第10号 令和4年3月18日(金曜日)
令和四年三月十八日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君
理事 足立 康史君 理事 阿部 司君
理事 國重 徹君
伊東 良孝君 石橋林太郎君
石原 宏高君 尾崎 正直君
加藤 竜祥君 金子 俊平君
国定 勇人君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
高木 啓君 永岡 桂子君
平井 卓也君 平沼正二郎君
松本 尚君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 山田 賢司君
吉川 赳君 和田 義明君
大串 博志君 堤 かなめ君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 浅川 義治君
堀場 幸子君 河西 宏一君
平林 晃君 浅野 哲君
塩川 鉄也君 緒方林太郎君
大石あきこ君
…………………………………
議員 足立 康史君
議員 阿部 司君
議員 堀場 幸子君
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(デジタル大臣) 牧島かれん君
国務大臣
(防災担当) 二之湯 智君
国務大臣
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 野田 聖子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 山際大志郎君
国務大臣
(経済安全保障担当) 小林 鷹之君
内閣府副大臣 大野敬太郎君
法務副大臣 津島 淳君
厚生労働副大臣 古賀 篤君
厚生労働副大臣 佐藤 英道君
経済産業副大臣 細田 健一君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
内閣府大臣政務官 泉田 裕彦君
財務大臣政務官 藤原 崇君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 室田 幸靖君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 三貝 哲君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 下田 隆文君
政府参考人
(内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官) 北波 孝君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官) 相川 哲也君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府宇宙開発戦略推進事務局長) 河西 康之君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 藤原 朋子君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 小島 裕史君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 緒方 禎己君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局次長) 坂口 拓也君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 井上 俊剛君
政府参考人
(消費者庁審議官) 長谷川秀司君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
政府参考人
(財務省主計局次長) 奥 達雄君
政府参考人
(経済産業省大臣官房総括審議官) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 藤田清太郎君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 飯田 健太君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房緊急事態対策監) 金子 修一君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
赤澤 亮正君 尾崎 正直君
鈴木 英敬君 国定 勇人君
同日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 加藤 竜祥君
国定 勇人君 石橋林太郎君
同日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 鈴木 英敬君
加藤 竜祥君 赤澤 亮正君
同日
理事阿部司君同日理事辞任につき、その補欠として足立康史君が理事に当選した。
―――――――――――――
三月十七日
経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)
経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○上野委員長 これより会議を開きます。
理事の辞任についてお諮りいたします。
理事阿部司君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事の辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に足立康史君を指名いたします。
――――◇―――――
○上野委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官室田幸靖君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岸一生君。
○山岸委員 おはようございます。立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いいたします。
早速でございますけれども、今朝は、藤井敏彦前審議官の非違事案について、これは政府の意思決定をゆがめてこなかったのか、この視点からお尋ねをしてまいります。
官房長官、御多忙の中、御出席ありがとうございます。
まず、幾つか事実関係をしっかり確認していきたいと思っていますので、宿題についてお願いをしたいというふうに思います。
先週の委員会で、我が党森山浩行委員より質問をいたしましたけれども、これは大変長い名前ですが、ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーンに藤井さんが送付をしたメールについて公表をお願いしていましたけれども、内閣官房、いかがですか。
○室田政府参考人 山岸先生にお答えを申し上げます。
御指摘のございました、ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーンに藤井氏が無断で送達した文書でございます。
これにつきましては、私ども、委員長の御指示に従うということで、今作業を進めさせていただいているところでございます。
基本的には、個人情報、プライバシー等、あるいは企業、団体の、不当に利益を害さないということ、政策上の必要性等には鑑みますけれども、できる限り出させていただくという方向で現在作業を進めさせていただいているところでございます。
委員長の御指示を待ちたいというふうに思っております。
○山岸委員 委員長、引き続きこれは督励をお願いいたします。
○上野委員長 理事会で協議をいたします。
○山岸委員 続きまして、もう一点でございますけれども、これも先週の質疑でございました、電機メーカーA社の社名の公表でございます。
先週の時点では、先方から公表しないでほしいという話があったということだったんですけれども、委員会で議論がありましたので、その後、何かやり取りはあったんでしょうか。進展はありますか。
○室田政府参考人 引き続き、お答えを申し上げます。
先般の委員会での議論におきまして、A社の社名の公表について、共産党塩川先生から非常に強い要請がございました。それを受けまして、委員長の方に、御指示に従うという旨、答弁をさせていただきました。
その後、A社とは協議を重ねており、できる限りの対応をさせていただくということで、現在、私ども、作業を進めさせているところでございます。
○山岸委員 この点も、委員長、引き続き督励をお願いいたします。
○上野委員長 理事会で協議いたします。
○山岸委員 ありがとうございます。
引き続き、やはり事実をしっかりと積み上げていくということの中で我々も質問をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたします。
今日は、そういった様々、既に明らかになっている事実を分析していく中で、やはり藤井さんが政策をゆがめていたのではないかという新たな疑惑がございます。これをしっかりと伺っていきたいと思います。
発端となるのは、このメールでございます。既に公表されている二〇二一年四月二十七日付のメール、藤井氏から國分俊史氏に宛てたメールでございます。
こういうふうに書いてある。これであした金融庁が甘利先生のところに行くはずです。「これで」の「これ」とは何か。これは、先週、三月十一日の当委員会において、森山浩行議員への御答弁の中で、「投資家と企業の対話ガイドラインという文書でございます。」と答弁をいただいております。その内容を今日お手元に参考資料としてお配りをしております。この文書の、作成途中だったものを甘利議員に説明に行くんだということであります。藤井さんのメールは四月二十七日付で、その中で、あした行くというふうに書いてあります。
金融庁、お伺いいたします。翌日、四月二十八日、甘利議員に対して、投資家と企業の対話ガイドラインについて説明を行いましたか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
政府内では、政策立案過程におきまして、国会議員を含む様々な関係者への説明を行っております。その一環として、甘利議員を含め関係者に、当時改定作業中でありましたコーポレートガバナンス・コードの附属文書である投資家と企業の対話ガイドラインについても説明を行っております。
○山岸委員 率直な御答弁、ありがとうございます。関係各所に、この時期、説明に回ったということでありました。
では、そのレクというのが何のために行われたのかということなんですが、お手元にお配りしていますように、このガイドラインというのは二つのバージョンがございます。資料の2と3であります。
四月六日に当初案を公表した、これが2でございます。その後、パブコメ等を取りまして、パブコメ等も受けて、六月十一日に確定版を作った、これが3、こういう経緯になっています。
すると、この藤井氏のメールにあるとおりだとすれば四月二十八日になるわけですけれども、この時期というのはまさにパブコメの途中になりますから、何を議員に対する説明資料として持っていったんでしょうか。この時期、金融庁が説明に使ったのは、四月六日の公表資料なのか、六月十一日に確定をする、その確定版の草稿、ドラフトであったのか、どっちかしかないと思うんですけれども、どっちなんでしょうか。
○井上政府参考人 お答えいたします。
甘利議員に対しては、四月六日に公表をされました投資家と企業の対話ガイドラインの改定案をベースに、経済安全保障の観点も含め、改定に関する説明をさせていただいたところでございます。
○山岸委員 ありがとうございます。
まさに、四月六日のものではなくて、六月十一日に公表をされる予定である確定版のその時点での草稿、調整中のものを説明をした、そういうことであります。
しかし、これは、日付を御覧いただければ、おかしいんですよね。先ほど申し上げた、四月六日に当初案を公表して、四月の七日から五月の七日までパブコメを取っていたわけです。それで、パブコメを受けて、六月の十一日に改定版を作ったということになるわけなんです。だから、この時点で、四月末の時点で、こう変えます、ああ変えますということを本来であれば説明できるはずはないし、資料もあるはずがないわけなんです。ちょっとこれは後で深掘りしていきますけれども。
いずれにしても、このタイミングで金融庁は、急ぎ、甘利議員を始めとして関係議員の元に改定版を説明に上がっていった。そのことを藤井さんは前もって國分さんに対して伝えている。やはりよほどの関心事、重要事だったというふうに推測できるわけであります。
何がそこまで関心を呼んでいたのか。それは、今、金融庁からも一言説明がありましたけれども、四月六日のものと六月十一日のものとを見比べていただければ一目瞭然なわけであります。
これは資料の2と資料の3ですけれども、いずれも表紙と一ページ目を並べたものでございます。2と3、本文の方を見てもらえればお分かりだと思うんですが、一つのフレーズが挿入をされております。「国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応」、このたった一フレーズが挿入をされているわけであります。
まさに藤井さん、國分さん、甘利さんが熱心に活動してこられた経済安全保障というフレーズをこの金融庁のガイドラインに盛り込むことになった。だからこそ、藤井さんにとっては、リスクを冒して國分さんにもそのことを伝えたんだろう。ということが、これは僕の想像ではこれ以上話が進まないので、NSCに、内閣官房に確認をお願いしたいんです。
このお配りをしている資料の1、2、3、見比べていただきたいのでございますけれども、1と2を比べれば、これはよく似ているわけですね。表紙はそっくり同じでございますし、ノリ弁になっているところも、これは、本文、一ページ目の四角囲みの上半分の部分が一番大きなノリ、その次の一の一、一の二、一の三たる部分が二番目のノリ、そして一番下のノリは注釈の部分というふうに、レイアウト上はほぼ間違いないというふうに思われるんですけれども、NSC、この添付ファイルについては、ガイドラインの表紙と一ページ目であると端的に明らかにしてもらえませんか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
先生御指摘のとおり、一枚目は投資家と企業の対話ガイドラインの表紙でございます。二ページ目以降、消し方とその実物がよく似ているという御指摘、ごもっともかと思いますけれども、中身について明らかにさせていただくのは、私ども、委員長の御指示に従いまして、可能な限り黒塗りを減らして出させていただくという方針でございますので、そちらをお待ちいただければというふうに思います。
○山岸委員 ほぼほぼお認めいただけていると思うんですが、確認しますね。
この資料、部外秘のものだから黒塗りになっているわけですけれども、先ほど申し上げた四月六日のバージョンであれば、これはそのとき既に公表されていますから、秘密ではないし、藤井さんが処分される理由に含まれることもありません。
したがって、この藤井さんが國分さんに送った添付ファイルの中身というのは、四月六日公表のものではなくて、六月十一日に改定版として出ていくもの、つまり、経済安全保障というフレーズが入ったドラフトであったということでよろしいですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
どのようなバージョンで、具体的に何が書かれていたかにつきましては、委員長の御指示に基づきましての公表をお待ちいただければと思いますけれども、簡単に経緯だけ御説明をさせていただきます。
私ども、金融庁さんの方から、まさに政府内部の協議ということで、このペーパーについて御相談がございました。その御相談に基づきまして、国家安全保障局といたしまして、こういうふうなコメントをしてはどうかというような形で、コメントを書かせていただいて、それを金融庁さんと共有をさせていただいております。
その意味におきまして、政府内部で、ああしたらどうか、こうしたらどうかという、やり取りの途中であったということでございます。
○山岸委員 重ねてお伺いします。そのコメントというのは、経済安全保障に関するコメントということでよろしいですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
中身に関するものについては、現時点、差し控えさせていただくのでございますけれども、国家安全保障局が、金融行政、コーポレートガバナンス・コード等、あるいは投資家と企業の対話ガイドラインへ何かコメントをするということでございますので、基本的には安全保障に関わること、なかんずく経済安全保障に関わることという御理解で差し支えないかと存じます。
○山岸委員 ありがとうございます。経済安全保障に関するコメントであったということでございます。
では、ここから本題といいますか、次の話題なんですけれども、じゃ、経済安保というこのフレーズ、藤井さんや國分さんや甘利さんが大変関心を持っておられたこのフレーズがなぜ金融庁のこの文書に盛り込まれていったのかということなんです。そのプロセスにおいてどういった関わりがあったんだろうか。
私、このガイドラインを読みまして、四月六日の案から六月十一日の改定までに変更になった部分、これはごく一部ですよね。私、済みません、この経済安全保障ともう一個しか見つからなかったんですけれども、金融庁、改定箇所は何か所ありますか。それはどこですか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、改定箇所はごく少数でございます。
御指摘の点ですけれども、投資家と企業の対話ガイドラインの一の三において、経営戦略、経営計画等において適切に反映されているか確認する項目として、国際的な経済安全保障をめぐる環境変化への対応の必要性等の事業を取り巻く環境の変化というフレーズが追加されております。
○山岸委員 今、一か所の御説明をいただきました。もう一か所、私、見つけたんですが、それは言葉の修正と申し上げていいんだろうと思いますが、人材投資という言葉を人的資本への投資というふうに書き換えるというものでございます。だから、これは用語の統一、そういう形式的な修正であった。
そうした中で、あえてこの経済安保だけ実質的には書き加えられている。これは一つ、やはり異様なこと、異質なことというふうに申し上げていいんだろうと思います。
金融庁にお伺いいたします。なぜこの部分を書き加えたんですか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
投資家と企業の対話ガイドラインと同時に、当時、意見公募、パブリックコメント手続に付されておりましたコーポレートガバナンス・コードに対しまして、経済安全保障に関する記述を加えるべきという御意見が複数寄せられたこと等を踏まえまして、その附属文書である投資家と企業の対話ガイドラインに、先ほど申し上げたフレーズを加筆したものでございます。
○山岸委員 パブコメで意見があったから変えましたということなんですけれども、私、このパブコメ、公表されていますので、全部拝見いたしました。百を超える個人あるいは団体からパブコメがあった。企業や各業界の方が真摯に素案を読み込まれて提言をくださった、非常に重い内容だと思います。
でも、経済安全保障を書こうという提案は、私が見た限りでは二つだったと思います。むしろ、それよりも多いのは、例えば、気候変動についてしっかりとガバナンスの観点から書いた方がいいんじゃありませんかというふうな御意見、これは最低でも四つはありました。恐らくもっと多いんじゃないかなと思います。でも、反映されていないですよね。さっき申し上げたように、変わったのはごく一部しかないわけです。
非常に疑問なんでございます。多数あった意見は全然酌んでいないのに、突然、この二つ意見があったという経済安全保障が差し込まれてくる。ちょっとこれは、単にパブコメがあったからということだけでは説明がつかないと思うんですが、金融庁、これは政治家からの働きかけによるものではありませんか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
政策の立案過程で、先ほど申し上げましたとおり、国会議員の方々を含め、多数の方と調整はさせていただいております。
今回のフレーズに関しては、先ほど申し上げましたとおり、パブリックコメントでいただいた意見等を踏まえて加筆したものでございます。
○山岸委員 国会議員も含めて調整をしてきたという率直な御答弁でありました。
