衆議院

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第19号 令和3年4月16日(金曜日)

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令和三年四月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      池田 佳隆君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    杉田 水脈君

      高木  啓君    中曽根康隆君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    本田 太郎君

      牧島かれん君    牧原 秀樹君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      吉川  赳君    和田 義明君

      阿部 知子君    大西 健介君

      金子 恵美君    玄葉光一郎君

      小宮山泰子君    森田 俊和君

      森山 浩行君    山花 郁夫君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      早稲田夕季君    江田 康幸君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    藤田 文武君

      岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣         坂本 哲志君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   総務大臣政務官      古川  康君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   国土交通大臣政務官    朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   三上 明輝君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     今川 拓郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           塩崎 正晴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    赤澤 公省君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     穴見 陽一君

  本田 太郎君     中曽根康隆君

  牧島かれん君     斎藤 洋明君

  和田 義明君     木村 次郎君

  大河原雅子君     金子 恵美君

  玄葉光一郎君     早稲田夕季君

  森田 俊和君     小宮山泰子君

  森山 浩行君     山花 郁夫君

  足立 康史君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 佳隆君

  木村 次郎君     和田 義明君

  斎藤 洋明君     牧島かれん君

  中曽根康隆君     本田 太郎君

  金子 恵美君     大河原雅子君

  小宮山泰子君     森田 俊和君

  山花 郁夫君     森山 浩行君

  早稲田夕季君     玄葉光一郎君

  藤田 文武君     足立 康史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府政策統括官三上明輝君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。自由民主党の冨岡勉でございます。

 発言の機会を、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。時間が限られておりますので、早速質問に取りかかりたいと思います。

 この障害者差別解消法は、我が党も尽力いたしまして、平成二十五年に成立した法案であります。それまで、障害者の方々、あれこれいろいろな差別を社会で受けてきた経過がございました。

 そこで、この法案を提出する、なぜ今、このタイミングなのか、また、何が主に問題になったのか、そういった趣旨について、提案をされた趣旨について、内閣府の方から御答弁をお願いしたいと思います。

三上政府参考人 お答えいたします。

 現行法の附則におきましては、政府は、施行後三年を経過した場合において、事業者による合理的配慮の在り方その他同法の施行状況について検討を加え、必要に応じて所要の見直しを行うものとされているところでございます。

 この規定を受けまして、内閣府の障害者政策委員会という審議会におきまして御議論いただいたところでございまして、さらに、内閣府におきましては、その後に実施した、事業者団体それから障害者団体からのヒアリングの結果も踏まえまして、今般、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を内容とする法案を提出することとしたものでございます。

 本法案につきましては、障害者団体から一日も早い成立が要望されておりまして、また、二〇二〇年東京パラリンピック競技大会、あるいは、本年夏以降に予定される、障害者権利条約に基づく国連の対日審査、こういったこともございますので、この機を逃さずに取組を進めていくため、早期の成立をお願いしたいと考えているところでございます。

 本法案に基づきまして、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、積極的に取組を進めてまいりたい、このように考えております。

冨岡委員 ありがとうございました。

 考えたら、オリパラが、パラリンピックというのが今年開催されるわけであります。

 障害には、身体的障害、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚と、五感と言われるものがありますけれども、中でも視覚あるいは聴覚というのは、障害によってはなかなか社会的に適応の難しいような課題が山積しております。私自身も、新生児聴覚障害の方々に、これまで、二十年以上にわたってサポートというか、一緒になってこの問題に取り組んでまいりました。

 こういった聴覚障害の方々は、音が聞こえないので、いかにテレビとかラジオとかでも、情報は半分ぐらいです。今、ICTが盛んになってきております。そういった意味で、総務省の方でもいろいろな施策を考えられていると思います。今日は、古川康総務大臣政務官にもお越しいただきまして、御自身の経験等をちょっとお伺いしたいと思っております。

 したがいまして、総務省として、現在、事業者による合理的配慮の提供を義務化することにより、どのような社会の実現が期待されていると考えているのか、お答えいただければと思います。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 合理的配慮の一例と考えられますエピソードを、障害福祉の関係者の方からお伺いしたものを一つ御紹介させていただければと思います。

 東京都にお住まいの聴覚障害をお持ちの方が、宝塚歌劇のファンでございまして、時々劇場に通っておられたとのことでございました。ただ、どうしても言葉が聞こえないということで、少しでも分かりやすく見ることができないだろうか、いろいろお考えになっておられたとのことでした。

 そこで、東京都の相談窓口に相談をしたところ、そこで対応をしていただきまして、宝塚歌劇側とお話をして、その結果、宝塚歌劇では、聴覚障害者の方が希望される場合に台本が表記されたタブレットを貸し出していただけることになりました。貸出しをされるタブレットというのは、当然のことながら、明るくなるものでございます。それをそのまま渡しただけだと周りのお客様に混乱があるかもしれないということで、会場の係員の方が周囲の観客の方に状況を説明するといった配慮もされたところでございます。

 本件は、独自の条例で事業者の合理的配慮義務の提供を定めていた自治体のケースということになるわけでありますが、文化芸術といった分野におきましても、情報通信技術を活用することによって障害を持った方々に寄り添った合理的配慮の提供を行うことができるよい事例ではないかと認識をしております。

 なお、今回のこの宝塚歌劇の対応によって、その障害者の方は以前よりも頻繁に劇場に足を運ばれるようになったとも伺っているところでございます。合理的配慮の提供は、事業者にとって、負担になるというだけでなく、新しい顧客を獲得する手段ともなり得るというふうに考えた次第でございます。

 総務省といたしましては、今回の法案を契機としてこうした取組の裾野が広がっていくことで、情報通信技術の活用によって一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せ、いわばウェルビーイングの実現につながることを期待しているところでございます。

冨岡委員 合理的配慮をしたゆえに観客も増えていったという好事例を聞かせていただきました。本当にありがとうございます。

 古川大臣政務官は以前、長崎の総務部長としてお手伝い、私もちょうどそのとき県議会議員をやっておりまして、非常に気が合って、こういうふうに先駆的な取組を盛んにされて、後、佐賀県知事として、今のICTの先駆的な取組も佐賀で行っていただきました。ありがとうございました。

 さて、今のような話を聞かせていただきましたけれども、このような好事例の収集等について具体的にどのように取り組むか、これは内閣府でしょうかね、教えていただければと思います。

三上政府参考人 事業者による合理的配慮の提供の義務化に伴いまして、個別の事例において、障害当事者と事業者の間で提供されるべき合理的配慮の内容や過重な負担についての認識に相違が生まれることも懸念されるところでございます。

 今後、事業者や各相談機関が参考にできる事例の重要性というのは、今御指摘いただきましたとおり、いよいよ高まってくるんだろう、このように考えております。

 このため、本法案におきましても、現行法で規定されている国による事例等の情報収集等に加えまして、直接相談に対応することが多い地方公共団体についても、事例等の情報の収集、整理、提供に努めるべき旨を規定することといたしました。

 事例の収集、共有の在り方等につきましては、本法案も踏まえつつ、今年度実施することとしている調査研究の結果なども踏まえまして、今後更に具体的に検討を進めてまいりたい、このように考えております。

冨岡委員 ありがとうございました。

 一般に、障害をお持ちの方は、障害福祉課に行ったり市町村の窓口に行くんですが、いろいろ相談をしても、どこに行っていいのか、あっちに行ってくださいとか、いろいろな窓口を紹介されるので、なかなか行くのが煩わしい。あるいは、行ったら、以前対応していただいた方がもういなくなって、二年、三年おられる方はまれでございます。

 したがって、ワンストップ窓口等があれば、先駆的に取り組んでいる市町村もありますが、こういった窓口の一本化というのは、どこまで進んで、どうしようとしているのか、お聞かせいただければと思います。

三上政府参考人 障害を理由とする差別の解消を推進するためには、ただいま御指摘のありましたような相談のたらい回しといったようなことがないように、相談をしっかり受け止める体制の整備は大変重要であると考えております。

 こうした考え方の下、本法案では、国と地方公共団体との連携協力の責務を新たに定めることとしているところでございます。これを踏まえまして、相談事例が適切な行政機関に引き継がれる体制整備などを進めていきたいと考えております。

 ワンストップ窓口の関係では、障害者政策委員会が昨年六月におまとめいただきました意見書におきましても、このように指摘されているところでございます。「相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきである。」このような御提案をいただいているところでございます。

 これを受けまして、今年度、効果的な相談体制の在り方について調査研究することも予定しておりまして、御指摘の点を含めて相談体制の在り方といったものを検討してまいります。

 法の施行に当たりまして、この検討結果を踏まえながら、ワンストップ窓口の在り方を含めて、適切な仕組みを整えられるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

冨岡委員 ありがとうございます。是非急いでやっていただきたい。

 具体的なスケジュール感というのは何かもう決まっていますか。一刻も早く、障害を持っている方々はやってほしいと思われていると思うので。私のところにも要望書なんかが何通か来ております。

 今後の施行準備あるいはタイムテーブルなどがあったら教えてください。

三上政府参考人 今般、事業者による合理的配慮の提供を義務化するに当たりまして、各種の事業者団体からもヒアリングを行ったところでございます。そうした中、合理的配慮や過重な負担の考え方の明確化、あるいは相談体制の整備、事例の収集、共有の仕組みが必要といった、多くの意見をいただいたところでございます。

 本法案が成立いたしますれば、障害者や事業者等の関係者の意見も踏まえながら、まず政府として基本方針を改定する、それを踏まえて、各省庁、これは法律上、主務大臣としての権限を行使する立場にございますけれども、各省庁において対応指針を改定する、こういった流れになってまいります。

 その上で、人材の育成、確保も含めた相談体制の整備、あるいは、事業者、障害当事者、国民の方々に広く周知啓発もするといったような期間なども考慮いたしまして、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において本法を施行したい、このように考えております。

冨岡委員 ありがとうございました。

 聴覚障害の方、電話をかけたりできるんだけれども、電話リレーサービス、これが昨年の六月に制度化がされております。

 聴覚障害者等のコミュニケーションに向けたサービスと理解しておりますけれども、電話リレーサービスの制度を所管している総務省として、関係各省と連携しながら周知、広報を強化していっているとは思いますけれども、この電話リレーサービス担当にして障害者差別に熱心に取り組んでおられる古川大臣政務官、もう一度御登場いただいて、どういうことを今やられているか、またどの程度の利用があるか、もし分かれば教えていただければと思います。

古川大臣政務官 お答えします。

 ただいま冨岡委員から御指摘をいただきましたこの電話リレーサービス、このスタートを心待ちにしておられる聴覚障害者の方はたくさんいらっしゃいます。今般の電話リレーサービスの法制化というものを契機として、その社会的な認知、理解度を高めていくべきであると考えているところでございます。

 そこで、総務省としては、今月から周知、広報を強化したところでございます。リーフレットの配布、ウェブページによる情報の発信などを行っているところでございますし、また、四月二日の総務大臣の閣議後会見の場におきましても、国民の方々の御理解をいただけるよう呼びかけを行ったところでございます。

 御指摘のとおり、通訳オペレーターを介した電話であっても、それが本人による電話と同様の意思確認の手続として電話リレーサービスが存在しているんだ、そういったことを利用されているんだ、このことが知られなければ、本人でないので駄目ですということになりかねません。そうしたことがないようにしていかなければならないと考えておりまして、一部の金融機関などでは、既に対応されている例もあると承知をしているところでございます。

 ただ、現時点で、まだまだ理解が十分と言える状況にはございません。より広い場面で電話リレーサービスの活用が認められていくように、今回のこの差別解消法改正案における民間事業者の合理的配慮の提供の義務化の趣旨なども踏まえまして、総務省としても、厚生労働省、金融庁、経済産業省を始めとする関係省庁、地方公共団体、サービスの提供機関、関係の諸団体と連携をしながら、この電話リレーサービスの普及に向けて、周知、広報を徹底してまいります。

冨岡委員 ありがとうございました。

 今日は、私は聴覚障害に、ターゲットというんですか、的を絞って質問をさせていただいております。

 委員の皆様、ちょっとこのパンフレットを御覧になってください。聴覚障害はいろいろあります。先天的なもの、後天的なもの、年齢によっても違います。一般に、聴覚障害というのは、生まれて、新生児のときに新生児聴覚検査というのをやります。大体、脳幹反射で、生後四、五日でその方が聴覚に障害があるかどうかが分かるような、そういう検査方法があります。

 ただ、残念なことに、ちょっと手前みそになるんですが、今から二十二年ほど前、私が県議会議員をしていたときに、この新生児聴覚検査というのが一般的でなかったんですね。やっているところ、やらない都道府県もあって。幸いなことに、長崎県では、私、一応医療系の議員だったので、具体的に言えば、神田幸彦先生という方がおられまして、この方は、御自身が聴覚障害で、片方に人工内耳、これが人工内耳ですね、見えますか、これ。小さな、この先に電極が入って。これは一個百万円するんです。そういうのを入れ込んで、大体二、三歳のときに入れれば音が取り戻せる。だから、新生児に検査をして、一歳か二歳になるまでにこの人工内耳を入れれば音が取り戻せる。聴覚活用音声言語という言葉で医学界では使われています。聴覚を活用しながら音声言語を習得する。

 そういう意味で、この百万円、これは残念ながら全部海外からの輸入品です。一個百万円、年間に大体千人ぐらいの方がこれの適用になっている。もちろん、七十、八十になって音が聞こえなくなったという方もこれを近頃入れるようになりました。

 したがいまして、質問になりますけれども、こういった医療機器を開発する力が日本にあるのにやっていない、そういう状態だと思ってください。補聴器にしてみても、人工内耳もですね。

 そこで質問ですけれども、ワクチンの開発でも後れを取りました。医療機器というのは、我が国にとって、薬とか医療系の機器、ドラッグは、我が国が外貨を……

木原委員長 冨岡議員、時間が来ておりますので、質問をされるならされてください。

冨岡委員 そういうことでございますので、是非開発に注力をしていただければと思います。

 質問を終わります。

木原委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いをいたします。

 障害者差別解消法は、二〇一三年に公明党の主導で成立し、二〇一六年四月に施行されました。国や自治体、企業に対し、障害を理由とする不当な差別を禁じるとともに、障害者の社会参加に必要な配慮を求めています。今回の法改正により、障害があることで不利益を受けたり嫌な思いをしたりすることがなくなるよう、社会全体の取組を加速させてまいりたい。

 本法律は今回が初めての見直しとなりますが、事業者による合理的配慮の提供の義務化などが盛り込まれております。バリアフリー社会の実現を目指し、合理的配慮の取組で官民が足並みをそろえることは重要でありまして、東京五輪・パラリンピック競技大会の開催国としても法整備を進めるべきであると考えております。本法案を提出した趣旨について大臣にお伺いをいたします。

坂本国務大臣 現行法の附則では、政府は、施行後三年を経過した場合において、事業者による合理的配慮の在り方その他同法の施行状況について検討を加え、そして必要に応じて所要の見直しを行うものというふうにされております。

 この規定を踏まえまして、内閣府の障害者政策委員会におきまして御論議をいただいたところであります。さらに、内閣府におきまして実施いたしました事業者団体及び障害者団体の皆さんからのヒアリング結果も踏まえまして、今般、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を内容とする改正法案を提出することといたしました。

 本法案につきましては、障害者団体からも一日も早い成立が要望されております。そして、今委員言われましたように、二〇二〇年東京パラリンピック競技大会や本年夏以降の障害者権利条約に基づきます国連の対日審査というものを控えていることから、機を逃さず取組を行うために早期の成立をお願いしたいというふうに今考えているところです。

 本法案に基づきまして、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、積極的な取組を進めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 では、法案の検討過程についても質問をさせていただきます。検討規定を踏まえて提出されたものということで、その検討がどのように進められてきたのかお伺いしたい。

 障害者施策の分野においては、国連障害者権利条約の制定等においても大切にされてきた、私たちを抜きにして私たちのことを決めないでという当事者参加の原則がございます。これを踏まえると、障害者の日常生活や社会生活に大きく関わる本法案については、しっかりと障害者当事者の御意見を踏まえたものであるということが重要でございます。

 そこで、本法案の提出に当たって障害当事者からの、関係者の声をどのように聞いてこられたのか、またその声はどのようなものであったのかをお伺いをさせていただきます。

三上政府参考人 お答えいたします。

 障害者差別解消法の施行三年後の見直しの検討につきましては、障害当事者やその家族の団体、事業者団体、学識経験者等から構成される内閣府の障害者政策委員会において、平成三十一年二月から御議論いただき、令和二年六月に意見書が取りまとめられたところでございます。

 また、意見書の中では、事業者による合理的配慮の提供については、更に関係各方面の意見等を踏まえつつその義務化を検討すべき、このようにされたことを受けまして、同年十月に、関係各省からの推薦もいただきながら、事業者団体三十四団体、それから障害者団体十九団体からヒアリングを行ったところでございます。この障害者団体の中には、障害種別横断的な団体、あるいは障害種別ごとに組織された団体など、幅広く含んでいるものでございます。

 このヒアリングにおきましては、事業者による合理的配慮の提供につきまして、一部の事業者団体を除き、多くの事業者団体からは義務化に一定の理解が示される一方、障害者団体からは総じて義務化すべきという強い意見が示された、このように認識しております。

 さらに、その後、昨年十二月に開催された障害者政策委員会では、改正法案の骨子となる障害者差別解消法の改正に盛り込む事項の案を御報告いたしまして御意見を承ったほか、先月二十二日には本法案の内容を同委員会に報告した。

 このような経過でございます。

江田(康)委員 分かりました。

 私たち公明党も、党障がい者福祉委員会を中心に、多くの障害者団体の皆様から要望をお聞きしてまいりました。その要望について、また、この法案の成立については、三月の十七日に坂本大臣に要望を団体からさせていただいたところでございます。本日は、この団体からの要望を基に、この委員会で確認をさせていただきたいと思っております。

 次は、事業者による合理的配慮の提供の義務化について、本法案の一番大きな点でありますが、お伺いをさせていただきます。

 事業者による合理的配慮の提供を義務化することについて、社会全体として障害者差別の解消を進めていく上で大変重要な一歩であると考えます。

 私、また坂本大臣の地元であります熊本県においては、平成二十三年七月に、障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例が制定され、平成二十四年四月の一日から全面施行されておりますが、制定当初から事業者による合理的配慮の提供が義務づけられています。そのような意味で、国全体で同じく合理的配慮の提供が義務化されることは、地域の先進的な取組を踏まえた、あるべき方向と思われます。

 今般の改正法案において事業者による合理的配慮の提供を義務化することにより、具体的に障害者差別の解消に向けてどのように中身が変わっていくのか、お伺いをいたします。

三上政府参考人 本法案の中核的な内容でございます事業者による合理的配慮の提供の義務化によりまして、社会的な規範としての確立が図られることになりますので、合理的配慮の必要性が社会全体で強く認識されるようになることが期待されるところでございます。

 これまで合理的配慮の提供に取り組んできた事業者には改めて認識を深めていただくとともに、取組が必ずしも十分でなかった事業者には合理的配慮の提供に真摯に取り組んでいただく。こういうことを通じまして、障害の有無により分け隔てられることのない共生社会、ひいては、高齢者等も含め誰一人取り残されることのない包摂的な社会の実現に向けて大きく前進が図られるものと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、大事な相談体制の充実についてお伺いをさせていただきます。

 事業者による合理的配慮の提供を義務化するに当たって、事業者の皆様からすると困惑してしまわないよう、また、障害者の皆様と事業者との間で対立や分断を生まないことが重要と考えます。そのためにも、障害者や事業者が相談しやすい体制を構築して、建設的な解決を図ることができる体制の整備、強化を進める必要があります。今後、相談体制をどのように充実させていくのか、お伺いさせていただきます。

 以上、坂本大臣にお伺いをさせていただきますが、一緒に、ワンストップ相談窓口についても御提案をさせていただきたいんです。

 相談体制の整備は特に重要な論点でありますので、大臣にお伺いをさせていただきますが、相談する際に、どこに相談すればいいか分からないという声もあります。また、相談があった場合のたらい回しを防ぐこと、これは障害者当事者の方々やその御家族の方々からも強く求められております。事業者の皆様にとっても、その点は不安になっていると思います。

 どこに相談すればよいか分からない事案の相談を受けることや相談のたらい回しを防ぐ等のため、是非ともワンストップ相談窓口を設置していただきたい。坂本大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 障害を理由といたします差別の解消を推進するためには、委員おっしゃいましたように、相談をしっかりと受け止める体制の整備が大変重要であるというふうに認識しております。

 この考え方の下、本法案では、国と地方公共団体との連携協力の責務を定めることというふうにしております。これによりまして、相談事案が適切な行政機関に引き継がれる体制整備などを進めてまいりたいと思っております。

 昨年、令和二年六月に、障害者政策委員会の意見書が出ました。その中でも、「相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきである。」というふうに指摘をされております。

 これを受けまして、今年度には、効果的な相談体制の在り方につきまして調査研究をすることも予定をいたしております。御指摘の点も含めて、相談体制の在り方をしっかりと検討してまいりたいと思っております。

