衆議院

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第6号 令和4年3月4日(金曜日)

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令和四年三月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石原 宏高君    加藤 竜祥君

      金子 俊平君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      大串 博志君    鈴木 庸介君

      堤 かなめ君    本庄 知史君

      山岸 一生君    渡辺  創君

      阿部  司君    浅川 義治君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      平林  晃君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君    山本 太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国家公務員制度担当)  二之湯 智君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            若宮 健嗣君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   内閣府大臣政務官     泉田 裕彦君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 仁志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 山下 隆一君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     加藤 竜祥君

  中谷 一馬君     鈴木 庸介君

  山本 太郎君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     平沼正二郎君

  鈴木 庸介君     渡辺  創君

  大石あきこ君     山本 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

三月三日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官下田隆文君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本尚君。

松本(尚)委員 おはようございます。自由民主党の松本尚でございます。

 今日は、内閣官房の危機管理について少しお尋ねをしたいと思っております。

 私、千葉県の災害医療コーディネーターとして、二〇二〇年の四月から一年余りの間、千葉県庁内に設置されておりました新型コロナウイルス感染症対策本部の医療調整本部というところで指揮を執っておりました。災害医療コーディネーターという立場でございましたが、この際、病床や医師の確保、看護師さんの確保、臨時病院の設置、それから高齢者福祉施設クラスターへの対応、宿泊及び自宅療養者対応などについての様々な施策の立案ということも行っておりました。

 その多くは、県庁内の対策本部には残念ながら聞き入れられることはありませんでした。その一番の理由として、国と地方自治体の権限ということの問題もさることながら、非常時における組織構造というものが問題にあったからというふうに思っております。

 資料の一を御覧ください。これは私がいた頃の、今では少し変わっているかもしれませんけれども、千葉県のコロナ対策本部の組織図であります。

 司令塔になるべき部長クラスが実は二人もいるということが、この組織図からお分かりいただけるかもしれません。これだけでも、責任の所在が一体誰にあるのか、どこにあるのかというのが非常に曖昧になってしまいますけれども、これに加えまして、本来であれば全体指揮を執るべき健康危機対策監というのが、青色で少し変えてありますが、その下に横並びになっている。それを補佐すべき専門部会、政府でいうと分科会に近いものかと思いますけれども、これが全く遠い場所に位置づけられているということがお分かりかと思います。

 施策を進めるに当たって最も重要な財務の責任者というのは、この本部の組織の中には入っていません。当初、病床の確保に金銭的補償の担保が必要だったということはどこの県庁内でも経験したことだろうと思いますけれども、これが財務との調整に非常に時間がかかって、結局、病床確保は大幅に遅れてしまったというのが、コロナウイルスの感染対策の当初の問題だったと思います。

 組織図で御覧いただけますように、広報とかあるいは資機材の調達、いわゆる兵たんというのは、非常に組織図上、下位になっている。すなわち、危機管理においてこの組織立てというのをどういうふうに行うかというものは非常に重要であるということになります。

 内閣府は、平成二十七年三月に、政府の危機管理組織の在り方に係る関係副大臣会合というのが最終報告をまとめておりますが、ここには、内閣官房及び内閣府が総合調整を行い、特に緊急時においては緊急若しくは非常災害対策本部を設置して高度な調整権限の下で必要な連携が行われるという仕組みは、一定程度合理性があり、また機能していると認められるというふうに書いてあります。

 資料二を御覧ください。これは現在の内閣官房の危機管理組織でありますが、これはこの報告を受けて組織構成や運用を何か改編をされた後のものなのかどうかということを政府参考人にお聞きしたいと思います。

下田政府参考人 お答えいたします。

 まず、内閣官房の危機管理体制でございますけれども、委員から資料が配られているところでございますけれども、これのとおりでございますが、まず、内閣法の第十五条におきまして、内閣官房に内閣危機管理監を置くこととされてございます。内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態への対処等、すなわち危機管理を統理することとされてございます。

 また、官邸の地下には、二十四時間体制で官邸危機管理センターが設置されているところでございます。緊急事態の発生時におきましては、事態に応じて官邸危機管理センターに官邸対策室などを設置するとともに、関係省庁等の局長級の幹部で構成される緊急参集チームを同センターに緊急参集させ、政府としての初動措置に関する情報集約を行うということとしてございます。

 また、それを支える、そこに記載の危機管理審議官であるとか内閣審議官、内閣参事官も、事態室として配置されているところでございます。

 これらの仕組みによりまして、緊急事態の事態の把握、そして対処に関する総合調整を迅速に行うというのが今の仕組みでございます。

 これらの体制でございますけれども、委員御指摘の報告を踏まえた変更は行われてはございませんが、緊急事態に際して政府全体の総力を挙げて対応できるよう、引き続き危機管理に万全を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上です。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 この報告の中で、この危機管理組織は総合調整ということを行う場所だということが、しきりに何度も出てきております。

 この総合調整というのは一体どういうことを具体的に指すのか、具体的にお話をいただきたいと思います。

下田政府参考人 総合調整の意味するところという御質問でございます。

 緊急事態におきましては、各省庁がそれぞれの所掌に応じて各種対応することになるところでございます。例えば、救出、救助ということであれば、警察であるとか消防であるとか自衛隊などの各機関が実施をする。また、災害時における医療ということであれば厚労省、また、現場ではDMATなどが活動することになるわけでございますけれども、これらの各省庁の活動が効率的かつ適切に実施されるよう政府全体の見地から調整をするということが、総合調整の意味するところと承知しているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 つまり、この資料二の下方の緑の枠内、ここは事態対処や危機管理の対象となる事象が実は書かれているんですけれども、組織図的には、この部分に各省庁が縦にずらっとぶら下がっているというふうに今のお話だと理解していて、この総合調整というのは、その縦にぶら下がっている省庁を横串に刺して調整、いわゆるアレンジメントするんだというようなことだと思います。

 先ほどの最終報告の論点には、省庁横断的、つまり縦割りではない対応をするための方策や統一的な危機管理組織の設置などの検討も含まれています。いわゆる縦割りをやめて、一つ大きな危機管理組織をつくって対応したらどうかということを検討するということもこの報告の中には入っているんですけれども、最終的な結論として、「関係府省庁間のいわゆる「縦割り」をなくす、あるいはオールハザード対応をする等のため、政府の災害関係部局を統合する案は適当ではなく、まずは、現在の組織体制の下、災害の発生に備え、関係府省庁間の連携の確保を含め、各種対策を講ずることが適当である」というふうに結論づけられています。いわゆる統合的な危機管理の場所は必要はない、今の横串の並びで大丈夫だということを明確に書いてあるわけです。

 じゃ、この新型コロナウイルス感染対策では一体何が起こったか。例えば、現場では病床を確保するための金銭的補償の担保が必要だったというのは私も経験しておりますが、再三にわたり、千葉県庁から、これを厚労省にその確認をしました。いつ金が出てくるんだ、そうすると、必ず返ってきた言葉は、財務省の確認が取れているからまだ分からないということで、返答はその繰り返しでした。

 先ほど起こっていた千葉県庁の中の出来事というのは、実は、コピーのように国の中でも行われていた。この総合調整、関係府省庁間の連携などが合理的に機能的に行われていた、報告書では、いると書いてあるんですけれども、いたというのは、現場にいた私の感覚からは全くそうは思えないということになります。

 その中、例えば、ちょっと質問通告にないんですけれども、この縦割りの中には財務省は入っているんですか。そこだけちょっとお答えください。

下田政府参考人 お答えいたします。

 主に、先ほど申し上げましたように、緊急事態が発生したときには、関係省庁の局長級を集めた緊急参集チームを招集したり、また、必要があれば関係省庁の局長級会議を行うということにしているところでございます。

 一義的には、初動対応に必要というところでございますので、そのメンバーにつきましては、警察等の実動省庁であるとか、あと、それから、インフラ等を所管する省庁などなどが想定されているところでございまして、直ちに財務省が入っているということではないと思います。

 しかし、その一方で、緊急事態への対処について、政府としての総合的対処をするためには、関係の閣僚会議であるとか、あと、それから、政府の対策本部の立ち上げといったものがございますので、そのような枠組みの中で政府としての総合対処も行われ得るというふうに考えているところでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 最初からやはり財務省をちゃんと入れないと、危機に対応するときには必ず人、物、金が必要になります。何をやるにしても、やはり財政的な基盤というのがしっかりないと動けないというふうに思いますから、こういった危機対処のときに必ず財政の責任者をちゃんとこういうところに入れるという発想がまず必要かなというふうに、今のお答えからは感じるところでございます。

 さて、この資料二を見ていただきながら質問に移りたいと思いますが、コロナが始まって以降、内閣危機管理監というのがこのコロナ対策に対応した状況というのをお聞かせいただきたいと思います。

下田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの感染症の対応に関しまして、内閣危機管理監の対応でございますけれども、まず、令和二年の一月十五日、国内で初めて新型コロナウイルス陽性患者が確認されたことを受けまして、情報連絡室を設置して広く情報収集等を行いました。また、同年一月二十六日でございますけれども、中国武漢市に在留する邦人の方々の帰国に向けた対応を、これを契機といたしまして、先ほど申し上げました情報連絡室を改組する形で官邸対策室を設置いたしまして、この方々の帰国に向けた対応を始めとして、新型コロナウイルス感染症対応について、情報の集約であるとか、また、政府としての初動措置の総合調整などなどを実施したところでございます。

松本(尚)委員 そうすると、危機管理監が、どこかで、今やっているみたいに、厚労省に、どこからか、このコロナ対策の対応というものがどこかで移管されているというふうに理解してよろしいんですか。

下田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明いたしました官邸対策室につきましては、現在も設置中でございます。そして、内閣危機管理監は引き続き、新型コロナウイルス感染症対策本部であるとか新型コロナウイルス感染症対策の有識者の会議に参画をし、情報の共有などなどを行っているところでございます。

松本(尚)委員 今の御答弁を総合すると、緊急事態に対して初動対処をする組織が内閣官房における事態対処・危機管理組織となっていて、その際は内閣危機管理監を責任者とすることになっていると思うんですけれども、いつの頃からか、厚労省にその対応が移管されているというふうに理解してよろしいですか。簡単にお答えください。

下田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、コロナウイルス対応につきまして、情報連絡室の設置であるとか、あと、それから、官邸対策室の設置について御説明申し上げましたけれども、これらと並行して、関係閣僚会議であるとかが開催されたり、また、新型ウイルス感染症対策本部を設置されているということが、ほぼ同時並行的に進められているというふうに理解しています。

松本(尚)委員 同時並行的にやるとなると、このコロナウイルスの対応に対して動いているのが二系統あるというふうにどうしても思ってしまうんですけれども。

 山際大臣に伺いたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症対応では、一体誰が司令塔で、この組織はどんな構造になっているかということをお答えいただきたいと思います。

山際国務大臣 現段階においては、先生が、これは資料三でお示しいただくんだと思うんですけれども、ここでお示しいただいているように、現段階では、新型コロナウイルス感染症対策本部、これが司令塔として動いていると御理解いただければと思います。

 今、政府参考人からるる御説明をさせていただいたように、最初、事が起きたときは、それは危機管理で進まないとどうにも対処のしようがないので、まずは初動は危機管理体制の中でやる。相手、対処すべき対象というものがどういうものであるかということが分かってきた段階で、政府としてきちんとそれに対処するための組織を対策本部として立ち上げる。そして、対策本部が司令塔となって、当然ですが、この民主主義の社会ですから、その司令塔の主は内閣総理大臣ということになる。

 しかし一方、その実務を取り仕切っていかなくてはいけないのは、各省庁が現場を持っていますから、その各省庁の大臣がそれを統理、統括しなくてはいけないということで、今であれば、私と、そして後藤大臣と堀内大臣と、この三人でそれぞれの現場を見ているという形になっております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今、資料三、先に大臣に提示していただきました。ありがとうございます。

 資料三が今の政府組織ということだそうですけれども、今、大臣のお答えだと、山際大臣がいらっしゃって、後藤大臣がいらっしゃって、ワクチンというある程度限定された格好で堀内大臣がいらっしゃると。

 コロナ対策でよく一番コメントされているのは厚労大臣だというふうに理解できるんですけれども、一体、堀内大臣はかなり限定的ですからいいにしても、山際大臣が最終的な責任者になっているのか、それとも厚労大臣なのか、これはどっちだというふうに、恐らく国民は一体誰が責任者なのか明確じゃないということを疑問に思っていらっしゃると思うんですけれども、誰が責任者なんでしょう。

山際国務大臣 これは、今申し上げましたように、責任者は内閣総理大臣です、本部長ですから。そして、その本部長の指示、指令の下に、私たち現場を仰せつかっている各大臣が、その自分のやらなくてはならない所掌の中でしっかりと仕事をするという形になっておりますから、そういう意味で申し上げると、責任者は内閣総理大臣である岸田さんということになります。

松本(尚)委員 そういうお答えになるんだろうと思うんですけれども、こういった危機管理のときに総理大臣が最終的な責任者になってしまう、それは判断されるのは総理になると思うんですけれども、いろいろな政策を立てていく上で、必ずどこかでうまくいかないことは当然出てくるんですよ。そういう出てきたときに、これは俺が腹を切る覚悟でやるから、国民の皆さん、ついてきてくださいというのが、ある意味、危機管理のときの責任者のありようだと。

 毎度毎度、総理大臣が腹を切りますと言っていたら、これはもちませんから、政権が。そうすると、その参謀として、腹を切る、まあ、いつも失敗するわけではもちろんないとは思いますけれども、そういった人がしっかりと、組織のたてつけとしてそういう責任者がいるということが危機管理の上では非常に私は大事なのではないかなというふうに思っています。

 ありがとうございます。

 すなわち、初動から、ある段階で事態が見えてきたときとか、あるいは専門性が非常に高くなったようなときの段階でそれぞれの省庁に危機管理を移管していくというのが、実は今この国の大きな危機管理体制の大枠だろうというふうに思っています。

 政府の視点からでは、それは非常に合理性があるというふうに思いますけれども、実は、一般の国民の目線からすると、私が今言ったように、責任者が誰で、どこで政策をつくっていて、あるいは誰が情報を出しているのかということが、事態の最初から、それを国民の皆さんはずっと注視しているわけですね。

 そういったようなところで、政府が、いつの間にか危機管理の中枢が内閣府から厚労省に移っているとか、あるいはそういうふうな格好になるということであれば、それが政府がよいシステムだというふうに自信を持って言えるのであれば、やはり国民には、今どこが中心になって政策立案していて、誰が責任者で、腹を切る覚悟でやっているかということを目に見える必要があるというふうに思います。

 そもそも、今回のコロナの状況が比較的こうやって混乱しているのは、やはりそこのところが明確でないというのが、国民に対して一番、情報の発信の仕方が悪かったというふうに、過去形ではないかもしれませんが、思っているわけです。

 資料の四ですけれども、インシデントコマンドシステムという、指揮命令系統を示したものがあります。この組織構造というのは、どういう有事や災害に対しても共通して用いることができます。情報収集、政策立案、実行、兵たん、財政支援がリーダーによって統括されて、広報も一元化されている。こういう組織づくりをすれば、縦割りを排して、緊急事態の初動からその先までを統括的、包括的にハンドリングできるんじゃないかなというふうに思いますし、欧米ではこういったものもよく採用されているというわけです。

 岸田総理は、今国会の施政方針演説で、次の感染症に備えて、六月を目途に、危機に迅速に、的確に対応するため、司令塔機能の強化を取りまとめるというふうにしていますけれども、山際大臣にお尋ねしたいんです。岸田総理は次の感染症に備えてとおっしゃっていますが、これは感染症のみをターゲットとして司令塔を強化するという認識でよろしいでしょうか。

山際国務大臣 我々は、総理からの御指示は、コロナ対策のみならず、感染症、新たな感染症も含めて、健康危機管理をどうしていくか、その司令塔機能をどうするかということを、今までのコロナ対策ということを一つ一つ分析、検証した上で、中期、長期、あるいはその次の新興感染症に対して用意をするように、このように指示を受けてございます。ですから、そういう枠の中でいきますと、健康危機管理に閉じて議論をしているところでございます。

松本(尚)委員 まだ、その司令塔機能というものの絵図面というか、そういったものが我々には伝わっていないわけですけれども、具体像というのはどういうものかというのは、大臣、御存じですか。

山際国務大臣 まだ具体像ができ上がっておりませんので、当然、総理大臣も含めて、これはまだ絵図として誰も今のところ何かを持っているわけではありません。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 具体像がまだ決まっていないということは、ある意味、非常にチャンスが多いというふうにも捉えられます。是非、このインシデントコマンドシステムといったようなものをやはり我が国の危機管理の中に入れ込むということがまず必要だというふうに思っておりますし、今、大臣が先ほどお答えいただいたように、感染症、あるいは次の何か大きな別の感染症とかといったものだけにかかわらず、ここは、この機を狙って、この国の危機管理の体制そのものを一括して、初動のときは一つあって、それから落ち着いてきたら各省庁にという、そのシステムが駄目だというふうには言いませんけれども、各々の仕組みそのものを、この資料四にあるようなものに、機能的に変えていく、そういう発想を是非持っていただきたいなというふうに思います。

 私は、毎日危機管理の連続ともいえる救命救急医療に従事した、そういった経験から、危機管理の要諦というのは、組織はとにかくシンプルにすること、それから情報を一元化すること、それからリーダーシップをちゃんと持つということ、リーダーが顔を見せるということの三つが重要であるというふうに思っていますし、このことは、たまたまですけれども、元統合幕僚長でした河野克俊さんもおっしゃっています。

