第21号 令和4年4月22日(金曜日)
令和四年四月二十二日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君
理事 足立 康史君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 伊東 良孝君
石原 宏高君 金子 俊平君
国光あやの君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
高木 啓君 土田 慎君
永岡 桂子君 平井 卓也君
平沼正二郎君 松本 尚君
宮路 拓馬君 宗清 皇一君
柳本 顕君 山田 賢司君
吉川 赳君 和田 義明君
大串 博志君 堤 かなめ君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 山井 和則君
阿部 司君 浅川 義治君
堀場 幸子君 三木 圭恵君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
議員 加藤 勝信君
議員 木原 稔君
議員 工藤 彰三君
議員 鈴木 隼人君
議員 中野 洋昌君
議員 岡本あき子君
議員 城井 崇君
議員 阿部 司君
議員 三木 圭恵君
国務大臣
(こども政策担当) 野田 聖子君
文部科学副大臣 池田 佳隆君
厚生労働副大臣 佐藤 英道君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
財務大臣政務官 藤原 崇君
文部科学大臣政務官 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 深澤 陽一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 鹿沼 均君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長) 谷内 繁君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官) 蝦名 喜之君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官) 相川 哲也君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 吉住 啓作君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 辻 貴博君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 笹川 武君
政府参考人
(法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 佐竹 毅君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 安彦 広斉君
政府参考人
(文部科学省国際統括官) 岡村 直子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 川又 竹男君
政府参考人
(厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長兼子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 岸本 武史君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
鈴木 英敬君 土田 慎君
平井 卓也君 国光あやの君
和田 義明君 柳本 顕君
山岸 一生君 山井 和則君
浅川 義治君 三木 圭恵君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 平井 卓也君
土田 慎君 鈴木 英敬君
柳本 顕君 和田 義明君
山井 和則君 山岸 一生君
三木 圭恵君 浅川 義治君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)
こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)
こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)
子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)
子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)
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○上野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官鹿沼均君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○上野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。永岡桂子君。
○永岡委員 おはようございます。自民党の永岡桂子でございます。
本日、こども家庭庁の設置法案等を審議する最初の質問者ということで、大変光栄に感じております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
こども家庭庁は、総合調整部門、成育部門、支援部門の三つに分かれると言われておりますが、そもそも、こども家庭庁を設立する発端は、令和三年に閣議決定された骨太の方針二〇二一におきまして、困難を抱える子供への支援等が抜け落ちることのないような体制を構築することとして、そして、こうした機能を有する行政組織を創設すると盛り込まれております。
仏作って魂入れずという言葉ではありませんが、こども家庭庁の中でも具体的な所掌事務、とりわけ、発足の趣旨を鑑みまして、支援部門関連につきまして主にお尋ねしたいと思っております。
最近、一人親を支援をしているNPO法人の団体の方々とお話しする機会を得ました。コロナ禍で子供たちの貧困が進んでいる、その声をいただきました。食事に事欠くような、本当に低所得の子育ての世帯もあると聞きますと、大変心が痛みます。
子供の貧困状況とコロナ禍による影響につきまして、内閣府にお尋ねいたします。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
コロナ禍が子供の貧困に及ぼす影響ということでございます。
この点につきましては、内閣府が昨年実施した子供の生活状況調査というものがございまして、この中で、コロナ禍前と比較して世帯全体の収入が減ったというふうに回答した割合は、全体では三二・五%、これが一人親世帯ですと三四・九%、さらに、等価世帯収入が中央値の二分の一未満である家庭では四七・四%というふうになっております。また、生活に必要な支出の変化、それから、お金が足りなくて必要な食料、衣料を買えなかったということについても、世帯全体と比較すると、一人親世帯あるいは収入が低い世帯では、増えたと回答した割合が多いという結果になっております。
このように、収入水準が低い世帯、一人親世帯では生活状況が更に厳しくなっている可能性があるということでございます。私どもとしては、関係省庁としっかり連携しながら対応していきたいと思っております。
○永岡委員 ありがとうございます。やはり、コロナ禍では大分今までよりも所得が減ったということがうかがわれます。
また、これはコロナ禍前でございますが、OECDの統計でも、二〇一八年、我が国の一人親家庭の貧困率は四八%。これは本当に、二家庭に一家庭は貧困であるということでございますし、また、OECD三十六か国中三十五位。子供の貧困率が、本当に貧困率が高いということになります。
今答弁にもありましたように、コロナ禍によりまして、非正規雇用の方が多い一人親家庭を中心に大きな影響を受けているということでございます。やはりそういった世帯の方々の命を守らなければならないというのも、私たち政治家の仕事だなと思っております。
私はこれまで、自民党の母子寡婦議連、これは今はひとり親家庭議連と申しますけれども、会長といたしまして、一人親家庭を始めとする低所得の子育て支援に取り組んでまいりました。
コロナ禍の令和二年の七月には低所得のひとり親臨時特別給付金、令和二年の十二月にはその再給付、そして、令和三年四月の子育て世帯生活支援特別給付金など、低所得の子育て世帯がその命をつなぐことができるような働きかけをしてまいりました。野田大臣が自民党の幹事長代行でいらっしゃったときも、本当に何度も何度も相談に乗っていただけたこと、心から感謝をしております。
また、今回のオミクロン株主体で、子供たちに本当に大きく感染が拡大をしております。休校等が増えまして、一人親家庭を始めとします低所得の子育て世帯は大きく影響を受けました。また、生活必需品も含めた物価の高騰、これは特に低所得世帯への影響が多いわけです。
そういった状況を踏まえまして、政府で今、臨時経済対策というものを取りまとめております。本当に、低所得の子供たちに支援をしましょうということで、ニュースではよく見るのですが、決めるのは来週ということでございますが、やはり、是非、低所得の子育て世帯への支援をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。ここでは答弁は求めませんので、御安心ください。
そして、今回、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案十四条二号でも言及されております、平成二十五年に施行された、議員立法の母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法の趣旨とも関連をいたしますが、一人親家庭の親が手に職をつけて自立をしていただくための制度、高等職業訓練促進給付金、これは、コロナ禍の影響を踏まえまして、令和三年度から、対象資格の拡充、そして期間の緩和を実施をしております。今回拡充いたしました対象資格にはIT関連などの世の中のニーズが高い仕事も多いわけでございまして、是非この措置の恒久化をお願いしたいと考えております。
高等職業訓練、この制度をまだ活用できていない自治体もあると聞いておりますので、そのような自治体への更なる働きかけもお願いしたいと考えますが、厚生労働省、いかがでございましょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化いたします中で、一人親世帯は厳しい状況にあるものと認識をしております。
厚生労働省といたしましては、資格取得に向けた訓練受講中の一人親に生活費を支給する高等職業訓練促進給付金につきまして、養成機関において元々一年以上修業する場合に支給するものとされているところ、六か月以上の修業で支給できるよう訓練期間を緩和いたしますとともに、支給対象を民間資格取得にも拡大をいたしましたところでございます。
この措置は、令和四年度においても継続をしております。今後とも、一人親の方々の個別のニーズに寄り添った、継続的な自立につなげるための支援に取り組んでまいりたいと考えております。また、令和五年度以降、今後の在り方につきましては、今後の新型コロナウイルス感染症の影響などを注視して検討してまいりたいと考えております。
また、未実施自治体の関係でございますが、本事業の実施状況につきまして、毎年度、自治体別の数字を公表いたしますとともに、全国会議などにおきまして事業の積極的な活用をお願いしているところでございまして、引き続き、実態をしっかり把握いたしますとともに、更なる活用を自治体に対して働きかけをしてまいりたいと考えております。
○永岡委員 ありがとうございます。本当にすばらしい制度でございますので、これの恒久化等、私も頑張って政府の方に働きかけてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
貧困対策や一人親支援を通しまして子供の命を守るという観点から、養育費の確保に向けた取組についてお尋ねをいたします。
離婚母子家庭に関して言えば、離婚時に養育費の取決めをしている家庭は四二%、離婚時に取組をして協定を結んでいる家庭は四二%でございますが、それが続いているという家庭は二四%でございます。決めてもなかなか実行に移してもらえないというのが現状でございます。
また、父子家庭につきましては、取決めをしているのは二〇%、しかしながら、それが、養育費をしっかりと受け取ることができるように実行されている方々が三%でございます。ほとんどできていないという状況であると思います。
また、父子家庭に関して言えば、収入面にゆとりが母子家庭よりは少しはあると考えると、こういう数字もあるのかなと思いますけれども、やはり両方とも低いわけでございまして、離婚したときは養育費の確保というのが、やはり子供の生きていく糧としては大変重要と考えております。
そこで、現在の養育費確保に向けた取組状況、特に、自治体と協働した取組につきまして、例えば法務省であれば、これは調査研究事業といいまして、自治体の窓口からオンラインなどで弁護士さんの法律相談などが受けられる支援ですとか、また厚生労働省であれば、養育費などの支援事業、あとは、離婚前後親支援モデル事業として力を入れて取り組んでいただいているところでございますが、両省共に、その拡充、連携をお願いしたいと思います。
そこにつきましては、法務省、厚生労働省、それぞれ御回答をお願い申し上げます。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたように、法務省では、令和三年度の委託事業として、養育費の不払い解消に向けた自治体における法的支援及び紛争解決支援の在り方に関する調査研究を実施しておりまして、人口規模や司法へのアクセス等の条件の異なる五つの市と連携をいたしまして、様々な支援策を試行するモデル事業を行ったところでございます。
このモデル事業におきましては、例えば、養育費の相談のために来庁した方にオンラインで弁護士の法律相談を提供したり裁判手続の申立て書の作成を補助したりといった施策について、利用者からは肯定的な評価をいただいたというふうに報告を受けているところでございます。
法務省としては、このようなモデル事業を通じた調査研究を令和四年度も実施する予定でございまして、その際には、支援の幅を更に拡大することや対象自治体を拡大することも検討しているところでございます。
また、この調査研究において有効と認められた成果につきましては、公的支援等を所管する関係府省による今後の施策立案にも適切に反映していただくよう、関係府省と引き続き連携協力を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省におきましては、一人親家庭の養育費確保に向けまして、離婚前後親支援モデル事業などによりまして、養育費等に関して自治体が実施する弁護士による相談支援、養育費の履行に関する公正証書の作成支援などの自治体の先駆的な取組への支援などを行っているところでございます。
法務省が実施されました調査研究の結果なども踏まえまして、一人親支援の観点から、養育費確保に向けて、引き続き法務省と連携を図ってまいりたいと考えております。
○永岡委員 ありがとうございます。既に、養育費をいただくように協定を結ぶ際の連携というのはしているようでございます。是非是非、これをこども家庭庁ができた暁にはもっともっと強力に進めていただけることをよろしくお願いしたいと思っております。
あわせまして、規制改革会議で養育費確保についても議論されているとのことでございますが、その状況についても御説明をお願い申し上げます、内閣府。
○辻政府参考人 お答えいたします。
内閣府といたしましても、養育費は離婚後の一人親家庭の生活を下支えするものでございまして、養育費の確保は一人親家庭の貧困問題に対応していく上で大変重要な課題と考えてございます。
このため、規制改革推進会議におきましては、法務省さんとか厚労省さん、それから、積極的に支援策を講じていらっしゃる自治体さんの協力も得ながら、離婚時にきちんと養育費の取組がなされ、それに基づいてきちんと養育費が支払われる、こういうふうにするためにどういう規制制度の見直しが必要か、こういう点について議論を行っているところでございます。
規制改革推進会議の方は、例年どおり、五月から六月頃に答申の取りまとめをすべく議論を進めておりまして、本件につきましても、現在、関係府省と調整をしているということでございます。
○永岡委員 ありがとうございます。本当に、離婚をした家庭がその後に養育費をいただくというのは、それこそ子供の生活の糧でございます。政府一丸となりまして取り組む形になっていると、本当に受け止めさせていただきました。こども家庭庁においても、子供の貧困対策という点から力をしっかりと入れていっていただきたいと思っております。
また、養育費の確保という観点からは、マイナンバーの活用というのも一案だと考えておりますが、どのような議論が現在なされているのか、法務省、伺わせていただきます。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
養育費の不払い解消に向けた取組の一つとして、養育費に関する民事執行手続の利便性を向上させるということは重要な課題の一つであると認識しております。
このような課題につきましては、強制執行手続の場面において、養育費の権利者がマイナンバー制度を利用して義務者の所得や資産の状況を把握することができるようにすべきであるという意見があることも承知をしているところでございます。
養育費の不払い解消を含め、離婚及びこれに関連する制度の見直しにつきましては、現在、法制審議会家族法部会において調査審議が行われているところでございますが、御指摘のマイナンバー制度の活用の可能性を含めて、幅広く検討を行っているところでございます。
引き続き、法制審議会において充実した調査審議が行われるよう、事務局を担う立場から、必要な対応に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○永岡委員 ありがとうございます。マイナンバーカードを養育費に使うのも一案と申し上げましたけれども、まだまだこれには法律の整備等がございますので大変だとは思います。けれども、法務省の法制審の方で議論をしていただいているということを伺いまして、私も本当に期待が持てるなというふうには思っております。まだ時間はかかるかとは思いますが、しっかりと私たちも働きかけをさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、育成部門の話にも触れたいと思います。
今回のこども家庭庁設置法では、幼稚園は引き続き文部科学省が所掌するということになります。就学前の子供たちの保育園、幼稚園、認定こども園における教育と保育の質の向上に向けた今回の法案のたてつけについて、御説明をお願いいたします。内閣府、お願いします。
○蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。
小学校就学前の子供の健やかな成長を保障していく上で、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型を問わず、どの園に通っていても共通の教育、保育を受けられるようにすることが重要と考えております。
このため、これまでも、幼稚園教育要領、それから保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の整合性を運用において確保するとともに、小学校との接続の連携の手がかりとして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を策定するなど、幼保小の連携を推進をしてまいりました。
今回御審議をいただいておりますこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案におきましては、学校教育法及び児童福祉法を改正をいたしまして、幼稚園における教育内容、それから保育所における保育内容の基準の策定に当たりまして、こども家庭庁と文部科学省とが相互に協議をすることといたしまして、これらの基準を共に策定をすることとしているところでございます。これによりまして、施設類型を問わず、共通の教育、保育が行われることを制度的に担保をすることとなります。
こども家庭庁が設置された際には、文部科学省と連携しながら、幼児教育、保育の質の向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○永岡委員 ありがとうございます。今回、関係省庁と一層連携が進むたてつけになっていると思います。努力を評価したいと思っております。
また、再度ですが、支援部門に関連いたしまして。
昨今、いじめ問題がニュースなどで騒がれております。文部科学省の調査結果によりますと、令和二年のいじめ件数は年間五十一万件と、前年比でございますが、一五%減ではございました。これは、コロナにより物理的な距離が広がったことや、年間授業日数が少ない学校もあったことなども影響していると思います。
それまでは右肩上がりであったことから、まだまだ油断ができないと思っておりますが、そもそも、年間五十一万件といいましても、五十一万分の一であっても、やはり、いじめは当人にとっては本当に重大な問題です。学校におけるいじめ対策の取組を、説明をお願いいたします、文部科学省。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
学校におけるいじめの問題は、近年ますます深刻化をいたしますとともに、特に、SNSなどによるいじめなど、発見しにくいいじめも多数発生をしてきておりまして、その対策に当たりましては、学校が、まず学校において組織的に対応するということはもちろんでありますけれども、この深刻化、困難さに応じまして、学校のみならず、福祉、医療、警察などの関係機関とも連携しながら、社会総がかりで取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。
例えば、家庭で虐待を受けている子供が、逆に学校ではいじめの加害側に回っているといったようなケースもあるわけでございまして、いじめの背景には家庭が要因となっているというふうな場合もございます。
教育委員会や学校のみでは根本的な解決が難しい、こういう事案もあるかと思いますので、こうした事案に対して、学校、教育委員会、それから、福祉部局である児童相談所など外部の関係機関とより連携して、ノウハウを発揮して対応していく必要があるというふうに考えているところでございます。
○永岡委員 ありがとうございます。やはり、いじめ対策というのは、子供たちの未来、日本の未来にとっても大変重要でございます。教育委員会、自治体、警察、そしてこども家庭庁ともよく連携をして、しっかりと取り組んでいっていただければと思っております。
そして、犯罪という視点から、少年院などから出院した子供たちの犯罪や非行の再発防止の取組状況をお尋ねいたします。法務省、お願いします。
○佐竹政府参考人 少年院入院前の住居や環境に戻すということが適当でないと判断される場合もございます。保護観察官や保護司が、帰住先、引受先となり得る更生保護施設、社会福祉施設、協力雇用主等の関係機関と連携し、出院後の生活環境が更生にとってふさわしいものとなるよう、必要な調整に努めております。
また、出院後も保護観察に付され、同様に、保護観察官や保護司が、個々の少年の問題性に応じ、深夜徘徊禁止等の遵守事項を守るように指導監督を行うとともに、学校、協力雇用主、地方公共団体等の関係機関と連携し、修学、就労支援を行うなど、少年の再非行を防止し、その自立更生を支援しているというのが現状でございます。
今般、こども家庭庁が創設された後も、こうした関係機関と緊密に連携し、出院後の適切な生活環境調整と再非行防止に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○永岡委員 ありがとうございます。
家庭を含んだ生育環境から犯罪に至るという例が大変多うございます。かつて私、医療少年院を視察したことがあったんですけれども、法務教官の皆さんのきめの細かな矯正教育に感激をいたしました。しかしながら、出院をして終わりということではなく、むしろ、出院した後、これがスタート地点だと考えております。子供たちが健全に育つためにも、やはり、出院後の対応、これは関係機関と連携をますます強めていただくことをお願い申し上げたいと思っております。
これまで、困難な状況に置かれております子供たちの支援、主に支援ということをお話ししてまいりました。こども家庭庁ができまして、この取組がこれだけ進んだ、こんなによくなった、そういう実感を皆さんに感じていただきたいと思っております。そのためには、今困難な状況にある子供たちを守り、支えていかなければなりません。
そこで、大臣にお尋ねいたします。
こども家庭庁設置を契機といたしまして、低所得の子育て世帯を始め困難な状況にある子供たちへの支援に向けた決意をお願いいたします。
○野田国務大臣 永岡委員には、長く一人親支援をライフワークとされていて、私も随分御指導いただきました。
もちろん、支援を必要とする子供たちにしっかり支援を届けるということが重要であります。ですから、私も、大臣に就任してからは、永岡委員がいろいろおっしゃっておられたので、実際に、子供食堂での、一人親や、孤独、孤立、子供の貧困対策など、支援担当者との車座を一番最初にさせていただきましたし、その後も、有識者や現場職員の皆さんからのヒアリングをしっかり何度も重ねさせていただいて、現場の切実な声を伺い、支援を必要とする子供や家庭に支援を届けることが改めて重要だと受け止めています。
このことを踏まえて、内閣府では、子供の貧困対策を行う自治体を支援する、地域子供の未来応援交付金、これを大幅に拡充いたしましたし、NPO等を通じた支援体制を、これまた強化してきたところです。
昨年末に閣議決定した基本方針では、困難な状況にある子供や家庭が抱える課題は深刻化そして複合化していることから、制度や組織による縦割りの壁又は年齢の壁を克服した切れ目のない包括的な支援、これをしっかり行うことを、今後の子供政策の基本理念の一つとして掲げています。この基本理念に基づいて、こども家庭庁の下で、貧困を含め、安定的な財源を確保しつつ、困難な状況にある子供に対する支援を更に強力に推進してまいります。引き続きの御指導をお願いしたいと思います。
○永岡委員 ありがとうございます。
期待しております。
○上野委員長 次に、吉川赳君。
○吉川(赳)委員 おはようございます。自民党の吉川でございます。
こども家庭庁関連に関しまして質問の機会をいただきますこと、大変ありがたく存じます。しっかりと務めてまいりたいと思います。
朝ですから、私もそんなに元気ないんですよ。ただ、冒頭でございますが、結婚三十年を迎えたというある御夫婦の話をさせていただきたいなと思うんです。
結婚三十年に当たりまして、旦那さんは、奥さんに大分迷惑をかけたな、こういう気持ちもあったのか、せっかくだから結婚記念日に旅行でも行こうか、こういう話になるわけで、奥さん、いたく喜びまして、すると、どこに行くか、こういう話になるわけです。そのときに、奥さんが、旦那さんの手をぎゅっと握って目を見て、私ね、せっかくだから、あなたが行ったことがないところ、一緒に行きたいの、こう言うわけです。旦那さんもどきっとしたんですけれども、奥さんはそのまま旦那さんの手を引っ張って台所に連れていった、こういう話があるわけでありますけれども。
つまり、今、育休ということに関して、大分、男性の育休ということも法整備が進みつつあるわけであります。しかしながら、一方で、まだまだ女性に比べて男性の育休率は非常に低く、そして、たてつけとしても、短期間、刻みで取ってもいいよ、こういったことで徐々に法改正をしていただいている。そして、今回のこども庁に関しても、やはり、出産そしてまた育児期の男女共にワーク・アンド・ライフ・バランスを整えていくということ、これは極めて重要な観点になってくるかと思います。
そこでなんですが、今後は、例えば男性が長期の育休を取るというケースも徐々に出てくるでしょうし、また、今は女性の育休期間の方が比較的長いわけですが、男女共に短期で交代ずつ取る、こういったケースも今後出てくるかもしれません。
しかしながら、今はやはり女性が長期で取るということが多い中、男性に比べて、今日資料もお配りさせていただいています、皆さんもよく見たことがある資料だと思うんですけれども、女性が八一%に対して男性が一二・六五ということになっています。
ただ、特に三枚目なんですけれども、長期の育休を取るであろう女性に関して、三枚目の下の方ですね、事業所規模に応じて大分顕著な開きがあります。五百人以上、大きい会社になると九五%、百人から五百人未満だと九三%、三十から九十九になると七一まで一気に落ちて、五人から二十九人は七八%。これは、九〇%台から七〇%台と、事業所規模、主に従業員数に応じて大きな開きが出ているわけですが、そこでまず、所管する厚生労働省に、この理由に関してお伺いしたいと思います。
○深澤大臣政務官 お答えしたいと思います。
ただいまの御質問に対しましては、特に中小企業におきましては育児休業取得に伴う代替要員の確保の負担がより大きいということが、育児休業の取得が進んでいない背景にあると考えられております。
以上です。
○吉川(赳)委員 まさにいただきたい答弁をばちっといただきまして、ありがとうございます。そのとおりだと思います。
二枚目の資料なんですけれども、これも皆さんよく見たことがあると思うんですけれども、この中で、育休制度を利用しなかった理由、男女共に、その他、分からないを除くと十二個挙げられているわけです。
男性だと圧倒的に、収入を減らしたくなかったからということがあるわけですけれども、ただ、それ以外は、十二個中七個が、要は、言ったら職場環境の問題ということになるわけですよね、細かく分かれていても。なので、先ほどの政務官の答弁のとおりであると思います。
やはり、我々、選挙区に帰ると、各先生方、地元で中小企業さんのところに行くと思うんですけれども、千人以上、千人いるような大きな会社で、十人のチームがあって、一人の方が育休を取得されて九人で仕事をカバーしていくということ、これは、まあ大変なんでしょうけれども、やらなければなりませんし、比較的やりやすいと思います。
ただ、私の地元なんかでも、中小企業さんに行くと、工場があって、事務スペースには二人しかいない。例えば、そのうちの一人が育休を取るとなると、やはりなかなかこれは会社としては御苦労がある。
もちろん、今、多くの経営者の皆様方、育休をしっかりと取らせるということの理解は、私は感じ取っていただいていると思います。最近も、党の方で日本商工会議所の青年部の皆さんと意見交換をしたときに、育休が取れる環境というのは、この人手不足の中で人材をしっかりと確保する一つのエビデンスにもなっていく、こういう意識も持っていただいています。
ただしかし、さりとて、なかなか、従業員規模が少ないところですと、現在まだこういう状況が起こってしまうわけですね。
そこで、代替人材に関する何か支援策というものがあればお伺いしたいと思います。
○深澤大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、中小企業におきましては、育児休業の取得に伴う代替要員の確保等が大変重要な課題だというふうに認識しております。
このため、育児休業取得者の業務を代替する労働者の確保等を行う中小企業事業主や、育児休業取得者の業務を周囲の労働者が代替し、当該労働者に対して手当の支給等を行う中小企業事業主に対しまして、両立支援等助成金による支援等を行っているところでございます。
厚生労働省としては、こうした取組を通じて、中小企業において希望に応じて仕事と子育てが両立できる職場環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○吉川(赳)委員 このように、代替要員を確保した場合に、二十万円から始まり、様々な条件に応じて六十万円までの支援が事業所に行われるという制度があります。ただしかし、では、なぜこれがあるのにこういう状況になっているかということをやはり我々はしっかりと捉えていかなければならないんだと思います。
例えばなんですが、保育士さん、基本的に人手不足と言われて、また、年齢的にも出産をする年齢の皆様方が多くいらっしゃる。例えばこういった方の代替要員というのはどこにあるのかというのを考えて、ちょっと調べると、例えば派遣会社のホームページで、保育士の派遣に強い、こういった会社が出てきたりするわけです。
派遣業というと、かつて、リーマン・ショックの後、不安定で、そして賃金が安く、マイナスのイメージがあったわけですが、やはり直近、労働者派遣法の改正によって様々な解消がされようとしています。不合理な待遇の解消ですとか説明義務の強化、同一賃金同一労働等が挙げられるわけであります。
結果として、例えばこの派遣業も、かつてのマイナスのイメージから、優秀な人材、つまりフリーランスという言い方に変わりつつある。IT関連では、やはり、ITというのはプロジェクトごとに進みますので、高いスキルを擁したIT人材がフリーランスとして派遣会社を介して会社に行くということも今では非常に増えてきているわけであります。
ただ、これを見ても、育休だとか産休に強い派遣会社というのは今のところまだ見当たらないんですね。これはある意味、市場の動きでありますので、政府として何ができるかということもあるんですが、産休、育休、ワーク・アンド・ライフ・バランスを整えていくには、労働市場の流動性というものが出てこなければ、やはりどうしても、休まれる方とそして企業側とでマッチングがしていかないのかなと思います。
なので、やはりそこに至っては、こども家庭庁また厚労省において現在のこういう育休、産休の現状というものの情報をしっかりと出していくこと、そして、それを例えば市場がしっかりとキャッチアップして、そういった派遣会社というものをビジネスチャンスにしていくことによって、私は、やはり育休の代替要員というものがしっかりと補完をされていくのかなと思います。
しかも、この問題に関しては、まだまだ私、課題があるなと感じています。
例えば、私の友人なんかでもいるんですけれども、出産年齢の女性が、資格を取って、一人で美容院をやっている方なんというのもいらっしゃいます。そういう場合は、単純に、個人事業主とはいえ休業をしなければならない。士業と言われる方にもそういう方はいらっしゃると思います。
そういったところも含めて、まだまだ、この育休制度、課題はあるわけですが、是非、今般のこのこども家庭庁で、子育てにとって大変重要なフェーズである育休、産休の環境というものを、市場とも合わせながら、更に充実したものにしていっていただきたい、そのようにお願いを申し上げる次第でございます。
次に、こども家庭庁の支援部門関連で質問をさせていただきたく思います。
まず、この支援部門に関して、今までの議論の中でも、こども家庭庁設置法案の概要ということで、特にこういったものに特出しをされているのが、いじめですとか子供の貧困、そして、余りこれは明文が見られないんですが、最近では政府の方でヤングケアラーということに関しても議論がなされています。
その中で、特出しが特にされていないのが、前回の一般質疑でも少し触れさせていただいたんですが、無戸籍児及び無戸籍者に関する支援というものが特に触れられていないわけであります。
今、現状、八百人、そして無戸籍児童にすると六百人程度いると言われておりますが、この戸籍のない方たちに関する戸籍取得に向けた現状、支援について、ちょっと法務省からお伺いをしたいと思います。
その前に、深澤政務官、もう答弁はありませんので、もしお忙しければ。
法務省、よろしくお願いいたします。
○上野委員長 深澤政務官におかれましては、御退席いただいても結構です。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
無戸籍の方につきましては、国民としての社会的基盤が与えられておらず、社会生活上の不利益を受けるという、人間の尊厳に関わる重大な問題が生じていると認識しているところでございます。
先ほど御指摘いただきましたように、法務省においては、本年四月十日現在までに、累計で四千八十名の無戸籍者の方を把握し、既に三千二百五十二名の方が無戸籍の状態を解消しておりまして、現在、八百二十八名の方が無戸籍の状態にあると把握しているところでございます。
法務省としては、無戸籍者の解消に向けまして、まず、市区町村の窓口などから得られた情報により各法務局において無戸籍者の情報を把握する、把握した情報に基づきまして、法務局や市区町村の職員が無戸籍者の母親などに定期的に連絡をしたり戸別に訪問をしたりするなど、一人一人に寄り添い、戸籍の記載に必要な届出や裁判上の手続が取られるよう支援をする。それから、各法務局等に裁判費用等の相談があった場合には、法テラスでの民事法律扶助制度について御案内をする。さらに、法務省に無戸籍者ゼロタスクフォースを設置するとともに、各法務局において、市区町村、弁護士会などの関係機関と協議会を設置する。こういった関係機関との連携の下に、一人一人に寄り添った支援を行っているところでございます。
引き続き、無戸籍者の解消に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○吉川(赳)委員 済みません、法務省さん、ごめんなさい、もうちょっと深掘りしたいことが一点ありまして。無戸籍者の把握ということだけを考えると、どういう支援活動を現在行っておるんですかね。無戸籍者を把握するということに関してはどういう動きになっているのかというのを、ちょっと。
○堂薗政府参考人 基本的には、いろいろな、市区町村の窓口ですとか、そういったところにお願いをいたしまして、無戸籍者の把握をした場合には各法務局に連絡していただくようにお願いをするなどして、無戸籍者の把握に努めているというところでございます。
○吉川(赳)委員 つまりは、戸籍がない状態というのは、これは、今後の法改正というのがもう法制審議会の答申に上がっているわけでありまして、まあ、今国会では少し難しいのかな、これは前回の一般質疑の際に触れさせていただいたわけですが。仮に、今後の戸籍、解消できるような法改正がなされても、一定の条件があるということでしたし、また同時に、これは戸籍の関係ですから、よもや遡及効を持つとは思えませんから、現状無戸籍の方がそれで解消されるわけでもない。
そして、今、この法務省の説明を聞くと、つまり、何か、無戸籍の状態で不都合が生じて役所に来た方には対応をしているが、プッシュ型だったりアウトリーチの支援、無戸籍者を積極的に把握するということは行っていないということでよろしいですか。
○堂薗政府参考人 法務省として行っていることといたしましては、ポスターなどを作りまして無戸籍の方にそういった呼びかけをするですとか、法務省のホームページ等で、そういった無戸籍者の方に対して、こういった裁判上の手続ですとか、無戸籍を解消する手段がありますよというような周知、広報を行っているというものでございます。
○吉川(赳)委員 無戸籍の方が役所で手続をするというのは、恐らく相当困っている状況というものが予想されます。つまり、元配偶者の方とのトラブルがあって無戸籍ということがほとんどであります。そして、これは一般質疑でも触れさせていただいたんですが、大人は、成人したり、若しくは時に応じて、役所に行って手続のお願いをするということができます。
ただ、今回、こども家庭庁の審議です。家庭という意味では、お母様が何らかの理由でお子さんが無戸籍になっているということは分かっていても、子供自体は、未成年の場合は、自ら足を役所に運んで自分の戸籍を取得するということ、これはまずできないと考えるのがやはり普通です。
その中で、例えば事例としては、戸籍がないがゆえに修学旅行に参加できなかった、こういったことも過去にはあったようであります。今、修学旅行なんかでも飛行機に乗ったり、そういう機会もありますから。
そういった問題がある中で、先ほど冒頭述べさせていただいたように、今回のこども家庭庁の概要の中に、この無戸籍者若しくは無戸籍児ということが特に特出しはされていない。内閣補助事務の総合調整の中で勧告権を有するという理解でいいようではありますが、ただ、やはり私、いじめですとか子供の貧困、そしてさらには、話題になっておりますヤングケアラーの問題と、まさに横並びでしっかりと、こども家庭庁の新設に当たってはこの対応をいただきたいと思います。
特に、先ほど言ったように、子供が自ら戸籍を取得するということはなかなか難しいですから、例えば、いじめや貧困等で行っているSNS等を活用したプッシュ型の支援等、積極的に把握に努め、また、親も含めた中で、しっかりと戸籍の取得をできる環境、これを是非こども家庭庁で行っていただきたい、このように願うわけですが、野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 お答えします。
法務省の答弁と少し重なりますけれども、無戸籍児の戸籍取得に向けた対応については、今法務省の話もございましたけれども、母親等の関係者に相談を促すためのウェブコンテンツを充実させたり、法務局等において、職員が無戸籍状態の解消に至る一連の手続に同行する等の支援を行っているものと承知しています。
今まさに委員御指摘で、なぜ無戸籍児が出現してしまうかというその背景ですよね。これは、二月に、法制審議会から法務大臣に対して、無戸籍者問題の解消を目的とする民法の嫡出推定制度、今御紹介されましたが、に関する規定の見直し等が盛り込まれた要綱が答申されており、法務省においては民法改正に向けた準備をしているというふうに承知をしています。
無戸籍児の解消に向けては、まず把握が重要ということで、市町村の母子保健の担当課や児童相談所での相談窓口の案内に係るリーフレットの配布など、周知について福祉担当部局において協力し、取り組んでいるところであります。
こども家庭庁においても、引き続き、法務省と連携しながら無戸籍者の把握に努めてまいりますし、また、無戸籍状態で教育、医療、福祉等の行政上のサービスを受けられるように対応しているところであり、こども家庭庁に移管される事務についても、不利益を被らないように、引き続き対応してまいります。
いずれにしましても、こども家庭庁は、他省庁の所管する子供関係の施策についても総合調整権限を有しており、無戸籍児の問題についても法務省としっかり連携して取り組む、ここまでが私の答弁でございます。
私は、立法府の議員として、かつて、マイナンバー、マイナンバーカードが導入されるという以前に、実は、超党派で、無戸籍児を解消していこうという議員連盟を立ち上げました。当時の民主党、自民党、公明党。その間に、やはり背景は、委員が御指摘の、家庭内暴力で前の夫から逃げて、そして新しい家庭をつくろうとしたときに、いろいろこういう法律の不具合があって、見つかっても嫌だし、前の夫の子供にするのも嫌だ、そういうことがほとんどの理由であったと思います。
その後、今日までに様々な取組をされてきたんですけれども、こども家庭庁の仕事ぶりは周産期から始まっています。つまり、妊娠相談から始まっているので、しっかりとその段階で把握して、寄り添って、こういう子供たちが困らないように取り組める、そういう体制ができるのではないかと信じていますので、今後も是非、無戸籍児、議員連盟も今ちょっと休眠中です、是非お取り組みをいただければと願います。
○吉川(赳)委員 非常に、今無戸籍で悩んでいる方に関して希望の持てる答弁を大臣からいただき、大変ありがたく思います。
現状、余りアウトリーチ、プッシュ型ができていないゆえに、先ほど児童だけで六百人強ということでしたが、正確な数字は分からないんですが、ひょっとしたらあと二千人ぐらいはいるんじゃないか、こういった指摘もありますので、しっかりとこれにこども庁も一緒になって取り組んでいただけるということです。ありがとうございます。
そして、次なんですけれども、やはり、先ほど永岡先生も触れましたが、いじめ、直近の認知件数五十一万件ということでありましたが、これの解消件数と、そしてさらには、いじめも場合によっては刑事事件の対象になります。加害者の処罰件数というものに関して答弁をいただきたいと思います。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
学校において、令和二年度、認知をされましたいじめの認知件数は、今お話ございましたように約五十一万七千件でございます。また、令和二年度、解消しているいじめの件数は約四十万件でございます。
また、お尋ねの、法的な刑事の処分ということでございますけれども、警察庁の調査によりますと、いじめに起因する事件の検挙、補導件数は、令和二年は百四十二件でございまして、直近五年間では、およそ百五十件程度から二百件程度の間で推移していると承知をしております。
