衆議院

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第31号 令和3年6月9日(水曜日)

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令和三年六月九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    上杉謙太郎君

      大野敬太郎君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    河村 建夫君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      小林 鷹之君    杉田 水脈君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      西田 昭二君    堀井  学君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    森田 俊和君

      森山 浩行君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    江田 康幸君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      畑野 君枝君    足立 康史君

      浦野 靖人君    浅野  哲君

      岸本 周平君    高井 崇志君

    …………………………………

   参議院内閣委員長     森屋  宏君

   国務大臣         河野 太郎君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  江口 純一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        松尾 剛彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     堀井  学君

  神田 憲次君     小林 鷹之君

  長尾  敬君     大野敬太郎君

  牧島かれん君     上杉謙太郎君

  大河原雅子君     青柳陽一郎君

  塩川 鉄也君     畑野 君枝君

  足立 康史君     浦野 靖人君

  岸本 周平君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     牧島かれん君

  大野敬太郎君     長尾  敬君

  小林 鷹之君     神田 憲次君

  堀井  学君     河村 建夫君

  青柳陽一郎君     大河原雅子君

  畑野 君枝君     塩川 鉄也君

  浦野 靖人君     足立 康史君

  高井 崇志君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     池田 佳隆君

  浅野  哲君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

六月九日

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣委員長提出、参法第三四号)(予)

同日

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第三四号)

同月七日

 慰安婦問題の解決に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一五六九号)

 公務・公共サービス拡充に関する請願(池田真紀君紹介)(第一五七〇号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一五七一号)

 同(高井崇志君紹介)(第一五七二号)

 同(村上史好君紹介)(第一五七三号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一五七四号)

 同(石川香織君紹介)(第一七一九号)

 同(岸本周平君紹介)(第一七二〇号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一七二一号)

 同(日吉雄太君紹介)(第一七二二号)

 同(牧義夫君紹介)(第一七二三号)

 同(松田功君紹介)(第一七二四号)

 同(金子恵美君紹介)(第一八三五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八三六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一八三七号)

 同(柚木道義君紹介)(第一八三八号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一八三九号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七〇六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七〇九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一七一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七一一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一七一四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一七一五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七一六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八四〇号)

 マイナンバー制度の中止・廃止に関する請願(清水忠史君紹介)(第一七一八号)

 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(泉健太君紹介)(第一八一九号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八二〇号)

 同(斉藤鉄夫君紹介)(第一八二一号)

 同(階猛君紹介)(第一八二二号)

 日本軍慰安婦問題の真の解決に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八二三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八二四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八二六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一八二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八二八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八二九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八三〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八三一号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八三二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八三三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八三四号)

同月八日

 公務・公共サービス拡充に関する請願(神谷裕君紹介)(第一九二四号)

 同(関健一郎君紹介)(第一九二五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一九二六号)

 同(道下大樹君紹介)(第一九二七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇二三号)

 同(大河原雅子君紹介)(第二〇二四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇二五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二〇二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇二七号)

 同(櫻井周君紹介)(第二〇二八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇二九号)

 同(清水忠史君紹介)(第二〇三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇三一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二〇三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇三三号)

 同(寺田学君紹介)(第二〇三四号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第二〇三五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二〇三六号)

 同(藤野保史君紹介)(第二〇三七号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二〇三八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二〇三九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二〇四〇号)

 同(矢上雅義君紹介)(第二〇四一号)

 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(大河原雅子君紹介)(第一九二八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇四二号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二〇四三号)

同月九日

 公務・公共サービス拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第二一四四号)

 同(荒井聰君紹介)(第二一四五号)

 同(小沢一郎君紹介)(第二一四六号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(阿部知子君紹介)(第二一四七号)

 マイナンバー制度の利用拡大を中止し、制度の廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二四〇二号)

 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(岩屋毅君紹介)(第二四〇三号)

 同(北村誠吾君紹介)(第二四〇四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第三四号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官江口純一君、内閣官房内閣審議官十時憲司君及び厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いします。

 まず、河野大臣に御質問したいと思いますが、腰の具合が余りよくないということですので、これから、ワクチン接種に関しての質問と、あと電波の割当て機能をどこに持っていくかという質問を、ちょっと順番を変えて、続けてしますので、大臣の御判断で、立ちっ放しだったらずっと立ちっ放しで結構でございますので、御判断いただければと思います。

 まず、ワクチンの現状と今後の課題についてお伺いしたいと思います。国民の最大の関心事項だというふうに思います。

 国内メーカーが独自のワクチンを作り出すことができない中で、非常に難しい交渉もされてきて、今ようやくスピードアップしてきたというのが実感されるのではないかと思います。近く、職場や大学でも接種が始まるということで、接種加速が期待をされているところでありますが、今後のワクチン接種の課題、若しくは、ワクチン担当大臣に総理から任命をされて今まで非常に苦労した点などあればお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 ワクチン接種は恐らく課題が大きく三つあると思っております。

 最初は、ワクチンをとにかく確保しなければいかぬということで、当初はファイザーを四月末までに千二百万回という話でございましたが、これは交渉して、四月末までに恐らく二千八百万回分ぐらい入れられたと思います。ワクチンを早く下さいというお願いをすると同時に、EUにこの輸出承認を確実に出してねという交渉もやらなければいけなかったというのがこれまでのところでございますが、EUの輸出承認は非常に順調に出ておりますし、モデルナも承認をされましたので、ワクチンの確保、供給というところは少し一段落したかなと思っております。

 その次が、予診をするお医者さんと打ち手の確保で、今、自治体にスピードアップをしていただいておりますが、実はまだ、看護師さん、歯医者さん、かなりの数が声をかけられれば行けるという状況になっておりますので、今、自治体、それから職域接種に、積極的に声がけをお願いをしているところでございます。何とか最大限の接種能力を持ってスピードアップをしなければいかぬと思っております。

 最後の課題が、今の高齢者は非常にワクチンを打とうという方が多くてスムーズにいっておりますが、若手世代になりますとなかなか、無関心あるいは打ちたくないという割合が増えてまいりますので、若手世代にどうワクチンを積極的に打ってもらうように啓蒙活動、啓発活動をしていくかというところが今後の大きな課題になるのではないかというふうに思っております。

平委員 今後、若い方々のそういう意識とか無関心にどう対応するかというのは極めて重要だと思いますし、SNSなどを見ると、明らかにフェイクニュースとかデマみたいなのも非常に横行しておりますので、しっかりと、これは厚労省と合わせてだと思いますけれども、政府として正しい情報をしっかり伝えていただきたいと思います。

 今、三つのパターン、三つのオプションがあると思うんですね。自治体が集団接種若しくはかかりつけのお医者さんでやるオプションと、自衛隊などが大規模接種場で接種をするパターンと、今度始まる職域、職場や大学で打つ、この三つのオプションから今選べるようになってきたわけでありますが、今後、更なるオプションみたいな、選択肢みたいなものは今考えていらっしゃるのかどうか、大臣、お願いいたします。

河野国務大臣 職域のオプションの中に入るのかもしれませんが、今、取りあえず千人以上の集まりでということでお願いをしてございます。

 実は、商工会議所とか様々な業種の協会などが集まって千人以上になって申請をしてきてくださっている部分もその中に含まれておりますが、商工会議所ですとか工業団地ですとか、様々、小さな規模の企業が集まって接種をするパターンというのをもう少し考える必要があるのかどうか、そこは見極めていかなければいけないなと思っております。

平委員 何か、ずっと大臣が立ちっ放しで、私が立ったり座ったりするのも変な感じですけれども。私もずっと立ってやろうかなと思いますが。

 商工会議所とか、例えば業界団体みたいなものが集まって大企業のようにやるという選択肢はあると思いますが、一方で、今申し込んできているところは、産業医というか、その企業内でドクターや看護師さんを実際に抱えているというところなんだろうというふうに思います。もし商工会議所なり各種業界団体が打つとなると、ドクターとか、様々な派遣をする準備が要るというふうに思いますので、ちょっと違うフェーズになると思いますが、是非いろいろ検討していただきたいと思います。

 その上で、今までは一つのオプションから、二つ、三つというふうになってきましたので、接種をされる方、ワクチンの接種を希望する方も選べるようになってきました。

 今回のワクチンは二回打たなければいけないということで、どこで何のワクチンを打ったのかということをちゃんと記録をしていくことが極めて重要だと思いますが、その中で、河野大臣の下でVRS、ワクチン接種記録システムというんでしょうか、VRSを準備をされたということになっていると思いますが、今後、多分、私の理解だと、VRSというのは、バウチャーを持っていって、接種券を持っていって、QRコードなり数字を読んで、その人が、いつ、どこで、どの種類のワクチンを打ったかというデータを持っている、そのデータは自治体との、何というのかな、ネットワークの中で活用するということだと思うんですけれども。

 今後、じゃ、実際に打った人間が、あれっ、俺、どこで何を打ったんだっけみたいな、次は何を打つんだっけみたいなところの問合せをするときに、多分、VRSに直接はアクセスできなくて、自治体に対して問合せをするんだというふうに思います。

 そのときに、自治体は千七百二十四あるものですから、個人情報保護といったところで非常にばらつきが出てくる可能性があるので、その辺の標準化をする必要があるんじゃないかなというふうに思います。まあ、これも、あくまで自治体だからという考え方もあると思いますが。

 今までの自衛隊の受付システム一つ取っても、要は、ITの仕組みとリアルの運営の仕組みが両方で、生態系でちゃんと回れば私は何の問題もないと思っていて、それを、リアルだけで頑張ったり、ITだけで頑張るからおかしくなるので、そういった意味で、VRSは非常にいい仕組みだと思いますが、実際に国民一人一人が活用しようとしたときに目詰まりがないようにすべきだというふうに思いますが、その辺に対して、何か御所見があれば。

河野国務大臣 おかげさまで、VRSを開発したおかげで大分接種記録は楽になったと思います。

 デジタル庁の発足後に、この予防接種システム、健康管理システムの一環としてデジタル庁の中でプライオリティーを上げていただいて、これをしっかりと横串を通して、さらにはマイナポータルからもアクセスができるようにしようということをデジタル庁で検討していただいて、申し上げましたように、そのプライオリティーを少し高めていただこうということでございますので、今までの予防接種台帳をこのVRSで置き換えて、マイナポータルにもきちんと接続して、それぞれ自分の履歴を把握することができるようになるんだろうと思っておりますので、デジタル庁にしっかり対応をしていただけるようにやってまいりたいと思っております。

平委員 これはまさに、マイナポータルで確認できれば、マイナンバーカードを使ってログインして、私が私である証明をデジタル上でした上で情報が取れるということで非常に合理的な仕組みだというふうに思いますが、一方で、マイナンバーカードの普及率とかも、まだ今、申請で五千万を超えたところということでしょうから、実際マイナンバーカードが届いている率といえば三〇%台だというふうに思います。

 そんな中で、マイナポータルにアクセスできない人たちもいると思いますので、例えば自治体に問合せをしたときに、本人確認を、役場まで行けば免許証とかマイナンバーカードを出すということができると思いますけれども、例えば電話でやるときとか、そういうときにどうするのか。

 だから、例えばバウチャーの番号を言ってもらう。番号を言ってもらえば、それはその人しか知り得ない番号だから、やるとか、ちょっとこれは厳密に言うといろいろなことが言われる可能性がありますが、ちょっとその辺、標準化するなりガイドラインを出してあげないと、また自治体の幾つかの混乱をもって全体の生態系に対して批判をされるということにもなりかねないので、これはちょっとワクチン担当の大臣の域を超えていると思いますが、問題意識として是非持っておいていただければと思います。

