衆議院

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第18号 令和3年4月14日(水曜日)

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令和三年四月十四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      今枝宗一郎君    大野敬太郎君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      高村 正大君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      吉川  赳君    和田 義明君

      阿部 知子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    武内 則男君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      岸本 周平君    高井 崇志君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君

   国務大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    坂本 哲志君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   丸川 珠代君

   国務大臣         井上 信治君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   法務副大臣        田所 嘉徳君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   法務大臣政務官      小野田紀美君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       八神 敦雄君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    小見山康二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     斎藤 洋明君

  神田 憲次君     高村 正大君

  長尾  敬君     今枝宗一郎君

  吉川  赳君     村井 英樹君

  大河原雅子君     武内 則男君

  岸本 周平君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     長尾  敬君

  高村 正大君     神田 憲次君

  斎藤 洋明君     大野敬太郎君

  村井 英樹君     吉川  赳君

  武内 則男君     大河原雅子君

  高井 崇志君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

四月十三日

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る九日に終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党・無所属の吉田統彦です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました本法案に対し、反対の立場から討論いたします。

 立憲民主党は、社会全体で全ての子供の育ちを支援し、希望する人が安心して子供を産み育てることのできる社会をつくりますと綱領に掲げています。

 子供の育ちを社会全体で支えるという普遍主義の哲学から、親の年収にかかわらず、全ての子供に対し児童手当を給付すべきと考えます。よって、児童手当に所得制限を設ける本法案は断じて容認できません。

 そもそも、児童手当法は、第一条で「家庭等における生活の安定に寄与する」ことを目的としており、一般家庭を広く対象として、児童の養育に伴う家計の経済的負担を社会全体で分担することを狙いとしています。特例給付に所得制限を設けることは法の目的に反するとも言わざるを得ません。

 日本の家族関係支出は、GDP比で英国の三・四六%やスウェーデンの三・五四%などに比し、先進国の中で最も低い水準である一・九%程度と指摘されています。これを大幅に引き上げていくことこそ必要ではないでしょうか。

 特例給付をもらえなくなる六十一万人の方々は、所得制限で既に高校授業料無償化や給付型奨学金など多くの子育て支援を受けられず、児童手当の特例給付が唯一受けることができる子育て支援給付となっていました。特例給付をもらえなくなる方々からは、子育て罰の更なる厳罰化だとの声も上がっています。

 安倍政権を継承する菅政権は、少子化を国難だと称していますが、それなれば、なぜ子育て支援予算全体を底上げすることなく、所得制限の導入による児童手当の削減なのでしょうか。

 政府は、年収一千二百五十万円以上の世帯では保有する金融資産の額が大きいとしていますが、そうであれば、金融所得の総合課税化など、税制全体をパッケージで見直すことにより財源を捻出すべきではないでしょうか。

 政府は、特例給付を一部廃止することで得られる財源を待機児童対策に充てるとしていますが、本末転倒です。子育て支援策の中でのパイの奪い合い、予算のツケ回しではなく、子育て予算を全体として拡充すべきです。

 さらに、所得制限の導入により得られる財源効果は約三百七十億円だとしていますが、児童手当システムの改修等に要する経費として、令和三年度予算には約二百八十九億円も計上されています。約三百七十億円の財源を捻出するのに約二百八十九億円もかけるのでは、国民の納得は到底得られません。

 立憲民主党は、かねてより、省庁の縦割りを打破し、子育て予算を拡充するために、子ども家庭庁の設置を提案してきました。最近、自民党からもこども庁を創設する動きがあるようでありますが、そうであれば、本法案にこそ反対すべきではないでしょうか。

 以上を申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、日本共産党を代表して、子ども・子育て支援法及び児童手当法改正案に反対の討論を行います。

 二〇一〇年に創設された子ども手当は、様々な問題は抱えつつも、中学校修了までの全ての子供たちを対象としていました。これは、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援する観点からのもので、我々もこの理念は共有していました。

 しかし、民主、自民、公明の三党は、子ども手当を児童手当に戻し、所得制限を復活させる改悪を二〇一一年に合意し、実行しました。その際に、所得制限によって児童手当の対象外となる世帯への影響緩和策として設けられたのが特例給付です。

 本案は、その特例給付に所得制限を設けて、児童手当を更に改悪するものであり、反対です。

 政府・与党は、幼児教育、保育の無償化や高等教育への修学支援を持ち出して、児童手当削減を正当化していますが、そもそも、政府自ら認めるように、日本の家族関係予算は主要国と比較しても少ないのが実態です。こうした現状を改善するには、子育てへの支援拡充こそ必要であり、その重要な柱である児童手当の削減は認められません。

 この間、子育て支援の財源は、消費税増税や所得税、住民税の年少扶養控除廃止など、子育て世代への負担増とセットとするやり方が推し進められてきました。本案もこの流れのものです。そして、今後の子育て予算の財源として、消費税増税や保険料財源からの拠出も含めて検討されていることは看過できません。子育て支援の財源は、消費税増税や社会保障の削減、子育て世代間のやりくりではなく、大企業や富裕層への優遇税制を改め、応分の負担を求めることで確保すべきだと申し述べ、討論を終わります。

木原委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。今井雅人君。

今井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 我が国の少子化は国難であるとの認識の下、少子化を克服するために、子育て関係予算の総額を増額すること。また、平成二十四年六月十五日に確認された民主党、自由民主党、公明党の三党による「社会保障・税一体改革に関する確認書」において幼児教育・保育・子育て支援の充実に必要とされた一兆円超のうち、〇・三兆円超が未だ確保されていないことを踏まえ、当該予算を早期に確保するよう努めること。

 二 待機児童の解消については、「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備を進める中において、可能な限り早急に実現すること。

 三 子ども・子育て政策が多くの省庁にまたがっていることによる弊害を除去し、より効果の高い子ども・子育て政策を実施するため、子ども関連政策の総合調整機能を高めるための行政組織の在り方について検討すること。

 四 一人親家庭に限らず、低所得の子育て世帯の子どもが貧困状態におかれることのないよう配慮すること。

 五 本法附則第二条の規定に基づく検討を行うに当たっては、以下の事項に配慮すること。

  1 未来を支える子どもたちを社会全体で支えるという考え方に立ち、各種施策を進める中で、できるだけ支援が届かない子どもが出ないよう、配慮すること。

  2 多子世帯の家計負担や、高校・大学等に通学する子どもの教育費の負担が大きいこと等を踏まえ、子どもの数や年齢に応じた効果的な支給となるよう検討すること。

  3 世帯合算の導入については、共働き世帯への影響や世帯間の公平等を踏まえ、検討すること。

 六 出生率の回復に成功した主要先進国における家族関係社会支出の対GDP比を参考に、少子化社会対策大綱等に基づき、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に向けた取組について、具体的な検討を進めること。また、附則第二条の規定の趣旨に基づき、子どもの数等に応じた児童手当の充実について検討を行うこと。

 七 保育の受け皿を整備するに当たっては、保育士を十分に確保するため、財源を確保しつつ、賃金の引上げ等保育士の処遇改善を行うこと。また、保育所に対する委託費の使途については、保育士の人件費を十分に確保するため、必要な措置を講ずること。

 八 保育の運営費の財源については、子育てを社会全体で支えるとの考え方に基づき、適切に確保すること。また、事業主拠出金については、地域経済が厳しい状況にあること、中小・小規模事業者にとって負担が大きいこと等を踏まえ、事業主の負担が過度にならないように配慮すること。

 九 教育・保育施設に対する施設型給付費については、施設の規模が大きくなるに従い単価が下がる仕組みとなっているが、規模の大小にかかわらず安定的な経営が可能となるように努めること。

 十 企業主導型保育事業については、施設の定員割れや休止等の事案が生じていることを踏まえ、保育の質の確保、事業の安定性・継続性の確保等を図るため、指導監督の強化をはじめ、速やかに措置を講ずること。

 十一 労働者の仕事と子育ての両立に資する観点から、労働者の子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成について、少子化の状況や仕事と子育ての両立の状況も踏まえ、必要に応じて、その延長を検討すること。

 十二 市町村における地域子ども・子育て支援事業の実施状況を踏まえ、子ども・子育て支援の提供を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を市町村子ども・子育て支援事業計画の基本的記載事項とすることについて検討すること。

 十三 児童手当の現況届の廃止に当たっては、地方公共団体に新たな財政負担が生ずることのないようにすること。また、児童手当の現況届の廃止に伴うシステムの構築に当たっては、長期的な観点から経費を抑制するため、システムの運用コストや、制度が変更された場合の改修コストを含め、費用が最小となるようにすること。

 十四 児童手当の現況届を廃止し、行政機関及び地方公共団体の情報連携による現況把握に移行するに当たっては、情報連携の実績のない地方公共団体もあることから、円滑な移行がなされるよう、地方公共団体に対し十分な支援を行うこと。また、情報連携により、DV等被害者の住所等が加害者に知られることのないよう、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂本国務大臣。

坂本国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官河村直樹君外十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。立憲民主党の今井雅人でございます。

 まず、西村大臣にお伺いします。

 現在の大阪、兵庫、宮城、東京、京都、沖縄と、蔓延防止等重点措置が適用されていますけれども、昨日あたりから、愛知、神奈川、埼玉、千葉、この辺りの首長の皆さんからも、蔓延防止等重点措置の適用を検討したいというような御発言があったと思いますけれども、恐らく今週中に判断がされるんじゃないかなと思うんですけれども、政府としての今のお考えをお聞かせください。

西村国務大臣 それぞれの地域で感染が増加傾向にある、そうした場合に、知事がそれぞれの地域の状況を見ながら様々な発言をしておられますし、私自身も、愛知県の大村知事とはまだ直接は話してはいないんですが、事務的にやり取りをさせていただいています。埼玉の大野知事とは話をさせていただいていまして、いずれも、変異株が、割合が非常に高まってきているということを懸念をしておられまして、埼玉で、検査の結果、十数%がいわゆる501Y、大阪、兵庫で広がった感染力の強いものというふうに評価、そういう報告を受けております。

 そうした中で、ステージの水準自体はまだいわゆるステージ2から3に移る、4のような、緊急事態宣言が視野に入るような厳しいレベルまではなっておりませんが、特に愛知は、感染のスピードが、増加傾向が非常に速いということで危機感を持っておられます。

 この辺りの状況をよく分析をし、専門家の意見も聞きながら適切に判断をしていきたい、様々な措置、蔓延防止等重点措置も含めて、機動的に対応することが必要だというふうに考えております。

今井委員 今日は、尾身理事長、済みません、お忙しいところありがとうございます。

 昨日の新型コロナウイルス新規感染者数が三千四百五十五人まで増えているという報道がございましたけれども、エリアを見ても、都心部だけではなくて地方の方にも広がってきている感じなんですが、これはこの段階まで来ると、私はもう第四波に入ってきているというふうに個人的には思っているんですけれども、理事長としての今の御認識を教えていただきたいと思います。

尾身参考人 お答えします。

 今の状況は、いわゆる第四波と言ってもう差し支えないと私は思います。

 それで、変異株の影響もあって、これは、蔓延防止等重点措置なんかも、発出するなら、やはり私は、極めて迅速に機動的に出す必要がある時期に来ていると思います。

今井委員 分科会の方では、第四波に入ってきているという可能性が高いというか、そういう認識だということなんですけれども、政府の方では、まだ第四波に入ったという認識ではないというような発言があったというふうに私は理解しているんですが、政府としては、今、現状は、これは第四波に入ってきたと考えざるを得ないか、その辺についての御認識を教えていただきたいと思います。

西村国務大臣 政府として、何が第一波、何が第二波というのは、必ずしも定義づけて決めているわけではないんです。

 感染研の分析では、一回目の流行は、武漢から入ってきたウイルス、これがいわば第一波。昨年の三月、四月に、緊急事態宣言を発出した大きな流行、これは武漢からのものがヨーロッパに行き、ヨーロッパのものが入ってきたということでヨーロッパ型と言っていますけれども、これがいわば第二波という言い方をしていますので、それから考えると、今回は大きな流行という意味では第五回目の流行になってきているのかどうかということでありますので、四波か五波か、そういった定義はともかくとして、少なくとも関西では、もうこの年末から三月にかけての大きな流行を超える流行に大阪、兵庫はなってきているのは、もう数字上もそうであります、間違いありません。

 ですので、この大きな流行を何とかこれ以上全国に広がらないように抑えていく。特に変異株がこれまで以上に感染力が強いということでありますので、そのことを最大限警戒を持ち、本当に強い危機感を持って対応している、そういう状況であります。

今井委員 明確にはおっしゃいませんでしたけれども、感染拡大時期に入っているという御認識はあるということはよく分かりました。

 尾身理事長にもう一問お伺いしたいんですが、昨日、大阪なんですけれども、新規の感染者数が千九十九人ということで、これは過去最高を更新してしまったということですね。それから、重症者の病床も今使用率が九五%を超えたということで、吉村知事も大変深刻に捉えていらっしゃるようですし、数字を見ても本当に大変な状況なんだと思うんですけれども、大阪に関して言うと、緊急事態宣言を発令する、もうそういう段階に来ているのではないかと思うんですが、理事長の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

尾身参考人 お答えします。

 私は、大阪の状況は、いろいろな情報を見ますと、例えば夜間の人流なんというのは、これは吉村知事のメッセージもあったと思います、それから、いわゆる情報効果という、感染が急速に上がっていますから、そのことを府民の人が感じる、この二つで人流については下がってきているので、私は、早晩、新規の新たな感染者数は減ってくる可能性があると思います。

 しかし、問題はそこではなくて、今の状況、大阪府の最大の課題は、重症者等が積み上がってきますから大阪府が用意したベッド数を超えてしまう状況というのが考えられるということで、今最も重要なことは、今、蔓延防止等重点措置が出ているわけで、その枠組みの中で人の接触を下げるということは今やっていただいているわけですけれども、それよりもはるかに大事なのは、医療、地域の自治体あるいは医師会連合、医師会、病院関係者で最大限にこの医療の供給体制を準備するということが重要です。

 それで、仮に今回の重点措置が今言ったようなことで新規の感染者の下方転換に効果がないということが分かったときには更に強い対策をする。だから、一体何で下方転換しなかったという理由をすぐに分析していく。それで、それをするために緊急事態を出さなければいけないのか、あるいは今の重点措置の中で更に強い対策をということを分析した上でやるべきで、そういう意味では、緊急事態宣言を出すというオプションも当然出てくる。

 しかし、一番大事なことは、仮に下がらなかったら、一体何で下がらないのかということを分析して、それによってどうするかというのを決めるべきだと思います。そして、そのあれも余り時間をかけてやるべきではないと思います。

今井委員 今の御答弁に関して、関連でもう一問お伺いしたいんですけれども、蔓延防止等重点措置は大体期間は一か月ぐらい設定していますけれども、尾身理事長は、ある程度その経過を観察して、今もおっしゃっていましたが、状況を見て、次なる、例えば緊急事態宣言に変えるなら変えるという措置をするべきだという御意見ですが、その経過観察をする期間というのはどれぐらいを想定していらっしゃいますか。例えば一週間とか二週間とか。その辺を教えていただきたいと思います。

尾身参考人 お答えします。

 私は、何もしないで経過観察をするだけという余裕はないと思います。

 むしろ大事なことは、今の大阪の場合は、先ほど申し上げましたように、人流は下がっていて、新規の感染者が下がってくる可能性はあります。しかし、一番大事なのは医療の逼迫ですから、これについてどれだけのことができるのかということに最大限の注力をすべきだと私は思います。

 そういう中で、ただし、蔓延重点措置の効果が全くなくて、人流もちっとも減っていないということが分かれば、もうこれは更に強い対策をするということで、様子を見るというよりも、比較的、人流の流れというのは感染の上下を表す非常に最も早期な指標ですから、それを見ればそんなに長く余裕を見る必要はないので、すぐ分かりますので、それで効果がなければ更に強い対策をしていくことだと思います。

今井委員 ありがとうございます。

 西村大臣にもう一問お伺いしたいんですけれども、現在、緊急事態宣言にもう変えた方がいいんじゃないかという質問があったときに、現在も蔓延防止等で緊急事態宣言並みの制限をかけているのでという説明をされておられますよね。

 実は、特措法の改正をしたときにも僕はちょっとここが疑問だったんですよ。要するに、蔓延防止等重点措置と緊急事態宣言の違いって何なんだろう、分かりにくいよねと。

 今の説明ですと、緊急事態宣言下並みのことを蔓延防止等重点措置でやれているという説明をされてしまうとますます分からないんですね。この二つの違いは一体何なんだということになるんです。

 ですから、これは多分国民も分からないので、この段階の違いについてもう一度ちょっと分かりやすく説明してもらいたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 私が緊急事態宣言並みと何回か答弁もさせていただきましたけれども、これは、今回の今年の一月から三月にかけての緊急事態宣言のときに二十時までの時短を行った、それからイベントも五千人までに制限した。

 少なくともこの二つの措置は、今回も蔓延防止等重点措置で、地域は限定されています、全都道府県の域内ではありませんけれども、大阪市なら大阪市の内で、イベントは府内全域ですけれども、そうした措置が取られていますので、正確に申し上げれば、今回、一月から三月に取った緊急事態宣言と同等の措置を取っております。

 この八時までの時短は、これまでの経験で、データを分析し、人流が減ることを含めて、今、尾身会長からありましたけれども、一定の効果を持つ、かなりの新規感染者の数を減らす効果があるということは分かっておりますので、そういう意味で強い措置ということで申し上げています。

 ただ、緊急事態宣言は蔓延防止等重点措置ではできない休業要請までできることになっております。逆に言えば、蔓延防止等重点措置は時短の要請が最も強い措置でありますので、そういう意味で、緊急事態宣言になれば休業要請、そして、これは今御指摘ありましたように、尾身先生が言われたように、どこでクラスターが起きているかという分析も含めて、ほかの業種、飲食店以外の業種にも場合によっては時短要請、休業要請もかけられますので、そういう意味では、緊急事態宣言は一段と強い措置が取れるということであります。

今井委員 長くこのコロナと皆さん戦っているので、大分慣れがきたというか飽きがきておって、なかなか政府のメッセージがしっかり伝わらない状況に今なっていると思うので、その辺を分かりやすく説明していただいて、国民に協力を求めるということを是非お願いしたいと思います。

