衆議院

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第2号 令和4年2月4日(金曜日)

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令和四年二月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      加藤 竜祥君    勝目  康君

      金子 俊平君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    盛山 正仁君

      山田 賢司君    山本 左近君

      吉川  赳君    和田 義明君

      梅谷  守君    堤 かなめ君

      中谷 一馬君    本庄 知史君

      山岸 一生君    阿部  司君

      浅川 義治君    金村 龍那君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      平林  晃君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      山本 太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国家公務員制度担当)  二之湯 智君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)   小林 鷹之君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)            若宮 健嗣君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  泉  恒有君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       金子 正志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       澤川 和宏君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            合田 哲雄君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           近藤 知尚君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  緒方 禎己君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    楠  芳伸君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    櫻澤 健一君

   政府参考人

   (警察庁警備局警備運用部長)           安田 浩己君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         野崎 雅稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北村 俊博君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          飯田 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           黒川 淳一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     西田 昭二君

  鈴木 英敬君     勝目  康君

  松本  尚君     加藤 竜祥君

  山田 賢司君     山本 左近君

  大串 博志君     梅谷  守君

  堀場 幸子君     金村 龍那君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     松本  尚君

  勝目  康君     小森 卓郎君

  西田 昭二君     辻  清人君

  山本 左近君     山田 賢司君

  梅谷  守君     大串 博志君

  金村 龍那君     堀場 幸子君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     鈴木 英敬君

  辻  清人君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     石原 宏高君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官溝口洋君外三十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平委員 自由民主党の平将明です。

 お時間いただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきたいと思うんですが、今日は、ウェブ3・0、ウェブ3について、これはかなり社会を変えていく、インパクトがあると思っておりますので、この辺について、まず関係大臣にお尋ねをしたいと思います。

 自由民主党は、デジタル社会推進本部に、先般、NFTの政策検討PTというのを立ち上げました。平井本部長から私が座長に指名をされて、今議論しているところでありますが、まさに、NFTの下にはファンジブルトークンがあって、その下にはブロックチェーンがあって、これは大きな社会の変革になるんだと思います。

 お手元の資料を御覧いただきたいんですが、一応、簡単に、ウェブ3って何でしょうかということで、うちの事務所でまとめてきましたけれども、最初は、インターネットが出てきて、メールだとか、いろいろな情報に触れられるというウェブ1・0があって、その後、いわゆるGAFAなどのプラットフォーマーが出てきて双方向になりました。さらに、ウェブ3・0では、双方向プラス、いわゆるデジタルアセットの所有とか、あと分散型のガバナンスとか、これはかなり社会を変えるような大きな変革が起きていくんだろうというふうに思います。

 山際大臣とはよく党で成長戦略の議論をさんざんしたわけでありますが、何で日本からプラットフォーマーが出てこないのという議論をさんざんしたと思うんですが、もうこれはウェブ3・0になるので、また日本からウェブ3・0のメインプレーヤーが出てきませんねということを、来年あたり、我々は議論する羽目になりそうなので、まずはやはり先手先手でいろいろな議論を進めていく必要があると思います。

 そういった中で、このウェブ3・0、ブロックチェーンとか、トークンエコノミーとか、NFTとか、メタバースとか、いろいろありますが、こういったウェブ3・0のインパクトについて、成長戦略を担当している山際大臣と、デジタル政策を担当している牧島大臣に所感をお伺いしたいと思います。

牧島国務大臣 委員におかれましては、自民党の中で、この最先端の技術をどのように進めていくべきかという御議論をリードしていただいているものと、大変感謝をしております。

 このウェブ3・0、ウェブ3は、抽象的な概念ではあるものの、様々な見解があり、従来のインターネットの在り方を変える可能性があるという、大変期待する見方もあるということを受け止めております。

 私どもとしては、デジタル社会の実現に向けて、日々変化するこうした技術のトレンドというものをしっかりと把握をして、技術動向を注視することが重要であるというふうに考えております。

山際国務大臣 先生、これは相当ゲームチェンジができるチャンスですよね。ですから、ウェブ3・0になったときに、ある意味、プラットフォーマーからの呪縛、これからどう我々は解き放たれるのか、そのことの全体像がまだ見えていないという状況にありながら、だからこそ、与党の中において、この分野における政策をどうするかということを議論していただくのは本当に価値のあることだと思っております。

 したがって、今、デジタル大臣が中心になって、成長戦略の中にどうこれを盛り込んでいくのかということは、ある意味、盛り込むというよりは、土台になる部分なので、そういう意識で、成長戦略の中にしっかりウェブ3・0を盛り込んでいきたいと思っております。

平委員 牧島大臣から、変える可能性があるという御発言がありましたけれども、可能性じゃなくて、確実に変わるという前提で政策をつくっていく必要があると思います。

 岸田総理の新しい資本主義というのが今議論されておりますが、中身は分配戦略と成長戦略ということで、特に成長戦略は、私の理解だと、科学技術・イノベーションと、あとカーボンニュートラル回りと、あとは経済安全保障と、あとはいわゆるローカルのデジタル化、デジタル田園都市国家構想ということだと思いますが、まさに成長戦略もイノベーションという意味ではこれは極めて重要だし、スタートアップで成長意欲があるのも、このウェブ3・0、ブロックチェーン回りだと思います。

 さらに、分配でいえば、ブロックチェーンを使うことによって、今までと違う分配のやり方、だから、株式会社であればお金を持っている人が株式を持って配当を受けるんですけれども、ブロックチェーンを使えば貢献をした人にいろいろな形で分配をすることができるということでありますから、まさに新しい資本主義って具体性は何なのとみんなが注目していく中で、一つの柱としてウェブ3を位置づけるということが極めて大事だというふうに思います。

 成長戦略としてしっかり議論していきたいと思いますし、多分、これは間違いなく、株式会社に代わる形で、株の代わりにトークンになって、トークン式会社というのは、実際もう動き始めていますけれども、もうそういった未来が見えているわけでありますので、是非これは成長戦略として位置づけをいただきたいと思いますし、更に言えば、ブロックチェーンを国家戦略として位置づけた上で、やはり、担当大臣と、どこの役所のどの事務方が負うのかというのをしっかり検討をしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に入りますので、山際大臣、どうぞ御退室いただいて結構であります。

上野委員長 山際大臣、御退席ください。

平委員 そういった中で、一番の問題は、ブロックチェーン回りで、課税の問題なんですよね。

 いわゆる暗号資産のベンチャーが、トークンを発行したときに、ガバナンストークンといって、手元にある程度、一定量のトークンを持っていないと、様々なその先の施策で主導権が握れないので、投資目的ではなくて、手元に一定程度のトークンを置いておく。これをガバナンストークンといいますけれども、これを置いておかないといろいろな事業が進められないんだけれども、これが今、日本では時価評価で課税される。しかも、キャッシュになっていないにもかかわらず課税されるものですから、今、ブロックチェーンかいわいのスタートアップや技術者は日本で創業できないんですね。日本で創業したいと思ってもシンガポールへ行かざるを得ないという状況で、今、物すごい勢いで、優秀な人材、将来有望なスタートアップが日本から流出をしているということになっています。

 このガバナンストークンに対する課税は見直すべきだというふうに思いますが、財務省の考え方について政務官にお伺いをいたします。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 ガバナンストークンについての課税についての財務省の考え方ということなんですが、一般論として申し上げれば、法人が年度末に保有し活発な市場が存在する暗号資産については、売買目的で保有する有価証券や金、銀などと同様に、おっしゃられたとおり、時価評価を行いまして、評価損益を計上することとなっております。

 この取扱いの理由につきましては、企業会計上も時価評価することとされていること、あるいは、売却、換金が容易であること、仮に時価評価を行わなければ、所得の発生する事業年度に含み損のある暗号資産のみを売るといった租税回避行為が想定されることによるものであります。

 こうしたことも踏まえ、ガバナンストークンについても、一般的には、事業年度末に時価評価を行い、評価損益を計上するという扱いをしているところであります。

平委員 今のは財務省の理屈なんですよ。それで、売買目的じゃなくても、いわゆるブロックチェーンの特質上、これは持たざるを得ないですよね、手元に。それを、全く利益が実現をしていないにもかかわらず課税をしていくと。

 多分、財務省は公平性といったところに着目をしてやられているんだと思いますが、結果、有為な人材を海外に流出をさせるのを促進をさせる税制になっているんですよ。これはもう間違いないことで。

 これは、今、財務省に、政務官に、変えますという答弁は絶対できないので、我々は与党ですから、年末の税調に向けて、イノベーションを促進するためにどういう税制をすべきかというのは、我々、与党としてしっかり議論をした上で政府に打ち返しをしていきたいと思いますが、いずれにしても、本当に去年から人材流出が半端ないです。

 それで、その世界では、日本で起業したいという人に先輩が何てアドバイスするかというと、日本だけはやめておけ、取りあえずシンガポール若しくは中東に行ってやるべきだということが起きていますので、これほどイノベーションを阻害する税制になっているということを前提に、これから議論していきたいと思います。

 政務官、ここで結構でございますので、退室していただいて結構でございます。

上野委員長 藤原政務官、御退室ください。

平委員 次の質問に行きたいと思います。

 データ・ドリブン・エコノミーにおける成長戦略と世界戦略のDFFTについてということで、またちょっと紙を見ていただきたいんですが、私も自民党の政調とか総務会で、おまえ、何言っているか全然分からない、DFFTだ何だといろいろ言われるんですけれども、ちょっと、もうこれは言葉がこうなっているので、このまま使わせていただきます。

 データ・ドリブン・エコノミーですよね、今。それで、今、政府のデータ・ドリブン・エコノミーに対する政策は、正直、弱いと思っています。

 それで、この二枚目のペーパーの右側を見ていただくと、要は、スマホとか車とかアバターロボットがありますが、こういう最終的なプロダクトを日本は作れないということが問題になっていて、部品はできるんだけれども最終製品ができない、それをどうするかという議論はさんざんされていましたが、データ・ドリブン・エコノミーになると、こういったプロダクト自体の付加価値よりも、そこからデータを吸い取って、AIで読ませて、アルゴリズムを改変して、またプロダクトに戻してきてその製品自体の性能が上がっていくという生態系に今なっているということで、主戦場はこの生態系だ。この生態系を踏まえた経済政策をしなければいけませんし、データの利活用戦略をしていかなければいけませんし、さらにはレギュレーションのデザインをしなければいけない。

 例えば、車でいえば自動走行だと思いますし、日本が有望なのはアバターだと思いますけれども、例えばアバターロボットが自由に町を歩けるようには今なっていないので、そういったレギュレーションのリデザインが必要だということです。

 スマホの方は、吸い上げる情報はほとんど個人情報みたいな形になっていて、GAFAなどはそれで付加価値を生み出している。ですから、データ・ドリブン・エコノミーの対応が必要だ。

 その上で、もう一枚めくっていただいて、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの推進が大事ですよと。

 先般の岸田総理の施政方針演説を伺っていて、成長戦略、先ほど言った三つの柱と、あとデジタルは、地域から、地方から地方の課題を解決をするというのが多分、成長戦略の中身だったというふうに思いますけれども、ちょっと世界戦略が足りないな、日本はどうやって世界の経済、データ・ドリブン・エコノミーの中で勝っていくのかという言及がほとんどなかったなと私は感じました。

 まさに、このデータ・ドリブン・エコノミーの中で、DFFT、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストを進めていくことが世界戦略で、この図にもありますけれども、いわゆるGAFAは比較的、情報を自由に使いましょう、一方で、左のヨーロッパのゼネラル・データ・プロテクション・レギュレーション、GDPRは、個人情報をしっかり守っていきましょうと。そういった中で、中国は、一帯一路という政策の中で、中国式データ・ドリブン・エコノミー、デジタルガバメントを推し進めていて、それが今、ASEANとか専制的な国にしみ出しているということだと思います。

 そこで、日本は、この右と左を向いているGAFAとGDPRの間に入って、民主主義とか資本主義とか自由主義をしっかり守りながら、データ・ドリブン・エコノミーの果実をしっかり取れるところをどれだけ領域を広げるのかということが極めて重要になってくるんだろうというふうに思っております。

 これは、安倍総理がダボス会議で言い始めて、あと、G20大阪で、大阪トラックというのになりましたけれども、本当にこのDFFTが、二十一世紀のデータ・ドリブン・エコノミーにおける勝ち負けを決める大事な戦略だと思います。

 更に言うと、来年、日本がG7の議長国になるということもありますので、岸田政権の成長戦略の世界戦略としてDFFTをしっかり位置づけて対応をしていただきたいと思いますが、担当大臣の牧島大臣にお伺いをいたします。

牧島国務大臣 委員おっしゃるとおりだというふうに思っております。世界戦略としてのDFFTを更に力強く推進していく必要性を私も強く感じております。価値の源泉であるデータをどのように位置づけていくのか。そして、DFFTは、日本が提唱国であり、多くの国に賛同していただいているものであります。

 岸田総理の御発言を御紹介いたしますと、本年一月に開催されたダボス・アジェンダ二〇二二において、信頼という基盤の上に、イノベーションをもたらし、富の格差の解消にもつながる自由なデータ流通を実現させるというふうに御発言をされています。

 昨年の重点計画の中でも、私たちがしっかりと戦略的に取り組む必要があるということを書かせていただきました。

 また、デジタル庁の中にDFFTチームを立ち上げましたので、DFFTを担当する大臣として引き続き精力的に進めてまいりたいと思いますし、御指導をよろしくお願い申し上げます。

平委員 国家戦略で、この地図を見ていただくと分かるんですが、一帯一路で、インドもあっちに、あっちという言い方がどうか分かりませんが、インドもあっちに取られたら、このゲームはもう終了ですよね。

 インドは、多分、我々と基本的な価値観は共有していると思います、法の支配とか基本的人権とか民主主義とか。一方で、戸籍の整備が不十分な国なので、ITとか生体認証を使って、いわゆるデジタルガバメント、ガバナンスに使いたいとか、徴税に使いたいとか、あと治安維持に使いたいという、やはり誘惑に駆られがちだと思うんです。ですから、ここはしっかりとDFFTをつくった上で、インドを向こうに渡さないという、もう時間との闘いだと思います。

 その上で、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストですから、ウィズ・トラストというのは主観的ですよね。でも、標準にするにはこれを客観的にしなきゃいけないので、例えばどう客観化していくのか。例えば、APECのクロスボーダープライバシールールにプラスアルファで標準化をしていくのか、機器のバックドアの問題なんかは米国のNISTの標準を準用するのかとか、いろいろあるわけですが。

 これは大変ですよ。ヨーロッパとアメリカですら、もう全然違う方向を向いていく中で、一方で、これは本当に二十一世紀の経済の勝ち負けを決めることでありますので、よっぽど強力なチームをつくって、あと個人情報保護委員会とも連携をして、外交のたびに、何か機会があるたびに、機会がなくても、日本がこれを広める努力をしないと実現はしないと思います。

 さらには、中国みたいな国であっても、日本が得意とする暗号技術みたいな、例えば秘密計算技術とかデータサンドボックスみたいな技術を使うと、もしかしたら中国みたいな国ともデータ連携できるかもしれない。これはちょっと分かりませんけれども、いずれにしても、日本がリーダーとしてしっかりこれに取り組んでいきたいと思います。

 これは、負けたら、ちっちゃな政策を成功しても日本は勝てませんので、そうすると、民主主義とか法の支配とか基本的人権とか、我々が大事にしてきた大きな価値まで崩れていくので、そういう重責を担っているということで、牧島大臣、頑張ってやっていただきたいと思います。

 それでは、牧島大臣、ここで結構ですので、御退席ください。

上野委員長 牧島大臣、御退席ください。

平委員 その上で、今度はクールジャパンについて、NFTの活用について若宮大臣にお尋ねをしたいと思います。

 まさに日本は、クールジャパンのコンテンツというのはいっぱい持っているわけですよね。デジタル、例えばエヴァンゲリオンの映画だって原画は今デジタルになっているわけだし、ポップカルチャーとかアニメとか、いろいろなコンテンツを持っているわけであります。それを、NFTを活用することによって、グローバルのマーケット価格に引き直して、これを最大化することができるというふうに思っています。

 ノンファンジブルトークンに関わる税制、税制は今ないですけれども、いわゆるそのルールメイキングのところはしっかりやって、事業者が、グレーゾーンで、今、出ていいのか引いていいのか分からない状況になっていますので、その辺のレギュレーションはしっかりと成長戦略の文脈で整備をしていきたいと思いますが、私は、本当にこれはクールジャパンにおいては、NFT、起爆剤になるというふうに思っています。

 クールジャパンの担当副大臣のときからこれに着目をし、昨年、私、クールジャパン特命委員会の幹事長をやっているので、世耕委員長、山下事務局長の下、知財部局にもNFTの活用に対してしっかり知恵を出すようにお願いをしているところですが、このクールジャパンとNFTについて、若宮大臣の御見解をお伺いいたします。

若宮国務大臣 先ほど来、平先生のお話を伺っていまして、様々な分野で、このデジタル関連での日本の世界に対する戦略、非常に重要だなというふうに思っております。

 今私の担務となっておりますクールジャパン戦略につきまして、御答弁させていただきます。

 私ども、我が国は漫画、アニメ、多様な知的財産を有するコンテンツの大国であるというふうに認識いたしているところでございます。

 近年、これらの分野におきましてNFTが導入され、例えば、デジタルアートに証明書を付して流通させる、あるいは、カソコン、こういった仮想コンテンツを資産として高付加価値化するということの取組を展開しているところでもございます。

 また、さらに、このNFT技術を用いたコンテンツの転売に際しては、原作者等への対価の還元、こういったものも、新たな取組が可能というふうに認識をいたしているところでもございます。

 今後のクールジャパン戦略におきましては、デジタル技術の積極活用が不可欠であるというふうにも思っております。我が国の豊富なコンテンツ、これが、NFT等も活用しつつ、広く世界の人々に親しまれることを期待いたしているところでもございますし、これ自身がやはり、先ほど来の平先生のお話にありましたけれども、日本のよさをいかに海外に展開していくか、そしてまた、海外の方々に知っていただくことで、日本文化に対して接する、それからまた日本人に対する親しみを湧いていただけるという、総合的な大きな戦略の一環にもなってくるかと思いますので、精いっぱいしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

平委員 ポップカルチャーとかアニメを含めて、本当にコンテンツはたくさんあるんですが、このままいくと、NFTのマーケット自体がみんな海外に取られてしまうということにもなりかねないと思います。

 ですから、ここはしっかりと日本がクールジャパンの文脈でもNFTをしっかり進めていっていただきたいと思いますし、これは、デジタルアートのみならず、例えばニシキゴイが一億とか二億で取引をされていたりします。こういうリアルなものとデジタルなものを融合させたり、あと、リアルなものにNFTをつけて価値を最大化していくというやり方もありますので、我々もしっかり提言をしていきたいと思いますので、政府もそれを受けて、是非クールジャパンの文脈で成長戦略に入れ込んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。若宮大臣、こちらで結構でございます。

上野委員長 若宮大臣、御退室、お願いします。

平委員 小林大臣、済みません、最後までありがとうございます。

 経済安全保障についてお伺いしたいと思いますが、小林大臣のいわゆる所信の演説の中で、経済安全保障、いわゆるサプライチェーンの強靱化のような視点でのお話があったと思います。

 まさに、サプライチェーンの現物で、チョークポイントを押さえられないようにとか、重要な部品をしっかり押さえるようにということがあると思うんですが、今るる申し上げたとおり、現物の経済もそうですが、これからはデータ・ドリブン・エコノミーなので、いわゆるデータのチェーンみたいなものをしっかり見ておかないと、最後、想定した果実を得ることができない。

 あと、個人情報の扱い方が各国によって違いますので、どこで連携できて、どこで連携できないのかとか、その情報にアクセスできる人のいわゆるレイヤーをしっかり管理できているのか、できていないのかということで、かなりこれは、データ・ドリブン・エコノミーで民間企業がビジネスをやっていく上で非常にここが難しいところだし、さっきも言ったように、中国は一帯一路で中国式のデータ・ドリブン・エコノミーのルールを世界に広げようとしていく中で、各国のレギュレーションも結構猫の目で変わっていくんだろうというふうに思います。

 ですから、私が是非お願いしたいのは、経済安全保障の観点で、サプライチェーンは本当に大事なんですけれども、実物のみならず、データのチェーンという視点も私は加えるべきだろうという問題意識を持っていますが、大臣の御見解はいかがでしょう。

小林国務大臣 ありがとうございます。

 経済安全保障そのものは喫緊の課題でありまして、多岐にわたるものだと考えております。

 私自身、平委員とは自民党の中で、先ほども問題提起がありましたDFFTの今後の在り方、あるいは国際秩序との関係、こうしたものについて様々議論させていただいてきましたけれども、御指摘のDXが進んでいく中におきまして、データの価値をいかに最大限引き出して成長に結びつけていくのか、また、各国、様々な制度がある中で、そこを勘案しながら、そういう成長を生み出していくのかということは極めて重要な視点だと思っております。

 そうしていくためには、データを設計し、精製し、また収集する、そこにとどまらず、それをどうやって活用し、維持し、廃棄していくのか。このデータのチェーン、あるいはデータのライフサイクル、こうしたものをしっかりと構築していくことによって、今委員から御指摘のあったプライバシーですとかあるいはセキュリティー、こうしたものを適切に確保をし、信頼性のある情報をいかに自由かつ安全に流通させていくのか、これは非常に重要だと思っております。

 したがって、この間、有識者会議の提言をいただきまして、今、法制化の準備を進めております。その中の一つとしてサプライチェーンというのは出てきておりますけれども、委員の御指摘のとおり、リアルな物のサプライチェーンをとにかく何とかしていきたいというのはあるんですけれども、当然、データというものも、経済安全保障、極めて重要な位置づけだと思っておりますので、牧島デジタル大臣含め、関係大臣としっかり連携していきたいと思います。

平委員 ありがとうございます。

 リアルな実物のみならず、データとリアルと、経済が両方動いていって、多分、データの方の比重がだんだん増えていくというパラレルワールドで進んでいくんだと思いますので、両方見て政策立案をお願いをしたいというふうに思います。

 最後ですが、小林大臣の所信表明の中で、国産ワクチンの開発を進めていきますという御発言がありました。私が内閣府の副大臣のときに、私はAMEDの担当副大臣をしていました、そこでコロナが来て、ワクチンとか治療薬をどうするんだという議論を、まさに内閣府で当事者として議論をさせていただきました。

 国産ワクチン、頑張ってほしいなとは思いますが、残念ながら、このコロナにおいて、メッセンジャーRNAワクチンが、まさにファイザーとかモデルナとか、みんなメッセンジャーRNAワクチンですけれども、これが非常に効果があったわけですが、日本は残念ながらメッセンジャーRNAワクチンで完全に後手に回ったわけであります。

 国産のワクチン、結構勇ましいことが書いてあるんだけれども、私は正直、本当にできるのかなというふうに思っていて。

 その問題意識は何かといえば、外国の例を見ると、米国もそうですけれども、メッセンジャーRNAワクチンというのは、かなり早いときから、米国でいえば、国防省のファンドであるDARPAのお金が入っているんですよね。たしかEUもその手のお金が入っていたと思います。

 日本は、学術会議なんかが、二〇一七年、軍事的安全保障研究に関する声明を出して、とにかく、これを読む限りでは、実質的には、デュアルユースになりそうなものについては本当に研究しにくい、下手したら運用的にできないんじゃないかみたいな、こういう声明を出しているわけです。

 私、具体的に、研究が止まったりお金がなかなかつかない事例、たくさん知っています、具体的に言いませんが。ですから、こういうような環境を放置しておいて、ワクチンの世界で、世界に伍してやっていくんだ、若しくは日本が先頭に立っていくんだというのは結構きついなと正直思っています。

 ですから、科学技術に関してはほかの委員会が所管だというふうに思いますが、本当にワクチン、できるんですかね。こういう本質的な問題もしっかり解決をしないと、できないんじゃないですか。学術会議、指名の問題もありますけれども、それはそれで別の問題としてあるんだと思いますが、こういうような問題について、答えられる範囲でいいですけれども、私は、こういうのを放置しながら、結構ワクチンは厳しいだろう、今後イノベーションも起きにくいだろうと思いますが、大臣の所感を。

小林国務大臣 平委員の今るるおっしゃっていただいた問題意識は受け止めさせていただきます。

 その上で、国産ワクチンの開発について申し上げますと、パンデミック発生時に、各国ともワクチンの確保を図っていく中で、これは経済安全保障上極めて重要な位置づけを持つものと私自身も認識をしています。そのため、令和三年度補正予算におきましては、平時からワクチンの開発、生産体制を強化するための予算を確保し、政府一丸となって今取り組んでいるところではございます。

 なかなかまだ成果が見えてこないというのは御指摘のとおりではございますけれども、具体的には、その予算を使いまして、新たな創薬手法による産学官の実用化研究の集中的な支援を行い、また世界トップレベルの研究開発拠点を形成していく、また、ベンチャー企業、生産設備の支援、こうしたことをやることによって、産学官の総力を挙げて国産ワクチンの迅速な開発を目指しているところでございます。

 いずれにしても、平時から有事に備えて継続的な取組をしていくということが極めて重要であって、パンデミックの際にはなかなか、ほかの国をやはり頼るということを前提にすることは、私は違うと思っておりますので、でき得る限り我が国自身の意思と能力によって国民の皆様の命を守っていく、そういう意識を持ってこれからも取り組んでいきたいと考えます。

平委員 私も、副大臣として対応しているときに、G7の会議で、じゃ、科学技術顧問で毎週ミーティングをしようとしたときに、日本は総理に科学技術顧問がついていないんですよ。G7のほかの国は科学技術顧問がついている。今、日本は唯一外務大臣にだけ、木原官房副長官が副大臣のときに問題提起をして、科学技術顧問がついているんですよね。

 このコロナの対応において、そういう世界との連携の中で、ほぼほぼ学術会議という言葉は、私は一回も聞いていないです。出てこなかったです。ですから、そういった意味では、外務大臣のみならず各大臣、特に総理ですよね、総理に科学技術顧問をつけていただいて、聞くところによると、G7のアジェンダセッティングなんかは結構科学技術顧問同士で話をしていると思いますので、学術会議というよりは、そういう手法で対応された方がいいのではないかというふうに思います。

 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、和田義明君。

和田(義)委員 自由民主党の和田義明でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速、質問に入りたいと思います。

 まず、男性の育児休業についてです。

 昨年の四月に男性育休推進法が可決をされました。そして、この国会でも、国家公務員の育児休業を推進する法律の改正案が提出され、審議されることになっております。

 この男性の育休の議論でございますけれども、二〇一九年、自民党の中で議連を立ち上げ、そして議論をスタートしてまいりました。令和一年度の男性の育休取得率、そのときはまだ七・四八%でありましたけれども、令和二年度に、この力もありまして、一二・六五%と大幅に増えております。ただ、多くの方々が男性の育休取得を希望している中、まだ一二・六五%しか取れていないというこの残念な現実、これに直視をしなければいけないと思っております。

 また、育児休業を取得すればいいのかというと、これはまた違うんだと思っております。やはり、しっかりと男性が育児休業を取って、そして、家事、育児に参画をして、男女がしっかりとこれを分担して、そして男女お互いが自己実現、これに向かって大きく一歩踏み出せる、これが何よりも大事だと思っておりますし、これが日本国民のウェルビーイングに資するというふうに考えております。

 最初の質問でございます。

 昨年の四月の法改正、そして今国会における法改正に向けた審議、これが進んでいる中、これから政府はどのような手を打って、この男性の育児休業の取得率を飛躍的に増やしていこうとお考えでしょうか。私の考えでは、今目標として挙がっております三〇%、これは極めて低い目標であり、やはり圧倒的過半数を目標にする、これが必要だと思っております。

 今後どのような手を打っていかれるかということについて、お伺いをいたします。よろしくお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 父親が育児に主体的に関わることは、母親の子育て中の孤立感また負担感が軽減されて、夫婦で子供と向き合い、安心して子供を産み育てることのできる環境につながるものと考えています。

 和田議員御指摘の男性の育児休業取得率は、令和二年度に一二・六五%であり、徐々に増加はしているものの、依然低い水準であります。

 このために、少子化社会対策大綱では、男性の育児休業を御指摘のように二〇二五年までに三〇%にするという目標を掲げて、男女が共に子育てに参画していく観点から、男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する方向を示しているところです。

 昨年成立した改正育児・介護休業法においても、子の出生直後の時期における父親の育児休業の枠組み、通称産後パパ育休の創設、育児休業の取得状況の公表に加えて、男性の育児休業取得が進まない主な要因として職場の雰囲気が挙げられていることを踏まえ、育児休業を取りやすい職場環境の整備や、子供が生まれる労働者に対する個別の働きかけを事業者に義務づけることとしています。こうした取組を通じて、職場を始め社会全体の意識改革を促すことが重要であると考えます。

 今後も、厚生労働省と連携して、政府全体でしっかりと取組を進めてまいります。こうした取組を含め、男女が共に子育てに参画し、共に仕事と子育てを両立しやすい環境整備にしっかり取り組んでいきたいと思います。よろしく御指導をお願いします。

和田(義)委員 大臣、ありがとうございました。

 まさにこれは職場の文化、雰囲気、これをゼロから変えていかないとやはり実現しないことだと思っておりますので、法律の改正以外にも、いろいろな手段でもって、この男性の育休の推進、引き続き御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

 この男性の育休の取得率、霞が関、非常に頑張っていただいております。

 私が政務官を務めておりました金融庁、これも、私が政務官になる前からなんですけれども大変力強く取り組んでいただいておりまして、一か月以上取得した率が一〇〇%だったということで、これは本当に金融庁のトップマネジメントの方々の御尽力だということで心から敬意を表しますし、また、多くの省庁でもこの取得率の向上にお努めいただいておりますことに、重ね重ね感謝を申し上げたいと思います。

 金融庁におりましたときに、やはり世の中の職場文化を変える一つの有効な方策として、私は、上場企業の有価証券報告書、これに男性の育児休業の取得率、できれば法律で認められている期間、フルフルで取った取得率を記載するべきだ、義務化するべきだという話をしておりました。やはり社会から見て、従業員の人たちのウェルビーイング、これにどれほど真剣に取り組んでいるかということは、これはマネーの業界からも非常に注視していることなんだと思います。

 引き続き、私はこの有価証券報告書への記載義務化、これを何とか進めていきたいと思っているんですけれども、これを所管しております金融庁に、進捗の状況をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループにおきまして、投資家の投資判断に必要な情報を提供する観点から、人的投資や多様性確保を含むサステーナビリティーに関する企業開示の在り方等について議論を行っていただいております。

 昨年十月の同ワーキング・グループの会合では、多様性確保に関する企業開示の在り方の議論の中で、委員御指摘の男性の育児休業取得率の記載についても取り上げさせていただいたところでございます。今後、金融審議会での議論を踏まえまして、有価証券報告書における男性の育児休業取得率の記載について具体策を検討してまいりたいと考えております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 過去の経緯で、日本企業でパタハラの事案があって株価が大きく下がったといった事例も複数あるというふうに認識をしております。ですので、これは投資家にとって極めて重要な情報であるということは改めて申し添えたいと思いますし、引き続き、金融庁の御尽力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、新型コロナの感染症対策についてお伺いをしたいと思います。

 今、PCR検査の試薬が不足しております。新規感染者がここまで増えてくると確かに厳しいということは分かるんですけれども、一方で、やはり検査ができないと、必要な方を病院に導いたり、また、かかっていない場合には、ちゃんと安心して社会に復帰してもらったりすることというのが困難だと思います。

 このPCR検査の試薬の供給状況について、どのような形で今強化をされているのか、政府の取組を御披露ください。よろしくお願いします。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 最近の急激な感染拡大によりまして、委員御指摘のとおり、PCR検査の試薬あるいは抗原定性検査キットの需要が急速に伸びている状況がございまして、地域によっては一時的に供給不足が生じているという状況でございます。

 このため、このPCR検査の試薬、検査キット共に、先月中旬に厚生労働省からメーカーに対して増産を要請をするとともに、需給が安定するまでの間につきましては優先づけと供給のコントロールを行うことといたしまして、医薬品卸売業者及びメーカーに対する協力要請など、優先度に応じた物流の流れを確保する措置を講じているところでございます。

 検査キットにつきましては、国が買取り保証をして、当面一日八十万回までの増産を要請して、今週、一月三十一日の週には四百九十万回分が生産、輸入される見込みでございます。

 これから数週間かからない間に一日八十万回分の供給を見込んでいるところでございますが、メーカーとも密接に連携をいたしまして、可能な限りこの目標を早く達成できるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 二月いっぱいまでが一つの大きな山だというふうな意見もございます。ですので、非常に時間のない中、御苦労されているとは思いますけれども、引き続き、このPCR検査の試薬の入手、これに御尽力をいただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次の質問でございますけれども、濃厚接触者の待機期間についてでございます。

 これは、医師の方々、ゼロ日というふうにして、毎日検査をすることを条件にしているというわけでございますけれども、やはり社会を動かしていくという観点から考えますと、この待機期間を短縮する仕事の対象、これをもっと幅広いエッセンシャルワーカーに広げていかなければ社会は回らなくなるんじゃないかなというふうに思っております。

 PCR検査がなかなかできないというところがボトルネックになっているとは思うんですけれども、一方で、例えば幼稚園や学校の先生方、保育士、そのほかエッセンシャルワーカーの方々がしっかりと動ける体制というのをつくっていくことも、これまた肝要だと思っております。

 この点について、政府の御意見をお伺いしたいと思います。

佐藤副大臣 新型コロナウイルスの感染者が急速に増加をしている中、感染拡大を防止しながら、できるだけ社会経済活動を維持することは重要であると考えております。

 このため、これまでに得られた科学的知見や専門家の御意見を踏まえ、一月二十八日に、濃厚接触者の待機期間について、原則七日間待機で八日目に解除、社会的機能維持者の方は、二日にわたる検査を組み合わせることで五日目に解除、また、無症状者の療養解除基準につきましても、検体採取日から七日間を経過した場合には八日目に療養解除を可能とするとともに、二月二日には、陽性者の濃厚接触者であって当該陽性者と生活を共にする家族や同居者の待機期間は、当該同居家族等が社会的機能維持者であるか否かにかかわらず、当該検査陽性者の発症日又は当該検査陽性者の発症等により住居内で感染対策を講じた日のいずれか遅い方をゼロ日目として七日間、八日目には解除するという取扱いに変更させていただいたところであります。

 オミクロン株につきましては、感染力が高く、かつ、感染した場合の潜伏期間も短くなっていることが確認されておりまして、濃厚接触者の待機期間の更なる緩和につきまして、引き続き、感染状況のほか、科学的知見や専門家の御意見を踏まえて判断してまいりたいと考えております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 引き続き、海外の事例等々も踏まえながら更なる緩和も御検討いただけたらと思いますし、何よりも、社会を動かすというところを引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、今、病床の占有率が各地で増えているわけでございますけれども、一方で、入院の基準というのは、デルタのとき、第五波のときと変わっていないというふうな現実があると思います。

 中等症1というふうにカテゴライズされる方以上厳しい状況にある方が入院というふうなことになっているんですけれども、オミクロンは、御案内のとおり、デルタと比べて重症化するリスクが少ないということもあります。また、そもそもワクチンを二回接種した率というのが第五波のときと比べると圧倒的に違うというのもありますし、また、経口治療薬があるというようなこともあります。

 このような状況下、本当に中等症1で入院をしなければいけないのか、この基準をデルタと同じ基準にしておいていいのか、それでもって本当に病床の確保というのができるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

佐藤副大臣 新型コロナウイルスの感染症については、感染症法上の入院勧告、措置の対象者の基準として、六十五歳以上の者、基礎疾患がある者、妊婦、重症又は中等症の者、都道府県の感染の蔓延防止のために入院させる必要があると認める者などが定められているところであります。

 どのような方に入院いただくかは最終的には都道府県の判断となるわけでありますけれども、こうした基準を設けているのは、患者の症状等に応じた適切な医療が確保できるよう、リスクの高い方を重点的に入院につなげる必要があるからであります。

 その上で、中等症の方をこの基準の対象から外すことについては、オミクロン株の特性についてはまだ科学的知見が確立していない中では慎重に考える必要があると考えているところであります。

 ただ、一方、病床が逼迫するような事態に陥ることは何としても避けなければならないと考えておりまして、こうした観点から、先日、一月十二日には、入院患者については、重症化のおそれが低くなった段階で自宅療養等へ切替えが可能であることを再通知させていただきました。

 また、二月二日のアドバイザリーボードにおいて示された科学的知見を踏まえまして、入院から四日目以降に中等症2以上の悪化を認めない者に関しては、入院患者の自宅療養等への切替えについて積極的に検討することを推奨するよう、自治体にお示しをさせていただいたところであります。

 引き続き、御指摘を踏まえまして、必要な方が必要な医療を受けられるよう、専門家の御意見や科学的知見を踏まえて適切な対策を講じてまいります。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 東京都を始め、病床の占有率が五〇%を超えたところが出てきておりまして、ある意味、医療提供体制に今黄色信号がともったというふうに言えると思います。ですので、そこのところは、その地域地域の病床占有率の状況に合わせて是非柔軟に御対応いただきますようお願い申し上げたいと思いますし、また、自宅、ホテル療養をされる方々につきましては、遠隔診療等々のこういったツールを使って、きめ細やかな、かつ確実なケアをお願いしたいと思います。

 続きまして、新型コロナの経済対策に関して質問でございます。

 政府の方で、実質無金利無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資を進めていただいておりまして、これで多くの中小企業、個人商店さんが助かっている状況でございます。

 ただ、コロナ禍、長引いております。そして、返済期限が近づいているケースも少なからずございます。こういった中、このゼロゼロ融資の返済期限が迫っている状況下、これを猶予していただくことは可能か、信用情報を傷つけない形での猶予、こういったことを今御検討していただいているかどうかについて御披露ください。よろしくお願いします。

