衆議院

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第19号 令和4年4月15日(金曜日)

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令和四年四月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      伊東 良孝君    石原 宏高君

      加藤 竜祥君    金子 俊平君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    盛山 正仁君

      山田 賢司君    吉川  赳君

      和田 義明君    大串 博志君

      堤 かなめ君    中谷 一馬君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      阿部  司君    浅川 義治君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      平林  晃君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 二之湯 智君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   厚生労働大臣政務官    深澤 陽一君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    楠  芳伸君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北村 俊博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 江島 一彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 敬司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           倉野 泰行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         渡邉 浩司君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            野津 真生君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     盛山 正仁君

  金子 俊平君     西田 昭二君

  山田 賢司君     加藤 竜祥君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     山田 賢司君

  西田 昭二君     金子 俊平君

  盛山 正仁君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁交通局長楠芳伸君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子俊平君。

金子(俊)委員 おはようございます。自由民主党の金子でございます。

 本日は、道路交通法の一部を改正する法律案の質疑に関しまして質問の機会をいただきました。委員長始め理事の皆様方に感謝を申し上げます。

 早々ではありますけれども、質問に入らせていただきます。

 今回の法改正、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボード、それから免許の改正、また、レベル4、自走ロボット等々、幾つか目玉があると思いますけれども、十五分でありますので、いわゆる電動キックボードに関してのみ質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、理事の皆様方のお計らいで、委員会の視察として、会館の地下駐車場にてキックボードの展示と試乗に私も参加をさせていただきました。まず、そのときの体験も踏まえて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 六キロと二十キロと、二パターン準備をしていただいていたというふうに思います。六キロであれば、今回例外的に歩道を、自転車と同じということで走行を認めるようでありますけれども、まず気になった点は、性能がいいからなのかもしれませんけれども、非常に静かなんですね。びっくりするぐらい静か。ちょっとふらつくということもありましたけれども、これは慣れの問題だというふうに思います。

 車道を走るプリウスでさえ、その後、音をあえて歩行者のためにつけるというような対処をされたというふうに理解をしておりますけれども、今回の歩道を走るキックボードに関して、運用上の問題だろうと思いますけれども、今後どういうような対処をしていくおつもりがあるのか、若しくは今御検討されているのか。

 それから、スピードメーターが義務化される予定は今のところないというふうにお伺いしたと私は理解していますけれども、そもそも、モードを切り替えることによって、車道を走ること、歩道を走るように切り替えられるようになっていますけれども、切り替え忘れてそのまま歩道を走ってしまうということが多発をするような気がいたします。この辺も運用の問題だろうと思いますけれども、まず、今後どういうようなことになり得るのか、お考えがあれば、政府参考人、是非教えていただきたいと思います。

野津政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、四輪の電動車には、国際基準によりまして自動で音を発する装置の装備が義務づけられておりますが、これは、四輪車は車幅が広くて周囲の歩行者等を自力で避けることが難しい場面も想定されることから、歩行者にも車両の接近に気づいてもらうことが必要であるといったようなことによるものでございます。

 これに対しまして、二輪の電動車の場合には、車幅が小さく歩行者等を自力で避けることが可能であること等から、国際基準においても、自動で音を発する装置は義務づけられてございません。

 こういった状況を踏まえまして、電動キックボードの保安基準の骨子案を審議した検討会におきましても、電動キックボードは二輪車と同様に車体が小さいこと、諸外国においても電動キックボードに対してこのような装置の設置を義務づけている例はないこと等から、今後、海外の例も参考にしつつ、必要に応じ基準を検討していくこととされております。

 また、これまでのところ、電動キックボードの走行音が小さ過ぎることが原因で交通事故に至ったという報告は承知しておりません。

 これらのことから、国土交通省といたしましては、御指摘いただいた観点も大変重要でございますので、十分に踏まえながら、海外の動向も参照しながら、継続的に事故実態の分析を行いまして、必要が認められた場合には基準の検討を行うことといたします。

 また、スピードメーターの義務づけでございますけれども、特定小型原動機付自転車には、最高速度を超えて加速することを防止するスピードリミッターの設置を義務づけることとしておりますので、これによりまして、スピードメーターがなくても安全は確保されるものと考えておりますが、今後、注意深く状況を見ながら、必要性が認められた場合には基準の検討を行うことといたします。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 是非、安全基準、やはり第一は安全ですから、そこを重点にまた御検討していただければというふうに思いますけれども。

 なぜ今の質問を一問目にさせていただいたかというのは、まさに今御答弁していただいたとおり、諸外国はそういうような規制がないというふうに今聞きましたけれども、一方で、次の質問にも関係するんですけれども、これは、委員会からいただいた資料を拝見をいたしましたけれども、諸外国はむしろ歩道を認めている国なんてほとんどない。むしろ、私がいただいた資料の中で、一か国しか歩道を走ることを認めていなかったというふうに、これは警察の方なんだろうというふうに思いますけれども、なぜ我が国は逆に自転車と同等にして歩道を認めるのか。

 今のは、諸外国という言い方をしていましたけれども、その辺がどういう整合性になっているのか、次、日本ではなぜ認めるのかを教えていただきたいというふうに思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、外国の制度も参考としつつ、日本の実情に応じた交通ルールを定めることといたしております。

 現行の道路交通法では、原動機を用いて自走するものであっても、性能上の最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの基準を満たす身体障害者用の電動車椅子については歩道を通行することができることとされております。

 今回の特定小型原動機付自転車につきましては、車道通行が原則でありますが、このうち、性能上の最高速度が電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下であることなどの要件を満たすものを特例特定小型原動機付自転車と定義いたしまして、例外的に歩道等を通行することができることとしているものでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 続きまして、これは、買うとき、若しくは借りるとき、それぞれ業者の皆様方、販売業者、シェアリング事業者に対して安全講習の努力義務を課すというような方向性を今持っていただいているようであります。

 今、自転車との対比の御説明をいただいたんだろうというふうに思いますけれども、やはり自転車との対比、速度といい大きさといい、確かに、ちょっとこの間の試乗会、大きいなという印象がありましたけれども、自転車と同じなのかなと言われると、確かに、最近大きい自転車が増えてきましたから、今の説明も納得いくんですが、ただ、決定的に違うのは、自走なのか自走じゃないのかということなんだろうと私は思います。

 自転車は、アシスト付自転車はありますけれども、やはり自分でこいで、後ろから来ればそれは音がする。今回のやつはほとんど音がしない。決して反対しているわけではありませんけれども、やはりしっかりと安全を担保していただきたいと思いますし、もっと言えば、なぜこの安全講習に関しては義務化せずに努力義務で収めてしまっているのか、もしお考えがあればまた教えていただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の改正案では、交通安全教育の実施の努力義務を課すことといたしております。

 この点につきましては、既に、電動キックボードの販売事業者やシェアリング事業者が組織する団体に加盟する企業等におきましては、電動キックボードの交通ルールをまとめた動画を作成したり、シェアリングサービスを開始する前に交通ルールに関する確認テストを行うなど、自主的な取組をしているところでございます。

 そういったこともございまして、警察といたしましては、そのような取組を支援し、その効果を見守るといった観点から、努力義務として規定することといたしております。

 いずれにいたしましても、警察としては、こういった事業者と連携して、交通安全教育が効果的に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 安全の面でもう一点、最後に質問させていただきたいというふうに思います。

 自転車の場合は、歩道、今、場所によっては認められておりますけれども、後から、これは安全基準を満たしたというようなことがついているはずですけれども、買物籠をつけられたりとか、若しくは幼児用のシートをつけて子供を乗せるというようなことが事実上認められているんだというふうに思います。

 後から、こういう電動キックボードに関しても、これは爆発的に普及すると思いますから、そういうようなことがなし崩し的に何か認められる方向性になってしまうのか、若しくは、ここはもう運用上の話ですけれども、あえて認めないのか、その辺も教えていただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 特定小型原動機付自転車の運転者につきましては、積載装置以外の場所に積載物を積載して運転してはならないということになっております。積載装置を備えていない特定小型原動機付自転車には、したがいまして、荷物を積載することはできないということになっております。

 今委員から御指摘ございました、後からつけられるのかということでございますが、保安基準上は、後からつけることについても、その基準の中に収まるのであれば可能であるというふうに承知いたしております。

金子(俊)委員 いろいろ安全基準に関して質問させていただきました。

 初めての試みですから、やはり手探りでやっていただいているんだろう。是非、やはりスタートするに当たって、安全面、皆さん心配される点が多いと思いますので、そこはまた警察の皆さんも国交省の皆さんもそれぞれしっかりと今後も対応していただきたいというふうに思います。

 少し観点を変えまして、今、シェアリング事業者を含めて、八者に関しまして、新事業特例制度というものを使って、各地域で実証実験みたいな形で、相当優遇をして、今どうなっているのかというものを調査を含めてやっていただいているんだろうと思います。

 私、国益を考える上で、それも非常に大事なことなんだろうというふうに思いますけれども、今、電動キックボードの製造に関して、日本のメーカーはほとんどなくて、ほとんど中国からの輸入だというふうに聞いております。今、どういうようなシェアになっているのか。そして、日本メーカーがほぼないというふうに聞いておりますけれども、今後、爆発的に普及が予想される中で、日本メーカー、若しくは日本の関連する、企画、製造も含めてであります、どうやって育成をしていくのか、そういうお考えがあるのか、通産省にお伺いをしたいというふうに思います。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 明確な統計というのはないわけでございますけれども、経済産業省の方で、昨年度、シェアリング事業者、販売事業者に対するヒアリング調査を行いまして、この中で、中国製の機体を扱っているという回答が多かったということでございます。したがいまして、国内では主に中国製の電動キックボードが使用されている、このように推測されるところでございます。

 その上で、委員御指摘のとおり、国内では、シェアリングサービスによります日常の短距離移動等に活用され始めている中、今後、更なる利用者、台数の増加が見込まれるということでございます。国内メーカーの積極的な参入、これによりまして国内産業にも裨益していくことが重要であると考えております。

 経済産業省におきましては、こうした中、これまで、事業再構築補助金、これによりまして、異業種から新たに電動キックボードの開発等に参入する事業者を支援した事例もございます。

 引き続きまして、こうした支援を活用しつつ、関係省庁そして関係業界とも連携をいたしながら、メーカーを含めた支援策の検討、これを進めてまいりたい、このように考えてございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 シェアリング事業者も大事ですけれども、根本の、我が国の国益は一体何なのか突き詰めて考えていくと、今後の安全基準等々、打合せを円滑に進める上でも、もとより税制のことを考えた上でも、やはり国産のメーカーにしっかりとメインのシェアを握ってもらう必要があるのではないのか、私はそう思いますので、是非そこは経産省の方でまた引き続きの御支援をいただきたいというふうに思います。

 時間的に最後の質問になりますけれども、税制の話を聞かせていただきます。

 今回は、ナンバーをしっかりと取って、引き続き、この電動キックボードに関しても税金がかかってくるんだろうというふうに思いますけれども、今回の道交法改正によって、特定小型原動機付自転車に当たるもの、既にもう今走っているやつに関してどういうような税制になっているのか、最後に教えていただきたいというふうに思います。

川窪政府参考人 お答えいたします。

 地方税法では、軽自動車税の課税対象となります原動機付自転車を、道路運送車両法を引きまして、原動機付自転車として規定をしております。

 改正道交法の特定小型原動機付自転車に相当する電動キックボードは、現行の道路運送車両法における原動機付自転車の定義に含まれるものと伺っておりますので、現行の地方税法上、軽自動車税が課される対象であると考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 時間が来たので終わらせていただきます。自賠責の件、質問できなかったことをおわびを申し上げます。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 今回の道交法改正の中には、運転免許証とマイナンバーカードの一体化に関する法整備が盛り込まれております。運用開始は令和六年度末ということでございますので、約三年後ということになってまいります。

 そこで、確認をいたします。これまで、マイナンバー普及に向けまして、一昨年来、マイナポイント事業を政府に行っていただいておりますけれども、これは公明党も公約に掲げまして推進をしてまいりました。このマイナポイント事業によってどの程度マイナンバーカードの普及が加速をしたのか、政府に御簡潔にお伺いをいたします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 マイナポイント第一弾では、令和二年七月から令和三年十二月末までを事業期間としておりました。

 令和二年六月末までのカード申請が累計で約二千五百二十九万件でございましたが、この事業期間中に約二千九百三十六万件増加をし、令和三年十二月末には累計で約五千四百六十六万件のカード申請となったところでございます。

 特に、マイナポイント第一弾の対象となるカードの申請期限でございます令和三年四月までの三か月間でカードの申請が約千四百六万件と急増しておりますことから、マイナポイント事業には一定のカード普及効果があるものと考えております。

河西委員 ありがとうございます。一定の効果はあったということで、倍増したということでもございます。

 やはり、一昨年の十万円の特別定額給付金、対象者九九%に給付するのに約三、四か月かかったということを鑑みましても、次のパンデミックあるいは大災害、これに備えて、マイナンバーカードをインフラとした行政のデジタル化、極めて重要な課題であるというふうに思っております。

 そこで、今回、国内八千万人を超える運転免許の保有者に対しまして免許証とマイナンバーカードを一体化するインセンティブを与えることは、非常に、カードの持続的な普及を狙っていく上で必須であるというふうに伺っております。

 具体的には、願わくば再びマイナポイントを付与する事業、ただ、これは今後の予算措置が必要になってまいりますので、提案だけにとどめさせていただきます、御答弁は求めずに。

 その上で、本日、警察庁に答弁を求めたいのは、三年後の一体化に向けまして、運転免許の更新手数料、これを軽減をしていく方向で検討していただきたいという点でございます。マイナンバーカードと免許証を一体化した方が、毎回の更新手数料、私も毎回払いますけれども、安くて済むとなれば、普通は一体化を選択するのが生活者の感覚であるというふうに思っております。これを是非早期に検討し、取り組んでいただきたいと考えますが、警察庁の見解を求めます。

楠政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードに記録された免許情報記録の更新手数料につきましては、今後、その事務に要する実費を勘案いたしまして、政令で標準額を定めることといたしております。

 免許情報記録の更新のための事務の内容や必要となる機器等を踏まえて定めることになりますが、この事務の内容は従来の免許証の更新とは内容が異なりますので、そういった事務の違いを踏まえた適切な額が定められることとなるよう今後検討してまいりたいというふうに考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 実費を踏まえたということですので、現時点では何とも言えないというのが警察庁の御見解であると。しかしながら、少なくとも、従来の免許証をマイナンバーカードに一体化した一枚持ちの場合は、やはり更新手数料が下がらなければ国民の皆様の納得感は低いんじゃないかなというふうに私は思うわけでございます。

 一方で、今回のマイナンバーカードと運転免許証の一体化は、デジタル社会の実現に向けた重点計画にも明記をされております。

 本日は、小林副大臣、ありがとうございます。そこで、デジタル庁にお伺いをさせていただきます。

 この一体化を始めとしたデジタル社会推進の政策目的には、やはり行政コストの縮減があるというふうに考えますけれども、副大臣の御見解をお伺いをいたします。

小林副大臣 お答えします。

 デジタル化、特に行政のデジタル化の本来の目的は、国民、企業の利便性の向上と行政運営の効率化、そして行政職員が意欲と能力を発揮できる職場環境をつくっていく、これが重要だというふうに考えておりまして、常に意識するようにしなければいけないというふうに思っております。

 行政運営の効率化に伴う行政コストの削減効果がデジタルへの投資を上回れば、その差分を利用者に還元していくということは当然だというふうに考えております。

 このように、適切な負担の在り方を念頭に置きながら、デジタル完結の実現に向けた取組を強力に進めてまいりたいと思います。

河西委員 ありがとうございます。

 今後、中長期の不断の取組の中で検討していただくということで、行政コストの縮減を目的としているのであれば、その分の更新手数料の軽減、これはやはり国民の皆様に還元されてしかるべきだ、私もそう思っておりますので、是非、デジタル庁と警察庁で緊密に連携をしていただきながら、この更新手数料の軽減、御検討いただき、進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、総務省とデジタル庁副大臣、ここまでで大丈夫でございますので、御退席していただいても結構でございます。大変にありがとうございました。

上野委員長 小林デジタル副大臣には御退席いただいても結構です。

河西委員 続きまして、自転車を運転する際のヘルメット着用についてお伺いをいたします。

 実は、コロナ禍で二〇二〇年度の自転車販売額は過去最高の二千百億円を突破をいたしたところでございまして、やはり、感染リスクが低い点、そういったイメージですね、あと、ウーバーイーツなどの配送サービスの拡大も需要を後押ししたものと考えております。しかし、残念ながら、自転車関連事故は僅かながら増加傾向にあるということでございます。

