第20号 令和4年4月20日(水曜日)
令和四年四月二十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君
理事 足立 康史君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
石原 宏高君 金子 俊平君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
高木 啓君 永岡 桂子君
長谷川淳二君 平井 卓也君
平沼正二郎君 松本 尚君
宮路 拓馬君 宗清 皇一君
山田 賢司君 吉川 赳君
和田 義明君 井坂 信彦君
大串 博志君 岡本あき子君
堤 かなめ君 本庄 知史君
山岸 一生君 阿部 司君
浅川 義治君 堀場 幸子君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
議員 加藤 勝信君
議員 木原 稔君
議員 塩崎 彰久君
議員 中野 洋昌君
議員 岡本あき子君
議員 三木 圭恵君
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(デジタル大臣) 牧島かれん君
国務大臣
(海洋政策担当) 二之湯 智君
国務大臣
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当)
(こども政策担当) 野田 聖子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 山際大志郎君
国務大臣
(共生社会担当) 若宮 健嗣君
内閣府副大臣 赤池 誠章君
農林水産副大臣 中村 裕之君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
外務大臣政務官 上杉謙太郎君
財務大臣政務官 藤原 崇君
文部科学大臣政務官 鰐淵 洋子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 大矢 俊雄君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 川辺英一郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 柳樂 晃洋君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡本 宰君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長) 谷内 繁君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 宮地 毅君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 笹川 武君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府北方対策本部審議官) 伊藤 信君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(内閣府国際平和協力本部事務局長) 久島 直人君
政府参考人
(警察庁交通局長) 楠 芳伸君
政府参考人
(警察庁警備局長) 櫻澤 健一君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 山本 和徳君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 内山 博之君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 御巫 智洋君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 西永 知史君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 川又 竹男君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榎本健太郎君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
鈴木 英敬君 長谷川淳二君
堤 かなめ君 岡本あき子君
中谷 一馬君 井坂 信彦君
同日
辞任 補欠選任
長谷川淳二君 鈴木 英敬君
井坂 信彦君 中谷 一馬君
岡本あき子君 堤 かなめ君
―――――――――――――
四月十九日
子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)
こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)
子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)
こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)
こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)
こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)
こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)
子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)
子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○上野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官大矢俊雄君外二十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。
○山田(賢)委員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。
まず、ロシアによるウクライナ侵略について連日報道がなされております。ロシアの武力侵略はもちろん、民間人の大量殺りくというのは重大な国際法違反であり、決して許されることではありません。
私も、ウクライナへの支援と、ウクライナ国民に思いを寄せることについては否定をいたしません。しかし、その上で、私たちは何か忘れていることはないでしょうか。何の罪もないのに、ある日突然、北朝鮮によって理不尽に拉致され、異国に連れ去られたまま長年自由を奪われ、いまだに御家族と会えない日本人がいる、このことはほとんど報道がなされておりません。過去に終わった話ではありません。現在も深刻な人権侵害が続いています。このことこそ、毎日でも話題にされるべきことだと考えております。
拉致問題の解決に向けて、政府を挙げて、国連始め世界各国に我が国の立場に対する理解や協力を求めていく、このような努力をしていただいていることは承知しております。しかし、世界に理解や協力を求めていくということは重要ですが、肝腎なのは、当事国である我が国自身が行動することです。日本の主張は分かった、日本に全面的に協力するよ、それで日本は一体何をするんだという話でございます。拉致被害者を取り戻すために、自ら主体的に動いていく必要があると考えております。
これまで、拉致問題解決のために様々な方策を要請しても、常に、役所から返ってくる答弁は、何が最も効果的か不断に検討していくというお決まりの答弁が返ってまいります。最も効果的な方策を検討し続けてきた結果、誰一人帰ってきておりません。この状態、これまでの対応が本当に最も効果的な方策だったと言えるのでしょうか。
官房長官、これまでの取組に対する評価をお伺いしたいと思います。
○松野国務大臣 山田先生にお答えをさせていただきます。
拉致被害者御本人も、その御家族も、一年一年と年を重ね、御高齢となっていく中、二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現をしていないことは痛恨の極みであり、誠に申し訳なく思っております。
拉致問題の解決については、米国を始めとする関係国と緊密に連携をしつつ、山田先生から御指摘をいただいたとおり、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であります。事柄の性質上、この場でつまびらかにできないことは御理解を願いたいと思いますが、政府として、北朝鮮にはこれまでも様々な働きかけを行ってきています。
拉致問題は岸田内閣の最重要課題であり、岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を表明をしています。引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現をするために、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動をしていく決意であります。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
対話と圧力ということで、日本は様々な制裁を講じております。国連安保理決議に基づく制裁に上乗せした日本の独自の制裁も様々やってきました。ただ、それでも拉致被害者は帰ってこない。また、北朝鮮は相変わらずミサイル実験を続けております。
こうした中、更に、もっとできることがあるのではないかと考えております。
今回のロシアによるウクライナ侵略に対しては、ロシアのプーチン大統領を資産凍結の対象としております。度重なる国連安保理決議に違反し、核・ミサイル実験を繰り返している北朝鮮の指導者である金正恩を資産凍結の対象とすべきではないかと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
○岩本政府参考人 お答えいたします。
我が国といたしましては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すというのが対北朝鮮外交の基本方針でございます。その上で、先ほど来御指摘ありましたとおり、何が最も効果的かという観点から、不断にその対策を検討してきているところでございます。
朝鮮総連につきましては、現時点におきまして、資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものとは認識しておりません。また、金正恩につきましても、現在対象ではないという御指摘がございました。ですが、先ほど来申し上げました観点から、何が最も効果的かという観点から不断に検討しておる、このことについて御理解をいただきたいと思います。
○山田(賢)委員 やはり出てきた、何が最も効果的かということで、先ほど、なぜ一番最初にその質問をしたかというと、最も効果的な方法を検討した結果、一人も帰ってきていない、そして核・ミサイル実験は相変わらず繰り返されている、これが本当に最も効果的な対応なのかという思いから言っておるんです。
続きまして、朝鮮総連は北朝鮮による日本人拉致事件に関わったという認識は政府にあるのでしょうか、お聞かせください。
○櫻澤政府参考人 お答えいたします。
警察としましては、これまで行ってきました捜査、調査の結果としまして、拉致容疑事案において、朝鮮総連傘下団体の構成員の関与が確認された事例も把握しているところであります。
警察においては、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から朝鮮総連の動向に重大な関心を払っており、今後とも、具体的な刑罰法令に違反する行為があれば、厳正に対処していく所存であります。
○山田(賢)委員 朝鮮総連は実際に拉致事件に関わっているという認識でおります。
その上で、これはテロ組織なのかどうかという観点からお伺いをしたいと思います。
まず、FATFの勧告を受けて、政府においては、国際テロリスト財産凍結法を改正し、大量破壊兵器拡散に関わる者について、居住者間の取引に対して資産凍結ができるように改正を考えておられると承知しております。
ただ、改正前であっても、現在でも、安保理決議による資産凍結対象に指定されれば国外への資金移動は凍結できますし、改正をすることによって国内の資金移動も凍結できるようになるというふうに承知しておりますが、これは要するに、金正恩や朝鮮総連に対する資産凍結も、国連安保理決議によって指定することによって資産凍結ができると理解してよろしいでしょうか。
○大矢政府参考人 お答えいたします。
昨年八月に公表されました第四次のFATF対日相互審査の結果を踏まえまして、内閣官房において、FATF勧告に対応するための法改正を取りまとめているところでございます。その中で、御指摘の国際テロリスト財産凍結法の改正を検討中でございます。これは、FATFの対日相互審査におきまして、国連安保理決議で指定された大量破壊兵器拡散に関わる居住者が行う国内取引について制限措置を講ずるようFATFから指摘を受けたことを踏まえた対応でございます。
個別具体的な個人や団体に関する仮定の御質問についてお答えすることは差し控えさせていただければと思いますけれども、法整備作業におきまして、FATFの指摘を踏まえて、国連安保理決議で指定された大量破壊兵器拡散に関わる居住者が行う国内取引につきまして資産凍結の対象とできるよう、所要の検討を鋭意進めているところでございます。しっかりと対応してまいります。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
もう一つ、テロ資金等提供処罰法についてお伺いしたいと思います。
この法律は、公衆等脅迫目的の犯罪行為を行う者に対して資金提供等を行う行為を処罰するものです。その対象行為として、第一条の第一号に、「人を略取し、若しくは誘拐し、若しくは人質にする行為」が挙げられております。これはまさに北朝鮮が行っている拉致そのものです。人を略取し誘拐する行為である拉致を行っている北朝鮮に対し、資金提供、土地、建物や役務その他の利益を提供する行為は、現行でも本法の処罰対象になるのではないかと考えます。
また、本法では、公衆等を脅迫する目的をもって行われるとあるため、脅迫目的がないと対象にならないのか。今後の改正では、公衆等脅迫目的以外も対象となるとの改正も同時に行われると承知しておりますが、政府の御見解をお聞かせください。
○保坂政府参考人 いわゆるテロ資金提供処罰法は、今委員から御指摘ございましたように、公衆又は国等を脅迫する目的、公衆等脅迫目的をもって行われる略取、誘拐等の一定の犯罪行為を公衆等脅迫目的の犯罪行為といたしまして、その犯罪行為のために資金を提供する行為などを処罰の対象といたしております。
具体的な事例における犯罪の成否につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げますと、公衆等脅迫目的で略取、誘拐する犯罪行為、あるいは公衆等脅迫目的で爆発物の爆発により建造物を損壊する行為など、そういった犯罪行為の実行を容易にする目的で、これを実行しようとする者に対して資金を提供した者については、この法律に違反する罪が成立するということになります。
今、改正の点にも御指摘ございましたが、FATFの昨年八月の勧告におきましては、法定刑をより重くすべきことのほかに、テロ資金供与防止条約附属書に掲げる条約に定める犯罪行為については、公衆等脅迫目的がなくても資金提供罪の適用対象とすべきこととされております。
この点につきまして、法務省としても、内閣官房その他の省庁と連携しながら、この勧告を踏まえた改正の検討を鋭意進めているところでございます。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
金正恩あるいは朝鮮総連等、まだまだ制裁、圧力を強化する余地は残っているというふうに考えております。
例えば、二〇一七年の九月七日、日経新聞によれば、米国は国連安保理において、金正恩の資産凍結、渡航禁止を盛り込んだ追加制裁決議案を各理事国に配付したという報道がありました。その後、それは実現はしておりません。
今般、新たに、国連安保理において、北朝鮮のハッカー集団に対する資産凍結を含む制裁強化決議が検討されているという報道もあります。
金正恩や朝鮮総連を資産凍結対象にできるように、日本として、国連安保理決議に盛り込むよう働きかけていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
先般、北朝鮮によるICBM級の弾道ミサイルの発射等を受けまして、現地時間の今年の三月二十五日に開催されました国連安保理の公開会合におきまして、米国は、新たな安保理決議案を提示すると発言をしております。その際、我が国といたしましても、安保理会合に出席し、かかる米国の発言を歓迎したというところでございます。
現在、安保理理事国でない我が国といたしまして、安保理の決議案がどういう形になるのか、責任を持ってお答えする立場にはございませんけれども、政府としては、北朝鮮による累次の安保理決議違反を受けて、安保理が一致してその責任を果たすことを期待しておりますし、米国を始めとする国際社会と協力しながら、北朝鮮に対して、安保理決議の下での全ての義務に従うということを求めてまいりたいと考えております。また、このような立場に基づいて引き続き安保理の動向を強い関心を持って注視していきたいと思っておりますし、北朝鮮に係る対応につきましては、米国を始めとする関係国と引き続き緊密に連携してまいりたいと考えております。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
要するに、北朝鮮に対する制裁を強化するためには、国際社会に働きかけて、国連安保理決議によって制裁対象に加えれば、いろいろなことができるはずだと思っているんですね。
大事なのは、我が国が当事者としてどう考えているかということでございます。金正恩あるいは朝鮮総連などを制裁対象にしようと思っているのか、思っていないのか。金正恩や朝鮮総連に対する資産凍結をするつもりがあるのか、ないのであれば、それはなぜなのか。我が国は本気で北朝鮮に対して圧力をかける意思がないのではないかと取られます。
これは、対話の窓口として制裁せずに残しておこうというような、そんなお考えがあるのか、この辺の認識について、官房長官、お聞かせいただけますでしょうか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
先ほど政府参考人の方から答弁をさせていただきましたけれども、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すというのが我が国の対北朝鮮外交の基本方針でございます。
政府としての具体的な対応については、これも再三、山田先生から御指摘をいただいておりますが、こうした諸懸案の解決のために何が最も効果的かという観点から不断に検討してきており、引き続き検討は続けていくということでございます。
朝鮮総連については、現時点において、資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものとは認識をしていませんが、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体であると認識をしており、各種動向について引き続き重大な関心を持って情報収集を行っていく考えであります。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
その点が物すごく違和感があって、ロシアのプーチン大統領ですら資産凍結対象にできるのに、我が国の同胞が拉致されている、そして、我が国に向けて我が国の脅威である核・ミサイル実験を繰り返している、こんな国家である北朝鮮、そして、その下部機関である朝鮮総連、こういったものに対する制裁にはちゅうちょする、これはなかなか理解が得られるものではないと思います。
また、官房長官、不幸な過去を清算しというお言葉がありました。しかし、拉致は現在進行中の最も不幸な人権侵害でございます。このことをおいて、不幸な過去を清算しということはあり得ない。まず、拉致されている日本人を全員帰せ、その上で、話はそこからだということではないかと思っております。
ウクライナのゼレンスキー大統領、連日テレビ等に出ておられます。ウクライナがなぜ世界の国民から共感を得るのか。これは、トップ自らが世界に向かって語りかけている、そして、自国が自ら戦っている姿を世界が見ている、その姿に世界が共感しているのではないかと思っております。
ウクライナのニュースは毎日報道されていますが、拉致問題についてはほとんど報道されていません。政府においても、様々な広報に力を入れていらっしゃるとは思いますけれども、広報に力を入れていますよということだけではなくて、日本国民そして世界に対して共感を得る、このことが最も重要だと思っております。
国内外の人々の心に響くようなメッセージを総理や官房長官から毎日でも出していただきたいと思いますが、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
拉致問題の解決のために、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けての強い意思を示すということは、先生のお話のとおり、重要であると認識をしております。
政府としては、拉致問題に関する啓発活動にも力を入れて取り組んでいるところであります。
お尋ねの点につきましては、国民大集会や国民の集い等、拉致問題に関する各種集会において、総理や官房長官兼拉致問題担当大臣である私が出席をし、拉致問題の早期解決に向け、力を込めて発信を行っているところでございます。さらに、政府主催国際シンポジウムやオンライン国連シンポジウム等を通じて国際社会に向けた発信を行っております。また、これらのメッセージを総理官邸や拉致問題対策本部のホームページに掲載をし、ツイッターで発信する等、様々な工夫を凝らしているところであります。
