衆議院

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第22号 令和4年4月27日(水曜日)

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令和四年四月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石原 宏高君    上田 英俊君

      金子 俊平君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      若林 健太君    大串 博志君

      岡本あき子君    櫻井  周君

      堤 かなめ君    中谷 一馬君

      馬場 雄基君    本庄 知史君

      山岸 一生君    早稲田ゆき君

      阿部  司君    浅川 義治君

      金村 龍那君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      本村 伸子君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           勝目  康君

   議員           木原  稔君

   議員           塩崎 彰久君

   議員           鈴木 英敬君

   議員           國重  徹君

   議員           中野 洋昌君

   議員           岡本あき子君

   議員           城井  崇君

   議員           金村 龍那君

   国務大臣

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  相川 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    楠  芳伸君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           里見 朋香君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     上田 英俊君

  山田 賢司君     若林 健太君

  堤 かなめ君     岡本あき子君

  中谷 一馬君     櫻井  周君

  本庄 知史君     馬場 雄基君

  山岸 一生君     早稲田ゆき君

  堀場 幸子君     金村 龍那君

  塩川 鉄也君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     鈴木 英敬君

  若林 健太君     山田 賢司君

  岡本あき子君     堤 かなめ君

  櫻井  周君     中谷 一馬君

  馬場 雄基君     本庄 知史君

  早稲田ゆき君     山岸 一生君

  金村 龍那君     堀場 幸子君

  本村 伸子君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)

 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)

 こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)

 子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)

 子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の各案に対し、厚生労働委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、厚生労働委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

    ―――――――――――――

上野委員長 次に、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長谷内繁君外十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 おはようございます。自民党の鈴木英敬です。

 本日は、こども家庭庁が真に司令塔機能を発揮し、縦割りを打破する組織になるためにという観点から質問をしていきたいと思います。

 野田大臣、本当に、常に子供たちのためにありがとうございます。心から感謝申し上げたいと思います。

 ちょっと盛りだくさんなので、順番が途中入れ替わるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。

 まず、勧告権の適正な行使ということについてお聞きします。

 今回、こども家庭庁は内閣府の外局に置くとされています。庁では弱いんじゃないか、省でなければと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、法令上の固有の権限として、各省大臣への勧告権を持っているのは内閣の中にある組織だけでありますから、今回の判断は適切です。

 どんな司令塔でも、どれだけ巨大な組織をつくっても、子供政策を一つの役所で完結させることは不可能です。だからこそ、勧告権を適正に行使すること、そのための現実的かつ具体的な準備を行うこと、そして、それらを通じて司令塔機能を発揮できる組織にすることが重要です。

 これまでの審議で、内閣府特命担当大臣が勧告を行った前例がないという議論がありました。前例がないのは、事案自体の有無もさることながら、発動するための基準、意思決定プロセスなど、きちんと整備されていなかったことも理由ではないかと考えます。

 例えば、私が知事時代に取り組んだ、コロナ関連の、時短に協力しない事業者名公表や勧告を行う際も、事前に準備をしておりました。

 では、大臣にお伺いします。

 こども家庭庁が司令塔機能を発揮するため、勧告権を必要な場合にきっちり発動し、内閣としての子供政策推進に活用すべきで、そのために諸条件を整備する必要があると考えます。そもそもの勧告権の適正な行使に対する基本的考え方、それから、勧告権発動の場合に想定される基準、意思決定プロセス、勧告後の措置状況の検証の手法などについてお聞かせください。

野田国務大臣 お答えします。

 初めに、委員は、知事時代に、知事会の子供政策の責任者として様々な取組をなさり、そして私にもいろいろアドバイスいただきましたことを、この場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。

 勧告権やそのプロセスというのはとても大切なので、少し時間をかけて丁寧に御説明申し上げたいと思います。

 今おっしゃったように、子供や若者に対する施策は、文部科学省だけではなく、警察庁、総務省、法務省、厚生労働省、また御出身の経済産業省など、様々な省庁が関わっています。このため、政府を挙げて政策を強力に推進するためには、こども家庭庁が司令塔機能を発揮し、政府部内の総合調整を適切に行うことが不可欠であると考えています。

 政府部内の総合調整に当たっては、まず、担当大臣の勧告権等を背景に、こども家庭庁職員が関係省庁と意見交換を行ったり、働きかけなどを行います。そして次に、政府部内の統一を図るため、必要があると認めるときには、内閣府設置法第十二条第一項に基づき、関係行政機関の長に対し必要な資料の提出や説明を求めることができます。さらに、特に必要があると認めるときには、同法の第十二条第二項に基づき、関係行政機関の長に対して勧告を行うことになります。

 この勧告権を行使する際には、まず何よりも、子供や若者から直接意見を聞く様々な取組をしっかり行い、子供や若者の意見を十分に踏まえ、子供の視点に立って実態の把握や情報収集を行います。さらには、有識者などからヒアリングを行うことも考えられます。

 勧告後の措置状況の検証については、内閣府設置法第十二条第三項に基づき、当該関係行政機関の長に対し、勧告に基づいて取った措置について報告を求めます。その報告を基に、また必要に応じて子供や若者、有識者などから更に意見を聞いて、子供の視点に立って検証を加えることになると考えています。

 こども家庭庁において、常に子供の視点に立って、各省庁より一段高いところから子供の政策を主導するとともに、必要がある場合には、適切にこのように勧告権を行使していく考えです。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。大変重要な答弁をいただきました。

 勧告をするにも報告をするにも、子供の意見をちゃんと聞くということ、それから有識者の意見もちゃんと聞くというようなことで、そういうプロセスでやっていくという大変重要な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 特に、こども家庭庁の任務遂行では文科省との連携が肝です。実は、文部省に対する勧告という点では、昭和三十六年、当時の池田科学技術庁長官が、所得倍増計画を実現するための科学技術者の養成確保の観点から、荒木文部大臣に勧告を行いました。子供政策の理念を共有するため必要な場合に、文部科学大臣始め各大臣に対してもしっかりと勧告権を適正に行使し、各役所、文科省を始め、しっかりと受け止め、迅速に対応していくべきと考えます。

 それでは、続きまして、こども家庭庁の組織、人事の在り方について伺います。

 こども家庭庁は、厚労省や内閣府の組織の単純移管であってはなりません。現在、どのような組織になっていくかは、設置前でもあり、官房、成育、支援の三部門ということ以外はまだ明らかになっていません。

 そこで、連携の実効性、司令塔機能の発揮という観点から、組織、人事について、二点提案と、質問をします。

 まず、文科省との連携。これは機動的に文科省と連携できるかが焦点の一つで、そこで、審議官級での文科省との人事交流、それから文科省との連携を横断的に行う課長級の設置、それから一定規模での人事交流、こういうのが必要だと考えます。

 次に、自治体や民間との連携。子供政策は現場の自治体や民間なくして実行し得ません。現場を分かってくれているという信頼感を持てる組織であることが必要です。そのため、民間や自治体からの人材も幹部に登用、現在管理職以上はゼロです、一定規模での相互人事交流が必要です。

 そしてもう一つ、子供政策は都道府県とだけ連携していっても不十分です。知事をやっていた私が言うのもなんですけれども、都道府県とだけ連携していっても不十分で、基礎自治体、教育委員会、児相、警察など、現場レベルとの連携もなければ効果的な政策実行は困難です。

 例えば、教育委員会は、文科省以外の役所とつき合うことに心理的距離もあるでしょう。そこで、各都道府県に子供家庭支援事務所のようなものを設置して、国の子供政策のワンストップ窓口となって、都道府県、市町村、教育委員会、児相、警察、児童養護施設、子供食堂等と顔が見える関係を構築することで政策実行をしていくことも一案だと考えます。

 そこで、伺います。文科省との連携、自治体や民間との連携、このそれぞれの観点から、組織、人事の在り方について大臣の見解をお伺いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今般、教育については、文部科学省の下でこれまでどおりその充実を図りつつ、こども家庭庁と文部科学省が密接に連携して子供の健やかな成長を保障することとしています。

 こども家庭庁と文部科学省が密に連携して取り組むべき具体的な事務としては、例えば、就学前の子供の教育、保育に関すること、いじめ防止対策、不登校の子供への支援を含む居場所づくりがあります。これらの事務を文部科学省との間で連携して進めていくには、それぞれの事務を担当する部署を明確にするとともに、人事面での交流を行うなど、工夫が必要と考えています。

