衆議院

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第15号 令和4年4月1日(金曜日)

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令和四年四月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森山 浩行君 理事 足立 康史君

   理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石原 宏高君    金子 俊平君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      永岡 桂子君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    松本  尚君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    吉川  赳君

      和田 義明君    梅谷  守君

      大串 博志君    岡本あき子君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      阿部  司君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

      大石あきこ君

    …………………………………

   議員           足立 康史君

   議員           阿部  司君

   議員           堀場 幸子君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   小林 鷹之君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  泉  恒有君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            阿蘇 隆之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          寺門 成真君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     岡本あき子君

  中谷 一馬君     福田 昭夫君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本あき子君     堤 かなめ君

  福田 昭夫君     梅谷  守君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  梅谷  守君     中谷 一馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案(内閣提出第三七号)

 経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び足立康史君外二名提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、十五分しかありませんので、閣法についてのみ質問をさせていただきます。小林大臣を始め、是非、簡潔にお答えいただければと思います。

 まず、基幹インフラの安全性、信頼性の確保について絞って質問をさせていただきます。

 中でも、基幹インフラの十四の対象分野に自由貿易、経済連携協定などが入っておりませんけれども、政府の自由貿易に対する基本的な姿勢、考え方を外務省の方にただしたいと思います。

 ハイレベルな自由貿易の定義についてでありますが、政府は今まで、ハイレベルな自由貿易を進めるとして、TPP11やEUとのEPA、あるいは日米のFTA、RCEPなど様々な、主に広域的な経済連携、自由貿易協定などを締結してまいりましたけれども、政府の言うハイレベルな自由貿易、その定義というのがあるのであれば、それを教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、政府としてハイスタンダードな自由貿易協定の推進に取り組んできているところでございます。

 このハイスタンダードの意味するところでございますが、単に関税の引下げにとどまらず、知的財産、国有企業など、幅広い分野で透明性の高い、公正なルールを整備する、こういう内容を持つ協定をハイスタンダードな自由貿易協定と理解しております。例えば、御質問でも言及のありましたTPP11協定、これがハイスタンダードな自由貿易協定に該当するということでございます。

 こうした自由貿易協定の交渉に当たりましては、政府としては、国内への影響についてもしっかりと注目して、攻めるべきは攻め、守るべきは守るということで交渉してきておる、こういうことでございます。

福田(昭)委員 そうすると、TPP11については、これを始めたP4の原則であります、十年後には関税ゼロ、それから非関税障壁を撤廃する、これが政府としてはハイレベルな自由貿易だとは考えていないということでいいんですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 TPP11協定の意義、理念ということでの御質問かと思いますが、私ども、政府としては、TPP11協定というのは、先ほど御答弁申し上げたような意味での、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていく、こういう意義を有するものであると。具体的に言いますと、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の構築やそれに基づく地域の安定と繁栄の確保、これに資するという戦略的な意義を有するものとして進めてきているところでございます。

 我が国としては、引き続き、こうした戦略的な観点を踏まえながら、関係省庁で緊密に連携し、TPP11のハイスタンダード、基本的価値を維持できるように、ほかの参加国ともよく連携しながら、TPPに関する議論を主導してまいりたい、このように考えているところでございます。

 御指摘の関税撤廃との関係は、今申し上げたようなことでございまして、何年後に関税を撤廃するとか、そこに着目して進めているわけではない、こういうことでございます。

福田(昭)委員 それでは、要するに、二つ目の、TPP11の今後についてということになりますが、TPP11の協定は、発効後、三年後に全面見直し、そしてその七年後には、実は、日本の国だけ、我が国だけ、農産物輸出国、カナダ、チリ、ニュージーランド、オーストラリアと農産物の輸出のことについて再協議を約束されているんですね。ですから、我々が心配するのは、十年後に、この農産物輸出国と協議をした結果、関税ゼロ、非関税障壁撤廃、重要五品目も含めて撤廃されるということになるのではないかという心配をしているわけです。

 そこは、だから、はっきり政府として、関税ゼロ、非関税障壁を完全撤廃するという考えはありません、そう返事がないと信用できないということなんです。これはいかがですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のTPP11協定の見直し、再協議に関する規定、確かにそういう規定は存在しますけれども、そのいずれの規定におきましても、関税の撤廃あるいは削減を行うことまで求める内容とはなってございません。

 ですので、我が国としては、仮に今後そうした見直しや再協議が行われる場合であっても、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国益にかなう最善な結果が得られるよう、そういう方針、理念の下、関係省庁間で緊密に連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 いずれにしても、そういう見直し、再協議の結果というのは国会にお諮りして御承認いただかないといけませんので、そういう御承認をいただけるものとすべく全力で取り組む、こういうことでございます。

福田(昭)委員 今までよりはちょっと毅然とした態度になってよかったかなと思っていますが、しっかりね。なぜこんなことを聞いたかといいますと、今回の経済安全保障推進法案も、有識者会議では定義を明確に示す必要があると指摘されているにもかかわらず、今回そうしたものが定義されていないということで、一つの大きな問題点として指摘をさせていただいたところであります。

 次に、本題でありますが、特定社会基盤事業者の重要設備導入の際の事前審査、維持管理の委託に関して、委託事業者の届出等についてであります。

 質問の順番を逆にしまして、三番目の、デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との協定及び地域的な包括経済連携協定、いわゆるRCEP協定で国民の個人情報は保護されるのかということであります。

 今、世界中でデジタル化に取り組んでいる一方で、実は、デジタル主権、デジタル植民地、デジタルファシズムというようなことが心配されております。プライバシーや個人情報が保護されるのか、利便性と引換えに自治や主権が奪われるのではないかというようなことであります。我が国が進めているデジタル化の軸が、マイナンバーと個人情報のひもづけと、それを管理するということになっておりますが、こうしたことで、国民の個人情報はちゃんと守られるのか、国民の財産は守られるのかという心配があるわけであります。

 そこで、今回は、時間がありませんので、日米のデジタル貿易協定に絞って質問を行います。

 第二条で、政府調達及び政府の権限として行使されるサービスにはこの日米のデジタル協定は適用外、こうされておりますが、しかし、政府は、国あるいは準公共等のガバメントクラウドとか、あるいは自治体のガバメントクラウドを、米国のデジタル会社、アマゾンなどに委託しておりますが、それがなぜできたのか、この協定に照らして是非教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 アマゾン等との個別な契約の関係のところは、恐縮でございますが、外務省所掌外でございますので、日米デジタル貿易協定との関係ということについて御説明させていただきますけれども、まず、御指摘のとおり、政府調達については、日米デジタル貿易協定は明示的に適用しない旨規定している、それは御指摘のとおりでございます。

 あと、個人情報保護の関係に関しまして、日米デジタル貿易協定は、第十五条1という規定がございまして、各締約国は、デジタル貿易の利用者の個人情報の保護について定める法的枠組みを採用し、又は維持する、こういうことを規定してございます。つまり、国内法をきちんと作って個人情報を保護しなさいということをむしろ義務づけておるということでございます。

 日本に関しましては、主に個人情報保護法がその法的枠組みに当たるということでございまして、日本側については、個人情報は個人情報保護法の下で適切に保護されているということでございます。

 米国の国内法には詳細に立ち入りませんけれども、米国でも同様に個人情報を保護する法制がございまして、それに基づいて個人情報が保護される、こういうことになってございまして、ただいま御質問がありましたような契約も、そうした両国での個人情報保護の実態、こういうものを踏まえまして行われているものではないかというふうに推察しておる次第でございます。

福田(昭)委員 そうすると、実は、政府のサービスのシステムや地方自治体のサービスもアマゾンでやっていたわけですが、当時の高市大臣は、アマゾンをベンダーとして入れるに当たり、国民の個人情報データの置き場所にも配慮しているから大丈夫だ、こう答えているようでありますが、本当でしょうか。

 この日米の協定を見ますと、第十二条で、例えばアマゾンのような企業が日本でビジネスをする際、個人情報などを管理するデータ設備を日本国内に置く要求はできない、こうなっておりますけれども、これはどうなんでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 データベースなどの設置要求、これにつきましては、一定の例外を除いて行うことができないという規定になっておる、日米デジタル貿易協定についてはそのとおりでございます。

 ただ、その上で、今御質問があった点については、一部繰り返しで恐縮でございますが、そのデータベースの設置要求とは別に、個人情報の保護、そういった部分につきまして、先ほども申し上げたような規定を置いて、日本、米国双方においてきちんと確保される、こういう枠組みを定めておる、この枠組みの下で、恐らく、今御質問いただいたようなアレンジといいますか契約といいますかも考えられたのではないか、そのように理解してございます。

福田(昭)委員 時間がありませんので、質問の一番目と二番目を一緒に、簡潔に申し上げますが、資料の一から二、三と、実は今政府が進めているデジタル化の資料を用意いたしました。

 この一番目はデジタル庁の資料で、「データの創成を進めるための国の支援」の中で、ここにありますように、下の方で、「多様なデータの確保」の中に、「オープンデータの推進」で「各自治体が進める取り組みを国が支援」、これがいわゆる政府の相互運用フレームワークの中に入っている。これが実は各国の相互運用フレームワークとつながることになっている。これで非常に、外国にも流出するおそれもあるということであります。

 それから二つ目に、資料の二でありますが、これは経産省の資料でありますが、ここにありますように、これは「デジタル産業基盤発展に関する将来像」、イメージ図でありますが、ここに、例えばソフト・クラウド・データ連携基盤とか基盤インフラがあります。特にデータセンターやネットワーク等の基盤整備ですが、これが、二〇三〇年頃には、それぞれ、超分散・連携・統合データ連携基盤、こう書いてあります。

 このデータセンターなどを、例えば外国のIT会社が受け取った場合には、このデータセンターを、日米のデジタル貿易協定によると、ここに置かなくてもいいという話にもなっちゃう。あるいは、例えば日本の企業の電気通信網も使わなくてもいい、こういうことになっちゃう。ですから、例えばアマゾンみたいなのに委託すると、これを使わずにやるということにもなりかねないということです。

 それから、次の、資料の三でありますが、三は、「地方自治体の基幹業務システムの統一・標準化について」であります。これを見ると大変なことが書いてあります。デジタル社会の実現に向けた重点計画の丸の二つ目ですね、基幹業務システムを利用する原則全ての地方公共団体が、目標時期である二〇二五年度までに、ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへ移行できるようにその環境を整備するとしておりますが、基幹業務は、住民基本台帳から戸籍から健康管理まで、二十業務あります。これを全部標準システムにするということになると、実は個人が政府に丸裸にされます。しかも、その情報が全て、もしかして外国の企業に委託などがされれば、これは簡単に持っていかれる話になります。

 ですから、こういうことは本当に心配なことです。しかも、アメリカとのデジタル貿易協定があったり、あるいは、中国ともRCEPの中で同じようなことが決められております。そういうことを考えると、大変です。

 先日、地方創生特委員会で、実は、デジタル庁の山田政務官から答えていただきましたが、その中で、何と書いてあるかというと、デジタル・ガバメント標準ガイドライン等を作りまして、みんなが利用しやすく安心して使えるデータの設計ができるようにということで、国の方はフレームワークを準備しましたり、あるいは、政府、自治体、大学、企業、NPO等がつながりますよう、データ連携の基盤のコアの部品等も今回作らせていただきまして、それらを各地域で活用していただく、これが狙いと目的でございます、こうやってありますが、まさに狙いどおりできちゃうと、本当に大変な状況が起きかねない。

 そこで、時間が来ましたので終わらなくちゃなりませんが、小林大臣の今朝の新聞を見ました。これを見て、米中の覇権争いのはざまで日本の針路はどうあるべきでしょうかという中で、世界第一、第二の経済大国の動向は当然注視すべきだが、我が国としてどうするかという……

上野委員長 福田君におかれましては、持ち時間が過ぎておりますので、御配慮をお願いします。

福田(昭)委員 やめます、はい。

 基軸を持たなければいけない、我が国としてどうするかという基軸を持たなければ、それがなければ、同盟国、米国とは連携という名の下の追従になりかねない、こう述べております。

 小林大臣、ちょっと大臣に就任するのが遅かったですが、是非、そうした基軸を持てるように頑張ってください。

 終わります。

上野委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 内閣委員会での質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 そして、ロシアのウクライナ侵略で犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。

 そして、私、地元は遠く宮城、仙台ですが、三月十六日に発生しました福島県沖地震で命を落とした方にも御冥福をお祈り申し上げます。まだ余震が続いております。被災された方、事業者が一日も早く回復されることを願っております。

 内閣委員会ですので、防災、災害について、まとめて一つお伺いしたいと思います。

 まず、資料一を御覧ください。

 地元宮城―福島間の鉄路、阿武隈急行が大きく被災しました。赤線が引いてあるとおり、東日本震災当時よりも長期間の運休となる見込みです。是非、震災のとき同様、三陸鉄道と同じような支援を求めたいと思います。これはお答えをお願いします。

 まとめて聞きますので、続いて、資料二です。

 仙台市の秋保温泉、ここも、赤線が引いてあるとおり、東日本大震災のときよりひどいという被災状況です。ライフラインが、比較的軽く済んでおりますが、局所的には深刻な状況です。これは、グループ補助金、岸田総理から特例措置は必須だと答弁をいただきましたので、ここでは答弁を求めませんが、是非、重ねて重ねての被災だということを踏まえた支援を求めたいと思います。

 もう一つ、是非、罹災証明のデジタル化を速やかに整えて普及をしていただきたいと思います。

 まとめてお伺いしますので、お答えください。

奥田政府参考人 阿武隈急行についてお答えいたします。

 今般の地震により、阿武隈急行は、先ほど御説明のあったとおり、橋梁や駅ホームの損傷などの被害が発生しており、全線で運転を見合わせております。

 現在、同社において復旧作業が進められておるところですが、運転再開については、梁川―槻木駅間が四月下旬、福島―梁川駅間については、橋梁や駅ホームなどが損傷しておりますので、六月以降となると報告を受けてございます。

 このような被災した鉄道の復旧につきましては、鉄道事業者の資力のみで復旧することが著しく困難である場合、鉄道軌道整備法に基づく法律補助などで支援を行っているところでございます。

 また、先月二十三日には、鉄道総合技術研究所が現地調査を実施しておりまして、鉄道施設の復旧に向けた助言、こういったところも行っておりまして、技術的な協力も行っている、こういうところです。

 国土交通省としましては、鉄道の災害復旧の支援スキーム、こういったものを念頭に置きつつ、関係自治体としっかり連携をして、早期復旧が図られるように必要な支援と協力を行ってまいります。

 以上でございます。

五味政府参考人 罹災証明書でございますが、災害対策基本法に基づきまして、住家の被害を調査し、その被害の程度を証明する書面でございまして、各種被災者支援の判断材料として活用されていることから、早期の発行が必要でございます。

 この罹災証明書につきましては、大規模災害時には、窓口の混雑等の課題もあることから、市町村においては、申請窓口の増設に加えて、市町村の電子申請システム、電子メール、郵送等による申請も可能としております。

 また、内閣府におきましては、クラウド型被災者支援システムとして、住基データをベースとした被災者台帳の作成に加えまして、罹災証明書の電子申請やコンビニ交付が可能となるシステムを現在開発しているところでございます。

 こうした災害対応業務のデジタル化等を通じまして、被災者の利便性の向上や業務の迅速かつ的確な実施に引き続き努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 局所的な被害という部分があるとはいえ、深刻な被害がありますので、是非、現地に、そして被災者に寄り添っていただきたいと思います。

 次に、閣法について伺います。

 第三章、基幹インフラ役務の安定的な提供確保のため、特定社会基盤事業として十四の事業を列挙しており、その中に水道がございます。

 宮城県では、まさに四月一日、本日、上工下水が、コンセッション方式が導入され、運営権が民間に譲渡されました。特定目的会社が新たに設立する運転管理維持会社は、何と議決権株式の五一%を外国企業が保有をしているということも明らかになりました。これは資料三を御覧いただければと思います。国内の民間活用ではなく、外国資本の影響がありありという状況です。まさに経済安全保障を審議しているさなかでのスタートということです。