 法の施行に当たりましては、この検討の結果も踏まえつつ、適切な仕組みが整えられるよう、しっかりと取り組んでまいる考えでございます。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございました。このワンストップ相談窓口の設置については、今回の改正法案に魂を込めるためにも必要不可欠と考えます。是非ともワンストップ窓口を大臣のお力で設置していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、事例収集について次にお伺いをさせていただきます。

 同じく法案に魂を込めるということで、事例収集が大事だと思います。法律では合理的配慮と一口に規定されておりますけれども、合理的配慮という概念は多様性を含んでおりまして、個々の現場には、様々な障害をお持ちの方がいらっしゃったり、また、様々な業種、規模の事業者の方々もいらっしゃいます。合理的な配慮は、そういう意味で画一的なものではなくて、障害の特性や本人の意向、そしてその場の状況に応じて求められる内容が多様であることから、例えば、企業から見ると、どのような場面に何をすべきかの判断が難しいという状況も生まれてまいります。

 個別の現場、個別の場面で建設的対話を通じて合理的配慮を見出していけるようにするためにも、義務化により、個別の場面で参考にできる実際の事例を収集して共有することの重要性はますます高いのではないでしょうか。今般の改正で、地方公共団体に情報、事例の収集、整理及び提供の努力義務を課すこととしたその理由について、具体的に確認をさせていただきます。

三上政府参考人 お答えします。

 事業者による合理的配慮の提供の義務化に伴いまして、ただいま御指摘ありましたとおり、非常に個々の場面での個別性が高いということがございますので、障害当事者と事業者の間で、提供されるべき合理的配慮の内容はどういったものか、過重な負担といったものについてどう考えるかといった認識の相違が生じることが懸念されるところでございます。

 また、先ほどの総務省のフジワラ政務官からの御答弁の中にありましたように、中には、新しい顧客の獲得につながるというような好事例などもあると承知してございます。

 そういった意味で、今後、事業者や各相談機関が参考にできる事例といったものはいろいろな意味で重要性が高まってくるというふうに想定されるところでございます。

 こうしたことから、本法案におきましては、現行法で規定されている国による事例等の情報の収集に加えまして、直接相談に対応することの多い地方公共団体につきましても、事例等の情報の収集、整理、提供に努めるべき旨を規定したところでございます。

 この規定に基づきまして、地方公共団体から提供された情報を私どもが得られるということになりましたら、国としてその共有に努めて、事業者の取組あるいは地方公共団体での活用などに役立てていただければ、このように考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。具体的な事例の収集は、事業者、また障害者双方にとっても大変大事な取組でございます。是非とも尽力していただきますようにお願いを申し上げます。

 時間も限られてまいりましたので、坂本大臣に、最後、二つ御質問をさせていただきます。

 先ほど、ちょっと施行期日についてもお触れいただきましたけれども、改めて施行期日についてお伺いをします。

 この一日も早い施行を望んでいるのが、障害者の皆様の今回の要望でございました。速やかにこの施行準備を進めていただきたいと考えております。

 公布日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日とした理由、そして、施行までに政府としてどのように準備を進めていくのか、お伺いをしたいんです。

 そもそも、この障害者差別解消法において、努力義務ではありますけれども、合理的配慮そのものに関する周知はこれまでになされてきておりまして、義務化に関する周知として、三年というのは長過ぎるのではないかと思います。

 やはり、障害者の皆様が待っている、そういう状況に際して、一日も早くこの施行をお願いしたい、そのような思いで大臣にお伺いをさせていただきます。

坂本国務大臣 今般、事業者によります合理的配慮の提供を義務化するに当たりまして、合理的配慮や過重な負担の考え方の明確化、そして、相談体制の整備、事例の収集、共有、そういった仕組みが必要との多くの意見をいただいております。

 本法案の成立後には、まず障害者や事業者の関係者の意見を踏まえながら、一つは、基本方針を改定しなければなりません。それを踏まえまして、二つ目は、各省庁の主務大臣におきまして、対応指針の改定というのが必要になってまいります。その上で、三番目には、人材育成、確保も含めた相談体制等の整備や国民全体への周知啓発も行う期間というのが必要になってまいります。

 そういうことを勘案しますと、一定の期間が必要になることから、公布の日から起算して三年を超えない範囲内というふうにしたところでございます。

 本法案におきまして、公布の日から起算して三年を超えない範囲で施行するものとされていますけれども、ただいま申し上げました必要な準備をしっかりと行った上で、なるべく早く施行できるよう努力してまいります。

江田(康)委員 ありがとうございます。大臣、一日も早くその整備を進めていただき、施行していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、大臣の意気込みについて、本法案の成立へ向けて、大臣の決意をお伺いをさせていただければと思います。

坂本国務大臣 本法案につきましては、障害者団体の皆さんからかねてより一日も早い成立が要望されているほか、先ほども御答弁いたしましたように、令和三年夏以降に見込まれます障害者権利条約の実施状況につきまして、国連の審査、勧告や、そして東京二〇二〇パラリンピック競技大会を控えているというようなことなどから、機を逃さずに取組を行うために、早期にその成立を図る必要があると考えております。

 本法案の成立を機に、ポストコロナ時代の新たな日常において、誰一人取り残されることのない包摂的な社会を実現するための取組を今後一層進めてまいりたいと決意をしているところであります。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 私も、ポストコロナ時代の新たな日常において、この改正案の成立が、障害者差別の解消に向けた、そして包摂的な社会を実現するための力強い第一歩になると大いに期待をしております。一日も早く成立をさせて、実効性あるものとして施行されていくことを心から念願して、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 障害者差別解消法について質問をいたします。

 最初に、差別の定義の問題について坂本大臣にお尋ねをいたします。

 障害者差別解消法に差別の定義を明記してほしいというのは障害者団体からも強く要望されてきたところであります。

 不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供を差別として禁じておりますが、直接差別、間接差別、関連差別、合理的配慮の不提供を差別と定義をし、その内容を明らかにする、こういうことこそ求められているのではないか。この点について大臣の御答弁をお願いします。

坂本国務大臣 これまで事例の収集にいろいろと努めてまいりましたけれども、いわゆる間接差別等につきましては、いまだ具体的にどのような事例が該当するのか明確ではありません。こうした状況の下では、法律上、間接差別等の定義規定を設けることは困難であるというふうに考えております。

 このため、内閣府の障害者政策委員会の意見書で言及されましたように、基本方針等におきまして、例えば、形式的には障害を理由とする差別的取扱いには該当しないものであっても、実質的に不当な差別的な取扱いをすることも差別となる旨を明確化すること等を今後検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 障害者権利条約の第二条では、障害に基づく差別を定義をし、直接差別のみならず、合理的配慮の否定を含む、あらゆる差別を禁止することを締約国に求めております。そういう点で、差別の定義の明記に至らなかったということは極めて残念であります。

 事例収集に努めてきたという話もありますけれども、やはり、具体の取組を踏まえた上で、障害者団体からもこの明記を求めているということをしっかり受け止めるべきであります。

 その点で、次の改正に向けて是非とも議論を進めていくことが必要で、例えば障害者政策委員会で期限を決めて議論を進めていく検討規定を盛り込む、こういったことも必要ではないでしょうか。

三上政府参考人 お答えに入ります前に、先ほど私、江田委員への答弁中、総務省の古川政務官のことを誤ってフジワラ政務官と申し上げたかと思いますけれども、申し訳ございません。おわびいたします。(塩川委員「おかしいよ、私の質問に関係ないじゃないか」と呼ぶ)はい、申し訳ございません。

 現行の附則におきまして、事業者による合理的配慮の義務づけが将来的な検討課題として想定されていたということもございましたのでこれは施行三年経過後の検討規定が設けられたと考えておりますけれども、本法案において、現時点でそういったような具体的かつ将来的な検討課題まで想定されていないことから、そうした検討規定は設けることとしてございません。

 障害者政策委員会は障害者基本計画の実施状況を監視するという役割を担っておりまして、検討規定の有無にかかわらず、同計画に盛り込まれている差別の解消等の取組として、様々な御議論を行っていただくことができますので、内閣府としては、引き続き、この政策委員会での御議論、あるいは国、地方公共団体における実施状況の調査、事例の収集等による運用状況の把握等を通じて、適宜、制度あるいは施策の在り方を点検、検討してまいりたい、このように考えております。

塩川委員 改めて、差別の定義の明記を求めたいと思います。

 それで、差別の定義を明確にする上でも、事例収集の話がありました。こういった事例収集について、国としてはどういう取組をやってきたのかについて教えてもらえますか。

三上政府参考人 事例の収集につきましては、内閣府から、関係の省庁、それから地方公共団体、さらに、障害者政策委員会に構成員として加わっていただいている障害者団体の方々などに照会をかけまして、どういった事例があったかということを毎年度調べているところでございます。

塩川委員 障害者差別解消法には、障害を理由とする差別を解消するための支援措置として、国、自治体による相談及び紛争の防止等のための体制の整備が規定されております。

 今、内閣府から、省庁や自治体、障害者団体に対しての事例の収集の話がありましたけれども、実際、相談の実績、また、その中での差別が解決をした実績、こういう数字というのは明らかでしょうか。

三上政府参考人 事例について、どういった事例があるかといったことを調べていますけれども、計数として、幾つが例えば解決に至ったというような数は把握してございません。

塩川委員 把握していないということであります。

 令和二年三月の内閣府障害者施策担当がまとめた自治体への調査結果などを見ても、相談件数をカウントしている自治体が、そもそも千七百八十八自治体のうち九百五十三ということです。これを見ても、差別解決の実績の資料というのはないということであります。

 五割近い自治体が相談件数についてカウントをしていないというのがこの調査結果ですけれども、差別解決実績についての実績資料もない、余りにも不十分であります。国は何をやってきたのか、お尋ねします。

三上政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、そういった数がきちんとカウントされていないというところにつきまして、私どもとしては、そういった全体像を明らかにしながら取組を進めていくということは重要だと考えておりまして、都道府県あるいは政令市といったところに対してそういった取組などを促していく、こういったことを今後強めていきたいと考えております。

塩川委員 事例収集していると言うけれども、こういう状況になっているということについて、国の責任が問われるんじゃないですか。

三上政府参考人 障害者差別解消法が制定されて施行後五年といった期間を経過してきたわけですけれども、そういった取組が必ずしも十分に行われて全貌が明らかになるという形になっていないことについて、私どもとして、今後更に取組を強めていく、過去十分でなかったというところはあるんだろうと考えております。

塩川委員 十分でなかったということであります。

 そういった反省も踏まえての今後の取組という点で、障害者差別解消の取組で明石市の事例などがよく全国の自治体の取組としても参照されているということをお聞きしています。

 明石市におきましては、二〇一九年度の相談が十八件、調整をしたという実績が六件、あるいは、二〇二〇年度の相談は六件で、調整の実績は二件という話をお聞きしました。

 例えば、具体の事例でいえば、聴覚障害者の方が資格取得の講座を受講希望したところ、事業者の方からは、現場研修が危険だから駄目だと言われた、こういうことで市に相談があったそうであります。市の方が間に入って手話通訳の公的派遣制度を紹介をし、事業者側も納得をし、受講できるようになったということであります。

 こういった取組にしっかり学んでいく必要があると思っております。多数の相談に取り組むことで事例を蓄積をし、一層、差別解消の取組が前進をする。国、自治体に相談すれば差別が解決できるという信頼を生み出すことになります。

 こういった相談や紛争解決の体制整備に国としてはどのように取り組んでいくんでしょうか。

坂本国務大臣 明石市の例を今取り上げて、お聞きいたしました。

 御質問の趣旨は、それに対しての様々な国の支援措置が必要であるということでございますか。(塩川委員「そういう相談活動そのものが事例収集にもつながり」と呼ぶ)分かりました。済みません。

 相談、紛争解決の体制整備につきましては、法制定時より、行政の肥大化の防止等の観点から、既存の機関等の活用、充実を図ることを基本としているところでございます。

 さらに、地方公共団体の中には、独自に条例で、関係機関に紛争解決のための権限を付与しているところもあります。障害者差別解消法に基づきまして、地方公共団体の長が事業者に対する指導、勧告等の権限を行使できる場合もあるため、紛争解決機関につきましては、地域の実情に応じて検討されることも重要であるというふうに考えております。

 このため、国及び地方公共団体それぞれにおける既存の機関の活用も含めた相談、紛争解決体制の充実強化に向けて、関係者の御意見を伺いながら、基本方針の見直し等の検討を進めてまいりたいと思っております。

 明石市につきましては、この障害者関連の課題につきまして、あるいは少子化等も非常に熱心に取り組んでいらっしゃるということは重々承知しているところでございます。

塩川委員 体制整備のところで、行政の肥大化にならないように既存の機関の充実で対応するという話がありましたけれども、一方で、デジタル庁とかこども庁とかいう話を出しておいて、それは行政の肥大化と言わずに、こういった障害者の差別解消の取組については、既存の枠内でとにかくやれることだけやるというような言い方では、これは納得が得られないということを言わざるを得ません。

 そういう点で、例えば、東京都、大きい自治体ですけれども、相談体制については、広域支援相談員を配置をしているそうであります。社会福祉士の方が四人従事をしておられて、障害者本人や関係者の方や、また事業者からの相談も幅広く受け付けているということで、二〇一九年度の相談件数が三百六十三ケースあったという点では、そういった積み重ねというのが非常に重要だと思います。

 東京都は、こういった障害者差別に係る相談体制について、重層的に相談を受け付けることが望ましいとしています。つまり、障害当事者、相談する方は、区市町村の方にも行ってもいいし、東京都の方に来てもらっても構いませんと。重層的に対応するということが大事だということを強調しておられておりますけれども、是非、役割分担ということに限らず、重層的な体制もしっかり追求する必要があるんじゃないのか。

 こういうことについて、国としてどう対応するか。

三上政府参考人 お答えいたします。

 まさに、相談がいろいろなところで重層的に受け付けられるという観点は大変重要なものだと思っておりまして、また、国だけではなくて地方公共団体とも連携をしていく、地方公共団体で受け付けたものが必要に応じて国の機関に受け渡されるというようなことも適当な場合が当然あるわけでございますので、この法案でも国と地方公共団体との連携協力の責務を定めることとしております。

 こういった新しい規定が追加されるということになりますれば、これを受けて、さらに、そこに魂を入れるべく、どういった相談体制が必要であるか、国、地方公共団体の役割分担はどうあるべきかといったことなどについて、障害者政策委員会からの御提言の中でもいただいておりますので、それを踏まえて具体的に検討を進めて、体制の整備に取り組んでまいりたい、このように考えております。

塩川委員 自治体の規模に応じて対応が異なるようなことにならないようにするということも大事だと思っています。そういう点でも、自治体の相談窓口に法律の専門家の方ですとか障害当事者の方が充てられるような、国によるこういう財政措置、背中を押すような、そういうことを是非考えてほしいんですが、その点、どうでしょうか。

坂本国務大臣 合理的配慮、個別の事案ごとに、費用負担の程度、さらには事業規模等を踏まえまして、過重な負担の範囲内であるかどうかを判断して、そして、代替措置の選択も含め、必要かつ合理的な内容のものとして実施されるものが合理的配慮でございます。

 このように、合理的配慮は、個別の事案において、あくまでも過重な負担のない範囲といった要件の下で行われるものであるために、費用面の支援が必要となるような対応について、その促進を図るための助成措置を講ずることまでは考えておりません。

 ただ、自治体によりましては、コミュニケーションツールあるいは備品等、こういったものの用意はあるようであります。

 ただ、他方、本法案におきまして、相談体制の充実や事業者等が参考にできる事例の収集、提供の確保など、障害者差別解消のための支援措置の強化のための規定を盛り込むこととしております。

 政府としては、こうした取組や制度の趣旨等の周知啓発を通じまして、事業者への支援に努めていきたいというふうに考えております。

塩川委員 今のお答えは、事業者による合理的配慮の提供の実効性を担保するため、国として事業者に対する助成制度を設けるべきではないのかということへのお答えということでよろしいですか。

坂本国務大臣 済みませんでした。

 今後、具体的な相談体制の在り方等も含めて検討してまいりたいと思いますし、様々な課題の中で、これからの体制というものをしっかり確立するための話合いというものをやってまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 是非、法律の専門家や障害当事者が充てられるような、国による財政措置を具体化をしていただきたい。

 それと、障害を理由とする差別を解消するための支援措置として、障害者差別解消支援地域協議会の設置を位置づけております。地域協議会によって、事案解決のための取組や類似事案の発生防止などを行うネットワークが構築をされ、障害者や事業者からの相談等に対し、地域協議会の構成機関が連携して効果的な対応、紛争解決の後押しを行うことが可能となるとしております。

 そこで、質問ですが、この地域協議会の設置状況はどうなっているのか、未設置の自治体についてはどうするのか、この点について御説明ください。

三上政府参考人 地域協議会の設置状況でございますけれども、平成三十一年四月一日現在で、全ての都道府県、政令市において設置済みでございます。他方、町村におきましては四五%にとどまっておりまして、中核市、一般市まで含めた全地方公共団体における設置率は五六%となっているものでございます。

 国としては、障害者に係る案件が、いわゆる制度の谷間に落ち込んだりですとか、相談がたらい回しにされたりしないためにも、地域協議会を設置していただくことが望ましいと考えておりまして、未設置の地方公共団体に対しては、これまでも都道府県等を通じて設置を働きかけているところですけれども、今後も、都道府県や近隣の市町村と連携いただくことも含めまして、設置を積極的に呼びかけてまいりたいと考えております。

塩川委員 設置が五六%ということで、未設置が四割というのも少なくない数であります。

 その設置を促していくということと同時に、その地域協議会の構成メンバーに障害当事者が加わっていない事例があるということであります。この障害当事者がメンバーに入っていない事例がどのぐらいあるのか、こういった地域協議会のメンバーに障害者が入っていない事例について、加わっていただく、こういう必要があるのではないか、その点について御説明ください。

三上政府参考人 内閣府が行った調査によりますと、平成三十一年四月一日時点で、全国の地域協議会のうち障害当事者が構成員になっていないものは約三割ということでございます。

 地域協議会が地域における障害者差別に関する相談や紛争の防止、解決を推進するためのネットワークを構築する役割を果たしている、こういうことを踏まえますと、障害当事者の方に構成員として加わっていただくことで、より充実した議論ができるものと考えております。

 内閣府としては、地方公共団体に対して地域協議会の設置促進、運営の活性化を働きかける中で、地域協議会がより充実した役割を果たせるよう呼びかけてまいりたい、このように考えております。

塩川委員 こういった地域協議会のネットワークをしっかりと生かしていく、そういう取組に障害当事者の方も加わって、相談、紛争解決の体制を拡充していくという取組を是非促してもらいたいと思います。

 その上で、紛争解決に係る体制整備として、政府から独立した紛争解決機関を設置することが求められております。障害者権利条約でも、保護、救済、監視の枠組みの設置を求めております。国内人権機関の地位に関する原則が求める、政府からの独立性が担保された救済機関が必要だということは申し上げておくものであります。

 そこで、合理的配慮の提供の点ですけれども、今回の法改正で、努力義務とされていた事業者の合理的配慮の提供が義務となりました。これまで、障害者が事業者に対してサービスを受ける際の配慮を求めても話合いにも応じない事例もありました。今回、合理的配慮の提供を義務化することで、提供拒否はできなくなります。障害者差別の解消にとって前進となります。

 この事業者による合理的配慮の提供の実効性を担保するために、事業者に対する助成制度を制定した自治体があります。合理的配慮の促進に向けた独自事業を行っている自治体は幾つあるのか、明石市を始め、先進自治体ではどのような取組を行っているのかについて紹介してください。

三上政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度障害を理由とする差別の解消の推進に関する国外及び国内地域における取組状況の実態調査によりますと、事業者による合理的配慮の提供等の促進に向けた独自事業を実施していることが把握できた地方公共団体は十六となってございます。このうち、御指摘のありました明石市におきましては、合理的配慮を提供しやすくするための環境整備に係るコミュニケーションツールの作成費、物品の購入費、工事の施工費に対する助成を行っております。

 以上でございます。

塩川委員 明石市は、二〇一六年度に助成制度を創設をしました。累計五百一件の助成実績があるそうであります。二〇二〇年度は六十四件で、予算が四百万円ですけれども、そのうち二百二十九万円を執行したということです。単に助成制度のチラシを配布するということじゃないと。つまり、市の方が事業者団体に足を運んで一括申請をしてもらう、また、商店街に足を運んで申請書を出してもらうなど、市として独自の努力を行っているということであります。

 こういう取組は極めて重要であります。つくば市、日光市、所沢市なども、明石市の取組に学んでこういった助成制度をつくる、こういう自治体も増えているところですが、やはり大臣、この事業者による合理的配慮の提供の実効性を担保するため、こういう自治体の取組の背中を押していく、国として事業者に対する助成制度を設けるべきではないのか。この点について、是非お答えください。

三上政府参考人 合理的配慮につきましては、元々、費用負担の程度、事業規模等を踏まえて、過重な負担の範囲内であるかどうか、そこで行われるというものでございますので、この法律が、あらゆる事業者を対象にしている、営利、非営利を問わないといったようなこともございますので、国としてということではございませんが、明石市のような積極的なお取り組みをいただいているところについて、そういった情報をほかの自治体にもお知らせをする、そして参考にしていただくといったようなことは国としてもできるのではないか、このように考えております。

