衆議院

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第13号 令和4年3月30日(水曜日)

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令和四年三月三十日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森山 浩行君 理事 足立 康史君

   理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石原 宏高君    金子 俊平君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      武井 俊輔君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      大串 博志君    堤 かなめ君

      太  栄志君    本庄 知史君

      山岸 一生君    阿部  司君

      浅川 義治君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    大石あきこ君

    …………………………………

   議員           阿部  司君

   議員           堀場 幸子君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   小林 鷹之君

   外務副大臣        小田原 潔君

   文部科学副大臣      田中 英之君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村  聡君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  泉  恒有君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            阿蘇 隆之君

   政府参考人

   (警察庁情報通信局長)  河原 淳平君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    川原 隆司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           春日原大樹君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     神田 潤一君

  和田 義明君     川崎ひでと君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     和田 義明君

  神田 潤一君     柳本  顕君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     平沼正二郎君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  吉川  赳君     武井 俊輔君

  中谷 一馬君     太  栄志君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     吉川  赳君

  太  栄志君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)

 経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岸一生君。

山岸委員 おはようございます。立憲民主党の山岸一生です。

 トップバッター、元気よくまいりますので、よろしくお願いいたします。

 昨日に引き続きまして、また藤井前審議官の問題、お伺いをしてまいります。経済安保政策に何らかの悪い影響を及ぼしていなかったか、そして、これからもこういうことはないんだろうかということをしっかりチェックをしていきたい。

 防衛省の調達基準についてお伺いいたします。

 これは昨日お聞きしましたけれども、経済安保にとって非常に大きな一里塚となった防衛装備庁の調達に関する新しい基準、この基準をスクープをした日経新聞二〇一九年六月二十一日付の記事、これは先般大串議員が質問いたしましたけれども、資料1でお配りをしております。次期戦闘機の調査業務、契約先のある企業に中国の影響があったので契約を停止したというふうに記事では書いてあるんだけれども、そのような事実はなかったと、せんだって防衛省は答弁されています。

 この記事、極めて実は異例なんでございます。情報源が全く書かれておりません。私も新聞記者をやっていましたからよく分かるんですが、例えば、匿名の情報源であっても、防衛省幹部によるととか政権幹部によるとということは普通書く。書かなければ記事は通らない。これはよほどの事情がある記事なんだろうなと。

 私も元々防衛省の取材も何度かお世話になったことがありまして、大変チェックの厳しい役所、しっかりしているとも言い換えていいと思うんですが、なので、お聞きしますけれども、防衛省、この記事について日経新聞に訂正の申入れをしたことはありますか。

春日原政府参考人 ただいまの記事でございますけれども、御紹介ございましたとおり、契約を停止したという事実はなく、三月二十三日の当委員会において、この旨を答弁したところでございますが、その上で、御質問のありました報道につきまして、防衛省として訂正の申入れはいたしておりません。

山岸委員 つまり、誤報を放置をしている。

 私は、日経新聞さんに問合せいたしました。防衛省が国会答弁で事実上誤報だというふうに言っているんだけれども、どうですかと。広報室様から大変丁寧なお返事がありまして、記事内容については誤りはないと考えていますと伺っております。

 じゃ、一体どっちが正しいんだと、私、必死で考えました。防衛省の御答弁も日経新聞さんの取材も矛盾しない場合が三つだけあると考えています。一つは、記事と答弁とで別の契約のことを言っている、すれ違っているというケース。二つ目が、契約は一旦停止したんだけれども後で再開したというケース。最後の一個が、記者はちゃんと取材したけれども事実ではない出来事を聞かされていたというケース。

 一個ずつお伺いしていきます。

 一つ目。国会で議論になったデロイトとの調査契約のほかに次期戦闘機に関する調査契約があり、停止をしたのはそっちだったという可能性はありませんか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私どもとしてお答えをした趣旨でございますけれども、二十三日の委員会での御質問というところでございますが、これは、将来戦闘機の開発体制の構築に係る調査役務の契約、これが停止されたのかという御質問でございましたので、その旨を申し上げたところでございます。

 お尋ねのような、当該契約とは異なる別の将来戦闘機関連の調査役務契約について答弁したものではございません。

山岸委員 一個目はないということですね。

 じゃ、二つ目。防衛省は、デロイトとの契約に関しては、成果物が納品されたから停止はしていないと答弁されているんだけれども、例えば、電車が終点に着いたからといって途中で赤信号がなかったという話にはならないわけでして、この契約も、途中で一旦停止したんだけれども、後から再開をして成果物が出た、こういうことはありますか。

春日原政府参考人 御指摘のような、契約を締結した後に、一時的にせよ契約の履行を停止させたという事実もございません。

山岸委員 一つ目、二つ目、明確に否定の答弁をいただきました。

 となると、やはり合理的に説明できる方法は一つしかない。別の契約もない、停止をした事実もない、記者もしっかり取材をしているとなれば、何者かが虚偽の内容を記者にリークをし、存在しないことを書かせた。防衛省の調達をめぐり、存在しない事件をでっち上げ、経済安保への危機感をあおる。誰がそんなことをして、誰にメリットがあったのか。

 防衛装備庁、お聞きしますが、この記事に関して事前に取材を受けていたのは、長官官房審議官であった藤井さんでよろしいですか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもがこれについて確認を行ったところ、藤井氏がこの記事について取材対応を行ったという事実は確認されませんでした。

 以上です。

山岸委員 藤井氏が取材対応は受けていない、公式にはないということですね。

 やはり、どうしてこういう記事が出ていったのか。その中で、文書調整等の責任者であった藤井さんが、公式にはないということですが、じゃ、非公式、どういうことをしていたのか、していなかったのか。あるいは、この一連の報道によってデロイトの評価は下がる、これは関係者が読んだら分かりますから、ああ、あの件もめているんだなと。そのことが政府調達にどういった影響をもたらしたのか。

 そこで、資料の2を御覧ください。

 二〇一九年の下期、この報道の後から一気に契約を増やしたのがEY。デロイトのライバルであるEY。そして、藤井氏とじっこんである國分氏がデロイトから移籍をしたばかりのEY。防衛省から資料をいただいておりますが、契約実績が、二〇一七年度ゼロ円、一八年度ゼロ円、一九年度一億七千九百万円、二〇年度一億七千万円、二〇二一年度に至っては六億七千二百万円。

 じゃ、これはどんなものがあるのかなということで、資料3で、一覧表をいただいたんですけれども、これはほかにもあるのではありませんか。資料4におつけしていますけれども、二〇二〇年一月三十一日付の、国内外の先端技術動向を調査・分析するためのシンクタンク創設に関する調査、一千万円余り。これもEYが受注していますけれども、資料3のリストには入っておりません。除外した理由を教えてください。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、資料の不整合といいましょうか、御指摘の点につきましては、今、この場でちょっと承知したところでございまして、確認を急がせておるところでございます。

 私どもとして、当省の資料を出すに当たっては、現実の契約等を確認して出したものでございまして、ちょっと確認をさせていただければと思います。

 以上です。

山岸委員 資料の不整合があるということです。

 一つの事業のことかもしれないけれども、私、正確な情報を基に議論をしたいと、この間、努めてまいりましたので、それに対して、防衛省さんから不正確な情報提供、不整合な情報提供ということになっちゃうと、これは審議の前提があやふやなものになってしまうので、大変残念であります。

 この間、一貫して、経済安保で大きなお金が動くのでしっかり検証しなければいけないということで聞いているのに、正確な数字が出てこないと、これは法案審議に当然影響していきますから、防衛省さん、これは法案審議の間に対応してもらえますか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 確実に確認をして、お答え申し上げたいと思います。

山岸委員 よろしくお願いいたします。全く難しいことをお聞きしていないんです。これは皆さん方の台帳で法人番号を検索すればすぐに分かる内容なので、正確な情報をお願いいたします。

 私は、一貫して、ファクトを積み上げて議論したいということを申し上げてまいりました。もちろん、我々、野党ですけれども、決めつけのようなことはしたくない、一個ずつ情報開示をお願いしながら、言うならば、さいの河原に石を積むような質疑をしてきているわけです。それが、出した情報は違いましたよという話になっちゃったら、この努力は何なのか、審議時間を返してほしいなと。率直な思いでございます。真摯な議論をしようとしても政府の側がそれをさせてくれない、だったら、野党も、決めつけで、おかしいじゃないかみたいなふうにやった方がよっぽど楽だという話になってしまう。

 この間、国会の議論の質が低下をしているというふうなことをよく言われますけれども、低下させているのは政府の情報開示への余りに後ろ向きな姿勢に根本的な原因がある、このことははっきり申し上げておきたいですし、やはり、今回の経済安保法制によってより見えない部分が広がっていく、そういうことがないようにしなければいけない。

 引き続き情報開示はお願いしたいと思いますが、この問題はひとまずおくとしても、分かっていることは、今いただいたデータ以上にどうもEYとの契約というのはあるらしい。全体幾らなのかも分からない、大変な成長を遂げているわけです。

 防衛省、お聞きしますが、二〇一七年度、一八年度、EY社との契約はありませんけれども、一九年度以降、急速に受注を増やしている、その理由は何ですか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の契約実績につきましては、事業内容に応じまして、競争性を確保した契約手続により契約相手方を決定をしておりまして、価格競争等の結果でございますので、防衛省として特定の企業の落札を意図したものではございません。

 防衛省としては、御指摘の契約実績に限らず、従来から公正性や透明性に十分配慮をしておりまして、引き続き、会計法令にのっとり適正な契約手続を実施してまいる所存でございます。

山岸委員 そういうお答えしかないだろうとは思いますが、問題は、今おっしゃった、手続によるということなんだけれども、その手続が本当に公正なものかどうかということであります。

 二〇一九年五月から新しい契約の基準を適用されて、その後の二〇一九年十月からEYが一気に契約を増加させている。もちろん、民間企業が頑張って契約を増やすというのは、これは当たり前のことでありますが、それはルールの公正性が大前提であります。新しい基準によって、幹部に近い特定の企業が有利になったり、逆に特定の企業が排除をされるということがあるとすれば問題でございます。

 この新基準によって、入札前に不合格とするという仕組みが導入されました。どんなにいい提案をしても門前払いという仕組みが始まったんですね。

 そこで、お聞きしますけれども、この基準に従って入札前に不合格と判定された事例というのは、もうこれは三年近くたっていますけれども、実際にあるんでしょうか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省の入札におきましては、当該基準を含みます関係規則に従い厳格に入札参加要件の確認を実施しておりまして、条件を満たさない者につきましては入札に参加できない仕組みとなってございます。

 その上で、御指摘の点でございますけれども、これまでに、入札時点において当該基準を満たさないため入札に参加できなかった事例は存在をしてございます。

山岸委員 現実に排除をされた例がある。

 一方で、EYが受注をした仕事の一つに、こういうものがあります。資料3の、これは一覧表の上から三つ目に当たりますけれども、新情報セキュリティ基準等への対応に係る適合支援役務、金額一億四千万円、二〇二〇年一月十四日契約、これはどういった役務ですか。

春日原政府参考人 御指摘の、二〇二〇年一月十四日契約の新情報セキュリティ基準等への対応に係る適合支援役務の内容でございます。

 こちらにつきましては、アメリカの国防省、こちらが適用しているサイバーセキュリティー基準と同程度となる管理策、これを盛り込んだ、現在、防衛装備庁として策定を進めております新しいサイバーセキュリティー基準について、日本の防衛関連企業に適用するに当たっての課題を解決するための調査、検討等、こういった役務をやっております。

 具体的に申し上げますと、例えば、当該基準におきまして防衛関連企業が講じるべき管理策に関する検討のサポート、それから、防衛関連企業に対する基準の内容それから管理策についての普及活動、それから防衛省の監査担当者に対する講習会の実施、こういったところが役務の内容となっているという状況でございます。

山岸委員 つまりは、議論してきたこの二〇一九年五月からの新基準も含めて、防衛省職員や防衛産業に新しい基準に対応する能力をつけてもらわなきゃいけないからコンサルがサポートします、そういう事業でございますよね。

 藤井さんも関わって新しい基準を作った、藤井さんと密接な関係である國分さんが、この頃、デロイトからEYに移籍をした、新しい基準を運用していくためには経済安保に詳しいコンサルの力が必要だということで、防衛省が事業をつくり、受注をしたのが國分さんが率いるEYであった。

 日経の記事をめぐっても、さっき指摘したように、存在していない事件をもつくって、マスコミを巻き込んで危機を大きくあおり、まあ、誰がやったか分かりませんけれども、しかし、それを受けて政府調達に新しい基準ができ、その基準は防衛装備庁幹部とじっこんのコンサルが指導しますので、防衛産業の皆さんは門前払いになりたくなければこのコンサルから指導を受けてくださいね、こういう仕組みですよね。これは、私、公正なルールとは言えない、やはり防衛産業に従事する皆さんを食い物にしかねない動きではなかったのかなと思います。

 この間、もう時間がありませんから、済みません、小林大臣、おつき合いいただきまして、ありがとうございます。私の問題意識は、昨日から申し上げたとおりなんでございます。この経済安保法制、法案は骨格だけで、この先の肉づけが大事です。第二の藤井氏、第三の藤井氏のような人が利権に引かれて制度をゆがめるということが、これは想定した上で予防しなければいけないと思います。

 大臣も、実施に際して有識者の意見を聞くということもおっしゃっていますが、例えばその人選ということも当然課題になってまいります。この際、きっぱりと経済安保ビジネスと政府は一線を画すべきだと私は思います。例えば、政府幹部と……

上野委員長 山岸君、持ち時間が過ぎておりますので、取りまとめをお願いします。

山岸委員 経済安保ビジネス関係者との接触、あるいは有識者の人選、襟を正す必要があると思いますけれども、大臣のお考えを、最後、お聞きします。

小林国務大臣 民間において様々なビジネスが行われておりますけれども、それが法令にのっとったものである限り、政府としてその一つ一つのよしあしについて評価することは、基本的には差し控えるべきだと思っています。

 その上で、藤井氏をめぐるやり取りを伺っておりまして思うことは、政府の中にあって経済安全保障政策に従事する人間が特定業者を利する行動を取ってはならない、これは当然のことだと思いますけれども、さらに、特定業者を利する行動を取っているという誤解を招くことがあってはならないと思っています。

 今回、藤井氏による法案への不当な関与がなかったことは繰り返し答弁させていただいていますが、同氏の軽率な行動が様々な誤解、不信を招いたのは事実であって、この点については許されるものではないと思っています。したがって、そうした観点を踏まえて、私から今の法制準備室長に対しましても、引き続き室員の綱紀粛正また適正な業務の遂行を徹底すべきと指導するよう、改めて伝えたところです。

 なお、この法案につきましては、特定個社の利益を反映した規定もなく、そもそもそうした条文構造とはなっていないということは付言をさせていただきます。

山岸委員 ありがとうございました。終わります。

上野委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党の大串博志です。

 引き続いて質疑をさせていただきます。

 引き続いて、藤井氏をめぐる非違行為、これによって法案に影響があったかという問題なんですけれども、これは山岸さんも繰り返しこの質疑の中でも言っていますけれども、私も同じ思いで、なぜこれを取り上げているかというと、私たちは、この法案、方向性に関して異を唱えるものではありませんが、自由で闊達な民間事業を阻害してはならない、その上で経済安保という国益を守っていかなければならない、そのバランスをきちんと取らなければならないという観点が、非常に私たち強くあります。特に、この法案が政令、省令等々に落とされているところが多いことを考えると、今後、自由で開かれた経済活動を阻害することになってはいけない、そういうことも含めて方向性を間違ってはならない、すごくそこに私たちは懸念があります。

 そういう観点から、法案の成り立ちのところから、過剰に規制する方向に力学が働いていなかったかどうかを確認したい、それをできたら払拭したい、そういう思いなんですね。むしろ、是非力をかしていただきたいと思います。

 さて、先般、この件に関して議論したときに、藤井氏と國分氏のやり取り、メールもありました、金融庁のメールを添付したものもありました。その中で、室田審議官の方からこういう話がありました。藤井氏と國分氏のメールのやり取りを私が尋ねたとき、藤井氏が多摩大学のアカウントも持っていたのではないか、多摩大学のアカウントを使ったメールの交換はなかったのかという話をしたときに、室田さんからは、藤井氏と國分氏のメールのやり取りは全てEYのアドレスをもってやられていたということでというふうに言われていました。

 なるほどと私思ったんです。國分氏も多摩大学ルール形成研の所長さんでしたかね、という肩書をお持ちです。にもかかわらず、藤井氏とやり取りするときは全てEYのアドレスを使ってやられていた。すなわち、全てEYの職員としてのメールのやり取りをされていたということですね。