今後とも、拉致問題に関する理解と支援を得るために、国内外の人々の共感を得られるよう、拉致問題に関する啓発活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○山田(賢)委員 ありがとうございます。
拉致被害者はもちろん、御家族も高齢となっており、本当に時間がありません。広報啓発に力を入れているというだけではなくて、しっかりと、一日も早く取り戻せるように、全力で取り組んでいただきたいと思います。このことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 緒方林太郎です。よろしくお願いいたします。
私、時間が少ないので、早速質問させていただきたいと思います。
ウクライナ情勢についてお伺いいたします。
現在ウクライナで起こっていることは、ジェノサイド、集団殺害犯罪であると日本政府は認識しておられますでしょうか、官房長官。
○松野国務大臣 緒方先生にお答えをさせていただきます。
ウクライナ政府の発表や各種報道により、ウクライナ各地において、無辜の民間人が多数殺害をされるなど、残虐な行為が繰り広げられていたことが明らかになっております。我が国として、ロシア軍の行為によりウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けています。多数の無辜の民間人の殺害は、重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪であります。断じて許されず、厳しく非難をします。こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を厳しく問われなければならないと考えております。
ジェノサイドを含む重大な犯罪を犯した者を訴追、処罰するICCの検察官は、ウクライナ側と協力をしつつ、ジェノサイドも含めて既に捜査を始めています。我が国としては、このようなICC検察官の捜査の進展を期待をするところであります。
○緒方委員 現時点では認定をしていないという理解でしょうか、官房長官。
○松野国務大臣 答弁をさせていただいたとおり、ICCの検察官による捜査の進展を期待をしているというところでございます。
○緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。
国際社会には、一九四八年、ジェノサイド条約というものがございます。日本が未締結のものでありまして、先日質問レクの際に大体説明は聞きましたし、過去の答弁も見させていただきました。
私の理解するところでは、国内法の法改正を行えばジェノサイド条約を締結する体制を日本はつくれるというふうに理解をいたしておりますが、外務省、よろしいですか。
○上杉大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、御質問のジェノサイド条約でありますけれども、我が国は、集団殺害犯罪、ジェノサイドのように、国際社会全体の関心事である最も重大な罪を犯した者が処罰されずに済まされてはならないと考えております。こうした犯罪の撲滅と予防に貢献するとの考えの下、国際刑事裁判所ローマ規程の条約国として、その義務を誠実に履行しております。
一方、ジェノサイド条約は、締約国に対し、集団殺害の行為等を犯した者を国内法により犯罪化する義務を課しております。今後、ジェノサイド条約の締結を考えるに当たっては、我が国におけるジェノサイド条約締結の必要性、締結の際に必要となる国内法整備の内容等につき、引き続き慎重に検討を加える必要があるというふうに思っております。
また、国内法ということでありますけれども、刑法のことでございますけれども、現行の国内法制と条約上の義務との整合性については慎重に検討を進めているところであり、御指摘の規程も考慮しつつ検討してまいりたいというふうに思っております。
○緒方委員 ありがとうございました。
これは外務省の事務方にお伺いしたいと思います。国内法の改正を行えばジェノサイド条約は締結できるというふうに認識してよろしいでしょうか、外務省。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
今、上杉政務官の方から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、この締結を考えるに当たりましては、締結の必要性、それから締結の際に必要となる国内法の整備の内容、こうしたことについて検討を加える必要があるというふうに考えておるという状況でございます。
○緒方委員 官房長官、これは必要だというふうに認識をされませんでしょうか。
○松野国務大臣 外務大臣政務官、政府参考人から答弁をさせていただいたとおりでございます。
○緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。
少し先の話になると思いますけれども、ウクライナで停戦が成立をしたときのことを考えて、日本として、例えば地雷除去とか、あとは、これはなかなかハードルが高いかもしれませんが、停戦監視とか、そういったことについてPKOの派遣を検討すべきであると私は思います。
政府の現時点での見解を、PKO担当相である官房長官にお伺いできればと思います。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
ロシアによるウクライナ侵略については、政府として、これ以上のエスカレーションを止め、一刻も早い停戦を実現し、侵略をやめさせるために、国際社会と結束して取り組んでいるところであります。
今後、国際社会が支援できるようなウクライナの復興復旧が見通せる段階になった暁には、今日までの経験も生かし、我が国として積極的な役割を果たしていきたいと考えております。
その過程において、お尋ねの国際平和協力法に基づく支援についても検討していきたいと考えております。
○緒方委員 前向きな答弁、ありがとうございました。
もちろん、PKO五原則とか幾つかの条件がきちっと整って、実際に出ていく部隊の方々の安全が確保されることが条件ではありますけれども、軍事的な様々な貢献が難しい日本としては、こういった停戦成立後の地雷除去とか停戦監視まで踏み込んだ取組をお願いしておきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日、農林水産省から中村副大臣が来ておられますので、質問させていただきたいと思います。
ロシア、ウクライナの農畜産品が世界全体に提供しているカロリーベースでの依存度、これは、本当かどうか分かりませんけれども、ある資料を見ていると、一二%という話がありました。世界全体に熱量としてそれだけのものを提供しているということであって、もちろん日本はウクライナから小麦を輸入したりとかそういうことはないんですけれども、あれは基本的に中東向けなので。ただ、世界全体でそれだけの熱量の分がぽんと抜けるということになると、これはどう考えても食料問題として捉えるべき課題であると思います。
さらには、肥料はロシアに依存しているところが非常に高いということがありますので、こういった観点からも、食料問題であると捉えるべきものだと思うんですが、農林水産省のサイトを見ると、結構細かいことはぽつぽつ書いてあるんですけれども、これそのものが食料問題であるということに対する発信が弱いし、もしかすると取組が弱いのではないかという懸念をするわけでありますが、中村副大臣、いかがでしょうか。
○中村副大臣 お答え申し上げます。
我が国は、議員御指摘のとおり、小麦やトウモロコシについては直接は両国からの輸入はしておりませんけれども、両国はこれらの穀物等の主要輸出国であるということは御指摘のとおりです。
昨年来、穀物相場などが価格上昇している中で、今般のウクライナ情勢が発生をしたことによって、国際相場は更に上昇するなど、御指摘のとおり、我が国の食料安全保障上のリスクは高まっているというふうに農水省も認識をしております。
農水省では、主要な穀物等の相場動向や国内の主な食品の小売価格の動向などについて、ホームページ等を通じた情報提供に努めているところであります。
また、ウクライナ情勢を受けた物価高騰につきましては、総理から原油価格・物価高騰等総合緊急対策を策定するように御指示をいただいたところでありまして、現下の状況にしっかり対応できるよう、必要な対策を検討しているところであります。
さらに、将来にわたって食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産することが重要と考えておりまして、このため、担い手の確保や農地の集積、集約化により生産基盤の強化を図るとともに、今後も拡大が見込まれる加工・業務用需要に対応した生産に取り組むことなどにより、食料安全保障の確立を図ってまいりたいと思います。
○緒方委員 しっかり頑張ってください。よろしくお願いいたします。
少し質問を移させていただきたいと思います。
米中のパワーバランスについてお伺いをさせていただきたいと思います。
長年の、INF条約によって米ロで中距離型ミサイルを廃止をしてきたという歴史があります。しかし、そういう中、中国がその間に中距離型のミサイルを増やして、現在、台湾をめぐるこういうミサイルを中心としたパワーバランスが、著しく中国が優位になっているということがあります。
他国の話でありますけれども、これは日本の安全保障にも大きく関わるところでありまして、このことに対する政府の認識をお伺いいたしたいと思います。
○上杉大臣政務官 お答え申し上げます。
日本といたしましては、中国は、国防費の高い伸びを背景に、御指摘のような中距離ミサイルを含めた核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力を広範かつ急速に強化してきていると見ております。このような中、中国と台湾の軍事バランスは全体として中国側に有利に変化してきており、その差は年々拡大する傾向も見られます。
その上で、あくまで一般論として申し上げますれば、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、現在、岸田総理の指示の下、我が国は新たな国家安全保障戦略などの策定に取り組んでいるところであります。我が国の防衛力の抜本的な強化に取り組むことで、様々な事態に対応する能力を向上させ、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えであります。
○緒方委員 これは、気がついたら中国がすごい勢いで中距離ミサイルを造っているということでありまして、非常にパワーバランスが悪いので、日本として危機感を持つべきだと思います。
次に、二之湯大臣、よろしくお願い申し上げます。
二〇一二年に国連の大陸棚限界委員会というところから日本の大陸棚を延長する勧告が出されまして、幾つかの、四国海盆とか沖大東海嶺南方海域とか、そういうところは日本の大陸棚として政令が確定いたしました。その一方で、小笠原海台海域とか南硫黄島海域については、十年たって成果が得られていません。
これは、実は交渉相手がアメリカであります。日本の主権の問題でありますけれども、実はアメリカとの間で主権の問題が生じ得るものでありまして、十年間成果が得られていないわけでありますが、二之湯大臣、どうなっているんでしょうか。
○二之湯国務大臣 委員御指摘のとおり、小笠原海台の海域及び南硫黄島の海域については、平成二十四年に大陸棚限界委員会から、我が国の大陸棚であるという科学的に認める勧告を受けているわけでございます。
現在、平成二十六年の総合海洋政策本部決定に基づきまして、早期に我が国の大陸棚の延長を確定できるよう、関係国との調整の終了に向けて努力しているところでございます。
いずれにいたしましても、我が国の主権的権利が及ぶ大陸棚を延長することは、我が国の海洋権益に関わる重要な課題でございまして、海洋政策を担当する大臣として、関係省庁とともにしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。
○緒方委員 今、二之湯大臣、関係国と言われたんですが、これはアメリカですよね。その他、もう少し現状について細かく説明いただければと思います。これは御巫審議官ですかね、よろしくお願いいたします。
○御巫政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の小笠原海台海域及び南硫黄島海域につきましては、日米の延長大陸棚が重複する可能性がございますので、アメリカとの関係での調整が必要になります。
両海域における日本の大陸棚延長に係る政令制定に向けては、これまでアメリカとの間で様々なやり取りを行ってきております。
時間がかかっているという御指摘でございますけれども、外交上のやり取りでございまして、詳細は差し控えますが、米国は、当該海域において、延長大陸棚を設定するための調査を実施してきております。この調査の進捗状況も踏まえながら日米間でやり取りをしているという状況でございます。
○緒方委員 頑張ってください。これは本当に日本の主権に関わるところでありまして、重要なテーマでありますので、頑張ってください。
最後、一問だけ。
また全く違うテーマでありますが、アフガニスタンについてお伺いしたいと思います。
昨年の八月に退避をした後、ずっと大使館が今空なんですけれども、現地の状況とかを見ていると、比較的治安が戻ってきているとかいうのがあるので、これはもちろん安全とかそういうものを確認した上でやる必要があると思いますけれども、そういったものがしっかり確保できるのであれば、まずは出張駐在官事務所でもいいので人を戻してはどうかというふうに思いますが、政務官、いかがですか。
○上杉大臣政務官 お答え申し上げます。
在アフガニスタン日本国大使館は、去年九月以降、カタールに臨時事務所を置き、業務を継続しております。岡田駐アフガニスタン大使によるカブールへの出張等を通じ、現地情勢等の情報収集や邦人、現地職員等の安全確保を始めとする様々な事項につきまして、タリバンに対し、直接の働きかけを行っているところであります。
まだ現時点でカブールの日本大使館を再開する具体的なめどは立っておりませんが、在アフガニスタン大使館の再開について、引き続き、現地の治安状況、タリバンの行動、関係国の動向等を総合的に勘案しつつ、検討を続けていく所存でございます。
○緒方委員 終わります。
○上野委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、内閣委員会にて質問をさせていただく機会をありがとうございます。
まず、官房長官に伺います。
緊急事態や蔓延防止の発令基準についてです。
政府は、昨年十一月、新型コロナの感染状況をレベル0からレベル4まで分けて、レベル3で緊急事態や蔓延防止を発令することとしました。レベル3の目安は、病床の使用率五〇%や一週間の新規陽性者数が人口十万人当たり三十人、こういった目安であります。
沖縄県の病床使用率は既に五四%、沖縄本島は六三%にまで高まっています。広島県も今月末には病床使用率五〇%に達するおそれがあると言われています。沖縄県の一週間の新規陽性者数は人口十万人当たり六百人を超えて、レベル3の目安の実に二十倍に達しています。ルールに従えば蔓延防止を適用して当然の沖縄の状況でありますが、政府は蔓延防止の適用を避けて、内閣官房の職員を現地に送り、ワクチンや検査や高齢者施設の対策強化を支援しております。デルタ株の頃とはウイルスの性質も変わり、政府の考え方も行動制限を避ける方向になっています。
そこで官房長官に伺いますが、緊急事態や蔓延防止の発令基準、そして病床使用率五〇%など、レベル分類を変更する考えはないでしょうか。
○松野国務大臣 井坂先生にお答えをさせていただきます。
政府としては、今後しばらくは平時への移行期間として、最大限の警戒をしつつ、安全、安心を確保しながら、可能な限り日常生活を取り戻すこととしています。
オミクロン株につきましては、先生から御指摘をいただきましたとおり、重症化率は低いものの、高齢者への感染拡大による重症者数の増加が懸念をされるところであります。また、軽症の自宅療養者が非常に多いことを踏まえ、これまで、学校や高齢者施設等における感染対策の強化、重点化を図るとともに、自宅療養者に対し、保健所のみに頼らず、健康観察、診察を実施する医療機関を二・二万機関へ拡充するなど、柔軟に対応を見直してきました。
その上で、こうした取組にもかかわらず感染が拡大をした場合における緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置による強い行動制限につきましては、感染拡大により医療提供体制が逼迫をし、必要な方に適切な医療を提供することが困難な状況になることを回避をするために、感染状況や医療の逼迫状況に応じ総合的に判断をすることとしております。レベル分類を含め、こうした考え方については現時点で変わるものではないと考えています。
いずれにせよ、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の適用の考え方につきましては、感染状況や医療提供体制の逼迫状況等を注視しつつ、最新の科学的知見に基づき、専門家の意見を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
○井坂委員 総合的で済ませてしまえば基準は要らなくなってしまうわけでありますが。
資料の一を御覧いただきたいと思います。これは、今月の八日に開かれた新型コロナ感染症対策分科会の冒頭の資料です。感染拡大で医療が逼迫しても社会活動は制限すべきでないという意見もあるということが書かれ、これを踏まえ、どのような選択が可能かを検討する、こういう「今後の感染拡大時の考え方(たたき台)」という資料が、コロナ感染症対策分科会で議論をされたわけであります。
全国知事会も、三月二十三日の緊急提言で、重点措置を再適用する基準を示すこと、また、レベル分類について、第六波を踏まえた新たな基準を示すとともに、特措法上の措置との関係を明確にすることと、強く求めています。
基準をつくった当時とはウイルスの性質が変わり、実際、国は行動規制を避け、地方は新たな基準を求めています。
改めて官房長官に伺いますが、緊急事態や蔓延防止の発令基準やレベル分類など、国も地方も、そして国民も、今や誰もこの基準に従うつもりがない中で、形だけの基準を変更し、新たな基準や行動規制の考え方を示すべきではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○柳樂政府参考人 お答え申し上げます。
こうした基準につきましては、変異を繰り返すこのコロナウイルスの特性、あるいは感染状況や医療提供体制等が都道府県によって異なるというようなことを踏まえまして、あらかじめ明確な具体的基準を示すということにはなじまないと考えますが、そうしたウイルスの特性を十分踏まえつつ、こうした基準につきましては、あるいはその適用の考え方につきましては、感染状況や医療の逼迫状況等を注視しながら、地域の実情を最もよく知る各都道府県知事と緊密なコミュニケーションを取りつつ、専門家の御意見を踏まえて総合的に判断をしていく、このように考えてございます。
○井坂委員 官房長官、最後、一言だけお聞きをしたいんですが、今のような御説明ではありますが、基準も、今後専門家との議論も踏まえてというようなお答えもありました。これは、実際に今後、近々変える可能性があるのかどうか、基準を変える可能性があるのかどうか、最後、お伺いします。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
政府参考人の方から答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、レベル分類も含め、現時点で変わるものではないという認識でございます。
○井坂委員 官房長官への質問は以上でございますので、御退室をいただいても結構です。どうもありがとうございました。
○上野委員長 松野長官におかれましては、御退席をお願いいたします。
○井坂委員 続きまして、デジタル庁の入札について伺います。
まず、参考人に伺いますが、デジタル庁の入札のうち、一者入札の件数や割合、そして、全入札の平均落札率と一者入札の場合の平均落札率についてお答えください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
令和四年四月十五日現在におけるデジタル庁の一般競争入札は、全てで百一件になります。そのうち一者応札の件数は五十六件となってございまして、全入札件数に占める一者応札の割合は約五五%となるものと認識しております。
また、全百一件の一般競争入札における平均落札率でございますけれども、約八六%となっております。そのうち一者応札の場合の平均落札率については、約九二%となってございます。
○井坂委員 デジタル庁の入札のうち、入札に実際に参加した企業が一者だけというのが実に五五%という非常に高い割合であります。また、一者入札の場合は、落札率、要は、値段が、元々想定していた値段の九二%と非常に高止まりをしている、こういうことであります。
デジタル担当大臣に伺いますが、これはさすがに一者入札の割合が高過ぎると思われないでしょうか。
○牧島国務大臣 情報システムの調達に限らずでございますが、一般競争入札において一者応札が多くなることは落札価格の高止まりが懸念されること、私たちはそうした問題認識を持っております。なので、多くの事業者に参加していただいて、より経済性を高めることが必要という認識は持っております。
○井坂委員 ちょっと大臣に、お聞きしたことにお答えいただきたいんですが、まず、受け止め、認識として、デジタル庁のこの一者入札の割合五五%というのは、さすがに高過ぎると思われないでしょうか。