 では、大臣と理事長、ここまでで結構でございますので。

木原委員長 では、どうぞ御退席いただいて結構です。

今井委員 次に、済みません、官房長官、よろしくお願いしたいと思います。

 二つお伺いしたいと思うんですが、まず、今週末、日米の首脳会談が行われる予定だというふうに理解しております。当然、台湾の近辺の問題ですとか、香港の問題ですとか、尖閣の問題ですとか、安全保障に関わるところは非常に重要ですので、日米同盟をしっかりと確認してくるということはしっかりやっていただきたいと思います。

 その上で、もう一点お伺いしたいんですが、今日でオリンピックまであと百日になりました。ここまで来たら是非オリンピックを成功させるしかないということなんだと思うんですけれども、オリンピックを成功させるに当たって一つとても重要だと思うのは、アメリカの選手団の参加だと思うんです。もちろん、アメリカというのはスポーツの世界一の大国でありますから、アメリカ抜きのオリンピックに本当にどれだけの意味があるかということにもなりかねないわけで、世界のほかの国もやはりアメリカを見ていると思うんですね。

 そういう意味において、今回、日米首脳会談において、菅総理はバイデン大統領に、オリンピックへの参加、このことについても要請をされてこられるかということについてお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今御質問ありましたように、菅総理は、今月十五日から十八日にかけて米国を訪問し、十六日、バイデン大統領との間で初の日米首脳会談を行う予定であります。

 同会談で何が議題になるか、これは今調整中ということで、確たることを申し上げる状況にはありませんが、やはり、日本の外交、安全保障の基軸である日米同盟の強固なきずなの改めての確認、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力、中国、拉致問題を含む北朝鮮を始めとする地域情勢、新型コロナ対策、気候変動を始めとする国際社会における共通の課題等に対して幅広く意見交換をし、また、考え方、方針のすり合わせを行うことを私どもとしては期待をしているところであります。

 その上で、オリンピック・パラリンピックについて、これまでも各国の電話首脳会談の際に、総理から安全、安心な東京大会を実現する決意を発信し、G7、G20を始めとする各国、地域の首脳からの支持を得てきたところであります。米国もこれまで、東京大会開催に関する日本の決意を積極的に支持していく旨の発言をいただいているところであります。

 ただ、具体的な選手団の派遣そのものは、政府というよりは、それぞれのオリンピック委員会がお決めになるんだろうというふうに思います。

今井委員 アメリカ全体として是非東京オリンピックの成功に協力をいただきたいということは、総理の方から御提案というか御要望はされるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 今の時点で具体的にこの項目についてこういうことを言うということを決めているわけではありませんが、ただ、先ほども申し上げましたように、これまでも総理からは、それぞれの首脳会談等においては、安全、安心な東京大会の実現に対する決意と、各国、地域の首脳からの支持ということを得てきている、その前提としては、その要請ということもあったということではあります。

今井委員 調整中ということですけれども、是非この点もしっかりとアメリカの協力を取ってきていただきたいと思います。

 もう一点は、昨日閣議決定されました福島での処理水の海洋放出の件なんですが、現実問題、あの処理水をどうやって処理するのか、非常に難しい問題であるということは私は理解をしております。ただ、こういう問題をやるに当たっては、辺野古のこともそうなんですけれども、地域の理解を得ないで進めるということだけはあっちゃいけないと思うんですね。

 政府も東電もこれまでこういう言い方をしています。関係者へ丁寧に説明し、理解がないうちにはいかなる処分もしない、こういう説明をずっとしてこられたんですね。しかし、今回のこのやり方を見ていると、どうもそういうふうに見えないんですよ。政府で方針を決めて、まあ、安倍総理が、英断だというつもりで決断されたんだと思いますが、その後、福島の内堀知事のところに説明に行って、福島県はこれから検討するとおっしゃっている。漁協の皆さんは、いや、そんなのとんでもないというふうにおっしゃっている。

 これは実際に放出するのは二年後というふうに伺っていますけれども、これはどうしてもうちょっと、地域の方とよく話をするのをやって、積み上げていった上で最終的に判断するということができなかったんですか。ちょっと、私は順番がそれは逆なんじゃないかと思うんです。決めて、それから説明をして理解を得るんじゃなくて、話合いをして、積み上げた上で決定をするというプロセスをするべきだったんじゃないですか。

加藤国務大臣 もちろん、これまでも、それぞれの地域の皆さんに対する説明、意見交換、あるいは漁業関係者との意見交換、たしかパブリックコメント等、いろいろな手段を通じて、意見を聞かせていただいたり、説明をしたり、そういったことを重ねてきたわけでありますが、まさに委員お話があったように、敷地も逼迫して、もはや先送りは許されない、こういう状況の中で、今回は、安全性の確実な担保と万全のモニタリング体制の整備、漁業者などの御懸念の把握と徹底した風評対策、こうした二点を確保していくこと、これを前提に、大変重たい決定ではありました、判断ではありましたけれども、処理水のこうした取扱いの方向を決めさせていただいたところであります。

 ただ、委員お話ありましたように、実際の放出は大体二年ぐらいかかるということでありますから、この間においても、引き続き、そうした皆さんの懸念の払拭、あるいは具体的な対策を実施をしていく、これを政府一丸となって取り組む。そういった意味においても、新たな閣僚会議も設置をして、政府一丸となって取り組んでいく。そういうことを通じて、さらに、福島及び関係者、あるいは御懸念されている皆さん、そうしたものの払拭に努めていきたいと考えております。

今井委員 この件に関してはまたいろいろお伺いしたいんですけれども、ちょっと時間がないので、指摘だけしておきます。

 まず、二〇一八年にALPSの除去で、ヨウ素128とか、こういうトリチウム以外のものも基準値を超えるものが残ってしまっていたということがありましたね。だから、そこを今皆さんはすごく心配していますから、そこの問題はしっかりと、そういうことがないということを科学的に証明をしていただきたい。

 それから、大阪の吉村知事が大阪湾にも流すことを検討するとおっしゃっていましたが、なぜ福島だけこういう被害を引き受けなきゃいけないのかという問題なんですよ。福島の海に流しても大丈夫と言うんだったら、日本中の海に流したらいいじゃないですか。それでみんなで負担したらいいんですよ、そういう重荷を。それぐらいのことを言わなきゃ福島の人がかわいそうですから。そのことを、それも是非検討していただきたい、私は本当にそう思います。福島だけにそういうのをかぶせてはいけないと。

 それから、風評被害の問題ですけれども、これは、東電が最終的にはお金を払うことになると思うんですが、実際、今まで見ていると、いろいろな調査、調べているときに、因果関係が薄いとか、しっかり認められないと言って、お金が支払われなかったことがたくさんあるんですね。そういうことになってしまうと、結局、被害を被った人がばかを見てしまうことが起きるわけです。そういうことも絶対ないようにしていただきたい。

 今日は、済みません、ちょっと時間がないので指摘だけにしておきますけれども、そういう点をしっかり考えながらやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 官房長官、じゃ、ここまでで結構です。

 次に、河野大臣、済みません、ワクチンについてお伺いしたいと思うんですけれども。

 今、国民の一番関心事は、とにかくワクチンがこのコロナを解決する一番の今の秘密兵器というか、武器なわけでありまして、今のみんなの一番の関心事は、一体いつまでに打てるのかということですよね。

 そこで、ちょっと、分かりやすく教えていただきたいんですけれども、私の理解では、ワクチンというのは四段階でいくと。まず最初は医療従事者の先行接種、これは二月十七日から始まっていますが、四百七十万人の人から始まる。それから、今月十二日から高齢者への優先接種が始まる、これは三千六百万人分。この次に起きるのは、基礎疾患のある人約一千三十万人、それから、高齢者施設の従業者約二百万人、それから、六十歳から六十四歳の人約七百五十万人。この三つの属性の人たちが次の優先順位、優先接種となり、一般の人はその後、最後になる。

 そういう理解なんですけれども、まず、それが正しいかということと、見込みでいいです、もちろんいろいろずれるので、今の段階、それぞれのこの四つのカテゴリーの人たちは一体いつまでに接種が完了するというふうに計画をしておられますか。

河野国務大臣 正確に申し上げますと、先行接種というのは、医療従事者の中で、まず手を挙げていただいた四万人、このうちの二万人に健康観察をしていただく。その次が医療従事者の優先接種でございます。それから高齢者、月曜日からスタートをさせていただきました。

 高齢者に関して申し上げると、今週、来週、四月の二十六日の週、それぞれ、様々なシステムのテストですとか、あるいは様々な接種会場で、ファイザーのワクチンの解凍、希釈、こういうものがうまくいくのかどうか、あるいは、予診その他にどれぐらいの時間がかかるかというのをテストをしていただいて、五月には毎週一千万回分ずつぐらいファイザーから入ってまいりますので、各自治体、フルスイングで打ち始めることができるようになるんだろうと思います。

 自治体の規模の中には、横浜市のような非常に大きいところから、青ケ島村のような、もう最初の一箱目で高齢者に限らず一般の方まで打っていただけるようなところがございますので、これはもう自治体によって大分差が出てくるんだろうと思っております。

 今、それぞれの自治体で、接種体制を確認し、計画を作っていただいているところでございますので、自治体の計画に、しっかりと、弾切れにならないようにワクチンの供給をしてまいりたいというふうに考えております。

今井委員 じゃ、もうちょっと端的に言います。

 一般の人まで最終的に接種が終わるのは、もちろん計画はずれますが、いつ頃までに終わりたいというふうにお考えなんですか。

河野国務大臣 これは、各自治体が接種をするというのが予防接種法のたてつけでございますから、自治体の人口というのが一番大きな要素になるのかもしれません。

 あとは、自治体がそれぞれ様々に、集団接種、個別接種、地元の医師会と相談をして今体制を組んでいただいておりますので、我々としては、そのスピードに応じてワクチンの供給をしてまいりたいと思っておりますし、少し自治体と話をして、なかなか体制が取れないところに関しては、国としてもできるだけのサポートをして、スピードアップができるようにしてまいりたいと思っております。そこはもう自治体によって様々差が出てくるものだと思っております。

今井委員 もちろん自治体にもよるんですけれども、やはり政府として、目標というか、ここまでにはワクチンを終わらせたいということを是非言ってもらいたいんですね。

 というのは、みんなやはり出口がいつなのかを知りたいんですよ。集団免疫がどの段階でできるかということも、実は今日お伺いしたかったんですけれども、そこまで聞けないんですが。やはり、みんな期限がないものは頑張れない。いつまでなら、いつまでに何とかするから、そこまで頑張ってくれと言えば頑張れますけれども、出口が見えないところで頑張れと言われても頑張れないですから。それを明確に言ってもらいたいんです。

 ずれたってしようがないですよ。あなたはそのとき、いつまでにできると言ったじゃないかよと、そんなことを言う人はいないですから。やはり目標を国民に与えてもらいたいということを申し上げておきます。

 済みません、あと二分しかないので、もう一点だけ。

 今、六月末までに約一億回分というのは確保したとおっしゃっていますが、これが一体どの段階なのかということなんですけれども、私の理解では、まず契約をします、契約をした後、製造があります、これはほとんどヨーロッパで作っていますから、製造した後にEUの承認があります、承認が下りたら搬出、こういう順番だと思うんですね。

 大臣がおっしゃっている、この一億回確保したというのは、契約を確保したのか、あるいは製造をするところまで確保したのか。EUの承認は都度都度ですからまだしていないと思うんですけれども、製造のところまで一億回確保している、こういう理解でよろしいんですか。

河野国務大臣 ファイザーとの交渉で、六月の末までに日本にそのワクチンを供給をするというところが約束されたということでございます。

 ただ、委員おっしゃったように、EUの承認を都度取らなければいけないということでございますので、EUの承認が前提になりますが、ファイザーからは一億回を供給する、そういう約束ができている、そういうことでございます。

今井委員 いろいろお伺いしたいことはありますが、時間が来ましたので終わりますけれども、本当にワクチンが生命線ですから、我々も全面的に協力させていただきますので、一日でも早い普及をお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、大西健介です。

 先ほどの今井理事の質問と私の通告も重なる分もあるので、続けて質問していきたいと思うんです。

 まず冒頭、先ほど今井委員からも、日米首脳会談で話し合われるテーマという話がありました。また、オリンピックの話がありましたけれども、四月十二日付のニューヨーク・タイムズには、このタイミングでの東京五輪の開催について、最悪のタイミングであり、一大感染イベントになる可能性があるというようなことが書かれたということでありますが、この評論記事、このままの五輪でよいのかという中には、人権を軽視する国での開催はやめるような、そういうような提言というのも書かれているそうです。

 この点に関してなんですけれども、これは新聞が書いていることですけれども、アメリカの国務省の報道官が、北京五輪のボイコットの可能性について同盟国と協議をしていきたいみたいな意向について発言をしたというような報道がありました。

 我が国は、まさに東京五輪を、百日後、目前に控えているということもありますし、また、スポーツの祭典の政治利用ということについては慎重であるべきであるという声もあります。そういう中で、こういう北京五輪のボイコットみたいなのがもし持ち出されると非常に難しいなというふうに思うんですが、ただ、難しいゆえに、基本的な方針というのは私は考えておくべきだというふうに思います。

 私個人は、もちろん、人権の問題は大切です。そういう意味では、ウイグルの問題や香港の問題、我々もアジアの民主主義国家としてしっかりと同盟国であるアメリカと協調して人権外交をしていくべきだと思いますが、事オリンピックに関して言うと、やはりスポーツの政治利用ということでは慎重であるべきだと私は考えているんですけれども、この点について官房長官にお聞きをしたいと思います。

加藤国務大臣 オリンピック・パラリンピックに関して、まさにオリンピック憲章においては政治的中立がうたわれており、オリンピックは平和の祭典として開催されるものと認識をしております。

 また、選手団の派遣については、日本オリンピック委員会、JOC、また、日本パラリンピック委員会、JPCにおいて判断されるものと承知をしているところでありますし、我が国としては、北京冬季大会が、オリンピック及びパラリンピックの理念にのっとり、平和の祭典として開催されることを期待しているところであります。

 他方で、新疆ウイグル地区に関する点について申し上げれば、重大な人権侵害が行われているとの報告も数多く出されており、我が国としても新疆ウイグル自治区の人権状況については深刻に懸念をしているところであり、先日の日米首脳会談、2プラス2を含め、日米間で様々なやり取りも行っております。

 引き続き、国際社会と緊密に連携をしながら、中国側に対して、この問題に対しては強く働きかけをしていきたいと考えております。

大西(健)委員 日米首脳会談、対中圧力の強化というのは間違いなく私はテーマになると思いますので、その中でもしかするとこの北京五輪の話も出てくるかもしれませんが、今言っていただいたように、人権外交については毅然としてしっかりやる、ただ、オリンピックのスポーツの政治利用ということに関しては私は別途考えるべきではないかと思いますので、その点はしっかり対処していただきたいというふうに思います。

 官房長官はここまでで結構です。

 次に、コロナ対策について。これも先ほどの質問を受ける形になりますけれども、先ほど尾身先生からは第四波と呼んで差し支えないという話がありました。ただ、一昨日の決算行政監視委員会でも、菅総理は、第四波に入っているのかと聞かれて、全国的には大きなうねりとまではなっていないというふうに思っておりますと答弁されています。

 先ほども西村大臣はこれは大きな流行だとおっしゃいましたし、少し前ですけれども、六日の参議院の内閣委員会では、西村大臣は、必ず波は起こる、ゼロにはできない、何度でも起こる、次の波が来ていると。次の波、それが四波か五波かはどっちでもいいです、どっちでもいいですけれども、次の波が来ているとはっきりおっしゃっていますし、大きな流行だと先ほどもおっしゃいました。

 そういう意味では、総理の全国的には大きなうねりとまではなっていないというのとも私は食い違っているように思うんですが、やはり、大前提となる現状認識について、政府の首脳から出てくるメッセージが一つになっていないということは、私は国民に対してもそれが伝わらないことの要因になると思いますので、ここは間違いなく、四波か五波か、それはどうでもいいですけれども、大きな流行、波が来ているんだということで間違いないのか、西村大臣に明確に御答弁いただきたいと思います。

西村国務大臣 総理にも毎日のように、私、報告もしておりますし、認識は全く一致をしているところであります。

 その認識を申し上げれば、全国的に見ると、ゼロとか一桁、感染が一桁の県が十幾つかある中で、全国全ての都道府県で感染がだあっと増えていって、そしてまさに、全国的かつ急速な蔓延というような状況には至っていないわけですけれども、しかしながら、関西では、大阪、兵庫では、もうこの一月から三月にかけての流行を上回る特に感染者の数が出ておりますし、病床も極めて厳しい状況になってきているということでありますので。そして、もちろん沖縄とか宮城とか、こういったところも含めて感染が非常に広がってきている。

 そういったところで感染を抑えていかなきゃいけないということで蔓延防止等重点措置を講じているわけでありまして、この点、強い危機感を持っていること、これは総理とも全く認識は一致をしているところでございます。

大西(健)委員 過去の第二波とか第三波とかでも、別に出ていない県なんてあるわけですよ。余り流行していない県なんかあるわけですから、総理がテレビ質疑の場面で大きなうねりとまではなっていないと言うと、トップがそんな危機感だったらそんなものなのかなというふうにやはりなってしまうと思いますので、四波と言おうが五波と言おうがいいんですけれども、これはもう大きな次の波が来ていると西村大臣が言っておられることを、しっかり政府としてワンボイスで発信していただきたいと思います。

 同じように、ちょっと政府から出ているメッセージで食い違いがあるんじゃないかなと思うのが、萩生田文科大臣が五日の参議院決算委員会で、変異株について、子供だからといって変異株がかかりやすいんだと今報道されていることは間違いだ、こういう答弁をされました。閣僚が本当にこの認識で大丈夫なのか。

 従来型に比べて子供が変異株に多く感染しているのは、これはもう数字上明らかなことであって、ネット上では、文科大臣がデマとか、狂っている、科学的証拠とは真逆というような批判が広がっています。

