに、今般、不妊治療助成の拡充や新子育て安心プランの実施によります待機児童の解消などを行いまして、子育て世帯全体への支援を充実させてまいりたいと考えております。

 これまでの取組によりまして、我が国の家族関係社会支出の対GDPは、平成二十五年の一・一四%から平成三十年には一・六五%まで、着実に上昇をしております。

 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人の保育の受皿として整備をすることとしたものでございます。この運営に毎年度必要となる追加費用が約一千四百億円でございまして、それにつきましては、社会全体で子育てを支援していくという大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しによりまして生じる財源等に加え、私も経済界に足を運びまして、企業から一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保したところでございます。

 年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しにつきましては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題であります待機児童問題の最終的な解決を図るものでありまして、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

塩川委員 児童手当法の附則の改正で検討規定があります。そこに「財源の在り方」というふうに書いてあるんですけれども、やはりどこから財源を持ってくるのかという議論は極めて重要であります。

 そういったときに、この法案における附則の検討規定における財源の在り方の検討というのは、どのようなことを検討するということなんでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 改正法案では附則に検討規定を設けまして、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしております。

 これは、児童手当については、多子世帯等に給付を求めるという拡充の御意見や重点化の御意見がある中で、財源確保の具体的方策と併せてこれらは検討していく必要があるということから、このような検討規定を設けているところでございます。

 検討の際には、少子化の状況を始めまして、子ども・子育て支援に、それぞれ、ほかの施策の実施状況でありますとか子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を深めたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 具体的な話は何にもありませんでしたので、続きは次回に行いたいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 一言、苦言を申し上げたいと思いますが、今朝の理事会で、今井理事、後藤理事が、さきのデジタル改革関連法案に係る立憲民主党提案の修正案の関連資料について、誤植というかミスがあったということで、九十度、深々く理事会室で陳謝をされました。

 私は、政府・与党のミスに対しては、閣議決定をやり直せということを国対委員長がおっしゃるとか、本会議場でなじるとか、そういうことが続いてきたわけですから、少なくとも、ちゃんと外で、隠れるんじゃなくて、外で、九十度、深々くカメラの前で謝罪すべきだということを思っています。

 理事会の場でも申し上げましたが、恐らく立憲民主党は、他人に厳しく自分に甘い、こういう政党ですから、多分やらないと思います。私も、こういう話はもう取り上げません。あほらしいので、本件は指摘だけして終わりにしておきたいと思います。

 さて、今日は子ども・子育ての法案の審議でございますが、若干冒頭時間をいただいて、今大変重要な問題となっているフジテレビの外資規制違反の話を取り上げさせていただきたいと思います。

 今日は財務省からもお越しをいただいていますが、外為法の対内直接投資に係る安全保障上の規定、最近も見直されていると思いますが、最近の見直しも含めて概略を御紹介いただきたいと思います。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 外為法につきましては、直近では令和元年に改正を行いまして、健全な対内直接投資を一層促進するため、一定の基準の遵守を前提に事前届出を免除する制度を導入する一方で、委員御指摘のとおり、国の安全等を損なうおそれがある投資に適切に対応するため、上場会社の事前届出の対象となる閾値を一〇%から一%に引き下げたところでございます。

 この改正の背景といたしましては、健全な対内直接投資は日本経済の発展に重要な役割を果たすことから、一層その促進を図っていく必要がある一方で、国の安全等を損なうおそれのある投資につきましては、当時、米国やEUなどの主要国におきまして制度改正による対応強化の動きが進んでおり、日本としても適切な対応を図る必要があったことがございます。

足立委員 確認ですが、この外為法の規制は、発行済株式の総数に対する外国人の保有割合もあれば議決権に関する規制もある、その二つの基準があるんだということですね。ちょっと、それも確認まで、改めてお願いします。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおりでございまして、少し背景から説明させていただきますと、外為法は、外国投資家による企業経営への影響力に着目してございますため、外国投資家による一定の株式の取得のみならず、金銭の貸付け等も規制対象としているところでございます。

 委員御指摘の株式の取得につきましては、株式の会社への影響力行使は、議決権の行使による場合のほか、例えばでございますけれども、無議決権株を一定数保有する場合に会社への資金提供者として影響力を行使する場合なども想定されるところでございます。このため、外為法では、議決権数を基準とする場合に加えまして、発行済株式総数を基準とする規制も行っているところでございます。

足立委員 当然だと思いますね。

 ちょっともう一つ、土谷審議官、お手数ですが、外国投資家というときに、規制の体系の中で、例えば密接関係者、広がりがある、要は、誰が外国で誰が日本なんだというのは結構難しい話で、それについては外為の規制体系の中で密接関係者の範囲等も定められていると、素人でございますが、承知していますが、そういうことで間違いないですね。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 正確なところは、ちょっと資料を持ち合わせてございませんので、概略を御説明させていただきますと、株式の所有関係については、その株式の保有割合、これで判断していくところでございます。

足立委員 株式の保有割合なんだけれども、外国投資家、例えば、取得時の事前届出の免除基準とかいろいろ書いてある中で、外国投資家の密接関係者として、取引先とか、財産の関係とか、配偶者とか、直系血族とか、そういう整理があると思いますが、違うのかな。ちょっと私も素人でありますが。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおりでございまして、密接関係者につきましては、株式の保有関係、割合でなく、一定の関係にある者も含まれているというところでございますが、申し訳ございません、本日、詳細な規定を持ち合わせておりませんので、説明は省略させていただきたいと思います。

足立委員 構いません。

 私もにわか勉強でありますが、何が申し上げたいかというと、安全保障の観点からの外国、要は、日本への対内直接投資に係る安全保障上の投資規制、これは外為法で基本的にはつかさどられているわけでありますが、今申し上げたように、非常に精緻な形で行われています。

 一方、今問題になっている放送事業者、電波法、放送法の外資規制、これは、今、外為法の安全保障の観点からという御説明をいただいていますが、じゃ、放送法、電波法の外資規制はどういう観点から行われているか、まずその観点を御紹介ください、総務省。

藤野政府参考人 お答えさせていただきます。

 放送法、あるいは電波法でございますけれども、特に放送法について申し上げますと、基幹放送事業者等について外資規制を設けてございますけれども、その考え方といたしましては、電波法と共通するところですが、まず、電波の周波数が有限希少である、そのことで、その利用に当たっては自国民を優先させるべきという考え方が取られてございます。