 そもそも、日本には水道事業法がなく、水道法では、コンセッションを受けた民間企業には直接指導が届きません。コンセッションは、企業秘密と情報公開が折り合わず、万が一、事業者が国家国民の安全を損なうおそれの大きい行為、これがあった場合でも、リスクの把握すらできない場合もあるのではないでしょうか。つまり、この法案でそもそも規制ができないのではないでしょうか。この点、お答えください。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の水道についてですけれども、御指摘のあったコンセッション方式の場合でございましても、この法案において規制対象となる特定社会基盤事業者は、あくまで水道法上の水道事業者そして水道用水供給事業者である地方公共団体でございます。このため、水道事業などの運営業務を民間のコンセッション事業者が担っていたとしても、地方公共団体に対して届出義務や報告徴収などの規定が適用されます。

 したがって、事前審査などに必要なコンセッション事業者に関する情報があった場合には、地方公共団体に対しましてその提出を求めることによって、その結果、国が把握し、必要な措置を講じることが可能となっております。

 また、地方公共団体を通じた情報の把握が困難な場合であったとしても、この法案に基づきまして、主務大臣は、重要維持管理などの委託を受けるコンセッション事業者に対して直接資料の提出などを求めることもできるたてつけとなっています。

 なお、委員から、水道法ではコンセッションを受けた民間企業には直接指導が届かないという御指摘がございましたけれども、水道法におきましても、国は、水道事業などの適正を確保するために必要があると認めるときは、地方公共団体及びコンセッション事業者に対しまして報告徴収などができるものと承知をしております。

岡本(あ)委員 今御説明いただいた中では、一義的には自治体なんですね。国から対応するとすると自治体なんです。そこに報告を求めるということになります。

 私、今、この宮城の方式でいきますと、コンセッションを受けた事業体が更に運営会社をつくって、そこが事業を運営をしている状況になります。二重三重に段階があるということで、更に直接的な規制や勧告等が及びにくいということは指摘をさせていただきます。

 このことも踏まえると、第三章については、重要設備以外に外資に対する規制という考えを設けるべきだと私は考えています。今回立案するに当たって、対象や対象事業者に外資が投入されるリスクについてどのような検討がされたのでしょうか。最低限のリスク回避として、それぞれの事業に外資規制をかけるという発想はなかったのでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に向けた取組は業法などの既存制度で講じられておりますことから、それに上乗せをする形で、この法案におきましては、真に必要なものに絞って、我が国の外部からの妨害を未然に防止するために新たな枠組みを設けるものでございます。

 具体的には、基幹インフラ事業を取り巻く様々なリスクと現行制度による対応状況を踏まえまして、喫緊での法制上の対応が必要なものとして、重要設備の導入や維持管理などの委託の場面に着目をいたしまして、事前審査などを行う枠組みを設けることといたしました。

 すなわち、何を申し上げたいかというと、今回の法案というのは、基幹インフラ事業の担い手が誰であるかに着目した制度を設けるものではございませんが、例えば、委員御指摘のように、外国投資家による出資などにつきましては、別途、外為法に基づく対内投資審査制度におきまして、国の安全や公の秩序維持などの観点から、一定の業種に対する株式の取得などを審査の対象としているものと承知をしております。

岡本(あ)委員 海外法人に経営権を更に売却するということも、経済活動ですのであり得ます。どこの国に売却されるかも分からない、その前提で本当に事業を任せてよいのかという疑問があります。

 先ほど業法でということでしたけれども、そもそも水道には事業法がございません。公が直接担う前提になっているためではないかと私は思っています。また、先ほど外為法のお話がありましたが、今まで一件しか実際に命令を行った事例というのはございません。効果も含めると、私はそもそも、特に事業法を持っていない水道を含めて、事業法で、業法で規制がかかっていない部分についても、国家の安全保障という観点で外資の規制という考えを盛り込むべきだと思います。売却をすることもあり得ますということも含めて、この点、お答えいただけませんでしょうか。

小林国務大臣 まず、外為法の命令に至ったのは一件しかない、それはそのとおりですが、その上で、この対内投資審査制度につきましては、二〇一九年に法改正を行いまして、いわゆる事前届出を求めるシュレスホールド、閾値を一〇%から一%に下げたということですとか、また、国際情勢やあるいは技術動向を踏まえまして、事前届出を求める業種に、サイバーセキュリティー関連ですとか、レアアースなどの重要鉱物資源管理の業種を追加してきております。不断に制度や運用の見直しを行っています。

 それとともに、この委員会でも何度か申し上げましたが、審査に関係してくる人員の増強、すなわち執行体制の更なる強化、また、その運用の中で、昨年の七月に、アメリカのCFIUS類似の、これまでは各省庁が財務省と直接やっていたんですけれども、知見を共有するような形での枠組みというものを設けるなど、体制は整ってきておりますので、そこはしっかりやっていきたいと思います。

 また、委員から、経営権を別の外国資本に売却することもあり得るのではないかという論点を指摘いただきましたが、一般論として申し上げますと、外為法上、外国投資家が他の外国投資家から、国の安全などに関する一定の事業を含む企業の株式を取得しようとする場合やそのような事業を譲り受ける場合には、事前審査の対象となり得るものと承知をしております。

 今申し上げましたとおり、委員の指摘の対内直投に関する審査というのは極めて重要になってきているということは認識をしておりますので、この外為法の規制を中心に、関係省庁が連携していくことで万全の対応を図ってまいりたいと考えます。

岡本(あ)委員 先ほど宮城の事例を紹介させていただきました。これは、運営を受託している会社というのは、直接のところではなくて、更に再委託という形での事業者です。ですので、経営権の売却というのが、直接指導管理下にある部分には一定の条件がつくか運用が利くかと思いますけれども、更にそこから先、委託をしている会社というのが、どこまで権限が及ぶのかというところは非常に疑念がありますし、宮城のこの会社に関しては、残念ながら海外で別な他国の会社に売却をした事例がありますので、その点も、及ばないということも確認をしております。

 少なくとも、この十四事業に関しては、外資も含め、安易な規制緩和や経済優先の発想ではなく、むしろ、国産国消を前提として、国内の技術を上げていくことで国家と国民の安全を守ること、このことを期待したい、そのことをお伝え申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 水曜日に続きまして、今日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 まず冒頭、委員会に幾つかの文書の提出をお願いをしておりましたが、昨日内閣官房の方が来られまして、議事録を見てくれ、こういうお話でありました。委員長も御了解されているということなんですが、議事録は国会において作成しているものであって、私は、政府としての考えをきちっと書面で出していただきたい、そういう趣旨でお願いを何度もさせていただいておりました。どうしても出せないということであれば、質問主意書の形で、閣議決定したものを求めたいというふうに思いますので、その際には是非よろしくお願いします。

 その上で、大臣、今日はちょっと官民技術協力の話を中心にと思っておりましたが……(発言する者あり)

上野委員長 御静粛に願います。

本庄委員 最後にやろうと思っていた、外部から行われる行為、ここについて少しお尋ねをしたいと思うんですけれども。

 今日の朝日新聞を拝見したんですね。そこで、大臣、インタビューをされていて、こうおっしゃっています。コロナ禍でマスク不足に陥ったように、グローバル化によるサプライチェーンの多様化で供給途絶のリスクが高まったと。これをこの法案の必要性の一つの事例として挙げていますが、コロナ禍のマスク不足、これは今回の法案で対応できるんでしょうか。これは前回の議論の続きになりますが。

小林国務大臣 これは、この間、前回、委員とこの法案の読み方につきましては議論をさせていただきました。

 外部から行われる行為というものに感染症とかそういうものが含まれるのかということについては、直接ここでは読み込まない、ただし、それをきっかけとして、それを契機として、外部、例えば外国政府が日本への輸出を止める、そういうことによってサプライチェーンの供給途絶などが事前に想定、平時から想定される場合におきましては、しっかりとそこも含めて検討した上で、ルールにのっとって、必要であれば特定重要物資に指定をしていくということであります。

本庄委員 理屈はそうだと思います。

 ただ、一般の国民の皆さんに法案の必要性を説明するに当たっては、必ずしも適切な事例ではないのかなというふうに思うんですね。つまり、感染症でマスクがなくなる、需給が逼迫する、プラス、さらに、どこかの国がその供給を遮断する、幾つかの仮定の上でようやく成立する話だと思うんですね。

 今回の事案も、一時起きたマスク不足も、外部の何らかの行為で起きたわけではもちろんない。半導体の不足もそうですね。私は、もうちょっと正確に国民向けには説明をされた方がいいんじゃないのかなというふうに思うんですね。これを読まれた方は、多分、感染症のマスク不足も今回の法案で対応できるんじゃないかというふうに思われてしまうと思うんですね。その辺り、いかがですか。

小林国務大臣 なので、対応できないということを申し上げているわけではなくて、ちょっと詳しく申し上げますと、この法案のサプライチェーンの強靱化は、供給途絶などの事態が生じてから事後的に対応するのではなくて、今申し上げたとおり、平時から枠組みをつくって措置を講じるものです。

 具体的には、国内生産基盤の整備ですとか備蓄とか、あるいは代替物資の開発、こういう民間の取組を支援していくということなんですけれども、こういう取組を平時から支援していくことによって我が国のサプライチェーンは強靱化されまして、結果的に、例えば、感染症の拡大などの緊急事態によって、例えばマスクですよね、医療用ガウンとか、他国からの供給に支障が生じる緊急事態にも効果があると考えております。

本庄委員 御説明は繰り返しになるので、私も何度も、もう耳にたこができそうになるんですが。四つの要件を並べて、その三つ目の要件に、外国からの行為、こういうふうに書かれている以上は、私は、かなり無理をしないと四要件は読み込めないというふうに思うんです。そうすると、結果的に政府がかなり拡大解釈、拡大適用してしまうということもあり得るので、私は、もう少しこの要件、きちっと見直した方がいいのではないのかなというふうに考えております。

 手を挙げられたので、どうぞ。

小林国務大臣 別に拡大解釈でも何でもないと思っておりまして、例えば外国政府の意図というのはなかなかこっちからは分からないですよね。例えば、いわゆる同志国と呼ばれているところ、同盟国であったとしても、やはり自国民の命を守るということはそれは当然大切でしょうから、結果として、他国に対して輸出する余裕がないときというのは出ないわけですよね。

 そういうことはしっかりとこの法案の中で読み込めるようになっておりますので、別に、マスクが今回特定重要物資として指定されるかどうかは別として、そういう何か拡大解釈によってしか読めないというものではないというふうに捉えています。

本庄委員 これぐらいにしますが、そう言い出すと、輸入依存率が高いものはほとんどすべからく該当しかねないと私は思うんですよね。ではスマホはどうなんだとかいろいろなことが出てくると思いますので、何度もこの話をさせていただいている次第です。

 では、本題の方に入っていきます。官民技術協力の話です。

 まず、政府の基本的な認識を再確認したいんですけれども、有識者メンバーのお一人でもある兼原信克元官房副長官補、日経新聞三月八日朝刊など、いろいろな場でこういうことをおっしゃっています。政府が検討する新規立法で最も重要なのは安全保障関連技術の育成のための官民協力である、最先端科学技術の取得は安全保障の一丁目一番地だ、日本も防衛面で異次元の努力が求められる時代になった、安全保障の成否は科学技術の力で決まる。

 こういうことをおっしゃっていて、これはほかの場所でもいろいろこういう趣旨のことをおっしゃっているんですけれども、この官民技術協力の主眼が安全保障だという、これは政府もそういうお立場、御認識なんでしょうか。

小林国務大臣 お答えいたします。

 政府としては、今委員から言及があった兼原委員ですけれども、この法案に関する有識者会議の委員として参加いただきました。この法案というのは、有識者会議の提言に基づいて制度設計を行ってまいりました。

 その上で、この法案で取り組むこととしている官民の技術協力というのは、これまでも繰り返し申し上げておりますが、将来にわたって国としての優位性あるいは不可欠性を確保する観点から、民生利用や公的利用など幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を推進するためのものでございまして、防衛装備品の開発を目的とするものではありません。

本庄委員 それはそのとおりです。そもそも実装する前の段階だということですね。

 私が申し上げているのは、その前段階の基礎的な研究あるいは技術だという前提で伺っているんですね。要は、安全保障あるいは防衛に使っていく、そこに主眼を置いて研究をする、そういうわけではないと私は理解しているんですが、それでよろしいですか。

小林国務大臣 今申し上げたとおり、民生にも、また公的な利用にも、これはかなり先端技術は多義性を持っているということはこれまでも申し上げているとおりですけれども、そういう意味で、安全保障に何か特段の主眼を置いたものではないということは申し上げたいと思います。

本庄委員 はい、分かりました。

 それでは、特定重要技術の定義と対象について少し確認をさせていただきたいと思います。

 法律の第六十一条、先端的な技術のうち、研究開発情報の外部からの不当な利用や、当該技術により外部から行われる妨害等により、国家及び国民の安全を損なう事態を生じるおそれがあるもの、こういう規定ですけれども、経済界からはかねて、例えば経団連からは、戦略的不可欠性を確保するために分野を選び集中投資をすることが必要だとか、我が国の技術の優位性、不可欠性を確保することにつながるかを検証することが必要だとか、こういった意見も出てきておりました。要は、対象を絞るべきだ、こういう趣旨の意見ですね。

 私、今回の定義、ちょっと広いんじゃないのかなというふうにこれも思っております。先端的な技術というのがどこまでの、どういう範囲なのかという判定にもよると思いますし、その上で、国家国民の安全を損なうという表記、これも相当広く取り得ると思うんですね。例えば著しくとかそういうことがついているわけでもなく、国家国民の安全を損なうという言い方だけだと、かなり広くも取りようがあって、結果的に対象範囲はかなり広がり得るんじゃないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

小林国務大臣 特定重要技術というのは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るものだと考えています。

 有識者会議の提言では、これまでも申し上げたとおり、宇宙、海洋、バイオといった領域の技術ですとか、AI、量子といった要素技術、こうしたものを例示されておりまして、議論の過程では、衛星コンステの技術ですとか海洋分野のセンシング技術、こうしたものを例として挙げているところです。

 一方で、デジタル化などによって技術開発が加速化していっています。また、新たな重要技術が突如誕生する、不連続の技術革新の可能性を踏まえますと、委員の問題意識というのは私も共有、共有というか分かる気もするんですけれども、あらかじめ網羅的にその技術を特定することは困難であることは御理解いただきたいと思います。

 このため、社会経済情勢、研究開発動向を踏まえて、有識者の意見も聞いた上で閣議決定する基本指針、ここにおきまして一定の具体化を図っていきたいとは考えておりますし、これは、ほかのサプライチェーンのパートとかのように、そもそも何か特定をするというものではないんです、特定重要技術という名前はついていますけれども。したがって、当然、ほかの国もそうですけれども、公募による競争、こういうものも活用しながら、真に可能性のある技術を見定めていきたいと考えております。

本庄委員 とはいえ、特定重要技術に指定をされれば、その先には、協議会だとか基金を活用した研究開発だとか、そういった道があるわけですね。だから、指定について、自由度を持って指定していいということではなくて、やはり絞り込みをしっかりとかけていくということは必要だと思うんです。

 ちょっと一つだけ確認したいんですが、バイオというのは想定の中に入っているんですか。量子とか宇宙とかAIとかいうのは政府の資料でも拝見しておりますけれども、バイオは何か入らなかったとも聞いたんですが、済みません、これは基本的な質問で申し訳ないんですが。

小林国務大臣 これから具体的にどういうビジョンを定めてとかというのは、そういうプロセスというのはあるんですけれども、例えば有識者会議の提言におきましても、バイオということは領域として触れられておりますので、それも含めて考えていただければと思います。

 あくまで例示ということです。

本庄委員 分かりました。

 その例示をみんなが注目して見ておりますので、今日の朝刊にもバイオが入っていましたけれども、いろいろな意見があるようですので、是非どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、指定基金についてちょっと確認させていただきたいんですが、これは大臣、答弁の中で、この法律の施行に必要な予算については、予算審議の際に当然国会に御審議いただくことになります、こういう答弁があるんですけれども、では、今回この指定基金となる経済安全保障重要育成プログラム、二千五百億円、この審議はいつなされるんでしょうか、いつなされたんでしょうか。確認です。

小林国務大臣 経済安全保障重要技術育成プログラムということでよろしいですよね。これにつきましては、令和三年度補正予算として予算措置を求めさせていただきました。

本庄委員 これはちょっと私よく分からないんですけれども、今、このプログラムを指定基金とするという前提でこの法律の審議をしておりますが、まだ成立をしておりません。審議中ですね。その想定している指定基金が、次の、今年の予算ならともかく、去年の、昨年度の補正予算で既に先行して措置をされているというのは、これはどういう関係にあるんでしょうか。

