第5号 令和4年3月2日(水曜日)
令和四年三月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君
理事 足立 康史君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
石原 宏高君 金子 俊平君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
鈴木 英敬君 高木 啓君
谷川 とむ君 永岡 桂子君
平井 卓也君 平沼正二郎君
松本 尚君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 山田 賢司君
吉川 赳君 和田 義明君
青山 大人君 大串 博志君
堤 かなめ君 本庄 知史君
山岸 一生君 阿部 司君
浅川 義治君 堀場 幸子君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 山本 太郎君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 二之湯 智君
法務副大臣 津島 淳君
外務副大臣 鈴木 貴子君
経済産業副大臣 細田 健一君
防衛副大臣 鬼木 誠君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 柳 淳君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 吉川 徹志君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 小島 裕史君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 緒方 禎己君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 渡邊 国佳君
政府参考人
(警察庁警備局長) 櫻澤 健一君
政府参考人
(警察庁情報通信局長) 河原 淳平君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 茂里 毅君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 江口 純一君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 松山 泰浩君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
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委員の異動
三月二日
辞任 補欠選任
宗清 皇一君 谷川 とむ君
中谷 一馬君 青山 大人君
同日
辞任 補欠選任
谷川 とむ君 宗清 皇一君
青山 大人君 中谷 一馬君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
警察法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
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○上野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣情報調査室次長柳淳君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○上野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党、山岸一生です。おはようございます。よろしくお願いいたします。
早速質疑に入ってまいります。
二之湯委員長、私、お地元の京都で、昔、新聞記者をやっていたことがありました。駆け出し時代に京都で過ごしていました。非常に伝統、文化豊かな町でしたけれども、一方で、よそ者にはいろいろ分からないルールがあったり、仕組みがあるなということも感じておりました。今回、自民党京都府連の政治資金をめぐる様々な疑惑、報道に接する中で、そんな思いも新たにしました。こういった闇、あるいはうみというものは是非出し切っていただきたい、その思いで質疑をしてまいります。
大臣、この間、御答弁を伺っていますと、いろいろ矛盾があるなというふうに思います。なぜこの問題を僕が取り上げるのか。それは、まさにこれから審議をしていく警察法の改正に密接な関連があるからなんでございます。この法案によって、国家公安委員会の役割が大きく変わっていく。そのトップである二之湯委員長がその職責を果たしていくために、本当に大丈夫なんだろうか、こういう疑問があるわけでございます。
大臣、この政治資金の問題をめぐって、矛盾のある答弁をされていると私は思います。
一つ、大臣、こうおっしゃっている。二月十四日、衆議院予算委員会、我が党の階猛議員への答弁でこうおっしゃっています。地方議員に金を渡すために決めたんじゃないかと、そういうことではございませんと否定をされています。
一方で、その次の日、二月十五日、これは予算委員会ではありません、大臣の記者会見ですけれども、こうおっしゃっている。大きな節目節目の選挙には、府連の地方議員に対して応分の政治活動費が配分されるやろうということは想像はしている。
二つのことをおっしゃっているんですね。御自分の思いで寄附をして、府連が独自にお金を配ったから示し合わせていないというお考えと、一方で、当然、お金を配分することは分かっていますよ、想定していますよ、想像していますよとおっしゃっている。これは明らかに矛盾をしていませんか。大臣、どっちが正しいんでしょうか。
○二之湯国務大臣 私も再三委員会で答弁しておりますけれども、私たち国会議員が京都府連に政治活動費の一部にこれを使ってくださいということについては全く変わっておりません。前後の記者会見でどういう、私が、発言が違った、それは知りませんけれども、あくまでもこれは党勢拡大、政治活動に使っていただきたい、その一部にしていただきたい、こういうことでございます。
○山岸委員 大臣、記者会見での発言、今、知りませんけれどもとおっしゃいましたけれども、御自分で答弁された内容でございます。お金が配られますよということは想像していますよと御自分でおっしゃっているわけなんですが、今、これは、記者会見の発言は間違っていましたということでよろしいんでしょうか。
○二之湯国務大臣 お金を配るというんじゃなくて、党に献金する、党に寄附をする、こういうことです。配るというのは、大変、非常に何か印象が悪い言い方ですけれども。
○山岸委員 改めてお聞きしますけれども、だから、地方議員に政治資金が配分されるということを分かっていましたと会見でおっしゃっているんだけれども、これは認識が誤っています、取り消しますということでよろしいですか。
○二之湯国務大臣 私たちの、国会議員のそういう寄附の一部が、それも一部ですし、府連独自の財源もありますでしょう、そういうことを地方議員に、各支部に寄附されるということは承知しておりましたし、そういうことであります。
あくまでも、これを何に使ってほしいかということは、政治活動に使っていただきたい。そして、公職選挙法上、事前、選挙が始まるまで、政治活動、党勢拡大をしてもいいという分野は認められていますね。今、今年の七月の選挙をめぐって、全国各地で、候補者と、あるいはまた違う人の二連ポスター、三連ポスターが見られますし、あるいは、それぞれの政党の機関紙を地方議員さんが郵送なりして配っているとか、こういう政治活動は認められているわけなんですね。そういうことに使っていただきたい、こういうことなんです。
○山岸委員 プロセスはともかくとして、地方議員に届くということは分かっておった、そのことを、しっかり活動に使ってもらいたい、そういうお話でございました。
じゃ、お聞きしたいんですけれども、どうして実費精算という仕組みにしなかったんでしょうか。大臣、具体的に、国会でも、ガソリン代、レンタカー代、これまで、というか今日もまた、ポスターあるいは郵送というふうに具体的におっしゃっています。必要経費だということであれば、私もサラリーマンをやっていましたので、やはり実費精算、事後精算というのが基本じゃないかなと民間企業では思います。渡し切りというやり方はやはりいろいろと問題があるものですから、なくしていこうというのが一般的な流れじゃないかなというふうに思うんですが、どうして実費精算ではなくて渡し切りなんですか。
○二之湯国務大臣 私は、そういう実費精算でやられるということは聞いたことはないです。しかしながら、私たちが、渡った活動費が、それぞれの議員さんが政治資金収支報告書を提出しているわけです。それによって、私たちは互いの、私たちのお金が党勢拡大、正確に使ってもらっているということを、そういう信頼関係があって成り立っているわけですね。
○山岸委員 今、収支報告書できちんと明らかにしていますよということなんですけれども、実際に、じゃ、今お話しになったように、実際に渡したお金がどれだけ使われたかということは、大臣、確認されていますか。
○二之湯国務大臣 私は、個々の議員さんの政治資金収支報告書を閲覧したことはございません。しかし、それは信じております。
○山岸委員 確認された方がいいと思います、これだけ議論になっているわけですから。
幾つか見てみたんですけれども、京都の議員さんの収支報告書、橋村芳和後援会、この方は京都市議の方でいらっしゃいますけれども、活動費の対象者のお一人になるわけです。平成二十九年九月三十日、京都府連から五十万円が支払われています。
大臣、このとき、平成二十九年、二〇一七年の衆議院選挙の直前です、府連でのポスト、御記憶ありますか。
○二之湯国務大臣 私のポストですか。(山岸委員「府連での」と呼ぶ)府連でのポスト。ちょっと、済みません、私、今、記憶にないんですが。
○山岸委員 結構です。クイズをやるつもりはありません。失礼しました。
二之湯委員長が府連会長でいらっしゃいました。委員長の決裁の下で五十万円が支払われている。じゃ、支出はどうか。この橋村芳和さんの後援会、平成二十九年、支出ゼロ円です。
大臣、これは、先ほどまでのお話とやはり矛盾すると思いますよ。実費がかかるから府連を通じて配分しているんだと。もらった方の議員、使っていないじゃないですか。これは本当に必要経費と言えるんですか。
○二之湯国務大臣 その議員さんの個々の後援会活動といいますか、あるいはスタッフの数によって、通常の、そのお金を使わなくても、十分そういう政治活動をできる、そういう事務所のスタッフの体制もありますし、あるいは、その都度、政治活動、党勢拡大をするためには、アルバイトを雇ったりいろいろなことをしなきゃいかぬと、個々の議員さんの、その事務所体制にもよるんじゃないか、このように思いますけれどもね。
○山岸委員 使わなくてもできるところもあるんだろうということなんですけれども、大臣御自身がおっしゃっているから、僕、聞いているんですね。
十八日の予算委員会で、大臣、我が党の階猛議員への答弁でこうおっしゃっているんです。活動に伴う費用が重なってくる、こういうことなんですよとおっしゃって、お金がかかるからそれを前もって渡しているんですよということをおっしゃっているんだけれども、今のお話だと、使うケースも使わないケースもそれぞれあるというお話で、活動実態が報告書上も見えない議員に五十万円ぽんと渡してしまっている。これはやはり、実費を補う、必要経費を支払うというよりも、自治体議員にそもそもお金を流すということのためのスキームだと言われても仕方がないんじゃないかなと。
今日の議論ではそう言わざるを得ないと思いますので、引き続き、この問題は同僚議員とともにお聞きをしてまいりたいというふうに思います。
こうして、私、いじわるはするつもりは全くないんですけれども、二之湯委員長にあえて資質をお尋ねしているのは、今日議論をしている警察法の改正、この法案と密接な関係があるからでございます。
この法案によって国家公安委員会の役割が、冒頭申し上げましたけれども、極めて重要になってくる。この法案、国家機関である警察庁に直接の捜査権を与える内容ですから、都道府県警察を基本としてきた日本の警察の在り方に大きな転換をもたらすものであります。
国直轄であるサイバー警察局、この捜査権の濫用を防ぐために、国家公安委員会に対する苦情申立てという新しい制度が設けられます。これは、サイバー警察のこれからの活動によって国民の権利を守っていくというために非常に重要な制度でございます。
以下、この新制度の下で、国家公安委員会が果たして求められる機能を果たしていけるんだろうか、更に言うと、二之湯公安委員長が国民の権利を守ることができるのか、こういう視点から質問をしてまいります。
まず、現在の仕組みについて教えてください。
現在、警察への苦情申立てというのは、これは都道府県警に対して行われるものです。当然、今現在は、捜査をしているのは都道府県警察に限られるからでございます。
警察庁、お聞きいたします。ここ最近の都道府県公安委員会への苦情申立ての件数はどうなっていますか。
○小島政府参考人 警察法第七十九条第一項の規定により、全国の都道府県公安委員会に対して文書で申し出られた苦情の件数につきましては、令和三年中が一千二百七十件、令和二年中が九百九十二件、平成三十一年中が八百八十八件であったものと承知をしております。
○山岸委員 二〇一九年が八百八十八件、二〇二〇年が九百九十二件、そして二〇二一年が千二百七十件ということで、近年増加傾向にあるわけであります。やはり、個人の、国民の個人情報であったり、あるいはプライバシーということへの意識の高まり等、警察の活動というのが一定の緊張関係にあるということを示している数字だと思います。
では、その苦情に対応していく都道府県公安委員会の体制はどうなっているか。
都道府県公安委員会には、委員を補佐する補佐室というものがあります。私もかつて取材していたことがありますけれども、公安委員の皆さんというのは、いわば地方の名士の方が就かれることが多いわけで、それがいいか悪いかという議論は別にありますけれども、実質的な事務というのは補佐室が行っているわけであります。
警察庁、お聞きいたします。この都道府県公安委員会の補佐室の人員はどうなっていますか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
都道府県警察におきまして、当該都道府県公安委員会の庶務を処理する部署につきましては、都道府県警察の規模等によって様々でございますが、小規模県におきましても、少なくとも数名程度が配置をされているものと承知をしております。
○山岸委員 一概の答えは難しいということだけれども、数名以上はいるという話でしたので、全国で見積もって百人以上、数百人規模という人員がこの苦情対応を含む公安委員会のサポートをしているということでございます。
これから、この法案が成立すれば、国家公安委員会に対して直接苦情を言える体制になります。では、それをサポートする国家公安委員会の事務局はどうかということなんですけれども、これは私、初めて聞きました、会務官という組織なんですけれども、ここの人員はどうなっていますか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
国家公安委員会の庶務をつかさどる国家公安委員会会務官の職員は十二名であります。
○山岸委員 十二名の事務局体制。だから、都道府県警察三つ分か四つ分か分かりませんけれども、それぐらいの規模だということですね。
問題は、これが本当に苦情に対応できるのかということであります。国民からすれば、サイバー捜査局、新しい機関で、不安もあって、苦情という形で国民の声が表れることは十分想定をされるわけであります。
そこで、警察庁にお聞きいたします。法改正後、国家公安委員会に対する苦情申立ての件数はどれぐらいと見込んでいますか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
国家公安委員会に対する苦情申立て制度につきましては、今回の警察法改正により、重大サイバー事案について国の組織が直接に捜査を行うこととなることを踏まえ、新たに設けることとしているものであります。したがいまして、同制度の運用開始後において実際にどれくらいの申出が行われるか、その件数の見込みをお示しすることは困難でございますが、申出が行われた場合には、法の趣旨を踏まえて誠実に対応することとしております。
○山岸委員 数字は困難であると。
じゃ、聞き方を変えますけれども、この苦情に対応していくために、法改正後、先ほど聞いた会務官の体制、人員を増やしていく予定はありますか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
国家公安委員会会務官におきましては、警察庁の関係部署と連携をしながら、サイバー特別捜査隊の活動に関する苦情につきまして、事実関係の把握や是正措置の検討等を適切に実施することとしており、今後とも、必要な体制や人員を確保したいと考えております。
○山岸委員 具体的に増やす予定はないということですよね。私は、国民の権利を守る制度としては甚だ心もとないと思います。今、もう年間千数百件の苦情を日本中、百何十人、二百何人で処理している。一方、国の事務局は十二名しかいない。これはパンクをする可能性もあるんじゃないかなと思います。そんなに来ないだろうと言い切れるんでしょうか。
というのが、これは国民からすれば、都道府県警察の捜査員と警察庁のサイバー警察の捜査員をどういうふうに見分ければいいのか、難しいと思います。だから、分からないから国に申請をしようという方もたくさん出るんじゃないかと懸念をされます。そうなると、この苦情申立て、事実上機能しなくなってしまうのではないかと私は懸念を持ちますが、どういうふうに実効性を高めていきますか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
関東管区警察局に置かれるサイバー特別捜査隊の活動といたしましては、重大サイバー事案の関係先の事業者から被害状況を聴取したり、捜査への協力を求めること等が想定をされます。このような場合には、名刺や警察手帳を示すなどして相手方に対し自らの身分を明らかにした上で行うことが通常であることから、苦情申出の対象となる職務が都道府県警察の職務であるか警察庁の職務であるかについて国民に判別していただくことは可能であるというふうに考えております。
また、現行の苦情申出制度におきましても、本来の申出とは異なる都道府県公安委員会に申出がなされた場合には、当該申出が他の都道府県警察の警察官の職務執行に係るものであること、当該他の都道府県公安委員会に対し申出を行うことができること等を申出者に適切な方法で教示するなど、国民に寄り添った運用を行うこととしております。
新たに設ける国家公安委員会に対する苦情申出制度につきましても、同様に実効性のあるものとなるように適切に対応してまいりたいと考えております。
○山岸委員 適切に対応していくということなんだけれども、やはり具体像が見えてこないわけなんですね。苦情は受けません、事務局の体制は増えません、手続はこれからしっかりつくっていきます、これで本当に権利を守れるんだろうか。
二之湯大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、やはりこれは、国家公安委員会の在り方が問われる問題だと思います。新しく国家直轄の警察をつくっていく、もちろんサイバー犯罪対策はしっかりやってもらいたいけれども、それが国民の権利を侵害することがあってはならない。権利救済の仕組みであるこの苦情申立て、やはり私は、警察から独立をした新たな第三者機関をつくるということも含めた抜本的な充実、改革が必要ではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○二之湯国務大臣 今回の警察法改正によりまして、国の捜査機関としてのサイバー特別捜査隊が設置されるわけでございます。
重大サイバー事案については、国の組織が直接に捜査を行うことになっておるわけでございます。警察活動について活動に何か問題が起きた場合には、これを把握し、改善を行っていくことが極めて重要であるというように認識をしております。このため、警察庁の警察官の職務執行に対する苦情について国家公安委員会に申し出ることができる制度を新たに設けたわけでございます。
国家公安委員会といたしましては、申出のあった苦情について、国家公安委員会会務官を中心に関係部局が緊密に連携し、誠実な対応がなされるように、警察庁を指導していきたいと考えております。
○山岸委員 会務官を中心にということなんだけれども、是非、委員長自らのリーダーシップを発揮してほしいというふうに思います。
続けて、この法案の重要な狙いの一つである国際共同オペレーションに関してお聞きいたします。
よくこの法案をめぐる報道等で聞かれるのが、日本が国際共同捜査に置いていかれてしまう、だから法改正が必要なんだ、こういう議論なんだけれども、本当なんだろうか。これは、法案が必要だという理由、つまり立法事実そのものに関わってきますから、少し詰めていきたいと思います。
警察庁、二〇一四年のゲームオーバーゼウス事件、これは何ですか。教えてもらえますか。
○緒方政府参考人 お尋ねの件については、二〇一四年、平成二十六年当時、インターネットバンキングに係る不正送金事犯に使用されていると見られる不正プログラム、ゲームオーバーゼウスが世界的に蔓延したことから、各国の法執行機関が連携して対処した事案であります。
同事案において、我が国は、各国の法執行機関とも連携して、同プログラムに感染した国内の端末について、当該端末の利用者に対して、プロバイダー等を通じてその駆除を促したものであります。
○山岸委員 この国際共同オペレーションに日本も含んで参加したということなんだけれども、この場合、日本の機関というのは警察庁でよろしいのか、また、どの部局になりますか。
○緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、各国の法執行機関との本件に関する連携については警察庁として対応し、担当課は生活安全局情報技術犯罪対策課であります。
○山岸委員 このときは、国の捜査機関、この法案でつくろうとしている国の捜査機関はもちろんまだなかったわけなんだけれども、参加できている。参加できた理由は何ですか。
○緒方政府参考人 御指摘の事案につきましては、当該不正プログラムに感染した端末が世界中に五十万から百万台存在したとされ、そのうち約二〇%が我が国に所在しているとされたことを踏まえ、我が国として参加したものと承知しています。
○山岸委員 そうしますと、確かに、八年前の話でありますから、単純に現在と比べることは難しいのかもしれませんけれども、やはり当時、日本が重大な関係があるということで参加ができたわけですね。
そうしますと、この法案でまさに提案理由になっているわけなんだけれども、国直轄のサイバー警察局がなければ国際共同オペレーションに日本が参加できないという根拠はあるんですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