 放送法につきましては、それに加えまして、言論報道機関として大きな社会的影響力を有する、そのために、外国性を制限する観点から外資規制を設けているところでございます。

足立委員 そういう中で、今おっしゃったように、外為法は、議決権だけではありません、先ほど明確に御紹介をいただいたように。発行済株式総数に占める外国投資家の割合、これも当然あるわけですね、大きな柱として。

 ところが、放送法等は、例えば、私が承知している限りでも、フジ・メディア・ホールディングス、それから日本テレビホールディングスは、発行済株式総数に対する外国人が保有する割合は二割は超えているし、フジに至っては三割ぐらいだと。

 これは、放送法は規制をしていないんですね。しているのかな。なぜこういう高い割合でもいいのか、規制がどうなっているのか、御紹介をください。

藤野政府参考人 放送法の考え方でございますけれども、具体的な規律の内容としましては、議決権に着目しておりまして、外国人等により占められる議決権の割合が二〇%未満となるということを認定等の要件としているところでございます。

足立委員 したがって、なぜ違うのかということですね。

 いずれも、安全保障の観点、さっき詳細に御説明ありましたが、希少だということで、自国民優先ということもありますが、安全保障の観点もある、これは否定していない。安全保障の観点もある、いいですね。

藤野政府参考人 こういった、外国性の排除をするという考え方には、安全保障の考え方も関わっているというふうに認識してございます。

足立委員 同じ安全保障の観点からの規制であるにもかかわらず、なぜ、外為法の投資規制はこうなっていて、放送法、電波法の規制はこうなっている、その違いは誰が説明してくれるのかな。財務省と総務省それぞれに、隣の、財務省からは総務省、総務省からは財務省の制度を今聞いていただいて、なぜ違うかという合理的な説明があれば、一応これは事前通告していますので、今だけじゃなくて、一応考えてきていただいたはずなので、合理的な説明があれば御紹介をください。それぞれお願いします。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 外為法の判定の仕方につきましては、先ほど株式の保有数については説明したとおりでございますけれども、少し放送法との世界で、私ども、放送法の専門家ではございませんけれども、違いがあるといたしますと、外為法の方は外国投資家単位で安全保障への影響を判断することになりますので、総数として外国投資家がどれだけ持っているということを規制対象そのものにしているものではございません。

藤野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、放送事業者等への投資に当たりましても外為法は適用されるわけでございます。それはそれで適用されているという上で、放送法についてでございますけれども、株式の取引や流通の保護、これはまず一方で重要である、他方で、大きな社会的な影響力を有する基幹放送事業者等の重要事項の意思決定について外国性を制限することも必要である、そういう要請の中で、放送法では、法人又は団体における重要事項の意思決定が株主総会では議決権の行使を通じて行われるというところに着目いたしまして、この議決権割合に着目した外資規制を行っているというふうに承知してございます。

足立委員 先ほど財務省の土谷審議官がおっしゃったのは大変僕は重要だと思うんだけれども、外為法は個別に規制の入口のところをいろいろ制度化しているんだけれども、実際にそこにひっかかって、届出がある、いろいろな審査がある中で、財務省の外為法は、国の安全保障を脅かすようなケースがそこにあるかないかということを審査していくわけです。

 総務省は、今のように二割の議決権ということで、何といいますか、投資家の中に関心があるというよりは、その割合に関心があるようにお見受けしましたが、外為法の一%というのは、私が伺っているのは、取締役会の設置会社における株主総会の議題提案権の基準にたまたま合っているのかな、だとちょっと読んだことがありますが、放送法で二割としている理由は何ですか。

藤野政府参考人 お答え申し上げます。

 放送事業者への外資規制の関係は、元々は電波法で一元的に規制してございました。

 従来は三分の一未満を上限とするという規制で元々制度はスタートしてございます。それを、昭和三十三年の電波法改正の際にこれを改正を行いまして、今申し上げましたような外資規制比率の上限、三分の一未満だったものを五分の一未満に引き下げるというふうな改正をしてございます。

 このときの考え方は、外国におけるやり方を参照したというふうに当時の記録に残ってございます。

 具体的には、米国等の諸外国における放送局に係る外資規制比率というのが、五分の一未満となっている国がかなり主要な国であったということを参照して、現状のような規制の水準になっているというふうに承知してございます。

足立委員 要は、今は制度がどうなっているか分かりませんが、米国等に合わせたということですけれども、何かもっと国内的な合理性はないんですか。日本の会社法上、この二割が、何々を守るためにそういう線を引いているんじゃないんですか。単にコピーしただけですか。

藤野政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、株主総会で重要事項の意思決定が議決権の行使を通じて行われるというところがまず頭にあるわけですけれども、それを具体的に五分の一未満としたのは、昭和三十三年当時の資料なんかを見ますと、外国の事例を勘案したんだというふうになってございます。

足立委員 大丈夫ですか、総務省。

 これは個別法でやっているんだけれども、財務省は、私が承知している限り、相当、コア業種とかいろいろな枠組みがあって、安全保障上、この業種はやばいぞというようなものも含めて、それから、入口はきつめにしてあるけれども、免除基準とかをいろいろ決めて、これ、面白いんですね、例えば、免除基準というのは、外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しないとか、幾つかの基準をプレッジすればいろいろ免除してあげるよとか、非常に精緻に、まさに安全保障の観点から精緻な仕組みができていると拝見をしています。

 その中で、じゃ、総務省は、その議決権を誰が持っているのか、それはどういう者なのか、ファンドなのか何なのか、中国なのかアメリカなのか、その外国の中身についてはチェックしているんですか。

藤野政府参考人 お答え申し上げます。

 その外資がどこの国のものかとか、そういったことで区別をつけるというふうな制度ではございません。

足立委員 今日はこれぐらいにしておきます。

 何が申し上げたいかというと、外為法は年々精緻化されてきているし、昨今の国際情勢を踏まえた改正も行われ、少なくとも、私、素人がさっと拝見しただけでも、よく考えられて、一時マスコミで、投資を抑制するというか、経済に悪影響だということで、何か新聞が悪く書き立てていたこともありますが、それも、私が拝見する限り、一部誤解もあって、それほどのマイナスのインパクトはないが、日本の国益、安全保障の観点からのチェックがしっかりなされるような枠組みができつつあると承知をしています。だから、評価をしています。