山際国務大臣 御指摘の資金繰り支援につきましては、実質無利子無担保融資、これは三月末まで延長いたしました。

 それで、その猶予という言葉の意味は相当微妙なところがあると思うんですが、返済の期間を先延ばしにするという意味においての条件変更は、実は、もう九九%の金融機関においてこれを応諾しているところでございまして、必要とあれば、その返し始める日程を更に遅らせるというようなことは工夫ができるものというふうに思ってございますし、また、それを促すようにさせていただいているところでございます。

和田(義)委員 ありがとうございます。

 恐らく、このゼロゼロ融資の制度ができたときには、ここまでコロナが続くというふうな想定はしていなかったのかなとも思いますので、寛大なる御措置をお願いしたいと思います。

 あと、いろいろな仕事の現場におきまして、特に物づくりの現場において、頼みにしていた海外の実習生、また海外の人材、こういった方々が今、水際対策で入ってこれないという状況がございます。

 それで、確かに国内の感染を抑え込む際の水際対策というのは重要です。特に、新しい株が出てきたときの、その初期の段階というのは大事だと思います。ただ、こういう状況になって、本当に海外から人を入れられないのか、入れるすべはないのかというところは、私は入れるすべというのはあるんだと思います。

 多少、入国に時間がかかっても、しっかりと検査をして、それで入っていただいて国内経済を支えていただく、こういったことだって僕はできるんだと思うんですけれども、実習生等の海外の人材、こういった方々をこれから日本に入れるということにつきまして、前向きに御検討いただけないか、政府の御所見を伺いたいと思います。

山際国務大臣 結論から申し上げますと、検討は、もうしてございます。

 それで、先生御案内のように、昨年末の段階では、オミクロン株がどういうものかというのがまだ分からなかった部分が多かったので、最悪の事態を想定して、G7の中でも最も厳しい水際対策というものをさせていただいて、総理の方から申し上げているように、二月末まではその骨格は維持していこうという話でございます。

 骨格ですから、いろいろな工夫の余地はございますし、実際に、日本にとって必須の方々に関しては、外国人の方でも個別に見ながら入っていただくというオペレーションをもう既にやってございます。これをどんどんどんどん広げるという方向にありますし、また、これから海外の感染者の状況と日本の感染者の状況が変わらなくなってくれば、そもそも水際というものの対策の必要性というものも薄らいでくるというようなこともありますから、そういうことも勘案しながら、柔軟に対応できるようにしてまいりたいと思っております。

和田(義)委員 この人材の確保につきましても、やはり社会、経済を動かすという意味では非常に大事なところでありますので、引き続きどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 政府の方で、所得の向上に向けて大変長年御尽力をいただいております。特に、安倍政権がスタートしてから、最低賃金、九年連続で引き上げていただいておりますし、各企業に対する賃金の引上げ、これのお願いというのも政府の方から累次していただいておりまして、効果が出ているところも多々ございます。ただ、これは、企業の経営者にしてみたらコストのアップにもなっているわけでございます。

 今、エネルギーやいろいろな資材、そして物流コストが上昇している中、コロナで景気はなかなか厳しいものがございます。そういった状況下、中小の製造業、とりわけ食品産業において、採算の悪化、場合によっては逆ざやが生じているケースが少なからず見られます。なかなかやはりコストを価格に転嫁できない、そして適正な収益が上げられない、こういったことで苦しんでいる企業が私の地元でも本当にたくさんございます。

 こういった状況下、適正な競争がしっかりとできるような対策、政府の方でも公正取引関連で累次やっていただいてはおりますけれども、政府の方の取組について御披露いただきたいと思います。

山際国務大臣 これも、先生と我々、完全に問題意識は共有させていただいておりまして、それもあって、昨年末、本当に年の瀬になってしまったんですが、十二月二十七日に総理が、各産業界の皆様方にお集まりいただいて、ここの価格転嫁を円滑に進めるための施策パッケージというものをお示しをして、御協力をいただけるように要請もさせていただきました。

 それに従って、この一月から三月までを重点期間という形にして、今、価格転嫁が円滑にできているかどうかということをしっかり見させていただいております。ここは、公正取引委員会と中小企業庁が組んでいただいて、下請代金法や、あるいは公正取引委員会の手によって、適正にビジネスがなされているかどうかということも含めて注意深く見ているところでございまして、これをまずはやらせていただきたいと思っております。

 四月以降も、下請Gメン、大分人数を増やさせていただきましたので、この下請Gメンによって、一年間に一万社、実際に見させていただいて、それでフォローアップをしていくということも決めてございます。

 しかし、これは、もちろんやらせていただくんですが、先生の問題意識と共有させていただいているところは、中小企業の側もイノベーションを起こしていかない限り、産業構造が変わらないとどうしても価格転嫁がうまく進まないという部分があるので、そのイノベーションを起こしていくための成長戦略というものを我々必死に今練って、それをみんなで共有しながらやろうとしているところでございまして、それも併せてやりながら賃金が上げられるような状況をつくっていく、これをやらせていただきたいと思っております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 確かにイノベーションは不可欠だと思っております。そのイノベーションの強化、そして、どのようにしたらいいのかといういろいろなサポート、そういったところのサポートと、あと、その下請Gメン的なものを、とりわけ食品産業の方に振り向けていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 あと、この賃上げが行われていく中、配偶者控除の百五十万円の壁、そして社会保障の百三十万円の壁、これがやはり立ちはだかっておりまして、多くの工場で働いているパートさん、十一月、十二月に働くのをやめようというようなことになって、これは物づくりの平準化に大きな影を落としております。

 これは古い議論であって、このバーも少しずつ引き上げていただいてはいるものの、やはり更に上げていただく必要があると思います。この今後について、政府のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

山際国務大臣 これも先生と問題意識は完全に共有させていただいておりまして、岸田内閣においては、全世代型社会保障制度構築会議というものを立ち上げて、そこでメインで議論していかなくてはいけないと思っていることの一つが、今先生に御指摘いただいた、社会保障制度の中でも、特に男女において、社会保障のある意味制約になっているような条件というものをどう考えるかという話がございます。

 私たちとしては、男女別なく、全ての、言ってみれば労働できる方々が、自己実現のために自分の思うような仕事ができるような環境を整えるというのは非常に重要だと考えておりまして、しかし、それもバランスを取りながらということが必要になるものですから、この社会保障制度の構築会議、これを全世代型のものとしてどうするかということを、議論を今しているところでございまして、これも、そう遠くない将来に方向性をしっかり示させていただきたいと思っております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 稼ぐことにヘジテートしないようなやはり制度というのが必要だと思っております。思う存分稼ぎたい人が稼げる、そういった環境づくりというのを引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、経済安全保障についてでございます。

 今国会におきまして、総務省が放送法の改正法案、これを提出いたします。この中の一部に、市町村単位のコミュニティーラジオに対する外資の間接出資の規制緩和、これが盛り込まれております。政府が経済安全保障を看板政策として掲げる中、また、第三国からの影響工作が重大な懸念事項となっている状況下、この法改正案には正直私は驚いております。経済安全保障の観点から問題ではないかというふうに考えております。

 ちなみに、私が毎月地元の選挙区で出演しているコミュニティーラジオがあるんですけれども、ここの対象エリアの人口というのは十二万人です。そして、この十二万人にとどまらず、このラジオを聞こうと思ったらインターネットラジオで日本全国で聞けるわけで、現に鹿児島県の離島の島とつないで番組なんかも作ったりもしております。

 こういった状況下、決してコミュニティーラジオの影響力は小さいというようなことでは私はないと思っておりますし、ちょっと過小評価し過ぎなんじゃないのかなと思っております。

 そういった中で、経済安保の司令塔であります小林担当大臣のお考えをお示しいただけたらと思います。

小林国務大臣 今御指摘いただいたものにつきましては、総務省の有識者の会議におきまして、コミュニティー放送を含む情報通信、この分野における外資規制の在り方について検討が行われて、その結果を踏まえて今国会に法案が提出される予定と承知をしています。

 基本的に市町村内向けに放送されるFM放送であるコミュニティー放送につきましては、その社会的影響力に鑑みて、間接出資に係る外資規制は廃止するものの、直接出資に関する外資規制は維持をするものと承知をしております。同時に、その提出予定の法案では、外資規制の実効性を確保するために、その届出、そして報告制度を創設するものと承知をしております。

 まずは、総務省におきまして、コミュニティー放送事業者への出資について、経済安保の観点を含めて、これらの制度も活用してしっかりと対処することが重要と考えておりますが、政府としては、今回のその法改正の制度改正の影響をしっかり注視していきたいと思います。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 投資の是非の判断を自治体任せにするような雰囲気もちょっと見えております。これはやはり違うんだと思います。国家の安全保障は、やはり国がしっかりと責任を持ってやらなければいけない。ですから、やはりこれは総務省さんがしっかりと責任を持ってそこら辺の是非も判断する、そういったことも必要になってくると思います。

 いずれにしても、この法案が、通るんでしょうけれども、通った後も、万一まずいということであれば、速やかな名誉ある撤退ということも御検討いただきたいと思います。

 続きまして、二〇一五年の三月、中国の全人代は軍民融合という政策を国家戦略に格上げをして、その年の七月に、中国科学技術協会というところが軍民融合技術装備博覧会、軍博と言われていますけれども、これをスタートいたしました。この中国の科学技術協会というところは、その傘下に軍事研究機関を持っております。そして、この軍博が行われた二か月後の九月七日、二〇一五年の九月七日、日本学術会議はこの中国科学技術協会と協力の覚書というのを締結しております。

 当時、経済安全保障の概念というのは今日ほど確立はされていなかったとはいえ、日本学術会議というのは内閣府の特別機関であると認識をしております。日本の政府の特別機関が中国の軍民融合にくみしているというふうなこの現実について、経済安保の司令塔であります担当大臣からのお聞かせをお願いします。

小林国務大臣 経済安全保障担当大臣としてお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本学術会議は多国間そして二国間の枠組みを通じた学術交流を行っております。

 御指摘の覚書についてでございますけれども、これは、出版物の交換、あるいはセミナーなどの学術活動の情報交換、そして研究者間の交流など、一般的な学術交流を促進するものであると聞いておりまして、日本学術会議としては、その組織として中国のいわゆる軍民融合を支援する学術交流事業を行っているとは承知はしておりません。

 いずれにしても、本件については国内外で様々な報道がなされておって、また様々な議論がなされていることは承知をしておりますので、政府としては、引き続き関心を持って関連の動向を見てまいりたいと考えております。

和田(義)委員 しっかりと細かいところまで是非とも厳しくチェックをしていただきたいと思います。

 それで、もうこれは、極超音速兵器の技術ですとか、また、AI、ドローンの技術、自律型の兵器の研究、こういったことは、日本の技術がかなり中国に流れているというふうに言われております。これは多くの情報機関が警告を発しております。ですので、是非ともこの点を改めて念頭に置いて注視していただきたいと思います。

 それで、この学術会議と中国科学技術協会の協力の覚書が締結される随分前から、実は日本の研究者が中国の軍事研究に関与しているという調査結果もございます。特に、国民の血税から出ております科研費をもらっている研究者の方々が少なからずこの中国の軍事研究に携わっているという情報もございます。ある機関の調査によると、科研費十億円以上を受領している研究者が少なくとも八名、この中には国立大学の研究者もおります。こういった方々が中国の千人計画に参画しているという報告もあります。

 政府として、科研費を受領している研究者、そうではない日本人研究者の千人計画及び中国の軍事研究への参加の実情についてどの程度把握をされているのか、そしてどのような手を打っているのかということについてお示しください。

小林国務大臣 御指摘の点については報道等で承知をしておりますが、詳細につきましては、我が国の情報収集能力を明らかにしてしまうおそれがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、政府としては、研究コミュニティー自身が、外国からの不当な影響に関する懸念も認識した上で、研究の健全性、そして公正性、これを自律的に確保していく取組が重要であると考えておりまして、昨年の四月に、統合イノベーション推進会議において研究インテグリティーに係る対応方針を決定いたしました。また、それとともに、昨年十二月には、競争的資金の適正な執行に関する指針を改定しました。これはつまり、公的な資金を研究者が申請をする際には、外国政府を含めてどういうところから資金を提供されているかということを報告してほしいということであります。

 こうした取組は、科学技術・イノベーションの振興はもとより、輸出管理を始めとした技術流出防止の取組と相まって経済安全保障に資するものと考えておりまして、経済安保の強化に向けて、引き続き関係省庁と連携して取り組んでいきたいと考えます。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 矢継ぎ早に累次政策を打っていただいていること、このことには敬意を表します。日本の国民の血税がほかの国に回り回って、そして日本に牙をむく、こんなことは絶対にあってはいけないと思っております。一方で、エンジニアの方々が必ずしも厚遇されていないということも技術流出の原因なのかもしれません。ソフトの面とハードの面から、しっかりと日本の技術の安全保障といったところもお力をいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 自民党の鈴木英敬です。

 今回、このように早期に初質問の機会をいただきまして、委員長始め理事の皆さん、また自民党の先輩、同僚の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。また、地元のこれまで御支援いただいた皆さんにも心から感謝を申し上げたいと思います。

 私、経済産業省、それから三重県知事でありましたので、答弁を作ったり答弁をしたりするのはこれまで何度もありましたが、質問をするのは初めてでありますので、至らぬ点、多々あると思いますけれども、どうぞ御指導よろしくお願い申し上げたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 本日は、地方や現場の目線、それからどう進化していくか、この二つを全体を貫く視点として、大きく三つの柱のことをお伺いをしたいと思います。

 まずは、一つ目の柱、新型コロナ対策、健康危機管理について、目の前のことと、それから今後の制度の在り方、この二つの側面で質問をさせていただきます。

 山際大臣におかれましては、極めて難しい局面の中、先頭に立って的確に御対応いただき、大変心強く感じております。心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 まず、目の前のことでありますけれども、二月一日、岸田総理と全国知事会で意見交換が行われました。知事会長の平井鳥取県知事から、オミクロン株の特性を踏まえた対策を早急に政府から提示してほしい、そういうお話があったわけでありますけれども、その場で岸田総理から、特性を踏まえた対策へと改善を検討したい、そういう回答をいただきました。まだ現時点では具体的な内容は示されておりませんが、知事会としては、この総理のお言葉を大変高く評価をし、期待をしているところであります。

 そこで、総理御発言の、改善を検討とおっしゃったことの具体化について、今後どのように改善をしていくのか、山際大臣にお伺いしたいと思います。

山際国務大臣 先生御案内のとおり、オミクロン株がこれまでのデルタ株とは大分違うということは広くもう知られているわけですが、それがどのように違うかということについて、まさにその現場を見ていらっしゃる知事の皆様方が、それぞれの持ち場で感じていること、経験されていることを総理に二月一日の時点でお示しいただいたものというふうに受け止めております。

 なので、それに従いまして、何が課題かということをかなり知事会の皆さんからお示しいただいていますから、例えば、飲食の現場だけではなくて、子供たちがいる環境、学校だとか保育施設だとか、そういうところで感染が広がっているということ、あるいは高齢者の皆さんの施設においても広がっているということ、さらには、オミクロン株そのものは重症化率は低いんですが、そもそも基礎疾患を持っていらっしゃる方々がオミクロン株に感染することによってその基礎疾患が増悪する、そのことによって、例えば、糖尿病の患者さんなら糖尿病の治療をしなくちゃいけないわけですけれども、その糖尿病の患者さんがオミクロン株に感染されているという場合に、感染症病棟でそれを診るのか糖尿病の内科の方で診るのかということ、これも現場では相当大変な思いをされているということもございます。

 このように様々な課題があるということが示されておりますので、それを受けて、本日午後にコロナ対策分科会を開きまして、そこで今言ったようなことを始めとして専門家の皆様方にしっかり御議論いただいて、それで成論を得たものを速やかに基本的対処方針に反映させてまいりたいと思っております。

鈴木(英)委員 二月一日に総理に申し上げて、今日は二月四日でありますけれども、午後に分科会をやっていただくということで、このスピード感ある対応に大変感謝をします。是非、現場の声をよく聞いて進めていただければありがたいと思います。

 目の前のこと、もう一つです。

 来週十三日に期限を迎えます東京都、三重県を含む、三十五の都道府県の蔓延防止等重点措置、三十五ですね、蔓延防止等重点措置について、ぎりぎりまで感染状況を見極めるんだと思いますけれども、期限後の措置決定に当たり留意する点とか、それこそオミクロン株の特性を踏まえる点など、現時点の検討状況について教えてください。

山際国務大臣 このきめ細かい対応に関しては、今申し上げたように、本日のコロナ対策分科会で議論されたことを反映させていただきたいと思っております。

 その上で、二月十三日に向けて、私たちとしては、新規感染者数がどう増えるかということだけではなくて、一番大切な医療の逼迫の度合いというものを注意深く見ながら、延長するかどうかということを決めていかなくてはなりません。これは各県においてそれぞれ違いますので、三十五県なら三十五県をまとめてということではなくて、一県一県丁寧にどういう状況かということを確認させていただきながら、それぞれ個別具体の対応をしていかなくてはいけないと思っております。

 一つだけ例を申し上げますと、沖縄県は、昨日、沖縄県のコロナ対策本部を開いていただいて、宮古島市と多良間村、この二つに関しては、感染者数が激減しているということもあり、蔓延防止等重点措置から外す方向での決定を行ったというふうに聞いております。

 このように、一番最初に進んでいるところから、東京都のように、大分感染者数の伸び率は低くなっていますけれどもいまだ感染者数は増えているというところとは、やはり同じには考えられないということでございまして、そういうことを一つ一つ具体に見ながら対応させていただきたいと思っております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 まさに、今大臣御答弁いただいたことは、蔓延防止等重点措置という制度の趣旨に沿った、地域の実情に応じて細かい範囲できめ細かく見ていくという制度の趣旨に大変沿った対応だと思います。是非、その方向で御検討いただきたいと思います。

 続いて、目下の感染拡大を収束させるのが最優先ではありますけれども、今後に備えまして制度を進化させていくということも重要でありますので、今後の制度の在り方について幾つか質問をさせていただきます。

 まず、蔓延防止等重点措置の在り方です。

 これは、令和三年二月の特措法改正で、全国知事会からの要望を踏まえて、緊急事態宣言に至る前に地域の実情に応じて対応ができるようにということで制度が創設されました。制度当初は、最初、三重県も第四波のときに発動をしましたけれども、人流抑制とか、あるいは県民の行動変容、あるいはピークの抑制、こういうものに大変効果があったと思っています。一方で、国民の皆さんの慣れとか、あるいは株の変異とか、そういうのもあって効果が少しずつ薄れている側面もあると思います。

 他方、私がこの蔓延防止等重点措置を見直すべきと思う最大の理由は、蔓延防止等重点措置を取り巻く制度の環境が大きく変わったということであります。

 例えば、自宅療養の活用、あるいは臨時医療施設の活用、あるいは、改正感染症法で病床、看護協力もできる、ワクチン接種も順次進められている、経口薬の開発も進んでいる。また、今お見えじゃないですけれども、赤澤先生が一生懸命やっていただいた飲食店の認証制度、こういうのも各県で進んでいる。こういうようなことで、措置を取り巻く制度環境が大きく変わっているということ。

 それから、実態においても、先ほど大臣少しおっしゃっていただきましたが、学校や保育園などで感染が拡大していたり、今回、ある県では郵便局でクラスターが発生して、これは配達前の郵便局員さんがアルコールチェッカーでふうっと大きく息を吹くことでその局の中に広がったりとか、あるいは学校のクラスターでは、音楽の授業でリコーダーを使用したことによって、少しマスクを外してみんなでやったのでクラスターが発生したとか、そういうような実態というところでの変化もあります。

 そういうような中、飲食店や大規模集客施設、イベントというところではないところで感染も拡大していますから、今の蔓延防止等重点措置はそういうところを中心として感染拡大を抑え込もうというものでありますので、今後、現行制度の内容充実や地域の実情に応じた選択肢の増加など、これまでの教訓を踏まえ検証し見直す必要があると考えておりますが、山際大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

山際国務大臣 これはもうおっしゃるとおりですね。これまでも極力柔軟に、同じ蔓延防止等重点措置を出していても、その中身を柔軟にそれぞれの地域の事情に合わせて知事さんの判断で変えていただくということもやってまいりましたし、また、オミクロン株の性状というものに基づいて、例えば隔離期間、待機期間を短くするなんということも含めてやらせていただいておりますけれども、それだけでは足りないというのはおっしゃるとおりだと思っております。

 なので、この後のコロナ分科会で議論していただくことになるんですけれども、元々の蔓延防止等重点措置のコンセプトは、今御指摘いただいたように、緊急事態にさせないために、一つの地域、県なら県の中でも、県の中でここの地域だけ、三重県なら四日市だけ感染者数が多いからそこだけ何とか対応しようという試みだったはずなんですね。

 しかし、今回は、オミクロン株で感染拡大のスピードが非常に速いものですから、各県知事さんたちは、県の中の地方自治体を選ぶことなく全県で蔓延防止等重点措置を選ぶという知事さんたちが相当数いらっしゃって、これも、ですから、ある意味柔軟に対応していただいた結果だと思うんです。

 ですから、柔軟にやるという姿勢、このコンセプトは変えずに、しかし、おっしゃるように、オミクロンに限らず、これからどんどんどんどん姿を変えていく敵に対してどう柔軟に対応すると適正に、医療の逼迫を起こさないで社会経済活動を維持できるかということになってまいりますので、その点を注意しながらやらせていただきたいと思います。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃっていただいたとおり、目の前の対応もしながら、そして、柔軟にというコンセプトをしっかり維持した上でこれからの対応に先手先手でやっていく。我々は、立法府また行政においても思考停止することなく制度をバージョンアップ、進化させていくということが大事ですので、是非、大臣のリーダーシップの下、検討を進めていっていただきたいと思います。

 続いて、司令塔機能の強化と、国と地方の関係についてお伺いをします。

 岸田総理は、六月までに司令塔機能について検討するとおっしゃっておられます。私は、この司令塔機能を強化することは大賛成でありますが、一方で、司令塔機能の創設だけでは意味がなくて、十分に機能させるための指揮命令系統の明確化あるいは国と地方の役割分担の整理、こういうものが重要であると思っています。

 また、関連して、今日ここにいらっしゃる同僚の松本尚先生がリードして熱心に進めておられるDMATの法制化、こういうことも是非進めていかなければならないというふうに考えております。

 さらに、今回、国と地方の関係にも課題がありました。情報共有、人材確保、医療提供体制、市町村の役割、広域、様々、本当に検討する必要があるものがあると思います。特に市町村の役割の明確化、これが重要だと思っています。

 保健所を有する市町村とそうでない市町村があり、市町村長さんたちは、市民の命を守るために全力を尽くしたいけれども、情報も体制もない、そういうような状況があって、大変御苦労されたと思います。

 一方で、今、感染が拡大している保育所や小中学校の所管は大半が市町村長でありますし、さらに、自宅療養というのが増えていますから、その健康フォローアップをする地元医師会との関係性ということ、あるいは生活支援ということ、ワクチン接種の主体であるということ、そういう意味でも、市町村の役割を明確化していくというのは大変重要であるというふうに考えております。

 一部では、六月では遅いという御意見もありますけれども、私は、政府として、しっかりとした対応を検討しているんだ、そういうことを示す意味でも、是非、山際大臣に、この司令塔機能の今後の進め方、検討の進捗状況、あるいは国と地方の関係の見直しについての御所見をお伺いしたいと思います。

山際国務大臣 国は、役所の間の縦割りというのがどうしてもございます。また、市町村、県、それぞれの場所において皆さんに汗をかいていただいている中で、私自身、今、それ全体を見る立場として、都道府県の知事さんたちが相当頑張ってくださっているので、都道府県の各知事さんたちがお持ちの市町村の皆さんとのある意味ではコミュニケーションも、そこで随分と補完されているというふうに感じます。

 一方で、今お話のあったように、小学校や保育所だけではなくて、ワクチン接種は、これは市町村においてやっていただくものでありますから、それを本当に市町村の皆さんは頑張ってくださっているんですけれども、やはりもう少し横連携ができないかとか、あるいは情報の共有というものがもう少しスムーズにできないかとか、課題はゼロとはいたしません。

 ですから、そういうことを全て勘案しながら、司令塔はどういうふうにあるべきかということは、当然、今オペレーションをしながら考えているところです。その考える中で、やはり、おっしゃったように司令塔がしっかりないと、そこに従って様々なことをやっていく、情報の共有もそれに従ってやっていくということでないと、ばらばらになってしまって、うまく物が進まないというのはおっしゃるとおりでございます。

 ある意味、今、岸田内閣においては、そのことはうまく機能していると思いますけれども、これからの課題としても、全部が百点満点というふうに私は思いませんから、改善点を見ながら、まずはオミクロン株を乗り切って、その上で、きちんとした司令塔の在り方というものをしっかりお示しをし、つくっていきたいと思っております。

鈴木(英)委員 山際大臣から大変力強いお言葉をいただきました。是非、検討を進めていただきたいと思います。

 続いて、リスクコミュニケーションの在り方についてお尋ねをします。

 今回、国、地方を含めて、リスクコミュニケーションの在り方というのは大変課題があったと思います。リスクコミュニケーションに関するガイドラインというのが、一応、新型インフル特措法に基づいてあります。今回は活用されませんでした。でも、私は活用されなくてよかったと思っています。それは実態と乖離しているからです。

 例えば、その規定の乖離している典型は、住民に対する詳細かつ具体的な情報提供及び住民からの相談受付等は市町村長が中心的役割を担うというふうに規定されています。先ほど申し上げましたとおり、市町村長さんで体制も情報もない方がたくさんおられる中で、リスクコミュニケーションを市町村長が中心的な役割を担えというのはやはり無理でありますし、現場が混乱するというふうに思いますから、これは活用されなくてよかったと思いますけれども。

 一方で、日本は、国民の行動変容に大きく依拠しながら感染拡大を防止していくという策を日本として取ってきておりますから、リスクコミュニケーションというのは大変重要であるというふうに思っておりますので、今後、先ほどの司令塔機能の強化の検討と相まって、リスクコミュニケーションのガイドラインの改定あるいは再整備、そういうものが必要だと考えますが、大臣の御所見をお願いします。

山際国務大臣 これも、司令塔機能をどのように持たせるかというものの中に、情報の共有という意味で必ず必要な要素ですので、一体できちんと議論をさせていただきたいと思います。

 それで、先ほど御指摘いただいたように、保健所がどう絡むかというのは、やはり感染症法上の分類にもこれは関わっている話ですから、相当ここの部分というのは考えて、スムーズに物事を進めるにはどうすればいいかと考えなければいけない非常に重要な点だと思うんですね。その際にも、やはりリスクコミュニケーションというよりは、情報の共有をどうするかという視点からどう変えるべきかということを考えなければいけないので、一体としてしっかりやらせていただきたいと思います。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 司令塔機能の強化と相まって、是非御検討いただきたいと思います。

 次に、事業者支援のことについて準備をしておったのですが、先ほど和田先生から御質問があって、山際大臣からもしっかり御答弁いただきましたので、是非、リスケ、あるいは借換え、あるいは資本性ローンの積極活用、こういうようなことで、返済を迎える事業者の資金繰りの支援を是非積極的にお願いをしたいと思います。これは要望にとどめます。

 続いて、二つ目の大きな柱です。子供政策についてお尋ねをいたします。

 野田大臣におかれましては、常に、子供たちのため、子育て家庭のため、またそれらを支援する人のために、本当にきめ細かに、真心を込めて対応してくださっていること、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 こども家庭庁の創設につきましては、大きな期待があると思います。その期待に応えるためには、こども家庭庁という組織をつくりっ放しにするのではなく、組織ができたからこそ政策も進化させるということが重要です。

 野田大臣は、消費者担当大臣として、草創期の組織をリーダーシップを発揮してよいものにされましたので、今回、こども家庭庁についても必ず、組織創設とともに進化した政策を進めていただけると確信をしております。

 順次、四点お聞きしたいと思います。

 一点目は、児童虐待対策についてです。

 端的に言えば、こども家庭庁ができることで児童虐待対策はどう進化するのかということです。

 子供たちの大切な未来が虐待により奪われないようにというのは国民共通の願いです。今回、こども家庭庁が創設されるわけですが、厚労省にある組織が単に移管されるだけでは全く意味がありません。進化されることを国民は期待をしております。

 ちなみに、私は、知事時代、子ども・家庭局というものとか子ども虐待対策監というのを創設したり、三十九年ぶりに児相を新設するなど、組織の体制強化を図りました。それに併せて、例えば、全国初のリスクアセスメントシート、あるいはAIを活用した一時保護体制の強化、こういうものを、職員とともに政策を進化させてまいりました。

 組織体制が強化されたら政策も進化するべきというふうに考えておりますので、今回、こども家庭庁が創設されることで児童虐待対策がどう進化するか、野田大臣の決意も含めてお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 鈴木委員は、知事の時代から極めて先進的に子供政策に取り組んでくれたリーダーのお一人で、このこども家庭庁創設に当たっては、鈴木さんが取り組まれたことを随分いただきまして、実のあるものをつくっていきたいという思いで走ってきたところです。引き続き、また厳しい御指導をお願いしたいと思っています。

 今回、子供政策を国の真ん中に据える、これは実は、簡単に申し上げているんですけれども、世界でも初めての、諸外国でもまだ子供を真ん中に置くという政策というのは取り組んだことがない、非常に壮大な、日本を新しくつくり変えていくという意味では大きなテーマだと思います。

 具体的には、今、児童虐待の話がありましたけれども、そういう様々な子供をめぐる課題に対して、まず、子供であれば、大人が作ってきた法律の下で子供はいろいろな対策を講じてきたわけですけれども、子供としてどう思っているのかということを非常に重要視していきたい。

 そして、適切に対応して、特に、これは子供に限ったことではないんですけれども、日本でよく言われることは、先ほどもありましたけれども、縦割り、それぞれの省が、決まった仕事はきちっとやるんですけれども、その間の連携というのが非常に薄い、そんなことを排していくために、司令塔として、しっかりと子供に関しては責任者、こども家庭庁を創設するというところに至ったわけです。

 児童虐待の防止対策については、今お話があったように、厚生労働省が中心に、例えば相談窓口等の周知とか啓発、さらには児童相談所や市町村の相談体制の強化、被虐待児童への自立支援のための取組というのが行われてきたところです。

 じゃ、こども家庭庁が創設されたらどうなるかというと、この児童虐待防止対策を含む子供政策の司令塔機能というのを一本化します。そうすることによって、実は、児童虐待に関わっているのは厚生労働省だけではなくて、例えば警察庁であったり法務省であったり文部科学省であったり、地方ということであれば総務省も関わってくるんだろうと思いますが、関係省庁よりも一段高い立場から児童虐待防止対策というのを主導することができます。そして、子供の命を守り、全ての子供が健やかに成長することができる社会、そういうものの実現に向けて取り組んでいくことが可能だし、取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(英)委員 大変力強い答弁をいただきました。是非、野田大臣のリーダーシップでよろしくお願いしたいと思います。

 二点目は、こども家庭庁の名称に家庭という言葉が入った意義についてです。

 虐待などで家庭につらい思いしかない子供、あるいは事情により家族で住めない子供たち、こういう子供たちもいますので、こども家庭庁は、こどもまんなかというのが大前提であります。

 他方、子供と家庭は密接不可分ですし、家庭基盤の充実は重要です。また、これまで私も見てきた虐待事案でも、親が孤独、孤立してしまって苦しんでいた例もやはりありますし、家庭自体を支援することも重要です。

 また、日本でも有名なフィンランドのネウボラでは、出産前後の支援をするだけじゃなくて、子供の発達に合わせて、夫婦関係、親子関係、兄弟関係、家庭自体を支援することで、そして早期のリスク発見、早期介入、早期支援というのをしていくということになっております。

 そこで、お伺いしたいと思いますが、こども家庭庁に家庭という言葉が入ったことの意義と、それから、こども家庭庁が創設されることにより家庭への支援はどう進化していくか、大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 児童の権利に関する条約、これを批准しているんですけれども、この前文の考え方において、子供は、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。

 子供は、家庭を基盤、基盤というか居場所としており、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるとの考えから、新たな組織の名称をこども家庭庁としたところです。

 今御指摘のように、核家族化や、地域の関わりが希薄になってきていまして、そしてまたコロナ禍の影響というのもあり、子育ての孤立、不安、いわゆる孤育てが増加していると指摘されていますが、こども家庭庁では、幼稚園とか保育園、認定こども園のいずれにも通っていない子供の状況を把握し、実際いますから、そういう子供たちに必要な支援をつなげるとか、一人親支援については、プッシュ型による積極的な相談支援など、必要な支援が届くようにする、さらに、新たな課題となっているヤングケアラーについても、早期発見、把握、必要な支援につなげていくなど、文部科学省とか厚生労働省としっかり連携しながら、切れ目のない包括的な支援を進めてまいります。

鈴木(英)委員 本当にそれぞれの子供たちを取り巻く、あるいは家庭を取り巻く環境にきめ細かく、大臣、本当にそういうのが野田大臣はお得意でいらっしゃって、本当に敬意を表するところであります。是非、そういう形で進めていただければと思います。

 三点目、小林史明デジタル担当副大臣にお伺いします。

 こども家庭庁やデジタル庁ができて進化したなという一番分かりやすいのが、子供の各種データ連携のことだと思います。このデータを連携させて、真に支援が必要な子供たちに早期にプッシュ型で手を差し伸べることができるのではないかと大変期待をしています。

 プロジェクトチームのリーダーの小林副大臣に、事業の期待される効果、あるいは成果の活用策などについてお伺いしたいと思います。

小林副大臣 鈴木委員からお話あったとおり、子供たちの貧困や虐待というのはなかなか発見がしづらい、さらに捉えづらいということで、本当に真に支援が必要な子供たちや家庭に十分な対策が取られていないというのがやはり課題だと思っています。

 それについて、自治体ごとに実はばらばらに、部局で、子供や家庭に関する情報を持っているということですけれども、知事がやられていた三重県でも、このデータを連携することで、本当に必要な方を早めに発見をして、早期にプッシュ型で支援をするということができるという事例が各自治体で起こってきています。

 これをしっかり、我々、全国的に事例をしっかり収集しながら、いいデータ連携の在り方をつくっていくこと、それをサポートしていきたいというふうに思っています。

 ただ、今、子供に関するデータを一元化したデータベースを作るんじゃないかというような誤解や認識が広がっていますけれども、我々としては一切考えておりません。しっかり個人情報に配慮をして、あくまでデータを連携をする。そして、野田大臣のところが政策のオーナーシップを取っていただきながら、我々としてはデータ連携ができる仕組みを提供していくということで、活躍をいただく自治体や現場の職員の皆さん、NPOの皆さんがしっかり使っていただいて、真に必要な支援が届けられるようなサポートをしてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(英)委員 おっしゃっていただいたように、本当に課題や心配する声もあるとは思うんですが、期待する声の方が多分大きいと思いますので、是非、その点も配慮して、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 こども家庭庁を内閣府の外局に設置する意義も質問しようと思いましたが、ちょっと時間がないので、是非これは強調していただきたいと思います。

 最後の質問を申し上げたいと思います。

 山際大臣に、新しい資本主義におけるスタートアップ支援策の在り方、これをお伺いしたいと思います。

 大臣は、スタートアップ推進議連の幹事長もお務めいただいていて、スタートアップの大応援団のお一人だと認識をしております。私も、経済産業省でベンチャー支援をやっていましたので、思い入れのある分野であります。

 スタートアップは、新しい資本主義が掲げる成長と分配の好循環、シンボル的な政策だというふうに思っています。分散による成長、あるいはスタートアップへの金、人の分散、あるいは地方にスタートアップが分散することによる成長、そういうような形で、本当に、新しい資本主義のシンボルとなり得る政策だというふうに思っております。

 あとまた、今日はお見えじゃないですけれども、スタートアップの大家の平井先生もよくおっしゃいますが、このスタートアップは、脱中央集権化、ディセントラライズ、それにもつながる政策だというふうに思っています。

 是非、岸田総理が、終戦後に続く第二の創業時代をつくろうとおっしゃっておられる中、今までの政策の延長では駄目で、やはり進化していく必要があると思います。

 山際大臣に、新しい資本主義の下でのスタートアップ支援策をどう進化させるか、お伺いしたいと思います。

山際国務大臣 スタートアップを活性化させようとしたときに、それを要素として分けますと、まずは人が必要ですよね。それにお金が必要です。さらには化学反応を起こす場所が必要です。この三つ全部をそろえなくてはいけないという思いで、何が足りないかということはもうほぼ分かっていますので、そこをしっかり手当てするというのが岸田政権におけるスタートアップ支援です。

 それをやろうとするときに、総理から、五年間を重点期間としてやりたいというお話がございましたから、五年で結果を出さないといけないという思いで、今、どこの部分から、鶏が先か卵が先かではなくて、今言った三つの部分全てを同時にどんと政策を打つということをしなくてはいけないものですから、それを、今ここで全部は申し上げられませんけれども、セットにしてお示しをしながら進めていく。

 そして、おっしゃるように、イノベーションが自律的にずっと起こり続けるエコシステムを日本に築き上げるということを目指して、それが新しい資本主義ですから、目指してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(英)委員 ありがとうございました。

 緊張しながらであり、また、ちょっと駆け足でありましたけれども、大臣、副大臣には大変しっかりとした答弁をいただいて、感謝をしております。これからも、しっかり私も勉強して頑張っていきたいと思いますので、御指導よろしくお願いします。

 これで質問を終結します。ありがとうございました。

上野委員長 次に、平沼正二郎君。

平沼委員 自由民主党の平沼正二郎でございます。

 昨年十月に初当選をさせていただきまして、人生初の質問となります。先ほどの鈴木先生と違いまして、答弁の経験もございませんので、全くのど素人でございますので、少々不手際もあるかもしれませんけれども、よろしくお願いを申し上げます。

 では、早速ですが、始めさせていただきます。

 デジタル田園都市国家構想に関してお伺いをいたします。

 岸田内閣総理大臣の所信表明演説にも、デジタル田園都市国家構想について、デジタルによる地域活性化を進め、さらには、地方から国全体へ、ボトムアップの成長を実現していきますとございました。