 こども家庭庁設置法案をお認めいただいた暁には、組織の在り方や人事を具体化するに当たって、今おっしゃった御指摘を十分、十分考慮しつつ、検討を進めてまいります。

 さらに、子供政策の具体の実施については、地方自治体やNPOなどの民間団体など、現場を中心にもう既にずっと担われており、こども家庭庁においては、地方自治体との連携の強化やNPOなどの民間団体との積極的な対話、連携、協働を進めるために必要な体制を確保することが大変重要であると考えています。

 私も、大臣に就任して以来ずっと、子供政策、今携わっている人たちの声の大半が、NPOであったり地方自治体からの要望であるわけでございます。ですから、これも、委員からの御提案をしっかり参考とさせていただきながら、多様性そして現場感覚のある組織、人事構成を目指して、しっかり検討してまいります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。多様性、現場感覚、大変重要なお言葉をいただきました。是非、十分踏まえて組織構成、お願いしたいと思います。

 それでは、済みません、ちょっと順番を入れ替えまして、アダルトビデオ出演被害防止対策について、各党の検討の進捗も踏まえ、質問を大臣にさせていただきたいと思います。

 アダルトビデオ出演被害の問題は、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題です。内閣府が行った調査では、約四人に一人がモデル、アイドル等の勧誘を受けた経験があるとされ、モデル、アイドル等の勧誘を受けたり応募した経験のある女性のうち約七人に一人が、聞いていない、同意していない性的行為等の撮影要求を受けたことがあるとされています。

 これまで、自民党でもワンツー議連などで検討を進めてまいりました。そうした中、改めてスピード感ある対応が急務という観点から、四月十三日、与党AV出演被害防止に関するPTが開催され、立法措置の基本的考え方が示され、さらに、昨日、自民党内閣第一部会においてAV出演被害の防止等に関する法律の全体イメージ案が了承されました。また、同日、AV出演被害防止に関する超党派会合が開催され、検討が始まっています。

 そこで、大臣にお伺いします。

 まず、そもそもAV出演被害の問題は、年齢や性別にかかわらない、つまり十八歳、十九歳に限ったものではないと考えますが、大臣の所見を伺います。あわせて、支援団体等から、年齢を問わない対策が望ましいとの意見もあると聞いており、AV出演契約に限って十八歳、十九歳に未成年者取消権を復活させることの是非についても所見を伺います。

野田国務大臣 アダルトビデオへの出演に関する被害の問題は、被害者の心身や私生活に長期間にわたり悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題であります。

 内閣府が実施した調査によれば、AV出演に関する被害は年齢を問いません。議員御指摘のとおり、十八歳、十九歳に限った問題ではなく、二十歳以上の被害者も多数いると承知しています。また、議員御指摘の未成年取消権については、議員立法に関することですので、その内容、御議論の状況をよく見守りたいと考えています。

 その上で、一般論として申し上げれば、未成年者取消権は親権者がいることが前提となりますが、成年となった十八歳、十九歳には親権者がいないため、未成年者取消権の特例を設けることは困難ではないかと考えています。このため、二十歳以上の方の被害も多くあることから、十八歳、十九歳に限らず、年齢を問わない対策が望ましいと考えています。

鈴木(英)委員 大臣から大変重要な御所見をいただきました。年齢、性別にかかわらず対策を取る必要があるという答弁をいただきました。大変重要な点ですので、しっかり議論していきたいと思います。

 関連して、もう一点。

 言葉巧みにAV出演契約を締結させられ、その直後、なし崩し的に撮影を迫られるという被害の実態があることを踏まえ、例えば、AV出演契約締結から撮影までに一定期間を設け、直後には撮影できないようにする、それから、撮影から公表、販売までも一定期間を設ける。それらの期間、熟慮したり誰かに相談したりできるようにするという規制を設けるなどの対応が効果的と考えます。また、それらを含め、事業者に違反がある場合、未成年者取消権と実質的に同様の効果を持つ取消しルールを設けることが必要と考えますが、大臣の所見を伺います。

野田国務大臣 議員立法に関することですので、その内容、御議論の状況は、よくしっかり見守りたいと考えております。

 その上で、今御指摘の点については、与党のAV出演被害防止に関するPTや超党派の御議論の場等において、AV出演の契約締結から一定期間経過するまではその撮影をすることができないという新たなルールを設けることが検討されているものと承知しています。また、これに加えて、AVの撮影から一定期間経過するまではその公表を行うことができないという新たなルールについても検討されているものと承知しています。

 与党PT等で御検討いただいているこうした考え方は、被害実態に即しており、極めて実効性の高いものであると期待しています。男女共同参画担当大臣として、与党PT等において問題の本質を捉え、御検討いただいていることを大変ありがたく感じております。

 AV出演被害に関する問題は、若い女性にとって身近な問題となっています。超党派の皆様の御議論で早期に結論が得られることを心から期待しております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 大臣からも早期に結論をということでありましたので、とにもかくにも、今後、被害者となり悲しい思いをする方を出さない、そういう強い決意で、今国会でのスピード感ある対応を我々立法府で、党派を超えてしっかりやっていく必要があるというふうに考えておりますので、皆さん、頑張ってまいりましょう。

 それでは、済みません、こども家庭庁の縦割り打破の課題に戻ります。

 一つ目は、司法面接、協同面接について政務官にお伺いしたいと思います。

 性犯罪など児童が被害者となる事件において、検察、警察、児相など関係機関が協同で面接を実施し、子供からの聞き取り回数を少なくすることで児童の心理的負担を軽減する司法面接、協同面接について伺いますが、この取組、全国で令和二年で二千件超実施されていますが、実は、代表面接者の約七割が検察官です。児相職員は約七%となっています。そのため、面接で聞き取った内容が必ずしもその後の児童のケア等に生かされていないと指摘されています。

 多くの方が御記憶にあると思いますが、二〇一八年の東京目黒区で虐待死した船戸結愛さんの事案においても、協同面接は捜査機関が行い、児相もバックスタッフに入っていたものの、面接における録音、録画結果は共有されず、結局、警察の不起訴見込みの書類送検に引きずられて、児童福祉の観点からのアセスメントを十分に行わず、一時保護を解除してしまったとの指摘もあります。

 厚労省審議会の検証報告書においても、本事例では二回協同面接が行われているが、児相は、こうした協同面接の場で得られた情報等について、施設入所等の措置に係る検討を行う際に活用し切れていなかったと指摘されています。

 子供を守るための司法面接になるための対応が急務で、こども家庭庁創設をその契機にすべきです。

 そこで伺います。面接内容をケア等に生かすための関係省庁における連携の在り方、あわせて、警察、検察、児相、医療機関等の多機関連携チームの制度化についても政務官の見解をお伺いします。

島村大臣政務官 ただいま委員が御質問いただきましたように、委員は、知事の時代から児童虐待等に関しまして現場の状況を把握していただいていて御質問いただいているということを理解させていただいております。

 今回の御質問に関しましては、まず、児童虐待事案等の場合に、子供の心理負担を軽減するとともに、子供から聞き取る話の内容の信憑性を確保するため、児童相談所、警察及び検察の三者機関を代表して一名の協同面接をするということを認識をしております。

 なぜこれが一人だけだということは、やはり、子供から同じ内容を繰り返し聴取しますと、聞き手の内容に応じて子供が話す内容が変化する可能性があると言われております。ですから、代表して一名とさせていただいています。

 また、委員から今御質問がありましたように、では、面接者が誰が一番多いかというと、七三%が検察官だと言われております。これはやはり、事件性があるか、起訴があるかということで、これを検察官に、場合が多いと言われております。

 確かに、面接の場合に、地域によっては、いわゆる検察官、児童相談所のメンバーが一緒になってバックヤードで面接を聞いている場合もございます。ただ、面接前と面接後で共有認識を持っているといいながらも、委員が御指摘のように、本当にこれが連携できているかどうか、これは再度、厚労省、検察庁、最高検察庁から関係機関宛てに、連携体制強化をするように、今、通知を出させていただいております。

 また、委員御指摘のように、船戸結愛ちゃんの協同面接に関しましては、香川県で、平成二十八年と二十九年、二回実施されておりますが、我々厚労省の死亡事例検証報告でも、確かに、これが十分に活用されていたかどうか、これは指摘をさせていただいております。

 ですから、今後は、やはり、協同面接での把握をしっかりと、これは情報共有を更にさせていただくために、引き続き、法務省、検察庁、連携しながら、協同面接を含めて、児童虐待の対応を厚労省としても図っていきたいと思っております。