 それに対して、今答弁を聞いていただいたように、なぜ二割かも答えられない。いや、アメリカのまねをしましたと。中身は見ているのか、いや、見ていません。なぜ議決権だけでいいのか、僕はちょっとよく分からなかった。

 発行済株式総数に対する割合は、もう三割のフジや日テレは比較的、分からないですよ、これは分からないけれども、比較的保守系。まあ、メディアを余りここで評価するのはあれですが。面白いです。メディアのキャラクターと外国人の保有割合を見ると、なかなか興味深いことも分かるんですが、それは、明日総務委員会がありますので、明日の総務委員会で詳細をやりたいと思います。

 総務省にもう一つだけちょっと聞いておきたいのは、要は、東北新社は処分したけれども、東北新社は免許を取り消したけれども、フジはどうするんだという議論が当然にあるわけでありますが、何か電波法に例外規定があって、電波法に「その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、当該免許人の免許の有効期間の残存期間内に限り、期間を定めてその免許を取り消さないことができる。」とか、今回これを行使する、要するに、今国民は、東北新社は免許を取り消されたわけです、ほぼ同じような形に陥っているフジテレビは免許を取り消されるのかどうかに関心があります。

 多分、検討中だと思うんですが、今申し上げた除外規定というか、ちょっと緩いわけです、放送法が。そういう規定を使って認定の取消しをしない方向での調整をしているのか、そんなことはない、東北新社と同じ枠組みで調整しているのか、どっちですか。

藤野政府参考人 ただいまフジ・メディア・ホールディングスの関係で御質問いただきましたけれども、こちら、五日にこのフジ・メディア・ホールディングスからは、過年度、要するに過去ですね、過去の過年度において、本来議決権から控除すべきもの、これを控除していなかった、そういう過誤があったということを公表されたところでございました。

 現在は、総務省のステータスといたしましては、事実関係の確認が必要であると考えてございます。

 一昨日、我々、大臣からも本事案については徹底的に調査するように指示を受けたところでございまして、この調査結果を踏まえて、事案の内容を精査して対処してまいりたいと考えてございます。

足立委員 いずれにせよ、明日また続きをやります。

 前半の外資規制の関係の方はもうこれで結構ですので、引いていただいて結構です。

木原委員長 どうぞ御退席ください。

足立委員 では、大事な少子化対策でございます。

 大臣、今日はありがとうございます。私は、私に先立つ委員の方々が、子ども手当や様々な保育の政策とか、どちらかというとミクロに焦点を当てた質問が多くなされていたと承知しています。私の方からは、もう少しマクロの話をいたしたいと思います。

 まず、この少子化の問題を取り上げると、必ず私の周りでこういうことを言う方がいらっしゃいます、いや、自民党の責任だと。

 戦後六十年余りにわたって、一時を除いてこの日本の統治をしてきている。その中で、いっとき民主党政権に三年三か月譲ったものの、あとはずっとやっているわけです、担当しているわけですよ、日本の政権を。そして、三十年前から一・五七ショックとかいうことで少子化にまつわる問題は言われてきたけれども、結局改善できていない。この責任を、まず、政府・与党、自民党、現在は坂本大臣でありますが、責任を感じていらっしゃるかどうか、御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

坂本国務大臣 厚生労働省から公表されました人口動態統計速報によりますと、昨年、二〇二〇年一月から十二月までの出生数の速報値は、二〇一九年と比較をいたしまして二・九%減少し、過去最低となりました。我が国の少子化の進行は深刻さを増しており、危機的な状況であるというふうに受け止めております。

 さらに、新型コロナウイルス感染症が流行する中で、婚姻件数や妊娠届出数について減少傾向が見られます。コロナ禍における結婚、出産の今後の推移についても、危機感を持って注目していく必要があるというふうに考えております。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育て、希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っていることから、こうした希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

 政府では、これまでも様々な対応策をやって支援を充実させてきたところでございますけれども、引き続き、少子化社会対策大綱等に基づきまして、安定的な財源を確保しつつ、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むことで、少子化という国民共通の困難に真正面から立ち向かってまいりたいと思っております。

足立委員 大変よくできた、よくできたと言うと失礼だな、しっかりした御答弁だと思いますが、やはり責任について語った方がいいのじゃないかなと思って、質問通告をさせていただいています。

 これはもう不可抗力というか、外的なもの、あるいは国民の選択という内在的な権利等を踏まえると、政府に責任はないのであると。

 一方で、今、この少子超高齢社会の中で、日本のあらゆる制度がひずんでいるわけです。私は、そこは政府に、自民党政権に責任があるという立場を取っていますが、繰り返しになりますが、坂本大臣は、不可抗力とは言わないけれども、それは責任という言葉で捉えるべきものではないんだ、いや、責任という言葉で捉えられるような分野なんだけれども、政府・与党には責任はないんだとおっしゃっているのか、そもそも、そういう責任云々ということを議論すべき分野では、この政策分野はないのであるということか、どっちでしょうかね。難しいですかね、ちょっと。

坂本国務大臣 少子化につきましては、社会的な背景、そして時代的な流れ、こういったものもあると思います。そして、何よりも、結婚、妊娠、出産、そして子育てというこの一連の流れを私たちもつくっていかなければなりません。

 ですから、それぞれのライフステージに応じた総合的な少子化対策に引き続きこれからも取り組んでいくというような決意を私が述べることで、御理解いただきたいというふうに思います。

足立委員 しかし、この少子化の問題を地域で議論すると、必ずこういう問題になります。どういう問題かというと、こういう問題なんです。この問いから逃げて、本当に、こども庁、いろいろな議論があり、議論には敬意を表したいと思いますが、やはり、様々な権力を掌握してきた自民党、政府・与党が、今、別に、私、坂本大臣に責任があるとは思いませんが、担当大臣として責任に触れていただきたいと思っているんです。

 ただ、その触れ方は二種類あると思います。さっき申し上げたように、そもそも、今日議論しているこの分野は責任を問われるような分野ではないのであるという整理か、いや、責任は問われるような分野なんだけれども、責任はないんだ、だって、高度成長期の後いろいろあって、やはり経済社会情勢の中でそれはできないことがある、だから、責任は問われる分野なんだけれども、自分が今責任について言及するつもりはないんだということか、どっちかだと思うんですけれどもね。