○吉川(赳)委員 一般質疑で、虐待に関しても同じようなことを発言をさせていただいたわけでありますけれども、虐待も子供に対する傷害罪であり殺人未遂でありということです。いじめも、先ほど百五十件から二百件程度の補導や処罰対象ということですが、これとて、傷害だったり脅迫だったり名誉毀損だったり侮辱罪だったり、こういったことに該当するということがあると思いますし、悪質な事例というのはまさにそうなんだと思います。
その中で、今回のこども庁の概要として、こども庁と、今まで取り組んでいる文部科学省との連携ということは、これはいじめ対策について明記されているんですが、そこで、これは警察との連携というのも私は必要だと思うんですが、それは明文化されていませんが、それはどのような形になっていくのか、答弁願いたく思います。
○蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。
いじめ防止等の対策につきましては、いじめ防止対策推進法等に基づきまして、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組がこれまで進められてきておりますが、こども家庭庁におきましても、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、子供のいじめ防止等の対策を担うこととしているところでございます。
具体的には、いじめ防止対策法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更する際に協議を受けるほか、自らも子供のいじめの防止を担い、事案の把握や地方自治体における具体的な取組、相談体制などの体制づくりなどを推進することとしてございます。
委員御指摘のように、いじめの対応におきましては、児童生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められる場合や、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、当然ながら警察との適切な連携が必要だというふうに考えてございます。
今後、こども家庭庁が設置されました際には、こども家庭庁としても、自らいじめの防止を文部科学省との連携の上で行ってまいりますけれども、その際には、当然ながら警察等の関係機関との連携もしっかり図ってまいりたいというふうに考えております。
○吉川(赳)委員 そもそも文科省が警察と連携しているのでという理解でいいかと思いますが、我々も、少年に関して、私も、何も少年のこういった行為を全て一番重い罰で罰しろ、処分しろと言いたいわけではないんです。ただ、やはり甘く見るということがあってはいけないなと思います。
よく、万引き罪はないというのが有名な話で、あれは立派な窃盗罪なんだぞと。ただ、子供の耳にも報道にも、万引きという刑事罰にない言葉が使われる。私、虐待もその一つだと思います、児童虐待罪というのはありませんから。これは傷害であり暴行事件なわけです。私は、いじめもまるっきり同じ部分があるのかと思いますので、警察等の捜査機関含めて今後もしっかりと連携をしていく事例もあるのかなと思います。
その中でなんですが、特に日本の場合は、被害者の方が不登校になってしまって、その後、転校をしたりだとか、さらには、フリースクール、サポート校等に通うということが散見されるようなんですよね。
ちなみに、この解消件数というのをちょっと聞いたんですけれども、この解消というのは一体全体どういう状況なのかというのをもう一度答弁いただいてよろしいですか。
○淵上政府参考人 私どもが毎年度各学校に対して調査を行っております調査票におきまして、解消しているという状態を定義をしてございます。
この解消しているという状態は、少なくとも二つの要件が満たされている必要があるということで、いじめに係る行為自体が解消している、つまり、被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為などがやんでいるという状態が一つ、それから、当該子供が心身の苦痛を感じていないという、この二つの要件が満たされていること。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じて他の事情も勘案して総合的に判断するということになっております。
○吉川(赳)委員 そういう状況なんですが、さっき言ったように、被害者側が割を食うということが非常に多く散見されます。
そこで、海外なんかですと、加害者を切り離すということが行われている国が多いようです。イギリスなんかですと、加害者に対して最長三か月のプログラム、これを行わなければ罰金ですね。フランスは、家庭環境や医療見地から加害児童の原因を探って対応をする。韓国は、加害児童が書面による謝罪、特別教育の履修、心理治療、退学や転校、日本もこれはあるというようなことをちょっと聞きましたが。アメリカは、これは州ごとに異なりますが、共感トレーニング等のカウンセリングを加害者に行うということなんですよね。
やはり、被害者が割を食うという状況はあってはならないと思いますし、根本的な解決には私はつながっていかないと思いますので、是非そういった視点で、今後、こども家庭庁、是非取り組んでいただきたいと思います。
こども家庭庁というものの設置を目指す中で、様々な各省庁に散らばる機関を一元化して総合調整機能を持つということですが、ただ右から左に移すだけということではなくて、今まで、子供や家庭に関する解消されない、なかなか進捗のなかった問題に関して、新たな取組も含めて、是非、前進をしていく、そういった省庁であっていただきたいと思いますし、野田大臣の様々な見識、そして今までの御経験から、それを大いに期待するものであります。是非、私もしっかりと立法府の立場から応援をしてまいりたいと思います。
今日はありがとうございました。
○上野委員長 次に、松本尚君。
○松本(尚)委員 自由民主党の松本尚でございます。
質問の機会をいただき、委員長並びに委員の皆様に感謝申し上げます。
本日は、こども家庭庁設置法案並びにこども基本法について質問をさせていただきたいと思います。
初めに、児童虐待について伺いたいと思います。
私は、救急・外傷外科医として、救急医療の場で、大きなけがを負った患者さんへの重症の診療をやってまいりました。この中には、毎年何人もの幼児それから小児の虐待の事案というのがあります。また、その疑いというのも多く含まれていたわけでございます。
新聞やテレビで、虐待事件あるいはいじめの事件、こういったものを目にするだけでなく、実際に虐待された子供さんたちを診療するたびに、実は、児童虐待の防止等に関する法律とかあるいはいじめ防止対策推進法といったような法律があるにもかかわらず、どうしてこの問題はいつまでたっても解決できないのかということは、医療現場におきまして憤りを感じていたという次第であります。
今、こうして国会議員として本法案の立法に関わることで、こども家庭庁が司令塔になって、虐待やいじめの問題というのを解決することに役立っていければなというふうに個人的にも思っているところであります。
私が病院で勤務していた過去、育児放棄で死亡した乳児とか、あるいは保育所に通っている幼児の虐待例、あるいは、小学校低学年の小児の外傷を手術して、救命できた経験もありますし、残念ながら死亡した経験もございます。大人の診療とは異なって、治療室の雰囲気というのはふだんのそれ以上に暗鬱としたような状態になるわけでございます。
最も難しいのは、治療だけではなくて、虐待の疑いのある場合の両親等々への対応でございました。虐待をしている親御さんは、子供を病院には連れてきます。だけれども、どうしてこういうけがをしたのというようなことを聞きますと、必ずうそをつきます。見破られるうそというのは結構多いんですけれども、なかなか見破られないこともあり、私の同僚なんかは完全にだまされて見落としてしまって、後になってもっと重症になっちゃったというようなこともございました。
虐待というのは、児童相談所へ通報すると、この段階で保護者と医療関係者との信頼関係というのはあっという間に崩壊します。虐待していない、本当にしていないのでも、疑って通報しちゃうと、結局、何でそんなことをするんだ、私たちは真っ当な親ですという段階になって、トラブルになっちゃうというようなこともあります。ただ、疑わなければ虐待というのは絶対に見破ることができませんから、そういった意味では、我々は非常につらい思いをしながら仕事をしていたというわけであります。
こういった事案の性質上、慎重かつ丁寧に物事を運ぶ必要があるわけでありますが、かように医療機関における児童虐待若しくは虐待疑いの取扱いは難しく、手のかかるものであります。そうはいっても、一番最初に児童虐待を認知をする可能性のある場所、これは医療機関に限ったものではありませんけれども、しっかりと対応しなければいけないというのは当然のことであります。
そこで、厚生労働省にまず質問なんですけれども、児童虐待の個々の事案について、一番初めに認知されるというのは、例えば、住民からの通報であったり、医療機関からの通報であったり、学校など施設からの通報であったりすると思いますが、どのような契機によるものが一番多いということなんでしょうか、まず質問をしたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
児童虐待防止法におきまして、虐待を受けたと思われる子供を発見した者は児童相談所等に通告しなければならないというふうにされておりまして、この通告によりまして、児童相談所等は事案を認知することになるところでございます。
児童相談所の虐待相談対応件数は令和二年度に約二十万件となっているところでございますが、このうち、約五一%は警察等からの通告、またその他に、近隣、知人からが約一三%、学校等からが約七%、医療機関からが約二%と、様々な関係機関等からの通告によりまして虐待事案を認知しているところでございます。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。
今お答えにありましたように、医療機関での虐待の認知というのは全体の二%、そんなに多いわけでは決してございません。しかしながら、医療機関に来るという以上は、虐待の可能性というのは逆に非常に高いということになりますよね。虐待で来ているわけですから、結果論で二%なんですが、それ以上に、疑いも含めるともっと多いということになりますし、何らかの医療機関にアクセスをしなければいけない状態になっている虐待症例ですから、非常に重篤というか、問題のある児が多いというふうにも思います。
先ほどお話ししましたように、医療機関での虐待の認知は、非常に見破るのが、見破るためには経験値が必要になります。そのような理由から、被虐待児の救急搬送に際しては、児童の虐待を取り扱う経験値の多い医療機関をあらかじめ指定をしておいて、救急現場で、そういった疑いのある事案については特定の医療機関に搬送して、虐待をちょっとでも見逃さないようにするというようなルールを設けておくことで虐待の見逃しを減らしていくというような施策も考えられるかなと思うんですけれども、これについて厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、虐待事案に対しまして、救急搬送を要するような場合にも適切に対応するため、都道府県や児童相談所等が日頃から対応可能な医療機関を把握し、連携することが重要でございます。
厚生労働省といたしましては、都道府県等が管内の中核的な小児救急病院等に児童虐待の専門的知識を有する医療のソーシャルワーカー等を配置し、地域の関係者との連携、調整を行うことや、救急搬送での対応事例について地域の医療機関に情報提供すること、拠点病院における児童虐待対応体制の整備を行う場合に補助をしておりまして、地域における児童相談所や医療機関とのネットワーク構築を支援しているところでございます。
また、児童相談所の側におきましても、医学的知見を踏まえた対応ができますよう、児童相談所に非常勤医師を配置した場合の人件費の補助を行いますとともに、地域の医療機関を協力医療機関として指定をしまして、医学的知見から個々のケースに応じた心身の治療の必要性等について専門的、技術的助言を得ることに対する補助も実施しているところでございます。
引き続き、児童相談所と医療機関等の連携の充実を図りまして、救急搬送を含め、被虐待児の適切な認知と支援に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
また、中核的な病院をどうするかという点につきましては、現在御説明いたしました児童相談所や医療機関とのネットワーク構築を支援するための補助の自治体がまだ十四自治体にとどまっておりますことから、まずはこの事業の活用を都道府県等に周知を徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。
小児の病院、それから地域の拠点病院、幾つかの病院の類型というのが今出てきましたけれども、できるだけそういった虐待を見抜く、見抜けることのできる経験値の高い医師なり病院の職員さん、看護師さんも含めてですね、そういった人たちが散らばらないようにするといったことの方が私はいいのではないかと。
やはり、いろいろな病院にいろいろな機能を持たせるということになると、その分だけいろいろな、その機能そのものが薄まってしまうということもありますし、これから、虐待だけではなくて、医療の世界全体をもう少しそういったように機能ごとに集約化していくということも必要になるかというふうに思いますので、是非この虐待の問題も、そういった、集約して、あらかじめしっかりと拾い上げていく、見逃しをなくすというような方策というものも今後考えていっていただきたいというふうに思います。
次に、いじめについて伺いたいと思います。
内閣官房が示している、こども家庭庁の創設についてのイメージ図というのがございましたが、いじめは、義務教育から高等教育に至るまで、こども家庭庁が文科省と連携して対応するということになっておりました。設置法の基本方針には、こども家庭庁は、学校外でのいじめを含めた子供のいじめの防止を担うとされておりますけれども、一個人のいじめは学校の内外で生じる一連のものでありますから、このような、学校外というふうに規定しているような書き方というのは、事案全体の把握が本当にできるのかなと疑念を持ってしまうのですけれども、その点について、こども家庭庁設置室でしたっけ、伺いたいと思います。
○蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。
今般、こども家庭庁では、いじめに関しまして、例えば学校外はこども家庭庁で学校の中は文部科学省ということではなく、学校の中のいじめを中心に文部科学省自身はいじめ防止対策法に基づく必要な業務をこなしておるわけでございますが、それを横から支援するような形での働き、すなわち、いじめには学校の中だけで解決が可能なものも相当数あるというふうに考えておりますが、他方、家庭の生育環境に由来するものであるとか、学校としてのアプローチ、教育委員会としてのアプローチがなかなか難しい課題もあるだろうと考えてございますので、私どもこども家庭庁といたしましては、首長部局を中心として、学校、教育委員会以外で地方行政としていじめ対策を担っていただけるような、そのための体制づくりを支援をする。
そして、学校の中で生じたいじめであっても外で生じたいじめであっても、学校、教育委員会以外のルートでいじめの解決に地域として力を注げるような基盤づくりというものを支援してまいりたいというふうに考えております。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。
学校の外という文言が基本の資料の中にははっきり書いてあったので、内外を余りしっかりと線引きするというのは、非常に誤解を招くかなと。
今お答えにありましたとおり、そういった懸念はないというふうに思いますけれども、いじめをする子供たちはずる賢いという部分もございますから、学校の中だとばれるので外でやっちゃおうぜみたいな話も当然ありますし、そういったところを大人の方が外と内というふうに線引きをするということは非常に危ない、危なっかしいものを感じますので、是非、その辺りのところは、こども家庭庁がしっかりと文科省と連携を取って、そういったことのないようにくれぐれも注意をしていただきたいなと思います。
それで、このいじめについて、こども家庭庁と文科省が連携して対応するとありますが、これは根源的な話ですが、こども家庭庁と文科省、どちらが主体的にリードして対応するというふうなたてつけになっているんでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど答弁の中で申し上げましたいじめ防止対策推進法におきましては、相当程度、学校、教育委員会、あるいはそれを指導助言を行う文部科学省の役割について、規定がかなり割かれております。
現在、学校で年間五十万件以上のいじめが認知をされ、例えば重大事態に至る件数というのは五、六百件ぐらいと言われておりますので、九九%以上が学校での指導で解決をしているというようなことでございます。
なので、多くの案件については、学校、教育委員会、そして文部科学省のこれまでのいじめ防止対策法に基づく取組で引き続きカバーしていく部分ではあろうかと思いますが、なかなか、それだけで十分なのかというふうに私どもとしては考えておりまして、特に、学校にも相談できない、あるいは教育委員会にもなかなか相談できないというお子さんがいらっしゃるのも事実だろうと考えております。
そうしたこともあって、幅広く、相談体制を含む体制の整備を自治体に働きかけを行ってまいりたいというように考えておりまして、今般、そうした業務をこども家庭庁の業務として御提案を申し上げているところでございます。
御質問の、どちらが主で従かというのは、といったようなことでございますから、なかなか難しいところではございます。これも、こっちが主で従ということになると、先ほどのお話ではございませんが、その隙間をついてということがあるかもしれません。ここは、文部科学省としっかりと連携をして、こども家庭庁がしっかりと取り組む。特に、地方自治体でいえば首長部局との関係を強めていくといったことを主にはこども家庭庁の任務とし、文部科学省と適切に連携をしながら、全体としてのいじめ対策がしっかりと向上できるように取り組んでまいりたいと考えております。
○松本(尚)委員 ありがとうございます。
どちらが主かという大変難しい質問をしてしまいまして申し訳ないんですけれども、こどもまんなかといいながら、こども家庭庁と文科省の真ん中に子供がいないように、是非、虐待された、いじめをされた子供が真ん中にいないようにしていただきたいというふうに思います。
本法案は今国会の目玉法案と位置づけられております。したがって、世間の注目度も非常に高くて、例えば、幼保一元化はこども家庭庁設置の象徴的な問題として捉えられがちなんですが、同時に、国民の皆さんは、こども家庭庁の設置によって、児童虐待やいじめが解決に向かうだろう、児童虐待やいじめがこの国からなくなるだろうということを高い期待を持っていらっしゃるに違いないと私は思っております。
もちろん、こども家庭庁の持つ役割というのはそれだけではないということは十分承知をしておりますけれども、それでも、こども家庭庁をつくってよかったなと、国民の皆さんにそうやって評価されるのは、児童虐待やいじめの問題がよい方向に向かうということをしっかりと見せてあげるということが必要だろうというふうに思っています。
そこで、野田大臣に伺いたいんですけれども、こども家庭庁が主導して児童虐待やいじめをなくすんだという強い決意をお聞かせいただきたいなと思います。
○野田国務大臣 お答えいたします。
まさに委員の御指摘のとおりで、児童虐待、いじめ、これによって子供が亡くなる、未来が奪われるということは、そういう事態は絶対にあってはならない、起こしてはならない、そういう思いで、これまで様々な取組がありましたけれども、しっかりと、誰一人見落とすことなく、国全体で取り組もうというのがこども家庭庁の魂だと私は思います。
こども家庭庁においては、別々に担われていた子供政策に関する総合調整権限を一元化いたしまして、今委員もお話がありましたように、子供の立場に立った強い司令塔機能、これで様々な困難な子供たちの解決に当たっていく仕事をしていきます。
児童虐待防止対策については、厚生労働省が中心にこれまで取り組んできましたけれども、こども家庭庁においては、引き続きそれを行うとともに、それ以外にまたがっているところ、関係省庁に対して、児童虐待防止対策を主導していく立場にあります。
あわせて、いじめ防止等の対策については、参考人が答弁されましたけれども、こどもまんなかという発想の下、多くの人たち、多くの部局が関わるようにしていくことで、いじめ防止に更に取り組んでいく環境をつくっていきます。
こども家庭庁では、児童虐待の防止、いじめ問題にしっかり取り組み、子供の命を守ること、全ての子供が健やかに成長することができる社会、この実現を目指してまいります。よろしくお願いいたします。
○松本(尚)委員 どうもありがとうございます。
子供政策を我が国の真ん中に据えるということは、将来我が国をしょって立つ子供たちを社会全体で育んでいこうという根本精神だというふうに思っております。であれば、子供が一番つらい思いをするであろう虐待といじめを子供から取り去るということが我々大人の役目であるというふうに思います。何としてもこの問題を解決すべく、こども家庭庁には全力で事に当たっていただきたいということを強く希望するものであります。
最後に、こども基本法について伺いたいと思います。
一般論になりますけれども、社会の中では、その秩序を保つために、権利の主張というのがあるならば、同時に、責任や義務を果たすということが求められるというふうに思います。
本法案は、子供の成長を支えるためには、家庭における子育てをしっかり支えることが必要という理念が込められております。一方で、昨今は、人権を主張する中で、社会全体の利益を顧みないような行動も増えているというふうに思っております。社会秩序の維持のためには、権利があれば、一方で責任や義務も生じるんだといった関係性で物事を見るということができる教育が求められているというふうに思っております。
この法案は、日本国憲法のほかに、児童の権利に関する条約にものっとって作られておりますがゆえに、子供の権利擁護に重点が置かれております。国連児童基金、ユニセフは、児童の権利に関する条約における子供の権利について、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の四つの権利を説明しておりますけれども、特に、この参加する権利は、自由に意見を表したり団体をつくったりできることというふうにされております。
ここで危惧されるのは、この権利を、一部の大人が子供の代弁者として過剰に権利主張をして、家庭における子育ての否定につながるような、社会秩序に影響を与える、そんな可能性を排除できないのではないかということであります。そのような誤った法律の利用を回避する視点から、本法案において、子供に求める責任や義務というのがどのようにうたわれるか、どのように読み込めるのかというような見解をお聞かせいただきたいと思います。
○加藤(勝)議員 御指摘いただきましたように、こども基本法においては、目的規定で、日本国憲法と並んで児童の権利に関する条約の精神にのっとった法律であること、また、子供の権利の擁護が図られる社会の実現を目指すということがうたわれております。
子供の権利の保障についてこの法案で定めたのは、子供は、幼児期に、大人との愛情ある関わりの中で、守られているという安心感に支えられ、人格形成の基礎を築いていくこと、こういったことを鑑みてのことでもあります。
子供の責任について、法案の中で直接言及部分はございません。ただ、法案では、日本国憲法の精神にのっとることとしているわけでありまして、御承知のように、憲法の中において、権利を公共の福祉のために利用する責任についても言及されているところであります。
また、私どもがこの法案で掲げさせていただいている目指す社会というのは、次代の社会を担う全ての子供が自立した個人として成長することができる社会ということでありますし、基本理念においては、全ての子供に多様な社会的活動に参加する機会が確保されると。これは、確保されるですから、権利ではありますけれども、社会的活動に参加する中において、子供が、そうした中で自分が何をすべきなのか、ある意味では義務感、責任感、こういったものが養われていくことを強く期待をしているところであります。
御指摘のように、例えば、十三年前に、子ども・若者育成支援推進法の制定の際に、一部の地方自治体で、子供の権利の面を殊更強調する、やや行き過ぎたという対応が見られたということもあり、当時の小渕優子少子化対策大臣が条約の趣旨の理念にのっとり法を施行する必要性について答弁をされているわけでありますけれども、私ども法案の提出者としても、委員の御指摘、この辺もしっかり念頭に置きながら、まさに子供政策が適切に執行されていくものということを考えているところであります。
○松本(尚)委員 どうもありがとうございます。非常に納得のいく御答弁だったというふうに思います。
子供のためには子供の権利保護というふうに考えることは否定はしませんけれども、権利という言葉は、ややもすると、その事柄が損か得かという考え方に今誘導されがちです。ゆえに、子供たちが視野狭窄にならないようにする必要があるというふうに思っております。我が国の子供たちを、権利ばかり主張して責任や義務を果たさないような大人にしてはいけないと思います。
かつて、会津藩の什のおきての最後には、ならぬものはならぬというふうな言葉があります。こども基本法の目的は、「こどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、」というふうに書かれております。このならぬことはならぬという考え方を幼児期にもしっかりと身につけさせることが、我が国の子供たちの人格形成には必要であるというふうに思います。
この基本法が、子供の権利を振りかざし、社会秩序を破壊しようとする大人たちの道具にならないようにしなければならないということを最後に強く主張しまして、私の質問を終えたいと思います。
どうもありがとうございました。
○上野委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
早速質問に入らせていただきます。
まず、こどもまんなか社会とはどういう社会なのか、その中で子供という存在がどう位置づけられるのか、この本質的で重要なテーマについて最初に取り上げたいと思います。
今般の私ども与党提出のこども基本法案では、その目的規定におきまして、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとって、全ての子供が、心身の状況、置かれている環境にかかわらず、その権利の擁護が図られ、幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指すとしています。
では、こどもまんなか社会、野田大臣が繰り返しおっしゃっている、また、昨年末の閣議決定をされました子供政策の基本方針にもある、こどもまんなか社会とは一体どのような社会をいうのか。ここは本質的な点でありますので、これまでの答弁より更に一歩踏み込んだ丁寧な答弁を、御説明を是非お願いしたいと思います。
○野田国務大臣 答弁いたします。
こどもまんなかという言葉は、まだまだ耳になじまず、何となく、えっという顔をされる方が多いことも承知しています。つまり、あるべきものであったんですけれども、なかなか大人の社会の中で子供が見落とされてきたことなのかなと。
そういうことも踏まえて、こどもまんなか社会とは、常に子供の最善の利益を第一に考えて、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会のことであります。子供が保護者や社会の支えを受けながら自立した個人として自己を確立していく主体、言い換えれば、権利の主体であることを社会全体で認識すること、そして、保護すべきところは保護しつつ、子供の意見を年齢、発達段階に応じて尊重し、そして、子供の権利を保障し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を後押しする、そんな社会であると考えています。
こども家庭庁を創設し、子供の権利と尊厳をしっかり守る社会を実現してまいりたいと願っています。
○國重委員 野田大臣、これまでの議事録に書かれている答弁よりも一歩踏み込んだ丁寧な、詳細な答弁をいただきまして、ありがとうございます。
子供を一人のかけがえのない権利の主体として位置づけて、そして、その声を真摯に聞いて、子供の最善の利益が実現される社会、子供の権利と尊厳がしっかりと守られる社会、子供に関する政策が我が国の政策のど真ん中に据えられる社会、そういったこどもまんなか社会の実現を目指して、私ども、共に汗をかいてまいりたいと思います。
その上で、こども家庭庁が設置されることで何が変わるのか。これまでも国は教育、子育て支援等、様々取り組んできましたけれども、こども家庭庁が設置されることで、これまでできなかった何ができるようになるのか、お伺いいたします。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
こども家庭庁は、これまで各府省で別々に担われてまいりました子供、子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化し、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしております。
また、未就園児も含む就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策などについても、自らが事務を実施し、関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしておりまして、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っておりました課題や新規の政策課題も含め、子供や子育て当事者に対する支援を一元的に担っていきます。
今申し上げたことを通じまして、こどもまんなか社会の実現のため、子供の最善の利益を第一に考える専一の組織、専任の大臣の下で、組織や制度の縦割りの弊害を排し、政府全体としての子供政策を更に強力に推進することが可能になるというふうに考えております。
○國重委員 これまでも、厚労省等でも子供政策、頑張っていただいたかと思いますけれども、大きな官庁でなかなか子供のことだけを専一に考えるということができなかった面がありますけれども、今回、このこども家庭庁が設置されることで、これを専一に考えて取り組んでいく、こういった組織ができるということであります。
こども家庭庁設置法の第三条で、子供の定義を「心身の発達の過程にある者」としています。じゃ、ここで支援の対象となる子供には、親元で暮らせない社会的養護を受けている子供が入るのはこれはもちろんのことでありますけれども、外国人の子供も含め全ての子供が含まれるという理解でいいかどうか、確認の点でお伺いしたいと思います。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
まず、外国人の子供に関する施策でございますけれども、政府におきましては、外国人材の受入れ・共生のための総合的対策を策定して、関係省庁が連携して対策を講じているところでございます。
また、昨年十二月に閣議決定いたしましたこども政策の新たな推進体制に係る基本方針におきましては、外国人の子供も含めた全ての子供が、施策対象として取り残されることなく、当事者として持続可能な社会の実現に参画できるよう支援することとしております。
したがいまして、こども家庭庁におきましては、就学前の全ての子供の育ちの保障や全ての子供の居場所づくりを進めることとしておりまして、日本人の子供に対する取組を進める際、外国人の子供が取り残されることのないよう配慮しながら、各省における既存の取組と連携した取組を進めてまいりたいと考えております。
○國重委員 ありがとうございます。
こども家庭庁となっていますけれども、家庭で暮らせない、親元で暮らせない、こういった社会的養護を受けている子供たち、また外国人の子供たちも含めて、全ての子供が支援対象になるということでありました。
その上で、こども家庭庁が設置されることによって、各省の隙間に落ちていた案件を含めて、子供政策に関わる全ての案件に対応できるようになる、谷間が、こども家庭庁が設置されることによってなくなるという理解でいいかどうか、根拠条文とともにお伺いいたします。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
まず、こども家庭庁でございますけれども、今回国会に提出いたしました設置法案の第四条第二項におきまして、これまで各府省で別々に担われてまいりました子供、子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化するとともに、広く子供の成長に関わる基本的な政策全般について総合調整権限を有することとしております。
また、こども家庭庁自ら実施する事務としましては、設置法案の第四条第一項第十八号におきまして、他省庁の所掌に属するものを除く全ての子供の権利利益の擁護に関する事務に取り組むこととしております。
これらの規定に基づきまして、こども家庭庁は、子供政策に関し、他省の所掌に属しない事務を担うこととしておりまして、各省庁の所掌事務の隙間で抜け落ちる事務がないよう必要な取組を行いますとともに、新規の政策課題にも取り組んでまいりたいと考えております。
○國重委員 ありがとうございます。その役割をしっかり果たしていただくようにお願いいたします。
今日は、財務省から藤原政務官にお越しいただいております。藤原政務官は私と同じ弁護士出身でありますけれども、育児に奮闘されている姿、イクメンぶり、私も頻繁に目にしております。また、ほほ笑ましく、また頑張っているなというふうに感じております。こどもまんなか社会への思いを共有している藤原政務官にお伺いしたいと思います。
こどもまんなか社会を実現するためには、やはり、こども家庭庁という組織の設置だけでは足りません。やはり、しっかりとした財源の確保というのが必要になってきます。
こども家庭庁発足に当たって、子供政策の充実に向けて、充実した予算とするために、例えばですけれども、子供政策の重点化枠を設けるなど重点配分が必要と考えます。子供政策に関する充実した予算に向けての考えを藤原政務官にお伺いいたします。
○藤原大臣政務官 お答えいたします。
子供政策につきましては、これまでも、安定財源を確保しつつ、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、各種の支援を充実させてまいりました。今後、こども家庭庁の下、子供政策を我が国社会のまさしくど真ん中に据えて進めていくこととしております。
こうした中で、財務省といたしましては、真に必要な子供政策の充実について、安定財源を確保しつつ、子供の視点に立って、関係省庁と今後検討を進めてまいりたいと思っております。
○國重委員 今、藤原政務官、子供の視点に立ってということで、そういうキーワードが入ったかと思います。
総理は、この子供政策を我が国社会のど真ん中に据えて進めていく中で、子供政策を更に強力に進めるために、安定財源の確保を図りつつ、支援を充実させてまいりたいとおっしゃっています。また、将来的には予算の倍増を目指していきたいということもおっしゃっています。
もちろん、政策が出る前に予算というのはつけられませんけれども、これまでと同じ観点で必要な政策はどうかというのを吟味するというよりは、政府の共通方針としてこどもまんなか社会と打ち出したわけであります、ですので、今後は、その理念に基づいた、今子供云々という言葉もありましたけれども、こどもまんなか社会という理念に基づいた、しっかりとしたこの予算の確保を是非お願いしたいと思います。
藤原政務官、残っていただいても結構ですけれども、お忙しいでしょうから、退席していただいて結構であります。ありがとうございます。
○上野委員長 藤原政務官におかれましては、御退席いただいても結構です。
○國重委員 次の質問に移ります。
こども家庭庁の創設に向けまして、準備段階の令和四年度時点におきまして、業務を移管する予定の府省の定員を大幅に上回る約三百名の体制で子供政策の充実に取り組むと聞いております。
その上で、こども家庭庁が果たすべき司令塔機能等を十分に発揮できるようにするためにも、来年度のこども家庭庁の発足時には更なる人員体制、専門性等の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁の創設に当たっては、司令塔機能及び政策立案機能を強化するとともに、就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策など、これまで省庁間、制度間のはざまに陥った課題や新規の政策課題へ対応することとしております。
その定員については、民間の方々、地方自治体の職員を含め、政策スタッフとして採用することを含めて、内部部局で定員三百名を上回る体制を目指し、人員体制や専門性等の強化に取り組んでまいりたいと考えています。
いずれにしても、こども家庭庁の体制の詳細については今後しっかり検討してまいります。
○國重委員 やはり、こども家庭庁の設置とともに、こういった組織としての受皿とともに、先ほど申し上げました、しっかりとした予算の確保と、そして人員体制の整備というのが重要になると思います。また、専門性がなければ、ほかの関係省庁もやはり納得がいかない面もあると思いますので、人員体制の強化、専門性の強化、是非よろしくお願いいたします。
次に、勧告権に関してお伺いいたします。
各省大臣に対する勧告権を有する子供政策を担当する内閣府特命担当大臣が置かれることになっておりますけれども、ただ、内閣府特命担当大臣の勧告権が実際に発動された例というのは、私は聞いたことがありません。
この勧告権の実効性、どのように担保されているのか、お伺いいたします。
○相川政府参考人 お答えいたします。
こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣は、法律上、政府部内の統一を図るため必要と認めるときには、各省大臣に対して勧告する権限を持ちます。
勧告とは、相手方に対し、具体的かつ強く要請する行為であり、尊重されることを前提としていると解されており、内閣府特命担当大臣が勧告をした場合には、当然、各省大臣はこれを尊重することが求められます。また、勧告をするだけにとどまらず、勧告に基づいて取った措置について各省大臣に報告を求める権限と、特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し意見を具申する権限を持ちます。これらにより法律上の実効性が担保されていると考えております。
さらに、これまで子供政策に関する総合調整権限は内閣府、厚生労働省、国家公安委員会に分散をしておりましたけれども、こども家庭庁を担当する大臣が広く子供に関わる基本的な政策全般について一元的に権限を持つことにいたします。また、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行いまして、子供や若者の意見を踏まえて政府部内の統一を図るための企画立案、総合調整を行うことになります。これらにより、実態の上でも実効性が担保されるものと考えております。
○國重委員 また、子供の意見をしっかりと聞いていくというようなこともおっしゃいましたけれども、こども家庭庁設置法案三条の任務規定の中で、子供の年齢や発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本としと定められています。また、子供政策の基本方針におきましても、子供の意見を政策に反映する方針を掲げています。
その上で、この意見聴取に当たっては、先ほども私が申し上げました社会的養護を受けている子供たち、また、優等生とか目立つ子供たちだけじゃなくて、意見を出しづらい、そういった子供たちも含めて多様な意見を聞いていくということが極めて大事だというふうに思っております。
意見聴取は具体的にどのように行うのか、お伺いいたします。
○相川政府参考人 お答えいたします。
政府提出法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることを規定しております。また、昨年末に閣議決定いたしました基本方針におきましては、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げております。
こども家庭庁におきましては、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても検討していくこととしておりまして、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うこととしております。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩であります。こうした基本姿勢の下で、こども家庭庁においては、調査研究の結果も踏まえまして、子供や若者から意見を聞く様々な手法を組み合わせ、多様な声を聞くよう努めながら、子供政策の企画立案、総合調整を行ってまいりたいと考えております。
○國重委員 是非、様々な、多様な声、小さな声というのを聞いていっていただきたいと思います。
野田大臣は、この意見聴取に関して、今年の一月に子供また若者との意見交換会を行われております。私も、そのときの模様を示した資料を少し、昨日の夜、拝見をさせていただきました。冒頭の挨拶もすばらしいことをおっしゃっております。
新しい役所の特徴は、新しい日本を子供と一緒につくることなんだ。これまで大人が中心となっていた国の行政の中心をこどもまんなかにして、みんなを主役にすることで、居心地のいい、息苦しくない、新しい日本をつくりたい。今までは、子供のためといっても、子供の意見を聞かずに、親だから、先生だからといって、大人の立場で、子供がこう思っているだろうという思い込みでやってきたことが実際には違ったりもした。これからは、子供たちがそれぞれの個性の中でどう生きていきたいか、直接言える場をこども家庭庁でつくっていきたいというふうにおっしゃっています。
この一月、子供、若者と意見交換をされましたけれども、このときの感想を野田大臣にお伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 今年の一月に、小学校四年生から大学生まで、子供や若者約二十人の皆さんと直接やり取りを、意見交換をしました。
結論から言うと、皆さん違うんだと。子供って私たちは、大人はくくってしまうけれども、子供も一人一人、十人いたら全員違うんですね。そういう多様な可能性、そして多様な悩み、多様な苦しみを抱えているということを、一人ずつから言葉をもらい、そして、それぞれ違うことを尊重すること、それぞれの立場が違うことを尊重することが大切であるという実感もいただきました。子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする、これは当たり前ですけれども、第一歩なんです。大切にすべき姿勢であるということを、改めて、集まってくれた二十人の皆さんに教えていただいたところです。
こども家庭庁の基本姿勢としては、子供や若者から、そこを主眼とした役所なんですから、当然、意見を聞く様々な取組をしっかり行って、多様な声を反映させるようにしっかり力を尽くしていきたいと思います。
○國重委員 是非よろしくお願いします。
子供政策の立案に当たっては、常に子供や子育て当事者の意見を反映させるためのプロセスを念頭に置いて取り組んでいくことが重要であります。そのためには、こども家庭庁の職員の皆さんにそうした姿勢を浸透させていくことが重要でありますけれども、これに関する今後の大臣の取組、これをお伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 昨年閣議決定をいたしました基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案を掲げ、子供や子育て当事者の意見が政策に反映されるよう取り組むこととしています。
