衆議院

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第12号 令和4年3月25日(金曜日)

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令和四年三月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    東  国幹君

      伊東 良孝君    石原 宏高君

      金子 俊平君    神田 潤一君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    土田  慎君

      永岡 桂子君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    松本  尚君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      盛山 正仁君    山田 賢司君

      山本 左近君    吉川  赳君

      和田 義明君    大串 博志君

      小山 展弘君    櫻井  周君

      堤 かなめ君    本庄 知史君

      山岸 一生君    阿部  司君

      浅川 義治君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    笠井  亮君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   議員           足立 康史君

   議員           阿部  司君

   議員           堀場 幸子君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   小林 鷹之君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   外務副大臣        鈴木 貴子君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村  聡君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  泉  恒有君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            阿蘇 隆之君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          三上 明輝君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局次長)     齋藤  馨君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 辺見  聡君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         野崎 雅稔君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         江口 純一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房経済安全保障政策統括調整官) 風木  淳君

   政府参考人

   (特許庁長官)      森   清君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           春日原大樹君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     山本 左近君

  鈴木 英敬君     東  国幹君

  山田 賢司君     土田  慎君

  吉川  赳君     神田 潤一君

  中谷 一馬君     小山 展弘君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     塩崎 彰久君

  神田 潤一君     吉川  赳君

  土田  慎君     山田 賢司君

  山本 左近君     盛山 正仁君

  小山 展弘君     櫻井  周君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     鈴木 英敬君

  盛山 正仁君     赤澤 亮正君

  櫻井  周君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)

 経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の両案に対し、経済産業委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

    ―――――――――――――

上野委員長 次に、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平委員 おはようございます。自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 冒頭、ロシアによるウクライナの侵略に最も強い言葉で非難いたします。

 それでは、早速質問に入ってまいりたいと思います。

 今般の新型コロナウイルス感染症の流行で、日本の国民の暮らしや生命だけでなく、我が国の経済にも多大な影響を及ぼすことが明らかになりましたが、医薬品の存在意義が再認識をされたとも考えております。実際、新型コロナウイルスへの対応として、その治療薬やワクチンが重要な役割を果たしており、こうした医薬品の確保に世界各国が奔走する中で、時に重要な外交上の手段になり得ることも認識をされました。

 このように重要性が再認識された医薬品でございますが、日本における医薬品のサプライチェーンの現状を見ると、実は、海外で生産された原薬により製造される医薬品が全体の七割程度、医薬品によっては、ほぼ一〇〇%海外の原薬や原材料に依存する状態となっており、採算性等の理由から、多くは中国、インド等の海外から輸入している現状があると聞いています。

 今般の新型コロナの教訓を踏まえて、医療上必要性が高い医療品を過度に海外に依存することは、国民の生命や生活を脅かすリスクにもつながることでもあります。今般の経済安全保障の取組の中で、医薬品のサプライチェーンの強靱化を図ることは重要な課題であると考えています。

 既に、米国、欧州など世界各国においては、半導体やレアアースなどの物資と併せて、医薬品についても、不測の事態に備えて、そのサプライチェーンを強靱化するための取組が進められていると承知をしております。

 また、我が国においても、昨年の経済財政運営と改革の基本方針二〇二一の中で、サプライチェーンを強靱化していく観点から、半導体、レアアースを含む重要鉱物、電池、医薬品等の先行的な重点項目について必要な措置を実施をすることとされています。

 そこで、お伺いをいたします。

 本法律案において、特定重要物資について、そのサプライチェーンの強靱化を図ることが一つの政策の柱と規定をされておりますが、この特定重要物資には具体的にどのような物資が該当するのか。そして、医薬品は当然含まれるものと考えておりますが、確認をさせていただきたいと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 今、平委員から御指摘いただいた問題意識、共有させていただいております。

 その上で、今回の法案について分かりやすく申し上げますと、特に、今御指摘いただいたサプライチェーン、特定重要物資のサプライチェーンの強靱化なんですけれども、まず、国民の生存に必要不可欠なもの又は広く国民生活や経済活動が依拠しているか否か、こうした、物資の重要性ですとか、また海外への依存度、あるいは将来的な依存の可能性などを踏まえまして、国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止するため、安定供給の確保を図ることが特に必要な物資を特定重要物資として政令で指定することとしております。

 具体的にどのような物資を特定重要物資として指定するかにつきましては、今後、基本指針におきまして基本的な考え方などを定めた上で、個別の物資ごとに指定の必要性を判断していくことになりますので、現時点で予断を持って言及することはできないことは御理解いただければと思います。

 その上で申し上げますと、今、平委員から言及いただきましたいわゆる昨年の骨太方針二〇二一におきまして、半導体、また、レアアースを含む重要鉱物、電池、そして今お話のありました医薬品、これがサプライチェーン強靱化における先行的な重要項目として挙げられておりますので、こうしたものは、この法案の今後のたてつけにおきましても該当し得るものと考えております。

 特に医薬品につきましては、冒頭、国民の生存に必要不可欠、あるいは、広く国民生活、経済活動が依拠している、この二つの項目を申し上げたんですけれども、前者である、国民の生存に必要不可欠というカテゴリーに該当するのではないかと考えております。

平委員 ありがとうございます。

 特定重要物資に医薬品は当然含まれるということの御答弁をいただきました。

 医薬品の供給が途絶をすると、治療を行うことができず、大きな影響が出ることが考えられますが、実際に、二〇一九年の三月から十一月まで、つい最近でありますけれども、手術等を行う際に日常的に用いられる抗菌薬のセファゾリンという薬が欠品をして、医療提供に深刻な影響を及ぼす事態となったと聞いております。このときのセファゾリンの欠品の原因はサプライチェーンの脆弱性にあったと聞いておりますし、また、採算性等の理由で、セファゾリンを製造する際の原材料の生産は特定の国に依存をしておりまして、製造サイドで問題が生じた場合に迅速に対処することが非常に難しくて長期間の欠品につながったということです。

 日本で最も繁用される注射用の抗菌薬は、セファゾリンを含めたベータラクタム系と言われる抗菌薬と言われています。資料をお配りをしているので御覧をいただきたいと思うんですが、注射用の抗菌薬のうち、このベータラクタム系は約八五%を占めている。医療上も非常に重要である。

 これらの医薬品の原材料は、有用なカビ菌の発酵によって生産をされるわけでありますが、生産技術も必要になります。足りないからといって、じゃ、明日から作れるというものではありません。三十年ほど前までは日本も製造しておりまして、世界に輸出をしておりましたが、現在は特定国にほぼ一〇〇%依存している。特定国というのは中国、中国に一〇〇%依存しているということです。

 また、このことは、我が国のみならず世界の主要国も同様の状況でありまして、日本も含めた世界の主要国が、なくなると手術もできなくなってしまうような重要な医薬品の原材料をほぼ一〇〇%中国に依存をしているという状況になっております。これでは、何か事が起きれば、事を構えることになると、日本国民の命が守られない。

 命に直結をするベータラクタム系抗菌薬が他国にほぼ依存する状態を解消しなければいけない、これは安全保障上極めて大きな問題であるというふうに認識をしております。国内で製造をしていた当時の技術者たちも、多くは今退職の年齢にありますが、まだ間に合うというふうに聞いております。日本から技術が失われる前に、これらの重要な医薬品の原材料を作ることができるように対応していく必要があると考えております。

 そこで、御質問いたします。

 このセファゾリンの欠品により継続的な医療の提供が脅かされた経験、及び原材料等の海外に依存している状況を踏まえて、今後このような事態が生じないよう、厚生労働省において一定の取組をしているとは聞いておりますが、どのような取組を実施してきているのか。また、今後、安定供給を図る上でどのような課題があるのかを教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 抗菌薬の原材料につきましては、採算性等の理由から、海外からの輸入に依存している状況にございます。

 先生御指摘のとおり、二〇一九年には、海外の製造所のトラブルによりまして、日本国内において長期にわたり、このベータラクタム系抗生物質の一つでありますセファゾリン、これの供給が滞りまして、医療の提供に深刻な影響を及ぼすこととなりました。

 こうした状況を踏まえまして、厚生労働省では、令和二年度の補正予算におきまして、海外依存度の高い抗菌薬の原薬や原材料、こういったものの国産化に向けた国内製造所の新設や設備の更新、これらを支援するための事業を開始したところでございます。令和三年度の補正予算におきましても、こうした取組を継続するべく必要な予算を確保しております。

 また、今後の課題についてでございますが、国内における原薬、原材料の生産体制の強化を行っておりますが、それのほか、現状、海外から安価な原材料が輸入されてまいります中で、市場において国産原材料が活用されるような仕組み、こういったことも課題になるというふうに考えております。

 まずは、この令和三年度の補正予算を着実に執行いたしまして、引き続き、国内における医薬品の安定供給の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

平委員 抗菌薬については、厚生労働省でも工夫をしながら取組が実施されているということを今お伺いしました。

 重要な物資の安定的な供給の確保を図るために、このような取組を各省で個別で実施することも重要ですが、法的枠組みの下で、総合的かつ継続的な取組として実施していくことが必要だと考えております。

 厚生労働省の答弁にもあるように、国内生産やサプライチェーンを複数ソース化した場合など、サプライチェーンの強靱化を行った場合の増分費用、コストが上がりますので、この増分費用の問題について、国として一定の対応が必要ではないかと考えます。

 企業がサプライチェーンを特定国に求めているのは、そもそも安いからですよね、コストが安いからそれを使っているわけでありまして、これを強靱化するということは、別の意味で言い換えれば、相対的に安価な海外産原材料ではなくて、人件費や生産規模の観点から相対的にコストが高くなる国産原材料を使用するという、経済合理性には反するわけであります。企業の経営判断のみに任せていては、最終製品の安定供給確保に向けた取組が進展をしないのではないかと懸念をしております。サステーナブルではないということであります。

 この点について、有識者会議においても、重要な物資の安定供給を確保し、国家及び国民の安全を確保するという政策目的については、民間事業者の経営判断だけに頼っていては十分に達成することは困難という指摘や、予見可能性の観点からも政府としての施策の方向性を示した上で、特性に応じて、民間事業者が長期にわたる財政支援を受けられる枠組みが必要だとの提言がされています。

 経済安全保障を推進するという観点から、平時においてはコスト増につながる一面があると思われる民間企業の取組を長期的に持続させる必要があると思いますが、この点について、今回の法案ではどのような支援が可能なのか、大臣に答弁をお願いいたします。

小林国務大臣 今、平委員が御指摘されたように、これまで、経済合理性というのは極めて重要な概念だとは思いますが、そこに、過度にそれを追求した結果、やはり、コストが安い特定の国に非常に重要な物資が、一般論としてですけれども、その生産基盤、生産場所が集中していく。結果として、何かあったときのリスクが高まる、そういう副作用に対してどうバランスよく対応するかということが求められているのだと思っています。

 その意味で、御指摘のとおり、民間事業者にとりましては、平時において、コスト増、あるいは競争力のない物資のために設備投資をするという判断にならないということはあり得ると考えます。そのため、この法案によって、民間事業者による取組に対する支援を行いまして、重要物資の安定供給の確保を図ることとしたところでございます。

 具体的には、あくまで民間事業者の自発的な取組の後押し、これを基本としております。そして、国内生産基盤の整備だけではなくて、供給源の多様化ですとか、備蓄、生産技術の開発、あるいはその代替物資の開発、これもあろうかと思っています。

 物資の特性に応じた多様な取組を支援可能なスキームとすることで、民間事業者の企業努力、また国際分業の考え方も踏まえまして、トータルとしてサプライチェーンの強靱化が図られるよう努めていきたいと考えます。

平委員 どうやってサステーナブルなエコシステムをつくるかというのは極めて重要で、設備投資のイニシャルのところで補助金が出ましたといっても、ランニングのところで回らなければ意味がないわけで、ですから、そのイニシャルとランニング両方見なければいけませんし、一方で、WTOとかいろいろな枠組みがありますので、そことも整合的でなければいけません。

 一方で、この原薬は一〇〇%中国に頼っているので、何かあると、数か月後には日本で手術がほとんどできませんみたいな、かなり深刻な事態になりますので、そこはしっかりイマジネーションを働かせて対応していただきたいと思います。

 その上で、ちょっと質問通告をしていないので、テイクノートだけしていただければと思いますが、今、このデジタルの時代になると、質問通告を私がツイッターですると、こういう問題もある、ああいう問題もあると、かなり専門的な知見を持った人からメールとかSNSを通じて寄せられるわけでありますが、実は、テクネチウムという放射性医療品というのがあるんです。これは、がんや心筋梗塞の診断に利用される放射性医薬品なんですが、この原材料も国産化が必要じゃないのかと。これは放射性の医薬品でありますので、現在は海外の原子炉で作って、一〇〇%輸入しているんですが、今、原子炉がどんどんどんどん老朽化をしていって、いつその流通が止まってもおかしくない状態だそうです。

 一方で、このテクネチウムの世界市場というのは、二〇一八年には二十六億USドル、二〇二六年には四十六億USドルに拡大すると予測をされているんですが、このまま放置すると何が起きるかというと、非ホワイト国からその供給を受けなければいけなくなるという可能性が出てきています。実は、日本は、加速器技術、御承知のとおり、得意分野であります。原子炉を使わずに、日本のこの加速器技術を使って製造が可能だということでありますので、こういったものも是非またテイクノートしていただいて、科学技術・イノベーションの御担当でもあるというふうに思いますので、御検討をいただければと思います。

 それでは、次の質問をさせていただきたいと思います。

 基幹インフラについてであります。

 基幹インフラが重要なのは言うまでもありません。重要なので、それぞれの基幹インフラの事業者というのは、縦で業法が入っていますよね。電気通信事業法や電気事業法など業法が入っている。今般の法律は、どっちかというと横から規制を入れるという、業種横断的な横割りの制度ということになっています。ですから、そもそも縦でかなり厳しい管理監督をして規制を入れているのに、横で入れざるを得なくなったという環境変化があるんだろうというふうに思います。

 その辺のことを教えていただきたいのと、また、やはり縦で既に規制が入っているのに、また横で入れるのかよと。だから、民間からすると過度な規制じゃないかという思いもあるんだというふうに思いますので、その業種、規模、また個別企業を指定するんでしょうけれども、個別企業、設備、これを定めていくに当たっては、やはり必要なところだけやる、網羅的にやるのではなくて、しっかり絞り込みが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいたとおり、基幹インフラ事業を規律する業法というのは、今たくさん個別にございます。ただ、我が国の外部から行われる妨害行為を未然に防止するための規定というものがほとんど備えていない状況にございまして、特にその設備の導入ですとか維持管理などを委託する際に、通常の経済活動に起因するリスクというものに的確に対応できない状況になっています。

 その中で、有識者会議の提言におきまして、政府が指針などの形で基幹インフラ役務の安定的な供給の確保に関する基本的な考え方を示した上で、全体として整合性の取れた形で分野横断的に対応する必要があると提言いただいたところでございます。

 この国民生活あるいは経済活動の基盤となる基幹インフラ役務の安定的な提供に対する外部からの妨害行為を未然に防止することは、当然各事業に共通の課題でございますことから、こうした有識者会議の提言も踏まえまして、政府全体として整合性の取れた形で取組を推進していく。

 したがって、個別の業法ではなくて、本法案におきましても、事業横断的な制度を創設することとしたところでございます。

 今委員御指摘のように、既にある業法で安定供給の規定というものはございます。それに対して、外部からの妨害行為に対して、上乗せする規制になりますので、これについてはやはり対象をできるだけ真に必要なものに絞っていく必要があるということでございます。

 したがって、この法案の第五条におきまして、この規制措置というのは、経済活動に与える影響も考慮した上で、安全保障を確保するために合理的に必要と認められる限度ということで規定をさせていただいているところであります。

 この基幹インフラに関する制度についても、規制対象となる事業の外縁を法律上一応確定をいたしまして、その上で、今委員御指摘の規制対象と実際になる事業、政令で絞めるんですけれども、事業とその対象となる事業者、あるいは対象となる設備、それぞれにつきまして、事業の実態を踏まえて、国家国民の安全を確保する上で真に必要なものに絞っていくこととしております。

平委員 サイバー攻撃とか、あと電子機器にバックドアがあるんじゃないかとか、いろいろなリスクが顕在化をしてきました。今まで企業が意識もしていなかったところにその落とし穴があるのではないかという懸念もあるわけだと思います。

 ですから、今までの業法の縦割りだとカバーし切れない問題が出てきましたので、絞り込んでいただいたらいいと思いますけれども、それをやることによって、ほかの業界も、なるほど、このグローバルなサプライチェーンとかデータチェーンにおいてこういうリスクがあるんだというのを広く知っていただいて対応するというのが重要だというふうに思います。

 東京オリンピック・パラリンピックがありましたので、サイバー攻撃に対してはNISCや重要インフラ事業者がコンソーシアムをつくって対応し、実際に攻撃はありましたけれども実質的な被害は抑えることができました。これが、今ロシアはこういう状況でありますので、これからサイバー攻撃が本格化してくるリスクがかなり私は高いというふうに思っております。

 ですから、是非、所管外かもしれませんが、このオリパラでつくったスキームはしっかり維持をしていただいて、様々なインシデントを共有をしていただいて対応するとともに、この法律が施行されれば、さらに、しっかりとしたこのルールに基づいて対応をしていただきたいというふうに思っております。

 あと一分なので、ちょっと、残りの質問、もうせずに終わりたいと思いますが、先ほどもサプライチェーンの問題が出ました。加速器技術とか、例えば菌を使った発酵技術とか、実は日本が強くて、チョークポイントを押さえにいけば押さえられるんだけれども押さえていないという分野もありますので、是非、そこは日本の強みも見極めた上で、そこをしっかり支援をしてできるだけ多くチョークポイントを押さえて、さらには、チョークポイントを顕在化させて、それが外国に頼っているのであれば先手先手でちゃんと手を打っていくというのが大事だと思います。

 いずれにしても民間の協力が必要ですので、丁寧に、そして密にコミュニケーションを取っていただいて、この法律がしっかりと機能するように大臣には対応していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 自民党の石原宏高でございます。

 平先生に続いて、経済安保法の質問に入りたいと思います。

 まず最初に、先端的な重要技術の開発支援に関する制度の中で、調査研究業務の委託について伺いたいと思います。

 この調査研究業務の委託の具体的な委託先、また、その内容、予算規模、どんなイメージか御説明いただければと思います。

阿蘇政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度に本格的に立ち上げるシンクタンクは、本法案に基づく委託調査を含め、国内外の技術動向、社会経済動向、安全保障など、多様な視点から科学技術・イノベーションに関する調査研究を行うものでございます。

 具体的には、国内外の研究機関等とのネットワークを活用しながら、先端的な技術をめぐる国内外の情勢や研究開発動向等に関する調査分析、政策提言機能、関係省庁や国内外の関係機関、専門家と緊密に連携の上、諸情報を集約するハブとしての機能、先端的な技術の動向等について高度な知見を有する人材を確保、育成する機能を発揮させたいというふうに考えてございます。

 一方、こうしたシンクタンクの育成は一朝一夕にできるものではないため、現在、令和五年度からの本格的なシンクタンクの立ち上げに向けまして、令和三年度に約三億円、令和四年度に約三・五億円を計上し、シンクタンク機能に関する試行事業を政策研究大学院大学への委託により実施しているところでございます。

 具体的には、幅広い技術分野の情報収集、整理や、サイバー、健康医療、宇宙、海洋などの分野について、経済安全保障の強化、推進の観点から、育て、守るべき技術を抽出するための調査分析等を試行的に実施し、知見や経験の蓄積や実施に当たっての課題の抽出等を行うこととしてございます。

 本試行事業の実績も踏まえつつ、今後、シンクタンクの具体化を図ってまいります。

石原(宏)委員 令和五年にシンクタンクを立ち上げるということなんですけれども、そのシンクタンクが新しいものなのか、既存の政府系研究機関がシンクタンクになることが排除されないのか、ちょっと質問させていただきたいと思います。

阿蘇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案では、調査研究能力など、法令に定める一定の基準に適合する法人に調査研究の全部又は一部を委託することを想定しております。

 令和五年度から立ち上げるシンクタンクにおきましては、現時点では、どのような法人に委託するのかをお答えするのは困難でございますけれども、国立研究開発法人や独立行政法人も選択肢と考えられるところでございます。

 いずれにしましても、現在、令和五年度からの本格的なシンクタンクの立ち上げに向け、令和三年度から四年度にかけましてシンクタンク機能に関する試行事業を実施しておりまして、本委託事業の実績も踏まえつつ、更に検討を進め、シンクタンクの具体化を図ってまいります。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、経産省にちょっとお伺いをするんですけれども、経産省で、私の記憶だと、令和三年度で十八億円ぐらいかけて日本の産業のチョークポイントの優劣を調査することになったと思うんですが、今言われたシンクタンクとは別の観点で産業の優劣とチョークポイント等を調査していると思いますけれども、その内容、どういう分野でやっているのか、また、結果とか、これからもそのことは続けていかれるのかどうか、お伺いします。

風木政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省においては、令和元年度から、まさに委員御指摘の、重要技術管理体制強化事業の一環として、重要技術の動向、それからサプライチェーンの状況について調査を実施しております。

 サプライチェーン調査では、具体的には、半導体製造に必要な装置あるいは素材などの半導体分野、あるいはレアアースなどを含む重要鉱物資源、これなどを対象にしまして、その生産基盤、それからサプライチェーンの国内外の状況を調査しているところでございます。

 引き続き、こうしたサプライチェーンの把握に努めるとともに、調査の成果も踏まえて、経済産業省として政府全体の経済安全保障政策に貢献してまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 ちょっと私、勘違いしていて、実は、内閣府のシンクタンクというのは、今言った経産省みたいなことをやるのかなと思ったんですが、ちょっと切り口が違うような御説明を受けて、納得したところであります。

 次に、先端的な重要技術の開発支援に関する制度の中で、指定基金についてお伺いしたいと思います。

 この指定基金の規模や、積み方と言うといいかどうか分からないですけれども、まず最初にどんと積んで何年間使っていくのか、それとも、毎年毎年予算を取って積んでいくのか、また、その管理者等の具体的なイメージについてお教えください。

阿蘇政府参考人 お答え申し上げます。

 指定基金として想定されます経済安全保障重要技術育成プログラムにつきましては、昨年閣議決定された経済対策において、特に、経済安全保障強化に向けて新たな枠組み、取組が進展していく中で、五千億円規模とすることを目指すということとされてございます。

 令和三年度補正予算におきましては、そのスタートとして、基金を活用して、公募により先端的な重要技術の実用化に向けた強力な支援を行うため、二千五百億円を措置したところでございます。

 具体的には、年度内に、国立研究開発法人科学技術振興機構及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に千二百五十億円ずつ基金造成することとしており、大学、企業、国研等からの公募を受けて、先端的な重要技術の社会実装に向けた研究開発を実施していくこととしております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、先端的な重要技術の開発支援に関する制度の中で、協議会というのが設けられることになっていますけれども、科学技術のいろいろな開発には、内閣府の中でSIPとかムーンショットがありますけれども、それと一緒になって、今基金を積んでやられていくわけですけれども、協議会の、今回の場合と、SIPとかムーンショットと比べて、何か違いがあるのか、やり方の中でですね。ちょっとこの協議会について教えていただければと思います、特性がどんなものか。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会のイメージについて御質問をいただきました。

 お尋ねの協議会でございますけれども、国の資金により行われる特定重要技術の研究開発のプロジェクトにつきまして、その資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発の内容や進捗等を踏まえ、研究開発に有用であるか、これまで提供することができなかった機微な情報の共有等が適当と認められる場合、こういった場合に、特定重要技術研究開発基本指針に基づき設置されることとなるところでございます。

 それで、資金を用いて行われる研究開発プロジェクトでございますけれども、これについては必ず設置することとなっておりますが、例えば、今お尋ねのSIP、それからムーンショット、こういった研究開発制度につきましても、こういった既存のプロジェクトにつきましても、各プロジェクトの内容や進捗等を踏まえまして、本法案に定める要件に該当し、かつ、研究代表者、この同意が得られれば設置可能となるところでございます。

 今御指摘ございましたように、従来の研究開発におきましても、関係者間の効果的な連携、調整のためのこういった会議が開催されるなど、法的な規定によらない形での官民協力というのは一定程度なされてきたところでございますが、本法案の協議会でございますが、各府省の保有するニーズ情報、それから、情報セキュリティーといったような、こういうインシデントに関する情報でございますね、こういう研究開発に有用な機微な情報の共有を可能とすることで、より効果的な研究開発を行うための枠組み、こういったもので、既存のプロジェクトにつきましても研究開発を更に強力に推進することが可能になるというふうに考えておるところでございます。

 いずれにしましても、本法案のこうした枠組みを通じまして、産学の協力を得ながら、中長期的に我が国が国際社会で確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素、こういった特定重要技術の研究開発等を進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 次に、重要物資の安定的な供給の確保に関する制度についてお伺いしたいと思います。

 実は私、我が党の環境・地球温暖化対策調査会の事務局長をしているんですけれども、その中のヒアリングの中で、日本自動車工業会から、自動車のバッテリー、この資源循環を進めてほしいという要望がありました。具体的には、使用済み電池の海外流出というのをなるべく抑えてほしい、また、効率的な電池の回収のシステムをつくってほしい、また、安価なリサイクル技術の構築を成すためにいろいろなバックアップをしてほしい、こういう御要請がありました。

 それで、実は、蓄電池にはレアメタルが使われています。リチウムとかコバルトとかニッケルが使われているわけでありますが、こういうレアメタルの輸入が難しくなった場合、蓄電池を重要物資に指定をすることが可能かどうか、また、輸入は可能な状態であっても、やはり蓄電池を重要物資に指定して資源循環を進めていくというようなことを行うことができるのかどうか、御回答いただければと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず制度について御説明させていただきたいんですけれども、本案におきまして指定する物資でございますけれども、指定の具体的な考え方それから要件、こういったものを、基本的な考え方につきまして、有識者の意見を聞いた上で安定供給確保基本方針に定めることになっております。

 また、個別の物資ごとに特定重要物資として指定の必要性を判断していくことになりますので、現時点で蓄電池それからレアメタルといったものが指定対象になるかどうかについてはお答えすることはちょっと困難でございますけれども、その上で申し上げますと、蓄電池とレアメタルの関係に関する御質問、これにちょっとイメージを持ってお答え申し上げますと、いわゆる骨太二〇〇一で、サプライチェーンの強靱化における先行的な重要項目として、レアアースを含む重要鉱物それから電池が掲げられているところでございます。

 また、本法案におきまして、当該物資又はその原材料等の供給を外部に過度に依存している又は依存するおそれがあることが、特定重要物資の指定に必要な要件の一つとなっております。

 蓄電池の原材料でありますレアメタル、この供給を外部に過度に依存している場合におきましては、蓄電池を特定重要物資に指定することはあり得るというふうに考えております。また、レアメタルの輸入が可能な場合でありましても、その供給を外部に依存しており、蓄電池の安定供給を確保することが特に重要である場合、この場合には蓄電池を特定重要物資として指定することもあり得ると考えております。

 また、支援すべき民間企業の取組といたしまして、生産基盤の整備、これだけではなくて、レアメタルの使用の合理化や、いわゆる、先生から御指摘ございました都市鉱山からのレアアースのリサイクルを行う、こういった生産技術導入につきましても想定されるところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 大臣、重要物資の確保で資源循環という観点も是非取り入れていただいて、それが環境の方にプラスになってきますので、是非この点も取り上げていただければと思います。

 余談なんですが、私も驚いたんですが、自動車のバッテリー、蓄電池なんですけれども、どこに海外に流出しているかというと、ロシアだという話をお伺いしました。

 次に、安定供給確保指定法人、独立行政法人、また、安定供給確保支援法人基金についてお伺いいたします。

 本法律案では、安定供給確保指定独立法人として、別表において、NEDOやJOGMEC、また医薬基盤・健康・栄養研究所が挙げられています。同様に、指定法人について、一般社団法人、また一般財団法人というようなところが掲げられておるわけでありますけれども、独立行政法人の方はいいんですが、具体的な指定法人、また指定独立行政法人のイメージ。また、この基金についても、計上の仕方、一回で積み上げて何年間使うのか、それとも毎年毎年積み上げていくのか。また、大体どのぐらいの金額をイメージしているのか。お答えいただければと思います。

三貝政府参考人 先ほどお答えする中でちょっと一点訂正させていただきたいんですけれども、冒頭に、制度のところで、基本的な考え方につきましては、有識者の意見を聞いた上で安定供給確保基本方針というふうに言っておったんですけれども、失礼しました、安定供給確保基本指針でございます。申し訳ございません。失礼いたしました。

 それでは、お答え申し上げます。

 御質問の点でございますけれども、まず、本法案におきましては、政策目的である特定重要物資の安定供給の確保に向けた取組を物資の特性を踏まえて効果的に支援していくため、特定重要物資ごとに独立行政法人若しくは一般社団法人のいずれかを安定供給確保支援を行う法人として指定することとなっております。

 また、指定された独立行政法人や一般社団法人などが、事業者が行う認定供給確保計画に沿った特定重要物資の安定供給確保のための取組を支援するということになっております。

 その際、安定供給確保支援業務を行うことが可能な独立行政法人といたしましては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOでございます、それから、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECでございます、それからさらに、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、いわゆる基盤研、これらを規定しております。所管大臣がこれらの独立行政法人による支援が効果的と判断する場合には、安定供給確保独立支援行政法人として指定して活用していくことになるところでございます。

 さらに、特定重要物資の安定供給確保に取り組む事業者への支援、これを行う際に、複数年度にわたる支援、これが必要となるもので、一定の要件を満たす場合には、当該指定法人に基金を設置し、その取組を支援することができる旨を規定させていただいております。

 なお、基金の設置の有無、その規模などにつきましては現時点では決まっているものではございませんが、今後、安定供給確保基本指針、それから、個別の特定重要物資ごとに定める安定供給確保取組方針の策定等の過程におきまして検討してまいりたいと思っております。

石原(宏)委員 どうもありがとうございました。

 重要インフラのところは、おとといも、また先ほど平先生も質問していますのでちょっと飛ばしまして、この前、おとといですね、大変詳しく特許出願の非公開の問題について議論がなされたんですが、非常に参考になりました。

 私の方からは、もう一度おさらいというか、一番簡単なところで、非公開の特許出願というのがどんな感じで保全指定まで進んでいくのか。もう一度おさらいで教えていただきたいと思います。

 私の感じだと、恐らく、出願者の方が非公開にしてくれというケースが一番多いんじゃないかと思うんです。特許庁の方でこれは非公開にすべきだというよりも、どちらかというと、出願者の方がそういうふうに要請されるケースの方が大臣の答弁なんかを聞いていて多いと思うんですけれども、その点も含めてちょっと流れを教えていただければと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度、特許庁がまず一次審査を行うことになっておりますけれども、保全すべき発明が含まれる可能性が高い技術分野をあらかじめ政令で定めまして、これに該当する出願のみ選別して内閣府の方に送りまして、二次審査、すなわち保全審査をすることとなっております。こういった二段階の審査システムを採用しておるところでございます。

 また、一次審査では、あらかじめ政令において、核技術や先進武器技術、こういったものを、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が含まれ得る技術の分野ということで、国際特許分類などの形でこれを指定していく、挙げていく形で、定型的に判断可能な要件を定めていくこととしております。特許庁は、出願から三か月以内に、これを該当するものとして内閣総理大臣に送付するということでございます。

 保全審査では、内閣総理大臣、実務的には内閣府の担当部門が、出願人から発明の内容につきまして説明を受けるなど、出願人との対話をしつつ、発明の内容に応じて、防衛省を始め安全保障や対象技術について専門知識を有するほかの行政機関や外部の専門家の意見も聞きながら定めていくということになります。

 それにおきましては、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれの程度、それから、保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響の程度、これらについて総合的に勘案の上、保全指定をすることが適当かどうかの判断をすることになります。

 先生おっしゃいましたように、よく出願者とコミュニケーションを取りながらそこはやらせていただくということでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 まだほかにも何問かあるんですけれども、残り時間があと四分になりましたので、大臣に最後に質問をさせていただきたいと思います。

 私は、この法案は非常に重要な法案であるというふうに思っています。これを絵に描いた餅にしないためには、今後の予算を含めた体制づくりが鍵になります。

 諸外国は、将来を見据えた経済安保政策を積極的に展開しております。それらの果実を自国の中に囲い込もうとしています。

 半導体については、米国が五・七兆円規模、また中国が十兆円規模、欧州は十七・五兆円規模の投資を、また、先端の技術開発には、アメリカが九兆円規模、また中国が一・七兆円規模の投資を準備しています。

 いかに早く成長の種を見つけ、その花を咲かせるか、その果実を使って世界標準を握るかに国の成長が懸かっていると言っても過言ではありません。

 現在の日本には、残念ながら、確固たる将来のビジョンに基づく経済安保政策が欠けているというふうに思います。岸田政権の掲げる新しい資本主義の実現のためにも、日本という国を支えていく成長の軸をつくるためにも、本法案は、いろいろと、定義が定かじゃないなんというような御批判もありますが、私は皮切りになるというふうに確信しております。