 今後の政策の大きな柱の一つであると認識をしておりますが、地方のデジタル化については、東京一極集中という地方衰退の大きな原因ともなっているものを是正する可能性が大いにありますし、本施策に関しては私自身も大変期待をしているわけでございます。

 ちなみに、私の選挙区は、六市六町二村、計十四地域がございますけれども、そのうち十二地域が過疎地域若しくは過疎地域を含むことになっておりまして、中山間地域も多くて非常に苦労をしている現状がございます。本施策に関しては、私の地元の市長、町長、村長を始め、大変な期待を寄せているところでございます。

 一方で、期待値は高いものの、実際にどのような具体的な施策が今後打たれていくのか、なかなか皆さんが内容を把握し切れていないというようにも感じております。その辺りを質問させていただきます。

 デジタル田園都市国家構想実現会議第二回の資料の中に、地方のデジタル化を推進する人材を二〇二二年度からの五年間で二百三十万人確保するとの発表があったわけでございますけれども、具体的にはどのような方策で人材の確保また育成を行っていくのか等を教えていただけますでしょうか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想の実現に向けましては、その担い手となるデジタル人材の育成、確保が不可欠であると考えております。そのため、全ての人が相応のデジタルリテラシーを獲得できるようにするとともに、地域が抱える課題のデジタル実装による解決を牽引するデジタル推進人材の育成をすることが重要であると考えております。

 デジタル推進人材につきましては、国全体としてデジタル実装を進めていくために必要となるマクロ数値目標を二百三十万人と設定し、二〇二二年からの五年間で育成するよう、関係省庁が連携し、政府を挙げて計画的に取り組んでまいります。

 具体的には、産学官が連携してデジタル人材育成プラットフォームを構築し、デジタルスキル標準の設定や、それに基づく教育コンテンツの提供、地方DX拠点の整備を行うとともに、職業訓練のデジタル分野への重点化、大学等における数理、データサイエンス、AI教育の推進等により、デジタル推進人材を育成できる体制を段階的に構築していきたいと考えております。

 また、地域におきましてもデジタル人材が確保できますよう、デジタル人材を含めた地域の企業との人材マッチングの支援や地方への移住促進を行うこととしております。

 今後、デジタル田園都市国家構想実現会議におきまして更に議論を深め、デジタル人材の育成、確保に取り組んでまいります。

平沼委員 御回答ありがとうございます。

 私は、デジタルというのは、やはりあくまでもツールであると思っておりまして、そのツールを使える人材がいなければ、やはり全く、デジタル化をしたところで意味がないわけでございます。是非とも、デジタル人材の育成に関して引き続き力を入れていただくよう、お願いを申し上げます。

 また、先ほどもありましたけれども、地方に分散した形での人材育成を是非ともお願いをいたします。せっかく地方活性化につなげる本施策でございますので、首都圏だけ人材が集まっても、育っても、効果が揺らいでしまいますので、この点もどうぞ御勘案いただけますようよろしくお願いを申し上げます。

 さて、続けてまいります。

 令和三年度補正予算におきましてデジタル田園都市国家構想推進交付金二百億円が計上され、地方公共団体等がサテライトオフィスの整備などにも使用できるとのことですけれども、私が思うに、こういった事業で重要なのは継続性ではないかと思っております。

 箱はつくった、企業も来たが、結局数年でいなくなってしまった、こういうのが懸念されることでありまして、この辺りはそれぞれの地方自治体等の努力も必要かとは思いますけれども、交付に当たって、その辺りの考慮や継続、維持させるための方策などあるようでしたら、お聞かせいただけますでしょうか。

新井政府参考人 御指摘のデジタル田園都市国家構想推進交付金でございますが、この交付金は、意欲ある地域による自主的な取組を応援するため、デジタルを活用した地域の課題解決等に向けて、他地域の優良モデル等を活用して迅速な横展開を図る事業や、地方への新たな人の流れを創出するためのサテライトオフィスの施設整備などに取り組む地方公共団体を支援するものでございます。

 先生御指摘のとおり、ばらまきとならないように、交付に当たりましては、その事業の効果を複数年度にわたって測るための明確なKPIの設定を求めるとともに、複数年度にわたる実施計画の策定を求め、事業の継続性を確認した上で、各事業年度終了時に事業の進捗状況の報告を求めることとしております。

 本交付金が真に有効に活用されるよう、しっかりと取り組んでまいります。

平沼委員 ありがとうございます。しっかり経過の観察もされるということで、一安心をいたしました。私の選挙区にも幾つかございますが、過去の地方創生事業において、結局効果を継続的に生み出せなかったという、箱物と言われるものも多くございます。同じことにならないように、この点も引き続き注力をいただければ幸いでございます。

 続きまして、デジタル田園都市国家構想の中にももちろんございますが、5Gなどのデジタルインフラを基盤とした自動運転の整備は地方にとって重要度が非常に高いものであると認識をしております。

 地方においては、公共インフラの脆弱性により、車がなくては生活ができないというのが一般的でございます。一家に一台ではなくて、一人一台といった生活スタイルの中、一方で、高齢者の方における自動車での事故というのも増えておりまして、中には痛ましい内容の事故も増えているようでございます。

 これはある種の社会問題となっているわけでございますけれども、そんな中ですので、高齢者の方の免許返納推進というのも世の流れでございますし、政府、行政含め、免許の返納を推進をして、お願いをしているということも認識をしております。

 しかしながら、特に地方においては、繰り返しにはなりますけれども、車がなければやはり生活ができない、ままならないという方が多くいらっしゃいます。自治体においては、バスの運行やタクシーの補助などを使い応援もしておりますけれども、なかなか地方の財政も厳しい中、今後の先行きが非常に不透明な状況なわけでございます。

 そこで、解決策として、ある程度決まったルートでもよいので、自動で運行ができるモビリティーの実装というのは非常に地方においては大きな恩恵を与えると私は考えておりますけれども、これは道路交通法等の改正にも関連をいたしますが、この自動運転モビリティーの今後のスケジュール感や実現に当たっての課題などございましたら、是非御共有いただければ幸いでございます。

楠政府参考人 お答えいたします。

 政府では、官民ITS構想・ロードマップ二〇二〇において、二〇二二年度頃に、廃線跡などの限定地域で遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスが実現することを目指しております。

 こうした遠隔監視のみの無人自動運転は運転者がいない状態で行われるということを踏まえまして、警察庁では、自動運転における交通ルールの在り方や、自動運転システムだけでは対応できない事態が発生した場合の安全性の担保方策について制度的な課題を解決するため、道路交通法の改正に向けた検討を行っているところでございます。

 冒頭に申し上げました政府目標の達成に向けまして、今国会に道路交通法の一部を改正する法律案を提出することとしており、引き続き準備を進めてまいりたいと思います。

平沼委員 地方において一部既に実証をされているような自動運転モビリティーのケースもあると聞いております。

 今後、地方にとっては非常に期待値の高いものであると思いますので、是非スピード感を持って進めていただけるよう、私からもお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、モビリティーもそうなんですけれども、地方において必ず問題になるのが、やはり医療の問題でございます。

 遠隔医療についても、今後の更なる充実が地方移住の障壁を取り除く大きな一つのものとなると私は考えておりますけれども、一方で、遠隔医療のインフラを小さな地方病院にも整えるというのは非常に大変ですし、電子カルテの規格統一化など、多様な課題があると認識をしております。

 現状において、遠隔医療やデータヘルスシステムの推進に関しての課題と、将来目指すものに関してお教えをいただけますでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の医療の提供体制の上でも、デジタル化、データヘルスの改革というのは非常に重要だというふうに考えておりまして、ただいま現在、足下の課題といたしましては、中小規模の医療機関における電子カルテの導入、これが大規模の医療機関に比べて進んでいないこと、また、医療機関間での医療情報の共有や交換できるシステム、こういったインフラが整っていないこと、こういったことが挙げられると思っております。

 厚生労働省といたしましては、こういった医療情報の共有、交換に向けまして、まずは、医療機関における電子カルテの活用、こういったものを進めていただく必要があると考えておりまして、異なる電子カルテの間でも円滑に情報連携ができるよう、電子カルテ情報の規格の標準化、これに向けた検討を進めておりまして、加えて、医療情報化支援基金を活用して、こうした標準規格を備えた電子カルテ、こういったものの導入の支援を行うこととしております。

 また、更に申し上げますと、先生がおっしゃった遠隔医療のシステムの導入、こういった上では、必要な設備の整備、こういったものに関する支援も行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、医療の分野でのデジタル化、こういったものを推進してまいりたいと考えております。

 以上です。

平沼委員 ありがとうございます。

 今後の遠隔医療の促進というのは、やはり、デジタル化を含めて、電子カルテの規格統一化はマストであると思いますし、非常に、先ほどもありましたが、課題も多いか、内在しているかと思いますけれども、是非政府の方も、デジタル田園都市国家構想の下、明確な指針を示して推進をしていただくようお願いを申し上げる次第でございます。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 続きまして、経済安全保障に関してでございますけれども、この度の新型コロナウイルス感染症によりやはり露呈したのは、様々な分野での素材や部品の国内供給力の欠如であったと思います。マスクから始まり、ウッドショックと呼ばれる木材の不足、また、ガス給湯器、温水洗浄便座、自動車部品等、非常にこの素材不足、原料不足というのが多岐にわたったわけでございます。

 そして、やはりその中でも重要なものの一つが、私は半導体であったかと思っております。今や半導体はあらゆる電化製品に使用されており、半導体がなければ動かないものが多数あることを国民の皆さんも再認識をさせられたということではないでしょうか。

 そこで、今回、政府は、経済安全保障の観点からも、台湾の半導体ファウンドリー企業、TSMCの工場誘致などを行ったと認識をしております。本工場で生産されるロジック半導体は現時点で二十二から二十八ナノメートル台の製品と聞いており、また、これは、同じく出資を行うソニー、これは私の昔の職場、古巣の職場でもございますけれども、画像センサー向けに供給するとの報道も出ております。

 世界の約五割のイメージセンサーのシェアを持つソニーは、スマートフォンに関してはもちろん、先ほども言及しましたけれども、自動運転などの画像認識の分野においても非常に、同社が持つ技術は今後の日本の競争力にとても必要になってくると私は考えておりますし、このような技術をやはり流出させないようにするということも、経済安全保障上、非常に重要になってくるかと思っております。

 また、世界の最先端の半導体の製品は三から五ナノメートル台の世界に入っていると聞いておりまして、その先の次世代半導体の開発も既に始まっております。

 日本においては、NTTなどが次世代として光電融合技術開発を進め、半導体の新技術開発も加速化していく中、日本政府もかつての日の丸半導体復活に向けて推進をしていってほしいと私も切望をしているわけでございます。

 そうした中、経済安全保障の観点から、半導体の確保と今後の新しい技術開発に関しての展望、そして新技術等の流出を防ぐということに関して、現状の取組を教えていただけますでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、半導体でございます。

 御指摘のとおり、デジタル化や脱炭素化、経済安全保障の確保を支えるキーテクノロジーでございまして、その技術的優位性の確保と安定供給体制の構築に向けて、諸外国に比肩する国策としての取組が必要であるというふうに認識をしております。

 我が国半導体産業の復活に向けた戦略として、昨年十一月に、第四回半導体・デジタル産業戦略検討会議においてお示しした戦略というものがございまして、まず、ステップ一として、半導体の国内製造基盤の整備、これは令和三年度の補正予算において六千六百億円を超える予算を確保して対応してまいります。また、ステップ二として、二〇二五年以降に実用化が見込まれる次世代半導体の製造技術開発を国際連携にて進めるとともに、ステップ三として、先生御指摘もありました、二〇三〇年度以降をにらみ、ゲームチェンジとなり得る光電融合などの将来技術について着手していくということにしておりまして、このステップ二、ステップ三、合わせて同補正予算において一千百億円の予算を計上しておるというところでございます。

 半導体は社会のデジタル化が進展する中で不可欠な存在でございまして、半導体産業の復活に向けて、国と民間が協力して取り組んでまいる所存でございます。

 また、新技術の流出を防ぐという観点でございますが、我が国の産業競争力を維持強化するとともに、安全保障を確保する観点から、営業秘密や機微技術情報の流出防止は重要な課題だというふうに認識をしております。

 このため、まず、企業における営業秘密については、平成二十七年の不正競争防止法の改正によりまして、海外での使用を目的とした不正な行為に関して重罰化を行うなど、営業秘密保護の強化を進めてきたところでございます。

 また、安全保障上の機微技術については、近年の外為法や関連法令等の改正により、輸出管理については、日本国内における居住者への技術提供であっても外国政府等から強い影響を受けている状態にあると考えられる場合はみなし輸出管理の対象とする、また、投資管理につきましても、事前に届出を求めることについて機微技術等を扱う業種を対象業種に追加するとともに、上場企業に係る株式投資に当たって、その閾値を一〇%から一%に引き下げるなどの措置を講じてまいりました。

 今後も、技術流出に関する動向などを踏まえて、技術流出の防止にしっかり取り組んでまいる所存でございます。

平沼委員 ありがとうございます。特に半導体に関しては、今後の日本の主要産業としてもう一度復活する可能性が私は大いにあると思っておりますし、半導体のみならず、こういった新技術の流出を経済安全保障上守っていくのは、今後の国益を左右することになります。

 今回の新型コロナウイルスのような世界中を巻き込んだ感染症ももちろんそうですけれども、今後、国際情勢が刻々と変化し、混迷を極める中において、経済安全保障というのはますます重要なものになってくると認識をしております。

 そんな中、今回スタートいたしました日本の経済安全保障でございますけれども、是非とも今後の経済安全保障に対する小林大臣の意気込みをお聞かせ願えれば幸いでございます。

小林国務大臣 現在、世界各国が、戦略的物資の確保ですとか、あるいは重要技術の獲得に向けてしのぎを削っている状況です。その中で、この経済安全保障というのは喫緊の課題だと認識しています。

 特に、今委員から問題提起のありました技術流出の防止につきましては、今経産省の方から説明があった、いわゆる外為法に基づく対応の強化だけではなくて、例えば、留学生、あるいは海外からの研究者、この受入れの審査をしっかりと強化していくことも今行っておりますし、また、研究者による研究の健全性や公正性を確保していく観点から、公的資金を申請する際の情報開示などに関するガイドラインの改定、これも既に行ったところでございます。

 こうした政策を打ち出すだけでは実効性というのは担保できないので、当然、体制というものを整備していかなきゃいけない。

 その観点から、今御審議いただいております令和四年度の予算案におきまして、この政策分野の、経済安全保障の体制強化として、約二百五十名の定員の増というものを計上させていただいております。これを是非お認めいただく中で、この体制というものをしっかりと強化していきたいというふうに考えています。

 その上で、この経済安全保障というのは非常に多岐にわたります、課題が山積しているので全て一気にというわけにはいかないんですけれども、特に、先ほども答弁させていただきましたが、今、法制化に向けて準備をしています。

 特に急がなければならない四分野ということで、サプライチェーンの強靱化、あるいは、基幹インフラの重要機器あるいはシステムの安全性を事前に審査していく制度、あるいは、重要な先端技術を官民協力の下でしっかりと進めていく制度、また、安全保障上極めて機微にわたる技術の発明に関する特許の非公開化、こうしたものを含めた法案の制定に向けて、今努力をしているところでございます。

 可能であれば二月下旬に提出することを目指して今検討を進めておりますが、そうした法案の策定を含めて、経済安全保障、多岐にわたる分野、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

平沼委員 大臣、ありがとうございます。今後ますますの取組に私も大変期待をしておりますし、私もしっかりと協力をしてまいりたいと思っております。

 続きまして、質問が変わりますけれども、北朝鮮によるミサイル発射に関してお伺いをしたいと思っております。

 先ほど、経済安全保障に関しては触れさせていただき、御質問いたしましたけれども、もちろん、国家を維持するに当たって、経済的優位や損失を未然に防ぐということも重要なことではございますけれども、そもそもやはり、武力的に侵略をされてしまえば元も子もございません。私は、国防は最大の福祉であると考えております。国民の皆様の安心と安全を守るには、国家そのものを保守をしていかなければなりません。

 北朝鮮は令和四年に入ってから既に七回ものミサイルを発射しておりまして、まさにゆゆしき事態であります。断固として許すわけにはまいりません。

 本年に入ってから、このミサイル発射に関しての日本政府の対応を改めてお聞かせ願えますでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮は、今年に入ってから、巡航ミサイルの発射発表も含めれば、四週間弱で七回に及ぶかつてない高い頻度で、また新たな態様での発射を繰り返しているところでございます。

 政府におきましては、こうした北朝鮮のミサイル発射事案に際しては、その都度必要な対応を行っているところでございますが、例えば、直近の事案に当たります一月三十日の弾道ミサイルの発射につきましては、事案の概要も含めて申し上げれば、北朝鮮は、同日朝、IRBM級弾道ミサイル、火星12と見られるものを一発発射いたしました。

 詳細は引き続き分析中でございますが、当該ミサイルは、最高高度約二千キロ程度で約八百キロ程度飛翔する、通常よりも高い角度及び高度で打ち上げている、いわゆるロフテッド軌道で発射され、日本海の我が国の排他的経済水域外に落下したと推定されます。

 これを受けまして、政府といたしましては、直ちに総理に報告を行い指示を受けるとともに、航空機や船舶及び関係機関への情報提供を行い、被害報告等の情報の有無について確認をいたしました。

 また、官邸危機管理センターに設置しております北朝鮮情勢に関する官邸対策室におきまして関係省庁間で情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行い、さらに、国家安全保障会議を開催し、情報の集約及び対応について協議を行ったところでございます。

 これらと並行いたしまして、米国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げるとともに、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対しまして厳重に抗議をいたしたところでございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 御説明いただいた、一月三十日に発射されたミサイルに関しては、非常に射程も長くて、非常に、日本としては喉元にやはりナイフを突きつけられているようなものであると私は認識をしているわけでございます。

 北朝鮮に関しては、抗議や声明ではなかなか、全く動かないというのは既に周知の事実でございますし、ミサイルの迎撃能力の強化というのももちろんですけれども、対基地攻撃能力の保持も私は大いに検討していただきたいと思っております。また、更なる経済的制裁も含め、あらゆる手段を講じて北朝鮮の行動抑止に努めていかないといけないと考えております。

 そこで、改めて現状認識のために伺いたいのですが、現在、北朝鮮に行っている経済的措置内容と今後の対基地攻撃能力保持に関してのお考えをお聞かせください。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、経済的措置の方についてお答え申し上げます。

 北朝鮮に対する制裁に関しましては、国連安保理決議においては、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置が定められております。主な措置としましては、安保理決議等による指定に基づいた、特定個人の入国、領域通過の禁止、特定船舶の入港禁止、物品の輸出入の禁止、特定個人及び団体の資産凍結等がございます。

 我が国の措置としましては、これまで、関連安保理決議で禁止された活動に関与する個人、団体への資産凍結を行うとともに、北朝鮮籍者の入国の原則禁止や北朝鮮との輸出入の禁止等の措置を取ってきてございます。

 引き続き、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、こうした措置の実施を徹底していく考えでございます。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国周辺におきましては、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術が急速に変化、進歩しております。

 特に、北朝鮮は、今年に入ってから、委員御指摘のように、かつてない高い頻度で新たな態様でのミサイル発射を繰り返しています。昨今の北朝鮮による核、ミサイル関連技術の著しい発展は、我が国及び地域の安全保障にとって看過できないものであります。

 こうした状況を踏まえまして、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下、ミサイル迎撃能力の向上だけではなく、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討を行ってまいります。

平沼委員 御回答ありがとうございます。

 北朝鮮対応に関しては、昨今、進展がなかなか見られない拉致被害者及び特定失踪者救出にも関わってくることでございます。拉致被害者御家族の方も御高齢化が進み、最近でも横田滋さんや飯塚繁雄さん等がお亡くなりになり、一刻の猶予もございません。私の父も長く拉致議連の会長を務めさせていただきましたけれども、私のブルーリボンバッジは父から引き継いだものでございます。

 私も拉致問題解決については並々ならぬ思いでおりますので、私も一刻も早い解決に向けて尽力をしてまいりますし、何とぞ政府の一層の御協力を切に願っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後の質問に移ります。

 皇位継承について御質問いたします。

 私が尊敬する台湾出身の評論家の先生が会合でおっしゃられておりましたのが、日本には神話がある、そして神話に連なる皇室がある、歴史や伝統をつなぎ続けることは大変困難で貴いことである、伝統を破壊することはたった一日でできても、誰もが自然と心から頭を下げることができる、そのような存在をつくるには二千六百年以上の時間が必要なのです、どうかそのことを日本の皆さんは忘れないでほしいとおっしゃいました。私は、この言葉を非常に重く受け止めております。

 現在、世界には約二百か国の独立国があり、そのうち君主制の国が四十三か国、二十八の王室が存在しております。

 いつの時代にあっても変わらない、国民と皇室が共に信頼し合い、寄り添い、支え合いながら紡いできた大切な時間の積み重ねの結果であると思っております。この民族の財産とも言える伝統を未来へと継承していく責任が私たちにはございます。伝統に基づく皇位の安定的継承のための方策を早急に確立していかなければなりません。現在行われている皇室制度についての在り方についての議論と内容を教えていただけますでしょうか。

溝口政府参考人 去る一月十二日、岸田総理から細田衆議院議長並びに山東参議院議長に対しまして、皇室典範特例法案に対する附帯決議に示された課題につきまして有識者会議において取りまとめられた報告書を手交し、政府としての報告を行ったところです。

 有識者会議の報告書におきましては、まず、皇位継承について、皇位継承の歴史や伝統は大変重く、皇位の継承という国家の基本に関わる事柄については、制度的な安定性が極めて重要であるなどの認識の下、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者としての悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとされています。その上で、まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとし、その具体的な方策として、一、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること、二、皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること、三、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすることの三つの方策を提示し、一、二の方策について、今後、具体的な制度の検討を進めていくべきであり、三については、一及び二の方策では十分な皇族数を確保できない場合に検討する事柄と考えるべきではないかとされているところでございます。

平沼委員 ありがとうございます。

 是非、我が国の長い歴史の中で先祖が守り抜いてきた男系男子による皇位の安定的な継承に向けて、更なる議論を進めていただきますよう願ってやみません。国民の理解と賛同が得られますように、私も全力で取り組んでまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃と申します。

 昨年の総選挙におきまして、比例中国ブロックから初当選をさせていただきました。前職は、二十六年間、情報系の大学教員をしてまいりまして、専門分野は信号処理や画像処理といった内容でございました。

 さきのお二人の新人のすばらしい逸材がハードルをぐっと上げていただきまして、非常に緊張いたしますが、本当にお作法もまだ分かっていないような状況ではございますが、私らしく真摯に、また地元からいただいた内容も踏まえまして、質問させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 では、まず牧島デジタル大臣にお聞きいたします。

 マイナンバーカードの普及促進に関しまして、デジタル社会の実現に向けた重点計画におきましても、二〇二二年度末までに、ほぼ全国民に行き渡ることを目指すと掲げてございます。現状は四〇%程度というふうに認識をさせていただいておりまして、一年後にほぼ全てというのはなかなか難しい目標というようなことも私自身は個人的には認識をしておりますが、普及に関しまして、我が党も、マイナポイント第二弾を提案するなど、取組を積極的に進めさせていただいております。

 その一方で、現在保有をされていない方に伺いますと、セキュリティーに関して懸念を持っている、心配をしているという声を少なからずお聞きしております。この点を国民の皆様に改めて御説明いただきまして、安心感を持っていただくことは重要ではないかと考えておりまして、マイナンバー制度における安心、安全がどのように確保されているかについて、国民に分かりやすく御説明ください。

牧島国務大臣 今委員御指摘いただきましたとおり、国民の皆様が安心していただけるかどうかということは大変重要なことだと思っております。なので、マイナンバー制度について、しっかりとお伝えをする必要があると思います。

 マイナンバー制度は、デジタル社会の基盤であるということ、そして、個人を一意に特定するIDであるマイナンバーと、それからオンラインで確実な本人確認を可能とするマイナンバーカード、そうしたものが基盤となっております。

 マイナンバー制度では、制度面及びシステム面で各種の対策を講じております。具体的に申し上げると、まず、マイナンバーを取り扱う者に対しては、漏えい防止等の安全管理措置の義務づけ、そして、個人情報保護委員会が必要な指導を行うこととしています。もう一点、行政機関等の保有する個人情報は、一元管理をせず、各行政機関等で分散管理し、情報連携の際にも機関ごとに異なる符号を利用するなど、個人情報が芋づる式に抜き出せない仕組みとなっております。

 こうした個人情報保護に十分配慮した仕組みであるということをお伝えしなければならないと考えています。

 また、マイナンバーカードについても御指摘がありました。

 利用拡大を今進めているところでありますが、預貯金口座や健康保険証等の情報を一か所に記録して集約するものではありません。また、仮にカードのICチップから不正に情報を読み取ろうとすれば、このICチップが壊れる仕組みにもなっております。

 こうしたことを制度の安全性ということで丁寧に分かりやすく説明をするよう、関係府省庁と一体となって取り組んでまいりたいと思います。

平林委員 ありがとうございました。

 法制面、システム面、両方面に関しまして様々手だてを講じておられることは理解をさせていただきました。分散管理、またマイナンバーそのものを連携には利用しないなど、本当にシステム面でもしっかりと御対応されているということです。

 一方で、ネット上に様々なネガティブキャンペーンが散見をされまして、こうした内容、事実でない部分や不安をあおるだけの内容が多いのですけれども、一般にはなかなか分かりにくいところもございます。ワクチンでもこんなような扇動もあったわけですけれども、そのときも一つ一つ丁寧に対応されたかというふうに認識をしておりまして、この部分に関しても是非丁寧に対応していただけたらなというふうに考えております。

 また、既に国会でも何度も議論されてきましたように、マイナンバーカードと暗証番号を同時に盗まれてしまえばどうしようもない、こういう議論もあったかと承知をしております。この指摘に関しましては、やはり私は、通帳と印鑑のように別々に保管をしていただくようにお願いするしかないのかなと考えております。究極的には、一〇〇%のセキュリティーはあり得ないと思っておりまして、絶対に合い鍵が作れないとしても鍵を盗まれれば開けられるわけでありまして、だからといって使わないということはどうなのか。

 一方で、マイナンバーカード、マイナンバーシステムそのものの政策目的は、困っている人、傷ついている人、また苦しんでいる人に行政の手を迅速に差し伸べる、この点のメリットは極めて大きいと考えてございます。この行政目的を達成するために、国民の皆様には是非取得をしていただきたいと考えております。

 そのために、今進めておられます保険証との統合で利用できる医療機関の拡大、一月三十日現在でおよそ二万七千件と承知をしてございますが、この普及も期待しますし、また運転免許、これは、免許そのものはおよそ全国で八千万人の方が持たれているわけで、これとの統合にも極めて強く御期待をしております。政府は令和六年度末というふうに言っておられますけれども、できれば前倒しをできるぐらいの勢いで進めていただければと思っておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、牧島大臣にもう一点、小さな質問にはなるかもしれませんけれども、お聞きできればと思います。

 十二月二十四日閣議決定のこの重点計画がございましたけれども、方向性としては賛同しており、行政のデジタル化、準公共データ等々、様々進めていっていただきたいということで、私もしっかりと後押しをさせていただきたいと思っております。

 気になる点が少しございまして、計画書の冒頭に、令和四年の年央を目途にこの計画をバージョンアップさせた次期重点計画を策定するということを目指しておられるとありました。確かに見直すべきは見直せばいいんですけれども、計画全体をバージョンアップするということはかなりな労力を伴うのではないかなと。今の計画をしっかりと進めていただくということが極めて大事だと思いますので、その点に関して見解を伺いたいと思います。

牧島国務大臣 ありがとうございます。

 この重点計画は、デジタル庁を発足して初の重点計画ということで位置づけさせていただきました。進めるべきものをしっかりと進めていかなければならない、御指摘のとおりだと思います。年央に向けて更なるブラッシュアップを目指しておりますが、一から作り直すということではなくて、現状の進捗を確認をして、前倒しできるものはしていく、そのような方針で的確に対応していきたいと思っております。

平林委員 ありがとうございました。

 ある意味、中間報告的な、そういう内容で進めていただくということで、無駄をしっかりとそぎ落として的確な業務の進行を期待したいと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 牧島大臣はどうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

上野委員長 牧島大臣、御退席ください。

平林委員 続きまして、大きく二つ目の話になりますけれども、デジタル田園都市国家構想に関しましてお尋ねできればと思います。

 デジタル基盤の整備に関しまして、5Gの人口カバー率を二〇二三年度までに九割に引き上げるとございます。

 ここで、人口カバー率と考えますと、どうしても都市圏中心になってしまうのかな、このように考えまして、次の部分にも書いてありましたが、地方における整備を加速化させるということを目的としておられるのならば、人口カバー率ではなくて、基盤展開率ということで論じていただくことが重要ではないかと考えておりますが、政府の認識を伺いたいと思います。

野崎政府参考人 お答えいたします。

 5Gのインフラを地方に広げていくためには、5Gの携帯基地局を全国に展開していく必要があります。このため、全国の事業可能性のある地域について、十キロ四方のエリアごとにまず親局となる高度特定基地局を整備し、5Gの利用ニーズに応じて、その親局にぶら下がる子局を増やしていく方針で現在進めております。

 5G基盤展開率は、この高度特定基地局が整備されたエリアの割合でございまして、地方に5Gを展開する上で重要な指標となります。

 総務省としましては、これまで、5G基盤展開率を二〇二三年度末までに九八%とすることを目標としてきました。現在、当初計画を上回るペースで5G基盤展開が進んでおりまして、全国への展開は順調に進んでいると考えております。

 このため、今後は、この5G基盤展開率の指標に加えまして、国民の皆様が5Gの恩恵を実感いただけるように、人口カバー率という新しい指標も目標として追加することといたしました。

 総務省としましては、二〇二三年度までに人口カバー率を九割に引き上げることを当面の目標としておりますが、今年度中に新たな整備計画を策定し、公表する予定でございます。

 こうした取組を通じまして、5Gネットワークの都市と地方での一体的な整備に取り組んでまいります。

平林委員 ありがとうございました。

 基盤展開率もしっかりと進めていただいており、その上で人口カバー率をしっかりと向上させていこうという計画であるということを承知をさせていただきました。

 本件、地方の活性化という意味におきましても極めて重要でありますし、また、スマート農業等々、自動運転も含めまして、IoTという意味におきましても極めて重要であると認識をしております。

 また、5Gと併せて、光ファイバーネットワークの普及にも引き続きの御尽力をお願いできればと考えております。

 現在、世帯カバー率九九・三%というふうに伺っておりますが、私の地元の中国地方、山間部あるいは離島では、光ファイバーが通っていない、これがために、オンライン会議システムが利用できず、まさにデジタルデバイドが発生をしている状況になっております。

 二〇三〇年までに九九・九%という目標を掲げておられますが、これも前倒しするぐらいの勢いで達成をしていただけたらと思っておりますので、是非とも力強い取組をお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。事業復活支援金に関してお尋ねを申し上げます。

 一月三十一日から申請の受付が開始をされたということで、この事業復活支援金はインターネットによるオンラインの申請が基本ではございますが、それに困難を伴う人のために、サポート会場が都道府県に設けられており、サポートダイヤルも設置をされていると承知をしております。

 しかし、サポート会場に関しましては、遠方であったり、なかなかそこまで行くのが大変である、あるいは、サポートダイヤルに関しましては、なかなかつながりにくいということを地元からお聞きをしております。

 地方自治体に協力を依頼するなど、より身近なサポートを検討していただきたいと思いますが、経済産業省の見解を伺います。

飯田(健)政府参考人 お答えいたします。

 事業復活支援金の申請サポートについてのお尋ねでございます。

 大変重要な課題だというふうに認識をしてございますが、今委員からも御指摘ございましたように、この事業復活支援金につきましては、申請者の事務負担ということも考慮いたしまして、手続はこれまでと同様に電子申請ということでございます。

 同時に、御指摘ありましたように、電子申請に不慣れな方々のために、申請手続を対面でサポートするサポート会場、これは、少なくとも全ての都道府県に一つずつ、人口の多いところはもうちょっとということで、全国六十四か所に設置をしてございます。

 この電子申請につきましては、既に持続化給付金や一時支援金あるいは月次支援金といった前身の支援金について受給された方も多くて、既に電子申請を経験済みの方も増えていらっしゃいます。申請サポート会場につきましては、こうした実態ですとか、あるいは過去の給付金事業における利用実態といったものも踏まえまして、多くの方の利便性も勘案しながら、効果的、効率的なサポートが可能な場所に今設置をさせていただいております。

 それから、もう一つ御指摘いただきましたコールセンターでございますけれども、こちらも、過去の給付金事業におきまして、電話がつながりにくい、こういったような御指摘も多数あったことも踏まえまして、今回の事業復活支援金につきましては、それに十分に応えられるように、過去の体制の最大で約四倍の体制を構築しておりまして、しっかり努めてまいりたいというふうに思ってございます。

 また、今、自治体の協力という御提案もいただきました。これにつきましても、自治体は今いろいろなコロナの関係でお忙しいと思いますけれども、自治体の御判断で事業復活支援金の申請サポートを実施している自治体も幾つかあるというふうに承知をしてございます。私どもとしても、各経済産業局の方から都道府県に制度の周知依頼を行ったところでございまして、今後も、こういった積極的な情報共有を行うことで、各地域への周知、広報も含めて自治体の取組も後押ししてまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、事業者の皆様にスムーズに御申請いただけるように、これからも事業者の皆様に親身に寄り添った対応をしてまいりたいと思ってございます。

平林委員 ありがとうございました。

 申請開始直後で今立て込んでいるという状況ではあろうかとは思いますけれども、最後におっしゃられたとおり、本当に重要なことは、傷ついておられる皆様に支援の手を迅速に差し伸べるということだと思います。柔軟な対応を切にお願いを申し上げます。ありがとうございました。

 続きまして、科学イノベーションについてお伺いをさせていただきます。

 日本政府は、大学の研究水準を向上させるために、二〇〇一年以降、二十一世紀COEプログラム、センター・オブ・エクセレンスですね、あるいはグローバルCOEプログラム、またCOIプログラム、センター・オブ・イノベーションプログラムですね、また卓越大学院プログラムなどの様々な施策を実施をしてこられました。しかしながら、論文発表数、博士課程の学生数、なかなか現状、難しいという認識がございます。

 本日、資料を配付をさせていただきました。

 図一の方を御覧いただきますと、これが論文発表数でございます。上の方に二つ線が見えますけれども、青い線が米国、赤い線が中国ということで、その下に、たくさん線がある中で、緑の線が日本ということになってございます。米国は堅調な増加をしておられて、中国は本当に爆発的な増加をしている、こういう状況の中、日本は、二〇〇五年ぐらいですかね、そこぐらいまでは何とか少しずつ増えていったにもかかわらず、その後、横ばいの傾向に入っているのかなと。

 図二を御覧いただきますと、こちらは、我が国における博士課程在籍学生数の推移でございます。二〇〇五年をピークに横ばい、若干ちょっと減っているように見える部分もあろうかと思います。二〇一二年以降、日本国内と留学生という色分けをさせていただいておりますけれども、青の日本人学生を見ますと、少しずつ減ってしまっている、こんな状況も見て取れるかと思います。

 こうした状況の要因をどのように分析をしていらっしゃるのか、そして、それらをどのように解決をしていこうという考えの下に、現在御提案の世界と伍する研究大学実現ファンドでありますとか地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを提案されているのか、見解を伺いたいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の研究水準につきましては、今委員から御指摘のとおり、被引用数トップ一〇%補正論文数などの実数は低下をしていないものの、中国やアメリカなどの論文数の著しい増加に伴いまして、相対的な立ち位置が低下をしてございます。

 また、博士課程学生については、修士課程から博士課程に進学するいわゆるストレートドクター、これが、進学者数はこの二十年間で二五%減少しているという状況がございます。

 その背景としては、例えば、第一に、基盤的経費の在り方と相まって複雑化する競争的資金の申請などの事務や手続などにより研究者の研究時間の減少を招いていること、第二に、世界トップレベルの研究大学が自己収入を含む様々な資金を獲得し、事業規模を拡大し、我が国の研究大学との事業規模の差が拡大していること、他方、これらの世界に伍する研究大学だけではなくて、多様な大学の強みを引き出す府省横断の政策が必要なこと、第三に、若手研究者が腰を据えて研究できる環境が十分でないとともに、博士号取得者の多様なキャリアパスが十分開けていないことがあると認識をいたしております。

 したがいまして、政府といたしましても、第一のお答えにつきましては、例えば、国立大学運営費交付金を平成二十七年度以降同額程度を確保するとともに、科研費の充実や創発的研究支援事業の創設などを講じてきたところでございます。さらに、昨年四月からスタートした第六期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえ、競争的資金の簡素化、デジタル化、迅速化に取り組んでいるところでございます。

 第二の、大学への支援の在り方につきましては、御指摘のございました十兆円規模の大学ファンドを創設し、その運用益により、世界に伍するトップレベルの研究大学を支援することとしております。同時に、これらの世界に伍する研究大学だけではなくて、特定分野での研究拠点を持つ大学や地域の産業振興や課題解決に貢献する大学など、多様な機能を担う大学全体が我が国の知の基盤として重要な役割を担っていることを踏まえ、今般、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージを策定したところであり、予算の確保を始めとした支援を政府全体で講じるということにしてございます。

 なお、第三の、博士課程学生支援につきましては、今年度から、ストレートドクターの約半分が生活費相当の支援を受けられるようにするなどの抜本的な拡充を図ったところでございます。また、創発的研究支援事業や若手への任期なしポストの充実などを促す研究費改革、博士課程学生に対するジョブ型インターンシップの実施など、博士号取得者の多様なキャリアパスの確立のための取組を行ってございます。

