衆議院

メインへスキップ



第20号 令和3年4月21日(水曜日)

会議録本文へ
令和三年四月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      大西 健介君    玄葉光一郎君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      岸本 周平君    高井 崇志君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    坂本 哲志君

   国務大臣         西村 康稔君

   内閣官房副長官      坂井  学君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     今川 拓郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 赤松 秀一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 土谷 晃浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長兼子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 岸本 武史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 海谷 厚志君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

四月二十日

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣府子ども・子育て本部統括官嶋田裕光君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長今川拓郎君、外務省大臣官房審議官赤堀毅君、外務省大臣官房審議官赤松秀一君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、外務省大臣官房参事官有馬裕君、財務省大臣官房審議官土谷晃浩君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、厚生労働省大臣官房審議官横幕章人君、厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長兼子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、中小企業庁次長奈須野太君、国土交通省航空局次長海谷厚志君、防衛省大臣官房審議官町田一仁君及び防衛省地方協力局次長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 関係の皆さん、忙しいのにありがとうございます。

 まず冒頭、西村大臣に二、三お聞きをして、終えたら、どうぞ御退室いただければと思います。

 大阪に対して緊急事態宣言を発出するということで調整をしているという報道が出ています。この期に及んで宣言の発出についてちゅうちょするということはすべきではないと思いますけれども、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。

西村国務大臣 昨日、吉村大阪府知事から、緊急事態宣言の発出について文書で要請を受けたところであります。

 この間、吉村知事とも何度もやり取りを重ねておりまして、変異株が約八割になってきている中で、急速に感染が拡大し、一月のピークを更に上回る感染者の数が、連日、千百人、千二百人と続いているわけであります。病床がもう極めて厳しい状況になってきている中で、何としても感染を抑えなきゃいけない、こういった状況の中で吉村知事から要請がなされてきております。

 私どもも、大阪の状況、非常に厳しい状況だというふうに認識をしております。対策の強化、より強い対策を集中的に行わなきゃいけないという認識であります。

 こうした中で、どういった対策が必要なのかということも含めて、今、府とも、大阪府側ともかなり詰めて議論を行っておりますし、専門家の意見を聞いて最終的には判断していきたいと考えておりますが、繰り返しになりますけれども、より強い集中的な措置が必要である、非常に厳しい状況にあるという認識をいたしております。最終的に専門家の御意見を聞いて判断をしていきたいというふうに考えております。

玄葉委員 あわせて、東京そして兵庫も、緊急事態宣言の発出について、その要請をしたいということで知事らがおっしゃっているようでありますけれども、その点についてはいかがお考えですか。

西村国務大臣 まず、兵庫につきましては、私の地元でもあるわけですけれども、この間も知事と何度もやり取りをしてきております。特に大阪が増えてくる中で、併せて兵庫も感染が拡大し、特に神戸を中心に、病床が極めて厳しい状況になってきておりますので、井戸知事ともこうした厳しい状況、危機感を共有しているところであります。

 兵庫県も、今日だと思いますが、本部を開いて、最終的に県としての意向をまとめるようでありますけれども、いずれにしても、厳しい状況にあるということを認識をしておりますので、専門家の意見を聞いて最終的には判断していきたいというふうに考えております。

 そして、東京は、三月中旬以降、変異株が急速に増えて、今、三割ぐらいというふうに評価をされておりますが、病床も徐々に厳しくなってきております。そうした中で、五月には変異株にほぼ入れ替わる、こうした予測も感染研から出されておりますので、そういった状況で、昨日の厚労省のアドバイザリーボードにおいても、引き続き感染拡大の継続あるいは急拡大も懸念されるというふうに分析をされておりますので、こうした状況を踏まえて、東京都で様々検討なされておりますが、昨日もですかね、小池知事が、緊急事態宣言の要請について検討を行っていくというふうに会見で述べられております。

 明日、東京都の会議が開かれるというふうに、いわゆるモニタリング会議が開かれるというふうに承知をしておりますが、いずれにしましても、東京の状況もやがては厳しくなるというふうに考えておりますので、都と連携をしながら、専門家の意見を聞いて最終的には判断をしていきたいというふうに考えております。

玄葉委員 そうすると、一言で申し上げると、兵庫も東京も、知事の要請があれば、宣言の発出をちゅうちょするというものではないというふうに理解してよろしいですか。

西村国務大臣 それぞれの知事の要請がこの緊急事態宣言の要件となっているわけではありませんが、それぞれの知事と緊密に連携しながらその状況を確認し、現時点でも、それぞれ状況は差がありますけれども、厳しい状況、そして今後厳しくなるであろうということも含めて共有をしておりますので、そういった中で連携しながら判断をしていきたいと考えておりますが、いずれにしましても、最終的には専門家の皆さんの御意見を聞いて判断をしていくということになります。

玄葉委員 いつも申し上げてきましたけれども、この種の話はタイミングというのがとても大事、もちろん内容もそうなんですけれども、やはりタイミングが遅れるということが非常によろしくないと思いますので、私は早め早めに出すという方がよいというふうに思います。

 当然、そうなったときには、また改めて、新たな協力金とか、対策のための資金も含めて必要になってくるというふうに思いますけれども、当然、そのことも含めて検討されているということでよろしいですか。

西村国務大臣 まず、御指摘のように、速やかに対応していきたいと思っております。

 特に、より強い措置を集中的にやる必要があると考えておりますので、そういった中身についても、速やかに、それぞれの自治体と連携をしながら、専門家の意見も聞いて、検討を急ぎたいというふうに考えております。

 その上で、どういった対策を強化していくのか、どういった形で対策を行っていくのか、その内容を詰めていかなきゃいけないところでありますけれども、その内容に応じてどういった支援が必要なのか、これについても併せて検討を急ぎたいというふうに考えております。

玄葉委員 三回目の緊急事態宣言、これは絶対に避けるべきだと、この間私も思ってきたし、多分、恐らく西村大臣御自身も思ってきたと思うんですけれども、残念ながら宣言を出さざるを得ない状況になってきている。やはり、このことをどう考えるか。元々持っている戦略と方針というものに誤りがないのかどうかということもよく考えていただく必要があるんじゃないかというふうにも思います。

 二週間前に、私、この場に立って、蔓延防止重点措置の適用、二週間遅いんじゃないかという発言を申し上げたと思います。更に言えば、宣言の解除がちょっと早過ぎたんじゃないかという話もしました。だから、今回の蔓延防止等重点措置の評価というものを西村大臣としてどんなふうにお考えになっておられますか。

西村国務大臣 まず、宣言の解除をしたタイミングについては、大阪でいえば、日々の感染者の数が五十人とか六十人のレベルでありましたし、東京でも三百人を切るレベルでありましたので、いわゆるステージ3から更に2に行くような状況でありますから、その時点では、専門家の皆さんも一致をして解除ということで御了解をいただいたわけであります。

 ただ、その後、変異株が急速に拡大したこと、これは我々も予測をしてきたことでありますけれども、そうした中で、蔓延防止等重点措置を講じて、いわば緊急事態宣言と同等の措置を、地域を絞って八時までの時短などを行ってきましたけれども、この間、人出が減らなかった部分もあり、急速に拡大をしてきているという状況であります。

 蔓延防止等重点措置の効果についてはよく分析をしなきゃいけないと思っておりますが、大阪では、かなり人出が減って、急速に増えましたけれども、四月五日からスタートしておりますので、二週間ようやくたってきた中で、いわば高止まりしている、伸びが止まってきている状況はあると思うんです。千百、千二百のところから横ばいになってきていますので、急速に伸びる状況は鈍化してきていますけれども、ただ、この千百、千二百人という連日のレベルは非常に高い水準で、もう医療は非常に厳しい状況ですから、今、病床の確保、あるいは看護師さんも順次、数十人、百人の規模で派遣をすることで進めております。

 いずれにしても、こうした分析をしっかり進めながら、他方、この感染を抑えるべく、より強い措置を集中的に講じていくべく内容を詰めていきたいというふうに考えているところであります。

木原委員長 一旦速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 玄葉君。

玄葉委員 やはり、変異株の影響、これは最大の変数になっていることはみんな分かってはいたわけでありまして、そのことを甘く見たという側面も私はあるのではないかと思っています。

 改めて、蔓延防止等重点措置というのは、私も、特措法の改正で、この場で質問させていただきましたけれども、効果が出るときというのはある意味限られていて、やはり本当にタイミングと対策と、あと、本当に地域がうまく折り合わないとなかなか効果が出ないのではないかというふうに思うので、やはりそのことも含めて、今後、教訓としてしっかり受け止めて対応を取られた方がいいんじゃないかと思いますが、一言だけ、最後にお願いします。

西村国務大臣 御指摘のように、例えば宮城県仙台は、いわば地方部の大都市、都市部、ここを限定的に集中的に対応することによって、かなり人出も減り、そして感染者の数も抑えることができております。

 先ほど申し上げましたけれども、大阪も、伸びは鈍化をしてきていますが、水準自体を下げるところまでは行っていない。これは、大阪という大都会で、大阪市だけでは十分でなかったのかもしれません。そういったことを含めて、東京は二十三区プラス六市で、今、蔓延防止等重点措置を行っております。

 それぞれやり方も地域の定め方も違いますので、この辺り、よく分析をしながら、法改正で蔓延防止等重点措置という、地域限定ではありますが強い措置を入れていただいておりますので、これを今後やはり有効に使っていかなきゃいけないとも考えておりますので、分析をしっかりして今後に生かしていきたいというふうに考えておりますが、まずは、大阪、東京の状況を、感染を抑えていくこと、このことに全力を挙げていきたいというふうに考えております。

木原委員長 一旦速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 玄葉君。

玄葉委員 分かりました。

 西村大臣、これで結構ですけれども、改めて申し上げますけれども、蔓延防止等重点措置は、やはり一番効果があるのは初期消火だと思うんですよね。このことを忘れずに、この初期消火が効くタイミングで、効く場所で、しっかりと適切に対策を取るということではないかと思います。

 どうぞ御退室ください。

木原委員長 どうぞ。

玄葉委員 その次に、福島第一原発のALPS処理水の話でございます。

 更田規制委員長に改めてここで断言をしてもらいたいと思っているのは、科学的見地から、このALPS処理水、つまり処理をされた水については海洋放出されても絶対に安全であるというふうに、事実上、規制委員長はこの間言われてきたわけでありますけれども、このことを国会でまず述べていただければと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 ALPS処理水、必要な希釈を施した上で海洋に放出する限り、環境であるとか、人の健康、それから地域の産品に影響を与えるということは科学的に考えられない。これは繰り返し原子力規制委員会として表明しているところでございます。

玄葉委員 多くの人が、更田委員長、何となくもやもやっとしているのは、通常の原発と違ってデブリに触れた水だ、こういうことなんですね。ですから、他の核種も出ると。

 これは、私なんかは、再処理という過程の中で、いわば通常の原発では出ませんけれども、一旦燃料を溶かしたときに出るものとやや似ているのかなというふうに、私なんかはそう評価するんですけれども、そのことも含めてみんなもやもやっとしていることに対して、あるいは、例えばクロソイという魚が今年二月に、一万八千検体の中の一例なんですけれども、やはり基準を上回るセシウムが出たということなんですね。

 こういったことも含めて、そういう不安に対して、規制委員長として、いや、そんなことはない、絶対に安心だということを含めておっしゃっていただければと思います。

更田政府特別補佐人 液体放射性廃棄物としては、まさに先生のおっしゃるとおり、事故を起こしていない原子力発電所のものと違って、再処理施設のものは燃料をぶった切って溶融させる施設ですので、ALPS処理水は再処理施設からの液体放射性廃棄物により近いというのは、何といいますか、一般的には言えるだろうと思っています。

 もやもや感は、確かに、トリチウムの問題だけではなくて、トリチウム以外の核種が含まれている可能性、そこにあるんだろうと思います。これは十分な分析によって、どのくらいの量、量が少なければなるほど検出するのが難しくなりますから、その点をしっかり証明していくということは技術的に簡単なことではないんですけれども、そこをしっかりやっていくことが重要であろうというふうに思っています。

 海産物で、セシウム等、これは生物濃縮等の影響が表れている。絶対にという言葉は科学では使わない言葉ではありますけれども、十分な希釈をした上で海洋に放出される限り、少なくとも、ALPS処理水の放流によって産品や環境に影響が出るとは考えておりません。

玄葉委員 そういった科学的な安全性というものが大前提だと思いますし、それが大前提であれば、問題は風評ということになります。本来、絶対という言葉はないということでありますが、科学的見地からは安全なのに様々な影響が出るというのは、まさに風評です。

 この風評対策というのは、今度、加藤官房長官が議長になられて、責任者になられて、関係閣僚会議ができたということであります。

 この間、地道な取組というのがいろいろなされてきているんですけれども、残念ながら効果が出ていないというふうに申し上げていいと思います。

 やはり、この種の問題というのは、かなりの程度、デモンストレーション、つまり実演のようなものが大事だと私は思っているんですね。

 それで私が思い出すのは、三・一一のときに、私も福島なんですけれども、震災瓦れきが大問題になったんですね。どこも引き受け手がないと。そのときに、石原都知事が、いや、東京が引き受けるよと言ってから、一気にこの瓦れきの処理が進んだんですね。大丈夫だと分かっているんですよ、科学的には。だけれども、やはりどこかが名のりを上げて、一種のデモンストレーションですよね、これ。それで実際に引き受けてもらったら、一気に進みました。

 私は、希釈した水を、安全なんだから、ある人はこの希釈した水を飲めると言っていますよ、その水を敷地の中だけで今処分するという方針なんですけれども、私は、少量であってもいいから、敷地外に出して処分するというデモンストレーションをすれば、相当程度、私は風評はなくなっていくのではないかという期待を持っています、期待を。

 この基本方針を読むと、実は、いや、敷地外に持っていくのには、様々な、現行制度上、所要の管理が求められる、要は難しいみたいなことが書いてあって、私は何が難しいのかなと思っているんですよ。希釈した水ですよ、飲める水ですよ。

 だから、規制委員長に私、聞きたいのは、敷地外の処分、敷地外にそういった希釈した水を持ち出すということに対して、希釈した水ですからね、何が難しいんですか。

更田政府特別補佐人 お答えします。

 法律上、規則上は、十分に希釈したものであっても、液体放射性廃棄物としての扱いを受けます。液体放射性廃棄物としての扱いを受ける以上は、輸送であるとか輸送先での扱いについて、原子炉規制法の対象となります。

 したがいまして、少量のものを、十分に希釈したものを敷地外に出そうとして、その後の、原子炉等規制法の対象を外そうとした場合というのは、これは現時点でちょっとお答えするのが難しいのは、立法が必要なのか規則改正が必要なのかという形で、もうそれは液体放射性廃棄物ではないという定義を与えない限り難しいものと考えています。

玄葉委員 ですから、更田委員長、要は想定していなかったということなんですね、加藤官房長官。私は、これは有効だと思っているんです。

 こういう有効な風評被害対策に対して、本来なら、実は、この処分の決定と同時に、こういう方法だってあるよ、こういうことも、必要ならば立法措置を取って、今まで想定していなかったけれどもやるよとか、そういう発表をしてほしかったんですね、私は。それができていないから、やはり福島県民、みんな不満な方が多いです、どうしても。

 だから、加藤官房長官、そういうデモンストレーションというのはやはり必要なんですよということ。そして、例えば東電は今度は、一緒に併せて質問しますけれども、通告しておきましたけれども、例えば魚をこの処理水で、希釈して飼育する、こういうことを言ったりしています。そういうデモンストレーションも含めて、そういったことに対しての評価を加藤官房長官にお聞きします。

加藤国務大臣 まず、今回、今委員御指摘の点は、まさに処理水をどう処分するかということそのもののメインの話として、これを全国に持っていくとか遠いところへ持っていくとか、これはなかなか難しいということで、専門家……(玄葉委員「希釈した水ね」と呼ぶ)もちろん希釈した水、もちろん福島で放出をするという処理水でありますけれども、それを持ち運んでいく、あるいは外に向かって輸送管を造ってそちらから流していくということ自体は、相当時間がかかって難しい、これは専門家会合からも出てきているところでありますので、それらを踏まえて、私どもは、東日本大震災の被害があり、また福島原発の事故を受けている、こういう地域で、大変御苦労いただいているけれども、これまで他の例においても処理水は基本的に敷地から出しているという事例も踏まえて、そこから出させていただく、こういう方針にまず、大変重たい判断でありますけれども、させていただきました。

 その上で、どういう対策をこれから講じていくかということについて、まずは科学的な、そうした、先ほどやり取りをされておられましたけれども、いかに科学的に安全なのかということ、これをしっかりお示しをしていく。あるいは処理をしていく過程のプロセス等々においても、しっかりそれは透明性を持って説明をさせていただく。

 それから、二点目として、今いろいろな取組をされていますから、それを支援をしていく。それに加えて、今委員御指摘のように、いかに風評対策に対してどう講じていくかということであります。