 これも踏まえまして、今回の法改正では、全ての自転車の利用者に対して乗車時のヘルメット着用が努力義務として盛り込まれるわけでありますけれども、まず、その立法事実を簡潔にお伺いをしたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 警察では、これまでもヘルメットの着用の推奨を行ってまいりましたが、小中学生のヘルメット着用は徐々に進んでおりますが、その他の年代では着用が浸透しておらず、また、ヘルメットの着用時と非着用時で致死率に大きな差があるという事実がございます。また、令和三年三月に決定された第十一次交通安全基本計画におきましても、全ての年齢層の自転車利用者に対してヘルメットの着用を促すべきなどとされております。

 今回の改正案では、こうした情勢を踏まえまして、全ての自転車乗用者に対してヘルメット着用の努力義務を課すことといたしたものでございます。

河西委員 ありがとうございます。ヘルメット着用による致死率の低下が明らかであるということでございます。

 まさに今週月曜日、保護者の方が運転する自転車が転倒いたしまして、大変残念ながら三歳のお子さんがトラックにはねられて亡くなられたという、本当に痛ましい事故が報道されました。ちなみに、現行の道交法では、先ほどもありましたとおり、十三歳未満の児童等を自転車に乗せる際の保護者にお子さんにヘルメットを着用させる努力義務はあるわけでありますけれども、今回の事故では、亡くなられたお子さん、ヘルメットまたベルトも着用されていなかったというふうに伺っております。

 そこで、お伺いをいたします。全年齢でヘルメット着用を義務化するとインパクトが大き過ぎるために今回は努力義務にとどめたという点は、これは理解をするんですけれども、今回のような事故を根絶をしていくためにも、少なくとも子供についてはヘルメット着用を義務化してもいいのではないか、そういった方向の検討もあってもいいのではないかというふうに考えますけれども、政府の見解をお伺いをいたします。

楠政府参考人 お答えいたします。

 ヘルメットは、頭部を受傷する交通事故において致死率を大幅に減少させることができるものであることから、世代を問わずその着用が促進されることが望ましいというふうに考えております。

 この点、委員からも御紹介ありましたように、平成十九年の道交法の改正で、児童等を保護する責任のある者は、児童等にヘルメットを着用させるよう努めなければならないというふうにされておりまして、現に、小学生等におきましては、他の世代と比べましてヘルメットの着用が一定程度進みつつあるものというふうに認識しております。

 一方、その他の世代につきましては、先ほど申し上げましたとおり、着用がいまだ進んでいないことから、今回、努力義務として、着用率の向上を図ることといたしたものでございます。

 委員御指摘のように、特に子供についてヘルメットの着用を義務化するかどうかにつきましては、今後の着用率の推移を見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。

河西委員 是非、御検討をお願いしたいと思います。

 また、国民の意識に浸透をさせることが非常に大事であるということは、これは全く同感であります。

 ちなみに、愛知県では、昨年の四月、ヘルメット購入の補助金制度、一個当たり二千円ということで、年齢もある程度、事故の多い世代に限ってですけれども、設けました。また、名古屋市では、昨年の十月に、国に先駆けて全年齢でヘルメット着用の努力義務を課したわけでありますけれども、しかしながら、この肝腎のヘルメットの着用、なかなか広がっていないということでございます。

 そこで、なぜヘルメット着用が安全確保につながり、着用しないとどんな危険が潜んでいるのか、これは今回の法改正を契機に、より一層の啓発に努めることが重要ではないかと思っております。

 交通安全を学ぶ機会、私自身も振り返りましても、一つはやはり免許取得や更新する際の講習ですね。また、運転する自分の車が自転車に、特に都市部で、接近した際のヒヤリ・ハットも大切な学習機会になるというふうに思っております。しかしながら、近年、若者の車離れも指摘をされておりまして、交通安全を学ぶ機会というのは徐々に減ってきているんだろうと思っているわけでございます。

 そこで、東京都では今年度から自転車の交通安全教育に力を入れる方針でございまして、現在、自転車シミュレーターのようなスマホアプリを開発中と伺っておりまして、これは教育現場での活用も期待ができるわけであります。来月は、五月、安全走行や交通マナーの向上を図る自転車月間を迎えてまいります。国としても、特に若者やまた先ほどありましたような子育て世代を始め、自転車の交通安全に関する教育機会の確保、拡充に努めていくべきであるというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

二之湯国務大臣 委員御指摘のとおり、警察としても、自転車利用者に対する交通安全教育の機会の確保や広報啓発が重要であると認識をいたしております。

 警察では、これまでも、関係機関、団体などと連携を図りながら、全ての年齢層に対する自転車安全教育に取り組んでまいりましたが、本年一月に、交通安全教育の更なる充実を柱の一つとする対策の強化を都道府県警察に対して指示をいたしました。具体的には、若者などに対しては、SNSなどの各種媒体を積極的に活用した短時間動画等による情報発信、社会人に対しては、事業所単位での交通安全教室の開催、保護者に対しては、子供対象の自転車教室への参加要請など、それぞれ対象に応じた交通安全教育を推進することといたしております。

 引き続き、交通安全教育の機会確保のため、関係機関、団体などと連携し、対象に応じた効果的な交通安全教育を推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

河西委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 現場で伺っておりましても、ヘルメット着用に抵抗があるのはやはり女性の皆様始めファッションなどを大切にされる方々で、これからの夏場は特に影響も大きいんだろうというふうに思っております。また、自転車を止めた後にヘルメットが盗難されないのか、あるいは持ち歩くにも手が塞がるというような御懸念もあるというふうに伺っております。

 そこで、これは提案になるんですが、最後の質問であります。ヘルメット着用の普及を進める警察庁自身が是非先頭に立っていただいて、率先垂範の姿をお示しいただきたいと思っております。

 具体的には、自転車に乗って町をパトロールしてくださっている全国の警察官の方々、これはもう既に着用されている地域もあると伺っているんですが、少なくともなかなか都内ではそういったヘルメットを着用されているお巡りさんを拝見をしないわけでありまして、是非この方々に、努力義務が発生するこの法改正から一年後を待たずに、全国の警察官でヘルメットの着用を徹底的に推進をしていただく、そして国民の方々にアピールをしていっていただきたい、こう思うわけでありますけれども、大臣のお考えを伺います。

二之湯国務大臣 警察では、交通安全基本計画において全ての年齢層の自転車利用者に対してヘルメットの着用を促すべきだとされたことなどを踏まえまして、街頭活動における自転車乗車中の警察官のヘルメットなどの着用促進を図ってきたところでございます。

 引き続き、警察官によるヘルメットなどの着用促進を図るとともに、関係機関、団体などと連携し、効果的な広報啓発活動を行うよう警察を指導してまいりたいと思っております。

河西委員 ありがとうございます。要するに、まず隗より始めよということで、私も昨日アマゾンでヘルメットの発注をいたしました。

 今後も交通安全向上へ警察庁のリーダーシップを期待をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 おはようございます。立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いをいたします。

 今日は道路交通法の質疑でございますが、まず冒頭、二之湯大臣、一個お伺いしたいと思うんですが、先日の趣旨説明の中で誤りが一点ございました。大臣、その場では読み上げの間違いということでおわびいただいておりますけれども、これは読み間違いということではなくて資料そのものの誤りということかと思いますけれども、もう一度御説明をお願いできますか。

二之湯国務大臣 要綱や提案理由説明の原稿に誤りがあったことを始め、警察庁の対応に不手際があったことは大変遺憾であり、おわびを申し上げたいと思います。今後同じような誤りが発生しないよう警察庁を指導してまいります。

山岸委員 今回、第三の後に第四が本来あるはずのところ、第四がなくて、四番目の項目のところが第五になっていた、そういうことなんでございますが。

 警察庁、ちょっと教えてほしいんですけれども、これは、法案作成の過程で、元からあった四番目の項目を削ったんだけれどもタイトルの修正が追いつかなかった、こういうことで理解してよろしいでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回、第四とすべきところを第五となっていたところでございますが、これは当初の段階から間違えていたということでございまして、大変申し訳ございません。

山岸委員 よく分かりました。

 この法案、いろいろなことを束ねているということもありまして、あるいは、更に一個一個の内容を見ていっても、警察庁もかなり御苦労されて作られた法案かなというふうな印象を持ちました。

 順番に伺っていきたいと思うんですけれども、まず電動キックボードの問題でございます。

 トラックドライバーさんを中心とする皆さんでつくっていらっしゃる労働組合、運輸労連さんがアンケートをしておりまして、ドライバーから見て自転車やフードデリバリーなどについて危険を感じることがあるか、よくある、たまにあると答えた方の割合が実に九五%に上っているという現状がございます。

 多様なモビリティーということで多様性を掲げるのは結構なことではありますが、実態はかなり危険性が高まっているということがございます。危険性というのは二つあって、小型モビリティーの利用者にとってはもちろん危険だし、ドライバーさんにとって、つまりエッセンシャルワーカーの皆さんにとっては加害者になり得るというリスクと隣り合わせでございます。

 キックボードが実態として増えているからという現状追認ではなくて、これから道路空間をどういうふうに生かしていくのか、使っていくのかという前向きな議論が必要かなと思っているところなんですが、今回の法案は事実上現状追認というところにとどまるのかな、こういう印象を持っております。

 もちろん、野放しな現状に比べてルールはあった方がいいわけで、半歩前進だと思いますけれども、しっかり議論していかないと、木に枝を接ぐような議論になっちゃいけないと思いますので、まず、そもそものキックボードをめぐる経緯からちょっと確認をしていきたいと思うんです。

 経産省、教えてほしいと思います。

 国として電動キックボードをしっかり位置づけていこうという議論が始まったのは、二〇一九年からと承知をしています。二〇一九年十二月二日、経産省が、多様なモビリティ普及推進会議、この場で、電動キックボードというものを例に挙げて、今後、シニア層を中心とした交通安全と生活に必要な移動手段の確保を両立するためには、こういう多様なモビリティーが役に立つ、あるいは、多様なモビリティーというものは、高齢者等が日常生活の中で移動を行う際に役立つというふうなことが書いてあるわけですけれども、経産省、お聞きします。電動キックボードを推進していく当初の大きな目的として、高齢者の移動手段の確保ということがあったということはお間違いございませんか。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省におきましては、二〇一九年の多様なモビリティ普及推進会議、この中で、四種類のモビリティー、すなわち、小型電動モビリティー、電動アシスト自転車、電動車椅子、そして電動キックボード、この四点のモビリティーを中心に、今後の普及に向けた課題と対応について議論した、こういうことでございます。

 そして、この会議の取りまとめにおいては二点、一点目でございますが、シニア層を中心とした交通の安全と生活に必要な移動手段の確保を両立するため、多様なモビリティーにより多様な選択肢を用意していくことが有効であると考えられる、そして二点目、多様なモビリティーは、シニア層に限らず幅広い世代のニーズにも応え得るものであり、渋滞等の社会課題解決、新ビジネスの創出、地域の活性化といった観点からも期待される分野であることといった点を指摘してございます。

 こうした点を踏まえまして、関係省庁において、まず、ルール整備の必要が認められた電動キックボードについて関連制度の検討がなされてきた、かように承知してございます。

山岸委員 1、シニアというのがあって、2、それ以外にも役立つ、こういうことでスタートした議論なんだけれども、じゃ、実際どうなっているんだろうかということなんでございます。

 キックボードの利用は今進んでおりますけれども、経産省、様々実証実験等も行われていますけれども、そうした中でのシニア層の利用割合、利用実態というものを把握されていますか。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 電動キックボードの実証実験、これは、産業競争力強化法に基づき、新事業活動計画の認定を受けた事業者が行っているものでございますが、これらの事業者が加盟するマイクロモビリティ推進協議会によりますと、昨年の四月の二十三日から十月末までの実証実験内での電動キックボード利用者のうち、六十代以上の利用者、これは全体の約一・二%であった、こういうことでございます。

山岸委員 一・二%。高齢者はどこに行っちゃったのかなと。

 高齢者のためになりますよとか、あるいは地方創生ですよとか女性活躍ですよというふうな形で政策をアピールをしてスタートして、実態は全然違う形になっていくというのは経産省が得意とする手法で、全てを否定するつもりはありません、政策を進める、ドライブしていく一つのきっかけとしていろいろなことを考えていくというのは分かるんですけれども、やはり余りに実態と違うことを最初にかけ声としてかけてしまうと、制度にいろいろな無理が出てくるんじゃないかなということを私は懸念をいたします。今回に関しては、いわば警察が帳尻合わせで電動キックボードをめぐる様々な制度をつくっているということなんだろうと思います。

 具体的に議論していきたいというふうに思うんですが、この法案を一個一個見ていきますと、本当に現場でちゃんと機能するのかなというふうに思う場面がございます。

 例えば運転免許に関してでございます。これは原付バイクと同様に免許制度とすることも当然あり得たわけですけれども、今回、対象にしていないわけです。

 警察庁、お伺いいたします。今回、免許を必要としないと判断した根拠を教えてください。

楠政府参考人 お答えいたします。

 特定小型原動機付自転車は、その大きさ、性能上の最高速度等が自転車と同程度であることから、今回の改正案では、自転車と同様の交通ルールを定めるとともに、運転免許を要しないこととし、ヘルメットの着用についても、自転車と同様に、努力義務を課すことといたしております。

 その一方で、特定小型原動機付自転車は、自転車と異なり自走する乗り物であることから、原付免許を受けることができる者が十六歳以上に限定されていることも踏まえまして、十六歳未満の者については運転を禁止することといたしております。

山岸委員 自転車と同じだからというのは、免許が要らないものだから免許が要らないんですというトートロジーになってしまっていますので、私は、そのように判断をした根拠をお伺いしていきたいなと思います。

 根拠があるのかなということで、免許のあるなしで安全性がどう違うのかということを警察庁はお調べになっておりますよね。

 お手元、資料一でお配りしていますけれども、令和三年十二月、警察庁の多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会の報告書の中で、実証実験で警察庁はいろいろな項目をお調べになった上で、一部の項目を除き、運転者の運転行動に全体的に大きな差はないと言うことができる、こう分析されていますけれども、私、率直に見て、この評価に疑問がございます。一部の項目を除き差はないと書いてあるけれども、これは逆じゃないでしょうか。ずらっと見ていただければ分かるんですが、十五項目のうち十項目で、免許のあるなしによって二倍以上の開きがございます。

 これはむしろ、大半の項目で大きな差があると評価するのが素直な読み方だと思うんですけれども、警察庁、この分析の妥当性、いかがでございましょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの走行実験につきましては、運転免許の保有者それから非保有者を被験者として、それぞれ電動キックボードを運転して制限時間内にコースを走行していただきまして、その際の交通違反について採点をいたしたものでございます。その結果といたしまして、運転免許の保有者と非保有者とを比較すると、行われた違反行為の類型、この類型につきましては差異がなかったことなどを踏まえまして、報告書においては、一部の項目を除き、運転者の運転行為に全体的には大きな差はない、そういった評価になったものというふうに承知しております。

 また、委員御指摘のとおり、非保有者の方が違反回数が多くなっているようになっておりますけれども、これは、走行実験の実施方法として、制限時間内でコースを何周するかは各自に任せていたということでございまして、同じ方が複数のところを違反したというようなこともあったというふうに聞いておりまして、単純には比較できないのかなというふうに考えております。

山岸委員 要するに今のお話は、つまり、免許のあるなしで違反の程度に差はあるけれども、違反しやすい場所は同じなので、免許があってもなくても余り変わりはない、そういう御結論なので、ちょっとやはり分かりにくいなというのが正直な印象で、先ほど経産省のことを、悪者じゃないけれども、指摘させてもらったんですけれども、当初から免許なしでの解禁ありきというところの中で話が進んでいるんだとすれば、やはり、それは政策の立案の進め方として、私はもっと、エビデンスといいますか、そういうものを重視をしていくということが必要なんじゃないのかなと。これは指摘をするにとどめたいというふうに思います。

 今回の規制の中でちょっと分かりにくいところ、先ほどほかの委員からも質問がありましたが、二十キロ、六キロの二つのモードでございます。車道で二十キロ、歩道で六キロの二つのモードをつくって、どちらも走れるようにすると。

 おとつい、事業者の皆さんの御協力で私も乗ってまいりましたけれども、乗って、ますますこの基準、実は分からなくなってしまったなと。六キロ、結構ふらつきました。逆に、十五キロは安定していました。事業者の方に聞いたら、これは二十キロになったらもっと安定しますよ、こういう話でございました。