○牧島国務大臣 そのシステム等の中身、性質に関わることもあるというふうには受け止めているところです。
ただ、今後、私どもとしては、一者応札の課題というものは認識した上で、しっかりと多くの事業者に参加していただくようにしなければならない。そのために、デジタル庁としては、令和四年度デジタル庁調達改善計画なども策定しているところでございます。
○井坂委員 大臣、はっきりおっしゃらないのでやや不安なんですが、私は高過ぎると思います。そういう御認識がもしないのであれば、これは改めていただかなければいけないというふうに思います。
と申しますのは、今年の三月二十五日に政府の行政改革推進会議が公表した令和三年度の上半期の調達改善の取組に関する点検結果という報告書がございます。政府全体の調達の中で一者入札の割合は二一%しかないというふうに報告書には書かれています。その中で、各府省庁は、一者入札となった契約について要因の把握と分析に努め、その改善を図る必要がある、こういうことも書かれている。さらには、各府省庁は、それぞれCIO補佐官の助言を得ながら、情報システムの要件定義の明確化や、従来の受注者等、特定の事業者に有利な仕様内容とならないように、このように書かれています。さらに、中には、デジタル庁においては、同庁自らが実施する情報システム調達の改善を進めることが必要である、こういうふうに書かれているわけであります。
大臣に重ねて伺いますが、こういう、五五%が一者入札となってしまっている中で、この一者入札を減らす、その方法について伺います。
○牧島国務大臣 まず、私ども、引き続き一者応札の改善に取り組むということは冒頭申し上げたいと思います。
その上で、具体的には、令和四年度デジタル庁調達改善計画を策定し、汎用的な製品、オープンソフトウェアの活用に加え、今年度から新たに、公募、技術的対話による新規参入事業者の確保、保守等契約への新規参入促進を図る環境改善、一者応札の回避方策の検討などを行うこととしております。
○井坂委員 平井前デジタル大臣が、昨年の六月十一日の記者会見でこう述べておられます。一者入札が多いであるとか、金額が高止まりしているという指摘を受けるというのは、やはり政府の発注能力がないということなんです、そういう流れの中で今回デジタル庁というものを創設して、自らがきちんと要件定義ができて、そして、フェアな発注ができるようにしたいという思いですからと、初代のデジタル担当大臣がこうおっしゃっているわけであります。
ところが、実際は、デジタル庁そのものが、現状、一者入札の温床になってしまっています。
大臣、本日、答弁、そのようにいただきましたが、お取組は御答弁いただいたとおりでやっていただきたいんですが、結果として、また今後もデジタル庁で一者入札が続けば、これは、デジタル庁が、デジタルに詳しくなくて、発注能力がないということになってしまいます。更に心配なのは、デジタル庁の関係者や周辺の業者で癒着や談合が疑われかねないことにもなってくるわけであります。
きちんと、結果として一者入札を減らすと、最後に大臣、一言御決意をお願いします。
○牧島国務大臣 今御指摘ございましたとおり、発注能力、しっかりとデジタル庁として高めていかなければならない、不断の努力を続けてまいります。そして、一者応札の改善に取り組んでまいります。
○井坂委員 続きまして、霞が関の省庁をつなぐネットワークについて伺います。
資料の二を御覧ください。
これは先週十五日に終わった入札で、やはり一者入札となっています。この業務の中身は、令和四年度以降に各省庁のネットワーク、これを順次、更改を機に省庁間ネットワークにつないでいく、そのための新しい機器を各省庁で整備をしていく、こういう内容の入札であります。
このネットワーク更改は四年ごとに行うのが標準的ですので、今年から始まって令和八年までには全省庁のネットワークが移行をする見通しです。その最初の入札がこのように一者入札ということで、今後の各省庁の入札も心配をされます。
参考人に伺いたいんですが、しかも、五回入札をしているということは、これは予定価格を超える入札価格だったために、一者しかいないのに一回では決まらなくて、ちょっとずつ値段を下げて下げて、ぎりぎり、恐らく予定入札価格を下回ったのか、あるいは最後まで下回らなかったのか、非常に価格も高止まりをしているわけであります。
参考人にこの入札の経緯を幾つかお伺いをいたしますが、本件の入札に関して、ほかの会社が入札をするような動きは途中でなかったのかどうか、伺います。
○楠(正)政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと、事前にいただいていた御質問と違うものですから、十分な情報を持ち合わせていないんですけれども、問合せがあったかどうかにつきまして、改めてお答えさせていただければというふうに思います。申し訳ございません。
○井坂委員 入札の要件が厳し過ぎて入札参加者が少なかったために、途中で入札要件を緩めたり、あるいはそれを検討したようなことがあったかについてもお伺いをしたいと思います。
○楠(正)政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまの件につきまして、やはり何点か、調達の内容につきまして、条件としてもうちょっと緩めてほしいというような御提案をいただきましたので、例えばSIMの形状に関しまして、ナノSIMだけではなくマイクロSIMにするですとか、あるいはネットワーク機器の性能要件を見直す等の調整を行っているという経緯がございます。
また、先ほどの件についてですけれども、ほかの事業者からの引き合いがあったかという点につきまして、公告期間中の資料閲覧事業者は四者ということと、また入札説明会には十一者が参加をしておりました。
○井坂委員 実は、本件の入札の前には実証実験が行われたというふうに、これはデジタル庁からも聞いています。実証実験を行ったそのシステムが現在も残っていて、そことの接続が求められる今回のシステム入札の要件だというふうにも伺っております。
大臣にお伺いをしたいのですが、本件入札、一者入札になりましたが、今後の省庁間ネットワークの入札について。
デジタル関連の入札が公共工事の入札と違うのは、例えば道路なら、ある区間と隣の区間を別々の業者が造っても、道路はつながって車は走れるわけであります。しかし、デジタルの場合は簡単にそうはなりません。また、道路ならどの業者が道路を造ったとしても維持補修は別の業者がすることができますが、デジタルのシステムは、つくった業者しか維持補修ができないものになりがちであります。
このガバメントソリューションサービスへの移行、本件の入札について、最初の省庁、本件を受注した業者が、また今後の入札、別の省庁の入札でも有利になってしまう可能性はないですか。
○牧島国務大臣 昨年末に閣議決定いたしましたデジタル社会の実現に向けた重点計画においては、各府省庁のネットワーク環境を、それぞれのネットワークの更改等を契機に、利便性とセキュリティー両面を確保したネットワーク環境に統合することとしています。
その際、各府省庁のネットワーク環境整備に係る調達については、競争性の観点から、端末の調達、LAN回線工事等のネットワークの構築の調達など、複数回に分けて調達を実施することとしています。
今御指摘ございました調達は、令和四年度にネットワークの統合を開始する農林水産省等のネットワーク構築、保守に係る調達でございますが、これまで複数回行った調達において、異なる事業者が落札をしています。
来年度以降、その他の府省庁のネットワークについて、別途調達が行われる予定ですが、引き続き、複数回に分けて調達を実施することや、特定の事業者に有利になることのないよう仕様書を策定することなどに取り組んで、公平性が確保され、多様な事業者が参入できる環境をつくってまいりたいと考えております。
○井坂委員 先ほどは同じ業者が落札し続けないのかということをお聞きしましたが、今度、似たようですけれども違うのは、同じハードやソフトが今後も使われ続けることになるのかということについてお伺いをしたいと思います。
ちょっと先に参考人にお伺いをしたいんですけれども、この資料の二の下の図の方で、水色のストローみたいな、パイプみたいな、オーバーレイネットワークというようなことが書かれております。このオーバーレイネットワークの仕様や要件が特殊なために、入札に参加できる企業、あるいはそこで使えるハードやソフトが限定をされ過ぎたというようなことはないですか。
○楠(正)政府参考人 お答え申し上げます。
原則といたしまして、標準的なプロトコルで仕様書を記載しておりまして、こういったものが特定のベンダーにしか落札できないようなものにするという意図はないというふうに認識をしております。
一方で、特に、NaaSを始めとした割と新しいサービスに関しましては、どうしても、まだ標準ができ上がっていない部分というのはございますので、そういったところをどういうふうに相互運用性を確保していくのかというところは、今後の課題もあるものというふうには認識をしております。
○井坂委員 結果的に特定のハードやソフトしかネットワークに使えないようになって、特定の事業者しか例えばメンテナンスに参加できないというようなことにならないようにお願いをしたいと思います。
ちょっと、大臣、一点飛ばしまして、最後にマイナ保険証について伺います。
マイナンバーカードに保険証の機能がくっついて、大変期待をされていたサービスでありますが、聞くところによると、このマイナ保険証を使うと患者さんの窓口負担が逆に増えてしまうというふうに聞いております。
参考人、これは幾ら増えるのか、お伺いいたします。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年度の診療報酬改定におきましては、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認を活用いたしまして、外来で過去の薬剤情報や特定健診の結果などの情報を活用いたしまして診療が行われた場合等に、初診料等に新たな加算を設けて評価をすることとしたところでございます。
具体的には、医療機関等が薬剤情報等を活用して診療等を行った場合の加算、それから、実際に薬剤情報等を活用しなくても、診療等で活用できる体制が整えられている場合の加算、この二つの仕組みがあるところでございます。
まず、オンライン資格確認を活用する体制が整っている医療機関等において、患者さんがマイナンバーカードを利用されて、同意の上、外来で過去の薬剤情報や特定健診の結果などの情報を活用して診療等が行われました場合には、先ほどの一つ目の加算が算定できて、医療機関では月一回に限り、初診の場合に七点、再診の場合には四点、薬局では月一回に限り三点が加算されることとなっております。
これに伴いまして、医療費の自己負担割合が三割の患者さんの場合には、医療機関では月一回に限り、初診の場合二十一円、それから再診の場合には十二円、また、薬局においては月一回に限り九円を新たに御負担いただくこととなっております。
なお、この加算に加えまして、先ほどの二つ目の、体制が整えられている場合の加算、これを算定することはできないということになっているところでございます。
一方、オンライン資格確認を活用する体制が整っている医療機関で、従来の保険証を持参したために薬剤情報等を活用しなかったといった場合には、令和六年三月三十一日までの間に限りまして、医療機関では初診の場合三点、薬局では三月に一回、一点が加算されるということになっておりまして、これに伴い、三割の負担の患者さんの場合には、医療機関では初診の場合が九円、薬局では三月に一回で三円を新たに御負担いただくということとなってございます。
○井坂委員 普通の保険証でも僅かであるが窓口負担が上がってしまうということで、ちょっと、最後、大臣に伺いますが、やはりマイナンバーカード、なかなか思ったように普及をしない中で、せっかく新しいサービスがカードに追加をされても、その費用が結局利用者に上乗せをされてしまう。このインセンティブ設計はいかがなものかと思いますが、どうですか。
○牧島国務大臣 今の件は、厚労省より御答弁がございましたとおり、報酬改定については、一義的には厚生労働省、そして中医協での議論を経たものというふうに伺っております。
私どもとしては、マイナンバーカードの利便性、メリットをしっかりと国民の皆様に伝えていきたいと存じます。
○井坂委員 ちょっと、伝えていきたいだけでは大変残念でありますので、引き続き頑張っていただきたいと思います。
以上です。
○上野委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。
早速、尖閣諸島についてお尋ねいたします。
石原慎太郎先生が都知事の頃、尖閣諸島の主要な島々は私有地でしたので、外国勢力に購入、開発されれば、それをもって主権を主張されかねないということで、都で購入しようとしましたが、都税を投入するのはということで寄附を募り、全国から十四億円を超える寄附が集まりました。都がその寄附を原資に地権者と交渉に入ろうとしたところ、当時は民主党政権でありましたが、政府が先に交渉をまとめ購入したため、都に募金で集まった資金だけが残ったという結果となりました。
都の条例では、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金とすると定め、国に対して尖閣諸島での活用をするよう毎年求めております。寄附をされた国民の思いに応えるためにも何らかの活用法を考えていくべきであり、そのボールは今政府の側にあると認識しておりますが、政府はどのように考えているのか、また具体的に検討したことがあるのか、お尋ねいたします。
○川辺政府参考人 お答え申し上げます。
東京都の管理する基金につきましては国がコメントする立場にはないということでございまして、尖閣諸島については、正確な情報発信をして、内外の世論を味方につけていくことが大変重要だと考えております。
なお、東京都の要望先の一つとして、私が室長を務めております領土・主権対策企画調整室に対して、尖閣諸島に関する情報発信について要望が出されておりますが、政府としては、令和二年にリニューアルされました領土・主権展示館を拠点とし、石垣市などと、共に協力しながら、尖閣諸島に関する内外発信に取り組んでおります。引き続き、その充実強化に努めてまいりたいと考えております。
○杉田委員 ちょっとそれは余りにも事なかれ主義が過ぎるんじゃないでしょうか。民主党政権時代とはいえ、石原都知事がやろうとしていたことは国としても把握していたはずですし、それを横入りするような形で、尖閣諸島を守りたいと寄附した方々の思いをないがしろにし、そのまま十年以上も宙に浮いたままになっている。私は、国にも責任があると考えております。目的があって寄附をしたお金が目的のために使われていない、この状態をどうして国が放置できるのでしょうか。
この問題につきましては、今後も取り上げていきますので、しっかりと前に進めていただきたいとお願いを申し上げます。
また、尖閣諸島は指定離島になっていないと理解しておりますが、尖閣諸島を指定離島に定めることも含め、周辺に豊富な資源がある国境離島ですから、今後、日本政府として、どのように開発利用していくのか、国際的にもメッセージを発していくことが重要だろうと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、ロシアによる不法占拠が続いている北方領土ですが、北海道稚内に所在する宗谷岬には日本最北端の地の碑という碑が建っておりまして、ここでは日本最北端到達証明書なるものが発売しています。しかし、日本の最北端の地は択捉島のカモイワッカ岬です。国内外の観光客や修学旅行生も多く訪れる地で、この碑や証明書の名称をそのまま放置すれば、多くの誤解が生じます。現に、SNSやこの地の口コミサイトなどを見ると、あたかもこの場所が日本最北端であるかのように認識していると思わしき方々が散見されます。
日本最北端という呼称を用いることで観光客を呼び込みたいという経済的な側面もあろうかとは思いますが、例えば、鹿児島県の南大隅町にある佐多岬は、本土最南端を売りにして多くの観光客が訪れています。政府として、地元の自治体や観光協会に、本土最北端の地と名称を改めるように求めることはできないのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
稚内市に確認いたしましたところ、御指摘の碑は、元々、地元有志が建てた石碑があった場所に稚内市がモニュメントを設置し、昭和六十三年以降管理をしているということでございます。
おっしゃったように、日本最北端の地とうたわれておりますが、これは、稚内市によりますと、通常の交通手段で到達できる我が国最北端の地という前提であるというふうなことでございます。
北方四島につきましては、これは我が国固有の領土でありまして、御指摘のとおり、我が国の最北端の地は択捉島のカモイワッカ岬でございますが、北方四島は現在ロシアが不法に占拠しておりますため、このような状況にある北方四島を除けばという前提におきまして、御指摘の碑が直ちに問題になると断じることはできないのではないかというふうに考えております。
なお、稚内市には、御指摘の碑が存在する宗谷岬よりも更に北に弁天島という島がございます。ここも通常の交通手段では到達できない島でございまして、この弁天島には特段の碑は設置されていないということでございます。
地理上、我が国の最北端が択捉島であることにつきましては、私ども内閣府北方対策本部あるいは国土地理院のホームページにも記載しているところでございまして、そういったことについてはしっかり伝えていきたいというふうに考えてございます。
以上です。
○杉田委員 やはり、北方領土が日本の領土だということをしっかりと発信をしていただきたいと思います。現に、検索エンジンで日本最北端と検索すると、政府広報よりも上にこの場所が表示されます。これでは誤った認識が広まってしまいますので、是非よろしくお願いを申し上げます。
コロナでステイホームが呼びかけられる中、生活必需品や食事をインターネットで注文する人々が急増しました。自宅療養中の人々にも非接触で食事や水を届けることができる、まさに、コロナ禍において、国民の生活に欠かせない社会インフラになりました。また、その配達員としての仕事は、コロナ禍で仕事を失ったり仕事が激減した方の生活も支えてきました。
しかし、宅配業者やフードデリバリーのドライバー等が注文を届ける際に、駐車違反の罰金を取られることも少なくないと聞き及んでおります。一度駐車違反の罰金を取られると、それだけで一日の売上げの大半を失ってしまい、むちゃな運転をするようになる、また、駐車禁止でないスペースを探して繁華街でよそ見運転をする、それが事故を招くことがあるかもしれません。
一方で、郵便局員による郵便物の配達については、道路交通法第四条第二項の規定に基づき、専ら郵便物の集配に使用中の車両については、公共の福祉を増進するという郵便事業の性格を踏まえ、駐車違反規制の対象から除外する措置を講じているものと認識しております。
昨今の事情に鑑みますと、宅配便の配達業者やフードデリバリーの配達員についても同様に公共福祉を増進するという性格を持つものであろうかと思いますが、まず、これらの駐車禁止規制の取締りについて、どのように行われているのでしょうか。
そして、これらの車両に対して一定の緩和を講じることはできないのでしょうか。駐車時間は大体五分程度なんです。それによる交通への負担と止められないことによる社会への負担増を比較し、検証していただきたいと思っております。例えば、いわゆる黒ナンバーや緑ナンバー等の事業用車両については、都心のエリアだけでも限定的に緩和してみる、あるいは一定時間の猶予を設ける、それだけでもこのコロナ禍において意義のあることだと考えます。
また、二輪車については、そもそも駐輪場が非常に少ない状況にあり、二輪車に乗ろうという人自体が減少しております。警察庁のお考えをお聞かせください。
○楠(芳)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、警察庁としても、貨物集配に伴う駐車需要への対応は重要であると認識しておりまして、各都道府県警察に対し、通達等により、貨物自動車運送事業者団体等からの要望を踏まえながら、貨物の集配に時間を要する集合住宅の付近などにおいて、駐車禁止規制の対象から集配中の貨物車を除外するなど、きめ細かく駐車規制を見直すよう指導しているところでございます。
また、自動二輪車等の駐車場が四輪車と比べて少ない水準にあることを踏まえまして、路外駐車場の整備を自治体等に働きかけるとともに、自動二輪車等の駐車規制の見直しを行うよう、通達等により都道府県警察を指導しているところでございます。
一方、違法駐車は、交通渋滞を悪化させ、歩行者や車両の通行の妨害となることから、警察におきましては、地域住民の皆様の意見、要望等も踏まえながら、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた取締りを実施しております。
警察といたしましては、引き続き、交通の安全と円滑を図るため、道路管理者を始めとする関係機関と連携しながら、総合的な駐車対策を推進してまいりたいと考えております。
○杉田委員 ありがとうございます。
警察庁としては、かなりしっかりといろいろな対策を前に進めていただいているというようなことがよく分かりましたが、しかし、それが今のところ現場に周知をされていないのではないかという印象を持っております。今後は周知の部分についてもしっかりとやっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
続いて、男女共同参画について数点お尋ねをいたしますが、この際に必ず話題に上がるのが、スイスのNPO、世界経済フォーラムが作成したジェンダーギャップ指数です。これまでも、日本は大変順位が低い、男女格差が大きく、男性優位な社会であるといった論調が報じられてきました。また、第五次男女共同参画基本計画でも、このジェンダーギャップ指数が大きな柱となっていることがうかがえます。