小林国務大臣 これは、今委員御指摘のとおり、今どういう状況に置かれているかというと、近年、日本のみならず世界の主要国が、先端的な重要技術の研究開発、これにしのぎを削っていて、大型研究開発プロジェクトなどを次々と立ち上げている状況です。そうした中で、我が国としては、早急に研究開発を進めていく必要がございますので、令和三年度の補正でこの予算措置を求めました。

 私たち、Kプロ、Kプロと言っているんですけれども、このプログラムというのは、この法案が成立した際には法案の指定基金とすることを想定はしておりますが、このプログラム自体の重要性は法案の有無によって変わるものではございません。そのような認識の下で、国会において補正予算としてお認めいただいたものと認識をしています。

 時系列としては、補正予算が成立したのは昨年十二月だったと思うんですけれども、その後、今年の二月に、有識者会議におきましても、先端的な重要技術の研究開発の促進、そしてその成果の適切な活用を目的とするものとして指定を受けるよう法律に位置づけられるべきであるとの提言をいただきまして、そうした流れを踏まえまして、政府としては、現在、この法案が成立するということを前提とすれば、経済安全保障重要技術育成プログラムを指定基金として指定をするということを想定しているところでございます。

本庄委員 これから成立する法律が、かなり重要な位置を占めるその基金が、去年の、昨年度の予算で既に措置をされているというのは、私はちょっと順番が違うんじゃないのかなと思うんですね。

 本来、法律ができて、制度ができて、そのための財源が手当てされる、少なくとも同時じゃないかと思うんですね。つまり四年度予算、それならまだ理解できます、先に成立したとしても。私はちょっと、昨年の補正で上げていたというのは、余りにも見切り発車が過ぎるんじゃないかというふうに思います。

 昨日、参考人質疑があって、同志社大学の村山教授が来られて、こうおっしゃっていましたね。順番が逆になってしまった、最初にプログラムが出てきて、それで、今回の法律によって、協議会を設立するということが出てきた、それにプラス、シンクタンクをつくる、これは完成するのは二年、三年後だと言った上で、実は最初に置かなければいけないのはシンクタンクで、その後でプログラムだ、こういう御指摘がありまして、このとおりだと思うんです。順番が逆じゃないかと思うんですね。

 法律ができる、制度ができる、財源が措置される。このことについてどうお考えですか。

小林国務大臣 シンクタンクの話が、昨日村山先生も触れておられましたけれども、将来的にこのシンクタンクが、順番としては、調査分析を行って、その結果を生かして政府がこのプログラムの公募対象技術というのを選定をし、研究開発を支援するというプロセスを構築していくことが重要だと考えています。それが本来あるべき姿だと思っています。

 一方で、このシンクタンク、これは重要だと思っていますので、私どもとして令和五年度を目指して急ぎます。急ぎますけれども、このシンクタンクの育成というのは、最初から何か物すごいしっかりした、まあ、しっかりしたものをつくりたいんですけれども、大きな最終形が示されるわけではなくて、一朝一夕にできるものではないと考えています。令和二年一月から令和三年四月にかけてその在り方に関する検討を行った結果を踏まえて、令和三年度、昨年度からシンクタンク機能に関する試行事業を実施し、今申し上げた五年度の本格的なシンクタンク立ち上げを目指しています。

 他方で、先ほど申し上げたとおり、近年、主要国が先端技術の獲得に向けてしのぎを削っておりますので、これは早急に我が国としても研究開発を進める必要がある、その意味で、国会の審議の上、予算を措置したところでございます。

 まずは、関係省庁、有識者の知見、試行事業の調査分析の成果を生かしながら事業に着手していきたいと思っています。

 今後、令和五年度に立ち上げるシンクタンクと経済安保重要技術育成プログラムの両方の施策を推進していく中で、当然、委員御指摘のとおり、村山先生御指摘のとおり、これらを連動させて、調査分析から社会実装につなげるプロセスの構築を目指していきたいと考えています。

本庄委員 私の申し上げたいことが伝わっていないのかもしれませんが、法律ができて、制度ができて、予算が措置されるというのが、私は当たり前だと思うんですね。これがそうなっていないとなると、この法律が、仮にですよ、成立しなくて制度がスタートしなくても、プログラムは独自に動くということになると思うんですね。じゃないとおかしいですよね、予算を通してあるわけだから。そうなると、では、この法律でつくる制度というのは何ですか、なくても動くのなら、なしで動かしていったらいいじゃないですかと私は思いますね。

 これは経済安全保障重要技術プログラムと銘打っていますけれども、経済安全保障に限られていますか、このプログラムのお金の使い道。

小林国務大臣 これは経済安全保障重要技術育成プログラムですから、経済安全保障に関連する技術の育成にこれは関するものだと受け止めています。

 では、仮に法案が成立しなかったらどうなるのかという指摘がありましたけれども、それについては、今回は経済安全保障目的で基金をつくっていますから、法案が成立しなかったら、法案が成立しない前提でそれはしっかりと運用していくんだと思います。

 ただ、この法案を成立させることによって、協議会という仕組みですとか、あるいは今申し上げたシンクタンク、これが法的に位置づけられる。守秘義務の話もさせていただいていますけれども、その法案が成立することによって、今のプログラムを指定基金として指定すれば、更に使い勝手がよくなるというか、国民の皆様の命や暮らしを守っていくために更に効果的に活用できるという位置づけになろうかと考えます。

本庄委員 今、経済安全保障プログラム、その枠の中で使うとおっしゃいましたけれども、何か根拠は、縛りはあるんですか。私が聞いている限り、それはないと聞いていますけれども。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 経済安全保障重要技術育成プログラムは、経済安全保障の確保、強化の観点から、AIや量子、宇宙、海洋等の技術分野に関して、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございまして、そうした趣旨に基づいて、昨年度の補正予算において予算要求事業として要求をさせていただいて、それで御予算をお認めいただいて、それに基づいて、今後、補助金要綱等について策定をしていく、こういうことでございます。

本庄委員 この法律が成立して、制度ができて、ようやくそういうたがもはめていけるんだろうと思うんですね。私はちょっと、先行して、まず五千億ありき、それを折半して、経産省と文科省で半分ずつ、あっ、二千五百か、二千五百ありきで、それを半分ずつ、こういう予算の立て方は、私はおかしいなというふうに思っております。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 時間が限られてきましたので、人材養成、育成のことについてちょっと伺いたいと思います。

 法案の第六十一条にもこういった趣旨の規定があります。国は、特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用を図るため云々、基本方針に基づき、人材の養成、資質の向上その他の措置を講ずるように努めるということです。

 私の地元の柏にも東京大学のキャンパスがあります。そこには大学院等、研究者がたくさんいらっしゃるんですが、いわゆる任期つきの大学の先生あるいは研究者の置かれている状況、大変厳しい状況。これは科学技術担当大臣でもある小林大臣はよく御理解をいただいていると思うんですが、労働契約法が十年前に施行されて、その例外として、科学技術・イノベーション活性化法で、研究職は最長十年の有期雇用、十年を超えると、要は正規雇用、無期転換しなきゃいけないということになっていて、その期限がちょうど来年の春訪れる、こういう節目です。

 そういう中で、これを機に雇い止めが大量に発生してしまうんじゃないかという懸念があります。先日も、理化学研究所の方で、三百人、研究者が契約を更新されないというような報道もありましたが、これも、この法案の大前提となっている人材の確保とか技術の確保ということと全く相反することが起きかねないわけですね。人材が、仕事を失うこともそうだし、場合によっては海外に流出するおそれもある。

 私は、この研究者の皆さんの置かれている十年ルール、これを見直していかないと、あるいは任期つきという考え方そのものもしっかりと検討していかないと、日本の科学技術は立ち行かなくなるんじゃないか、そういう懸念をしておりますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

小林国務大臣 委員御指摘の点については、この国会でも何度か議論になっているものと承知しています。

 私からは、例えばAI、量子といった先端技術など、進歩が目まぐるしい、かつ、国家、社会的ニーズの極めて高い研究を推進していくためには、プロジェクト期間の都度、最適な人材を集めて知見を結集することが求められている場合もございます。人材の流動性を一定程度確保することが必要だとも考えます。こうした人材の流動性の確保も含めて、研究者の方々を雇用する個々の機関において適切な人事の運用を行うことが重要だと考えています。

 一方で、今委員、海外流出の話を触れられましたけれども、国際競争の激しい科学技術分野におきまして、優秀な研究者がそれにふさわしい処遇を得て、我が国で研究したいと思うような研究環境を整備することは当然重要だと考えていまして、政府としては、研究の魅力向上を図りつつ、いわゆる十兆円ファンドによる大学研究環境の強化、ガバナンスの強化も含めて、博士課程学生への経済的な支援、また、特に若手の研究者が挑戦的な研究に取り組めるように、創発的研究支援事業というものがあるんですけれども、こうしたものを通じて、研究者が良好な環境で研究に専念できる環境を構築していきたいと思います。

 労働契約関連の法制度の見直しにつきましては、無期雇用転換ルールにつきましては、ルール適用の実態などを踏まえて、関係省庁において今後検討がされることになると承知をしております。検討の結果を踏まえて、政府として適切に対処していくことが重要だと考えます。

本庄委員 経済安全保障を担当する大臣として、そして科学技術政策を担当する大臣としても、是非、積極的にやはり働きかけをしていただきたいんですね、この研究者、教員の皆さんの置かれている不安定な状況。四十歳以下の研究者、七割が非正規です。非正規という言い方はよくないかもしれません。任期つきです。

 そういう中で、将来が見えないという研究者の皆さんはたくさんいらっしゃって、三割の、任期のない、本当にトップエリートの研究者はそれでもいいかもしれませんが、裾野はもっと広いと思います。

 昨日の公聴会でおっしゃっていた東京大学の佐橋先生、あえて、ちょっと最後、もう一度御紹介したいんです。過去十数年、若手研究者の研究環境がここまで悪くなったというのは強調してもし過ぎることはなくて、私自身、本当に血のにじむような苦労をして生きてきました、正直、研究者であることがこんなにもしんどいものだとは、大学院に入った段階で、みんな思っていないわけです、大学院に入った学生が夢を持てる、キャリア形成のビジョンが持てる、パートナーがつくれる、そういう状況に持っていってほしい。

 東大の准教授までやっている人ですらこういう状況なんですね。いわんや、ほかの大学研究者をやです。

 大臣、是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。もしあれば。

上野委員長 小林大臣、もう時間が過ぎておりますので、極めて簡潔にお願いします。

小林国務大臣 かしこまりました。

 任期つきをどうするかという話も、それは重要だと思います。それが、必ずしも任期つきが悪いということではなくて、やはり流動性を一定程度確保していく必要もあるし、ただ、昨日の佐橋先生の、博士課程の例えば若手の研究者に対する処遇、こういったものは今申し上げた十兆円ファンドを含めて支援をしっかり行っていきますし、また、ポスト、これをしっかりつくっていかなきゃいけないというふうにも思っておりますので、それは、科学技術政策担当大臣の立場で、研究環境の改善に向けて努力していきたいと考えます。

本庄委員 終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。本日もよろしくお願いいたします。

 歴史の転換点にある今、安全保障の概念が変わろうとしています。総合的な安全保障の中で大きな位置づけになっているのが、この経済安全保障だと認識しております。この経済安全保障という概念は、経済合理性を追求する自由貿易を一定程度規制する存在です。経済的合理性に見合わない選択をしなければならない、そして、特定重要物資に関しては、一定程度、国内回帰をお願いするものであると認識しております。

 これは、他国から見た場合、保護主義、ブロック経済をイメージさせるものです。だからこそ、この法案が新しい国際経済秩序を形成するためのものなのだと明文化する必要があると考えております。

 小林大臣にお尋ねいたします。

 維新案の第三条三号にございます「新たな国際経済秩序の形成が促進されることとなるようにするとの観点を踏まえること。」という一文が政府案にはないんですけれども、その一文が必要ないと思われる理由を教えてください。

小林国務大臣 この法案は、多岐にわたる新しい課題のうち、分野横断的かつ喫緊に法整備をしなければいけない、そう考えたものを、今回、四つ選定しまして、それを一体的に講じていくということで制度整備を行うものなんです。

 我が国が他国に先んじてこうした法案を策定をし、他国の参考となることによって、ルールに基づく国際秩序の維持強化に資するものと私は考えます。

 議員が御指摘の、今、緩やかなブロック経済を目指すということなんですが、この趣旨、意義というのは、今伺った限りでは必ずしもちょっと明らかではないので、その判断については控えますけれども、経済安全保障を確保するためには、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化に向けて取組を強化することが重要だと考えています。

 このため、この法案を始めとして、この法案だけではなくて、この法案を含めて、我が国自身の取組、そして、特に同志国との連携強化などを通じまして、グローバルなサプライチェーンの脆弱性ですとか、国家、地域間の相互依存リスクの顕在化、国家国民の主権や利益を害する経済的威圧などの新たな課題に対処をして、国際経済秩序の強化を図っていきたいと考えます。

堀場委員 ありがとうございます。

 ただ緊急的に必要な喫緊の課題である四つの施策を並べたものではなく、そこに意義、意味があるんだというような、決意のようなものを入れ込んだ方がいいのではないか、哲学的なものがないんじゃないか、そういった議論はずっとさせていただいていたと思っています。

 日本維新の会の案では、やはり、新しい国際経済秩序を形成するんだという決意の表明というか、そういったものを入れさせていただいております。

 次に、サプライチェーンの調査について御質問させていただきます。

 今回の質疑のために、過去のやり取りを見直しておりました。

 最初に、公明党の伊佐議員の本会議での、当初、政府の作成条文では、事業者のこの報告義務に対して罰則が設けられておりました、公明党からは、基幹インフラに関する規定ならともかく、サプライチェーンの調査に対する事業者報告については、政府は安易に罰則規定に頼るのではなく、あくまでも努力義務とするべきだと主張しましたと発言されていました。

 この発言をもう一度読み直していて、基幹インフラに関しては、本当に重要性が皆さんすぐ理解できますし、国民の理解も得やすい。そして、民間自身が、民間企業自身が重々理解して、自分たちの事業継続計画等を立てていると認識しております。なので、このサプライチェーンの調査というものに関する考え方、意味、位置づけといったものがちょっと私が思っているのと違うのかなというふうに考えております。

 小林大臣にお尋ねいたします。前回の質疑で、サプライチェーンの枠の外の人たちにも調査を依頼するのでと御答弁されておりました。枠の外の方々に調査を依頼する理由を教えてください。

小林国務大臣 サプライチェーンがグローバル化していく中で、各民間事業者が経済合理性を追求する、それだけではないですが、追求した結果、サプライチェーンの把握が難しくなってきていて、それが何段階にもわたることとなっています。

 近年、医薬品の原料ですとか電子部品など、思いも寄らない原材料が不足をし、思いも寄らない製品の生産に影響を及ぼす事例が発生しています。

 したがって、私どもが考えているサプライ調査というのは、あらかじめ何か支援対象を特定した上で行うものではなくて、先ほど申し上げたような状況に備えて、国民生活、経済活動に支障が生じることがないように、支援の対象となる物資を特定するために、様々な物資を対象に行おうとするものであります。そのため、結果的に、支援の枠組みの対象でない事業者に対してまで調査を実施する場合があると考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 そういう思いも寄らないものが国民の生活や生命を脅かす可能性があるかもしれないということで、調査をされるというふうに認識しております。

 この実効性を担保するために、維新案では罰則規定を設けております。これは最後の切り札としての罰則です。

 政府案では、何度も何度も丁寧に説明をするとおっしゃっています。そして、もしそれでも応答してもらえない場合、どのようにするのか教えてください。

小林国務大臣 まず、これまでも申し上げているとおり、私どもとしては、実効性を担保するための罰則というのは今回置いていなくて、努力義務規定です。それは、繰り返し申し上げているとおり、有識者会議の議論での、比例原則の観点から、調査忌避に罰則を科すことは重過ぎるのではないかという御指摘も踏まえまして、総合的に勘案したところでございます。

 その実効性の担保に当たりましては、罰則を応答義務に科してしまうと、調査を受ける側からすると強権的であるというふうになってしまうのではないかという懸念がありましたので、そうしているんですが、じゃ、どうするのかというところは、まずは主務大臣が適切に調査対象を絞り込むとともに、実際に調査を行う際には、事業者や関係団体などに本調査の重要性を、趣旨、目的などを丁寧に説明をし、より多くの事業者の方に回答いただくよう働きかける、調査対象の理解を得る努力を行うことで調査の実効性を確保していきたいと思います。