 経済安保政策をしっかりと進めていく、その大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

小林国務大臣 今、石原委員がおっしゃったとおり、新しい資本主義において、この経済安全保障という項目は成長戦略の一つとして位置づけられているんです。

 なぜなのというふうに聞かれることが結構あるんですけれども、私は二つの側面があると思っていまして、一つは、国際情勢が非常に複雑化し、流動化し、またDX含めて社会構造が変わっていく中で、何が起こるか分からない、不確実性が非常に高まっている時代にあると思います。そのときに何か一つのインシデントが起きたときに、それによって経済構造がダメージを受けてしまうと、それは成長にとって大きくマイナスになりますから、何が起こったとしても、いかなる状況においても、そのダメージを局限化する、そういう脆弱性を克服していく取組というのが必要だと思っています。その意味で、今回の法案の中では、サプライチェーンの強靱化であり、基幹インフラの信頼性、安全性の確保というものを位置づけております。

 もう一つの側面としては、やはり、成長の種あるいは技術というものをどんどん開発して、育成していかなければいけない。世界の主要国が、国家戦略にAIや量子、バイオ、マテリアルを位置づけて、巨額の資金を投資してしのぎを削っている中で、我が国としてもその分野で負けるわけにはいかない。その意味で、官民共同、協力して技術を育成していく仕組みというのを今回設けておりますし、その培った技術というものが、どんどん海外に無意味に流出していったら意味がない。そういう意味で、その技術、防止の一つのパーツとして特許非公開というものを設けたところでございます。

 私が重要だと思うのは、日本ならではのというふうにおっしゃっていただきました、これはアメリカがやっているから、あるいはヨーロッパがやっているから日本がやるというものでは、私、ないと思っていて、むしろ、やはり何が起こるか分からない状況の中で、しかも、世界の中心に日本がもっともっと近づいていくためには、やはり日本自らがその基軸となる経済安全保障の考え方を持たなきゃいけない、そういうことが必要だと思っています。

 それなくして諸外国と連携といっても、結果として、単なる追随に終わりかねないと思っていますので、それを総理が、おおむね一年かけて国家安保戦略を含めた三文書について策定、改定していくというふうに言っております。その中で、この国家安保戦略に経済安全保障の視点をどう位置づけていくのか、これは非常に重要な視点だと思っておりますので、委員の御指摘に応えられるように邁進していきたいと考えます。

石原(宏)委員 大臣、頑張ってください。

 時間が来ました。終わります。

上野委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私も、質問に入る前に、冒頭、この度のロシアによる許し難いウクライナへの侵略行為に断固抗議をして、そしてまた、ウクライナの国家と国民の皆様との連帯を表明して、質問に入らせていただきたいと思うんですが、実はその前にもう一つ、昨日の北朝鮮のミサイル発射も、一日も早くこういうことをやめなさいということを申し上げて、我が国はこういう危険な国家に囲まれているんだ、こういう危険な国家に囲まれている我が国のこの現状の中で、もう一方の経済における安全保障を今日は審議をするということですので、そういう厳しい認識の中で、この法案を審議をさせていただくという機会をいただいたことを本当に心からありがたいと思います。どうぞ大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは最初に、前回の内閣委員会の質疑でも取り上げたんですが、時間が足りなかったので言い足りないこともあって、まず、日本学術会議の問題から入らせていただきたいと思うんです。

 私は、この経済安全保障の法律案というのは、米中対立の、特に我が国においては対中国という考え方が背景にあって、衆議院調査局が作成をしていただいた法案資料の中にも、中国が製造業において実力強化の目標を掲げた、中国製造二〇二五という項目が設けられていて、何をやっているのかということも表にされているわけであります。

 今日はパネルと資料も御用意したので、皆さんのお手元にお配りをさせていただいております。

 中国製造二〇二五における重点産業というのが、この資料でありパネルなんですが、主な産業、分野がこうして明示をされていまして、私は、日本学術会議の研究者の皆さんが、この産業、分野の、同様の研究をしているところがあるのではないかというふうに思っているわけであります。少なからずあると思います。

 これは実態はどうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

三上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術会議は、法律に基づきまして、優れた研究又は業績がある科学者のうちから選考することとされておりまして、人文・社会科学、生命科学、理工系、様々な専門分野の方に会員になっていただいております。御指摘の産業や分野に関する研究を専門とされている会員もいるところでございます。

 配付資料記載の産業、これらは中国に限らず注目を集めている産業あるいは分野と考えられますけれども、これらに関係が深いと考えられる分野を専門とする会員の人数を申し上げますと、例えば、一番上の次世代情報技術に対応する分野として、情報学は十七名、それからその下、CNC工作機械・ロボットの関係で、機械工学十名、その下、航空・宇宙装備以下四つほど、例えば総合工学など関係すると思いますけれども十三名、以下、電気電子工学、農学、材料工学、基礎医学、化学など、それぞれ専門とする会員を擁しているところでございます。

 以上です。

高木(啓)委員 日本学術会議の分野別という資料では三十分野というふうに言われているんですが、当然、先端技術を研究しているところ、この資料はですね、なので、当然ダブってくると思いますし、普通に考えてそうならざるを得ないと思います。

 私は、前回の本委員会で、日本学術会議について以下のような指摘をしたので、ちょっと繰り返させていただきたいと思います。

 二〇一五年に結ばれました日本学術会議と中国科学技術協会の、両機関の協力促進を目的とした覚書について、経済安全保障の面から私は極めて多くの問題をはらんでいると考えます。

 調べればすぐに分かるのですが、日本学術会議と覚書を結んだ中国科学技術協会は、中国工程院という国務院直属のアカデミーと戦略的提携枠組み合意書を結んでいるわけであります。この合意書というのは二〇一三年に結ばれている。

 さらに、中国人民解放軍軍事科学院傘下の国防工程研究院の主要な研究者は、中国工程院との人事交流が盛んでありまして、中には兼任をしている者がいるというふうにも聞いているわけであります。

 つまり、日本学術会議が中国科学技術協会と連携しているということは、中国工程院と連携していることになり、最終的に、人民解放軍軍事科学院、国防工程研究院と連携をしていることになるわけでありまして、米中対立が顕在化をするさなかに、この関係は、我が国の基礎研究、機微技術が軍事転用される可能性があると想像するのが普通だというふうに私は指摘をしたんです。

 この相関図を見ていただくと一目瞭然なんですが、結局、真ん中にある日本学術会議と中国科学技術協会が二〇一五年に協力促進の覚書というのを結んだことによってこういう疑念が実は出てくるわけでありまして、これが自然と中国に我が国の機微技術を含めて研究成果というのが流れている仕組みがつくられている可能性があるのではないか、こういうことを私は指摘をし、これを防いでいくということが、国民の疑念を払拭をしていくということが本法案の私は基本的な役割であるというふうに実は考えているわけであります。

 そこで、このことについて、是非国民の疑念を払拭していただきたい、そんな思いも含めて、小林大臣に見解を伺いたいと思います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 日本学術会議は、多国間、そして二国間の枠組みを通じた学術交流を行っておりますが、高木委員御指摘のこの覚書は、出版物の交換やセミナーなどの学術活動の情報交換、そして研究者間の交流など、一般的な学術交流を促進するものであると聞いておりまして、日本学術会議として中国のいわゆる軍民融合を支援する学術交流事業を行っているとは承知しておりません。

 その上で申し上げますと、技術流出の防止というのは、我が国の技術優位性を確保していく上で極めて重要な課題だと認識をしております。したがって、既に、外為法に基づく投資審査の強化、これは、コア業種の拡充ですとかあるいは体制の強化、これは省庁間の情報共有も含めて、また、出先機関の地方の財務局を始めとする定員などの強化、これについても、今御審議いただいている令和四年度の予算案に盛り込ませていただいております。

 また、外為法上のいわゆるみなし輸出と呼ばれる、その管理を通じた技術情報管理、これにつきましても、今年の五月から実行することとしております。

 また、留学生、研究者などの受入れの審査強化、そして、研究インテグリティーの自律性の確保。この研究インテグリティーの自律性確保というのは、例えば、研究者の方が公的資金を申請する際に、外国政府を含めてどこから資金をもらっているのか、外国からお金をもらうこと自体は決して悪いことではないと思っていますが、透明性を向上させる観点から、そこをしっかりと報告してください、そういうガイドラインを昨年の十二月に改定したところであります。

 この法案についてでございますけれども、この法案におきましても、例えば、我が国の技術優位性を確保する観点から、特定重要技術の開発を支援する際に、研究開発を進める上では有用ではありますが、機微性の高い情報を関係者間で安心して円滑に交換できるように、官民で情報の交換などを行う協議会を設ける、この枠組みを設けております。その構成員に安全管理措置を求めるとともに、国家公務員並びの守秘義務を課す制度を創設したところでございます。

 したがって、この法案は、これまでの取組に加えまして、委員御指摘の技術流出の防止の更なる強化に資するものであると考えておりますし、また、この制度の下で技術流出対策を更に進めてまいりたいと考えます。

高木(啓)委員 ありがとうございます。

 事務局に聞くと、この覚書が結ばれたからといって頻繁にそんなに交流しているわけじゃないんですよというような説明もあったんですが、是非、疑念を払拭していただきたいんですよ。

 ですから、今大臣おっしゃっていただいたように、当然、これは法律ができれば一歩前進するわけですから、是非ともそういう国民的な疑念を払拭できるように、是非、運用の面も含めて不断なる検討をしていただきたい、このように思っています。

 続いて、御答弁の中にもありました外為法の関係なんですが、本法案と外為法の関係について是非伺いたいんですけれども、外為法が定めるコア業種と本法案の基幹インフラの審査対象との関係性というのは、それぞれどのような役割を担い、どこがどういうふうに違うのかということを是非教えていただきたいと思います。

高村政府参考人 お答えいたします。

 まず、本法案の基幹インフラに関する制度は、基幹インフラ事業者を規制の名宛て人としております。そして、それらによる重要設備の導入やその維持管理等の委託という行為に着目し、国家及び国民の安全を確保する観点から、重要設備が我が国の外部から行われる役務の安定的提供を妨害する行為の手段として使用されるおそれがないかどうかを政府が審査する制度でございます。

 一方、外為法の対内直投の審査等に係る制度でございますが、外国投資家を規制の名宛て人とし、それらによる一定の対象業種に対する投資や役員選任の同意等といった経営支配、影響力行使につながる行為に着目し、投資自由を原則としつつも、国の安全、公の秩序、公衆の安全、我が国経済の円滑な運営を損なうおそれがないかを政府が審査する制度でございます。

 このように、本法案における基幹インフラに関する制度と外為法における対内直投の審査等に係る制度は、どちらも経済安全保障に資するものでございますが、規制の名宛て人や規制の対象となる行為、審査の観点などにおいて異なるところがあり、それによって、制度の対象とする業種についても差異が生じているところでございます。

 いずれにいたしましても、両制度を関係省庁が連携して運用することによって経済安全保障の実効性を高めていくことが重要だと考えております。

高木(啓)委員 なぜこの二つの法律の違いを聞いているかというと、実は、外国投資家が基幹インフラにという、セットになる可能性があるということを私は非常に危惧をしているんです。

 それで、次の質問にもつながるんですが、私は、昨年の五月十四日に本委員会で、中国企業テンセントが楽天へ六百五十七億円出資することに関しての質疑を行いました。これは外為法の事前届出免除制度を使って行った投資だったんですね。その前に菅総理とバイデン大統領が交わした、5Gにおける信頼できる通信ネットワークの確保をうたった日米合意を基にして、私は、昨年の五月十四日、この投資関係、あるいはテンセントと楽天の関係に疑義を呈したわけであります。

 このことは、実は今日は深追いをしません。しかし、このことを例に出して私は何を聞きたいかというと、本法案が成立をすると、こうした事例にも、一定の審査とか、あるいは場合によってはストップをかけることができるようになるのか。

 この国民的な疑念をどう払拭するのか、そのことを是非教えていただきたいと思います。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案については、答弁を差し控えさせていただきます。

 その上で、本法案の基幹インフラに関する制度は、基幹インフラ役務の安定的な提供が妨害されることによって国家及び国民の安全が損なわれる事態を未然に防止するために、基幹インフラ事業者が重要設備の導入や維持管理等の委託を行う前に、政府がその整備等に関するリスクを審査することを可能としております。

 規制対象となる事業、事業者や設備等については、今後、政省令において定めていく予定でございますが、基幹インフラ事業者として指定された事業者が特定重要設備を導入等する場合は、当然、政府による審査が行われることとなります。

 他方、基幹インフラ事業者に対する出資等については、本法案の規律の対象外でございます。

 なお、先ほど小林大臣からも説明がありましたけれども、外為法に基づく対内直投の審査等につきましては、審査に関わる人員の増強、それから、関係省庁間で情報、知見の共有を図るなど、政府全体で投資審査の能力の底上げに努めているところでございます。

 以上です。

高木(啓)委員 是非、それぞれの法律の運用によってこうした疑念を払拭をするように頑張っていただきたいと思うし、その一つの事例として、外為法の関係の外国投資を審査をするセクションも、本庁でたしか六人ですかね、人員を増やしていただいた、そして、地方が十七人、十八人だったかな、増やしていただいたというようなこともあったようでございますので、是非、それぞれの法律の運用で、また経済安全保障を万全にしていただくというふうに一生懸命頑張っていただきたい、このように思います。

 さて、次に、審査対象についてどういう情報開示をしていくのかということについて伺いたいんですが、米国では、対米海外投資委員会、いわゆるCFIUSは、海外からの投資を審査する際に、投資を却下してもその明確な理由は開示しないというふうにされています。その理由は企業自らが考えなさい、こういうルールになっていると聞いているわけであります。

 我が国の場合は、その判断、結果、理由などの開示というのは、今回の経済安全保障に関してどのように、重要インフラの審査などがこれから行われるわけでありますから、そういう意味でいえばどこまで開示をするのか、そのことについて小林大臣の見解を伺います。

小林国務大臣 お答え申し上げる前に、先ほど、高木委員からの御質問に、外為法の投資審査体制の強化のところで、現在御審議いただいている令和四年度予算案というふうに申し上げてしまいましたが、この予算は既に成立しておりますので、訂正をさせていただければと思います。

 御質問にお答えさせていただきます。

 この法案の基幹インフラ制度における事前審査期間の延長及び導入等計画の変更、そして中止命令の処分につきましては、特定妨害行為が行われる蓋然性について判断を行うものです。

 仮にその詳細な処分基準や処分理由を明らかにした場合には、政府による国際情勢認識の判断の基礎となる情報などを含む安全保障上の機微な情報が明らかになって、我が国の安全保障に悪影響を及ぼすおそれがあることから、処分理由の開示などを義務づける、いわゆる行政手続法第三章の規定の適用を除外しているところでございます。

 一方で、この法案による制度の実施に当たりましては、安全保障の確保と経済活動の自由、この両立を図ることが重要であると考えておりまして、処分を受けた事業者が適切に対応できるように、安全保障上支障のない範囲で、処分に際して事業者に情報提供を行うことを想定しているところでございます。

 この点も含めまして、勧告、命令の審査に当たっての考え方や手続などにつきましては、閣議で決定する基本指針などにおいて可能な限り明確に定めていきたいと考えているところであります。

高木(啓)委員 この問題については、私は、ある意味で厳しくすべきだというふうに思います。行政として、親切であるということは大事だと思うんですよ、民間に対して。だけれども、機微技術やあるいは安全保障上の問題については、ここはやはり一線を引いて、厳しく情報開示の問題については取り扱っていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、先端的な重要技術の開発支援に関する制度の中の、調査研究業務を委託する機関、いわゆるシンクタンクのことが書かれているわけであります。このシンクタンクのことについて伺うんですが、この機関は、私は、今後の我が国の先端的な重要技術開発にとって死活的に重要な機関、組織になるというふうに思います。

 どのような規模で、どのような機関をつくるイメージなのか、是非御答弁をいただきたい。小林大臣、よろしくお願いします。

小林国務大臣 令和五年度に本格的に立ち上げることを目指しているシンクタンクですけれども、この法案に基づく委託調査を含めまして、国内外の技術動向、社会経済動向、安全保障など、多様な視点から科学技術・イノベーションに関する調査研究を行うものでございます。

 具体的には、国内外の研究機関などとのネットワークを活用しながら、調査分析、また政策提言機能ですとか、様々な情報を集約するハブとしての機能、また、人材を確保、育成する機能を発揮させたいと考えております。

 しかし、一方で、こうしたシンクタンクというのは一朝一夕に育成できるものでもないと考えております。あくまで現時点でのイメージですけれども、数十人規模の専門家による体制からスタートをして、経済安全保障重要技術育成プログラム、この実施に資する調査分析を中心に行って、段階的に、ネットワークの規模や活動内容、体制を充実させていくことを考えております。将来的には、連携する外部の専門家なども含めまして、例えば、百人を超える規模感で活動していくことを想定しているところでございます。

 いずれにしても、更に検討を進め、シンクタンクの具体化を図ってまいりたいと考えます。

高木(啓)委員 従前からシンクタンクが必要だということは言われ続けてきたことなので、是非、体制を整えて、いいものを、最初はそれほど大きなものということにならないと思いますが、小さく産んで大きく育てるみたいなイメージで、しっかり行っていただきたいと思います。これは本当に大事だと思いますので、是非、ここには予算もそして人もしっかり投入をして、頑張っていただきたい、このように思います。

 最後の質問になりますが、特定重要物資に関して、例えば民間企業における自律性の確保というものを実現をするためには、安定的な需要が私は必要であって、そこにやはり政府の役割があるのではないかというふうに思いますし、あるべきだと思います。

 例えば、国民生活に不可欠な物資について、コロナの初期の頃にはマスクが足りなかったとか、そういうことがたくさんありました。こういう国民生活に不可欠な重要物資について、私は、政府及び自治体の調達が本法成立後にはどのように変わるのかということに対して、非常に興味を持っております。つまり、備蓄を含めてしっかりとした体制を整えるべきだというふうに思います。そして、ある一定の需要を政府や自治体がしっかりと創出をしておくべきだというふうに思うのです。

 経済安全保障に係る物資については、国も地方も、私は、そういう意味では、入札制度の抜本的な改革が必要だと思うんですが、見解を伺いたいと思います。

高村政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、民間事業者による自発的な取組の後押しを通じて、平時からサプライチェーンの強靱化を図り、重要な物資の安定的な供給を確保しようとするものでございまして、民間事業者に対する支援措置では安定供給の確保が困難である場合に限って、国が自ら備蓄等の措置を講ずることとしております。

 したがいまして、本法案において、国が自ら特定重要物資を調達、備蓄することは例外的な場合に限られることとなりますが、その上で、特定重要物資の具体的な調達方法につきましては、国内法令のほか、WTO政府調達協定等の国際約束を踏まえ、慎重な検討が必要だと考えております。

高木(啓)委員 今、慎重な検討が必要だというふうにおっしゃられたんですが、例えば、サプライチェーンの国内回帰をさせるという政策があって、これもコロナのときにある一定やったと思います。ところが、帰ってきたはいいけれども、結局、物が少しずつでも出てくるようになると、安い方に行ってしまう、ベースにおける生産体制もですね。ですから、帰ってきたのはいいんだけれども、結局何だったんだということになっては私はいけないんだろうというふうに思っています。

 ですから、そこの部分は、やはり国として、あるいは公共という意味でいえば自治体も含めてですけれども、一定の需要を創出をして整えておく、それこそが、まさに産業の国内回帰であり、例えばマスクや医療防護服や、様々なそういう物資がありましたけれども、そういうものが非常時にもしっかりと調達ができる、その体制が取れるということになるんだろうと思うんです。

 ですから、ここは是非更なる検討を加えていただきたいと思いますし、これはワクチンの問題がまさに同じで、非常時に作れないというのはやはりいろいろな問題があって、例えば、開発をする人がいない、あるいはラインがない、そんなこともしっかりと私たちは検証して改善をしていかなきゃいけないんですから、是非この部分についてはもう一段の検討を加えていただきたいということをお願い申し上げまして、時間ですので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一です。

 本日も質問の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきます。

 今回の経済安全保障推進法案、政府が支援と規制ということで、一見すると相反する施策を同時に発動するということで、やはりこういう場合は、軸となる政策目的を明確にして、バランスよく検討していくことが大事なんだろうというふうに思っております。

 こうした観点から、まず初めに、基本的なことにはなるんですが、経済安全保障の目的と手段はそれぞれ何であるのかという点について整理をさせていただきたいと思っております。

 従来、これまでも出ておりますとおり、安全保障とは、主に、他国からの軍事的脅威から国家の安全を維持し、国民の生命や財産を守ることということの意味で使われるケースが多かったわけでありますけれども、その上で、本法案の目的が記された第一条の冒頭には、安全保障を確保するためとございます。したがって、その目的はあくまで安全保障、すなわち、国家の安全を維持し、国民の生命や財産を守ることであると。

 一方で、同じく第一条、安全保障の確保に関する経済施策。これは、大まかに言えば、支援色の強い、重要物資の安定的供給と先端的重要技術の開発支援、他方で、逆に規制色の強い、基幹インフラ役務の安定的提供と特許出願の非公開、計四つの施策があるわけでございますが、これはあくまで目的達成のための手段の一部であると。これまでも、大臣、全部ではないんだということでおっしゃっておりましたけれども。

 今申し上げました経済安全保障の目的、それはあくまで、国家の安全を維持し、国民の生命や財産を守ることであり、その確保に関する四つの経済施策、これはあくまで手段の一部であるというこの整理について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

小林国務大臣 議員御指摘のとおり、この法案によって創設する四つの経済施策というのは、我が国の経済安全保障を確保するための重要な取組の一部でございまして、安全保障を確保するための手段として一体的に講じていくものでございます。

 安全保障によって守るべき対象の中核となるのは国家及び国民の安全でございまして、御指摘の国民の生命や財産、これも当然含まれることになると考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 今整理をした大前提を踏まえまして、まさに焦点の一つになります規制と経済的自由のバランスの考え方について確認をさせていただきたいと思います。

 まさに、規制とは、安全保障を確保する経済施策、すなわち手段の一環として行われるというふうに考えております。しかしながら、規制が過度に行われてしまえば必要以上に経済的自由が損なわれるという、いわば副作用も考えられるわけでございます。

 また、我が国は自由な経済活動が認められている資本主義国家でございますので、経済的自由、それは国民の生命と財産を支える基盤の大切な一角なんだろうというふうにも思っております。

 そこで、確認したいのは、法案第五条の、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行われる規制措置、この重要性は重々私も承知をしておりますけれども、その上で、経済的自由が損なわれるような必要以上の過度な規制については、経済安全保障の目的、今大臣もおっしゃっていただきました、国民の生命と財産を守ることに照らして、むしろ適切に抑制をされるべきものである、こういった理解でよいか、お考えを伺いたいと思います。

小林国務大臣 経済安全保障の取組を進める上では、企業の経済活動やアカデミアの方の研究活動、これは自由である、この大原則だと思っています。

 この前提に立った上で、御指摘のような、必要以上の過度の規制によってこれらを大きく阻害することのないようにすることが重要であると考えております。

 この考え方は、この法案の第五条におきまして、この法律による規制措置は、「経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならない。」と明記しているところでございます。

河西委員 ありがとうございます。

 日本は、やはり資本主義国家、社会主義でもなく共産主義でもなく、今のような考えが基本になるんだろうということで確認をさせていただきました。

 そこで、改めて問わせていただきたいのは、国民生活に不可欠な特定重要物資のサプライチェーンを調査する際に、これまでも議論になっておりました、事業者に求める報告徴収や立入検査に関する規定についてでございます。

 これは、特定重要物資が何かを指定する前の調査も含まれるために、調査対象が相当に幅広い。中小零細企業や個人も含まれる。また、調査に対する報告や提出資料は、経済安全保障は非常に大事なテーマでありますので、質量共に決して軽いものではない。特に、原材料の調達先など企業秘密も含まれる。こうした点から、公明党としては、罰則規定による強制ではなくて、努力義務とすべきだというふうに主張してまいりました。

 最終的に、我が党の申し上げたとおり、努力義務になったわけでありますけれども、これは、先ほど確認した規制と経済的自由のバランスという観点、また、経済的自由は国民の生命と財産を支える基盤の一角であるという観点で、やはり、罰則まで設けてしまうと、いわゆる合理的な限度を超えた過度な規制に当たると御判断をされたのか、そのお考えを伺いたいと思います。

小林国務大臣 サプライチェーン調査につきましては、法案の規制あるいは支援の枠組みに入っていない事業者も対象としております。したがって、調査を拒否した場合の罰則は置かずに、事業者からの回答を担保できるよう、努力義務規定を措置することにしたところであります。

 なお、サプライチェーン調査の回答忌避に対して罰則を科すことにつきましては、経済安全保障法制に関する有識者会議の議論におきましても、比例原則の観点から、調査忌避に罰則を科すことは重過ぎるのではないか、こうした趣旨の指摘を受けておりまして、総合的に勘案すれば、罰則の対象としないことが適当だと考えているところであります。

河西委員 ありがとうございます。

 先日も御答弁いただいた比例原則、その上で、民間の方にも分かりやすいようにという意味で聞かせていただいたわけでございます。ありがとうございます。

 その上で、あくまで安全保障を確保する経済施策の実効性、これをいかに担保をしていくか、そもそもこれが本法案の本丸であるというふうに思っております。

 したがいまして、やはり、国家の安全と国民の生命と財産を守る基盤、これが根底から覆されることのないように、そういった事態を絶対に避けなければいけない、そういったことも、今、ウクライナ情勢、あるいは日本に与える影響、こういったことも鑑みて思っているわけであります。

 そこで、重要な制度の一つが、規制によって生ずる何らかの損失を補うことで規制の実効性をしっかり担保していく補償制度。

 憲法では、補償について、二十九条で、財産権を侵してはならないと規定しつつも、第三項で、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というふうにございます。すなわち、経済的自由に対して国が公共の福祉を目的として制約をかける場合には、正当な補償が求められてくるわけでございます。

 そこで、規制色が強い特許出願の非公開をめぐる補償について確認をしたいと思います。

 保全指定を受けた場合には、通常生ずべき損失を補償すると第八十条一項にも明記をされておりますが、これは補償金、すなわち憲法が要請する正当な補償であると承知をしておりますが、政府の見解を伺います。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国憲法第二十九条三項は、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」としておりまして、この正当な補償につきましては、適法な公権力の行使によって財産権が侵害され、特別の犠牲が生じた者に対して、公平の見地から全体の負担において金銭で填補するものと一般に解されているものと承知しております。

 特許出願の非公開制度におきまして、保全指定を受けた場合、特許出願をしなければ発明の実施も開示も何ら制限されないにもかかわらず、特許出願人は発明の実施等が制限されることから、財産権の制約を受けることとなります。この財産権の制約につきましては、特殊性が高く、制約の程度も強いことから、本制度により特別の犠牲が生じるものと解しまして、正当な補償を行うこととしまして、第八十条に損失補償の規定を置くこととした、こういうことでございます。

河西委員 ありがとうございます。

 正当な補償を講ずるのであれば、まさに公平性を担保する意味でも、出願者ごとに極めて丁寧な対応が求められるんだろうというふうに思っております。この点について何点か伺います。

 そもそも、保全指定を受ける発明の範囲でありますけれども、これは、年間三十万件前後に及ぶ特許出願の中でも極めて限定的である。我が国の安全保障上、極めて機微な発明、私も党の会合で確認をさせていただきましたが、必要最小限度の範囲で保全を指定をされるということで承知をしております。

 特に、グレーゾーンになり得るデュアルユース、すなわち軍民両用の発明の中でも、仮に保全指定した場合に、産業、経済に相当な影響を及ぼして、当然、補償金の額も青天井になり得るようなもの、こうしたものについては保全指定の対象にはしないと。

 具体的には、この法案でも、第六十五条、また六十六条にございますとおり、内閣府における第二次審査でも考慮されますけれども、前段の第一次審査のスクリーニングでこれをどう絞り込まれるのか。また、この考え方はどう指針で示されていくのか。閣議決定されるものであります。そして、大事なことは、それをどのように民間に周知をしていくのか。

 出願者の皆様に予見可能性を高めていただく観点でも、御見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、民生分野の産業そして市場に幅広く展開されて発展していくような発明の開示や利用を制限すること自体が、我が国の経済あるいはイノベーションそのものに大きな支障を及ぼしかねないため、そうした発明まで非公開の対象とすることにはそもそも慎重でなければならないと考えているところであります。

 また、こうした技術につきましては、保全指定を避ける以前に、そもそも、保全審査や第一国出願義務の対象とすることもできる限り避けることが望ましいところだと考えております。

 そこで、第一次審査について定めておりますこの法案の第六十六条の第一項は、保全審査に付す発明を技術分野で絞り込むことを原則としつつ、保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響が大きいと認められる技術の分野につきましては、政令で定める要件によって保全審査に付す発明を限定する旨の規定を置いております。これによって、技術分野だけで単純に切り分けると経済活動やイノベーションに及ぼす支障が大きいものにつきましては、技術分野以外の角度から更に絞り込みをかけることとしております。

 すなわち、産業への影響が大きい技術を第一次審査の段階で絞り込むというのは、この法案自体に組み込まれているところでございます。もちろん、第六十五条の基本指針におきましても、そうした趣旨をしっかりと盛り込んでいきたいと考えておりますし、また、様々な形で制度を説明する際には、こうした点もしっかり広く、できる限り広く周知できるように努力していきたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 様々な段階を経て絞り込まれるということ、是非積極的な周知をお願いをしたいと思っております。

 また、極めて限られた発明について、出願者が特許発明による製品化など、想定したポートフォリオをお示しをされて、補償金の算定を内閣府が行うと聞いております。要するに、補償金の額を支払い元である政府が決めることになっているわけでございますが、やはり正当な補償、先ほど確認をさせていただきましたとおり、この政府の審査内容、客観性や公平性を確保することが非常に大事なんだろうというふうに思っております。

 この審査内容の客観性や公平性の確保、またそのための仕組みをどのように構築をされるのか、また、一度補償金額が決定をされた後に見直しが場合によっては行われる、そのような機会も設けられるのか、具体的なスキームについて政府の見解をいただきたいと思います。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 補償が生じます典型的なケースといたしましては、発明の実施許可を与えず、製品の製造、販売などができなくなるケース、こういったものが想定されます。このケースについて具体的にどのような流れとなりますのか、御説明をさせていただきます。

 特許出願人は、まず、保全対象発明の実施を行うために、実施に関する事業計画、こういったものを提示いたしまして、保全対象発明の実施の許可申請をいたします。これに対しまして、許可申請を受けた内閣総理大臣は、特許出願人から計画の詳細を聞きまして、実施によって保全対象発明の漏えいリスクが高まる、こういう場合には不許可とすることになります。

 ここで保全対象発明の実施が不許可となりますれば、その後、特許出願人は、許可申請時の計画を基に補償金額を算出いたしまして、自己の受けた損失の補償を請求する、こういうことになります。そういうことが想定されます。このときに、請求を受けました内閣総理大臣は、特許出願人から説明を聞く、そして、専門家の意見も聞きながら妥当な補償金額を決定することとなります。

 このように、補償金額の算定に当たりましては、外部の知見も活用して、客観性や公平性を確保する、こういうことといたしております。

 なお、仮に補償金額に不服がある場合には、特許出願人は訴えをもって補償金額の増額を請求することができるということを、法律上、第八十条の五項に明記をさせていただいております。

 以上でございます。

河西委員 ありがとうございます。

 他方で、この補償金の額を算定する根拠の一つとなる、先ほど触れました出願者がお示しをされるポートフォリオについては、大規模な販売網を有する大企業と、特に中小零細企業、また個人の方では、そのポートフォリオの内容と技術水準が必ずしも比例しないんだろうということも思っております。

 また、補償金の請求と金額の決定、これは保全指定の後、すなわち、本人への意思確認を経た後に行われるというふうに伺っております。

 したがって、特に中小零細企業、また個人の方が意思を固める前に果たして納得のいく補償金は幾らなのか十分に見積もっていただけるように、保全審査の段階で十分な事前の相談を行う必要がございます。

 その相談の窓口はどこになるのか、また、その窓口は出願者の方が安心して御相談いただけるような十分な専門性あるいは横断的知見を有するのか、この点について大臣にお伺いをしたいと思います。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 保全審査の主体は、法律上は内閣総理大臣でございますけれども、実際の担当としては、内閣府の審査担当部門で行うことを想定してございます。

 それで、補償金額につきましては、保全指定後にどのような発明実施が不許可となるかによって全く異なる、こういうものでございますが、したがいまして、保全の指定前に見積もることは困難でありますけれども、実施の許可については、例えば、製品から発明内容が解析されてしまうといった情報拡散のおそれのある実施の場合を除きまして、可能な限り実施を許可することとしておりまして、保全指定を受けたからといって必ず実施が不許可とされて損失が生じる、こういうものではございません。

 その上で、保全審査につきましては、内閣総理大臣は特許出願人から説明を聞くことができるということを、まず、法律上、第六十七条の二項に記してございますし、防衛省などの関係行政機関、そして外部の専門家に協力を求めることができる、そういう仕組みにしてございます。六十七条の三項と四項にそれを記してございます。

 したがいまして、内閣府の担当部門におきましては、出願人の方と十分にコミュニケーションを取るとともに、官民の知見を得て適切に判断していく、こういう格好を考えてございます。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 併せて伺いたいと思うんですが、海外の特許非公開制度を見ますと、非公開期間中に特許権を付与する特許付与型と、非公開期間中は特許権を付与しない審査凍結型がございまして、我が国は、これまでも特許出願の公開の制度がありますので、そういった経緯も経て、審査凍結型の類型に当たると承知をしております。