じゃ、その中でどういった意見があったのか、具体に見ていきたいんですけれども、金融庁と共同でパブコメを行っていた日本取引所グループ、パブコメに意見を寄せた団体を公表されています。さっき私、経済安全保障を入れるべきだというふうな意見が二件あったと御紹介をしましたけれども、そのうちの一つ、意見番号六百十一番、提出者は多摩大学ルール形成戦略研究所となっております。まさに藤井氏が客員教授を務め、國分氏が所長を務めている研究所。金融庁、これは間違いありませんね。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおりだと理解しております。
○山岸委員 つまり、そういうことなんです。藤井さんと國分さんが所属をしているこの研究所が、金融庁のガイドライン、経済安全保障が入っていないのはけしからぬよということで、研究所としてパブコメを出している。もちろん、パブコメ、政策提言は自由であります。だけれども、やはりタイミングがおかしいと私は思うんですよ。
さっき申し上げたように、四月六日の素案には経済安保は全く出てきません。四月七日から五月七日までパブコメをやっていて、そこでこの研究所として経済安保に関して意見を出した。でも、そこから改定版ができるのは六月の十一日。じゃ、そもそもこの発端となっている、藤井さんがメールを出した四月二十七日というのは、まだパブコメの途中ですよね。普通なら、この時点で藤井さんが、自分たちの提言がこんなふうに反映されますよ、こういうふうになりますよなんという内容を言えるはずがないタイミングです。一体どういうことが起こっていたのか、これは非常に疑問が残るところだと思います。
しかもこれは、四月二十七日にメールを送っただけではありませんで、その前があります。このメールの件名に、架電の件と書いてあります。前もって、この金融庁のペーパーについては、國分氏、藤井氏がやり取りを重ねてきている中でこのメールが送られてきているということです。
内閣官房にお聞きいたします。月曜日の予算委員会の理事懇で、この架電の件については調査をするとお答えいただいていますけれども、何か分かりましたか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
予算委員会の理事懇の後、私、國分氏に電話をいたしまして確認をさせていただきました。この架電とはどういう電話であったのかということでございます。
國分氏によりますと、メールを受け取る前に藤井氏から電話をもらったということは覚えているけれども、内容はよく覚えていないということでございました。
○山岸委員 内容は覚えていない。覚えていないということが真実であるのかどうなのか、この点もしっかり確認していかなければいけないと思います。
やはり、この一連の藤井さんと國分さんとのやり取りというのが非常に不自然だし、分からないことがたくさんある。ここまでは、既に公表されている事実、そして公文書が作られてきた経過というのを議論してきて、正直申し上げて、ここから先は私の推論が若干入りますけれども、しかし、これは合理的な推論であろうというふうに思います。こういうことがあったのではないか。
金融庁の対話ガイドライン、四月に公表されたもの、この中に経済安保というのが入っていない、このことに國分さんと藤井さんが気づいた。そして、ルール形成研究所としてパブコメを出した。しかし、それだけでは生かされるか分からない。実際、パブコメはほとんど反映されていませんから。藤井氏がそこで、何がしかの形で政治家に連絡を取った。金融庁が慌てて、これはまだパブコメの最中ですよ、四月下旬、なのに、経済安保を入れたバージョンを作って修正をして、内閣官房ともやり取りをして、政治家に説明に行く。それを藤井さんは察知をされて、ああ、これで、よかった、反映されました、このことを國分さんに電話で報告をし、さらに、作成途中の資料まで漏えいをした。
こういう流れであったのではないか。ほかに合理的な説明ができるのであれば教えてほしいというふうに思います。
内閣官房、大筋、私が今申し上げたような経過でよろしいんでしょうか。皆さん方は藤井さんの電話とかメールを見ていらっしゃるわけですから、説明できると思います。お願いいたします。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
大変難しい質問をいただきましたが、今の山岸先生の御推論と私どもが把握している事実で、必ずしも一致していないところもあるかなというのが、今お伺いをしたとっさの反応ではございますが、いずれにいたしましても、文書については黒塗りをできるだけ少なくして開示をさせていただくべく今努力をしておりまして、委員長の御指示を待ちたいと思いますので、まずそちらの方を御覧いただければというふうに思います。
○山岸委員 委員長、これは引き続き、お取り計らいをお願いします。
○上野委員長 はい。よろしくお願いします。
○山岸委員 一致しないところもあるということでございまして、それが全部なのか一部なのかということはお話しいただけていないわけですけれども、これはどこが一致しないか言えますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
委員長の御指示に背馳しない範囲で申し上げたいと思いますが、国家安全保障局として、投資家と企業の対話ガイドラインという文書の改定プロセスにおいて、経済安全保障という言葉を入れたいということは必ずしも考えておりませんでした。
○山岸委員 大変率直な答弁であると同時に、非常に重大な御答弁ではないかと思います。つまり、組織として、経済安保を入れようということは必ずしも考えてはいなかったんだと。つまり、じゃ、誰がそれを動かしたのか。
藤井さんは少なくとも、國分さんとやり取りをして、國分さんはパブコメで経済安保を入れようということを提案していたわけですから、いわば非常に近い関係にある二人としては、入れたいなというふうに行動するのが当然だと思う。しかし、今のお話では、NSCの組織としてはそういうことを考えていなかったんだと。まさにこれは、藤井さんによって政策がゆがめられた、そういう疑いが濃厚なのではないでしょうか。
実際、皆さん、これはあくまで金融庁の一ペーパーです、経済安保の本体とは関係ないとおっしゃるかもしれませんが、日常的に藤井さんはひょっとしたらこういうことをやっていたのではないか。経済安保というものを、あらゆるところで、政府の政策にいわば押し込むべく、いろいろな方法、例えばパブコメなんかも使って政策提言をし、それらが反映されるように非公式の働きかけも行って、今回に関して言えば、金融庁から事前に情報を入手して、それを民間人、しかも利害関係者に伝えるということをしているわけです。これはもう官僚というよりは、私、ブローカーというふうな役回りじゃないのかなというふうに思わざるを得ない。
官房長官、やはり今回、これは藤井さんによって政策がゆがめられた、私されたという疑いがあると私は思いますけれども、このメールの問題、対話ガイドラインの問題、更に深く調べるべきではありませんか。
○松野国務大臣 山岸先生にお答えをさせていただきます。
金融庁のガイドラインに関する藤井氏の行動については、本来外部に流出してはならない調整中の情報が外部に流出したということは大変遺憾であります。
他方、当該ガイドラインの改定は意見公募手続等の適正なプロセスを経て行ったものであり、今回の件で金融行政がゆがめられたとは考えていません。したがって、御指摘のような更なる調査等が必要とは考えておりません。
○山岸委員 プロセスは適正とおっしゃるんだけれども、これは経済安保の議論も同じなんですが、プロセスは適正であってもその実質においてどうであったのか、誰がどういう働きかけをしておったのかというところを調べない限りは実態は明らかにならないというふうに思います。
しかも、もう一個つけ加えて申し上げれば、これは純然たる政策提言として経済安保を入れようという話なら、まあ百歩譲って、藤井さんがのりを越えているという部分については一つまたそれはそれで議論があるかもしれないけれども、私はこれは私的利益につながっている部分もあると思うんですよ。
というのが、先ほど御紹介した多摩大学ルール形成戦略研究所のパブコメの提言、何を書いているかというと、経済安保を入れろということに加えて、企業に経済安保担当の役員を置いてください、そういう提言をしているわけです。
これは実現をすれば企業の経営には非常に大きな影響がありますし、藤井さんや國分さんの立場からすれば、経済安保のことが分かる経営者というのは当然限られるわけですから、争奪戦になって、じゃ、國分さん、うちの会社に来てくださいよ、藤井さん、退官したら是非社外取締役にお願いしますよというふうなことも当然予測をされるわけであって、もちろん政策提案という面もあるかもしれないが、私的利益に直接つながる、そういう提言内容になっているというふうにこれは言わざるを得ないと思います。
まさに、官房長官おっしゃったように、形式はそうかもしれない。今、僕ら、経済安保法制の議論をしてきまして、この間ずっと官房長官も、これは有識者も参加していて藤井さんが特定個人の一存で法案の内容をゆがめられることはありませんということを言ってきたんだけれども、その点はこのガイドラインの件も同じなんですよ。有識者が提言を出して、パブコメ取って、形式上はきちんとやっているわけです。
でも、今議論してきたように、形式はそうかもしれないけれども、そのプロセスにおいて、見えないところで、藤井さんが、私の利益ということも恐らく背景にはあるんだろうと思う、そういった中で、様々な動きをしている、この実質の部分をしっかりと調査究明しなければ、様々、僕らがこれから議論しようとしている経済安保法制についても、審議の前提が整わないと私は言わざるを得ないと思います。
ここまでの議論をお聞きいただいた上で、官房長官、もう一回、これは先ほど形式の話もされましたが、形式じゃない、実質で、もっとしっかり調べる必要があるんじゃありませんか。いかがですか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
一般論として、各省庁が行政を進めるに当たっては、議員又は関係省庁、関係者と意見交換等をするのは通常のことであろうかと思います。
先生の、当該ガイドラインに関しての御指摘ということだと思いますので、そのガイドラインの内容等に関しては所管省庁にお尋ねをいただければと申し上げます。
○山岸委員 ガイドラインに関しては所管にということでありました。
では、経済安保法制についてお伺いいたします。
総理も長官も、この間、経済安保法制については藤井さんの影響はなかった、それは形式上影響がなかったからですということを一貫しておっしゃってきました。でも、まさに今日議論してきたように、経済安保とは直接関係ないのかもしれないこのガイドラインの問題では、形式は整っているけれども、実質において、藤井さんがNSCの意思とは関係ないところでいろいろな動きをしていたということが明らかになったわけですから、この経済安保法制においても、形式は整っているけれども、中身において藤井さんが非公然の、非公式の様々な私の行動によって法案をゆがめた疑いがあるんじゃありませんか、それを調べるべきではありませんかと御提案しています。
長官、もう一度お願いいたします。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
経済安全保障推進法案に対しての今回の一連の事案からの影響に関しましては、調査の結果、影響はなかったというのは答弁をさせていただいたとおりでございます。
○山岸委員 その調査がまさに不十分だということを再々申し上げています。形式ではなく、内容までしっかり調べるべきだ。そうでなければ、この経済安全保障法制、政策がゆがめられていないと言い切ることはできない、審議の前提が整っていないと申し上げざるを得ません。
そして、今日、二之湯大臣、済みません、せっかくお越しいただきましたけれども、時間がなくなりました。またの機会にどうぞよろしくお願いします。
質疑を終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
本日、一点目には、優生保護法の問題の解決について御質問したいと思います。
皆さんのお手元資料、このパネルも同じですけれども、一番を御覧ください。
先月、二月二十二日に大阪高裁で、それから今月、三月十一日、東京高裁の判決で、旧優生保護法下で行われた強制不妊手術に対して、同法の差別性と違憲性が厳しく批判され、被害者への除斥期間の適用は著しく不正義であるとして、国の損害賠償責任が認められました。また、議員立法であったこの法が、国賠法上、違法だとして国会議員の責任を認め、さらに東京高裁判決では、優生手術を積極実施した厚生大臣の責任を認めました。
国が、優生手術という、人間に優劣をつけ不良な子孫の出生を防止するという、言葉にするのもはばかる、極めて差別的、非人間的思想を正当化してきました。人間を人間扱いせず、子供を産む産まないの自己決定権を暴力的に奪う蛮行を国と議会ぐるみで行っていたということを見据え、優生思想、差別のない社会をつくらなければなりません。
このフリップ、パネルの部分です。これは、昨日、三月十七日の院内集会で配付された北三郎さんの手紙です。御本人にも御承諾いただいた上で、読み上げます。
皆さん、こんにちは。優生保護法の被害者、北三郎です。このような場を設けていただきましてありがとうございます。三月十一日、東京高裁での判決、裁判長が時の壁を破ってくれました。私たちに希望の光を下さり、思わず涙があふれました。六十四年間悲しみ、苦しみました。向き合ってくれた裁判長に感謝いたします。私たちを救っていただき、感無量です。国は、私たちに向き合いもしないで上告するのですか。どれだけ苦しめばいいのですか。教えてください。上告しないで、終わりにしてください。大阪高裁での上告を取り下げてください。私たちは高齢者ばかりです。裁判に訴えているうち、北海道で一人、宮城で一人、神戸で一人、そして福岡で一人、無念の思いで亡くなっております。一日も早く解決をして、終わりにしてください。あの世までで無念の思いを持っていきたくありません。これ以上苦しめないでください。国は上告しないで私たちに向き合ってくださることを祈ります。三月二十七日に、親の墓参り、姉さんと行きます。優生手術したのは親じゃなかった、児童養護施設じゃなかった。誤解が解けました。私にとって一生忘れない一日でした。これまで私を支えてくださった皆様の力強い応援のおかげです。ありがとうございます。
このようなメッセージを読み上げられました。
伺います。
このように長年闘ってこられた被害者、当事者を裏切らないために、国は、東京高裁判決の上告をせず、大阪高裁判決での上告を取り下げてください。いかがですか。
○佐藤副大臣 旧優生保護法に基づいて、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことに対し、厚生労働省としても、真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げます。
政府としては、こうした方々に、一時金を支給するための法律に基づいて、一時金の円滑かつ確実な支給に取り組んでまいります。
その上で、係属中の個別の訴訟については、それぞれ個別に検討の上、対応しているところであります。
先日の大阪高裁判決につきましては、法務省と内容を精査した上で、最高裁の御判断を仰ぐ方針といたしました。また、三月十一日の東京高裁判決につきましては、今後、関係省庁と判決の内容を精査し、適切に対応してまいります。
○大石委員 前段で真摯におわびされた内容と、その後にやっていることが違うじゃないですか。北三郎さんがおっしゃっているように、どんどん亡くなっている方もいらっしゃいます。早く終わらせてくださいと言っています。なぜ、その中で、大阪高裁で上告し、今も東京高裁でも検討中なのでしょうか。
質問はしません。
被害者と家族の方々は、議員立法であった同法の問題解決として、衆参両院での謝罪決議、それから国に対しては、国の謝罪、人生被害を償うに足りる補償、優生思想や差別の解消に向けた立法を求めています。議院としては、謝罪決議を是非実現したい。そして、国には、責任を認め、早期解決を求めます。
続いて、違う質問に移りたいと思います。
カジノの問題について、改めて問いたいと思います。前回、三月四日の内閣委員会でカジノの問題を御質問しました。その続きです。
前回の質問では、共食い効果という地域経済へのマイナスの効果を含めて試算すべきだと質問いたしました。そうしますと、このパネルのように、泉田政務官の方でこのようなお答えがありました。経済的な効果については自治体が算定する、国としてはしっかり審査してまいりたい、そのように答えられました。お手元資料は2の方です。このしっかりと審査という内容について詳しく聞きたいんです、是非しっかり審査していただきたいから。
まず、政府の審査の基準には、ちょっと難しい方針の名前、特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針、そういう基本方針の要求基準というものがあるんですけれども、その十九あるうち全てを満たす必要がありますが、その認識で間違いないでしょうか。
○泉田大臣政務官 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、要求基準が定められておりますので、適合しない区域整備計画が認定されるということはございません。
○大石委員 そうですよね。基本方針に、認定基準に適合しない場合は認定を行わないとあります。すなわち、政府が主体的に審査をして、要求基準に適合しているか、その確実性を審査する必要があります。
この要求基準のうち、第十八項目が非常に重要なので、取り上げます。
お手元資料は3になります。地域経済への効果という項目です。パネルのように、「IR区域の整備による経済的社会的効果及びその効果を見込む根拠が明らかにされていなければならない。」とあります。ここは非常に大事なところです。というのも、このカジノ、IR、日本で初めて民間の賭博場を認める問題だからです。
経済効果が明確な根拠があるなら、今まで民間の賭博、ばくちは違法であったけれども認めようというポイントになります。逆に、この効果が明確でないならば、元々違法だった民間の賭博場、認可してはならない、法律上もそういうたてつけになっているということです。
それにしても、このカジノなんですけれども、IRなんですけれども、もう終わったコンテンツなんじゃないでしょうか。この要求基準第十八項目を満たすカジノ、経済的社会的効果及びその効果を見込む根拠が明らかにと。明らかにその効果があるようなもの、日本中探しても、もう無理なんじゃないでしょうか。今こそ国が、審査の責任主体として、自治体に、やめとけ、この審査は通らぬわと言っていかなければいけないんじゃないんでしょうか。
コロナは、もう第六波になりました。第四波のときは、もう第五波は起きぬやろうと。第五波のときは、第六波は起きぬやろうと。第六波になったら、第六波は大したことないんじゃないかと。でも、そうじゃなかった。ここまで来たら、第七波がないなんて誰も言えないでしょう。
そういう中で、既に娯楽も様変わりしています。よしあしはさておき、カジノも、オンラインカジノが進んでいるといいます。設備投資先も変わってきたということです。
この状況を踏まえて、カジノ推進の見直しを考えたことはありますか。
○泉田大臣政務官 お答えをいたします。
IRにつきましては、二〇二〇年代の後半の開業を目指していると前回も申し上げました。コロナ後の経済状況、こういったものも見据えまして、中長期的な観点から必要な準備を進めていくべき施策というふうに考えております。
中長期的というのは、ダウンサイド、つまり、下振れした場合どうするかということも含めて、中長期的な観点で見ていく必要があるということだと思います。
IR誘致を検討している自治体及び事業者は、現行制度を前提として、IR整備に伴う様々なメリット、そしてリスクの方も評価を行った上で、IR整備法に基づいて、区域整備計画の策定に向けて詰めの作業を行っているということを承知をいたしております。
したがいまして、まずは申請を見てから対応を決めていく。現時点で制度全般を見直すということではないんだろうというふうに思っています。
○大石委員 下振れの方も検討が必要なんだというふうにおっしゃいました。
ところが、少なくとも大阪のカジノにおいては、下振れのシミュレーション、このぐらい需要が下がって、そうするとこのぐらい売上げが下がるだろうとか、そういう下振れの予測の幅みたいなものも当然シミュレーションするべきだと思うんですけれども、問い合わせると、大阪はやっていないというんですけれども、そのことは御存じでしょうか。
○泉田大臣政務官 現在、申請前の状況でございますので、国としては申請を待ちたいというふうに考えております。