 その一環として、東京電力においては、先ほどお話がありました、十六日に発表した方針では、安全性に関する懸念を払拭するため、ALPS処理水を用いて魚類等の飼育を行うことが盛り込まれている。こういう対策も取られているところであります。

 今後、私どもの、この風評、具体的な対策をするための関係閣僚会議、これは四月十六日に一回目をスタートいたしました。情報発信あるいは販路拡大に比べて風評被害の丁寧な賠償など徹底した風評対策を講じることを確認したわけでありますけれども、今後、様々な御意見もいただきながら、夏頃までに課題を抽出して、喫緊の追加対策、これも講じていきたいというふうに考えているところであります。

 今の時点で、今言ったことに対して具体的にちょっとお答えするものを、今言った法律的な問題も含めて持ち合わせておりませんけれども、いずれにしても、風評影響をいかに減らしていくのか、これについては、それぞれの関係者の皆さん等の声もしっかりお聞かせをいただきながら、政府として全力で取り組んでいきたいと考えております。

玄葉委員 加藤官房長官、私が聞いたのは、あえて官房長官の前で更田さんとのやり取りを聞いていただいて、福島原発の敷地から処分するという大方針があって、科学的に基本的に安全であるという大前提に立てば、どこで処分したっていいわけですよね。ということですよね。

 だから問題は風評だということになったときに、やはり敷地外に、希釈した、飲める水ですからね、飲める水を何で敷地外に持ち出すのが大変なのか私には全く分からないんですけれども、そのことも含めて、それが風評対策に有効であるということになったら、きちっと措置をしていく、対策を講じていく、そういう理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 ちょっとダブるかもしれませんけれども、敷地外に持ち出す場合には、配送で移送する場合には、当然、配管、フェンス、あるいは輸送する場合にはその輸送容器、さらには当該自治体の理解、また、様々な、先ほどあった法律上の許可、こういったことも必要ということから、この敷地外の放出については実施可能な案にならない、これは専門家会合で提言されたばかりであります。

 その上で、委員おっしゃっておられるのは、大量の部分を言っているのではなくて、本当の、例えば、変な話、ペットボトル一本分……(玄葉委員「まあまあ、そこまでじゃないけれども」と呼ぶ)例えばの話ですよ、例えばの話ですけれども、そういったものをということだというふうに思います。

 ただ、それも、先ほど更田委員長からお話がありますように、規制の中に入っているわけでありますから、直ちにそれをということを具体的にここで申し上げるのは、私どもとしても検討し得る状況になっていませんからあれですけれども、ただ、風評被害というものをいかに解消していくのか。

 そして、これまで、風評被害、先ほど委員が石原知事の対応のお話もありましたけれども、そうした対応も一つの風評被害につながったと御指摘がありました。そうした様々な御意見、これからもしっかり承らせていただきながら、何ができるのか、しっかりと検討させていただきたいと思います。

玄葉委員 飲めるぐらいの水が場合によっては規制法上の対象とならないということで立法措置を取るなんということは、私、決して難しいことでは全くないと思いますよ。

 だから、それが有効であると、私も全部をそこで流せと言っている、そこというのは、敷地外で流せと言っているわけじゃなく、風評対策の一環でやったらどうかと、少量であっても。そうすれば、かなり有効だと期待できるんじゃないかという提案をしているわけです。それが有効だということであれば、前向きに検討していただけますか、こういうふうに聞いています。

加藤国務大臣 委員からの一つの提案としては受け止めさせていただきたいと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、それに係るどういった手続が必要なのか、またさらに、様々な方の御意見も踏まえながら、この風評被害、万全を講じていきたいと考えています。

玄葉委員 じゃ、もう時間がほとんどなくなったので、坂井官房副長官に来ていただいて、一、二問だけ日米首脳会談について申し上げて終わりたいと思います。

 中国との向き合い方が最大のポイントで、この点について日米の首脳が基本的な認識を一致させたということは、私も成果だというふうに思います。とにかく、中国がピークアウトするまでは、日本はQUADプラスアルファで、チームで対抗すべきだ、あるいは向き合うべきだというふうに思いますし、ルールによる秩序形成というものを重視した方がいいと思います。

 予算委員会で私、菅総理大臣に、法の支配というものをバイデンさんに会ったら説くべきだという話をしたんですけれども、このことは、同席されていた坂井官房副長官、どんなふうにお聞きになりましたか。言及はありましたか。

坂井内閣官房副長官 この日米首脳会談では、両首脳は、自由、民主主義、人権、そして今御指摘をいただきました法の支配等の普遍的価値を共有し、そして、世界全体の平和と繁栄の礎である日米同盟をより一層強化していくことで一致をいたしておりまして、会談におきましても重要な論点として、これは議題として取り上げられたところであります。

 自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日米両国が、先ほど御指摘いただいた豪州やインド、そしてASEANといった同志国等と連携しつつ、結束を固め、協力を強化していくことも確認をしたところでございます。

玄葉委員 済みません、いろいろ聞きたかったんですけれども、時間がないので、最後にもう一問だけ。

 昨日も出ていたんですけれども、オリンピックをめぐるやり取りで、人類がコロナに打ちかったあかしという言葉遣いは、もうこの機会にやめた方がいいんじゃないかなと私、思いますね。

 つまり、今、新規感染者が世界で一番、過去最高に多いわけで、その点、官房長官、是非御答弁いただければと思いますし、あのときに、やはり、公衆衛生の専門家から開催の準備ができていないとの指摘があって、無責任ではないのかというふうにバイデン大統領に、あるいは菅総理に聞かれたときに回答漏れをしたということでありますけれども、本来であれば、いや、こういう準備をしているから安全、安心なので大丈夫だよとやはり言ってほしかったですよね、正直申し上げて。

 だから、このことは、官房長官でも副長官でもいいんですが、最後に御答弁いただけますか。

木原委員長 官房長官、時間が来ておりますので、手短にお願いします。

加藤国務大臣 共同記者会見の件に関しては、ちょっと詳細は承知しておりませんけれども、その後の日本人の記者に関しては、オリンピックに関しての質問にお答えをしたということでもあります。

 それから、今委員のお話がありました、打ちかったあかしという意味でありますけれども、これはいろいろな意味があるんだろうというふうに思っております。オリンピックをやるから直接、コロナウイルスがオリンピックをやれば消滅するという、これは全くないことはおっしゃるとおりでありますけれども、しかし、このオリンピックを開会するという意味において、国際社会が連結して実施ができた、そのことをどう評価していくのか、そういう意味で、こうした表現を使わせていただいているところであります。

坂井内閣官房副長官 内輪の話でございますが、委員が御指摘をされたように、日本の記者から御質問があれば、こういう対策をして大丈夫だということをお話を申し上げる準備はしていたところでございますが、昨日の本会議でも総理が自らお話しされましたけれども、答弁漏れになってしまったということでございまして、私の方もそこは残念に思っているところでございます。

玄葉委員 終わります。どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 大西健介です。

 今の玄葉委員の最後の日米首脳会談の質問に続けて質問していきたいと思うんですが、今回、その共同声明に台湾海峡という言葉が明記された。これは一九六九年の佐藤・ニクソン会談以来というふうに言われています。ただし、当時は日中国交正常化前のことでありますし、また、中国の国際社会におけるその存在の大きさというのは今とは比べ物にならなかったということを考えると、今回、この台湾海峡という言葉が明記されたことが持つ意味合いの重さというのは全く異なるというふうに思いますが、そういう理解でよろしいかどうか、官房長官、御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、この台湾海峡という言葉が日米の共同声明に盛り込まれたのは佐藤・ニクソン会談以来ということでありますが、今回の共同声明における台湾に関するこの言及は、両岸関係の軍事バランスの変化などを踏まえ、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決することを期待する、これは我が国が従来から申し上げてきた立場、これを日米共通の立場としてより明確にしたものであると考えております。

 台湾海峡の平和と安定にとって、こうした形でお示ししたことは意義があるというふうに考えているところであります。

大西(健)委員 私は、今回、この日米首脳会談で、やはり、対中姿勢、日米がどう示していくかということがこれだけ注目されていた中で、この台湾海峡ということが明記をされた。私自身も、日本のシーレーンの一部である台湾海峡の平和と安定というのは、これは我が国の国益に直結する話でありますから、そこに我が国がちゃんと関与していくというのは当然だと思います。

 ただ、過去には、同盟による巻き込まれ論みたいな話もあったわけでして、これだけ重要な話が十分な国民的議論のないままに進んでいっていいのかなということも思うわけです。専門家の中には、日本政府はルビコン川を渡った、こういうふうに言う人もいます。

 今回の政府の決断が、安保関連法に基づく重要影響事態やあるいは存立危機事態に台湾有事を認定する可能性にも関わる話であったり、あるいは、台湾有事に備えて日米共同作戦計画の策定をするということにもつながっていく話であるんじゃないか、またさらには、中国からの報復措置ということも覚悟しなきゃいけない、そういう大きな決断だというふうに私は思います。

 そのことについて、今回の話がそういう意味合いを持っているんだということを国民の多くの皆さんが理解されているというふうに官房長官は思われますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたところでありますが、この共同声明では、日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸関係の平和的解決を促すということを明記をしているわけでありまして、これはまさに、当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待する、これは従来からの我が国の立場でありますが、それを日米共通の立場として明確にしたという、あくまでもそういう意味であります。

大西(健)委員 そこら辺が、何というか、曖昧というか、私はそうではなくて、これはもう佐藤・ニクソンのときの話とは全く違う話であって、安保法案もその後成立もしています、それから、中国の存在の大きさというのはもう当時とは比べ物にならない、そういう中でこれを明記するということは、今回、まさに、アメリカはもっと強い調子で書けと、日本は慎重な意見もあった中でのいろいろなせめぎ合いの中で、結果として明記をされたというふうに理解していますが、やはり、私は、菅政権自体も、本当にそういう覚悟を持って今回これを明記をしたのかどうなのか。今の答弁もちょっとあやふやなんですが。

 同じことですけれども、皆さんのお手元に資料をお配りしていますけれども、これは首脳会談の直後に首相官邸のツイッターから発信されたものですけれども、まさにここに書いてあるのは今の官房長官の答弁なんですね。中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄のためにも重要ですというふうに書かれているわけですよ。その後には、中国との率直な対話が必要であるということも書かれていますけれども。

 中国に対して結構強いことを言っている一方で、その直後に流しているツイッターでは、いやいや、日中関係、大切なんですよと言っていて、一体どっちなんだというわけではないんですが、本当に今回の、台湾海峡と書くのは、私はすごくやはり重みがあると思うんですけれども、これを書くことによって、場合によっては経済的な報復措置もあるかもしれない、そういう覚悟を持ってやっているのか。

 このツイッターであったりとか今の官房長官の答弁を見ていると、私はその辺が非常に曖昧だし、だから、国民もそういうことを理解しているのかなと。した上で、みんなが、そうだね、でも、今のこの状況を考えると、やはりアメリカと一緒になって、今までとはちょっと違う厳しい対中姿勢というのが必要だよねと考えて今回のことが行われたのかどうなのかということを思うんですけれども、この首相官邸のツイッター、これはどうなんでしょうか。その日本政府の立場と温度差がないということで、今までの答弁だとそういうことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 日米首脳会談では、インド太平洋地域と世界全体の平和、繁栄に対して中国が及ぼす影響についても意見交換が行われたところであり、東シナ海、南シナ海における力による現状変更の試みに反対することなど、これは一致をしているところであります。

 その上で、こうした問題に対処する観点から、中国との率直な対話の必要性を確認をし、普遍的価値を擁護しつつ、国際社会全体の安定を追求していくという点においても一致をしたところでありまして、御指摘のツイッターは、今申し上げた共同声明、またこれまでの日本の立場、それを踏まえたものである、ツイッターはそれを踏まえたものであるわけであります。

大西(健)委員 もう一つ、今言ったように、今回、この台湾海峡を書くかどうかという話も含めて、先ほど言ったように、慎重な日本側と積極的なというか強硬なアメリカ側と、いろいろな神経戦というかせめぎ合いがあったというふうに言われていますが、ただ、今回、この日米首脳会談が行われる前から、アメリカは、今回の会談で対中国に対して日米の強固な結束を示すんだということが最大のテーマだったわけですよね。

 そういう形で書いたんだったら、私は、ちょっと見返りというのは変ですけれども、日本も、そこはアメリカ側の意向に沿った形で今回やるんだから、日本の言うことも聞いてねという話じゃないけれども、今回、日米首脳会談で、自動車関税の撤廃の話はなぜ求めなかったのか。

 日米貿易協定に関する国会の審議の中で、安倍前総理は、自動車関税については更なる交渉により撤廃することになっているんだ、こういうふうに説明してきたわけです。ところが、追加交渉は協定発効後四か月をめどに始めるということになっていますけれども、一年以上たっても、いまだに全く開始もされていない。

 なぜ、今回、日米首脳会談のタイミングでこの自動車関税の話をしなかったのか、このことについて、官房長官から御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 御指摘のように、今回の日米首脳会談では自動車関税撤廃については協議はなされていないところであります。

 他方、日米貿易協定においては、自動車・自動車部品について、関税の撤廃に関して更に交渉する旨が明記され、今後交渉を行うことにおいても、これは日米間で合意をされているところであります。

 バイデン政権の通商政策については、まずは国内の雇用政策などを重視し、それまで新たな貿易協定は結ばないという方針と私どもは理解をしており、そうした状況を踏まえつつ、引き続き、通商政策を含め、しっかりと意思疎通をこれは図っていきたい、こういうふうに考えているところであります。

大西(健)委員 今はっきりと、今回はしなかったという話ですけれども、さっき言ったように、今回、対中姿勢についてはアメリカの意向に沿うというのも変ですけれども、一緒にやろうね、その代わり自動車関税の話はお願いしますよ、こういう交渉が普通じゃないかと思うんですけれども、それをしなかったというのは非常に私は残念でなりません。

 官房長官はここまでで結構でございます。ありがとうございました。

 今回の訪米でもう一つ注目されていたのが、菅総理とファイザー社のアルバート・ブーラCEOとの電話会談でありますけれども、ファイザー社との交渉については、河野大臣がワクチン担当になった直後に、私が直接ファイザーと話をすると乗り出されたところ、交渉には首相を出してほしいという逆指名があったというような話もあります。

 今回の電話会談というのは、そういう経緯があってのセットされたものなのか。また、当初は対面での会談を模索したけれども、電話会談に切り替えたというような話もあります。この電話会談をセットした経緯について、ワクチン担当の河野大臣から御説明いただきたいと思います。

河野国務大臣 この電話会談のセットに関わっておりませんので、何とも申し上げられません。

 ファイザーのCEOはニューヨークにいらっしゃって、総理はワシントンに訪問ですから、そもそも対面は成り立たないんだと思いますが、それ以上のことは分かりません。

大西(健)委員 今、海外との往来がなかなか難しい状態ですから。ニューヨークとワシントンは、私もワシントンにいましたけれども、シャトル便が三十分置きに飛んでいて、そんなに遠いところではないので、対面で会おうと思ったら幾らでもできたと思いますよ。

 私は、政府の中にも、一国の総理が民間企業に頭を下げるのかという慎重な意見があったというようなことも言われていますが、総理が恥もプライドも捨てて、国民の命を守るためにやるんだとやれば、これは国民の多くの皆さんは、理解をされるどころか、拍手喝采したんじゃないかというふうに思います。

 昨日の参議院の厚生労働委員会では、田村厚生労働大臣から、今回、合意文書みたいなものは交わしていないというふうに答弁をされています、はっきりと。ニューヨークとワシントンだからとさっき大臣おっしゃいましたけれども、だったら、別に米国じゃなくても、日本から電話すれば済む話ですし、もっと言えば、電話で済む話だったらもっと早く電話すればよかったんじゃないんですか。これはいかがなんですか。

河野国務大臣 申し上げましたように、この件に関わっておりませんので、何とも申し上げられません。

大西(健)委員 いや、でも、最初に言ったように、河野大臣が、二月でしたか、大臣になった直後に、自分が交渉するんだ、ファイザーと直接、そう言ったときには、相手から、いやいや、大臣じゃ駄目だ、首相を出してこいと言われたという話もあります。そのときは、まさに担当としてファイザーと交渉しようとされたんじゃないんですか。

 だったら、今回も、まさにこのワクチンを確保するというのは大臣の一番重要なお仕事なわけですから、関わっていませんという話じゃなくて、当然、総理ともこのお話というのはされていると思いますので、ちゃんと答弁していただきたいと思います。

河野国務大臣 一月以降、ファイザーと私が交渉しております。

 この電話会談については存じ上げません。

大西(健)委員 いや、今、河野大臣がやっておられる仕事の中で一番重要なのはこのワクチンの確保であって、そしてファイザーからこのワクチン、この後質問しますけれども、九月末までに全国民分を確保できたとおっしゃっているわけですから、当然、今回、アメリカに行って、会うのか会わないかという話もあったというふうに私は聞いていますけれども、電話会談にしても、その話は全く知らない、総理のところで勝手にやった話だという話だったら、逆にワクチン担当大臣として無責任な話だと思いますが、改めて御答弁いただきたいと思います。