 そこで、これは念のため確認なんですが、出願した特許が保全指定を受けて手続が留保される、出願公開されない、非公開になった場合に、先願権は従来どおり付与されるのか。それも念のため伺いたいと思います。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本法案の特許出願の非公開制度につきましては、いわゆる審査凍結型、手続留保型と言われるものでございまして、特許法との関係では、出願公開や査定の手続を留保する、こういう特例を設けるにとどまってございます。

 したがいまして、特許法の基本原則でございます先願主義に変更を加えるものではございませんで、保全指定がなされても先願権は確保されます。すなわち、その出願よりも後に別の出願で同じ発明が出願されたとしても、特許法の規定に基づきまして、一番最初の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる、こういうことになります。

河西委員 ありがとうございます。

 そこで、問いたいのは、非公開になっている出願と同一の発明を、第三者が後願者として継続的に研究をした場合についてでございます。

 そもそも、我が国の特許の出願公開の制度を取ってきた理由は、出願された発明がいつまでも公開されない場合に、第三者が他人と同一の技術を発明又は出願していることを知らずに、重複した研究コストを割いてしまうことへの配慮だというふうに伺っております。

 従来の特許制度、こうした点が配慮されてきた一方で、新設される特許出願の非公開制度がスタートすれば、非公開かつ先願権を有する出願と同一の発明について、第三者が意図せずに後発して研究を行ってコストをかけ続けてしまうケースも場合によってはあるんだろうと。

 こうしたケースも踏まえまして、特許出願の非公開によって後願者たる第三者に損失が生じないように、どういった仕組みでどういったフォローが行われるのか、御見解をいただきたいと思っております。

小林国務大臣 まず、前提として、保全指定の対象となる発明というのは安全保障上極めて機微性が高いものに限られていて、さらに、産業の発達への影響も考慮して対象を絞り込むこととしておりますので、そうした発明につきまして、複数の方がたまたま全く同じ研究をしているという事態は、実際には極めてまれなケースになるとは考えられます。

 ただ、そうしたケースにつきましても、この法案は一定の調整規定を置かせていただいているところでございます。

 仮に、第三者が保全指定を受けた発明と同一の発明をした場合には、特許出願をすると、保全指定を受けている先願者の存在を知らないまま保全指定を受けることとなります。そして、その後、先願者とともに、その保全指定が解除をされて、先願者が特許を受けた場合には、先願者から後願者に対して差止め請求を受けるリスクというものが生じます。

 こうした場合に後願者を何ら保護しないというのは酷であると考えましたので、この法案の第八十一条におきましては、後願者が先願の発明を知らずに実施又は実施の準備をしていたときは、有償の通常実施権を与えることとしたところでございます。

河西委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、非常に、極めてきめの細かい法制度にしていただいているということで、確認をさせていただきました。

 あわせて、特許出願人の意思をめぐる、この点についてお伺いをさせていただきます。

 これも現行の特許制度との比較になりますけれども、先ほど確認をいたしましたように、従来は全ての特許について出願公開が基本でございました。場合によっては、製造ノウハウについて、私も元々物づくりの現場で働いておりましたので、内容が公開されることを避けるために、あえて特許出願を行わずにノウハウとして秘匿をしていくケース、これも十分あるんだろうというのは、そういう実感がございます。

 こうした我が国における発明の文化、物づくりの発展の基礎であります。

 また、従来の制度の理念を反映をしていただいて、本法案の特許出願の非公開制度では、保全指定をする前に、特許出願人に対して、出願を維持するのか、意思確認をする制度を設けていただいております。

 これは成立をすれば日本以外には例のない制度になるというふうに伺っておりまして、日本独自の制度を設けた背景、これは、保全指定された場合の制約が大きいこと、また、冒頭申し上げました規制と経済的自由のバランスの観点から、出願者の意思を尊重することが、ひいては我が国のイノベーションや産業発展への寄与が大きい、そういった御判断なのか、御見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 特許出願の非公開制度は、特許出願をすると、一定期間経過すると一律に出願内容が公開されることを踏まえまして、特許出願があった場合に限って、特許出願を留保するとともに、実施の制限や開示の禁止といった制約を課すものでございます。

 こうした制度を、元々利用も開示も自由であった発明が、特許出願をしたがゆえに一方的に国から保全指定されるかもしれず、かつ、保全指定された後は制約を受けて制度からの離脱も一切認められないという仕組みとするのは、特許出願に伴う規制として過度な面があるとともに、出願人にとっての予見性を欠くことにもなって、ひいては我が国の経済活動や委員御指摘のイノベーションそのものに悪影響を及ぼしかねないと考えました。

 そうしたことから、この法案の第六十七条第九項の意思確認の手続を設けることによって手続からの離脱機会を与えることとしたものであって、背景に経済活動やイノベーションとの両立という観点があることは委員御指摘のとおりでございます。

河西委員 ありがとうございます。

 あわせて、規制色が濃いもう一つの柱、基幹インフラ役務の安定的供給についてお伺いをさせていただきます。

 特定社会基盤事業者の指定を受けた基幹インフラ事業者が新たに導入しようとする重要施設が外部からの妨害行為に利用される懸念がある、このような危険性が認められる場合には、防止に必要な措置が取られるわけであります。具体的には、特定の設備とか機器とかプログラムなどが使用できない、あるいは仕様変更が求められるケースが考えられるわけでございまして、まさに経済的自由をあえて制約をしていく、安全保障のためにですね。対象となる十四分野ですけれども、エネルギー、運輸、金融など、ラインナップを見ても、生じ得る制約は決して小さくないだろうというふうに思っております。

 また、特定重要設備、他の事業者から導入あるいは維持管理を委託する場合も、三十日間から最大四か月間の事前審査があって、その間は導入も委託もストップしなければいけない。

 また、特定社会基盤事業者に新たに指定、成長して指定を受けた事業者に対して事前審査を適用しない、いわゆるモラトリアム期間は半年間。これは事業内容の規模からいって、先ほど申し上げた、私もカーナビの開発、こういった事業者とは比べ物にならない規模でありますけれども、決して長いとは言えないリードタイム、ぎりぎりのリードタイムなのかなという実感を持っております。

 それでも、本法案によっては、基幹インフラ事業者に対して講じられる支援というのは情報提供のみでございまして、基幹インフラ事業者の活動には安定的提供と、先ほども御議論ありましたが、業法による内在的制約があるために補償金が当然ない、これは十分理解します。

 他方で、ちょっと議論を振り返って、今般の新型コロナ対策で、飲食店や商業施設が休業要請などに応じた場合には、これも同じく内在的制約が理由で補償金はなかったわけでありますけれども、この主体的努力、先ほどから自発的な努力ということも出ていますが、これを促す協力金、インセンティブはあったわけでございます。

 他方で、経済安全保障をめぐっては、資金力や人材が比較的豊富な大企業は新設の組織とか研修機会を設けているケースもあるわけですけれども、さすがに中小企業はそこまでたどり着いていないケースもまだまだ多い。

 そこで、こうした点も踏まえて、例えば、当初の段階で、特定社会基盤事業者に指定されない中堅企業、こうした方々に対して、経済安全保障の面で主体的な、また自発的な努力を後押しするような、促すような、あらゆるメニューの政策的インセンティブ、これについては不断の、また柔軟な検討があってよいのではないかというふうに考えますけれども、大臣のお考えを伺いたい。

小林国務大臣 お答えいたします前に、先ほど、河西委員への質問の答弁の中で、特許出願を留保すると申し上げましたが、正確には特許手続を留保するということで、訂正させていただきます。

 その上で、今回の制度の対象は真に必要なものに絞り込んでいこうとしておりますけれども、特定社会基盤事業者として指定されない事業者につきましても、その役務の安定的な提供を確保することが重要であることは御指摘のとおりです。

 したがって、各業法に基づく措置も含めて、役務の安定的な提供を確保するための事業者による主体的な取組を後押ししていきたいと考えておりまして、例えば、今回の制度を実行するに当たりまして、施行するに当たって、事業所管省庁に相談窓口を設置をし、設備導入などについての事業者からの相談を受け付けることを想定しております。

 特定社会基盤事業者として指定されない、例えば中小の事業者などからの相談もしっかりと受け付けて、妨害行為の防止に資する情報を提供するなど、中堅企業も含めた事業者全体の経済安全保障に関する取組を推進する施策を検討していきたいと考えています。

河西委員 ありがとうございます。

 これはやはり有事への対応を想定して先手ということでございますので、是非そういった御検討をお願いしたいと思います。

 最後に、一問お伺いをさせていただきます。やや色合いが異なりますが、今後の議論のためにも、外国人技術者や留学生についてお伺いをさせていただきます。

 我が国は、近年、グローバル戦略の一環として、留学生三十万人計画を策定をしまして、目標はコロナ前の二〇一九年に達成をいたしました。また、近年、少子高齢化、また労働人口の減少、こういったことも踏まえまして、外国人労働者を積極的に受け入れる政策も推進をしてきたわけであります。

 他の先進諸国を見ても、日本がより開かれた国として、多様でグローバルな人材が交流できる国、また海外でも日本人が活躍をしていく、そういったリーダーが育つ国として発展をしていかなければ、イノベーションというのはなかなか加速的に起こっていかないんだろうというふうに思います。

 他方で、厳しさを増す安全保障環境の中で、例えば、留学生について適切な在籍管理の徹底や……

上野委員長 河西君、持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

河西委員 はい。

 そのような課題も指摘をされております。

 こうした政策的課題がトレードオフの関係にあるリスク社会にあって、外国人技術者また留学生とどのように共存共栄していくべきなのか、そうした国民の理解、国際社会の理解、どのように得ながら経済安全保障政策を進めていくのか、御見解をいただきたいと思っております。

上野委員長 小林大臣、答弁、簡潔にお願いします。

小林国務大臣 はい。

 御指摘の、諸外国の優秀な人材を集めて科学技術力の更なる発展を図っていくことは極めて重要であって、そうした観点から、留学生あるいは外国人研究者の受入れを進めてきているところでございます。

 委員御指摘のとおり、トレードオフの関係にあるところも、当然、そうしたリスクも視野に入れて、しっかり踏まえた上で、受入れ審査体制の強化を含めた対策というものをしっかりと講じていきたいと考えます。

河西委員 以上で終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。緒方林太郎です。

 この第一委員会室で、うちの会派だとこの時間に質問させてもらえることというのはほとんどありませんので、ちょっと新鮮な気持ちでやらせていただきたいと思います。

 前回の質疑をもう一度、議事録も含めて見直させていただいて、小林大臣の答弁で非常に特徴的なことを幾つか感想として述べさせていただきたいと思います。

 これを私、一つの明確さと四つの不明確さというふうに私は理解をしたんですが。

 まず、小林大臣の答弁の中で極めて明確なのが、将来こういうふうになっていくのだ、こういう世の中になるために今経済安全保障をやろうとしているんだ、ここは物すごく明確です。よく分かりました。

 その一方で、例えば、まず、前回も議論させていただきましたが、定義が不明確だということ。目的に到達するための経済安全保障のその外延、定義については語らないわけですね。余り嫌みっぽくなることを言いたくはないですが、小林大臣、定義が不明確なものを担当している大臣というふうになるわけですね、論理的に考えると。定義に否定的な理由として、いろいろな考え方がありますということと、あと、将来、これからどうなっていくか分かりませんということを言っておられました。しかし、それを言っていると、もう法令で何を定義するのも定義できないですよ。

 次の不明確さというのが、大臣の、何というんですかね、所掌範囲の不明確さというのを感じました。いろいろな考え方があると大臣が言うので、じゃ、こういうことはどうですか、ああいうことはどうですかと言うと、内容が不適切だと否定するのではなく、それは自分の所掌でない、自分が経済安全保障の全てを担当しているわけではなく、それは自分の所掌でないんだというような答弁をされることがありました。

 もう一つ、意思決定の不明確さというのを私感じました。なぜ今回この四項目になったのかということについて、御答弁があったのは、緊要性があるということと省庁横断的であるということを言われたわけですが、この二要件からこの法律にある四項目が必ず選ばれるというものではないと思います。この基準に照らしても、四項目に絞られたことについて不満を持っている関係者って結構おられるわけですよね。スコープが少し狭いんじゃないかというようなことを言っておられる関係者と私話したことがあります。

 そして、最後の不明確さが、やはり、これはほかの委員からも御指摘がありましたが、政省令に落とすところが多いので、内容が不明確なところが多くて、理解に苦しむというようなところが多い。

 つまり、方向性は明確なんだけれども、定義が不明確だとか、所掌範囲が不明確だとか、意思決定が不明確だとか、更に言うと内容が不明確だとか、そういうことがあると私は感想を持ちました。

 小林大臣、きっと反論がおありでしょうから、お伺いさせていただければと思います。大臣。

小林国務大臣 いろいろ御指摘いただいてありがとうございます。

 今回、国会審議、私、初めて大臣として臨みますけれども、やはり経済安全保障についてできるだけ多くの国民の皆様に分かっていただきたいという思いはありますので、丁寧に説明させていただきます。少し、ちょっとお時間いただくかもしれませんが、よろしいでしょうか。(緒方委員「はい、どうぞ」と呼ぶ)

 まず、済みません、ちょっと漏れがあったら教えていただきたいんですけれども、最後の、政省令などに落とすところにつきましては、昨日も御答弁させていただいたんですけれども、やはり行政の複雑性ですとか機動性みたいなことを考えますと、やはりこれからの、今、国際情勢を含めて、あるいはDXを含めて、産業構造、社会構造が変わっていく中でできる限り機動的に対応しなければいけない、そういう側面があるということは御理解いただきたいと思います。

 その意味で、基本方針、基本指針、あるいは政令等に書き込まなきゃいけないところにつきましては、できる限り法律の中で、できる限り明記をさせていただく中で、今後、有識者の方などの御意見も踏まえまして、しっかりと固めていきたいというふうに考えております。

 次に、定義のところでございます。

 これは何度も申し上げていますが、世界で何か確立した定義がないというのはそのとおりだと思うんですけれども、あえて、私自身が分かりやすく申し上げているのは、国益を経済面から確保していくこと、これが私は経済安全保障だと思っていて、じゃ、その国益って何なのかというところは、現行の国家安全保障戦略に国益が幾つか記されています。

 一つは、国家の主権、独立、国民の生命、身体、財産、これを守り抜くこと、これが中核的な国益だと思っています。また、経済的な繁栄を実現していくこと。そして、基本的価値に基づいた国際秩序を擁護し、強化をしていくこと。こうした国益を経済面から確保していくということが理念だと思っておりまして、その理念を実現するために大切なことが、自律性と優位性、不可欠性ということだと思っています。

 自律性というのは、いかなる状況に陥っても国民の命や暮らしを守り抜ける、要すれば、脆弱性を解消していくことです。優位性、不可欠性というのは、平たく言えば強みを獲得していくということです。

 その自律性を向上させていくためのアプローチとして、それは幾つかアプローチはあるんですけれども、私自身が心がけているのは、やはり我が国が抱える主要産業について、様々なリスクシナリオを想定し、リスク点検、何が対応できて何が対応できないのか、その対策は何なのか、それを優先順位をつけて考えていく。その例として、今回法案に盛り込んでいるサプライチェーンの強靱化というものもありますし、基幹インフラの信頼性、安全性確保というものもそこに位置づけられると考えております。

 もう一つの、優位性、不可欠性、要すれば、強みを把握して、磨いて、獲得していくというプロセスにおきましては、まず、世界各国が、主要国が、今、AIですとか量子、バイオ、様々な革新的な技術分野におきまして、国家戦略を掲げて官民一体となって巨額の資金も投入をし、私たちの将来の生活を支え得る、そういう大切な技術というものを育成しようとしている。そこで、私どもも、やはり日本としてもそこは強みを獲得していかなきゃいけないということで、今回、法案の三つ目の柱に官民の技術協力という項目を設けておりますが、そこはそれに位置づけられる。

 それだけではなくて、その育んだ技術、あるいは今持っている強みの技術が他国に安易に流出してしまうのを防止していかなきゃいけない。これは法律だけじゃなくて様々な手法があり得ますけれども、今回の法律の中で、最後の四つ目の柱である特許の非公開制度、これはそのうちの一つに当たり得ると思っております。

 そこは非常に明確だと思っておりますし、なぜこの四つが出てきたかというと、これは私が大臣になる前、自民党の新国際秩序創造戦略本部というところの事務局を務めておりまして、そこで政府の方にも御協力をいただいて、主要産業の、ラフではありますけれども、そのリスク点検というのをやってきました。その中で、様々な脆弱性などをあぶり出して、表に書けるところは自民党の昨年の五月に出した提言に書き込ませていただきまして、それだけではないですが、多分そうしたことも踏まえた上で骨太の方針が作られて、その骨太の方針にもこの四つの項目が載っています。

 その四つの項目というのは、その自民党の提言の中にも入れさせていただいたことであります。その中でこういう形になってきたことは御理解いただきたいと思います。

 委員が御指摘のように、この四項目だけが全てだとは思ってはおりませんが、全て一気にやることはできないと思っておりますので、そこは喫緊の課題であるところを、今回、四つの項目として入れたところでございます。

 所掌範囲についてというところもありました。

 委員のその認識は私から見るとちょっと誤解でありまして、そういうふうに伝わってしまったら大変申し訳なく思うんですけれども、私は、ほかのことが全て所管外という、何か自分の庭先をきれいにするためにこの大臣に就任したとは思っておりません。岸田総理の意図は、しっかりと横串を刺せということだと思っています。

 それぞれ制度に所管官庁はあると思いますけれども、経済安全保障という視点からは、自分が司令塔の役割を果たして、しっかりとそこは全体としての整合性を取っていく、そういう役割を与えられているというふうに思っておりますので、そういう意味で、各省庁としっかりと連携をしながら全体としての整合性を取っていく、それが私としての責任であって、それをしっかりと果たしていこうと考えているところであります。

緒方委員 長かったですね。

 今聞いていても、最後の目的とするところが、それはすごくはっきり分かっているんです。ああ、いいことを言っているなとも思います。四項目があるというのも、これもよく分かっている。この間がないんです。この間のところが欠けていると思うので、今、私、一つ明確であるところと四つ不明確であるというところを言いましたので、今後の審議で他の野党の方も留意しながら質問していただければというふうに思います。

 それでは、少し中身に入っていきたいと思います。

 特定重要物資について御質問させていただきたいと思います。

 先日、私の方から、各主務大臣はこれまで安定供給確保なんということをやったことがない人たちであって、手法とて異なりますと。そもそも、デュアルユースの意味とか、そういうものを各主務大臣に理解しろと、これから言うんだろうと思いますけれども、これまで理解できていなかったので、いろいろな漏れがあったということだと思うんですね。

 そう考えてみると、今後、この安定供給確保というのは各主務大臣に任されていくわけですけれども、これは、新しいことを各主務大臣にお願いをする、そういう理解でよろしいですか、大臣。

小林国務大臣 ちょっと先ほどの補足をさせていただいてもよろしいでしょうか。真ん中がないというふうにおっしゃっていただいたので。

 真ん中がないということではなくて、先ほど、自律性と優位性、不可欠性ということを出しました。それは何を意味するかというと、今、ほかの国の動向に右往左往しない国をつくるということだと思っています。

 そのためには、我が国としての基軸となる経済安全保障の考え方がなければ、やはり、連携というふうに言いながらも、結果としては他国に追随する結果となり得るということなので、そういう、弱みと強みをしっかり分析してやっていきましょうということで、その基軸となる考え方は何かというと、総理がおおむね一年かけて策定していこうと言っている国家安全保障戦略の中に経済安全保障をどう位置づけていくかというところが非常に重要なポイントだということは申し上げたいと思います。

 今、緒方委員からの、各省に新しいことをやってもらうのかという点につきましては、これは答え方がちょっと難しいんですけれども、サプライチェーンの強靱化の項目というのは、おとといの審議でも答弁させていただいたんですけれども、何か排除するものではないんです、委員からいただいたとおり。キャッチオール的なものですので。そういう意味では、各省が、別に何か新しいことをやってくれというよりも、これまで、本来、もしできていないとすればやらなければならなかったことだと思います。

 そこで、省庁によっては、このサプライチェーンの強靱化に対して知見が豊かなところもあればそうでないところもあって、ただ、そこをしっかりと全て拾っていくという意味では、この法律のたてつけ上はそういう形になっているということは申し上げたいと思います。

緒方委員 恐らく、幾つかの省庁にとっては、多分、この特定重要物資について、安定的に供給を確保するというのはこれまで余り考えたことがなかったことだと思うんですね。そこはそうだと思うんです。

 私、この法律を見ていて不思議だなと思ったところがあるのが、各省の設置法の改正がないんですよね。つまり、この安定供給確保、これをやるべしということについて、しっかりと各省の大臣の所掌事項の中に書き込むべきだと私は思うんですよ。これは、しっかりやってくれという意味合いで。

 法律に書かないと、主務省令を作ってくれというのはこの中にいろいろ書いてあるけれども、そもそも、あなた方のミッションとして、これ、絶対やるために、所掌事項をしっかりと各省の設置法に書き込まないと。今はいいですよ、今は機運がこうやって盛り上がっているから。けれども、徐々に今のような経済安保熱が少し下がっていくこともあるかもしれない、下がっていかないのか分かりませんけれども、将来そういうこともあり得るかもしれないというときに、法律に書いてあると、それはやらざるを得ない。自分たちの任務だから。

 なぜこの法律に各主務大臣の任務としてこの供給安定確保をやるということを追加しなかったのかということについて、本当にこれは疑問に思ったんです。大臣、いかがですか。

小林国務大臣 緒方委員の御質問に直接お答えできているかどうか分かりませんが、問題意識として、先ほどから、省庁によってかなりその問題意識に差があるという御指摘もありましたので、お答えしたいと思います。

 この法案は、そもそも、サプライチェーン以外のことも含め、四つのパートに分かれているんですけれども、それぞれのパートの運用の根幹となる基本指針につきましては、内閣総理大臣が案を作成をし、有識者の意見を聞いた上で、閣議決定を経て定めることにしておりますことから、政府の中において統一的な運用が図られることとなります。基本指針の案を作成する際には、内閣官房、これはNSS、国家安全保障局ですけれども、また、このNSSと内閣府が実務作業を行うけれども、私自身がしっかりと関与します。

 その上で、先日も述べましたけれども、この法案の第四条第二項では、国の責務として、国の関係行政機関は相互に協力しなければならないと規定しておりますし、それに加えて、第三条では、内閣総理大臣が関係行政機関の長に対して情報提供を行うとともに、必要に応じて勧告を行って報告を求める、さらに、第四十六、五十九条で、サプライチェーン強靱化などに関して、主務大臣が内閣総理大臣や関係行政機関の長に対して情報提供などの協力を求めることと規定をしています。

 こうした法案上の規定に加えまして、総理を議長とし、私が副議長となっている経済安全保障推進会議、あるいは、三月の十一日に立ち上げましたけれども、私が議長を務めて、関係省庁の局長級に参加をいただいて、今後定期的に実施していきますけれども、いわゆるリスク点検的な作業を行う経済安保重点課題検討会議を既に立ち上げておりますし、また、令和四年度の予算におきましても、政策分野の人員強化として約二百五十人の定員増を計上しています。

 こうした法案上の各省連携に係る規定、閣僚、事務レベルでの認識の共有、組織体制の強化、これを複合的に進めて、関係各省における経済安保への対応能力を高めることで、この法案をしっかりと適正に執行していきたいと考えています。

緒方委員 いや、それは全部分かっている話でありまして、そこまでいろいろ、情報共有するとかいろいろな仕組みがあるんだけれども、だから、そこまでやっているのであれば、各省の大臣がやるべき任務として、この安定供給確保ということを、単に一行、各省の設置法に入れるべきだと思ったんですね。

 じゃ、これは是非審議官に。なぜ各省の設置法に任務を書き加えなかったのか。是非、泉審議官、お願いします。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の八十六条に主務大臣の規定がございます。そこに、第二章における主務大臣は、特定重要物資の生産、輸入、販売の事業を所管する大臣として、それぞれの物資、事業を所管する大臣というものがまず担当であるということを明記してございます。

 それに加えまして、作用法上の規定として、今回のこの法律において、それぞれの主務大臣は安定供給確保のためにこういうことをする、ああいうことをするというのが法律上明記されてございますので、したがいまして、所掌事務としてはそれぞれの事業を所管する大臣、それに対して、同じ法律で、作用としてはこの法律で明記をしている、こういう関係でございます。

緒方委員 分かったような分からないような、議事録をしっかり読ませていただきたいと思います。

 続きまして、特定技術の開発支援ということでお伺いをさせていただきたいと思うんですが、まずもってお伺いしたいのは、協議会をつくりますね、それで、協議会の中に、防衛大臣、入りますよね、大臣。

小林国務大臣 正確に申し上げたいと思いますけれども、この法案の枠組み、官民の技術協力の協議会の枠組みですけれども、これは、将来の国民生活や経済活動の維持にとって重要な先端的な技術の育成を図るものであって、そもそも防衛装備品を始めとする具体的製品の開発を直接支援するものではないんです。

 他方、この協議会というのは、科学技術・イノベーション活性化法や産業技術力強化法と同様に、全ての府省庁に適用される枠組みでございまして、広く一般的に多義性を有する先端的な技術の研究開発についてのものでございます。例えば、防衛省が自らの研究開発事業において第六十二条に基づく協議会を設置することや、関係省庁の一つとして防衛省が他省庁の設置する協議会に参画することは、制度上は否定しているものではございません。

緒方委員 最後のところだけでよかったんですが。

 そうすると、別に私も、防衛装備品をそのままこの枠組みでつくるべしとかそういうことを言うつもりはないんですが、ただ、今まさに問題になっているのは、これはデュアルユースなわけですよね。デュアルユースのいろいろなものの開発があるわけでして、その中には、非常に日本の国防の観点からも重要な技術の開発とかそういうことを行うんじゃないかと、法令の特定技術の定義を見ていると、物すごく何か重大な、国防に関する重大なことが含まれるんだろうなと思うような定義になっているわけですよね。

 そう考えてみたときに、私が気になるのが、そういうことが含まれるのであれば、含まれ得るのであれば、そこに求められる秘密保持の義務というのは、国家公務員法上の秘密の保持ぐらいでは弱いんじゃないかと思うわけですよね。私も昔国家公務員でした。今でも、退職した人間にも義務がかかるわけですが、罰則としては、基本的には懲役一年以下、五十万円以下の罰金というので、弱いんですよね。

 私、こういった開発をしっかりやっていくためには、最初からではないかもしれないですけれども、特定秘密の義務がかかるようなことも、技術の開発の中でですね、特定秘密にひっかかり得るところまで行く可能性があり得るんじゃないかと実は思っていて、そうすると、全ての秘密保持の義務が国家公務員法上の秘密保持のレベルにとどまっているというのは弱いのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

小林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、この協議会というかこの枠組みというのは、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発を直接支援するものではないんです。

 先生恐らく御案内のとおり、TRLってあるじゃないですか。テクニカル・レディネス・レベル、技術成熟度ですけれども、このTRLがある中で、イメージですけれども、ここの協議会、この官民技術協力の枠組みで対象としようとする研究開発の対象というのは社会実装に至る前までのことでございまして、そういうものとしてこれを捉えていただければと思います。

緒方委員 しかし、これ、定義のところは結構おどろおどろしいわけですよ。将来の国民生活及び経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的技術の、その中でも、いろいろ書いてありますけれども、国家及び国民の安全を損なう事態が生ずるおそれがあるもの、不当に利用されたりしたときということなんですけれども、これはかなり、国の防衛、国益を守るために重要な技術が、防衛装備品ではないかもしれないけれども、デュアルユースで含まれるんじゃないかというふうに思うんですね。

 最初から特定秘密に当たるようなものということではないのかもしれないけれども、やっていった結果として、開発を進めていった結果として特定秘密に当たりそうなもの、そういうものが含まれ得るとなるときに、いや、そこはもう保秘との関係でこれはやりませんというふうになるのはよくないんじゃないですかと。

 私、最初から特定秘密にひっかかるような、例えば特定秘密にひっかかりそうなものというと、日本の特定秘密の大半というのは情報衛星でありますので、情報衛星で撮った画像、あれが特定秘密の件数でいうと一番多いんですけれども、なぜかというと、解像度そのものが特定秘密だと思うので。そうすると、そういうすごく解像度の高いものとかそういうものの開発につながることを、あたかも最初から秘密保持がかからないので排除するというのはよくないと思うので、この協議会に入ってくる人たちに、可能性だけですけれども、特定秘密がかかり得るような仕組み、メニューを用意しておくことは大事じゃないですかということをお伺いしております、大臣。

小林国務大臣 今委員が具体的に事例として出されていたものはもう社会実装されたものでございますので、先ほどから申し上げているように、その社会実装に至る前までのTRLのものを対象にしているんです。それは御理解いただきたいと思います。

 今の、特に革新的な技術というのは非常に多義性を持っておりますから、将来的にいろいろなものに利用される可能性があります。そういったものをそういった性質のものとして理解いただきたいのと、あとは、あくまでやはり、先ほど申し上げたとおり、これは日本の優位性、不可欠性、強みを獲得していくものであります。

 これは、研究者の方々あるいは企業の方々の協力というのが極めて大切であって、そういう方々ができる限り参画しやすい枠組みにするということも重要だと思っておりますので、様々なバランスを考えた上で今のこの法案のたてつけとさせていただいているところであります。

緒方委員 正直、今、大臣の答弁を聞いて、何を行うのかというのが実は私には全く分かりませんでした。

 もう質疑時間が終わりましたので終えさせていただきたいと思いますけれども、ちょっとイメージをできるように是非お願いしたいというのが一つと、あともう一個だけ、答弁はもう少し短くお願いいたします。

 以上です。

上野委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 衆議院議員、静岡の小山展弘です。

 先日は、予算委員会の分科会でも質問させていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速質問に移りたいと思いますが、大臣も留学をされていたアメリカなどでは、国家安全保障とは、軍事安全保障と経済安全保障を足し合わせたものであり、その両者をつなぐのが技術の安全保障であるとよく議論されていると聞いております。

 こういった要素から考えてみますと、いわゆる地政学的、そういった軍事安全保障の面では日本は米国との関係が深く、また経済面、地経学的と言ってもいいのかもしれませんが、米国は貿易相手国としても日本にとって第二位の大変重要な国であります。ただ、一方で、日本にとっての現在の最大の貿易相手国は、好むと好まざるとにかかわらず、体制のよしあしにかかわらず、現在は中国です。

 こういった日本と米国では、特に経済面において、あるいは対中貿易の利得あるいは利益といったものにおいて、日本とアメリカで利益認識は異なるのではないだろうかということは推測できようかと思います。

 戦後の冷戦下にあってもココムやチンコムといったような輸出規制があって、そういった中で、しかも大陸中国とは国交がない中で、いかに大陸貿易を伸ばすかということを当時の石橋湛山総理や岸信介総理も意図して、日中民間貿易協定の締結を行ったり、ココムに対する、あるいはチンコムに対する特例認可措置、これも出したりしております。

 最初の質問は大きな概念的なことを尋ねておりますが、米国と完全に同じ歩調を取ることや米中対立に巻き込まれることは、日本の経済的利益にとってはデメリットもあるのではないかと考えられます。

 また、一方で、米国はこの間も米中貿易額を増やしておりまして、米国に出し抜かれないようにも注意を払う必要があろうかとも思っております。冷戦時代においても、米国は、ココムの規制で西側諸国に対して東西貿易を余り進展させるなというような脅しもかけつつ、実は自分たちが東側諸国に、特に当時のソ連に対して輸出を伸ばしていた、こういう事例もございます。

 政策を展開していくには、こういった軍事面、地政学的な面と、経済面、地経学的な面、その上位概念ともいうべき、まさに大臣も今、日本が他国に左右されて右往左往するのではなくて、自国としてのビジョン、立ち位置というものを持っていきたいというお話もございましたが、この地経学と地政学の上位概念である日本の地戦略、ビジョンというものについて大臣はどのようにお考えなのか、それに基づいてどのような政策を展開しようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

 一つの理想としては、なかなか、相手のあることなのでこれはこちらの意図だけで成り立つものではありませんが、冷戦時代にも緊張緩和とキューバ危機みたいに緊張が高まったときとありまして、ずっと緊張状態が続いていたわけではないと思います。こういうことを考えても、中長期的には日本が米中の緊張緩和を促進するというような基本的戦略、基本姿勢も持っておくべきかとも考えますが、大臣はどのように御認識していますでしょうか。

小林国務大臣 まず、委員の御発言から様々な国の名前が出てきましたけれども、我が国の経済安全保障を確保する取組というのは特定の国を念頭に置いたものではないということを、まずは申し上げておきたいと思います。

 その上で、御指摘のあった米中関係を含めて、我が国を取り巻く国際情勢、また、国際情勢というのは、国家間のパワーバランスが変化をし、経済がグローバル化をし、またサプライチェーンが複雑化している、社会のDX化によってサイバー脅威も増大している、革新的な技術も出現している、そういう近年著しい変化を見せておりますが、こうしたスピードが速い広がりのある変化の中にあっても、委員が今私の言葉を言及いただきましたが、他国の動向に右往左往することなく我が国としての基軸を定めていくことが今最も重要なことだと思っております。