○大石委員 申請後も必要なんですけれども、現在、もうやばいでという状況も十分に知っていただきたいと思うんですね。
特に、大阪において、あり得ない数字が既に躍っています。大阪のIR整備計画案では、カジノ事業収益は約四千二百億円、カジノ来訪者、年間一千六百十万人が見込まれています。この年間のカジノでの来訪者、IR全体ではなくカジノ単独での来訪者千六百十万人、これはどのぐらいすごい数字かというと、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが年間一千二百万人ぐらいなので、それをはるかに上回っている。これは本気かと。
大阪府と市が盛りに盛った数字で、撤退リスクもある中で、カジノ開発に公金をどんどん使っている。これはまずいだろうということで、テレビ報道もやっと増えてきました。
これは二日前の三月十六日なのですが、大阪市の議会で、大阪IR株式会社の高橋社長が参考人招致されまして、このパネル、資料で4です、パネルに示されるように、その場でIR事業者の高橋社長は、撤退の見極めをするときが来るかもしれないと明言されました。ほかにも腰が引けたような発言をその場でされています。
現在、夢洲の予定地は、地盤沈下の問題も更に浮上していて、まだ費用がどれぐらいか分からないんです。聞くところによると、田んぼ並みの緩い土地である、そこにでかい建物を載せられるのかという問題になっているんです。それに対してこの高橋社長は、今でも沈下している状況である、今それに対して追加のボーリング調査をしている、そのデータをもって、専門家の知見をもって、それに耐え得る建物を設計してやっていけるかはこれからだと。
建物を上に建てられるかどうかもこれからだという状況なんですけれども、これらのIR事業者のせりふ、さすがに腰が引けておるな、撤退が見えておるなと思われましたか。
○泉田大臣政務官 お答えをいたします。
発言につきましては文脈というのも重要でございまして、御指摘の大阪におけるIR関係者の発言について、詳細を承知をいたしておりません。
いずれにいたしましても、国は、各自治体から申請をされた区域整備計画に基づきまして認定の可否を判断する立場ということでございますので、申請を予定をしている個別自治体が選定をした事業者をめぐる状況についてコメントをすることは、今後の計画の公正かつ中立的な審査に影響を与えるおそれがございますので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○大石委員 もう時間もなくなってきましたので、引き続き、こういった現状をあらかじめ知っていただきたいと思うんですよね。
というのも、政府が無責任に認可すると、巨額の公費、七百八十八億円が土地改良工事に使われてしまいます。でも、いつでもIR事業者は撤退できる。この資料5、パネルになりますけれども、コロナウイルスが終息し、観光需要が前に戻ることが合理的に見込まれるまで、違約金等を一切払わずに解除できると。また、この土地の問題も、土壌汚染などの問題が解決できない場合は撤退できると、非常に撤退しやすい状況になっていて、これは認可したら公金だけ工事でどんどん使われていくという状況になります。
政府の認定期限は定めがないといいます。だったら、すぐに認可するのは絶対やめていただきたいんです。今、大阪府民の有志の方々が、見るに見かねて……
○上野委員長 大石君、既に持ち時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○大石委員 はい、まとめます。
三月二十五日からカジノの住民投票の署名をします。自分たちでカジノをやるかどうかを決めるという署名なんです。少なくとも、この間、認可をしてしまったら、これは住民合意という必要要件も満たさない、住民への裏切りとなります。是非、この認可はやめていただきたいです。引き続き、このような問題を訴えていきたいと思います。
今日は、質問を終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、平林晃君。
○平林委員 公明党の平林晃です。
質問の機会を与えていただき、大変にありがとうございます。
まず、一昨日の地震で亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
深夜の地震で、日が明けてから被災状況が明らかになってまいりまして、状況に私も大変驚いております。党の対策本部を早々に立ち上げましたが、政府も迅速な対応をしていただいており、心から感謝を申し上げます。引き続きの対応を心からお願いを申し上げます。
では、質問に入らせていただきます。牧島大臣、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
まず、マイナンバーカードの署名用電子証明書についてお聞きをいたします。
御案内のとおり、マイナンバーカードには二種類の電子証明書が格納されています。このうち署名用電子証明書は確定申告などに利用され、氏名、住所、性別、生年月日のいわゆる基本四情報が記録されております。住所が含まれますので、転居すれば更新が必要です。
具体的な作業としては、転出手続時に消去が行われ、転入手続時に新証明書が発行されると伺っております。ただし、転入時の再発行は所有者本人の意思に任されております。自治体の担当者は、転入者に意思を確認し、必要に応じて電子証明書を発行いたしますが、この作業は業務の負担増を招いていることを自治体の担当者から伺っております。
そもそも、マイナンバーカード発行時に電子証明書を発行していたのであれば、転入時にも電子証明書を発行することは極めて自然と考えます。転入時の新証明書の発行を、券面に新住所を記載する業務と連動した必須の業務としてはどうかと考えますが、政府参考人に見解を伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカードの署名用電子証明書には住民の基本四情報が記録されてございます。住所の異動があった場合には失効するため、異動後も署名用電子証明書を利用するには再発行の手続を行う必要があるところでございます。
電子署名法上、署名用電子証明書を用いた電子署名がなされた電子文書につきましては真正性の推定効というのが働くということでございまして、様々重要な契約等にも使うことができるものでございます。そのため、再発行も含めまして、確実に本人の意思を確認した上で行われる必要があるのではないかというふうに考えてございます。
一方、御指摘ございましたように、住民の利便性を考えましたときには、署名用電子証明書の再発行手続を円滑に行えるようにすることは重要でございます。このため、総務省といたしましては、住所の異動があった住民に対する署名用電子証明書の用途についての適切な周知でありますとか、署名用電子証明書の再発行手続の案内を徹底するよう具体の案内マニュアルなども作りまして、市区町村に対し通知してきたところでございます。
今後も、電子証明書はその利活用シーンの拡大が期待されていることから、住民の方々に取得していただけるよう努めてまいります。
○平林委員 ありがとうございます。マイナンバーカードは、対面、オンラインの両面における最高位の身分証であるということはデジタル庁もずっと言っておられると思います。マイナンバーカードを最初に作るときも電子証明書の発行を必須としてはどうかとも思いますが、そこは一定の理解を示したとしても、転居のときの再発行はせめて必須としてはどうかというふうに考えますので、引き続きの御検討をお願いいたします。
続きまして、自治体の基幹業務システムの統一、標準化について伺います。
デジタル社会の形成に関する重点計画には、自治体の基幹業務システムの統一、標準化ということが述べられております。この統一という言葉、地方のシステム会社の方が気にしておられます。すなわち、地方自治体が利用する基幹システムはある特定のシステムに統一されるということなのか、あるいは、標準化基準、これは別途定められるものと理解しますが、これに適合するシステムに統一するということであり、その条件を満たす限りであればシステムの選択は任意であるのか。この辺りの基本的な考え方を牧島デジタル大臣に伺います。
○牧島国務大臣 委員からは大変重要な御指摘をいただいたというふうに受け止めております。
基幹業務システムの統一、標準化ということの意義でございます、その意味合いでございますが、誤解のないようにしっかりとお伝えしなければならないというふうに思っております。
これは、国が一つのシステムをつくって、それを地方自治体が活用するというものではないということであります。
国が行うのは、クラウド環境をガバメントクラウド上で構築する、これを統一的に提供をするということであります。そして、国が定める標準仕様書に準拠したアプリケーションを事業者の皆様は構築をされていくわけですが、この事業者は一つではなくて、複数の事業者ということになってまいります。ガバメントクラウド上、ガバメントクラウドを活用して構築されたもの、それらの中から地方自治体が最適なアプリケーションを選んでいくということもできるようになります。こうした環境を構築してまいります。
こうした取組を通じて、地方自治体の皆さんが個別に開発をすることによる人的又は財政的な負担が軽減できますし、また、より住民サービス向上のためにリソースを振り分けることもできるようになるでしょうし、さらには、新たなサービスを迅速に展開するということも可能になってくるというふうに考えております。
これからも、地方自治体やまた関係する事業者の皆様にしっかりと情報をお届けできるように取組を続けていきたいと考えております。
○平林委員 明快な御答弁、大変にありがとうございます。このように御答弁いただければ、不安を抱いておられるシステム会社の皆様にも安心をしていただけるのではないかと存じます。
その上で、今のお話に基づけば、今回の統一化、標準化は、大手ベンダーにとって、ガバメントクラウド上に自社システムを公開して全国展開していける、そういう意味でのチャンスと捉えることができると思います。
その一方で、地方の中小ベンダーの皆様は、システムそのものを開発しておられない企業も多いと承知をしてございます。このような会社は、大手ベンダーが開発したシステムを自治体の必要に応じてカスタマイズし、その後の保守やサポートを事業とすることもあると伺っております。
今の統一化、標準化の流れに異を唱えるものではございませんが、このようなビジネスモデルの中小ベンダー企業に対しても何らかの目配りが必要ではないかと考えていますが、政府参考人の見解を伺います。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現在、地方自治体の基幹業務システムを提供するベンダーのサービス形態は多様なものがございまして、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化の推進によるベンダーへの影響というのも様々であるというふうに考えられます。
特に、中小のベンダーにおかれましては、ガバメントクラウドを活用する取組によって、自らクラウド基盤を構築することなく自社が開発したアプリケーションを全国展開するような機会が得られるというふうに考えられます一方で、カスタマイズであったり保守といった業務だけでなく、新しいビジネスモデルを模索する必要があるというふうに考えております。
こういった新しいビジネスモデルとしては、例えば、ガバメントクラウド上の標準準拠システムにおいて標準化されたデータを活用、分析することでありますとか、新しいデジタル技術を活用することによって、行政サービスの高度化に資するシステムをガバメントクラウド上の標準準拠システムに外づけする形で開発することでありますとか、また、デジタル化の前提となる業務改革支援などにより地方自治体のデジタル化をきめ細かくサポートし、地方のデジタルデバイド対策を担っていく、また、地方自治体業務そのもののアウトソーシングの一端を担うというようなことが考えられるというふうに考えております。
デジタル政府、社会を実現していく中で、デジタル関係の業務そのものというのはむしろ増加してまいりますので、貴重なデジタル人材が、個別に同じ改修等を行う業務だけではなくて、新しい価値やきめ細かいサービスを創造する業務へとシフトしていくように、地方自治体の皆様とも協力してまいりながら、中小ベンダーの活躍の機会をしっかりと創出してまいるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○平林委員 ありがとうございます。様々なビジネスチャンスがあるということで、もちろん、自社の、個々の会社の努力は当然必要だと思いますけれども、是非とも、そういったお考えを提示していただきまして周知の徹底をしていただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
最後に、データセンターについてお聞きをさせていただきます。
デジタル田園都市国家構想におきましては、今後五年程度で地方データセンター拠点を十数か所整備すると述べられており、歓迎をするところでございます。
大量のデータ、いわゆるビッグデータに関しまして、我が国は米国や中国の後塵を拝す状況と認識をしております。デジタル敗戦と言われておりますけれども、その一側面はデータ敗戦であるとも考えております。政府も、このことを強く認識しておられるからこそ、昨年制定されたデジタル社会形成基本法におけるデジタル社会の定義におきましてデータの利活用を明記されたと理解をさせていただいております。
このデジタル社会を実現していくために、また、地方に活力を生み出す、地方データセンターと言っておりますので、地方に活力を生み出すためにも地方データセンター構想は極めて重要と考えております。
そこで、政府のデータセンター構想が現在どのようなものになっているかを参考人に伺います。予算規模など可能な範囲で具体的にお答えいただければと存じます。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、デジタル化の進展に伴い、今やデータは二十一世紀の石油と言われる中、あらゆるデータの蓄積、処理を行うデータセンターの役割は更に重要性が増していくものと認識しております。
経済産業省及び総務省は、昨年十月から合同で有識者会議を開催しております。本年一月に公表した中間取りまとめでは、データセンター拠点を国内にしっかりと確保することが国の競争力に直結する中、我が国としても、政治的安定性等の優位性を生かし、アジアのハブとなることを目指すこととし、その実現に向けて、民間企業が保有する機密情報や個人情報を適切に管理するという経済安保の観点を踏まえつつ、地方分散及び国内最適立地を図りつつ、国内データセンターの拠点整備を促進していくということとしております。
そして、その際、データセンター拠点の地方立地に当たり重視すべき事項としまして、広域災害時の共倒れを防ぐためのレジリエンスの強化、多くの電力を必要とするデータセンターにおける再生可能エネルギー等の効率的活用、地方で生まれたデータを地方で処理するための通信ネットワーク等の効率化、以上の三点を整理しているところでございます。
予算につきましては、経済産業省では、令和三年度補正予算で七十一億円、令和四年度当初予算案において四年間で四百五十五億円の国庫債務負担行為として計上し、データセンター整備に必要な電力、通信インフラの支援を、総務省では、令和三年度補正予算において五百億円を計上し、データセンターの建物やサーバー等の整備に加え、島国でもある我が国にとって必須となる海底ケーブルや陸揚げ局等も一体的に支援することを予定しております。それぞれ複数年にわたって執行していく考えでございます。
また、この予算の執行に当たりましては、先ほど申し上げました有識者会合で整理した考え方を参考に進めていく予定としております。
引き続き、国内における地方データセンター拠点の整備に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
○平林委員 ありがとうございます。経産省、総務省、それぞれで予算を確保し、力を合わせて対応していっていただけるということと理解をさせていただきました。地方分散は本当に大切だと思います。現在は東京圏に六割ということも伺いました。是非とも地方に展開をしていただきたいと思います。
また、投資金額という意味では、中国が大変桁違いに先を行っておりまして、二〇二五年には十兆円を超えるという報道も承知をさせていただいております。このような動きに対抗するといってもなかなか難しいことではございますが、先ほどもありましたとおり、日本の特徴を生かしたデータセンターを構築をしていただくことによって、世界からもつなぎたいと思ってもらえるようなデータセンターの構築を後押ししてもらいたいと思います。
もう時間がなくなりましたので、最後の質問はなしにいたしますが、データセンター設置の事業主体もこれから公募をしていただけるということですので、地方の企業も元気いっぱいにこういったことに挑戦していただけるように、私もしっかりと後押しをさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、中小企業のコロナ支援策と、あとは後半、経済安全保障政策について議論をさせていただきたいと思います。
まず、今日は経産省に来ていただいておりますけれども、最近、春闘が徐々に結論が出てきまして、一部、満額の回答を出す企業も現れ始めて、これはこれで大変よろしいことなのではないかと思いますし、それが中小企業にも及ぶことを期待するわけでありますが、その一方で、景気判断指数である業況判断DIの最新値を見ますと、昨年十二月の十月―十二月期でマイナス二三・三という数値となっておりまして、引き続き厳しい状況が続いております。
こうした中小企業支援に対しては、現在、経産省が事業復活支援金制度を運用しているところでありますが、まず最初の質問です。
これは、申請開始から一か月半となりますが、聞くところによると、なかなか審査件数が伸びない、審査が進まないという話を聞いております。実際、二週間以上審査に時間を要している案件が全体の二割弱というふうに聞いておりますけれども、審査の体制の強化や、審査の中身について少し見直す必要もあるのではないかと思うんですが、その辺り、御回答いただけますでしょうか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
事業復活支援金でございますけれども、今お話がありましたけれども、一月の末から申請を受け付けておりますけれども、三月十七日時点で、六十一万件御申請いただいておりまして、七六%に当たる約四十七万件を給付しているところでございます。
審査の体制についてのお話がございましたけれども、まず、そもそも、その申請件数でございます、今後の見通しでございますけれども、引き続き厳しい景況感が続く中で、要件を満たすかどうか、特に三月は厳しくなっておりますので、見極めておられる方もいらっしゃるんじゃないかということ、それから、過去のいろいろな支援金の関係でも、申請受付終了のタイミングで駆け込み申請が多く見られる。この給付金は五月の末まででございますけれども。こういったことを踏まえますと、今後、要するにどれぐらい件数が出るかということについて、なかなか確定的なことを申し上げることは難しいと思っております。最近、申請数がまたちょっと、確定申告も終わった関係もあるんだと思いますが、出てきて、伸びてきておる状況でございます。
○浅野委員 ありがとうございます。
今、答弁の中でも触れていた部分ですけれども、今回のこの事業、当初、三百七十万者程度の利用を想定して事業を開始した、予算も組んであるということだと聞きました。
ただ、今の段階で、もう三月中旬になりますけれども、六十一万件、そして四十七万件に支給したということでありましたが、このままのペースだと、恐らく、五月末までの期間の中で三百七十万件というのが達成可能なんだろうかというところは疑問があります。
これは支援制度ですから、支援を必要としない事業者がそれだけ多くなるのであればそれはそれで喜ばしいことなのかもしれませんが、そうなりますと、中小企業支援の在り方そのものというのを少し見直していくべきではないかとも思いますので、その点について、もう一問お願いします。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ありましたけれども、今後の中小企業施策でございますけれども、まず、足下で景況感を見てまいりますと、やはり新型コロナの影響の長期化ということ、それから最近では原油を始めとする資源価格の高騰といったようなことで非常に厳しい状況にあると思っております。