 以上です。

鈴木(英)委員 ありがとうございました。政務官から、大変力強い、しっかり連携していくというお言葉をいただきました。

 最後、一点、不登校についてです。

 現在、義務教育での長期欠席者は二十九万人いて、このパネルにありますように、子供が不登校になることで、皆さんお手元に資料があると思いますが、保護者の就労環境が変わる家庭も多くあります。そのため、不登校対応は、教育だけでなく、教育と福祉が相互に協働しなければなりません。

 こども家庭庁設置法に定める子供政策の理念に基づいて、不登校の子供たちや家庭を支えるため、こども家庭庁、文科省、厚労省が、こども家庭庁設置前から、来年度予算も含めて、チームを編成し共同プロジェクトを設けるなど、連携することが必要だと考えますが、見解をお伺いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、子供の不登校の問題と家庭の問題、これは大変密接に関連しているケースが多いというふうに認識をしているところでございます。したがいまして、家庭に対する支援というのも、これは各省連携して進めていくというのが大変重要な点でございます。

 このため、こども家庭庁におきましては、要保護児童対策地域協議会でありますとか、あるいは子ども・若者支援地域協議会の枠組みを活用して、地域の居場所等と関連したアウトリーチ型の支援なんかを各行政分野と協力をして進めていくといったようなことを行ってまいりたいと考えておりますし、また、居場所づくりという観点からも、特に今年度、こども家庭庁の創設を待たずに、文部科学省、厚労省などと連携をいたしまして調査研究を行っているところでございまして、子供の居場所についての実態把握や不登校に関する対応の論点を整理することといたしているところでございます。

 これらにつきましては、令和五年度の予算の概算要求におきましても必要な調整を行いまして、各省と連携をしながら推進をしていけたらと考えているところでございます。

鈴木(英)委員 しっかり連携した不登校対策をよろしくお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 早速質疑に入りたいと思うのですが、子供政策のその背景あるいは基本的な全体の理念をということで、議員立法としてこども基本法案が提出をされているということですので、まず、こども基本法案の方から質疑に入りたいと思います。

 本基本法案においては全ての子供施策に共通する基本理念が明らかにされておりまして、今後、子供政策を総合的に推進する上で、私はとてもこれは意義のあることだというふうに思っております。改めて、この法律の意義と基本理念についてお伺いをしたいと思います。

加藤(勝)議員 法律の意義と基本理念について御質問いただきまして、ありがとうございます。

 まさに、この法案提出の背景には、少子化が更にこのコロナ禍において一層深刻な事態になってきていること、さらに、子供をめぐる様々な事案、先ほども、不登校の問題もありましたし、いじめ等々、虐待等々がございます。そうした中で、これまで、それぞれ現場現場において、あるいはそれぞれ各省庁が対応はしてきたところではありますけれども、やはり必ずしも統一的にあるいは一体的に連携が取れて対応してきたとは言い難い面があるのではないか、そういったことも踏まえて、子供のことを第一に考える観点から、子供に関する施策に横串を通す基本法の制定が喫緊の課題だというこの認識で提案をさせていただきました。

 本法案においては、全ての子供が、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目的とし、この目的に向けた基本理念として、児童の権利に関する条約におけるいわゆる四原則である、差別の禁止、生命、生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重及び児童の最善の利益に相当する内容を規定し、加えて、子供の養育及び子育てといった六つの項目を定めさせていただいているところであります。

 さらに、与党案において、これは第十二条でありますけれども、子供施策において長年の課題とされてきた三つの壁、いわゆる年齢の壁、あるいは子供が必要とする施策ごとの制度の壁、施策を講ずる関係省庁の縦割りの壁、これを打破し、統合的、一体的に支援を提供していくということ、さらには、子供施策の実施や大綱の作成に当たって、子供等の意見を反映させるために必要な措置を取ることが国に対する義務づけともさせていただいている。

 こうした目的、基本理念などの下で、本法案により、冒頭申し上げましたように、これまで以上に子供政策が総合的に、また連携が取られて推進されることを期待しているところであります。

高木(啓)委員 基本法に大変期待するところが大きいわけでありまして、そして、本法案の第九条に、政府が定めることとされていますこども大綱。こども大綱においては、子供施策を総合的に推進することを目指して、少子化対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策推進法に基づく施策を含まなければならないということで、総合的にやっていくんだということだと思います。

 その趣旨について、この三法を含むということで、期待される効果というものは何があるのか、是非御教示をいただきたいと思います。

加藤(勝)議員 今委員御指摘の、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律、この三つの法律の下で、別々の閣僚会議が行われ、また別々に大綱も作られてきたわけでありますが、この三つの法律、もちろん、それぞれ目的は異なってはいるものの、いずれも子供施策に関する法律であり、施策の対象となる事項についてもかなり重なり合う範囲が大きいものと考えております。

 そこで、これらの三つの法律に基づく施策がより一体的に推進されるよう、三つの法律に基づく大綱を一本化すること、具体的には、本法案第九条三項で、こども基本法に基づく大綱、これを作ることにしていますが、そこには、少子化社会対策基本法などの三つの法律に基づく大綱に記載をすべき内容も記載しなければならないということにしております。こうしたことによって、全体として統一性がある子供施策に関する大綱が策定されるということであります。

 さらに、今申し上げた規定によって、三つの法律に基づく大綱も策定されたものとみなされるということになりますので、行政の事務的な負担も軽減されることが期待されるところであります。

高木(啓)委員 今の二つの質問で、やはり子供施策が統一的、一体的に、そして、子供が第一であって、さらに、事務負担もできるだけ軽減をしていってスリムにやっていくんだということが明らかにされたわけで、これは本当に大変意義のあることだというふうに思うわけであります。

 続きまして、同じ法律の第九条の第四項に、「こども大綱に定めるこども施策については、原則として、当該こども施策の具体的な目標及びその達成の期間を定める」というふうにされているわけでありますが、施策の具体的な目標と達成の期間を定めるということは、それに必要な予算の裏づけがあって初めて、私は、実効性、実現性が担保されるものと考えています。

 したがいまして、こども大綱の閣議決定をされるときに、それに伴う予算というものは公表されるのかどうか、この点を確認させてください。

木原(稔)議員 こども大綱に定める施策についてお尋ねがありましたけれども、原則として、具体的な目標及びその達成の期間を定めることの趣旨というものは、これらの明確な設定によって子供施策の確実な実施を担保しようというものであります。

 予算というのは一般的に単年度主義ですけれども、こども大綱というものは単年度主義の予算よりも長い期間を見据えて策定するものでありますから、閣議決定とともにその予算が公表されるわけでは必ずしもありません。

 他方で、閣議決定をもって策定されるこども大綱の内容というものは、これは重いものでありまして、予算面で施策の実現性が見込まれる施策がこども大綱に盛り込まれるし、その大綱を踏まえてその内容の着実な実現が図られるように予算の確保、充実に向けて努力することが期待されるということになります。

 また、必要な予算の裏づけがあって初めて実現性が担保されるという御指摘が委員からありましたが、それはそのとおりでありますし、それと並行して、子供施策の予算の充実に向けてこども大綱を作成していくという側面もあるというふうに考えています。

 この点、本法案では、第十六条において、政府は、こども大綱の定めるところにより、子供施策の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるという努力義務を定め、その施策の充実と財源の裏づけを図っているところであります。

 以上です。

高木(啓)委員 予算は単年度でありますので、木原先生がおっしゃる意味は非常によく分かります。

 しかし一方では、例えば、国土強靱化の予算などは全体として五年間で十五兆というようなことも、ある意味では私たちには発表されている。ですから、全体としてどれだけの予算を、この政策あるいはこの大綱の中に盛り込んでいく目標や達成年度、そういうものに対して担保していくのかということは、この第十六条の記述も含めて今後の課題なんだろうと思いますけれども、そこは、この法律ができることによって、政府の中でよくもんでいただきたい、こう思います。

 さらに、予算の問題というのは、実はこの第十条に、同じように、予算のことの中で、私は非常に重要なことが書かれていると思うんですが、第十条の一項は、都道府県は、この大綱に基づいて都道府県の計画を作る努力義務が課せられている。さらに、第十条の二項は、市町村にもそのことが同じように課されている。

 つまり、こども大綱ができることによって、都道府県、市町村に対しても同じように子供施策の充実を図ることを求めているわけですから、その意味では、国がどういう計画を立て、そしてどのぐらいの予算でこれを遂行していくのかということに対しては、やはり私はできるだけ明らかにすべきだというふうに思います。ですから、是非、地方自治体も困らないようにしていただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。

