衆議院

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第26号 令和3年5月21日(金曜日)

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令和三年五月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      小島 敏文君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中曽根康隆君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      深澤 陽一君    古田 圭一君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      吉川  赳君    和田 義明君

      阿部 知子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      長谷川嘉一君    広田  一君

      本多 平直君    森田 俊和君

      森山 浩行君    屋良 朝博君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      赤嶺 政賢君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣

   (領土問題担当)     小此木八郎君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   防衛大臣政務官      大西 宏幸君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室長)           中尾  睦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村  聡君

   政府参考人

   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長)          天河 宏文君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        一見 勝之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 土谷 晃浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    若林 伸幸君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     鬼木  誠君

  吉川  赳君     村井 英樹君

  和田 義明君     古田 圭一君

  大河原雅子君     本多 平直君

  玄葉光一郎君     重徳 和彦君

  吉田 統彦君     長谷川嘉一君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     池田 佳隆君

  古田 圭一君     和田 義明君

  村井 英樹君     中曽根康隆君

  重徳 和彦君     屋良 朝博君

  長谷川嘉一君     吉田 統彦君

  本多 平直君     広田  一君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     小島 敏文君

  広田  一君     大河原雅子君

  屋良 朝博君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     深澤 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     吉川  赳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室長中尾睦君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈さん。

杉田委員 おはようございます。自由民主党の杉田水脈です。

 本日は、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 本法案は、私にとっても大変思い入れが深い法案です。

 平成二十五年秋の臨時国会、当時、野党の一期生でしたが、先輩の中田宏議員を中心に、国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案という議員立法を取りまとめ、衆議院に提出いたしました。

 この議員立法は、中国や韓国などの外国資本が日本の防衛施設周辺の土地や離島などを買収していることに鑑み、防衛施設周辺の土地が買収されれば、テロの危険や、盗撮、盗聴などにより重要な情報が筒抜けになってしまうことなどを危惧し、作成した法案です。

 当時、実際に対馬を訪れ、外国資本に買収された土地を視察したときに、小高い丘の上から自衛隊の訓練の様子が一望でき、大変危機感を抱いたことを今でもよく覚えております。

 提出した際に、自民党の先生方からも、よく提出してくれたとの声をいただきました。残念ながら、この議員立法は審議されることなく、成立しませんでしたが、本法案も同様の問題意識から提出されたものと認識しております。約八年の年月を経て、こうして質疑者としてこの場に立っていることに深い感慨を覚えます。

 さて、このように、八年前、第百八十五回国会で同様の問題意識から議員立法が提出されましたが、この間、重要施設周辺や国境離島等の土地利用に係る法規制はなぜ導入できなかったのでしょうか。議員立法提出時には、外国人や外国資本の土地取引を規制することは、世界貿易機関の協定の一部、サービスの貿易に関する一般協定に加盟する際、諸外国と異なり、日本は外国人による土地取得を規制する留保事項を盛り込まなかったため、整合性が取れないという理由でできないとされていましたが、今回の法案においては、どのように対象地域の規制と国際ルールの整合性が取れたのでしょうか。

 また、本法案が今国会になってようやく閣法として提出されることになった経緯についても、併せて教えてください。

小此木国務大臣 おはようございます。お疲れさまでございます。

 本法案ですが、土地等の所有者の国籍を問わずに重要施設の周辺等の土地等の利用状況を調査して、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に勧告、命令等の措置を講ずることとしており、サービスの貿易に影響を及ぼす措置について、外国人や外国法人に対して日本人及び日本法人と同等の待遇を与える義務を規定しています、WTOのサービスの貿易に関する一般協定、いわゆるGATSと整合的なものとなっています。

 安全保障の観点から、土地の利用をどのように管理すべきかとの問題は、御指摘のGATSとの整合性も含め、長年与党において議論が行われてきたものと承知しておりますけれども、政府としても、昨年七月の骨太方針二〇二〇において、必要な措置を講じる方針をお示しいたしました。

 これを踏まえ、具体的な対策の検討を進めるため、昨年、国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催したところでありますけれども、その提言においては、我が国の法律に基づいて設立された会社であっても、実質的な所有者や支配者が日本人でないケースもあり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされてきたところであります。

 今般の法案は、この提言も参考としつつ、安全保障上のリスクとなり得る土地の利用者に対し、土地の所有者や利用者の国籍を問わず、内外無差別の形で適切に対応していく必要があるとの考えの下、取りまとめたところであります。

杉田委員 大臣、ありがとうございます。

 釈迦に説法ではありますが、長崎県対馬市では、自衛隊基地の隣接地が対馬の島民名義で韓国資本に買収され、御地元の方々だけではなく、日本中に不安が広がりました。

 このように、日本人や日本の会社を名のった土地取得でも、先ほどの大臣の御答弁にもありましたとおり、その会社はダミー会社で、実態は外国資本だったということも耳にしますので、内外無差別の原則を取っていただくことは、同様の事例も防ぐことができて、大変有効だと思います。

 また、このことは対馬だけの問題ではなく、その他の国境離島でも同様に、外国資本に土地が買収された際に領土問題に発展するのではないかという懸念をお持ちの方々もおられます。

 そこで、お尋ねいたします。

 本法案が定める国境離島等には、当然、尖閣諸島や竹島が含まれているという理解でよろしいでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 尖閣諸島及び竹島のうち、領海基線を有する離島につきましては、本法案第二条第三項に規定します国境離島等に含まれるものでございます。

 それらにおきまして実際に対象区域を指定するかどうかということにつきましては、法施行後に新たに設置させていただきます土地等利用状況審議会の意見を聴取いたしますなど、法定する手続に沿って決定することとしておりまして、現時点において予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

杉田委員 国境離島等に含まれるけれども、今後の協議ということで、現時点ではお答えできないという答弁でございましたが、言うまでもなく、尖閣諸島も竹島も、日本の安全保障上非常に重要な土地です。現状に鑑みれば、当然個別指定すべきものであると考えます。

 本法案では、第九条に、土地等の利用者に対する勧告及び命令ができる旨が定められていますが、当該土地にて重要施設の施設機能又は国境離島等の離島機能を阻害する行為を行っている者が民間人ではなく、他国の政府関係者や公務員である場合には、相手国の政府に対して同様の勧告及び命令ができるのでしょうか。現在、竹島では韓国の武装警察が常駐しておりますが、韓国政府に対して勧告及び命令ができますか。

 本法案の第四条二項四号には、土地の利用者を、所有者又は所有権以外の権原に基づき使用若しくは収益する者と定義づけていますが、所有権や所有権以外の権原を有していないにもかかわらず実効支配をする者に対してはどのような対応ができるのでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本国固有の領土でございまして、竹島問題につきましては、引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下で、冷静に、かつ毅然と対応していくというのが政府の方針でございます。

 その上で、重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、いかなる離島を対象区域として指定するかにつきましては、法施行後に法定する手続に沿って決定させていただくこととしてございまして、現時点におきまして竹島について予断を持ってお答えするということは差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上でなお、一般論として申し上げますと、本法案は、利用規制としての勧告、命令につきまして、所有権や賃借権等に基づき土地等を利用する者に対して行います一方で、土地等について権原を有しない者に対しましてはそれらを行うことができない、このような仕組みになっているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 権原を有しない者に対しては本法案は適用できないということなんですけれども、ということは、これは結局は、今の韓国の軍の使用施設等を撤去するような命令はできないという理解でよろしいですか、この法案に基づいては。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、竹島の取扱いにつきましては、先ほど来答弁申し上げておりますように、法施行後に法定する手続に沿って決定するということにさせていただいておりますので、現時点においてその取扱いについて予断を持ってお答えするということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、法案の仕組みにつきましては、利用規制としての勧告、命令につきまして、権原を持って土地等を利用する者に対して行う、こういう仕組みでございます。したがいまして、土地等について権原を有しない者に対しましては、この法案に基づく勧告、命令はできない、そういう仕組みになってございます。

 以上でございます。

杉田委員 答弁ありがとうございます。

 そもそも、韓国による竹島の実効支配は不法占拠です。この法案によらずとも、撤去命令を出し、従わない場合は何らかの手段をもって対応することを多くの国民が望んでいることを指摘しておきたいと思います。

 これを機に、また、ずっと放置をしている状態に終止符を打っていくような方向になっていくことを期待しております。

 また、こちらも意見という形になりますが、申し上げます。

 五月十一日の本会議にて本法案の趣旨説明、質疑が行われた際、共産党の先生より、辺野古基地建設を例に、抗議活動に対する法の適用について御質問があり、注視区域内にある土地等において、単に座込みを続けている場合など、重要施設の機能を阻害する明らかなおそれがない態様で行われているものについては、本法案に基づく勧告、命令の対象になるとは考えていないという大臣からの御答弁がございました。

 もちろん、状況などを考慮して、一概に判断することは困難かと思いますが、例えば、全国から派遣される反対派の人々によって起こる交通渋滞や、プラカードを持った活動家が道路を占拠するなどによって救急車などの緊急車両の通行の妨げになるなど、そういった影響も耳にしております。また、フェンスに結ばれたリボンやガムテープで留められた横断幕、そして派遣された人々に支給されているお弁当のごみなどが風に飛ばされるなどして基地の中に入ってしまうことも十分に考えられます。

 不法占拠による座込みや道路交通法を無視した抗議活動についても、本来であれば、この法案によらずとも取り締まることができる行為でありますが、本法案に照らしてみても、一見して直ちに重要施設の機能を阻害しているように見えなくても、そこから派生する影響等も十分に考慮して、本来の目的を果たしていただきたいと思います。

 以上は意見として申し上げます。

 重要施設周辺や国境離島等のみならず、近年、水源保護や水資源保全の観点から、外国資本による森林の取得も懸念されています。

 一部の地方公共団体では、水源地を保全するための条例を制定する動きが見られ、平成二十三年の森林法の改正によって、森林取得の事後九十日以内の届出制度も開始されています。

 しかし、林野庁が発表している、外国資本による森林売買に関する調査の結果を見ると、令和元年における、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例の利用目的については、三十一件中、十六件が資産保有、五件が未定、五件が不明でありました。また、その他、国内の外資系企業と思われる者による森林買収の事例についても三十一件報告されておりますが、これらの利用目的は公表されておりません。本人が資産保有と主張していても、客観的に見れば経済合理性に乏しい土地も少なくないのではないでしょうか。

 取得目的が明らかでない外国資本による水源地の取得に係る森林取得の事後届出制度を導入し、その調査結果を公表するだけでは、水源地保全の目的に不十分ではないかと思われますが、本法案に、森林についての記載がなされておりません。

 そこで、お尋ねします。森林は本法案の対象にならないのでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました森林につきましては、現行の森林法におきまして、国土の保全等を目的といたしまして、土地取得の際の届出などといった措置が講じられているところでございます。

 有識者会議の提言におきましては、既存の措置があることを踏まえまして、これらの土地を対象とすることについては、慎重に検討していくべきとされたところでございます。また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、まず最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところでもございます。

 このため、本法案は、防衛関係施設等の重要施設の周辺でありますとかあるいは国境離島等を対象といたしまして、単に森林であることをもって対象とはしないということとさせていただいているところでございますが、仮に重要施設の周辺でありますとかあるいは国境離島等において指定された区域内に森林がございます場合には、本法案に基づく調査でありますとかあるいは勧告、命令等の対象になるところでございます。

 御指摘ございましたように、森林を本法案の対象とすべきとの御意見もあることは私ども承知しているところでございますので、本法案や森林法の執行状況、あるいは安全保障をめぐります内外の情勢などを勘案しつつ、慎重に検討していくべき課題である、このように認識しているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 森林であるかどうか、そういう区分ではなくて、重要施設の周りにあるかどうかということで判断をしていくという御答弁でございました。

 先ほども申し上げたとおり、私は、現状の事後報告制度と調査結果の報告だけでは、私は水資源の保護ということについて今質問申し上げたんですけれども、その水源保護には不十分であると考えております。

 私自身、大学は農学部の林学科の出身でありまして、森林の保全については人一倍思い入れがございます。しっかりと守っていかなければいけないと思います。また、世界的に水不足が懸念されて久しい中、日本の美しい水源を守るため、是非とも今後の検討の中では森林も対象になるようにお願いを申し上げたいと思います。

 先ほどは重要施設の周りであるかどうかということが判断の基準になるという答弁だったんですけれども、諸外国の例を見ますと、例えば、オーストラリアの外資による取得及び買収に関する法律では、外国人等が土地の権利を取得するに当たり、一定額以上の場合には政府への通知と承認を必要としており、そこに農地も対象となっています。

 水や食料というのは国民の命に必要不可欠なものです。ですので、状況に応じて必要な対策を講じていただきたい、今後の見直しの中でも検討していっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 さて、土地の利用状況の調査についてお尋ねいたします。調査方法や期間について、開示できる範囲で詳細を教えていただけませんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきます土地等利用状況調査につきましては、まずは、不動産登記簿、住民基本台帳等の公簿情報の収集によりまして、土地等の所有者や利用目的に係る情報を把握いたします。その上で、利用の実態を現に確認する必要がある場合には現地・現況調査を行います。さらに、利用の実態について不明な点がございます場合には、土地等の利用者等から報告徴収を行う、このようにさせていただいているところでございます。

 調査に要する期間につきましては、一概に申し上げることは困難でございますけれども、個々のケースに応じまして複数の調査手法を組み合わせ、きめ細かな調査を実施することによりまして、土地等の利用状況の把握を徹底してまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 私は、本法案は非常に重要な法案だと思っておりますが、有名無実化することを懸念しております。

 仮に我が国の防衛を阻害する目的で土地を取得しようとする者が、そのとおりの目的を開示して土地を取得するはずもなく、また、取得後も、その目的が明らかに目に見えるような運用を行うはずがありません。また、先ほど、外国資本による森林買収の調査結果を見ても明らかなように、利用目的がはっきりしていないまま次々に買収が行われています。

 例えば、婚姻によって外国人配偶者が永住権の取得を申請する際に、婚姻の実態を調査するため、近隣住民への聞き込みなども含め、長期間に及び調査が行われる国は少なくありません。国の防衛に関する調査は同等以上に慎重であるべきと考えます。

 現況調査において言えば、先ほどの答弁の中で、様々な手法を組み合わせて調査をされるということでお答えはいただいたんですけれども、立入調査が入っていないというようなことも事前に聞いております。でも、立入調査というのは非常に重要なんだと思うんですね。

 例えば、隣に自衛隊があったとして、この建物の二階からはその中の様子は見えないけれども、三階のとある一室からは非常によく中が見えるといったような場合も、実際に立入調査をしてみないと分からないのではないかと思うんですね。ですので、立入調査の必要性についても意見として申し上げたいと思います。

 調査に関しまして、地方自治体との連携についてもお尋ねしたいと思います。

 本法案が定める土地等の利用状況の調査や区域指定に際し、地方公共団体とはどのように連携を行うのでしょうか。安全保障は国の専権事項ではありますが、円滑な運用のためにも、地方公共団体との事前の協議や意見交換が必要ではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきます措置につきましては、地域社会の実情を把握しておる地方公共団体の協力を得ながら執行していくということが大変重要である、このように考えているところでございます。

 このために、まず、調査の対象となります区域指定を行う前には、指定区域の所在する地方公共団体との意見交換を積極的に行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

 また、土地等利用状況調査におきましては、法案にございます第七条の規定によりまして、内閣総理大臣は、関係地方公共団体等に対しまして、指定区域内にある土地等の利用者等に関する情報の提供を求めることができるということにしてございます。その上で、当該求めがあったときには、関係地方公共団体等はその情報を提供するということにさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、関係する地方公共団体等とはしっかりと連携をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 地方公共団体側の混乱や、運用に地域差が生じること、そういうことを回避するためにも、情報の共有を始め、しっかりと連携をしていただきたいとお願い申し上げます。

 土地を買収せずとも、賃借によって土地を不適切に利用する可能性は十分に想定されます。現在も、日本法人や日本人名義の土地を外国企業や外国人に貸すケースや、外国企業が土地を取得した日本企業を買収するケースなど、様々なケースが存在しておりますが、十分に実態を把握できていないのが現状ではないでしょうか。

 本法案が指す土地の利用者こと所有者又は所有権以外の権原に基づき使用若しくは収益する者には、賃借人は含まれているという理解でよろしいでしょうか。

 先ほども申し上げたように、防衛を阻害する目的の者が正直に自分の名義で土地を取得するとは到底考えられません。いわゆるダミーを用いるのではないかと思います。本法案の目的である我が国の安全と防衛を守るため、防衛の阻害を狙う者が他者名義の土地を借りるなどの抜け穴を防ぐ措置は取られていますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 賃借についてお尋ねを賜りました。

 御指摘ございましたように、重要施設等の機能を阻害する行為を防止いたしますためには、土地等の利用行為を調査し、規制することが必要でございます。

 本法案におきましては、所有権のみならず、賃借権を含みますその他の権利に基づいて土地等を利用している者を対象といたしまして、利用状況の調査や勧告や命令等を行うこととさせていただいているところでございます。

 その上で、賃借人を含む土地等の利用者が第八条に規定いたします報告を拒んだ場合又は虚偽の報告を行った場合には三十万円以下の罰金、第九条第二項に規定しております命令に違反した場合には二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処すこととしているところでございまして、御懸念の他者名義の所有の場合におきましても実効性を確保させていただいているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 その他のところにしっかりと賃借も含まれるということを御答弁いただきました。また、それに伴い、罰則が……(発言する者あり)済みません、所有権が含まれるということもありましたし、罰則もしっかりとあるということも御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 さて、本法案が定める重要施設に皇居や赤坂御用地などの宮内庁関連施設があらかじめ明記されていないことに、非常に違和感を覚えます。また、国会議事堂や総理大臣官邸、霞が関等の官公庁も含まれておりません。言うまでもなく、これらの施設の安全が阻害されれば、国民生活の基盤の維持は困難になることは明らかですが、どのような理由で対象になっていないのか、質問いたします。

 また、そのほか、原子力発電所や空港など、国民保護法が定める生活関連等施設についてはいかがでしょうか。質問いたします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 皇居でありますとか国会議事堂、官公庁が重要であるという御指摘を賜りましたが、そのとおりであるというふうに存じております。

 その一方で、今回の法案の取りまとめに当たりましては、安全保障の確保と経済の自由のバランスに配慮いたしまして、必要最低限の措置とする、このような考え方の下に、それ自体が我が国の防衛の基盤となっている防衛施設等や、領海等の保全に関する活動の基盤となっております海上保安庁の施設、そして、その機能が阻害された場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれのある生活関連施設、そして、領海の基礎等としての機能を持ちます国境離島等を対象とさせていただいたところでございます。

 なお、具体的な生活関連施設の類型につきましては、法施行後に政令で定めさせていただくということとしてございます。有識者会議の提言におきまして原子力発電所や自衛隊が共用する民間空港が挙げられたということを参考といたしまして、国会での御審議、あるいはその施設ごとの懸念の実態などを勘案いたしまして、政府として検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

杉田委員 ちょっと、先ほど分からないというような意見もあったんですけれども、国内外の情勢等を考慮しながら、適切な対応をお願いしたいというふうに思います。

 また、これも、前にも議論になった法案なんですけれども、施行された法律なんですけれども、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律、これにおいては重要施設の定義が明確に定められております。皇居や官邸のように、先ほど私が例に挙げた施設は重要施設として定められております。同じように重要施設や重要施設周辺という言葉を用いていても、法律によってその定義が明確であったりなかったりすることには、非常に違和感を覚えます。

 様々な理由が、先ほどは経済とのバランスというような御答弁もいただいたんですけれども、やはり、国家の安全が脅かされると経済どころではなくなってしまうのではないかと思います。様々な理由があることは承知しておりますけれども、国としての重要施設については、一つ明確な基準があった方が運用面においても非常に有効ではないのかと思います。是非とも検討をしていきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 最後になりますが、二〇一八年には、中国のインターネットショッピングサイト、アリババで、航空自衛隊千歳基地と新千歳空港に隣接する五十二ヘクタールの土地が四十九億円で売りに出され、話題となりました。また、同じく北海道の滝川市では、陸上自衛隊滝川駐屯地が一望できる山林を中国企業が買収し、倶知安町の陸上自衛隊倶知安駐屯地の隣接地百ヘクタールの土地も中国系企業に買収されています。このように、どんどんたくさんの土地が買収されていて、私のところにも、本当にこれを早く、法規制をしっかりやってほしいという声が連日届いております。

 これまで我が国には、安全保障上の懸念がある地域でも、外国資本による土地取得の規制がなかったことが要因で、先ほど私、八年前の話をいたしましたが、この八年間にももうかなりの土地が外国資本に買われてしまっているというような、そういった実態があります。隣の韓国においても、外国人の土地取得には許可申請制度がありますし、中国においては、外国人どころか自国民でさえ土地の取得ができないことになっています。私は、外交は相互主義であるべきだと考えており、日本においても必要な規制は行われるべきだと思っております。

 また、中国では、昨年、国防法が改正されました。その中には、海外権益などの発展の利益を守るために軍事力を動員する、こういうふうな規定が定められているんです。我々日本が今回のこの法案を制定しましたら、それによる規制で、これが、先ほど申し上げました中国の国防法によると、海外の利益が阻害されたとみなされる可能性も十分にあるわけです。だから、慎重に議論していく必要もあるかと思うんですけれども、こういった海外の圧力に屈することなく、是非日本の安全と国益を守っていただきたいと強く要望したいと思います。

 ここで、ちょっとあれなんですけれども、大臣、質問には入れていなかったんですが、心意気を一言いただいてもよろしいでしょうか。

小此木国務大臣 杉田委員の質疑を聞いておりました。国を守るという意識、そして不安、あるいは危険から成るものから国民をしっかりと守っていかなきゃいけないという、国会議員としての意識を強く感じました。

 この法律は、国会議員の皆様が地域を歩いて、あるいは様々な地域の議会からも、不安としてこの場に届けられたものだと思っておりますので、この法案質疑を通しまして、様々な、皆さんからの厳しい御意見もありましょうけれども、そういった議論を通しまして、一人でも多くの皆さんが不安をなくす、そして、おっしゃいましたような、防衛について、国を守るということについてのその気持ちを少しでも前に進めたいという思いで、委員の意識を受けまして、質疑を通してお答えをしてまいりたいと存じます。

杉田委員 大臣、ありがとうございます。大変前向きな答弁をいただいて、私も非常にうれしく思っております。

 今週、住友重機械工業が陸上自衛隊向けに製作した試験用機関銃に使われた部品の設計図面が中国へ流出していたというショッキングなニュースがありました。日本は、土地だけではなく、技術も、情報も、人材も海外から狙われているということをもっと自覚しなければなりません。我々国会議員には、これらの財産をしっかりと守る責務があります。

 これまで指摘してきたように、まだ不十分ではないかと感じる点は多々あるのではございますが、私は、まずはこの法案が早期に成立して、抑止力として大きな一歩につながることを期待しております。その期待を申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

木原委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本会議に引き続いて質疑をさせていただきますが、この法案については、我々公明党としても熱心に議論させていただいた結果、大変恐縮ながら、ちょっと党内手続も時間がかかったというようなこともございます。この点については、この法案の成立を心待ちにしておられる方々からすれば、ちょっともどかしい気持ちを持っておられたんじゃないかと思いますけれども、我々、党の中でしっかり議論した上で、よりいいものになったんじゃないかという評価もしていただけるように、どういうことにこだわってきたのかという話を少しだけ開陳できればと思っております。

 言うまでもなく、安全保障といいますのは国民の安全、安心及び自由な経済活動の基盤でございますので、実際に問題が発生してからでは対応は手遅れになってしまうということでございます。

 そのようなことが起きないために手を打たなければいけないんですけれども、今回の法案についても、よく、まず最初の入口として、立法事実というような話が出てきたりします。当然、国会議員である限りは、この立法事実というものはしっかり重視をしなければいけない。その上で、重視しなければいけない一方で、安全保障という類いのものについては、未然に防ぐという考え方、こういう意識を持つということも極めて重要だと思っております。

 そういう意味からいいますと、今回、状況として、実際の問題が生じる蓋然性が高まっているということ、高まってきているんじゃないかという点。これはいろいろな、先ほどもありましたが、対馬の話とかもございました、千歳もありますけれども、いろいろなところがそういう問題が生じるんじゃないのというところ。それプラス、今までずっと政府としては調査はしてきたんです、調査は。調査はしてきたんだけれども、法律や制度の裏づけがない行政事務では十分な目的が果たせないというところ。この二つをもってすれば、私は十分な立法事実になるんじゃないかと考えておりました。

 その上で、先ほども申し上げたとおり、これまでも調査はしてきたんです。二〇一三年、防衛省は防衛施設隣接地について調査してきて、累次重ねて調査をしてまいりました。二〇一七年からは、内閣府総合海洋政策推進事務局が国境離島の領海基線の近傍の土地について調査をしてきたわけでございます。