 特に答弁は、何かありますか。

河野国務大臣 ワクチン接種担当ののりを越えていると思いますが、平井大臣に頑張ってもらおうと思います。

平委員 その上で、ちょっと話題は変わりまして、私も今回、デジタル法案、前回は担当副大臣をやって、その問題意識の中で、非常に迅速に、緊急時のデジタル対応をなぜ日本ができないのかという様々な批判がありましたが、俯瞰をしてその生態系全体の目詰まりを取る法律ができたというふうに思っています。

 そういう中で、また問題意識で、行革担当の大臣として是非御認識をいただきたいなと思うのは、やはり、このコロナ禍でDXが急速に進んできた、産業構造も大きく変わってきた、成長戦略も、ソサエティー五・〇といいますけれども、そのような中で、まさにAI、ビッグデータ、IoTみたいな生態系の中で新たな付加価値が生み出されるということになってきたわけでありますが、私は電波の割当て機能というものが非常に重要だと思っていて、今までここに割り当てていたからこの人たちの既得権みたいなことではなくて、これはパブリックも民間も含めて、このデジタル社会において限られた電波帯をどこにどう割り振ったら最適なのか、まさにそのポートフォリオをどのように組むのかというのが成長戦略そのものだというふうに思っています。

 そのような中で、昨今の総務省のいろいろな課題というようなものが挙がっていますが、実は、今から四年前の、平成二十九年の五月二十日ですからちょうど四年前ぐらいに、自由民主党行政改革推進本部官民電波利活用PTというところで緊急提言を出しています。

 特に、このときは、オリンピックを控えて、パブリックに割り当てている電波がちゃんと使われているのかどうか、それを精査した上でちゃんと吐き出せというのがメインの提言であったと思いますが、それにプラスして、やはり民間に割り当てているものといったものもちゃんと将来的には見直す必要があるよねという話と、そもそも、こういう極めて重要な成長戦略の根幹に関わることを総務省に任せておいていいのかねという提言をしています。

 このときの行革推進本部長は河野太郎さんなんですが、私も、やはり、この提言というのは本当に先を見据えたいい提言だったなというふうに思っていて、あのときは、まだ、デジタルガバメント庁、我々、提案していたけれども、こんなにすぐできると思っていなかったので、実際にデジタル庁ができる中で、まさにDX、成長戦略、その限られた電波をどう割り振るかが、日本の成長を左右する中で、若しくは、DXとかデジタルガバメントが成功するかどうかの成否を握る中で、私は、電波の割当ての機能とか、電波のポートフォリオをどういうふうに組成するのかという司令塔機能というのは、この際、総務省から取り上げてデジタル庁に持ってくるべきだと思います。

 その辺について、行政改革担当大臣として、若しくは、この提言をまとめた本部長としては言えないと思いますが、行革担当大臣として、何か御所見があればよろしくお願いいたします。

河野国務大臣 何かその緊急提言に聞き覚えがあるなと思って聞いておりましたが、おっしゃるように、これからのデジタル化社会の中で非常に限られた資源である電波を最大限有効活用するというのは、これはもう国家の成長戦略の一環であるという、そのとおりだと思いますので、行革担当大臣として、また規制改革担当大臣として、そこはしっかり議論していかなければいかぬと思います。

 どこにやらせるべきかというのを今の時点で申し上げるところまで検討しておりませんから、そこは差し控えますが、問題意識は共有しております。

平委員 しばらくデジタルの議論をしますので、どうぞおかけください。ちょっと議論だけ聞いておいていただければと思います。

 今、要は、国民にとって何が一番いい形か、日本の国にとってどういう戦略を取るべきか、そのときの行政の在り方はどうあるべきかということは不断に我々は検討しなければいけないと思いますので、しっかり自民党の方でも検討を進めていきたいというふうに思っております。

 残りもう五分ないので、ちょっと幾つか、デジタルガバメント、デジタル系で質問をしたいというふうに思います。

 また、電波の割当てにも関わってくることなので、是非河野大臣にも聞いておいていただきたいというふうに思います。

 まず、デジタルガバメントをつくります、そのときに、基本的にはガバメントクラウドに載ってきてもらう仕組みになりますので、何か、どこかのクラウド業者がぼんと取っちゃうと、今までの自治体のIT回りを面倒見ていた会社、地場の会社とかIT企業とかスタートアップは出番がないんじゃないかと思われる方が多いと思うんですが、デジタル庁の議論の中で、UI、UXはできるだけスタートアップとか地域のIT企業にやってもらおうということを今まで我々は言ってきたわけであります。

 内閣府の方で、今まで中小企業庁がやっていたスモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ、SBIRを内閣府でやる、省庁全体でやるということになりましたが、まさにデジタル庁の肝は調達なので、その調達機能を使って、是非そういったスタートアップ企業とか地場の中小企業が参画をする機会をSBIRを使ってつくるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

江口政府参考人 お答えいたします。

 スタートアップ企業は、その機動性ですとかチャレンジ精神でイノベーションを牽引するプレーヤーになるというのは、委員御指摘のとおり、考えておるというところでございます。そのような中で、特にデジタルの関係では、これも委員から御指摘がありましたけれども、例えばUX、UI等の分野で競争力を発揮でき得るものと考えておるというところでございます。

 デジタル庁におきましては、政府の情報システムを統括、管理するとともに、各府省が共通で利用するシステムや基盤となるシステムを自ら整備、運用するということといたしておるところでございます。

 その際、デジタル庁といたしましては、発注者としての能力を高める、これは最も重要なことでありますけれども、それに加えまして、新たな知見ですとかアイデアを取り込んでいけるようにしたいというふうに考えておるというところでございます。御指摘のSBIR制度の活用というものも有効な方策の一つというふうに考えておりまして、スタートアップが政府調達に参入しやすくなるよう、内閣府の科学技術・イノベーション事務局を始め、関係機関と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

平委員 是非、SBIR、しっかり活用していただきたいと思います。

 ただ、その上で、今まさにIoT、ビッグデータ、AIの中で、結局、インターフェースのところの情報を集めて、AIで解析して、アルゴリズムを進化させて、またインターフェースのところへ戻ってくるという生態系に大きく変わったので、今までの役割分担のみならず、その生態系の中でどうやって入ってこられるかということを考えないと入ってこられないので、是非見ていただきたいと思います。

 あともう一分ぐらいなので、一方的にしゃべって終わりたいと思いますが。

 ベースレジストリーで是非ブロックチェーンを検討してください。オンプレサーバーからクラウドへという流れはありますが、やはり、ブロックチェーン技術、今、特に金融の方で極めて進化が速いので、これは改ざんができないとかいろいろな利点がありますので、これから検討するベースレジストリーにはブロックチェーンを検討していただく。

 あともう一つは、通信のところで、コンステレーションをしっかりと、これは、河野大臣、コンステレーションを、是非通信のところを検討していただきたいと思います。この質問をすると、防災とかITとか総務省とか、みんな絡んできちゃうんです。これもまさに電波の割当てをどうドラスチックに振るかなので、やはり防災のときに、この間、台風十五号、十九号で基地局が停電になって、その後、ダウンするというのが起きてきたわけであります。

 ですから、こういった意味では、コンステレーション、今、専らレーダーとか、光学の方に、宇宙、振っていますけれども、やはり通信というところをしっかり押さえていく必要があると思いますし、これを、コンステレーション、通信をやるという以上は、やはり、さっき言った電波の割当てといったものも、しっかりと成長戦略の文脈に沿ってつくれる人がつくらなければいけないというふうに思いますので、行革担当大臣として、今後も是非一緒に議論をさせていただければと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今国会はもう質問の機会がないかなというふうに思っていたんですけれども、今日は貴重な機会を賜りましたことに、今井理事、後藤理事始め同僚議員の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 今日は、出席委員は、河野大臣だけということですので、ワクチンについて聞いていきたいと思うんですが、腰が痛いということですので、お大事にしてください、私もなったことがあるのでつらさはよく分かりますので、楽に、お好きなようにしていただければというふうに思います。

 菅総理が掲げた高齢者接種の七月末までの完了という目標ですけれども、私も地元で、週末、安城市の大規模接種会場を見てまいりました。地元の医師会長さんとかともお話をしてきましたけれども、私の地元でも大体七月末までにはちゃんと完了できるだろうということでありますし、全国でも、完了についてほぼ全ての自治体で達成できるんじゃないかと大体見込みが立ってきたということで、これ自体は大変よいことだというふうに思います。ただ、自治体からは、一方的にその時期を明言するのはやめてほしい、こういう本音も聞こえております。

 そこでなんですけれども、例えばですけれども、河野大臣のお地元の茅ケ崎市の方では、八月の集団接種三千二百七十六回分の予約をもう既に受け付けていたということであります。そうなると、予約が八月になっている高齢者の方からすれば、政府が七月末の完了と言っているのに自分の予約は八月になっているんだけれども大丈夫なのかというふうになっていると思うんですけれども、茅ケ崎市さんのホームページに行くと、そういう方には個別にまた連絡しますというようなことが書いてはありますが、実際にこういうことがお膝元でも起きているということについて率直にどういうふうに思われるか、御答弁いただければと思います。

河野国務大臣 済みません、お許しをいただいて、ちょっと立ったまま答弁させていただきます。

 私の地元、茅ケ崎、平塚、大磯、二宮、二市二町ございますが、今、一生懸命、七月末に終わられるようにサポートをしているところでございます。

 当初、八月に接種、あるいは自治体によっては九月までというようなところもございましたが、やはり最近の変異株を見ていると、非常に感染力も強い、また重症化する年齢も下がっているということで、これはやはりワクチンの接種を一日も早くすることによって、医療機関への負担を軽減すると同時に、重症化しやすいまず高齢者からしっかり守っていくことが必要だということで、七月末という号令をかけさせていただきました。

 その結果、当初の計画を前倒ししなければいかぬというところで多くの自治体がスクランブル発進するような状況になって、コロナワクチンの担当の職員を始め多くの皆さんに御迷惑をかけているのは事実でございます。そこは率直におわびを申し上げたいと思いますが、やはりこの変異株、また新しいのも出たということですので、この脅威を考えると、なるべく早くやっていただくために号令をかけるというのは、ある面やむを得なかったかなと。

 そのおかげで、七月末までに終われる計画を持っている、これからこの計画を埋めていかなければなりませんから、そこはしっかりサポートをしていきたいと思っておりますが、かなり多くの自治体が七月末までには何とかめどが立ちそうだということでございますので、その後の一般接種も、同じようにスピードアップできるように努力してまいりたいと思います。

大西(健)委員 大臣、この後二問、ちょっと厚労省に聞きますので、もしよければお座りいただければ。

 変異株等の事情というのはよく分かりますし、大臣からは、そういうことで御迷惑をかけていることにはおわび申し上げたいというお言葉もいただきました。そのことは本当に率直に受け止めたいと思います。

 ただ、実は、これだけじゃなくて、いろいろなことが起きている。それによって、国の方針が転換することによって自治体が振り回されるということが、これだけじゃなくて、ほかにも起きています。

 そこで、厚労省に確認しますけれども、当初は、医療従事者が終わったら六十五歳以上の高齢者、その次は基礎疾患のある人というふうになっていたはずですけれども、今は、基礎疾患のある人とない人を区別せずに同時並行で打っていくということになりました。このことを決めて、自治体に連絡したのはいつか。端的に、日付だけ教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 その考え方を事務連絡で発出いたしましたのは、六月の二日になります。

大西(健)委員 今の、基礎疾患のある人ない人同時並行というのが、六月二日に通知をしたと。

 もう一つお聞きしますけれども、基礎疾患がある人とともに、六十五歳以上の接種が終わったら、今度は比較的リスクの高い六十歳から六十四歳の人たちを優先接種するというふうに初めはなっていたんですけれども、これについても、六十歳から六十四歳の優先接種はしない、対象から外すということを決めて自治体に通知していると思いますけれども、これはいつやられましたか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 これも、明確にお示ししましたのは、先ほど申し上げた六月二日の事務連絡の中で申し上げております。