 続きまして、本法案の最後のところの附則に検討事項というものが設けられておりまして、その中に、法律の施行後五年を目途として、その実態を掌握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備というものがうたわれているわけであります。

 これが、検討事項ですから、検討の結果、この公正かつ適切に評価する仕組みというものがつくられることになった場合、どのようなものを想定しているのか。つまり、構成員等を含めてどのような仕組みになるのかということに対して、是非教えていただきたいと思います。

木原(稔)議員 検討事項についての御質問がありましたけれども、まず、検討条項における検討の主語を見ていただきたいんですが、主語は、政府は、ではなくて、「国は、」ということになっております。検討の主体を政府だけに委ねるのではなくて、国会もまた検討の主体であるということをここで明らかにしています。

 次に、今度は、検討条項における検討の内容なんですけれども、この条項は、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のための必要な方策についての検討を求めるものであるということであります。

 その上で、御指摘の「実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組み」というこの文言は、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のための必要な方策の一例として、いわゆるPDCAサイクルを回すための仕組みを検討項目として挙げたものであって、そのような仕組みの必要性の有無も含めて検討が行われるということです。

 この検討の結果どのような結論に至るかというのは、まさしく、この法律が施行後、基本理念にのっとった子供施策が推進されているのかを注視しつつ、これは政府も国会も含めて議論されることであります。

 したがって、御質問に対する答えとしては、この検討条項が何か特定の結論ありきで設けられたものではないということでございます。

高木(啓)委員 大変よく分かりました。五年たってどのような検討をされるのか、私たちも注視をしていきたい、このように思います。

 続きまして、こども家庭庁設置法案についてお伺いをしたいと思います。

 本法案提出に至る背景や経緯を考えますと、本法案が成立をすれば、今後、我が国の子供政策に大きな変化がもたらされる、いい意味で大きな変化がもたらされると思います。特に、岸田総理は、子供関係予算について将来的に倍増を目指していきたい、こう発言をされているわけでありまして、これは期間とか金額ありきではないんだけれどもということで、しかしながら倍増を目指していきたい、こう発言をされております。

 子供関係予算の充実は、私はこれは本当に皆さん誰もが待ち望んでいたことだと思うんですが、しかしながら、ほかの予算を削って行われるようなことがあってはならないと思いますし、そうなってしまったとすれば、それは本末転倒だと私は思います。

 つまり、財政を緊縮化をしていくみたいな考え方とか、あるいは限られた財源論というものに私は固執すべきではないと思いますので、我が国全体の予算を増やしていくということに、私は、ちゅうちょすべきではない、こう思います。これははっきり申し上げておきたいと思います。

 子供政策予算全体の在り方というんですかね、そのことについて大臣の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 今委員がおっしゃったように、総理は、子供政策に関する予算については、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたいと御発言をされました。

 私としても、期限、規模ではなくて、子供の視点に立って、安定財源を確保しつつ、これは今までにないことなんですね、子供の視点に立った安定財源。これは、必要な子供政策の充実にしっかりと取り組むことが重要と考えています。

 私の方から政府予算全体についてお答えすることは難しいのですが、今後、子供政策に関する予算は、こども家庭庁の下で、体系的にしっかりと取りまとめていきたいと考えています。

高木(啓)委員 先ほどのこども大綱の話も同じなんですけれども、全体としてどういうふうに予算化をしていくのか、是非、野田大臣の手腕に期待をさせていただきたいと思います。

 私は昨年の四月七日の内閣委員会でも子供政策について質問しているんですが、新しい法律ができて、子供政策の、世の中が変わっていく、場面が変わっていくという前に、実は、積み残しになっている課題とか、今までの課題というのもまだたくさんあるわけですね。その幾つかを私は昨年の四月七日に指摘をしたんですが、その一つは、いわゆる〇・三兆円問題と言われていた、全体の子供政策が当時一兆円かかるという中で、七千億は手当てをされたけれども三千億円は手当てをされていなかったという問題があります。

 昨年は、御答弁としては、まだ宿題はいろいろ残っているけれども引き続き財源確保に努めるというものでありました。この積み残しの課題をまずどうするのか、教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援新制度における、消費税分以外で財源を確保することとされております委員御指摘の〇・三兆円超の事項につきましては、これまでも段階的に、職員給与の改善ですとか栄養士の配置など、一部段階的に取組を推進してまいりました。ただ、おっしゃるとおり、例えば一歳児や四、五歳児の配置の改善などは、現在のところ未実施となってございます。

 少子化や子育て支援に関する子供政策の財源確保につきましては、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針においても、「社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく。」とされております。〇・三兆円超の事項につきましても、引き続き、毎年度の予算編成過程におきまして、財源の確保に精いっぱい努めてまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 〇・三兆円と言っているんですけれども、今までの間に大分詰まってはきていると思うんですよ。ですから、あとどのぐらい残っているのかとか、そういうことはやはりしっかり情報公開すべきだと思いますので、どのぐらい詰まっているか、是非、いつでも結構ですから教えていただきたいと思います。

 もう一つの課題は、私は、事業主負担による子ども・子育て拠出金の問題だと思っています。

 子ども・子育て拠出金については、年々これが上がっていまして、制度発足時は〇・一五%、そして現在は、法定上限〇・四五%で、実際の拠出金率は〇・三六%、こうなっていて、これは税でも社会保険でもないという制度であります。

 私は、このコロナの時代でもあり、そして不公平感も実はこれは結構あります。事業所によっては、この拠出金を払っていないところもあります。ですから、私は、このこども家庭庁設置法案が成立をして、成立をした暁に予算が倍増されることを目指してこれから進んでいくとするならば、税でも社会保険でもないこういう国民負担を更に増やしていくようなことがあってはならないというふうに思います。

 つまり、本法案の理念に照らして、先ほど野田大臣が、安定財源、こうおっしゃられましたけれども、別の財源確保も視野に入れて、改めて制度改善を、この問題については私は目指すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童問題は早急に解決すべき課題でございます。待機児童の解消を図るため、保育の受皿整備を推進するなど、仕事と子育ての両立支援を充実することは企業にとっても労働力確保に資するものと考えております。

 こうした観点から、事業主団体と協議を重ねまして、平成二十八年度からは企業主導型保育事業の創設、平成三十年度からは子育て安心プランに基づく保育所の運営費の追加拠出をお願いをし、またさらに、令和三年度からの新子育て安心プランに基づく保育の受皿確保に必要な費用、これを令和七年度までの間に約一千億追加拠出をいただくということで、子ども・子育て支援制度に基づいてこういった追加拠出をいただいているというところでございます。

 これらの拠出金制度の拡充に当たっては、事業主団体との協議の場におきまして、拠出金の収支や積立金の状況などを示しつつ丁寧に協議を行ってきたところでございます。今後も、拠出金事業の実施状況や拠出金の収支、あるいは積立金の状況も踏まえながら、毎年度の拠出金率について、事業主団体と丁寧に協議を行いながら検討していきたいというふうに考えております。

高木(啓)委員 事業主に負担を負わせるということだけではなくて、やはり安定財源という意味でいえば子供国債みたいな形だって考えられるわけですから、将来世代に対する負担を求めていくということも含めて、改めて、私は、安定財源という今のキーワードに取り組んでいただきたい、このように思います。

 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林晃です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただければと存じます。

 まず、与党案のこども基本法案についてお伺いをいたします。

 与党案のこども基本法案には、子どもの権利条約に規定されているいわゆる四原則、これが第三条の基本理念に定められておりまして、この中には六項目ございますが、一から四番目の冒頭四項目が対応をしていると認識をしております。

 その上で、第三号では、四原則のうちの意見表明権が示されております。ただし、それだけではなくて、加えまして、多様な社会的活動に参画する機会の確保ということも規定をされています。これは我が党からの意見も踏まえて記述したものと承知をしておりますが、この規定の趣旨や狙いについて、提出者に伺います。

中野(洋)議員 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、本法案の第三条第三号においては、子供が意見を表明する機会の確保とともに、多様な社会的活動に参画をする機会の確保、これを掲げております。これは、年齢及び発達の程度に応じてではございますが、子供を共に社会を支える一人の主体として認めていこう、こういう趣旨でございます。

 このように、子供の参画を得ることで社会はより多様な視点を得ることになる一方で、子供にとっても、こうした活動を通じて、社会の中でおのずと自己肯定感や責任感等が養われることにもなろうと、提出者としては期待をしているところでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 この項目によって、子供とまた社会、両方にとってよりよい効果を与えていくということを期待しているということで、本当に大事な趣旨であるというふうに理解をさせていただきました。