 EYという会社、どういうことをなりわいとされている会社かというと、もちろん、個社の皆さんが自由な経済活動をされるのは自由です。その上で、どういう仕事をされているかというと、國分氏は、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社のストラテジック・インパクトリーダー、パートナー、こうあります。ストラテジック・インパクトリーダーと。このストラテジック・インパクトというのはどういう仕事かというふうに会社の資料から読ませていただきますと、これは会社の資料です。

 世界は新たな秩序を競い合う時代に突入しています。EYでは、さまざまなステークホルダーとともに、日本から新たな秩序を形成する活動を展開することと並行し、新たな秩序に適合した企業経営の実践をサポートします。

まあコンサルティングビジネスですよね。続けます。

 米中冷戦は社会課題解決をカバーストーリーにした新秩序を競い合うルール形成競争となり、民間企業を巻き込み始めました。安全保障環境が激変し、エコノミック・ステイトクラフトが激しさを増す中で社会課題解決型の事業構造へと転換する、これが経営者に求められるグローバル経営です。

私たちがここで聞き慣れた言葉が入っていますね。まさに経済安保そのものですね。続けます。

 米中冷戦時代に不可欠な日本企業の経営能力を補完するために、経済安全保障政策、サイバーセキュリティ政策、ESG投資政策、ブロックチェーン・フィンテック政策の分野で政策アドバイザーを務めるトップコンサルタントで構成したストラテジック・インパクト・ユニット

というユニットがあるそうです。

 ユニットは、日本企業のさらなる成長を支援します。

まさに、経済安保に関する企業の指南役としてのコンサルティング業務を提供されている。まさに、経済安全保障をビジネス、なりわいとされている会社。

 それ自体は、自由な経営活動ですから、私は否定されるものではないと思います。ただ、これが法案に、あってはならない影響を及ぼしていないかどうかは確認する必要があると私は思っているんですね。

 室田審議官にお尋ねしますけれども、先般、非違行為の調査の中で、一件だけ、金融庁に絡む藤井氏と國分氏のやり取りのメールを開示していただきましたけれども、EYを通じて國分氏が藤井氏に送っていたメール、これは全体では何通あったんでしょうか。

室田政府参考人 大串先生にお答えを申し上げます。

 まず、本日の質疑に際しまして、大串先生より、藤井氏と、國分氏を含む民間人との関係でのEメールの内容に関する御質問を幾つか受けておりますので、まず、憲法との関係におきまして、通信の秘密は保障されなければならないということが書いてあるという観点、これを我々はまず重視しなければならないというところを申し上げておきたいと思います。

 私どもが藤井氏の公用のメールをチェックいたしましたのは、あくまでも、内閣府のLANの利用規定に基づきまして、藤井氏本人が、公務員として、内閣官房の職員としてEメールを適正に使用していたかどうかのチェックをしているということでございますので、そのチェックをするということは民間人の方の通信の秘密を侵していいということにはならないということをまず申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 したがって、國分氏と藤井氏のメールにつきましても、國分氏との関係では通信の秘密というのが基本的に保障されなければならないという前提で私ども答弁をさせていただいております。

 一通、四月二十七日のメールを公開させていただきましたけれども、これについては、まさに藤井氏の非違行為の証拠であるということでございましたので、國分氏にお願いをしまして、出させてくださいということを私どもお願いした結果、御了承をいただいたので出している、これをまず前提として申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、先生からメールの数についての御質問がございました。私ども、特段、メールの数を事前に数えてはございませんでしたけれども、國分氏の了承も得まして、メールの数を数えた部分を御紹介させていただきます。

 藤井氏が国家安全保障局に所属しておりましたのは、令和元年の十月から令和四年の二月の頭まででございますけれども、その間の公用メール、残っているもので、國分氏発藤井氏宛てが百四十一件でございます。藤井氏発國分氏宛てが五十九件でございます。

大串(博)委員 藤井氏が国家安全保障局に在籍した二年ちょっとの間で、國分氏から藤井氏へが百四十一件、藤井氏から國分氏へが五十九件、合わせて二百件のメールのやり取りがあったと。二年間で二百件ですから、一年間で百件、一週間で二通ですね、普通に数えると、そのぐらいのメールのやり取りはされていたということでありました。

 非違行為につながるということで、金融庁に係るメールは開示していただきましたけれども、そのメールの中に、これは全部EYのアドレスから國分氏から藤井氏に送られていたということであります。よって、仕事の内容ではないかというふうに思われます。

 先ほど申しましたように、EYの國分氏の仕事はストラテジック・インパクト・ユニットリーダーということで、先ほど申し上げたような、経済安全保障に関わるコンサルティング業務を提供するということが仕事のようであります。

 と考えると、そのメールの内容も、業務用のメールアドレスから送られたということを考えると、経済安全保障に関して、こうあるべき、あるいはこうしてはどうか、あるいはこれはどうなっているんでしょうかという質問、こういった内容ではなかったかというふうに思うんですけれども、そのような内容ではなかったですか。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、國分氏の了承が得られる範囲内でのお答えとなります。昨日、私、國分氏と、夜、直接話をさせていただいて、どういう内容をお答えするかを確認させていただいた上ということで御理解をいただければと思います。

 まず、メールの主なやり取りでございますが、國分氏からのメールについては、御自身が読まれた興味深い経済安保関連の記事あるいは第三者の論文の送付、あるいは自らの著作物等の共有というのがあったということです。藤井氏からについては、自らの行う講演や著作物の宣伝などがあったということ。それから、食事会の調整などをやっていたということでございます。

 その上で、これまでの答弁との関係で申し上げられることを三つ申し上げたいと思います。

 一つは、公開させていただいたメール以外に、藤井氏の非違行為の証拠となるようなメールのやり取りはなかったということでございます。二つ目は、藤井氏の法案への不当な関与を裏づけるようなやり取りはなかったということでございます。三つ目は、公開させていただいたメール以外で、仕込みという言葉はなかったということでございます。

大串(博)委員 國分氏からは読んだ記事あるいは論文等々を送った、藤井氏からも講演の内容とか記事とかが送られてきたということでありましたけれども、仕込みという言葉はなかったということでありますけれども、記事とか論文とか、こういうことを國分氏から藤井氏に送られるということであると、当然そこには何がしかの意見もついているんじゃないかと思うんです、この記事のこういうところが関心を呼びましたと。

 そういった形での一定程度の情報の提供はあっていいと思うんですよ。一定程度の情報の提供はあっていいけれども、これはと思われるような情報の提供はなかったんでしょうか。それは、どういう基準というか、どういうふうな観点で皆さん確認されて、非違行為に当たるようなものはなかったというふうに判断されているんでしょうか。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 國分氏との関係で内容について申し上げられますのは、先ほど答弁で申し上げたとおりでございます。

 むしろ、非違行為についての証拠となったかならなかったかの基準は、國分氏の問題ではなくて、私ども政府側の問題でございます。政府側の基準ははっきりしておりまして、国家公務員法、国家公務員倫理法を始めとする関係法令に違反がなかったかどうか、その違反を裏づける物証とならなかったかどうか、それに尽きるということでございます。

大串(博)委員 ちょっと私の聞き方が悪かったですね。非違行為に当たるかどうかは国家公務員法違反になるかどうかですけれども、それでは、法案に関して、これはちょっと過度な意見具申、あるいは、藤井氏がそれを受けて反応しているな、これはお互いの関係が近過ぎるのではないか、踏み込み過ぎるのではないかと。

 というのは、先ほど申しましたように、國分氏というのは、まさに経済安全保障でコンサルティング業務を行う、企業に対してコンサルティング業務を行うということをなりわいとされている方です。まさに、この業界に利害を持たれる方ですね。ここの利害を持たれる方とのコンタクトというのは、これはいろいろな利害関係者の指定はありますけれども、基本的には、政府の公務員たるもの、極めて用心して接触をしているのが常です。しかもNSSですからね、非常に機密性の高い業務を行っている。

 そういった高い倫理性、規範性に鑑みて、ちょっとこの関係は両者において近過ぎるのではないか、意見がかなり寄り過ぎるというか、かなり近い意見交換性を持っているんじゃないかと思われるようなことはなかったですか。

室田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまの大串先生の御質問については、これはメールを読んだ私どもの基準に基づく判断だというふうに考えますので、私、メールの方を確認した責任者でございまして、私の判断ということを申し上げさせていただきます。

 私が公用メールを見た限りにおいて、法案の内容について、國分氏と藤井氏のやり取りにおいて、大串先生がおっしゃるような、これは行き過ぎではないかというようなやり取りはなかったというふうに私は認識しております。

大串(博)委員 私たち繰り返し申しておりますけれども、法案をゆがめるようなことは、この非違行為調査の中では出てこなかったということを繰り返しおっしゃいます。今もおっしゃいました。先般来、この非違行為調査の報告書に関しては、非違行為の結果に関する記載はあるんですけれども、法案に影響を与えたということに関して、あるいは与えていないということに関する記載が全くありません。これに関して紙で出してくださいといったことを申しておるんですけれども、これもまだ出てきていないということになっています。

 委員長、これはどうなっていますでしょうか。

上野委員長 理事会、与野党筆頭間で協議中だと認識しております。

大串(博)委員 是非、これは早くやっていただきたい。これだけ何回も、一番肝腎要の、法案にゆがみを生じさせていなかったかということの、答弁はあるけれども文書がない、どのように調査したかもない、ここで言葉で言われているだけ。何か、ぬかにくぎなんですよ。是非、きちんとした調査結果報告を紙で出していただくようにお願いします。

 その上で、それもなかなか難しいということであれば、是非やはり、今話があったようなことを、藤井氏と國分氏にこの場に来ていただいて、きちんと私たちからもお話を聞かせていただきたい。確かに、通信の秘密とかもありますから、その一つ一つを、私的権利を侵すわけにはいきません。ただ、基本的には、公開の場でしゃべっていただけることをきちんとしゃべっていただく、これを確認させていただくというのは国会の機能だというふうに私は思いますので、この場に藤井氏そして國分氏に来ていただいて、参考人として私たちから質疑をさせていただく機会を改めていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

上野委員長 引き続き、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 是非よろしくお願いします。

 先ほどの防衛装備庁の調達に関することですけれども、これに関しては、二〇一九年五月に基準が変わったと。くしくもですけれども、その前後で、調達を多く行っていた企業がデロイト社からEY社に多く替わっている。これは二〇一九年五月の基準の変更です。その直前に、少し前に國分氏もデロイトからEYに移っていらっしゃる。

 このときに藤井氏は官房審議官という防衛装備庁の仕事にいたわけですけれども、官房審議官という仕事は、組織令を確認しましたら、役所の官房長の仕事だから、この間、防衛装備庁の方が言われた、この基準の変更に形式的には関与していた、形式的には関与していたという形式的には当たらない、まさにど真ん中の職責にいらっしゃったということを指摘だけ申し上げて、私の質疑を終わります。

上野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 大臣も事務方の皆さんも連日お疲れさまです。前回の質疑も踏まえて、今日も質問させていただきたいというふうに思っています。

 まず、先週二十三日の質疑で、経済安全保障の定義について議論させていただきました。その際に、政府の考え方、御答弁はあったんですけれども、文書で出してくださいというふうにお願いをさせていただきました。そのほか何点か文書での提出をお願いしておりますが、現時点でまだ出てきていないというふうに承知をしておりますので、是非、理事会で協議をいただいて、しっかりと提出をお願いしたいと思いますので、委員長、よろしくお願いいたします。

上野委員長 理事会で協議します。

本庄委員 その上で、質問に入らせていただきたいと思います。

 大臣、先週の御答弁の中で、この定義に関して、分かりやすく言えば国家国民の安全を経済面から確保することというふうに、分かりやすく言えばという前提ですけれども、おっしゃいました。国家国民の安全ですね。他方で、ほかの委員の答弁の中では、国益、国益を経済的手段や経済面から確保していく、こういう答弁もあったんですね。

 国家国民の安全と国益というのは、私はもちろん相反するものだとは思っておりませんが、範囲といいますか大きさといいますか、大分違うなというふうに思うんですね。安全という部分に限定をして、あるいはそこを主目的として政策を打つ場合と、国益という、より広い射程で政策を打つ場合と、おのずと考え方、やり方、やることは変わってくるんじゃないかなというふうに理解をいたします。

 この点について、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 先日、委員に、ほかの委員も含めてお答え申し上げたのは、定義ということですので、今特段、決まった、確立した定義はないということを、あえて国民の皆様に分かりやすく、私の基本的な考え方、理念というものを申し上げました。

 今、国家国民の安全そして国益という二つの言い方をさせていただいたんですけれども、より正確に申し上げると、これも申し上げているんですけれども、国益を経済面から確保すること。国益というのは、もう既に審議で何回か述べましたが、今の国家安保戦略には三つあって、なかんずく、まず一つ目の国益としては、国の、国家の主権、独立、国民の生命、身体、財産を守ること、これが一つあって、二つ目は、経済的な繁栄を実現すること、三つ目として、基本的な価値に基づいた秩序、ルールを擁護し強化していくこと。その中でも、今冒頭申し上げた、なかんずく、一つ目に申し上げた国益、これが国家国民の安全というふうに申し上げているわけであります。

本庄委員 そうすると、正確を期してもし御説明をいただくとすれば、国益、とりわけ国家国民の安全、こういう整理になるということですね。是非書面で、一度整理したものをお願いしたいと思います。

 その上で、次の問い、関連ですが、大臣はこういうふうにもおっしゃったんですね。経済安全保障は多岐にわたる新しい課題だ、これはほかの委員にも何度も答弁をされていますけれども、主要国において確立したものがあるわけではないと。経済安全保障の定義ですね。

 確かに経済安全保障という概念はそうかもしれません。では、安全保障という概念はどうなんでしょう。経済安全保障じゃなくて安全保障ですね。

 これは古くからある概念じゃないかというふうに私は思いますし、今回の法律の中でも、安全保障の確保という表現が何度も出てきます。安全の保障でも安全の確保でもなく、安全保障の確保、こういう言い方ですね。したがって、安全保障の定義が分かればもう少し私はこの経済安全保障の定義も見えてくるんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、安全保障について、定義、どのようにお考えでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 法律上、安全保障の明確な定義があるかというのは別として、一般論として申し上げますと、外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することを意味するとされているものと理解しております。

本庄委員 ありがとうございます。

 最初に申し上げたとおり、やはり基本的なことを本来であれば法律に書くべきだと思いますが、諸事情があって書いてない、例えばこの定義ですね。という中で、やはり私は、文書、書面でしっかりと委員会に、答弁だけではなくて、お願いをしたいということを申し上げたいと思います。

 その上で、次の質問に行きたいんですが、基本方針それから基本指針についてです。

 これについても、前回の委員会の中で、私からは基本方針の骨格を御説明お願いしたいということで、御説明はありました。私はその御説明を多としておりますが、これも文書でとそのとき申し上げたと思うんですけれども、そのときおっしゃったことで、例えば、政策の必要性と考え方、規制が経済活動の自由を不当に阻害することがないようにすること、国際法の遵守、事業者等の自主性の尊重、企業の責任ある行動の促進など、これは、第一号の、経済安保の基本的な事項というところで、どういうことを書くかという説明があったんですね。

 私、こういうぐらいのことはやはり法律で、例えば基本理念とかそういった形でもいいと思うんですが、やはり法律にしっかり書くべきだったんじゃないかというふうに議事録を見て改めて感じたんですが、大臣、いかがでしょうか。

小林国務大臣 今委員がおっしゃっていただいたことは、先般私が答弁申し上げたとおり、閣議決定する基本方針の骨格として位置づけていこうと考えております。

 法律の中に何をどれだけ盛り込むかというのはいろいろな考え方があると思っておりまして、今回、我々としては、四つの項目を一つにまとめていくということで、いろいろ考えましたけれども、今回、基本方針を定めた上で四つの項目についてそれぞれ指針を定めていく、そういうようなアプローチを取らせていただいたということであります。

本庄委員 前回の委員会、前回というか過去二回の委員会の中で、基本方針の骨格、それから基本指針の中で二つ御説明いただけたと私は理解しております。すなわち、第六条の安定供給確保基本指針、それから第四十九条の特定社会基盤役務基本指針、この二つの概略については、私の質問と公明党の國重委員の質問の中で御答弁があったと思います、議事録にも残った。これも文書でと思いますが。

 残りの二つの基本指針ですね。まず第六十条、特定重要技術研究開発基本指針、これについての、指針の内容について、どういったことを書いていくおつもりか、概略を是非御答弁お願いします。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 第六十条第二項の各号に掲げる事項につきましては、今委員おっしゃった特定重要技術研究開発基本指針として定めるものが列記されております。