 現在の内閣官房とか省庁の危機管理の組織立ての視点というのを眺めてみますと、このシンプルな組織と情報の一元化の部分というのにかなり脆弱性があったということは、今回のコロナでもそれがはっきりしたというふうに思っています。

 総理の言われる司令塔機能の強化というものを契機に、いま一度、政府の危機管理組織の在り方、危機管理の思想というものを変えるということが必要だというふうに私は思っています。その骨格として、この資料四のインシデントコマンドシステムというものがあるんだということを主張して、また、是非それを採用していただきたいなということを私からのお願いとして、是非大臣からも、内閣の中で是非検討していただければなというふうに思っております。

 ということで、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一です。

 昨年の衆院選で比例東京ブロックで初当選をさせていただきまして、本日、この内閣委員会で質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。また、何よりこの場に送り出してくださいました方々に心より感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、先日、社会福祉法人の日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長から、このコロナ禍のお困り事について、全国からのお声、御要望をいただきました。

 幾つか具体的に御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、一つはパルスオキシメーター。このコロナ禍で非常に大事な役割を担っておりますが、これは実は、アラームつきのものはあるんですが、サチュレーションを読み上げる音声つきのものがないということで、実は、視覚障害者の方々は、一人で症状の悪化の傾向や重症化の兆しを確認するすべがないということであります。

 また、新型コロナに感染し入院先やホテルなどの療養先に入る際、盲導犬の預け先が必要でも、受入れ拒否という場合もあるわけでありまして、実際はなかなか、仕組みはあるんですが、預け先が見つからない。

 そして、これは最たるものでありますが、ワクチンの接種券、これは視覚障害者にも墨字のみの封筒で発送している自治体がまだあります。これは、届いてきても視覚障害者の方は気づきません。また、ワクチン接種会場に介助者と入れないケースもまだあるということであります。

 やはり、改めて気づかされますのは、どうしても、あらゆるオペレーションの前提が健常者になっているという点であります。これは第一義的には自治体が対応すべき課題であると承知をしておりますけれども、やはり自治体ごとで差が出てしまうわけでありまして、例えば、視覚障害者を含む避難行動要支援者名簿という、これは九九%以上の自治体が実は作成済みで、総務省も発表しております。この名簿を活用すれば、ほとんどの自治体が視覚障害者には墨字ではなくて点字の封筒でワクチン接種券を発送できるはずなんですけれども、まだ追いついていない自治体がある、こういった実態であります。

 そこで、改めて、内閣府の方でもこうした課題を御認識をいただいた上で、視覚障害者に限らず全ての障害者がこのコロナ禍におけるオペレーションから取り残されることのないよう、いわゆる合理的配慮の徹底を改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 具体的には、政策調整の一環として、共生社会の実現を目指す内閣府におきまして、是非、関係省庁との連携を取っていただきながら、改善の後押しを行っていただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺います。

若宮国務大臣 議員の今御指摘なさったとおり、合理的配慮の推進、これは共生社会の実現に向けました重要な取組であるというふうに認識をいたしております。コロナ禍におきましても、様々な障害特性に応じた合理的な配慮が提供されることは非常に大切だというふうに思っております。

 お尋ねのように、新型コロナワクチン接種の実施に当たりましても、厚生労働省から自治体に対して、視覚障害者が接種券等の郵便物の選別ができるように点字ですとかあるいは拡大文字での表記を検討することなど、障害特性に応じた合理的配慮の提供について協力を依頼するとともに、自治体の合理的配慮の好事例の周知を行っているところでもございます。

 また、私ども内閣府におきましても、障害者の差別解消法の趣旨また合理的配慮等につきまして、行政機関等や事業者を始め、広く国民の皆様方にも正しく御理解をいただくために、従前より、合理的配慮の事例の共有など、周知やあるいは啓発に努めているところでもございます。

 今後も、厚生労働省を始めといたします関係省庁とも連携をいたしまして、社会全体の取組が進むように一層の周知啓発に努めてまいりたい、このように思っております。

河西委員 ありがとうございます。是非、引き続きの取組をお願いしたいと思います。

 その上で、今ほどの課題を踏まえまして、これは切実なお声なんですが、視覚障害者の方が罹患をした際、視覚障害者の単独世帯また視覚障害者のみの世帯では、症状が急に悪化した場合には、やはりこれは、先ほどのパルスオキシメーターの問題もあります、命が危険にさらされる場合も十分に考えられるわけであります。

 その上で、住環境をめぐる個々人のニーズ、様々おありですのでそれを十分踏まえなければならないんですが、御要望としては、本人から要請があれば優先して療養施設また病院等へ入院できる選択肢も必要なのではないか、こう思うわけであります。これは、感染症法の仕組み上、様々な課題があるとは承知をしておりますけれども、その上で政府の御見解を簡潔にいただきたいと思います。

宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 大変重要な御指摘、ありがとうございます。

 障害のある方が感染された場合に、医療提供に当たりましては、御指摘のように、障害の特性に応じた配慮の提供が大変重要だと認識をしております。

 入院につきましても、最終的には都道府県の判断ということではございますけれども、感染症法上の基準として、例えば一律に重症又は中等症の方とするだけではなくて、基礎疾患がある方ですとか、あるいは都道府県が感染の蔓延防止のために入院させる必要があると認める方についても入院勧告、措置の対象となり得るという基準も示しているところでございます。

 こうした中で、視覚障害のある方がその必要性に応じて入院勧告、措置の対象となるということも十分あると考えておりますので、そういった配慮につきましては、必要な配慮ができるようにお伝えをしてまいりたいと思っておりますし、宿泊療養施設につきましても、障害のある方が利用される場合には、きちんと利用できるように合理的な配慮を行った上で運営に当たるべきことを都道府県に対しては周知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、医療あるいは宿泊療養といった場面に応じて必要な配慮がなされるように、あるいは障害のある方の入院調整等が円滑に進みますように、都道府県の衛生部局と障害保健福祉部局が連携をして、それぞれの特性に応じた必要な配慮を提供していくということが大事だと思いますので、受入れ医療機関の検討などをあらかじめするようになど、都道府県に対して周知をしているところでございますが、御指摘のような点、遺漏ないように、引き続き関係機関において適切な配慮がなされるように働きかけをしてまいりたいと考えております。

河西委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。是非、引き続きの取組をよろしくお願いいたします。

 それでは、若宮大臣と厚労省、以上でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。大変にありがとうございました。

上野委員長 では、若宮大臣と宮崎審議官は御退席をお願いいたします。

河西委員 続きまして、堀内大臣に追加接種の加速化についてお伺いをさせていただきます。

 御案内のとおり、二月七日、岸田総理が、二月のできるだけ早期に一日百万回までのペースアップをするというふうに表明をされました。

 私、この一日百万回とともに、二月のできるだけ早期にという部分が非常に大変重要であったんだろうというふうに思っております。すなわち、所定の接種間隔を置いて三回目を打った場合は、二月末に到達すべき追加接種の回数は三千七百五十二万回、一月末が最新データで五百七十七万回でしたので、必要なペースは実は平均一日百十万回を超えてくるわけでありまして、したがって、二月の早い段階で一日百万回を達成して、その後、更にその上を目指す必要があったんだろう、こう思っているわけであります。

 現時点の公表データを見ますと、最も多かったのは二月十八日の九十九万一千回。昨日も総理は記者会見で言及をされましたが、一日百万回には、今データが積み重なっていっている途中でありますので、届いているんだろうと思われます。

 その上で、先ほど触れた二月末までの計三千七百五十二万回の追加接種、あるいは一月下旬の段階で九七%の自治体が高齢者の追加接種を終えるとしていた見通しについては、私も、これを目指して地方議員さんと連携して全力で取り組んできたんですが、残念ながら届いていない状況なんだろうと認識をしております。

 更なる加速化に向けて、この議論も加速化をしていくべきだと考えますけれども、まず、この点、大臣の御認識を伺います。

堀内国務大臣 委員御指摘のとおり、政府としては、二月のできるだけ早期に一日百万回までペースアップすることを目指して取組を強化してまいったところでございます。これまで、ワクチンの供給、そして接種体制の強化、接種券の前倒し送付に努めてきたところであります。

 自治体、自衛隊、医療関係者を始めとする皆様の御協力により、二月中旬に百万回の接種を実現し、接種ペースが上がってきたというふうに承知しているところでもございます。

 今月以降は一般の方への接種が本格化していくために、供給されたワクチンがフル活用されて接種が進み、一日も早く、希望する方にできるだけ多く接種を受けていただけるように全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

河西委員 ありがとうございます。

 そこで、本日は、更なる加速化に向けまして、目下、今取り組んでおります高齢者に対する追加接種に焦点を当てたいと思います。

 お手元に資料1というグラフをお配りをしております。これは、高齢者に対するワクチン追加接種回数の推移を示したものであります。ブルーがファイザー、オレンジがモデルナ、グレーが、これは一週間の移動平均ですけれども、ファイザーに対するモデルナの割合であります。いずれも高齢者に限定した数値でありまして、モデルナについても、回数、ファイザーに対する割合、共に増えてきている。

 これは、二月から追加接種を本格化させた自治体とまた政府が日々連携を取っていただいて不安払拭に取り組んでいただいている成果であると一定の評価をしたいと思いますが、まず、このグラフ、この状況について見解をいただきたいと思います。

堀内国務大臣 議員御指摘のとおり、一日当たりの接種実績を見ても、最近はモデルナが半分程度を占めているなど、モデルナの接種回数も増えてきているところでございます。

 先日から、私も、自治体の首長との意見交換を行っておりますが、その際にも、モデルナを忌避してしまう、いわゆるモデルナに対して、三回目打つことをためらってしまうといったことに対し、接種を後押しする情報発信の要請もある一方で、また、モデルナ会場も以前よりは埋まってきている、以前よりもモデルナを接種することに御理解を示していただいて、接種していただく方も増えてきているといったお話も聞いているところでございます。自治体の取組に大変感謝しているところであります。

 政府からも、ワクチンの種類にかかわらず、できるだけ早期にワクチンを接種していただけるように、丁寧な情報発信に取り組んでいるところです。

 議員から一定の評価をいただいたことに大変感謝しております。

 また、引き続き、自治体と連携して、積極的に接種推進に取り組んでまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 その上で、最後、今日一番お伺いをしたい点ではあるんですけれども、このグラフをよく見ますと、気になる傾向が一つ見て取れます。このグレーの折れ線グラフ、御注目をいただきたいんですが、ファイザーに対するモデルナの割合。御案内のとおり、モデルナの方がファイザーより供給が多いわけであります。にもかかわらず、二月六日あたりから、いわゆるモデルナ接種の勢い、グラフでいえばこの傾きが、ぐっと鈍化をしているのがお分かりになるかと思います。

 この原因、様々考えられるんですけれども、実際に高齢者の方、私の母親も含めて聞きますと、例えば、接種が進んでいくと、友人からやはりモデルナを打ったら熱が出たという話を聞いて、予約を遅らせてでもファイザーにしたと。私の母親の場合は、最初、ファイザーを取っていて、それでは遅いということでモデルナにさせたんですが、最終的に、蓋を開けてみたら、かかりつけ医でファイザーを打っていた、こういったこともございました。また、モデルナを勧められたけれども、前回と病院を替えたくない、こういった高齢者の方は多いです。で、やはりファイザーにしたとか。

 やはり、今申し上げたとおり、実際に接種が進むと、副反応の話題も出る、井戸端会議になる、それでモデルナから足が遠のく、あるいは、変化をためらう。要するに、いつもと同じところがいいという高齢者の方々の心理、こういったいろいろな複雑な原因が絡み合っているように思えるわけであります。

 すなわち、ワクチン一回目、二回目はロジスティクスが主な課題だったわけでありますけれども、この三回目は、昨年にも増して国民の心理が大きく立ちはだかっている、完全に心理戦に入っているなというふうに思っておりまして、発想も柔軟に転換すべきなんだろうというふうに思っているわけであります。

 これまでの政府広報を振り返りますと、二月一日からテレビCMが放送されまして、また、ユーチューブには、堀内大臣と河野前大臣、尾身会長、脇田座長との対談動画もアップをしていただきました。また、高齢者の目に留まる新聞の全面広告、地方紙や自治体の広報など、いろいろな紙媒体の活用もしていただいているわけであります。

 しかし、例えば、これは何も批判をするわけではないんですが、お配りした資料2の政府による全面広告。非常によくできているんです。科学的エビデンスに基づいている。これはこれで非常に大事なんですが、ややちょっと真っ正面過ぎるかなと。モデルナはちょっとと思っている方に、真正面から、お早めにと申し上げても、なかなか心をつかむのは難しいんだろうと思っております。

 他方で、これまでも国会で紹介をされてきました東京の狛江市。市長と地元医師会との対談をチラシで配って納得を広げて、さらに、その上で、事実上、モデルナを指定する体制を取って、市内のモデルナの接種者はファイザーの四倍を超えております。モデルナが一万九千、ファイザーが四千三百、完全に逆転をしているわけであります。

 やはり、こちらが何を伝えたいかよりも前に、高齢者の方々が何を求めているのか、そのニーズに応えて、心をつかんで背中を後押しするような国民とのコミュニケーションが非常に大事なんだろうと。

 今日お配りしたグラフの分析とか今のような提案を是非参考にしていただいて、今後の広報宣伝、工夫をいただきたいと思うんですが、是非、最後に御見解をいただきたいと思います。

堀内国務大臣 河西委員には、お母様の事例も引いていただいて、大変率直な御意見をいただいて、ありがとうございます。

 ワクチンの種類にかかわらず、できるだけ早期にワクチンを接種していただくことが重要だと思っておりますので、政府一丸となって、三回目接種の必要性や交互接種の安全性について、様々な媒体を活用して、国民お一人お一人への丁寧な発信に取り組んでいるところでございます。

 御指摘の紙媒体での広報については、例えば、昨年十二月、厚生労働省について、モデルナの有効性や安全性を示したり、リーフレットを作成しました。また、本年一月、どちらのワクチンも高い効果があり、副反応は同じワクチンを使った二回目接種時とおおむね同程度である旨のリーフレットも作成いたしました。そして、先ほど御指摘の、いわゆる新聞広告も作成させていただきました。私からも、これらの広報資材を各自治体の皆様や医療関係団体に直接紹介し、周知していただくように呼びかけているところでございます。

 今先生御指摘いただきましたとおり、高齢者と若年層はアクセスしやすい媒体も異なるなど、いろいろございます。紙媒体の情報は重要でありまして、新聞広告やポスターなども活用し、効果的に広報に努めてまいりたいというふうに思っております。

河西委員 時間が参りました。以上で終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日は一般質疑ということで、堀内大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 私、所信のときに、内閣官房とか内閣府とかの大臣の在り方について少し質問をさせていただきました。

 今日は、ワクチン接種推進担当相ということで堀内大臣にお越しいただいておりますが、まず、基礎中の基礎のところからお伺いをいたしたいんですが、ワクチン接種推進担当相というのは、何の法律に基づいて、何の権限を持っている大臣ですか、大臣。

堀内国務大臣 私自身は、内閣の重要政策の企画立案、総合調整を担う内閣官房において、ワクチン接種を円滑に推進するための事務、そういったものを担当しているところでございます。

緒方委員 そうですね。内閣法における内閣官房の総合調整の事務を担っておられるということなんですが、これだけしか権限がないんですね。具体的な設置法の権限を一切持たないという中で、大臣、今、ワクチン接種推進担当相をやっておられて、大変だろうなというふうに思うんです。

 ひとつ御感想をお伺いしたいんですが、具体的な設置法上の権限を一切持っていない中、総合調整の役割をやるということについての困難、問題点、いかがお考えですか。

堀内国務大臣 先ほど、設置法がない上でやっているというふうな御指摘を受けました。

 けれども、私としては、総合調整をしっかりと、関係大臣と役割分担した上で、緊密に連携しながら、政府一丸となってワクチン接種に取り組んできているところというふうに考えております。

緒方委員 いろいろな、多分、そちらにおられる井上大臣も内閣府特命担当相をやっておられましたし、総合調整をやる大臣というものの困難というのが常にあると私は思っておりまして。

 ちょっと今の流れでお伺いをさせていただきたいのが、堀内大臣が国務大臣としてワクチン接種推進担当相をやっておられることによって、その事実によって、ワクチン接種推進にどのような付加価値があったか。言い直すと、あなたが専任の国務大臣であることをもって、こういうことが進みました、次官級の官僚に任せるのではなく、局長級の官僚に任せるのではなく、あなたが国務大臣であることによってよかったこと、これは何だと思いますか。

 ちなみに、これは、今どんなワクチン接種推進の政策をやっているかということではなく、そうじゃないです、その説明を求めているのではなく、堀内さんが大臣であることでつけられた付加価値というのは何ですか。

堀内国務大臣 私といたしましては、ワクチン接種推進担当大臣として、ワクチンの供給、そしてワクチン接種に対する様々なことの発信、そして総合調整を行わせていただいております。

 私自身といたしましては、私の立場で精いっぱい努力して様々な発信を続けさせていただいております。そういったことによって、お一人でも多くの方がワクチン接種について前向きになっていただければと思っておりますし、また、今回、この三回目の接種に当たっては、交互接種など様々な、新しいこのワクチン接種に対する局面もございます。また、小児接種も始まったところであります。