 だから、これは、大臣、一応、今日はもう責任だけ議論してもいいというぐらい、私は責任の問題を、今日、まさにこの大事な法案の審議の入口で申し上げたいと思って来たわけであります。いかがでしょうか。

坂本国務大臣 先ほど言いました人口減少、少子化、そして、取りも直さず結婚から妊娠、出産、子育てに至るまでの様々な課題、いろいろな隘路があるし、時代的な背景も含めまして、いろいろなそこに落とし穴もあるし、いろいろな問題がそこに内在していると思います。

 ですから、私たちは、それを責任論で、あるかないかの二元論ではなくて、精緻にやはり解きほぐしながら、それぞれのライフステージにおいてしっかりと政策を立てていく、そして充実させていく、安定的な財源も確保していく、そのことでこれからの対策に備えてまいりたいというふうに思っております。

足立委員 私は、こういう御答弁になるとは思いますが、だからこそ政権交代が要ると思いますね。やはり、政権交代を繰り返しながら、AチームとBチームがお互いに批判をし合いながら国民に国の在り方を問うていく、そういう政治にしなければ、なかなかこの問題は解決をしない、そう思います。

 もう時間がなくなってきましたが、通告の最後にちょっと飛ばしてほしいんです。

 今の話と裏表です。結局、菅政権、自公政権は、中長期的な人口動態について何か目標をお持ちですか。目標を持っていればそれを達成するために頑張る、目標が達成できなければ責任がある、私はそう思っていますが、いかがでしょうか。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

坂本国務大臣 二〇一六年に閣議決定をいたしましたニッポン一億総活躍プランにおきましては、半世紀後の未来でも人口一億人を維持するという目標を掲げております。また、二〇一九年に閣議決定いたしましたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおいては、二〇六〇年に一億人程度の人口が維持される場合の長期的な見通しというものを示しております。

 一億総活躍や地方創生など少子化対策と関連の深い政策分野とも連携をしながら、少子化という国民共通の困難に、そして今言いました目標に向かって、立ち向かってまいりたいというふうに思っております。

足立委員 参考人でもいいです。その中に外国人は入っていますか、一億人の中に。分からないか。分かる、ちょっと。

佐藤政府参考人 済みません、答弁に立ちましたけれども、そちらの一億人の中に在留外国人が入っているかどうかについて、ちょっとはっきり言えないところでございます。申し訳ございません。

足立委員 いや、立派立派。誰、今の。佐藤審議官。ちょっと名前を覚えておくよ。立派な覚悟で、高く評価したいと思います。

 じゃ、あわせて、もう時間、最後になりますが、佐藤審議官、外国人の数、要は、外国人労働者を受け入れていくということで法改正しました。思っていた何か三十何万人というあの特別在留者のあれが、今コロナで低くなっている。それはもういいです、今日は時間がないので。

 中長期的に外国人の割合をどうしていくんだという規模感というのは、法務省は持っているんでしたっけ。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 在留外国人、今二百八十八万人ぐらいおりますけれども、これをどのようにしていくかということについて、法務省として目標のようなものは持ってございません、数値は持ってございません。

 一方で、特定技能外国人の受入れにつきましては、平成三十年十二月に閣議決定されました分野別の方針におきまして、各分野別に向こう五年間の受入れ見込み数を示しておりまして、その数が受入れの上限として機能することとなっております。これは、制度運用開始時には、十四分野の合計を三十四万五千百五十人とお示ししたところでございます。

足立委員 もうこれで終わります。

 何かいいですか。じゃ、どうぞ。

坂本国務大臣 出生数を言うときは外国人は入っていません。日本人だけです。

足立委員 ありがとうございました。

 時間が参りました。大臣には、また金曜日にもしっかり御質問申し上げたいと思いますが、分かったことは、やはり自公政権には中長期的なビジョンがないんだなと。一億人って、丸めているだけですよ。外国人の扱いもはっきりしていない。

 改めて、今年の総選挙で頑張りたいという決意を申し上げて、質問を終わります。ありがとうございます。

木原委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。

 今日は、この子ども・子育て法案、ずっと皆さん言われていることですけれども、子育て予算を削って子育て予算を捻出しないでという話と、そろそろ、待機児童問題、量から質へと焦点を広げていきませんか、こういう話をしたいと思っています。

 ただ、その前に、せっかく内閣委員会ですので、重点措置も実施されている今、やはり改正したコロナ特措法に様々な問題が出ていて可視化されていると思いますので、最初、そこから入りたいというふうに思います。

 四月五日から大阪、兵庫、宮城で重点措置が実施されて、一部地域では、マスク会食に応じない客の入場禁止、あるいはアクリル板の設置などが要請をされています。

 法律上、要請に応じない店には命令も出せる、命令に違反した場合には二十万の過料も可能ということになっています。

 私たち国民民主党が特措法に反対をした理由の一つが、やはり国民にいろいろな義務を追加することが政令に丸投げをされていて、全然国会の議論における民主的統制というのが担保されていないんじゃないのというようなことでした。

 実際、こうした特措法に基づいて様々政令が追加、変更され、それに基づいて各首長が様々な措置を出して、きちんとした議論をしていないから、現場が混乱をしたりとか、あるいはやはり法的に錯綜したりということが起きていると思いますので、このマスク会食を例に幾つか議論したいというふうに思います。

 このマスク会食なんですけれども、特措法の改正と同時に定められた政令の改正で、マスク会食に応じない客の入場禁止という措置を知事が事業者、お店に対して取れるようになっています。

 まず質問です。この政令には少なくとも入場禁止としか書いていないんですけれども、マスク会食しないお客さんの退店強制までお店としてはやらなきゃいけないんでしょうか。

梶尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の政令五条の五でございますけれども、この五条の五の中には、入場者に対するマスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の対策に関する措置の周知ということと、正当な理由なくこれらの措置を講じない者の入場の禁止というのを規定してございます。

 この入場の禁止につきましては、退店をということも含むというふうに考えてございます。

山尾委員 その退店を含むというのは、政令にすら書いていなくて、二月十二日に出された事務連絡で、括弧書きで「すでに入場している者の退場も含む。」とあるんですけれども、直接書いてある根拠としてはこの事務連絡というふうで確認させてください。そういう理解で正しいですか。