 この調査の結果、どのような調査が行われて、さらに、有識者会議の提言に、一定の限界があったという評価がなされているわけです。ですので、これらの調査によって具体的に何ができなかったから今回の法案を作らなければいけないのか、この必要な理由について、小此木大臣に伺いたいと思います。

小此木国務大臣 防衛省が実施した隣接地調査ですが、対象が防衛施設の隣接地に限られるとともに、不動産登記簿等の一般に入手可能な資料により調査を行い、登記名義人の氏名及び住所などを確認していったものと伺っております。このため、実態上の所有者と登記記録上の所有者の不一致、不動産登記簿の地目、これは土地の主な用途による区分、田畑、宅地などでありますけれども、この地目以上の利用実態までは把握できないなどの限界があったものと伺っております。

 また、内閣府海洋事務局の調査においても、国境離島の領海基線の近傍の土地全てにおいて、不動産登記簿の情報を収集し、所有者の把握を行いましたが、同様の課題があったものと認識しています。

 こうした課題を踏まえて、本法案においては、不動産登記簿に加え、住民基本台帳、戸籍簿などの複数の公簿の収集による所有者等の氏名、住所、国籍等の正確な情報の把握、土地等の利用者等からの報告徴収による具体的な利用実態の把握を可能とすることとしたものであり、これらの措置により、できる限り具体的な実態把握を行い、法律全体の実効性を高めてまいりたいと存じます。

濱村委員 まず、これ、利用実態の把握自体はなかなか難しいということでございますので、この法案で措置しなければいけないことだろうと思っております。その上で、利用実態が不適切だということが把握できた上でどういうことを措置できるか。この大きな二つの柱があろうかと思っておりますので、こうしたところにどこまでやるべきかということを熱心に議論するべきなんだと思っております。

 まず、調査すべきものとして、どういうところにするべきか。防衛省の防衛施設隣接地ですと、隣接していないと調査できなかったわけでございますので、それはやはりもっと広げた範囲内で確認していかないといけない、これが一つの調査対象として広げるべき点なんだろうと思っておりますけれども、この点について、注視区域とか特別注視区域の指定をすることにこの法案ではなっているわけでございます。

 その指定において、ちょっと私も本会議で御質問させていただいた中で言いますと、経済的社会的観点から留意すべき事項を踏まえて評価した結果として、例えば、施設周辺の密集市街地の形成状況等に応じ、特別注視区域の要件に当たる区域であっても、当初は注視区域として指定することがあり得るものと考えていますと大臣から御答弁をいただきました。

 この点については、政府の基本方針や区域指定を私は縛るわけにはいかないと思っております。一方で、ある程度のイメージについては共有をしていかなければいけないんだろうと思っておりまして、そうしないと、どういうことを念頭に置きながら議論を深めていけばいいのかが分からないということになろうかと思っています。

 ですので、対象施設の類型については既に本会議でも御答弁いただいたとおりで、四類型、まとめられたわけでございます。注視区域も特別注視区域もそれぞれ四類型がありました。重要施設かどうかは、状況に応じて施設の用途は変更となるということはあり得るわけでございますので、全て御提示いただくのは難しいんじゃないかなと考えております。

 その上でお伺いいたしますが、要件に当てはまる可能性が高い防衛関係施設がおおむねどれぐらいの施設を想定されるのであるのか。また、領海基線を有する国境離島、これは明確になっているかと思いますので、この国境離島、有人国境離島地域離島について全部でどの程度あるのか。伺いたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました防衛関係施設の周辺でありますとかあるいは国境離島等につきましては、法律の要件でございますとか基本方針の内容に照らして個々の区域を評価させていただきます。そして、新たに設置させていただきます土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、指定の要否あるいは範囲など、それぞれ判断をさせていただくこととしておるところでございます。

 したがいまして、現時点におきまして本法案の対象区域は決定していないところでございますが、その前提で、本法案の検討に当たりまして、対象区域として想定いたしました防衛関係施設の周辺、国境離島等の考え方をお答え申し上げたいと存じます。

 まず、防衛関係施設に関しましては、機能を阻害される用に供されることを特に防止する必要があるとの要件に該当し得ます、部隊等の活動拠点となります施設、部隊等の機能支援を行います施設、装備品の研究開発等を行います施設、我が国の防衛に直接関連する研究を行います施設といった合計約四百数十の施設の周辺が注視区域として指定の検討対象になるものと認識をしているところでございます。

 また、機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設による機能の代替が困難であるものとの要件に該当し得ます、指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能を有する施設、離島に所在する施設といった約百数十の施設の周辺が特別注視区域として指定の検討対象になるものと認識をしているところでございます。

 なお、在日米軍施設・区域につきましては、自衛隊施設の周辺区域の指定の考え方などを踏まえまして、管理者である米軍との間で詳細を確認した上で区域指定を検討する必要があるものと考えているところでございます。

 次に、国境離島等における区域指定の考え方につきましてお答え申し上げます。

 本法案では、領海基線を有する離島のうち、我が国が現に保全管理を行っております国境離島、これは合計で四百八十四ございます、これに加えまして、有人国境離島法に基づく有人国境離島地域を構成する離島でございます有人国境離島地域離島、これは合計で百四十八ございます、これにおきまして、それぞれ区域指定を行うということとさせていただいているところでございます。

 ただいま御説明いたしました国境離島のうち、無人であって、民有地が所在する四十島につきましては、区域指定をする必要性、緊急性が高いものと考えているところでございます。

 一方、有人国境離島地域離島のうち、領海基線を有する島、これは合計六十一島ございます、こちらでは、領海基線近傍の範囲等が区域指定の検討対象になるものと考えてございます。また、領海基線を有しない島、これは八十七島ございますが、こちらでは、領海警備等の活動拠点となります港湾施設及び行政機関の施設等の周辺が区域指定の検討対象になるものと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、具体的な区域の指定につきましては、国会での御審議も踏まえまして、法定する手続に沿って適切に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 今の点、非常に数字とかもいっぱい出てきて、ちゃんとこれを前提に議論を深められればと私は思いますが、要件としては、先ほどるる御説明いただいた点は本会議の質問の中でも答弁があったとおりです。その上で大体の、おおむねの規模感も披露いただいたわけでございますが、この上でちょっと確認をしたいと思います。

 恐らくこれがまず大前提となってくるんだと思っておりますが、今、防衛関係施設とか国境離島については伺ったわけですが、海保、生活関連施設について伺いたいと思います。

 海上保安庁の施設や生活関連施設、これはどういうものが想定されるかというと、原子力関係施設であったり自衛隊が共用する民間空港について想定されておられるわけでございますが、これについてどの程度区域指定の対象があり得るのか、確認をしたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁の施設や生活関連施設につきましても、本法案の対象区域は現時点においては決定していないところでございます。その前提で、本法案の検討に当たりまして、対象区域として想定いたしました海上保安庁の施設、生活関連施設の周辺の考え方をお答え申し上げたいと存じます。

 まず、海上保安庁の施設でございますが、これは合計で百七十四施設ございます。このうち法律に規定いたします重要施設といたしましては、領海等の保全の機能を担う施設に限定をさせていただきたいと考えてございます。当面は、尖閣諸島周辺の海域におきます領海警備を担当しております第十一管区海上保安本部及び石垣海上保安部の二施設の周辺を対象区域として指定する必要性、緊急性が高いものと考えているところでございます。

 有人国境離島地域離島に所在いたします海保施設は合計で十六施設でございます。有人国境離島地域離島につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、領海基線の近傍、あるいは領海警備等の活動拠点となります港湾施設及び行政機関の施設等の周辺につきまして、対象区域として指定することを検討しておりまして、その対象区域に海保施設が含まれることはあり得るもの、このように考えているところでございます。

 次に、重要インフラ施設についてでございます。

 重要インフラ施設につきましては、これは生活関連施設でございますが、こちらにつきましては、まず、対象といたします類型を政令で定める仕組みでございます。政令制定に当たりましては、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものにつきまして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で判断をさせていただくということにいたしておるところでございます。

 現時点で政令で定めることを検討しております類型は、原子力関係施設と自衛隊が共用する空港の二つの類型でございます。

 原子力関係施設につきましては、電力供給への影響及び原子力施設の災害防止、核燃料物資等の保護の観点から、必要な施設の周辺を区域指定することを検討しているところでございます。

 また、自衛隊が共用いたします空港につきましては、国、国土交通大臣でございますが、国又は地方公共団体が管理する施設の周辺を区域指定することを検討しているところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほどと同様でございますが、具体的な区域指定につきましては、法定する手続に沿って適切に進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 今おっしゃっていただいたとおりで、海上保安庁の施設、第十一管区と、あと石垣という話もございました。生活関連施設についても、類型としては二類型ですよ、その中から審議会を経て、手続を経てちゃんと決めていきますということでございます。しっかりとこれを念頭に議論をしたいと思います。

 続いて、その上で、どういう行為について措置をできるようにするかということについて言うと、機能阻害行為について措置をできるようにしたというのがこの法案でございます。

 機能阻害行為については、じゃ、一体何なんですかという議論があって、実はこの点はいろいろな意見があって、本会議でも質問も出ておりましたが、やはり、その中でも言われているんですけれども、なかなか、条文で網羅的に示すとなりますと、想定していないことも起き得るんじゃないか、あるいは潜脱する人たちが出てくるんじゃないかなと。私がそういう機能阻害行為をやるような者であるならば、この要件に当てはまらないんだからいいじゃないかということで、やり得ると思います。機能阻害行為をするということは、悪意を持ってそういうことをやっているわけですので、当然そういうことが想定されると思っております。

 そういう意味から考えても、なかなか、類型化してしまいますと、かえってそういう行為が潜脱的に実施されてしまうのだろうということと考えておりますが、そうはいっても、基本方針には記載をするわけでございますので、今現時点で想定しているような行為類型について、政府の考え方を伺っておきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました機能阻害行為についてでございますけれども、こちらは、安全保障をめぐります内外情勢や施設の特性等に応じまして様々な態様が想定されるものと考えているところでございます。

 このため、御指摘もございましたが、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難であると考えてございますけれども、例えば、重要施設に関しましては重要施設の機能に支障を来す構造物の設置でございますとか、あるいは、国境離島等に関しましては領海基線の根拠となります低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが、それぞれ、御指摘のございました機能阻害行為に該当し得るものと考えているところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 ありがとうございます。これは実は、本会議の答弁でも同様の御答弁が大臣からあったところでございます。

 今出し得るこうした、網羅的にはなかなか示すのは難しいので、類型としてはこうしたものを御提示いただいた上で、それで十分であるのかどうであるのかということを議論しなきゃいけないんだろうと思っております。

 続いて、党内でも少し議論が分かれたところがあって、議論が分かれたというからどうかというと、私、政党なので、ちゃんと政党の中で議論をそれぞれするというのは当たり前のことだと思っていますので、その上で、うちの党内でもちゃんとまとめてきたものとして、事前届出についての話をさせていただきたいと思います。

 私権制限があるという前提でいうと、そうした私権制限というのは自由な経済活動をちゃんと保障した上で行われるべきだという話がございますが、まず、特別注視区域について、所有権移転等について事前届出が罰則つきで課されます。具体的に、どの程度の事務的負担、これは事前届出する者からすればどの程度の事務的な負担になるのか、確認したいと思います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 特別注視区域内にございます土地等の所有権の移転等につきましては、その状況を適時に把握し、機能阻害行為を可能な限り早い段階で防止いたしますために、契約の際に当事者に事前届出を求めることということとさせていただいているところでございます。

 御指摘ございました事務的負担につきましては、定量的にこれをお答えするということは困難でございますけれども、その手続負担につきましては、必要最小限のものとするということにいたしたいと考えてございます。

 具体的には、対象となります権利の種類を所有権又はその取得を目的といたします権利に限定いたします。また、対象となる土地等の規模につきまして、一定面積以上のものに限定するということにいたしているところでございます。

 加えて、これは運用レベルの話でございますけれども、届出の書式をできるだけ簡素なものとするといたしますとともに、記載マニュアルなどを策定する方向で検討させていただきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

濱村委員 記載マニュアル等とか、あるいは面積要件とかというのは、ある程度、影響を少し狭めるような話になろうかと思っておりますが、そもそも、この事前届出自体が自由な経済活動に支障を来すレベルにあるかというと、私は全くそんなことはないと思ったんですね。ただ、人によっては、これはいろいろ負担をかけるよねというような意見もありました。あったものですから、この点について、じゃ、どうやって整理しようかというのを悩みました。

 その上で、さらに、この行為が実際の土地等の取引をされる方々からすればどのような負担になるのかということで、いわゆる不動産契約というのは大体が、買主さんが個人でも企業でも、宅建士さんが仲介されることになります。宅建士さんがこの取引において、例えば特別注視区域に指定されている物件の場合はどのような役割を果たされるのか。恐らく、買主さんは事前届出の書類を提出しなければいけないんですけれども、これを宅建士さんは買主に伝えてくれるんでしょうか。買主は、あるいは、自分で認識しておいて、これは宅建士から何も言われなくて、不動産取引をするような者が自分で認識しておかなければいけないのか。この点、どのように想定されておられるのか、伺います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 特別注視区域における事前届出につきましては、区域内の土地等の所有者等に制度の内容を十分に御理解いただくことが重要であると考えております。

 このため、地方公共団体や不動産業関連団体等に対し、十分な時間的余裕を持って、普及、広報を行い、制度の趣旨、求められる対応等を分かりやすく周知し、円滑な手続が行われるよう徹底していきたいと考えております。

 さらに、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明として位置づけることを想定しており、宅地建物取引業者の媒介等により区域内の土地等を購入する買主は、売買契約が成立するまでの間に、重要事項説明として、事前届出義務がある旨の説明を受けることとなります。

 以上でございます。

濱村委員 重要事項説明を想定しているという話でした。これは大事だなと思います。

 その上で、直接取引の場合、重要事項は売主さんがちゃんと提示しなければいけないと思います。直接取引の場合は、事前届出、買主が認識しなければいけないんでしょうか。あるいは、買主が届出必要と認識できるためにはどういうことを政府としては取り組まれるのか。この点について伺いたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 宅地建物取引業者が媒介等を行わない直接取引におきましては、宅地建物取引業者による重要事項説明は行われないということになります。

 このため、地方公共団体、不動産業関連団体等を通じ、制度の趣旨、求められる対応等の周知徹底を図るとともに、内閣府の担当部局に相談窓口を設置し、宅地建物取引事業者が媒介等を行わない場合においても制度の円滑な運用に支障が生じることがないよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

濱村委員 時間が参りましたので終わりますが、この点、直接取引は要注意かなと思っております。また来週に、引き続いてやりたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 法案の審議をさせていただきます。小此木大臣に質問をさせていただきます。

 この法案、十年来議論がされてきています。私、北海道の選挙区で、度々名前、地名が出てまいります、外国人の方のリゾート地、外国の方の土地の購入なども非常に目立った時期がありまして、私の有権者の皆さんからも不安の声をいただいてきた課題ではあります。ですから、私も考えなきゃいけない問題だなということでずっと思ってまいりました。

 今回、土地と建物が対象なわけですが、もちろん、防衛省の施設、自衛隊の基地、米軍基地にいろいろな攻撃がかけられたら困るわけですけれども、それは当然私も大臣と一致しているんですが、九・一一テロとか、それから今サイバー攻撃の時代に、わざわざ基地の一キロ以内に土地を買ってそこに侵入するということよりも脅威はたくさんあるんじゃないかなと。私は、この土地と建物を規制するという法は、それも全国にわたってこういうことというのは、本当に実効性があるのかなと。

 逆に言うと、私が心配していたのは、土地を買わないとできないのは、やはり、水源地とか、我々にとっても大切な水などの確保、こういったことは、もちろん、日本の企業でもおかしなことをする会社は困りますし、まして、余り差別はしたくないですけれども、外国の方が水源地を買うというのは心配だというのは私も分かるんです。そういうことなら分かるんですけれども、今回、水源地とかが抜けているわけですよね。

 なぜ水源地は抜けたんですか。

小此木国務大臣 先ほどの御議論もあったと思いますけれども、この国会でも度々ありました、水源地、あるいはこういった今の御指摘については、森林法という既存の法律がございます。この有識者会議等を経て今回来ておりますけれども、そういった意見でも、今御指摘の点につきましては、森林法について届出の制限規制が行われている中でのことを考えようということで、今回は今御指摘のとおりとなりました。

本多委員 私も、それから多くの北海道民も心配をしている水源地の問題は、今、森林法できちんと確保されているから大丈夫だということでお話を伺いました。

 そうしますと、次に、これが突然です、十年たって、外国人だけ駄目というわけにはいかない、国際ルールやいろいろな関係でいかないという中で、結局、十年たって出てきた法律を見てくると、基地の周りで何かやっている人を監視をするみたいな法案に結局なっちゃっているんじゃないかという心配が今多くの方からも寄せられていますし、私は、小此木大臣はそういう意図でやったんじゃないと思っています、私はですよ。

 だけれども、結局、立法事実がないまま、不安に応えようというだけでやったせいで、横須賀の基地の周辺でマンションを持っている人、何でこんな人が規制の対象にならなきゃいけないんですか、こういう法案になっちゃったんじゃないかと。

 まして私が一番心配しているのは、横須賀の基地が見える高台にマンションの部屋を持っている方、これ、すぐ被害が及ぶと思わないんですけれども、実は、大臣、日本の基地の周り、米軍基地の周り、そして今回対象になるかもしれない原発の周りには、反対運動をされている方がいらっしゃいます。その反対をすることの是非はいろいろあるかもしれません。しかし、反対運動、日本は言論、表現の自由があるから、一生懸命されている方がいるわけです。

 この方々というのは、ある意味で、この法律で言うと阻害しようとしているわけですよ、この基地要らないとか、この原発早くやめろとか。そういう方の行為、そういう方が使ういろいろな道具が入っている倉庫、こんな建物や土地が、つまり、本当に守らなきゃいけないものは守れないで、これまで長年日本の基地や原発の周りで反対運動をやっていた方の土地や建物が、いろいろ調査が入る、使い方がおかしいとけちがつくんじゃないか、こういう疑念がたくさん出ているんですが、大臣、そういうことはないんですか。

小此木国務大臣 横須賀の件は、報道だと思いますけれども、その点について調査をした事実は政府としてはないと報告を受けております。確認したところの報告でありますが。

 様々な不安がございましたけれども、不安だらけといいますか、議論はされてきたものの、地方の声とすれば、何らかの法制化を望まれたところであって、何ら、そのまま放置しておけば取り返しのつかないことになるという不安ですとか、議論がされた結果、今日を迎えておりますので、この法案につきましては、まずはそういったところを調査しましょうというたてつけになっている、こういうふうに発信しております。

本多委員 済みません、私の一番大事な質問に答えていないんです。

 基地や原発の反対運動、ある意味、自衛隊や電力会社から見たら迷惑な人たちだなと思っているかもしれませんが、その方々に対してこれは関わってきませんか。

小此木国務大臣 そういう不安が気持ちの上であろうことは理解できますけれども、ただ単に、座込みですとか抗議活動、今委員がおっしゃいましたように、これは日本人に与えられた国内での権利ではありますので、ここは慎重な検討とともに進めていく必要があるというのは、これは前提となっております。

本多委員 そういういいかげんな答弁をするから、だんだん不安が高まっているんですよ。

 座込みは入らないというのは本会議場で聞きました。それを聞いて、余計私は心配になりました。いいですか、大臣。反対運動っていろいろ、知らないかもしれませんけれども、道路で座り込むというのもあるかもしれませんけれども、例えば、基地に新たな兵器の搬入阻止運動とか、実際にできるかどうか分からないけれども、これ以上強化されたらたまらぬ、基地の何とか搬入阻止運動とか、原発、これ以上、再稼働のための燃料搬入阻止活動とか、それは公務執行妨害とすれすれのところで頑張っているんですよ、そういう方は。場合……(発言する者あり)ちょっと、じゃ、委員長。

木原委員長 どうぞ、お続けください。(本多委員「いや、止めてください。この人たち、静かにしてください」と呼ぶ)

 どうぞ続けてください。必要な場合にはちゃんと制止をいたしますので、どうぞ続けてください。

本多委員 こういう方は入らないんですか、大臣。

小此木国務大臣 この法律、まだ成立しておりませんけれども、そういった妨害、今、公務執行妨害とおっしゃいましたけれども、それはそれで取り締まる現行の制度があると心得ます。

本多委員 そうなんです。搬入阻止といったって、本当にそんなことが成功するわけないんですよ、なかなか。公務執行妨害で、頑張り過ぎると捕まっちゃって、この警察のやり方もケース・バイ・ケースで、ちょっとやり過ぎじゃないかなんて声もいただきますよ。でも、最後はそれで収まっているわけです。いいですか、大臣。

 その搬入阻止運動、何とか基地に、何とか搬入阻止運動に使うときの三角コーンとかプラカードとか、それから、農家のじいちゃんがまたちょっとトラクター出すわと、そのトラクターの倉庫とか、基地の活動を阻害する行為のための建物になっちゃうじゃないですか。ならないんですか。ならないと答弁してください、ならないって。反対運動の農家のじいちゃんが持っているトラクターの倉庫は、基地の機能を阻害する行為にならないと答弁してくださいよ。そうじゃなきゃ、こんな法案、通せないですから。

小此木国務大臣 注視区域内の土地等において、その利用者が、単に三角コーンやトラクターですか、などの機材を保管しているにすぎない場合は、当該土地等を施設機能を阻害する行為の用に供しているとは言えない、本法律に基づく勧告等の対象となることはないと考えています。

本多委員 その答弁を守ってほしいんですけれども、菅内閣というのは、日本学術会議で、中曽根内閣、中曽根総理がした答弁を簡単にひっくり返している人が総理大臣をやっているんですよね。ですからなかなか信用できないです。

 それで、私は、そうであれば、いいですか、この機能阻害行為、例示されていますよね、きちんと答弁では。構築物の設置、電波障害準備行為、施設侵入準備行為。今どき、基地の地下からトンネルを掘って基地に侵入しようなんという作戦が遂行されると私は余り思いません。電波とかサイバーのことをしっかりやった方がいいと思いますけれども。電波やサイバーは一キロ関係ないですからね。一キロだけ注視していいなんて全く思いませんよ。だから、飛行機が飛べないようにたこを揚げるとか、本当に限定されたケースしかないんですよ、基地の近くで阻害する行為なんて。

 こういうことを例示列挙したらどうなんですか、法律に。なぜ例示列挙しないんですか。

小此木国務大臣 機能阻害行為ですが、具体的に想定している行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されると思います。このため、特定の行為を普遍的、代表的な機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないと考えています。

 いずれにいたしましても、閣議決定される基本方針において、可能な限り具体的に機能阻害行為の例示をお示ししたいと考えております。

本多委員 だから、法律で決めないと、法律で決めたって、私が言っているのは、だから、これを例示した上で、国会でも、などとか等をつけるなとは言いませんよ、百歩譲って。私は、今の菅内閣だったら、などとか等をつけたって心配ですよ。だけれども、などとか等をつければ、いろいろな情勢で、今思い浮かぶものがこれしかないんでしょう、これだって陳腐だと思いますけれどもね、トンネルを掘って基地に侵入するって。そんなものに対応できない米軍や自衛隊じゃないですよ。電波やサイバーは、一キロ範囲内からなんかやりませんよ。

 だから、そういうことを、反対運動の人のトラクターとか三角コーンが入らないと、裁判で勝てるじゃないですか、こうやって例示しておいてくれれば。こういうものを想定しているのに、反対運動で繰り出すプラカードとかそういうものの倉庫は除外されると、少しはましになるので、例示列挙、こういうものだよ、阻害行為というのはこういうものだよと書いて、私は、百歩譲って、などを入れてもいいと言っているのに、なども入れないから心配になるじゃないですか。法律に機能阻害行為と書いちゃったら、入っちゃうじゃないですか。

 限定列挙しろと言っているんじゃないんですよ。例示列挙をしている法律はたくさんありますよね。政府のやり口は、などと書いているところで、などでいろいろなものを読むから問題だけれども、例示列挙さえしないのはなぜですか。犯罪になるんですよ、言うことを聞かないと最後は懲役刑がかかる行為なんですよ。

 こんなの、何をしていいのか、して駄目なのか分からないじゃないですか。なぜ例示列挙しないんですか。

小此木国務大臣 改めて、機能阻害行為について、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが該当し得るものと考えております。

 ただし、繰り返しになりますけれども、機能阻害行為として具体的に想定しております行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されます。このため、特定の行為を普遍的、代表的な機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないものと考えます。

 いずれにしても、閣議決定される基本方針において、可能な限り具体的に機能阻害行為の例示をお示ししたいと考えています。

本多委員 必ずしもなんて言っているということは、大臣も、私の言っていることは一理あると思っているんじゃないですか。

 だから、本当に通したいんだったら、こんな刑罰も絡むようなこと、機能阻害行為と読めると思いますよ、反対運動も。読めちゃいますよね。さっき駄目と答弁したんだから、それは未来永劫、ちゃんとそのとおり法を運用してほしいと思うけれども、不安になるんですよ、こんな法律だと。