 私なりの考えを申し上げますと、経済安全保障というのは、我が国の国益を経済面から確保することなんです。それは、先ほども申し上げたんですけれども、現行の国家安保戦略の中に書かれている国益というものが幾つかある、国家の主権と独立、国民の生命、身体、財産を守り抜くこと、そして経済的な繁栄を実現すること、基本的な価値に基づく国際秩序を擁護をし、強化をしていくこと、こうした国益を経済面からしっかりと確保していくことが重要であって、それが上位概念としてあるんですけれども、そこに至るために、自律性と優位性、不可欠性という概念を出させていただいて、脆弱性を解消し、強みを把握し獲得していく、こうしたことが重要だと思っておりますし、これも一気に全てできないので、時間軸を意識しながら、優先順位をつけて、できる限り急いで取り組んでいくということだと思っています。

 その上で、一般論として申し上げますと、我が国は、日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策を展開していくとともに、中国と建設的かつ安定的な関係を築いていくことも重要だと考えておりまして、こうした基本的な考え方を踏まえた上で経済安全保障上の諸課題にしっかりと取り組んでいく考えであります。

小山委員 是非、日本としての主体性を持って、大臣の今の思いが更に深まって、理解が浸透していくようにまた期待したいと思っておりますが、今日は幾つか具体的なこともお尋ねしたいと思いますので、次の質問に移っていきたいと思います。

 ちなみに、今までこういった技術移転については外為法などの法律もあったんですけれども、今回の法案で、今大臣からお話があったとおり、国際情勢の複雑化とか、社会構造の変化とか、サイバー的なものが更にリスクが高まってきたとか、いろいろありますけれども、こういった技術の進展に伴って、これまでの技術移転規制や外資の国内企業に対する買収規制等の制度、こういったものを見直すような動きはあるんでしょうか。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今先生御指摘ございました、従来から外為法で、国際的な平和及び安全等の確保を目的とした貨物や技術の輸出管理や、あるいは国の安全などに係る日本企業の買収など、外国投資家による投資の管理を厳格に行ってきたところでございます。

 制度改正について近年の例を幾つか御紹介を申し上げますと、例えば、令和元年に、投資の管理について事前届出を要する業種にサイバーセキュリティー関連を追加するとともに、外国投資家が上場企業の株式を取得する際に事前届出を求める閾値を一〇%から一%に引き下げるといった法令の改正を行っております。また、輸出管理については、令和三年に、居住者への技術提供であっても、外国政府などから強い影響を受けている状態にあると考えられる場合はみなし輸出管理の対象とすることを明確化するなど、随時見直しを行ってきているところでございます。

 引き続き、国際情勢の変化なども踏まえ、関係省庁とも連携しつつ、制度やその運用について、必要に応じて不断に見直しを行ってまいりたいと考えております。

小山委員 細田副大臣には今後の答弁の予定はありませんので、もしお時間が迫っているようでしたら御退出いただいても構いません。

上野委員長 細田副大臣におかれましては、御退席してください。

小山委員 次に、今回の法案提出に当たって、この経済安全保障という言葉が、この法案自体も、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案ということになっておりまして、なぜ経済安全保障という言葉が使われなかったのか。

 いろいろな、それまでの役所から出てきたポンチ絵なんかにも経済安全保障推進法案と最初は書いてあったんですけれども、なぜこの経済安全保障という言葉をお使いにならなかったのか、この点をお尋ねしたいと思います。

小林国務大臣 経済安全保障に関する私の基本的な考え方というのは、先ほど御説明させていただいたとおりです。委員が多分感じられているとおり、かなり多岐にわたる分野でございますし、幅の広い分野だと思っております。ただ、今回は、ここで法案として出させていただいているものというのは、本来政府がしっかりと取り組んでいかなければいけない経済安全保障のうちのまず一部だという位置づけであることは御理解いただきたいと思います。

 この法案におきまして、目的規定があるんですけれども、そこに、「安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的」ということで、この四つの項目、安全保障の確保に関する経済施策の制度整備を行うものということで並べさせていただいているところでございます。

 必ずしも、そういう意味で、この法案におきまして経済安全保障の定義を要するものではないと考えております。

小山委員 実は、私、ちょっと邪推をしたようなところがありまして、今、多岐にわたる内容ということがあって、大きく言えば、今回出ている法案については、サプライチェーンの確保ということと、特許とかありますが、大きくくくれば技術に関するところと、二つ内容があるのかなというふうに思っておりますけれども。

 この経済安全保障の定義というのは、元々、学者の間でも、なかなか、人によって定義が違うぐらい、いろいろなくくり方がありまして、例えば国際貿易学会の第二代会長の村山裕三教授は、経済安全保障は、本来は技術を介して経済と安全保障が結びつく分野だというふうに定義をされていらっしゃる。

 村山教授は、サプライチェーンの確保については経済安全保障の範囲ではない、また、基幹インフラの安全性や信頼性の確保も本来はサイバーセキュリティーの分野として整理すべきじゃないか、先端的技術についても、軍民両用技術についても、先ほど緒方さんの質問にもありましたが、防衛省が関わるような技術のみが経済安保の対象ではないか、こういうふうにも述べていらっしゃいます。

 これも村山さんの話が全て正しいというわけではないんですが、なかなか曖昧な概念だけに、今回この言葉を落としたのかなというふうにもちょっと思ったんですけれども。

 例えば、今の村山さんのお話のとおり、この四つの内容を一つの法案にまとめるというのではなくて、一つ一つの法案として整理をして、概念として経済の安全保障ということもこれから日本にとっては大事なんだということを訴えていくという方法も、もう一つのやり方としてあったのではないかなということも感じました。まあ、これは言いっ放しの話なんですけれども。

 ちなみに、三月三十一日に、衛藤征士郎議員を会長に、私、事務局長をさせていただいておりますが、議連の総会を行いまして、これは何か結論を出すものでもないんですが、議員間でもこういったことについて理解を深めていきたいと思っております。

 それで、済みません、次の質問に移りたいと思いますが、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度について、重要設備の導入、維持管理等の委託を事前に審査することとなっております。対象分野は十四分野あって、その中に金融事業者も含まれております。金融機関に対しては、どのような考えに基づいて、どのような範囲まで当該法律の審査対象とする方針なのか。地域金融機関の地銀や信金、あるいは農協や漁協も含まれるのでしょうか。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の基幹インフラに関する制度は、基幹インフラの安定的な提供を確保するために、業法に上乗せする形で、事業者による重要設備の導入等について事前審査等の制度を設けるものでございます。

 それで、対象とする事業や事業者は、国家及び国民の安全と事業者の経済活動の自由とのバランスが取れた制度とする観点から、国家及び国民の安全を確保する上で真に必要なものに限定する、そういうこととしてございます。

 それで、御質問がございました地方銀行、信用金庫、農業協同組合、漁業協同組合につきましては、その行う事業自体は本法案に規定しております第五十条第一項第十三号イに規定する事業に該当いたします。

 その上で、具体的にどのような事業者が規制対象となるかにつきましては、先ほど申し上げました、真に必要なものに限定するということがございまして、役務の安定的な提供に支障が生じて、それによって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい、そういうものに限定するための指定基準を事業分野ごとに主務省令で定めた上で、基準に該当するものを指定する、こういうことでございます。

小山委員 詳細については政省令ということになっていこうかと思いますが、今後、貸出しの審査なんかもAI化が進んだりシステム化が進んで、まさにサイバーテロのリスクも高まるわけですけれども、事業者にしてみますと、一日も早い、システムについて、国に提出して、あるいは審査が必要ということになれば大きな、期間が近くなると影響も出ますので、是非、早め早めに政省令を出していただいて、事業者とも、説明なども行っていただきたいと思います。

 次に、第五十八条で、主務大臣は、必要な限度において、特定社会基盤事業を行う者に対し、当該特定社会基盤事業に関し必要な報告又は資料の提出を求めることができるとなっておりますが、必要な限度とは具体的にどのような範囲を示すのでしょうか。また、規制対象となる設備を決める際に、十分に事業者と対話を行う方針はあるのでしょうか。

小林国務大臣 御指摘の第五十八条第一項は、主務大臣が、特定社会基盤事業を行う事業者を特定社会基盤事業者として指定する基準に該当するか判断するに当たりまして、その事業の状況などを把握する必要がございますので、そのために必要な限度において、報告等を求めることができることとしています。

 同条の第二項は、主務大臣が、特定社会基盤事業者に対して指定を解除するかどうか、また、勧告又は命令をするかどうか、こうした点を判断するに当たりまして、その事業の状況や重要設備の状況などを把握する必要がございますので、そのために必要な限度において、報告などを求めることができることとしております。

 なお、個々の事例は様々でございまして、その具体的な範囲をあらかじめお示しすることは困難ですけれども、一般論として申し上げれば、この法案に限らず、報告徴収などについて法律に規定する場合には、それぞれの法律の施行に必要な限度において行うことができる旨を明示することが一般的であると承知をしております。

 また、事前審査の対象となる重要設備を定めるに当たっては、事業者などの意見を十分に聴取するとともに、常日頃から相談窓口などを通じて事業者との意思疎通を図っていきたいと考えておりまして、こうした点につきましては、閣議決定する基本指針において定めることを予定しているところでございます。

小山委員 技術はどんどん変化していきますし、ですので、解除になる可能性のあるものも出てくるという中で、なかなか法案で定めにくいというところも理解できないわけではないんですが、是非、事業者の方々とも意思疎通を図りながら、円滑に行っていただきたいと期待したいと思います。

 それと、法案の中で出てまいります重要物資の安定的な供給の確保に関する制度において、特定重要物資については、法案の条文では範囲が広過ぎて、やや明確ではないと感じます。

 特定重要物資については、どのような基準で、またどのようなメンバーが決定する方針なのか、その数はどのぐらいの見込みになるのか、具体例も挙げて答弁いただきたいと思います。

 また、経済同友会の小柴満信さんが有識者会議で恐らく提案されていたと聞いておりますが、世の中が不連続に変わることを想定すれば、重要技術に関する物資が国内に入ってこないということがないように、かなり先の先まで読んで機微技術やサプライを育てるという考え方も必要であり、その意味で、安定供給確保の中に重要先端技術に関係する物資というものも含めるべきではないかと。私も同じように考えるんですけれども、この点についての御認識を伺いたいと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 この法案では、特定重要物資の指定の基準などにつきまして、いわゆる基本指針に定めることとしています。これは、内閣総理大臣が有識者の意見を聞いた上で案を作成して、閣議において決定されるものです。

 特定重要物資の指定につきましては、昨日、本庄先生からの質問にもあったんですけれども、基本指針を踏まえて、個別物資ごとに指定の必要性を判断し、政令において、すなわち閣議において決定されますが、その際、法案の第七条に記載されているとおり、幾つか条件というか枠をはめておりまして、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活、経済活動が依拠している重要な物資であることだけではなくて、外部に過度に依存しているか又は依存するおそれがあること、この点が先ほど委員がおっしゃった小柴先生のところ、外部、依存するおそれがあるということです、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要があること、そして、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められること、この四つの要件で絞り込むこととしておりまして、実際に対象となる物資としては相当程度絞り込まれるというふうに私たちとしては認識をしているところでございます。

 イメージを持って御審議いただくために、先ほど来お話に出ていますけれども、いわゆる骨太二〇二一におきまして特に先行的な重点項目としてサプライチェーンの強靱化で挙げられているのが、半導体、電池、レアアースを含めた重要鉱物、医薬品ということでございまして、具体的にいかなる物資をどの程度、特定重要物資として指定するかにつきましては、これから判断することになりますが、真に安定供給確保が必要な物資に絞り込むように進めていきたいというふうに考えております。

小山委員 小柴さんの提言も含まれているということで伺いまして、技術という言葉がもう少し明確に出ていればよかったのかなとも思わないでもないんですが、この技術優位性の確保というのが非常に重要ではないか。

 先ほどの、最初に冒頭で申し上げました、軍事安全保障と経済安全保障を結ぶものは技術安全保障である、あるいは、村山教授のお話の中でも、技術というのがキーワードであるということでお話がございましたが、こういった技術インテリジェンスの強化や技術安全保障について、大臣はどのように認識をしていらっしゃるか、伺いたいと思います。

 科学技術こそ資源のない国である日本にとって力の源泉であり、防衛力も経済力も、いわば突き詰めていくと、この技術というものが、持っているか持っていないか、開発できるかできないかということがその根本ではないかなと。まさに、デュアルユースの技術開発だけではなくて、むしろ民間の産業競争力の比較優位を保つ上で、スピンオンもありますので、日本にとっては技術は国家なりというぐらいの強い基本思想が必要ではないかと私は考えます。

 そのような技術に対する高い評価があればこそ、基礎科学や技術開発に予算を投入するという国家戦略も成り立ちますし、あるいは、先端的な重要技術の開発支援についても国が基本指針を策定を行うとともに、先端技術の研究開発のところの分野にも入っていきますけれども、先端技術の研究開発等に必要な情報提供、資金支援を実施する内容とこの法案でもなっております。

 分野を選ぶ際には、公的分野や民間分野でのニーズを考慮し、社会実装に向けた制度面での協力など、積極的な伴走支援を実施すると法案でもなっておりますけれども、こういった先端技術の選定というのをどのように行っていくのか、併せて伺いたいと思います。

小林国務大臣 お答えいたします。

 先ほどの、サプライチェーンという、小柴さんの話が出ましたが、重要先端技術のところ、これにつきましては、関係する物資自体がまだ未定でありますので、ちょっと予断を持って言うことはできないということは付言させていただきたいと思います。

 技術の話です。村山裕三先生の話が出まして、私も経済安全保障の、例えば党の提言を、たたき台を作っていく際に、村山先生の本も当然目を通しまして、かなり早い段階から技術安全保障を提唱されている、非常に、先生が先見の明があるというか、感銘を受けました。

 技術、これは重要であって、今回も法案に盛り込んでいますから、これは優先順位の高いものだと思っておりますが、ただ、経済安全保障全体としては、やはりもう少し私は広く構えを取るべきではないかというふうにも思っているところでございます。

 その上で、近年、科学技術・イノベーションが、激化する国家間の覇権争いの中核を占める中で、先端的な重要技術の研究開発、そしてその成果の活用というのは、我が国の国民生活、経済活動にとって重要であるだけではなくて、我が国が中長期的に国際社会で確固たる地位をしっかり占めるために不可欠なものだというふうに考えております。

 その意味で、近年、特に、宇宙、海洋、AI、量子、こうした研究開発を我が国としても推進しているところでございますけれども、できる限り、国民生活の向上とともに、世界が直面する様々な課題に我が国として積極的に貢献していくような、そういうプロセスを通じて、いわゆる国際社会にとっての不可欠性というものを獲得していきたいと考えています。

 この法案の中での特定重要技術というのは、今申し上げたとおり、中長期に我が国が国際社会で確固たる地位を確保する上で不可欠なもの、先端的な重要技術と言い得るものでございますが、一方で、DXが今すごい勢いで進展していて、技術開発が加速しています。また、突如として新たな重要技術が誕生する、不連続の技術革新の可能性を踏まえますと、あらかじめ網羅的に、また細かい粒度で重要技術を特定することは困難ですが、有識者会議の議論では、例えば、衛星コンステの技術ですとか、海洋分野のセンシング技術が例として挙げられました。

 社会経済情勢、あるいは研究開発動向などを踏まえまして、今後、有識者の意見も聞いた上で、閣議決定する基本指針において特定重要技術の一定の具体化を図っていきたいと思いますし、また、公募による競争も活用して、真に可能性のある技術というものを見定めていきたいと考えております。

小山委員 私の質問時間も少なくなってきましたので、ちょっと駆け足にさせていただければと思います。

 デジタル・ガバメント実行計画に沿って、日本政府の、政府共通プラットフォームの製造と販売元としてこのサービスを請け負ったのは、米国企業のアマゾンでございます。

 日米デジタル貿易協定では、デジタル製品への関税禁止、個人情報などのデータは国境を越えて移動させてもよい、コンピューター関連施設を自国内に設置する要求の禁止などについても書かれており、また一方で、米国のCLOUD法によれば、アメリカ政府が要求すれば、米国企業が入手している日本人の個人情報が米政府に開示される可能性もあり、加えて、また、日本政府が米国企業に開示を阻止する要求をできないとの懸念の声があります。

 日本政府の持つ個人情報の流出について、まさに経済安全保障の観点から、他国企業が請け負ったことに問題がなかったのか。本来は国内企業が受注すべきであったと考えますが、政府の認識はいかがでしょうか。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル庁が運用する第二期政府共通プラットフォームでは、安全面も含めて、国内各社との比較、検証も十分に行って、アマゾンウェブサービスを利用することといたしました。

 海外のクラウドを利用することによる懸念に関しましては、データの所在地を日本国内に限定する、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPに登録されたサービスの中から調達をする、暗号化によるデータの保護を実施するといった必要なセキュリティー対策をしっかりと講じております。

 また、御指摘の米国CLOUD法につきましては、米国政府に無制限なアクセスを認めるものではなく、犯罪捜査といった極めて限定された場合において、裁判所が発する令状などに基づいて適切に手続が行われて、クラウドサービス事業者に対して情報提供の要請が行われる、こういったものであるというふうに認識をしております。

 そのため、一般の行政事務の遂行に係るシステムを利用対象としている第二期政府共通プラットフォームについては、そもそも、こういったデータ提供の要請が行われること自体が想定し難いというふうに考えております。

 その上で、万が一、こういった要請があった場合には、クラウドサービス事業者からデータの所有者である日本国政府に通知が行われて、当該事業者などと協議の上、適切に対応するというふうにしております。

 さらに、第二期政府共通プラットフォーム上のデータにつきましては、データの所有者である日本国政府が暗号化を行って、そのコントロールは日本政府のみが行えるということを担保しております。そのため、仮に誰かがデータを取得したとしても、その内容を読み取ることができないといった措置を講じております。

 こうした取組を通じまして、今後とも、安全性確保のために必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

小山委員 いろいろ政府の方でも対策を講じていただいていることは分かりました。

 ただ、先ほどの議論の中にもありましたとおり、技術もどんどん進化したり、新しい技術も出てまいりますので、是非ここは、不断に見直しの努力を続けていただきたいと思います。

 最後に、本法案では、特定重要技術の見定めや研究開発等に資する調査研究を、一定の能力を有するシンクタンクに内閣総理大臣が委託することとなっております。

 このシンクタンクは、具体的にどのシンクタンクを想定しているのか、また、先端技術の目利きをできる人材の養成がこれからますます必要だと考えますが、政府の認識はいかがでしょうか。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 調査研究業務の具体的な委託先につきましては、本法の規定ですとか会計法等の関係法令に基づきまして適切なプロセスを経て選定することとなりますため、現時点でお答えすることはできません。

 その上で、委託を行うに当たりましては、先端的な重要技術をめぐる国内外の情勢や研究開発動向等に関する調査分析機能、関係省庁や国内外の関係機関、専門家と緊密に連携の上、諸情報を集約するハブとしての機能、こういったものを遂行できることをシンクタンクに求められることを法律上規定しておりまして、そのために、専門性、国際感覚、俯瞰力、目利き力を有する優秀な人材の確保、これが必要となる、こう考えてございます。

 こうした専門家人材等の人的資源は多くはないということでございますので、シンクタンク自らが優秀な人材確保に努めるのみならず、それぞれの分野で優れた知見を有する国内外の大学、研究機関、行政機関、専門家等との連携やネットワーク化を模索することも必要になる、こう考えてございます。

 同時に、政府側におきましても、人事交流等を通じましてシンクタンクと協力して、先端的な重要技術に係る調査研究等に参画し得る人材を育成していく必要がある、こう考えてございまして、こうした取組を進めてまいります。

 以上でございます。

小山委員 質問時間が来ましたので、終わります。

上野委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 続きまして、立憲民主党、森田でございます。

 まず、三月の十八日に、戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部というものが経産省に設置されたという報道がございましたが、これは、どのような法的位置づけを持っている組織でしょうか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部は、サプライチェーンのグローバル化、新型コロナウイルスの感染拡大、国際法違反の武力による一方的な現状変更等の国際情勢の変化を踏まえ、我が国の存立、国民生活、経済産業にとって不可欠な戦略物資、エネルギー供給における脆弱性を解消するとともに、グローバルサプライチェーンにおけるチョークポイント、技術の優位性を獲得、維持すること、これを目的として、経済産業省を挙げて、横断的な体制で議論を行うために設置したものです。

 まずは、足下のロシア、ウクライナ等からの戦略物資供給不安への対応策を早急に取りまとめるべく、議論を進めているところです。

 また、小林鷹之経済安全保障担当大臣からは、三月十一日に、関係省庁を集めて開催された経済安全保障重点課題検討会議において、重要な産業のリスクの把握、分析を進めるように御指示があったところでもあります。

 こうした政府全体の取組ともしっかり連携していきたいと考えております。

森田委員 大臣にお伺いしますけれども、今の組織とこの法案との関係はございますでしょうか。

小林国務大臣 今の対策本部ですけれども、我が国の産業が直面するリスクを総点検、評価した上で、脆弱性を解消し、強みを獲得していくことは極めて重要であるというふうに思っておりまして、今、政府参考人から話があったとおりなんですけれども、目下、ウクライナ侵略、こうした情勢もあって、特にグローバルサプライチェーンの懸念が高まっている。

 三月十一日に、今あった、関係省庁の局長級の職員を集めて検討会議を、経済安保としての重点課題の検討会議というものを開催をし、私の方から、重要な産業のリスクの把握、分析を進めるように指示を行ったところでございます。

 これを受けて、経産省を始めとする各省庁で様々な検討を行っていただいているものと承知をしています。

 この対策本部と法案との関係ですけれども、直接的な関係があるわけではございませんが、重要物資の安定供給の確保の制度におきまして、主務大臣の役割が極めて重要となりますことから、経済産業省においてサプライチェーンについて議論、検討が積極的に行われることは歓迎すべきと考えております。

森田委員 先ほど答弁で、横串を刺していくのが役割である、司令塔であるということをおっしゃっていましたけれども、この法案ができる、できないにかかわらず、こうした組織の司令塔にもなっているという理解でよろしいでしょうか。

小林国務大臣 それはおっしゃるとおりでして、この経済安全保障というのは非常に多岐にわたる取組でございます。今回やろうとしていることはその一部でございます。

 したがって、法律の手当てということは非常に意味のあることだと思っておりますけれども、これはサプライチェーンの強靱化に限らず、例えば日本の主要産業が抱えているリスク、脆弱性というのは様々あるわけでございます、サプライチェーン以外にも。そういうところで様々な考えられるだけのリスクシナリオというものを各省庁が考えて、何が対応できて、何が対応できないのか、そこをしっかりとまずは把握をしていくこと、これは当然やっていなきゃいけないことじゃないかと言われるかもしれませんが、やはり時代がどんどん変わっていく中で、追いついていない部分があるというふうに思っています。

 そういう意味で、私が経済安全保障の担当大臣という立場で、その局長級の会議もそうですし、総理をヘッドとする閣僚級の経済安全保障推進会議というものも昨年立ち上げて、横串を刺すという形でやらせていただいているところであります。

森田委員 ちょっと確認なんですけれども、例えば今の国際情勢の緊迫化で、かねてから原油が上がっているという問題もあります。例えば、あとウクライナが小麦の穀倉地帯だとか、あとはネオンガスの生産が世界の七割だとか、あるいはパラジウムが四割ロシアから来ているとか。あるいはちょっと遡ると、マスクの確保であったり、ワクチンのことであったり、あるいはこれから出てくるであろう治療薬の、新型コロナウイルスの関係の話もあろうかと思いますが、いろいろお話を聞いていると、こういうことも含めて、対象になるかもしれないし、ならないかもしれないし、そのときにならないと分からないというような理解でよろしいのか、ちょっとその確認をお願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、国民の生存に必要不可欠又は広く国民生活、経済活動が依拠しているにもかかわらず、当該物資又はその原材料等の供給を外部に過度に依存している、あるいは依存するおそれがある重要な物資を特定重要物資として指定いたしまして、平時からサプライチェーンの強靱化を図ることを通じまして、重要な物資の安定供給の確保を図ることとさせていただいているところでございます。

 御指摘のございました物資につきましては、エネルギー、食料、半導体製造の原料あるいは医薬品などでございまして、いずれも国民生活、経済活動にとって重要な物資である、このように認識してございます。

 その一方で、本法案において指定する物資につきましては、指定の具体的な考え方や要件などを規定いたします基本的な考え方につきましては、有識者の意見を聞いた上で、安定供給確保基本指針において定めます。そして、個別物資ごとに特定重要物資としての指定の必要性を判断させていただくということになります。

 したがいまして、現時点におきまして、御指摘のあった物資が指定対象となるか否かということにつきましては、確たるお答えをすることは困難であると考えておりまして、御理解を賜れればと存じます。

 以上でございます。

森田委員 大臣にお伺いしますけれども、今のお話も含めて考えると、その時々によりますけれども、あらゆるものが、いわば何でも対象になり得るという理解でよろしいでしょうか。

小林国務大臣 まず、先ほどウクライナの情勢がありましたけれども、私たちがやらなければいけないこと、有事の対応というのはそれはそれで対処が必要だと思うんですけれども、有事になる前に、いろいろな有事となり得る事象を想定した上で、事前に、重要な物資というものについて、何でもなり得ると言われると、別に何かを排除するものではないという意味では、その可能性がそういった意味ではゼロではないということは言えると思いますが、そこまで広げ過ぎるともう訳が分からなくなりますから、先ほどから答弁で申し上げているんですけれども、法案の中で、国民の生存に必要不可欠あるいは国民生活、経済活動が広く依拠しているものという例えば一つの基準を始めとして、法律の中に四つ絞り込みの基準をかけた上で、この特定重要物資というものはかなり絞り込むということを考えているところでございます。

 ただ、質問について申し上げるとすると、何かを排除するものではございません。

森田委員 何らかの重要物資に指定するということは、やはり企業活動に制約を加えるという側面も少なからずあると思います。是非、関係する当事者の、例えば企業だとか経済団体、その関係者、こういった方からの丁寧な意見聴取というのを確保していただければなと要望させていただきます。

 また、少なくとも、今みたいな基準が頭の中にあるということであれば、これはもう法律事項にしていただいて、きちんと私たちにも理解できるようなことを確保していただくことが望ましいと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

小林国務大臣 今私が申し上げた四つのことというのは法律に書き込んでいることでございまして、また、基本指針というものをサプライチェーンの強靱化でも作っていくことになりますけれども、その際には、今委員御指摘のように、有識者の意見というものを広く聴取をした上で、しっかりと、できるだけ予見可能性などを高める形でやっていきたいと考えております。

森田委員 あと、ちょっと時間の関係で、供給計画のことについて、最後、大臣にお尋ねしたいと思いますが、やはり供給計画にも、いろいろ、企業としては、秘密の保持という面から嫌がるところもあるんじゃないかなと思っております。是非これも、企業活動を阻害することのないように、抑制的なところで必要最小限度にするべきだと思いますが、最後、御所見を伺いたいと思います。

小林国務大臣 これは、四項目、今回法案の中にあるんですけれども、どちらかといえば支援色が強いものと規制色が強いもの、二つずつ分かれるんですけれども、サプライチェーンの強靱化というのは、あくまで規制ではなくて支援をさせていただく、民間事業者の主体性を、インセンティブ、後押しさせていただくものでございますので、供給確保計画につきましては、これからしっかりと中身をまた更に詰めていきたいと思いますけれども、何か民間企業を縛るというものでは、特段、何か規制をかけるというものではないので、やはり必要なことはしっかりと計画として規定をし、出していただかないと、本当に有事で需給が逼迫したときに例えば対応していただけないとか、そういうことになっては困りますので、そこは、供給計画の在り方についても引き続き検討していきたいと考えます。

森田委員 引き続き議論していきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 午前中、最後になります。元気よく、しかし、時間が十五分しかありませんので、同時にテンポよくお伺いしてまいります。どうぞ簡潔な御答弁をお願いいたします。

 先週に引き続きまして、藤井前審議官によります様々な非違行為、これによって政府の政策がゆがめられたことはなかったんだろうかということをしっかりとお伺いしていきたいと思います。

 金融庁が作成をした投資家と企業の対話ガイドライン、この改定作業に関して、金融庁に情報開示をお願いしておりました。金融庁がNSCに対して、経済安保というくだりをこの対話ガイドラインに加筆をするかどうかについて協議、相談を行っていた日付、二回あったとお聞きしていますけれども、いつでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 二〇二一年四月二十七日と五月七日の二回、国家安全保障局を訪問して、面談させていただきました。

山岸委員 四月二十七日、聞き覚えのある日付であります。まさに藤井氏がEYの國分氏に対して、メールによって添付ファイルを漏えいをした、その日付でございます。

 金融庁、もう一点教えてください。NSCを訪問したときの相手は藤井さんでよろしいんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 国家安全保障局への二回の訪問とも、相手方は藤井元内閣審議官及びその他の国家安全保障局の担当者でございました。

山岸委員 ありがとうございます。

 つまり、藤井さんは、御本人が面談相手として受け取った資料を、右から左に外部の利害関係者たる國分さんに漏えいをした。とんでもない話だと言わざるを得ない。

 と同時に、よく分からないんですけれども、ここで、もしこの協議の場で、藤井さんが経済安保を入れるべきだというふうにお答えしていれば話はちょっとシンプルなんですけれども、どうも違う。前回の委員会で、NSCの説明によると、御答弁の中では、国家安全保障局としては、このガイドラインに経済安全保障という言葉を入れたいということは必ずしも考えておりませんでした、こう答弁されております。

 これは、藤井さんももちろん組織の一員ですから、藤井さんが面談に応じて、金融庁にこの場で何らかのコメントをしていると思うんですけれども、藤井さんは金融庁からの照会に対して四月二十七日の時点ではどういうふうに応じていたのか、記録はあると思うんですが、これを、NSC、教えてもらえますか。

室田政府参考人 山岸先生にお答えを申し上げます。

 四月の二十七日の訪問の際には、金融庁と我々の方で様々議論を行った中で、国家安全保障局の側からは、経済的な地政学リスクへの対応の必要性、こういった言葉がよいんじゃないかというようなコメントをさせていただいたということでございます。

山岸委員 ありがとうございます。

 つまり、いわば表の協議の場では、藤井氏も組織の一員としての対応の中で対応した。ですから、経済安全保障という言葉を入れようということは藤井さんもおっしゃらなかったということになるわけです。ですから、この時点では、多摩大学ルール形成戦略研究所の提案が採用されるという可能性は薄かった。

 でも、そこから、藤井さん、動くわけですよね、すかさず。提言を出した利害関係者である國分さんに、地政学という今お話がありましたけれども、その日のうちに調整状況を漏えいをして、いわば巻き返しのチャンスを与える。もちろん、一般の方は、こういうふうな情報を得ることはできません。自分が出したパブコメが生かされるかどうかということは、後にならなければ分からないわけです。ところが、今回、國分氏は、藤井氏からいち早く情報を得ることができた。タイミングでいえば、ガイドラインが確定をするまでまだ一か月以上もある時点です。

 じゃ、その後、何が起こったのか。これは藤井さんのメールの弁を信じればですけれども、金融庁さんは、この調整内容、二十七日の調整内容を、翌日、自民党の甘利議員に持っていくとされていました。

 以前、甘利議員のところに報告に行ったことはお認めいただいていますけれども、金融庁、これはいつになりますか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 二〇二一年五月七日と五月十二日の二回、甘利議員を訪問させていただきまして、投資家と企業の対話ガイドラインの改定について御説明させていただきました。

山岸委員 五月七日と十二日。藤井さんのメールによると四月二十八日だというふうに予定を言っていましたけれども、そこは実現しなかったわけですね。

 金融庁、これはなぜでしょうか。何か日程調整、修正の必要が生じたんでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 一回目の国家安全保障局との面会の直後にゴールデンウィークがございましたので、甘利先生の訪問までに日が空いたというものでございます。

山岸委員 ゴールデンウィークは二十九日からではないでしょうか。

 二十八日の面談予定をキャンセルしたのか、それとも、そもそもなかったのか。これは分かりますか。

井上政府参考人 そもそもこちらからアポイントメントを取らさせていただいたのが五月七日になったということでございます。

山岸委員 分かりました。

 四月二十八日云々というのは、これは藤井さんがメールに書いていただけのことですから、違うとおっしゃればそれまででございます。

 いずれにしても、金融庁は、四月二十七日のNSCとの意見交換を受けて、甘利議員に説明に行った。

 甘利議員からはどのような提案があったか教えてもらえますか。

井上政府参考人 甘利先生からは、例えば、より広範な国際的リスクを読めるようにしてはどうかといった御意見ですとか、あるいは、今後は経済安全保障上のリスクが企業経営上のリスクとなる場合が大いにあり得るのではないかというような御意見をいただきました。

山岸委員 経済安全保障という言葉について提案があったということでよろしいですね。

井上政府参考人 お答え申し上げましたように、経済安全保障上のリスクというようなお言葉はあったかと思います。

山岸委員 ちょっと御答弁が変わっているんじゃないでしょうか。先ほど経済安全保障という言葉、何かこれ、七日と十二日で中身が違うということなのか、ちょっと整理してもらえませんか。

井上政府参考人 五月七日の一回目の面談の際にそのようなお話があったということでございます。

山岸委員 五月七日の面談の際に、甘利議員から、経済安全保障というフレーズを入れてはどうかという御提案があったということでよろしいですね。

井上政府参考人 具体的に経済安全保障を入れてはというようなお話ではなかったと記憶しておりますけれども、経済安全保障上のリスクが企業経営上のリスクになる場合が大いにあり得るのではないかというお話はあったというふうに承知しております。