河野国務大臣 先ほど申し上げたとおりです。

大西(健)委員 本当に、そんな話じゃないと思うんですよ。だって、河野大臣の一番重要な仕事です、このワクチンを確保するのが、必要なワクチンを。

 それでは、今申し上げましたように、追加供給に関してファイザー社と実質的に合意したとして、九月末までに接種対象者全員分を確保できる見通しを河野大臣は示されたということですけれども、そこで確認したいのは、それはアストラゼネカやモデルナの契約分も含んで必要な分を確保した、そういう話なのかどうなのか。

 この点については、アストラゼネカ製のワクチンについて血栓ができる事例が世界中で報告をされていて、重症化リスクの高い高齢者に限定して接種する国や、もう、デンマークのように、接種を停止している、使用を停止している、そういう国もあります。そういう使用制限の動きが広がっている。

 そんな中で、アストラゼネカのワクチンについては、我が国はまだ承認されていないんですけれども、承認されても、もしかすると一定の年齢だけとか、広く使えない可能性がある。そういう中で今回の追加供給の要請を行ったということなんでしょうか。

 繰り返しになりますけれども、モデルナとかアストラゼネカの契約分を含んで九月末までに全員分が確保できたという話なのかどうなのか、この点についてお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 ファイザー社及びほかの会社のワクチンを入れて、九月末までに全員分の供給ができるということでございます。

大西(健)委員 今の御答弁だと、入れてということなので、もし、アストラゼネカはまだ承認されていませんが、承認されても、先ほど言ったように、世界中で、今、一定の年齢以上にしか打たないというか、もう打たないという国も出ている中で、今想定しているアストラゼネカの分が全部使えないという可能性が出てきた場合には、じゃ、今回の追加で確保した分でもまだ足りなくなる可能性があるということなんでしょうか。

河野国務大臣 今、承認のプロセス中でございますので、お答えは差し控えたいと思います。

大西(健)委員 そういうことになると、結局、まだ承認もされていない。そういうことになると、全て仮定の話であって、河野大臣が九月末までに全部確保できますよと言っているけれども、それ自体も、どうも怪しいかもしれないという不確定な話だということになってきてしまうんじゃないかと思います。

 あわせて、その前提で、自民党の下村政調会長は、今のペースでいくと、全員打ち終わるのは、河野大臣は九月末までに全員分を確保できると言うけれども、確保した上で、全員打ち終わるのは来年春頃までかかるんじゃないかということを与党の政調会長が言われた。

 このことについては大臣は記者会見で否定をされていますが、改めてこの国会の場で、下村さんの言っていることは間違いだということを御答弁いただけますか。

河野国務大臣 下村政調会長がどのようなお考えでおっしゃられたのか、存じません。

大西(健)委員 いや、記者会見では、総理は、春頃までなんというのは、そんなことはない、全ての自治体から年内には何とかなると聞いている、幾ら遅くても二月には終わりますというふうに答弁しているのに、記者会見で言っていることが国会で言えないんですか。はっきり言ってくださいよ。

河野国務大臣 下村さんの発言についてお尋ねがありましたので、そう答えたわけです。

大西(健)委員 じゃ、下村さんの話はおいておいて、来年の春頃までなんてことはないということでいいですか。

河野国務大臣 今回のワクチン接種は期限が来年の二月ということになっておりますので、そこまでにはしっかりと終えたいと思っております。

大西(健)委員 初めからそう言っていただければいいわけですよ。記者会見でもそう言っておられるわけだから。二月までにはやるとはっきり言ったんだから、国会でもちゃんとそれは言うべきだというふうに思います。

 次に、大阪が緊急事態宣言の発令を国に要請して、東京も検討している。また、分科会の尾身会長は、東京も大阪のような状況になる可能性があると言われています。

 私は、今からでも遅くないので、今、火が燃え盛っている東京だとか大阪だとか、そういう感染拡大地域にまず集中的にワクチンを投下する、全国一律というような、ほとんど感染者が出ていないようなところにも平等に配るなんて話じゃなくて、今燃え盛っているところにワクチンを集中投下すべきだと思いますよ。

 だから、今からでも遅くない。このワクチンを一律に配るというやり方は見直すべきだというふうに思います。私は、河野大臣なら、そういう大胆な決断ができるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 委員のお考えはお考えとして承ります。

大西(健)委員 考えというより、私は普通のことだと思いますよ。東京都の小池知事も、東京にまず回してほしいということをもう既におっしゃっていますし、与党内からもそういうお声があるというふうに聞いています。

 これは普通はそうですよ。だって、燃え盛っているところをまず鎮めないと。全く出ていないところに回したって、まあ、そこからは確かに、うちにも配ってほしいという、平等性について、いろいろ不公平だという声は上がると思いますよ。上がると思いますけれども、危機管理ですから。一番ひどいところにまず回してそこを鎮めないと、結局、地方にも感染が飛び火していくのは都市部から飛び火しているわけですから、東京とか大阪とかを抑えないと。

 ですから、そのために、あるワクチン、限られたワクチンを、私はもう集中的に投下するように切り替えるべきだというふうに思います。

 河野大臣にもう一つ。

 先日、一部の自治体で、高齢者接種で予約のキャンセルが起きて、そしてワクチンが廃棄された。そのときに、貴重なワクチンを捨てないでくださいと大臣は呼びかけていましたけれども、ところが、前回のこの委員会で岸本委員から驚くべき指摘がありました。

 今日、改めて資料をお配りしましたけれども、資料の二ページ目ですけれども、これは自治体向けの説明会資料です、岸本委員が言われていたように。

 ここにまさにゴシックになって書いてありますけれども、「開封後に一回でも接種したバイアルについては、廃棄数に含めないでください。」と書かれています。この集計方法では丸々一瓶捨てないと廃棄に当たらないという取扱いになっていますけれども、これでは廃棄したことさえ確認ができないということです。

 河野大臣、これを御覧いただいてどう思われるか。私はこれは改めるべきだと思いますが、河野大臣からも厚労省にも言っていただいて、田村大臣にも言っていただいて、これはちゃんと改めて、廃棄が起きないように実態をしっかり把握するんだということにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 この入力の意味は、先般、残念ながら停電で多数のワクチンが駄目になってしまったということがありましたが、あのような多数のバイアルが無駄になってしまったというところをカウントするための入力というふうに理解しておりますので、特に問題ないと思っております。

大西(健)委員 いや、これが問題ないなんというのはおかしいですよ。この間も、先週も岸本委員がこれを取り上げたとき、与党席からもこれはおかしいと声が上がっていましたよ。だって、実態をちゃんと把握しないと。丸々一瓶じゃなくて余った分、六回分なのか、五回分なのか、シリンジによっても違いますけれども、まだ余っている分も捨てたんだったら、そういうこともちゃんと把握した上で、廃棄が出ないようにしてくださいということをやはり呼びかけていかなきゃいけないのに、そもそも、丸々一瓶捨てないと廃棄に当たらないなんという取扱いになっていること自体がとんでもないことであって、それを、いや、これでいいんだと堂々とこの国会で答弁されるというのは私はおかしいというふうに思います。

 次に、河野大臣、五月には各自治体がフルスイングで打ち始めることができるようになる、ワクチンがどんどん入ってきてというふうに言っておられますけれども、そうなると、注射を打つ人の人手の確保、これが問題になります。

 この点に関して、歯科医師は、歯科治療では麻酔等で注射を打つことができるけれども、現行法では予防接種はできないということですけれども、今、政府部内で、市町村が医師や看護師を確保できないと判断した場合に限って、そして研修等も施した上で歯科医師のワクチン接種を認める方向で検討しているというように聞いていますけれども、これはワクチン担当でもあり、同時に規制改革担当大臣でもある河野大臣からも、田村厚労大臣にこれは規制改革という意味合いでも是非やるべきだというふうに言っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 厚労省が既に検討を始めております。

大西(健)委員 是非、厚労省が検討しているということで今御答弁いただきましたので、これは一緒になって進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、時短や休業、また今度、緊急事態宣言が再び出るかもしれないという中で、いろいろな支援策を政府としてやっておられるわけですけれども、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して、持続化給付金だとか家賃支援給付金とか、いろいろな支援を今までもやってきました。

 ただ、性風俗事業者というのは対象から除かれておりました。これについて法の下の平等を保障した憲法に反するとして、事業者が裁判を起こしました。被告となった国側は、性を売り物とする本質的に不健全な営業で、社会一般の道徳概念にも反すると裁判で主張をしています。

 私も、まあ、税金の使い方ですから、国民の理解を得る必要がありますから国としていろいろな言い分があることは理解します。ただ、法で認められた営業を行って税金も納めているのに、本質的に不健全という言い方は、これは職業差別であって、さすがにどうかと思いますけれども、西村大臣、この件についてどう思われるか、御答弁いただきたいと思います。

西村国務大臣 持続化給付金、家賃給付金に関して、性風俗事業者であるとする原告からの訴訟に基づいて四月十五日に第一回口頭弁論期日が行われ、その内容についての報道がなされたことは承知をしております。

 その中で、国側は、今御指摘ありましたように、国庫からの支出により事業の継続ないし再起を目的とした給付金を支給することは国民の理解を得ることが困難であるという旨を主張したというふうに承知をしておりますが、これ以上の詳細につきましては、現在係争中の案件でありますので、コメントは差し控えたいというふうに考えております。

大西(健)委員 国庫からの支出として国民の理解を得られるか、そのことは私は国側として主張することはあると思いますが、本質的不健全とまで言うと、これは職業差別になってくるんじゃないかと思いますので、そこはよく考えていただいて、今後も御検討いただきたいというふうに思います。

 河野大臣、西村大臣、ここまでで結構です。ありがとうございました。

 最後に、残った時間、こども庁の話をしていきたいと思うんですが、坂本大臣は今、少子化担当の大臣ということですけれども、内閣府以外にも、文科省や厚労省、多くの省庁に子ども・子育て施策がまたがっていることで、具体的に今何か不都合を感じておられるか、そして、不都合を感じているから、じゃ、やはり一元的に子供政策を立案、遂行する独立した行政組織があった方がいいと思っているのか、思っていないのか、このことを端的にお答えいただきたいと思います。

坂本国務大臣 私といたしましては、個々の課題に応じまして、それぞれ、文科省あるいは厚労省、その他の関係省庁と連携しながら取組を進めているところでありますので、日常の様々な、待機児童の対策とか、それから男性の育児休業の取得促進、そういった日常の仕事の中で、それぞれの省庁と連携を取りながら仕事を進めているというのが実情でございます。

大西(健)委員 じゃ、連携していれば、別に一元的な独立の省庁がなくてもいいということですか。

坂本国務大臣 今の私の立場としては、連携をして仕事を進めているということでございます。

大西(健)委員 お手元に資料を配りましたけれども、坂本大臣は非常に筆まめで、大臣になってもいつもブログを書かれているんですけれども、最後のページにブログを載せておきました。

 「こども庁の創設は実現するか」、四月十二日付ですけれども、一番最後のところを見ていただくと、それでも創設の方向で進まなくてはなりませんと書いてあるから、私は、大臣は一元的な省庁をつくることは賛成なんだと、ここに書いてあるからそう思ったんだけれども、今は何かそうでもないような話もぐにょぐにょ言っていましたけれども。

 もう一つ、これを見ていただくと、そのちょっと上のところ、一つ前のパラグラフですけれども、総理も自民党の幹事長も言っているんだから、創設は容易のようですが、それほど簡単ではありませんと書いてある。それから、さっき言った最後の行の前の行には何と書いてあるかというと、具体的な組織論になると様々なハードルが待ち受けますと書いてあるんですね。

 じゃ、様々なハードルって何ですか、教えてください。

坂本国務大臣 私自身としては、こども庁の設置というのは期待をしております。そして、自民党の若手の議員の方からも御提言をいただきました。ですから、自民党の論議を注視していきたいと思います。

 一方の方で、今委員言われましたように、総理も積極的である、そして党の方でも幹事長を中心に本部ができているということで、このことについては非常に期待をしているというふうに受け止めていただいて結構ですし、ハードルというのは、組織論として、一般論として、様々なハードルがあるという思いでここに記述したことであります。

大西(健)委員 一般論じゃなくて、具体の組織論になると様々なハードルが待ち受けると。具体の組織論でハードルになるようなことというのは、具体的に何ですか、教えてください。

坂本国務大臣 一般論といたしまして、今マスコミなんかで書かれております文科省あるいは厚労省、こういったところとの様々な仕事の役割、そういったものに対するいろいろな詰めの作業の中で様々な課題が出てくるのではないかというようなことでございます。

大西(健)委員 ただ、大臣としては、最後に書かれているように、それでも創設の方向で進まなくてはなりませんと書いていただいています。

 最後に、もう時間ですから聞きますが、我々はずっと子ども家庭省というのを言ってきています。ただ、一方で、新たな組織ができればそれで済むという話じゃなくて、人や予算が増えないと意味がないと思っています。

 その点では、先ほど大臣が触れられた自民党若手の提言の中では、子ども・子育て予算について、欧米先進国並みのGDP比の予算を確保すべきだ、八兆円予算を増額させるんだと書いてあって、全くこれ、私はそれが一番重要だと思っているんです。

 坂本大臣は、創設の方向については賛同していただいていますが、子ども・子育て予算を八兆円増額する、これには賛同していただけているんでしょうか。いかがでしょうか。これを聞いて終わりたいと思います。

坂本国務大臣 国民の負担率など、その国によりまして様々な国民負担の問題がありますので、単純に比較することはできないと思いますけれども、欧州諸国と比べまして低水準であるということは承知をしているところであります。

大西(健)委員 組織をいじるだけじゃなくて、予算もちゃんと取る、これが一番重要だと思いますので、そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先週も取り上げました、米軍ヘリの首都上空における低空飛行問題について質問をいたします。

 お手元に資料を配らせていただきました。一枚目が、米軍横田基地が主催をする関東航空機空中衝突防止会議の資料であります。

 米軍横田基地に所在する第三七四空輸航空団が主催する関東航空機空中衝突防止会議は、日本の民間パイロット等と対話する機会として開催しているとのことでした。この会議は、二〇一三年四月以降、二〇一五年四月十一日、二〇一七年四月十五日、二〇一九年七月二十日にも開催されていますが、それぞれの会議に防衛省・自衛隊からの出席者がいたかどうか、また、出席者がいる場合に、その出席の理由、会議の内容、当日の配付資料について明らかにしていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のございました、在日米軍横田基地で開催されております関東航空機空中衝突防止会議につきまして、二十五年四月に行われた後のものにつきまして、防衛省では、平成二十七年四月十一日、そして平成二十九年四月十五日、それから令和元年七月二十日に行われたものについて開催を確認しております。

 これらのうち、平成二十七年四月の会議につきましては、防衛省・自衛隊からの出席は確認されませんでした。一方で、平成二十九年四月と令和元年七月の会議については、それぞれ、米軍からの開催案内を受け、出席したことを確認しております。

 出席の理由及び会議の内容につきましては、本会議が、航空機の空中衝突防止対策について、日本の民間機のパイロット等と対話、意見交換をする機会を設けるなどの趣旨で開催しているものであり、この内容を踏まえ、自衛隊からは、横田基地周辺で航空管制業務を行っている部隊の隊員が出席したものと承知しております。

 現在、資料でございますけれども、防衛省・自衛隊において、平成二十九年四月それから令和元年七月に開催された当該会議の配付資料の確認作業は実施しているところでございます。

 以上です。

塩川委員 二〇一七年四月と二〇一九年の七月で、出席したのはどこの部隊の人か。

町田政府参考人 お答えいたします。

 出席をいたしました所属でございますが、平成二十九年四月の会議につきましては、陸上自衛隊東部方面航空隊及び航空自衛隊入間管制隊の隊員が出席したものと承知しています。

 また、令和元年七月二十日の会議については、航空自衛隊航空保安管制群本部及び入間管制隊の隊員が出席していたものと承知しております。

塩川委員 航空管制業務の部隊が出席をしているということで、今のように、空自又は陸自からの出席があったということです。

 米軍横田基地は首都の航空管制を行っています。横田ラプコンがありますけれども、この横田ラプコンには自衛官が配置をされていると承知をしています。この自衛官の所属と人数はどうなっているのか、併せて、その自衛官はこの会議に参加をしていたのか、この点についてお答えください。

町田政府参考人 お答えいたします。

 米軍横田基地に勤務しております航空自衛隊の隊員でございますが、まず、この会議、令和元年七月の会議に米軍横田基地の航空管制施設に連絡官として勤務する航空保安管制群本部所属の隊員一名が出席したものと承知しております。

塩川委員 横田基地にある航空管制、横田ラプコンにおいて航空保安管制群本部隊員一名が連絡官として勤務をし、その者が二〇一九年七月の会議に出席をしている、そういうことでよろしいですか。

