衆議院

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第9号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 阿部  司君

   理事 國重  徹君 理事 平林  晃君

      赤澤 亮正君    東  国幹君

      伊東 良孝君    石橋林太郎君

      金子 俊平君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      大串 博志君    堤 かなめ君

      中谷 一馬君    本庄 知史君

      山岸 一生君    浅川 義治君

      奥下 剛光君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)     牧島かれん君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   財務副大臣        岡本 三成君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           辻  貴博君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           近藤 知尚君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  緒方 禎己君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    楠  芳伸君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            田原 泰雅君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            尾崎  有君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   篠原 俊博君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   菅原  希君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     石橋林太郎君

  和田 義明君     東  国幹君

  足立 康史君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     和田 義明君

  石橋林太郎君     石原 宏高君

  奥下 剛光君     足立 康史君

同日

 理事足立康史君及び平林晃君同日理事辞任につき、その補欠として阿部司君及び國重徹君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事足立康史君及び平林晃君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      阿部  司君 及び 國重  徹君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

上野委員長 内閣提出、情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府規制改革推進室次長辻貴博君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沼正二郎君。

平沼委員 おはようございます。自由民主党の平沼正二郎でございます。

 まず冒頭、ウクライナ情勢がまだまだ先を見通せない状況でございますけれども、改めて、ロシアによる侵略に対して最大級の非難をいたすとともに、日本も、この事態に対して、対岸の火事として捉えるのではなく、我が国にも同様のことが起こり得る危機と捉え、ウクライナに対する支援をより一層取っていけるよう、私も尽力をしてまいる所存でございます。

 さて、本日は、情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案、いわゆるキャッシュレス法に関して質問をさせていただきます。

 政府も、デジタル庁が中心となり、日本のデジタル化推進に取り組んでいただいておりますことに、改めて感謝と御礼を申し上げます。

 私は、前職は、仲間とともに立ち上げたIT関連のベンチャー企業の代表を十五年ほど務めておりまして、その際に、やはり日本のデジタル化の遅れを、業界にいる者として、肌で感じてきておりました。そのような中、デジタル庁の創設に関しては、大いに期待をしているところでございます。

 さて、本法案は、国の歳入等の納付について、キャッシュレス納付を可能とする法案であると認識をしておりますけれども、利用者にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、そしてまた、現状、様々なキャッシュレス決済手段があると思いますけれども、どの程度まで対応していくのかなどの指針があるのか、教えていただけますでしょうか。

牧島国務大臣 現場を御存じの委員から激励のお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 本法案は、国の歳入等の納付について、従前認められていた現金等の納付方法に加えて、インターネットバンキングやクレジットカード決済等によるキャッシュレス納付を可能とするものでございます。これにより、納付方法の選択の幅が広がって、利用者の利便性の向上を図るものです。

 具体的なメリットとしては、自宅や最寄りのコンビニなどで納付が可能になりますので窓口に赴く必要がなくなること、各決済サービスが提供している時間内であればいつでも納付が可能となること、窓口でキャッシュレス納付を利用する場合でも、現金を用意する必要がなく、印紙の購入、貼付けの手間が省けることなどのメリットを利用者に享受いただけるようになるというふうに考えております。

 キャッシュレス決済手段でございますこの種類については、本法案では、インターネットバンキング、クレジットカード、電子マネー、二次元コードなど、様々な決済手段への対応を可能としています。そのうち具体的にどの決済手段を導入するかについては、当該決済手段の普及状況、実施に要する費用、利用者のニーズ等を勘案し、費用対効果の精査を十分に行った上で、納付手続を事務として所管する各府省庁において個別に判断するものとしています。

 多様な決済手段を確保することは国民の利便性の増進に寄与するものでありますし、デジタル庁としても、その推進に向け、各府省庁における導入の後押しをしてまいりたいと存じます。

平沼委員 大臣、ありがとうございます。

 日本はなかなか、やはりキャッシュレスに関しての利用促進がまだまだできておりませんけれども、裏を返せば、中国などと違って、現金通貨への信用度が非常に高いということが言えるのではないかと思っております。

 改めて、日本貨幣への国民の信頼の高さを認識いたしておりますけれども、しかしながら、利用がなかなか進まないというのは、やはり、キャッシュレスへのセキュリティーの不安であったりとか、まだまだそういったところの不安が払拭し切れていないという側面もあるのではないかと認識しておりますので、引き続き、デジタル庁主導での意識向上等にも努めていただければ幸いでございます。

 続いての質問でございますけれども、この法案では、キャッシュレス納付を可能とする歳入等は各省庁が主務省令で定めるとしておりますけれども、具体的にはどのような歳入等を予定しておりますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車検査登録手数料、旅券発給手数料、登記関連手数料及び交通反則金につきましては、クレジットカード決済による納付の導入に向けた具体的な検討が進められているものと承知をしております。また、交通反則金につきましては、コンビニ決済の導入につきましても検討が進められているものと承知をしております。これらの手続は、年間支払い件数が百万件を超える手続でございまして、規制改革推進会議において先行して検討がなされた経緯のあるものであります。

 また、これらの手続のみならず、年間の支払い件数が一万件以上の手続につきまして、可能なものから速やかに、インターネットバンキング、クレジットカード決済等のキャッシュレス化に取り組むなどの方針を閣議決定しておりまして、件数が多く国民の利便性の向上に大きく資すると考えられるものから順次取り組んでいくこととしております。

平沼委員 ありがとうございます。

 いろいろなものを検討されているということで、また、やはり、二十四時間三百六十五日いつでも納付ができるようになれば、国民の皆様の利便性は飛躍的に向上するかと思います。払い忘れていたということに気づくのは大体一日前だったりとか土日であったりということが、私、個人的にもよくありますけれども、今後も様々な分野における歳入等のキャッシュレス納付対応が広がっていくことを私も期待を申し上げます。

 続きまして、先ほどの対応予定の歳入の中での質問なんですけれども、導入検討中事項、交通反則金については令和六年度末以降順次と聞いております。かなり、時間が少しかかっているんじゃないかなという感覚なんですけれども、このスケジュール感になってしまう障壁が一体何があるのか教えていただけますでしょうか。

楠(芳)政府参考人 お答え申し上げます。

 反則金のクレジットカード決済等による納入を導入するためには、警察庁に納付情報を管理するシステムを新たに構築し、これに各都道府県警察の交通取締り情報を管理するシステムを接続した上で、連携して運用する必要がございます。

 これらのシステムの整備につきましては、令和六年度末から運用開始を予定しておりますマイナンバーカードと運転免許証の一体化に向けた運転者管理等システムの整備を踏まえて実施することが、運用面、コスト面の観点から適当であると考えております。また、警察庁の反則金納付情報を管理するシステムの整備とともに、都道府県警察のシステムを順次、改修、接続することを想定しております。

 そのため、反則金のクレジットカード決済等による納付につきましては、令和六年度末以降の順次導入ということを予定しておりますが、国民の利便性向上等の観点から、可能な限り早期に実現できるよう取り組んでまいります。

平沼委員 御回答ありがとうございます。

 マイナンバーカードと運転免許証の連携に関して、これが絡むということでございますので、現状、地方がそれぞれ独自のシステムを立てられていることもありまして、これを一度やはり共通のものとして再構築するというのがシステム上非常に複雑なことであるというのは理解をいたしました。

 システム構築でよくあるのが、私の経験上もよくあることが、やはり、要件変更とかシステムの再構築とかをいろいろ繰り返すと、結果的に汎用性が非常に低いものができ上がってしまうということが間々あることでございまして、こういった観点からも、最初のシステムの要件の定義というのはやはりしっかり行っていただき、確実なシステム開発推進を是非ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 続いての質問に参ります。

 既にクレジットカードの納付を導入している国の歳入等においては、クレジットカード事業者に支払う決済手数料の負担を、利用者に求めている場合と、国が負担している場合があると承知しておりますけれども、本法案の対象となる歳入における決済手数料の負担者について、やはりデジタル庁において統一的な方針を示すべきではないかと考えておりますけれども、デジタル庁のお考えをお聞かせください。

篠原政府参考人 国の歳入等納付に関しまして、決済手数料を国と利用者のいずれが負担するかにつきましては、個々の歳入等の性質等に応じ、各省各庁と受託者の間の契約等でその取扱いを決定しているものと承知をしております。

 本法案におきましても同様に、対象とする歳入等の性質等に応じ、基本的には、各省各庁と指定納付受託者の間の契約等でその取扱いを決定することになるものと考えておりますけれども、本法案は、国の歳入等の納付方法の選択肢を拡大し、キャッシュレス化をより一層進展させる観点からクレジットカード決済を制度的に可能とするものでありますので、各府省におけるキャッシュレス化の取組について、デジタル臨時行政調査会、規制改革推進会議などを通じてフォローアップをし、デジタル庁として、こうした取組を通じて各府省と連携し、決済手数料の負担の在り方についても検討してまいります。

平沼委員 ありがとうございます。御回答いただいた方針に従って是非進めていただければと思っております。

 続いての質問でございますけれども、指定納付受託者の指定に関して、適切かつ確実に実施できる者となっておりますけれども、どのような基準をもって判断を行うのか、現段階で想定をしておりますか。また、例えば、指定業者のデータをやり取りするシステムが過去に脆弱性がなかったのか、そういったところまで調べるのかという部分と、サーバーの冗長化、こういった部分がされているかなど、何をもって指定にかなうものとしてデジタル庁の方で判断されるのかを教えていただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、納付事務を適正かつ確実に実施することができる者を指定納付受託者として指定することとしておりまして、その具体的な要件につきましては政令で定めることとしております。政令で定める指定納付受託者の要件につきましては、納付事務を適切かつ確実に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること等を定めることを想定をしております。

 御指摘のような、システムの脆弱性が運用に支障を生じさせることがないような手当てがされていること、またサーバーの冗長化がされていること等につきましては、指定納付受託者として指定を受けようとする者が納付事務を適切かつ確実に実施するに足りる技術的な基礎を有するかを判断する上で、考慮要素になり得ると考えられるところであります。

 安全かつ安心なシステムにより運用がなされることは指定納付受託者制度の根幹に関わるものでありまして、指定納付受託者の選定におきましてもこれらの要素が適切に考慮されるよう、デジタル庁としても注視をしてまいります。

平沼委員 御回答ありがとうございます。

 本法案は、パスポート発行など、多くの国民の皆様に重要な手続も対象となっております。また、現状、日本においては様々なキャッシュレスサービス業者も出てきております。想定され得るシステムトラブルなど、あらかじめよく御検討いただいて、指定納付受託者の指定にも引き続き、御回答いただいた内容等にも注意を払っていただければと思っております。

 本法案に、日本のデジタル化が少しでも進むことを、重ねて御期待を申し上げます。しかしながら、冒頭も申し上げましたけれども、まだまだやはり日本のデジタル化は遅れているかなということが否めない事実であると思っております。

 例えば、三月九日、アメリカにおいては、バイデン大統領が、暗号資産、いわゆる仮想通貨に関する大統領令に署名したとの報道がございました。これは、デジタル通貨であったり、米国においては、いわゆる今後のデジタルドルに関して本格的に検討せよという動きであると私も捉えております。

 これには様々な背景があると認識しておりますけれども、やはり大きなものの一つとしては、中国のデジタル人民元発行、こういった動きがございます。こうした基軸通貨の新しい覇権争いと言われるものが進展してくる中で、日本も早急に議論を進めていかなければ、やはり、またしても新たな時代の流れから後れを取ってしまうという事態の可能性もございます。

 デジタル通貨、またフィンテック、こういったものに代表されるものを通して、デジタル庁の更なる、そして大胆な躍進に対して期待とお願いを込めまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず冒頭、ウクライナに関しまして、私の方からも申し上げたいと思います。

 UNHCRの発表によれば、ウクライナからの避難民は、昨日時点で二百九十万人ということで、ベトナム戦争の二倍を超える数に上っております。先日も公明党として提言を政府に対していたしましたが、人道支援また受入れ支援に全力を挙げていただくとともに、このロシアによる軍事侵攻を停止をさせるべく、国際社会が一致をして取り組むよう日本政府としてしっかり役割を果たしていただきたい、このことを強くお願いを申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 本日は、いわゆるキャッシュレス法案についての質疑ということでございます。

 まず、海外と我が国のキャッシュレス決済率の比較をいたしますと、一位が韓国の九四・七%、二位が中国の七七・三%、そして日本は十位で二四・二%ということで、後れを取っております。

 その理由として、ある専門誌のアンケートでございますけれども、一つは、利用できないお店がある、あるいはシーンがある、また二つ目に、キャッシュレスにネガティブなイメージがあるなどが挙げられております。結論からいえば、やはり利用環境の面でキャッシュレス決済のメリットが感じにくい国なのかな、それが現時点での日本の立ち位置なんだろうというふうに思っております。

 その意味で、今回、これまで現金あるいは収入印紙しか認められなかったものも含めて、国のあらゆる歳入等を対象にキャッシュレス納付を導入する本法案の意義、これは、セキュリティーを大前提といたしますが、大変高く評価されるべきだと思いますし、新しくできましたデジタル庁の役割、これが国民に伝わっていく一つの契機になるんだろう、このように思っております。

 そこで、本日は、このキャッシュレス法案が施行された場合のメリットについて確認をさせていただきます。

 まず、国から指定され納付者から委託を受ける指定納付受託者、具体的には、電子決済サービス提供事業者、クレカ事業者のことですね、あとはコンビニ事業者などになりますけれども、この指定納付受託者になると、システム改修などのコストもかかる一方で、幾つかメリットもあると承知をしておりますけれども、これについて簡潔に政府の御見解を伺います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 指定納付受託者として指定を受ける事業者は、納付者から委託を受けて納付事務を遂行するに当たりまして、決済手数料等の一定の収益が得られると考えられます。

 また、各省各庁の長が、納付事務を適正かつ確実に実施することができる者を指定納付受託者として指定をし、その名称等を公示をすることによりまして、指定を受ける事業者は、そのような評価を各省各庁の長から受けた者として、一定の社会的評価や信用が得られることも考えられます。

河西委員 ありがとうございます。

 その上で、キャッシュレス化が進めば、従前の行政コスト、例えば現金納付を扱う窓口の人件費なども、これも間違いなく減らせると考えております。この行政コストの縮減、本法案の政策目的として置いているのか、これも簡潔に政府の御見解を伺います。

篠原政府参考人 本法案によりまして、インターネットバンキングやクレジットカード決済等によるオンライン納付が可能となります。これによりまして、利用者の利便性の向上に加えまして、行政窓口での対応時間の削減などの業務効率化、ひいては行政コストの縮減にも資すると考えております。

河西委員 ということで、行政はコスト縮減、指定納付受託者は社会的信用の向上と収益、当然、納付者である国民も、外出の手間が減り、今、コロナ禍では感染リスクの低減などのメリットがある、いわゆる三方よしの法案であるというふうに思っておりまして、その上で、私自身、国民の皆様から御負託をいただいた一人として、やはり大切なのは、国民、納付者のメリット、これが一番大事なんだろうというふうに考えております。

 そこで、本法案が行政コストの縮減につながるのであれば、その恩恵を納付者の皆様に広く還元をしていく、具体的には、将来的に手数料の低減あるいは手数料ゼロも御検討いただきたいと思いますけれども、お考えを、御決意を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

小林副大臣 河西委員のこれまでのお話も含めて、全く共感するところばかりだというふうに思っています。

 そういう点でも、昨年末に閣議決定をしたデジタル社会の実現に向けた重点計画で、このような縮減効果を前提に、「各府省庁は、利用者がオンラインにより手続を行った場合の手数料等の減額の検討や適切な手数料等の設定を行う。」というふうにしております。