 西村大臣は、変異株は子供に感染しやすいということを認められるか認められないか、どちらなのか。これは対策の前提となることなので、明確にお答えいただきたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 昨年十二月に英国で確認された変異株、N501Yというものでありますけれども、これについて、因果関係はまだ不明であるけれども、子供が感染する傾向が高い、そうした兆候もあるとの報道があります。それから、その後、英国で行われた調査で、この変異株について、子供が大人よりも感染しやすいということはなく、どの年齢であっても感染力は同じと考えられるとの報告もあります。

 国内において、埼玉県や新潟県などで、この変異株による子供のクラスターの事例が見られているところでありますけれども、四月七日に公表されました国立感染研の報告においては、特定の年齢集団に限らず感染、伝播性を従来株より上昇させる可能性があるとされた上で、国内で小児、子供の集団感染も見られたことから、小児での感染性や病原性、小児からの感染性について引き続き注視が必要とされているところであります。

 引き続き、子供に感染が多いのか強いのか、こういったことを含めて、分析、研究を進めてもらっているところであります。

 ただ、全体として感染力、伝播性は従来より高い可能性がある、強いということで評価されていますので、これまで以上にマスク着用、手洗い、こういった感染防止策を徹底することが必要だというふうに考えております。

 引き続き、政府として、子供に対する影響も含めて、変異株に関する分析、研究を急ぎ、様々な知見、エビデンスが分かってくれば、それに応じて対策を講じていきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 変異株が感染力が強いということ、これは認められている、ただ、子供の部分についてはまだよく分からないみたいな話だったんですが、これは逆に、第一波のときは学校の一斉休校をやったけれども、後になって、あれはやらなくてよかったんじゃないかという話ですし、やることのメリットよりデメリットが大きかったという話もあります。あるいは、第三波では家庭内感染が多いとか。

 ですから、子供は今まで、従来株のときにはそんなに感染はなかったわけですから、やはり子供がうつりやすいのかどうなのかというのはどういう対策を立てるかの前提になると思いますので、これはしっかり早く、分析を急いでいただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっとワクチンに移りたいんですけれども、これも先ほどの質問とつながるところですけれども、まず、医療従事者向けのワクチン接種、これは今、全体のうち何%まで終わっているのかについて最新の数字を教えていただきたいんですけれども、お願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 各都道府県から全国知事会に報告された医療従事者数の数は約四百七十万人というふうに伺っておりますので、その程度を分母というふうに見込んでおります。

 また一方で、医療従事者等へのワクチン接種につきましては、四月の十二日時点、ここで約百六十九万回の接種が行われているところでございます。

大西(健)委員 今、百六十九万回というのは、結局、私が聞きたいのは、二回接種が終わった人は全体の何%ですか。はっきり教えてください。

大坪政府参考人 お答えします。

 今申し上げた百六十九万回接種のうち二回接種は約五十六万回でございますので、二回終わった方がこの五十六万という数字になるかというふうに考えております。

大西(健)委員 ということは、四百七十万のうち五十六万しか終わっていないということなんですかね。

 私がこの話を聞いているのは、先ほどもあったように、一昨日から高齢者のワクチン接種が始まりましたけれども、医療従事者のワクチン接種が今のような状態で全然終わっていない、そういう中で高齢者の接種を進めることについて、現場の医療従事者からは、自分たちが接種できていない状態で接種業務に就くのは不安だとの声が上がっています。

 患者と対面する医療従事者は感染リスクが高い上に、院内で広がれば患者受入れにも影響してしまうということで、感染防止の効果を考えても、安心して医療従事者がワクチン接種業務に立てるように、医療従事者の接種を優先させるべきじゃないかという意見がありますけれども、この点、河野大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 四月の高齢者の接種については、今週が各都道府県一箱、東京、神奈川、大阪は二箱ですが、来週は五箱、その次も五箱と、四月の高齢者接種の数は限定的でございますので、接種される医療従事者の数も限定されております。

 そういう意味で、今、都道府県の方で接種に携わる医療従事者の方を優先的に打っていただくような分配をして、例えば鳥取県などはもう終わっていると聞いております。

 高齢者用、医療従事者用といってワクチンを配送しておりますけれども、これは高齢者用といって出しているものを医療従事者が打っていただく分には全く問題はありませんので、そこは自治体が、接種をされる医療従事者がなるべく早く打てるように柔軟に対応していただいているところでございます。

大西(健)委員 高齢者用として配っているものであっても柔軟に、医療従事者の人たちの接種が早く終わるように、特に接種に当たる人たちが打てるように柔軟にやってもらっていいというお話でした。

 もう一つ、高齢者の接種について。先ほど今井委員から、一般についても、全部終わるのは一体いつなんだ、目標をはっきりさせるべきじゃないかという話がありました。私も目標というのは大事だと思うんですが、じゃ、百歩譲ってじゃないですけれども、一般まで含めて全部終わるものの目標は、私はそこまではなかなか難しいかなというふうに思っても、まず、今始まっている高齢者の接種、これがいつ終わるのかということなんですけれども、これについてもやはり目標をはっきりさせるべきだと私は思っています。

 これについて、官邸幹部の発言として、遅くともお盆の前には全部終わりたい、高齢者の分ですね、というのが目標だというのが幾つか報道で出ているんですけれども、このお盆の前までに高齢者の接種を終わりたいという目標は、これは一つの目標ということで間違いないんでしょうか。河野大臣にお聞きします。

河野国務大臣 先ほど今井委員にも答弁を申し上げましたけれども、これは市区町村が対応する予防接種でございます。人口の小さい自治体と人口の大きい自治体では差が出てくるわけでございます。

 今、国の方は、それぞれの自治体の接種体制の状況などを確認をし、国が何かサポートすることで体制の強化ができるものがあるのかどうか、そうしたものを確認をしているところでございます。

 実際に五月にそれなりの数のワクチンが入ってきて、フルスイングでそれぞれの自治体が打てるようになれば、自治体も、接種計画どおりにいくのか、あるいはもっと早いのか、遅いのか、その辺が見えてくると思いますので、まずそれを確認したいというふうに思っております。

大西(健)委員 私も、自治体によって差が出るのも分かるし、先ほど今井委員も言われたみたいに、目標が結果として狂ってしまうのはいいと思うんですけれども、今大臣は、フルスイングで打てるような状況になれば大体見通しが立つんじゃないかとおっしゃいましたけれども、じゃ、ある程度、これぐらいまでには終えたいねという目標をその時点になったらお示しいただけるということなんでしょうか。

河野国務大臣 自治体が、例えば基礎疾患を持っている方はどれぐらいで接種券を出すというようなことを考え始めるようになるだろうと思います。

 これは自治体の接種業務でございますから、自治体が接種体制どおりにいけるのかどうかということを確認されれば、恐らく自治体が何らかのアナウンスをされることになるんだろうと思います。

大西(健)委員 先ほど今井委員からあったように、やはり先が見えないと、人間、頑張れないので、しかも、それも段階的に、まず医療従事者についてはこれぐらいには終えたいね、次は高齢者はこれぐらいに終えたいねと一つ一つステップを踏んでいくので、やはり、ある程度目標というのは、目安というのは、私、お示しいただきたいというふうに思っています。

 次に移りたいと思います。

 先ほどもちょっと言いましたけれども、第三波以降、家庭内感染というのが増えていますけれども、この点、六十歳以上よりも重症化はしにくいけれども感染を広げやすい五十九歳以下の高齢者の同居家族などを優先接種の対象に加えることで、同じ接種のスピードでやっても感染防止効果は大きいという研究の結果が分かってきているそうです。

 試算によれば、例えば六十歳以上に九割、五十九歳以下に一割、優先接種した場合に、六十歳以上にだけ接種した場合に比べて、感染者数や重症者数を最大五〇%程度抑えることができるんじゃないかというような研究もあるそうですけれども、こういう新たな知見が得られれば、例えば、五十九歳以下の同居家族を優先接種の対象に追加するようなことが考え得るのか。先ほどの話じゃないですけれども、ある程度いろいろなことを柔軟にやっていくということも私は大切だと思うんですけれども、この点、厚労省に確認したいと思います。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 委員もう御承知のとおり、このワクチンの接種順位につきましては、医療提供体制の確保の観点から、医療従事者がまず打っていただく、そして、重症化リスクを回避するという観点から、次に高齢者の皆さんに打っていただくということで接種が進んでおるところでございます。

 委員御指摘のように、様々な知見が出つつはございますけれども、今まさにワクチンが限られている中で、高齢者の皆さんに一日も早くお届けするということがまずは重要であろうというふうに考えているところでございまして、現時点で接種順位について変更するという予定はございません。

大西(健)委員 現時点では変更のつもりはないということでした。

 次に、皇室では、上皇様御夫妻を始めとする優先対象になる皇族の方々がおられますけれども、皇族の方々は皆様どのようにワクチンの接種を受けられるのか、また、受けられたことを公表するのかどうかについて、宮内庁にお聞きしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 皇室の方々への新型コロナウイルスワクチンの御接種に関しましては、接種の順位等について、政府の方針に従い、また、皇室の方々それぞれの御意向に沿って実施できるように準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

 そして、接種された場合の公表についてのお尋ねがございました。

 今、基本的な考え方を申し上げましたけれども、それ以外のこと、あるいは具体的なことなどにつきましては現在検討中でございまして、決まっているものはございません。

大西(健)委員 初めの段階から、総理や大臣は先に打つのか打たないのかみたいな議論もありましたけれども、多くの国民の皆さんにもある意味のメッセージを与えることだと思いますし、一方で、やはり皇室と政治的な関わりというのも難しい問題だと思いますので、慎重に御検討いただきたいというふうに思っております。

 次に、ワクチンの接種が世界の中で圧倒的に遅い最大の要因というのは、やはり海外に依存してしまっているからだと思いますけれども、裏を返せば、国産ワクチンの開発が遅れたことが原因だと思います。

 この点、気になる記事をちょっと見つけたんですけれども、配付資料の方を見ていただきたいんです。

 二〇一八年に、実は、今回使われているRNAワクチンが国内でも治験直前まで行っていた、ところが、国の予算の打切りで頓挫したということが書かれています。国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所でワクチンの研究を統括していた、現在、東大医学研究所の石井健教授は、当時、治験に進みたいと何度も訴えたが、予算を出してもらえなかったと証言しています。

 これが事実とすれば、悔やんでも悔やみ切れないと思いますが、厚労省にこの事実関係を確認したいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の研究につきましては、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所において、国から独立行政法人に交付する運営費交付金を活用して実施していたものでございます。

 当該研究につきましては、平成三十一年度におきまして臨床試験の実施を検討したものの、MERSウイルス患者数が少なく治験が困難であったことから、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所におきまして、希少疾患の創薬や新薬創出を加速する人工知能の開発、あるいは新型インフルエンザに関する研究、またジカ熱の研究など、他の研究を優先して実施したものと聞いております。

大西(健)委員 この記事の中には、MERSの感染者は日本にはいなかったこともあり、国側からは研究費は企業に出してもらってと告げられたとありますけれども、本当に今回のことを教訓に、やはり国内でのワクチン開発について、新たな感染症とか、また起こる可能性があるわけですから、しっかり力を入れていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきたので、少し飛ばして、次に、この配付資料、同じ資料の裏面を見ていただきたいんですけれども、東京都では十二日から、二十三区と六つの市を対象に蔓延防止等重点措置の運用が始まりました。ところが、これはいろいろな報道でも言われていますが、例えば、この上の図、三鷹駅は、北口は武蔵野市なので時短要請の対象となるけれども、南口は三鷹市なので対象にはならない、こういう分断が生じている。また、下の図は、世田谷区は二十三区ですから対象、調布市も対象になっているけれども、間に挟まれた狛江市は対象になっていないということです。

 例えば、この三鷹ですけれども、当然、北口と南口で違っちゃうわけですから不公平だという声もありますし、時短の時間になると客がどっと流れてくるというようなことが起きている。そうすると、逆に客が集中してクラスターが発生してしまったら、せっかく今まで感染防止の努力をしてきたのに水の泡になってしまうというような、逆に不安の声も上がっている。

 当然、何らかの線引きをすればこういうことは起こるんですが、例えば私の愛知だったら、名古屋市とそれ以外というような形でやるのは向いていると思うんですけれども、やはり東京のようなところでは、こういうことをやるとどうしても分断とか混乱が生じてしまうと思うんですけれども、西村大臣、この点についていかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 御指摘のように、全国どこでやっても、名古屋市の場合は、名古屋市でやれば、名古屋市とその境目で、繁華街が隣接しているかどうか分かりませんけれども、もしあれば同じようなことが起こるわけでありまして、どこかで線は引いていかなきゃいけないということからすると、どこでもこういうことは生じ得るということでありますが、どの地域を蔓延防止等重点措置の対象とするかどうかは都道府県知事の判断で行われますので、これは感染状況あるいは繁華街の状況などを踏まえて判断をされたものと思います。

 ちなみに、武蔵野市と三鷹の例でいえば、三鷹の南口も少し繁華街があると聞いておりますけれども、例えばそこの何丁目とかもプラスすることも、やろうと思えばできるわけであります。

 いずれにしても、東京都、そして東京都知事にこうした措置の裁量、責任がありますので、説明責任は知事にしっかり果たしていただきたいと思いますが、私どもとしても、知事が適切に判断できるようにサポートはしていきたいというふうに考えているところであります。

大西(健)委員 確かに、蔓延防止等重点措置じゃありませんけれども、愛知でも、独自の取組をしたときに、例えば名古屋市でも、栄地区の何丁目とか、細かくやった例がありますので、それは本当に現場を一番よく知っている自治体にしっかりやっていただかなきゃいけないんだと思います。

 もう一つ。時短要請を行っていても、閉店時刻を過ぎると路上や公園で缶酎ハイを手に談笑するようなグループがたくさん見られる。野外での飲酒というのは、事実上、野放し状態になっている。

 私は二十年以上前にちょっとワシントンの日本大使館に勤務したこともありますが、最初の頃、よく知らなくて、よく外でこういう茶色い紙袋に瓶を隠して飲んでいる人がいて。これはアメリカでは野外でお酒を飲むことは法律で禁じられているので隠れて飲んでいる人がいるということなんですけれども、日本は、古来、お花見のようなことを楽しむ文化というのがあるわけですけれども、今、このコロナ対策の中で、公園とか路上での飲酒、これをどう対応していくのかということについて西村大臣にお聞きしたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 屋外は比較的屋内よりもリスクは低いというふうに考えられますが、しかしながら、屋外でのバーベキューとか、あるいは最近、御指摘のあったような、路上飲みと言われるような、道路で座って飲んでいる、こういうようなケースでも感染が広がったりクラスターも出ておりますので、やはり、マスクを外して近い距離で会話をする、これはリスクはあるということですので、改めてこうしたことの周知も、私も機会あるごとに申し上げていますけれども、国民の皆さんにも御理解いただけるように発信をしていきたいと考えております。

 その上で、特にこの時期は、お花見のお話が今ありましたけれども、歓送迎会もありますし、様々そういう機会があると思いますけれども、いろいろな情報も私どもにも寄せられます。代々木公園で何人かで飲んでいるとかですね。これは恐らく東京都にも寄せられているんだと思いますし、それぞれの都道府県と連携しながら、こうした、屋外であってもリスクがあるということを、クラスターが発生しているということを改めて徹底して情報発信をしていきたいと思いますし、併せて呼びかけなども行っていければというふうに考えております。

大西(健)委員 情報発信だけで防ぐことができるかどうかはちょっと私は疑問だと思います。

 時間がないので最後にしますが、政府は、東京オリパラの警備要員として全国から集まった警察官の宿舎として利用される予定だったプレハブの建物を、昨年、五輪が延期になったということで、三十七億円かけて軽症者向けの滞在施設に改修したということです。ところが、これは一度も使われないまま、また今度、オリンピックまで百日になりましたから、約十一億円かけて元の宿舎に戻す改修工事を今月一日から始めているそうです。かかった費用は計四十八億円。

 結果ですけれども、一回も使われない、この工事のために四十八億かけたということで、こんな無駄遣いをするぐらいだったら医療従事者だとかの慰労金として支給した方がいいんじゃないかと思いますけれども、このことについて小此木国家公安委員長はどう思われるか、御答弁いただきたいと思います。

小此木国務大臣 改修後の施設ですけれども、東京都において必要があると判断した場合に無症状者等に滞在していただくことにされていたが、結果として使用には至らなかったというものが現在であると承知しています。

 この度の宿泊施設の改修は、昨年四月、新型コロナウイルス感染症の患者が都市部を中心に急増している中、更なる感染拡大による病床の逼迫に備えるため、政府を挙げた緊急対策の一環として行われたものと、私、承知しております。

大西(健)委員 終わりますけれども、無駄遣いだと思いませんか。こんな、四十八億もお金があるんだったら、本当に私はコロナ対策に充ててもらいたいというふうに思います。

 時間になりましたので、終わりたいと思います。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、都心の米軍ヘリの低空飛行問題について質問をいたします。

 この間、毎日新聞なども報道しておりますけれども、新宿を始めとした都心のビル群の間を縫って飛ぶような米軍ヘリについての動画なども紹介をされております。非常に航空法にも違反するような低空飛行訓練ではないのかといった、米軍ヘリの飛行問題が問われているときであります。

 この間、衆議院の予算委員会でもこの事実関係の確認というのを政府に求めたところですけれども、この毎日新聞が報道した都心の米軍ヘリの低空飛行について米軍に確認したかどうか、その点をまず官房長官にお尋ねをいたします。

加藤国務大臣 米軍の飛行に関しては、在日米軍のハイレベルを含め様々なやり取りが行われてきており、これまで、米側からは、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていないこと、報道されている飛行から時間がたっていることもあり、詳細な事実関係の確認は容易ではないこと、飛行に当たっての安全確保は最優先事項であり、米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われていること、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて通知したこと等の説明を受けているところであります。

 飛行訓練を含め、米軍の運用に際しては安全性が最大限確保されることは極めて重要であり、政府としては、米国に対し、例えば三月十六日の日米2プラス2の機会などを通じ、あらゆるレベルで累次にわたり申入れを行ってきているところであります。

塩川委員 詳細な事実関係の確認は容易ではないということで、個々の事実関係については明らかにしておりません。

 毎日新聞によると、都心の上空で目撃されている低空飛行の事例というのが、米海軍ヘリのシーホークですとか、米陸軍のヘリでありますブラックホークとか、この低空飛行が目撃されているということでありました。