 もっと不安なところを言います。内閣総理大臣は、土地の利用者その他関係者に報告、資料の提出を求めることができる。第八条です。これを拒むと懲役がかかってきます。

 土地の利用者、まあ、百歩譲ってよしとしましょう。土地等ですから、これはマンションの所有者も入ります。その他関係者って、きちんと例示、これこそ列挙してもらえませんか。友人、家族、反対運動の関係者、近所、こんな人が、報告、資料の提出を総理大臣から求められ、いやいや、あの人は反対運動を頑張っているけれども、長いつき合いだから、そんな、警察の人や自衛隊の人に簡単にあの人がどんな人かしゃべるわけにいかぬわと言ったじいちゃんが、何で懲役を受けないといけないんですか。

 土地の利用者その他関係者って何ですか。これは懲役がかかるんですよ。こんなすかすかの法律、やめてくださいよ。例示してください。何なんですか、その他関係者って。

小此木国務大臣 第八条について御質問がございましたけれども、そこに規定する報告徴収等の対象となるその他の関係者については、土地等の利用者のほか、土地等の利用状況を知り得る者として、例えば、土地等の利用者が法人である場合、その役員、土地等の利用者との契約等により当該土地等における作業、工事等に従事している者、下請業者等ですが、これを想定しています。

 一方、報告徴収等は、土地の利用状況を把握するための調査の一環であることから、単に土地等の利用者の家族や知人であることを理由として報告徴収の対象とすることは考えていません。

本多委員 その土地の利用状況を分かっているかもしれないじゃないですか、近所とか、反対運動の関係者。聞かないんですか、そういう人は。

小此木国務大臣 いろいろな状況があろうかと思いますけれども、単にと申し上げましたが、単に土地等の利用者や利用者の家族や知人であることを理由として報告徴収等の対象とすることは考えておりません。

本多委員 だから、対象になるんですか。私は、法人の役員とか、さっき列挙された法定相続人とか、土地のそういう人に絞るんじゃなかったんですか。必要があれば、近所、会社の同僚、運動の関係省に報告を徴収させて、いや、私はそんな近所の人間を売るわけにいかぬと言ったじいちゃんを懲役に処すんですか。

小此木国務大臣 繰り返しになりますが、単に土地等の利用者の家族や、おじいちゃんと言いましたか、おじいちゃんを、知人であるとか関係者であるとか、そういうことを理由として報告徴収等の対象とすることは考えていないということを申し上げました。

本多委員 いや、単にじゃない場合ってどういう場合なんですか。だから、利用状況を本当に知りたかったらそういう人に聞くことになっちゃうじゃないですか。その他関係者って、これは全ての人が入っちゃうじゃないですか。

 横須賀でマンションを買って、軍艦が好きで毎日写真を撮っている人、あの人何なんですかって近所に聞いて、いや、そんなこと言えませんよと言った人が懲役になっちゃうって、おかしくないですか。

小此木国務大臣 明確に入らないところは申し上げましたけれども、利用する行為者がいますけれども、その行為者について、例えば言われたような、どこの方か分かりませんけれども、おじいちゃんがそこに関わっているような場合もあろうかと思います。それをここで今明らかにすることはもちろんできませんけれども、この法律を通していただいて、その調査から入るわけでありますので、そういう中での、怪しいといいますか、繰り返しになりますけれども、そういうことのない、単に土地等の利用者の家族や知人であることを理由として報告徴収等の対象とすることは考えていないということであります。

本多委員 そうであれば、そういう法律で提出をしていただけませんか。

 いいですか。注視区域内にある土地等の、土地等は建物も入りますよ、利用者その他関係省に対し、当該土地等の利用に関し報告又は資料の提出を求めることができる。この八条を拒むと罰金がかかるんじゃないんですか。

小此木国務大臣 それはそのとおりです。

本多委員 その他関係者は私は広過ぎると思うんですけれども、いかがですか。法律の書き方を工夫していただけないですか。何でも読めちゃうんですよ、その他関係者だと。例示列挙したらどうですか、少なくとも。例えば、法定相続人であるとか、その法人の役員とか、限定とまではいかなくても。

 この法案は全部そうなんですよ。地域の指定も、さっき言った阻害行為の中身も、関係者も、何の例示もなく、こんな、日本中の基地周辺、原発周辺に網をかけるみたいな法律、どうやって賛成しろと言うんですか、範囲が分からないで。

小此木国務大臣 本法案に基づく報告徴収等においていかなる者を対象とするかについては、個別具体のケースに応じて、その土地等の利用状況を知り得る立場にいる者に対して行う必要があり、法律上、特定の者に限定することとすれば調査の目的を達成し得なくなることから、適当ではないものと考えております。

 その上で、その他の関係者については、繰り返しになりますけれども、土地等の利用者が法人である場合、その役員、土地等の利用者との契約等により当該土地等における作業、工事等に従事している者を想定しております。

本多委員 日本は、残念なことに基地と住宅が密接しちゃっているんですよね、既に。そういうところで調査をかけて、そのぐらいでその他関係者に罰則をかけるというのは、私は、ちょっとこれは、明確な答弁をいただけなかったのは残念です。

 不安から始まった法案が、国民の素朴な不安は私は分かるんですよ、だけれども、こんな大きな、何か規制監視法案みたいになっちゃっているのは本当に理解ができないです。もっと絞って、本当に危ない行為に絞って限定列挙をすべきだと、まずは思いますよ。

 それと、こうやって私、そもそも、ちょっと立法事実の話、防衛副大臣にも来ていただいているので申し訳ないので質問しますけれども、立法事実の話にちょっと戻りますよ、大臣。

 ずっと政府は、こうやって外国人が基地の周辺に土地を買うことが不安だ、不安だという声がたくさん出たので、これまでの答弁は、部隊等の運営に支障を及ぼしているとは認識していないと明確に政府の答弁書などでも答えてきました。ところが、先日の本会議、お答えすることは適当ではないと方針を変えられましたね。私、本会議場で聞きました。

 これまでは、そういう外国人の土地で自衛隊の基地が影響を受けたことはないと言ってきたのに、お答えしないになった理由はなぜですか。

小此木国務大臣 御指摘のような事例が過去にあったか否か、これについては、安全保障上のリスクを回避する観点から、お答えすることは適切でないと考えると申し上げました。

 その上で、過去の政府の答弁は、防衛省による既存調査ですけれども、全国約六百五十の防衛関係施設の隣接地のみを対象に、土地登記簿謄本等の公知の情報のみを収集した限定的な調査であって、その限りにおいては自衛隊や米軍の運用上の支障を確認できていない旨を述べたものと承知しています。

 一方、この結果のみからは、本法律案が対象とする防衛関係施設や離島等の隣接地以外も含む周辺において、本法案が想定している機能阻害行為が全くなかったと予断できるものではありません。そういう考え方であります。

本多委員 じゃ、ないけれども、あるかもしれないということですね。あることを確認はしていないということは、今までと変わっていないでいいんですね。全部のことがこっそりやられているかもしれないから、ないとは断言できないというのは分かりました、今。それは、そんなこと、当たり前です。今、あると確認したことはないのままでいいんですね。昔の政府答弁と一緒ですね。

小此木国務大臣 そう承知しています。

本多委員 要するに、実際にまだ、この十年、そういう土地を近くに持っていることで自衛隊の基地が被害を受けたことはないという答弁をいただいたんですが、それじゃ、この法案の成立に困ると考えたのか何か分かりませんが、産経新聞さん、五月十四日、安保重要地、外資買収七百件、中国政府関係者も、政府が把握しているという巨大な記事が出ているんですね。七百件と随分具体的ですし、土地の名前もたくさん書いてあります。

 こういう事実はあるんですか、大臣。

小此木国務大臣 先ほど横須賀のことをおっしゃいましたけれども、それと同じ報道のペーパーだと思いますけれども、御指摘の報道内容については関係省庁に確認をいたしました。そして、報道にあるような調査は行っておらず、外国資本による七百件の土地買収を確認したという事実はない、こう回答を受けておりまして、政府としてはそのように、私、認識しております。

本多委員 こういうことを調査しそうな内調、内閣官房調査室、公安調査庁、警察庁、防衛省に聞いていただいたということですけれども、念のため、防衛副大臣に来ていただいています。(大西大臣政務官「防衛政務官です」と呼ぶ)失礼しました。政務官にお越しをいただいています。

 これは、防衛省が一番、やる能力があるとしたら防衛省だと思うんですけれども、大丈夫ですか。これはしていないということで断言できますか。

大西大臣政務官 本多委員にお答えをいたします。

 防衛省は、平成二十五年十二月に策定された国家安全保障戦略によって、防衛施設に隣接する土地所有の状況について、不動産登記簿等の一般の方でも入手可能な資料のみにより、登記人、名義人の氏名及び住所等を確認するなどの手法で、計画的に把握するなどの調査を行っているところでございます。

 これまでの本調査の結果、自衛隊施設及び米軍施設の隣接地のうち、住所が外国に所在し、氏名から外国人と類推される方の土地が七筆確認をされています。

 防衛省といたしましては、お尋ねの報道にある外国資本が関与した可能性のある七百件の土地買収や土地売買計画を確認したといった事実はございません。

 以上でございます。

本多委員 分かりました。産経新聞の誤報だということで政府は言っているということがよく分かりました。

 七百件とか随分具体的な数字も出ているので、産経新聞さん、ふざけるなという思いでしたら後追いでどんどん報道して、政府が今言った答弁が正しいかどうか、しっかりと私たちにも教えていただきたいなと思います。

 今日は、これはしていないと。だから、こんな大きな記事でまた国民の不安をあおるというのは決して、もし誤報でしたらですよ、政府の言うとおり、問題だなというふうに思います。もし正しいんだったら産経新聞さんには後追い報道をしっかりしていただきたいと思います。

 最後に、この法案、私、今日スタートの質問です。すかすかだということを言いたいんですよ。例示列挙ぐらいしてほしいんだけれども。ところが、事前の与党協議、特に公明党さんがちょっとやり過ぎだろうと言っていろいろ縛ったと報道されているんです。それについて本会議場で聞いたとき、縛ること自体はいいんですよ、堂々と言ってくださいと思うんですよ、それ。ところが、本会議場で聞いたら、いや、もう公明党との約束で市谷は特別注視地域にしないとか、そういうことは決定していないと答えているんですけれども、本会議場でお答えになっていません。

 公明党さんとそういう内々の約束をされたんですか。

小此木国務大臣 今おっしゃったこと、私が言ったってことですか。(本多委員「そうです、本会議場で。決定はしていないと」と呼ぶ)決定は……(本多委員「決定していないのは当たり前なんです。公明党さんと約束しているんですかと」と呼ぶ)

木原委員長 お二人の間で勝手に議論をしないようにしてください。

 どうぞ、大臣。

小此木国務大臣 確認をしました。

 与党として様々な議論を積み重ねてきたということは当然だというふうなことで承知いたしましたが、それはそのとおり、あったと思います。

 政府として、私として、約束をしたというような話は何らございません。

本多委員 自民党さんがどんな約束を公明党さんとしたか知らないまま、この法案審議に臨まれていますか。

小此木国務大臣 表現がちょっと気になりますけれども、どんな約束って、何か悪巧みの約束かなと……(本多委員「いやいや、いいんですよ」と呼ぶ)違いますね。そうは思いませんけれども、協議を重ねてきたということでいろいろな議論はあったと思います。

本多委員 市谷という固有名詞は、その議論の中にありますか。

小此木国務大臣 承知していません。

木原委員長 本多君、時間が来ておりますので、取りまとめてください。

本多委員 はい。最後に一言。

 まあ、承知していないって本当かどうか、これからまた同僚にやってほしいですが、与党とは具体的な地名まで挙げてやって、さっき私が言ったような部分だけでも、例示もしてくれない、どういうことが駄目なのか分からない、非常に問題ある法案だということを指摘して、私の質問を終わります。

木原委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 大迫力の本多委員の後で、少し切り口の違う質問をさせていただきたいと思います。

 私、実は、二年前の二月十五日の本会議におきまして、こんな質問をしました。我が国の国境離島や北海道の過疎地、山林、農地、水源地などが外国資本に買収されていることについて、国防上はもちろん、食料や水資源といった日本人の生存にも関わる安全保障上の致命的な問題になりかねないという指摘をさせていただきました。当時の安倍総理が、必要な施策について検討を行っていく考えだという答弁をされまして、それから二年。今回の法案の提出は、安全保障の観点から、外国資本による土地買収の問題意識、これを政府との間で共有できたという点については評価をさせていただきたいと思っておりますが、問題は中身です。

 やはり法律のたてつけ上、外国資本とか外国人と、日本資本、日本人、そういう区別ができないというたてつけになってしまっているものですから、日本人に対してもいろいろな規制や調査がかかるんじゃないかといった疑念が生まれる、こういう問題ももちろん一つあるんだと思いますので、そういうところに広く罰則をかけるのが本当にいいのかどうかといった議論も我が党の中では行われているところです。

 一方で、私が指摘をしたいのは、当初から指摘をしておりました森林とか農地がこの法案の対象外になっているということであります。

 小此木大臣には何遍もこれまで委員会でも質問させていただきましたので、基本的にどんな答弁が返ってくるかということは一応理解をした上で、少し深めてみたいというふうに思います。

 まず、少し、大きな総論として、この法案の基本的な、これは立法事実というか、あるいは法目的というかなんですけれども、確認をしてみたいと思います。

 安全保障という言葉がありますね。第一条の終わりのところですが、「我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的とする。」こういう法案になっております。

 この安全保障というのが、多分この法案の中では、防衛施設を守るとか、国境を守る、原発を守る、こういったことが基本的に想定されているんですが、安全保障というのはそれだけじゃないんじゃないかという問題提起でございます。

 国家というのは領土と国民と主権から成り立つものでありますが、安全保障というのは、俗に言われるのは軍事面の話が多いんですけれども、やはり主権を持つ我々国家国民が我が国領土を維持すること、これはもう基本的な安全保障だと思います。ですから、今、経済安全保障とか食料安全保障とか、いろいろな安全保障の言葉があふれているという状況でございます。

 今回の法案における安全保障、この言葉の定義を大臣から聞かせていただきたいと思います。

小此木国務大臣 二〇一三年の十二月に閣議決定された国家安全保障戦略というのがございまして、この国家安全保障戦略は、守るべき国益を、「我が国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保すること」としております。

 我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等で外国資本が土地の買収を行っていることは、安全保障の観点から、長年問題視されてきた課題であり、国会や地方議会でも議論されてきたのは、今日の議論の中でもございました。全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を行うための法整備を求める意見書が提出されていることも、これまでの議論のとおりであります。

 こうした状況を踏まえ、政府としては、土地等の利用に関する安全保障上のリスクに対応するため、本法案を取りまとめたところであります。

重徳委員 余り、安全保障の定義というお答えじゃなかったようにも聞こえますが、ちょっと次の質問に入りたいと思います。

 私の問題意識は、やはり日本の国土の三分の二は森林、山であるということなんです。山が荒れてしまうと、昨今、雨もよく降りますので、大きな災害で、平野に住む都市住民の生活あるいは命に関わることになるということであります。ですから、水源地であります森林、そしてその森林をいかに管理をきちんとするかということによって、豊かな平野、そして豊穣の海というものが維持されるということだと考えています。

 その意味で、なりわいとしての林業とか中山間地域における農業を守るということは、非常に、国土の安全保障という意味で、広い意味での安全保障につながるんじゃないか、こういう考え方でございます。

 ちょっとここでお聞きしたいんですが、要するに、最近、山とかあるいは農業地域が、過疎化が進んでもう人が住まなくなってくる、あるいは高齢化で後を継ぐ人たちがいなくなってきている、こういう全国的な問題があるんですが、究極的には、山間地においてもう集落が消滅をしてしまっている。私も、広島県、中国山地の山の中に、その集落がここにあったんだという石碑を見たことがあります。石碑の裏側には、元々誰々さんが住んでいたんだということがその地図と一緒に刻まれている。こういう石碑が中国山地にあるのを一度見たことがあります。

 過去、何年と取るか分かりませんが、集落で消滅してしまったものが全国にどれほどあるかというのをどのように政府は把握をされていますか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 所管外でございましたので、総務省と国土交通省に問合せを行い、過疎地域を始めとした条件不利地域に対する集落の状況に関する調査により、確認できる限りで最も過去の調査起点である昭和三十五年から平成三十一年四月一日現在までの間に消滅した集落数を確認したところ、二千三百五十であると承知いたしております。

重徳委員 二千三百五十もの集落が消滅をしているということであります。

 消滅まで至らなくても、要するに、その地域の森林というのは基本的に二束三文、そして耕作放棄地となっている農地もいわばお荷物というような状況になってしまって、そこを外国人だろうと何だろうと買ってくれるという人が出てきたら、それは、跡取りもいないし、売りましょうかねということになる誘因はあるというふうに思います。

 ただ、気をつけなきゃいけないのは、一方で、今年に入ってから特に顕著になっておりますが、ウッドショックという状況が始まりました。オイルショックならぬウッドショック。すなわち、木材の需給が逼迫をし、アメリカやヨーロッパでコロナに伴って住宅建設需要が高まって、そこに外国産の木材は流れていってしまって、日本国内における住宅などの木材需要に対して外材が入ってこなくなってきた、そして全体に値段も上がってきた。物が入らないわけですから、今まで、高いからということで、もはやサプライチェーンの中にも入っていなかったような国産材にも注目が集まるようになってきた、こんな状況が始まっています。

 いつまで続くか分かりませんが、一つの契機として、もしかしたら、日本のもう見捨てられたような山々、しかし、もう数十年前に植林していますから樹木は十分育っております、こういった樹木が、国産材が改めて見直され、価値が上がってくるかもしれない。そういう意味では、山という、山林の土地も見捨てたものではないわけでありまして、逆に、今度は逆の心配も出てくるわけですね。それがもう日本人の、分かっている人の所有物でなくなったときに、その木材という資源も失ってしまうかもしれないということでございます。

 ウッドショックの現状、そして今後の様々な影響についてどのように見ておられるかについて、御答弁ください。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、今、ウッドショックという言葉が業界の中で飛び交っているところでございますけれども、我が国の製材品需要の約五割を占める輸入木材につきまして、米国や中国の木材需要の増大等を背景に、原産国における産地価格の高騰、輸入量の減少などによりまして、今、建築事業者等によって不足感が生じるとともに、入手しづらい状況が生じ、また、価格も上昇しております。

 こういった中、輸入材の代替として国産材の製品の引き合いも強くなっておりまして、国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、生産がすぐには間に合わない、そんな品目もございます。全体として製品価格が上昇するなどの状況となっております。

 こうした中におきまして、まずはやはり正確な情報を把握し、需給の変動に適切に対応することが重要だと考えておりまして、川上から川下までの関係団体による意見交換を実施し、情報共有を図るとともに、業界全体、業界に対して、需要に基づいた適切な発注等、そういう取組を行う要請を行ったところでありますし、こういった取組を地域ごとにやっていくということが重要だと思っていますので、今後、地域ごとにこういう取組を進めることにしております。

 さらに、輸入材から国産材転換も含めた需要拡大に向けて、更なる国産材の安定供給体制を構築することも重要と考えておりまして、川上から川下までの信頼関係の下、効率的な国産材のサプライチェーン、こういったものの構築を推進していきたいと考えているところでございます。

重徳委員 おっしゃるとおりで、川上から川下であります。川上がなくなったら川下もありません。

 今のようなウッドショックの状況でございます。そういうことも含めて、利用目的が不明のまま外国資本、外国人への森林の売買というものは、これはやはりしっかりと、広い意味での安全保障上の観点から、利用状況を調査するとか利用の規制を行う、こういうことが必要だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

小此木国務大臣 重徳委員とは、今年の初めの、多分、予算委員会か何かで同じような議論をさせていただきました。

 改めて、森林については、現行の森林法において、国土の保全、森林生産力の増進等を目的として、土地取得の際の届出、大規模な開発行為に係る許可制度等の措置が講じられております。

 これは有識者会議の提言においても、既存の措置があることを踏まえて、森林を対象とすることについては、慎重に検討していくべきと提言がありました。また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、まず最優先で制度的枠組みの対象とすべきという提言もございました。

 このため、本法案に基づく調査等の対象には、重要施設の周辺や国境離島等に所在するもの以外の森林は含めないこととしています。

重徳委員 既存法令での対応という話がありました。そこで、既存法令での対応について、ちょっと検証してみたいと思います。

 ちょっと質問通告は飛ぶかもしれませんが、財務省、外為法に基づく集計というのがあるんですね。農水省からは後で聞きますけれども、財務省の外為法で、二〇一一年時点で三千七百ヘクタールが外国資本に渡されているという数字でしょうか。

 ちょっと、これ、外為法に基づく調査というのが今どんなふうになっているかということを、そもそも教えていただけますか。そして、中止勧告などもできるというふうに聞いておりますが、そういった事例はあるのでしょうか。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の三千七百ヘクタールという数字は、二〇〇七年度から二〇一〇年度の四年間の数字を足し上げたものでございます。

 まず、外為法におきましては、非居住者が本邦にある不動産を取得した場合には、居住用である場合等を除きまして報告書の提出が義務づけられております。この報告書に基づきまして、直近の四年間の数字を調べてまいりましたが、二〇一七年度から二〇二〇年度の非居住者による土地取得を集計しますと、その合計は面積ベースで千六百ヘクタールとなっているところでございます。

 現在の外為法におきましては、経済制裁あるいは国際収支危機等の経済有事に該当する場合を除き、非居住者による土地取得を制限するような規定はございません。

重徳委員 つまり、一定の非居住者の把握はしているけれども、特段それ以上のことはできる規定には基本的にはなっていないということでございます。

 それでは、農水省にお聞きしてみたいと思います。

 今度は山林そして農地なんですけれども、私が聞いているところでは、直近の数字で、山林は四百六十五件、七千五百六十ヘクタール、これは山手線内の十二倍ぐらいの広さだというふうに理解できます。そして、農地は、ちょっとこれは調査が少ないんですけれども、累計、三件で四十七ヘクタール、こういう数字なんでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、新聞報道等、各方面で外国資本による森林買収について取り上げるなど、外国資本による土地取得への懸念が高まっていることから、森林や農地について、外国資本による買収に関する調査を行っております。

 まず、森林につきましては、平成二十二年から行っているところでありまして、初回調査の対象とした平成十八年から令和元年まで、この累計で、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例として、二百六十四件、二千三百五ヘクタール、国内の外資系企業と思われる者による森林買収の事例として、二百一件、五千二百五十五ヘクタール、合わせて、議員御指摘の四百六十五件、七千五百六十ヘクタールの森林買収、これは平成十八年から令和元年までの累計の数字として把握し、公表しているところでございます。

 一方、森林法におきましては、森林の保全を図るため、保安林や林地開発許可、そういう制度がございます。これらの外国資本による森林買収については、無許可の開発とか、こういう法律に違反するような問題があるとか、そういうことは現時点で起きていないというような報告を受けているところでございます。

 また、外国法人から出資を受けた法人の農地の取得状況についての調査は、平成二十九年から行っているところでございます。調査を開始した平成二十九年一月から令和元年十二月までの三年間の累計では、外国法人から出資を受けた農地所有適格法人は二社であり、この二社の農地取得面積は合計で四十六・七ヘクタールとなっているところでございます。

重徳委員 今の調査は任意の調査なんですよね。法律に基づくものではありません。ですから、そういう意味でも、任意調査ですから、どこまで正確に把握できているかという法的担保というものは必ずしもないわけでございます。

 それから、事前に資料もちょっといただいたんですけれども、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる者による森林買収の事例という一覧を見ますと、その利用目的のほとんどは、資産保有というふうに書いてあります。それはそうですよね。資産を保有している事例を調べているわけですから、その目的が資産保有では、これは何も答えていない。そして、あとは不明とか未定が非常に多いです。ですから、何のためにとか何に使うのかということも把握はできていない。もしかしたら任意調査の限界なのかもしれません。

 こういったことについてどう考えるかが大事なところでありますが、先ほど、ちょっと小此木大臣、これは通告はしていないけれどもお答えいただきたいんですけれども、有識者の報告書でも、まずは防衛施設周辺とか離島からだよ、こういう、まずはということを、大臣からの御答弁、先ほどありましたけれども、ということは、続いての検討として、こうした森林や農地についても、ここは十分にある、あるいは、今回の法案の、まあ全面的な修正というわけにいくかどうか分かりませんが、例えば、検討条項として、速やかにこうしたものも対象に含める検討を行うとか、何かしらそういった余地はあるようにも聞こえますが、大臣のお考えをお聞かせください。