現在被害が増加しておりますランサムウェアを用いた事案を始めとする重大なサイバー事案につきましては、一つの国単独で捜査することは困難であります。このことから、各国との国際連携を進めまして、この種の事案を共同で捜査し、その抑止に取り組むことが不可欠でございます。
しかしながら、外国捜査機関との連携におきましては、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察とのいわば窓口にすぎず、案件ごとに捜査を担当する都道府県警察が入れ替わっていくため、国際連携の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが困難な状況でございます。
そこで、日本警察として、外国警察機関との強固な信頼関係を構築し、円滑な国際連携を進めることにより重大なサイバー事案の抑止に取り組んでいくため、国の捜査機関として関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置し、国の組織が直接に捜査を行うこととしたものであります。これは国際連携に当たり必要であると考えております。
○山岸委員 つまり、国同士、機関同士の信頼関係があるかどうかということが大事なんだということであって、やはり、捜査機関があるかないかという組織論の問題で、ゼロか一かで決まる話ではないということなんですね。
ここは是非、国も誤った発信の仕方はしないでほしいと思うんです。何か、捜査機関がないことで世界に置いていかれるかのような単純化した報道もあるんだけれども、実質的なコミュニケーション、信頼関係というものが大事になってくるということでございます。
時間の関係で質問を少し飛ばさせていただきますけれども、こういった国際協力を進めていくということ自体の必要性は理解をいたしますけれども、やはり、今の議論を聞いていると、とにかく国際協力を進めていくんだということでありますけれども、懸念されるのが、国際協力の名前の下に、際限のない捜査権の拡大、あるいは幅広い市民活動に対する常時監視、日常的な監視につながるおそれも運用次第ではあるのではないかと懸念をいたします。このための具体的な歯止めはどういうふうに規定されていますか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
国際捜査共助の枠組みにおきましても、相手国の要請を受けて我が国において強制捜査を行う場合には、裁判官からの令状発付を受けるなどの必要があることから、御指摘のような際限のない捜査権の拡大につながることはないと考えております。
いずれにしましても、外国からの要請につきましては、個人の権利と自由が保護されるよう、国際捜査共助等に関する法律を始めとする関係法令の規定に基づいて適正に対応してまいりたいと考えております。
○山岸委員 以上のやり取りを踏まえて、二之湯委員長、お聞きしたいと思うんですけれども、捜査当局の行き過ぎを防ぎ、国民の権利を守るためにも、国家公安委員会の役割は非常に大きくなってまいります。この国際共同オペレーション、どういう体制で管理をしていかれますか。
○二之湯国務大臣 外国捜査機関との協力が必要な事案を含めて、サイバー特別捜査隊の捜査においても、捜査上の秘密が守られるとともに、個人の権利と自由が保護されることが絶対に必要であります。
国家公安委員会といたしましては、こうした観点から、サイバー特別捜査隊の捜査について、国際捜査共助等に関する法律を始めとする関係法令の規定に基づき適正に行われるよう事前事後の監督を行うとともに、隊員への教育が徹底されるよう警察庁を指導してまいりたいと思っております。
○山岸委員 指導の徹底をお願いしたいというふうに思います。
そこで、残った時間でそもそも論を少しお伺いしていきたいなと思うんですけれども、今、公安委員会という制度の在り方も含めてお伺いしてきたところでありますが、日本の警察は、戦後、都道府県警察を基本とする自治体警察の制度を取ってまいりました。警察法の三十六条においても、都道府県警だけが捜査できるんだということを明確に書いてあるわけです。
じゃ、この法案によってたてつけがどう変わっていくのか、あるいは変わらないのか、具体的にお聞きをしたいと思います。新設されるサイバー警察局は、サイバー事案については都道府県警に対しても指揮監督権限を持てる、こういうことになるんでしょうか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
警察法第十六条第二項の規定により、警察庁長官は、警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督することとされております。
今回の改正で新設されるサイバー警察局におきましても、これまでの既存の警察庁の内部部局と同様に、警察庁長官が行う指揮監督を補佐する立場から、都道府県警察に対して必要な指導や調整を行うこととなるものでございます。
○山岸委員 指導、調整ということであります。この内容についてはしっかりこれからも明らかにしていきたいと思います。
私は、日本の戦後七十年以上発展してきた民主警察という歴史に信頼を持ちたいともちろん願っております。しかし一方で、この間、戦争体験者の方とお話をして、こういうことを聞きました。戦前は、特高警察というものがあって、相互監視の中ですごく世相が暗かったんだということを聞きました。もちろん、戦前と今とは違う、信頼を置きたいと思っていますけれども、今回、国家による直接捜査というものに対して国民の中に不安があるのも事実であります。
そこで、二之湯委員長、今までのやり取りを聞いてもらった上で、やはり都道府県警察による警察活動が大原則であって、警察庁による直接捜査は極めて例外的である、こういう整理をはっきりしてほしいと思うんですが、いかがでございますか。
○二之湯国務大臣 現在の警察法では、都道府県警察がその管轄の区域につき治安責任を負っているわけでございます。
今回の改正により、警察庁が直接捜査を行うこととなりますけれども、これはあくまでも重大サイバー事案に限っているという意味で、非常に例外的なものであります。都道府県警察がそれぞれの管轄区域につき治安責任を負うということは何ら変更はないわけでございます。今後も、犯罪の捜査は原則として都道府県警察が行うこととなります。
○山岸委員 二之湯委員長、もう一点だけお願いいたします。
重ねて、サイバー以外の、例えば生活安全局の薬物捜査などもありますけれども、それ以外の機関、分野、サイバー以外の機関、分野に際限なく国の捜査が拡大することはないということを明確にしてもらえますか。
○二之湯国務大臣 現時点におきまして、御指摘のように、国の組織による捜査を重大サイバー事案以外の分野に拡大することは考えておりません。今回の法改正は、あくまでも重大サイバー事案に限って警察庁が直接捜査を行うことができることとするものでございます。
○山岸委員 現時点ではということでしたが、留保つきですけれども、答弁をもらえました。
これから、もし更なる変更がある場合には、しっかり国会での議論をしていただきたい、このことをお願い申し上げて、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。
今、我が会派の山岸議員からの質問の中で、最初の部分ですけれども、二之湯委員長がお答えになった中で、党勢拡大のためにお金を渡すというのは、議員に対して渡す、あるいは政党支部に対して渡すということはあることなんだというお話がありました。
しかしながら、もらった方は使っていないというような事例もある中で、それはそれとして、お金を配ることは問題ないんだという認識でよろしいですか。
○二之湯国務大臣 特別、京都府連が党勢拡大のために仕事をお願いするわけでございますから、当然費用が要るであろうという前提の下に活動資金を交付しているわけでございます。
それで、全く使っていないという方がいらっしゃるということは非常に例外的でございまして、私も今日初めて知ったわけでございます。
○森山(浩)委員 初めて知ったということは、それはそうだろうなと思います。自分の同僚の議員さんの政治資金報告書を一々眺めるなんということは、政治家同士、なかなかやりにくいことだろうなと思いますが、これはやはり望ましいことではないというお考えでしょうか、それとも、まあ、それも仕方がないのかなというふうに思っておられますか。
○二之湯国務大臣 先ほども申しましたように、その事務所のスタッフの体制、どういう形で、日常、自分たちが党活動、党勢活動をしているのか、そういうことによって使う人と使わない人が出てきているのかなという印象は持つわけでございます。
○森山(浩)委員 スタッフにであっても、スタッフに対するお金が払われているわけで、そこから出ていないということは、そこじゃないところにお金が動いているわけで、その渡したお金はそのままになっているということだ、政治資金報告上はそういうことになっているということだと思うんですよね。
だから、そういうことについては、やはり私は望ましくないと思いますけれども、そういう認識は共有いただけますか。
○二之湯国務大臣 今日その話を初めて聞きましたもので、私としてはちょっとコメントする立場にないんですが。
○森山(浩)委員 捜査をするという側のトップでありますので、やはりはっきりと立場というのを表していただきたいと思いますし、また、しっかり見ていただいた上で御判断をいただきたいというふうに思います。
特に、六か月前規制、選挙の前の六か月というものは政治活動にも規制がかかるというところでありますから、我々政治家自身も常に気をつけながら活動する期間でもあります。政党活動だからといって何もかも許されるという期間ではないのだということはもう十分御認識だと思いますので、やはり、特に国家公安委員長という立場で現在いらっしゃるわけですので、しっかりそこは判断を、ちょっと後ろ、何を入れているの。秘書官、関係ないよね。政務の話ですので、秘書官からのメモはないようにしていただきたいというふうに思いますが、これにつきましては、また、同僚議員等を含めまして、今後議論していきたいと思います。
さて、今回の法案です。
近年のサイバー事案、特に重大サイバー事案について、国家全体でやる、警察庁として部隊を置いてやるというような形でありますけれども、現在、ロシア、ウクライナという形で、紛争あるいは侵攻というような形になっています。
ウクライナの政府のウェブサイトがハッキングされるというようなこと、こういったことも起こっているという中で、これは、紛争、戦争なのか、あるいは犯罪なのかというのが分からない状況などもあるかと思います。この辺りの線引き、あるいは警察の役割、初動の部分から教えてください。
○河原政府参考人 お答えいたします。
近年のサイバー空間をめぐる脅威につきましては、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるサイバー事案が明らかになるなど、極めて深刻な情勢が続いているものと認識しております。
御指摘のとおり、サイバー事案の中には、認知した時点ではその主体や目的が判然としないものもございます。こうした事案を認知した場合、警察では、法令に基づき取締りを行うことに加えまして、被害の発生や拡大を防止するため、関係省庁と必要な情報を迅速に共有しまして、緊密に連携して対応に当たることとしております。
なお、国民の生命、身体、財産等に重大な被害が生じるおそれのある大規模なサイバー攻撃事態が発生した場合には、内閣官房を中心に、政府一体として対応する枠組みが構築されており、警察としては、関係省庁と緊密に連携しまして、被害の発生や拡大の防止を図ることとしております。
○森山(浩)委員 ということは、最初は、誰がやっているか分からないから警察がスタートで捜査するけれども、これは重大だということになると官房に上げていくというような形ですか。
○河原政府参考人 大規模なサイバー攻撃事態が発生した場合には、今お答え申し上げたとおり、内閣官房を中心に、政府一体としてこの事態に対処していくという構図でございます。
○森山(浩)委員 今回のサイバー特捜隊については、海外との窓口になるんだというような話でございます。海外との窓口になるということなんだけれども、例えばインターポールという組織があります。この中にはロシアも入っているというような状況で、各国の警察が入っている。その中で、国家を背景とした、若しくは日本への、あるいは日本企業へのアタックがあった場合に、こういうところで横横で情報連携をして対応するという形になるのか。安全保障面であれば個々の条約を結んだりしていますけれども、個々の国とは、このような形での、情報共有できるというような形での個々のやり取りがありますけれども、捜査に関しては、サイバーに関しては何らかの枠組みがあるんでしょうか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
国境を越えて敢行される重大サイバー事案等につきましては、一つの国単独で捜査することは非常に困難でありまして、国際連携を推進することが不可欠でございます。
警察といたしましても、インターポール、国際刑事警察機構でありますとか、そういった国際的な枠組みであるとか、あるいは、事案に応じましては当該関係国との連携を通じまして、これに対応していくという状況でございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
ということで、何らかの、国が背景にあるというような攻撃があった場合の対処については、余り想定されていないというようなことに聞こえますけれども、それはそういうことで、そこはもう警察の手に負えないから想定していないということでいいですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
外国捜査機関との連携に当たりましては、国家を背景としたサイバー攻撃集団が関与する事案のように、極めて高い秘匿性が求められることがあるため、相手方と深い強固な信頼関係を有していくことが重要でございます。
こうした観点から、国際連携の推進に当たりましては、外国捜査機関との信頼関係、この構築を図るとともに、個別具体の事案に応じて、連携する相手方を慎重に見極めて、適切に捜査を行ってまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
さて、警察庁直轄の捜査機関ということでサイバー特捜隊が設置をされるわけなんですけれども、これについては先ほど山岸委員の方からもお話がありました。初ということで、この法改正の中でも、あっちこっちの場所で、警察庁と都道府県警察、警察庁と都道府県警察というようなことで、必要な法改正というのもかなりの箇所に至っていると思います。
実力部隊を初めて持つんだということでありますけれども、そこで、重大サイバー事案というもの、御説明では、国、公共団体の機関や重要インフラ等に重大な支障が生じる事案、対処に高度な技術を要する事案、マルウェア事案など、そして、海外からのサイバー攻撃集団による攻撃などというふうになっています。大体何件ぐらいを想定していますか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
具体的な件数は、ここでお答えするのは差し控えたいと思います。
○森山(浩)委員 体制、何人でしたっけ。サイバー特捜隊の体制は何人ですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
サイバー特別捜査隊の体制につきましては、約二百名の体制を考えております。
○森山(浩)委員 いただいた資料によると、ランサムウェアの被害報告で百四十六件、令和三年の一年間であるわけですよね。二百名ぐらいの体制の中で何万件ものことは処理ができるわけはありませんから、重大サイバー事案というのがどのぐらいの範囲になるのかというのは非常に重要な部分だと思います。
この重大サイバー事案、例えば、じゃ、国、地方公共団体の機関は分かりますね、重要インフラというのは、どういうふうに定義をされていますか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
重大サイバー事案の対象となる重要インフラにつきましては、具体的には、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が定めました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画の対象とされております金融、医療、電力等の十四分野、これを想定しております。
○森山(浩)委員 これ、十四分野というのはどこかで聞いたなと思ったら、今回出てくる経済安全保障の法案の中でも同じ概念を使われていると思います。これは同じものということでよろしいですか。
○河原政府参考人 経済安全保障での重要インフラにつきましては確定的なことは申しませんけれども、重要インフラの情報セキュリティーに係る第四次行動計画におきまして、これは政府のサイバーセキュリティ戦略本部の決定でございます、これにおきまして、今申し上げた情報通信、電力、金融等の十四分野が示されているものと承知しております。
○森山(浩)委員 同じものということですね、引いた基が一緒ですから。
ガスと書いてあるけれども、じゃ、都市ガスのコントロールセンター、これはやはり重大サイバー事案でしょう。同じガスでも、プロパンガスの集積場、ここへの、これは重大サイバー事案になるのかなどというようなことは整理をされていますか。
○河原政府参考人 これにつきましては、重大サイバー事案の対象に今申し上げた十四分野の重要インフラというのを想定しておりますが、個別の事案が重大サイバー事案に該当するかどうかは、それぞれのケースに応じて判断していくことになろうかと思います。
○森山(浩)委員 重大サイバー事案についての件数は言えないという話でスタートをしています。
重大サイバー事案と認定をしたものは全てサイバー特捜隊で捜査をするのか、あるいは、重大サイバー事案と認定をしないからサイバー特捜隊では捜査をしないのか、これはどちらですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
捜査等の活動につきましては、原則として都道府県警察が行うこととされており、警察庁は基本的にその調整を行っているわけなんですが、これについて、今回の法改正によって、重大サイバー事案について国の組織が直接捜査を行うことができるようにするものでございます。
都道府県警察では、引き続き、重大サイバー事案を含むサイバー事案の捜査等を行うことができます。そのことから、重大サイバー事案の全てについてサイバー特別捜査隊が対応するとは限らないということは申し上げられます。
このため、重大サイバー事案につきましては、サイバー特別捜査隊と都道府県警察が連携して対処するために必要な規定を今回設けることとしておるところでございます。
○森山(浩)委員 ということは、重大サイバー事案は都道府県警察で捜査できるんだけれども、その中で、都道府県警察が、これは警察庁でやってくださいというものを重大サイバー事案としてサイバー特捜隊がやるのか、いやいや、これはうちでやりますということでサイバー特捜隊が決めて、重大サイバー事案を、捜査をするものを決めていくのか、これはどちらですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
捜査の進展は事案に応じて様々でございます。一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、都道府県警察からの報告によりまして、ある事案が重大サイバー事案に該当し、サイバー特別捜査隊による捜査が必要であると警察庁において判断する、このような場合にはサイバー特別捜査隊が捜査をすることになります。(森山(浩)委員「最初からのはないの」と呼ぶ)
これはケースによりますけれども、なかなか現実的に、最初から重大サイバー事案に、すぐ即断して、該当すると言い切れるケースというのは非常に少ないのではないか、こういうふうに考えております。
なお、先ほど委員が示された経済安保における十四事案とは異なるものであると……(森山(浩)委員「違うんだ」と呼ぶ)ええ。承知しております。
○森山(浩)委員 では、次、ちょっと人材確保について確認します。
去年のデジタル庁の法案のときに、IT人材というのは給料が高いんだという話がありました。ごろごろ二千万級のプレーヤーがいる、事務次官級のお給料でも雇えない、こういう話で、いや、半分は民間で働いてもらいながらやるんですよというような形でデジタル庁の人員を確保するという話がありました。
今回の捜査の人員、これはデジタルに大分詳しくないと駄目でしょうけれども、この人員については、警察内で確保ができるのか、それとも、民間から入れるということを想定をされておられるのか。その場合の、例えば半々とかというような形で民間からもお給料をもらうような形にしないと人材確保ができないのではないですかという問題意識です。
○河原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、人材の確保は非常に重要な課題でございます。
現在、都道府県警察では、IT企業経験者のように、サイバー分野に高度な知見を有する者を中途採用により登用しているところでございます。
また、警察庁におきましても、不正プログラムの解析等を担う高度な技術力を有する職員の採用や育成を推進しているところでございます。
このような中、サイバー特別捜査隊の隊員につきましても、全国からサイバー分野にたけた人材の登用を予定しているところでございます。
○森山(浩)委員 全国からサイバーにたけた人を雇うのに、どのような枠組み、安く雇えないんじゃないですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
本来であれば、非常に高度な能力を持った人材、これを外部からも登用していくということが想定されるんですが、先ほどから少し話題になりましたが、国家機関、国家が関与するようなサイバー攻撃事案などの捜査など、厳格な保秘が求められるようなケースは、なかなか広く外部から人材を登用することが困難な領域もございます。
引き続き、専門人材の登用や外部の知見の活用の在り方については検討を行ってまいりたい、このように考えております。
○森山(浩)委員 大臣、全体として、今のお話でいうと、秘密保持が大事です、半分民間で働きながら警察で捜査するというのは不可能です。また、サイバー特捜隊については、重大サイバー事案を全部やるんじゃなくて、何が重大サイバー事案かを決めて捜査をするというような強大な権限を持つということが明らかになりました。