 つまり、元々この電動キックボードはその程度の速度を想定して設計されている。だったら、端的に、車道を原付と同じスピードで走るというふうにした方がシンプルなんじゃないかなと思うんだけれども、さっき申し上げたように、高齢者のラストワンマイルの移動を守るというところからそもそも始まっているからなのかもしれませんけれども、歩道で六キロというこのカテゴリーが入ることになったわけです。

 改めて、警察庁、お聞きしますが、この二十キロと六キロという二つのモードを設けた根拠を教えてください。

楠政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、今回の改正案では、電動キックボードのうち性能上の最高速度と大きさが自転車と同程度のものを切り出して、特定小型原動機付自転車というふうにいたしております。

 自転車につきまして、様々な形態の通行空間における実勢速度を調査いたしましたところ、時速二十キロメートル程度であったということを踏まえまして、今回、特定小型原動機付自転車の性能上の最高速度の基準を時速二十キロメートルというふうにしたいというふうに検討を進めているところでございます。

 また、現行の道路交通法では、原動機を用いて自走するものでございましても、最高速度が時速六キロメートル以下であるなどの基準を満たす身体障害者用の電動車椅子につきましては歩道を通行することができることとされていることを踏まえまして、この特定小型原動機付自転車、原則は車道通行ということでございますけれども、性能上の最高速度がこの電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下であるなどの要件を満たすものにつきましては、例外的に歩道などを通行することができるというふうにしているものでございます。

山岸委員 だから、それが交通の実態に合っているのかなということなんですが、二十キロモード、例えば幅四メーターの生活道路でも車道であれば二十キロということになる、一方、大きな車道、幹線道路に行けば、電動キックボード、ほかの軽車両、原付三十キロ、あるいはスポーツ型の自転車なんかはもっと早いこともありますけれども、どんどん追い越していくということも頻繁に起きるんだろうと思います。

 幹線道路での車道で二十キロというのは、かえって危険になることはありませんか。車道における整理はどう考えていますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 改正案では、特定小型原動機付自転車につきましては、自転車と同様の交通ルールを定めるということで、車道のほか自転車道を通行することができることとしているほか、普通自転車専用通行帯を通行することができるというふうにいたしております。また、車道を通行する際には、自転車と同様に、車道の左側端に寄って通行しなければならないということといたしまして、こういった措置によりまして自動車等などと通行空間の分離を図りたいというふうに考えております。

山岸委員 一番左端にキックボードがあって、その外側に原付があって、ドライバーからしたら更にその外側を抜いていくという形になって、非常に実態的にどうなるのかなと。これは、しっかり運用を見ながら、不断の見直しをお願いしたいなと思います。

 二十キロモードはともかくとして、更に危ないんじゃないかなと思うのは、六キロの歩道モードでございます。

 安定性が低いとさっき申し上げました。同時に、全く音が出ない。クラクションはあるんですけれども、これは原付並みのビビーという音がするやつですね。これは、歩道を歩いている、特に視覚障害をお持ちの方にとっては非常に不安をあおるものではないかなと思います。後ろからふらふらと無音でやってきて、チリンチリンじゃなくて、いきなりビビーっと音がされるというのは、なかなか、ちょっと現実的には、危ないというか、不安ではないかなと思います。

 これは、今回、ルールはこういうことで理解をいたしますけれども、例えば、今後、官民協議会の議論の中で、歩道においてはできる限り手押しを推奨する、そういった運用は可能じゃないでしょうか。ルールはこうなんだけれども、できれば、狭い場所、人が多い歩道では下車して押してください、こういうふうな誘導の仕方もあり得るんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、特例特定小型原動機付自転車につきましては、歩道を通行する際には、歩行者の通行を妨げることとなるときには一時停止をしなければならないなどの義務を課すことといたしております。

 今委員からも御指摘ありましたように、販売やシェアリングの事業者と関係省庁で組織した官民の協議会におきまして実効的な交通安全教育の在り方を検討することといたしておりますので、歩道での安全な通行方法も含めまして、事業者と連携して交通ルール等の周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

山岸委員 この点も是非、具体的な使われ方を見て見直しをお願いしたい。その意味でも、官民協議会には現在事業者側しか入っておりませんけれども、是非、歩行者、ドライバー、それぞれの意見を聞く機会というものをしっかり持ってもらいたい。単にヒアリングしますということよりも、しっかりと位置づけてほしいということを、これは御要望にとどめたいというふうに思います。

 実務的に機能するのかなというところで、ほかにもあるわけなんですが、十六歳未満禁止ということでございますが、原付であれば、もちろん免許が要りますから、免許証を見せてくださいということで年齢が分かるわけですけれども、今回、免許を必要としませんから、警察官が十六歳未満だと思って声をかけて、相手方が、いや、私、十六歳ですよ、でも免許証はありませんからというときに、じゃ、これはどういうふうにチェックするのかなと。

 なかなか、現場の警察官の業務フローといいますか、負担というところからも、ちょっと流れが見えづらいなと思うんですけれども、具体的な取締りの流れ、どういうふうに考えていますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 運転者の年齢確認につきましては、個別具体的な状況に応じて行われるものであろうというふうに考えておりまして、一概には申し上げられませんが、一般論として申し上げれば、他の違反行為を認知した際でございますとか、学校の制服を着用しているなど外見から判断して年齢制限に違反して特定小型原動機付自転車を運転していると認められる場合、そういった場合に行うことになるのではないかというふうに考えております。

 また、十六歳未満であると疑われる者につきましては、学生証等により年齢を確認することとなるほか、そういったものを所持していない場合には、必要に応じて家族などに連絡を取り年齢を確認する、そういったことも考えているところでございます。

山岸委員 具体的には、近所の中学校の制服の子が乗っていたら声をかけるよということだと。もうそれ以外、なかなか現実的に想定しづらいなというふうに思います。これを一々チェックするとなったら、警察官の負担も相当増えていくんだろうというふうに思います。

 やはりいろいろと、電動キックボードをめぐる今回の法改正は、筋がよくないといいますか、かなり警察としては努力をされて何とか制度をつくったんだろうなという思いがいたします。まず、やはりそもそもの出発点が、経産省はどういう思惑だったかは今回深掘りしませんけれども、高齢者というところを入口にして、しかし、実際にはインバウンド向けの規制緩和であるというところを警察庁が何とか制度をつくっているというふうな、こういう印象がいたします。その結果、歩行者の安全やドライバーへの配慮というものがなかなか行き届いていない。

 やはり、何のための、何から誰を守るための制度か、規制かということをよく考えないと、ちぐはぐな制度になってしまうんだろうということで、次のテーマであります自動配送ロボット、遠隔操作型小型車に関してお聞きしていきたいというふうに思います。これは、今の電動キックボードのような後追いとはまだフェーズが違って、これから実用化していくんだと。なので、どういう制度をつくっていくのかということをしっかりと考えていくべきだということで、お伺いしていきます。

 歩行者との関係で一番私が今心配しているのは、緊急停止スイッチなんですね。これをつけるということなんですけれども、警察庁、お聞きいたします、ロボットの緊急停止スイッチを操作できる者は、法律上、誰を想定していますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 改正案では、警察官及び交通巡視員につきまして、遠隔操作型小型車を停止、移動させることができるというふうに規定を設けているところでございます。

山岸委員 警察官と交通巡視員、限定されているわけですね。

 私、実際の現場を思い浮かべていただければ、そうはならない場合の方が結構多いんじゃないかなと思うんです。ロボットが動いていて、目の前に子供が飛び出した、もちろんロボットは止まると思いますけれども、ちゃんと止まるか止まらないかというのは居合わせた方には分からない場合もあって、たまたまそれで周りの方が緊急停止ボタンを押すということは十分考えられると思います。しかし、法律上は警察官が扱うものであると。それで、例えば何か善意の第三者の方が、業務妨害だというふうになってしまったら、これはためらうかもしれない。万が一それで事故が起こったら取り返しがつかないわけでございます。

 そこで、この緊急停止、警察官以外の者が操作をするという場合について、あらかじめ整理をしておく必要があると思います。

 警察庁、お聞きいたします。居合わせた方、第三者が操作した場合にどういうふうな扱いになるのか、政令等で定める予定はありますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 遠隔操作型小型車を停止させる必要があると考えられる場合には、まずは警察に通報していただくことが適当であるというふうに考えております。

 その上で、一般論として申し上げますと、警察官等以外の者でありましても、刑法や民法上の正当防衛でありますとか緊急避難に該当する場合には、必要な措置を取ることが許容される場合はあるのではないかというふうに考えております。

山岸委員 通報をまずしてくださいという話でしたが、それは、目の前でぶつかりそうになったときに通報してくれというのは、ちょっとさすがに現場では通用しない話ではないのかなと思います。

 今の話は、あくまで一般的な、正当防衛や緊急避難ならということでしたけれども、やはりこれは、今後、運用に当たっては、地域住民の皆さんに対して様々、啓発、チラシ、多分チラシ等も配られると思いますので、この緊急ボタンについてはしっかりとした整理をお願いしたいというふうに思います。

 実際、一定の割合の方でこのボタンを押すというケースが発生すると思うんですけれども、となると、その後の再起動についても考えていく必要があると思います。例えば、運行管理者、遠くの事務所にいる方が駆けつけて何か手続をしなければいけないのか、それとも遠隔で再起動をできるのか。事故を防ぐのは大事ですけれども、立ち往生したロボットがそこら中に止まっているという話になりますと、これはこれでまた交通の障害になってしまいますので。

 警察庁にお聞きしますが、停止後の再起動の方法をどういうふうに考えていますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 非常停止装置が押された後に遠隔操作型小型車の通行を再開させる場合の措置ということでございますが、個別具体的な状況によるものとは思っておりますが、一般論として申し上げますと、遠隔操作を行う者がカメラやセンサーを用いて周囲の安全が確認でき、車体を安全に通行させることが可能であれば、遠隔操作を行う者が実際にその遠隔操作型小型車の元に赴くことなく通行を再開させることは可能であろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今後、事業者団体が運用のガイドラインを定めることといたしておりますので、警察といたしましても、その策定に積極的に関与し、交通の安全が確保されるように努めてまいりたいと思っております。

山岸委員 遠隔からの再起動を可能にしていくということでございました。これは、前向きな御答弁、ありがとうございます。安全を確保しながらも、現実的な運用ということで、しっかり整理をお願いしたいというふうに思います。

 さて、残りの時間で、少し話題を変えまして、通学路の安全ということをお聞きしていきたいと思います。

 ちょうど新学期でもございます。今回議論しているように、新しい交通主体が増えればリスクも変わっていきます。今話したロボットが町中で動いていれば、子供たちが近づいてきて、でも、カメラの位置が悪くて子供がうまく認識されなくて事故が起こるというふうなことがあってはならないわけでして、通学路の安全確保は更に大事になってまいります。

 昨年、千葉県八街市の痛ましい事故を受けまして、政府の号令の下、通学路の一斉点検がございました。七万六千か所ほど報告をされたかと思うんですが、私、都道府県別のデータを見ていまして、どうもよく分からないなということがございました。

 資料の二でお配りしていますけれども、今年の三月四日に発表されました文科省、国交省、警察庁の「通学路における合同点検の結果について」、これ、ずらっと見まして、先生方、議員の皆さんもお地元の数字を御覧いただければと思うんですが、人口が多ければ多いというわけじゃないんですね。私、いろいろな指標で比べてみて、学校の数とか子供の数とか道路の歩道の設置率とか、いろいろ見たんですが、決め手になるものがなくて、何でこうなるのかなと思って、自治体に聞いてみて謎が解けました。自治体ごとに調べ方がまちまちだったんです。

 私の地元練馬区では、元々、三年に一回、ローテーションを組んで、三分の一ずつ点検していくということをやっていたんですね。だから、今回、国から号令が来たけれども、現場の教員の負担にもなるから、通常のローテーションの中で挙がった数値だけ、つまり、三分の一の分だけ報告しているということでした。一方で、別の町に聞いたら、うちは全小学校調べましたよ、頑張りましたよというところもありました。

 だから、これはそもそも統計としては機能しない数字なんですね。多大な労力をかけて、七万六千という数字は挙がってきたけれども、じゃ、これはどういう傾向があるかとか、そういう政策立案に生かせるような精度の高い統計じゃないわけなんです。

 文科省、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、こういうデータの取り方は、もったいないといいますか、多大な労力に見合わないものになっていないでしょうか。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月の千葉県八街市で発生した事故を受けまして、文部科学省では、国土交通省、それから警察庁と連携をいたしまして、全国の自治体に対して、通学路において対策が必要な箇所を抽出し、しっかりとその対策を進めていくことを目的とした合同点検を実施するようお願いをいたしました。

 この合同点検では、従来見落とされがちでありました、見通しのよい道路や幹線道路の抜け道となっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所、過去に事故に至らなくてもヒヤリ・ハット事例があった箇所や、保護者、見守り活動者、地域住民等から市町村への改善要請があった箇所、こういうものも幅広く対象として、子供の視点にも配慮して、危険箇所のリストアップを行うようにお願いをしたところです。

 また、各自治体には、この合同点検の以前から、学校、教育委員会、道路管理者、警察等を構成員とする通学路の安全対策のための推進体制、これが構築されており、これまでの実績を生かしまして実施いただくようにお願いをしたところでございます。

 この通学路の安全確保につきましては、交通事情や子供の状況が地域によって異なり変化し続けるものであるため、今回の点検にとどまらず、各市町村の推進体制において継続的な取組を即地的に行っていただき、道路整備や交通規制、見守り活動につなげていくことが重要だというふうに考えてございます。

山岸委員 時間ですから最後の質問にしたいと思うんですけれども、多大な労力をかけたんだけれども、確かに一個一個の現場は分かるんだけれども、マクロ的な視点での政策立案に資するデータにはなっていないということの中で、二之湯大臣、これはビッグデータを更に活用していくということが一つの方法じゃないかと思います。

 今日、電動キックボードの議論をしましたけれども、これはGPSが載っていますから、どこで急ブレーキが多いとか、全部データを取れるはずだと思うんですね。こういったものをしっかり活用をしていけば、規制緩和で新規ビジネスを応援するだけじゃなくて、これを機会に更に交通安全に資するような、そういうふうな活用の仕方も十分可能じゃないかなと思います。

 ビッグデータを活用して通学路等の安全確保につなげていく取組、大臣、進めていきませんか。

二之湯国務大臣 警察では、国土交通省と連携して、ETC二・〇により得られる走行速度、走行経路などのデータを活用して、通学路において車両の速度を抑制し、抜け道利用を防ぐ対策を推進するなどの取組を進めております。

 委員御指摘のとおり、通学路の安全対策を始めとする交通安全対策において、ビッグデータを活用し、きめ細かな施策を効果的かつ効率的に実施することは極めて重要であると認識をいたしております。

 引き続き、ビッグデータの活用を念頭に置いた交通安全対策に積極的に取り組むよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

山岸委員 これからも前向きに議論を続けてまいります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。三十分、お時間をいただいております。

 先ほど山岸委員の方から通学路の安全のお話がございましたけれども、やはり、私たちの共通の思いというのは、命が失われてはならないということだろうというふうに思っております。

 道路交通法ということであれば、道路上で命が失われることがあってはならないということになると思いますが、道路交通法の話として、ひき逃げのことをまず最初にちょっとお伺いしていきたいと思うんですが、直近のひき逃げによる死亡事故あるいは重傷の件数がお分かりになれば教えていただきたい、また、そのうち未解決のものがあるかどうかということも、もし分かれば教えていただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 令和三年中における死亡、重傷のひき逃げ事件の発生件数につきましては、死亡が九十一件、重傷が六百六十九件となっております。

 このうち未解決の件数につきましては警察庁においては把握しておりませんが、参考として令和三年中の検挙率を申し上げますと、死亡が九八・九%、重傷が八六・八%となっております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

森田委員 ありがとうございます。

 検挙率、死亡事故については九八・九%、重傷については八六・八%というお話が今ございましたけれども、このうち、危険運転が疑われる事案というものはあるでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 現在、都道府県警察において捜査中のひき逃げ事件のうち、危険運転致死傷罪の成立が疑われる件数につきましては警察庁においては把握しておりません。

 しかしながら、警察におきましては、初動捜査の段階におきまして、自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪のほか危険運転致死傷罪も視野に入れて捜査を行っているところでございます。

森田委員 二〇〇九年の九月三十日の出来事だったんですが、小関孝徳君という、私の住んでいる熊谷市の、当時十歳のお子さんだったんですけれども、午後六時五十分に、帰宅途中、自転車で交通事故に遭われて命を落とされたという、こういうことがございました。

 いろいろなことを調べていくと、どうも二台の車に続けてひかれてしまったのではないか、そんなような背景が見て取れるということらしいですが、これはいまだに、事件、この事故の背景、解決に至っておりません。