 そこで、防衛省にお尋ねいたします。

 資料を配付をさせていただきました。一枚目に、北関東防衛局が取りまとめた、米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というのがあります。見ていただきますと、左の方から、苦情の申出者の方、新宿、調布、目黒の方が、平成二十九年の四月の十九日ですとかについてヘリの苦情を訴えるということについて、これは米軍かどうなのかということをただすということで聞いているわけです。一番右側に備考欄がありますが、ここでは、北関東防衛局、防衛省の方から米軍に問合せをして、米軍が飛行を認めると回答した話であります。

 つまり、こういった米軍機、米軍ヘリの飛行があるということを米軍側自身が認めている、防衛省がその点を確認をしているという資料があるわけであります。

 この点について、このように米軍自身がヘリの飛行を認めているということでよろしいですね。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねにつきましては、平成二十九年、二〇一七年当時、米軍に照会をいたしまして、いずれも米軍機の飛行であるという回答を得ております。

 米軍は、個々の飛行の内容は、運用に関する事項としてその詳細は明らかにしておりませんが、米軍機の運用に際して、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することは当然の前提であり、防衛省としては、引き続き、米側に対して安全面に最大限の配慮を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限になるよう、日米で連携して対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 ここにありますように、四月十九日に苦情を受け付けて、二十一日には米軍が回答しているんです。こういうように、しっかり問合せをすれば、米軍側がその認否について明らかにするということは可能なわけですよね。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 このような情報が自治体等から寄せられた場合には、まず、自衛隊のものであるか、そういったものを確認した上で、自衛隊に該当するものがないということであれば、米軍に照会をして確認をしているところでございます。

塩川委員 ですから、米軍にも照会をして事実関係についての確認をすることはできるわけでありまして、そういう点でも、時間がかかるからという話では通らない。まさに個々の事実関係については、当然、フライトプランなどは米軍であれ国土交通省に提出しているわけですから、飛行記録そのものは残っているわけであります。こういった事実関係を明らかにすべきだということを申し上げ、こういった苦情受付状況表を見ても、米軍ヘリが頻繁に首都上空を飛行しているという実態は、米側も認め、防衛省も承知をしているということであります。

 それから次に、資料の二枚目、三枚目、四枚目ですけれども、この資料は、二〇一三年四月二十一日に米軍横田基地が主催をした関東航空機空中衝突防止会議の資料ということでよろしいでしょうか。その点、確認します。

町田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の資料は、平成二十五年四月二十一日に在日米軍横田基地で開催された関東航空機空中衝突防止会議で配付された米軍資料の一部であると承知いたしております。

塩川委員 この関東航空機空中衝突防止会議というのはどのような会議なのか、このような会議を行う理由は何かについて御説明ください。

町田政府参考人 お答えいたします。

 関東航空機空中衝突防止会議は、横田飛行場に所在する米軍の第三七四空輸航空団が、航空機の空中衝突防止対策について、日本の民間機パイロット等と対話する機会を設けるなどの趣旨で開催しているものと承知しております。

塩川委員 米軍の部隊が日本の民間機のパイロットと対話する機会を設けるとして開催をしていると。航空機の空中衝突防止対策についてということなんですけれども、何でこんなことをやるんでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 航空機の飛行に際しましては、それぞれ、計器飛行、それから有視界飛行ということで、自衛隊、米軍の航空機、それから民間の航空機も飛行しているわけでございまして、特にこの空域での衝突を防止するための趣旨、そのように承知しております。

塩川委員 ですから、航空機の衝突というのは、航空機自身にも重大な被害をもたらしますし、当然、首都圏の上空ということでいえば、地上にいる我々にとっても被害を被るような重大な事故になりかねない話ですけれども、そういった会議を米軍が主催しているというのは何でなんですかね。

町田政府参考人 お答えいたします。

 米軍といたしましても、航空交通の安全ということにつきまして、きちんと対策を講じている、その趣旨であると認識しております。

塩川委員 それは、日本の国交省、航空管制ではなくて、米軍がやっているというのはどういう意味なんですか。

町田政府参考人 米軍が行っているということの趣旨につきましては、米軍としてもこの空域で航空機を運用している、その観点からこういった会議をしている、そのように承知しております。

塩川委員 つまり、この首都上空で米軍が航空機の運用をしているということ、そのときに、米軍が飛ぶから民間の航空機は気をつけてね、そういう趣旨で民間機のパイロットなどにそのことを周知をする、そういう場として、空中衝突防止会議というのがあると。その点でいえば、まさに米軍機の訓練飛行が首都圏の空を危険な状態にしているということを米軍自身が認めているということですよね。

町田政府参考人 先ほど申し上げましたように、米軍としても、横田飛行場から米軍機の運用を行っている、この空域で飛行していることから、それぞれの安全の対策について、日本の民間のパイロットとのそのような交換の場を持っておく、そういうことと承知しております。

塩川委員 米軍機が飛行するということで、空中衝突の危険性があるから民間のパイロットなどに周知を図るというのがこの会議の目的だということになります。

 じゃ、どういうところを米軍機が飛んでいるか。

 この資料の四枚目の方を先に見ていただこうと思うんですが、これが空中衝突防止会議の中にもある首都圏の地図です。上に書いてありますように、横田エアベースVFRトレーニングエリアということですから、横田基地の有視界飛行の訓練区域の地図です。太い実線がC130のフォーメーションですから、編隊飛行訓練、こういうルートがある。UH1のフォーメーション、UH1ヘリの編隊飛行訓練がこの破線の部分になり、あと、セスナ機のトレーニングエリアというのが点線という形で行われています。

 首都上空でこのように米軍機が訓練を繰り返している。これは余りにもおかしいんじゃないですか。人口稠密地域で、こういったところで米軍機が訓練を繰り返している、こういうことを政府として容認するのか。防衛省、どうですか。

町田政府参考人 今のお示しいただきました資料につきまして、自衛隊は本件会議に参加者として参加しておりまして、米軍作成の資料には関わっていませんことから、米軍資料について説明ある責任を行うことはできませんが、繰り返しますけれども、この区域についての航空機それぞれの安全についての認識を日本の民間パイロットと共有するということで、飛行の安全に資するために行っている会議、そのように認識しております。

塩川委員 自衛隊も参加しているんですから、その意図するところというのは当然聞いていると思うんですけれども。

 首都上空で、こういう米軍機の、訓練飛行ですよ、訓練飛行をやっているということでいいのか。その点について。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、米軍機の飛行訓練は、パイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、在日米軍が日米安保条約上の義務である我が国の防衛を全うする観点から重要なものですが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を行って活動することが当然の前提です。

 日米間におきましてもこうした認識の共有を図っており、先月三月十六日に実施した岸防衛大臣と米国のオースティン国防長官との会談におきましても、在日米軍の安定的な駐留と日々の活動には、地域社会の理解と協力が不可欠であること、また、米軍の安全かつ環境に配慮した運用の確保が重要であることについて確認したところです。

 防衛省といたしましては、引き続き、関係自治体、関係省庁と、また米側と緊密に連携し、皆様の御不安を払拭すべく、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 自衛隊機の訓練空域というのは、首都上空にあるんですか。

町田政府参考人 関東空域ということで申し上げます。

 場所は、神奈川県から静岡県、そして埼玉県、群馬県、長野県、そして新潟県にかかりますところで、自衛隊の高高度の訓練・試験空域のH空域というもの、それから、自衛隊の低高度の訓練・試験空域でエリア3と申しますもの、そしてもう一つは、自衛隊の低高度の訓練・試験空域でエリア4という、この三つがございます。

塩川委員 エリアHとかエリア3とか、これは群馬上空なんですよ。そこも実際には自衛隊機は飛ばずに、米軍機が訓練しているんですよね。

 首都の真上で自衛隊機の訓練なんかしていないんですよ。それなのに、米軍にはこういう形で行わせているということで、資料の三枚目、見ていただきますと、UH1のトレーニングエリアというのが出てきます。破線のところ、片仮名のコをひっくり返したような図になっていますけれども、ここのところが横田基地所属のUH1のヘリの訓練空域になっているということは、そういうことでよろしいですね。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が、飛行訓練の目的の達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるということは承知しております。

 東京都の上空に米軍訓練のために我が国から提供されている空域はございません。

塩川委員 こういう形で訓練空域があるというのは、自衛隊も、この会議に参加をして承知をしているということでいいですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍の運用の詳細については承知しておりませんが、繰り返しになりますけれども、東京都の上空に米軍訓練のために我が国から提供されている空域はございません。

塩川委員 いや、我が国から提供はしていないけれども、米軍が勝手につくっている、このエリアというのは何かというのは、分かりますか。

青木政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、米軍の運用の詳細については承知しておりませんが、米軍が、飛行訓練の目的達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるということは承知をしております。

塩川委員 そもそも、日本政府が何の関与もしないで米軍が勝手にやっていること自身が極めて重大な主権侵害じゃないですか。こういった点について、訓練空域を設定しているんですよ、訓練空域を勝手に設定していること、それでいいのかというのがまさに問われているので。

 官房長官、こういうように、米軍ヘリの訓練空域をいわば米軍が好き勝手に設定している、こういう状況はおかしいと思いませんか。

加藤国務大臣 先ほど防衛省からも答弁させていただいたように、米軍機の飛行訓練は、パイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のため極めて重要という認識でありますが、訓練の際には、公共の安全に妥当な注意を払い、安全性が最大限確保されるべきことは当然のことであります。

 訓練の実施による地域の方々の生活環境等への影響を最小限にするという観点から、政府においても、関係機関が緊密に連携して様々な取組も進めているところでありますが、そうした対応も重要だというふうに考えております。

塩川委員 お答えになっていません。

 こういったように、横田基地のUH1の米軍ヘリの訓練空域というのを現にこういう形で示し、自衛隊も参加している会議でそれを追認しているというか何も文句を言わないという状況になっているときに、首都上空に米軍ヘリの訓練空域が設定されている。これが、米軍の横田基地の所属の訓練空域ですけれども、実際には、米陸軍のヘリ、ブラックホークですとか、米海軍ヘリ、シーホークも、この訓練空域を念頭に使用しているということになるんじゃないですか。それが首都上空での米軍機の低空飛行の大本にあるんじゃないのか。この点についてお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が、飛行訓練の目的達成と飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性、これを安定的に満たす必要がございますので、そういった観点から、一定の飛行経路、これを念頭に置いて飛行するということがあるということは防衛省としても承知をしております。

 繰り返しになって恐縮でございますが、この米軍機の飛行訓練、これは、パイロットの技能の維持等の観点から必要不可欠な要素でございますので、日米安保条約の条約上の義務である我が国の防衛を全うするという観点から、これは重要なものであるというふうに認識しております。

 といたしましても、我が国の公共の安全に妥当な考慮で活動するということは当然の前提でございますので、そういったことも踏まえまして、関係自治体、関係省庁、米軍と調整を図っていきたい、そういった形で皆様の御不安を払拭するよう、しっかりと防衛省としても対応してまいりたいと思っております。

塩川委員 スカイツリーの周りをぐるぐるぐるぐる遊覧飛行のような飛行をするなんて、そんなの認められるわけないわけで、こういった米軍機の低空飛行の訓練、きっぱりとやめさせるべきですし、こういった訓練空域の設定そのものを撤回させる、こういうことをしっかりと言うべきだ、このことを申し上げて、終わります。

木原委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 井上大臣とは昨日も議論をさせていただきました。今日もよろしくお願いします。

 本日は、冒頭に司法修習生の谷間世代への対応について、そしてその後は、我が国の健康・医療戦略で重要な問題を取り上げたいと思います。

 早速始めさせていただきます。

 まず、司法修習生のいわゆる谷間世代の問題についてお伺いします。

 前提としてお伺いしますが、司法修習生は、戦後間もなくから二〇一一年七月採用の旧六十五期までずっと給費制だったのですが、同じ年の十一月採用の新六十五期からは、貸与制として給費がゼロとなり、希望者に貸与する制度に改まりました。その僅か六年後の七十一期以降は実質給費制が復活しました。

 私は、司法修習は、三権の一翼である司法の担い手、すなわち国民の権利の守護者を養成する制度であって、国が基本的な社会インフラとして責任を持って整備しなければならないと考えております。しかし、政府としてはそういった考えではなかったために、平成十六年、小泉政権の下で、給費制の廃止、貸与制へといった改悪がなされたわけであります。

 その後、七十一期以降は実質給費制が復活したということで、この間の変化は、政府の法曹養成に対する考えが変わった、あるいは旧六十五期以前のものに戻ったということでしょうか。

田所副大臣 お答えいたします。

 給費制から給付制に至るまでの説明をちょっと簡単にさせていただきたいと思います。

 給費制から貸与制への移行は平成十六年の裁判所法改正によるものであって、貸与制は、平成二十三年十一月に修習を開始した新六十五期の司法修習生から、平成二十八年十一月に修習を開始した第七十期の司法修習生まで実施されたものであります。現在の修習給付金制は、平成二十九年度以降に修習を開始した司法修習生から実施されております。

 この貸与制への移行につきましては、司法試験合格者数の年間三千人目標ということが前提としてありまして、その増加に実効的に対応する必要があったこと、さらには、司法制度改革の諸施策を進める上で、限りある財政資金をより効率的に活用し、司法制度全体に関して国民の理解が得られる合理的な財政負担を図る必要があったこと、さらには、公務員ではなく、公務に従事しない者に国が給与を支給するのは異例だというような批判もあった、そういう中で、給費制を維持することについて国民の理解を得ることはなかなか難しいということで考えていたわけでございます。

 もっとも、平成二十八年六月の骨太の方針の中では、法曹志願者が大幅に減少していることが心配されまして、司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実強化の推進が喫緊の課題となった、そういう事情変更があったわけでございます。

 そういう中で、委員を始めとする支援強化の件もありまして、そういう中にあって司法給付金を創設したわけでありまして、貸与制についても、貸与額を見直して併存するということにしたものでございます。

吉田(統)委員 全然質問したことに答えていませんよ。

 先日の問取りの方もひどかったんだけれども、とうとうと自説を述べて、私が趣旨としてわざわざ細かく説明しているのに、全然それをちゃんと答えず、自分の説をとうとうと言い返して、それはレクじゃない、問取りじゃないですよねという話で、かなり苦言をそのときも呈しています。

 今副大臣がおっしゃったことは、既に私は知っていますし、これは多くの方が知っている話です。ちゃんと質問を聞いて答えてください。質問で聞いていることに答えてください。今、全く答えていません。これじゃ成り立たないです、議論が。答弁書をただ単に読むだけだったら意味がないじゃないですか、この質疑の。

 だから、考え方が戻ったのかということを聞いているんです。もう少しちゃんと話を聞いて答えてください。余計なバックグラウンドとかそういうのは要りませんから、聞いていることに答えてください。いいですか。

 一人平均すると三百万円の借金を、新六十五期から七十期までの司法修習を受けた方はそのキャリアの最初から背負っているということになりますね、副大臣。聞いてくださいよ。この貸与金の返済条件は、修習終了後六年目から毎年七月に約三十万円を十年間返済するということになっていますね。これは、先ほど申し上げた国民の権利の守護者という重責を担う方にとって、極めて重い負担だと思います。

 先日、新六十五期の方が、返済のために、三十万を捻出するために、単純計算で三十分五千円の無料相談を三十時間やらなきゃいけないと。そうなりますよね。経費を考えるとそれ以上稼がないといけない、だから無料相談や困窮している方の事件はやりたくてもなかなか手が出せないと。今、副大臣、御存じだと思いますが、国選弁護、これはもう奪い合いです。昔ほどやりたい方が少ない状況じゃなくて、今はもうないですよ、みんな取り合っちゃって。こういった状況で、やはり三十万の返済があるのは大変なんです。

 このような負担が政府の作為によってなされたわけですよね、この間。事情はるるおっしゃっていただきました。三千という目標。また、減っちゃった、法曹志望者が。しかし、結果として、新六十五期から七十期とそれ以外の方に不公平が生じているという現実があるわけです。これはやはり不当だと考えますが、副大臣、そこはどうお考えになりますか。

田所副大臣 お答えをいたします。

 谷間世代が生じて不公平だろうということでありますけれども、確かに新六十五期から第七十期までの司法修習生については、旧六十五期までの給費制下の司法修習生や修習給付金制度の対象となる第七十一期以降の修習生とは、これは内容が違っているということは認識をしているわけであります。

 ただ、いずれの制度も、司法修習生が修習期間中の生活の基盤を確保して修習に専念できるように、修習の実効性を確保するための方策として採用されていますので、その状況下においては合理的なものであったというふうに判断しているわけであります。

 結果として時期によって経済的支援制度の内容が異なるからといって、それが不合理又は不公平な差異であるというふうには考えていないのであります。

吉田(統)委員 不公平ではないということなんですね。不公平ではないと政府はお考えとはっきりおっしゃった。分かりました。

 二〇一九年の五月三十日の名古屋高裁の判決では、他の世代の司法修習生に比し、不公平感を抱くのは当然のことであると思料すると言っていますよ。例えば谷間世代の者に対しても一律の何かの給付をするなどの事後的救済措置を行うことは、立法政策として十分に考慮に値するとしていますよ。としながら、その判断は、平先生もおっしゃいましたけれども、立法府に委ねざるを得ませんと。まあ、議員立法じゃなくても別にいいですけれども。それは、もちろん、立法府に委ねると言っていますから、議員立法だけじゃないです。という理由を述べていますよ、司法の場でも。

 私は、もちろん衆議院議員としてこの不公平是正に取り組むべきだと考えているからこの場でこの質問をしておりますが、政府としてこれに全く取り組むつもりはないんですか。

田所副大臣 ただいま、立法府としての、どのようなこともできるんじゃないか、事後的な救済もできるだろうというようなことがあったということでございます。

 この裁判の中では、給費制を復活させなかった立法不作為が違憲、違法であるとの主張も排斥しているわけでありまして、その中で、もちろん、今言われたように、憲法上保障された制度ではなくて、給費を受ける権利がそう解することはできないということでございまして、国賠法上の違法性を帯びることはない、こう言ったわけであります。