 そういったところについて、例えば、ファイザー、ファイザーを打たれた方もモデルナを是非打っていただきたい。そしてまた、小児接種、悩んでいらっしゃる親御さんのお話を聞いて、車座などで聞いて、しっかりとした、その親御さんの御不安をいろいろな省庁にお届けして、そして不安を取り除くための発信をしていきたい。そういうことを様々取り組ませていただいておりますし、それは、私は、今、モデルナとファイザー、打った割合が、大体、二月の初めよりも、ほぼ、曜日によってはモデルナの方が逆に多くなっている、三回目打っていただいた方が。というようなことで、成果はあったものと自負しております。

緒方委員 ただ、今聞きながら、今の事務は、大臣の中で、次官級の官僚とか、あとは局長級の政策統括官とか、そういう方々がその案件を差配することによっては達成できないというふうにお考えですか。

堀内国務大臣 やはり政治家でなければできないような部分があるというふうに私は思っておりますし、大臣であるからこそさせていただいた成果というものもあるというふうに自分では思っております。

 例えば、自治体の長の皆様方、全国自治会の会長さん、また、そのワクチンの担当の方々、市長会の会長さん、町村会の会長さん、又は各個人の自治体の方々からお話を伺っていて、ワクチンをもっと早く配送してほしいとかもう少し早く届けてほしい、そういったお話を伺ったときに、直接、是非、そういうお声が全国からありますから何とか早くしてくださいということで、そういう声を届けさせていただいて、少しワクチンの配送の時期を、オペレーションをちょっと縮めていただいて早く届けていただいたり、そういったことをさせていただきました。これは、ワクチン接種担当大臣だからこそできたものではないかというふうに思っております。

緒方委員 それで、お伺いしたいと思いますが……(発言する者あり)うるさいな。

 何でこの質問をしているかというと、三月三十一日でワクチン接種推進担当相のそのポストが、恐らくですけれども、なくなる可能性が高い、そして、それを誰か別の人に振るわけですよね、厚生労働大臣なのか山際さんなのか分かりませんけれども。

 今聞いた感じで、それぐらいの付加価値なのであれば、ワクチン接種担当相を専任で置く必要は、実はないのではないかと思うんですけれども、いかがお考えですか。

堀内国務大臣 ワクチン接種推進担当大臣の体制についてでございますが、それについては、やはり内閣のリーダーである、まさに、先ほどは山際大臣、本部長と表現なさっていらっしゃいました、総理がお決めになることだというふうに私自身は思っております。

緒方委員 先ほども松本議員の方からもお話がありましたが、何でもかんでも総理のイニシアチブだとか、そういうことにはならないと思うんですね。私、松本さんはすごくいいことを言っていたと思います。シンプルで、情報の一元化をするということが必要だと。その観点から、今の体制はよくないのではないかと思います。

 もっと、担当する大臣の一元化を図るべきではないかと私思うんですけれども、大臣、いかがですか。

堀内国務大臣 様々な局面が政治にはあると思います。日本が置かれているこの新型コロナのオミクロン株の急激な拡大というのも大変厳しい局面だと思います。その局面、局面においてどのような体制を築いていくかは、まさに総理大臣のリーダーシップの下に行われていく、そうあるべきだと私は思っております。

緒方委員 与党席からの激励、本当にありがとうございました。

 終わります。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞ、山際大臣、よろしくお願いいたします。

 今日、十五分しか時間がありませんので、簡潔に質問させていただきたいと思います。

 まず一問目になりますが、二月二十日に蔓延防止等重点措置を解除した県が五つあります。そのうち三つ、沖縄、島根、大分では感染者数が増加傾向にあります。推定される原因、そして今後の措置の解除に当たって留意すべき点など、お考えがありましたら伺いたいと思います。

山際国務大臣 その三県全部をつまびらかに承知しているわけではないんですが、傾向としては、やはり、子供そして若者において新規感染者数が増え始めているというふうに報告を受けております。ですので、我々としては注意深く見ていかなくてはいけないと思っておりますが、子供やあるいは若い方なので、今、にわかに病床に対して負荷がかかるという状況にはないというふうに報告を受けております。

 一方で、解除に関しては、病床数がどうであるかとか、あるいは感染の傾向が、きちんと低下傾向が確実なものであるかとか、あるいは医療に対する負荷がこれ以上重たくならないかどうかというようなことを総合的に判断しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今、大臣まさにおっしゃったように、子供や若者といった、ある特定の年齢層であるとかというところに着目していくといろいろ情報があるように思います。

 この後の質疑でも少し取り上げていきたいと思うんですが、その前に、本日お配りをさせていただいた資料の一を御覧いただきたいと思います。

 こちらは、先日行われたアドバイザリーボードの資料の抜粋なんですけれども、新規陽性者の、世代別にグラフを整理しているんですが、色が分かれている部分は、感染した場所を色で分けております。赤丸をつけた十歳未満と十代のグラフを見ていただきたいんですけれども、直近、これは紫色のグラフが二か所、ちょっとへこんでいる傾向が見て取れると思います。

 その前に、これは各世代ごとに見ていくと、若い人たちは学校での感染が増えている。今大臣がおっしゃったとおりです。そして、二十代から五十代は職場での感染が多く、六十代以上になってくると病院とか高齢者福祉施設での感染が多くなっているのが分かります。

 二月十日に基本的対処方針を改定して、それぞれの場所ごとに対策指針を定めたと思うんですが、この効果が発揮されているのかどうか、ちょっと御見解を伺いたいと思います。

山際国務大臣 マクロの目で見れば、当然、全国的に新規の感染者数は低下傾向にありますから、ですから、マクロの目で見れば、今回の基本的対処方針に盛り込んだ対策というものはある一定の効果は表れてきているというふうに私たちは判断しておりますが、しかし、ミクロの、それぞれの現場にいきますと不十分な部分があるということは我々も承知しております。

浅野委員 まさに、全体的には確かにピークアウトして減少局面にあるのかもしれませんが、大臣おっしゃるように、場所場所で見ていくと、世代世代で見ていくと決してそうとも言えないということが言えます。

 次の質問なんですが、ちょっと先ほど言いかけましたが、この資料一を見ていただいたときに、赤丸の部分、特に十代、十歳未満のグラフでは、学校において直近二回の減少局面というのがございました。これは、私もいろいろ省庁からヒアリングをしたんですが、つまるところ何が原因なのかというのがよく分かりませんでした。

 この減少した、推定される要因、この原因、要因をしっかり把握することは非常に今後の対策をする上でも重要だと思いますので、現時点での政府の見解を伺いたいと思います。

山際国務大臣 正直申し上げまして、このカーブで、一旦減少してまた新規感染者数が増えている、このことについての明確な分析結果というのはまだ出ておりません。

浅野委員 是非そこは分析をして、また今後の委員会の中でも確認をさせていただきたいと思います。

 私が調べた範囲になりますが、少し、これが原因だと言い切れる状況にはないんですが、御参考までに申し上げると、一回目に下がった二月の第三週あたりなんですけれども、このときは、学校などでオンライン授業が一斉に行われた週になります。これがどのくらいの効果があったのかというところまでは追い切れておりませんので、是非、文部科学省と連携して調査をしていただきたいというのが一つと、二回目の、直近もう減少傾向になっているわけですが、この減少傾向に入る直前の二月十八日に、文部科学省が教育機関に対して、オミクロン株を踏まえた対策の留意点というのをまとめた文書を通知しているんですね。これも、どのくらい広く知れ渡り、現場で対策が行われたのか、ちょっと私はそこまでは追い切れておりませんが、やはり文部科学省と厚生労働省、内閣府で、この辺り、しっかり連携を取っていただいて、分析をしていただきたい。

 大臣、冒頭おっしゃられたように、やはり若者が感染するケースが最近非常に多くなっていて、なおかつ、後ほど質問させていただくんですが、自宅での感染が増えているんです。ですから、学校で感染して自宅に持ち帰り、それが親御さんや高齢者の方々にうつっているということは容易に想像できますので、その入口である学校での対策というのをより効果的にする上で、この部分の分析はしっかりと行っていただきたい、このことを申し上げさせていただきますが、これを聞いた上で、ちょっと大臣から一言いただければと思います。

山際国務大臣 まず、先生が今御指摘してくださった、文部科学省と分析をきちんとするべきだということに関しては承りました。我々の方としても、しっかり、どういうことが起きていて何が効果があったかというのは、どうしても分析が必要だと思いますので、やらせていただきたいと思っております。

 それと、学校の問題というか子供の問題を話をするときには、実は、基本的対処方針分科会でもコロナ分科会でも、専門家の先生方からも相当いろいろな御意見をいただいておりまして、すなわち、子供たちの教育の機会をどう確保していくのかということと、感染症の拡大を予防していくということ、両方相当バランスを取ってやらなくてはいけないことなものですから、なので、衛生マニュアルのようなものの徹底というものを文部科学省の方からは通知を出してもらったんですけれども、余り行き過ぎると教育の機会が失われるということになるので、そこのバランスをどう取っていくかというのも、やはり文部科学省としっかりと相談しながらやらなくてはいけないことだというふうに思っておりますので、しっかり受け止めてやらせていただきたいと思います。

浅野委員 是非よろしくお願いします。

 今、大臣からも衛生マニュアルの話が出ましたけれども、次、ちょっと文科省にお伺いしたいんですが、今触れた学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルというものを文部科学省が出して、各教育機関に通知をしておりますが、問題は、これは、今日の二枚目の資料にも示してありますように、実は最終更新が昨年の十二月なんですね。

 十一月二十二日にバージョン七というのが作られまして、十二月十日に一部修正をされて、そのまま今運用がされているということで、それ以降にオミクロン株が広がってきたわけですから、これはしっかり基本的対処方針の内容を踏まえてマニュアルの内容も見直すべきだと思うんですが、文科省、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答えいたします。

 オミクロン株の感染が十代以下にも拡大する中、学校においてオミクロン株の特性を踏まえた感染症対策を進めるということが極めて重要であると認識しております。

 このため、文科省としては、二月の二日に、学校での感染確認時の臨時休業の目安等を定めたガイドラインに関し、オミクロン株の特性を踏まえて運用する際の留意事項をお示ししました。また、今お話ありました、二月の四日には、オミクロン株に対応して特に取り組むべき感染対策等をまとめ、各学校設置者等に対して周知徹底するなど、オミクロン株への対応についてしっかりとお示ししてきたところでございます。

 御指摘のありましたマニュアルにつきましては、これまで、新型コロナウイルス感染症に関する知見等を踏まえて累次の改定を重ねてきております。近時のオミクロン株に対する知見の蓄積も踏まえ、今後の改定については、不断、見直していくという意思の下、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

浅野委員 文部科学省が頻繁に教育機関に対して通知を出しているのも、私、確認しておりますし、オミクロン株に対応した内容の、留意点をまとめたものを、非常に分かりやすいものを出していることも分かります。ただ、基本的対処方針の中で教育現場における対策というのが触れられておりますけれども、そこで引用されているのはこのマニュアルなんですね。衛生管理マニュアルなんですよ。

 ですから、この衛生管理マニュアルの中をしっかりもっと頻繁にアップデートしていただかないと、基本的対処方針も毎週毎週ほぼアップデートされているわけですから、それと足並みをそろえて文科省側でも対応していただかないと、文部科学省の情報が新しいのか、内閣府が出した情報が正しいのか、どっちを信じればいいか、現場の混乱の元になりますから、そこはしっかりとそろえていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、ちょっと先ほども出ました自宅での感染対策についてお伺いいたします。

 本日の資料の三枚目を御覧いただきたいと思うんですけれども、これは先ほどと同様に年代別に分けたグラフでありますが、二つのグラフがありまして、赤いグラフは自宅での感染、そして黒色は自宅以外での感染を示したグラフになります。

 これを見ると、どのグラフを見ても、特に若い方々は赤い方のグラフが今年に入ってから急激に増加傾向にあります。やはりこれはオミクロンの影響が強いのではないかなと思うんですが、自宅以外での感染以上に自宅での感染が多い状況であることが一目瞭然ですね。

 ですから、基本的対処方針の中で、学校とか職場とか医療施設とか高齢者福祉施設でこういう対策をしてくださいということももちろん大事なんですが、自宅でどうするのかというところを、しっかりとオミクロンに対応した配慮事項というところを明示すべきではないかと思うんですけれども、この自宅での感染対策、これまでどういう対応をしてきたのか。そして、これは厚労省に聞いた方がいいのかもしれませんが、大臣にも、この基本的対処方針の中で自宅での対策というのを明示すべきだと思うんですが、この二つ、お願いいたします。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自宅での感染対策、大変重要と認識をしております。

 二次感染の比率を見ても、家庭内の感染の場合には、かなり感染する確率が非常に高いデータが得られておりますので、これまでも厚生労働省といたしましては、陽性の方が生じた場合に、可能な範囲で部屋を分けることですとか、あるいは洗濯、掃除を行う際の対策などをまとめたリーフレットを作成して啓発を図ってまいりましたり、あるいは、保健所では、自宅療養をされる方への留意点をお知らせするなどの取組を行っております。あるいは、自治体においては、自宅療養のリーフレットを特別に作られてお渡しされているという取組もされております。そして、特に、同居家族の中に高齢者や重症化リスクのある方がいらっしゃる場合には、宿泊療養の活用なども含めて対応をお願いをしてきているところでございます。

 こうした、入院、宿泊療養の活用、あるいは自宅療養時の注意を含めまして、家庭内の感染への対応というものを、都道府県と連携しながら進めてまいりたいということで、取り組んでいるところでございます。

山際国務大臣 基本的対処方針には元々記載はありますが、おっしゃるように、オミクロン株が出てまいりましたので、二月十日の基本的対処方針の中に、改めて、家庭内においても室内を定期的に換気するとともに小まめに手洗いは行うことといった記載は入れてありますが、先生の問題意識はそこにはなくて、もっとそれがきちんと国民一人一人に認識されるようにしろということだと思いますので、その広報も含めて徹底してまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非厚労省にもお願いしたいんですが、今、最後に、自治体とも連携してというふうにおっしゃいました。

 例えば、今、接種券も順次配られていますけれども、追加接種分ですね、そういうところに、例えば自宅での留意事項みたいなのをまとめたビラを一緒に同封してもらうとか、今後、自治体が住民に対して情報提供をするときに相乗りさせてもらうなどでもいいので、しっかり、オミクロンに対する自宅での注意が必要なんだと。皆さん、結構、自宅に帰ると安心してしまう方もやはり中にはいるんですよね、慣れ親しんだ場所ですから。だけれども、そこでもしっかりと注意をしなきゃいけないというこの意識改革を、しっかり、これからより一層進めていただきたい。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、今日はこれで終わりますが、以上のことを申し上げて質問を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 皆様、おはようございます。立憲民主党、福岡五区の堤かなめです。

 まず、子供政策予算の倍増について質問します。

 立憲民主党は、少子化を食い止め、社会全体の活力を高め、高齢者の方々をお支えするため、子供政策予算倍増を掲げています。また、既に十数年前に民主党が打ち出したチルドレンファーストの理念に賛同して、私は民主党に参加いたしました。資料一に示しましたように、大見出しで「子育て政策 全候補「予算倍増」」という報道に、立憲民主党の政策をようやく採用していただけた、遅きに失した感はありますが、やっと予算倍増が実現すると喜んでおりました。

 ところが、これはぬか喜びだったのでしょうか。二月四日の内閣委員会におきまして、子供政策予算の倍増について確認させていただきましたところ、野田大臣は、子供政策に関する予算をどんどん増やしていくのかという問いであればイエス、子供政策についてはしっかりと予算を内容に応じてつけていくなどとお答えになりましたが、倍増とは明言されませんでした。正直、がっかりいたしました。

 一方、岸田総理は、二月二十四日、先週のことです、参議院予算委員会で、我が党の森ゆうこ議員の質問に対し、予算の倍増に向けてしっかりと努力をしていきたいと考えますと答弁されています。

 そこで、改めて、野田大臣にも倍増とここで明言していただきたいと思います。持ち時間二十一分です。簡潔にお答えください。

野田国務大臣 岸田総理の関連予算倍増の発言については、元々、自民党の総裁選挙中の討論会の中で、四候補、私も入っていましたけれども、司会から子供に関する予算等について倍増すべきかと問われた際のものだと思います。

 私としても、期限、規模ありきではなくて、子供の視点に立って、必要な子供政策と、その充実に必要な安定財源の確保について、国民各界各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていきたいと思っています。

 我が国の少子化の現状は静かな有事であり、国家戦略として、子供を第一に考え、子供政策を社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会実現に取り組んでいく必要があると考えています。同時に、思い切った子供政策の充実を目指していきます。

 いずれにしましても、子供目線に立って、必要な子供政策の充実にしっかりと取り組んでまいります。

 子供にとって大切なことは、何を届けるべきかであって、お金の総額ではないと思います。ただ、何をすべきかということがたくさんありますので、当然、たくさんの予算を私たちは取っていかなければならない、そういう意思を持って仕事をさせていただいています。

堤委員 お答えがちょっと、質問をちゃんと聞いていただいていないのかと思いますが、岸田首相は先週も予算倍増とおっしゃっていらっしゃいますので、まさに残念な野田大臣の答弁です。総理が倍増と答弁しているのに、担当大臣は倍増とは口が裂けてもおっしゃらない。閣内不一致と言わざるを得ません。