 引き続き、これらの施策に政府全体で取り組むことにより、大学における研究力の強化に取り組んでまいりたいと考えて存じます。

平林委員 ありがとうございました。

 かなり詳細にお答えをいただいて、三つの着眼点を持って取組を進めておられるということを言っておられたんだと思います。

 大学というのは、大学の中にいるのと外から見るのと、これはかなり違うと思うんですね。中にいた人間の一人として感じますことは、もう冒頭におっしゃられた点ではございますが、やはり時間がないという点は極めて深刻な課題になっているというふうに思います。

 私も何人かの先生と連絡を取らせていただきましたところ、今まで様々なプロジェクトが立ち上がって実際に幾つかのものに関わってきたけれども、なかなかその冒頭の理念が実現され切れていないというような実感を持っておられる先生もおられますし、また、運営費交付金、二十七年度以降は同額レベルというふうにおっしゃられましたけれども、それまでは残念ながら減っていることもあったかと存じます。そういったこともありまして、非常に厳しい雰囲気が漂っているというようなことも聞いてございます。

 内側のこういった雰囲気も是非感じていただきながら、特に、時間を確保するということは極めて重要な課題だと思います。時間がないとイノベーションというのは生まれないと私は感じておりますし、是非ともそういった点を含めて施策を御検討いただけたらと思いますので、何とぞお願いを申し上げます。ありがとうございました。

 最後になります。

 東京一極集中という話が先ほども出ておりましたけれども、最近のニュースで盛んにこういったことが流れております。二〇二二年一月一日、今年初頭の東京都の推計人口が四万九千人弱減ったという内容でございます。〇・三%の本当に僅かな減少だと思いますけれども、ここまで話題になるその理由は、都の人口が通年で減るのは二十六年ぶりである、こういう現実があろうかと思います。

 我々の分野で、情報理論というのが一つの基本なんですけれども、その中で、教科書の冒頭に書いてある例え、犬が人をかんでもニュースにはならないが、人が犬をかむとニュースになる、こういうことが例え話で載っております。まさに、人が犬をかんだ、そんな状況が発生してこれだけのニュース性を持っているのではないかなと感じております。

 ただ、この動きも限定的と考える専門家もおられるようであります。

 日本の人口は二〇〇八年をピークに減少に転じており、東京や首都圏の人口増加と併せて考えますと、地方の人口の減少は本当に大きいと思います。東京の人口が四万人減ったといっても、その移転先で報道されているのは、神奈川でありましたり千葉でありましたり、東京圏の一都三県だったりします。

 また、それ以外に、移住された方を支援する施策、地方創生移住支援事業の交付実績、伺いましたところ、令和一年から三年間で千八百人程度ということで、日本の人口の三割を抱える首都圏から千八百人程度の方がこういった施策で移られたということも考えますと、より実効性のある施策を考えるべきではないかなと感じております。

 そういった観点から、既に議論をされております国会等の移転という大きな問題、これも、今考えることは意味があるのではないかなと思っております。

 国会等移転審議会、一九九六年十二月に設置をされ、九九年十二月二十日に内閣総理大臣に答申がなされたと承知をしておりまして、その中では、移転候補地を選定したり、新都市の在り方や、意義、効果などが議論されたと伺っております。これから既に二十年以上が経過をしており、我々はこの間、東日本大震災を経験し、コロナ禍を今まさに経験している。また、地球温暖化という巨大な課題にも直面をしております。

 こうした新たな問題意識の下に、最新技術も加味をしながら、今再びこの問題を真剣に考えることには意味があるのではないかと考えておりまして、政府の見解を伺いたいと存じます。

加藤大臣政務官 国会等移転につきまして御質問がありました。

 国会等の移転につきましては、一貫して国会主導で検討が行われてきたところであり、平成十六年十二月に国会等の移転に関する政党間両院協議会におきまして座長取りまとめがされた後、国会での具体的な議論が止まっている状況であると認識をしております。

 国会等の移転に関するこれまでの議論では、分散移転や防災、とりわけ危機管理機能、いわゆるバックアップ機能の中枢優先移転などについて考え方を深めていくことが課題であるとされていると認識しております。

 このような経緯も踏まえまして、国会での議論が進むことが重要であると考えており、調整を担当する国土交通省では、国会からの要請に基づいて必要な協力を各府省と連携して行ってまいります。

 また、現在、国土審議会におきまして、デジタルを前提とした新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところであり、関係府省と連携し、東京一極集中に向けた議論を進めていきたいと考えております。

平林委員 ありがとうございました。

 国会での議論が大事であるというお話であったかと思います。

 そういう意味におきましては、今ここに御出席の先生方とも御議論をさせていただきながらこの話は考えていければと思いますけれども、この話は、地方創生、感染症、災害、地球温暖化などへの対応でもあり、二十年前と比べて大きく発展した技術、ビヨンド5Gとかメタバース、自動運転、ドローンなど最新の技術を駆使することによって壮大な未来を描くことも可能であると考えております。これがモデルケースとなって全国の自治体に様々な波及効果をしていくことも期待をできますので、検討の前進を強く期待して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 答弁の修正があるようですので、加藤国交政務官。

加藤大臣政務官 先ほど、答弁の最後の方で、東京一極集中に向けたというところ、東京一極集中の是正に向けたと訂正させていただきます。大変失礼いたしました。

平林委員 ありがとうございました。

上野委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 今日は、まずは大臣所信ということで、全体の方針についてのお話をしていきたいと思います。

 まずSDGsなんですけれども、これは、事務局、外務省でふだんはされているわけなんですけれども、二〇二一年、去年の報告書ですけれども、相変わらず、女性活躍、ジェンダー平等というようなところがなかなか低いというのに加えて、責任ある生産と消費、十二番、それから不平等、十番、こういったところについては、データがないので評価ができない、このような話になっております。

 つまり、日本政府としてこれはしっかりと取り組まなきゃいけないということで、十七位が十八位にランクダウンをしている、一生懸命やった結果であれば、それはそれでこれからも頑張りますということでいいんでしょうけれども、なかなかデータの収集さえままならないというようなこと、外務省だけに任せておいて大丈夫なのかということで、政府全体としてこれはしっかりと取り組んでいただいて。

 折り返し年になります、二〇一五年から二〇三〇年にかけてということで、折り返し点になる今年であります。六月にはまた報告が上がると思いますので、これに関して、まずはしっかりとデータを上げる、こういうことによってランクも上がってくるかと思いますし、二〇三〇年に向けて、まだまだ達成していない目標というのは非常に多いわけです。大企業やあるいは政府におかれましては、できることはやっているというような形にもなってきているのは現状でありますけれども、じゃ、中小企業やあるいは個人、こういった部分についてしっかり取組が進んでいるかというようなところについても、私も問題意識があります。

 私、地元の大阪の堺市ですけれども、来週、スコープ3、いわゆる中小企業も含んだサプライチェーン全体で温室効果ガス、いわゆるCO2の削減をするというようなことについて研修会をやろうというような話になっておりますし、また航空燃料、これについても、いわゆる化石燃料一〇〇%ではなくて、植物由来の油が一〇%あるいは二〇%入っていなければヨーロッパの空港には着陸できないよというような流れの中で、食用油、これを回収をするというような実践も進んでおります。

 そういった形で、こういうことをするとSDGsがもっと進むよというようなことで、中小企業やあるいは個人に対してもしっかりと具体的に提案をしていくべきと考えますけれども、政府全体としての方針として、官房長官にお伺いします。

松野国務大臣 森山先生にお答えをさせていただきます。

 経済、社会、環境問題に対して包括的に取り組むSDGsは、新型コロナウイルス感染症や気候危機という未曽有の危機を乗り越える上で重要な羅針盤となるものであります。

 岸田政権が掲げる新しい資本主義は、資本主義がもたらす弊害を是正をし、持続可能な経済社会をつくり上げ、社会課題の解決を新たな成長の源泉としていくというものであり、まさにSDGsの達成にもつながる取組であります。

 政府としては、御指摘の国際社会からの評価も考慮に入れ、新しい資本主義の実現を通じてSDGsを達成し、誰一人取り残さず、全ての人が生きがいを感じられる新しい社会の実現を目指していく考えでございます。

森山(浩)委員 リーダーシップを持ってやっていただけるということでいいですね。はい。SDGsを諦めると言われなくてよかったです。

 さて、会計検査院の令和二年度の決算報告です。九百ページ以上のものが出ています。これについては、毎年出ていることでありますけれども、九百ページを超えるこの報告、これに対して……

上野委員長 済みません、官房長官の御退室、よろしいですか、記者会見で。

森山(浩)委員 いいですよ。どうぞ。

上野委員長 では、御退室お願いします。

森山(浩)委員 会計検査院の検査報告ということで、これはもちろん、検査報告があったらそれに対して対応するというのが基本であると思いますが、たまに、それがそのままになっているというような事例も散見をされることもあります。

 今回は、一つ、警察署の浸水対策への指摘がありまして、水害があったときなどに、消防、警察、自衛隊というような形で最初に頼りにされる施設でありますので、警察署が浸水をしてしまっては元も子もないんだという指摘がありました。これに対してどのような対応をされていますか。

二之湯国務大臣 昨年、会計検査院から、一部の警察施設において、災害等の際の浸水により非常用電源設備等が損傷する可能性がある旨の指摘を受けました。

 これを受けまして、警察庁では、昨年九月、都道府県警察に対しまして、災害時による浸水被害想定等を的確に把握した上で、止水板の設置、さらには、非常用電源設備の移設等の浸水対策を計画的に実施するよう、各都道府県に指示をいたしました。

 警察署等の警察施設は、災害時には非常に重要な拠点施設となるわけでございますから、災害に強い施設でなければならないと考えております。都道府県警察の浸水対策を着実に実施するよう警察庁として指導をしてまいりたい、このように思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これは、指示はしたけれども、確認もしていただくということでいいですね。

二之湯国務大臣 委員御指摘のように、確認もさせていただきたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 もう一つが、これは部局横断というか省庁横断になりますけれども、PFI。

 民間に任せることは民間に任せた方が安くなるというようなことも含めて推進をされているわけなんですけれども、これに関しては、やはり公的な責任があるんじゃないかというようなこともある中、それでも、お金の部分においては大丈夫だと言っていたところが、バリュー・フォー・マネーについて疑義があるというような指摘をされています。これについてはどのように対応をされていますか。

牧島国務大臣 昨年五月に公表された「国が実施するPFI事業について」の会計検査の報告についてのお尋ねと受け止めております。

 各府省庁は、バリュー・フォー・マネー、VFM評価に当たり、より実情に沿った算定を行った上でPFI事業の実施について判断すること、各府省等は債務不履行の再発防止に向けて改善に取り組むこと、各府省等は事業期間終了に伴う評価を客観的に行うよう検討すること等の趣旨の所見が示されたものと承知しています。

 これを受けまして、PFI制度を所管する内閣府としては、この報告を受けたPFI事業の適切な改善が行われるように、令和三年六月に、関係府省等や地方公共団体に対して通知を発出しております。

 その中で、事業選定等に当たって適切なVFM、バリュー・フォー・マネーが算定されるよう、VFMに関するガイドラインの趣旨の明確化、事業者による公共サービスの適正かつ確実な実施が確保されるようモニタリング及び契約に関するガイドラインを踏まえた適切なモニタリング等の実施の要請、そして、事後評価マニュアルを参考とした適切な事業評価の実施の要請を行っております。

 今後も、内閣府としては、制度の周知を図るとともに、関係府省等とも、又は地方公共団体とも連携をして、このPFI事業が適切に実施されるように取り組んでまいりたいと存じます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これは、各省庁にわたる問題ということであるということと、やはりPFIについて、公共でやるべきもの、そして、民間に任せたらこれは手抜きされるんじゃないかといったリスク、あるいは最終的な責任をどう取るかというような課題も残っているままでございますので、しっかりとチェックしていただきますようによろしくお願いをいたします。

 この検査報告についてはしっかりと今後もチェックしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、公文書の管理の問題です。

 退陣間際の安倍内閣が、アーキビストを二〇二六年までに千人認証するという方針を打ち出しをされています。

 アーキビストというのは公文書の管理を行う専門家のことでありますけれども、文書の管理には、保存、整理、公開の三段階があります。この中で最も重要なのが整理という部分で、いわゆる目録をしっかり作って検索できるようにするということですけれども、整理の方法論がまさに整理をされていなければ、保存すべき文書を保存できない、あるいは当然公開すべき文書も公開できないということにもつながります。アーカイブの重要性は、この整理の方法論を全官庁で共有をするということが大事だと考えています。

 さて、アーキビストの認証に当たって、公文書管理の中で最も重要な整理の問題について、方法論の共有に関して、また、アーキビスト千人、今どのような形で採用されているかということも含めて、お答えをお願いをいたします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 アーキビストについてということでございます。

 先生御指摘のアーキビストは、おっしゃるとおり、国民共有の知的資源である公文書等の適切な管理を支えて、永続的な保存、利用を確かなものにするための重要な人材というふうに受け止めております。

 そのような趣旨から、そしてまたその整理をしっかりやるという趣旨から、国立公文書館において令和二年度から認証を開始しております。これまで認証を二回行っておりまして、合計で二百四十七名、そういった職員を認証してきているところでございます。

森山(浩)委員 というような現状の報告をいただきましたが、大臣、この整理ということに関して、安倍内閣というのは、森友事件が起こったりして、この間、裁判でも認諾をされたということで、公文書の管理については大きな問題を残した。これは国家が存続をするという上で非常に大きな傷ということなんですけれども、こういうことがないように、また、今後の歴史の評価に堪えられるようにということで、公文書をきちんと集めて、また整理をするということが大事だと思いますが、この部分についていかがですか。

若宮国務大臣 今森山委員が御指摘のとおり、公文書の管理の重要性、これは私もしっかりと認識をいたしているところでもございます。

 公文書の管理、これは、現在及び将来の国民への説明責任を全うし、そして民主主義の根幹を支えるための極めて重要なものだというふうに考えてございます。また、事務事業の跡づけ、そして検証ができるような形で文書を作成し、適切に整理、保存していくことが重要であるというふうに考えてございます。

 私は、担当大臣といたしまして適切な公文書管理にしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。

森山(浩)委員 整理については、省庁間できちんと一つの基準でやるということでよろしいですか。

若宮国務大臣 はい。省庁間でまずはきちっとした対応をするということで結構でございます。

森山(浩)委員 国立公文書館の職員が二百人程度、そこに千人のアーキビストという形で、全国からいろいろな資料が集まってくる、これを整理して公開をする。

 大日本帝国時代の、当時は日本だったわけですけれども、台湾に残っている公文書と日本に残っている公文書で、白黒とカラーというようなことがあったりとかいろいろなことがありますので、できるだけ本来のものに忠実なものを残していくということも含めて、この部分についてはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。引き続き議論をしてまいります。

 さて、コロナにつきまして、全体についてはこの後同僚議員からいろいろお聞かせをいただきますけれども、コロナに関する、こんな状況になるとは誰も思っていませんので、多めの予算をつけて、できるだけショートしないようにするというようなこと、執行状況等を見ていましても、まだ余っているよというような予算があったりもしますが、こういうものについては私は悪いことではないと思っています。しっかり予算をつけて、必要なところにお届けをするというのが大事だと考えていますけれども。

 今、アベノマスク、いわゆる布マスクを、これはウイルスを防ぐ効果がほぼないんだということで批判も出ましたけれども、これが、十億円をかけて皆さんに配るんだというような話が出てきて、いや、これは廃棄したら六千万円なのに大丈夫なのかというような批判も出ているところですが、この配付事業の現状についてお知らせください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの布製のマスクに関しまして、配付の希望を受け付けておりました昨年の十二月の二十四日から本年一月の二十八日まで、その間で合計約三十七万件の多数のお申出をいただいたところでございます。

 ただいま厚生労働省におきましては、まず、この多数の御希望についての集計作業を行っているところでございまして、まだ一か月程度、希望者への配付枚数の決定にお時間を頂戴する予定でございます。また、配送費用につきましても、そういった作業の結果、明らかになるものと考えております。

森山(浩)委員 個人に対しても最低百枚というようなことで、十枚でよかったのになというようなお声もあったりもするわけで、これも含めて、例えば、じゃ、配りゃいいんじゃないかとか、あるいは都道府県庁まで届けるからそこに取りに来てよとか、いろいろな話があるかと思います。国民の税金を使ってやるかどうかという話については、また政務とお話をさせていただきたいと思います。

 さて、ワクチンの担当大臣、堀内大臣ですけれども、ワクチン担当大臣というのは、厚生労働大臣もいらっしゃる中で、どのような役割を負っておられて、また、支える体制というのはどんなものか、また、前担当大臣との体制の差というのはあるんですか。

堀内国務大臣 森山委員からお尋ねをいただきました。

 ワクチン接種につきまして、私自身は、ワクチンの自治体への供給、ワクチンに関する国民への発信、そして関係省庁との調整、そういうものを担当させていただいているところでございます。

 また、私を支えてくれている体制というものでございますが、佐藤内閣府副大臣、そして島村内閣府政務官のほか、併任者も含めて約二十名程度の担当職員がいるといった状況でございます。

 厚生労働省や内閣府広報室を始めとした関係省庁の協力を得て、ワクチン接種推進業務に取り組んでいるところでございます。

 そして、河野大臣を支える体制との差というところもお尋ねいただいたかと思っております。

 一、二回目接種から現在にかけては、そのときの業務状況に応じて適宜体制が伸長しており、一概に増減をお答えすることは難しいというふうに存じております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省や内閣府広報室を始めとした関係省庁の協力を得ながらワクチン接種推進業務に取り組んでおりまして、これからも頑張ってまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 昨日、役所の皆さんとお話をしているときに、いや、会見の回数も変わっていませんよというようなお話もいただきました。大臣、サボっているとは思わないんですが、河野大臣もしょっちゅうテレビに出ておられて、どんどんどんどん発信をして、やり過ぎだというような批判もあったりもしたわけですけれども、今の体制というのは、先ほど、第一、第二の接種時に比べて、平時というような感覚なんでしょうか。

堀内国務大臣 平時と同じような感覚であるかというお尋ねであったと思っております。

 ワクチン接種体制、三回目の接種、着実に推進していくように、今全力で、まさに全力で、平時ではなく、どちらかというと戦いの中で頑張っているというふうな、気合で頑張っております。

森山(浩)委員 河野大臣のキャラクターの後でこの大臣を務められるのは大変だと思いますけれども、体制自体が、やはりもうちょっと、気合入れてやるんだというのであれば、増やしていただくとか、あるいは、地方自治体に対してこれだけの数をいつまでに渡すよというような話を出すとか、いろいろな形で具体的にやっていった方がいいんじゃないかなというふうにも思いますので、また、今後よろしくお願いいたします。

 さて、クールジャパンなんですけれども、若宮大臣、クールジャパンの担当大臣というのは何をする大臣ですか。

若宮国務大臣 クールジャパンは、日本のいわば、単純に言うと、格好よさ、あるいは、よさ、魅力を外に発信をしていくということがまず第一義的にあろうかと思っております。

 私どもの国、委員も御存じのとおりだと思いますが、アニメですとか漫画ですとかポップカルチャーですとか、あるいは伝統文化、そういったものも含めまして多様な魅力があるというふうに思っております。

 こうしたものを磨き上げて、世界に向けて発信をして、日本に対するファンを大いに増やしていこう、そしてまた、担い手の育成、あるいは連携強化などの取組も戦略的に進めていくことも重要であろうというふうに考えてございます。

 特に、今の、クールジャパンの役割ということでございますけれども、新型コロナが二年強蔓延する中で、なかなか厳しい状況に置かれている方々もたくさんおられるかと思いますので、引き続き、必要な支援、しっかりと取り組んでまいりたいな、このように思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 クールジャパン、いいものを磨いて、そして発信をしていくという中において、幾つかの課題があると思っていまして、現場の話を幾つか聞いていただきたいと思います。

 日本は、著作権については、海賊版天国と言われたこともあり、なかなか、著作権が守られていないんじゃないか、あるいは摘発が少ないんじゃないかというような批判もありました。

 そんな中で、昨日ちょうど、ネタばれサイトの摘発というのがありました。作品の中身を丸ごとネットで公開をしてしまうということなんですけれども、このネタばれサイトの摘発等について、御報告をお願いします。

緒方政府参考人 お尋ねの件については、昨年の統計は現在取りまとめ中でございますが、令和二年中、警察では、いわゆる海賊版事犯を含む著作権侵害事犯を百十二事件検挙しており、そのうちインターネット利用に関するものについては百二事件を検挙しております。

 また、昨年から本年にかけても、御質問にありました福岡県警察が摘発したネタばれサイトのほか、映画の短縮版動画であるファスト映画、著作権を侵害するサイトへのリンク集を掲載するリーチサイトなどを摘発してきているところであります。

 警察として、今後とも、関係機関や著作権関連の民間団体とも連携しつつ、いわゆる海賊版サイトの撲滅に向け、著作権法違反事件については法と証拠に基づき厳正に対処するなど、適切な役割を果たしてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 作品をしっかりと守るということは非常に大事なことだと思いますし、また、これなんかは、もしかしたら国際的なことも含めて連携をしなきゃいけないかもしれません。目配りをお願いをいたします。

 芸能従事者の皆さん、これは、物を作るといっても、コロナ禍において、演劇ができないとか、そもそも人が集まれない、ドラマを撮るのも大変だというような状況もありました。その間仕事がなくても、また明けたらできるよというものではなくて、その方々も、かすみを食って生きているわけではありませんので、コロナ禍におきましては非常に大きな打撃を受けておられます。

 また、そもそも芸能従事者の労働条件というのは非常に悪いんだというようなことでの訴えもありまして、例えば、女優さんなんだけれども、仕事の現場に女性専用のトイレがないであるとか、仕事の現場に着替えをする専用の場所がない、そこで着替えておいてと。このままじゃ、もう生きていけないなと思ったことがあるよと。あるいは、仕事以外にアルバイトで何とか生活やっているんだよというようなことも、現状、報告をされています。

 こういうことについて、今、労働の現状について、芸能関係者について把握をされていますでしょうか。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の文化芸術を世界に向けて発信していくためには、その担い手となる芸術家の皆様が安心、安全な環境で文化芸術活動ができるということが重要であるというふうに存じております。

 このため、文化庁におきましては、昨年の九月に、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議というものを設置させていただきまして、契約の書面化の推進や適切な契約関係の構築等について検討を進めているところでございます。

 そうした中で、検討会議での議論や作業部会での芸術家の皆様へのヒアリング、また、個人で活動される芸術家の皆様を対象としたアンケート等を実施する中で、まさに御指摘にございましたように、トイレや控室がないとか暗所、高所での業務があるといった就業、作業環境に関する御意見をお伺いしているところでございますので、今後こういった御意見を参考にさせていただきながら、関係府省庁とも連携し、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに存じております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。これもまた、報告が出てくるということですから、よろしくお願いします。

 我々、大臣もおっしゃいました日本が誇るアニメですけれども、このアニメーターの給料というのも、日本に対して中国は倍以上だというようなお話があったり、また、ジャパン大好きだ、日本の作品をやりたいと思っていても、アルバイトで外国のをやらないと生きていけない、こんな話も仄聞をいたします。

 この現状については把握をしておられますか。

中原政府参考人 日本アニメーター演出者協会が二〇一九年に実施しました調査によりますと、アニメーション制作者の平均年収は、二〇一五年に比べ増加をしております。また、単純な比較はできませんが、国税庁による民間給与実態統計調査と比べても、給与平均を上回るなどの増加傾向にありますが、若手の人材、二十歳から三十歳代の前半の皆様につきましては、なお給与平均を下回る状況にあるものというふうに承知をしてございます。

 このような中、文化庁におきましては、若手人材の技術の習得や経験値の更なる充実に向けて、作品制作を通じたOJTによる実践的な人材育成プログラムや、アニメーション制作に必要な知識や技術を身につけるための講座などの取組を実施しているところでございます。

 引き続き、我が国のアニメーション制作を支える人材の育成と、その活動の支援に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。

 先ほど、昨年九月に設置をした私どもの検討会の中で、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議と申すべきところを、文化芸術分野の適切なと申し上げたかもしれません。その点、修正をさせていただきます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 今、給料がちょっと上がってきている話がありましたが、最初の段階で百十万ですよ、平均の二十代前半の年収。百十万、暮らしていけますか。そこでいろいろ技術を身につけなきゃいけないんです。だから、そこの部分をしっかり厚くやっていく。あるいは、アニメーターというものを保護していかなければアニメーションはできませんから、こういった部分も含めて、クールジャパンの担当大臣としては、横横で連携をしながら是非取り組んでいきたい、そこまでの視野を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後、ドバイ万博について、集客が苦戦しているという報道があります。一月までに一千万人程度ということで、二千五百万人の目標達成は難しいだろうというような状況です。

 チケットを安売りしたり、あるいは老人や子供たちに関しては入場料を無料にしたりということで随分頑張っておられるようですけれども、関西万博、二〇二五年です。これに関して、二千八百万人の目標という形で、これはコロナ前の数字ですけれども、このまま突き進んでいるという状況でもあります。インターネットを含めてやっていくんだという中でありますから、見込みの見直し等をするおつもりはありませんか。

若宮国務大臣 新型コロナウイルス感染症に関しましては、まさに政府一丸となって全力で対応してまいりたい、できるだけ早く収束に導いていきたいというふうに考えているところでもございます。

 今委員御指摘になりました目標の大阪・関西万博二千八百万人、これは何とか実現したいな。今年が二〇二二年でございますので、三年後の四月からということになってこようかと思います。

 まさに夢や驚きを与える魅力ある万博、委員も御地元でもございますので、また更なる御尽力をいただければと思っております。

森山(浩)委員 引き続き議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。

 今日は、野田大臣、二之湯大臣にお越しをいただいております。よろしくお願いいたします。

 まず初めに子育ての方からお伺いをしていきたいと思っておりますが、今日の質疑でございますけれども、この前の所信を受けての質疑ということで、野田大臣が御担当の、今度こども家庭庁の設置もございますし、それから、今後、給与法のこともありますので、二之湯大臣にも、法案を持っていただいているということでございまして、その前段のような質疑ということで、これは、お二人のそれぞれの分野に対する思いを含めて、是非、これからの審議の参考にさせていただければなと思っておりますので、その辺りのことについてお聞かせをいただいていきたいなというふうに思っております。

 まず、子育ての関連で野田大臣にお伺いしていきたいと思っております。

 まず初めに、私自身がお断りしておきたいなと思っておりますのが、いろいろ子育てのことをこれから議論をさせていただきますが、これは、私自身の反省ですとか足りなさを重々承知した上での発言でございますので、よく、うちに帰って、あんたが何を言っているんだというふうに怒られることが多々ありますけれども、これは、今後の世代へのエールということも含めて、あるいは自分への反省も含めて質問をさせていただいているということで、御理解をいただきたいなというふうに思っております。

 とにかく、子供を育てるというのは私たちの国の将来をつくっていくという大事なことでございまして、こどもまんなか社会だったですかね、そういった言葉を出していただいておりますけれども、やはり、私たちが日本の国をこれからどうやって形作っていくのかということを考えますと、この子育てとかあるいは教育という問題からは目を背けることができないことでございまして、非常に大事なことだなというふうに思っております。

 特に幼少期、これからゼロ、一、二歳のことなんかを話題にさせていただきますけれども、やはり、親と子供と、その愛着だとか信頼感だとか、そういった精神的な基礎、基本をそういう幼少期につくっていって、その上に小学校、中学校、高校、もっとそれ以上の、その精神的な基盤があって教育というものがそこに乗っかっていくというような、そういうイメージだと思うんですが、非常に大事なその中核を担う時期だという中で、それをどのように私たちが制度として扱っていくのかということは、やはりそこに心がないと、これは制度だけの問題になってしまって、気がついたら、こんなはずじゃなかったのにということになりかねないという私としての危惧、心配がありまして、そのようなことがないようにということでお尋ねをさせていただきたいなというふうに思っております。

 私、浪人中から、親心を育む会という会がございまして、これは、埼玉県内の保育園の園長さんとか主任さんだとかが勉強会のようなものを開いていらっしゃって、そこに、ここのところコロナの時期なのでそんなに頻繁には私も顔を出せないんですけれども、そういったところで、いろいろと保育園、保育所の運営に関わる問題について、私も生の先生方の、保育士さんのお声ということで聞かせていただいております。そのようなことも含めて議論をさせていただければなというふうに思っております。

 まず最初に、親、保護者と保育園、保育所等との役割分担について改めて確認をさせていただきたいと思います。

 親がいて、子供がいて、それをサポートするのが保育園だ、こういう考え方でいいと思うんですが、かつては保育に欠ける児童が保育所に入るんだという扱いをされていましたが、確かにそれは、いろいろな社会情勢の変化等もあってやはりニーズが多様化している。

 例えば、正社員、正職員で働いていなくても、パートさんもいらっしゃるし、あるいは、勤務というものがなかったとしても、例えば求職中だとか仕事を探しているところだとか、あるいは、次の子供さんが生まれて上の子の面倒をなかなか見られないとか、あるいは介護ですね、介護が出てきたので子供さんにかける時間帯というのはどうしても限られてしまうとか、いろいろなニーズというものがあると思いますので、それを埋めていくというのは、私は大賛成です。

 ただ、誰が主体となって、保育園はどういう役割をするのかということをやはり改めて確認をしておく必要があるかなと思っておりまして、まず、野田大臣にこの点をお伺いをさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今の御指摘は、誰が一義的に子供のそばにいて育てるべきかというような御質問でよろしゅうございますか。

 子育ては、まず、父、母、その他の保護者が第一義的に責任を有すると考えてはいますが、保育所においては、入所する子供の最善の利益を考慮して、その福祉を積極的に増進することにふさわしい生活の場として、子供を保育するとともに、家庭等との連携を図りながら、保護者に対する支援や地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担っていただいているものだと思っています。

 親が全てを担えなくなっている中、やはり、こどもまんなかというのは、社会の真ん中に置いて、親以外の人たちがどう子供に関わって、一人の人として育て上げていくかという、今までとはちょっと、これまでは子供は家庭で育てるべきだから、いやいや、それはなかなか難しいということがデータ上も明らかになってきているので、思い切って、大人の後ろに隠れていた子供を社会の真ん中に置いて、どんな子であれ、そこで、親はもとより、その周辺の人たちが、大人がその知見の限りを尽くして子供たちを守っていこうというのが、こどもまんなかの政策の考え方だと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほどの、園長先生方の、いろいろな親御さんたちと関わる事例の中で、非常に心配な例が出てきているというのは、預けて当然だ、私たちはお客様であって、まあそうは言いませんけれども、保育園等がサービスを提供する側だと。お客様は神様ですの延長でこう言ってしまっているという、そういう若い方なんかの発言が出てきているということが非常に心配だというようなお話がありました。

 私も、大臣がおっしゃったような、親に全部押しつけるとか、そういうことは全く申し上げるつもりはないんですが、やはり親も生まれた瞬間から親として完成しているわけではありませんで、いろいろな経験、つらさ、育児の中のいろいろなことを通じて親も成長していく部分があるんだと思いますので、まず、誰がちゃんと責任を持って子供を育てていくべきなんだということを、親になる前から、あるいは親になったときから、そういったことを、保育に関わる方たち、先輩の親でもある保育園の関係者の方たちが、どうしても、単なるサービスの提供者というのではなくて、先輩としてアドバイスをしたりとか、時には指導的な役割を果たしていくべき部分もやはりあるんじゃないかな、そんなことを思っております。

 それで、後でちょっとお伺いするんですが、保育者体験というのがありまして、園の先生方はそれを推奨しているわけなんですけれども、保育者の体験をして、一日、保育士さんと同じようにやったお父さん、お母さん、あるいはその他の保護者の方からの感想文の大体七割ぐらいが、保育士さんに対する感謝の気持ちを述べているらしいんですね。そういったものを紹介をした場面があったらしいんですけれども、それに対して、何で私たちが保育士さんに感謝しなきゃいけないんですかという問いかけ、これは率直だと思うんですね。私たちが子供を預けて保育を受けるのは当然の権利じゃないんですか、何で感謝しなくちゃいけないんですかという問いかけが出てきたと。

 これは別に、法的にどうのとか契約上どうのとかということを私は申し上げるつもりは全くありません。ただ、自分が親としてどういうふうに立ち居振る舞うべきなのかな、どうあるべきなのかなということを考えると、その発言が出てくることの危うさというのがやはりあるんじゃないかなというふうに思っております。

 最近、保育の長時間化というのが問題になっておりますけれども、十一時間が標準として位置づけられているということで、十一時間の保育の時間というものを考えると、当然のことながら、正職員さん、正社員さんの保育士さんであっても八時間をカバーするのがマックスである、それは多少残業すれば別でしょうけれども、通常で考えて、八時間の枠を一人の保育士さんで担う。その前後の、朝早い時間とか夕方の時間というのは、パートの保育士さんなりで埋めていく必要があるということですね。

 ですから、預けたときの保育士さん、メインで見ている保育士さん、それから受け取るときの保育士さんがみんな替わっていくパターンというのがかなり多い、それが普通だと。中には、正職員さん、正社員さんの保育士さんもいなければ、本当に細切れの、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんという形で、保育士さんが一日の中でも入れ替わるようなケースも場合によっては出てくる、こういうことでございまして、保育が担う家庭的な役割ということを考えると非常に難しい部分があるというふうに考えております。

 この保育園等が担う家庭的な役割について、大臣がどのように捉えていらっしゃるか、御認識をお伺いできればなと思っています。

野田国務大臣 今、保育所の在り方について、一人の保育士さんが一人の子供のケアができない状態、複数が関わってくる、これは特に問題はないのではないかと思います。

 保育所は、家庭ではなく、やはり必要としている子供たちに、大人がしっかりとその育ちを支え、健やかに、けががないようにとかそういうことを見守りながら子供たちが集団の中で育っていく場所ということでありますので、ちゃんと決められた保育指針をしっかり守っていただく中で取り組んでいただければよろしいんじゃないかと。

 むしろ、兄弟が少なくなっている中、家の中にいるとどうしても社会性が身につきづらくなる。昔は、兄弟間でいろいろなやり取りがあって、自分以外の人とのコミュニケーションというのが、親以外、子供同士で取れていたけれども、最近はやはり一人っ子が多い中で、むしろ、そういう保育所に出て同世代の子供たちとの社会性を身につけていくこと、そういうことというのも、子供の学び、育ちの中では極めて重要、家庭ではできない重要な要素だと思っていますので、それぞれ、家庭でやるべき持ち味、そして保育所が担う仕事の持ち味というのは別々であっていいと思うし、それが総合的に子供の育ちに役立っていければ、それはいいのではないかというふうに私は理解をしているところであります。

森田委員 確かに、ここで簡単に、いや、それはまずいですよねとは言えないお立場はよく分かっておりますので。

 例えば、ゼロ歳児の配置基準を見ますと、一対三、保育士さん一人に対してお子さんが三人。一、二歳でいくと一対六、一人の保育士さんに対して六人。それから、三歳になると一対二十、四歳以上になると一対三十。こういう配置基準というものがございますので、もちろん、加配でこれ以上手厚くやっていらっしゃるところもあるとは思いますが、そういうそれなりの配置基準の中で、当然、それぞれの園はやっているということになります。

 先ほどの、こどもまんなか社会というお話がありました。いわゆる待機児童という言葉があります。待機児童という言葉を考えたときに、児童が本当に待機しているんですかということなんですよね。子供が待機しているんでしょうか。入りたくてそれを待っているみたいな、言葉で見れば、それがそういう言葉には聞こえますが、待機しているのは親の方であって、子供たちがそれを待っているわけでは決してないわけでございます。

 特に、先ほど申し上げたような、標準で十一時間の保育の時間というものを考えると、寝ている時間を除けば、親といる時間が、保育園にいる時間の方が長いという状況がゼロ歳児のときから出てくるということが起こっております。ですから、親、二人いれば両親ですけれども、親といる時間よりも保育士さん。しかも、その保育士さんも、さっき言ったように、細切れになって、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんという流れの中で保育を受けているという可能性もあるということでございます。

 しかも、三歳児になってから入園しづらいので、じゃ、二歳のときから入ろう、それがだんだん遡っていって、ゼロ歳児から入った方が、一歳になってから入るんじゃ大変だから、ゼロ歳児から入っていこうみたいな形で、繰上げというか、早い段階から入っていこうというような、そういう動きも見られるということも聞いております。

 ですから、ゼロ歳児から保育園等が中心となった生活にお子さんにとってなっていくということがどのようなインパクトを持っていくのか、これを考えると、結構私はそこを心配しているんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

野田国務大臣 ゼロ歳児から保育所に預けてというのはいかがなものかという御質問なんですけれども、恐らく保護者にはそれなりの理由があって、子供を預けないと生活が成り立たないとか、様々な理由があろうかと思います。それにしっかりと応えて、これまでは子供は父母がしっかり面倒を見なきゃいけない、ということでなく、子供は社会の宝だから、親、第一義的には産んだ父母が何とか、でも愛情だけでは育ちませんので、そこをやはりしっかりとサポートしていくことが大切だというふうに、こども家庭庁創設に当たっては頭の切替えをしていかなきゃいけないと思って申し上げているところです。

 どんな方でも、子供が授かり、困難があってもしっかりとこの国では子供は健やかに育っていけるということが、ある意味、新しい先進国のあかしになるのでは、そういう思いで取り組みたいと思っています。

 あとは、私自身、よく言われるのは、三歳児神話とか、ゼロ歳児、母乳とか、いろいろな、母親が常にそばにいないと愛着に問題が発生するということを言われるわけですね。ただ、子供に対して、当然、愛を注ぎたくてもそうできない事情というのも間々あります。私の場合は、息子がずっとゼロ歳児のときにはNICUというところにいましたので、当然一緒に暮らすこともできませんでしたが、やはり大勢の大人の方たちに愛されたことによって、むしろ、今の息子のキャラクターは、人見知りをしない、明るい子に育ってきたのかなと。

 だから、いろいろな意見があります。いろいろな育ちがあります。ただ、私たちは、何かにつけて親が親がではなくて、私たちが引き受けましょう、一緒にやりましょうという、やはり大人の気持ちを変えていくことが、こどもまんなか政策なんだと思います。