 その中で、より具体的に申し上げますと、第一号としましては、特定重要技術の研究開発の促進等に関する基本的な方向に関する事項として、制度趣旨を示しつつ、特定重要技術について一定の具体化を図るほか、第二号、これは協議会の組織に関する基本的な事項でございますが、協議会設置の際の考え方や、情報提供あるいは情報管理などの運営方法などを示すことが考えられます。第三号、指定基金の指定に関する基本的な事項として、指定に当たっての考え方などを示して、そして、第四号、調査研究の実施に関する基本的な事項といたしましては、シンクタンクへの委託を含む調査研究の方向性などを示すことを想定しております。また、第五号、特定重要技術の研究開発の促進等に当たって配慮すべき事項といたしましては、政府全体の戦略、各施策との連携などを示すほか、第六号、所要事項といたしまして、特定重要技術の研究開発等に係る人材の養成等に関する考え方を示すことを想定しているところでございます。

本庄委員 ありがとうございます。

 では、基本指針の四分野の四つ目、特許出願非公開基本指針、第六十五条、こちらについても是非お願いいたします。

小林国務大臣 特許出願非公開基本指針につきましては、第六十五条第二項の各号に掲げる事項を定めております。

 具体的に申し上げますと、第一号、基本的な方向に関する事項といたしましては、経済活動やイノベーションと両立する形で適切に制度が運用されることの重要性などを定めることを想定しています。

 第二号の、次条第一項の規定に基づき政令で定める技術の分野に関する基本的な事項とあるんですが、例えば、対象を我が国の安全保障上極めて機微な発明に限定することですとか、六十六条一項本文に、政令で定める要件とあるんですけれども、その考え方などを定めることを想定しているところでございます。

 また、第三号として、保全指定に関する手続の在り方に関する事項とありますが、例えば、保全審査、保全指定の延長、解除などの手続における出願人とのコミュニケーションなどの留意事項などを定めるとともに、第四号の、その他必要な事項とあるんですけれども、例えば損失補償に関する事項などを定めることを想定しているところでございます。

本庄委員 御答弁ありがとうございます。非常に重要な御答弁だと思います。

 法律の中身、それから基本方針の骨格、それから基本指針の概略、これがそろってこないと中身のある審議ができないなというふうに私はずっと思っておりましたので、今日この段階でようやくそれがそろったということだと思いますので、今日の答弁も踏まえて更に議論を深めたいなというふうに思います。とてもメモし切れませんので、私、本来であれば与党の持ち時間の中でこういう基本的なことを是非政府に聞いてもらいたかったんですが、そういった機会が國重委員以外なかったものですから、改めて、この場をかりて確認させていただきました。ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思うんですが、外為法との関係で、これは経済産業省にも来ていただいております。大変御無沙汰しております。

 小林大臣は、前回の質疑の中で、第五条の留意事項のことを私がお尋ねしたときに、自由な経済活動との両立を図る観点から規制を必要最小限度とするよう努めることは当然であると前置きをした上で、国際情勢の変化などに伴う安全保障上のリスクというのは変動し、予測し難い側面もあることから、あらかじめ一律に必要最小限度とは規定せず、あえて、合理的に必要と認められる限度と規定しました、こういう答弁がありました。

 その上で、経済産業省に外為法の関係でお伺いをしたいんですが、外為法、外国為替及び外国貿易法には、三か所、必要最小限という規定が出てまいります。第一条の目的、必要最小限の管理又は調整を行う。第四十七条、輸出の原則、最少限度の制限の下に許容される。そして、許可等の条件、第六十七条、必要最小限のものでなければならない。こういうことなんですが、この必要最小限の趣旨について、御説明お願いできますか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 本庄委員御指摘のとおり、外為法に、基本的に、必要最小限の管理又は調整という言葉が出てきます。これは、外為法第一条がございまして、ここで、対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対して必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期すとともに、我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とします。

 これは一部の引用でございますが、こうした中での文脈での必要最小限ということで規定されているものと承知しております。

本庄委員 この外為法も、広い意味では経済安全保障法制の一部だというふうに私は理解しておりますが、やはり、自由な経済活動、自由で開かれた経済、それを大前提として、その上でいかに安全を確保していくかという中で、やはり規制は必要最小限度であるべきだろう、こういう発想なんだろうと思います。

 そこで、経済産業省、もう一つお伺いしますが、合理的な範囲という表現ではなくて必要限度となっておりますが、この外為法執行に当たって何か支障はありますか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 支障があるか否かというのは、どういう判断基準に基づいて行われるかということなので、直接のお答えは差し控えますが、私ども、例えば、外為法第四十八条第一項で安全保障貿易管理を行っているわけですが、これは、まさに国際的な平和及び安全の維持の観点から軍事転用が可能な機微技術等の輸出について厳格な管理を行っているということなので、こうした執行はしっかり行っているところでございます。

本庄委員 ありがとうございます。

 恐らく、必要最小限度という規定で何か支障があれば、法改正がなされて、合理的なというようなことだとか、規定が変えられるんだろうと思うんですが、そういうことが具体的に課題になったことはないと私は思うんですね。やはり、この必要最小限度という枠の中でできることをしっかりやっていくということで足りるのではないかと私は思いますし、我が立憲民主党としても、経済活動の自由、こういったところにより力点を置くと、合理的な範囲という今回の法律の書き方は、やや、やはり裁量権が広いのではないか、こういうふうに考えます。

 是非、引き続き御検討いただきたいと思います。我々も何らかの形で具体的に提案をしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと日韓関係の話は今回は飛ばしまして、次の質問に移りたいと思うんですが、特定重要物資の安定的な供給確保、サプライチェーンのところなんですけれども、まず、経済産業省。

 済みません、その前に大臣にお伺いしたいんですが、さきの質疑の中で、特定重要物資の四要件、こういうふうにおっしゃいました。

 これは法律に書いてあることなので、あえて四要件という表現を使われたのは私は新しい御答弁だと思ってお伺いしたんですが、第一要件が、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活、経済活動が依拠している重要な物資又は原材料。第二要件、外部に過度に依存し又は依存するおそれがある。この第二要件については前回も少し議論させていただきました。第三要件、外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要がある、これが第三。第四が、安定供給を図ることが特に必要だ。

 この四つの要件の中で絞り込んでいくということですが、議論でも一度出ていましたが、確認しますけれども、第三要件、外部から行われる行為、これはどういった主体によるどういった行為を想定をされているのか、そして、国際紛争とか大規模災害、こういったものは含まれないという理解でいいのか、御答弁をお願いします。

小林国務大臣 これは、主体として想定されるのは外国政府等ということでございます。

 また、今災害の話が出ましたけれども、法文上は、災害そのものが、直接、外部からの脅威というふうに読むことは難しいと思います。ただし、例えば、何か大規模な災害があって、その結果として、それを契機として外部の主体が何らかの行動を取るということは当然想定され得る話ですので、その点についてはこの法案でも読み込んでいけると考えております。

本庄委員 私、なぜこういうことを聞いているかというと、政府の裁量を狭めるべきだという立場に立ちながら議論をしてきているものの、この四要件に合致する物資というのは、相当絞られ過ぎてしまって使い勝手が悪いんじゃないかと思いながら見ているんですね。

 外部から行われる行為、意図を持って、ある政府がそういうことをするとしても、それはもちろん、ないとは言いません、あると思います。でも、かなり限定されたケースではないかというふうに思うんですね。むしろほかのリスクの方がはるかに多くて、災害もそうだし、国際紛争もそうだし、そういったときに、この四要件に当てはまらないということで物資の指定ができないということになると、実は非常に使いづらい法律になってしまうんじゃないか、そういう問題意識を持っています。

 その上で、経済産業省にお尋ねしたいんですが、昨今の半導体不足についてです。

 今の状況、特に、世界における日本の半導体のシェア、それから、今起きているこの供給不足の原因、この辺りについて端的に御説明をお願いします。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、半導体の輸入割合ですが、我が国の海外からの半導体輸入割合、延長産業連関表によれば、二〇一八年時点で七九%でございます。

 そのような中で、半導体不足の課題でございますが、デジタル化の急速な進展により半導体需要が急増する一方で、東南アジアを始め各国の半導体製造拠点において、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う工場稼働抑制、こういったもので供給制約が生じて、世界的な半導体不足が発生をしたというふうに承知をしております。

 具体的には、二〇一九年比で二〇二一年の世界の半導体需要は二〇%増加をしておりますが、供給能力は八%の増加にとどまっております。実際に半導体不足が顕在化した二〇二〇年第四・四半期以降、ファウンドリーの工場稼働率が世界全体で約九五%と極めて高水準となっており、こうした需給ギャップを反映しているというふうに承知をしております。

本庄委員 今回、指定物資の候補の一つだと言われている半導体ですけれども、この半導体の事例だけを見ても、外部から行われる行為ということはないけれども、市場の状況とかあるいは感染症の拡大とか、そういった要因をもって供給不足ということが発生をしている。つまり、途絶のリスクということが生じかねない状況になっているわけですね。

 したがって、私はやはり、外部からという縛りがかかることは、法律上、かなり不備なのではないかなと。例えば例示として入っているならいいです。ただ、要件だとなると、それが必須ですから、なかなか使い勝手が悪いんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

小林国務大臣 これまでも委員にも御説明申し上げているとおり、まずは、経済安全保障という概念自体は広く取っています。今回の法律のたてつけとしては、やはりその中でも、最近、外部からの脅威というものが高まってきている、その背景を踏まえて、特に喫緊の手当てを要するものということで、四項目、措置をさせていただくわけです。

 したがって、先ほど申し上げたことと少し重なるんですけれども、当然、委員の問題意識は私も共有しておりまして、自然災害が起こったらどうなのか、感染症が起こったらどうなのか、当然、このサプライチェーンの話に跳ねてくるということは十分考えられます。

 ただ、法文上はそれを直接の対象とはしませんが、要件とはしませんが、当然そういうことも視野に入れた上で、その上で、外国政府の行動によって我が国の例えば安定供給に支障が生じるのであれば、当然そういうところを見ていくということでございますので、そうした理解をしていただければと思います。

 それと、もちろん、我が国に財政的な余裕もあって、全ての物資について何でもやるよということがあれば、それはそれで、それにこしたことはないと思いますが、様々な制約がある中で、やはり優先順位はつけていかなければならない。また、その時代の状況に応じて優先順位も変わってくると思うんです。その中で、やはり本当に優先順位が高い、国民の生命に不可欠なもの、あるいは広く経済活動が依拠しているものなどに絞った上でまずはやっていくということがアプローチの仕方として適切ではないかと考えています。

本庄委員 大臣の御答弁のとおりです。

 ただ、私が今取り上げたのは半導体ですね。骨太方針にも書かれていて、今回の指定物資の最有力候補と言われている半導体ですら、本当に適用可能なのかという状況だということを申し上げているんです。お願いします。

小林国務大臣 具体論として申し上げたいと思います。

 もう何度も申し上げているとおり、この特定重要物資の指定に当たっては、四つの要件、これは具体的に何が当てはまるのかというのは現時点ではちょっと予断を持って語ることはできないんですけれども、ただ、イメージを持って御審議いただくためにあえて例を挙げて申し上げますと、例えば、半導体の中でも、パワー半導体があります。この四つの要件に具体的に照らして考えてみました。

 まず、電力系統などで使用されることでグリーン社会の実現を支えて、今後ますます需要が伸びていくことが見込まれる物資でございます。また、産業用機械、電動車などの高電圧で動作する機器で使用されて、社会のデジタル化が進む中で様々な産業、製品に組み込まれておりまして、その意味では、広く経済活動が依拠しているという要件に該当し得ると考えます。

 二つ目、次に、現在は世界のシェアの約三割を日本が占めているんですけれども、国内への供給能力はあります、しかし、近年、各国が研究開発そして積極的な投資を行っておりますので、国際シェアが低下してきています。我が国が何ら措置を講じない場合、過度に依存するおそれがあるとの、この二つ目の要件には該当し得ると考えます。

 三つ目、今委員から御指摘があった、その際、供給途絶によって国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要につきましては、当然、そういう状況になれば、必要があると判断されると考えます。

 四つ目として、安定供給確保を図ることが特に必要と認められるときというのは、すなわち、ほかの法令や施策によって安定供給確保の措置が講じられていない場合には、このパワー半導体が特定重要物資として指定され得るというふうに考えております。

 ただし、今後どういう形で指定することが半導体のサプライチェーン強靱化の観点から有効であるかどうかというのは、物資それぞれの重要性ですとか海外の依存状況などを考慮しながら、戦略的に判断してまいりたいと考えます。

本庄委員 私が言うのも変ですけれども、外部から行われる行為等により国家国民の安全が損なわれるとか、そういう、少し間口を広げておいた方が私は使い勝手がいい法律になると思うし、逆に、使えない法律だと行政府の解釈が大きくなって、危ない法律になりかねないという心配もしているということを申し添えておきたいと思います。

 御答弁ありますか。

小林国務大臣 ありがとうございます。

 そこは、委員の御指摘も踏まえて、できる限り裁量というものがないように、指針とかを含めて、有識者の方も含めて、またパブリックコメントにかけて、客観性は保っていきたいと思います。その点については御理解をいただければと思います。

本庄委員 残り時間が少ないので、既存の制度との関係について、これは一般論で結構ですから、ちょっと確認をしておきたいんですね。

 既に備蓄などの制度、今回の法律でやろうとしているようなことが先行してやれている品目というものがあります。

 例えば、石油あるいは鉱物資源、こういったものは備蓄法があって、一定量を備蓄するというようなことが規定をされておりますけれども、こういった既に既存の備蓄制度などを持っている物資と、今回の法律で指定されるかもしれない物資あるいはこの制度は、両立するものなんですか。それとも、例えば石油が特定物資に指定されたときにどの制度で動かすことになるのか、あるいは権限は両方の権限になるのか、ちょっとその辺の整理を、私もつかないもので、大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

小林国務大臣 委員御指摘のとおり、例えば、米、小麦、石油、レアメタル、あるいは抗インフルエンザウイルス薬やインフルエンザワクチン、こうしたものについては備蓄を行っています。これらの物資の備蓄というのは、過去の事例なども踏まえて、既存の関連法令などに基づいて行っているものです。

 一方、この法案というものは、国民にとって必要不可欠なものを平時から安定供給確保を図るための枠組みとして、業種横断的に、いわゆるキャッチオールで措置するものです。

 この法案においての安定供給確保を図るに当たっては、民間事業者の多様な取組に対する支援を通じてこの確保を図っていくことを基本として、民間事業者に対する支援措置では安定供給確保が困難である場合に、国が自ら備蓄などの安定供給確保のための措置を講じるスキームとしています。

 当然ながら、既存の法令などに基づき既に備蓄を行っている物資については、この法案に基づいて別途備蓄を行うことは基本的には想定していないところであります。

本庄委員 そうしますと、石油等々の既存の制度を持ち合わせているものも、まず指定の対象から排除はされていないということはよろしいですか。

小林国務大臣 これは先ほど申し上げたとおり、キャッチオールのものですので、特段何かを排除するものではありません。

本庄委員 分かりました。

 そうしますと、今おっしゃった第四十四条、備蓄その他の安定確保のために、これは安定確保、備蓄だけじゃなくて、必要な措置と書かれていますので、アドオンする追加的な措置も、場合によっては、例えば備蓄法ではない、こっちの法律に基づいてやる、今回の経済安全保障に基づいてやるというようなことも可能になるのかなと思います。

 例えば、価格の問題なんかも、騰貴した場合に一定の価格以下で売り渡したりするというようなことも今回の法律に基づけばできるようになるわけですけれども、そういったことも、既存の備蓄を持っている制度であっても適用可能だ、こういう理解でよろしいでしょうか。

小林国務大臣 例えば、石油につきましては国家備蓄を実施しておりまして、既に安定供給確保のための施策が講じられております。そのため、この法案により更なる安定供給確保のための措置の必要性を認める場合でなければ、石油を特定重要物資として指定することはありませんし、また、その場合、本法案に基づいて石油を備蓄放出することも想定されないところであります。

本庄委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私も、議員になる前、秘書をやっていたときに、社会保障一体改革、二百十五時間審議がありまして死ぬ思いでしたけれども、それから見ればまだまだ二合目ぐらいかなと思いますので、引き続き、是非御議論をよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、太栄志君。

太委員 立憲民主党の太栄志でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 ウクライナ情勢、本当に緊迫して、国際情勢も大変激動しております。そういった中で、小林大臣を始め、今日は小田原副大臣もいらしていただいていますが、政府関係者の皆さん、本当に、この経済安全保障を推進していくということで御尽力いただいていること、まず冒頭、心からの敬意と感謝を申し上げます。