小此木国務大臣 安全保障の環境がこの数年で随分変わってきたという危機感を持った言い方がございまして、政府もそういう認識でおります。

 今の重徳委員のお話に直接答えることにならないかもしれませんけれども、この法案をまずはしっかりと、これまで議論があった、地方議会から、あるいは私たちが持っている不安、あるいはそういったものについての調査を進めていくということであって、お訴えの森林法あるいは農地法の議論もいたしましたけれども、これは年初ですね、当初いただきましたけれども、そのとき、私、この法案とは別のことでありますけれども、大きな意味で国としてそれを補っているというようなことを言いましたけれども、そういったことについては、まず進めてみるという現在での答えとなります。

重徳委員 大きな意味でというあれもちょっと面白い答弁だなとは思っていましたけれども、気持ちは分かる御答弁でございます。

 もう少し申し上げますと、やはりこれは、どちらかというと国の問題であるんですけれども、根本的には国の問題でありますが、むしろ地方自治体とか地方議会における取組とか発信というものが、結構、今回の法案の基になっている、実際そういう説明も受けております。

 重ねての質問になりますけれども、地方議会からの要望の多くには、水源地とか農地が買収されることに対する不安も指摘をされているわけです。そして、安全保障の観点からとなると、これはもう地方の手に負えないよということで国に求めている、こういう意見書がたくさん出ているわけでありますので。重ねてお聞きしますが、こういった地方からの声についてどう応えていくのか、単に有識者がどうとかいうことではなくて。重ねてお聞きしますが、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 本法案ですが、安全保障等の観点から、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止するため、国として必要な調査や利用規制等を行うものであります、申すまでもないことでありますけれども。

 今おっしゃったように、地方あるいは地方議会からの声がございました。この委員会でも申し上げたとおり、議員皆様の地域はそれぞれありますけれども、そういったところでもそのようなことを、不安ですかね、こういったことをお聞きになったというふうに思います。

 もちろん、有識者会議の提言でも、先ほど申し上げたとおり、森林、農地についての既存の措置があることを踏まえて、慎重に検討していくべきだとされたところでありますが、国としても、安全保障の観点から、これは前に進めていかなきゃいけない、不安を解消するために前に進めていかなきゃいけないという思いを込めて立法、提出させていただいたところでございます。

重徳委員 ちょっともう一回、一旦ちょっと別の質問を挟んで、もう一回お尋ねします。

 水源地については、自治体独自の条例も、結構多くの自治体において、上乗せの規制を定める条例が制定されております。これも、建前はどう書かれているか分かりませんが、やはり外資による水源地の買収への懸念を払拭する目的が含まれているのではないかと思いますが、そういった目的、そして条例制定によります効果あるいは実績といったものについて、国としてどう把握されているかをお答えください。農水省かな。

若林政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体におきましては、水源地域の保全を目的として、水源地域の適切な土地利用に支障が生じるような土地取引を抑制する条例が制定されておりまして、十八の道府県におきまして、事前の届出や、無届けの場合の勧告、不適切な土地利用を是正するための助言等の仕組みを設けていると承知をしております。なお、これらの条例につきましては、外国資本による土地取引であることを明記して届出させるものでないと承知しております。

 その運用状況についてでございますが、例えば北海道におきましては、令和二年度末までに二百六十五件の事前届出が行われておりますが、水源地域の適正な土地利用に支障が生じるとして届出者に対する具体的な助言等に至ったケースはないというふうにお聞きしておりまして、地方公共団体からの助言制度を背景といたしまして、そのような土地取引が、あるいは土地取得が抑制されているのではないかというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地下水関係条例の制定状況、あるいは土地取得の事前届出に関する運用状況につきまして、地方公共団体の御協力もいただきながら把握するとともに、必要に応じて関係省庁と共有してまいりたいと考えております。

重徳委員 今、助言するようなケースに至ったケースはないという話がございました。これは、勝手に抑制されているんじゃないかと。国からすれば、地方が勝手にやってくれているんじゃないか、そういう答弁に聞こえるんですが、これは地方の仕事じゃないと思うんですよ、本質的に。

 地方が懸念して、条例まで定めているということであります。この段階で、こんな、すかすかとかいろいろ言われていますが、一応法案を提出して、国としても取り組もうという姿勢を示しているのであれば、せめて、こういった声に応えて、検討する条項を追加するといったことを私は是非提案をさせていただきたいと思います。

 大臣、これは本当に、安全保障の役割を地方に委ねるとか、それから、地方で何かうまくやってくれているんじゃないかなとか、うまくいっている分にはいいんですけれども、本当にそうかだって分かりません。だから、国が踏み込んでいく必要があるんだというふうに思います。

 一遍にいろいろな、あれもこれもやるのは大変だということかもしれませんが、こういった地方の問題意識は、むしろ都会に住んでいる人には分からないような問題意識や危惧、不安というものがあるんだというふうに理解いたします。とりわけ安全保障ということについては、国はその役割を放棄することなくしっかりと進めていくべきではないかと思うんですが、今、この法案の修正の提案についてはどのように受け止められますか。

小此木国務大臣 言われることの可能性についてですけれども、この附則ですけれども、成立させていただいた後に、施行された後に、五年後に見直しを行うということも書かれております。その前提として、先ほど来申し上げているように、必要な調査をしっかりと行っていくということを申し上げております。

重徳委員 まあ、直接なお答えにはなっていないと思いますが。

 じゃ、最後、あと二分ぐらい時間がありますので、ちょっと、今飛ばした質問を、事務方で結構ですので、お聞きしたいと思います。

 先ほど、産経新聞が誤報だとかというような話がありましたけれども、実際、じゃ、政府として把握をしている、例えば、農地、水源地にこだわりません、太陽光、風力発電の用地として購入したんだとか、リゾート地だとか雑種地とか、あるいは原野でも構いません、そういったものの買収事例の中で外資の分がどれぐらいあるかということを把握しているか。

 そして、これは把握するのは難しいのかもしれませんが、しかし、推測も含めて、見立ても含めて、ダミー法人のような、そういったものが果たして存在しているのかどうかといったようなケースについて、どのように把握し、また見立てをしておられるかということについて、お答えください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御質問ございました、太陽光、風力発電の用地、リゾート地、雑種地、原野等につきまして、買収事例の統計があるとは承知しておらないところでございます。

 また、そのような統計もございませんので、御質問ございました、日本法人のダミー等についての計数も承知しておりませんし、推測することも難しいのではないかというふうに考えておるところでございます。

重徳委員 お聞きのように、極めて心もとない状況だということを最後に聞けて、かえってよかったというふうに思います。この問題意識については、是非、この会場にいらっしゃる皆様方にも共有していただきたいというふうに思います。引き続き、我が党内での検討、対応を考えていきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

木原委員長 次に、広田一君。

広田委員 立憲民主党の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 自分自身の本当に拙い経験ではございますけれども、安全保障、そして危機管理で非常に大事なことの一つは想像力。想像力を働かせて、いろいろな安全保障上のリスク、それを想定して、未然に備える、それが顕在化しないように対処していく、このことは極めて大事なことだというふうに考えております。

 よって、この本法案の必要性につきましては一定理解をするところでございますが、そういった観点に立って、立法事実に関連してお伺いをしたいというふうに思うんです。

 先ほど言った私の問題意識から言いますと、これも先ほど若干議論があったんですけれども、先般の衆議院の本会議で、我が党の篠原豪議員から、安全保障上のリスクになるような土地取引の有無について大臣に問われたんですけれども、これについては答弁を拒まれました。

 私にはその理由が理解不能なので、改めて小此木大臣からその意味を御説明を願いたいと思います。

小此木国務大臣 先般の本会議において、篠原議員から、安全保障上のリスクとなるような土地取引の事例が過去にあったかとの御質問をいただきました。

 この御指摘の質問にお答えすることにより、今後の政府の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、安全保障上のリスクを惹起しかねないことから、お答えを差し控えさせていただいたということでございます。

 我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等で外国資本が土地の買収を行っていることは、安全保障の観点から、長年問題視されてきた課題であり、国会や地方議会でも議論されてきたことは前述いたしました。全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を行うための法整備を求める意見書が提出されております。

 こうした状況を踏まえ、政府としては、土地等の利用に関する安全保障上のリスクに対応するため、本法案を取りまとめたところであります。

広田委員 そうすると、答弁の中で、安全保障上のリスクを回避する観点からということだとすれば、じゃ、実際は安全保障上のリスクは存在するということですね。

小此木国務大臣 安全保障上のリスクというものは常にあろうと私は認識しています。

広田委員 安全保障上のリスクは常に存在をするということでありますけれども、それを国会においては示すことができない、これまたその安全保障上のリスク上の問題だからというふうなことでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、この後若干議論しますけれども、立法事実については、今回のこの法案というのは非常に曖昧なわけでございます。そうであるとすれば、これからいろいろな機能阻害行為なんかが、これが顕在化しないように、あらかじめ様々な対策を講じていくというふうなことが今回の法案の柱になるわけでございます。

 そうすると、じゃ、どういった安全保障上のリスクがあるのか、今顕在化していないけれどもリスクがあるのかということをやはり国民の皆さんに説明しないと、そもそもこの法案を審議する前提が崩れてしまうんじゃないでしょうか。

小此木国務大臣 この法案は、リスクがあると申し上げましたけれども、そのリスクが確かなものかどうかをしっかりと調査をするということが一つの大きな目的となっております。

広田委員 答えていないんですけれども、じゃ、リスクというのを承知している、把握しているにもかかわらず、それを国会のこのような場、審議で説明責任を果たさないというのは、どういった理由からなんですか。

小此木国務大臣 篠原議員にお答えをしたということについては、安全保障上のリスクとなるような土地の取引の事例が過去にあったか、こういう御質問をいただきました。

 御指摘の質問にお答えすることにより、今後の政府の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、安全保障上のリスクを惹起しかねないことから、お答えを差し控えさせていただいたということであります。

 ですから、リスクそのものは常にあるんですけれども、そのリスクがどのようなものなのかということをしっかりと調査をしていかなきゃいけないというのがこの法案の第一義的なものであるということを申し上げました。

広田委員 自分もかつて拙い経験もさせていただいているんですが、事務遂行上支障を来すというのは具体的にどういうことなんですか。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 各省庁、各機関、様々な活動を所掌事務に基づいてやっているところと承知しておりまして、その中には、事務遂行上、所要の調査等を行っておる省庁もございますけれども、その調査内容をつまびらかにすることにより今後の調査等に支障を来すおそれがある事項につきましては、各省において詳細な説明を差し控えさせていただいているということを大臣の御答弁は意味しているものということでございます。

広田委員 そうすると、事務上、事務的な手続をする、その際に支障となるということが、やはり国会の審議において、国民の皆さんが本当に知りたがっている安全保障上のリスク、土地取引においてですね、どういったものを、把握しているにもかかわらず、それを説明しないというふうな、私には根拠にはならないというふうに思うんです。じゃないと、これを示していただかなかったら、本当にそのリスクというのが顕在化したときに、機能阻害行為というものを伴って、我が国の安全保障上どういった問題が生じるのかという議論に入れないじゃないですか。

 大臣、そういうふうに思われませんか。

小此木国務大臣 安全保障上のリスクというのは、様々な観点といいますか、いろいろなところに存在をすると。先ほども日本を取り巻く環境が非常に変わってきたということを申し上げましたけれども、そのこと一つ一つをつまびらかにすることでそのリスクを回避するということは必ずしもできないということもあると思います。

広田委員 それでは、つまびらかにしなくていいので、一点、二点だけ挙げてください。

中尾政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から御答弁申し上げましたとおり、過去に実際にどのような行為が行われて、それが安全保障上リスクがあったのかどうかについては、大臣から御答弁をさせていただいたとおりでございます。

 その上で、リスクが顕在化はしておりませんけれども、例えば対馬や千歳におきまして自衛隊関係施設の周辺で買収が行われた事例はございました。それ自体、恐縮ながら、リスクが顕在化はしておりませんけれども、そういった事例において安全保障上のリスクがあるのではないかということで、地方議会ないしは国会なんかでも議論が行われてきたというふうに承知をいたしております。

広田委員 そうしたら、確認で聞きたいんですけれども、その千歳と対馬の事例で、この二つの事例で現時点で自衛隊の運用の支障となっているんですか。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。お答えいたします。

 今御質問がありました航空自衛隊千歳基地や海上自衛隊対馬防備隊の周辺におきます外国資本による土地取得につきまして、報道等があったことは承知してございます。

 これらの事例に係ります自衛隊の運用等に具体的に支障が生じるような事態は確認されていませんが、本法案が想定しております機能阻害行為が全くなかったと予断するものではございません。

 以上でございます。

広田委員 それは、大臣、安全保障上のリスクということですか。

小此木国務大臣 我が国の安全保障をめぐる内外情勢が近年厳しさを増しているということは申し上げてまいりました。機能阻害行為が明らかになってから初めて対策を講ずるという事後的な対応では安全保障上取り返しがつかない事態となるおそれがあるということでございます。

広田委員 いや、質問に答えていないんですけれども、安全保障上のリスクになるんですか。

小此木国務大臣 それをしっかりと調査をするということでございます。

広田委員 ということは、この事例は安全保障上の現時点ではリスクだというふうに認識していないということですか。

小此木国務大臣 世の中のリスクかどうか分からないということについて非常に不安が広がっているということが地方から寄せられているということでありまして、我々政府あるいは政治家、厳しい意見もございますけれども、そこを調査をしていくということはまずもって必要なことだというふうな思いからこの法案を提出させていただきました。

広田委員 今の大臣の御答弁を聞くと、この法案の重要性、必要性というのが大きく揺らいでしまうんですよね。

 政府は、大臣自身も本会議で千歳と対馬の事例を挙げられております。それについて、これが安全保障上の、立法事実でないのは分かっているんですけれども、安全保障上のリスクかどうかも答えることができない。けれども、一方で、安全保障上のリスクがあるということについては把握している、承知をしているというふうに言っている。だけれども、それについては説明することができない。何か、言っていることとやっていることが、一言で言うと支離滅裂なんですよね。

 この法案の必要性の根幹の安全保障上のリスクについて、全て挙げろというふうには言っていないんです。一つ二つこの場で示さないと、これ以上審議は進められないんじゃないですか。いかがですか、大臣。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 本法律案におきましては、重要施設それから国境離島等の機能、これが大変安全保障上重要であるということで、条文上、防衛関係施設の我が国を防衛するための基盤としての機能等々の機能を掲げ、それを阻害する行為を防止するということを法の目的といたしておるところでございます。

 この機能阻害行為の代表的な事例というお尋ねかと承知いたしますが、想定する行為の類型をあらかじめ網羅的にお示しすることは困難でございますけれども、例えば、重要施設に関してはその施設機能に支障を来す構造物の設置など、国境離島等に関しては領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが、それぞれ機能阻害行為に該当し得るものと考えております。

広田委員 大臣、お願いします。

小此木国務大臣 何度も申し上げますけれども、そのまま放置すれば取り返しのつかないことになるということが不安として上がってまいりました。

 そのリスクが具体的なものとして上がってきたものではありませんが、それをしっかりと調査をするということがこの法案の第一義的なものであります。

広田委員 そうしたら、安全保障上のリスクは把握していないということですか。しているんでしょう。大臣、しているというふうに先ほど答弁したじゃないですか。だけれども、業務遂行上支障があるから、これはつまびらかにできないというふうにおっしゃった。

 だから、つまびらかにしなくていいんです。一つ二つだけ示してくださいと言っているんです。しかし、千歳や対馬の事例はそれには該当しないということもおっしゃいました。だったら、一つ二つ挙げてください。挙げないと、本当にこれは審議できないですよ。

小此木国務大臣 それについては、詳細なことについてお答えは差し控えたいということを申し上げております。

広田委員 そうしたら、例示してください、具体的に。お願いします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 法律が想定する機能阻害行為の例につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、それを含めて、実際にどのようなことがあったかどうかも含めて、個別のことについては差し控えさせていただくということでございます。

広田委員 そうすると、今の理解としては、安全保障上のリスクについては説明不可能だというふうな理解でよろしいですか。

小此木国務大臣 そこの詳細はつまびらかにしないということを申し上げております。

広田委員 分かりました。

 安全保障上のリスクについてはつまびらかにできない、そういう姿勢でこの法案について審議するというのは、非常に私は難しいんじゃないかなというふうに思います。

 その上で、立法事実について若干お伺いをしたいというふうに思いますが、これも法案を審議する上での前提の一つだというふうに思います。

 かつて、安保関連法の審議がございました。これは十本の法律を一つに束ねた法案だったんですけれども、その中にPKO法の改正案があったんです。当時、集団的自衛権が憲法違反かどうかというところに議論が集中してしまったんですけれども、実はこのPKO法の改正も非常に重要な私は論点だったというふうに思います。

 当時は、東ティモールの日本人が経営するレストランが暴徒に囲まれたときに、自衛隊がやはり何もすることができなかった。これは、情報収集という形で邦人を助けたんですけれども、このままであったら駄目じゃないか、これはやはり何とかしないといけないということで駆けつけ警護というものが可能になりました。

 さらには、ゴラン高原のPKOで、日本部隊とカナダの兵たんを担う部隊が一緒の宿営地にいたわけでございますけれども、そのカナダの部隊が何らかの襲撃を受けても日本の部隊というのはそれを助けることができないというふうなこともありました。しかし、同じ宿営地にいるのにこれができないというのはいかがなものかということで、これも宿営地の共同防衛ということで可能になりました。

 こういった具体的な立法事実というものがあれば、国民の皆さんも、これは、賛成、反対はありますよ、賛成、反対はありますけれども、必要だな、議論しないといけないなというふうに思うわけでございますけれども、今回は、先ほど言ったように、安全保障上のリスクも説明することを拒否をされているわけでございますから、恐らく立法事実もないんだろうというふうに思いますが、確認したいと思いますが、立法事実はあるんですか。大臣にお伺いします。

中尾政府参考人 恐縮でございます。お答え申し上げます。

 政府は、国家安全保障戦略におきまして、安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地等の所有状況の状況把握に努め、土地利用等の在り方について検討するという方針を二〇一三年に閣議決定をいたしております。さらに、昨年でございますけれども、骨太方針二〇二〇で、政府として所要の措置を講ずるということで、安全保障上のリスクが存在することを想定しながら、土地の所有状況、利用状況の調査、一定の規制についての制度設計をいたしたということでございます。

広田委員 答えていないので、大臣にお願いします。

小此木国務大臣 何度も申し上げますけれども、我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等で外国資本が土地の買収を行っていることは、安全保障の観点から、長年問題視されてきた課題であり、国や地方でも議論をされてまいりました。

 この観点の土地の管理を行うための法整備を求める意見書が提出されているということを申し上げてまいりました。

 内外の情勢は近年厳しさを増しており、機能阻害行為が明らかになってから初めて対策を講ずるという対応では安全保障上取り返しがつかないという、この事態を回避するためにこの法案を提出させていただきました。

広田委員 恐らく、大臣、質問の意味は御理解されていると思うんですけれども、その上で、ちょっと、このような御答弁をされるというのは非常に残念だなと私自身思います。

 安全保障上のリスクについては、一つにおいても説明を拒否するということ。

 そしてまた、先ほど申し上げたような、さすれば、立法事実も多分ないんだろうというふうに思いますけれども、確認の意味で聞いているんですが、立法事実というのは、先ほど言ったような東ティモールの事例であるとか、カナダとの宿営地での事例であるとか、そういう事例があって、やはり今の現行法では対応できないから法改正をしようということは、国民の皆さんから見て、すとんとくる話なんです。

 今回、こういったような事例というものについて説明することができるんでしょうか。できなければ、私は立法事実がないというふうに理解するんですけれども、小此木大臣、それでよろしいでしょうか。

小此木国務大臣 近年の安全保障の環境が厳しさを増してきたこと、そして地方からの声が不安として上がってきている、特に外国資本が土地の買収を行っているということの中で、国境離島あるいは防衛関係施設の周辺での危機感といいますか、そういった不安が高まっている声がございます。そういったものについて、この立法を立てようとしたときに、有識者会議の提言も踏まえて提出をさせていただきましたということでございます。

広田委員 大臣、今回、この法案を審議するに当たって、その姿勢で最初から最後まで貫こうというのは、ちょっと私は無理があるんじゃないかなと思うんです。もちろん、そういったことは百も承知な上で聞いているということだけは是非理解をしていただきたいんですけれども。

 要するに、立法事実があるのかないのかということについては、はっきり答弁がないというのがよく分かりました。ということは、立法事実がないというふうに認識せざるを得ないわけであります。

 安全保障上のリスクも説明することはできない、立法事実もないというふうなことで理解するんですけれども、ただ一点、私、この立法事実のところで確認したいのが、これは拙い経験なんですけれども、今回の機能阻害行為に該当するものにおいて、電波妨害、ジャミングは想定されているんだろうというふうに思いますけれども、防衛施設に対してこのような電波妨害というのは事実として存在するんじゃないでしょうか。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。お答えいたします。

 防衛省の運用上の様々な機能、あるいは情報上の様々な機能につきまして、どのような、防衛省じゃない勢力からの働きかけがあったか、不法行為があったかということにつきましては、申し訳ございませんが、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

広田委員 いや、今、サイバーが云々かんぬんとか、こう言っている中において、電波妨害、ジャミングについて、今、これは防衛省の施設等、一番、市ケ谷とか、防衛省に多いんだろうというふうに私は思いますけれども、それさえ認めることができないということになれば、それこそ立法事実はもう存在しないというふうに判断せざるを得ないんですけれども、大臣、この議論を聞いていかが思いますか。

小此木国務大臣 何度も申し上げますけれども、やはり安全保障上のリスクを回避するために、それをつまびらかにすることが回避ができないということにつながってはならないということが基本的な思いとしてあります。

 一方で、地方から、あるいは私たち政治家として聞いてきた不安についての解決のための調査をこの国ではまず行っていかなきゃいけないということを申し上げております。

広田委員 やはり、私は本当に建設的に議論したいんです、一つ一つ確認して。それはもちろん、安全保障上、本当につまびらかに全てを公開してということはできないと思います。しかしながら、その中でも、一つ一つしっかりと国民の皆さんに説明することによってこの法案に対する理解というものを深めていく説明責任が私は小此木大臣始め政府の皆さんにあるんじゃないかなと思います。だから、その説明責任を果たす一つの質問の仕方、キーワードとして、先ほどから立法事実の話とかをしています。

 立法事実についてもつまびらかにできないというふうな話なんですが、ただ、今、世間の皆さん、防衛省の施設とか公共的な施設に電波妨害が発生しているということは国民誰しも分かっているんですよ。それさえ認めないということになると、本当にこれは真面目に審議するつもりがあるのかというふうに思ってしまいますので、大臣、この点は、やはりあるのかないのかということを認めることが立法事実があるということにもつながるわけでありますから、これは今後審議を進めていく上でも私は非常に重要な政府としての姿勢が求められているというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるということを申し上げてまいりました。このため、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難でありますけれども、現時点で、例えば重要施設については、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、重要施設の通信能力に支障を来す電波妨害等が該当し得るものと考えられます。

 しかしながら、そのことがリスクとして現在あるのかどうかということも含めて、それをつまびらかにできないんだけれども、だけれども、リスクはやはり年々厳しさを増しているということを申し上げております。

広田委員 大臣、私、難しいことを聞いているんじゃなくて、あったのかなかったのかだけ聞いているんです。それぐらい示してもらわないと、本当にこの法案、審議して大丈夫なのかなということに私はなってしまうと思うんですね。国民の皆さん、誰でも知っていますよ、そういう防衛施設にジャミングとか、電波妨害をしているということを。具体的に何か市ケ谷でやっているとか、横須賀や横田がやられているとか、そういう具体的なことを聞いているわけじゃないんです。あるのかないのか、この事実があるのかないのかだけ聞いているんですよ。

 これさえ答えることができないということは、私はこれは非常に問題だというふうに思いますけれども、大臣、この辺はまず認めるべきではないでしょうか。

木原委員長 大臣、少々お待ちください。

 防衛省川嶋総括審議官、政府は法案を審議することを要請をしている立場ですから、そのことを踏まえて答弁をするようにお願いいたします。

川嶋政府参考人 お答えいたします。

 防衛施設周辺の土地の利用状況あるいは所有状況という観点から、防衛省といたしましては、御承知のとおり、平成二十五年十二月に策定されました国家安全保障戦略に基づきまして、計画的に、隣接する土地の所有状況について調査を行ってきております。

 この調査は、約六百五十ほどの自衛隊施設及び米軍施設につきまして、令和二年度末までに、二回りの調査を終えてございます。その結果といたしまして、住所が外国に所在し、氏名から外国人と類推される方の土地は、七筆見つかってございます。

木原委員長 川嶋総括審議官に申し上げます。質問は、電波障害、ジャミングについてですので、その点についてお答えをください。

川嶋政府参考人 この土地の利用の結果として、その土地から防衛省に対して害をなす行動があったかと言われれば、現在に至るまでそれは把握してございませんが、それは本法案に言うところの阻害行為があったかということを予断するものではないというふうに申し上げます。

 以上でございます。

木原委員長 広田君、時間が来ておりますので、まとめてください。

広田委員 はい。

 質疑時間が参りました。まさか、安全保障上のリスクの有無と立法事実だけでこれだけ時間を取るというふうには思いませんでした。本来は、本丸の特別注視区域はいかにあるべきかという議論とかができなかったことは非常に残念であります。