さらに、海外との窓口というところでは、国家がバックにあるような場合には、国家公安委員長が内閣官房の方に上げていかなきゃいけないというようなタイミングの問題もある、非常に重い責任が伴うわけですけれども、そういった責任に関して、また、先ほど山岸議員からもありました国民からの苦情相談窓口、これについては、もうちょっと拡充をして、しっかりと民主的な管理ができる状況をつくらなければいけないと思いますけれども、そこを含めてお答えをお願いいたします。
○二之湯国務大臣 委員御指摘のように、サイバー特別捜査隊が行う捜査については、警察庁から報告を受け、国家公安委員会が事前事後に監督を行う、こういうたてつけになっておるわけであります。
国家公安委員会の管理においてもできるだけ国民の声に耳を傾けていくことが非常に重要でございますし、今回の改正により、重大サイバー事案への対処に従事する警察庁の警察官の職務執行について、苦情申出制度を設立しているところでございます。こういう、苦情を有する方に活用していただけるように、この制度をできるだけ周知徹底して、一生懸命公安委員会として誠実に対応していきたい、このように思っております。
できるだけ人材も、優秀な人材を確保するように努力もしてまいりまして、委員の御心配のないように一生懸命努力をしてまいりたい、このように思っております。
○森山(浩)委員 どうもありがとうございました。
○上野委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 立憲民主党の森田でございます。
会派の残り時間、私の方で質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
まず、今回の、警察庁の中にサイバーを担当する部門をつくるということです。
この必要性については改めて申し上げるほどではなく、もう皆さんも承知していらっしゃることだと思いますが、やはり、プラスの、今回の目的と、あと、マイナスの部分の懸念というものがどうしてもあるということがあろうと思います。
私が最初、国会議員になったときに知人から言われたのが、本当に大事な話は電話でしない方がいいよ、そういうことを言われたこともあります。電話に限らず、今、ありとあらゆるものがデータに置き換えられて、蓄積も含めて、いろいろな形で手に入れようと思えば入れることができるという状況でございまして、そこに対する懸念というものがやはり国民の皆様の中にもあるだろうというように思います。
どこの国とは言わないまでも、いわゆるIT独裁というような、もう何でもかんでも、生活のあらゆる、何を買ったとかどこに行ったとか、そういうことも含めて様々な行動が把握をされてしまう、こういうリスクもあるんだろうと思います。
ですから、今回、IT、サイバーの捜査に必要なデータですとかいろいろな情報、これをどういうふうに収集して、あるいは適切にそれを保管したり、あるいは場合によっては破棄をする、適切に破棄をしていく、こういうことも含めた管理というものが必要になってくると思いますが、初めに、この辺りについてのお考えを、大臣、お聞かせいただきたいと思います。
○二之湯国務大臣 サイバー特別捜査隊によるものを含めサイバー事案の捜査においては、押収したコンピューターに記録されたものなど、様々な個人情報を取り扱うことになるわけでございます。サイバー事案の捜査における個人情報の取得については、刑事訴訟法の規定に基づく厳格な手続の下で行われることになるわけでございます。
また、サイバー事案の捜査において個人情報が記録されたデータを取得した場合は、犯罪の証拠として厳重に管理することとなるわけでございます。さらに、こうした個人情報については、個人情報保護に関する法に基づきまして、その利用や提供が厳しく制限されることとなるわけでございます。
サイバー事案の捜査における個人情報の取扱いについて、刑事訴訟法を始めとする関係法令に基づき適正に行われるように警察庁を指導してまいりたい、このように思っております。
○森田委員 警察の捜査で得られたようないろいろな物的な証拠だとかを紛失したりとか、あるいは、これは別に警察の話だけではないですけれども、例えば小学校の先生が子供たちの情報が入ったUSBを置き忘れたりとか、これは、どれだけ注意していても、お互い人間ですから、うっかりということがないとも言えないと思います。是非これは念には念を入れて、適切な管理というものに注意をしていただきたいなというふうに思っております。
それから、都道府県警と警察庁との関係についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。
今回、警察庁として組織を持っていくということになると思いますが、例えば鉄道というものも重要インフラに入りますけれども、例えば、仮ですけれども、私の地元にある、埼玉県に本社を置いている秩父鉄道という会社で電力トラブルがあった、それをよくよく調べていったら、システムに対する何らかのサイバー攻撃があったやに見受けられるということがあったときに、例えば、最初は埼玉県警が入っていくと思うんですが、ある時点で、これはちょっと今回の重大事案に相当するというところで警察庁が出てくると思うんですが、その後の捜査の分担というか、県警との関係というのはどういうふうになるのか、ちょっと教えていただければと思います。
○河原政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたが、捜査の進展というのは事案により様々でございます。
一例を申し上げますと、今おっしゃられたように、埼玉県警が捜査をしている事案、これが重大サイバー事案に該当する可能性があるということで埼玉県警が警察庁に報告していく、それに関しまして、警察庁において、サイバー特別捜査隊による捜査が必要である、このように判断した場合には、サイバー特別捜査隊が捜査を行うことになるわけなんですけれども、この場合におきましても、警察法に基づいて都道府県警察がそれぞれの管轄区域において治安責任を負う、こういう考えに何ら変更はございません。
サイバー特別捜査隊は、都道府県警察と連携を図りつつ捜査を行っていく、こういう流れになります。
○森田委員 分かりました。じゃ、県警の組織を残しつつ、そこに警察庁が入っていくというような、そういう組合せでの捜査になっていくということですね。分かりました。
それから、例えば今例に出した鉄道であれば、ふだん監督官庁としてあるのが国交省です。いろいろと、システム上のことだとか運行のことだとかというのは、その担当の省庁というのがそれぞれの分野でよく理解をしていただいていると思います。
例えば、今回、先ほど言ったみたいに、鉄道会社で何か事があったというときに、日頃からそういう運行のことだとかシステムのことだとかというのを、やはり担当の省庁であったりあるいは地元の警察の方も含めていろいろと共有をしていくということが捜査上もメリットが大きいんじゃないかなと思いますけれども、その辺りの連携のことについて教えていただきたいと思います。
○河原政府参考人 委員御指摘のとおり、関係省庁であるとか、あるいは各地域、社会との連携というのは非常に重要であると思います。
各都道府県におきましても、サイバー対策協議会のような協議会を地元の企業等を構成員として運営して、情報交換であるとか共同対処訓練に取り組んでいるところでございますし、中央政府レベルにおきましても、関係省庁と平素から密接に連携しながら、サイバー事案等への対処に可能な限りの備えを行っているというところでございます。
○森田委員 ありがとうございます。
先ほど、県警の組織を残しながら、そこに警察庁が入っていくというようなお話を聞いたので、こういう重大な捜査ですから、初めまして、誰々でございますというところから捜査が始まるのでは、やはり迅速な捜査という意味では、あるいは被害をこれ以上拡大させないという意味からも、それでは遅くなってしまうのかなというふうに思っておりましたので、日頃からの情報の共有等も進めていただけるということですので、是非そのような形でお願いできればなと思っております。
それから、重大サイバー事案の対象となる重要インフラのお話が、先ほど答弁で、経済安保の分野とは違いますよとあえて御指摘があったので、ちょっとこの辺りが、今までイメージしていたものとちょっとどうなのかなということがあったんですが。今まで御説明で聞いている中では、いわゆるNISC、内閣のサイバーセキュリティセンター等との調整の中で新しい分野というのを決めていくというような話がありました。今回の十四分野の中に入っていない分野の話というのもこれから出てくるんだろうと思います。
例えば、医療はどうかなと思います。例えば、今でしたら、電子カルテは基本的にはその病院の中だけで完結する内部のシステムということを組んで、外部とは接続しないというのが原則でやっていると思いますが、これも、例えば遠隔の医療だとかがこれから進んできて、例えばいろいろな、手術ロボットを使って遠隔地からやり取りができる、そういうときに日常的にこのカルテを参照することがあるみたいな、そういうことができてくると、システム上の穴ができてくる場合があるだろう。そういうときに、例えば医療だとか介護の分野も重要なインフラに位置づけるような動きが出てくるかもしれない。
あるいは、道路。今、道路というのは出ておりませんけれども、例えば、これから自動運転が進んでいって、道路にもそれなりのITのインフラが設置されるような場合も、もしかしたら出てくるだろう。
そういうときに重大インフラの捜査をどうやって進めていくかということですけれども、今回のこの法律案でいうと第五条の四項だと思いますが、(1)の(ii)の中に重要インフラだということの文言が出てくると思います。その後に、(2)、(3)で、高度な技術的手法、それから国外に所在する者からのサイバー事案。こういうところで、多分、(2)とか(3)で事件を解決していく中で、あっ、やはりこの分野も新しく重要分野、重要インフラに加えていかなくちゃいけないよねという場面が出てくると思うんですね。
ですから、何でもかんでも、この分野は大事だからといって領域を広げるのではなくて、ある一定のところまで来たら、ちゃんと重要インフラだというふうに位置づけをして、これは説明責任、透明化ということだと思いますが、民主的な統制がきちんと行き届いているんだということを国民の皆さんにもお伝えをするという場面が出てくるかなと思いますが、この辺りの、新分野が出てきたときの対応についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○二之湯国務大臣 重大サイバー事案の対象となる重要インフラにつきましては、今回の改正法では、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業としているわけでございます。
そこで、具体的な業種につきましては、NISC、内閣サイバーセキュリティセンターを中心に、今、政府として定めました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画と同様に、金融、医療、電力等の十四分野を想定しているところでございます。
今後どのような業種が更に対象となるかについては、サイバー空間における情勢の変化に応じて、NISCなどの関係省庁と検討するとともに、新たな業種を追加するなど何らかの変更がある場合には、国民に対してしっかりと説明するように警察庁を指導していきたいと考えております。
○森田委員 是非、なし崩し的に広がっていっちゃったよねというのではなくて、ある一定のところできちんと説明をするという場面を設けていただきたいと思っております。
それから、今回のロシア、ウクライナへの侵攻ということがありましたけれども、物理的な、ミサイルが飛んできたとか戦車が入ってきたとかという前に、やはり、データ上の空間での攻撃があった、サイバー事案があったというような話も聞いております。
例えば、領海の侵犯のようなことであれば、例えば国籍不明の怪しげな船がやってきたというときに、まずは警察権の行使ということで海上保安庁が出ていく、その後に、これはもう手に負えない、砲撃されたとか、何か重大な実力行使を受けたという場合には海上自衛隊に引き渡すとかということになっていくと思うんですが、サイバー空間においても、あっ、これはというふうに、最初の取っかかりとして例えば都道府県警が出ていった、更にそこに警察庁が出ていった、さらに、やはりこれはどうも、そこでも手に負えないというか、外国の政府が、それに関係するような組織が関わっているらしいというときに、先ほど森山委員からも指摘がありました、政府の方でそれはちゃんと共有をしてやっていくというんですけれども、具体的に、防衛省との関わりだとかというのがどのようになっていくのか、この辺りについて御説明いただければと思います。
○二之湯国務大臣 警察では、サイバー攻撃やその兆候を認識した場合、犯罪の捜査は、民間事業者や外国捜査機関などとの連携を通じて、国家的な背景も含め、サイバー攻撃の実態解明を行っております。
こうしたサイバー攻撃の対処に当たっては、防衛省を含む関係省庁と平素から緊密に連携をしておりまして、警察の把握した情報については、被害の発生や拡大を防止するため、適切に共有することとしております。
○森田委員 分かりました。
それから、あと、人材の確保のことで、先ほどの森山委員の方からも指摘がありました。かなり、ITにたけた人材というのは、それぞれの分野で、これは政府機関だけではなくて、民間も含めて、いろいろなところがやはり欲しい人材だと思っております。待遇面でもかなりの難しさがあるということなんですが、そういう中でも確保に努めていくというお話がありました。
通告してあるところで、八番目のところ、大臣にお伺いしたいと思うんですが、いろいろなITにたけた人材というものが既にもう各省庁の中においででいらっしゃると思います。ただ、何とか省に何人いた、何とか省に何人いた、ここにも一人いた、ここにも二人いたというふうにばらばらでやっていると、その方たちも孤立感もあるでしょうし、やはり、三人寄れば文殊の知恵じゃないですが、グループ、チームとしてやったときの力の発揮というのもあるんじゃないかなと思います。
限られた人材を有効活用していくという意味では、各省庁の人材を、ばらばらの活用ではなくて、やはりある程度まとまった形での活用というものを考えていくべきじゃないかなと思いますけれども、大臣、お考え、いかがでしょうか。
○二之湯国務大臣 警察におけるサイバー事案への対処については、IT企業出身の中途採用者を含む捜査員のほか、技術的解析を専門とする職員が今担当しているわけでございます。
サイバー事案への対処においては、警察が行う捜査のように、厳格な秘密の保護が求められ、幅広い外部人材の登用が困難な業務もあるものの、政府全体としてデジタル改革を強力に推進する中で、有能な人材を確保する必要があるわけでございます。
そこで、デジタル庁などとの関係省庁とも連携しながら、警察におけるサイバー事案への対処に十分な資質を有する専門人材について、積極的な登用に努めていきたい、このように思っております。
○森田委員 デジタル庁のお話も先ほど森山委員からもありましたけれども、やはり同じ政府機関の中に勤務をしているということがありますので、是非、優秀な技術者の方、いろいろな知見がある方を縦割り主義の中に閉じ込めないでいただいて、その力を存分に発揮をしていただきたい、その環境整備を、大臣の方で指導力を発揮していただければありがたいなと思っております。
あと、先ほどから申し上げているように、民間から人材を登用するといっても、待遇面の問題もあり、あるいは、やはり公務員として採用されるということの、勤める側の方のいろいろな心理的な障壁ですとか、いろいろなものがあってなかなか難しいとなると、やはり、中で育てていくということ、自前の技術者、人材を育てていくということが大事になっていくかなと思います。
ただ、そう考えても、高度な技術を持った人材を育てるという、例えば教育プログラムをつくっていくとか、あるいは機材の問題もあると思います。やはりそれなりの最先端を行く機材を常時準備できているということでないと、捜査を考えてもなかなかうまくいかないんじゃないかなと思いますし、先ほどから申し上げているような待遇面、これも、一公務員と同じだけの給与体系の中に閉じ込めてしまうと、どうしてもほかの民間企業に育てた人材を引っ張られていってしまうということも懸念としてあるんじゃないかなと思います。
この辺りの人材の育成ということについてどのように取り組まれていくお考えか、お聞かせください。
○二之湯国務大臣 委員御指摘のように、サイバー事案への対処については人材の育成が非常に重要である、このように思っております。
警察では、IT企業出身者や技術的解析の専門家が現在様々な分野に配属をしておるわけでございます。こうした職員の技術力や適性を的確に見極めまして、実践的な演習を可能とする資機材を用いた高度な訓練を受けさせたり、研究機関との共同研究に従事させたりするなど、サイバー事案への対処に必要な人材の育成が確実に行われていくように警察を指導してまいりたい、このように思っております。
○森田委員 ありがとうございます。
先ほど来、大臣自ら人材確保の難しさというものを御指摘をされていらっしゃいますけれども、やはり、いわゆる公務員という枠組みの中にとらわれない発想ですとか、あるいは予算の枠組みというものがどうしても欠かせないというふうに思っております。是非とも、政府の中でそういった思いを共有をしていただいて、優秀な人材をどうやって集め、活用していくかということを、政府として取り組んでいただきたいなというふうに思っております。最後に指摘して、質問を終わります。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今日は警察庁法の改正案の審議ということでございます。
我が党は、我が党というか私というか、基本的に、法案審議のときは法案を審議する、これは当たり前でありますので、できるだけ法案審議を中心に。で、その法案を審議するときには関連質問が他省庁に飛ぶことはございます。それが、ダイレクトな法案の質疑が最低三分の一、私個人の感覚ね、他省庁に飛ぶ関連質問が三分の一、あと三分の一ぐらいは、法案とは直接関係ないんだけれども、国家の緊急事態の中で大変重要な問題があるときは、質問権ということで、この場をおかりして関係の方々に御質問を申し上げるということはあっていいのかなと個人的には思っているわけです。
今回も、警察庁法の質問を中心に質問通告をさせていただいておりまして、私の質問通告要旨を見ると、半分以上が警察庁法に関連する質問ということでございますが、ほぼ立民の質問で終わってしまいまして、終わってしまいましたが、法案審議、大変重要な法案ですので、幾つか大臣始め警察庁の皆様にお伺いするところからスタートさせたい、こう思います。
まず大臣、先ほど立民の方から、都道府県警察が中心になっているこの警察法制の基本の中で、余り中央でやり過ぎるとやばいんじゃないかという御指摘がありましたが、私は、やはり国家のこういう安全、国民の安全を守るために必要な部分は、むしろやるべきことはやらなあかんという立場です。今回の重大サイバー事案を始めとする、こういうものは国でやるんだということを、むしろ前向きに御答弁いただきたいと思います。
○二之湯国務大臣 ランサムウェアを用いた事案を始めとする重大サイバー事案については、昨年九月に決定された政府のサイバーセキュリティ戦略にも掲げられたとおり、捜査などを通じて攻撃者を特定し責任を負わせることによって、犯罪者らに警告を与え、抑止を進めることが重要である、このように言っておるわけでございます。
他方、この種の事案を一つの国単独で捜査することは極めて困難であることから、各国との国際連携を深め、この種の事案を共同で捜査し、その抑止に取り組むことが不可欠であるわけでございます。しかしながら、外国捜査機関との連携においては、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察のいわば窓口にすぎず、案件ごとに捜査を担当する都道府県警察が入れ替わっていくため、国際連携の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが困難な状況であるわけでございます。
そこで、日本の警察として、外国捜査機関との強固な信頼関係を構築し、円滑な国際連携を進めることにより重大サイバー事案の抑止に取り組んでいくため、国の捜査機関として関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置し、国の組織が直接に捜査を行うこととしたものでございます。
○足立委員 我が党は地方分権政党ということを銘打っていまして、基本的に、地方でできることは地方でやるんだということで、分権をもっとやっていく、そのことをずっと訴えてきました、この十年。ただ、それは平時のことであって、緊急事態にある、あるいは、今ありましたような、こういう犯罪とか、国際犯罪みたいなことについては、これは国としてしっかりと責任を持って国民の生命と財産、命と健康を守っていくのは私は当たり前だと思っている。
そうした意味で、日本維新の会は、平時は分権、でも緊急時は集権、そのギアチェンジの仕組みが今の憲法にも全くありません、だから、やはりこのギアチェンジの仕組みから含めて統治機構をもう一回つくり直していかなあかんという立場で、今、様々な議論を、憲法レベルあるいは緊急事態法制、感染症であれば特措法の議論をずっとしているということでございます。
今大臣から国際連携ということが御指摘ありました。本当にこれは国がやらなくてはならない最大のポイントの一つだと思います。
事務方にちょっと伺いたいのは、これは国際的にはどうなんだということです。確かに、アメリカでも、ニューヨーク市警とか、自治体の警察が有名でありますが、しかしFBIがあり、しかし、FBIだけではあれだから、FBIを牽制する意味で様々な情報機関、CIA、CIAだけじゃない、アメリカには数え切れない情報機関が並立をしていて、それがお互いに牽制し合う形で民主的統制を確保している、そういう統治機構なんですね。日本は国がやることを恐れ過ぎなので、それはもっともっと複数の機関が並立する形で牽制し合っていけばいいと思うんです。
通告は、国際共同捜査への取組、あるいは、これまでの経緯と現状、今後の方針みたいなことを伺うということで準備していただいていますが、それをお答えいただいた上で、グローバルにはどうなんだと。要は、相手方、カウンターパートを見ると、やはり日本は特殊なのか、グローバルスタンダードなのか、その辺についても、もしふだんのお仕事の中での御所感がありましたら、簡単で結構ですから御紹介をいただけたら幸いです。済みません、よろしくお願いします。
○河原政府参考人 お答えします。
まず、外国捜査機関との連携におきまして、現状、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察のいわば窓口にすぎないということで、なかなか、こういう状況では、国際連携の前提となる外国捜査機関との信頼関係の構築、困難な状況でございます。