 自分自身の体験としてもこういったことはあるわけですので、しっかりとやっていきたいと思うんですけれども、ただ、そもそも、その声を聞くということも、また参画してもらうということも、誰一人取り残さないという観点に立って考えますと、決して簡単ではないと思うんですね。そういう意味におきまして、本当に、私自身もしっかりと実現に向けて尽力をしていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、二点目ですけれども、今回のこども基本法の、既に制定されている基本法との関係を伺いたいと存じます。

 これまで子供政策の基盤となってきた基本法には、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、また、子どもの貧困対策の推進に関する法律、この三本があったと承知をしております。こうした基本法がある中で、今回、更にこども基本法を制定するその狙いがどのような点にあるのか。大綱、白書、閣僚会議の取扱い等といった観点も含めまして、従来三法との関係を、野党案との対比も含めまして、提出者にお伺いできればと存じます。

中野(洋)議員 お答え申し上げます。

 子供に関する施策につきましては、御指摘のとおり、三つの法律を含む諸法律に基づいて各般の施策の充実に取り組んでまいりましたが、残念ながら、少子化の進行や人口減少には歯止めがかからず、また、児童虐待相談や不登校の件数も過去最多という、子供を取り巻く状況は大変に深刻でございます。また、コロナ禍でそうした状況に拍車をかけているという認識であります。こうした危機的な状況に鑑み、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて、強力に進めていくことが急務になっていると考えております。

 提出者としては、こうした認識を前提とした上で、従来、諸法律に基づいて国の関係省庁や地方自治体において進められてきた子供に関する様々な取組を講ずるに当たって共通の基盤になるものとして、子供政策の基本理念や基本となる事項を明らかにすることにより、子供施策を社会全体で総合的かつ強力に実施をしていくための包括的な基本法が必要であると考えて、この法律案を提出した次第でございます。

 また、本法案においては、閣僚会議であるこども政策推進会議の設置と、こども大綱の作成を定めております。

 野党案との違いということでございますが、自公で提出している法案といたしましては、現在、具体的には、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律の三つの法律に基づいて、別々の閣僚会議の下で別々にそれぞれの大綱が策定されておりますけれども、本法案では、これらの閣僚会議を統合するとともに、大綱を一本化することとしております。これによって、全体として統一性のある子供施策の大綱が策定をされて、その下で、子供に関する施策がより一体的に推進されることが期待できるものと考えております。また、子供政策に係る白書についても一本化をすることとしております。

 なお、このような大綱と白書の一本化は、行政の事務的な負担の軽減にもつながると考えております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

平林委員 ありがとうございます。

 子供を取り巻く状況が深刻であるというのは、本当に私も認識を共有するところであり、その状況に対応するために、施策を強力に進めていくために共通の基盤を築いていく、そのために今回の法律を制定する。また、様々、三法あった下での大綱、閣僚会議、白書、そういったものも統一をしていくということで、本来あってはならないことですけれども、お互いに共通部分とかいうのがあった、そういう今までの状況も克服していったり事務負担も軽減をできるということで、重要な観点かなというふうに考えております。ありがとうございます。

 続きまして、今回の基本法案では、基本的施策として、子供等の意見の反映、支援の総合的、一体的提供の体制整備などとともに、関係者相互の有機的な連携の確保がうたわれております。そのことを規定しているのが第十三条であり、第二項では、都道府県及び市町村に対して、子供施策が適正かつ円滑に行われるように、地域において子供に関する支援を行う民間団体相互の有機的な連携の確保に努めなければならないと規定をされてあります。

 ここに民間団体というのが記述されているわけですけれども、その狙い、あるいは、今後期待される取組としてどのような内容を想定されているのか、提出者に伺います。

國重議員 平林委員にお答えいたします。

 各地域における子供施策の適正かつ円滑な実施に当たっては、医療、教育等に関する業務を行う関係機関のみならず、子育て支援団体を始め、地域において子供に関する支援を行う民間団体の活動が重要であります。

 そこで、これらの関係機関や民間団体が相互に連携できるよう、第十三条第二項で、都道府県及び市町村がこれらの有機的な連携の確保に努めなければならないとしました。

 この有機的な連携の具体的な取組としては、関係機関と民間団体、官民の適切な役割分担の下、情報の連携による支援ニーズの迅速な把握や支援の実施などが想定をされます。これにより、各地域における子供施策に関わる支援が効率的に、また切れ目なく行われることが期待をされます。

 以上です。

平林委員 ありがとうございます。

 実際に現場において子供に支援をしていただいている民間団体は様々あるわけで、そういった皆様と連携をしっかりとしていくことで子供施策を迅速に進めていく、本当に極めて重要な観点と思います。

 また、第二項の次、第三項に協議会が規定されておりまして、関係機関及び民間団体も構成メンバーとなるということで、その有機的な連携がしっかり図られていくことを期待をしております。よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

 続きまして、こども家庭庁設置法案についてお伺いをさせていただきます。

 まず一点目です。

 本法案では、第三条第一項におきまして、心身の発達の過程にある者を以下「こども」という、このように定義をされています。

 この定義、子供を年齢で規定していないということで、重要な点であると考えております。支援対象者を年齢で区切ってしまったばかりに、本来支援の手を差し伸べるべき方が必要な支援を受けられなくなることの弊害が様々なところで指摘されてきたと承知をしておりますが、改めて、提出者の意図するところをお伺いできればと存じます。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 政府提出法案におきます子供の定義についてのお尋ねでございます。

 平仮名表記の「こども」でございますけれども、基本的に十八歳までの者を念頭に置いていますけれども、子供が大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程は、その置かれた環境にも大きく依存し、子供によって様々でありますし、乳幼児期からの連続性を持つものでもあります。また、円滑な社会生活を送ることができるようになる時期も個人差があります。

 したがいまして、それぞれの子供や若者の状況に応じて必要な支援が十八歳や二十歳といった特定の年齢で途切れることなく行われ、思春期から青年期、成人期への移行期にある若者が必要な支援を受けることができ、若者が円滑な社会生活を送ることができるようになるまでを社会全体で支え、伴走することが必要であると考えております。

 このため、こども家庭庁設置法案におきましては、平仮名表記の「こども」で表示しておりますけれども、心身の発達の過程にある者と定義しております。

平林委員 ありがとうございます。

 年齢で区切らないということで、支援の手から漏れるようなことがあってはならない、そのために子供の定義を適切に広げていこうと。誰一人子供が取り残されない社会の実現のためには、適切な定義というふうに考えております。

 続きまして、こども家庭庁設置の主眼の一つであります縦割り行政の打破、これは極めて重要な点であると考えております。野田大臣にお聞きできればと思っております。

 例えば、ヤングケアラーの問題がございます。御存じのとおり、ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子供とされておりまして、先日七日に厚生労働省の方から、小学校六年生のアンケート、十五人に一人が世話をしているという答えがあったり、また、大学三年生におきましても、約一割が、今やっている、あるいは過去にやったことがある、そういう結果も出ております。

 私も、実は、前職の大学教員時代に、会議に提出される資料で、休学をするあるいは退学をするという理由に家族の介護ということを目にしまして、本当に深刻だなということは認識をしてまいりました。

 ところが、こうした状況は以前からあったと思うんですけれども、政府の対応としては、二〇二一年三月、およそ一年前に、我が党の伊藤孝江参議院議員の質問に対して、当時の菅総理大臣が支援に言及していただいて、それ以降、政府の取組が強化されていったと認識をさせていただいております。学校の教育現場で異変が検知をされ、それをトリガーとして厚生労働省が対応の手を差し伸べる、こういったことがより早い段階で実現をされてもよかったのかなというふうに考えるところであります。

 今後、こども家庭庁が設置されることによって行政の縦割りがどのように打破されていくのか、野田大臣に伺えればと存じます。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 お答えいたします。

 こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供、子育て支援や少子化対策、そして児童虐待などの子供政策に関する総合調整権限を一元化して、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしています。また、こども家庭庁においては、子供の福祉の増進や保健の向上、権利利益の擁護等に関する事務を自ら行うこととしています。

 今御指摘のヤングケアラー、この問題については、これまで、家庭内のデリケートな問題であることとか、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいという構造になっていましたが、厚生労働副大臣と文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームにおいて、昨年五月には分野横断的な支援施策の取りまとめが行われるなど、関係機関の連携の強化、支援の充実を図ってきたところです。