 私もこの法案の必要性は一定理解をするところでございますけれども、しかしながら、この法案は、国民の皆さんの私権制限も求めるものであります。私権制限を求めるものである以上、なぜこれが必要なのか、これについてしっかりと説明する責任が政府の方にあるけれども、しかし、その説明責任を一切果たそうとしていないということについて厳しく抗議をして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立憲民主党、屋良朝博でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、憲法三十一条についてお伺いしたいんですけれども、罪刑法定主義、これについて、まず、内閣法制局の見解を確認させてください。

 徳島市の公安条例事件最高裁判決はこのように判示しております。ある罪罰法規が曖昧不明確のゆえに憲法三十一条に違反するものと認めるべきかどうかについては、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れるかどうかによって決定すべきであると。

 どうでしょうか。お願いします。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 憲法第三十一条と刑罰法規の明確性に関しましては、今御指摘がございましたような最高裁の判決において判断が示されておりまして、政府としても同様の考えを持っております。

屋良委員 ありがとうございます。

 その上でお伺いしますけれども、今回のこの法案、この最高裁判決などに照らしても、規定の明確性の観点から憲法に抵触するものではないと内閣法制局も判断したということでよろしいでしょうか。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回の法案におけるいわゆる罰則規定でございますけれども、七章の方に規定があり、具体的には、二十五条、二十六条、二十七条というところに罰則の規定がございます。

 二十五条は、命令を受けた場合に、その命令に違反する行為であり、二十六条は、届け出なければいけないようなものについて届出をしない行為あるいは虚偽の届出をする行為、それから二十七条は、報告あるいは資料の提出を求められた場合に、そうした提出をしなかったり、あるいは虚偽の報告あるいは虚偽の資料を提出する行為、こういうものが処罰の対象として規定されております。

 二十五条と二十七条というのは、内閣総理大臣の行為が間に入りますので、内閣総理大臣が行う命令あるいは報告若しくは資料の提出の求めということで、具体的に何を行為者が行わなければならない行為であるということは明確になっておりますので、それをしないと刑罰がかかるということにおいて明確になっておる。

 他方、二十六条につきましては、届出の内容につきましては、本法律案の十三条及びそれに基づく内閣府令により行為者が届け出なければならない内容は明確であるということから、これらの罰則規定は、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読み取れないということは考えられず、憲法三十一条に違反するものではないというふうに私ども考えております。

屋良委員 ありがとうございます。

 この法案の目的というのは機能阻害行為を防止するということなので、機能阻害を引き起こすような行為あるいは土地建物の使用があった場合には勧告、命令を受けますよ、その先には罰則もありますよということを一般の人が分からないといけないというふうに私は理解しているんですけれども、そうではないんですか。

近藤政府特別補佐人 今の御質問でございますけれども、いわゆる行政法規、取締り法規について、国民の方々に、どういう内容を規制されるというのがやはりそれは十分分かるというのは当然でございますが、ただ、刑罰法規というのはまた、そのうち限られた規定についてのより厳格な、憲法から求められる厳密性でございますので、行政法規一般の国民に分かりやすい規定ができるという問題と、直接、刑罰に関わる規定における刑罰の明示というのは、やや、少し議論が違いまして、先ほど申し上げました二十五条、二十六条、二十七条における明確性という問題と、法律全体の何か明確性の問題というのは、今お話しされたような三十一条との関係では違う問題であるというふうに理解しております。

屋良委員 多分、この法案、そこのところが非常に分かりにくくなっているというふうに思います。目的は機能阻害行為を防止することなんですね。それで、これまでさんざん、これは例示したらどうですかと、具体的な例を。こういうふうなことをやったら勧告、命令の対象になるかもしれませんよ、審議会に諮って、そういうふうに決まったら、それに従わなければ刑事罰がありますよというふうなことじゃないですか。

 僕は別に法曹界にいたわけでもないし、行政に携わったわけでもないけれども、だから、一般人として、こんなことをやったら、あるいはこういうふうな行為をしようとしたら、この法律でもしかしたら罰せられるかもしれないなということを予見できるような中身になっていなければ、僕は、この憲法三十一条、その判例を平たく読んだ感想として、どうなのかなと。

 限定的な例示もできません、それから、具体的なことは基本方針によって決まります、それでは、指定された中に住んでいる人たちは、どのようにこの法律の適否、適用されるのかあるいはそれは適用されないものであるのかということが、明確に分からなければ、これはちょっとたてつけとしておかしくないですか。済みません、その辺、そこのところ、繰り返しになりますけれども、もう一度お願いします。

近藤政府特別補佐人 先ほどお答えしました、行政法規一般の話でございますけれども、徳島の公安条例、先ほど先生が御指摘になりましたところでもちょっと最高裁が言っておりますけれども、一般に法規は、規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく、その性質上多かれ少なかれ抽象性を有し、刑罰法規もその例外を成すものではないことから、どうしても合理的な判断を介在して運用せざるを得ないという面がありまして、行政法規はより、全て刑罰で実は担保するわけではなくて、実は本当はそれ以外の手法によって事前に、刑罰まで至るまでで実際の行政目的を達成していくというのが元々行政法規の目的でございますので、どうしても全て限定的に書けるわけではなくて、どうしても抽象的な概念で、実態に合わせながら対応していくということが、それぞれの行政法規の対象物に応じて、やはりそこはどうしても違いが出てまいります。

 今回の法律につきましては、いろいろな施設によって、いろいろな阻害行為みたいなものが考えられ、それが全て一律に書けるものでもございませんし、それぞれごとにある程度適切に、必要な範囲で阻害行為というのを防止していくということですので、それは今回の法体系の中では、まさしく指針等でそこは具体的なものをイメージしながら明らかにしていき、国民の方にはそれを御理解いただく、そういうことを前提に法を運用していくというたてつけにしてあるということでございます。

屋良委員 そうすると、私たちがここで審議している理由というのは何ですかね。

 この法案が通って、閣議で基本方針が決まって、それで具体的なものが見えてくる。私たちはここで何を審議しているんでしょう。国会の立法機関性とは何なんでしょうね。どうもちょっと理解できませんね。

 例えば、政府が出してくれている、例えばという、例示してくれている司令部機能、特別注視区域にある、その司令部機能とは一体何ですかと問われたときに、これはどのように説明されるんでしょう。辞書によると、司令部とは、司令官が職務を行う統帥機構だと書いてあるんですね。ということは、指揮命令する機能がある場所が司令部であると。その指揮官らが会議をして指示を出すことになるんですけれども、それに対する阻害行為というのは一体何ですかと。司令部機能はたくさん全国にあると思いますよ。私の出身の沖縄もたくさんありますよ、大小、様々。そこで何をやったら、どういうことが行われているから、それに対してどのような働きかけなりなんなりをしたら機能を阻害するんだということを、そこに住んでいる人が分からないといけないんじゃないですか。

 大臣、この点、どうでしょう。

小此木国務大臣 想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難でありますけれども、現時点では、例えば、重要施設については、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置ですとか、重要施設の通信能力に支障を来す電波妨害等が該当し得るものと考えられます。

 そういったところについて、様々な不安が寄せられたというこの事実において、長年議論が積み重ねられてまいりました。結果、第一義的にこの法案についてはまず調査をさせていただくということを目的といたしまして、提出をさせていただきましたということです。

屋良委員 大臣、今おっしゃったことを法案の中に書けばいいじゃないですか。そうしたらもう、すっきり、クリアになると思いますよ。いかがですか。

小此木国務大臣 重ねてになりますけれども、このため、特定の行為を普遍的な機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないと考えておるということを申し上げてまいりました。

 なお、機能阻害行為については、予見可能性の確保の観点から、閣議決定する基本方針において、想定される行為を具体的に例示をする考えであります。

屋良委員 司令部機能を阻害する行為、済みません、質問し忘れましたけれども、その行為とは一体どういうことを想定できますか。あるいは、イメージできるんでしょうか。大臣、お願いします。

川嶋政府参考人 お答えいたします。防衛省でございます。

 まず、司令部そのものについて申しますと、一定の規模の部隊の運用に係る指揮を行う機能を有している施設、これを司令部機能と考えてございます。

 それを損なう行為というものでございますけれども、本法案におきます機能阻害行為につきましては、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、一概にお示しすることは困難であると考えてございます。

 本法案施行後に閣議決定する基本方針におきまして、想定される行為類型が例示されるものと承知いたしてございます。

屋良委員 どうも議論がかみ合っていないんですけれども。

 先ほど法制局長官は、罰則に至るまでのプロセスが明確だから、それで予見可能性は確保されているというふうなお答えでした。しかし、この本法案が目的としているのは機能阻害行為を防止するということなんですよ。だから、機能阻害行為というのは何たるものかということが一般の人がイメージできないと、憲法三十一条、担保されていないんじゃないんですか。

 大臣、その点、今、大臣がお答えになったんですかね、予見可能性の一層の確保に資するためにと。ということは、一層の確保がなされないと、今の状態では分からないということじゃないですか。大臣、お答えください。

小此木国務大臣 何度も申し上げるようになるんですけれども、地方から寄せられた様々な意見、実際に外国の資本に買収された土地の、その不明確さから成る不安ということからきているということは申し上げてまいりました。そういう中で、その不安をまず解消しなきゃいけない。

 その不安は何かといいますと、例えば、現時点では、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、重要施設の通信能力に支障を来す電波妨害等が該当し得るものと考えております。

 予見可能性の確保の観点から、機能阻害行為については、閣議決定する基本方針において、想定される行為を具体的に例示する考えでおります。

屋良委員 そうすると、現時点では内容は特定できないというような理解でよろしいですか。現時点においてです。

小此木国務大臣 機能阻害行為については、予見可能性の観点の確保から、閣議決定する基本方針において、想定される行為を具体的に例示するという考えをお示しいたしました。

 その上で、御指摘の機能阻害行為を行った者に対する罰則、これは命令に違反した場合に科せられるものでありますけれども、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用が明らかになった場合であっても、直ちに命令を行うわけではございません。命令を行う場合には、勧告を行うこととしており、対象となる個々の行為について、法律の要件や基本方針の内容に照らして適切に評価するとともに、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、勧告の要否、内容等について慎重に判断することになります。

屋良委員 大臣、繰り返しで大変申し訳ございません。現時点、今私たちが審議をしているこの瞬間、予見可能性って十分に確保されているんでしょうか。

 先ほど来の大臣の説明を伺っておりますと、閣議決定する基本方針において補強していきたいというようなことをおっしゃっておりますけれども、しかし、罪刑法定主義でいうと、普通の人たちが、これをやったらやばいなとイメージできないといけないということが大前提ですよ。

 にもかかわらず、予見可能性については、閣議決定による基本方針でできるだけクリアにしていきたいというふうなお答えを繰り返されておりますけれども、今、司令部機能が何ですか、司令部機能を阻害することはどういう行為ですかというふうに聞いたら、一概には答えられないと。これじゃ、予見可能性なんて誰も持てないと思いますよ。

 今こちらにいらっしゃる皆さん、先生方が、これをやったら司令部機能が阻害されるなということがイメージできなければ、恐らく、罪刑法定主義上、何かちょっとしっくりこないですよ。例えば、車を運転していてどのぐらいのスピードで走っていったら捕まるなとか、そんなことが分からないといかぬというのが一般的な話じゃないですか。

 安全保障上のリスクを考えるというお答えが続いていますけれども、私はそんなことは聞いておりません。どのようにイメージできるんですか、イメージできるその状態というのはどういうことですかということを聞いているんです。それを基本方針において明らかにしていきたいというのは、ということはですよ、裏を返せば、今時点、説明していないということじゃないですか。

 大臣、お願いします。

小此木国務大臣 命令を行う前に勧告をすることになっております。この勧告を行う際に、土地等の利用者に対して、どの行為が機能阻害行為に該当しているのか、これは明示的に示されることになります。

 その上で、勧告を受けた者が正当な理由がなく当該勧告に係る措置を取らなかったときには命令を行うことになり、この際にも、どの行為が機能阻害行為に該当しているのか、明示的に示されます。

屋良委員 ということは、勧告、命令が行われるまで分からないということじゃないですか。そういうことじゃないですか。お答えください。

小此木国務大臣 それが、不安ということになり、送られてきたことでございまして、それを、有識者の意見を聞きながら、踏まえて、法案を提出させていただきました。

屋良委員 明確なお答えがなかなか引き出せないというのがちょっともどかしくて、それがこの法案の問題だというふうに思います。

 不安を抱えているというのは、いろいろな意味での不安になると思いますよ。この法案が成立した後に、自衛官も行くんですかね、調査とか。あるいは、国の方が調査に来る。何の調査に来るのかなということが分からない。うちがやっていることが、もしかしてまずいことをやっているんじゃないのというふうなことも、これまた不安になると思うんですね。

 そうすると、やはりこれは、何をどうやればということが明確でない以上、不安にならない人もいれば、なる人もいると思いますよ。なぜかというと、例示しないと分からないんだから。例示して初めて、これは当たる、当たらないというのが分かるということは、だから、罰則規定も入っているわけだから、そこを明確にまずしていただいて、国会審議にかける、法律をちゃんと審議させてもらいたいというふうなことをずっと僕らは言っているわけですよ。しかし、網羅的には言えない、一概には言えない。これでは、何をどう審議していいのか分からない。

 しかも、ちゃんと、何がその境目だと、法の境目ですよということを分からせてくれないと、普通の人は非常に迷うと思うし、徳島市の最高裁の判例、これは食い違ってくると思いますけれども。

 では、ちょっと聞き方を変えます。

 今、この法案の中に米軍基地も含まれます。米軍基地の指定については、アメリカ側からいろいろな情報を聞いて、日本側と調整をして、日本の自衛隊の施設の指定に準じるような形でアメリカ軍基地も指定していくというふうな説明を受けたんですけれども、僕はふだん防衛省などの説明を聞いていると、アメリカ軍の運用については関知していないと。

 例えば、最近やたら低空飛行が多いねとか、最近なぜか岩国に移転したはずの空中給油機が普天間によく飛んでくるね、そうしたら負担軽減になっていないんじゃないのというふうなことで防衛省に問い合わせたりするんですけれども、それは米軍の運用なのでという答えなんですよ。そうすると、アメリカ側が言ってきたこと、それをどうやって日本側が調整をするのかということがまずもって分からないんですけれどもね。

 だから、そういったことも含めて、ちょっと中身が分からない。アメリカ軍の運用所要と自衛隊の運用所要が全く一〇〇%合致するはずがない、軍隊が違うので。歴史も違う、文化も違うし、運用も違う。持っている兵器も違うわけですよ。

 そんな中で、指定しました。指定した後に、ここが重要注視区域になりました。罰則規定があって、それにもしかしたらひっかかっちゃった人がいるかもしれない。そのときに、いや、俺はそんなつもりでやっているわけないよということで争いになった。日本側は、アメリカ側は裁判に出てきませんから、何でこの行為が罰則に当たるんですかというふうに裁判で争いになったときに、日本はこれをちゃんと説明できるんでしょうか。

 そこのところをどのように整理するのか、今、もし説明できればお答えください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍施設・区域につきましては、国会における御審議の内容や自衛隊施設に関する指定の考え方等を踏まえつつ、管理者であります米軍との間で施設の運用状況や重要性等の詳細を確認した上で区域の指定を行う必要がございます。

 このため、在日米軍施設・区域の指定の在り方については、予断を持ってお答えすることは困難でございますけれども、指定に際しましては、米軍との間で施設の詳細を確認しつつ、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、政府の判断として、必要最小限の原則の下、真に措置が必要となる施設・区域を指定していく、特定していくというふうに考えております。

屋良委員 指定の方法ではなくて、裁判で聞かれたときに、何で私はこれで罰則を受けないといけないんですかとその原因を聞かれたときに、日本政府はどのように説明するんですか。というか、裁判上、説明するんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の国内法令の適正な執行を目的として、米側から必要な情報を聴取するのは当然のことでございますので、また、これは日頃から様々な課題について、様々なレベルで、日米間の調整の一環として行っておりますので、そのような形で対応をしていきたいというふうに考えております。

屋良委員 防衛省はアメリカ軍の運用については全て承知していないので、最近、C130が普天間にたくさん来ているねとか、最近、MC130が低空飛行をよくやっているねとかということを何でですかと聞いても、関知していないと答えるんですよ。

 そういう防衛省が、あるいは内閣府も、政府が裁判で争いになったときに、一体どうやって犯罪構成要件を説明するのですかというふうに伺っていますけれども、全くそれに対してストレートな答えが出てこない。これはもう二度聞いて出てこないので、三度目の挑戦をやろうかなと思ったけれども、次に回しますけれども。

 お配りした資料で、最初の新聞記事のコピーは、普天間飛行場周辺の高さ制限、これは、地位協定上、日本の国内法である航空法は適用除外になっていますから、高さ制限をもって構造物を撤去することはできないということになっております。これを撤去できるようにしようとすると、日米地位協定を変えないといけないということになります。それも想定しているんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この事案の状況について御説明をさせていただきます。

 御指摘のこの報道の事案でございますけれども、普天間飛行場周辺のこの鉄塔でございますが、これにつきまして、周辺住民及び航空機の飛行の安全が損なわれるおそれがあったことから、所有者に協力を依頼をして、撤去をしたというものでございます。

屋良委員 地位協定、どうしていますか。もう一度お願いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今、この法案、御審議いただいているところでございますけれども、まさに個別具体的な行為が実際に重要施設の機能を阻害する行為に当たるか否かということでございますが、それは当該行為における土地等の利用実態、機能阻害の程度等に基づき判断されるものでございますので、現時点でこの関連で地位協定云々というようなことを考えているということではございません。

 先ほど答弁させていただきましたけれども、この件につきましては、所有者に協力を依頼をして、実際に撤去をしたということでございます。

屋良委員 そうなんですよ。重要施設、普天間は重要な施設だというふうに認識していますけれども、重要な施設であっても、所有者とこれまでは協議をして問題をクリアしてきたという過去があるんですね。

 だから、それを、不安が広がっているということなんだけれども、地位協定はいじらない、だけれども、普天間周辺に高い構造物が建てられたときにはやはりお願いベースでやっていくしかないと。

 先ほど来さんざん聞いている、機能阻害行為というのは何ですかも分からないし、それにどう対処していくんですかというのは、罰則をもってなんだけれども、そもそも機能阻害行為が分かっていないというのがよく分からない。

 時間が来ましたので、最後に、ばあっと読み上げて、例示させていただいて、これが八条、九条に抵触するのかというのをちょっと教えてほしいんですけれども……

木原委員長 屋良君、時間が過ぎておりますので、質問はなしで、お取りまとめいただきたいと思います。

屋良委員 なしで。分かりました。

 機能阻害行為がはっきり説明できないということは、やはり徳島の、この最高裁の判例に私は抵触していると思いますし、そもそも事の目的は機能阻害行為を防止するということなので、そこのところの行為が明らかでないということは、やはり法律のたてつけとしておかしい、分かりにくいというようなことを申し述べて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず、午前中の濱村委員の質疑の中で、注視区域、特別注視区域についての質疑の中で、木村審議官からかなり具体的な数字についての答弁がありました。

 こういう答弁がありました。部隊等の活動拠点となります施設、部隊等の機能支援を行います施設、装備品の研究開発等を行います施設、我が国の防衛に直接関連する研究を行います施設といった合計約四百数十の施設の周辺が注視区域として指定の検討対象になるものと認識しているところでございますとありましたが、これはどのぐらいこういった自衛隊、米軍も入るんでしょうかね、の施設が入るのかということについて、一つの基準だと思うんです。

 小此木大臣にお伺いしますが、例えば、自衛隊員や米軍兵の宿舎とか住宅、これは私の選挙区にもあるんですけれども、あるいは福利厚生施設、あるいは防衛局の防衛事務所って町の中にぽつんとあったりするんですね、こういったもの、あるいは、民間企業でも、防衛関連設備を製造しているような民間企業、こういったものは対象にならないということでよろしいでしょうか。

小此木国務大臣 重要施設のうち、防衛関係施設については、自衛隊施設及び在日米軍施設・区域を想定しており、例えば、指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能等を有する施設、部隊等の活動拠点となる又は機能支援を行う施設等の周辺が区域指定の検討対象になるものと考えております。

 加えて、海上保安庁の施設及び政令で定めることを想定している重要インフラ施設として、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港の周辺も区域指定の検討対象として想定しております。

 自衛隊施設の宿舎、住宅等の扱いについては、現時点では決まっておりません。また、防衛関係施設には、防衛関連装備を製造している民間企業は含まれません。

 取りあえず、以上でございます。

後藤(祐)委員 宿舎、住宅も含まれ得るということですか。これまで含まれると相当なところが、そこから更に一キロということになってしまうと、対象となってしまうので。そうなると、先ほどの部隊等の機能支援を行う施設というのは、住宅まで入っちゃうんですか。それは広げ過ぎじゃないんですか。

 この法律がもし成立して施行になると、うちの土地はどうしなきゃいけないんだとかいう話になるので、ちゃんとここは入らないということをもう言っておいていただかないと、より安全保障の機能の強いところについての言いにくい話は分かるけれども、住宅が入るか入らないかなんてことは、これは全部通告していますからね、それは言っていただかないと困りますよ、大臣。

 何かはっきり言うつもりだったらいいですけれども、これは大臣に通告しているんですが、答えないということは答えられないということでしょうから。それ、明確に答えるつもりですか。ああ、うなずいておられる。じゃ、お願いします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣が、自衛隊施設の宿舎、住宅等の扱いについては現時点で決まっていないと申し上げたのは、注視区域、特別注視区域の区域指定は、最終的には法令の要件に照らして、それから、手続的には審議会の議を経て決定していくという意味で、まだ決まっていないということでございます。

 一方、木村審議官の方から、施設類型といたしまして、部隊等の活動拠点となる施設、部隊等の機能支援を行う施設、装備品の研究開発等を行う施設、我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設といった合計四百十の施設の周辺が注視区域として指定の対象となり得ると認識という、この四百十には、宿舎や住宅等については含まれておりません。

後藤(祐)委員 いや、これからの手続をまだやっていないからとか、そういうへ理屈、大臣、やめてくださいよ。だから信用できなくなっちゃうんですよ、この質疑が。

 これからも指定することはないということでよろしいですね、宿舎、住宅、福利厚生施設、防衛事務所について、大臣。

中尾政府参考人 お答えします。

 まず、条文の説明をさせていただきますと……(後藤(祐)委員「いいです、そんなのは。時間稼ぎやめてください」と呼び、その他発言する者あり)

木原委員長 御静粛に。

中尾政府参考人 法二条の自衛隊施設には宿舎等も定義としては入るんですけれども、注視区域につきましては、特に重要な機能を持つ重要施設ということでございますので、宿舎や住宅等は対象外ということでございます。

後藤(祐)委員 これは二日前に通告しているんだから、はっきり答えてくださいよ、大臣。そういうところが曖昧だから信用できなくなるんですよ。じゃ、こういうのは大丈夫だな、例えば住宅の近くに住んでいる人は、これで安心するわけですよ。ちゃんと答えてください。

 二つ目、生活関連施設ですが、これも午前中、木村審議官から原子力関係施設と自衛隊が共用する空港の二つの類型でございますという答弁がございましたが、あと、有識者会議の中では、このほかに国際海底ケーブルの陸揚げ局というのが例示されているので、これが追加されるとかいう可能性はもしかしたらあるのかもしれませんが。

 今日、配付資料の一ページ目に、これは国民保護法ですね、武力攻撃事態のときに生活関連等施設というのが限定列挙されています。この中には、一日十万人以上利用する駅とか、ダムとか、こういったものも含まれているわけでございますが、この国民保護法の施行令に指定されているような生活関連等施設は対象にならないということでよろしいですか。

木原委員長 ちょっとお待ちください。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 小此木大臣。

小此木国務大臣 失礼しました。

 具体的な施設類型については、有識者会議の提言において原子力発電所や自衛隊が共用する民間空港が挙げられたことを参考としつつ、国会での御議論や施設ごとの懸念の実態等を勘案して検討してまいります。

 現時点では、鉄道施設、放送局などのインフラ施設については、生活関連施設として政令で定めることは想定しておりません。

後藤(祐)委員 これ全て、原発はちょっと、発電所と書いてあるので、原発だけちょっと別なんですが、原発を別とすると、この国民保護法の施行令の生活関連施設に掲げられている具体的なものはどれも指定されないということでよろしいですね。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 生活関連施設につきましては、条文上、「国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの」ということでございますので、御指摘の国民保護法施行令よりも厳格な規定ぶりとしておるところでございます。

 また、国民保護法施行令が有事を想定しておりますけれども、当該法律案は平時においても対応するものでございますので、この施設類型全てではなく、少し狭まるということを想定をしております。

後藤(祐)委員 何で駅とか放送局は明確に入らないと答弁できて、ほかのやつは言えないんですか。そうなると、ほかのやつも可能性があるのかという話になっちゃうじゃないですか。