 例えばですけれども、無人航空機、ドローンの登録手数料のように、キャッシュレス納付の場合には手数料の減免措置を講じているというふうな事例もありますので、デジタル庁としては、各府省にこういった事例を共有しながら、手数料等の減額の検討や適切な手数料等の設定を促していきたいと思いますし、先ほど河西委員がおっしゃっていただいたように、やはりこれは行政も、オンラインで手続をしていただくと全てデジタルで完結をし処理も自動化できる、こういうことも体験することになるというふうに思っています。その中で、やはり、システムへの投資額に比べて縮減額が大きくなってくれば、まさに手数料というのは見直すことができるよな、こういう感覚を広げていく、そういう機会にしていきたいというふうに思います。

河西委員 前向きな御答弁、また、これまでの経緯も含めまして御教示いただきまして、ありがとうございます。是非、国民の皆様が実感できる政策の推進、我々もしっかり後押しをしてまいりたいと思います。

 その上で、本法案に関連しまして二点伺いたいと思います。

 一点目は、事前にチャージして支払うSuica、WAON等の前払い式支払い手段でございます。これは、これを使って国庫への納付は可能かということを念のため確認をしたいわけであります。

 というのは、この前払い式支払い手段を使用できる要件、これは、資金決済法の第三条でこのように記載されております。「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの」と規定をされているわけであります。つまり、物を買ったりサービスの提供を受ける際に支払う支払いに使えることができる。

 これを踏まえまして、金融庁はこれまで、国税、地方税、またふるさと納税、これを前払い式支払い手段を使って支払うことが可能との回答を公表しているんですが、例えば、今回、キャッシュレスで可能になる反則金の納付、これが役務提供の代価と解されるかどうか。本来は支払いたくないものでありますので、一見すると分かりにくいわけであります。仮に、本法案が施行されても、Suicaは駄目となってしまうと、ちょっと実効性が低減されてしまうのかなという懸念もございます。

 そこで、国庫への納付はいずれも、この前払い式支払い手段、Suica、WAONとか、あとPASMOとかですね、で支払うことが可能か否か、また、可能なのであれば、特例的になのか、それとも法の下の通常のスキームとして可能ということなのか。事業者の皆様にも予見可能性を与えるためにも、政府の見解を確認をさせていただきたいと思います。

尾崎政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、金融庁では、一般的な解釈として、前払い式支払い手段により国税、地方税及びふるさと納税を支払うことは可能であると公表しているところです。

 資金決済法上、物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるものが前払い式支払い手段の要件の一つとされており、この役務の提供の中には公共サービスの提供も含まれると整理しております。

 国税以外の国の歳入等の納付についても当該要件に則して判断されるものと考えられ、例えば、道路交通法上の交通反則金について、資金決済法上、前払い式支払い手段により支払いを行うことは可能であると考えられます。

 いずれにせよ、国の歳入等の国庫への納付については、先ほど申し上げた資金決済法上の要件を満たす場合には、同法上は前払い式支払い手段による国庫への納付が可能であると考えられます。

 今般の法律案によれば、前払い式支払い手段を含む情報通信手段を利用する方法により納付を行わせることができる国の歳入等については、各省各庁において主務省令で定めるものと認識しております。

河西委員 分かりやすく法の解釈を御説明いただきまして、ありがとうございます。

 二点目は、これも国民の皆様の関心事かと思いますけれども、キャッシュレス納付を行った際のポイントの付与をめぐる考え方について確認をさせていただきます。

 既に、キャッシュレス納付が可能なケースにつきましては、国庫負担ではなくて事業者負担で、〇・五パーから一パー程度のポイントが納付者に還元をされているというふうに承知をしております。これがキャッシュレス化を後押しするインセンティブになってきた側面もあるわけでございます。

 ただ、一部に、支払い方法の違いで不公平が生じてはならないとの議論があるということも、事業者の皆様との意見交換で伺いました。

 そこで、念のため確認をいたしたいのは、あくまでキャッシュレス化を推進しているデジタル庁としては、このキャッシュレス納付をめぐるポイント付与、これについては、各省庁にしっかりグリップをしていただいて、後押しをしていくという方針でよろしいかどうか、これは大臣の御所見を是非伺いたいと思います。

牧島国務大臣 まず、一般論としてでございますが、キャッシュレス納付の際のポイント付与、これは利用者がキャッシュレス納付を選択するインセンティブになっているだろうというふうに認識しています。

 ポイントが付与されるかどうかやその具体的内容についてはキャッシュレス決済事業者が会員規約等で定めているところでございますが、それぞれの納付手続を所管する各府省庁がどの指定納付受託者を選択するかは、それぞれの手続の利用者のニーズやコスト等を踏まえて各府省庁が判断することになります。

 一方で、デジタル庁としては、デジタル原則を掲げております。そして、デジタル臨時行政調査会もあります。規制改革会議などにおいても、しっかりとキャッシュレス化の導入状況についてフォローしてまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 あくまで民民の選択の中で行われるということで、その上でデジタル庁の方針も確認をさせていただきました。大変にありがとうございます。

 今確認をさせていただいたメリットの一方で、やはり御高齢の方、また障害者の方など、キャッシュレス決済が困難な方々もいらっしゃいます。誰一人取り残されないデジタル化、この理念の下、十分な配慮もお願いをしたいことをつけ加えさせていただきまして、その観点で、本日は、デジタル推進委員について、ちょっと併せてお伺いをさせていただきます。

 昨年二月の、第三回デジタル田園都市国家構想実現会議、ここで牧島大臣から御提出のありましたデジタル推進委員に関する資料、本日、皆様のお手元にもお配りをさせていただいております。横A4判のパワーポイントのものでありますけれども、御高齢者などに対して講習会などでスマホの使い方を教えてくださる方々を募集し、大臣が、現状は無報酬で委嘱する方向で検討をされているというふうに伺っております。

 その上で、一点懸念をされるのが、この資料には、デジタル推進委員の募集対象に税理士、行政書士、あと社労士などの士業の方々が列挙をされている点でございまして、あくまでこれは主観なんですが、正直、士業の方々に無報酬で御協力いただくのは結構ハードルが高いのではないかということも思っているわけであります。

 というのも、例えば、昨年の月次支援金、また今回の事業復活支援金などの申請を審査する際の事前確認、これを、登録確認機関として、一件最大二千円という事務手数料をお支払いすることを前提に、中小企業庁の方から税理士さん、また行政書士さんなどの皆さんにお願いをしたわけでありますけれども、実情を伺いますと、既存のクライアントならまだしも、新規の場合は到底割に合わないというお声を聞いております。こうした方々にただでスマホの講習会を御担当いただきたいというのは、ちょっと難しいのかなということも懸念をいたします。

 これを踏まえて、本日改めて御提案を申し上げたいのが、スマホをどの世代よりも使いこなしている大学生あるいは専門学校生などの学生の皆さんに御協力を呼びかけてはどうかということでございます。

 大事なのは、インセンティブとして、デジタル推進委員として携わったエビデンスも公的に発行していただいて、例えば就職活動でアピールできるような仕組みも是非考えていただきたいと思います。

 また、これは、これからの日本で大変重要になってくる世代間の交流にも大きく資するのではないかというふうに考えております。

 学生の皆さんのデジタル推進委員への参画について、是非、大臣のお考えを伺いたいと思います。

牧島国務大臣 貴重な御助言、誠にありがとうございます。

 デジタル推進委員は、デジタルに不慣れな方たちが講習などに参加をするときにサポートしてくださる方と、また、講習に参加することをちゅうちょされている方にお声がけをしてくださる方々なども含め、青年団体等にも御協力をいただこうと考えております。そして、ボランティア活動をされている方などにもお声がけをいただきながら、協力をお願いしたいと思っておりますし、そういう意味では、今、デジタルに詳しい学生さんにも関わっていただく場面があろうかと思います。

 委員御指摘のとおり、世代間を超えた交流ということも大変重要な観点だと思いますので、しっかりと検討しながら、誰一人取り残されないデジタル社会に向けて推進していきたいと存じます。

河西委員 大変前向きな御答弁、また、現状の検討の状況を御教示をいただきまして、大変にありがとうございます。

 公明党といたしましても、やはり、デジタルはあくまで手段でございまして、この手段をいかに使いこなして、あらゆる世代、あらゆる状況の方々の生活また経済を豊かにするのか、この目的の達成が何より重要であるというふうに考えております。

 そのためにも、デジタル庁におかれましては、的確なニーズの掌握とインセンティブの付与、これを基軸にしっかりと政策の推進をお願いを申し上げたい、そのように申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、デジタル納付法の質疑ということで、何点か内容について確認をさせていただきたいと思っております。

 まずは、よく、多くの議員の皆様そして納税者の皆様が恐らく今気にしている手数料について伺いたいと思います。

 キャッシュレス決済を行う事業者の収入は主にこの手数料でございますが、決済方法によって手数料率というのは異なります。低いものでいうと一%台、高いものですと五%から六%のものがあるそうでございますが、今回、国への様々な納付をこのキャッシュレス決済を活用する中で、この手数料を誰が負担するのか。そして、手数料の公平性といいましょうか、余りばらつくと、結局のところ、特定の手段に集中をしてしまうことになり、利便性が思ったほど確保できないというような事態にもなりかねません。

 この手数料率の在り方、そして、誰がどのように負担するのかについて、政府の考え方をお聞かせください。

牧島国務大臣 手数料についての御指摘でございます。

 従来、国の歳入等の納付に関し、決済手数料率や国と利用者のいずれが負担するかについては、当該歳入等の納付金額や納付件数、性質等に応じ、当該納付手続を所管する各府省庁と決済業務を受託する者の間の契約等により、その取扱いを決定しているものでございます。本法案においても同様に、対象とする歳入等の性質などに応じ、基本的には、納付手続を所管する各府省庁と指定納付受託者の間の契約等により、その取扱いを決定するものと考えております。

 各府省庁におけるキャッシュレス化の取組については、デジタル臨時行政調査会、規制改革推進会議などを通じてフォローアップすることとしておりまして、こうした取組を通じて、各府省庁と連携して、決済手数料の率やその負担の在り方についても検討してまいりたいと存じます。

浅野委員 非常に一般論的な答弁だというふうに感じましたが、やはり大事なのは、納付方法によらずに手数料負担というものがある程度均一化される状態というのがもちろん望ましいわけであります。当然ながら、民間事業者が行うものですので多少のばらつきは許容されるべきなのかもしれませんが、その辺りに対する政府の考え方というのは、今後、是非しっかりと打ち出していただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間の関係から、次の質問に移らせていただきます。

 次の質問なんですが、滞納者に対する適切な徴収の在り方について伺いたいと思います。

 今回の法律案では、指定納付受託者が、委託者、つまり納付する人から国に納めるべき金銭を受領できない場合、指定納付受託者と委託者との間の問題として処理されることになる。つまり、これまでは、納めるべきものを納めなければ、それは国が督促をして徴収をしていたわけですけれども、これからは、キャッシュレス決済事業者が国に納めた後は、後はもう納付者とキャッシュレス決済事業者との間の問題として処理されるべきものだというような内容になっています。

 そうなると、やはり、納付者そしてキャッシュレス決済事業者、それぞれが不利益を被る可能性がございますし、その辺りの徴収手続の在り方についてはしっかりと国がリードしていくべきではないかなと思うんですが、これに関する国の考え方、指針などがあれば教えていただけますでしょうか。

牧島国務大臣 納付の委託を受けた指定納付受託者は、本法案に基づき、国に納付義務を負い、これを怠った場合は滞納処分の例によって国から徴収されます。他方、指定納付受託者と委託者との関係は、契約上の問題として処理されることになります。

 本法案では、委託者である納付義務者が指定納付受託者に委託して納付できるよう、指定納付受託者に対し指定日までに納付すべき義務を課すとともに、指定日までに納付したときは、委託を受けた日に遡って納付がされたものとみなすという法的効果を創設しています。あわせて、指定日までに納付しない場合の必要な措置についても規定しているものでございます。

 一方で、指定納付受託者と委託者である納付義務者の関係は、元々、クレジットカード会社などの事業者と当該クレジットカードなどの利用者との関係として契約で定められております。したがって、指定納付受託者が委託者から国に納めるべき納付額を受領できない場合というのは、民間取引において委託者から支払いを受けられなかった場合と同様であり、当該契約上の請求権に基づいて、当該契約で定める手段で解決することになります。

浅野委員 ありがとうございました。

 次の質問ですけれども、今、大臣、答弁の中でしっかりと、指定納付受託者が国に納めることというのをおっしゃっていましたけれども、指定納付受託者というのが、おおむね、事前の認定のときに経営状況であったり適切な運営の要件を備えているかどうかというのはチェックされるものだと思いますけれども、万が一倒産などをして支払い能力がなくなってしまった場合も、この法案では想定されているわけです。

 そこで気になるのは、望ましくない状況ではありますが、そういう事態が起こったときに、指定日までに指定納付受託者が国に対して納付をできなかった、つまり延滞が発生してしまった状態で、その延滞の理由は一義的には指定納付受託者にあるわけですけれども、最終的には、納付すべき委託者が徴収を受けることになっております。

 そのとき、この延滞金のようなものを、じゃ、委託者が負担すべきなのかどうかというところが気になるところでして、この点に関して、この法案での考え方、是非、御説明をいただきたいというふうに思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本法案第七条では、指定納付受託者が納付義務者から委託を受けた歳入等を指定日までに納付をしない場合、各省各庁の長は、まずは指定納付受託者から徴収することを定めることで、納付義務者の保護を図ることとしております。

 その上で、本法案第六条第四項ただし書では、歳入等に係る延滞金その他の歳入等の納付の遅滞に係る徴収金に関する他の法令の規定の適用につきましては、指定納付受託者が指定日までに当該歳入等を納付したかどうかにかかわらず、委託を受けた日に歳入等の納付がされたものとみなすというふうに規定をしております。

 したがいまして、納付義務者が納付期限までに納付の委託を行い、指定納付受託者がこれを受託した場合には、指定納付受託者による納付が遅延したとしても、それに伴う延滞金その他の歳入金の納付の遅滞に係る徴収金の支払い義務が納付義務者に課されることはないところであります。

浅野委員 明確なお答え、ありがとうございました。

 では、続いての質問になりますが、指定納付受託者の要件について確認をさせていただきたいと思います。

 ちょっと今私が懸念しておりますのは、キャッシュレス決済のデータというのはいわゆるビッグデータでございまして、そこから様々な、例えばライフスタイルですとか経済的な水準ですとか、いろいろな情報を予測することができます。やはり、サイバーセキュリティー対策と言えばいいのかもしれませんが、こういったところに気を配りながら指定納付受託者を認めていくことというのは大変大事だろうというふうに思います。

 例えば、中国のサイバーセキュリティー法では、中国政府によるデータへのアクセスや、中国国内でのデータ保管義務、越境移転規制などが定められているというふうに聞いております。

 やはり、サイバーセキュリティー上の観点から、指定納付受託者の選定に当たっては、やり取りのデータがしっかりと管理されている、セキュリティーが確保されているというのが大前提だと思いますけれども、改めて、指定納付受託者に求める要件、特にサイバーセキュリティーの観点からどのような要件を考えているのか、伺いたいと思います。

牧島国務大臣 御指摘のとおり、本法案において、指定納付受託者の具体的な要件は政令で定めることとしており、政令で定める要件については、納付事務を適切かつ確実に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有することなどを定めることを想定しています。

 指定納付受託者として指定を受けようとする者がこの要件を満たすかを判断する上で、今御指摘ありました情報セキュリティーの確保についても考慮要素となり得るというふうに考えております。

 安全かつ安心なシステムにより納付事務の運用がなされることは指定納付受託者制度の根幹に関わるものでありますので、指定納付受託者の選定においてもこれらの要素が適切に考慮されるよう、各府省庁と連携して取り組んでまいりたいと存じます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今年、この国会では警察法も改正されて、サイバーセキュリティー対応をする部署も新設されるなど、いろいろやはり国際情勢を考えてもこうした対策が非常に重要になってくると思いますので、特に、国に対する納付のプロセスでこういったキャッシュレス決済を活用するということ、既に始まっておるところもありますけれども、改めてしっかりとこの要件の具体化というのはお願いしたいと思います。