 この小関孝徳君のお母様が、本当に熱心に、それからずっと、情報提供、あるいはいろいろな啓発、あるいは時効の撤廃等含めていろいろな活動をされていらっしゃいまして、先日も、四月六日、春の交通安全運動の初日だったわけですけれども、このときに、近くの交差点で、地元の熊谷署の警察官の方とともに交差点でチラシを配布されて、是非情報を、何でもいいですから提供していただきたいということで、ドライバーの方に手渡しをされていらっしゃった。そんな活動をずっと続けていらっしゃいます。

 今日も、地元の熊谷のFMクマガヤというコミュニティーFMの方に、お母さん、御出演されてということで、情報提供を呼びかけているんですけれども。恐らく、十歳のお子さん、今生きていればもう二十歳を過ぎてということだと思いますが、うちの一番上が今十九歳なので、そんなに変わらない年格好だと思いますが、本当に、時が多分止まっているんだと思います。いつになっても頭の中から片時も離れないような状況なんだと思います。

 やはり、何とか解決したいんだというその一心で今まで活動されてこられたと思うんですが、実は、二〇一九年の九月に、それまで自動車運転過失致死としての捜査が継続されていたんですが、これが十年の時効を迎える直前に危険運転致死罪に変更されているということで、十年だったものを二十年の時効という扱いに、罪名変更をして、捜査期間を十年から二十年に延長して、引き続き捜査をしていこうというふうになったということなんです。

 一般的な話として、罪名変更というのが捜査の中で可能である理由というのはどういうところなんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、死亡ひき逃げ事件が発生した場合に、現場の状況や目撃証言等の客観的な状況から、過失運転致死傷罪のほか危険運転致死傷罪も視野に入れて捜査を行っているところでございまして、その捜査による判明事項から犯罪事実を特定し、適用する罪名を判断しているものと承知しております。

森田委員 多分いろいろな判断でということなんですけれども、いずれにしても、ひき逃げをしているということは、そうでなければ助かる命があったということだと思うんですね。何らかの意図的なものがあったのかもしれないということだと思います。

 大臣にお伺いしたいんですが、捜査方針によって、これは過失だ、これは危険運転だということをその都度その都度分けていくのかもしれませんけれども、前提として、運転者がもうその場から立ち去っているということであれば、危険運転が様々な形で疑われるということとして、危険運転として捜査をしていくべきではないかなというふうに思うんですが、捜査方針として、お考え、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 ひき逃げ事件の場合には、直ちに事故の態様が明らかにならないことから、初動捜査の段階において、自動車運転処罰法の過失運転致死傷罪のほか危険運転致死傷罪も視野に入れて捜査を行っております。実際に、死亡ひき逃げ事件の検挙の中には危険運転致死罪を適用して検察庁に送致したものも一定数あると報告を受けております。

 ひき逃げは極めて悪質な行為ですので、引き続き、被害者や御遺族の心情に最大限寄り添いながら、法と証拠に基づきまして厳正かつ適正な捜査が行われるよう警察を指導していきたい、このように思っております。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

森田委員 ありがとうございます。

 是非、先ほども大臣の方からありましたけれども、前提として、やはり悪質な行為であるんだということを周知をするということも含めて、やはり危険運転の扱いというのを明確にしていくべきではないかなというふうに思っております。

 こういう話をしていると、今日は法務大臣政務官の方にもお越しをいただいておりますけれども、道路交通法の取扱いと、それから、危険運転を扱っているのは法務省の所管の自動車運転処罰法だ、こういう話があって、これは警察庁です、これは法務省ですみたいな、こういう話も出てくる。

 確かに今は、救護措置義務違反ということで、いわゆるひき逃げが道路交通法の中に入っているということで、警察庁の道路交通法の中に入っているわけなんですけれども、そもそも逃げるということが、やはり意図を感じるということで、やはり明確に危険運転の方に位置づけをしていくべきではないかな、法的な位置づけをしていくべきではないかなというふうに思いますが、まず、二之湯大臣から御所見を伺えればと思います。

二之湯国務大臣 ひき逃げは、交通事故があった際に負傷者を救護もせず、また必要な措置を講じないという極めて悪質な行為ですので、警察ではこれまでも、道路交通法を改正して、そして罰則の強化を図るとともに厳正に対処してきたところでございます。

 委員からこのような御指摘があったことについては、危険運転致死傷罪を規定する自動車運転処罰法を所管する法務省と共有してまいりたいと存じております。

森田委員 どうでしょう、法務省加田政務官からも、是非、法務省として、危険運転の中に盛り込んでいくべきではないかということについての御所見を伺えればと思います。

加田大臣政務官 森田委員の質問にお答えするんですけれども、御指摘の死亡事件の、小関代里子さんから、昨年の十二月に法務省の方へ来て、法務大臣に対します嘆願書もいただいております。

 先ほど委員もお話がありましたように、生きていらっしゃいましたら今月三日で二十三歳になっている。子を持つ親といたしましても大変痛ましい事件でありますし、御遺族の切実な思いはしっかりと受け止めていくべきであると思っております。

 自動車運転死傷処罰法の第二条の危険運転致死傷罪は、故意に危険な自動車の運転行為を行い、よって、すなわち、その運転行為の結果としまして人を死傷させた者を、その運転行為の実質的危険性に照らしまして、暴行により人を死傷させた傷害罪、傷害致死罪に準じて重い処罰の対象とするものであります。

 お尋ねにつきましては、ひき逃げが事件後の行為でございまして、自動車運転行為そのものではないことから、ただいま申し上げました危険運転致死傷罪を重く処罰する趣旨との関係で慎重な検討を要すると考えておりますが、いずれにしましても、危険運転致死傷罪の在り方については、道路交通法の規律や危険な運転行為によります死傷事犯の実情等も踏まえまして、不断に検討してまいりたいと考えております。

森田委員 加田政務官に最後お尋ねしたいんですけれども、殺人罪とか強盗殺人罪については、平成二十二年に時効が撤廃されているということもあります。やはり、ひき逃げのことについても、逃げ得を許さないということ、また、時代が経過していくに当たって、様々な新しい証拠の取り方が、捜査の環境が変わってくるということもありますので、是非、時効の撤廃についても御検討いただきたいということで、先ほどの、お母様に賛同する、その時効撤廃のことも含めて、オンラインの署名が八万九千四百十七集まっていて、手書きでの署名も五千三百七十六、昨日の時点では九万四千七百九十六の方が御賛同されているという、非常に重い、皆さんの気持ちがこういうところに入っておりますので、是非、時効のことについても御所見を伺えればと思います。

加田大臣政務官 お答え申し上げます。

 救護義務違反を伴う過失運転致死罪等の罪につきましては公訴時効の対象から除外すべきではないかというお尋ねでありますけれども、前提としまして、公訴時効制度の趣旨について申し上げますと、時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和を図るため、法定刑の重さに応じた一定期間の経過によりまして公訴権が消滅する、すなわち検察官が起訴できないこととするというものでございます。

 このような公訴時効制度の仕組みにおきまして、人の死亡を伴うものを含めて他にも様々な罪がある中で、過失運転致死罪等の罪についてのみ公訴時効の対象から除外することや、罪を犯した犯人が逃げている事件のうち救護義務違反を伴う過失運転致死罪等の罪についてのみ公訴時効の対象から除外することにつきましては、公訴時効制度の趣旨との関係や他の犯罪との均衡性等の観点から慎重な検討を要すると考えておりますが、いずれにしましても、公訴時効の在り方については、犯罪の性質や被害の実情等を踏まえて不断に検討してまいりたいと思います。

 先生も所属しておりました埼玉県議会の方におきましても、先月の議会で意見書が出されたというのを、これは法務大臣宛てのものですけれども、しっかりと認識いたしております。そういう声もしっかりといろいろ受け止めて、そして不断に検討してまいりたいと思っております。

森田委員 県議会の意見書についても受け止めていただいているということで、本当にありがとうございます。是非、こういった皆さんの気持ちがここに入っているということを御理解いただいて、引き続き前向きに御検討いただければと思っております。

 加田政務官については、こちらで以上でございますので、御退席いただいて構いません。

上野委員長 加田政務官におかれましては、御退席いただいて結構です。

森田委員 次は、自動運転の話に移らせていただきたいと思っております。

 今回の自動運転ですけれども、例えば普通の車両であれば、車検をして二年に一回とかという形で定期的に、その安全、例えばブレーキだとか足回りだとか、あるいはエンジンだとか、いろいろなところのチェックを定期的に入れていくという場面がございます。今回、自動運転ということで、自動運転装置ですね、例えばカメラがついていたりセンサーがついていたり、あるいは緊急停止の仕組みがあったりとか、あるいは、そもそもいろいろと本部と通信をするような通信環境がちゃんと整えられているのか。運行者がチェックするというのはもちろんそうだと思うんですが、外部の目を入れて、定期的に機械の面からチェックをしていくということも必要なのではないかなと思いますが、これは、どのように安全の確保、第三者的な目を入れていくという面で確保しているかということで、お答えいただきたいと思います。

野津政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転車につきましては、新車時のみならず使用過程においても安全性を維持することが重要でございます。このため、道路運送車両法に基づく点検や車検におきましてブレーキ性能など従来の車両に対して行うチェックに加えまして、車両に備えられた自己診断装置を活用して、自動運行装置の機能が適切に維持されているかどうかを確認することとしております。

 また、自動運転車の整備につきましては、従来の車両に比べ専門的な能力のある事業者が行う必要がありますので、令和二年四月から、事業として自動運転等の電子制御装置の整備を実施する場合には国の認証が必要となってございます。この認証に当たりましては、整備要員につきましては自動運転等の電子制御装置の整備を実施する能力を有することを要件としております。

 国土交通省といたしましては、これらの取組によりまして、自動運転車の普及に向けて、維持管理が適切になされるように取り組んでまいります。

森田委員 今まで、車検を受けるというと、町の例えば工場みたいなところも含めて、どっちかというと職人さん的な方にいろいろな整備を行っていただくという面がありました。今はいろいろな電子設備が中に入っていますので、今でもコンピューターをつないでということではあると思いますけれども、様々な、いわゆるIT技術者的な方が入ってくる、資格的にもそういうものが入ってくる。事業者としてということもそうですし、それから、検査をする個人の資格としても、やはりある程度の水準が保てるということが必要になってくるかなと思いますので、その辺りも含めて御検討いただければなというふうに思っております。

 それから、今回の自動運転の運行の主体をどのように捉えているか。例えばバスとかあるいは配送の事業者さんとかという、いわゆる事業者としてやっているような方は入っていると思うんですけれども、そこに、例えば個人で、いわばラジコンみたいなことで、レジャーというか、何か分かりませんけれども、個人的に運行するような方も想定として入っているのか、ちょっとこの辺りをお聞かせいただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、運転者がいない状態で行われる特定自動運行について許可制度を設け、安全対策上必要な基準や遵守事項を定めた上で、これらを履行するための措置を計画に記載させて、都道府県公安委員会がこれを審査するという形にいたしております。

 これらの措置を講ずることができ、許可基準に適合するのであれば、個人が特定自動運行を行うことを排除するものではないというふうに考えておりますが、今回の改正案では、限定地域での遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置き許可基準を定めているところでもございますので、通常は事業者等の法人によって特定自動運行が行われるだろうというふうに思っているところでございます。

森田委員 最初から間口を広げてしまうと、いろいろなリスクもあると思いますので、今お伺いしていると、基本的には事業者としてやっている方がメインということなので、是非、安全の管理も、そういう方たちと責任を持ったやり取りというのを可能にしていただきたいと思っております。

 運行責任者というのはどういう方を置くんでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では特定自動運行主任者というものを設けることといたしておりますが、この特定自動運行主任者につきましては、交通事故が発生した場合などに必要な対応をしなければならない、そういった義務を課すことといたしております。

森田委員 この責任者の方の働きというのも、先ほどのいろいろな議論でもありましたけれども、やはり、何か、万が一事故が起こったりいろいろなトラブルが発生したりしたときに、法的な理解であるとか、もちろん道路交通法を含めて、そういったいろいろな知識が求められる、現場での対応が求められるということになると思いますので、運行責任者として、人としてどういう方を充てるのかというのも結構大事なことになってくるかなと思いますので、是非これも、安全運行が保てるという意味から、明確な基準をつくっていただきたいなというふうに思っております。

 それから、続きまして、電動キックボードの方に移りたいと思います。

 十六歳での区切りのことの違反等のチェックについては先ほど山岸委員が質問させていただきましたので飛ばさせていただいて、走行可能速度のことをお伺いしたいと思います。

 今回、二十キロまで出るものについては車道で、六キロという制限の中で運行するというものについては歩道の方も走行が可能だということになっておりますけれども、これは、見た目がほとんど、ほとんどというか、同じものに違うモーターが積んであったり、あるいは出力を調整していたりするんでしょうから、ぱっと見で、これは六キロまでしか出ないとか、これは二十キロまで出るとか、こういうことを見るのは結構難しいんじゃないかなと思いますが、これはどのように取り締まっていくのかなと。お考えをお聞かせいただきたいと思います。

楠政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、特定小型原動機付自転車のうち性能上の最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの要件を満たすものを特例特定小型原動機付自転車と定義いたしまして、例外的に歩道等を通行することができるという形にしております。

 委員御指摘のとおり、この両者を外観からどういうふうに区別するかということでございますが、保安基準におきまして、特定小型原動機付自転車の車体に点滅する灯火を義務づけるということ、それから、この特定小型原動機付自転車と歩道を走行できます特例特定小型原動機付自転車で異なった色の灯火を点滅させる、そういった方向で国土交通省において検討がなされているものと承知しておりまして、実際の取締りの現場等におきましては、警察官がこういったものを参考として判断することになるというふうに思っております。

森田委員 分かりました。

 異なった色の光を点滅させるなどして区分けをしていくということなんでしょうけれども、なかなか、それが瞬時に見分けられるものなのかどうなのか。みんなが知っていればいいんですけれども、なかなかこれは理解していただくまでに時間がかかるんじゃないかなというふうに思っております。

 さっき、車体の方の基準の話がありました。私もこの前乗らせていただきましたけれども、非常に手軽である一方、何というんでしょうか、道路の段差であったりとか隙間であったり、そういうものに非常にさらされやすいんじゃないかなというふうにも思っておりますが、まず車体の安全性ということについての確保ですね。

 それからもう一つ、同じような格好のものが、例えば夜間だと見分けがつかないということもあるんじゃないかなというふうに思っています。例えば原動機付自転車との区別とか、運転している方にとっては、そのものが原付なのか、あるいはキックボードなのか、あるいはほかのものなのか、こういった判別が瞬時につかないとなかなか、夜なんか特に安全な運行ができない、運転ができないということもあろうかなと思いますが、この辺りのことについて今どのようなお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

野津政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、専門の検討会を設置いたしまして、電動キックボードを始めとする特定小型原動機付自転車の保安基準について審議を重ねまして、本年三月、その骨子を取りまとめました。

 具体的には、現在、時速二十キロ以下の原動機付自転車に適用されている保安基準を基本としながら、特定小型原動機付自転車の特性を踏まえまして、最高速度を超えて加速しないようにスピードリミッターを義務づけること、それから、御指摘ございましたが、車輪の直径が小さいことを踏まえまして、路面の凹凸ですとか斜面における走行安定性の試験を規定すること、歩行者を含む他の交通からの被視認性を確保するため、前照灯、尾灯、制動灯、方向指示器のほか、一定周期で点滅する識別点滅灯火、これは、速度に応じて、六キロ、二十キロに応じて色、周期を替えていくことを検討してございますけれども、こういったことを義務づけることを内容とした骨子となってございます。

 既存の原動機付自転車との判別につきましては、この識別点滅灯火によって可能になるのではないかというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、関係省庁や関係事業者とも連携しまして、あるいは協力いたしまして、特定小型原動機付自転車の外観上の特徴についても周知をしてまいりたいと考えております。

森田委員 国交省のこれからのやるべきことというのは結構皆さんに理解していただいて、乗る人も、それを周りから見る人も含めて、ぱっと瞬時に何かが分かったり安全に運転ができるような、そういった環境をつくっていくという意味ではとても大事なことだと思います。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、電動キックボードですけれども、この前、乗らせていただいたときにお話を聞いていたら、契約をして、スマホのアプリなんかを入れて、ピッとやって使い始められるんだ、充電がしてあって、次の例えばステーションまで乗って、また乗り捨てもできますみたいな、いろいろ手軽な使い方ができると。先ほど車体の方のお話もありましたけれども、身軽な動きができる一方で、やはりいろいろなリスクにさらされるということもあります。