こういった関係から、中小企業施策について幾つか御紹介いたしますけれども、新型コロナの関係では、今委員御指摘がありました事業復活支援金、それから政府系金融機関による実質無利子無担保融資の延長ですとか、それから、事業者の方々が、アフターコロナも見ながら新分野の展開、業態転換、こういったことなどを御検討しておられる方々を後押しするための事業再構築補助金ですとか、こういったことも講じておるところでございます。
それから一方で、原油など資源価格の高騰の関係でございますけれども、こちらの特別相談窓口を全国約一千か所に設置する、あるいは日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利引下げ、それから下請中小企業への価格転嫁の促進、こういったようなことに取り組んでまいりたいと思っております。
各種の支援措置を事業者の皆様のニーズに合わせてしっかりお届けしていきながら、事業者の支援に万全を期してまいりたいと思っております。
○浅野委員 いろいろと重層的な支援策があるのも承知しております。ほかの施策もあるから大丈夫だよという話ではなくて、一つ一つをしっかりと精査し続けることが大事だとも思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
では、ここからは小林大臣の方に経済安全保障についてお聞きをしていきたいと思いますが、昨日、本会議で趣旨説明、質疑をされて、これからいよいよ法案の中身について議論がされていくことになろうかと思います。
今日確認させていただきたいのは、これまで経済安全保障に関する施策というのは諸外国でもたくさん取られてきておりまして、特に、今日はアメリカの施策を取り上げながら、それに対してどこか日本が参考にできる部分がないのかというところを中心に議論をしていきたいというふうに思っております。
まず、大前提の質問になるんですが、この経済安全保障法案の検討過程で、米国を含め諸外国の経済安全保障政策についてどのような施策、どのような特徴があるのか、こういったことは調査研究を行った事実があるかどうかと、現時点でどういうところを参考にしているのかというところについて教えていただけますでしょうか。
○小林国務大臣 ありがとうございます。
米国を含む諸外国におきましても、産業基盤強化への支援ですとか、あるいは輸出管理の強化、あるいは機微技術の流出防止、こうした経済安全保障に関連する施策を強化する取組が進められております。我が国としても、こうした各国の取組を注視してきておりまして、特に、同盟国である米国の取組につきましては高い関心を持ってフォローしていることは事実です。
ただし、我が国としては、経済安全保障の取組を進めるに当たっては、米国を含む他国の動向や取組にも目を配って、必要に応じて参照しながらも、重要なのは、我が国として主体的に国益を確保していく観点だというふうに思っています。
このため、これまでも既存の法制度の中で多岐にわたる取組に着手してまいりましたが、今般、更なる我が国の主体的な取組として、法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応すべく所要の法制度の整備を行うこととなったものでございます。
この法案の絡みでいえば、例えば特許の非公開制度などについては、G20の中で、日本、メキシコ、アルゼンチン以外の国は持っているということで、当然、米国を含む他国の制度というのは参考にしてきております。
法案以外の部分でいうと、例えば、機微技術流出の防止で対内投資規制みたいなのがありますけれども、向こうはCFIUSという合議体がありますが、我が国の投資規制の在り方についても、これまでは各省が、財務省と例えば経産省、バイでいろいろやっていたものを、できるだけ各省で情報を共有していこうというような形にしましたが、そういう意味でアメリカの取組なども参考にしているところはございます。
○浅野委員 具体的な例示も交えて答弁いただき、ありがとうございます。
次の質問は少し個別の論点に入っていきますけれども、私がアメリカの経済安全保障政策を眺めていたときに少し気になったのが、バイ・アメリカン政策というのがあるそうでございます。
どういうものかというのを簡単に申し上げますと、連邦調達規則という規則がございまして、この中で、国内調達比率というものを段階的に引き上げていく、そして、国内製品というふうに認められれば価格的な優遇措置というのを受けられるようにする、こういうような中身だそうなんですが、この国内調達比率を高めていくことというのは、経済安全保障上、効果があるような印象が一見あるんですけれども、ただ、WTOの取引ルールとの整合性も考えなければなりませんし、先日の委員会で私が指摘させていただいた過度な自前主義に陥ってしまうようなことも懸念されているんです。
ですから、非常にこれは判断が難しい問題なのかなというふうに思っておりますが、ただ一方で、例えば水素とかバイオ燃料ですとか国産木材など特定の分野を支援する方法というのは、これは検討する価値はあるのではないかなというふうに思うんですね。
ですから、経済安全保障の観点から、この国内調達比率をどうしていくかということについて、現時点での見解を伺いたいと思います。
○小林国務大臣 今回提出させていただいている法案におきましては、安定供給確保を図ることが特に必要と認められる物資に関しまして、その国内生産基盤の整備だけではなくて、物資の特性に応じた供給源の多様化などの民間事業者による自発的な取組を支援する、そのことをあくまでたてつけとしております。
また、委員御指摘のように、政府調達において国内調達要求を制度化することにつきましては、やはり、WTO政府調達協定などにおける内外無差別の原則を踏まえまして、慎重な検討が必要と考えております。この法制に関する有識者会議の提言におきましても、「政府の措置はWTO協定等の国際ルールとの整合性に十分に留意しながら実施すべき」とされたところでございます。
いずれにせよ、重要なことは、安定供給を図ることが特に必要な物資について、その自律性を高めていく観点から安定供給確保が図られるよう適切に取組を進めることであって、自由な経済活動による効率性の確保にも留意しながら、実効的な取組を進めていきたいと考えています。
○浅野委員 今大臣もおっしゃった民間企業による自発的な取組というところが、一つポイントなのかなというふうに思っております。
国が補助金、様々な支援制度を用意して国内比率を高めるというのは、これはWTOルールに抵触する可能性が出てきますが、民間企業の自発的努力として、サプライチェーンの持続可能性の向上などを狙って国内比率を高めていくということは十分に考え得る話ですから、そういったところで、両面を見ながら、今後、いろいろな、ガイドラインあるいは民間企業への働きかけというのは是非やっていただきたいなというふうに思っております。
次の質問に移りますが、もう一つ、アメリカで少し面白いなというふうに思っている取組がございます。
今回内閣が提出した法案でも、重要インフラ防護あるいはサプライチェーンの強靱化というものが含まれておりますが、アメリカでは、この重要インフラ防護やサプライチェーンの強靱化に向けて、民間セクターとのサイバーセキュリティーサミットの開催や、あるいは、重要サプライチェーンを四つほど指定をして、これを百日間で調査するという取組、あるいは、それ以外にも幾つかの分野を指定して、そちらについては一年間かけてサプライチェーンの脆弱性評価を行う、こういった資源集中的な取組を行っているそうです。
ですから、この部分は日本でも参考にできるところはあるのではないかなというふうに思うんですが、政府としてはどのように考えていますでしょうか。
○小林国務大臣 我が国としても、国民生活や経済活動を支える重要な産業が直面するリスク、これを総点検そして評価をし、脆弱性を解消していくとともに、逆に、強みである優位性ですとか不可欠性を獲得する取組を推進すること、これが我が国の経済安全保障を確保していく上で極めて重要だと思っています。
こうした問題意識の下、別にアメリカがやっているから日本がやるというのではなくて、バイデン政権の取組とは別に、我が国としても、これまでも、関係各省庁の御協力をいただきながらリスク点検の取組というものを進めてきております。
先般、三月十一日に、私が議長となって、第一回の経済安全保障重点課題検討会議というものを開催をいたしまして、政府横断的な取組として定式化をし、今後定期的に実施していくことといたしました。
こうした取組を通じまして経済安保の抜本的な強化を図っていくことが重要であって、今回提出させていただいた法案の成立に向けて全力を尽くすとともに、今後の情勢を当然しっかりと見極めまして、更なる課題についても不断に検討し、必要な対応があれば政策形成に反映していきたいと考えています。
○浅野委員 先日そういう会議を行われたことは、小林大臣のSNSでの発信なども通じて私も拝見をしました。
非常にそういう取組はよろしいかと思いますし、あと、私が申し上げたいのは、アメリカがやっているから日本もやるべきだというわけではなくて、もちろん、今日はたまたまアメリカの例を取り上げましたけれども、ほかにもヨーロッパでの先行事例も多数ございます。日本としては、この経済安全保障の分野は、比較的新しい概念として、今回初の取組となりますので、そこは是非、謙虚に我々も諸外国の先行事例を吸収し、そして、早く、追いつくという言い方は適切ではないかもしれません、我々自身が主体的に世界をリードできるようなルールをつくっていくことが大切だと思いますので、引き続き議論をさせていただきたいと思います。
今日は以上になります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。
今日は、一般質問ということで、先週ちょうど官房長官にお願いをいたしました危機管理という部分でございます。ウクライナ情勢で大変な状況である、本当に激務だと思いますけれども、地震というのはいつ起こるか分かりません、ですので、是非、横横の連携ができるように、五十以上あると思います、危機管理の部署、こういう皆さんともしっかり連携をしていただきたいということでございました。
お忙しかったと思いますけれども、この一週間、五十の部署の皆さんに連携を取れよという御指示をなされたり、また、顔合わせされたりというようなことはございましたか。
○松野国務大臣 森山先生にお答えをさせていただきます。
先生からも様々御指摘、御指導をいただいた後、ウクライナの情勢もございます、また、東北地方での大きな地震も発生をいたしました。関連部署と緊密に連携を取りながら、業務を遂行してまいりました。
○森山(浩)委員 ちょうど大きな地震もあったところでございます。是非、連携を取るということで、以前、何年か前になりますけれども、全部の危機管理、震災対応などの部署の皆さんに集まってもらって勉強会をしたことがありまして、いやあ、この人と初めて会ったわというようなお話もあったりいたしました。
是非、官房長官も、これを機に、集まっていただくというような機会なども設けていただいて、いざというときにしっかり顔がつなげるようにしていただきたいなと思います。
今回の福島県沖の地震に関してでございます。
今回、総理大臣が公邸に住まれたということで、前二代の総理大臣とは違って公邸に住まれていて、首相動静によりますと、十一時五十五分に官邸にお着きになっておられます。素早い対応をしていただいたわけですが、危機管理の責任者でございます官房長官の初動について、当日、どんな動きをされておりましたか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
まず、政府としては、地震発生直後、直ちに官邸危機管理センターに官邸対策室を設置するとともに、関係省庁の局長級による緊急参集チームを参集し、地震に関する様々な情報について、関係機関より収集をしたところであります。
私としても、地震発生直後、直ちに官邸に登庁し、官邸危機管理センターにおいて収集された情報について、適宜報告を受けました。その上で、これらの情報等を踏まえ、三月十七日零時三十一分及び同日二時三十九分の二回にわたり、臨時の記者会見を行ったところでございます。
○森山(浩)委員 総理大臣は公邸にお住みですけれども、官房長官の今お住みの場所というところから官邸に行くというのは少し時間がかかるのかなと思いますが、お着きになったのは総理よりも後ですか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
発災当時、私、議員宿舎の方で休んでおりましたが、発災から二十分前後ぐらいで官邸の方に入ったものと思います。
先ほど先生からお話をいただいたとおり、総理は今公邸にお住まいでありますから、総理は迅速にこの発災に関して対応されたものと承知をしております。
○森山(浩)委員 私も宿舎におりまして、随分揺れたというので、これは起きてすぐ行かなきゃと、私も党本部の方で災害対策本部に駆けつけましたけれども、迅速に動いていただいたのかなというふうに思います。
ただ、これは、総理が公邸にお住みなように、官房長官というのも、そういうお仕事でありますので、ちょっとこれは皆さん一緒に考えていただきたいんですが、住む場所というか待機する場所というか、こういったものについても準備した方がいいのかなというようなことも思ったりもいたします。これはまた議論していきたいと思いますが。
最初の会見、また、その後の会見というようなことで、国民みんなが不安に思っているときに、決まった人が決まった時間にきちんと会見をする、そしてまた、分かっていること、分かっていないこと、これをしっかりお伝えをするということが安心につながるのだと考えています。
そういった意味で、いろいろな人が会見をするのではなく、官房長官にぐっと情報を集中をして、そしてやるべきだというふうに思いますが、今回、最初の会見のとき、ちょっと御体調が悪かったですかね、ちょっと何か、お話をされているところというのがばたついたような雰囲気が見られたのと、NHKの中継が途中で現場の映像に変わったりして混乱も、これは放送の問題かもしれませんが、というようなことを見て感じましたけれども、何か、最初の、初動のときの会見について思われることはありましたか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
特に、私自身としては通常と同様の対応だと思っておりますが、発災直後の緊急時でございまして、各種情報が飛び交っている中での対応でありましたので、先生御指摘のような感じを与えることがあったとしたら、また更に気を引き締めて頑張ってまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 NHKのテレビを見るという方が多分一番多いと思います、ネットでも発信をされていますけれども。画面がどうだったかというようなことなどもちょっとチェックをしていただいて、今後に生かしていただきたいなというふうに思います。
このときですけれども、最初、新幹線の脱線事故というのがございました。最初に映像が出てきて、何だこれはというような状況になり、状況を調べていますと。そのうちに、多くの車両が線路を外れていますというような形で徐々に情報が出てきたわけですけれども、何か、映像が出てから、これは脱線事故ですというまでにタイムラグがあったような感じがいたしますが、JR東日本さんからの情報の伝達、そして官邸の中に入ってから発表までのプロセス、この辺の経緯についてお知らせください。
○下田政府参考人 お答えいたします。
先ほど官房長官からも答弁がございましたけれども、政府といたしましては、地震発生直後に、官邸地下にございます官邸危機管理センターに官邸対策室を設置いたしました。そして、そこに関係省庁の局長級による緊急参集チームを招集いたしまして、御指摘の、東北新幹線の脱線を含む様々な情報について、関係機関より集約をしたところでございます。
また、これらの情報につきましては、逐次、内閣官房長官に報告を行っているところでございます。
初動対処の段階におきましては、まさに先生も御指摘ございましたけれども、多くの情報が官邸の危機管理センターにもたらされることから、個々の情報がどの時刻に認識されたかについて確定的にこの場で申し上げることは困難ではございますけれども、いずれにしても、関係省庁の局長級に来ていただいて、情報集約、整理、そして、総理、官房長官に報告して、官房長官が会見を行っていただいた、そういう次第でございます。
○森山(浩)委員 新幹線のあの映像を見たときに、最初に、人的被害はないのかなというようなことが、国民みんな心配なところだと思います。だから、何か情報が入ってきたときに、これは先に出さなきゃいけないなというようなことも含めて、どんな出し方をするかというようなことも、もう一回振り返っていただいて、見直すというような作業もしていただきたいと思います。
もう一つ、原発の安全確認です。
原子力発電所はどうだというのが、火災報知機が鳴りましたとかという断片的な情報が出てきて、また、安全委員会のホームページとの前後もあり、ホームページに上がってくる前にNHKの報道があるというようなことも、ばたつきがあったように思います。
原発の安全確認の情報についてはいかがでしたか。
○金子政府参考人 原子力規制委員会では、平時より、緊急時の職員の参集体制を整えまして、今回の地震のような場合の迅速な対応に備えておりますが、おとといに関しましては、地震の発生後、宿直に当たっている職員あるいは緊急参集要員という職員が速やかに集まりまして情報収集を行いました。
地震の影響が懸念される発電所等の施設については、一時間以内にその状況を速報でメールによって発信をしております。同時に、原子力規制委員会のホームページにも同様の内容を掲載いたしました。
さらに、国民により分かりやすく身近に感じられるような情報発信のために、例えばSNSを用いたタイムリーな情報発信なども充実するなど、積極的に情報発信に努めていきたいと考えております。
○森山(浩)委員 先ほどから緊急参集チームというようなことで御答弁をいただいています。多くの方が霞が関周辺に住んでいただいているということで、この当番に当たっちゃったらもうしようがない、いざというときはそこに集まるんだということでやっていただいておる。本当に感謝を申し上げたいと思います。
ただ、これは一生やるわけではありませんので、そのときにきちっと集まれるようにというようなこと、日頃からの心構えとか訓練とか、あるいは、今回の事例などもそうですが、事例研究であるとかいうようなことで、お忙しい皆さんではありますけれども、いざというときに不安を与えない情報発信というようなものに努めていただきたいというふうに思いますし、その司令塔として、官房長官、是非リーダーシップを取って頑張っていただきたいというふうに思います。
今回の振り返り、やっていただけますか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
先生から御指摘をいただいたとおり、こういった災害対応に関しては不断の見直しが必要かと思います。今回の事例も含めて、また、今まさに、今回の地震に対する、様々被害を受けた方々に対しての対応中でございますけれども、あわせて、今回の事例もしっかりと検証して備えてまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 私も、ここ数年、災害の担当を党でやっておりまして、是非、復旧復興につきましては、現地からの御意見また御要望をお伝えをしていきたいと思います。
これは並行してお願いをしたいと思いますが、いざというときの最初の情報発信というので安心感が違ってくると思います。原発、火災報知機と言われたまま、そのまま時間が過ぎるというのは非常に国民にとっても不安でございますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
二つ目です。岸田内閣の行政運営方針についてというようなちょっと大仰な話をしていますが、公共事業あるいは政府調達という部分です。
これは神津議員が予算委員会の分科会で御指摘をさせていただいた部分ですけれども、政府調達という中には、一般競争入札、それから指名競争入札、そして随意契約、また総合入札、総合評価方式ということになりますが、この総合評価方式、今、どのような根拠によって行われていて、またどのぐらいの割合で行われておりますか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの総合評価落札方式でございますけれども、根拠法令につきましては、会計法第二十九条の六第二項の規定に基づくものでございます。