御指摘のとおり、基本理念を組織全体に浸透させていくことは、充実した子供政策を浸透する上で極めて重要と考えています。
こども家庭庁の業務を担う職員に対しては、政策立案過程において、子供、子育て当事者の意見を反映するプロセスを常に念頭に置くよう意識づけをし、組織の文化として根づくよう努め、まあ、ここまでが大臣としての答弁になるわけですけれども、私が今いただいている大臣の立場としては、私の日程、様々な御要望とか面会が来ますけれども、最優先は、子供の方からのリクエストをまずはやるというふうに。
常に大臣室には子供の姿、そういう、面会に来たり、いろいろ御相談に来る子供が常にいるという環境を積極的につくって。幾ら頭で考えても、やはりすぐ忘れちゃうんですね、子供のことを。ですから、常に、子供と言われる方たちが出入りをして、見える化をすることで、常に意識をしてもらうような取組をしていますし、それは、その後も継続してもらいたいなと思っています。
しっかり取り組んでいきたいと思います。
○國重委員 ありがとうございます。
常にという文言がここに入っています。これも極めて大事なことだと思います。日常活動の仕事の中に、しっかり子供の意見を聞いていくという姿勢、これがこれまでとまた全然違うところだと思いますので、しっかりとそれを日常の仕事の中に盛り込んでいっていただきたいというふうに思います。
子供にとって、学校生活というのは生活の大きな部分を占めます。学校現場においても子供の声を聞く取組がしっかりと行われることが重要であります。
この点に関して、文部科学省としても、これはもちろん、子供と向き合うための時間を確保するための教員の働き方改革、これも含めて、子供の声を聞くための具体的な取組を一層強化すべきと考えますけれども、今後の取組、見解をお伺いいたします。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
児童の権利に関する条約における基本原則にも挙げられておりますように、子供が自分に関係のある事柄について意見が言えて、その意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分に考慮するということは大切なことでございます。
例えば、学校における校則につきましては、これは最終的には校長の権限で定められるものでありますけれども、その策定や見直しの過程で児童生徒が関与することにつきましては、校則の意義を理解し、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながること、また、児童生徒が校則の根拠などを考えることを通じて身近な課題を自ら解決するなどの教育的な意義を有するものと考えております。
そして、こうしたことの必要性や先導的な取組事例につきましても、文部科学省としても、事務連絡等の形で周知を図っているところでございます。
また、先生御指摘のとおり、教師が児童生徒としっかり向き合い、教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備するということも大事でございますので、学校における教員の働き方改革を進めてまいりますけれども、これまでも、教職員定数の改善や支援スタッフの充実などに取り組んでいるところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、こうした働き方改革を進めながら、各学校において子供たちに寄り添った学校運営が行われるように取り組んでまいりたいと考えております。
○國重委員 引き続いての取組とともに、やはり、またより一層の、こどもまんなか社会というのを踏まえた上での取組を是非よろしくお願いいたします。
続きまして、日本維新の会の法案提出者にお伺いします。
日本維新の会提出の法律案では、第十九条で、教育施策と福祉施策を一体的に行う教育子ども福祉省を設置することとされています。もっとも、法文上、明確な具体的な制度設計が見えず、この法文だけでは、当委員会で審議をしていく際の議論の土台というのが設定されません。
そこで、この点を明らかにするために、文部科学省の所掌事務のうち、具体的にどの所掌事務を教育子ども福祉省に移管することを想定しているのか、また、移管しない事務というのはどのような組織において所掌することになるのか、お伺いいたします。
○阿部(司)議員 國重徹委員にお答えいたします。
まず、教育子ども省の基本的な考え方は、教育などの学びの行政と児童福祉などの育ちの行政などが一体的に行われること、ひいては、これからの日本を牽引する人と知を創造することにあります。
したがって、教育子ども福祉省構想において、文部科学省から移管する事務としては、初等中等教育局だけでなく、高等教育局も、さらには総合教育政策局や科学技術・学術政策局が所掌する事務などを想定しています。
もっとも、御質問の第十九条は、教育子ども福祉省の設置に関する基本方針を明らかにし、それに沿って新たな組織の編成を政府に求める規定です。したがって、現時点において所掌事務の分配の全てを定めるものではありません。文化庁やスポーツ庁などの事務を教育子ども福祉省に移管するかどうか、教育子ども福祉省に移管しない場合におけるその事務の所掌などについては、教育施策と福祉施策を一体的に行うという基本的な考え方の下、縦割り行政の弊害を除去した組織の在り方を検討する中で、適切な事務分配を検討していくことになるものと考えます。
○國重委員 ありがとうございます。
法文上、不明確なことは否めませんけれども、今御答弁いただいたもので、ある程度の輪郭、まだはっきりしないところも一部ありますけれども、そういうことも示されましたので、またこれを議論の土台にして、更に当委員会で議論を深掘りをしていただければというふうに思います。更問い、用意していませんので、節度を持って、ここでとどめておきたいと思います。
次に、立憲民主党の法案提出者にお伺いいたします。
立憲民主党提出の法律案では、政府は、子ども施策基本計画を定めるとともに、都道府県に対しては、都道府県子ども施策基本計画を定めなければならないとされています。とすると、既存の少子化社会対策基本法や子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策推進法に基づく大綱や計画と重複をして非効率になりはしないか。
この点、与党のこども基本法案では、これらの計画や大綱を一体的に作成するよう整理をしていますけれども、立憲案では屋上屋を架すことにならないのか、この点に関してお伺いいたします。
○城井議員 お答え申し上げます。
立憲民主党が提出しました子ども総合基本法案には、我々のみならず、岸田総理からも言及がございました子供関連予算の倍増を念頭に、家族関係社会支出の対GDP比三%への引上げ等、国及び地方公共団体における予算の確保について定めております。
その上で、児童手当の高校卒業相当年齢までの全ての子供への拡充、児童扶養手当の月額一万円加算と二人親世帯への拡大、子供の貧困対策や、妊娠、出産及び子供の成長に関する切れ目のない支援のほか、子供コミッショナーや、都道府県における子供の権利擁護のための合議制の機関の設置といった、具体的かつ先進的な施策を多数盛り込んでおります。
これらの多岐にわたる施策を着実に推進していくためには、国と都道府県それぞれにおいて子供施策についての計画を定めていただくことが必要だと考えまして、子ども施策基本計画等について規定を設けたところであります。
また、これらの計画の策定に当たっては、子供が自ら意見を述べる機会を設けて、それを反映させることを定めるとともに、特に、国の計画について、子供コミッショナーによる具体的な指標の国際比較を含めた評価や、子どもの権利条約の履行状況についての国連子どもの権利委員会などによる国際的評価を踏まえて、五年ごとに見直すこととしています。
もちろん、実際の計画の策定に当たっては、既存の大綱等との連携、調整をしっかり図ることや事務負担に配慮することは必要だというふうに考えます。しかしながら、本法案に基づく計画は、その内容と仕組みにおきまして、ほかの大綱や計画とは異なる先進的なものになっていることを踏まえますと、既存の大綱や計画と重複するとか、屋上屋を架すといった御批判は当たらないというふうに考えます。
なお、都道府県の計画について申しますと、現在でも、子供に関する複数の法律に基づく計画をまとめて総合的に策定している都道府県もございまして、本法律が施行されても、そのことを妨げるものではありません。
また、本法律を施行した上で、事務負担の観点から改善すべき点が生じた場合には、柔軟に改正等を行うこともあり得るというふうに考えております。
○國重委員 御答弁ありがとうございます。
これに関しても、更問い、通告していませんでしたので、今日はこれ以上突っ込むことは控えたいと思いますけれども、これを議論の土台にして、与党案も含めて、当委員会で更なる議論が展開されることを期待したいというふうに思います。
続きまして、厚労省にお伺いいたします。
政府が掲げた、誰一人取り残さず全ての子供を支援するという子供政策の基本理念、これに照らせば、児童養護施設に在所中の子供たちの自立支援とともに、退所した後の自立支援の充実も重要と考えます。今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
児童養護施設等への入所中の自立支援だけではなく、退所後のフォローを含めたきめ細やかな支援ができるよう体制整備を図ることは重要と考えております。
このため、令和二年度から、児童養護施設等に自立支援担当職員を配置する費用の支援を始めますとともに、令和三年度補正予算におきましては、施設退所者等に家賃や生活費等の貸付けを行い、一定期間の就業継続により返還を免除する事業につきまして、退所後五年まで申請が可能となるよう事業を拡充したところでございます。また、令和四年度予算におきましては、退所後の生活を継続的に支援するコーディネーターを自治体ごとに配置する事業につきまして、複数名配置ができるよう事業の拡充を行ったところでございます。
また、今般の児童福祉法改正案におきましては、施設退所者等の実情の把握や、自立のための必要な援助を都道府県が行うべき業務として位置づけるとともに、自立に向けた支援を行う児童自立生活援助事業の対象者の年齢要件等の弾力化、施設退所者等に対し、通所や訪問等による相談支援や他の支援へのつなぎ、施設退所者等の相互交流の場を提供する事業を法律に新たに位置づけるといったことを盛り込んでいるところでございます。
こうした取組を通じまして、施設退所者等に対する支援を、より一層充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○國重委員 是非よろしくお願いします。
アフターケア、大事です。その上で、インケアですね、施設にいる段階からの自立に向けた支援、情報提供というのも重要であります。私も、そういう当事者のお子さんというか、子供というか、若者と話したこともありますけれども、なかなか施設の職員にも相談できない子供たちもいます。そういう子供たちがアフターケア団体と連携を取るといっても、なかなか難しいというのがあります。施設在所中からしっかりと情報を知らせる、在所中からの連携、自立支援の充実も含めて、是非よろしくお願いいたします。
最後の質問になります。
これは法務省に、時代錯誤の卑属という用語に関してお伺いしたいと思います。これに関して、ちょっと野田大臣も聞いておいてください。普通に、ぱっと、感想だけ聞きますので。
ちょっと、これは時間の関係で、伸び縮みを考えていましたけれども、短縮バージョンでやりたいと思います。
お配りした資料一でございます。これは、民法の条文において、直系尊属、直系卑属という用語が使われている条文を挙げたものであります。
直系卑属、この法的意味、これは何なのかといいますと、直系卑属というのは、子や孫のように、基準となる本人の子孫に当たる者をいう。だから、子供とか若者ですね、こういう者を卑属というわけであります。
この資料二を御覧ください。これは、大漢語林から、卑属の卑、卑しいという漢字の意味を抜粋したものであります。卑属の卑、代表的なものだけ挙げますけれども、卑しい、身分、地位が低い、人格、教養が低い、下品、下等である、みすぼらしい、取るに足らない、こういった意味があるとされております。
子供を一人のかけがえのない権利の主体として位置づけて、こどもまんなか社会を実現していこうという今のこの取組の中で、これは極めて不適切な用語だと思っております。これは、別にこどもまんなか社会じゃなくても不適切なんです。
この卑属という語感、こういうものが今、しかも私法の基本法である民法にこれがまだ放置されているということについて、野田大臣、これは感想で構いません、何かこれで突っ込むことは考えていませんので、単に率直な感想をお伺いしたいと思います。できるだけ短く。次は法務省に聞きますので。
○野田国務大臣 御通告がなかったので。
漢字そのもののイメージはとても悪い、ネガティブなので、極力、今後検討し直していただく、私の所感でありますが、検討の余地があると思います。
○國重委員 済みません、本当に。私、通告していなかったので、申し訳ありません。
ただ、自由に言っていただいてよかったかと思うんです。こんな、とんでもない用語だというようなことで言っていただいてもよかったかなと思いますけれども。
要は、私法の基本法である民法において、卑属という用語を放置したままでいいわけがないと私は思っております。この卑属という用語は、戸籍法を始めほかの法律でも使われていますけれども、これは基本法である民法が変わらないと変わらないわけですね。
実は私、これは平成三十年にも取り上げているんですよ、これだけで相当な時間を使って。その沿革から含めてやったんですけれども、まだ変わっていないというようなことで、この時代錯誤の卑属という用語、私、必ずこれは見直さないといけないと思っておりますけれども、この点に関して、法務省に伺います。
○堂薗政府参考人 お答えいたします。
民法は民事の基本法であるため、法務省としても、そこで用いられている言葉が国民一般に誤解を与えることがないようにするとともに、これを分かりやすいものにすることは重要であると考えております。
現行法では、尊卑という対義語を用いて尊属、卑属という文言が用いられておりますが、研究者からは、このような形式自体を維持することとした上で、先後、昇降といった対義語を用いてこれを置き換えること、すなわち、先属、後属とすることや、昇属、降属とすることが考えられるのではないかといった指摘もされているところでございまして、先生からも前回の質疑におきまして同様の御提案をいただいたところでございます。
御指摘のとおり、尊属、卑属という用語の見直しをする場合には、一つにはこのような方向性があり得るものと考えておりますが、このような方式によった場合には、いずれにいたしましても、その改正において新たな用語を作り出すことになりますので、国民にとって分かりやすい文言となるよう、十分な検討が必要になるものと考えているところでございます。
他方で、何々属という用語自体を見直しまして、現在日常的に用いられている用語にこれを置き換えるという方向性もあり得るものと考えておりますが、その場合には、さきに述べた尊属、卑属の実質に沿った適切な用語としてどのようなものが考えられるかといった検討が必要になるものと考えております。
また、御指摘の見直しは、実質的な改正を伴わない用語のみの改正となり、また、卑属という用語は、先ほど御紹介いただきましたように、現行法上、民法以外にも複数の法令の条文に用いられているため、どのような機会にこれを改正するかといった点につきましては、関係各府省庁とも連携して検討する必要があるものと考えております。
いずれにいたしましても、議員からこれまで継続して御指摘いただいている問題意識を受け止めまして、引き続き必要な検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
○國重委員 時間が来ましたから終わりますけれども、是非、連携を取って、私も汗をかきますので、見直しを進めていきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
私からも法案に関連して質疑を行わせていただきたいということを思っております。
冒頭、私ごとで恐縮ではございますが、実は、今月、第二子になる娘が誕生いたしました。(発言する者あり)恐縮です。ありがとうございます。
親としては非常にうれしい気持ちでいっぱいなんですが、その一方で、核家族で子育てをすることというのは本当に大変だなということを実感をしております。
うちの場合は、母子共にちょっと体が弱くて、退院後も病院を行ったり来たりしている現状があります。そして、現在、コロナ禍ということで、長女が今二歳なんですけれども、面会の制限とか、そういったものがあったりして、父と娘で二人でいる時間というのが非常に増えてきたんですけれども、その中で、やはり子育てと仕事の両立というものに私自身も悩みながら今仕事をしている現状がありまして、その中で、保育園という、まさに子育てをサポートしてくださる施設のありがたさというものを改めて実感をしたり、あと、同僚の仲間たちに非常に業務のサポートをしていただいたりとか、そういったところで感謝をしながら日々業務を続けているという現状があります。
やはり、私たちだけじゃなくて、各々の家庭の中で、皆さん、この子育てと仕事の両立ということに対して非常に悩みながら日々を過ごされているんだと思うんです。その中で、子供の利益を第一に考える組織の創立ということで、極めて重たい責任があると思っておりますし、もちろん、この組織の設立に御尽力をされた野田大臣であったり関係各位の皆さんには、私自身は非常に心から個人的には敬意を表する、そんな次第なんですけれども、ここからは、やはりこの真価、どういう施策をやっていくのかということであったりとか、これができることによって本当に子育て、出産が行いやすい環境になるのかとか、そういったことを根本的に求められるフェーズに変わってくるということを思っておりますし、やはり、少子化というものをしっかり改善をしていくことができなければ、この国の未来というものを展望することが難しくなってくるということを思っております。
やはりここで、少子化対策、子育て、そして出産に対する支援というものをしっかりやっていきたいという思いを持っておりますので、私自身、子供たちの未来のために、意見、提言を交えながら、もしかしたらちょっと耳触りのよくないことなんかもあるかもしれないんですけれども、是非、野田大臣には、真摯に、思いを持って言っているということで、提言を受け止めていただきながら御答弁をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
その中で、私からは、まず、この名称、こども家庭庁の名称について伺わせていただきたいということを思っているんです。
岸田内閣自身は、基本方針の中に、こども庁の創設というものを当初掲げておられました。もちろん仮称であったわけなんですけれども、最終的には、今、こども家庭庁ということで、名称を変更されて提案をされているという現状があります。
ただ、この家庭という文言を入れることに関しては、幅広い国民の皆さんから様々な意見が寄せられていると私自身は認識をしておりまして、それはやはり、子供が家庭の中で虐待を受けて命を落としてしまったりとか、家庭が子供を支え切れずに子供が自殺、不登校になってしまったりとか、そういった問題が発生しているケースが多く存在することも起因をしているということを考えております。
その中で、まず大臣に伺いたいんですけれども、こども庁の仮称からこども家庭庁に変遷された理由、この家庭を加えなければならなくなってしまった理由というのは何でしょうか、教えてください。
○野田国務大臣 この度はおめでとうございます。
新たな行政組織の名称については、昨年十二月に閣議決定をしたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針、これにおいて、こども家庭庁としたところです。
児童の権利に関する条約の前文の考え方において、子供は、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。ですから、こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であります。
様々な御意見があるということで、虐待サバイバーの代表の方にも直接お目にかかって、随分じっくりとそのお話を承りました。
これまでの家庭は、最初に出会ったバイオロジカルな両親の下の家庭という固定化があったんですけれども、やはり、親の資質というか、いろいろな形で、先ほども虐待の話が出てきましたけれども、私たちは親の教育というのをきちっと受けていって親になるわけではなくて、自分たちで試行錯誤の中でそれぞれのファミリーをつくっていくわけですけれども、そこでうまくいかない親子もあるわけですね。
その家庭にずっといなければならないという状態から、やはり新たな居場所である家庭をつくることが大事なんだろうなと。それが、今まで、ややもすると、プライベートなものだから、なるべく社会はそこで頑張っていただこうみたいな。でも、それは違うんだ、やはり子供にとってそこが居心地のよい場所でなければ、家庭は、次の新たな家庭を私たちが提供していく、そんな思いがあって、家庭と。どこかにいなければならないわけですから、子供は。
児童権利の条約の下では、まずは、一義的には家庭でしっかり養護されるとあることを素直に受け継いだ形になっていると御理解いただければと思います。
○中谷(一)委員 御答弁いただきました。
今、児童の権利条約の前文のお話に触れていただいたんですけれども、大臣、もちろん御承知だと思うんですけれども、二十条の一項には、「一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。」という言葉があります。
こういったことを考えたときに、もちろん、この条文というのは、家庭だけを意識しているわけじゃなくて、子供全般的な、やはり養護をしていくことが必要だろうということが書かれているんですけれども、この辺りに対する見解はいかがでしょうか。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 子どもの権利条約を批准したときに、基本的には国内法が整備されてというのが普通の在り方なんですけれども、そこでまだしっかりとした国内の子供の、今回、皆さんに、各党から御提出いただいているんですけれども、そこに至っていなかったということで、こども家庭庁の中には、しっかりそれを踏まえて、相当遅れていますから、それをしっかり取り戻すべく、吟味しながら取り組んで、中身をしっかりと沿わせるようにやってきているところであります。
○中谷(一)委員 大臣から御答弁をいただきました。私は、大臣自身も本当はこども庁の方がシンプルでいいんじゃないかなと思っていらっしゃるんじゃないかと推察をするんですけれども。
私的には、こども庁という名称が駄目な理由というのがやはりよく分からないんですね。むしろ、家庭を加えることで子供中心の趣旨というのがぼやけているよという指摘なんかもいただいたりすることがあるものですから。
私も、もちろん、子の親なので、家庭というのが大事なことは理解しているんです。ただ、子供の最善の利益を第一に考える社会づくりを後押しする組織なのであれば、やはり子供を権利主体としてシンプルに名称を位置づける必要がある。要するに、名は体を表すということを考えれば、やはりこども庁という名称が極めてシンプルで分かりやすいと思っているんですけれども。
大臣自身、このこども庁という名称では駄目だと思っていますか。若しくは、駄目だと思っている理由なんかがもしあれば教えていただきたいと思うんですけれども。
○野田国務大臣 名前がというよりも中身に私は非常にこだわりを持っていまして、先ほど来、子どもの権利条約を批准した後も空白があって、子供の基本法を超党派で皆さんでずっと長いこと御議論をいただいているのを参加したり拝見したりしてきたんですけれども、なかなか進まない中、幸い菅前総理が、やはり子供の困難がコロナ禍で急増しているし、しっかりとそこに手を差し伸べなければならないという、そういう事態が発生したことで、急遽、子供を支えていく専一の役所をつくろうということになったことで今日を迎えています。
ですから、私たちにとって大事なことは、平時でもそうですけれども、コロナ禍によって顕在化している子供の困難をしっかりと支えて解決していくところをつくるというところがむしろ大事であって、子供という言葉がしっかりあれば、誰もが、子供のための国の中の居場所なんだという御認識がいただければいいと。
さらには、遡ること、権利条約では家庭という言葉を使われていて、当然、どこに子供の居場所がといったときに、いきなり施設でもないし、いきなり学校が居場所でもないし、やはりまずは、委員のお子さんも私の息子も、まずは家庭という居場所、これは別に血縁関係関係なく、そこがまずスタートラインで、そこから様々な居場所が発生してくるんだと理解をしているので、特にそんなにむきになってやっているわけではなくて、大事なのは中身なんです。
基本方針はしっかりと条約と相まっているか、そして本当にこれがきちっと子供たちの困難と向き合える実効性を持つかどうかということに是非御理解いただければと願っています。
○中谷(一)委員 私自身は、中身も外見も両方重要だと思っています。
中身の話は後ほどゆっくり触れていきたいなということを思っているんですけれども、やはり、いきなり家庭で育てない環境にある子供たちというのもいるんですよね、この全ての子供たちというものの中には。
私も、自分自身が母子家庭の貧困家庭で育ちましたから、中卒で社会に出て非常に苦労をした経験がある中で、苦労と自分で言うのも何か変な話ですけれども、やはりそういう家庭環境で育った子供たちが私の周りには非常に多くいたものですから、何というか、その子たちがまるで見えないかのように表現されてしまうというのを非常に私自身は懸念をしてしまうんですね。
その中で、やはりこういう問題意識を持っている方々というのは私以外にもおりまして、今、こども庁という名前の方がいいんじゃないですかということで、三万筆以上の署名を集められている団体さんがあったりとか、各種いろいろな団体の方からも、いや、こども庁の方がシンプルでいいんじゃないのということを言われている現状を考えれば、やはり個人的には、国民がより親しみを持つことのできる名称にした方がいいんじゃないかなということを思っているんですけれども、こうした国民意見というのは大臣はどのように受け止められていますか。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○野田国務大臣 私も様々な御意見を聞いてまいりました。
当事者の方、また子供、真摯に耳を傾けつつ、大事なことは、子育てに対する負担や不安や孤立感を和らげることを通じて、保護者が子供とのよりよい関わりをできるように、家庭における子育てをしっかり支えていく。家庭そのものが問題ではなくて、そこのプレーヤーに何か問題があるわけですから、そこの改善に向けて支えていくとともに、虐待などの理由により家庭における養育が困難又は適当でない子供については、しっかり公的な責任においてできる限り家庭と同様の養育環境を保障する、これが私の務めであると思います。
物理的に家庭にいなかったということであれば、例えば私の息子も生まれてから二年三か月は病院のNICUにいるわけですよ。そういうことではないんだと思います。家庭というのはあくまでも、今申し上げたように、そこに携わる人がいて、そこがいろいろと困難を抱えると子供に負荷がかかる、それをなくしていくこと、排していくことをこども家庭庁はセットでやっていかなきゃいけない、そんなふうに御理解いただければと願っています。
○中谷(一)委員 国民の皆さんから意見が出ていることについては、大臣、どう思われていますか。
○野田国務大臣 国民の方々から、こども庁がいい、又はこども家庭庁がいい、様々な御意見をいただいていることは受け止めております。
○中谷(一)委員 その中で、少なくとも私の周りでは、こども庁よりこども家庭庁の方がいいよ、名称として好ましいよという意見はほとんど聞いたことがないんですね。
その中で、国民生活に大きな影響を与える行政機関の創設に当たっては、一部の偉い人たちの独断と偏見で決めるというのは、岸田内閣の聞く力の部分でも、やはり改善をしていった方がいいんじゃないかなということを思っておりまして、そこで、私、大臣に提案なんですけれども、超大人視点の永田町、霞が関の常識にとらわれずに、子供の視点に立って、こども庁とこども家庭庁、これはどっちの方がよいか、国民の皆さんにアンケートを行うなど、柔軟に国民の意見を聞いていただく考えはありませんか。
○野田国務大臣 この名称につきましても、一部の人が独断で決めたわけではありませんし、きちっとしたプロセスの中で、第三者、国民の代表者の方たちの御意見を聞いた上での最終的なコンセンサスに至ったということで、それぞれのお立場でそれぞれ様々な御意見を聞かれると思いますが、あくまでもやはり、こどもまんなかで、かつ、子供は誰かの支えの下で生きていく、一番身近な居場所が社会一般的には家庭という居場所である、それに瑕疵があったときは我々が国としてしっかりと不自由させないようにやっていこうという趣旨なので、むしろ連動させていた方が何をするかについては分かりやすいのではないかと理解しています。
○中谷(一)委員 この程度でとどめたいと思いますけれども、これからまだ審議は長くありますから、是非みんなの意見を聞いていただいて、様々な意見を考慮していただいた上で最終的に御決定をいただければと思います。
その中でなんですけれども、これは政府参考人に確認ですが、首相官邸のホームページに記載をされている第二百八回国会における岸田内閣総理大臣の施政方針演説のイングリッシュサイトにおけるテキストでは、こども家庭庁の英名表記が、エージェンシー・フォー・チルドレン・アンド・ファミリーズと記載をされていますが、英名表記はこれで正しいでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
こども家庭庁の英文表記でございますけれども、準備室といたしましては、正式なものは現在持ち合わせておりません。こども家庭庁設置法案が成立後、検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○中谷(一)委員 参考人、それでは、首相官邸のホームページに書いてあるテキストというのは仮ということですか、それとも何か誤りということですか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
今議員がおっしゃいました首相官邸のホームページでございますけれども、これはまさに総理の所信表明演説を英訳されたものというふうに認識しているところでございます。
こども家庭庁の英語表記でございますけれども、その演説の中では今議員がおっしゃったような英訳をされましたけれども、実際にこども家庭庁の英文表記を正式に政府としてどうするかということにつきましては、こども家庭庁設置法案が成立した後に検討していきたいというふうに思っております。
○中谷(一)委員 では、現時点ではそう表記されているという理解で大丈夫ですか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
現時点では、首相官邸のホームページにそういうふうに訳されているというふうに認識しております。
○中谷(一)委員 分かりました。ありがとうございます。
では、ここからは、ちょっと時間を多く使ってしまいましたので、中身の話に触れていきたいなということを思っております。
こども家庭庁の創設に関しては、新組織の創設によって何がどう変わるのか分かりにくいという指摘がありまして、新聞を御覧になられていると思うんですが、朝日新聞や産経新聞などでも生煮えということが言われてしまったりとか、器も大事だという話をしたんですけれども、やはり中身を充実させること、私も重要だと思っているんですね。
その中で、私からも、様々な中身がしっかりと煮詰まった上でこのこども家庭庁の設置法案が提出をされているのかということを具体的に確認をさせていただきたいということを思っております。
まずは、予算についてです。
子供のウェルビーイングを高めたり少子化を食い止めたりするためには、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目のない包括的な支援ということを、これは、言葉だけじゃなくて、具体策とそれを実行するための予算というものをしっかりと確保していかなければならないということを思っています。
その中で、令和四年四月十九日の衆議院の本会議において、各党から予算に関する質問が総理や野田大臣にわあっと寄せられたと思うんですけれども、そのときに、答弁としてはほぼ一律で、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくのかという観点から幅広く検討していくことが重要ですということを繰り返し述べられておりました。
ただ、これはお気持ちを述べられているだけで、具体策がどこにもなくて、私には何を言っているかさっぱり分かりませんでしたので、教えていただきたいんですけれども、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくのかという観点から幅広く検討というのは、具体的にはどのような手段で国民各層への理解を得て財源を確保しようとしているのか、大臣、教えてください。
○野田国務大臣 御指摘のとおり、財源については、昨年十二月に閣議決定した基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしており、政府全体でもしっかりと議論する必要があると考えています。
具体的にどのような手段で国民各層の理解を得ていくかについてはしっかり検討していくことになりますが、いずれにしましても、子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で体系的に取りまとめていくことを考えているわけです。
その子供政策を実施するためにどのような経費がかかるか、そのための財源をどうするかなどについては、子供に負担を先送りすることのないよう、社会全体で負担の在り方を議論するなど、国民各層の理解を得ながら進めていくべきことと考えています。
いずれにしても、子供の視点に立ってしっかりと議論していきたい。今すぐ何かじゃなくて、先々、子供の負担にならないように、先送りしないようにということも極めて大事な視点だと思います。
○中谷(一)委員 今、体系的に取りまとめていくという趣旨の話があったんですけれども、体系的に取りまとめていくためにはベースになる議論が必要だと思っているんですね。
その中で、さきの本会議で岸田総理が、こども家庭庁の下、子供政策に関する予算を体系的に取りまとめ、その上で、将来的に予算の倍増を目指してまいりたいという答弁をされているんですけれども、一方で、基本方針では、安定的な財源確保については言及されていますが、具体的な財源案というのはまだ示されていない現状があるということで、伺いたいんですけれども、岸田総理の発言というのは、現在の子供政策に関する予算というのをそもそも幾らだと捉えられていて、具体的には幾らの予算を目指すという意味合いであるのか。これは、定性的なお気持ちじゃなくて、定量的な指標を是非示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 おっしゃるとおり、総理は、子供政策に関する予算について、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたいと発言されました。
私としても、まずは、期限、規模ではなくて、子供の視点に立って、つまり、優先順位なり、どこにストレスを置くかとか、そういうことを考えつつ、安定財源を確保し、必要な子供政策の充実にしっかり取り組むことが重要だと考えています。
子供に関する予算というのは様々あります。現在も幾つか整理があるところですが、それを包含するような子供政策について、今、こども家庭庁の下で体系的に整理したいと考えています。また、子供政策に関する予算についても、よって、こども家庭庁の下でしっかり取りまとめたいと考えています。
いずれにしても、重ね重ねですが、今までにない、子供を第一に考え、子供政策を社会の真ん中に据える、こどもまんなか、そういう意識をしっかりと形にできるように取り組んでいきたいと思っています。
○中谷(一)委員 大臣、将来的な予算の体系的な取りまとめは、私も、その答弁でも、まあ、ありかなと思うんですけれども、今までの予算は政府としてはどう捉えているんですかというのは、私は、少なくともベースは答えられないとおかしいんじゃないかなと思うんです。その心としては、やはり、倍増ということは、何かを基に二倍に掛けるということでありますから、その基になるものが分からないと、倍増の基礎が分からないわけですね。
その辺りについて、まず、何をベースにされようとしているのかということを教えていただけませんか。
○野田国務大臣 今申し上げたように、子供政策に関する予算については、今後、こども家庭庁の下で、子供の立場に立って体系的に取りまとめていきたいと考えていて、現時点では具体的に申し上げることは困難です。
なお、子供政策に関する予算のことですけれども、現在、様々な整理があるところで、例えば、令和三年度における少子化社会対策大綱に基づく少子化対策関係予算、これについては当初ベースで約六兆円ございます。そして、子供・若者育成支援推進大綱に基づく子供、若者育成支援施策関係予算については、当初ベースでは五兆円、こういうふうになっているところです。
○中谷(一)委員 私も、一例としてその数字を当局の方からいただきまして、拝見をさせていただきました。
一応、じゃ、この数字、それは六兆の方なのか、五兆の方なのか、若しくは何か違う数字なのか分からないんですけれども、何か掛けるベースということでいえば、この辺りの数字がベースになってくるという理解でいいですか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、今、そこで具体的に何か申し上げることはできません。
○中谷(一)委員 大臣でも参考人でも結構なんですが、倍増の言葉の意味は御存じですか。私もちょっと辞典を引いてみたんですけれども。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
今先生がおっしゃいました倍増の意味ということで、常識的には、例えば、今、野田大臣がおっしゃった五兆円をベースにしますと、その倍増は十兆円になる、そういう理解にしております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。今の答弁でよく理解ができました。
おっしゃるとおり、ゼロは幾ら掛けてもゼロですから。なので、やはり何か掛けるベースがあるからこそ倍増という議論が出てきているという認識の下で、五兆円を掛けていけば十兆円になりますし、六兆円を掛けていけば十二兆円になるということだと理解をしながら、議論のベースとしては進めさせていただきたいと思うんです。
じゃ、この予算体系、体系的に取りまとめて、いつまでにどの程度の予算増額を行うかとか、どの時点で最終的に倍増を達成するかとか、マイルストーンだったりロードマップというのを今後考えられていくと思うんですけれども、その辺りのフローの想定を、今、野田大臣としてはどのように持たれているか教えてください。
○野田国務大臣 先ほど来申し上げているように、総理は、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたい、こういう御発言です。だから、私としましても、具体的なロードマップとか、いつまでにどの程度の予算の増額などのように、期限とか規模ありきということではなくて、子供の視点に立って、安定財源をしっかり確保しつつ、必要な子供政策の充実にしっかり取り組む、このことが重要だと考えているところです。
子供政策に関する予算の体系的な取りまとめについては、こども家庭庁が発足後、その下でしっかりと取りまとめていきたいと考えています。
いずれにしましても、くどいようですけれども、こどもまんなか社会の実現に資する予算をしっかりと組み立てていくということで御理解いただきたいと思います。
○中谷(一)委員 予算の規模だったり時期は定められていないんだけれども、こども家庭庁が設置された後にはちゃんとこの議論が行われる、すなわち、マイルストーンやロードマップに関する議論が行われる想定であるという理解でいいですか。
○野田国務大臣 もう一回繰り返しますけれども、子供政策に関する予算の体系的な取りまとめについては、こども家庭庁が発足後、その下でしっかりと取りまとめていきたい、そういうふうに考えているところです。
○中谷(一)委員 是非、期待をしております。いろいろなものを出していただいて、やはり実効性のある施策にしていかなければならないものですから、そのためには予算が必要です。御期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
その中で、私たちから一点、要望に近いものなんですけれども、子育てを支援するために支出される現金給付及び現物給付といった、いわゆる家族関係社会支出については、フランス、イギリス、スウェーデンなど欧州諸国と比べて低水準であるということは皆さん御承知だと思います。
ただ、家族関係社会支出と出生率というのは正相関でありまして、少子化対策を仮に行っていきたいと考えるのであれば、やはり、家族関係社会支出を増やして、特に女性の子育ての負担を軽減する施策を講じるということが私自身は重要だということを思っています。
その中で、立憲民主党としては、家族関係社会支出をGDP比で三%程度まで増やす必要があるということを考えているんですけれども、大臣としては、その必要性についてはどのように御認識をされているか、教えてください。
○野田国務大臣 日本の家族関係支出は着実に増加しています。しかし、対GDP比というのは、二〇一九年度で一・七三%、九兆六千七百三十億円と、欧州諸外国と比べて低い水準であるとの指摘があることはもちろん承知しているところです。
ただ、それだけではなくて、やはり背景には、国民負担率が異なります。ですから、私は、単純にある数字だけを比較するというのは適当ではない、国民の負担率も併せて考えていく、高福祉・高負担ということですね、そういうことも考えなければならず、やはり子供の視点に立って内容をしっかり充実させていくこと、これで結果として内容が積み重なることでパーセントが増えていく、そういうふうに考えたいと思います。
いずれにしても、規模とか期限ではなくて、やはり何をするかということで、しっかり財源確保に取り組んでいきたいと思います。
○中谷(一)委員 私は今、今年三十九歳になる年なんですけれども、できたらあと三十年、四十年、五十年と長く生きられたらうれしいなと自分的には望んでいるんですけれども、やはり子供のいない国や地域に未来を感じることというのは、皆さん、難しいと思うんですね。なので、子供を産み育てやすい環境をつくってほしいということを自分自身はベースとして思っておりまして、それがやはり未来をつないでいくことにつながるんじゃないかと。
その中で、この数値というものが非常に多くのところで議論があり、やはり国際比較の中でも日本は低いよということが非常に、極めて指摘がある中で、例えば、今回、自民党さんも、防衛費に関して、五年以内にGDP比で二%以上にするという御提言をまとめられたと思うんですけれども、立憲民主党においても、やはり家族関係社会支出をGDP比で三%まで上げていきたいという、目指す社会ビジョンだったり、今重点で思っている政策は何だという、もちろん各党のいろいろな思いがあっていいと思っているんですけれども、是非、私たちの提言も真摯に受け止めていただいて、政府として目標に掲げていただきたいと個人的には強く思っているんですが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 ちょっと防衛費については、所管外というか、私の担当でないのでコメントできませんけれども、先ほど申し上げたように、子供に関して、体系的にも定量的にも、やはりそういう受け止めの役所が今までなく、ばらばらな感じになっていて、それをやはりしっかりこども家庭庁は総合調整して司令塔機能を果たしていくということで、先ほども申し上げたように、発足後にはしっかりと取りまとめていきたいと考えています。
○中谷(一)委員 要望させていただきましたので、是非、受け止めていただけましたらと思います。
それでは、続きまして、組織の在り方等々についての話であったりとか、子供基本法についての話にも少し触れていきたいということを思っているんですけれども。