 やはり、先ほどの、どういうふうに見られるのかということも含めて、非常に、この前もバス、タクシーのプロの運転をされる方ともお話ししましたけれども、こういった電動キックボードが使われる場面というのは、例えば、今みたいなレンタルみたいに、観光地、あるいはいろいろな方たちが集まる大都市であるとか、そういうところにはどうしても交通が集中しているわけで、やはりいろいろなリスクがそこに存在するだろうというふうに思うんですね。

 だから、一時的に使って、長期間また乗らずになんという方も結構多いと思います。そういった方も含めて安全教育を徹底していくというのは結構大変なことだと思うんですが、安全教育についてどのようにお考えでしょうか。

二之湯国務大臣 今回の電動キックボード、せっかく手軽な交通移動手段でございますけれども、また交通事故が増えたということになれば何にもなりませんから、御指摘のとおり、安全な利用を促進する観点から、交通ルールを周知する機会を設けることが非常に重要である、このように思っております。

 警察としましては、事業者と関係省庁との間で組織しております官民協議会におきまして運転者に対する実効的な交通安全教育の在り方を検討していくこととしておるほか、電動キックボード等に関する交通ルールをまとめた資料を作成して、広く一般に広報啓発活動を実施することにいたしております。

森田委員 そのようなことをやっていただいてという前提ではあると思うんですけれども、ただ、リスクにさらされるという中で、いろいろな事故が起きる可能性もやはり否定できないということもあると思います。

 将来的な可能性として、先ほど自転車の話もありましたが、ヘルメットのことだとか、あるいは免許制を導入していく、このようなことについて、現状、どのようにお考えでしょうか。大臣、お願いします。

二之湯国務大臣 特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードは、その大きさ、性能上の最高速度等が自転車と同程度であることから、今回の改正案では、自転車と同様の交通ルールを定めるとともに、運転免許は要しないこと、またヘルメットの着用についても努力義務、このようなことにしたわけでございます。

 警察としましては、今回の改正を契機として、いわゆる特定小型原動機付自転車の事故が増加することのないように、守るべき交通ルールについての広報啓発や、悪質、危険な違反に対する取締りを徹底して、その安全な利用を促進をしていきたい、このように思っております。

 その上で、一般論として申し上げれば、道路交通法の規制の在り方については、事故や違反の状況等を踏まえまして、交通の安全と円滑を確保する観点から不断に検討していく必要があると思っております。

森田委員 是非、最初に戻りますけれども、命が失われることのないように、安全第一ということで、引き続き御検討いただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本委員会に付託されております道路交通法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 世界では、自動運転化に向けたソフト、ハード面での競争が激化しております。完全な自動運転の達成により経済社会が根底から変わる可能性が指摘されております。完全自動運転化は、カーシェアリングを普及させ、高齢者、障害者の移動を向上させ、貨物輸送を効率化し、事故を減らし、渋滞を緩和する効果があり、その結果、自動車保険が不要となり、土地利用が大きく変化するといったことが起こり得るとも言われております。

 夢にあふれた自動運転ですけれども、完全自動運転は、技術的には可能でも、法規制等ソフト面でのハードルはとてつもなく高いとする見方が多いのも事実です。運転自動化のレベルはゼロから六に区分されておりますが、我が国では、レベル3対応のための改正道路交通法が一昨年施行されましたが、今回の法改正は、特定条件下での運転を完全に自動化するレベル4に対応するもので、運転者の存在を前提としないという点で、現行の道交法の考えとは大きく異なるものとなってくると思います。

 私も、本法案の成立により、我が国が自動運転の世界を牽引していけるようになれることを期待しておるところなんですけれども、我が国も批准している道路交通に関する国際条約であるジュネーブ条約では、運転者のいない車両の運転を認めておらず、レベル4の自動運転について道路交通法で認めると、現状では条約違反になるという可能性が指摘されております。

 そこで、今般の法改正と条約の整合性について御見解をお伺いいたします。

北村政府参考人 お答えします。

 今回の法改正が対象とするレベル4相当の自動運転につきましては、自然人たる運転者が存在する状態と同等の安全性が確保される場合にはジュネーブ条約に抵触するものではないと考えております。

 このような理解につきましては、自動運転を実際に進めております同条約の締約国の間で共有されていると考えられておりまして、また、国際道路交通の発達と安全の促進、それを目的としています同条約の趣旨に鑑みましても適当であると考えております。

 今回の道路交通法改正法案における特定自動運行につきましても、自然人たる運転者が存在する状態と同等の安全性が確保されますよう制度設計がなされるようになっていることと承知しておりますので、ジュネーブ条約に抵触するものではないと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 自動運転を進めるには、道路交通法だけでなく、道路運送車両法、道路法などの関係法律のほか、事故が起きたときの民事責任、刑事責任、技術開発を行う民間事業者との調整等々、関連する省庁は多岐にわたってまいります。そして、自動運転化に向けた環境整備は、こうした関係省庁が緊密に連携をしていく必要があると思いますが、現在、省庁間の連携はどのようになされているのかお伺いをいたします。また、省庁が連携して取り組んでいくには、音頭を取る、調整役となる省庁が必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。

小林副大臣 委員御指摘のように、自動運転の実現に向けては、官民一体となって、技術だけではなくて、交通インフラ、そして関連制度の整備を一体に進める必要があるというふうに考えております。

 こうした省庁間や官民の連携を強化するために、二〇一四年から毎年、政府全体の戦略を策定をしておりまして、これを内閣官房IT総合戦略室が当時やっていたわけですけれども、現在、デジタル庁が引き継ぎまして、その取りまとめを担っております。

 今後、自動運転を含めて、デジタルを活用した様々なモビリティーサービスの普及が見込まれるというふうに考えておりまして、そういう意味では、自動車の自動運転だけではなくて空や海もあるというふうに考えております。こういったものを総合的に高度化していくという観点が重要と考えております。なので、モビリティー全体を総合的に高度化するという考えの下で、デジタル庁としては、新たに取り組むべき事項を今年の六月までに整理をしまして、省庁間や官民の更なる連携強化を主導してまいります。

阿部(司)委員 小林副大臣、御答弁ありがとうございました。

 この改正案が成立後も、今後、完全自動化に向けて取組を考えると、より強力なリーダーシップが必要となってまいりますので、是非、司令塔機能をしっかりと果たしていただけるようお願い申し上げます。

 では、小林副大臣、どうぞ御退席ください。

上野委員長 小林デジタル副大臣におかれましては、御退席いただいても結構です。

阿部(司)委員 今回の法改正では、過疎地での循環バスなどを想定し、高齢者の日常の足の確保につながることが期待されておりますけれども、自家用車や自転車等が走行する軌道式でない道路を運転者のいない無人の遠隔操作のバスなどが走ることに不安を感じる地域住民の方々もいることと思います。こうした不安にしっかりと応えることが重要でありまして、自動運転の実用化に当たっては地域の理解が不可欠です。

 この点に関しまして、法案では、都道府県公安委員会が事業者の運行計画を審査、許可するに際し、「公安委員会は、前条第一項の許可をしようとするときは、次の各号に掲げる事項の区分に応じ、当該事項について、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。」、これは第七十五条ですけれども、市町村の長などからの意見聴取を規定しています。

 そこで、意見聴取する相手方及び方法についてお伺いいたします。また、地域の理解を得るためには、市町村の長等からの意見聴取ではなく、同意を条件とすべきではないかと思いますけれども、二之湯国家公安委員長の御見解をお伺いいたします。

二之湯国務大臣 市町村の長などには、市町村の長のほかに東京特別区の区長とか国土交通大臣等などを含んで、これらの者からの意見聴取をすることを法律上に規定をしているわけでございます。

 また、意見聴取の具体的な方法については、今後、検討いたしておりますけれども、いずれにいたしましても丁寧に意見を聞く必要があるかと、このように思っております。

 市区町村の長からの同意を条件とすべきではないかとのお尋ねですが、今回の改正案では、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いております。したがって、このようなサービスは現状においては円滑な交通に支障を及ぼすおそれがあるということ、そして、円滑な交通に支障を及ぼす程度と、そしてまた一方、地域住民の利便性又は福祉の向上に資する程度を比較衡量しまして、比べまして、そして都道府県公安委員会が許可の可否を総合的に判断する、このようになっております。

 そのため、市区町村の長の同意を条件とはしておりませんけれども、地域の理解を得ることは非常に重要なことでございますので、市区町村の長の意見をしっかりと聞いた上で許可の可否を総合的に判断するよう警察を指導してまいりたい、このように思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 同意は不要とのことでしたけれども、地域の理解を得ずに事業を円滑に進めることは困難かと思いますので、しっかり丁寧に対応を行っていただければと思います。

 次の質問に参ります。

 官民ITS構想・ロードマップ二〇二〇では、自動運転化に向けて、国際基準、標準への戦略的取組が重要であり、それに対応できる体制整備の必要性が述べられています。そこで、今後、技術進歩が進む中で、ルール化、標準化について、世界での主導権確保のためにどのように取組を進めていくのかについて御見解をお伺いいたします。

細田副大臣 ありがとうございます。

 委員ただいま御指摘のとおり、自動運転分野については、その技術の進歩も踏まえて、機能や安全性などに関する様々な国際基準、標準の策定が進められているところでございます。

 こうした中、我が国としては、関係省庁や関係業界などとの情報交換、連絡の国内体制の構築、国際会議における議長、副議長などの主要ポストの確保、技術的に妥当な提案を行うためのデータ収集や実証実験などの重層的な取組を通じて、国際ルールの整備にかねてより主導的な立場で貢献をしてきているところでございます。

 例えば、ISOの場で、自動運転技術の標準化についてテクニカルコミッティーが幾つか立ち上がっておりますけれども、その下のサブコミッティーあるいはワーキンググループ、これは様々なテーマで設置されておりますけれども、その多くのリーダー国は日本となっております。

 このように、引き続き、諸外国の動きも把握しつつ、関係業界や関係省庁などとも連携をしながら、ルール整備や国際標準化に官民を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 自動車産業は日本にとって本当に大事な産業ですので、是非、技術面、ソフト面、そして両面での戦略的取組に今後も期待したいと思います。

 では、御退席いただいて結構でございます。

上野委員長 細田副大臣におかれましては、御退席いただいて結構です。

阿部(司)委員 次に、新たな交通主体の交通方法等に関する規定の整備についてお伺いをいたします。電動キックボードについてです。

 今回の法改正では、これまで一律に原動機付自転車として位置づけられていた電動キックボードのうち、速度や大きさにより、特定小型原動機付自転車という新区分を設け、免許不要、ヘルメット義務づけなし等の規制緩和、そして走行ルールを定めるものであります。

 電動キックボードは産業、経済面からも非常に大きな注目を集めておりまして、あるコンサルティング会社の試算ですと、二〇二五年時点で四兆円から五兆円の市場規模とされまして、我が国でも一兆円規模の市場が見込めるとの試算が出ています。

 今回の法改正において、我が国でも急速に普及していくことが見込まれます。今後、電動キックボードの普及の鍵を握るのは、安全面での対応とともに、自転車レーンの整備、充電ポート、駐車スペースの確保などの環境整備にあると考えております。

 そこで、今後の電動キックボードの普及見込み、そして、それに応じた駐車スペースの整備方針について、国交省参考人に御見解をお伺いいたします。

渡邉政府参考人 お答え申し上げます。

 電動キックボード等の特定小型原動機付自転車については、本法案において交通方法等に関する規定が整備されることにより、今後更に普及が進んでいくものと認識しております。

 原動機付自転車については、現状、駐車場や駐輪場の管理者等の意向に基づき、これらの場所での駐車が可能であり、特定小型原動機付自転車についても同様の取扱いになると承知しております。

 国土交通省としては、今後の電動キックボード等の普及動向を踏まえ、地方公共団体や関係機関等とも連携し、既存の駐車場や自転車等駐車場なども活用しつつ、駐車環境の整備に向けた取組を推進してまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 今、ただでさえ、自転車とか、非常に置場に困っているような自治体も多いかと思います。これは、非常に爆発的に普及してくるとなると、それを見据えた上でしっかり準備をしていく必要があると思います。最近、この増加台数、年間一万八千台とも言われていまして、しっかりと、法改正に合わせて、駐車場の形態ですとか確保策、早急に検討すべきと思います。よろしくお願いします。

 それでは、次に参ります。

 電動キックボードをめぐる規制緩和に重要な役割を果たしたのが、経産省の産業力強化法に基づく新事業特例制度です。これまで大きく二回にわたる新事業特例制度に基づく実証実験が行われ、事業者の皆さんから様々な声が届けられてきたことと思います。私の元にも、事業者の方から、ナンバープレートの小型化についての要望が寄せられてきております。

 電動キックボードのナンバープレート小型化に関する御見解を、総務副大臣、お願い申し上げます。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘のとおり、事業者団体の方から、電動キックボードに取り付けるナンバープレートの小型化について要望が出ていることは承知をしてございます。

 総務省では、地方税の課税事務に関する取扱通知を令和三年四月に改正をし、電動キックボード等の形状により安全性が確保できない場合には、各団体が実情に応じて標準的な様式によらないナンバープレートを交付してよいことをお示しをしたところでございます。

 小型化したナンバープレート様式の全国統一化につきましては、事業者団体の皆さんからの御要望も踏まえ、本日も御議論をいただいております道路交通法を始めとした関係法令の具体的な改正動向に合わせまして、関係省庁や地方団体との協議を継続してまいりたいというふうに思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 現状の原付と同じ大きさのナンバープレートで、車体に比べて大きい、安全面からもちょっと課題だというふうに聞いておりますので、是非前向きに進めていっていただきたいと思います。

 では、御退席いただいて結構でございます。

上野委員長 田畑副大臣におかれましては、御退席いただいても結構です。

阿部(司)委員 新たな区分により創設される二十キロ以下で走る電動キックボードは、基本、車道の左端及び自転車レーンを走行すると言われております。

 電動キックボードのシェアサービスが普及しているフランスなど、ヨーロッパの都市中心部の道路には自転車専用道路が備わっており、日本とはかなり事情が異なります。電動キックボードの普及と安全な利用には日本の交通事情、道路事情に合った環境整備が必要であり、特に、電動キックボードの需要が高い都市部において自転車レーンをどう確保していくか、現実的な課題であろうと思います。

 私も先日試乗させていただきましたけれども、その動画をツイッターに上げたところ、危ないという声が非常に殺到しまして、これはしっかりやっていかないと、とんでもないことになるなと思っております。

 そこで、私ども日本維新の会では、都市部における混雑、地方における交通手段の維持、確保等、各地域特有の交通の課題解決のために、都道府県道、ローカル鉄道等の域内交通については、法規制を含めて、権限と財源を地方に移譲して、域内交通の在り方については地域事情に応じた最適化を促進すべきと主張しております。

 そこで、自転車レーン整備の現状を伺うとともに、自転車レーン整備に当たっては、道路状況に応じた幅の確保なども含めて、都市部での優先的な整備など、地域の実情に即して柔軟に対応すべきと考えておりますけれども、今後の整備方針について国土交通省の御見解をお伺いいたします。

木村大臣政務官 お答え申し上げます。

 全ての道路利用者の安全を確保するためには、歩行者、自転車、自動車をそれぞれ分離した通行空間の整備が進められることが望ましいものと認識をいたしております。

 委員御指摘の、特に都市部における自転車通行空間の整備につきましては、空間的制約や関係者の合意形成を始め様々な課題がございます。このような状況の中で、各道路管理者が自転車専用通行帯などの整備形態や優先度などを考慮しながら、自転車通行空間の整備を推進しているところでございます。

 また、自転車道など自転車通行空間の構造につきましては、道路法に基づいて、各道路管理者が基準を定めることが可能でございます。すなわち、各地域における道路事情などの実情を踏まえ、柔軟な対応が可能となっております。

 今般の道路交通法の改正後の電動キックボード等の通行空間の確保につきましては、電動キックボード等が自転車と同様の空間を走行することを考えますと、各道路管理者において、このような変化も踏まえた自転車通行空間の整備が進められることが必要であります。

 国土交通省といたしましても、関係府省と連携をしながら、制度や実例など必要な情報共有に関する支援などを行ってまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 しっかり自治体とも連携しながら、地域の実情に応じて進めていくということで、是非よろしくお願いします。

 最後の質問です。

 現状では、電動キックボードは、原付自転車として、免許を持ち、ヘルメットをかぶり、ナンバープレートをつけて道路を走る必要があります。しかし、実際は、ネット販売等で購入した電動キックボードで、ノー免許、ノーナンバー、ノーヘルメットで歩道を走る姿が見かけられます。一方で、実証実験のシェア電動キックボードはノーヘルでも適法であると言われております。