塩川委員 是非、そういった際に、人的な支援と同時に予算でも取組が進むような、こういう差別解消の取組の前進につながっていく国の対応を強く求めて、質問を終わります。

木原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日いただきました二十五分、少し盛りだくさんですが、御質問をさせていただきます。

 障害者差別解消法の改正は待ち望まれるところで、私どもの党としても賛成をしたいと思いますが、しかし、平成二十五年にこの法律ができ、三年後の施行で現状に至るわけですが、まだまだ、足らざるところ、あるいは本質的に充実させていかねばならないところがあると思います。

 冒頭、一枚目を見ていただきたいと思います。

 これは、実は身体障害者補助犬法といって、お目の悪い方の盲導犬、お耳の悪い方の聴導犬、お体の不自由な方のための身体介助犬など、三つの補助犬を併せて、これをその方の、障害者の更なる社会参加等々のために法律化をしようということを超党派の議員連盟で行いまして、二〇〇二年の五月に身体障害者補助犬法という法律が成立をいたしております。先ほど申し上げました障害者差別解消法に先立つこと約十年ほど前になるわけですが。

 そして、実は、二〇〇七年の十二月にこの法律を改正いたしまして、相談窓口の設置や、あるいは一定規模以上の民間事業者にも補助犬の使用者の雇用を受け入れたり、あるいはお店などの入店も義務づけたという、いわば十年先を行った法律でございます。

 ちなみに、この議連の初代の会長は橋本元総理でありましたが、多数の皆様の御協力で成立し、ここまでやってまいりました。

 その上で、この円グラフを見ていただきたいのですが、これは二〇二〇年三月二十五日に、全国の盲導犬施設連合会の調査であります。犬を連れて、同伴拒否、入れなかった、断られた経験がどれくらいあるか、五二・三%、半分以上。それから、何回拒否されたかというと、二、三回が四十数%で、六回以上というのも一一・九%。

 盲導犬等々は、日本で、一九七八年、道交法で規定されたもので、基本的にはお目の悪い方の移動を保障するものでありますが、それでもなお、今日このような状況であります。

 下には、結果、どうしても受け入れられなかったケースが四五%、半分は、あれこれしてもどうしても受け入れられていないということであります。

 坂本大臣も盲導犬等を御存じと思いますが、こういう実態についてまず御認識を伺います。

坂本国務大臣 内閣府の障害者政策委員会からは、国や地方公共団体は、相談窓口を分かりやすく示すなど、情報提供等の取組を積極的に行うべきとの提言をいただいております。

 今、全国盲導犬施設連合会の方からのデータをお示しをいただきました。それと、もう一つは、JDF、ジャパン・ディスアビリティー・フォーラム、日本障害フォーラムの調査結果もありまして、これについても承知をしているところでございます。

 障害者差別解消法が適切に運用されるには、相談窓口が広く関係者に知れ渡ることが重要であると考えております。今回の法案では、国、地方公共団体におきまして相談体制の充実が図られるよう規定を整備しているところでありまして、内閣府としては、相談窓口が効果的に活用されるよう、広報や周知啓発に努めてまいりたいと思っております。

阿部委員 そのとおりなんですけれども、もう一度戻っていただいて、どこで断られたか。先ほどちょっと御紹介いたしましたが、飲食店、バス、タクシー、病院、公的施設。実は、この前は救急車の搬送でも盲導犬を連れた方が拒否をされておりまして、犬を降ろせと言われましたが、犬がいなければ次に行っても動けませんので、残念ながら行政機関においてもまだそのような認識があるということはお伝えしたいと思います。

 じゃ、そういう事態に遭ったときにどうしているかというと、その場で一生懸命本人が説明する、下のグラフですね、六九・三%。今大臣がおっしゃった相談窓口、役所に言ったのは一四・九%。

 何でこういう数値になるかというと、大臣が先ほどこれも例に引かれましたJDF、日本障害フォーラムも、二〇一八年、調査をいたしております。大臣が御答弁の窓口についてですが、まず、JDF、日本障害フォーラムの調査では、窓口があることを知っているのは三三・六%。あるいは、知っているけれども具体的に分からない、三五・二。知らない、二九・一。これらを合わせますと、七割近くが知らない、あるいは具体的に分からない。もっと悲しいことに、問題が解決した人というのも三割しかいません。七割が窓口に行っても解決しない。

 ここから今回の法改正が私はよりよい方向にならないといけないと思うのですが、おめくりいただきまして三枚目には、平成二十五年の障害者差別解消法の附帯決議に七番というのがございます。附帯第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判事例の集積等を図ること、これは立法府が行政に要請をした附帯決議であります。

 さて、大臣、相談事例についてはいろいろ事例を挙げていただいておりますが、解決しなかった後の対応、裁判まで行かずとも、裁判外の紛争処理とかもあろうかと思います。そういう事例の集積、どうやって解決したかの事例の集積はおありでしょうか。

坂本国務大臣 国におきましては、不当な差別的取扱いの事例や合理的配慮の提供事例などにつきまして、各省庁や地方公共団体そして障害者団体等から広く情報を共有することが望ましい事例や特徴的な事例の収集に努めてきたところでございます。

 このうち、合理的配慮の提供事例につきましては、障害種別、十種別ありますけれども、障害種別や場面別、これは七場面でございますけれども、場面別に整理した上で、合理的配慮の提供等事例集として公表をしているところであります。合理的配慮の提供事例は計百六十四件となっております。

 また、内閣府におきましては、障害者差別解消法等に言及されている裁判例の収集に努めておりまして、平成二十五年六月に障害者差別解消法が成立して以降判決が出されたおおむね十件程度、雇用分野を除くわけでありますけれども、十件程度を把握しているところであります。

阿部委員 正直申しまして、これだけ解決しない事例があって、裁判まで行くというのはよほどのことなんだと思います。裁判外にどうやれば事態が解決されるかという方が、裁判に行かざるを得ないことはあろうかと思いますが、私は重要なんだろうと思っております。その仕組みがまだまだ整っていないから、窓口のこともよく知らないけれども、言ってもどうにもならないねとなっているところが、ますます差別を固定させていると思います。

 大臣に、開きまして四枚目の資料にお目を通していただきたいですが、これは、大阪府における障害者差別解消の取組ということで、大阪府が作った条例でございます。平成二十八年四月施行になっておりますが、これは国における障害者差別解消法と平仄を合わせて施行日もここに置いたのだと思いますが、読んでいただきますと、「公的な解決の仕組みを規定し、実効性をもった相談、紛争の防止・解決の体制等を規定」となってございます。

 先ほど熊本県でも条例があるというお話を伺いましたが、実効性を持って、そしてそれを、行政もです、国も行政もやっていくための条例の制定というのは、もちろん国が県に指示とかはできませんものでございますけれども、私は非常に、こういう身近なところでそういう条例等々でエンパワーしていくということは重要と思いますが、まだまだ、全国的に見れば十幾つでしょうか。

 先ほど、大臣、少し御答弁でしたが、こういう状況、それから、更にこれを進めるべきではないかということなどについて御答弁お願いします。

坂本国務大臣 御紹介いただいた事例は、大阪府障がい者差別解消条例に基づく相談等の体制整備に関するものと承知をいたしております。

 今般の改正の議論におきましても、相談体制の充実を望む声が、障害者団体の皆さん方、事業者団体、共に多く寄せられました。本法案におきましては、相談体制の充実を図るための改正を盛り込んでいるところでございます。本法案におきまして、相談体制の充実等を図る観点から、これらを念頭に置いた基本方針の記載事項の追加や、国、地方公共団体が相談対応の人材を育成、確保する責務の明確化の措置を講じることというふうにしております。

 御紹介いただきましたように、あっせん等による解決や複数の市町村を担当する広域支援相談員の配置等について定めました大阪府の取組は、他の自治体にとっても参考になる取組であるというふうに考えておりまして、内閣府としても、このような取組の情報共有等に努めてまいりたいと考えております。

阿部委員 是非そのようにしていただきたいです。

 もちろん、基本方針の策定や人材の育成ということも大事ですが、この大阪府の障害者差別解消の協議会のところを見ていただきますと、ここには、障害当事者やあるいは関係者というところが加わっております。先ほど、お伺いしておりますと、地域協議会のうち、まだ三割くらいは当事者が入っておられないと。私は、障害者の問題は障害者の声を聞くことなく何も決めるなという、これが障害者の権利条約ですから、是非、大臣、今もう一声、ピアサポートとも言えると思います、当事者あるいは当事者団体が問題を一緒にサポートする、そうした障害当事者の、あるいは関係団体をこうしたところにきちんと入れていく、そういう基本方針にしていただきたいが、いかがでしょう。

三上政府参考人 御指摘のありましたとおり、障害者に関わる様々な問題を議論する、検討する場において、そういった障害者の方々の声がきちんと反映する、あるいは当事者として参画するといったようなことは非常に重要だと考えておりまして、その考え方の下に関係の取組を進めてまいりたいと考えております。

阿部委員 それを基本方針の中に入れていただけますか、大臣。

坂本国務大臣 今後、幅広く検討してまいりたいと思っております。

阿部委員 不可欠と思いますので、大臣の御尽力に期待をしております。

 続いて、ホームからの転落問題に移らせていただきます。

 障害者の、特に視覚障害者のホームからの転落は、悲しいことに相次いでおります。

 皆様のお手元の資料、五枚目を見ていただきますと、ちょうどこの法律が施行された二〇一六年から拾ってございますが、毎年二件ないし一件が必ず、死亡事故としてここに挙げられております。事例を見ますと、多くロービジョン、全盲とはいかなくても視力が大変悪い等々で、なかなか、移動のとき、特にホームでの転落ということが避けられないという事態があります。

 二〇二〇年の東陽町の例ですと、この方はお仕事に向かう途中だったのではないかなと思いますが、こうした不幸な事態になるということであります。

 二〇二一年の事例は、これは東武鉄道ですが、当初は自殺と誤認をされました。仲間の団体がきちんと東武や警察と交渉して、これが転落事故であるということが判明した事案でございます。かばんの中には白杖があった。この方がお仕事だったかもしれません、ちょっと私が不確かで申し訳ありませんが、いずれにしろ、障害のある方が外出や仕事に向かうときに事故に遭われております。

 このことに関して、国土交通省もホームドアの設置ということを加速をしていただいておりまして、下にあるような図、特に十万人以上の駅におけるホームドアの設置も少しずつ進んでおりますが、国土交通省政務官に伺います。この転落事故も含めて、全体、どのように防いでいくかという方針についてお願いいたします。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 視覚障害者の方がホームから転落する事故につきましては、昨年七月、JR阿佐ケ谷駅、先ほど委員も御紹介ありました、十一月には東京メトロ東陽町駅、そして今年になってからも一月には東武鉄道下赤塚駅で発生するなど、昨年一月以降で五件発生しております。依然として後を絶ちません。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

 ホームからの転落事故を何としても防ぐために、国土交通省といたしましては、ホームドアの整備を一層推進すべく、新たな目標を定めております。具体的には、これまで駅単位の目標だったものを、利用者目線できめ細やかな進捗をフォローするために番線単位の目標といたしまして、令和七年度までに、優先度が高い三千番線のうち、一日当たり平均利用者が十万人以上の駅で八百番線を整備し、全体の整備ペースを二倍に加速をさせているところでございます。

 一方、ホームドアの整備には時間や費用を要することもありまして、ホームドアによらない安全対策を検討する必要があります。このため、視覚障害者、支援団体や学識経験者の方々に入っていただきまして、新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会を昨年十月に設置をいたしました。

 この検討会では、視覚障害者の方がホームから転落された原因を調査するとともに、AIなど新技術を活用した対策の検討に加えまして、歩行訓練士によるホーム上の歩行訓練など、視覚障害者の方々にも御参加をいただき、議論を進めております。

 国土交通省といたしましては、これらの様々な手段を講じまして悲惨な事故を防止し、視覚障害者の皆様が安全に、そして安心してお出かけや旅行を楽しめるような環境を整備してまいります。

阿部委員 現状で取り組んでいただいていることは多とします。しかしながら、人、物、金、いずれもまだまだ不十分であります。

 例えば、無人駅。誰もいません。転落しても分かりません。物。モニターをいろいろつけますが、それがどこにあるか、最初から、目の悪い方は、お見えにならない方は見えないということで、自分がどう守られているか見えない。そして、金です。ホームドアの設置は国費が三分の一の補助です。私は、命に関わることは、せめて二分の一の補助、これは交通機関も各々努力していると思います、ドアの設置に。これを二分の一の補助にしていただけまいかということ。

 あわせて、もう一つ質問を重ねさせていただきます。

 今政務官も御答弁ですが、視覚障害の当事者等々を入れて何が必要かを検討していく、本当に重要です。あわせて、事故の検証に検証委員会を設けて、というか、事故は、航空機事故でもそうですが、事故の検証委員会というのは必ずあるものです。それを恒常的に設けていただいて、そこに障害者当事者を入れて、どんな視点から見れば防止ができるか。これは、単発的では、また起きたということになってしまいますから、常設していただきたい。事故検証委員会。

 いかがでしょう。二点、お願いします。

朝日大臣政務官 国土交通省といたしましては、整備加速化に当たりまして、令和二年度には、先般成立をいたしました第三次補正予算を含めまして、全体で対前年度比一・七倍の五十五億円の国費を確保いたしまして、百八十一駅、四百十五番線の整備について、事業者や地方公共団体と連携して着実に進めていくこととしております。

 一方、限られた予算を効果的に活用いたしまして整備を促進していくためには、ホームドアコストの削減も必要であると考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、ホームドアの軽量化、鉄道事業者における好事例を、新型ホームドア導入検討の手引きなどとまとめまして、鉄道事業者の皆様に周知を図っているところであります。

 もう一点の御質問でございます、障害者の方々にも調査委員会に入っていただいてはどうかという点でございますけれども、先ほど御答弁申し上げました、新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会におきまして、視覚障害者の方々に対しましてアンケート調査やヒアリング調査を行いまして、転落された際のホーム上の歩行の方向や転落に至った要因等について、委員である視覚障害者や学識経験者の方々からの意見を伺いながら議論を行っております。また、検討会では、委員から、視覚障害者の歩行について知見のある方を含めて事故調査を行う仕組みが必要であるとの意見をいただいており、今後、どのような調査体制がふさわしいのか検討を進めていく予定であります。

 国土交通省といたしましても、検討会の議論を踏まえながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

阿部委員 よろしくお願いいたします。事故の検証が全ての再発防止の基です。よろしくお願いしたいです。

 そして、その中で、今、ハードの充実をお願いし、国費半分というのは御答弁がなかったので、赤羽大臣に言っておいてください。お伝えください、国費を半分にしてと。補正が出たからちょっといったけれども、もっと加速してほしいです。

 次に、じゃ、ハードは整備を進める、大事です。でも、ここで明らかになったのは、最近は中途失明の方も多くて、歩行訓練というものがなかなか受け難い。所沢のリハビリテーションセンターというようなところで、失明されて直後はそこで訓練したとしても、日常的に、通勤や毎日の生活においての歩行訓練というところが極めて薄いと思います。

 時間の関係でまとめて聞かせていただきますが、障害者団体からは、いわゆる訪問で自分の訓練を受けられないかというような要望も強く上がっており、今、訓練と言われるもののほかに日常生活支援でそういうコースもありますよと言われますが、ほとんど機能しておりません。それにはいろいろな理由があると思いますから、歩行訓練をいつでも、誰でも、どこでも受けられる体制にしていただきたい。それには訓練士の資格要件も必要となってまいります。大隈政務官、申し訳ありませんが、まとめて、しかし期待を込めて質問します。

大隈大臣政務官 お答えいたします。

 御期待いただいて、本当にありがとうございます。

 委員と問題意識を共有させていただいております。先ほどのプラットホームの件も含めて、中途失明者に対して、やはり、しっかりとした社会参加をしていただく、安全を保障していくということは、社会にとって大切なことだというふうに考えておりまして、特に、先生御指摘の、医療と、治療が終わった後の福祉の切れ目のないサポートというものが重要になってこようかと思います。

 その点に関しまして、厚労省におきましては、身体障害者手帳取得時における更生相談所の相談及び指導、あるいは相談支援事業所の支援員による相談や障害者団体におけるピアサポートなど、適切なサービスの利用につなげているところでございます。

 また、先ほど、介助犬、補助犬、盲導犬の、断られるというような事案がありましたけれども、こちらの方に関しましても、障害保健福祉主管課長会議において各自治体にしっかりと周知をしていく、また、当事者団体、医療機関といった支援者による連携をしっかりつくっていくということが必要だというふうに考えております。

 また、先生御指摘の、なかなかニーズがしっかりとマッチできていないんじゃないか、酌み取れていないんじゃないかということに関しまして、私も大切だというふうに考えておりまして、視覚障害者に対する専門的訓練、これは、一日七百五十単位ということで、比較的高い報酬をつけておりますけれども、実際のところは、自立訓練、これは、機能訓練の方で利用者数が五十三人、それから生活訓練でも五人ということで、非常にサービスが受けられていない。

 また、サービスを、今度、訓練される専門家の方も、日本ライトハウスさん、それから国リハの方も、大体約十五人、二十人ぐらい定員で養成しているところですけれども、やはり定員割れがあって、今のところ、累積でいうと九百名を超える歩行訓練士というのはできているわけではございますが、今、一級の方で大体約十二万人ということを考えると、潜在的ニーズというのはまだまだあるんだろうということは容易に想像できるところでございます。

 その点も含めて、しっかりと今後も、必要なニーズを的確に把握するためにも、専門家あるいは団体の方々に御意見をお伺いする場を設け、丁寧に聴取していく、また、五年に一度、在宅で生活する障害者を対象といたしまして、全国在宅障害児・者等の実態調査を実施しておりますが、そのニーズというものを多面的にしっかりと見ていくということが大切だというふうに考えておりまして、厚生労働省、しっかりと実行してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 前向きかつ御丁寧な答弁をありがとうございます。

 いつでも、どこでも、誰でも受けられる歩行訓練のために御尽力いただきたいと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございます。

木原委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 障害のある者の家族として差別を受けた経験を持ちます。そして、東日本大震災原発事故から十年となっていますけれども、福島差別というものも経験しました。また、今は、コロナ禍にあって、コロナ差別もあります。あらゆる差別というのが社会にあります。

 そこで、障害者差別解消法改正案の中身について質問する前に、大臣にお伺いしたいと思います。

 差別とは何でしょうか。そして、差別はなぜ存在するのでしょうか。お伺いします。

坂本国務大臣 辞書によりますれば、差別とは、正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うことであり、障害者権利条約では、「「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するもの」というふうに定義をされております。

 現行法では、個別の事案におきまして特定の行為が差別に該当するか否かは、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものであるため、障害を理由とする差別についてあらかじめ一律に定義を定めることとはされておらず、不当な差別的扱い等の考え方を基本方針等において示しているところでございます。

 差別がなぜ起きるかという点につきましては、様々な議論があるとは承知しておりますが、障害又は障害者への理解が十分でないことも大きな要因の一つというふうに考えております。

金子(恵)委員 人権侵害ですよね。

 今、大臣、いろいろなところから、辞書も含めて引っ張ってきていただいて定義というのをおっしゃっていただきましたけれども、確かに、この障害者差別解消法には、障害者差別の明確な定義というものはありません。

 障害者差別解消法の施行三年後の見直しに関する意見、これは、先ほど来お話がありますが、当事者の方々を中心とする障害者政策委員会が取りまとめたものですけれども、その中でもいろいろな議論があって、もちろん、社会的な認識を広げて差別の解消に資するという観点からは、法律の定義を設けること等が望ましいと考えられるという意見もある一方で、法律で差別の定義を設けると、かえって条約よりも狭く定義される等の懸念があるとともに、解釈の違いによる混乱も予想されるというような、いろいろな意見なり御議論があったということでまとめられているわけなんですけれども、私、最後に大臣がおっしゃったことというのはとても重要だと思うんです。

 やはり、お互いに努力をしていく、お互いに理解をし合おうとするというところだというふうに思います。そのことによって差別をなくしていくということができるんだろうなと思いますが、反対に言いますと、理解が不十分である、そういうところから差別が生まれてくる可能性もある。優生思想というものがあって、本当に、障害のある方々のすばらしい能力や命の重さというものを理解しない、理解できない方々がいるとしたら、その方々に対して、障害、難病、どういうものかということをきちんと伝えていく、これを丁寧にやっていかなくてはいけないというふうに思っています。

 変えていくこと、大変時間のかかることだと思いますけれども、是非、今回の障害者差別解消法、本当であれば、一番最初に成立したときの議論の中では、これを障害者差別禁止法としたいという議論があったわけですけれども、強い、本当の実効性のある法律に育てていかなくてはいけないというふうに思っていますし、そういう観点からも、今回の改正は、百点満点ではないけれども前進しているというふうには思いますので、その百点に近い法律に育てるために一緒に議論をしていきたいというふうに思います。