現在は、連携は、警察庁を窓口として、国際刑事警察機構を通じた捜査協力のほか、外交ルートや刑事共助条約を活用して外国捜査機関に対して捜査共助を要請するものにすぎないということで、現在の極めて深刻なサイバー空間の脅威に照らして十分であるとは言い難い状況でございます。
今回、関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置して、国の組織が直接に捜査を行うこととしたものでございます。これにより、外国捜査機関との強固な信頼関係を構築して円滑な国際連携を進めることで重大なサイバー事案の抑止に取り組んでまいりたい、このように考えております。
さらに、他国の状況でございます。G7を例に取りますと、G7各国のうち、日本以外の、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダとございますが、これらの国におきましては、いずれもサイバー事案の捜査を行う国の組織を有しております。いわば国の組織が直接にサイバー事案について捜査を行わない国というのは日本だけである、日本のほかにない、こういう状況でございます。
○足立委員 だから、本当にガラパゴスなんですね。なぜガラパゴスが戦後七十数年続いてきているかというと、だって、そういう組織を解体したのは、まあそれはいろいろ問題もあったわけですが、GHQが解体したわけです。それをやはり引きずっているわけですが、維新以外の野党の皆さんは、いや、危ない、危ないと言うんだけれども、今申し上げたように、グローバル、G7で日本だけですよ。だから、今回の法案は当たり前。
ところが、何か、今日理事会で、幾つかの政党が反対すると。どういう思いで反対するのか、是非質疑の中で発表していただきたい、こう思うわけでありますが。
本当に、遅いぐらいだし、弱々しくやるんじゃなくて、しっかりやってほしい、そういうふうに思っています。
さて、今回の改正案に規定する重大サイバー事案、こうした重大サイバー事案に該当する最近の事案、法律はまだ施行されないわけですが、というか今審議しているわけですが、これまでの事案の中で、重大サイバー事案に該当するような事案、幾つかあると思います。御紹介いただきたいと思います。
○河原政府参考人 お答えいたします。
重大サイバー事案は、サイバー事案のうち一定の重大なものにつきまして、今般の法改正により新たに定義されるものでございます。
これに該当し得るものといたしましては、例えば、医療機関に対するランサムウェア攻撃によって病院の運営に支障が生じた事案でありますとか、中国政府を背景に持つものである可能性が高いAPT40と言われるサイバー攻撃集団によるサイバー事案が挙げられます。
いずれの事案につきましても、警察では、捜査等を推進するとともに、被害の発生や拡大を防止するため、関係省庁が実施する対策に協力したり、連名で注意喚起を発出するなど、緊密に連携して対処しているところでございます。
○足立委員 局長、ありがとうございます。局長、ちょっとお声が上品なので、もうちょっと怖く、怖そうにやってほしいんですけれども。いやいや、上品なので、結構だと思いますが。
今御紹介があった幾つかの事案、本当に問題が起こっているわけですね。例えば、今あった、APT40と言われるサイバー攻撃グループの攻撃で、外務省が、これは、鈴木副大臣、今日通告の案件ではないので気楽に聞いておいていただきたいと思いますが、後でまたウクライナの話をちょっとするのでお越しをいただいていますが、ただ、もし今御存じやったらあれですけれども。
外務省が昨年の七月十九日に、外務報道官談話として、中国政府を背景に持つAPT40と言われるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃についてということで談話を出されていて、ここでちょっと気になったのが、これは警察にちょっとよく御答弁いただきたいんですが、イギリスとアメリカは、英国及び米国等と書いてあるな、中国政府を背景に持つAPT40について声明文を出して、そして、米国はAPT40の構成員四名を起訴したと。
さらに、ここからが大事なんですけれども、APT40は中国政府を背景に持つものである可能性が高いと評価しており、これは外務省として評価しており、ぶらぶらぶらと続いて、警察も、七月十九日、同事案について、APT40によるサイバー攻撃等について注意喚起ということを出されていますね。
警察庁のこの注意喚起の文書を読むと、今回のAPT40と言われるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃等では、我が国企業も対象となっていたことを確認していると。要は、日本企業がこの中国を背景とするサイバー攻撃グループに攻撃されているわけですよ。それは警察庁として確認しているわけです。なぜこれは取り締まらないんですか。
○河原政府参考人 お答えをいたします。
まず、これは捜査の対象でありますので、詳細については申し上げられないところでございますが、日本企業において被害の確認をしたということで、英米の非難に同意する形で、支持する形で、外務省と連携して対応したところでございます。
○足立委員 御答弁はそうなると思うんですが、アメリカは起訴しているんですよ。アメリカは起訴しているのに、日本は、情報収集や対策等を進めていますと言って、まだ取っ捕まえていないわけです。それは、私は、想定としては二つあり得て、いやいや、もちろん、アメリカでは悪いことをしていて日本ではまだ悪いこと、いやいや、しかし、さっきあったように、もう攻撃しているわけですよ、攻撃を受けているわけですよ。
私は、法令の不備じゃないかと思うんです。米国の法体系では犯罪として立件、起訴できているんだけれども、日本はまだできていない。要は、手段がないんじゃないかなと思うんですね。局長、どうですか。そう言われても困るね、余り局長につらい思いをさせるつもりはないんですが。
ただ、私の問題意識は、要は、いろいろな事案を見ていくと、これだけではありません。既に立件をしたケースもあります。中国共産党の男が、平成二十八年九月から二十九年四月までの間、計五回にわたり、日本のレンタルサーバーの契約に必要な会員登録を行ってぶらぶらぶらと。それで、これはJAXAに対するサイバー攻撃に悪用されたことを把握した。あわせて、約二百の国内企業等に対して攻撃が実行された。これを受けて、これはティックと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行されたものであり、このティックの背景組織として、山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍第六一四一九部隊が関与している可能性が高いと結論づけるに至り、これはたしか検挙された、検挙している部分もありますね。しかし、これは何で検挙したかというと、刑法の規定だったかな。要するに、大丈夫ですかということなんですよ。APT40だって早く検挙しないと。
だから、今日、私が一番メッセージとして、国会で警察の皆様に改めてお願いをしたいのは、例えば、新しい技術等を活用したサイバー犯罪に対応するための新たな捜査手法が必要ならつくったらいいんです。
それから、もし、刑法や不正アクセス防止法、不正競争防止法、著作権法等の縦割りの刑罰体系が足りないのであれば、穴があるなら埋めたらいいんです。それは国会の仕事だから、私たちが、与党の皆様、野党の皆様と一緒に、これは制度をつくる、立法。国権の最高機関だから、僕らが悪いんです。皆さんを責めているんじゃない、僕らが悪いんだけれども、まずは皆様とこうやって討論する中で、穴があるのかないのかということをこの委員会で明らかにしていきたいと思うわけですが、いかがですか。
○河原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、サイバー事案への対処に関して取り得る措置につきまして、諸外国で認められている制度を我が国においても導入するよう検討するべきといった議論があることにつきましては承知をしているところでございます。
例えば、様々な手法がございますが、捜査手法や権限に関して諸外国の制度を研究することなどは大変有益であると考えております。その一方で、我が国としての制度化は、刑事訴訟法等の基本的な法制度に関わることでありまして、国民の皆様の理解が不可欠であるということから、中長期的な検討が必要であると考えているところであります。
○足立委員 ありがとうございます。
これは本当に国会の責任なので、私も、今回の質疑を機にしっかり勉強して、本当に大丈夫かということを議論していきたいというか、しっかり議論した上で措置を取っていく、すなわち、議員立法を出したりしてやっていきたいと思います。
国会の中では昭和時代の五五年体制を引きずっている人たちがまだばっこしていまして、それで何か、政府は悪いことをするんだということで、監視をすることが国会の責務だと勘違いしている政党がまだいますが、立法府の最大の責任は法律を作ることです。
三つあるんですね、立法府の責任は三つあるんです。一つは行政監視、一つは立法、そしてもう一つは政権をひっくり返すことですよ。政権を樹立することですよ、新しい政権を。私たちは三つ共に取り組んでいく覚悟でありますが、まずは立法府ですよ。
だから、今日も何か大臣の地元のお金の問題をやっていましたけれども、これは大臣だけじゃないんだから、みんなやっているんだから。(発言する者あり)いや、みんなやっていますよ。私の地元の元議員もやっていました。だから、これは京都だけじゃないんです。(発言する者あり)いや、僕はやっていないですよ。僕は、そういうことをやらなくてもいいような選挙、そういう選挙をつくるためにこの十年、必死で地元で内外の敵と戦ってきたわけでありまして。いや、本当ですよ、皆さん。だって、新潟なんてそうですよね。まあ、ちょっとやめておきましょう。
内外の敵ですよ、内外の敵。だって、維新の会だって引きずっているんだから、自民党とか。だって、維新の会というのは元々自民党なんだからね。だから、そういうものを払拭して、新しい、もっと透明で公正公平な政党のガバナンスをつくるためにこの十年戦ってきたんです。橋下さんとだって戦ってきたんですよ。まあ、やめておこう。頭がちょっと別のところに行っちゃいましたけれども。
だから、私は、法体系に不備があると思っているんです。例えばスパイ防止法。何でないんですか、スパイ防止法。今日は、内調の柳次長、忙しいところを済みません。スパイ防止法を作りましょう。
○柳政府参考人 いわゆるスパイ防止法の必要性については、様々な議論があると承知しております。
国の重要な情報などの保護を図ることは極めて重要なことであり、引き続き、必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
○足立委員 昨年の二月五日に予算委員会で私、菅総理に同じことを質問しました。そういうこと、私がスパイ防止法について質問したら、菅総理は、整えていく必要はあると思う、いろいろなところから私も言われているんだと、同じことを。スパイ防止法制を、要は、今もう、もちろん不競法もある、特定秘密保護法もある、全く無防備なわけではないが、不競法は不競法ですよ。主に産業スパイを対象に作った法律です。私も経産省だから知っています。それから特定秘密保護法。それは特定秘密を保護するために作ったんです。
でも、広く、さっきの、アメリカは検挙しているけれども、日本は検挙していないという、明らかに攻撃を受けている。だって、日本企業が中国を背景とするサイバー攻撃集団に攻撃されているんですよ。それは警察は確認をしているんですよ。なぜ、攻撃をされているのを確認しているのに検挙できないか。法律が足りないんですよ。
菅総理も、前総理も整えていく必要はあると予算委員会で明言をされているわけですね。これ以上申し上げませんが、難しいんです、これ。私も、これは議員立法をしたいなと思って衆議院法制局と議論しているんですが、なかなか法律の作り方が難しい。確かにスパイ防止法というのは簡単には作れないので、それこそ行政府、立法府の英知を集めて作っていきたい、こう思っている次第であります。
さて、ここまでが本丸の法案の議論でありますが、今回のウクライナの事案においても、いわゆるハイブリッド戦ということが注目をされています。防衛大臣も、今回のウクライナについては、ハイブリッド戦については、防衛省、今日、鬼木さんに来ていただいていて、ありがとうございます。大臣も今回のウクライナについてはハイブリッド戦ということをおっしゃっていますが、日本として、このハイブリッド戦への対応方針、あるいは現状、あるいは課題はあるのか、御見解をお願いしたいと思います。
○鬼木副大臣 足立議員にお答えいたします。
いわゆるハイブリッド戦は、軍事と非軍事の手段を複合的に用いた現状変更の手法であります。例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信、重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法がハイブリッド戦の例として挙げられます。
今般のロシアのウクライナへの侵略に関して申し上げれば、ロシアはサイバー攻撃やいわゆる偽旗作戦と呼ばれるような行為を行っているとの指摘もあり、様々な軍事手段と非軍事手段を組み合わせたハイブリッド戦の手法を取っているとも見られます。
防衛省・自衛隊としては、有事にはこうした軍事と非軍事の複合的な手法が取られ得ることも念頭に、自衛隊の対処エリアなのか、グレーなところをついてくるわけでありますので、先ほど議論にあった穴を埋めるという観点、非常に大事だと考えますので、防衛省・自衛隊のみならず、政府一体となった取組を通じて、対応に万全を期してまいりたいと考えます。
以上です。
○足立委員 ありがとうございます。
今、ウクライナの話に入っていこうと思ったんですけれども、ちょっと幾つか忘れていまして、今御指摘いただいたように、まさに私は今日、法令に穴があるんじゃないか、こう申し上げた。
これは、サイバー局ができるんだったら、そのサイバーという観点、今の話も含めて、政府全体でサイバー戦を、サイバー戦というか、サイバー犯罪とかサイバー攻撃とか、これから国民の生命と財産、命を守っていくために、縦割りで全部法律ができているんだけれども、十分かと。さっきのスパイ防止法もそう。十分か。特に今日はサイバーですね、サイバーという観点でどうなんだということを、今日は保坂審議官、法務省からお越しいただいています、ちょっと飛ばしてしまいまして。
保坂さん、これはしっかりとサイバー、警察にわざわざサイバー局をつくる、これは遅きに失したと私は思いますよ。でも、大事なことは、警察に武器を与えることですよ。それは、やはり法務省が中心になって、刑法であれ、様々な縦割り、他省庁の法律もいろいろありますが、不正アクセス防止法とか、不競法とか、著作権法とか、まずは刑法を所管している法務省が中心になって、サイバーの観点から穴がないのか検証すべきだと思うんですが、いかがですか。
○保坂政府参考人 今御指摘ございましたように、刑法におきましても、いわゆるサイバー犯罪に適用される罰則というのが幾つかございますし、いわゆる特別法の中にもいわゆるサイバー犯罪に適用される罰則というのが幾つかございます。
捜査機関におきましては、サイバー犯罪について、そういった罰則も含めて、現行法の下で事案に応じて適切に対処していると承知しておりまして、今、縦割りというお話ございましたが、法律が複数にまたがっている、あるいは一つにまとまっていないことをもって支障が生じているというふうには承知はしておらないところでございます。
それぞれ法律ごとに趣旨、目的も異なりますし、罰則の前提となる概念も異なりますので、それを一つにまとめるということにはなかなか難しい問題があろうかと思いますが、いずれにしても、サイバー犯罪を処罰する規定を始めとして、デジタル社会に対処するための刑事法の在り方については、社会の進展や犯罪情勢を踏まえて不断の検討を行っていく必要があるかというふうに考えるところでございます。
○足立委員 是非、これはまたいろいろな場で質疑していきたいと思いますが、ちょっと、法の穴があるのかないのか、恐らくそうした目で検証していないと私は見ています。それはやはり立法府も協力する形でやっていきたい、こう思います。
それから、先ほどAPT40と、それからもう一つの、例のレンタルサーバーの、JAXAの話、これをちょっと言及しましたが、ちょうど足下で、トヨタの傘下の小島プレスの話が出ています。
これは事務方でいいですが、江口さんになるのかな、このトヨタの事案、経産省から、どういう御認識か御紹介をいただきたいと思います。
○江口政府参考人 お答えいたします。
御質問のあった小島プレスの件でございます。御案内のとおり、サイバー攻撃の被害に遭いましたのは、トヨタの関係会社である小島プレス工業でございます。
同社の公表した情報によりますと、二月二十六日、同社のサーバーが、障害を検知をした、そのことから、再起動をして確認をしたというところでございます。その過程において、一部のサーバーでウイルス感染と脅迫のメッセージというのが確認をされたというものでございます。
同社は、被害発覚後、更なる感染拡大というのを防ぎますために、全サーバーをネットワークから切断をして、全てのシステムを停止をしたということでございます。
このため、トヨタとの間でのネットワーク接続というのも切断をされてしまいましたので、トヨタからの受発注というのが困難になる、受発注の管理ができなくなるということで困難となったということでございます。
その結果といたしまして、小島プレス工業からトヨタへの部品供給ができなくなるということになってしまいまして、トヨタは、昨日、三月一日の国内全工場の稼働を停止するという旨の発表をしたところでございます。
なお、その後、復旧等々に努めたということから、昨日中に生産に関連するシステムの暫定的な復旧というのを完了いたしまして、本日からトヨタの方では生産を再開をしているというふうに承知をしているところでございます。
○足立委員 江口審議官、これはウクライナ危機の真っただ中ということで注目もされているわけですが、必ずしもそこの関連性は確認できていないと思いますが、その点、何か確認できていることがあるのかないのか。
○江口政府参考人 お答え申し上げます。
現在、様々な情報を収集、分析をしているという最中というふうに伺っております。
その上で申し上げますと、やはり、ウクライナと直接関係があるか否かということはおいておきましても、このような状況、国際状況などを踏まえて、非常にサイバー攻撃も激化するというような状況に置かれているということかというふうには理解をしていますので、経済産業省といたしましては、関係省庁とも連携をしながら、注意喚起等々を含めて実施をしてまいりたいというふうに考えております。
○足立委員 ありがとうございます。
経産省は、実は不正競争防止法という大変重要な法律を所管しています。産業スパイを前提に作られた法律ではありますが、国家機密を排除しているわけではないと承知していまして、私は、スパイ防止法を制度化していくに当たっては、不正競争防止法の立案経緯とか、あるいは運用状況なども非常に参考になると思っていますので、引き続き、関係省庁でそういう取組、私も議論していきたいと思います。
済みません、前後して。ハイブリッド戦の話は御紹介いただいたとおりでありますが、ウクライナについて、若干、我が党、物議を醸していまして、今日は、鈴木副大臣は関係ありませんので、御家族でも関係ありませんが、我が党の鈴木宗男副代表が、予算委員会で総理にこのウクライナ問題を取り上げた後のぶら下がりで、今、ロシアの方が一般市民を一人でも犠牲にしてはいけないと慎重なんだと。ロシアは一般市民を一人でも犠牲にしてはいけないと慎重なんだと、若干擁護しているかのような表現があり、その後に、ウクライナは銃を置くべきですとおっしゃったことがばあっと流れて、今、維新の会の支持率が爆下げになりかけているわけでありますが。
これはちょっとまず指摘しないといけないのは、まず、鈴木宗男副代表が、うちは、日本維新の会は立憲民主党みたいに最高顧問のやっていることに口をつぐんだりはしません。私たちは、党内の幹部の発言についてはしっかりと党内でも議論し、また、それについてしっかりとしかるべき形で、これがしかるべき形か分かりませんが、申し上げていく立場でありまして。
鈴木さんはロシア通です。だからパイプがあるわけですね、元々。これは当たり前です。特に、鈴木副代表の思いは、やはり北方領土、平和条約、こうしたものをずっと政治生命を懸けてやってこられた中で、ロシアについての知識がおありですから、それを一部紹介されているところはあるわけでありますが、我が党は、あくまでも今回はロシアの侵略行為であって、悪いのはロシアだと。力による現状変更を重ねるロシアの不法行為は断じて認められない、これは国際法違反だという立場は、二十四日にも党代表、松井代表のコメントとして公表し、また、明日には、外務省に緊急提言として、人道支援から新しい国際秩序の形成まで、さらにはエネルギーに係る経済対策まで、緊急提言をまとめて外務省にお持ちをすることにしておりますので、我が党の立場は明確です。
ただ、副代表は、御自身のこれまでの経験から、指摘するべきは指摘するということでおっしゃっているわけですが、若干、ロシアの、要は、ロシアは一般市民を一人でも犠牲にしてはいけないと慎重なんだという評価は、これは鈴木議員個人の評価であり、私たちの政党としては違う立場です。だって、核で威嚇しているのがロシアでありますから、これは全く間違いであります。
ただ、この後の、ウクライナは銃を置くべきですというのが拡散されています。でも、これは切り取りなんですね。ウクライナは銃を置くべきです、ロシアも置くわけですから、いや、これもちょっと違うんだけれども。要は、その後に、ウクライナは中立化でいいんだ、ロシアにつくこともなければNATOにつくこともない、中立化ならプーチン大統領も守るわけですからと、若干、プーチン大統領の友達であるかのような御発言はちょっと問題があると思いますが、ただ、ウクライナに銃を置けと言っているのは、両方置けと言っているわけだから、停戦しろと言っているわけだから。その停戦しろというメッセージの一部だけが切り取られていることについては遺憾である、こう指摘をしておきたいと思いますが、余りフォローになっていないか。(発言する者あり)なっていない。済みません。
ちょっと話を戻しますが、鈴木議員や私たちが問題提起している中で、大変重要な論点があるんです。それはNATOの東方拡大という話ですね。それで、いや、鈴木議員だっていいことをやっているんですよ。だって、予算委員会でこの問題を正面から取り上げたのは鈴木委員だけ。だけでもないんだけれども。例えば、鈴木議員が提起する中で、総理は、今回の戦争はウクライナがNATOに接近する中で起こったことなんだということは、総理もそう明言をされていますし、ミンスク合意なんかにもあれしながら、ただ、もちろん、維新の会も、日本政府も、これはとにかくロシアを非難しないといけないんだ、そういう立場でありますが。ちょっとぐちゃぐちゃになってきたな、いろいろややこしいんです、この事案は。