皆様にお配りしました資料の一枚目、これは、内閣府男女共同参画局のホームページ内にある、男女共同参画に関する国際的な指数のページです。御覧いただければ分かるとおり、指数は複数あり、例えば、真ん中の国連開発のジェンダー不平等指数においては百六十二か国中の二十四位と、表にはございませんが、日本はアメリカやイギリスよりも高い順位なんです。名称から誤解もあろうかと思いますが、この順位は高いほど不平等が少ないという評価です。
男女共同参画局自身もこれら国連開発計画のデータを紹介しているにもかかわらず、なぜジェンダーギャップ指数ばかりを基準としているのでしょうか。
例えば、アメリカなどは大変分かりやすく、政策決定において他国のNPOが作成した指数を引用するようなことはありませんし、そもそもジェンダーギャップ指数自体が余り知られておりませんが、他の国はどうでしょうか。諸外国が政策決定の議論においてこのジェンダーギャップ指数を引用又は活用されているのか、政府はどう把握しておられるでしょうか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数は、スイスの非営利財団の世界経済フォーラムが毎年公表しているものでございます。
世界経済フォーラムは年次総会を毎年冬に開催しておりまして、通称ダボス会議と呼ばれております。このダボス会議には、世界の大統領や首相、また大企業の経営者、様々な研究者、学者の方々などがスイスのリゾート地ダボスに集まって、世界に関わる様々なことを議論されていると理解しています。我が国からも、御都合がつく限り、歴代の総理が御出席されてこられました。
このスイスのダボス会議の作っている、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数におきましては、日本は教育と健康のスコアが世界トップクラスでございます。他方、政治と経済のスコアが低いことから、百五十六か国中百二十位となっている次第であります。
諸外国において、この世界経済フォーラム、ダボス会議のジェンダーギャップ指数を政策決定の際に参照しているかにつきましては、必ずしも全貌を把握しているわけではございませんが、例えば、イギリスの議会のレポートや、世界銀行、これは国際機関でございます、世界銀行のジェンダーギャップを示すデータベースなどでこの世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数が紹介されているものと承知をしております。
○杉田委員 済みません、まだまだ聞きたいことがたくさんあるので、答弁は簡潔にお願いをいたします。
先ほどの答弁にもございましたとおり、日本は健康の分野におきまして、また教育の分野におきまして非常に男女平等が実行されている、高い水準にあるということでございます。が、いつもこのジェンダーギャップ指数が低いところばかりが取り上げられて、まだまだ努力が足りません、もっと頑張りましょうばかり発信されていて、これでは萎縮をしてしまって、劣等感を植え付けてしまうだけではなくて、国際的にも誤ったステレオタイプを与えてしまうのではないかと思います。
先ほどの局長の答弁にあったように、日本は教育や健康の分野において男女平等な国ですよと国際的にアピールすることも必要ではないかと思いますので、是非、御検討をお願いいたします。
さて、第五次男女共同参画基本計画には、男女共同参画の視点に立った各種制度の見直しの具体的な取組として、男女の多様な選択を可能とする育児、介護の支援基盤の整備について書かれています。
内閣府が発行する広報誌「共同参画」令和四年一月号、資料の二枚目、「ベルサイユのばら」の主人公のオスカルが「フランス革命の次は日本のジェンダー革命だ!」と勇ましく叫んでいる表紙のものです。特集一の、「ベルばら」の作者、池田理代子先生へのインタビューで、林局長は、日本も、最近は家族が多様化してきておりますので、昭和時代にできた専業主婦モデルやその意識は現実に合わなくなってきていると思いますと述べておられます。日本には現在でも、専業主婦を希望する方々や、現に専業主婦である方々も多くいらっしゃる中で、局長のこの御発言、また広報の在り方は、女性の生き方の多様な選択を狭める、多様化の否定にならないかと懸念しております。
私は、働く女性も、専業主婦の方々も、育児や介護に専念する方々もひとしく、頑張っている女性、輝く女性だと思っております。男女共同参画局は、専業主婦として家族を支えたい、子供と長時間一緒に過ごしたい、そういった方々の意識は現実に合っていないとの認識なのでしょうか。
○上野委員長 林局長、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
○林政府参考人 男女を問わず、全ての方が自らの意思に基づき個性と能力を十分に発揮できる社会をつくっていくことが重要と考えておりまして、専業主婦という選択を否定することは、私は全く考えておりません。
御指摘の「共同参画」令和四年一月号におきましては、女性を取り巻く社会情勢は昭和の時代から様変わりしているということで、例えば、現在は、毎年、結婚六十万件に対し、離婚は二十万件となっております。また、夫が就業している世帯のうち共働き世帯は約三分の二となっております。また、五十歳時点で配偶者のいない方は男女共に三割となっております。こうした状況を踏まえますと、稼ぎ手の夫と専業主婦という世帯だけを標準として政策を考えることは、それ以外の方を取りこぼしてしまうことにならないかという問題意識を申したものでございます。
○杉田委員 そのようにはちょっとこの文章からは読み取れませんでした。
続いて、男女共同参画局の認識では、男女共同参画において選択的夫婦別氏制度は必要な条件なのでしょうか。
先ほどのインタビューで、池田先生は、選択的夫婦別氏制度について賛成であることがうかがえるような御意見を述べられています。個人の考え方は尊重いたしますが、様々な意見がある制度について、内閣府の広報誌がある一方の意見のみを是として広報することについては違和感を覚えます。今後は、選択的夫婦別氏制度に慎重である方のインタビューも予定されているのでしょうか。
○林政府参考人 選択的夫婦別氏制度についてのお尋ねでございました。
夫婦の氏に関する法制度につきましては、令和四年三月二十五日に公表された家族の法制に関する世論調査によれば、現在の法制度を維持した方がよいとする回答が全体の三割を下回っておりまして、特に二十代から四十代では、現在の法制度について一〇%台の低い支持にとどまっております。こういったことから、これから結婚して家庭を築くとともに社会の第一線で活躍する世代を中心に、新しい法制度を求める声が高まっているものと受け止めております。
また、婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることに加えまして、欧米と異なり、日本の職場では名字を呼び合うのが通常でございますので、こうしたことを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの指摘もございます。
こうした中で、夫婦の氏に関する法制度につきまして、現行制度に代わる案として行政府から提案されたものとしては、平成八年、法制審議会の答申で提言された選択的夫婦別姓制度のみと承知しております。
夫婦の氏に関する具体的な法制度の在り方につきましては、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めていくというのが現在の政府の方針でございます。
なお、岸田総理は、選択的夫婦別姓制度の導入につきましては……
○上野委員長 局長、簡潔にお願いします。
○林政府参考人 より幅広い国民の理解を得る必要があると述べておられることを踏まえ、そうした観点から国民の理解促進に努めているところでございます。
○杉田委員 政府の広報として望ましい広報の在り方をお願いをしているところなんです。
次に参ります。
資料の三枚目、四枚目を御覧ください。こちらについては質問はいたしませんが、この広報誌「共同参画」について、疑問に感じるような表現が散見されます。
林局長は、今、日本の有権者の五二%が女性で、女性の方が多数派であるにもかかわらず、女性の議員がこんなに少ないのは非常に残念ですと発言していらっしゃいます。個人の意見としてこう考えることは自由ですが、言うまでもなく、有権者の投票行動は有権者に委ねられているものであります。
内閣府の局長というお立場で、有権者のうち女性の方が多数派なのにという文脈において、選挙の結果に対し、よしあしの感想を内閣府の広報誌で述べられるというのは、日本の民主主義に対していささか踏み込み過ぎではないか、有権者や候補者を余りにも軽視した御発言ではないかと感じます。
また、今、日本ではLGBTQの理解増進法案すら通らないという状況ですと述べていらっしゃいます。現在、いわゆる理解増進法案は各党において議論を深めている状況であり、国会には提出されていないので、理解増進法案すら通らないというのは事実誤認であり、内閣府が発行する広報誌において、余りにも無責任であるとの印象が否めません。
男女共同参画について公平公正に正しく広報していただくことをお願いして、質問を終わります。
○上野委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
先ほど、立憲民主党の井坂委員が、改めてマイナ保険証について取り上げられました。議論が何かぐるぐる回っていて、決して生産的な議論になっていないと思いますので、井坂さんは分かっておっしゃっているんだと思いますが、これは結局、付加価値というかサービスの価値が上がるので、当然、サービスの料金全体が膨らむわけですね。すると、三割なりなんなりの自己負担も上がる。これは当たり前といえば当たり前のことであります。
今日は、厚労省、お越しをいただいて、榎本審議官、ありがとうございます。もうマイナ保険証と診療報酬の関係は、先ほど井坂委員に対する御答弁で全部言っていただいたので、繰り返しません。
その上で、私は、政府の答弁はよく理解できます。先ほど大臣も御答弁されたように、利用者さんというか患者さんのメリットをしっかりと理解していただくという御答弁は、そのとおりだと思うんですね。
ただ、同じようなことが繰り返し議論されて、例えば、妊婦さん、妊婦さんの、余り詳しくないんですが、妊婦加算についても大議論があった、あのときと全く同じ議論をしているんですね。
妊婦加算は最終的にどうなったか、なぜそうしたか、厚労省から御答弁ください。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
妊婦加算について今お尋ねをいただきましたところでございますが、この妊婦加算につきましては、妊婦の方の外来診療において通常より丁寧な診療を行う必要があるということを評価する観点から、平成三十年度の診療報酬改定において創設したものでございますけれども、創設後の状況、また与党における議論を踏まえまして、平成三十一年の一月一日に凍結されたというものでございます。
○足立委員 だから、その理屈ですね。もし妊婦加算がなくなっていいのであれば今回の加算だってなくなってもいいわけで、妊婦加算のそういう結論、与党が決めたということですが、論理的に破綻したことを政府・与党は決められたのか。どういうロジックなのか教えていただけますか。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
妊婦加算の廃止のときに大臣から御発言があったところでございますけれども、このときには、妊婦加算について、改めてこの加算の趣旨に立ち返って医療保険制度や診療報酬体系の中での在り方について考えてみたということで、妊婦の方がより一層安心して医療を受けられるようにするという、妊婦加算が目指すものは依然として重要だと考えますけれども、しかしながら、それを実現する手段として妊婦加算という仕組みが適当であったかどうか、改めて考えてみる必要があるというふうに考えるに至ったというふうに御発言をいただいているところでございます。
そういった中で、一旦凍結をすることとして、妊婦の方に対する診療の在り方について有識者も含めて御議論いただいた上で、妊婦加算の在り方について改めて中医協で議論してもらうことにしたといった説明がなされているところでございます。
○足立委員 政治的に処理されたということかもしれませんが、妊婦さんが安心して医療を受けられるために、妊婦加算というのはいかがなものかという問題提起があって廃止をしたわけです。そうであれば、今回も同じ趣旨から、国民の皆様が安心してマイナ保険証を使えるようにするために、今議論されている加算、今回議論されているマイナ保険証に係る加算は廃止してもいいということになりますが。
○榎本政府参考人 今御指摘いただいたところでございますけれども、御指摘の妊婦加算につきましては、妊婦という患者さんの状態のみを要件として設けられた加算ということでございます。
一方、今回のオンライン資格確認に係ります加算につきましては、外来で患者さんに同意いただいた上で過去の薬剤情報や特定健診結果の情報を活用して診療などが行われた場合などの医療機関等の具体的な取組と、そして、より質の高い医療を受けられるという患者さんのメリットが評価されたものであるというふうに考えておりまして、算定要件上特定の患者さんの状態のみを要件としていた妊婦加算とはちょっと異なるというふうに考えてございます。
この仕組みによります患者さんのメリットについて具体的に申し上げますと、例えば、自分が使った薬や過去の健康診断の結果を、不正確になりがちな口頭ではなくて、データによって正確に医師等に伝えることができる、そしてまた、お薬手帳には必ずしも記載されていないような入院中の薬剤とか、あるいは、院内処方の、医療機関で投薬された薬剤といったものも含めて、別の医療機関や他の診療科で処方されました薬剤の網羅的な情報が医師等に提供されるようになる。それによって、これを確認したお医者さんなどのより多くの種類の正確な情報に基づいた総合的な診断、そしてまた、重複する投薬を回避して適切な処方を受けることができるようになるというふうに考えているところでございます。
このように、今回の加算につきましては、マイナンバーカードの活用など、より質の高い医療の提供に向けて医療機関などが具体的に取り組むよう付される、そして、患者さんのメリットがあるということでそれを評価するものでありますことから、適切なものというふうに考えているところでございます。
○足立委員 今おっしゃったのは患者さんにとってのメリット。もちろん、診療がより適切に行われる、それは患者さんのメリットなんだけれども、それは患者さんにとっては、日本の医療にあっては当たり前のサービスであって、このマイナ保険証を使うことによって誰が助かるのかといえば、お医者さんであり、健保組合じゃないですか。健保組合だけじゃない、保険者なんじゃないですか。
だって、お医者さんは、その方がどういうお薬を飲んでいらっしゃるか、あるいは、健診情報がない、情報がない中で診察するより、情報がある中で診察する方が楽ですよね。だって、情報が多いんだから。だから、お医者さんの払うコスト、払うコストというのは、お医者さんの働く労力は減るわけでしょう。情報がない中で診察するんじゃなくて、情報がよりたくさんある中で診察するんだから。
だからそれは、値段を、診療報酬を増やすんじゃなくて、設備投資の話はちょっと別ですよ、そうじゃなくて、今の付加価値の問題です。医療サービスの付加価値の問題を言えば、それは低コストで高いサービスを提供することができるようになるんじゃないですか。クリニックの現場でもそうです。
それからもう一つは、より正確な情報に基づいて医療が提供されれば、医療保険制度全体では助かりますよね。だって、より病気が早く、早期発見できる。早期発見、予防できる、そうすれば医療費は削減できるんじゃないですか。
だから、メリットは患者にあるんじゃないんです。患者さんは、情報提供というのはプライバシーもあるからしたくないんですよ。何のためにするかというと、お医者さんが楽に診察できるため、医療保険財政のためにやるんですよ。協力してもらうんですよ、患者さんに。患者さんは協力する側なんです。助かるのはお医者さんと医療保険なんです。どう思いますか。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
今回のこの加算の趣旨でありますけれども、基本的に診療報酬については、患者さんが医療機関において診療を受けられることによって医療というサービスを得るということに対する対価として、患者さんにもその自己負担割合に応じて御負担をいただくという仕組みになってございます。
今回この加算を設けました趣旨、先ほど御紹介申し上げましたように、もちろん、先生が今おっしゃったように、医療機関にとってのメリットもあるわけでございますが、一方で、患者さんにとっても、先ほど来御紹介したような、総合的な情報をいただくことによって、また、先生によってより質の高い診療をしていただけるような形になってくる、そういった点を評価をして、患者さんにもいわばその結果がフィードバックされることになるわけですから、そういった点を評価して、今回、御負担をお願いをするということになってまいるものでございます。
○足立委員 今日、政務二役をちょっと呼んでいないので、厚労省については政治家としての発言はしていただける状況にないわけですが、大臣、後でちょっと伺いますが、これは厚労省的に言うと、私が言ったのは多分正しいと思いますよ。患者さんは協力しているんです。だって、プライバシーがあるから余り言いたくないんだけれども、でも、お医者さんの利便性のために言っているわけです。
そもそも、日本の医療は従来から、何といいますか、フリーアクセスも最近は変わってきているのかな。でも、いろいろなベーシックな医療は基本的に皆保険で受けられるようになっている。そのときに、お医者さんに診ていただいたら、ちゃんと、十分な医療、十分な診断が受けられることが前提なんです。だから、そこで情報を提供したら、今までは判断ミスをしていたものが、判断ミスが少なくなることがメリットだと言っても、それは国民は理解できない。国民の皆様に理解いただくことは僕は無理だと思いますよ。
だから、いろいろごちゃごちゃおっしゃるけれども、明らかに、マイナ保険証でプライバシーの開示という負担を背負っているのは患者で、そのメリットを享受するのはお医者さんたちであり、医療機関であり、医療保険財政である。
もうこれ以上やっても、えっ、ちょっと首を振っている。ちょっと明確に、僕が言っていることが間違っているなら、長くなくていいから、ちょっとロジカルに言ってくれない。
○榎本政府参考人 重ねてで恐縮でございますけれども、基本的に、医療機関等において、患者さんが受診をされるということになりますと、医療機関においていろいろな診療のサービスが提供されることになるわけで、それに対する対価として診療報酬とそれから自己負担をお支払いいただく形になってございます。
そういう観点から、今回、この加算についても、医療機関は事務的なメリットも当然あるわけですけれども、患者さんにとっての、先ほど申し上げましたような、幾つかのこういったメリットはフィードバックされる形になりますので、やはりそういった点で評価して加算がついた。それに対する対価として今回お願いをしなければならない。
ただ、もちろん、なぜお願いしなきゃいけないかということについては、きちんと丁寧に、皆さんに伝わるように説明しなければいけないと思ってございますが、そういった仕組みになっているということで御理解を賜れればありがたいと思っております。
○足立委員 私は一応、医療関係者、党内にもいますし親族にもいます。よく医療については議論します。
お医者さんが患者さんを診断するときに、情報が足りない中でやるより情報がそろっている中でやる方が楽じゃないですか。だって、病気で来られているわけでしょう。病気というか、いろいろニーズがあって。そのときに、この人は何なんだ、どういう経緯があるんだ、どんなお薬を飲んでいらっしゃるんだ、健診でどんな結果だったんだ、そういうのが何も分からない中でゼロから医療サービスを考えるお医者さんのコストと、一通りの情報を全部提供してくれて、ああ、なるほどなるほど、じゃ、こうだなというのは、絶対後者の方が楽でしょう。
そこに情報という価値を提供しているのは患者側なんです。そこにお医者さんがつけ加える付加価値は、後者の方が低いでしょう。だって、付加価値を持って入ってくるんだから、患者さんが。仕上がる全体の価値に対して、患者が付加価値を持ってくるんだから、医者がつけ加える付加価値は小さいじゃない。何でたくさん医療機関にお金を上げる必要があるの。
ちょっと、討論として負けてないか。負けたって言ってよ。私は負けたから次は副大臣を出しますとか大臣を出しますとか、ちょっと。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
今先生がおっしゃったように、医療機関にとってのメリット、そしてまた、患者さんが、情報を提供することによって、むしろメリットを受ける立場にあるということでもあるかと思います。
そういった中で、今回、このオンライン資格確認のシステムについて、やはりきちんと、私どもとしては、保険証利用が普及するようにしていく必要があると考えてございます。
そういった中で、そもそもマイナンバーカードをお持ちになっても、医療機関においてそれが使用できなければ、なかなか環境の整備が整っていないということになってまいりますので、そういったところもきちんと環境の整備を行う必要があるということで、一つの取組として、診療報酬改定の中で評価を新設をして後押しをするといったような狙いもあったところでございます。
そういった中で、今回のこの改定、中医協でもかなりいろいろと議論はいただいたところでございますけれども、結果的に、このような形で今回スタートさせていただくということで、御負担をお願いするということになっているところでございます。