 当時の民主党政権で、二〇〇九年十二月、障がい者制度改革推進本部が設置されました。本部の下に障がい者制度改革推進会議が設置されて、そこからが、障害者権利条約の締結に向けた国内における法制の整備が目的とされて動いてきたというところです。その中でも差別禁止法の必要性が議論されたということで、そういうところからスタートをして、後に基本法の改正もあり、そして改正基本法の下で障害者政策委員会が設置されて、そしてその政策委員会の中でもまた引き続き差別の禁止に関する法制の制定に向けた検討がなされてきた。そして、二〇一三年にこの法律が成立し、二〇一六年四月に施行、そして施行後三年たって、議論がなされて、やっと今に至っているということですね。長い道のりを経てまいりました。

 これまで、ここまで、改正に至るまで、改正案が出されるまで、なぜこれだけの時間がかかったのか、どのようにお考えになられているか、お伺いしたいと思います。

坂本国務大臣 現行法の附則では、政府は、施行後三年を経過した場合において、事業者による合理的配慮の在り方その他同法の施行状況について検討を加える、必要に応じて所要の見直しを行うものというふうにされております。

 この規定を踏まえまして、内閣府の障害者政策委員会におきまして、施行三年を経過する平成三十一年四月を待たずに、同年二月から御議論を開始いただきました。その後、昨年六月に意見書が取りまとめられまして、さらに、内閣府におきまして実施をいたしました事業者団体及び障害者団体の皆様からのヒアリングの結果も踏まえて、今般、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を内容とする改正法案を提出するということに至りました。

 このように、早期に議論を開始しておりまして、また障害当事者等の御意見も踏まえて丁寧に検討をしてきたというふうに思っております。

 法案提出までに一定の期間を要したことにつきましては、そういう手順を踏んできたということで御理解いただきたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 丁寧な議論をしてこられたというところについて、あと、当事者の方々の意見等も踏まえて議論がなされたという点については了としたいというふうに思いますが、先ほどほかの委員の方々に対しての答弁の中でとても気になっているところがあって、例えばこの国連の対日審査があるから、そしてまた今年はパラリンピックが開かれるからというような形で、何か、それに合わせるような形で今回の法改正というようにおっしゃられているような感がいたしました。そうではなくて、やはり不断の取組というのをしっかりとやっていくということがなければいけないというふうに思うんですが、そういうことでよろしいんでしょうか。確認をさせていただきたいと思います。

坂本国務大臣 先ほど、パラリンピックのこと、あるいは国連の審査も申しましたけれども、あくまでもやはり丁寧な議論を一つ一つ積み重ねてきた、丁寧に積み重ねてきたということで、御理解いただきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 丁寧な議論を積み重ねてきてくださったということであるんですけれども、一番大きいのは合理的な配慮を事業者に対して義務化するということでありますので、これは法律が成立したその当時もいろいろな議論があったというふうに思いますし、経済界の皆さんとのやり取りというものもあったんだというふうに思います。そこは今回改正案に盛り込まれてよかったなというふうには思っていますけれども、でも、そうはいっても、障害者権利条約の求める権利水準には今回の改正案は全て達しているかというと、そうではないわけなんですね。ですから、これだけの議論をして盛り込めない内容がたくさんあったということはどういうことなんだろうと。どのように説明されますか。

三上政府参考人 お答えいたします。

 障害者差別解消法の見直しにつきましては、政策委員会からの提言を受けまして、我々として、条文に反映できる部分はどこであるかということを最大限に追求して、法制局ともいろいろな議論を行いました。その結果としてお諮りしているものが今回の法案ということでございますけれども、提言の中には、必ずしも法案の条文の中でなくても、基本方針ですとか、それからその下の対応指針等々、それ以外の取組によっても実現できる部分もあるのではないかと考えておりまして、そうした全体の中で障害者の差別解消に向けた取組が進むように、このように考えております。

金子(恵)委員 それでは、全体の話ということでありますので、もちろん基本方針の改正の話、そして対応指針のお話も先ほど来出ておりますけれども、この法律に基づいて社会全体が改善されているのかどうか、そして今後改善されていくのかどうかということはどのようにチェックをしていくのか、お伺いしたいというふうに思います。

木原委員長 三上政策統括官、どうぞ。(金子(恵)委員「大臣」と呼ぶ)

三上政府参考人 まず私からお答えいたします。

 私ども内閣府といたしましては、先ほど答弁申し上げましたけれども、事例といったものを関係省庁あるいは地方公共団体、さらには障害者政策委員会に加わっている障害者の方々などから集めておりますので、そういった中で、合理的配慮の提供によって、事業者と障害者が建設的な対話の中で社会的な障壁を取り除くことができたというようなものを把握することができると思っておりますので、そういった事例が恐らくたくさん出てくれば、いろいろな場面について出てくれば、それはこの法律が実を上げているということなんだろうと思いますし、また、それがなかなか解決に至らなかったというようなものがたくさん聞こえてくるようであれば、もっともっと努力するということになるのだろうと考えております。

木原委員長 坂本大臣。

 大臣からも御答弁いただきたいと思います。

坂本国務大臣 今事務方の方から一応、御説明をいたしましたけれども、現行法の附則におきまして、その制定時に事業者による合理的配慮の義務づけが将来的な検討課題として想定されていたことから、これを検討課題として明示しつつ、施行三年後経過の検討規定が設けられています。今回の改正法案におきましては、現時点において、制定時のような具体的かつ将来的な検討課題まで想定されていないことから、検討規定を設けることとはしておりません。

 なお、障害者政策委員会は障害者基本計画の実施状況を監視することとされておりまして、検討規定の有無にかかわらず、差別の解消等の取組として、本法の施行状況についても必要に応じて御議論いただくことになると考えております。

 内閣府といたしましては、引き続き、障害者政策委員会での議論や、それから国、地方公共団体における実施状況の調査、事例の収集等による運用の把握を通じまして、適宜、制度や施策の在り方について点検そして検討を行ってまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 私、見直し規定がありません、ですからどうしましょうということは、これから質問をしようと思っていたところではありましたが、今、先に御答弁をいただきました。

 私は、やはり今回見直し規定がないということは問題だと思っていまして、今回の改正ができたのは、附則七条において、施行後三年を経過した場合に、事業者における合理的配慮の在り方その他の施行状況について所要の見直しを行うということがきちんと書かれていたから大変動きやすいんだと思います。それがない中で、先ほども申し上げましたように、今回の改正案は、反対をするものではないにしても、百点満点だというふうには私は思っていませんし、多くの課題を残したものだというふうに思っています。

 ですから、今後も恐らく障害者政策委員会等での議論とか、そしてまた答弁がどういうふうになっていくのか考えると、恐らく、障害者権利条約の国内の実施状況を障害者政策委員会というのは監視をすることになっていますから、そういう状況の中で、その監視状況に基づいて、必要に応じて改正をしていくということにもなっていくんだろうというふうに思うんですが、あるいはそのように願っているところであります。

 もう一度お伺いしたいと思いますが、この見直し規定がなくても、これから必要に応じてしっかりと改正ができるということでよろしいでしょうか。

三上政府参考人 御指摘のとおり、障害者政策委員会というのは、基本計画の実施状況ですとか、それから条約の実施状況などについて監視をするというメカニズムで位置づけられておりますので、そういった御審議の中で、どういったところに不十分な点があるか、それはどういった政策によって解消されるのか、それが法律の改正なのかあるいは制度の運用の中なのかといったようなことなども御議論いただけると思っておりまして、私どもとしては現行の法律や制度をずっと同じものであるべきだというふうに考えているものでは当然ございませんので、そういった御議論の中で、法律改正といったようなことについても、その必要性ありやなしやも含めて御議論いただけるものだというふうに考えております。

坂本国務大臣 先ほどは先走って済みませんでしたけれども、今事務方からも言いましたけれども、障害者政策委員会の御意見を十分伺いながら、そして、今後のことについて検討してまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 障害者政策委員会、とても重要な組織です。障害のある方々、当事者が本当に意見をきちんと述べていける、そういう場だというふうに思うんですけれども、でも、もっともっと生かしていかなくてはいけないというふうに思うんです。

 障害者基本法の三十二条に基づいて内閣府に設置されていて、そしてその任務としては、障害者基本計画の策定に関する調査審議、意見具申、そして基本計画の実施状況の監視、必要があると認めるときは関係大臣に勧告を行うことも可能、障害者差別解消法の基本方針に関する意見具申をする、そしてまた、障害者権利条約の政府報告で位置づけられた任務、障害者権利条約の国内実施状況の監視、先ほど私も申し上げたことですが、こういう任務があるということであります。

 お伺いしますけれども、障害者基本計画の関係ですけれども、関係大臣に勧告を行ったという、何件ぐらいあるんでしょうか。実際に行われましたか。

三上政府参考人 実際にそれが行われたという実績はございません。

金子(恵)委員 それはなぜですか。

三上政府参考人 明確に申し上げることは難しいと思いますが、そういった勧告を審議会から行う前のいろいろな関係省庁間の話合いとか、そういったことを通じて、勧告に至るようなそういった状況は放置されずに、その前に解消されていくように我々政府として内部で努力をしている、その結果の一端ということも言えるのではないかと考えます。

金子(恵)委員 省庁が頑張っているから関係大臣にも勧告を行うこともしなくても大丈夫だったという答弁だというふうに思うんですが。

 私は、いろいろな環境ですよね、勧告を行うことがよりしやすい環境とか、そういうことも工夫していくべきだというふうに思います。

 国が頑張っているというような、そういうことをおっしゃるかもしれませんけれども、実際に、今まだ、いろいろな地方あるいは地域において、障害のある方々の差別というのは解消されていないという状況にあります。ですので、もっと、この制度、政策、今まで前進をさせようとしてきたことを生かしていくという努力というものを是非していただきたいというふうに思います。

 再度申し上げますけれども、私は今回、やはり見直し規定というものがあった方がよかったというふうにも思いますし、是非、今後の、次の段階で、本当に不断の努力、不断の取組というのをしていただきたいというふうに思っています。

 次に、そうしますと、やはり、障害者差別解消法に基づいて、差別を解消するための支援措置の中で普及啓発というのがあるんですが、それがどのように行われているのか、そして、これからどのように行っていくのかということについてお伺いしたいと思います。

三上政府参考人 今回の法案は、事業者による合理的配慮の提供を努力義務から義務へと改めること等を内容としております。

 その円滑な施行のためには、改正法の趣旨、内容はもとより、障害者差別解消法そのものにつきましても、事業者、障害者、さらには広く国民一般に周知し、正しい理解を得ていくことは非常に重要だと考えております。

 内閣府におきましては、これまでも、合理的配慮の事例の共有、あるいはポスター、リーフレットの配布、毎年十二月三日から九日までは法律に基づきまして障害者週間でございますけれども、そういった機会を活用した広報など、普及啓発に努めてきたところでございます。

 これに加えまして、今年度の予算におきまして、法の趣旨ですとか合理的配慮について分かりやすく紹介するポータルサイトの開設、あるいは新たなリーフレットの作成等のために必要な経費を計上しておりますので、関係団体とも連携しながら、これらの取組を通じて一層の普及啓発に努めてまいりたい、こんなように考えております。

金子(恵)委員 普及啓発をしていくということですが、実際に、やはり固定されてしまった意識を変えるということは大変難しくなってきているというふうに思いますし、本来、障害の有無にかかわらず、地域社会の中で子供の頃から一緒に育ち、そして生活をしていくというような環境整備というものがあるのが一番だというふうに思っておりまして、就学前から、そして就学後も、共に学び、共に生活する、共に支えることが当たり前と思えるような、その意識を育てることが重要だと思います。

 そこで、教育の場における差別の禁止と合理的な配慮についてお伺いしたいというふうに思うんですが、国連の権利条約第二十四条では、インクルーシブ教育の権利について定めているわけなんですが、分離されないことをとにかく権利として定めているわけなんです。

 でも、どうしても我が国においては、通常学校とそして通常学校でないところ、分離をしていくということが起こってしまっています。本人とそして保護者の方々の意向とは違った形で、どうしても、分離が行われてしまうということがあったり、又は、実際に障害のあるお子さんが通常学校に行けたとしても、合理的な配慮が提供されないということが起こっているという状況があります。これは障害者差別解消の観点からすると大きな問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 障害者差別解消法は日常生活及び社会生活全般の分野を対象としておりまして、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供が求められる事案の分野、業種、場面、状況は様々であります。

 このため、本法では、政府全体で定める基本方針に即しまして、行政機関等は職員が適切に対応するための対応要領を定めるとともに、事業分野を所管する主務大臣は事業者向けの対応指針を定め、これらに基づき各分野での取組が進められています。

 御指摘がありました教育の場における不当な差別的取扱いの禁止等につきましても、関係行政機関や文部科学大臣において定めます対応要領や対応指針等に基づき取組が進められているものというふうに認識をいたしております。

 内閣府として個別の事案についてお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、今後とも、文部科学省も含めた関係省庁と連携しながら、障害者差別の解消に向けて更に取組を進めてまいります。

金子(恵)委員 個別のことはおっしゃれない、おっしゃることができないということでありますが、実際に保護者の付添いの強制とか、そういうことが現場で行われていますので、もうこれは差別だというふうに是非おっしゃっていただきたいと思いますし、その部分については是非認識を高めていただきたいと思います。

 もう時間が参りましたので、最後になりますけれども、障害女性の複合差別についても、政策委員会の意見の中では、基本方針で対処とは書いてありますけれども、基本方針の中に、法の対象者として、「障害者」には、「また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する。」というようなことがありまして、障害女性、障害児の複合差別についても指摘がされているところでもあるんですけれども、なぜ今回、改正案にしっかりと盛り込まれなかったのかというところを最後お伺いして終わりたいと思います。

木原委員長 坂本大臣、手短に御答弁ください。

坂本国務大臣 これまで事例等の収集に努めてきましたものの、いわゆる今おっしゃいました複合差別につきましては、いまだ具体的にどのような事例が該当するのか明確ではありません。こうした状況の下では、法律上、複合差別の定義規定を設けることが困難であるというふうに考えております。

 なお、障害のある女性や子供等への差別に関しましては、内閣府の障害者政策委員会の意見書におきまして「基本方針等において、性や年齢別に具体的な相談事例を蓄積すること等により更に実態把握に努めるとともに、相談事例を踏まえて適切な措置を講じるべき旨を記載することについて検討すべき」とされております。そのことを踏まえまして、今後、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

木原委員長 時間ですので。

金子(恵)委員 はい。

 時間が参りましたので終わります。ありがとうございます。

木原委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 それでは、障害者差別解消法の改正につきまして質問をさせていただきます。

 今回の改正案は、一歩前進ではありますけれども、様々な課題は残っております。私は、立憲民主党障がい・難病PTの一員として、様々な課題を質疑しつつ、そして速やかな成立を求める立場から、順次質問してまいりたいと思います。

 一方で、障害者差別解消法の対象に、立法府、国会や、そして司法府も加えるべきとの御意見もあります。そして、これを私も重く受け止めておりまして、参議院での取組も参考に、衆議院でも更なる取組を進めるべきと考えておりますので、冒頭、是非委員長に、こうした検討も当委員会でのお取り計らいをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

木原委員長 御意見として承っておきます。

早稲田委員 是非、理事会の方でお取り計らいいただきたいと思います。

 それでは、まず差別の定義についてから伺わせていただきます。

 当事者団体が参画をしております内閣府の政策委員会において、差別の定義を条文に盛り込むべきとの意見は制定の当初からあったと思いますが、今回の改正でもこれはかないませんでした。

 この改正案におきまして事業者の合理的配慮を法定義務とすることは、合理的配慮を提供しないことが差別に当たるという明確な意識を事業者の方にも持っていただくということが大前提になると思います。そして、差別について、最大公約数的な定義として、「「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限」であり、「障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」そうした条約の文言を障害者基本法ないしこの差別解消法に規定すべきと私は考えております。

 この質問を幾つかまとめてさせていただきます、大臣に。私は、そういうふうに規定をすべきと考えております。

 その上で、間接差別やハラスメントを含めた障害を理由とする差別概念の拡大や障害者の家族に対する差別の解消などについて基本方針や対応要領及び対応指針に明確に盛り込むとともに、反対解釈の濫用など恣意的な解釈を防ぐための基本方針やガイドラインの策定、運用も並行して行うべきではないかと考えますが、大臣の御所見を伺います。

坂本国務大臣 法律に定義規定を設ける場合にはどのような事例が該当するのかがまず明確である必要がありますけれども、事例の内容は多種多様であることが判明しているほか、差別の概念や類型にも様々な考え方がある中では、法律で差別の定義を定めることができるまでの状況には至っていないというふうに認識をしております。

 したがいまして、御指摘のような対応は難しいと考えていますが、差別の定義、概念の明確化を図る観点から、今後、基本方針等におきまして、どのような対応が可能であるかということにつきましては検討をしてまいります。

 それから、二点目の御質問でございました、これまで事例の収集に努めてはまいりました、いわゆる間接差別等につきましては、いまだ具体的にどのような事例が該当するのか明確ではないところであります。こうしたことも踏まえながら、今後、基本方針等におきまして、差別の定義、概念の明確化を図る観点から、どのような対応が可能かについて検討してまいります。

 障害者の家族に対する差別についても、障害者政策委員会の意見書を踏まえまして、基本方針等におきまして、障害者本人に対するものと同様に解消すべきものである旨について明確化すること等を検討してまいりたいと思っております。

早稲田委員 定義はまだなかなか難しいけれども基本方針で検討していくという御答弁でありますが、さらに、ガイドラインの策定、運用も並行して行うべきではないかと考えておりますので、こちらも是非御検討をしていただきたいと思います。

 そして、今後も引き続きこの課題に取り組んでいただくとともに、平成二十八年度以降行われてこなかった、政府としての差別の具体的な相談事例、例えば先ほど金子議員もおっしゃいました女性に対する複合差別、こうした相談事例や判例、これを更に積極的に収集をしていただきまして、政策委員会などで、不当な差別の取扱いや合理的配慮の不提供の、法律上の差別の定義に関する検討を更に深めていただきたい、進めていただきたい。そして、次の改正に準備をしていただきたい、そのときには定義が明記をされるようにしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 相談事例につきましては、国におきまして、不当な差別的取扱いの事例や合理的配慮の提供事例につきまして、各省庁や地方公共団体そして障害者団体等から、広く情報提供をすることが望ましい事例や、特徴的な事例の収集に努めてきたところでございます。

 また、裁判事例につきまして、内閣府におきまして、障害者差別解消法等に言及されている裁判例の収集に努めておりまして、平成二十五年六月に障害者差別解消法が成立して以降判決が出されたおおむね十件程度を把握しているところであります。これは雇用分野というものを除いております。

 さらに、本法案におきましては、現行法で規定されております国の事例等の情報の収集等の義務に加えまして、直接相談に対応することが多い地方公共団体につきましては、事例等の情報の収集、整理及び提供に努めるべき旨を規定することというふうにしたところであります。

 本法案が成立した後は、同規定にのっとりまして、事例の収集や裁判例の積極的な集積に努めてまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 集積に努めてまいりたいということでございますが、先ほどの女性に対する複合差別も定義が困難だという御答弁でございました。

 私のところにも、たくさんこうした女性の方から御相談が来ております。是非、相談事例というものはたくさんあるわけですから、それをもっと積極的に収集に努めていただきまして、この差別の定義に関する検討も深めていただきたいと要望させていただきます。

 この法律の制定の平成二十五年当時においても当委員会で議論があったと伺っておりますし、将来的には、定義につきましても、これは与党公明党の高木議員がおっしゃっているわけですが、定義につきましても、私どもは、附則の中に三年の見直し規定を盛り込ませていただいておりますけれども、諸外国の法令等も参考にしながら規定していくことも必要ではないかと質問もされております。

 これも、期限としても延びておりますし、さらに、これも、今回も改正のときにも盛り込まれなかったわけですから、次回の改正には是非盛り込んでいただけるように、事例収集を含めて、そしてまた検討の更なる推進をしていただきたいと思います。

 それでは次に、ワンストップ相談窓口の必要性についてであります。

 これは、いろいろ先ほども御議論あったようでございますけれども、私は、国と自治体と二つに分けて、段階できちんとそれぞれ、ワンストップの相談窓口が必要だと思っております。

 まず一つ目は、国における窓口の一本化です。

 合理的配慮の民間事業者への義務化に伴って、障害を理由とする差別の相談については、制度の谷間、それから、たらい回しというようなことが生じない相談体制というものが強く求められるのではないでしょうか。そして、自治体や事業者からの問合せに応じて、適切な、いろいろ府省にまたがることがたくさんあると思いますから、そうした担当部署を紹介する、そういうワンストップ窓口を内閣府に設置するべきではないかと考えます。この点について、大臣、いかがでしょうか。

坂本国務大臣 障害を理由とする差別の解消を推進するためには、相談のたらい回しの防止等を含みます、相談体制をしっかりと受け止める、その整備が大変重要であるというふうに思っております。

 この考え方の下、本法案では、委員おっしゃいましたように、国と地方公共団体との連携協力の責務を定めることといたしました。これを踏まえまして、相談事案が適切な行政機関に引き継がれる体制整備などを進めてまいりたいというふうに考えております。