山岸委員 ありがとうございます。このためだけに時間が費やされているのが本当にもったいないと思いますので、是非簡潔な御答弁をお願いします。

 甘利議員はもちろん大変な政策通でいらっしゃることは僕もよく存じ上げていますが、このガイドライン、ベテランの議員の先生が日常的に目を通すものかというと、正直、そこまでかなというふうな印象も持ちます。

 ちょっとそこでお聞きしたいんですが、金融庁。甘利さんから、この面談の場で、どうしてこの問題に関心を持たれたのかという話の中で、國分さんや藤井さんについて何らかの言及というのはありましたか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 國分さんの言及はなかったというふうに記憶しております。

 藤井審議官ということかははっきり記憶しておりませんけれども、国家安全保障局、関係者と相談をしたらというような御示唆はいただいております。

山岸委員 これはNSCの御答弁と矛盾しませんでしょうか。NSCとしては、経済安全保障を入れるということはこだわっていなかったということなんだけれども、今、金融庁の御答弁だと、甘利議員からは、NSCからそういうサジェスチョンがあったので自分も問題意識を持っているんだというふうな、そういうことかと思うんですけれども、これはどちらにお聞きすればいいんでしょうか。室田さん、お分かりになりますか。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、井上審議官が申し上げましたのは、甘利議員の方から、この問題については国家安全保障局とも相談してはどうかというサジェスチョンを金融庁がいただいたということを答弁させていただいたというふうに認識をしております。

 その上で、私どもの国家安全保障局に二十七日に相談に参った、こういう経緯だったというふうに私どもは承知をしております。

山岸委員 ちょっと時系列がかなりぐちゃぐちゃになっていますから、そこはもう一回整理してほしいと思います。

 四月二十七日に最初のNSCとの面談があって、その場では、NSCからは、金融庁に対して、経済安全保障は必ずしもこだわりはないということだった。しかし、五月七日の金融庁と甘利議員の面談で、NSCと相談してはどうかという話が甘利議員から金融庁にあり、そしてまた、金融庁は、もう一回NSCに五月七日に行って、そして、経済安保という言葉を入れるということで、最終的に五月十二日、もう一回甘利議員のところに行った。時系列はこれで合っていますか、金融庁。

井上政府参考人 四月二十七日に一回目に国家安全保障局と面談した後に、その面談内容を踏まえまして、五月七日に甘利議員に一回目の説明をさせていただきました。その際に、先ほど申し上げたような御意見をいただきましたので、五月七日に金融庁から再度、国家安全保障局に御相談を申し上げたということでございます。その面談の結果等を踏まえまして、金融庁において、国際的な経済安全保障をめぐる環境変化への対応の必要性という文言に修正した上で、五月十二日に甘利議員に御報告申し上げたということでございます。

山岸委員 まさにそのやり取りの中で藤井さんが國分さんにメールを、漏えいしたということが全ての出発点になっている。これが政策をゆがめるということそのものだと私は言わざるを得ないというふうに思います。

 この問題、引き続き同僚とともに議論していきたいというふうに思うんですけれども、一つ、問題意識を申し上げておきたいのは、私も経済安全保障の議論、重要性はよく理解をしているんです。しかし、この間ちょっと議論してきたみたいに、そのことを隠れみのにして、自分のビジネスをねじ込もうとする人々がどうも政権の近くにいやしないか。本来そういったことへの防波堤であるべきNSCが非常に脆弱であった。だって、金融庁が相談に行ったその相手が、その日のうちに利害関係者に文書を横流ししているわけです。これでは公平な政策立案なんというのはできっこない。この問題は、決して枝葉末節ではなくて、むしろこの法案をめぐる問題の本質だということを強調して、引き続きお聞きしていきたいと思います。

 委員長、ちょっとお願いがあります。

 今日、正直に申し上げて、かなり、金融庁さん、NSCさん、時系列をめぐる答弁、混乱していると思います。資料提供をお願いしたい。四月二十七日、五月七日のNSCと金融庁の協議、そして五月七日と五月十二日の金融庁と甘利議員の協議について、この記録を書面で出すように求めてください。

上野委員長 理事会で協議いたします。

山岸委員 ありがとうございます。

 ちょっと予定していた質疑が、どんどん時間がなくなってしまいまして恐縮でございますけれども、一点、小林大臣にちょっとお聞きしたいのでございますけれども。

 この間、國分さんという方のお名前を出して議論をしてまいりました。もちろん、今回の法案においてこういった民間の識者の方の政策提言というのは大変貴重なものだと僕も分かっています。しかし、この間明らかにしてきたように、どうも有識者という言葉だけでは説明し切れないような動きもなさっております。

 大臣の認識をお聞きしたいんですが、國分さんという方は、政府の経済安保政策にとってどのような存在でいらっしゃるのか。この人がいなければ経済安保政策はできないよというふうな方なのか、あるいは、あまたいらっしゃるアドバイザーのお一人ということなのか、お考えを教えてもらえますか。

小林国務大臣 私は、特定の一個人について評価を述べることは差し控えたいと思っておりますが、あえてその上で申し上げますと、今委員が言及されている國分氏は、今回の法制の有識者メンバーには選定されておりません。

 したがって、私自身、この法案の策定に責任を持つ大臣で、自分の目で逐条で確認しておりますけれども、この法案策定には國分氏は何ら関わっておりませんが、この國分氏は、私が大臣になる前に事務局を務めていた自民党の新国際秩序創造戦略本部のアドバイザーの一人を務めていただいておりまして、また、経済安全保障に関する御著書も出されておりますので、有識者の一人であるというふうに認識はしております。

山岸委員 時間なので終わりますけれども、やはり特定の方に依存し過ぎる政策立案はリスクが大きいというふうに思います。今、セキュリティークリアランスという議論をしていますけれども、この経済安保コミュニティーの中にこそセキュリティークリアランスが必要じゃないかなということを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十七分開議

上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 おとといの質疑に続いて、前回通告したものの中からまだ質問できていなかったところもございますし、また、いただいた御答弁の中でちょっと疑問点や不明確なところもあったものですから、そういったところを質問させていただきます。

 まず、特許出願の審査について、つまり六十六条七項について。

 おとといの質疑で、最終的な査定の手前まで審査を進めることが出願人の保護に資するという観点から、出願公開及び最終的な特許査定又は拒絶査定の手続のみを保留し、それ以外の手続は終える、こういう御答弁をいただいております。直前のところまでいくということなんですが、査定の手前まで審査を進めるのなら、特許査定又は拒絶査定をすればいいのではなかろうかと考えるんですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 この質問の背景なんですが、つまり、今回の法案はアメリカの制度を参考にして作られているようにお見受けしますが、例えばドイツでは、保全指定されても特許査定を受けることができるような作りになっております。ドイツのような制度の方が特許出願人の保護に資するのではないのか、こんなふうにも考えます。

 具体的に条文に即して申し上げますと、今回の法案の六十六条七項で特許法四十九条と五十一条を適用除外にしていますが、そうではなくて、六十六条を適用除外にする。六十六条は特許権の設定の登録です。こうすることによって、実施については七十三条で制限されておりますので、この辺は変わりはございません。また、特許法百九十三条の特許公報については特許権が設定登録されなければ発行されませんので、この点も問題はないというふうに考えます。

 ということで、大臣、いかがでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 特許出願人の中には、保全指定中に特許査定の直前まで手続を進め、特許査定の見通しを立てるとともに、指定解除後直ちに特許を受けられる状態にしておきたいと考える方もあり得ると考えます。そのことは、実は有識者会議の提言でも指摘をされているところでございます。

 こうした出願人の要請に応えるため、出願人が実体審査を請求した場合には、これに応じて出願書類の補正のやり取りを行うなど、最終的な査定の手前まで審査を進める道を残し、出願の公開、そして最終的な特許査定又は拒絶査定の手続を留保する制度としたところでございます。

櫻井委員 質問に答えていないんです。そこまでは前回の答弁だったんですよ。その先を聞いているんですよ。

 だから、査定直前までやるんだったら、もう特許査定したらいいじゃないですか、こういう提案を申し上げているんですよ。いかがですか、大臣。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度でございますけれども、有識者会議の方で様々な御議論を賜ったところでございますが、特許の公開の手続、あと、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、最終的な特許査定又は拒絶査定の手続を留保するという、アメリカ型といいますか、そういう手続を採用するということについて御提言をいただきましたので、それに沿った形で制度設計をさせていただいたということでございます。

 以上でございます。

櫻井委員 いや、だから、その先、もう一歩進めたらどうですか。そんな、すんでのところで止めてじらしたりしなくてもいいじゃないですか。その方が出願人の保護につながるんじゃないですかというふうに聞いているんですが、一向にお答えいただけないですよね。

 ちょっと、法案の中身、ちゃんと御理解いただいているんですかね。もう一回答弁をお願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねての答弁になりますけれども、有識者会議の提言によりまして、出願の公開と最終的な特許査定又は拒絶査定の手続を留保するということで、特許の査定までは行わない制度とするという御提言に沿って制度設計をさせていただいたということでございます。

櫻井委員 何でこんなことをねちねちと質問させていただいているかと申しますと、これは今日午前中の質疑でも河西委員から質問があって、損失の補償の公平性ということで、ここは担保されないといけませんよね、こういう質問がありました。

 おとといの質疑では、出願人は保全対象発明の実施を行うため、実施に関する実施計画などを提示し、不許可の場合には自己の受けた損失の補償を請求することができる、こういうことで、実施についての補償については御答弁いただいているんですよ。

 でも、河西委員が御指摘されたように、大企業だったら実施設備をいっぱい持っているから、製造設備を持っている、販売網も持っている、だから、いっぱい販売できたはずだから損失も大きいでしょうというふうに言えるわけなんだけれども、中小企業の場合はそうではなくなる、そこに不公平感が出るんじゃないですか、こういう指摘もあったわけですよ。

 ですから、中小企業の場合だったら、むしろライセンス料とかで、もしかしたら稼げる可能性があったかもしれない。でも、特許査定を受けていなかったら、ライセンス料の設定とかできないですよね。ですから、このライセンス料相当分についての損失補償を算出するためにも、やはり特許査定までいった方が出願人の保護につながるんじゃないですか。先ほど、条文の提案を申し上げましたけれども、そうしたところでは問題は起きないじゃないですか、こういう提案をさせていただいているんですが、いかがですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の場合でありましても、実施についての許可を受けていただけないということになりますれば、中小企業の方からの請求に基づいて、しかるべき中身を精査させていただいた上で国として補償させていただく、こういうことでございます。

 以上でございます。

櫻井委員 いや、質問に全く答えていただけていないですよ。

 実施については、この間、おととい答弁いただいた、でも、ライセンス料についてはどうなんですか、こういうふうに質問しているんですよ。ライセンス料については御答弁いただいていないですし、また、特許査定を受けていないんだったら、本来だったら特許査定を受けられるはず、しかも、すんでのところまでいって、特許査定を受けられるんだなと心証を持っている、そういう答弁をいただきましたよね。

 ですけれども、特許査定がなかったら、どうやってライセンス料に相当する損失補償を受けられるのか、こういう課題が残っているじゃないか。特に製造設備を余りたくさん持っていない中小企業の場合、特に大きな不公平感につながるのではなかろうかということなので質問をさせていただいているんです。

 再度の答弁をお願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、中小企業の場合、工場等が小さくなるという御指摘ございましたが、そういった点につきましても、実施の許可申請について不許可になりますれば、きちんとした形で請求していただくことにより、中身を精査した上で、不許可になった場合の補償をさせていただく、こういうことでございます。

 以上でございます。

櫻井委員 午前中の質疑でもこの点についての御答弁は不十分でしたけれども、今もちゃんと話がかみ合っていないというふうに感じますので、これはちょっと引き続きやらせていただきたいというふうに思います。

 もう一つ重要な質問なんですが、おとといの大臣の御答弁の中で、安全保障上の観点から特許出願を諦めざるを得なかった発明者に特許法上の権利を受ける道を開くことができるものでございます、こういう答弁、二回ございました。

 安全保障法案は、特許出願人に負担をかけるばかりでなくメリットもあるんですよ、そういうことを説明されているものというふうに理解をさせていただきました。

 これは重要な立法事実だと思うんですが、この安全保障上の観点から特許出願を諦めたケース、これは、少なく見積もって、ないしは政府で把握しているものとして年間何件ぐらいあったのかということについてお尋ねをしたいと思います。

 道を開くとおっしゃるわけですから、例えば、道路建設事業でしたら、当然交通需要を予測されますよね。ですから、今回も道を開いた場合、どの程度の需要を見積もっておられるのか、是非お答えください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今般の制度を創設するに当たりましては、様々な事業者の方と面談、ヒアリングをさせていただいたところでございます。

 そういった中から、個社名は控えさせていただきますけれども、発明者御自身、その開発された技術についての機微性を認識されておられます。そういったものが現行の特許制度に乗る形で出願公開なされ、それが安全保障上の懸念のある開発等に使われた場合に、回り回って会社にとってのいろいろなレピュテーションリスクにもつながりかねないというようなことで、本来、特許出願ということも考えておられたんですが、自粛をされていた、今回こういった制度ができることによって特許出願に道が開かれるのでこういった制度は意義がある、こういう御指摘をいただいたところでございます。

 ただ、悉皆に事業者の方からヒアリングができているわけではございませんので、お尋ねがございました件数の見込みについてはお答えすることは困難というふうに考えてございます。

 以上でございます。

櫻井委員 これも、何でこんなことを申し上げたかと申し上げますと、前回、おとといの議論の中で財源の話をさせていただきました。これは一般財源でやるのか、それとも特許特別会計から捻出するのかという話の中で、こうやって出願人全体にメリットがあるんですよ、だから特許特別会計を使ってもいいんだという理屈に使われるのではないのかというふうに懸念したものですから、少し取り上げさせていただきました。

 今御答弁いただいたとおり、ごくごく一部の、それこそ防衛省に製品を納入しているような業者であれば確かにそういうことはあるでしょう。でも、ごくごく限られた事業者の、ごくごく限られた分野において起きていることで、出願人一般に当てはまることではないのではないのかということを指摘をさせていただきます。

 続きまして、今日法務省にも来ていただいているかと思います。前回も来ていただいて、結局質問できずに大変申し訳ございませんでした。

 外弁法関連について質問させていただきます。

 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法を二〇二〇年の通常国会で改正をいたしました。いわゆるB法人、混合法人は、外国法の事務弁護士と弁護士が単一法人下で社員として混在する形態が認められております。B法人は、弁理士を雇用することができますが、B法人の意思は、法人において優越的な地位を有する者によって決定、支配されるという上に、外部からそれが特定できないという状況になっております。

 したがって、チェック機能が働かず、外国法事務弁護士が保全対象発明や被雇用の弁理士に不当に関与する懸念が払拭できないのではないのか。このことについては外弁法改正のときにも私指摘をさせていただきましたけれども、結局、この外弁法改正でわざわざ経済安全保障上の穴を空けてしまったのではなかろうか、こういうことを懸念して質問をさせていただきます。

 もう一言申し上げれば、中国では二〇一七年に国家情報法が制定されて、いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行うというふうに規定をされております。中国法の縛りと日本法の縛り、両方に引っ張られた方がどっちに動くのかということも考えますと、いろいろ懸念があるのではなかろうかというふうに思いますので、御答弁をお願いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 外国法事務弁護士を通じて秘密が漏れてしまうのではないかという御懸念であるかと思います。

 外国法事務弁護士ですが、他の士業と同様に法律によって認められた専門職でありまして、法律上、秘密保持義務が課されております。これに違反した場合には刑事罰ですとか懲戒の対象ともなってまいります。

 そして、委員御指摘のいわゆる共同法人制度、本年十一月一日に施行になりますが、この下におきましては、外国法事務弁護士である社員は、外国法に関する法律事務に限ってその業務を執行することができるものとされておりまして、日本法に関する法律事務等を取り扱うことは認められておりません。

 また、外国法事務弁護士である社員が、自己の権限外の法律事務について、雇用されております弁護士に対して業務上の命令を発することですとか、あるいはこのような弁護士が自ら行う法律事務につきまして不当な関与をすることは、いずれも禁止をされております。

 これらの規定を実効性を持たせるために、日本弁護士連合会におきましても、日弁連及び弁護士会に共同法人等に対する調査権限を与えまして、かつ、この調査に対する共同法人等の協力義務を課すということを内容といたします会則、会規の整備が行われたと承知をしております。

 これらの措置によりまして、不当関与に対する実効的な監督がされるものというふうに考えております。

櫻井委員 あと、今日は特許庁長官にも来ていただいておりますので質問させていただきます。

 外国資本が支配する事業者が資本を出して弁理士法人を、弁理士法人というのは来週からですけれども、今は特許業務法人です、設立できます。弁理士には秘密保持義務が課せられておりますが、弁理士法人をつくっている外国資本の事業者に対しては秘密を守る義務などが課されておりません。このため、外国資本が支配する事業者が弁理士法人のサーバー等にアクセスするなど、保全対象発明を流出させる危惧があるのではないか、こういうふうに心配をするところです。

 そこで、こうした危惧を払拭するために、事業者が資本を出して弁理士法人又は特許事務所をつくることを禁止し、弁理士の独立性を確保するべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 弁理士法第三十九条の規定により、特許業務法人の社員は弁理士に限定されており、弁理士以外の者から出資を受けることは法律上想定されておらず、弁理士以外の者が法人の意思決定に関与することも想定されていません。

 また、例えば、特許業務法人の弁理士が自ら外国資本の会社の経営に参画している場合に、当該外国法人の役職員としての立場で当該弁理士が弁理士として業務上取り扱った秘密情報を流出した際には、弁理士法上の守秘義務違反となり、弁理士法上の罰則が適用されると考えられます。

 さらに、本法案に定める保全対象発明の出願に携わった弁理士は、保全対象発明の開示禁止義務の対象ともなります。

櫻井委員 ちょっとこれは、実際は弁理士法人だと言いながら、同じ場所に別の知的財産管理の会社をつくっていて、どうも同居しているようなところもあったものですから、そういうリスクがあるのではないのかということで指摘をさせていただきました。

 もう持ち時間は終わりましたので質問は終わりますけれども、先ほど外弁法のことも申し上げました。それから、水道のコンセッションなど、ほかにも経済安全保障上の観点から問題があるのではなかろうかということをこれまで我々は指摘をさせていただきました。政府・与党がそうしたところに穴を空けてきたというふうにも思いますので、そういったところについてはまず穴を塞いでいく、そういうことを提案申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党、堤かなめでございます。

 我が党は、自由で開かれた経済、研究活動の促進と同時に、我が国の先端技術の優位性を確保するという立場であることをまず申し上げまして、経済安全保障法案につきまして質問させていただきます。

 本委員会では、経済安保の定義は何なのか、必ずしも明瞭ではない、漠然としていると様々な委員から繰り返し指摘されています。そして、大臣からはるる御説明いただいておりますけれども、やはり、特定重要技術の定義もまたよく伝わってまいりません。条文には「国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの」と記されておりますが、これでは余りにも広過ぎて、やはり漠然としています。

 そこで、条文には記されておりませんけれども、特定重要技術の開発支援については、我が国の技術的優位性、ひいては不可欠性を確保するにつながるか否かを十分に検証すべきと御答弁されています。この優位性、不可欠性とは具体的にどういうものなのか、改めてお聞きいたします。

 また、優位性、不可欠性を十分に検証した上で、対象となる選定基準を明確に定めるとともに、真に必要なものに対し集中的に行うべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

小林国務大臣 特定重要技術について御質問をいただきました。

 日本だけじゃなくて、アメリカ、欧州あるいは中国、様々な主要国が、将来の私たちの生活を支えるであろう革新的な技術に、これを国家戦略として取り組んでいるわけです。これは民間企業だけではなくて、官民一体となってファンドをつくったり、あるいはそうした組織をつくったりして、今、巨額の資金を入れてしのぎを削っている。

 そういうところに日本が勝負をしなければどうなるかというと、結局、私たちの生活もそうした技術にいずれ頼ることになるわけですから、そうすると、我々の生活を全て海外の技術に依存する、それが国家としてあるべき姿かといえば、私はそうは思いません。

 そういう思いで、政府としてこの特定重要技術というものを官民一体となって育成していこうということで、今回、この法案の中に盛り込ませていただいています。なので、委員と認識は共有させていただいていると思っています。

 第六十一条に定義規定を置いておりまして、これはすなわち、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るものでございます。

 こうした他国に優位する技術を保有、何とか獲得をし、社会実装につなげていくことによって、国際社会において我が国は不可欠な存在となって、これを優位性、不可欠性と申し上げているわけであります。

 もう少し具体的なイメージとして申し上げますと、有識者会議の提言におきましては、宇宙、海洋、AI、量子あるいはバイオ、こうした分野が示される中で、その議論の過程において、例えば、衛星コンステレーション技術ですとか、海洋分野でのセンシング技術が例示されました。このほか、例えば、サイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術ですとか、AI処理などが可能なコンピューティング技術なども含まれ得ると考えております。

 その上で、選定基準などについて申し上げますと、社会経済情勢あるいは研究開発動向などを踏まえまして、有識者の意見を聞き、その上で閣議決定する特定重要技術研究開発基本指針において一定の具体化を図る考えでございますが、デジタル化によって技術開発が加速化し、突如として新たな技術が誕生する、こうした可能性を踏まえますと、あらかじめ対象となる技術を網羅的に特定することは困難でございますが、公募による競争も活用しつつ、真に可能性のある技術を見極めていきたいと考えております。

堤委員 今大臣から非常に詳しく説明をしていただきましたけれども、しかし、法案にはそのようなことは載っておらず、基本方針や協議会の運営に委ねられておりまして、非常に漠然とした、法案を見ますとやはり曖昧なままになっております。

 我が党の本庄委員からも指摘しましたように、重要なことが明文化されておらず、基本方針、基本指針、省政令に委ねられておりまして、骨組みだけで中身が見えないという法案になっております。

 そこで、基本指針及び省政令で定めるとしている項目はそれぞれ何か所あるのか、お聞きします。

木村政府参考人 お答えさせていただきます。

 お尋ねございました政令、省令、あと基本指針について、条文の規定そのものを数える形でお答え申し上げさせていただきます。

 まず、本法案におきまして、政令という規定は五十一回、省令を表します主務省令、内閣府令などは八十七回使用させていただいているところでございます。

 次に、法案中、基本指針と規定しておる指針といたしましては、五本定めることとさせていただいております。

 それぞれ基本指針の記載事項といたしましては、法案第六条に規定いたします安定供給確保基本指針につきましては、同条第二項におきまして九号に分けて規定をさせていただきます。

 次に、法案第十三条に規定いたします供給確保促進円滑化業務等実施基本方針につきましては、同条第二項におきまして五号に分けて規定をしてございます。

 続きまして、法案第四十九条に規定しております特定社会基盤役務基本指針につきましては、同条第二項におきまして六号に分けて規定をしてございます。

 続きまして、法案第六十条に規定いたします特定重要技術研究開発基本指針につきましては、同条第二項におきまして六号に分けて規定してございます。

 最後に、法案第六十五条に規定しております特許出願非公開基本指針につきましては、同条第二項におきまして四号に分けて規定しているところでございます。

 以上でございます。

堤委員 基本指針、そして政令とか省令とかでは、皆さん御案内のように、閣議で決定されまして、国会では議論できないということになります。つまり、政府に一任するということになり、国民の代表である議員による様々な視点からの審議が行われない、国民の皆様からは見えないということになります。したがって、このような法案の在り方は議会制民主主義を形骸化していくおそれがあるのではないかということを指摘しておきます。

 さて、法案で明文化されていないこと、定義が曖昧で漠然としていることは、結果的に様々な疑念や混乱を招きかねません。また、大串議員、そして午前中に山岸議員も指摘しましたように、経済安保利権なるものを誘発してしまうことにもなりかねません。

 また、杞憂に終わればよいのですが、経済界、産業界や学術界、アカデミアには、一方的に突然特定重要技術とされ、官民協議会への参加や厳格な秘密管理などが求められることになる可能性について危惧する声もありますけれども、いかがでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員が言及いただいた危惧する声というのは当たっていないというふうに思っておりまして、説明させていただきたいと思います。

 この法案の特定重要技術の開発支援に関する枠組みなんですけれども、研究開発に有用な情報の研究者への提供など、あくまで官民の伴走支援を行うための制度であって、また、協議会というものを設置するに際しましては、研究代表者の同意が前提となるんですね。

 また、研究代表者の同意を得て協議会が設置されたといたします。その場合においても、協議会で扱われる全ての情報が守秘義務などの対象となるのではないんです。特に、研究成果は公開が基本となると考えておりますので、具体的な対象範囲や運用方法は、個々の協議会ごとに、規約や協議会での協議を通じて、全ての協議会の構成員が納得する形で決めることとなるんです。

 以上のことから、今委員御指摘いただいた危惧する声ということでございますけれども、一方的に突然に特定重要技術に何かが指定されて、厳密な秘密管理などが求められるような状況が発生することはないということは申し上げたいと思います。

堤委員 特定重要技術とされた場合であっても、官民協議会に入るのは任意だ、あくまでも任意だということですが、本当に参加を強制されたりしないのか。また、研究者や企業人がいろいろ説明を受けて、一旦は納得して協議会に参加したものの、やはり途中で協議会の方針や考え方と違う、違和感があるといった場合、参加を取りやめるということが可能なのでしょうか。また、その場合、何らかの不利益を被ることはないのでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 この法案の協議会は、今申し上げたように、研究者の同意を前提として参画していただくものなんです。協議会に参加した後に、今委員御指摘いただいたように、研究者自らの意向によってこの協議会から出たいなというふうに思った場合、それは離脱することも可能な枠組みとしております。

 また、協議会から例えば離脱した研究者の方なんですけれども、その協議会で共有される情報にアクセスできないことなどを除いて、その協議会の枠外で例えば政府から何らかの不利益的な扱いを受けることはございません。

 この特定重要技術研究開発基本指針には、その旨も明示していきたいと考えております。

堤委員 基本指針には明示していただくということですけれども、それは閣議決定されるということで、この国会の場では議論されないということになりますので、やはりできる限り法案の中にそういったことも盛り込んで、要らぬ心配や危惧を生まないように、混乱を生まないようにしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、もう時間もなくなってまいりましたので少しはしょってお聞きしますけれども、御存じのとおり、経済産業省のエネルギー白書によりますと、例えばトヨタの燃料電池自動車関連の特許が牽引する形で、水素関連分野の特許競争力が日本が世界一とされています。私の地元福岡の九州大学は、水素耐性材料ですとか次世代燃料電池の分野で論文数が世界トップレベルとなっております。

 その中で、今後も様々な水素の利用拡大を図るためには、国際標準化を目指しているということで、やはり、研究成果が公表できないですとか、研究者や技術者の交流が制限されることなどによって革新的な技術開発が妨げられるおそれがあるのではないかと、やはり懸念がまだまだあるということですが、このような経済界の懸念や経済界への影響につきましてどのような見解をお持ちか、お聞きいたします。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 本法案に基づきます協議会につきまして、国の資金により特定重要技術の研究開発を行うに当たりましては、官民の伴走支援を行うに当たり、守秘義務を課すことが、適切な情報を提供することが想定をされます。他方、特定重要技術の研究開発に参加するか否かは研究者の御判断に委ねられているということでございまして、一方的に守秘義務を課すものではございません。

 また、経済界からの意見ということでございますが、協議会を通じて、国の具体的なニーズとともに、具体的な社会実装イメージや政府が実施してきた研究の成果など、研究開発に有用な情報が産学との間で共有されることを期待する、経済界の意見としてそのようなものも出ているところでございます。

 いずれにしましても、経産省として、協議会を組織する場合には、特定重要技術の研究開発に関する情報の適正管理について、参加される研究者の方ともしっかりと協議をしていくことはもちろん、こういった考え方について広く産業界やアカデミアにも御理解いただけるように丁寧に説明してまいりたいと考えております。

堤委員 巨人の肩の上に立つという言葉がございます。アイザック・ニュートン、そして科学社会学の創始者ロバート・マートンの言葉でございます。その意味するところは、偉大な先人たちの業績や先行研究など、巨人、その上に立って、そうすると新しい知の地平が見えてくる。つまり、今の学術研究は、そういった先人たちの先行研究ですとか業績、知見や視座、そういったものの積み重ねの上に構築されるものだということですので、知を制限しないように、是非、アカデミアへの配慮、どうぞよろしくお願いいたします。

 終わります。

上野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 本日は、経済安全保障に関する質疑をさせていただきます。

 今回、経済施策を一体に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案と同時に、日本維新の会から、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案とが並行審議となっております。そこで、今回は、維新案に関しても御説明しつつ、質疑をさせていただきます。

 新たな国際秩序と政策誘導としての経済安全保障についてお尋ねいたします。

 そもそも、この法案は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化に伴いとあります。現在、この非常に不安定な国際情勢の中、昨日も北朝鮮の飛翔体が飛んでまいりました。ロシアの状況も皆さん御存じのとおりです。

 こういった状況の、歴史の転換点にある今、我が国の安全保障はどこに向かおうとしているのか、国家安全保障の戦略について、鈴木副大臣、よろしくお願いいたします。

鈴木副大臣 我が国周辺には強大な軍事力が集中をしているところであります。委員も今御指摘ありましたように、北朝鮮の核・ミサイル開発、また、中国の透明性を欠いた核戦力等を含む軍事力の急速な強化等、引き続き不透明また不確実な要素というものが存在をしているということは明白だと思っております。

 このようないわゆる伝統的な安全保障上の課題に加えまして、近年では、グローバルなサプライチェーンの脆弱性、そしてまた国家、地域間の相互依存リスク等、安全保障と経済を横断する領域で様々な課題というものが顕在化をしてきていると思っております。

 この安全保障の裾野というものが、まさに経済分野にも裾野が広がってきている、そういった観点からも今般の御審議もいただいているもの、このように理解をしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 今、我が国の安全保障はどこに向かおうとしているのかというお答えがなかったように感じたんですけれども、私たちは、今こういう状況の中で、どこに向かっていこうとしてこの法案が出されて審議されているのか、これは非常に重要な点だと思っています。

 ちょっと質問が逆になってしまうんですが、この法案の中で、同志国、こういった定義、具体的にはどの国を指しているのか、鈴木副大臣、お願いいたします。

鈴木副大臣 同志国に関しての御質問を頂戴をいたしました。

 まず、同志国という用語でありますけれども、一般に、外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知をしております。

 日本政府としても、それぞれの外交課題について日本と目的を共にする国を同志国として、これまでも協力関係を築いてきたところであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 具体的に、今、同志国という定義の中に入っている国を教えてください。

鈴木副大臣 具体的な国、地域という御質問かと思いますが、今も申し上げましたように、あくまでもこれは目的を共にする国を指す言葉として用いているところであります。

 それぞれの外交課題、テーマといいますか、若しくは、時には分野、そういったものにおいて目的を共にする場合には、その国を同志国とこれまでも指してきているということでありまして、同志国として例えば一覧が、これといった一覧というものがあるわけではないことを是非御理解をいただきたいと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 私たちは、この法案の中で、重要物資の確保計画を立てるというようなお話であったり、サプライチェーンの強靱化、つまり多角化、分散化をしていこうというお話であったり、そういったものを今この法案審議の中でさせていただいています。価値観を共有する国々との物資の融通のための経済安全保障というものの大きなイメージ、枠組み、そういったものが見えなければ、どこに展開すればいいのか分からないのではないかなというふうに思っています。

 私の父親は、もう亡くなりましたが、中小企業をやっておりました。当然、中国、そういった海外にも生産の拠点がありました。そういったところから、では、今ここではない違う国を選んでください、国内でもいいです、違うところ、多角化してくださいと言われたときに、どこを選べばいいのか、多分分からないと思うんですね。

 なので、是非、このサプライチェーンの強靱化、つまり多角化、分散化をしていくという点、国内回帰ではなく、違う国に展開していく場合、そういったことに対して、どのように考えていけばいいのか。国際分業体制の構築というようなものもあると思うんですけれども、そういったことに関して分かりやすく教えていただきたいと思います。小林大臣、お願いいたします。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、冒頭申し上げさせていただきたいことは、この経済安全保障の確保に当たっては、特定の具体的な国を対象として、念頭に置いているものではないということは冒頭申し上げたいと思います。

 その上で、我が国にとって重要であるにもかかわらず、その供給を外部に過度に依存している、あるいは依存するおそれがある物資につきまして、有事になってからじゃなくて、平時からサプライチェーンの強靱化を図ることを通じて安定供給の確保を図っていく、これが今回の法案の強靱化の目的でございます。

 その際、物資の特性によって、置かれている状況も、また安定供給確保のために取るべき措置も異なっておりますことから、取るべき対応の方向を一律にお示しすることは困難であるとは考えております。

 特定重要物資の指定に際しましては、安定供給確保の方向性や実施する施策につきまして、閣議決定する基本指針に基づきまして、物資ごとに定める安定供給確保取組方針にてお示しすることになります。

 なお、今、同志国の話もございました。物資の特性によっては、全てのサプライチェーンをいわゆる同志国にて構築することは困難であると認識をしておりまして、サプライチェーン全体で供給途絶リスクの低減を図って、その強靱化を図ることが肝要だと考えています。

 委員から中小企業の方々のお話も言及いただきました。御指摘のとおりだと思います。関係事業者には中小企業者も含まれると考えておりますので、政府としては、きめ細かい役立つ情報の提供などにつきまして、そこは前向きに検討していきたいと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 安定した国際環境の創出、こういったものも、私たちはこの法案を考える上で念頭に置くべきではないのかなというふうに考えております。