町田政府参考人 お答えします。

 そのとおりでございます。

塩川委員 そうしますと、図にもあるように、UH1という米軍横田基地所属のヘリがこういった訓練飛行を行っているということになるわけです。そうしますと、当然のことながら、横田ラプコンに連絡官として配置をしている自衛隊の隊員が米軍ヘリの訓練飛行の実態も把握をしている。自衛隊は米軍ヘリの訓練飛行の実態を把握をしているということではありませんか。防衛省・自衛隊は、こんな勝手な米軍ヘリの訓練飛行を見て見ぬふりをしているということになるんじゃないですか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 米軍ヘリにつきましては、有視界飛行ということで、レーダーのコントロールを受けない飛行で一般的に飛行しているものと承知をしております。

 横田のラプコン、これは、ラプコンといいますのは、レーダー・アプローチ・コントロールと申しまして、離陸後の上昇飛行又は着陸のための下降飛行を行う航空機に対してレーダーを使用して行う管制施設のことでございます。

 ここに勤務しております航空自衛隊の連絡官は、行っている業務は、空域、飛行場における航空自衛隊機の運航状況の監視、それからこれに基づきます米軍管制官への助言、そして米軍管制官と航空自衛隊操縦者との無線通信の補完などを業務としておるところでございます。

塩川委員 横田における航空機の離発着に関わって、当然、レーダーに関わると言いましたけれども、離発着そのものは有視界飛行のヘリも含めて行われているわけであります。そういうことも含めて、当然、手のひらに乗せての対応という点では、こういった米軍のヘリの訓練飛行についても知り得る立場にあるという点でも、この間、この訓練について承知していないということを政府がずっと説明してきたということは、こういう経緯を言っても、納得がいかないと言わざるを得ません。見て見ぬふりをしていたんじゃないのかという指摘というのは、まさにそのとおりではないのかということを申し上げておきたい。

 それで、米軍横田基地が示している米軍ヘリの訓練空域、配付資料の一枚目ですけれども、このUH1トレーニングエリアというのは何か、このことについて御説明いただきたい。

町田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の資料は、平成二十五年四月二十一日に開催された関東航空機空中衝突防止会議で配付された米軍資料の一部であると承知しております。

 自衛隊は、本件会議に一参加者として参加したのみであり、当該米軍資料の作成には関わっていないことから、この米軍資料について責任ある説明を行うことはできません。

塩川委員 防衛省、自衛官も出席をしている会議での資料の話であります。当然、そういった説明も受けているわけで、そういった中身について明らかにしていただきたい。

 この地図の右下に注記がありますけれども、この破線の図に対応して、UH1コンフィグレーションとありますけれども、このUH1コンフィグレーションというのは何かというのは分かりますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、この会議に自衛隊は一参加者として参加したのみであり、当該米軍資料の作成には関わっておりません。

 したがいまして、この米軍資料について責任ある説明を行うことはできません。

塩川委員 地図で表記があるものを見ますと、この片仮名のコをひっくり返したような形になっていますけれども、ハーディー・バラックスというのがまさに首都上空のところで書いてありますけれども、このハーディー・バラックスというのは何か、あるいは、西の方、左手の方を見てもらいますとキャスナーというのが出てきますが、キャスナーというのは何か、この点について説明いただけますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、この米軍資料についての責任ある説明を行うことはできませんが、私たち自衛隊が米軍と調整を行う中で、ハーディー・バラックスとは赤坂プレスセンターのヘリポート、キャスナーとはキャンプ座間のヘリポートを指すことがある、そのように承知しております。

塩川委員 米軍基地であります赤坂プレスセンター、そのヘリポートにおいては、この間の毎日新聞の報道にありますように、米軍横田基地所属のUH1、キャンプ座間所属の米陸軍のヘリであるブラックホーク、また、米軍厚木基地の米海軍ヘリ・シーホークの離着陸が目撃をされております。ちなみに、アツギというのもありますけれども、これは米海軍の厚木飛行場、厚木基地ということになります。

 この破線の図の東南の角といいますか、三浦半島のところにも線が入っていますけれども、三浦半島にある米軍施設というのは何でしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 横須賀海軍、米軍の横須賀基地があるというふうに認識をしております。

塩川委員 米海軍の横須賀基地、在日米海軍の司令部がありますし、当然、空母などの艦艇が置かれているところであります。ですから、空母の艦載機などがそこから飛び立っていくという場所にもなっています。

 つまり、この図というのは、首都上空の赤坂プレスセンター、ハーディー・バラックスから西に行くと横田基地があり、その南に行くとキャスナー飛行場、キャンプ座間があり、さらに米海軍厚木基地があり、そこから東南に行くと米海軍横須賀基地がある、第七艦隊の艦艇が置かれています。首都圏の米軍基地をつなぐように、米軍ヘリの訓練エリアが設定をされているということになります。

 防衛省にお尋ねしますが、首都上空に米軍ヘリの訓練空域が設定されている、米軍横田基地所属の米空軍ヘリのUH1の訓練空域とされていますが、実際には、米陸軍ヘリ・ブラックホークや米海軍ヘリのシーホークも使用しているということを当然見て取ることができると思いますが、防衛省はどのように受け止めていますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が、飛行訓練の目的の達成、飛行の安全確保、住民への影響抑制等の必要性を安定的に満たすとの観点から、一定の飛行経路を念頭において飛行することがあるということは承知しておりますが、一方で、米軍の運用の詳細については承知をしておりません。

 また、東京都の上空に米軍訓練のための我が国から提供されている空域はございません。

塩川委員 加藤官房長官、お尋ねします。

 今のように、日本側が提供した訓練空域、米軍のはないという説明ですけれども、そうなると、要は、勝手に設定をしているという話になるわけです。つまり、これは米軍横田基地の部隊が日本の民間機のパイロットの皆さんへの説明会として提供している資料ですから、まさに、米軍が訓練空域として使っているということを明らかにしている、そのことをはっきりと認めて書かれている資料だということで、そこには自衛隊も出席をして、そういう説明も当然承知をしているわけであります。

 米軍機というのは、結局、こういう空域を設定したとしても、それに限定されず勝手に飛んでいるということにもなるわけで、好き勝手に首都上空を飛んで回るというのがやはり、主権国家でそもそも許されることではないということで、是非、首都上空での米軍機の訓練飛行はやめるように米側に要請する考えはありませんか。

加藤国務大臣 米軍機の飛行訓練、これはパイロットの技能の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であり、日米安保条約の目的達成のためにも極めて重要であると考えております。もっとも、訓練の際に、公共の安全に妥当な配慮を払い、安全性が最大限確保されることは言うまでもありません。

 訓練の実施による地域の方々の生活環境等への影響を最小限に図っていく、こうした認識は日米間でも共有を図ろうとしており、三月十六日に実施した2プラス2の機会に、ブリンケン国務長官及びオースティン米国国防長官に対し、茂木外務大臣、岸防衛大臣から、在日米軍の地元への影響に最大限配慮した安全な運用について要請し、引き続き緊密に連携することも確認をしているところであります。

 政府としては、飛行の安全確保が最優先の課題であるとの認識の下、米側に対し、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き強く求めていきたいと考えております。

塩川委員 米軍ヘリの危険な訓練飛行をやめさせるという観点での働きかけこそ必要だということを申し上げておきたい。

 国交省にお尋ねいたします。

 資料の二枚目に、航空機安全運航支援センターが発行しています首都圏における有視界飛行に関連する航空図を取り上げておきました。この地図の中で、右側に、オレンジ色で逆さになっている台形がありますけれども、これは民間航空機の訓練試験空域が設定されています。

 民間機の訓練空域の使用の仕組みについて説明してもらえますか。

海谷政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました民間訓練試験空域、これでございますけれども、航空法第九十五条の三に基づきまして、航空法が、専ら、同法の第九十一条に規定しております曲技飛行等、又は、操縦技能証明を受けていない者による操縦練習飛行その他の九十二条第一項各号に掲げる飛行を行う空域として、国土交通大臣が告示で指定しているところでございます。

 これは、安全確保のため、当該飛行等を行う航空機同士の空域利用の重複を避けるために設定するものでございまして、民間訓練試験空域において当該飛行等を行う民間航空機は、国土交通大臣に訓練試験等計画を通報して承認を受ける必要がございます。

 具体的には、運航者は前日の十二時までに福岡航空交通管制部航空交通管理センターに対しまして計画を提出いたしまして、同センターは、同一時間帯の空域利用がないかを確認し、その上で、必要に応じて運航者と訓練時間等の調整を行った上で当該空域の使用を承認するという手続を取っております。

 また、この承認を受けた民間航空機の運航者は、無線での通信により定められた期間に当該飛行等の開始及び終了について通報することになっております。

 以上、お答え申し上げました。

塩川委員 曲技飛行のような特別な、航空法に違反するような飛行を行う場合には、安全確保のために大臣に申請し承認を受けるという手続、国交相の承認を受けるという手続になっております。

 もう一つ、資料の三枚目、陸上自衛隊東部方面隊が各空港事務所に申請しました最低安全高度以下の飛行許可の飛行経路を地図にしたものであります。

 こういったのが私たちの住んでいる上で設定されているということもけしからぬということを言わなければなりませんが、自衛隊におけるこういった最低安全高度以下の飛行許可の手続というのはどうなっていますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 航空法第八十一条により、航空機は、原則として、離発着を行う場合を除いて、最低安全高度以下の高度で飛行してはならないこととされております。この飛行を行う場合には、同条ただし書の規定により、国土交通大臣の許可を得る必要がございます。

 本規定に基づきまして、陸上自衛隊の航空機が最低安全高度以下の飛行を行う場合には、陸上幕僚長又は陸上自衛隊の部隊等の長から、国土交通省地方航空局長又は国土交通省空港事務所長に対し、最低安全高度以下の飛行に係る申請を行っているところでございます。

塩川委員 今説明がありましたように、最低安全高度以下の飛行許可を、国土交通大臣の許可を得るという手続になっているわけです。

 つまり、民間機であれ自衛隊機であれ、こういった航空法に反するようなものを行う飛行のときには、国交相の承認、許可が必要です。しかし、米軍の場合は何もない。そもそも訓練空域さえ日本政府は承知していない。これでは、空の安全や地上の安全を確保できないんじゃないのか。

 こういう航空法の適用除外、米軍特権をきっぱりとやめる、こういうことこそ求められているんではないですか。官房長官に。

木原委員長 加藤官房長官、時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。

加藤国務大臣 米側の飛行については、これまでも様々なやり取りを米軍と行っておりますが、米側からは、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、従来から、米軍の飛行は、ICAOルール、日本の航空法と整合的な米国の規則に従って行われていると説明を受けているところであります。各部隊には、米国の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示した旨の説明を受けております。ICAOルール、日本の航空法と整合的な米側の規則に従って行う米軍の飛行には例外があるとは承知をしていないところであります。

 いずれにしても、飛行訓練を含め、米軍の運用に際しては、安全性が最大限確保されることは極めて重要であり、米側に対して様々なレベルで累次にわたる申入れも行っており、飛行に当たっての安全確保、これは最優先の課題として、引き続き日米でも協力して取り組んでいきたいと考えております。

塩川委員 米軍特権をなくすことこそ行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私、厚労委員もやっているんですけれども、今朝、厚労委の理事会で、政府参考人の数が多過ぎるという話になりました。各省、念のためつけてくれとかよく言うんですけれども、河野大臣、立派ですね、誰もいない。政府参考人、一人もいない。すばらしいと思います。いや、私も大臣ならそうするなと思いましたし、是非ほかの大臣も見習っていただきたいなと。やはり政治家同士の議論の場ですから、この点は、河野大臣、大変立派だと思います。

 それでは質問に入りますが、おとといの内閣委員会で、岸本委員から、ワクチンの余った分を、実は、厚労省のV―SYSの操作マニュアルというので、本当に私も驚いたんですけれども、廃棄数の報告という欄があるんですね。そこを読むと、「開封後に一回でも接種したバイアルについては、廃棄数に含めないでください。」と。廃棄数の報告をするんですけれども、つまり、バイアルというのは瓶ですよね、ここに、通常五回とか六回打てるということなんですけれども、これを、一回でも、つまり丸ごと廃棄したやつだけを報告するようにと。ちょっとでも使った分は、それはもう、残ったとしても、瓶のうちの例えば三人分、四人分残ったとしても、それは廃棄とカウントしないでくださいということをマニュアルで示していると。

 これは何でかと厚労の副大臣に聞いたら、一つは入力作業の負担軽減のためだと。さらには、二〇〇九年の新型インフルエンザのときに大量廃棄する実態があったので、大量に廃棄すれば確かに入力の手間が大変かもしれませんけれども、今回はそんな大量廃棄なんてまさか想定していないと思いますし、まさに大臣も、一人分でも余ったらうまく活用してくださいということを言っているのに、一方で、この操作マニュアルには、瓶丸ごと廃棄したのしかカウントしないでくださいというのは、これは私は、岸本委員が言うように隠蔽と言われても仕方ない。この後、午後、私、厚労委員会でも厚労大臣にも聞きますけれども、ただ、これはやはり、ワクチン接種の担当大臣でありますから、是非、河野大臣からも田村大臣にその旨は強く要請していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 先ほど大西委員にもお答えをしたんですけれども、このままで特に問題はないと私は思っております。

 二つ目の質問ですから申し上げますと、ワクチンが大量に廃棄されるということは、これは現実に、停電が残念ながら起きてワクチンが無駄になってしまったということが既に起きておりますので、そういうことが全くないかというとそういうわけではないんだと思います。

 これは今、現在、医療従事者、六回取れる針、注射器をつけてお配りをしておりますけれども、中には五回しか取れなかったということが実際に起きております。ですから、これは余って廃棄をされただけではありません。

 また、逆に、五回取りの注射器のはずなのに六回取れたり、あるいはインシュリンの注射を使うと七回取れたりということで、一瓶五回であったり六回取りであったりしても、その数自体が変わる、少なくなるだけでなくて多くなることもあるわけですから、それを一々自治体に、じゃ、一回でもというときに、一バイアルで、じゃ、六回取りで七回取っちゃったときはどうするんだということにもなりますから、そういう瑣末な入力作業は別に私は要らなくて、使ったバイアル数とVRSの接種回数を見れば、どういう状況だったかというのは後から検証もできるわけですから、なるべく自治体からは入力作業を簡単にしてくれと言われておりますので、私としては、別にこれをどうこうしてくださいと厚労省に申し上げるつもりはございません。

高井委員 済みません、ちょっと今、法務委員会が同時並行でやっていて、そっちへ行っていたもので質問を聞き逃しましたが。

 そうですかね。これは、厚労委が担当ですから、この後厚労委員会でやりますけれども、やはり、どれだけ使わなかった、廃棄した数というのは、これはやはり、国民は当然知りたいと思いますから、増やした分はそれはいいかもしれませんけれども、やはり、どれだけ廃棄せざるを得なかったかということは、入力といったってそんなに、そもそもそんなに数が、二〇〇九年の新型インフルのときのような数は想定していないわけですし、ほとんど労力はかからないと思いますから、そこはきちんとしてほしいと。私はこの後、厚労大臣に申し上げます。

 それでは続いて、ちょっと順番を変えて聞きますが、ファイザー社のCEOのアルバート・ブーラ氏と菅総理が会談をして、それで九月中にほぼ全員分の確保が約束されたというようなことが報道されていますけれども、これはしかし、昨日、国民民主党の玉木代表も本会議でも指摘しましたけれども、九月十八日に、このファイザーのブーラCEOのツイートでは、日本の首相と追加提供について議論した、協議した、ディスカッションしたというツイート。ところが、その翌十九日には、EUに年内に一億本追加提供すると、明確に時期もそれから数も言っているわけです。

 そういう意味でいうと、私は非常に、やはり協議中のことを、もちろん、更にもうちょっと踏み込んでやっているのかもしれませんけれども、やっているんでしょうけれども、しかし、その状況で、やはり国民の皆さんにミスリードを招く、期待をさせ過ぎることになりはしないかと。やはりもうちょっと、きちんと契約なり合意文書なりができた段階で正式に言うべきではないかと考えますけれども、河野大臣、いかがですか。

河野国務大臣 確かに、まだ契約書に署名がされていないというのはそのとおりかもしれませんけれども、私、既にファイザー側と今度の追加供給分の日程交渉は始まっておりますので、もう実質的には、向こう側もそれでどういうタイミングで供給するかという検討は始めているわけでございますので、特に何か変わるとは思っておりません。

高井委員 検討を始めているということは、ですから、まだ、検討結果によって今後変わるということもあるんじゃないですか。絶対、九月ということが約束できるんですか。

河野国務大臣 ファイザー側からも、そういう供給の下、交渉をしているわけですから、よっぽど何か、工場が立ち行かなくなったとかということがない限り、平常の状況ではそういうことだというふうにお互い理解をして今交渉をしております。