 障害者政策委員会の意見書におきましても、相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国、地方公共団体の役割分担の整備などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきであるというふうにされております。これを受けまして、今年度には、効果的な相談体制の在り方につきまして調査研究を予定しております。

 御指摘の点も含めまして、今後の相談体制の在り方を検討してまいります。

早稲田委員 検討するということでございますが、内閣府に相談窓口を設置するということも含めて検討していただくということでよろしいでしょうか。

坂本国務大臣 それも含めて、幅広く検討してまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 内閣府がこの障害者差別解消法を所管する要でありますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。

 さらに、自治体における相談窓口でありますが、当事者の方が身近なところで安心して相談できる、これは当然なことだと思いますが、この相談対応者に当事者を加えていただくとか、それからまた、電話対応だけでなく、ファクス、メール、それからSNS、こうしたものの利用を可能としていただくことによって聴覚障害の方も利用しやすい体制を整備するよう、国からも働きかけをしていただきたいと思います。これについて大臣のお考えを伺います。

坂本国務大臣 障害者の方が相談窓口を利用しやすい環境を整備することは、大変重要であるというふうに考えております。

 相談体制の在り方につきましては、御指摘の点も含めて、先ほども御答弁させていただきましたけれども、今年度、調査研究を行うことを予定をいたしております。その結果も踏まえまして、障害者当事者の方への対応も含めて、障害者の利用しやすさ等を観点に、必要な体制整備が図られるよう、今後検討してまいります。

早稲田委員 相談者が利用しやすいよう、まさにその点を一番に考えていただきまして、聴覚障害の方も使いやすい、そうした相談の窓口になるようやっていただきたいと思います。

 今、コロナの感染拡大の中で、非常に、コロナのワクチンの予約、それから接種会場、また接種した後の相談、こうしたことについても御不安の声がたくさん上がっております。要望もいただいております。

 私たちは、手話言語法並びに情報コミュニケーション法案、これも衆議院に提出をしておりますので、全会一致で成立ができるよう、与党の皆様の御理解と御協力をここでよろしくお願いしたいと思います。

 そういうこともございますので、情報が皆さんに行き渡るように、相談がしやすいような体制を強く要望させていただきます。

 次に、インクルーシブ教育の推進であります。

 インクルーシブ教育の推進に関して、私も地元の逗子市の医療的ケア児のお母さんから御要望もいただきました。そして、昨年、質問主意書を出したところなんですけれども、その中で、普通学校における教員やヘルパーさんによる喀たん吸引など、医療的ケアに関連して、この三月末に厚労省が喀たん吸引や導尿など医療行為に関する告示を出しました。これによって、現場に少し混乱、それから迷いが生じました。そして、四月に入って厚労省がまたQアンドAを出して混乱が収まったというふうに聞いております。

 そうした事例がございますので、医療的ケア児のインクルーシブ教育を推進する上で、普通の学校においても、看護師のみならず教員やヘルパーがこのような医療行為を行うことを引き続き推進する方向でよいという確認をさせていただきたいと思います。文科省、お願いいたします。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 特別支援学校に加えまして、近年、小中学校等におきましても、日常的にたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子供が増加傾向にございます。小中学校等における医療ケア児の受入れ体制を整備していく必要がございますので、文部科学省といたしましては、看護師の配置のための予算の拡充でありますとか、あるいは、中学校区に拠点校を設けるなどして、小中学校における医療的ケア児の受入れ体制の在り方の調査研究なども行っております。

 御質問の、医療的ケアのうち、たんの吸引などにつきましては、一定の研修を受けた医師や看護師等の免許を持たない者、例えば教員もこれには含まれますけれども、でありますとか、介護職員等ということでございますが、これらにつきましても実施をできることとされてございます。

 各学校の実態や医療的ケア児の状況に応じまして、各自治体の判断によりまして、看護師以外の人材も活用するということも行われておりますし、これから進めていく自治体もあるだろうと思っております。

 文科省といたしましては、今後とも、各自治体におきます実践事例を把握をしつつ、医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 看護師以外でも、研修を受けた方、ヘルパーの方、教員の方ができるということであります。これがなかなか現場に伝わらない事例もございます。看護師さんが雇えないからできない、医療的ケア児を受け入れられないというケースも出ておりますので、是非、引き続き、文科省としてもそういうことの周知徹底をお願いして、そしてまた、その支援を国としてもしていただきたいということを申し上げておきます。

 それから、文科省にもう一問、普通学校への通学にも福祉タクシーを使えるようにすべきことについて私も質問主意書を出しましたが、答弁が少し曖昧でございましたので、これについて確認をいたしますが、小中学校のみならず地域の高校への通学にも福祉タクシーが利用できるということでよいのか、伺いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 通学時における福祉タクシーの利用につきましては、特別支援学校、それから小中学校に就学をする児童生徒につきましては、学校設置者が障害の状態や特性、あるいは通学の安全性等の実情を考慮した上で必要であると判断した場合には、通学に要する交通費として、国の特別支援教育就学奨励費により補助をすることが可能となってございます。

 この特別支援就学奨励費につきましては、元々は特別支援学校の児童生徒を対象として、その就学を支援をするということで設けられた仕組みでございますけれども、その後、小中学校の特別支援学級でありますとか、あるいは小中学校の通常の学級に在籍をする障害のある児童生徒についても対象に加えるなど、支援対象の拡充を行ってきております。

 他方、高等学校につきましては、現在、就学義務が課せられている小中学校とは異なりまして、この特別支援教育就学奨励費の対象とはなってございませんので、御質問に対しましては、現在、対象とはなっていないというお答えとなります。

早稲田委員 なぜそこで止まってしまうんでしょうね。小中学校まではせっかく奨励費で、そして、インクルーシブな教育が受けられるように、障害のある子もない子も一緒に学べる、その学びの保障という観点でこれをやっていただいていると思うんですね。義務教育じゃないからということでここで切られてしまったら、地域の高校に通いたい、通える、これがあればということで、大変期待をされているお子さんたちも多いと思うんです。そこは是非、文科省におきましては、大きな課題でございますので、考えて、検討をしていただきたいと強く要望させていただきます。

 それから、もう一つ。

 厚生労働省に伺います。放課後デイにおける非常勤看護師への適切な報酬について、これは十二月に、質問主意書でやりましたが、回答がゼロ回答でございました。この春に報酬改定があったと思いますので、どのような進捗があったか伺います。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 従来、医療的ケアのための看護職員を配置したときの加算、看護職員加配加算につきましては、常勤職員の配置に相当する週四十時間の配置を必要としておったというところでございますが、令和三年度障害福祉サービス等報酬改定におきましては、医療的ケアのための看護職員を配置したときの報酬の在り方を大きく見直させていただいたということでございます。

 具体的に申し上げますと、放課後等デイサービスの一般型事業所につきましては、新たに医療的ケア児に係る基本報酬を創設いたしまして、医療的ケア児を受け入れる場合は、医療的ケア児の状態に応じた人数の看護職員をサービスを提供する時間帯に配置していれば、週四十時間に満たない看護の提供時間であったとしても、看護職員の配置に応じた基本報酬を算定すること等をできるようにしたという報酬改定を行っております。

早稲田委員 大変この報酬について前進をしていただきました。放課後デイを利用する方、大変こちらも増えております。そして、その中でしっかりと医療的ケアができるように、ケアをする方々の働く報酬をしっかりとこれからも引き続き考えていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 それから、障害児それから障害者を診てくださる医療機関が少ない問題について伺いたいと思います。

 知的障害児を育てながら勤務医をしているお母さんからいただいております。障害児を診てくれる病院が少ない、知的障害や発達障害のある子の寿命が短い原因の一つとなっているのではないかと御意見をいただきました。

 歯学の教育では、障害者の歯科治療を学び、それから障害者歯学学会もあります。ただ、医学教育の方では、障害者総合支援法など福祉制度とリハビリテーションの基本しか学んでいない、それから学会もございません。

 その中で、いろいろな相談事例が挙がっておりまして、令和元年の第四十七回障害者政策委員会にDPI日本会議が提出した資料の中におきましても、合理的配慮の不提供事例として、産婦人科に車椅子を使っている方が予約をしたところ、出入口に段差があるけれどもスタッフは手伝えません、それから、診察台に自力で乗り移れる方だけしか受け入れていませんと、非常に門前払いだったという事例も書かれておりました。

 今度、この改正案では、医療機関を含む事業者にも、当然、合理的配慮が義務化をされます。そこで、医学部で障害者福祉だけでなくこの差別解消法も学ぶよう文科省はカリキュラムの改定を検討するべきでありますし、また、厚生労働省としては、医療関係事業者向けのガイドラインを改定し、更に周知徹底を、都道府県、自治体だけではなく、医師会、病院協会、こういうところにも直接働きかけるべきではないかと私は考えておりますが、それぞれ、文科省、厚労省に伺います。

川中政府参考人 お答えいたします。

 医学教育におきましては、学生に対して、障害を持つ方への理解や障害を理由とする差別の解消に関する知識、能力を身につけさせることは重要であると認識しております。

 このため、文部科学省では、医学生が卒業時までに身につけるべき能力などを示しました医学教育モデル・コア・カリキュラムにおきまして、障害の概念や障害者施策に係る法律の理解に関する学修目標を設定するなど、教育内容の充実を図っているところでございます。

 これに基づきまして、各医学部におきまして、例えば千葉大学におきましては、障害者基本法、障害者差別解消法、障害者権利条約などについて学ぶ科目を導入いたしまして、教育に取り組まれていると承知しているところでございます。

 ただいま御審議中であります障害者差別解消法の改正案が成立した際には、法律の趣旨を踏まえた教育がなされるよう各大学に広く周知するとともに、今後、モデル・コア・カリキュラムの見直しの機会に、法律の取扱いについて検討してまいります。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のありました医療関係事業者向けガイドラインにつきましては、本法案が成立した際には、この改正内容あるいは現在のガイドラインにおける取組状況なども踏まえまして、内閣府あるいは関係団体と連携しながら、しっかりと改定について検討していきたいというふうに思います。

 また、周知につきましては、御指摘のように、医療関係団体への働きかけも含めまして、ガイドラインの更なる普及促進について検討していきたいというふうに考えてございます。

早稲田委員 厚生労働省におきましては、現場の方にも周知徹底を図ってまいりたいということでございました。また、文科省の方は、先進的な事例があるという御紹介でありますけれども、こうしたところが全ての教育の現場でそういうふうになるように、更なる働きかけをしていただきたいと要望させていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になりますが、精神病床の基準病床の算定式、この見直しについて、検討する必要性について伺ってまいりたいと思います。

 この精神病床の削減を地域医療構想に入れられない理由について、四月二日の大臣答弁では、精神科病床は互換性、整合性がないという答弁でございましたが、これについては非常におっしゃっている意味が不明でございます。地域医療構想のことなのか、人口推計を出したデータのことなのか、それとも各地域の事情なのか、意味が分かりません。他の医療は全て医政局の所管でありますのに、精神科医療のみが社会・援護局が所管をしているという行政の縦割り、これにこそ互換性、整合性がないのではないかと問題視を私はしております。

 そして、この精神病床は、感染病床と同様に、医療計画において二次医療圏単位での基準病床が示されておりまして、病床過剰な場合は都道府県が増床の許可を与えないこととされておりますけれども、その基準病床の算定そのものが非常に独特であることから、この地域医療構想に精神病床を入れられない原因の一つとなっております。

 そこで、端的に伺いますが、次期医療計画におきましては、この独特の算定式のいわゆる政策効果の係数などを削除するなど、精神病床の基準病床数の算定式を見直すべきではないかと考えますが、お考えを伺います。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 医療計画におきまして、精神病床の基準病床数につきましては、他の病床と同様に、都道府県別の年齢階級別人口、それから入院受療率等から算定しておりますが、その中で、長期入院につきましては、地域移行などの政策効果によって患者数が減少することを考慮した係数を用いております。

 これは、精神病床における入院患者の数が統合失調症と認知症で全体の七から八割に及ぶという特徴を有しておりますことから、これらの疾患患者の地域移行等に向けた取組による効果を考慮したものでございます。

 一方で、精神保健福祉施策におきましては、精神障害者の方々が地域の一員として自分らしい暮らしをできるよう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要だと考えております。

 精神病床に係る基準病床の在り方につきましても、その一環といたしまして、私ども、厚生労働科学研究を行っておりますので、その議論も参考としつつ検討することとしていきたいと考えております。

早稲田委員 日本では、地域移行がずっと言われながら、全然まだまだ進んでおりません。そうしたことも踏まえて、引き続きこのことは議論させていただきたいと思いますけれども、是非検討をよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

木原委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。

 冒頭、法案の質疑に入る前に、理事の皆さんそして委員長に御要望させていただきたいと思います。

 今回のこの法律は、できるだけ障害者の差別をなくしていこうということ、そして、合理的な配慮を求めようということが内容となっています。

 大変多くの障害者の団体の方々も、関心を持ってネット中継などを御覧いただいているんですが、残念ながら、手話通訳、字幕がついておりません。中途失聴者、難聴者の方々は、画面を見ていても、何をやっているんだか分からない、こういう状態でございます。

 ちょっと、私自身、反省があります。もっと早くに指摘をしておけばよかったと思いますけれども、今後、こうした法案等の審議の際には、国会の方でこういったことが必要ではないかなと思います。

 実は、昨年、総務委員会で電話リレーサービスという法律案の審議のときには、事前から理事の方にもお願いをして、できないだろうかという話をしておりました。衆議院の事務局の安部さんにもいろいろお手伝いをいただきまして、与野党で一致をして議運の方に諮っていただいて、ということをしていただいたということがあるんですけれども、是非これは理事会で協議をいただいて、これは主義主張の問題じゃないと思いますので、また議運とかで諮っていただくよう、委員長、お願いしたいと思います。

木原委員長 ただいまの御指摘につきましては、院全体の在り方に関わる問題だと思いますので、私、また理事の皆さんとよく意見交換をさせていただきたいというふうに思います。

山花委員 それでは、法案の方に入っていきたいと思います。

 今日は、いつもの内閣委員会のメンバーではなくて、差し替えで何人か質疑をいたしておりますが、党の方で障がい・難病PTというのをつくりまして、私が座長を務めさせていただいております。

 先ほど、金子委員の方からは御自身のお話がございましたが、私ごとで恐縮ですけれども、私の祖父も晩年、視力、光を失いまして、白いつえはついておりませんでしたが、祖母が手を引いていつも出かけるときは歩いておりました。また、これはちょっと、障害ではないんですが、父はアミロイドーシスという難病で倒れまして、そういった御縁もあって今務めさせていただいているということかなと思っております。

 そういう中で、二月の二十八日に、このPT、プロジェクトチームの方で、当事者の団体、たくさんの団体からヒアリングを実施をいたしました。残念ながらコロナの状況でございましたので、遠隔でというか、ネットで実施をいたしましたけれども、やはり当事者ならではの貴重な御意見もいただきました。

 その中の一つで、これは急ぐのではないかということで、気になったことがありました。まさに耳の不自由な方々に関することであります。

 先ほど早稲田委員からも少し関連するお話が出ていましたが、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会というところがございますが、今、高齢者の方を中心に、ワクチンの接種受付等がニュースになっていたりいたします。

 これについて、自治体でコールセンターが設置をされているんですけれども、コールセンターという名前が表すように、電話だけでの受付であるというようなお話で、これを何とかしてほしいという御要望をいただきました。

 二月の二十八日、その当時なんですけれども、厚労省も、コールセンターで、視覚障害者向けにファクスとかメールの相談窓口が担当部局に設けられることになっているんだけれども、その当時まだ電話対応だけだったということであります。

 その後、対応はどのようになったでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、障害をお持ちの方々にも今般安心して新型コロナのワクチン接種をしていただくことが極めて重要であると思っております。

 厚生労働省におきましては、コールセンターを二月の十五日に立ち上げましたが、その開設をした当初から、既に、コールセンター、電話対応だけではなく、ワクチンを含むコロナの対応全般に関しまして、聴覚障害の方向けのファクス又はメールによる相談窓口を設けることとしておりまして、このことを全日本ろうあ連盟の協力をいただきまして周知をしているところでございます。

山花委員 厚労省の方、ではそうなっているということなんですけれども、恐らく、普通にこの接種のことで疑問があるわという方が、いきなり国の機関に電話する、問い合わせるというのはそう多くはないんじゃないかと思います。普通であれば、地元の、今お住まいの自治体に、どうなんだろうという問合せをするのではないかと思いますが、同じような懸念というのは自治体でも起こり得ると思うんですけれども、厚労省として、対応をどのように取られているでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省からは、自治体に対しましてもこういった相談窓口を設けることをお願いしているところでございますが、今般、ワクチンの情報に関しましては、確実に障害をお持ちの方にも伝わるようにということで、各自治体に対しましては、コールセンター等の相談窓口ではファクスやメールなどによる対応についても可能とすること、また、自治体のそれぞれのホームページにおきましても聴覚障害者向けの字幕の映像を提供することなどについても検討するよう、三月三日に事務連絡を発出してお願いをしたところでございます。

山花委員 ということのようでございますので、今日、内閣委員のそれぞれの先生方も、御地元で、何かこれ、できていないんだけれどもという陳情があったら、そういう通知が出ているということですので、それぞれの自治体で言っていただければと思います。

 さて、今こういう形で受付がされているということなんです。厚労省さん、ちょっとだけ待っていただきたいんですけれども。

 大臣、これは通告はしていないんですが、先ほどの質疑の中で、今後こういうことが、障害者の方々に対応するのに、いろいろと、事例であるとか、既存の組織なども利用しながら、調査研究という趣旨のことを答えられていたと思いますが、せっかく今、ワクチンの対応ということで、こうした、コールセンターにファクスとかメールとか、そういう字幕とか、そういう取組があるんですから、ワクチンのことが終わっちゃったので、じゃ、はい任務終了ということで解体するんじゃなくて、一つの既存の、一つのモデルになると思いますので、是非こういうことも含めて検討していただきたいと思います。厚労省としても、今回、ワクチンのことが終わっちゃったら、これではい任務終了ということで解体しないように、解体しないようにというか、これがうまいこと使えるようにしていただきたいということを申し上げて、厚労省さん、もうこれで結構ですので、退席されて結構です。

 是非大臣も参考にしていただければと思います。

 さて、次の問いに行きたいと思います。

 先ほど、差別の定義についてということがございました。障害者権利条約の第二条に、障害に基づく差別とはということで、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であり、中略しますが、合理的配慮の否定も含むあらゆる形態の差別であるということが規定をされております。

 当事者の方々の御意見も含めて少し紹介をいたしますと、先ほど大臣の御答弁では、なかなか定義するのが難しいのでというお話ではございましたが、こうした形態というのを類型化すると、ダイレクトに排除するというような形の直接差別、二つ目として、先ほど、ちょっと類型化がという話だったかと思いますが、間接差別、いわゆる関連差別と呼ばれるものも含みます。三つ目として合理的配慮の不提供、そしてハラスメントなどがあるのだという指摘がございます。

 抽象的にじゃなくて、例えば、関連差別の例として、映画鑑賞を希望したところ、座席が動くなどの理由で、車椅子の使用が拒否された、介助者の手をかりて車椅子から座席に移るので、何とかしてくださいと言っても、それも駄目です、通路でもいいからと言ったところ、これも駄目ですというような、交渉が認められなかったようなケースであるとか、あと、ハラスメントとして非常に分かりやすいのが、知人の障害者と飲みに行ったところ、居酒屋の主人に、車椅子の人なんかが来るような場所じゃねえよと言われたというような話があります。

 こういった内容が差別に当たるのだというような趣旨が盛り込まれることを想定して、こうした内容を法律に明記するということはできないんでしょうか。ちょっと御検討いただけないかということで、答弁をお願いします。

三上政府参考人 お答えいたします。

 法律に定義規定を設けるということになりますと、どのような事例が該当するのかが非常に明確である必要がございます。また、事例の内容としても多種多様であるということが分かっている中で、差別の概念あるいはその類型にいろいろな考え方があるということでございますので、なかなか、法律で定義規定をびしっと置いてやるというところに難しさがある。

 これは、法律を制定するときもそういった似たような議論がございまして、当時の政府参考人の答弁では、「今後の具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえた上で対応する」ということであったわけですけれども、その後も、我々、いろいろな事例、判例の集積に努めてはいるものの、そこをなかなかクリアするに至らない。障害者政策委員会の六月の意見の中にも、定義を明確にするべきである、規定すべきであるという御意見と、そうした場合のいろいろな御懸念といったものが示されているわけでございます。

 この法律は、事業者に義務を課すということになりますので、その対象はいかなるものであるかということについては相当厳密に、定義をするとすれば行わないといけないであろうと考えておりまして、誰が解釈するとまた別の考え方になるような規定というのはなかなか、置くことも適当でなかろうと考えております。

 したがいまして、なかなか条文に定義を置くということは難しいといたしましても、ただ、定義とか概念の明確化を図るという観点は重要なものだと考えておりまして、条文でないにしても、基本方針等の中でどのような対応が可能かについて検討したい、このように考えております。