 こうした状況では、一般の人には、何が適法で何が違法であるのかさっぱり分かりません。ルールが複雑で、周知が十分でなく、理解されていないからだと思います。今回、新たに区分を設けることで更に分かりにくくなることを危惧しております。

 この原動機付自転車や特定小型原動機付自転車といった法律用語の区分はみんな分かりづらいと感じておりますので、法が成立後、もっと国民に分かりやすい名称区分、例えば、この小型云々ではなくて、もう電動キックボードとしてしまうなど、ルール周知をこうした簡便な用語で図っていくべきだと思いますけれども、二之湯国家公安委員長の御見解をお伺いいたします。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、特定小型原動機付自転車は原動機付自転車の一類型として位置づけることとしておりまして、特定小型原動機付自転車と定義することになったわけでございます。

 私としても、交通ルールの周知徹底に当たっては、国民の皆様に分かりやすく広報等を行うことが非常に重要であると考えておるわけでございます。

 特定小型原動機付自転車の実効的な交通安全教育の在り方については、事業者と関係省庁とで組織した官民協議会において検討することとしておりまして、議員御指摘の点も踏まえつつ検討を進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。

 ただ、特定小型原動機付自転車というのは、大変分かりにくい言葉でございますので、長ったらしい言葉でございますので、これは私も、もう少し何とかならないかということは警察の方によく言ってあります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。失礼します。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 本日は、道路交通法の改正ということで、今、阿部司委員、同僚ながら大変すばらしい、同僚にすばらしいってあれですが、分権も含めて、維新としての質問をさせていただきました。私からは、関連質問ということで、ガソリンの話をさせていただきたいと思います。

 というのは、今回、道路交通法改正ということですが、背景には、自動運転、それから多様な交通主体が出てきているということで、電動を始めとして、交通の在り方がもう抜本的に変わってきている。そうした中で、ガソリン税だけが、旧態依然として、何か惰性で続いてきている中で、私たち日本維新の会は、今回の国民民主党の玉木雄一郎代表が問題提起をしたトリガー政局、あれは本当に選挙目当ての大変レベルの低い議論でありましたが、私たちは、まあ、そこに悪乗りをした公明党さんも、やはりそれは悪乗りだったなということで反省されておられますので、トリガー政局というのはもう乗り越えて、しかし、じゃ、このガソリンの問題はほっておいていいのかというと、全くそういうことはありません。

 そこで、時間は限られていますが、二、三、伺いたいと思います。大臣、もう大丈夫ですから、気楽にいていただければと思います。

 まず、今、大変な血税を物価高騰対策、原油高騰対策に投じていただいています。私は大賛成であります。ただ、誤解も広がっています。

 例えば、先般、しばらく前になりますが、石油元売各社が最高益を出しているという報道がありました。それを見た方々から、これだけ税金を、補助金を投入している中で、補助金を投入しているその当事者である石油元売各社が最高益を出しているのは何事かという御指摘をいただきました。

 これは、言うまでもなく補助金が原因ではないことを私は承知していますが、是非、国民の皆様に分かりやすく、そういうことではないんだ、理由はこういうことだということを御紹介をいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、原油価格が高騰する局面におきましては、石油元売企業の決算は、石油備蓄法に基づき義務づけられている備蓄分を含めた保有在庫の影響で、日本全体では約九十日分を備蓄のために元売各社さん等で在庫を保有してもらっていますが、この在庫評価の影響で利益額が大幅に増加する傾向がございます。

 一例を申し上げますと、例えば最大手のENEOSさんの直近の四半期の決算を見ますと、営業利益は前年同期比約四千億円の増加となっておりますけれども、その大半の三千億円弱は在庫評価の影響によるものでございます。

 なお、激変緩和事業につきましては、石油元売事業者が補助金の支払い請求を団体の方に行う際には、補助金支給の単価相当額の全てが卸売価格に反映されていることが確認できた場合に限って補助金を実際に支払うということにしておりますので、委員御懸念のような、結果的に元売の手元に補助金が残るということにはならないように制度的に担保をさせていただいてございます。

足立委員 定光部長、ありがとうございます。

 今御紹介をいただいたとおりでありまして、私はよく理解しておりますが、ニュースだけ、報道だけ見ていると、マスコミももうちょっと丁寧に、国民の皆様にちゃんとお伝えすべきことは分かりやすく報道していただきたいと思いますが、なかなか、ニュース、報道だけを見ていると分かりません。それを補完して国民の皆様にしっかりとお伝えをしていくのも国会の役割でありますので。御答弁ありがとうございました。

 経産委も動いている中でお忙しい中、ありがとうございました。もし通告がこれで終わりであれば、もう自由にしていただいて結構です。自由って変ですね、退席いただいても大丈夫です。

 さて、そういうことでありますが、税の問題ですね。トリガー条項ということで一世を風靡しました。これは、トリガー条項自体は民主党が作ったんだったかな、とにかく大変出来の悪い制度でありまして、悪乗りを一瞬してしまった公明党さんもかつては、このトリガー条項というのはろくでもない制度だから、条項自体を廃止すべきだということを委員会で御主張されている。これは国会の議事録に残っています。

 私たち日本維新の会は、一時、国民民主党さんに連携するという政局的な観点から法律を一緒に出した経緯がありますが、大変反省をしております。今、本意は、こういう中途半端なトリガー条項はもう即刻廃止をする。ただ、トリガー条項を廃止するだけでは足りない。そもそも、暫定税率、その後変わりました、いわゆる当分の間税率自体を抜本的に、廃止を含めて検討すべきだという立場です。

 そこで、今日、財務省から江島審議官にお越しをいただいています。

 この当分の間税率というのは、私、もうやめた方がいいと思うんですよ、こういう何か分かったような分からないような制度。今、財務省として、様々な税法の体系があります。税体系の中で、当分の間税率というものが設定されている税目というか項目というのは幾つあるんでしょうか。

江島政府参考人 お答えいたします。

 国税のうち、ある特定の税について、特例の税率を当分の間として、具体的な期限を定めずに規定しているものは揮発油税、地方揮発油税、そして自動車重量税がございます。

足立委員 三つだけなんですね。これは恐らく、平成二十一年に、道路財源だった暫定税率を見直した際の名残であると承知しています。

 逆に言うと、当時、ガソリン税を見直すときの名残というか残滓なわけで、もう一度、審議官、三つなんだと、当時、平成二十一年につくってしまったというか、そこに生まれた当分の間税率というのは、今御紹介があった揮発油税、地方揮発油税、自動車重量税、これはいずれも当時の名残だと思いますが、この三つ以外はないんだということをもう一回明言いただけますか。

江島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、この三つの税でございます。

足立委員 したがって、これは、よくこんな中途半端な税金で国民の皆様に御負担を強いているなと、私は大変憤慨を、いや、ちょっと勉強不足で承知していなかったんですが、この事実に向き合う中で、今どうなっているか。

 まさに、先ほど定光部長からあった激変緩和措置で、今、まだ二十五円ですね、上限。これから、今、ちょうど来週の政府の経済対策、恐らく二十二日に閣議決定されると私は予測をしていますが、二十二日の政府の閣議決定に向けて、先日、その前に、立憲民主党と国民民主党さんが中身がよく分からない何か提言を出され、そして、自公が、おとついかな、昨日かな、提言を出されました。本当にふにゃふにゃしていて、中身がありません。

 今、国民の皆様が物価高騰で大変御苦労されている中で、やるべきことは一つですよ。消費減税。特に低所得者の方への軽減税率の税率を、私たちは、八パーから五パー、三パー、場合によってはゼロパーと下げていくべきだ、そして、コストプッシュインフレが解消された暁には、従来から提言させていただいているように、消費税そのものの五%への引下げ、そして、事態が、要は経済が正常化した暁には、軽減税率自体を廃止をして、税率を八%に戻す、そして税体系全体の見直しをするというのが私たちの提言でありますが、こういう包括的な税戦略、税制を通じた経済対策を打ち出しているのは、少なくとも野党の中では我々だけです。

 そして、与党も、補正をするのかしないのか、予備費をどうするのか、迷走しています。ちょっと、余りあれですが。

 審議官、そういう中で、今、二十五円上限の補助金があるのに、二十五円の当分の間税率を課しているんですね。税金を、当分の間という中途半端な、よく分からない形で税を課した上で、同じ額の税金を課している。国民は、ばかじゃないかと思っているわけです。

 私は、二十五円、二十五円なんだから、そろそろ、二十五円をこれからも突破していく、すぐにこの原油高騰が収まりそうにもない中で、しっかりと、この当分の間という何かよく分からないやつを早くやめて、当分の間税率は廃止をして、そして、改めて石油諸税の在り方について抜本的に検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

江島政府参考人 お答えいたします。

 揮発油税等の燃料課税につきましては、昭和四十九年度以来、道路財源の充実等の観点から、五年間等の暫定措置として本則よりも高い税率が設定されて、その後、道路整備計画も踏まえて、期限を迎えるごとに引上げないし延長されてきたところでございます。

 こういったいわゆる暫定税率は、平成二十一年に道路特定財源制度が廃止されたことを踏まえまして、平成二十二年度税制改正において廃止することとされました。しかしながら、一方で、地球温暖化対策の必要性や厳しい財政事情を踏まえまして、検討が行われた結果、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされたものと承知しております。

 当分の間税率の在り方につきましては、こういった過去の経緯や現在の状況を踏まえ検討すべきであると考えておりますが、その廃止という御指摘でございますが、今ほど申し上げました地球温暖化対策の必要性、そして厳しい財政事情を踏まえますと、慎重であるべきと考えております。

足立委員 質問を一個忘れていました。済みません。

 経産省もお越しいただいていますが、まさに今あった地球温暖化対策、これは、カーボンプライシング等、そうした本格的な脱炭素戦略の中で議論すべきだと思うんですが、いかがですか。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンプライシングの本質は、企業の排出削減に向けた行動変容を促進することでありまして、成長に資するという観点が重要だと考えております。

 こうした観点から、産業競争力の強化やイノベーション、投資促進につながるのか、政府内で幅広く検討しておりまして、まずは、自主的かつ市場ベースのカーボンプライシングを促進することが政府の方針となっております。

 経済産業省では、この方針を踏まえ、野心的な削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグ、グリーントランスフォーメーションリーグを二〇二三年度に本格稼働させるため、具体化に向けた検討を進めております。

 このGXリーグの基本構想に対して、CO2を多く排出する産業を含め、幅広い業種から四百四十社の賛同をいただいております。これらの賛同企業によるCO2排出量は、総計で約三億二千万トン、日本全体の排出量の約二八%以上に相当しまして、家庭部門等への電力供給に伴う排出を加味すると四割以上を占めることとなります。これは、諸外国の制度と比べても遜色のないレベルでございます。

 企業におけるカーボンニュートラルに向けた投資や成長と排出削減が両立するような、実効性のある枠組みにしてまいります。

 なお、排出量取引や炭素税に関しましては、このGXリーグにおける取組の進捗も踏まえつつ、専門的、技術的な議論を進めてまいりたいと思います。

足立委員 時間超過しまして、恐縮でした。

 日本維新の会としては、包括的な経済対策、成長戦略を打ち出し、実行していくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 私、国会議員になる前は、自動車に使われる半導体センサーの研究開発というのをやっておりまして、用途としては、車両制御であったり、あるいは、将来的には自動運転の実現、機構部品として使われるようなものでありました。今日は、道路交通法の改正で、レベル4の自動運転についてのものが含まれる法案ということで、個人的にも大変喜ばしく思っているところでございます。

 今日は、この自動運転について、限られた時間ではありますが、大臣に質問させていただきたいと思います。

 我々国民民主党、この法案には賛成の立場でございますが、今日は、今後の国内における自動運転サービスの発展性をよりしっかりと確保したい、その思いから何点か御質問いたします。

 まず、このレベル4の自動運転サービスに関する許可制度を今回創設するというものになっておりますが、自動運転の用途としては、地域別で見ますと、大都市部では渋滞の緩和や交通事故を削減する効果が期待されていたり、あるいは、都市間交通、輸送の効率化が期待されていたり、あるいは、地方に行けば、高齢化した地域や過疎地域における交通手段の維持、確保、こういった期待がされているわけであります。

 ただ、こういった非常に期待の集まる技術なんですが、実際、実態、現実的な経済の現場では、事業の採算性やあるいは市場発展性というものがなければ事業者の立場からなかなか投資ができない、こういった側面があるのも現実であります。

 少しドイツの事例を御紹介しますと、ドイツは昨年道交法を改正して、一足早くレベル4の自動運転を導入した国でありますが、ドイツにおいては、都市部とか地方、様々なエリアでちゃんと活用できるようなことを想定した法整備がされているというふうに聞いています。

 そこで質問なんですが、今回、日本でも幅広いマーケットでこの自動運転サービス、普及されることが期待されていますけれども、この法案では、制度として、許可制度を導入することになっています。事業者が参入する市場をいたずらに狭めることがないようにしなければいけないと思っているんですけれども、公安委員会として、この点、どのように考えているのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、現在の技術水準を踏まえて、運転自動化のレベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転のうち、非常に地域が限定される遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いているわけでございます。

 このようなサービスは、現状においては円滑な交通に支障を及ぼすおそれがあることから、特定自動運行による人又は物の運送が地域住民の利便性の向上に役立つのか、福祉の向上に資するのかということが一つの許可基準となっているわけでございます。このため、このような許可基準に適合するのであれば、限定地域における高速道路を一部利用した特定自動運行やトラックによる物流サービス、あるいは自家用車による有償旅客サービスも対象になると考えております。

 いずれにいたしましても、今後の技術開発の状況を踏まえつつ、引き続き必要な検討を進めるよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

浅野委員 やはり、許可制度でございますので、その利便性に資するかどうか、そういった基準を踏まえて今後の判断ということですけれども、是非、今後許可制度の具体的中身を検討する際には、自動運転サービス、この産業分野の将来的な発展性、これがないと事業の継続性というのはなかなか維持できません。地方においては実証実験的に、無人型の移動手段、電動カートなどを使って試行されてはおりますけれども、やはり採算性が合わずに、これは継続ができないという判断に至っているところもあると聞いておりますので、この部分、しっかりと政府の中でも制度設計の中に取り込んでいただきたいというふうに思います。

 続いての質問ですけれども、この法律では、事業者が一旦許可を取った後に、何らかの理由で、その許可の内容を変更したい、例えばルートを変更するですとか、あるいは事業の規模を拡大するですとか、そういった場合に、もう一度許可を取ることが原則なんですけれども、ケースによっては届出だけで済む場合がある、こんな仕組みが用意されているというふうに聞いております。

 これも、事業者の立場からすると、どういう基準であれば届出で済むのかどうか、この辺りを明確に示してほしいという声があるんですが、この点、大臣にお伺いしたいと思います。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、特定自動運行の経路など、特定自動運行計画に記載された事項を変更する場合には、都道府県公安委員会の許可を受けなければならないこととしておりますが、例外として、軽微な変更については届出で足りることといたしております。

 届出で足りる事項については内閣府令で定めることとしておりまして、例えば特定自動運行を管理する場所の連絡先を変更する場合などを定めることを検討いたしております。

 委員御指摘のとおり、いかなる場合が届出で足りるかを明確に示すことは、事業者の負担の軽減の観点から大変重要なことと考えておりますので、内閣府令を定めるに当たっては、できるだけ具体的なものとなるように警察を指導していきたい、このように思っております。

浅野委員 やはり許認可の予見可能性というのは非常に大事ですから、その点、よろしくお願いいたします。

 最後の質問になるかと思いますが、今回、許可をするかどうかを審査する中で、公安委員会は、運行経路が含まれる市町村の長の、いわゆる首長の意見を聞かなければならないというように法令で定められる予定となっておりますが、なぜ首長の意見を聞かなければいけないのか、その理由と目的を教えていただきたいと思います。さらには、首長が意見した内容というものに法的効力が発生するのかどうか、この点も併せてお答えいただきたいと思います。

 どういう問題意識かというと、やはり原則として、安全な地域環境、交通環境を保持する社会的な責務というのは国とか自治体にあるとも思いますけれども、一方で、営業の自由というものも守られるべきだと思っております。

 首長の意見の効力の大きさというのがこれらのバランスに影響するというふうに思いますので、その観点から質問いたします。よろしくお願いします。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いているわけでございます。

 このようなサービスは、現状においてはその地域の円滑な交通に支障を及ぼすおそれがある、こういうことでございますから、地域住民の利便性の向上、あるいは福祉の向上に資する、そのどちらかを、比較衡量して、それを許可条件と公安委員会はしているわけでございます。