 次、最後の質問になりますが、今回キャッシュレス納付の対象となる手続の範囲についてお伺いしたいと思います。

 規制改革推進会議というのがございますが、この中の規制改革推進に関する答申において、手続件数が年間一万件以上の手続などについてキャッシュレス納付を導入するよう答申をしています。

 ただ、私も政府の資料を読んでいたときに、例えば資格取得の際の申請手続、これは今回キャッシュレス納付ができるようになったものもあるんですが、この資格についてはキャッシュレス納付ができます、でも、この資格についてはできませんみたいなことになるのではないかなということを懸念しておりまして、この一万件以上か以下かという基準が本当にいいのか、やるんだったら全て対象にしてしまってもよいのではないかというふうに思うんですね。

 経産省の中では、一万件以下であっても独自でオンライン申請を進めるような動きもあるというふうに聞いておりますので、是非、キャッシュレス納付の普及に向けて、この一万件という基準を見直すべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 まず、件数の多いものから順次取り組むことが適当という考えの下、一万件以上の手続についてということで、インターネットバンキング、クレジットカード決済等のキャッシュレスによる納付に取り組むという方針が出されているところでございますが、もとより、これらキャッシュレスによる納付を導入するべき手続が年間一万件以上のものに限られるものではないというふうに考えております。しっかりと費用対効果を踏まえつつ、デジタル臨時行政調査会、規制改革推進会議などにおいても、キャッシュレス化を更に推進していきたいということを申し上げておきます。

 そして、利用者にキャッシュレス納付対象手続が分かりやすいものとしてしっかりと示されるように、本法案第十二条では、各府省庁では、対象手続をインターネット等により公表することというふうにもしております。

 こうした取組も推進する中で、キャッシュレス納付の普及を図ってまいりたいと考えております。

浅野委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 キャッシュレス法案について質問をいたします。

 本法案は、国の行政手続での納付において、当該手続に関する法令の規定にかかわらず、各府省庁の判断でインターネットバンキングやクレジットカード、電子マネー、コンビニ決済などによる支払いを可能とするものであります。

 大臣にまず確認ですけれども、この法案は、従来の現金や印紙による支払いを廃止するものではなく、支払いに係る国民の選択肢を増やすもの、そういうことでよろしいでしょうか。

牧島国務大臣 本法案は、従来の現金や印紙による納付方法を廃止するものではなく、納付方法の選択肢を増やすことで利用者の利便性の向上を図るものであります。

塩川委員 国民、利用者の選択肢を増やすということであります。

 同時に、このようなキャッシュレスにおきまして、システム障害の影響の問題が懸念をされます。

 一昨日、国税電子申告・納税システム、e―Taxに接続障害が起きて、昨日も障害が継続をしているということもありました。確定申告書が送信しにくい状況となっているということでした。

 このように、システム障害が起きたときに、今回の法改正による納付に伴い納付者が不利益を被ることがないようにどのように対応するのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

牧島国務大臣 システム障害が生じて指定納付受託者が納付することができない場合において、これがやむを得ない理由に該当すると認められる場合には、今回のe―Taxの事案もそうでございますが、制度所管官庁において納付期限を延長するなどの必要な措置が取られるものと考えております。

 また、指定納付受託者が主務省令で定める指定日までにシステム障害等により納付することができなかった場合においても、主務省令で必要な対応が取られるよう、デジタル庁として主務省令のモデル例を作成して、各府省庁において必要な対応を取っていただけるように働きかけてまいりたいと存じます。

塩川委員 納付者にとって不利益がないような、そういう措置に万全を期していただきたいと思います。

 今回の法案は、デジタル庁が発足して初めての法案ということでもあります。改めて、デジタル庁の組織の在り方について質問をいたします。

 昨年、赤石デジタル審議官や向井IT総合戦略室室長代理、そして平井デジタル担当大臣らがIT大手のNTTから接待を受けていたことが問題となりました。赤石デジタル審議官らは処分を受けました。

 また、デジタル庁の前身であるIT総合戦略室が関与したオリパラアプリをめぐって、IT室の幹部職員らが他社の見積り内容を別の会社に漏らしていたことや、このシステム発注によって、システム開発に関与した幹部職員自らが利益を得ようとしていたことなどが問題となりました。国民の疑念を招く官民癒着が懸念される事態があります。

 そこで、デジタル庁の組織構成について質問をいたします。

 デジタル庁の実員は何人か、総数及びグループ別の人数を示していただきたい。

山本政府参考人 お答えいたします。

 令和四年一月一日における、デジタル庁におけるグループ別の職員の数をお答え申し上げます。

 四つのグループを設けておりまして、戦略・組織グループが二百二十六名、デジタル社会共通機能グループが百七十七名、国民向けサービスグループが七十五名、省庁業務サービスグループが八十八名となってございます。

塩川委員 四つのグループの上にも組織があるわけですけれども、総数で何人かを教えてもらえますか。

山本政府参考人 合計いたしますと五百六十六名ということになるものでございます。

塩川委員 四つのグループで五百六十六、四つのグループの合計。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げた四つのグループの数字を足し合わせたものが五百六十六名でございます。

塩川委員 デジタル監やデジタル審議官やCDO、CPOとか、そういった人を含めると総数で何人かを確認したいんですけれども。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル監始め幹部を加えますと五百七十六名になるものと存じます。失礼いたしました。

塩川委員 何か八月末の時点で五百九十人ほどと聞いているんですけれども、まあ六百人ぐらいの人数ということで。ちょっと、グループ別で聞くとごちゃごちゃしますので、もう一回、トータルの数字で教えてほしいんですが、その六百人近くのうち民間出身者の人数が何人か、それは総数でいいので、常勤と非常勤の別で教えてもらえますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 事前の御質問がグループ別だったので、まずグループ別でお答えを申し上げたいと思います。

 まず、戦略・組織グループにおきましては、民間出身者の数として、常勤職員の数が三名、非常勤職員の数が四十八名。デジタル社会共通機能グループでは、常勤職員が一名、非常勤職員が九十二名。国民向けサービスグループでは、常勤職員が五名、非常勤職員が三十三名。省庁業務グループは、常勤職員の数が一名、非常勤職員の数が十一名。

 常勤職員については合計が十名、非常勤については百八十四名、足し合わせて百九十四名と承知しております。

塩川委員 六百人中、民間の方が二百人ということで、その民間の方の大半が非常勤職員ということであります。

 この職員のうち、兼業している方というのは何人ぐらいなんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員や常勤の民間出身職員も含めたデジタル庁の職員のうち、民間企業と兼業していたり、また、これに加えて、官民人事交流制度に基づき民間企業から交流採用されていたり、また、無償で団体役員の地位に就いている方など、これらの方々がおられまして、これらを含めて、民間企業と一定の関係を有する職員の人数として、私どもとしては約百七十名というふうに承知しております。

塩川委員 その方々は、兼業が可能な非常勤の職員、民間出身の非常勤職員の方がその大半ということでよろしいでしょうかね。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員からの御質問は、民間企業から給与を得ている方がどの程度かという数かと思いますけれども、今申し上げました約百七十名につきましては、先ほど申し上げましたように、民間団体で無償で役員となっている方、またフリーランスで自ら事業を営んでいる方、こういった方を全て含んでいる数となっておりますので、その内訳については把握をしてございません。

塩川委員 そうすると、兼業している民間の非常勤職員のうち出向元企業から給与をもらっている人はどのぐらいか、そういうのは把握していませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御質問の形では把握をしてございません。

 繰り返しになりますけれども、民間から来られている職員で、民間企業との関係については様々な形がございますので、今委員御指摘の形を含めて幅広く把握をしているものが、先ほど申し上げました約百七十名ということになってございます。

塩川委員 昨年、オリパラアプリをめぐる騒動の中で、デジタル庁の調達ガバナンスについて報告書もまとめ、対策も取ったわけであります。

 こういったデジタル庁の調達ガバナンスの一環として、民間人材の採用時に兼業先の情報などを登録させることになっているわけですよね。ですから、出向元企業から給与を得ているかどうかというのは、これは把握しているんじゃないですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、私ども、入札制限等のルールをデジタル庁で設けておりまして、それに関連する形で、民間の職員をデジタル庁に採用する際に、今委員御指摘のとおり、兼業先については登録を求めております。

 先ほど、登録を求めている内容については、非常勤の職員として民間企業と兼業している場合もあれば、フリーランスの方もあれば、例えば団体で無償で役員になっている方、これらを幅広く登録していただくこととしておりますので、この間の区別、内訳については今現在把握をしておりませんで、全体として把握をしているという状況でございます。

塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、デジタル庁の調達において、利益相反を防ぐ観点から、採用時に利益相反行為に関与しないという誓約を提出をし、出身企業には入札制限を行うとされているわけですよね。

 そういった際に、その出向元企業からどの程度の給与を得ているのか。つまり、デジタル庁で働いているお給料よりも民間からもらっているお給料が多いということだって当然想定をされるわけで、そういったときに、出向元企業から給与を得ているということでは公務の公正性に疑念が生じるのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

牧島国務大臣 民間企業では大変幅広い知見をお持ちの方もおられますので、こうした人材の知見を積極的に活用することは必要であると考えておりますが、一方で、今御指摘あったとおり、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分留意をするということも必要だと考えております。

 民間から採用された職員についても、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されております。

 また、公正な予算執行を確保していくことは当然でありますので、調達の公平性を確保するため、調達に関与する職員の兼業先等企業及びその親会社、子会社は原則として当該調達案件への参加を禁止するとする独自のルールを設けております。

 こうした取組を行いつつ、公務の公正性に疑念が生じる事案の発生防止に努めてまいりたいと存じます。

塩川委員 今、出身企業については入札制限を行うという話もありましたけれども、出身企業と情報のやり取りをしないと誓約すれば適用除外として応札を認めるという抜け穴もあります。

 昨年九月のデジタル庁のコンプライアンス委員会では、入札制限制度の適用除外について、委員の方から、企業が本当に落札したいという案件であれば、誰が誰とどのような接触したかは隠蔽するであろうし、容易にできてしまう、不公正性を疑われる状況を避けるため、入札に参加する可能性が高い企業の兼業職員は最初から携わらないなど、調達業務に関する問題点を指摘する意見があったということを真摯に受け止めるべきだと思います。

 時間が参りましたので。調達に関するルール、極めて抜け穴がある、不十分ではありますけれども、そもそもデジタル庁におけるデジタル政策立案への関与に関する規制のルールがないんです。だから、企画立案についていろいろ民間ベースで要望なりがあるような場合について、それを規制するルールがない、そういうところこそしっかりとルールをつくる必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

上野委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、キャッシュレスに関連をする様々な省庁の政務の方にお越しをいただきました。私、個人的には、牧島大臣、小林副大臣、同世代の政治家でありますし、非常に期待を持っているところでございます。その中で、本日お越しをいただいた各省庁のまさにこのキャッシュレスを推進する方々との意見も交えながら連携をしていただいて、デジタル化をしっかりと進めていただきたいということを思っております。

 その中で、私の方からは建設的に、皆さんにとって少しでもプラスになるような提案を交えながらお話をさせていただきたいということを思っておりますので、是非、真摯に受け止めていただき、御答弁をいただければということを思っております。

 まず冒頭、私からは、行政手数料のキャッシュレス法案のKGI、KPIについてのお話をさせていただきたいと思います。

 経済産業省の方では、民間最終消費支出の約二百八十八兆六千億円を分母といたしまして、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済の合計額八十五兆八千億円を分子とした、KGI、KPIとなるようなものを設定をしておりまして、現在のキャッシュレス比率は二九・七%としている現状があります。そして、今後、二〇二五年までにキャッシュレス決済比率を四〇%程度、そして将来的には八〇%にしていきたいという目標を掲げているとのことでございます。

 こうした中で、この行政手数料のキャッシュレス決済比率については現時点においてKGI、KPIは定めていないという説明を受けておりまして、いつまでに何をどのように達成していくのかということが分からない状況になっています。

 本法案において、キャッシュレス決済の対象となる手続は主務省令で定めることとなっており、どの手続を対象にするかについては所管省庁に委ねられています。この状況は、所管省庁が仮にキャッシュレス決済に消極的である場合に関しては普及が進まない可能性があるんじゃないかということを懸念を持っています。

 そこで、まず牧島大臣に伺わせていただきますが、行政手数料が発生する手続に関する各省庁の総数、総額を、実態をしっかりと把握をしていただいた上で、どの手続を対象としてキャッシュレス化をどの程度進めるのかということに関してKGI、KPIを定めた方が、目標が明確となって、この法案の狙いとなるキャッシュレス化を横串で横断的に推進することにつながるんじゃないかなということを思っているんですが、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 国の行政手続における政府としてのキャッシュレス決済比率といった目標値の設定については、政府全体の成長戦略などの中で検討していくべきものだろうというふうに受け止めております。

 実際に検討がなされる際に参考になると思われるもの、例えば、既にキャッシュレス決済を導入している納付手続等において掲げられているキャッシュレス比率、これは国税ですと令和七年度末までにキャッシュレス納付比率約四割程度というものを目標としているわけですが、こうしたものを参考にするのではないかということは考え得ると思います。

 その上で、支払い件数が一万件以上の手続、可能なものから速やかにということで目標を設定いたしましたけれども、しっかり、デジタル庁としては、納付手続を所管する各府省庁におけるキャッシュレス化の導入状況についてフォローアップをして、導入を推進していきたいという考えでございます。

中谷(一)委員 小林副大臣にこれはちょっと伺いたいんですけれども、今の大臣の答弁だと一般論にとどまっていて、要するに、KPIを定める必要はないとおっしゃっているんですね。要するに、全体の目標があって、政府のその比率の四〇%程度をめどにすればいいんじゃないかということをおっしゃっているんですけれども、そもそも、一万件以上と言われる業務が百六十程度の手続があるということを聞いておりますけれども、一万件未満のものはそもそも正確に把握をしていない現状があると聞いていて、正確に分からないものに対して何をどのように進めるのか分からなければ、事業としての進捗としては成り立たないと思っているんですね。

 なので、私は、繰り返し申し上げますが、KPIをしっかりと定めて、事業の進捗を見た上でこのキャッシュレスの推進を進めていただきたいと思っているんですが、いかがですか。

小林副大臣 中谷委員の問題意識は共有するところだと思っています。

 去年もワクチンの補佐官も務めさせていただきながら行政の職員の皆さんと一緒に仕事をした感覚から申し上げますと、やはり、いきなり高い目標を掲げると足が止まってしまうというのも実態としてあるかなというふうに思っております。

 今おっしゃられたように、一万件以下のものをどうするのだというのもあるんですけれども、なので、まず数の多いもの、国民の皆さんにも利便性を高く感じてもらえるものをやって、それによって国民の皆さんからいいフィードバックもいただけると思っています。そのフィードバックをいただきながら、霞が関全体のモチベーションを上げながら、目標を持って頑張っていくというのが今アプローチとしてはいいんじゃないかなというふうに思っております。

 一方、我々、規制改革も同時に担当しておりますので、そちらでこの手続についてもフォローアップができるようになっております。なので、デジタルだけではなくて、規制改革、行革、一体となってこの手続のオンライン化を進めていきたいと思っております。

中谷(一)委員 今の答弁を受けまして、私自身は、中長期的にはしっかりこのKPIを定めていただくことも念頭に入れながら、業務の実態を把握していただいた上で推進をいただきたいと思いますので、要望をさせていただきます。

 その上で、次に、まさに規制改革の部分にも関連をするところになるんですけれども、現在、二万二千八十四種類、行政手続がございまして、オンライン実施済みが三千四百七十二種類の手続になっておりまして、令和七年までに一万八千百八十の手続をオンライン化する予定とのことであります。全体の九八%に関してオンライン化のめどが立っているとのことなんです。

 この行政手数料においても、キャッシュレス決済の導入によりまして納付部分の出口の部分の業務の効率化というのは図られているんですけれども、そもそもこの入口部分の納付通知については郵送での通知となっておりまして、年間十万件を超える手続、総量の多いものに関しては、私は、まず紙でのオペレーションを見直していただいて、積極的にオンラインで完結できる仕組みというのを整えていただくべきなんだということを思っています。