 確かに、待機児童というのは大人がつくったことかもしれません。ただ、児童が保育園なり様々な園に、社会にいることで、むしろ虐待から身を守ることができたり、そういうものを早く第三者に発見してもらうことで重篤にならなかったり、例えば発達障害の兆しなんかをしっかりと発見してもらえたりという、そういう、子供にとって、子供が待機児童と言っていなくても、結果としてそれが子供の将来にプラスになることもあるんだということを受け止めてあげてほしいなと願っています。

森田委員 大臣おっしゃるとおり、今ある困っていらっしゃる現状を、幾らかでも手を差し伸べて、幾らかでもいい状況にしていこうということは私も大賛成です。そうあるべきだと思っています。ただ、その今の状況があるべき姿なのかどうかということは、やはり私たちの中ではっきりとさせておく必要があるかなと。

 理想像は別にあるけれども、今大変な方を救っていこう、手助けをしていこう、こういうことじゃないかなと私は思っていまして、その一つが、やはり男女が子育てにきちんと関われる世の中というものを目指していくというのが、私はその一つの理想的な姿だなと思っています。もちろん、それが全員に当てはまるわけではないので、そこを埋めていくいろいろな方策というのはこれからまたいろいろなところで考えていかなくちゃいけないんですが、やはり、先ほど申し上げたような、保育園と親、保護者との関わり、役割分担の中で、やはり保護者が第一義的に子供については自分の責任として育てていくべきものだ、ただ、そこにはいろいろな応援があり、いろいろな関係者がいて、みんなで親をサポートしながら子育てをやっていこうよという感じだと思っています。

 さっき、午前中、和田委員の方からも、男性の育休の話、産休、育休の話がございました。今回の所信の中にも、第五次男女共同参画基本計画の中の、男性の家庭、地域社会における活躍という言葉を入れておいていただいておりますが、本当にまさにこれはそういうところじゃないかなというふうに思っております。

 女性を労働市場に出さないと人手が不足する、経済が落ち込むから女性に働いてもらおうというのであれば、じゃ、女性じゃなくて、例えば定年退職をされるような年代の方たちにもっと働いていただくとか、今、大量に退職されていらっしゃる団塊の世代の方たちがいらっしゃいますので、有能な方たちがたくさんいらっしゃいます。こういった方たちをもう一回仕事に戻っていただけるような、あるいは継続して働いていただけるような環境をつくるだとか。

 あるいは、いわゆる引きこもりの対策というのも、これは野田大臣の御担当なんでしたかね、孤立だとかありますけれども、これは試算でしょうけれども、百十五万人だったでしょうか、全世代で考えるとそのぐらいの方たちが、いわゆる引きこもりというふうに分類される状況に今いらっしゃる。そういう方たちに幾らかでも生きがい、やりがいを仕事の中で見出していただけるような環境をつくって、働く環境をつくり出すことができれば、そういう方も労働の市場に出ていくこともできるでしょうし。

 あるいは、これはデジタル化の流れでもありますけれども、働き方とかその内容そのものを、AIだとかそういったいろいろな技術の活用をしながら働き方そのものも変えていくという中で、いろいろな労働市場のつくり方というのは、特に女性をそこから切り出してやるというだけではなくて、やはり大事な子育ての期間というものを、これは別に女性に押しつけるという意味じゃなくて、女性も男性もそこに関わるというのをもう標準にしていこうと。

 ですから、女性が今までそういうのを担っていて、女性を助けるんだということから、女性と男性、両方含めてその一定期間は仕事を休むんだ、その休むという場面をつくって一緒に、そうすると、出方もいろいろできると思うんですね。例えば一か月交代で出てみるとか、あるいは、分からないですけれども、三日交代で出てみるとか、夫婦間の役割分担をしながら、いろいろな形も考えられるかなというふうに思っておりまして、どちらかというと、理想的にはそちらの側を目指していくという方が、ゼロ歳児から預かれるような体制を一生懸命つくりましょうというよりは、やはり、まずメインがあって、それを補足するという、主従の関係をそうやって整理していく方が私はいいんじゃないかなというふうに思っておりますが、勤務環境のこれからの理想的な整備みたいなことについての野田大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

野田国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、保育所の、先ほど、保育に欠けたるという話があったんですけれども、元々は、多分、戦後、戦争で夫を亡くされた女性たちが、当時は、やはり女性が働くという時代ではない中で、夫がいないので働かざるを得ない、結果、母としての保育、家での子供の世話ができないというところから保育というのは始まっているわけで。

 その後、今、この令和の時代では、共稼ぎがもうはるかに、八割ぐらい、共働き八割ということなので、そういう事情で働いているのではなくて、この国では、男女とも、望み、能力があれば働くものだという一つのグラウンドができているわけですね。

 それに立った上で、やはり問題なのは、育児に関して、ワンオペという、専業主婦が多数であった時代と同じことをまだこの国は相変わらずやっていて、例えば、今御指摘があった育休もまさにそうで、男性が取るという発想がそもそもなかったわけですね。これがきちっとバランスよく男女とも取れるようになれば、当然、親といる時間は長くなりますし、そして、バランスの取れる育児が当然出ることはそのとおりだと私自身は思っています。

 ですから、役所としてもいろいろ、これまでも少子化社会対策大綱みたいな、お願い事をしながら、育休、男性育休をしっかり取っていこうということで声がけをし、さらには法律を改正し、さらには様々義務づけをしてきたところですけれども、まだまだやはり法律が乗り越えられないのは、その雰囲気。経営者の人たちは、分かった分かった、これからの日本のためにはそういうことをやるべきだと言うけれども、今現在の、皆さん、人々が働いている直属の上司がそこまで至っていない。こういうのを一気呵成に改善することができれば、今おっしゃったようなことは当然できていくんだろうと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 時間の都合で、一つ、質問を先に行かせていただいて、子育ての意義のところでお伺いしていきたいと思います。

 今のこの世の中ですけれども、私が子供だったときから比べますと、今、大体ざっと言って、どこの学校も子供の数が半分ぐらいという、私は一番子供が多かった時代、第二次ベビーブームの世代ですので、大体そんな感じだと思います。

 いろいろなところで、子育てとか子供という存在が遠くなってきているなというのを感じます。例えば核家族化の問題もあり、あるいは親族の中でも集まる機会がそもそも減ったり、あるいは親族の中でも子供が少なかったりという中で、昔だったら、子守をしたりだとか、近所で一緒に遊んだりだとかということも含めて、ほかの子供たちと、同じ世代も含めて、あるいは年下の世代の子たちも含めて接する場面がかなり多かったと思うんですが、そういった機会がなかなか難しい。自分に子供ができたときに子供の大事さとか子育ての意義というものを勉強できるのがやはり一番いい場面だと思うんですね。

 ただ、私も、自分が、ちょうど私が、二十八のときに最初に県議選に出た三か月前に長女が生まれていまして、最初の選挙は私は落選しているんですね、県議選のときに。四年間で次女と三女が生まれて、三人の娘なんですけれども、三人目を産むときに、そんなに計画性、計画性がないと言っては、計画していない妊娠だったんですけれども、もう下ろしたいと言われたんですね。下ろしたいんだけれどもどうしようと言われて、いや、全面的に協力をするから産もうよという話で、私は白紙の手形をそこで切ったわけなんですけれども、そこから先はやはり大変でした。

 三人というのはやはり親の感覚が変わると言うんですけれども、要するに、二つの手で子供を引っ張っていって、もう一つ足りないわけですね、手が。ですから、三人いると誰かの手助けがどうしても必要になってくるみたいなことをそのとき言われました。

 当時は私、訪問介護の事務所を立ち上げたぐらいのときだったので、次女をおぶって行ったり、あるいは青年会議所の、そのとき副理事長とかをやっていたんですけれども、さすがに理事会みたいなところには出ていかないんですけれども、役員会議とかには出ていって、自分が議案を持つときには、ちょっと隣の副理事長が、じゃあ俺が持っているからといって面倒を見てくれたりしながらやっていたので、非常に私としては、大変だったんですけれども、その場面を与えてもらったということが今につながっているなというふうに思っています。

 ただ、やはり世の中から置いていかれているなという感じがしました。みんな、ほかの同級生はちゃんと勤めをしてやっているのに、何か、俺、ほかから置いていかれているような、自分、こんなことをしていていいのかなみたいな、そんな不安もあったりして、なかなかそういうのを周りから言ってくれる場面というのがなかったなというふうに思っているんですが、やはり子育てが大事なんだよというのをいろいろなところで共有できる場面というのが私はあってしかるべきだなと思うんですが、そういった場面づくりみたいなことについて、何か大臣の御所見があればお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 とてもいい経験をされたなと思います。

 今、子供と触れ合う機会をどうにかという話で、今現在お伝えできるものとすると、内閣府においては、産業界や企業の団体をメンバーとする子育て応援コンソーシアム、これを設けて、子育てに配慮した企業の取組の紹介とか、分野を超えた連携に関する情報交換等を行っています。

 また、触れ合い環境がなくなりつつある懸念というのはもう十分共有、承知しているところです。内閣府では、地方公共団体が行う乳幼児との触れ合い体験、両親学級、子育て世帯を体験する家族留学、こういうことに、子供のいる生活の具体的なイメージや子育てへの理解を広める取組を、地域少子化対策重点推進交付金、これを出して応援をしているところです。

 引き続き、結婚、妊娠、出産、子ども・子育てに温かい社会づくりというのに向けて、関係省庁ありますので、連携しながら取り組んでいきたいと思っています。

森田委員 ありがとうございます。

 これから、こども家庭庁の設置に向けてまだまだ議論を重ねていきたいと思いますので、今日は、時間の都合もありまして、こちらで野田大臣への質問は閉じさせていただきたいと思います。もしよろしければ御退席いただいて。

上野委員長 では、野田大臣、御退室をお願いします。

森田委員 続きまして、二之湯大臣にお尋ねをしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 私の後援会長をしてもらっているのが西田先生という方なんですけれども、病院の院長をやっていて、今、退いて理事長だけになっていますけれども、この先生が非常に教育に熱心な方でして、私も、いわゆる昔でいえば私塾的な、週一回の若手の、経営者もいるし証券会社の営業の若手もいるしとかというので、四、五人ぐらいでやっているんですけれども、あと、お医者さんもいますので、そういう方たちと、いわゆる人生の在り方とか、幸せな人生とは、どういうふうに生きるべきか、充実させるにはどういうふうに生きるべきかみたいなことを、たまには論語を使ったり、あるいはいろいろな偉人と言われる方たちの言葉なんかを読んだりなんだりしながら、お互い意見交換をしながらそういった議論をさせていただいているんです。

 ちなみに、その先生は、そういう研修を病院の中で週一回、全職員を対象に、時間を取って週一回ずつでやっていまして、ですから、週の勤務時間の一時間は全員が研修に充てるような、そのぐらい力を入れている先生なんですが、その先生とのそういう勉強会の中で、「ビジョナリーカンパニー」という、これはシリーズで出ている本がありますけれども、優秀かつ永続、永続というか、歴史的にちゃんと続いている企業を分析したそういう本がありますけれども、その本も時に参照させていただきながら勉強しております。

 その中に、こういうことが書いてあります。いろいろな言葉の使い方があると思うので、ここでは仮に理念というものを、ビジョンというものの置き換えでちょっと読ませていただきますけれども、理念のメリットというふうに書いてあって、こういうことを言っています。通常では考えられないほどの努力を引き出す、戦略的、戦術的判断をする下敷きとなる、一体感、チームワーク、共同体を生み出す、一握りの中心人物に依存する状態から抜け出す基礎となる。

 ビジョンを持ってみんなで取り組もうとするとこういう効果がありますよというふうに分析をしているわけなんですけれども、国家公務員の皆さんにとってのそういういわゆる企業理念的なものがあるのかどうなのか、あるのであればどういうものなのか、お答えいただければなと思っております。

二之湯国務大臣 憲法十五条の第二項、あるいは国家公務員法第九十六条などにおきまして、公務員というのは全体の奉仕者だ、こういうことがちゃんと明記されているわけでございます。そして、国家公務員は国民全体のために働くんだという誇りを持って、そして公共福祉の増進のために頑張ってもらう、こういうことでございます。その使命を自覚して、高い志を持って職務に全力を尽くすということは、私は、公務員の一つの、民間で言っておる企業理念だ、このように思っているわけでございます。

 したがいまして、こうした考え方に基づきまして、各種の研修などにおきまして、こういう公務員としての在り方というものを周知徹底するように今努力をしているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。そういうことなんだろうなと思います。

 例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソンではどういうことを言っているかというと、五つの責任がある、顧客に対する責任、社員に対する責任、経営者に対する責任、社会に対する責任、そして株主に対する責任、こういう五つの責任があるということを言っています。

 私、これを聞いていて思ったのは、近江商人という方々が、私は埼玉県の熊谷ですけれども、うちの方にも近江から来ていらっしゃる商人の方がいらっしゃいますが、三方よしの精神ですよね。だから、売手よし、買手よし、世間様もよし、こういう理念を持って、理念とは言っていなかったと思いますけれども、伝統的にそういうふうにやっていらっしゃるところもある。

 やはり、先ほどこういうふうに分析していますという言葉を申し上げましたけれども、もしかすると、私、かつては日本の国の、これは国家公務員の方だけじゃないかもしれませんけれども、そういう理念を共有していた時代というのがあったんじゃないかなと思っています。

 というのが、例えば、明治期から大正にかけては、とにかく近代国家をつくって、立派な国をつくるんだ、こういう大目標があったと思いますし、戦後であれば、戦後の荒廃から復興させて、とにかくまた世界の舞台に戻るんだ、別にこれは国家公務員の方だけじゃなかったと思いますけれども、いろいろ歴史的な流れを見ていると、民間の方も含めて、世界にまたちゃんと自分たちが位置づけられるようなところを目指して、みんなで力を合わせて頑張っていこうみたいな、そういう理念を共有していた時代があったと思うんですね。

 そういうときは、やはり国内全体も、恐らく高度成長期みたいな時代はそうだったと思うんですが、みんなで頑張ろう、汗をかいて頑張れば、今日よりあした、あしたよりあさってがきっとよくなるはずだというふうにみんなで信じて頑張ってきた、そういう時代があったと思うんですが、なかなか今、確かに全体の奉仕者というのはそうなのかなと思いますけれども、それを出したときに、ああ、そうですかといって、しっくりきて、じゃ、それで頑張ろうというふうに思っている方がいるかどうかというと、なかなか難しい部分もあるのかなというふうに思います。

 ただ、だからといって、何か軽率に、例えば大臣がではこれでいきましょうと言って、そんなに簡単なものではないと思うんですが、中長期的な課題として、どうしても政治家というのは、選挙のこともあるし、せいぜい数年先ぐらいのこととか、どうしてもそういうところに議論が集中しちゃいがちですけれども、やはり、じゃ、日本の国としてどういうところを目指していくべきなのかというのを、日本の国全体としてもそうですし、それから、国家公務員を始め、国に直接関わる私たちがどういう理想を掲げてやっていくのかというのを、これから少し時間をかけてでも、そういうものを共有していくというのがどうしても必要かなというふうに思っています。

 先ほど、「ビジョナリーカンパニー」の中でも整理されていたように、これはやはり頑張ると一生懸命やろうというふうになるわけなんですよね。

 タカラ物流システムの初代社長さん、大谷さんという方が、これは一つの事例だと思いますが、三百二十人の社員さんがいる会社の再建を任された。そのときに、その方が、見せかけの仕事をしている人は〇・七のカウントをしよう、一人の人数はいるんですけれども、〇・七のカウントをしよう、やる気になって働く人を一・二としてカウントすることができるという、これは一つの仮説ですからあれなんですけれども、確かに、ずっと仕事でそこにいればそれでいいですよという仕事なのか、あるいは、とにかくいろいろなことを主体的に考えて、いろいろな発想をして、一生懸命頑張っていこうと思う人の集まりなのかによって、その組織がする仕事というのは結構変わってくるだろうなというふうに思います。

 今、日本で言われているのは、やはり生産性が低いということを言われています。確かに、いろいろなところでそれは原因があるでしょうから、一概に何がどうということは言えないと思うんですが、別に国家公務員の皆さんは何か売上げを上げるみたいなことが目標ではないんですけれども、日本の国のためにいい仕事をしていくためには、いろいろな仕事の生産性を上げていくということが、それが売上高としては表れないですけれども、やはり仕事の見え方として、そういうものが必要になってくるだろうなと思っております。

 大臣のお考えで、こういった、いい仕事をしていただく、生産性の高い仕事をしていただくためには、公務員の方、何が必要だというふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

二之湯国務大臣 委員のいろいろなお話、大変参考になりました。

 現在の公務員に何が求められているか、こういうことでございますけれども、時代とともに変わってきているわけでございますけれども、今、公務員の仕事の中で、国民が必要とする質の高いサービスを、確実に、そして効率的に、効果的に提供していくということが公務員に与えられた大きな仕事ではないか、こう思うんですね。

 それでは、されば具体的にどういうことをするんだ、こういうふうになりますと、やはり今、既存業務の廃止、効率化、いわゆるルーティンワークの廃止あるいは見直し、あるいは、デジタル技術の徹底活用によって、真に必要な業務に生産性を高く取り組めるように努力をしていく、こういうこと、そしてまた、上司が、このような仕事の見直しのほか、部下のやりがいを向上させることとか人材育成などに取り組むマネジメント改革も必要だと思います。さらに、最近は、テレワークなどを活用した、場所や時間にとらわれない働き方の改革、こういうことも公務員に求められているんじゃないか、このように思っているわけでございまして、そういう視点でこれから進めてまいりたい、このように思っております。

森田委員 ありがとうございます。

 確かに、ルーティンを廃止したりデジタル技術を取り入れたりというのは非常に有効だと思います。恐らく、そういうことを取り入れるときにもいろいろな障害があるんじゃないかなと思っておりまして、やはり発展的にいろいろなものを変革をしていくということがこれからも継続して求められるんだろうなというふうに思っております。

 すごくやゆする言い方で、官僚的だという言葉がありますけれども、官僚的だというのを辞書的にいえば、形式的だとか柔軟性がないとか硬直的だとか、そういう、どちらかといえば否定的なイメージになると思うんですが、いろいろな時代が流れていく今にあって、常にやはり試行錯誤を求めていくということが大事なのかなというふうに思っています。

 そういった意味では、間違えちゃいけないって余り、まあ私も野党にいるので余り間違えてもいいとはなかなか言えませんが、でも、やはり組織としてはいろいろな試行錯誤をやってみて、その中には地方自治体がやるようなことも含めていいと思っています。ですから、いろいろなところで試行錯誤をやってみて、そういった中でいい技術だとかいいやり方、いい仕事というものを残していく、そういうやり方を各省庁の中でも組織文化として取り入れていくことができれば、私は、これはすごい公務員の制度が強くなっていくんじゃないかなというふうに思っています。

 というのが、やはりここに集まってくださっている方たちというのは、非常に日本の中でもトップクラスに優秀な方たちが集まっているわけですから、そういった方たちが本気になって、よし、やってやろうといって、一つの目標に向かってやっていただくという環境ができれば、本当にまだまだ伸び代があるんじゃないかなというふうに思っておりますので。

 是非、これから、そういう組織文化をもう変えていくぐらいの感じで大臣にはリーダーシップを発揮していただいて、官僚的という意味の言葉を是非変えていただくぐらいの、昔はこういう意味で使われていた、ただ、今はイノベーションをやっていく組織だみたいな、そういうふうに語っていただけるような時代が来るといいなというふうに思っています。

 それから、そういったものを是非共有をしていきたいと思っていますが、例えば私の介護の事業所なんかもそうなんですけれども、毎朝朝礼をやっていまして、朝礼の中でうちの施設の施設理念を唱和して、みんなで、何か困ったことがあったとき、何かもめごとがあったときには理念に立ち返ってやっていきましょうみたいな言い方をしているんですけれども、そういった意識を合わせるというのが、昔に比べると、飲み会だとか、何かそういう先輩から後輩へみたいなものはなかなか難しくなっているんじゃないかなと思っておりますので、どうやって組織としての教育というか伝達というか、そういったものをやっていっているか、その学ぶ場を共有していらっしゃるかということを大臣にお答えいただければと思います。

二之湯国務大臣 組織としての目標の共有の仕方にはいろいろとあるんですが、公務員におきましては、例えば人事評価のプロセスにおいて、所属する上司が組織の目標を明確に示して、それを踏まえて、各職員が上司と話合いを持って目標を設定して頑張っていく、こういうことも必要だと思います。

 引き続き、こうした上司と部下との面談を活用して、上司が部下に必要な助言指導を行ってコミュニケーションを充実させることを通じて、組織としての目標の浸透や、職員のやりがいの向上、成長につなげていきたい、そして、いわゆるお役所仕事、公務員仕事、官僚的というものを排して頑張っていくような、そんな組織にしていきたい、このように思っております。

森田委員 是非、今の大臣のお話を参考に、また今後の法案の質疑につなげていければなと思います。

 ありがとうございました。終わります。

上野委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、こんにちは。立憲民主党一期生、福岡五区選出の堤かなめです。

 野田大臣とは同年生まれでございます。私は十月生まれですので、大臣が一か月ほど先輩ということになります。もちろん国会では大臣が大先輩でございます。私にとりましては国会初質問ですので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず、こども家庭庁の名称についてでございます。

 子供は家庭を基盤に育ちます。これは先ほどの森田委員の質問にもございました。私もそう思っております。家庭養育の重要性につきましては、この後に後段で述べさせていただきます。しかし、子育てを担っているのは、これも先ほどお話ありましたが、家庭だけではありません。保育所、幼稚園、学校、児童養護施設、地域、企業など、社会全体で子育てを担っております。

 実際に政府は、原案段階では家庭という言葉を外していたと聞いています。なぜなら、家庭という言葉に傷ついてしまうという、親による虐待経験者の声を尊重したからだと聞いております。

 現在、長引くコロナ禍の中、本当に皆さん大変な思いをされていると思います。外出自粛なので、ステイホーム、家にいる在宅の時間が増えております。その中で、本当に、家庭はよいもの、温かいところであってほしいと思いますが、残念ながら、実際に、その中でDVや虐待が増えてしまった、家庭にいづらい、そういった人たちがいるということも確かです。また、生まれ落ちたときから家庭のない子供もいれば、幼いときに家庭が崩壊した子供もいますし、私自身のように子供のいない家庭もございます。

 そこで、野田大臣にお聞きします。

 なぜ、こども庁からこども家庭庁に名称を変更したのでしょうか。こういった人たちの声はどう思われているのでしょうか。また、名称の変更が、社会全体で子供を支えていくという理念の後退につながってしまうのではないか、そう懸念する声もありますが、いかがでしょうか。野田大臣、よろしくお願いします。

野田国務大臣 初当選おめでとうございます。生まれ年も御一緒と今お話がありました。私も実は、取れたところは北九州市でございます。非常に近いところに一時期は御一緒していたんだな、そんな感じがします。

 質問にお答えしたいと思います。

 まず、家庭という言葉についてですけれども、児童の権利に関する条約の前文の考え方において、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。子供は家庭を基盤、居場所としており、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるとの考えから、新たな組織の名称をこども家庭庁としたところです。

 これは、もとより子育ての責任を家庭のみに負わせるという趣旨ではありません。また、家庭における養育が困難な子供については国が責任を持って支えていきます。子供を真ん中に据えて、子供の視点に立って、子供の権利を保障し、子供の健やかな成長を社会全体で後押しするための組織であるという考えには、何ら変わりがありません。

堤委員 今、野田大臣から、社会全体で子供を支えていく、そういった理念を再び確認することができました。

 しかし、私はやはり、先ほど申しましたように、家庭という言葉、これに傷ついてしまう、家庭の中、本当にその中でこれまでも大変な思いをされてこられた、そういう人たちのことを考えますと、やはり、こども庁という言葉が、そういう名称がよかったのではないか、すべきだったのではないかと思っておりますが、次の質問に移りたいと思います。

 二つ目に、子供政策予算の倍増についてです。

 去る二月一日の衆議院予算委員会におきまして、我が会派の早稲田ゆき委員が、子供政策に必要な予算に関する質問を行いました。野田大臣は、岸田首相から倍増とおっしゃっていただきました、議員御指摘のとおり、フランスとか北欧の国々のパーセンテージに比べると、日本はまだまだ頑張れるんじゃないか、つまり、ほかの国が当たり前にやっている予算の計上が日本ではできていないということなので、そんなに無理なことではないんじゃないかと思いますとお答えになっておられます。

 改めて、野田大臣にお聞きします。

 子供政策の予算倍増、予算倍増を実現していただけるということでよろしいでしょうか。できれば、はいかいいえで簡潔にお答えください。

野田国務大臣 子供政策に関する予算をどんどん増やしていくのかという問いであれば、イエスであります。

堤委員 問いと違いますね。倍増かどうかと。

 どんどん増やす。少しずつ、一%でも増えてもどんどん増やすということですから、もう一度お願いいたします。

野田国務大臣 とにかく子供政策についてはしっかりと予算を内容に応じてつけていく、それがどの程度かというのは、これから皆さんと知恵を出していきたいと思います。

堤委員 岸田首相は倍増とおっしゃったという御答弁をされていましたが、これはどういう意味でしょうか。

野田国務大臣 私もしっかり調べましたが、これは、総裁選挙、自民党の総裁選挙の中の討論会の中で四候補が、OECDの中では非常に低くて、諸外国に比べてこれだけだけれども、いいところに合わせると倍ぐらい出さなきゃいけないけれどもどうするんだということについて、四候補、私も含めてですが、それは必要だというふうに答えた、そのことだと思っています。

堤委員 総裁選の中でおっしゃったということですね。やはり、そうおっしゃったということ、そしてそれをまた予算委員会の中で野田大臣が更に引いて、引用してお答えになったということ、その意味は非常に重いと思います。今うなずいていただいております。もう一度御答弁をお願いいたします。

野田国務大臣 将来しっかり子供政策の予算をつけていきたいと。

堤委員 なかなかお答えいただけないということで、大変残念に、落胆しております。

 立憲民主党は、昨年の衆議院選挙におきまして、子ども・子育て予算の倍増を公約としておりました。これは先ほど大臣からおっしゃっていただきましたように、日本の家族関係支出、これは先進国の中で最低レベルである。この家族関係支出と出生率というのは相関関係がある。出生率を高めるという意味からも、非常に、この家族関係支出、子ども・子育て予算、これを増やしていく、思い切って倍増するというのは、大変大きな意味を持っています。

 また、このこども省、先ほどもありましたが、省庁のただの単なる寄せ集めだという批判もございます。この批判を払拭するためにも、やはり予算、これは倍増ということをしていただきたいと思っています。

 やはり、立憲民主党が言っていた倍増、これを実現できるかなと思ったんですけれども、できないようですので、ちょっと残念ですが、次に移りたいと思います。(発言する者あり)もう一回聞いた方がいいということですが、もう一度確認させていただきます。

 倍増、岸田首相も総裁選のときに訴えておられた、そして野田大臣自身もそれを引いて御答弁された、この予算倍増、国民も期待していると思います。どうぞよろしくお願いします。

野田国務大臣 しっかり基本計画の下で実行して、結果としてどのくらいになりますか分かりませんが、高みを目指してしっかり予算をつけていきたいと思っています。

堤委員 これ以上やっても同じことということが分かりましたので、次に移りたいと思います。

 里親委託の拡充についてでございます。

 まず、里親委託の現状です。

 今、親と暮らせない子供たちは、日本におよそ三万五千人。我が国における社会的養育、これは戦争孤児のための施設に始まりました。しかし、現在では、疾病、多重債務、ギャンブル、アルコールなどの依存症、DV、虐待など、様々な要因があるとのことです。また、障害のある子供も増えているということです。

 資料一を御覧になってください。

 これは、親と暮らせない子供、この子供たちは、この三つ、資料にございますように、児童養護施設、乳児院、里親等、この三つの中のいずれかで暮らしているというのが現状でございます。資料、野田大臣、見つからないようですが。

 その中で、平成二十二年度末から令和二年度末まで、この十年間の推移でございます。こうして見ますと、例えば里親のところですね、里親等とありますが、里親等の中にはファミリーホームという形態のものも含まれております。この里親等の推移を見ていただきますと、毎年一%、本当に見事に、小数点以下を考慮に入れなければ、二十二年度末から、一二%、その翌年が一三、そして一四、一五、一六、一七、一八、一九、二〇、二一、二二と、毎年見事に一%ずつ、ほんの少しずつだけ増えているということです。

 現在、直近の数字が、里親等委託率、これが二割ということになっております。この二割という数字は、これも先進国の中で非常に低い。例えば、オーストラリアでの里親委託率はおよそ九割、里親が九割ですね、アメリカでは八割、イギリスでは七割、ドイツ、フランス、イタリアではおおむね五割前後、韓国では三割、そういう状況になっております。しかし、日本は二割にとどまっています。

 そこで、この現状についてどう認識されているのか、お聞きいたします。

佐藤副大臣 虐待などの事情によりまして親元で暮らすことができない子供たちにも、温かい家庭的な養育環境を提供していくことは必要であると考えております。

 平成二十八年の児童福祉法改正では、こうした子供たちが家庭における養育環境と同様の環境において養育されるよう必要な措置を講ずるとする家庭養育優先原則が法律上において明確されました。

 現在、各都道府県におきまして、都道府県社会的養育推進計画を策定し、里親等委託の推進を始めとした家庭養育優先原則を徹底するための取組を行っているところであります。厚生労働省は、里親委託に意欲のある自治体への補助金のかさ上げを行い、都道府県の取組を推進しているところであります。

 里親委託率は、目標としては、比較してまだ低い水準ではありますけれども、その進捗を把握しながら、必要な支援を検討し、里親等委託推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

堤委員 今おっしゃられましたように、二〇一六年の児童福祉法改正、これにおいて、家庭養育優先原則、これが明記されたということです。これは、これまで日本では大規模な施設での養育、それが中心だった社会的養育、これを大きく百八十度転換するものだったということで、評価されているものでございます。

 確かに、これまで限られた予算や人員体制の中で、施設の職員の方々、本当に精いっぱい子供たちに愛情を注いでくださっております。そのことには本当に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 しかしながら、施設での養育は、養育者が一日の中で固定されずに交代制で替わっていくなど、どうしても愛着形成、この愛着形成が大変大事だということですが、これに限界があると言わざるを得ません。施設で何年も生活して、例えば小学生、中学生になってから里親の家庭に移るというのは、子供にとっても里親さんにとっても大きな負担になる、そう言われております。

 そこで、やはり乳幼児期から、早い時期から家庭的環境で育つということが大変大事かと思うんですけれども、新しい社会的養育ビジョン、これが、この法改正の翌年、二〇一七年、平成二十九年に、先ほど副大臣からもお話がありました家庭養育優先の理念、これを具体化するために出されました。

 資料の二を御覧ください。

 これは、新しい社会的養育ビジョン、厚労省のホームページ、第二十回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会で出された資料でございます。

 ここで、乳幼児の家庭養育原則の徹底と、年限を明確にした取組目標ということが打ち出されております。特に、二ポツ目のところ、三行目からですね、愛着形成に最も重要な時期である三歳未満についてはおおむね五年以内に、それ以外の就業前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%、今、日本は二割です、二〇%前後ですが、これを五年以内に実現し、学童期以降はおおむね十年以内をめどに里親委託率五〇%以上を実現する、そういったことが掲げられております。

 そこで、お聞きします。これらの数値目標は五年前に打ち出されたものですけれども、これらは政府の目標だということでよろしいでしょうか。確認いたします。

佐藤副大臣 今委員御指摘の平成二十九年に取りまとめました新しい社会的養育ビジョンでは、里親委託率の目標として、御指摘がありましたように、三歳未満はおおむね五年以内、それ以外の就学前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現すること、また、学童期以降はおおむね十年以内をめどに里親委託率五〇%以上を実現することを明記をしているところであります。

 このビジョンを受けまして、各都道府県が里親委託率の目標設定を含む社会的養育推進計画を策定し、令和二年度からこれに基づく取組を実施しているところであります。

堤委員 もう一度。最後の方がよく分からなかったんですけれども、政府の目標として掲げていらっしゃるとすれば、何年から何年までということなんでしょうか。よろしくお願いします。

佐藤副大臣 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、この社会的養育ビジョンに掲げてある目標値、それから達成時期、これらの目標に取り組んでいきたいと考えているところであります。

堤委員 確認しますが、といいますと、何年から何年ですか。はっきりと、何年から何年までの間に何%を達成するとおっしゃっていただけませんでしょうか。

佐藤副大臣 令和二年度を初年度として、三歳未満についてはおおむね五年以内、それ以外の就学前の子供についてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現し、学童期はおおむね十年以内をめどに五〇%以上を実現していくというのが目標であります。

堤委員 分かりました。政府目標は、令和二年、二〇二〇年から五年間で三歳未満は七五%ということですね。分かりました。

 ということは、ビジョンが出されてからすぐではなく、三年近く政府は目標を立てなかったということになりますが、それでよろしいですか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 社会的養育ビジョン、御指摘のとおり、平成二十九年の八月に出されたものでございます。その後、厚生労働省におきましては、平成二十八年改正、平成二十九年改正など、児童福祉法の累次の改正の施行準備なども進めまして、それと併せて、里親委託の推進についてどんな方策でやっていくか、こういったことを検討いたしまして、令和二年度を初年度として推進しております。

 また、実際に、里親委託につきましては、里親さんの開拓ですとか委託ですとか、そういったことは都道府県の事務でございますので、各都道府県で実情に応じて目標を立てていただく、それを社会的養育推進計画に掲げていただくという形で目標を立てていただき、それを厚生労働省としても支援してまいるという形で進めているものでございます。

堤委員 御準備に時間がかかった、御準備に時間が必要だったということはあるかと思いますけれども、しかし、また資料の一をもう一度御覧になっていただきたいんですけれども、里親委託率は本当にずっと低い、一%ずつしか増えていない。里親が日本では非常に少ないということは、十年、二十年前から、この社会的養育ビジョンが出るずっと前から言われ続けていたことなんですね。これをずっと放置してきた政府の責任は大きい。やはり、子供たちは温かい家庭の環境の中に迎え入れてほしいという思いを持っている、そういう子供たちがたくさんいるわけですから、これを放置してきた責任は大きい。

 そして、子供たちの育ちにとって家庭的な環境が大事、愛着関係が大事だという研究もどんどんこの十年、二十年で積み重ねられてきました。そういったことをこれまでずっと顧みられなかった、そのことについても、私は責任が大きいのではないかと思っております。

 是非、今後、先ほど野田大臣からも、先進国に子供の状況が遅れているから追いつきたいという言葉もありました。それを進めていきたいと思っております。

 ですから、今後、令和二年からという、七五%という高い目標を実現するには、現場において、予算の増員、組織体制の再編、職員の増員などの点が必要になってまいりますけれども、最も重要なのはやはり予算の確保かと思います。現場で頑張っていらっしゃる都道府県に対する補助について、どの程度増額するのでしょうか。具体的にお答えください。

佐藤副大臣 里親委託の推進には、里親の開拓や育成、マッチングの支援、委託後の支援など包括的な支援体制を構築することが必要であり、これまでも自治体や里親支援を行う機関の体制強化を支援してきたところでございます。

 これらの支援は、児童虐待・DV対策等総合支援事業の予算の一部で実施しているものでありますが、令和元年度予算では百六十九億円であったものを令和四年度予算案では約二百十二億円を計上しておりまして、社会的養育推進計画に基づく取組が開始される前と比較して、三年間で約四十四億円の増額を行っているところであります。

 また、令和三年度予算から、令和六年度末時点の三歳児未満の里親等委託率七五%以上を目指す自治体など、意欲的に取り組む自治体に対しては、里親支援に関する事業の補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、児童養護施設や乳児院といった施設において里親支援を行う職員の増員を行うことができることとしております。

 さらに、現在検討を進めている児童福祉法等改正案におきましては、里親の支援等に関する事業を行う施設を児童福祉施設として制度上位置づけ、里親支援の充実を図るということとしております。

 こうした取組を通じて、里親支援に関する取組をより一層充実してまいりたいと考えているところであります。

堤委員 里親支援を充実していただけるということは分かりました。

 ただ、三年で四十四億という予算の増加ということですが、これは倍増にももちろんなっていませんね。そういう状況で、今これが、先ほどから何度も申し上げましたように、毎年一%ですよね。これは、例えば倍増して二%になったとしても、十年で一〇%ですから三割にしかならない、七五%にはほど遠いわけです。それくらい、この五年で七五%というのを達成するのは大変なことだと思います。

 そのためには、やはり本気で、三倍、四倍の予算が必要かと思いますけれども、野田大臣、今度はしっかり答えていただきたいんですが、よろしくお願いします。

野田国務大臣 現在、里親につきましては厚生労働省の方でしっかり取り組んでいただいているので、今私が申し上げたいことは、お金ありきではなくて、やはり里親制度そのものについて周知徹底されていないんじゃないかと。

 私自身は、少子化対策で取り組んできたことの一つに、養子縁組あっせんというのがありますし、不妊治療の保険適用というのがありますね。それは、やはり、一人でも親になりたいと願っている人が子供と出会う機会をつくることなんですが、そういう類似のことであっても、実は縦割りで、特別養子縁組と里親制度というのは残念ながらリンクしていない。また、不妊治療で子供を授からない状況のときに、親として生きていくためにはというところで里親という話も出てこない。

 そういう、やはり縦割りの中で、本来もうちょっとスムーズにできたこと、お金がなくても制度的にできるんじゃないかということを、まず知恵を出して、その上で、やはり一番大事なことは、家庭養護にせよ児童養護にせよ、そこに行かなくて済むような対策を取ることが大事なんだ、そういうことをまず原点に置かないと、家庭養護に何%行きましたからこの国は幸せですではなく、やはり基本的には、そういうふうに、先ほど温かい家庭とおっしゃったけれども、その家庭がぐらぐらしたときにサポートできる社会の体制をつくるということも極めて重要なので、まずそういう様々なプログラムをみんなで発出した後に、どれだけの費用がかかるかということを言うのであって、初めにお金があるから大丈夫だということではないのではないかと思っています。