 いずれにしても、本制度を実施をし、サプライチェーンの把握に向けた運用を積み重ねていくことがまずは重要だと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 要するに、説明をする、説明をする、説明をして理解をしてもらうということだと思います。でも、それでもお答えいただけない場合にどうするのかという質問だったんですけれども。

 小林大臣は、サプライチェーンの調査が非常に難しいというふうに先ほどもおっしゃっておりましたが、厳しいものだというのが本当に御存じなのかなというふうに思っています。

 今回の質疑をする上で、サプライチェーンの調査をやっている方に少しお話をお伺いしましたけれども、これは経済安全保障ではないんですが、二〇一五年の、イギリス、英国近代奴隷法に関して、人権のことですね、サプライチェーンの調査が今、日本企業も含めて、行われております。意図は違いますけれども、方法や手法の構造というのは同じだと理解しています。

 サプライチェーンの調査は非常に難しく、この英国近代奴隷法は罰則規定がありません、努力義務です。同じです。現状として、本当に有効な調査ができていないというのが現実です。トレースしても、三つ先まで行くともう難しい、答えが出てこないというところで、分からないという答えになってしまうというふうに聞いています。最前線で、現場で、最後の最後の切り札が欲しいというふうになってくるのではないかというふうに考えています。

 最後の最後、何度も何度も説明して、百回でも説明して、それでも御理解いただけないときには、政府案ではどのようにされるのでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 よく維新の委員の皆様から、例えば悪意を持った企業とか事業者がいた場合どうするのかというお尋ねが何回かございました。

 仮に、そうした悪意というものを持って調査を拒否する事業者がいた場合、悪意だけではなくて、どうしても政府にそういう企業秘密を出したくないという方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、そういう場合についてお答えいたしますと、産業サプライチェーンというのは、委員御指摘のとおり、複雑でございます。一事業者から得られる情報には限界があると考えています。したがって、例えば、まずできることとしては、公的統計ですとか業界団体の調査などを活用していく、あるいは事業者に対する調査などを活用していく。そうすることによって多角的な情報収集を行うことが、サプライチェーンの全体像を把握する上で重要だと考えています。

 したがって、例えばいわゆる悪意のある事業者がいたとしても、そもそもサプライチェーン調査というのは、その一者を対象として行うものではなくて、より多くの事業者の深い理解を得て御協力いただくことが調査の実施に効果的と私たちは認識をしているんです。

 実際に調査を行う際には、事業者や関係団体などに調査の重要性、趣旨、目的を丁寧に説明していく、そして、多くの事業者の方に回答いただくよう働きかけること、調査対象の理解を得る努力を行うことが実効性確保にもつながるというふうに考えているわけであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 周りの方からいろいろ調査、統計等をされて、恐らく、この企業は結構重要じゃないのかなというところまでいろいろお調べになられると思うけれども、その業者が応答してくれないときにどういうふうに対応するのかなというふうな懸念がやはりあります。

 これは本当に難しい調査でございます。私は、現場の人が、最後の最後にしっかりとそのカードを切るということは、そう安易にカードを切るとは思っていないんですね。すごく丁寧に説明して、丁寧に説明して、何回も何回も、御理解を得て、コミュニケーションを取って、そうやってやってもやはり答えが得られなかった。そして、この答えがちょっと重要じゃないかなというような局面が出てきた場合も想定されるのではないかというふうに考えています。

 今、罰則、比例原則でとおっしゃっているけれども、国民の命、そして国家の安全保障という考え方のためにやっている調査であるならば、やはり重要性が、ちょっと、比例原則とてんびんにかけたときに、比例原則というのはどうなのかなというふうに思います。

 業界の人、有識者の方、たくさんお声を聞かれたと思います。でも、最初の政府・与党案の中に、一時期でも、実効性担保のためには罰則規定があった方がいいんじゃないかというふうなお話もあったというのは、きっとバランスよく様々な声を聞いていらっしゃると思います。現場で実際にサプライチェーンの調査をやって、これは本当に厳しい、最後に罰則規定がないからどうしても最後の一歩を踏み込めない、こういった現状が起こっていると認識されている方々は、この罰則規定に関して、そんなに否定的ではないと思っています。

 実際の現場の声を政治に反映させていくというのは本当に非常に重要だと思いますし、実際に、行政の中でやられる方が本当に困ったときにどうするのかということをしっかりと考えていただくというのが、担当大臣の一つのお仕事なのかなと思っております。

 連携と協力をお願いするときに罰則規定はなじまない、コミュニケーションが大切、それも全て正しいと思っています。そういう努力をせずにいきなり罰則を振りかざすのではなく、最後の最後の切り札として、頑張って頑張って、それでもまだ説明しろというのではなく、新しい方法として罰則規定が必要ではないかというふうに日本維新の会では主張させていただいております。

 罰則が圧力だというのであれば、国家安全保障というもの、そして、経済合理性に合わないでそれをお願いするということ、これも全て、国家の、国民の安全と、生命の、財産の、そういったもののためにやっているという前提があればこそ、こういった規定が必要なのではないかと主張させていただいております。

 次に行かせていただきます。

 物資の選定について、再度お尋ねいたします。

 物資を選定する決め方のルールを教えてください。

小林国務大臣 特定重要物資の、これは最後に政令で指定していくんですけれども、その指定を行うに当たりましては、物資としての重要性や外部への依存性など、これまでもこの審議で申し上げてきた四つの要件で絞ることにしております。

 実際に特定重要物資として指定するには、指定に関する考え方や要件などについて、安定供給確保基本指針、これは主務大臣が作りますけれども、ここに明文化をして、有識者の意見を聞いた上で、閣議決定、公表することとしております。

 具体的な物資指定の検討に当たりましては、サプライチェーン調査などの実施を通じて、外部依存度などの指標を把握をして、要件の該当性について確認をする、その上で、特に安定供給確保の必要性が認められるもののみを、閣議決定を経た上で特定重要物資として政令指定するというプロセスになっております。

堀場委員 ありがとうございます。

 これを決めるに当たってサプライチェーンの調査があるというのは結構重要なんじゃないのと、また再び心が動かされるんですけれども、この物資の選定について続けます。

 恣意的な決め方にならないと岸田総理大臣はおっしゃっていました。断言できる根拠は何ですか。教えていただきたいと思います。

小林国務大臣 今、恣意性を排除する必要があるというのは、もう委員御指摘のとおりだと思っています。したがって、私たちは、そのプロセスをしっかりと明確化して、しっかりと有識者、外部の方の意見も聞いた上で決めていく、それが今申し上げたプロセスでございます。

 今、一つ前の質問で申し上げたプロセスを経ることによって、恣意性を排除した上で特定重要物資の政令指定を行えると私は認識をしているところであります。

堀場委員 ありがとうございます。

 この内閣委員会の質疑の中でも経済安保ビジネスというようなお言葉が出たとおり、やはりここに必ず恣意的なもの、若しくは、余りよくない悪意の、何か、悪意ばかり言っていて、維新はちょっと疑っているのかなというように思ってしまいますけれども、そういう恣意的な判断がないというふうになるためには、やはり条文の中に明確に書く必要があると思っています。

 何が重要性の高い物資かを選定する際には、合理的、客観的、科学的な根拠が必要だと考えています。維新案では、第四条の配慮事項として、客観性及び公平性の確保について留意するべき事項と明記しているのですけれども、あえて、あえてなのかちょっと分からないんですが、政府案の中ではそういった言及がない理由を教えてください。

泉政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、この特定重要物資の政令指定に当たっては、基本指針を閣議決定いたします。これは、先ほど申し上げましたとおり、有識者の意見を聞く、閣議決定をする、公表をする。そして、調査の実施に当たっては、外部依存度の指標を把握して、要件の該当性について確認をする。その上で、これは特定重要物資だと、ふさわしいものについて閣議決定をして、もちろん、それをパブリックコメントにかける。こういったプロセスを踏むということで、これが法律上のプロセスでございますので、それによって恣意性は排除される、こういうふうに考えた、こういうことでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 恣意性を排除しますけれども、何度もほかの方もおっしゃっているとおり、国会は全くそこに絡むことはございませんし、私たちが国民の皆様にいただいた信頼というか信託に対して、そこで意見を言うということはなかなかできないシステムになっていると承知しています。

 ならば、政府としては、必ずこういった恣意的なことが起こらないようにする努力というのは必要だと思っています。システム、プロセスが明確ですよね、公表しますよね、でも、そこの意見を、パブリックコメントとか専門家の有識者会議とかの話は聞きますよという状態ですので、恣意性の排除という根拠にはならないと思うんですね。恣意性を排除している理由がこのシステムだというのであれば、少し違うのかなというふうに思っています。

 やはり、この恣意性の排除というのは今回非常に重要だと思っておりますので、合理的であり客観的であり科学的な根拠というものがしっかりとあるからこの物資を選定しているというふうに明文化した方がいいのかなと思うんですよね、恣意的な決め方にならない条文構成になっていないので。そういったところも含めて、物資の選定について、非常に重要なところです。さっきのサプライチェーンの調査も、ここに絡んでくるものだと認識しています。

 だからこそ、その恣意性の排除は、システムではなく条文に書かれるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小林国務大臣 まず、失礼いたしました、先ほどの堀場議員への御質問の答弁で、安定供給確保基本指針は主務大臣が作るというふうに申し上げましたが、政府が定めるということで、訂正をさせていただければと思います。

 私どもは、法律でどこまで規定するかというところは様々議論があると思いますけれども、政令に全て白紙委任しているわけではなくて、先ほどの四要件を含めて、しっかりと法案にその文言を書き込むことによって、その恣意性が排除されるように私どもとしてはこの法案を仕組んでいるということで、御理解をいただければと思います。

堀場委員 ありがとうございます。

 ちょっとお時間がなくなってしまうので、最後に、この質疑をずっとやらせていただいていて、すごく重要な法案だというのは重々承知しておりますし、今このタイミングでこれが必要だということも重々承知しています。けれども、実際にこれをやったときにどうなるのかなというイメージをしたときに、問題が解決できるような仕組みになっているのかという点において疑問があると思っています。

 先ほどの、サプライチェーンの調査の実効性の担保、これは本当に大切なことで、本当に、そこでやる、調査をする人の気持ちになったときに、最後の最後で必要な切り札を渡してあげる。それは、この国を守るために彼らはやっているわけなので、本当にしんどい仕事だと思います。誰かに委託してやるわけではなく、実際、この国のためにやってくださる。そういった調査をする人たちのためにも、やはり最後の切り札として、この罰則規定というのは必要なんだろうと考えております。

 そして、この物資の選定やほかの部分に関しても恣意性を排除すること、つまり、私たちの手の届かないところで決まっていくようなシステムの法案なので、是非この恣意性を絶対的に排除するという明文化をお願いしたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 質疑に入る前に、さっき、立憲民主党の委員の方が何か恫喝みたいなことをされていました。(発言する者あり)いやいや、これはちょっと言わせてください。大事なことなんです、これは。

 国会の議事録というのは本当に私たちは大事だと思っています。だから私も、議事録、ちょっと言い過ぎたときにたくさん削除されたりとか。これはずっと残るんです。これは一万年残るかもしれませんよ、百万年かもしれない。だから、議事録というのは本当に大事なんですね。そのために、ここでこうやって委員会質疑をしている、準備もしている、政府はそこに臨んできている。

 ところが、一々それに、ここを紙で出せとか、いやいや、議事録に書いてあるとおりだから議事録を見てくれと言ったら、いや、紙で出さないなら質問主意書を出すぞと。質問主意書がいかに役所を疲弊させるかということは、私は役所にいましたからよく分かっている。だから本当に、立憲民主党のこういう恫喝めいたことは絶対にやめていった方がいい、私は、国会改革を訴えてきた日本維新の会の議員として申し上げておきたいと思います。

 さて……(発言する者あり)ちょっと委員長、これ。

上野委員長 御静粛にお願いします。

 足立君におかれましては、質疑をお願いしたいと思います。(発言する者あり)

足立委員 いや、だから言っているんですよ。私は、国権の最高機関がどうあるべきかということに……(発言する者あり)

上野委員長 恐縮ですが、御静粛にお願いします。

足立委員 委員長、これは本当に大事なことなんですよ。国会が国権の最高機関にふさわしい活動をできるかどうか、これは国の基礎です、基盤です。それがやはり戦後七十年以上できてこなかったんですよ。それは野党第一党も悪いけれども、与党も悪いんです。平さんは立派だけれども。

 大体、この間も、昨日、河野太郎さんが、外務大臣の出張が、帰ってきてすぐまた行く、これは野党が悪いんだと言っていましたけれども、今日、うちの青柳議員が外務委員会で確認したら、野党は一切そこはあれしていないと。私の理解では、自民党国対が、国会の野党の、そう、今みたいな話ですよ、野党が恫喝をしてくる、そういうことに対して自民党国対が過剰反応してきた、これが五五年体制であり、私たちが新五五年体制と言って批判してきた。これが昨年の十月末の総選挙を経て正常化してきた。ようやく、野党合同ヒアリングを使っての、官僚をカメラの前で映して上から目線でなじる、ああいうものが中止になった。これは日本維新の会に票をいただいたおかげです。

 私たちは、これからも、国会が国権の最高機関としてふさわしい活動に専念できるように、行政府も立法府も生産性を高められるように力を尽くしていくことをお誓いしたいと思います。(発言する者あり)

 また権利権利と言うんだけれども、権利には義務が伴うんです。だから、そういう維新以外の野党の恫喝めいた国会活動が国会の生産性を低下させてきたということについては、改めて強く強く強くお訴えをしておきたいと思います。

 さて、大臣、昨日の参考人質疑は本当にすばらしかった。私、日頃からツイッターとかでもフォローさせていただいたり、ユーチューブで拝見したりしている先生方も含まれていました。その中で私が勉強させていただいた点について、大臣はどんなお考えかなということを、ちょっと問い四からまいりますが。

 相互依存というものが、本当に私たち、私、経産省に二十年いましたけれども、まさに相互依存が平和をつくる、こう思ってやってきました。ところが、本当に、この十年、相互依存性が武器化したという話がありました。一体、じゃ、それは何なんだと。その時代の転換というものは、もちろん転換というのはグラデーションのある、要は潮流というものかもしれませんが、これは一体何なんだということについて、小林大臣、是非、大臣の御見識をちょっと御披露いただきたいと思います。

小林国務大臣 私も、昨日、委員の皆様の大局的な視点に立った意見陳述を拝聴しまして、いろいろ、本当に示唆に富むなというふうに感じたところです。(足立委員「参考人の」と呼ぶ)済みません、参考人のですね。

 これは私自身の持論ですが、今の閣僚の立場になる前から、自民党で議論してきたときに、これってどういうことなのかなというふうなことを考えたのを申し述べたいと思います。

 そもそも経済力は国力の根幹にあると思っていて、国家間関係の基盤だと私は認識しているんです。いかなる国家も、今に限らず、常に経済面での優位性というのを追求してきたと思いますし、その意味で、経済分野というのは常に国家間の対峙の最前線であったんだろうと私は認識しています。

 そういうのは、国際関係が安定しているときには、今申し上げたことというのは意識されにくいんですけれども、国際社会が大きな変動を迎えて、既存の秩序が揺らぎを見せ始めると、にわかに注目されるようになると思っておりますし、まさに今私たちはそういう局面に立っているんだろうと認識しています。

 例えば、国連などの場で、経済的手段がある意味武器として使われることもありましたが、これは、本当にざっくりと言うと、既存の秩序やルールに違反した主体に対するいわば制裁措置であって、いわば平和のための武器だったんだろうと思います。ところが、近年は、経済的な手段によって自国の意向を他国に押しつけたり、さらには、自国に有利な形で既存の国際秩序を変えていこう、つくり変えていこうとする、そういう主体も現れていると認識しています。

 これは経済的手段を自国の利益を追求するための武器として用いようとするものであって、これまでとは明らかに異質な状況と言えるんだろうというのが私の考えです。その行使の在り方につきましても、従来のように、国際的なルールに違反した主体に対して国連の下でやってきた制裁措置とはかけ離れたものだと認識しています。

 こうしたものを、歴史を振り返れば、かつては、エネルギーなどの資源をめぐって国家間で多くの争いが繰り広げられてきました。もっと本当に古代にいくと水だったりしますけれども。こうした時代には、国家の生存の基盤を他国に依存することのリスクは、あえて経済安全保障と言わずとも明確であったんだろうと思います。