○足立委員 榎本審議官は、お役所の立場として今のような答弁になると思います。だって、そういう仕事をしてきたんだから。
しかし、牧島大臣、今聞いていただいて、僕、これは議論があると思いますよ。
厚労省のいわゆる医療保険という保険の枠内、診療報酬の枠内で考えるからこんなことになっちゃうわけですよ。それで、毎回、妊婦さんのとき、マイナ保険証のとき、議論がぐちゃぐちゃになる。
でも、今日の私の整理、まず、大臣、閣僚の一人として、今のやり取り、論理的な議論を僕はしていますよね。それは、エンドースというか、いい議論だと言ってください。
○牧島国務大臣 準公共分野の中に医療、健康を含めてデジタル庁が取り組んでいる中で、医療の質を上げていく、そういう意味では、患者さんとドクターとの間の会話や対話、そして診断の時間をしっかりと価値のあるものにするという意味で、大変有意義な議論を聞かせていただいたと思います。
○足立委員 大変有意義な議論ですよ。だって、これは我が党も、沢田良さんとか、ほかの党も、国民民主党さんとか、先ほどの井坂さんとか、みんな問題意識を持ってやっているんだけれども、今の私の整理でいくべきですよ、政府は。
本当は義務化したらいいんです、こんなもの。早くマイナンバーカードをみんなに持たせたらいいんですよ。大体、そこで何かマイナポイントとかしようもないことをやるからこんなことになるわけで、早く義務化する。マイナ保険証だって、早く義務化して、普通の保険証を廃止したらいいんですよ。それで、もし医療機関が設備の導入、システムの導入にお金がかかるんだったら、それはどうしてもあれだったら補助をしたらいいじゃない。だから、それを診療報酬体系の中でやるからおかしくなるの。
今日は厚労省の政務は呼んでいないので以上としますが、私は、牧島大臣、これはちょっと、デジタル庁、いろいろ御苦労がある中で、私はデジタル庁は頑張っていると思いますよ。大変な中でやっているんだから。大臣のリーダーシップの下でのデジタル庁の取組は、いろいろ難しい問題もあるし、組織の中も大変な、組織、団体はどこでも中は大変なんです。だから、私はそれは全力で応援しますが、だからこそ、今回の問題は、やはり放置すると、今私が申し上げた理屈を大臣に預けますから。だって、今の理屈は厚労省の理屈じゃないんだから。
だから、私が今日申し上げた考え方をデジタル庁の中でも一回もんでいただいて、それで、改めてデジタル庁と厚労省で、マイナカードに係る患者の負担増の問題はおかしいという国会の議論を受けて、政府としてやはり検討するということをお願いしたいんですけれども。
○牧島国務大臣 ありがとうございます。激励をいつもいただいておりまして感謝しています。
現行の健康保険法、これは令和元年に改正しているんですけれども、ここでどういうふうに位置づけられているかというと、医療機関等で保険診療を受ける際、マイナンバーカードを健康保険証として利用することが、オンライン資格確認により資格確認を受けることがこの法律の本則として位置づけられている。ただ、現在、ほぼ全ての医療機関等でオンライン資格確認に対応できる環境を整備していただくように御努力をいただいているものの、まだその環境整備の途中である。
さらに、今御指摘いただいた健康保険証の廃止についてなんですが、従来の健康保険証で資格確認を行っている訪問看護とか、また柔道整復などの療養費においてもマイナンバーカードを保険証として利用するための環境整備が必要でありまして、ここは厚生労働省において進めていただく必要があると私どもとしては強く考えております。
近い将来、保険者が従来の健康保険証を全ての被保険者に発行しなくても済むようになるよう、デジタル庁としては、厚生労働省と協力して、その世界観を持って進めていきたいと思います。
○足立委員 それは是非そうしてください。
その上で、マイナ保険証の今回の問題、加算の問題、これは絶対に大きな問題になりますよ。既になっているね。ただ、メディアは頭が悪いから、こういう整理をしてくれていないんです、まだ。お互いの言っていることを並べているだけです。
そうじゃなくて、さっき申し上げたように、患者は付加価値を持ち込んでいるんだから、お医者さんは楽になるんだから、より適切な診療が促されれば保険財政は助かるんだから、もう一度内閣の中で、内閣で牧島大臣が問題提起をして、厚労省にも再検討を求めるべきだと思うし、私は、閣僚の一人として、この国会論戦の中で、国会で検討すると答弁することは、これはやはり国権の最高機関である国会を尊重する観点からも当然やっていいと思いますよ。検討するんだから。大臣の裁量の範囲内だと思いますよ。ちょっと、報道に載るようにお願いします。
○牧島国務大臣 デジタル社会推進に向けてたくさんの御提言をいただいている足立委員の御発言ということを重く受け止めます。
○足立委員 いや、僕を持ち上げても仕方ないんだけれども。とにかく、検討するで、ちょっともう一回。僕はもういいですから。
とにかく、この問題に関心がある方々に対して、これは終わった話だと思っているんですよ、今。政府の答弁は明らかに終わっている。説明を尽くすという答弁がずっと続いているんです。そうじゃなくて、やはり、検討の俎上にのせる、それを言っていただかないと僕は今日帰れないので、ちょっとお願いします。
○牧島国務大臣 委員御存じのとおり、一義的には厚生労働省、そして、厚生労働省の方でしっかりとまた検討、議論されるというふうに私たちは考えております。
○足立委員 ちょっと、厚労省の榎本さん、今日私が言った議論をもう一回テーブルにのせる、少なくとも大臣に相談する、いいね。
○榎本政府参考人 お答えさせていただきたいと思います。
今回、この件については、先生始めいろいろな方々から御指摘を頂戴しているところでございます。私どもとしても、今回の改定の影響につきましては、今後、厚生労働省として調査、検証をしっかりとしてまいりたいというふうに考えております。その上で、今回のこういった御議論の状況も共有しながら、評価の在り方について、中医協においてしっかりと議論してまいりたいと考えてございます。
○足立委員 いや、駄目だ駄目だ。中医協においてじゃなくて、ちゃんと今日の議論を、戻って政務三役、大臣に報告すると。報告ぐらいしてよ。
国会というのを、そういうちょうちょうはっしの議論をできる場に変えていこうよ。いいんだよ、後で首になったら僕が雇ってあげるから。
だから、大臣にちゃんと相談すると。大臣に報告する、相談するというのは別に首にならないでしょう。もう一回。
○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
委員から、こういった議論の状況について大臣にきちんと情報を共有すべきだというお話をいただいております。この点については、やはり私どもとしても、この件、いろいろと、いろいろな機会で、いろいろなところでも聞かれている話でもございますので、こういった議論があったという情報はきちんと大臣室とも共有をしていくようにしていきたいと思っております。
○足立委員 ここで大臣と言わずに大臣室と言うところが立派な官僚だよね。
牧島大臣、是非、厚労大臣とも、もう一回、ちょっとワンタッチすると。電話でいいから。電話でいいから、本件をもう一回、今日の議論を受けてワンタッチすると。だって、それぐらいいいじゃない、電話一本。
僕、この話、本当にちゃんとしたいんですよ。だから、別に自分がここでどうこうしたとか言うつもりは全くないけれども、本当に今までは検討する俎上に一歩も上っていないから、小指をかけてほしいんですよ。
今日の議論については厚労大臣と、だって、大臣室に入れると言っているんだから、閣僚同士で、これだけテーマになっているんだから話し合うと。ちょっと。
○牧島国務大臣 重く受け止めます。
まず、厚労省の方で大臣の方に、こうした御議論、また国民の皆様に高い関心を寄せられているということを御報告がされるものと確信しているところでございます。
○足立委員 ありがとうございます。とにかく頑張りましょう。
あと、経済対策が来週取りまとめられます。何かよく分からないですね。与党自民党さんは支援金だっけ、それから公明党さんは給付金だっけ、よく分からないんですけれども、何かそういう、現金を国民の皆様、困窮されている皆様にお配りするという提言がありますが、山際大臣のところでの御検討状況を教えてください。
○山際国務大臣 まだ検討中なので、検討状況の中身がこうだということを申し上げられる状況にはないんですけれども、現金給付に関しては、ちょっと正確性を期すために読みますけれども、総理からの指示で、コロナ禍において物価高騰等に直面する国民生活の不安を解消する観点から、困窮する方々の生活を守るべくセーフティーネットを強化する、この文脈の中で考えなきゃいけないということでございまして、もちろん現金給付も排除しておりません。なので、今それも全体併せて検討しているところです。
○足立委員 困窮されている方々を応援する方法は二つしかないと私は理解をしています。給付をするか、減税をするか。社会保険料とかいうことも含めた減税をするということになりますが、ちょっとその前に、どっちかだと思うんですね。
私たちは、一義的には消費減税をしたらいいという御提案を三月十五日からしていますし、あした、それを法案にしたものを国会に提出します。コストプッシュインフレに対応するための国民負担軽減法案というものを出しますが、その中核の一つは消費減税であり、特に軽減税率、食品ですね、軽減税率の引下げが核の一つですが、もう一つは原油高騰対策で、いわゆるガソリンや軽油の暫定税率の廃止、これをあしたの法案に盛り込んで提出をする予定でありますが、仮に、自民党も公明党も言っている給付というものが実現する場合には、これはいわゆる、平先生とか私たちが結構走り回って、私は余り役に立たなかったかもしれないけれども、牧島大臣も当時一緒になって、議員立法にも協力をしていただいたりしながら、最終的には政府の枠組みででき上がった公的給付支援等口座、これは自治体をかませなければ今でも使えるんですよ。もう相当数のマイナンバーカードが、五千五百万枚だったかな、あるわけですから、これを使わない手はないと私は思いますが、牧島大臣、どうですか。
○牧島国務大臣 公金受取口座の登録は、今既に登録マイナポータルを経由して始まっているところでございます。
ただ、システムの整備の準備を現状進めているところでございまして、今年度中には円滑に利用を開始できるようにというめどで動いております。
○足立委員 私も、私なりに詰めましたが、自治体をかませなければ、それから、もうちょっと言うと、線引きしなければ、一律給付であればすぐできるというのが私の今の政府の準備状況の理解です。まあ、それはもう質問しません。私は、どうせ高額所得者、高所得者は税金で返ってくるわけだから、だから、配るなら一律で配ったらいい、こういう提案を今日はしておきます。
その上で、やはり今必要なのは、ガソリン税の問題と、それから石油関連の税制の在り方と軽減税率、消費税が、まさにコストプッシュの物価高騰対策として私はふさわしいと思います。
藤原さん、いつもありがとうございます。藤原政務官は、答弁、すぱっとしていていいですよね。敬意を持って、いつも思っています。
消費減税をやろうといったら、基本的に日本はやらないわけですよ。財源の問題は、だって、財源というのは、恒久的な制度だったら財源の議論をせなあかんけれども、これは一時的な経済対策ですから、短期の経済対策に財源の議論は要りません。あとは、手間ですよ。事務負担。
でも、世界中で消費減税をやっているんですよ。特に、コロナのときに、イギリスは、感染防止用物品についてゼロ税率を適用、レストラン等における飲食の提供、適用税率を二〇パーから五パーに引き下げ、ドイツはレストラン等における食品の適用税率を一九%から七%に引き下げ、フランスはマスクや医療品について軽減税率五・五%を適用、イタリア、ぶらぶらぶらっと、ずっと、百か国ぐらい、付加価値税低減で国民生活を支えています。
なぜ、日本だけ事務負担、事務負担と言うのか。それは、消費税の課税の仕組み、あるいはシステム、これがやはり時代遅れだからなのかどうか、ちょっと御答弁ください。
○藤原大臣政務官 お答えします。
少々長くなりますが、ちょっとお話をさせていただきます。
諸外国の制度について詳細に把握をしているわけではありませんが、例えば、コロナ発生直後、二〇二〇年頃税率を引き下げたドイツやイギリスにおいては、付加価値税率変更の際、価格設定や価格変更のタイミングを事業者が自らの経営判断により比較的柔軟に判断をしております。税率の変更に伴って、事業者がある税率の切替えの日、その日に一律に価格を変更することはないため、値札の貼り替えやシステム改修などが一時期に集中することはなく、税率引下げ前の買い控えも生じにくいのではないかと考えております。
対して、日本においては、消費税は最終的に消費者に転嫁すべきものとの考え方の下、税率の変更に伴い税込み価格を直ちに変更する事業者が多いため、事業者には値札の貼り替えやシステム改修などの相応の準備が必要であることに加え、税率引下げ前に買い控えが生じやすいといった問題があると考えております。
○足立委員 それはどっちのシステムが優れているの。
○藤原大臣政務官 お答えいたします。
なかなか一義的にどちらが優れているというふうには申し上げづらいのですが、例えば、先ほど足立委員お話があった中で、令和二年の七月十六日、日本テレビのニュースなどによりますと、イギリスで、現在の二〇%から五%に外食やホテルの税率が、付加価値税が下げられたと。ただ、これについて、マスコミの報道によりますと、企業側が減税された分を価格に反映させなければそのまま利益となるため、ほとんどの飲食店などは値下げをしていないなどとも報道をされているところであります。
なかなか一義的にどちらが優れているかというのは言えないんですが、一長一短ある中で、しっかり財務省として検討、研究をしていきたいと思います。
○足立委員 我が党は、消費税制、これについては、そもそも地方税にしたらとか、いろいろな議論がありますが、もっともっと、こういう景気対策とか物価高騰対策に機動的に使える、世界は使っているんだから、給付で何かもめるんじゃなくて、早くそういうものをツールとして使える、そういう制度づくり、国づくりを提案していくことをお誓いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○上野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。
今日は牧島大臣と、これから全国の自治体で進められていくであろう情報システムのクラウド化について、いろいろ質疑をさせていただきたいと思っております。
まず、今、全国約千七百の自治体で情報システムに要する費用、年間およそ五千億円以上というふうに言われております。非常に莫大な予算がこの情報システムの維持に使われているわけですけれども、政府が定めたデジタル・ガバメント実行計画においては、標準化やクラウド化を進めることによって、地方公共団体の情報システムに係る経費について、二〇二六年度までに二〇一八年度比で少なくとも三割、少なくとも三割の削減を目指す、こういうことがうたわれています。
三割減らすとなると相当な額になると思われますけれども、具体的に、じゃ、この三割の削減目標というのをどのように実現するのか、その内訳、あるいは、どういうところを工夫するのかというところをまずはお伺いしたいと思います。
○牧島国務大臣 今御指摘のありました、二十の基幹業務システム、これは住民記録、地方税、介護、福祉といった地方自治体の基幹業務システムについてですけれども、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行できる環境を整備いたします。統一、標準化の取組を進めています。
今御指摘のあったコスト削減効果に関しては、オンプレミス環境の状況にもよるものの、オンプレミス環境からガバメントクラウド環境に移行するだけではなく、ガバメントクラウドが提供する機能を活用することが重要だと考えております。
インフラレベルでは、例えば、ガバメントクラウドが提供する環境の自動設定機能の活用によりインフラの構築期間を短縮して運用の効率化を図ることや、マネージドサービスを活用することなどによりアプリケーションのメンテナンス費用を下げることなどによってコスト削減につなげていく必要があります。
さらに、インフラレベルだけではなくアプリケーションレベルにおいて、標準仕様書に準拠したものへ移行することにより、従来の個別自治体のシステムに応じたカスタマイズ対応を不要にし、アプリケーションを共同利用することで運用コストを削減する必要もあると考えています。
現在、地方自治体にガバメントクラウドを安心して利用していただけるように、複数の団体が、ガバメントクラウドを利用する先行事業を行っています。その投資対効果も検証しているところでございます。そこで得られた知見を、より投資対効果が出るような統一、標準化の取組として推進をしていきたいというふうに考えております。
○浅野委員 ありがとうございました。
クラウド化したときに、様々な、自動化の機能があったりだとか、いわゆるマネジメント、これもいわゆる一種の自動化ですよね、自動でマネジメントしてもらえる機能を使ってコストを削減していくということなんですけれども、ちょっと大臣、是非今後、デジタルに関する議論をする際に、言葉をもう少し平易な言い方でしていただけると我々も理解しやすいので、よろしくお願いいたします。
ちなみに、オンプレミス環境というのは、実際にサーバーやシステムのハードウェアから自治体が保有する状態のことをいいますが、クラウド化というのは、いずれかの場所に集約されたデータセンターに、その機能を含めて、ハードウェアを含めて集約するということですので、当然ながらコストメリットというのは出てくるかと思います。
二問目の質問ですけれども、今、クラウド化することによって、いろいろな機能が使えるということがございました。ただ、自治体の情報システムというのは、当然ながら、自治体の施策の内容であったり、あるいは様々な環境変化に応じて適宜改修をされながらこれまで運用されてきております。
その改修費用についてなんですけれども、ガバメントクラウドにすると、要は自治体が保有していないハードウェア上の機能改修になりますので、これは自治体が負担するべきなのかどうかというところに今少し疑問が湧いてまいります。国の負担なのか、自治体の負担なのか、その考え方についてお答えいただけますでしょうか。
○牧島国務大臣 御指摘ございました制度改正に伴うシステム改修費用については、これまでの個別の自治体のシステムについても、国の法令改正によって地方公共団体の事務に変更が生じる場合に、当該事務に係るシステム改修に要する経費については、例えば国庫補助や地方財政措置などが講じられてきたものと承知しております。
今後も、事務の性質や制度の見直しの内容等に応じてにはなるものの、必要な財政措置がなされるものと認識しております。また、これらの財政措置については、制度を所管する関係府省庁とよく協議をしながら進めてまいりたいと存じます。
○浅野委員 これは、実際、私、今回の質疑に臨むに当たって、情報システムを開発している方々にも少し話を聞いたんですね。やはり、今の話の部分なんですけれども、内容にもよるという話がございました。
例えば、基幹的な部分の改修については、国が一括してやる場合もあれば自治体が独自でやる場合もあるんですけれども、やはりそこが、国と自治体で連携不足だったり、あるいはコミュニケーションのミスマッチがありますと、予算上重複して計上されたりだとか、作業が二度手間になったり、あるいは、作業そのものが、相手に期待することによって忘れてしまったりとか、そういうことが起こるリスクになるので、ここは、実際のビジネス上もやはり重複だったり欠損だったりという事象が出ていますので、是非そこはしっかりと対応していただきたいと思います。非常に細かなところなんですが、かなりクリティカルなところですので、よろしくお願いいたします。
続いてなんですけれども、先ほど、先行事業もされているというふうに大臣おっしゃっておりましたが、二〇二五年度末までのシステム移行に係る費用というのは原則国が、移行の費用については国が負担するということとされています。そのために、先ほど大臣がおっしゃっていた二十の業務についてはおよそ一千八百億円強が措置をされているというふうに承知をしております。
ただ、これは二〇二五年というお尻が決まっている、期限が決まっていますけれども、これに今懸念しているような、二〇二五年度、一番最後の最後、ぎりぎりの時期に作業が集中してしまうことによって、事業者側で業務単価が上昇して、例えば予算が達成できなかったり、あるいは作業が集中をしてどうしても納期に間に合わなくなる、そんな状況になってしまうのではないか。さらに、それによって、予算内でどうしてもやってくれというような無理なお願いを自治体からされたら、事業者側としてはなかなか断りづらいし、交渉しづらいんですね。
ですから、願わくば、十分な予算措置であったり追加の措置というのもお願いをしたいところなんですけれども、まだ少し時間もありますので、しっかりとこの二〇二五年、最後の最後で作業が集中しないように、デジタル庁には是非全体的な進捗の管理というのをお願いしたいと思うんです。これは業界の声ですから、是非大臣からお答えをいただきたいと思います。
○牧島国務大臣 御指摘ございましたとおりに、コミュニケーションを図っていかなければならないというところは私どもも大事な観点として思っております。
この間、二月から三月にかけてですが、市町村とそして基幹業務システム等を自社開発しているベンダーに対するヒアリングを丁寧に実施してまいりました。これらのヒアリングを通じていただいた質問なども整理いたしました。そして、昨日でございますが、標準化法に基づく基本方針〇・八版、一より前、〇・八版として、全国の地方自治体に対して提示をさせていただきました。
今後、この基本方針〇・八版をたたき台として、適切な費用での円滑な移行へ向けた実務上の課題を整理した上で、標準準拠システムへの移行に関し、事業者等に対する調査も行い、地方自治体の意見を丁寧にお伺いし、本年夏までに標準準拠システムへの移行の在り方について定めてまいります。