 これ、どれも入らないということを後できちっと紙で提出してください。今、もうこれ以上時間をかけてもしようがないから。委員長、お願いします。

木原委員長 理事会にて協議をいたします。

後藤(祐)委員 先ほどの木村審議官の答弁には特別注視区域についてもありました。指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能を有する施設、離島に所在する施設といった約百数十の施設の周辺が特別注視区域として指定の検討対象になると認識しているという答弁がありました。

 ここは通告しているんですが、大臣、大臣は神奈川の議員ですから、具体的にどういったところが指定されるのか、みんな関心がありますので、横須賀、厚木基地、座間キャンプなどは含まれるんですか。また、こういった、今、木村審議官の答弁にあった機能のいずれも有しないような施設の周辺は特別注視区域にならないということでよろしいですか。

小此木国務大臣 防衛関係施設に関し、本法案が特定重要施設の要件として規定する、重要施設のうち、その施設機能が特に重要なもの又はその施設機能を阻害することが容易であるものであって、他の重要施設によるその施設機能の代替が困難であるものに該当し得る施設は、指揮中枢機能及び司令部機能を有する施設、警戒監視、情報機能を有する施設、防空機能を有する施設、離島に所在する施設といった施設を考えております。

 具体的な区域指定については、各施設につき、法律上の要件、経済的社会的観点からの留意事項を含む基本方針に照らして評価いたします。その上で、国会審議の状況、懸念の実態等を踏まえ、土地等利用状況審議会の意見を伺い、必要最小限の原則を踏まえ、特別注視区域として指定することの要否について個別に判断いたします。

 御指摘の横須賀、厚木基地、座間キャンプの周辺の区域指定についても、こうした手続を踏まえて特別注視区域として指定することの要否について判断するため、現時点では決まっておりません。

後藤(祐)委員 それじゃ最初の答弁と同じじゃないですか。

 今、四百数十とか百数十とか木村審議官がおっしゃって、今大臣もおっしゃっているわけだから、それが、確かに、手続でいろいろなことをやらなきゃいけなくて、これは除けとかというのが、若干ずれるということはあると思う。ですが、現時点で認識しているものがどれであるかは分かるわけだから、現時点で認識しているものとして今の横須賀、厚木、座間が入るのか。

 そして、四百数十の注視区域の指定の検討対象、百数十の特別注視区域の指定の検討対象、そして、国境離島等で区域指定を行う領海基線を有する国境離島四百八十四、有人国境離島地域離島百四十八、そして海上保安庁の施設合計百七十四、こういった数字がありましたが、現時点で指定の検討対象となるものと認識しているものを全て個別具体的に文書で出していただきたいと思いますが、大臣、よろしいですか。最終的にそうなるかどうかは今後の審議会とかで変わる可能性はあるけれども、現時点で認識しているものはこれでありますというのを出していただくということでよろしいですか、具体的に。

中尾政府参考人 まず、国境離島四百八十四という数は既に公表させていただいておりますけれども、この島のリスト自体、既存のものがないというふうに承知しております。それから、有人国境離島地域離島百四十八については既存のリストがあると思っております。

 その上で、どのような形でお答えをできるか検討させていただきたいとも思いますが、客観的にどういう離島があるかというリストは検討させていただきますけれども、どこを注視区域あるいは特別注視区域とし得るかというのは、午前中も、それから先ほども大臣が御答弁申し上げたとおりのことでございますので、そのような対応ができるかどうかは難しいのではないかなというふうに思っております。

後藤(祐)委員 リストがないのに何で四百八十四とカウントできるんですか。

 委員長、これは、最終的に注視区域、特別注視区域になるかどうかは、手続が当然必要なのは分かっています。ですが、現時点で指定の検討対象となるものとして認識していると明確に答弁されているわけですから、その認識されているものを具体的にどこなのかということは、具体名をもってこの委員会に提出していただくよう、よろしくお願いします。

木原委員長 理事会にて協議をいたします。

後藤(祐)委員 実際、指定地域がどこになるかということが可能性としてでも示されないと、日本国民として、ああ、うちのところは関係あるねとか、うちは関係ないねということは、物すごい、それが第一関心事項なわけですよ。

 しかも、私は、事務的には私の選挙区の座間キャンプですとかは対象になると聞いていますよ、司令部機能があるから。司令部機能があるのにならないなんてことはあり得ないと思いますけれども。不動産の関係の人にそれを言ったら、えっ、何だそりゃという状態ですよ。皆さんも多分そうじゃないでしょうか。

 ですから、少なくともなり得る可能性が高そうだというような状態でもいいですから、それを示していただかないと、国民から見たときに、そのインパクトだとか実際の不動産取引がどうなるかということについて、やはり国民への周知という意味でも絶対必要ですので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、機能阻害行為について伺いたいと思いますが、午前中も、基地の入口なんかで座込みみたいな行為をしている、そのコーンなんかを建物に保管するといった行為は対象にならないという明確な答弁がありましたが、これは大事なことだと思います。

 幾つか聞きたいと思いますが、まずは、妨害電波なんかは発しないで、望遠鏡ぐらいは使うけれども、基地だとか原発を外から見る、監視する、特に、米軍や自衛隊の基地の周辺を見渡せる高層建築の高層階から見るだとか、あるいは基地の周辺で航空機の離発着の状況を見るですとか、こういった単に見る、監視するという行為は含まれない、阻害行為に含まれないということでよろしいでしょうか。また、今言った、重要施設を見渡せるような土地にマンションを建設したり、あるいは建設されているマンションの上層階の部屋を買ったりという行為そのものは入らないということでよろしいでしょうか、大臣。

小此木国務大臣 機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な類型が想定されることから、個別具体的に判断されるべきものであり、お尋ねの行為がそれぞれ機能阻害行為に該当するか否かは一概にお答えすることは困難であります。

 その上で、注視区域内の土地等における御指摘の類型の行為のうち、望遠鏡等を用いて単に外部から重要施設を見ること、重要施設の敷地内を見ることが可能なマンションの建設、当該マンションの上層階の部屋の購入、双眼鏡、椅子、垂れ幕といった機材の保管については、いずれも直ちに施設機能を阻害するものとなるとは考えづらいと思います。このため、機能阻害行為として本法案に基づく勧告、命令の対象となることは想定しておりません。

 一方で、重要施設への機材等の搬入や搬出を阻止する行為については、例えば、注視区域内にある土地等において、その利用者がそうした行為を恒常的に行っている場合には、本法案に基づく勧告、命令を行うことがあり得ます。

後藤(祐)委員 今の答弁は非常に明確だったと思います。

 最後のところの、入口付近において搬出や搬入を阻止する行為を恒常的に行っている場合にはというお話がありましたが、それがその土地建物を使って恒常的にやっている場合にはこの法律の対象になりますが、ただ単に公道に座っているだけとかというのはならないと思うんですけれども。

 今の線がどこにあるかといったときに、条文修正を我々も考えているんですが、大臣、こういった概念で切り分けられませんか。土地等に機能阻害行為の用に供される施設又は設備が相当期間にわたって設置される、これは機能阻害行為じゃないか。機能阻害行為の用に供される施設又は設備が土地等に相当期間にわたり設置される、こういった場合はひっかかり得るけれども、そうでない場合、例えば、入口にコーンを置いてといったって、コーンをどこかに持って帰ったりするわけですよね。ですから、ずっとその建物の中で電波を妨害するような機械を置いているというのは今言ったようなのに入るけれども、搬入を阻止するためにコーンを置いてそれをどこかにしまってとかいうのは入らないという、線を何らか例示されたらいいと思うんです。

 午前中以来、例示の話がありましたけれども、今言ったような少し一般性のあるような表現で五条あたりに書いたらいいと思いますが、いかがでしょうか。

中尾政府参考人 ただいま大臣から申し上げました重要施設への機材等の搬入や搬出を阻止する行為につきまして、例えば、注視区域内における土地等で、委員御指摘のように、土地の利用としてそうした行為を恒常的に行って機能阻害をしている、あるいはおそれがある場合は本法案の対象となり得るということかと存じます。

 お尋ねの、ここに相当期間のようなことを、時間的な長さにおいて区分けできないのかという御指摘だと思いますけれども、これもまたケース・バイ・ケースだとは思いますけれども、場合によっては何かあったときに迅速にということが必要となる場合もあるのではないかと思っておりまして、そういった期間の考え方を入れるというのは行っておらないところでございます。

後藤(祐)委員 是非そこは条文に入れてほしいと思いますし、今の、どこは駄目だけれどもどこは入らないというのは、さっきの答弁で何となくの相場感ってあると思うんですよね。それを文字にして予測可能にするということがやはり罪刑法定主義上必要だと思いますよ。

 もう一つ確認したいのは、第八条の報告徴収ですけれども、具体的にどんな報告や資料提出を求めることができるんですかね。

 例えば、米軍基地の監視を行うつもりですかとか、望遠鏡を使うんですかとか、電波を用いた機器を使うつもりですかといったことを求めるんでしょうかね。あるいは、個人情報について、あの人の個人情報を出せというような、結果的に個人情報になるようなものも含めて、こういったものも第八条の報告徴収の対象になるんでしょうか、大臣。

小此木国務大臣 第八条に基づく報告徴収等において、土地等の利用に関する情報として、土地等の利用者の氏名、住所等、土地等の利用の具体的状況などについて報告等を求め又はこれらの情報が記載された資料の提出を求めることを想定しております。

 この際、当該土地等について国が機能阻害行為の兆候を具体的に把握している場合には、当該機能阻害行為を行っているか否かについて明示的に報告を求めることはあり得ます。また、土地等の利用者を確認するために、その氏名、住所といった個人情報について報告を求めることもあり得ます。

 一方で、先ほどお答えしたとおり、望遠鏡などを用いて単に外部から重要施設を見ることについては、直ちに施設機能を阻害するものとなるとは考え難く、このような行為について報告徴収等によって調査を行うことは想定しておりません。

後藤(祐)委員 報告徴収できることはこういうことで、こういうことはしないということをやはり何らか示した方がいいと思いますよ、基本方針なり何らかの形で。特に、こういう反対運動をされている方はそこをすごく気にされていて。

 ちょっとこれは通告していないんですが、一つ提案として、破防法の規定というのが参考になるんですね。破壊活動防止法は、単なる反対活動をされている方は対象にしないという条文があって、こういう条文なんですね。「この法律による規制及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであつて、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあつてはならない。」こういう規定が破防法にあるんですよ。

 これと同じ趣旨をこの法律に規定すれば、そういう反対運動されている方の心配というのは相当なくなると思うんです。本当に取り締まらなきゃいけないものをきちっと取り締まるという趣旨が明らかになって、無用な心配というのはなくなると思うんです。

 是非この破防法の規定を参考に、こういう自分の意見を表明するためにいろいろな行動をするということは当然認められているわけですから、それは対象にしないということが分かるように条文に記すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか、大臣。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる破防法と本法律案とは趣旨、目的も違いますので、一概に比較することもいかがかと存じますけれども、まず、第八条の報告の徴収等につきましては、関係行政機関に情報の提供を求めた結果、土地等利用状況調査のためなお必要があると認めるときはという形での一種の制約もかかっておるところでございますし、また、土地等の利用に関しというふうな限定もつけておるところでございます。

 また、法律案第三条におきまして、内閣総理大臣は、この法律の規定による措置を実施するに当たっては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、注視区域内にある土地等が重要施設の施設機能又は離島機能を阻害する行為の用に供されることを防止するために必要な最小限度のものとなるようにしなければならないという規定もあるところでございます。

後藤(祐)委員 ここはかなり似た性質があると思うんですよ、正当な活動と取り締まるべき活動。でも、それをなかなか線を引くのは難しいので、今言った目的のところでうまく切っていくしかないと思いますので、是非これは三条あたりの配慮事項に加えていただきたいというふうに思います。

 それと、今の八条の報告徴収についてですけれども、これは大臣にお聞きしますが、分からない、これは何のために使う土地ですか、施設ですか、分からないといった答えをした場合、罰金になっちゃうんですか、大臣。

小此木国務大臣 第八条に基づく報告徴収等において、土地等の目的、用途が決まっていない場合や報告を求められた内容について知らない場合などにその旨を報告した場合には、事実に即して報告を行ったものであることから、罰則の対象とはならないと存じます。

 一方で、土地等の目的、用途が決まっている又は報告を求められた内容について知っているにもかかわらず、未定である、当該内容を知らないといった報告等を行った場合には、第二十七条の虚偽の報告又は虚偽の資料の提出をしたものとして、罰則の対象となることがあり得ると考えております。

後藤(祐)委員 それは、さっきの百数十という施設が決まっているのか決まっていないのかみたいな話じゃないですか。どの段階で決まっているのかよく分からないじゃないですか。だから、分からないと言っていたら、この報告徴収って何か実効性が余りないんじゃないんですか。

 更に言うと、実効性の観点から、私はこの法案はむしろ残念な法案になっていると思っていて、電波妨害行為は明確に施設機能を阻害する行為に該当するというような御説明がありましたけれども、こういった電波妨害行為などを実際に行っているとした場合、この一キロ以内のところで、分かったと、あそこの建物でどうもやっているということが分かった場合に、これは当然勧告とか命令とかということはできると思うんですけれども、これはちょっと何問か飛ばしていますからね、4というやつです。その勧告、命令に従わない場合、電波妨害行為を出している、勧告、命令した、だけれどもこれに従わない場合、あるいは、機械だけがあって誰もいない、そこをコントロールしている人が誰か分からないような、要は勧告先が一体誰にしたらいいか確知できないような場合というのがあると思うんです。この場合、この法律ではどうするんですか。

 今の事例を前提にまとめてちょっと聞きますけれども、まず、この土地に立ち入ることは可能ですか。敷地の外から、ああ、何か怪しいことをやっているなというふうに眺めたり、ちょっと電波を調べたりというのができる程度ですか。門の外からピンポンを押すぐらいですか、門の中に入っていってピンポンを押せるんですか。

 それと、我々が少し考えているのは、行政代執行をして、電波を出しているような設備を除却するといったことはできるんですか。あるいは、土地収用法に基づいて収用することは可能ですか。あるいは、電波法など電波に関連する法令によってこの阻害行為を中止することは可能ですか。いかがでしょうか。

小此木国務大臣 本法案において、勧告を受けた者が正当な理由がなく勧告に係る措置を取らなかったときは、その措置を取るべきことを命令することができるほか、命令に違反した者には罰則が科せられることとしております。

 これに加え、例えば、施設機能を阻害する構築物の撤去等を命令した場合において、その命令が履行されないときは、行政代執行法に基づき、内閣総理大臣が自ら構築物を撤去する形で代執行を行うことができるものと考えております。

 また、この法案では、御指摘のあったケースに限らず、立入調査を行うことはできません。これは、有識者会議の提言において、立入調査は対象となる者の負担が大きいことから、調査の手法としては現地・現況調査や公簿の収集等までの対応とすることが適当とされたことを踏まえたことによります。

 行政代執行について、例えば、機能阻害行為に用いられているアンテナ等の構築物の撤去を命令した場合において、その命令が履行されないときは、行政代執行法に基づき、内閣総理大臣が自らその構築物を撤去できると先ほども申し上げました。

 本法案で、土地等の収用を行う制度は設けておりません。これは、有識者会議の提言において、土地等の収用について、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされたことを踏まえたことによります。

 また、土地収用法においてですが、公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合に限り、土地を収用することができるとされております。

 お尋ねの機能阻害行為が行われる土地は、そのような事業を行うための土地には当たらず、同法に基づく収用をすることはできないものと考えております。

 重要施設に対する妨害電波を発する不法無線局の開設など、電波法に違反する行為が認められる場合には、本法案第二十一条第二項の規定に基づき、電波法を所管する総務大臣に対し、同法に基づく措置等を実施するよう要請することができます。

後藤(祐)委員 ようやくかみ合った議論になってきましたが、行政代執行法でできるということですが、行政代執行法は相手が分かっている場合しかできないんじゃないんですか。勧告、命令する相手が分かっていて、それに従わない場合は行政代執行法でできるということですが、この妨害行為をやっているのが一体誰であるか確知できない場合に、行政代執行できるんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 相手方が確知できない場合は代執行できないとは思いますけれども、この法律は、あくまで所有者、場合によっては真の所有者と申しましょうか、所有者、利用者及びその利用状況を明らかにするための調査を行うことを目的とした法律でございますので、まずそういった確知というか、確知をしていく努力をするというのがこの法律の一つの主眼かと存じております。

後藤(祐)委員 だって、電波妨害施設は、もう全然違う外国の特定の方がコントロールしているとか、いろいろなことがあり得るわけですよ。今のは大事な論点じゃないですか。与党の先生方は何でここを詰めなかったんですか。確知できない場合でも行政代執行を可能にすることはできますよ。特定空き家。いろいろなやり方があるじゃないですか。

 行政代執行について、一般法たる行政代執行法を使う場合は、確知できないと使えないんですよ。ですが、この法律の中に、行政代執行を、確知できない場合でもこういう規定に基づいてやるという規定を設ければできたはずですよ。何で入れなかったんですか。

 事前のところの規制がきつ過ぎて、ほとんど関係ない人に事前届出の義務を課して、忘れた人にも罰則がかかると。そっちがきつ過ぎて、実際悪いことをしている、電波妨害行為を行っていても、そこが確知できなかったら手も足も出ない。ちょっとバランスに欠いていませんか、この法律は。

 今の、十三条に基づく特別注視区域の事前届出ですが、過失によって届出を怠った場合でも罰則は適用されるんですか、構成要件を満たすんですか、大臣。

小此木国務大臣 御指摘のケースは、その状況が必ずしも明らかでありませんが、第十三条に基づく届出を失念したまま土地等売買等契約を締結した場合であっても、第二十六条の罰則規定の対象にはなり得ます。

 もっとも、運用上は、そのようなケースについては、事後であってもできるだけ速やかに届出をするよう、当事者に指導する予定でおります。

 なお、届出が確実に行われるようにするため、本制度の制度、内容等について、広く国民に対して広報啓発活動を行い、周知を図ってまいります。

 加えて、実際の届出に当たっては、行政関係の手続に不慣れな方であっても円滑に届出手続を行えるよう、届出の書類の簡素化、記載マニュアルの作成、内閣府における相談体制の整備等を行うことを検討してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 午前中の審議で、重要事項説明の対象にするということですから、不動産業者が間に入る場合は恐らくちゃんとやるんでしょうけれども、相対でやる場合は怠る可能性はありますよね。それに罰則をかけるのはちょっとやり過ぎだと思いますよ。ここはちょっと緩和する必要があるんじゃないんですかね。

 それと、この十三条一項四号に当該土地等の利用目的って、一体何を記入させるんでしょうかね。あるいは、さっきのように分からないとか未定でも罰則が適用されちゃうんでしょうか。

中尾政府参考人 御質問いただきました当該土地等の利用目的といたしましては、土地等を取得した後にどのような用途で利用しているかが分かる程度に具体的な内容を記入していただく必要があると考えております。具体的には、建物の具体的な種類、面積、用途等を想定しているところでございます。

 また、十三条第一項に基づく届出において、例えば、土地等の目的、用途が決まっていない場合にその旨を届け出た場合には、事実に即して届出を行ったものであることから、罰則の対象にはなりません。

 一方で、土地等の目的、用途が決まっているにもかかわらず未定であるといった届出を行った場合には、第二十六条第三号の虚偽の届出をしたものとして処罰の対象となることがあり得ると考えております。

後藤(祐)委員 これもどの段階から分からないのかは、それは本人の主観ですから、これでもって罰則をやるというのはやり過ぎだと思いますよ。

 同じこの十三条の届出の第五号というところに、内閣府令に定める事項という曖昧な事項があるんですが、これは事前の説明ですと、土地等の所有者の国籍、土地等の地目、建物にあっては建物の種類、利用の現況という御説明がありましたが、それだけでしょうか。それ以外にあるのだとすれば、具体的かつ網羅的に示していただきたいと思います。これを届け出なかったら罰則ですから、これは罪刑法定主義の観点から明確にお答えください。

小此木国務大臣 御指摘第十三条第一項第五号の内閣府令で定める事項としては、御指摘のあった、新たに所有者となる者の国籍、土地の地目や建物の種類、土地等の利用の現況に加え、例えば、建物の構造、契約予定年月日、売買や贈与といった契約の種別等を想定しております。

 この内閣府令で定める事項については、届出の必要性と手続負担の軽減の要請との調和を図る観点から、必要最小限のものとすることとしており、国会での御審議を踏まえ、適切に判断をする予定であります。

 いずれにせよ、この内閣府令で定める事項については、法施行時までに内閣府令を制定し、その内容を明確にお示しいたします。

後藤(祐)委員 個別具体的に列挙していただかないと、罪刑法定主義上問題だと思いますよ。それをこの場で説明いただかないのは非常に問題があると思いますね。

 続きまして、午前中もありました産経新聞の関係で聞きたいと思いますが、配付資料五ページ目です。ちなみに、去年にも似たような記事があって、六ページ目にあります。

 午前中の質疑で、こういった調査は行っていない、七百件は承知していないという答弁がありましたけれども、そうしますと、この五ページ目の産経記事の神奈川県のこの事例、中国政府に関係のある可能性のある人物が米軍基地直近の土地を購入し、マンションを建設していたことが判明、見渡せる高層建物を複数所有している、沖縄県の事例、沖縄県の宿泊施設に買収を打診という件、鳥取県にある自衛隊基地に隣接した用地でも中国系のグループ企業が取得を目指しているという事案が確認された、というふうに三つほど具体的な事案が示されているんですが、これらについては、政府全体として、防衛省も含めてですね、国家安全保障局ですとか内調ですとか警察庁、公安調査庁、防衛省も含めてですね、今の三つの事例については政府として確認しているんでしょうか。

小此木国務大臣 午前中お答えいたしましたけれども、御指摘にあった関係省庁に確認した結果として、報道にあるような調査は行っておらず、外国資本による七百件の土地買収を確認したという事実はないと認識しているところであります。

後藤(祐)委員 いや、それはさっき聞いたので、今言った三つの事例について知っていますかと聞いています。

小此木国務大臣 一般論として、政府においては、平素から、各機関の所掌の範囲内で、法令に基づき必要な調査を行っているところであります。

 その上で、このような調査の結果、政府において個別にいかなる情報を把握しているか否かについては、これを明らかにすることにより今後の各機関の活動に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきます。

後藤(祐)委員 七百件は承知していないと言って、今の三つの具体事例については、まあ、知っているかもしれないという答弁ですね、今のは。ただ、知っているかどうかはお答えできないと。まあ、知っていることに含みのある答弁だと思いますが。そうすると、七百件も、知っているかどうかはお答えできないけれども、知っているかもしれないという意味なんだなということになってくるわけですよ。

 そうしますと、この法律は一体どういった事案を見つけるための法案なんですかという、午前中もあった立法事実の話として、まさにこういうのがあるとまずいからというのをやはり示していただかないと、具体事例でないにしても、例えばこういうことに使われる土地とか、一般性を持った言い方はできると思うんですよ。三件なのか七百件なのか分かりませんが、こういう性質を持った土地みたいな事実はあって、そういったものがほかにもあるとまずいから、あるいはそこの調査をもっとしたいからこの法案が必要なんですぐらいの説明は必要だと思いますよ。

 具体的にどこということが指定できないにしても、こういう性質を持ったところは現実に存在しているというぐらいは、大臣、答えるべきじゃないですか。

小此木国務大臣 報道による先ほどの内容ですが、七百件ですとか横須賀のマンションの話とか、そういうことがございましたけれども、これは、今述べられた各機関からそのような調査をしていないという確認をしたところであります、こういうことを申し上げました。

木原委員長 後藤君、時間が来ておりますので、おまとめください。

後藤(祐)委員 お答えになられていないですね。

 定性的にはお答えできないんですか。つまり、神奈川県のこれは知っていますとは答えられないとしても、こういう性質のあるような、マンションの高いところから見ているようなところを外国資本が買っているという事例が、抽象的な言い方ですが、ありますとか、そういう幾つかの定性的な表現をして、そういったものが現実にあるので、しかも、そこを更に調べたいのでこの法律が必要なんですという説明は必要なんじゃないんですか。それを今も拒否されたということは、やはり立法事実を示していないということを申し上げて、終わります。

木原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、内閣委員会での質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私も、今、後藤議員が指摘をした産経新聞、やや重なるところもありますが、きちんと説明をしていただきたいと思います。

 先週十四日付の産経新聞で、政府が昨年、外国資本による土地売買の本格調査を開始したということが報じられました。防衛施設の周辺十キロ以内や国境離島、宇宙開発施設周辺まで調査し、中国系資本が関与した可能性のある買収などを、去年の秋までに約八十件、その後の調査で計七百件把握したという内容であります。しかも、対象者の定点観測や周辺からの情報収集などを行い、アメリカ側と意見交換を行っていることもうかがえるものになっております。