 また、具体的に何年まで予算が幾らになるのかはっきりしなければ、きちんとした計画も立てられません。そもそも、総理よりも担当大臣が子供政策に消極的というのはいかがなものでしょうか。大臣としての資質にも関わる問題だということを指摘させていただきます。

 次に、家族関係支出と出生率の関連についてです。

 資料二を御覧ください。

 野田大臣は少子化対策の特命担当大臣でもあり、釈迦に説法でございますが、家族関係支出と出生率は正の相関がある。日本の家族関係支出は少なく出生率は低いことについてどのような御見解をお持ちか、野田大臣にお聞きします。

野田国務大臣 国によって国民負担率などが異なることから、単純に比較することは適当ではないものの、御指摘のとおり、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は、二〇一九年度で一・七三%、約九兆六千七百三十億円と、欧州諸国と比べて低水準になっていると指摘をされているところです。

 家族関係社会支出と合計特殊出生率の相関関係に言及した研究があることは承知していますが、総合的な少子化対策を大胆に進めていくためには、まずは、必要な安定財源を確保しつつ、効果的な少子化対策に、できることから速やかに着手することが重要だと考えています。

 いずれにしても、少子化対策に関する予算について、期限、規模ありきではなく、子供の視点、子育て当事者の視点に立って内容を充実させつつ、しっかり確保をしていきたいと思います。

 また、子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保については、基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしており、政府全体の議論が必要であると思います。

 昨日も、実際、経済財政諮問会議が開かれまして、私からも、この少子化対策が、極めて深刻な、静かなる有事であるということを申し上げ、国家戦略として、子供を第一に考えるこどもまんなか社会の実現に向けて思い切った子供政策の充実を目指す旨を申し上げたところでございます。

 総理が度々おっしゃっておられるのは、人への投資を倍増させるということで、そこの中の多くを子供という人に届けられるよう今頑張っている最中でございます。

堤委員 政府のこども政策の推進に係る有識者会議は、この出生率の低さは社会全体の根幹を揺るがしかねない、今まさに有事ともいうべき危機的な状況、少子化対策を含む子供政策を政府の最重点課題として強力に推進すべきだ、安定的な財源を確保し、思い切った財源投入を行うとともに、十分な人員体制を確保することが必要不可欠だと提言しています。

 野田大臣の政治生命を懸けて、例えば、本年度を基準年とし、二、三年後をめどに予算倍増を実現していただきますよう要望しておきます。

 次に、子供の幸せと健やかな育ちを支えるための相談窓口の周知についてです。

 御案内のように、今、超党派で女性支援法を準備しているところです。成立すれば、性的被害、家庭の状況、地域社会との関係性など、様々な事情により困難を抱える女性の支援を拡充する画期的な法律となります。そして、言うまでもありませんが、困難を抱える女性の多くは妊婦や母親であり、女性支援は子供支援でもあります。

 そこで、困難な問題を抱える女性又はそのおそれのある女性、つまり、ほぼ全ての女性に対して、相談できる窓口を伝える手段の一つとして、生理用品、妊娠検査薬、緊急避妊薬などのメーカーに御協力いただき、相談窓口一覧にアクセスするQRコードをパッケージに印刷していただく、あるいは、薬剤師会と連携し、妊娠検査薬や緊急避妊薬を購入する女性に案内チラシを手渡してもらうなどの方法を御検討いただけませんでしょうか。お答えをお願いいたします。

佐藤副大臣 予期しない妊娠や性の悩みを持つ若者等が一人で悩まず、適切な相談窓口につながるよう周知をすることは極めて重要であると考えております。

 そのため、厚生労働省におきましては、今年度、若者向けに性や健康の悩みに対応する知識を提供するウェブサイトを作成しておりまして、その中で、予期せぬ妊娠等の相談窓口についてもまとめて掲載を予定をしているところであります。

 このウェブサイトの周知の方法については現在検討しているところでありますけれども、支援を必要とされる方等が必要な情報にアクセスしやすくなるように周知に努めてまいります。

堤委員 副大臣、期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、新生児の里親委託について質問いたします。

 一点目に、赤ちゃん縁組の推進についてです。

 我が国では、多少の増減があるものの、虐待で死亡する十八歳未満の子供の半数近くがゼロ歳児であり、その中でも生まれたばかりの赤ちゃんの死亡が最も多いのが現状です。このようなゼロ歳児の虐待を防ぐためにも、特別養子縁組につながる新生児里親委託、赤ちゃん縁組といいますが、この取組は重要です。

 今から七年前に県議会でこの赤ちゃん縁組の質問をしました翌年、福岡県はマニュアルを作ってくださり、地元の西日本新聞が記事にしてくれました。その一部を紹介させていただきます。

 様々な事情で実の親が育てられない子供の新たな親子関係を自然に築こうと、福岡県は赤ちゃん縁組のマニュアルを策定、県内の児童相談所に配付した。望まない出産をする女性を支援し、新生児遺棄や虐待を防ぐ効果も期待され、県内の産科医療機関とも連携して取組を広げる。赤ちゃん縁組は愛知県が先進県として知られるが、都道府県がマニュアルを作って率先するのは全国でも珍しい。

 このように報道されました。当時の小川洋知事は、残念ながら昨年十一月に御逝去されましたが、小川知事と福岡県の職員の皆様の御努力に、この場をかりまして、改めて感謝いたします。

 そこで、この福岡県マニュアルを国としても御活用いただくなどにより、虐待死をなくすため、赤ちゃん縁組を拡充していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 御指摘の福岡県の資料も拝見させていただきました。

 特別養子縁組は子供にとって永続的に安定した養育環境を提供できるものであり、厚生労働省としても制度の普及促進に努めてまいりました。

 特別養子縁組が必要だと考えられる子供がいた場合、適切に制度の利用につなげるためには、養子縁組、里親の確保や育成等を行う児童相談所の役割が重要であると考えております。

 厚生労働省としては、議員御指摘の福岡県など各地域における里親委託推進の好事例につきまして、事例集を作成し横展開を行っておりますが、この事例集を活用して周知を図ってまいります。

堤委員 二点目に、乳幼児短期里親委託の推進についてです。

 新生児期は人格形成に多大な影響を与える時期であるため、たとえ期間が短くても里親に委託することは有用であるとして、福岡県は乳幼児短期里親委託を重点的に進めています。

 そこで、短期の乳幼児の里親委託、ここでは仮に赤ちゃん里親と呼びたいと思いますが、この赤ちゃん里親も推進していただけませんでしょうか。

佐藤副大臣 里親の開拓に当たりましては、制度の広報啓発を図るほか、希望者が円滑に里親として子供の養育を行うことができるよう様々な工夫を行うことが必要であると考えております。

 福岡県で実践されております乳幼児を短期間預かる里親、赤ちゃん里親でありますけれども、里親委託を推進する方策の一つであると考えます。

 現行制度におきましても、里親育成の観点から、中長期の委託を開始する前に、ショートステイや一時保護の仕組みを活用して、短期間、里親が子供の養育を行うことが可能となっております。

 是非こうした仕組みを活用しながら、引き続き里親委託推進に関する取組の強化を図ってまいります。

堤委員 ありがとうございます。

 三点目に、乳児院の機能転換及び専従職員の配置についてです。

 赤ちゃん縁組や赤ちゃん里親の開拓、里親や養親の方々の支援などの重要な役割を地域で担う新たな存在として、乳児院の機能転換が必要かと思いますが、この機能転換がどの程度進んでいるのか、また今後どのように進めていくのか、お答えください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 乳児院が社会的養護の担い手として培ってこられました専門性を地域の里親家庭やその他の家庭の養育に生かしていくことは大変重要なことと考えておりまして、乳児院の多機能化を進めているところでございます。

 特に、里親支援に関する取組の強化を図る観点から、乳児院が里親支援を行う専任の職員を配置することですとか、里親支援を行う機関としての役割を担うことができるよう必要な支援を行ってきております。

 令和元年度十月一日時点の乳児院の状況でございますが、里親支援を行います専任の職員は、全国百四十三施設のうち百十七施設に計百二十四名配置をされております。また、この百十七施設のうち五十四施設が里親支援を行う機関として指定をされている状況でございます。

 また、令和三年度予算からですが、令和六年度末時点の三歳児未満児の里親等委託率七五%以上、こういう目標を目指す自治体など意欲的に取り組む自治体に対しまして、乳児院等の施設に配置される里親支援を行う職員の増員を図ることができるよう支援の強化を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、里親支援を行う機能の強化など、乳児院の多機能化を進めていきたいと考えております。

堤委員 四点目に、真実告知についてです。

 実の親が養育できない子供にとって、その子を幸福に導く条件が二つあるとされています。一つはパーマネンシー、永続性の感覚、そしてもう一つがアイデンティティー、出自を知る権利です。

 パーマネンシーについては、日本でもその重要性が認識されるようになり、特別養子縁組制度の導入の契機となりました。しかし、もう一つの、アイデンティティー、そして真実告知については、まだまだ我が国において理解が広まっていないように思います。

 真実告知とは、里親の方が子供に、私はあなたを産んでいないこと、産んでくれた人にはいろいろな事情があってあなたを育てることができないこと、私たちはあなたを育てることを心から望んでいること、あなたは私たちにとって大事な存在であることを子供に伝え、生い立ちを共に受け止め、その子のアイデンティティー、出自を尊重することです。

 先進国の多くで出自を知る権利が法律で保障されていますが、日本ではいまだ権利を保障する仕組みがありません。日本も批准する子どもの権利条約では、児童はできる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有すると定められています。

 そこで、出自を知る権利を法律的に保障し、出自に関する情報開示のためのガイドラインの制定や、養子縁組をあっせんする民間企業が事業を廃止した場合の記録の引継ぎの方法などの検討が必要かと考えますが、いかがでしょうか。

 また、児童相談所と民間あっせん機関は、里親や育ての親を希望する方々に対し、子供の出自を知る権利の観点から、真実告知の必要性やそのために必要な支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 養子となった子供等が自分の出自を知る権利が保障されること、また、育ての親が真実告知など子供への適切な働きかけを行えるよう支援することは重要でございます。

 まず、養子の出自を知る権利についてでございますが、これにつきましては、あっせんした養子に関する記録の在り方や、養子に実親の情報を提供する際の留意点につきまして、民間あっせん機関宛てに昨年三月に通知をいたしますとともに、児童相談所を通じて養子となった子供が自らの出自を求めた場合、当該通知を参考に児童相談所が記録の保有や情報開示を行うよう、児童相談所運営指針を改正したところでございます。

 また、養子縁組あっせん法におきましては、民間あっせん機関が廃業する場合には、その帳簿を都道府県又は他の民間あっせん機関に引き継がなければならないとされておりまして、こうした規定に基づいて適切に支援が継続されることとなっております。

 また、真実告知でございますが、児童相談所は、児童相談所運営指針におきまして、真実告知の重要性の伝達、それから助言等を受けられる場の紹介を行うこととしております。また、民間あっせん機関においても、養子縁組あっせん法及び関係指針におきまして、真実告知を含め、児童の発達段階に応じた悩みに対する助言等の支援を行わなければならない、このようにしているところでございます。

 出自を知る権利の保障、真実告知の実施等に関し、引き続き必要な支援を検討してまいりたいと思います。

堤委員 二月四日の委員会では、佐藤副大臣より、令和二年を初年度として、三歳未満についてはおおむね五年以内に里親委託率七五%以上という目標値を示していただきました。令和七年度まで、つまり、あと三年で七五%を達成しなければなりませんが、これは容易ではありません。なぜなら、乳児院に入所している子供の数はこの十年ほとんど減っていない。つまり、三歳児未満の乳幼児の里親委託はこの十年ほとんど増えていないからです。

 最も多いゼロ歳児の虐待死を未然に防止するためにも、赤ちゃん縁組、赤ちゃん里親を推進するための施策を最優先し、予算と職員を十分に確保していただきますよう重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党の大串博志です。

 内閣委員会で質問させていただきます。よろしくお願いします。

 まず、質問の順番を、松野官房長官の記者会見の時間等々とも合わせて変えてくださいました野党の皆さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。

 まず、二之湯国家公安委員長に質疑をさせていただきたいと思います。国家公安委員長としての資質に関する問題です。

 先般も警察法を議論させていただきましたけれども、そのときも議論になっていました。新しい任務が警察に及ぶ、そういった中で、その法改正をリードし、これから参議院の方にも議論は移るわけですけれども、警察組織を率いるという意味において、本当に資質として足りるのかという論点です。京都府連の資金問題。

 問題の本質は、二之湯国家公安委員長が選挙の前に、二か月強前には九百六十万円、その前の年には千四百四十万円という額を京都府連に振り込んでいらっしゃる、寄附されている、これが選挙に関する選挙買収目当てのお金ではなかったのかということなんです。

 これらは、私たち、予算委員会でも大分議論させていただきました。覚えていらっしゃると思います。最初に階議員がこの問題を予算委員会で取り上げたときに、なぜ九百六十万円という、選挙二か月強前、九十日ルールの範囲内ですよ、九百六十万円という非常に区切りの悪いお金の寄附をされたんですかと。意味するところは、京都府連四十八人の地方議員さんに対して二十万円掛ける、それで九百六十万円じゃないのか、そういう思いから、なぜ九百六十万円という数字なんですかということを問わせていただいたわけですね。それは、問題の本質をえぐりたかったわけです。

 それに対して二之湯国家公安委員長が答えられたのは、私の思いでこの九百六十万円にされましたと。非常に驚いた答弁でした。私の思いですと。覚えていらっしゃると思いますけれども、議論は紛糾しました。私も委員長席に駆け寄って、議論は六、七分速記も止まるという事態になりました。

 その際に、私の方から、当時、与党の理事の皆さんにも言ったんです。私の思いだと答弁にならないから、なぜ九百六十万円だったかきちんと大臣に答えてもらってくださいということを与党理事に、私、お願いしました。与党理事は大臣のところに行かれました。それで、数分のうちにいろいろ話をされた。それで答弁されました。

 どういう答弁が返ってくるかなと思っていたら、その九百六十万円の根拠として、二之湯大臣の言葉ですよ、参議院議員選挙というのは全県一区の選挙でございまして、京都府連としてもいろいろな費用が重なるわけでございまして、私としても、そういう実情を見るにつけて、府連に何らかの貢献ができないかということで、そういう、全県一区の選挙を戦うにはこれぐらいの費用が必要だろう、こういうことでその額を決めたわけでございましてというふうにおっしゃっています。この答弁はこのとおりで正しいんですね。

二之湯国務大臣 議事録にそうなっておれば、そのとおりでございます。

大串(博)委員 国家公安委員長は、事の重大さを分かっていらっしゃいますでしょうか。資質の問題です。

 いいですか。九百六十万円を選挙九十日以内に京都府連に届け、それが、九百六十万円という数字、二十万円掛ける四十八人、それで、選挙に使われているんじゃないか、選挙買収じゃないか、こういう疑義のある中の問いに対して、全県一区の選挙を戦うにはこれぐらいの費用が必要だろう、こういうことでその額を決めたわけでございましてと大臣おっしゃっているんですよ。

 これは、選挙のために届けたと大臣自身が言われているんですよ。それを、そのとおりですと言われている。選挙買収じゃないですか。いかがですか。

二之湯国務大臣 度々申し上げていますように、選挙があっても、事前に、選挙前に、政党活動、党勢拡大活動は公職選挙法に認められているわけでしょう。そして、ポスターを貼るときでも、今、全国各地で、今年の七月に選挙をされる参議院の方が二連、三連のポスターも貼っておられます。これはそれぞれの支部の政治活動として貼っておられるわけでございます。そして、それぞれの政党の機関紙の特別号、これも配布するのは政治活動として認められているわけでございます。

 だから、私としては、そういう政治活動に使ってもらう、そして、その額の配分は京都府連が決定したということは何ら問題ないと思います。

大串(博)委員 自分が二つ違うことを言っているのを認識されていないんですか。

 大臣は、この間の答弁で、全県一区の選挙を戦うにはこれぐらいの費用が必要だろう、こういうことでその額、九百六十万円を決めたわけでございましてと言われて、しかも、先ほどそれを認められたわけですよ。選挙のための金額だと認められたわけですよ。いいですか。国家公安委員長が認めたんですよ、それを。これは選挙買収以外の何物でもないじゃないですか。それ以外に、政党活動は認められている云々かんぬんと言ったとしても、この答弁を認めちゃったんだから。

 いいですか。選挙買収というのは、たとえ政治団体に出していても、選挙のために出しているという意図があったら選挙買収は成り立つんですよ。それが法律なんですよ。それを理解されていないんじゃないですか。広島の案件も覚えていらっしゃるでしょう。選挙の前ですよ、あれも。政治団体に出しているんですよ。でも、選挙に関わることという意図があったから、あれは立件されているんですよ。そういう法律なんですよ。理解されていないんじゃないですか。

 もう一回聞きます。全県一区の選挙を戦うにはこれぐらいの費用が必要だろう、こういうことでその額を決めたわけでございまして、これを述べていらっしゃる以上は選挙買収じゃないですか。きちんとお答えください。

二之湯国務大臣 何遍もお話ししていますように、選挙とそして政党活動を切り離すことはなかなか難しい問題ですね。つまり、政党活動を一生懸命やる、そして党勢活動を一生懸命やるということは、おのずと選挙に、結果に反映をするわけでございます。