 ただ、最近では、国家の生存の基盤を成す分野が、資源だけではなくて、特定の物資の製造能力や技術、あるいは、DXが進む中で、いわゆるリアルの空間から、フィジカルな空間からサイバー空間まで広がってきています。

 こうした状況において、国家の独立、生存あるいは繁栄を確保し、先ほど堀場委員からも国際秩序やルールの話がありましたけれども、自由や民主主義、あるいは法の支配に基づくこうした秩序を形成していくに当たっては、自らの基軸をしっかりとつくっていく。それが、何度も繰り返している、自律性と優位性、不可欠性というものでありまして、それをしっかりと獲得した上で、国際社会における立ち位置を更に強めて、我が国の国益にかなう、今申し上げたような基本的な価値やルールに基づく国際秩序をつくっていく、それが今極めて重要だというふうに考えております。

 雑駁ですけれども、私の見解です。

足立委員 ありがとうございます。

 本当にこの御認識はそのとおりだと思うし、問題は、今、日本維新の会の堀場幸子委員が度々というか申し上げているように、では、まさに今、この法案を、この法律を使いながら、どういう秩序をまた再構築していくのかということが本当に大事になってくると思います。

 昨日の参考人質疑では、私どもが推薦申し上げた鈴木一人参考人が、私たちが自由貿易を謳歌していた時代というのは、そういう意味では、価値観を異にする、強権的なというか、そういう国家が余り自由貿易体制の中に組み込まれていなかったのだが、近年というかここ十年、二十年、特に十年かな、本当に、いわゆる新興国というか、中国を始めとする国々が大変な勢いでそこに組み込まれてきた、したがって、今大臣がおっしゃったような問題が先鋭化をしてきているということです。

 すると、私が役所にいた時代に目指してきた、相互依存が平和をもたらすという観点での、それこそTPP、まあガット、WTO体制もそうですが、TPPなんかはまさに、TPPは中国を最終的には入れるんだと僕らは言って、まあ私はそう言っていました。アメリカが今外れているのは若干残念というか大分残念なんだけれども、本来は、価値観を共有する国々が高いレベルのルール、秩序というものをつくり、その高いレベルの秩序に中国を引き上げていくんだという発想でTPPというものはあった、あるんだと思います。

 じゃ、そのガット、WTO体制とかTPPといった自由貿易体制、私たちが目指してきたこの体制というのは一体変容するのか、いやいや、これはこれで、この旗は変容しないんだ、これは掲げ続けるんだということなのか、その辺、私も悩んでいまして、またいろいろ御見識があったら教えてください。

小林国務大臣 私の立場でお答えするのがいいのか、本来、政府としては外務省がお答えする話なんでしょうけれども、私の思うところは、まず、今回の経済安全保障というのは、国際秩序というものをいろいろ考えていかなきゃならないんですけれども、まずは自国の話ですから、特定国を念頭には置いていないということは申し上げておきたいと思います。

 その中で、国際社会において保護主義や内向きな志向が今強まっていると思います。その中で、我が国としてはこれまでも、WTO改革に取り組んできましたし、委員が今おっしゃったTPP11、あるいは日・EU・EPA等々、バイの協定ですね、アメリカも含めてやってきた、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してきたんだろうと感じています。

 この我が国が推進してきた自由で公正な経済圏の拡大というのは、またルールに基づく多角的な貿易体制の維持強化というのは大きな意義があったと考えておりまして、私は、引き続き、こうした枠組みを維持強化したり、これまで私たちがやってきた取組というものを進めていくべきなんだろうというふうに思います。

 ただ、同時に、今回、この経済安保が、今、言葉としてはもうかなり広く国民の皆様に普及していると思いますけれども、グローバル化の進展に伴う課題が顕在化する中で、経済の相互依存の負の側面というものが出てきて、それに対応する重要性が増してきているんだと思います。

 したがって、私の立場としては、この法案を始めとする、まずは我が国としての主体的な取組を強化をして、その上で、同志国との連携を模索をしていく、それで、国家国民の安全を確保しながらも、自由貿易とグローバル化の果実を享受できるよう、国際経済秩序の更なる強化を図っていくことが重要なんだろうと考えております。

 また、同盟国アメリカとの関係でいえば、今委員からTPPにまた戻ってきた方がいいのではないかというようなお話もありました。今、クアッドとか、いろいろな枠組みはできていますけれども、やはり、同盟国アメリカとしっかり自分の基軸を持った上で連携しつつ、その他、価値観を共有する国との、できる限りそういう同志国との共有できる枠組みというものを強化して広めていくということが目指すべきところなんだろうと感じております。

足立委員 昨日の佐橋先生、鈴木先生も、これはあれかな、鈴木先生の御説明でも、特に経済安全保障と自由貿易という点で御説明をいただいて、そして、いわゆるWTO体制の下での安全保障例外、これは今でも規定されているわけですが、いわゆる安全保障上の重要な利益というのは一体何なんだというところを改めて確定をさせていく作業、これがまさに自由貿易の旗を振り続けていくためにも必要だというふうに私も思います。

 その点で、先ほどまた堀場さんも申し上げましたが、じゃ、それはどうやってその線引きをしていくんだと。まさに経済安全保障のこの法律を執行していくに当たって、それを線引きをしていかないといけない。

 そのときに、今、シンクタンクとかいろいろな議論があるわけですが、私は、シンクタンクも大事だけれども政府、要は、昨日、学者さんが来てくださいましたね、大学も大事です。さっきおっしゃいましたが、大学も大事です。官も大事です。それから、いわゆる民間は当然大事です。シンクタンク機能も大事です。その産官学の人材が本当に大事だと思っていまして、まず、政府の体制、私は、小林大臣を支える体制も弱過ぎる、それは前も申し上げた。現状がどうなっていて、例えば他の組織はどんなことになっているかあたり、ちょっと通告させていただいているので、木村審議官、お願いします。

木村政府参考人 政府の体制についてお答え申し上げます。

 内閣官房国家安全保障局におきましては、現在、約五十名の職員が本法案の策定業務等の経済安全保障関連の業務に従事しているところでございます。

 経済安全保障は幅広い分野にまたがる課題でございまして、また、これまで体制が措置されてこなかった新しい事務も含まれますことから、十分な体制強化が重要であると考えてございます。

 こうした観点から、政府として、令和四年度予算におきまして、投資審査やサプライチェーン強靱化など政策部門に係る人員約二百五十人を計上させていただきましたほか、関係府省庁におきましては、経済安全保障に関連する人材の中長期的な確保、育成にも配意するということとしているところでございます。

 将来にわたる人員規模は予断できませんが、引き続き必要な体制の確保に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

足立委員 日本は、いわゆる関連の人材、今、二百五十とおっしゃったけれども、この二百五十も、政府全体でではないんですか。小林大臣の部下が二百五十人増えるんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 二百五十名と申し上げましたのは、関係府省で経済安全保障に関連する業務に従事している者の全体の数でございます。

 以上でございます。

足立委員 私は、いわゆる国家安全保障局経済班だけで何百名と要ると思いますよ。何千名でもいいかもしれない。それぐらい、今日議論したような、だって、文明のというか、経済システムの在り方が変わらんとしているときに、日本の国益をどう守っていくのか。何人いても足りませんよ。かつ、それは数だけではないと思います。

 よく今回の審議ではシンクタンク、シンクタンクと言うんですけれども、アメリカの例を見ても、いわゆる民間のシンクタンク的なものと、民間というか半官半民みたいなシンクタンク的なものと、それから大学と、それから政府の中が、本当にいわゆる回転ドアで人材が、いや、私、かつて経産省にいたときに、アメリカ課というところにいたこともありまして、米国の方がよく来られました。よく先輩が、あの人はCIAだぞとか、いや、ちょっと言い過ぎかな。本当に、インテリジェンスがその辺を歩いているわけです。誰もそれは、肩書では何も分からないわけですけれども。

 そういう本当に厚い調査網、情報機関、そういうものが、その情報機関が、インテリジェンス機能というかインテリジェンス人材というものが産官学を動き回っているわけですね。世界中にその人材ネットワークがあって、その総数はアメリカでは十万人と言われている。

 そういう経済安全保障を実現するために必要な人材像とか人材育成の在り方とか、なかなか壮大な、遠い話かもしれませんが、私は、この法案が成立した暁には直ちにその人材育成に取り組んでいくべきだと思いますが、いかがですか。

小林国務大臣 インテリジェンスという言葉もいろいろ、狭義、広義あると思いますけれども、一般に、情報を収集をして、分析をして、集約をして、共有していく、このインテリジェンスの機能と、あるいはその体制というものは、やはり不断に強化していかなければならないと思っています。

 その意味で、今回、法案もそうなんですけれども、既に各省と連携しまして、主要産業のリスクシナリオを作って、リスク点検みたいなものをやっています。その中で、今後いろいろな課題が出てくると思うんです。その中身次第で、やはりそれをしっかりと、遂行にふさわしい体制というのは整えていかなきゃいけないですし、委員御指摘のとおり、これも、じゃ、増やせといって、人を集めればいいというものではないです、時間がかかると思いますので。

 その点については、もう既にいろいろこれまでも取組はありますけれども、本当に加速していくという気持ちがなければ、やはりこの経済安保というものは私はなかなか十分には機能しないんだろうという思いを持っていますので、委員の御指摘を受け止めて努力をしていきたいと考えます。

足立委員 ありがとうございました。

 まだ来週も少しありますが、今日申し上げた、議論したような観点から、我が党は独自案、独自の議員立法を同時審議入りいただいて今日までやってきました。そして修正協議をさせていただいてきました。

 その中で、今あったように、まず、この法案が成立したら、速やかに体制整備、これをやはり急いでいく必要があるということが一点。それからもう一点は、るる堀場さんも申し上げた罰則ですね。これは、今附則の検討規定がある三年をめどというものを待たずに、法律の施行後、適当な時期にこの議論は検討すべきだということを申し上げましたが、公明党の抵抗で入りそうにないんですが、ただ、私は、この法案の重要性、そして関連の皆様の御努力に心から敬意を表していますので、その上で賛否を決めてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 時間が限られていますので、まずは閣法について大臣にお伺いしたいと思います。

 今日も議論がございましたが、サプライチェーン強靱化のための調査について、事業者には応答努力義務というのが四十八条で設けられております。

 本法案の基本的な思想というのは、守るべきものをしっかりと見定めて守ることだと思うんですね。見定めることが非常に大事だという点で、今回、調査権限が追加されたり、あるいは応答努力義務を設けた、これは一定の前進だと思いますけれども、やはり、維新の皆さんが指摘されるように、その実効性をどう担保するのかという観点では、私もいささか不十分さを感じております。

 ただ、罰則は絶対に必要だという立場を我が会派は取っておりませんが、その代わり、この応答努力義務を、応答するメリットがある、あるいは、応答した方が今後いい効果が見込めると事業者に感じてもらえるような環境整備というのも、いわゆるインセンティブ設計ですね、重要だと思っております。既存の企業支援策とパッケージで調査を行ったりだとか、あるいは企業側に対する動機づけというのが必要なのではないかと思います。

 例えばなんですけれども、アメリカでは、百日間レビューだとか、特定分野の集中的なサプライチェーン調査みたいなことを国が主導して行うことによって事業者側の応答意欲あるいは応答の動機づけをした上で、環境をつくった上で調査をしているような取組もありますので、やはりこういった実効性の担保、政府はどのように考えますでしょうか。

小林国務大臣 サプライチェーン調査の実務では、まず主務大臣が調査対象を適切に絞り込む、そして、調査に先立ちまして、事業者、関係団体にその趣旨、目的を分かりやすく説明する、多くの事業者に御理解、御協力をいただけるよう丁寧な対応に努めて調査の実効性を確保していくというのは、先ほど来申し上げている大きな方向性です。

 この調査の主たる目的は特定重要物資に指定する物資を的確に選定することにございますが、調査は物資の生産などに関するデータの収集にはとどまらない。調査の過程における事業者とのコミュニケーションは、サプライチェーンの強靱化に向けた現場の課題の把握ですとか、必要な支援策の検討、提案にも資すると考えています。

 具体的には、この調査を通じて事業者から問題意識を共有していただき、必要に応じてそれを安定供給確保取組方針に反映するほか、安定供給確保に向けた事業者の取組に対するきめ細かい助成や金融支援につなげていくなど、官民が協力する形でサプライチェーンの強靱化を図っていくことを想定しております。

 調査の運用につきましては、事業者に対して活用可能な支援策を周知、広報する取組を併せて実施することを含めて、多くの事業者から円滑に御協力いただくことによって実効性を高める方策を真摯に検討していきたいと考えます。

浅野委員 実効性を高める方法は決して一つではないと思いますので、事前の説明は当たり前なんですけれども、インセンティブ設計、そして、調査に協力しないことでどのような影響が及ぶのか、逆に、協力すればどのような効果が及ぶのか、こういったところをしっかりと明示をしていただきたいというふうに思います。

 次の質問です。基幹インフラの審査に関する件で、まずは要望を伝えた上で質問させていただきたいと思います。

 まず、事業者、経済界からの要望の声が我々の元にも届いています。やはり基幹インフラの審査については、審査対象の範囲、いわゆる一次下請までなのか、二次下請までなのか、それ以降も含めるのかといったところ、どの範囲までを対象にするかであったり、あるいは、審査の内容、そして是正に要する期間、どこまで是正期間として認めるか、こういったところについて事業者の人的、時間的負担に配慮した運営としていただきたいというのが一つです。もう一つは、やはり、事業者が基幹インフラの設備などの導入を検討する段階で参考とできるように、基幹インフラが満たすべき経済安全保障上の要件を十分な時間的余裕を持って提供してほしいということでありました。まずは、これをお伝えさせていただきます。

 その上で質問なんですけれども、基幹インフラの審査時は、様々な脆弱性を除外するために審査をするわけですけれども、第三者による脆弱性検証を義務づけるべきではないかと思っております。この観点でいうと、よく言われるのは、サイバーセキュリティーの第三者検証が必要ではないかという指摘があるんですけれども、実は、サイバーセキュリティー対策に関しては、既存法で事前の検証というのが既に担保されております。この法案では、サイバーセキュリティー以外の脆弱性の検証、対策というものを狙っているというふうに聞いているんですが、その辺り、既存法と本法案の違い、役割分担なども含めてちょっとお答えいただければと思います。

小林国務大臣 この制度の勧告、命令の審査に関しましては、有識者会議の提言で、妨害の態様ですとか事業の形態、設備の種類などは多様でございますので、リスクのある設備等の類型をあらかじめ網羅的かつ詳細に明らかにしていくことには一定の限界があるとする一方で、事業者の予見可能性の観点からは、国が審査を行う際の考え方はできる限り明確に定めておくべきとの御意見をいただいております。

 したがって、閣議で決定する基本インフラに関する基本指針などにおきましては、審査に当たっての考え方などにつきまして、委員から最初に御要望がございましたその中に、事業者の負担にも配慮すべきだというお話もあって、当然、今いただいた御要望、こうした点もしっかりと踏まえつつ、可能な限り明確に定めてまいりたいと考えております。

 また、今回の制度を施行するに当たりましては、事業所管省庁に相談窓口を設置しようと考えております。情報提供に努める、なので事前の相談にもここで乗らせていただこうと思っておりますし、いろいろ対象となる事業者というものを最後は指定していくことになりますけれども、今は、これから基準は作りますけれども、できるだけ中小企業のような方には、負担がやはりかなり重くなってしまいかねないので、そこは慎重にというふうに考えておりますけれども、そういう方たちであっても、御懸念点とかがあれば積極的に問合せをいただいて、そうした相談に乗るという形で事業者と常日頃からコミュニケーションを取って、連携を図っていきたいと考えております。

浅野委員 今、第三者による脆弱性の事前検証については、済みません、具体的な答弁が含まれていたのかどうか、ちょっと判断が難しかったものですから、その部分をちょっと補足で説明いただけるとありがたいんですけれども。

小林国務大臣 これは、今後、基本指針などにつきましては、第三者というところでは、外部からの有識者などの意見や様々な産業界の意見も伺いつつ、そうしたルールというものを決めていく。最終的に判断をしていく際には、やはり政府の中で、内閣総理大臣を含めて、関係省庁でしっかりと情報を共有しつつ判断していくということになろうかと考えています。