令和三年十一月に公表されましたこども政策の推進に係る有識者会議の報告書の中で、子供に関する全ての政策の基盤となる子供基本法を制定する必要性、これが指摘をされている現状があります。複数の民間団体からも同様の提言がなされていまして、子どもの権利条約に示されている四つの原則、先ほど来、質疑の中でもたくさん出てまいりましたが、生命、生存及び発達に対する権利、子供の最善の権利、そして、子供の意見の尊重、差別の禁止を守る観点からも、この理念の法制化というのは多くの国民が望んでいるんじゃないかなということを私は思っています。
その中で、こうした民意を受けまして、立憲民主党からは、子供コミッショナーの設置であったりとかそういったものを含めて、子ども総合基本法案を提出をさせていただきました。
そこで、まず大臣に教えてほしいんですけれども、各党、今、基本法案になるようなものを出していますが、政府としては、この子供基本法案の提出というのは検討はされていたんでしょうか、それとも全くされていなかったんでしょうか、教えてください。
○野田国務大臣 この子供基本法の動きというのは超党派で本当に昔からございまして、立法府の方で議連なり勉強会なり開かれていたところです。今国会において与野党からそれぞれ基本法案が提出されたというのは、そういう経緯を踏まえてだと思いますが、政府においては、子供基本法についての検討はしておりません。
○中谷(一)委員 政府として、今後出す予定とか、出す可能性というのはあったりするものなんですかね。
○野田国務大臣 子供基本法については与野党の検討の動きもあったことから、政府としては、昨年末に閣議決定した基本方針において、子供の視点に立った政策立案など、今後の子供政策の基本理念を取りまとめるとともに、子供政策の新たな司令塔となるこども家庭庁設置法案を提出したところです。
ですから、繰り返しになりますけれども、政府において子供基本法についての検討はしておりません。
○中谷(一)委員 その中で、今触れていただいた部分で、子供の権利利益の擁護はこども家庭庁の中で担われていくということなんですけれども、具体策について、本当にこの法の趣旨を達成することができるのかということに対して、懸念の声が私にも聞こえてまいります。
その中で、私たちの提案では、子供の権利を擁護するための独立機関である子どもの権利擁護委員会、いわゆる子供コミッショナーの設置が必須だと考えて、掲げさせていただきました。
ヨーロッパでは四十七か国中三十四か国が導入済みで、子供の権利利益を守ることに努めている現状がありますが、大臣は、透明性や中立性、第三者性を確保した子供コミッショナーの設置についての必要性、これについてはどのように認識をされていますか、教えてください。
○野田国務大臣 いわゆるコミッショナーについては、与野党において様々な議論や提案がなされていると理解しており、また、その議論をこの委員会等でもされると思われますので、注視してまいりたいと思います。
政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することにしているところです。こども家庭庁においては、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見も聞くことにより、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかりと取り組んでまいるところです。
○中谷(一)委員 今、答弁の紙を読んでいただいたんですけれども、大臣自身はこの子供コミッショナーの設置というのは必要だと思いますか、必要じゃないと思いますか。
○野田国務大臣 まさに、この委員会で、各党がその是非について、またありようについて御議論されているので、しっかり注視していきたいと思います。
○中谷(一)委員 じゃ、是非、注視していただいて、いい結果を出していただければなと思うんですけれども、その中で、今、もし仮にこの子供コミッショナーのような第三者機関が設置されないとすれば、こども家庭審議会の役割というのが極めて重要になると思います。
そこで伺いますが、この審議会の第三者性を確保する観点から、委員の選任について、これはどのような選定プロセスを考えられて、どのような分野から人選をすることを想定しているのか、大臣、教えてください。
○野田国務大臣 お答えします。
こども家庭審議会の委員につきましては、こども家庭庁設置法案第七条第二項に基づいて、内閣総理大臣が任命することになっています。
人選の考え方については、法案を御審議いただいている現時点で具体的にお答えすることは、皆さん、いろいろ御審議いただいた上で先に進んでいくことですので、今、何と具体的にお答えすることは困難でありますけれども、法案が成立した暁には、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する重要事項を調査審議するにふさわしい体制にしていきたい、そういうふうに考えているところです。
○中谷(一)委員 大臣自身も、もちろん、政府のお立場でありますので、御答弁は難しいんだろうなと思って聞いているんですけれども、先ほど額面の話をしたときには中身が大事だということをおっしゃっていただいて、今中身の話をしていると、ほとんど中身に対する答弁は返ってこないんですね。やはり、検討中です、設置してから決めますということが非常に繰り返し述べられていて、みんなそれに対して非常に不安に思っているんじゃないかなということを思っているんですね。
例えば先ほどの審議会の話なんかに関して言えば、虐待だったり自死、不登校、ヤングケアラーだったりとか、こういう定量的な数字が改善されない可能性があったときに、やはり、こども審議会の意見というのが総理だったりとか大臣だったりとか長官に対してどれくらいの効果を持つのかとか、ちゃんとそれは実効性が担保されるんだろうかとか、みんなその辺りをすごく不安に思っていると思うんですけれども、大臣、その辺りはいかがですかね。
○野田国務大臣 まさに私と同意見でございまして、法案を提出させていただきました、しかし、やはりそこについて、いろいろな足りない点、増やしていく点というのを国民の代表たるこの立法府の委員会でいろいろと積み上げていただく、それをしっかりと注視して、最善のものができるよう、この委員会での運びを期待しているところであります。
○中谷(一)委員 子供たちの未来のために、是非よろしくお願いします。
次の問に移らせていただきます。
内閣府設置法第十二条第一項の規定に基づいて、内閣府特命担当大臣が関係行政機関の長に対して必要な資料の提出及び説明を求めた事例はありますか。
○野田国務大臣 内閣府設置法第十二条第一項は、内閣府が総合調整事務を円滑に行うため、内閣府特命担当大臣に資料の提出を求める権限を付与しているものであり、こうした権限を背景に、関係省庁と必要なやり取りが行われてきたものと考えています。
特に、法第十二条第一項に基づく権限として内閣府特命担当大臣が行使したという事例は承知していません。
○中谷(一)委員 続けて、内閣府設置法第十二条第二項の規定に基づいて勧告権を使った事例はありますか、大臣。
○野田国務大臣 内閣府設置法第十二条第二項に規定されている内閣府特命担当大臣の勧告権について、過去に発動した例は承知しておりませんが、この勧告権を背景として、経済財政政策や科学技術政策など、様々な政策について政府部内の総合調整が図られてきたものと考えています。
○中谷(一)委員 お答えをいただいたとおり、資料の提出、説明、勧告、いずれも事例がないんですね。私もそう認識しているんですけれども、これはどのような理由によるものなのかということと、今後、どのようなケースでこの権限行使がされる可能性があると考えているか、大臣、教えてください。
○野田国務大臣 背景と申し上げたのは、例えば資料の提供、これは、必要な場合であって、こども家庭庁の職員が資料を求めたにもかかわらず適切な対応がなされない場合には、内閣府の特命担当大臣の権限として行使するケースが考えられる。これまでは、資料とかそういうものは、いきなり大臣が取りに行くわけではなくて、やはり事務方同士でやり取りをする。そこで問題が発生したときにというふうに受け止めるのがいいのかなと思います。
また、勧告権につきましても同様で、例えば、今御議論いただいているいじめ問題の対応に関して、仮に文部科学大臣がいじめ防止対策推進法に基づく適切な対応を行っていないと考えられるような場合には、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣は文部科学大臣に対して必要な対応を行うよう勧告することが考えられるわけです。
○中谷(一)委員 まさに、いじめ問題、先ほど来もずっとこの委員会で議論をされてきたんですけれども、この勧告権は今まで残念ながら使われたことがなくて、ケースとしてはあり得るということだったんですけれども、強制力がなくて、施策の目標達成に対してどこまで有効に機能するのか、私にはちょっと不透明だなと思っているんですね。大臣、その辺りの御見解はいかがですか。
○野田国務大臣 自らの経験、私、内閣府の特命担当大臣を何度かやらせていただいたんですけれども、やはり、省の大臣、他の大臣と違って、勧告権というものを持っているということが、総合調整の下で、至らない点についてしっかりと物が申せる。
よく皆さん御議論の縦割り行政というのは、なかなかそのことができないゆえに縦割り行政になってしまうんですけれども、内閣府の特命担当大臣は勧告権という大変大きな権限を持っているので、そこに至らないように、やはり背景の下に、しっかりとプロセスを踏んで取り組んできたので、幸い、勧告権を発することなく、しっかりと調整ができてきたということであろうかと思います。
○中谷(一)委員 調整されてきた結果、施策の実効性としては多分改善されていないから、こども家庭庁の設置をなされたんじゃないかなということを私自身は思っておりまして、やはり施策の実効性、定量的な数値が改善をされるように取り組んでいただきたいと思いますので、大臣、答弁は大丈夫です、というのは、時間がもうほとんどなくなってきているので、次の問に移りますので、是非、子供たちの未来のために、よろしくお願いします。
最後の問になってくると思うんですけれども、私からは、こども家庭庁への民間人材の登用について伺いたいと思っているんですけれども、まず、こども家庭庁の長官に民間出身者を登用することというのは考えられていますか、教えてください。
○野田国務大臣 こども家庭庁では、こどもまんなか社会の実現を目指すに当たり、地方自治体との連携の強化、そして、NPOなどの民間団体との積極的な対話、連携、協働を進めることとしています。
地方自治体との連携強化のためには、人事交流を推進します。地域の実情を踏まえつつ、国と自治体の視点を共有しながら政策を推進できるようにしてまいります。
民間人材の登用を積極的にこども家庭庁に行うことによって、民間団体の活動実績を通じて把握されたニーズやノウハウを政策立案につなげていきたいと考えています。
今後、こども家庭庁の発足に向け、自治体への働きかけや民間人材の採用に向けた取組をしっかり行ってまいります。
○中谷(一)委員 それで、長官に関しては民間出身者を登用されることは考えられていますか。
○野田国務大臣 まだ、こども家庭庁、審議中でございまして、創設後、検討されると思います。
○中谷(一)委員 可能性はあるということで大丈夫ですよね。
○野田国務大臣 様々な可能性があると思います。
○中谷(一)委員 分かりました。
やはり、様々な人材が入っていって、より子供たちの未来のための施策を考えるということは重要だと思っていますので、是非、皆さん、いろいろな幅を持って、子供、子育てに対する支援というものについて柔軟な検討を行っていただければということを思っております。
それでは、そろそろ多分時間かなということを思いますので、最後に一問伺いたいと思うんです。
附則に、法施行後五年をめどに、施策の実施状況を勘案して、組織の体制の在り方に検討を加え、措置を講ずるという話があるんですが、PDCAサイクルを適切に回していくのであれば、毎年、客観的な評価を行った方がいいんじゃないかなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法案の附則におきまして、本法案の施行後五年を目途として、小学校就学前の子供に対する質の高い教育及び保育の提供など施策の実施状況を勘案し、施策を総合的かつ効果的に実施するための組織及び体制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じること、そういうふうにしております。これを踏まえて、こども家庭庁が設置された際には、諸施策の実施状況を勘案して、本規定に基づく検討を行ってまいりたいと考えております。
その際、政府部内や地方における施策の実施状況として、子供の置かれている状況や課題等を的確に分析して政策効果を明らかにするなど、エビデンスや多様なデータ等を参照しながら総合的に検討してまいりたいと考えています。
○中谷(一)委員 時間が参りましたので質問を終えさせていただきますが、子供の権利擁護のために、子供たちの未来のために、大臣、どうか様々な施策、しっかりと具体性を持って、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 五十一分間、質問をさせていただきます。
前半は児童手当、児童扶養手当、そして後半は成人年齢引下げに伴うアダルトビデオの高校生の実質解禁の問題について質問をさせていただきたいと思います。
野田聖子大臣とは、私も、以前、発達障害児の支援法とか超党派で成立させるとき、本当にリーダーシップを発揮していただきまして、恐らく子供のことに関しては、この内閣委員会、皆さん、与野党を超えて思いは一緒だと思っております。そういう中で、私たち、今回、子ども総合基本法案というのを作らせていただいております。これも、私、一年以上この法案に関与をしております。
それで、ストレートに言いますと、国民の皆様の御関心は、こども家庭庁あるいはこども庁、まあいいけれども、それで子供に対する予算は増えるんですかと。先ほど中谷議員からも話がありましたけれども、やはりどれだけサービスや給付が向上するのかということに一番関心があると思うんですね。
逆に言えば、こども家庭庁はできるけれども、児童手当も児童扶養手当も、まあ現金ですね、そういうサービスが向上しないのであれば全く意味ないんじゃないのというのが国民の皆様の本音ではないかと思います。
そういう中で、児童手当の高校三年生までの延長を何としても与野党協力して成立をさせたいと願っております。
こちらに、私たちが提出しております子ども総合基本法案の内容を書いておりますけれども、一つ一つ今後議論していきたいんですけれども、特にこの五番目、「児童手当・児童扶養手当の拡充」というところであります。
これについては、ちょっと遡りますけれども、配付資料の三ページ目を見ていただきましたら、今、児童手当というのは中学三年生までなんですね。ところが、これはいつから中学三年生になったかといいますと、二〇一〇年、長妻厚労大臣、私、政務官のときに担当しておりまして、児童手当法改正法案ということで、中学三年生まで延ばさせていただきました。二〇一〇年です。ということは、あれから十二年がたっているんです。そろそろ与野党協力して児童手当を高三まで延長するべきときではないかと。
実際、政府・与党も力を入れて、年末、子供、子育て支援の給付金、十万円を配られましたよね。でも、あれはワンショットであって、私たちの理解は、ワンショットじゃなくて、やはり高校三年生まで、あの給付金はもちろん高校三年生までだったわけですけれども、あれをやはり恒久的にやるということを、私は、こども家庭庁、こども庁に対して国民は期待しているのではないかと思います。
つきましては、野田大臣にお伺いします。
児童手当を高三まで月一万円、延長すべきではないでしょうか。いかがですか。
○野田国務大臣 ずっと児童の手当等に取り組んでいただいた山井先生のお話は、常に、大切だなと受け止めて、取り組んでいきたいと思いますが、児童手当については、中学生までの児童を対象として、今お話がありましたように支給をしているところです。
従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要だという指摘があります。
昨年五月に成立した改正法附則においては、児童手当に関して、児童の数等に応じた効果的な支給、そしてその財源の在り方、支給要件の在り方、これらについて、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえて、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされております。
○山井委員 今、野田大臣が読み上げられましたのは、私の配付資料の一ページ、昨年、児童手当法の改正のときの検討規定、つまり、児童の数等に応じた児童手当の効果、ストレートに言うと、これは多子加算のことじゃないかと思うんですね。
私たちは、多子加算を自民党さんはおっしゃっているわけですけれども、まずは高校三年生まで延長する、やはりこれを是非、与野党協力してやりたいと思うんです。
やはり、こども庁あるいはこども家庭庁ができるのに、子育て支援で、保護者の方あるいはお子さん本人からも一番要望が強いこの児童手当は延長しないというのは私はおかしいと思いますし、繰り返し言いますけれども、政府・与党も、年末の子育て支援の給付金は高三まで配ったわけですから、必要性は認めておられるわけですから。
そこで、野田大臣に改めてお聞きしたいんですけれども、残念ながら、今の附則の検討規定には、「児童の数等に応じた児童手当」というこの「等」、「児童の数等」のところに高三までの延長が入っているかどうかなんですけれども、野田大臣、これは中谷議員もおっしゃっていましたけれども、子育て関連予算、子供関連予算を倍増すると言っているわけでしょう。倍増すると言っている中で、一番要望が強い高三までの延長は検討すらしませんというのでは、これは国民の理解は得られないと思うんです。
ついては、お答えづらいとは思いますけれども、この「等」、「児童の数等」の中には高三までの児童手当の延長も含まれているということを御答弁ください。
○野田国務大臣 その件については、ちょっと御通告もなかったので、今にわかにお答えすることはできないんですけれども、申し上げられることは、昨年の改正法の検討規定、これに沿って、子供施策全体の中で検討を行っていくものと考えています。
児童手当というのはそもそも、少子化、諸外国で戦後子供が減って、それをどうにかしなきゃいけないというところから、日本は遅れましたけれども、そういう最初の趣旨があるということを踏まえて検討をしていくというふうに考えています。
○山井委員 今日は初日ですけれども、与野党、この思いは変わらないと思いますので、このこども家庭庁の法案審議の中で高三までの延長も検討するという方向に、是非、与野党が協力していけたらと思います。
また引き続きこの問題は、私たちも参議院選挙でもこれは訴えていきたいですし、万が一それまでに方向性が出なかったらね。でも、私は、繰り返し言いますけれども、こういう子供の問題は与野党が対立する問題じゃないと思います。
それで、それにも関連して、もう一つ、私たちの子ども総合基本法案には、児童扶養手当一万円増額、それと、二人親家庭の世帯にも対象を拡大して月一万円ということを入れ込んでおります。これは、今日の配付資料の中で、先週、私たち、物価高、コロナ対策の緊急対策として、二ページの右下、低所得の子育て家庭、二人親家庭を含めて一人五万円給付ということを経済対策として私たちは要望しました、先週。二ページの下ですね。それで、政府・与党も思いは同じで、この五万円の給付金は実現されそうな感じであります。
しかし、よく御理解いただきたいのは、四ページも見ていただけますか。これは、今までから、実はこの低所得家庭の子育て給付金というのは四回目なんですね、コロナで。一昨年の八月、十二月、去年の四月、そして今回と。つまり、これは単発じゃもう駄目だと思うんです。
これはもう恒久的に、児童扶養手当の額引上げと、二人親家庭も対象にする。それこそ、繰り返し申し上げますが、こども家庭庁を審議する、こども家庭庁を目指すのであれば、子供の貧困対策の目玉として、これは是非検討していただきたいと思います。答弁いかがですか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
児童扶養手当は、離婚による一人親世帯等、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的として支給しております。
児童扶養手当につきましては、これまで、多子加算額の倍増、全部支給の所得制限限度額の引上げ、支払い回数の年三回から年六回への見直し、一人親の障害年金受給者についての併給調整の方法の見直しなど、累次の改善等を実施してまいったところでございます。
更なる拡充につきましては、現行制度の趣旨、目的を十分に踏まえる必要があるとともに、安定財源の確保と併せて、その必要性も含め慎重な検討が必要と考えているところでございます。
○山井委員 慎重な検討。私、こども家庭庁の議論をせずに、岸田総理が子育て支援予算、子供予算倍増と言っていないんだったら慎重でいいです。でも、これは岸田政権にとっても目玉政策だと思います。
是非、野田大臣、このことは引き続き、繰り返し申し上げますが、国民からすると、こども家庭庁、こども庁ということより、生活が苦しい、何とかしてくれと、私も子ども貧困対策法を九年前に超党派で作りましたけれども、思っているんですよ。こども家庭庁、こども庁をつくるけれども子供貧困対策の予算、児童手当は増えませんと言ったら、国民は怒りますよ。そこは是非とも、野田大臣、お願いをしたいと思います。
それでは、もう一つ、アダルトビデオの高校生の解禁問題、質問をさせていただきたいと思います。メインは後半に、午後にやらせていただきますが、この問題も、野田大臣とはもう一か月以上前から議論をさせていただいておりまして、野田大臣からも前向きな取組をいただいて、御支援いただいておることを感謝したいと思います。
これはもう今から一か月前、三月二十三日、アダルトビデオの出演被害の相談に乗っておられますNPO法人ぱっぷすの方々を中心に、四月一日の高校生アダルトビデオ出演解禁を止めてくださいと。
つまり、詳しくは、今日は配付資料をたくさんつけましたので、四月一日から未成年取消権というのがなくなって、それまでは十八歳、十九歳は事実上アダルトビデオに出れなかったんですね、スカウトやアダルトメーカーも、結局、未成年ということで取り消されるから。ところが、この四月一日から、事実上それがなくなったから解禁されてしまっているわけです。
それで、このことについても昨日確認しましたら、こども家庭庁としても、十八歳、十九歳も「こども」だから、このアダルトビデオの十八歳、十九歳、高校生出演被害防止は担当であるということで、質問させていただいております。私は、この問題も、こども家庭庁の審議の試金石だと思っております。
この右に書いてありますように、十八歳の初日からアダルトビデオに出演できるということは、十六歳、児童からリクルート、動画配信、アイドル活動をさせ、十八歳の誕生日すぐにAV撮影となる、幼さや高校生を売りにしたアダルトビデオが主流になることにより、更なる被害の低年齢化を懸念と。
野田大臣、この一か月間、何回か野田大臣に私も直接要望させてもらいましたけれども、例えば、岸田政権が、こども家庭庁をつくって子供を応援する、虐待、暴力、犯罪から守るといいながら、一方では、この四月一日から現役高校生のビデオや性暴力被害が増えているといったら、言行不一致ということになりかねません。
残念ながら、今日の配付資料を見てください、四月一日からどういうことになっているのか。これは厚生労働委員会でも配付をさせていただきました。六ページです。四月一日以降、アダルトビデオ販売サイト、黒塗りにしながら、四月一日法改正、十八歳J○三年公開しますということで、取消権がなくなったということで、残念ながら、現役女子高生のビデオと言われるものがどおんと売られているわけです。これは私が直接見たのではなく、NPO法人ぱっぷすさんがチェックをされているわけですね。
それで、次のページ、七ページを見てください。七ページ上です。四月になり法律が改正し、十八歳であればJ○三年でも成人とみなされ、アダルトビデオに出れるようになりました、新しい法律では年齢的に問題ないでしょう、四月を待って限定的に公開しますと。ぱっぷすさんがこれをチェックしたら、このビデオサイトも、四月に入ってからもう四百人が買われているんじゃないかと。一本二万五千円ぐらいと言われておりますので、これは一千万円以上の売上げだと。
野田大臣、こども家庭庁で、政府を挙げて、与野党協力して子供を守っていこうという一方で、現役高校生、こういう低年齢化したアダルトビデオが増えつつある。これはこども家庭庁の趣旨、理念に逆行していると思われませんか。いかがですか。
○野田国務大臣 子供とは、基本的には十八歳までの者を念頭に置いているところですが、一定の年齢階層で区切られるものではなくて、必要な支援が途切れることのないよう取り組んでいくこととしています。
今のいわゆるアダルトビデオ出演強要問題については、従来から、問題意識を持って、関係省庁が連携して教育や啓発の強化等によって対応しているところです。今回も、私は男女の方の大臣もやっているので、そこから関係省庁に声がけをして幹部会をやらせていただいたんですけれども。
こども家庭庁、今御審議をいただいているんですけれども、こども家庭庁においても、十八歳、十九歳を含め、若年層の性暴力被害の防止に向けて、子供の権利を擁護する観点から、必要な連携はしっかり行ってまいります。
○山井委員 これはどう考えても、今おっしゃったように、こども家庭庁の理念と真逆の現実が今起こりつつあるという認識は共有していただけたんじゃないかと思います。
続きは一時から行います。ありがとうございます。
○上野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山井和則君。
○山井委員 ありがとうございます。
では、一時以降、アダルトビデオの高校生出演解禁の問題について質問させていただきたいと思います。
先ほども言いましたように、こども家庭庁で子供を犯罪や暴力から守ろうという議論をしている中で、四月以降、先ほどお見せしたように、現役高校生が撮影されたと見られるビデオが増えている、また、それが売れまくっているということは、野田大臣、これは今、私たち立法府も政府も試されているんだと思うんですね。日本の国で高校生のビデオを、十八歳、十九歳のビデオを売りまくってオーケーなのかどうか。
そういう意味では、ここで、野田大臣を先頭に政府も取り組んでいただいて、私たち立法府も取り組む必要があると思います。
それで、今日の配付資料の最後、二十ページにもありますが、これは朝日新聞の記事でありますけれども、「十八歳、二万円で撮った性的動画 孤独な女性「大人助けてくれない」」ということで、この右の方を見てみますと、世間が言う家出少女、個人撮影でないアダルトビデオにも勧誘された、スカウトはこう言った、二十歳になったら撮影しようね、最近のニュースとこの言葉がつながった、今年三月三十一日まで、未成年というだけでAV出演契約を取り消して商品の回収もできた、スカウトの言葉の裏には、二十歳までのそうしたリスクを避けたいという制作側の意図も見える、女性は、民法の未成年取消権という規定に守られていたことを最近になって知ったと。
つまり、三月三十一日までは、十八、十九の方は、男性も含めてですけれども、撮影しても、未成年だからといって後で苦情を言ったら無条件で回収することになっていたので、ビデオ制作側からすると大損害になるから、二十歳以降だけ声をかけるということになっていたわけですね。ところが、なくなったので、これから十八歳、十九歳に声がかけられるのではないかということです。
ちょっとブログを見ていただきたいんですけれども、最近のブログに何と出ているか。配付資料の七ページを見てください。配付資料七ページ、三月一日投稿のアダルトビデオ事業者のブログ。この右上の方へ行きますと、かつて私は未成年の子を撮影し、作品が没になった、当時十九歳だった、結局、親から、撮影の後、映像を公開するなら弁護士を立てて裁判も辞さないと言われた、それで断念したので、今まで十八歳や十九歳のモデル採用は控えていたのですと。
配付資料の左下に行きます。ですが、十八歳は成人だと法律で定義されるわけですから、四月一日からは方針を転換せざるを得ないでしょうねと。この四月一日からは十八歳、十九歳の女性を撮って売るという趣旨でしょう。なぜって、年齢が低いほど需要が高まるからですと。今回の未成年者取消権がなくなることは、この右ですね、今回の法律施行は棚からぼた餅のような恩恵を与えるでしょうね、来る四月一日に備え、あなたも是非今から十八歳の女の子を確保しておいた方がいいかもしれませんということで、こども家庭庁の創設を議論するさなか、本当に、十八、十九の女性が今、男性も含めてこういうビデオはありますから、狙われているわけです。
野田大臣、先ほどお渡ししましたけれども、被害者の相談に乗っておられるNPO法人ぱっぷすさんを通じて、被害者の声が届きましたので、幾つか読み上げさせていただきたいと思います。
まず、配付資料の六ページ、右の真ん中のところに被害者の声があります。この配付資料の右ですね、六ページ、声三。
お金が欲しいと安易にプロダクションと契約してしまいました。撮影日にやっぱりやめたいと思いましたが、大勢の年上の男の人に囲まれて、断ることも怖く、結果、複数回撮影してしまいました。実際に映像が発売されてから、一日五回、自殺したいと考えたりしました。同級生にも知られて、本当に私かを確認するためにみんなで何回も見たと言われたときはとてもつらかったです。今は会社員をしていますが、もしかしたら周りの誰かが知っているのではないか、ばれたら会社を辞めなければならないのではないかと不安です。私のように、発売された先の未来を考えずに、お金が欲しいと契約してしまう十代、二十代の方がほかにもいるかもしれません。私は、五年以上たった今も当時のことを思い出してつらくなったりしますと。
要は、五年たってからこの方は、就職もして、やはりあの動画、公開をやめてほしいということで、今、ぱっぷすさんに、取消しを求めておられるわけなんですね。
それと、今、野田大臣にお渡ししましたが、もう少し被害者の声を読み上げます。
私のケースですと、当時、声をかけられたのは二十歳になる前、契約は二十歳直後でしたと。
やはり二十歳直後なんですよね。十八、十九までは撮影していないんです。
直後、メーカーや事務所は効力のあるサインを突きつけ、販売停止には応じてくれませんでした。十八歳から契約を結べるとなると、声をかけるのは高校生の間からです。働き始めて世の中のことを知っていくと私は思います。余りにも若く未熟なこの年代は、スカウトマンや事務所からすると絶好のターゲットですと。
ですから、野田大臣、これは十八歳以上だけが狙われるんじゃなくて、十八歳から出演してもらうということは、もう高校生からどんどんスカウトが始まってしまうということです。
あとお二人、被害者の声をお話ししたいと思います。
私は、声をかけられて契約した当時、大学一年生で十九歳でした。撮影当時は、恥ずかしい気持ち、尊厳が踏みにじられるようなつらさ、体の痛み、いろんなつらさを感じました。私は今三十歳半ばですと。
十六年たっているわけですね。
三十歳半ばです。今なら彼らのうそなんてすぐ見破れると思いますし、そもそもスカウトに声をかけられた時点で警戒します。しかし、十代の社会を経験していない若い少女に、大人を疑う気持ちや忽然と突っぱねる強さはなくて当たり前なんです。彼らはそれを分かっていて、集団で狙ってきます。事務所の社長、スカウト、マネジャー、事務所のほかのスタッフ、そういう人たちがチームになって一人の女性にかかるんです。狙われたら逃げられないんですと。
それで、続きがあります。
これだけデジタルタトゥーが残っている現代で生涯隠し通せる保証はないため、私は自分の子供を持つことは諦めています。我が子が母親のアダルトビデオ出演で辱められたと考えたら、絶対に無理です。アダルトビデオ出演は、撮影当時だけでなく、その後の人生においてもずっと私を苦しめています。当たり前に結婚して、子供を持ちたかった、親に孫を見せたかった、会社にもいつばれて解雇されるか、不安はずっと消えません。
あともう一人、最後の方のメールを御紹介します。
当時、親にもばれないし、飛行機事故より親ばれの確率は低いなどと大人の口車に乗せられ、すっかり信用してしまった私は、十九歳のときにアダルトビデオに出演をしました。若かった当時の私は、自分がどうなってもよい、ばれたら死ねばよい、今この瞬間、私を必要としてくれる人、私に期待してくれる人たちの思いに応えたい、そういう思いから契約書にサインをしました。大変未熟で浅はかな考えでした。自分のアダルトビデオが発売されてしばらくして、私は、ストレスから後頭部の髪が広範囲にわたって抜け落ちました。何とか親にも打ち明けることができ、撮影当時十九歳だった私は、未成年取消権を行使して、販売停止を請求することができました。私は、このときほど、法律に守られたと感じたことはありません。未成年取消権があることに気づいたとき、絶望の中に小さな光を見たような気持ちでした。こんな浅はかな愚かな私を救ってくれる法律があることに涙が止まりませんでした。当時の私がもし十九歳でなく、未成年取消権が行使できずに、いまだに販売が継続されていたりしたら、私は既にこの世にはいなかったかもしれません。当時の私が未成年取消権の希望の光を見たように、出演してしまったことを後悔し絶望の中にいる少女たちの救いとなるよう、法律、制度が必要です。未成年取消権がぎりぎりのところで私の命をつなぎ止めてくれたことは間違いありませんと。
つまり、この未成年取消権というのは、単なる商品を買ったの取消しじゃなくて、人の、若い女性、男性の命を守る権利だということなんです。ぱっぷすさんに届いている悲痛な声、無念の思い、本当に、後悔しても後悔し切れない、こういう悲痛な声が山のように寄せられているわけですね。
そこで、野田大臣にお伺いしたいんですけれども、ここにありますように、四月一日までは、未成年取消権があって、メーカー側も十八、十九には声をかけなかったんですね。未成年取消権が、こういったように、いざ撮って売ろうとしても回収させられるから、抑止力だったわけです。ところが、四月一日からはもう回収できないわけだから、残念ながら、撮って売ったらもうかるみたいな、そういう状況に、今もう四月二十二日、なっているんです。
そこで、野田大臣にお伺いしたいんですけれども、未成年取消権、なくなってしまったわけですから、それそのものを復活させる議員立法を今私たちは作成をして準備はしておりますけれども、もしそれが無理であったとしても、未成年取消権と同等以上の効果を持つ立法措置というのが、やはりお子さんたちを守るために必要なんじゃないかと思うんですけれども、野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 るるお話をありがとうございました。
まず、やはり、未成年者取消権がある場合というのは、一般論で申し上げるんですけれども、無条件で契約解消することが可能であり、そのようなリスクが事業者に対する抑止力になっていたという面もあると推察されるわけですね。
それで、これまでは強要ということを言っていた、今、被害という言葉に置き換えていただいたのは大変いいことで、なぜかというと、あたかも、事業者が殴ったり脅かして出演させるというイメージがすごく広がっていたんです。そうではなく、むしろ優しい言葉をかけてもらったり、孤独な女性たちに、最初は友達で、だんだんと、グルーミングというんですけれども、自らこの人のために何かしようみたいな、そういう環境整備なんかもたくさん散見されるわけで、それは結果として、後に人権侵害になってくるわけですね。
やはり、十八、十九で、様々傷ついたときに優しくしてくれたというので、その時点では被害ではないんだけれども、今お話があったように、出演してしまった後に、それがもう今はインターネット社会では転々流通するわけですから、デジタルタトゥーという言い方をされましたけれども、消すことがなかなか難しい社会だという中で、後に、好きな人ができたり、そういうところで大きな人権侵害になるということを、なかなか若いうちは分かりづらいということが極めて大切な論点だと思っています。
今、幸いなことに、各党がこのことについて、しっかりと十八歳、十九歳の人たちを守らなきゃならないということで、立法の動きがあることは大変ありがたく思っています。立法府の自らの責任とか、やはり多くの国民の声を聞いていただく立場として精力的に取り組んでいただくことを、是非、心から注視してまいりたいと思っています。
○山井委員 今、野田大臣からもお話がありましたように、実は今、この問題の解決のボールは政府というより立法府にあるわけで、自民党、公明党さんも、私たち野党も、議員立法の作成に取り組んでおりまして、協議をしておりますけれども、それが超党派で合意ができたら、この内閣委員会で、衆議院か参議院か分かりませんけれども、こども家庭庁の法案審議の後、今言った穴を埋める、まさに、十八、十九、現役高校生の方々も含めて、その方々のアダルトビデオが今増えつつある、これを止めるボールは、超党派の、この内閣委員会にあるわけなんです。
それで、今、野田大臣おっしゃってくださった、大事なことをおっしゃいました。今まではAV強要問題と言われていたけれども、自民党、公明党のプロジェクトチームもAV出演被害に関するプロジェクトチーム、私たちも、ぱっぷすさんも、マスコミの方も、強要という言葉は使わなくなっているんですね。なぜかというと、野田大臣おっしゃったように、強要に見えないんですよ。脅したり、うそついたりじゃないんです。巧妙に、野田大臣おっしゃったように、グルーミングで、温かく優しく包んでいって、結果的にはだまされたということになって、多くの女性の方が後悔をされるということなんです。
そこで、この問題、もう一つ問題点がありますのは、じゃ、こういう被害に遭った人だけが問題なのかというと、そうではなくて、配付資料を御覧いただきたいんですけれども、配付資料の十六ページ。残念ながら、今、現役高校生出演ビデオなるものが増えつつあります。先ほども言ったように、一つのサイトだけでも千本ぐらい売れています。つまり、もし現役高校生のビデオが、国会で私たちが議員立法を作ってブレーキを踏まなくてどんどん増えていったら何が起こるか。十六ページ右上にありますように、過去の警察庁の調査で、強姦や強制わいせつの容疑で逮捕された人の三三%、三人に一人は、アダルトビデオを見て自分も同じことをしてみたかったと。恥ずかしい話ですけれども、こういうことなんです。
ということは、言いたくないですけれども、現役高校生のビデオが増えたら、出た人が被害者だけじゃないんですよ。じゃ、現役高校生に痴漢しようかな、わいせつ行為しようかなと、残念ながら、多くのお子さん、高校生が、そういう性犯罪、性暴力になる可能性がどんどんどんどん広がっていくわけです。これを何としても私たちは今食い止めねばと思っております。
それで、問題は、今与野党で協議をしているんですけれども、一つのポイントはこの期間なんですね。配付資料を見ていただきたいんですけれども、では、やはり後悔して、気持ちが変わって取り消したいというふうにいつ思うかなんですが、配付資料の八ページ、左上を見てください。相談に乗っておられますぱっぷすさんの資料によりますと、一年未満が一六%、二年までが、合計しますと三二%、そして三年から五年が一六%。三分の二ぐらいが五年以下ですけれども、五年以上も三分の一おられるんです。
野田大臣、ここで分かっていただきたいんですけれども、今まで取消権があったんですけれども、この取消権の最大の効果というのは、五年間取り消せたということなんです。
今日の配付資料の十ページを見てみてください。民法百二十六条、取消権の期間の制限。取消権は、追認することができるときから五年間行使しないときは時効になると。つまり、短期間じゃなくて、撮影してしまったりあるいは発売してしまってから五年間は取り消せたわけです、無条件に、十八歳、十九歳の方は。
具体的に言いますと、やはり一年、二年、落ち込んだり、あるいは自殺未遂されたり、残念ながら実際自殺された方もおられます、そういう中で、就職しようと思ったら、やはり就職するときに、ビデオが流通しているのは困る、消してほしいとか、あるいは彼氏ができた、彼女ができた、あるいは結婚したい、そのときに、フィアンセに、ビデオに出たこと、今も売っていることを言わないと駄目なんだろうか、そういうことですね、様々なことで、やはり三年、五年、十年たって取り消してほしいということが多いわけなんです。
ついては、野田大臣にお伺いしたいんですが、私たち、議員立法でこの穴を、未成年取消権がなくなった穴を埋めればと思っているんですけれども、今までは五年間取り消せたんです、三月三十一日までは、五年間。私たちは、当然、今まで五年だったんだから、これからも五年ぐらい、議員立法を作るんだったら取り消せたらいいなと思うんですけれども、野田大臣は議員立法のことには直接お答えできないと思いますので、議員立法というのはちょっとおいておいたとして、今後、十八歳、十九歳のAV被害を守る上で、今まで五年間あった、やはり、せめて一定の期間、十分な期間取り消せるようなことが今後も制度として残ればいいんじゃないかと思いますが、野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 年限については、やはり、せっかく各党で立法の動きが出てきたので、しっかりと被害者がリカバリーできるような実効性のあるものを、様々な角度から検討して出していただきたいと思っています。
私は、議員立法を幾つか手がけたことがあって、最初に手がけたのが児童ポルノ、児童買春なんですよ。ですから、本当に厳しかったですね、当時も。児童ポルノに関しては、残念ながら親がそういう素材を提供するケースとかもあって、非常に子供たちの人権というのはその当時はなかなか大人の人たちに認められなかったこともありますので、逆に、議員立法でしっかり取り組んでいただければ、今はもうインターネットの中ではびこってしまっている児童ポルノ、どんどん逮捕者も増えている中で、そこの抑止にもつながってくると思うので、しっかりと皆様方の議論を見守りたいと思っています。
○山井委員 しっかりとした十分な期間が必要だという御答弁をいただきました。
これは、あえて言いますと、この法案をもし成立させるとしたら、委員長提案、この委員会になる可能性もありますから、ということは、それを成立して、抑止できたら、内閣委員会、国会、立法府、頑張ったなとなりますし、万が一ざる法だったら、私も含めてですけれども、何やっているんだということに本当になるから、これは変な話、野田大臣の問題というより、私たちが超党派で、今まであった五年の時効をどうするのかという議論にもなると思うんです。
なぜこんなことを言うかといいますと、今までは時効五年だったけれども、じゃ、半年にしましょうとなったときに何が起こるかといいますと、例えば、メーカー側は、半年までは取り消せる、でも半年以降は取り消せないということになると、半年間売らないという作戦に出てくる可能性はあるわけですよ、それは。半年間売らなかったら、親ばれもしないし、被害も出ない。じっとしている。そうしたら、被害者も被害を感じないから取り消さないですよね。それで、取消権がなくなって、例えば半年から一日たったらばっと売る。そうしたら、被害者の方は、これはもうたまらない、やめてください、友達にも親にもばれました、仕事も首になりかねません、学校も行けなくなりますといったときに、何言っているんですか、時効は半年ですよ、一週間前に切れていますとなったら、もう泣いても怒っても、永遠にそのビデオを止められなくなっちゃうんです。
だから、この五年間の時効、五年でも、残念ながら、私の聞いた話でも、五年過ぎてから来られて、消せなくて困っている人の話も聞きました。そういう意味では、この時効の五年というのが重要だということを強く言いたいと思います。
それと、もう一つ、原状回復義務というのがあります。配付資料十ページ。
今までの未成年取消権には原状回復の義務という言葉がありまして、百二十一条の二、無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。つまり、ビデオを撮影して、例えば、半年後にやはり取り消してくださいといったときには、今後出なくていいですよだけじゃなくて、今まで撮影したビデオも回収、家まで行って回収はできませんけれども、アダルトビデオショップにある、インターネットで売っているものは回収する、こういう原状回復義務があったわけです、取消権に。これがあるから、アダルトビデオメーカーは大損害になるから、十八歳、十九歳には声をかけなかったんですね。