梶尾政府参考人 政令の文言の説明として事務連絡に表現してございます。

山尾委員 これは、何をしないと命令をされ、それに違反すると過料を伴うということなので、やはり何が義務づけられているのかということは明確にしておかないと、お店も困るんですね。

 それが政令で決められて、しかも、政令には入場禁止としか書いていないのに、二日後に出された事務連絡でこれは退場も含むんだと。これも極めて問題だというふうに思います。

 基本的なことを確認しますけれども、この義務について、義務を負うのは事業者、お店ですか、それともお客さんですか。

赤澤副大臣 まず、この特措法三十一条の六の第一項の要請については、あくまで要請でありますので、事業者が応じる法的義務はその段階ではないということで。しかし、要請を受けた事業者が正当な理由がないのに当該要請に応じないときは、知事は、蔓延を防止するため特に必要があると認めるときに限り、同条第三項に基づいて命令をすることができる。命令がされた場合は、これは法的義務が課されるということになり、命令に違反した者は二十万円以下の過料ということで。

 先ほどの委員の御指摘であれば、何に違反したら罰則がかかるのか分からないことは当然フェアではなくてよろしくないと思うんですが、私の理解では、命令が課された時点で、そこについて、きちっと守れ、その退出についても守らせなければ、そこについて、もちろん条件はありますけれども、正当な理由がないのにとかいろいろありますが、店の方で、マスクを、入店時はしていたけれども、入ってからは外してどんちゃんやっているのを、全く店として注意もせず出そうともしないみたいな事態があれば、それはいかぬよということは、きちっとその命令の中に書いて、その結果、命令が出れば、そこから責務が生じ、何を負わされているのかについては理解ができるという運用でなければならないというふうに思っています。

 ちなみに、命令がされた場合は法的義務が課されることとなり、違反した場合は二十万円以下の過料に処されるということについては委員御指摘のとおりであるのと、あと、要請を受けた店の客については、これは同項に基づいて知事が要請や命令を行う対象ではないため、法的義務はないというふうに解しております。

 一方で、特措法の第三十一条の六の二項で、都道府県知事は、住民に対しても新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができるとされているので、法令上、住民に対しマスク着用を呼びかけることも可能ではあると。その場合、特措法三十一条の六、二項の協力要請を受けた住民は、法の第四条に基づいて、感染防止の対策に協力するよう努めなければならないと書いてあるので、その範囲での責務はあると思いますが、罰則は規定されていないということであります。

山尾委員 整理します。

 あくまで法的義務がかかるのは店、しかも、法的義務がかかる段階は要請段階ではなくて命令段階ということでありました。

 そこで、今、要するに、退出について守らせなければというような話もありましたし、マスクをせずに会食をしているお客さんに対して、全く放置をしているというか、指摘もせずというような答弁もあったんですけれども、そこの部分をちょっとはっきりさせたいんですね。

 自分がお店の側だったら、お店としてはどこまでやれば要請に応じたことになるのか。ここが分からないと、守っていないということで特定をされ命令をかけられるし、その命令に違反すれば過料というリスクもあるわけですね。

 聞きます、改めて。お店としては、入店後、お食事しているときにマスクをしていないお客さんに対して、どこまで働きかければ要請に応じたということになるんでしょうか。マスクしてくださいと一回お願いをすればいいのか、何回もお願いすればいいのか、出ていってくれとまで言わなきゃいけないのか、出ていってくれと言っただけでは駄目で、本当に出ていくまで何とかしなきゃいけないのか。どこまでやれば要請に応じたというふうになるんでしょうか。

 ここは、お店の人、本当に気にしていると思うし、やはり皆さん、真面目ですからね。御答弁をお願いします。

梶尾政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者側が要請に応じているか否かにつきましては、例えば、知事からの要請に応じまして、日頃、正当な理由がなくマスクを着用しない方の入店を禁止しているお店に、ある日、正当な理由なくマスクを着用しないというお客さんが来られて、店側から、マスクの着用、あるいは着用されないのでしたら退店を強く促しているにもかかわらず客が応じない、そういった事実だけでは、店が要請に応じていないとは評価できないというふうに思っております。したがって、命令とかそういったことには進まないだろうと思っております。

 一方、例えば、正当な理由がなくマスクを着用しない客が連日のように入店しているにもかかわらず、そのお客さんにマスクの着用ですとか退店ということを促すということを一切しない、そういうような場合には、個別の態様においての判断でございますけれども、要請に応じていないと評価され得るのではないかというふうに考えてございます。

山尾委員 それも事務連絡に書いてはあるんですわ。私も読んだんですね。方向性は分かるような気がするけれども、それに応じないと命令そして過料の対象になるという行為を枠づけるのには不十分だというふうに思ったんですね。それこそ、要請に応じていないと評価され得る場面として、今言っていただきましたけれども、「当該客にマスクの着用や、着用しないときには退店することを促すこともせずに見逃しているような場合には、」となっているんですね。だから、さっき質問したんですけれども。

 マスクを着用してくださいと促せば免責されるのか、促した上、退店まで促さないと免責されないのか、じゃ、退店を促しても退店しない場合には、どこまでやったら免責というか、応じたということになるのか。やはり本当に、実務でお店をやっていたら、そこがすごく気になると思うので、もう一回御答弁をお願いします。

梶尾政府参考人 基本的には、個別の事態の態様によっての判断ということになろうかと思いますけれども、そういうお客さんに退店をすることを促すこともせずに見逃しているというような場合というのが、要請に応じていないと評価されるというようなことで、そこから先は個別の判断という形になろうかと思っております。

山尾委員 ちょっと今の答弁は分からなかったんですけれども。

 お店の側にはそういった措置を取る法的義務が命令以降かかるわけですけれども、お客さんには法的義務がかかっていないわけですよね。お店としては、法的義務がかかっていないお客さんに対して、どこまですればいいのか、どこまでする権限があるのか。い続けるお客さんにどこまでやれば、要請に応じた、あるいは命令に従ったことになるんでしょう。退店させるまでなんでしょうか。い続けるお客さんはどういうことになるんでしょうか。

梶尾政府参考人 都道府県知事からは、法的義務ではございません、要請ではありますけれども、住民の方に対してもマスクの着用ということの要請というのは別な条文でやっている、その具体的な要請もしているということでございますので、それをお客さんの方にも、そういった法律上の、法的義務ではないにしても、かかっているということで、そういったことを踏まえて、お店の方にもできるだけ努力をいただくということかと思っております。