 したがいまして、私たち京都府連といたしましては、国会議員が府連にお金を寄附して、そして、党勢活動をやろう、政治活動をやろう、おのずと自由民主党のそういう選挙の結果につながってくる、こういうことなんですね。選挙だけの目当てということではないわけでございます。

大串(博)委員 これまた驚きの答弁が出ましたね。選挙と政党活動は区分けができないと。それを言っちゃったらおしまいよという話なんですよ、国家公安委員長が。

 いいですか。法律は、選挙の活動とその前の政党の活動とは区分けしなさい、それは混在しちゃ駄目ですよというのが法律なんですよ。それは区別できないと国家公安委員長が言っちゃったら、それは法律のどこを見ているんですかという話なんですよ。分かっているんですか。

 今の発言は少なくとも取り消された方がいいと思いますよ。いかがですか。

二之湯国務大臣 京都府連は、あくまでも、党勢活動、政治活動として合法的だ、法にかなっている、こういう見解の下でやっているわけでございます。

大串(博)委員 委員長、ちゃんと答えさせてください。

 私が言ったのは、先ほどの、選挙と政党活動は区切りがつけられないと言った発言を取り消した方がいいんじゃないですかということを、答弁を求めたんです。委員長、ちゃんとそこに答弁させてください。

二之湯国務大臣 度々私が申し上げておりますように、選挙のためだけに使ってくださいとは言っておりません。政党活動のために使ってください、党勢活動のために使ってください、こういう思いで寄附をしているわけでございます。

大串(博)委員 だから、ちゃんと答えさせてください。

 だったら先ほどの発言は取り消した方がいいですよと言っているんです。取り消してください。いかがですか。

二之湯国務大臣 私の発言が、選挙のために寄附した、そういうことに受け取られているとしたら誤解でございまして、私はあくまで、政党活動、党勢活動のために寄附したということでございます。

大串(博)委員 国家公安委員長の資質という題材で、私、取り上げさせていただいたのは、ここなんです。著しく法律に関する認識が乏しいんじゃないかと私は思うんです。

 先ほど私が申し上げた二月十四日の答弁を、そのとおりでございますと認められたのは大変驚きです。

 さらに、その後、答弁が二転三転されているんですよ。二月二十八日には、参議院での答弁ですけれども、算定の根拠は私の政治的な資金を考慮した額でございます、こういうふうに、ちょっと違ったふうに答えられているんですね。さらには、同じく二月二十八日の別の答弁では、寄附については、その時々の政治団体の収支や府連の活動状況を考慮して私がそういう額を決定しました、これまた違ったことをおっしゃっているんですね。

 いいですか。一番の根幹、なぜ九百六十万円なのか、それは、その区切れの悪さからして、二十万円掛ける四十八人にやっているんじゃないか、選挙活動に贈ったんじゃないか、そこが問われているときに、この根幹の説明を二転三転されている。ここが、法律のことを何ら理解していないんじゃないか。しかも、公職選挙法という、これは警察が取り締まるんでしょう。そういったところを国家公安委員長自らが全く理解しないで答弁を二転三転されている。しかも、そのうちの一つの答弁は、これはアウトだという答弁ですよ。

 国家公安委員長として、自らこんな答弁をしていて、私は、国家公安委員長として適切じゃないと思うんです。大臣御自身で自分のことをそう認識されませんか。いかがですか。

二之湯国務大臣 私たち京都府連は、あくまでも、政治活動、党勢活動のために使っていただきたい、そういう趣旨でございますから、選挙買収資金だとか、全くそんなことは頭にもございません。

大串(博)委員 京都府連はそうだそうだと言われますけれども、いろいろな証言が出てきていますね。SNSで、選挙の金だったというふうに言われている元職の方もいらっしゃいます。

 そのほかにも、報道のインタビューに答えて、外向けに、上中さんという前の候補者の方が、選挙の金だともちろん認識していました、活動資金という名目でしたが、それ以外に考えられないですよね、こういうふうに外向きに言われているんですよ。そういう状況ですよ。

 にもかかわらず、京都府連はそうじゃなかったと言ったとしても、極めて根拠に乏しい。かつ、大臣自身の答弁が二転三転している。この状況で、国家公安委員長として信を持って私は立っていられる状態ではないと思うんです。

 官房長官、どうですか。私、総理にもこの問いは、国会で問われました。二之湯長官は国家公安委員長として本当に適切ですか。私は、その職責にはなかなか当たらないんじゃないかと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

松野国務大臣 二之湯国家公安委員長、大臣としてしっかりと説明をされていると思いますが、先生の方から様々に疑問点があるということであれば、二之湯大臣の方から更に説明をされるということではないかと思います。

大串(博)委員 様々な問題になる点があれば二之湯大臣の方から説明を行うということだと思いますというふうに総理も言われていました。しかし、二之湯大臣、きちんと国民に分かるような説明をされているどころか、国会でこれだけきちんとした機会があるにもかかわらず、答弁は二転三転ですよ。全く要領を得ないんです。これでは私は任に堪えないと思います。

 なおかつ、この件、告発も出ています。二之湯大臣は対象になっていらっしゃらないけれども、京都府連の前の衆議院の候補であった方々、あるいは地方議員の方々を含めて数十名に対して、選挙買収だということで告発が出ています。告発を受けてのプロセスがこれから始まっていきます。裁判も別途行われていますね。いろいろな事実も出てくると思います。

 そういう中ですから、国家公安委員長は自分の言葉で、国民の皆さんが、ああ、なるほど、九百六十万円と歯切れの悪い数字だけれども、こういうことだったのか、これは選挙と関係ないなということをきちんと言うべきだと思うんですよ。それをされようともされない。任にあらずと強く申し上げさせていただきたいと思います。

 これからいろいろな事実がまだ出てくる可能性がありますので、それを受けて更に議論をさせていただきたいと思います。

 国家公安委員長、ありがとうございました。御退室いただいて結構です。

上野委員長 二之湯国家公安委員長、御退席をお願いいたします。

大串(博)委員 続きまして、経済安全保障法制に関して議論させていただきたいと思います。

 この問題も、藤井元内閣審議官の問題として、私たち、非常に疑念を持っています。二月八日に突然更迭されました。対外的な意見発表に伴う届出をしていなかった、この点をとがめられて職を替えられていらっしゃる、こういう状況です。

 どのような非違行為があったのかは調査されているようではありますけれども、私たちとしての関心は、国家公務員としてどのような非違行為があったかももちろん関心事項ではありますが、先週の金曜日に閣議決定されました経済安全保障法案、岸田内閣の一丁目一番地の法案ですね、この法案作成責任者でありましたから、事務方のトップ、法案作成過程において、業界とのつながりの中から不適切に法案作成過程がゆがめられたのではないか、ここが非常に気になるところなんです。

 これに対して、これもるる答弁がこれまでもあります、二つ大きなラインがあって、一つは、十六回に及ぶ有識者会議、分科会も含めて、有識者会議の結論を経ての内容なので、個人が影響を及ぼすことはなかったということ、もう一つは、青木節子座長に聞いたところ、藤井さんから個人的な話を受けて法案に対して変更があったということはない、この二つが言われていました。私は、この二つの説明とも全く説明にならないなと思うんですよ。

 十六回の有識者の検討会議の議事録も全部見させていただきましたけれども、皆さんも経験があられると思いますけれども、事務方のトップが、例えば、各役所に働きかけて、法案をこうしてくれと、ゆがめるようなことをするわけないじゃないですか。十六回のこの会議録、全部見ましたけれども、全てその冒頭に、こう始まるんですよ、事務局から資料の内容について説明があったと。全部ですよ。全ての会合において、冒頭、事務局から説明があるんです、資料の。それで、その資料を基にこの有識者の皆さんは議論されるんです。十八名もいらっしゃいます。もちろん座長はいらっしゃいますけれども、事務方が基本的にはリードするんですよ。そして、四つの分野がありますけれども、三回目には既にそれぞれの提言の骨子案が事務局から示されて、それを有識者が議論するというていで進んでいるんです。

 骨子案を作ったのは誰か聞きました、事務方の皆さんに。これは、事務方が作って骨子案を有識者に提示している。すなわち、事務方のトップであれば、自分が影響を行使しようと思ったら、どのような資料を提示して議論をリードするか、その中で十分議論に差配できたはずです。あるいは、骨子案を示す中で、自分の考えを盛り込んで議論をそちらの方に持っていくということができたはず。皆さん、そういう経験は、そういう場にはいらっしゃったことがあるから、お分かりになると思いますよ。それに対して、十六回の有識者の審議会の議論を経ているから個人がゆがめられるわけないと。とんでもない浅はかな答弁だと私は思いますよ。

 そして、この青木座長、答弁もいただきましたけれども、個人的な藤井さんからの話を受けていたわけではないので、青木さんからも法案が個人的な藤井さんからのコンタクトでゆがめられたわけじゃないというお言葉をいただいていますというふうに答弁されましたけれども、この青木さんは、官房長官、お尋ねしますけれども、個人的にそもそも藤井さんと会ったことがあるんですか。

松野国務大臣 大串先生にお答えをさせていただきます。

 本法案は、十六回に及ぶ有識者会議での議論を経た提言を踏まえるとともに、与野党……(大串(博)委員「済みません、時間も限られているので、質問だけに答えていただければ」と呼ぶ)

上野委員長 官房長官、簡潔にお願いします。

松野国務大臣 提言を取りまとめられた青木節子座長からは、藤井元内閣審議官から個人的な働きかけ等によって提言の内容に変更が生じた事実はないとの認識を確認をさせていただきます。

 具体的には、青木座長には、二月十六日、国家安全保障局の人事管理部署の職員が研究室を訪問しましたが、その際、藤井元室長とは直接やり取りした記憶がない、藤井氏は会議の場においてもほとんど発言はなかったと思う、藤井氏とは有識者会議の検討過程においてコンタクトを取ったことがない、有識者会議はオープンで透明性を持ったものであり、働きかけや小細工ができるようなプロセスではなかったとの御発言をいただいた旨、報告を受けております。

 その上で、大串先生から衆議院内閣委員会で御質問をいただくということで、昨日、改めて国家安全保障局の人事管理部署の職員から青木座長に連絡を行ったところ、経済安全保障法制準備室とは、例えば会議の運営方法、会議で使う資料の確認など頻繁にやり取りを重ねたが、調整の相手方は、藤井元室長ではなく、三貝準備室次長であったことを確認をいたしました。

 さらに、青木座長からは、繰り返しになりますが、有識者会議はオープンで透明性を持ったものであり、公開をされている議事要旨や提言を御覧いただければ、藤井氏が個人的に介入できるものでは決してなく、有識者会議の委員がいかに透明かつ公正に議論を行い提言を取りまとめたか十分に御理解をいただけると思うし、座長としてもその点に自信を持っているとの御発言をいただいたところでございます。

大串(博)委員 そもそも、個人的なそうしたコンタクトはなかったわけですから、今おっしゃったように、個人的な働きかけ等によって提言の内容に変更が生じた事実はないとの認識をさせていただいておりますという答弁自体が、私は余り、根拠のある、意味を持つものではないと正直言って思っているんです。

 私が申し上げているのは、藤井さんが個人的なコンタクトをもってして法案をゆがめたのではないかというのではなくて、事務のトップですから、資料の提出、あるいは素案の提出、こういった中で十分に、個人的なというような足跡を残さずに、法案の内容に自分の思いを盛り込むことができたのではないかということを申し上げているんです。

 青木先生のところにも行っていただいたようでございますので、委員長、お願いがあります。青木座長に、この点、私たち、国会でもきちんとお話を聞かせていただきたいと思います。青木節子座長のこの内閣委員会への参考人招致、お願いしたいと思います。

上野委員長 後刻、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 そのような個人的なコンタクトでの影響ではなくて、事務をつかさどる中での影響があったのではないかと容易に、私たち、ある意味懸念することができます。

 そういった中で、今調査をされていますね、非違行為がどういうものであったかということを調査されるということです。これがなかなか出てこないのが、私、不思議でならないんです。何でこんなに時間がかかっているんですか。二月八日から、もう一か月たっちゃっているじゃないですか。なぜだろうなと私思うんです。

 ちなみに、去年、総務官僚の皆さんの接待の問題がありました。覚えていらっしゃいますね。菅政権の下でありました。岸田内閣は菅政権と比べられるのを大分嫌がっていらっしゃるようですけれども、ちょうど一年前のことですから、比べざるを得ません。

 去年、報道が、この総務官僚の接待問題が出たのが二月三日でした。それで、第三者の皆さんも含めて調査を行うと当時の総務大臣はおっしゃって、調査結果が出たのが二月二十四日。三週間で出ていますよ。このときの処分された人間は全部で十一人です。今回調査されたのはたった一人ですよ。前回十一人。処分以外で自主返納等された人を含めると十二人です。

 調査された会食等々の数は三十八回に及んでいますよ。会食の数だけで三十八回も調査されているんです。それ以外に、タクシー券の授受、お土産の授受、こういったことも含めると、何十件に及ぶ調査をたった三週間で終えて、全員に処分をたった三週間で出しているんですよ。今回、たった一人に対して三週間以上、もう四週間たとうとしています。何でこんなに時間がかかっているのか。

 私は、予算委員会でも申し上げましたけれども、予算の審議の前に、この結果を出してくださいと言いました。かなわなかった。今度、この審議もやるんでしょう、ここで。私は、審議の前にはこの調査報告書を出していただいて、この調査報告書の中に、私たちが得心するような、あっ、これだったら法案に影響ないわなと思えるような、あるいは判断できるようなことをちゃんと書いてほしいと思うんです。

 なぜなら、恐らくその調査報告書の中には、どの業者の皆さんと何回講演をしたとか、あるいは何十回講演をしたとか、そういったことが書かれているんじゃないかと思うんです。そこに、金銭のやり取りはあったのか、お金はもらっていたのか、タクシーチケットはどうなっていたか、その後にその事業者の皆さんとほかの場で会ったことはあったのか、セキュリティーの非常に厳しいNSSの事務所の中に呼び入れて会ったことはあったのか、こういったことなどがそこに書かれているのではないかと思うんです。

 そういったことがたくさん書かれていると、法案に影響があったんじゃないかなとやはり疑わざるを得ない、そういう報告になっていると思うんですよ。そうであれば、法案審議の前にその報告書をちゃんと出してもらって、私たちに、法案には影響があったのかなかったのか、得心をさせていただきたいと思うんです。

 官房長官、何でこんなに調査報告書が遅れているんですか。そして、いつ出されるんですか。そして、もう一つ。その調査報告書を見れば、私たち、法案に対する影響があったのかなかったのか、きちんと分かるような形にしていただけるんですよね。お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 調査方法について、今後の調査に影響が生じない範囲で申し上げますと、まず、国家安全保障局及び経済産業省による藤井氏本人に対する聴取については、これまで対面や電話で相当な時間にわたり実施をしているところであります。また、関係者への問合せ、関係者から提供いただいた情報の内容の確認なども精力的に行い、藤井氏の行為に関する事実関係を固める作業を進めているところであります。

 このような作業を迅速に進め、できる限り早期に結論を得られるよう、改めて事務方に指示をしていきたいと考えております。

大串(博)委員 今お答えいただかなかったのが一つあって、すなわち、その内容を見れば、法案に関する影響があったのかなかったのか、きちんと私たちとして得心できるような内容になるという理解でよろしゅうございますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現在、国家安全保障局において行っている調査は、藤井元審議官が処分につながる可能性がある行為を行ったことに関し、同人が国家公務員法違反等の非違行為を行ったかどうかについて事実関係を認定をし、人事上の対応を検討するための調査を行っているところであります。

 他方、経済安全保障推進法案については、先ほども御説明をさせていただきましたが、十六回に及ぶ有識者会議での議論を経た提言を踏まえるとともに、与野党、経済団体、労働組合との意見交換を重ね策定したものであり、特定個人の一存で法案の内容がゆがめられる余地は構造上ありません。その上で、念のため有識者会議の内容や座長である青木教授への確認を行ったものであります。

 これら二つの調査、つまり現在行っている人事上の調査と法案への影響に関する調査は別の調査であります。

 いずれにせよ、藤井氏の非違行為の疑いについては、できるだけ速やかに調査を終結させるべく、国家安全保障局を中心に、経済産業省等の関係部局とも連携しつつ、厳正かつ公正に事実関係の調査をしっかりと進めているところでありますが、調査に一定の時間を要する点につき御理解をいただきたいと思います。

大串(博)委員 法案への影響は、その調査の内容を見ないと、やはり私たちは得心できるものではないと思うんです。なぜなら、その調査の内容は、先ほど申しましたように、どの事業者と何回ぐらい講演をしたのか、お金をもらっていたのかどうなのか、タクシーチケットをもらっていたのかどうなのか、そういった内容が入るでしょうから、法案に影響を与えたのかどうか、それを見ないとやはり得心はできないと思うんですよ。

 今、官房長官は繰り返し、先ほどのような理屈をもって、法案に影響はないと、今の段階で判断していることを強弁されていますけれども、調査結果が出てきた暁に、何だこれは、これは法案に影響を与えているんじゃないかなというふうな内容であったとすると、ちょっと私は法案の審議に簡単には入ることはできないと思いますよ。

 心して調査結果は出していただきたい、そして、それに対する説明を十分尽くしていただきたい。これは、この内閣委員会の今後の運営に大きく、法案審議入りするかどうか、影響を与えると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 ウクライナの問題に関して、官房長官にお問合せさせていただきたいと思います。