高井委員 国民の皆さんは河野大臣の発言を本当に注目して聞いていると思うんですね。工場が何とかなったとか、そういうときはしようがないと思いますけれども、ファイザー社側の事情、あるいはEUの事情とか、そういうことでこのスケジュールが狂うということになると、それはやはり、非常に政府に対する信頼も落ちると思いますから、そこはしっかり交渉して、頑張って、必ず供給をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、九月に、しかし全て入ってきたからといって、接種が順調に進むとは限らないということは、先日、自民党の下村政調会長、やはり私も同感なんですよ、医療従事者が本当に確保できるんだろうかと。高齢者接種も年を越すんじゃないかというような発言をされたと報道されていますけれども、私もやはり、今の高齢者接種の状況を見ていると、とても心もとないなと。

 私は厚労委員でもあるので、田村大臣には、医師法を改正なりして、歯科医師であるとか、あるいは医学部生、あるいは薬剤師、そういった方々も注射を打てるような体制をもう今から整備しておくべきだと。

 私の答弁には余りいい答弁がなかったんですけれども、先日の報道ではそういう検討も始めたやに聞きますが、これは是非河野大臣の方からも、そこの部分がしっかりしないと全体のスケジュールが遅れるわけですから、河野大臣からも厚労省に、何か聞くところによると、日本医師会が反対しているみたいな声も聞くので、そういうのと戦うのは河野大臣の得意分野だと思いますので、是非これは強く厚労大臣に言っていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 先ほども御答弁申し上げたような気がしますが、厚労省でもう検討に入っているところでございます。

高井委員 済みません、前段を聞けていないので同じ答弁だったのかもしれませんが。

 これも、私も厚労委員なので、この後、厚労省にはもう一度きちんと問いますけれども、厚労省が決めるに当たっても、これはやはりワクチンの担当大臣の意見というのも非常に重要だ。

 この後も時間があれば聞くんですけれども、例えば、オリンピックの選手や関係者にワクチンを打つのかどうかということも、何か事務方と話すと、いや、それは河野大臣の担当ではなくて丸川大臣の担当だと言うんですけれども、そうですかね。丸川大臣がやってくれと言ったら、じゃ、河野大臣はそれを全部言われたとおりやるんですかね。これはやはり、全体のワクチン接種計画の中にあって、それで河野大臣として、やはり協議してお互いで決める。

 私は、この厚労省の問題だって、河野大臣と田村大臣がきちんと話し合って決めるべき話だと思いますから、そこは厚労省が決めることだというふうに言わずに、しっかり対応いただきたいと思います。

 それでは、ちょっと時間が限られているので次々行きますが、今度は、高齢者のワクチン接種が今、まだまだ〇・一%ですね、高齢者は。医療従事者が一五%ぐらいですね。

 これはかなりいろいろな報道なんかでも言われていますけれども、やはり医療従事者を先に打つべきじゃないか。医療従事者がワクチンを接種していない段階で、それはリスクが、医療従事者を経由して感染させてしまう。医療従事者がかかってしまったら、そこで病院の機能も止まって病床逼迫にもつながるわけですから。

 やはり、河野大臣とすれば、高齢者にいつから打ち始めましたということを言いたい気持ちは分かりますけれども、そういう計画で来たのはそれはしようがないと思うんですけれども、しかし、この現状を見て、いま一度ここで立ち止まって、高齢者接種〇・一を〇・二とか〇・三にするよりは、それよりも、医療従事者をまずは一〇〇にするということが先決だと。これは本当に多くの国民の声ですよ。医療従事者からもかなり、週末のテレビなんかを見ていても言われていますが、河野大臣、是非決断をここでする考えはありませんか。

河野国務大臣 五月の連休明けから、大体毎週一千万回分ぐらいずつ、ファイザーからワクチンの供給がされますので、その時点で日本全国の自治体でしっかりと接種の体制が整っていれば、そこへワクチンを供給して、高齢者の接種をそれなりのスピード感を持って実施することができるんだと思います。

 そのためには、これは知事会、市長会などからの要請をいただいておりますが、まずは、しっかりとシステムがきちんと機能するのか、システムをそれぞれの医療機関あるいは自治体で使いこなせるようになっているのか。あるいは、ファイザーのマイナス七十五度というものを解凍して、生理食塩水で希釈して五回分あるいは六回分取るという手順がきちんとできるのか。あるいは、一人一人の予診にどれぐらいの時間がかかるのか。接種部位である肩を出す、まあ、洋服を脱ぐのかどうするのか、それにどれぐらいの時間がかかり、結果として一日の集団接種に何人ぐらいができるという自治体の計画が合理的なのかどうか。

 そういうものを確認する時間が必要だからスタートはゆっくり進めてほしいという御要望もあって、この四月の十二日の週はまず各都道府県一箱、十九の週、二十六の週は五箱ずつ、二十六の週に全千七百四十一の市区町村に一箱ずつ配送をする。そういう計画を立てた上で、その時点で全ての市区町村が高齢者向けの接種についての準備が完了して、ファイザー社からの供給が毎週一千万回程度に増えるのを迎えるという計画を、これは都道府県などとも合意をして作っております。

 他方、医療従事者向けには、今ファイザーから入ってきているワクチンを医療従事者向けに投入をしておりまして、三月の末までに配送した、各都道府県に配送したワクチンが、先週、四月の十二の週で、全国平均でおよそ七割接種が済んでおります。

 また、先週と今週で二百万回だったかのワクチンを送り出しておりますので、医療従事者向けのワクチンの供給は、各都道府県、十分に行き渡っております。これを各都道府県が、コロナの治療に当たる方、あるいはコロナワクチンの接種に当たる方を最優先で接種をするという手はずの下、各病院に分配をしてくださっておりまして、鳥取県などではもうワクチン接種に当たるお医者様、看護師さん、ワクチンを打ち終わったというようでございます。

 他方、このコロナのワクチンは、二度目の接種後に、二割から三割の方に三十八度前後の発熱がございます。近畿圏の病院では、コロナの重症患者が増えている中で二回目の接種をすると、次の日、二割から三割の医師、看護師が発熱をするわけですから、これはまとめて打ってしまうと必要な人数が確保できないということで、医師、看護師を当初の予定日ではなくて、もう少しずつ、日を分けて打っているということもございます。

 そういう事情もそれぞれの地域でありますので、そこはしっかり状況を見ながら、しかし、ファイザーから大量にワクチンが供給されたときには用意のできている市区町村からどんどん打ってもらう。接種をするお医者さんには都道府県が優先的に回していただくことになっておりますが、それでも間に合わないというところは高齢者向けのワクチンを医療従事者に打っていただく。あるいは、極端なことを言えば、もう最後は、会場で打っていない医療従事者の方がいたら、まずその人に打ってから高齢者の接種を始めるのも結構ですということまで申し上げておりますので、こういうタイミングでファイザーからの大量のワクチンの供給が始まったときに、しっかり高齢者がスピード感を持って打てるような準備をそれぞれ都道府県でしっかりと考えて、それぞれの病院に分配をしていただいているところでございますので、御懸念は分かりますけれども、都道府県、自治体、病院、今頑張ってくれているところでございます。できれば都道府県にもう少しこの分配計画を公にしていただいて、接種に間に合うように出しているんだよということをアナウンスしていただくのも一案かなとは思っております。

 我々としても、そうした対応ができるのであるならばお願いをしていきたいということを考えております。

木原委員長 時間が来ております。

高井委員 はい。

 御丁寧な答弁ありがとうございます。

 今のような説明を聞けば、不満に思っている国民もある程度納得するんじゃないかなと思いますので、是非いろいろな場面で発信いただけたらと思います。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、河野大臣、西村大臣にお時間を頂戴して、コロナについて質問したいと思います。

 ちょっと一言、その前に、先ほど玄葉光一郎委員の方から処理水の話がありました。大変貴重な御意見だと思いました。私どもも、福島だけにこれを押しつけるのは、やはりどうしても私は気持ちがそれを許せないところがあって、政府が決めた後も、吉村知事も松井市長も、また私たちも、やはり二十年、三十年のプロジェクトでありますから、しっかり全国で分かち合うという方法を諦めずに追求していきたい、そんなことをずっと考えています。

 今日、玄葉委員の質疑を聞いて、やはりこれは議員立法で、政府は多分やれないと思うので、議員立法でしっかりと、この希釈した、要するに危険がないものであれば全国で負担を分かち合う、こういうことを可能にする議員立法を是非考えたい、こう思いましたので、一言付言をしておきたいと思います。

 さて、コロナでございますが、先ほど、同じく玄葉委員の質問に対して、西村大臣の方から大阪の状況、兵庫、東京の状況についておっしゃっていただきました。本当に今、協議を断続的にしていただいているところだと思いますので、感謝も申し上げたいと思うし、実はこの場に西村大臣、河野大臣をお呼びすること自体も私はちゅうちょしました。ちゅうちょしましたが、立法府、国会ですので、ちょっとお時間を頂戴して、何点か確認をさせていただきたいということであります。

 緊急事態宣言の発出が議論されているわけでありますが、吉村知事の言葉で言えば、強い措置、やはりこれまでの措置では十分な成果を収められていないわけですから、数字が上がってきているわけですから、これまでにない強い措置が必要ということでありますが、具体的に、政府として、西村大臣として、どのような措置まで視野に入れて検討いただいているか。検討中でしょうから難しいかもしれませんが、可能な範囲で御答弁いただければと思います。

西村国務大臣 御指摘のように、大阪で変異株がもう八割になるという中で、感染が急速に増えております。

 二十時までの大阪市の時短、これは命令、罰則つき、蔓延防止等重点措置、それ以外の地域で二十一時までの時短。これはそれなりに効果があって、千百人、千二百人のところで頭打ち、鈍化しているのは一定の成果があると思いますけれども、この状況が続けば病床は非常に厳しいということで、下げなきゃいけないということで、これだけでは足らない、これを中心とした措置だけでは足らない、より強い措置を集中的にやることが必要だという認識は吉村知事と一致をしております。

 そして、仮に緊急事態宣言を発出することになれば、これは吉村知事からも要請をいただいているわけですので、私ども検討を急いでいるところですが、そうなれば、飲食店のみならず、他の集客施設、これは劇場、映画館や百貨店、そういった集客施設、運動施設、スポーツ施設、こういったものも含めて休業要請までできることとなっております。

 そういった中で、吉村知事も、例示として、飲食店を休業要請する、あるいは大規模な商業施設、遊興施設、ショッピングモールなども休業要請も検討しているというような趣旨で述べられておりますので、現在、大阪府と、詳細、どういった対策が必要なのか、より強い措置を集中的にやるという考えの下で協議を進めているところであります。

 専門家の意見もお聞きをしながら、どこに対策をどういう形でやればいいのか。一般論で言えば、人と人との接触をもう避ける、できるだけ避ける、このレベルが必要になってきている、そういった対応が必要になってくると思い、そういうレベルになってきていると思いますので、専門家の意見を聞きながら判断をしていきたいと思いますが、最終的には、分科会を開いて、その上で判断をしていきたいというふうに考えております。

足立委員 今週、正念場でございます。しっかり私たちもお支えしたいと思いますので、全国の、大阪、東京、兵庫、しっかり協議をお願いしたいと思います。

 通告でいうと二、三をちょっと後回しにして四に飛びますが、今お話があったように、百貨店とかも議論されている、広範な休業要請が議論されていますが、これを本当に効果を上げていくためには、やはり、規模別協力金ということで準備をいただいているものが、売上げの四割というのがありますが、本当に四割でいいのかとか、あるいはその規模とか、百貨店になるとそれをどうやって適用していくんだとか、いろいろな検討課題があると思いますが、そこは種々、積み増しとか予算措置も必要になってくるかもしれません。その辺は御検討いただけているということでよろしいでしょうか。

西村国務大臣 まず、飲食店については、もう既に、今回、協力金の中で、事業規模に応じた協力金の枠組みをつくっておりますので、基本的にこの枠組みを考えております。固定費の四割をカバーできる割合ということでありますので、これをベースに考えていくことになると思います。

 基本的には、仮に飲食店に休業要請が行われたとしても、固定費の四割をカバーできる、また人件費については、雇用調整助成金で人数に応じてカバーができますので、基本的にはこの枠組みでできるのではないかと考えておりますが、その他の業種について、どういった形で、時短の要請なのか、休業要請をするのか、そういったことも含めて、今、内容を詰めておるところでありますので、その内容に応じて必要な支援策を講じていきたいということで、併せて検討を進めているところであります。

足立委員 是非お願いします。

 飲食店以外のいろいろな業種、それから規模が広がっていくわけでありますので、是非、特に地域、知事は、やはり、通貨発行ができませんというか、財政的な制約が非常に地方は強いわけですから、そこで判断がそういう観点で抑制されることがあってはならないと思います。やはりその点は国の方で是非リードを、財政面では議論をリードしていただきたい、こう思います。

 報道によると、この規模別協力金について、例えば、店舗ごとの売上げ把握はどうするんだとか、手続が煩雑になるとか、いつ頃届くんだとか、いろいろ政府も御苦労されているという報道がございます。どんな状況でしょうか。

西村国務大臣 飲食店の協力金について、規模別の支援の枠組みをつくるときに相当議論をさせていただいたんですけれども、全事業所の約八割、特に規模が比較的小さなところは、こういった追加的な事務負担なく、日額四万円の対象ということでしておりますので、そこから規模が大きくなるにつれて、それぞれの事業の売上高などを把握する必要が出てくるということであります。したがって、八割方の事業者にとっては事務的な追加負担はありませんし、都道府県にとっても、そこは追加的な負担はないということで考えております。

 ただ、約二割の事業者については、前年度又は前々年度の確定申告書など、売上高を把握することが必要となってきますので、それに伴う審査などの事務負担が増加することが考えられますが、そこは執行が滞ることがないように事務費も措置をしておりまして、二%分の事務費を措置しておりますので、それを場合によっては外部に委託することも可能としております。

 いずれにしても、スムーズな支給ができるように、引き続き自治体とも連携しながら対応していきたいというふうに考えております。

足立委員 限られた時間ですが、西村大臣、あと二点伺いたいんですが、ちょっとまとめて。

 一つは、いわゆるかつての持続化給付金、今の一時支援金ですね、この議論も当然、緊急事態宣言の発出となれば出てきます。この点についての検討状況。

 それから、幼稚園、保育園、小中高、学校をどうするんだ、この辺、御検討状況をお願いしたいと思います。

西村国務大臣 まず、一時支援金につきましてのお尋ねでありますけれども、御案内のとおり、この一月、三月の緊急事態宣言発出のときには上限六十万円の一時支給金を支給することとして、もう開始が始まっております。

 その後の蔓延防止等重点措置においては月額上限二十万円の支援金ということで、ちょっと詳細はまだ経産省において詰めているところでありますけれども、いずれにしましても、こういったことをやってきたことを踏まえ、今回の措置、どういった内容を取るのか、どういった対策を強化するのかということを踏まえて検討も急いでまいりたいというふうに考えております。

 それから、小学校、中学校、あるいは幼稚園、保育園などの御質問がありました。

 小中学校については、一律に休校を求めることは現時点で考えておりません。変異株の状況など、エビデンスがまだ整っていないということもあります。

 地域の感染状況に応じて対応していくことになりますが、ただ、オンラインも活用することも考えられるわけであります。学びの保障をしていくという意味で、オンラインを活用する際に、一次補正で百五億円、二年度ですね、それから今年度予算でも十億円の予算を確保しておりまして、それぞれの学校が、専門家を招いて、そしてそこで研修を行ったり、様々な対応をしていくための支援の措置がございます。

 大阪の例でいえば、大阪府が今年度十一名、そして大阪市は三十七名、既に大阪市でも交付決定しておりますし、そういった形でオンラインでの教育なども支援をしていきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 休校、休園になると、まさに一回目のときのように大変なことになりますので、慎重に御検討いただいているということですが、いずれにせよ、しっかりお願いしたいと思います。

 ちょっと、西村大臣、もう一つ通告がありますが、もうこれで結構ですので、もう僕の質問時間は終わりますけれども、どうぞ。

木原委員長 どうぞ。

足立委員 河野大臣、済みません、お忙しいところ。

 河野大臣、諸外国と比べて、国ごとの接種割合がグラフになって、どれだけ日本が遅いんだということをよくマスコミとかが言います。私は、河野大臣はもう一二〇%頑張っていただいていることはよく承知していますが、日本の接種がこれだけ遅れている、いわゆる国際比較でいうと遅れている理由をちょっと網羅的に紹介をしておいていただければと思います。

河野国務大臣 一番大きいのは、国産のワクチンメーカーがコロナを作っていないというところだと思います。

 その次が、国内でどのメーカーもいまだワクチンを生産していないというのが二つ目でございます。

 三つ目は、例えば、今、日本が使っているファイザーは、ファイザーが治験をスタートしたときに、日本の感染者数は恐らく欧米より二桁ぐらい少なかったのではないのかと思います。治験は、ワクチンと生理食塩水を同じ数の人に打って、どれぐらい発症するかというのを見るわけですけれども、そもそも感染者数が少ない日本では治験に必要な感染者数に達するのに時間がかかるということで、日本が治験の対象にならなかったというところです。