 今後、こども家庭庁においては、ヤングケアラーなど、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題、これらについても、関係府省とも緊密に連絡しながら、司令塔として、また自ら対応することにより、誰一人取り残されることのないように、しっかり取り組んでまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 本当にこれは重要な点だと思っております。今まではざまに落ちてしまっていた部分を、司令塔として、あるいは自ら実施することによってしっかりと手当てをしていくということでありまして、本当に、そのことが実現されていって、子供の福祉、保健、教育、そういったことがしっかりと増進されていくということを心から期待をしております。

 続きまして、こども家庭庁では、基本理念の一つにプッシュ型支援への転換を掲げて子供政策を進めるとしておられます。その実現に向けては、子供を守るための情報、データの連携が極めて重要になってまいります。

 この情報、データの連携の取組を今後どのように進めると検討しておられるのか、政府参考人に伺います。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 情報、データ連携の検討についてということで。

 子供に関する情報、データ連携は、現在、デジタル庁、内閣府、内閣官房、文部科学省、厚生労働省が連携して進めているプロジェクトでございます。住民に身近な自治体において、子供や家庭に関する、御指摘ありました教育、保健、福祉等のデータを個人情報の保護を前提とした上で連携させて、潜在的に支援が必要な子供を発見して、アウトリーチ型、プッシュ型で必要な支援につなげていくということで、昨年末に閣議決定した基本方針にもそのように位置づけているところでございます。

 その上で、検討の状況でございますけれども、現在、デジタル副大臣を主査とする副大臣PTに内閣府の赤池副大臣も参加しまして検討を進めています。六月を目途に論点整理を行う予定でございます。

 それからもう一つ、今年度は、デジタル庁を中心に、七つの自治体において実証事業を進めるとともに、その状況を踏まえて、必要となるデータ項目、活用方法、個人情報の扱いなどの制度面、運用面の課題を調査研究していくということを考えております。

 どうぞよろしくお願いいたします。

平林委員 ありがとうございます。

 今検討を進められているということでございますけれども、データ連携、あくまでこれは手段でありますので、本当に、何をしていくのか、そのためにどういうデータが必要なのかということもしっかり御検討いただいて、適切な対応をお願いできればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 少子化対策には、男女共同参画あるいは地方創生、これも極めて重要な関連テーマというふうに考えております。より一層の男女共同参画や地方創生を進めるために、少子化対策の観点からこども庁が推進していけることに関しまして、野田大臣は今、地方創生、男女共同参画も担当大臣であられますので、御所見を賜れればと存じます。よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 まさに私自身が痛感しているところでございまして、少子化対策は、その背景に、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因があります。また、地域の実情に応じた取組が重要であるということから、男女共同参画や地方創生と連携した取組を進めることが必要だと思います。

 こども家庭庁においては、総理を長として、男女共同参画担当大臣や地方創生担当大臣を含めた全ての閣僚を構成員とする、子供政策に関する閣僚会議を運営することとなっています。子供政策推進に当たっては、そうした場も活用して、こども家庭庁を担当する大臣と、男女共同参画や地方創生を担当する大臣がしっかりと連携して政府全体の少子化対策を進めていくこと、そういう考えでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 閣僚の皆様が連携をしていただいて、本当に様々な、必要なことをしっかりと進めていただけるということでありまして、本当に、是非ともお願いできればというふうに思います。

 今、閣僚の皆様の連携という話もありましたし、現場の連携という話もありました。本当に様々な、日本社会が連携をしていって、子供のために動いていく、こどもまんなか社会を築いていく、そのために私もしっかりと努力をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党の大串博志です。

 野田大臣、どうぞよろしくお願いします。

 大臣とは、思い出すと、三年前の予算委員会のときでしたね、委員長さんでいらっしゃいまして、私は野党側の理事でしたので、大分激しい議論を、委員長とではありませんけれども、閣僚の皆さんと交わさせていただきました。大変お世話になり、御面倒をおかけしまして済みませんでした。

 当時は統計問題だったですね。かなり激しい議論、堅い議論にもなりましたけれども、私は実は堅い面ばかりではございませんで、実は私、両親が両方とも小中学校の教員で、子供政策は、私自身、非常に重視して取り組んでまいりました。

 私のキャッチフレーズがありまして、もうずっと、初当選以来、初立候補前から使っているんですけれども、全ては子供たちのためにというキャッチフレーズで、私はずっと一貫して通しています。この意味するところは、思うところは、子供たちを中心に考えた政治を行えば、絶対に、どんな政策でも間違えた政策にならないんじゃないか、こういう思いで十八年間やってまいりました。

 そういう思いで、私自身、社会保障・税一体改革の担当政務官として民主党時代に関わったわけですけれども、そのときには、消費税の使途を、それまで、高齢者福祉三事業、つまり高齢者医療と介護と年金、消費税の使途はそこに決まっていたわけですけれども、民主党政権の社会保障・税一体改革の際に、担当政務官として、子供、子育てにも消費税の使途を充てていこうということで、そういう方向に切り替えさせていただきました。

 先ほどの〇・三兆円の問題もありましたけれども、〇・七兆円、消費税財源から確保して、子供、子育てをしっかり推進していこう、こういうふうなことでやってきた経緯がありますものですから、私としても非常にこの問題、大事に考えておりますので、是非大臣、しっかり頑張っていただきたいと思いますし、そういう観点から、またこの法案に関しても厳しい目線でしっかり議論させていただきたいと思います。

 まずは、具体的に少し議論させていただきたいんですけれども、総合調整というところが、私、非常にやはり気になっています。

 その観点で、一つ例を挙げて取り上げたいんですけれども、子供の通学路の安全性の問題なんですね。

 昨年、ちょうどこの時期に近い時期、千葉県八街市で、飲酒の運送ドライバーの車が小学生の列に突っ込んで、五人のお子さん方が死傷されるという大変痛ましい事件がありました。三年前には滋賀県大津市で、保育園の児童さんの列に、右直事故、車が突っ込んで、十数名の園児の皆さんが死傷された。これも非常に見ていてもつらい事故でした。

 全国で通学路の事故というのはやはり今でも起こっています。写真をお配りしましたので見ていただきたいと思いますけれども、私の地元の佐賀県でも、日々、通学路の安全性の問題、何とかしてほしいという要望、要請が上がってきています。

 恐らく多くの皆さんのところでもそうだと思いますけれども、これは佐賀県武雄市内の一例です。見ていただきますと、こういう道路を、今日は、ここに子供たちの顔が写るとあれだったので、子供たちのいない時間帯に撮影したんですけれども、ここを子供たちは毎朝通って、毎夕通って学校の通学をやっているんですね。ガードレールはあるけれども、車をよけようとしたら水路におっこちるかもしれない。車ともう本当にすれすれ。右下の写真なんかは、自転車に乗った中学生がいますけれども、これは車道を走らざるを得ないですね。こういう状況なんです。

 先般の八街市の事件を受けて全国的な一斉点検が行われていまして、その中で、全国的にも点検されていますけれども、佐賀県内でも全体で八百十四か所の危険箇所、要対応箇所が浮き彫りになりました。道路だけで六百八十六か所、小さな県で六百八十六か所もこういうところがあるんですね。ここを毎朝、毎夕子供たちが行き来している。本当に親としては、私も子供の親としては心配になる、そういう状況です。

 担当の方にお聞きしたいと思いますけれども、この子供の通学路の安全に対する取組、政府としてはどのように進めてきていますでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 通学路の安全対策ということです。昨年六月の、御指摘ありました千葉県八街市における事故を受けまして、子供が犠牲となる痛ましい事故が二度と起きないように、同年八月、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策を策定して、各種対策を行っているところでございます。

 特に、通学路における合同点検それから対策につきましては、全国の小学校を対象に通学路点検を行いまして、対策必要箇所が七万六千四百四か所という報告を受けております。これらの箇所については、令和五年度末までにおおむね対策が完了できるよう、関係省庁が連携して、迅速、着実に進めているところでございます。

 内閣府としても、関係省庁と連絡、連携を図りながら、対策に遅れが生じないように、担当である若宮大臣の下で、政府全体の進捗状況をしっかり管理していきたいと考えているところでございます。

大串(博)委員 令和五年度までに、合同点検であぶり出された対応箇所を対応していくということでした。

 ちょっと一つ個別にお尋ねしたいんですけれども、私が挙げたのは武雄市の道路の例なんですけれども、道路においても、全国的に、全体で三万九千九百九十一か所の対応箇所があるということが調べられておるんですけれども、佐賀県でいうと六百八十六か所、非常に多いんです。これらを令和五年までに、この箇所を、道路施設者、国土交通省が担当されると思いますけれども、これらを安全にしていく、令和五年までに。