山尾委員 多くの方は、従う方、多いと思いますよ。だけれども、中にはいろいろな考えの方がいて、法的義務がないのに何でそれに従わないかぬという人、もちろんいておかしくないわけですね。そういう人と法的義務を持って向かい合うお店の立場に立ったら、そこのギャップというのは、ちょっとお店の側に立ってやはり考えてあげるなり、もう少しガイドラインを現実的なものにしてあげるなりしていただく必要があると思うんです。

 一つ気になることがあって、四月一日の参議院の議院運営委員会で、我が党の田村まみさんの質問に対して西村大臣が、店が退店を要求しているにもかかわらず客が居座り続ける場合には、刑法上の不退去罪に当たる可能性もあるという答弁をしていて、これはちょっと、この答弁、修正していただいた方がいいと思うんですね。

 ちょっと時間を渡すために私が言いますけれども、答弁してくださいね。不退去罪というのは三年以下の懲役なので、軽微事件にも当たらないんです。これは、不退去罪の可能性があると言っちゃうと、現行犯で私人の逮捕も法的にできちゃうわけです。

 これは、本当にできているという見回り隊みたいなものもある中で、見回って、お店の人が出ていってと言っているのに出ていかないお客さんがいて、不退去罪の可能性もありますよみたいな政府の答弁を前提に、私は、国民が国民を監視したり、場合によっては逮捕もできるような、そういう風景というのはこのコロナ禍でつくらない方がいいと思っているんですね。なので、ちょっとここの部分、もう少し、もう一回、再答弁いただけませんか。

梶尾政府参考人 実際、どのように法律が適用されるかにつきましては、個別の事態の態様に応じて判断されるものでございますけれども、店側から退店を要求しているにもかかわらず客が居座り続ける、そういう事態があった場合については刑法上の不退去罪に当たる可能性もある、大臣も可能性があるということを申し上げたと思いますけれども、ということであろうかと思います。

 先ほど来御質問いただいております具体的な適用の在り方につきましては、事例を踏まえて、また今後検討してまいりたいと思っております。

山尾委員 上書きするだけなら聞かない方がよかったという感じなんですけれども。

 これはもう質問ではありません。政令でいかようにも処罰対象となる行為を追加できてしまって、国会での議論とか当事者からのヒアリングがないということが、やはり、こういうちょっと現実離れした措置を生んでいるし、法的な混乱というか、根拠の薄弱さみたいなものも生んでいると思いまして、これは、私は、本当に特措法というのは、基本的に、本来緊急時に改正をするようなものではなくて、やはり平時に一回、何が起きたかを総括して、ちゃんと見直すべきだというふうに思います。

 その上で、一点。やはり、首長さんたちは、感染拡大を抑止するということと、とにかく地域の社会生活、経済生活を回すんだ、コロナで苦しむ人も、なりわいをなくして苦しむ人も、とにかく減らしたいという思いでやっていると思うんですよ。それを、法の支配とか立憲主義の観点から歯止めをかける主な役割を果たすのはやはり私たち国会議員だと思うので、これは是非、一回ちゃんと、本当に党派関係なく、この特措法の在り方、緊急事態の手続要件、実体要件の在り方ということはしっかり議論するべきだというふうに思います。

 その上で、最後に、このコロナの関係では、規模別補償のことをお伝えしたいんですけれども、検討状況はどうなっていますかという話です。

 私たち国民民主党を含めて、やはり、業種限定なし、地域限定なしで、適切な規模別の補償の法案というのを出しました。売上げの減少割合に応じて家賃や光熱費など固定の経費を最大九割まで給付するというものです。

 飲食店への協力金の規模別支給の検討はよしとしますけれども、是非範囲を広げて、私たちのこの法案をたたき台に、そのまま施行していただいても結構ですので、早くやっていただきたいと思いますが、最後、検討状況を伺います。

赤澤副大臣 御党では、事業規模に応じて支援するための給付金の支給に関する法案を提出していただいております。事業者への支援等に関する従前からの真摯な御検討には敬意を表するものであります。参考にさせていただきたいというふうに考えております。

 法案については、今後国会で扱いをお決めになるというふうに承知をいたしておりますが、ただ、事務的にも多少検討させていただいたところ、御党の法案について言えば、事業者への給付制度を執行してきた関係省を含めて見せていただいているところでありますが、実務面で留意すべき点があるという認識をちょっと持っておりまして。

 例えば、中小事業者を対象とした家賃支給給付金の経験に照らしても、不動産賃貸借契約の形態や賃料算定方式、千差万別ということで、一件一件の審査にかなりのコストと時間を要するのではないか、また、多数の店舗を所有し得る大企業まで支援対象に含めると、そのコストは更に増大するといったような留意点とか。

 あるいは、人件費については、私どもの答弁も踏まえて、雇調金の対象とならないようにということで手を入れていただいたところでありますけれども、二重支給を避けるための手続、事後的に返還手続や追加支給手続などが必要になるなど、その辺が事業者にとっても都道府県にとっても相当程度煩雑にならないかとか。

 あと、家賃を支援するという場合、不動産を賃借する事業者と自家所有の事業者との間で支援の差が生じて、不公平感といいますか、公平性の観点から議論があるのではないかなどなど、実務上の留意点があるという認識を今のところ持っているところであります。

山尾委員 実務上の留意点については個々に修正いただいても結構です。ただ、不公平感ということでいうと、一個一個業態別に給付や支援金をつくっていくよりも、こういった形で、地域を限定せず、宣言下にあろうがなかろうが、あるいは飲食店そのものだろうがおしぼりの業者さんだろうが、やはり公平に給付ができる一つの仕組みだというふうに思うんです。

 不公平感というのをなくさなきゃいけないとおっしゃったのはそのとおりで、私たちもパブリックコメントをやったんですけれども、コロナにおける国の経済的支援の中で不満がある方は何に不満がありますかと聞いたら、一位がやはり不公平感がある、二位が不十分である、僅差でしたけれども。そういうパブリックコメントもありました。

 そういう中で、不公平感のない適切な、かつ十分な規模別補償ということでの具体的な提案ですので、是非、実務上の留意点は制度設計で取り払っていただいて、一刻も早く実施をしていただきたいということを最後にお願いをいたします。