○浅野委員 ありがとうございます。
今、いろいろ業界にもヒアリングをしていただいているというふうに伺いました。ありがとうございます。本当に現場はそういったところに耳を傾けてもらうことを非常に期待をしております。
ちょっと質疑の順番を変えたいと思うんですが、ITベンダーなどとのコミュニケーション、これまでも図られているということなんですけれども、今のお話の部分は除いていただいて構いませんので、これまでどういった形でそういう場をつくってきたのかというのと、あとは、肝腎なのはこれからですね、やはり二〇二五年度に向けてどういったコミュニケーションを取っていくのか、もし計画や考えがあればお聞かせください。
○牧島国務大臣 担当者において、自治体に加えて、基幹業務システムを自社開発するベンダーと直接意見交換を行いました。意見交換の結果、ベンダーから意見が出てきておりまして、標準仕様書などはその概要や案の段階で早期公表が円滑かつ確実な移行には必要であるといったような御意見をいただいた、ベンダーの開発期間に配慮する必要があるという意見もいただきました。
こうしたものを踏まえ、随時情報提供を行い、今後もしっかりと御意見をお伺いしながら取組を着実に進めていきたいと思っております。
○浅野委員 そういった意味で、先ほど言っていた〇・八版、一に至る前にそういった方針、方向性を出していただいているというのは、これは多分これまでの府省庁の中ではやられていなかったのではないかなと思いますし、そこは前向きに評価をさせていただきたいと思います。是非お願いいたします。
ちょっと今もう一つ気になっていることは、自治体といってもたくさん、大きなところから本当に過疎地域の小さな自治体まで多数ございます。今懸念しているのは、やはり小さな自治体が置いてきぼりにされてしまうのではないか、置いていかれてしまうのではないかというところを懸念しております。
やはり実態として、小さな自治体では情報システムを管理する担当者が一人ないし不在というところもあるというふうに聞いておりますし、そういう場合は、多くがITベンダーに全てを任せっきりにしているというような実態があるというふうにも聞いています。
こういった自治体がこれからクラウド化へ移行していくに当たって、やはり政府のサポートというのは必要不可欠かと思いますが、どういった体制でサポートをするのか、是非教えてください。
○牧島国務大臣 御指摘のとおり、小規模自治体、人材不足ということは、私としても認識しております。
総務省の方では移行のための手順書を作成していただいておりますので、まずそれを活用していただくとともに、都道府県がこうした人材不足に対して寄り添って支援する役割を担っていくことが重要であるとも考えております。また、総務省の方では、移行に係る進捗管理を支援することとしているというふうにも聞いております。
我々デジタル庁としては、こうした総務省や都道府県の活動とともに、市町村が円滑な移行ができるように、技術的な助言等を含めて、しっかりとサポート体制を取っていきたいと思います。
○浅野委員 事前に省庁から聞いた話ですと、今のお話のように、都道府県がサポートをするということだというふうに聞いておりますが、ただ、まず移行期のサポートというのに今は主眼が置かれていて、移行後の通常オペレーション時のサポートというところはこれからなんだというふうに聞いております。
移行できれば後は大丈夫かというと、そうではないと思いますので、この辺りは、やはりデジタル庁として、都道府県に任せるだけでなく、一定の共通のマニュアルであったりガイドラインであったり、あるいは普遍性の高い部分であればデジタル庁が一部運用をするとか、様々な柔軟な対応を考えていくべきだと思いますので、是非、今後も御検討いただきたいですし、進捗については教えていただきたいなというふうに思っています。
そろそろ時間が来ましたので最後の質問になりますが、今回、システムの移行に当たってもう一つ重要な観点は、ベンダーロックインの解消だと思っています。
様々なベンダーがこのガバメントクラウドに参加することというのが、一つ、競争環境の構築につながり、ひいてはコストダウンにつながるというふうに思うんですけれども、ただ、一方で、今先行している自治体では、今、これまで使ってきたシステムをそのままクラウド化する、つまり、ベンダーを替えずにクラウド化するというような実態もあるというふうに聞いております。
こういった状況でロックインの解消というのを狙うためにはどうすればいいのか、是非政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○牧島国務大臣 ベンダーロックインの課題については私ども認識をしている上で、地方自治体の基幹業務システムにおけるベンダーロックイン解消のため、統一、標準化の取組の中で、基幹業務システム間のデータ連携やベンダー間のデータ移行について、円滑かつ容易に行えるようにする必要があるというふうに考えております。
そのため、この基幹業務システム、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律の規定により、国が定めるデータ要件、連携要件の標準に適合することが義務化されていますので、その適合性の確認も厳格に行いつつ、課題の解消に取り組んでまいりたいと存じます。
○浅野委員 是非、自治体側にそのことをよく理解していただけるように周知もお願いして、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○上野委員長 次に、岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、家族の法制に関する世論調査、これについて伺ってまいりたいと思います。
いわゆる選択的夫婦別姓についての質問、昨年年末に調査をされて三月に公表された結果、選択的夫婦別姓を希望する人が減ったんじゃないか、そういう形での報道がございましたが、平成二十九年に世論調査を行った前回に比べて、そもそも設問が大きく変わり、結果として、多くの混乱、問題を抱えた世論調査になってしまったんじゃないか。私は、民法、戸籍法を変えずに通称使用を拡大することを結果として導く、そんな意図、圧力でもあったのかと思うような、大幅に数値が変わるような調査内容と受け止めました。
今回の調査内容と結果について、野田大臣はどう受け止めましたでしょうか。
○野田国務大臣 お答えします。
今回の世論調査で注目される論点である夫婦の氏に関する具体的な法制度の在り方については、現在の制度を維持した方がよいとする回答が全体の三割を下回ること、特に二十代から四十代、この方たちは、現在の制度は一〇%台の低い支持に止まっていること、また、二十代から四十代のおよそ四割が選択的夫婦別姓制度を支持していることなどから、これから結婚して家庭を築くとともに社会の第一線で活躍する世代、若い世代を中心に新しい法制度を求める声が高まっている、そういうふうに受け止めています。
また、現在の制度の下で婚姻によって夫婦のどちらかが名字、姓を変えなければならないことに関して、何らかの不便、不利益があると思うとの回答は全体の過半数を超えています。三十代及び四十代では、それが約七割に上ることを重く受け止めているところです。
さらに、何らかの不便、不利益があると思うという回答のうち、およそ六割が、通称を使うことができても、それだけでは対処し切れない不便、不利益があると思うと回答していることにも留意することが大切です。
今回の世論調査は、七十歳以上の回答者の構成比が全体の四分の一を超えています。六十歳以上では全体の約半数を超えています。若い世代の方々の意見を把握するためには、総数だけではなくて、年齢とか性別などの属性別の結果にも着目する必要があると思っています。
○岡本(あ)委員 御答弁いただき、分析の中身も御紹介いただきました。
資料一がトータルのグラフになりますし、資料五が、やはり、通称を使うことができても、それだけでは対処し切れない不便、不利益があると思うとおっしゃっている数の方が、これは年代を問わず一番多いということも明らかになりました。
ただ、本来であれば、前回からの経年も見られた方がよかったのかなと思うんですが、設問が大きく変わりましたし、選択肢の順番も、そのものも変わっております。
これは法務省に伺いますけれども、この設計はなぜこういうふうに変わったのか、そして、結果として、前回との比較という視点で見ると、今回の調査をどう受け止めたらいいのか、御説明ください。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
本設問に対応する平成二十九年度調査の問い十に対しましては、内容が分かりにくいといった指摘があったことから、調査を実施する行政府としての中立性、公平性に留意しつつ、国民の意識の動向についてなるべく継続的な把握を可能にするという観点も考慮した上、設問や選択肢をできるだけ分かりやすくするものとするための修正を行ったところでございます。
まず、各制度の内容や各選択肢の関係の理解が容易となるよう、表形式の資料を用いて説明することといたしました。
また、旧姓の通称使用についての法制度に関しましては、平成二十九年度調査では、ちょっとここを読み上げさせていただきますが、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」としていたところでございますが、今回は、「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」と、端的に分かりやすい表現としたものでございます。
また、選択肢の順番につきましては、回答者が理解しやすいよう、現行制度との差異が小さいと考えられるものから順に並べることとしたものでございます。
また、選択肢の分かりやすさ、中立、公平の観点から、選択肢の語尾をいずれも、何々した方がよいという形に統一したものでございます。
法務省としては、このような修正をしたことにより、国民にとって設問の内容がより分かりやすいものになったと考えているところでございます。
もっとも、御指摘のとおり、今回の調査は前回調査までとは調査方法が異なり、また、設問等にも今申し上げましたような修正を加えたため、個々の設問の回答割合の増加、減少といった観点で両者を単純に比較して論ずることは必ずしも相当でないと考えているところでございます。
○岡本(あ)委員 今回、分かりやすくしたつもりだったんだと思うんですが、ただ、逆に言うと、ちょっと、資料三の一で、大妻女子大の阪井先生が指摘をしております、赤い線を引いているものの二つ目を御覧ください。
「通称使用についての法制度」という新たな言葉が今回設問に入りました。前までは、法を改める、変えるべきかという質問だったんですが、今回は、現行を維持しつつも通称使用についての法制度を設けるという項目が入りました。この「通称使用についての法制度」は何なのかというところが、全く説明がないままに設問が設けられております。
ちょっと、この点はどういう制度を想定しての設問なのか、もう一度お答えください。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたように、平成二十九年度調査におきましても、再度質問事項を読み上げることはしませんが、旧姓の通称使用を可能とするように法律を改めることについては構わないという選択については、あったものでございます。
それを前提にした上で、「旧姓の通称使用についての法制度」はどういうものかということでございますけれども、基本的に、この世論調査におきましては、夫婦同姓制度を維持した方がよいのか、夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がいいのか、選択的夫婦別姓制度を導入した方がいいのかという、各制度設計のコアとなる部分、すなわち大きな方向性やコンセプトについて国民の意向を把握しようとするものでございます。
「旧姓の通称使用についての法制度」といいますのは、婚姻で名字、姓を変えた方が旧姓を通称として幅広く使うことができるようにする制度ということでございますけれども、その具体的な制度設計については様々なものが考えられるところでありまして、場合によっては戸籍法等の改正をすることも排除されないというふうに考えているところでございます。
○岡本(あ)委員 今、戸籍法を変えることも排除されないと。これは民法にも影響する可能性もありますが、そういう部分も含めてどういう設計ができるのか。その際に、既存の法制度で、現行法のままではいかない場合はそこに触るということも排除されないということでよろしいでしょうか。もう一度お答えください。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
旧姓の通称使用ですので、旧姓を通称、すなわち社会一般で通用する呼称として用いる、それを法制度として認めるということになります。その場合の制度設計といたしましては、まず、民法の方に根拠規定を置いた上でということも選択肢としてはあり得ますし、そうではなくて、民法等には規定を置かず、例えば、国において旧姓の通称使用が進むように一定の努力義務を設けるとか、そういったような法制等も考えられるところでございまして、様々な選択肢があるのではないかと考えているところでございます。
○岡本(あ)委員 あらゆる選択肢で、必要があれば法律を見直す、あるいは法律がどうあるべきかという議論をする、このことも排除されないものと私は受け止めました。
そうはいっても、今回、この三つを選択肢にしたということ自体が、自分が答える立場になったときに非常に混乱をするなと思って受け止めておりました。
設問を設けるときに、法務省から内閣府等に事前協議をされたと聞いております。内閣府の方では男女共同参画局の方から、二択で、現行制度でいいのか改正が必要なのか、シンプルに聞いてくれという申出があったと聞いております。これが事実かどうか内閣府に確認するのと、あと、それに対して、なぜ、二問で聞けと言っていたのに、わざわざ三つの選択肢を用意したのか、この点、併せてお答えください。
○林政府参考人 今委員御指摘のように、今回の設問は法務省において作成されたものでございますが、私ども内閣府男女共同参画局にも協議がございまして、私どもは、現在、平成八年の法制審議会で答申された選択的夫婦別姓と、今の夫婦同氏の制度と、二択がいいのではないかということを申しましたが、法務省の方は三択でやるということで、法務省の御責任でその設問を設けるというお返事がございました。
なお、この世論調査の中で提示された「旧姓の通称使用についての法制度」については、特に、その具体的な内容について説明を受けることはできませんでした。
○岡本(あ)委員 法務省、それを受けてなぜ三問なのかというところもお聞きをしようと思ったんですが、ただ、最初に御答弁いただいた、差異が少ない順に並べた、それ以外に、あえてこの法制度を設けるという制度が入っているという点、もう一度お答えください。
○堂薗政府参考人 御指摘のとおり、今回の調査では三つの選択肢を挙げているところでございます。
夫婦の氏に関する問題につきましては様々な意見があるところでございますが、夫婦同姓制度による不便、不都合を解消する方策としましては、大きく、選択的夫婦別姓制度を導入すべきとする意見、それから、旧姓の通称使用についての法制度を設けるべきとする意見があり、この点に関する国民の意識を適切に把握するためには、これらの意見を同じ設問の選択肢とすることが必要かつ相当であると考えられたところでございます。
また、平成八年度から前回である平成二十九年度までの調査においても同様の三つの選択肢を挙げていたものでございまして、国民意識の動向についてなるべく継続的な把握を可能とするという観点からも、これらの三つを選択肢とすることが必要かつ相当であると考えたものでございます。
○岡本(あ)委員 前回までは、逆に言うと、法を変えた方がいいという設問が二つあって、このままという設問だったんですね。今回は、変えた方がいい、別姓制度がいい、真ん中の、先ほど御説明いただいたけれども、現行を維持しつつも法律を変えることも排除されないという、かえって分かりにくい設問になっているんじゃないかと思います。
同じように、資料三の一の赤線を引いてある一番上のところなんですが、ここの設問、いわゆるダブルバレル質問になっているんじゃないか、選択的夫婦別姓制度の導入の賛否と旧姓使用の法整備の賛否、二つ異なる質問が混在しちゃっているんじゃないかという指摘があります。これは世論調査の手法ですので、内閣府の世論調査の担当にお答えいただきたいと思います。
それから、併せてもう一つ聞いてしまいますが、資料三の二、キャリーオーバーというものです。
今回、これは今までも同じように問題になっているんだと思いますが、直前に、資料四、子供への影響で、親の名字が異なると子供が嫌な思いをするんじゃないか、好ましくない影響があるという設問に答えた直後に名字がどうあるべきかというのを聞いているというのは、先生の指摘だとここだけではないんですが、キャリーオーバー効果、前の設問が次の設問に影響を及ぼすんじゃないか、こういう指摘があります。
この点は、世論調査の在り方としてはどう御判断されたのか、伺います。
○宮地政府参考人 お答え申し上げます。
設問の十二ということになりますが、この点につきましては、先ほどの法務省の答弁とも重なるところがございますが、法務省において、前回の調査までとの一定の継続性の観点もあり、現在の制度維持、旧姓の通称使用法制化、そして選択的夫婦別姓制度を同時に比較したいという意向から、このような設問の形にしたものと認識しております。
いわゆるダブルバレルの設問であり、回答者が混乱するのではないかという御指摘につきましては、この設問の前に示された資料でそれぞれの選択肢の相互関係を示した上で回答を求めるなど、調査対象者が混乱しないようにしているものと承知しております。
そして、次の、いわゆる設問の設定の順番といいますか、それによるキャリーオーバー効果が起きているのではないかという御指摘の点でございます。この直前の問いが回答率にどう影響したかということは定かではございません。
なお、設問の順序につきましては、法務省におきまして一般的な内容から具体的な内容へと順に聞くように構成したものと認識しておりまして、並び順は自然なものと考えられるところでございます。また、前回の調査でも、この構成及び直前に子供への影響を聞いているということは同様ということがございます。
○岡本(あ)委員 今御答弁の中で、今までの継続性とおっしゃったんですが、結果からすると、今回、この問い十二に関しては、前回からの継続性が取れないという結果になってしまった、先ほどこれは法務省でも御答弁されましたが、経年比較ができないという調査になってしまったということは、ちょっと残念だと言わざるを得ません。
資料四の、子供がかわいそうな思いをする。これは、子供に名字が違うということで指摘をする行為自体が、私とすると、その行為自体がいいのかどうか、半分からかいやいじめになっちゃうんじゃないか。この行為を設問で聞いているのも疑問ではあるんですが、これを聞いた上で名字がどうあるべきかと聞く、あるいは、資料五で、名字が変わることで不利益があるという答えを導いてから名字がどうあるべきかと聞くのでは、多少やはり影響が違うんじゃないかと私は思わざるを得ません。これがキャリーオーバー効果というものだと思います。
改めて、内閣府で、どストレートに、シンプルに二択で、現行制度のまま、あるいは別姓も選べるように法改正をするべきか、この二択で調査をされてはどうかと思います。この点について、どうでしょう。
もう一つ、子供がかわいそうというアンケートの設問、非常に私は違和感があるんですが、これは子供に直接聞いた方がいいんじゃないかとも思っています。事実婚とかで親の名字が違う家族もたくさんあります。多様な家族形態がある中で、実際、子供が嫌な思いをしているのかどうか、こういうのもシンプルに聞いたらいいんじゃないかと思いますが、今後、こういうのを確認をしていく予定はございませんか。
○野田国務大臣 少し、これは経緯から、最初からきちっと時系列で申し上げていくと、平成八年、もう二十五年以上前になるんですか、そこで法務省の下の法制審議会が答申を出しました。今後、日本は、選択的夫婦別姓、同姓義務づけではなくて、国民に選択肢を与える氏の制度を導入していこうということを答申で出されました。
それを受けて、じゃ、世論調査をしてみようということになったんですが、確認したところ、当時総理府が担当だったんですが、本来は、法務省は、審議会の答申では、旧姓の通称使用の法制度化に相当する案に対して、長期的な展望に立った氏の制度として採用することは相当ではないと、答申上は通称使用の法制度というのは否定されているんですね。
ところが、その答申が出たにもかかわらず、その次の世論調査では、なぜかそれが入ってきている。これは、いろいろな情報を整理しますと、国会議員の誰かがそれを入れろと言ったということで、それがなぜか入ってしまって、結果として、その世論調査の前に審議会に諮りもせず、それがずっと今まで漫然と来ているというのが実のところは事実でございます。
今回、先ほど局長からも話がありましたけれども、二十五年、賛否ある中で議論も相当出尽くしてきたので、そろそろやはり終結させなければならない、議会としても、結論を導く、若い人たちのために、とりわけ少子化が顕著であるし、結婚がなかなか進まない、男性も結婚できなくなるという、フェーズが変わる中で、やはり結婚するに当たって大変重要な氏について、もう少し若い人たちを信じて選択肢を届けるべきではないかという声もだんだん、この中でも、世論調査でも高まっているわけですね。
自分は同姓だけれども他の方が別姓を名のることは構わないというのが増えてきている中で、私の方から法務省の方には、この三択ではなく、同姓の義務づけのままいくのか、同姓もあるけれども併せて別姓も選べるということを若い人たち、これからの結婚を予定している人たちに準備するのかということを問い合わせました。ただ、平成八年から通称使用の法制度のどうのこうのというのは、なぜそうなったかは分からないにせよ、ずっとやってきているので、変えるのはいかがなものかというお返事をいただいているわけであります。