堤委員 もちろん、予算、お金の問題ではないと私も思っております。体制強化ですとか、いろいろ組織を変えていくこと、いろいろな知恵を絞ること、それはもちろん大切です。

 でも、これまでずっと一〇%、二〇%だった里親率を七五%に引き上げるというのは普通ではないし、全国知事会でも、やはり、児童福祉の里親の支援をしている人たちも、その専門職ではなくて、ほかの業務と、児童相談所で虐待などの事案が入ってくるとそちらに取られてしまう。元々、児童相談所は人員が足りていない、人が足りていない。一人で何百件も、何百件とは言いませんけれども、百件以上そういった事案を抱えている、そういう人が足りない中で御努力されている。元々そういう逼迫した状況の中で、やはり、そこで今度は里親開拓もしろと言われても、なかなかそこまで手が届かない。日々入ってくる児童虐待の、先ほどおっしゃいましたように、そういった元、そこに行かない、児童虐待を予防していく、これも本当に大切なことだと思っております。

 これをするためにも、やはり児童相談所の予算を拡充していく、そういったことも大切だと思っております。やはり、余りにも他の先進国と比べて予算的に見ても少なかった、これが現状だと思いますので、その辺りはしっかり獲得していただきたいと思っております。

 話を変えますけれども、政治の基本は、私自身、一隅を照らす、これは国宝なりという、天台宗の開祖最澄の言葉にあると思っております。そういった予算を本当に困難な厳しい環境に置かれている子供たちに充てていただきたいと思っております。

 また、もとより、お金の問題ではないんですけれども、子供虐待によって生じる社会的な経費や損失が、二〇一二年度、これも十年前に試算されておりますが、日本国内では少なくとも年間一・六兆円に上るという試算、これを当時の日本子ども家庭総合研究所主任研究員の和田一郎氏らがまとめております。

 子供虐待の社会的コストの試算は、欧米諸国では行われてきましたけれども、日本ではこのときが初めてということです。本当にそういう意味で、この領域、大変日本は遅れているということはもう何度も申し上げているとおりでございます。

 社会的コストのうち、直接的費用としては、虐待に対応する児童相談所、保護された子供が暮らす児童養護施設など、間接的費用としては、自殺による損失、精神疾患に係る医療費、学力低下による賃金への影響、反社会的な行為による社会の負担などとなっています。

 困難な厳しい環境に置かれている子供たちのために重点的に予算を使って早期に介入することで、野田大臣もおっしゃっておられましたように、虐待を予防し、虐待の連鎖を断ち切り、長期的には年間一・六兆円に上るような社会的コストを少しずつ削減していくことになるのではないかと思っております。どのようにお考えか、御所見をお願いいたします。

野田国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、日本はどうしても、私も長らくこの国会に身を置かせていただいてきたんですけれども、やはり子供という言葉が出てこない職場でありました。優先順位が非常に低い。そういう中で、どうしてもやるべきことができてこなかったんじゃないかと思っています。

 幸い、この数年、各党多くの方々が、男女問わず、男性の方も積極的に子供の政策について議論をなさるようになってきたことで、まず国民各界各層に関心を持っていただいて、そして、今私たちが直面している最大の国難というのは少子化による人口減少なんだ、また、その少子化の中でも、子供がやはりきちっとその人権、権利を守られていないから、こういう児童虐待についても、その後の養護についてもひどい状況にある、そういうことを、やはり遅きに失したと言われるかもしれませんけれども、ようやく、今ここに集う皆さんのおかげでやるべきことが見えてきた。

 それを受けて、やはり、こども家庭庁を創設して、そして、今御指摘のような様々な問題をしっかり受け止めて、責任を持って解決していく、子供目線でやっていくというのが今の私たちの任務だと思っていますので、しっかり取り組みたいと思います。

堤委員 それでは次に、虐待死の防止と里親委託の拡充について、ちょっとそこまでは行かないかもしれませんが、まず虐待死について、御紹介といいますか、この表の三を見ていただければと思います。

 これは、死亡時点の子供の年齢、残念ながら、本当に痛ましいことですが、心中以外の虐待死の状況でございます。

 赤線のところを見ていただければ分かりますが、十八歳未満の子供たちの状況ですけれども、圧倒的に、この赤線を引いているところ、ゼロ歳児の虐待死が多いということです。多いときでは七割近く、そして少ないときでも四割近くです。そういった状況がございます。

 我が国では、多少の増減がありますが、虐待で死亡する十八歳未満の子供の半数近くがゼロ歳児の赤ちゃんであり、その中でも、ゼロか月、ゼロ日の赤ちゃんの死亡数が最も多いことが分かっています。つまり、女性が一人きりで自宅や公園のトイレなどで子供を産み、そのまま捨ててしまったり殺害してしまうという事件が、痛ましいことに、少なくありません。

 このような新生児の虐待を防ぐという取組が、新生児里親委託でございます。赤ちゃん縁組とも言いますけれども、この取組はそういう意味でも大変重要です。赤ちゃん縁組とは、何らかの事情で生みの親が育てることができない赤ちゃんを、特別養子縁組を前提とした里親委託によって、生後四週間未満の新生児のときから家庭の中で育てる取組のことでございます。

 私は、県議時代の二〇一五年二月、今から七年前ですが、この赤ちゃん縁組について質問いたしました。里親の質問は以前にも多くなされていましたが、赤ちゃん縁組についての質問は少なくとも福岡県では初めてでした。

 同年一月に発表されました書籍、「「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命」には、次のような事例が紹介されています。高校生の真美さんは、たった一回の性暴力被害で妊娠してしまう。性暴力自体をまずなくさなければいけないということではありますけれども、これについてもまた後日質問したいと思っておりますが、性暴力被害で妊娠してしまい、両親にも打ち明けられずに苦しみ続け、自殺を図るつもりで遺書まで書いていました。ふだんとは違った真美さん、仮名ですけれども、の様子を不審に思った母親が真美さんから話を聞き、自殺を阻止することができました。しかし、そのとき既に真美さんは妊娠七か月を過ぎており、産むという選択しかなかったということです。

 もう時間になりましたので、ちょっと途中ですけれども、こういった高校生を救う、そういった取組なんですね。赤ちゃん縁組については書籍に詳しくございますので、是非読んでいただければと思っております。

 これは途中になりましたので、また改めて質問させていただきたいと思います。

 本当に今日はありがとうございました。

上野委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。どうぞよろしくお願いいたします。

 堤かなめさんに続きまして、新人議員でありますけれども、精いっぱい質問をしてまいります。

 私、新聞記者として十五年間働いてまいりました。今の政治にはファクトが足りない、こう痛感をしています。思い込みや臆測に基づく言葉をぶつけるだけでは議論は深まりません。思い込み、あるいは臆測、あるいはフェイク、こういったものを排して、徹底的に事実に基づいて議論をしていく、この点は、立場を超えて、与野党の先生方、あるいは御列席いただいている閣僚の皆さん、さらには、その背後にいらっしゃる官僚の皆さんも御了解いただける点ではないかなというふうに思います。今日は、徹底的にファクトにこだわるという視点で、新人らしくど直球で質問してまいりますので、真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。

 今日は三点、テーマを絞ってお伺いしていきたいと思っています。まず、今、沖縄において非常に心配な事案がございます。この点に関してお伺いしてまいります。続けて、ワクチンの接種について、そして、急拡大していくオミクロン株への対策についてという三点についてお伺いしてまいります。

 まず最初の、沖縄の事案でございますけれども、沖縄県において、先月二十七日、一週間ほど前になりますけれども、バイクに乗った男子高校生が警察官と接触をして、けがをしたという事案がございました。けがといっても、右目の眼球破裂、そして失明という大変重たいけがであります。まずは、お見舞いを申し上げたいと思います。

 じゃ、この件に関して、まず伺っていきたいと思います。

 ちょっとこれは通告していないのでございますけれども、今朝の報道で私も初めて知ったものですから、警察庁に事実関係を先にお伺いしていきたいと思うんですけれども、昨日、沖縄県警がこの事件、事案について初めてコメントを出したというふうに報道をされております。どういった内容でしょうか。お願いいたします。

緒方政府参考人 お尋ねの件に関しましては、沖縄県警察の捜査一課におきまして、本件に関し、非常に重大と認識している、当事者である警察官をかばうつもりはないなどとコメントを発表したと承知をしております。

山岸委員 非常に重大な事案であるというふうに県警御自身がお認めになったというふうに承知をしております。是非とも、これは県警のみならず、警察庁全体としてもしっかりと対応いただきたいというふうに思います。

 この件、詳しく伺っていく前に、今日は、大変お忙しい中、官房長官にお越しいただいておりますので、長官に対する御質問から先に進めていきたいというふうに思います。

 今お話がありました事案、男子高校生が警察官と接触をして大けがをした、その後、さらに、県警の沖縄署周辺における大きな騒動ということもございました。この一連の経過をめぐって、現在、SNS上では、沖縄に対するヘイトスピーチというべき、高校生御本人あるいは沖縄県民全体の人権を侵すような発言が数多く見られています。この点について、実は、長官、何で長官が呼ばれているのかなとお感じかもしれませんけれども、長官が所管をされていらっしゃる沖縄の基地負担軽減と密接な関わりがあると考えているからであります。これから順を追ってお話をしてまいります。

 私は、そもそもなのでございますけれども、沖縄での体験というのが政治家を志した原点であります。

 新人の質問ですので、少しだけ自己紹介を御容赦願えればというふうに思うんですけれども、もう七、八年前になりますけれども、私は、新聞記者として沖縄の支局に赴任をしていました。そのときに、政治の力、悪いところとよいところ、両方目の当たりにいたしました。

 悪いところというのは、自民党の委員の皆さんにはちょっと申し訳ないのでございますけれども、当時の安倍政権の余りに強引な基地政策の在り方でした。国民を分断して、県民の心を踏みにじっていく強過ぎるトップダウンを目の当たりにし、この日本の政治の姿を変えていきたい、こう願ったからであります。

 一方で、よいところというのは、この当時の政権の姿勢に対して、沖縄県民が、それまでの様々な立場の違いを超えて連携をし、ボトムアップで一つにまとまって声を上げた、その大きなうねりに新しい政治の可能性を見たからであります。

 それから、様々に回り回って、今回、国民の皆様から議席をお預かりして、こうして質問の機会をいただいているわけです。

 随分時間はたちましたけれども、しかし、今なお沖縄県民の皆さんの苦しみは続いています。とりわけ、SNS上での沖縄バッシング、沖縄ヘイト、あえてこういう言葉を使わせていただきますけれども、非常に目に余る状態です。

 今、沖縄に多大な基地負担を押しつけている、そのおかげで、いわば我々本土に暮らす日本人は基地の負担に直面せずに暮らすことができているわけです。しかし、それにもかかわらず、日本人、我々のごく一部だと思いますけれども、何かあれば沖縄を見下すような、人権をないがしろにするような、そういう書き込みをしている。

 今回の事件でも、地元紙の報道によれば、既に四百件を超える、五百件近いヘイトスピーチが確認をされていると報じられております。この委員会の場で具体的な内容を御紹介することもはばかられるような内容ではありますけれども、まさに、沖縄県民をおとしめ、事実に基づかないヘイトスピーチが横行しているという現状であります。

 もちろん、今回の事件そのものは直接基地問題に起因するものではありません。しかし、現在のこのいわゆる沖縄ヘイトというべき状況は、突き詰めれば基地の問題に行き着くと私は考えています。

 過重な基地負担を強いられている沖縄県民がノーという声を上げたことに対して本土の一部から強い反発が起こり、その極端な一部がヘイトスピーチという形で表れています。つまり、沖縄ヘイトは形を変えた基地問題の表れだと私は考えております。

 そこで、今日は、あえて官房長官に、沖縄の基地負担軽減担当大臣という立場において御答弁をお願いしたいというふうに思っています。

 今、沖縄ヘイトがこういうふうに横行をして国民の間の分断が加速をすれば、沖縄の基地負担軽減に対する世論の理解を深めるという点からも決してプラスにならない、いや、むしろマイナスだろうというふうに思います。

 なぜならば、基地負担軽減政策を進めていくためには、我々本土に暮らす国民全体が沖縄の歴史や今の基地負担に対して思いを致し、基地負担、日本全体での基地負担を減らしていくことはもちろんとして、沖縄と本土の余りにいびつなこのバランスを是正していく、このことについても考えていかなければいけないからであります。

 沖縄の基地負担軽減を進めていくためには、本土の世論を醸成していく、このことが当然大事になってまいります。今現在横行しているSNS上の沖縄ヘイト、これは、こうした基地負担軽減の取組と逆行するものであり、基地負担軽減を目指す長官のお立場からも見過ごすことはできないはずだと思います。

 そこで、基地負担軽減担当大臣としての松野長官にお尋ねをいたします。

 今回の事案をきっかけにして、四百件余りの沖縄ヘイトの投稿が相次いでいます。沖縄ヘイトは基地負担軽減に逆行します。政府の方針とは相入れないということを明確にしていただきたいと思います。御答弁をお願いいたします。

松野国務大臣 山岸先生にお答えをいたします。

 お尋ねの事案については、高校生が負傷した経緯等について、現在警察において捜査が行われているものと承知をしております。

 その上で、御指摘の投稿について、つまびらかに承知をしているわけではありませんが、投稿と沖縄の基地負担とは直接の関係はないものと認識をしております。しかしながら、仮に沖縄の方々のお気持ちを傷つけるような投稿があるとすれば、それは決して容認されないものであると考えています。

 なお、沖縄の基地について申し上げれば、長年にわたり大きな御負担をお願いをしている沖縄の基地問題への取組は政府の重要な責務であり、地元の皆様のお気持ちに寄り添いながら、目に見える形で負担の軽減が図れるよう、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

山岸委員 是非とも寄り添った対応をお願いしたいというふうに思います。

 長官、今御答弁の中で、今回の投稿そのものは基地問題とは直接関係がないというお尋ねがありました。そのことは私も前提としてお尋ねをしています。そうした上で、もう一歩、長官としての思いをお聞きしたいというのが。私は、これは松野長官だからお尋ねをしております。もし相手が菅官房長官でしたら、そもそも私、この質問をしておりません。恐らく、けんもほろろの御対応なんだろうと思います。

 安倍政権の基地政策、先ほど私申し上げました。私自身はマイナスな評価をしておりますし、この点は多分与党の先生方とは立場は違うんだろうと思います。しかし、その上でも、事実として一致をできる点はあるんだろうと思います。それは、安倍、菅政権の九年間において、本土と沖縄の間の分断が広がり、沖縄に対するヘイトスピーチが加速してきた、そのことに対して、安倍政権、菅政権は積極的な対策は必ずしも講じてこなかった、この点は事実としてお認めいただけるんじゃないかなと思います。

 私は、岸田政権、寛容と忍耐を掲げた池田政権のいわば直系を自負している岸田政権だからこそ、あえて松野長官にお尋ねをしています。この沖縄ヘイトともいうべき状況、これは沖縄の基地負担軽減を目指す岸田政権の方針とは相入れない。長官、もう一言お願いいたします。

松野国務大臣 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、沖縄の方々のお気持ちを傷つけるような投稿があるとすれば、それは決して容認されないものである、それはもう委員と共通の認識であるかと思います。

 しかし、私たちの岸田政権においても当然でありますが、前政権、前々政権においても、沖縄の皆さんに多大な基地負担をお願いをしている、少しでも早く基地負担の軽減を図っていかなければいけない、それに全力で取り組んでいくという決意は一貫して変わらないものであると私は認識をしております。

 いずれにせよ、沖縄基地負担軽減担当の大臣として、沖縄の皆さんに寄り添いながら、その御負担をしっかり取り除いていけるように取り組んでまいりたいと考えております。

山岸委員 気持ちを傷つけるならば容認できないという長官の力強い言葉をいただいたものと受け止めます。是非とも、基地負担軽減に向けて、真摯な御対応、寄り添った対応をこれからもお願いします。

 長官、ありがとうございました。

上野委員長 では、長官、御退席お願いいたします。

山岸委員 続けて、この事案自体について、少し内容を、ファクトをしっかり詰めていくという観点からお伺いしていきたいと思います。

 今ほど、ヘイトに関する問題をお聞きをいたしました。事実に基づかない臆測やデマ、こういったものを防いでいくためにも、事実に基づく議論が必要であります。

 今回の事案をめぐっては、なかなか、ファクトが必ずしも今現在明らかになっておりません。この一端は、警察の説明が不十分だということが挙げられると思います。ここは、捜査中という一言で済ませることなく、警察と市民、県民、国民との信頼関係に関わる深刻な事案だという認識の下に、真摯な御説明をお願いをいたします。

 警察庁にお伺いいたします。

 先ほど冒頭に、沖縄県警のコメントについて御紹介をいただきました。これは、発生から一週間たった昨日、このコメントが出たということなんですが、どうしてこれほどの時間がかかっているのか、この経緯を教えてください。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、沖縄県警察において、事案の発生以来、事実関係の確認及び所要の捜査を進めているところでありますが、客観資料が乏しいということもありまして、また、一方の当事者である少年からの事情聴取も困難な状況にあるということもあり、現時点、必ずしもその全容について明らかにはなっていないということでございます。

山岸委員 なかなか資料が乏しいという中で、困難な対応だというお話でございました。そうした中でも、分かっていることはなるべく速やかに明らかにしていただきたいなというふうに思います。

 早速、少し事実関係をお伺いしていきたいというふうに思います。

 どうして高校生がけがを負うに至ったのか、様々な分からない点がございます。一個一個お聞きしていきたいというふうに思うんですが、まず、私も報道を見ていろいろと聞いておるわけなんですけれども、どうも警察の説明が、この間、少しずつ変わってきているということがございます。

 一点は、警棒についてであります。その衝突のときに警察官の方が警棒を所持していたのかどうかというところについて、当初から警察の説明が二転三転しているように思われます。どういうふうな説明をこれまでしてきたのか、改めて教えてください。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、当該警察官は、暴走行為の警戒活動に従事中、警棒を把持していたと沖縄県警察から報告を受けております。

 警棒の把持に関しましては、当初、事実関係が判然としていなかったため、確認中と説明していたところでありますが、その後、警棒を把持していたことが確認できたことから、その旨、説明を行うこととしたとの報告を受けております。

山岸委員 あくまで、確認できなかったので説明をしていなかった、その後、確認が取れたので、警棒を持っていたというふうに説明したということでございました。

 念のためですけれども、いわゆる情報を隠すということがあってはならないわけですけれども、これは確認できなかったから説明しなかっただけであって、確認後、速やかに公表した、こういう理解でよろしいでしょうか。

緒方政府参考人 そのとおりでございます。

山岸委員 続けてお尋ねをしてまいります。

 また、さらに、この事件、事案をめぐっては、不明な点として、警察官の方が高校生と接触をした、その前に停止を求めたのかどうか、つまり、バイクを止めてくれというふうにきちんと求めていたのかいなかったのか、この点、証言が食い違っております。

 警察官の方は、報道によれば、おい、止まれというふうに声をかけたけれどもバイクは止まらなかった、こういう説明をしていらっしゃる。一方で、これも報道ベースですけれども、少年、高校生の側は、そういったふうな声はかけられていないと。これも大きな食い違いとして不信を招いている部分だと思います。

 この点、事実関係をどのように把握をされていますか。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、当事者である当該警察官は、バイクに対して両手を上げて、止まれと声をかけて停止を求めた旨の説明をしていると沖縄県警察から報告を受けております。

山岸委員 県警側の説明、よく分かりました。

 じゃ、一方で、高校生側がどういうふうな主張をされていて、どういうふうに確認をしていくのかという、これからのことにもなってくるんですけれども、先ほど局長からも少しお話がありました、少年側からの事情聴取が困難であるというふうな説明がありました。

 この間、県警は高校生の側とコンタクトを取れているんでしょうか。御本人が難しいとしても、例えば御家族であるとか、関係者の方から何らかの話というのは聞けているんでしょうか。この点、いかがでしょうか。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、現在、沖縄県警察において事実関係の確認及び所要の捜査を進めているところであり、その過程において、少年の側とも聴取に向けたやり取りを行っているものと承知しておりますが、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます。

山岸委員 少年側とやり取りしていらっしゃるということでありますので、これは是非とも、容体の回復を待ちながらではありますけれども、速やかな事実関係の確認に向けて、県警の方でも汗をかいていただきたいというふうに思います。

 こういうふうに、今なかなか事実関係そのものが明らかではないという中で、ここは非常に大事なポイントかなと思います。

 といいますのが、警察官が市民をけがをさせる、負傷させるという出来事があった場合、警察の対応次第によっては深刻な社会不安を招きかねない。このことは、アメリカにおいて、近年、ブラック・ライブズ・マターのきっかけとなった、フロイドさんが亡くなった事件、こういった例を見れば明らかであります。

 今回の事案でも、現場の情報がSNSを通じて瞬く間に拡散をしていく中で、警察側の説明、広報が不十分なままですと、なかなか市民の理解を得ることはできません。

 そこで、警察を所管する二之湯国家公安委員長にお伺いしたいというふうに思うんですけれども、今回の沖縄での件について、更なる真相の解明と、市民、県民、国民に対して、迅速かつ丁寧な説明、公表を求めていきたいと思います。大臣の御所見、お伺いいたします。

二之湯国務大臣 委員お尋ねの事案に関しましては、現在、沖縄県の警察の方において捜査中でございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 沖縄県警察において、法と証拠に基づいて適切に対処し、丁寧に説明を行っているものと思われます。

山岸委員 大臣、もちろん、個別の事件の捜査、捜査中の内容そのものについてこの場で御説明いただくというのは、それは難しかろうということは私も百も承知であります。ですが、今回の事案は、これは、一般市民同士、民民の事件とはやはり異なります。警察官の公務執行に伴って若者が大けがを負ったというケースであり、やはり、申し上げたように、扱い方を間違えれば、警察と国民との信頼関係にも影響するものであります。だからこそ、これは県警だけではなくて、政府としても緊張感を持って当たってもらいたいという趣旨で申し上げております。

 大臣、もう一声、思うところがあればお伺いいたします。

二之湯国務大臣 今おっしゃられましたように、市民と市民との関係の事案ではない、市民と警察との関係の問題だ、そういうことでございますので、法と証拠に基づいて、本当の事実を国民に明らかにしてまいります。

山岸委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 続きまして、この接触による男子高校生がけがをした事件に伴って、その後発生をした事案についてお伺いをいたします。

 こちらも報道されていますけれども、沖縄県警沖縄署の周辺において、この事故が報じられた後に、若者を中心とした多数の市民が集まって様々な行動を行ったということでありますが、こちらも、実は、結局、だからどういうことがあったのか、まずそこからお伺いしていきたいというふうに思うんです。事実関係、これは政府参考人からお伺いしたいというふうに思います。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、詳細な事実関係について、現在、沖縄県警察において確認中であると承知をしております。

 現在まで把握している状況について申し上げれば、今年一月二十七日午後十一時頃から翌二十八日午前四時頃にかけて、沖縄警察署周辺に最大時約四百名の者が集まり、同署に向けて物を投げるなどして、庁舎や車両のガラスが一部損壊するなどしたものと報告を受けております。

山岸委員 ありがとうございます。

 この行動に伴って被害が生じているということですけれども、沖縄署の被害の実態、今、物を投げるということがありましたけれども、例えば、車両が何台壊れたとか、ガラスが何枚割れたとか、被害額が何万円であるとか、こういった事実は明らかになっていますか。

緒方政府参考人 お尋ねの件に関しまして、沖縄警察署における被害状況の詳細について申し上げれば、警戒センサー一基、電光掲示板一台、掲示板の前面ガラス、正面玄関出入口等のガラス五枚、公用車三台のフロントガラスやボンネット等の損壊、警察署の外壁の落書き等が確認されたものと承知をしております。被害額については、現在、沖縄県警察において算定中であると承知をしております。

山岸委員 非常に深刻な被害なんだろうと思います。

 一方で、これも念のためでありますけれども、人的被害、けが人はございませんか。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、人的被害については特にないという旨の報告を受けております。

山岸委員 けが人はないということで、これは何よりだというふうに思います。是非とも、まさに法と証拠に基づく適正な対応をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、ちょっとこれもお伺いしたいところなんですけれども、僕も先ほどから、このケース自体をどういうふうに呼んだらいいんだろうか、どういうふうに表現したらいいんだろうかといいながら事案などというふうに申し上げているわけですけれども、警察においては今回の沖縄署における事案をどういうふうに呼称されていますか。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきまして、今回の事案について特段定まった呼称等はないものと承知をしております。なお、これまでに沖縄県警察においては、器物損壊事案の捜査を進めている旨を広報しているものと承知をしております。

山岸委員 器物損壊事案として動いていらっしゃるということでありますから、その視点から法と証拠に基づく対応をお願いしたいと思います。

 その関係でお伺いしておきたいんですが、かつて、警察署が襲撃をされた事案について、騒乱罪というものを適用したケースがあったと承知をしていますが、その具体例を教えてもらえますか。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、昭和二十年代に騒擾罪での検挙事例があることを承知しております。

 他方で、昭和四十四年以降は、騒乱罪又は騒擾罪での検挙事例自体ないものと承知をしております。

山岸委員 近年においてはこういった事例はないということであります。

 今回についても、県警においては器物損壊事案として調べていらっしゃるということでありますから、ここは県警においても、法と証拠に基づいた冷静な対応をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、ここまでの事実関係をお伺いしてきた上で、また二之湯国家公安委員長にお伺いしていきたいというふうに思うんですけれども、今回、非常に、私も長らく聞いたことがない類いの衝撃的な事案でございました。

 私、新聞記者と申し上げましたけれども、昔、駆け出しの頃は、察担というところからスタートしました。警察を回ってお巡りさんに取材をして事件のことを書くわけなんですけれども、日頃から警察官の皆さんが国民の暮らしの平和を守るために奮闘されていらっしゃる、この点には心から敬意を払うものであります。

 同時に、こうした警察業務の円滑な遂行のためには、市民、国民、県民との信頼関係、これが大前提であります。こうした中で、今回、一つの事故をきっかけとして、警察署が取り囲まれる、それで、車三台ですか、非常に大きな被害が出ているという事案に立ち至った、これは深刻だと思います。

 もちろん、警察は今回、器物損壊事案としては、これは被害者という立場でいらっしゃるわけです。しかし同時に、これまでの経緯を踏まえた上で、警察と市民、県民とのコミュニケーションの在り方等、考えるべき点はなかったんでしょうか。

 今回の原因の分析と、そして今後の教訓、どういうふうに考えていらっしゃるか、二之湯大臣、お願いいたします。

二之湯国務大臣 まずは、今回の事案が一体どうなったんだということを明らかにする必要が私はあると思うんですね。

 現在、沖縄県警察については捜査中でありまして、この事件の全容が明らかになってくると思うわけでございます。そういう場合に、丁寧に国民の皆様に説明を行っていく、こういうことを努めてまいりたい、このように思っております。

山岸委員 是非とも丁寧な御対応を引き続きお願いをしたいと思います。

 続きまして、冒頭申し上げました二つ目のテーマ、ワクチン接種について移っていきたいというふうに思います。

 堀内大臣から、午前中、同僚議員の質問に対して、気合でやるんだと力強い御答弁がありました。気合はもちろん大事であります。しかし一方で、政治は結果責任でもあります。気合よりも結果が更に問われるわけであります。ワクチン接種の加速に向けて、しっかりとこれは実態を伺っていきたいというふうに思います。

 まず、政府参考人で結構でございます、一月一か月間での接種回数を教えてもらえますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 一月末までのということでございまして、本日、二月四日公表時点では、約四百九十四万回でございます。

 なお、後日に入力されるものもございますので、後日、これよりも増えるかというふうに思ってございます。

山岸委員 四百九十四万回、決して胸を張れる数字ではないと思います。

 堀内大臣、三回目の接種が遅れている原因をどのように分析されていますか。

堀内国務大臣 三回目の接種、十二月から始まりまして、そして、今、始まったばかりでございます。

 今、これから、大規模接種会場、これを各都道府県にお願いしながら、また、防衛庁の皆様方にも東京、大阪に大規模接種会場をつくっていただく。様々なことをしながら、今、接種をしっかりと回していかなくてはならないと思っております。

 まさにこれからだと思っておりますので、一生懸命頑張ってまいります。

山岸委員 まさにこれから頑張るために、堀内大臣にお伺いしたいんですが、大臣が明確な目標を立てる、こういうお考えはありませんか。具体的には一日百万回、これ、目標を立てませんか。大臣のお考え、教えてください。

堀内国務大臣 三回目の接種につきましては、一、二回目の接種が終わられてから、当初は八か月間隔で、八か月後の方をお願いするといった計画でございましたが、今般のオミクロン株の拡大で、ある方については六か月又は七か月、そういった前倒しとなってきているところでございます。

 ですので、具体的な数値目標を掲げるというよりは、一、二回目接種し終わった方が三回目をしっかりと打っていただける、これを目指して頑張っております。

山岸委員 どうしても百万という数字をおっしゃらないのでございますけれども、本当にそれでいいのかなと。ちょっとこれから議論したいというふうに思うんです。

 政府参考人で結構でございます。三回目の接種が始まった、先ほどちょっと四百九十四という数字がありましたけれども、一月と二月の合計でお聞きをしたいんですけれども、政府の計画による接種目標と実績、それぞれ教えてもらえますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 接種目標といいますか、接種の対象となる方、すなわち、先ほど大臣から御答弁申し上げた、六か月なり七か月なりたった方ということでございますけれども、一月までで千四百七十万人、そして二月に二千二百七十六万人というふうになってございます。

 先ほど申しましたように、一月までは四百九十四万回でございまして、今日時点で、二月も含めて、六百九万回の接種が行われてございます。

山岸委員 一月末であえて数字を切りますけれども、計画が千四百九十であって、実績が四百九十四で、つまり、一千万回超の遅れがある。これを埋めるためにどうすればいいか。

 今の計画ですと、二月に二千二百万人接種をしていく。つまり、一月までの遅れが一千万、二月で二千二百万ですから、二月に三千何百万回か打たないと先月までの遅れは取り戻せないという単純な試算であります。

 特に、二月は二十八日間しかありません。三千何万回を二十八日間ですから、現実に、一日百万回いかないと政府のこの目標は達成できないという計算になるわけであります。

 堀内大臣、先ほどから百万という数字は決しておっしゃらないんだけれども、百万回できなければ、この計画自体が達成できないということになってしまう。計画が崩壊していると認めるようなことになってしまいます。

 私は、それでは、やはり現場で今汗をかいている医療従事者の皆さんに対して申し訳ないと思います。やはり、こういう計画を政府が責任を持って進めるから、皆さん、お力をかしてください、こういうふうに責任を持っておっしゃってほしいと思います。

 改めてお聞きします。計算上も、一日百万回打たなければ今のプランを達成できません。百万回を目指すと約束してもらえませんか。

堀内国務大臣 今、現状のお話を申し上げますと、三回目の接種の一日当たりの接種回数は五十万回を超えておりまして、徐々に本格化しつつあるものと認識しております。

 一月二十七日時点の調査で、全国の九七・四%の自治体が、二月の末までに、接種の対象となる高齢者の方々、接種を御希望なさる高齢者の方々へ接種を終了するといった予定を見込んでいるというふうに思っております。

 また、私としては、先ほど申し上げた自衛隊の大規模接種会場における接種を開始する、また、三回目の接種の必要性、交互接種の有効性、様々なものを発信して、実際に接種を、会場を設営した後、皆様方お一人お一人のお気持ちで接種に行きたいと思っていただけるような、そういった発信にも努めているところでございます。

 また、自治体の接種、あるところの大きな後押しとなる、いわゆる職域接種につきましても、申請条件を一会場当たり千人以上から五百人以上に緩和をしましたり、また、三回目追加接種を申し込まない大きな障害になっていたと思われる補助の面につきましても、複数の中小企業が共同実施する場合等を対象とする職域追加接種会場の設置の、運営などに係る費用の補助も、つい先日、当分の間、一回接種当たり千円から千五百円に引き上げた、そういったファクトもございます。

 一つ一つのファクトを積み上げて、しっかりと接種回数を積み上げてまいりたいというふうに思っております。

山岸委員 今、大臣から、御自身の発信というところについてもコメントがございました。まさに、大臣のリーダーシップ、発信力、お願いをしたいと思うんです。

 様々な取組があろうかと思うんですけれども、ちょっとお伺いしたいと思うのが、ツイッター、これは一つの武器だと思いますけれども、大臣、御自身のツイッターのフォロワー数は今何人ぐらいですか。

堀内国務大臣 目指していたのは一万人だったんですけれども、まだ約八千人となっております。

山岸委員 一万人を目指していらっしゃると。是非とも、もちろん、河野大臣の二百何十万人、これを目指すとは言いませんし、それが全てだとも思いませんけれども、是非、目標一万人、お持ちであれば、速やかにそれは頑張っていただきたいなというふうに思います。

 続きまして、時間も残り少なくなってまいりました、三番目にお話しいたしました、今の感染拡大を受けたいわゆるみなし陽性の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 いわゆるというふうに申し上げています。もう検査のキャパシティーがないので、検査なしで陽性とみなすと。先月二十四日にこの仕組みを導入してから、もう金曜日ですから二週間になるわけですけれども、この間のこのみなし陽性の実数は幾らでしょうか。各都道府県、都道府県から計何人上がってきているのか、これを政府参考人、お願いします。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 一月二十四日に発出した事務連絡におきまして、地域の感染状況に応じて、受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合に自治体の判断で実施することが可能な対応の一つとして、同居の家族などの感染者の濃厚接触者に当たる方が有症状となった場合に、医師の判断により検査を行わなくとも臨床症状で診断することというものをお示ししたところでございます。この対応により診断された方につきましては疑似症患者という扱いとなりますけれども、自治体の公表におきましてはこの疑似症患者を新規陽性者数に含めていただくようにお願いをするということを併せて周知をしているところでございます。

 今現在、各自治体の公表状況について確認中でございまして、全国の総数を、今手元に数字としてはございませんけれども、一例として、東京都が昨日公表した資料によれば、二月二日の十六時四十五分時点での新規の患者の発生が二万一千五百七十六人の中で、この感染者の濃厚接触者が有症状となった場合で検査を実施せずに医師の診断により臨床診断された患者数、東京都の場合はこれを特例疑似症患者数と書いておりますけれども、この数は五百八十九名というふうな発表をされております。三%弱ということになろうかと思います。

 今後、自治体の疑似症患者の公表状況について、早急に確認を進めてまいりたいと考えているところでございます。

山岸委員 今、東京都については三%という数字がございました。これは、実態は明らかではありませんけれども、今、日本全体で一日十万人に迫ろうとしている、となれば、三パーだとすれば、最大三千人ぐらいの方々が検査を受けずに感染とみなされているという可能性があるわけです。しかし、全体像が明らかではないという話であります。

 一点、確認をお願いします。今、全体像は見えていないということでしたけれども、報告が上がってきていない都道府県の状況は、いわゆるこのみなし陽性がないから上がってきていないという話なのか、それとも、出ているけれども国に対して集計できていないということなのか、これはどっちなんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 双方の場合があり得ると考えております。そのような取扱いを行っていないところ、行っているけれどもまだ報告に至っていないところ、両方あり得ると考えております。

山岸委員 これは非常に今後の対策を進めていく上で重要なポイントだと思います。感染者がどれだけいるのかが分からなくなるということすら懸念をされると思います。

 私、今日、スタートから一貫しましてファクトが大事だというふうに申し上げてまいりました。最後に、山際大臣、担当大臣として、このままなし崩しにみなし陽性が拡大していく、果たしてこれでいいんだろうか、実態把握していくために政府はもう少しやれることがあるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

山際国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。なので、少し整理をしなくてはいけませんが、しかし、御理解いただきたいのは、昨日、大阪の新規陽性者数、実数プラス、約七千の方がプラスになりました。これを見ても明らかなように、それは大阪府がサボっているわけじゃないですね。

 やはり現場は非常に大変な状況にあるということでございますから、リアルタイムで、もちろん、正しいデータが上がってくるのが、それが望ましいことではありますけれども、運用をしている現場のことも考えながら整理をして、しっかりとデータがそろうような形をつくっていきたいと思っております。

山岸委員 これからもファクトに基づいてしっかり議論してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史と申します。

 昨年の衆議院選挙で当選を初めてさせていただきました。今日は質問も初めてということで、是非どうぞよろしくお願いいたします。

 この間、多くの方にお支えいただきまして、この場に立たせていただいていることを、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 また、今日は、千葉の先輩の松野官房長官と、そして小林大臣にも御質問をさせていただくということで、党派は違いますけれども、今後とも是非どうぞ御指導をよろしくお願いをいたします。

 最初に、本題に入る前に、通告は少し昨日出しましたが、十増十減、選挙制度につきまして、今日も、今朝、報道で出ております。千葉も十増十減の対象県の一つでありますけれども、直接の所管大臣でないことは承知をしておりますが、松野官房長官、政府として、六月に向けてこの区割り審の勧告を粛々と進めていくということに現時点においてお変わりはないということでよろしいでしょうか。

松野国務大臣 本庄先生にお答えをさせていただきます。

 衆議院選挙区画定審議会設置法に規定されるいわゆるアダムズ方式により、令和二年国勢調査の日本国民の人口に基づく都道府県別定数を計算すると、十増十減となります。審議会は、この都道府県別定数による区割り改定案の勧告を、同法に基づき、本年六月二十五日までに行うものと承知をしております。

 政府としては、その勧告に基づく区割り改定法案を粛々と国会に提出するというのが現行法に基づく対応であると認識をしております。

本庄委員 御答弁ありがとうございます。

 この問題は、憲法の一票の格差、投票価値の平等に基づく要請、そして、各党で議論をした結果の今のアダムズ方式というやり方、さらには、現行法はかつて自民党さん、公明党さんから出された法案であるということも踏まえて、是非、この法律のルールにのっとった粛々とした取組を期待をさせていただきたいというふうに思っております。