 そこで、小林副大臣に伺いますが、これは各省庁任せじゃなくて、まさに今おっしゃっていただいたようなデジタル臨調だったり規制改革推進会議などで、この入口に関する部分のデジタル化についてリーダーシップを持って牽引をしていただいて、オンラインで完結できるような仕組みというものを整えていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

小林副大臣 御指摘のように、通知をしてからお支払いをいただくというのがポイントだと思っていまして、申請から納付まではオンラインで全部やろうという原則でやっているんですけれども、これは申請をいただくわけですから、相手の情報が分かっているということになる。一方で、通知になると、まず、情報がない状態からどうやってお知らせをするのかということになっていまして、今行政が持っている国民の通知先というのは住所が基本になっているわけですね。ですから、これをどのようにしていくのかということが重要な論点だというふうに思っています。

 そういう意味でも、各省だけではなくて、やはりデジタル庁も一緒に議論して、どのように通知先を確保してお知らせをしていくのかということをやってまいりたいというふうに思っています。

 もう一つは、やはり費用対効果の観点もあるというふうに思っていますので、だからやらないのだということではなくて、そもそも手続全体がデジタル完結をすれば自動化もできるということになっていきます。そういう意味では、業務の見直しもしっかりセットで、全省庁の取組を我々はサポートしていきたいというふうに思っております。

中谷(一)委員 期待しておりますので、是非頑張ってください。

 そして、政府提案の中には、それらの事業を進めていくに当たって、残念ながら、PBEM、ポリシー・ベースド・エビデンス・メイキングになってしまっているような事例というのが散見をされるなと私は思っているんです。ただ、本来的に、政策をつくるに当たっては、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングでしっかりと政策をつくっていくべきだと思っています。

 そうした中において、この法案においてキャッシュレス化を進めていくことによって、どのようなベネフィットとコストが発生するのかということを想定して、結果としてベネフィットが上回ると判断をしたからキャッシュレス化を進めるんですよということが非常に重要だと思っているんですけれども、私も、定性的には、当然、キャッシュレス機器の導入に関しては短期的なコストがかかってしまうだろう、でも、中長期的には人件費が抑制をできたりとかランニングコストを下げていくことができるんじゃないか、その結果として国民の利便性も向上するからいいよねという、定性的な部分というのは見えるんですけれども、やはり、政府としては、本来、定量的に、いろいろな数値を基に、根拠となるようなことを整えていかなければならないということを思っているんです。

 そこで、小林副大臣に伺いますけれども、やはりキャッシュレス決済の導入に関するコストとベネフィットの詳細、これらについてどのように捉えているのか、エビデンスなどを示していただいた上で、考察されている知見をお示しください。

小林副大臣 まず、キャッシュレス納付が導入されるとどういうメリットがあるのかということですけれども、まず、申請者が窓口に行く必要がなくなるということ、いつでも納付が可能になるということ、そして、窓口での納付であっても、現金の用意が不要となったり、印紙の購入、この貼付の手間が省けるというメリットが想定されますので、例えば、ここの手続にかかる時間というのが圧縮するというのは、定量的に測れるものが出てくるだろうというふうに思います。

 一方で、金額、コスト面でいくと、やはり設備投資に関してはプラスのコストになると思っていますが、一方で、その中、業務が効率化をされるとか働く時間が短くなるというようなもので、定量的に測れるものがあるというふうに思っています。

 こういったものをしっかり見ながら、キャッシュレスの導入というのを促進をしていく必要があるというふうに思っています。

 もう一つ、牧島大臣の体制になってから、EBPM、更に推進していこうということなんですけれども、エビデンスというのは数値だけなのかというと、現場の声もエビデンスだと思っていますので、やはり、国民の方がすごく便利になったとか、キャッシュレスに前向きになった、こういうところもエビデンスとして取れるのではないかなというふうに思いますが、いずれにしろ、幅広く取って、情報を取りながら推進をするということは問題意識を共有していると思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

中谷(一)委員 おっしゃるとおりだと思いますので、様々なエビデンス、しっかりと考察をしていただいた上で、政策を推進していただければと思います。

 そして、四番の部分なんですけれども、行政手数料の負担ですね。今までも、自民の平沼委員、公明の河西委員、そして国民の浅野委員からも指摘がございました。私から、一般論じゃなくて、更問いのちょっと深いところを聞いていきたいなということを思っているんですが、キャッシュレス決済の利用手数料については、これは国か納付者、どちらが負うのかということが極めて重要な視点であるということを思っております。

 そこで、本日、参考資料として、皆様のお手元に、国税に係る各種納付手段の比較資料を配付をさせていただきました。

 この事例に関して言えば、納付者負担となっているのはクレジットカードのみとなっておりまして、現在の利用率は一%、九九%の方は違う手段を使っているということで、他の決済と比べると残念ながら低い水準にあります。ただ、評価できるのは、税抜き〇・七六%程度の手数料というのはクレジットカード納付としては安価な方だと思っています。ただ、それでも、他のものが負担なしでありますから、残念ながら結果としては際立ってしまっているという状況があると思っております。

 そうした中で、本法案により、このキャッシュレス決済が、事業においても手数料を納付者負担とすれば、やはり利用率が伸び悩む可能性があると思っている一方、国費負担とすれば、手数料の分だけ国費の収入がやはり減ってしまうということが悩みとしてありますから、突き詰めれば、先ほど来一般論でお答えをいただいているとおり、各省庁の運用権限の中で、契約によって変わってくるものだということは一定理解するんです。ただ、理解するんですけれども、やはり、ばらばらで何かアンフェアな形になってしまって、あの省庁ではかかっていないけれども、この省庁ではかかっていてというのは、私はよくないと思うので、そのためにデジタル庁があるんだと思っているんですね。

 だからこそ、ここで統一的な見解をつくる努力を、基本方針をやはり示していただいて、基本的には私は国民負担がなくていいような制度設計をしていただくことが好ましいということを思っているんです。

 なので、伺わせていただきますが、先ほど来の一般論じゃなくて、政府として、やはりこの手数料の負担を、国か納付者か、どちらが負うことを基本的に考えて制度設計を行うことが好ましいと考えているのか、大臣のその思いをしっかりと述べていただいて、リーダーシップを示していただきたいと考えているんですが、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 本法案においては、各府省庁と各指定納付受託者の間の契約なんだということをお伝えしつつ、クレジットカード納付の対象となる歳入の種類というのが幾つかございます、申請や試験などの手数料に関するもの、又は入場料などサービスの対価の性質を有するものもあれば、交通反則金など制裁的な性質を有するものもあるということで、多岐にわたっております。こうしたそれぞれの歳入等の性質、またクレジットカード納付を利用しなかった納付義務者との公平性の確保、さらには行政側の収納事務の効率化の費用対効果、クレジットカード利用者が享受する利便性など、幾つかの点を踏まえて判断することが必要であろうと思っております。

 ただ、方向性として、デジタル社会を推進する私どもとしては、各府省庁と連携して、決済手数料の負担の在り方についても検討してまいりたいと存じます。

中谷(一)委員 やはり各省庁がばらばらになってアンフェアになっちゃったらよくないと思うんですよね。なので、やはり本来的には政府が統一的な見解を、基本方針を示していただくことが私は好ましいと思っています。

 方向性に関しては牧島大臣からもおっしゃっていただいたと思うんですが、せっかくの機会ですので、小林副大臣も何か今のことに関してお答えいただけることがあれば、よろしくお願いします。

小林副大臣 ありがとうございます。

 牧島大臣から今、三つの類型があるということで、性質が異なるということがありましたので、まずはこういうふうに類型化もできますし、あと、各省庁ごとにどれぐらい手続が効率化されるかということだと思います。

 民間事業者の皆さんも、クレジットカード会社に手数料を払っているというのは、それなりのやはりメリットがあるからということでやっていただいているというふうに思っていますので、その辺り、しっかり判断をしていくということで、大臣からも答弁ありましたが、各省庁としっかり連携してやるというのはかなり踏み込んだポイントだというふうに思っていますので、しっかり頑張っていきたいと思います。

中谷(一)委員 しっかりと推進をいただければと思います。できるならば、国民の負担が極力減るような形での設計をお願いできればと思っております。

 続きまして、インターチェンジフィーの標準料率の公開について質問をさせていただきます。

 本日は、経済産業副大臣にお越しをいただいております。ありがとうございます。

 モデルケースで、キャッシュレス決済に関する資料、経産省で作られているものなんですけれども、中小企業の加盟店が支払う手数料というものを三・二五%と示されておりまして、これは残念ながら、キャッシュレスが進んでいる各国と比べますと高い水準にあります。加盟店のアンケート調査でも、クレジットカードを未対応にしている理由としては、手数料が高いという問題意識が一番多くなっておりまして、明らかにキャッシュレス決済の導入を阻害する要因になってしまっているという指摘もあるわけでございます。

 その中で、このクレジットカードのインターチェンジフィーは業者間の契約で定められており、手数料率が異なるということがあるんですけれども、日本では、現在、インターチェンジフィーの標準料率の開示というものがなされていない現状があります。

 しかしながら、本来的にはこれは公開することによって市場の透明性を高めていただいて、加盟店による加盟店手数料の交渉の変化を生じさせることによって市場における競争を活性化させる可能性がありますから、私は、そういったものを行っていくためにも、標準料率に反映させることになれば、標準料率というものはより適切なものになると考えていますので、私的には公開を進めていくべきなんじゃないかということを思っているんですが、いかがでしょうか。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今先生から御指摘があったとおり、キャッシュレス決済の導入の課題として、加盟店手数料が高額であるといったような指摘がございます。その原因の一つとして、加盟店と決済事業者の間で手数料交渉に関して情報の非対称性があるものと考えておりまして、御指摘のように、インターチェンジフィーの標準料率の公開はその是正に有効であるというふうに考えております。

 当省といたしましては、二〇二〇年六月から有識者による検討会を立ち上げて、キャッシュレス決済の更なる普及に向けた環境整備を進めているところでございます。この中で、インターチェンジフィーの標準料率を含め、クレジットカードのコストに関する自主的な情報開示をクレジット業界に求めることを検討しております。これによって市場の透明性を高め、加盟店による決済事業者の選択の変化や価格交渉の活発化、そして、ひいては加盟店手数料の低減が実現されるものと強く期待をしております。

中谷(一)委員 力強い御答弁をいただきました。是非前向きに進めていただければということを思っております。

 その上でなんですけれども、短期的にはそのことを日本政府としては進めていくことになるんだろう、そして中期的には多分、諸外国のインターチェンジフィーの規制に関する考察を行った上で、日本としても政策、制度をどのように反映させていくのかということが求められてくるフェーズになるんじゃないかなということを思っております。

 世界の約四十か国の国、地域では、消費者及び中小事業者への政策的な配慮の観点から、インターチェンジフィーの規制というものが進められています。

 例えば中国では、手数料と分配に関して、消費者、事業者への影響度や市場の競争状態に基づいて政府が基準というものを定めているわけですが、例示を述べますと、イシュイング、決済組織ネットワークサービス、アクワイアリングに対して、それぞれ厳密な手数料が定められております。

 スーパーマーケット、水、電気、光熱費、ガソリンなどの生活必需品に関する手数料は、イシュイングサービス料が〇・二六%、そして銀行決済の組織ネットワーク手数料が〇・〇四%、アクワイアリングサービス料が〇・〇八%となっており、合わせて〇・三八%になっています。要するに、生活必需品だから低めに設定をしてあるわけですね。あとは、公立病院や公立学校など、公共に関わることに関してはほぼ〇%になっています。百貨店や旅行などではそれぞれ合わせて〇・七八%、他のものよりは高い水準に設定をしてあります。そして、貴金属や不動産、外食、娯楽類に関しては合わせて一・二五%と高めに設定をしてあるということであります。

 そして、EUでもマルチラテラルインターチェンジフィーの上限規制というものが採択をされておりまして、多国間のクレジットカードにおけるインターチェンジフィーが〇・三%、デビットカードに関しては〇・二%とされ、コミッショナーからは、長年隠されてきたインターチェンジフィーの上限設定により透明化をすることで、決済技術の革新と消費者にとって好ましいビジネス環境を生み、欧州が一体化したデジタル商圏になるというコメントが述べられております。

 そして、更にオーストラリアの事例を紹介させていただきますが、こちらも、クレジットカードにおけるインターチェンジフィーの上限が〇・八%、そしてデビットカードのインターチェンジフィーの上限が〇・二%となっておりまして、中小事業者を含めた大半の加盟店の手数料が一%以下となっている現状があります。

 そこで、もちろん、日本はビジネスモデルが違いますし、歴史的な背景も違う、これは分かっているんですけれども、事実としてインターチェンジフィーや端末の設置費用、ネットワーク手数料が他の諸外国と比べて高コストになっているという現状がありますから、私的にはこうした事例が参考になるということを思っておりますので、日本政府として諸外国のインターチェンジフィーの規制に関してまず考察をどのようにされているのかということを副大臣に確認させてください。

細田副大臣 貴重な御知見を御紹介いただきまして、本当にありがとうございました。

 諸外国においては、各国の事情を踏まえた取組が行われているものと理解をしております。

 私どもで調査をいたしました。これも先生十分御存じだと思いますけれども、まず、標準料率の上限規制を導入したことによってクレジットカード等の取引量が大きく影響を受けたといった事例は確認できませんでした。

 ただ一方で、当然、標準料率を引き下げますと収益に影響がありますから、消費者へのポイント還元の削減やあるいは年会費の引上げといった、カード会社による消費者へのサービスの低下につながった事例があるというふうに承知をしております。

 このような状況に鑑みまして、標準料率の上限規制については、日本のキャッシュレス決済を取り巻く環境などを踏まえながら、その影響をしっかりと見極める必要があるというふうに考えております。

 まずは、最初の一歩として、先ほど御紹介をしたインターチェンジフィーの標準料率の自主的な公開が実現するように取り組んでまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 今御紹介をいただいたとおり、インターチェンジフィーの引下げというのは、事業者側からすると非常にセンシティブかつナイーブな話だということを私も理解をしております。〇・五%引き下げると三千七百二十二億円の収入が下がるそうでございまして、やはりこういったものを鑑みますと、例えば、おっしゃっていただいたポイント還元だったりとか、あとはラウンジですね、空港のラウンジとか、そういうサービスが低下をしていく可能性があるということは中長期的には見込まれるわけです。

 なので、バランスだと思っているんですね。どういうバランスを取っていくかということが非常に重要だと思っておりまして、私的には、でも、やはり中小企業は三・二五%取られてしまうとビジネスとしては成り立たなくなってくるわけですよ。なので、やはり一%前後のところをめどとした手数料になるように、事業者側とも丁寧にコミュニケーションを取っていただきつつ、中長期的にはそういうところを目指していかないと、クレジットカードというもの自体が日本の決済インフラを担えなくなってくる時代というのがやってきちゃうと思うんですね。

 なので、この辺に関して、私は副大臣にその辺りのリーダーシップをちょっと期待したいなということを思っているんですけれども、少なくとも、将来的に八割を目指すのであれば、そういったところも含めて進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

細田副大臣 ありがとうございました。

 先ほどお答えをしたとおり、加盟店に対する手数料率が高いということがキャッシュレス決済の導入の一つの阻害要因になっているんじゃないかという指摘は常にございます。この点については留意をしていきたいというふうに考えております。

 いずれにせよ、まずは、きちんと事業者の方で自主的に情報公開をしていただくということで取引の透明性を高めて、また、加盟店が様々な比較対照を行うというようなことによって取引の円滑化、また活発化を進めていくということだというふうに考えております。

 先生の問題意識、共有できますので、私もまた、御指摘を踏まえてこの問題に対応していきたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 副大臣、是非よろしくお願いします。