これも、一般論として野田大臣にお伺いします。
今後、こういうお子さんたち、あるいは十八歳、十九歳の人たちを守っていく上では、やはり、今まで取消権にあったような原状回復、あるいは差止め請求権ですね、今出ているビデオは回収しなさい、今後だけじゃなくて今までのやつも。繰り返して言います、もうダウンロードしたやつとか家に持って帰っているやつまで回収は無理です。これは今までから無理なんですけれども、そうじゃなくて、店舗とか倉庫にあるやつは回収させる、そういう原状回復義務というのは、今後もやはり若い人やお子さんを守るためには必要じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○野田国務大臣 まさに皆様方が取り組んでいる立法の内容であるので、私の方からはコメントは差し控えるんですけれども、是非やはり取り組んでいただきたいのは、アダルトビデオの出演に関する被害の問題というのは、今も委員おっしゃっているように、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であって、深く憂慮すべきだと。その被害を減じていくために何をなすべきかということで、立法府の皆様方の取組をしっかり見守りながら、私の思いはそれで御理解いただければと思います。
○山井委員 ありがとうございます。
それで、私、今までちょっと、内閣府さんの国会答弁で気になっている言葉がありまして、意に沿わないAV出演は許せません、こうおっしゃるんですね、意に沿わない。
でも、私、あえて、これは質問通告もしましたが、野田大臣にお伺いしたいんです。十八歳の現役高校生、未成年取消権がありました。意に沿わないじゃなく自由意思だったら、野田大臣、十八歳現役高校生などのアダルトビデオ出演が、これからこども家庭庁の議論をする中でどんどん増えていくということは構わないと思われますか。いかがですか。
○野田国務大臣 様々な御意見があると思いますが、今申し上げたように、アダルトビデオの出演に対して被害が後にあった場合でも、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題ということです。
アダルトビデオの出演被害については、モデルやアイドル等への憧れや好奇心を利用する、顔は映さない、絶対にばれない等と説明することにより意思を誘導され、契約に至るといった事例もあります。
十分な情報や考える機会を与えられないことで、このような手口により十八歳の現役高校三年生のAV出演が増えるということは極めて問題であり、私としては、断じてあってはならないと考えています。
○山井委員 ちょっとここをあえて確認させていただきたいんですけれども、だまされたり強要されたのではなく、その時点では自由意思で、残念ながら、今日配付した二十ページにもあります、お金がないと生きていけないということで、二万円で性的動画を撮ってしまった十八歳の女性が、この二十ページ、新聞に出ております。
歓楽街のコンビニの前で、十八歳だった女性は声をかけられた、振り向くと中年の男、差し出されたスマホの画面をのぞくと、性的行為の動画を投稿するサイトだった、動画と写真の撮影で二万円を渡された、男は事前に準備した書面に署名するように言った、それで、もらった二万円は、ネットカフェに二週間ぐらい泊まれる金額だったと。
でも、この方も今では当然、大変な後悔をされているわけなんです。
ですから、不本意とか強要とか、意に反しなくても、その時点では自由意思であっても、十八歳の現役高校生あるいは十八歳の方がアダルトビデオに出演する、このことについてはいかが思われますか。
○野田国務大臣 その時点と。これは、先ほど申し上げたように、このインターネット社会で転々流通してずっと残っていくものなんですね。そして、子供から大人というのは、自覚、自分の自己主張とか自己肯定とかいろいろあるんでしょうけれども、そのときに、はたと、これは非常に厳しい状況だということは、やはりその時点で分からない若い人、子供たちが多いと思うんですね。
そういう意味では、やはり、私たち、それをずっと取り組んでいる大人と言われる側が、そういうことが起きるということで、高校生でアダルトビデオには出てはいけないよ、後に何があなたを苦しめるか分からないということはしっかり伝えるべきで、私としては、やはり、高校生でアダルトビデオに出ることは、結果として、予見できない被害が来るおそれがあるということなので、高校生ではやるべきではない、そういうふうに理解しています。
○山井委員 これは本当に重要な答弁だと思います。今までの政府の答弁は、意に反するアダルトビデオ出演は駄目だと。裏返せば、自由意思だったら出てもいいということでしたけれども、今の野田聖子大臣の答弁で、少なくとも高校三年生とか十八歳はやはり出るのはよくないんじゃないかと。でも、野田大臣、そこなんですよ。
野田大臣、私も全く同感です。高校生が出るのはやはりおかしいよね、どう考えたってと。でも、四月一日からは、法律的には、どうぞ御自由にと、高校生を守っていた取消権はもうなくなったんですよ。それで、はっきり言いまして、十八、十九の方が売れるから、今、巧みに勧誘に、もう始まってしまっているんですよね。だから、野田大臣が、やはり高校三年生がビデオに出るのはよくないとおっしゃるのであれば、ボールは立法府にあって、国会の内閣委員会の私たちが、それは願望じゃなくて、やはり十八歳は、事実上、今までどおり出られない立法をする必要があるんじゃないかと思うんです。
それで、野田大臣、もう一つ質問させていただきます。
それともう一つ今問題になっているのは、三年、五年は納得していた、でも、しばらくしてから、契約に問題はなかった、当時は自由意思で出た、でも、やはり将来になって、あれは消してほしいと思い出した、契約に問題はなかった。例えば、繰り返しになりますけれども、就職することになった、彼氏あるいは彼女ができた、フィアンセができた、あるいは子供を持つことになったときに、やはりそういう状態で自分の性的画像が永遠に出回っているのはつらい、だから、契約に問題はなかったけれども、将来的に、例えば五年後以降、五年間は売ってもいいけれども、五年でもう売ったら駄目とか、そういうふうな権利というものを持たせる立法措置が必要なのではないかと思うんです。
具体的に言いますと、野田大臣、既に今、一部のメーカーでは、取り消してくださいという要望が来たときには、分かりました、五年間は売り続けさせてもらいますと。長いですよ、長いけれども、五年間は売り続けさせてもらいますけれども、五年後以降は、取消しの要望があったら売りませんと言っているメーカーは幾つかあるんです、自主的に。
でも、こういうことをやはり国としても立法でやるべきじゃないか。これは、ヨーロッパなどでも、ライト・トゥー・イレースといって、インターネットにおいて、忘れられる権利、忘れる権利、そういう権利と言われているんです。
野田大臣おっしゃったように、後になってやはり消したいと。でも、取消権の五年の時効も終わっている。終わったら、じゃ、泣いても叫んでも、永遠に自分の性的画像が広がるのは防げないものなのか。
先日、私たちの部会に元AV女優の小室友里さんという方が来られて、こうおっしゃっていました。自分たち元AV女優の今の悩みは、結婚して子供ができている、そうしたら、PTAのときに、あそこのお母さん、元AV女優で今も売っているよと言われたときに、子供が苦しむんじゃないか、今になって後悔していると。
こういうことを考えると、野田大臣、時効がもし終わった後でも、何年間かは売るのは仕方ないけれども、何年間か売ったら、もうそれは売れないようにする、こういう立法措置が必要とは思われませんか。いかがですか。
○野田国務大臣 各党がそれぞれ立法について取り組んでいらっしゃるので、内容に関しては最善を尽くしていただくことを期待申し上げますけれども、私も、児ポ法、児童ポルノに取り組んでいるときに、本物かどうかは別として、小学生とか、幼稚園児とか、中学生とか、そういう本当に信じられないようなアダルトビデオが販売されているわけですね。
それが、なかなか児ポ法が利かないのは、すごく限定されていて、実在する中学生じゃなきゃ駄目とか、そういう縛りがかかっているものですから、そういう若い人たちを対象にするようなありよう、アダルトビデオのありようというのが改善されていないなと。ですから、是非、こういうことを契機にして、全体的に、果たして子供を対象にするアダルトビデオを、どうあるべきかということも私は是非問いかけたいし、すばらしい立法府の活動を期待しているところであります。
○山井委員 こういうことも私たち立法府が考えねばならないと思いますし、将来的には、こういう場で言いにくいんですけれども、今、実は、本物の性行為が行われてアダルトビデオの撮影が行われているようなこともあるんですけれども、やはりこういうのは女性の尊厳を著しく汚すので、今のAV女優の方々も、ストレートに言うと本番禁止。本番行為というのは、やはり一歩間違うと、売春したら捕まるのに、カメラが回っている前で売春したら捕まらないのはおかしいんじゃないかという議論すらあるわけなので、こういうことも私たちは考えねばならないというふうに思っております。
そこで、野田大臣の決意をお伺いしたいんですけれども、こども家庭庁の議論をして、これから子供を大切にする、暴力、性犯罪に遭わない社会をつくっていくというこども家庭庁の議論の中で、やはりこれから、高校三年生を含む十八歳、十九歳のアダルトビデオの出演被害を減らす、根絶する、間違っても増えるようなことにはしないという決意を野田大臣からお聞きしたいと思います。
○野田国務大臣 与野党の立法府の皆様方が熱心にこの問題について取り組んでいただいていることに心から敬意を表しますし、やはりどうしても、これまで、私もささやかな取組の中で、アダルトビデオとかそういうものについて、なかなか真ん中でどんと議論がなされてこなかった問題点もあったかと思います。これは人権侵害になるわけですね。
意に反してというのは、別に子供じゃなくても、大人でも意に反して後に後悔することってたくさんございまして、なお一層、やはりそこは大人がしっかりと見守っていかなきゃいけないということで、こども家庭庁の意義というのが改めて深まっているので、まだこども家庭庁はできていませんので、しっかりと皆様方にはそういうことを念頭に置いていただいて、議員提案に向けて取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
○山井委員 今も野田大臣のお話にありましたように、議員提案に向かって取り組んでいただきたいと。この未成年取消権がなくなって、現役高校生のビデオがどんどんどんどん今世の中に氾濫しようとしているのを止める力は、内閣委員会、そして立法府にあるわけですね。
ところが、あえて申し上げますと、万が一、私たちが作った法律がざる法で、超党派で、内閣委員会で例えばアダルトビデオ根絶の法案を出したとしても、それが万が一ざる法であって、未成年の方の、今までの十八歳、十九歳の方の被害が増えると大変なことになりかねません。そこで、アダルトビデオ出演被害根絶元年ということにするために、私たち立法府も頑張らねばと思います。
私、一番懸念しますのは、やはり先ほどの時効の問題なんですね。今まで五年間取り消せた。ところが、この期間が減れば減るほど取り消せなくなって、今も言ったように、幾ら取り消したいと思っても取り消せなくなってしまうわけです。ここが一番、今後、超党派で議論する上で大切なことになってくると思いますので、このことについて是非とも、超党派でいい議員立法ができて、やはり国会の力でアダルトビデオ出演被害根絶が、内閣委員会や立法府の力でできたらいいというふうに強くお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○上野委員長 次に、堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党の堤かなめでございます。
まず、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻で、犠牲になる子供が増え続けています。学校などの教育施設も数多く爆撃や砲撃による被害を受けております。民間人の殺害、性暴力、略奪は国際法違反の戦争犯罪であり、断じて許すことはできません。犠牲となられた方々に、心より哀悼の意をささげます。
そして、子供たちの権利が包括的に保障され、平和と民主主義を守る主体として社会に参画でき、人類の未来を担う子供たちにとって真に必要な政策が確実に実施される体制の構築に向け、以下、質問させていただきます。
政府の法案では、「この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。」と定義されています。一方、我が党が三月一日に提出した子ども総合基本法案では、子供施策の性質上、「子どものほか若者を対象とすることが適当である場合にあっては、若者に関する施策を含む」と、若者という言葉を明確に示しています。
そこで、まず野田大臣に確認の意味でお聞きします。中谷議員からも質問がありましたけれども、政府のこども家庭庁設置法案において対象となる「こども」とは、若者、若年層も含まれると考えてよろしいでしょうか。
○谷内政府参考人 委員にお答えいたします。
昨年末閣議決定いたしました基本方針の中で平仮名で書いている「こども」とは、基本的に十八歳までの者を念頭に置いておりますけれども、子供が大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程は、その置かれた環境にも大きく依存し、子供によって様々であり、かつ、乳幼児期からの連続性を持つものでございます。円滑な社会生活を送ることができるようになる時期も個人差があります。
このため、今回政府が提出いたします法案におきまして、「こども」を「心身の発達の過程にある者」と定義しています。これは、大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程にある者をいいまして、議員がおっしゃるような若者や若年層も含まれるというものでございます。
○堤委員 つまり、特定の年齢で区切るわけではない、十八歳未満に限定されない、必要があれば十八歳、十九歳も含むということが先ほどの答弁でも確認できました。
本年四月一日より十八歳から成人とされたわけですけれども、その数年前から、先ほど山井議員からもありましたように、十八歳、十九歳が消費者被害に更に遭いやすくなるという懸念が指摘されました。中でも危惧されていたのがAV出演契約の問題です。
被害者を支援する市民団体の方々は、以前からこの問題の対策を政府に求め続けてこられました。また、塩村委員、早稲田議員、山井議員など、我が党の何人もの議員が再三再四対策を求め、大きく報道もされました。しかしながら、政府は何ら実効性ある措置を講ずることなく四月一日を迎え、十八歳、十九歳の若者は未成年取消権を使えなくなってしまいました。
この未成年取消権とは、もうお分かりのことだと思いますけれども、親などの同意を得ずに十八歳、十九歳の人が結んだ契約を無条件で取り消すことができるというもので、AVの出演を不本意にも契約してしまった未成年にとっては唯一の頼みの綱ともいうべきものでした。しかし、それが奪われてしまったのです。
その結果、どんな大変な状況になっているか。この一か月弱ですけれども、この僅か一か月弱でも既にいろいろなことが起こっている、既にもう被害が広まっているかもしれない、そのことは山井委員からるる御説明がありましたとおりです。
飲酒、喫煙、公営ギャンブルはこれまでどおり二十歳まで禁止されるにもかかわらず、AV出演は親の同意なしに契約できるようにしたのはどう考えてもおかしいという声が多く届いています。
飲酒、喫煙、公営ギャンブルについては、若年層が肺がんなどの病気や依存症になりやすいという指摘があり、禁止が継続されたと聞いています。アダルトビデオの出演もまた、若年層にとっては特に心身に有害な影響を与える可能性が極めて高いのではないでしょうか。
しかし、野田大臣のこの問題に対する対応、政府の対応は、余りにも冷たいものだったと言わざるを得ません。
資料一を御覧ください。三月十六日の参議院内閣委員会での我が党の江崎孝委員の質問に対する野田大臣の答弁でございます。
既に四年前、令和元年度に内閣府は法的検討をするとしていたことを江崎委員は指摘した上で、この被害を防ぐための法的対応について質問いたしました。これに対する野田大臣の答弁が、資料一、この下線部の一番です。今でもアダルトビデオに出演契約の場合は、その契約を取り消す、例えば消費者契約法というのがございますし、さらには、ひどいことで強要された場合には、例えば民法の詐欺とか強迫という理由で取消しを行使することが可能になっていますと、新たな法的検討についての質問にはきちんと正面からお答えにならず、今使える法律、現行法で対応が可能であるかのような答弁をされています。
しかし、実際には全くそうではありません。資料二を御覧ください。弁護士で執筆者の、AV出演強要の被害者を支援する国際NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長伊藤和子さんの御承諾を得て、この資料を提出させていただいております。四ページから五ページにかけてでございます。
この下線部一から読ませていただきます。
契約取消しについて列挙される法制度はいずれも、とても行使するのが難しいものばかりです。十八歳、十九歳の被害者に対して、意に反してAV出演してしまっても、詐欺、強要を主張したら取り消せますよなどと言うのは何の慰めにもならず、極めて無責任な政府広報と言わざるを得ません。
五ページです。
また、政府は消費者契約法が活用できるとして周知徹底を図ると言います。確かに、不適切な勧誘などがあった場合、消費者契約法の適用により取り消すというのは、一見すると活用できるように思えるかもしれません。しかし、アダルトビデオ被害で不適切な勧誘を行うのは大抵がスカウトかプロダクションです。被害者が出演同意契約を締結するのはAVメーカーです。幾らスカウトかプロダクションからだまされても、第三者であるアダルトビデオメーカーにそのことを主張して消費者契約を取り消すことは難しいのが実情です。現行法ではこの問題は解決できず、十八歳、十九歳はこれまでより危険な立場に立たされる、そのことはごまかしようがありません。
そういうふうにおっしゃっています。
では、野田大臣に改めてお聞きします。親の同意がなければ無条件で取消しができていたのに四月一日からできなくなってしまった十八歳、十九歳に対して、従来と同等の対応が現行法だけで果たして本当に可能だと、今でもそう思っておられるのでしょうか。可能なのか、可能でないのか、今もそう思っておられるのか、端的にお答えください。
○野田国務大臣 一般論として言えば、四月以降、十八歳で成人となるため、民法における意思表示の瑕疵などの取消し事由や消費者契約法における不当な勧誘行為などの取消し事由が存在しない限り、契約を取り消すことはできないと承知しています。
アダルトビデオ出演被害の問題は、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題です。
このため、まず、行政府としてできることは全てやるという観点から、三月三十一日、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議を、これは局長級なんですけれども、速やかに開催して、「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージを決定したところです。
引き続き、アダルトビデオ出演被害の根絶に向け、関係省庁と連携してしっかり取り組んでまいります。
○堤委員 今おっしゃられた、政府が三月三十一日にぎりぎりになって慌てて出した「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージについてですけれども、もう一度、資料の二を御覧ください。三ページでございます。ここに政府のパッケージが載っておりますけれども、その下の方の下線部のところでございます。
第一の教育、広報、啓発、これは政府も、二〇一七年以降、五年前からやっておられます、四月を集中月間にしています。しかし、年に一回、政府広報をやったからといって、全ての若年層に届くのは不可能です。政府広報が行き渡らない若年層に、政府広報や啓発活動をしっかり見なかったあなたが悪い、だから自己責任と言えるのでしょうか。
では、資料一にもう一度戻っていただきたいと思います。下線部の二です。野田大臣は、未成年の取消権というのがその当時から余り機能していないというか、本人たちが知らない、下線部三、更なる手だてはあるんだけれどもそのことが分かっていないなどと答弁されました。まさに野田大臣のこの答弁は、伊藤和子弁護士が指摘しておられる、政府広報や啓発活動をしっかり見なかったあなたが悪い、だから自己責任と切り捨てるものではないでしょうか。
本人たちが知らない、分かっていないのは、これまで十分な教育、広報、啓発を怠ってきた政府の責任ではないでしょうか。若者の自己責任なのか、政府の責任なのか、野田大臣、端的にお答えください。
○野田国務大臣 私の発言は、そういう趣旨ではございません。
私個人、国会議員としても、伊藤弁護士とはこのことについて、皆さんの御議論が始まる前から関わっておりまして、伊藤弁護士の方から、消費者庁の創設に関わった人間として、契約ということで、消費者庁の契約の法律で対応できないかということをもう数年前からやり取りをしているところで、このような発言に至ったわけですけれども。
また、未成年の取消権というのを、じゃ、学校で私たちは授業の一環なり社会何とかで実際教わってきたかというと、誰も教わっていないということを申し上げた。逆ですよね。そういうことを教えてあげればよかったのに教えてこなかったよねということを申し上げたかったんです。
○堤委員 私も、野田大臣はそうではないと信じております。ただ、そういうふうに聞こえるので確認をさせていただきました。ですから、やはり、しっかり政府広報にもっともっと力を入れていただきたい、要はそういうことでございます。
しかしまた、そうやって数年前から取り組んでこられたのに、新たな法的対応をせずに四月一日から取消権がなくなってしまったということは、やはり動かし難い事実でございます。野田大臣は何かの方法をやりたかったということでしょうけれども、多分、政府の中でなかなか実際には進まなかった、野田大臣の思うとおりには進まなかったということで、野田大臣も残念な思いをされていて、今、立法府に期待をされているという状況ではないか、私、そう思っております。
それで、同じく資料の、何だか揚げ足を取るようで申し訳ないと思うんですけれども、資料の一の下線部の四ですけれども、野田大臣は、まずは若い人たち、女性たちにしっかりと、そういうことは駄目なんだと、そして窓口があって、それを言うべきなんだとも答弁されています。ここだけを切り取れば、まるで、相談しない若い人たち、女性たちが悪いかのような、やはり自己責任を強いるかのような答弁だと。ネット上でそういうふうに批判している方も実はいらっしゃるんですね。
でも、実際には、もう野田大臣よく分かっていらっしゃるように、たとえ相談窓口があって本人たちがそれを知っていたとしても、知らないことが多い現状でございますが、知っていたとしても、被害者本人が、人に知られたくない、特に親や家族、友人などには絶対知られたくない、先ほど山井議員からも被害者の声の御紹介がありましたように、特に、本当に子供には死んでも知られたくない、そういった思いや、たとえだまされたり強いられたものであったとしても、契約した自分が悪いといった自責の念などから、なかなか相談できない、孤立してしまうという問題の本質を御理解されていらっしゃらないのか、そういう声もありますので、そういうことはないと信じております、野田大臣の認識を改めてお聞きします。
○野田国務大臣 違いまして、まず、今申し上げたように、やはり学校でしっかりと、十八歳、高校生の問題も出ていますけれども、大方学校でそういう話をしてくれれば、まず子供たちがそういうことに遭ったときの抑止になりますし、駄目だと。
あと、もし万が一そういうことになったときに、今おっしゃったように、なかなか家族には言えませんし、友達にも、自分の自責の念があるから言いづらいわけですよね。そうしたときに、これは、まだこども家庭庁はできていないんですけれども、男女局の方で性被害のセンターがありますよね、そういうところがあるよということをやはりどんどん私たちが言わなきゃいけないという趣旨であります。番号も全国共通で八八九一、これについても、やはりまだしっかりと子供たちのところに伝わっていないんじゃないかなということを申し上げたかったということです。
○堤委員 通告していませんけれども、八八九一というのはやはり覚えにくいと思うんですね。
児童虐待の番号は何番か御存じですよね。
○野田国務大臣 はい。一八九。
○堤委員 一八九、「いちはやく」ですね。やはり、三桁は覚えやすいけれども、四桁になると人間というのはなかなか覚えられないんですよね。是非三桁の番号をつくっていただきたい、野田大臣のお力で。よろしくお願いします。
資料の二の三ページに戻っていただきたいと思います。この緊急パッケージなんですけれども、この2の(1)では、「多面的・重層的な被害者保護に係る各種法制度を周知徹底」としています。先ほど述べましたように、幾ら周知しても現行法では厳しい状況なんですけれども、でも、やはり周知は大事です。先ほどのような三桁の番号、是非、四桁ではなく三桁、「いちはやく」のような覚えやすい番号にしていただきたい。
私、台湾に県議のときに行きました。そこでもやはり三桁の番号でした。台湾は、やはり一一〇番が警察で一一九番が救急だ、それも同じです。そして、やはり三桁の番号が女性の暴力被害の相談の電話でした。ですから、女性のDVの被害ですとか性暴力の被害とか、そういったものはやはり三桁で覚えやすいものにするのが非常に有効ではないかと思っております。
また、「運用を強化」とありますけれども、今までのどのような運用をどう改善するのでしょうか。このパッケージのところに小さく「運用を強化」と書いてあります。これを具体的に分かりやすくお示しください。
○吉住政府参考人 答弁いたします。
三月三十一日に決定した「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージは二つの柱から成っており、一つ目は、若年層に向けた教育、広報、啓発等の強化、二つ目は、議員御指摘の被害者保護に係る各種法制度の運用強化等です。
この二つ目の被害者保護に係る各種法制度の運用強化等については、多面的、重層的に存在している各種法制度を相談窓口等に向けて周知し、対応を強化することとしており、内閣府においてはワンストップ支援センターに対して、警察庁においては各都道府県警察に対して周知を行うなどしました。
このパッケージを決定した際、野田大臣から各府省の局長に対して、それぞれの持ち場において全方位で強力に取り組んでくださいとの話があったところであり、関係省庁と連携して更に取組を進めてまいりたいと思います。
○堤委員 全方位で強力に取り組んでくださいと野田大臣から指示していただいたということです。私は、野田大臣がこども家庭庁のスタートのときの大臣であって、御党の中で野田大臣が担当であって本当によかったなと思っております。
対策パッケージ2の(2)のところですけれども、業界団体の自主規制は、伊藤弁護士が指摘されていらっしゃいますように、政府の施策ではありませんし、自主規制で被害が防げるという政府の考えは認識が甘過ぎると指摘しておきます。
さて、早急にこの問題に対処しなくてはならないということで、先ほど山井議員からも御紹介、訴えがありましたように、立憲民主党と野党プロジェクトチームが議員立法を作成し、与野党で協議を行っていると聞いています。AV出演被害を防ぐため、今国会でこの超党派の議員立法を成立させるべきと考えます。野田大臣、改めて御所見をお聞かせください。
○野田国務大臣 先ほど山井委員にも申し上げたとおり、今この問題の解決のために、与野党全ての政党の皆さんが積極的に議員立法、議員提案に向けて取り組んでいただいていることに心から敬意を申し上げています。是非、速やかに、いい成案を得て、そして、子供たち、人権をしっかり守れるようにお示しいただければと願っています。
○堤委員 やはり十八歳、十九歳は、社会経験が浅く、危険に対する判断力や対応力が未熟で、法律や相談窓口などの社会的資源に対する知識も不足しているなど、つけ込まれやすく、守らなければならない存在です。にもかかわらず、政府は、十八歳、十九歳からAV出演契約の取消権を一旦奪ってしまったわけです。取り返しのつかない大きな責任があると思います。せめて、この議員立法の後押しをお願いいたします。
また、せっかく、こども家庭庁は子供と若者も含むということですから、できれば、私個人としては、例えば三十歳未満までに、もうこの際、未成年取消権ではなく、若年取消権、若年層取消権みたいに拡大していただけたらありがたいなと思っております。
とはいえ、野田大臣に共感する点も多々あります。資料一の下線部五のところですけれども、野田大臣が、アダルトビデオに強要されることは未成年であっても成年であっても女性にとってはいけない、あってはならないとお答えになっている点でございます。
AV出演の被害者には、中年の女性ですとか男性やトランスジェンダーの方もおられるかもしれません。年齢、ジェンダーを問わず、また、アダルトビデオだけでなく、いわゆるJKビジネスも強いられることはあってはならない、それもまた性暴力にほかならないと考えます。性暴力の根絶に向けて、野田大臣のお力をいただければ大変ありがたいと心から願っております。
さて、政府の法案には、子供の権利利益の擁護はこども家庭庁の任務とされていますが、これは具体的にはどのような施策を考えておられるのか、室長、御説明よろしくお願いいたします。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
政府提出法案におきましては、こども家庭庁の任務といたしまして、子供の権利利益の擁護を掲げております。
議員の御質問になっておられますその具体的な事務でございますけれども、例えば、四条十六号にある虐待の防止、さらには、十七号にある、いじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備、それ以外に、十八号で、包括的な条項になっておりますけれども、教育、保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討や、子供の性的搾取、性被害の防止、児童の権利に関する条約に係る国内施策の取りまとめなどが挙げられるものでございます。
○堤委員 子どもの権利条約三十四条では、「締結国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。」とされています。また、我が党の法案にも、二十三条に、「子どもが性犯罪及び性暴力の被害者、加害者及び傍観者とならないように」と明記しています。しかし、政府案には、性的搾取、虐待、性暴力、性犯罪については明記されていません。
上述のように、現行法では、年齢、ジェンダーを問わず、子供や若者をあらゆる形態の性的搾取、虐待、性暴力から守るのは困難だと考えますけれども、こども家庭庁としてしっかりと対応していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
これについて、どのように対応するのかお聞きいたします。よろしくお願いします。
○野田国務大臣 とても大切なことであります。
性暴力、性犯罪は、犯罪となる行為も含む、何度も繰り返しになりますけれども、重大な人権侵害であります。
とりわけ、子供や若年者に対する性暴力や性犯罪においては、家族を始めとする身近な者からの被害は特に潜在化したり深刻化しやすくて、被害に遭うと一生拭い難い影響が生じるために、子供の健やかな成長にとって大変重要な課題であるということは認識しています。
子供に対する性暴力の防止等に関する事務は、こども家庭庁設置法案においては、第四条第一項第十八号、ここに掲げる子供の権利利益の擁護に関することに当たります。
こども家庭庁においては、これまで国家公安委員会及び警察庁が担ってきた子供の性被害防止プランの作成、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討などを担います。また、性犯罪・性暴力被害のためのワンストップ支援センターの機能強化など、子供に限らず全ての年代の性犯罪、性暴力への対策については、私の下で、今、内閣府男女共同参画局が担っているところで、こども家庭庁においては、子供の最善の利益の観点から、内閣府と密接に連携して取り組んでいきたいと思います。
○堤委員 今お話がありました性犯罪・性暴力の被害者のためのワンストップセンター、ここは本当に随分ここ数年で頑張っていただいていると思っております。
ただ、十代、二十代の若い人たちを狙ったこういう性的搾取は全国で増えてきているんですけれども、若者に限って支援する団体は、首都圏などにはありますが、残念ながら地方にはほとんどございません。したがって、四十七都道府県全てに既に今開設されているこのワンストップセンター、ここでも、アダルトビデオ出演の被害やJKビジネスなどの被害を受けた方々の支援に精通した民間団体、今それがあちこち首都圏ではあるわけですから、ここに相談した場合と同様の支援ができるようにすべきだと思います。
例えば未成年取消権、これも、行使の仕方、したことがないというところが、私も、我が県、福岡県の性暴力センターに聞いてみたんですけれども、そういう相談は聞いていませんということでした。そういう被害がないわけではないんですけれども、ワンストップ支援センターに相談できるというふうに、やはりまだそれが周知されていない、知らない方が多いということだと思います。
しかし、ネットで検索して、多分ぱっぷすさんですとか、先ほど山井先生からありましたようなそういったところを検索してやはり相談する方がいらっしゃるという状況ですが、地方にも被害者がいて、それがまずつながっていない、そしてまた、そういった相談があったとしても、そこに適切に対応できるかどうかが少し疑わしい。
といいますのも、実は、あるところでの話で、いわゆるJKビジネスですとか、そういったところで契約をして、お金をもらって、そうやって働いている人に対しての性的な虐待、性暴力というものはないんだというふうなことをおっしゃる、そういった人の相談は受けないという方が実はいらっしゃったんですね。でも、そうではないと相談員の人たちが声を上げて、そのストップセンターでも、そういう人たちにも、ちゃんと相談を受けるということになったんですけれども、そういったこともありますので、こういった、どのセンターでも被害者が支援を求めた場合に適切に支援が提供される体制を取っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。吉住審議官、お願いします。
○吉住政府参考人 答弁いたします。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、現在、全都道府県五十二か所に設置され、緊急避妊薬の処方や証拠採取など医療的支援、弁護士を紹介するなどの法的支援、相談、カウンセリングなどの心理的支援など、地域における被害者支援の中核的な役割を担っております。
委員御指摘のとおり、アダルトビデオ出演の被害に遭われた方やJKビジネスの被害に遭われた方が各地域のワンストップ支援センターにおいて適切な支援を受けられるようにすることは、大変重要なことだと認識しております。
このため、内閣府では、支援に必要な知識やスキルについてワンストップ支援センターの相談員向けのオンライン研修を実施しており、引き続き、アダルト出演の被害の問題に関しても研修を進めるとともに、性犯罪、性暴力被害者支援のための交付金を活用し、ワンストップ支援センターの体制を強化することにより、被害者支援の充実を進めてまいります。
○堤委員 吉住審議官、ありがとうございました。
さて、性暴力の被害に遭った場合、七十二時間以内に緊急避妊薬を服用することで、およそ八割の確率で妊娠を防ぐことができるとのことです。また、証拠の採取という点でも、迅速な対応が必要です。
しかしながら、内閣府が三年前の二〇一九年に実施した調査によれば、性暴力の被害に関する電話相談のうち、七十二時間以内に寄せられたものは一四・七%、二割に満たないというのが現状でございます。被害直後、七十二時間以内に被害者がワンストップ支援センターに速やかにつながるには、もっと広く、もっと着実に情報を届ける方策、例えば三桁の相談電話番号とかを講じるべきだと思います。
あわせて、性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないための生命の安全教育、これも始まっていますが、まだまだ広がっていません。ちなみに、福岡県では、全ての公立の小中学校にアドバイザーを派遣して、そういう講座を行うように予算をつけていただいております。
この委員会で、私、多分三回お聞きして、今日、四回目なんですけれども、先日、この法案の本会議で岸田総理は、子供予算の倍増を目指すと。これまで何人もの委員の方に岸田総理は、子供予算の倍増を目指す、そう答弁されているということはもう明らかなわけですね。
この際、野田大臣からも是非、通告はしておりませんけれども、思いですので、是非倍増を目指すという決意を、後ろの方はあんちょこを渡さないでいただきたいんですが、決意を述べていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○野田国務大臣 大丈夫です。私が過去に言ったことを書いてあるので、あんちょこでは。
総理は、そうやって、将来的には倍増というお話がございました。私の立場からすると、まずはこども家庭庁を、皆さんの御審議の中で成案を得て、そして、その下で体系的に、優先順位とか必要な数とかも精査しながら、子供にとって最善の政策に資する財源というのが必要だ、そんなふうに思っています。
決してないがしろにしているわけではなくて、やはりきちっと実効性のあることをしたいということで、規模とか期限を言うことが現に子供たちの幸せを担保できるかということは、そうではないと思うので、そこはしっかりと取り組むということをお約束したいと思います。
○堤委員 やはり計画性がないといけないと思うんですよね、政府の施策は。ですから、例えば五年後に倍増と防衛省の方はおっしゃった、そういう見込みがないと、やはり施策を少しずつ進めていく、着実に進めていくということはできないと思いますし、もう野田大臣御存じのように、この三十年間ずっと、先進国から、子供の政策、遅れてきているわけですね。
先日、私は、少人数学級ということで、少人数といっても三十五人ではなく、先進国では二十人が平均なんですね。でも、日本はまだまだ少人数学級が三十五人、そういう状況ですし、また、今度質問しようと思っていますけれども、幼稚園や保育園のクラスの保育士一人当たり、幼稚園教諭一人当たりの子供の数も、世界で一番多いんですよね。
幼稚園や保育園は、私、スウェーデンに滞在していたときもありますけれども、昼間の家ということなんですね。昼間過ごすところは、学校や施設ではなくて、おうちでなければいけない。そうすると、やはり、一クラス三十五人とか三十人とか、そういった状況で家のようにゆっくりできるんだろうかと。
野田大臣も、例えば自分の子供さんと、朝の例えば七時から夕方の七時まで、保育園はそのくらい預かっている方が多いと思うんですけれども、一人で一人の子供を見るのでさえ大変な状況なのに、三十人とか三十五人とか、ちょっと考えられない。だから、それで、プラスして保育士さんを、自分たちの予算の中で、そこは予算がついていないけれども配置している保育園もたくさんあるんですよね。
そうすると、この間、処遇改善ということで、九千円ということで政府はうたわれましたけれども、実際には、九千円が来るのは配置している保育士さんの数分だけなんですね。でも、頑張って、身銭を切って保育士さんをたくさん配置しているところは、それを、九千円じゃなくて、みんなで割ったら五千円とか六千円とかにしかならない。そういう頑張っている保育園や幼稚園ほど非常に低い加算にしかならなかった、そういった現状もあります。
そういったことを解決するにはやはり処遇改善が必要で、そのためには、幼稚園のクラス数を小さくする、小学校のクラス数を小さくするということのためには、かなり多額の予算が要ります。これはもう実際そうです。そうすると、倍増でも本当に足りるのかなと私は思うくらいなんです。
だから、できるだけ早めに、本当に、三年で倍増とか、五年なんて言っていたら、もうこの国の将来はなくなりますよ。本当に、緊急に、これまでの遅れを取り戻さないといけないわけですから。そして、コロナ禍の中で、やはり、消毒ですとか検温だったりとか、本当に大変な思いをされているエッセンシャルワーカーの人たちにこそ、もっと業務を軽減する、そのためにもクラス数を減らすということがまず大切だと思っております。
そういったことも含めて、野田大臣、もう一度、済みません、お願いいたします。
○野田国務大臣 長らく私も子供政策に取り組んできて、なかなか目に見える形で、意見の集約とか、何をするべきかとか、どのようなお金が要るかというのが集中的に議論できない状況に長らく日本の政治があったと思います。
今般、皆様方が積極的に、子供基本法なり、又は様々な、子供に集中した役所なり基本的な考え方を出していただくことで、今、潜っていたような問題がどんどん出てきて、ですからこそ、財源については規模とかを決めてしまうとやはり硬直化してしまうので、是非、こういうところで様々な問題を出していただく中で収れんさせていただき、法案が成立した暁には、やはり優先順位をしっかりつけて、必要なことを、例えば保育園の話も、ちょっと前までは待機児童解消だったんです。数の解消。でも、今はもうそういう時代ではなくて、今言ったクオリティーとか働く人、そんなようにフェーズが変わってきていることにしっかり対応できるように取り組みたいと思っています。
○堤委員 思いは本当によく分かるんですけれども、首相が倍増と言っているのに、その担当の大臣が言わないというのは、やはり、閣内不一致といいますか、ちょっとおかしいんじゃないかなと。是非言っていただいて、進めていただきたいと思います。もう一度、よろしくお願いします。
○野田国務大臣 方向性は一緒です。ただ、私はやはり実質預かっている身なので、総理の子供に対するポジティブな思いをきちっと実現して、ただ、お金がつきました、でも子供はハッピーになりませんではいけないということで、担当大臣としては、そうやって実効性のある取組をしたいとお誓い申し上げている次第です。
○堤委員 何をするにもお金は大変必要ですし、特に、少人数学級にしていくには本当に多額のお金がかかります。待機児童もまだなくなったわけではありません。
そして、どんどん日本は、地方創生の担当大臣もしてよく御存じのように、集中して非常に待機児童が多いところと、逆に、地方の方では子供たちが少なくなって、今度は保育園が立ち行かない、幼稚園が立ち行かないというところもあるんです。そういうところは、逆に地方は二十人学級になっていますよということになれば、じゃ、地方に行こうかと。
二十人学級でもちゃんと保育園も幼稚園も経営が成り立ちますよ、そういうふうにすれば、地方創生という観点からもいいかもしれません。そういったことも含めて、やはり予算をつけていただきたいというふうに思っております。
最後になりますが、子供に対するあらゆる人権侵害の未然防止策とともに、被害を受けた子供の権利擁護、子供の最善の利益に基づく対応など、本気で子供の命と尊厳を守る、子供の権利を実際に守るための強い権限を持つ子ども省、こども庁ではなく立憲民主党は子ども省と言っております、これをするには、やはりまたお金がかかる、予算が必要なんです。
子供関係予算の倍増、子どもの権利擁護委員会の設置などを明記いたしました立憲民主党提出の子ども総合基本法、こちらの成立へ皆様の御支援をお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、三木圭恵君。
○三木委員 本日は、内閣委員会で御質問の機会をいただき、ありがとうございます。
野田大臣、よろしくお願いいたします。
まず、こども家庭庁の設置法の件に関してお伺いをさせていただきたいと思います。
こども家庭庁の設置法の第三条一項に、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」とございます。子供の意見を尊重することを基本とするとあるんですけれども、具体的にどのような形で担保されるのでしょうか。新たな仕組みづくりを検討されているのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 お答えします。