また、どの程度の割合というお尋ねでございますけれども、今手元に細かい計数はございませんが、その契約の中で、政府調達の中の契約のうち相当多数がこの総合評価入札方式によって行われているということでございます。
○森山(浩)委員 何か、四〇%を超えるというような御説明も受けておりますが、昭和二十二年の会計法などにも「その他」というような形になっている中で、総合評価方式という中では、例えば、品質確保の促進、あるいは女性活躍、環境配慮型自動車というような形で、加点する場合には、政策目標がはっきりしている場合には法制化をするというようなことも行われております。
今回、四月から賃上げを優遇するということで、評価点を五%から一〇%引き上げる。もしかしたら、もうこれで決まっちゃうかというぐらい大きな加点でありますけれども、この賃上げ優遇というものに関して、去年賃上げをした、今年はしないというところに関しては、優遇はされますか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの件は、昨年以前に賃上げを行ってきた企業について、今回、四月以降に行われる政府調達において加点措置を受けることができるかということだと受け止めさせていただきましたけれども、その点につきましては、今回の措置は、本年四月以降の政府調達に向けて、その入札に向けまして、応札をする際に、賃上げの表明というものを各事業者の方々から出していただきまして、将来に向けての賃上げ、今後の賃上げについて行うということの表明を行った方々に対して行われる措置ということでございます。
○森山(浩)委員 じゃ、今から賃上げをしようと思っています、でも、ちょっと業績が悪くなったので実際はできませんでしたという場合は、この加点措置は取り消されるんでしょうか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
実際に表明書を出された事業者の方々につきましては、それぞれの事業年度、原則として事業年度でございますけれども、その企業の事業年度が終了いたしまして、そして、かつ、実際に応札をされて落札をされた事業者の方々につきましては、表明書どおりの賃上げが行われたかどうかということを事後的に確認をする、そういう仕組みにすることといたしております。
その確認の際に、いろいろな、一義的にきっちりと、こういった場合に賃上げを行ったというふうに評価するということ、原則、それは大企業、中小企業、それぞれ三%、一・五%といった決めはございますけれども、いろいろな給与の、それぞれの事業者、実情、実態があるというふうに思いますので、そういったような実情を踏まえた賃上げの評価というものができるように、なるべく柔軟に、事後評価を行う際にその評価をする、第三者から実質的に同等の賃上げを行ったというふうに評価できるというような書類が提出された場合には、そういったことも認めるといったような方向で運用を行っていくという方針でございます。
○森山(浩)委員 それでもできなかった場合はどうなるんでしょうか。
○奥政府参考人 お答え申し上げます。
今お尋ねの件は、ある種、仮定に基づく状況の下での御質問ですので、必ずこうなるというふうにお答えすることはできませんけれども、いろいろな面から見て賃上げができなかったということであれば、それは、加点を受けられた事業者の方は、事後的に減点の措置を受けるということになるところでございます。
○森山(浩)委員 後で減点になるということでございますよね。
そうなんです。法制化するというのは、このようなやり取りを国会でするということです。政令で、このようなことをやりますよということで、関係者だけに伝わるということになりますと、うちは関係ないわというところについては、それを知ることもない。もしかしたら、知らないままいっちゃうかもしれないし、消費者、一般国民については、関係ないやということで終わっちゃいますけれども、これは公正な制度かどうか、国会での議論があった場合は、議事録を含めて確認をすることもできます。
我が国は法治国家でございますので、幅広い官僚の裁量権というものを、政令に丸ごと委任するというような形でやっていくというのは望ましくないと思いますが、この点について、官房長官、どう思われますか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
あらゆる事項を全て法律に規定することは困難であるほか、行政の複雑性、行政に求められる機動性に対応するためには、必ずしも適切とは言えない部分もあるかと思います。
このため、場合により、法律が明示した一定の事項について政令に委任することが必要と考えられますが、一般論として申し上げれば、委任事項については可能な限り明確化するよう努めているところであります。このことは、先生御指摘の様々な事案に関しましても、できる限り、可能な限り委任事項について明確化をしていくということは重要であるかと思います。
○森山(浩)委員 そうですよね。特に今回の件などについては、ほかの事項については法改正を伴っているというものを、これは結構大きいです、非常に大きな影響がある賃上げ、また、これは岸田内閣の目玉政策でもありますので、こういったことについて、法制化を避けて政令でやっているんじゃないかというふうに思われること自体が姿勢を問われることにもなるかと思いますので、是非、こういった部分、非常に大きなものでありますので、法制化というのも目指していただきたいというふうに思います。
と申しますのは、前の政権あるいは前の前の政権というようなところで、非常に大きな、政令に包括委任をするような法律というのが通っています。デジタル庁あるいはIR、カジノ、こういった法案を通すときに大量の附帯決議がついています。国会で明らかにならなかったことが多過ぎて、非常に幅広い委任をしてしまったというようなことで、私もこれは議論に加わっておりますので、じくじたる思いでもございますが。
日本は法治国家、そして、官僚の裁量権は余り大き過ぎない方がいい。官房長官、そのようにお考えですか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
非常に様々な複雑な問題があるかと存じます。先ほど申し上げましたとおり、行政の運営に当たっては、複雑性、また機動性が必要とされる部分も多々ございます。そういった分野に対応していくためには、一定程度の裁量を与えるというのは必要なことであろうかというふうに考えております。
○森山(浩)委員 前の二つの政権に比べて、同じことなんだということでやるか、いや、もうちょっと、官僚の裁量権というよりは法的にきちんとした方がいいなというふうに思っておられるか、岸田政権としての姿勢を問いたいと思います。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
政権運営に関しましては、当然のことながら継続性ということもございますし、何よりも、行政の運営に関しては、どの政権というよりも、それは、法律の関係、また、先生からの今御指摘をいただいているような、政令、省令等に関わるものとのいわばバランスに関しては、これは政権運営の通常の良識として引き継がれていき、また、それによって運営をされているものであると考えております。
○森山(浩)委員 継続性ということを強調されましたけれども、ちょっと最近の法律というのが非常に包括委任の傾向が強いというふうに思っておりますので、またこれは引き続き議論をしていきたいと思います。
先ほど山岸議員の方から、架電の件ということで、藤井前審議官のメールの中で、メールを受け取る前に電話をもらったけれども、内容は覚えていないというようなお話がありました。
内容は覚えていないということで、行政がゆがめられたという事実を確認することができなかったという報告書を出されたわけですけれども、覚えていないで確認できなかったということが、なかったということにはこれは直接つながらないことは明らかでございまして、実質的な中身の調査をしていただきたいということは、これは要望をしながら、今日は、二〇一七年二月二十日、これは対外的意見表明であると思いますけれども、第一回地域経済振興フォーラム飯田会議、ここに、前経済再生担当大臣甘利明衆議院議員と経済産業省関東経済産業局の藤井敏彦局長が講演されていますけれども、これはどのような形で行かれたか。公務という形でしょうか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
こちらにつきましては公務でございます。
○森山(浩)委員 関東経済産業局というのは、どことどこを管轄していますか。
○片岡政府参考人 関東地方でございまして、御指摘ありました飯田市でありますけれども、長野県も入っております。(森山(浩)委員「飯田市が入っているのね」と呼ぶ)はい。
○森山(浩)委員 長野県飯田市は関東経済産業局の担当地域ということでございます。そして、ここに公務で行かれている。
それで、甘利衆議院議員、前担当大臣ということでありますけれども、これは市から指名があったということでしょうか。
○片岡政府参考人 この会議は飯田市あるいは飯田市の商工会議所等が開いたものだというふうに認識しておりまして、どのような経緯で甘利先生を呼ばれたかにつきましては承知してございません。
○森山(浩)委員 というのも、メール等で、藤井さん、そして國分さん、甘利さんというような形でやり取りをされている部分がありますけれども、これは、藤井さんと甘利さんというのは、仕事の関係でどこから御一緒にやられているというようなことは何か分かりますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
国家安全保障局経済班担当の審議官として、あるいは経済安保法制の準備室の室長として、自民党の経済安全保障に関する会合等において甘利先生と藤井氏の接触が複数回あったということは確認ができますけれども、それ以前にどういう形でお二人がお知り合いになったかということについては、我々としては承知をしておりません。
○森山(浩)委員 メールの中に、よい仕込みとありましたけれども、仕込みがいつからスタートしたかというようなことというのも、これは大事な面かなというふうにも思います。この人との関係であればやり取りをするんだなというようなことになっていくというには一定の時間がかかるかなというのは思いますので、ここら辺りも調査をしていただきたいなと思います。
さて、経済安保を入れようというふうにNSCは考えていなかったと先ほどの答弁でございました。
この処分のときに、経済産業省時代の関係の企業とのつき合いというようなことがあります。安保室長、安保室のときのつき合いというようなことで何か情報漏えいがあったりとか、あるいは、これは公安調査庁の経済安全保障関連調査アドバイザーというようなこともやられているようですけれども、この関連で何かあったりとかというような調査はされていますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
私、質問の御趣旨を正確に捉えているかちょっと自信がないのでございますが、前者につきまして、国家安全保障局の利害関係者等との関係での調査ということでございましたら、国家安全保障局に在籍していた時代の藤井氏には国家公務員倫理規程に基づく利害関係者というのはいなかったということでございます。
また、公安調査庁の肩書につきましては私ども承知しておりませんで、公安調査庁との関係での調査は、私どもの調査としてはいたしておりません。
私どもの調査の目的は大きく言って二つございまして、藤井氏の国家公務員法あるいは国家公務員倫理法に関する違反、いわゆる非違行為の調査でございます。もう一つは、国会等で御指摘をいただいておりました、藤井氏が法案に対して不当な関与をしていなかったかという点の調査でございましたので、この二点の調査を中心に行ったということでございます。
○森山(浩)委員 そうですね。不当な関与と不当でない関与という部分で、藤井さんが言っているんだから、この分野の一人者なんだからという影響力でもって、正式の会議じゃないところで、先ほどのメールなんかも、何か、組織の決定とは違う、また外れた部分での意見表明あるいは圧があったんじゃないかというような議論もありましたけれども、これは、非公式あるいは会議でないところで何かがあるのではないかというところが非常に本質の部分のような気もいたします。
これにつきましては、この後、資料を出していただいた上でしっかり議論をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
先週に続いて、藤井敏彦元経済安保法制準備室長の問題について取り上げます。
先週お尋ねをしたところで、大企業経営幹部向けのビジネススクールである不識庵におきまして、藤井氏が師範として関わった企業が過去三年間で二十社ということを明らかにしております。その中に電機メーカーA社が入るのかということをお聞きしたんですが、それが宿題になっておりますので、その点、まずお答えいただけますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
前回の塩川先生からの御質問で、二十社の中にA社が含まれているのかという点、及びA社とはどこの会社なのか、具体的なお名前も頂戴しましたけれども、その二ついただいていたかと思います。
後者の、A社はどの会社かという点につきましては、委員長の御指示に従うということで、理事会協議事項となっているかと思います。後者につきましては、委員長の御指示に従いまして、A社との調整も進めておりますので、もう少しお待ちいただければと思います。
他方、二十社がどこかというところ、A社が二十社に含まれるかという点につきましては、現時点で二十社全てが社名の公表ということはしてほしくないということを申しておりますので、その点については引き続きお答えを差し控えさせていただきたく存じます。
○塩川委員 基本的な点について明らかにしないで問題なかったという話にはならないわけで、こういう点でも、官房長官、改めて、しっかり、こちらの要望している資料を出していただく、その点、お約束いただけませんか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
情報公開法の趣旨にのっとりまして、委員長の指示に基づき対処させていただきたいと思います。
○塩川委員 この間、要求したものについて、資料要求してきた経緯について、本来であれば今日の質疑に間に合うような形で出されるべきものが、何か、一部のものについては委員会終了後に出すという話では、これは国会審議として誠実な対応とは言えないということを申し上げておきます。
それで、資料要求という点では、この間、国家安全保障局に要請してきて、まだ出ていないんですけれども、藤井氏の懲戒処分のこの文章の中に出てきます国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程、報道関係者との接触等に係る内規、これについて、まずは出していただきたいと思うんですが。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程は、国家安全保障局における取扱注意文書等の取扱いについての必要な事項を定めているものでございます。また、報道関係者との接触等につきましては、国家安全保障局の職員と報道関係者の接触についての報告等の手続を定めるものでございます。
これらの文書につきましては、国家安全保障局のセキュリティーに関わる部分についての記述がございますので、それについての最小限の不開示処理を行った上で提出が可能と考えますけれども、いずれにいたしましても、委員長の御指示に従いまして対処させていただきたく存じます。
○塩川委員 非違行為の調査を行うというのがここで今出されてきた文章であるわけで、その際に、何が非違行為なのかという基本となるそういった内規等が出されないと、我々としても判断のしようがないわけで、一定の配慮ということはありつつも、しっかり出していただきたい。委員長、改めて要請します。
○上野委員長 はい、理事会で協議をいたします。
○塩川委員 それで、今回ので、贈与等報告書の関係についての部分ですが、藤井氏が講演を行っていた依頼先の中には経済産業省時代の利害関係者が五社含まれていたといいますけれども、これはどのような利害関係にあったんでしょうか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
国家安全保障局の調査によりますれば、講演を行った企業の中に経済産業省在籍時の利害関係者が五社含まれていると承知しております。
これら企業でございますけれども、藤井氏が、令和元年七月から十月の間、経済産業省製造産業局担当審議官に在籍していたときの担当業務に関連する企業であると承知してございます。これは、国家公務員倫理規程上、異動の日から起算して三年間は引き続き利害関係者であるとみなされると規定されていることによるものでございます。
具体的には、藤井氏は、経産省製造産業局担当審議官といたしまして、製造業における通商案件あるいは自動車産業等を担当してございました。当該講演企業の中に藤井氏の担当分野を業務とする企業が含まれていたということでございます。
○塩川委員 ですから、過去三年間の職掌に関わって、その担当の範囲内での利害関係ということですから、極めて限定されているものということであります。
製造産業局担当の審議官ということですから、製造産業に係る部分しかそもそも利害関係として認めないということでもありますので、全体がどうなっているのかといったことについては、この範囲では分からないということにもなります。
この懲戒処分の文章の贈与等報告書等関係に係る事項の部分を見ますと、過去五年間で、六十一件の講演など、九百八十万円の報酬を受け取ったということについて書かれていますけれども、今言ったように、限定された話だけではなくて、元々、今回の経済安保推進法案というのは、サプライチェーンや基幹インフラや特許や官民技術協力のように、ある意味、あらゆる産業分野に及ぶわけですね。
そういったことについて、この過去五年間の範囲での、調査で分かった六十一件の講演等、特定の企業との深い関わりなども出てきている。そういったときに、藤井氏がこれら関連企業に便宜供与を図ったかどうかの調査というのはされているんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘が、過去五年間に藤井氏が講演を行った企業との関係で、便宜供与をしたり、あるいは供与を受けたか、こういう御趣旨の御質問というふうに理解をさせていただきましたけれども、私どもとして、確認ができた企業さん等々の関係につきましては、藤井氏に対して利益供与を行ったか、あるいは藤井氏から職務上の便宜供与があったかということについての確認はさせていただいておりますけれども、ちょっと今手元に資料がございませんが、いずれの企業からも、そのようなことはなかったというふうな回答を受けているというふうに認識をしております。
○塩川委員 本人の意見だけでよしとしたということですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
藤井氏本人への確認ではございません。藤井氏が講演を行った企業等に対して確認をした結果を申し上げたところでございます。
○塩川委員 藤井氏自身はどういうふうに言っているんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
藤井氏本人も、職務上の便宜供与等は行っていないということを述べております。
○塩川委員 ですから、それが経産省の製造産業局担当の審議官の話だけであれば、極めて限定された話でありますから。そもそも、藤井氏がどういう関与をしてきたのかということについて、どこまで調査が及んでいるかというのは、非常に不透明と言わざるを得ません。
この文書の中には、藤井氏は、経産省が執行する事業再構築補助金の申請に当たって特定事業者に便宜を図ろうとしていたと。ほかにも官民癒着が問われる事案があったのではないのかという懸念というのは浮かぶわけで、そういう点でも、何らかの便宜供与を図っていたのではないのかといった点について、広げてしっかりとした調査を行うことが必要だということを申し上げたい。
サプライチェーンだけでも十四分野に及ぶのが経済安保推進法案であります。官房長官として、こういった全産業に関わる経済安保推進法案について、この藤井氏の影響がどうだったのかといった点で今回の調査では不十分ではないのかと考えますが、官房長官のお考えをお聞かせください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