 先ほど平議員が、質疑でもありましたが、経営合理性ではなく、コスト増が増える、そういった場合でも国内回帰していく産業もある、そういう必要性があるものもあるというふうに認識していますし、現在一つの国に過度に依存しているものを違う国に分散していくということに関しても、もしかしたら、そこで一から何かをやり始めるというのは非常に時間もお金もかかることだと思っております。なので、非常に抽象的で分かりづらい、何か見えないような状態の中でそれを実現していくというのはちょっと難しいのかなというふうに考えています。

 経済安全保障の全体像やビジョンが見えないという御指摘というのは、この内閣委員会でも何度もされているかと思います。これが、ただ施策を四つ並べたものではなくて、明確に、安全保障の一部であるとか、二十一世紀型の多様化する戦争に対する新たな武器になるであったり、アクティブディフェンスの一つになるといった位置づけが必要なのではないかと思っております。大臣がよくおっしゃられている自律というものと不可欠性というところというのは、まさにこのディフェンスと新たな武器だと私は認識しています。

 また、国際社会とのルールメイキング、同志国、私は、経済分野において相互依存ができる国々と考えておりますが、こういった新たな国際秩序の形成を促進するための法案であるということをしっかりと明記する必要があるのではないかと思っております。日本維新の案では、第三条の三、基本原則にて定めるものでございます。

 鈴木副大臣、ありがとうございました。

上野委員長 鈴木副大臣は、御退席で結構でございます。

堀場委員 物資等の選定についてに移らせていただきます。

 日本維新の案の第四条には、配慮事項として、物資、役務、技術その他利益の選定に当たっては、選定過程の公平性を確保すること、客観的な費用効果の分析を行い、その結果を考慮することを規定しております。同時に、経済安全保障に関する諸施策を実効的かつ総合的に推進するため、罰則に関する規定の整備、その必要な措置を講ずることとしております。

 小林大臣にお尋ねいたします。

 三月十七日の本会議の質疑の中で、公明党の伊佐議員が、物資を指定する判断に当たり、主務大臣は、関係する事業者に対し、原材料などについての報告を求めることができるとしています、中略、当初、政府作成の条文では、事業者のこの報告義務に対して罰則が設けられておりました、公明党からは、基幹インフラに関する規定ならともかく、サプライチェーンの調査に対する事業者の報告については、政府は安易に罰則規定に頼るのではなく、あくまでも努力義務とするべきだと主張しましたとおっしゃっておられます。

 当初、政府の作成条文には罰則規定があったということでよろしいでしょうか。

小林国務大臣 お答えさせていただきます。

 その前に、先ほど費用対効果の話がありましたけれども、私たち政府の側としても、当然、それぞれの物資の特性に応じて、この費用対効果、これは大切だと思っておりますので、しっかりとやっていきたいと考えております。

 その上で、サプライチェーン調査におきまして、罰則の規定についてお尋ねがございましたが、この法案におきましては、サプライチェーン調査については、この法案の規制や支援の枠組みに入っていない事業者も対象としております。このため、調査を拒否した場合の罰則は置かずに、事業者からの回答を担保できるよう努力義務規定を措置することにしております。

 このサプライチェーン調査の回答を忌避する行為に対しまして罰則を科すことにつきましては、経済安全保障法制に関する有識者会議の議論におきまして、比例原則の観点から、この調査忌避に罰則を科すことは重過ぎるのではないかといった趣旨の御指摘を受けておりまして、総合的に勘案すれば、罰則の対象としないことが適当と考えました。

 また、法案作成の経緯についてもお尋ねがございました。

 政府は、法案策定過程において、様々な案を評価、検討して成案を得ていくものでございますが、この法案の策定に当たりましても、その時々で様々な案を検討してきたところでございます。

 その検討に際しましては、与党とも、その時点、その時点において検討中だった様々な条文構成、また様々な条文などを念頭に置きながら、意見交換の都度、法律案について議論を行ってきたところでございます。

 この法案の策定過程におきましては、公明党を含めた与党に加えまして、産業界、有識者会議などからも、この調査における実効性担保の在り方について様々な意見をいただいたことも事実です。

 こうした経緯を踏まえまして総合的に勘案した結果として、公明党を含めた与党と相談した上で、政府として、サプライチェーン調査について罰則を措置しないことが適当と判断したという経緯でございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 ごめんなさい、一番最初に御質問させていただきました、当初の政府案の条文には罰則規定があったということでよろしかったでしょうか。

小林国務大臣 政府では、この法案の策定過程において、今申し上げたとおり、様々な案の検討を行ってきたところでございますが、調整を行う過程におきまして、公明党の議員の方々に対しまして、罰則が入った案をお示ししたことがあるのは事実です。与党とも、その時点において検討中だった様々な条文構成また条文などを念頭に置きながら、意見交換の都度、法律案について議論を行ってきたものでございます。

堀場委員 三月二十三日の、我が党の足立康史議員が同様な御質問をさせていただきました。罰則の在り方については、サプライチェーンのところだけではなく、これを入れていたところもあるし、それを外していたところもあるし、また戻ったところもあるというふうに御答弁をされていたかと思います。

 外した際の理由が比例原則にあるというのは理解いたしました。では、入っていたときの理由を教えていただけますか。

小林国務大臣 それは、今申し上げたとおり、この法案の策定過程におきましては、実効性担保の在り方を含めて、そこの罰則のあるなしだけではなくて様々な規定においてですけれども、政府において、様々な案を中でいろいろ検討しながらやっていたわけであります。

 したがって、実効性担保を含めた、様々な観点から、罰則を入れてもいいんじゃないかという意見も政府の中にはありましたし、いや、そこは控えた方がいいんじゃないかという意見もありましたし、そういう中で与党を始め関係者の皆様とも議論をさせていただきながら、最終的には、もうその理由は申し上げたところでございますけれども、政府としてこれが今ベストだというふうに判断して、それで、今、閣議決定に至って、国会に提出させていただいているところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 もちろん、政府の中でベストだと思って出されているというのは重々承知しております。そんな中途半端なところでは出されないと思いますし。ただ、私たち日本維新の会としては、この罰則規定についてはやはり必要なのではないかというふうな点に立っているということも、恐らく御存じだと思います。

 我が党の青柳議員が、サプライチェーンの調査の理由についてお尋ねしました。それに対して、我が国の国民の命と暮らしを守るに当たって特に重要な物資、これらを平時から、常にいかなるときであっても安定供給し得る体制をつくらなければならないということで調査をするわけでありますというふうに御答弁されています。

 かなり重要なことであるから調査をするのだと理解しています。やみくもに調査をするのではなくて、非常に限られた、限定された人に対して調査をされるというふうに理解しているのですけれども、そのような重要な調査を拒否する人、そういった方に対してどのようなリスク、そして、よくお使いになられますリスクシナリオ、描いていらっしゃるか、教えてください。拒否する人というのはいらっしゃると思うんですけれども、それに罰則規定がないんですが、努力義務でやるということなんですけれども、それがどういう事態になるというようなことをお考えかという質問です。

小林国務大臣 この間、青柳委員から、リスクというところで、悪意を持った者がいるのではないかというようなお話がありました。

 悪意というものが何か、具体的にはちょっと私は分からないですけれども、そういう方がいるかもしれませんが、ただ、自分が、別に悪意とかではなくて、企業秘密として、サプライチェーンの在り方って、その企業にとっては非常に重要な場合だってあるじゃないですか、それを政府に対してやはり示したくないなという方もいらっしゃると思うんです。

 最終的には、特定重要物資というのはかなり絞った上で、その枠組みに入った方に対してしっかりと計画を出してもらって、認定して、それで、その義務に応えていただけない場合は罰則ということにさせていただいていますけれども、そこの枠組みに入ってこない方々に対しては、サプライチェーンというのは様々な物資が無数にあるわけです、比較的大きな企業の方もいらっしゃれば、本当に、中小企業、小規模事業者、個人でやっていらっしゃる方もいる。そういう方々にかかってくる御負担も考えなければいけないし、あとは、仮に、全てのそういう方々について罰則つきの応答義務を課してしまうと、調査を受ける側からすれば、強権的であって、自発的かつ率直な情報提供を妨げる懸念もあるのではないかというふうに、そういう声もいただいたものですから、政府の中でそういうことを総合的に勘案した上で今の案に落ち着いているということを御理解いただければと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 確かに、強い、上からぎゅうっと押さえつけると自主性がなくなる、エンパワーメントがなくなっていく、こういった議論というのは、平時、ほかの法案でされることはあるかと思います。けれども、これは、安全保障に関する一つの大きな柱になっていく、新たな武器となるような法案の審議だと思っています。

 私たちの生活、財産、国土、こういったものを守るための法案にもかかわらず、そういった、誰でも彼でも頼むわけではない、しっかりと限定された中でやる、にもかかわらず、その人たちがやはり自主的にやってほしいんだよねというところだとちょっと弱い気がするんですけれども、いかがでしょうか。

小林国務大臣 そこは、今委員が有事のというふうにおっしゃいましたが、これはあくまで、有事になる前に、平時からそういう枠組みをしっかりつくっておこうということなんです。有事といっても多分いろいろな状況が想定されますけれども、平時の対応と有事の対応というのは、恐らく、一般論で申し上げれば、決して一緒ではないと思っています。

 今回のサプライチェーン強靱化の枠組みというのは、あくまで平時から、いろいろな有事を想定して、そのときにどうしても必要な物資、これについてのサプライチェーンをできる限り強靱化しておこうというものでございます。そこは御理解いただければと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 この間、コロナになる前、私たちは平時だったと思います。そのときにしっかりとこういった概念が、恐らく一部にはあったかと思いますけれども、国民の人たちにはなかった。しかし、このコロナ禍で、例えばマスク一つ取っても、なくなってしまった。こういった状況を目の当たりにすると、やはり平時からしっかりとこういったサプライチェーンを構築しなきゃいけないという問題意識というのはたくさん芽生えたと思うんですね。やはり、限定をしっかりされているのであれば、罰則規定があってしっかりとお答えいただくということに関しては問題はないと私は思っています。

 特に、中小企業であったり、もし何か有事が起こって、よし、じゃ、まとまろうとなったときに、実はその一つの企業は、例えば、特定国の依存の強い、かなり資本をもらっているとか、かなり何か問題がある国、そういったところがあったとなったら、それがサプライチェーンの構築に影響があるから、だからこそ私たちは今これを議論しているんだと思うので。

 比例原則、よく分かります。青柳議員も言っていました。国民の生命財産を守るということが大切で、比例原則よりも国民の生命や財産を守ることが大切なのではないかというふうな発言もありましたけれども、私も、この日本のエネルギーや基幹技術をどこから持ってくるのか、それはいわゆるサプライチェーンですが、これと安全保障というのは非常に密接に関わっていると思っています。これは新しい戦争に対する防御であり、アクティブディフェンスにもなり得るものだと思っています。だからこそ、入口をしっかり強化するために、維新案では罰則規定の必要性を訴えております。

 この点、多分まだまだ議論させていただくことになると思います。是非、御見解も含めてよろしくお願いいたします。

小林国務大臣 繰り返しになりますけれども、これは有事になってから対応するものではないんです、平時からしっかり有事を想定して準備をするものでございます。

 ただ、有事の規定が全くないかというと、そうではなくて、その枠組みに入って、認定を受ける事業者には計画を出してもらいますけれども、その中に、需給が逼迫した場合に、じゃ、やはりやめたというふうになると困るので、そこをしっかりと、逼迫したときはやります、安定供給をしっかりとやります、そういう具体的な計画を出していただいて認定をするということになります。

 そういう仕組みであることを御理解いただきたいということと、あとは、やはり、先生、京都だと思うんですけれども、どこの地方にも中小企業者、小規模事業者、個人事業主、たくさんいらっしゃると思います。最終的には特定重要物資というのは絞られることになると思いますけれども、ただ、本当に、じゃ、どこの物資が必要なのかという調査をするときにおいて、本当に小さな個人の事業主のところに政府が行って、サプライチェーンを教えてください、教えなかったら刑事罰つきの罰則をかけますよということが、平時において、安全保障といえばそれはすごい重要なことだと思いますが、じゃ、全てそれだけ考えればいいというものではなくて、やはり経済活動の自由というものとのバランスをどう取っていくのか。

 それが比例原則ということでもあるんですけれども、そこはやはり慎重に、もちろん、国民の皆様の命と暮らしを本当に、有事になっても守らなきゃいけない、どういうときでも守らなきゃいけないという思いは私も持っていますけれども、そこはやはりバランスというものを取っていく、そういう考え方が必要なのではないかというふうに考えているところであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 京都の中小企業、本当にたくさんございます。では、その中の一体何軒がこのサプライチェーンの調査でとんとんと肩をたたかれるのかなと考えたときに、そんなにたくさんではないということであるならば、やはり限定をするということも非常に重要で、それは大臣も御答弁の中で何度もおっしゃっていて、何でもかんでもやるわけではない、しっかりと調査をされた上で、先ほども言っていました、合理的な判断でそれをやっていく。かつ、その中で、それでもやはり重要で大切だから調査をされるのであって、誰でも彼でもとんとんとたたかれているわけではないと思います。

 なので、是非、この罰則規定、日本維新の会としては非常に重要だと認識しておりますので、またほかの場所で誰かがやるかちょっと分からないんですが、お聞きいただければなというふうに思っています。

 お時間がないので、ちょっと一つだけ、経済インテリジェンスとセキュリティークリアランスについて。

 今、この国際情勢の中でこの法案が出てきました。非常に重要であるがゆえに、心配なことも多々あります。様々な判断、評価、リスクシナリオ等を鑑みると、情報が一つ大きな武器だと思っています。その中で、経済に関するインテリジェンスの強化を維新案では明確にしております。

 的確な経済安保となるようにするためには、専門的な行政官僚の皆様の能力が非常に重要だと理解しております。そのためのセキュリティークリアランスも重要だと考えておりますが、大臣の御見解をお聞かせください。

小林国務大臣 済みません、経済インテリジェンスの体制強化とクリアランスの話を両方答えればいいということでしょうか。(堀場委員「はい」と呼ぶ)ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、経済安全保障は幅広い分野にまたがる課題でございまして、また、これまで体制が措置されてこなかった、十分には措置されてこなかった新たな事務も含まれますことから、これは体制強化する必要がある、そこは認識は共有していると思います。

 こうした観点から、御審議いただいて、お認めいただきました令和四年度予算におきまして、投資審査やサプライチェーン強靱化などの政策部門に関する人員を約二百五十人、経済インテリジェンスに関する情報コミュニティーの人員を約百三十人の定員増を計上させていただいたほか、関係府省庁におきまして、経済安保に関連する人材の中長期的な確保、育成にも配意することとしております。

 経済安保の取組の実効性を担保するには、御指摘のとおり、情報コミュニティーを含めた政府全体が行う情報収集ですとか分析に基づいて、経済安保の観点から重要な物資、原材料、技術あるいは産業などの認識を把握していくことが重要であるというふうに思っておりまして、将来にわたって、どれぐらいの規模になるかというのはちょっと予断はできないですけれども、引き続き必要な体制の確保には取り組んでいきたいと思います。

 クリアランスについても御質問がありました。

 いわゆるセキュリティークリアランス制度につきましては、様々な声があることは承知をしております。一方、このクリアランス制度は個人の情報に対する調査を含むものでございまして、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合いなどをまずは踏まえた上で、今後の検討課題の一つになり得るものと認識しております。

 ただ、その代わりではないんですけれども、この法案において、特定重要技術に関する調査研究を行うシンクタンクですとかあるいは協議会というものを設けるんですけれども、そこに入ってこられる方には守秘義務をかけさせていただくことにします。それは、協議会であればそこのメンバーが合意した場合なんですけれども、そういう形で、官民の技術育成というものをしっかりと進めながらも、技術流出の防止というところにはしっかりと配意していきたいというふうに考えます。

堀場委員 ありがとうございます。

 質疑の時間が終わってしまいましたので、また、この法案の重要なキャパシティーの問題であったりとか、単に人数ではない、いろいろなこともございますので、また質疑が回ってくると思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は三十分いただいております。あと三分実はあったんですが、私の後に続く浅野先生に使っていただくという形にしました。

 ただ、これは、よく維新の会は、時間をお譲りするとかいう言い方をすると、支持者の皆さんから、いや、維新の会の質問時間が短かったので投票したんだから、ちゃんと自分で使ってくれというのがもちろん来ます。

 そういう意味で、私は、この内閣委員会で、ドントで配分された時間は自分で使うということで、徹底してこれまでもやってきましたが、今回の立憲民主党の質問時間の差配、これはもう最悪ですね。好き嫌いとか、何かそういうことで質問時間を左右するというのは、何というかな、言論の自由というか、発言権とかそういうものを非常にないがしろにするものだと思っていまして、私たち、昨年の選挙の前もすごいひどい仕打ちを受けていましたが、そういうことに対する異議を申し立てるという観点で、今回、そういう抗議の意味を込めて時間の調整をさせていただいたという趣旨ですので、支持者の皆様には御理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 今日は……(発言する者あり)野党筆頭。もう一回言いましょうか。

上野委員長 質疑をお願いします。

足立委員 今日は、ディスインフォメーション、いわゆる偽情報の問題、それから、この間の続きでちょっと細田副大臣に来ていただいていますが、ちょっと原発の話をもう少しだけやらせていただきたいと思います。

 偽情報について、今日、私、通告を昨日、おとついさせていただいた後、我が党の鈴木宗男議員のディスインフォメーションが取り沙汰されていて、えらいことになっていまして申し訳ありません。ああ、余り知らないね。知らない。じゃ、いいんですね。じゃ、やめておきましょう。

 鈴木宗男議員の田原総一朗さんとの対談がロシアのプロパガンダに若干使われているんじゃないか、そういう議論があるようであります。今、精査をしていまして、もし、いわゆる私は偽情報と言っていますが、偽情報を我が党が発するようなこと、我が党の所属議員が発するようなことは絶対あってはならないので、それは精査をして、週明けにまた対応していく、ここはお約束をしておきたいと思います。

 その偽情報については、これは大野副大臣が大変御見識が深いということで、大臣よりも大野副大臣の方がここは思い入れがあるということで、経済安保だけではありませんが、ディスインフォメーション、偽情報の問題がいかに、その脅威がいかに大きいかということについて、ちょっと御見識を御披露いただけたらと思います。

大野副大臣 ありがとうございます。

 見識があるかないかというのは別といたしまして、こうした、委員御指摘の悪意のある偽情報、ディスインフォメーションですけれども、やはり、自由、民主主義、あるいは法の支配といった普遍的な価値に対する重大な脅威であるということは、各位も政府もそういった認識をしておりまして、特に、安全保障に対するリスクというのはあり得るものだというふうに基本的には理解をしているところでございます。

足立委員 ちょっとあっさりめでありましたが、ありがとうございます。

 今まさに副大臣がおっしゃったように、いわゆるディスインフォメーションというのは、単に間違っている情報ということだけではないと思うんですね。間違い、いろいろな情報があります。民主主義の国ですから、いろいろな意見、いろいろな情報が飛び交っている、これはいいと思うんですが、まさに今、悪意とおっしゃったかな、そういう特定の目的をもって間違った情報を流通させる、流布させるということは大変問題があるわけであります。

 先ほど申し上げた、我が党の鈴木議員は、悪意はないと思うんですけれども、長年このロシアのことを取り扱ってきた関係でいろいろ御発言をされているわけですが、党としてしっかりそこは精査をさせていただきます。

 今日は、特定の目的をもって、意図をもって間違った情報を流布するということについて、やはりまず思い浮かぶのは証券取引の世界ですね。今日は、証券取引等監視委員会の齋藤次長に、ありがとうございます、お越しをいただいています。

 ちょっと、私も素人ですが、せっかくの機会ですので、金商法百五十八条に規定する風説の流布、この規定がどういう規定で、そして、これがどういうふうにエンフォースされているのか、御紹介をいただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、金融商品取引法第百五十八条には、何人も、有価証券の取引等のため、又は相場の変動を図る目的をもって、風説を流布することを禁止するという規定が置かれているところでございます。

 その趣旨でございますけれども、風説を流布すること、うわさ、合理的な根拠のない風評等を不特定又は多数の者に伝達することは、市場の公正性、健全性を阻害し、一般の投資家に不測の損害を与える可能性が生じるため、金融商品取引法で禁止されているものでございます。

 このような規定を踏まえまして、金融庁証券取引等監視委員会におきましては、特異な動きをする銘柄、取引形態に不自然さが見られる事例等について、一般から寄せられた情報や雑誌記事、インターネットに書き込まれた内容などを活用しつつ、幅広く取引状況の日常的な監視を行っているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 これ、監視というと、非常に難しいというか、監視といえば二文字なんですけれども、実際には多分、証取委にも一定の窓口があったり、窓口ですね、窓口が当然ありますね、それから、その窓口あるいは、窓口は一般の方からの窓口だとすれば、ふだんから証券会社とか取引所とか、いろいろなところと当然ネットワークがある。だから、そういうアウトリーチも含めた情報を収集して、その真偽を分析をしながら、場合によっては権力的な、要は罰するとかそういうことになるわけですね。刑事罰もあるわけですから。

 だから、この世界というのは、私、これから安全保障、経済安全保障の議論をするときに大変重要になってくると思うので今日は御紹介いただくわけですが、そういうその体制というかアウトリーチというか、どんな仕組みでその監視というのが実際にワークしているのか。これ、ちょっと通告できていたかどうか分かりませんが、御紹介できることがあれば、ちょっと皆さんに紹介をしていただければと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生御指摘のとおり、情報提供に関する窓口というものを設けて、一般の方からの情報の提供を受けるという体制を取ってございます。また、これも先生御指摘のとおり、例えば、取引所であるとか、自主規制機関である日本証券業協会であるとか、そういうところと緊密に連携をさせていただいているというところもございます。

 また、それとは別にインターネットの掲示板とか、そういうものを我々の方で見にいくというようなことも併せて、風説の流布をつかまえるためだけではなくて、様々な情報を得るためにということでございますけれども、そういう体制を取っておるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 そういうふうに、まさに金商法の世界ではそういう風説の流布、要は偽情報、ディスインフォメーションが、金商法でいえば相場の変動等を故意に動かすことを目的として合理的な根拠のない情報が流通することを取り締まっている、これがあるわけですね。ありがとうございます。

 そういうことを私は、経済安全保障、安全保障の世界でももっともっとやっていく必要があると思っています。そういうことを一生懸命総務省で検討されていると聞きましたので、辺見審議官、お越しをいただいています。ちょっと、総務省の取組を御紹介をいただければと思います。

辺見政府参考人 総務省におきます偽情報対応の対策につきましてお答え申し上げます。

 偽情報への対応といたしましては、まずインターネット上の情報をうのみにしないような利用者のリテラシーが必要でありまして、総務省としては、一般の利用者や小中高校の生徒に向けてICTリテラシー向上に向けた啓発を推進しているところでございます。

 また、令和二年六月には有識者やプラットフォーム事業者を構成員とする民間の偽情報対策に関するフォーラムが設立され、民間におけるファクトチェックの推進やリテラシー向上に向けた取組の推進について検討が行われているところであり、総務省も民間の自主的な取組を促進する観点からオブザーバーとして参加をしているところでございます。

 総務省としては、引き続き、利用者のリテラシーの向上を図るとともに、民間における偽情報対策の取組を推進してまいります。

足立委員 すると、ごめんなさい、総務省は、だから、今おっしゃったようなことだと、例えば政府の中で、政府として偽情報をどういうふうにマネージしていくかという議論ではないのかな。ないんですね。ちょっとそういう、政府としてどういう取組をするかということは、総務省の所管ではないのかな。ちょっと補足、お願いします。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 偽情報には様々なものがあると認識をしておりますが、いわゆるディスインフォメーションと言われる外国からの情報介入につきましては、外交や国家安全保障の観点を踏まえて政府全体で検討を進めていく事項と考えているところでございます。

 総務省といたしましては、外国からの情報介入の対策を直接に担当するものではありませんが、政府全体の連携の中で必要な協力をしてまいります。

足立委員 ありがとうございます。

 この話は私は大変重要な話、アイテムの一つだと思っていますので、また引き続きやらせていただきたいと思いますが。大臣はこれはいいですね。副大臣の話に尽きますね。さっき副大臣にお願いしたので結構ですが。

 しっかりと、情報戦に負けない、そういう国の体制をどういうふうにつくっていくのか。参議院、ほかの委員会でも官房長官に伺ったりしているようですが、まだ十分な、外務省もやっていればどこもやっているということかもしれませんけれども、これはまさに金商法で当局が、証取委がやっているような形で安全保障分野についてもしっかりとやっていく必要がある。その最たるものが、私たちはかねがね、情報機関が、インテリジェンスが足りないと言っているのはそういうことで、まさに小林大臣が、今回この法律を作られた、この法律を作ったんだから、この法律を施行せなあきませんね。この法律を施行するためには体制が要る。しかし、私が承知している限りは、今のNSSの経済班では全く足りないと思います。全く体制が足りない。

 また時間があったらこれはゆっくりやりますが、いろんな、例えば今回デジタル庁ができました、あるいは別の目的でNISCがあります、いろんな組織があるけれども、全部数百人規模でやっているわけです。私が承知している限り、小林大臣のところには数十人しかまだいらっしゃらない中で、この体制の整備をどうしていくかということは大変大きなテーマの一つであると思いますので、引き続き議論していきたいと思います。

 それから、先ほどうちの堀場委員がいろいろ大臣に罰則の話を申し上げましたが、これは我が党として本当にこだわっているんです。青柳委員も申し上げた。私も申し上げた。堀場委員も申し上げた。

 何でこれを申し上げるかというと、やはり違和感があるんですね。調査のところで罰則が取り下げられた、大臣、これは質問しませんから、今日はしませんが、本当に違和感がある。

 さっきも國重さんとちょっと立ち話をしていて、公明党さんは、対象が広いからといって削除されたわけですけれども、でも、例えば、元々罰則がある案が仮にあったとして、まあ、あったわけですけれども、罰則つきの調査権限の規定があったら、調査だって、ふだん、私も経産省にいましたから分かりますけれども、業界の方と日常的に交流しているわけです。だから、サプライチェーンに関する一定の知識があるわけです。

 だから、すぐれて零細なところにがさっと罰則をかけるんじゃないんです。ないと私は理解しているんです。だって、罰則つきの調査権限であれば、そんなもの、よっぽどのことがなければ発動しないですよ。文書で、この法律何条に基づく何とか調査をさせていただくということになるわけですよ。

 例えば、コロナの特措法で、休業要請とか時短要請に従わなかったときに、都道府県知事が何か命令する、命令に従わなかったら罰則、過料という議論がありましたね。あれも結局、数万という事業者に網がかかっているけれども、実際に東京都知事が発動したのはたしか数社ですよね。どうしても言うことを聞かないから、だから、聞いてくださらないから発動したわけです。罰則つきの調査権限って、そういうものだと思います。

 だから、私たちは、やはりこの罰則を落としたのは間違いであると。絶対にこの審議の中で、この罰則の箇所だけは何らかの議論、政府の頭をもう一回、政府・与党の頭をもう一回ちょっと戻していただく、そういう作業を絶対しなければ、我が党も独自案を作って、登壇までさせていただいてやっているわけで、ちょっとなかなか成仏できませんので、是非これはこだわってやっていくことをお誓いをしておきたいと思います。

 残り時間、済みません、またちょっと、経済産業委員会がまだ立ち上がっていないものですからやむなくこの内閣委の場所をおかりするわけでありますが、先日、市村部長にお越しをいただいて、今日もお越しいただいています。済みません。

 まず今日は細田副大臣に伺いますので、聞いておいていただいたらいいと思いますが、私はとにかく、党の提言で原発再稼働を打ち出しました。その背景は、サハリン2から撤退もやむなしということはあり得るわけです。私は、撤退、もうした方がいいと思います。その権益はどうせ中国が持っていくんだから、もったいないだろうという議論があるのも承知していますが、しかし、今の戦時下にあって、ロシアに経済制裁をするに当たって、いやいやといって、サハリンがつながっているとか、ドイツがつながっているとか、これではもう制裁になりません。だから、私はサハリン2は撤退をすべきだと思います。

 そうしたときに、原発再稼働したら、絶対すべきだと思うんだけれども、市村部長から先日も御紹介いただいたように、規制委員会の規制のフレームがあって、そこは、確かにいろいろ経緯はあるんだけれども、例えば、省令を改正してきた経緯もあるから、もう一回改正したらいいじゃないかと私は申し上げたけれども、しかし、私が市村部長の答弁を翻訳すると、いや、でも足立さん、それは需給の問題なんでしょうと。電力の需給の問題なんだから、それを、規制委員会がまずトリガーを引く、あの玉木さんの好きなトリガーじゃないですよ、本当の意味での一般的なトリガーですよ、誰がそのトリガーを引くんだと。

 日本維新の会はトリガーを引きましたが、野党だから力がない。でも、質問権があるので、発言権があるので、今申し上げているわけですが。

 すると、規制当局はそうなんです、やはりそれは、需給の問題だったら経産省じゃないのかと。これが市村さんの、そうは言わぬけれども、そんな感じですね。

 そこで、細田副大臣、細田副大臣また党の立場で、再稼働、いろいろ力を入れてこられた立場とは切り離して、それは切り離してでありますが、今申し上げた、需給が逼迫した際の安全規制の在り方というのを、需給が逼迫した際の安全規制の在り方というのは、経産省は、それは安全規制だから規制委員会の問題だろうと言う。規制委員会は、勘弁してくれ、推進と規制は分離しているんだから、話を混ぜないでくれと。それでにらめっこをして止まっているわけです。

 だから、どっちがトリガーを引くというのは、私はやはり経産省だと思うんです。本当は経産大臣に聞くべきだけれども、経産委が動いていないので、細田副大臣、誠に恐縮だけれども、これは政府内で一体誰が決めるんだ。是非、御見識をばあんと言っちゃってほしいんですけれども。お願いします。

細田副大臣 御指名ありがとうございます。

 まず、経済産業副大臣としてお答えをさせていただきますと、今御指摘ございました原子力発電所の安全規制については、独立した原子力規制委員会の所掌でございまして、私どもがその内容について意見を申し上げるべきではないというふうに考えております。

 他方で、当省としても手をこまねいているわけではなく、原子力発電所の再稼働が円滑に進むように、産業界に対して、事業者間の連携による安全審査への的確な対応の働きかけを行うとともに、また、国も前面に立って、立地自治体等関係者の理解と協力が得られるように、粘り強く取り組んでまいる所存でございます。

 ただ、電力の安定供給の確保、これは私どもが最終的な責任を負っているというふうに認識をしておりますけれども、当省といたしましても、あらゆる事態を想定しつつ、状況をしっかりと確認をし、需給の両面で必要な対策を検討してまいりたいというふうに考えております。

 是非、先生からも御指導、御鞭撻いただきますように、よろしくお願いいたします。

足立委員 頑張って御答弁いただいたと思います。今まさにあったように、電力の安定供給の責任は、これは経産省にある、役所でいうと。経産省にあるんだということを明確におっしゃいました。だって、法律にそう書いてある。だから、私はやはり、これは単に、にらめっこをしているだけではなくて、規制委員会は、これだけ私も市村部長にはもうお願いしておきましたから、だから経産省が動けば、心の準備はできているはずです、規制委員会も。

 ただ、これは経産省だけの問題でもないと思います。しっかりと内閣を挙げて、私たちの提言には、経産大臣にはお持ちしました、経産大臣に原発再稼働をお願いしたいということを持ち込みましたが、提言には内閣の判断でと。官邸も含めて、内閣が責任を持って、これはだって戦時なんだから、しっかりとそこについて対応していただく、これが必要だと思っています。

 せっかくなので、その関連の御質問もちょっとお願いしているので、細田さん、引き続き、いいですか。

 さっき私が申し上げたサハリン2、これは、ちょっと順序が逆転しましたが、サハリン2から撤退する可能性は私はあると思うんです。いや、私は即時撤退すべきだと思うんですよ。だって、イギリスのシェルとか撤退しているんだから。私は即座に原発再稼働した上でサハリン2は撤退するべきだと思いますが、そのサハリン2から撤退する余地、あるのかないのか、検討中なのか。お願いします。

細田副大臣 ありがとうございます。

 まず、我が国のエネルギー自給率というのは一〇%程度でありまして、残念ながらOECD諸国の中でも最低のレベルにあるという現実ですね。まず、この現実を冷徹に踏まえるべきだというふうに考えております。

 その上で、サハリン2につきましては、日本の総需要量の約九%のLNGを供給していること、また、現状のようなエネルギー価格高騰時には市場価格よりも安価に調達できることなどから、エネルギー安全保障上極めて重要なプロジェクトであるというふうに考えております。

 先生十分に御理解いただいていると思いますけれども、仮に我が国としてサハリン2から撤退をした場合に、例えば同レベルでの価格での代替調達が可能であるかといったような点、あるいは、我が国の権益をロシアや第三国が取得するようなことになった場合に結果としてロシアを利することになるのではないかという点がございまして、最終的に有効な制裁とならない可能性もあるという点、この点について是非御理解をいただきたいと思っております。

 エネルギー分野のロシアに対する制裁については、各国の事情、エネルギー安全保障の考え方に基づいて対応するということが、G7でも共有されている考え方であるというふうに認識をしております。