時間がなくなってきたんですが、それで、鈴木副大臣、NATOが東方拡大しないということをアメリカとソ連が約束していたかどうかということが論争になっています。これはどっちですか。
○鈴木副大臣 まず、前提といたしましても、今回のロシアによるウクライナ侵略でありますが、力による一方的な現状変更の試みでありまして、これは断じて許容されるものではありません。明白な、足立委員も先ほど述べられていたように、国際法の違反でもあり、厳しく非難をしているところであります。
今御質問をいただきましたこの約束でありますが、当時のやり取りについて、まさに日本は第三国でありまして、政府としてその事実関係の有無を認定する立場にないということを答弁として述べさせていただきたいと思います。
○足立委員 与党の皆さんもこれを考えてほしいんです。日本政府はここの事実認定をしないというんですよ。いいんですかね、これ。(発言する者あり)いやいや、第三国と言うんだけれども、我々は当事者として、だって、これは新しい国際秩序に係る、国際秩序の変更に係る、あるいは力による現状変更という大変な事態、これは、だからヨーロッパの問題じゃないんですよ、東アジアにも影響する大変な事態なんですよ。その当事者意識があれば、一体、この戦争について最大の論争になっている、鈴木議員もこだわっているところですよ。
だから、私は、この事実認定を政府はすべきだと。第三国同士のことだから認定しませんと言ったら、これ、私は、日本が大国としての、日本の繁栄を維持していくための、このウクライナ危機への関わり方にも関わるわけですよ。
ちょっと、個人でもいいですから、個人的にどう思いますか。
○鈴木副大臣 あくまでも、本委員会には副大臣の立場で呼ばれておりますので、副大臣としての答弁になります。個人的な質問ということであれば、また別の機会にというところでありますが、足立委員がおっしゃられている、質問にあったのは、約束をした事実はあるのか、約束の存在の有無についてであったと承知をしております。
その点でいえば、その場に当時居合わせているわけではない日本でありますし、それに関しては、その事実関係の有無を認定すべき立場にない、また事実関係を認定することができないというのが我々の答弁であります。
○足立委員 この委員会が終わった後、マスコミの皆様が囲みますから、是非、個人的な見解を表明していただいて。
私は、第三国同士だから事実認定は難しいんだけれども、でも、日本政府はこれから、いろいろな、国民の関心事項でもあるときに、最大の争点について政府が口をつぐむというのは私はいかがなものか、最終認定ができなくても、関連の評価というものはすべきだという立場を表明しておきたいと思います。
時間がなくなってきました。鬼木さん、もうちょっとで終わるので、もうちょっとつき合ってくださいね。
非核三原則、私たち日本維新の会は、明日、外務省にお持ちする提言、緊急提言で、非核三原則の見直し、核共有の議論を始めるということを明記させていただいています。これも、だから、鈴木さんか。これ、ちょっと、ばしっと言ってください。
○鈴木副大臣 お尋ねの点でありますけれども、総理も、そしてまた大臣も述べられておりますように、政府としては、政策上の方針としての非核三原則を堅持をしていくとの方針に変わりはありません。
○足立委員 これは自民党の中でも大議論になっています。我が党はこの議論をしていきたいと思いますが。
最後に、細田副大臣、このエネルギー危機の中で、原発再稼働、緊急事態対応ということで原発再稼働を検討すべきだと私は思いますが、いかがですか。
○細田副大臣 御指名をいただきまして、本当にありがとうございました。お答えをさせていただきます。
原子力発電所の安全審査やその基準については、委員も御存じのとおり、福島第一原発事故の反省を踏まえて、規制と利用の分離の観点から、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌することとされております。したがって、私ども、経済産業の立場から意見を申し上げるということはございません。
以上、是非御理解をいただければと思います。
○足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、細田副大臣も、この委員会が終わりましたら、ぶら下がりで個人的見解を是非御表明いただくようお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○上野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願い申し上げます。
二之湯大臣とは海洋政策担当相として一度やらせていただきましたが、今日は国家公安委員長ということで、よろしくお願い申し上げます。
今日はサイバー犯罪についてお伺いをさせていただきますが、サイバー犯罪というのは、関与する者が国境をまたいで、もういろいろな形でふくそうするということがむしろ常であるということだと思うんですね。その観点からは、私は、捜査をしたりするときの国際的な刑事共助がとても重要だと思っております。
しかし、刑事共助というのは、これは双罰性、デュアルクリミナリティーが原則であります。相手の国で犯罪であっても日本の国で犯罪でないときというのは、その共助を受けるかどうかということについて、仮に条約がある場合、日米や日・EUのように条約がある場合であっても任意での聴取が義務づけられるだけ、そして、条約がない場合については、この共助を拒否しなくちゃいけないということになっています。
先ほども、実は足立議員の話を聞きながら、自分の質問と少し似ているなと思ったところがあったんですが、この観点から一つ、サイバー犯罪の一つの例として、児童ポルノの事案を取り上げさせていただきたいと思います。
児童ポルノについて、今の日本の法制度の中では、実在する者でないものを描写した、例えばアニメとか漫画とかCGとかそういうものについては、諸外国では犯罪です、諸外国では犯罪となっています、こういうものの児童ポルノは。しかしながら、日本では犯罪化されておりません。表現の自由がどうであるとか、そういったことがあって、いろいろな議論の中でそうなっているんですが。つまり、刑事共助の拒否事由になり得るんですね、日本で犯罪化されていないということなので。
今、児童ポルノ、私も詳しくないですけれども、ただ、実在の者と実在の者でないものとをセットで例えばネット上で提供しているようなところがあるとき、あるところで、一部、捜査共助を拒否しなきゃいけないとかいう事例が出ると思うんですね。
今、例として児童ポルノを挙げましたけれども、こういった法制度の違いによって刑事共助に問題が出るということはないのだろうかと思いますけれども、いかがですか。
○津島副大臣 御質問ありがとうございます。
緒方委員より、国際捜査共助、特に児童ポルノに関連してということでのお尋ねでございました。緒方委員の問題意識というのは私も受け止めさせていただくところです、児童ポルノに関するところの。
その上で、捜査共助についても、外務省におられたのでよく御存じとは思いますが、重なる部分はあるのを承知の上でお答えすれば、まず、およそ実在しない児童を描写したものについては、最高裁判例において、いわゆる児童ポルノ禁止法における児童ポルノに該当しないとされております。したがって、その製造等をしても、同法の処罰の対象とはされておりません。
そこで、国際共助との関係で申し上げれば、国際捜査共助等に関する法律が、条約に別段の定めがある場合を除き、双罰性を捜査共助の要件としているのは、我が国で行われたとしても犯罪とならないため、捜査の対象とならない行為であるのに、我が国の捜査機関が証拠の収集を行い、外国に提供することは一般的に適当でないことが多いと考えられていることによるものでありまして、法制度の相違等に鑑みると、双罰性を欠く場合に共助に応じられないことには相応の理由があるものと考えられます。
他方で、委員御指摘のとおり、我が国が締結する二国間の刑事共助条約等においては、双罰性の要件を緩和しております。当該条約等の相手国等との関係では、双罰性を欠く場合であっても共助を実施することができるということでございます。
○緒方委員 共助ができるんですけれども、あくまでも任意でということなので、断ってしまえば、任意での共助ですので、できるというふうになっていますが、日本にいる当事者が断ってしまったときというのは、これは共助がそもそも成立しないというか、何もその後起こらないということだと思いますが、じゃ、法務省。
○保坂政府参考人 先ほど御答弁申し上げた、共助を実施することができるということの意味といいますのは、条約がない場合には、双罰性を欠く場合には共助が実施できない、政府として、捜査機関として実施ができないということでございますが、条約があって双罰性の要件が緩和される場合には、それは、裁量的拒否事由といいまして、共助を実施しない、拒否することもできるし、共助を実施することもできるということでございます。
要するに、政府機関として共助に応じるかどうかのところに裁量ということでございますので、共助を実施するとなった場合には、その場合の共助としては、共助法に基づいて、任意の捜査もございますし、強制処分というのもあるということでございます。
○緒方委員 しかし、日本の国内で犯罪になっていないものについて捜査するって、何か余り、本来、双罰性って厳格にやるべきなのかなと、私、思うんですよね。そこはあくまでも裁量でありますから。
それで、思うのが、私、さっき児童ポルノの例を出しましたけれども、一定の厳格な要件を課した上で、例えばアニメとか漫画とかCGとか、そういう非実在の者の児童ポルノを犯罪化するということについて、私、検討すべきじゃないかと思うんですね。
それはなぜかというと、外国で犯罪化されていて日本で野放しだ、しかも、捜査共助をするとき受けてもらえるかどうか分からない、ましてや、条約を結んでいないところからであれば、そもそも受けてももらえないという状況というのは、これは元々の法律が犯罪化していないことによってそういうふうになっているわけでありますから、こういうことを検討すべきではないかと思いますが、これは、じゃ、副大臣、よろしくお願いします。
○津島副大臣 ありがとうございます。
委員、かねてより児童ポルノの問題に取り組んでおられるということも承知をしております。
その上で、改めてまたこの問題というものを受け止めた上で、この児童ポルノ禁止法というものがどう扱われているか。
児童とは、十八歳に満たない者、すなわち十八歳未満の人を指すものと定義されており、同法の児童ポルノについては、最高裁判例により、実在しない児童を描写したものは含まないとされております。
この児童ポルノ禁止法なんですが、これは議員立法により制定をされております。その後も、必要に応じて、議員立法により改正が重ねられてきたものとも承知しております。
法務省としては、このような制定、改正経緯を踏まえて対応する必要があると考えております。
○緒方委員 そうなんです。これは実は、政府にどうですかと聞いているんですが、これは議法なので、我々が逆に考えるべき話でありまして、議法は、まあ、そういう法律があるわけじゃないですけれども、議法を改正するというのは基本的になかなか閣法ではやりにくいというところがあるので、是非、今日議場におられる方、聞いてみて、そういう思いを持っていただける方が増えることを希望するわけでありますが。
あと、もう一つ、これも議法だからという答えになるかもしれませんけれども、最近、おととしだったかな、AVマーケットというサイト関係者が、諸外国でいろいろな児童ポルノを提供していることによって日本で一斉検挙され、たしか、もう刑の執行も行われていると思いますが、動画データとか決済の管理とかはアメリカとかハンガリーとかそういう国でやっていて、しかしながら、これは結果としては大半の人が比較的軽い罰金で終わっているんですよね。
やはり、その事例を聞いてみると、厳罰化というのが必要なんじゃないかと。実際、やっても五十万円の罰金だけで終わっている人がたくさんいるわけですよ。こういったことの、児童ポルノ法の罰則の厳罰化というのは、これはやるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○保坂政府参考人 今御指摘のございました個別事案における裁判所の判断につきましては、それが軽いかどうかについては、ちょっと法務当局としては差し控えさせていただきますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、元々の児童ポルノ禁止法というのが議員立法でございまして、その後の法定刑の引上げも含めた改正も議員立法によって行われてきたという経緯がございますので、法務省としては、それを踏まえて対処することが必要だろうと考えておるところでございます。
今も国会議員の先生方による更なる改正の議論が行われているということと承知しておりますので、その検討状況を注視して、法務省としても適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○緒方委員 そういう答弁になるだろうなと思っていたので、これはもうむしろこちら側の話でありますので、よく考えたいと。
これは、今私申し上げたとおり、条約がないところとの関係であると、そもそも実在しない者による児童ポルノというのは、仮にどこぞやの国から日本に捜査共助が来ても、日・EUとか日米とか、そういうのがないところだと断らなきゃいけないんですよね、双罰性がないから。
この問題は非常に重要で、日本は、ありがたくない、児童ポルノ大国とかいわれるよくない言葉で形容されることもある、そのうちの一つの理由が多分これだと思うんですね。是非、政府の方にも考えていただきたいですし、今日議場におられる皆さん方にも、これは結構重要なテーマだということで問題提起させていただきたいと思います。
続きまして、サイバー捜査における攻撃の可能性、先ほど足立議員の方からもありましたが、足立議員と問題意識を共にしたというので、非常にうれしかったです。(発言する者あり)はい。
サイバー犯罪に対処するためには、今防御の話を皆さんしているんですけれども、ずっとディフェンドしていると言っているけれども、実は、攻撃は最大の防御なりという言葉もありますが、攻撃の話はないのかなという気がしたんですね。
この法律には「職務に必要な限度で職権を行う」という規定が盛り込まれています。実は、事前のレクの際に、私、これは、警職法第七条における正当防衛とか緊急避難とか、つまり、武器を使う、サイバー上で武器を使うことも想定された規定なんですかねということをお伺いをさせていただきました。
私は、厳格な要件の下で武器を持つということは、別に生身の警察官が拳銃を持っているとか、あれは警職法との関係ですね、それがサイバー上に来たときには同じように武器を持つことは必要なのではないかと思いますが、委員長、いかがですか。
○二之湯国務大臣 サイバー事案への対処に関して取り得る措置につきまして、諸外国で認められている制度を我が国においても導入するように検討するべきだという議論はあることは伺っております。
捜査方法や権限に関し諸外国の制度を研究するなどすることは非常に有益であると思いますけれども、我が国としての制度化は、刑事訴訟法等の基本的な法制度に関わることであり、国民の理解が不可欠であることから、中長期的に検討されるべきものと考えております。
○緒方委員 実は私、この法律を見ながら、不正アクセスに当たる行為とか、あとは、先ほど刑法におけるサイバー犯罪の規定があるということでありましたが、例えば不正指令電磁的記録に相当する行為とか、これは違法化されているわけですよね、今では。今は違法化されている。しかし、捜査をする過程で、例えばウォールを破って捜査しなきゃいけないことがあったりとか、けしからぬやつがいたときに、そこに、どこまでやるかというのはありますが、何かこちらから攻撃をする、マルウェアみたいなものとか、ああいうものがないと、ひたすら攻撃されているのをずっとこっちはこうしているだけというのではよくないと思っております。
これは中長期的な課題になるのではないかと思いますけれども、けれども、厳格な要件の下、例えば一般の方がやれば不正アクセスに当たる行為とか、あとは不正電磁的記録に相当する行為の違法性を阻却する、まさに、これは何かというと、警官でいうと、拳銃を持っていることが違法性阻却されているわけですが、それと同じ感覚で、こういった、刑法で、そしてその他もろもろの法律で違法だとされているものの違法性を阻却することによって武器を与えるべきではないかというふうに思いますが、これは、じゃ、委員長。
○二之湯国務大臣 犯罪の構成要件に該当する行為につきまして違法性が阻却されるか否かは、個別具体の事例に即して法と証拠に基づき判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であると思います。
いずれにいたしましても、サイバー事案の捜査に当たっては、法令に基づき適正に捜査が行われるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○緒方委員 私、そんなに質問時間がたくさんないので、そろそろ終わりなんですが、実は、先ほど、警職法第七条の正当防衛とか緊急避難の概念をサイバーに当てはめたときに何ができますかという話をしたときに、警察の方に事前にレクを聞いたときに、それに相当する、こちらから武器を持って反撃をするということについては、それはうちじゃないですねと言われたんですね。うちじゃないですねと。じゃ、どこですかと聞いたら、それは防衛省ですかねと言われたので、防衛省を昨日呼んで話を聞いたら、いや、それは、うちは自衛との関係でやっている話なので、うちでもないですねと言われたんですね。
先ほど足立議員が聞かれた質問と全く同じなんですが、この手の、誰かがやってきたときにけしからぬと思って反撃をする行為について、どこにもそれに該当する組織が実はないんじゃないかという問題意識を持ちましたので、今日質問をさせていただきました。
十五分でありますので、そろそろ私は終わりであります。本日は本当にありがとうございました。
○上野委員長 次に、工藤彰三君。
○工藤委員 自由民主党の工藤彰三でございます。
二年ぶりの、初めてこの内閣委員会では質問させていただきます。機会をお与えいただきました上野委員長、そして理事始め委員の皆様に感謝申し上げます。
順次質問する前に、この度のロシアによるウクライナ侵略に対し断固抗議し、即時に攻撃を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう強く求めます。また、ウクライナが一刻も早く平和を取り戻せるよう祈念して、質問を始めます。
各党の皆様が既に質問をされております。重複しますので、確認を兼ねてお尋ねさせていただきます。
今回の警察法改正案が出されたときには、これからの時代は、武力行使ではなく、戦争ではなく、コンピューターウイルスなどを用いたサイバー攻撃などが増えて、目に見えない犯罪が頻繁に起こる可能性があるので、警察庁を始め、法整備をされると私は考えておりましたが、先週、まさかのロシア軍による武力行使、戦争が始まりました。
また、一昨日の、トヨタ自動車取引先の部品メーカー、小島プレスと先ほどから名前が出ておりますのであえて挙げますが、サイバー攻撃を受けました。この攻撃は、身の代金を要求するウイルス、ランサムウェアによるものと見られます。
細かな事案に対して伺いはしませんが、このような犯罪が起きたときに我が国の警察官が自ら捜査を行うことを可能とするという、非常に大きな改正だと考えております。その捜査の対象となる重大サイバー事案とはどのようなものなのか、そして、重大サイバー事案の定義と具体例をお尋ねいたします。
○小島政府参考人 今回の警察法改正案では、重大サイバー事案として三つの類型を定めております。
第一の類型は、国又は地方公共団体の重要な情報の管理又は重要な情報システムの運用に関する事務、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業といった、事務又は事業の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれのある事案であります。具体的には、政府機関がサイバー攻撃を受けて重要な情報システムの機能が停止したり情報が窃取されたりする事案、重要インフラ事業者がサイバー攻撃を受け、ライフラインの供給が停止する事案等を想定をしております。
第二の類型は、高度な技術的手法が用いられる事案その他のその対処に高度な技術を要する事案であり、具体的には、ランサムウェアを始めとする一定のマルウェアを用いて行われたサイバー事案等を想定しております。
第三の類型は、国外に所在する者であってサイバー事案を生じさせる不正な活動を行うものが関与する事案であり、具体的には、海外で継続的に活動しているサイバー攻撃集団によるサイバー事案等を想定しております。
○工藤委員 官房長、答弁ありがとうございます。
今、様々な事案を答えていただきましたが、先生方も記憶にちゃんととどめられていると思いますが、国の機関であります、二〇一五年に発生した日本年金機構に関することであります。これは、百二十五万件、約百一万四千六百五十三人分の個人情報が、ヤフーのフリーアドレスから入った、厚生年金制度見直しについて、試案に関する意見等の件名で送信されたメールから上がった事件であります。
いまだこれは犯人が明確にされておりませんし、特定の技法はどうなっているのかということもありますが、あえてこの場ではお尋ねしませんけれども、そのような事案について、今後、国において直接捜査を行う理由や、特に必要性、そして迅速性についてお尋ねいたします。
○小島政府参考人 ランサムウェアを用いた事案を始めとする重大サイバー事案については、昨年九月に決定された政府のサイバーセキュリティ戦略にも掲げられたとおり、捜査等を通じて攻撃者を特定し責任を負わせることによって、犯罪者らに警告を与え、抑止を進めることが重要であります。
他方、この種の事案を一つの国単独で捜査することは困難であることから、各国との国際連携を進め、この種の事案を共同で捜査し、その抑止に取り組むことが不可欠であります。
しかしながら、外国捜査機関との連携においては、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察とのいわば窓口にすぎず、案件ごとに捜査を担当する都道府県警察が入れ替わっていくため、その対応において機動性に欠けることもあり、国際連携の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが困難な状況であります。
そこで、日本警察として、外国捜査機関との強固な信頼関係を構築し、円滑な国際連携を進めることにより重大サイバー事案の抑止に取り組んでいくため、国の捜査機関として関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置し、国の組織が直接に捜査を行うこととしたものであります。