 それで、付言として、確かに今言われたようなことが言われているわけであります。谷間世代の者に対しても一律に何らかの給付をするなどの事後的救済策を行うことは、立法政策として十分考慮に値するのではないかと感じられると。全く委員言われるとおりでございます。ただ、その後で、そのためには、相当の財政的負担が必要となり、これに対する国民的理解も得なければならないところであるから、その判断は立法府に委ねざるを得ないとも言っているわけでありまして、法務省ではそのように受け止めているところであります。

吉田(統)委員 しっかりと今後も立法府としても議論をしていきたい。

 ただ、もう一言だけさせていただきますが、弁護士会は、そもそも、副大臣は当然お詳しいんですが、例えば、このコロナ禍で困っている国民の権利を守るために、様々な無料相談だとかプロボノ活動とかいった無償の活動をしていますよね。そして、今後、その中心になっていくのが若くて活力のある谷間世代の弁護士なんだと思います。しかし、この谷間世代が返済のために十分な活動ができないというのは国民全体の不利益になるわけです。副大臣、よく聞いてくださいね。横の方、いいですけれども、副大臣は話を聞かなきゃいけないですから。

 国民にとって有為な法曹人材を確保するということであれば、やはりこの谷間世代への経済的な手当ては必要だと思いますよ。このコロナ禍でも、やはり弁護士会の活動は大事ですよね、副大臣。そこをどう考えます。これから、今、現状、先ほどのところは前提として置いていただいて、法曹人材が活躍できなくなる、こういったハンディキャップを負うわけですよ。そこに関してはどう思われますか。

田所副大臣 従前の貸与制下で司法修習を終えたいわゆる谷間世代については、その者に対して国による相当の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することとなるわけですが、これに対する国民的理解を得ることが非常に難しい。さらには、何らかの救済策を講じたとしても、従前の貸与制下において貸与を受けていない者もおりまして、それらの者を含めた制度設計上の困難な課題もあります。

 他方、貸与制下の司法修習生が経済的な事情により法曹として活動に支障を来すことがないようにするための措置、貸与金の返済期間の猶予も制度上認められております。

 これは、最高裁判所が、災害、傷病その他やむを得ない理由により返済が困難となった場合や返済が経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由がある場合には、貸与を受けた者が個別に最高裁判所に対して貸与金の返還期間の猶予を申請することができますし、これは裁判所において適切に判断されるんだろうと思っております。

 以上から、谷間世代の修習生に対して立法措置による抜本的な救済策を事後的に講ずることはなかなか困難であるというふうに考えているわけであります。

吉田(統)委員 ただ、副大臣、国民的な理解を得られないと繰り返し何回か述べられましたが、そこをちゃんと説明しているんですかね。だって、無料相談とか、こういったコロナ禍で、本当に、お金は払えないけれども弁護士さんに相談したい人の相談に乗ってもらうために、弁護士の皆さんにこういった形で資金援助、しかも、こういった不公平な状況があったから、資金援助することによって国民の皆さんに無料で優秀な弁護士さんたちを使っていただきたいからこういう立法をすると言ったら、国民は納得すると思いますけれどもね。そういう努力をされた形跡が私には見られないですよ。国民的理解が求められないと勝手に思い込んでいるだけじゃないですか。ちゃんとこういった御説明をなされるといいと思いますが、今度、是非なさってください。またこの質問をやりますから。

 副大臣は多分だまされているんだと思います。勝手に役所の皆さんが国民的理解を得られないですよと言っているんだと思いますよ。副大臣がそうは思っていらっしゃらないと僕は信じていますよ。

 私、今度、法務省の方に聞きますけれども、じゃ、どうやってあなたたちは国民的理解を得ようとしたのと今度聞きますね。多分何もやっていないと思いますよ。

 そこはちょっと、副大臣がそんなことを繰り返し述べられちゃうと、副大臣の、ちょっと言い方は悪いですけれども、人気が下がっちゃうといけないので、本当にすばらしい副大臣だから、しっかりと……(発言する者あり)うるさいです。静かにしてください。しっかりやっていただきたい。期待もしますので、一度御検討ください。

 じゃ、次の質問に入らせていただきます。

 ここからは、我が国の健康・医療戦略、科学技術研究開発、障害者対策、難病対策、医療保険、さらには現在の新型コロナ感染症対策にもつながる大変重要かつ広範な問題に関して質問をしてまいります。今回だけでちょっと終われない可能性があるので、次回にもまたいでということになりますが、本日は健康・医療戦略を担当する井上大臣にお聞きしていきたいと思います。

 まず冒頭、少し長くなりますが、しっかりと説明してまいりますので、大臣、よくお話を聞いていただきたい。

 法務省、どうぞ、結構です。副大臣、ありがとうございました。法務省の皆さんも本当にありがとうございました。また議論させてください。

 本日の議論の前提となる、日本の置かれた状況を説明していきます。

 新型コロナウイルス感染症の終息に向けた切り札として、ワクチンへの期待は大変大きいものがあります。今回日本で供給が予定されている三つのワクチンのうち、ファイザーとモデルナのワクチンはメッセンジャーRNAワクチン、アストラゼネカのワクチンはウイルスベクターワクチンで、いずれも遺伝子工学技術を駆使した遺伝子ワクチンです。これらのワクチンの開発において日本が欧米や中国の後塵を拝していることに、その理由を問う声が多いのは大臣御承知のとおりだと思います。

 研究費の額にその答えを求める向きもあります。先ほど大西先生が配っていただいた資料の中でも、三年前に実は、今回に備えた研究開発、そういったものが提案されていた、感染研でしたですかね、しかし、それを政府が予算をつけなかった、そういった話も大西委員から御紹介がありました。

 そういった研究額にその答えを求める向きも当然ありますが、この分野における基礎研究や基盤技術の開発において、先頭グループから大きく後れを取っていることが最大の理由です。

 大臣、最近の先端医療技術のほとんどは、アカデミアに所属する研究者がスピンアウトしてベンチャー企業を立ち上げて、有望な結果が得られると大企業がベンチャー企業をMアンドAするパターンが多いんです。多分、平理事とかお詳しいですよね、その辺。

 メッセンジャーRNAワクチンも、ハンガリー出身の研究者であるカタリン・カリコ氏が四十年研究されて、その研究結果を基に、ドイツのベンチャー企業である、もうお名前は御存じだと思いますが、ビオンテックの設立に参画しています。そこで完成したワクチン製造技術をファイザーとモデルナに提供したということになります。

 二〇〇〇年以降に発表されたメッセンジャーRNAワクチンに関する論文は約百六十編ありました。国別で見るとアメリカが群を抜いております。中国、ドイツが続き、日本は、ちょっと私が調べた限りでは僅か一編のみで、これはバングラデシュ、トルコ、チリ、ブラジルと同じレベルです。

 この状況を大臣はどう思われますか。

井上国務大臣 そういう意味では、我が国における遺伝子治療分野について、諸外国に後れを取っているというお話でありました。我が国もしっかり、他国に負けないようにこれから取り組んでいかなければいけないと認識をしております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 大臣、そのとおりです。先ほど大西議員の紹介の、三年前のあの事例もしっかりと反省材料にしてやっていかないといけません。もう既に今こんな状態です。

 じゃ、次に行きますが、アストラゼネカのワクチンもチンパンジー由来のアデノウイルスベクターのワクチンですね。これは、実は遺伝子治療にほかなりません、はっきり申し上げて。大臣、遺伝子治療は過去もう三十年ぐらい、実は、最新の技術といっても、歴史があるんです。がんや遺伝性難病の治療薬として注目されています。

 世界の遺伝子治療に関する臨床研究の登録数も、私がアカデミアの先生からの御助言もいただいて調べさせていただくと、アメリカが二千件を超えて圧倒的に多いですね。フランス、イギリス、中国が今続いております。フランスは伝統的にこの分野が得意です。日本は五十件程度です。これは韓国や台湾にも後れを取っています。

 まず、この分野における日本の立ち位置を自覚する必要があると思いますが、大臣はどのようにお考えになりますか。

井上国務大臣 委員おっしゃるとおり、我が国がその分野についてもやはり力を入れて、諸外国と伍するように、ひいては国民の命と健康を守るために取り組んでいかなければいけないと認識をしております。

吉田(統)委員 大臣、もう一言、では、これはしっかりと司令塔として予算を獲得する、そういった思いでしっかり頑張るとお約束をこの場でいただけますか。

井上国務大臣 そうですね。私は、健康・医療戦略担当大臣として、いわば政府の中で各省庁を取りまとめる、そういった役割を果たしておりますから、その役割において、しっかり、予算確保を含め、取り組んでまいりたいと思います。

吉田(統)委員 大臣、本当に期待しておりますので、是非頑張ってください。本当に期待していますので。今、本当にまずい状況です。

 現在、折よく、超党派の議員連盟で、仮称、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案の制定に向けて検討を進めているところです。冨岡先生、非常に頑張っていただいて、期待をしております。

 二〇一二年にヨーロッパで最初に薬事承認されたのを皮切りに、遺伝性疾患やがんを対象に遺伝子治療製剤の上市が続いております。

 日本では、二〇一九年五月に、ノバルティス社の白血病治療薬であるCAR―T製剤、キムリアが三千三百四十九万三千四百七円の薬価で薬事承認されました。ノバルティス社はキムリアの製造技術のパテント取得に一千億円の特許料を支払ったと言われています。高額な薬剤の保険収載に、保険財政への負担が議論されましたね、大臣。しかし、厚生労働省からは、適応となる患者数は二百五十症例程度で、保険財政への影響は限定的であるという見解が出されました。これは間違いないですね。

 キムリアの薬価は原価計算方式で算定されています。企業からは製品総原価に含まれる原材料費や研究開発費の情報公開が不十分であったことから、補正加算は一千万円以上減額されていると記憶しております。ノバルティス社の情報公開が不十分であったので、中医協は、まるでブラックボックスだという批判が噴出いたしましたが、この点、大臣はどのようにお考えになりますか。

横幕政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ありましたとおり、キムリアの薬価算定に当たりまして、仕組み上、原価の内訳を企業から開示されるよう、原価計算方式においては製薬企業に対して働きかけを行っているところでございます。

 その中で、キムリアのように海外で製造される製品につきまして、内訳に関する情報が乏しい場合がございます。こういったことにつきまして、薬価算定の過程におきまして、私ども、輸入される際の価格が日本以外の国が輸入する際の価格と比較して大きな差異がないことなどを確認し、適切に薬価が算定できるように努めているところでございまして、中医協でもこの旨を説明して御理解をいただいているというふうに認識をしております。

吉田(統)委員 今、他の国と比べてと言いましたけれども、厚生労働省は最近、高額薬剤や最先端技術の薬事承認をするときは、何か変な理由をつけて、本来、普通に承認されないものを承認したりしていますよね。恣意的に事務方が運用しているという面が結構目立つので、今の説明だと、じゃ、海外と一緒の価格だったらいいんじゃないのということに今後もなるんですかね、ほか。

 本当は、これは事務方の御答弁でいいんですが、ここは健康戦略を考える上で非常に大事なところなので、厚生労働大臣だけじゃなくて、是非担当の内閣府の大臣にもこの点は十分な理解をしていただかないといけないところだと思います。

 それは少しこの後でも述べていきますので、じゃ、次の質問に行きますね。

 私の母校でもあります名古屋大学では、安価なCAR―T製剤の開発を目指して、これは最近新聞にも取り上げられていましたね、独自の技術によりCAR―T製剤の開発に成功しています。二〇一八年一月から臨床試験を開始しています。同じく安価なCAR―T製剤の開発を目指すタイのチュラロンコン大学、タイ一番の大学ですね、から製造技術の提供の依頼があったので、自施設の患者のみに提供し営利目的に使用しないという条件で、名古屋大学はチュラロンコン大学にCAR―T製剤の製造技術を無償で提供しました。チュラロンコン大学では、CAR―T製剤の製造コストは五十万円程度と試算しています。既にチュラロンコン大学では、患者への投与も開始されていますね。

 このような状況をどう思われるか。これはちょっと大臣に一言答えていただいてから事務方にお答えいただきたいですね。

木原委員長 まず事務方からでよろしいですか、事務的に。(吉田(統)委員「約束が違うけれども、それならそれで結構ですよ。はい、どうぞ」と呼ぶ)事務方、どうぞ。

横幕政府参考人 キムリアに続くCAR―T製剤として、既に二つ……(吉田(統)委員「違う違う、それは後の質問だから。今の質問に答えてください。駄目、そんなの。ずっと本文、読んであるんだから。後ろに控えている人たちに僕は文書を読んで説明しているんだから」と呼ぶ)

木原委員長 吉田委員に申し上げます。大変恐縮ですが、もう一度、手短に御質問をお願いいたします。

 答弁者はよく聞いているように。

吉田(統)委員 お願いしますよ。後ろに控えている方、覚えていますよね。私、これは文書を読んで説明しましたよね、全部。事務方がそんな状況だったら議論できません。これは難しい内容だから、わざと私、細かく、大臣にもお答えをちゃんといただけるように読んでいったんです、レクのとき私の質問内容を。だから、事務方がそんな状況じゃ困ります。

 だから、端的に言うと、チュラロンコン大学は五十万でもう治療できると言っているんです。名古屋大学も百万円程度で三千数百万の保険収載されている同じ治療ができると言っているんですが、こういった状況に関してどう思われるかということを聞いているんです。

 だから、アカデミアで百万円で治療できる、五十万円で治療できる、これは、日本を代表する大学、タイを代表する大学が、アカデミアがそれができると言っている中で、この三千五百万の薬価のついた治療、そして、後で申し上げますけれども、実はより成績がいいとも言われていますよね。こういった治療ができる状況を厚生労働省はどう考えるか、そして内閣の担当大臣がどう考えるかということです。どうぞ、事務方から。

横幕政府参考人 まず、医療保険の方から見たときについて御説明申し上げたいと思います。

 今御指摘の点は、それよりも前の段階ということでございますけれども、キムリアに続いてCAR―T製剤が出てくる場合には、それが保険財政に大きな影響を与えることがないように、一つは先行品であるキムリアの価格を踏まえて算定を行う、あるいは市場規模が拡大をした場合にはその拡大率に応じて薬価を再算定するなど、こういった算定に当たっての取組を進めていきたいと……(吉田(統)委員「そんなこと聞いていません」と呼ぶ)今申し上げたのは、保険からの御答弁です。(吉田(統)委員「だから、聞いていません、それは」と呼ぶ)

木原委員長 厚生労働省間大臣官房審議官。(吉田(統)委員「だから、そんなことは全く聞いていないですよ」と呼ぶ)

 吉田委員、指名をしておりませんので、まずお待ちください。まず答弁があるようですので。

 的確に答弁するように、厚生労働省。

間政府参考人 お答えいたします。

 保険適用の前の話だと思いますので……(吉田(統)委員「時間がもったいないですから、お願いしますね」と呼ぶ)はい、済みません。

 委員が御指摘のように、アカデミア発の治療という意味では、例えば遺伝子治療の世界では、エクスビボに関しましては再生医療等安全確保法に基づいた手続が求められておりますけれども、一方で、ウイルス等を直接体内に投与するためには、インビボの遺伝子治療につきましては、診療として行う場合については、再生医療等安全確保法も含めまして、特別のルールはないという現状にございます。

 そこで、このインビボの遺伝子治療の提供におきましても、診療においての安全確保の観点からも、エクスビボと同じような法的枠組みが要るんじゃないか、こういう必要性が指摘されておりまして、法の見直しも含めて検討しているところでございます。

木原委員長 厚生労働省、最初からそういう答弁をするように申し上げておきます。

吉田(統)委員 委員長、ありがとうございます。

 そのとおりなんですよ。何でこの話をしているかというと、今の時代、これからの最新技術というのは、アカデミアだけで全てが完結しちゃう治療法というのがどんどん出てくるんです。

 もうまとめますね、委員長。これでまとめます。ただ、大事なことなので、ちょっとここを言わせてください。

 CAR―T製剤もそうだし、遺伝子治療も、要は、ビジネスのところに入らなくても、全てをアカデミアで完結できちゃう治療法というのはこれからどんどん出てくるんです。遺伝子治療がそうですよね。遺伝子治療は、外に何か外注しなくても、アカデミアだけで完結するんです。CAR―T製剤もそうなんですよ。

 だから、こういったことが発生してくる上で、役所の皆さんは相当備えておかなきゃいけないんですよ。それはレクのときもさんざん、ここは大事なポイントなので、申し上げました。

 この続きはまだいっぱいありますので、今後も議論を続けていきますが、そこをしっかりと頭に入れた上で、担当大臣も、非常にここは重要なところですから、また次、議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 大臣、一言、最後にお願いできますか。

井上国務大臣 私の所管内について、しっかり取り組んでまいりたいと思いますけれども、御指摘の個別の薬事のことに関しては、これは厚生労働省でありますから、厚生労働省から答弁があったとおりというふうに認識しております。

吉田(統)委員 ありがとうございました。

 終わります。

木原委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、今ちょっと資料を配付させていただきました。四月十二日付で国民民主党が、「豊かな人間社会を回復するためのコロナ三策」ということでお示ししました。

 ちょっと簡単に説明しますけれども、ポイントは、二段落目のところ、コロナ禍の過度の行動制限や適切な補償を伴わない営業制約、あるいは優先順位を間違えた政策実践により、教育環境や芸術活動が不可逆的に変質したり、人々の生業が事実上奪われたり、社会的孤立や自殺者の急増を生んでいる状況を放置してはならないと。次に、今必要なのは、一定の感染防止措置を前提としつつ、医療崩壊の閾値を上げ、再び経済活動と国民生活を動かしていくための具体策。そして四段落目ですが、国民に対する行動制限に依存して感染者を減らすことだけに注力するのではなく、COVID―19の対応に当たる医療機関の受皿を拡大、そして、PCR検査や抗原検査を広く安く繰り返し受けられる体制を整えることで、経済停滞による事業者損失は、事業内容や地域を問わず事業規模別の支援で迅速に補填するということで、次のページには、三つの、見つける、抑える、動かすということで、提言をさせていただきました。