 目を覆いたくなるような危機が目の前にあると思います。ウクライナにおける悲惨な状況、民間人が多く犠牲になっている、国家を追われる、そういう危機が目の前にある。何としても、国際社会は一致して、この機を、このロシアの国際法違反の言語道断な取組を止めていく、すぐにでも私はやっていかなきゃならないと。特に、総理も官房長官も繰り返しおっしゃっています、アジアへの影響も、これはないとは言えない。ということを考えると、私たちは主体的にこの問題に取り組んでいかなきゃならないと思うんですね。

 昨日のプーチン氏とマクロン大統領の電話会談。プーチン氏は、最後まで武力行使はやり抜くんだと固い決意を言ったと。マクロン氏は、最悪の結果になる、こういうことを言っている。であれば、私たちは本当に、武力の行使以外で、今、制裁をやっていますけれども、やれることを全てやり尽くすような形をやっていかないと、二回目の交渉も行われましたけれども、なかなか進展しない。その二回目の協議、交渉、あるいは、今度三回目があると言われているけれども、その後押しをするためにも、国際社会としてやれることをやり抜かなきゃいかぬということだと思うんです。

 SWIFTからの除外というのは、私は非常に有効な措置だと思っています。しかし、残念ながら、ズベルバンクが抜け落ちています。

 私も国際金融の世界で大分仕事をしましたけれども、ロシアの中で図抜けて大きな銀行です。総資産の三割以上を持っている。しかも、エネルギー関係に強い銀行。だから、ここが抜けているとロシアの経済の根幹のところの決済は抜け落ちるということなんですね。

 私は、ズベルバンクに関しても、SWIFTからの除外、EUの皆さんが言ってこられる前にも、日本の方から、もしEUの皆さんがこれを決められるのであれば合意する、うちも対応する用意があると日本から発信することというのは、極めて意義が大きいと思うんです。

 今日の日経新聞一面、ウクライナの外務大臣、ズベルバンクをSWIFTの除外の対象にすべきだとおっしゃっていましたよね。日本にも発言が求められていると思います。

 官房長官、どうですか。ズベルバンク、SWIFTからの除外。今のうちから、これも要望があれば受けるんだと日本から発信すべきじゃないですか。

松野国務大臣 大串先生にお答えをさせていただきます。

 先日、EUがロシアの七銀行をSWIFTから排除する旨発表したところでありますが、御指摘の銀行は、先生のお話の中にあったとおり、含まれておりません。

 これは、国際社会への影響を見極めつつ、ロシアに対して最大のコストを課すべく、日本を含む国際社会が緊密に連携をし調整を行った結果として、SWIFTの所在地である欧州の当局において決定をしたものでございます。

 更なる制裁措置について、予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、我が国としては、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携をして、適切に対応していく考えであります。

大串(博)委員 国際社会は総理や官房長官の一つ一つの発言を見ていますからね。ロシアも見ていますからね。心して私は発言していただきたいと思うんです。ちょっと踏み込みが私は足りないと思いますよ。

 もう一つ。サハリン1です。

 エクソンモービル、撤退しましたね。このサハリン1、いわゆる出資元のサハリン石油ガス開発、これは全体の三割を持っていますけれども、この三割のうちの半分を日本が持っていますね。ということは、全体の一五%を日本が持っているということなんです。

 石油大手は撤退を決めました。さて、日本はどうするか。私はこれに関してもロシアの目は向いていると思うんです。判断としては、日本も、事実上、これは継続はなかなか難しいという判断を示して姿勢を示し、対応していくべきだと思うんです。どうですか、官房長官。御判断されませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 我が国は、国際的な制裁強化の動きの中で、G7を始めとした国際社会と連携をしながら取り組んでいますが、エネルギーの安定供給と安全保障を最大限守るべき国益として対応していかなければならないと考えております。

 様々な動きが報じられていますが、しっかりと状況を見極めた上で判断をしていきたいと考えております。

大串(博)委員 繰り返し申しますけれども、ロシアを含めて国際社会が、総理や官房長官の発言、一挙手一投足を見ています。ああっと思うのか、あっ、これならと思うのか、瀬戸際ですよ。私は踏み込むべきじゃないかと思います。

 山際大臣にお尋ねしますけれども、かくのごとくいろいろな制裁措置が発動されていくと、当然、日本経済にも大きな影響が及んできます。その辺を官房長官、総理も考えていらっしゃるんだろうと思いますが、私は、極めて非人道的な国際法違反の安全保障の危機がウクライナに訪れている、そして日本にもアジアにも影響があり得るということを考えると、厳しい制裁措置も、日本の皆さんに対して、受け入れていただくということをきちんと説明しながら、理解を得ながら、やはりやっていく覚悟が必要だと思うんですよ。

 そのためには、山際大臣、どのくらい経済に影響が及び得るのかということをきちんと政府として考えながら、先手を打って、その経済的な日本に及ぶ厳しさに対して手を打っておく、備えておく、これは極めて大切だと思うんです。ところが、今のところは、燃料に関しては、今日、最大二十五円ということを決められるらしいですけれども、それ以外、何か全く聞こえてこないんですよ。

 日本としてこれだけ経済の苦境に対して備えるから制裁はやるぞというような、そういう経済面での備え、覚悟、見通し、こういったものが全く聞こえてこないんですが、山際大臣、しっかり語っていただけないでしょうか。

山際国務大臣 御指摘は大変重要なものだと思います。その上で、今、この状況が我が国の経済にどのような影響を及ぼし得るものなのかということについて、予断を持って申し上げられる状況にないということは、これは委員にも御理解いただいていることだと思います。

 その上で、委員からも言及がございましたように、エネルギーのことについては、今朝方、閣僚会議を開きまして、対策をするということも発表もさせていただきましたし、また、穀物等々についても、直接的な影響はないにせよ、この市場の影響は必ず及び得るだろうということも想像しながら我々としては動かなくてはいけないというふうに思っております。金融面においても、先般、日銀あるいは財務省等々が、しっかりと様子を見ながら、市場を見ながら適切に対応していかなくてはいけないというようなことも確認をさせていただいております。

 いずれにしても、我々としては、予見できるものは全て予見しながら、そして、万全を期さなくてはいけないという危機感を持ってしっかりと対応していかなくてはいけないと思っておりますし、また、透明性を持ってそれを国民に対して説明していく責任もあるというふうに考えております。

大串(博)委員 備えですよ、備え。備えをきちんとしておくということが大切だと思います。しかも、備えを含めて国民に説明をしておく、国民の皆さんにきちんと理解を求めて、こうなるけれども、でもこの平和と安全を守るためにはみんなで頑張ろうという姿勢をきちんと伝えるということが非常に大切だと思います。それが今のところ何もないから、私達は非常に心配しているんです。是非そこは心してお願いしたいと思います。

 時間がなくなったので、堀内大臣には質疑ができなくて本当に済みませんでした。またの機会、是非よろしくお願いします。

 質問を終わります。

上野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 先ほども話題に出ておりました現在のウクライナ情勢について、ロシアの武力を使った現状変更に対し強い非難をいたしますと同時に、ウクライナの平和が一日も早く訪れるために私たちにできることを模索し続けたいと思っております。

 現在、歴史は大きな転換点にいると強く感じております。私たち国会議員の責務は非常に重く、新人だろうと、できる努力をしていきたいと思っております。

 国連を始め世界の潮流として、WPS、女性・平和・安全保障、こういったものがございますけれども、これについて、野田大臣、御見解をお聞きしたいと思います。ウクライナの情勢、女性がリーダーになれば解決できる問題であったのか。また、視点が変われば何か新しい展望が見えるのか。こういったことをよろしくお願いいたします。

野田国務大臣 武力紛争が発生した際には全ての人の生活が脅かされますが、とりわけ、女性や子供、脆弱な状況にある人々がより多くの影響を受けることになります。まずは、そうした不均衡の影響を十分認識して女性の保護に取り組むことが重要だと考えています。

 また、安全保障における女性の参画については、米国の国際平和研究所の分析結果において、和平プロセスへの女性の参画により和平合意が十五年間持続する確率が三五%上昇することにつながるといったデータもあると承知しています。

 日本政府としてもこうした分析結果を重視しておりまして、外務省とも緊密に連携しながら、ウクライナ問題を始めとする国際社会における紛争発生時における女性の保護、和平プロセスや平和構築への女性の参画拡大にしっかり貢献してまいりたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 女性・平和・安全保障に関する第二次行動計画の方にも、同様に、女性はより強靱で持続可能な平和、安全保障を推進する主体であるという視点であったり、これらのプロセス、あらゆる平和構築、紛争解決、和解、こういった意思決定の場に女性がいるということを国際協力を通じて積極的に支援していく、そういった大切な場面で女性という政治家が必要とされているということも今回改めて考えさせられました。

 同じように、本日の一般質疑では、WPSでも議論されている家庭での暴力についてお尋ねしたいと思っております。

 先日の所信審議の方でも、家庭内暴力について取り上げさせていただきました。本日は更に深い議論をお願いしたいと思っております。

 現在、DV法の改正の議論を政府・与党内などでされているかと承知しております。そして、民法八百二十二条、懲罰権に関する議論も別途行われている。まさに、家庭内の暴力に関する法律が変わる、そして、この日本人の固定的な性別役割分担意識の変革に寄与すると期待される歴史的な転換点にあると思っております。

 一つ目の質問です。

 DVと児童虐待の関係性について、野田大臣、家庭内における暴力の相関性について御見解をお願いいたします。

野田国務大臣 内閣府の調査によりますと、子供のいるDV被害女性の約三割が子供への被害経験を認識しています。また、例えば児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は、児童に著しい心理的外傷を与えるものであり、児童虐待に当たります。

 DV被害者支援の観点からも、児童虐待対応の観点からも、両者が連携して対応することはメンタルケアも含めた被害者支援の上でも必要不可欠と考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 DV、児童虐待事案における関係機関の連携の調査にも、やはりDVと児童虐待、連携していく必要性が非常に語られていると思っております。

 では、内閣府が担当しているDV法改正の部分と、厚生労働省担当の児童福祉法や児童虐待防止法などの関係性をお願いいたします。

佐藤副大臣 まず、児童虐待防止法におきましては、子供が同居する家庭における配偶者への暴力など、子供に著しい心理的外傷を与える言動は子供に対する心理的虐待とされております。

 また、虐待を受けた子供が生育期に経験した家庭、家族状況の中に配偶者等へのDVも一定程度あることを示す調査研究もございます。

 また、社会保障審議会の専門委員会の報告書でも、配偶者等へのDVのある家庭では、加害者より被害者が社会や親族から孤立されてしまうこともあり、そのことが深刻な児童虐待につながる場合もあることも指摘をされております。

 そのため、厚生労働省としては、配偶者へのDVと児童虐待には一定の関連性があると考えておりまして、DVと児童虐待について連携して対応することが極めて重要であると認識をしているところであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 皆さん同じような問題意識なんだろうなと思っておりました。この質問を、問題意識の共有のためにさせていただいております。

 配偶者間の暴力も児童虐待も、対象が違うだけで問題の根源は同じであると認識しております。そして、DV被害者が虐待の加害者になってしまうという暴力の連鎖が起こっているという現実も、目の前にあるということでございます。

 今、日本維新の会の中で、子供の全人格的な成長、発達、健やかな生活をトータルで支える組織というものを考えております。子供や親、家庭、周辺施策に関する実務の一元化、そういったものを議論しているところでございますけれども、現状、DVの被害の方々、そして児童虐待事案に関して、本当の意味で現場で連携ができていると言い難い現状があります。ここにも縦割りによる弊害があるのではないか、連携、連携というところになっているのではないかという御指摘をさせていただきます。

 二つ目の質問に参ります。

 保護命令の対象になる精神的暴力についてお尋ねいたします。

 現在、DV法改正の中で検討されている保護命令の対象となる精神的暴力とはどういうものでしょうか。また、被害が精神的暴力のみの場合、どのようなタイミングで保護命令が出るのか、こういったことについてお尋ねさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

林政府参考人 現在、有識者の御意見を伺いながら、接近禁止命令と保護命令の対象となる暴力の範囲を、現行の身体的暴力から一定の精神的暴力等に拡大することなどについて検討を進めております。

 精神的暴力を接近禁止命令等の対象とする場合には、対象となる精神的暴力に該当する行為など、要件が明確になることが大変重要だと考えております。

 具体的な要件につきましては現在検討中でございますが、現行の対象であります生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと言える場合、又はそれと同視できること、また、要件である精神的暴力があったことについては、原則どおり、申し立てた側が主張、立証することになると考えております。

 更に検討を進め、対応を取りまとめてまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 今ちょうど、こういった精神的暴力の重大性の要件、これについて議論されている最中だとお聞きしました。そういう最中だからこそ、こういった質問を是非国会の場でもやらせていただきたいと思っております。

 夫婦げんか若しくは怒りの表出といったもの、一般的なパワハラやモラハラ、こういったものと違う、保護命令という、違反した場合に刑事罰を伴う精神的な暴力、こういった定義をしっかりと議論していなければ、一般的なパワハラとモラハラの延長線上に精神的な暴力があるという感じで、グラデーションのイメージが多分あると思います。この線引きをしっかりしなければ、刑事罰の部分の兼ね合いがありますので、非常に重大だと考えています。

 日本維新の会では共同親権についても党内議論を進めさせていただいておりますが、共同親権が成立するということは、精神的な暴力がない状態だということでなければやはり厳しいものなのではないかというふうに考えています。ということは、この精神的な暴力の重大要件というものが一体どういうものを指しているのか、ここが明確にならない限り、私たちは前に進むことができないのかなと思っています。

 そして、この要件を、今検討されているというのはよくよく分かっているんですけれども、一体、具体的にはどういうものがあるのかなというところをちょっとお聞きできればなというふうに思っていたんですが、それは難しそうですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと言えるような場合、又はそれと同視できるような精神的暴力ということで考えておりますが、具体的な要件については現在検討中でございます。

堀場委員 このグラデーションがどんどん濃くなっていくというところに関しては、早期の対応が必要になってくると思います。つまり、とても色が濃くなって、身体的にもう本当に駄目だ、もううつも進行してしまっている、本当に精神的な大きな障害を受けるほどの強いショックを受けている、ここから立ち直るには非常に時間がかかります。そこまでいかなければ私たちは救われる道がないのではないか、こういった議論もあるかと思います。早期に対応をするということが非常に重要ではないかと考えています。

 DV法の改正と加害者についての対応についてお尋ねいたします。

 DV被害者をそもそも救済する行政機関について教えてください。野田大臣、お願いします。(野田国務大臣「加害者ですか」と呼ぶ)ごめんなさい、まず、DVの被害に遭ったときに、一番最初に助けていただくにはどうすればいいのか。

林政府参考人 DVの被害を受けたときに駆け込む先、様々ございます。例えば身体的暴力であれば、警察というのがまずございます。さらに、配偶者暴力相談支援センターが全国三百か所にございます。こちらの方に一刻も早く御相談いただくのが御本人を守るために重要と考えております。

堀場委員 それとともに、児童相談所もあるかなと思っています。お母さんが、お母さんとは限りませんが、子供が被害に遭っていると同時に、どちらかの親が被害に遭っている場合もあるかとは思いますので、児童相談所などもその対象になるのではないかなというふうには考えています。

 配暴センターの方と、例えば児童相談所、例えば警察、こういったところの連携について、制度的な観点も含めて強化が必要ではないかというふうに思っているんですけれども、この連携のときの個人情報のやり取りというものも非常に重要になってくると思いますが、そこの迅速な連携が今取れているという状態にあるか、それについてもお願いしてもいいですか。

林政府参考人 まず、配暴センターと児童相談所の連携でございますが、令和元年六月に公布されました児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の中で、配偶者暴力相談支援センターと児童相談所の連携等が定められておりますが、逆に、この附則の中で、接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大等について検討を加えるという旨が定められたことなどを受けて、現在、配暴法の方も、有識者の御意見を伺いながら、法の見直しを進めている次第です。

 DV被害者支援の観点からも、また、児童虐待対応の観点からも、両者が連携して対応するということは大変重要なことだと思っております。

 このため、現在、私どもの中で検討しております配偶者暴力防止法の見直しの中でも、配暴センターと児童相談所、市町村等の関係機関の連携の枠組みについて検討を進めたいと考えております。

堀場委員 こども家庭庁の議論のときもそうなんですけれども、何でも連携という言葉がすぐにやはり出てくるかと思うんですね。

 今も、例えば学校の現場で、前回質問させていただいたときも言ったんですけれども、じゃ、学校とどこどこ、こことあそこ、連携していきます、これが現状うまくいっていないですよねと。その認識があるから、こども家庭庁をつくりますよね、一元化しますよねと私たちはずっと聞かされてきたかと思うんですね。でも、やはりここでも、子供の生命に関わることであっても、連携をしますというお答えになってきているのが、本当に私たちとしては、大丈夫かなという心配があります。

 この連携がうまくいっていれば、きっと問題は起きていないんです。だけれども、現状として子供の命が危険にさらされているということは、この大人たちの連携がうまくいっていないというふうに考えています。

 済みません、野田大臣、お願いしたいと思います。

 この連携について、やはり、こども家庭庁でも連携、確かに、総合的にいろいろ判断することができるように上に立ってやるんですよということも含めて、それも重々承知しておりますが、常にこの子供の施策のときに出てくる連携、連携というところなんですけれども、もしよろしければ御説明いただければなと思います。