調査内容に関しては政府参考人からお話をさせていただいておりますけれども、当該調査に関しましては藤井元審議官の非違行為に関する調査でございます。
ただ、その中にあっても、法案関係に関することで何らかの個人的な影響を藤井元審議官が与えたことはなかったということでございますので、その点に関しては再調査の必要はないと考えております。
○塩川委員 元々、この半年とか一年とかの話じゃなくて、六年前からこの経済安保の議論というのはずっと積み上げてきているわけですから、そういったところに藤井氏が関わってきたことも明らかであるわけです。
そういう意味でも、まさに企画立案、制度設計のところでどういう関与があったのか、なかったのか、この点がはっきりしない以上は、やはり法案の妥当性ということも疑念が拭えないということは申し上げておきたいと思います。再調査が必要だということを改めて求めておきます。
その上で、官房長官にお尋ねしますが、藤井氏が国家安全保障局に籍を置いて経済班を担当し、また、それとの関係でも経済安保法制の準備室長の任に当たっていた、併任をしていたということです。この国家安全保障局の体制がどうなっているのか、また、藤井氏の担当の職掌、業務内容がどういうものか、こういうことについて御説明いただけますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
国家安全保障局は、国家安全保障会議の事務局として、国家安全保障会議を恒常的にサポートするという役割がまずございます。それとともに、国家安全保障に関しましての外交・防衛政策の基本方針、重要事項に関する企画立案、総合調整等を行っております。
具体的な体制といたしましては、国家安全保障局長の主導の下に、次長が二名、内閣審議官が六名、うち二名が、現在、準備室に所属をしております。その下に七つの班と、現在、経済安全保障法制準備室というのがございます。
経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交、安全保障上の喫緊の課題となっている中におきまして、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年、二〇二〇年の四月に設置をされ、安全保障と経済を横断する領域で生じます様々な課題に対しまして、関係省庁と連携しながら、関連施策を推進するとともに、法制度の検討作業を行ってきたということでございます。
○塩川委員 七つの班の名称を教えてもらえますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
総括・調整班、政策第一班、政策第二班、政策第三班、戦略企画班、情報班、それに最後、経済班でございます。
○塩川委員 経済班以外のそれぞれの班のおおよその仕事の中身というのを簡単に説明してください。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと、突然の質問ですので、おおよその感じになりますけれども、お答えを申し上げます。
総括・調整班は、局の官房事項、局の取りまとめ、国家安全保障会議の事務等を行います。政策一班は、米国との関係、欧州諸国との関係、豪州、インド等の関係、そういった地域についての外交・安全保障政策を扱います。政策二班は、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、モンゴルとの関係についての外交・安保関係を扱います。政策三班は、その他の地域、例えば中東でありますとかアフリカでありますとか、そういった地域との外交・安保関係について扱います。戦略企画班は、例えばでございますが、今議論している三文書、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防といった安全保障政策の戦略的な企画立案を行います。情報班は、インテリジェンス部門との調整を行います。経済班につきましては、先ほど御答弁で申し上げたとおりでございます。
○塩川委員 終わりますけれども、今回の経済安保の法案の中に内閣法の改正も含まれまして、国家安全保障局の事務に国家安全保障に関する外交政策、防衛政策及び経済政策の基本方針の策定、こういったことが入ってきます。そうしますと、外交政策、防衛政策に加えて経済政策も一体的に企画立案、総合調整する。
そういう中で、この藤井氏がどういう役割を果たしていたのか、便宜供与があったのか、なかったのか、こういった問題についてしっかりと明らかにするということが求められていることを申し上げて、質問を終わります。
○上野委員長 次に、吉川赳君。
○吉川(赳)委員 ありがとうございます。自民党の吉川でございます。
まず、本日の質問の機会をいただきましたこと、誠にありがとう存じます。しっかりと努めてまいりたいと思いますが、ここ、誰もいないのでどっちを向いてしゃべればいいかまず分からないんですけれども、しっかりとやっていきたいなと思う次第でございます。
一昨日でございますけれども、福島県沖を震源とする地震で被災をされた皆様方、また亡くなられた皆様方にお悔やみ、お見舞いを申し上げる次第でございます。
東北というと、これは岩手県から北海道にかけて、日本海溝、千島海溝、こういった地震も将来的に懸念をされておりますし、さらには、私の地元でいうと東海、さらには東南海、南海、そしてそれに起因する可能性のある富士山の噴火等々、大規模災害が将来的にも懸念がされている中でありますので、是非、官房また内閣府の防災、各省庁と連携をしながら、必要な減災・防災対策、またインフラ整備、今後努めていってまいりたく、お願いを申し上げる次第でございます。
それでは質問に入らさせていただきたいと思いますが、ロシアのウクライナ侵攻、これは断じて許されるものではありません。日本政府といたしましても、ロシアへの経済制裁、またウクライナへの支援等、日々尽力していただいていることに敬意を申し上げる次第でございますが、このロシアのウクライナ侵攻により、宇宙空間の開発研究ということにも大きな懸念が今出ているわけであります。
特に、ISSに人を送る際の有人往復船、これは有名なものですけれども、ロシアのソユーズが現在主に使われているわけでありますが、このソユーズの使用に関して、米ロの宇宙協力、これをちょっと廃止をするような発言もロシア側からこの間取られているわけであります。何とか喫緊に関しましてはそのままソユーズを使えるということでありますけれども、まさにいつ何があるか分からない中で、これに関して、我が国の三菱重工の、現在運用されるH2A、さらには将来的に実用を目指すH3などの使用ができるのではないかという話があるんですけれども、これに関して宇宙開発戦略事務局からお答えいただけたらと思います。政務官ですかね、お願いします。
○小寺大臣政務官 お答え申し上げます。
ウクライナ情勢を受けまして、ロシアのソユーズロケットによるロシア以外の国に対する人工衛星の打ち上げが今後難しくなる見通しであることは先生御指摘のとおりで、承知をしております。まずは、今後、政府としても、情勢を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
このような状況がもし継続した場合に、ソユーズロケットの代替となるロケットに対する需要が高まる可能性があるというふうに考えております。
先生御指摘のH2Aロケットにつきましては、我が国の基幹ロケットとして、二〇〇一年の初号機以来、現在まで四十五機を打ち上げた実績を有しており、国際的な信頼を得ているというふうに考えております。昨年の十月には準天頂衛星「みちびき」初号機の後継機を打ち上げたほか、十二月にはイギリスのインマルサット社の通信衛星も打ち上げをしているところでありまして、さらに、我が国のロケットの国際競争力を強化するために、次世代の基幹ロケットとしてH3ロケットを開発しております。
海外に仮にこうした打ち上げに制約が生じる状況におきましても、先生から御指摘いただいておりますように、我が国の宇宙活動の自立性がしっかりと確保できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○吉川(赳)委員 我が国の宇宙開発での競争力を高めていくということは無論なんですが、そもそも、宇宙の研究開発、利用においては、これは国際的な取決めで平和利用ということが定められているわけであります。やはりそういった際に、このように今国際的に極めて許し難い行為を取るこういった国との協力というのが本当にできるのか、そういった観点もしっかり考えていかなければなりません。
そして、ISSでの研究開発というと、少し、我々の生活から見ると、将来、先のことかなという印象がある先端的な研究が多いわけですけれども、ロシアの宇宙開発、実は我々に身近な場面でも少し懸念をされることがあるのではないかと思っております。
これはGNSSですね。GNSSというのは、皆さんは一般的にGPSと言った方が分かりやすいと思うんですけれども、GPSは皆さん知っていると思うんですけれども、GNSSが位置情報システムで、アメリカが運用している商品、個別のものがGPSなんですよね。ヤクルトみたいなものですよ、乳酸菌飲料を大体みんなヤクルトと言っちゃうのと同じで。ただ、これは広くはGNSSなんですよね。
確かに、日本の現状の商品というのは、GPS対応基盤を主に受け取るものが多いわけですが、最近は、広くほかの国の位置情報システム、GNSSにも対応をして、領域であるとか精度というものを担保しているという商品が出てきておるわけですね。
その中で、ロシアがGLONASSというものを運用しているわけでありますけれども、もし、このGNSSのロシアのGLONASSが使用できないというような事態になった場合、これは我々の生活にどういった影響が懸念されるのか、お答えいただきたく思います。
○小寺大臣政務官 お答え申し上げます。
内閣府では、我が国の経済安全保障や経済社会活動の高度化、効率化、災害対応能力の向上等の観点から、我が国独自の衛星測位システムである準天頂衛星システム「みちびき」の整備を進めているということでございます。
最近の状況といたしまして、「みちびき」、今先生がいろいろお話しいただいたように、米国のGPS、それから欧州のガリレオのみならず、ロシアのGLONASSや中国の北斗からの信号も利用する測位機器が多くなっているというふうに承知をしております。
実は、先生から御質問いただいて、私も担当政務官として、今現状どういうふうになっているかというのを見たときに、私がちょうど見させていただいたときは、いわゆる西側諸国の衛星が十四、現在飛んでおりまして、そして、日本上空には、先生今言われましたロシアやあるいは中国の衛星も十四ぐらい、合計二十八の衛星が日本の上空に飛んでいるということを改めて勉強させていただいたところであります。
そこで、仮にGLONASSや北斗が利用できない場合においても、「みちびき」、GPS、そしてガリレオからの信号を用いることで、測位精度への影響は限定的であるというふうに考えております。
我が国の準天頂衛星システムにつきましては、現在、四基体制ということで、米国のGPSと一体となって運用している状況にありますが、今後、GPSを含む他国の衛星に過度に依存することなく、我が国の準天頂衛星システムのみで自立的な測位が可能となるような、二〇二三年度をめどにいたしまして七基体制を確立するということを目指しており、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○吉川(赳)委員 今のこの準天頂衛星「みちびき」ですが、これはあくまでGPSの補完的な役割なんですね、四基だと。それを七基にすることによって、単独での位置情報の測位というものが可能になってくるわけであります。GPSとて、これは日米の関係ということではなくて、やはり日本周辺の安全保障上、ひょっとしたらこれを利用できない、こういったことも想定がされるわけですから、是非、これは、今はもう生活だけではなくて産業、農業なんかにも使いますよ、欠かせないものになってきておりますので、やはり二〇二三年の目標を目指して、しっかりと「みちびき」が単独で我が国の位置情報システムとして機能するように、我々もしっかりと立法府として注視をしていきたいですし、力を尽くしてまいりたいと思う次第です。
私も、ちょっと今いませんけれども、井上前大臣の下で政務官として宇宙政策に携わってきたわけであります。出張で宇宙へ行けるのかなと思ったら、なかったですね。それはもちろんないんですけれども。
次へ行きたいと思います。
それじゃ、次、こども家庭庁関連をちょっと質問したいと思うわけですけれども、特に、やはりこのこども家庭庁、大きく分けて二つだと思います。日常生活における子供、子育ての支援ですとか子供周りのこと、そして児童虐待等の社会問題化していること、この二つが大きな柱となっているわけでありますけれども、それに関して、まず、ちょっと少子化関連でお伺いしたいんですけれども。
まず、こども庁の設置を目指すに当たって、希望出生率一・八を目指すということなんですよね。現在の、非常に低い、一・五四ですか、この出生率が社会問題化しているわけでありますけれども、ただ、総合的に見るとそうなんですけれども、例えば都道府県ごとで見ると、沖縄県一・八六、そして東京都、東京の先生がいたらごめんなさい、一・一三ということで、市ごとに言っちゃうと更に問題があるので、これは都道府県でも相当ばらつきがあるわけなんです。
そして、特に、この間、九〇年の一・五七ショック以降、基礎自治体を中心に、相当、少子化対策というもの、人口減少を問題視して、頑張ってきたという印象があります。もはや、今まで余り国が頼りにならないと言ったらあれなんですが、ただ、その中で、今回改めて、こども庁を創設して、希望出生率一・八を目指していくということでございますから、是非、今後、現在行われている地域少子化対策重点交付金、こういったものもあるわけでありますけれども、それ以外にも、自治体の重立った取組、評価できる少子化に対する取組に何か支援等の検討があればお答えいただきたく思います。
○相川政府参考人 お答え申し上げます。
少子化の状況は地域によって異なっておりますため、効果的な少子化対策の推進には、政府の取組に加え、住民に身近な自治体が地域の実情や課題に応じた取組を進めることが重要と認識しております。地方自治体が地域の実情や課題に応じた少子化対策の取組が展開できますように、現在、内閣府において、地域少子化対策重点推進交付金により、自治体が行う結婚の希望をかなえる取組、子育てに温かい社会づくり、機運醸成の取組、これらを支援しますとともに、優良事例の横展開を推進しておりますところです。
また、地方自治体の取組への支援とともに、国全体の取組を推進していくことも必要でございまして、少子化社会対策大綱に基づきまして、政府全体として、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組んでおるところです。
今後、こども家庭庁の下でございますが、子供政策を我が国の社会の真ん中に据え、子供をめぐる様々な課題を一元的に中長期的な視点を持って進める中で、少子化対策を強力に進めるために必要な政策につきまして、国民各層の理解を得ながら幅広く検討を進め、安定財源の確保を図りつつ支援を充実させていくこととしているところでございます。
○吉川(赳)委員 これは、やはり自治体の取組を支援する、また横展開ということなんですけれども、先ほど、自治体が非常に頑張っていると私申し上げました。今まで国の政策がちょっと薄かったのかなという印象も同時にこれは拭えないわけなんですよね。
というのも、例えば、民間のサイトなんかで子育て支援が厚いと言われている自治体があります。一般の、見る方の投票だとか意見によってそういったものを作っているわけなんですけれども、例えば千葉県の松戸市なんかは非常に上位に来ているわけです。
ただ、一方で、出生率を見ると、直ちにこれが出生率に結びついていないということが散見をされるわけであります。これは移住には非常によくつながっているんですね。子育て支援が厚いので、子育て世代の皆さんが、東京、そういう近郊からそういうところに移住をするということには結びついていますが、直ちにそういった自治体の出生率が上がっているわけではないんです。時には、評価が高い石川県の野々市市、これは合計特殊出生率が一・六九ありますから、全国より平均も大幅に高い、こういったところもあるんですけれども。
これは、ざっくり見てしまうと、出生率、先ほど東京は低いと言ったんですけれども、やはり東京近郊、さらには大都市圏、これはもう往々にして低いです。地方に行けば行くほどこれは高い。なので、自治体の取組だけではこれは限界があります。やはり地域性というものがまずあって、これは国が本気で政策の柱を立てて取り組んでいかなければ、国全体の少子化というものは払拭できない、解決できない問題であるということを申し添えさせていただきたいと思います。
次に行きたいと思います。
児童虐待関連なんですけれども、ちょっとこの児童虐待に行く前に、こども庁の設置に当たり、十二月二十一日の閣議決定の文書、「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針について」、この閣議決定文書の中に、子供の性的搾取を防止するための政府の取組、これに関して、これらの所掌事務を国家公安委員会及び警察庁から移管するということが書かれているわけです。
そもそも、こども庁、これは厚労省ですとか現在の内閣府から様々な事務や権限を移管して一元化をしていくわけであります。それ自体はすばらしいことですし、やはり同じ指示系統の下に共通の目標に進んでいくということは極めて重要であります。
ただ、先ほど指摘させていただいたことに関して、これは刑法に絡むことであり、子供の性犯罪、搾取、そういったことを防止するに当たって、これを国家公安委員、警察庁から移管するということは本当に大丈夫なのか。警察活動の範囲内をもってしてでしかでき得ないことというのは、私は往々にしてあると思うんですね。
それに関して、これはちょっと意味合いを説明していただけたらと思います。
○相川政府参考人 お答え申し上げます。
今般のこども家庭庁の創設に当たりまして、国家公安委員会、警察庁が担っている事務のうち、子供の性的搾取を防止するための政府全体の取組の総合調整については移管することとしておりますが、児童の性的搾取等事犯や児童虐待に関する取締り等につきましては、引き続き警察において厳正に対応されるものであります。
○吉川(赳)委員 それがいいか悪いかなんですよね。総合調整だけ持っていても、結局、そういったことをできるのは、警察活動の範囲でしかできないわけなんですよ。だから、全てを移管することがいいかというと、必ずしもこれはそうではない。
これで、ちょっと関連で、児童虐待についてお伺いしたいと思うんですけれども、児童虐待、まずは、全国でおよそ、最新の速報値で約二十万件、そのうち十二万件余りが児相だけではなくて警察が介入している案件でありますけれども、例えば、例えばというか実際あるんですが、被害児童に明らかに傷害等が見られる場合の児相そして警察の各初動についてお伺いさせていただきたいと思います。
○緒方政府参考人 お尋ねの件につきまして、警察の立場から申し上げますと、児童虐待が疑われる事案を認知した場合には、当該事案に係る児童の安全を直接確認した上で、身体に外傷が認められるなど、虐待を受けたと思われる児童を発見した際には、児童相談所に通告を行うなど、関係機関と連携して、児童の安全の確保、保護を行うとともに、事案の危険性、緊急性を踏まえ、事件化すべき事案については厳正な捜査を行っているところであります。
○吉川(赳)委員 逆に、児相が先に発見した場合はどうですか。
○緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、児童相談所が児童虐待が疑われる事案を認知し、それが刑罰法令に触れる可能性があるという場合には、児童相談所から警察に対して情報提供をいただいているところであります。
○吉川(赳)委員 本当にそれができているのかという話なんですよね。
例えば、被害児童、明らかに傷害を負っている児童、傷害罪に該当する児童がいて、加害者がまるっきり関係ない第三者だった場合は、これは警察のみで、犯人が分かっていればすぐに身柄を拘束するわけですよね。しかし、児童虐待の場合に、家庭内、例えば保護者であるとか、それと同居する内縁者、こういった方が児童に傷害を負わせた場合は、これはなぜか児相が絡むんですよね。大半の場合は、それで何とか解決をしてきていると思うんです。