 我々、政府にとって厳しいことも言っていますけれども、決して批判だけしているわけじゃなくて、具体的な提案をしておりますし、私、厚生労働委員でもあるんですけれども、厚生労働委員会では、徹底的に、病床確保、医療逼迫を何とかしたい、それが全てだと。私からすると、時短要請協力金に三兆円も支払うんだったら、そのうちの半分か三分の一でもこの医療分野の、医療崩壊を止めることにお金を回して、そこをしっかり止めれば時短要請だってしなくて済むんだ、そういう考えで私はおりますけれども。

 そういった中で、今日、西村大臣にお聞きをしたいのは、まず、そうはいってもやはり時短要請をせざるを得ないのであれば、そのやり方について議論したいと思います。

 まず、お聞きしたいのは、一月七日から緊急事態宣言下で時短要請に応じた飲食店に協力金が支払われていますけれども、これは、どの程度、今現在支払われているのか。聞くところによると、多くの東京都の私の知っている飲食店なんかは、一月七日にすぐ申請したけれども、まだもらっていないというところを多く聞くんですが、どの程度支払われて、そして、なぜそんなに遅いんでしょうか。

西村国務大臣 協力金の支払い実績でありますけれども、全国でこれまで三十五万件申請があって、二十一万件支給をして、約六割の支給率で、三千五百億円程度が支払われております。

 東京都は、この一月八日から二月七日分について、約十万件強の申請があって、五万件強支給をしております。約五割ということで、九百二十八億であります。

 それから、大阪の例でいいますと、大阪も三一%の支給、一万七千件に対して五万五千件程度ということで、二百五十五億円が支払われております。

 自治体からヒアリングをしますと、申請受付から支給まで大体二、三週間程度で支給をしているということでありますけれども、申請書類に不備がある場合、その修正のため、何回かやり取りがあって、日数が増えるということであります。

 今後、東京、大阪などについても、締切りからもう三週間経過しておりますので、順次支給が進んでいくものというふうに思います。

 ちなみに、早いところは、埼玉九一%とか、栃木は早く終わりましたので九三%とか、進んでいるところもあります。

 いずれにしましても、我々として、サポートできること、迅速な支援をしっかりしていきたいというふうに考えております。

高井委員 一律六万円というのは相当やはり不公平だというのがあっても、とにかく早く支給する、そのために、もう思い切って不公平感を突破して六万円にしていると思うんですけれども、それでもそれだけ遅くなるというのは、私はちょっといかがかと思いますし、あと、今度、新たな制度、それは事業規模別にしたのは評価しますけれども、恐らく、これは売上げの減った分の四割ですかね、しかも、規模に応じて四万円から月二十万円まで変わるということですから、これは更にまたその手続が遅くなってしまいますよね。これは本当に大丈夫かなと。

 そこで、我々国民民主党の提案ですけれども、先般法律も出しました、この委員会でも大臣にもいち早く法案も見ていただいて。

 我々の案というのは、通称日本版PPPなんて呼んでいますけれども、まずは全国、そして業種も問わず全てを対象にする。それから、固定費、家賃とか人件費とか光熱水費の、これは規模に、売上げに応じて四〇%から九〇%にするというものです。また、今の政府の新しい案というのは、最大二十万円、一日二十万円ですから、一月にすると六百万円ですね。しかし、我々の案というのは、これはドイツを参考にしていますが、ドイツは二億円まで支援をしているということです。これだけやっても総額六・五兆円でできるという案です。

 そして、何よりのポイントは、金融機関のつなぎ融資というのを入れた。これはアメリカのPPPを参考にしているわけですけれども、まさに、今、二か月、三か月かかって、もっと今後かかるかもしれないので、一旦金融機関にまず、ある意味この協力金を支払うということを担保にして、それでまずはお金を貸していただく。そして、その分を後から政府がしっかり精査して、ある意味金融機関にお支払いする、お返しするというような仕組みを、しかも、これは大臣が心配されている政策金融公庫を使わずに一般の市中銀行でできるという仕組みをつくったわけですけれども、これは本当にいい制度だと思うので、是非、大臣、採用していただけませんか。

西村国務大臣 御党におかれましては、これまでも様々な御提案もいただいております。そうした取組に敬意を表したいと思いますし、様々な御提案、私どもも参考にしながら、諸外国の例も研究を進めているところであります。

 その上で申し上げると、御指摘のように、民間金融機関を活用する、これは大事な視点だと思っておりまして、私どもも、この年度末の資金繰り対策も含めて、三月八日、二十五日にわたって、この資金繰り対策をしっかりと万全を期すように要請をしたところであります。

 そして、今回、御指摘のように、私ども、飲食店の協力金について、事業規模別、事業規模に応じた仕組みを導入しておりますので、そうしたことも踏まえて、協力金の支払いまでの間、事業者が運転資金に困らないよう、いわば、御指摘の、実態としてのつなぎ融資のような形になるよう、こうした要請、金融庁、中小企業庁とも話をしておりまして、改めて金融機関に要請、周知をしていきたいというふうに考えているところであります。

 その上で、これも以前にも御議論させていただいていますけれども、ドイツは非常に厳しい休業措置を伴うロックダウンということをやっておりますので、日本とは若干状況が異なる点、それから、日本の協力金も、これは店舗ごとに最大六百万円まで今回しておりますので、かなりの金額を大企業も含めて支援ができるという枠組みをつくっております。そうしたこと、それから、それ以外に影響を受ける事業者についても一時支援金などで支援をしているところでありまして、引き続き、御党の提案なども含め、諸外国の実例あるいは実体の経済への影響、こうしたものをしっかりと踏まえながら、必要な対策を機動的に講じていきたいというふうに考えているところであります。

高井委員 金融機関の融資は、今聞くところだと、もうかなり貸し渋りも起こっていると聞いています。要請するだけで果たして本当にやってくれるか。我々はきちんと法律にして、金融機関との連携まで、しかも、いずれ協力金、補助金が出るということを担保にして貸してくれというところまで言っていますので、是非ここはもう一度再検討をいただいて、採用いただきたいなと思います。

 それでは、今度は、先ほど言いました、我々はやはり、時短要請をいつまでするんだと。やはり国民の皆さんも、あと、八時というのがどういう理由なんだと。今回、一旦九時になって、また八時になるということで、これはお店にとっては相当深刻みたいで、やはり九時までだと、一通りの、お客さんも入れられるし、あと、仕入れなんかももうしちゃっているので、これはやはり大きな損害だというふうに聞きます。

 私は、一律に何か八時とかで切るというのではなくて、山梨方式が随分注目されていますけれども、やはり徹底した感染対策、それから最近のマスク会食、確かに不便かもしれませんけれども、マスク会食を強いてでも、それでも食べに行きたいという人は私は認めてあげればいいと思うし、あと、例えば、美容室に行ったら、美容師さんは八時まで仕事をしていて、その後、一人で御飯を食べに行きたいけれども、もうどこも開いていないと。こんな方は一人で黙食するだけなんですから、なぜそれを認められないのか。

 いろいろ考えると、やはりしっかり仕組みをつくって、例えば、PCRモニタリング検査が、一日一万件の目標がまだ二週間で一・一万しかいっていないという話、ここでもしましたけれども、例えば、このPCRモニタリング検査を飲食店に導入するとか、あるいは、我々提案しています、アメリカではもう一ドルで、百円で受けられる頻回抗原検査。確かに精度は落ちますけれども、しかし、精度が落ちても、アメリカのコロラド大学は精度よりも頻度だという研究結果を出したりしていて、尾身会長にも厚労委員で聞いたんですけれども、やはり是非それもやるべきだと。

 こういったことをしっかりやって、かつ、ちょっと今日は河野大臣には来ていただかなかったんですけれども、そういったものを、証明書をパスポートのような形で、例えばスマホで提示する、こういったことをやって、それをクリアした方については夜八時以降も会食を認めてあげる。そうすれば、飲食店だって、お客は減るでしょうけれども、それでもそこまでして食べに来たいという人はきちんと感染対策して食べるわけですから問題ないと思いますけれども、いかがですか。

西村国務大臣 私ども、データに基づいて、これまでのデータ、一年間の経験がありますので、こうした経験、データの分析を行って、八時までの時短が効果があるということで、今回の一月―三月の緊急事態宣言のときもこれをやらせていただいて、九割ぐらい、ピークから感染者の数を減らすことができたわけであります。

 一律に、店側にも利用者側にも八時までということでお願いをしているわけでありますけれども、御指摘のように、店側については、これはスーパーコンピューター「富岳」を使ってのシミュレーションで、こういうアクリル板を設置、あるいは換気がよければ感染リスクが非常に下がるということ、こういったことも分かってきておりますので、今後も、こうした効果を検証しながら、一律の八時までということよりも更に進化することができるのかどうか、これは研究を、検討を進めていきたいと考えております。

 そして、御指摘の抗原検査、キットを使ってということで、一つの方法だとは思っているんですけれども、他方、偽陰性の可能性、それから検査した後感染する可能性もあり、陰性だからといって直ちに安心できるものではないということ、それから、ワクチンについても、重度の過敏症で受けられない方もおられる中でワクチン接種の有無だけで不利益な取扱い、順番に打っていっていることもありますので、そういったことも含めて、現時点で何かそれで区別をするということは考えていないわけでありますけれども、いずれにしましても、いろいろなデータが蓄積されてくると思いますので、それによって対策を進化させていきたいというふうに考えております。

 あわせて、マスクについては、これは店側にはお客さんに対してマスクを奨励すること、会話のときですね、これは義務づけておりますので呼びかけていただきたいと思いますし、是非利用者の皆さんもこれに応じていただきたいというふうに考えております。他方、マスク会食、いわゆる会話のときのマスクがどの程度やられているか、やられていないかということがありますので、何か一律に基準を決めるのは非常に難しいものと考えております。

 いずれにしても、いろいろなデータの蓄積、内外の研究もありますので、そういったものも今後も踏まえながら、一律の対策ではなくて、少し柔軟にできるようなことができないかどうか、引き続き不断に検討を進めていきたいと思っております。

高井委員 国民民主党の提案も、とにかく一律じゃなくてやはり工夫をしてほしいと。もちろん、一律にやれば収まるのは分かっていますけれども、それでやはり飲食店なんかは甚大な影響が出るわけですから、是非検討いただきたいと思います。

 それで、あとは頻回検査の話も、確かに偽陰性、偽陽性はあるんですけれども、あと、期間が短いというのはありますから、だからこそ、ポジティブリスト的に、差別して排除するんじゃなくて、それを持っている人は例えば三日間は飲食店へ行ってもいいですよとか、期限を切るということはあると思います。

 それから、マスク会食は、これはやはりお店からすると非常にお願いするのは難しいので、私は、特措法を改正して、国民の皆さんにもマスク会食を、もうこれは努力義務でいいですから義務づけるということも提案したいと思いますけれども、最後に大臣の見解をお答えください。

西村国務大臣 私どもも、この特措法の改正に当たってどこまで義務づけることができるかどうか、これは憲法上の整理も含めてかなり詰めた議論を法制局とも行い、私どもも議論を重ねてきたところであります。

 今回は、御指摘のように、事業者に対する義務づけということでありますけれども、利用者側の義務づけ、マスクを着けるということですから、私権の制約の程度は低いと思いますので、こういったことも含めてどういう制度があり得るのか。このことについては、諸外国、民主国家でもマスクの義務づけをやっている国もたくさんありますので、こういったことも参照しながら、これは今後の課題として問題意識を持って検討は進めていきたいというふうに考えております。

高井委員 是非御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、本田太郎君。

本田委員 自由民主党、京都五区選出の本田太郎であります。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。

 私からは、新型コロナウイルスの変異株、そしてワクチン、また、新型コロナウイルスが感染している中での自然災害や原子力災害があった場合の状況につきましてお尋ねをしたいと思います。

 では、まず初めに、変異株についてお尋ねをいたします。

 四月十二日から、東京都、京都府、沖縄県の三都府県への蔓延防止等重点措置が適用されましたのは周知のとおりでございます。

 新型コロナウイルスの変異株による感染が拡大していることを踏まえまして、ほかの地域への感染拡大を防止するために、不要不急の都道府県間の移動は極力控えるよう促すことを新たに求めております。また、変異ウイルスに感染した人の退院基準が厳格化しており、入院が長期化する傾向にある、そのために病床が逼迫するということがございますので、基準の見直しを図りまして、入院や宿泊療養などの措置を適切に講じていくというふうになってまいりました。さらに、先ほどもございましたけれども、重点措置の対象地域となっている飲食店に関しましては、営業時間を午後八時までに短縮をして、お酒の提供は午後七時までとするよう要請をするということになっております。

 このように、蔓延防止等重点措置の対象地域を拡大をしておりますが、この背景には新型コロナウイルスの変異株があると思います。

 それにつきましては、英国で確認されたもののほか、南アフリカやブラジル、フィリピンで確認されたものなどがございますし、また、関西地方で広く感染者が見つかっている変異株もございます。こうした様々な変異株がある上、変異株は従来株よりも感染力が強いですとか、感染すると重症化しやすいですとか、また、ワクチンの効果が効きにくいなど、多様な情報がありまして、国民の皆さんも混乱をされ、心配をされているものと想像いたします。

 マスコミ等の報道でも、必ずしも一覧性を持って報道されているわけではありませんので、情報が断片的になって不安感が大きくなっているという側面も否めないと思います。

 そこで、政府として、現時点で持っている変異株に関する知見を分かりやすく御披瀝いただきたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスに関して、変異株に対する対応が大変重要になっておりまして、今対応に鋭意取り組んでいるところでございます。

 ウイルスの変異そのものは常に進んでいるものではございますけれども、この場では特に代表的なものを三つ御説明させていただきたいと思います。

 まず、N501Yと呼ばれる変異がある変異株、これは従来よりも感染しやすい可能性があるとの指摘を受けております。英国、南アフリカ、ブラジル、フィリピンから報告されている変異株はこの変異を有しているということでございます。このうち、英国や南アフリカから報告されている変異株については重症化しやすい可能性も示唆されているところでございます。

 また、E484Kと呼ばれる変異がある変異株は、従来よりも免疫やワクチンの効果を低下させる可能性があると指摘をされておりまして、南アフリカ、ブラジル、フィリピンから報告されている変異株は、先ほどのN501Yという変異と併せてこの変異を有しているというところでございます。

 また、これらとは別に、海外から移入したと見られるものの起源不明の、N501Yの変異はありませんけれどもE484Kの変異がある変異株も国内で報告をされております。この変異株については、国立感染症研究所のレポートを踏まえますと、感染性、伝播性に影響を与える可能性がある変異箇所は特段は認められない、また、現在日本で使用されているワクチンの効果を完全に無効化するものとは考えにくいが、効果を低下させる可能性というものを鑑みれば、今後の拡大状況をゲノムサーベイランスで引き続き注視する必要があるという評価、分析がなされているところでございます。

 これらの変異株いずれの場合も、基本的な感染予防策につきましては、従来のウイルスと同様に、三密の回避ですとかマスクの着用、あるいは手洗いの励行といったものでございますので、改めてこういった点も国民の皆さんに徹底をお願いしながら対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

本田委員 ありがとうございました。整理された説明でよく分かりました。

 N501Yの変異株がまた東京でも増えてきているというような情報も出ておりますので、我々、くれぐれも注意していかなければならないというふうに思います。

 次に、ワクチンについてであります。

 二月十七日から始まりました医療従事者に次ぎまして、四月十二日からは高齢者にもワクチンの接種がスタートしたわけでございます。六十五歳以上の高齢者は重症化リスクが高いことから優先対象とされました。人口の三割近くに当たる約三千六百万人が対象でありまして、政府は重症者や死者の抑制を目指しているということでございます。

 ワクチンを担当する河野大臣におかれましては、九日の会見でも、六月中には高齢者に接種する分のワクチンが確保できるとの見通しを示されております。

 他方で、石川県では、四月十日に確認された十八人の新規感染者の中にワクチンを二回接種した方が含まれているということが明らかになりました。石川県によりますと、その方につきましては、病院に勤務されておるということで、三月十三日と四月三日に接種を受けていたということであります。

 ワクチン二回接種後の感染判明につきましては、県の方からは、一般的に、ワクチンを接種してから抗体ができるまでは時間がかかるというようなことも言っておられます。

 専門家も指摘しておられますけれども、大前提として、ワクチンは接種すれば感染しなくなるものではないということであります。発症リスクを下げたり、感染した場合の重症化リスクを下げる効果が期待されるというわけであります。また、接種から抗体ができるまで二、三週間程度の時間を要することも考えておかなければならないわけでありますから、十二日から始まりました高齢者の接種では、ワクチンを打ったから大丈夫という考えが広がらないように、引き続きマスクの着用など予防の継続は絶対的に必要だということであります。

 このように、ワクチンに対する期待が大変大きい一方で、過大な期待によって感染対策がおろそかにならないように、政府としては、国民の皆様に正確な情報を伝える必要が極めて高いと思います。

 そこで、ワクチンの接種に関して、最新の情報を大臣の方からお知らせをいただければありがたく思います。

河野国務大臣 高齢者の接種につきましては、今週の月曜日からスタートいたしました。知事会を始め関係団体からの御要請で、システムがしっかり稼働するのか、それから凍結しているファイザーのワクチンを解凍して希釈するという作業がきちんとできるか、あるいは、予診の時間にどれぐらいかかるか、様々なことをチェックしながら少しずつ展開をしてほしいという御要請がありましたので、今週は各都道府県一箱、東京、神奈川、大阪は二箱でございますが、来週、再来週は各都道府県五箱、三つの都府県は十箱ずつお配りをして、それを都道府県の判断で市町村に配付して、様々なテストをしていただきます。

 四月の二十六日の週に、千七百四十一全ての市区町村に一箱ずつお配りをすると同時に、それに加えて四千箱を発送いたします。ゴールデンウィーク中に接種をされる百八十幾つかの団体、自治体がございますので、そこにはゴールデンウィーク前に必要量をお届けをすることにしてございます。

 連休明けになりますと、ファイザー社から毎週一千万回分ずつぐらいのワクチンの供給を受けられる見込みでございますので、その後は、それぞれの自治体の接種のスピードに応じてワクチンをしっかり供給できると思っております。

 懸念材料としては、EUの透明化メカニズムの適用がございますので、承認を取らなければいけないというところが懸念でございますが、ワクチンの供給につきましては、五月の連休明けからはしっかりとお出しができるように努めてまいりたいと思っております。