大西(健)委員 今朝、私の地元の新聞を見ていると、私の地元の一つの高浜市というところが、二十一日に六十歳から六十四歳の接種券を配付をしますよということを昨日発表したというふうに記事が出ていたんですけれども、まさに最初の厚労省が示していたのは、六十五歳が終わったら、次に基礎疾患のある人と六十歳から六十四歳だからということで、もう既に準備を進めていて、そうされているんですね。

 ところが、今お話しいただいたみたいに、基礎疾患のある人とない人を区別しないとか、六十歳から六十四歳はもう優先にしないとかいう変更をしたのは、まさに二日ですから、先週のことなんですね。でも、自治体はみんな、初めに示された接種の順位の国の考え方に従って着々準備をしていますから、後で方針転換されても困っちゃうんですよね。

 ですから、それはさっき言った七月末と急に言われても八月で予約を取っちゃっているという話と同じ話で、さっき御迷惑をかけているという話もありましたけれども、やはりこういうことが度々起こっていることについて、自治体からは、国の方針転換が度々起こるのでそれに振り回されてしまう、後で知ったというような話が聞こえてくるんですけれども、河野大臣、改めて御答弁いただければと思います。

河野国務大臣 度々方針転換をしたことは事実でございますし、御迷惑をかけている、重ねておわびを申し上げたいと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたような変異株の問題、それから、おかげさまでワクチンの確保というのが想定よりスムーズにいった、それから、EUの輸出承認が、今のところ、このままいけば多分大丈夫なのではないかという感じになっておりますので、むしろ入ってきたワクチンをなるべく早く打っていただく必要があろうかということで、ワクチンの量が限られているならば、まず医療従事者、あるいは六十五歳以上の、次は基礎疾患と六十歳から六十四歳という優先順位が必要だと思っておりますが、これだけ今ワクチンが入ってきております、そうすると、これを在庫にしておくよりはどんどん打てる人に打っていただく方がいいという判断で方針転換をいたしました。

 いろいろ準備をしていただいたところの方針転換であって、そこはもう、委員おっしゃるように、御迷惑をかけているのは重々承知の上でございます。それはもう責任は全部私にございますが。それでも、入ってきたワクチンをなるべく早く打っていただく、それが国民の健康にとって大事だろう、そういう判断でございます。

大西(健)委員 これからしばらく大臣に聞きますので、立ったままでお願いします。

 おっしゃるように、十分量が確保できたから、基礎疾患のある人ない人を区別しなくてもいいというようなことになったというのは、そのとおりだと思いますけれども、その上で、今度は、じゃ、それをどういうふうに配付をしていくかということに関して、大臣が、一日の記者会見で、六月下旬から自治体に配付をする予定のファイザーのワクチンについて、高齢者接種率が高い五県に優先配付をするんだという方針を示されました。しかし、この高齢者接種率が高い五県というのは、和歌山、山口、鳥取、佐賀、高知、どちらかというと人口の少ない県だと思います。人口が少ないからある程度接種も早く進むんだろうということがあると思います。

 接種が早いか遅いかというのは、人口もあるだろうし、あるいはその地域の医師数、和歌山なんか医師が多いという話でありますし、それから地理的な状況、山間部があるとか離島があるとか、いろいろな状況がある。だから、一概にその県が早いからその県の接種がうまくいっているんだという話ではないんじゃないか。それから、自治体からは、やはり、競争をあおるようなことはやめてほしい、そういう声もあります。

 この高齢者接種率が高い五県に優先配付するということの合理的な理由というのはどういうところにあるのか。接種は進んでいるという見かけを優先すれば、そういうふうにどんどんどんどん打てるところから打ってくださいという話になるのかもしれませんが、別の考え方として、感染拡大していないような田舎の方の地域に打つよりも、やはり、同じ優先順位をつけるんだったら、火が燃え盛っている、そういうところに集中投下、優先配分する方が、同じ、平等ではなくて、もし優先順位をつけるなら、燃え盛っているところにやる方が合理的な理由があるんじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。

河野国務大臣 人口が少ないところというのは、一見そういうふうに見えるかもしれませんが、じゃ、人口と接種スピードが全く一致しているかというと、そういうわけでもございません。人口当たりの医師数の高いところが早いかというと、実はそんなにマッチしておりません。やはりこの五県はそれなりに努力をしてスピードを高めてくれております。

 それから、例えば緊急事態が出されているところに優先的に配ったらどうかという御意見はよく私も承りますけれども、これはもう、そこへ配っても打てなければ倉庫で眠ってしまうだけでございまして、今、我々は、打っているところになるべくどんどん出していきたいというふうに思っております。同じ県内でも、早く打っている市に回して、少しゆっくりのところから融通して早いところに回してもらえば、在庫で眠っている数は減りますし、スピードのあるところはスピードを緩める必要がありませんので、全体的に底上げになります。

 早いところを抑えてゆっくりのところへ回しても、ゆっくりのところで在庫になるだけでございますから、早く打っているところに弾切れを起こさないようにワクチンを供給するということを今最優先でやろうとしているところでございます。

大西(健)委員 燃え盛っているところでも、配付しても打てないんじゃ、確かに意味はないというふうに思います。それは理解します。

 それと、先ほどおっしゃったように、必ずしも医師数でも人口でもないし、じゃ、何が要因かというのは一概に言えないので、だから、じゃ、この五県が本当にうまくいっているのかというのも、私もちょっとそこは論理的にそうかどうかも分からない、まさに一概に言えないということなんじゃないかなというふうに思うんですが。

 その上で、大臣先ほど、そういうことで五県に配付をすると。でも、今度、五県の中でその先、市町村に配付するに当たって、昨日の記者会見で、一部の都道府県で接種の進展具合に応じて市町村にワクチンを配らない動きがあることについて、都道府県によっては足並みをそろえるとかばかなことを言っていると発言されたというふうに聞いていますけれども、これは具体的にどの県のことを言っているのか。

 あるいは、今の御答弁で、この間の御答弁で、一定大臣の言わんとすることは理解しますけれども、ちょっとばかというのは私、言い過ぎじゃないかと思いますが、どういう趣旨でこの発言をされたのか、この発言の趣旨を改めてお聞かせいただければと思います。

河野国務大臣 恐らく、先行している五県は、早く打てるところへどんどん県内でも供給をしているんだろうと思います。どこの県かというのは、ちょっと名を挙げるのは差し控えたいと思いますが。

 都道府県内で先行している自治体があります。もう高齢者の二回目の接種がそろそろめどが立ちそうだ、その次のフェーズに入れる、だからワクチンを下さいと言うと、都道府県が、いやいや、おまえ早過ぎるからちょっと待てみたいなことを言うところがあるんですが、そこをちょっと待たせても、ほかの自治体で在庫が積み上がるだけでございます。早くいっているところへどんどん渡していただければ、そこがどんどんいけるわけですから。

 VRSで都道府県は市町村ごとの接種スピードを見ることができます。ですから、早く打っているところへどんどんワクチンを回していただいて、極端なことを言えば、ゆっくりのところに在庫が積み上がっていれば、それを早いところに回してでも接種をスピードアップしていただきたいということを常々申し上げておりますが、やはり何かの理由で、ちょっと足並みをそろえろという発言が都道府県で出ることがありますので、それはやめてほしいということを申し上げております。

大西(健)委員 さすがに、大臣が言われたみたいに、うちはもうどんどん打てているのでもっと下さいと言っても、早過ぎるからちょっと待てというのは確かにおかしなことだと思いますけれども、やはり、今大臣が言われたような趣旨がしっかり伝わるように、丁寧に自治体に御説明をいただきたいなというふうに思っております。

 今申し上げましたように、私は、基本的には、これは以前にもたしか大臣との質疑のところでも言わせていただいたと思いますけれども、大臣からもそういう議論はよくあるという話でしたけれども、火が燃え盛っているところあるいは火種になりそうなところにできるだけ消火活動を優先させる、こういう考え方があります。

 新宿区が、今度、五十九歳以下の一般接種について、若者にクラスターがたくさん発生しているとか、あるいは若者はかかりつけ医がないという人が多いというようなことがあって、若い世代、特に二十代から三十代を優先して集団接種をしようということを今新宿区が検討されているということですけれども、これは先ほど来言っている、燃え盛っているところに少しめり張りをつけるという考え方で、私は理にかなっていると思うんですけれども、この点について、大臣の御所見をいただければと思います。

河野国務大臣 今自治体にお願いをしているのは、まず七月末までに高齢者の二回接種を終わらせてくださいということをお願いをしておりますが、自治体によっては、もうそれは確実にできるというめどが立っているところがございます。そういう自治体につきましては、首長さんがうちはもう七月末の高齢者接種の完了にめどが立ったと宣言をしていただければ、余力をもってその自治体の優先順位の高いところをつくっていただいて、そこの接種を始めていただいても構わないということを申し上げております。

 福岡市などは、そこで保育士さんとか教員を打ちますということを言っておられますし、そういう自治体がある中で、新宿区は二十代、三十代、これは、そこが燃え盛る火の中心だというところで、そこへ水をかけようということだろうと思います。そこはもう新宿区の御判断でやっていただいて構いませんし、もしモデルナのワクチンで接種を、集団接種をやるというならば、国としてもしっかりワクチンの供給をしていきたいと思っております。

大西(健)委員 そうなってくると、先ほど来大臣が繰り返し答弁されているように、打てるところはどんどん打てというやり方にしていくと、既に、子供にも打っているところがもうありますよね、高齢者も終わって、その後も終わって、子供にももう打ちますよみたいなところもあります。今後、五十九歳以下、一般の接種になってくると、もうそれぞれの自治体で、それぞれの事情で判断してもらっていいですよということになってくると、かなりばらつきが出てくると思います。

 かつ、後でちょっとお聞きしたいと思っていますけれども、昨日受付が始まった職域の接種、これが始まってくると、今言われたように、高齢者の接種が終わったらその後はそれぞれの判断でと言いますけれども、高齢者の接種がまだ終わっていないのに職域の接種が始まると、いや、おじいちゃんおばあちゃんより我々若い者が打ってもいいのかななんという声が企業からも起きています。

 まさに、今後、今までだったら医療従事者、それから六十五歳以上、こう順番がついていたんですけれども、これからはかなりばらばらになってくると思うんですけれども、それはもうそういうことでいいんだという考え方なんでしょうか。

河野国務大臣 今回の予防接種は、予防接種法に基づいて市区町村が行うという、法定受託事務なんですかね、というたてつけでございますので、これはもう市区町村がやる。これがいいか悪いかというのは議論があると思います。平常のインフルエンザの予防接種とかはしかの予防接種を予防接種法で市区町村にやってくださいというのは、これは今までもやっていたわけですが、こういうパンデミックと言われるような状況のときに平時の予防接種法を使うかどうかというのは、これは政府の中でも、国会でも御議論をいただかなければいけないことだと思いますが、既にもう走っておりますので、その中でどうするかということだと思います。

 例えば、鹿児島県の十島村のように、もう全ての住民、対象者は打ち終わりましたという自治体が既に出てきております。高齢者は自治体を中心に打っていただいておりますが、これは御高齢の方はやはり自宅の周辺での活動がメインでございますから、居住地で打っていただくというのが一番優先されるんだろうと思います。大規模接種会場に来てくださいということもやっておりますが、高齢者の多くはなるべく自治体で打とうということで、自治体中心にやっていただいております。