政府提出法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることと規定しています。また、昨年末に閣議決定した基本方針においても、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。
こども家庭庁においては、これまで内閣府が行ってきた、十代から二十代の子供や若者からウェブアンケートや対面等での意見交換を通じて政策についての意見を聞く事業を一層充実させます。また、審議会等の委員等への子供や若者の参画を促進していきます。さらに、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても検討していきます。こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度においては、子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うことにしています。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩でございます。こうした基本姿勢の下、こども家庭庁においては、調査研究の結果も踏まえ、子供や若者から意見を聞く様々な手法を組み合わせて多様な声を聞くよう努めながら、子供政策に反映させる仕組みを検討してまいります。
私自身も、大臣として、先ほども申し上げましたけれども、子供の方からいただいたリクエストは最優先で応じていて、例えば中学校でのディスカッションとかそういうのは積極的に取り組んでいます。アナログでもできますし、先日は新潟の子供たちとオンラインでやり取りをするということで、今までの行政はやらなかっただけで、やるということでやってきているので、それをしっかりと根づかせていきたい、そういうふうに思っています。
○三木委員 SNS、ウェブアンケート、それから対面でもそういった取組をなされているということには敬意を表させていただきたいのですけれども、これはやはり、こども家庭庁の目玉、子供の声を聞いて政策に反映をしていくということですから、常時そういう子供の意見を聞くというような窓口が設置されるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
○野田国務大臣 子供政策への子供の意見の反映方法等については、今後、今年度中に調査研究の中で検討してまいりますけれども、例えば、こども家庭庁の職員が聴取した子供の意見、これを庁内における検討やこども家庭審議会の資料として提供したり、こども家庭審議会において子供や若者からヒアリングを行い、これらを踏まえ政策の具体化を検討するといったことが考えられるところです。
聴取した様々な子供の意見を実際に政策に反映するかどうか、これについては、子供の年齢や発達段階、実現可能性なども考慮しつつ、子供の最善の利益を実現する観点から、こども家庭庁において、こども家庭審議会等における議論なども踏まえて判断することになる、そういうふうに考えますけれども、聴取した意見が政策に反映されたかどうかについては子供にフィードバックすることは重要であると考えています。
いろいろ、調査研究の結果も踏まえて、様々な手法を組み合わせて多様な声を聞き、政策への反映がなされるよう努めていきます。
○三木委員 今のお答えであると、今後検討するということを最初におっしゃいましたので、まだ、どういった新たな仕組みづくりをするかということに対しては今後の検討課題だというふうに受け止めさせていただきました。
その後、SNSなどで子供の意見を聴取するということで、その中にはいろいろな意見が来ると思うんですね。それは、全国民も見れるし、海外の方も見れるし、どんな意見を子供が言ってくるんだろうということは、やはり私もとても興味がありますし、関心が高いですし、ただ、その子供の意見というのは、年齢と発達に応じてとおっしゃいましたけれども、本当に様々な意見が来ると思うんですね。
そういったときに、どういった子供の声を、正当な権利の主張の場合もあるでしょうけれども、大人がそれを諭し、教えなければならないような事項も含まれるというふうに考えるんですけれども、誰がどのように子供の意見を聞いて、どのように対処をするのでしょうか。たくさん数が来たら、それこそ全部に応えられるのかどうか。
○野田国務大臣 実際、今は様々な大人の意見をパブコメとかそういうことで聴取していて、そこはやはり、それぞれの役所で専門家とか審議会とかが精査してある程度のコンセンサスをつくるということで、全てに応えるというような、子供だから全てに応えるというのではなくて、やはりいろいろな意見があるということを私たちが知るということが、大人はややもすると、子供というと一くくりにしがちなので、そういうことではないということで、多くの意見を聞くということが今後の行政の動き方にとってとても大事だと。
ですから、実現可能性なんかをしっかり考慮して、また、こども家庭審議会という第三者委員会において議論していただく中で判断をしていくと考えていますけれども、いずれにしても、いただいた意見がどういうふうに政策に反映されたかということはしっかり子供にフィードバックすることが大事なんだろうと考えています。
○三木委員 子供の意見を聞くということは非常に大切なことだと私も思うんですけれども、こどもまんなか社会を標榜されている中で、子供の意見を聞く、子供の意見を尊重して、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることがこの設置法の目的に書き込まれておりますので、どういった形で子供の意見を聴取をして、どういった打ち返しをしていくのか、また、子供の権利が侵害されているような場合、どのような対処法を考えておられるのかということをちょっとお伺いしたいです。
○野田国務大臣 若干繰り返しになってしまうんですけれども、やはり今、いただいた子供の意見というのを、調査研究の中で検討していくんですけれども、庁内における検討やこども家庭審議会の資料として提供とか、また、こども審議会において子供や若者から逆にヒアリングを行うとか、そんなようなことを踏まえて政策の具体化を検討するということが考えられます。
○三木委員 日本維新の会が提案をさせていただきました子ども育成基本法の方にも、一応、一応ではないですね、済みません、しっかりと、子供の意見を聞くということが入っております。それはやはり大切なことだと思うんですけれども、日本維新の会の場合は、教育と福祉を一緒の省にして、子供の権利も守っていこう、子供の意見も聞いていこうということなんですね。
でも、こども家庭庁の場合、内閣府と厚生労働省の子ども家庭局を一緒にして、文部科学省とは別ということの立て分けになっておりますから、例えば学校での子供のこういった権利が守られていないというような意見が子供からこども家庭庁に寄せられた場合、どのようにされるおつもりなんでしょうか。
○野田国務大臣 子供の学びは文部科学省、そして育ちは厚生労働省が今まで担っていて、こども家庭庁は、それらそれぞれ担い手の一段上のところで総合調整という司令塔になっていくわけで、やはり、省益というか、省庁間での垣根があったとするならば、そこを埋める、連携をさせる、それで、連携しなければやはり積極果敢に連携をするように促すというのが、こども家庭庁のイメージだと思っています。
それを踏まえて、今御指摘のようなことを取り組んでいくということになるのかなと。それでよろしいですか。
○三木委員 よろしいですかと言われると、ちょっと違うんじゃないかと私は思うんですね。やはり一緒の省庁であってこそ、いろいろな子供の権利が、こういうところが侵害されているよ、学校の中でこういうことがあるよということであれば、教育子ども福祉省という私たちが提案している中であれば、その担当の部局がそれを対応するということであり得ると思うんですけれども。
例えば、今、学校のブラック校則というものが非常に話題になっております。私立学校も含めて、ブラック校則について子供たちの意見が例えばこども家庭庁に届いた場合、これは子供の権利が狭められているんじゃないか、この校則はおかしいんじゃないかというような御意見が子供から寄せられた場合、こども家庭庁ではどのように対応されるんでしょうか。
○野田国務大臣 学校教育については引き続き文部科学省が所管することとなります。校則の問題についても文部科学省において対応することとなります。また、私立学校については、都道府県知事が認可権を有していることから、文部科学省が都道府県知事を通じて取り扱うことになります。
こども家庭庁としては、仮にそのような意見が届いた場合には、文部科学省に対して情報を共有します。そしてその上で、文部科学省において事案に応じて対応が行われるものと考えます。
なお、校則の在り方全般に関し、仮に、文部科学省が適切な対応を行わないなど特に必要があると認めるときには、こども家庭庁担当大臣が勧告等の関与を行うこともあり得ると考えます。
○三木委員 非常に重い御発言だと思うんです。これは文部科学省の中で、各学校で校則をどういうふうに決めるか、生徒会で決めるなり、それが改変されることが禁止されているような場合もあり、それは私立も含めてなんですけれども、そういった場合、こども家庭庁にそういった、子供の権利が狭められているというような意見が子供から寄せられた場合、こども家庭庁で、文部科学省と相談、連携しながら、それでも適切な措置が行われなかった場合、勧告を行うというのは、私は、非常に重い、物すごく重い御判断の下の勧告になると思うんですね。
国公立の場合はそれでもいいのかもしれないですけれども、私立の場合、介入を嫌いますし、建学の精神というものもございますし、そういったところに、校則というものも、その学校に合った校則を作っているという場合もあるので、その中で勧告を行っていくということは、これは過度な介入にはならないんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁ですから、こどもまんなかで子供政策、子供の権利をしっかりと支えていくということに立っているので、そこでやはり不適切であれば、それに対してまずは情報を共有して、そして文科省で取組をしてもらって、なおかつの場合には、私たちは、省ではない、内閣府の外局としての勧告権を持っている、そこでしっかりと対応できるということであります。
○三木委員 それがやはり、こども家庭庁と、日本維新の会が提案をさせていただいている教育子ども福祉省の大きな違いだと私は考えておりまして、やはり一つの省の中で協力をし合いながら、足りないところを足していって、補うようなところを補い合っていく、そういった、まず一つ、子供を真ん中にしながら、各大人が協力をし合いながら、足らずを足していくというような形が私はベストだというふうに考えておりまして、日本維新の会の中でもそういった議論をさせていただいております。
結局、今のお話の中で、やはり勧告を行っていく、言うことを聞かなかったら結局最後は勧告だよねというようにも聞こえますし、文部科学省の方は、本会議の趣旨説明のときにも質問もございました、一段上の立場から、一段上の立場からということを非常に強調されておっしゃっていたので、またそれは後の質問の方に回したいと思いますけれども。
一段上の立場から勧告をして、言うことを聞かなかったら勧告ですよというのではなくて、子供とちゃんと話合いをしながら、子供が学校のことについて意見を言ってきたら、その省庁の中でそれをうまくまとめて、子供の意見を尊重できるような政策を打つためには、やはり一つの省庁にしておく方が、教育と福祉が一緒になっている方が、一つの省庁で一元化されている方が私はよいと思っております。これは野田大臣にお伺いしても仕方がないことなので、次の質問に入らせていただきたいと思います。
多くの委員の方が、先ほども堤委員の方からございましたけれども、こども家庭庁の設置に伴い、私も予算委員会の中で、子供政策に係る予算を倍増させるという答弁を岸田総理から予算委員会でいただきました。子供に関する予算は未来への投資であるというふうに思いますが、倍増させるというのは具体的に幾らなのか、また、倍増させた予算をどのように配分するのか、いつまでに倍増させるのか、財源はどこからなのか、新しいこども家庭庁をつくって、人員増はどの程度なのか、明確に、具体的にお答えをよろしくお願いいたします。
○野田国務大臣 先ほどの校則の在り方についてちょっと誤解を招くといけないんですけれども、個別に関して何かやるのではなくて、全般、その在り方全般に関してということで御理解いただければと思います。
それで、予算に関しては、岸田総理は、子供政策に関する予算について、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って、体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたいという御発言をされました。
私としても、総理がおっしゃるように、期限、規模ありきではなくて、子供の視点に立って、安定財源を確保しつつ、必要な子供政策の充実にしっかり取り組むことが重要だと考えています。
今後、子供政策に関する予算は、こども家庭庁の下で体系的に、これは総理の御指示ですから、体系的にしっかりと取りまとめていきたいと考えています。
○三木委員 この法案が可決をすれば、一年後にもう省庁再編されて、こども家庭庁として動き出すというときに、大体幾らぐらいの予算規模で動くのかとかいうことも分からないというのでは、今のお答えでは、将来的にまとめていくというお答えで煙に巻かれたような感じなんですけれども、大体どれぐらいの予算規模なのかとか、例えば、厚生労働省の子ども家庭局と内閣府の子供に関連する担当部局、それを合わせてこども家庭庁とされるわけですから、今、大体二百人ぐらいの職員の方がいらっしゃるというふうに聞いているんですけれども、大体、こども家庭庁で何人ぐらいの職員の方を増やすおつもりなんでしょうか。
○野田国務大臣 もう既に、これまで子供政策でそれぞれの省庁が取り組んでいただいているものがありまして、決して何も考えていないわけではなくて、また、この立法府の委員会の場で、真摯な、前向きな、様々な建設的な御議論をいただく中で、体系的にしっかりと実効性があるものをつくっていきたいということでありますので、何も考えていないわけではありません、安心してください。
今、人員体制についての御質問がありましたけれども、こども家庭庁の創設に当たっては、司令塔機能及び政策立案機能を強化するとともに、就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策など、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題へ対応することとしております。
その点については、民間の方々や地方自治体の職員を政策スタッフとして採用することを含めて、内部部局で定員三百人を上回る体制、これを目指しています。体制の強化に取り組んでまいりたいと考えています。
いずれにしても、こども家庭庁の体制の詳細についてはしっかりこれから検討してまいります。
○三木委員 職員の方が三百人ぐらいを上回るということで、今だと、ざっと百人以上は増員になるのかなというイメージでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 はい、そうです。
○三木委員 それの財源はどこから捻出されるおつもりでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
こども家庭庁のこの法案が成立しますれば令和五年度から設立するということになりますけれども、こども家庭庁の定員につきましても、令和五年度予算の中で、当然、こども家庭庁準備室と恐らく内閣人事局で協議しながら、令和五年度予算編成の中で協議していくことになると思います。
したがって、国家公務員の全体の人員の中で、当然我々は、先ほど大臣から申し上げましたように、内閣府と厚労省から移管される二百人プラス百名を足した三百名以上を目指していきたいと思っておりますけれども、その財源につきましては、当然、内閣府と厚労省が持っている定員が二百名、プラスその百名につきましては、国家公務員全体の中で、内閣人事局と協議しながら、令和五年度の組織・定員の予算編成の中で協議されていくものだというふうに理解しております。
○三木委員 どこかの省庁の職員さんが減ってしまうということでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
私どもの立場から、国家公務員全体の姿が令和五年度にどうなるかというのをお答えする立場にはございませんし、持ち合わせている材料もございませんけれども、我々としましては、繰り返しになりますけれども、令和五年度の定員・組織、予算編成の中で三百人体制を目指していきたいというふうに考えております。
○三木委員 また改めて御質問させていただきたいと思います。ありがとうございます。
やはり私たちは、教育子ども福祉省ということで提案をさせていただいていて、学校現場の中にもっと福祉の専門家を置いたりとか、例えばソーシャルワーカーであるとかスクールカウンセラーであるとか、そういった人たちの人数をもっともっと増やしてほしいという希望があるんですけれども、こども家庭庁は、学校とは切り分けて考えるというような、連携はするけれども子供の学校現場とはまた別ですよという組織体制になっていると思うんですね。
こども家庭庁の中で、基本的に、こどもまんなか政策を行って予算を倍増させていくという御答弁だったと思うんですけれども、私はやはり、学校現場の中のそういった福祉の加配、臨時職員の加配、こういったところにも重きを置いていただいて、予算をもっとたくさんつけていただきたいと思うんですけれども、野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 たまたま私の息子が福祉を必要としている息子なんですけれども、残念ながら、やはり学校現場だけでは医療とか福祉と直接関わりがないんですね。基本的には今そこは親が走り回って、駆けずり回ってという、それをやめていこうと。
やはり、こども家庭庁の下、一人の子供に、福祉の必要性も、一〇〇%要る子もいれば一〇%の子もいますよね、様々いるので、そこら辺は総合調整して、学校という居場所の中で、でも、福祉を必要としている子供との連携とか、そういうことを着実にやっていく、そういう機能をこども家庭庁は果たしていかなければならないというふうに思っているわけです。
ですから、考え方は一緒で、今現状、学校現場だけではなかなか、学校の教職員以外の増員というのは非常に難しくて、看護師さん一人入れるのもなかなか、きちっとしたペイが支払えないような、そういうのをやはりしっかりと、一段上から見て、人材の多様性をつくっていきたいというのが、多分、こども家庭庁が取り組んでいる目標の一つだと思います。
○三木委員 ありがとうございます。非常に思いのこもった御答弁をいただいたと思っております。
ただ、そういうふうな、野田大臣の今おっしゃったような学校、教室の現場、障害を持っている子もそうじゃない子もインクルーシブな中で授業を受けていく、みんなで助け合いをしながら学校生活を営んでいくというところは、縦割りの弊害があるよりも、こども家庭庁と文部科学省が連携してというよりも、一つの省でやはり見ていった方が体系的にすっきりするんじゃないかなと。
地方もそれで、右往左往しなくても、これは教育委員会に行って何とかとか、これは福祉部局に行って何とかとかしなくてもいいんじゃないかなというふうに単純に思うんですけれども、野田大臣はどう思われますか。
○野田国務大臣 ちょっと個人的な意見になってしまうかもしれませんけれども、やはり、学びを教える学校のスキルを得た先生たちと、福祉、育ちに特化したそういうソーシャルワーカーというのは、おのずと、それぞれ専門性が違うので、一緒になればいいということではなく、そこは、それぞれがその特色を生かしつつ、適材適所を第三者であるこども家庭庁がしっかりと網羅していくという方が子供にとっては合理的かな、そんなふうに思っています。
一つの中にいるとやはり、結局、なかなか客観性というのが見えなくなってしまう。むしろ、それぞれの分野分野のエキスパーツがブロックチェーンのように一人の子供の育ちと学びを支えていくというのがこども家庭庁の狙いではなかろうかと私は期待しているし、そういうふうにやっていければなと思っています。
○三木委員 考え方は違いますけれども、目指すところは一緒なのかなと。子供たちの幸せ、幸福を願って、いろいろな、多種多様な子供たちが教室の中で存在をしながら、学校の先生が働き方が過度にならないような改革も進めていきながら、福祉の目も入れていくということなのかなというふうに理解をさせていただきました。
今のお話の中で、こども家庭庁の設置によって、地方公共団体との、実際に地方公共団体が教育現場や福祉現場を抱えているわけですけれども、具体的に何か変わることがあるのでしょうか。
○野田国務大臣 御承知のように、子供政策の具体の実施というのは地方自治体が中心的に担っています。その体制は自治体の判断ということになるんですが、いずれにしても、子供政策に関連する部局同士が連携を図るということが重要だと認識しています。
こども家庭庁は教育行政を担う文部科学省との緊密な連携を図っていくこと、そういうふうにしておって、地方自治体においても、首長部局と教育委員会の連携は極めて重要というふうに考えています。
今後、例えば、こども家庭庁においては、教育や福祉等に関するデータを連携させ、真に支援が必要な子供や家庭を発見して、ニーズに応じてプッシュ型の支援を届ける取組を推進していきます。また、現在、地方自治体における関係部局の連携体制の事例を把握するため、調査を実施しているところです。
今後、各自治体における取組を情報共有することなどを通じて、自治体におけるこどもまんなかの考え方に基づく体制の検討が進むよう取り組んでまいります。
既にもう、私もいろいろ地方創生も兼ねて地方自治体を回るんですけれども、先進的に子供のために連携しているところというのはございますので、そういう好事例も生かしつつ、やはり、結果として、現場の地方自治体の人たちが子供に関わる時間をたくさんつくれるように、こども家庭庁がそうやって連携を促していくということになると思います。
○三木委員 ちょっと時間が中途半端になってしまいましたけれども、最後、勧告権についてお伺いしたいと思います。
勧告権は、さっきも申し上げましたけれども、非常に重いものだと思っております。具体的にどのような事態を想定して勧告権を持たせたのか、教えてください。
○野田国務大臣 こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣は、政府部内の統一を図るため必要と認めるときには、関係行政機関の長に対して勧告する権限を持ちます。例えば、仮に、いじめ問題への対応に関し文部科学大臣がいじめ防止対策推進法に基づく適切な対応を行っていないと考えられるような場合には、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣は文部科学大臣に対して必要な対応を行うよう勧告することが考えられます。
○三木委員 ちょっと具体的には分からなかったんですけれども、質問時間がもうないので。
今日は質問させていただいてありがとうございました。まだいろいろと、長い質問時間があると思いますので、また次回のときに詳しくお伺いさせていただきたいと思います。
そして、私たち日本維新の会が提案をさせていただいております教育子ども福祉省という、ある意味長い名前なんですけれども、私たちは教育と福祉の間に子供があるというようなことをイメージをいたしまして、基本理念として、法案の方を提出させていただきました。是非、よい議論、論戦を行って、子供たちの未来のためによりよい日本の社会をつくっていくことに心がけて尽力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今日はありがとうございました。
○上野委員長 次に、阿部司君。
○阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。
通告に基づきまして、内閣提出第三十八号、こども家庭庁設置法案ほか関連する法案について質問いたします。
一月の予算委員会で第一子が一歳の誕生日を迎えたといったお話をさせていただいたんですが、この四月から保育園に通い出しまして、私も送ったりしているんですけれども、そんなことも踏まえて質問に臨ませていただきたいと思います。
まず、野田大臣にお伺いをいたします。
今般の法案はこども家庭庁設置法案という名称でありますが、これは、さきにもほかの委員からも質問がありましたけれども、当初、政府はこども庁という名称を使用していたと思いますが、なぜ提出法案の名称に家庭を入れ、こども家庭庁設置法案としたのか、その意味と理由について、改めてお伺いをいたします。
○野田国務大臣 新たな行政組織の名称については、これまでの議論を踏まえ、昨年の十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、こども家庭庁としました。児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であります。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
家庭における子育てを社会全体で支えることが子供の幸せにつながるといった御趣旨の御答弁だったと思います。
私も、一児の父親として、家庭を有する者として、家庭を非常に大切だと思っていまして、その重要性を否定するつもりは全くございません。
しかし一方で、虐待を受けて育った経験を有する方ですとか、ヤングケアラーとして小さな頃から家族介護に縛られてきたような方にとって、時に家庭は地獄であり、家庭という言葉に対して非常にネガティブなイメージを持たざるを得ない方々が存在するのもまた事実でありまして、そうした方々の存在にも思いを致すべきと考えます。
実際、私の元にも、家庭に対する負のイメージを強く持った虐待サバイバー等の方々からの、こども家庭庁、特に、法案に家庭という言葉が入り、強調されていることに対する不安ですとか不満の声というのが届いております。また、こども庁創設を目指してきた民間団体等から、こども家庭庁という名称に反発があり、法案そのものにもネガティブな印象を持つ方も少なくないとも聞いております。
私は、こうした不安ですとか不満に対しまして、所管の大臣がしっかりとしたメッセージを発して、不安を払拭して、説明を尽くすということが大変重要なことであると思います。
今の日本の社会では、一口に家庭といいましても、一人親家庭ですとかステップファミリーですとか、様々な形態がありまして、また、家庭が非常につらい記憶の場である方々が、繰り返しになりますけれども、いらっしゃいます。こうした中で、法案が家庭を強調することに不安を感じる方々に、大臣自らメッセージを発して、趣旨をしっかり説明すべきと考えますけれども、今後の御対応について、野田大臣にお伺いいたします。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 ありがとうございます。
こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかり支える、このことが幸せにつながるという趣旨でありまして、言われているような、子育ての責任を家庭のみに負わせるという趣旨では絶対ありません。
その上で、優先して考慮されるのは子供の最善の利益であり、虐待や養育困難などの理由で家庭において養育することが困難又は適当ではない子供については、家庭にとらわれることなく、公的責任において、できる限り家庭と同様の養育環境を保障していきます。
子供を真ん中に据えて、子供の健やかな成長を社会全体で後押しするための組織であるという考えには変わりなく、今お話があった虐待サバイバーの方やヤングケアラーの方々を含めて、様々な子供や子育て当事者の声にしっかりと耳を傾けつつ、こども家庭庁創設の意義を御理解いただけるよう、私自身、しっかりと様々な場所で説明してまいりたいと思います。機会を与えていただいて、ありがとうございます。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
政府の子供関連の政策が家庭という言葉に引っ張られ過ぎないで、様々な立場の子供たちにも頼ってもらえるような、そうした発信を是非とも期待したいと思います。
次に、民生・児童委員についてお伺いをいたします。
現在、全国で二十三万人を超える民生・児童委員の方々がおり、地域住民の生活問題を関係機関につなぐなど、活動をしていただいております。
民生・児童委員は、法に位置づけられた地域福祉のボランティアとして、なくてはならない重要な存在です。住民の生活状況を把握して、住民の相談に乗って、独り暮らし高齢者の状況調査に当たり、妊産婦そして児童の福祉に関し、状況を把握して支援を行う活動に従事をされております。
民生委員は、厚生労働大臣が委嘱をする非常勤特別職地方公務員である一方で、児童福祉法第十六条第二項では、「民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。」と規定し、民生委員は児童委員を兼ねることとされています。
このような地域福祉の担い手である民生・児童委員について、今回の法改正に伴い、所管を含め何か変わる点があるのか、こども家庭庁の御担当の方にお伺いしたいと思います。
○谷内政府参考人 委員にお答えいたします。
まず、今回、政府提出法案におきまして、こども家庭庁は、こどもまんなか社会の実現を目指し、政府全体の司令塔機能を果たすとともに、こども家庭庁自らも、子供や子供のある家庭の福祉の増進等の事務を担うこととしております。
このような趣旨を踏まえまして、地域で児童及び妊産婦の福祉の増進を図るための活動を職務といたします児童委員の制度の企画や運用につきましては、今般、こども家庭庁に移管することとしております。
一方で、民生委員につきましては、子供に限らず住民一般の福祉の増進に努めるものとされておりまして、引き続き、厚生労働省において制度を所管することとしております。
なお、今般の移管がありましても、児童委員の業務や役割、また、民生委員制度と一体で行われているという児童委員制度の性格も変わるものではありませんことから、今後も両制度を一体的に運用していくため、今回の法改正の中で、民生委員法と児童福祉法に、厚生労働大臣と内閣総理大臣が連携協力する規定を明記しました。
また、民生委員、児童委員の委嘱や主任児童委員の指名につきましても、引き続き厚生労働大臣から行うこととしたところでございます。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
こども家庭庁の創設に伴い、児童委員については所管がこども家庭庁に移るが、ほかは基本的に変更点はなしということで、かつ、連携をしていくということで理解をいたしました。
現在、民生委員、児童委員は、地域福祉を担う重要なインフラとしての機能を発揮しておりますが、これまで、厚生労働大臣の下、法的なたてつけとしても民生委員と児童委員の兼務が規定され、実態としても民生・児童委員として一体として活動してきたものを、所管を分けていくということになるんですけれども、これが、縦割りをなくすというコンセプトのこの今回のこども庁設置法案が、逆に縦割り、壁をつくることにつながらないか危惧をしております。
虐待の問題一つ取っても、家庭状況や所得状況などの背景や周辺状況を広く把握する必要があり、民生委員、児童委員は、様々な問題に、まさに一体の民生・児童委員として活動しているのが実情であります。
そして、気になるのが、今回の決定が、当事者である民生・児童委員の方々や自治体の方々の意見をしっかりと踏まえたものなのかという点であります。先日、ある基礎自治体の課長にこの件をお伺いしたところ、知らなかったとおっしゃっていまして、仮に何らかの声を聞かずに所管変更を決定したということであれば、これは自治体の現場にいたずらに混乱をもたらすことにならないか危惧をしております。
そこで、兼業規定の下、長きにわたり民生・児童委員として一体の活動が行われている中で、今回の対応が現場に負担をかけることにつながるのではないか、そうした危惧もしておりますけれども、野田大臣の見解をお伺いいたします。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○野田国務大臣 この度の移管によって民生委員と児童委員の所管が分かれたとしても、まず、民生委員、児童委員の業務や役割に変更が生じるものではないこと、法律案には、厚生労働大臣と内閣総理大臣の連携規定が新設されること、そして、民生委員、児童委員の委嘱、主任児童委員の指名も引き続き厚生労働大臣から行うことから、一体的な活動に支障が生ずることはないと考えています。
しかし、今のような御指摘もありまして、むしろ子供のそういう関係に関しては、地方の首長さんたちから熱心にお声をかけていただいているんですけれども、さらに、地域での一体的な支援活動に支障とか混乱が生じないよう、関係者の皆様の御意見もしっかり伺いながら、各自治体への周知徹底を図ってまいります。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
さっきの、ある自治体の課長のお話じゃないんですけれども、聞いていなかったというようなそういった話がないように、しっかりと進めていただければと思います。この問題、重要だと思いますので、指摘をさせていただきました。
次に、幼保一元化についてお伺いをしてまいりたいと思います。
私たち日本維新の会では、政府案の対案として、子ども育成基本法案を提出させていただきました。維新案では、子供の育成に関する施策に関し、基本理念とともに国の責務などを明らかにし、別に法律で定めるところにより、文部科学省などを統合させる形で教育子ども福祉省を設置し、教育と福祉が連携した組織が子供政策を一体的に担うこととしています。
特に、就学前の子供が通う幼稚園、保育園が、文科省、厚労省が別々に所管するばらばらの制度としてあること、早急に解決すべき課題であると認識をしております。これまでも何度も指摘されてきたことだと思います。
そこで、この幼保一元化の必要性について、野田大臣の御認識をお伺いいたします。
○野田国務大臣 乳幼児の教育及び保育は、子供の健全な心身の発達を図りつつ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。まさにお父様として、今その御経験を積んでおられると思うんですけれども。このため、小学校就学前の子供にとって一番大切なのは、実は、施設類型を問わずしっかりとした教育、保育がなされることであると考えています。
例えば、幼保一元化の議論の対象は、幼稚園に行っている子供、保育園に行っている子供なんですけれども、実際には、どちらにも行けていない子供たちというのが地域社会には存在するわけで、そこが完全に今議論されていないというところが、非常に私は懸念をしているところです。
また、教育など文部科学省が担う学びに係る行政と、児童福祉などの育ちに係る行政とは、相互に近接する側面があるけれども、それぞれの目的を追求する中で、それぞれの専門性を高めつつ、そして相互にしっかり調整して密接に連携する方が、政府全体の施策の充実、質の向上になると考えているところです。
今回、幼稚園については引き続き文部科学省の所管としていますけれども、政府案では、学校教育法及び児童福祉法に、両省庁が相互に協議を行い、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容を定めることとする規定を新たに設けており、これによって、施設類型を問わず、共通の教育、保育を制度上担保して、子供たちへ質の一元化が図られると考えているところです。
こんなことを通じて、小学校就学前の全ての子供の健やかな成長が保障されるよう取り組んでいきたいと思います。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
今取りこぼされている、取り残されている子供たちをしっかりフォローしていくというお話と、省庁が分かれていても、質を担保していくための取組を、連携を進めていくということでお話をお伺いしました。
とはいえ、やはり一緒の方がいいのではないかというのが我々維新の会の立場でして、これまでも様々な議論がなされてきたことと思います。ただ、やはりいろいろな御事情、いろいろ歴史的な経緯ですとか、省益ですとか、様々なステークホルダーがいる関係で、それが大きな壁となって、本当はやはり、私、一保護者としても、幼稚園と保育園と認定こども園、三つあってよく分からないなと。一つの方が絶対分かりやすいと思うんですね。ですから、ここはしっかり政治がまさにリーダーシップを取って解決すべきテーマであると思っております。
そこでお伺いいたしますが、教育と福祉の一体的取組と実効性確保、これが求められる中で、なぜ今回の政府案では幼稚園と学校教育は文科省が引き続き所掌することにしたのか。先ほど少し触れておられましたけれども、改めて野田大臣にお伺いをいたします。
○野田国務大臣 教育の振興は文部科学省の任務とされており、文部科学省は幼児教育を含む初等中等教育、高等教育及び社会教育の振興に関する事務を一貫して担っています。この教育行政の一体性を維持しつつ子供の教育の振興を図ることは、子供の成長を学びの側面から支えていく上で重要です。
このため、教育については文部科学省の下でこれまでどおりその充実を図り、こども家庭庁では子供の育ちを保障する観点から必要な関与を行うことにより、両省庁が密接に連携して子供の健やかな成長を保障することとしました。
教育など文部科学省が担う学びに係る行政については、児童福祉など育ちに係る行政と相互に近接する側面というのがありますけれども、それぞれの目的を追求する中で、専門性を高めつつ、相互にしっかり調整して密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上になると考えています。
幼稚園、認定こども園、保育園、様々あるんですけれども、地域によってそれがあったりなかったり、又は様々な条件が考えられるんですけれども、どこでも、どの子供でも、一定の質を担保できるようなことがやはりこども家庭庁にとっては大変重要なことだと思っています。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
管轄が違っても両省は連携をしていくといったことで、保育園、幼稚園の基準の共通化を図っていく、そういった御趣旨の御答弁だったかと思います。
御案内のとおり、幼稚園は、文部科学省初等中等教育局が所管し、学校教育法に規定される教育施設であり、一方で、保育園は、厚生労働省児童家庭局が所管する、児童福祉法に規定する保育施設ということであります。そして、幼稚園と保育園は、その歴史、設置目的、根拠法令、運営基準、入所年齢、職員の資格等々、様々大きく異なっております。
認定こども園がスタートしまして、一部で幼稚園と保育園の融合化が進んできております。しかし、保護者から、先ほど申し上げましたけれども、三つあると入園方法も異なって分かりにくいという声がやはり聞こえてきますし、今、共働きの家庭も非常に増えていますよね、うちもそうなんですけれども。そうすると、幼稚園に行かせたいと思っても保育園という選択肢になってくる。そうしたときに、よく聞くのは、幼稚園と同じような教育を受けさせたいということで、じゃ、認定こども園はどうかといったら、認定こども園は結構人気で入れないということで、結局、今のニーズに合った受皿というのが準備できていないと思うんですよね。今、連携することでその解決を図っていくという話だったんですけれども、これは木に竹を接ぐようなそういった形で、限界があるのではないかなと思っております。
そこで、こどもまんなか社会、この実現に向けて、就学前の子供を対象にした学びと育ちの場の在り方について、例えば義務教育年齢を下げていくですとか、そうしたことも、抜本的なことを、全て一緒くたにして、教育と、学びと育ちを一緒にして、一定の教育も担保しながらしっかり育てていく、こうした幼児教育の現場を準備していく、制度を改革していく必要があると思いますけれども、野田大臣の御見解をお伺いいたします。
○野田国務大臣 幼稚園、保育所、認定こども園の各施設はそれぞれ、学校教育法、児童福祉法、認定こども園法に基づく制度として、教育の基礎を培う観点、子供の福祉を保障する観点と、それぞれの理念、目的の下で設けられています。
このため、各施設の資格要件を含む人員配置基準や開所時間については施設間で相違もあるものの、これらについては社会に一定程度定着していると考えられています。また、各施設類型が存在することで、地域の実情に応じて、保護者の多様なニーズにきめ細かく応じた幼児教育、保育を提供することが可能になっているとも考えられております。
子供目線で一番大切なことは、形式的な施設類型の統一等ではなくて、重ねて申し上げますけれども、教育、保育の質の一元化を図っていくことであって、これらニーズにしっかり応えていくことが重要であると考えています。
今御指摘の義務教育年齢の引下げについては、先日、本会議で岸田総理から答弁がありました。様々な観点から多角的かつ慎重な検討を必要とする問題であると。今回のこども家庭庁の設置と併せた検討は、そういうことで、行っておりません。
まずは、こども家庭庁において、未就園児のアウトリーチ支援を充実するなど、また、幼稚園に充実した保育のありようとか、あとは、保育園にしっかりとした学びの取組とか、認定こども園も人気があるのであれば拡充していくとか、具体現実的に取り組めるよう進めていければと思っています。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
今の形のままでも、ある程度、質は担保していく、連携をしていくことで質は担保していけるという御意見。そして、我々維新の会は、再三、質問者を替えながら、やはり一本化して、教育と福祉を統合させた方がよかろうということで今回御提案をさせていただいておりますけれども、引き続き、このテーマ、御議論させていただければと思います。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
こども家庭庁設置法案に関する質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
縦割り行政の弊害を解消するために、今回、このこども家庭庁をつくって、司令塔機能等々でやっていくというふうな今回の法案でございます。私たち、本会議の方でも言わせていただきまして、この縦割り行政の弊害というものが本当にこれでよくなるのですかということを考えているところでございます。
幼稚園と保育園と認定こども園と小学校の連携について、先ほど阿部議員から一元化のお話だったかと思いますが、小学校との連携についてお尋ねしたいと思っています。
こちら、いただいている、衆議院の調査局の方が作ってくださっている資料でも、小学校との連携の取組を行っている園は非常に多いんですが、幼稚園、保育園、認定こども園の七から九割が小学校との連携に課題意識を持っているというふうに出ております。ここの部分というのは、うまくいっていないという認識が非常にあるというのが現状だと思います。
連携の実態について池田副大臣にお尋ねいたします。今、幼稚園、保育園、こども園と小学校の連携について、どのような現状にあるか教えてください。
○池田副大臣 お答えをしたいと思います。
今、幼稚園と小学校の連携の在り方がどうなっているかという御質問だと思いますが、幼稚園での子供の育ち、こういったものを小学校以降の生活や学び、そういったものにつなげていくために、幼稚園と小学校の間で情報連携を図ること、これは大変重要なことであると認識をいたしているところでございます。
幼稚園においては、法令に基づいて、在学する幼児の学習及び健康の状況を記録した指導要録、そういったものを作成いたしまして、小学校等に進学する際にはその写しを進学先の学校に送付しなければならない、そういったこととなっているところでございます。
指導要録は幼稚園と小学校との情報連携を図るための大変重要な記録でありまして、幼稚園において指導要録を適切に作成するとともに、指導要録等を基に幼稚園と小学校が意見交換を行うことなど、幼稚園と小学校との情報連携を引き続きしっかりと推進してまいりたいと考えているところでございます。
○堀場委員 同様に、佐藤厚生労働副大臣、保育園と小学校の連携について、うまくいっていますか。現状について教えてください。