本田委員 ありがとうございました。

 明確な情報をお伝えいただきまして、これを私も議員として地元でもしっかりお伝えをしていきたいと思いますし、また、自治体は様々なやり方、自由な裁量でもってやっておられますし、地域地域に応じたやり方、私も国会で得た知識、知見を持って、自分の地元ではしっかりとそういったことを生かせるようにしていきたいと思います。ありがとうございます。

 では、大臣、これで結構でございます。

平委員長代理 河野大臣、御退席ください。

本田委員 続きまして、自然災害の際のコロナ対策、特に避難所での話でありますけれども、その点について質問させていただきたいと思います。

 宮城県沖を震源とする地震が三月の二十日に起こりました。震源の深さは六十キロで、陸に近い場所で起きたということであるそうで、専門家によりますと、東日本大震災のときに余り大きくずれていない深い部分が動いたそうであります。その一帯は、大震災のときから十年たった今もまだ震災前より地震が多い状態が続いているそうであります。震災で大きくずれ動いたプレート境界の浅い部分は静かにはなってきているものの、周りの陸に近い海域の深いところとか、また沈み込む前のプレートでの地震がまだまだ活発だということであります。

 二月十三日にも福島県沖で最大震度六強の地震が起きましたが、専門家によりますと、地震は余震を起こしますし、十年前の影響がまだ続いているということであります。

 さらに、直近では、四月九日深夜からトカラ列島近海を震源とする地震が相次いで発生しており、地震の災害が非常に心配されるところであります。更に申し上げますと、六月からは、地震ではなく、出水期にも入りますので、水害も心配されるところであります。

 私の選挙区におきましても、由良川という一級河川がありまして、度々水害を引き起こしておりまして、地域の皆さんも、出水期が近づいてくると、毎年心配をされるという状況であります。特に去年と今年は、高齢者の方々を中心に、新型コロナウイルスへの感染にも大変気を遣っておられますので、大雨が来て避難所へ行きたくても実際には新型コロナが怖くて出足が遅れるということが起こらないように、起こらないかと危惧をしているところであります。

 私も、実際、地域の皆様と意見交換をさせていただいておりますが、その際にはよくその点について質問を受けるわけでございます。水害や土砂災害が発生した場合、避難所に行きたいけれどもコロナが怖いということでございます。そのようなとき、私は、個人的意見としてですけれども、新型コロナウイルスを恐れて逃げ遅れて、万が一命を失うようなことがあったら元も子もないので、積極的に避難を考えるようにしてくださいというように申し上げているところであります。ふだんから、水害のときはここ、土砂災害のときはあそこだというような、頭の中でイメージトレーニングをしていただいて、そして的確に避難ができるようにしておいてくださいねというふうにお伝えをしているところであります。

 そこでお尋ねをしたいわけでありますけれども、地震や水害、土砂災害などの自然災害の際に、避難所へ避難された方々についてはどのような新型コロナウイルスの感染対策が用意されているのかお聞かせをいただきたいと思いますし、また、これまで、熊本県を中心とする令和二年の豪雨の際などには、様々な場所で避難所への避難が実際に行われたと思いますけれども、そういった避難所において新型コロナウイルスの感染が発生したというようなことがあったのかどうか、この点についても併せてお聞かせをいただきたいと思います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の現下の状況におきましては、避難所における三つの密の回避など、新型コロナウイルス感染症の感染防止に十分留意する必要がある、おっしゃるとおりでございます。

 そこで、内閣府においては昨年の春から累次の通知を出しまして、安全な親戚、友人宅への避難の検討の周知ですとか、またホテル、旅館等の活用も含めた可能な限り多くの避難所の確保、マスク、消毒液などの用意など避難所の衛生管理、またパーティション等を活用した避難者スペースの十分な確保などについて事前の準備を促すとともに、避難所の具体的なレイアウト図ですとか動線の参考例をお示しするなど、取組を推進するための助言に努めてまいりました。

 国としても、段ボールベッドですとかパーティション等の備蓄を開始しましたり、物資の調達、輸送調整のためのシステムの整備を行ったりして、発災時にプッシュ型で迅速に必要な物資を支援する体制の強化を図ってきたところでございます。

 こうした取組もありまして、御指摘ありました昨年の七月豪雨などでは、避難所での感染事例は幸いにも発生しなかったところでございます。

 内閣府といたしましては、引き続き、感染状況を踏まえつつ、関係省庁や自治体と連携いたしまして、避難所の新型コロナウイルス感染症対策に努めてまいります。

 以上でございます。

本田委員 ありがとうございます。

 関連しまして、次は、災害時の避難所は、通常、市町村が開設されるわけでありますけれども、そこのスタッフ、避難所のスタッフは、大体、市町村の役場の職員さんが担われることになるわけであります。ただ、職員の皆さんは、必ずしも、新型コロナウイルスの感染症対策に対して知識とか経験とかが十分あるわけではないでしょうから、避難されてきた住民の皆さんに対して感染症対策を的確に行えない場合もあるかと想像いたします。

 こうした職員さんたちに対して、国としてどのような対策を講じておられるのか。例えばですけれども、市町村で新型コロナウイルスの感染対策の知識を高めるための研修をする、そのための教材を国の方で用意するなどなど、いろいろなことが考えられるわけでありますけれども、どのようなことをされているのか、お尋ねをしたいと思います。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、地方公共団体の担当者が必要な知見を習得いたしまして、避難所において適切に感染防止対策を行うことは重要であると認識してございます。

 内閣府といたしましては、地方公共団体に対しまして、避難所における感染症対策に関して留意すべき点について、累次の通知を出しておりますが、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練のガイドラインといったものや関連する動画を作成しております。

 このガイドラインや動画におきましては、避難所運営に対して具体的な手順を示して、訓練を実施することを促してございます。例えば、発熱者や濃厚接触者の発生に備えた受付や動線の分離、専用スペースの確保、専任スタッフの配置や、保健所等との連絡、連携、一般スペースでの間隔確保、区画割りなど、実施すべき事項を列記してございます。

 このような訓練を、地方団体の防災部局と福祉部局、保健所などの職員が連携して実施して、あらかじめ手順や課題等を確認することによって、実際の災害時においても適切に対応することが可能になると考えてございます。

 引き続き、避難所における対策が適切に行われるよう努めてまいります。

 以上でございます。

本田委員 ありがとうございます。

 避難所も、様々な大きさとか様々な構造になっておりまして、市町村の職員さん、いろいろ悩んでおられると思います。私どもの選挙区でも、先ほど申し上げたように、水害で避難所開設、しょっちゅうやっておられますけれども、今回はコロナ、去年、今年とコロナの対策ということで、いろいろ悩まれているところも多くありますので、是非、そういった悩み若しくは問合せに真摯に対応していただいて、サポートいただければと思います。

 続きまして、避難所に関して、更にお尋ねをいたしたいと思います。

 特に大規模な災害とか人口密集地で災害が発生した場合には、多くの住民の皆さんが避難をして、避難所の不足が起こり得ると想定されます。実際に、二〇一九年十月の台風十九号では、多摩川の水位が上がりまして周辺の地域に避難勧告が出ましたが、避難所がいわゆる満員になるという自治体が相次ぎまして、別の施設へ移動が必要になるというケースもございました。

 さらに、現在は新型コロナウイルスの感染症対策を取る必要があり、一層スペースが足りなくなることが危惧されます。

 十九号におきましては、当時、NHKが、何%の住民が避難所に入ることができるかということを調査した結果がございます。これは、地域防災計画やハザードマップに書かれた避難所の想定収容人数を集計しまして、それを浸水想定区域内の人口で割った数値で調査をしたものであります。それによりますと、多摩川沿いの全体では収容可能な率は約五四%ということでありましたし、つまり半分しか入れないということでございますし、自治体別に見ますと、例えば、あくまでその調査によりますとですけれども、府中市だと一八%、東京大田区や川崎市は二〇%台ということでございました。

 このような避難所不足の現状を政府ももちろん把握されているとは思いますけれども、現在、どのような対応をされているのかをお尋ねをしたいと思います。

 また、実際に、避難所不足に対して、公民館、学校など公共の場だけじゃなくて、ホテルや旅館などの民間施設も利用することも想定されていると聞いておりますけれども、そのような場合、実際にそのようなことを利用した場合の費用の負担につきましてもどうされているのかをお尋ねしたいと思います。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時において、被災者を一時的に滞在させる避難所につきましては、新型コロナウイルス感染症の現下の状況や、大規模災害また人口密集地での災害を想定した場合においては、その確保が極めて重要となります。

 そのため、内閣府といたしましては、御指摘のホテル、旅館等の活用を含め、可能な限り多くの避難所の確保などについて自治体の取組を促すとともに、災害時に避難所の混雑状況等を効果的に発信して効率的な避難を促進するための情報伝達手段について、平時から検討するよう自治体に対して促してきているところでございます。

 また、公共の場所以外も含めまして避難所の確保に要する経費につきましては、災害救助法による救助や新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金等の対象とするなど、自治体の費用面の支援にも努めているところでございます。

 内閣府といたしましては、この状況を踏まえつつ、関係省庁や自治体と連携して、避難所の確保に努めてまいります。

 以上でございます。

本田委員 ありがとうございました。

 通告であと二問あるので、急いで進めてまいりたいと思います。

 これまでは自然災害について言及をさせていただきましたけれども、次に、原子力災害についてであります。

 原子力災害が実際に起こって、避難所に皆さんが避難されたときに、大きく自然災害と違うのは、換気ができないということですね。実際に避難所に避難された場合、放射性物質を避けるために換気ができないということですので、新型コロナウイルス対策の対応という観点では非常に難しい局面にさらされるということでございます。そういった場合、国からは、避難所の運営についてどのような通知、対応等をされているのか、お尋ねしたいと思います。

 折しも、昨日、京都府と高浜原発のUPZ内にある市町村が一体となりまして、内閣府原子力防災宛てに要望させていただきました。その中でも、特に、緊急時に必要となる情報を住民にどのように伝えるのか、伝える場合のシステム構築をしっかりしてくださいという点とか、また、新型コロナウイルス対策のために必要となる人員や機材、資材等について十分に確保してくださいということも要望されたようでありますので、その点につきましても御理解をいただきたいと併せてここで申し上げておきます。

 じゃ、答弁をお願いいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害における防護措置につきましては、住民などの被曝によるリスク、これとウイルスの感染拡大によるリスクの双方から国民の生命、健康を守ることを最優先とすることが求められております。

 そのため、私ども内閣府の原子力防災担当としては、まず、昨年六月に、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症流行下での原子力災害時における防護措置の基本的な考え方、これを示し、さらに、十一月に、防護措置の実施のガイドライン、こちらを関係自治体などに通知したところでございます。

 御指摘の換気につきましては、このガイドラインにおいて、全面緊急事態に至った後は、原子力発電所からおおむね三十キロ内の原子力災害対策重点区域内において屋内退避を行う場合には、放射性物質による被曝を避ける観点から、扉や窓の開放などによる換気を行わないことを基本としております。ただし、感染症対策の観点から、放射性物質の放出に注意しつつ、三十分に一回程度、数分間窓を全開にするなどの換気を行うように努めることとしております。

 一方で、原子力災害時において避難などを行う場合には、この原子力災害対策重点区域の外に避難することとしておりまして、その場合には、自然災害時の避難の場合と同様に、避難先において、コロナ対策としての換気を通常どおり行うこととなります。

 なお、先ほど私申し上げました放射性物質の放出に注意しつつ換気ということに関しましては、テレビやラジオなどを通じて、その放出について、原子力災害対策本部からの情報を提供することになります。それに加えて、原子力災害対策本部などの国の機関、現地のオフサイトセンター、関係自治体などの間で、原子力災害対策用に整備されている、これも委員御指摘ありましたけれども、専用の通信回線を用いて、国からの情報を関係自治体にタイムリーに、しかも確実に伝達することができる体制を確保しております。

 今後も、訓練などを重ね、引き続き原子力災害時の対応の実効性を向上する取組を進めてまいりたいと思っております。

本田委員 ありがとうございました。

 人の命に関わることですので、しっかりとよろしくお願いします。

 最後、質問は……

木原委員長 時間が過ぎておりますので、お取りまとめください。

本田委員 はい。一言だけ申し上げます。

 実際に避難が起こった場合は、原子力の場合は、避難道路も大変渋滞するかと思いますので、そこの整備につきましても十分な留意をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

木原委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、DVの問題、男女間における暴力の問題について丸川大臣にお伺いをしてまいります。

 新型コロナウイルス感染症新規感染者が増加をしている中で、外出自粛、また飲食店の時短要請などが長引く中で、不安、またストレスが募ってDV被害が深刻化をする、このような懸念がございます。

 元々DV被害に遭っている場合には、家庭内における加害者が外出をしなくなる、長時間共にいるようになるというようなことも大変被害者にとってはつらい状況になります。また、減収あるいは失業など、そういった生活困窮がDVを悪化させるというような傾向もあるのではないかというふうに思っております。

 私たち公明党の女性委員会は、全国の女性議員で、こうした様々な境遇にある方々から声を聞くウイメンズトークというのを開いてまいりました。昨年は全国で延べ二百回、本年もオンラインなどを使いながらこの活動を続けております。貧困、孤立、DVなど、コロナ禍における問題が非常に深刻になっているという現実があると思っております。

 DVの相談件数を見ますと、二〇二〇年四月から二〇二一年の二月まで相談件数十七万五千六百九十三件ということで、既にここまでで前年同期の約一・五倍というふうになっております。昨年度の相談件数を大きく上回っております。

 また、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの相談件数につきましても、昨年の四月から九月の累計相談件数は前年同期の一・二倍というふうになっております。

 また、この度、内閣府におかれましては、三年に一回の男女間における暴力に関する調査報告を三月に発表されております。

 この中におきましては、回答した千四百人の女性のうち、被害経験があったと答えた人が二五・九%、四分の一に上りました。男性においても、一八・四%、あったと答えております。暴力、殴る蹴るなどの身体的な暴力のほか、暴言といった心理的な攻撃もあります。また、命の危険を感じたことがあるかということに関して、配偶者間の場合、あると答えた人が、女性一八・二%、男性も五%いました。約五人に一人が命の危険を感じたという結果が出ております。また、誰かに打ち明けたり相談したかということに関しましても、被害を受けたにもかかわらず、女性の四一・六%、男性五七・一%がどこにも相談をしていませんでした。

 このような調査結果が出ておりまして、この一年間にあった人の行為別を見てみますと、身体的暴力を受けた人が一九・一%なんですが、それ以上に、心理的な攻撃を受けたことがある人、これが四〇・六%、また、経済的圧迫を受けたことがある人二九・九%、また、性的強要が二三・五%ということで、身体的暴力以上にこうした攻撃が多くなっているということが見て取れます。

 初めに丸川大臣に、この三月に発表されました男女間における暴力に関する調査の結果、またコロナ禍におけるDV被害の深刻化について御認識を伺いたいと思います。

丸川国務大臣 古屋委員におかれましては、まず、党の女性委員長もお務めになられて、非常に女性の置かれている状況にいつも目を配り、そして政策にその声をすくい上げるという御尽力をされておりますことに、心から敬意を表したいと存じます。

 その上で、コロナ禍において女性が非常に大きな影響を受けている、これは女児もですけれども。国連においてもグテーレス事務総長がコロナの対応というものは女性と女児をその中心に置くべきであるという発言をされたように、非常に大きな影響を受けています。

 その一つが、家庭における暴力、DV被害等でございます。特に、ステイホームが求められる中で、社会との関わりや、あるいは他者とのきずなというものを断ち切らざるを得ない状況に追い込まれた皆様方が、それを相談するところを見つけられない、あるいは、ふだんだったら気軽にお話できる人とお話ができない、接触できない、こういう状況の中で課題を抱え、また被害を大きくしている側面があるのではないかという懸念は私も全く同じ思いでございます。

 幸いにも、補正予算でいただいた予算を使って、昨年の四月に、新たな相談窓口として、DV相談プラスを開設をさせていただきました。そこでの調査結果は、もう今古屋委員がおっしゃってくださったように、やはり件数として増えているということ、それから、身体的な暴力だけではなく精神的あるいは経済的な暴力と言ってもいいような状況が見られるということ、こうしたことを非常に私どもも深刻に受け止めております。

 何より、まず相談窓口へのアクセスを改善するという意味で、私たち、二十四時間の電話対応ということを、このDV相談プラスでやらせていただいた。また、SNSやメールでの相談、つまり配偶者等がそばにいるので電話できないという方のための相談ツールというものも用意をしたわけですが、やはりこれが一定の成果を上げております。

 例えば、電話をかけてこられる方は土日が多いのは、私も、逆に、土日でもお電話できるところが必要なんだなというのは当然だと思ったんですが、朝八時ぐらいにお電話される方が多い。つまり、配偶者の方が何かお出かけになったり子供がいなくなったところで電話相談をされるという方がいらっしゃる。一方、SNSやメールというのは、若い世代の方の緊急性の高い相談、これはDVに限らずで、要はつき合っている方の暴力ということ、こういうことも含めて相談があるということを捉まえても、やはりこうした形で幅広く相談できるアクセスを持っておくということが非常に重要だということをまず感じております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。やはり孤立、孤独ということが深刻化しているんだろうというふうに思います。

 大臣も触れていただきましたけれども、DV相談プラス事業を展開をしてくださっております。今回の調査でも、被害を受けたにもかかわらず、女性の四一・六%、男性の五七・一%はどこにも相談していなかった。なかなか相談窓口にたどり着くことが難しいんだろうというふうに思います。暴力を受けていると、もうそれが常態化して思考停止に陥っている、また、他者の視点が入ってこない、いつか何とかいい方向に行くんじゃないか、このような楽観的なことも考えたいという方もいるのではないかと思っております。

 また、DV防止法の認知度につきまして、知っているかということに関しましては、法律を知っているが内容はよく分からないという人が六七・七%、内容も知っているという人は二〇・〇%。前回と余り変わらない状況でございますけれども、この認知度も上げていかなくちゃいけない。また、相談窓口の周知についても更にアップをしていく必要があると思っております。