 私は、外務委員会、また安全保障委員会に所属しておりますので、ライフワークとしても外交、安全保障に取り組んでおりますが、国民の生命と財産を守り抜く、そして平和を守り抜く、また、この経済安全保障においては、国民生活や国内経済、また産業を守っていく、そういった意味では私は同じことだと思っておりますので、そういった意味でも、やはり、対外的にいかに国益を確保していくのか、そういった視点からも、与党野党関係ありません、オール・ジャパンでこの問題を推進していく。そういった意味でも、私の視点から、政府の足りないところはしっかりとたださせていただきながら、本日質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 経済安全保障、まさにこの大きな歴史的な視座の中で、冷戦が崩壊してこの三十年間、中国が大きく急激に台頭していく中で、また、アメリカの国際的な影響力がどんどん低下しています。そういった中で、私たち日本の国がどういった立ち位置で振る舞っていくのかというのは大変重要だと思っておりますが、それと同時に、経済安全保障というのは、より国民生活に根づいたものだというふうに認識をしております。

 私も、地域で活動していく中で最近よく言われるのが、もちろん、一昨年ですか、マスク不足、まさに医療品関係が不足していく中で、本当に、サプライチェーン、海外に依存していることに、いろいろと本当に、しかも一国に大きく依存している中で、本当にこのままでいいのか、相当この問題を痛感したと思っておりますし、あと、最近は、特に、半導体不足の中で、給湯器あるいはファクスが注文してもなかなか届かない。特に給湯器は、高齢の方から何人かお話を伺いましたが、やかんでお湯を沸かして何とかしのいでいるという方も多くいらっしゃるということで、まさにこれはしっかりと、経済安全保障というのは、私は、暮らしにも直結をするからこそ、進めていかなければならないというふうに思っております。

 それで、まず最初に触れたい事件があります。

 経済安全保障は、国民にも、あるいは企業、中小企業にも様々な影響が及ぶということで、一昨年、私の選挙区の大和市の隣の横浜市の機械メーカー、大川原化工機、噴霧乾燥機の国内シェアがトップメーカー、この会社の社員や役員また技術者三名が、兵器の製造に適用できる機械を無許可で中国や韓国に輸出したという、そういった外為法違反の容疑で逮捕、起訴されました。先ほども本庄委員からもありましたが、この外為法、また広い意味では、私としても、経済安保に関わってくると思っております。

 そういった意味で、こういった、起訴、逮捕されて、十一か月にわたって勾留され、昨年七月に起訴が取り下げられるということがありました。

 この機械が規制の対象外だったということで起訴が取下げとなりましたが、この間に、拘束されていた技術者の方が亡くなってしまうということもあって、これは様々、ずさんな捜査の在り方というのも含めてニュースになりましたが、この案件、まず、小林大臣、もちろん直接関係があるとかそういった話じゃなく、御認識があるかどうか、まずその点を教えてください。お願いいたします。

小林国務大臣 委員御指摘の事案については、承知をしているところであります。

太委員 この案件というのは、私、相当、本当に重たいことだったと思っております。

 この役員の方、三名の方、逮捕後に、会社は金融機関からの融資が止められたりとか、輸出品の売上げは半減、さらに、先ほど言いました技術者の七十二歳の方が、予定していたがん検査も受けられずに、がんが判明後も検査や入院もままならずに、結局、保釈が認められない、さらには、もちろん名誉も回復されないというまま亡くなってしまう。大変痛ましい、身につまされる、そういった事件だったと思っています。

 まさに、これから経済安全保障を進めていく中で、協力の名目で政府が企業の経済活動に過度に関与し、あるいは民間の自由な経済活動の萎縮や経済の非効率化を招いてしまう可能性があると思っておりますが、大臣、この点、まさに自由な市場経済との関連性について、これはちょっと大きな質問なんですが、御見解をお聞かせください。お願いいたします。

小林国務大臣 経済安保の取組を進める上では、企業の経済活動やアカデミアの方々の研究活動の自由、これは大前提だと考えております。こうしたものを大きく阻害することがないようにすることが重要であると思っておりますし、また、予見可能性も高めていかなきゃいけない、そういう立場に立ってこの法案も作ってきたところでございます。

 安全保障の確保と自由な経済活動との両立、これをどれだけ高いところで合致させることができるか、それが肝要であると考えておりまして、基本方針、これは閣議決定されますけれども、その中にしっかりとそういうことについては明記をしていきたいと考えています。

太委員 大臣、ありがとうございます。まさに、そこをしっかりと明記された上で、自由な経済活動もしっかりと確保していく、そのことを是非とも進めていただきたい。

 我々立憲民主党も、そこはやはり一番重要な部分だと思っておりますので、様々会社に、企業に規制がかかる中でも、やはり、できる限り自由な経済活動を守っていこうということでこの経済安全保障を進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、次に移ります。

 経済安全保障分野におけるアメリカとの関係性について、こっちもまた大きなテーマになってしまいますが、まずは、これは外務省の方でしょうか、御見解を教えてください。お願いいたします。

小田原副大臣 太委員にお答え申し上げます。

 恐らく、経済安全保障分野においての米国との協力についての見識というふうに思います。

 委員は、米国で留学されたりシンクタンクでの御経験もあって、外交、安全保障に造詣が深いというふうに存じております。

 経済安全保障は、岸田政権の最優先の課題の一つであります。外務省も、対外経済関係に加えて、安全保障政策や国際法を所管する立場から重視をしているところであります。

 また、我が国の経済安全保障を確保するためには、日米協力を核とした同盟国、同志国との連携強化が重要であります。

 日米間では、昨年四月に首脳レベルで日米コアパートナーシップを発表いたしました。これは、国際社会が直面するグローバル課題への対応を念頭に、日米が自らの競争力と強靱性を高めるとともに、インド太平洋及び国際社会の繁栄を実現するためにリーダーシップを発揮していくため、経済分野での日米協力を包括的に推進する大きな方向性を示したものであります。その中には、サプライチェーンや重要技術の育成、保護を始めとする経済安全保障の確保に資する要素も含まれています。

 外務省は、関係省庁と連携しながら、同パートナーシップの具体化を推進するべく取り組んでいるところであります。

 一月の日米首脳テレビ会談においても、岸田総理とバイデン大統領との間で、同パートナーシップ等に基づく日米間の経済協力を拡大、深化させていくことで一致しました。さらに、一月の首脳テレビ会談で立ち上げることに合意した経済版2プラス2も活用し、同パートナーシップを含む日米間の経済面での広い連携と協力を推進してまいります。

太委員 どうもありがとうございます。

 小林大臣からもどうかお願いいたします。

小林国務大臣 我が国の経済安全保障を確保する取組というのは、あくまで我が国として主体的に国益を確保していく取組であると考えております。当然、連携は必要ですけれども、まずは自国の取組をどうするかという視点が重要であって、当然、我が国を取り巻く国際情勢は、今、流動的になっています。その中で、他国の動向に決して右往左往することのないように、自らの、日本としての基軸というものをしっかりと定めていくことが最も重要なことだと考えています。

 その上で重要なことは、この委員会審議でも何度も申し上げておるんですが、まず、自分たちの脆弱性を解消していく、いわゆる自律性を向上させていくということと、あとは、強みを持っていく、他国に対する優位性や不可欠性を獲得していく、その上で、国際社会における立ち位置を強化をし、プレゼンスを上げて、我が国の国益にかなう国際秩序、ルールづくりに参画していくことが重要だと思っています。

 当然、アメリカは同盟国でございますし、日米同盟、極めて重要だと思っておりますが、そこだけではなくて、日米豪印、いわゆるクアッドなど、様々な枠組みの中で他国との協力を深めていくことが重要だと考えております。

太委員 ありがとうございます。

 今、小田原副大臣、また小林大臣からありました。まさにアメリカとの関係をしっかりと強化しながら進めていただきたい、これは当然のことだと思っておりますし、今、小林大臣からもありましたが、その前に、我が国としての主体性、やはり私もここが一番大事だと思っております。

 軍事的な、まさに従来の安全保障においては、私はアメリカとの共通部分というのは相当大きいと思っておりますし、そこはしっかりと強化しながら、一方、経済安全保障分野においては、特にアメリカ側が、どうしても自国企業、もちろんこれは日本側も当然そこはしっかりと主張していくべきことでありますが、どうしても自国企業を過度に優先してしまいがちなところもあります。

 それで、やはり我々としては、これはもうずっとこの委員会でも議論があったと思いますが、中国との関係、最大の貿易相手国、米中の関係も、貿易額もどんどん向上していっているということをしっかりと見据えながら、我が国の基軸をしっかりと立ててやっていく。今大臣ありました、そこは是非とも貫いていただきたいというふうに思っております。

 次に、先ほど大臣からも、ほかの、クアッド等ともありましたが、まず、隣国、韓国との関係についてお伺いしたいと思います。

 大臣にお伺いしたいのが、韓国の経済安全保障戦略上の重要性について、大臣の御見解、お願いいたします。

小林国務大臣 韓国は、たしか今年の一月だったと思いますが、国家先端戦略産業法というものを策定しております。経済安全保障上の取組を韓国も強化していると承知をしておりまして、我が国としても、こうした隣国の動きを注視しているところであります。

 その上で、例えばサプライチェーンについて申し上げますと、グローバリゼーションあるいはテクノロジーの進展、それに伴う産業構造の変化が進む中で、例えばサプライチェーンを強靱化していくためには、特定の国に過度に依存するリスクも踏まえ、必要に応じて様々な国との間で国際連携を図っていくことが重要であると考えておりまして、いかなる国際連携があり得るかといった点も含めまして、今後しかるべく検討をしてまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 韓国は、これもずっと議論があったと思いますが、同志国として想定しているのかどうか、こちら、お答えいただけますでしょうか。ごめんなさい、出していなかったでしょうか。まあ、ですけれども、いずれにしろ、今のお話なんかも含めてお答えいただければと思います。

小林国務大臣 韓国は同志国ではないのか、また、協力していくのかという御質問だと思いますけれども、日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などによって非常に厳しい状況にあることは御承知のとおりだと考えます。今後の日韓関係の進め方などに関しましては、外務省にお尋ねをいただければと思います。

 いずれにしても、経済安保の取組を進めるに当たりましては、国際社会との連携は大変重要だと思っておりまして、目的を共にする様々な国々との間でしっかりと協力をしてまいりたいと考えます。

太委員 昨年の骨太の方針の中での経済安保に係る戦略的な方向性として、同志国との協力の拡大、深化を図ると。こちらは、もちろん米国は同盟国ですので入ると思うんですが、韓国が入るかどうかというのは、こちらも、この方針の中の同志国に、今の御見解だと入らないということでしょうか。もう一度お願いいたします。

小林国務大臣 私が申し上げたのは、経済安保の取組を進めるに当たっては、国際社会との連携が大変重要であって、目的を共にする様々な国々との間でしっかり協力していきたいと答えたところであります。

太委員 分かりました。

 私としては、明確に、もちろん様々歴史問題が、御指摘のとおり、ありますし、なかなか今、日韓関係というのは構造的にいろいろな課題を抱えていてうまくいかないと思っておりますが、是非ともここは、今大臣がおっしゃったように、私も、サプライチェーンをどう多角化していくかと。

 今、台湾海峡、特に、いろいろなパワーバランスが変動していく中で、いろいろな有事も想定されます。朝鮮半島もそうです。また、活発にいろいろなミサイルを発射しておりますが、そういった中で、やはり台湾のTSMCだけでなく、サムスン、まさに韓国ともしっかりと結びついておくこと、そこは大事だと思うんですが、残念ながらそこがなかなか見えてこないというふうに思って、問題意識として私は持っております。

 ここでお伺いしたいのが、私としては、いろいろな意味でその一番の障害になっている、いろいろと課題を抱えていると思っているのが、韓国への我が国からの対韓輸出管理規制について。ここは、経産省の方、現状と、また今後の見通しに関して教えてください。

風木政府参考人 お答えいたします。現状と見通しでございます。

 二〇一九年七月に我々が公表いたしました韓国向け輸出管理の運用見直しでございますが、安全保障の観点から、輸出管理を適切に実施するために実施したものでございます。本見直しについては、日韓の輸出管理当局間の政策対話を通じまして韓国の輸出管理の状況などを総合的に評価して、実効性を見極めたいと考えております。

 しかしながら、二〇二〇年七月には、WTOの紛争解決機関において、韓国側の要請により、韓国向け輸出管理の運用見直しに関するパネルが設置されております。このような状況下では、政策対話を通じた韓国における輸出管理の実効性確認は困難となっているところでございます。

 引き続き、韓国側には、日韓当局間で政策対話の再開が可能となる環境を醸成するためにも、WTOプロセスについて取下げを求めてまいりたいと考えております。

太委員 分かりました。

 なかなかこれは交渉が進んでいかない。たしか、ちょうど二〇二〇年、一昨年、二年前ですか、三月十一日、これが最後の交渉だったと思いますが、もちろん私も、我が国からの輸出する様々な、大変機密性の高いものも含めて、軍事的に活用されかねない、いろいろな意味で、安全保障上の理由から輸出管理規制というのは必要だと思っています。これは大事だと思っています。

 ですけれども、一方、韓国もこの間、相当、様々な形で、日本側の求めに対して体制の改善等を行ってきているという中でありますので、しかも、五月から、五月十日ですか、韓国で新しい新大統領も誕生します、尹大統領。日韓関係をいい意味で改善していこうということで、未来志向でやっていこう、歴史問題も含めて包括的にいろいろなことを進めていきたいということを言っていますので、今私はチャンスだと思っております。

 経済安全保障を一つのきっかけとして関係改善ができないかというふうに思っておりまして、先ほど大臣もおっしゃっていましたこの韓国の重要性、やはり、そういったサプライチェーンの多角化を図っていくということからも、もちろん、土台としては、大方針は国内の生産能力をしっかりと高めていくことでありますけれども、その上でどうやって、半導体、これを私は確保していくことだと思っておりますので、そういった意味で、この点、我が国としても、今、様々にチャンスだと思っておりますので、そこを進めていただきたい。

 これは大臣からも御見解を、経済安全保障の視点から、今、チャンスだと思っておりますので、そういった意味でのリーダーシップを発揮していただきたいという意味で、お願いいたします。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 今後の日韓関係の在り方については外務省にお尋ねいただければと思いますが、あくまで、今委員御指摘いただいたとおり、まずは自国の基軸をどうやってつくっていくのかというところだと思います。その上で、我が国の国益の視点に立って戦略的な連携の在り方を考えていくということだと思います。

太委員 ありがとうございます。

 この韓国の問題、繰り返しになってしまって申し訳ないですが、やはり、いろいろな意味で、国際情勢も変わっております。我が国として、やはり何が優先順位かというところをしっかりと見据えなきゃいけないと思っておりますので、この歴史問題は、もちろんこれは譲歩できないですよ、ですけれども、今のこの国際情勢を考えて、本気で経済安全保障というのを進めていくのであれば、まず最初に進めるのが私は韓国との関係改善だと。

 これは外務省さんだと思いますが、そういったところを進めていただきながら、大臣からもありました、まさに韓国も、経済安保をしっかり進めていこうということで、外務省の中に専門部署も立ち上げて、新設して進んでいく、そういった状況。

 あと、バイデン政権も、クアッドをしっかり活用していこう、この戦略物資のサプライチェーン見直しの中で、そういうふうに発言しています。尹次期大統領もクアッドへの参加意向というのも示していますので、これはもちろん、クアッドの名前を変えてでも、私としては、経済安保を一つの軸にしながらインド太平洋地域の開かれた国際秩序をしっかりとつくっていくという、そういったことを進めていただきたいと思っております。

 この点、そういった意味で、広い、日韓プラスして、同志国と合わせたそういった取組、大臣、最後にもう一度、この点お願いいたします。

小林国務大臣 繰り返しになりますが、経済安保の取組を進める上では、当然、我が国の基軸をつくり、国益の確保を図り、その上で、そうした観点に立って、国際社会との連携をどう図っていくかということが重要だと思っております。

 今、委員からFOIPの話も出ましたけれども、当然、自由で開かれたインド太平洋、こうした構想に基づいて、我が国として国益にかなう外交努力をしていくことが大切なんだろうと思っております。

太委員 どうか引き続き、この点、よろしくお願いいたします。

 次に、これは経団連から提言が出されております。経済安全保障に関する施策を実効的なものとするために、インテリジェンス諸機関の体制強化に加えて、有志国や関係府省庁との情報共有を深めて、企業とも可能な範囲で共有することが求められるというふうに述べております。

 こちらは外務省の方に伺いたいと思いますが、外務省を経た外交ルート、あるいは在外公館等の情報を経済安全保障の施策を進めるために政府内外で共有することがあるのかどうか、こちらをちょっと御見解を教えてください。お願いします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済安全保障の確保に向けては、各国の多岐にわたる経済安全保障関連の取組、動きにつきまして情報収集、集約、分析を行い、またそれを適切に取り扱うということが重要であると考えておるという次第です。

 外務省といたしましても、我が国の経済安全保障を確保する観点から、外交上のやり取りや在外公館の活動等を通じまして様々な情報収集を行っているところでございます。これらにつきましては、関係省庁とも、必要に応じ、適切な形で共有を行っているというところでございます。