 副大臣への質疑はここまでとなりますので、もしあれでしたら御退席をしていただいて大丈夫でございます。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、また牧島大臣の方にお話をさせていただきたいと思いますが、野村総合研究所のキャッシュレス化に向けた国内外の現状認識の資料のアンケートによれば、カード決済導入企業における手数料率の平均値が三・〇九%だそうでございます。

 政府が対象としている手続に関しては、政府の信頼と取扱いの件数、金額の多さなどスケールメリットが生かせると思っておりますので、私は有利な交渉が進めていけるんじゃないかなということを思っています。なので、私は、一%未満の水準で各々の契約が妥結をされていくような状態がつくれるのであれば、これは国若しくは利用者の方にとっては好ましい水準になるんじゃないかなということを、個人的には捉えているんです。

 そこで、この行政手数料のキャッシュレス法案に関わる事業における手数料率の目安、これがどの程度になる想定であるのか、また、政府としては、この手数料率の交渉をどのように手がける方針であるのか、現時点の見解についてお示しください。

牧島国務大臣 現時点で私どもがお答えできることとしましては、従来、国の歳入等の納付に関し、御指摘あったとおり、決済手数料をどの程度とするかは、納付金額、納付件数に応じて、当該納付手続を行う各府省庁と決済業務を受託する間の契約によってその取扱いを決定してきております。本法案においても、その方針は同様でございます。

 ただ、今後、デジタル臨時行政調査会、規制改革推進会議などを通じてフォローアップする中で、各府省庁と連携して、決済手数料の率の在り方についても検討していきたいというふうに申し上げられます。

中谷(一)委員 これは提案としてさせていただきますが、他国の事例を見ますと、やはり公共の手続に関してはほぼ〇%でやっているところというのは、事業者側と相談をしてなり得るわけですね。なので、個別でやってしまうと、多分、取扱件数が全然違ってしまって、交渉としては難しくなると思うんですけれども、そのために僕はデジタル庁があると思っていて、全体で交渉できる立場にあるんじゃないかなということを思っていますから、やはり柔軟に、国や国民に対する利益の部分を事業者側にも担っていただくということを、まさに公共の決済インフラを担う立場として私は考えていただくような交渉を進めていただきたいなということを思っているんですけれども、小林副大臣、何かお話しいただけることはありますか。

小林副大臣 中谷委員のデジタル庁への期待の高さをひしひしと感じているんですけれども。

 システムを共通化していく、他省庁への権限を持っているというところと、まさに政策のオーナーシップを持って全体を取りまとめていくというのは、ちょっと分野によっては異なってきます。そういう意味では、クレジットカード決済とかをやっていくというのが、デジタル庁が取りまとめるのにふさわしいのかというのは若干議論があるというふうに思っています。

 ただ、先ほど申し上げたように、規制改革会議等ではキャッシュレス決済のワーキンググループを持っていて議論しているものですから、その辺りも含めて、我々の中で持っているものを連動させて、うまくやっていきたいというふうには思っております。

中谷(一)委員 是非、部局横断的に様々な議論をしていただいて、国益につながるような指針を示していただければと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、スマートコントラクトを活用したウェブ3時代のキャッシュレスインフラについて質問をさせていただきます。

 今まで、この手数料の話というのは、やはりキャッシュレス化を進めていくに当たっては非常にボトルネックになる部分というのがありますから、私たちとしても、失われた三十年を取り戻す新しい資本主義を考えるに当たっては、価値の交換、流通に革命を起こしているウェブ3時代の新たな金融制度やサービスの在り方というのは、経済政策にも大きな影響を与えるんじゃないかなと思っております。

 そうした中で、今後、伝統的な金融、いわゆるトラッドファイに関わる大手企業においても、DeFiの利便性を取り入れたサービスが私はどんどん出てくると想定をしています。

 例えば、金融取引における事後処理を非中央集権的に自動化するスマートコントラクトを活用した試みなどは、ファシリティーや人員を必要とせず、初期コスト、ランニングコストを抑えることが可能となり、費用効率がトラッドファイと比較すると極めてよい現実があります。

 セキュリティー、質の問題、権利義務関係など、もちろん乗り越えるべき課題はあるんですけれども、生活者にとって金融サービスを受ける際に負担するコストを引き下げる可能性がありますから、日本においても、本気でキャッシュレス化を進めていくのであれば、高価な手数料がかかる既存の決済インフラに依存する手法ではなくて、安価で利用しやすいキャッシュレスインフラの整備に対して研究、検討を進めることも重要だと考えますが、宗清政務官、いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 既存の資金の決済インフラにつきましては、キャッシュレス化の流れがございます。こうした社会的課題に対応するべく、金融庁も様々な取組をしてきました。例えば、銀行間の送金のコストの低減、全銀システムへの参加資格の拡大、利用者の利便性の向上というものを金融庁としても後押しをしてきたところでございます。

 一方で、先生今御指摘のとおり、ステーブルコインや暗号資産等を決済手段としてスマートコントラクトを活用した新たなビジネスが出てきているというふうに承知をしておりますので、金融庁としては、こうしたビジネスの動向、また技術の進展をしっかりと把握した上で、利用者の利便性の向上であったり保護、こういったバランスなどの観点も踏まえながら、新しい技術の利活用の促進に向けた検討を引き続き行っていきたいと考えております。

中谷(一)委員 DeFi自体は、投資家の新たな収入機会を創出をすることとなりました。DeFiの持続的な有用性を考えるに当たっては、本質的なリスクと、どのような過程が満たされるべきであるのか、技術、規制、ガバナンス上の観点について検討を行って、リスクをカバーしていただいた上で、有効なユースケースというものを考えていただかなければならないと思っています。

 その中で、現在、DeFiのプロジェクトのほとんどが海外発祥のサービスとなっておりまして、日本における既存の金融規制、課税リスクを考えますと、私は、日本発でDeFiをしかけることが困難であるという意見が聞こえてくる現状において、日本でプロジェクトをつくれない状況を放置して、国内の投資家が海外のプロジェクトを使い続ける現状を黙認することは国益につながらないということを思っております。

 むしろ、過剰なリスクヘッジは結果として将来の国力低下という大きなリスクになることを懸念しますので、私は、こうした状況を改善していただくことで経済成長を後押しし、国民生活を豊かにする可能性があるウェブ3時代のキャッシュレスインフラの整備というものをしっかりと進めていただきたいと思っておりますので、特にDeFiについては、政府において、最低限のリスクヘッジを行った上で、パーミッション型だけではなくてパーミッションレス型のプロジェクトについても円滑に動き出せるようなイノベーションを育てていただく制度を早急に取りまとめていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 いわゆるDeFi、分散型金融を含むブロックチェーンを活用した金融システム、これにつきましては、単一障害点がなくて、一部のサーバーに問題があったとしてもシステムとして稼働し続けたり、誰もが自由にサービスの提供、利用が可能であったり、イノベーションが生まれやすい、こういったメリットがある一方で、システム全体に責任を負う者が不明確であったり、十分な本人確認が行われることなく、マネーロンダリング等の課題があったり、こういった論点もあるわけでございまして、既存の金融システムとは異なるリスクもあるわけであります。

 金融庁として、こうした観点も踏まえまして、これまで利用者保護、また金融犯罪防止、そしてイノベーションの促進、このバランスを考慮しまして、所要の措置を講じてきたところでございます。今後とも、不正やリスクについて十分に配意した責任あるイノベーションの実現に向けて、引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 バランスを取って、しっかりとイノベーションを促進していただければと思います。

 続けて、ステーブルコインの話についても伺わせていただきたいんですけれども、アメリカのリャン財務次官によれば、ステーブルコインの市場が、二〇二〇年初めには約五千億円だった時価総額に対して、現在では約二十兆円に急成長をしているという現実があります。

 ステーブルコインの時価総額が急上昇している昨今において、日本、アメリカ、EUなどでこのステーブルコインに対して規制を検討されているということでございまして、金融庁においても、額面価値での償還を約束するステーブルコインについて法定通貨準備を義務づけることや、先ほどおっしゃっていただいたマネーロンダリング又はテロ資金供与など、犯罪に絡むような資金洗浄の悪用防止などについて対策を講じる予定であるということを想定して、認識をしております。

 その一方で、日本においても、国内大手七十社以上から成るデジタル通貨フォーラムが、円と完全に連動をする円建てのステーブルコインのような設計がなされたDCJPYに関するホワイトペーパーを出しました。

 今後、ステーブルコインの発展を見据えた際には、私は、発行事業者がある程度集約をされていって、相互運用可能な共通ステーブルコインのような規格が主流となるということを考えているんですけれども、民間のデジタル通貨というのは、斬新な技術利用と使い勝手のよさがセントラル・バンク・デジタル・カレンシーなどと比べて求められる点になると思っていますので、ステーブルコインのイノベーションを育むような政策を後押しをしていただきたいということを思っているんですが、日本政府としては、ステーブルコインの今後の発展等、将来性についてどのように捉えているのか、教えてください。

宗清大臣政務官 近年、金融のデジタル化の進展の中で、先生が御指摘のような、アメリカ等を中心にいわゆるステーブルコインを用いた取引が増加しているというふうに考えております。

 こうしたステーブルコインにつきましては、将来的には、幅広い分野で送金また決済手段として用いられる可能性がある一方で、利用者保護やマネロン上の課題といったことも、課題が指摘されているということを思っております。

 こうした利用者保護の課題にも対応しつつ、金融イノベーションに向けた取組を促進する観点から、法定通貨建てのステーブルコインを取り扱う事業者に対する業規制を創設するため、先般、資金決済法等の改正法案を提出したところでございます。

 金融庁といたしましては、事業者におきまして、創意工夫によって利用者の利便性を高める金融サービスが提供され、責任ある金融イノベーションの創出につながることを期待をいたしております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 ステーブルコインについての見解ということで、私自身は、今後どうやっても伸びてくる産業になってくると思いますので、しっかりと向き合っていただいて、リスクとイノベーションのバランスを取っていただいた政策を進めていただければということを思っております。

 次に、ガバナンストークンに関する課税についてということで、ウェブ3自体は今後の成長産業の中心になる可能性が私は極めて高いと思っておりまして、そうした中で、ガバナンストークンに対する国税が原因で、まさにこのウェブ3を育てるブロックチェーン関係の企業が創業できなくて、優秀な経営者、技術者が日本から流出しているという現状があります。

 これは平議員も指摘をされておりましたけれども、現在、税制が時代に追いついておらず、結果として、実になる作物を芽の段階で刈り取るような、イノベーションを阻害する政策になってしまっていますので、私は、日本でウェブ3関係の企業や技術者が安心して産業を育むことのできる体制をつくっていただいて、そのことが将来の国益に直結するということを思っています。

 なので、今後は、先ほど来繰り返し申し上げている、消費者保護とイノベーションのバランスを見極めていただいた上で一定のルールを定めていただいて、健全に市場を育てるための法制度や税体系というものに関して、部局横断的に検討していただきたいということを思っています。

 そこで、まず私から要望をさせていただきますが、利益が実現していないにもかかわらず課税を行う、イノベーションを阻害するような税制、これは即刻改善していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 先生、一般論として申し上げることになりますが、トークン発行の基盤となるブロックチェーン技術につきましては、様々な分野で利活用の可能性があると考えております。こうした新しい経済活動に対する課税の在り方の検討に当たっては、イノベーションの促進の観点も踏まえることが重要であるというふうに考えております。

 金融庁といたしましては、日々変化をするデジタル技術の進展をしっかりと把握をした上で、新技術の利活用の促進等の観点も踏まえて、課税の在り方につきましても関係省庁等と連携して検討していきたいと考えております。

中谷(一)委員 今、一般論をお答えいただいたんですが、これは牧島大臣でも小林副大臣でもどちらでも結構なんですけれども、今までの、やはり分散型金融だったり、ウェブ3時代の金融インフラというものは今後進展していく可能性があるということを思っているんです。

 なので、金融庁だけ、財務省だけというよりも、まさにデジタル分野としての総合的な議論というのが私は必要になってくるんじゃないかなということを思っているんですけれども、この辺り、省庁横断的にしっかり、私は、ウェブ3時代の金融インフラをどうつくっていくのかということに対する議論を進めていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 これまでも、委員とはウェブ3についてなど議論をさせていただいてまいりました。

 デジタル庁としては、金融の分野も含めて様々な分野でウェブ3が活用されている、可能性も有しているというふうには承知しておりますし、議論が進む中で、関係省庁とも連携して技術動向を注視する、これはデジタル社会の司令塔としての役割の中に含まれるだろうというふうには考えております。

中谷(一)委員 是非、今後の議論に期待をしたいと思います。

 続けて、デジタルドルの今後の発展と将来性について伺わせていただきます。財務副大臣、今日はお越しいただきましてありがとうございます。

 宗清政務官、もう退室していただいて大丈夫です。ありがとうございました。

上野委員長 では、宗清政務官、御退室お願いします。

中谷(一)委員 キャッシュレスを推進するに当たっては、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーの発展が非常に注目されるポイントです。現状、キャッシュレス決済サービスは基本的に民間営利事業となっておりまして、コストや使い勝手、独占、寡占などの問題点が指摘をされる中で、CBDCは手数料などの課題が起こりにくいと想定をされ、公共事業型の決済サービスが提供される可能性があります。

 そうした中で、アメリカのバイデン大統領が、二〇二二年三月九日に、CBDCであるデジタルドルの研究開発に関する加速の大統領令に署名をしたということがあります。民主主義的価値に沿うCBDCの開発を促すために、米国の国際的な主導権を確立することも目標に掲げ、ロシアに対する経済制裁の力の源になっている米ドルの覇権を保つ狙いがあるということを言われているんですけれども、これらの動きについて日本政府としてはどのように捉えているのか、所見を伺いたいと思います。

岡本副大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘いただいたように、三月九日に、アメリカはCBDCに係る指針等を含む大統領令を公表したこと、これは承知をしております。

 この大統領令は、CBDCの潜在的なメリットとリスクについて、金融安定、国家安全保障等の観点から評価をして、その結果、米国の国益に合致するなら導入に必要なアクションを取るとの指針に基づきまして、関係機関に対して、CBDCを発行する場合の課題等について検討、報告を指示したということだと受け止めております。

 現時点では、米国でもCBDCの発行自体については何ら意思決定をまだ行っていないというふうに理解していますけれども、日本といたしましては、米国の動向を含めまして各国の動向を引き続き注視をして、G7と連携をして取り組んでいきたいというふうに考えています。

中谷(一)委員 デジタル人民元はもうパイロットモデルがスタートをしていて、デジタルユーロも、多分二〇二五、六年には発行に対する検討というのが相当進んでくると思います。

 このドルの動きを見ると、私たちもギアを上げて本来は研究を加速していかなければならないということを思っているんですけれども、そういった課題感や認識は、副大臣、ございますか。

岡本副大臣 問題意識を持っておりまして、予算委員会で一月二十八日に、中谷委員と黒田日銀総裁の議論も私拝聴しておりまして、大変大切な事案だというふうに認識しています。

 日本においても、現時点では、このCBDCの発行については正式な意思決定は行っておりませんけれども、財務省としては、通貨が経済社会の根幹を成す重要なインフラであることを踏まえまして、欧州や米国等と、国際的にこの動向も十分に留意をいたしまして、日銀、金融庁とも緊密に連携を取りながら取り組んでいるところです。

 委員御承知のように、日銀におきましても、昨年の四月に、基礎的な実証実験を通じてCBDCの技術的実現可能性の検証を行っておりまして、これは今年の三月まで実施予定となっておりますので、この動向もしっかりと見極めまして、論点について引き続き検討を深めてまいりたいと思っています。

中谷(一)委員 是非、ギアを上げて、世界の潮流を踏まえた議論を加速させていただければと思います。

 最後に牧島大臣に伺いますが、今までの議論のように、キャッシュレスに関する技術というのは急速に発展をしていて、今後、本法案の枠組みで対応できなくなる可能性というのが出てくるんじゃないかなということを思っています。