 この取組は、特に、これは写真で見ていただくと分かるように、国道ではなくて、県道とか市道が多いんですよね。こういった、国土交通省が直接管理できない、県とか市とかにもお願いしなきゃならないこういったところを、道路管理者対応ということで、約四万か所の対応箇所が浮き彫りになってきています。

 担当は国土交通省になっていると思いますけれども、これは本当に令和五年までに対応し切ることができるんでしょうか。状況を教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 道路管理者が対策を行う箇所は、先生御指摘のとおり、約四万か所でございますけれども、具体的な対策といたしましては、歩道の整備、それからガードレールの設置などに取り組むことといたしております。

 実は、国土交通省といたしましては、地方自治体が実施するこれらの交通安全対策を計画的かつ集中的に支援するために、令和四年度に個別補助制度を創設し、財政的な支援を実施することとしております。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、この補助制度を活用して、しっかりと通学路の安全対策に取り組んでいきたいと考えております。

大串(博)委員 相当大変な事業だと思うんですよ。今言われたように、ガードレールの整備、そして歩道の整備、このような道路がたくさん世の中にあるところで歩道の整備をしていかなきゃならないというと、相当大変なことだと思うんですね。

 今、令和四年度から個別補助制度があるので、それを使ってということなんですけれども、全国で四万件の箇所ですから、是非力を入れて、子供たちが安心して学校に通えるように頑張っていただきたいと思うんです。

 野田大臣にも、子供政策全体を所管する担当から是非御決意をお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

野田国務大臣 子供を育てている母として、やはり一番毎日心配するのは交通事故。交通事故に巻き込まれないかということで、まさに委員の御指摘は大変大切なことだといつも思っています。さらに、十八年、ずっと子供のことを思い続け政治をしていただいたことに感謝をするとともに、私も同じ時期にちょうど本を出しまして、やはり子供が守られない国は駄目だということで、当時は全く社会の反応がなかったということを今思い出しました。是非引き続きお願いします。

 こども家庭庁ができれば、今回は総理の下でそういう会議が開かれましたけれども、総合調整を担っていますので、しっかりと司令塔として、そういうものが起きたら迅速に会議等を立ち上げて、皆様方と解決に向けて主導権を取って取り組んでいきたい、そういうふうに決意したいと思います。

大串(博)委員 是非しっかりお願いしたいと思います。

 そこで、ここからは総合調整等の観点なんですけれども、これは非常に、例えば子供の通学路の安全一つ取っても、資料の裏面を見てもらうと分かりますように、各省が絡んでいます。これはざっと、細かい資料で失礼ですけれども、文科省、国交省、警察庁、厚労省等々が絡んでくるわけですね。横調整が必要になってきます。

 先ほど内閣府の方の答弁で、これらの取りまとめは今、若宮大臣だということでありました。昨日お話を聞いたら、若宮大臣が担当されている交通安全という所管があられまして、若宮大臣がこの全体を取りまとめられていらっしゃるということでありました。

 野田大臣にお尋ねしたいんですけれども、私は、子供の通学路の安全という観点は非常に私としても気になる重要な案件なので、こども家庭庁ができて専任の担当大臣がおできになるということであれば、この子供の通学路の安全の問題も、若宮大臣ではなくて、やはりこども家庭庁担当の特命担当大臣がこの総合調整を担うべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

野田国務大臣 通学路の安全確保については、それぞれ、道路交通環境の整備、速度違反とか取締り装置の整備については国土交通省、警察庁、登下校の見守り活動については文部科学省、そして、交通安全教育や交通安全の取締り、これは警察庁、それぞれが専門的に、その積み重ねの中で所掌に基づき日々取り組んでいるところですが、今御指摘のあの八街の痛ましい事故の場合には、通学路の合同点検を行うことになりまして、これは、文部科学省、厚生労働省、内閣府、国土交通省、警察庁が関わっています。

 こども家庭庁においては、子供政策に関する総合調整権限を一元化いたしまして、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしておるので、今後、例えば子供の重大な事故等が発生した場合、子供の安全確保のための点検などにおいて、こども家庭庁が強力な総合調整権限に基づき、それぞれの役割を担う各省庁と密に連携して取組を進めるということになります。

大串(博)委員 確認ですけれども、例えば、今回の小学校の通学路安全管理のための緊急対策は、令和五年までに完成させていくということになっているわけですね。こども家庭庁も立ち上がっていきます。

 今の御答弁、もうちょっと切り返させていただきたいのは、そうすると、この件は若宮大臣のところから野田大臣が引き取られて、こども家庭庁の担当大臣が、今後は、こども家庭庁立ち上がり以降は、担当大臣が置かれて以降は、総合調整機能として若宮大臣から引き取っていくということでよろしいですか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 子供の通学路の安全確保に関しては、実は、こども家庭庁設置法案におきまして、全体、包含する総合調整規定がございますので、今、大串委員が御指摘になりました案件につきまして、仮にこの法案が通りまして令和五年四月一日にこども家庭庁が設置されれば、こども家庭庁の方の担当する大臣に引き継がれることになるというふうに考えております。

大串(博)委員 一つ、ちょっともう少し突っ込んでお尋ねしたいんです。

 昨日、質問レクをしたときには、担当の方からは、これが野田大臣のところに引き継がれるかどうか決まっておりませんという答弁でありました。今は、引き継がれることになりますという答弁でした。ということは、昨日までは決まっていなかったけれども、質問レクを受けて、ああ、こういう論点があるのかということで、昨日議論されて、それを決められたということかと存じます。

 それでは、私、どうかなと思うんですよ。こういう重要な問題が多々ある。当然、法案策定過程の中で、こういった論点も、こども家庭庁の中に取り込むのがどうかという議論が行われてしかるべきだったと私は思うんです。

 そういう意味で、まだまだ、こども家庭庁における総合調整に関する議論は、かなり尽くされていないところがあると私は思うんですけれども、いかがですか。

谷内政府参考人 お答えします。

 済みません、先ほどの答弁、若干私の誤解に基づいた答弁になって申し訳ございません。

 実は、先ほどの、今若宮大臣が担当されている部分につきましては、いわゆるこども家庭庁としましては、総合調整機能に基づいて関与していくということでございますので、済みません、先ほどの答弁、修正したいと思います。どうも申し訳ございませんでした。

大串(博)委員 ということは、総合調整機能に関する規定がありますので、総合調整として関与していくと。しかし、若宮大臣は若宮大臣として、この子供の通学路における交通安全ということは引き続き関与されるということでした。

 総合調整ということに関して少し議論を進めさせていただきたいんですけれども、総合調整ということで、一段上の立場からと言われています。一段上の立場からとは一体どういうことなのかということなんですけれども、一段上の立場からとは一体法文の、この法律の中に一段上とどこにも出てこないんですけれども、一段上というのは一体どこに表れているんでしょうか。

野田国務大臣 この議論の中でも、子供のために何かしなくてはならない、そのための、やはり子供のための組織体をつくっていかなければならないというのは多くの方のコンセンサスだと思います。

 その形として省か庁かという中で、ややもすると、外形的に省の方が上ではないかという考えもございましたので、私とすると、庁が下で省が上ということではないという意味で、庁の、内閣府の外局の役割が法律でどう定められているかということについて、省ではできない庁の役割、それが例えば総合調整機能、そういうことを申し上げたんです。

 きちっと申し上げてよろしいですか。お時間いいですか。(大串(博)委員「どうぞ」と呼ぶ)

 こども家庭庁がその外局として置かれる内閣府は、内閣の統括機能を補佐するために、内閣府設置法に基づいて内閣に置かれている一方、文部科学省などの各省は、よく御存じだと思いますけれども、国家行政組織法に基づき、内閣の統括の下に置かれる点が一番異なるわけでございます。

 内閣府は、分担管理事務のみならず、政府部内の統一を図るため、横串を刺す、総合調整等を行う内閣補助事務を担っている一方、各省は、分担管理事務のみ、自らの仕事のみを原則として担います。

 ですから、内閣府はこのような位置づけを持つことから、総合調整等を行うに当たっては、担当大臣の勧告権等を背景にして、一段高い立場から行うことが可能になるということでございます。