○工藤委員 答弁ありがとうございます。
簡単に申し上げますけれども、カウンターパートナーがいないということでありますし、国内からばかりじゃないです、やはり成り済ましで海外からどんどん攻撃されるということであります。
これは本当に、条文を読んでいまして、ちょっと私も腑に落ちないのが、先ほども先輩議員とお話していたんですが、罰則規定も書いてありません。まあ、これは刑法になるのか民法になるのか、様々な面でいろいろ議論があると思いますが、まず法整備の一助ということで基礎をつくっていくんだな、そんなふうでありますけれども、もう待ってくれません。既にこうやって撃ち込まれていますし、病院もある、そして銀行もある、そして様々な企業が撃ち込まれていく。
これは、簡単に言いますと、企業が、MアンドAならば売却してまだ利益があったり雇用体制を整えることができますけれども、サイバーが撃たれたら一気に破産、倒産で会社がなくなる、そういう事態もあるわけでありますから、一刻も早い対処をお願いしたいと思います。
質問に移ります。
重大サイバー事案として、今対象となる重要インフラ事業にはどのような業種が幾つ含まれるのか、そして、そのようなことを明確にしていただきたいと思いますので、お尋ねいたします。
○小島政府参考人 お答えいたします。
重大サイバー事案の対象となる重要インフラにつきましては、改正案では、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業としております。具体的には、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が定めた重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画の対象とされております金融、医療、電力等の十四分野を想定をしております。
重大サイバー事案の対策を進めていく上で重要インフラ等の事業者との連携は極めて重要であることから、今後、どのような業種が対象となるかについて、しっかりと理解が得られるよう説明もしてまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
今、十四という話がありまして、内訳は議員の皆さんも知っているかと思いますけれども、私、ちょっと腑に落ちないところが、空港、鉄道とあって、その後に物流とあります。私、地元名古屋港、そして皆さんのところも港があります。島国ですから港は大切でありますが、港湾という明記がないので、それを物流でくくるべきなのか否かと思いますけれども、その都度に、今、官房長が対処するという答弁でありましたので、そのときにしっかり対応していただきたい。とにかく、これは迅速に対応していただきたいと思います。
また質問に戻りますが、今回の警察法改正は、国の警察官が自ら重大サイバー事案の捜査を行うこととするものであり、これまでの警察の歴史からしても非常に重大な改正だと考えております。
警察の活動については民主的な管理を確保することが大きな論点であると考えますが、今回の改正について、警察行政の民主的な管理と運営をどう担保するのか、どのように運営するのか、そのことについてお尋ねいたします。
○小島政府参考人 お答えいたします。
今回の警察法改正により、国の捜査機関としてサイバー特別捜査隊を設立し、重大サイバー事案について国の組織が直接に捜査を行うこととなることから、警察行政の前提である民主的な管理と運営をしっかりと確保することが重要であると考えております。
この点、現に、都道府県警察が行う捜査につきましては、都道府県公安委員会の管理を受けることにより民主的な管理と運営を確保しているところであります。
同様に、サイバー特別捜査隊が行う捜査につきましては、国家公安委員会の管理を受けることにより民主的な管理と運営が確保されることとなると考えており、国家公安委員会の管理の下、適切に業務を進めてまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
通告はしておりませんけれども、今回の人員配置、先ほどから野党の先生方も質問されておりますけれども、実際、あの人数で捜査は可能なのかどうか。これはイエスかノーかで結構ですので、まあ、やってみなきゃ分からない、まだ結果も出ていないということかもしれませんけれども、これは実際、アメリカのFBI、CIAと比べて根本的に配置人数が少ないんじゃないかなと思うんですけれども、これは答えられたらお答え願いたいと思います。
○河原政府参考人 お答えいたします。
実際、サイバー特別捜査隊が発足した後も、まさに特捜隊が捜査を開始する場合におきましても、直ちに都道府県警察が捜査を全て特別捜査隊に引き継ぐとは限りません。事案によっては、警察法に基づいて、都道府県警察とサイバー特別捜査隊が共同して事案に対処することも想定しております。
サイバー特別捜査隊の体制、約二百名ということで当初発足するわけですが、この範囲内で最大限の効果を引き出すよう、これからも努力を継続してまいりたいと考えております。
○工藤委員 突然の質問で、お答えいただきありがとうございました。
これは質問じゃないんですけれども、実は私の事務所、六年前に、メールを開いてウイルスが入りました。
これは、政党、私は自由民主党ですから、自由民主党政調会長からのお知らせということで、あっ、これは開かなあかんなと思って開けた途端に画面が変わりまして、何が起こったか分かりませんから再起動をかけまして、秘書と相談して、どういうことかということで、いろいろ検索しましたら、実はパソコンの中に入っておりました画像、写真ですね、写真が全部消えました。これは大変だなと。
たまたまうちの近所にはコンピューター関係のビジネス専門学校がありまして、その事務局長さんが近所の方でありまして、を通じて、すぐスペシャリストの先生方、講師の先生方に、復活できませんでしょうかということでハードディスクを持ち込んで、三日かかって何とか戻りましたけれども、これは戻っても本当に大丈夫なのかという思いもありましたので、そのときいろいろ、パソコンをまた替えるとか、そして、これは釈迦に説法ですけれども、名簿、これをインターネットにつないでいると、えらいことになるなということも一遍味わいました。
こういうことから、私の事務所程度でそんなのですから、大企業や病院や銀行がハッカーされたらどういうことになるんだ、サイバーされたらどういうことになる、国家が傾く、そういう事案でありますので、早急に対処していただくことを、まず本当に、切にお願いしたいと思います。
最後になりましたので、一言御挨拶というか、皆様方に、警察に、特に、委員長にも皆さんにも訴えたいのは、コロナ禍で世界は一変しました。私が前回質問したときは、国土交通でコロナ対策の質問をしてからもう二年もたっております。我が国の生活様式も働き方も当然変わってまいりました。今後はDXやAI、IoTを活用した社会に移行してくると思います。対応せねばなりません。新たな社会にも、当然ながら、そこに必要なのは、今生活の中で、電力なくして生活なし、電力確保は必然だと思います。供給先が、先ほども質問にありましたが、サイバーテロなどに狙われ停止したら、産業界はおろか、日常生活も全くできなくなってしまいます。そのようなことが起きぬよう頑張っていただきたいと思います。
ただ、先ほども申し上げました、サイバー空間の脅威への対処能力の強化の増員数が若干少ないと感じますので、私たちもしっかり応援しますので、これだけの人数は必要なんだということを明確に示していただきたいと思います。しっかりと、法整備や体制を強固にし、サイバーへの対応を迅速化していただき、犯罪を未然に防いでいただく一助になっていただくことを祈念して、私の質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 公明党の國重徹です。
早速質問に入ります。
サイバー事案について国が直接の捜査権を持たない、こういった国はG7の中で日本以外にあるのかないのか、答弁を求めます。
○河原政府参考人 お答えいたします。
G7各国の中で、サイバー事案について国の組織が直接に捜査を行わない国は、日本のほかにございません。
○國重委員 世界では、国の警察組織がサイバー犯罪を捜査するのが主流になっています。
サイバー犯罪は、犯罪者側のデータ、またサーバーの多くが海外にあります。ロシアや北朝鮮、中国など、国家がバックにあるサイバー攻撃も指摘をされております。また、ランサムウェアなどによる攻撃が国内外で深刻化をして、社会インフラの機能が停止するなどの危険な事態も生じています。
このようにサイバー犯罪が国際化、高度化、大規模化する中で国際的な共同捜査は不可欠ですけれども、日本では、中央政府レベルでは捜査に直接、迅速に対応することができませんでした。また、昨年の国際共同捜査に、いずれも日本は参加しておりません。こういった背景の下、今般の法改正によって、重大サイバー事案について国が直接の捜査権を持つこと、この必要性、重要性については理解をします。
その上で、重大サイバー事案の捜査における国際協力、これを今後、今回、国が直接の捜査権を持つということになりましたけれども、それにとどまるんじゃなくて、どのように国際協力を具体的に強化していくのか、お伺いします。
○河原政府参考人 お答えいたします。
ランサムウェアを用いた事案等の国境を越えて敢行されるサイバー事案に対しましては、一つの国単独で捜査を行っていくのは困難でございます。
今般、国の捜査機関であるサイバー特別捜査隊を設置することによって、国の組織が自ら継続的に国際捜査を進めるとともに、外国の捜査共助要請に迅速、的確に取り組むことで各国捜査機関との信頼関係を構築することができ、サイバー事案の捜査における円滑な国際連携を一層推進することが可能になると考えております。
また、サイバー警察局におきましては、各国捜査機関との連携を強化するために、我が国捜査機関の代表として、各国実務者との協議に積極的に参画することや各国捜査機関との個別協議を推進することも予定しております。
このような多角的な取組によりまして、サイバー事案についての国際的な連携を今後強化してまいりたいと考えております。
○國重委員 これは本当に、多角的にしっかり進めていただきたいと思います。
今般の法改正によって設置されるサイバー特別捜査隊、これは都道府県警察の中でサイバー事案に精通している専門人材、警察官、また警察庁の技術系職員ら約二百名で構成すると聞いています。
先ほど来、このサイバー特別捜査隊の捜査能力、大丈夫なのかというような質疑が続いておりますけれども、私、ちょっと別の観点で質問させていただきます。
このように、都道府県警察の専門人材が国の方に出向することになりますと、都道府県警察が担うサイバー事案の専門人材が減って、捜査能力が低下してしまうんじゃないか。今回のこの法改正によっても、私、事前のレクで受けていますけれども、都道府県警察がそれぞれの管轄区域についての治安を担っていく、このことは変わりはないんだ、サイバー事案については、重大サイバー事案も含めて引き続き都道府県警察が捜査を行っていく、国は国で行っていくということで聞いていますけれども、専門人材を国の方に出向させるのに、どうやって今後の捜査能力を維持していくのか、カバーしていくのか、これが一点。
また、サイバー犯罪が高度化していく中で、専門人材の採用、また育成、効率的な活用がより一層必要になると考えますけれども、今後どのように取組を進めていくのか、伺います。
○河原政府参考人 お答えいたします。
まず、重大サイバー事案につきましては、国のみが捜査を行うものではなく、都道府県警察と連携して対処を行っていくこととなります。
また、重大サイバー事案ではないサイバー事案につきましては、事案の広域性や技術的な問題により一つの県警で対処し切れないようなものについては、警察庁から解析の支援を行ったり、都道府県警察間で共同して対処に当たることとするよう警察庁が調整を行ったりするなど、事案の対処に遺漏が生じないよう努めていく所存でございます。
中長期的な観点でサイバー事案への対処能力を有する人材を育成することは、御指摘のとおり極めて重要でありまして、警察におきましては、職員の技能レベルに応じた学校教養、能力検定、民間企業への派遣研修等を実施しながら、人材の育成に努めております。
具体的な取組といたしましては、実践的な捜査演習の実施、サイバー分野における高度な知見を有するITベンダーや通信事業者との人事交流、民間企業での経験や情報通信技術に関する高度な資格を条件とした中途採用といった諸施策を実施しているところでございます。
今後とも、サイバー事案の高度化に対応できますよう、人材の確保、育成の観点からもサイバー事案への対処能力を高めてまいりたい、このように考えております。
○國重委員 都道府県警察が担うサイバー事案についての対処、重大サイバー事案じゃなくても、サイバー事案についても重要でありますので、しっかりとした対応をよろしくお願いします。
また、警察官が一つの部署に在任できる期間というのは三年から五年程度が目安で、それが過ぎればほかの部署に異動するというふうに、それが一般的なんだというふうに聞いています。ただ、これはもちろん、職員間の公平性、こういうことにも配慮はしないといけないんでしょうけれども、国民の命、安全を守るという観点から、これまで以上に長く、一定期間、専門人材をそこに固定させて活用させるということも重要になると思いますので、その点についてもよくよく検討をお願いいたします。
次の質問に移ります。
今般の改正法案によりまして重大サイバー事案の捜査主体を国が担うことになりますが、本改正案の改正によっても捜査権限そのものは拡充されない、この理解で間違いないでしょうか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
今般の法改正により重大サイバー事案について国が直接捜査を行うこととなりますが、都道府県警察が持っていない捜査権限がサイバー特別捜査隊に与えられることはなく、国における捜査も都道府県警察における捜査と同様に、刑事訴訟法を始めとする現行の関係法令にのっとって行われるものであります。
○國重委員 本改正案によっても捜査権限は拡充されないということでした。
その上で、国に捜査権限を持たせるということは、一九五四年に警察庁が発足して以来、初めてのことになります。これに伴って、警察庁を管理する国家公安委員会が果たす役割、責任も大きくなると、厳格なチェックをしていく必要があります。そして、その国家公安委員会が適切、厳格な警察庁に対するチェックをしていくためにも、国民の声をしっかりと聞いていく必要があります。
そこで、私、元々二番手のバッターとして質問を用意していましたので、今、午前の最後の部になりまして、重複していますけれども、念のために確認をいたします。国が行う重大事案の捜査に関する国民の苦情等について、どのように対応していくのか伺います。
○小島政府参考人 お答えいたします。
現在、都道府県警察の職員の職務執行につきましては、都道府県公安委員会に対して、警察法に基づく苦情の申出をすることができることとされておりまして、この苦情に対して誠実に対応しているところであります。
今般の改正によりまして、警察庁の警察官が重大サイバー事案に関する職務執行を行うこととなるため、都道府県警察の捜査と同様に、重大サイバー事案への対処に従事する警察庁警察官の職務執行につきまして、国家公安委員会に対して苦情の申出をすることができることとしております。
この苦情申出制度の創設につきまして、広く周知を図るとともに、苦情が提出された場合には、都道府県警察と同様、誠実に対応するとともに、苦情の内容を踏まえ、必要に応じ、サイバー特別捜査隊の一層の適切な活動につなげてまいりたいと考えております。
○國重委員 歴史的に大きな転換になりますので、しっかりとした対応をよろしくお願いします。
先ほども確認しましたとおり、今般の法改正案によっても捜査権限そのものは拡充をされません。一方で、先ほど足立委員、緒方委員の方から指摘がございました攻撃的な捜査手法、欧米などでは、サーバーのテイクダウンや第三者システムのマルウェア除去といった攻撃的なアクティブサイバーディフェンスも行われております。他国では、それぞれそうした制限を超えられる法制化などが行われているということです。
サイバー犯罪、サイバー攻撃が大規模化、高度化する中で、これからは人の命に関わるサイバー攻撃も出てくる可能性があります。例えば、自動運転や介護用、医療用ロボットのシステムが攻撃されれば、命が危険にさらされることになります。サイバー事案の高度化、この状況の変化に応じて、その対処についても不断の見直しが必要になります。
他方で、通信の秘密やプライバシーの保護、国家や行政による悪用の可能性、こういった点については十分に留意しなければなりません。
このようなことを踏まえた上で、中長期的な視点で、アクティブサイバーディフェンス、捜査手法について、まずは精緻な論点整理をしっかりとする、その上で慎重に検討を進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
○小島政府参考人 お答えいたします。
サイバー事案への対処に関して取り得る措置につきましては、諸外国で認められている制度を我が国においても導入するよう検討するべきといった議論があることは承知をしております。
御質問のような攻撃的な手法を始め、捜査手法や権限に関し、諸外国の制度を研究することなどは有益と考えております。一方、我が国としての制度化は、刑事訴訟法等の基本的な法制度に関わることであり、国民の理解が不可欠であることから、中長期的な検討が必要であると考えております。
○國重委員 これは通告していませんでしたけれども、今、この諸外国の研究というのは、現実にされているんですか、されていないんですか、伺います。
○河原政府参考人 お答えいたします。
捜査手法や権限に関しまして、諸外国の制度を研究することは非常に有益でございます。
先ほど答弁差し上げたとおり、我が国での制度化自体は、刑事訴訟法等の基本的な法制度に関わることでございますので、国民の皆様の理解、これが不可欠であることから、中長期的な検討をされるべきものと考えておりますが、研究そのものは実際に進めているところでございます。
○國重委員 この導入の是非は別としても、しっかりとした研究はやはり必要だと思いますので、是非、国民の命、安全を守るという観点から、関係省庁とも連携をして、国全体としてサイバー事案の対処能力を高めていっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○上野委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十五分休憩
――――◇―――――
午後零時十一分開議
○上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
本日は、参議院の予算委員会との兼ね合いで、二之湯国家公安委員長には、大変忙しい中、お時間を割いていただき、感謝を申し上げます。また、我が会派の質疑時間については、立憲民主党さんから御配慮をいただきましたことに感謝を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。
本日は警察法の改正案の審査ということで、冒頭、今日、午前中の質疑でも出ておりましたが、ウクライナに関連した質問をさせていただきたいと思います。
ウクライナの今の情勢、大変厳しい状況になっておりますけれども、今回の事案については、いわゆるハイブリッド戦ということが言われております。午前中もそのやり取りがされましたが。
今回、我が国でもサイバーセキュリティーの対策を強化しなければいけないという局面において、実際、じゃ、どのような攻撃内容で、どのような被害が今確認をされているのか、その事実関係について、まずは最初、伺いたいと思います。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
私ども内閣サイバーセキュリティセンターで公表資料や報道で把握をしているところでは、二月十五日に、ウクライナの国防省など、政府機関や大手銀行に対するサイバー攻撃があり、また、二月二十四日には、内閣、外務省、インフラ省、教育省など、政府機関のウェブサイトがダウンするなど、数度にわたりウクライナに対するサイバー攻撃があったことについて承知をしているところでございます。
○浅野委員 ありがとうございます。
現在もなお詳細な情報収集の途上にあるというふうには思いますけれども、やはり、海外でのこうした事例、よくその内容についても情報を蓄積し、今後に生かすこともまた重要だと思いますので、政府としても、引き続きこの詳細調査を続行していただきたいと思います。
翻って、我が国が今回のような、このような大規模サイバー攻撃を今後受けないとも限りません。そのような場合に、我が国においては、現在、どのように対応する体制がつくられているのか。重立ったところで言いますと、NISCや警察庁、そして防衛省など、それぞれサイバーセキュリティー部門を持っておりますけれども、どのように機能分担をしているのか、教えていただきたいと思います。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
大規模なサイバー攻撃に対しては、攻撃を完全に防げないことも想定をし、速やかに検知して所要の対策を講じ、被害の拡大を最小限に抑えることが重要であります。
国民の生命、身体、財産若しくは国土に重大な被害が生じ、若しくは生じるおそれのあるサイバー攻撃事態、又はその可能性がある事態が生じた場合には、官邸対策室等を危機管理センターに設置し、その体制の下に、NISCを含む関係省庁は、相互に被害状況、被害の拡大の防止、復旧等に関する情報共有を行うこととしているところでございます。
さらに、事態の重大性、緊急性に応じ、関係閣僚会議、国家安全保障会議、閣議等の開催、政府対策本部の設置等を行い、事態の変化に対応することとしているところでございます。
○浅野委員 では、続いて、今回、警察法の改正によって設置されるサイバー警察局、これが今おっしゃったような国の危機管理体制の中でどういった役割を果たすのか、改めて教えていただけますでしょうか。
○二之湯国務大臣 国民の生命などに重大な被害が生じるおそれのある大規模なサイバー攻撃が発生した場合には、内閣官房を中心に、政府が一体となって対応する枠組みが構築をされております。こうした枠組みの下で、警察では、警察庁に新たに設けられるサイバー警察局を中心として、関係省庁と緊密に連携し、被害の発生や拡大の防止を図ることとなります。
○浅野委員 緊密に連携をしてというところはそのとおりなんだろうと思うんですけれども、やはり、サイバーセキュリティーという分野、まだ、防衛省、警察庁、そして内閣の中でも、それぞれ立ち上がって、これまで検討はしてきておりますが、大規模な事案に対する対応の在り方、連携の在り方という部分については、やはりもう少し具体的に指針を定める等してやっていただきたいな、それが国民の安心感にもつながるものだというふうに思います。