ただ、はっきり指摘してしまうと、同じ被害なのに、加害者が親族なのか血縁者なのか、まるっきり関係ない第三者なのかで対応が違う、はっきり言って、これはあってはなりませんし、もしそういう事案が多いのならば、明らかにこれは憲法違反ですよね。だって、被害者は同じ被害を受けているわけですから、それが加害者との関係性によって行政の対応が違うということは、これはあってはならないわけなんですよ。
ですから、確かに、児童虐待というのは、予防するということに関しては、これは児相がしっかりと力を入れてやっていく、政府ももちろんその方針を立てていくということでいいんですけれども、明らかに傷害等の刑事罰の場合は、やはり警察が私は逆に率先するべきだと思うんですよね。
何でもかんでもこども庁にまとめることによって、何となく行政マターで、政治家が声を出して、政治家がやっている感は出ますよ。ただ、はっきり言って、被害児童を守るという観点からすれば、それは別に加害者が親だろうが第三者だろうが同じように扱うべきだと私は思うんですよね。
確かに、警察はしっかりやっていると思います。ただ、時に報道に出るようなレアケースでは、児相が対応が遅かっただとか、児相と警察の連携がうまくいっていなかったなんということも時に聞くわけなんですよね。でも、明らかに傷害であったら児相は関係ないわけですよ、はっきり言っちゃえば。警察のみで身柄を確保して、傷害としてしっかり処理をすればいいんです。
確かに、これは家庭のことですから、社会的なという点で児相が介入するということも否定をするわけではないんですけれども、繰り返しになりますけれども、同じ被害であって対応が違うというのは、これはあってはならない。ちょっと冷たい感じもしますけれどもね、全部警察案件にしろというのも。
さらには、有形力の行使たる暴行と、どなって恫喝してもこれは暴行ですから、家庭内での教育的なやり取りを線引きしろというのは難しいので、そういうのはしっかりと児相が介入をしていくべきだと思いますけれども、明らかに傷害等の症状が見られた場合、要は、だって、それが結果として死亡事例につながっているケースもあるわけですよね。
一方で、我々の議論も、児相の定員だとか、さらには新たな資格を設けよう、こういう議論にはなりますけれども、こういった子供の傷害事件、あえて虐待と言わない、子供の傷害事件において、対応する警察の生安ですとか刑事課、こういったところの定員だとか業務内容、こういったところにはほとんど我々は触れてこないわけですよ。警察も現場でしっかり頑張っているわけです。
なので、しっかりと児童虐待、これは最初の性的搾取に戻るんですけれども、何でもかんでもこども庁で一元化すればいいというわけじゃない。被害者がいる場合は、警察活動の範囲内でしかできないことというのは明確にあるわけですから、そこはやはり我々もしっかりと意識をしていかなければならない問題なのかなと思います。
あと三分なので、ちょっとさらっとなんですが、あとは、こども庁の設立、さらには、閣議決定にも余り書かれていないんですけれども、子供の無戸籍、戸籍のない子供、法制審の民法改定要領によれば、これを解消するための立法措置、こういったものも必要だということになっております。どうもちょっと今国会は難しいようなんですけれども。
これに関して、法務省、説明していただけたらと思います。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、法務省の法制審議会では、本年二月十四日に、無戸籍者問題の一因と指摘されている民法の嫡出推定制度の見直しにつきまして要綱の答申がされたところでございます。
この要綱では、無戸籍者問題を解消する観点から、民法の嫡出推定制度を見直し、例えば、離婚後三百日以内であっても母の再婚後に生まれた子は再婚後の夫の子と推定するといった例外を設けることとしております。このほか、現在は、嫡出推定が及ぶ子につきましてはその推定を覆すためには嫡出否認の訴えが必要になりますけれども、現行法の下では夫のみに認められている否認権を子や母にも拡大し、またその出訴期間を三年に伸長するといった見直しが盛り込まれているところでございます。
○吉川(赳)委員 これは改正を目指す方向性しかまだ出ていないので何とも言えないんですけれども、三百日以内の出産に関して再婚を条件としている、こういった案を中心にというようなことも聞きますので、全てをカバーできるわけではないというようなことが少し見受けられるわけであります。
事情があって無戸籍で育って、成人をすればそれなりの手続によって戸籍を取得することができるわけですけれども、やはり子供に関して、特に小さい子供がそれを自ら行うということは極めて難しいですし、無戸籍なわけですから、やはり家庭また親権者にもそれなりの事情があってそういった手続が取れないということがあるわけでありますので、これはしっかりと法律を整備していく必要があるということはもちろんのこと、今後、こども家庭庁の設置を目指すに当たって、実際、そういった子供たち、現状、戸籍がない子供たちに対するアプローチ等々もしっかりとこれは行っていくべきことだと思っております。
今後、こども庁、この関連法案が審議入りしていくと思いますが、そもそも、私が昨年政務官をやっているときに、例えば女性活躍と子供、子育て、これは担当大臣が分かれていたわけなんですよね。例えばそういうことも、女性活躍と子供、子育てというのは、現在は一線上の課題であるわけです、しかしながら、これは大臣が別であった。まあ各大臣とも頑張っていただいていたわけでありますけれども、それを、こども庁の設置に当たって、例えば今だと野田大臣が一人で担当されている、こういった大きな進展もあるわけです。
是非、我々も、こども庁の設置、そしてその後しっかりとこれが機能して、日本の社会問題を解消できるように取り組んでまいりたいと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
本日は、少子化について質疑をお願いいたします。先ほどの吉川先生の深掘りのようになってしまうと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
我が国における少子化の進行、人口、特に生産年齢の人口減少は非常に深刻です。私の地元である京都府では、合計特殊出生率、全国四十四位で一・二二、若い世代、二十五歳から三十九歳の未婚率は四三%となり、非常に深刻な状況にあります。
今や、少子化の原因は、たくさん子供を産まないというよりも、未婚化の影響が大きいと承知しております。完結出生児数は、二〇一五年で一・九四ですが、ほぼ二前後で推移しています。つまり、結婚した夫婦から、人口が維持できる水準である二・〇七に近い数値で子供は生まれています。にもかかわらず、合計特殊出生率が低いのは、結婚をしない人が増えているという結論になるかと思います。
未婚化の背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、特に地方では男性中心の産業構造も多く見られ、地方に女性が住みにくい現状も指摘されていると思っています。親と同居している人も多く、苦労して家庭を持つ必要もないと考える方も増えているということも耳にしております。
野田大臣にお尋ねいたします。少子化を担当する大臣として、どのような解決策をお考えでしょうか。
○野田国務大臣 御質問ありがとうございます。
今お話がありましたとおり、二〇二〇年の出生数は八十四万八百三十五名と過去最少となっておりまして、少子化の進行、人口減少は我が国の有事ともいうべき大きな問題であります。
少子化の原因は、今お話がございましたように、未婚化、晩婚化の進行。これは特に日本では非常に大事なことで、他国では余り結婚のことで子供の数とリンクさせることはありません。日本は、やはり結婚が入口、子供を産むための入口という何かそういう風土がある。そこが大きい問題だと思っています。
また、夫婦の持つ子供の数の減少等がありますが、その背景には、御指摘のように、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っているというふうに考えています。
ずっと少子化社会対策大綱で取り組んできたわけですけれども、まずは、安定的な財源を確保して、今お話がありました、結婚を支援していく、妊娠、出産への支援をしていく。そして、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、さらには、地域社会による子育ての支援、そして多子世帯への支援を含む経済的な支援など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むことで、それぞれの皆さんの結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでまいりたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
未婚化の大きな原因として考えられている経済的な不安定さ、特に、男性の収入が低いことが未婚率と格差をつくっているとも言われているんですけれども、この経済的な不安定さに関する不安感に対してどのような施策を行っているのか、古賀労働副大臣、お願いいたします。
○古賀副大臣 今、堀場委員から御質問いただきました低賃金あるいは非正規の雇用のことでございます。
若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べて顕著に高いという現状がありまして、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することで、若者が将来にわたる展望を描けるようにすることが大変大事だというふうに考えております。
このため、非正規雇用の若者の正社員就職支援について、わかものハローワーク等におきまして、安定就労に向けた就職支援や就職後の職場定着支援を行っているところでございます。
あわせて、正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援や同一労働同一賃金の実現等を通じまして、誰もが納得した待遇の下で多様な働き方を自由に選択できる社会の実現を目指しているところでございます。
また、低賃金の課題につきましては、企業の生産性の向上を支援するなど、賃上げしやすい環境整備に取り組むとともに、最低賃金につきましては、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指してまいりたいと考えているところでございます。
○堀場委員 ありがとうございます。
今の感じだと、やはり、正規雇用にしていく、それが安定していく、それが結婚につながっていくというような考え方だと思います。でも、私が就職する頃には、既に労働の流動化というのは始まっておりました。
日本維新の会では、プランBということですけれども、給料が上がらない、生活が苦しい、正規と非正規雇用の格差、こういった問題に対して、小手先だけの改革ではもう難しいのではないかというふうに考えております。
そもそも、賃金を上げるかどうかというのは、判断は民間企業であり、政治としてできることには限界があります。強制はできない。
日本維新の会では、グレートリセット、税制の改革と成長戦略とともに、ベーシックインカムや給付つき税額控除などの持続可能なセーフティーネットを構築する、新しい社会保障の改革をすることが、収入の安定性、それを次につなげていく、夢を実現していく、諦めないでいい社会を構築していくために必要だと考えております。
ところで、この未婚化に対する施策について質問いたします。
縦割りの各省庁に対して、内閣府は横串の存在だと理解しております。この場合、地方自治体に直線的につながっている受皿がないというジレンマがあるかと思います。ですから、未婚化に対する具体的な方策を行う地方自治体の担当部署もばらばらであると承知しています。
地方に合わせた施策ということを、先ほどお答えがありましたけれども、そんな中で、地方、いろいろなものがあると思いますが、どのような施策が行われているか、野田大臣、よろしくお願いいたします。
○野田国務大臣 地方に直接関わっていないということですけれども、私は地方創生担当大臣でもあって、地方創生の観点から全国津々浦々に関わることができて、まさに、今委員の御指摘の少子化というのは、やはり地方創生の一番の課題なんですね。何かをつくるとかいう以前に、やはりそこを担う人がいないというのが、今、地方創生をどうよくしていくかというものの大きなテーマなんです。そういう意味では、少子化対策であっても地方創生の大きな政策テーマだということで、同時進行で、少子化対策をやれば地方創生にも資する、地方にも資するというようなイメージで取り組んでいるところです。
状況は地域によって本当に異なっておりまして、効果的な少子化対策の推進には、やはり身近な自治体がそれぞれの実情に応じて取り組むことが大事なんだろうというふうに理解しています。
内閣府においては、地域少子化対策重点推進交付金、これがありますので、自治体が行っている結婚の希望をかなえる取組とか、子育てに温かい社会づくり、機運醸成の取組を支援しておりまして、多くの自治体にこの交付金を使っていただいているところです。
このうち、結婚の希望をかなえる取組については、若者が結婚しない理由として、適当な相手に巡り合わない、合えないということが一番多いということになっており、出会いの支援が重要だよねということで、自治体の結婚支援センターによる取組を推進しているところです。
例えば、その一例として、AI等を活用したマッチングシステム、これの高度化を推進してきたところで、現在、都道府県レベルでは二十二の県がこのAIを導入してくれています。
昭和に生まれた私からすると、マッチングアプリというのはなかなか、自分の結婚のときにはなかったし、まだ今でも大丈夫かなという不安があるんですけれども、今はもう成婚が一番高いのがマッチングアプリであるので、非常に有効的なのかなというふうに思っています。
例えば、愛媛県では、お見合いに至る割合が一三%からこれによって二九%に向上するという結果が出ており、従来型のシステムに比べて高い効果が上がっているということをお聞きいたしました。
基本、結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであるという点を十分気をつけて、留意しつつ、今後とも結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備をしっかり取り組んでいきたいというふうに、取り組んでいます。
○堀場委員 ありがとうございます。
私も昭和生まれですので、国が合コンを促進しているのかみたいな、何かそういうイメージを持ってしまったこのマッチング事業なんですけれども。ただ、カップルができたというところまでは分かるんですが、なかなか、そこから少子化対策になったのかどうかというところまで、実績と検証、そして評価について、難しいのかなというのは思っています。
やはり、カップルまでは分かるとは思うんですが、その後までなかなか分かりづらい部分もあるのかなというふうに承知しています。なので、内閣府として予算を使っての事業ですので、それがどの程度の効果があるのか、しっかり実証していただいて、評価をいただいていきたいなというふうに思っています。
最後に、もう一つ。
私の京都もそうですけれども、地方では、夫婦別姓が認可されれば、後継ぎの問題を解決しやすくなり、結婚できる人が増えるのではないかというようなお言葉を耳にすることがあります。
私の地元の京都でも、農家をやっていて、女の子しか生まれていないんだけれども、彼氏が御長男で、ちょっと結婚を待っているんだよね、夫婦別姓はいつ実現するんですかというようなお声を頂戴することもございます。
二〇二一年六月の最高裁の大法廷で、民法七百五十条に関しては合憲としながらも、国会での議論を進めていきましょうというふうな、議論を強く要請しているというふうになっているかと思います。
津島法務副大臣にお伺いいたします。この二〇二一年の最高裁決定を受けて、どのような御検討が法務省でされているか、教えていただきたいと思います。
○津島副大臣 副大臣として、堀場幸子委員にお答え申し上げます。
選択的夫婦別氏制度については、平成八年二月に法制審議会が、選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容とする、民法の一部を改正する法律案要綱を答申してございます。
その後、法務省では、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正法案を準備したところでございました。
しかしながら、この問題については国民の間に様々な意見があったほか、当時の政権内においても様々な意見があったことから、改正法案の提出にまでは至らなかったという経緯をたどってございます。
この経緯に照らしますと、選択的夫婦別氏制度を導入するか否かについては、より幅広い国民の理解を得る必要があろうかと考えてございます。
法務省としてどんな取組をやっているか。これは、ホームページに、「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」という項目を設けて、制度の概要、法制審議会の答申の内容などについて周知を行ってきたところでございます。また、昨年十月には、ホームページを更新し、平成二十二年に法務省で準備した法案の骨子、戸籍の記載例などの情報を新たに盛り込んだところでございます。
法務省としては、国民の間でもより活発に議論が行われるように、引き続き積極的に情報提供を行ってまいります。
○堀場委員 ありがとうございます。
国民的な議論がもっと広がったらいつかやる、そういったお答えだと思うんですけれども、いつか判断をするということだと思うんですけれども、国民の総合的な理解が進んだらということなんですが、国民の議論、結構やっていると私は思っています。
この二〇二一年の六月の最高裁決定の後を見ましても、立憲民主党さん、共産党さん、公明党さん、そして我が党、選択的夫婦別姓については何度も質問をさせていただいておりますし、国会でも同様に、議論をしましょうというふうに言っています。けれども、政府側のお答えは、やはり国民的な議論が必要なんですよねというところ、そして、国会で議論してください、それを注視しますというお答えになっています。
一体いつになったら、どの程度議論が進む、どのような状態になったら国民の総合的な理解が進んだと判断されるのか、教えてください。
○津島副大臣 お答え申し上げます。
この制度を導入するか否かについてはより幅広い国民の理解を得る必要があると考えているというのは、これは繰り返しお答え申し上げているところであります。
この夫婦の氏に関する問題については、国民各層の意見、国会における議論の動向を注視しながら、その対応を検討していく必要があるものと考えてございます。これは一貫したところでございます。
そのような観点からいえば、例えば、世論調査の結果等は国民の意識の動向等を把握する上で重要な意義を有するものと考えてございます。
もっとも、選択的夫婦別氏制度を導入することの是非については、そのような特定の事情から、直ちに結論を導くことができるものではなく、やはり、国民の代表機関である国会における議論の動向を踏まえながら、総合的に検討していく必要があるのではないかと考えてございます。
したがって、どのような状態になれば国民の幅広い理解が得られたことになるのかという今のお尋ねについて、具体的に、こうなったらという基準というものを申し上げるということは難しいということでございます。
○堀場委員 ありがとうございます。
私たちとしては、私、女性です、女性の多くが氏を変えたと思います。私、結婚して離婚をいたしましたけれども、結婚したときは幸せいっぱいで名前が変わりました。けれども、そのうち、働くと、何か旧姓併記になりましたので、そこでの不便さを非常に感じながら、離婚するときには本当に暗い気持ちで、重い気持ちで、この大量の業務、事務作業も含めてさせていただきました。子供もいましたので、何度も何度も、本当に、手間がかかるというだけではなくて、気持ち的にも本当に、何でこんな、名前を変えなきゃいけなかったのかなというような思いを抱くものでございます。
多分、ここにいらっしゃる方は余り、その経験がない方たちが、これを議論されるというようなお話をされていると認識しています。やはり、経験した人間としては、一刻も早く、私たちの子供が選択をするという自由を持つことができればいいなというふうに思っています。
なので、少しでも前に進めたいと思いますので、もう一つ質問させてください。