 そこへ、モデルナのワクチンが承認されて、供給が始まりましたが、自治体はファイザーでコールドチェーンをつくって打ち始めております。一回目ファイザーを打った方は二回目もファイザーをやっていただかなければいかぬということで、なかなか、コールドチェーンができている中にモデルナを突っ込むというのは、しかも、これは三週間と四週間、間隔の違いもある中ですので、やはりモデルナは別なルートで流すしかないということで、まず自衛隊の大規模接種、それから都道府県、政令市を始めとする自治体の大規模接種を立ち上げて、そこは、高齢者を打っているところもあれば、高齢者にめどが立つからほかへいくというところもございます。

 職域も全く同じ考え方で、今お願いをしている千人以上の企業、企業でなくグループで手を挙げてくださっているところもあるんですが、千人以上の企業には元々産業医がいらっしゃいますので、自治体で接種をしている医療従事者を剥がさなくても打てるだろうということで、今、取りあえず千人以上にお願いをしているところでございます。

 これはもう、ワクチンを眠らせておくよりは、来たワクチンをどんどん打っていきたいということで、高齢者より前に現役世代が打つということになってしまいますが、そこはスピードアップを最優先するということでやらせていただこうと思っております。

大西(健)委員 今、職域接種の話になったので、ちょっと順番を入れ替えて。

 二十一日から職域接種を始めていくということで、千人以上の企業でまずスタートしたいということですけれども、その中で、大臣、例えば中小企業が集まって商工会議所で打つようなこともあるんじゃないかということを言っていただいていますけれども、ただ、やはり、商工会議所で打ち手が確保できるか、大企業でも産業医がいればいいんですけれども、なかなか打ち手を確保するのはハードルが高いなというような声もあります。

 そうすると、結局、人のやりくりもできて元々テレワークも進んでいる大企業で働いている人はワクチンが受けられて、テレワークも難しいしワクチン休暇なんかもなかなか取れないみたいな中小企業で働く人はワクチンが遅れるみたいなことになると、やはり大企業の労働者と中小企業の労働者の格差が生まれてしまうということにならないのかなということを懸念するんですけれども、その辺について、中小企業をどう支援していくのか、これについて、大臣、何かお考えがあれば教えてください。

河野国務大臣 千人以上と申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように、産業医がいるということで自治体から医療従事者を剥がさなくてもいけるだろうというのが一つでございます。

 スタートをする大企業には、協力会社、関連会社、取引先、納入先を積極的に打ってくださいというお願いをしておりまして、例えばトヨタ自動車なんかは取引先、関連先、やりますよとおっしゃってくれておりますので、今、なるべく自社だけでなく手を広げてくださいというお願いをしております。

 幾つか、商工会議所とか業種の協会、あるいは協同組合で、昨日申請をいただいているところもございます。今後、中小企業が集まっている商工会議所とか工業団地とか、そういうところにも対象を広げていきたいというふうに思っておりますが、どうやって医療従事者を剥がさずにやれるかというところを確認しながらやりたいと思っております。

 実は、打ち手は、看護師さんも歯医者さんもトレーニングを終わって、いけるという方がまだまだいらっしゃいます。予診も、オンライン予診を認めておりますので、確保できるんだろうと思います。一番問題になっているのは、実際のオペレーションをどうするかというところですので、少し参考になる事例ができて、職域のマニュアルみたいなものができれば、そういう形で商工会議所なんかでも展開できないだろうかということは考えていきたいと思っているところでございます。

大西(健)委員 今ちょっとトヨタの話があったので、トヨタの話に順番を戻して聞きますけれども。

 愛知県の豊田市、私の選挙区のお隣ですけれども、豊田市の集団接種会場の運営とかワクチンの輸送に、トヨタ自動車とかヤマト運輸さんが協力をされている。大臣、よく自動車産業についても精通しておられるのですけれども、ここで活用されているのは、自動車の生産工程で課題や無駄を発見して、いわゆるトヨタのカイゼンというやつですけれども、それを繰り返していく、トヨタ生産方式というのを活用して非常に成果を上げている。動線だとか、それぞれの工程が何秒かかるとか、全部やって、見える化して、改善、改善していくということですけれども。

 これは非常に豊田市さんはうまくいっていて、みよし市でもやるということですけれども、国レベルでもワクチンの接種の工程管理みたいなところに、トヨタ生産方式とか、そういう民間のお知恵を協力してほしいと例えばトヨタさんに大臣が言えば喜んで協力するんじゃないかと思いますけれども、こういうお考えはないでしょうか。

河野国務大臣 私も最初の選挙に出る前、トヨタに部品を納める部品会社におりましたので、トヨタが工場に来ては、これが駄目だとかあれはこうしろとかというのを経験をしておりますから。

 豊田市でしたか、トヨタの方が行って直しているところをニュースでやっておりましたので、こういう部隊をつくって実は自治体を回ってもらいたいなと思っております。もしトヨタがやってくださるんだったら、そこはいろいろなところの大きな接種会場からちょっと見て、改善をしていただければペースを上げられるのではないかと思いますので、そこのところはしっかりお願いをしていきたいと思っているところでございます。

大西(健)委員 トヨタさんは自治体の接種だけじゃなくて、以前、防護服が足りないときに防護服を作っている会社にトヨタの生産管理の人が入っていって、そして全部チェックして改善した結果、生産枚数が飛躍的に多くなったとか、そういうようなボランティア活動もやられていますので、一度大臣が話されたら喜んで協力するんじゃないかなと私は思いますので、お話ししていただいたらいいんじゃないかなと思います。

 それで、職域接種の話ですけれども、これも以前ちょっと大臣にお聞きしたことがあるんですが、国会というのは、議員だけじゃなくて議員の秘書それから国会職員、千人以上の人が働いておりますし、医務室があって医師や看護師さんもいるということで、派遣されてきてはいますけれども、常駐しておられるということでありますけれども、接種場所も確保できる。

 昨日、自民、公明の国対委員長が国会内で会談して、議運で国会での集団接種を検討することで合意したというニュースが流れていましたけれども、改めて確認ですけれども、議運で決めていただければ国会も職域接種の対象になり得るということでいいのかどうなのか、大臣に御確認したいと思います。

河野国務大臣 衆参の両院の議運委員長にはそれぞれ、最初は、単身赴任なのか、国会議員は単身赴任者かどうかを決めてくださいというお願いをいたしました。単身赴任であるならば地元でなくこちらの、衆議院なら赤坂の宿舎であれば港区で打っていただくということもできるだろうということで、単身赴任かどうかを決めてくださいというお願いをし、職域が始まるということになりましたので、職域なら衆議院、衆議院、参議院それぞれで申請するのか国会として申請をしていただくかはいろいろあると思いますが、これは議運でお決めをいただいて申請をしていただければ職域として扱うということになろうかと思います。

大西(健)委員 今のは確認でしたので、あくまで議運で決めることが前提ということだと思います。

 次に、ワクチンの使用期限について、これは厚労省にお聞きしたいと思いますので、もし立ったり座ったりするのがあれでしたらですけれども。

 先ほども配付しても打たれないで積まれていたらしようがないという話がありましたけれども、ファイザーのワクチンというのは超低温冷蔵庫に保存していれば六か月もつということでありますけれども、製造後すぐに日本に届くわけではなくて、最初の頃に届いたワクチンがそろそろ期限切れになるんじゃないかというふうに思われます。三月上旬に届いたワクチンは使用期限が六月末まで、四月下旬に届いたものは七月末までで使用期限が来て、それを過ぎると接種できないんじゃないかというふうに聞いていますけれども、そういうことで間違いないのか。だとすれば、六月末や七月末に期限切れで使えなくなるワクチンがどれぐらい出てくると見込んでいるのか。この点について厚労省にお答えいただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、ワクチンは製造からおよそ六か月でございます。有効期限は六か月でございます。

 国としてどのワクチンがいつ頃有効期限になるかということを明らかにはしておりませんが、一方で、バイアルですとかバイアルの箱には有効期限が書かれております。したがいまして、受け取られました医療機関におきましてはそこが確認いただけるわけでございますが、五月の二十八日にも事務連絡を出しまして、特にワクチンの有効期間の期限切れ、これに御注意をいただき、ワクチンを廃棄することがないようにお願いしたいという御連絡をさせていただいたところでございます。

大西(健)委員 これは本当に注意しないと大量に廃棄される可能性もあるので、注意していただきたい。

 最後に一つだけ、もう時間が来たのでこれはお願いだけにとどめますけれども、十万円給付のときも、路上生活者みたいに住民票がない方とか、あるいは住所登録地と違う場所で暮らしている方が十万円をもらえなかったという話がありますけれども、これは同じように、やはり接種券が、路上生活者の方とかは届かない。スマホもテレビも持っていないので、無料で接種できることとか、二回打つ必要があるとか、基本的なことも知らない人がいる。そういう人たちがワクチン接種から取り残されないように、これは是非お願いをしたいというふうにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 オリンピック・パラリンピックとコロナ対策について質問いたします。

 大臣は最後の質問になりますので、よろしくお願いします。

 オリンピック・パラリンピックの事務局の方にお尋ねしますが、大会関係者の行動管理の問題です。

 海外から来る大会関係者は、陰性証明書さえあれば入国後の待機はありません。検疫所が確保する宿泊施設での待機について、インドなど六か国については十日間の待機ですとか、また、その他の国でも、六日間の待機が三か国、三日間の待機が三十二か国ありますが、大会関係者については待機がありません。大丈夫でしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 東京大会に参加する大会関係者の出入国に係る措置の在り方につきましては、四月二十八日に開催いたしましたコロナ調整会議において対策を取りまとめております。

 この中で、大会関係者につきましては、原則、入国後十四日間、宿泊施設で待機することとしておりますが、入国前の予定や入国後の活動内容などによって、入国後十四日以内に活動を開始しなければ大会の運営に支障がある場合には、定期的な検査、用務先の限定、受入れ責任者による監督などの厳格な行動管理、そして公共交通機関の不使用等を条件といたしまして、国内の方々と接触しないという措置を十分取って、防疫措置を講じた上で待機緩和を認めることとしております。

塩川委員 ホテルの問題なんですけれども、大会組織委員会は、大会関係者の宿泊については、組織委員会のあっせんしたホテルのみならず、メディアを含めて、入国者が自己手配したホテルも全て組織委員会が把握をするとしています。

 組織委員会のあっせんしたホテル数、また入国者が自己手配したホテル数というのはどのぐらいなんですか。

十時政府参考人 大会関係者の宿泊、ホテルについての御質問でございますが、現在、組織委員会において、引き続き、大会関係者の来日者数、人数を精査しておりまして、組織委員会があっせんするホテルについては調整中と承知をしております。また、関係者が自己手配しているホテルというのもございましたけれども、これらについても、情報の集約を図っているところでございまして、現時点では確定していないものと承知をしております。

塩川委員 情報集約して、現時点で確定していないということですが、大会組織委員会は、これらのホテルについては全て、自治体とも連携した上で、組織委員会が監督者を置くなどして関係者の行動を管理するとしています。

 しかしながら、熊谷千葉県知事は、幕張とかに組織委員会が大量にホテルを予約をしているが、それが誰なのか、情報が共有されていないと報道で述べておられました。自治体と連携できていないんじゃないでしょうか。

十時政府参考人 大会組織委員会と自治体の連携ということでございますが、様々な場面で事務的にも連絡を取るようにしていただいていると思いますが、大会関係者の宿泊につきましては、現在、組織委員会において、選手そして大会関係者のために会場周辺でホテルの手配を進めていると承知をしております。

 まだ、宿泊する関係者の数や配宿、宿の配分等について変動しているという状況だということで、組織委員会において具体的な情報を関係自治体に提供するため準備を進めているという段階だということでございまして、自治体の方とその点について十分情報が共有できていなかったということかと存じます。よろしくお願いいたします。