野田国務大臣 今、虐待の話も出ましたので。最近、私が聞いてうれしかった話は、私の地元の岐阜県では、虐待児童が増えているということで、連携しようということで、この三月の終わりですか、警察とか子供関係の児童相談所、そういうところと本当に連携をして、要は同じ場所で仕事をする、そういうセンターをつくるということを発表していただきました。

 強制はできません。各地方自治体がどれだけ虐待に対して真剣に取り組むか、また、女性の性被害とかDVに取り組むかという温度差があると思いますけれども、実際には、そういうことをすると、より効果が、予防も防止もできるということをお伝えして、連携しているところは、その地方自治体はしっかり取り組んでくれています。ただ、これはあくまでも強制ではありません、命令でもありません。そこはやはり、皆様方にも地方自治体に働きかけていただくことも大事だと思います。

 しかし、実際に、文字どおりきちっと連携していただいたところはしっかりと効果が出て抑止につながっているし、そういう悲しい出来事を減らすことにかなっているということは明らかであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 今の野田大臣の具体例でいうと、やはり同じ場所で、そういう同じセンターができて、皆さんが顔を合わせて連携をするとうまくいく、これは要するに一元化だと私は思うんですね。ばらばらにいて、たまに会ってミーティングをして、じゃ、この子に対してこうしましょう、例えば、個人情報の観念があるから、ちょっとここのことは言えないよねと各々が思っているような、守秘義務を守っている会議では子供は守れない。でも、やはりそういうことを取っ払った一元化された同じ場所にいて、しっかりと同じ個人情報の中で共有をしてやれば連携はうまくいく。大人たち一人一人の連携はうまくいくという事例だったと私は思うんですね。

 なので、関係省庁が違って、縦割りが、前も縦割りはそんなに悪いことばかりじゃないんですよと私も言われましたので、確かにそうだなと思う部分もあるんですけれども、それが、じゃ、現状うまくいかないのは、その縦割りの壁が分厚いという意味なのかなというふうに最近理解しているところも、物によっては分厚いところもあるのかな、個人情報であったり守秘義務という点でなかなか突破できないものもあってのこの一元化、若しくは連携がうまくいっていないパターンなのかなというふうにも思っています。

 同時に、児童相談所の場合は本当に案件が多くて、もうぱんぱんになっているところがほとんどだというふうにお聞きしています。こういった大人たち側に何にも余裕がない状態の中で連携というものをしていっても、なかなか対応が難しいのではないかというふうに思っております。

 もう一つ御質問させていただきます。

 DV法の改正における加害者の対応について、現在の議論の論点を教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 加害者プログラムというものがございます。暴力を自覚していない加害者に対して、暴力であるということを自覚してもらう、動機づけをする、こういったプログラムでございます。

 この加害者プログラムについて、諸外国の例などを見ますと、加害者を強制的にプログラムに参加させるべきではないかという御意見がある一方、個人を強制的にプログラムに参加させることにつきましては、その対象となる加害者の範囲や、全国一律での実施体制の確保、あるいはプログラムの内容、実施方法、効果などを慎重に検討、検証する必要があるのではないかという御意見もあります。

 いずれにいたしましても、内閣府では、加害者プログラムにつきまして、本年春までに地方自治体で活用可能な基礎的なガイドラインを策定し、令和四年度には、それを踏まえた上で、地方自治体において民間団体と連携し、加害者プログラムの試行実施を行いまして、本格実施に向けたガイドライン等を策定することとしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 アメリカなどでは、軽微な犯罪等々でもアンガーマネジメントの受講命令が出たりとか、そういうふうな形で、命令としてこういった受講の命令というものがあります。

 私自身の仕事が、アンガーマネジメント講師というものもさせていただいておりまして、これは元々はアメリカの方では、受講命令が出たときに、二十四時間とか四十八時間とか、主にパワーハラスメント、モラルハラスメントだけではなく、怒って生卵を投げちゃった、こういった事案に関しても、犯罪であれば、アンガーマネジメント、感情のコントロールをしましょうねという受講命令が出るというふうになっております。

 多くの場合、DVのときですが、加害者は、子供時代に被虐待、虐待を受けていた、虐待被害者だったという暴力の連鎖が起こっている場合が多く見られると認識しています。その連鎖を断ち切るためには、加害者の脱暴力化プログラムの実施が必要だというふうに強く感じております。

 海外の事例、特にアジア、東アジアでも多くの国々がこういったプログラムを実施しております。もっともっと細かい状態でやっているかと思います。

 保護命令が出る、出ないではなくて、やはりこういった虐待を認知したときに、教育プログラムのみならず、精神療法、心理療法、依存症の治療、こういったものもやる以外にも、認知教育、ここが感情のコントロールになってくると思うので、私がやっているアンガーマネジメントになってくるとは思うんですけれども、こういったものが広く行われているというのが、東アジアの国々で行われていると承知しております。

 こういった海外の事例も参考にしながら、今回、日本でつくられている加害者プログラム、是非しっかりと構築していただきたいと思っています。

 先ほども言いました、家庭内のけんか、夫婦げんかから怒りの表出として強く出た、それが継続的に続いていってパワーハラスメントやモラルハラスメントになっていく、それが持続して本当に大きくなっていく、攻撃性が増していくことで精神的な暴力というふうになっていくグラデーションですので、早期の段階で、できればこういった被害の深刻化を予防する観点からも、早い段階で、例えば、違う国だと、親のプログラムみたいな形で、何も加害者だという必要なく、児童相談所に来た子供の親に対してやっていく、こういったこともやっている国もございます。

 いろいろなパターン、今見させていただいても多様なプログラムがあるかと思います。それを個に合わせて組み合わせてやっていくことで、その人に合わせた必要なプログラムがつくられるのではないかというふうに考えています。

 そもそも、加害者プログラムを受けようと自発的に思ってくれる人はいいと思います。けれども、課題は、治療を受ける気がない人、そして、多くのパワハラやモラハラの加害者の方々は、自分が加害だということにも気づいていらっしゃらない場合も多くございますので、その課題は、治療を受ける気がない人の場合だと考えています。

 保護命令対象者には必ず受講命令ができるようなシステムであるとか、加害者プログラムへの入口、何かそこに行くと私たちが変わるんだというような入口があるといいなというふうに思っています。

 この加害者プログラムについて、野田大臣、最後に何か、どういった方向性か教えていただければと思います。

野田国務大臣 任意参加による加害者プログラムについては、暴力を自覚していない加害者に対する動機づけや参加意欲の持続が困難であるために、加害者を強制的にプログラムに参加させる法制度の整備が必要であるとの意見もあると承知しています。

 一方で、個人を強制的にプログラムに参加させることについては、その対象となる加害者の範囲とか、また、全国一律での実施体制の確保、プログラムの内容や実施方法、効果等を慎重に検証、検討する必要があると思います。

 内閣府では、今、加害者プログラムについて、この春までに、地方自治体で活用可能な基礎的なガイドライン、これを策定して、令和四年度には、それを踏まえた上で、地方自治体において民間団体と連携し、加害者プログラムの試行実施を行い、本格実施に向けたガイドライン等を策定することとしています。

 その上で、令和五年度以降は、全国的な実施に向けて、地方自治体におけるガイドライン等を活用した実施状況を踏まえて、加害者プログラムの受講の在り方、全国での加害者プログラム実施体制の在り方について検討を行っていきます。

堀場委員 ありがとうございました。

 是非、今、多分つくっていらっしゃる最中だと思います。こういった場でもっともっと議論を深めていくことができればいいと思っております。

 本日はありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 松野官房長官、お忙しい中ありがとうございます。

 今週に入りまして核共有の議論が活発になっております。我が党も、昨日、藤田幹事長始め関係者が外務省を訪問申し上げて提言をいたしました。その中に、核共有の話も、しっかり議論はしましょう、政府も議論した方がいいよ、我々もするということで提言をさせていただいていますが、岸田総理そして松野官房長官も、皆様、いや、議論もしないんだ、こう明言をされておられます。

 なぜしないのか。議論した方がいいと私たちは思いますが、なぜ議論が必要ないのか。理由をおっしゃっていただきたいと思います。

松野国務大臣 足立先生にお答えをさせていただきます。

 非核三原則とは、唯一の戦争被爆国として、我が国の立場を踏まえ、核兵器を持たず、造らず、持ち込ませずとの点を歴代内閣が政策として明らかにしてきたものであります。唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現を目指すとの考えから、政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持をしております。

 この考え方に基づきまして、現内閣におきましても、政策上の方針として、議論はしないということをお訴えをさせていただいているところであります。

足立委員 非核三原則があるからという御説明と承りましたが、日本の安全保障に係る核をめぐる環境が二つの点で大きく変わってきています。これは外務省の股野参事官でも、いや、官房長官、できれば、所管を外れていくかもしれませんが、是非御見識を賜りたいと思いますが。

 要は、二つの点で環境が変わっているわけです。

 一つは北朝鮮ですね。大陸間弾道ミサイル、ICBM等で米国本土にリーチしかけている、しているのか、しかけているのか、ちょっと事実認定は私はよく分かりませんが、北朝鮮の核兵器がアメリカの本土を射程に入れ始めているという、まず一つあります。これはウクライナ危機と関係ありませんが、元々あります。加えて、今回、核兵器国であるロシアが核を背景とした威嚇、これをしてきているわけですね。この二つの点で、アメリカの核の傘、いわゆる拡大抑止をめぐる環境が激変しているわけです。

 拡大抑止をめぐる環境が激変している中で、なぜ、何か、非核三原則、私たちは非核三原則をすぐ見直すべきだと言っているわけじゃないです。議論しようと言っているんです。でも、その議論でさえ政府はやらないのであるというのは、私は、国民へのメッセージとして大丈夫かと。岸田内閣は大丈夫かと国民は不安に思います。

 議論はした方がいいと思うんですが、いかがですか。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。

足立委員 じゃ、松野官房長官に更問いをさせていただきますが、考えないと言っているのは、あらゆる核共有ですか。

 要するに、こういう議論があるんです。今、核共有というと、一九七〇年代だったかな、NATOが、五か国、今核共有をしているわけです。これは、いろいろな歴史的背景、あるいはヨーロッパの地政学の中で、いろいろな議論の中でニュークリアシェアリングをしているんですね。

 だから、私は、NATOと全く同じ核共有を議論せよというふうに言うつもりはありません。あれは一つのやり方なんですね。ヨーロッパと全く同じ議論をしてください、する必要があると全く言っていません。拡大抑止をもっと強固にするために、今、だって、大統領が替わるたびに、総理が替わるたびに、アメリカに行って、大丈夫ですかと確認しているわけですよ。ちゃんと守ってくれますかと。

 でも、今回のことで分かった。アメリカといえども、自国民を犠牲にしてまで、自国の経済を犠牲にしてまで本当に日本を守ってくれるか。それは守るということなんだけれども。それは、環境が激変しているんだから、だから、じゃ、核共有は考えない、まあ、それは百歩譲って、日米同盟の下での核の在り方、日米同盟の下での拡大抑止の在り方をより強化していく方策については検討すべきだと思うんですが、いかがですか。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 日米の拡大抑止につきましては、日米ガイドライン、二〇一五年四月に出たものでございますが、米国は、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供するというふうにしております。

足立委員 その考え方が本当に大丈夫かと。

 これは、松野官房長官、政府が考えないと言っている理由は、頭の整理としては、三つぐらい、概念を整理できると思うんです。

 それは、本当に考える必要がないから考えないのか。

 それを政府が言っちゃったら、日米同盟の拡大抑止の、外務省から御紹介があった今の日米の握り、合意、これに我が国から疑念を差し挟むことになるから、アメリカとの関係で政府は言えないのであるということなのか。

 あるいは、国民はそんなことを心配していないから、日本国民はそんなことを望んでいないから考えないのか。

 もう一回繰り返します。三つあると思うんです。

 日本を取り巻く安全保障環境の中で、そういう議論は必要ないのか。

 アメリカとの関係で、そこは議論するとは言えないのか。

 そもそも、ヨーロッパの場合は、ヨーロッパが核共有に踏み込んだのは、国民が心配だったからですよ。ヨーロッパの人々が不安がったわけです、大丈夫かと。ニューヨークとヨーロッパの都市を比べたときに、ニューヨークを犠牲にさらしてまでヨーロッパを守ってくれるのかということをヨーロッパの人たちが心配になったわけです。だから、どちらかというと、実質的な議論というよりは、ヨーロッパの人たちのために、ヨーロッパの人たちを安心させるために核共有したんです。戦略上、核共有が必要だったかどうか分かりません、それは。

 軍事上、必要なのか、必要だという議論。同盟国アメリカとの関係での議論。自国民が安心できるかどうかの議論。三つあると思います。

 今、政府が、岸田内閣、松野官房長官が議論もしないとおっしゃっているのは、その三つを踏まえると、どの辺に重心がある議論なのか。こっちの無理やりな整理ですけれども、ちょっと御指導賜れれば。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 抑止力としての考え方は先ほど参考人の方から申し上げたとおりでございまして、日米同盟を中心として抑止について考えているということでございます。

 核共有ということに関しての定義が定かに定まっているものではないと承知をしておりますけれども、先ほど申し上げたとおり、現在、日本における非核三原則に基づけば、この核共有といった議論は、現状においては、政府としては行わないということでございます。

足立委員 では、非核三原則に抵触しない形での核共有というのが、概念ができるとしたら、ありですか。

松野国務大臣 ちょっと質問の趣旨が私の方が理解できない点もあるのかもしれませんが、仮定のお話には、差し控えさせていただきたいと思います。

足立委員 時間、来たね。ということで、時間が来ましたので終わります。

 官房長官、ありがとうございました。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 ロシアによるウクライナの侵略は極めて重大であります。ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略を糾弾をし、ロシアの軍事行動の中止を強く求めるものであります。

 国連憲章では、主権の尊重、領土の保全、武力行使の禁止などを加盟国に義務づけており、ロシアの行動は国連憲章違反の侵略であります。核兵器で世界を恫喝するようなことを許してはなりません。ロシアの侵略を抑えるために、国際社会が一致して行動するときであり、経済制裁を始めとして、一番大事なのは国際世論を大きく広げていくということ、ロシア非難決議が過去最多の賛成百四十一か国で上がったということも極めて重要で、プーチンは侵略をやめよ、国連憲章を守れ、こういう一点での団結、国際社会の共同を進めていくということが求められていると思います。

 その上で、今、核共有の議論が出ておりますが、非核三原則を国是とする日本で、このような議論は容認できません。日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協も、核共有の議論を掲げた日本維新の会の提言の撤回を求めております。核兵器の廃絶こそ日本が目指すべき道であり、その国際的な世論と運動の前進が生み出した核兵器禁止条約に日本が参加をする、この方向こそ求められているということを述べておきます。

 そこで、今日は、保育士や学童保育指導員の賃上げ政策について、野田大臣にお尋ねをいたします。

 岸田首相の下で、公定価格の抜本的見直しといって、診療報酬、介護報酬、子ども・子育て支援新制度の公定価格など、賃金の原資が公的に決められる労働者の賃上げを掲げました。国が責任を持って賃金格差を是正をし、賃上げを実現する取組を行うということが極めて重要であります。

 そこで、この取組の状況なんですけれども、月額九千円、三%の賃上げを図るという保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況についてであります。申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そもそも申請しなかった自治体の数、これが分かるでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の処遇改善に係る交付金につきましては、御承知のとおり、第一回、一月二十八日、第二回、二月二十一日を交付の申請の期限としておりました。

 現在、二月二十五日までに保育所等について申請があった市町村数でお答え申し上げますと、九百九十市町村で申請がございました。そのうち、公立の保育所を対象に賃上げを行う予定としている市町村につきましては三百三十一市町村となってございます。

 なお、二月二十一日の交付の申請の期限は、緩やかに、少し遅れてもいいですよというふうに申し上げておりましたので、現在でも順次受け付けているところでございますので、申請をしなかった市町村数というのはちょっと現時点でお答えができないということでございますけれども、今の集まり具合を見ますと、最終的には、都道府県レベルでは全都道府県から申請をいただけるというふうな見込みは立っております。

塩川委員 申請しない自治体数も一定数あるということなんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 第二回の二月二十一日の交付の申請の期限というふうなことを緩和をいたしまして、今現在もまだ受け付けておりまして、来ておりますので、四十七都道府県からの申請はそろうだろうというふうに思っております。

 ただ、そこの中身をよく見てみたときに、じゃ、各都道府県レベルで全市町村がその中に入っているかどうかということについては、現時点でその市町村数をお答えすることは難しいですが、今精査をしているところでございます。

塩川委員 是非、申請していただきたい、賃上げの努力をお願いしたいと思っているわけですけれども、一定数の自治体で手を挙げないという話も聞いております。そして、申請した自治体数九百九十に対しても、公立公営で行うと言っているのはその三分の一の三百三十一しかないんですよ。公立の施設については申請の対象外にしているという状況があるということです。

 大臣にお尋ねしますが、これは余りにも少ないんじゃないのか、今後どうするお考えか、この点についてお答えいただけますか。

野田国務大臣 数字の方は先ほど参考人から答弁がございました。現在、順次申請を受け付けているところです。

 申請した市町村数が少ないかどうかについては一概には言えませんけれども、今後の状況をよく見ていきたいと考えているところです。

塩川委員 一概に申し上げにくいというふうにおっしゃいましたけれども、一つは、そもそも手を挙げていない自治体があるんじゃないかというところは、ちょっと数が分からないので、今の段階では、そういうのが少なくなることを求めていきたいと思うんですけれども、申請した自治体のうちで、民間の方はやるんだけれども公立についてはやりませんというのが三分の二もあるんですよ。それは余りにも少ないんじゃないかと思うんですが、そこの点についてはどうですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 申請があった、保育所、九百九十自治体のうち、公立保育所を挙げておられる市町村でいえば確かに三百三十一という状況でございます。