 本題の方に入らせていただきます。

 まず、最初の質問です。安定的な皇位継承の確保につきまして御質問をさせていただきます。

 我が国の皇室は多くの国民に理解、そして支持をされてきた。私も含めまして多くの国民が、安定的、そして持続可能な皇室制度を望んでおります。しかし、今、その皇室制度、皇位継承の問題、大きな転換点を迎えているというふうに思います。国家の根幹にも関わる重要な問題であります。党派を超えて国会でしっかりと取り組んでいく問題である、そういう認識で質問をさせていただきます。

 今日は、各論ではなくて総論、特に国会との関係についてお尋ねします。

 まず、安定的な皇位継承という観点から、今の皇室の現状をどのように官房長官は御認識をされていますでしょうか。あるいは、どういった問題意識をお持ちになっていらっしゃいますでしょうか。ちょっとこれは総論的な問いになりますけれども、お尋ねをいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 平成二十九年、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案が審議された当時、国会において、皇族十八方のうち、今後、婚姻により皇族の身分を離れる可能性がある女性皇族は七方、皇族男子は四方でありますが、悠仁親王殿下の世代はお一方のみであり、安定的な皇位の継承をどう確保していくのか、皇族制度をどう維持していくのか、女性宮家の問題も含めしっかりと議論を進めていく必要があるといった御議論や、退位に関連する重要な問題として、皇位の安定継承ということがあり、皇位が男系で継承されてきた歴史的経緯を踏まえつつ、他方で、高齢化や女性皇族の御結婚に伴う皇籍離脱により、天皇陛下及び特定の皇族方に御公務が集中し、皇室の御活動の維持や皇位継承資格者の確保に困難が生じることへの対応が速やかに検討されなければならないといった御議論が行われ、皇室典範特例法案に対する附帯決議が可決されたものと承知をしております。

本庄委員 その附帯決議に基づきまして、有識者の会議が昨年の三月設置をされ、そして、昨年十二月、報告が取りまとめられ、先月、衆参の議長そして各派の代表者に説明があったということであります。この議長公邸で行われた衆参議長、各会派への説明の際、松野官房長官から、この答申、報告書の中身、これを尊重する、こういう御発言があったというふうに議事録にも記されております。

 この尊重という御発言の意味について御説明をお願いいたします。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 政府といたしましては、先ほど申し上げました皇室典範特例法案に対する附帯決議が可決をされ、これを真摯に受け止めまして、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議を開催をしたところでございます。

 この有識者会議においては、附帯決議に示された課題について大変丁寧に議論を尽くしていただき、バランスの取れた報告書になっていると考えています。政府としては、これを尊重することとし、国会に報告をさせていただいたところであります。

 私としては、報告書が国会における検討に資するものになっていただきたいと考えるところでございます。

本庄委員 有識者会議の報告書の内容、基本的考え方、あるいは皇族数確保の具体的な方策、こういったことが書かれておりますけれども、これは政府、岸田内閣としても同じ考え方に立っている、そういう認識でよろしいんでしょうか。

松野国務大臣 先ほどお答えをさせていただいたとおりでございますが、政府としては、この報告書を尊重をし、政府として国会に対して提出をさせていただいたというところでございます。

本庄委員 この有識者会議の座長をお務めになられた清家先生、私もよく存じております。大変尊敬しておる先生です。また、この報告に書かれています記載事項、例えば、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとか、皇室をめぐる課題が政争の対象となったり、国論を二分したりするようなことはあってはならず、静ひつな環境の中で落ち着いた検討を行っていただきたい、このような記載事項につきまして、私も全く同感をしております。

 しかし、少し違和感を覚える部分もあります。特に感じますのは、附帯決議に書かれている記載内容と、この有識者の報告書の言っていることとのそごであります。

 具体的に少し申し上げたいと思います。

 一点目、まず、退位特例法の附帯決議、安定的な皇位継承を確保することが、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題、このように明記されてございます。他方で、有識者会議の報告では、悠仁親王殿下の次世代以降の皇位継承について具体的に議論するには機が熟していない、こういう記載になっております。

 先延ばしすることができない重要な課題だという附帯決議の記載と、この報告書の前提としている認識にそごがあるのではないか、附帯決議に基づく有識者会議の報告であるにもかかわらず、前提からして認識が少し違っているのではないか、このように考えているんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 皇位継承につきましては、会議としては、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致をしております。

 悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承について具体的に議論するのは現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられる、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないか、皇族数確保のための方策を実現することは、悠仁親王殿下の後の皇位継承について考える際も極めて大事なことであるとの考えが報告書に示されているところであります。

本庄委員 報告書の記載はそのとおりです。私が申し上げていますのは、附帯決議に基づいて設置をされた有識者会議ですけれども、附帯決議に書かれている、御年齢からして先延ばしできない、ここまではっきり書いてあるにもかかわらず、そうではない前提での議論がなされているということについてお伺いをしているわけであります。

松野国務大臣 報告書を受けて政府が国会の皆様に報告をさせていただいた内容は先ほど申し上げたとおりでございますが、制度設計上、具体的な制度設計に関しましては、今後国会において先生方に御議論をお進めをいただく内容かと考えております。

 今回の政府からの報告書に関しましては、今後の国会における御議論をしていただくに当たって、それに資する内容であるものという考え方で報告をさせていただきました。

本庄委員 水かけ論になると思いますので、これ以上申しませんが、皇位継承の問題と切り離して皇族数の確保を図るというふうに、論点が非常に狭くなってしまっていること、こういった点も決議の趣旨とは異なっているのではないか、そんな私は問題意識を持っております。

 一つだけちょっと確認しておきたいんですが、かつて、この皇位継承問題について、あるいは皇室の問題につきまして、小泉、福田政権、ここでも検討がなされ、報告書が出されました。このときは女性、女系天皇を容認するという趣旨の報告書になっておりました。あるいは、野田政権においては、女性宮家創設などを提唱したものが出されております。

 こういった過去の政府の中で検討され、そして出された報告書、こういったものは、今、政府の中でどういう扱いになっているんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 先生から御指摘がありました過去の御報告等に関しましては、今回の御議論に当たって、委員の先生方にはしっかりとそれを踏まえていただいた上で、今回、新たな報告、提言という形でお出しをいただき、その内容に関して現政権として尊重していきたいということになった次第でございます。

本庄委員 これから国会の中での議論に委ねられているという長官の御発言もありました。我が党の中でも様々検討を重ねているところであります。これからしっかりと国会の場での議論、期待をしてまいりたいというふうに思っております。

 では、次のテーマに移りたいと思います。コロナ対策です。

 昨日、新型コロナウイルスの国内の感染者が初めて十万人を超えました。特に、学校、子供、高齢者施設で感染者が急増しています。オミクロン株は重症化しにくいとはいえ、待ったなしの状況になっているというふうに思います。

 安倍内閣、菅内閣、そして岸田内閣、三つの内閣が二年以上この新型コロナ対策に取り組んでこられた。この未曽有の危機にあって、その努力には私も敬意を表しております。ただ、失敗やうまくいっていない点も多々あるというふうに言わざるを得ないと思います。

 私は、大きな問題として、一点目、新型コロナ対策、感染症対策が重大な危機管理、すなわち有事対応であるという認識が特に当初欠如していたのではないか、それから二点目、司令塔の不在、役割分担の不明確さ、そして三点目、過去の対策の検証、評価、フィードバックの不足、この三つが問題を難しくしてきた、こういう認識に立っております。

 その上で、御質問したいと思います。まず、司令塔強化です、司令塔機能の強化。

 岸田総理は、先月の施政方針演説で、これまでの対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えて、六月を目途に、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめます、このようにお述べになっています。現在の体制の何が問題なのか、どういった御認識で今この機能強化の問題に取り組まれているのか。これは御担当は山際大臣。

山際国務大臣 問題というか課題は、これはゼロにはならない、我々、まずそう思っております。やはり感染症ですから、どんどん形も変えますし、それに従って柔軟に対応もしていかなくてはいけない話ですから、これが百点満点というのは、現段階で百点でも次の瞬間には変わる、そういう性質のものなので、そういう中で、私たちも最善の努力を尽くさなくちゃいけないと思っております。

 現段階においては、岸田総理を本部長にして、コロナ対策本部、私と後藤厚労大臣と、そして堀内ワクチン担当大臣と、この三人で主に担当させていただいて、そして、都道府県の知事さんや市町村長さんたちとも連携を取りながらやらせていただいているところでございます。

 意思の疎通という意味ではかなりうまくいっていると思います。しかし、一方で、じゃ、現場まで下りていったときに、その運用が百点満点かと言われれば、そうではないわけですね。いろいろな課題が現場から上がってまいります。それを、完璧なものにはできないかもしれませんが、その課題を取り除くという作業をやるときに、やはり現場任せにせずに、情報の共有というものが可及的速やかにできるようにする、これはまだまだ改善の余地があるんだろうというふうに思っておりまして、その辺りも含めて、今、私たちとしては、オペレーションしながら、日々考えて改善をしているところでございます。

本庄委員 これまでも、国会質疑で、六月目途にということで、そういったお話もありました。ただ、これは元をただせば、昨年十月、これは臨時国会ですね、所信表明、ここでも岸田総理は、これまでの対応を徹底的に分析し、何が危機管理のボトルネックだったのかを検証します、こういう言い方をされている。去年の十月ですね。もう四か月たっています。六月ということになると、あと四か月で、トータル八か月ということなんですね。

 ちょっと時間がかかり過ぎているんじゃないか、遅いんじゃないか、こういうふうに感じるんですけれども、いかがでしょうか。

山際国務大臣 これは、先生御指摘のことに関しては、私たちとしては、昨年の十一月に、それまでデルタ株までの様々なことということを分析、検証した上で、全体像という形で、どう対応していくかということを皆様方にお示しをさせていただきました。その全体像に沿って基本的対処方針というものを作り、その基本的対処方針に従って今運用をしているところでございます。

 ですから、ある意味、今、オミクロン株に対して対応しているのは、これまでの様々なことに対して課題というものを出して、それに対応するために全体像をお示しをして、それにも従ってやっているということですから、何もしなかったわけでは当然ないんですね。

 お尋ねの、何が問題だったかというと、デルタ株のときの最大の問題は、やはり医療が逼迫したということだと思います。ですから、私たちは、全体像をお示しをする中で、いかにして医療を逼迫させないようにしながら社会経済活動というものを維持、継続できるか、そこに力点を置いて運用していくんだということを皆様方にお示しをして、現在もその方針に従って運用しているというところでございます。

 しかし、一方で、全体を見て、更に改善できる点というのは、当然、先ほど申し上げたようにあるわけですね。それを、このオミクロン株を何とかしのいだ後に、六月までにそのような全体像、まあ全体像はもうお示ししているんですけれども、更に改善点も含めて、司令塔機能の強化というものも併せてお示しをできるようにしていこうということでございます。

本庄委員 昨年の十一月にというのは拝見いたしました。次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像、こういう資料が出されています。この中身のことはさておき、この前提として出ていたのは、分析、検証しますということなんですね。取組の全体像は出ていますけれども、私が伺いたかったのは、この分析あるいは検証、そういったものが、どこでどういう形でなされたのか。

 これを見ますと、最後に、「これまでの新型コロナウイルスへの対応を徹底的に検証をしつつ、以下の取組を進める。」、こういう表記で最後終わっているわけです。これを見ますと、検証そのものがまだ道半ばなんじゃないかというふうにも読めるんですが、いかがでしょうか。

山際国務大臣 これも、先ほどお答えしたとおりなんですが、何しろ相手が感染症ですから、日々状況が変わっていくわけですね。ですから、日々我々は分析もしておりますし、日々検証もしているわけです。そういう意味で、日々やっているものの積み重ねというものの中で、先ほど申し上げたように、最大の課題は医療が逼迫してしまったことだということで、医療が逼迫しないように、人の命を助けられるようにということに力点を置いてその全体像をお示ししたということでございまして、今日も、あしたも、あるいは昨日も、今起きていることをきちんと分析して、評価をして、次につなげるという作業をやり続けている、このように御理解いただければと思います。

本庄委員 司令塔の強化と並んで、私、担当大臣の皆さんの役割というのが、今日、午前中も少し、堀内大臣の関係で出ていましたけれども、お三方の、山際大臣、そして堀内ワクチン担当大臣、後藤厚労大臣、それぞれ協力、連携しながら取り組んでいるということでありますけれども、これはちょっと内閣全体の問題だと思いますので官房長官にお伺いしたいんですが、今、どういった役割分担でこのコロナ対策をそれぞれ三大臣、進めていらっしゃるのか、ちょっと分かりやすく御説明いただければありがたいんですが。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 現時点の体制として、政府対策本部長である岸田総理の下で、後藤厚労大臣、山際新型コロナ対策担当大臣、堀内ワクチン担当大臣を始め関係大臣が緊密に協力をしながら取り組んでいるところでございます。

 感染予防の観点から極めて重要なワクチンについては、後藤大臣は、ワクチンの調達や、今般の接種間隔の前倒しなど、ワクチン接種に関する方針を担当し、堀内大臣は、ワクチンの自治体への供給、ワクチンに関する国民への発信、関係省庁との調整を担当をしているところであります。

本庄委員 今、官房長官から、ワクチンに関して特に御説明がありました。ただ、やはりこのワクチンをめぐる役割分担というのは非常に分かりづらいというふうに私は思います。

 例えば、二月一日、閣議後会見、後藤厚生労働大臣は、職域接種三回目の設置要件の緩和、千人から五百人、運営費の補助金上限額引上げ、これを実施する、こういう発表をなさっております。同じ日に堀内ワクチン担当大臣は、閣僚懇ですけれども、閣僚の皆さんにモデルナワクチンの接種を呼びかけられた。あるいは、一月になりますが、三回目のワクチン接種の円滑実施を自治体に呼びかけた、商工会議所に職域接種について意見交換されている。

 どういう役割分担でそれぞれの御説明とか発表をされているのかというのが、やはり私は分かりにくいなというふうに思いながら見ているんですが、堀内大臣、いかがでしょうか。

堀内国務大臣 ただいま官房長官から御説明があられましたように、後藤大臣は、ワクチンの調達、そして今般の接種間隔の前倒しなど、ワクチン接種に関する方針を担当してくださり、そして私は、ワクチンの自治体への供給、ワクチンに関する国民への発信、関係省庁との調整などを担当しているところでございます。

 具体的に私自身が何を行ったかということを説明させていただければ、私は、ワクチン供給について、例えば四月までの接種に必要となるワクチンとして約八千五百万回分の配送予定をお示ししましたり、また、この配送予定というものは、接種の対象となる約一億人の方の八五%であって、四月四日までにしっかりと自治体に配送させていただくといったお話を申し上げているところでございます。

 そしてまた、情報発信についても、先ほど先生おっしゃってくださったように、閣僚の皆様方でこれからモデルナをお打ちになる方、是非そういった情報発信をしてくださいというお願いを申し上げましたり、国民の皆様方が正しい情報に基づいて自ら接種するかどうかを判断していただけるように、科学的知見にも基づき、しっかりと正確で分かりやすい情報の発信にも取り組んでいるところでございます。

 さらに、例えば職域接種につきましては、関係省庁の打合せなどを開催し、政務の皆様方に対して御協力をお願いするなど、そういった調整、又は様々なところから御意見を聞くといった役割も担っております。

 私といたしましては、引き続き、円滑に接種を進められるように、各大臣と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

本庄委員 今るる堀内大臣御説明になりましたけれども、この二月一日、後藤厚労大臣は、日本医師会の中川会長と、三回目接種についての協力要請をされた。その二日後には、堀内大臣がまた医師会の中川会長と面会されている。それぞれ話している内容が違う、こういうことなんだと思うんですけれども、ちょっとやはり分かりにくいなと思いながら、私、今お話を伺っております。是非、国民の皆さんにも分かりやすい役割の分担、そして発信、お願いしたいというふうに思います。

 官房長官、済みません、ここまでで。ありがとうございました。

上野委員長 では、長官、御退席お願いします。

本庄委員 さて、では、過去の対策の検証ということで、次のお話に行かせていただきたいんですが、コロナ対策に限らず、政策の検証、評価、フィードバックということは極めて重要だというふうに思います。

 政府は、この二年間のコロナの対策について、具体的に、さっき山際大臣から少し定性的な御説明はあったんですが、数量的な分析とか効果とか、こういったことが作業なされているのでしょうか。民間臨調とか知事会は一部そういった作業もされていますけれども、政府の方の取組について教えていただきたいと思います。

山際国務大臣 定性的なものだけではなくて、定量的なデータというものも含めて、専門家の先生方を交えて議論させていただいて、それを反映させるということをしております。

本庄委員 岸田総理が、去年の十二月の所信表明で、これまでの新型コロナ対策、徹底的に検証します、こういうふうにおっしゃっていますが、この徹底的な検証というものも、その結果は、アウトプット、出ていますでしょうか。検証された結果というのは出ているんでしょうか。去年の十二月の所信表明演説で、これまでのコロナ対応を徹底的に検証しますというふうに総理はおっしゃっているんですが、去年の十二月ですね、これについての検証結果というのは何か出ているんでしょうか。

山際国務大臣 これも、先ほど申し上げたとおり、日々やっていることなので、当然、十二月の段階であろうが一月の段階であろうが、そのときに分かった科学的な知見等々があれば、それを柔軟に、その検証の結果を基本的対処方針等々に反映させて今日があるということでございます。

本庄委員 そうしますと、例えば、先ほども質疑で少し出ていましたいわゆるアベノマスクと言われるマスクですね、配付、これについても、感染症対策としての効果についての検証というのはなさったということでしょうか。

山際国務大臣 詳しく、もしデータ等々が必要であれば、また政府参考人に伺っていただければと思うんですが、もちろん、科学的なデータとして、布製のマスクがどれほどの効果があるか、あるいは不織布のマスクがどうかというようなことはデータとしてございます。

 そういう判断と、あるいは全体としての判断と、その科学的なものだけで判断するわけではありませんけれども、そういうことを総合的に判断した結果として、総理として御決断をされたものだというふうに認識しております。

本庄委員 もう一つ伺いたいんですが、学校の一斉休校というのをやりましたね、これについても、そういう意味では検証がなされているということでしょうか。

山際国務大臣 学校の一斉休校、初期の段階ですね、これは本当に、コロナウイルス感染症というものが我々人類に対してどれほどの脅威を持つものなのかということが分からない中で、最悪の事態を想定しながら、まずやり得ることということで判断をし、一斉休校ということをやったというふうに我々としては認識しております。

 その後、様々な知見が重なってくる中で、学校現場においてどのような、言ってみれば行動抑制あるいは感染症対策をすればいいかという知見も、ほかの部分と併せて積み上がってきておりますので、その初期の段階での学校の一斉休校というものがどういうものであったかということが踏まえられた上で、やはり現在があるということでございます。

池田副大臣 本庄委員の御質問に答えさせていただきたいと思います。

 一昨年の一斉の臨時休業の要請につきましては、この一、二週間が感染の流行を早期に収束させるために極めて重要な時期である、そういった専門家会議の見解も踏まえまして、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑えるという観点から行わせていただいたものであります。

 その当時、新型コロナウイルスの性質がよく分からないという中にあって、感染の拡大を防いで、児童生徒の安全を最大限確保するという趣旨はおおむね達成されたものと考えているところでございます。

 感染症への対応が二年の長きに及ぶ中にあって、新型コロナウイルスに関して、児童生徒の重症割合はほかの年代に比べて低いことなども分かってきておりまして、学校での効果的な対策のノウハウも積み重ねられてきているところであります。

 そしてまた、学校は、学習機会と学力の保障のみならず、全人的な発達を保障する役割を持つとともに、子供たちの居場所やセーフティーネットとして身体的、精神的な健康を保障する福祉的な役割も担っているところであります。

 また、そうした学校の休業による保護者等への影響が極めて大きいことなどが改めて多くの関係者に認識されていることと思います。

 このため、文部科学省といたしましては、全国一斉の臨時休業を要請することは考えてはおりません。臨時休業を実施する場合は、学校内の感染状況等に基づいて、設置者の判断によって学級単位や学年単位など必要な範囲で御検討していただきたい、そのように考えているところであります。

 文部科学省といたしましては、引き続いて、社会全体の感染状況を注視しつつ、感染症の専門家の意見も踏まえながら、効果的な感染症対策に今後とも取り組んでまいります。

本庄委員 今の御答弁を伺っていますと、当時は学校側にノウハウがなかった、それからコロナがどういうものかよく分からなかったから致し方なかった、今はそこが、ノウハウもあるし、コロナがどういったものかもある程度分かってきているので、一斉休校の必要はなくなっていると。当時よりも感染状況というのはよくないというふうに思いますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

池田副大臣 本庄委員のそのような理解でよろしいかと思います。同じであります。

本庄委員 そうしますと、次の、子供と学校の問題ということでもう少しお伺いしたいと思うんですが、そうはいっても、これまでにない感染の拡大が学校、子供、児童生徒、幼児、保育所、広がっている、そういう状況だと思うんです。特に、親御さん、学校関係者、皆さん大変不安の中で、今、日々お過ごしになっている、こういう状況です。私の地元の柏、我孫子、ここも、ここ数日あるいは数週間急増しています。恐らく皆様の御地元もそうなんだろうと思います。

 この急増する状況について、何か文科省の方で、まとめたデータというか、お持ちであれば、端的に御説明いただければと思うんですが、いかがでしょうか。例えば休校の状況とか学級閉鎖の状況とか、そういったことであります。

池田副大臣 本庄委員にお答えをしたいのですが、今、通告を事前にいただいておりませんでしたので、ちょっと、詳細なデータ、持ち合わせておりませんので、申し訳ないと思います。

本庄委員 私は通告したと思っていたんですが、済みません、コミュニケーションギャップがあったようです。以後、気をつけます。

 今日の報道でもちょっと出ていましたけれども、文科省の方で、新しい学校対策、感染症対策を取りまとめたか打ち出すというような報道が出ていましたけれども、何か今教えていただけることがあればお願いいたします。

池田副大臣 現在、通告はいただいておりませんが、今、学校で効果的な衛生管理マニュアル、こういうのを出させていただいております。換気について、また効果的な消毒について、また、地域の感染レベルに応じた行動基準というものを発出させていただいておりまして、そういったものに基づいて感染対策をしっかりと及ぼしていく、そんな状況にあるところであります。

本庄委員 ワクチンの優先接種のことで、学校との関係でお伺いしたいんですが、これは通告したと思うんですが、昨日。

 今、優先接種の対象として、学校の先生、保育士さん、あるいは幼稚園の先生、これは入っていないという理解ですが、よろしいでしょうか。

堀内国務大臣 優先接種といいますか、三回目は、まず、前倒しの最初になっていただく方々としては、医療従事者の方々、高齢者の施設入所者の方々、そしてそういった方々を介護する方々をまず前倒しとしてさせていただいたところでございます。

本庄委員 今の学校や保育所を取り巻く状況を見ると、学校の先生、保育士さん、幼稚園の先生、こういった方々も優先的に接種をしていく、自治体の判断でそういうふうにしているところはありますが、国としてもそういった方針をしっかりと出していくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

堀内国務大臣 先生御指摘の学校の先生方又は保育士の方々、いわゆる高齢者以外の一般の方々の前倒しについては、予約に空きがあれば、ワクチンの有効活用の観点からいっても行っていただくように要請したところであります。

 各自治体により予約状況など異なることから、お示しした一部自治体の取組例を参考にしていただいて、いわゆるエッセンシャルワーカーといいますか、学校の先生とか保育園の先生とか、そういった方々がいかに自治体で打っていただけるような、いわゆる好事例ですね、好事例などを御参考にしていただきながら、各自治体がそれぞれの地域の実情に応じて御対応いただければというふうに思っております。

本庄委員 厚生労働省の方から事務連絡ということで、一部自治体の取組を必要に応じて参考にしつつ、自治体の判断で必要な事業の従事者について優先的に接種を行うことも検討されたいということが一月三十一日付で出ているということです。

 私は、ここに、もうちょっとしっかりと、抽象的な表現ではなくて具体的に、学校の先生等についても、こういう今の状況を見れば記載していただけないのかな、こういうふうな思いでお尋ねをしているんですが、もう一度答弁をお願いします。

堀内国務大臣 各自治体において、その自治体の状況においた御判断の中でしっかりと、学校の先生やまたそういう保育士さん、日常の生活、私たちの大切な生活を守ってくださる方々について打っていただけるように、どんどんと御高齢者の方々、又は医療者の方々、施設入所者の方々、そういった方々が打ち終わって、どんどんと前倒しをしていっていただくことについては、各自治体のお取組だと思っております。是非、そういうふうに申し上げております。

本庄委員 是非、国のリーダーシップというか、方向性を見せていただきたいなと思いますので、引き続き、是非御検討いただければというふうに思います。

 時間があともう少しなので、最後に経済安保についてお伺いしたいと思いますので、山際大臣と堀内大臣、あと厚労省さん、文科省さん、ここまでということで、ありがとうございました。

上野委員長 では、両大臣、両副大臣、御退席ください。

本庄委員 経済安全保障法制につきまして、基本的なことをお尋ねしたいというふうに思います。

 今、立憲民主党、党の中でも、経済安全保障のプロジェクトチームというものが立ち上がりまして、私が長くお仕えをしていた岡田克也さんが座長ということで、私もその下で、お手伝いの一人として関わらせていただくことになりました。

 小林大臣は、自民党の頃からずっとこの問題に長く関わられてきたというふうに承知をしておりますので、少し勉強も兼ねてお伺いをしたいと思います。

 様々な問題意識やそして意義、同時に懸念も示されているというふうに思います。私、幾つかありますけれども、一つは経済活動の自由、ここについて、経済界からやはり一定の懸念、あるいはよく分からないということも含めての懸念が示されております。この点につきまして、国会でも今まで答弁されていますけれども、いま一度、御答弁をお願いいたします。

小林国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員が今、論点の一つとして、自由な経済活動の重要性というものを御指摘いただきました。

 私自身、そこは当然だというふうに思っておりまして、今、経済活動が自由であるということ、あるいはイノベーション、このイノベーションも、オープンイノベーションという言葉があるとおり、今や一つの企業や一つの国の中のこうした枠の中で行うものではなくて、企業の枠やあるいは国境を超えて、新しいものを、付加価値を生み出していく、そういうトレンドにあると思っています。

 ただ、その一方で、グローバル化が進んでいく、あるいはデジタル社会が進んでいく、その中で、やはりそれに伴うリスクあるいは副作用というものも考えられる。そこに対してどうバランスよく対応していくのかというのが重要な点だと思っています。

 したがって、この経済安保の取組を進めるに当たりましては、民間の自由な経済活動を可能な限り阻害しない形で、我が国の経済構造の自律性を高めていかなければいけないし、よく申し上げていますけれども、我が国の技術を含めた他国に対する優位性、それを突き詰めていって、国際社会における不可欠性を獲得していかなければならないと考えております。

 それと同時に、こうした分野に民間投資をできる限り呼び込んでいく、そういう努力もしていかなければいけないと思っておりまして、経済安全保障の取組をするに当たって、経済成長の実現というものも同時に追求していくべきだと考えております。

 有識者の皆様に御議論をこれまでいただいてまいりました。この有識者会議からは先般提言を受け取ったところなんですが、この中には、当然、産業界の方もアカデミアの方も、幅広い分野の方に御参加をいただく中で提言をいただきまして、今委員が御指摘いただいた自由な経済活動という観点からは、可能な限り予見可能性を担保していく、そういう制度設計が必要だということを御指摘いただいておりまして、そういう点を踏まえて、今月下旬に提出できるように検討を進めていきたいと考えています。

本庄委員 時間が来ましたので終わりますが、法案、具体的にはこれからということでありますので、出てきたところでしっかりと勉強して、また議論をさせていただきたいというふうに思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日からまた常任委員会が開催をされていくということで、一方通行の、まあ、与党もいらっしゃいますけれども、閣僚の皆様に質問するだけ。与党と野党のやり取りが余りないので、私は、ふだんから、もっと議員間討議をやりたいと。

 憲法審査会ではあるんですね。憲法審査会だけです。今はもう落選されましたが、辻元清美さんに反省の弁を述べさせた男として、これは、どこでそれができたかといえば、それは憲法審査会だからできたんですね。

 だから、是非、内閣委員会も、大臣の皆様もお疲れであられるときもありますので、是非、委員長、また、そういう自由討議の機会なんかもつくっていただけたらと思う。

 理事会でお諮りいただくということで結構ですから、お願いできないでしょうか。

上野委員長 理事会で協議をお願いします。

足立委員 今そう申し上げたのは、やはり、議論が一方通行、要は、国会議員が政府に質問をするだけということでは、これは、五五年体制、新しい新五五年体制と私たちが呼んでいる歴史の遺物でありまして、できるだけ国会改革にも取り組んでいきたい、こう思います。

 今日は、立憲民主党の方から沖縄ヘイトという話がありました。ヘイトはあってはならない、本当にそう思います。しかし、その立憲民主党の最高顧問が、福島に係るいろいろなデマを吹聴されています。これも、EUに対して、欧州委員会の、多分、委員に対してかな、に対して、小泉純一郎さんも含む、菅直人さん、小泉純一郎さんら五人の首相経験者が、福島原発、子供が甲状腺がんに苦しんでいるという話について書簡を送ったというわけですよ。これは、内堀知事、福島県の知事も大変お怒りで、真意を問いただす何か書簡を送られたかどうか。それから、自民党の福島県連も怒っていらっしゃると。

 私、こういうことは本当に、立憲民主党としてしっかりと対応すべきだと思いますね。今日、泉健太代表、記者会見でそのことについて問われ、菅直人さんは元首相という枠組みでの行動であって、党としての行動ではないということで逃げられました。

 党の最高顧問、現職の議員の、ヘイトとは言いませんけれども、世界に、そういう福島の子供たちを愚弄するような発信をされている、それが、現職の党籍のある議員で、それも党の最高顧問ですよ。こんなものを許している政党がこの委員会で一方的に政府に対して何か沖縄について答弁を求めるということ自体が、いや、沖縄のヘイトはあってはならないけれども、でも、それ自体が、私は、本当にちゃんちゃらおかしいということで、国会改革を引き続き推進をしてまいりたい、こう思います。

 さて、山際大臣、今日はありがとうございます。

 予算委員会の続きをちょっとやりたいんですが、予算委員会で、コロナに係る、オミクロン株に係る今の現状は、例えば自主隔離とか自主検査とか、そういうことが今増えてきているわけですね。こうした事態は、私は、いわゆる特措法も感染症法も、一連のコロナに係る法令、法律が想定していない、想定していなかったことであると思いますが、いかがですか。

山際国務大臣 どの範囲で考えるかということはありましょうが、しかし、先ほどの答弁で申し上げたように、日々、敵という言い方がいいかどうか分かりませんが、病原体の性状も変わる、そして、それに従って我々も変わっていかなくてはいけないということは事実でございますので、当然、特措法の枠の中で今オペレーションをやっていますけれども、その特措法そのものも含めて、感染症法や特措法も含めて、その感染、病原体がどのような性状かということが分かってくれば、それに対して対応していくというのは当然のことだと思います。

足立委員 いえいえ、今の特措法や感染症法、例えば感染症はこれは厚労省になりますから担当大臣ではないかもしれませんが、全体を、いわゆる基本的対処方針ということも含めて全体を見ていただいている大臣として、少なくとも、五波までと六波は違うと言われています。今日も予算委員会で参考人質疑がありました。脇田所長がおいでになっていました。それで、脇田所長も、五波までと六波は違うということを当然明言をされています。そういうオミクロン株のような形で六波が今起こっているわけですね。それは、明らかに感染力が格段に高く、他方、毒性は低いわけですね。ある意味で、もう別のウイルスだと言ってもいいぐらいです。そうした今のような事態、今のような事態というのは、六波が来る前に想定されていましたか。

山際国務大臣 想定していたかといえば、想定しておりました。

 想定していたからこそ、昨年の十一月にお示しをした全体像の中で、これが適正な表現かは分かりませんが、デルタ株、夏に猛威を振るったデルタ株の二倍の感染力のものが出てきたときにどうするか、三倍の感染力になってきたときにどうするか、あるいはそれを超える感染力を持ったものが出てきたときにどうするかということで、我々はそれを想定しながら、この全体像をお示しして、それに従って運用しておりますから、全く想定していなかったかといえば、危機管理の意味から想定して今に至っているということでございます。

足立委員 今日、厚労省、おいでをいただいています。

 今、神奈川とかいろいろなところで、自主検査とか自主隔離ということが増えてきています。

 これは、予算委員会で厚生労働大臣から、これは法律の外だとおっしゃいました。それは、もう一度、確認だけです。要は、今、各所で行われている様々、自主検査とか自主隔離等の取組は、これは感染症法がカバーできていないというか、感染症法の外の取組であるということでいいですね。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 自主検査、自主隔離、委員の範囲がどこまでおっしゃっているか分かりませんけれども、後藤大臣申し上げましたが、神奈川県が自主療養という形で始められている方式につきまして、あれは医療機関の診断を経ずして自主的に療養を選ぶことができるという仕組みになっておりますが、これにつきましては感染法上の枠外であるという御答弁をされております。そういう認識でございます。

足立委員 いや、これは大臣、私は大変なことだと思います。

 要は、感染症法という枠組みで、感染症法の新型インフルエンザ等感染症ということで、法改正までして枠組みをつくってきたわけですね。その中で、感染症法ではもう位置づけができないような事態というか取組が必要になっているというのが今の現状である。このような感染症法の外の、そういう自主療養のような取組が必要になってきているわけですが、そういう事態、こういう取組が必要になることも想定されていましたか。

山際国務大臣 その枠の中になるかどうかは別にして、医療が本当に逼迫をしたときに、私たち一人一人の国民にどこまで、行動抑制も含めて、我々の生活に制限をかけていかなくてはいけないかということは考えておりました。

 今の、感染症法の外にあるということ、これは決していいことだと我々もちろん思っておりませんが、そのコンセプトとしては、医療を逼迫させないというのが最大のコンセプトですから、その医療を逼迫させないというコンセプトに従って考えるときに、工夫の一つとしてやられていることだというふうに私は理解しておりまして、そのことによって医療が逼迫をしない状況にあるということは、言ってみれば想定した中にはまっているということですが、問題がないのかと言われれば、これは整理をして課題を解決しなくてはいけないものの一つだというふうに思っております。

足立委員 私たちは、いや、想定していれば対応を取っていたはずですね。当たり前ですね。想定していなかったことが今起こっているわけです。

山際国務大臣 ですから、ある意味、枠を外れるようなこともあり得る、それは今申し上げたとおりですよ。

 それは、そうなったときに何を重視しなくてはいけないかというときのコンセプトが、人の命を守るということ、すなわち、医療の逼迫を抑えるということ、これをやらなくてはいけないという、これは、デルタ株の反省に基づいて、そのコンセプトに基づいてやっているわけですけれども、そこのコンセプトを考えたときの工夫の一つとして、こういうことが起こった、これをやらなくちゃいけない状況が最初から分かっていましたということであれば、当然それは、そういう状況に対して法的な措置ということも考え得たのかもしれません。それはそうかもしれません。

 しかし、私たち自身は、先ほどから申し上げているのは、そうではなくて、医療を逼迫させないようにするにはどうすればいいかというので、様々な工夫があり得るよねと、それは想像していたということなんです。その様々な工夫の中に、今のようなオペレーションというものを神奈川県が神奈川県の創意工夫で始めたということでございまして、それは我々のコンセプトから外れているものではないという理解ですね。

足立委員 私たちがこれにこだわっているのは、私たちは、五類相当、また五類相当と言うと、普通の、いわば季節性インフルエンザと一緒にするのかという議論があるけれども、そういうことを申し上げているんじゃないんです。要は、まさに今大臣がおっしゃった、様々なことを考えたときに、今の規制体系が一番いいかですよ。

 今日も脇田所長と議論をしました。二類相当、新型インフルエンザ等感染症として位置づけていることのメリットは、例えば入院勧告ができるとかいろいろなメリットがありますね。でも、メリットは、もうこの期に及んで大分メリットではなくなってきているんですよ。だって、もうこれだけ広がっているんだから。そうではなくて、二類相当に位置づけていることによるデメリットがむちゃくちゃ増えてきているわけです、デメリットが。それは、まさに病床逼迫ですよ。

 だって、今日も、要するに……(発言する者あり)今、立憲民主党の筆頭が、大阪はどうなっていたかと。

 大臣、これ、どう思います。いや、こういう発言を国会議員がするということは、私はあり得ないと思いますよ。れいわも何かそういうことを言っていますけれども。

 みんな頑張っているんですよ。大阪は、例えば、若い方と高齢者の方が一緒に住んでいる割合が東京よりも多いんです。そうすれば、今回のオミクロンもそうですよ、若い方から広がる、それが高齢者にうつるスピードは、大阪は東京より速いんです。だって、それが世帯の構造なんですよ。それを、何か私たちの本部がある大阪を取り上げて、私が質疑しているときに、大阪はどうなんだと。懲罰物だよ、懲罰物。

 ちょっと大臣、この野党筆頭の在り方について、コメントをお願いします。

山際国務大臣 私が褒められた人間かどうかは別にして、やはり、このコロナウイルス感染症に限りませんが、感染症というのは我々人類共通の敵ですから、それに対してどう対応していくかということは、与党、野党の別なく、みんなで真剣に取り組んでいかなくてはいけないものだ、そのように思っております。

足立委員 本当に応援しますよ、大臣、本当に。

 大体、立憲民主党は、今は、右手に共産党、左手にれいわ、とんでもない形で選挙をやろうとしていますから、こういう……(発言する者あり)いや、実態じゃないですか、それは。

 それで、そういう人たちが、菅直人さんを放置しながら、ここで不規則発言で大阪を名指しするというのは、私はあり得ないと思うんですよ。(発言する者あり)

 委員長、これは発言権だと思うんですね。あっ、委員長、ちゃんとやります、ちゃんと質問しますが、いいんですよ、これ、だって、私一人で演説していてもいいんです。よくないかもしれませんが。でも、発言権というのは、国会議員の発言権というのは重要なんです。そうやっていろいろなひどいやり方を、立憲民主、だって、憲法審査会だって、あなたたちのおかげで動かないわけだから。まあ、やめておこう、もうこれは。