 いずれにせよ、サハリン2のプロジェクトについては、昨日発表されたG7の首脳声明においてロシアのエネルギーへの依存を低減させるため更なる取組を進めていくとされた方針も踏まえ、エネルギー安全保障の観点から、エネルギー構成全体の中で今後適切に対応してまいりたいと考えております。

足立委員 このエネルギー政策は、本当に奥深い、まさに外交安全保障、経済安保そのものでありますので、引き続きこの議論をしますが、私たちはこういう観点から原発再稼働をお願いをしているということでございます。

 あと、市村部長に一言と、ちょっと大臣にお願いしたいんですが、市村さん、せっかくお越しいただいているので、今日明らかにしたことは、今までは経産省と規制庁がにらめっこしていたわけです。でも、私が理解するところ、当たり前のことですけれども、細田副大臣が、電力の安定供給の問題は経産省が最終的な責任を持っているんだということを、当たり前のことですが、はっきりと私の質問の趣旨を踏まえて御答弁くださった。そういう意味では、やっと市村部長は私から解放されたわけでありますが、しっかり準備しておいてほしいんですよ、時間ないから。

 だから、経産省から、経産大臣から、あるいは総理から、あるいは内閣から正式に規制委員会に、安全を損なわないような形で対応できる方法はほかにないのか、そういうことを検討してくれと言われたら検討する、当たり前ですね、検討するということだけお願いします。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生既に御指摘いただいているように、稼働そのものについて規制委員会が論ずるという立場ではございませんけれども、これはあくまで一般論でございますけれども、政府あるいは事業者から何らかの議論の要請があって、それが規制に関するものということなのであれば、その議論に対してそれを拒否するということではないというふうに考えてございます。

足立委員 ありがとうございます。もうこれでしばらく国会に無理やり呼びませんので。

 今日いただいた御答弁を踏まえて、しっかりとまた党として活動を、各所と活動してまいりたいと思います。

 大臣、こういう、まさにエネルギーである原発再稼働、これは大臣の所管ではありませんが、まさに私は経済安保そのものだと思うんですね。ここで本当は大臣から、これはもう足立さんが言ったとおりだ、原発再稼働を内閣の一員として俺はやるべきだと思うと、言えないと思うんですけれども、何か言っていただきたいなと思って。お願いします。

小林国務大臣 エネルギーは、あらゆる経済社会活動の根幹だと考えています。これは、主要産業というのは幾つかありますけれども、その中でもエネルギー産業というのはほかの産業の基盤になるので、私は、国家戦略の根幹に当たる産業の一つだというふうに思っています。

 したがって、安定供給を確保するというのは当然だと思っておりまして、その上で、エネルギー政策は、安全性を大前提とした上で、安定供給、経済効率性、そして環境適合を同時に達成すべく取組が進められてきたと承知をしていますが、これらの要素全て満たす単一の完璧なエネルギー源というのはないと考えておりまして、一つのエネルギー源に頼ることはリスクが高いですし、危機時であっても安定供給を確保し続けるためには、原子力を含めたバランスの取れた供給構造を実現することが必要だと思っています。

 私は経済安保担当大臣という立場ですけれども、私としては、安定供給の確保を図る観点から、安全性の確保を大前提とした上で、原子力発電所の再稼働を着実に進めることが重要だと考えています。

足立委員 御答弁ありがとうございました。

 以上で終わりますが、今日、私はトリガーということを申し上げました。もう今日からは、玉木さんの言っているどうでもいいトリガー条項じゃなくて、本当に原発再稼働のトリガーは、政治が責任を持ってトリガーを引くんだと。政治が、経産省、内閣、官邸が責任を持って、日本の国民の生活を守るために原発再稼働、知恵を絞るんだというそのトリガーを政府がしっかりと引く、これが当面の政局の、政策の焦点であるとお訴えをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 まず冒頭、ロシアによるウクライナ侵略に強く抗議をいたします。また、ウクライナ国民の支援に当たっている多くの国々の皆様に敬意を表し、ウクライナ国民の皆様の下に一日も早く平穏な日々が戻ることを心から祈念を申し上げて、質問に入らせていただきます。

 またあわせて、本日の質疑なんですけれども、日本維新の会の皆様から三分間時間をいただいたことに感謝を申し上げます。

 また、先週まで森山理事にもいろいろ御配慮いただいたことにも感謝申し上げます。

 この三分間、貴重な時間として、しっかり使わせていただきたいと思います。

 今日は、ちょっと、数日前に時間変更になりましたので、通告は小林大臣のみになりますけれども、よろしくお願いいたします。

 今日、取り上げたいのは、特定重要技術の開発支援についてであります。法律で言うと、第四章関係になりますけれども。

 まず、この特定重要技術の定義について確認させていただきたいと思います。

 今日、これまでの議論の中でもありましたが、どういったものを想定しているのかというイメージも含めて御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 この法案の特定重要技術、これは法案の第六十一条に規定されているとおりでございますが、先端的技術のうち、当該技術若しくは当該技術の研究開発に用いられる情報が外部に不当に利用された場合又は当該技術を用いた物資若しくは役務を外部に依存することで外部から行われる行為によってこれらを安定的に利用できなくなった場合において、国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの、これは法文上の定義でございます。

 今、委員からイメージというお話がありましたので、具体例といたしましては、もちろんこれからいろいろ考えていくことになるんですけれども、有識者会議の提言におきまして、宇宙、海洋、AI、量子あるいはバイオといった分野が示される中で、議論の過程におきまして、衛星コンステレーションの技術、また、海洋分野でのセンシング技術が例示されました。それに加えて、このほか、例えばサイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術ですとか、AI処理などが可能なコンピューティング技術なども含まれ得ると考えているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 この六十一条に記載されているとおりの定義だということなんですけれども、私、この中に幾つか要素があると思うんですね。

 まずは、「先端的な技術のうち」ということで、先端的技術というものに限定がかかっていること。そして、「安定的に利用できなくなった場合において、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの」ということで、安定供給が損なわれた場合に何らかの安全を損なう事態が生ずる可能性があるものということなんですが、一言で言うと、非常に抽象的な定義でありまして、これから具体的なものは限定をかけていくんだと思うんですけれども、ここは非常に大事なところだと思いますので、しっかりこれから提示をしていただきたいと思います。

 例えば、アメリカを例に挙げますと、アメリカは二〇一九年に国防権限法という法律が改正をされまして、ここで十四の技術が輸出管理対象に新たに追加をされております。それは、ちょっと読み上げると長いんですが、例えばバイオテクノロジーですとか、AI技術ですとか、あとはマイクロプロセッサー技術ですとか、3Dプリンターとか、あとはドローンとかロボティクス技術とか、いろいろあるんですね。十四あります。これをよくよく見てみますと、必ずしも先端的技術、いわゆる最先端の、今ない技術ではないような印象も受けます。

 次の質問なんですが、この特定重要技術の定義に含まれる言葉の先端的技術、この先端的技術というものが、どの範囲、どういう定義なのか、この辺り、教えていただけますでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 法文上は、先端的技術、これも同様に第六十一条にございまして、「将来の国民生活及び経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的な技術」と定義しています。具体的には、先ほど申し上げた分野でいうと、AIですとか量子、我々のまさに将来の国民生活を支えていく技術というのがイメージです。

 今委員おっしゃったように、国防権限法、いわゆるエマージングテクノロジーを最初十四指定しまして、たしかそこから増えているはずですけれども、また、中国は製造二〇二五があって、それぞれ力を入れる技術分野というのがあります。日本でいえば、統合イノベーション戦略というものがあります。

 確かに、今委員御指摘の、アメリカの例えば十四分野を見ても、先進的技術だなとイメージにフィットするものもあれば、そうではないものもあろうかと思います、従来からの。ただ、あれは本当に大ざっぱなくくりであって、それをいかに細分化していくかということが恐らく重要であろうかと思っています。

 例えば、これはちょっと、この法案とは別に、半導体というふうに言ったときも、半導体、もう既に汎用品であったりしますけれども、半導体も、今のままで別に技術がとどまるわけではなくて、次世代半導体というのも各国がしのぎを削ってやろうとしているし、その先の、例えば光電融合技術みたいな話もあるし、そこだけ見ると決して新しいものではないかもしれませんが、それぞれの分野において更に進化した先の技術というのは想起し得るものだというふうに思っております。

 今後、こうした、アメリカと同じように、例えば十四、あるいはもう少し増えた程度でリストを作るかどうか、それは多分検討の余地があると思っておりまして、できる限りこの法案の中に、これも基本指針を作ることになるんですけれども、どういうものが特定重要技術に当たり得るのかというところは、有識者の方の意見も聞きながら、できる限り明確に定めていきたいと考えています。

浅野委員 具体的な事例も交えて御説明ありがとうございました。

 今、半導体を例に挙げられましたが、まさに、先端的技術という言葉を使うと、ともすると、今存在していない、あるいは今実用化に至っていない、比較的新しい技術分野という印象が強いわけですけれども、大臣が例示されたように、半導体などはまさに、半導体の技術なんというのは昔からあるんですけれども、これが数年おきに様々な技術改良を加えられてどんどん性能が上がっていって、それが今本当に安全保障上重要な技術になっているというものもありますので、先端的技術のうちという定義がついている以上は、この先端的技術の範囲をしっかりと明示をしていただいて、その上でこの指針を定めていただきたいと思います。

 産業界からしてみると、やはりどの範囲の中から選ばれていくのかというところが非常に重要ですし、それが予見可能性の向上にもつながりますので、是非お願いしたいところでございます。

 それでは、次の質問に移りたいと思うんですけれども、実は三問目に、特定重要技術の要件に先端的技術を加えた背景みたいなものをちょっと聞こうと思ったんですが、今のやり取りで少し解消しましたので飛ばさせていただきます。

 次の質問なんですが、今度はシンクタンクの話です。令和五年度までに創設することを目指している新たなシンクタンク組織について伺いたいと思います。

 今日の午前中の質疑を聞いておりますと、国内外の研究機関とのネットワークも活用しながら、技術動向であったり社会経済情勢などについて調査を行う機関というものを想定していて、ハブ機能を有する、ハブ機能のようなそういうシンクタンク機能をイメージしているというやり取りがありましたが、もう少しその辺り、整理をして教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

小林国務大臣 今、令和五年度に本格的に立ち上げることを目指しているシンクタンクなんですけれども、この法案に基づく委託調査を含めて、国内外の技術動向、社会経済動向、また安全保障など、多様な視点から科学技術・イノベーションに関する調査研究を行うものでございます。

 具体的には、国内外の研究機関などとのネットワークを活用した、今委員御指摘のとおりなんですけれども、先端的な技術をめぐる国内外の情勢や研究開発動向などに関する調査分析、そして政策提言機能、これが一つです。関係省庁や国内外の関係機関あるいは専門家と緊密に連携の上、様々な情報を集約するハブとしての機能、これが二つ目です。先端的な技術の動向などについて高度な知見を有する人材を確保、育成する機能、これも重要だと思っておりまして、これも三つ目の機能として位置づけておりまして、この三つの機能を、主な機能を発揮させたいというふうに考えております。

 これは今、委託調査をちょっと行っているところなんですけれども、なので、これは令和三年度、四年度の委託調査ですので、その委託調査も踏まえた上で具体的な形をつくっていくということになろうかと思いますけれども、いずれにしても、いきなりアメリカのランド研究所とかDARPAとか、そういう大きな研究所がどんと令和五年度に立ち上がるわけではない。当然、一歩一歩、時間はかかるかもしれませんが、一朝一夕になりませんが、着実に進めていきたいというふうに思っています。

 あくまで現時点でのイメージですけれども、数十人規模の専門家による体制からスタートをして、経済安保重要技術育成プログラムの実施に資する調査分析を中心に行い、また、段階的に、ネットワークの規模や活動内容、体制を充実させて、将来的には、連携する外部の専門家の方なども含めまして、例えば、百人を超える規模感で活動していくことが想定されるところでございます。

 今、何とか、令和四年度にかけてシンクタンク機能に関する試行事業、これを実施しているところでございますので、幅広い分野の情報収集、整理、また、経済安保の強化、推進の観点から、育てて守るべき技術を抽出するための調査分析を進めているところでもございまして、この事業の実績を踏まえて、令和五年度を目指して具体化を図っていきたいと考えています。

浅野委員 ありがとうございました。

 調査研究、そしてハブ機能、また人材開発、育成、こういった機能を有するシンクタンクということでありましたが、そういった要素を備えたシンクタンクをつくるというその心というのは私もよろしいと思います。必要だと思いますし、是非つくっていただきたいと思います。

 問題は、時間軸なんですね。

 アメリカとかヨーロッパのシンクタンクの動きを見ておりますと、最初は、それぞれそのシンクタンクを設立したときは、我が国が今まさにやっている、やろうとしているような、海外動向を把握して、技術潮流を把握して、そして、そこに対して自国のテクノロジーを戦略的に育てていく、こういう思想の下にシンクタンクをつくっているんですが、近年では、ちょっとその役割が変わり始めています。

 どういうふうに変わり始めているかというと、もう大臣御存じかもしれませんが、いわゆる米中貿易摩擦、覇権争いの中で、様々な経済的な制裁であったり、あるいは、いわゆるエコノミック・ステートクラフトと呼ばれるような、経済的な取組で自ら有利な環境をつくり出す、そういう経済的戦術というんでしょうか、これが国際的にも多くなってきております。

 ですから、最近のシンクタンクの役割としては、技術を育てる勘どころを押さえるという機能にとどまらず、どんなリスクがあるのかを分析をしたり、あるいは、どういう攻め方が一番効果的なのかという戦術を自ら考え出すような領域に足を踏み入れ始めています。現実問題、アメリカのNECでは、そういった領域にまで活動の幅を広げようとしているという話も聞いております。ですので、ちょっと、我が国もスピード感を持ってこのシンクタンクの整備を進めていかなければいけません。

 次の質問なんですが、じゃ、シンクタンクをつくるのはいい、ただ、先ほどハブ機能を有するともおっしゃっておりました、ハブ機能というからには、そのハブの先がつながる幾つかの組織だったり研究機関があるはずなんですけれども、シンクタンク機能を補い得る組織というのは現状存在しているんでしょうか。どういったものがあるのか、是非御紹介いただきたいと思います。

小林国務大臣 この法案におきまして、いわゆるシンクタンクの要件といたしまして、先端的技術に関する内外の社会経済情勢、そして研究開発の動向の専門的な調査研究を行う能力を有すること、これが一つです。先端的技術に関する内外の情報を収集し、整理し、そして保管する能力を有すること、これが二つ目。三つ目として、内外の科学技術に関する調査研究を行う機関、あるいは科学技術に関する研究開発を行う機関その他の内外の関係機関と連携する能力を有すること、また、情報の安全管理のための措置を適確に実施するに足りる能力を有すること。幾つか要件が定められています、この能力につきまして。

 個別の分野についてこうした能力を一定程度有する調査研究機関は国内にも存在すると承知をしています。例えば、JST、科学技術振興機構にあるCRDS、研究開発戦略センターや、NEDOのTSC、技術戦略研究センター、こうしたものが一応シンクタンク機能に関する検討結果報告書では列挙されています。

 ただ、他方、こうした機関だけでは、経済安全保障上の政策ニーズに対応した技術の探索や重要技術の絞り込み、これは委員が、そこは見極め、目利きと言ったところですけれども、それに加えて、政策立案に資する提言、これはリスク分析というのも入ってくると考えています、こうした機能を実現するのは、そうした今私が申し上げた機関だけだと困難だというふうに思っておりまして、既存の様々な機関とも連携しながら、多様な視点から調査分析を行う新たなシンクタンクを立ち上げることが必要であると認識をしているところであります。

浅野委員 ありがとうございます。

 私も同じ認識でありまして、やはり、既存の、JSTですとかNEDOとか、あるいは国際問題研究所だけでは、我々、これから必要となるシンクタンク機能の全てをカバーすることはできないのではないかという懸念を持っています。そういう意味で、シンクタンクをつくること自体に反対はいたしませんが、問題は、やはりその実効性、組織的にちゃんと総合力を発揮できるような形にできるのかどうかというところも重要だと思います。

 例えば、JSTとかNEDOの任務というのがどういうものかというと、やはり、JSTでいうと、いわゆる科学技術・イノベーションを生み出して、世の中の、日本の技術水準を上げていくことですし、NEDOに関して言えば、社会の変化に応じて実行性のある提言を行い、また技術の社会実装を促す、こういった観点なんですけれども、ただ、経済安全保障ですので、安全保障の観点、経済安全保障の観点を持って日頃からあらゆる活動をしていくことというのが非常に大事なんだと思います。

 そういう点で、一つ御提案を申し上げたいのは、新たなシンクタンク組織は、やはり、その重要性を考えれば、経済安全保障を組織目的とする組織として設立するのみならず、そこと関わるあらゆる組織に対しても経済安全保障の観点を組織目標に加えて、一体的に動けるような仕組みづくりをするべきだと思うんです。

 イメージとしては、まさに米国のDARPAのような、国家安全保障を主なミッションとした中核組織、そして、そことつながる、あらゆる、例えばランド研究所や全米科学アカデミーもそうでしょうけれども、やはりそれぞれが経済安全保障あるいは国家安全保障という一つの目標を持って活動しているからこそ一体性が発揮できるんだと思うんですね。

 この辺り、各組織の組織目標にも目を配っていただいて、しっかりと機能するようにしていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 世界各国で様々なイノベーションが進展するとともに、社会に対する脅威、これも多様化している中で、様々な脅威に迅速に対応するには、安全保障の視点も含めて、幅広い政策ニーズの把握、また技術情報の収集、整理、分析が重要と考えています。

 委員御指摘のとおり、全ての関係者間で課題意識ですとか目標を共有するという観点からは、恐らく一つの組織の下で関係者が調査分析することが理想的なんだと私も思います。ただ、それはそう認識はしているんですが、様々な分野における最新の情報ですとか知見の収集というのを、今の時点で、本当に近い将来、一つの組織で行うことはなかなか難しいんじゃないかというふうに思っているんです。

 そういう観点から、新たなシンクタンクにおきましても、政策当局や既存の研究機関などと連携をし、先ほど来話に出ているネットワークのハブとなりながら、多様な政策ニーズを踏まえた重要技術の検討を行うことが必要と考えています。

 ただし、このハブというものが、ずっと一定の規模でいいかというと、恐らくそれは、やはり少しずつ強化をしていかなきゃいけないと思うんです。これも多分、恐らく大きくすればいいというものでもなくて、アメリカの、例えばそういう主要な研究機関を見ていると、ある意味、新陳代謝をやった方が新たな視点を取り込めるということもありますので、規模を大きくすればいいというわけじゃないんですけれども、恐らく最初はそれほど大きなハブにはならないので、そこを、でも着実に大きくしていくという努力は必要だと思っています。

 やはり、今委員から幾つか具体的な名前が出ましたけれども、海外の機関における企画立案プロセスですとか、あるいは組織目標、あるいは人材システムの好事例なども参考としながら、この調査研究をリードする優秀な人材の確保ですとか、産学官の人的ネットワークの構築を含めて、具体化を進めていきたいと考えています。

浅野委員 では、引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。

上野委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の経済安全保障推進法案において、経済安全保障とは何を指すのかと三月十七日の本会議で私が質問したのに対して、岸田総理は、例えば、基幹インフラ事業を対象としたサイバー攻撃が多発している、基幹インフラ事業の安定的な実施が妨げられた場合、国家及び国民の安全が損なわれる事態が生じるおそれがある、こう答弁されました。

 そこで、冒頭、小林大臣に伺いますが、本法案の第三章の、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度というところにある妨害する行為というのは、どういうことを想定しているんでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 この法案の基幹インフラに関する制度におきまして、防止を図る特定妨害行為というのは、特定重要設備の導入又は重要維持管理などの委託に関しまして、我が国の外部から行われる特定社会基盤役務の安定的な提供を妨害する行為を指しております。

 この特定妨害行為の内容を網羅的にお示しすることは難しいですけれども、この妨害行為には、例えばサイバー攻撃などの電磁的な方法、これが主に想定しやすいところではあるんですけれども、それだけではなくて、物理的な方法によるものも含まれるところでございます。

 特定妨害行為の具体的な内容に関する事項につきましては、閣議決定する基本指針においてお示しする予定でございますけれども、例えば、外国政府などが特定重要設備の供給者からその設備の脆弱性に関する情報の提供を受けて、その脆弱性を利用してウイルスに感染させることですとか、あるいは、例えば、外国政府などの指示を受けて、特定重要設備の供給者がその設備にあらかじめ不正プログラムを埋め込んで、そのプログラムによって設備を停止させることですとか、あるいは、例えば、重要維持管理などの委託を受けた者が外国政府などの指示を受けて、その委託を受けた重要維持管理などの業務を放棄することで設備の機能を失わせる、こうしたことによって特定社会基盤役務の安定的な提供を妨害する行為を想定しているところでございます。

笠井委員 今答弁を伺っていて、サイバー攻撃だけではなくて、例えば、不正機能が埋め込まれた製品購入だとか、あるいは設備導入時に不正機能を埋め込まれることなども想定をして、そして設備の導入、維持管理等の委託を事前審査するということだと思います。こうした取組は、全くこれからというんじゃなくて、既に政府調達において実施をされている。

 本法案の前提となっている、経済安全保障法制に関する有識者会議による経済安全保障法制に関する提言というのは私も読みました。そこの十七ページで、これまで政府は、IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せというものを策定したと。

 IT調達申合せということでありますが、この調達申合せは、サーバー装置、パソコン端末、複合機、システム開発などの調達だとか、あるいは維持管理の委託に関して、サプライチェーンリスクへの対応を含めた、サイバーセキュリティーを確保するための取組、こういうふうにされております。

 そこで、内閣官房に伺います。NISCですかね。これは何を目的とした申合せなんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 複雑化、巧妙化するサイバー攻撃に対して、サイバーセキュリティー対策を向上させるためには、サプライチェーンリスクについてもより一層の対策が必要であり、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準においても、機器等に不正な変更が加えられない管理がなされていることの確認を遵守事項としているところでございます。

 この確認をする具体的な手段の一つとして、政府機関等において特に防御すべき情報システム、機器、役務等に関する調達の基本的な方針及び手続について関係省庁での申合せを行い、講ずべき必要な措置について明確化したものでございます。

笠井委員 この調達申合せが対象とする政府機関等というのはどうなっているかということなんですが、最初に公表された二〇一八年十二月十日の時点と、それから直近の数字でいいと思うんですが、それぞれの対象とその数について報告していただきたいと思うんです。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年十二月十日に申合せを行った時点においては、国の行政機関二十三機関を対象としておりました。その後、新設された国の行政機関や独立行政法人等を加え、現在は、国の行政機関二十五機関、独立行政法人八十七法人、サイバーセキュリティ基本法に定める指定法人九法人、合計百二十一の機関、法人が申合せの対象となっております。

笠井委員 この調達手続で、「内閣サイバーセキュリティセンター及びデジタル庁に対して、講ずべき必要な措置について、原則、助言を求めるものとする。」というふうにされております。

 二〇一九年度と二〇二〇年度の助言の実績の件数というのは、それぞれどうなっているでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 申合せに基づき、政府機関等からは、調達予定のIT製品や役務の委託先等について照会がかけられ、内閣サイバーセキュリティセンターでは、それぞれの照会に対して、サプライチェーンリスクを軽減する観点から助言を行っております。

 平成三十一年度及び令和元年度においては、調達予定のIT製品や役務の委託先等に関する千九百五十二件の照会に対して助言を行い、そのうち八十三件については、サプライチェーンリスクの懸念が払拭できない製品等が含まれているものとして、製品の交換やリスク軽減策等を助言をしているところでございます。

 また、令和二年度においては、同様に三千五百十五件の照会に対して助言を行い、そのうち百九十件については、サプライチェーンリスクの懸念が払拭できない製品が含まれているものとして、製品の交換やリスク軽減等を助言をしているところでございます。

笠井委員 当初と比べると対象が五倍以上に拡大をして、助言実績は、今伺うと、一・八倍に増大しているということだと思います。

 助言とはいいますが、「原則、助言を求めるものとする。」とされているわけで、実質的にはこれは事前審査だと思うんですね。

 この調達手続について、「サイバーセキュリティ確保の観点から、仕様条件の決定、製品及び役務を提供する事業者の選定のために必要な情報を、リクエスト・フォー・インフォメーション(RFI)及びリクエスト・フォー・プロポーザル(RFP)等により取得することとする。」というふうにこの手続に書いてありますけれども、これらが求めているのは何に関する情報なんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 調達する情報システム、機器、役務等の提供事業者及びその製品、役務について、サイバーセキュリティー確保の観点から、仕様条件の決定、製品及び役務を提供する事業者の選定のために必要な情報を取得することとしておりまして、例えば、情報システムを構成する機器のリストや委託先、再委託先のリストが該当すると考えております。

笠井委員 内閣サイバーセキュリティセンターの資料を拝見しますと、助言実績件数というのは、懸念なしと懸念ありというふうに明確に区分されております。それで、先ほども答弁でありましたけれども、二〇二〇年度でいえば懸念ありというのが百九十件、それから当初の場合が八十三件というふうにおっしゃいましたよね。そういう八十三件とか百九十件の判断基準というのは何なんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 サプライチェーンリスクの具体的な懸念として、例えば、機器等の製造工程で不正プログラムを含む予期しない又は好ましくない特性を組み込まれるということを想定した場合、こうした不正な変更が行われないためには、機器等の製造工程における不正行為の有無について定期的な監査が行われていること、機器等の製造環境にアクセス可能な従業員が適切に制限され、定期点検が行われているといった管理体制が確保されている必要がございます。

 その他、様々なサプライチェーンリスクを想定し、また、国内外のサイバーセキュリティーに関する情報を幅広く収集、分析することにより、サプライチェーンリスクの懸念に係る判断を行っているところでございます。

笠井委員 今おっしゃっているのは、明確に判断基準というのを設けているんですか。基準はどこかに書いてあってやっているんでしょうか。

吉川政府参考人 政府機関等の対策基準策定のためのガイドラインというものがございまして、ここに先ほど申し上げたようなことを記載しているところでございます。

笠井委員 懸念の有無、あるいは懸念が払拭できない場合というのは、具体的には一体どんな場合なのか。今実際に運用している制度なので、もうちょっと具体的に言っていただけるといいんですが、どうでしょうか。

吉川政府参考人 サプライチェーンリスクの懸念に係る評価の実績については、これを明らかにすることにより、政府機関等の情報システムの機能、性能や構成、ひいてはサイバーセキュリティー上のリスク、また脆弱性等が推測されるおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただければと思います。

笠井委員 これは、特定の企業や機器、あるいは特定の国を排除するというのを目的としたものなんですか。それとも、そうではないのか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度は、特定の国、特定の企業を排除することを目的としたものではございません。

笠井委員 特定の企業や機器、国を排除するものではないというわけですけれども、具体的に明らかにするとそれは問題が起こるので言わないということで、どんな判断基準でどんな審査かということは言えないということなんですね。そうすると、まるでブラックボックスになってしまうのではないかという問題があると思います。

 総務省に伺います。

 5Gの開設方針を決める総務省の、第千六十回になるんですかね、電波監理審議会、二〇一八年の十二月十四日だと思うんですけれども、これにおいて、この調達申合せを受けて、どの国の製品を使用禁止すべきという意見が出されて、それに対してどう対応するというふうに総務省側は述べたんでしょうか。

野崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年十二月十四日開催の第千六十回電波監理審議会におきまして、総務省からは、セキュリティーリスクで中国製の設備は使用禁止すべきという御意見につきましては、サイバーセキュリティー対策が現在非常に重要であるということに加えまして、去る十二月十日に政府調達に係る政府申合せ等が申し合わされたことも踏まえまして、こちらについても留意すべきと修文させていただくことを予定しておりますと説明申し上げております。

笠井委員 今答弁ありました、実際に5Gの電波割当てに当たって、特定基地局の開設指針は修文をされることを予定されるとありましたけれども、修文されて、大手通信キャリアの四社、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは中国製品を使わない方針を固めたということでありまして、特定の国を排除するものではないというわけですが、これが申合せの結果であることは間違いないのかなと思います。

 そこで、二〇二一年七月六日にこの調達申合せというのは改正をされております。内閣官房、NISCですかね、伺いたいと思うんですが、ITサービスの外部委託について、申合せによる信頼性の確認を強化というふうにありますが、これはどんな内容になるんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 ITサービスの外部委託には、ITシステムの保守管理、情報処理や情報管理等様々なサービスがあり、また、こうした様々なITサービスは、委託、再委託、再々委託といったサービスのサプライチェーンにより提供されるものも多いものと認識しております。

 こうしたサプライチェーンについては、サプライチェーンを構成する委託者の各々について信頼性が確保することにより、サプライチェーン全体の信頼性もまた確保されるとの認識の下、サプライチェーンを構成する委託者全てについて確認を行うという強化をしたところでございます。

笠井委員 今、幾つか伺ってきたんですが、小林大臣、聞いていらっしゃったと思うんですが、最初は対象を政府調達に限定して、こうやって始まってきて、やっているということなんですけれども、この助言という名の事前審査の判断基準は、ある意味はっきりしない。審査内容も広げて、今答弁ありました、外部委託の再あるいは再々委託先も確認するようになっている。

 そうしますと、そうしたことをやってきた上に、本法案というのは、このやり方を民間の基幹インフラにも広げるというものだと思うんですね。判断基準も審査内容も明らかにしていないで、政府の恣意的運用がまかり通っていくということにならないか、下請、取引先企業をある意味選別、監視することになるんじゃないかと思うんだけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 この法案の基幹インフラに関する制度は、指定された基幹インフラ事業者が行う重要設備の導入や維持管理などの委託について事前審査をして、当該設備が外部からの妨害行為の手段として使用されるおそれが大きい場合に、基幹インフラ事業者に対して妨害行為を防止するために必要な措置を講ずることを勧告などをするものでございまして、御指摘のございました、下請、取引先企業を選別したり監視するものではございません。

 この審査に当たっての考え方などにつきましては、閣議決定する基幹インフラに関する基本指針などにおきまして可能な限り明確に定めていく予定でございますが、審査は重要設備の導入の都度、設備ごとに行うものでございまして、相手方が特定の下請あるいはその取引先企業であることのみをもって、妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいかどうかを機械的に判断することは想定しておりません。

笠井委員 可能な限り明確に定めるとは言われるんですけれども、企業にとっては、予見可能性ということでいうと本当に見えてこない、ないというふうな制度になってくる。そういう意味では、政府の顔色をうかがえ、そして情報が欲しいというものになってくるんじゃないかという問題が出てきます。

 そうなりますと、藤井元室長をめぐっても問題になっているような官民癒着の温床にもそこからなりかねない。情報欲しいよねと言ったら、どうなっているのという話になって、そこのところがそうならないというふうにはっきり言えるでしょうか、大臣。

小林国務大臣 済みません、先生の御指摘のことがちょっとのみ込めているかどうか分からないんですけれども。

 そもそも法案のたてつけとしましては、できるだけ予見可能性を担保しなければいけないというふうにこの委員会でも再三申し上げておりますけれども、この法案が仮に成立したのであれば、基本指針始め下位法令に定めるものにつきましては、産業界を含めた有識者の方々としっかりと意見交換をした上で定めていくことになりますので、そこはできる限り予見可能性を高めて、明確にしていくように努めていきたいと考えています。

笠井委員 実際やってきたことが、政府調達をめぐっても、結局、判断基準というのを明らかにしたら逆に問題が出てくる、差し障りがあるからそれは具体的には言えないんだという話になると、企業にとっては本当に予見できないという状況になって、どうしたらいいんだろうかと。だって、それにかけてやろうとしたときに、駄目かもしれないけれどもいろいろな準備してとかということが出てきますから、そういう問題になってくると思うんですね。だから、たてつけの問題というふうに言われるんだけれども、実際に、じゃ、この法律が通って、そしてこういう制度が動いたときにはどういう問題が起こるかということはしっかり見なきゃいけないんだろうというふうに思います。

 それから、今、総務省なんかでいうと、特定の国排除という話、中国という話があったわけですが、そういうことについて、日本の主体的な判断なのかどうかということも大いに疑問に出てくると思うんです。

 そこで、防衛省に伺います。

 二〇一九年の四月十九日の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の行われた後の記者会見で、シャナハン米国防長官代行は、日本に関わって、もちろん2プラス2ですから日米なので、日本の政府調達の取組についても言及をしておりますが、シャナハン米国防長官代行は、2プラス2を踏まえて、その結果を踏まえての日本の政府調達の取組について何というふうに言っているでしょうか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年四月十九日の日米安全保障協議委員会共同記者会見におきまして、シャナハン・アメリカ国防長官代行は、政府調達に関しまして、以下のように述べられております。

 大きなリスクを有する5G企業から日本の通信会社のネットワークインフラを守るための政府調達における制限と、サイバーセキュリティー基準の遵守を通じた日本の取組を認識し、感謝いたします、このように述べられたと承知しております。

笠井委員 今、紹介がありました。

 伺いますが、5G企業から日本の通信会社のネットワークインフラを守るための政府調達における制限というふうに言われていますが、何を制限したということを指しているんでしょうか、これは。

春日原政府参考人 アメリカ側の御発言そのものについて、私どもとして解釈を申し上げる立場ではございませんけれども、ちなみに、私どもの、日本側の取組としてどのようなことをやっているかということについてお答えを申し上げたいと思います。