それで、じゃ、今後また調査をするかということなんですけれども、先ほど申し上げたように、この世論調査がなぜ大切かというと、日本の国難は少子化なんだ、少子化の前提には結婚があるんだと。男女ともやはり非婚率が上がっていて、様々な形で結婚を応援するために、例えば、やはり氏の問題でなかなか前に進めないとか、そういう方たちのための一つの選択肢も、私たちは必要でなかったかもしれないけれども、今後のためにということで調べた結果、やはりこの世論調査、いろいろあるけれども、実際は、そういう該当世代は、回を重ねるごとにそちらを望んでいるということが明らかになっているので、あえてまたやる必要もなく、これだけで十分、結婚制度に関しては理解ができるのではないかと私は受け止めているところです。
あと、子供に関しても、もう世界中、日本と、あとどこか分かりませんけれども、ほとんど、氏に関しては別姓であったり、義務づけているところはないので、そこに関して、例えばユニセフとか様々な子供の関係の団体があるけれども、親の名字が別々だからいじめられているという設問というのは、かつてないんですね。ですから、わざわざ作ることもないのではないか。世界中、お父さんとお母さんが名字が違っていても、別に、それによっていじめられたかという質問はどこもしたことがないんです、OECDも。
そういうことをしっかり踏まえて、冷静に取り組んでいきたいと思っています。
○岡本(あ)委員 ありがとうございました。
一番最後に民間の調査もつけております。若い世代ほど、やはり自分の人生の選択として、名字の在り方、氏の在り方、姓の在り方、この点はどんどん変化をしてきている中で、これからの時代をどうつくっていくのか、その点で期待をしたいと思います。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず学校給食費の無償化についてお尋ねをいたします。
文科省に幾つか事実関係を確認の上で、野田大臣に子供関係予算の問題についてお尋ねをしたいと思っております。
二〇一七年度の学校給食費の無償化等の実施状況というのを文科省が調査を行っております。その中で、小中学校とも無償化をしている自治体数及びその割合が幾らか、また、その他何らかの助成制度を実施をしている自治体数及びその割合について明らかにしていただきたい。うち群馬県における無償化等の実施状況がどうなっているのかについても併せてお答えください。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の平成二十九年度に文部科学省が全国千七百四十自治体を対象に行いました実施状況の調査によりますと、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が七十六自治体、四・四%、小学校のみ無償化を実施している自治体が四自治体、〇・二%、中学校のみ無償化を実施が二自治体、〇・一%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が四百二十四自治体、二四・四%となってございます。
また、この調査で、群馬県三十五自治体の状況につきましては、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が八自治体、県内での割合は二二・九%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十三自治体、同じく県内の割合は三七・一%、無償化等を実施していない自治体が十四自治体、四〇・〇%という状況でございます。
○塩川委員 この学校給食費の無償化の実態調査を行うきっかけが何だったかについて教えてもらえますか。
○淵上政府参考人 平成二十九年度当時におきまして、その時点で、これまで文部科学省として、学校給食の無償化の全国状況ですとか、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況がございましたので、その実態を把握するために調査を行ったというふうに承知しております。
○塩川委員 その前の年に経済財政諮問会議で議論になった、学校給食費の無償化が議題に上がった、それとの関係での調査ではないんですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のございました平成二十八年の経済財政諮問会議で民間議員の方々から給食無償化の提案があったということは承知をしておりますけれども、そのことが直接この調査につながっているとは認識しておりません。
○塩川委員 民間議員の提案があって、その翌年に調査をしているということであります。
それで、二〇一七年時点で完全無償化の自治体は全国で四・四、その他何らかの助成制度を実施している自治体数は二四・七%です。四分の一は何らかの助成を行っているんですが、これは二〇一七年時点で、今はかなり進んできているんですよね。
群馬県で学校給食費の無償化の運動に取り組んでいる市民団体の方とも懇談をいたしました。この間、各自治体にも働きかけを行う中で、その数も増えていて、二〇一七年時点では、完全無償化が八自治体の二二・九、何らかの助成措置を行っているのが十三自治体で三七・一、合わせて六割の自治体ではそういう何らかの助成を行っているということですが、現在、群馬県では、三十五市町村中、八割以上の二十九自治体が学校給食費助成制度を実施をし、そして四割の十四自治体が完全無償化になっています。大きく前進をしております。文科省はこういう実態を御存じでしょうか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
群馬県教育委員会に確認をいたしましたところ、令和三年九月一日時点で群馬県教育委員会が行った調査によりますと、県内三十五自治体のうち、小中学校とも無償化を実施している自治体が十二自治体、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十六自治体というふうに聞いているところでございます。
○塩川委員 助成の仕組みがいろいろバージョンがあるものですから、そういうのを広く捉えると私が紹介したような数字になりますし、昨年の調査以降にも前進しているということもありますので、お話ししたような状況になっているわけであります。
ほかにも、山梨県なども大分進んでいまして、二〇一七年時点では、完全無償化というのは二自治体、七・四%でしたが、現在は、完全無償化の自治体は二十七自治体中の十一自治体ということで、四割を超えると。大きく前進をしております。
このように、実施自治体が増加をしているわけです。文科省として、改めて学校給食費の無償化等の実施状況について調査をする考えはありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、平成二十九年度には、当時、文部科学省として、無償化の全国状況、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況におきまして、その実態を把握するために調査を行ったところでございます。
この調査においては、無償化等の状況のみならず、無償化に至った経緯、無償化を開始した目的、無償化による成果、無償化実施前後の課題等について把握をしたところでございます。
文部科学省といたしましては、この調査におきまして必要な情報を把握をいたしまして、また、各給食実施者にもその情報を共有したところでございまして、現時点におきまして、これ以上の調査を網羅的に把握するという予定はないところでございます。
○塩川委員 五年間で実態がかなり前進をしているということはリアルに捉える必要があると思います。そういう点でも、五年もたっているわけですので、調査も行って、その実態を踏まえた対策に生かすということが必要だと思います。
この学校給食費の無償化の問題ですけれども、少し古い話になりますが、一九八一年の四月の衆議院の文教委員会で、我が党の栗田翠議員が、一九五一年のユネスコの第十四回国際公教育会議、学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号を紹介をしました。
これへの文部省答弁は、この勧告の中で、学校給食について、その意義、役割の重要性が述べられている、これらは、やがて一九五四年に学校給食法ができます、それへの大きな刺激となったと受け止めているというものでした。
つまり、学校給食法はユネスコ勧告に刺激をされて制定をされた、こういう経緯でよろしいでしょうか。
○淵上政府参考人 御指摘の昭和五十六年の衆議院文教委員会におきまして、当時の政府委員が、今委員が御指摘されましたような御答弁をされたことは承知をしております。
○塩川委員 学校給食法というのがユネスコの勧告に刺激をされて制定をされたということであります。
そのユネスコ勧告には、義務教育ではできる限り家庭に補充的な出費を負わせるべきではないとしていることは承知をしておられますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の、一九五一年に当時のユネスコと国際教育局におきまして採択をされました学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号におきまして、義務教育においてはできる限り家庭に補充的出費を負わせるべきではないとされております。
あわせて、同勧告におきましては、学校給食の完全無償が不可能な場合には父母による財政的負担が考慮される、その場合の負担は給食材料費を超える額とすべきではないと考えられるともされていると承知をしております。
○塩川委員 いずれにせよ、保護者の負担を軽減するという趣旨が述べられているわけで、その点でも、学校給食の無償化というのは大きな課題ということになります。
学校給食は、学校給食法により、食育を行う教育課程の中に位置づけられております。小中学校の給食は、義務教育の性質上、無償化というのが適当ではありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
学校給食は、栄養バランスの取れた食事の提供により子供たちの健康の保持増進を図るとともに、食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材としても大きな意義を有しており、その推進は非常に重要だと考えております。
一方で、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨に基づき、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
なお、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費につきましては、生活保護による教育扶助や就学援助により支援を実施しているところでございます。
○塩川委員 義務教育の中における、まさに食育という教育課程に位置づけられている学校給食ですので、そういう意味でも、義務教育の性質上、無償化が適当だ、そういう点でも、この学校給食法の規定そのものを見直す必要がそもそもあるんじゃないのかというのが、今ではないのかということを訴えたいと思います。
この学校給食費の無償化、先ほども言いましたように、二〇一六年の経済財政諮問会議でも議論になりました。民間議員から学校給食費無償化の提案があったということです。これはどういう趣旨で行われ、それに対して文科省としてはどのように対応したのかについてお聞きします。
○淵上政府参考人 御指摘の平成二十八年三月の経済財政諮問会議におきまして民間議員の方から学校給食費無償化の提案があったことについては承知をしておりますけれども、最終的に、同年六月に取りまとめられました経済財政運営と改革の基本方針二〇一六におきましては、学校給食関係の記載は盛り込まれていないものと承知をしております。
いずれにしましても、文部科学省といたしましては、学校給食費の無償化につきましては、先ほど申し上げました学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
○塩川委員 国政においても、政府内でもそういった検討も行われ、国会でもそういう議論もこの間行われてきているところであります。学校給食費の無償化に踏み出すときだ、そのための必要な法制度の整備を行うことが求められているということを申し上げます。
それで、小中学校の学校給食費の無償化に必要な財源、額としては幾らぐらいを推計しているのか、お答えいただけますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと今手元に正確な数字がないのでございますけれども、今現状、小学校、中学校の保護者の方が負担している食材費につきましては、およそ四千億程度だったかというふうに承知しております。
○塩川委員 学校給食がないところもありますので、そういったところでも実施、そこの無償化ということで考えれば、経済財政諮問会議の民間議員の無償化の提案の際に出されている数字では、約五千億円という試算も出されているところであります。そういった金額です。
そこで、野田大臣にお尋ねしますけれども、岸田総理は子供予算の倍増を掲げております。この倍増で何をやるつもりなのか、どういうメニューを増やすのか、そこの点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○野田国務大臣 まず、額とか期限ありきではないと思っています。ようやくこの国会で子供政策、こども家庭庁設置法案、様々、基本法の法案の審議に入りまして、ややもするとこれまで主流になかった子供周りの、給食費もそうですけれども、そういうものの問題が顕在化してきました。特に、このコロナによって見えてきた数字は、やはり、子供の自殺が増加している、子供の貧困が増えている、一人親が苦しんでいる、虐待も増えている、不登校も増えている等々、実際に数字が見えてきています。そういうものにしっかりと寄り添って、誰一人取り残さない施策をするために必要なお金をしっかりつけていくというのが、これからの、私たちが今からやるべきことだと思っています。
○塩川委員 額や期限の問題ではないと言いますが、額は倍増しようと言っているわけですから、それをいつまでにというところがなかなか出てこないというのがこの間の議論でしたけれども。
その場合、何を増やすとか、新しいメニューはこれを増やすとか、そういうのがやはり示され、議論される必要があるんだと思うんですけれども、そういう中に学校給食費というのも無償化という形で位置づけるというのは当然あり得ると思うんですが、そういう選択肢として排除されない、そういう課題ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 先ほど文科省が答弁したように、そもそも文科省でお答えいただくべきことですけれども、まずは、やはり地方自治体の取組、今先生が御紹介されたような、そういうことを好事例として、こどもまんなか、子供のために何ができるかということを進めていただきたいと思います。
○塩川委員 そういう際に、国のイニシア、それは、ですから、法制度上の担保も当然ですけれども、財政上の支援もしっかり行う、こういうことを是非とも具体化をしていくときだと思っています。
この間、そういう意味でも、無償化を実施している自治体の首長さんなどは、やはり地域振興のためということで取り組むとか、あるいは義務教育だからこそ無償にするんだということを訴えるとか、子育て世帯支援として行うという、地域の実情を踏まえた学校給食費の助成制度、無償化制度を実施しています。
ですから、もちろん、自治体が先頭に立って住民の皆さんと一緒に実現をしていくという取組の課題ではあるわけですけれども、その際に、それを大きく前進させる上でも国の取組が必要だ、国の政策として学校給食費の無償化制度、助成制度を実施するときではないのか。このことについて、大臣として、改めて一言いかがでしょうか。
○野田国務大臣 重なるかもしれませんけれども、やはり子供政策、こどもまんなかということで、特に我が国は、少子化による人口減少が静かなる有事、国難と皆さんが議論される中、やはりそれをしっかり支えていくような、実現できるようなものをしっかり取り組んでいかなきゃならない、そんなふうに考えています。
○塩川委員 学校給食費の無償化は、住民の皆さんの運動を力に市民と自治体の共同の取組で前進をさせてきたものです。是非、先ほど言ったような、義務教育の無償化、子育て世帯の支援、地域振興策、少子化対策など多様な課題に応える取組でもありますので、国の予算にしっかりと位置づけるべきだということを申し上げておきます。
残りの時間で、子どもの権利条約関連についてお尋ねします。
子どもの権利条約の原則などが書かれた法律が幾つかありますけれども、一番早いのが子ども・若者育成支援推進法だと思いますが、それにおいて、子どもの権利条約はどのように盛り込まれているか、いわゆる四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって、子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
また、児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分尊重しつつ、その最善の利益を考慮することと明記してあります。
○塩川委員 次に、児童福祉法、この間、改正も行われております。子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○川又政府参考人 児童福祉法におきましては、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」という文言が明示的に盛り込まれております。
その上で、同条において、「全て児童は、」「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」、第二条におきまして、「全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。」と規定されておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を包含していると考えております。
○塩川委員 時間が参りました。こども家庭庁設置法がどうなるかはまた次にお尋ねします。
終わります。
○上野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 ありがとうございます。れいわ新選組の大石あきこです。
今週金曜からこの内閣委員会で、こども家庭庁設置法案と、こども基本法案が審議されるということで、子供の権利というものが大きなテーマになるということです。
昨日四月十九日には衆議院本会議にて法案の審議があり、こんなことをおっしゃっていました。子供の声に耳を傾けることは子供を大切にする第一歩やと言うてはりました。むっちゃいいことを言うてはりました。もう反省したということかと。
今まで、子供とか大人の現場の声を無視し続けてきて、この国は衰退してきました。教育予算をけちり続けて、不満はだましと強権で縛ってきました。今、これを逆回転するときだと思っています。
今回は、いわゆるブラック校則、理不尽な校則についてお伺いします。
今こそ国が生徒の人権侵害をやめていく立場に立つとともに、この質疑を見た生徒さんや保護者の方に、自分の力で理不尽なルールは変えられるんだということが伝わればいいなと思います。
資料一を御覧ください。
今現在、多くの学校では、いまだに理不尽な校則が温存されています。憲法を逸脱したような状態です。資料一、これは私の地元である大阪府内のある公立中学校の生徒手帳からの引用です。生徒手帳の写しですけれども。
なぜかコート、マフラー禁止だとか、スカートの長さなども細かく規定されています。靴下なんかも、白色の無地で、膝とくるぶしの中間程度の長さとする、ワンポイント、ハイソックス、ルーズソックス、ライン入りは禁止だとか。そもそも、こんな靴下を売っているのかと思いましたけれども、こういう校則に対応するような白い靴下というのは、中学生用とか高校生用、売っているんですね。
髪の毛も、男女で髪型を細かく規定しています。男子、髪が目、耳、襟にかぶさる長髪は禁止だと。男の子だから長髪禁止って、いきなりおかしいんじゃないですか。ツーブロック、ソフトモヒカン、アシンメトリー、トップ、サイドの長さが著しく異なる髪は禁止。女子も、長い髪は縛ったり、何々禁止禁止ということで、一歩歩けば禁止禁止と、このように縛りつけるような校則になっていまして、これは何の罰ゲームなのかと。
私も一保護者なんですけれども、中学生の親の。このように子供を縛りつけて中学生、高校生を過ごさせて、何もいいことはないと思うんですね。子供たちが自主的に自分たちのルールを作って、自分たちのための学校運営をやっていくという意味でも、これは非常な妨げになっています。
この男女で髪型を差をつけて指導するということの問題として、そもそも男の子だからって長い髪にしちゃいけないのという問題もありますし、自分たちの性自認、自分が男なのか女なのかという自覚という性自認というものは尊重されるべきなんですけれども、これを踏みにじるものでもありますし、場合によって宗教の自由を踏みにじるものです。
このようなルールを守らないと授業には出られないよというのであれば、これは義務教育の侵害です。
また、公立学校だけではなくて、私立でも、より幅の広いブラック校則もあるようで、例えば恋愛禁止、これは実際にデートが見つかって謹慎処分になったという事例もあります。
このように、子供たちの意見に耳を傾けるという社会とは今は真逆、子供を理不尽なルールで縛りつけている現状なんです。