 それで、今回、本件の子ども・子育て法案についてなんですけれども、私たち、児童手当について、六十一万人の子供たちへの支給を打ち切って三百七十億円を捻出して、事業主拠出金の千億と合わせて四年後の待機児童解消を目指すというこの提案には、率直に言って、ちょっと賛成できません。

 一つ、やはり子育て予算を削って子育て予算を捻出するのは少子化対策に逆行します。二つ目、とりわけ子育て予算を途中でマイナス方向に削減すると、もう政策を信頼できなくて少子化政策が取れなくなっちゃうので、やめてほしいんです。三つ目、なので、所得制限で打ち切るのは反対ですし、かつ、この所得制限も、いわゆる大黒柱というようなモデルをモデルケースにしている点でもちょっとナンセンスじゃないかな、今どきというふうに思います。

 プラス、もう一つ言うと、待機児童対策を削減理由に使っているんですけれども、多分、この三百七十億で十四万人分の箱を作るということだけでは、本当の待機児童問題の解決にはならないということも併せて言いたいと思います。

 まず、その一ですけれども、もし今日もう答弁していたら済みません、今回、その三百七十億を捻出するためのシステムの改修経費というのは幾らでしょうか。

嶋田政府参考人 このシステムの経費でございますけれども、二百八十九億円を予定しております。

山尾委員 よく聞かれる疑問ですね、二百八十九億のシステム改修費を使って三百七十億捻出するのがコストに見合うんですかと。もちろん、三百七十億は一年で、二百八十九億は今後もという話なんですけれども、やはり小さく穴を空けてこれから広げていくための初期投資なのではないかというふうな懸念を覚えるわけです。

 そこでお伺いしますけれども、今回は千二百万という金額でラインを引いているわけですけれども、今後この千二百万という金額を下げる場合には法改正は必要ですか。

坂本国務大臣 今般の児童手当の普及の在り方を検討した結果として、年収千二百万円相当以上の方の月五千円の特例給付を見直すこととしたところであります。

 今後特例給付のみについて見直しを行うことは、現時点では考えておりません。法改正が必要かどうかは見直し内容によることになりますので、現時点でお答えはできません。

山尾委員 するつもりがあるかどうかは聞いていないんです。その千二百万という金額を下げる場合には法改正は必要ですか、法律事項じゃないので法改正は不要なんじゃないですかという、純粋に法律上の話です。

坂本国務大臣 必要かどうかということは見直し内容によることになりますので、現時点では、先ほどお答えいたしましたとおり、お答えできません。(発言する者あり)

木原委員長 ちょっとお待ちください。

 嶋田統括官、補足の説明をお願いします。

嶋田政府参考人 特例給付のラインでありますとか特例給付の見直し、これは政令に落としてありますので、そこの政令事項というふうになります。

山尾委員 そうなんですよ。金額は政令事項なので、金額だけ下げて範囲を広げるというような改正をするかどうかは別ですよ、ただ、する場合には法改正は要らないんですね。だから、ここでの議論もなく、知らないうちに政令が、これはさっきの話と一緒です、知らないうちに政令が変わってしまっていつの間にか削減世帯が広がっているということは、これは法的には可能だということをやはり私はすごく懸念するわけです。

 これは、大臣、伺いたいんですけれども、やはり、今までは、所得制限で支給の金額が削減されたというのはあるけれども、少なくとも全ての子供に渡していたのを、ラインを引いて一部打ち切った、大きなことです。更にこの対象を広げるという場合には、本来は、やってほしいと言っているんじゃないですよ、やるなと言っているんですけれども、やはりこれは法律事項にするべきじゃなかったんですか。なぜ政令事項にしたんでしょうか。いいですよ、参考人の方でも結構です。

嶋田政府参考人 まず、児童手当の特例給付を、九百六十万以上の御家庭の方には特例給付を支給するというそのラインにつきましても政令でやっているということから、それに倣いますと、やはり今回の措置も政令上でやるというのが整合的ではないかというふうに思料いたします。

山尾委員 そのもたらす結果が、ここから先は、何度も言いますけれども、国会審議なく、本当に、内閣府が政令を変えることでどんどんどんどん打切り世帯を広げることができてしまう法律を作るということです。今回、千二百万というラインで打ち切る法案を作るだけじゃなくて、これによって、政令だけでその範囲を広げることも可能な法案を私たちは今審議しているということをお伝えしたいというふうに思います。

 もう一つ聞きたいんですけれども、そういう意味で、私は本当に打切り反対です、所得制限で打ち切るのは反対ですが、さらに、そのモデルケースで、さっき申し上げましたけれども、今共働き世帯が七割を超えているのに、なぜ大黒柱モデルを使い続けるのか、理由を教えてください。

嶋田政府参考人 今般の児童手当の給付の在り方を検討したときに、いろいろな御議論がございました。世帯合算するべきではないか、あるいは主たる稼得者であるべきではないかということでございますけれども、世帯合算になりますと、働き方はいろいろなパターンがございまして、所得のありようによってもいろいろな違いがあるということから、今回はそれを見送らせていただいたということでございます。

山尾委員 いろいろなパターンがあって、何かをモデルケースにするならやはり多いスタイルを少なくともモデルにした方がいいと思うんですね。

 その上で、ちょっとやはり大臣に。ここは何度も聞かれているかもしれないけれども、この観点で、署名サイトというのがあって、チェンジ・ドット・オルグというところで、児童手当の削減によらない待機児童の解消を求めますということをなさいました。そこをずっと私もコメントを見たんですけれども、やはり、子育て予算を下げることは国力を下げることだ、こういうコメントが相次いでおりました。

 これはやはり、子供の予算を削って子供の予算つけるって、ほかから出せたんだと思うんですよね、三百七十億。何でこれはほかから見つけるということをやらなかったんですか。それをどうしても大臣に聞きたいんです。お願いします。

坂本国務大臣 これも繰り返しになりますけれども、これまで幼児教育、保育の無償化を行ってまいりました。さらに、不妊治療の助成の拡充、そして、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行ってまいりました。子育て世帯全体への支援を今後も充実してまいります。

 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人の保育の受皿を整備するということで最終的な解決を図るということにいたしました。この運営に毎年必要となる追加費用が約一千四百億円でございますので、社会全体で子育てを支援していくということの方向の中で、今般、児童手当の見直しにより生じる財源等に加えまして、経済界にも私も足を運びまして、企業から一千億円、追加拠出をしていただいたということでございます。