 これから法案の審議をお願いする立場にある政府が、既に法案でできること以上の調査を行っているとすれば、国会軽視も甚だしいと言わなければなりません。

 大臣に伺いますが、既に理事会の求めに応じて事実関係を調査した、こう聞いてはおりますが、結果はどうだったんでしょうか。

小此木国務大臣 重なりますけれども、この報道内容についてだと思いますけれども、関係省庁に確認をいたしました。

 報道にあるような調査は行っておらないということと、外国資本による七百件の土地買収を確認したという事実はないという回答を私受けておりまして、政府としては、全体としてもそういうふうに認識をしております。

赤嶺委員 そうすると、今回の報道というのは誤報だということですか。

小此木国務大臣 私は、各機関から、調査をした事実はない、七百件の土地買収を確認した事実はないという報告を受けております。

赤嶺委員 仮に警察機関や公安調査庁がこのような調査を行っているとしたら、普通は調査を行っているかどうかも含めて事実関係を明らかにしないと思うんですよね、これまでの政府のスタンスとして。その点、政府はきちんと、各機関、本当に中身を説明したという具合に認識していらっしゃるんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども大臣から御答弁をさせていただきましたけれども、私ども内閣官房の方から関係省庁の方に厳密に確認をさせていただきました。

 そうしたところ、報道にあるような調査は行っておらず、外国資本によります七百件の土地買収を確認したという事実はない、このような回答をいただいているところでございます。

赤嶺委員 しかしながら、同種の報道は続くんですね。同じような報道は、昨年の十二月二十二日の読売新聞、自衛隊施設などの周辺で中国系資本が土地買収に関わったと見られる事例が約八十か所あったとする政府調査の内容を報じています。

 これは法案審議の前提に関わる問題です。法的な根拠もなく既にこんな調査をやっているとしたら、法案審議どころの話ではなくなってしまいます。どこの省庁が、いかなる法的根拠に基づいて、どのような調査を行っているのか、改めて実質的な聞き取り調査を行って、結果をきちんと報告していただきたいと思いますが、その点、大臣、よろしいでしょうか。

小此木国務大臣 私が報告を受けたのは、調査を行ったことはないということなんですね。そして、七百件の土地買収を確認したという事実もないということですから、調査そのものを行っていないということを申し上げております。

赤嶺委員 本当に調査を行っていないのかどうか、余りにも報道が続いているものですから、法案審査の前提になる問題ですから、きちんと確認をしていただきたい。

 法案提出の根拠について伺います。

 今回の法案は、政府が安全保障上重要とする施設周辺、国境離島の住民を調査し、機能を阻害する行為や、その明らかなおそれがあると判断をすれば、土地や建物の利用を中止させ、応じなければ処罰するというものです。

 戦前、要塞地帯法や治安維持法、軍機保護法など一連の治安立法が制定され、基地や軍艦などを撮影、模写しただけで逮捕され、戦争に反対する者は容赦なく弾圧、拷問の対象にされました。国民の自由を奪い、戦争へと駆り立てていった歴史への反省から、戦後、こうした治安立法は廃止されました。ところが、今また、当時をほうふつとさせるような法案を政府が提出してきたことに、私は強い憤りを感じております。

 今回の法案提出に当たり、戦前の歴史への反省、教訓については、いつ、どこで議論したんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律の必要性、あるいはその基本的な枠組みにつきましては、昨年大臣の下に設置させていただきました有識者会議の方で御議論いただいたところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 私が聞いているのは、戦前、治安立法がもたらした歴史の教訓について、悲惨な歴史的な結果について、その教訓の上に立って今回こういう立法の作業をしたのか、したとすれば、どこでそういう議論をやったのか、やっていないとすれば、やっていないのか、はっきり答えてください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました一連の教訓等につきましては、先ほど申し上げました有識者会議の中では特段御議論はいただいていないところでございます。

赤嶺委員 今回の法案は、政府が国民を日常的に監視し、機能阻害行為、つまり、軍の行動を邪魔する者がいれば処罰の対象にするというものであります。しかも、何を処罰の対象とするかは政府に白紙委任するものとなっています。

 軍の行動を至上価値とし、国民の権利は制限されても構わないという発想の法律であります。根底にある考え方は戦前と変わりません。現行憲法下でこのような法案が許容される余地はないと思いますが、大臣、いかがですか。

木原委員長 木村内閣審議官。(赤嶺委員「大臣に聞いているんだ、政治的見解を」と呼ぶ)どうぞ先に御答弁ください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 私権制限との関係につきましては、先ほど来御答弁申し上げております有識者会議の中でも御議論いただいたところでございます。

 安全保障の確保という目的の下では、一定程度それは正当化されるというような御議論をいただいたところでございます。

 以上でございます。

小此木国務大臣 委員がおっしゃる過去からの反省、教訓というのは、私も、戦後の生まれでありますけれども、年上の方々、あるいは先輩、両親から聞いてまいりました。その上で、戦後の国会も様々な議論を重ねてきておる、こういうふうに思います。

 午前中の議論でも言ってまいりましたけれども、そこの上で、安全保障の環境というものが今格段に変わってきているということについての様々な安全保障上のリスクが地方からも聞こえてきたということから、有識者の提言も踏まえて、今回提出に至ったということでございます。

赤嶺委員 大臣、当初自民党は、治安維持法と同じ年に制定された外国人土地法の改正による法整備を模索しておりました。WTOとの関係で別の形の法案になっておりますが、根底には戦前の歴史への無反省があるということを私は強く指摘しておきたいと思います。

 そこで、大臣は、十一日の本会議の答弁で、航空自衛隊千歳基地や海上自衛隊対馬防備隊周辺の外国資本による土地の取得に地域住民の不安が広がっていることや、全国の地方自治体から意見書が提出されていることを根拠に挙げました。

 今日の質疑に先立って、その意見書を全て提出していただきました。全国の市町村、都道府県や東京二十三区を含めて千八百近くある自治体の中で、提出されているのは十六件でした。しかも、そこには、政府が法案提出の根拠に挙げる地域の地元市議会、千歳それから対馬ですね、それらの市議会は含まれておりません。千歳基地がある千歳市、同基地から三キロほど離れたところで外国資本による土地の購入があったとされる苫小牧市、対馬防備隊に隣接する土地の購入があったとされる対馬市、いずれも含まれておりません。

 住民の不安が広がっているとしながら、肝腎の地元市議会からは意見書は提出されていないということですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、千歳市あるいは対馬市そのものからは直接私ども御要望いただいておりませんけれども、それぞれの市議会におきましては国の対応についての御議論がなされていた、このように承知しております。

 以上でございます。

赤嶺委員 大臣の説明の肝になっている地元市議会から意見書が上がっていない。ほかのところからは上がっていますよという話がありました。

 意見書が提出されていないだけではありません。この問題が取り沙汰されるようになった二〇〇八年頃からの三つの市議会の会議録を見てみました。ところが、取り上げられているのはいずれも数回程度であります。地元の新聞報道も見てみましたが、これもほとんどありません。べた記事が数件程度あるだけです。

 住民の不安が広がっていると言いますが、どういう根拠に基づいてそのようなことを言っているんですか。客観的な事実として示せるものはあるんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました千歳や対馬の事例を受けまして、全国各地の地方公共団体の方から国に対しまして、安全保障の観点からの土地の管理に関する法整備などを求める意見書を提出していただいているところでございます。

 例えばということで御説明させていただきますが、令和二年八月に提出されました北海道東北地方知事会の提言等、これにおきましては、住民の安全、安心な暮らしを確保するため、国は安全保障の視点で重要な国土区域を定め、安全保障上重要な施設周辺など、土地取得、利用の規制に係る関係法令の整備を行うことにつきまして提言をいただいているところでございます。

赤嶺委員 語るに落ちるというのはこういうことですよ。大臣は、この法の根拠で千歳や対馬をずっと挙げてこられたわけですよ、十一日の本会議でも。そこで意見書は上がっていないじゃないかという具合に指摘されたら、いやいや、別のところからこの意見が出ていますなんて、肝腎のところでの根拠を示せないじゃないですか、不安が広がっていると言いながら。

 私、もうちょっと調べてみたんですよ。千歳基地周辺で取得したとされる土地は、苫小牧市内にあります。念のために、私も地元の市議さんに確認してみました。そうしましたら、外国資本による土地の取得に住民の不安が広がっているなどという話は聞いたことがない、不安が広がっているのはIR、カジノだ、こうおっしゃっていました。

 大臣は、その苫小牧市内の土地を具体的にいつ、誰が、どういう目的で購入したかは把握しているんですか。

小此木国務大臣 御指摘の航空自衛隊千歳基地周辺の事例については、防衛関係施設周辺の土地を外国資本が取得したことに関し、地方議会において、安全保障の観点から国に必要な対応を求めることについての議論が行われた事例として政府が把握しているものであります。

 具体的には、平成二十六年六月の千歳市議会において、同市から、平成二十六年一月に千歳空港の滑走路南端に近接する森林約八ヘクタールが外国資本に取得されたことが確認され、その利用目的は資産保有のためとの情報提供を得た旨の答弁があったと承知しております。

赤嶺委員 北海道のホームページにも出ているわけですよ。北海道は二〇一二年以降、海外資本による森林取得状況の調査結果、これをホームページで公表しています。それによると、確かに二〇一四年に香港の方が六ヘクタールの土地を資産保有の目的で購入し、今も保有し続けていることになっています。

 二〇一四年というのは市長選があった年です。ここでは既にIRが争点になっています。再選された岩倉市長は、その後、IRを中核として、宿泊施設やMICE、周辺市街地の整備などを一体で進める国際リゾート構想を推し進めてきました。

 住民からは、ギャンブル依存症や自然環境の破壊に対する不安の声も上がってきました。そうした中で、指摘される土地の購入も行われているということであります。しかも、その土地は、IR施設を整備しようとしているその場所の隣接地と聞きました。

 何か、安全保障上の問題であるかのように言われていますが、まずはIRとの関連を考えることが常識的ではありませんか。そうしたこととの関係、これは確認しておりますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますけれども、私どもが承知しております、千歳市議会におきます定例会におけるやり取りでございますけれども、防衛施設等の周辺の外国資本の土地取得について御質問がなされたわけでありますが、それに対しまして当局の方からは、外国資本の土地取得に係る法整備は、自治体の権限を越えるものであって、国防の観点から、国において適切に対応されるものと考えている、現在、北海道から国に対し、危機管理の観点から、外国資本等による重要な施設周辺などの土地取引について法令の整備を要請していると承知している、このようなやり取りがなされていると確認してございます。

赤嶺委員 政府が根拠に挙げている千歳空港の周辺の土地だとか、そこで起こっているのはIRの問題ですよ。対馬の市議会からも意見書は上がっていない。実際には根拠はないですよ。議会でいろいろな立場の議員さんが、自分の思想信条、信念に基づいて質問は行われると思います。それがそのまま安全保障の危機ということにはつながらないですよ。それはそれぞれの立場で議会で言っているということであって、やはり今度の法案というのは、外国人が買っているぞ、怪しいぞといううわさや思い込みのレベルで法案を提出してしまったというようなことを指摘しておきたいと思います。

 十六件の意見書、政府から提出していただきました。これも問題をよく整理する必要があると思います。確かに法整備を求めてはいますが、多くの意見書が今回の法案とは別のことを法整備の理由に挙げています。

 大臣は、これらの意見書には全て目を通されておりましたか。そして、同じようなタイトル、表現が出てくる意見書が多いのにお気づきですか。

小此木国務大臣 全てに目を通してはおりませんけれども、例えば、地方自治法に基づく意見書の上がってきたものとして、ここにこういう資料がございますけれども、目を通すことはいたしました。

赤嶺委員 同じような表現が出てくる意見書が幾つもあるんですね。

 例えば、和歌山県議会の意見書、こう述べております。近年、北海道を始め、他県においても、スキー場、ゴルフ場、温泉施設などへ外国資本が進出しており、このような投資や売買による土地所有が無制限に拡大するようなことになれば、日本国民の安全保障や国土保全の観点から国家基盤を揺るがす問題に発展しかねないと危惧する、こう述べているわけです。スキー場や温泉施設などへの外国資本による投資、国家基盤を揺るがすような安全保障上の問題ですか、これが。

 そして、有識者会議の議論、これも読んでみましたが、法案の内容ともこれらの意見書の中身は違うと思いますけれども、大臣、この点、どのようにお考えですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治体からの意見書の中身については様々なものがあるというのは御指摘のとおりでございます。

 今、観光地への投資について御指摘がございました。一般的な対内直接投資につきましては、有識者会議においても様々な議論を行っていただいたところでございます。

 改めて申し上げるまでもございませんけれども、経済活動、グローバル化が進んでおりますので、外国資本によります対内投資は、イノベーションあるいは新しい技術をもたらすということとともに、地域の雇用機会の創出にも寄与するものでございますので、御指摘ございました様々なリゾート施設等々、観光地への対内投資も含めまして、基本的には我が国経済の持続的成長に資するものだ、このように考えているところでございます。

赤嶺委員 そういう有識者会議の議論もあったわけですよね。有識者会議の提言も、今答弁がありましたように、外国資本による対内投資はイノベーションや地域の雇用創出に寄与する、こう指摘しているわけですね。

 よく中身を見ていくと、地方議会の意見書、それと今回の法案、これにはずれがあると思いますが、その点、大臣、いかがですか。

小此木国務大臣 日本への海外からの投資、これは経済成長として重要なものであると思いますが、委員が御指摘されている御疑念といいますか、地方から安全保障上のリスクというものが伝えられたのも事実でありますし、近年の我が国を取り巻く安全保障の環境が厳しくなっているということも私は事実だと思っております。そういう観点からも有識者会議での提言があり、この法案を提出させていただくことになっておるのが今日の状況でございます。

赤嶺委員 対馬と千歳や、そこの、大臣が説明していた当該地方自治体からは意見書も上がっていないのに、広く地方から意見が上がっているというのは政府の思い込みじゃないですか。だって、提出してもらった意見書も全部読んだら、やはりリゾート地での外国資本の進出に対する危惧ですよ。これが何で安全保障につながっていくんですか。そういうものじゃないということを有識者会議は言っていますでしょう。根拠、ないんですよ。大臣は本会議場でも対馬と千歳しか説明しなかったんですよ。それ以外、やっていませんよ。意見書が出たところも、実際この法案の中身と違うんじゃないですか。

 近年のインバウンド頼みのオーバーツーリズムによって、地価の高騰や交通混雑、観光客のマナーの問題など、地域住民の生活に支障が生じる事象が起きてきていました。沖縄の宮古島でも、家賃が二倍に跳ね上がり、住む場所もままならないような状況になりました。京都でも、民泊の解禁によって住民との間でトラブルになったり、交通混雑でバスにも乗れないといった問題が起こってきました。

 しかし、先ほどのIRもそうですが、これらは観光政策の在り方をめぐる問題であって、安全保障の問題ではありません。意見書が求めているのは、実際は今回の法案ではなく、別の対策だと思います。一旦立ち止まってよく問題を整理することからやり直すべきだと思います。

 今回の法案に関わって私が強く懸念するのは、ヘイトスピーチを始め日本国内に排外主義が広がっている下で政府がこのような法案を提出したことの与える影響です。

 自民党内では、当初この問題の検討を主宰しておられたのは高市元総務大臣でした。御自身のホームページにコラムを掲載されておりますが、今年三月のコラムでは、二〇一〇年に施行された中国の国防動員法に触れて、こう述べています。仮に日中間で軍事的対立が起きた場合には、中国資本系企業の日本事務所も中国の国防拠点となり得ますし、莫大な数の在日中国人が国防勤務に就くことになる可能性がある、中国政府が日本国内での大規模土地取得を強力に推進し始めたのは平時からの国防動員準備業務の一環なのではないかという疑念を抱きました、こう述べています。

 やはり、このような認識で日本で暮らす外国人の方々を見るようになったら、一体どういうことになってしまうのか。関東大震災のときと同じような過ちを繰り返すことになるのではないか。根拠のない法案、しかも排外主義の考え方と結びついたこの法案は撤回し、廃案にすべきだということを申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 大臣、済みません、ちょっと最初、一問だけ別件をちょっとやらせてほしいんです。ああ、委員長に言わなきゃいかぬか。いやいや、言う必要もないか。あの、一問だけ。

 厚労省、ちょっと来ていただいています。

 今、コロナで大変な中で、みんな、政府も頑張っている、知事も頑張っている、僕たちも走り回っています。

 ところが、国会でデマが流れるんですね。例えば、立憲民主党の枝野代表。今、枝野代表とやり合うのはもう馬場幹事長の役目なので、私はもうやりませんが。

 大阪の吉村知事が、今の緊急事態が始まる前に、その前の緊急事態を止めたときに病床を減らしたということでいろいろ批判をされて、応酬になりました。

 私は、事実関係だけ今日確認しておきたいんですが、新型コロナに対応するための医療提供体制については、確保病床と運用病床というものがあって、吉村さんが減らしたのは運用病床であって、確保病床ではない。したがって、枝野さんの批判は全くお門違いであると考えますが、いかがですか。

間政府参考人 お答えいたします。

 まず、医療提供体制は、地域の実情を知る都道府県が主体となって整備しておりまして、コロナ病床についても、一般医療とのバランスに配慮しながら必要な病床を確保し、そして、感染状況に応じて運用している、これが基本であるというふうに考えております。

 御指摘の大阪府についてでございますけれども、本年二月下旬には、感染者の減少傾向が継続していたことを踏まえて、運用する病床の見直しを図ったものと承知をしております。

 その後、急速に感染が拡大したことから、それらに対応するため、現在、大阪府は、確保した病床を最大限運用するとともに、新たな病床の確保に努めており、国としても、看護師の派遣や一床当たり最大千九百五十万円の緊急支援等、積極的な支援に努めている、こういう状況でございます。

足立委員 したがって、国の医療政策というかコロナ対策の観点から見ても、吉村大阪府知事の病床のハンドリング、何か誤りがあったとかそういうことはない、国の政策と一致しているということでいいですね。

間政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、コロナ病床については、これは各都道府県とも、一般医療とのバランスに配慮しながら必要な病床を確保し、感染状況に応じて運用しているということでございますので、大阪府もそれに沿って対応されているものというふうには考えております。

 いずれにしても、必要な方が必要な医療を受けられるように、国と地方で緊密に連携しながら、必要な病床の確保と運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 間審議官はもうこれで結構ですので、ありがとうございました。

木原委員長 どうぞ。

足立委員 大臣、済みません。

 いよいよこの重要土地法案、審議入りをしました。遠藤国対委員長と浦野政調会長と一緒に大臣のところに伺いまして、とにかく早く出してほしいということでお願いをしてきましたように、我が党は、この法案、立法事実とかいろいろな議論がありますが、もう遅きに失したと言わざるを得ないぐらい、喫緊の課題に対応した法律だと思っています。公明党との調整の中で、若干、骨抜きとか腰砕けという批判もございますが、とにかく一歩前進させるんだということで、我が党は基本的には大臣の背中を押してきたつもりでございます。

 ちなみに、先ほど杉田水脈議員が、私がやってきたんだ、中田宏さんとやってきたんだという話がありましたが、あれっ、中田宏さんって維新だったよなと。あれ、維新だよね。杉田さんもかつて、もう今はたもとを分かっておりますが、かつて一緒にやっていた時期がありまして。維新の会は、自民党は議員立法を出したことはありません、本件については。政府・与党だから当たり前かもしれませんが。私たちは、平成二十八年の十一月二日を皮切りに、五回、国会に、もっと骨太な、もっと大胆な、安全保障のための安全保障重要土地法案を維新の立場から出してきたものであります。そこは、維新の会がこれまで取り組んできたテーマであるということを付言をしておきたいと思います。

 そうした中で、大変、今質疑を聞いていて残念なのは、共産党ですよ。何かIRと絡めてよく分からないことを言っていましたが、とにかく共産党は、いいこともたまに言うんです。でも、何が共産党の最大の、あっ、共産党の言っていることの、公党を批判しません、公党の政策を批判します。共産党が言っていることは、とにかく単線的。単線的なんです。単細胞なんです。今回の……

木原委員長 足立委員に申し上げます。

 国民が注視をしている委員会ですので、言葉遣いには重々注意されるように申し上げておきます。

足立委員 政策を批判しているんですからね。

 皆さん、今回のコロナで私たちは何が分かったか。有事と平時の問題ですよ。平時のシステムの下で有事対応はやはりなかなか大変だということで、私たちは少しでも時間があれば有事モードの法制度をどうやってつくるかということを必死で今取り組んでいる中で、この安全保障の法案があるわけですからね。有事と平時のめり張り、切替えですよ、モードを切り替えるわけですよ。また、伝統と現代社会のめり張り、また、国家と、国と地方のめり張り。

 別に、私たちは地方分権政党と言っていますけれども、国がなくていいと言っているんじゃないんです。そうじゃないんです。地方がもっとちゃんと自立すれば、国はもっと国家安全保障のために時間を割くことができるでしょ、国と地方、伝統と現代社会、そして有事と平時というのは両方必要で、そのめり張りをしっかりとつけていく、そうした国の制度をつくっていくことをお誓いをしておきたい、宣言をしておきたい、こう思います。

 さて、先ほど来、調査、調査と言っていますが、産経新聞ですね、これはちょっと通告していませんが。大体、そもそも調査って何だと。元々、いや、だって、調査するためにこの法律があるわけですよね。だから、調査するためにこの法律があるから、共産党は今さっきこう言っていました、これから法律を作るのに、もしこれまでに包括的な調査をしていたなら、それは大問題だ、共産党はこう言う。それに対して一部保守系の人たちは、当然把握していないと駄目だろう、立法事実をもっと具体的に言え、こう言う。

 だから、全く共産党と例えば私たちの言っていることは真逆のことを政府に申し上げているので、政府も大変。特に立憲民主党なんか、立憲民主党の中に両方いますからね。今井先生、後藤先生は御苦労されておられるわけでありますが、そういう野党が大分裂している中で質疑が行われているので、国民の皆様は一体これは何を議論しているかよく分からないと思うので、交通整理をしながら、限られた時間ですが質問してまいりたいと思います。

 結局、調査については、木村審議官でも結構ですよ、調査については、要は、当たり前ですよね、包括的調査をしてきているんだったらこの法律は要りません。だから、産経新聞が報じたような調査はしていない、それは答弁にあるとおりですね、答弁にあるとおり。それから、七百とかいう数字もそういう形で承知している数字ではないということだけれども、じゃ、政府は何も知らないのか。だって、調査していなくても、日常の自衛隊の活動の中で、あるいは政府のそういう仕事の中で耳に入ってくることはありますよね、公開情報で分かることだってありますよ。調査しなくたって、日々の活動の中で承知していることがある。

 だから、私は、政府は明らかに立法事実を持っていると思うんです、立法事実を。もちろん、ちょっとごめんなさい、一人でしゃべっていたらあかんのだけれども、私は、百歩前に出て申し上げれば、そもそも、これだけ大臣が何度もおっしゃっている安全保障環境が大変厳しい中で、外国あるいは外国資本が安全保障上の脅威となるような活動を不動産を買収することによってやっているおそれがあるわけです、おそれが。そのおそれがあるけれども、それを調査するすべがないということ自体が私は立法事実だと思いますね。

 ちょっとややこしいことを言っていますが、要は、立法事実は、もう一回ちょっと立法事実ということについて、このままだと何かよく分からないので、もうちょっと整理して。同じ答弁しかできないかな。ちょっとどうですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 調査について、様々な御指摘を賜りました。

 産経新聞の報道記事につきましては、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、関係省庁に確認をさせていただきましたところ、報道にあるような調査を行っておらず、外国資本による七百件の土地買収を確認したという事実はないと回答を受けているところでございます。

 その一方で、関係省庁がそれぞれ所管業務の中で必要な調査を行っているということは、十分にあり得るところでございます。

 一方、この法律の背景といいますか、今回御提案申し上げている一つの理由につきましても、大臣の方からも御説明させていただいておりますが、外国資本によります、防衛関係施設の周辺あるいは国境離島など安全保障上のリスクのある土地について、外国資本が土地の買収をされている、こういったものについて安全保障上のリスクにつながるのではないかという、こういった懸念があるということを一つの背景として、私ども、考えているところでございます。

 以上でございます。

足立委員 大臣も、そういうことですね。要するに、リスクがあるんだと。いや、リスクがあるから、日本維新の会は、名前は途中でちょっと、おおさかとかいろいろ変わりましたが、我々、五たび、法案を出してきたわけです。

 大臣から、もう一度、これは必要なんだということをちょっと改めて。

小此木国務大臣 いろいろなところで必要なところがあろうかと思います。

 ですから、まずは地方からの声の、議会での議論がございました。外国人の資本によって買収されている事実が報告をされました。そのために、例えば、この法律を作った理由として、今、安全保障上のリスクという言葉がもう何度も使われておりますけれども、そのリスクが、その調査をするということはそれを確かなものにしていかなきゃいけない、そこが国民の皆さんの不安につながっているということでありますので、調査という言葉も数多く使っておりますが、分からないものに対してそのリスクについての調査をしっかりと行うということが大事な要素であるということを申し上げております。