塩川委員 ですから、おおよそどのホテルにどんな人が入るのかというのは既に示しているわけですよね。そういうことについて、千葉県だったら千葉県にしっかりとした説明が必要だと思うんですが、今後はどうされるんですか。

十時政府参考人 今ほど申し上げましたように、現在、具体的な情報を整理しておりますので、早急に組織委員会と関係自治体で情報提供、情報共有を進めるように促してまいりたいと存じます。

塩川委員 自己手配ホテルの入国者の方について、本当に行動の管理ができるのかという疑問があるんですが、この点はどうでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 選手や大会関係者につきましては、国内にお住まいの方々と交わらないようにするため、用務先については、大会運営に必要不可欠な用務先に限って、本邦活動計画書に事前に登録し訪問することができるということとしておりまして、この計画書に登録のない場所には外出することは禁止されております。

 また、宿泊施設は、組織委員会が管理するホテル又は地元自治体と協議の上で組織委員会が防疫措置が講じられているということを確認し登録したホテルに限定をいたしまして、組織委員会が管理者を置くなど、宿泊する関係者の行動を管理することとしております。

 こうした方針は、大会の主催者であるIOC、IPC、組織委員会が作成する、全ての大会関係者が遵守すべきルールを記したプレーブック第二版にも反映されておりまして、これらの実効性を担保するため、受入れ責任者が管理を行い、ルールに違反した場合には大会参加資格を剥奪することもあり得るとしております。

 政府としては、引き続き、安全、安心を最優先といたしまして、内外の感染状況等を注視しながら、東京都、大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携いたしまして、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。

塩川委員 報道では、メディアですとかオリンピックファミリーについても入国後十四日間はGPSによる行動管理を行うというのがありましたが、これはそういうことなんでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日開催されました大会組織委員会の理事会におきまして、橋本会長の方から、GPS等も活用しながら行動管理を図っていくという御発言があったということは承知しております。

塩川委員 本当にできるのかというのもありますし、やる場合については非常に窮屈な話だなということも改めて思っております。

 尾身分科会会長は、バブルの中の関係者の感染対策も必要で、IOCや日本の組織委員会、政府、自治体が同じ目線、方向性で実施していくことが大事だ、IOCにも日本の状況を知ってもらい、理解してもらうことが大事だと、感染リスクなどに関する見解をIOCにも伝えたいと述べておられます。

 IOCには、このような専門家の見解を受け止める用意はあるんでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 大会組織委員会におきまして、コロナ対策、こちらはもちろん最優先の課題として取り組んでいただいております。IOC、IPCとも常日頃から、事務的、実務的に、コロナ対策の検討状況、準備状況について情報交換、情報共有をしておりまして、そういったタスクフォースといったものも設置をして、専門家も交えながら議論、検討しているところと承知をしておりまして、我が国における検討、準備の状況については、IOCともしっかり共有をしながら、準備に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 いや、私がお聞きしたのは、コロナの対策の分科会の会長でもある尾身会長などが取りまとめる提言、見解について、IOCにはそういった見解を受け止める用意があるのかということなんですが。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の提言につきましては、そういった報道があることは承知をしておりますけれども、まだ具体的に出されているものではないと承知をしておりまして、その内容も明らかになっておりませんので、コロナ対策の検討に当たっては、従来から、政府、東京都、組織委員会と、様々な専門家の方々の知見も踏まえながら検討を進めさせていただいておりまして、そうした提言が出されるとなりましたら、その知見も活用しということで、IOCの方にも何らかの形で共有をしながら検討が進められるものと理解をしております。

塩川委員 ですから、尾身会長などの提言が出された場合には、それはきちっとIOCに伝えますか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまも申し上げましたとおり、現時点におきまして、報道は承知しておりますけれども、提言なるものの具体的な内容について承知をしておりませんので、その中の具体的な知見として活用すべきものがあれば、組織委員会そして組織委員会を通じてIOCとも共有し、検討していくという可能性があると考えてございます。

塩川委員 IOCの委員などが利用するホテルですけれども、この間、オリンピックファミリーについて、五つ星、四つ星ホテルのスイートルームを含む専用客室の提供を大会組織委員会として行っているということも示されているところであります。

 こういったIOC関係者が宿泊するホテルについては、大会特別料金で一括して契約しており、組織委員会がIOCとの契約に基づきその一部を負担しているということですが、この分担について見直しが進んで、IOCが全額負担する方向で調整されているという国会でのやり取りも承知しておりますが、IOCが全額負担することにはなったんでしょうか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 大会関係者用の宿泊施設については、大会の一年延期に伴う簡素化によってホテルの契約の見直しが行われるとともに、来日するIOC関係者の削減によって、当初予定していたIOC関係者向けの部屋数からは減少する見込みと聞いているところでございます。

 失礼いたしました。ちょっと御説明を間違えました。

 全額負担という御質問でございました。

 全額負担の件につきましては、先日の衆議院の厚生労働委員会で御答弁申し上げたところですけれども、組織委員会に確認いたしましたところ、IOC委員及び職員が宿泊するホテルについては大会特別料金で一括で契約をしておりまして、組織委員会はIOCとの契約に基づきその一部を負担することとなっておりましたけれども、その分担について見直しが進みまして、現在IOCが全額負担する方向で引き続き調整がなされていると伺っているところでございます。

塩川委員 特段その後進展はないということですね。

 大会関係者に陽性者が出た場合、感染症対策センターと東京都の保健所が連携して対応するということですが、今でも大変な保健所業務に更に負担をかけることになりはしないか。

十時政府参考人 アスリート等に感染者、疑い例が発生した場合の対応の仕組みといたしまして、コロナ対策調整会議で取りまとめました中間整理においては、地域の保健衛生機能を強化し、大会運営側との緊密な連携の下で対応できるよう、保健衛生の拠点を構築することが示されておりまして、さらに、四月二十八日に公表した追加的な対策におきましては、七月からの本格稼働に向けて、感染症対策センター、そして東京二〇二〇大会保健衛生支援東京拠点を設置し、その連携を図るというイメージが示されたところでございます。

 選手村等におけるアスリート等への積極的疫学調査については同拠点が対応いたしまして、アスリート等の健康観察や入院、搬送調整等は感染症対策センターと連携して対応するなど、地域の保健所に御負担をかけないように配慮されているものと伺っております。

 また、同拠点に配置される医師、保健師等のスタッフにつきましても、地域の保健所職員ではなく、主に東京都の職員が派遣されるものと伺っているところでございます。

 地域の保健衛生に支障を生じさせず、必要な体制を確保することは極めて重要でありまして、引き続き、東京都、組織委員会等と緊密に連携を図りながら、安全、安心な東京大会の実現に向けて準備を進めてまいります。

塩川委員 オリンピック開催が国内外でのコロナウイルスを広げることになりかねません。オリンピック開催に当たっての判断基準を示すべきではありませんか。

十時政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の命と健康を守ることが政府としての責務であり、まずは緊急事態宣言を解除できるように政府として対策を徹底しているところと承知をしております。

 その上で、この夏の東京大会の開催に当たりましては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じるとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会開催の前提であると考えているところでございます。

 こうした中で、具体的な感染対策といたしまして、アスリートや大会関係者については、アスリート等への毎日検査を始め、定期的な検査や厳格な行動管理、健康管理などの防疫上の措置を徹底するとともに、国内にお住まいの方々との接触を厳に回避することにより、大会関係者の感染を防止し、安全、安心な大会運営を確保することとしております。

 こうした方針はIOC、IPC、組織委員会が作成するプレーブック第二版にもしっかりと反映されておりますが、引き続き、本年七月の大会本番における具体的な運用も含めて、今後の感染状況等も踏まえつつ、更なる具体化、精緻化に向けた検討を進め、六月にも第三版を公表する予定で作業が進められております。

 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、安全、安心を確保することを最優先として、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツイベントにおける感染対策の取組や専門的知見も踏まえながら、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して、準備を着実に進めてまいります。

塩川委員 判断基準を示さないまま突き進むということでは、国民の皆さんの不安を解消することはできないということを申し上げます。

 大臣にお尋ねします。

 尾身分科会会長は、七月とか八月の段階でワクチンの接種率が少し上がったとしても、個人のプロテクションはできるけれども、それによって感染のレベルが抑えられる、集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると、夏までに集団免疫の達成は困難との見通しを示しておりましたが、大臣も同じ認識でしょうか。

河野国務大臣 私が命ぜられているのは、このワクチン接種に関する総合調整を担当せよということでございますので、いわば運び屋でございます。一月十八日に任命されてから今日まで、ワクチンのスケジュールにオリンピックは入っておりません、これは別ですということを繰り返し申し上げてまいりました。

 オリンピックについては、こうしたコロナ禍で安全にオリンピックを開催するためには、どういう条件で、どうやったら開催できるのかというところを組織委員会やIOCが検討されているというふうに思いますので、そこをしっかり見極めて、しっかり開催をしていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 オリパラの話はちょっとおいておいても、集団免疫の話です。ワクチンの接種がこの七月、八月とか進んだとしても、この夏の段階で集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると。つまり、夏までの集団免疫は難しいのではないのかという尾身会長のこういう認識については、大臣はどのように受け止めておられますか。

河野国務大臣 集団免疫その他については、これは専門家が科学的に御判断されることだと思いますので、私から申し上げるべきものではないと思っております。

塩川委員 ただ、運び屋といっても、まさに現場で取り組んでおられるお話ですから、そういった問題について、集団免疫の考え方などについて、当然、政府としての共通認識なりがおありなのではないのかと思うんですが、そういう点では、政府としては、そういうのを、そもそも集団免疫についての考え方を持っていないということなんでしょうか。

河野国務大臣 そういうことについては、厚労大臣から恐らく御発言があるものと思います。

塩川委員 現状はそういうふうになっていないというのが率直なところであります。

 感染拡大のリスクですとか医療提供体制への大きな負荷を考慮して、オリパラ中止の決断を是非とも総理に進言していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 河野大臣、立ったままで結構です。私も経験がありますので、お気持ちはよく分かります。

 まず、ちょっと今質疑を聞いていまして、ああ、大事なポイントだなと思ったのが、ワクチン接種のフェーズが変わりつつあるということですね。ワクチンが足りなくて公正公平にどうやって接種をするのかということが課題であったフェーズから、むしろ十分に供給される中でどうやって多くの国民の皆様にアクセスしていただくか、フェーズが変わった、変わりつつある、そういう認識でよろしいでしょうか。

河野国務大臣 そのとおりだというふうに思います。

足立委員 せっかくなので、大臣のお言葉で、ニュースになるような御発言をお願いします。

河野国務大臣 何か、腰が痛くて立っていたというのがニュースになりそうな気がしますが。

 ワクチンの供給については何とかめどが立ってきて、EUの輸出承認もここまでしっかり取れておりますので、ワクチンの供給については問題がないんだろうと思います。

 そういう中で、変異株の問題もありますから、いかに一人でも多くの方に早く打っていただくかという段階に来ているんだろうと思います。

 いずれ、それなりにそれが進みますと、今度は若い世代の方に積極的に啓発活動を行って、若い世代の方にも多く打っていただくということが大事だというのがその次のフェーズかなと思っております。

足立委員 このフェーズの変化、これを国民も、あるいは関係の自治体、企業、みんな分かって、河野大臣のリーダーシップの下で国民の命と健康を守っていく、大事なことであると思います。

 その上で、私は、今回のワクチンの動きの中で、少しというか大分違和感があったのは、やはり医師会の動きですね。

 中川会長が、緊急事態の中で、デートしていたか会食していたか分かりませんが、それから、パーティーに医師会でぞろぞろと行くとか、そういう二重基準、これは、公人ではないかもしれない、よく分からないけれども、医師会のトップとして私はいかがなものかと思います。特に国会でも、私たちは今、本多議員の関係で立憲民主党の二重基準が問われているわけですが、国民から見たときのそういう正当性というか、いかに筋を通した政治、筋を通した行政が行われているかということが大事だという観点から、少し医師会について取り上げます。