 委員御指摘の、日本企業や有志国政府との情報共有につきましては、共有する相手や情報の内容、性質等を踏まえつつ対応してきているというところでございます。

 日本政府の取組を進展させていく中で、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございます。まさにそこは企業との、あるいは他国との情報共有というところが相当重要になってくると思いますので、今御指摘いただいたように、何でもかんでも出すのではなく、しっかりとそこは精査してやっていただけるということだと思いますので、お願いいたします。

 それで、やはり私としましては、この経済安全保障を進めていく上で、インテリジェンス機関、インテリジェンス機能というのは大変重要だと思っておりますが、こちらは内閣官房でしょうか、どういった形で今後想定しているのか、どういった形でインテリジェンス機能を進めているのか。

 私としては、機関として、しっかりと我が国として設けるべきだと思っておりますが、その提案に対する見解も含めて御返答をお願いいたします。

柳政府参考人 お答えいたします。

 現在の情報コミュニティーは、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置され、また、情報コミュニティー省庁が内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつ情報収集、分析活動に当たっており、情報コミュニティーとして機能していると認識しております。

 新しい課題である経済安全保障分野においても、その情報収集、分析機能等の強化は重要と認識しており、そのために、令和四年度予算において、情報コミュニティーとして約百三十人の定員増をお認めいただいているところであります。

 引き続き、経済インテリジェンスの強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございました。

 それでは、小林大臣にも、この点、包括的なインテリジェンス機関を、私、具体的に設けた方がいいと思っているんですが、その点に関しての御見解をお願いいたします。

小林国務大臣 経済安保に関する幅広い情報の収集、集約、そして分析などを行う情報コミュニティーから国家安全保障局、いわゆるNSSの経済班などに提供される情報は、経済安保に関する多岐にわたる政策課題の取組に生かされております。こうした観点から、経済インテリジェンスは経済安保の取組を下支えしている重要な要素だと考えています。

 その上で、情報コミュニティーの在り方についてなんですけれども、この点については様々な議論があると承知をしています。また、しかるべく研究がなされているとも承知しておりますけれども、いずれにしても、経済安保の取組の実効性を担保していくためには、この経済インテリジェンスを含めて、政府全体としての体制の強化、これは喫緊の課題だと思っております。

 今、政府参考人の方から、経済インテリジェンスに関する情報コミュニティーの人員約三十人の定員増を令和四年度予算において計上したというふうに答えがありましたが、政策部門に関しても、人員約二百五十名、定員の増を計上させていただいたところであります。

太委員 御説明ありがとうございます。

 ですけれども、私はやはり、まだまだこれは足りないと思うんですよね。といいますのも、今大臣から御説明がありました、各省庁に対してそれぞれの人員を増やしていくという方針なんですが、やはりここは、そもそも我が国のこのインテリジェンス機関というのが、ほかの国に比べて圧倒的に人員も少ないです。

 アメリカだと、CIA、NSA、また国防総省も含めて、これは七万人近く。我が国は数千人ということで、一桁違っています。あと、フランス、イギリスとも、人口比で比べても、これは圧倒的に我が国としては少ない状況。

 それで、どうこれから経済安全保障をしっかりと推進していくのか、それを考えたときに、ほかの国は相当、様々な形で情報収集しております。

 韓国も、先ほども御説明ありました、新しいセンターを設けてやっていこうという中で、在外公館に、この経済安保に特化した、そういった調査員もしっかりと、もう日本にも配置していると思いますが、配置してやっていこうという流れであります。

 やはり、この情報インテリジェンスの司令塔が経済安保に私は必要だと思っていますので、ここを何とか、大臣、先ほどおっしゃったように、この体制強化に向けて、喫緊の課題とおっしゃいましたが、これは、司令塔機能を持った独立の機関を経済安保に関しては持つということを御検討いただけないか、最後にもう一度御見解をお願いいたします。

小林国務大臣 お答え申し上げます前に、今し方、私、インテリジェンスに関する情報コミュニティーの人員、約百三十名のところ、三十名というふうに申し上げてしまったということですので、そこは訂正させていただきます。

 委員から様々事例の紹介がありましたが、各国によって置かれている状況は違うと思います。でも、いずれにしても、このインテリジェンスの体制強化というのは喫緊の課題でございますので、連携の在り方、あるいは人員の育成、確保、こうしたことも含めて、経済インテリジェンスに限らず、その情報コミュニティーの在り方につきましては、不断に検討を重ねていくことが重要なんだろうと考えます。

太委員 ありがとうございます。どうか引き続き、この点、物すごく重要だと思っておりますので、続けていただけますよう、お願いいたします。

 時間となりました。

 先ほど、冒頭でも言いました、経済安保を推進していく上で、様々、国民生活だけじゃなく、企業にもこれは直撃をする大きな案件ですので、横浜の先ほどの、本当に様々あった中で、ずさんな検査等あった中に技術者が亡くなったという案件もありました。どうか引き続き、この点、大臣には御配慮いただきながら進めていただきますようお願い申し上げまして、私からの質疑を終了いたします。

 どうもありがとうございます。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 まず、小林大臣そして関係省庁の皆様、本日はよろしくお願いいたします。

 先日も少し触れさせていただいたんですけれども、まず最初に、国際的なルール形成についてお伺いをしてまいります。

 様々な物、住宅、建物、車、家電製品、電子機器などがネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され相互に情報交換をするIoTや、様々な分野でのAIの活用などにより、今、世界は大きく変わりつつあります。そして、サイバー空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会、ソサエティー五・〇の扉が開かれようとしております。

 こうした中にあって、EUでは、国際標準化戦略及び二〇二二年作業計画を公表し、AI、データ、水素、蓄電池、半導体等の分野で、緊急を要するものを設定しまして、欧州の戦略的自律性強化を掲げて、EUのグリーン及びデジタル社会への移行に関連する戦略的分野では、EUがリードすべしとの見解を示しております。

 一方で、米国は、AI、先端素材など、国際標準戦略を伴い得る先端技術投資の対象分野を示し、取組を進めております。

 このように、世界では、国際標準をめぐり各国が戦略的な取組を繰り広げており、我が国においても、経済安全保障上、国際的なルール形成は非常に重要であると考えております。そこで、本日は、国際標準化をめぐる現状や課題、そして今後の我が国の取組について具体的に伺ってまいります。

 まず初めに、国際標準化に取り組むべき人材の現状についてお伺いいたします。

 代表的な国際規格としてISOとIECがあります。ISOは、一九四七年に発足した、電気を除く工業規格を策定する民間の非政府組織、そして世界最大の国際標準化組織であります。一方で、IECは、ISOで取り扱っていない電気、電子技術分野の国際規格の策定を行う国際標準化機関であります。

 いずれも長い歴史を有する国際標準を定める団体なんですけれども、直近の、ISOやIECにおいて実際に国際標準化に関わる活動に従事している日本人はどれほどいるのか、現状をお伺いいたします。経産省の方、お願いします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 ISO、IECで規格の検討が行われているテクニカルコミッティーそれからサブコミッティーの運営を担う国際幹事国というポストがあるんですけれども、日本は、ISOでは八十のポスト、それからIECでは二十三のポストを引き受けております。これらはいずれも、世界でドイツ、アメリカに次ぐ第三位の引受数であって、我が国はISO、IECで一定のプレゼンスを確保しているというふうに認識しております。

阿部(司)委員 一定のプレゼンスを確保しているとのこと、理解をいたしましたが、実は、中国ですとか韓国に追い上げられているのではないかなと思っておりまして、ちょっとお話をしてまいりたいと思います。

 国際的な標準化機関でどれだけ日本人が標準化に関わり活躍しているかは、我が国の国際標準化、そしてルールメイキングの力を測る指標となりますが、国際標準化に関わる人材の年齢についてもお伺いをしてまいりたいと思います。

 少し古い資料になるんですけれども、三菱総研が行った「国際標準化に係る中国・韓国の動向について」、これは二〇一六年の三月なんですけれども、こちらの現場において、中韓で起きている現象として、専門委員会等への若手出席者の増加、議長ポスト等の積極的な確保、積極的な国際会議の自国開催、欧米との接近、協力、戦略的な規格策定の五点が確認でき、その結果がスピード感のある国際標準化活動につながっているとしております。

 特に、報告書では、国際標準化活動に若手が多数参加をしている、四十歳代以下の比率が、中国六〇%、韓国四五%という実態が示されておりまして、中韓が国際標準化活動のノウハウ獲得のために国、関連機関を挙げて取組をしている姿が描かれております。

 一方、我が国では国際標準化活動への参加者の高齢化が認められ、国際標準化活動に関わる若手育成が不十分であり、国際標準化活動への経営層等の理解が不足している現状が指摘されております。

 そして、中長期的には、日本における国際標準化専門家の世代交代が行われるタイミングで、量、質両面において、中国、韓国の追い上げを許す可能性が高いと結論づけています。

 その上で、日本の将来を見据えた取組として、標準化官民戦略の再確認と実践、若手標準化人材の育成、経営層を含め企業内の十分な理解の浸透、企業内で国際標準化に関する全社的な戦略の推進等を担う体制の強化などなどが挙げられております。

 このように、我が国のISO、IECなどの国際機関における人材は他国と比較して高齢化していると言われているわけですけれども、この報告書から五年を経て、現時点で、国際標準化機関で活動する日本人の年代構成はどのような状況にあるのか、経産省、よろしくお願いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 他国と比較しての年齢構成ということで、ISO、IECにデータベースはないんですけれども、ただ、実際の会議に出席している人に聞いたところによると、御指摘のとおり、中国、韓国に比べると日本の年齢層が高いというのは事実なんだろうと思います。

 他方で、国際標準の分野というのは、世界的には、経験とか知識とか人脈が豊富なシニア層が重要な役割を持っているということが一般的であって、これは日本ももちろんそうなんですけれども、ヨーロッパでもその傾向は見られます。

 経験豊富なシニア人材というのはやはり国際標準化活動には不可欠であって、問題は、平均年齢がどうのこうのというよりかは、世代交代がしっかり進むということが重要なんだろうと思っております。

 この観点から、これからの我が国の標準化活動を担う若手人材を育成していくということは非常に重要な政策課題だというふうに認識しております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、世代交代、そして若手の人材の育成、非常に重要だと考えております。そういった面で、ちょっと他国に比べて日本はまだまだその取組が遅れているのではないかなと思っております。

 ところで、いまだコロナ禍が続く二〇二一年の第三・四半期のEUの実質GDP成長率、こちらは全ての国でプラスになっておりまして、特に、オーストリア三・八%、フランス三%ということで、高い成長となっております。こうしたEUの経済的な成長を支えている一面に、国際標準化ですとかルール形成力が非常に強い、これが大きく影響しているのではないかなという声があります。

 EU諸国は、国際標準化に古くから熱心と言われまして、欧州規格をベースとした国際標準化を推進してきました。また、国境を越えることが前提である欧州市場を念頭に、国際標準化が自らの利益確保に不可欠なものとして積極的に取り組む企業が多いと聞いております。

 そこで、国際標準化の動きにたけていることがEUの経済成長の背景にあるとの見解について、経産省の岩田政務官にお伺いをいたします。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 EU各国は、ISOやIECなどにおきまして国際標準化活動に積極的に取り組んでおります。事例を申し上げますと、例えば、近年、国際競争が著しい環境分野での国際標準につきましては、グリーンファイナンスにつきまして、EUタクソノミーをベースとしたグリーン債に関する規格開発や、気候変動に関する投資の規格提案が行われております。また、サーキュラーエコノミーにつきましても、フランスの提案に基づきISOに専門委員会が設置をされ、規格の開発が進められているなどの動きが見られるところです。

 欧州が取組を進めるグリーン分野につきましては、我が国も、昨年六月に策定されたグリーン成長戦略において、「技術や製品・サービスの、想定される市場獲得への道筋を意識しつつ、戦略的に標準化を進めていくことが極めて重要」と記載されるなど、国際標準の獲得が重要な政策課題の一つであると位置づけられたところです。

 引き続き、こうした重要分野におけます国際標準の獲得に向けまして、国を挙げて取り組んでまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 非常にヨーロッパはこの分野にたけていて、その果実も得てきたと思うんですけれども、日本もしっかりと体制整備をして、これからの経済発展を狙っていくべきと思っております。

 そして、ちょっと中国の話をしたいと思います。

 中国は、国家全体で戦略的に国際標準化に関して力を注いでいまして、ISO、IECについても、国際幹事引受数、そして委員会設置提案数が急激に上昇をしていると言われております。

 最近、国家標準化発展要綱という戦略を中国が策定しまして、一帯一路構想とリンクをして、アフリカ、東南アジアを中心とした特定地域内においても、電力システムなどのインフラを始めとして、中国の自国規格の自国外への普及を強力に進めていると見られています。また、国際標準化活動に若手を多数送り出して、先ほども少し触れましたけれども、国際標準化機関の高位幹部の確保を進めていて、ISO会長ですとかIEC会長も輩出していると言われております。

 こうした近年の中国の国際標準の獲得に向けた動向について、外務省、實生参事官、よろしくお願いいたします。

實生政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員の方から御指摘ありましたように、中国は近年、国際標準の獲得活動というものを活発化させているというふうに我々も認識をしております。

 関連の重点施策を取りまとめた中国標準二〇三五というプロジェクトというのが検討がまず行われて、同プロジェクトの成果を踏まえて、二〇二一年の十月、まさに御指摘の国家標準化発展綱要というものを策定したというふうに承知しております。

 この綱要ですけれども、二〇二一年の十月に中国共産党の中央委員会と中国国務院が公表して、標準化ガバナンス構造の最適化や効率の向上、標準の国際化レベルの向上、質の高い発展を促進する標準化体系の速やかな構築などを示した上で、二〇二五年までに標準供給を政府主導から政府と市場の同時主導へと転換し、国家標準と国際標準の一致性を八五%以上に引き上げること、そして、二〇三五年までに、国際的に互換性があり、市場が主導し政府が牽引する、中国の特色ある標準化管理体系を構築するということを掲げております。

 主な内容としては、対象分野として、委員が指摘された部分もありますけれども、標準化と科学技術・イノベーションの相互発展、産業標準化レベルの向上、グリーン発展における標準化保障の改善、都市と農村、社会建設に関する標準化加速ということで、あと国際標準との関係で、やはり一帯一路であるとか、中国が携わって関与しているBRICS、あとAPEC、そうしたその他の各地域における標準化分野での連携などによる国際標準化策定への関与、中国標準、国際標準の互換性促進、そういったことをうたっているというふうに承知しております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 非常に熱心に中国は取り組んでいまして、非常に脅威と感じておりますけれども、ここに後れを取ると、日本も経済的な損失を免れないと思っております。

 今るるお話をしてきたとおり、EUはもとより、米中韓など、各国が国際標準をめぐってしのぎを削っている中で、私は、国際標準化の取組を強化するには人材が鍵になってくるものと思います。

 知財、標準化を専門とする一橋大学の江藤学教授は、国際標準化をビジネスで活用するには、ビジネス戦略の中で国際標準化をビジネスツールとして使う国際標準化ビジネス戦略専門家と、国際交渉の場で自陣営の規格を国際標準として成立させる国際標準化交渉専門家の二種類の人材が必要と主張されております。

 そこで、我が国の国際標準を始めとするルール形成力強化に向けた人材育成に関する御認識を、経産省、お願いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、ISO、IECでの国際標準化交渉をリードできる若手人材を育成するため、ISO・IEC国際標準化人材育成講座、通称ヤンプロというふうに呼んでいますけれども、これを二〇一二年度から実施しています。今年度末までに延べ四百三十二名が修了することとなっています。

 また、今年度から、国際標準化機関での議長や主査などの役職に就きたいと考えている人材がそれらの重要な役職の経験者と実際の国際会議に一緒に参加してOJTで交渉の進め方などを学ぶことのできる事業、これをリーダー育成OJT支援事業というふうに呼んでいますけれども、こういった事業を開始しております。

 産業の国際競争力の観点から、我が国のルール形成強化に向けた人材育成は御指摘のとおり極めて重要でございます。今後も、我が国のルール形成力強化に向けて、標準化人材の育成に努めてまいります。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。今も取組がなされていることを理解いたしました。

 経済安全保障面からも、国際標準化は大きなテーマでありまして、今後、日本が国際標準の世界でルールテイカーからルールメーカーになるような戦略と取組が不可欠であると思っております。

 民間企業の関係者から聞きますと、やはりちょっと専門家が民間に足りない、例えば、五年程度で異動してしまってなかなか専門性が育たないですとか、民間自体に専門のファームがないため非常に手薄で、民間だけでやっていくのは非常に厳しいというお話でした。ですので、国を挙げた支援というのが必要だと思っております。