山花委員 必ずしも今のお話で納得しているということではないんですが、一義的には、基本方針のところでしっかりと明記をしていただきたいと思います。

 ただ、義務を課すということではありますけれども、例えば罰則がついているのであるとすると、罪刑法定主義というのがありますから、かなり明確じゃなきゃいけないということはあると思います。ただ、そこまでではないとすると、例えば、日本の場合、日本の民法なんかでも、不法行為の規定というのはかなり概括的な規定で、それをもって解釈でどこまでかというのを定めていくというところがありますから、考え方としては、やや少し広めに取った規定を置いたとしても、それをもって何か支障が生じるということではなくて、まさにその条項を通じて裁判例が築き上げられるケースもあります。

 ということで、ちょっと、ここであれしてももう結論は出ているんでしょうけれども、そういった意見は申し上げておきたいと思います。

 さて、次にですが、今回の法案で、まさに今、義務を課すのだからというお話がありました。ただ、国のこの法律は、民間の事業者については今回初めてということではございますけれども、私は東京選出なんですが、東京都では既に、条例で一歩先を行っておりまして、民間の事業者に対して義務化をしております。むしろ、今回、法律の方が後からついてきたということになるんですが、ただ、今回、私ども、この法案の議論をしている中で、特に小規模の事業者の方々から戸惑いの声が上がらないんだろうか、障害者の側の問題だけじゃなくて事業者の側からも、どこまでやったらいいんだというような戸惑いの声が上がらないだろうかというような議論もございましたが、既に自治体で東京都を始めとしてやっているところがありますので、そういったところでそのような混乱が生じているのかどうか、また、その自治体などからちゃんとヒアリングなどは行っているのかということについてお聞きします。

三上政府参考人 ただいま御紹介のありました東京都につきましては、令和元年の十一月に開催されました第四十七回の障害者政策委員会におきましてヒアリングを実施したところでございます。また、私どもの担当の方で日常的に都の担当者と連絡を取り合うような中でも状況の把握といったものを行っております。

 そのようにして把握している情報によりますと、東京都では、条例により事業者による合理的配慮を義務化したことで、相談件数は増加したということはあるようですけれども、現場で何か大きな混乱ですとかトラブルが生じているというふうには承知しておりません。

 内閣府といたしましても、引き続き各地の自治体の状況の把握に努めてまいりたい、このように思っております。

山花委員 東京都の方からも話は聞いているということのようではあるんですけれども、私もちょっと都議会の関係者から聴取をしたところ、ちょっと気になる話があって、相談件数は増えているということなので、ある程度認知はされているんだろうなと思いますけれども、ただ、条例で義務化したことについての認知度がそもそもが余り高くないのではないかというような指摘もありました。恐らく、今日、この委員会所属の議員の先生方も、御地元は御地元として、ふだんはこちらで生活されていると思いますが、そういったお店でこういったことが義務化されたんだよねなんということを聞いたことはあるでしょうか。余りないのではないかと思われます。

 そういったことから、やはり、こうした民間の事業者に対して、東京都も今まで何もやっていないわけじゃないんでしょうけれども、より一層の普及活動ということが必要なのではないかと思います。

 どこまで国でできるかというのがあるんですが、例えばハンドブックだとかマニュアルのようなものを、今回、この法案を作るに当たってやはり民間にも広げるということで、今まで、大きな事業体のところだけじゃなくて、商工会だとか商工会議所等々からもヒアリングをしてきていることではないかと思いますが、そういったところを通じて、例えば、そうした何かハンドブックのようなものを配布するというような広報活動も考えられるのではないかと思います。

 ただ、障害者に対する合理的配慮といっても、特性に応じて相当バラエティーがありまして、どんな内容が適切なんでしょうかというと、かなり大部になる可能性があると思います。多分、冊子にすると、本当、今どき電話帳は余り厚くないのか、比喩としてちょっと古いかもしれませんが、分厚いものになるのではないかと思います。

 厚労省だか内閣府、どちらだったか、ごめんなさい、今、失念しましたが、ホームページで、内閣府だったかな、こういった合理的配慮について、特性に応じた案内というのがありまして、私も見ましたが、ただ、やはりいろいろ特性に応じていろいろあるんですよ。

 合理的配慮のデータ集というのがありまして、一つは、大きなカテゴリーとして「障害の種別から探す」というのがありまして、全般、視覚障害、聴覚・言語障害、盲ろう、肢体不自由などなど、まだまだ続くんですけれども、そういったカテゴリーがあって、そこをクリックすると、こういうケースについてこういうことをやられるといいですよみたいなのが入っております。

 それとは別にもう一つ大きなカテゴリーがあって、「生活の場面から探す」というので、行政だとか、教育だとか、雇用・就業、公共交通、またこれもカテゴリーがいっぱいあって、こういうところに続きますから、これを冊子にするというのはなかなか、私自身余り現実的ではないんじゃないかなと思うんですけれども、ただ、例えば、そういった冊子を作って、こういうホームページに、こういうところをクリックしてもらうといいですよみたいな、余り具体的に言うのもあれですけれども、アイデアとしてそういったこともあり得るのではないかと思いますが、こうした広報活動だとかいうこと、その重要性は多分御認識されておると思うんですけれども、どういったことを検討しておられるでしょうか。

三上政府参考人 御指摘いただきましたとおり、今回の、合理的配慮を努力義務から義務に改めるということで、それを円滑に施行していくために、そういった関係者の理解を得る、正しい理解を得ていくことが非常に重要だということでございまして、内閣府におきましてこれまで、合理的配慮の事例の共有、今御紹介いただきましたような「合理的配慮サーチ」といったような形でも提供しておりますし、またポスターやリーフレットの配布、それから障害者週間の機会などを通じて広報などに努めてきたところでございます。

 今年度予算におきましては、法の趣旨ですとか合理的配慮について分かりやすく解説する、紹介するポータルサイト、こういったものもつくってはどうかと考えておりますし、新たなリーフレット、必ずしもホームページとか電子的な機器でアクセスする方だけでもないと思いますので、そういったリーフレットというようなものも作成するために必要な経費を計上しておりますので、様々な手段を通じて、各事業者の方あるいは障害のある方が参考にできるような事例を集め、それを使い勝手よく御参照いただけるような仕組みに取り組んでまいりたい、このように考えております。

山花委員 多分、いろいろな工夫が必要だと思いますし、やっていく中でアップデートが必要になる課題かなと思いますので、今日の時点で何か決め打ちで、これをやるべしとかこういうことをやるべきじゃないということは言うつもりはありませんけれども、いろいろなケースに応じて、また、今回この法律ができることによっていろいろな事例がまた出てくると思います。現に東京都で相談件数が増えてきたということもあるわけですので、それに応じてアップデートしていただきますことをお願いをしたいと思います。

 さて、もう一つ、先ほど、窓口の一本化、ワンストップサービスについての議論がございました。

 私のところも障害者の方々から、たらい回しにされたみたいな話もあるわけですけれども、さっきそれについては議論がございましたが、ちょっと、また逆の側です、事業者の側の話になります。

 事業者の側としても、今回義務化されたということで、自分たちがどこまでやればいいんだろうということについて分からないケースもあると思いますし、また事業者によっては、ふだん余りそういう障害のある方と接したことがなくてというようなケースもあろうかと思います。

 例えば、飲食業もそうでしょうし、旅客とか、いろいろな業態がありますけれども、これもえてして自分の、許認可を受けているようなケースだとか免許が必要なケースだと、そこの役所との関係というのは割とお店の方も分かっているんですけれども、こういうケースになると一体どこなんだろうみたいなことは起こり得るのではないかと思います。

 実は、先ほど、もう退席していただきましたけれども、厚労省さんに、国のワンストップというか、さっきの聴覚の方のケースの話をして、これは自治体にどうやって下ろしているのかしらと思ったときに、私ですらというか、要するにこの仕事でいる自分ですら、厚労省さんに聞くのが適切なのか、もしかして総務省かしらと思ったりとか、こういうことはあるわけですから、ましてや一般の、ふだん行政とおつき合いがない方なんかは、どうなんだろうということがあろうかと思いますので、障害のある方側だけではなくて、事業者の側としても相談するという窓口が一本化されていることが望ましいと思うんです。つまり、こういうケースですから福祉課へ行ってくださいとか、いや、飲食なのでこっちの、何か、産業振興課へ行ってくださいとか、そういうことではなくて一本化されていることが望ましいと思うんですが、この点について、窓口の設置について、どのように考えておられますでしょうか。

三上政府参考人 障害者政策委員会の提言が出された後に行いました、内閣府が行ったヒアリングにおきましても、多くの事業者団体から、事業者による合理的配慮が義務化されるのであれば、事業者からの相談に応じる体制を整備することが必要だという御意見もたくさんいただきました。

 こうした御意見を踏まえまして、この法案では、相談体制の充実など、障害者差別解消のための支援措置の強化などの規定を設けているところでございます。

 本法案が成立した後は、事業者からの不安を払拭できるように、御指摘のように、事業者側からの相談にも対応できる相談体制の在り方を含めて検討し、相談体制の整備にしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

山花委員 今回の法律でそのような、事業者の方も合理的配慮を提供しなければいけないということなんですが、無事話合いがつけばいいんですけれども、どこまでということで、当事者でも分からないケースもあろうかと思います。

 そのときに、立証責任という言葉を使ってしまいますと訴訟のケースになろうかと思いますが、単に、例えば、不利益な取扱いを受けましたというだけであれば、申し立てる側、障害者の方も、そのこと自体を証明することはそんなに難しくないと思うんですが、それが、合理的配慮、要するに過重な負担ではないということが前提ですので、事業者の側にとって、例えば、どこまでやるとその事業者にとって過重な負担になるかどうかということは、恐らく障害者の側では判断できないというか、証拠というか資料をそろえることは難しいのではないかと思います。例えば、これが国を始めとする公的な機関であれば、何でできないのかということについては、ちゃんと説明責任という形で、事実上、被申立人の側が説明してくれることになろうかと思いますけれども。

 この点についての工夫が必要ではないかと思いますけれども、この点、どのように考えておりますでしょうか。

三上政府参考人 障害者差別解消法は、建設的な対話による相互理解を通じて合理的配慮の提供が行われることによって、障害を理由とする差別の解消を目指す、こういった基本的な考え方に立っているものでございます。

 このような考え方に立ちますと、一方的に事業者側にのみ過重な負担に係る説明責任を負わせるということは必ずしも適当でないと考えておりまして、負担の有無あるいは程度や代替の手段について、事業者側から必要な説明や申出を行うといったことはあるわけでございますけれども、障害者側におきましても、事業者側の説明や申出に対する障害者側の考えを伝えるですとか、あるいは、自分が希望するのとは別の、代替手段としてはどういうことがあるのかといったことを併せてお申出いただくといったような、事業者と障害者が双方向で建設的な対話を重ねることが重要であると考えております。

 内閣府としては、両者の建設的な対話が促進されるよう、事例の共有、相談体制の整備、普及啓発等の取組にしっかり努めてまいりたい、このように考えております。

山花委員 もう時間がなくなってまいりましたので、最後、大臣。

 今回、こういう法律ができたとします、まだ参議院に行ってからということですが、できたとすると、これによってまた社会がいろいろな努力をすることによって、合理的配慮、これまでであれば、そこまではいいんじゃないのと思われたケースでも、だんだんと、いや、それぐらいは必要だよねというふうに変わっていくことも出てくると思います。

 そういう意味で、水準というのは日々変わってくると思いますし、事例収集の話もありました、いろいろな事例を集める中で、今まで思いつかなかったようなグッドプラクティスみたいなことがあって、それをもっと広めるということも出てくるかもしれません。

 差別の問題といいましょうか、今回のこうした課題というのは、この法律で打ち止めということではなくて、今後もやはり更なる取組が必要であると思いますけれども、この点についての大臣の御決意を伺いたいと思います。

坂本国務大臣 障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現ということについては、その歩みを着実に進めなければいけないというふうに思っております。

 障害者政策委員会は、障害者基本計画の実施状況を監視することとされており、差別の解消等の取組として、本法の施行状況についても必要に応じて御議論いただくことになるというふうに考えております。

 内閣府といたしましては、引き続き、障害者政策委員会での議論や、国、地方公共団体における実施状況の調査、事例の収集等による運用状況の把握を通じまして、適宜、制度や施策の在り方について点検、検討を行っていきたいと思いますけれども、冒頭、委員が御指導いただきましたワクチン接種を一つのモデルとして、国と地方の在り方、こういったものも今後の検討に加えていきたいと思っております。

山花委員 ありがとうございました。

木原委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 今日は、内閣委員会所属の足立康史先輩に代わりまして、代打で質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、法案について、障害者差別解消法についてですが、肝は、他の委員からも何度もお話があるように、合理的配慮の民間事業者の義務化というところだと思います。

 事業者の被雇用者に対する合理的配慮の内容は多様かつ個別性が高いということでありまして、いわゆる相互の信頼関係に基づく継続した建設的対話というのが重要であるということは、誰からも明らかであると思います。ですから、紛争に至る前段階というのが非常に大事で、相談体制の充実というところもこの法案の中に盛り込まれているわけであります。

 国や地方公共団体は、障害者及びその家族や関係者からの相談に対し適切に応じるのはもちろん大切ですけれども、これは事業者側からの相談に適切に対応できるような体制を整えるべきというのが非常に重要だろうなというふうに私は思います。

 というのも、この合理的配慮というのは結構千差万別で、かなり解釈としてはファジーな、曖昧な部分であります。これは実際に基本方針なんかでも、負担が過重でないようにする、その指標としては、例えば事業への影響がどれぐらいか、実現の可能性の程度、費用、事業規模、またその企業の財務状況といったものも勘案されるというふうになるわけでありますから、かなり個別事情によるということであります。

 ですから、その会社さんと従業員がしっかりと向き合って、同じ方向を向いて共につくり上げていくということが大事だと思いますが、この事業者側からの相談についての体制について、お考えをお聞きしたいと思います。

坂本国務大臣 内閣府が行いましたヒアリングにおきまして、多くの事業者団体の方から、委員御指摘されますように、事業者による合理的配慮の義務化に伴いまして、事業者からの相談に応ずる体制を整備することの必要性との意見が数多くありました。こうした意見を踏まえまして、本法案では、相談体制の充実など、障害者差別解消のための支援措置の強化のための規定を設けることというふうにしております。

 本法案が成立した後は、事業者の不安を払拭できるよう、御指摘ありましたように、事業者側からの相談にも対応できる相談体制の在り方を含めて検討し、相談体制の整備をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 これはやはり確認しておきたかったんですね。というのも、これは事前にいろいろディスカッションさせてもらうと、自治体とかがどの部局にこれを置くと想定しているのかというのがまだ確定していないというところもありますし、実際、ある程度の指針を国の方で示すのであろうことから、これはよく言われる、労働における紛争、労基みたいなものは、労働者側がかなりひどくやられていて、事業者側を是正させるためにみたいなものがかなりイメージとしては先行していて、そうならないでほしいなと。

 というのは、誤りを是正させるというような発想ではなくて、共に千差万別な合理的配慮というものをつくり上げていくというような、そういう風土をこの障害者雇用の領域においては醸成させたいなというふうに私も思いますので、これは是非しっかりと自治体も理解できるように周知徹底していただけたらと思います。

 そうしましたら、ちょっと法案から離れて、障害者雇用関係について何問かやりたいと思います。

 まず、コロナ禍における障害者雇用の実情についてお聞きしたいと思います。

 今、労働市場全体がかなり傷んでいるというか、しんどい状況でありますけれども、これは障害者雇用にも影響すると思います。この障害者雇用というのは、法定雇用率というものが政策の柱にありますから、これは分母が全体の健常者の労働者数ですから、これがそもそも揺らいでくると、じゃ、本当は二人障害者を雇用しないといけないというのが、母数が減ると一人でいいみたいなことになった場合、一人押し出されてしまうというようなことも想定されるわけであります。

 昨年の四月から九月で解雇された障害者数は約千二百名というのは報道にも出ていました。これは前年同期比で四〇%増加したというふうになっていますけれども、まず、直近の状況、どうなっているかお伝えいただけたらと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、障害者解雇届によりまして障害者の解雇状況を把握しているところでございます。昨年四月から九月までの障害者解雇数は、御指摘のとおり、計千二百十三人でございまして、前年同期と比べて三九・三%増加したところでございますが、その後の状況につきましてでございます。十月以降につきましては、十二月までの三か月間におきましては解雇者数が三百七十人と、前年同期に比べて三九・五%減少したところでございますが、一月―二月におきましては三百五十一人と、前年同期と比べて五六・〇%の増加となってございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 これは、令和二年度、一年度、そして平成三十年度と、三年分データを事前にいただきました。実際、おっしゃっていただいたように、ちょっと事前にもディスカッションさせてもらったんですが、ちょっと状況はよくなってきているかなという話もあったんですけれども、やはり、直近、一月、二月は悪化しています。これは、三月は例年多いんですよね。多分、年度末だからというのもあるんやと思います。三月の分を昨対で同じ数字を仮に入れたら、やはり昨年度、令和元年度から令和二年度で三五%ぐらい増えるというような見込みかなという形なので、かなりインパクトがあるなというふうに思うんですね。

 これは是非、ちょっと先回りで状況をしっかりと把握してもらって対策を打っていただきたいなということを、質問はしませんが、申し添えたいと思います。

 次に、中央官庁の障害者雇用の状況についてお聞きしたいと思います。

 二〇一八年に、いわゆる水増し問題というのが発生しました。中央官庁に雇用されている障害者数が七千五百九十三名とされていたところ、約半分ぐらいが間違っていた。再点検した結果、三千七百十一名ということが判明して、これは大問題になりました。

 実際、ひどいのは、本人に障害者とカウントしているよと伝えずにカウントしていたような例もあったというふうに仄聞します。相当ひどかったんですけれども、これを是正しましょうということで、私も、実は、もうすぐ補欠選挙で当選させていただいて丸二年ぐらいになるんですけれども、初めて携わらせてもらったのが厚生労働委員会で、この障害者の法律で質疑をさせてもらいました。本当に感慨深いんですが。

 二〇一九年の年度末までに四千名一気に一年で採用して法定雇用率をカバーするというような計画が立てられたわけです。そのとき、私、約八千人ぐらいいたはずが実は半分だった、だから四千人ぐらい入れて穴埋めしようという話で、しかも、一年において倍増させるという話ですから、かなりむちゃな計画を立てられたなというふうに指摘もさせていただいたし、危惧もしたし、その分、こういうことをちゃんとやってほしいということも訴えさせていただきました。

 その後の進捗について少しお聞きをしていきたいと思います。実際の直近までの採用数の実数、それから直近までの離職者数、まず御紹介いただけますでしょうか。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年六月一日現在で法定雇用率が未達成でございまして採用計画を作成することになった府省に対しまして、厚生労働省におきましてフォローアップ調査をしてございます。

 令和二年度に実施したフォローアップ調査におきましては、採用計画の中で、合計で四千七十五・五人を採用するという計画でございましたが、採用計画の終期に当たります令和元年十二月末日までの障害者採用数は五千百七十一・五人、その後の、令和二年一月一日から六月一日までの採用者数は六百十五・〇人となってございまして、合計五千七百八十六・五人の採用者数となっております。

 一方、平成三十年十月二十三日、これが採用計画を始めたところでございますが、その日から、平成三十年十月二十三日から、先ほど申し上げました令和二年六月一日までに採用した障害者のうち、離職した方につきましては八百七十六名となってございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 事前にいろいろディスカッションした後に、資料を結構細かいのをいただきました。定着率八三・四%というふうに出していただいているんですが、この離職率をどう見ているか。いいのか悪いのかということなんですけれども、それと、離職の理由の分析、これを実施しているか、お答えいただけたらと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど離職者数が八百七十六人でございますと申し上げました。その結果として、約八三%の障害者の方々が定着しているというところでございます。これは令和二年六月一日時点でございます。

 なお、民間企業の状況でございますが、調査方法等が異なるために一概に比較はできませんが、例えば、平成二十九年の高齢・障害・求職者支援機構、JEEDという団体でございますが、その団体が行いました調査によれば、障害者求人により民間企業に就職した者の職場定着については、一か月後が九三・九%、一年後が七〇・四%となっているところでございます。

 また、離職の理由でございますが、本人都合あるいは体調悪化が多かったところでございまして、その本人都合の内訳といたしましては、転職、キャリアアップのため、あるいは家庭の事情等となっているところでございます。

 ちなみに、このフォローアップ調査は三回行っているのでございますが、三回とも、おおむねこの離職理由につきましては傾向は変わっていないというところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 分析は大事やなと思って、私も結構数字を見たんですね。そうしたら、私の予想よりも相当よくて、これはすばらしいなと、正直、数字だけ見たら思いました。これは結構責める案件になっちゃうのかなと思ったら、すごく順調にいっているんだなということは分かりました。

 ただ、これは本当にそうなのかなというのは結構疑問で、ちょっと注視していきたいなというのがあって、なぜならば、民間企業で考えても、八千人だったのを四千と、うそをついていた。それを倍にしました、しかも一年で。これは相当現場に負担がかかると思うんですね。