 こうした事態に対応するために、私は、この法律の施行の状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講じる規定、いわゆる見直し規定を置いていただいた方がいいんじゃないかなということを思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせいただけますか。

牧島国務大臣 今後、通信技術の進展、考え得る項目だというふうに思っております。こうしたものにも対応したキャッシュレス納付方法も可能になるようにということをあらかじめ規定をさせていただいておりますので、いわゆる見直し規定はなくとも、しっかりと状況の変化を踏まえた適切な対応が可能であるというふうに私たちとしては理解しているところでございます。

中谷(一)委員 私も読んで、対応できるのかなと思って読んでいたんですけれども、これは答えられる方は誰でもいいんですけれども、例えば、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーが今後出てきたときにも、この法案でこれは対応できるんですかね。

牧島国務大臣 新たな納付方法が普及した場合、こちらは主務省令で定めるということになろうかと存じます。

中谷(一)委員 分かりました。その答弁で理解をいたしましたので、では、しっかりと新たな技術に対応できるように対応していただくことを要望させていただきます。

 そして、るる問を用意していたんですけれども、そろそろ時間となってまいりますので、最後に、ちょっとニッチなところで恐縮なんですが、過誤納金の還付方法について、これは、印紙であれば、印紙税の十四条に基づいて、利用者が負担せずとも還付をされるんですけれども、キャッシュレス決済で過誤納金が発生した場合も利用者が手数料を負担することなく還付をされますか。最後に確認をさせてください。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、返金に関しての特段の規定は置いておりません。本法案に基づくキャッシュレス納付によりまして過誤納があった場合の返金をどのようにするかにつきましては、個別法の規定等に基づいて各省各庁で判断することになると考えております。

中谷(一)委員 基本的には利用者負担にならないように整えていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 本日の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

上野委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党福岡五区選出の堤かなめです。

 個人情報の保護及び国家公安委員会の政治的中立性について質問いたします。

 デジタル技術による利便性の向上と引換えに、私たちの個人情報が流出し不正に使用されたり、デジタル監視社会が現実のものになる可能性も否定できません。国民の自由、プライバシーと人権を守る立場から、以下質問いたします。

 初めに、個人情報の保護についてです。

 今回提出されているキャッシュレス法案が成立すれば、国税や国民年金保険料などの納付にクレジットカードなどを使うことが可能となります。立憲民主党の主導により協議がまとまり、この後提出される予定の附帯決議案には、指定納付受託者等による納付者の個人情報の不正利用や流出を防ぐため必要な措置を講ずることという条項が入ると承知しています。

 本年二月の新聞報道によりますと、滋賀県で個人情報が大量に流出し、不正使用されるという事案が起こりました。キャッシュレス法案が成立すれば、このような事案が国での納付で起こらないとも限りません。この点からも、この附帯決議は大変重要だと考えます。

 滋賀県の事案は、滋賀県が発売したプレミアム付デジタル商品券のクレジットカード決済システムにより、六万六千人ものクレジットカード情報が流出したということです。流出したのは、カード番号、有効期限、セキュリティーコードの三つ。この三つの情報がそろえば、クレジットカードを他人が勝手に使うことも簡単にできてしまいます。

 そこで、一点目に、実際に滋賀県では、クレジットカード会社から身に覚えのない約二十一万円の請求があったなどの相談が多数寄せられているとのことですが、現時点で国が把握している被害の状況をお聞きします。また、この事案で被った被害の補償はどうなるのか、あわせて、カード情報を流出させたり不正使用を行った業者や個人に対する警察の捜査や処分はどうなるのか、お聞かせください。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 まず、デジタル庁の方からお答えをいたします。

 クレジットカード決済サービス会社への不正アクセスにより、滋賀県の事業として実施されている「ここクーポン」をクレジットカードで購入した利用者について、クレジットカード情報が流通した可能性があることを滋賀県が公表をいたしております。

 その内容は、原因は決済サービス会社のデータベースに対する第三者からの不正アクセスであること、流出した可能性のある件数は全体で四十六万三百九十五件であり、そのうち、「ここクーポン」利用者は六万三千三百三十七件であること、流出した情報はクレジットカード番号、有効期限、セキュリティーコードであることと承知をいたしております。

緒方政府参考人 警察としての捜査及び処分に関するお尋ねの件に関し、個別の事案についてお答えをすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、警察においては、刑事事件として取り上げるべきものが認められれば、法と証拠に基づき厳正に対処していくものと考えております。

澤井政府参考人 補償についてお答え申し上げます。

 「ここクーポン」の購入に使われましたクレジット番号の漏えいによりまして生じました不正利用につきましては、クレジット会社によって補償されていると承知してございます。

 経済産業省といたしましても、既に、業界団体を通じまして、クレジット会社各社に対しまして、不正利用が発生した場合の利用者への請求停止、返金を、的確かつ丁寧に対応するよう要請しております。

 引き続き、カード利用者に被害が生じないよう、カード会社と連携しまして取り組んでいきたいと考えてございます。

 以上でございます。

堤委員 この業者から四十六万を超えるような情報の流出があったということが分かりました。また、滋賀県は、不正利用されるおそれがあるとして、カードの再発行を呼びかけています。再発行の手数料はキャッシュレス決済の業者が負担するとのことですが、六万六千人もの人々の手間暇、県職員の方々の労力や時間を考えますと、膨大な損失となります。つまり、キャッシュレス化で安く便利になるどころか、国民や政府にとって大きな損失になる危険性、大きなリスクもあることが分かります。

 そこで、二点目に、このような事態が二度と起こらないよう、国はどのような対策を取るのかお聞きします。また、万が一、情報流出や不正使用などが生じた場合の補償はどうなるのか、お聞きします。

牧島国務大臣 まず、一般論としてでございますが、個別の決済事業者等に係る個人情報保護対策については、各事業者において個人情報保護法令にのっとり適切に行われるべきものでございます。

 そして、民間決済事業者等における個人情報等の漏えい事案の発生や、その場合に生じた補償への対応については、一義的には、業を所管する各府省庁及び個人情報保護委員会において対応されるものと承知しております。

 その上で、本法案において、キャッシュレス納付を行う納付義務者の保護の観点からは、まず、利用者である納付義務者の決済情報などを扱う指定納付受託者は、本法案第八条第一項において、納付事務を適切かつ確実に実施することができる者であることを要件としています。これにより、指定納付受託者が扱う個人情報の保護や情報システムのセキュリティーが確保されていることも、この要件の考慮要素になると考えております。

 また、仮に指定納付受託者の過失により情報流出やクレジットカードの不正使用などが生じた場合には、納付事務を適切に実施することができる者としての要件を欠くとして、指定納付受託者の指定の取消しの考慮要素になり得るというふうにも考えております。

堤委員 補償はどうなるのかについてお答えいただけましたでしょうか。

牧島国務大臣 補償への対応については、一義的には、業を所管する各府省庁及び個人情報保護委員会において対応されるものと承知しております。

堤委員 対応するということですが、補償がどう行われるのか、ちょっとよく分かりませんけれども。

 先ほどの滋賀県の例でもクレジット会社が補償するということでしたが、もしクレジット会社が倒産したらどうなるのかということをお聞きしたいと思います。

澤井政府参考人 お答えいたします。

 クレジットカードにつきましては、不正利用があった場合には、利用規約の中で、クレジット会社の方で補償するというふうになっておりますので、基本的に、その契約に基づいて補償がなされるということでございます。

 倒産した場合については、いろいろな個々のケースが考えられますので、一概には申し上げられませんが、基本的には、その約款に基づきましてクレジット会社が適切に補償する、こういう仕組みになってございます。

堤委員 一概には申し上げられないと。つまり、必ずしもちゃんと補償されるかどうかは不明であるということではないかと思います。

 そこで、三点目に、分別管理についてお聞きします。

 証券会社は、顧客の資産を確実に管理するため、証券会社自身が保有する資産と管理場所を明確に区分して管理する分別管理を行っており、証券会社が万一破綻した場合、倒産した場合でも、顧客の資産を全て円滑に返還できる仕組みが金融商品取引法で導入されているとのことです。

 そこで、なぜ証券会社については分別管理が法律上義務づけられているのかお聞きします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の分別管理でございますけれども、証券会社は、金融商品取引法におきまして、御指摘のとおり、証券会社自身の固有財産と顧客からの預かり資産を分別して管理するということが義務づけられております。

 その趣旨でございますけれども、本制度は、投資家が安心して取引を行うことができる環境を整備するという観点から、証券会社が万が一破綻した場合でありましても、顧客の資産が確実に返還されることを目的として導入されたものでございます。

堤委員 万一破綻してもきちんと補償される、そして安心して取引ができるということでした。したがいまして、キャッシュレス決済の指定納付受託者などの倒産によって納付した方の資産が回収できないという事態を防ぐため、分別管理など防止策を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、納付義務者が国の歳入等の納付手段として本法案に基づくキャッシュレス払いを選択する場合に、これによって納付者が不利益を被らないよう、その保護を図ることが重要であるというふうに認識をいたしております。

 そこで、本法案では、納付者がキャッシュレス手段を選択した場合、指定納付受託者が期限までに支払いを行わなかったときにおいても、納付者ではなく、まずは指定納付受託者から徴収することとしております。加えまして、指定納付受託者が倒産したような場合においても、指定納付受託者から確実に徴収することが可能となるよう、指定納付受託者に対しまして、倒産リスクに備えた保険の加入でありますとか第三者保証を求めることなどによりまして、納付者の保護を図ってまいりたいというふうに考えております。

堤委員 保険の加入なども考えていただいているということで、しっかり、納付者が不利益を被らないようお願いいたします。

 次に、国家公安委員会の政治的中立性についてです。

 キャッシュレス決済サービスの普及に伴い、様々なサービスにクレジットカード情報がひもづけられることにより、クレジットカードの不正利用が多発しています。したがって、さきに述べました滋賀県の事案のように、個人情報の流出や不正利用などの犯罪を取り締まるための警察の捜査活動が重要であるのはもちろんです。

 その一方、サイバー空間での捜査は、国民から見えず、国民の個人情報に警察が自由にアクセスし監視することが理論上は可能ということになります。そのため、デジタル社会の進展に伴い重要度を増しているのが、警察を所管する国家公安委員会の存在です。

 国家公安委員会は、警察の政治的中立性の確保と治安に対する内閣の行政責任の明確化を目的とした組織です。設置されましたのは、戦後間もなくの昭和二十二年の旧警察法の制定に伴うものです。これは、戦前の特高警察が市民を徹底的に監視し弾圧していたことに対する痛烈な反省から、警察に対して市民の側から民主的な統制を図ろうとするものでした。その後、昭和二十九年に警察法が全面改正され、国家公安委員会の委員長は国務大臣をもって充てることとなり、以来七十年近く、国家公安委員会の組織の改編はなされておりません。

 国家公安委員会は、いわゆる大臣委員会です。かつては、大臣委員会としては金融再生委員会が置かれたことがありましたが、その後廃止されており、現在では国家公安委員会が唯一の大臣委員会となっています。

 行政委員会におきましては独立性が重要であることに照らしますと、大臣委員会を設けることには設置当初から疑問が提起されてきました。

 この点について、今から六十八年前の昭和二十九年の警察法の審議において、政府は、大臣委員会としたのは、政府の治安責任と警察の政治的中立性の調和を図るためと説明しています。

 また、大臣委員会であることによる政治的中立性への危惧に対処するため、国家公安委員会は委員長及び五人の委員をもって組織され、議事は出席委員の過半数で決し、可否同数のときのみ委員長の決するところによるとしています。つまり、通常は、委員が奇数の五人とされているため、可否同数という事態が生じないよう配慮されており、委員長には表決権はなく、採決権のみ付与されています。

 このように、一定程度、国家公安委員会の独立性は担保されています。しかしながら、七十年近く前に設置された大臣委員会がこれからも唯一の大臣委員会として存続すべきなのかについては、議論の余地があると考えます。

 さきに述べたような個人情報の流出や不正使用などの事案だけでなく、増加する国境を越えたサイバー犯罪に対処するため、警察庁に直轄のサイバー特別捜査隊などを新設する警察法改正案が今国会に提出されているのは御案内のとおりです。成立すれば、戦後の警察行政の大転換であり、警察庁の持つ権限がより大きくなることは確実です。それに伴い、国家公安委員会が果たすべき警察行政の民主的管理と政治的中立性の確保という役割もまた、重要性を増すことは間違いありません。

 そこで、ただ一つの残された大臣委員会である国家公安委員会の組織を改編し、人事院、公正取引委員会、個人情報保護委員会など他の行政委員会と同様、委員長も民間から選任すべきと考えますが、いかがでしょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 警察法では、国民の良識を代表する者で構成されます国家公安委員会が警察庁を管理することにより、警察の民主的管理を保障するとともに、政治的中立性を確保することとされております。また、国家公安委員会委員長に国務大臣を充てることによりまして、政府の治安に対する責任をより明確にするとともに、委員長を通じて国家公安委員会と内閣との意思疎通と連絡の緊密化を図ることとしております。

 他方、警察の政治的中立性が侵されることのないよう、国家公安委員会委員長には表決権を与えず、さらに、国家公安委員会の議決するところを外部に代表する権限のみを認めることとされているところでございます。

 このように、現行の国家公安委員会制度につきましては、政府の治安責任と警察の政治的中立性及び民主的管理の調和を図ったものでございまして、これを適切に運用していくことが適当であると考えております。

堤委員 大臣というのは、言うまでもありませんが、現職の国会議員であり、政治家の中の政治家、ザ・政治家だということだと思います。大臣が委員長で、政治的中立性が保たれる、独立性が担保されるとは到底思えません。

 例えば人事院の委員である人事官の選任に際しては、五年以内に政党の役員等の経歴がないことと明記されています。それはなぜですか、教えてください。

上野委員長 堤君、通告はされておりますか。

堤委員 独立性が担保されるかということですので、その派生した更問いでございます。

 もう一度申し上げますが、政治家である大臣が委員長で政治的中立性が保たれるのか、ほかの委員会でも、そういった人事院に関しましてでも、政党の役員等の経歴が五年以内にないことなどが明記されているわけですけれども、そういったことで独立性が保たれるのかという問いでございます。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、人事院のことにつきましては、所掌外でございますので、お答えするべき立場にはございませんが、大臣の関与に基づきます政治的中立性につきましては、先ほど申し上げましたように、国家公安委員長には表決権が与えられていない、さらに、国家公安委員会の議決するところを外部に代表する権限のみを認めるということをもちまして、政府の治安責任と警察の政治的中立性及び民主的管理の調和を図っているというものでございます。

堤委員 議決権がないというようなこともおっしゃられましたけれども、例えば都道府県の公安委員会も、委員長も含め全ての委員が民間から選任されています。私も県議会議員として委員長を務めたこともございますけれども、やはり委員長には、何を議題にするかなど、大きな権限が与えられています。

 やはり、何度も申し上げますけれども、政治からの独立性、中立性につきましては、さきに述べましたように、唯一残っている大臣委員会を廃し、委員長も含め全ての委員を民間から選任すべきということを再度申し上げまして、私の質問を終わります。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本日は、牧島大臣を始め各省庁の皆様、よろしくお願い申し上げます。

 本委員会に提出されております情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案、いわゆるキャッシュレス法案並びに関連の質問を行ってまいります。

 さて、今回のキャッシュレス法案は、ほかの法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して国の歳入等の納付を可能とする必要事項を定めたものです。私は、キャッシュレス化の推進、我が国のDX化推進の一部を構成するものと捉まえておりまして、積極的に進めるべきとの立場です。そうした立場から、法案そのものへの質疑だけでなく、DX推進の基盤となるマイナンバーカード、自治体のネットワーク、情報システム調達の在り方について、順次お伺いしてまいりたいと思います。