 例えば、本法案でも、こちらに記載されておりますけれども、シンクタンクの機能に、国際標準化戦略をしっかり練ったり民間の支援をするようなセクションを設ける、人材育成をするセクションを設けるですとか、これは一案ですけれども、こうした国を挙げての取組が必要だと思っております。

 そこで、我が国の国際標準化のレベルアップと人材育成に向けた小林大臣の決意をお伺いいたします。

小林国務大臣 近年、標準戦略が産業や企業の発展、競争力を左右するものとして重視されています。その主導権をめぐって、グローバル企業の活動や諸外国の取組が活発化しているとも認識しています。

 委員御指摘の点は極めて重要だと思っておりまして、我が国の技術などの優位性、また国際社会にとっての不可欠性、これは経済安全保障の目標ということで申し上げていますが、これを獲得していくためにも、国際標準の活用、また人材の育成は重要であって、例えば、我が国で研究開発を行った先端的な重要技術を国際的に普及させていく際に、委員御指摘のとおり、国際標準の活用が必要となる場合がございます。政府の中では、知財戦略推進事務局がそこの役割を中心になって担っておりますけれども、関係省庁とも連携をし、また、民間だけではなかなかうまくいかないというお話もありました。当然、官民一体となって取り組んでいきたいと考えます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 今後もこの分野は非常に、今回の法案ですと、どちらかというと守りが重点ポイントなのかなと思っておるんですが、攻めのポイントも、視点も非常に重要だと思いますので、引き続き、人材育成、関係省庁と連携してやっていただけたらと思います。

 次に、サイバーセキュリティーについてお伺いをいたします。

 ロシアによるウクライナ侵略は、サイバー空間が作戦領域の一つであることを現実問題として世界に突きつけました。ロシアは、サイトの改ざん、そしてデータ破壊型コンピューターウイルスなど、あらゆる手段を使ってウクライナ政府機関や重要インフラへサイバー攻撃をしかけていると見られています。昨日もニュースがありましたけれども、通信機関が攻撃をされて、通信が途絶してしまうというような話がありました。

 そして、こうした中、厳しい制裁に対する報復措置として、ロシアがG7諸国にサイバー攻撃をしかける可能性が高まっており、我が国においても、経済産業省が、ロシアによるサイバー攻撃リスクが高まっているとして、企業や団体に対しセキュリティー対策強化を呼びかけているところということは承知をしております。

 このように、ウクライナ危機により、明らかにサイバー攻撃に対する事態のフェーズは変わってきたと思いますけれども、我が国のサイバー攻撃の脅威に対する備えはどうなのか。サイバー攻撃が行われ、社会経済に大きな混乱が生じることがあっては、日本の経済安全保障は根幹から揺るぎかねないと危惧をしております。

 実際のところはベールに包まれている部分が多いんですけれども、既に米中間ではサイバー戦が日常的に繰り広げられ、中国の国家ぐるみのサイバー攻撃に対し米国は反撃をして、それが一定の抑止力になっているとも言われております。日本の場合は一方的に被害を受けるだけで、どうなのかなと。

 私は、サイバー攻撃の危険性が飛躍的に高まった今、攻撃から我が国の社会と国民生活を守ることができるような体制を早急に整えるべきであると思っております。こうした問題意識の下、御質問してまいりたいと思います。

 まず、内外におけるインフラそして企業、政府機関に対するサイバー攻撃の現状に鑑みて、サイバー攻撃に対する認識をお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今のサイバー攻撃は、より複雑化、巧妙化しております。これを踏まえれば、サイバー攻撃への対策の強化を図り、自由、公正、安全なサイバー空間を確保することは重要でございます。

 このため、政府機関においては、情報セキュリティ横断監視・即応調整チーム、GSOCと呼んでおりますけれども、これにより政府機関に対する脅威情報の提供や各種注意喚起を行っておりまして、平素から防護を整えているところでございます。また、政府横断的なサイバー攻撃等の監視を二十四時間三百六十五日体制で行うことにより、攻撃を迅速に検知する体制も整えているところでございます。

 また、我が国の経済活動は様々な重要インフラサービスの継続的な提供に依存しており、安全で安心な社会の実現には、重要インフラの分野でのサイバーセキュリティーを確保して、強靱性を高めることは不可欠でございます。このためには、官民の緊密な連携が不可欠であり、重要インフラ防護に係る基本的な枠組みとして、政府と重要インフラ事業者等との共通の行動計画を策定し、これを推進しているところでございます。

 さらに、昨今の様々な情勢を踏まえますと、政府機関や重要インフラ事業者にとどまらず、あらゆるものがサイバー攻撃の標的になり得るなど、サイバー空間における脅威は高まっていると認識をしております。こうした事情も踏まえまして、最近では、三月一日及び三月二十四日に、関係省庁の連名によりサイバーセキュリティー対策の強化に係る注意喚起を発出し、これを各省から所管業界に発出し、周知しているところでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 ちょっと時間が迫っておりまして、少し駆け足でまいりたいと思います。

 今回の経済安全保障法案では、十四の基幹インフラ、安全保障上重要な分野を基幹インフラと位置づけておりますけれども、こちらに攻撃があったら非常に重大なことになると思うんですけれども、昨今、アメリカの最大の石油パイプライン、コロニアル・パイプラインがサイバー攻撃を受けて操業停止するという事件がありました。身の代金で四億八千万円支払ったと言われておりますが、その後、この四億八千万円、ビットコインだったらしいんですけれども、こちらを米当局が取り戻したと言われております。

 BBCは、サイバー犯罪者を罪に問い、その活動を可能にしているシステムを阻害することこそが、将来の攻撃を防ぐ最善の方法だとしておりますけれども、我が国においてサイバー攻撃が発生した場合、攻撃元の特定に向けた捜査、情報収集、分析、その後の対処はどのようになるのか、警察庁にお伺いをいたしたいと思います。

河原政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、違法行為に対する捜査を推進するとともに、サイバー攻撃を受けたコンピューターやサイバー攻撃に使用された不正プログラムを解析し、その結果や犯罪捜査の過程で得られました情報等を総合的に分析するなどして、攻撃者及び手口に関する実態解明を進めております。

 さらに、解明された情報を基に注意喚起を実施するなど、被害の未然防止、拡大防止を図ってもいるところであります。

 また、攻撃者を公表し非難することで抑止する、いわゆるパブリックアトリビューションを実施しております。例えば、令和三年七月、警察を含む関係省庁が連携しまして、中国人民解放軍を背景に持つグループが関与した可能性が高いサイバー攻撃等について断固非難する旨の外務報道官談話を出したところであります。

 警察といたしましては、引き続き、サイバー攻撃の厳正な取締りを推進するとともに、その実態解明を推し進めまして、被害の未然防止、拡大防止を図ってまいる所存でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 時間が来てしまいまして、かなり質問を残しちゃったんですけれども、引き続き、この件、議論を続けてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、小林大臣と二十分ほど議論させていただきたいと思います。

 問いは一つでありまして、例の罰則の話ですね。ちょっと、いろいろ御準備もあると思いますが、どこから聞いていくのがいいか分かりませんが、やはり罰則があった方がいいなと思うんですね。別に、抜かなくてもいいんです。

 例えば、前もこの場で私申し上げたように、新型インフルエンザ等特別措置法、あれも結局、菅内閣のときにだったかな、過料、罰則を追加をしたわけです。感染症を抑える観点から、広く国民あるいは事業者に協力を仰ぐということで、公平性との観点からも、どうしてもそこは要請に従わない飲食店の方々、私は、正直、飲食店の方々に対して罰則までかけて協力を要請するだけのエビデンス、EBPM、エビデンスが十分にあったとは思っていないんです。大阪大学の大竹先生がいろいろ反対だとおっしゃっている。私、全く同感です。それはおいておいて。でも、あの法律でさえ、一般の飲食店の方に罰則までかけているんですよ。

 いよいよこの経済安全保障で、これから国の安全保障と経済をどういうふうに秩序をつくっていくのかという大変重要な、国民の生活やお仕事だけではありません、まさに生命と財産に関わるこの法律の入口のところで、もちろん、たくさんの方、だって、飲食店だってたくさんあるわけです。ベースはたくさんなんだけれども、その条項を発動するというのは、別に発動することはなくてもいいんです。でも、飲食店の場合は何件か東京都で発動された記憶が報道であります。発動しなくてもいいんです。

 しかし、罰則の裏づけがなければ、この日本、私が再三予算委員会や内閣委員会で申し上げているように、スパイだって、スパイ天国と言われているわけですよ。企業だって登記でつくれるんですから。中国のフロント企業、ロシアのフロント企業、山のようにいますよ。当たり前じゃないですか。そういう中で調査をかけるときに、罰則の裏づけ、抜かなくてもいいんです、私は絶対にあってしかるべきだと思うんですね。

 だから、一往復で終わるつもりはありませんので、大臣、今私が申し上げた特措法、要は飲食店に罰則があるのに、なぜ今回そこまでこだわるのか。こだわるって、こっちがこだわっているんですけれども。皆さんも、政府・与党も、そこは議論はあるということは皆さんお認めになっている、議論はあったはずなんです。議論はあったけれども、最後は落とした。

 最後落としたものが国会に提出されたことは別に私は問題視しませんよ。だから国会があるんです。だから、国会で私は、それは落とし過ぎではないですかと。すぐに戻してくださいとも言いませんよ、それは弱小野党ですから。しかし、それが施行後直ちに、速やかに、その施行状況を見て、必要があれば検討する。検討せいとも言わないんですよ。私たちが言っているのは、施行後三年とかそんな悠長なことを言っているんじゃなくて、施行されたら、その施行状況を見ましょうよと。見て、必要があると認められれば検討するんです。検討して、必要があると認められれば対応を考えましょうと言っているわけですよ、実は私たちが今申し上げているのは。

 こんなものは、だって、何重にも、政府の現場の皆様にも配慮をして、対案まで出して、弱小四十一人の衆議院議員ですが、党を挙げて、これは少し公明党に配慮し過ぎではないですかと申し上げているわけで、私は議論の余地はあると思うんですよね。

 大臣、今日理事会で大臣の答弁が長いということを言っている人がいましたけれども、私は、長くてもいいんだ、短過ぎるときもあるんだから、長さじゃない、中身だと。長さじゃありません。私が今申し上げていることについて、本質的にどうなのか、大臣のお言葉で是非、長くても短くても、中身があればいいです、お願いします。

小林国務大臣 委員、ありがとうございます。

 今言及いただいた特措法との関係でちょっとまず申し上げますと、これは特措法では、時短要請についてですけれども、まず要請するという行為がございますので、ある意味、特措法上の要請、規制の枠組みに入った事業者を一律に対象としていることです。

 今回、委員御案内のとおり、この法案で定めているサプライチェーンの調査につきましては、この法案の規制や支援の枠組みに入っていない事業者も対象にしていく調査です。当然、何度も申し上げているとおり、この支援の枠組みに入った業者の方たちにはある意味規制がかかっていくので、その枠外にいる方たちにも、今回、調査ということで対象としていますので、この特措法と同列に見るということは私は困難じゃないかというふうに思っています。

 これは、いろいろな考え方があるんだろうとは思います。政府の中でもいろいろな議論も実際ございました。その中で、様々議論をした上で、最終的には、ここがバランスの観点から妥当だろうということで落ち着かせていただいたところなんですけれども、やはり私どもとして懸念していること、これは民間の事業者、産業界からの意見もそうだったんですけれども、この法案の規制や支援の枠組みに入っていない事業者も対象としているので、そうした方たちにも罰則つきの応答義務を課すということは、調査を受ける側からすれば強権的であって、逆に自発的かつ率直な情報提供を妨げる懸念が生じるのではないか、そういう判断の下に、今回、最終的な結論として、サプライチェーンの調査については罰則をかけないということにしたということを御理解いただければと思います。

足立委員 今、特措法との違いをおっしゃいましたが、特措法だって、べたっとかかるんですよ、あれは。緊急事態宣言、蔓防もそうです。蔓防はまだ地域限定のケースが多いですけれども、緊急事態、どんとかかるわけです。何の落ち度もない一般の、財産権が憲法で保障されている飲食店に罰則がかかるわけですよ。

 私は、特措法と今回の法律の強度の点でいえば、私は何ら、むしろ、むしろですよ、感染症はまだ目に見えない、感染症は目に見えないですよ、だからエビデンスも結局はっきりしない。エビデンスがはっきりしないから、コロナの分科会でも大竹阪大教授を始めとする複数の方が反対をするぐらい、あれだって議論があるわけですよ。そういう非常に危ういところであるにもかかわらず罰則がついているんです。

 じゃ、大臣、今回、いろいろ議論があった、これは仮定の話だからお答えになりにくいかもしれぬけれども、仮に罰則をつけるとしても、使わないですよ、そんなに。さっき申し上げた、命令までいかないんだから、特措法だって。命令までいって、本当に罰則が科せられるなんというのは数件ですよ。何十万、何百万事業者の中で、片手に収まるぐらいの方しか罰則なんか適用されないんですよ。それを、もし産業界が違和感を感じられるのであれば、それは大臣の産業界に対する説明が足りないんですよ。雰囲気で結論を出しちゃったんじゃないですか。そういうマスコミの何かにおもねる、マスコミじゃないけれども、ちょっと今日は、マスコミに味方してほしいのでマスコミの悪口は言いませんが、雰囲気でやっちゃ駄目ですよ。

 大臣、私が申し上げているような罰則のかけ方というのは、いろいろなかけ方がある。政府案がどんなかけ方だったか、私は承知していない。しかし、片手に収まる、あるいは発動されないぐらいの罰則のつけ方、罰則規定したとしても、それはほとんど使われない、調査の実効性を高めるためのバックアップとしてそういう規定がある、そう説明すればいいんですよ。

 ところが、産業界が騒ぐ、日商が騒ぐ、國重さんが騒ぐ。國重さんだけじゃないですね。公明党は、選挙対策ですよ、これは。だから、この手の安全保障に係る法案で一矢報いなければ選挙が大変なんでしょう。公明党の批判はしません。戦後日本が左傾化しかけたときに、公明党があったからですよ、変な方向に行かなかったのは。だから、戦後日本をつくってきた日本の柱ですよ、公明党は。しかし、その公明党が最近やっていることは、いや、だから、公明党を批判しているんじゃないです。公明党の政策を批判しているんです。おかしいですよ、これは。

 だから、そういうのにおもねるんじゃなくて、本当に、日本の未来、国民の生命と安全を守るために真剣に議論しているんだから。これは私は、雰囲気に流された結論のまま国会に提出してしまったんだから、それは別にいいですよ、自民党というのはそういうみんなに好かれる政党だから、それでいいですよ。しかし、やはり国益というか、国民の生命と財産に関わる、だって、大臣、フロント企業いますよ。いますね、北朝鮮のフロント企業、中国のフロント企業、ロシアのフロント企業。絶対に本当のことを言いませんよ。どうしても、どんな体制を組んで調査をかけてもなかなかそこにたどり着けないときに、罰則が僕は要ると思うんですよね。

 別に大臣、ここで、いや足立さん、選挙で公明党は大事だから、そこはまあまあという御答弁もそれはいいけれども、だから、私は、今日ここで結論が出るとは思っていません。結論が出るとは思っていないけれども、これは大議論があるんだと。

 附則規定が、今出ている政府の法案には、附則で三年をめどに見直すと書いてある。だからいいだろうと今言われています。三年なんか待てませんよ。

 みんな三年が好きなんですよ。憲法審査会の国民投票法も三年。あれは時間延ばしをするための三年規定なんです。立憲民主党が出した国民投票法の三年目のCM規制の議論、あれは時間稼ぎなんです。安全保障に時間稼ぎをする余裕はありません。

 私たちの提案は、速やかに、執行状況を見て、実効性に課題があるなら、必要性があるなら検討する、検討した結果、必要なら措置をする。こんな何重にもあるものをはじく必要はないと思いますよ。どうですか。

小林国務大臣 まず、委員から、マスコミや産業界、経済界におもねたんじゃないかという御発言がありましたけれども、一切そういうことはありません。

 委員とそこは私は気持ちは同じだと思っていて、あくまで、国民の皆様の命や暮らしをどう守っていくのか、当然そこだけを考えるわけではなくて、日本の経済力をどう高めていくかというのも当然ありますけれども、トータルとして国力をどう高めていくのか、それを真剣に考え抜いて私はこの立場で法案を出しているということは御理解をいただきたいと思います。

 それと、あとは、先ほど特措法の話がございまして、委員の議論に乗ってお話しさせていただくと、やはり、特措法の想定する、先ほど緊急事態というお話もありましたが、ある意味、有事の状況だと思うんです。今回のサプライチェーンというのは、有事の対応も当然重要なんですけれども、その有事に至る前に、平時からどうやって安定供給確保の枠組みをつくるか、そこに焦点を当てておりますので、そこはまた、平時の際の調査の在り方というものを私は考えていくべきだと思うんです。