 公立保育所につきましては、給与俸給表ですとか、条例若しくは規則、様々な条件がございますし、一概に自治体の地方公務員の方の給与についてどうすべきというふうなことを我々の方から申し上げることは難しいですけれども、地方公務員の保育所についても積極的に検討いただきたいということは総務省と連携をしながらお知らせをしております。

 そういったことから、具体的に、先行して公務員について賃金を上げようとしておられる具体的な例も少しずつ分かってまいりましたので、そういった具体例を示しながら積極的な検討をお願いをするというふうなことを現在続けております。ただ、一義的には、最終的には、各自治体の御判断で、自治体自治体の給与の実態なども踏まえながら適切に御判断をいただくべきものというふうに考えてございます。

塩川委員 是非、前に動くように取り組んでいただきたいと思っているんですが、今後の対策ということで、大臣、お考えになっていることがあれば是非お示しいただけませんか。

野田国務大臣 今、参考人から対策を含めて話があったんですけれども、なお、公立施設の職員の賃金改善については、先ほど申し上げたとおり、内閣府としては具体的例を示しつつ積極的な検討を依頼するなど取組を行っているんですが、重ね重ねになりますが、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨をしっかり理解していただいた上で適切に御判断いただく、そういうふうに考えているところです。

塩川委員 実態は思ったよりも少ないという状況で、是非ともこれを促す取組が重要だと思います。

 もう一つ、放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況について、申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そして申請しなかった自治体の数、分かるでしょうか。

藤原政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、申請があった市町村数は七百七十八市町村、これは同じく二月二十五日現在でございます。そのうち、公立の放課後児童クラブを対象に賃上げを行う予定としている市町村数は二百四十九ございます。

 なお、最終的に申請をしなかった市町村数は、先ほどと同じ状況ですので、まだ今も、現在受付中でございますので、申請しなかった市町村数ということをお答えすることは現時点では困難でございます。

塩川委員 放課後児童支援員、学童クラブの指導員の方というのは、本当に子供に接した、専門職としてのお仕事を務めておられる方です。しかし、実態はワーキングプアと言われるような深刻な処遇の状況ということ、ここを大きく改善をするということこそ必要だと思うんです。

 この取組というのは非常にまだまだ不十分ではないかなと思うんですが、その点についての評価と、どうするのかということについて、大臣から答弁を求めたいと思います。

野田国務大臣 放課後児童クラブの支援員の方、本当によくやっていただいて感謝をしております。

 この処遇改善については、先ほど申し上げた保育士等の処遇改善と同様に、まず、昨年十二月の都道府県等説明会の実施、そして概算による申請も可能であることの周知、さらに、事務連絡による公立施設の取組の具体例を示した上での積極的な検討の依頼など、取組をずっと行ってきたところであり、引き続き周知徹底に努めてまいります。

 今後の取組、さらに、その上で、内閣府においては都道府県を通じて補助金の交付申請の状況や申請をしていない市町村の意向把握をしっかりしてまいりたいと考えています。

 これは繰り返しですけれども、公立施設の職員の賃金改善については、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨を理解していただいた上で適切に御判断いただくものと考えています。

塩川委員 総務省にお尋ねします。

 昨年十二月に総務省が発出をした、公的部門、保育等における処遇改善事業の実施状況についてというのが、これは一見すると会計年度任用職員に関する通知に見えるわけですね。やはり常勤職員、しっかりとこういった賃上げの対象なんだということをはっきりさせているわけですから、常勤職員への活用を促すような働きかけをしっかり行う必要があるんじゃないかと思うんですが、その点について総務省から御答弁を求めたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 内閣府における今般の処遇改善事業では、地方公務員の常勤、非常勤職員共に事業の対象となっていることを承知しておりまして、このことを踏まえて、総務省から昨年十二月二十四日付で発出した通知では、会計年度任用職員である保育士に限らず、常勤の保育士も含めた取扱いについて記載しているものでございます。

塩川委員 その辺で常勤職員をしっかりと賃上げにつなげていく、こういった立場で、総務省として、その趣旨が伝わるような新たな通知を出すとか、一工夫するということは是非行っていただきたいと思うんですが。

山越政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、昨年十二月二十四日付で発出した通知の対象は、会計年度任用職員のみならず、常勤の保育士も含めたものでございます。

 その上で補足をいたしますと、会計年度任用職員につきましては、職務経験や保育業務の専門性が考慮されておらず、給与水準が低い場合があるなど、多くの地方公共団体におきまして本事業を活用しての処遇改善について検討いただくべく余地があることが想定される一方で、地方公務員法上の常勤の保育士につきましては、一般行政職と同様の給与体系である地方公共団体が多く、全国平均で見ますと、民間保育士と比べると給与水準が高くなっている状況にございます。

 総務省としては、こうした全体的な状況認識の下、この通知による助言を発出したところでございます。

 いずれにしましても、地方公務員に係る本事業の活用につきましては、地域の実情に応じまして、各地方公共団体において、地方公務員法に基づき、各地域における民間等との給与水準の均衡も踏まえ、適切に御判断いただきたいと考えております。

塩川委員 全国平均で見ると給与水準が高くなっているというのは、ちょっと私は受け止め難いんですけれども、実際、施設の調査で行ったときでも、民間と公務の保育士の賃金の差というのはほとんどないんですよ。そういう点では、一般の全産業に比べても極めて低いというのが保育士の置かれている状況ですから、そういった改善こそ必要だと思います。

 最後に、大臣にお尋ねします。

 今回の処遇改善の臨時特例事業というのは、申請期限が二月からの賃上げ実施を前提にしたものとなっています。ですから、この現状のままで推移すると結局やらないままで終わるようなところが多くなりはしないのかという懸念があるので、是非、これで打切りにしないで、これからでも賃上げに参加できるようなスキームを具体化をする必要があるんじゃないのか。この点について是非対応を求めたい。

野田国務大臣 今回の処遇改善の交付金については、令和四年度に市町村から国に対して、令和三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としています。

 一方、今回の令和三年度の補正予算による処遇改善は、昨年十一月の経済対策において、民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、本年二月から前倒しで実施することとしたものであることから、市町村が国に対していつ交付申請を行うかにかかわらず、私立の施設は二月分からの賃金改善を年度内に実際に行っていただくこと、公立施設は二月分からの賃金改善を行う条例案等を年度内に議会へ提出していることという補助要件としています。

 内閣府ではこれまでも、二月十七日に市町村に対して事務連絡を発出して、市町村からの国への交付申請については、管内の施設における処遇改善の実施見込みを基に概算による申請を行うことも可能としていることや、第二回申請期限である二月二十一日までの申請が難しい場合には個別に御相談いただきたいことも周知するとともに、補助金を活用して公立施設の処遇改善に取り組む市町村の具体例を示したところであり、引き続き、交付金の申請状況等を見つつ、積極的な検討を行うよう働きかけてまいります。

塩川委員 公的価格の抜本的見直しと強調している国、公的に賃金が決まるこういったケア労働者の皆さんの賃上げを大きく図るというところで踏み出すということは極めて重要であるわけで、自治体からの財政負担を求める声もあるといったときに、それにしっかりと応える、対応策の検討も行うということを強く求めて、質問を終わります。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 ありがとうございます。初めて質問に立ちます。れいわ新選組の大石あきこです。

 この内閣委員会において、私は、やるべき政策を訴えたいです。過去二十五年間、コロナの前から実質賃金は下がり続け、景気も、欧米と比べて回復していません。ガソリン税をゼロにすることや消費税の廃止、社会保険料の軽減など、所得を増やして個人消費を支えること、安定した雇用と賃上げが不可欠だと考えます。

 しかし、本日は六分しかないので、やってはならない政策、カジノの問題に絞って御質問します。

 日本のカジノ、IRについては、国内三か所を上限に、自治体が誘致を進め、自治体が申請してきた整備計画を基に国が認定するという手続になっています。現在、大阪府市のほか、和歌山県、長崎県が手続を進めています。しかし、このカジノは、今まさにやってはならない政策です。

 国は、IR推進法を二〇一六年に制定し、カジノとは直接言わずに、IR、すなわち統合型リゾートという名前で推進を図っています。しかし、このIRの収益全体に占めるカジノ部門の収益は八割から九割を占めると言われています。

 IRというのは、ばくちで泣いた人が多いほどもうかる、矛盾した巨大ビジネスです。もうかるも地獄、もうからなくても地獄なんです。

 まずは、もうかる地獄の方についてお尋ねします。

 カジノのカニバリゼーション効果、共食い効果というものが知られています。例えば、住民さんがカジノで十万円すってしまった、でも、この十万円は、カジノですっていなければ地元で遊んだかもしれない、食事したかもしれない、子供に使ったかもしれないお金です。

 このカジノの共食い効果について、国は具体的な推計や検証を行ったことはありますか。イエスかノーかでお答えください。

泉田大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、IR整備法上の、IRの整備につきましては、自治体の総意に委ねられているということであります。

 経済的な効果については、具体的には各地方自治体が事業者とも相談しながら算定をするものということになりますので、国といたしましては、計画に盛り込まれたIRの経済的効果、これについてしっかりと審査をしてまいりたい、このように考えております。

大石委員 本当にしっかり審査していただきたいんですね。

 私の地元の大阪でいえば、この共食い効果は計画では見込まれておりません。どの自治体も、カジノで年間数千億円の売上げを見込んでいるんですけれども、それだけ共食いの影響も大きくなるものです。

 静岡大学鳥畑教授によると、ある推計では、共食い効果はカジノ収益の六割、その分、地元の消費が落ち込み、小売業や飲食業が淘汰されるということでした。

 次に、もうからない方の地獄についてお尋ねします。

 国がIR推進法を制定したのは二〇一六年です。コロナも起きていなかった。ウクライナ情勢など、世界の激変も想定外だったはずです。人の流れやお金の流れは以前より大きく制限されています。この状況は、IRの収益にとって大きなマイナス要因と思いますが、いかがですか。イエスかノーかでお答えください。

泉田大臣政務官 IRの整備の効果について、先ほど自治体の総意と言ってしまいましたが、発意ということですので、済みません、訂正をさせていただきます。

 その上で、IRの収益につきましては、現在、IRの整備、これが、二〇二〇年代の後半、このスタートを目指して、各地域が現在、事業者の選定作業を行っているという状況であります。

 したがって、IRの収益が、世界の現状がこのような形で、どのような形で変化しているのか、マイナス要因になるのか、場合によってはリバウンド需要の可能性というのもありますので、現時点において定かな見通しを申し上げるのは難しいかなというふうに考えております。

大石委員 IR推進法を作ったのは国なんですよね。だから、この情勢変化を受けて、こうだよという方向づけを示すのも国の責任ではないでしょうか。誰がどう考えても、人は来ないでしょう。

 大阪市でも、IRでMICEビジネスがどうなるか見えない、そのようなことは認めているんですけれども、やはり走り出したら止まりません。工事費や人手がどんどん持っていかれます。このような地獄をいまだに推進しているのはおかしい、だから国がストップするべきだと考えています。

 私の地元大阪の話をお伝えします。維新府政、市政が、四月二十八日までの国の認可申請に躍起になっているんですね。カジノ業者が、コロナが収束して観光需要の回復に見通しが立つまで協定を結ばないと言っている状況なのに、二千億円を超える工事を強行しています。突っ走っているがゆえに、大阪市は住民に情報を隠しています。

 資料をお示しします。パネルの一です。これです。これは、夢洲まちづくり構想のときのカジノの、IRの経済波及効果、一兆円程度あるということなので、その根拠となる基データを情報公開請求したものですが、このように黒塗り、非公開でした。えっ、質問時間が終了。

 あと一枚あるんです。

 ほかにも、直近のIR計画、これはコロナ後のものですけれども、同じように経済波及効果の基データを求めたところ、全部を公開しないということでした。これらの状況で、住民の十分な合意形成と言えるわけがないですよね。

 お尋ねします。住民合意なき認可はするべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

泉田大臣政務官 国の立場なんですけれども、自治体からの申請につきまして、計画の認定の可否を判断する立場にございます。したがいまして、個別自治体をめぐる状況についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論で申し上げたいと思います。国に申請するに当たりましては、法律に基づきまして、地域の理解を得るため、様々な手続が定められております。適正に手続が行われたかどうか、しっかり確認をさせていただきたいというふうに思います。

大石委員 大阪においては、コロナの、住民合意が言えるわけないんですよ。コロナで、十一回の住民説明会を八回で終わらせています。このことも考えて、認可はやめていただきたい。そして、本来の経済に回帰すべきときです。この国に生きる……(発言する者あり)

上野委員長 静粛にお願いします。

大石委員 必要な生産を行い、それを住民が享受するような経済に回帰するべき。これはカジノではありません。

 今後も、質問の機会をまたいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

上野委員長 この際、御報告いたします。

 去る令和三年八月十日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出があり、議長より本委員会に参考送付されましたので、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

上野委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 去る令和三年八月十日の一般職の職員の給与についての報告、勧告及び公務員人事管理についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁川本裕子君。

川本政府特別補佐人 人事院総裁の川本裕子でございます。

 人事院は、令和三年八月十日、国会及び内閣に対し、国家公務員給与の改定の勧告、国家公務員育児休業法の改正についての意見の申出及び公務員人事管理の報告を行いました。

 本日は、これらの概要について御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。

 まず、給与に関する勧告、報告について御説明いたします。

 月例給につきましては、公務と民間の令和三年四月分の給与を比較した結果、民間給与との較差が極めて小さかったことから、月例給の改定は行わないことといたしました。

 また、特別給につきましては、公務における年間の支給月数が、令和二年八月から令和三年七月までの一年間の民間の支給割合を上回ったことから、〇・一五月分引き下げ、年間四・三月分とすることといたしました。

 このほか、定年の段階的引上げを受けた今後の給与制度の見直しに向けて検討を進めてまいります。

 続きまして、公務員人事管理に関する報告について御説明いたします。

 この報告では、国家公務員が置かれている課題を明らかにした上で、それらに対する具体的な取組の方向性について示しております。

 近年、公務員志望者が減少し、若手職員の離職も増加する中で、人材の確保は喫緊の課題であり、新規学卒者の確保、育成に加え、官民の垣根を越えて時代環境に適応できる能力を有する人材を誘致することが不可欠と考えております。また、職員が意欲を持って全力で勤務できる環境の実現のため、幹部職員などが組織マネジメントに真摯に取り組むことや、長時間労働の是正、勤務時間制度の柔軟な運用を通じたテレワークの活用などの働きやすい勤務環境の整備が求められております。

 このような課題認識を踏まえ、公務志望者の裾野拡大に向けた取組を強化するほか、様々な専門分野の民間人材を確保できるように各府省を支援します。

 良好な勤務環境の整備につきましては、長時間労働が大きな課題となっておりますので、まず行政部内での是正に向け各府省への指導を一層徹底してまいります。また、業務量に応じた要員を確保する必要性について指摘をしております。

 さらに、国会対応業務の改善を通じた長時間労働の是正が喫緊の課題との声が多くあります。行政部内でも最大限の取組を行ってまいりますが、今回の報告においては、国会などの一層の御理解と御協力のお願いをさせていただいたところです。お力をおかしいただければ幸いに存じます。

 このほか、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討を行ってまいります。

 また、勧告に合わせて、男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進のため、育児休業の取得回数制限を緩和するよう、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出を行うとともに、非常勤職員を含め、妊娠、出産、育児等と仕事の両立を支援するための措置を一体的に講ずることとしております。なお、この措置のうち不妊治療に係る通院等のための出生サポート休暇の新設などは、本年一月一日に施行しております。

 以上、令和三年の勧告、報告、意見の申出の概要について御説明いたしました。

 上野委員長を始め理事、委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、この勧告を実施していただくとともに、意見の申出の実現のために所要の措置を取っていただければありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

上野委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

     ――――◇―――――

上野委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。二之湯国務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二之湯国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 令和三年八月十日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり、期末手当の支給月数について、年間〇・一五月分を引き下げることが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。なお、令和三年度の引下げに相当する額については、令和四年六月の期末手当から減額することで調整を行うこととしております。

 続いて、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じて引き下げ、令和三年度の引下げに相当する額については、令和四年六月の期末手当から減額することで調整を行うこととしております。

 続いて、国家公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、令和三年八月十日の人事院の意見の申出に鑑み、国家公務員の育児休業の取得回数の制限を緩和するとともに、行政執行法人の非常勤の職員について介護休業の取得要件を緩和するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、一般職の国家公務員及び防衛省の職員について、職員が同一の子について育児休業をすることができる回数を、特別の事情がある場合を除き、現行では一回までとされているものを二回までとすることとしております。

 また、当該育児休業の回数には、現行では子の出生の日から人事院規則で定める期間内にする最初の育児休業を含めないこととされているものを、当該期間内にする二回目の育児休業についても含めないこととすることとしております。

 第二に、行政執行法人の非常勤の職員について、介護休業の取得要件のうち、一年以上の雇用期間の要件を廃止することとしております。

 このほか、施行期日について規定するとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

上野委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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