 私の地元の例えば大阪府茨木市、住んでいるところです、ほかにもいろいろ散見がされるのが、医師会のドンが、個別接種をするときに、俺に全部よこせ、何箱よこせと。それを医師会がよく分からない形で、要は公表すると電話がかかってくるからということで、どこで個別接種をしているかもリストアップせずに、医師会が水面下で配る。個々のクリニック、診療所も水面下で、ふだん関わりの深い住民の方に接種をしている。一体どれだけの量が何か所のクリニックで、診療所で接種されているかも分からない。市役所のホームページに行くと、個別接種が始まっていますとだけ書いてある。あとは何にも情報がない。こんなことがございます。

 これは、もちろん緊急時ですから、何でもありだといえば何でもありです。しかし、税金で行われている個別接種について、全く情報が住民、有権者に伝わらないまま、特定の、例えば医師会のドンが、例えば医師会に入っていないクリニックにもちゃんと行っているのか、あるいは、個々の接種の個別接種が本当に税金にふさわしいハンドリングになっているのか、事後でもいいので私は検証すべきだと思うし、いずれにせよ、そういうことが今広がっています。

 所感があれば教えてください。

河野国務大臣 個別接種へのワクチンの配付というのは、最終的には市区町村が責任を持って出していただくということになっております。

 ワクチンナビというホームページにアクセスしていただければ、それぞれの自治体で、どこで個別接種ができるかというのが分かるような仕組みにもなっております。おっしゃるように、フェーズが変わりましたから、その情報を的確に発信をして今後やっていかなければいけないというふうにも思っております。

 国がワクチンの配付を市区町村にお願いをする中で、医師会に御協力はお願いをしておりますけれども、例えば医師会に入っているかどうかというのは条件としては全く挙げておりませんので、医師会のメンバーのクリニックにもそうでないクリニックにも同じように配付されるということになっております。

 手を挙げているのにワクチンが届かないというようなことがもしあれば、私のチーム、ワクチンチームにおっしゃっていただければ、我々が対応いたしますので、何かあれば遠慮なく言ってきていただきたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 一義的には、これは市町村の問題なので、ちょうど今、六月議会をやっていますから、私の仲間が市議会でも取り上げると言っていますから、これは現場の議会でもしっかり議論をしていきたいと思いますが、一言確認させていただきたいのは、もちろん、有事だから何でもありでやるべきところもある、余れば、そこにいる方、現役の方でもいい、医師でもいい、自衛官でもいい、打ってください、これも、河野大臣が進めてこられた方向性は全く異論ありませんが、税金ですから、可能な限り、事後でもいいので、透明で公正公平なハンドリングが求められる点は当然であると思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 とにかく、こういう時期ですから、一軒でも多くのクリニックに打っていただきたいと思っておりますので、やるよといって手を挙げてくださったところには的確にワクチンが届くように見ていきたいと思います。

足立委員 VRS、心から敬意を表し、感謝をしておりますが、その入力を個別のクリニックの医師が嫌気をする、嫌がる。そして、医師会長が、現場が動かないということで、市長さんに、頼む、市役所で打ち込んでくれということで、一週間程度のディレーならいいんですが、大都市だとそれが最悪一か月ぐらいずれるかもしれない。でも、よく考えたら、あれ、クリニックでできないなんていうことは私はあり得ないと思うんですよ。それはちょっと医師会が甘えているんじゃないかな。ちゃんとやった方がいいと思いませんか。

河野国務大臣 OCRライン、あるいはバーコードも開放しますので、バーコードがちゃんと、OCRラインと同じものがバーコード化されていれば、バーコードでこれから打てるようにしたいと思っております。そうするともう、カメラに当てていただくだけですので、誰でもできることになるだろうと思っております。

 できる限りリアルタイムで現場で打っていただきたいと思っておりますが、なかなかどうしてもそれができないというところは、自治体が回収をして入力を代わってやっていただくということも可能であるというふうには申し上げておりますが、なるべく回収した後は短期間で入力をお願いしたいと思っております。

足立委員 医師会の問題というのが、やはり、今回明らかになりました。法律で対処すべきことも多いと思いますので、また、一区切りがあれば、しっかりこの医師会問題を追及をしてまいりたいと思います。

 最後に、自衛隊を始めとする大規模接種会場、予約速度が鈍化しています。これは当たり前だと思います、自治体が立ち上がってきたからですね。したがって、大規模接種会場の対象はぐっと現役世代に開放していく、そんな取組が望まれると思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 なかなか予約が埋まらないという状況にあるのは承知をしております。

 ただ、次の、二回目の接種が二十八日から始まりますので、二週間をどう使うかということでございます。そこをどういうふうに使っていくかというのは、今、防衛省・自衛隊とも協議をしているところでございますので、空きが出たりしないように、また混乱を招かないように対応してまいりたいと思っております。

足立委員 ありがとうございました。

 終わりますが、本当に、今、国会議員、三百小選挙区に散ってやっています。先ほど大西健介議員も、地元のことを踏まえて質問されました。私も、地元、松井市長を始め、また地元の市会議員と連携を取りながら、最後まで、このコロナ禍、しっかり対応していくことを国民の皆様にお誓いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日も、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 大臣、御事情で立ったままですけれども、先ほどから見ていると、立ったままですから、答弁書も見ずに答えられて、その形だと秘書官からのメモとかも入りませんから、私は、すばらしい、今後の政治の在り方、国会審議の在り方を率先してやっていただいているのかな、是非こういう形を今後取り入れていけたらいいんじゃないかなと思いながら、今見ておりました。

 今日は、私、岸本委員の代わりに質問させていただいていますが、岸本委員から、どうしても一問、これを大臣に確認してくれと言われているので、まずその質問からいたします。

 河野大臣は、九月末までに、希望する全員分のワクチンを確保したということを常々公言されていますけれども、岸本委員の疑問は、希望する全員分といっても、希望する人がどのくらいいるか分からないじゃないか、三割なのか、五割なのか、八割なのか分からない中で、それを全員確保したと言うのは、何かちょっと、矛盾しているというか、おかしな言い方ではないかと言っておりますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 対象となる方全員の分を確保できたということでございますから、もちろん、その中には希望されない方がいらっしゃると思いますが、対象者全員の分を確保したということをあのとき申し上げたわけでございます。

高井委員 分かりました。そう言っていただいた方が恐らく国民の皆さんは分かりやすいかなと思いますので、お願いいたします。

 それでは、次の質問に行きます。

 ワクチンのフェーズが変わったという話がありましたけれども、私も、非常によく取組が進んでいるなと。もちろん、河野大臣のリーダーシップ、あるいは菅総理の、何というか、気迫もあるんでしょうけれども、やはり国民の皆さんが真面目だなとつくづく思います。これだけ整然と打たれて進んでいる。もちろん自治体の努力というのもあると思いますけれども。

 そういった中で、昨日から職域接種の受付が開始されて、初日でもう四百件以上ということで、大臣も、かなり順調というか、結構驚くほど集まったと言っていましたけれども、私も、私のところにも何社か、是非早く打ちたいから、ただ、情報が余りないんだということで問合せがあったりして、私が予想する以上に、この企業接種、進んでいくんじゃないかなという期待が非常にあります。

 そういった中で、昨日、「ニュースウオッチ9」、NHKでもやっていたんですけれども、成城大学では、つまり医学部がない大学は打ち手がいないということで、何か業者さんに頼んでいるそうなんですけれども、何と九月まで打ち手が見つからないといって悩んでいる姿が夜九時のニュースでやっていました。

 やはり、九月まで見つからないというのは、ちょっと、さすがにひどいんじゃないかなと思いますし、あと、企業の中でも、やはり、産業医がいないところ、あるいは中小企業なんかはどうするかという問題もありますけれども、私は、想像以上に、企業が打ちたいというニーズがあると思います。

 そして、次の質問にもつながるんですけれども、企業が打つことによって、若い人たち、なかなか接種が進まないだろうと思った人たちにも早く打てるというチャンスなので、私はここを全面的に支援すべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 ワクチンが潤沢に供給されるようになってまいりましたので、自治体ルートとは違うルートを設けて接種をスピードアップさせていきたいというふうに思って、この職域に取りかかったわけでございます。

 自治体で打ってくださっている医療従事者が剥がされてしまっては何にもなりませんので、千人以上の企業からと申し上げたのは、産業医がいらっしゃるということで、医療従事者をなるべく自前で確保できるところからということで、千人以上の企業。それから、大学も、想定していたように、やはり医学部のある大学が自前で打てるということで手を挙げてきてくれているわけでございますが、医学部のない大学、これも、萩生田文科大臣が、なるべくなら夏休み中に学生に接種をして、次はオンラインじゃなくて対面で授業ができるようにしたいということをおっしゃっておりますから、医学部のない大学をどうするのか。それから、中小企業が集まって、例えば商工会議所とか工業団地とか、あるいは様々な協同組合といったところで打ちたいという話も今来ております。

 なるべく、今、大企業の取組の中で、協力会社だとか取引先という枠組みで打ってくださいというお願いはしておりますが、当然そこに乗ってこないのもあると思いますので、次の段階として、どういう形で自治体の医療従事者を剥がすことなく対応することができるかというのを今検討しているところでございますので、なるべく早く次のスキームを確定をしてお知らせをしてまいりたいと思っております。

高井委員 これは是非お願いします。

 本当に想像以上に企業は進むと思いますので、やはり打ち手、ずっとこれは、私、厚労委員なので、この後、田村大臣にも申し上げようと思うんですけれども、やはり医師会も、さっき足立さんが言っていましたけれども、まだまだ私は協力的じゃない部分もあると思っています。

 それから、制度上、やはり薬剤師であるとか、あるいは例えば医学部生とか、六年生はもう研修なんかでやっているそうですから、こういったところに広げていくとか、やはりこういう非常な事態ですから、それも、医師会が反対しているなんていう声も聞くんですけれども、そういうことは突破して、是非、田村大臣にも、河野大臣から、このワクチンを接種するためにはもうとにかく打ち手なんだと。ここは本当に、昨日のNHKのニュースが正しければ、秋まで確保できないなんていうことになれば、それは本当にもったいない話ですから、是非、潜在看護師の話も含めて、対策をお願いいたします。

 それでは、次はワクチン接種の進捗と感染防止の予測というのを私はやっていただきたいなと思うんです。

 これは東大の仲田准教授さんのモデルが非常に有名になっていますけれども、ワクチン接種を一日百万回やれば八月には大丈夫だけれども、一日五十万回でとどまれば八月には第五波が来て緊急事態宣言になる、そういうようなものを示していただくと、国民は、ああそうか、じゃ、やはりワクチン接種を一日百万回やらないといけないんだな、しかも、やればこのまま、緊急事態宣言も解除されたまま落ち着いていくんだなみたいな、やはり、そういう何か目安があると、国民の皆さんも一生懸命頑張ろうという気になりますので、是非、なかなか政府としてそういうモデルを示すことの難しさも分かりますが、しかし、政府が示すからこそ、やはり東大の一教授が示すんじゃなくて政府が示すからこそ、国民の皆さんもそれを信頼して進んでいくというものもありますから、私はある程度不確実があっても思い切って示すべきじゃないかと考えますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 先ほど塩川委員からも似たような御質問がございました。このワクチンを打つことによって社会全体で集団免疫を獲得するという説があるわけでございますが、それが、じゃ、どれぐらいの割合で集団免疫と言えるのか、あるいはそこに至るまでにどれぐらい打ったらどれぐらいの効果なのか、これは様々な説があろうかと思いますので、これは専門家の方が科学的に研究されて御判断されるものだというふうに思います。