 それでもファイザーを導入することはできたのかもしれませんけれども、やはりこれまでのワクチンのいろいろな訴訟やら何やらを考えれば、日本人に打って、有効性は別として、安全性の確認は日本人でやるという、日本独特の治験をやる必要があるだろうという判断があった、そういうことなんだというふうに思っております。

 あとは、残念ながら、日本で接種を始めるというときに、ファイザーの需要が国際的に高まって、ファイザーが、現有の生産能力では賄い切れない、現有の工場を一度止めてでも製造ラインを増産する、ちょうどその時期に当たったというところもあるのではないかと思っております。

足立委員 一言で言うと、私は、やはり有事対応、さっき訴訟というのもおっしゃいました、法律も含めて有事対応が足りないなということを、自責の念も含めて考えております。

 大臣、あと一問だけ。

 コロナのワクチン接種を機に、やはりオンライン、今、健康保険証の議論がありますが、VRSも入れました、であれば、請求も、レセプトのオンライン請求をしっかりこの際義務化する、やっていただけないですか。

河野国務大臣 規制改革のところで支払基金を見ておりまして、私も支払基金に行ったんですけれども、コンピューターがずらっと並んでいる横で手書きの作業をやっている方が大勢いらっしゃるので、びっくりいたしましたが、これは、差し戻されたものが大病院であっても手書きで出してくるというような、明らかにこれはオンラインに今でもできるようなものがありますので、そういうものは即時対応できるように、今、支払基金改革の中でやっているところでございます。

 もちろん、あと国保連などもあると思いますので、全部を網羅しているわけではございませんが、これは、おっしゃるように、オンライン化する、当然のことだと思いますので、一生懸命やっていきたいと思います。

木原委員長 時間が来ております。

足立委員 ありがとうございました。

 有事対応、落ち着いたらまた有事の法制を考えようというのがよくある議論ですが、もう今、有事の真っただ中ですから、そういう超法規的なことも、国会の側でしっかりお支えしていく努力をすることをお誓いして、すぐ終わります、ありがとうございます。

木原委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 今日は、法案は終わったんですが、坂本大臣にちょっとお越しいただいて大変恐縮でございますけれども、ちょっと質疑を行いたいと思います。

 法案は可決されたわけでございますし、公明党におきましてなぜ今この議論をまたやるんだと言われると、党においても、「子どもの未来創造」特命チームというのが発足されまして、議論がなされております。当然、自民党さんにおかれましても、こども庁の議論をされているというふうに聞いておりますが。

 古屋議員の質問、法案審査のときの質問にもありましたとおり、公明党においては二〇〇六年に少子社会トータルプランというものを提出して、これは一年半ぐらいかけて議論されたというふうに聞いていますし、百五十ページぐらいのもの、大部のものを党として作ったということでいうと、非常に熱心に我々の先輩方は取り組んでこられたんだなということを実感したのとともに、その上で言うと、この分野、しっかり時代を先取りして政策立案をしてきたということは言えるんじゃないかと私は感じたところでございます。

 やっと今、この時代において国民的な議論も起こっているというふうに思いますので、ちょっとオーバーな言い方をすれば、時代が追いついてきたんじゃないかというふうにも思っております。当然、提言を出して、そこで止まっているというわけではなくて、野党時代も含めて、与党に戻って更に取り組んできているということでいうと、待機児童解消であったり、あるいは幼児教育の無償化、こうしたことも継続的に取り組んできた。それで今があるわけでございますけれども、更にアップデートしていく必要があると私は思っております。

 今日は、そうした観点から含めて、経済学の観点から子育て支援施策を少し議論したいと思っておるんですが、先日の法案の審査の中の質問においても、野党の方から、家族関係社会支出と出生率は正の相関関係があるというような、これは東大大学院の山口慎太郎先生の資料を提示された上で御質問がなされました。

 私の認識では、この山口先生は、正の相関が見られることをグラフ等も示しつつも、このことを前提に、家族政策というのは出生率向上に寄与しているのではないかという仮説につながっていることを示しておられるだけなのではないかと思っております。

 それに対する坂本大臣の御答弁は、慎重で、かつ正確でございました。家族関係社会支出と合計特殊出生率の相関関係に言及された研究とおっしゃっていたんですね。もうそのとおりで、言及されているだけであって、これは確定的に言っているんじゃないんじゃないかと私は感じた次第でございます。

 これは別に野党の方を否定するとかそういう話ではなくて、経済学の観点から論じておられる山口先生の話なので、それを冷静に分析すればどういうことを言えるのかということをちょっと伺っておきたいと思っているんですね。

 ですので、ちょっともう一回ここで確認的にしたいのが、家族関係社会支出と出生率が正の相関関係があるという仮説を断定し得る研究結果、これについて把握されておられるかどうかを内閣府に伺いたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 経済学の観点から、家族関係社会支出と合計特殊出生率の正の相関関係に言及した研究があることは承知をしておるところでございます。

 その一方で、そもそも国によって社会経済や国民負担率の在り方が違ったりとか、あるいは、我が国の出生率の動向に見られますように、少子化の原因といたしましては、未婚化、晩婚化の進行とか、あるいは夫婦の持つ子供の数の減少等がございまして、またその背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているということがありますものですから、家族関係社会支出だけをもって出生率向上に寄与している等というようなことまではちょっと断言できないのではないかというふうに考えております。

 また、個別政策が出生率やそれに関連する要因に与える影響を分析した研究も多数あるというふうに承知をしておりますけれども、それらについても相関関係と因果関係を区別して見極める必要があるというふうに認識しているところでございます。

濱村委員 今、嶋田さんにいろいろ御答弁いただいて、大臣がおっしゃっていただいた答弁内容と重複するところもあり、そしてまた、これは研究自体は結構難しいことで、相関関係と因果関係は分けて考えなければいけませんし、いろいろな要素が絡み合っての結果が生じるわけですので、なかなか断定的に論じることは難しいということは言えると思います。

 ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、野党の先生も、財源を確保することが重要だということをおっしゃっておられました。これは自民党さんからもそういうお声が上がっておりましたし、我々公明党としてもそのように感じております。

 財源の確保に取り組んでいくため、そのためには、やはり、どういう施策が効果的であって、この施策をやるためにはこの財源が必要だ、こうしたことを国民の皆様にも理解をいただいて、子ども・子育て支援施策に財源を確保できる環境をつくっていくのが、与野党問わず我々の仕事であろうというふうに思っております。

 その上で、菅総理も子供は社会の宝であるというふうに明言されておられるわけでございますので、この子ども・子育て支援施策は、ある一定の共通する価値観の下に認められ得るものだと思っているんですね。未来を担う子供たちを社会全体で支えていく、これは国民的かつ社会的な理解が得られるんじゃないかというふうにも思っております。ただ、これは価値観の問題なんです、価値観。

 その一方で、方法論については政策論として評価されるべきというふうに私は思っておりますので、その費用対効果ということは冷静に論じられるべきだと思っております。

 坂本大臣に伺いたいと思っておりますが、子ども・子育て支援施策については、次の世代を担う方々に対しての投資というふうに私は思っております。経済学的な観点からいえば、人的資本に対する投資なんだというふうに思っているんです。知識、能力を向上させるための人的資本に対する投資だと。この点につきまして、坂本大臣の御所見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

坂本国務大臣 御党におかれましては、子どもの未来特命チームにおきまして、子ども・子育てに関して、充実した論議と、それから様々な御提言をいただきまして、心から敬意を表したいと思います。

 政府といたしましても、個々人が結婚や子供につきましての希望を実現できる社会をつくっていくことを少子化対策における基本的な目標として掲げております。御紹介いただきました山口慎太郎先生を中心とする見方は、経済学的な考え方の一つとして認識しているところです。

 子育てに関する支援につきましては、子育て家庭における様々なニーズに対応するとともに、一人一人の子供が心身共に健やかに育つことができるよう、全ての子育て家庭が安心して子供を育てられる環境を整備することが重要だというふうに考えます。

 子育て家庭を社会全体で支えるということは、子育て家庭が抱える様々な不安、そして負担の軽減につながります。議員御指摘のとおり、一人一人の子供の幸せや未来の担い手を育成することにもそのままつながっていくというふうに考えます。

 引き続き、少子化社会対策大綱に基づきまして、安定的な財源を確保しながら、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた総合的な少子化対策に今後も大胆に取り組んでまいりたいと考えております。

濱村委員 総合的にいろいろな、広範な形での施策をやっていかなければいけない、そのように思いますし、また、当事者の皆様に対して、ニーズがあるので、それにしっかり対応している施策を行っていかなければいけない、それはそのとおりだと思っております。その上で、ニーズに応えていくことと国民の理解が得られること、こうしたところをどう合わせていくかということが重要だと思っております。

 児童手当の出生率の引上げ効果について伺いたいと思うんですけれども、これはどうやって計測するんだというのは非常に難しいことだと思っております。

 というのは、政策の目的は単一的に決まるわけではありませんし、本来であれば、こういうものを、差分の差分法というような方式を取りながら、こっちにはちゃんと措置を行って、こっちは措置を行っていないというような差分をつくった状況で分析をしなければいけませんねということなんですが、こうした状況をつくり出すこと自体がなかなか難しいということも言えようかと思っておりますので、効果測定が非常に困難を伴うということはよく理解した上で申し上げておりますが。

 その上で、出生率を引き上げるという政策目的を実現するというのが、子ども・子育て支援の政策目的の観点からいえば非常に重要だとは思っておるんですけれども、これに対して、児童手当がどういう役割を果たしているのか。つまり、児童手当というのはいわゆる現金給付施策として捉えられているわけですけれども、この現金給付施策がどんな効果を発揮しているのか。それをどう確認できていて、どう評価されておられるのか。この点について内閣府に伺いたいと思います。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 児童手当は、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とした制度になっております。

 児童手当は、使途を制限しない現金給付ということでございますけれども、まず、合計特殊出生率が、先ほど申しましたように、令和元年、一・三六ということで少子化となっております背景としましては、先ほど答弁いたしましたように、個々人の結婚とか出産、子育て希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているということもございますので、児童手当という個別の施策だけを取り出して、それの出生率への影響を取り出してお答えするというのはなかなか大変な、難しいことではないかというふうに考えておるところでございます。

 なお、やはり少子化の背景としましては、子育ての費用負担の重さ、これがあるということはよく承知しているところでございまして、そうした観点から、幼児教育、保育の無償化などの子育て世帯への経済的な支援は充実してきたというところでございます。

濱村委員 現金給付の充実は、結果として子供に対する投資額が引き上げられるので、いわゆる限界費用をつり上げてしまうんじゃないかというふうにも思っておりますので、引き続き議論したいなと思います。

 最後、厚労省さんに伺います。

 質の高い保育について伺いたいと思いますが、子供の発達度合いを支えていくためには非常に重要です。

 母親が子供を自ら育てるということが質の高い保育に当たるのか、あるいは、祖父母とかあるいは特別な訓練を受けていないベビーシッターさんが面倒を見るというようなことはどう捉えればいいんですか、質の高い保育と言えるんですかというところ、この点についてどうお考えなのか、伺いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 家庭の在り方や取り巻く環境は非常に多様化をしておりまして、子育て家庭には様々なニーズがございます。政府としましては、令和二年五月閣議決定の少子化社会対策大綱におきまして、こうした様々なニーズに対応して、それぞれの子育て家庭が必要な支援にアクセスできるよう環境を整備することが重要と考えております。

 御指摘の、家庭での子育て、あるいは保育所、あるいはベビーシッター、こういったものについて、それぞれ場面が異なりますし、また保護者のニーズも多様でございますので、一律に共通的な保育の質みたいなことを定義をして比較することはなかなか難しいと考えておりますが、いずれにしましても、どんな形態で保育なりベビーシッターなりを利用される場合でも安心して利用できるような環境整備を進めていくといったことに努めてまいりたいと考えております。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

濱村委員 時間なので終わりますが、大事な子供を預けるわけですので、専門性が高く問われる分野だと私は思っております。その専門性が、高い専門性があるにもかかわらず、なかなかそれが正しく、適正に評価されていないんじゃないのということを思っております。

 試験制度とか、専門性の向上に資するような、ある意味で常に勉強していただかなければいけないということも含めて、職種をしっかり再構築をしていただいて、公定価格なども引き上げていただいて、ちゃんとした処遇改善をした上で、専門性の高い職種であるということを含めて、子供を育てる環境を整えていっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中山展宏君。

中山(展)委員 自由民主党の中山展宏です。よろしくお願いいたします。

 まず、蔓延防止等重点措置の実効性に係る移動の制約についてお伺いしたいと思います。

 昨日から蔓延防止等重点措置は十都府県に適用が広がり、大阪、東京では緊急事態宣言を要請される運びとなりつつあります。

 私の地元神奈川県川崎市も今次対象となりましたが、日常の行動範囲というか、生活圏と蔓延防止措置の対象地域が必ずしも一致しているわけではありませんから、対象地域の方が対象ではない地域へ、あるいは対象でない地域の方が対象地域へ往来せざるを得ないこともあります。神奈川県からは一日百万人を超える方が東京へ往来しています。対象の都府県をまたぐ、対象地域から対象地域への往来もあるかと思います。

 先般、東京都知事は、毎日三百万人の方が通勤通学で都内と首都圏での往来がある、特に都外にお住まいの方には、エッセンシャルワーカーなど、どうしても出勤が必要な方以外は可能な限り東京に来ないでくださいと象徴的におっしゃられておられますが、間もなくゴールデンウィークとなります。東京の対象地域にお住まいの方が対象でない地域に行かないでくださいということも、都知事は包含されておっしゃっているんだと思います。

 ピンポイントで地域を指定する蔓延防止等重点措置の実効性に大きく関係する、対象地域と非対象地域への移動の是非、また、対象地域内の都府県をまたぐ移動の是非について、政府としてどのように考えているか、改めて、交通整理というか、お願いをしたいと思います。

梶尾政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的対処方針では、蔓延防止等重点措置を適用した都道府県は、特別措置法の三十一条の六、二項で営業時間の短縮の要請をしている地域がございます。その地域について、その時間以降にその措置区域にある飲食店等にみだりに立入りしないということ、あわせて、二十四条九項に基づきまして、日中も含めた不要不急の外出、移動の自粛や、混雑している場所や時間を避けた行動、感染対策が徹底されていない飲食店利用の自粛を要請するということにしております。

 特に、変異株による感染が増加しているということを踏まえまして、ほかの地域への感染拡大を防止する観点から、蔓延防止等重点措置を適用した都道府県では、不要不急の都道府県をまたぐ移動は極力控えていただくよう要請するということにしてございます。

 具体的には、この重点措置を適用した都道府県同士の移動、あるいは重点措置の適用された都道府県とそれ以外の地域との移動については、これはいずれも、不要不急の都道府県をまたぐ移動は極力控えていただく、また、適用されている都道府県内の移動についても、不要不急の外出、移動は避けていただき、近場の外出でも三密を避けていただくということをお願いしています。

 もちろん、医療機関への通院ですとか、食料、医薬品、生活必需品の買い出し、どうしても出勤せざるを得ない必要な職場への出勤、また屋外での運動や散歩など、生活や健康の維持のために必要なものについては外出の自粛要請の対象外ということで、国民の皆様には御理解と御協力をお願いしたいと思っており、実際、昨日からの神奈川県、先週からの東京都につきましても、こういった内容での要請をされているというふうに承知してございます。

中山(展)委員 是非、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の地域指定は、感染対策に即した人流の制御や行動変容のためだと存じますので、その点を強調して、繰り返しアナウンスをお願いをしたいと思います。

 次に、先般の日米首脳会談について伺いたいと思います。

 菅総理とバイデン大統領の、初の対面での首脳会談は、とても意義のあることだと存じます。共同声明では、安全保障上の重要分野、半導体などのサプライチェーンでの協力や、安全で信頼できる5Gネットワーク、かつて、5Gクリーンパスとか、クリーンクラウドとか、クリーンネットワークと言っておりましたけれども、その構築について、そして台湾海峡に関して明示されました。

 バイデン大統領が初めて迎える外国首脳を我が国の菅総理とした思い入れ、意図をどのように捉えているか、また首脳会談の成果についてどのように考えているか、まずお教えください。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十六日、バイデン大統領が菅総理を対面で会談する初めての外国首脳としてお迎えされたのは、バイデン政権が我が国との関係を極めて重視しているあかしであるというふうに認識しております。

 会議では、両首脳間で個人的な信頼関係を構築するとともに、日米首脳共同声明を発出するなどの具体的な成果を上げることができました。

 経済面では、日米間の緊密な経済関係を更に発展させていくことで一致するとともに、インド太平洋地域やグローバルな経済における日米協力の重要性を確認いたしました。

 また、日米両国が世界のよりよい回復をリードしていく観点から、日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップに合意し、日米共通の優先分野であるデジタルや科学技術の分野における競争力とイノベーションの推進、コロナ対策、グリーン成長、気候変動などの分野での協力を推進していくことでも一致したところでございます。