現在検討中の部分もあるかと思いますが、この問題、これからも続きますので、是非、今後のこの委員会の中での質疑等の中では、緊密な連携というところをもう一段ブレークダウンして、具体的に国の方針、姿勢というものを教えていただきたいというふうに思っております。
次の質問に移りたいと思います。
今回設置されるサイバー特別捜査隊、これは関東管区警察局に設置をされるということになりますが、この関東管区警察局は、現在、さいたま新都心にある合同庁舎二号館の方に入っているというふうに伺いました。私も少し話を聞いてみますと、こちらの庁舎には、防衛や災害対応を担当する、関東管区警察局のほか、北関東防衛局、そして関東地方整備局などが入っていることもありまして、この建物自体は非常に頑丈で、広域防災拠点としても利用できる機能が備わっているというふうに聞きました。ですけれども、やはり物理的な安全性があれば大丈夫かと言われると、そうではないと思います。
自然災害とか、あるいはパンデミック、大規模なサイバー攻撃を受けた際にも、しっかりその機能を維持しなければいけない。そういった点で、サイバー特別捜査隊がその役割を果たし続けるためにどのような対策をしているのか、その辺り、お考えを伺いたいと思います。
○二之湯国務大臣 サイバー特別捜査隊は、政府の機能や、あるいは企業が多く集積しております首都圏に拠点を置く、拠点を東京に置くことになるわけでございます。
自然災害が発生した場合も、警察としての業務を止めることはできません。あらかじめ定めた業務継続計画に基づき、災害対応などの緊急性の高い業務を優先し、確実に継続していく必要がございます。
重大サイバー事案の捜査についても、災害の影響を見定めつつ、救助活動を妨害する事案のように特に緊急性が高いものがあれば、サイバー特別捜査隊と都道府県警察が連携を図りつつ、警察としての業務を継続することができるように警察庁を指導していきたいと考えております。
○浅野委員 ちょっと今の内容について一点だけ確認をしたいんですが、サイバー特別捜査隊の拠点を置く場所ですね。
関東管区の警察局はさいたま新都心にありますけれども、今、大臣の答弁の中では、東京に置くというような発言があったようにも聞こえましたが、正確にはどちらに置かれるのか、確認をさせてください。
○二之湯国務大臣 今の段階では、私も承知しておりません。(発言する者あり)
関東管区にサイバー捜査隊を置きますけれども、その拠点の場所は確定をしておりませんという意味です。
○河原政府参考人 お答えいたします。
確定的ではございませんが、サイバー特別捜査隊は、政府の機能や企業の本社等が首都圏に多く存在することなどを踏まえまして、その拠点を東京に置くことを考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。
拠点をどこに置くかというのは非常に重要な問題だと思います。検討中ということは分かりましたけれども、今国家公安委員長が答弁されたように、いかなる場合でもその役割を果たし続ける、そういう環境整備、場合によっては、一か所という考え方にとどまらず、やはり、サイバー領域での対策ですから、分散した拠点においてもその機能を発揮できるような、そういう検討も政府の中で進めていただきたいというふうに思います。
続いての質問に移らせていただきたいと思います。
情報システムやソフトウェアの脆弱性についての評価の在り方について、ちょっと質問させていただきたいと思います。
近年、サプライチェーンの複雑化やグローバル化が進む中で、サイバー空間を構成するシステムやソフトウェア、この脆弱性を事前に調べた上で、そこに攻撃をしかけるような事案が確認をされております。
例えば、平成二十八年から二十九年にかけて、JAXAを始め国内約二百の企業がサイバー攻撃を受けた事案では、攻撃者があらかじめ、資産管理システムだったようですけれども、ITソフトウェアを事前に入手して脆弱性を調査をして、それが流通、普及した段階で攻撃をした、そういったような事案でありました。
このようなサイバー攻撃、サイバー被害を未然に防ぐためには、やはり情報システムやソフトウェアの事前の脆弱性評価というものが非常に重要になってくると思うんですけれども、現在、政府としてどう取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
○吉川政府参考人 お答え申し上げます。
政府においては、サイバーセキュリティ基本法に基づき、戦略本部の下、サイバーセキュリティ戦略として閣議決定をしておりまして、国民の安全、安心の実現等を目的として様々な対策を進めているところでございます。
御指摘の脆弱性対策に関して申し上げれば、例えば、各省庁、独立行政法人等に対して、疑似的な攻撃により実際に情報システムに侵入できるかどうかの観点から対策の状況を検証するペネトレーションテストを行うことなどにより、システムの脆弱性について確認する取組を行っているところでございます。
また、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生じるものに関する事業を行う者として指定された重要インフラ事業者においても、政府は、脆弱な設定状態を悪用した攻撃に備えた、ソフトウェアの設定についての把握、定期的に脆弱性を洗い出すスキャンの実施等の取組を推奨しているところでございます。
このような取組を通じましてICTシステムやソフトウェアの脆弱性対策に努めているところであり、引き続き、サイバーセキュリティーの強化に取り組んでまいります。
○浅野委員 ちょっと今の答弁内容で確認なんですが、いわゆる後半の部分、経済活動に多大な影響を及ぼす重要インフラ分野において、事前のチェックテストを推奨しているというふうにおっしゃいましたけれども、これは推奨しているのであって義務ではないということの確認と、それをするために、何らかの指針やガイドラインとか、政府としての考え方を明示したものがあるのかどうか、そこをちょっと確認させてください。
○吉川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたサイバーセキュリティ戦略本部におきまして、重要インフラ行動計画を決定をしております。この中で、今御質問のことについて定めているところでございます。
○浅野委員 ありがとうございました。
続いて、ちょっと各論になってしまいますが、近年、このサイバーセキュリティーという観点、IT機器の普及という観点では、文部科学省が主導してGIGAスクール構想というのを行いまして、全国の小中学生たちにタブレット端末、ICT機器を配付をしたということがございました。
やはり、これは政府の有識者会議の中でも指摘されていましたように、これは大人だけでなくて、子供たちが使うIT機器についてもサイバーリスクというのが存在をしています。
このGIGAスクール、急速に普及をさせた分、セキュリティー対策の面ではどうなのか。政府の取組状況について確認をさせていただきたいと思います。
○茂里政府参考人 お答えいたします。
サイバー攻撃など不正アクセス等に対し十分な情報セキュリティー対策を講じることは、教師そして児童生徒が安心してICT教育に携わる上で非常に大事なことだと考えております。
そのため、文科省では、教育委員会や学校が教育情報セキュリティーポリシーというものを策定するに当たり、その参考になる情報や対策について、関係省庁と、また専門家の意見を伺いながら、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインというものを定めてございます。教育委員会や学校につきましては、そのガイドラインを踏まえてそれぞれのセキュリティーポリシーを定めているところでございます。
御指摘の児童生徒用端末につきましては、当該ガイドラインにおきまして、不正インストールの防止やセキュリティー設定の一元管理などを求めておりまして、それを踏まえて学校設置者においてセキュリティー対策が講じられているところでございます。人的、物理的、技術的セキュリティーを整理して、総合的に推進しているところでございます。
今後とも、情報がどんどん変わっていくと思いますので、そういったことに即座に対応できるよう、このガイドラインの見直しなどを通じて徹底してまいりたいと思います。
○浅野委員 その際には是非、これは文科委員会の方で議論すべき内容かもしれませんが、現場の先生方の負担、そして自治体側の担当者の負担、そこはよく考えて、合理的な対策を打っていただきたいと思います。
次の質問に移りますけれども、近年、サイバー空間での出来事をきっかけにして、リアルな空間での犯罪というのが多数起こっています。例えば、インターネットを利用して出会い系サイトでそういう接点を持ち、実際に対面してそこで詐欺行為に及んだり、あるいは、まあ詐欺事案というのがありますけれども、こうしたサイバー事案に起因する犯罪というのは、やはり警察として取り締まるべき対象なんだと思います。
ただ、今回、サイバー警察局のほかにも、従来からそうした事案を取り扱っている、刑事部門や生活安全部門、警備部門など多くの部門がございますけれども、このサイバー警察局とそれらの部門との明確な役割の違い、機能の違いというのがあれば、そこを分かりやすくちょっと教えていただきたいと思います。
ただ、いずれにしても、重大事案であっても個別の事案であっても、やはりそこを取り締まるためには、サイバー空間で何が起こっているのかというところの捜査力の強化というのが必要になると思います。
そういった点では、サイバー警察局に限らず、各都道府県警も含めて、スキル向上、人材育成というものが重要になっていくと思います。
午前中も指摘された課題感ではありますけれども、その点について、その機能の違い、そして人材育成に対する考え方、教えていただきたいと思います。
○二之湯国務大臣 今回、警察庁に新設されますサイバー警察局では、サイバー事案への対処について、これまで複数の部局に分かれていた役割を一元化するといいますか、一元的に担うことになるわけでございます。
また、サイバー警察局では、サイバー空間における安全、安心を確保するため、犯罪の捜査や防止などの様々な面で生活安全局などの既存の部局とも連携を図ることとなります。
こうしたサイバー事案への対処においては、人材の育成が極めて重要となってまいります。
警察では、IT企業出身者や技術的解析の専門家が様々な部門に配属されています。こうした職員の技術力や適性を見極めて、高度な訓練を受けさせたり研究機関との共同研究に従事させたりするなど、サイバー事案への対処に必要な人材の育成が確実に行われていくよう警察庁を指導してまいりたいと思っております。
○浅野委員 では、最後の質問になります。
警察庁が令和二年度に実施した犯罪情勢に関するアンケート調査によると、サイバー犯罪に遭うことへの不安を持っているという国民の皆様の回答の割合が七五%に及んでいるというデータがございます。
ただ、その一方で、情報漏えいとか何らかの被害を受けたことを公表することによって風評被害が出てしまうんじゃないか、例えば会社なんかはまさにそのことを考えると思うんですが、この風評リスクへの懸念から、被害を受けた人や事業者が、警察へ通報、相談をためらう傾向があるということも指摘されています。この点について、今後どのように取り組んでいくのか、考え方を確認したいと思います。
○二之湯国務大臣 昨年九月に閣議決定された政府のサイバーセキュリティ戦略では、サイバー犯罪に関する警察への通報やあるいは公的機関への連絡の促進によって、サイバー犯罪の温床となっている要素、環境の改善を図るとされております。
社会全体でサイバー空間の脅威に立ち向かうために、警察への通報やあるいは相談を促進することが重要であると考えております。
今回設置されるサイバー警察局を中心として、関係機関、団体と連携し、警察への通報や相談を促すための広報啓発に取り組むとともに、被害の通報や相談については、企業の信用への影響や業務の継続に対する懸念に配慮した対応を行うとともに、警察が入手した情報が確実に保護されることにより、被害を受けた方が安心して警察を頼ることができるよう警察庁を指導していきたいと考えております。
○浅野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
――――◇―――――
午後一時五十三分開議
○上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
警察法改正案について質問いたします。
二之湯委員長にお尋ねをいたします。
霞が関、国の府省庁におきましては、部や局の改編は法定事項ではなく政令事項となっております。しかしながら、警察庁については法律で定めることが維持されておりますが、それはなぜでしょうか。
○二之湯国務大臣 お答えいたします。
府省の内部部局の設置などについては、かつて各府省設置法等において定めていましたが、国の行政機関の組織編成の弾力化を図る観点から、昭和五十八年に、政令で規定することとされております。
そうした中で、警察庁については、国家公安委員会の下に置かれる特別の機関であり、第一線において警察活動を行う都道府県警察の指揮監督を行う組織であるということを踏まえ、その内部部局である局や部の設置などについて国会の判断に委ねることが適当であると判断されたものと認識をしております。
捜査などの警察活動は、個人の権利と自由に関わり、影響を与えるものであることから、このような警察活動を行う都道府県警察の指揮監督などを行う警察庁の局や部については、民主的統制の下で、国会の判断により法律で規定することとなっているものと承知しております。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、個人の権利と自由に影響を与える、捜査等の警察活動に係る警察組織の改編は大変重いものであり、国会の関与、民主的統制の下で慎重な対応が求められるものであります。
続けてお尋ねしますが、今回の法改正は、重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する規定の整備を行うものですが、その検討過程が全く分かりません。
昨年六月、小此木国家公安委員長が、サイバー局の設置と、その下に捜査権を持つサイバー隊の設置を公表しました。
政府内では、事前にどのような検討を行ったんでしょうか。
○二之湯国務大臣 サイバー空間における脅威に対処するための組織改正の必要性については、以前から警察庁において議論があったものと私は聞いております。
その後、令和二年秋以降のデジタル庁創設に向けた動きなどを踏まえて、令和三年からは令和四年度の組織改正に向けて更に具体的な検討を行い、昨年六月の公表に至ったものと聞いております。
○塩川委員 令和三年から検討を行ったと言うんですけれども、その検討過程というのは、今までお出しいただいていないんですが。
○小島政府参考人 お答えいたします。
具体的には、サイバー空間における脅威に対処する業務を所掌する部局や執行事務を行う部隊を設置する必要性、警察庁の警察官の職権の在り方、執行事務を行う部隊を設置する機関や場所、都道府県警察との関係等につきまして、警察庁内の関係各課が様々な観点から意見を出し合い、活発な議論が行われたというものでございます。
○塩川委員 ですから、その警察庁内の検討過程についての文書を出してくれと頼んだんですよ。出てきていないじゃないですか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
昨年六月に組織改編の概要を公表いたしましてから、るる御説明を申し上げているところでございます。
○塩川委員 いや、だから、昨年六月の小此木国家公安委員長の発表の前でどんな検討を行ったのかと。検討していたと言っているんですから、前でどういう検討を行ったのかというのを明らかにするのは当然じゃないですか。
○小島政府参考人 重ねて同じ答弁で恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、サイバー空間における脅威に関する情勢であるとか、あるいは警察庁の警察官の職権の在り方であるとか等々につきまして議論を交わしてきたものというものでございます。
○塩川委員 国会でやはり審議をするそういった法案の中身について、どういう検討を行ったのかという、その検討過程そのものも極めて重要なわけですよ。それについて出さないままで、これでお願いしますというわけにはいかないと言わざるを得ません。
例えば、昨年三月に公表された警察庁の有識者会議、サイバーセキュリティ政策会議の報告書、去年の三月ですよ、警察庁内に置かれている有識者会議、政策会議においても全く触れられていないんですよ。
あるいは、政府の司令塔となっているサイバーセキュリティー戦略二〇二一、この検討過程においても、昨年五月に戦略の骨子というのが大きく出ていました。その戦略の骨子、六月の直前ですよ、このサイバーセキュリティー戦略二〇二一の戦略の骨子にも一言も触れられていないんですよ。
政府内で検討した形跡がないんじゃないですか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
検討の過程につきましては、行政文書の保存ルールに従って、適切に文書として保管をしてございます。
○塩川委員 保管じゃなくて、私は出してくれと言ったのに、一向に出さなかったじゃないですか。それでここに至っているわけですよ。こんな格好で、経緯も分からないまま、曖昧なまま、まともな議論ができないのは許されないと言わざるを得ません。
私が指摘したいのは、小此木国家公安委員長の公表の直前にあったのは何かというと、自民党による政府骨太方針に向けた経済安保に関する提言であります。新国際秩序創造戦略本部、中間取りまとめであります。そこでは、経済安保体制の抜本的強化として、「関係府省庁において、専従の新規ポストの設置や抜本的な人員増強を含む更なる体制整備・予算措置が急務」とあります。これを受けて、骨太に経済安保が据えられ、インテリジェンス能力強化が掲げられました。
今回の法改正は、このような経済安保を推進するための体制強化の一つということではありませんか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
サイバー事案に対処するための検討でございます。
○塩川委員 経済安保と関係、関与するのかしないのか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
今回の警察法改正につきましては、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございません。
サイバー警察とサイバー特別捜査隊が創設されることに伴い、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティーに関する取組がより一層効果的になるように行うというものでございます。
○塩川委員 整合的に連動するものじゃない。セットのものじゃないということだと思いますけれども、でも、関与、関連は当然するわけですよね。
○小島政府参考人 警察におきましては、先端技術を有する企業や重要インフラ事業者に対するサイバー事案につきまして、犯罪の捜査や手口の分析を進めているというところでございます。
その上で、こうした産業におけるサイバーセキュリティーの強化に資するため、捜査等で判明した事項につきまして、NISCを始めとする関係省庁とも可能な範囲で共有するなどの取組を進めているところであります。
今回の警察法改正につきましては、先ほど申し上げたとおり、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございませんが、サイバー警察局とサイバー特別捜査隊が創設されることに伴い、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティーに関する取組をより一層効果的にするよう、改正をお願いしているものでございます。
○塩川委員 ですから、重要インフラ、基幹インフラの関係では、サイバーの方がしっかりやりますよという話ということであります。
その点で、遡って、この自民党の新国際秩序創造戦略本部の経済安全保障戦略策定に向けた提言では、「政府において機微な技術を保有する民間企業や大学等との連携を強化する枠組みを構築し、民間企業における経済インテリジェンスの機能強化を図るべきである。更に、こうしたわが国自身による情報機能強化に加え、ファイブアイズへの参画を含む国際連携の深化やそのための体制を強化すべきである。」と述べています。
こういったことを念頭にお尋ねしますが、小林経済安保担当大臣は、経済安全保障に関する機密情報の取扱資格者を政府が認定をする適性評価制度、セキュリティークリアランスについて、今後検討していくべき課題と述べておりますが、このようなセキュリティークリアランスに関与する組織につながりはしないのか。この点はどうでしょうか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げましたとおり、今回の警察法改正につきましては、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございません。
○塩川委員 整合的に連動するものではない。関与、関連はするという話に取れます。
時事などによると、政府は、適性評価制度、セキュリティークリアランスについて、この秋に法制化をする検討に入ったと報じております。
民間人に対する適性評価制度は、ファイブアイズと呼ばれる枠組みで機密情報を共有している五か国などが導入をしております。適性評価は、家族や交友関係、資産、飲酒歴なども審査対象となるとされております。特定秘密保護法の拡大ではないかと個人情報保護に対する懸念の声も上がっております。
今回の法案がこのような問題点とどのような関連があるのか。整合的に連動していないというだけでは、それでは説明を尽くしたことにはなりません。明確に答えず、冒頭申し上げましたように、検討過程が全く不透明であります。国会にまともに説明をしないままでは、民主的統制が利かない。この点でも極めて重大だと言わざるを得ません。
そこで、二之湯国家公安委員長、お尋ねしますが、戦後の警察組織においては、犯罪の捜査等の警察活動は都道府県警察の任務とし、警察庁は警察運営、犯罪鑑識、犯罪統計などの所掌事務について都道府県警察を指揮監督する仕組みとなっている、このような認識でよろしいでしょうか。
○二之湯国務大臣 現在の警察法では、都道府県警察がその管轄の区域につき警察の責務を有しており、犯罪の捜査などの活動を行っております。その上で、警察法に規定する警察庁の所掌事務について警察庁長官が都道府県警察を指揮監督することとされております。
○塩川委員 戦後の出発点はこういう仕組みで、その後の警察法改正においても、警察庁について、個々の事件の個々の捜査の指揮は行っていない、一九五四年の改正ですとか、一九九六年の改正におきましても、具体的な捜査活動における個々の方針や方法の指揮を行うものではないと、警察庁が捜査権を持たないことを繰り返し答弁をしてまいりました。