 だから、とにかく本当にこういう国会は、僕はよく役人の人たちに言うんですよ。レクしていただいたら、みんな御苦労されている。今度、国会廃止法案を作るからといって、みんな喜んでくれますが、そうはいかないので、できるだけ生産性の高い質疑をやっていきたいと思いますが。

 大臣、今の話はすごい大事で、今というのは先ほどの。結局、今の二類相当だと何が起こるかというと、熱があったり、あるいは濃厚接触者であったりすると、一般のクリニックとか一般の医療機関がなかなか受け入れてくれないわけですよ、熱があるというだけで。

 結局どうなっているかというと、それから、いわゆるコロナ病床も、コロナ病床は、それはコロナに感染されている、オミクロン株に感染されている方々が入院をされている。でも、コロナはほとんどが軽症だというわけですよ。

 原疾患が悪化をして重症化して亡くなられる方も出てきている。でも、それは本当は、ケアとしては、もちろんある程度感染予防はするんだけれども、一般病床でも受け入れていいはずだ。今日も脇田所長にそういうことを申し上げたら、そういう病床の在り方、今は指定医療機関でやる。でも、それは、今申し上げた、これだけ軽症が増えてくると、重症はほとんどない。ないことはないですよ、余りない。特に若い方はほとんどない。高齢者の方が重症は多いけれども、ほとんどが原疾患が重症化している。コロナは軽症が多い。そういう状況の中で、蔓延防止等重点措置を発令し、緊急事態宣言の議論がなされている。

 私は、そこの病床の在り方を始め、やはりもう少し柔軟な、柔軟というときに、私は、法の外に出ることは余り僕はよしとしませんよ。だけれども、もう少し柔軟なオペレーションをしていくべきだと強く思い、それを私たちは五類相当という表現で政府にぶつけているわけです。

 今の在り方は、いろいろな人から話を聞いても、本当に現場はやばいです。大混乱をしつつあります。速やかに、より柔軟なフレームを検討すべきだと思うんですけれども、いかがですか。

山際国務大臣 柔軟な対応、柔軟なフレームというのは、私も合意します。

 それで、今日、脇田さんとお話をされたということですが、今と同時刻にコロナ対策分科会も開いております。そこで今のお話も含めて議論が行われています。

 これは専門家の中でも相当意見がまだ分かれている部分があって、それで、特に、原疾患を持っていらっしゃる方がコロナウイルス感染症にかかった場合に、かかっていない方と同じ場所にいるということが、もしそれで重症化が進むということであった場合に、それが許されるのか。そういう倫理的なものを含めて、現場は本当に苦しんでいらっしゃるということ、我々もそのことは承知しています。

 だからこそ、やはり専門家を交えてこれはしっかり議論しなくてはいけないことなんですが、さはさりながら、オミクロンは勝負が早いということも分かっていますので、できるだけ柔軟に対応できるところをどんどんしていくということはこれも必要なことなので、枠、フレームそのものまで今取っ払って、あるいは違うフレームをつくってということまではできておりませんけれども、今のフレームの中ででき得る最大な柔軟な対応というのはやらなくてはいけないと思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 感染症法改正は、いろいろ私ども申し上げていますが、我々も今、議員立法でそれを出す準備はしていますが、なかなかこれは難しい法体系ですから、そう簡単ではありません。政府も、六月以降、六月に方針を出してということで総理もおっしゃっていますが、でも、先ほどあったように、もう感染症法の枠は超えている。その枠は超えた部分は、例えば基本的対処方針にちゃんと位置づけていったらいいと思うんですよ。今は、現場で、都道府県が苦しいためにそういう独自の取組を各地で始められている。でも、それは、どういう取組をしたら法の枠外であってもうまく回っているとかいう、もうそういうふうに出てきていますよね。

 だから、私は、法律に基づかないのも問題だけれども、できれば、オミクロン株に対応して、この基本的対処方針は、いついつに改定されたこの基本的対処方針は、なるほど、オミクロン株のことをしっかりと踏まえた対処方針になっているな、各地でやっていることもちゃんと目くばせしてと。

 今、例えば先ほどの自主療養、自主療養については対処方針に書いてません。書いてませんね。書いてません。基本的対処方針に書いてないことが、もう苦しいから起こっているわけです。それはやはり、特措法に基づく専門家の意見を聞いて、それでまとめている基本的対処方針にやはり書いていくべきだと思いますが、いかがですか。

山際国務大臣 基本的対処方針に書き込むべきという専門家の皆様方からの御意見がコンセンサスが得られればその方向になるんだと思うんですが、一方で、基本的対処方針に書き込んでいなかったとしても、自治体の皆さんの判断で、例えば神奈川県の事例のようにやっていただくことに関して、我々、それを駄目だというわけではなくて、それが、先ほど言ったように、医療の逼迫を抑え得るそういう前向きな方途であるということであれば、それはまさに柔軟に対応させていただいて、今があります。

 それを全国展開した方がいいという話になれば、おっしゃるように基本的対処方針にきちっと書き込んだ方が判断がしやすくなると思いますので、それも含めて検討はさせていただきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。是非お願いします。

 明らかに今の基本的対処方針はオミクロン株を踏まえた形になっていないのではないかというある種の不信感を、申し訳ないけれども、国民の皆様も持っています。

 いろいろな報道で、いろいろな事態が報道される中で、やはりちょっと、先ほど私は、想定しておられたかということを何度も伺いましたが、岸田内閣の想定の外にオミクロン株がはみ出しつつあると国民は感じていますので、是非、大臣のリーダーシップでそこはしっかりと目くばせをして、それを基本的対処方針に位置づけるということでお願いしたいと思います。

 その上で、もちろん、法律、法令の対応、これはもちろんやるべきだと思いますが、その法律ですが、さきの特措法の改正で過料が導入されました。これも予算委員会で何度もやっているわけですが、近藤内閣法制局長官が、専門家の意見を聞くんだと。専門家の意見を聞くということは、それは法律に明記をした、都道府県知事のところで。基本的対処方針のところは元々そうなっている。

 専門家の意見を聞くということはどういうことかというと、それは、なるほど、緊急事態宣言なら緊急事態宣言を発令することが必要である、それが科学的、疫学的に必要であるということが、エビデンスと言われますが、科学的な理由がちゃんと示されている場合に限って、限ってというか、近藤長官は、絞ってとおっしゃいましたが、やみくもに発令されることはこの法律は想定していないんだと。

 なるほど、この宣言とか、あるいはそれに関連する基本的対処方針に書かれているような措置とか、そうした、人流だ何だという議論が一時ありましたが、そういうことについての十分な科学的、疫学的な説明がないと、なぜ飲食店だけに罰則までつけて財産権を侵害する権力が政府にあるのかということが問われるということですね。

 今、オミクロン株の実態を踏まえると、緊急事態宣言を出す科学的、疫学的根拠はないと私は思っているんです。大臣は、緊急事態宣言の話はまだだから、じゃ、蔓延防止。蔓延防止等重点措置でさえ、私は微妙だと思っているんですよ。

 大臣は、蔓延防止等重点措置を発令されるに当たって、科学的、疫学的な、それが有効であるという、財産権を侵害してでもそういう措置を取ることがありなんだという専門家からのインフォメーションはあったんですか。

山際国務大臣 これは、おっしゃるとおり、非常に重要な点だと思います。

 予算委員会でも御答弁申し上げましたように、一つ、法律上のたてつけとしては、新型コロナウイルス感染症の変異株の差というものは見ていないという事実がありますね。ですから、法律に従えば、その法律の枠内でやるしかないわけです。

 その上で、オミクロン株の性状がここのところ少しずつ分かってきて、それで、先生のおっしゃるように、感染力は非常に強いけれども重症化率が低いということが大分、これは科学的なエビデンスとしてもそろってきたということですから、これから先のことを考えれば、それに従ったものに様々制度が変わっていくべきだというのは、私もそう思います。

 しかし一方で、いまだ、残念ながら、季節性のインフルエンザに比べると、まだ肺炎になる率あるいは死亡率も高いというのも事実は事実としてありますので、そこの部分をどの程度まで季節性のインフルエンザに近づいてきた場合に外すかという議論も、やはりこれは科学的な知見に基づいて、専門家の先生方の判断というものを交えて決めていくしかないと思うんですね。

 ですから、そういう意味では、今の枠というのは法律の中で決められたことをやっているという認識ですが、これから先のことを考えれば変えていく必要もあるものだろう、そのように思っております。

足立委員 そのこれから先のことを考えたときに、実は、予算委員会で総理に、六月を待たずして法改正する余地もあるのではないか、というか、そういうことも検討すべきではないかということを申し上げたんですが、総理は明言をされませんでした。

 私は、山際大臣であれば分かってくださると思う。要は、オミクロン株というものの本質が分かってきて、それが、今の法律の規定あるいは政令の規定、私はやはり、新型インフルエンザ等感染症に位置づけてしまっているので、法改正をやはりせざるを得ないのではないか。あるいは、新型コロナウイルス感染症からCOVID―19を外して、要は、法律じゃなくても、事実上二類相当から引き下げていくみたいな立法的な措置、これは六月を待たなくてもやることはあり得ると。あり得る、当たり前だと思うんですけれども。

 いや、ここで言質を取って報道にしてもらいたいとは思っていません、思っていますが、ちょっと。是非、それはあり得るんだから、だって、絶対あり得るんだから。そこはあり得るということを大臣がおっしゃってくださるだけで、国民は、そういう心積もりで向き合ってくださっているんだということで安心しますから、かたくなではなくて、是非、あり得ると。お願いします。

山際国務大臣 ここで私があり得ると言った瞬間に、それは報道で物すごいことになるということも分かっていますので。

 ですから、先ほどから申し上げているように、相手に対して柔軟に対応すると。柔軟の中には、今委員がおっしゃったようなことも含めて、私は含まれていると思います。しかし、私の感覚ですが、今このコロナ対策を受け持っている人間として、法改正は法改正で、相当これは体力を使いますね。我々のスタッフも含めて、体力を使います。皆さんが幾ら協力してくださるといっても、やはり法律を変えるというのはすごく大変です。そのエネルギーを、今燃え盛っているオミクロンに対しては、そのエネルギーを割くより、それに対応することに力を使った方がいいというのは私の判断でございますが、可能性としてゼロではないということは、そのとおりなのではないでしょうか。

足立委員 ありがとうございます。

 私が今日、冒頭、国会の在り方を変えたい、こう申し上げたのは、まさにそのためなんです。要は、政府はもう大変です、だからこそ私たちは、じゃ、例えばオミクロン株に対応した感染症法あるいは特措法の規定にちょっと微修正するぐらい、それは僕らでやりますよ。だから、別にそれを政府として了とするかどうかは、でも、立法府として私はやったらいいと思う。内閣委員会で特措法を持っているんだから。ねえ、平先生。

 是非、自由討議の時間をつくる。自由討議の時間というのは何かというと、テーマはオミクロン株対応だと。立法府として、国権の最高機関として、国民が困っているんだから、どうやったら特措法、感染症法をもっとよくできるのかということを自由討論で、立憲民主党は、憲法審査会と一緒で、来なくていいから。(発言する者あり)いや、来なくていいですよ。だって、大阪のことをあげつらうような人に、そういう心のない人たちが、そんな入る必要ないですよ。与党と維新の会と国民民主党と、あとは何か分からないけれども、で、やりますから。

 だから、委員長、私は真剣に、国会の生産性が低いことがこの国の様々な問題を生んでいると思っているんです。だから、政府・与党だけではなくて……(発言する者あり)当たり前ですよ。私たちは国民からの負託を……

上野委員長 不規則発言にはできるだけ反応されないようにお願いしたいと思います。

足立委員 分かりました。

 ちょっと、終わってからやりましょう、終わってから。

 委員長、私は本当にそう思っているんです。だから、是非、与党と心ある野党の人たちで、政府に入っていない人たち、平さんなんか力が余っていますから、是非、立法府としての責任を果たしていくために、そうした自由討議、テーマを決めての討議の時間もつくっていただくようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 内閣委員会初質問です。足立先輩のようにはちょっといかないかもしれませんが、よろしくお願いします。

 最初に、デジタル庁での取組について伺います。

 私自身、キャリアのスタートはIT業界でしたので、この分野には強い思いを持って質問してまいりたいと思います。

 先進諸外国に比べると、日本の生産性向上は喫緊の課題と考えます。これはデジタル化が進んでいないことも大きな要因の一つであります。

 私自身、ITの現場で、多くの企業がテクノロジーを通じて組織や事業を大きく変えていく姿を見てきました。今、デジタル変革が進んでいかなければ、グローバル競争において、日本だけが取り残されてしまう。だからこそ、日本のDXを進めるという使命を持ったデジタル庁には是非頑張っていただきたいと思っています。

 デジタル庁が発足してから五か月が経過いたしました。新型コロナウイルスのワクチンの関連システムなどを始め、各所で精力的に仕事を進めておられることと思います。

 一方で、デジタル庁とともに働かれている方々からは、背負うミッションや業務量に対して、人員や制度面で対応が追いついていないのではないかといった声も聞きます。

 そこで、現在のデジタル庁の体制等、五か月を経過して分かってきた課題について、牧島大臣の御所見をお伺いいたします。

牧島国務大臣 デジタル庁、設置間もない省庁、組織ではありますけれども、国や自治体システムに加えて、準公共分野である医療、教育、子供、防災など、こうした官民連携の基盤づくりも行っております。

 御指摘いただいているとおり、この業務は多岐にわたっておりますし、社会全体のデジタル化の司令塔としての機能を今後も果たす、それを考えますと、これまでもですが、これからも業務が増えていくということを私としては認識をしているところであります。

 その役割を十分に果たしていくためには、それぞれの部署で、多くの経験や知見を持っている職員の皆様に活躍をいただいていますし、これからも活躍をお願いしなければなりませんし、確保もしていかなければなりません。

 官の人材については関係省庁の協力を得ながら確保をしていく、そして、自治体や民間企業からも職員の皆さんを積極的に受け入れていく。今後もデジタル庁の体制強化は、随時努めていかなければならないと思います。

 行政組織がデジタル人材を活用していくためには、優秀なデジタル人材が官民学を行き来できるようにするような環境を整備するための制度の見直しを行っていくことが必要であるということもつけ加えさせていただきます。

 こういったことも含めて、霞が関のデジタルトランスフォーメーションを果断に進めていくために、真に必要な分野の人材を確保、配分すること、そして、外部登用を含めて優秀な人材が活躍できるような環境を整備していくこと、こうした働きやすさ、やりがいが持てる職場づくりということも努力をしていきたいと思っております。

 また、必要に応じて、関係機関とも連携しながら、デジタル臨時行政調査会においても議論を進めてまいりたいと思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。おっしゃるとおり、キーとなるのが民間出身の方になってくるのかなと思っています。

 そこで、非常勤職員を中心とした民間出身のデジタル人材の処遇についてお伺いします。

 現在、デジタル人材に対する需要は大変に逼迫をしております。民間での待遇も非常に恵まれているかなと思います。また、デジタル人材と言われる方々は、働きやすい職場環境、こういった待遇面以外の働くインセンティブにも敏感だと聞いております。

 こういった非常勤のデジタル人材の方々に関して、民間企業の水準とのギャップですとか常勤職員との差異に関する御認識、また、モチベーションを維持していくための人事上の扱い等の工夫に関して、大臣の御見解をお聞かせください。

牧島国務大臣 今御指摘いただきました非常勤の職員の皆さんだけではなく、常勤の方、兼業、副業も含めて、多様な働き方で貢献してくださっている職員がデジタル庁にはおられます。また、現在、このコロナ禍でもリモートワークが進んでおりますし、プロジェクトベースでの参画など、柔軟な働き方ができる職場づくりをつくっております。

 民間出身の方には、既に、国民目線や利用者目線でのデジタル基盤の整備、行政サービスの提供など、様々な面でコメントいただいたりアドバイスいただいたり、取組にコミットメントを生かしていただいていると思っています。

 民間出身の職員の方々とお話をしていると、デジタル庁が提供するサービスは、まさに国民皆さんが使うような大きなユーザーを意識したものであるということ、これにやりがいを感じていますというお話もありましたし、社会全体のデジタル化を進める、まさに多くの国民がデジタル庁に期待をいただいている中での仕事に大きな魅力を感じているというお話も聞かせていただきました。

 こうした得難い経験をしているという声、大事にしていきたいと思っていますし、これからも、柔軟にデジタル庁に参画をしていただける高いモチベーション、やりがいを持って進められるように、環境整備は整えていきたいと思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。是非、今おっしゃっていただいた取組を進めていただきたいと思います。まず、霞が関の職務規定を当てはめるのではなくて、より柔軟な働き方を認めていっていただけたらと思っております。

 次に、官僚の皆さんの働き方改革についてお伺いします。

 失われた三十年を経て、我が国の生産性は先進諸国に比して大きく劣る状況が続いておりまして、働く人たちが快適さや幸せを実感しにくい社会になってきているとも言われております。こうした中で、くしくも、コロナ禍で、リモートワークなど、働き方を変える大きな契機にもなってきております。

 一方で、霞が関に目を向けると、どうでしょうか。民間と比較して、働き方改革が著しく遅れているのではないでしょうか。いかなる時代においても、清廉かつ優秀で志の高い官の人材の存在は、紛れもなく国の宝だと思っております。にもかかわらず、現在の働き方によって、国の宝である官僚の志を持続させることが難しくなってきております。多くのストレスを抱えて、仕事にやりがいを感じることのできない官僚の方々が続々と退職しております。この事実が、大学生の国家公務員離れという現象にも拍車をかけていると認識をしております。

 こうした状況を改善して、官僚の皆さんが誇りと働きがいを持って生き生きと働くことのできる環境を整えて、多くの若者から選択される霞が関とするために、官僚の働き方改革は喫緊の課題であると考えております。

 そこで、何点かお伺いをしてまいります。

 まず最初に、先般ありました予算書のミスについてお伺いします。

 二〇二二年度予算案に複数の誤りがあり、さきの予算委員会では、担当大臣から、誤りの背景等について分析をしていくとの答弁があったことは承知しております。しかしながら、予算審議の重要基礎資料である予算明細書の誤りは看過できないものであります。

 そこで、まず、今回の予算書のミスの原因について、官僚の人事行政の要である内閣人事局としての所見を伺います。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の予算の各目明細書における記載誤りにつきましては、今後、財務省におきまして、関係省庁と連携して、誤りが発生した背景等を分析するものと承知しておりますので、その状況を注視してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 さきの予算委員会では、担当大臣から、著しく緊張感に欠けていた、全くもって申し開きできないとの発言がありました。しかし、私は、ミスが、原因は気の緩みではないと思っております。

 より深刻なのは、いまだに紙の資料をこよりで結んで保存したり、一太郎、こうしたものがまだデファクトスタンダードの職場があったりなど、独自の霞が関文化がはびこってデジタル化が遅れる、その働き方の仕組みにこそ問題があると考えております。

 人海戦術によらず、業務フロー全体を見直しながら、最新のテクノロジーの導入、DXを進めることで、今回のような予算書のミスを防ぐことができるのではないでしょうか。

 DX推進、業務フロー見直しという観点から、システム改善の次年度予算要望を出すべきと考えますが、牧島大臣の所見をお伺いします。

牧島国務大臣 今般の予算明細書の誤りの原因や再発防止策については、既に各大臣が説明されているものと承知しております。

 その上で、一般論として申し上げるのであれば、今御指摘あったとおり、霞が関の働き方改革を進めなければならない、そのためにはデジタル化を生かしていかなければならないというふうに私も思っておりますし、抜本的な業務の見直しが必要であるという点でも同じ思いでございます。

 今、BPRについても言及いただきましたが、昨年十二月に各府省庁に示した情報システムの整備及び管理の基本的な方針において、既に、情報システムの整備に当たっては、サービスデザイン思考に基づき、業務改革、BPR及び制度そのものの見直しに取り組む、情報システム担当だけではなく、制度担当や業務担当も含んだ横断したチームをつくり、制度、業務、情報システムが三位一体となった体制構築を行うことなどを示しております。それを実現するために、デジタル庁は、各府省庁に対して、伴走型の支援体制、これを取っていきたいと考えています。

 霞が関全体のデジタル化を進める私としては、二之湯大臣と連携をして、関係機関の協力も得ながらしっかりと取り組み、霞が関の働き方改革につなげていきたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 私が危惧しておりますのは、若者の霞が関離れです。率直に、十年を待たずどんどん若者が辞めていく、こうした状況についてどう御認識をされているのか。

 私、御提案なんですけれども、退職者、離職者に対してしっかりインタビューなりアンケートを実施して、今後の霞が関の働き方改革に生かしていけばいいんじゃないかと思うんですが、御見解をお聞かせください。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近年、国家公務員の志望者数の減少、あるいは若手職員の早期離職傾向が見られておりまして、私どもも危機感を持っております。

 離職の原因には様々なものがございますので、一概には申し上げられませんけれども、現職の若手職員が離職意向を持つ理由としては、長時間労働などで仕事と家庭の両立が難しい、あるいは、もっと自己成長できる魅力的な仕事に就きたいといったことが挙げられているところでございます。

 そこで、そうした結果を踏まえまして、昨年一月に国家公務員の働き方改革の指針を改正いたしまして、一つには、業務効率化とデジタル化を推進していくということ、もう一つには、管理職が、部下のやりがい向上、人材育成など、マネジメントの改革を進めていく、この二点を働き方改革の主軸として位置づけたところでございます。

 御指摘のような、実際に離職した方の意見につきましては、現在、内閣人事局及び人事院の若手職員によりまして、未来の公務や働き方に関する議論を行っております。その中で、こうした方のヒアリングも進めていると聞いております。まずは、このヒアリングの内容を踏まえまして、更に、どういうことが考えられるか、検討していきたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。是非、職場改善につなげていっていただきたいと思っております。

 働く環境のバロメーターとして、いろいろとありますけれども、賃金、特に超過勤務に対して、しっかりと支払いがなされているということは基本中の基本かなと思っております。これがされていない職場は、ブラックと言われても仕方ないかなと思っております。しかし、この基本が霞が関では非常にないがしろにされてきたと思っております。

 こうした状況の中で、河野前大臣の御尽力によりまして、しっかりと支払うようになったということは大きな前進であると私どもも評価をしておりますけれども、超過勤務手当の確認は具体的にどのようになされているのか、在庁時間の把握方法、そして、超過勤務手当のプロセスについてブラックボックス化していないか、超過勤務の具体的な把握方法について御説明をお願い申し上げます。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 超過勤務命令のプロセスにつきましては、原則として、上司が日々事前に命じ、個別の超過勤務命令を発し、かつ、事後に実際の所要時間や内容などについて部下と認識を共有して超過勤務時間を確定し、超過勤務命令簿に記載するというプロセスがございますが、これまでは、このプロセスが必ずしも徹底されてこなかったという面があるかと考えておりまして、昨年四月に、各府省にこのプロセスを徹底するように図ったところでございます。

 また、本府省におきましては、昨年の八月から、業務用の端末、PCですね、PCのログ等による在庁時間の客観的な把握を進めることとしておりますし、今後は更に、勤務時間管理のシステム化を通じて、在庁時間を、見える化を進めていきたいというふうに考えております。

 引き続き、こうした在庁時間に関するマネジメントがしっかり行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 民間では、勤怠管理システムが広く普及しております。霞が関では、聞いたところ、導入済みの省庁、例えば経産省ではセールスフォースが導入されていると仄聞しておりますけれども、一方で、エクセルで手動で集計している省庁もあるということで、足並みがそろっていないという印象を受けております。是非とも、この勤怠の実態把握についても、正確性、効率性を追求していっていただきたいと思っております。

 ここまで、霞が関の働き方改革について伺ってまいりました。

 今、我が国は、緊張が高まる国際情勢、そして長引くコロナに対応するとともに、コロナ後の新たな経済社会を構築していくといった重要な時期にあります。こうした中で、霞が関の官僚機構が果たす役割は変化をしつつも、その重要性に変わりないと考えております。新しい時代に対応し、しっかりとしたパフォーマンスを発揮できるような霞が関の行政組織が求められております。

 組織は人であります。霞が関に働く皆さんが生き生きと働くことができる、魅力ある職場であることは非常に重要です。そのために、デジタル技術の果実を生かしながら、柔軟な働き方を実現し、異常な超過勤務が常態化している状況を改め、しっかりと公務員の皆さんのワーク・ライフ・バランスを推進していくべきと考えますが、二之湯大臣の御所見をお伺いいたします。

二之湯国務大臣 超過勤務時間に基づいて、適切な、いわゆる時間外手当の支給を今しておりまして、ただ、問題は、どんどん支給するから残業したらいいということではない、私はこのように思っているところでございます。若者が、若い職員がやりがいを持って、そして、時代に応じた真に必要な業務に当たることが非常に重要である、このように思っております。

 そのために、いわゆる既存の業務の廃止あるいは見直し、これはルーティンワークと言われていることですね、これの見直し、あるいはデジタル技術の徹底した活用ということによって、真に必要な業務に生産性を高めるようにすることが必要である、このように思っております。

 さらに、上司が、このような仕事の見直しのほか、部下のやりがいを促すために一生懸命努力するということ、そういう人材育成に取り組んで、上司のマネジメントの力を向上させることも必要だ、このように思います。

 そして、テレワークやフレックスタイムなどを活用して、時間や場所にとらわれず、柔軟に働ける環境をつくっていくことも非常に重要だ、このように思っております。

 一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。大臣の強い思いを感じ、受け止めることができたかなと思います。

 さらに、先ほど牧島大臣からもありましたリボルビングドアの話をしたいと思うんですけれども、霞が関を退職した元官僚の方、こうした人材が、デジタル系の職場で新たなスキルを身につけ、コンサルティング会社に移って活躍している例、こうした例が散見されますが、こうした方々が戻ってこれる、そういう仕組みづくりが霞が関全体の体制強化に非常に重要だと考えております。

 もっと踏み込んで申し上げますと、元官僚でなくとも、民間で非常に優秀な人材を、局長ですとか審議官級ですとか課長級でヘッドハントして雇い入れるような形も検討していくべきだと思っておるんですが、このリボルビングドアの実現にとって何が課題であるのかを含め、二之湯大臣の御所見をお伺いします。

二之湯国務大臣 官民交流や、あるいは自治体への出向など、いわゆる外の飯を食べるということは、これは非常に本人にとっても刺激的でありますし、また、そういう方が再び元の職場に戻ることも組織に非常にいい影響を与えるんじゃないか、いい刺激を与えるんじゃないか、このように思っておりまして、一度退職した職員が、民間企業に勤め、その後、再び公務に戻って活躍することに非常に意義がございますから、そのような事例がどんどんと増えてくることが期待される、このように思っているところでございます。

 委員の御指摘、大変有意義だと思いますので、前向きに検討してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 今回は、デジタル庁官僚の働き方について質問させていただきました。ここの改革が進まないと日本のDXは進まないと思います。是非とも引き続きよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会、浅川義治です。

 初の国会質問です。昔、横浜市会議員として何百回と発言の機会がありましたが、今日は久しぶりで、読み原稿では若干と書いたんですけれども、相当緊張しております。久しぶりといっても、ほぼ十五年ぶりの議会での質問でございます。上野委員長、理事の皆さん、各委員の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 事前の質問調整でお時間をいただきました行政職員の方々にも先にお礼を申し上げます。また、ネット中継を御覧になっている皆さん、本日最後の質問者でございますので、最後まで是非御視聴ください。

 それでは、全国の治安を守る警察行政について、二之湯智国家公安委員長にお伺いいたします。

 大臣も、かつて京都市会議員を長く務められていたかと思います。地域住民からの治安や交通安全に関する要望も多かったと思われますが、私は今、横浜・八景島シーパラダイスの近くに住んでおります。横浜市金沢区柴町というところです。海岸を埋め立ててできた柴マリン地区は、夏は風通しもよく、冬は温暖で、とても過ごしやすい町なんです。

 ただ、児童生徒、今日何度も出てまいりました、子供にとっては、学校まで少し距離のある、そして、一部、人家のない通学路を歩かなければならないという問題があります。冬場の下校時、まさに今のような時期ですが、塾の帰り等も暗くなり、少し危ないところを通らなければなりません。保護者や住民には心配を募らせている方もいます。

 スクールゾーンでの治安対策イコール地域の治安対策ですが、本来は、行政がお金をかけて、子供や女性の安全を守らなければならないと思います。ところが、地域の住民が作る防犯看板の公園等への設置についても、倒れたら誰が責任を取るのかと、行政は認めません。隣接する奥の深い公園や緑道への街灯の増設や、照射面の要望にも回答が得られない。このように、今まで繰り返し住民や保護者が訴えていたにもかかわらず、何も変わりませんでした。

 一方で、限られた警察予算の中、危険なスクールゾーン周辺に、特に下校時に限って警察官によるパトロールをするということは、なかなか考えられないと思います。少しでも問題を解決しようと、住民の発案で、企業の協力を得て治安の維持につながる警備活動を推進しようという動きがあります。

 そこで、これまでにも全国の警察が把握している企業の防犯CSR活動にはどのようなものがあり、今後どのようなスタンスを取られるのかをお伺いいたします。

二之湯国務大臣 犯罪の起こりにくい社会の実現のためには、自治体、あるいは地域住民、そして地元の地域の企業等が警察と一緒になって一つ自主防犯活動を推進するということは非常に重要である、このように思っております。

 警察においても、自主防犯活動を促進するため、関係機関、団体等と協働して、防犯ボランティアに対する講習会や合同パトロールというところをやっているところでございます。

 近年、企業の中にも、自ら防犯活動に取り組むほか、地域の防犯ボランティア団体を支援する取組も行っているところもございまして、警察では、こうした取組等に対しまして、犯罪情報の提供や助言等の支援を行っておるところでございます。

 引き続き、自治体や地域住民、防犯活動に取り組む地域の企業等と警察が緊密に連携を取り合って、地域社会が一体となった防犯活動が進むように警察を指導してまいりたいと思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 地元横浜市金沢区柴町には、柴町駐在所があります。芹川さんという駐在さんがいつも住宅近隣をパトロールをしてくれておりますが、パトロールのたびに自治会役員さんのポストに訪問記録カードを入れてくれます。また、地域の行事等にも積極的に参加され、住民としてはとても心強く感じております。

 駐在所というと地方のイメージが思い浮かびますが、横浜市内にも多くあり、地域の防犯活動の要にもなっていると思います。一方、一部の地域での交番や駐在所の統廃合もあり、その周辺住民から不安の声も聞かれます。

 そこで、我が国の治安の維持に大きく貢献していると思われる交番や駐在所の意義と今後について、どのようにお考えをお持ちでしょうか。お伺いいたします。

二之湯国務大臣 交番や駐在所では、パトロールをしたり巡回連絡等の様々な活動を通じて、地域住民の意見や要望等に応えるべく、管轄する地域の実態を把握して、その実態に即した活動を行っている、このように思っているわけでございます。また、昼夜を分かたず常に警戒体制を保ち、様々な警察事象、例えば町中での暴力事件や交通事故といった事件、事故に対し即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなっておるところでございます。国民の身近な不安を解消する機能を果たしているもの、私は、そのように交番、駐在所を思っているところでございます。

 交番、駐在所については、各都道府県警察が治安情勢等を踏まえて適切に設置しているものと承知しておりますが、地域住民の理解を得た上で、引き続き、交番、駐在所の設置が適正、合理的なものとなるように警察を指導していきたい、このように思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 続きまして、富士山の噴火関係、災害関係についてお伺いしたいと思います。

 警察の災害対処能力の向上ということで、大臣の所感にもございました。私は、想定外を想定することこそが政治家に課された責務だと思っております。想定されたことを法律で制度に落とし込み、それを執行するのが行政官、官僚の仕事であり、責任だと考えます。

 三・一一東日本大震災の大地震は、専門家の中には、あの大きな地震の発生を予想される研究者もいました。実際、東京電力にはその情報が伝わっていました。しかし、福島第一原発の事故は防げませんでした。東京電力が責められる部分はありますが、私は、国策として原子力政策を進めてきた政治の責任はもっと大きかったと思っております。もし早くから専門家の意見を国会議員や閣僚等が把握し、議会での議論がなされていれば、あの大きな津波で第一原発が破壊されてしまう、電源が喪失することはなかったのではないか、何らかの対策を打つことができたのではないかと考えます。

 その三・一一のとき、大船渡市の越喜来小学校の児童は、直前にできた津波対策の避難通路を使って、避難時間の短縮につながり助かったという記事を読みました。震災の直前に亡くなられた平田武大船渡市議が強く訴え、完成させていたそうです。

 危険に対する想定を行政で実現させることができるのは我々政治家だということを示していると思います。私は、自らのホームページ、政治理念のページにこのことをずっと記しております。

 ところで、大臣、UFOを見たことはございますでしょうか。

 二年前、アメリカの国防総省は正式に公表いたしました。当時の河野防衛大臣もUFO会見をいたしました。テレビでも大きく報道もされました。我が国でもUFO問題が行政で取り扱われるようになったと認識しております。想定されるようになったわけでございます。

 もちろん、私は、未確認飛行物体が、はるかかなたの宇宙から宇宙人が乗ってやってきた物体だとは想定しておりません。しかし、アメリカの政府は、その可能性をも否定せず、情報収集と分析を行うための予算もついているそうです。

 国民の安全確保のためには、安全保障政策は言うまでもありません。小惑星の衝突や巨大隕石の落下、東京湾内での巨大地震、いわゆる破局噴火と言われるような超巨大噴火が日本近海で起こることも考えられます。

 富士山の噴火について、UFOをも想定されるようになった日本政府です、富士山の噴火対策は当然できていると私は思いました。しかし、中央防災会議の報告書を読むと、その終わりに、「しくみを含め具体的かつ速やかに検討・実施されることを期待する。」と結ばれておりました。これは富士山噴火の火山灰の対策についてです。その後、もうすぐ二年になりますが、いまだに対策ができていないことが、昨日の予算委員会で、二之湯大臣の答弁でも明らかになりました。政府が主導、主管して、富士山の噴火対策をすぐにつくるべきだと思います。

 一方、国家公安委員長として、警察の災害対処能力の一層の向上に取り組むと所信で述べられました。

 そこで、当委員会では、国家公安委員長としての警察庁の取組についてお伺いいたします。

 大規模災害の発生時、特に富士山が噴火したときの警察の災害対応、また、それに備えた体制について、どのようになっているでしょうか。

二之湯国務大臣 警察では、大規模地震や火山災害を始めとする様々な災害に備えた取組を進めているところでございます。

 委員御指摘の火山災害については、昨年六月に、国家公安委員会、そして警察庁防災業務計画を修正し、都市部を含む広範囲で火山灰による影響が生じることも見据えて、装備資機材の整備などの対策を取ることといたしました。

 こうした方針の下に、警察庁及び都道府県警察においては、降灰時において警察官が活動を行うためのゴーグルやマスク、そして、停電に備えた警察施設や信号機の非常用電源などの整備に取り組んでおり、例えば、箱根山を管轄する神奈川県警察においては、道路上から火山灰を除去するために重機を整備するなどをしております。

 また、火山防災協議会を通じるなどして関係機関との連携を強化しておりまして、例えば、富士山を管轄する山梨県警察においては、県と連携し、火山灰堆積時の車両走行試験を行うなどにより、降灰対処能力の向上を図っているところでございます。

 こうした取組の上で、大規模災害発生時には、全国の警察から被災地に部隊を派遣するなどして、被災地の救出活動等に当たることとなっております。

 引き続き、火山噴火を始め、あらゆる災害への備えに万全を期していきたい、このように思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁だけでは全体としてはまだまだ不十分なのかと思いますが、そもそも、他の省庁や防災担当が政府全体で動けていない中、その備えを警察庁でし始めていた、これは私は注目する点だと思いますが、どうしてこういった取組をし始めることができたのか、お伺いいたします。

二之湯国務大臣 警察は、平成二十六年九月の御嶽山の噴火を踏まえて、主な活火山を管轄する、道県ですね、都道県警察、府はありませんから。都道県警察に火山性ガスの検知器等を配備したほか、令和二年四月に、中央防災会議の下に設置されたワーキンググループにおきまして広域降灰の影響等に関する報告書が取りまとめられたことを受けて、富士山噴火時に降灰が想定される地域を管轄する都道県警察等にゴーグルやマスクを配備するなどの取組を進めてきたところでございます。

 そういうことで、引き続き関係機関と連携して火山災害等への対策に努めてまいりたい、このように思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 災害対策というと、まず国民は自衛隊の活動が思い浮かびますが、これまでも警察の災害出動は多々あり、また、今お話しされたように、いろいろ準備もされてきている。でも、なかなか国民がそれが頭に浮かばないのは、PRが不足しているのではないか。

 実は、事前の質問調整のときにお越しいただいた方たちも、警察はPRがちょっとうまくないというようなお話もありました。確かに、実は所轄のそれぞれの警察署のホームページも、手作りで作られていたりするところもあります。もう少し情報発信について工夫を加えると、もっと分かりやすく、そして警察の活動について理解が深まるのではないかというふうに思っております。

 今日は初質問ということで、地域で伺った国民の声を基に、治安強化についても伺いました。また、先ほど、想定外を想定する、危機管理を担う官庁という言葉も事前にもお伺いしました。そして、UFO問題についても触れましたが、これまで国会では、UFO論議は数えるくらいしかされておりません。危機管理の観点から、UFO問題に対しても、想定外だったという責任逃れはもうできなくなってきていると思います。

 未知の自然現象なのか、最新の兵器なのか、中国で極超音速ミサイルも開発されて、想定外に相当な照準精度があるということも分かってきておりますが、そういったことも含めて、あるいは、一部のオカルトマニアからは、別次元から来ている物体じゃないかとか、そういった声もありますが、いずれにしても、不測の事態を避けるためには、防衛省に限らず、UFO情報の収集あるいは分析を警察でも行っていくことが私は重要じゃないかなと思っておりますので、その辺も期待しております。

 少し時間を残して申し訳ありませんが、初質問をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

上野委員長 次回は、来る九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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