中山(展)委員 我が国が米国と安全保障の同盟国であり、中国に近接し隣国であり、今後の米国の対中戦略にとって要衝であるからこそ、バイデン大統領は各国首脳に先駆けて菅総理を迎え、安全保障と経済の両面から話し合われたのだろうと拝察をいたします。その上で、中国の覇権的な挑戦に対して、我が国と米国の自由民主主義国家が協働すべきアジェンダが確認されたと考えます。

 そこで、今日は、国家安全保障局、NSS経済班の藤井審議官にもお越しいただきました。安全保障と経済の相互に重層している課題について、お尋ねしていきたいと思います。

 菅総理は、昨年十月の所信演説において、経済安全保障の観点から政府一体となって適切に対応していくと表明されました。まず、この経済安全保障の概念、定義というものについて、お示しをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えを申し上げます。

 経済安全保障、経済と安全保障、これは、従前よりもちろん相重なる部分というのはございました。例えば、輸出管理の問題。ただ、恐らくここ数年、この重なる部分が急速に広がってきたということであろうと思います。

 私どもの直面している難しさは、一つは、極めて大切な経済の健全な発展を促すためには、やはり開放性、多様性というものがどうしても必要になってきますし、そういうものを確保する政策を打ってきたわけでございますけれども、では、安全保障という観点から、常に開放性が是なのかというと、恐らく必ずしもそうは言い切れない部分がございます。そういう意味で、ある意味での避け難い二律背反がここには存在をしているというふうに考えております。

 これは、恐らく政府として、きちんとそれをまず受け止める、受け止めるということは新しい政策が必要だということでございますけれども、ことがまずもって必要であろうと。その上で、ある意味でこの二律背反を止揚するような形で経済をより強くするということも、また大きな目標としなければいけないということだろうと思います。

 中山先生の御質問にきちんとお答えすることは難しゅうございますけれども、経済というものが、若しくは技術というものが、日々刻々変わっていく、日本を取り巻く安全保障環境もしかりということで、この重なる部分もまた変わっていくということで、ここからここまでが経済安全保障でございますというお答えがなかなか難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、この難しい領域、取組には、私どもだけではできません、政府全体、一丸として取り組んでいく必要があると思っております。

 そういったことに向けて、微力ではございますが、NSS経済班として努力をしていきたい、かように考えております。

中山(展)委員 二律背反の難しさというか、本当にお察しをします。

 当初、安全保障を目的とした、安全保障に資する経済外交政策という意味合いで、経済安全保障という言葉ではなくて、安全保障経済という言葉を使っていたと思います。どちらかというと、安全保障貿易管理に似ている概念だと思います。

 他方、エネルギー安全保障とか食料安全保障というような、安定的な供給環境を備えていくという、我が国の経済全般の持続可能性を担保する供給網をいかに構成するかということも大事な側面だと思います。

 経済安全保障の主眼は、これは藤井審議官もよく御存じのとおり、エコノミック・ステートクラフトと言われる、経済力を手段というか武器として推し進める対外政策、国策にどうやって対峙するか。とりわけ、我々とは普遍的価値観が相入れない権威主義、全体主義、米国の言い方で専制主義による、国家資本主義の経済力を威力的に使って安全保障上の圏域を覇権的に拡張していくことと、いかに我が国が対峙していくかということだと思います。

 藤井審議官が率いる国家安全保障局、NSS経済班は、コロナの感染が及ぼし始めた昨年四月に発足しました。当初は、コロナ禍の初期対応、例えばマスク、医療用防護服の手配、医薬品原料の調達など、医療物資のサプライチェーンの確保や国際的な人の往来に関わる入国管理、水際対策の方針策定などに当たっていたと存じますが、コロナ禍での経済安全保障の観点から、コロナ禍での我が国のリスクについてどのように考えておられるか教えてください。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 中山先生御指摘のとおり、まず、私どもの初動といたしまして、マスク、ガウン、こういった国民の皆様の安心に関わる製品について、単に価格だけで調達されるということではない安定的な供給体制を構築していくということのための支援というものを進めてまいりました。

 また、同時に、感染症の治療等に必要な医薬品、人工呼吸器等、こういった医療機器について、国内の製造基盤を持っておくということが非常に大切になります。そういった観点からも、外為法において、こういった業種を対内直接投資の事前審査の対象に追加をいたしました。

 こういった、これは一例でございますけれども、我が国のサプライチェーン、安全保障の観点、これは御指摘のとおりコロナのようなパンデミックのような事態も含むわけでございますけれども、俯瞰し、その脆弱性に対処していくこと、これは非常に重要な課題であろうというふうに認識をいたしております。

 また、加えまして、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大、非常に重大な影響を及ぼすという観点から、前例のない水際措置、国内への感染者の流入を防ぐ措置を取ってまいりました。

 今後とも、できる限りの努力をしていきたい、このように考えております。

中山(展)委員 この間、地方の中堅・中小企業、非常に技術力を持ったすばらしい企業に対して、中国企業からの買収案件とかそういうことも散見されたと伺っています。しっかり守っていただけるようにお願いをします。

 また、中国、昨年十二月に、生物安全法という法律を施行しています。個人の遺伝情報の主権は国家に有するという考えであります。我々、プライバシーの考え方とは全く異なる価値観だと思います。

 その上で、ゲノム情報の解析サービスを行っている、中国、今、シンセンに本社があって、日本法人は神戸にありますけれども、そういった中国のゲノミクスの研究所から由来するそういった会社が、日本法人が、今次のPCR検査を我が国で行っています。

 先般の日米首脳会談の共同声明の中でも、健康安全保障という言葉が盛り込まれました。是非、最も機微な個人情報でありますから、個人データでありますから、その扱いについて留意をしていただきたいと思います。

 次に、WHOを始め国際機関のガバナンス及び選挙への我が国の取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今般の日米共同声明にも、透明性を高め、不当な影響を受けないWHO改革が示されました。国際機関の中立性、法の支配を前提に、邦人のトップポスト獲得を含め、プレゼンス強化のための長期的な人事戦略及び一元的な人材育成に向けた我が国の取組についてお伺いをしたいと思います。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 前提として、御指摘のとおり、国際機関の公正中立な運営を確保することが重要でございまして、我が国は、責任ある加盟国として、国際機関の運営に積極的に関与を行ってきております。

 その上で、日本人の国際機関職員が世界で活躍することは、日本の存在感を高め、また、日本と国際機関との関係強化の観点からも重要でございまして、外務省として長年取り組んできております。

 さらに、委員が中心的役割を果たされて提出された政府に対する提言も踏まえて、政府全体としての取組を強化しております。

 本年二月には、内閣官房国家安全保障局と外務省総合外交政策局が共同議長となり、国際機関幹部ポスト獲得等に戦略的に取り組むための関係省庁連絡会議を開催し、国際機関における日本のプレゼンスを一層強化すべく、国際機関のトップ、幹部ポストの獲得や官民からの国際機関への人材送り込みについて意見交換を行いました。

 この枠組みも活用し、引き続き、政府全体として、長期的視点に立って戦略的に取り組んでまいります。

中山(展)委員 是非、我が国からWHOの、来年事務局長選挙があります、価値共有国でしっかり取りに行く、そういった思いでお願いをしたいと思います。

 時間が短くなってきたのですが、最近のトピックを三つほど伺いたいと思います。

 まずは、LINEがZホールディングスに統合後発覚したLINEのデータガバナンスについて、経済安全保障の観点からどのように捉えているか、教えてください。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 海外を拠点とする関連会社からLINE社の日本国内のサーバーにある個人情報などへのアクセスが可能となっていた事案に関しまして、三月十九日に、総務省より、電気通信事業者であるLINE社に対して、電気通信事業法に基づく報告徴収を求めていたところでございます。

 一昨日の四月十九日、同社より、通信の秘密の保護などに係る支障の発生の有無、通信の秘密の保護などのために必要な体制の確保の状況、利用者への説明及び周知の予定などについて報告があったところでございます。現在、その内容を精査しているところでございます。

 この精査の結果を踏まえまして、電気通信事業者としてのデータ管理やガバナンスの在り方も含め、法令に基づき必要な対応を速やかに取ってまいりたいと考えております。

中山(展)委員 恐縮です。昨年十月二十七日に、菅総理へ、私どもルール形成戦略議員連盟が「経済安全保障上の脅威が懸念される外国製アプリ・システムへの対応について」の提言を行いました。その内容は、立入検査、そしてNISTのSP800―171に準拠すること、そしてプライバシーポリシーの利用規約上の明確化、そしてDFFTを我が国が主導することを書かせていただいております。

 その中のちょっと一部を読ませていただきます。

 中国と関係するアプリ提供者(組織・個人)は、利用者データの取扱い等に関し、中国国家情報法を含めどのような外国法令が適用されるかを利用者との契約や利用規約において、明確にすべきである。問題事例に対応するため、利用者の同意のない目的外のデータの利用、移転やシステムの運用があったかどうかを検証する必要がある。各国のインテリジェンス機関と情報を共有し、NSS、NISC、個人情報保護委員会、総務省、経済産業省等の関係機関が連携して、技術検証、情報収集、調査等を立入検査も含め行う仕組みをつくると明記させていただいております。是非進めていただきたいと思います。

 次に、楽天、テンセント、日本郵政の第三者割当て増資による資本提携について、日米両政府が楽天グループを共同で監視するとの報道もありましたが、経済安全保障の観点からどのように捉えているか、教えていただきたいと思います。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 テンセントによります楽天に対する出資に関する外為法上の取扱いについてでございますが、恐れ入りますが、これは個別の事案に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、一般論として申し上げればですが、対内直接投資につきましては、外為法に基づき、国の安全等を損なうことがないよう、関係省庁などと連携して、適切に対応してまいる所存でございます。

中山(展)委員 外国投資家による外為法上の事前届けの免除基準等はクリアしているので、出資後四十五日以内の事後報告となるということだと思いますが、我が国の外為法では、今後、半永久的に免除基準を遵守すればよいということだと存じますけれども、我が国半導体メーカーの機微な半導体の中国向け輸出もそうですが、アメリカのCFIUSであったりとか商務省のいわゆるエンティティーリストによる域外適用によって、我が国の法体系を超えた部分で、例えば楽天の事業に影響が出てくるということも考えられると思います。本邦企業がこのような機微分野での取引や資本提携をする前に、いわゆるデューデリジェンスに関して政府と相談する機会があればと、お願いをしたいと存じます。

 また、プラットフォーマーやアプリ、システムを包含する業法の必要性もあると思います。是非検討していただきたいと思います。

 さらに、中国企業に由来するハード機器やデバイス、システムの政府機関における実装の状況をまず、民間企業の前に、隗より始めよ、政府が把握することが大前提だと思います。こちらの方もよろしくお願いをいたします。

 もう時間がないので最後の質問とさせていただきたいと思いますが、日米同盟を基軸とする安全保障環境の中で、中国との経済関係をどのように構築していくべきか。特に、中国の国家情報法であったりサイバーセキュリティー法、データの国内管理を義務づけている中国のサイバーセキュリティー法、さらには、データの中国からの輸出規制を域外まで運用しようとするデータセキュリティー法、これも昨年作られています。さらには、先ほど申し上げた輸出管理法であったりとか生物安全法、こういった中国の法体系と我が国がどのように向き合うのか、言及していただける範囲で教えていただければと思います。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国にとって日米同盟は、外交・安全保障政策の基軸であり、我が国の安全保障を確保していく上で日米同盟の抑止力は必要不可欠と考えています。

 中国につきましては、日本にとっても米国にとっても最大の貿易相手国であり、中国にとって米国は第一位、日本は第二位の貿易相手国です。また、日米に限らず、様々な国が中国とは深い経済関係を有しています。

 我が国としては、中国も含めたグローバル経済の中で日本経済が繁栄していくために、5Gや機微技術への対応、データの保護等々、経済安全保障の観点も踏まえ、米国を始めとする関係国と緊密に連携していく考えです。

中山(展)委員 経済安全保障の観点から政府一体となって適切に対応していく、特に、経済安全保障政策の司令塔としてNSS経済班に御期待を申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日も質問のお時間を頂戴してありがとうございます。

 内閣委員会の皆様にあっては、また委員長にあっては、毎週の御審議、大変熱心に、本当にお疲れさまです。

 でも、この委員会は大変大事な委員会、国会には予算委員会、もちろん最も重要視されておりますが、内閣という行政の全体をつかさどって、様々な側面から行政と立法府の対話が行われるのがこの内閣委員会でございますので、私はその重要性に鑑みて、今日は、一つ、提案というか、お願いがございます。

 実は、今日は私は、東京電力福島第一原発の事故処理問題で東京電力の皆さんにもお越しいただけますようお願いを申し上げました。内閣委員会は、原子力委員会を始めとする原子力政策や、あるいは原子力防災も担当しておられ、加えて、内閣府の原子力災害対策本部があるところでございます。当然、この委員会の所掌するところとしての事故当事者である東京電力にはお出ましをいただきたい。今日は、聞き及ぶところによりますと、ちょうど東電の社長も福島に行かなければならない御用もあったとのことですので、状況はそれとして理解いたしますが、今後、是非、東京電力、民間事業者ですが、この委員会にお呼びいただきたいですが、委員長の御判断を伺います。

木原委員長 お申出の件につきましては、今朝の理事会でも協議をし、現在、筆頭間で御協議いただいておりますので、引き続き理事会にて協議をしたいと思います。

阿部委員 是非前向きに、論議が深まるよう、関係者の御出席を賜りたいと思います。

 では、加藤官房長官、お疲れさまです、連日。冒頭、一問、二問になりますかね、伺わせていただきます。

 四月の十三日に、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚会議が、いわゆる福島の処理汚染水の海洋放出方針を決定したということが伝わってまいりました。

 さて、官房長官、この決定なるものは、どのような権限で、あるいは明確な法的な明文化された根拠があっての決定でございましょうか。一問目、お願いいたします。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、四月十三日に開催いたしました廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議において、ALPS処理水の処分に関する基本方針を決定したところであります。

 この会議は、原子力災害対策特別措置法第十六条に基づき設置された原子力災害対策本部の決定に基づき、同対策本部の下に設置をされているものでございます。

 具体的には、原子力災害対策本部決定においては、廃炉、汚染水、処理水問題の根本的な解決に向けて、政府が総力を挙げて取り組むため、廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議を開催することが定められているところであります。この規定に基づき、ALPS処理水に関する方針についても同閣僚等会議で決定を行ったところであります。

 法的な根拠ということで御質問でありますが、原子力災害対策特別措置法及び同法十六条に基づき設置された原子力災害対策本部決定がその根拠と認識をし、今回の基本方針は廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議決定であり、決定権限は廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議にあるものと考えております。

阿部委員 今の官房長官の御答弁を簡略に申しますと、この関係閣僚会議にあると。

 私は、本部の下に置かれた関係閣僚会議が果たしていかなる決定権を責任を持って行使できるだろうかということで、まず大きな疑問がございます。その上で、この決め方というかには私は大きく二つの問題があると思いますので、順次、官房長官にお伺いをいたします。

 一つは、やはり東電は頭ごなしだということでございます。繰り返し、廃炉の責任、一義的には東京電力にありと言われている中で、果たしてこのやり方で東電が、漁業者の皆さんもいまだに強い反対がございますし、そのことも含めて、漁業者や国民の理解を得ながら事を進められるかどうかでございます。

 今日は東電がお越しになれないので、文書で御紹介いたしますが、つい先日も漁協の野崎さんが記者会見をされまして、いわゆる二〇一五年八月二十五日にサブドレーン水の排水の折に交わした東電と漁協との取り交わし書、すなわち、建屋内の水は多核種除去設備等で処理した後も、発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対行わないこととの要請に対して、東電は、関係者の理解なしには、いかなる処理も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたしますと回答し、この方針、政府方針が今回決定した後の記者会見でも、この件については今もそのように考えるのかと問われて、東電の社長はこれを是認、肯定をいたしております。

 一方、この二〇一五年のサブドレーン水の排水に際しても、実は、政府、経済産業省も漁協の皆さんと文書を取り交わしておりまして、今、東電との取り交わしは一枚目の資料ですが、漁協の皆さんが経産省と取り交わした中にも同様な文章がございます。関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしにはいかなる処分も行いませんというのが、当時の経済産業大臣の臨時代理の高市さんとそして福島県の漁業協同組合連合会の交わした文書でございます。

 こうした文書は、取り交わした約束は果たしてどこに行ってしまうのでしょう。加藤官房長官、お願いします。

加藤国務大臣 これまでも申し上げておりますように、ALPS処理水の処分、福島第一原発の敷地が逼迫する中で、また廃炉を進めていく上においても、もはや先送りの許されない課題であります。

 様々な風評被害を始めとした懸念が強いこと、これは私ども十分承知をしておりますし、この間、様々な方の意見もお聞かせをいただいたところでありますけれども、そうした点を踏まえて、極めて重い責任を伴う決断でありますけれども、一連の処分方針の決定を行ったところであります。