法制審の案に反対されている方、総理はいろいろなところで、反対されている方々の声にも真摯に耳を傾けてまいりますというお話でした。傾聴が得意ということですのでお耳にされているかと思うんですが、この法制審案に反対されている方の御意見、つまり議論が前に進まない主たる論点というのは、戸籍法の改正、特に同一戸籍同氏の原則にあるということでよかったでしょうか。お願いします。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
夫婦の氏の問題につきましては様々な意見があるところでございますけれども、一つ、夫婦別氏制度を導入した場合に問題とされているのが、子供の氏がどうなるのかというようなところでございまして、当然、夫婦が別氏になりますので、子供の氏について、子供の氏についてはどちらかに統一して兄弟は必ず同じような氏にするのか、あるいは子供についてもそれぞれ別の氏を認めるのか、それによってどのような影響が生じるのか、そういった様々な指摘がされているものというふうに承知をしているところでございます。
○堀場委員 ありがとうございます。
ということは、戸籍法の改正、特に同一戸籍同氏の原則、つまり、夫婦が同じ氏であるということよりも、子供がどういった氏を選択するのか、それに対する規定という点において前に進まないという認識で大丈夫でしょうか。こういった件に関しても、ちょっと今日は余り時間がないですので、また次に細かいことをやらせていただきたいと思っています。
最後に、男女共同参画担当の野田大臣にお尋ねいたします。
令和三年十月十三日に、選択的夫婦別姓を含む夫婦の氏の在り方については、昨年閣議決定した第五次男女共同参画基本計画において、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めていくこととしており、男女共同参画や女性の活躍の推進の観点から、私は担当大臣としてしっかりと進めていきたいと考えておりますと御答弁されています。
しっかりと進めていくとおっしゃってくださっているんですけれども、私たちとしては希望を持ってこのお答えを聞いておりました、その具体的な方法について教えてください。また、大臣自身の選択的夫婦別姓、別氏制度の御見解についても併せてお願いいたします。
○野田国務大臣 先ほど副大臣からありました法制審議会の答申ぐらいに私は初当選していて、そのときからずっと、私は国会議員として、これは法務省の権威ある法制審議会の答申だからしっかり進めていくべきだという立場で、一貫して変わっておりません。これは大臣であろうとなかろうと、それはずっと揺るぎないものでございます。
今、大臣として何をするべきかというと、今、女性の活躍の中で、やはり結婚と仕事のバランスとかで苦労していたり、また、一人娘で家との兼ね合いとか。それで、先ほど御指摘があったように、名字が変わることが非常に、九十数%、ほとんどが女性ですから、負担を背負うのは。それを解消してほしいということはやはり真摯に受け止めて、解消に向けて取り組むのが私の仕事であり、さっき、反対している方もいらっしゃるということで、二十五年たつと、様々、その理解も変わってきています。
私が最初に受け止めた頃は、そもそも夫婦が別の名字を名のるのは駄目だ、そもそも駄目だ、ふしだらだと言われました。その後、やはり通称使用ならいいだろうということで、実は、通称使用を認める段階で夫婦が別々に名のっていいというハードルはクリアしているわけですから、今そのことで、男女局としては、答申が現実に法案化されるまでの間、暫定的に、働く女性のために便宜を図る意味で通称使用をやっているにすぎなくて、これもやはり限界があります。やはり駄目なものは駄目なんですね、通称使用で。なおかつ、世界中で二つの名前を法的に使っている国はありませんから。
そういう意味では、きちっと、反対されている方の理由も分かりつつも、やはり結婚を促す、それを望んでいる人たちがいるということを丁寧に説明しながら、皆様方の立法府での御議論を活性化させていただいて、若い人たちへの道をつくってあげればというふうに願っているところです。
○堀場委員 ありがとうございます。
日本維新の会でも、この選択的夫婦別姓に関しては、少しでも前に進めたい、妥協案があるならどんどん提案させていただきたいと考えておりますので、またさせていただきたいと思っております。
本日はありがとうございました。
○上野委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
私は、時間が限られていますので、今日は原油高騰対策とマクロ経済に絞って質問させていただきます。
山際大臣、ちょっと後というか、先に副大臣の方にちょっと質問したいと思いますが、細田副大臣、ありがとうございます。
かねてから私たち日本維新の会は、玉木さん率いる国民民主党と一緒にトリガー条項凍結解除法案というものを、昨年の十二月上旬だったかな、提出をさせていただいています。その後、そうした私たちの訴えというか主張にも耳を傾けていただいて、経産省主導だと思いますが、補助金で措置を取っていただいています。それも、五円から二十五円ということで、トリガー条項凍結解除、トリガー条項を念頭に置いたかのような金額で、二十五円ということで補助金、補助制度を今既に、十日からかな、動かしていただいていることにまず感謝を申し上げたいと思います。現場も大変喜んでいるところであります。
他方、自公国でいろいろ政局的な動き、我々はこれをトリガー政局と呼んでいますが、続いております。
これからの時代の政策は、何か選挙のためとかそういうことではなくて、EBPMということがよく言われますが、やはり経済合理性あるいは行政的な合理性、合理的な、透明で合理性の高い政策をやっていく。イギリスなんかでは、各省庁の部局にエコノミストがみんな張りついていて、エコノミストが何だこれはというのは大体出ていかないようになっています。当たり前です。
そこで、細田副大臣、おいでいただいていますが、税制でなければできないことというのは私は思い浮かばないんですが、税制でなければできない、補助金ではできない、税制措置であればできる、そうしたことが何か想像できますでしょうか。
○細田副大臣 やや質問通告いただいたものとは異なるお問合せであるというふうに理解しておりますけれども、基本的には、経済的なメリットを与えるということで、同趣旨のものかと思っております。
ただ、税制で行った場合は、広く制度を改変するということで、やや包括的に事業が実施されるということだと思いますし、補助金の場合は、例えばそれぞれの補助対象事業者に対して、例えば主務大臣が認定を行うといったような、やや個別具体的な形で実施される例が多いのではないかというふうに考えております。
○足立委員 細田さん、済みません、私、ちょっとあほで、今、ちょっとよく分からなかったんですけれども。
要するに、今、補助制度で灯油とか重油も含めてやっていただいている。それなりに合理的な制度として動いているものと承知しています。
トリガーを発動すると、入口と出口が混乱するとか、地方財政とか、もう既にいろいろ議論されているように、いろいろ課題がありますよね。その課題を乗り越えてでも税制で措置するとすれば、補助ではできないけれども、税制だったらこんないいことがあるから、そのハードルを乗り越えてでもみんなで頑張ろうじゃないか、制度をつくろうじゃないかということになりますが、そういう税ならではのメリット、これは、だから細田さんに聞いても、えっ、答えたい。じゃ、財務省にも来ていただいているので、細田副大臣、まずお願いします。
○細田副大臣 大変失礼をいたしました。通告どおりの御質問をいただきまして、本当にありがとうございます。
先生おっしゃっておられるのは、今私どもが行っている激変緩和事業と、トリガー条項が発動された場合の比較論ということだというふうに理解しておりますけれども、まず、激変緩和事業は、ガソリン価格などの更なる高騰を抑えるものでありまして、値下げを狙う制度ではございません。一方で、仮にトリガー条項が凍結解除され発動した場合は、ガソリンと軽油の税率を引き下げることを通じて、結果として小売価格の低下が期待されているものである、こういうふうに理解をしております。
他方、仮にトリガー条項が凍結解除された場合は、現行制度のままであれば、先ほど御指摘のございました、ガソリンと軽油のみが対象となり、灯油と重油は対象外となります。また、地方税が減収となり、地方財政含めた自治体の運営にも大きな影響が出てくるものというふうに考えております。
ただ、いずれにせよ、今後のいわゆる原油高に対する対応でございますけれども、これは再三再四、岸田総理あるいは萩生田大臣が国会で御答弁をさせていただいているとおり、まずは、今回の激変緩和事業の拡充策をしっかりと実施し、効果を見ていく。その上で、今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかを見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたいと考えております。
ありがとうございます。
○足立委員 細田副大臣はプロですから、そういう政治家みたいな答弁は結構ですから。政治家ですけれどもね。
今、でも、大事なことをおっしゃった。既に茂木幹事長なんかもおっしゃっているように、値下げということをおっしゃっているわけですね。でも、補助金だって、今ターゲットが百七十二円ですか、ちょっと余り制度に詳しくないんですが、百七十二円より上がった部分を補助金で下げるわけでしょう。それは、ターゲットを百七十二円ぐらいにしておこうということになっているわけです。ターゲットを例えば百六十円にすれば下がるわけで、別に補助金でもできますよね。僕はそういうことを言いたいわけです。
今、もう補助制度で油種にかかわらずやっているわけだから、補助制度を拡充すること以上の何か付加価値、税で取り組むことによる何か付加価値、政策としての付加価値ってありますか。もう一回お願いします。嫌ですか、答弁。
○細田副大臣 いずれにせよ、補助金、今、激変緩和事業は百七十二円というのを目標の価格、基準価格にしていて、その差分を補助金として支給するという形の制度設計になっておりますけれども、いずれにせよ、様々な形での制度設計の在り方というのがあり得ると思っております。
いずれにせよ、先ほど申し上げたように、今後の制度設計を考えていく上では、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体での不断の検討を行っていくということであると考えております。
○足立委員 だから、ないんですね。
藤原財務大臣政務官、ありがとうございます。税ならではの付加価値、ないということでいいですね。
○藤原大臣政務官 済みません、副大臣の答弁とかぶるところもあるんですが、燃料油価格の激変緩和事業とトリガー条項、これはいずれも、補助金と減税といった財政的手段を用いてガソリン価格の高騰に対応するものでありますが、トリガー条項の連結解除を行った場合は、発動前の買い控え、反動による流通の混乱、財政への影響、そして個々のガソリンスタンドの新たな事務負担といった問題がございます。
さらに、先週百二十三ドルであった原油価格、十五日は九十五ドルになるなど変動しますが、トリガー税制による場合には、こうした動きを見ながら機動的に柔軟な対応をすることはできないというふうに考えられております。
○足立委員 だから、税でやることによって国民を不幸にすることはいっぱいあるんです。日本経済を混乱させ、マーケットを混乱させ、消費者を混乱させる、そういうことはいっぱいあるんです。でも、メリットはないんです。
先ほど与党席から、そうだ、玉木が喜ぶだけだ、こういう不規則発言がございました。まあ、不規則発言には反応しないというのがモットーでありますが。これは本当で、私、マスコミの方に言うんですよ。トリガー政局で、何かマスコミも今暇だから、マスコミが取り扱うネタがないので、トリガー政局に抱きついて、いろいろな紙面とか番組を埋めたいのは分かるけれども、国民のためには全くならない議論にすごく紙面を費やしているわけです。
今、細田経産副大臣、藤原政務官から言っていただいたように、混乱は起きてもいいことは一つもない。じゃ、なぜ玉木さんや山口代表がこだわっているのか。政局なんですよ。それは、政局というのは、まさに政局であり、かつ選挙ですよ。だから、政局とか選挙で不合理な政策論議が続くのは、本当に、私は個人的に、まあ党としては、これは私、余りトリガーをやると、これはマスコミが盛り上がっていますから、これをやると票が減ります。足立さんは減税に反対するのか、ガソリンは高いじゃないかと。だから、票は減るんですが、やはり、正しいことは正しい、間違っていることは間違っているということを言い続ける政治家でありたい、こう思っていますので。
今、藤原政務官、うなずいていただいています。財務省としては徹底的にこれは潰すということで、お願いします。
○藤原大臣政務官 間違いは正すということで、私、先ほどの答弁で、トリガー条項の連結解除と申し上げたんですが、これは凍結解除ということでございまして、まずこの点を訂正をさせていただきます。
その上で、税制については様々な観点からの検討が必要だと思っておりますので、それぞれの御意見をしっかりと参考にしながら、委員の御指摘も踏まえて、しっかりと検討していきたいと思います。
○足立委員 細田副大臣、もう一点。
じゃ、補助金で値下げ、どうしても政治が、消費者の実感を、選挙もあるし。だから、今だと上がらないだけだから国民は喜ばないわけです。でも、ふだんからいろいろなものが値上がりしているから、もういいかげんにしてくれと思っている中で、選挙前にガソリンがどんと下がると、みんな、おっ、政府・与党やるじゃないか、国民民主党のおかげだということになりますよね。でも、私が申し上げたいのは、もし、政府・与党、国民民主党、自公国がそれをやりたいなら、やったらいいですよ。でも、百七十二円のターゲットを下げたらいいじゃないですか。そういう方式で、要は、補助金でも値下げは実現できる、当たり前ですね。
確認です、できるということで。
○細田副大臣 ありがとうございます。
政治は可能性の技術といいますので、あらゆる制度設計が可能だと思いますけれども、いずれにせよ、再三申し上げているように、まずは今回の激変緩和事業の拡充策をしっかりと実施し効果を見る、その上で、今後原油価格の高騰がどの程度長期化するかを見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたいと考えております。
いずれにせよ、現在、原油の高騰がコロナで苦しむ日本経済の足を引っ張ることがないようにという先生の熱い思いは、しっかりと受け止めさせていただきたいと思っております。
○足立委員 山際大臣、もう時間が来てしまいましたが、このやり取りを見ていただいていて、ちょっと感想があれば、お願いします。
○山際国務大臣 政治は可能性の技術、いい言葉ですね。
私は、常々心がけていることは、分かりやすい制度じゃなきゃいけないんじゃないかと。シンプルで、みんな政治の専門家ではありませんから、生活をしている誰もが、ああ、そういうことなのかと分かって、納得してそれを使っていくというものがいい制度だというふうに思いますので、この原油高騰対策に関しても、そういうシンプルな制度になるように努力をしたいと思います。
○足立委員 時間が参りました。ありがとうございました。
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○上野委員長 次に、内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。小林国務大臣。
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経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○小林国務大臣 ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に際して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するため、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、所要の制度を創設する必要があります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特定重要物資の安定的な供給の確保に関する制度として、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある重要な物資の安定供給確保を図るため、特定重要物資を指定し、事業者の取組を支援するとともに、安定供給確保が困難と認めるときは政府が更なる対策を講ずる制度を創設することとしております。
第二に、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度として、国民生活及び経済活動の基盤となる特定の役務の安定的な提供を確保するため、妨害行為の手段として使用されるおそれがある重要な設備等を審査する制度を創設することとしております。
第三に、特定重要技術の開発支援に関する制度として、先端的技術のうち、当該技術が外部に不当に利用された場合等において、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがある技術の研究開発の促進と適切な活用のため、必要な情報の提供、資金の確保、調査研究等の措置を講ずる制度を創設することとしております。
第四に、特許出願の非公開に関する制度として、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明の特許出願につき、出願公開等の手続を留保し、発明の開示や実施を制限することを可能にする制度を創設することとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○上野委員長 次に、足立康史君。
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経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○足立議員 ただいま議題となりました経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。
ウクライナ危機とそれに伴う国際経済秩序の混乱は、決して対岸の火事ではありません。また、東アジアにおける中国の軍事、経済面での急拡大を背景とした覇権主義的な動向は、我が国の安全保障上、喫緊かつ深刻な問題となっています。
本法律案は、このような国際情勢の急激な変化、社会経済構造の変化等を鑑み、経済安全保障に関する諸施策について、その基本原則及び配慮事項を定めるとともに、国の責務等を明らかにし、その推進のため必要な事項を定めるものであります。
次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、経済安全保障を、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保と定義しております。
第二に、基本原則として、経済成長に十分配慮しつつ、経済安全保障上重要な利益が確保されるようにすること、新たな国際経済秩序の形成が促進されることとなるようにするとの観点を踏まえること等を規定しております。
第三に、経済安全保障に関する諸施策の策定及び実施に当たっての配慮事項として、対象となる物資等の選定に当たり、客観的な指標に基づく厳正な評価を行い選定過程の公平性を確保すること及び客観的な費用効果分析を行いその結果を考慮することを規定するとともに、経済安全保障に関する諸施策を実効的かつ総合的に推進するため罰則に関する規定の整備その他必要な措置を講ずることとしております。
第四に、国は、基本原則にのっとり、かつ、配慮事項に基づき、経済安全保障に関する諸施策を実効的かつ総合的に推進する責務を有することを明記するとともに、事業者に対しても、国が実施する経済安全保障に関する諸施策に協力する努力義務を規定しています。
第五に、国、事業者等の相互間の緊密な連携協力体制の整備、経済安全保障の調査研究等を支えるインテリジェンス体制の整備、経済安全保障の重要性に関する国民の理解の増進を規定しています。
なお、この法律案は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。
何とぞ速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○上野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会