 政府調達につきましては、サプライチェーンリスク対策といたしまして、先ほど来議論にもなっております、IT調達に関する申合せが行われている。これを受けまして、防衛省では、申合せの措置を基本といたしまして、各種の装備品、それから一般的な事務用機器などのITを利用した製品、それからそれに係る役務も含めまして、機器などの重要性に応じまして、リスクの確認、それから監査の受入れ、それから機器の仕様に係る防衛省への協議など、こういったところを仕様書などにおいて企業に求めるといった対応を取っておるというところでございます。これが私どもの取組でございます。

笠井委員 そういう日本側の取組、防衛省の取組があった、それに対して、シャナハン氏が、政府調達における制限ということで、それを含めて感謝をした、そういうことをやっているのを感謝したというふうなことなんでしょうか。

春日原政府参考人 重ねて申し上げますけれども、アメリカ側の解釈そのものにつきまして、私どもとしてお答えする立場にはございません。申し訳ございません。

笠井委員 解釈する立場にないけれども、日本側としては取組がこういうことをやったということで、それに対するやり取りだということを理解したということで私も今聞いたんです。

 そうしますと、当時のトランプ米政権は、アメリカ・ファースト、自国第一主義の立場から、中国との覇権争いに勝利するために、二〇一七年十二月の国家安全保障戦略及び二〇一八年八月十三日の二〇一九年度の米国防授権法に基づいて、中国のファーウェイ等の排除を、米英豪など機密情報を共有し合うファイブアイズ、あるいは同盟国などに呼びかけていたという状況です。

 先ほどの調達の申合せというのは二〇一八年十二月十日。そうしますと、米国の要請に迅速に応えて、四日後に、先ほどの総務省ですが、中国製品はリスクだと対応しているということに流れとしてなります。だから感謝されたというのが経過ではないか、経過を見ますとそういうふうに理解できると思います。

 それだけではありません。二〇一九年四月十九日の2プラス2ですが、サイバー攻撃への対処を確認しているわけです。

 防衛省に伺いますが、二〇一九年度版の防衛白書には、何を確認したというふうに書かれているでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の部分を紹介させていただきます。

 二〇一九年四月には、日米2プラス2が開催され、サイバー分野における協力を強化していくことで一致し、国際法がサイバー空間に適用されるとともに、一定の場合には、サイバー攻撃が日米安全保障条約に言う武力攻撃に当たり得ることを確認している、かように記載しております。

笠井委員 サイバー攻撃が日米安保条約に言う武力攻撃に当たり得るということであります。

 この年、同年の四月二十五日の参議院外交防衛委員会で、我が党の井上哲士参議院議員の質問に、当時の岩屋毅防衛大臣はこういう趣旨で答弁されています。

 サイバー攻撃であっても、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により組織的、計画的に行われていると判断される場合には武力攻撃に当たり得る、自衛隊は必要な武力を行使することができる、必要な武力の行使として物理的な手段を講ずることが排除されているというわけではありません、ここまで明確に言われたわけです。

 極めて私はこれは重大だと思うんです。

 米国は、二〇一八年九月の国家サイバー戦略で、前方防衛というふうに形容して、先制攻撃でより決定的な打撃力を持つ戦力を構築するということで、同盟国と協力を促進するということを掲げております。

 そこで、小林大臣に伺いますが、米国のサイバー戦略と一体に自衛隊が必要な武力を行使できるとなれば、これは世界の緊張を高めるだけではないかと思うんですが、そこまで踏み込んでやるということになれば。いかがでしょうか。

小林国務大臣 私は、今、経済安全保障担当大臣という立場でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

笠井委員 サイバー攻撃、この冒頭からやっていますけれども、テーマになっていることの関わりで、結局、行き着く先はそういうことも出てくるという話なので、この法案担当の大臣ですから、答弁できないというのはおかしいと思うんですよ。当然、そのことについて、先ほども、直接担当でないところについても、エネルギーの問題なんかについても、大臣としてはこうだというお答えもされている。いかがですか。

小林国務大臣 その点につきましては、防衛省におきまして、サイバーセキュリティーに関する検討を今行われているものと承知しています。

笠井委員 この推進法案を通したときに、そういう事態について起こったときどうするのかというのは、法案担当大臣としての大きな責任があると思います。

 現に、日米間では経済だけ話し合っているんじゃなくて、経済と軍事を一体に対応する、こうやって話し合って確認までしているわけですね。大臣も国会で答弁しているわけですよ、武力攻撃ということで。まさにそういう事態になるということについて、法案審議のときに、それは別の大臣ですから私担当ではありませんということでは、本当に責任を果たせないということを強く言っておきたいと思います。

 二〇二一年四月に菅・バイデン両首脳で合意した日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップというのがありますが、そこには、日米両国のサイバーセキュリティー能力を構築しつつ、これまで成功してきた第三国における日米協力を基礎としてというふうにあります。これは何を指しているのでしょうか、経産省。

江口政府参考人 お答えいたします。

 委員御質問の、これまで成功してきた第三国における日米協力といたしましては、例えば、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構産業サイバーセキュリティセンターが米国政府との間で実施をいたしました、産業制御システムに関するサイバーセキュリティー演習が挙げられるというふうに考えております。

 本件は、インド太平洋地域におけるサイバーセキュリティー対処能力の向上と各国との連携強化を目的としたものであり、経済産業省といたしましては、インド太平洋地域を始めとする第三国において、引き続き、米国との連携を図り、サイバーセキュリティー能力の向上に寄与してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

笠井委員 二〇一七年四月に発足したIPAの産業サイバーセキュリティセンター、これは人材育成中核拠点を自称をしているわけですが、財務省主計局は、講義を受ける受講企業の大半は大企業だというふうにしております。

 そこで、経産省に伺いますが、この組織が二〇一七年度から実施している中核人材育成プログラムで、特別講義として米国から招聘した講師というのは誰で、どういう肩書の人ですか。

江口政府参考人 お答えをいたします。

 産業サイバーセキュリティセンターの中核人材育成プログラムにおきまして、今年度、二〇二二年一月に実施をいたしました特別講義で米国から招聘した講師は、元米国国家安全保障省長官兼サイバー軍司令官で、現在は米国アイアンネットサイバーセキュリティー社のCEOを務めておられますキース・アレキサンダー氏でございます。

笠井委員 米国家安全保障局の元長官で米国サイバー軍の初代司令官、キース・B・アレキサンダー氏ということですが、それ以外にもこの間いますよね。

江口政府参考人 お答えをいたします。

 そのほかにも、今年度ではございません、過去でございますけれども、デニス・ブレア氏、これも軍の関係者であったと記憶してございますけれども、特別講義として招聘したことがあったというふうに記憶してございます。

笠井委員 アメリカの政府、軍関係者が講師ということで、IPAは既に米国政府、サイバー軍と密接な関係にある。

 経産省が二〇一八年に実施したASEAN等に向けての日米サイバー共同演習に日本から参加した受講生というのは、IPAの中核人材育成プログラムの八十三名でありますが、これは米国国土安全保障省、DHSが持ち込んだプログラムで、日米首脳会談でもインド太平洋構想の重要な取組として称賛されたものであります。

 こうした流れは最近どうなっているか。

 岸田総理は、今年一月二十一日の日米首脳テレビ会談後の記者会見で、中国について、一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対する、そして諸課題について緊密に連携していく、こうしたことで一致いたしましたというふうに述べておられますが、外務省、ここで言う経済的威圧というのは何を指すんでしょうか。

岩本政府参考人 経済的威圧につきましては、必ずしも明確な定義があるわけではございませんが、一般的には経済的手段による他者に対する威圧と理解されているものと承知しております。

 その上で申し上げますと、中国の経済分野の対外的措置をめぐりましては、近年、国際社会から様々な形で問題視する声が上がっております。

 例えば、昨年十二月、EUは、台湾と関係強化を進めているリトアニアからの輸出品が中国の税関を通過できていないとの事例につきまして、経済的威圧に該当するかどうか評価する姿勢を示していると承知しております。

笠井委員 この経済的威圧、威圧的な経済施策に反対するという文言ですけれども、日本政府と他国政府の合意あるいは声明というのは、いつが最初で、何回ありますでしょうか。

岩本政府参考人 この経済的威圧について、様々な国との間で問題意識を共有してきているところでございます。

 委員お尋ねの、いつが最初ということにつきましては、申し訳ございません、手元に資料がありませんので、はっきりはいたしませんけれども、例えばですが、つい最近になりますけれども、岸田総理がインドを訪問された際にも、日印の首脳の間でもこの経済的威圧についての問題意識を共有しておりますし、その他、様々な国との間で同様の議論を行っているところでございます。

笠井委員 先ほどの答弁では、経済的威圧というのは一般論で言えばという話があって、例えばということでリトアニアの話もされましたが、総理自身が首脳テレビ会談後の会見で、経済的威圧に反対、この言葉だけを言われるということになるわけですね。

 そうすると、個別具体的な行為を指しているのかという問題が出てきて、私、この間ずっと調べてみると、二〇二一年四月十六日の日米首脳会談から始まって、これまで二十三回この言葉が使われている、外交で表明をしているということだと思うんですが、やはり具体的な行為も示さずに、特定の国だから、とにかく気に入らない、反対するみたいな話になっているということではないかというふうに思いました。

 そこで、一月二十一日の日米首脳会談では、中国を名指しして経済的威圧に反対することで一致して、経済の安全保障について緊密な連携を確認をして、そして閣僚レベルの経済版の2プラス2という立ち上げに合意をしたということになっております。

 小林大臣、これを日本国内で推進するのが本法案というふうに理解してよろしいんでしょうか。

小林国務大臣 お尋ねにお答えしたいと思います。

 日米経済政策協議委員会、いわゆる経済版の2プラス2でございますけれども、これは我が国の外務大臣と経済産業大臣、アメリカの国務長官と商務長官を構成員としておりまして、今後、日米競争力・強靱性パートナーシップ、いわゆるコアパートナーシップに基づく各種協力の推進ですとか、またインド太平洋地域、また国際社会におけるルールに基づく経済秩序の確保などにつきまして、戦略的観点からハイレベルで幅の広い議論を行っていくものと理解をしております。

 この会合におきまして、経済安全保障に関わる事項が扱われる場合には、私の立場からも外務省や経済産業省に対して必要に応じてインプットをするとともに、連携を図っていく考えではございますが、この2プラス2と経済安全保障の法案につきましては、直接の関係はございません。

笠井委員 この2プラス2、経済版の2プラス2というのは、経済安全保障が扱われる場合にはということですが、これは扱うというふうになっているんじゃないんですか。それはやらないんですか。

 つまり、日本では一方で、ちょうど同じタイミングで国会が一月十七日から始まって、この2プラス2、経済版の2プラス2を確認したのが一月二十一日ですから同じ頃なんですけれども、日米の間で、経済安全保障についてやろうね、そして更にということで経済版2プラス2を立ち上げようね、こういう話をしているということなんですが、当然、私、ここの中では経済安全保障の話が議題になるというふうに、前提になっているんじゃないかと思うんだけれども、それをまた国内でどうするかというのが、この経済安全保障の推進法案という位置づけで今国会に提出されているんじゃないかと理解しているんですが、違うんですか。

小林国務大臣 2プラス2の枠組み自体につきましては、外務省を始め関係省庁に聞いていただければと思いますけれども、この法案そのものの位置づけにつきましては、経済安全保障全てではありません。

 経済安全保障というのは多岐にわたる課題でありまして、そのうちの一部を今回この法案という形で、この四項目についてもいろいろお尋ねがありますけれども、端的に言うと、喫緊の法整備を要する課題で分野横断的なもの、特に外部脅威が高まっている中でそれに対応するというもので、自律性の強化の観点からは支援メニューとして二つ、サプライチェーンと技術協力の話、また規制のメニューとしては、基幹インフラの信頼性、安全性の確保、また特許の非公開化ということでやらせていただいていることでございます。

 したがいまして、この経済版2プラス2は直接関係がないということと、あと、先生に申し上げたいのは、経済安全保障そのものは、別に特定国を念頭に置いてはおりません。むしろ、相手国が、アメリカと中国の話が出てきましたが、そうした米中を含めた他国の動向がどうこうというよりも、まずは自らの自律性と不可欠性を高めていって、我が国としての強靱性を高めていくというところに狙いがあるというふうに理解していただければと思います。

笠井委員 特定国は念頭でない、日本の国益のためと、この間も、今日も随分また言われていましたが、そう言いながら、結局日米間ではそれに関わる議論もして、合意もしながら、敵国を想定して、同志国、同盟国の枠組みの下で軍事でも経済でも圧力をかけて、武力行使もいとわない。まさにそういう点では、米中の覇権争いの中で、際限なくアメリカの戦略に組み込まれていくんじゃないか、組み込んでいくものじゃないかという問題が出てくると思います。

 最後に大臣に伺いますが、経済安全保障といいながら、なぜ国民にとって喫緊の食料自給率だとかエネルギー自給率の向上が位置づけられていないのか。これは全てじゃなくて四項目と言うけれども、やはり経済安全保障推進といったら、そういうのがなぜないのかという疑問が出てきております。ロシアによるウクライナ侵略の影響を見ても、どうしても必要な課題がそうした自給率の問題ではないか。そのために国内の農業をしっかり支えていく、再生可能エネルギーを思い切って増やす、そういう手だてこそ必要じゃないかと思うんですけれども、法案にそういうことについては全然念頭にない、考えないということはなぜなんでしょうか。

小林国務大臣 先ほどの繰り返しになる部分もありますが、経済安全保障のこの法案というものは、経済安全保障全てを網羅するものではありません。

 その中で、当然、経済安全保障の私の理念というのは、この場で何度も申し上げているんですけれども、そこに照らしたときに、それではエネルギーや食料が関係ないかというと決してそんなことはなくて、経済安全保障の観点からエネルギーや食料について重要なものは含まれていると考えております。

 ただし、エネルギー、食料については、従来から、経済産業省であれ農林水産省であれ、これまでの積み重ねがございますから、その中で、今、社会のDX化、あるいはグローバル経済の中でのサプライチェーンの多様化、様々な課題が出てきている中で、喫緊に対応しなければいけないその課題にできる限り優先順位を置いて対応していくという今方向にございまして、その中で一部法制化が必要なものを今回四項目取り出して法案化しているということを御理解いただければと思います。

笠井委員 時間が来たので終わりますが、大臣は繰り返しこの委員会でも、省を超えてとにかく経済安全保障問題をやるんだ、私がその中心になってやるんだと言われたので、まさに国民の安全にとって必要な食料とかエネルギーとか、それこそ本当に根幹となる問題がないとむしろ逆行になりかねないということで、そういう問題も強く指摘をしながら、今日の質問を終わります。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 ありがとうございます。れいわ新選組、大石あきこです。

 経済安全保障法案について御質問します。

 先ほど、維新の堀場委員、それから共産党の方もいろいろお聞きになっていましたけれども、この法案でいう同志国とはどこですか、そういうことを聞かれていて、答えが、一般に外交課題の目的を共にする国だ、一覧にはないんだとおっしゃっているんですけれども、さすがに、アメリカですか。

小林国務大臣 アメリカは同盟国だと思います。

大石委員 この法案でいう同志国とは、アメリカでよろしいですね。

小林国務大臣 この法案に同志国という言葉は直接盛り込んではいないところでございます。

大石委員 大臣が何度も御説明されているこの法案の重要な軸の一つである同志国との協力拡大、深化とおっしゃっているところの同志国がアメリカですね。もう一度確認します。

小林国務大臣 どうもありがとうございます。

 私が、同志国との連携という言葉も使うことがあります。ただ、委員にちょっと認識として御理解いただきたいのは、まず、同志国との連携があるわけではないんです。自分の軸がないままに同志国と連携、連携というと言葉はいいですよ、でも、自らの判断軸がないまま同志国と連携したときに、結果としてただの追随になりかねない。そういう国であってはいけないので、自分たちの、日本なりの経済安全保障の基軸となる考え方を今回しっかりと打ち出していこう、そういう思いでやっています。

 この法案はその一部でしかないんですけれども、なので、今日この場で何度か申し上げましたが、まずは我が国自身の分析が必要だと思っています。それは、自律性と優位性、不可欠性と申し上げていまして、簡単に言うと、弱みと強みです。弱みを把握して解消する……(大石委員「もう」と呼ぶ)分かりました。そういう中で、いきなり連携ということではないということは御理解いただければと思います。

 同志国については、先ほど外務省からも説明があったんですが、同志国という用語は、一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられると承知をしております、日本政府としても、それぞれの外交課題について日本と目的を共有する国を同志国として協力関係を築いていると。

 その上で、経済安全保障の文脈で申し上げますと、例えば、日米豪印、いわゆるクアッド、この連携ですとか、G7などの枠組みを活用して、サプライチェーンの強靱化、あるいは重要技術の育成、保護、あるいは同盟国、同志国との協力の拡大、深化を図ってきているというところでございまして、アメリカは同志国といえば同志国、でも、通常は同盟国というふうに言うと思います。

大石委員 率直に言うと、この法案で何度も大臣が御説明されている同志国というのは、アメリカはそうだよ、単に追随じゃ駄目なんだよというふうにもおっしゃったのか、おっしゃっていないのか、ちょっと分からなかったです。

 なので、率直に伺いますが、今回の経済安全保障法案の立法事実として、アメリカ政府が日本政府に求めてきているからですか。

小林国務大臣 今申し上げたことと重なるところはあるんですけれども、結論としては、違います。

 アメリカがやるから日本がやる、私はそういうのは主権国家の在り方だとは思いません。もちろん、連携するところはありますよ。

 私の問題意識は、別に、アメリカ、例えば、私が大臣に、自民党の中で経済安全保障の議論をしてきました。バイデン政権になって、昨年、サプライチェーンの強靱化ということで打ち出しました。でも、日本はそれを、アメリカがサプライチェーンの強靱化をやるから、日本も、じゃやろうというわけではないんですよ。そのもっと前から、我が国の基軸をつくらなきゃいけないということで、脆弱性分析をやっていて、サプライチェーンも強化しなければいけないということをやっていて、そういう流れの中でやってきた。

 当然、今、コロナ禍で全世界がかなり厳しい状況に置かれて、サプライチェーンの問題というのはかなり広く共有されるようになってきたので、結果として、サプライチェーンの強靱化をアメリカやヨーロッパ、ほかの国もやるようになっていますけれども、アメリカがやっているから日本がやるというのではないということは明言しておきたいと思います。

大石委員 そうはいいましても、アメリカ政府に求められたからなんじゃないかな、明らかなんじゃないかなと思うんですけれども。

 二〇二一年の四月十六日に、菅元総理とバイデン大統領が、日米首脳会談が行われて、そのとき、「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」と題する共同声明を日米が発表しました。その中に、明らかに対中国を念頭に入れながら経済安全保障という言葉が出されています。日米両国の安全に不可欠な重要技術であるとか、半導体を含む機微なサプライチェーンですとか、知的財産保護に向けた協力など、まさしく、この法案の重要項目を盛り込んでいることなんですね。

 ですので、この法案の立法事実が米国からの要請であることは明らかだろうなと思ったんですけれども、違うということですので、追随ではないとおっしゃっているので、追随したらあかんという今回の私のテーマですので、もしかしたら、そうだとなるかもしれないです。

 この政策の中には、文字だけを見ると、一理あるものもあると思うんですね。例えば、半導体の確保でいえば、半導体は、日本に住むどころか、世界で全ての人々に欠かせない重要物資ですし、また、知的財産でいっても、当然軍事に使われたくはないし、さらには、通信業で、信頼できない業者を入れましょうとはなりませんし。

 しかし、米国側の求めに対応していないとおっしゃっているんですけれども、いろいろ米国側の求めに対応してきた経過があると思うんです。それで、そういう方向でこういうことをやったとしても、国内で既に起きてきた危機に対応できないと思っているんです。

 つまり、例えば、半導体の供給確保という面で考えても、アメリカ追随、対中対抗でやろうとするのは、完全にあさっての方向又は逆方向ではないかと。その一例を、日本政府と東芝という日本株式会社の歴史から考えてみたいと思います。

 東芝の半導体事業の栄枯盛衰を見ると、東芝自体の失策もあるし、株主至上主義による敗北もあるし、アメリカから強いられた協定が半導体事業の衰退に影響したと考えられるんです。

 まずは、導入として、資料一を御覧ください。

 ちょうど昨日、東芝の臨時株主総会が開かれました。株主総会では、東芝が示した上場企業としての生き残り案、上場会社二社体制計画というものが株主総会で否決されました。大株主の投資ファンドなどが反対したからです。

 一方で、大株主側からリストラ策も提案されていまして、東芝の株をもっとファンドに売却せい、非上場化して経営再建を図れという、そういうリストラ案も提案され、これはこれで否決されているんですけれども、今後、東芝は物言う株主の意向を踏まえた修正が避けられそうにない現状です。

 このように、資本や機関投資家が国境を越えて我が物顔で振る舞う現在において、会社は容赦なく買収や分割にさらされますし、その目的は資本家や株主の利益です。

 この話はつい昨日のことなんですけれども、東芝は既に、二〇一七年に半導体メモリー部門を売却する事態になっています。

 簡単に、半導体とはについても、資料二を御覧ください。

 半導体は、とても大事なものです。電気を通したり通さなかったりする物質ということで、もう皆さん御存じのとおり、スマートフォンやパソコンのCPUですとか、自動車、又はメモリー、センサー、パワー半導体と、様々いろいろなところに使われて、誰にとっても今や欠かせない重要な物資であることは間違いありません。

 東芝はフラッシュメモリーを発明したことで知られていますが、東芝の半導体事業に関する経過を簡単に年表にまとめました。資料三を御覧ください。

 一九八〇年代に東芝がフラッシュメモリー、東芝の舛岡さんという方が発明された、半導体素子を利用するメモリーなんですけれども、一九八六年に日米半導体協定が交わされて、そこから、日本はダンピングをするなとか、米国製品の国内シェアを拡大せいなどを求められて、そこから日本の半導体の成長が急速に鈍化したんだと産経の記事で述べられています。

 それから、一九九二年になると、東芝は、NANDフラッシュメモリー技術を、市場の拡大のためとしてサムスン電子に供与しました。

 そこから、二〇〇四年、さっき出てきた東芝の舛岡さん、フラッシュメモリーを発明された方が、半導体が正確に評価されなかったとして、自分の発明の正当な評価を求めて、雇用主であった東芝を相手取って裁判を起こされました。二〇〇六年に和解されたということなんですけれども。

 そして、二〇一一年、半導体生産拠点の北九州工場を始めとして三つの工場を閉鎖すると東芝は発表しました。その工場の閉鎖に伴って、一千七百人が離職や配置転換を余儀なくされたといいます。

 二〇一六年には、東芝の決算発表によって、過去最大となる営業赤字などを記録しています。

 そして、二〇一七年、臨時株主総会で半導体メモリー事業の売却が可決して、現在、東芝じゃなくてキオクシアという会社になっています。

 このキオクシアについて、資料四を御覧ください。

 ダイヤモンド・オンラインの記事なんですけれども、半導体大手のキオクシアホールディングス、東芝から切り離されて、米投資ファンドのベインキャピタルを中心とした日米韓連合の傘下に入った、米国のファーウェイ制裁強化で出荷停止の打撃を受けて、予定していた新規株式上場が延期になった、そういう報道がありました。

 ここまで見てきて、改めて東芝の半導体事業の栄枯盛衰を見ると、東芝自体の失策もあったし、株主至上主義による敗北もあるし、そして、一九八六年にアメリカから強いられた日米半導体協定が半導体事業の衰退に影響したと考えられるんですが、ここで御質問します。

 この一九八六年の日米半導体協定が日本の半導体事業の衰退の要因になったというお考えはありますか。分析されていますか。イエスかノーかでお答えください。

小林国務大臣 この件につきましては、個別企業の件なので、お答えすることは差し控えたいと思います。

 この東芝の話だけではなくて、日本の半導体産業全般につきましては、経済産業省がまさに今、この再興に向けて様々な戦略を練っているところではございますけれども、これは、委員御指摘の、様々なアメリカとの関係だけではなくて、垂直統合から水平分業への移り変わりが遅れたとか、あるいは、デジタルを含めて、これは供給サイドだけやればいいというものじゃないと思います、市場をどうやって新たな市場をつくっていくかというところで、やはり、なかなかそこがうまくいかなかった。多分、様々な要因が重なった結果、今、半導体の市場の、世界のマーケットのシェアが、一九八〇年代後半には五〇%日本が占めていたのが、今、足下では一割を切る水準になっている。そういうところにつながっていった。これは私個人の認識でございます。

大石委員 この協定もマイナスの方には影響したのではないかということだったんでしょうか。

小林国務大臣 様々な要因が複合的に重なったんだと思っています。

大石委員 今回の法案を制定することによってそういった問題が解決できるというふうにお考えなんでしょうか。

小林国務大臣 これは何度も申し上げているんですが、この法案だけで経済安全保障全てを語れるわけではないと思います。ただ、委員御指摘のとおり、この半導体産業というのは、これからデジタルとかグリーンとかいろいろ社会が変わっていく中で、これはもっともっと重要になってくると思います。

 この法案は、その半導体産業、私は日本の半導体産業を復活させなきゃいけないというふうに思っていますけれども、この法案を通しただけでそこにダイレクトにつながるというわけではなくて、もっと大きなピクチャーが必要だと私は思います。少なくとも十年ぐらい先を見据えた戦略、これは、今まさに萩生田経済産業大臣の下でいろいろ考えられていると思います。

 少なくとも言えるのは、今回、TSMC、今委員の資料の中に先端ロジック半導体がありましたけれども、その先端ロジックの製造拠点がこれまでなかった、日本には。それが、TSMCが今回投資をしてくれた。そこでミッシングピースが埋まったわけですよね。それがまず第一歩だと思います。

 そこで、じゃ、半導体産業、それで終わりかというと、そこだけやればいいかというと、もう今からその先を考えなきゃいけなくて、じゃ、次世代のロジック半導体、次世代半導体はどうするんだ、日本だけでできるのか、やはりアメリカを含めたところと連携していく必要があるんだろうと私は思います。

 また、更にその先を見据えて、光電融合を始めとした、そういうゲームチェンジャー的な技術をどう日本が育成して、まさに国際社会の不可欠性となっていくのか。その安定供給の供給サイドの話と、先ほど申し上げた、今度は同じ失敗を繰り返さないということで、新たなマーケットをどうつくっていくのか。ユーザーサイドの視点に立って、このマーケットのつくり方、これも全て合わせた上でのパッケージというものを、私は経済産業省が今中心になって検討しているというふうに考えています。

 そういうピクチャーがある中で、今回、このサプライチェーンのパーツというのが入っています。サプライチェーンのパーツの中の特定重要物資というものをどう指定していくのかというのは、これはこれからの指針の策定と閣議決定によることになるんですけれども、少なくとも、去年の骨太二〇二一におきまして、先行重要項目としてこの半導体というのを位置づけているということは付言しておきたいと思います。

大石委員 うまいことおっしゃるので、うまいこといくかもしれんと思う人がいるかもしれませんけれども、やはりこういった具体的な、東芝自体の失策もあるでしょうし、株主至上主義による敗北もあるでしょうし、アメリカによる強いられた協定の面もあるでしょうし、ここはこうだったとか、ここはこう乗り越えていくんだとか、これはあかんかったとか、この協定はあかんかったとか、そういう話がないと次に進まないんじゃないのかなと思ったんですけれども、半導体だけではないので、また進んでいきたいと思うんです。

 また東芝を引き合いに出すことになるんですけれども、東芝の原発事業です。

 日本の国策とともに歩んだ結果、二〇〇六年にアメリカにつかまされて大損をし、さらに、半導体事業を売って存亡を図るという事態にまでなったというお話です。

 東芝はなぜ経営危機に陥ったのかというインタビューで、東芝の元副社長の川西氏は次のように語っています。東芝の危機のもう一つの大きな原因が海外企業との関係です、米国のウェスティングハウス買収は、経験値からして無理があったのではないでしょうかと、東芝の元副社長御自身がそのように言っているんです。

 資料五に、経緯を年表にしました。

 二〇〇六年に、東芝は、原子力発電設備メーカー大手である米国ウェスティングハウスをイギリスの英国核燃料会社から約六千四百億円で買収。ウェスティングハウスの純資産三千億円と言われたときに六千四百億円で何で買収したんやと、ほかの事業者からもびっくりされたそうです。

 その後、二〇一五年に東芝の粉飾決算で不正会計が発覚。二〇一六年十二月には、ウェスティングハウスの原発事業による巨額損失を公表。はしょっていますけれども、ウェスティングハウスが子会社にした会社が物すごい借金をしていて、それもしょい込むことになるなど、いろいろてんやわんやがありました。

 二〇一七年の三月にはウェスティングハウスは破綻し、東芝は、この三月期に国内製造業で過去最大となる約一兆円の赤字を出し、債務超過に転落しました。

 背景として、買収当時、米国は三十年にわたって原発の新設がなく、米国はウェスティングハウスの処理に困っていたと言われています。一方、日本の経産省は成長戦略として原発輸出を挙げていた、その日米の意向がマッチしたことが大きな理由だったんじゃないでしょうか。

 でも、これはよいマッチングなんでしょうか。完全にばばをつかまされとるがなと。これは私の口が悪いんじゃなくて、ダイヤモンド・オンラインですとか、二〇一七年に各種メディアが、ばばを引いたと報じているんですね。

 経産省は、三・一一の原発事故以降も原発輸出を推進しています。東芝が、経産省の後押しを受けて、海外での原発建設で稼ぐ青写真を描いていたことは明らかです。

 しかし、世界では、三・一一以降は、脱原発にかじを切る国が現れたり、各国安全規制が一段と強化されて、原子力事業はリスクの高いビジネスになっていました。米国でも建設費が高騰して、元々負債を抱えていたウェスティングハウスは破綻したわけです。東芝は、いわば政府の政策に寄り添い続けて、それでアメリカにばばを引かされて債務超過に転落したと言えます。

 これらの事例で言える大事なことは、この被害を被るのは国民であり労働者なんです。国民、労働者の経済安全性というのが逆に脅かされてきたと言えます。

 大臣に伺います。

 この件、国民と労働者の経済安全性を守る観点から、日本政府の在り方に反省点があると思われますか。簡潔にお答えください。

小林国務大臣 簡潔にお答え申し上げます。

 個別企業の件についてお答えすることは差し控えたいと思いますし、週刊誌の報道の御発言がありましたけれども、それについても、一つ一つ発言させていただくことは控えたいと思います。

大石委員 個別企業のことではなくて政府のことを言っているんです。

 当時、買収の陰に経産省がいて、とにかく日本勢に買え買えとうるさかったと東芝の交渉担当幹部が後に発言されています。旗振り役は、当時の貿易経済協力局の海外戦略担当審議官である今井尚哉氏であったそうで、後の安倍政権を支えた首相補佐官です。

 このような政府の失敗への反省と道義的責任を明らかにしないと、経済安保は、非常にうまい言葉をいろいろ使われているんですけれども、言葉だけで、国民と労働者の経済の安全性は脅かされるばかりです。

 実際に、政府にも与党にも、そして維新にも反省がないから、先日と本日の委員会において、経済安全保障の観点から原発の再稼働などといった、勘違いも甚だしい質疑がありましたが、大臣に伺います。

 戦争リスクが高まっているというならば、標的にされ得る原発、この再稼働は安全保障上のリスクをかえって高めることであると考えますが、原発が標的にされるリスクがあるかないかでお答えください。

小林国務大臣 様々なリスクが考えられ得るとは、いろいろ考えることは大切だと思いますけれども、これは、先ほど足立委員からの質問に答えさせていただきましたとおり、経済安全保障という観点からは、やはりエネルギーは極めて重要なんですよ。ほかにも、金融とか物流とか、重要な産業はたくさんあります。でも、特に今の時代、エネルギーや情報通信というのはほかの産業のまさに基盤となるので、エネルギーの安定供給をどう確保していくのかというのは、経済安全保障で、私が国益の三つ、挙げさせていただいていますけれども、そのうちの一つである国民の命と身体と財産を守る、国民の暮らしを守る、経済的な繁栄を実現する、その中で不可欠なものだと思っています。

 そうした観点からは、今、これらの要素を全て満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、安全性の確保を大前提とした上で、原子力発電所の再稼働を着実に進めることが重要だと考えています。

大石委員 原発が標的にされるリスクがあるかないかと聞いたんです。あるというようなことを言っているのか、ちょっと分かりませんでした。

 でも、危険なもので、原発のリスクがあるんです。危険なもので安定供給は無理じゃないですか。経済安全保障で安定供給とおっしゃるんですけれども、安全保障の経済的手段としての経済安全保障、危険なもので安定供給は無理です。

 三・一一から既に十一年がたちますが、その間、先ほど安定的なエネルギーがないみたいにおっしゃったんですけれども、十一年たって、その間もエネルギー確保に本気で向き合ってこなかったという結果だと考えます。

 以上のことから分かるのは、この法案の重要な軸として掲げていること、様々なことが悪い冗談でしかないということです。

 さっき、同志国はアメリカで、追随は駄目だっぽいことを言ったと思うんですけれども、是非、アメリカ追随、そして自国の失策を反省しないということを改めていただきたい。国民の安全保障にとって逆方向のことは是非やめていただきたいです。

 時間がなくなりましたか。また続きを来週したいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 この際、御報告いたします。

 経済産業委員会との連合審査会は、来る二十九日火曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、来る三十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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