 もし、これがかなり成功しているんだったら相当な成功事例なので、今後、これは、合理的配慮が民間企業にも義務化されるというものの事例として、まず官庁の事例というのを多く普及していくべきなぐらいじゃないのかなというふうにまず思いました。

 もう一つは、今、民間企業の職場定着率のデータ、一年で大体七〇%ぐらいと言ったんですが、これはちょっと指標を、こういうふうな比べ方をしてほしいなと思うのは、中央官庁に勤めるというのは、雇用の中でも最上位ランキングやと思います。ですから、これはやはり大企業とか相当進んでいるところと見てどうかというのを調べるのがフェアなやり方やと思いますので、まずそれと、もう一つは、次の質問に関わるんですけれども、過去のデータからどうかというのをやはり比較すべきというのは僕はずっと言ってきたんですね。

 昨年、過去の採用関連のデータというのは一元的にまとめられているのか、まとめる予定はあるかと聞いたところ、いろいろ不正もあったり、各省庁にデータが散らばっているのでできませんという話だったんです。例えば、総在籍数、新規採用数、離職者数、離職率とか、そういう出入り、いつ出入りして、どういう類型の障害をお持ちの方がどんな動向があるかということをちゃんと時系列で並べて分析していくことで、多分、ここがよかった、ここが悪かったというのは分かると思うんですけれども。

 前、二〇一九年に質疑していただいた際には、前の、過去の分をもう一回遡って、これは僕はできると思うんですけれども、やるのは非常に難しいと言いつつ、当時の土屋局長は、今後、これまでの情報についても、どういうふうなことができるか検討していきたい、追いかけることができるのか検討していきたいという答弁もいただいています。

 ですから、私は今からでもやってほしいと思っているし、少なくとも、これからの分というのは、今後のために統計を取っておいてほしいというふうに思うわけです。なぜならば、五年後に同じ質問をしたら、いや、いろいろ散らばっていて分かりませんというのではちょっと困るので、今後についてと、過去の分も、もし御見解があったら一言いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

達谷窟政府参考人 御指摘の、障害者の採用関連、雇用関連のデータでございますが、障害者雇用促進法におきましては、障害者の雇用状況を把握するため、同法に基づく障害者任免状況通報により、毎年六月一日時点における雇用者数を把握することとしているところでございます。

 このため、各府省における障害者の採用関連データにつきましては、毎年六月一日現在の任免状況通報書に計上されております総在籍数、雇用されている障害者数及び新規採用者数について毎年把握することとなっているところでございます。

 厚労省としては、引き続き、障害者雇用法に基づく毎年六月一日時点における任免状況を把握することにより、各府省における雇用状況を把握してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、過去につきましては、先生おっしゃられるとおり、当時の土屋職業安定局長が御答弁もしてございますが、過去につきましてはなかなか難しい点があるというふうに考えているところでございます。

藤田委員 難しいのは分かるんですけれども、多分、できると思うんですよね。多分、やりたくなくて、どの辺でうそをついていたかというのが全部つまびらかになるから、多分、掘り出さぬ方がええという話だと思うんですけれども、私はやはりこれは生かしていくべきやと思うし、これはデータでいただいたやつを見ていると、今回の大量採用の中で七百四十九人は民間企業から転職してきているんですよね。

 昨年、楽天ソシオビジネスという障害者雇用に最先端で取り組んでおられる副社長の川島さんという方が参考人質疑に来ていただきました。そのときにも、既に自社から中央官庁にアプライしたいから手を挙げて退職する又は退職した人が出ているというふうに言っていたわけです。

 つまり、民間の障害者雇用で安定していた人も、この大量採用のために抜いたわけですよね。だから、民間のマーケットもちょっとゆがめたぐらいの大規模だったわけですから、であるならば、いい事例としてとことんやっていただきたいというのが一つあります。

 さっきちらっと触れていただきましたが、これは大量採用後約一年経過していますので、雇用された障害者がどんな仕事に携わっていて、働きやすさはどうか、アクシデントはあったのか、また合理的配慮はなされているかなどの定性的な検証というのはどのように実施されているか、お答えいただけたらと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者雇用を進める上では、法定雇用率を達成することはもとより、障害者の方一人一人がその障害特性や個性に応じた能力を有効に発揮し、活躍することが重要であるというふうに考えてございます。

 こうした障害者の方が活躍しやすい職場づくりに向けまして、令和元年六月の障害者雇用促進法の改正におきまして、国の機関につきましては、障害者が活躍しやすい職場づくりや人事管理等を内容とする障害者活躍推進計画を作成、公表することが各府省につきまして義務化されたところでございます。各府省におきましては、この計画を作成いただいて、計画に基づいて障害者が活躍しやすい職場づくりに向けた自律的なPDCAサイクルの確立に向けて取組を進めているところでございます。

 厚生労働省でお示ししてございます計画の作成指針におきましては、各機関において計画に基づく取組の実施状況の点検、公表を行うこととしてございまして、先生御指摘のような、障害者雇用に当たって必要となる実態の把握につきましては、各府省におけるこうした自律的なPDCAサイクルの中で把握を行っていただく、点検を行っていただくということになっているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 もう時間なので、あと、最後にちょっと一言だけ。事例集をいただきました、実際に。すごいいい事例をたくさんいただいていて、本当に、これを見ていると、この数字も民間企業に比べてそこそこいい、事例も非常にいいという形なんですけれども、めちゃめちゃうまくいっていますよねという話で受け止めていいんですかということで、最後、ちょっと一言いただきたいんですが。

達谷窟政府参考人 私ども、事例集等でお示ししてございますが、これはやはり、好事例を国の機関あるいは地方自治体も含めまして公的な機関におきまして是非普及、横展開することによって、引き続き公的な機関における雇用の促進を更に進めていこうという趣旨でございますので、そういう趣旨でこういう事例集を作っているということで御理解いただけたらと思います。

藤田委員 分かりました。

 アクシデントとか悪いことも、これはどのように乗り越えていったかというのも是非検討したいな、検証して民間に使えるように、是非率先して国が引っ張っていっていただけたらと思います。

 以上です。終わります。

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まず最初に、合理的配慮の提供とともに、対を成す環境整備の推進についてお伺いをしていきたいと思います。

 今回の改正第八条、「事業者における障害を理由とする差別の禁止」において、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮の提供について、これまで努力義務とされていたのが義務化されることとなりました。

 国及び地方公共団体には、現行法上、既に合理的配慮の提供が義務化されており、民間事業者においても同様に義務となっていきます。

 障害、内部疾患、あるいはけがや加齢による身体機能の低下など、誰にでも起こり得ることであります。民主党時代から続く障がい・難病政策推進議員連盟では、障害があるのが悪いのではなく、障害を受け入れない社会、制度が悪い、ならば、その社会の障壁、障害を取り除くことが政治の役割であり使命であるということで、議員活動の意義を共有をさせていただいております。

 本法案の改正が、誰もが互いに認め合い、尊重し合える共生社会の実現につながることを期待して、質問させていただきたいと思います。

 公共施設、交通機関、さらに民間事業者の店舗などを誰もが利用できるようにしていくための両輪と呼べるものが、合理的配慮の提供と環境整備です。

 合理的配慮として、車椅子を担いで一階から二階への移動を支援する対応を決めていても、総重量が百七十キロを超える電動車椅子では、現実には対応できません。差別解消、合理的配慮を行うにも、事前の改善措置として環境整備が必要となります。

 環境整備は、エレベーターやスロープ設置といったハード面での整備だけではなく、慣行や政策、手続などの変更なども含まれます。

 本法案で合理的配慮の提供が義務化となることで、環境整備の一層の推進が重要となります。環境整備が進めば合理的配慮の提供も行いやすくなり、利用される方も、サービスや施設の提供者にも、利便性の向上、負担の軽減につながると考えます。

 そこで、努力義務の扱いまでとなっている環境整備について、基本方針などにより、より強い表現で明記が必要と考えますが、まずは、より積極的に環境整備を進めるために、具体的にどのような施策、計画を行うのか、内閣府より御説明ください。

三上政府参考人 お答えいたします。

 障害者基本法に基づきまして策定しております第四次障害者基本計画がございます。これは平成三十年の三月に閣議決定したものでございますが、その中におきまして、移動しやすい環境の整備、意思疎通支援のサービスの利用促進などを盛り込んでおりまして、障害のある方が社会生活で直面する様々な障壁の除去に向けて、総合的、分野横断的な施策を進めているところでございます。

 移動しやすい環境の整備ということでございますと、基本計画の中には、例えば、ホームドア等の転落防止設備の導入ですとか、公共機関のバリアフリー化を推進する、あるいは、公共交通機関の旅客施設及び車両内におきまして、障害特性に配慮した案内表示や情報提供の充実を推進するといったことを盛り込んでございます。

 政府としては、引き続き、この障害者基本計画に基づきまして、社会のあらゆる場面でのアクセシビリティー向上に向けて、関係省庁で連携して施策を着実に実施してまいります。

小宮山委員 昨年改正したバリアフリー法によって建築物移動等円滑化基準への適合が義務づけられておりますが、床面積二千平米以下の店舗や飲食店等については各地方自治体の条例で義務づけを行うことができるとなっており、令和元年十月時点で二十自治体が条例で制定されています。この中には、全ての規模の建設物にバリアフリー基準の適合を義務づける鳥取県の条例など、先進的な事例も見受けられます。

 条例化されている先進自治体の事例紹介に努めることや、建築物や施設整備や什器の配置という環境整備を進めることで、本法案で義務化となる合理的配慮の提供がしやすくなることの周知を行うなど、様々な施策が考えられます。これらの環境整備の推進に関してどのような対応を国交省としてするのか、お答えいただければと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、バリアフリー法では、地方公共団体が、条例により、義務づけ対象の規模を地域の実情を踏まえながら引き下げることができる仕組みとなっております。現在、十四都府県六市区で条例を制定しているところでございます。

 国土交通省では、この条例によりまして、建築時にバリアフリー基準の適合が義務づけられる規模を床面積五百平米未満に引き下げた場合に、地方公共団体が条例でその規模に見合ったバリアフリー基準を定められるよう、昨年の十二月に政令改正を行うとともに、地方公共団体に対しまして、小規模建築物を対象とした条例制定の取組を要請しているところでございます。

 また、さらに、障害者団体からの特に要望の多い小規模店舗のバリアフリー化を推進するため、本年三月に、建築物のバリアフリー化のガイドラインでございます建築設計標準を改正をいたしまして、小規模店舗のバリアフリー設計等に関する考え方、留意点の充実や、優良事例の追加、公共団体の取組事例の紹介を行っております。現在、設計者等への講習会を行うとともに、関係省庁と連携いたしまして、関連する業界に幅広く周知しているところでございます。

 国土交通省といたしましても、障害者の方々への合理的配慮が的確に行われるよう、地域の実情に応じた条例制定を公共団体に働きかけるなどにより、引き続き建築物のバリアフリー化等の環境整備に取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

小宮山委員 災害発生時の避難場所として用いられる可能性の高い公立小中学校について事前からのバリアフリー整備を行っていくことは、長年、課題として指摘を重ねてきたところであります。二〇一八年バリアフリー法改正時に、避難所となる学校等のバリアフリー化を附帯決議に入れ、昨年、二〇二〇年のバリアフリー法改正では、文科省も所管に加わり、公立小中学校についてもバリアフリー整備の義務化が実現いたしました。

 しかし、地方自治体には合理的配慮の提供が義務化されているものの、各地の被災地の避難所では、実態としては十分な合理的配慮の提供ができていないというのが現実ではないでしょうか。

 大規模災害時には、避難所へ入る際の段差、トイレの需要、食品や身の回りの生活必需品、消耗品などの配布、順番待ちなど、生きるための障壁が法改正では取り除かれません。災害時は、特に日常の問題が顕在化するものだとも思っております。避難所での合理的配慮の提供がなかなかできないのは、やはり前段階としての環境整備が不十分であることが原因となっているのではないでしょうか。

 そこで、民間事業者への合理的配慮義務化となる中、既に義務化されている地方自治体の取組として、公立小中学校のバリアフリー整備の推進を行う必要がある。現行法では、新築、増築、改築時が対象ですが、既存施設においても積極的に整備が進められるよう努めるべきで、文部科学省の所見並びに取組をお伺いいたします。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者を含む全ての人の相互理解を深めるなど、心のバリアフリーを推進することが重要であると考えております。そのため、児童生徒が多様な他者への理解を深めていく上でも、障害のある児童生徒等も支障なく安心して学校生活を送ることができるようにする必要があるとともに、災害時の避難所など地域コミュニティーの拠点としての役割も果たすことから、学校施設のバリアフリー化は重要であると考えてございます。

 文部科学省では、昨年のいわゆるバリアフリー法の改正等を踏まえまして、既存施設も含めて学校施設のバリアフリー化を加速するため、昨年十二月に、公立小中学校等に係るバリアフリー化の整備目標を定め、令和七年度末までの五年間の緊急かつ集中的な整備を推進することといたしました。また、地方公共団体の取組を積極的に支援するため、令和三年度から、公立小中学校等の既存施設におけるバリアフリー化工事について、一定の要件を満たす場合の国庫補助の算定割合を三分の一から二分の一に引上げをしたところでございます。

 あわせて、今申し上げましたようなことや、昨年十月に改定をいたしました学校施設バリアフリー化推進指針、好事例等について、講習会等で広く周知するなど、普及啓発を図っていくこととしております。

 引き続き、既存施設を含めた公立小中学校等施設のバリアフリー化の取組をしっかり支援してまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 DPI日本会議の車椅子利用の皆様と、国会内のバリアフリー化の現状、傍聴を行う場合の動線、サイトラインを確認して回ったことがございます。

 ここ十七委員室もですが、委員会が開かれる、特に大きな第十五から十八委員室の傍聴席は、座席が床に固定されています。車椅子の傍聴者は、固定椅子の後方のスペースで傍聴をすることになります。後から入室された一般の方や報道関係者などが最後列の椅子に座られると、せっかく委員会傍聴のために早く来ても、質疑者や答弁者の姿ではなく、傍聴人の背中しか見えないとの経験を話されていました。

 椅子が移動できる、それだけで問題も解決する、合理的配慮が整えられるということになります。そのほかにもいろいろあり、障壁だらけの国会ではありますが、一部の椅子を替えるという環境整備を行うことで合理的配慮が実現するということが言えます。

 委員長、これは国会の運営の問題でもありますけれども、委員会や議運においても、今後のバリアフリー、ユニバーサルデザインの導入に向けて、改善も含めた検討が必要だと思います。是非その点の働きかけも、委員長においては、していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

木原委員長 今の御指摘は、院全体に関わる問題ではありますが、内閣委員長としても重く受け止めたいというふうに思います。しっかり承ります。

小宮山委員 議運のマターかもしれませんが、委員長会議等あるので、そのときにも是非取り上げていただければと思います。

 さて、障害をお持ちの方たち、様々なことがありますが、ネット検索でバリアフリーで飲食できるところというのを調べましたら、ある系列の居酒屋がたくさん出てまいりました。それの表示を見て、なぜかなと思ってお店をのぞきましたら、椅子というのが、簡単な、簡易な椅子、テーブルもすごく軽めの、立派ではないというか、普通の机で、簡単に動かすことができ、配置も簡単に換えられるということのようで、これを容易に配置換えができることでバリアフリーの対応を図っているということが分かりました。

 バリアフリー化というと多大な改修費用がかかるという固定観念にとらわれて、バリアフリー化をすることを諦める、若しくは検討すらしない場合もあるようです。この点も見直しが必要なことだと思います。

 兵庫県の明石市では、合理的配慮の提供を支援する助成制度を実施しています。例えば、工事の施工費、上限二十万円までは全額助成や、簡易スロープや手すりなどの工事にかかる費用を出しています。

 福井県では、障害のある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例を制定し、バリアフリー整備事業補助金を実施しております。これであれば、簡易スロープの購入費では三万五千円まで、また、障害者用トイレの設置二百万円までを、県の補助を二分の一で出しているというようでもあります。

 厚生労働省で進める住宅でのバリアフリー改修なども、非常に多くの方が利用しております。私自身も、骨折をした際に電動車椅子をレンタルし、移動生活を三年前に三か月ほど経験をさせていただきました。当事者の方々から、日本では、食べたいものを店で選ぶのではなく、入れる店で食べるものが決まるという言葉、私自身も、実際に経験をした中で、同じ思いをいたしました。

 つまり、ここにいる多くの方が享受している自らの意思、選択できるのが当たり前というものから排除されているのが現在の日本の障害者が置かれている現実だと思います。この認識をしっかり深めていかなければ、この合理的配慮という問題には進めないのではないでしょうか。

 福井県や明石市の事例のような小規模店舗などでのバリアフリー化補助制度を、国主導又は国の支援制度を設けることで、全国の取組も推進できるかと思います。二千平米を超える施設だけでなく、現在対象外となっている小規模店舗など、全国にある日常的に使う店舗、施設の環境整備支援を内閣府で制度化をすることで、本法案の改正点でもある合理的配慮がより早く社会に浸透するものと考えますが、大臣の御見解、御英断をお願いいたします。

坂本国務大臣 本法案によりまして事業者の義務となります、委員言われました合理的配慮につきましては、個別の事案におきまして、あくまでも過重な負担のないといった要件の下で行われるものであります。そのため、費用面の支援が必要となるような対応につきましては、小規模店舗での対応も含めて、その促進を図るための助成措置を設けることまでは考えていないわけであります。

 内閣府といたしましては、障害者差別解消に向けました取組の一環といたしまして、例えば、事業者向けの情報提供の内容に各省庁におけるバリアフリー化等に係る助成制度を含めることなどを検討してまいりたいというふうに思います。事業者向けに情報提供を小まめに行っていくというふうにしてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 本年度予算は無理かもしれませんが、大臣の英断で是非、地方自治体や現場の方たちが取り組みやすいような制度、改めて、できるように頑張っていただくことを要請いたします。

 さて、次に行きます。

 熊本地震から五年が経過いたしました。この質疑のために、車椅子で生活し、自らも被災されました村上熊本市議から、近年、小学校や中学校に設置された特別支援学級に入る児童数は増加傾向だというお話がありました。これに伴い、障害を持つ子供を対象とした少人数クラス、特別支援学級が増加しているそうです。

 大規模災害など、避難所で、普通学級に通う障害のある生徒は、クラスや地域の方々が障害への対応を日常から学び、避難所において共生、受け入れられたと聞いております。裏を返すと、日常での交流が避難時には生死に関わるということにもつながってまいります。

 特別支援学級の現状とインクルーシブ教育の導入への障壁をどのように政府は捉えているのか御説明をいただくとともに、障害のある児童生徒一人一人が持つ教育的ニーズの把握を行うために、教師の知識、対応マニュアルや、研修、過重労働にならないように配慮することも必要ですが、教育現場での合理的配慮が行いやすい環境整備を行うべきと考えますが、この点につきまして御説明ください。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、全国で特別支援学級には約三十万人の児童生徒が在籍をしておりまして、この数はこの十年間で約二倍というふうになっております。

 文部科学省におきましては、こうした特別支援学級に在籍する子供さんと、それから普通学級に在籍する子供さんとの間の交流でありますとか共同学習の機会の確保を含めまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据えて、一人一人の教育的なニーズに最も的確に応える指導を提供できますように、通常の学級、それから通級による指導、それから特別支援学級、それから特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場をしっかりと整備をしていくということを進めているところでございます。

 そうした際には、具体的には、教員養成におきまして、例えば、通常の学級にも障害のある子供が在籍していることを踏まえまして、令和元年度からの小中学校それから高等学校の新しい教員の養成課程、教職課程におきまして、特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解について一単位以上必修とするなど、全ての教員の専門性の向上に向けた取組を実施をいたしますとともに、独立行政法人の国立特別支援教育総合研究所におきまして、現職の教員に向けた研修をICTも活用しながら実施をするといったような取組を行っているところでございます。

 こうした教員の資質の向上に加えまして、外部人材についても積極的に導入をしているところでありまして、通常の学級において子供の学習活動上のサポートなどを行う特別支援教育支援員の配置や看護師、外部専門家等の配置に係る財政的な支援を行っているところでございます。

 文部科学省におきましては、引き続き、こうした取組により、教育現場で合理的な配慮が行いやすい環境整備を進めていきたいと考えておりまして、インクルーシブ教育システムの理念の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 是非、インクルーシブ教育、また、日常で障害を持っている方々との交流というものが災害時には本当に大きな力となってまいりますので、よろしくお願いします。

 さて、時間の関係で先に進ませていただきます。

 世界自閉症啓発デーに、私の地元で芸術活動を障害者の方たちとしていらっしゃる、あいアイ美術館の粟田さんから、厚生労働省が二〇〇八年に発行しているパンフレット「発達障害の理解のために」の再発行の依頼がありました。A4全四ページの印刷物でありますが、取材される報道関係者や行政や議員関係者などが訪問、視察した際に、発達障害とは何かを説明する資料として、発行からもう十二年以上たっておりますが、現在でもとても重宝しているそうです。

 年月の経過に合わせた情報の更新が行われ、情報提供が継続されることが望ましいと考えます。ホームページ等で公開していますとの対応ではなく、実物を手に取り持ち帰れる、アナログ的な手法も理解促進には有効な手段だと考えます。パンフレット「発達障害の理解のために」のアップデート版、是非、作成発行をお願いしたいと思いますが、厚生労働省より御答弁お願いいたします。