 そこで、都道府県公安委員会がそのような総合的な判断をするに当たって、やはり地域住民の人々の意見を聞かないかぬ、首長さんも当然地域住民の意見を聞く、こういうことになっておりまして、いわゆる市町村長の同意が必要、こういうことになっているわけでございます。

 事業者の方も大変でございますから、この制度が円滑に運用されるように警察を指導していきたい、このように思っております。

浅野委員 自動運転技術というのは、本当に日本が誇るすばらしい技術分野であります。これからこの自動運転サービスというものが日本でどんどん開発され、そして世界をリードしていくことを期待して、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。(二之湯国務大臣「委員長、済みません、一言だけ」と呼ぶ)

上野委員長 では、二之湯国家公安委員長、簡潔にお願いします。

二之湯国務大臣 今、市町村長の同意と申しましたけれども、同意は必要ない、こういうことでございますので。

浅野委員 ありがとうございました。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 道路交通法改正案の質疑に当たりまして、まず二之湯国家公安委員長にお尋ねをいたします。

 この道路交通法改正案について、閣議決定の際の参考資料でもある法案要綱に三か所の間違いがありました。また、提案理由説明についても、先日の委員会の場で誤りが明らかになりました。極めて重大であります。国民に権利義務を課す法案の審議だからこそ、国民の代表機関である国会での慎重な審議、議決が求められます。その審議に付す法案及び関連資料に誤りがあってはなりません。誤りがあれば、直ちに国会、国民に報告をし、是正することが必要であります。

 今回の度重なる事態について、警察組織を監督する国家公安委員長としてどう受け止めておられるか、お尋ねします。

二之湯国務大臣 要綱や提案理由説明の原稿に誤りがあったことを始め、警察庁の対応に不手際があったことは大変遺憾であり、おわびを申し上げたいと思います。今後、このような、同じような誤りが発生しないよう、警察庁を指導してまいります。

塩川委員 警察庁が議員に対して道路交通法改正案の審議スケジュールの案のメモを出すなど、考えられない、あってはならないことなども起こっております。猛省を促すものであります。

 そこで、まず電動キックボードについてお尋ねをいたします。

 電動キックボードは、原付の交通ルールを適用し、免許必要、ヘルメット着用義務、車道通行ということでした。今回の法改正で、特定小型原動機付自転車としての電動キックボードについて、自転車と同様の交通ルールを適用し、免許不要、ヘルメット着用は努力義務、歩道通行可とするものであります。

 原付の交通ルールを適用していたものが自転車と同様の交通ルールということになりますと、これはやはり道路交通安全対策の後退になりはしないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

二之湯国務大臣 現行の道路交通法では、電動キックボードは原動機付自転車に区分されまして、運転免許を必要とするなど、原動機付自転車としての交通ルールが適用をされておるわけでございます。

 一方、その使用実態を見ますと自転車並みの速度でしか走行しないものもございまして、一般的な原動機付自転車と同様に扱うことが必ずしも適当ではない場合も認められるわけでございます。

 そこで、性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度のものを現行の原動機付自転車から切り出しまして特定小型原動機付自転車と定義して、そして自転車と同様の交通ルールを定めることとしたものでございます。

 また、性能上の最高速度が歩道通行を認められた電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下に制御できるものについては、例外として歩道を通行することができることとしております。

 これらの改正案の内容は、道路交通法における原動機付自転車や自転車に関する規定の内容を踏まえつつ、特定小型原動機付自転車という車両の特性に応じて作成したものでございます。

塩川委員 自転車と同様のルールを適用するんだという話ですけれども、自転車の場合に警察庁はこれまで車道の通行を原則としていました。電動キックボードの車道通行の必要性について、警察庁がこれまでどのように説明してきたかを確認したいと思います。

 規制のサンドボックス制度に基づく第三者委員会として、革新的事業活動評価委員会、現在の新技術等効果評価委員会ですけれども、この二〇一九年十月の第十回の委員会において警察庁は、歩道は車両の通行を認めるべきではないと述べていたが、それはどのような理由からか御説明ください。

二之湯国務大臣 委員御指摘の委員会における警察庁の発言は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できるよう区画された場所であり、原則として車両の通行は認めるべきではないというものでございまして、この考え方は現在も変わるものではございません。

 他方で、現行の道路交通法では、原動機を用いて自走するものであっても、性能上の最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの基準を満たす電動車椅子については歩道を通行することができることとされております。

 特定小型原動機付自転車は車道通行が原則でありますが、このうち、性能上の最高速度が電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下であることなどの要件を満たすものを特例特定小型原動機付自転車と定義し、例外的に歩道などを通行することができることとしたものでございます。

塩川委員 車道の場合には自転車、歩道の場合には電動車椅子、この並びでという話ですけれども、ただ、この前も私も電動キックボードに乗りましたけれども、十五キロでしたかね、かなりスピードが出ますし、六キロだとなかなかふらふらということもありまして、その切替えをするんだというんですが、実際自転車も、歩道を通っちゃいけないというのに歩道を通っている例というのは多くて、それが事故にもつながっているわけですよね。同じようなことが起こるんじゃないのかという懸念というのは当然あるわけであります。

 また、手元でアクセルのみで加速できるというのは自転車とは異なる危険性があるということも、この場で警察庁が述べていたことであります。警察庁自ら、電動キックボードの歩道通行は認めるべきではないと述べていたのが、そのときの委員会でありました。

 自転車は原則車道走行だということについて、警察庁はどういう説明をしてきたんでしょうか。例えば、自転車安全利用五則とかに原則自転車は車道走行と書いてあるんじゃないでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、自転車は車道が原則、歩道は例外という形で規定しているものと承知しております。

塩川委員 自転車安全利用五則では、道路交通法上、自転車は軽車両と位置づけられています、したがって歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です、罰則は三か月以下の懲役又は五万円以下の罰金、普通自転車が歩道を通行することができるのは歩道に普通自転車歩道通行可の標識等があるときだというふうに説明をしています。

 自転車の事故についてですけれども、過去五年間で、歩行者が死亡、重傷となるような自転車対歩行者の事故がどれだけの件数あって、そのうち歩道で発生している割合、人数がどのぐらいになるのかを教えてもらえますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年から令和三年の間に自転車が第一当事者又は第二当事者となった自転車対歩行者の事故のうち、歩行者死亡あるいは重傷事故における衝突地点が歩道となっているものの割合は四〇%、件数は六百三十五件でございます。

塩川委員 ですから、歩道は通っていけないよとなっている自転車ですけれども、歩行者と自転車の事故の四割が歩道で起こっているわけなんです。これは今の深刻な実態ですよね。

 今回の電動キックボードで、速度を、モードを切り替えるとかという話ですが、それがそもそも周知されるのか。自転車でも、原則車道通行となっているのが周知徹底されていない中で、こういった歩道での四割もの事故が起こっているという点を考えたときに、この電動キックボードでそういう徹底ができるのかという問題なんです。

 その上で、現行、電動キックボードは原動機付自転車の扱いですから、運転免許が必要となります。運転免許に関して、現行の電動キックボードの免許試験内容、講習内容について説明いただけますか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 現行の道路交通法におきまして、電動キックボードは主に原動機付自転車に区分されておりまして、その運転には原付免許などが必要とされております。

 原付免許の運転免許試験につきましては、視力等の適性試験のほか、運転に必要な知識に関する学科試験を行うこととされており、その内容につきましては、試験時間を三十分として、交通ルールなどに関する問題を四十八問出題し、正答率が九〇%以上の者を合格とすることとなっております。

 また、原付免許を受けようとする者につきましては三時間の原付講習を受けなければならないこととされておりまして、その内容につきましては、原動機付自転車の運転に関する実技訓練や視聴覚教材を用いた教育を行うものとなっております。

塩川委員 ですから、適性試験、学科試験、また三時間の原付講習という形で、安全教育、道交法のルールをしっかりと身につけるという場を設けているわけであります。技能試験とか高速道路講習がないぐらいで、自動車免許と同様の内容であります。このような形で安全運転を確保する措置を取ってきたんですが、それでも事故が増加をしているのが電動キックボードであります。

 それなのに、事業者からは、外国人にも利用してもらいたいことから、免許保有義務を緩和してほしい、こういう要望が出されていると承知していますが、そのとおりでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、二〇二〇年十月に開催されました第十七回革新的事業活動評価委員会での事業者からの要望のことを指しているのではないかと思いますけれども、その中では、例えば、ちょっと該当する部分を読み上げますが、具体的な要望ですけれども、先ほどからちょっと出ていたヘルメットの着用の部分です、これも、やはり事業化、特にそのインフラで将来的に持続可能なビジネスモデルとするためにはかなり大きいハードルになってくるので、ここを任意としたいと考えていますなどの要望があったものと承知しております。

塩川委員 それはヘルメットの話なので、ちょっとこの後また聞きますけれども、要するに、免許保有義務を緩和してほしいというのは外国人の利用を進めたいというところが動機となっているという点に、安全確保措置が後退させられるというのは筋違いじゃないのかということを申し上げておきます。

 今回の法改正で運転免許はなくなるわけです。それで、販売者やシェアリング事業者に交通安全教育の努力義務を課すわけですが、これは、こういった運転免許の取得と同等の内容を確保できるんでしょうか。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、電動キックボードのうち、性能上の最高速度とそして大きさが自転車と同程度のものを特定小型原動機付自転車と定義いたしまして、その運転に免許を要しないこととされている自転車と同様の交通ルールを定めることといたしておるわけでございます。

 他方で、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進する観点からは、交通ルールを周知する機会を設けることが非常に重要であると考えております。

 警察といたしましては、事業者また関係省庁とで構成しております官民協議会において運転者に対する実効的な交通安全教育の在り方を検討していくこととしているほか、電動キックボードなどに関する交通ルールをまとめた資料を作成して、広く一般に広報啓発を実施することといたしております。

塩川委員 事業者に努力義務を課すということで、これから決めるという話ですよ。ですから、具体的な担保も何もないという点でも、余りにも現状との落差が大き過ぎると言わざるを得ません。

 例えばネット販売の場合は、販売者はどのように購入者に対して交通安全教育を実施するんでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 まさに先ほど大臣から御答弁いただきました、そういったネット販売でする場合も含めまして、運転者に対する効果的な交通安全教育の在り方をどのようにするかということについて、事業者、関係省庁と組織した官民協議会で検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 例えばメルカリのように、個人間の売買の場合に、この交通安全教育というのはどうなるんでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 個人間の売買というのもいろいろな場合があると思いますので、一概には申し上げられないと思います。

 ただ、その中で一つ、我々の方でいろいろ考えておりますのは、この特定小型原動機付自転車につきましては、ナンバープレートをつけていただく、そういう方向で検討いたしておりますので、譲渡するということになれば、それをつけ替えなければいけないというようなこともございますので、そういった窓口に御協力をいただいて安全教育に関する資料を配付する、そういったことも一つアイデアとしてはあるのではないかということで、あらゆる機会を捉えて、そういった利用される方に交通ルールに関する周知が行き渡るように工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 事業者ではないので、交通安全教育の努力義務すらかからないんですよ。紙を渡して終わり。これで本当に安全教育になるのかといった点でも何も決まっていない、事故が相次いでいる電動キックボードの安全運転対策について何の担保もない、これはやはり道路交通安全対策の後退だと言わざるを得ません。

 ヘルメットの着用についても、先ほど紹介があったように、事業者からは、実証期間中にリピート利用がなかった理由として、利用者から、ヘルメットが汚れていた、ぬれていた、雨の後、ヘルメットがぬれてしまい利用できなくなるケースが多発をした、駐輪場に電動キックボードが置いてあって、雨が降ってヘルメットの中に水がたまっているという写真まで紹介をして、事業として成立させるためにヘルメットの着用を任意化することが必要だと分かったと。それで、事業者は、持続可能なビジネスモデルとするためにはヘルメットの着用義務づけが大きいハードルになってくるので任意としたいと述べているということですよね。

楠政府参考人 お答えいたします。

 先ほど私が読み上げさせていただきましたけれども、御指摘の評価委員会において事業者側からそういった指摘があったということでございます。

 ただ、今回の改正案におきまして、特定小型原動機付自転車につきましてはヘルメットの着用を努力義務というふうにいたしておりますが、これは、繰り返しになって恐縮ですけれども、電動キックボードのうち、性能上の最高速度と大きさが自転車と同程度のものを原動機付自転車から切り出して自転車と同様のルールを定めるというものでございまして、ヘルメットの着用についても、今回の自転車のヘルメットの着用の努力義務化と併せて努力義務とすることといたしたものでございます。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、着用促進に向けまして、しっかりと広報啓発を行ってまいりたいと思っております。

塩川委員 広報啓発でそもそも済むのかという話であって、自分のビジネスのためにヘルメットの着用義務を外してくれというのでは道路交通安全対策を後退させる、それは、交通安全対策に対する規制緩和措置、こういったことを認めるのかというのが問われているわけであります。

 最後に、特定自動運行について、事故時の人命救助対策はどうするのか、自動運転の車に人が乗っていないという際に、事故時に人命救助対策は誰がどのように行うのか。同様に、高速道路上で乗務員なしの特定自動運行の車にトラブルがあって停止をした場合に、後ろから来る車に対して知らせる義務があるわけですよね、発炎筒とか三角板を置くとか。こういうのというのはどうなるんでしょうか。

楠政府参考人 お答えいたします。

 まずは一つ目の、交通事故があったときの措置でございますけれども、今回の改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する義務を課すとともに、特定自動運行主任者が、交通事故が発生した場合に消防機関に通報するなど必要な対応をしなければならないこととし、これに違反した場合の罰則を設けております。

 また、その対応が適切に実施されることを担保するための基準を定めた上で、これを履行するための措置を計画に記載させて、都道府県公安委員会がこれを許可時に審査することといたしております。

 さらに、許可を受けて実施する特定自動運行におきまして交通事故があった場合には、必要に応じて警察署長が許可の効力の仮停止を行うほか、都道府県公安委員会が指示や許可の取消し等の行政処分を行うことといたしております。

 以上のような規定を設けることにより、人が乗車しない場合であっても安全な運行を確保できることと考えております。

 なお、改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する措置に代えて、特定自動運行用自動車に特定自動運行主任者を乗車させることも可能という制度になっております。

 それから二つ目の、高速道路でのトラブルの話だというふうに思いますけれども、今回の改正案では、現在の技術水準を踏まえまして、運転自動化レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転のうち、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いております。

 このようなサービスは、現状におきましては円滑な交通に支障を及ぼすおそれがある、これは具体的に申しますとスピードが出ないといったようなことも、技術的にはまだまだ課題があるというふうに承知しておりまして、そういったことを踏まえまして、特定自動運行による人又は物の運送が地域住民の利便性又は福祉の向上に資すると認められるものであることを許可基準として設けております。

 このような許可基準に適合するのであれば、限定地域における高速道路を一部利用した特定自動運行も排除するものではなく、対象になるとは考えておりますが、まだまだ技術的にはハードルが高いものではないかというふうに思っております。

 仮に高速道路におきまして自動運行が終了して停車した場合には……

上野委員長 楠局長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

楠政府参考人 はい。

 特定自動運行主任者が必要な表示をしなければならないなどの義務を課すこととして、これに違反した場合には罰則を設けることといたしております。具体的な方法としては、先ほど申し上げました特定自動運行主任者が乗車する場合のほか、あらかじめ特定自動運行主任者が自動車に搭載された表示装置を遠隔で作動させる、そういったことも含めて検討しているところでございます。

塩川委員 遠隔操作の人が現場の人命救助対策に当たれないというのははっきりしているわけで、そういった安全対策が措置されないといった懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 道路交通法改正案ということで、九分、質問をさせていただきます。

 まず、今回新たに導入されるものと、我々が日々気にしております選挙との関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、特定自動運行の自動車とか特定小型原動機付自転車とか、これは公職選挙法における「選挙運動のために使用される自動車」に当たり得るものでしょうか。そして、これは我々の選挙運動に使える、そういうものだと理解してよろしいでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法第百四十一条に規定をする「選挙運動のために使用される自動車」につきましては、道路交通法第二条第一項第九号に規定する自動車をいうものとされております。

 特定自動運行の自動車については、同号に規定する自動車であると承知をしておりまして、公職選挙法令で定められた乗車定員や構造などの要件を満たすものであれば、選挙運動のために使用することは公職選挙法上は除外をされていないところでございます。