 DV相談プラスを開設をされたこと、これは意義が大きいというふうに思っております。こうした相談窓口の周知度を上げていく、相談体制の充実が必要と考えます。また、身体的な暴力だけではなくて、言葉あるいは精神的な暴力、また避妊の拒否、中絶の強要といった性的暴力もあるということから、通報の、保護命令の対象、これを身体的暴力だけではなく精神的、性的暴力まで含めてはどうか、DV法の改正もすべきではないかと思います。この対策について、お考えを伺います。

丸川国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど御紹介したDV相談プラスが昨年の四月からなんですが、それに加えて十月から、シャープ八〇〇八、「はれれば」という語呂で周知を図っておりますけれども、電話をかけていただくとお住まいの地域に一番近い相談窓口に直接つながるような番号をつくりました。これの周知も非常にまだまだこれからというところがございますけれども、とにかく、まず窓口があるんだということをお知らせをしていきたいと思います。

 加えて言うと、今御指摘いただいた三月の調査、男女間における暴力に関する調査で、配偶者からの暴力相談経験というのが低い。これはやはり、家庭のことで日々起きていること、これを誰かに相談するというのは一つエネルギーがとても要ることなんだろうと思います。

 加えて言うと、これは、相談を例えば最初はメールでいただいても、最終的にお電話で話を聞きながら、私の知る限り、性暴力も含めて、まず相談している方の意思を尊重して、お考えをちゃんと聞いて、それに沿った形でやっているんですよということをもっともっと訴えていく必要があるかなと思っておりまして、先生方にもまた御指導を賜れればと思っております。

 また、DV法の改正については、令和元年六月に公布、施行されました児童福祉法の一部改正法において、改正法の附則において、施行後三年を目途に、DV防止法における通報の対象となる配偶者からの暴力の形態、保護命令の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると規定されて、その検討を求められておりまして、今年三月に、我々の男女共同参画会議の下に設置された専門調査会において報告書を取りまとめました。ここでは、精神的暴力や性的暴力も身体的暴力と同様に扱うべきとの御提言をいただいたところです。

 議員立法で改正されてきた経緯も大切に考えたいと思っておりますので、御指導よろしくお願い申し上げます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。被害者に寄り添った政策を進めていただきたいと思います。

 最後に、法務省にお伺いをしてまいります。今日、小野田政務官に来ていただいております。

 こうしたDVの問題などがあった場合に、離婚の後の財産分与請求がなかなか二年間で完了しないということがあると思っております。離婚後速やかにこうした調停、審判を行うことが非常に困難な場合が多くございます。

 私たち公明党の女性委員会は、昨年、上川法務大臣に、女性の権利保護に関して、離婚後の財産分与請求権、請求期間を現在の二年から五年に延長することを申入れをさせていただきました。こうした、民法上、一般債権と同様に、五年に伸長すべきだというふうに考えます。

 そこで、政務官にお伺いしてまいります。

 まず、二年から五年への伸長、早急に実現をしていただきたいというふうに思っております。

 また、協議離婚が年間二十万件ありまして、特に九割が協議離婚です。財産分与がどのように行われているのか、十分な実態把握が行われていないと思います。こうした実態調査を検討しているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

 また、続きまして、財産分与に関して、夫婦間で原則二分の一だということも御存じない方もいらっしゃいます。その権利があるのに泣き寝入りになっている例も少なくないと思います。この財産分与に関しまして、例えばホームページ、動画などで情報提供をしていっていただきたい、また、自治体窓口の離婚届やリーフレット配布などを通じて是非周知をしていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

小野田大臣政務官 お答えいたします。

 財産分与請求に関する民法上の除斥期間につきましては、先ほどお話しいただきましたように、昨年十二月に上川法務大臣に御提出いただいた御党の御提言で、二年から五年に伸長する見直しを速やかに実現すべきとの御意見をいただいております。

 御指摘のように、離婚前後の様々な事情によって、夫婦間で離婚後二年以内に財産分与請求の権利行使をすることができなかったために、結果として、離婚の当事者、その元にいる子供が困窮することは少なくないと考えられまして、財産分与制度の在り方は、離婚後の家族の生活の在り方に影響する重要な課題の一つというふうに考えています。

 御指摘の財産分与制度の在り方を含め、離婚及びこれに関する制度の見直しは、本年二月に法制審議会が諮問され、同審議会の家族法制部会における調査審議が本年三月三十日に開始されたところです。具体的な検討は法制審議会の今後の議論の展開に委ねますけれども、法務省としても、御指摘の課題も含め、法制審議会において充実した調査審議ができるように、必要な対応にしっかりと努めてまいりたいと思っております。

 また、今、実態がどうなっているのかという御質問もいただいたんですけれども、御指摘のとおり、実態に即した議論を進めることはとても重要だと思っておりまして、法務省では、今般、離婚を経験した男女合計七百名を対象に、財産分与に関する事項を中心とした実態把握調査を今年三月に初めて実施いたしまして、現在、公表に向けて結果を分析しているところでございます。こちらも、家族法制部会において議論の参考資料の一つになるものと考えております。

 そして、最後に、周知のことでございますけれども、これまでも、財産分与制度に関する広報として、夫婦が離婚する際に考えておくべき事項をまとめたパンフレットですとかウェブサイトによる情報提供に取り組んでまいりましたけれども、さらに、離婚を考えている方が手に取ることになる離婚届、この用紙に財産分与に関する参考情報をQRコードとともに新たに掲載するなど、自治体窓口でのより一層の情報提供の充実等を今検討しているところでございます。

 いろいろな御指摘を踏まえて、必要な方々に十分情報が行き渡るように、関係省庁と連携して、力を入れてまいりたいと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 お昼にちょっと食い込んでおりまして恐縮でございますが、まず、加藤長官、昨日の関係閣僚会議、総理もお出になっていますが、長官が議長のこの閣僚会議で、福島第一原発事故に伴う処理水、この海洋放出を決めていただきました。

 私たち日本維新の会としては、この政治決断については高く評価をしていますが、一方で、福島だけにこの処理水の問題を押しつけることについて、これはやはり大問題だと。これまでもずっとそういう訴えを申し上げてきました。

 本来、この処理水の問題は全国で負担を分かち合うべきだと私たちは考えていますが、長官、どうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、今回、処理水の放出について決定を決めさせていただきました。まさに、これまでもいろいろな御意見を伺いながら、しかしながら、もう時間的な猶予もないということで、大変重たい決断をさせていただいたところでございます。

 そうした中で、今御指摘のように、福島県においては、東日本大震災、さらに原発事故、そしてその後の様々な風評被害、そして今、その中から立ち上がろうと努力をされている、こういった観点から、更なる風評被害に対する懸念もあることは、これは事実でありますし、そうした中で、全国で負担を分かち合うべきといった御意見もいただいているところであります。

 こうした関係に関して、ALPS小委員会でも御議論いただき、その中においては、配管で移送する場合には例えば当該配管や配管を含むフェンス、車両や船舶で移送する場合にはそのための輸送容器が必要であること、また、それに関する自治体の理解、さらには原子力規制委員会の許可、こういったことから相当な時間を要するため、直ちに実施可能な案にはならない、こういう提言もされたところでありますので、そうしたことも踏まえて、昨日、既にお示しをさせていただいた方針を決定させていただいたところであります。

 引き続き、しかし、風評被害に対する懸念はそれぞれお持ちであります。そうしたことに対して、政府としても一丸となって取り組むため、関係閣僚会議も設置をして、それから、実際の放出まではまだ二年という期間があるということでありますから、そうした期間の間において、風評対策を含めて一つ一つの施策をしっかりと取り組ませていただきたいと思いますし、また、そういった点においては全国の皆さんの協力もお願いをしていかなければならないというふうに思っています。

足立委員 昨日も大阪の吉村知事が決まった段階で改めておっしゃったので、私もちょっと驚いたんですが、大阪湾での放出について、多分記者に聞かれたからかな、政府から正式に要請があれば真摯に検討していきたいということで、報道もされています。

 私たちとしては、思いとしては、福島だけに押しつけるものであってはならない、日本全国で考えるべき問題だ、こういう問題意識で、吉村知事も松井市長も、私たち、党として一貫してやってきたわけです。

 今おっしゃったように、福島沿岸か沖か分かりませんが、これを出していく、スタートするのも二年後、それから、これは恐らく二十年、三十年、もっとかな、かけてやるわけですね。これは希釈をしてやるわけですから時間がかかります。

 この吉村知事がおっしゃった私たちの思いみたいなものは、昨日の閣僚会議でもうついえたと考えたらいいのか。いや、まだこれは、長いプロジェクトだから、また、吉村知事がおっしゃるところの、政府から正式に要請があればみたいな、何らかのそういう、海洋放出に関して、福島以外の地域に協力要請をしていくみたいなことが可能性としてあるのか、あるいは、昨日の閣僚会議決定をもって、そこはもう完全についえた、私たちの思いはもうついえたと考えたらいいのか。どっちでしょうか。

加藤国務大臣 今申し上げたように、対応の準備がかかるまでに二、三年ということですから、そういった意味では、昨日お示しをさせていただいた方針でこれは当面準備を進めていく、そして、その間に必要な風評被害対策を行っていく。

 ただ、実際に放出が始まってから相当長期間にわたるということでありますから、そうすると、その長期間においては、いろいろな技術的な開発等々、そういうことも当然出てくるんだろうと思いますので、それが、大阪におけるとか他の地域における放出ということではなくて、一般論ということでありますけれども、その間によりよいものが出てくれば、そういったものも不断に検討していくというのは当然ではないかというふうに思います。

足立委員 ありがとうございました。私たちの思いを一定受け止めていただいているということで確認をさせていただきました。

 加藤長官、もう一点。私、ちょっと怒っていまして。枝野代表、福島みずほ代表、これはちょっとひどくないですか。政府が決定したことについて、その決定前から、福島県民をばかにしているとか、あるいは、決定について、安全性の説明が尽くされていないとか。これに対しては公明党の山口代表も、原発事故当時政権を担っていた方々にはもう少し事実の経過について責任を持って発言してもらいたいと苦言を呈されています。

 この処理水、福島の復興、廃炉作業、これはまさに与党も野党もありません。政府も国会もない、与党も野党もない。こういう発言について、私は、風評被害にもつながるものであるので、政府としても、加藤長官は会見で、中国、韓国については発言をしていただいています。この野党の心ない発言についても、一言やはり苦言を呈しておいていただきたいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 個々に対する御発言について一つ一つコメントは控えるというのが政府の立場でありますけれども、しかし、御懸念の風評被害というものをいかに抑えていくのか、そうした中で、今回、こうした処理方針を決めたわけでありますから、政府として、安全性の確実な担保、万全のモニタリング体制の整備、あるいは、農業者、漁業者などの御懸念の把握と徹底した風評対策、これをしっかり行っていくという前提に立っているわけでありますから、それがしっかりと実施できるように、また、今回の措置がいかに安全性を確実に確保する中で進められていくのか、こういったことも透明性のある説明を行っていきたい。そういった中で、国民の皆さんの、あるいは海外の皆さんの御理解を得ていきたいというふうに考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 次に、西村大臣、お忙しいところ度々済みません。本当に、今全国の知事と密にやっていただいているので、全面的に感謝をする立場であります。

 私たち国会議員は、いざこうなってくると、やることはありません。やはり、法律を作り、法律を改正し、行政に力を持っていただいているわけですから、政府・与党、西村大臣を始めとする政府、そして、例えば今一番苦しんでいる大阪の吉村知事、全国の知事にお預けをして委ねているわけですから、祈るような思いでおりますが、じゃ、この間、国会はのんびりしていたらいいのかというと、私は違うと思うんですね。現場で戦っていただいている、そして、この後、これがまた収まるときをつくらないといけない。収まれば、私は、もう一回、第三回目の改正が必要だと思います。当然、課題はあるわけですから、要は、一回目も二回目もばたばたの中でやりました。今度こそ落ち着いて、国と地方の関係とか、課題が私はあると思います。

 三回目の改正、あるということでいいですね。

西村国務大臣 今回の特措法改正に当たりましては、与野党を超えて御協力をいただいて、早期の審議ということで、早期成立に様々御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思いますし、維新の会におかれては、いろいろな提案も去年の早い段階から足立議員始め皆さんがされておられ、私自身も、去年の緊急事態宣言のときから、よりよい制度にするにはどうしたらいいか、ずっと考えてきているところであります。

 その上で、今回、蔓延防止等重点措置の中で、改めて知事からの要請というものも明確に規定をさせていただきました。これは緊急事態宣言には規定のないところでありますし、知事が地域を定めて、緊急事態宣言、今回の一月―三月と同等の措置、二十時までの時短などの措置を今講じて、何とか感染を抑えようとしているところであります。

 その意味で、国と地方の関係についても、更に深化できることがあるのかないのか、こういったことも常に考えておりますし、不断の見直しは行っていければというふうに考えております。

足立委員 実は、これは別に今日ここで議論する内容ではありませんが、三月二十四日に厚労省の事務連絡、通知、通達が出ています。要は、一般医療の制限についてです。医療提供体制についてです。これはすごいんです。大臣御存じだと思うけれども、これは、厚労省、四十二ページですよ。大変な通達、通知が出ています。ところが、微に入り細に入りこういうものを出しておきながら、一般医療の制限という一番難しいところについては地域で考えてくれと丸投げです。何らのガイドラインも基準も書いてない。何か、書きやすいところだけ大量に書いて、そして一番難しいところは逃げる。

 これが私が申し上げている国と地方の関係で、やはり、有事における国と地方の関係が十分に議論し尽くされていない、法律に埋め込まれていない。これは不断の見直しではなくて明らかな課題だと思うし、今日、高井委員がおっしゃったマスク会食も、やはりちょっと努力義務だけでもつけた方がいいんじゃないかという議論が、飲食店だけに過度な命令規定になっているわけですから、幾つかそういう、国と地方、あるいは国民への一定の協力義務みたいなものが、これは明らかに課題です。

 大臣、是非、国民に対するメッセージとして、これで終わりじゃない、まだまだ課題を見つけて改正するんだと、もう落ち着いたら三回目をやると言っちゃった方が、これはみんな気合が入りますよ。国会もぼうっとしていますから、今、一仕事終えて。あっ、まだ仕事は続いていますよね。済みません。

 大臣、ちょっと一言お願いします。

西村国務大臣 まず、医療のことも、昨日は吉村知事とも何度もやり取りをしました。医療については非常に厳しい状況にあるということで、府で何ができるか、国で何ができるか、国は一千九百五十万円まで一床当たり支援をしている、あるいは、国立系の病院、大学、こういったところ、民間も含めて協力が、更に病床を確保できないか、こうした国と地方の役割についても、あるいは、看護師の派遣、自衛隊の派遣、こういったことも含めて、様々、これまでの経験も含めて議論させていただいております。

 そういう意味で、国と地方の役割、いざというときに何ができるかということをしっかりふだんから議論していくことが大事だというふうに思いますし、また、国民の皆さんに、今はお願いでマスクをしていただいたり、三密回避であったり、こういったことをお願いをしておりますけれども、他の民主的な先進国では、外出禁止に命令、罰則があったり、あるいはマスク着用に罰則があったりしておりますので、こういったことも含めて海外の事例もしっかりと研究しながら、更に、何が必要か、これは検討を進めていきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、今からそういう目線で、だって、行政は今働いているんです、一生懸命。吉村さんも、連絡を取り合っていますけれども、足立さん、ちょっと今忙しいという日々が続いています。国会は、もっとそういう目線で今の国民の苦境を見ながら、次なる改正に向けた立法府としての責任を果たしていくべきであるということをお訴えしておきたいと思います。

 結構です。ありがとうございました。

 河野大臣、もう時間がありませんが、一つお願いがあります。やはりスケジュール感ですね。

 台風が来ると、天気予報で、台風がどの辺を通るかという幅を持って表現しますね。いつ頃、例えば一般の方は来年まで食い込むのか、そういう何か、台風の進路じゃないんだけれども、確率論なんだけれども、これは政治的判断なんだけれども、一定の見通しをやはり国民に私は持っていただいた方がいいと。ただ、分からないことが多いので、早ければこう、遅ければこんなに遅い可能性もあると。それは日本独特の治験の、要は、いろいろ課題があるから。それは私は理解していますから。河野大臣は本当にシステムもよくやっていただいている。あとは国民に見通しを与えていただく工夫をするということでお願いできないでしょうか。

河野国務大臣 今回のコロナのワクチン接種は、予防接種法に基づいて市区町村にやっていただいております。これも、人口の大小によってもスピードが違ってくるわけでございます。

 委員のおっしゃることもよく分かります。ゴールデンウィーク明けにワクチンが週に一千万回ずつ供給されるようになりますと、このワクチンの供給はボトルネックになりません。そうなりますと、それぞれの自治体の接種体制に応じてスピードが決まってまいりますので、市区町村も、このペースでいくとどれぐらいで高齢者が打ち終わるということが多分分かってくるんだろうと思います。そうすると、恐らく、次の基礎疾患にはいつ頃移れるんだということを自治体なりに評価をして、アナウンスすることができるようになってくるというふうに思っております。

 これは千七百四十一の自治体にやっていただきますので、日本全体でというと物すごく幅の広いことになってしまいますが、どこかの段階で市区町村がそれぞれ、これぐらいの幅でということをおっしゃれるようになるのではないかというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございました。

 私は、ワクチンの供給がちょっとボトルネックにそれこそなっているのではないかという観点で、これはやはり河野大臣に見通しを言っていただきたいと申し上げましたが、そのボトルネック自体が解消されれば、まさに今御指摘のとおりですので、私たちも地域をよく拝見をしてお支えをしていきますので、これからも御尽力をよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。坂本国務大臣。

    ―――――――――――――

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本国務大臣 ただいま議題となりました障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図る観点から、事業者に対し社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をすることを義務づけるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置を強化する必要があります。これが、本法律案を提案する理由であります。

 以下、その法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の効率的かつ効果的な実施が促進されるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図りながら協力しなければならないものとすることとしております。

 第二に、国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項を、基本方針に定める事項として追加することとしております。

 第三に、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮について、現行の配慮努力義務を配慮義務へと改めることとしております。

 第四に、国及び地方公共団体が障害を理由とする差別に関する相談に対応する人材を育成し又はこれを確保する責務を明確化することとしております。

 第五に、地方公共団体は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、地域における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うよう努めるものとすることとしております。

 最後に、この法律案は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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