 恐らく、必要なら厚労省を中心にそうした研究を後押しをすることになるんだろうと思いますが、私としては、それを待ちながらワクチン接種のスピードアップに努力してまいりたいと思います。

高井委員 それでは、最後に一問聞きます。

 やはり私は若い人の接種が鍵だと思っていまして。この方々が、やはり若い人が感染も広げていきますし、また、重症率も変異株では高いということですから。しかし、私が聞く限りでは、若い人というのは、全然やはり関心がないというか打ちたくないという人が多い中で、諸外国ではいろいろなインセンティブを、メジャーリーグの観戦チケットとか宝くじとか、そんなこともやっている国もあります。

 これは自治体がやることかもしれませんが、やはり国としても是非自治体に示していくみたいなことは私はやった方がいいと思うのと、あわせて、何度も言っていますけれども、私は、ワクチンパスポート、これに陰性証明書もくっつけてあげて、それを活用して、若い人にワクチンを打っていただくインセンティブをつけるということはやるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

河野国務大臣 委員おっしゃるように、若い世代にどれだけワクチンを打っていただけるかというのは非常に重要で、そこに対する啓発活動、啓蒙活動というのは本当に真剣にやっていかなければいかぬと思います。

 アメリカで宝くじとかいろいろ考えているのを見て、日本でああいうのができるのかなと正直思ったりもしておりますが、どのようにやるのがいいのかということを含め、これは最終的には、市区町村にお任せということだけでなく、国としても何かやるのかやらないのか、あるいは啓発活動をどれだけやるのか、非常に大事なことでございますので、恐らく次のワクチン接種の課題はそこにあると思っておりますので、今からしっかり準備を始めていきたいと思っております。

高井委員 ワクチンパスポートの件も含めて多少の反対はあると思いますけれども、是非大臣のリーダーシップでそこは突破をしていくべき分野だと私は思いますので、是非リーダーシップを期待いたします。

 終わります。ありがとうございます。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府宇宙開発戦略推進事務局長松尾剛彦君及び外務省大臣官房審議官赤堀毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、河村建夫君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブの共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。河村建夫君。

河村委員 宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 月面での持続的な活動を目指すアルテミス計画が本格化するなど、人類の活動領域が月面、火星、深宇宙へと広がりつつある中で、今後、宇宙資源の探査、開発という新しい宇宙活動が活発化していくことが予想されます。既にアメリカなど一部の国では、このような活動に関する法整備が進んでいるとともに、国連宇宙空間平和利用委員会においても国際的なルールづくりに向けた議論も進められているところであります。

 また、国内においても、このような宇宙活動に取り組む民間事業者も徐々に増えてきており、その事業活動を適切な監督の下に後押しすることは、自立した宇宙利用大国を目指す我が国が早急に取り組むべき課題であると考えております。

 本案は、そのような状況を踏まえ、宇宙基本法の基本理念にのっとり、宇宙資源の探査及び開発に関し必要な事項を定めることにより、宇宙の開発及び利用に関する諸条約の的確かつ円滑な実施を図りつつ、民間事業者による宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を促進することを目的とするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、内閣総理大臣は、事業者が宇宙資源の探査及び開発を利用の目的として人工衛星の管理を行うための宇宙活動法の許可を申請する場合、その申請書に、宇宙活動法に定める記載事項のほか、事業活動の目的、期間、場所等を定めた事業活動計画の記載を求めることとし、その内容が、宇宙基本法の基本理念に則し、宇宙の開発及び利用に関する諸条約の実施に支障を及ぼすおそれがないこと等の基準に適合すると認めるときでなければ、当該許可をしてはならないこととしております。

 第二に、宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動を国際的協調の下で促進するとともに、紛争の防止に資するため、内閣総理大臣は、宇宙資源の探査及び開発の許可等をしたときは、事業者の営業の秘密等に配慮しつつ、事業活動計画の内容等をインターネットの利用等の適切な方法により、遅滞なく公表するものとしております。

 第三に、宇宙資源の探査及び開発の許可等に係る事業活動計画に従って採掘等をした宇宙資源については、当該採掘等をした者が所有の意思をもって占有することにより、その所有権を取得することとしております。

 第四に、この法律の施行に当たっては、国際約束の誠実な履行を妨げないよう留意しなければならないこと、及びこの法律の規定が他国の利益を不当に害するものではないことを明記しております。また、国は、国際的に整合の取れた宇宙資源の探査及び開発に係る制度の構築に努めるとともに、国際的な連携の確保のために必要な施策を講ずるものとしております。

 第五に、この法律は、原則として、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することとしております。

 なお、政府に対し、この法律の施行状況、科学技術の進展状況、国際的な制度構築の取組状況等を勘案して、法制度の在り方について抜本的な見直しを含めた検討等を行うことを求める検討条項を設けております。

 以上が、本起草案の提案の趣旨であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 提出されました宇宙資源探査開発法案について、提出者に質問をいたします。

 今回の法案の目的は、宇宙資源の所有権を認めるというものであります。宇宙条約など国際法では、月その他の天体から採取された資源の所有権に関する規定はあるんでしょうか。

小林(鷹)委員 お答え申し上げます。

 宇宙条約には、宇宙資源の所有につきまして明示的な規定はございませんが、宇宙資源の所有について明示的に禁止する規定もございません。広く宇宙活動の自由を認めておりますこの宇宙条約の趣旨に鑑みれば、天体から採取した宇宙資源の所有は許容されていると解することができるものと考えております。

塩川委員 禁止されていないと言いますけれども、そもそも、宇宙条約上に資源等についての規定がないということでの御答弁がありました。

 一方、月協定などでは、「月の表面又は地下若しくはこれらの一部又は本来の場所にある天然資源は、いかなる国家、政府間国際機関、非政府間国際機関、国家機関又は非政府団体若しくは自然人の所有にも帰属しない。」とあります。宇宙資源の所有権に関するルールそのものについての各国間の見解の一致はないという段階であります。

 次に、法の第五条には、「採掘等をした宇宙資源については、当該採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。」とあります。この「採掘等」とは「宇宙資源の採掘、採取その他これに類するもの」としておりますが、宇宙資源の所有権を認める場合、関連する採掘権、開発権などについてはこの法律ではどのように位置づけられるんでしょうか。

大野委員 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、御指摘のとおり、法案第五条におきまして、許可に係る事業活動計画の定めるところに従い宇宙資源を採掘等をした者が所有の意思をもって占有すればその所有権を取得する旨を規定してございます。一方で、この法案においては、事業者の採掘権あるいは開発権については特段規定をしてございません。

 なお、本法案に基づいて所有権を取得するには、法案第三条により宇宙資源の探査及び開発の許可を受ける必要があるわけでございますが、しかし、この許可も、主として、事業活動の目的が平和的利用という宇宙条約の趣旨に適合するか、あるいは、活動期間や範囲が他国との国際協調の障害にならないか等を確認するために行われるものでございまして、この許可をもって事業者に宇宙資源の採掘権や開発権を与えるものではない。すなわち、基本的には、一定の場所について排他的な権利を与えるようなものではない、そういう規定を設けていないということでございます。

塩川委員 所有権は認めますと。

 所有権を認める宇宙資源について採掘等が行われるといった場合に、当然、一定の場所、エリアを定めて、そこで採掘などを行う、それは当然開発を伴うということについて、採掘権、開発権などの規定がない中で、所有権というのはどうやって保障されるんですか。

大野委員 一般的に、地球上、地表面であれば、当然、他者との利害調整の上で様々な権利を付与して、それで何か、例えば資源であるとか、あるいはほかの目的、そういったものに、この権利を与えることによって所有権を与えるということになるんだと思いますけれども、天体上では基本的に利害を調整するという必要が今ないわけでありますし、また一方で、調整するメカニズムというのが国際ルールとして定まっているわけでもない。すなわち、利用あるいは探査という、こういった宇宙の活動は、宇宙条約でも認められているとおり、基本的には自由が保障されているわけであります。

 したがいまして、一定の期間あるいは一定の場所で短時間、目的を達成するために必要な限りにおいてそれは認められ得るのではないかということでございますが、その上で、これから国際ルールをしっかりとつくっていくという議論が今進んでございますので、その流れもしっかりと見詰めてまいりたい、また、我々もしっかりと日本としてもルールづくりに参画をしていかなければならないと思ってございます。

塩川委員 議論が進んでいるということであれば、その議論を待ってという整理の方がふさわしいのではないかということと、天体における利害調整の必要性はないとおっしゃいますけれども、ただ、月においても極において水資源というのは当然誰もが求めるところであるわけで、一番いいところというのはどこかという話になってくるわけです。

 そういうときに、そこでの所有権、水資源について所有権を認めるという場合に、当然、採掘をします、開発をしますと。その採掘権、開発権が定まっていない中で、同じ場所を求めるという国同士の利害調整というのは当然考えなくちゃいけないということになるわけですけれども、各国が宇宙資源の所有権、開発を進めた場合に、利害関係の調整というのはこの中ではないということでしょうか。

浅野委員 お答え申し上げます。

 宇宙条約第九条においては、宇宙活動一般に関する国際的な調整に関して規定をしておりまして、宇宙活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときの国際協議について規定をしております。

 一方で、宇宙資源の開発、取得に係る利害調整の具体的な在り方につきましては、現在、国連等において国際的なルールづくりに向けた議論がまさに行われている状況であると承知をしております。

 このような状況下ですので、民間事業者による宇宙活動をしっかりと後押しすると同時に、他国の事業者との関係で紛争等が生じないように、適切な監督を及ぼすための法制度として本法案を提案させていただいたところであります。

 本法案においては、宇宙資源の探査、開発に関する事業活動が宇宙条約等に適合していることを許可の審査対象とした上で、許可があった場合には、事業活動計画の内容等を公表することにより、国際的な協調を図っているところでございます。

 また、国についても、国際的に整合の取れた制度の構築に努めるとともに、国際的な連携の確保のために必要な施策を講ずることについても規定をしており、他国との利害調整を図ることとしております。

 一方、一国の法制度にとどまらず、最終的には国際的なルールの整備が必要であるとの認識については、まさに我々も同じ認識を持っているところでございます。我々としても、本法案に基づく制度を基礎として、我が国が国際的なルールづくりを主導し、宇宙空間における法の支配の徹底を図ることが極めて重要であるものと考えております。

 以上です。

塩川委員 利害関係の調整の仕組みはないということで、その在り方については国連のルールづくりが行われているという話でありました。その点、まさにそういう方向をどうするのかということが問われる中での国内法の整備になっているということです。

 宇宙資源の所有権を認める場合に、採掘等のために一定の期間、一定の空間を占有することが必要となりますが、これは、宇宙条約第二条にあります、宇宙空間は国家による取得の対象とはならないという規定に反することになりませんか。

青柳委員 お答えいたします。

 宇宙条約第二条は、月その他の天体を含む宇宙空間が国家による取得の対象とならない旨規定しており、いずれの国も、宇宙活動のために、月その他の天体を含む宇宙空間の一部を一時的に占拠することをもって、宇宙空間の排他的利権、権利を主張することはできないとされております。

 一般論として、宇宙活動のための占拠は、その活動に必要な限りにおいて認められると解されており、様態や期間等はその具体的事例に応じて判断されるものと考えられます。

 なお、本法律案では、内閣総理大臣が許可を行うに当たり、事業活動の目的、期間、場所等が関係諸条約の実施に支障を及ぼすおそれがないことについても審査の対象としており、他国との関係において問題が生じないよう対処できるものと考えております。

塩川委員 こういった在り方について、宇宙資源開発に関する国際ルールが現在未確定であります。国内法の優先ではなく、宇宙資源開発に係る国際ルールづくりこそ優先すべきだと考えます。