 コロナによるパンデミック宣言から早くも二年となりましたが、この未曽有の危機が明らかにしたのは、我が国が目指してきた最先端のデジタル国家としての機能が十分に果たされてこなかったという事実です。国民一人当たり十万円を給付する特別定額給付金のオンライン申請は、誤入力や重複申請が多発、自治体職員がその対応を余儀なくされるとともに、感染接触アプリCOCOAの不具合は何か月も放置され、保健所からの感染状況報告は都道府県に手入力でファクス送信することで、保健所職員の皆さんの疲弊は増しました。

 これに対し、お隣の台湾では、デジタルの力を徹底的にコロナ対策に活用し、成果を上げました。国連による電子政府ランキングにおいて、これは二〇二〇年ですけれども、我が国は十四位と近年順位を下げつつ、下位に沈んでおり、コロナ禍で明らかになった我が国の姿は、まさに日本のデジタル敗戦を象徴したものとなりました。

 デジタル庁は、こうしたデジタル敗戦から我が国を立ち直らせるための司令塔であり、私も、牧島大臣始めデジタル庁の皆様には大いに期待をしておるところです。私も国会の一員という立場から力を尽くしてまいりたいと思いますので、その思いで質問をしてまいります。

 まず、キャッシュレス法案についてお伺いいたします。

 初めに、法案のたてつけについて伺いますが、各省の税や手数料についてキャッシュレス化を可とするかどうかの具体的な判断は誰が行うのかをお伺いいたします。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 この法案は、国の歳入等のうち主務省令で定めるものを対象として、インターネットバンキングやクレジットカード決済等による納付を可能とするものでございます。したがいまして、各歳入等の納付に関する主務省令を定める各省の長たる大臣が最終的な判断を行うことになります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 我が国のキャッシュレス決済比率、先ほどもほかの委員からも御指摘ありましたけれども、二〇一八年度の数字で、我が国は二四・二%。韓国九四・七%、中国七七・三%と比較しても著しく低い。

 国税等のキャッシュレス納付の推進は、利用者利便、行政の効率化の面からだけでなく、社会のキャッシュレス化の推進、DXにとっても重要な課題であることが分かります。ところが、御答弁では、法案は、個別のキャッシュレス化導入の判断は各省に委ねられているというものでした。

 私は、法案で、各省の扱う税や手数料等は期限を切って原則キャッシュレス化すべきとして、どうしても困難な事情があるものについては例外的に外すといった法のたてつけにしないと、いつまでも我が国のキャッシュレス化は進んでいかないと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

牧島国務大臣 DXを推進しなければならないという思いで御質問いただいているというふうに受け止めております。

 まず、政府としては、国の行政手続について、申請から手数料納付等までの手続全体をオンラインで実施することができるようにというのをまず原則としています。そして、年間の支払い件数が一万件以上の手続について、可能なものから速やかにキャッシュレス化に取り組むという方針が閣議決定されております。

 まず、利便性の向上を高めていかなければならないという観点からは、インターネットバンキングのほか、クレジットカード決済、電子マネー決済、二次元コード決済、コンビニ決済など、様々多岐に及んでおりますこの納付方法で利便性を実感していただくことが重要であろうと思います。

 また、各府省庁におけるキャッシュレス化の取組については、デジタル原則を掲げるデジタル臨時行政調査会や規制改革推進会議などを通じてフォローアップすることとして、デジタル庁としては、こうした取組を通じ、政府全体としてキャッシュレス化を推進してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。是非、強いリーダーシップを発揮して、キャッシュレス化を進めていただきたいと思います。

 次に、セキュリティーに関して伺います。

 つい先日も、日本を代表する自動車部品メーカーのシステムに国際的なハッカー集団を名のる者が不正侵入し、ランサムウェアを仕掛けて身の代金を要求するような事件が明るみに出ました。

 こうしたことを見るまでもなく、デジタル化の進展にはセキュリティー対策の向上が不可欠でありますけれども、キャッシュレス納付に関しましても、成り済まし等のセキュリティー対策がしっかりしているかどうかというのが大前提になってくるかと思います。

 こうした観点から、私は、指定納付受託者の選定要件には情報セキュリティーの観点からの基準をしっかりと設けていくべきと思いますけれども、御見解の方、お伺いいたします。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、納付事務を適切かつ確実に実施することができる者を指定納付受託者として指定することとしておりまして、その具体的な要件を政令で定めることとしてございます。政令で定める要件につきましては、納付事務を適切かつ確実に実施することに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること等を定めることを想定をしております。

 御指摘のような指定納付受託者における情報セキュリティーの確保につきましては、指定納付受託者として指定を受けようとする者が納付事務を適切かつ確実に実施するに足りる技術的な基礎を有するかという判断をする上で、考慮要素になり得ると考えているところでございます。

 情報セキュリティーに関する十分な対策が講じられ、安全、安心なシステムにより運用がなされることは指定納付受託者制度の根幹に関わるものでございますので、指定納付受託者の選定においてもこれらの要素が適切に考慮されるよう、デジタル庁としても注視してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。しっかり配慮いただければと思います。

 次に、印紙税についてお伺いいたします。

 印紙税は、今回の法律によりキャッシュレス化の対象になるのでしょうか。お答え願います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、本法案は、どの歳入についてどのような納付方法とするかは主務省令で定めるということといたしてございます。このため、印紙税の納付につきましても、主務省令で定めればキャッシュレス納付の対象となり得るという意味におきましては、法律上、キャッシュレス納付の対象内ということでございます。

 しかしながら、印紙税は、印紙を購入して契約書等に貼付することにより納税するという方法を取っておりますので、キャッシュレス納付の対象とするには現在の納税方法を変更する必要があるものというふうに理解をいたしております。

阿部(司)委員 印紙については、例えば電子契約では収入印紙が不要になる等、非常に不合理な面がありまして、かねてから企業からの見直しの声も上がっていたかと思います。

 以前、河野規制改革担当大臣時代には印紙の見直しが検討されたとも聞いておりますけれども、現在、検討の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 国に対する手数料等の納付につきましては、例えば、年間の支払い件数が一万件以上のものは大体二百八十手続ございますけれども、このうち約四十手続において印紙でしか支払えないということになってございまして、国民や事業者の皆様に印紙の購入とか貼付とかの負担を強いているということになってございます。

 このため、利便性向上の観点から手数料等の納付をキャッシュレス化するという、その一環として印紙納付の見直しに取り組んできたところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、昨年六月に、河野規制改革担当大臣の下、国に対する手数料等について、キャッシュレスによる納付を可能とするための制度整備を行うということが閣議決定をされてございます。これを受けまして、今般、キャッシュレス法案の提出に至ったということでございます。

 ただ、キャッシュレス化を実現するに当たりましては、今般の法律それから関係省令、これの整備だけではなくて、実際、その手続を所管しております各省庁において、システム整備ですとか各手続における業務の見直し、こういったものの整備が必要となりますので、私ども内閣府といたしましても、引き続き、デジタル庁さんとかデジタル臨時行政調査会と連携をいたしましてキャッシュレス化への取組を推進してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 引き続き連携して頑張っていただきたいと思うんですけれども、この印紙自体について、キャッシュレス化が進んできたことは非常に国民にとっても喜ばしいことだと思うんですけれども、まだやはり不十分かなと思っております。

 印紙の貼付、やはりこれは企業の大きな負担になっておりまして、そもそもこのデジタル時代にふさわしくない前時代的なものだなと思っております。紙なら課税をされて、デジタルにしたら課税をされないというのも非常に不公平な話かなと思っていまして、この際、印紙税ももう廃止してしまった方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、御見解いかがでしょうか。

藤原大臣政務官 印紙税につきましては、各種の経済取引に伴い作成される広範な文書に対しまして、その背後にある経済的利益に担税力を見出し、軽度の負担を求めるものであります。日本の税体系においては、所得税、法人税、消費税といった基幹税目を補完する重要な役割を果たしているものであります。

 令和四年度予算においては、印紙税の税収は約二千八百億円と見込んでおり、厳しい財政状況の下で貴重な財源となっております。印紙税の課税の在り方については、こうした税体系及び税収面における印紙税の役割も踏まえて、慎重に検討する必要があると考えているところであります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。繰り返しになりますけれども、紙なら課税、デジタルなら課税されない、これは私は、ちょっと国民の感覚から、おかしいなと思うので、是非前向きに御検討いただければと思います。

 次の質問に参ります。

 私たち日本維新の会では、これまで、国民生活向上と日本経済の再浮揚に向けて、例えば消費減税などの実施を訴えてまいりましたけれども、昨今のロシアのウクライナ侵略によりまして、エネルギーや食料品価格が世界的に高騰し、景気の不透明感が広がっている今こそ、国民生活の負担を軽減する経済対策の一つとして、大胆なキャッシュレスのポイント還元策を実施しまして、更にキャッシュレス化も推進させていく、これをやったら一石二鳥なんじゃないかなと思うんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 経済産業省では、消費税率引上げに伴う需要平準化、消費税率引上げの影響を受ける中小店舗への支援、キャッシュレスの推進を目的といたしまして、二〇一九年十月から二〇二〇年六月にキャッシュレス・ポイント還元事業を実施いたしました。ポイント還元事業を通じてキャッシュレス決済の裾野は大きく広がりつつありまして、当初の事業目的に照らして一定の効果を上げたと考えているところです。

 その上で、委員からの、更なる、このキャッシュレス化を大きく推進させるべきというような御指摘でございますが、キャッシュレス化を更に進めていくためには、加盟店手数料が高いことなどの課題を解決することが重要だというように指摘をされております。

 これらの状況に鑑み、経済産業省では、二〇二〇年六月より、有識者による検討会を立ち上げて、クレジットカード等のコスト構造を詳細に分析し、コスト低減に向けた取組を検討するなど、キャッシュレス決済の更なる普及に向けた環境整備を進めているところでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。本件についてはやらないということで、ちょっと残念なんですけれども、少しでも今の国民生活の負担を軽減する対策をお願いできればと思っております。

 次に、マイナンバーカードについてお伺いしてまいります。

 我が国において、デジタル化の基盤となるのがマイナンバーカードであります。政府においても、社会のデジタル基盤となるマイナンバーカードへの国民の理解と普及の重要性を認識し、様々な取組をされてきたことは承知しております。しかしながら、昨年実施されたマイナポイント事業によるインセンティブをつけた取組によっても、国民のマイナンバーカード取得率は四〇%、二〇二一年度末で四〇%とまだまだ低迷をしているかなと思っております。

 そこで、マイナポイントキャンペーンによる投資対効果を含めたこれまでのマイナンバーカードの取得、普及状況をどのように評価をしているのか、お伺いいたします。

小林副大臣 阿部委員御指摘のとおり、マイナンバーカード、対面に加えてオンラインでも確実な本人確認ができる最高位の身分証だというふうに考えておりまして、安全、安心なデジタル社会のパスポートだというふうに捉えております。

 普及のところですけれども、やはり普及のポイントは、まずは、持っていてよかったと思ってもらえる利用シーンを増やしていくということと、あと、それがあるのだということを広報、周知をしていく、しかも、誰一人取り残されないという意味では、かなり幅広く伝えていくことが重要だというふうに考えています。

 それに加えて、あくまでもこのマイナポイント、言及いただいたところは消費喚起がメインですけれども、そのプラスアルファの効果として、キャッシュレスの拡大であったりとか、マイナンバーカードを利用する機会にもなっているというふうに考えております。

 これをやった結果、先ほど御指摘いただいたように、今、保有率は四三%になっているんですけれども、これは令和二年九月時点では約二〇%でしたので、倍増以上しているという意味では、かなり拡大してきているというふうに思っています。

 これをどのように考えているかということですが、やはりこの比率が拡大をしていけばいくほど、利用シーンを増やしていこうという取組が官民共に広がってくる、それによって利用シーンが増えてくると、また使いたいという人が増えてくる、こういういいサイクルを回していくことをやってまいりたいと思いますし、今後のマイナポイント等の事業については、各省としっかり連携して、デジタル庁が司令塔を果たして、全体として戦略を進めていきたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。小林副大臣から、しっかりデジタル庁が司令塔として音頭を取っていくという力強いお言葉をいただきました。

 ところで、政府は、「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤の抜本的な改善に向けて」、これは国・地方デジタル化指針というものですけれども、こちらにおいて、二〇二二年度、令和四年度までにほぼ全ての国民がマイナンバーカードを取得することを目指すと閣議決定しております。ほぼ全て。ほぼ全てというのは、一億何千万人なのか、一億人なのか、八千万人なのか。

 私、この目標の掲げ方は非常に不適切なのかなと思っていまして、やはり目標は数値を示して、国民の何%が取得することを目指すべき、そのようにすべきではないでしょうか。

 また、今春以降、マイナポイントキャンペーン第二弾を展開すると聞いております。具体的な数値目標を掲げたプロジェクトとして推進すべきと思いますけれども、小林副大臣からも、しっかりデジタル庁が指揮監督していくということでしたが、牧島大臣からの、このマイナンバー普及に向けてのお考えと決意をお伺いいたします。

牧島国務大臣 今御答弁申し上げましたとおり、マイナンバーカードを持っていてよかったという利便性を皆さんが実感していただくシーンを増やしていくという意味では、健康保険証の利用やワクチン接種証明書アプリの取得などにも活用をいただいているところでございます。

 マイナポイント第二弾、既に一月一日から先行的に、最大五千円相当のマイナポイントの付与、新規マイナンバーカード取得者に対してはスタートしております。健康保険証利用申込み、公金受取口座登録、合わせて最大二万ポイントということになってまいりますので、これが一つ、マイナンバーカードの普及の観点からも、一定の効果があるというふうに想定しております。

 令和四年度末までにはほぼ全ての国民の皆さんが持つという目標を私たちは掲げておりまして、ほぼ全てというところでございますが、現行ですと、日本に住んでおられない、海外に在住をされている国民には、マイナンバーカードを持っておられないという状況になっていたりします。そうしたことを鑑みて、ほぼ全ての国民が持つという目標をしっかりと掲げてデジタル庁としては取り組んでいきたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。ちょっと具体的な数字は挙げていただけませんでしたけれども。

 例えば、デジタル先進国であるデンマーク、日本のマイナンバーに当たる個人番号制度を約五十年前に導入しまして、二十年かけてデジタルインフラを構築してきたと言われております。この間、行政のデジタル化はもとより、デジタル化の推進に当たっては、達成目標と具体的なマイルストーンを提示して、国民に必要性を説くとともに、成功事例を積み重ねて示してきたことが、現在のデジタル大国としての状況につながったと聞いております。

 こうした点も参考に、牧島大臣には、是非とも、明確な達成目標と具体的なマイルストーンを掲げた上で、マイナンバーの普及を始めとしたデジタル化のプロジェクトに取り組んでいただくようお願い申し上げます。

 続いて、地方自治体のデジタル化の取組、ネットワークについてお伺いをしてまいります。

 各省庁はもとより、地方自治体がデジタル化を進め、効率的で利便性の高いサービスを提供し、地域経済の活性化に結びつけていくことは、DXにおける重要な視点です。デジタル社会の実現に向けた重点計画においても、国、地方公共団体、民間を通じたトータルデザインを実現することが目標と掲げられております。

 ここで、自治体のネットワークについてなんですけれども、現在、自治体では、ネットワークが、マイナンバー利用事務系、いわゆる自治体の財務会計ですとか情報系などのデータを扱うLGWAN接続系、そして三つ目に、メールなどで使用するインターネット接続系の三つのセグメントに分離分割される三層対策が講じられております。

 これが、自治体の現場でえらく業務効率を下げていると大変不評であるという声を聞いております。これは、二〇一五年に起きた日本年金機構の情報漏えい事件を受けて、セキュリティー対策のためにネットワークを三層に分けたというふうに理解しておるんですけれども、例えば、さきの新型コロナの給付金にまつわる業務でも、二度手間、三度手間が生じて、自治体によっては大幅に業務が遅れてしまったと言われております。

 また、少々ちょっと細かい話になるんですけれども、給付金でもワクチンでも、国が自治体に照会をかけるとき、マクロつきのエクセルのファイルをメールか何かで送って、そういったことがあるそうなんですけれども、そうすると、この三層分離のネットワークだと、セキュリティー上、必要な処理をエクセルファイルに施すとマクロが除去されてしまって、現場でまた大変な思いをして、手間をかけて再集計するといった作業も発生しているとも聞きました。