 それと、経済界の声というのを、別におもねているわけじゃなくて、やはり主要なステークホルダーですから、きちっとそれは聞かなきゃいけないと考えて、いろいろ聞きました。

 今回、円滑にサプライチェーンの調査をするには、経済界の円滑な協力を得る必要は当然あると思います。その意味で、産業のサプライチェーン調査というのは、本当に、シンプルではなくて複雑なものです。その中で、脆弱性を適切に把握していくためには、複雑なサプライチェーンをある意味遡っていって、各段階で、その時々で、順次適切な対象に調査をする必要性が生じる可能性がございます。また、物資によりましては、調査の実施にとどまることなく、実際のサプライチェーンを再構築していく、そういうところまで関係が継続する可能性もあって、取組を実施するに当たりましては、やはり友好的、持続的な関係を構築していく必要があると考えました。

 したがいまして、経済界におもねるというわけではなくて、しっかりと連携と協力を得ておくということがやはり重要であると思っておりまして、罰則つきの調査権限というのは、経済界との連携協力を得ていく上で、私は現時点でなじまないというふうに考えまして、今、この法案を提出させていただいているということでございます。

足立委員 現時点での御判断は私たちも受け入れています。だから議論をしているわけです。

 かつ、小林大臣は、大臣になられる前からこの問題に本当に一生懸命、事務局長として取り組んでこられた。だから、このテーマがここまで来ているのは、小林大臣始め自民党の、甘利さんもそうだ、皆さんがどれだけ日々御苦労されながら今日に至っているかということには心から敬意と感謝を感じています。特に自民党の取組には、私はこの点は、だって自民党が立ち上げてきたんだから、すばらしいと思いますよ。

 問題は公明党ですよ。公明党が悪いんじゃない、公明党のやっていることがおかしい。

 大体、何ですか、あのトリガー条項。何で、二十五円まで補助金の額が上がった後に、玉木代表が自分のメンツのために、だって、あそこで、ある国民民主党の幹部は私にこう言っていましたよ、自民党が補助金の額を上限二十五円まで引き上げた時点で、ありがとうございましたと言うべきなんだ、玉木さんがトリガー条項、トリガー条項と騒いだ結果、あの二十五円が取れたんだと言えばいいんだと、実際そうだし。ところが、あの玉木さんは、センスがないというか何というか、そこで、感謝するんじゃなくて、駄目だ、税金でやれと言ったわけですよ。

 それだけでもひどいのに、それに乗ったのが山口代表ですよ。何で乗っているか。それ以上言うと私も身の危険を感じるのでちょっと、言いませんけれども。身って、別に命じゃないですよ。

 だから、私はやはり、公明党が最近やっていることは、五千円もひどかったし、あれは茂木さんが引っ張っているのか公明党が引っ張っているのか知りませんけれども、五千円もひどいけれども、トリガー条項に悪乗りして、選挙目当てで悪乗りして引っ張っている、実務者協議で引っ張っているのも最低だ。

 そして、今回、この議論も、これだけ大事なテーマなのに、理事会で修正協議に入っているにもかかわらず、本文が難しければ附則でいいと言っているのに、いや条文は難しいと。これは、ほとんど国会はもう意味を成しません。国会は要らないということです。最初から修正する気がないんだったら、協議を始めなければいいんですよ。だから、やる気がないんだったら、最初から、国会で条文修正はしないんですよというルールを決めてくださいよ。

 そうでないのであれば、これだけ議論があるテーマについて検討する規定さえできないということであれば、私たちは、政府・与党、そして公明党の最近の政策については参院選まで徹底して批判を続けることをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 経済安全保障推進法案について質問いたします。

 今日は、官民技術協力の関連でお尋ねをいたします。

 最初に、大臣、デュアルユース技術というのはそもそも何なのか、この点について御説明をお願いいたします。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御質問のデュアルユース技術についてでございますけれども、必ずしも確固たる定義があるわけではございませんが、一般的には、民生にも軍事にも用いることが可能な技術を指すものと承知をしております。

 例えば、国際的な輸出管理の枠組み、ワッセナー・アレンジメントですけれども、このワッセナーのアレンジメントにおきましては、例えば、工作機械、半導体、コンピューター、こうした貨物ですとか、その関連技術がデュアルユースに含まれておりまして、一般的に幅広い概念であると理解しています。

 また、例えば、電車に乗る際のICカード、あるいは携帯電話に用いられる暗号技術につきましてもデュアルユースとして輸出管理の対象とされているなど、幅広い概念であるものと理解をしております。

塩川委員 デュアルユース技術は、民生にも軍事にも用いられる技術。この点、昨年六月閣議決定の成長戦略実行計画におきまして、経済安全保障の推進の冒頭に、「経済成長と安全保障の両面から大きな可能性を有する、半導体、AI、量子、5G等のデュアルユース技術(軍事転用可能な民生技術)への関心が高まっている。」とあります。デュアルユース技術というのが、軍事転用可能な民生技術ということであります。

 補正予算で計上されました経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、国のニーズを実現する研究プロジェクトを実施するとしております。説明では、「研究成果は民生利用のみならず、成果の活用が見込まれる関係府省において公的利用につなげていくことを指向。」とありますけれども、この公的利用には軍事技術が含まれるということでよろしいでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、経済安全保障の確保そして強化の観点から、委員今言及いただいたAI、量子、あるいは宇宙、海洋といった技術分野に関しまして、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して、先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございます。

 また、このプログラムの開発対象となる先端的な重要技術は多義性を有しておりまして、その成果としては、具体的製品の開発、試作に至る前までの段階の様々な分野、用途への活用可能性を有する技術の創出を目標としているところでございます。

 したがいまして、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発や、個別の政府インフラや防衛装備品などの特定のニーズのみを念頭に置いた研究開発を推進するものではございませんが、将来的に、例えば、得られた成果が、民間における用途のみならず、防衛省自らの判断によって活用されることはあり得ると考えております。

塩川委員 防衛省の判断によって活用されることはあり得る。その点で、やはり、こういった研究プログラムにおいて、科学技術の軍事利用の側面が出てくるということであります。

 そこで、協議会についてお尋ねをいたします。

 経済安全保障重要技術育成プログラムについては、協議会の設置が必須となっております。また、ムーンショットなど国の資金により行われる特定重要技術の研究開発のプロジェクトについて、その資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発の内容や進捗状況を踏まえ、研究開発に有用か、これまで提供できなかった機微な情報の共有等が適当と認められる場合に、特定重要技術開発基本指針に基づき協議会が設置をされる、こういう仕組みだということでよろしいでしょうか。

小林国務大臣 その理解で正しいと思います。

塩川委員 協議会では機微な情報の共有が行われるということになります。

 経済安全保障法制に関する有識者会議では、先端技術の実装を進める意味では、警察、海保、防衛といった政府部門の具体的なニーズを研究者と結びつけていくことが非常に重要との議論がありました。

 官民協議会は、防衛、軍事など政府側のニーズを研究者と結びつける場にもなるということでしょうか。

小林国務大臣 官民協議会は、これまでも申し上げますとおり、政府からの、ある意味、一定の、協議会の構成員の方々の同意を得た上でですけれども、守秘義務がかかるということになっておりますので、そうした枠組みの中で、国のニーズというものを、しかるべき進捗状況などに応じて共有をしていくことになると想定しています。

塩川委員 有識者会議にある、警察、海保、防衛といった国のニーズを研究者と結びつける場にもなるということであります。そういう意味では、科学技術の軍事利用の観点で、研究者を組み込む仕組みにもつながっていく。

 そこで、官民で情報の交換などを行う協議会では、その構成員に安全管理措置を設けるとともに、国家公務員並びの守秘義務を課して、罰則による担保を行うなどの技術流出対策の措置を講じるといいます。

 大臣、答弁でもおっしゃっておられたんですが、確認ですけれども、従来の研究開発では、秘密保護法を除き、政府が提供する機密性の高い情報に対して保全措置を求める法的枠組みはなく、守秘義務契約を締結する場合でも、罰則による担保はなかったということでよろしいでしょうか。

小林国務大臣 委員の御理解でよろしいかと思います。

塩川委員 そうしますと、罰則まで設けるやり方で、研究活動に大きな制約を持ち込むことになるんじゃないのか、こういう懸念が出てくるわけですが、その点はいかがでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回は、協議会に参加される構成員の方には、守秘義務を前提として、政府の持っております機微な情報を共有させていただくということでございますけれども、この罰則につきましては、主な情報提供者となることが想定されております政府職員とのバランス、これを確保するということとともに、企業や研究者の方が萎縮して本法案の協議会の枠組みへの参加をちゅうちょすることのないようにという両方の観点を踏まえまして、国家公務員と同等の罰則を伴う守秘義務を課させていただく、このような枠組みにさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 ですから、こういった罰則まで設けるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになりはしないか、こういう懸念についてどうお答えされるのか。

小林国務大臣 それは、何か協議会に自分の意思に反して入らなければいけないというものではなくて、あくまで、研究者代表の同意を前提に協議会というものが設けられます。

 今回、守秘義務を設けることによって、今答弁にもありましたけれども、機微な情報、それは、国のニーズだけではなくて、サイバーのインシデント情報、あるいは、これまで国がやってきた研究開発の成果、様々なそういう情報をしっかりと円滑に安心して共有できることによって、先端技術の官民の協力した形での育成というものが逆に進んでいくというメリットがあるというふうに考えまして、今回、こういう枠組みを設けた次第であります。

塩川委員 今、基礎研究の予算がどんどん減らされる中で、こういった特定の目的に沿った、国のニーズに基づく、同意を前提にしてといいますけれども、そういったプログラムの予算が拡充をしていく。こういう点での研究活動への不自由さの懸念、公開でこそ学問研究は発展する、このことを申し上げておきます。

 次に、セキュリティークリアランス、適性評価制度の問題であります。

 小林大臣は、セキュリティークリアランスについて、今後の検討課題と答弁をされています。このセキュリティークリアランス、適性評価制度とはどのようなものか、御説明ください。

小林国務大臣 委員の質問にお答え申し上げます。

 その前に、今委員がその前の質問で、研究開発の成果は公開をというふうなお話がありましたが、我々としても、この枠組みの中で、成果については公開を基本とするというふうに考えておりますので、その点は御理解いただければと思います。

 その上で、セキュリティークリアランスですけれども、いわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含め、主として政府が保有する秘密情報の保全等の観点から、秘密情報へのアクセス資格を有することを決定する制度として導入されているものと承知をしております。

 我が国におきましては、特定秘密の保護に関する法律に基づいて、政府が保有する特定秘密の取扱いが見込まれる者に対しまして、第五章に適性評価とあるんですけれども、適性評価として、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価が実施されていると承知をしております。

塩川委員 今お答えいただきましたように、セキュリティークリアランス、適性評価制度は、政府が保有する機微情報、秘密情報を取り扱わせようとする者について、秘密情報を取り扱う適性を有するかを判断する制度であります。秘密保護法においては、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められた者のみに特定秘密の取扱いの業務を行わせる適性評価制度が導入をされています。

 そこで、今回の経済安全保障の推進法案に係り、経済安全保障の取組として、政府は、このセキュリティークリアランスについてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 いわゆるセキュリティークリアランス制度につきましては、各国との共同研究などを民間部門も含めて進めていく上で、我が国でもクリアランスを取得できないかといった声があることは承知をしております。実際、この委員会の審議の場でも幾つかの党からそういう声もいただきました。

 他方、クリアランス制度につきましては、個人の情報に対する調査を含むものであって、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、そして海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえた上で、今後の検討課題の一つになり得るものと認識をしております。

 まず、今回のこの法案の中におきましても、技術流出対策の防止という観点からは、先ほど議論になっていたこの協議会の枠組みというものを設けさせていただいておりますけれども、お尋ねのセキュリティークリアランスにつきましては、これまでも海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところでございます。

塩川委員 海外の調査を行ってきたという点でのお話だったんですけれども、経済安全保障法制に関する有識者会議においては、このセキュリティークリアランスについてはどのような議論が行われたんでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 経済安保法制に向けた有識者会議、これは、十六回に及ぶ議論の中で、セキュリティークリアランスについて一部言及があったのは事実でございます。

 具体的には、特許非公開に関する分野別の検討会合におきまして、非公開とされた特許出願を取り扱う職員として、クリアランスを受けた者が関与するのが重要ではないかとの意見がございましたが、その後、この法制にクリアランスを含むべきとの議論にはならず、この有識者会議の提言にも含まれなかったことから、今回の法案には反映されていないところであります。

塩川委員 このセキュリティークリアランスの政府における検討の状況ですけれども、有識者会議では盛り込むべきという議論にはならなかったという話ですけれども、経産省にお尋ねします。

 二〇一九年の経産省産構審通商・貿易分科会安全保障貿易管理小委員会の中間報告ですけれども、我が国の情報保全に係る制度としては、特定秘密保護法に基づく特定秘密やMDA秘密保護法に基づくMDA秘密があるが、これらに該当しない機微技術に係る情報については制度が不十分であるとして、機微技術に関する国際共同研究開発に我が国企業が参加できないという指摘もあり、産業保全に関する今後の対応について検討すべきとしております。

 この中で、セキュリティークリアランスについてはどのように記載をされておりますか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二〇一九年の中間報告でございますが、安全保障貿易管理小委員会における同年の有識者の御議論を取りまとめたものです。

 この中では、技術流出防止策だけで技術優位性を確保することには限界があり、機微技術情報を把握する取組や、技術優位性を伸ばし脆弱性を解消する取組も必要とされているところであります。

 その上で、日本が機微技術に関する国際共同研究開発のパートナーとして受け入れてもらえるよう諸外国との情報保全対策の同等性確保が必要とされており、セキュリティークリアランスを含む産業保全について、今後の対応について検討すべきと記載されているところです。

塩川委員 セキュリティークリアランスを含む産業保全についての検討を行うという話です。

 機微情報の情報保全のため、セキュリティークリアランスを含む産業保全の対策を検討することを求めたといった中間報告でしたが、経産省としては、その後どのように対応されたんでしょうか。

風木政府参考人 経済産業省においては、この報告書を出した後に、私どもが承知しているのは、二〇二〇年の統合イノベーション戦略の中に、一部、諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討すべき、こういう記載がされたと承知しております。

塩川委員 統合イノベーション戦略二〇二〇で、「諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討。」とあります。

 この統合イノベーション戦略二〇二〇を踏まえて、政府としてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。

小林国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、このいわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところであります。

塩川委員 元々、政府での検討と同時に自民党としての検討をしてきているというのを承知をしております。二〇二一年五月の自民党新国際秩序創造戦略本部の骨太に向けた提言でも、セキュリティークリアランス制度を提案をしております。政府・与党内でセキュリティークリアランスの検討が積み重ねられてきたわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、小林大臣は、セキュリティークリアランスとは個人の情報に対する調査を含むものと先ほども答弁をされました。個人情報に対する調査というのはどのようなものでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 私がいわゆるセキュリティークリアランスにつきまして個人の情報に対する調査を含むものと申し上げたのは、諸外国の例や我が国の特定秘密保護法に基づく適性評価制度を踏まえて、これら諸制度の調査が個人の情報に対するものを含むことから、あくまでも一般論として申し上げたものでございます。

 これまでも答弁申し上げておりますが、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると考えておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといった具体的な検討には至っておりません。

塩川委員 諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえての検討ということで、個人の情報に対する調査というのが、諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものというお話でした。

 そうしますと、秘密保護法の適性評価制度に準じてこの機微技術に関するセキュリティークリアランスを検討しているということでよろしいでしょうかね。

小林国務大臣 今申し上げましたけれども、現時点で、どのような調査を行うかといったことも含めて、具体的な検討には至っていないということを申し上げたいと思います。

塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものということが前提といいますか、念頭に置いてということでよろしいですかね。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 重ねて大臣から御答弁申し上げておりますけれども、セキュリティークリアランスについては、これまで海外の制度の状況について調査を行ってきましたほか、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的な事例の把握を行っているところでございますので、その具体的な制度の在り方についてはいまだ検討はしておらないということでございます。

 以上でございます。

塩川委員 内閣情報調査室のトップの内閣情報官を務め、また国家安全保障局長だった北村滋氏の著作に「情報と国家」というのがありますけれども、その中で、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みにはなっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれておりますが、このことは御承知でしょうか。

小林国務大臣 このことというのは、済みません、どのことをおっしゃっているのか、明確におっしゃっていただければと思います。

塩川委員 北村滋氏の「情報と国家」の中の記載において、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みには現行なっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれていることについては、承知はしておられるか。