赤澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました、私どもの方で作っております「発達障害の理解のために」というパンフレットでございます。発達障害の特性や周囲の理解の重要性のほか、都道府県、指定都市における相談窓口等が掲載されているものでございますけれども、御指摘いただきましたように、現時点の状況を踏まえた見直しにつきまして検討させていただきたいと考えております。

小宮山委員 なかなか合理的配慮というものが分かりづらいということもあるかと思います。

 国交省で出している駅員さん向けだと思われるパンフレット、マニュアルというのは、非常によく、具体的にどう対応するかまで書いて、分かりやすくなっていました。これもイラストなどを活用して分かりやすく示したパンフレットの一例かと思います。

 合理的配慮の提供についてのパンフレット作成、また配布など、周知徹底のために内閣府としてはどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。

三上政府参考人 今回の法案では、事業者による合理的配慮の提供を努力義務から義務へと改めること等を内容としておりまして、事業者、障害者、さらには広く国民一般の方々にこの内容を周知し、正しい理解を得ていくということは非常に重要だと考えております。

 内閣府におきましては、これまでも、合理的配慮の事例の共有、ポスター、リーフレットの配布、障害者週間の機会を活用した広報など、必要な普及啓発に努めてまいりましたけれども、これに加えまして、令和三年度予算におきましては、法の趣旨や合理的配慮等について分かりやすく紹介するポータルサイトの開設、新たなリーフレットの作成等のために必要な経費を計上しております。

 ただいま御紹介いただきました、国土交通省ですとかあるいは厚生労働省の分かりやすいようなそういった配布物、十分に参考にいたしましてこういった経費の執行に当たってまいりたい、このように考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 障害といっても、確かにいろいろな形があり、対応するところは大変かと思いますけれども、是非分かりやすい形での作成をお願いしたいと思います。

 時間となってまいりましたので、一番最後に、準備をしておりました障害者基本法の見直しについて大臣にお伺いしたいと思います。

 近年、障害者関連の法制度については、障害者権利条約批准、総合支援法、差別解消法、あるいはバリアフリー法、ユニバーサル社会実現推進法など、様々な取組が行われております。

 こうした中、障害者基本法には施行後三年での見直し規定があるものの、二〇一一年の改正以来、見直しが行われておりません。今回も、合理的配慮を義務化をしていく、こういった大きな流れの中にありますが、権利条約批准や各種法制が進められており、基本法についても見直しを行っていくべきだと考えております。この点に関しまして、大臣の御見解をお聞かせください。

坂本国務大臣 障害者基本法の見直しを含め、法律を見直す場合には、その基礎となる社会的な事実、いわゆる立法事実が必要となります。このため、具体的な事例や実情を踏まえながら、課題を一つ一つ整理して対応を検討していくことが求められます。

 政府といたしましては、今後、内閣府の障害者政策委員会におきまして、第四次障害者基本計画の実施状況のフォローアップ、そして次期障害者基本計画の策定を進めますが、まずは障害者施策の課題等の議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 いつまで議論をするんでしょうか。大臣、お答えください。

木原委員長 もう時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

坂本国務大臣 しっかり議論をして、できるだけ早い時期にというふうに考えております。

小宮山委員 二〇一一年から、施行後三年での見直し規定があります。できるだけ早くという言葉、あちらこちらで国会内では聞きますけれども、本当の意味でしっかりと早くやっていただくことを坂本大臣には改めて要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 以上です。

木原委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 今日は差別解消法ということで、私も、日頃活動しております中で、例えば、和歌山県共同作業所連絡会、わされんという方々です、あるいは和歌山盲ろう者友の会、さらには障害者雇用をやっているNPOの皆さんと相談しながら、少し具体的な質問をしたいと思って用意してまいりましたが、その前に二点だけ、喫緊の課題でありますワクチン接種について、今日は山本厚生労働副大臣においでいただいていますので、簡潔にお聞きをしていきたいと思います。

 まず、鳴り物入りでスタートいたしましたワクチン接種円滑化システム、V―SYSなんですけれども、あろうことか、四月五日から何と十日間、十四日まで一部機能が停止いたしました。これは、皆さん、御存じでしょうか。あれだけ鳴り物入りでやりながら、機能が一部停止ということであります。

 結構、県が困っているんですね。都道府県の接種の数字が、実は、V―SYSでやっているものですから、これが止まってしまうと実数が把握できない。これが重複して計上されていて、多めに計上されていたという事実が判明いたしました。大変、和歌山県庁も困っておられました。

 事務方に聞きますと、まさに接種実績について重複した数値を含むものが表示されたということなので、一旦機能を停止して、十日間かけて改修作業をしました、こういうことでありましたが、一体どういう原因で、本当に重複した数字の表示だけの問題なのか、もっと根本的な問題はなかったのか、表示だけであれば単なるバグなのかもしれませんが、単なるバグを直すのに何で十日もかかるのか。

 このシステムのエラーの原因について、どういう原因なのか、副大臣から御意見を聞きたいと思います。

山本副大臣 このV―SYSでございますけれども、ワクチンの円滑化のために、配分の調整とか実績を把握できるようなシステムでございます。

 この点、今委員御指摘ございましたけれども、このV―SYSの機能が停止していたわけじゃなくて、機能としては動いておりまして、その意味で、今委員が言われたように、四月五日以降、医療従事者向けの接種実績が、四月四日以前の総接種回数と四月五日以降の……(岸本委員「それは私が言っているんだから。原因だけ言ってくれればいいんだ、原因だけ」と呼ぶ)

 原因に関しては、これは、以前、元々の制度設計としては、毎日、医療関係から接種回数を算出することを想定してやっていったわけでございますけれども、医療機関の負担軽減の観点から、最新の総接種回数、累計の回数の登録を求めることに変更したわけでございます。その意味で、その重複の数の部分のいわゆる計算式が間違っていて、その部分に関して事前に分かりましたので、四月五日の時点でその表示機能を停止をするということで通知をしたわけでございます。

 ですので、各都道府県においては、その表示実態に関しましては見られない状況でございますので、混乱をする形を控えるということでした次第でございます。

 そして、都道府県は、もし必要であれば、その数に関しましては、問合せがございましたので、その対応をして、十四日には改修が終わりましたので、今は平常どおり表示機能を見ることができるということであります。

岸本委員 事前じゃないですよ。既に重複した数字がオープンになっていて、私自身が和歌山県庁から四月三日の段階の数字をもらったら、その後、訂正いただきました、大変多く出て済みませんと。それで、その後、減少させた数字をいただいていますので、そんな簡単な話ではありませんが、事前じゃありません。少なくとも、計算式が間違っていた、どういうことですか、それは。どういう業者にシステムを発注したんですか。余りにもずさん過ぎませんか。

 厚生労働省は、本当にITがお得意ではなくて、アプリから始まって、不具合を起こされているんですけれども、幾ら何でも、計算式が間違っていましたということで、十日間も表示ができないというのは余りにもお粗末だと思いますが、これは是非改善をしていただきたい。別に我々は非難しているわけではありません。是非改善していただきたい、もう少し真面目に、真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げて、もう一つお聞きしたいと思います。

 これも結構大変なことなのではないかと思うんですが、今のV―SYSなんですけれども、これを市町村が打ち込むんですね。これも大変な業務なんですが、どんどん打ち込むんです。それで、打ち込むためのマニュアルがあります。例えば、医療機関用というのがありまして、今、河野ワクチン大臣がどれだけ苦労されているか。

 今、高齢者向けワクチン接種が始まっていますけれども、一回でも余さないでくれ、今、一瓶五回しか取れないんです、一瓶五回しか取れないんだから、一回でも二回でも、余分な廃棄をしないでくれと言っているじゃないですか。できるだけ接種券がなくても打ってくれ、打っていない人たちは打ってくれと。一回でも無駄に使わないでくれとやっているその中で、厚生労働省は一体どれだけの回数が廃棄されているかを知らないんです。その数字を取ろうともしていないんです。それがこのマニュアルです。

 未使用のまま廃棄したバイアル本数、バイアルというのは一瓶のことです、未使用のまま廃棄したバイアル本数の廃棄数をインプットする部分があります。何と厚生労働省のマニュアルでは、「開封後に一回でも接種したバイアルについては、廃棄数に含めないでください。」とマニュアルに書いてあるんです。どういうことですか。一瓶丸々捨てたやつだけ廃棄と数えてください、五回分ですから、五回廃棄と書いてくださいと。一瓶で一回打って四回捨てたやつは載せないでください、五回使ったことにしてくださいと書いてあるんです。このことによって、どれだけ無駄にしたかが国が分からないんですよ。これは行政ですか。

 行政というのは、統計に基づいて、科学的にいろいろなものを、データを集めて、いや、失敗もあるでしょう、ドタキャンがあって、例えば二回打てなかった、しようがないですよ。でも、それを、数字を取って、和歌山県はこれだけ無駄にした、神奈川県はこれだけ無駄にした、だから改善しましょうというのが行政じゃないんでしょうか。

 これは、私は疑いましたよ、皆さん。同僚議員の皆さん、どう思いますか。一瓶一回でも使ったら廃棄とは認めないというマニュアルを出しているんです。これは改めていただけないでしょうか。打ち込むだけですから、そんなに医療機関、大層な手間ではありませんよ。何しろ、廃棄数を打ち込むような手順があるんですから、そのときに、一回でも二回でも使ったら廃棄じゃないというのだけはやめていただいて、少なくとも、国として、どれだけ無駄に使われているのかを把握した上で改善するというように、行政を本当に改めていただけないでしょうか。

 河野ワクチン担当大臣が言っていることと、厚生労働省がやっていることは真逆なんです。おかしいですよ。私は本当に信じられなかったです。自民党の皆さんもそう思うでしょう。おかしいですよ。厚労副大臣、改善してください。

山本副大臣 今委員御指摘されました、このワクチン円滑化、V―SYSの操作マニュアルの中の廃棄数の考え方でございますけれども、廃棄数といいますのは、未開封のバイアルを有効期間切れ等の理由によって廃棄した場合、又は開封はしたものの一回も接種をせずに廃棄した場合、そのときに廃棄したバイアルの本数のことをいっておりまして、開封後に一回でも接種したバイアルに関しましては含まない旨を示しているところでございます。

 それはなぜかといいますと、一つには、医療機関の入力作業の負担が大変多いという観点からそのことを求められている部分でございますし、また、この考え方は、二〇〇九年の新型インフルエンザが流行した際に、有効期限切れを理由に相当量破棄することになったことがございましたので、そのことをしっかり集計できるような観点でやっている形でございます。(発言する者あり)

木原委員長 答弁中ですので、最後までお聞きください。

山本副大臣 ですので、今委員が御指摘されました、無駄なく対応していくという部分に関しましては、しっかり河野大臣と連携しながら対応していきたいと思いますけれども、今の考え方としてはそういう状況でございます。

岸本委員 山本厚生労働副大臣、政治家として大変おつらい答弁をされたと思いますので、御同情申し上げますけれども、官僚に踊らされちゃ駄目ですよ。今の答弁はひどい。今の答弁を書いた課長補佐は本当にひどい。

 我々は政治家なんですから、まず事実を把握しましょうよ。事実を把握して改善するということにおいて、与党も野党もありませんよ。少なくとも、行政監視機能を持つ我々国会として、立法機関として、これは是非、皆さん、声を上げましょうよ。是非変えていただきたいと思います。

 今日は、しかしこの議論をするばかりではいけませんので、これは山本厚生労働副大臣に政治家として是非前向きに取り組んでいただきたいということを申し上げて、そうでなければ、これは隠蔽工作ということですから。どれだけ無駄になったかを国民から隠蔽する工作を、マニュアルという形、しかもこれは、自治体を集めたときの説明会で、ここは何度もデフォルメして言っているんですよ、説明会でこれを。私、県とか市に何でこんなことをするんですかと言ったら、自治体の説明会でそう指導されたと言っていました。是非、副大臣、改善を求めます。

 その上で、障害者の差別解消法についての質問をさせていただきます。

 どうぞ、厚労副大臣、お帰りいただいて。

 総務副大臣にお聞きをしたいと思います。

 実は、この法律も、ある意味、これまでの条約に基づいて行われているわけですけれども、条約には、障害を持っている方の政治参加の権利ということがきちんとうたわれています。例えば、盲聾者の方。盲聾というのは、目が見えなくて聾の方なので、指手話をします。私も指手話の方を通して会話していますけれども、大変、すごいびっくりするような速さで指手話でされるので、意思疎通にはほとんど問題ないですけれども、この盲聾者の方が投票に行く場合は期日前投票しかないんです。しかも、限られた投票所でしか投票できないんです。

 障害者権利条約の第二十九条ですよ。障害者の政治参加が明記されています。副大臣、これは、盲聾者、期日前で、限られた場所だけで投票しなきゃいけない。改善していただけないでしょうか。

熊田副大臣 障害のある有権者の方々が円滑に投票することができるよう投票環境を整えることは、極めて重要なことだと思っております。

 お尋ねの盲聾者の投票につきましては、期日前投票のほか、選挙期日当日の投票所での投票が当然できるところであり、これらの投票においては、点字投票のほか、自ら投票用紙に記載することができない選挙人のための代理投票の制度が整備され、投票所の事務従事者による補助が行われております。

 また、総務省におきましては、全国の選挙管理委員会に対し、投票所等のバリアフリー化、アクセシビリティーの向上として、点字器や点字による候補者名簿などの準備、スロープの設置や人的介助などによる段差の解消などの取組について対応を要請するとともに、これらに要する経費について措置しているところでございます。

 引き続き、障害のある有権者の方々が円滑に投票することができるよう、必要な取組を推進してまいりたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 そうなんです。制度はあるんです。だけれども、盲聾者の方は御存じないんです、そのことを。和歌山の障害者の団体の皆さんとこの議論をしたときに、どなたも御存じなかったです。

 それで、盲聾者の方が投票所へ行きますと、その方の指手話の通訳者は入れてもらえないんです、投票所の中に。そして、選挙の責任者が来て連れていって、基本的には、鉛筆で名前を書けと言うんですね。目の障害の方に鉛筆で書けと言うんですね。そうでなければ、点字で打てと。盲聾の場合、そんな通訳者はいませんよ。指手話ができる人はいません。当日、公民館へ行っても、指手話のできる人はいませんよ。

 だから、制度と運用が全く違う。運用はできないから、和歌山の、私、和歌山しか知りません、和歌山の盲聾の方々は、そんな制度があるなんて知らない、だから期日前に限られたところへ行くんです。そして、指手話ができる方がいらっしゃらないから書くんですよ。だから、そういう運用と制度が違うということを是非、副大臣、御理解いただいて、周知徹底とともに是非改善をお願いします。

 これで結構です。お帰りいただければ。

 それでは、坂本大臣。

 もちろん、幾ら言っても、私も、だんだん年を取ってきましたから、だんだん目も見えなくなって不自由していますけれども、健常な人間と、障害をお持ちで、チャレンジドで、チャレンジされている方とは、やはり感覚が違うんですね。今の、制度はあっても盲聾者の方の投票というのは本当に制限されているというようなことを、私たちは本当に分からないですよね。それを分かりましょうというのが、この差別解消法だと思います。

 そこで、例えばこの法律の条文が、やはり、我々から見ると、普通の条文とは言わないけれども、こういう条文かなと思って読んじゃうんですけれども、障害を持っている方々からすると、条文がすごく冷たく感じられるとおっしゃいます。すごく冷たい。「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合」という前提が合理的配慮に入っていますよね。これは、法律家から見ると、そうかなと一瞬思ったんだけれども、これは冷たくないですかと言われました。障害者が言わなければおもんばかってくれない、健常な方々は、どんなに障害を持っている方が大変かということをおもんばかって合理的配慮をしてくれるんじゃないんです、言わなきゃやってくれない、これは冷たくないですかと言われました。

 それから、やはり法律の条文で言うと、過重な負担といいますか、何か逃げ道がつくってありますよね。過重な負担がある場合は合理的配慮を提供しなくていいんですよね。過重な負担、これもちょっと逃げ道ですよね。これはやはりかなり厳しく限定的に見ていただくようなガイドラインを、あるいは、これは法律に書いた方がいいかもしれない、本当は。

 ともかく、法律の条文自体、この合理的配慮の義務というのを今回事業者に課すのは賛成です。しかし、その前提となる、言わなきゃいけないとか、過重な負担があったらやらなくてもいいとか、こういう問題について、大臣、改善を求めたいと思うんですけれども、是非よろしくお願い申し上げます。

坂本国務大臣 まず、前者の御質問に対して御答弁差し上げたいと思います。

 障害者差別解消法におきまして、今委員言われましたように、「意思の表明があった場合において、」としておりますのは、合理的配慮とは、社会的障壁の除去を必要としている障害者の方が現に存在する場合の個別の対応として求められているものであります。事業者の方から見て、当該者が障害者なのか、配慮を必要としているか否かが分からない場合にまで配慮を義務づけることが困難であるというようなためでございます。

 一方で、障害者からの意思の表明がない場合、法的な義務は発生しないわけでありますけれども、行政機関や事業者が自主的に適切な配慮を行うことは、本法の趣旨に照らして望ましいことというふうに考えております。

 それから、後者の質問でございますけれども、基本方針におきまして、合理的配慮の提供におけます過重な負担につきましては、個別の事案ごとに、費用負担の程度、それから事業規模等の要素を考慮いたしまして、具体的場面や状況に応じて総合的、客観的に判断することというふうにしています。

 他方、合理的配慮の内容は多様でかつ個別性の高いものであるために、本法では、事業を所管する主務大臣が事業分野ごとに対応指針を定める仕組みというふうになっております。本法案の成立後には、まず基本方針を改正をいたしまして、それを踏まえて各省庁の主務大臣において対応方針を改定することになります。

 こうした手続におきまして障害者その他の関係者の意見を聞くこととされており、各事業分野を通じて合理的配慮の適切な提供がなされるよう、政府全体としても取り組んでまいりたいと思っております。

岸本委員 このような真心のない官僚の書いた答弁をお読みになった坂本国務大臣に満腔の抗議を申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。阿部知子君。

阿部委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法の施行は、公布の日から三年を待たず、可能な限り早期に行うこと。

 二 本法並びに本法に基づく基本方針、対応要領及び対応指針の改定については、国の各行政機関、地方公共団体及び民間事業者に周知徹底すること。

 三 複合的な差別を含め、障害を理由とする差別の解消を総合的に推進するため、次期障害者基本計画の策定を通じて把握した課題について、障害者基本法の見直しを含めて必要な対応を検討すること。

 四 基本方針において、障害者の権利に関する条約の精神にのっとり、差別の定義に係る基本的な考え方を明記することを検討すること。

 五 障害のある女性や性的少数者等への複合的な差別の解消について、基本方針、対応要領及び対応指針に明記することを検討すること。また、地方公共団体と連携して、複合的な差別に関する情報の収集、分析を行うこと。

 六 基本方針等において、障害の分野に応じて、具体的な差別事例や合理的配慮の提供事例を盛り込むことを検討すること。

 七 基本方針、対応要領及び対応方針の改定に当たっては、障害者の権利に関する条約における障害当事者参画の理念等を踏まえ、障害者、障害者団体その他の関係者の意見を聴取すること。

 八 障害者基本計画の実施状況の監視に当たっては、知的障害者及び精神障害者を含む障害者並びに障害者団体の構成員の参画を検討すること。

 九 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決に必要な体制を整備するに当たっては、以下の諸点に留意すること。

  1 障害を理由とする差別に関する相談について、ワンストップの相談窓口を設けるとともに、国と地方公共団体との連携を強化すること。

  2 障害者が安心して相談することができるよう、相談窓口における相談対応者に障害者を加えること。

  3 既存の機関によるこれまでの対応について調査、分析し、その結果を公表すること。

 十 相談窓口については、電話対応だけでなく、FAX、電子メール、SNS等の利用を可能とするなど、聴覚障害者が利用しやすい体制を整備すること。

 十一 障害を理由とする差別の解消に向けた啓発活動に当たっては、障害者団体等が実施している研修に関する情報を可能な限り収集し、その内容も十分に踏まえて検討すること。

 十二 障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集及び整理に当たっては、国の各行政機関及び地方公共団体が協力・連携し、データベースの構築等により、情報を共有すること。

 十三 障害者差別解消法第五条に基づく環境の整備を行うため、公共施設等のバリアフリー化を推進するための財政措置を含め、必要な措置を講ずること。

 十四 国の各行政機関又は地方公共団体が合理的配慮を提供しない場合は、その理由を障害者側に十分説明することに努め、その旨を国の各行政機関及び地方公共団体に周知徹底すること。

 十五 障害者差別解消支援地域協議会について、未設置市町村も少なくないことを踏まえ、地方公共団体に対して十分な支援を行うこと。

 十六 法令等において用いられている「障害者」のうかんむりの「害」の字を、石へんの「碍」とし、又は、ひらがなの「がい」とするかどうかについての検討に資するため、障害当事者の意向や世論の動向を把握すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂本国務大臣。

坂本国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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