○佐藤副大臣 保育所での子供の育ちを小学校以降の生活や学びへとつなげていくことは、保育所の重要な役割であります。保育所で受けた保育内容や育まれた資質、能力を踏まえて小学校の教育が円滑に行われるよう、保育所と小学校との間で情報連携を図ることが重要と認識しております。
このような認識の下、保育所と小学校との連携を確保する観点から、保育所に入所している子供が小学校へ入学する際には、最終年度の指導の過程や子供の発達状況等を記載した保育所児童保育要録を保育所から小学校へ送付することを求めております。
幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型を問わず、円滑な小学校教育への接続が行われるよう、幼保小の架け橋プログラムの開発等について、文部科学省と連携し、保育所と小学校の円滑な接続に向けた取組を更に推進してまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
幼稚園の方は、同じ文部科学省所管ということで、必ず送らなければならない、要録の方を送ってくださっていると認識しています。私、小学校の方にも、本当にちょこっとですが、いさせていただきました。保育園の方からは必ず送るシステムになっているのか、教えていただいてもいいですか。保育要録です。
○佐藤副大臣 保育所児童保育要録の送付につきましては、保育所における保育の内容を定める保育所保育指針によりまして、送付するよう求めております。
また、各保育所における保育の内容は保育所保育指針に従うこととされており、指針に反した運用がなされている場合には、都道府県等による指導監査の対象となります。
○堀場委員 現状として、個人情報の保護の観点から保育の指導要録を送っていただけないという場合も、全てとは言いません、ほとんどの保育園は送ってくださっておりますけれども、幼稚園の場合は必ず送ってくる、けれども、保育園の場合は送る義務はないですね。ですから、送っていただくことができない、そういった現状もございます。
私たち、小学校の方から見させていただいた、小学校、さっき、ちょっといさせていただいたというところなんですけれども、この要録というのは実は非常に重要で、これがクラス編制、学級編制を決めています。また、その後のクラス運営にも大きな影響があります。
こういう教育的な観点から、厚生労働省さんはこの要録について見ていらっしゃいますか。
○川又政府参考人 お答えいたします。
先ほど副大臣から答弁申し上げましたが、保育所保育指針におきまして、小学校との連携ということを明確に位置づけ、子供に関する情報共有に関して、保育所に入所している子供の就学に際し、市町村の支援の下、子供の育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすることということで求めておりますので、これらの情報が小学校においても有効に活用されるようにということで指導してまいりたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
幼保の一元化を日本維新の会の方も言わせていただいております。そして、大きな一つの争点だ、縦割り行政の一つの大きな象徴ではないかというふうに見させていただいている一つの理由というのは、小一プロブレムという問題があります。
それは、保育園で温かい、本当に手厚い保育を受けてきて、今日何回おむつを替えたのか、何回トイレに行ったのか、どういうことをして、お昼寝は何時間したのかと、毎日毎日細かい保育記録をつけて、保護者の方は安心してお任せをしている。でも、実は幼稚園というのはそうではないですね。毎日何をやったかというよりかは、一か月間にまとめて、こんなことをやりましたとか、しっかりとした指導要領の中で、それを理解して幼稚園に通わせているんですけれども、学校と同じような体系で保護者も幼稚園に通わせている。
文化が違うと私は思っています。それがいい悪いではなくて、そういう文化の違いが、小学校に入ってきたときに、保護者側として、あれっ、こんなこともしてくれない、こんなこともしてくれないというような問題というのが、本当に、私、PTAをやってきたときも、一年生の保護者の人に、いや、学校ってこんなものですよみたいな話をする場面というのがあったと思います。
こういった文化の違いというものも含めて、この幼保の一元化というのは、本当に、現場レベルで見たときには、私は必要だと思っています。
それは、本当に、今までやってこられた皆さんの長所を生かして、いかに小学校での学びというところが充実したものになるか。
やはり、小学校一年生、子供たち、とても緊張して来ます。今までと違う環境に来て、どきどきどきどきした中でやるんですけれども、その連携がうまくいっていないとかいう理由も、様々、小学校側に原因がある的なことがいっぱいありますけれども、やはり、連携をする、つまり、さっきの、義務教育の年齢を下げる、引下げという話もありますけれども、そこが非常に重要で、環境の変化に子供たちが対応していくためには非常に重要である。そして、今いろいろな特性を持っている子供たちがいます。その特性を早くに見つけてあげて、そして適切な療育につなげてあげるというのが、それ以降の彼らの人生にとって非常に重要だと思っています。
そういった観点を、小学校や幼稚園、そして保育園、こども園、ひとしく同じようにやっていく。同じように、質の一元化というふうにおっしゃっていますけれども、質を一元化するには文化が余りにも違い過ぎるというふうに考えています。
日本維新の会の幼保の一元化というのは、大人の事情で三つに分かれてしまった現状として、幼稚園と保育園と認定こども園、そして小学校の連携がうまくいっていないと多くの人が思っているからこそ、縦割り行政の障害の一つの象徴的な例ではないのかなというふうに考えています。
これに関して、こども家庭庁ができたら、では、うまくいくものになるのでしょうか、これが一つの疑問点です。
次に、もう一つ、縦割り行政についてお尋ねします。
家庭内暴力の対応について。児童虐待と配偶者暴力です。
家庭内の暴力は、対象によって管轄が違います。大きな意味では警察ということで同じですけれども、子供に関しては児童相談所や子供家庭センター、配偶者は地域の男女共同参画センターや配偶者暴力相談センター。同じ家庭内で起きているにもかかわらず、現状としては別々の状態になっております。
こども家庭庁ができた場合も、この状態は同じでしょうか。
○佐藤副大臣 児童虐待と配偶者へのDVに対する対応の連携については、令和元年に改正された児童虐待防止法、DV防止法におきまして、配偶者暴力相談支援センターは児童虐待の早期発見に努めることや、また、児童相談所はDV被害者の保護のために同センターと連携協力するよう努める旨の規定が盛り込まれまして、令和二年度から施行をされております。
また、支援を要する子供や家庭の情報共有を担う要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協におきましては、児童相談所に加え、配偶者暴力相談支援センターも必ず参画する方向で調整するよう、各市町村に対して要請しているところであります。
要対協では、取り扱う個人情報等の関係機関間の情報共有につきましては、児童福祉法の規定に基づき実施するもので、個人情報保護法上情報提供が認められている「法令に基づく場合」に該当するため、同法に抵触せず、要対協の構成員に守秘義務が課されているのでありまして、実施が可能であり、その枠組みの中で、児童相談所と配偶者暴力相談支援センターがしっかりと連携して個々の事案に対応いただきたいと考えているところであります。
○堀場委員 ありがとうございます。
先日、一般質疑の方でDVに関する質疑をさせていただきまして、野田大臣の方から、岐阜の方で一つになってうまくいった例というのをお伺いしました。
私はやはり、一つになるというのは重要だなというふうに思っていて、管轄が違っても場所が一つ、それでもいいのかもしれないですけれども、今協議体というものが一つになってやっているというところですが、逃げる側から、そこに避難したい側からは一つに見えるということも重要で、中で一緒になっていてもいいんですけれども、ここに行ったらいいんだよというのが、子供であっても、配偶者からの暴力を受けている人であっても、同じようにひとしく逃げる場所があるというのが私はあるべき姿で、海外なんかの事例は、ファミリー・ジャスティス・センターとか、韓国だったり台湾だったり、同じような方向性、ファミリーのドメスティックバイオレンスなので、家庭内暴力ということでやっていると認識しています。
だから、やはり、日本が今いろいろなところに、てんでばらばらにそういった管轄がある、それが、内閣府さんであったり、今度は、こども家庭庁が一部行きます、配偶者の方は別ですとなったときに、本当に救っていくためには、迅速にやっていくためには、一つにまとまるということが必要ではないかなというふうに考えています。これに関しても、縦割りというか、別々なところでやっているという一つの象徴的なものではないかなというふうに考えています。
三つ目に行かせていただきます。
学校内学童についてお尋ねさせていただきます。
子供の居場所事業ということで、本当に学童は重要なものになっています。さっき言っていました、小学校に入ると急に保育の部分がなくなってしまって不安になられる保護者の方もいらっしゃいますけれども、待機の学童は少なくなっているというふうにこの数字では見ているんですが、私も、子供が三年生のときには、もういっぱい過ぎて入れませんでした。なので、もう待機することすらやらないです。やるとそこに一回一回申請に行かなきゃいけないし、いろいろな手間がとてもかかりますので、申請すらしない。もう待機で入れないんだったら違う方策を練るしかないということで、ママ友で連携していろいろなところに預けてやるんですけれども、そういった状態が現状だと認識しています。
学校内学童、空き教室を利活用していくということで進めているところもあると承知しています。しかし、同様に様々な問題があることも分かっていると思います。
文部科学省にお尋ねいたします。学校内学童の課題について教えていただけますか。池田副大臣、お願いいたします。
○池田副大臣 堀場議員にお答えをしたいと思います。
平成三十年に文部科学省と厚生労働省で作成いたしました新・放課後子ども総合プラン、これにおいては、安全、安心な居場所を確保するために、余裕教室等の学校施設を利用した放課後児童クラブの実施に取り組むこととしておりまして、令和三年五月現在で五三・四%が学校内で実施されているところであります。
一方、全国の公立小中学校等の余裕教室のうち既に約九八・七%が何らかの形で活用されている、そういった状況にあるのも事実であります。このため、文部科学省といたしましては、余裕教室に加えて、放課後等に使われていない特別教室等の一時的な利用、こういったことも促しているところであります。
放課後児童クラブの学校施設の活用に当たっては、学校との間で管理運営上の責任の所在を明確にしていくことが必要であると考えているところでございます。このため、令和元年に、協定書のひな形、こういったものを示させていただいて、全国の地方公共団体に通知しているところであります。
こうしたことを含めて、学校施設の活用を進めるに当たりましては、学校側に不必要な負担が生じないように、現場の実態に応じて様々な配慮を行うことが重要である、そういったふうに考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、関係省庁と連携いたしまして、各自治体や学校現場において教育関係者と福祉関係者の協議を促すことなどによって、学校施設の活用をより一層推進してまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
○堀場委員 ありがとうございます。
学校内学童、実は、入口が違うところに学童の入口を作って、子供たちはくるっと回って入ってくるというパターンが結構多いんですね。学校の中を通さないで違う入口からちゃんと入る、こういうふうな形のスタイルで学校内学童を運営されていることが多いかと思います。
ただ、中に入ると同じ建物ですね。小学生は六年間そこにいますので、自分たちの庭ですから、どこからどう行けば違うところに行けるのか、どこに鍵があって、鍵が閉められていてこっちに来られないようにしても、どうやったらと、すごいなと思いますけれども、何か垣根を越えていって、そうやって行きます。そうすると、先生たちは、残ってお仕事をされているわけですが、本人たちを見つけると、どうしたのと声をかけますよね。また、けがをした場合、保健室、もし養護の先生がいらっしゃったら、やはり、どうしたのと声をかけていく。だから、学校内の学童というのは実はそんなに簡単な問題ではなく、現場レベルで見たときには非常に難しい問題が、先生方の負担という意味で非常にあると思います。
私たちが学校という現場を一つの福祉というもので考えているというのが教育子ども福祉省ですけれども、よく教育というものが、学校教育と家庭は両輪だ、それで子供を真っすぐ進ませていくというのがよく言われているかと思います。でも、今、私たちは、この今生きている現代が余りにも、例えば賃金が低いです、余りにも不安定です。私たちは、先ほど言っていた民生委員なども、やりたいと思っても、お金がないのでできません。ほぼボランティアでやっている。こんな状態で、学校というのはぎりぎりのところでやっていると思っています。
だから、私は、学校と家庭ではなく、その家庭を支える福祉というものが両輪になる時代が来たんだと思っています。なので、教育と福祉がしっかりとかみ合って、子供が上に乗って真っすぐ推進していくということをイメージして、この日本維新の会の教育子ども福祉省というものを考えてきたというところがあります。
私たちは、縦割りの弊害というものをなくして、一つのチームとしてやっていくということを考えています。
組織の話をさせていただきたいと思っています。
今、政府の案は、上意下達の上からの組織、強い司令塔機能、一段上の立場から、こういったピラミッド型の組織を考えられているかと思います。これは非常に私は昭和型な組織だなというふうに思っています。
今、新しい組織というのは、ネットワーク型、若しくはピラミッド型とネットワークを組み合わせたハイブリッドな形というのが非常に大企業でも採用されている形だと思います。そこに働いている、公務員の方になると思いますが、エンパワーメントをもってイノベーションを促進していく。そういった組織というのは、上からぐいっと押しつけるのではなく、やはり、下からのエンパワーメントで頑張っていく、ネットワーク型でつながっていくというようなことを私たちはイメージしていると思っています。
この上意下達の組織になった、こういった形になった、こども家庭庁とほかのところがこういう形になった理由を、野田大臣、お願いいたします。
○野田国務大臣 子供政策については、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織と専任の大臣が司令塔となり、政府が一丸となって取り組む必要がある、これが一番大切なことだと思っています。
このためにこども家庭庁を創設して、その体制については、内閣総理大臣、子供政策を担当する内閣府特命担当大臣、こども家庭庁長官の下に、内部部局として、成育部門、支援部門、企画立案・総合調整部門の三部門の体制を設けることにしており、それぞれの部門が責任を持って緊密に連携しながら取り組んでまいります。
その上で、政策の企画立案過程に子供を支援している現場の視点を取り入れるために、民間の方々や地方自治体の職員などからの登用も積極的に行いたいと考えていまして、従来型とは違う工夫も行っていると考えています。先ほどもお話がありましたように、子供の意見も直接取り入れていくというような形で。
御提案のネットワーク型の組織については、当然、イノベーションが生まれやすいというメリットが指摘される一方、責任の所在が曖昧になるのではという懸念も承知しています。総合調整ですから、各省相変わらず、堀場委員のお言葉をかりれば古臭い、そこを総合調整していく、強い力の司令塔になっていくわけですから、そこはやはり責任をしっかり持てる組織にしていかなきゃいけないというふうに思っています。
いずれにしても、形はどうであれ、まずは子供のために何ができるか、その最善の利益を第一に考える組織運営というのを考えてまいりたいと思います。
○堀場委員 日本維新の会、三木議員に聞きます。
教育と福祉が一緒になって力を合わせるという組織を日本維新の会では考えているかと思います。これについて教えてください。
○三木議員 ありがとうございます。
子供が抱えている多種多様な問題に適切かつ臨機応変に対応するために、国においては、これまで教育、福祉と分野ごとに分かれていた各省庁の取組を一体化し、また、具体的な施策の実施を担う地方公共団体においては、教育委員会と福祉部局とがより緊密に連携していく必要があると考えます。
例えば、いじめの問題では、教育現場が問題を抱え込み、その結果、いじめを隠蔽するというような結果を招くことが多いと思うんですけれども、そういったことを避けるため、日常的に教育現場に福祉の専門家を配置することが必要と考えております。
また、日本維新の会の案では、教育と福祉の一元化がなされているので、教育委員会の中に福祉部局を置くことも可能であるし、さらに、いじめの窓口を市長部局に置き、教育委員会の中の福祉部局と連携させる手法も考えられます。教育委員会や学校現場を一段高い立場から勧告する考えや、監視機関を置いて隠蔽を告発するのではなく、いじめが起こらない、起きても重大事案にまで発展しないことを念頭に置いて、初動で教育と福祉が一体となって協力し合う現場が何よりも大切と考えます。
また、児童虐待防止対策においても、児童相談所及び市町村と保育所や幼稚園、小中学校等の関係機関の連携を進めることで早期の対応が可能になると考えております。
日本維新の会の法案では、このように、教育と福祉が一緒になって力を合わせることによって、いじめ、虐待、貧困など諸課題の解決をより一層強力に進めることが可能になると考えております。
○堀場委員 ありがとうございました。
時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
こども家庭庁設置法案、それから与党提出のこども基本法案について質疑をいたします。
一九九四年に批准をされました子どもの権利条約が日本の法制度にどのように位置づけられてきたかについて確認をしたいと思います。
野田大臣にお尋ねしますが、条文に子どもの権利条約が盛り込まれた最初の法律は二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法と承知していますが、それでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること等を明記してあります。
○塩川委員 今、子どもの権利条約の理念にのっとり、また四つの原則に則した部分の記述のところを紹介いただきました。
そもそも、子どもの権利条約のこういう規定について法律に盛り込んだのがこの子ども・若者育成支援推進法ではないかと承知しているんですが、その点、確認したいと思うんですが、よろしいですか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 一九九四年に批准された子どもの権利条約ですが、国内法の中に規定として盛り込まれたのがこの二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法が最初ということであります。
ただ、今御説明いただいて、いわゆる四つの一般原則が法律の条文に盛り込まれているという趣旨でお答えいただいたのかなと思ったんですが、内閣府のホームページにあります子ども・若者育成支援推進法の説明資料を見ますと、いわゆる四つの原則については、第二条の差別の禁止、第三条、子供の最善の利益、第十二条、子供の意見の尊重は位置づけられておりますが、第六条の生命、生存及び発達に関する権利というのがホームページ上の説明資料では位置づけられていなかったんですが、そこはどういうことか分かりますか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
子ども・若者育成支援推進法、これは第一条で「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」というふうに明言しておりますので、私どもといたしましては、これに尽きるというふうに思っております。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念にのっとりと第一条であるから、そういう中で四つの原則は包含をしているという御説明ということであると思いますが、ただ、ホームページを見ますとそういった記載になっていないものですから、その点は何らか見直す必要は、お考えはありませんか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
検討させていただきます。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約、その四つの一般原則とされています差別の禁止、差別のないこと、子供の最善の利益、子供にとって最もよいこと、生命、生存及び発達に対する権利、命を守られ成長できること、そして子供の意見の尊重、意見を表明し参加できることといった内容について、四つの原則としているわけであります。
子ども・若者育成支援推進法は、「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」と目的に書き、四つの原則を掲げているということでありました。
この子ども・若者育成支援法は、当初の法案には、つまり、閣法で出されているわけですけれども、麻生政権のときでしたが、閣法で出されたときには、子どもの権利条約は記述をされておりませんでした。修正協議の中で盛り込まれたということですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 当時、自公政権が提出をした当初の法案、閣法、青少年総合対策推進法案には、子どもの権利条約の記述はありませんでした。
青少年特別委員会で修正協議も行われて、野党の修正案提出者の民主党の吉田泉委員が修正の趣旨を述べておられますけれども、そこでは、憲法及び児童の権利条約の理念を反映させることとし、日本国憲法及び児童の権利条約の理念にのっとる旨を明示するとともに、子供、若者について、尊厳を重んじる、差別的取扱いを受けない、意見の尊重、最善の利益を考慮などの理念を明記することとしていると述べています。
子どもの権利条約を位置づけることを求める市民と野党の働きかけによって盛り込まれたものということであります。
こういった子ども・若者育成支援推進法は、権利条約の理念にのっとり、四つの原則も踏まえているわけですが、法律に書き込めばいいという話じゃなくて、実際それがどう実践されるのかという点で、この法律がやってきたことについての検証ということも行う必要がありますが、まずは出発点として、権利条約の様々な理念、一般原則、これをしっかりと国内法に位置づけるということは極めて重要であります。
そういう点で、次に、児童福祉法についてお尋ねをいたします。
この児童福祉法において、子どもの権利条約の内容というのはどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
児童福祉法では、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」との文言が明示的に盛り込まれているところでございます。
その上で、同条におきまして、全て児童は、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉をひとしく保障される権利を有すること、また、第二条におきまして、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないことについて規定しておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を含んでいるものというふうに考えております。
○塩川委員 第一条に、児童の権利条約の精神にのっとりとあり、この第一条部分、それから第二条部分で、成長及び発達、あるいは意見の尊重、最善の利益等々、四つの一般原則に係る要素を包含をしているということですが、ただ、差別の禁止という文言そのものはここの条文上はないわけですけれども、そこはどこでどのように読むということなんでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
差別の禁止という文言ではございませんが、先ほど御説明申し上げました第一条の条文の中に、「その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに書いてございまして、これが、差別なくひとしく扱われなければならないという考え方を盛り込まれているというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童の権利条約の精神にのっとり、そういった趣旨にそもそも差別の禁止ということが想定される、含み得るということでよろしいですか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような点に加えまして、文言としてそれを、「等しく保障される」というふうに書いていることで更にそういった趣旨を強調しているものというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童福祉法におきましても、子どもの権利条約の精神にのっとりとあります。また、その条文を通じて四つの一般原則の要素を包含をしているというお話でありました。
そこで、こども家庭庁設置法案についてですけれども、このこども家庭庁設置法案において、子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているんでしょうか。この四つの一般原則はどのように位置づけられているのかについて、大臣、御説明ください。
○野田国務大臣 お答えします。
昨年末に閣議決定したこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの向上を掲げ、児童の権利に関する条約にのっとり、全ての子供が生命、生存、発達を保障されること、子供に関することは常に子供の最善の利益が第一に考慮されること、子供は自らに関係のあることについて自由に意見が言え、大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分配慮すること、そして、全ての子供が個人としての尊厳が守られ、いかなる理由でも不当な差別的取扱いを受けることがないようにすることといった基本原則をいま一度社会全体で共有し、必要な取組を推進することが重要としています。
これを踏まえて、設置法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本として明記し、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援や、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを規定し、児童の権利に関する条約の四つの原則の趣旨を踏まえた内容としています。
○塩川委員 この任務のところで、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」というところが子どもの権利条約に係る部分ということで御紹介になったわけですけれども、ただ、この質疑で確認しましたように、子ども・若者育成支援推進法においても児童福祉法においても、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとり、こういったことがうたわれているんですが、このこども家庭庁設置法にはないんですよね。それはどういうことなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法の、任務、第三条の中で、例えば、児童の権利に関する条約の四つの原則の、生命、生存及び発達に関する権利としては、「こどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援」ということになりますし、子供の最善の利益ということであれば、「その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」とありますし、そして、子供の意見の尊重というのは、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」とありますし、差別の禁止については、「こどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。」ということで、四つの原則をしっかり入れてあります。
○塩川委員 先行するほかの法律においては、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもの権利条約の理念にのっとりとあるんですが、それがこのこども家庭庁設置法案にないのはなぜなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法でありますので、その他の法律とは若干意を異にしている、御理解いただけると思います。
○塩川委員 ただ、先ほども、基本方針で、子どもの権利条約にのっとり子供の権利を社会全体で共有しましょうというお話をされているわけです。その際に、やはり国がこういった組織をつくるのであれば、その大原則として子どもの権利条約の理念にのっとりということがまずは掲げられるというのが筋だと思うんですけれども、そう思いませんか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、こども家庭庁をつくる組織の法律の中身になりますので。でも、それはしっかり踏まえた上で、この任務の中に取り入れているというふうなことで進めているところです。
○塩川委員 ですから、子どもの権利条約にのっとり、子供の権利をしっかりと保障するということがこどもまんなか社会というのであれば、まずはしっかり法律の上でも位置づける必要があるんじゃないですかと。単なる組織の法律だから入れないというのはそもそもおかしな話であって、子どもの権利条約の理念にのっとりということを掲げるのはある意味当然じゃないかなと思うわけですが。
○野田国務大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、これは設置法、こども家庭庁設置法で、そのこども家庭庁の中には、今委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法が所管されることになるので、そこはしっかりと担保されることになります。
○塩川委員 いや、それは、その中に含まれるということでしょうから。
じゃ、こども家庭庁設置法と子ども・若者育成支援推進法との関係はどういうふうになるのか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法は、あくまでも組織の在り方、任務がどういうものかということをお示しする法律で、条約の理念というのは、子ども・若者育成支援推進法のような理念法の中で書かれるということで、法律の性質の違いというか、役所をつくるための、設置するための内容の法律案ということでございます。
○塩川委員 だって、こどもまんなか社会、そういう社会をつくる上での司令塔をつくるというわけですよね。司令塔のときに、何を目標に、何を掲げてやるかという大原則というのがあるわけじゃないですか。そういったときに、もちろん憲法は当然そうでしょうけれども、国際法であります条約としての子どもの権利条約の理念にのっとりというのが掲げられるのがそもそも筋なんじゃないのかと思いますが、改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 それに関しましては、昨年の閣議決定されたこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針の中でしっかり明記されているということです。
○塩川委員 だから、閣議決定の基本方針で明記しても、法律で明記しなくてどうするんですか。まさに国会を通じて、審議を通じて、国民の皆さんに、まさに権利利益について関わるような法律にしていくわけですから、そういったときに、やはり法律の中に、子どもの権利条約の理念にのっとりということをしっかり据えるというのは当然の前提だと思うんですけれども、基本方針に書いたから、閣議決定でいいんですという話は違うんじゃないですか。
○野田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、新しい組織をつくる、設置の在り方、任務とか、そういうことを記している法律で、その前提が、先ほど申し上げた閣議決定している基本方針の中で、児童の権利に関する条約にのっとってそういう設置をするということで、御理解いただければと思います。
○塩川委員 だって、そもそも、こどもまんなか社会をつくる、その司令塔といったときに、どういう理念を掲げてやるのかといった際に、まずはそこを、子どもの権利条約の理念にのっとりとうたうというのは当然過ぎる前提じゃないのか。違いますか。
○野田国務大臣 それについては、先ほど申し上げたように、任務の中にしっかりと権利条約の四原則は入れてあるということであります。
○塩川委員 四原則といっても、そう読めるのかというのは率直に思いますけれどもね、そこは。
今まで、説明にあったように、子ども・若者育成支援推進法とか児童福祉法というのは、まずは、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりというのがあるから、そこで四つの原則を担保しているという説明をしているじゃないですか。
そういう点でも、子どもの権利条約の理念にのっとりと書いているということが、まさに基本となる理念を基にして子供施策を行うということになるんですから、そこを書くのは当然の前提、当たり前のことだと思うんです。改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 基本方針でしっかりと、児童の権利に関する条約にのっとりということで、四原則をしっかり、児童の権利条約とうたわなくてもその中身をしっかり担保しているところが任務というところに当てはまると思います。
○塩川委員 閣議決定している基本方針には子どもの権利条約にのっとりと言っているのに、何で法律に、作るときにそれを入れなかったんですか。
○野田国務大臣 入れていないのではなく、任務規定にあります。
○塩川委員 だから、子どもの権利条約という文言がないですよねということを言っているんです。
○野田国務大臣 任務規定の中に四原則がしっかり書き込まれているので、その必要はないということです。
○塩川委員 いやいや、ですから、それで本当にそう読めるのかという話をしているわけで、ほかの、前の二つの法律の説明では、子どもの権利条約の理念にのっとり、精神にのっとりというのがあるからそれで担保しているという話であって、担保されないんじゃないですかということですけれども。
○野田国務大臣 先ほどの法律は理念法ですから、基本理念をしっかり書かれて、私たちは、その基本理念をしっかりと、四原則を任務の中に書き込んでいるということです。
○塩川委員 じゃ、子供施策の理念法というのはどこにあるんですか。
○野田国務大臣 先ほど委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法です。
○塩川委員 子ども・若者育成支援推進法が、子供施策全体をカバーしているという法律なんですか。
○野田国務大臣 それも含めて、これがまずは、子どもの権利条約、先ほど御説明されたとおりで、子供の政策の一つの法律となります。他にもいろいろ議員提案等々あるわけですけれども、それもやはりこども家庭庁が包含して、総合的に調整をかけて政策を遂行していくと。
○塩川委員 包含するのはこども家庭庁の方なんですから、子ども・若者育成支援推進法が包含しているわけじゃないわけで、そういう点でも、子どもの権利条約が位置づけられていないというのがこども家庭庁設置法の実態ではないのかということになりますと、これまで子どもの権利条約を掲げてきた法律に比べても、率直に言って後退しているんじゃないですかということを言わざるを得ません。
子どもの権利条約があっても、貧困やいじめや虐待、自殺などの子供の現状が深刻なわけであります。でも、その権利保障をきちっと法律に規定することすらしないというのでは、そのような保障も、行うということにつながらないということを言わざるを得ません。
そこで、与党提出のこども基本法についてお尋ねいたします。
本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという問いに、提出者の木原稔議員は、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁をいたしました。
それを聞いて思ったのは、このこども基本法と教育基本法との関係というのはどうなるんでしょうか。教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われる、学校教育の内容に踏み込んだ規定は設けなかったと。このこども基本法案と教育基本法との関係について少し説明をいただけませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
子供に対する教育は、現行法上、憲法及び教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われており、これはこども基本法案が成立しても変わるものではないと考えております。
子供の健やかな成長を支えるというこども基本法案が成立すれば、子供に対する教育においても子供の成長を中心に考えるという理念が明確となります。そして、これは、教育基本法一条に定める教育の目的に掲げる、心身ともに健康な国民の育成という目的と通ずる理念であると考えております。
○塩川委員 学校教育の内容との関係で、教育基本法とこのこども基本法案は、すみ分けというんですか、重なりがあるのか。その考え方はどうなっているんですか。
○鈴木(隼)議員 こども基本法案につきましては、子供施策を包含するものとして定めることとしています。一方で、そういう意味では、学校教育につきましても、法律の定義上、子供施策と位置づけることはできます。ただ、教育の内容につきましては、教育基本法を基とした法体系の中で検討されているものであるというふうに考えております。
○塩川委員 学校教育の内容については教育基本法というお話です。それで、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったとしました。
こども基本法の基本理念には、そもそも法案にも憲法と子どもの権利条約の理念にのっとりとうたい、基本理念の一号から四号で、いわゆる四つの原則に則しての規定が行われている、つまり、権利条約を理念として掲げている、それがこども基本法案という御説明であるわけですけれども、そうしますと、学校教育の内容を、こども基本法についてその規定を設けるということにならないとすると、こども基本法の基本理念に掲げている子どもの権利条約、そしてその四つの原則が学校教育には及ばないということになりはしませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
本法案における教育施策の位置づけは、御指摘の本会議における答弁のとおりでございますが、先ほど、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれるものとなっております。したがいまして、児童の権利条約の四原則を定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた学校教育に及ぶこととなります。
○塩川委員 これは実際に現状がどうなっているのかということですけれども、大臣にお尋ねしますが、こども家庭庁設置法案の所掌事務には学校教育は入っていないということでよろしいですよね。
○野田国務大臣 入っておりません。
○塩川委員 子どもの権利条約を掲げる与党提出のこども基本法案と、こども家庭庁設置法案は、学校教育に関与しないということです。
そこで、教育施策については子どもの権利条約の理念も反映されるという趣旨の御説明があったんですが、学校教育の内容については踏み込まないという答弁だったわけであります。そうしますと、文科省の、学校教育における子どもの権利条約に係る施策がどうなっているのか、この点を確認したいと思います。
文科省にお尋ねしますが、子どもの権利条約について、教育施策にどのように位置づけて取り組んでいるのかについて御説明をください。
○岡村政府参考人 お答えいたします。
文部科学省では、これまで、児童の権利に関する条約を踏まえ、人権教育の推進や、児童生徒が安心して学べる環境の整備などに取り組んでまいりました。具体的には、教育委員会の担当者を対象とする各種会議等を活用し、毎年度、条約の内容等の周知を含めた人権教育の推進に努めております。
このほかにも、文部科学省におきましては、児童の権利に関する条約の趣旨も踏まえて、例えば、虐待や自殺防止のための相談体制の整備、いじめ防止のための取組の促進、学校における体罰をなくすための取組強化、教育費負担軽減に関する取組等を進めております。
引き続き、条約の趣旨を踏まえ、これらの取組を進めてまいります。
○塩川委員 人権教育の推進をしている、子どもの権利条約の趣旨を踏まえて子供の権利保障についての様々な施策を行っているという御説明でした。しかし、それが学校教育の内容として本当に反映されているのか、子どもの権利条約そのものについてどうなっているのかということです、一般的に人権教育とかということではなくて。
現在、文科省で作業中の生徒指導提要改訂試案では子どもの権利条約が扱われていると承知をしております。この生徒指導提要というのはそもそもどんなものなのかについて簡単に御説明をいただけますか。
○淵上政府参考人 文部省が作成しております生徒指導提要といいますものは、学校における生徒指導を行うに当たっての基本的な考え方などをお示しをしているものでございます。
○塩川委員 学校運営についての基本的な考え方を示すということで、要するに生徒指導に生かそうということですけれども、これはこれまでどのように活用されてきたかを説明してもらえますか。
○淵上政府参考人 生徒指導提要につきましては、現在の生徒指導提要は平成三十年に作成したものでございますけれども、この作成に当たりましては、有識者の方々を協力者として作成協力者に委嘱をして、その委員の先生方の御意見を受けながら作成をしているという状況でございます。
○塩川委員 平成三十年、前回作成をした生徒指導提要について、その中には子どもの権利条約に係る記述というのは入っていたんでしょうか。
○淵上政府参考人 失礼しました、先ほど平成三十年と申し上げましたが、現在の生徒指導提要は平成二十二年のものでございました。
それで、お尋ねの、その中に児童の権利に関する条約に関する内容が盛り込まれているかということでございますが、現在の生徒指導提要には盛り込まれていないところでございます。
○塩川委員 それで、今検討作業中の生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約はどのように扱われているんでしょうか。
○淵上政府参考人 現在、生徒指導提要の改訂のための協力者会議で改訂に向けた検討を行っていただいているところでございますけれども、この協力者会議の場におきまして、委員の先生方から、児童の権利の理解を深めるため、児童の権利に関する条約について盛り込むよう御意見がございました。
これを踏まえまして、本年三月の同会議においてお示しをしました改訂試案におきましては、児童の権利に関する条約の四つの原則などについて盛り込んだものを御提示をしているところでございます。
○塩川委員 四つの原則を盛り込んだものを提示をしているということです。
済みませんが、この生徒指導提要の改訂試案で、教職員の児童の権利に関する条約についての理解を促すという、児童の権利条約に関する、条約についての規定ですけれども、この改訂試案を見ますと、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが求められますということで、四つの原則を紹介しています。この四つの原則の該当部分を読み上げてもらえますか。