浅野委員 ありがとうございました。是非、前向きに検討していただきたいというふうに思います。

 次は、遡及適用についてお聞きしたいと思います。

 経済界からは、基幹インフラの対策、遡及適用に対して非常に慎重な声が出ております。実際、やはり現場の負担感を考えますと、現実問題として、基幹インフラの遡及適用というのはかなりの負担が伴うものであります。ただ、一概に遡及適用しないというふうにしてしまいますと、これは経済安全保障上もリスクを抱え込むことになります。

 例えば、設備自体の入替えは難しくても、設置している環境であったり、あるいは運用の面で対応できることもあろうかと思います。是非、一概に遡及適用しないとするのではなくて、毅然とした対応、そして柔軟な対応を政府には求めたいと思いますが、この点について見解を伺います。

小林国務大臣 有識者会議の提言も踏まえまして、この法案では、この制度の施行時点で既に済んでいる設備の導入などにつきましては、事業者の負担などに鑑みまして遡及適用は行わないこととしています。

 一方で、法施行前に導入済みの設備などにつきましても、特定妨害行為を防止することは当然重要です。仮に、ある基幹インフラ事業者が利用する設備が実際に妨害行為に利用されるなど妨害行為のリスクが高まったことを政府が把握するに至った場合などにつきましては、この法案の規定に基づきまして、同様の設備を使用している他の事業者に対して関連情報を提供するなど、事業者が検査などの必要な対策を講ずることができるように後押ししていきたいと考えています。

浅野委員 よろしくお願いします。

 続いて、いわゆる技術の安全保障についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 先日の質疑でも少し引用されておりましたが、二〇一九年の経産省の産業構造審議会通商・貿易分科会の中では、安全保障と一体となった経済政策の在り方について、機微技術流出防止策だけでなく、技術力強化策が必要とされたというふうに承知をしております。

 私は、技術強化策、いわゆる情報漏えい対策だけじゃなくて、技術をいかに高めて、我々が自律性、不可欠性を確保していくのかというのは非常に大事だと思っております。

 それで、この技術強化のためには、昨日の参考人の先生方の御意見やこれまでのこの委員会での質疑の内容をいろいろ聞いておりますと、つまるところ、三つの要素が必要なのではないかと私は考えております。

 一つは、情報収集とその知識化であります。いわゆるインテリジェンスだとかシンクタンクのことになろうかと思いますし、この部分はこの法案で今回ある程度対応しようとしております。二つ目が、情報共有、手に入れた情報を共有し、それを新しい技術や製品として具現化することになります。ここは、例えば予算二千五百億を確保しておりますが、ここはちょっと私は課題があると思うので、後で御説明します。最後、三つ目が、その具現化したものを実証する環境の整備ということで、これは経産省が主導しておりますが、グレーゾーン解消制度だとか規制のサンドボックス制度というのが既にございます。

 じゃ、どこが足りないと思っているかというと、やはり二つ目の情報共有と具現化の部分でして、特に、手に入れた情報を国内で共有をして、その共有をした情報をうまく新しい技術に結びつける部分というところが大事なんですけれども、予算は二千五百億確保したといいますが、問題は、どうやって共有するんだというところなんですね。結局、機微な情報を入手して、それを共有するための制度が今の日本には弱いんじゃないかというふうに思っているんです。

 ちょっと具体的に申し上げれば、情報管理に関する我が国の資格体系というのがございまして、例えば情報処理安全確保支援士とか情報セキュリティーマネジメント資格という資格がございますが、これはどちらも組織向けの情報システムの保護に関する資格だったり、あるいは組織マネジメントの資格であって、個人の情報管理能力を保証するような資格ではないんですね。

 海外ではこれがセキュリティークリアランス制度として運用されている国も多いんですけれども、我が国にはなかなか、いきなりセキュリティークリアランス制度の導入というのが、非常に国民の理解も含めた環境整備に課題があるということで、政府としては慎重な姿勢を示しているというのがこれまでの議論で分かりましたが、やはり個人の情報管理能力を一定程度担保するような環境整備というのは私も大事だと思うんです。

 ですから、こういった観点で、国内に存在する情報をいかに共有していくのか、ここについて、是非、政府、大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

小林国務大臣 委員御指摘の三つの点のうちの二つ目が非常に重要、欠けている、だから強化していかなきゃいけないというところは、私も共有するところでございます。

 社会実装を志向した研究開発を促進する上では、オープンイノベーションに配意しつつも、機微な情報を含めた有用な情報を関係者間で円滑に交換する、あるいは共有する、そういう環境の整備が重要だと考えています。

 この法案では、特定重要技術に関しまして、協議会での情報交換を円滑にするために、構成員に安全管理措置や法律上の守秘義務を新たに設ける枠組みを設けておりますが、この枠組みを通じて、民間企業ですとか海外の研究者から提供された情報も保護されることとなります。

 一方で、委員御指摘の海外を含めた連携先からの情報収集につきましては、これは一つ目の収集の方ですけれども、海外で活躍している日本人研究者、在外公館、シンクタンクのネットワークも活用していく考えです。このためには、相互の信頼関係はもちろんですけれども、連携先が安心して円滑に情報をやり取りしてくれるような制度や体制の構築が必要だと。

 この法案では、シンクタンクの役職員に守秘義務を求めるとともに、調査研究を受託する条件の一つとして、情報の安全管理措置を的確に実施する能力を求めることとしております。

 制度のたてつけはそうですけれども、委員御指摘のように、やはり個人の情報管理能力を高めていくという視点は、私は非常に重要な視点だと思っています。この法案に限った話ではないですけれども、産業界、アカデミアも含めて、こうした経済安全保障に関する意識をどう醸成していくのか、そういうことも含めて、これからも検討していきたいと考えます。

浅野委員 御理解をいただいたことに感謝を申し上げます。

 私の問題意識としては、やはり、今回の法案では、協議会を設置して、その協議会のメンバーに対しては守秘義務を設けていますので、そこに、協議会のメンバーに対して情報提供をする安心感というものは一定程度改善をされると思うんですね。

 しかしながら、協議会が具体的にどういう規模感、どういう幅広さを持つのかにもよるんですけれども、あくまでも閉じた場での情報共有であり、その範囲内での情報の取扱いになるという点では、これはいわゆるオープンイノベーションというのが非常に、起きる余地がないのではないかというふうに思います。

 大臣も御存じのように、オープンイノベーションというのがこれからは非常に大事になっていく中で、メンバーが限定されていない状態で、オープンに、なおかつセキュアに情報をやり取りできるような環境整備というのが、経済安全保障上も我が国にとっては必要なのではないかというふうな問題意識を持っておりますので、是非これは、この法案にとどまらず、今後議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 続いて、残りの時間なんですが、今回、提出者の足立委員の方に質問させていただきたいと思います。

 今回、維新案、少し拝読をさせていただきました。閣法との違いというもの、まず最初に私が感じたのは、閣法は、経済活動を維持するための必要最低限の重要物資を指定して、そこを守っていこうとするのに対して、維新の案は、経済の成長というものを念頭に置いている、さらには、利益をちゃんと確保していくこと、日本の国益を確保していくことというところを非常に重要視をして、そこにフォーカスを当てて保護していこう、こんな違いがあるようには感じております。ちょっと、違ったら訂正をしていただきたいんですが。

 それで、どこに我々が関心を持っているかというと、やはりそれを見定める目利きをどのようにしていくのかというところであります。

 まず、閣法ではシンクタンクを整備したりしておるんですけれども、より高い目利き力が必要になるのではないかというふうに感じるわけでありますが、その点、どのようなお考えを持っているのか、是非お聞かせいただきたいと思います。

足立議員 浅野委員、御質問ありがとうございます。

 まさに御指摘のとおりでありまして、私たちが党として議員立法を出させていただいたのは、今回の経済安全保障の議論は、まさに民間の自由な経済活動、あるいは、さっき、大きな話でいうと自由貿易との関係、これはやはりそのバランスをいかに取っていくかということが肝になるわけでありまして、そこのイメージというか、実効性を担保しながらそれをどうやってやっていくのかということが最大の焦点だと思いましたので、それについての我々の考えを議員立法の形でお出しした。まさに御理解をいただいているとおりであります。

 その観点から、やはり大事なのは最終的には人材ということです。ただ、人材といってもぼやっとしていますので、我々の議員立法では、まず基本原則、経済安全保障の議論を進めていく、施策を進めていくときの基本原則として、その第一の原則として、経済成長に十分配慮しつつ、我が国の経済安全保障上重要な利益が確保されるようにすることということを明文で位置づけた上で、配慮事項として、客観性と実効性ということを書かせていただいています。

 対象となる物資等の選定に当たり、客観的な指標に基づく厳正な評価、選定過程の公平性の確保及び客観的な費用効果分析を行い、その結果を考慮することを明示的に規定し、経済安全保障に関する諸施策を実効的かつ総合的に推進するために、再三こだわっている罰則、委員おっしゃったように、我々も罰則にこだわりません、もっとポジティブなインセンティブでもいいんですね。いずれにせよ、そういう官民のコミュニケーションを円滑にするための措置を講ずることとすると明記をさせていただいています。

 こうした基本原則と配慮事項によって、浅野委員御指摘のとおり、その対象、施策の対象を厳格に選んで、そして、実効的かつ総合的に推進していく、めり張りをつけていく、そういう立場でやっています。

 それを担うのが人材でありまして、今日私も質問しましたが、本当に専門的な機関、専門的な人材、これを産官学を超えて、股にかけて育成していく。これはまさに法案成立直後からその取組を進めていくべきということをお訴えしている次第でございます。

 ありがとうございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、足立委員のお答えの中にもちょっと出てきましたけれども、次にお伺いしたいのが、我々も、客観的指標に基づいて施策を進めていくことの重要性、これは一般論として非常に大事だと思っております。ただ、経済安全保障という非常に広範な、概念的なもので客観的な指標といいますと、ちょっと具体的にどういうことを我々がこれから見ていくべきなのかというところで、我々も今党内でも議論を進めているところではあるんですが、是非その辺りの考え方を伺わせていただければと思っております。

足立議員 御質問ありがとうございます。

 客観的指標というのは、政府も同じかもしれませんが、基幹統計などの政府が保有する各種データはもちろん活用する、また、費用効果分析については、経済安全保障に関する諸施策を実施するために必要ないわゆる国費、税を使うわけですから、それと、得られる、確保できる利益、これを客観的なデータに基づいて比較考量していくということに尽きるわけでありますが、それをどう適正にやるかというと、昨日の参考人質疑でいうと、悪い意味での産業政策という話がありました。まさに産業政策です、これは。その産業政策は、いい意味での産業政策、これは国益のためにやる産業政策。

 ところが、自民党さんを前にして言いにくいですが、いわゆる既得権、既存の何か既得権を守ってあげるためにこれが建前として使われるようなことがあったら、これは悪い産業政策ですから、それにならないようにするためには、国会も、それから政府もしっかりそれを見極めて、まさに、そういった意味では、国会の仕組み、今日私は国会のことを申し上げました、国会の仕組み、霞が関の在り方、政策の進め方という政治文化、行政文化に係るようなものはやはりしっかり転換していく必要があるということで、是非、国民民主党とはこれからも連携して、そういう実現に向けて頑張っていきたいと思います。御指導お願いします。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 経済安全保障推進法案について質問をいたします。

 サプライチェーン、特定重要物資の関係でまずお尋ねいたします。

 供給確保計画において、取引先企業情報の記載についてお尋ねをいたします。

 法文の第九条第三項第八号に、「供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の現状」とあります。現時点の取引先企業について、どのような情報を記載することになるのか。調達先や供給先、顧客の企業情報を全て提供するのか。その点について御説明ください。

小林国務大臣 法案の第九条第三項第八号によって供給確保計画に記載していただく内容としましては、例えば、調達については、原材料をどの国から輸入しているのか、供給につきましては、どういった業種の企業が相手先かといったことが考えられます。

 これらは調達の現状などに関する情報の提供を求めるものでございまして、民間事業者が行おうとする安定供給確保のための取組に応じて、供給確保計画の認定に必要な限度で記載していただくものでございます。したがいまして、一律に、調達先や供給先、顧客の企業情報の全ての提供を求めることは想定しているところではございません。

塩川委員 もう一つ、第九条第三項第三号で、取組の内容及び実施期間、これから何をやりますかというこの部分ですけれども、ここにおいて、取引先企業の情報についてはどのようなことを記載するようになるんでしょうか。

小林国務大臣 この第三項第三号ですけれども、取組内容の説明に必要な限りにおきまして、例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合に、調達先として原材料の輸入相手国などを記載していただくことを念頭に置いたものでございます。例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合には、供給先として供給先企業の主たる業種を記載していただくことなどが考えられるところであります。

塩川委員 これ以外に、供給確保計画において取引先の情報を記載するようなことというのはあるんでしょうか。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から申し上げましたとおり、第九条第三項第三号、こちらで記載をさせていただこうと考えてございます。

 それで、具体的にどこまで記載を求める必要があるのかというのは、今後、安定供給確保のための取組であることを確認するための必要性ですとか物資の特性なども踏まえて、詳細については今後検討していく、こういうことでございます。

塩川委員 そういった供給確保計画を作る上でも、外部に過度に依存といった状況というのは誰がどのように判断するようになるのか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 外部に過度に依存している場合というのは、供給が特定少数国に偏っていて、現状の依存状況では供給途絶発生時に支障を来す場合というものを想定しているところでございます。

 具体的に、特定重要物資を指定するに当たりましては、内閣府及び物資所管省庁などが連携をして、例えば、特定国への依存度の大きさですとか、特定国の供給が途絶したときの他国からの代替確保の可能性ですとか、また、物資自体の代替可能性、国内での代替調達あるいは生産の容易性、そして、供給途絶が国民の生存又は国民経済、経済活動に与える影響、こうした観点から総合的に勘案いたしまして判断することを想定しているところでございます。

 今後、基本指針の策定に向けて、要件の詳細について更に検討を進めてまいりたいと考えます。

塩川委員 政府に、この点では、政省令を含めて基本指針等お任せというところでもありますので、総合的に勘案するということも含め、政府の恣意的な判断がまかり通るようなことがあってはならないということを申し上げておきます。

 それから、本法案では、重要物資の安定供給確保のために、国内生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の開発、代替物資の開発など、民間事業者による多様な取組について物資の特性に応じて支援することとしています。

 特徴的なことでいいんですが、それぞれどのような支援を想定しているのか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 民間事業者の多様な取組につきまして、イメージを持って御審議いただくため、想定され得る支援内容を例示いたしますと、例えば、生産基盤の整備でございますと、供給能力向上のために新たな生産設備を整備すること、また、供給源の多様化でございますと、これまで特定の国に生産設備が集中していた場合などに、ほかの国に新たに生産設備を整備すること、また、備蓄でございますと、不測の事態に備えて在庫を積み増していくこと、そして、生産技術の開発や代替物資の開発でございますと、例えば研究開発や実用化の取組、こうした様々な取組に対する支援が想定され得るところでございます。

 いずれにしても、今後、安定供給確保が図れるように、具体的な支援の内容を更に検討してまいります。

塩川委員 そういう意味では、かなり多様な支援ということにつながってまいります。

 一つ備蓄についてお尋ねしたいんですが、備蓄についてもこの法案で、例示としては新型インフル特措法についての備蓄の例示があるんですけれども、他の個別法でも備蓄を規定をしているものがあると思います。それがそもそもどのようなもので、今回の法案と、そういう備蓄を掲げて規定をしているような個別法との関係はどういうふうになるのか、その点、御説明いただけますか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 既存の個別法に基づいて備蓄を行っている例といたしましては、今委員からは新型インフル特措法に言及がございましたが、これについては、抗インフルエンザウイルス薬やインフルエンザワクチン、こうしたものを備蓄をしている。そのほかにも、例えば食糧法に基づきまして備蓄を行っている米、また石油備蓄法に基づいて備蓄を行っている石油、こうしたものが既存の法令の対象としては挙げられるところです。

 一方、この法案は、国民の生存や国民生活、経済活動にとりまして重要な物資の安定供給確保を図るための枠組みを業種横断的に措置するものでございますが、民間事業者に対する支援では安定供給確保が困難である場合に、国が前面に出ていく、国が自ら備蓄等の措置を講じることとしています。