 ただ、この決定に当たっても、安全性の確実な担保と万全のモニタリング体制の整備、漁業者などの御懸念の把握と徹底した風評対策、この二点を確保していくということを前提に行ったものでありますので、これをしっかりと実行できるように、引き続き、漁業者の皆さんからもいろいろお話を聞きながら、また、新たに設置をいたしました関係閣僚会議、こうしたところを通じて、風評対策を含めて、政府一丸となってこの対応に取り組んでいきたいと考えております。

阿部委員 私は、それはもう当然のことなんだと思います。そして同時に、やはり政治というのは信なくば立たずですから、約束を取り交わしているということは消せないわけです。

 内容的に、私は今日この場で、このトリチウムを含んだ汚染処理水がどのような影響をするかということは時間の関係で申し述べませんが、とにかく形式として約束したことが現実にほごになってしまうではないか、そうすると、結局このプロセスはうまく運ばなくなるのではないかという懸念でございます。

 その上で、もう一点、いわゆる国民の理解ということも不可欠であります。なぜなら、風評被害と言われておりますものは、私は単に風評ではないと思っておりますが、風評被害という言葉を使った場合に、福島の例えばお魚を食べるか食べないか、国民の側がこれを十分に理解、納得していなければ、幾ら風評被害は補償するとか消すとか言っても、理解、納得は国民の側にあるわけですから、ここが重々重要だと思います。

 そこで、今日は加藤官房長官に提案がございますが、やはりこういう重大な事態を、方針を決定されたとするならば、国民に広く公聴会を開くこと、これは様々な意見が出ると思います。しかし、それをぶった切っていったのでは本当の国民理解にはならないので、私は是非公聴会を開いていただきたい。

 実は、この処理汚染水の問題で、経産省は公聴会を開かれておられます。それはそれで、例えば、タンクの七割はまだ他の放射性物質が残っているというのが分かったのも公聴会を通じてでございました。公聴会で指摘されることの重要性を政府がしっかり受け止めて真正面から応えていく、これが政治の取るべき道と思いますが、官房長官、いかがでしょう。

加藤国務大臣 国民の皆さん、あるいは国内外の皆さんの理解を深めていくということは非常に大事でありますし、実際の放出までには二年程度時間がかかるということでもあります。様々な声をいかに受け止め、対応していくかが鍵になると考えているところであります。

 また、そうした際、私どもから、単に一方的な説明や意見募集にとどまらず、地元の関係者、地元や漁業関係者始め、ALPS処理水の処分によって風評の影響を受け得る方々から幅広く意見をお聞かせいただく。そのためにも、今回設置した閣僚会議にワーキンググループを設置をし、そうした活動を通じていろいろな意見をお伺いし、夏頃までに課題を抽出し、近々の追加対策、これを取りまとめていきたいと考えております。

阿部委員 私のお尋ねは、課題の抽出のためにも公聴会を開いていただきたい。

 大臣、御存じですか。急にALPS処理水の定義が変わりました。今までは、タンクに入っているものは全部ALPS処理水だと言っていましたが、この度、経産省がお出しになった、ALPS処理水の定義を変更しましたという文書では、いわゆるトリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水のみをALPS処理水と言うとなさいました。

 じゃ、あそこにあるタンク全体には何が入っているんですかね。タンク水と言うんですか。で、ALPS処理水と。

 こういうのを、一方的に定義の変更とか言わないで、きちんと国民に伝える努力が必要だし、先ほども申しました、七割にまだ汚染物質、核物質がトリチウム以外にも残されているというのは公聴会の中で指摘をされて、もう数年前です、そこから変わってきたことです。国民の合意、納得なくしては原子力政策は進みません。

 大臣、繰り返し、まあお分かりと思いますから、是非公聴会を検討していただきたい。そして、今日は、お時間ですから、これで結構です。ありがとうございます。

加藤国務大臣 もちろん、今タンクに入っているものが何であるか、これはしっかり説明していく必要がありますし、今回、改めて処理水を定義をし、また、残されたものは処理途上の水ということになるんだろうというふうに思いますが、そういったことも含めて、内外からの様々な疑問、これに対してしっかりお答えをし、また、それぞれの行為について、やっていることについて透明性を持っていろいろお示しをしていくこと、これは非常に大事だと思っております。

 それから、委員から公聴会について再度のお話がありましたが、先ほど申し上げましたように、新たに設置した閣僚会議にワーキンググループを設置をし、地元や漁業関係者を始め、ALPS処理水の処分によって風評の影響を受ける方々、こういった方々の意見、これを広く伺っていきたいというふうに考えております。

阿部委員 私の指摘は、それは国民全体であるということを申し上げます。

 ありがとうございました。

木原委員長 どうぞ。

阿部委員 引き続いて、実務サイドに伺いますが、今の方針決定にのっとって以降、例えば海洋放出されるということの間にはどんなプロセスがあるんでしょう。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の実際の処分に向けましては、原子炉等規制法の規定に基づきまして、まずは四月十三日に決定されたALPS処理水の処分に関する基本方針を踏まえた対応を確実に実行すべく、東京電力が計画を作成の上、原子力規制委員会に対して申請を行います。その後、原子力規制委員会において、それに対する厳正な審査が行われるものと承知してございます。

阿部委員 今の御答弁で明らかなように、東京電力が実施計画を作られるわけです。そして、東京電力に対しては、漁民の皆さんから、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたしますというお約束が生きているわけです。当然、これを踏まえた実施計画を作るとなれば、海洋放出ということとは矛盾をしてまいります。事ほどさように、私は、政府が上から方針を決定しても、実際にそれが担保されないのではないかと思います。

 そして、更田規制委員会委員長にお伺いいたしますが、東電が計画を立てたとして、そこには当然、漁業者とのいろいろなやり取り、約束事も含まれるものであると考えてよいのかというのが一点と、さらに、東京電力自身がこうした事故処理に関わっておるということは、もう一つ、目を転ずれば、柏崎刈羽の問題で、運転者としての適応性、ふさわしいかどうかということを問われております。

 廃炉処理と柏崎刈羽問題は、実は田中委員長の時代に、二〇一七年七月十日、七つの課題といたしまして、事故を起こした事業者である東電と、廃炉措置に関わる東電と、プラス柏崎刈羽を動かすのであれば、総体としてその事業者の適格性を判断しなければならないというふうにまとめられております。

 今、私、続けて二つ伺いましたが、漁業者との話合い、要求はどう組み入れられるのか、二点目は、果たして、そこに基づく実施計画を着実に実行できなければここで交わされているような柏崎刈羽の運転の主体にもなれないのではないかという点についてお伺いいたします。

更田政府特別補佐人 まず一つ目のお尋ねですけれども、これは重ねて申し上げておりますけれども、規制の役割とそれから事業者が地元や関係者の方々と交わす約束というものは、これはそれぞれが独立してしっかりと守られるべきものであって、混同されるべきものではないと考えています。

 そういった意味で、今お尋ねにありましたのは漁連等との約束、これはこれでしっかり東京電力が責任を持って約束を守ろうと努力をするんだろうと思います。

 実施計画の方は、これは法令に基づいた処分がなされるかどうかについて記載をして、さらに、併せてその審査においては政府方針にのっとったものであるかというのを確認してまいります。

 それから二つ目のお尋ね、これは、東京電力は何より福島第一原子力発電所事故の当事者でありますから、廃炉作業を最優先課題として主体的に取り組んで、リスクの低減に向けて一つ一つ課題を完了させていくことが重要であります。

 原子力規制委員会は、東京電力による廃炉作業に係る取組について、引き続き、実施計画の審査及び検査などを通じて、厳正に監視、指導をしてまいります。また、廃炉作業に十分な資源が投入されているかなど、東京電力の取組と柏崎刈羽原子力発電所の保安規定との関係についても監視を続けていく考えでございます。

阿部委員 私が委員長にお尋ねしたかったのは、開いていただくと、資料の二ページにございますが、これは原子力規制委員会と東京電力ホールディングスの取り交わした、意見交換会のときの約束事ですが、一問目ですね、福一の廃炉を主体的に取り組み、やり切る覚悟と実績を示すこととなっておりまして、この覚悟と実績というところには当然福一の処理汚染水の対応も含まれるであろうということを確認を申し上げました。

 これは非常に、なぜこういう文面になったかというと、同じ事業者が福一とそれから柏崎刈羽を動かすだけで様々に連動してまいりますので、そこでの指摘と私は受け止めておりますので、二つはばらばらには考えられないということだと思います。

 引き続いて、では、柏崎刈羽の方で何が起こっているのかということで更田委員長にお伺いいたしますが、先般の核物質防護施設の様々に見つかった破損、そして三十日以上に及ぶものが数か所あるということで、この問題はいわゆる規制委員会からは赤という判定を受けて、これからの管理区分も第四区分となり、更にその次にいわゆる特定燃料物質を移動してはならないという是正命令が出されました。

 この移動してはならないという是正命令は一体何を意味するのでしょうか。また、その理由は何でしょうか。

更田政府特別補佐人 特定核燃料物質を移動してはならないという命令は、現在、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所において核物質防護に係る核物質防護の質とそれからその強度が劣化している可能性がある、このために、防護のために必要な措置を取る必要があるだろう、そういった判断に基づいています。

 特定核燃料物質の移動を禁じた理由は、仮に移動を認めると、移動中の脅威であるとか、防護対象の分散によるリスクの増大が懸念されることから、特定核燃料物質の現状を変更させないというのが命令の内容であります。

阿部委員 私は、はっきり言って、それだけでいいんだろうかなと思います。

 例えば三・一一のとき、最も心配されたのは使用済み燃料プールの中の燃料棒で、ここが何らかの形で露出をしてしまう、そしてそういうことのきっかけは、例えばですがテロリストがそこに侵入をしてそういう行動を起こすなどありますので、移動させないということはあり得てよいですが、その中には核物質の防護されるべき対象はいろいろあって、果たしてこれで十分かどうかという懸念を私は持っております。

 あわせて、委員長、お伺いしたいですが、お手元の資料三ページに、今御説明いただきましたのは赤の事案、核物質防護施設損傷等の事案でありますが、遡って、実は、柏崎刈羽では、白の事案と呼ばれていて、IDの不正入室問題がございました。先ほどの、委員長が御答弁いただいたのは、専ら赤の事案に対する措置であって、この白の事案についてはまだ対応がなされていないものと考えてよいでしょうか。

 私がこれを伺うのは、かつて更田委員長に、この白の事案は、ここに赤線を引きましたが、四十三条の三の五第一項の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずることができる者に当たりますねとお伺いしたので、そこの部分の処分というか、これはまだ確定しておらない、これから検証されるものであるかどうか、お願いいたします。

更田政府特別補佐人 時系列で申し上げますと、まず、IDカードの不正利用に係る事案がありました。その後、侵入検知装置の機能の一部喪失という、これはまた長期間にわたって、更に言えば、代替措置が不十分なものであった。

 前者に対して白という判定をしました。後者に対して赤という判定。前者では、第一区分から第二区分へ検査区分が変わりました。さらに、二つ目の事例によって、検査区分が第四区分という形になりました。そして、この第四区分に行く際の、四月十四日付で東京電力に発出した命令というのは、柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案と、それから侵入検知装置の一部機能喪失を併せて考慮した命令となっています。

阿部委員 私は、併せて考慮したというところが、やはり、各々の法令の違反根拠は違うわけです。これは委員長の方が重々御承知なので、繰り返しません。当然それによって取られる措置も違っておるところが、併せてと言われることが不思議でなりません。

 なぜならば、更田委員長ももう御承知と思いますが、ID不正事案の方は、確かに白と言われておりますが、成り済ましをして、そして、成り済ました人を警備員はそれと知りつつ通過させてしまったわけです。意図的なものです。片一方の故障の事案は、報告が遅れ、それを早くに対処できなかった問題はあります、結果において及ぼす危険性はあると思いますが、私は、原子力事業者がそうした文化、風土を、作為でごまかして、IDで成り済ますというのは、とても深刻な事案だと思います。

 このことについて、東電がおられれば聞きたかったですが、本当にそうした再発防止が取られているのでしょうか。委員長、どうでしょう。

更田政府特別補佐人 まさにお尋ねの点をこれから検査で明らかにしていきたいと思っています。また、私は、この二つの事案は、共に悪質でありますし、共に深刻であろうと思っています。

 前者のID不正利用は、関わった、不正利用を行った人に関すると、悪意に近いといいますか、だまそうとして、やる。ただ、侵入検知装置の方も、当たり前のことを当たり前のようにしなかった。それから、代替措置、これも詳しくは申し上げませんけれども、代替措置の取り方にも著しい怠慢があった。

 そういった意味で、両者のどちらも、遡って考えると、核セキュリティー文化であり、あるいは企業風土といった問題をしっかり深掘りしないと状態が明らかになりませんので、そういった意味で、原子力規制委員会としては、二つの事案をまとめて、双方に対する検査という形で監視、分析を進めようとしているところでございます。

阿部委員 私は、この二つの事案を加味したとき、やはり、原子力事業者として運転をする資格がないというふうに判断いたしますし、その法令根拠は、これまでの二回ほどで更田委員長にも確認してまいりました。

 なぜそこまで言うかというと、核物質防護の、いろいろな我が国における原子力事業者の、あるいはサイトの現状ということで、最後の資料を見ていただきたいですが、この東電の事案の後、更田委員長、各原子力事業者に、核物質防護規定に関わる実効性はどう担保されておるかというようなことをお尋ねになったことがあるか。また、経済産業省も調べておられると聞きますが、まず委員長には、お尋ねになったことがあるかということと、その実際の担保なくしては、例えば大飯の四号、あるいは玄海の三号、四号は、まだ、特重と言われている、テロなどに備える特定重大施設等のでき上がっていないのに稼働をしております。

 委員長よく御承知のように、特重施設は、テロ対策で、テロに対して、大変深刻なことが起きたときにの、あってはなりませんが、対応できるためのもので、私は、委員長がこうした施設の、ちゃんと核物質防護規定は守られているのかということを調査された上でこういうことを動かしているのかどうか、大変懸念を持ちます。あわせて、柏崎刈羽の稼働に際しても、特重施設ができてからになさるべきと思いますが、いかがでしょう。

更田政府特別補佐人 まず、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護の劣化を捉えて、東京電力以外の事業者に対しても、核物質防護の状態について改めて確認するように調査をしているところでございます。

 それから、特定重大事故等対処施設との関係ですが、核物質防護はテロを防ぐことを目的にしています。特定重大事故等対処施設は、テロが発生してしまっても、爆弾等を投げ込まれても、飛行機等が落ちてきてもという施設で、ある意味、役割がちょっと違います。

 あえて申し上げると、特定重大事故等対処施設は、既存の施設でも守れるものに対して、更に屋上屋を重ねるような意味で備えた施設でありますけれども、特重がなければ運転が許されないような事業者には、そもそも原子力施設を運用する資格がないというふうに考えております。

阿部委員 そのとおりでありますが、しかし、まだ調査も済んでおりません、セキュリティーの方の。ですから、私が懸念をお伝えしましたので、早急に各原子炉サイトの安全性の確認の御報告をいただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する我が国においては、社会全体として、働く意欲のある高齢者に社会を支えていただくことが重要であります。国家公務員については、若年層の長時間労働を是正するとともに、全ての職員がやりがいを持ってその能力を存分に発揮できるよう働き方改革を推進していくことが急務であり、そうした観点からも、高齢期の職員にしっかりと働いていただくことが必要であります。

 そのため、平成三十年八月の人事院の意見の申出に鑑み、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるとともに、組織全体としての活力の維持や高齢期における多様な職業生活設計の支援等を図るため、管理監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短時間勤務の制度を設けるほか、六十歳を超える職員に係る給与及び退職手当に関する特例等の措置を講ずるため、国家公務員法等について改正を行うものであります。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、職員の定年を現行の六十歳から段階的に六十五歳に引き上げる等の措置を講ずることとしております。

 第二に、管理監督職を占める職員については、管理監督職勤務上限年齢である六十歳に達した日の翌日から同日以後の最初の四月一日までの間に、管理監督職以外の官職に降任をする等の制度を設けるとともに、この制度による降任等を行うことにより、公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り、引き続き、管理監督職を占める職員として勤務させることができる特例を設ける等の措置を講ずることとしております。

 第三に、六十歳に達した日以後に退職した者を短時間勤務の官職に採用することができるよう、定年前再任用短時間勤務の制度を設けることとしております。

 第四に、当分の間、職員の俸給月額については、六十歳に達した日後における最初の四月一日以降、その者に適用される俸給表の級号俸に応じた額に百分の七十を乗じて得た額とする等の措置を講ずることとしております。

 第五に、六十歳に達した日以後にその者の非違によることなく退職した者については、当分の間、退職事由を定年退職として退職手当を算定する等の措置を講ずることとしております。

 このほか、検察官、防衛省の事務官等の定年を段階的に六十五歳に引き上げる等の措置を講ずるとともに、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.