○淵上政府参考人 本年三月の協力者会議にお示しをしております改訂試案の四つの原則の該当箇所でございます。
1差別の禁止。児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2児童の最善の利益。児童に関する全ての措置を取るに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
3生命・生存・発達に対する権利。生命に対する児童の固有の権利を認めるものとし、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
4意見を表明する権利。児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。
こうした文言が現在盛り込まれているところでございます。
○塩川委員 今御紹介いただきましたように、この生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約の四つの原則について、こういう形での記載が行われています。
その後に続く文面で、この四つの原則を踏まえて、「いじめや暴力行為は、児童生徒の人権侵害であるばかりでなく、進路や心身に重大な影響を及ぼします。教職員は、いじめの深刻化や自殺の防止を目指す上で、児童生徒の命を守るという当たり前の姿勢を貫くことが大切です。また、安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だといえます。」と述べております。
文科省にお聞きしますが、この子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須ということですね。
○淵上政府参考人 平成六年に、児童の権利に関する条約を受けまして文部科学省として発出をした通知の中にも、「児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われなければならないことは極めて重要なことであり、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られていくことが肝要であります。このことについては、初等中等教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただくことが大切であります。」というふうに述べているところでございまして、こうした考え方に立っているところでございます。
○塩川委員 この提要の改訂試案にあるように、子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと考えているということでよろしいですね。
○淵上政府参考人 繰り返しになりますが、初等中等教育関係者はもちろん、それ以外の方々についても、広く周知し、理解いただくということが大切なことというふうに考えております。
○塩川委員 教職員の理解だけじゃなくて、やはり児童生徒の理解が必須だということで。
それでは、必須とされている児童生徒に子どもの権利条約の理解を促す教育はどうなっているのか。学習指導要領には、子どもの権利条約の文言は記載されているんでしょうか。
○淵上政府参考人 お答えする前に、先ほど平成六年文部科学省がと申し上げましたけれども、平成六年文部省がでございました。失礼いたしました。
お尋ねの、学習指導要領に子どもの権利条約の文言が規定されているかということでございますけれども、学習指導要領上、児童の権利に関する条約という文言は明記されておりませんけれども、関連する記載といたしましては、例えば、中学校の社会科、公民的分野におきまして基本的人権の尊重、中学校技術・家庭科の家庭分野におきまして幼児の生活と家族に関すること、また、高等学校公民科において人間の尊重と平等、個人の尊重、高等学校家庭科において、子供の生活と保育に関し、生涯にわたって家庭、家族の生活を支える福祉の基本的な理念などを扱うことを規定しております。
さらに、高等学校の家庭科の学習指導要領の解説におきましては、児童の権利に関する条約などに示された児童福祉の理念について触れることなどが記述をされているところでございまして、こうしたことを踏まえて、関連の教科書におきましても記述が見られるところでございます。
○塩川委員 いろいろ人権に係るような教育があるというんですけれども、そもそも、子どもの権利条約の理念、また四つの一般原則、これそのものについては明記されていないという話でした。
子どもの権利条約の理解は児童生徒にとっても必須というんですから、学習指導要領に子どもの権利条約の理念や四原則がないというのは不自然かな、位置づけたらいいのではないかと思うんですが、いかがですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
学習指導要領は教育課程の大綱的な基準でございますので、個別の、例えば児童の権利に関する条約などといった個別の文言については余り盛り込むことになじまないものでございますけれども、ただ、今申し上げましたように、中学校や高等学校の関係教科の中に関連する記述がございまして、例えば、中学校の家庭分野につきましては、全ての教科書におきまして、児童の権利に関する条約、また四つの権利の内容が盛り込まれているところでございますし、令和四年度から高等学校で使用されております全ての家庭科の教科書、これは必修科目でございますけれども、ここにおきましても児童の権利に関する条約に関する記載があるということでございまして、こうした教科書の記載を踏まえて各学校において取り扱われているところでございます。
○塩川委員 国際条約として子供の権利の一般原則を定めている子どもの権利条約は、共通の子供の権利に係る原則ですから、そういうのをしっかり学ぼうというのは、子供の権利を保障する上でも極めて重要だと思います。
教職員の方には、生徒指導提要も活用して、今後、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うよう求めるわけですね。それなのに、権利の主体である児童生徒の側に、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないのはおかしな話じゃありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、中学校の社会科ですとか技術・家庭科、また高等学校の公民科あるいは家庭科といったところで関連する内容については学ぶこととなっておりますので、そうした内容を通じて、子供たちは人権に関する教育をしっかり学ぶこととなっているというふうに承知をしております。
○塩川委員 大臣、お尋ねしますが、所管外と言わずに、感想ということでも結構ですから、今言った点ですよね。
学校におきまして、子どもの権利条約が非常に重要だ、これを学ぶことは必須だということを今度の生徒指導提要でうたっている。そういう際に、教職員の側は、このような生徒指導提要も活用して、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うとしているのに、権利の主体である児童生徒の側が子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないというのはおかしい話じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 文科省が取り組んでいる、所管外ですけれども、こども家庭庁の立場からすると、子どもの権利条約と書いていないからとおっしゃったけれども、四原則はしっかり任務の中に書き込んであるので、そこを発信していくのは私たちの役所ですから、当然、子供政策全般を担う、総合調整をやる立場からすると、私たちの方からしっかり発信をしていく、子供にも、やはり子どもの権利条約を学ぶ、学んでもらう機会をつくっていくというのは私たちの立場だと思います。
○塩川委員 子供が一番時間を過ごすのが学校教育の現場、学校になるわけです。そこにおける子供の権利をどう保障するかというのは一番問われていることであって、今ずっとお聞きしましたように、このこども家庭庁設置法には、残念ながら、子どもの権利条約の理念にのっとりということが入っていないということがありましたし、学校教育については、こども基本法案についてはその中身を含まないというお話でもありました。
そうしますと、学校教育に子どもの権利条約が及ばないということになりかねない、こういった事態というのは、これは子供の権利保障という観点からいっても極めて重大だと言わざるを得ませんが、改めて、一言、いかがでしょうか。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 そういうこともございますので、こども家庭庁を設置して、文科省の取組、また様々子供に関わる取組を総合調整して、私も、今日、塩川委員がおっしゃってくれたので、生徒指導提要の中身について知り得ることができたわけで、こども家庭庁ができることによって、そういうことの穴がないように取り組んでいけると信じています。
○塩川委員 終わります。
○平委員長代理 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
こども家庭庁設置法案ということで、二十五分、大臣、よろしくお願いを申し上げます。そして、平委員長代理にもよろしくお願い申し上げたいと思います。
最初に、少し大きな話からということで、家庭というもののスタートとなり得る結婚について、大臣と少し議論させていただきたいと思います。
よく、日本社会に、嫁に出すとか嫁をもらうとかいう表現があります。そういうものを支える日本文化というのもあるんだと思いますが、こういったものについて、大臣、いかがお考えでありますでしょうか。
○野田国務大臣 私は、結婚とは、何よりも個人と個人の自由意思に基づいて行われるべきものだと考えていますし、そう実行しているというか、私自身の人生もそういうふうにあったと思います。日本国憲法にも、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」とあるわけです。
内閣府で今年二月に公表した「人生百年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」の中間報告では、結婚した若しくはしたい理由の第一位というのは、好きな人と一緒に生活をしたい、したかったからであり、まさに個人が結婚の最も重要な要素だと多くの人たちが考えていることがうかがえるし、私も同じであります。
○緒方委員 もう少しだけ。今、半分ぐらいお答えがあったんですが、結婚というのは家と家のつながりだというふうに思われますでしょうか、大臣。
○野田国務大臣 日本の歴史の中でそういう時代もあったでしょうし、まだそれだと思っている方も年配の方にもいらっしゃるでしょうし、その地域にあって、そういうものだと余り疑問を感じずに、その空気の中で生きている方もおられると思いますけれども、あくまでも法律、日本国憲法では、先ほども申し上げたように、「両性の合意のみに基いて成立」が婚姻になります。
○緒方委員 昨日、岡本議員と大臣のこの委員会でのやり取りを、夫婦別氏制度についてですね、あのやり取りを聞いていたときに、これは誤解だったら誤解と言っていただきたいんですが、野田大臣は、いわゆる家社会のくびきの強さが結婚に対する抵抗感につながっているのではないか、そういう認識なのかなというふうにも思ったんですけれども、そういう認識をお持ちでしょうか、大臣。
○野田国務大臣 ちょっと私の経験を申し上げるならば、家を存続させるために、私たちの場合は、例えば、私の父が養子に出たり、私自身が養子に出たりということで家というのを守ってきている家庭なんですけれども、ある意味、ですから、結婚がどうのということとは全く別次元で家ということを支えてきたという自分の経験があるので、そうではありません。
○緒方委員 自民党の提案者にお伺いしたいと思います。
今の認識について、いかがお考えでしょうか。
○工藤議員 お答え申し上げます。
時代はかなり変わったなというのが、まず率直な感想であります。私は名古屋でありますから、まず、結婚というのは、お見合い、結納、そして結婚式、そういういろいろなものがあって。それが、今はかなり変わりました。
今大臣がお答えのとおり、「両性の合意のみ」ということでありますし、また、家というものが、そんなに今は、そういう家と家という感覚はないなという感じで今の時代になっていると考えております。
○緒方委員 自民党の提案者からそういう答弁が来ると思っていなかったので、ちょっと驚きましたが。
そもそも、ちょっとこの法律を見ていて疑問に思ったのが、何で今回、基本法とか基本理念が閣法になっていないのかなというのをすごく疑問に思ったんですね。大臣が提出してあるものというのは基本的に機構の関係の法律だけでありまして、その上の、理念のものって議法なんですよね、今、工藤先生が提案者となっておられる。つくる組織は閣法なんだけれども、理念が議法だというのって、新しくつくる組織が何を理念として機能していくのかということについて、政府として提出しなかったということになるわけですね。通常、こういうことってどういうときに起きるかというと、何か閣法で出せない理由があったのかなというふうに常識的な推察が働くわけですよ。
野田大臣が、いや、ちょっと、こういう理念法であれば私の名前で出すのは嫌だと言ったのか。それとも、野田大臣に任せておいたらちょっと俺たちと考えが違うからというので、自民党側に理念法を取っていかれたのか。いずれでありますでしょうか。
○野田国務大臣 そもそも法律は、恐らく、立法府で主体的にやっていくものだと思っています。また、子供の基本法案につきましては長い歴史があって、先ほど、条例に批准しているからやはり基本法を作らなきゃならないというのは全ての政党の先輩たちがおっしゃっていて、実際に議員の一人としてその取組を見ておりましたので、こういう理念であれば、やはりしっかり、立法府である私たち、私は今大臣ですけれども、議員として取り組まなければならないというのをずっと見ていたので、別に私がどうのということよりも、そういうプロセスでいろいろな方が関わっているということがあったことが一点。
あと、こども家庭庁の設置法案というのは、やはりこのコロナの中で、有事の中で一番傷ついたのは誰かというと子供だというのが数字でもう如実に出てきた中、時の菅前総理を始め多くの関わってきた人たちが、まずやはり子供を第一に守っていこうというそういう勢いもあったことが事実なので、設置することによって対処していこう、一日も早く解決していこうということで。
特にそんなにうがった考えではなくて、基本法は基本法で、立法府の中でそれぞれがその歴史の中でしっかり取り組んでおられているというのを知っておりましたので、そこを注視しつつ、私は私でしっかり、前政権から、宿題をいただいたものを、設置法を取り組んで、子供の基本条約の中で必要とされている組織をつくっていこうということでございますので。そんなに私も自民党で嫌われているとは思っておりません。
○緒方委員 それでは、家庭政策について、家庭政策というものがあるかどうかということについてお伺いをさせていただきたいと思うんですが、財務省から藤原政務官が来ておられますので。
私、日本の制度を見ておりまして、税の仕組みにおいて、日本では、家庭とか、それの近似値としての世帯をベースにした課税をする仕組みというのがないんですね、ないんです。世帯の収入を把握することも、日本では非常に困難が伴います。いろいろな給付をするとき、あの九百六十万円の給付とか、あのときも、世帯で把握すればいいじゃないかと言ったけれども、なかなかそれが難しかったということがある。
世帯の収入を把握するというのは、所得税の課税とかそういうことについて極めて困難性が高いというふうに理解をしておりますが、政務官、いかがですか。
○藤原大臣政務官 お答えいたします。
緒方委員おっしゃるとおり、所得税は、所得を稼得する個人ごとにその所得に対して課税する方式である個人単位課税を採用しております。したがいまして、世帯単位での所得を把握する仕組みとはなっておりません。
○緒方委員 そうなんですね。
少子化対策ということで非常に先進的だと言われているフランスという国がありますが、私、外務省時代、フランスが専門でありまして、フランスでは少子化対策としてN分のN乗税制というのをやっております。これは大臣、御存じだと思いますが、あれは世帯ごとの収入把握がベースになるんですね。世帯の数が増えれば増える分だけ所得税の税率が下がっていくという仕組みですので、世帯で所得を把握する仕組みがベースにないと、ああいうことはできない。
フランスに行きますと、こういった給付は家族給付という名前がつけられています。直訳して家族給付です。しかも、政治の世界では、フランスでは家族担当大臣というのがもうずっと歴史的に置かれていて、そこに子供という要素が入るようになったのは多分二十年前ぐらいからで、今でも大臣の所掌として家族は必ず必置なんだけれども、子供というのが入るかどうかというのはその時々の内閣によって違う、そういう事情が実はあります。
そう考えたときに、税や給付の主体として、家族又はその近似値としての世帯というのが想定されないわけですよね、日本では。そうなったときに、家庭に対する政策はどういうものがあり得るのかなというふうに思ったんですが、大臣、いかがですか。
○野田国務大臣 委員おっしゃるとおり、少子化対策の中で必ず好事例として出てくる国の二つが、一つはアメリカで、一つはフランスで、フランスがそういう取組をしているということはもうずっと学んでまいりました。
社会全体で支える、家庭を社会全体で支える、そういう意味では手本なんだと思いますが、一方、先ほどの議論のあった結婚の在り方も随分違います。なおかつ、子供、シングルマザーの取扱いも全然違っていて、生まれてくる子供の過半がたしか法律婚ではない子供たちという、やはりその背景が相当日本とは違っているなということも頭の中に入れる中で、こども家庭庁においては、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安、悩みを相談できる場所、地域子育て支援拠点の整備とか、また、仕事と子育ての両立を支援する保育の受皿の整備、子育て家庭に対する児童手当や児童扶養手当等による経済的支援、それぞれ家庭の状況に応じて、生活支援とか子育て支援、就労支援などにしっかり取り組んでまいります。
○緒方委員 ただ、それらの様々な支援も、家庭の事情に応じとはありますけれども、給付の対象自体は個人じゃないですかね。違いますかね。多分、そうなっているのではないかと思うんですけれども。
つまり、私がずっと疑問に思っているのは、皆さん、特に、この後、工藤さんに質問しようと思うんですけれども、結局、家庭とか、その近似値としての世帯とか、先ほど大臣から、フランスはいろいろ事情が違うと言いましたが、それらを全部、世帯としてくるんで、それで、どういう形態であろうとも、世帯に対する課税であったり給付というのが結構ベースなわけですよね。けれども、それを日本でやることは極めて制度上難しいというふうになったときに、何か家庭を中心とした政策を打つとしたらどういうものがあり得るのかなということをすごく疑問に思ったわけですよ。
それについて、じゃ、提案者として、家庭に対する政策の打ち方として、給付が難しいということを、そうであると認識されますかということと、そうであるのであれば、じゃ、どういう政策があり得ると思いますか、工藤さん。
○工藤議員 緒方議員にお答えいたします。
大変難しい質問ですね、まずは。税の在り方について、財源のこともまだ明記されていません。そして、閣僚の閣議の話を委員の答弁でしますから、これから、今先生がおっしゃったとおり、家庭に行くのか個別に行くのか、そして、どのような課税の方式、それをどういうふうにするのか。
これは、まさに先ほどもちょっとお話しされたものですから、私なりに考えると、こども家庭庁設置法案とこども基本法案は、要はハードとソフトの違いだなということでありまして、まさにこれから、議論をしっかり踏まえて、どのような税制を変えていくのかというのを議論していただきたいし。まあ、少子化ですから税が増えるということはあり得ません。だから、課税方式をどのように変えていくのか、それをしっかり議論して、党内でも出していきたいな、そんなように考えております。
○緒方委員 じゃ、野田大臣に、家庭政策というものを大臣は何かお考えになるおつもりがおありになりますでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁の名前をどうするかということでも、家庭ということでいろいろ物議があったんですけれども、私は基本的にニュートラルで、やはり、子供を中心にしたときに、子供の居心地のいい居場所が第一義的に家庭だろうということで、家庭政策がこれというのではなく、とにかく子供がウェルビーイングになれるということが家庭政策なんだと思っています。
あともう一つ、今もいろいろ考えたんですけれども、今、日本の政治の中で、世帯というと割と否定的な、先日も給付のときに、DVの家庭で世帯主にお金が行ってしまって、そこから逃げている妻のところにという話が結構この国会でも議論があったので、日本ではまだまだちょっと世帯単位というのは、そういう問題をクリアしないことには進めないかなという思いはあります。
○緒方委員 なので、私はなかなか難しいんじゃないかなというふうに思いますということだったんですが。
質問を続けたいと思います。
次、財源についてということで質問させていただきたいと思うんですが、すごくざくっとした質問なんですが、子供政策の財源は誰が出すことを想定しているんですか、大臣。
○野田国務大臣 財源は誰が負担するのかについて、財源によるため一概に申し上げることは困難ですけれども、例えば税財源ということであれば、最終的な負担者は国民ということになります。
○緒方委員 まさに国民が税財源で払うわけですけれども、国民全般に広く負担を求めるということであれば、例えば消費税ということもあるでしょうし、社会の特定の層に対して負担を求めるということもあると思うんですけれども、もう少しだけ意を尽くして説明いただけるとありがたいです、大臣。
○野田国務大臣 子供政策に関する予算については、こちらでも議論になっていますけれども、規模や期限ではなくて、やはり子供の視点に立って考えるべきで、内容を充実させるために安定財源を確保して、そして子供政策の充実にしっかり取り組むことが重要、これが大前提だと思います。こども庁が、皆様方の御同意をいただいて成立した暁には、その下でしっかり体系的に取りまとめていきたいということを申し上げているところです。
財源については、昨年十二月に閣議決定した基本方針においても、「政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく。」ということにしておりまして、政府全体でもしっかり議論する必要があると考えております。
○緒方委員 実は、先ほど工藤さんが、もうそんなに税収がどんどんどんどん増えるような世の中でないので、いろいろ知恵を出さなきゃいけないみたいな話をしておられたのを聞いて、なるほど、ちゃんとそういう認識なんだなというので少し安心したわけでありますが。
ここで、立憲民主党から来られております岡本さんにお伺いしたいと思います。
GDPの三%の財源を確保すると言っておりました。ざくっと言って十五兆なわけですね。そうすると、税収がそんなに大きく増えるわけではない。十五兆を子供政策に充てるぞというと、何かスクラップしなきゃいけないわけですよね。何をスクラップして、どういう財源でGDP三%を達成しようと思っているんですか、岡本さん。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○岡本(あ)議員 御質問にお答えしたいと思います。
子供に対しての部分は、やはり未来への投資だという大前提になります。ですので、国民皆さんの御理解をいただくという前提がございます。まずは、教育や保育、医療、介護なども含めて、ベーシックサービスを拡充して可処分所得を増やすことで、先ほどは厳しくなるとありましたけれども、税収を上げる努力も必要だと思っています。
その上で、応能負担を前提にして、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の強化など、年収一億円以上の富裕層を念頭に置いた税制改革ほか、様々な税制改革を考える必要があると考えております。ただ、これだけ今、地域経済が傷んでいる中では、個人消費を促す意味でも、給付先行で考えていく必要があると思い、子供政策を進めるための国債の発行なども検討していきたいと思います。
○緒方委員 今言われた政策でも、恐らく十五兆を補填するだけの財源は上がってこないと思いますし、ましてや国債と言われてしまうと、結局、財源の当てがないということになるわけですね。
私、何が言いたいかというと、こういう財源が確定できないような話で、こっちはもっと出すぞというような、我々に任せたらこれだけ出せますという、何かバナナのたたき売りのような、もっともっと、うちはもっとばらまきます合戦みたいなのを政治でやるのは、私はよくないと思っているんですね。
ただ、自由民主党の総裁選でも、二倍にしますとか言っていた方はたくさんいたわけであって、政治全体で、実際、政権に就いてみたら、そんなに出せないことはみんな分かるわけですよね。政権に就いてみたら、二倍にしますと言ったけれども、この件、ずっと堤かなめさんが聞いておりましたけれども、野田大臣、なかなか口が重いじゃないですか。そう言えないんですよね。なので、こういうのは是非やめるべきなんじゃないかなという思いを持っていますけれども、大臣、いかがお考えですか。
○野田国務大臣 自民党総裁選で、私も候補者の隅っこにいましたので、同じ質問があって、私も同じように答えました。それは一つの目安として、先進諸国の中で、家族、子供に対して、やはりその部分だけは低かったので、大分頑張って上がってきたんですけれども、でも、やはり、そういう目標というのは非常に大事で、減らすことじゃなくて、子供に対しては投資として増やしていこうという一つの目標値ではあることは間違いありません。
私が慎重になっているのはまさにそこで、規模や期限なんかを軽々に言って、結局中身のないものをつくってしまっては駄目で、今、皆さんがこの審議の中で様々問題提起をしていただいています、私の知らないことも当然ありました、そういうものをしっかり精査して、役所ができた暁には、しっかりと体系的に、優先順位を決めて、結果として総理は将来的に倍増したいという御希望があるので、倍増ありきではなくて中身ありきで頑張っていくために、私は別に消極的になったんじゃなくて、真面目に取り組んでいるというふうに御理解いただければいいと思います。
○緒方委員 では、少し質問を続けたいと思います。
よく、少子化対策と言われるものと子育て支援というものを混同した議論が多いなと私はいつも思っているんです、よくないなと思っていて。私はいつも、福祉としての子育て支援というのと社会政策としての少子化対策というのは、重なるところがあるとは思うけれども、一旦切り離して考えるべきだと思うんですね。
子育て支援、重要です。だけれども、それをすれば少子化対策につながるという風潮が一部に結構強くあります。それは多分、現実を見ていないんだと思うんですよね。ある一つの政策で福祉も社会政策も達成しようというのは、そもそも無理があると思うんですね。なので、少子化対策を子育て支援で代替しようという発想は間違っていると私は思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。
○野田国務大臣 そのとおりだと思います。
○緒方委員 だから、ともすれば、少子化対策の中で給付の規模を競い合うようなことはもうやめるべきだとずっと思っています。別に、削れとかそういうことではなくて、少子化対策するためにうちはこんなに出しますみたいな話ということじゃないんだろうと。
何で私がこれを言うかというと、先ほど言及したフランスのN分のN乗税制、あれは、先ほど言ったように、出産、子育てと税制とを結びつけて、世帯のメンバーの数が増えていけばいくほど所得税率は下がっていくわけですね。これは社会全体で子供を支えるという一定の、それがいいか悪いかじゃなくて、理念とともに、子供を多く持つということに対するインセンティブも中に入っているわけですよね。ただ、一部の方には、やはり負担が重い方が出てくるので、耳障りのする内容もその中にあるわけですね。
何でこんな制度にしているかというと、少し歴史を語らせていただくと、あの国、ナポレオン戦争が終わったときに、フランスという国はヨーロッパで一番人口が多かった国です。十九世紀から二十世紀の前半にかけて、あの国はずっと少子化でした。その間にどんどん人口が増えていったドイツ、お隣のドイツに二回の世界大戦でぼこぼこにやられたわけですよね。まさに少子化というのが、国の安全保障であり、そして、子供を増やしていくということをしないと、うちの国はまた三回目もやられるんじゃないかという恐怖感があり、こういう特殊な制度をやっている。国民の一部の方々に負担をお願いするような話をしている。
多分、私、これからの少子化対策は、給付をどんどんどんどん増やしますという政策によっては今の少子化の流れをひっくり返すことはできないと思っています。そうじゃなくて、少し耳障りのする話とか反対が出る話をあえて踏み出していかないと今の日本の国難に立ち向かえないんじゃないか、聞こえのいい話だけでは駄目なんじゃないかというふうに思っているんですが、大臣、いかがお考えですか。
○野田国務大臣 こども家庭庁は、見ていただくと分かるんですけれども、周産期から取り組んでいます。つまり、生まれてきた子供を子育てすることが少子化対策ではなくて、やはり妊娠したときから、その相談から始まっていますから、多分、先ほどおっしゃった結婚、また恋愛、そこまで広がっていくんだと思いますけれども、いずれにしても、人生そのものなんですね、少子化対策。
ですから、そこの部分を切り取ってやるのではなく、例えば物議を醸すとするならば、フランスとの違いはやはり結婚制度の在り方。法律婚でなければならない。日本なんかは特に、子供を授かる前提が結婚になっています。ですから、結婚ができない状況にあると、やむを得ず中絶、この数が非常に多いわけですね。
今回、不妊治療の適用がありましたけれども、まだそこは数万オーダーですけれども、実際に中絶をせざるを得ない、産みたくても産めないという女性は更に多いのではないかと推察されます。
そんなようなこともしっかり全て、まだまだやり尽くしていないことがある中で、建設的な議論ができればいいと思います。
○緒方委員 これ以上は次にします。終わります。
○上野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。ありがとうございます。
こども家庭庁設置法案、こども基本法案などについてお伺いします。
その前に、午前中の質疑で自民党の松本尚委員から、子供たちが視野狭窄にならないようにとの問題発言がありました。子供の参加する権利が大人に悪用され、社会秩序の破壊につながるといった文脈での発言です。これ、何なんでしょうか。
日本には現在、三十数万人の……(発言する者あり)申し上げます。(発言する者あり)問題発言です。三十数万人の視覚障害者がおられ……
○上野委員長 御静粛にお願いします。
○大石委員 御静粛にお願いします。
三十数万人の視覚障害者がおられ、そのうち八割が視野狭窄等の方だとされます。
松本委員もお医者さんだそうです。松本委員の発言は、特定の障害と、それに苦しんでいる人々に対する差別を助長するものであり、許してはならないものです。本人の謝罪と撤回を強く求めます。また、当該部分の議事録からの削除を求めますが、委員長、いかがですか。
○上野委員長 後刻、理事会で協議します。
○大石委員 そもそも、この差別発言のみならず、言っていることがむちゃくちゃなんですね。子供の視野狭窄として、これ、視野狭窄と言って、差別発言で何が言いたかったかというと、恐らく、子供が物の見方を誤る、そういうことがおっしゃりたいんでしょう。子供の参加する権利の話で、大人に悪用されて社会秩序の破壊につながるという認識をされていましたし、自民党の委員の方からも、そうだそうだという、何か合いの手が上がるみたいな状態だったんですね。それって、結局、子供を主体に見れていない。子供はちゃんとしつけないとろくでもないことになるみたいな認識の表れなんです。
今、こどもまんなか社会を掲げておられるじゃないですか。でも、それを妨げているのは、こういう勘違いしたおっさんがど真ん中、そういう政治なんです。変えていきましょう。
さて、いじめ、不登校、少人数学級、教員の数……(発言する者あり)おっさん差別のことは認識できるんですか。
続きまして、いじめ、不登校、少人数学級についてお伺いします。
二〇二〇年度、児童虐待や不登校、いじめの件数は過去最多であり、十九歳以下の子供の自殺者は約八百人に上ります。コロナ禍は更にマイナスの影響を与えています。
政府案では、学校におけるいじめ防止や不登校対策は文科省の領域となりますが、こども家庭庁と連携していくから大丈夫だ、こども家庭庁が司令塔であり、勧告権も付与したから大丈夫だとされていますが、果たしてそうなんでしょうかということで伺います。
政府は、学校のいじめ防止に必要なことは何であるとお考えでしょうか。大臣、簡潔にお答えをお願いします。
○野田国務大臣 学校のいじめ防止に必要なこととしては、子供が安心して学習できるよう、学校の内外を問わず、いじめが行われなくなるようにすること、子供がいじめを行わず、また傍観者となることのないよう、いじめについての子供の理解を深めること、いじめを受けた子供を守り抜くため、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者が連携して、いじめの問題を克服することを目指すことが重要だと考えています。
これらの点については、平成二十五年に成立したいじめ防止対策推進法の基本理念ともされているところです。
○大石委員 大きな問題を見逃していらっしゃる可能性が高いんですね。学校のいじめ防止に最も必要なことは、教職員の数を増やすことです。
この資料一を御覧ください。パネル一と同じです。
パネル一に記載のとおり、れいわ新選組は、国債発行により財源を確保することが前提です。教職員を増やして、最終的に二十人以下学級の少人数学級、短期的には小学校は二十五人以下、中学校は三十人以下学級にすることを提案しています。
一人一人の子供たちにどれだけ向き合えるか、これがいじめをなくすことの全てだと思います。いじめ防止はもちろん、子どもの権利条約四つの原則にのっとって、一人の人間として子供の人格を認め、教育環境をつくるには、教職員の数を増やすしかありません。
百歩譲って、れいわ新選組みたいな積極財政の案と言わなくても、今の予算を、同じ額を維持し続けるだけでも少人数学級に速やかに移行できるんです。ところが、文科省は逆に、教職員予算を減らして教職員を減らしているのを御存じでしょうか。
先般、NHKで、教科担任制導入で定数九百五十人増と。学校の先生を増やすかのように想像されて、あ、岸田政権は手厚く教育予算を増やしにいっているんだな、そう印象づけられた人も多いと思うんですね。しかし実際には、教職員はこの春から三千人以上減っています。これはえらい話が違うやないの、どういうことやのということを御説明したいと思います。資料二になります。
文科省は、今年度、教職員定数を四千六百九十人改善したというふうに言っているんですけれども、そのうちの七百五十人は加配定数から基礎定数への振替で、また、二百八十人分は加配定数内の配置転換であるため、実際に手配できた定数改善は三千六百六十人にとどまります。このグラフで言うところの、昨年度に対して今年度があって、このピンク色の部分、新規改善増三千六百六十人となっています。
しかし、そもそも、元々六千九百十二人が減になっているんですね。減の理由は、少子化による自然減だとか、又は学校の統廃合の合理化、合理化、合理化などなどで六千九百十二人減らしているわけなんです。なので、差引き三千二百五十二、予算も共に減っているわけです。
岸田政権は、今日の委員会でも何度か言われていましたけれども、子供政策予算は将来的に倍増を目指すと言っているんですけれども、逆に予算は減っているじゃないですか。
文科省は、数字の振替とか置き換えを行って、あたかも教職員が増えているかのように国民、市民をだましていますけれども、子供に手厚くする、予算を増やすと言ったんですから、いや、単なる自然減ですという言い訳は通らないんです。同じ予算を維持するだけでも少人数学級にできていくのに、あえて予算を減らしていく、人数を減らしているのが現状だということなんです。
これは言いがかりをつけたいんじゃなくて、教職員を増やすことが絶対に必要だから言っているんです。不登校やいじめの根本問題、やはり教職員が忙し過ぎて、いじめに目をつぶり、又はブラック校則で管理に走る、そういう現状が大きな原因ではないでしょうか。
また、社会全体でも、子供たちに競争を迫るやり方、主体性を認めない、先ほどの委員の発言のような、主体性を認めないような在り方、子供はちゃんとしつけないととか、子供が参加する権利とか言ったらろくでもないみたいな、そういう在り方。そして、学力テスト。管理教育ではないでしょうか。これまでの教育の在り方を反省して、予算を確保して、十年計画で教職員の増員を行うということが状況を変えれる。そのたびに必要な標準法を変えたり、そういうことをやっていくことが子供ど真ん中なのではないでしょうか。
教職員を減らしたり、組織いじりで縦割りの弊害をなくしたふりだったり、虐待している保護者を見つけ出すデータベースとか警察との連携とか、やはりこれは、血が既にだらだら流れているという危機の中で、どのばんそうこうを貼るんやみたいなやり方なんです。優先順位が間違っている。
この話は私がとっぴなのではなくて、世間では、子供をめぐる問題において教職員不足が大きな原因だ、深刻だと言われているんですけれども、なぜそこまでして教職員を増やすことをためらわれるんでしょうか。文科省さん、どういうお考えかお聞きしてもよろしいですか。
○鰐淵大臣政務官 お答え申し上げます。
今委員の方からもお話がございました教職員定数の改善は大変に重要な課題だと認識をしておりまして、しっかりと取り組んでいかなければならない、そういった思いで取り組ませていただいております。
令和四年度予算における教職員定数の増減につきましては、文科省が公表している資料にもあるとおり、教職員定数の改善による四千六百九十人の増、教職員定数の配置見直しによる二百八十人の減、少子化の影響等による六千九百十二人の減、これを合わせまして計二千五百二人の減を見込んでおります。これが現状でございます。
教職員定数の改善におきましては、令和四年度予算において、小学校における三十五人学級の計画的整備、高学年教科担任制の推進等に必要な予算を計上しているところでありまして、今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、引き続き教職員定数の改善に取り組んでまいりたいと思っております。
今日の御意見も、しっかりと承りました。
○大石委員 ありがとうございます。
教員の、職員を増やす改善計画というものが止まっている。その中で、標準法というのも改定されていないのではないかと思いますので、今日の意見を踏まえるというふうに聞きましたので、是非早急にやっていただきたいと思います。
続きまして、質問をしたいです。維新の方に御質問します。
少人数学級と教職員の数を増やすことが、子供の人権を守り、学校のいじめ防止の第一歩であると考えるんですけれども、維新案の中にそれは含まれるんでしょうか。何人学級が望ましいと考えているのか。いかがでしょうか。簡潔にお答えください。
○阿部(司)議員 大石委員にお答え申し上げます。
学校教育において何人学級が望ましいと考えているかとの問いだと理解しております。
昨年、小学校の三十五人学級を実現する法改正である公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律の制定に当たり、日本維新の会も賛成をいたしました。
当時の文部科学委員会での法案審査において日本維新の会の藤田文武委員が指摘しましたとおり、二十人、三十人といった更なる少人数学級には教育的価値の側面からは様々な利点があるものの、教室数や教員の人材確保など、すぐには実現できない課題があります。
また、教室に何人子供がいるかということも大切ですけれども、教室に何人の教師がいるかということも大切であると考えます。副担任の配置、補助教員の配置、福祉担当の臨時職員などなどが十分配置されていれば、ある程度の子供の人数がいて、集団生活の中で学ぶことにも意義があるということも一方では考えられます。
そのため、まずは、早期に中長期的な目標を設定することが重要であると考えております。
○大石委員 でも、大阪ではおかしなことが起きているんですよね。
大阪においては、維新市政、府政が大人数学級を推進しています。国で推進されたことについてはある程度従うようですけれども、基本的には、三年生以上の子供たちについて、どうしても四十人詰め詰めの学級にしたいようなんです。そうなるように、大阪市内においては条例まで作って、どんどん統廃合が進むようにということで、小学校を潰していこうとしているんですね。二〇二〇年時点で二百八十七ある大阪市立の小学校、三分の一を統廃合対象にしています。
先ほど、藤田さんが、少人数学級にすると言うても、設備とか教室数の絡みで言うてはりますけれども、学校を潰していっているので、本当は大人数学級を推進されているんですね。
さらには、四十人学級ですらなくて、特別支援学校の生徒をカウントしないことによって、最悪、四十六人のクラスも生まれています。これは全国的にも問題だと思うんですけれども、大阪府内で、ほかの市においては、そうならないように予算措置をして、四十人を超えないようにダブルカウントするということをやっている市もありますので、やはり、それをわざわざせずに学校を潰していっているという状況は大人数学級推進と言わざるを得ませんし、そのような状況を変えてほしいなというふうに思います。
続きまして、時間がないので、子供施策の予算と財源についてお伺いします。
政府案で、安定財源を確保すると明記されていますが、どのように確保するおつもりなのか、先ほどからも御質問がありましたので、簡潔にお答えください。
○野田国務大臣 子供政策に関する予算は、今後、こども家庭庁の下で体系的にしっかり取りまとめていきたいと考えています。
子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保については、昨年閣議決定した基本方針でも、「政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく。」としているところであり、今後、財源についても政府全体でしっかり議論していく必要があると考えています。
○大石委員 資料三にありますように、政府閣議決定の子供政策の基本方針に、次のように書かれております。資料三です。はしょりますが、cのピンク色のところ、社会全体で、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みについても検討するというふうにあります。これは結局、明らかに、国民負担を増やしますよというふうに書いてあるんですね。でも、これは冗談じゃないんです。
現在、この国に生きる多くの人々の生活は、そもそも政府の失策に次ぐ失策のせいで二十五年続くデフレと賃金の下落、それにコロナと戦争の影響、いわば三重苦と言える厳しい状況に襲われています。そこに更に追い打ちをかけて国民負担を増やそうというのが、今回、総理が子供予算の倍増を目指すと言った中身なんです。
もうこれ以上国民負担を増やすことはあり得ない。だから、財源は国民負担とすることではなく、国がお金を発行しなければなりません。先ほど、国がお金を発行するというのは、ばらまきでよくないというふうにおっしゃいましたが、それはそうじゃないんですよ。結局は、危機意識の違いじゃないでしょうか。子供たちの現場、学校の現場がもう危機的な状況にあるよという、だからお金が必要だよ、だけれども国民負担はできないよという、その危機的な認識の違いだと思います。
お金を国が発行して、けちらずに教員を増員すること、それがいじめをなくす第一歩だということを引き続き訴えてまいります。
質問を終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時六分散会