足立委員 その中で、私ども、法案を拝見しました。もちろん、私たちが出してきた法律からすれば、正直物足りません。物足りませんが、与党でいろいろ御調整をされたということでありますから、数で劣る小党でございますので、弱小野党でございますので、そこは甘んじて受けざるを得ないわけでありますが。

 ちょっと気になるのが、周辺、周辺と言うんだけれども、敷地はどうなっているんだ、敷地。例えば、沖縄なんかでは、自衛隊や米軍、いろいろあるんだと思いますが、安全保障に係る敷地の底地の所有権、過半は民有地だという話も聞きます。その地主が賃貸借契約の更新を拒否して、その敷地の上に工作物を設置するみたいなことがあり得ると私は思っておりまして、これは敷地が入っていないのはミスじゃないかと思うので、直したらいかがですか。

木村政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございました自衛隊施設内の民有地、これを含めまして、重要施設の敷地は施設の管理者が既に所有権又は利用権に基づき管理を行っている土地であるというふうに認識してございます。それらが防衛関係施設といった重要施設の機能を阻害する行為のために利用されることは、通常、想定することが難しい、このような判断の下に、本法案の対象とはしていないところでございます。

 一方で、防衛関係施設が民有地を囲む形で設置されております場合には、その防衛関係施設内に所在する民有地は、重要施設の敷地の周囲おおむね一千メートルの区域内に位置するものといたしまして、本法案に基づく調査等の対象になり得るということでございます。

 防衛関係施設を始め重要施設内に所在する民有地を含めまして、具体的な区域の指定の取扱いにつきましては、法施行後に法定する手続に沿って適切に判断してまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

足立委員 防衛省、政務官にお越しいただいています。大西さん、ありがとうございます。

 今言っている民有地、例えば自衛隊の基地等の底地について、民有地の割合はどれぐらいか、把握されていたら教えていただきたいのと、それから、ちょっとこれは関係者から仄聞したところによると、那覇基地には何か不自然にフェンスが張られているような場所があって、それはまさに土地所有者が賃貸借契約を更新せず、私が先ほど指摘したとおりのような事象が起こって、やむなく使用を断念した土地があると仄聞しますが、事実でしょうか。

大西大臣政務官 足立委員にお答えをさせていただきます。

 令和三年一月一日時点において、全国に所在する自衛隊施設は全体で約千九十七平方キロメートルでありまして、そのうち民有地は約五十平方キロメートル、全体の五%でございます。

 沖縄県に所在する自衛隊施設は全体で八平方キロメートルであり、そのうち民有地は約五平方キロメートル、全体の五八%でございます。

 全国に所在する在日米軍に提供している専用施設・区域の面積は全体で約二百六十三平方キロメートルであり、そのうち民有地は七十九平方キロメートル、全体の約三〇%でございます。

 沖縄県に所在する在日米軍に提供している専用施設・区域の面積は全体で約百八十五平方キロメートルであり、そのうち民有地は約七十四平方キロメートル、全体の約四〇%でございます。

 あわせて、那覇基地の付近のフェンスということでございますけれども、那覇基地内において、御指摘の不自然にフェンスが張られている箇所は実際存在をしておりません。

 那覇基地内においては、土地所有者と賃貸借契約を締結していない土地が一か所ございまして、当該地は那覇基地の外れに所在し、基地の運用に関わる建物や工作物は存在せず、更地となっております。

 また、所有者が当該地へ立ち入る場合は、あらかじめ那覇基地へ所要の立入り手続を行い、許可を取ることが必要であり、土地を自由に使用することはできません。

 このようなことから、かかる土地の未取得によって基地の運用上支障が生じておらず、やむなく使用を断念した土地ではありません。この土地の取得が可能になった場合は、取得に向けて取組を考えております。

 以上でございます。

足立委員 大臣、私は、本当に必要なければ指定しなかったらいいと思うんです。周辺はこの法律の規制対象だけれども、今申し上げた、たくさんの民有地が、沖縄は先ほど六割かな、ある中で、そもそもこの法律の対象から外しておく必要があったのかなということは、やはり疑問に思います。

 何でそんなことに維新が一生懸命になっているんだと言われるかもしれませんが、これは党利党略ではありません。国の安全保障、国民の生命と財産を守るために、政府の法案を見たときに、ちょっとそこ、問題あるんじゃないということでこだわっているわけでありますので、引き続き議論していきたいと思います。

 大臣、今のような議論もあるし、それから国境の離島もある。出口のところで収用等の規定があって私はしかるべきだと思いますね。道路を造るときにも収用規定があるんだから、安全保障の観点から収用規定がないというのはいかがなものかと。要は、ちょっとどこかに気を遣い過ぎじゃないかと。どこかというのはどこかですけれども。与党でいえば公明党、野党でいえば野党第一党。しかし、これからの時代は、そういう足して二で割るような、そういう政策では国を守ることができません。

 是非、収用等も、すぐにこれは修正等をそこでできるとは思いませんが、是非検討はしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 この法案ですけれども、重要施設等の機能を阻害する行為を防止するため、土地等の利用状況を調査し、必要に応じ利用規制を行うものであります。

 一方、そうした機能阻害行為としての土地等の利用を防止するため、土地等の収用といった私権制限の程度が大きい措置を設けることについては、有識者会議の提言において、今般の制度的枠組みの実施状況、有効性等を見極めた上で、安全保障をめぐる国際情勢、諸外国の取組等も踏まえ、慎重に検討していくべきとされたところでありますことも申し上げてまいりました。

 このため、まずは本法案に基づく調査及び利用規制によって対応していくこととした上で、附則第二条に規定する五年後の見直しでは、それらの措置の結果を検証する中で、御指摘のあった収用の要否を含め、更なる政策対応の在り方について検討してまいりたいと存じます。

足立委員 ありがとうございます。

 大臣から、検討するぞ、するという御答弁をいただきました。

 私たちは本当に何か、何というのかな、イデオロギーで政党をつくったわけでもありません。とにかく、世界、現実のグローバルな、あるいは東アジアの安全保障環境、それから米中のいろんな問題、そういうことを踏まえたときに、日本がこれからも繁栄していくためにはこれが必要でしょうということで政党もつくってきたし、今回のこういう土地規制についても提案をしてきたわけであります。

 最後に、私たちのこの問題に関する基本的なビジョンというのをちょっと申し上げて、防衛省に一言質問、政務官に一言質問して終わりたいと思います。

 冒頭、私は平時と有事と申し上げました。それから、国と地方ということも申し上げた。

 今までの自公政権、特に自民党が戦後六十数年にわたってつくってきた日本の統治システムというのは無責任体制なんです。先送り体制です。どうなっているか。道路を造るときには国のお金も入れる、地域のお金も入れる、そうやってみんなで折半しながら全部でき上がっている。だから、誰が責任を持っているか、よく分からない。

 それに対して、私たちが目指す社会というのはめり張りです。

 例えば、今、沖縄の米軍基地がもめている、国家の未来にとって重要なリニアが静岡で止まっている、原子力、これからCOPでいろいろ気候変動でやらないといけないときに原発が止まっている、原発も最終処分場の場所が決まらない、これが今の日本です。

 だから、私たち日本維新の会は、もう国家の繁栄に関わるテーマは国家の権限を強くして、多分今回の問題もそうだし、沖縄の基地もそうです、国がここにすると言ったら、もうそれをやったらいいんです。ただ、もちろん手続的公正性は必要ですから、地域の意見は聞いた方がいい。だから、今回、私たちはこの法案についても地域の意見聴取をすべきだという修正案も出しています、意見を出していますが、なかなか難しいと聞いていますが、大事なことは、安全保障に係ることは国の権限をもっと強くして、何で地域が反対できるんですか、そんなことに。それに対して、地域のことは地域だけで決められる。これが個人の自立、地域の自立、国家の自立なんです。

 政務官、政務官にこんな骨太な質問をしたらいいか悪いか分かりませんが、私が今申し上げたように、安全保障に係る取組、この法案もそうです、安全保障に係る取組、施設整備に必要な国の権限はもっともっと強くしていく。他方、手続的公正性、例えば都市計画で道路を通すときに、手続ですね、都市計画法というのは手続法です、あのような、手続はちゃんと取るけれども、最後は収用するよと。この手続的公正性を確保した上で国の権限はもっともっと強くしていくんだ、これが私たち維新の会の国家ビジョンなわけでありますが、大西さん、大阪では戦っていますが、僕らのこの考え方、賛成ともう言っちゃってください。

大西大臣政務官 防衛省といたしまして、自衛隊の駐屯地等の新たな開設や拡張のために新たに用地が必要な場合には、用地の地権者から同意を得て売買等により取得等をしているほか、建物や工作物の建築に当たっては関係法令上の規制に従って整備を行っております。例えば、近年では、安全保障上重要な施設基盤であります奄美駐屯地や宮古島駐屯地については、このような従来と同様の手法により着実に整備してきました。

 これらの駐屯地等は自衛隊の活動拠点として重要な役割を担うものであり、開設等の後も安定的な運用を図るため、その整備に当たっては地権者を含む地元住民の方々や関係自治体の十分な理解を得て進めることが重要です。このような観点から、地権者の同意を得て用地を取得し、関係法令上に従って施設整備を行うことはその一助となっていると考えています。

 いずれにせよ、防衛施設を円滑に整備し、安定的に運用していくことは防衛省にとって常に重要な課題であり、様々な御指摘も踏まえながら、我が国の安全保障上の基盤である防衛施設の機能発揮に万全を期すため、よりよい手法を検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

足立委員 時間が来ましたので、終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。

 今日は質問をさせていただきます。ありがとうございます。

 今までの議論を聞いておりまして、いろいろ考えることがありました。行政にとって恐らく一番大事なことは、行政目的に資するためにどれだけ現実を把握するかということだろうと思います。

 そういう意味では、日本政府のみならず、どの国も統計というのが一番大事なんですね。行政にとって、最初は統計からスタートする。残念ながら、我が国も、本当に、明治以来、統計では抜群の実績を誇っていた国だったんですが、あるとき、安倍政権のときに、結構統計部門がぼろぼろだったということが判明しました。これは予算と定員の問題が相当大きかったということが分かりまして、これはやはりゆゆしきことだなと思いました。

 そして、その統計のベースになるのは調査なんですね。調査は二つあって、統計を取るための調査、そして、今まさにここで議論している、政策目的のための調査。調査は、したがいまして、どの省庁にも、設置法に調査する権限がいろいろ書いてあります。ですから、普通は設置法上で調査するんですけれども、重要な調査については、このように特別の法律をきちんと作って、調査の目的をはっきりして、しかも、ある程度行政の手足をきちんと、縛ると言うと変ですけれども、暴走しないように枠をつくって調査をしてもらう、こういうことでありますので、この法案は大変重要な法案であると思っております。

 また、午前中から御議論もありましたけれども、現下の大変厳しい安全保障環境、これは本当に、口で言っている言葉では表せないぐらい大きな変化が起きておりますので、私どもは、この法案は一歩前進だということで、提出していただいたこと、評価をしたいと思っております。

 ただ、一方で、議論もありましたけれども、やはり私権制限があるものですから、法律の目的を達成するための行政の在り方と私権制限とのバランスをどう取っていくのかというのが一番大事なことなんだろうと思っております。

 その中で、資料を一枚お配りしていますので、お手元に地図の資料がございますので、見ていただければと思います。これは、内閣官房、防衛省に作っていただきました。

 例えばということで、普天間飛行場の周辺図であります。白抜きのところが、これは有名な普天間の飛行場の形、地図でありますが、その外側に楕円形で、少し凸凹がありますけれども、楕円形の線があります。これがまさに千メーターのラインであります。普天間基地の周囲千メートルというのがこの地図の表すところでありまして、見ていただきますと、市街地がほぼ全て入っているわけであります。

 そういうこととなりますと、今後、自衛隊の基地、あるいは米軍基地も当然対象になるということでありましょうから、これをこれから決めていかなきゃいけない。本会議での答弁でも、千メートルというのが、本当に千メートルなのか、千メートル以下ということなのか、いろいろな御議論があろうかと思いますけれども、千メートルとなると、市街地が全部入ってくるんです。

 これは調査の対象ですけれども、そのことが、普天間の市民の生活、経済活動、あるいは、もっと下世話に言えば、二百平米という上限、これも後で質問しますけれども、この二百平米がいいかは別にして、通常の不動産の事業を営んでいる方々にとって何かしらプレッシャーになりはしないのか。

 したがいまして、できる限り、このラインを決めるとき、地域を指定するときには、相当慎重な上にも慎重な判断が必要かと思いますけれども、まず、大臣、この地図をぱっと見ていただいて、普天間に住んでいらっしゃる方の経済活動、あるいは、さらに、二百平米というところで区切ればよいといって断言できるのか。その辺の所感をお伺いできればと思います。

小此木国務大臣 本法案の措置ですが、注視区域内の土地等について、公簿収集等による土地等の利用状況の調査を行った結果、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用が判明した場合に限って、土地等の利用者に対し、必要な措置を取るべき旨勧告、命令をするものであります。

 安全保障上のリスクとなる、重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止するために必要な最小限の措置としており、通常の生活を送る住民や事業活動を行う企業が土地等の使用、収益、処分について制約を受けることは想定されておりません。したがって、市町村の経済活動に大きな影響が生ずるものとは考えておりません。

岸本委員 その場合、午前中の議論でもありましたけれども、例えば、これから基本方針を作っていかれる、そして地域を指定していかれる。それで、法律上のたてつけとしては、必ずしも、じゃ、市長と相談しなさいというようなたてつけにはなっていないと思うんですけれども、ただ、午前中の木村内閣審議官の答弁では、地方との意思疎通はきちんとやるんだというような御議論もありましたけれども、ここは大臣、指定区域をするときは、まさに市長なんかときちんと、これは千がいいのか五百がいいのか、そのような御議論というのはきちんとしていただけるんでしょうか。

小此木国務大臣 我が国の安全保障のための措置は国が責任を持って判断をし、実施することが重要である、基本的な思いであります。

 このため、注視区域の指定については、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、国として、指定の要否、範囲等について慎重に判断することとしておりまして、御指摘のあった一般の意見公募に関する手続は設けておりませんが、一方で、本法案に基づく措置を実施するに当たり、地域住民に身近な地方公共団体の理解、協力を得ていくことは重要なことだと考えております。このため、区域指定を行う前には、十分な時間的余裕を持って、関係する地方公共団体としっかり意見交換を行っていく考えであります。

岸本委員 今、いわゆるパブリックコメントのような一般的な意見公募をその地域の住民からすることはないというふうに受け取りましたけれども、少なくとも地方公共団体等とは、時間をかけて、できる限り意見は集約するというように受け取りました。そういうことでよろしいでしょうか。

小此木国務大臣 区域の指定を行う前に、十分な時間的余裕を持って、関係する地方公共団体としっかり意見交換を行ってまいります。そのとおりでございます。

岸本委員 そうしますと、これもちょっとこの後の、まさにずっとこの委員会で議論になっておりました阻害行為の定義みたいな話があるんですけれども、少し関連しますので申し上げると、結局、この法律でいろいろなことが基本方針に全部丸投げされているんですね。丸投げという言葉は変ですけれども。

 いろいろな法律のたてつけがあって、政令や省令にどんどん委任をしていくというようなたてつけもあれば、この法律のように、基本方針というのに丸投げをして、閣議決定するから正当性を持つ、そしてそれで行政が責任を持ってやるんですと。もう一つは、非常に具体的なことは政令、省令に委任をして、大枠だけ法律で決めましょうと。こういういろいろなやり方があるわけですけれども、その中で、立法府と行政府の緊張関係というのはとても大事だと思います。

 我が国は、議院内閣制の下で、これは政治学的に言うと、与党の事前審査制という制度があります。与党の皆さんは、法律が出る前に、事前審査制ということで、十二分な御議論をされて法律が出る。野党はその間、そういう事前審査はもちろんあずかり知らないことですから、法案を見て、こうやって勉強して質問をしていく、そして、ディスカッションしながら、場合によっては修正協議をしていく、こういうたてつけでありますけれども。

 少なくとも、私たち立法府には、まずは行政監視機能も要求されますけれども、その以前の立法段階で、まさに国民の代表である立法府の意思をできる限り法律に反映させていく。まさに、予見可能性が必要な罪刑法定主義、あるいは租税法定主義、そういうものについて立法府というのは存在するわけであります。

 そういう意味で、今、指定区域を決めるときに、事前に地方公共団体としっかりと打合せをするとおっしゃいました。そうであるならば、私ども立法府としては、注視区域又は特別注視区域を指定する場合、指定された場合、国会に報告していただきたいんです。内閣委員会に報告していただきたいんです。そのことによって民主的統制を私たちが及ぼす。そういう意味での立法府と行政府の緊張関係があった方が、このように私権制限がかなりきついものについては適当かと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 区域指定を行った場合に、法定の手続に沿って、官報で公示することとしております。また、区域の指定を含め、本法案に基づく措置の実施状況については、毎年、国会を含め、広く国民に対して公表することを予定しております。

岸本委員 公表するのは分かっております。公表すること、それはいろいろな段階がありますけれども、それぞれの行政があって、結果が公表される、あるいは、年に一度、それぞれの省庁が白書という形でお取りまとめになって、一年間の行政の結果をきちんと報告される。たしか、あれも国会に出てくるわけですし、いろいろなレベルはあると思います。しかし、少なくとも、法律上、国会への報告を義務づけた方が民主的統制が行われるということは、ここで申し上げておきたいと思います。

 それから、少し技術的な話になりますけれども、土地利用状況調査の対象なんですけれども、一番最初ですよね、杉田委員の質問があったときに、権原に基づかない使用という概念が出ました。これは竹島でおっしゃった件なんです。まさに、所有権あるいは地上権や賃借権、権原があります。権原に基づかない土地等の使用収益をしている人だっているはずなんです、まさに、実態上。

 ところが、この法律では、国内で、その千メートルの中で、地上権や賃借権の権原に基づかずに土地を使用収益している人たちは、この法律の対象にならないんじゃないでしょうか。ここは少し、法律として、竹島までいかなくても、国内でも法の欠缺になり得ませんか。大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 この法案は、防衛関係施設等の機能阻害行為を防止するために、その周辺の土地等の利用状況を調査した上で、必要に応じて利用規制を行うものであります。

 機能阻害行為を防止するという本法案の目的を踏まえれば、所有権、賃借権、地上権といった土地等の利用、管理等を行うための権原を有する者を対象として措置を講ずることが最も効果的であると考えています。

 このため、公簿の収集、報告徴収等によって、権原に基づく利用者の情報や土地等の利用実態をできるだけ具体的に把握することとした上で、こうした調査の結果、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用が明らかになった場合に、権原に基づく利用者に対して、中止に係る勧告、命令を行うこととしております。

 実質的な利用者については、調査対象が過度に広範に及ぶおそれがあること、公簿に記載がないことから、調査の実効性を確保することが困難であることといった問題があると考えております。

 したがって、本法案に基づく調査では、実質的な利用者よりも、調査及び措置の実効性を確保できると考えられる、権原に基づく利用者を優先して対処することといたしました。

岸本委員 やはりこれは、実際に使っている人をつかまえて、その人は本当にどうなのということをやらないと実効性は上がらないと思います。

 したがいまして、私どもとしては、権原がなくても調査対象になるような修正案を出させていただきたいと考えております。

 そして、先ほど来議論になっています、阻害行為をどう考えるのかですね。

 これはもう完全に二つに分かれていまして、政府は、基本方針に書きますからと、基本方針に具体的に書きますから、それでもって判断してくださいと、この一点張りであります。

 それに対して、今日、野党側から出た議論は、それではやはり予見可能性がないのではないかと。

 これは、予見可能性の問題というよりも、予見可能性は基本方針を見ればいいわけですから、そうじゃないんだと思うんですね。さっき言いましたように、立法府として、法律上きちんとした例示をすることによって、法律で予見可能性を表して、それを受けて基本方針、あるいはそれを受けて政省令。全く例示もなくて丸投げするというのは、立法府を軽んじているのではないかとまで言いたくなるわけです。そこの問題なんじゃないかと。行政に丸投げするのか、立法府がきちんと例示を、我々が関与して書き込むのか、もうその一点なんだろうと思いますね。

 ここに役人OBもいっぱいいますけれども、私なんかは古手ですけれども、昔はかなり法律に書いていましたよ。政省令にどんどん委任するというのは余り美しいことではないし、国会で許してもらえませんでした、昔は。昔のことを言っちゃいけませんけれども。今は何でも、もう本当に丸投げなんです。二十年前の感覚からいったら信じられないぐらい政省令に丸投げしています。それでも、普通は例示があります。例示があって、その他政省令にという書き方なんですね。

 例えば、政省令でいうと、これはこの前本会議でも使いましたけれども、航空法の第七十三条の四、ここで言う安全阻害行為、ここでは安全阻害行為ですけれども、これはきちんと細かく、「乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、」、幾つか例示が並んでいて、その他を「国土交通省令で定めるもの」というようなことで落とし込んでいますけれども、本当に、四つも五つも例示があった上での委任なんです。

 この一番大事な、罰則があって懲役まであるような阻害行為が、例示がなくて基本方針に丸投げされる。基本方針は本当に基本方針なので、基本的な方向ですとか、調査の基本的な事項、阻害行為の具体的内容に関する事項、土地等の利用の防止に関し必要な事項、全てここに丸投げされているんです。閣議決定すればいいというものではないのではないか。

 どうでしょうか、ここは、要するに、立法府をどのように関与させるのか。何でもかんでも行政府に丸投げをするという、この近年の政府の在り方ということについて、もう一度考え直していただく必要があるのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 機能阻害行為としては、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されます。このため、特定の行為を普遍的な機能阻害行為として法律に例示することは必ずしも適当ではないと改めて考えます。

 他方、対象区域の土地等の利用者の予見可能性の観点から、閣議決定される基本方針では、想定される行為を明示することとしております。

岸本委員 いえ、大臣、事細かく書いてくださいと申し上げているわけではなくて、基本方針に、だって、もう木村内閣審議官がお答えになっていたじゃないですか。構築物を造るだとか、電波妨害をするだとか、これは明らかに基本方針にそう書かれるわけです。そうだとするならば、誰が考えても、ああ、なるほど、そういうことが阻害行為になるんですねということを条文に二つ、三つ書いて、ほかの論点でも他の委員から例示が必要だというのがありましたけれども、そして、そのようなものとして、それに類似のものを基本方針に委ねます、こういうことになりませんか。

 本当にこれ、完全に丸投げなんです、基本方針に。いや、それは最近のトレンドではありますけれども、これだけ重要な法案については、本当にこんなことでいいんでしょうかと、与党の先生方にも是非お考えをいただきたい。

 与党の事前審査制が本当にこの国会の審議を活性化しているのだろうかという、ちょっと大きな問題ですけれども、是非今共有をしていただきたい。

 民主党政権のとき、僅か三年でしたけれども、これも失敗しました。最初、事前審査制をなくしたんです。なくして、国会の議論を活性化しようとしましたけれども、やはりどうしてもうまくいかなかったので、そこは本当にじくじたるものがあるんですけれども。

 過半数以上を占める与党の皆さんが事前審査制で、与党でできたものは、それは通るわけですよ、国会を、基本的には。だから、与党の質問時間が少なくて、野党の質問時間が長くて、そして時間がたてば法律が通っていく。

 場合によっては、今日は本当に割と、割とというか、内閣委員会は本当に真面目な議論をずっとこの国会、積み重ねてきました。これは委員長にも感謝したいと思います。本当にいい議論をしていますけれども。

 予算委員会を見たら、スキャンダル追及ばかりじゃないですか。スキャンダルばかり追及して、国民から見たら、皆さん、地元に帰って言われませんか、あんたら、毎日あんなことやっているのかって。いや、違いますよ、あれはテレビに映るときだけやっているんですと。いろいろな委員会では本当に真面目な議論をしていますし、野党だって出てきた法案の八割から九割は賛成しているんですよ、修正もしているんですよ。そういうことを、この法律とは余り関係ないのですが、小此木大臣は共感するものが多いので、是非頭の片隅に置いておいていただきたいと思います。

 そして、最後になりますけれども、これもお願いでありますけれども、勧告や命令、最後の質問です。

 勧告や命令は、まさに懲役までいってしまう、国民の権利義務に多大な影響を与える行為であります。これは、一年に一回公表しますというのではなくて、まさにこれこそ、これこそ国会に報告をするというたてつけを法律上作っていただいて、立法府の関与を改めて要求したいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 この法案に基づく勧告、命令を行うに当たっては、政府として、対象となる個々の行為について、法律の要件や基本方針の内容に照らして適切に評価するとともに、勧告に先立ち、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、それらの要否、内容等について慎重に判断をしてまいります。

 また、法案に基づく措置の実施状況については、毎年、国会を含め、広く国民に対して公表することを想定しております。

岸本委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。

木原委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会


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