今回の法案はこの根本の原則を大きく覆す、転換をするものとなる、こういうことでよろしいでしょうか。
○二之湯国務大臣 今回の警察法改正案につきましては、最近におけるサイバーセキュリティーの脅威の深刻化に鑑み、重大サイバー事案について国の組織が直接捜査を行うことができるようになるわけでございます。今回の改正により警察庁が直接捜査を行うこととなりますが、これは重大サイバー事案に限ってという意味で、極めて例外的なものであり、都道府県警察がそれぞれの管轄区域について警察の責務を有することは何ら変更はなく、今後も犯罪の捜査などの活動は原則として都道府県警察が行い、警察庁長官が指揮監督することとなります。
○塩川委員 極めて例外的とは言いますけれども、基本の原則を転換するものとなるという点で、やはり戦後の警察組織においては、戦後のスタートにおきます、当時の片山総理が述べているように、警察力が国家の政治問題と絡んで、一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去する、この立場から、警察庁、国の警察組織においては捜査権は持たない、これを基本としてきたわけであります。警察組織の民主的運営の基礎としてきた原則の転換は極めて重大だと言わなければなりません。
現在も、警察の職権濫用による人権侵害が後を絶たない状況があります。この間報道されてきました経済安保に関わる冤罪事件があります。
警視庁の公安部は、噴霧乾燥機、スプレードライヤーを中国にある企業に不正に輸出したとして、大川原化工機の社長ら三名を逮捕、無実の人を十一か月間も長期勾留しました。お一人の方はこの長期勾留中に体調が悪化をして亡くなられました。一度は起訴されたものの、輸出が規制されている製品に当たることを立証できず、公判期日の直前で異例の起訴取消しとなりました。
立件ありきで証拠も不十分なまま逮捕、勾留した大川原化工機事件に対する反省、謝罪がありますか。
○二之湯国務大臣 お尋ねの件につきましては、警視庁が外国為替及び外国貿易法違反に当たるとして捜査を行い、東京地方検察庁が起訴した会社とその社長らを被告人とする不正輸出事件と聞いております。
この事件については、昨年七月に東京地検、検察庁が公訴を取り消しており、その後、九月には、東京都と国に対する国家賠償請求訴訟が提起されております。
現在、訴訟係属中でございますから、事件捜査の適否についてはコメントすることは差し控えさせていただきますが、警察において法と証拠に基づく適正な捜査が行われるよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 国賠訴訟がされているというのは、検察や警察がわびていない、それはおかしいじゃないか、これが出発点なんですよ。本来、反省、謝罪があってしかるべきじゃないですか。そこのところを、是非、国家公安委員長としてお答えいただけませんか。
○二之湯国務大臣 繰り返しになりますけれども、現在、訴訟係属中でございますから、私としてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 昨年の十二月に、東京地裁は、刑事補償計千百三十万円を支払うことを決定しました。刑事補償というのは、身体拘束された人が無罪となったときの補償制度であります。つまり、この事件は無罪ということが、地裁として明らかにし、刑事補償を行った。
裁判長は、関係記録によれば、仮に起訴内容について審理が続いた場合に、無罪判決を受けるべきと認められる十分な理由があると述べたということです。これは、そのとおりですね。
○櫻澤政府参考人 答弁いたします。
裁判で裁判長から発言があったこと等について、行政部署からコメントすることについては差し控えたいと考えております。
○塩川委員 当事者の皆さんが無罪だということも明らかにされております。無罪なんですよ。だとしたら、この不当な捜査、冤罪事件について反省、謝罪があってしかるべきじゃないですか。そういったことについて、国家公安委員長としてしかるべき対応、対策を取るべきじゃないですか。
○二之湯国務大臣 度々繰り返しになりますけれども、現在まだ係属中でございますから、この事件捜査の適否について私の感想を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 警察組織を監督する立場の国家公安委員会の国家公安委員長なんですから、まさにそれが機能していないということを逆に示すようなことでいいのかと言わざるを得ません。
こういったことについて真摯な反省、謝罪もなしに新たな体制強化を図るというのは、これは理解が得られないということも言わざるを得ません。そうじゃないですか。だって、まともな反省、謝罪がないんですよ、無罪だとされているのに。こういった問題についてしっかりとした対処があってこそ、その先に行くという話じゃないでしょうか。
こういった問題について国家公安委員長がしかるべき対応をするということの表明もないままで、こういった、検討過程も曖昧なまま、資料も出さないといったことで、国会の民主的統制が必要だという、こういう警察法の組織改編の議論において、まともな前提を欠いているということを言わざるを得ません。
人権侵害、プライバシー侵害に反省がない、こういった警察組織の権限拡大、体制の増強を図ることは認められないということを申し上げて、質問を終わります。
○上野委員長 次に、山本太郎君。
○山本(太)委員 れいわ新選組代表、山本太郎です。
警察法の改正、たった十分の質疑です。簡潔にお答えください。
本法案では、警察庁の下部組織である関東管区にサイバー特別捜査隊をつくるということでいいですよね。イエスかノーかでお答えください。
○二之湯国務大臣 イエスです。
○山本(太)委員 ここのサイバー特別捜査隊は、必要なときには家宅捜査や押収、容疑者の逮捕、書類送検ができるという理解でいいですよね。イエスかノーかでお答えください。
○二之湯国務大臣 イエスです。
○山本(太)委員 本法案の内容は戦後の警察組織の在り方を百八十度変えるものですが、審議はたったの一度、たった三時間半で法改正をしようとしている。この法案を通しておけ、分かりましたという、行政府の従順な下請に成り下がった委員会運営に対して最大の非難を申し上げます。(発言する者あり)失礼でも何でもない。事実である。(発言する者あり)事実である。
中身を続けます。あっ、ちょっとごめんなさい、コロナ禍なので、大きな声でしゃべるのをやめてもらっていいですか。
従来、国家公安委員会及び警察庁は、犯罪捜査を直接行うことは認められていません。ところが、今回の法改正では、第五条四項に新たに十六号を設け、それを認める内容になっている。
戦前、非道の限りを尽くした警察の在り方を反省し、新たな警察組織として出発するために作られたのが、昭和二十二年からスタートした元々の警察法。
戦前の日本の警察は国家警察と呼ばれました。国家警察とは、国が中央集権的に組織、管理する警察。戦前の警察と戦後の警察、決定的に違うことは何か。戦前は、国家の警察機関に逮捕権を含む捜査権を与えていた。戦後は、それを与えなかった。
国家の警察組織が直接、逮捕権をも含む捜査権を持つとどうなるか。社会秩序の維持の名の下に、権力側に不都合な存在、政府に反対する思想や言論、行動を徹底的に弾圧、拷問など日常茶飯事ということになりかねない。
資料の二。
昭和二十八年、警察法の審議で、戦前の警察を振り返る発言が国会議事録に残っています。日本社会党の鈴木衆議院議員の発言を要約します。
全国津々浦々まで警察の監視が張り巡らされ、泥棒や強盗を捕まえるより、反政府的言動の抑圧、言論と思想の自由の弾圧が警察にとっての最優先事項であり、また、戦争中には国民相互がスパイとなり、風呂屋や床屋、隣組でしゃべったことが理由で検挙される者が多くいたこと、長期の勾留と拷問によって統制を誇っていたことなどが議事録に記されている。
こういった反省から、戦後、警察法を制定し、中央集権、内務省の下部組織としての警察は解体。大臣など政治家が警察を直接指揮ができない、都道府県警察を指揮監督するだけの、捜査権を持たない警察庁を設立。
本法案の改正では、警察庁の下部組織である関東管区に逮捕権を含む捜査権を持たせる内容になっている。
お聞きします。今後、警察庁に逮捕権を含む捜査権を持たせるのは、サイバー事案に限ると断言できますか。
○二之湯国務大臣 山本委員の御心配になっております日本の警察が大きく変わるということは全くないわけでございます。国民の自由と権利をあくまで守る、そして都道府県警察を堅持する。
しかしながら、今回のサイバー脅威によりまして、こういうのはこういう局を立ち上げなきゃならぬということで、あくまでも例外的な、そういうことでございます。
○山本(太)委員 本法案に限るお答えだと、先ほどからの委員たちの質問に繰り返し答えていると思います。今後は分からない、そういうことだと思います。
資料の三。
警察庁に設置されているサイバーセキュリティ政策会議での新組織に関する発言要旨を見ると、事務局から、新組織が対応する事案をサイバー領域だけに限らないことが明言されている。議事要旨の該当部分に色をつけました。そこだけ読みます。
サイバーセキュリティ・情報化審議官の挨拶。このサイバー局等新組織の目指すところは、サイバー空間に限定された安全、安心の確保にとどまるものではない。新しい組織は、生活安全局、刑事局、警備局等既存の局とも連携し、サイバー空間上でのような対策だけでなく実空間における取組とも連動することにより、デジタル化が進み、実空間、サイバー空間の両者が一体不可分となった新しい社会においても、これまで以上の安全、安心を国民の皆様にお届けすることを目指している。サイバー空間だけでは完結しない犯罪についても新組織のスコープに入れていく。
事務局や委員の本音が出てしまっているところじゃないですか。
入口は……(発言する者あり)今、ばかって言いましたか。(発言する者あり)大丈夫ですか。
○上野委員長 質疑を。
○山本(太)委員 理事からそういう発言があるというのは問題ですもんね。
サイバー空間だけでは完結しない犯罪についてもスコープの中に入れていくという話なんですね。入口は誰もが反対しづらいサイバー問題、しかし、サイバー空間だけじゃ駄目だ、実空間と一体化だと間口を広げて、最終的には警察庁の権限を大幅に拡大できると解釈できるやり取りではないかと思います。
現在においても、令状がなくても、自由に個人情報の収集が地方警察レベルでも可能ですよね。
資料の四。
共同通信の調査報道で分かったことが一部記事になっています。CCCなど大手を含む二百九十の企業が警察、検察に顧客の個人情報を提供。その内容は、購買履歴、移動履歴、ポイント情報、個人の趣味、嗜好が分かるものまで、データの種類は三百五十以上。ほかにも、スマホでオンラインゲームをやっている者のGPS位置情報なども、ゲーム会社を通じて警察に渡っていた疑いもある。
これら情報収集は、捜査関係事項照会という簡単な照会手続で可能になります。捜査権限を地方警察に限定し、警察庁が捜査を行うことができない現状の制度でも、令状なし、広範囲にわたる個人データ収集が横行している。
国家機関が捜査権限を持つ国では、深刻なプライバシー侵害の事例、後を絶ちませんよね。
資料の五。
昨年の九月、ワシントン・ポスト。毎年のように、フェイスブック、グーグル、そのほかのIT企業は、FBIなどから要請を受け、個人メッセージ、写真、検索履歴、カレンダー情報など、市民のオンラインデータを提供している。これらはしばしば、非開示要請として、顧客には知らされない、秘密裏に情報の提供が行われているといいます。
何かしら重大になる可能性がある、そういった事案を見つけるためには、全てを犯罪者、全てを容疑者に見立てて、日常的な国民監視が必要になる。これを警察国家と呼びます。これをスムーズに広範に行うためには、国家が捜査権を持つことが必須です。その始まりが本法案の改正ではないでしょうか。
今回の法案について、国家公安委員会でもちゃんと議論されたと理解していいですか。イエスかノーかでお答えください。イエスかノーかです。
○二之湯国務大臣 計十回ほど、国家公安委員の皆さん方が真剣に議論されたと伺っております。
○山本(太)委員 おかしいですね。十分に議論したというような証拠が残っていないんですよ。
資料の六。
この法案に関する議論は、国家公安委員会において五回のみですよ。というふうに警察庁からちゃんと答えが返っていますよ。十回っておかしくないですか。いいです、いいですよ。しかも、実質的な話があったのは初回のみなんですよ、たった三十五分。そのうちの一部の時間を使って、警察庁事務方からの報告を受けて、軽くやり取りした程度。監督できているんですか、これ。指導するんじゃないんですか。十回もやったと先ほど言いましたけれども、たったの五回で、中身はこんなものなんですよ。
しかも、その委員会のメンバー、何でしょうか。読売新聞の論説とか、違憲立法を保身のために忖度した元内閣法制局長官とか、およそ国民の良心を代表する者だとは言い難いメンツじゃないか。
本法案改正を行わずに、サイバーの脅威とどう対峙するかということも提案させていただきたいと思います。
警察庁の新組織に関する当初予算は約三十八億。この予算を、既にある全国十四の都道府県警察サイバー攻撃特別捜査隊に直接割り振れば、同捜査隊に係る今年度の予算、二倍以上になります。約二・四倍になる。サイバー捜査能力の強化は十二分にできるはずです。
警察庁は、捜査機関を持たずに、従来の調整機能のみで、これまでにもテロ、麻薬、強盗殺人、誘拐など、様々な事件で海外の機関と国境を越えた捜査を行ってきた。国際協力強化のために警察庁の組織の捜査権が必要という論理、成り立たないんですね。
コロナ禍の混乱に乗じて、プライバシー侵害上等の警察庁の権限拡大の法改正に、これは反対するしかないんですよ。少なくとも、百八十度、警察組織の在り方が変わる、これまでの反省、戦後の積み上げを一切なしにして、三時間半の議論っておかしいじゃないですか。失礼でも何でもないですよ。国会においての議論が余りにも薄過ぎるでしょう。これ、ちゃんと積み上げていかなきゃいけないのに、三時間半で、戦後の反省、三時間半で処理できますか。無理ですよね。
この法案を通すというのは、ある意味で、先ほど国家公安委員長が言われた、個人の権利、自由への影響に関わることだからしっかりと守っていかなければならないということと反しませんか。こんな法案には賛成できません。反対をいたします。
以上です。
○上野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○上野委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、警察法改正案に反対の討論を行います。
本案は、戦後初めて国の機関である警察庁に捜査権限を付与、警察庁直轄のサイバー特別捜査隊を設置するものです。
個人の権利と自由に影響を与える、捜査等の警察活動、警察組織の改編は大変重いものであり、国会の関与、民主的統制の下で慎重であるべきです。
サイバー特別捜査隊の設置は、昨年六月二十四日の小此木国家公安委員会委員長の記者会見で突如示されたものです。それ以前には、サイバー特別捜査隊が必要だとする警察庁の文書は示されておりません。今日の質疑でも、政府内での検討過程は明らかにされませんでした。
警察庁に捜査権限を付与し、権限を拡大するという大転換を図るにもかかわらず、組織の在り方に関する議論の内容を曖昧にしたままでは、本案に同意することはできません。
本案の重大サイバー事案の定義には具体的な線引きがなく、恣意的に警察庁が権限行使する可能性があります。今日の質疑でも指摘したように、強大な権限を持ったサイバー特別捜査隊が経済安全保障の分野に関わるようになることは明白です。経済安全保障の名の下で、不正輸出を捏造し、三人を逮捕した大川原化工機事件のように、警察による人権侵害が起きています。その反省もないままに、このような部隊をつくることは、国民への監視、プライバシー、思想信条の自由の侵害への懸念が拭えません。
日本の警察は、都道府県警察が捜査を行い、警察庁は指揮監督のみとしています。これは、戦前の警察が、政府の意向により、国民の人権や自由を侵害してきた反省を踏まえたものです。警察力が国家の政治問題と絡んで、一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去することが、警察改革の基本です。
以上、反対討論を終わります。(拍手)
○上野委員長 次に、山本太郎君。
○山本(太)委員 れいわ新選組を代表し、警察庁の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。
国家公安委員会及び警察庁は、従来、犯罪捜査を直接行うことは認められていません。これは、戦後改革で国家警察が否定され、地方警察が警察活動を行うとしたことに由来している。
ところが、今回の改正案では、第五条四項に新たに十六号を設けるなど、犯罪捜査を認める内容になっている。これは、戦後改革で否定された国家警察の復活とも言えるものですが、それについての納得できる説明はなされていません。
本法案において、関東管区警察局に全国的規模での重大サイバー事案に対する捜査権を認めたことは、その象徴です。
これまで、警察庁の地方機関である管区警察局は一切の捜査権は認められていない。今回これを認めてしまえば、警察庁の管轄下にある機関が捜査活動を行うことになり、警察庁そのものが捜査活動を行うことと同じになります。今回の法改正のような規定ぶりを許してしまえば、今後、サイバー警察局だけでなく、警察庁のほかの部局の所掌分野についても捜査活動を認めることへの道筋をつくることになります。
そもそも、重大サイバー事案の定義は不明確、何が重大かの判断はサイバー警察局自身が決めることになる。これでは、サイバー警察局の所轄範囲、捜査対象の範囲は無限に広げられる懸念が拭えません。国家公安委員などでも、それに対する深い議論がなされた形跡もありません。
また、政府は、立法理由の一つとして、サイバー対策における国際連携の重要性を述べています。国際連携の必要性は確かにあるでしょう。しかし、それは、警察庁の組織に全国的な捜査権を与えなくても、警察庁が従来どおりに調整機能をしっかりと果たせば可能となります。テロ、麻薬、強盗殺人、誘拐、詐欺、窃盗、そういった分野でも、従来の警察庁の権限の中でしっかりと国際連携できてきたことを見れば明らかです。国際連携のためにも本法案の改正が必要という立法事実自体が成り立っていません。
ただし、サイバーの脅威に対してしっかりと対策が必要なことは否定しません。警察庁ではなく、各都道府県が実力を発揮できるような十分な予算措置を行うことで、国際連携の必要性は満たせると考えます。中でも、既に十四都道府県に設置されているサイバー攻撃特別捜査隊に対して予算と人員を大幅に増やすことが一番合理的であると考えます。(発言する者あり)
済みません、反対討論している間に大きな声でしゃべるの、やめてもらえますか。しっかりとこういった疑念を払拭できるような委員会が開かれていないこと自体が問題でしょう。三時間半だけで終わるということが問題なわけでしょう。この少ない時間の中でやり取りをするんだったら、ちゃんと話を聞くという姿勢を見せてくださいよ。すっと通そうとしないでくださいよ。
反論しにくいサイバーの脅威に絡めて、戦後警察改革を無視し、十分な議論も行わず、警察庁の権限拡大を狙って、コロナ禍の混乱に乗じて勢いで法改正を行うという蛮行に賛成できるはずもありません。
以上の理由から、本法案に反対いたします。
ありがとうございました。(拍手)
○上野委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○上野委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、警察法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○上野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、工藤彰三君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山岸一生君。
○山岸委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 重大サイバー事案に対処し、国民の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を守るため、万全の対策を講ずるとともに国民への適切な情報提供に取り組むこと。
二 重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等を行うに当たっては、プライバシーの権利、通信の秘密等の基本的人権を不当に侵害しないようにすること。
三 重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等に関する国民からの苦情申出に対しては真摯に対応すること。また、国家公安委員会に対する苦情申出制度について、国民に十分周知すること。
四 重大サイバー事案の対象となる重要インフラ等については、具体的かつ明確に示すこと。
五 国境を越えた重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等を効果的に行うため、諸外国及び国際機関との緊密な協力関係を構築するとともに、国際共同捜査に積極的に参画すること。
六 サイバー事案に適確に対処するため、警察庁及び都道府県警察において、高度専門人材を十分に確保するとともに、民間の技術や知見も活用すること。なお、民間の技術や知見の活用に当たっては、捜査情報等が漏えいすることのないよう情報管理を徹底すること。
七 サイバー警察局及びサイバー特別捜査隊の創設に当たっては、サイバー事案に係る犯罪に関する都道府県警察の捜査能力が低下することのないよう配慮するとともに、都道府県警察の捜査能力をさらに向上させるため、必要な措置を講ずること。
八 サイバー事案に係る犯罪を未然に防止するとともに被害を最小化するため、犯罪の手口及び対処技術について関係省庁、都道府県警察、事業者等との情報共有を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。二之湯国家公安委員会委員長。
○二之湯国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
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○上野委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○上野委員長 次回は、来る四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十四分散会