風穴を空ける動きも広がってきました。大阪府立高校に通っていた女性が在学中に、元々茶色だった髪の毛を黒く染めるように強要されてしまいました。その女性が勇気を出して、二〇一七年、裁判を起こしてくれました。この裁判は不当な判決を受けて、まだこの問題は道半ばなんですけれども、でも、この方のアクションをきっかけに、全国で校則の在り方を見直す動きにつながっています。
二〇二二年度、今年度から、東京都教委は、東京都立高校において五つのいわゆるブラックな校則の全廃を決めました。一つ目、髪の一律黒染め。二つ目、下着の色の指定。この学校でも、白い肌着のみ、ワンポイントも禁止とか、そういうふうになっているんです。全国的にそういう下着の指定がされている。こういうものは駄目だ、ツーブロック禁止は駄目だ、自宅謹慎の指導も駄目だ、高校生らしいといった曖昧な言葉による指導は駄目だということで、東京都教委がそういった校則は全廃を決めました。
これはまだまだ不十分なんですけれども、全国的に見たら進んだ事例と言えます。これも、学校現場で取り組んできた生徒さんや保護者や先生の力だと考えます。
野田大臣にお伺いしたいんですけれども、ちょっとこういった校則の現状、やり過ぎやな、人権侵害やなという御認識はありますか。
○鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
今御紹介いただきました東京都教育委員会の取組でございますが、令和三年四月に、都立高等学校等に対しまして、校則の自己点検、見直しを図ることや、見直しに当たって教職員や生徒、保護者等が話し合う機会を持つことなどを示したものと承知をしております。
また、文部科学省におきましても、昨年六月に、校則の内容は、社会の常識や時代の変化等を踏まえまして、校長の権限の下で、絶えず積極的に見直さなければならないことをお示しをしております。あわせまして、生徒が主体となって校則の見直しに取り組む学校や教育委員会の取組事例について事務連絡をさせていただいております。
御指摘のこの東京都教育委員会の取組につきましては、生徒の主体性を育む上で有意義なものと考えております。
○大石委員 昨年六月にそういった通知、見直しの事例なども出されたということです。また、この三月には生徒指導の提要の改訂案というのも出されていますし、子供の権利というものを意識した流れになっているのは確かだと思うんです。
しかしながら、やはりスピードというのが足りないと思うんですね。子供たちの人生というのはもちろん一回きりで、本当に中学生と高校生という人生の時間は大きいですし、その子たちがとっくに卒業してしまうようなスパンで物事が変わっていくのでは遅い。そもそも、私のような、四十四歳ですけれども、が中学生のときからこのような校則でしたし、そういうものがだらだらと延命されているということ、スピード感を持って今変えていくときだと思っています。
東京都の事例、進んでいるというふうにお考えだというふうに今受け止めたんですけれども、文科省として、全国で、最低限、同様の通達を出すべきだと思うんですが、その御予定はありますか。
○鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたが、東京都の各学校で、教職員や生徒、保護者等が話し合う機会を設定するなどして見直しを進めたものは、文部科学省が昨年六月に発出した事務連絡の内容に即した取組の一つであると承知をしております。
文部科学省としましては、事務連絡でお示しした校則の見直しや学校や教育委員会における取組事例につきまして、また、今御紹介いただきました東京都の取組事例も含めまして、全国の都道府県教育委員会の指導生徒担当者等を対象とした連絡会議がございますので、こういった会議や、また生徒指導の指導者養成研修など、あらゆる場面を通じまして、引き続き周知徹底を図っていきたいと思っております。
○大石委員 スピード感を持って、是非、何年もかかることではなくて、今年入った人が、この年に恩恵というか、当たり前の、権利侵害から外れるようにやっていきたいと思います。
男女で分けた髪型、それから制服、女の子はスカートなんだとか、そういう校則に関して、男女共同参画の観点から問題がありませんか。お尋ねします。
○野田国務大臣 そもそも校則というのは、学校が教育目的を達成するため必要かつ合理的な範囲内でそれぞれの学校が定めているものだというふうに承知しています。
他方、今お話があるように、学校を取り巻く社会環境とか児童生徒の状況というのは変化していまして、校則の内容というのは、児童生徒の実情とか保護者の考え方などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直す必要があると認識しています。
今も御紹介あったように、文部科学省においても、校則の見直し等に関する取組事例の紹介、実は、東京都の話ばかりでしたが、岐阜県も既に取組をしておって改定済みになっていますが、そういうところ、促進に取り組んでいるところであって、男女共同参画担当としても、しっかりこれについては文科省と連携して取り組んでまいります。
○大石委員 もう既に、現状で、本当はスカートをはきたくないのにという子が毎日はかされているという現状がありますので、一刻も早くこのような人権侵害というのは解消するべきだと考えます。
子供のために法律を作ろうみたいな流れでこれから審議していくわけですけれども、大人たちが子供の足を踏んでいる、その踏んでいる足をどけるということによって進むことはすごく多いと思うんです。そういうことをまずすぐに始めた方が、子供の声に耳を傾けるという社会に近づくと思うんですよね。
今日の委員会でも、日本は男女共同参画は既に進んでいるとか言っている委員さんもおられて、夫婦別姓に反対するだとか、そういうちゃんちゃらおかしいことを言っている方もたくさんおられます。そういうのに拍手したり、そうだそうだとか言っている方もいっぱいおられるんですね、自民党の方には。そういう声に押されていたら、この社会は一歩も進まないと思うんです。
今こそ、本当に子供の声に、権利に耳を傾ける社会というものを一緒につくっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
質問を終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○上野委員長 次に、内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。野田国務大臣。
―――――――――――――
こども家庭庁設置法案
こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○野田国務大臣 この度、政府から提出をしたこども家庭庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、子供政策を我が国社会の真ん中に据え、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくため、強い司令塔機能を有し、子供の最善の利益を第一に考え、常に子供の視点に立った政策を推進するこども家庭庁を設置しようとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、こども家庭庁の設置、任務、所掌事務について定めるものであります。
こども家庭庁は、こども家庭庁長官を長として、内閣府の外局として設置され、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子供及び子供のある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他の子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援並びに子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務としております。
その任務を達成するため、内閣府や厚生労働省で所管している子ども・子育て支援給付に関することや子供の保育、虐待の防止に関することなど、子供の福祉や保健、子育て支援等に関する事務を移管するとともに、小学校就学前の子供の健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前の子供のある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、地域における子供の適切な遊び及び生活の場の確保、子供の安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、いじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備、子供の権利利益の擁護等をつかさどるほか、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項や結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項等の企画及び立案並びに総合調整をつかさどることとしております。
また、こども家庭庁長官は、所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができるとしております。
第二に、こども家庭庁に置かれる機関について定めるものであります。
こども家庭庁に、こども家庭審議会等を置くほか、特別の機関としては、少子化社会対策会議、子ども・若者育成支援推進本部及び子どもの貧困対策会議を置くこととしております。
この法律は、令和五年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
次に、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、子供政策について、こども家庭庁の下で一元的に推進し、子供及び子供のある家庭に対する支援を効果的に図ることができるようにするため、子供の福祉の増進や保健の向上、子育てに対する支援等を行う法律を移管する等関係法律について所要の整備を行うものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、児童福祉法その他の関係法律について、内閣総理大臣及びこども家庭庁長官の権限を定める等関係規定の整備を行うものであります。
第二に、内閣府設置法その他の行政組織に関する法律について、任務、所掌事務の変更等関係規定の整備を行うものであります。
第三に、所要の経過措置等を定めようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○上野委員長 次に、加藤勝信君。
―――――――――――――
こども基本法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○加藤(勝)議員 ただいま議題となりましたこども基本法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
子供に関する施策については、これまでも、待機児童対策や幼児教育、保育の無償化、児童虐待防止対策の強化など各般の施策の充実に取り組んできましたが、残念ながら、少子化の進行、人口減少に歯止めがかかっていません。また、児童虐待相談や不登校の件数が過去最多になるなど子供を取り巻く状況は深刻で、コロナ禍がそうした状況に拍車をかけています。このような危機的な状況を踏まえると、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて、強力に進めていくことが急務です。
このため、政府においては、子供政策の司令塔としてこども家庭庁を設置する法案を提出されていますが、このような組織法と相まって、従来、諸法律に基づいて国の関係省庁、地方自治体において進められてきた子供に関する様々な取組を講ずるに当たっての共通の基盤となるものとして、子供施策の基本理念や基本となる事項を明らかにすることにより、子供施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法が必要であると考え、この法律案を提出した次第です。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全ての子供が、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を目指すことを明示し、それに向けて子供施策を総合的に推進することを目的としております。
第二に、こども家庭庁設置法案と同様に、心身の発達の過程にある者を子供と定義しております。また、子供施策を子供に関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策として定義しております。
第三に、子供施策の基本理念として、一号から四号においては、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則、差別の禁止、生命、生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重及び児童の最善の利益に相当する内容を規定しております。五号では子供の養育について、六号では子育てについての基本理念をそれぞれ定めております。
第四に、年次報告及びこども大綱の規定を設けております。なお、この法律により、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律における国会報告や大綱等を束ねることにより、関係する施策に横串を通すとともに、行政の事務負担の軽減を図ることとしております。
第五に、閣僚会議として、こども政策推進会議を設けることとしております。この会議につきましても、先ほど申し上げました三つの法律における会議等を統合することとしております。
第六に、国の責務等を規定し、また、基本的施策として、子供施策に対する子供等の意見の反映、支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備、関係者相互の有機的な連携の確保、子供施策の充実及び財政上の措置等を規定しております。
最後に、この法律は、こども家庭庁設置法案の施行に合わせ、令和五年四月一日から施行することとしております。また、検討条項として、子供施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備を含め、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のために必要な方策について検討する旨を定めております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
○上野委員長 次に、岡本あき子君。
―――――――――――――
子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○岡本(あ)議員 ただいま議題となりました子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
まず、この法律案の趣旨について御説明申し上げます。
この法律案は、子供の最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体で子供の成長を支援する社会を実現するため、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子供施策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、子ども施策基本計画等の策定、子供施策の基本となる事項、子どもの権利擁護委員会及び都道府県等における合議制の機関等並びに子ども省の設置についての法制上の措置等に関する事項について定めることにより、子供施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めるものであります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、子供施策とは、子育て、教育、福祉、保健、医療、雇用、少子化対策その他の分野における子供に関する施策をいい、当該施策の性質上、子供のほか若者を対象とすることが適当である場合にあっては、若者に関する施策を含むものとしております。
第二に、基本理念として、子供施策の推進は、全ての子供の最善の利益が図られ、その人権を保障すること等を旨として行わなければならないことや、子供の意見表明権など、子どもの権利条約、児童の権利に関する条約の四つの原則を余すところなく盛り込んでおります。
第三に、国、地方公共団体及び国民の責務等を規定することとしております。
第四に、政府は、基本理念にのっとり、子ども施策基本計画を定め、また、都道府県は、子ども施策基本計画を勘案して、都道府県子ども施策基本計画を定めることとしております。
第五に、子供施策の基本となる事項として、子供施策のための予算の確保、すなわち家族関係社会支出を倍増してGDP比三%以上とすること、子供の意見の反映、子供施策の実施状況に関する評価等について定めるほか、子供の生活を経済的に安定させるための施策として、児童手当を高校卒業相当年齢までの全ての子供について支給すること、子供の貧困率の低下について具体的な数値目標の設定などを盛り込んでおります。また、希望する者が安心して子供を産み育てることができる社会の実現のための施策として、妊娠、出産、育児及び子供の成長に関する切れ目のない支援等を、子供の生存と安全を保障するための施策として、児童虐待の防止等を、教育を受ける権利等を保障するための施策として、小学校就学前の子供に対する教育及び保育の充実等を、特別の支援を必要とする子供に関する施策として、ヤングケアラーの負担の軽減、修学及び就業のいずれもしていない子供等の支援、特別の支援を必要とする子供が学び、成長するための支援及び環境の整備等を定めることとしております。
第六に、内閣府の外局として、子どもの権利擁護委員会、いわゆる子供コミッショナーを設置し、その任務、所掌事務、組織等について定めるとともに、同委員会による関係行政機関の長等に対する資料提出その他の協力の要求、子供の権利侵害が疑われる場合の調査等及び関係行政機関の長等に対する勧告について定めることとしております。また、都道府県等に、子供の権利侵害に関する救済の申立てを受けてその解決を図ること等を所掌事務とする合議制の機関を置くこととしております。
第七に、政府は、子供施策の総合的な推進を図るため、文部科学省の初等中等教育、幼児教育を含めた事務を一元的につかさどる子ども省の設置について、必要な法制上の措置等を講ずることとしております。
第八に、子どもの権利擁護委員会の委員等の秘密保持義務違反並びに同委員会の調査に対する虚偽報告及び検査忌避等に対して所要の罰則を設けることとしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨及び内容です。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○上野委員長 次に、三木圭恵君。
―――――――――――――
子ども育成基本法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○三木議員 ただいま議題となりました子ども育成基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
本法案は、子供が抱えている多種多様な問題に適切かつ臨機応変に対応するために、これまで分野ごとに分かれていた各省庁の取組を一体化し、教育と福祉が一緒になって、力を合わせ、子供を育む環境を整備し、もって、いじめ、虐待、貧困など諸課題の解決を進めるとともに、全ての子供たちの幸福な未来を保障するため、また、子供の保護者が安心して子供を育てることができるようにするためのものです。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、次代の社会を担う子供の育成への支援は日本社会の未来への投資であるとの認識の下、子供の教育、福祉等に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、子供の教育、福祉等に係る施策を一体のものとして実施することにより子供の育成を支援する社会を実現するため、子供の育成に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としております。
第二に、子供の育成に関する施策の実施に当たっての基本理念として、子供の育成に関する施策は、教育を基軸として、これと子供の福祉に係る施策とを適切に組み合わせて一体的に行われなければならないこと等を定めております。
第三に、国の責務、年次報告、子供の育成に関する基本的な計画等について定めるとともに、子供の育成に関する重要事項の審議や施策の実施の推進を行う機関として、内閣府に、子ども育成会議を置くこととしております。
第四に、子供の教育と福祉に係る施策とを適切に組み合わせて一体的に行うべき子供の育成に関する施策等に係る事務をつかさどる行政組織である、教育子ども福祉省の設置に関する基本方針を定めております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○上野委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○上野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、来る二十八日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十分散会