 なお、国が主体となって備蓄を行う場合には、主務大臣が指定する法人に備蓄に必要な施設の管理を委託することも可能なたてつけとなっています。その際に、委員から御質問ございました、既存の法令等に基づいて既に備蓄を行っている物資につきましては、そもそも、この法案によって更なる安定供給確保のための措置の必要性を認める場合でなければ特定重要物資として指定することはございませんが、仮に当該物資を特定重要物資に指定することがあったとしても、既に備蓄を実施していることから、この法案に基づいて別途備蓄を行うことは基本的には想定していないところでございます。

塩川委員 このスキームでは、備蓄については、民間事業者が重要物資の安定供給確保のためにその手段の一つとして備蓄を行うということと同時に、国としても備蓄を行う場合というのがあると。特別な対策を講じる必要がある特定物資について国自らが対策に乗り出す、その一つとして備蓄の話が出たんですが、ここで言っている、主務大臣が指定する法人への委託という場合のこの法人は、この法律で規定している安定供給確保支援法人とは別ですか。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 法律の第四十五条に、施設管理委託者という規定がございます。したがいまして、第四十四条の方で、主務大臣が安定供給確保のために特別な措置というものを講じた場合に、それに対して、それを効果的に実施するために必要があると認めるときは、施設管理委託者として主務大臣が指定する法人というものに管理を委託することができる、こういうことでございます。

塩川委員 この備蓄をめぐっては、例えば、過去、国家備蓄をめぐっての不正事件なども生じております。石油備蓄基地で使われる製品の受注でカルテルが結ばれたと公正取引委員会が認定をし、大手メーカー五社に対し排除措置命令が出された、こういった事例もあります。

 こういう国家備蓄をめぐる話として、このような不正が起こらないということが言えるんでしょうか。

小林国務大臣 当然、これは認定をするときに計画をしっかりと出してもらいますから、それをしっかりと精査した上でやりますので、そういうことにならないように丁寧に検討していきたいと思います。

塩川委員 国の関与が大きくなる中で、癒着が拡大する懸念というのも大きくなるということを指摘するものです。

 次に、安定供給確保支援法人についてですが、これはどのような業務を行うのか、また、具体的にはどのような団体を想定をしているのかについて御説明ください。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 安定供給確保支援法人についてですけれども、事業者が行う特定重要物資の安定供給確保のための取組を支援することをその業務としております。

 具体的には、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、取組に必要な資金に充てる助成金の交付などの支援業務を行います。

 現時点ではいかなる法人が指定されるかは決まっておりませんが、特定重要物資に関する技術的知見を有する一般社団法人等を指定することを想定しておりまして、主務大臣が要件に合致するかどうかを客観的に審査をし、適切に判断していくことになるものと認識をしております。

塩川委員 特定重要物資に係る技術的知見を有するような団体ということになると、そんなにたくさんあるわけではないと思うので、既存の団体なのか、例えば業界団体とか、そういうものが想定されるということでしょうか。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からお話ししましたとおり、指定されるかは現時点では決まっておりませんが、想定されるものとしては、業界団体等も想定される、こういうふうに考えてございます。

塩川委員 そういう意味では、業界団体という話になりますと、やはりその業界団体との特別な関係も生ずるということにもなってまいります。

 それと、必ずしもその業界団体でなくても可能なのか。いわゆる特定業界の事業者によって構成される団体、業界団体でなくても、安定供給確保支援法人に指定されるということはあるわけですね。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来大臣から御答弁をさせていただいておりますけれども、特定重要物資に関する技術的な知見を有する団体ということでございますので、一般的な業界団体に限定する仕組みとはしておらないところでございます。

塩川委員 安定供給確保支援法人に基金を造成するとありますけれども、この安定供給確保支援法人基金には、例えば、それぞれなんでしょうけれども、どのぐらいの基金を積み上げるということを考えているのか、その場合に、助成金の交付なども行うわけですが、その助成金の場合の例えば補助率とか助成金の額の条件とか上限とか、そういうのは定めがあるんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 特定重要物資は今後適切に決定をしていくということになってございますので、現時点におきまして、どのような規模の基金であるとか、あるいはその基金に基づく助成の条件等については決定しておらないということでございます。

 以上でございます。

塩川委員 政府はこの間、サプライチェーン関連の基金を造成してきました。例えば、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金五千百六十八億円とか、先端半導体の国内生産拠点の確保六千百七十億円とか、ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業二千二百七十三億円とか、当委員会でもそういう答弁もあったところですけれども、こういった既存のサプライチェーン関連の基金と今回の安定供給確保支援法人の基金とは、仕組み的には同じようなものというイメージでいいのかな。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 仕組み的にはとおっしゃいましたけれども、法律上は、第三十四条に安定供給確保支援法人基金という規定がございまして、これが何をするかと申しますと、安定確保支援業務について、これらの業務に要する費用に充てるための基金というふうに明記されてございます。

 したがいまして、この法律に基づいて実施される安定供給確保支援業務に要する基金、要する財源について基金を設けるということでございまして、そのための基金になる、こういうことでございます。

塩川委員 例えば、去年、5G促進法の議論の中で半導体工場についての建設の基金の造成があったわけですけれども、先端半導体の国内生産拠点の確保という基金について言えば、これはNEDOが管理をしているわけですけれども、今回のように、既存のこういった補助金、例えば先端半導体のそういった基金というのがそのままこの安定供給確保支援法人の基金にスライドをするとか、若干入り繰りがあったとしても、そういうこともこれは想定されるということなんでしょうか。

小林国務大臣 これについては、基本的には区分経理をすることにしておりますので、5G法で造成した基金が、こちらの方の、この法律の枠組みの基金にそのままスライドするということは想定しておりません。

塩川委員 スキームとして今後の制度設計をどうするかという話ですので、なかなか踏み込んでの話にはならないところですけれども。

 安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、これは、そもそも何で、どのような業務を担うのかについて、まず確認させてください。

小林国務大臣 安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、この独法の個別法で定める目的上、実施可能な範囲で、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、必要な資金に充てる助成金の交付などの業務を行うものであります。

 具体的には、個別法で定める目的上、生産基盤の整備、そして生産技術開発などを支援できる独法といたしまして、今委員から言及がございました、いわゆるNEDOのほか、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMEC、また国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、いわゆる基盤研を別表に規定しておりまして、主務大臣がこれらの独法による支援が効果的と認める場合には安定供給確保支援独立行政法人に指定をして、安定供給確保のための業務を実施してもらうこととなります。

塩川委員 それぞれ、この三つがどのような業務を担うのかという想定というか考え方があれば、教えてください。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 別表に書いてございます三つの独立行政法人でございますけれども、これにつきましては、なぜこの三つが選ばれているのかと申し上げますと、物資の生産の事業を所管する大臣がまず所管する独法であることということ、そしてその上で、この三つの独法が物資の実用化段階における研究開発の知見を有すること、そしてさらに、民間事業者による生産基盤の整備に対する支援が可能な独法であること、こういった観点から、この三つの独法を選んでおる、こういうことでございます。

塩川委員 それを踏まえて、例えば、NEDOが半導体を担当するとか、JOGMECはレアアースとか、基盤研については医薬品とか、そういう考え方というのはあるんでしょうか。

小林国務大臣 そういうものも想定し得るところではございますが、これは繰り返しになりますけれども、特定重要物資を決めるプロセスというのは、この法案が通った後、政令等を含めて、基本方針、基本指針を含めて、検討していくことになりますので、この場で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただければと思います。

塩川委員 現状、NEDOについて、先端半導体の国内生産拠点の確保という形での基金が造成されています。区分経理ということですから、今回の法律に基づいて、別途そういった基金をつくれば、別なくくりで、別な経理でということでつくるというお話ではあるんでしょうけれども。

 5G促進法の議論のときにもありましたが、TSMCとソニーの合弁会社が造る半導体工場、建設費が九千八百億円とも報道されておりまして、二分の一の補助ですから、上限がありませんので、ですから、当初四千億円と言われていたのが、建設費が膨らむというので、五千億円の補助とかということも言われているわけです。

 こういったTSMCの事例のように、今回の法案に基づくような基金の造成というのが、天井知らずの巨額の補助ということにはならないのか。そういうことについてはどうお考えなんでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁させていただきましたけれども、重要物資の指定、これからでございます。基本方針、基本指針に沿った形で、適正な、基金に基づく助成条件、これも検討してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

塩川委員 既存のこのサプライチェーン関連の基金というのが、上限がないという基金なんかもあるものですから、そういった点で、どこまで膨らむのかといった危惧というのは当然浮かぶわけであります。

 政府の判断によって指定した特定重要物資に特別な支援を行うということには特別扱いの懸念がついて回る、そういう点での癒着の懸念ということは拭えないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 安定供給確保支援法人に対するガバナンスに関する御指摘だというふうに存じます。

 この安定供給確保支援法人の行います業務は、その内容を法律で明記させていただいておりますほか、実際に業務を行うに当たりましては、業務規程を主務大臣の認可事項としてございます。そして、毎年度の事業報告書等も法律事項といたしまして事業年度終了後の報告、公表を定め、その他、区分経理規定や帳簿の保存のほか、必要な場合の主務大臣の監督命令規定や指定の取消し規定等も整備しているところでございまして、これらの規定を通じまして業務の適正かつ確実な実施を確保してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

塩川委員 実際、補助金の額が大きく膨らんで、その中身について非常に裁量的なこと、過去、事件も起こってきたところを考えても、行政側の裁量権の広がりの中で政官業の癒着をつくり出す構図への懸念があることを指摘をして、今日は終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会の吉良州司でございます。

 まず冒頭、経済安全保障の司令塔を担う小林大臣には是非本当に頑張っていただいて、私は、日本の生き死にが懸かっていると思っていますので、その経済安全保障の、間違いのない方向に航海していけるようなかじ取りをお願いしたいと思っています。

 といいますのも、ちょっと個人的な問題意識を披露して恐縮ですけれども、私自身、大学在学中、七六年から八〇年、その間に、年配の人はほとんどいないですかね、ここには。ローマ・クラブの報告というのが出て、化石燃料資源というのが、もう過ぎてしまいましたけれども、二十世紀の後半に枯渇してしまうと。それを知った我々としては、資源小国日本、どうやって生き延びていくんだ、どうやって繁栄を維持していくんだという問題意識を持って、仲間と一緒に国際政治経済研究会というのをつくって、いろいろな、世界の資源の状況、国際政治、国際経済を勉強し、その中から、日本が生きていくために必要な資源、エネルギーを輸入している、その最前線に立っているのが総合商社だ、そして、その資源輸入に必要な外貨を稼ぎ出しているのがまた総合商社だという思いの中で、私自身も、商社に入り、外貨を獲得する方、インフラ輸出というのにかなり携わってきた次第であります。

 そういう思いの中で、資源、エネルギーの確保というのは、私自身にとってライフワークだというふうに思っています。

 だから、そういう問題意識を持って議員になりましたので、私、実は、初当選したのは二〇〇三年の十一月でしたけれども、最初の質問、議員として初めての質問のテーマ、これは、二〇〇四年の二月の予算委員会、一般質疑でありましたけれども、その中で取り上げたテーマが実は経済安全保障でした。そのとき、具体的には、日本の質の高い、素材を作っている鉄鋼産業をある程度意識して、鉄鉱石やそれから石炭の安定輸入、それから、当時は余り知られていなかったですけれども、レアメタルとレアアースの安定確保ということについて質問をさせてもらった次第です。

 その後も、事あるごとに経済安全保障というテーマで外務委員会とか経済産業委員会で質問をして、私なりの持論を述べさせてもらっていたということがあります。

 あと一点だけつけ加えさせていただくと、いろいろ言われる民主党政権ではありますけれども、私自身、民主党政権のときの外務政務官時代に、今申し上げているような問題意識を持って、実はインフラ担当官というのもつくり、今、正確にはエネルギー・鉱物資源専門官ですか、私は資源担当官と言っているんですけれども、必要な在外公館にそういう専門人材を置くという制度も実は私の発案でつくらせてもらっています。

 それぐらい私自身は、資源、エネルギーの安全保障、経済の安全保障というのが重要だと思っていますので、小林大臣には本当に是非頑張っていただきたいと思っています。

 その上で、今回の法案は、私が今申し上げた、あえて言うならば古典的といいますか伝統的な経済安全保障、つまり資源、エネルギーの安全保障に加えて、新時代の新分野の経済安全保障という点が法案については力点が置かれている。重要だと思っていますけれども。

 ただ、私は、一方で、このウクライナ紛争を受けて、一つは、軍事安全保障と経済安全保障の境目がほとんどなくなってきていると。これについては、先ほど足立康史議員と大臣とのやり取りの中でも、大臣がそのような問題意識を披露されていました。深く共感するものでありますけれども。

 そういう意味では、今言った新しい時代の新しい分野の経済安全保障も重要なんだけれども、この古典的というか、やはり、日本の生き死に、日本の生活、産業が懸かった資源、エネルギーの安全確保、これはいま一層重要になっていると私自身は認識しています。

 そういう意味で、大臣は法案担当というだけではなくて経済安全保障全体の司令塔という理解をしておりますので、そういう意味では、私が今申し上げた伝統的経済安全保障の重要性についてどう認識されているか、お聞きしたいと思います。

小林国務大臣 今回の法案は、多岐にわたる幅広い経済安全保障上の課題のうち、特に法整備が必要で、喫緊の課題で、分野横断的に取り組まなければいけないものとして四項目ピックアップさせていただいています。

 御指摘の資源、エネルギーに関する課題につきましては、従来から重要課題と位置づけられてきていますし、議員御指摘のとおり、いわば伝統的な課題だと考えています。これにつきましては、経済産業省、資源エネルギー庁を中心として様々な取組が既に進められてきていると認識しています。

 委員御指摘のとおりだと思います。私、経済安保担当大臣としては、まず、この法案によって、伝統的な課題も当然重要なんですけれども、この法案においては、技術の育成や技術流出の防止を含めた喫緊の課題、新しい課題に重点的に向き合っていく、これまで行われてきた取組と当然整合性を取りながら、この必要な取組というものを進めていきたいと考えています。

 この経済安保の取組を進めるに当たっては、当然、エネルギーを含めて、我が国の基幹産業が抱えている脆弱性あるいは強み、これを把握していかなければならないと考えております。

 目下、ロシアによるウクライナ侵略を受けまして、内外の安全保障情勢が厳しさを増してきております。特に、グローバルサプライチェーンの懸念が高まっておりますが、これがあったからというわけではないんですけれども、私自身、先月、関係省庁の局長級の職員を集めまして、経済安全保障重点課題検討会議というものを開催をいたしました。これは定期的に開催していこうと思っておりまして、制度化していこうと思っています。重要な産業のリスクの把握、分析を進めるよう私から指示を出したところでございます。

 関係省庁と連携をして、先生御指摘のような、経済安全保障を広く取った上での経済安全保障全般の強化に向けて、政府横断的な取組をリードしていきたい、そういう気持ちで取り組んでまいりたいと考えます。

吉良委員 ありがとうございます。

 私、先ほどウクライナの問題を取り上げましたけれども、誰でも、プーチンのこの暴挙は許されない、当たり前のことではありますけれども、私自身ちょっとびっくりしたのは、先にかなり強い対ロシア制裁ありきで、そして、昨日かな、おとといかな、経済産業省の方で重要物資七品目の指定をしてというのが出てくる。一方では、サハリン1、サハリン2の権益は守る、こう言っている。

 私は、もちろんサハリンの権益、1、2は絶対に守るべきだ、維持すべきだと思っています。正直言って、少々の世界的な批判を受けようが、この種のエネルギープロジェクトなんというのは、五年、十年でできるような話じゃないんです。本当に二十年、三十年かかる。プーチン後がプーチン、またプーチン後がプーチン的なリーダーとは限らない。そういう中で、そこまで長期スパンの、この日本の生き死にの懸かった資源の確保については、そこはしたたかであっていいというふうに思っています。

 だから、そういう意味で、私は、先ほど大臣がおっしゃったように、個別具体的な施策になってくると、どうしても経産省マターだとか外務省マターだということになってしまうんですけれども、例えば今回のような対ロシア経済制裁というときも、今言ったように、日本の生き死にの懸かった資源をかなり依存しているわけで、そういう意味では先に、私はもう、ある意味、ここまで来たら対米追随だと思っていますけれども、そこに歩調を合わせるのではなくて、まずは大臣が、経済安全保障という観点からしっかりと、経産省マターであれ外務省マターであれ、きちっと俯瞰して、経済安全保障の観点からもう少しこういうところをきちっと詰めた上で、対ロシア政策をどうすべきだというようなところまで大臣には踏み込んでもらいたいというふうに思っています。