 国家間の利害調整について、国内法だけで担保することはできません。国際ルールが定まっていない中、宇宙資源の所有権を他国に先んじて認める国内法整備を進めることは、いわば早い者勝ち競争により、かえって紛争につながりかねないということを指摘せざるを得ません。

 国連でのルールづくりの話が答弁でもありました。

 外務省にお尋ねしますが、国連宇宙空間平和利用委員会、COPUOSの法律小委員会において、天体における資源開発をめぐるルールづくりの協議が始まっています。各国は宇宙資源開発についてどのような主張を行っているのか、日本政府はどのような主張をしているのか、御答弁を求めます。

赤堀政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の小委員会では、宇宙資源に関するものを含め、宇宙活動に関する国際ルールの在り方について議論が行われてきており、二〇一七年からは、宇宙資源の探査・開発・利用における潜在的な法的モデルという議題の下、宇宙資源の開発及び利用に関する国際的な枠組みやガイドライン等の必要性等について議論が行われております。

 現在行われている法律小委員会第六十会期においては、宇宙資源に関する非公式会合が開催され、宇宙資源の開発、利用に関するワーキンググループの設置に関する議論が進められております。

 宇宙資源の開発及び利用に関しては、アルテミス合意の署名国のように、宇宙条約に従った形で宇宙資源の利用を認めるべきだとの立場の国々から、月の資源に対する所有権を否定する月協定を支持する立場の国々まで、各国の立場は様々でございます。

 我が国も署名したアルテミス合意は、宇宙資源の採取及び利用について、宇宙条約に従い、安全かつ持続可能な宇宙活動を支援するために行われるべきとしており、日本政府としましては、アルテミス合意及びその他の関連する国際機関に沿う形で宇宙資源の利用を追求していくとの方針の下、議論に積極的に参加しているところでございます。

塩川委員 今お話ありましたように、各国の立場は様々だということであります。政府の検討の中でも、宇宙ビジネスを支える環境整備に関する論点整理タスクフォースの宇宙資源関連活動に関する主な論点では、所有権を取得するまでの手続やそこから得られる利益の配分方法等について議論が高まることが想定されるとしております。

 例えば、利益の配分方法については、国連海洋法条約では、深海底の鉱物資源については、同条約に基づき設立された国際海底機構の承認、管理を通じて、金銭的利益その他の経済的利益の分配が行われることになっています。一方、スペース・ベネフィット宣言では、成果を直接配分するというのではなく、情報共有や技術移転に限るという方向性が示されております。

 宇宙資源開発に関して、各国で様々な議論が行われており、国際ルールづくりはこれから重要となってくる段階であります。その上で、日本政府は、二〇一九年、アメリカが主導するアルテミス計画に参画をしました。その際、安倍総理は、米国の新たな挑戦に強いきずなで結ばれた同盟国として参画すると述べました。

 宇宙事務局にお尋ねしますが、二〇二〇年には、米国を始めとする八か国のアルテミス合意に署名をしています。日本は、アルテミス合意に即した国際ルールづくりを進めるという立場ということですね。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生から御指摘ございましたように、宇宙活動から得られる経済的利益の分配の考え方、これにつきましては、類似の事例とされました、国際機関による管理を行う方法、あるいは情報共有や技術移転などによる方法を含め、様々な考え方があるというふうに認識しております。

 政府として現時点で特定の考え方を決めているわけではございませんで、今後の宇宙資源に関する取組の実態も踏まえながら、先ほど先生もお話ございましたアルテミス合意の参加国など、関係国とも連携しながら、国連宇宙空間平和利用委員会等におきます国際的なルールづくりの議論に対応していきたいと考えております。

塩川委員 アルテミス合意の署名国と連携をしてということであります。

 提出者にお尋ねしますが、今回の法案は、米国が主導するアルテミス計画及びアルテミス合意を念頭に、宇宙資源の所有権を認める国内法整備を行うものであります。政府の宇宙基本計画では、宇宙政策推進の基本的なスタンスとして、国家安全保障戦略を踏まえ、宇宙開発利用の推進に当たっては、中長期的な観点から国家安全保障に資するように配慮するとあります。また、国際宇宙協力の強化として、日米間においては、安全保障、民生宇宙利用、宇宙科学、探査等の全ての分野で包括的に連携し、日米同盟の強化に貢献するとあります。

 各国間で宇宙開発をめぐる様々な議論が行われているときに、軍事面を含め米国と一体になった宇宙政策推進でよいのか、国連のスキームを踏まえた国際ルールづくりこそ進めるべきではないのか、この点についてお答えください。

小林(鷹)委員 お答え申し上げます。

 まず、今委員の方から、この法案がアルテミス合意を見据えたというお話があったんですけれども、結果としては時期が重なって、その相乗効果ということで、事実としてはそうなんですけれども、私たち起案者サイドの意図としては、アルテミス合意がある前から、こうした法案がやはり日本の宇宙産業の振興には絶対に必要だという思いを持って起案させていただいたという経緯は御理解いただきたいと思います。

 いただいた御質問につきましてお答えさせていただきますと、我々といたしましては、この法案の第七条第一項に規定しておりますとおり、国際的な枠組みへの協力を通じまして、各国政府と共同して国際的に整合の取れた宇宙資源の探査及び開発に係る制度構築に努めるなど、米国を含め、米国のみならず、各国と連携して宇宙政策を進めていくことが重要だと考えております。

 また、今委員御指摘の米国と一体という点につきましては、単にアメリカに合わせるということではなくて、あくまで我が国の国益という視点に立った上での連携をしていくことが重要だと考えております。昨年十月に我が国を含めてなされたアルテミス合意も、アメリカのほかに、既にこうした類似の法律を持っておりますルクセンブルクですとかUAEを含めてなされております。

 こうしたことを含めて、こうした国々とより対等な立場で国益にかなう議論を進めていくためにも、今、国内法の整備が必要だと考えております。

塩川委員 今回、委員会提出という形について、私どもは同意をしておりません。そういう点で甚だ残念でありますし、討論の機会もこういう形でありませんので、最後に、討論的な発言をして終わりにしたいと思っております。

 本案の目的は、民間事業者に宇宙資源の所有権を認めることです。

 そもそも、宇宙資源は人類の共同財産です。宇宙条約第一条は、宇宙探査、開発の原則として、全ての国の利益のためにと定めており、宇宙資源の扱いは、一部の技術力を持つ宇宙開発先進国に限るのではなく、途上国からの同意も得た国際ルールに基づくべきです。そのため、現在、国連の宇宙空間平和利用小委員会でルールづくりが進められています。

 ところが、米国や中国などは、こうした国連での議論を無視し、国際ルールがないのをいいことに、早い者勝ちの宇宙資源獲得競争を繰り広げています。本案の提出者は、法律を先行的に作ることで国際ルールづくりを牽引すると言いますが、米国にくみして日本も早い者勝ち競争に参加しようということは明らかです。

 本案の背景には、月面での持続的な探査の実現を目指す米国主導のアルテミス計画があります。日本は、二〇一九年に、当時の安倍総理が、米国の新たな挑戦に強いきずなで結ばれた同盟国として参画すると述べて、アルテミス計画への参加を決定し、翌二〇二〇年には、米国など八か国のアルテミス合意に署名しています。

 本案は、米国主導の枠組みの中で、日本の宇宙関連産業を拡大させ、成長戦略としようとするものです。また、宇宙資源に関する国際ルールづくりに背を向け、米国中心のルールづくりに加担するものであり、反対です。

 日本の宇宙開発利用は、平和利用に限るとした一九六九年の国会決議の下、軍事利用を禁止してきました。ところが、二〇〇八年成立の宇宙基本法に我が国の安全保障に資するという規定が盛り込まれ、その下で、二〇二〇年の宇宙基本計画では、国際宇宙開発の強化として、日米間においては、安全保障、民生宇宙利用、宇宙科学、探査等の全ての分野で包括的に連携し、日米同盟の強化に貢献するとし、我が国の宇宙政策を日米同盟の強化に位置づけています。

 軍事面を含め、米国と一体になって宇宙政策を推進することは、宇宙の平和利用から一層逸脱するものであり、容認できないことを述べて、質問を終わります。

木原委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、本日付託になりました参議院提出、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院内閣委員長森屋宏君。

    ―――――――――――――

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

森屋(宏)参議院議員 ただいま議題となりました政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が三年前に施行されてから本日に至るまで、政治分野への女性の参画は徐々に進んではおりますが、依然として諸外国と比べると大きく遅れている現状にあります。

 本法律案は、こうした現状に鑑みて、政治分野における男女共同参画をより一層推進するため、政党等の自主的な取組を促進し、国及び地方公共団体の施策を強化しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、政党等の取組を促進するため、政党等の取組項目の例示として、候補者の選定方法の改善、候補者となるにふさわしい人材の育成、セクハラ、マタハラ対策の実施を明記しております。

 第二に、国及び地方公共団体の施策を強化するための具体的施策を明記しております。すなわち、環境整備に関する施策の例示として家庭生活との両立支援のための体制整備を明記し、実態調査の対象に社会的障壁の状況を加え、人材の育成等に関する施策を、例示として模擬議会、講演会の開催の推進を明記しております。加えて、セクハラ、マタハラ対策の重要性に鑑みて、研修の実施など、その発生防止に資する施策を講ずるものとする規定を新設しております。

 第三に、政治分野における男女共同参画の推進についての基本原則として、衆議院、参議院及び地方公共団体の議会並びに内閣府、総務省その他の関係行政機関等が、適切な役割分担の下で、積極的に政治分野における男女共同参画の推進に取り組むことを追加しております。

 第四に、現行法において、「努めるものとする」と国及び地方公共団体に課せられている努力義務規定を、「ものとする」として義務規定とすることにより、それぞれの責務を強化しております。

 第五に、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及び主な内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入るのでありますが、本案につきましては、その申出がありません。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。畑野君枝さん。

畑野委員 私は、日本共産党を代表して、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行います。

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が二〇一八年五月に全会一致で成立し、施行されてから三年になります。超党派議員連盟で多くの皆さんの意見を伺いながら、各党各会派で議論を重ねて作った法律が、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すと掲げる下で、広く国民の意識の変化を促してきました。男女が同等に政治に参加することの意義が語られ、各党の変化をもたらし、女性議員を増やすための様々な取組を激励してきており、その意義は大きかったと思います。

 また、今国会でも、オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言をきっかけに、組織委員会の男女の構成が見直されるなど、様々な分野での変化にもつながっています。

 しかし、我が国の女性の議員の比率は、衆議院で九・九%、参議院で二三・〇%にとどまっています。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は、世界百五十六か国中、日本は百二十位、とりわけ政治分野の順位は百四十七位です。国連は二〇三〇年までに指導的地位に占める女性の割合を五〇%にすることを目指しており、日本でも更に前進させることが求められています。

 今回の改正は、附則の見直し条項に基づき、三年前と同様に、超党派議員連盟での各党各会派による見直しの議論を経てまとまったものです。女性団体、地方議会、研究者など多くの皆さんからもお話を伺ってきました。

 改正案は、政党その他の政治団体の候補者選定の自由などを確保しつつ、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すため、政党その他の政治団体の自主的取組を促し、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメント防止などに取り組むよう努めるとしています。

 また、議員が家庭生活との円滑かつ継続的な両立ができるよう、議会における欠席事由の拡大を始め支援体制の整備を明記するとともに、セクハラ、マタハラ対策として研修の実施や相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるとの規定を新設しています。

 今回の法改正を機に、更に女性の議会参画を前進させることが求められています。ジェンダー平等社会の実現へ取り組むことを申し上げ、討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより採決に入ります。

 参議院提出、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時六分散会


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