 年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しにつきましては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題である待機児童問題の最終的な解決を図るものであり、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいというふうに思います。

山尾委員 四年間で十四万人の箱を作って最終的な解決を図るという認識を、ちょっと、あと十分ないですけれども、少し変えていただきたいというお話をします。

 実際、保育園落ちたという質疑をして、二〇一六年から五年たって、待機児童は、当時二万三千百六十七人だったのが、今一万二千四百三十九人ですから、カウント方法の問題はありますけれども、半分になったということは一定程度私はよかったことだと思うんですね。

 ただ、この五年間、十分な予算をつけずに数を減らすということをやってきたがために、やはり、質のばらつき、あるいは質のひずみ、質の低下ということが起きています。そこも併せて解決していただかないと待機児童問題の解決にならないということを、今日は是非大臣にお伝えしたいなというふうに思います。

 皆さんのお手元、資料の一枚めくって二を見ていただきたいと思います。これは四年間で十四万人分の受皿を整備するということで、新子育て安心プラン、今始まったものですが、ここには例えば、黄色で線がありますけれども、短時間勤務の保育士の活躍促進というのがあります。これは、待機児童がいる場合には、各クラスに今までは最低常勤の保育士さんが一人いなきゃいけないとなっていたんだけれども、この枠を外して、それこそ午前の非常勤保育士さんと午後の非常勤保育士さんがバトンタッチでクラスを見れるということをよしとしたわけです、待機児童問題を解決するために。

 聞きます。「待機児童が存在する市町村において」というふうにただし書をつけているのはなぜですか。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 短時間保育士の取扱いにつきましては、まずそもそも、保育士につきましては各組に一名以上の常勤保育士がいることが望ましいとの考え方は変えておりません。その上で、どうしても、市町村によっては常勤保育士を確保できないことによって、子供を受け入れられずに待機児童が発生している、そういう実態もある。

 そういうことを踏まえまして、一番地域をよく知っている市町村がやむを得ないという判断があることを条件に、差し支えないということを判断させていただいたということでございます。

山尾委員 なので、大臣、よくないけれども、やむを得ない条件を設定して待機児童問題を解消しようとしているので、これでもし四年後にゼロになっても、やはり質の問題というのは、場合によっては悪化して残るわけです。そこを、あと四年間、じゃ、ゼロにしたら、今度質を上げましょうということじゃなくて、やはり今から、ちょっと転換期だと思うんですよ、半分まで下がり、このコロナ禍で保育の状況も随分変わってまいりました。今は、やはりここからは、ただただ四年でゼロにしてもうこれで終わりということではなくて、質の方に目を向けていただきたいということなんです、望ましくない例外をこうやってつけてやっているわけですから。

 これは役所で結構です。望ましくない例外をいつまで続けるつもりですか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、質というものは担保されなければいけないことだと思っております。

 その上で、もうこれも重々、先生からもお話ありましたように、保育所に空きがあるにもかかわらず、今、常勤の保育士さんがいないことでお子様を預かれないという自治体が少なからずある。

 今、待機児童は八割ぐらいの市町村におきましては既に解消を見ておりまして、そこの残りの部分について、そもそも預かれないという実態、これをいかに解消していくかということで進めているものでございます。

 この期間ですけれども、必ずしも、この新子育て安心プランの期間の間やってよいと言っているものではございませんで、解消したら直ちに、それは常勤の方を確保するように努めていただきたいというところでございます。

山尾委員 常勤で働く人がいないからやむを得ずということですけれども、これは、時間的な問題だけじゃなくて、やはり常勤の保育士さんの処遇が悪過ぎて負担が多過ぎるから、本来働ける人も働かないということが起きているので、この処遇改善のところをきちっとすれば、そうやって非常勤、非常勤で何とかもたせるという手法を取らずに、もう待機児童解消というのは私はできると思うんですね。

 もう一つ言います。

 資料の四を見ていただきたいんですけれども、これは虐待の問題ですね。黄色い線をつけました。参入の窓口を広げた以上、運営が未熟な場合のサポートや悪質な事業者の排除は必須、だけれども、一度認可した施設を監査する仕組みが脆弱だということを指摘をしている記事であります。

 お伺いをいたしますが、これは要するに、虐待があって、元職員さんが市に通報したんだけれども、市の担当者がなかなか速やかな調査をしなかったということです。

 私たち、こういう記事で知るわけですけれども、厚労省に聞きます。こうした虐待について、例えば昨年度、何件の監査が行われ、何件の虐待が確認され、それに対して何件の事業停止命令や認可取消しがあったんでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃったような特別指導監査、特定の事項について、例えば、死亡事故などの重大な事故が発生した場合、又は児童の生命、心身、財産に重大な被害が生じるおそれがある場合に行うこととしている特別な指導監査がございますが、これは必ずしも虐待だけに限ったものではなくて、包括的に調査をしているものでございますので、その類型につきましては公表はしていないところでございます。

山尾委員 やはりちゃんと公表していただきたいんですね、政策につなげるため。

 最後、大臣に伺います。

 やはり、待機児童ゼロということで、現場にひずみが生じています、質の低下が起きています。やむを得ず質を低下させているという答弁もありました。これからこの問題を解消するに当たって、やはり質を回復し、向上させるということをお伺いしたいんですけれども、大臣から一言いただきたいです。

坂本国務大臣 質の向上のために欠かせないのは、やはり保育士の皆さんたちの処遇改善だと思います。

 平成二十五年それから二十九年、それぞれ、四万円、四万四千円、改善をしてまいりました。全産業に比べて令和元年度で百三十七万円の差がありますけれども、徐々に処遇改善は実現できているものというふうに思います。

 今後、やはりこの努力を進めていって、この政策を進めながら、高い使命感と希望を持って保育の道を選んでいただいた方が長く働いていただけるよう、必要な支援をこれからもやってまいりたいというふうに思っております。

木原委員長 山尾さん、時間が来ておりますので。

山尾委員 はい。

 是非、処遇改善、ただ、ペースが遅いんですね。早く、全産業平均で、プロの保育士としての適切な賃金まで速やかに上げる必要があると思います。是非御検討をよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

木原委員長 次回は、明八日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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