小林国務大臣 私自身も北村氏のその著書については拝読しておりますので、承知をしております。

塩川委員 この方向で、いわば、秘密保護法の適性評価制度にとどまらず、民間事業者を対象とした適性評価制度の検討を行っていくというお立場ということで。確認です。

小林国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると思っておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといったことを含めまして、具体的な検討には全く至っておりません。

塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえてというお話がありました。

 そこで、秘密保護法の適性評価制度における調査事項というのはどういうものなのかを説明してください。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 適性評価のために調査する事項は、特定秘密保護法第十二条第二項に規定されております。全て明確に申し上げますけれども、まず、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項、二つ目として犯罪及び懲戒の経歴に関する事項、三つ目として情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項、四つ目として薬物の乱用及び影響に関する事項、五つ目として精神疾患に関する事項、六つ目として飲酒についての節度に関する事項、七つ目として信用状態その他の経済的な状況に関する事項、これらについて調査を行い、当該調査の結果に基づき、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価を実施するものでございます。

塩川委員 秘密保護法の適性評価制度における調査事項には、犯罪及び懲戒の経歴や薬物の乱用、影響に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、精神疾患に関する事項、信用状態その他の経済的な状況に関する事項という点でいえば、非常にセンシティブな情報というのが含まれているわけであります。

 大臣は、クリアランス制度に対して、国民の理解の醸成の度合いなどを踏まえた上で、今後の検討課題の一つと述べておりますが、こういった非常にセンシティブな個人情報を調査事項とするということについて、やはり国民の懸念の声があるということはお考えでしょうか。

小林国務大臣 正確に申し上げますと、今後の検討の課題になり得ると申し上げているところであります。

塩川委員 実際に検討していく際に、こういった個人情報についての懸念の声が国民にあるということについては、念頭に置かれておられるでしょうか。

小林国務大臣 例えばセキュリティークリアランスによる個人情報保護に関する懸念についてどう考えるかという形でお答えをさせていただきますと、諸外国の例を見ますと、いわゆるセキュリティークリアランス制度には個人の情報に対する詳細な調査が含まれておりまして、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合いを十分に検証する必要があると私は考えております。

 諸外国の例や特定秘密保護法の適性評価の調査項目を例とすれば、機微な情報にアクセスするポストへの異動や国際共同研究などを行うに先立ちまして、通常は上司などに報告義務のない犯歴、薬物やアルコールの依存症歴、また精神疾患、信用状態その他の経済的状況などのセンシティブな個人情報を報告させて調査することとなっておりまして、本人の同意を得るとはいえ、そうした調査に応じることとなることへの理解ですとか、あるいは、その評価対象者のみならず、関わりが深い家族や同居人についても特定有害活動やテロリズムとの関係について調査することへの理解、調査の結果、クリアランスが与えられなかった者が企業や研究機関内に生まれることへの理解などが社会一般に醸成される度合いというものを検証していく必要があるものと考えております。

塩川委員 そういう点でも、家族や同居人への調査なども含めて行われるという点でも、このセキュリティークリアランスが、プライバシー侵害の重大な危惧が生じる、こういうことは拭えないということを申し上げておきますし、本人が不同意の場合ですとか、クリアランスが否定や撤回された場合の不利益取扱いの問題というのも当然あると思うんですね。そういったことなども視野に入っておられるのか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関しまして統一的な運用を図るための基準におきまして、適性評価は、特定秘密の取扱いの業務を行った際に特定秘密を漏らすおそれがないことについての評価であり、人事評価又はその他の能力の実証を行うものではなく、人事評価のために適性評価の結果を利用等してはならないこととされております。特定秘密の保護以外の目的で利用されることは禁じられております。

 なお、適性評価の実施に同意しなかった者や、適性評価の結果、特定秘密を漏らすおそれがないと認められなかった者は、特定秘密を取り扱わない部署に配置換えされたり、特定秘密を取り扱う部署には配置されなかったりすることにはなりますが、これは特定秘密の保護のための措置であって、不利益な取扱いには当たらないと認識をしております。

塩川委員 そこは異見のあるところだと思います。

 時間ですので終わりますが、セキュリティークリアランスは、今言った労働者の不利益取扱いなどの問題、プライバシーの侵害や学問研究の自由の侵害の問題が生じる。そういった秘密保護法、そもそもその前提となっている秘密保護法が、秘密の範囲は政府が決めて、国民には何が秘密かも秘密だ。国民の知る権利や報道の自由を奪う。今回の経済安全保障推進法案の官民技術協力は、経済安全保障推進法案において秘密保護法制を拡大することにつながる、そういう問題があるということを指摘をして、質問を終わります。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日も、最後十五分、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、特定重要物資について、昨日の質疑を踏まえて、更に質疑をさせていただきたいと思います。

 昨日、これは余り、あげつらうようでよくないんですけれども、佐藤厚生労働副大臣、特定重要物資の基礎用語を間違えて読んでおられたということがありました。その答弁内容も、どちらかというと、何か様子見という感じだったように、私はそういう印象を受けました。少なくとも、厚生労働省としてすごい熱量を感じたということはなかったと思うんですね。内閣官房は頑張っておられることはよく分かります。ただ、それが政府全体にすごく共有されているかというと、まだそういう状況にないんだろうな、そういうふうに思いました。

 その観点から、昨日、大臣の特定重要物資の指定に関する答弁、若干懸念を抱きました。私、施行日までに可能なものは全部指定をして、それで進んでいくんだろうと実は思っていたら、いや、そうでもないんですという感じで、施行日以降に随時行っていくことをかなり広く許容しているような答弁に聞こえたんですね。

 ただ、恐らくこれは、各省の抵抗、すごい強いと思います、煩わしいので。こういう作業、追加的にこういう事務が降ってくることを煩わしいと思う各省庁、私、結構いると思います。

 モメンタムを一番強く維持できるというのはいつまでかというと、施行日までであります。大臣、今念頭にある特定重要物資については、施行日までに基本的には指定をするというふうに言った方が、私、いいと思うんですよ。モメンタムが一回そこで、施行日で切れてしまうと、各省の抵抗、すごい強いと思います。いかが思われますか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 恐らく、ちょっと私の申し上げたことが、委員の受け止め方が若干私の本意ではなかったんですけれども、我が国のこれまでにも申し上げている自律性、優位性、不可欠性を獲得していく上で、サプライチェーンの強靱化も喫緊の課題だと感じています。したがって、法施行後、特定重要物資の第一陣、これは速やかに指定をし、安定供給を確保していく所存です。だから、できる限りそこは洗い出してやっていきたいというふうに思っていますので、委員御指摘の問題意識も私も共有をさせていただいています。

 また、もちろん、この間申し上げたように、状況の変化に応じ、必要があれば随時追加指定を行っていくということでございまして、そこは重要物資の安定供給の確保に万全を図っていきたいと思います。

 各省のモメンタムの話もありましたが、そこについては、各省がどう思うか、今、煩わしいというお言葉がありましたけれども、これは国民のためにやらなきゃいけないことですので、私は、そのモメンタムがどこかで切れるようなことがあってはならないと思いますし、今回内閣府に新しい部屋を設けますけれども、NSSの経済班としっかりと連携をする形で、そこはしっかりと司令塔として機能を果たしていきたいと思います。

緒方委員 ありがとうございました。答弁はそれでいいと思いますし、今念頭に置かれているものは、施行日までに基本的には全部やっていくということでいいと思うんですが、各省の抵抗というのは、私、結構強いと実は思っています。追加的に仕事が降ってくるわけですよね。追加的な仕事が降ってくる、そういうことをやりたくない人、たくさんいるわけですよ。だから、私、ずっと設置法の話をしたんです。

 なぜ安定供給確保の仕事をすることを新たな設置法に書き込まないのかと質問したところ、泉審議官の方から説明を受けました。しかし、それは何かというと、各省の設置法で、現時点で、販売とか生産とか輸入とか、この三つの用語が各省の設置法に書いてあるものについては、そもそもその用語から今でも安定供給確保という言葉が読み込めるから、だから追加的な設置法の改正が各省庁必要ないんだと言ったんですが、本当に、販売とか輸入とか、あと生産、この三つで安定供給確保という言葉が読み込めるかというと、私は甚だ疑問だと思っています。

 新たなミッションをしっかりと、そういう既存の、書いてある販売、輸入、生産、そういう文言じゃなくて、安定供給確保をあなた方はやるんだということを、私、ここにこだわっているのは、逃さないということなんです。各省が逃げないように、きちっとこういうふうに設置法に任務を書いた方がいいと、私、今でも思っているんですけれども、いかがですか。

小林国務大臣 設置法に書くかどうかという点については、この間、泉室長からお答えさせていただいたとおりです。

 私は、そもそも認識として、今伺っていて、委員と若干違うのかなというふうに思ったのは、私、霞が関の役所が、そんなに煩わしいと思うような、そういう場所だと思わないんです。

 今回、コロナ禍でも、これだけ国民の皆様が、マスクが足りない、医療用ガウンが足りない、半導体が足りないと。これだけ国民の皆様の命や生活が懸かっている中で、サプライチェーンの強靱化に対する意識がかなり高まっていると思います。それに応えられないような役所であれば、はっきり言って存在意義はないと思っていますし、私は、霞が関の皆さんのそういう危機感をやはり共有しながら、今度つくる内閣府の新しい部屋とNSSがしっかりと連動しながら、各省に横串を刺すような形で、モメンタムを切らすことなくやり続けたいと思います。

緒方委員 財務省におられると、そう見えるんですかね。

 質問を続けたいと思います。

 特定重要技術について今度はお伺いしたいと思います。

 大臣は答弁で、特定重要技術というのは社会実装前のものだとずっと言っておられて、私は、毎回それを言われるたびに、法律を見て、どこに書いてあるのかなと思って、社会実装前のものというのがどこで表現されているんですかと聞いてみたところ、役所側からは、将来のという言葉にそこが尽きていますというふうに言われたんですね。しかし、全ての技術は将来に向けているわけであって、将来のと書いてあるから社会実装前のものというのはちょっと理屈として成り立たないんじゃないかな、私はそう思ったんですね。しかも、不当な利用や妨害によって国家及び国民の安全を損なうおそれがある技術というのは、大体ある程度社会実装されていることが前提ではないかなというふうに、定義規定を見て思ったわけですよね。

 さらに、特定重要技術としてどういうものが入りますかということを聞いていると、半導体が入ります、衛星のコンステレーションについても入ります、海洋センシングも入りますと言っているんですが、これらとて一部は社会実装しているわけであって、何が言いたいかというと、何が特定重要技術かということが分からなくて、何となく恣意的に決まっている印象を受けるわけですね。

 何が特定重要技術かという定義を役所から聞いていても、一つのばしっと決まった基準があるように到底思えないんですけれども、大臣、いかがですか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 委員のその分かりにくいというのが、やはり国民の立場に立って、私が全く分からないわけではないのは、今回、四つの項目について、特定ということを結構、特定重要技術とか特定重要物資とか、使っています。

 これはいろいろ法案を組み立てていく上での法技術的なところもあるんですが、例えば特定重要物資だったら、指定したものを特定重要物資というふうになるんですけれども、この技術のところは、何かあらかじめ対象となる技術とか特定する技術というものがあるわけではないです。

 これはどういうふうに決めていくかというと、閣議決定する基本指針というものを定めて、その中で一定の具体化を図っていくとともに、政府が網羅的に最初から、この技術は全て特定重要技術ですと言うのはなかなか難しいので、当然、海外もそうですけれども、公募によっていろいろ提案をしていただく、そういう競争も活用しながら、真に活用性のある技術を見定めていくことになろうかと思います。

緒方委員 結局、結構大臣や内閣官房の方のペンのなめ方次第みたいなところがあるように、やはりどうしても聞こえるわけですよね。

 そういう中で、特定重要技術というのは、定義を見ていると、物すごく重大な技術であることを想定していると思うんですよね。それが別に悪いと言っているわけじゃないですよ。

 ただ、それに課せられる保秘義務というのが国家公務員法上の守秘義務だということで、これは何かというと、国家公務員法上の秘密というのは要件が二つでありまして、公に知られていないこと、非公知性というのと、あとは秘密であることについて相当の利益があることと、結構、そんなに重大な要件はかかっていないわけですよ。しかも、これを破ると罰則は一年以下と五十万円以下ということで、どう考えても私はバランスが悪いなと思うんですよね。

 特定重要技術という定義を見たときに、非公知性と、秘密であることによって相当の利益を持っているということ、この秘密を守るという。比較的軽いんですね。

 このバランスがどうしても私は悪いと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

小林国務大臣 私の立場では、バランスが悪いとは当然思ってはいないんですけれども、協議会に入る研究者たちからすると、当然、政府の側には、職員の側には国家公務員法上の守秘義務がかかっていますので、それとやはり均衡、バランスを取る必要があるんです。

 あとは、じゃ、更にそれをもっと重くすればいいじゃないかという、委員のような議論というのはあり得るんだと思いますけれども、やはり、今回、革新的な技術を官民一体となって協力して育成していくという観点からすると、研究者の方たちがちゅうちょなく入っていただける、そういう環境をつくっていくことが重要だと思っておりまして、その点を総合的に勘案して今の仕組みにしたということでございます。

緒方委員 罰則の規定を見ていますと、特定重要物資のいろいろな、様々な調査を行いますよね。あれに関する秘密を漏らすと二年以下、百万円以下の罰則であって、そっちの方が罰則は重いんですよ。

 特定重要物資に関する調査のデータを漏らすことの方が特定重要技術に関する秘密を漏らすことの罰則よりも重くて、罰則規定を横に並べて見てみると、どう考えても、特定重要技術を漏らす方が特定重要物資に関する調査に関する秘密を漏らすことよりも重大なんじゃないかなという気がするんですよね。大臣、いかが思われますか。

小林国務大臣 サプライチェーン、これはいろいろ、ほかの法令との並びというのを勘案しながらこの罰則を決めているんですけれども、サプライチェーンにつきましては、公務員に関する守秘義務の規定でありまして、これは企業の機微技術でございますので、そういう点を勘案して、少し重めということにさせていただいたところでございます。

緒方委員 分かりました。

 最後に、もう最後一問か二問だと思いますが、私、特定重要技術の出口について関心があるんですね。研究するだけで終わるわけじゃなくて、それを何かに活用しましょうということなんですが、その出口について何と書いてあるかというと、「その成果の適切な活用」としか書いてないんですね、法律には。その適切な活用とは、いかなることを想定しておられますか。

小林国務大臣 これは、内閣府が中心となって、例えば文科省や経産省と連携しながら、幅広い関係府省庁との意見交換、あるいは協力も得ながら研究開発を進めることとしております。

 具体的には、様々なニーズ情報なども取り込みつつ、支援対象となる先端重要技術について選定を進めるとともに、省庁、産学官の枠を超えた伴走支援を行うための協議会の枠組みを活用しながら、プログラム全体の運営管理を行います。

 さらに、例えばJST、NEDO、こうしたそれぞれの機関が有する強みなどを生かして研究開発を機動的に推進する観点から、技術の特性や進展に応じまして、例えば、出口というところでいうと、JSTで支援する先進的な研究開発の成果を、NEDOにおいて、産業界中心の体制による社会実装に向けた研究開発に向けて渡していくことも想定しているところでございまして、いずれにしても、本プログラムを戦略的かつ機動的に推進してまいりたいと考えます。

緒方委員 最後のそこを聞きたかったんですね。イスラエルなんていう国は基本的にこういう感じで動いている国でありまして。

 最後、文部科学省に一つお伺いをしたいと思います。

 指定基金について、NEDOとJSTに分かれている、それで、縦割りになるんじゃないかという心配をどうしても持っているというのと、ともすれば、文部科学省というのは余りビジネスオリエンテッドでないんじゃないかというような思いがあるわけですが、そういうことはないのだという答弁を簡潔にお願い申し上げます。

上野委員長 田中文部科学副大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

田中副大臣 お答えいたします。

 文部科学省では、令和三年度補正予算において、経済安全保障重要技術育成プログラムを創設するために、科学技術振興機構、JSTに新たな基金を造成しております。

 本プログラムでは、経済安全保障の確保及び推進の観点から、内閣府の下、文部科学省と経済産業省等が連携して、科学技術の多義性を踏まえて先端的な重要技術の研究開発を推進していくこととしており、その推進に当たっては、社会実装につなげていくことを重視していきたい、そのように思っております。

 さらに、本プログラムでありますけれども、本法案に基づく指定基金として指定された際には、官民伴走支援の仕組みである指定基金協議会を設置しまして、潜在的な社会実装の担い手として想定される関係府省や民間企業などの方々を構成員として加えることで、研究開発の促進及び成果の適切な活用に必要な事項を協議していきたいと思っております。

 文部科学省といたしまして、指定基金協議会も活用しつつ、内閣府等と連携の下、本プログラムを推進することにより、その研究成果が社会実装につながるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

緒方委員 終わります。

上野委員長 次回は、明三十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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