 特定小型原動機付自転車につきましては、道路交通法第二条第一項第九号に規定する自動車ではないことから、公職選挙法第百四十一条に規定する自動車には該当しません。したがいまして、単に移動のために使用することは差し支えございませんが、選挙運動のために使用することについては、走行しながら連呼行為を行ったり、選挙運動用文書図画を取り付けて走行することはできないものでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 続きまして、もう一個だけ、選挙というか政治活動との関係なんですが、電動キックボードに、例えば小さな看板とか、あと、のぼりをつけたりとか、そういうことは可能でしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 政治活動用の看板やのぼりについては、公職選挙法上一定の規制が設けられているところでございまして、選挙期間以外の平常時に、候補者の政治活動用で候補者の氏名等が記載されたもの、あるいは後援団体の政治活動用で後援団体名が記載されたものを特定小型原動機付自動車、キックボードに取り付けて使用することはできないものでございます。

 他方、このような規制に該当しない政党の政治活動用の看板やのぼりについては、選挙期間以外の平常時に特定小型原動機付自転車に取り付けることについては、公職選挙法上は禁止はされていないものでございます。

緒方委員 本件について、道路交通法上はいかがでありますか、局長。

楠政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも道路交通法による規制ということでお答えいたしますと、道路交通法では積載物の積載方法等について規定が設けられております。例えば、車両に積載装置が備え付けられているかどうか、あるいは、積載が運転者の視野やハンドル操作等を妨げたり車両の安定性を害したりしないか、そういった観点から規制が設けられております。

 そういった意味で、特定小型原動機付自転車に、御指摘ありました看板とかのぼりをこれらの規定に反しない形で積載するということにつきましては、個別具体的な状況によって判断する必要がありますが、この特定小型原動機付自転車という車両の特性を見ますと、一般的にはかなり難しいのではないかというふうに考えております。

緒方委員 皆さん、参考にしてください。

 続きまして、今度は特定自動運行について質問させていただきたいと思いますが、これは地域を絞っての実施であるというふうに聞いております。大体どの程度の数の地域を想定しておられますでしょうか。

二之湯国務大臣 政府が令和三年六月に閣議決定した成長戦略フォローアップでは、公道での地域限定型の無人自動運転移動サービスについて、二〇二五年をめどに四十か所、二〇三〇年までに百か所以上で実現することとされているものと承知しております。

緒方委員 その上でなんですが、私、この法律を見ながらちょっと気になったのが、特定自動運行は、いわゆる無保険車、自賠責のみの無保険車でも行うことが可能ですかということを質問いたしましたところ、どうも、保険を課すように推奨はするけれども、無保険車での運行も可能であるというような答弁がありました。

 今回は、かなり数を絞り込んで、事業者メインなので、そういうことは起きにくいんだと思いますが、今後広がっていったりするときのことも考えたときにも、無保険車で行えるというのは、私は何かちょっと問題が多いのではないかなというふうに思いますが、委員長、いかがですか。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、交通事故に備えた自動車損害賠償責任保険以外の任意保険への加入を、都道府県公安委員会が許可を行うに当たっての許可条件とはいたしておりません。

 他方、警察としては、なるべく一般の任意保険にも加入するよう呼びかけを行っているところであり、特定自動運行についても同様の呼びかけを行ってまいりたいと思っております。

緒方委員 呼びかけだけですかという思いがあります。

 今、国家公安委員長としての答弁でありましたが、これは、一政治家として、二之湯先生、こういう状況にあるということを問題だと思われませんでしょうか。

二之湯国務大臣 事故が起きた場合の責任の大きさを考えれば、強制的といいますか、できるだけそういう保険に入った方がいいと思います。

緒方委員 この件だけじゃなくて、一般論として、いわゆる無保険車というのは、事故を起こしても自賠責以上の補償能力がないケースが多くて、被害者が泣き寝入りをすることが多いです。これは自賠責というものの歴史にも関わるところが多いんですけれども、この件だけじゃなくて、自動車保険とか自動車共済とかいろいろそういう仕組みはあるわけですが、強制加入とまで言っていいかどうか分かりませんけれども、こういうものをより推奨していって、無保険車による被害をどんどんどんどん減らしていくという取組を、私、すべきだと思うんですよね。国土交通省、いかがでしょうか。

野津政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる強制保険の自賠責保険と任意保険は相互に補完し合って自動車事故被害者の方の救済をしているところでありますが、任意保険を義務化するですとかその一元化というのは、保険料の大幅な引上げにつながりますので、無保険車、保険に全く入っていない車両でございますけれども、こういったものの増加を惹起するおそれですとか、過去の事故率が高いユーザーほど料率が上がりまして、かえって無保険となる率が高まるおそれがあるのではないかと考えております。

 こういった観点から、迅速な被害者救済に支障があると考えておりますので、任意保険と一体化することは、強制保険の性質を踏まえ、適当ではないと考えております。

 任意保険になるべく入っていただくということにつきましては、それは推奨すべきというふうに考えております。

緒方委員 一元化をすると無保険の方が増えるという理屈が、ちょっと私、何かよく理解ができなかったんですけれども、もう一回、意を尽くして説明をしていただけますでしょうか。

野津政府参考人 自賠責の場合は、人によらず保険の料金は同一に定められております。車種区分に応じて、人によらず一律になってございます。任意保険の場合は、その方の過去の事故率ですとかそういうもので料率が変わってまいりますので、場合によっては、人によっては非常に高い保険料になるというようなことがあるということで、そういった場合にかえって無保険を惹起するのではないかということを申し上げたところでございます。

緒方委員 よく分かりませんでしたが、終わります。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組の大石あきこです。ありがとうございます。

 道路交通法の一部を改正する法律案について御質問いたします。

 まず、今回の法案に盛り込まれているいわゆる自動配送ロボット、それから電動キックボード、法的には遠隔操作型小型車と特定小型原動機付自転車ですけれども、人々のより便利な暮らしや楽しい生活に結びつくはずのものです。先日、試乗会も委員会で開催され、私も参加しましたけれども、十分に広いスペースで安全な場所で行われた場合に、小型の配送ロボット、かわいらしかったですし、キックボードも楽しそうですし、そういう形で、楽しそうだ、状況によっては楽しい生活に結びつくはずのものだ、そのようには思います。

 でも、現状が伴っていないのではないか、そのように思います。現状、安全が守られない、担保されないという仕組みによって、重大な事故が発生して新たな犠牲者が生まれるのでは、何のための技術革新なのかということになってしまいます。

 実際に、交通事故の被害者八団体が、自動配送ロボットの公道、歩道の交通安全について、重大な危惧を抱いているということです。

 具体的には、例えば、歩行者がロボットを避けるために車道に降りて自動車と衝突するおそれがあるということ、それから、悪天候時にセンサーが正しく作動せずに歩行者の存在を正しく認識できないおそれがある、また、ハッキングされ暴走した場合に危険が発生するおそれがある、そして、一人で複数人のロボットを監視、操作している場合に多重事故に対応できないおそれ、そういったことをおっしゃっています。

 そして、本日でも、立憲民主党の方や有志の会の方、様々な方がおっしゃいまして、命と安全が守られるようにということなんですけれども、守られないということが分かったのではないでしょうか。

 お尋ねします。自動配送ロボット、遠隔操作型小型車についてお伺いします。遠隔操作者が酒気帯びや居眠り、過労などの状態で操作を行った場合、何の法令で裁かれるのでしょうか。

二之湯国務大臣 今回の改正案では、遠隔操作が適切に行われるよう、遠隔操作を行う者に対して、遠隔操作型小型車を確実に操作し、安全に通行させる義務を課すことといたしております。

 その上で、飲酒や過労の状態での遠隔操作を行うことを禁止する旨を業界団体が作成するガイドラインにおいて定めるよう、業界団体に働きかけてまいります。

大石委員 働きかけのみ行うということです。

 また、お尋ねします。遠隔操作型小型車が人を死傷したり物を壊したりした場合に、何の法律で裁かれるんでしょうか。

二之湯国務大臣 個別の事情によりますけれども、道交法のほか刑法の適用も考えられる、こういうことでございます。

大石委員 道交法が適用されるというお答えでよろしいですか。

二之湯国務大臣 個々の事情によりまして、道交法のほか刑法の適用も考えられるということでございます。

大石委員 更にお尋ねします。遠隔操作型小型車が何らかの理由によって暴走してしまった場合でも、人や物に危害が生じない限り、法的責任を問われないということでよろしいでしょうか。

二之湯国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、今回の改正案では、他人に危害を及ぼさないよう、遠隔操作を行う者に対して、遠隔操作型小型車を確実に操作し、安全に運行させる義務を課すとともに、歩行者の通行を妨げることとなるときは進路を譲らなければならないことといたしております。

 今お尋ねのように、遠隔操作型小型車が歩行者に危険を生じさせる走行をした場合には、これらの義務に違反することとなりますので、都道府県公安委員会は、必要に応じ、使用者に対して指示をすることになるわけでございます。この指示に従わなかった場合には罰金が科されることとなっております。

大石委員 人や物に危害が生じた場合にというお答えでしたけれども、人や物に危害が生じない限り、通常の運転とは全く違うレベルで、法的責任を何ら問われないという、そのような状態になっています。

 そして、先ほどの委員の、有志の会の質問でもありますように、自賠責の加入義務がないということで、非常に……(発言する者あり)任意保険が義務がなく、なるべくだとおっしゃっているということでした。失礼いたしました。

 このような状況の中で、先ほどからの質問でも、法律的に歩行者と同等ならばよいのだ、だから歩行者扱いにするというような法律になっている。でも、この自動配送ロボットは歩行者ではない。一つには、運転に限りなく近いものである、それから、もう一つには、じゃ、電動車椅子はどうなんだ、同様じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、これは人に必要な移動とは異なって、配送ロボットという基本的にビジネスで行うものです。そのようなものにここまでの規制緩和を行うというのはおかしいと思います。

 そして……

上野委員長 時間が来ております。

大石委員 時間が、はい。そうしたら、討論のところに回します。

 質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、道路交通法等改正案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、電動キックボードに係る規制を緩和するものだからです。

 電動キックボードによる事故や違反が急増する中、本来求められるのは規制強化です。しかし、本案は、一定の最高速度以下なら免許を不要とし、自転車道や歩道の通行を認め、ヘルメット着用も任意とするものです。

 この議論の発端は、事業者による規制緩和要望です。規制のサンドボックス制度の計画認可のときの議論では、警察庁は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できる区画で、車両の通行を認めるべきでない、手元でアクセルのみで加速できるものは自転車とは異なるリスクがあるとしていました。しかし、事業として成立させるためには規制緩和が必要だという事業者の声に押され、本案が提出されました。警察庁が守るべき道路交通の安全対策を後退させるものと言わなければなりません。

 第二は、レベル4の自動運転の問題です。

 東京パラリンピック選手村で自動運転の車両が人身事故を起こしたように、レベル4の自動運転車両においても交通事故を起こす可能性があります。

 それにもかかわらず、事故を起こした際の救護義務や安全確保義務が緩和されています。本案は、特定自動運行主任者が乗車していなくても運行できるとしています。遠隔地にいる主任者は、事故時に現場での救護や二次災害を防ぐ安全確保措置を行うことができません。レベル4の自動運転の実施は時期尚早です。

 第三は、自動配送ロボット運行の問題です。

 自動配送ロボットは、歩道を通行することも可能としていますが、車体の安全基準を行政が審査する仕組みもなく、運行も許可制ではなく届出制です。現在の技術水準で、歩行者との衝突などが起こらないとは言えず、また、遠隔操作であるためトラブルへの即時対応もできません。運行の安全性が担保されているとは言えません。

 第四に、マイナンバーカードに固執し、普及したい政府が、国民の要求もないのにマイナンバーカードと運転免許証の一体化を推し進めるものであり、認められません。

 以上、企業利益を交通安全対策よりも優先させる本案に反対を申し述べ、討論を終わります。

上野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組の大石あきこです。

 私は、道路交通法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 反対の理由の第一は、交通事故被害者八団体が、自動配送ロボットの公道、歩道の交通安全について重大な危惧を抱いているという点です。具体的には先ほど述べましたので省略いたします。

 こういった団体の訴えというのは非常に切実ですし、それらの具体的懸念に対して、本法案は対策を盛り込んでおりません。

 反対理由の第二は、自動配送ロボットや電動キックボードの操作が運転とほぼ同様にあるにもかかわらず、その位置づけが歩行者に準じたものであるために、安全責任に関する義務が極めて曖昧になっている点です。

 人にけがを負わせたり物を壊したりしても、業務上過失致死や器物損壊に問われるだけであり、道路交通法上の責任が問われません。本法案が道交法改正案であるにもかかわらず、致命的欠陥、矛盾と言えます。

 反対理由の第三は、本法案によって推進される規制緩和が人々の幸福に本当に結びつくのかという点です。

 科学技術は、本来、生活者の暮らしを豊かにするためにあるべきです。本法案に盛り込まれた自動配送ロボットも電動キックボードも、人々のより便利な暮らしや楽しい生活に結びつくはずのものです。しかし、それによって重大な事故が発生して新たな犠牲者が生まれるのでは、何のための技術革新なのかということになってしまいます。

 そして、コロナ禍で人々が外食を控えざるを得ない中、ギグワーカーと言われる食品配送労働者たちが外食産業を下支えしてきました。しかし、彼ら彼女らは労働者としての基本的権利を奪われており、仕事中にけがをしても労災保険も受けられません。自動配送ロボットの技術レベルが上がれば、そうした労働者はやがてロボットに置き換えられ、職を失うかもしれません。私たちは交通事故被害者や被解雇者を増やすためにイノベーションをやっているのでしょうか。本法案はその懸念を払拭する内容になっているとは到底思えません。

 本法案に対して改めて反対の意を表し、討論といたします。

 これで終わります。

上野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、工藤彰三君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法により特定小型原動機付自転車(以下「電動キックボード等」という。)に関する交通ルールが整備されることを踏まえ、新たな交通ルールの周知徹底を図ること。

 二 電動キックボード等及び自転車による事故が頻発していることを踏まえ、悪質な運転に対する取締りを強化すること。また、交通事故情報等を収集・分析し、交通安全の更なる向上に努めること。

 三 遠隔操作型小型車(以下「自動配送ロボット等」という。)が歩行者の安全を脅かすことのないよう、悪質な使用をする者に対し厳正に対処すること。

 四 電動キックボード等の車体の安全性に関する基準を速やかに策定するとともに、基準に適合しない車両や不正に改造された車両に対する取締りを徹底すること。

 五 電動キックボード等及び自転車の安全な走行環境を確保するため、自転車道の整備等に努めること。また、今後電動キックボード等の普及が見込まれることに鑑み、駐車環境の整備等に努めること。

 六 電動キックボード等が又貸しされる場合等においては、販売事業者等が利用者に直接交通安全教育を行うことが困難であることに鑑み、電動キックボード等を実際に利用する者に対する交通安全教育が確実に行われるよう努めること。

 七 視覚障害者を始めとする身体障害者やお年寄り、子どもなどが安心して歩道を通行することができるよう、電動キックボード等及び自動配送ロボット等の歩道走行の在り方について検討した上で、必要な措置を講ずること。

 八 ヘルメットの着用が事故による致死率の低下等につながることに鑑み、電動キックボード等及び自転車について、ヘルメット着用の義務化も含め、ヘルメット着用率の向上に向けた方策を検討した上で、必要な措置を講ずること。

 九 本法により十六歳未満の者による電動キックボード等の運転が禁止されることを踏まえ、当該規定の遵守を徹底するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。

 十 電動キックボード等については、人力により作動する自転車に比べ利用者による制御が難しいことや今後の技術開発の状況、事故の発生状況等を踏まえ、免許制の導入も含め、規制の在り方について検討した上で、必要な措置を講ずること。

 十一 電動キックボード等が、類似の一般原動機付自転車と容易に判別可能となるよう、外観表示の在り方について検討した上で、必要な措置を講ずること。

 十二 自動配送ロボット等については、事故や非常停止が生じた場合の対応を速やかに行うことができるよう、自動配送ロボット等の使用者による対応方法等を検討した上で、必要な措置を講ずること。

 十三 特定自動運行に関する制度の在り方については、今後の技術開発の状況や事故の発生状況等を踏まえ、特定自動運行に係る業務に従事する者の資格要件の創設も含めて検討した上で、必要な措置を講ずること。

 十四 特定自動運行の許可制度の運用に当たっては、許可の審査、条件の付与、変更又は追加、特定自動運行計画の変更等の手続において、事業者の負担や予見可能性に配慮し、手続の効率化や手続が求められる要件の明確化に努めること。

 十五 運転免許証とマイナンバーカードの一体化に当たっては、国民への十分な周知を図るとともに、個人情報の保護を徹底すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。二之湯国家公安委員会委員長。

二之湯国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

上野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上野委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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