 もう時間が終わってしまったので、一言。

上野委員長 では、小林大臣、簡潔にお願いします。

小林国務大臣 ありがとうございます。

 今回のロシアによるウクライナ侵略もそうですし、今後を見据えたときに、どういう事態が起こるか分からない、このウクライナ以外の話ですね。自然災害なのか、あるいは軍事力の行使なのか分かりませんが、どういう状況であっても、やはり国民の皆様の命と暮らしを守り切れるように、ふだんから、平時のときからしっかりと、様々な、考えられないんじゃないかというシナリオも含めて、しっかりと脆弱性あるいは強みを分析しておく、これが必要であって、そういう取組を省庁横断的にしっかりとリードしていきたいと考えます。

吉良委員 ありがとうございます。終わります。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 ありがとうございます。れいわ新選組の大石あきこです。

 経済安全保障法案について御質問します。

 これまでの質問で、私は確かに、この国の国民や働いている人たちは経済的に大きな危機の中にあると思います。この原因は何なのかというところで、日本政府の国策に問題があるのではないか、アメリカに追随して、グローバル競争、激しい市場競争に乗ってきた、生産や供給を他国に依存するということをむしろ積極的に進めてきた、ここが大きな原因ではないかというつもりで質問をしてきました。

 この法案の質疑やいろいろなところでも、他国に技術を取られたみたいなお話もありますが、これは逆切れではないかというところです。とりわけ、中国をやり玉に上げるという話も出ています。こういったことは、緊張を高めてマイナスですし、そもそも、自国の失策というところを反省するものではなく、ごまかすものではないか、そのように考えます。

 そして、小林大臣も、本日もお答えされていましたけれども、TPPなどで今後も取組を進めていくと言っていらっしゃいますし、民営化というものもばんばん推進されていますし、そういったところから改めるというのが、この国に生きる人々にとっての経済安全保障であると私は考えます。

 大臣からそういった部分での反省、対策というものをお聞きしたかったんですけれども、そういうものは聞かれませんし、法案にも、そもそもそのような哲学は見られません。哲学は見られませんでしたけれども、先日の連合審査の中で錯覚によるだましが見られたので、そのことについて御質問したいと思います。

 三月二十九日の連合審査で、立憲の落合経済産業委員の質疑において、萩生田大臣とのやり取りがありました。萩生田大臣が、この法案を作る際の問題意識を語っておられます。アメリカの世界観に従って我々も法律を作るんだなんという近視眼的な話ではないと、この法案を作る際の問題意識を語り、そして、こう言いました。日本は日本で独自に、やはり機微情報などが残念ながら特定国に流出して、そして類似産業が興ってその類似産業に追い越されていく、こういう経験をしてきましたので、かねてから問題意識を持っていましたと萩生田大臣が言ったんです。

 この発言は、本法案の特許手続を通じた機微な技術の公開や情報流出を防止するというのを念頭に置いた発言と解されますが、ここで伺います。萩生田大臣が言うような、日本の独自の機微情報が特定国に流出して類似産業に追い越されていくという経験というのは、事例がありますか。何の技術がいつどこに流れたのか、例を挙げてください。

小林国務大臣 お答え申し上げます前に、先ほど、本庄議員の経済安全保障重要技術育成プログラムに関する御質問におきまして、泉審議官より、今後、補助要綱等を作成すると答弁申し上げましたが、正しくは、今後、公募要領等を作成するですので、訂正をさせていただきます。

 お答え申し上げます。

 まず、萩生田大臣の特定国というものが何を意味しているかは分かりませんが、経済安全保障そのものについては、何か特定の国を想定しているものではないということは冒頭申し上げたいと思います。

 日本企業などが保有する機微技術情報につきましては、実際に、国外に流出をして、不正競争防止法違反などで検挙される事案も発生しているものと承知しています。

 近年の主な技術流出事案として、若干紹介しますと、大手化学メーカー従業員が、タッチパネルなどに使用される素材に関する勤務先の技術情報を国外企業の社員に開示をし、不正競争防止法違反で検挙されました。これは二〇二〇年の十月の事例。もう一つ挙げますと、電気通信機器製造販売企業社員が、光ファイバーに関する独自技術設計図を国外に所在する企業に開示をし、これも不正競争防止法違反で検挙。これは二〇一八年十月。こうした事例が挙げられるところであります。

大石委員 不正競争防止法で検挙されたということなんですけれども、この法律と本法案では保護すべき法益は違いませんか。それから、追い越されたと萩生田大臣はおっしゃっているんですけれども、実際に追い越されたという認識なんでしょうか。

小林国務大臣 まず、委員のおっしゃる法益というものの定義というものがちょっと定かでないので分かりませんけれども、今回の法案におきましては、特に、特許の非公開制度のところにおきまして、これまでも議論になっている技術流出の防止、これは特許非公開だけでやれるものではないですけれども、既に法整備の必要なくやってきている外為法の運用なども含めまして、その一つとして位置づけられると思います。

 具体的に、類似産業に追い越されていくということにつきましては、結果として、いろいろそういう見方もできるんでしょうけれども、個々の事案について、それが結果として、その産業全体の、追い越された、あるいは追い越されていない、そこにどう結びついているかというのはなかなか判断が難しいと思います。

大石委員 私は、萩生田大臣がこの法案の審査の中でおっしゃったということなので、内閣としてのお考えとして一緒なのかなと思っているんですけれども、先ほども、萩生田大臣が言った特定国というのは分からないということでしたし、追い越されるということに関しても、具体的な事例があるというふうにお答えはないので、萩生田大臣の答弁が間違っていたということなんでしょうか、それとも意図的なものなんでしょうか。

小林国務大臣 別に、間違っていたとは思っておりません。

 申し上げますと、例えば不正競争防止法の法益というものが具体的に何なのかという定義をちょっと教えていただければと思うんですが、端的に申し上げると、不正競争防止法も、あるいは今回の特許非公開を始めとするものにつきましても、機微情報の流出を防止するという目的では一致していると思います。

 あとは、委員からの御質問ですので、ざっくりと例えば例を申し上げると、白物家電などにつきましては、過去の例を見て、日本がやはり一時期は非常に世界をリードするようなときもありましたけれども、それが、他国にそうした技術が、技術情報などが、あるいは人が流れていくことによって日本の立ち位置というものが相対的に低下をした、そういう事例はほかにもあろうかと思います。

大石委員 すごく大事なことをおっしゃっていると思うんですね。白物家電などで日本が追い越されているというお話では非常に一般的なことだと思うんですよ。それを大臣も言及されているんですよ。

 これは何でかというと、国策として生産拠点を海外に移してきた、それが問題なんじゃないんでしょうか。それを萩生田大臣が、特定国に流出して、類似産業に追い越されていくという経験ということを、事実が、担当の大臣が見られないのに、おっしゃっている。

 不正競争防止法ではカバーできない問題が今回の法案でカバーできるようになるという御説明もないので、この法案を最も重要な法案として立てていく事実というものがないのではないでしょうか。

小林国務大臣 まず、最初の議員の御指摘にお答えしますと、別に、これは個々の事例によって様々ですけれども、必ずしも、海外に生産拠点が移ったから我が国の産業競争力が落ちて抜かれていったというわけでもないと思います。

 議員の御質問につきましては、ちょっともう少し具体的にしていただけるとお答えしやすいかと思いますので、よろしくお願いします。

大石委員 具体的なつもりだったんですけれども、時間もありますので、萩生田大臣の次の発言に移りたいと思います。

 本日、本庄委員もおっしゃっていて、やはり、マスクがない、注射針がないということを、この法案の審査の中で、その文脈でおっしゃっているということが問題だなと思いました。

 そもそもどういう御質問だったのかというと、立憲の落合委員が、この法案について、産業政策として国内回帰を目指していくのかという御質問だったんです。これは多くの国民が期待することなので、この質問への回答というのは非常に重大だと思うんですね。それで、コロナ禍を経験してというふうに萩生田大臣がおっしゃるんです。これだけの先進国でありながら、マスクがない、注射針がない、防御服がない、こんなことではけしからぬということで、やはり国内で作れるものはしっかり作っていこう、こういう方針を立てさせていただきましたと。

 日本で多くの国民が経験した、マスクがない、注射針がない、防護服がない、あったのは使えないアベノマスクと大阪では雨がっぱだけだったという、これが本当にけしからない状況なのは確かなんです。だから、萩生田大臣のこの答弁、非常にもっともらしいし、多くの国民が、そんな法案なら大事なんじゃないの、私たち国民の経済に安全をもたらしてもらうものではないのと誤解、誤解といいますか、だましやないか、うそやないかと思っているんですけれども、特定重要物資に、先ほど本庄委員もお尋ねされましたけれども、入らないですよね、萩生田大臣がおっしゃっているものは。

小林国務大臣 入る入らないということを、今予断を持ってお答えする段階ではないということです。

大石委員 でも、多くの国民は、コロナが特に発生した当時、一箱二千五百円だとか、そういう状況で、マスクがなくて、ドラッグストアに並んで、でも、並んでも確保できないというような状況で、すごくひどい目に遭いました。これを二度と繰り返さなくて済むんだなという期待を受けてこの法案が支持されるとしたら、これはだましだと思うんですね。というのも、今、予断なく考えていきたいということなので、決まっていないということなので、少なくともすぐには対応できない、必ずしも排除しないかもしれないぐらいのものを主な例のように持ってくるというのは、これはだましと言えるものです。

 このような錯覚を使って、さらに、法律の内容を考えましても、内閣に白紙委任して、国会の関与が利かない法案を通しているというのは、根本的におかしいと思います。

 先日の参考人質疑でも、井原名誉教授がおっしゃいました。これだけ重要な法案にもかかわらず、白紙委任に近い法案審議は国会軽視と言え、民主的な手続の面から改善を強く求めると。これは、手続でも問題があるというのは、やはり内容的にも、国民、生活者不在の経済安保に行き着く、今既に行き着いているわけです。

 この間の質疑でも明らかになってきましたが、三月二十三日の立憲の大串委員、そして三月三十日の立憲山岸委員の質疑によりますと、経済安保ビジネスに絡むビジネスマンとしての國分俊史氏と経済安保の行政トップである藤井氏が深い関係性にあることが、情報公開請求などで明らかにされました。

 この法案は、アメリカの戦争準備への加担であり、国内の軍事的な研究開発の拡大に向かっていて、そこでは安保ビジネスでおいしい思いをする一部の企業や個人も生まれるものであって、でも、これは戦争から経済的に国民や生活者を守るためのものではない。

 佐橋教授も昨日の質疑のときにおっしゃっていましたけれども、御自分が若い又は中堅の研究者の代表として、研究者の恵まれない処遇について真剣に語っておられました。だから、研究者が夢のあるような日本社会を実現してほしい、そういう思いもこの法案の中に込められていたと思います。

 しかしながら、本日、小林大臣も、研究者に対して、任期つきの研究者、非常勤の研究者というのは、流動性も高まるし、悪いことではないというふうにおっしゃっていて、この経済安保という間口を通してすら研究者が引き続き報われないということもあるのであって、やはり根本的に、佐橋先生が言うような、研究者が安定して研究ができて、日本や世界の、人類に貢献できるような研究、そういうものとこの法案というものは非常にほど遠いものであるなというふうに思いました。

 それから、萩生田大臣が言うように、日本が自分でマスクすら調達できなくなっているということは非常に問題があると思います。そうであれば、日本が数十年かけて自らの手で生産体制を海外にあえて移してきたということが、これがいかに誤りだったかということがやはり話されるべきではないでしょうか。そして、その転換を本気で考えるのであれば、本気でやるのであれば、まず、ベースとしての現状、他国の生産にすごく頼っているこの日本の経済の現実を見据え、今、今を生きる国民や労働者の生活にとっての安全保障というものを考えていく必要があると考えます。

 資料を御覧ください。パネルはこちらです。

 政府が重要物資と事実上位置づけている半導体、レアアース、蓄電池、医薬品の四分野における中国依存の現状を見ると、半導体に関して、中国からの二〇二一年の輸入は、輸入総額の一七・一九%を占め、台湾に次いで二位となっています。レアアースに関しては、中国からの輸入割合は六二%を占める。蓄電池の負極の原材料で黒鉛、中国の世界シェアが六二%なんですけれども、日本はその輸入の九二%を中国に依存しています。医薬品では、局所麻酔剤、血液代用剤などなど、八つの薬剤の輸入に関して中国が主要国となっています。また、後発医薬品に関しても、その二一%を中国に依存しています。

 それ以外の面でも、日経新聞が調査した主要商品・サービスシェア調査によると、中国企業のシェアが三割を超えている品目は、液晶パネル、電池部材、パソコン、洗濯機など、非常に私たちの生活に重要なもの、十五に上っているといいます。

 大臣に伺います。しばらく中国の生産に頼るのはいや応なしに続くと思われませんか。

小林国務大臣 いろいろ委員から貴重な御示唆をいただきましたが、何点かまとめて申し上げますと、アメリカの戦略に日本が組み込まれるような、そういうようなくだりがありましたけれども、別にそういうことを目的としているわけでもない。

 研究者の環境改善、これは重要だと思いますけれども、この法案で全て何から何までやるわけではないですが、科学技術担当大臣でもありますので、そこはしっかりやっていきたいと思います。

 あとは、経済合理性だけに任せていたことによって、今委員は一例を出されましたけれども、様々な物資におきまして、やはりこのサプライチェーンというものを真摯に検討していかなければならない、そういう必要性というものが、国民の理解も高まってきたと思っておりますので、今回こういうものを出しているわけでございます。

 別に特定の国を念頭に置いているわけではございませんが、国民の生命に不可欠であって国民生活あるいは経済活動が広く依拠している物資の中で、幾つか要件をつけましたけれども、そういうものがあれば、この法律が成立するということを前提に、公布の日から九か月以内にこのサプライチェーンのパートは施行することになっていますので、その時点までに必要な物資というものをしっかりと特定重要物資として指定をし、国民の暮らしをどういうときであっても守れるような、そういう国に少しでも近づけるように努力を続けてまいります。

大石委員 大臣が、この法案で全て網羅できるわけではない、全てではないとおっしゃっていて、そのとおりだと思うんですね。でも、この法案がこの国会でも最重要の法案として審議されていますし、皆さんもそのような御認識です。だからこそ、この法案なのか、今この法案なのか、違うんじゃないんですか、違うとしたら何でこの法案をやっているのですかという背景として、そういった、アメリカ追従であるとか、中国包囲網という中で、これが最重要の法案となされてしまっていて、そのマイナス点の方が大きいんじゃないかということを申し上げてきました。そして、大臣も、この法案は全てを網羅できるものではなくて、国民のためのというふうにおっしゃっていました。そういうことを言いたいんです。

 私は、この国に必要なものをまず法制化を急ぐべきだと考えているんです。なぜこの法案が最重要法案になってしまうのかということなんです。末端の生活者や労働者の生活を今すぐに改善していくための積極財政の法案こそ今審議されるべきであって、なぜこのマイナスの法案なのかと。今やるべき、消費税廃止ですとか、ガソリン税廃止ですとか、そのために国債を発行していく、そういったことがなぜ最重要法案にならないのか。大臣の範疇では網羅できないかもしれませんけれども、今これが一番重要な法案として審査され、しかもマイナス面が非常に大きいということを考えていただきたいと思うんです。

 そして、対外的にやるべきということで、この法案に関わることですけれども、国民の安全を守り抜くという考えからスタートしていただけるのであれば、グローバルな激しい市場競争を規制していこう、底辺への競争をやめていこうという働きかけが必要です。

 底辺への競争、国家が外国企業の誘致や産業育成のために減税をしたり基準緩和を競うことで、労働環境や自然環境、社会福祉などが最低水準へと向かうことをいいます。自由貿易やグローバリゼーションの問題として指摘されています。

 世界で法人税を下げる競争を続け、新興国の労働者を奴隷使いして、その一方で、国内の労働者も非正規雇用にして産業をすかすかにしてきた。ISDS条項で自分たちの水を守ることすらできない……

上野委員長 大石君、持ち時間が経過しておりますので、取りまとめをお願いします。

大石委員 公害などの対応すら許されなくなっている、ここへの反省なしに、対外的な意味での国民の安全もあり得ない。残念ながら、本法案はそのような視点とは逆方向だなと感じております。

 時間が終わりましたので、質問を終わります。

上野委員長 次回は、来る六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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