 今後、DXと業務効率化を進めていく上で、地方自治体のネットワークの在り方については、現在のセキュリティー効果について評価をしつつも、自治体基幹業務システムの標準化、統一化を踏まえて、現在の三層制を抜本的に見直す必要があると思いますけれども、見直しの方向性について大臣の御所見をお伺いいたします。

牧島国務大臣 御指摘の課題は私も受け止めております。

 事務効率等の低下の課題、どのようにしていくかという点で、デジタル庁では、行政手続、スマートフォンで六十秒という、この完結できる世界を目指しているわけですから、品質、コスト、スピードを兼ね備えた行政サービスの提供ができるように、国、自治体、民間を通じたアーキテクチャー設計の在り方を根本から見直すこととしております。

 そして、この三層対策についても、抜本的な見直しを含め、国、地方を通じたネットワーク環境の見直しの統合的な検討を進めることとさせていただいております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。是非、堅牢でありながらも現場の効率性にも配慮したネットワーク構築に向けて力を尽くしていただきたいと思っております。

 そして、最後のパートなんですけれども、調達についてお伺いをしてまいります。

 国民の税金を預かって、それを原資として財やサービスを購入する公共調達において、品質のよい財・サービスを少しでも安く調達していくことは政府の責務であると思っております。したがって、調達の問題は政府が不断の改善努力をもって取り組むべき永遠のテーマでもあると思います。

 特に、高額で、設計ですとか仕様書の作成について高度な専門知識を要する情報システムの調達については、これまで度々問題点が指摘されてきました。いわく、専門人材のいない行政はベンダーの言いなりになっている、いわく、行政はいいカモにされている、いわく、行政相手の情報システム納入はおいしい仕事などなどです。

 仮に、適切な仕様や設計で発注ができていなかったり、相場に比べて法外に高額な契約がまかり通っていたのであれば、税金の無駄遣いで大変国民にも申し訳が立たないことだと思います。

 そして、今問題となっている、特定ベンダーがつくり込んだシステムから抜け出せなくなっているというベンダーロックイン問題。こちらのベンダーロックインを始めとした省庁の情報システムの調達に関する不都合をなくしていくことも、デジタル庁の司令塔としての、強い勧告権と総合調整権を持っているデジタル庁の役割ではないかなと思っております。

 そこで、デジタル庁自体の調達について確認させていただきます。

 昨年九月の発足以来、デジタル庁のシステムに関わる契約金上位五業務における一者応札の状況をお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月のデジタル庁発足後の情報システム関係の調達におきまして、契約の金額の大きい上位五業務のうち、四つの業務において一者応札となってございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 五つの調達案件中四つまでは、一者しか応札しない一者入札案件ということでした。また、システム以外も含めた、デジタル庁の令和三年九月から令和四年四月までの契約案件三十八件中十五件、約四割までもが、一者のみが応札した一者入札案件となっております。

 こうした状況を見ると、霞が関のシステム調達の課題を解決すべき立場のデジタル庁が、既に、発足して半年でベンダーロックインのわなにはまっているようにもちょっと見受けられるんですけれども、この状況を大臣はどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

 また、危機感を持ってデジタル庁の調達の在り方を再検討するためのテーブルを、会議体をしっかり設置していくなど具体的な対応策なんかも進めていくべきと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いできればと思います。

牧島国務大臣 情報システムの調達において、一者応札自体はシステムや業務の特殊性等により避けられない場合も存在しますけれども、ベンダーロックインについては、その排除に取り組むことが必要であるという認識は持っております。

 そして、デジタル庁としても、ベンダーロックインは、適切な競争環境を損ない、システム整備や運用費用が高止まりになるなどの問題があるとの認識は以前から持っておりますので、その解消に向けて、関係省庁と連携して積極的に対応してまいりたいと考えております。

 具体的には、個々のシステムの活用の目的、状況に応じて、セキュリティーは十分に確保されているか、利便性や効率性が維持されているかといった点も踏まえ、情報システムのオープンな仕様の設計やオープンソース化等に取り組むこと、また、ベンダーロックイン防止のための知見、事例などを集積し、関係省庁や地方公共団体等にも周知していきたいと考えております。

 その他、御指摘ございましたベンダーロックインの要因は多岐にわたることから、情報システムの整備、運用に当たって、従来とは異なる柔軟な契約形態ですとか、多種多様なベンダーの参加が可能となる環境づくりについては、有識者の意見なども伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

 いずれにしても、ベンダーロックインの問題の解消に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。こちらのテーマの議論、引き続き続けてまいりたいと思います。

 次に、大きな問題となってくるのが、情報システム導入に当たっての仕様、設計及び積算が適切になされ、積算価格が適正なものになっているのか、そこがしっかり担保されているかどうかです。

 そこで、情報システム発注に当たっての仕様、設計及び積算の具体的な進め方についてお伺いをいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁では、政府の情報システムの導入に当たっての共通のルールとなりますデジタル・ガバメント推進標準ガイドラインを取りまとめておりまして、各府省庁にお示ししております。

 このガイドラインにおきましては、情報システム導入の発注について、プロジェクト計画の策定、予算要求、サービス・業務の企画、要件定義書の作成、調達という手順を示しておりまして、特に、経費の積算に当たりましては、主に四点、ガイドラインにおいて示しております。

 まず、見積りの取得に当たっての必要な情報提供を行うこと、第二に、見積金額の妥当性を確認できるよう積算内訳を明確にすること、第三に、ライフサイクルコストを見積もり、その根拠を明確にすること、第四に、原則として複数事業者の見積りを比較すること。これらの留意点を示しておりまして、各府省庁は、これに基づき適正な経費の積算に取り組むこととなっております。

 また、重要な情報システムにつきましては、デジタル庁におきまして、予算要求から執行を通じこれらの取組が適正になされているかどうかの観点も含めて、個別にレビューを実施しておるところでございます。

 デジタル庁としては、政府の情報システムの導入に当たって適正な仕様の検討、経費の積算が行われますよう、各府省庁を支援してまいる所存でございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。ガイドラインが用意されているということだったんですけれども、しっかり、デジタル庁のコンサルティング機能といいますか、側面支援も連携をして行っていただけたらと思います。

 一つ、質問をちょっと飛ばしまして、最後に、調達に当たってのスタートアップ企業の参加をより促進する仕組みや運用についてお伺いしてまいりたいと思います。

 これからDX化を推進していくには、信用と実績のある大手ベンダーの力をかりていくことはもとより、新しいソリューション、高い技術力を持ったスタートアップ企業の力を活用していくことがより重要になってくると思います。

 そのためには、高い技術力を誇るスタートアップ企業に対する、企業規模による選別ですとか支払い条件、例えば、私が聞きましたのは、やはり資金力、企業体力が弱いと、プロジェクトが全部終わった後に支払われるという形だと、これだと参加できないということで、これは分割して支払うですとか概算払いをする、こうしたことをやってくれたら非常に助かるのにといった、こうした声を聞いてまいったんです。

 このような、今、現存する霞が関の調達の、そのエントリーするに当たっての障壁、これを取り去って、しっかり、能力あるスタートアップ企業の力を積極的に活用していくような調達制度、これを築いていくべきと考えております。

 そのために、まずは、スタートアップ企業のような、そうした技術力の高い会社の意向等を把握していくべきと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

牧島国務大臣 既にデジタル庁においては、例えば入札参加資格の緩和などを行っておりますし、VRS、ワクチン接種記録システムの開発、運用、保守では、スタートアップ企業からの調達も行っております。

 今お示しいただきましたような課題の聞き取りなどもしっかりと行って、対応策を検討してまいりたいと存じます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。しっかり対応策を検討していただけるということで、期待をしております。

 キャッシュレス化を含め、是非、引き続き、日本のDXのために諸改革を進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日、ラストバッター、よろしくお願いします。牧島大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 時間も短いので本題に入りたいと思いますが、この法律、私、ぱっと全部読んでみたときに、すごく不思議なことに気がつきました。この法律にはデジタル大臣が行使できる権限が一つも書いてないんですね、実は。デジタル大臣が行使できる権限は、デジタル庁の主務省令を通じてデジタル庁に対しては権限行使ができるようになっているけれども、実は総合調整のためにできる規定が一つも盛り込まれていないというのを見て、変な法律だよねというふうに思ったんですね。

 主務省令のところを見ていても、主務省令、ばらばらなわけですよね、各省に。デジタル庁として何か出す、統括的な主務省令が出るというわけでもない。この法律ができ上がった後、それをフォローアップを誰がするのかということについても、少なくとも法律を見る限りは明らかでない。

 この法律の将来を心配するわけですよ。牧島大臣は法案審議でこうやって今やっておられるので、この法律に対して思い入れを持ってやられると思いますけれども、そうでない大臣が後世に来たときに、法律に何の権限もないと何か物すごく無責任な構図ができてしまうんじゃないかなという懸念を持つわけでありますが、大臣、いかがですか。

牧島国務大臣 まず、デジタル大臣としては、社会全体のデジタル化の司令塔であるという責任を感じておりますので、デジタル社会の形成に向けた官民の施策がしっかりと行き渡るように、そして国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を構築する、そして、この法案に関しては、キャッシュレス化の導入による利便性もしっかりと感じていただけるように、利用者の利便性向上に向けて政府全体としてキャッシュレス化を推進するということになろうかと思います。そして、デジタル原則を掲げているデジタル臨時行政調査会、そして規制改革推進会議などを通じてフォローアップをするということとさせていただきます。

緒方委員 大丈夫かなという気はしましたが、今後、牧島大臣のみならず後任の方がしっかりと問題意識を持っていただけるようにということで一つ質問させていただきたいんですが、この件で働きの悪い役所がいるとしましょう、そういう大臣に対して、デジタル庁設置法に基づく例えば勧告権とかそういうものは行使できるというふうに理解をしてよろしいでしょうか、大臣。

牧島国務大臣 即座に答弁するというのは難しい問いなのではないかというふうに思っておるんですけれども、政府としては、しっかりと手数料納付など手続全体をオンラインで実施するという原則は持っております。そして、費用対効果を踏まえてそれぞれしっかりと国の手続におけるキャッシュレス化を進めるということ、そしてデジタル臨時行政調査会、規制改革推進会議等を通じてフォローアップをするということが一義的には重要なことだろうというふうに考えております。

緒方委員 ちょっと今不安になったんですよね。つまり、大臣がおられて、このデジタル庁設置法を作るときに、他省庁にしっかりと目配りをするようにということでデジタル庁設置法には勧告権が書いてあるわけですよね。それで今この法案を牧島さんが担当しておられるということになると、この法律の運用をするときに、どこぞやの役所の出来が悪い、何か、やるやると言っているけれどもやるやる詐欺みたいな役所が出てきたぞというときに勧告権の行使をするんですかねと聞いたときに、ちょっと答えにくいと言われてしまうと、若干不安を持ちました。

 これは、一度整理をして、後刻、事務方からで結構でありますので、話を聞かせていただければというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、この法律に伴う印紙税、先ほども議論がありましたが、印紙税についての議論をさせていただきたいと思います。

 印紙税というのは、印紙税法を見ると、作成した課税文書に対する課税であると。そして、印紙税法の基本通達において作成の定義というのが書いてありまして、用紙への記載ということが書いてあるということで、これは、どっちかというと、キャッシュレスというよりもペーパーレスになると印紙税が減っていくというのが、これが法律の解釈のところであります。

 ただ、今回のような法律ができていくと、結果としてペーパーレスも進んでいくわけですよね。そうすると、先ほどの阿部議員の質疑にもありました、印紙税、現在二千八百億ということでありますが、キャッシュレス、そしてそれと同時並行でペーパーレスが進むときに、印紙税というのがどんどんどんどん結果として減っていく可能性が高い。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、二千八百億円ですから、結構でかいわけですよね。これが自動的にどんどんどんどん掘り崩されていくことについて何の対策も打たないと、一般会計がどんどんきつくなっていくよねという問題意識を持つわけでありますが、副大臣、いかがですか。

岡本副大臣 今委員御指摘いただいたとおりでありまして、現行の印紙税は電磁的記録に対しては課されないために、議員御指摘のように、文書の電子化が進めば印紙税収は減少することになります。

 印紙税は厳しい財政状況の下で貴重な財源でありまして、今後の印紙税の在り方につきましては、役割も踏まえて検討する必要があると考えています。

緒方委員 頑張ってください。印紙税なんて廃止だとか、いろいろそういう声はあるんですけれども、印紙税がいいか悪いかというのは、確かに、貼るのが面倒くさかったり、何で今どきこんなことをせないかぬのだというのがあったりするんですけれども、ただ、やはり二千八百億円の税収が、これが半分になり、一千億になり、なくなっていくということになるときの国の財政への影響というのは計り知れないものがあると思いますので、副大臣、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 そして、この法律に伴いますオンラインでの納付、この法律を読む限りは、オンラインの納付と窓口での納付が併存することが、想定されているというか、想定され得るわけですよね。全て、できる規定で来ていますから、オンラインで払うこともできる、ただ、通常の、窓口でアナログで払うこともできるということなんですが、それだと、結果として、業務の効率化をするためということだったんですが、逆に何か、そんな二つも窓口をつくっちゃうと、業務の効率化をむしろ妨げ、事務量の増加につながるのではないかという懸念を持つわけですね。

 そういう観点からは、先ほどから、年間一万件を超えるものについてはできるだけオンラインでできるように進めていきたいということでありますが、ある程度期限を切って、窓口での納付じゃなくて、全部もうオンラインにどばっといきますというような、そういう、期限を切った上でオンラインへの完全移行を進めるというふうに、ある程度期限を切ってやった方がいいんじゃないかと思いますが、牧島大臣。

牧島国務大臣 政府としましては、国の行政手続について、申請から手数料納付まで、手続全体をオンラインで実施できるようにすることを原則とするということはさせていただいております。そして、この法案を通じて、納付方法の選択の幅を広げて、利用者の利便性が向上されていくということを想定しております。

 利用者のニーズの動向などを見極めていきたいというふうに考えておりますけれども、デジタル社会の進展に伴うキャッシュレス納付の利用状況を見つつ、今後の方向性についてもしっかりと検討してまいりたいと存じます。

緒方委員 期限を切った方がいいと思います。併存している状態というのは多分よくないと私は個人的に思う。

 もちろん、高齢者の方々がおられて、すぐになじまないとかあると思うんですけれども、ただ、本当に、地方自治体の窓口をちょっとイメージしてみてください。窓口があって、オンラインがあって、両方やっていますというのは余りいい姿ではないんじゃないかなと思います。

 またこの件は事務方と議論をさせていただきたいと思いますので。

 私の質疑時間は終わりました。ありがとうございました。

上野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上野委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、工藤彰三君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堤かなめ君。

堤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 情報通信技術を利用する方法による納付(以下「キャッシュレス納付」という。)が、広く国の歳入等一般の納付について可能となるよう努めること。

 二 指定納付受託者の未納付により、歳入等の納付者が二重払い等の不利益を被ることのないよう、万全の措置を講ずること。

 三 指定納付受託者を指定するに当たっては、納付事務を適切かつ確実に実施することができるよう、指定納付受託者の要件を適切に定めること。

 四 システム障害等によりキャッシュレス納付を行えなくなる事態に備えるため、他の納付方法を確保するなど必要な措置を講ずること。

 五 指定納付受託者等による納付者の個人情報の不正利用や流出を防ぐため、必要な措置を講ずること。

 六 キャッシュレス納付の利用に伴う手数料負担について、国による負担、納付者による負担の現状等について整理の上、その在り方について検討すること。

 七 広く行政の手続においてキャッシュレス納付を導入するため、キャッシュレス納付のシステム導入等に資するよう、地方公共団体に対する支援等、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。牧島デジタル大臣。

牧島国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

上野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上野委員長 次回は、来る十八日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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