大串(博)委員 各省大臣は、国家行政組織法に基づいて、基本的に分担管理事務を持つのみ、内閣府の特命担当大臣は、内閣府設置法に基づいて、総合調整、内閣の、内閣補助事務という規定がありますので、そこを用いて内閣の重要政策に関する施策の統一を図るということを行う、こういうことですね。だからそこが一段高いんだ、こう言われます。

 私、ちょっと疑問になるのは、若宮担当大臣も内閣府特命担当大臣です。各省にまたがるこのようなことの取りまとめを行っていらっしゃる、ある意味、総合調整を一段高いレベルから内閣補助事務として行っていらっしゃるわけですね。

 特命担当大臣には勧告権、調査権等々の権限が与えられている。これがあるから、こども家庭庁を担当する大臣にも強い権限が与えられているんだと言われますが、子供の通学路に関しては、若宮担当大臣も特命担当大臣として勧告権、調査権等々を持つわけですね。バッティングするわけですよ。若宮大臣の持つ勧告権や調査権と、野田大臣が持たれるであろう、こども家庭庁の担当大臣としての勧告権と調査権、同じものを両方持たれるわけです。

 一体、これは本当に一段上の立場なんでしょうか。ほとんど同じ立場だと思うんですね。もっと言うと、内閣府の特命担当大臣は、全員が勧告権、調査権を持っています。本当にこども家庭庁の担当大臣が一段上の立場と言えるんでしょうか。野田大臣、どうお考えになられますか。

野田国務大臣 内閣府特命担当大臣は、内閣総理大臣が、内閣の重要政策に関して政府部内の統一を図るため、特に必要がある場合に、内閣総理大臣を助ける職として置くものとされていて、今般の政府提出法案においては、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣を必ず置くということにいたしました。

 内閣府特命担当大臣の総合調整、今お話がありました総合調整には、他の大臣が行う総合調整との間の相互の調整も含まれているので、お尋ねのようなバッティングという状況はなかなか想定し難いと思われますけれども、内閣府特命担当大臣の総合調整は、他の大臣が行う総合調整と同様に、内閣総理大臣を助けるためのものであって、必要な局面において、内閣総理大臣の指揮監督権を背景とした調整が行われることになります。

大串(博)委員 今おっしゃった答弁に基づく権限は、若宮特命担当大臣にも全て与えられている権限なんです。だから、私、非常に心配しているんです。本当に一段上の立場とは言えない。だから、このこども家庭庁法案ができたとしても、野田大臣が本当に熱意を持って取り組まれようとしていても、ひょっとしたらというか、かなり高い確率で十分な力を発揮できない可能性もあるんじゃないかという懸念を持っているわけです。

 更に申し上げますと、各省大臣との関係もそうです。先ほど来、教育との枠組みの話もありました。いじめ等々、いろいろ大きな問題も文科省との間でやり取りしなきゃならぬことがあるかもしれません。

 先ほど言われました、各省大臣は分担管理事務のみを持っているので、総合調整機能を持っている内閣府の特命担当大臣の方が力は強いんだ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、国家行政組織法上、十五条の二ですけれども、各省担当大臣も勧告権、調査権、これを持っています。規定の書きぶりは、全く内閣府特命担当大臣と同じ勧告権、調査権です。

 このことは事実として、まず、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、各省担当大臣も勧告権、調査権を横串政策に関しては持っている、こういう理解でよろしゅうございますね。

相川政府参考人 お答えいたします。

 各省の持ちます御指摘の総合調整権でございますけれども、閣議で決定された基本的な方針に基づきまして各省として総合調整を行うことができるという規定でございますので、恒常的に何か総合調整ができるというものではないという意味で、内閣府の総合調整とは異なるというふうに考えております。

大串(博)委員 そうおっしゃるとは思っていたんですけれども。

 すなわち、閣議決定をもってして、この大臣にこういう重要政策をやってもらおうということが決まれば、その各省大臣も、内閣府特命大臣と全く同じ勧告権、調査権を持つような国家行政組織法上の規定になっているわけです。だから、今回いろいろ言われている勧告権とか調査権、それをもってして、一段上ということで、こども庁担当の大臣がそんなに力を発揮できるようなものになっていないところが、私、非常に心配しているんです。

 これもあって、先ほど申し上げました、野田大臣には、子供の通学路安全に関しては、私は、しっかりやっていただくとすると、若宮大臣からいっそのこときちんと野田大臣の手元に引き取っていただいて、きちんとやっていただいた方がいいという思いで申し上げさせていただいたんです。

 このように、総合調整事務に関しては、この法案、私、言われているほどは力が野田大臣のところに与えられていない法案だと思っています。非常にこの辺は懸念しておりますので、更にこの議論の中で詰めさせていただきたいと思います。

 最後に、保育所等々の話なんですけれども、配置基準の話です。

 岸田政権の下で、保育士の皆さんに対する九千円の処遇改善がありました。しかし、これは、既存の配置基準に応じて配置されているがゆえに、今の保育園等々の皆さん、既存の配置基準以上に保育士の皆さんが配置されている例がやはり多いんですね。なので、結局、配置基準よりも多い保育士さんに頑張っていただいているものですから、九千円も結局薄まってしまって、十分行き届いていないという現状があります。

 これをどうするかということになってくると、私は、やはり今、配置基準、ゼロ歳に関しては三対一とか、一歳、二歳児には六対一とか、あるいは、三歳児は二十対一ですね、加算もありますけれども。四歳児以上は三十対一。私、例えば保育士さんの皆さんが、何十人という三歳児、四歳児の皆さんを少ない人数で散歩に連れていくときとかやられているのを見て、さっきの通学路の問題じゃないけれども、本当に危ないなと思うときがあるんですよ。実際、だから、実情に応じて、各保育園においては基準以上の配置をされているところがかなり多いわけじゃないですか。それが実態、ニーズだと思うんですよ。

 私は、この九千円の処遇改善も、これもいいですけれども、私たちは足りないと思っていますけれども、配置基準、これは加算というやり方もあるかもしれない、これを抜本的にやはりもう見直すときに来ているんじゃないかと思うんですね。

 先ほど、〇・三兆円の財源の問題もありました。これから予算を通じて確保していくというふうに言われましたけれども、保育の質の確保の問題、今後、野田大臣の手元にこの所管は移ってくるわけですので、野田大臣、やはり、私、この配置基準に関しては、今こそ、加算やあるいは配置基準の見直しを通じて、〇・三兆円の予算の確保も抜本的に行って、担当してやっていくべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の配置の改善を図っていくということは、保育の質を向上するという観点から非常に重要な課題だというふうに考えておりまして、三歳児の配置改善につきましては、委員御承知かと思いますけれども、平成二十七年度から取り組んでいるところでございます。加算という形ではありますが、取り組んでいるところでございます。

 一方、いわゆる〇・三兆円超の質の向上のメニューのうち、一歳児、四、五歳児の配置改善につきましては未実施になっているというのは事実でございます。こういった積み残しの課題につきましても、各年度の予算の編成において必要な財源の確保にしっかり努めていきたいと考えております。

野田国務大臣 今参考人から話があったように、お約束のことですから、しっかり進めてまいりたいと思います。

大串(博)委員 配置基準のことは、まだ行われていないので、どこかで大きな意思決定をやっていただかなきゃならないんです。〇・三兆円を得ていくというのはもう決まっていることですけれども、実際の質的改善として、配置基準を見直すか、あるいは加算を大きく加えていくかということは政治決定がなされていないので、ここは大臣に是非お願いしたいんですけれども、いかがですか。

野田国務大臣 こども家庭庁の設置の意味というのはそこにあって、未就学の子供たちにしっかりと保育、学び、その良質な環境を与えるということにございますので、そのことも当然大事なエレメントになりますので、しっかり取り組みます。

大串(博)委員 是非よろしくお願いします。

 終わります。

上野委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 今日は、内閣委員会で、野田大臣また小林副大臣と議論させていただきますこと、こども家庭庁、こども基本法も含めて子供の議論をさせていただきますことを、心から感謝申し上げます。

 それでは、少し順番を変えまして質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、子供に関する情報、データ連携についてですけれども、伺ってまいりますが、まず資料の方を御覧いただければと思います。

 まず一ページのところでありますが、日本の子供の幸福度、これはよく言われております。そして、特に、残念なことに、精神的幸福度が三十八か国中三十七位と、これも前に比べて下がってしまっているということは深刻な問題だと思います。そして、それは、ここに書かれているとおりでありまして、例えば自殺も、若者において、残念ながら十万人当たり七・五人という高い数字になっております。

 そういうことを見ても、どうしたらここを改善できるのかということが一番の、このこども家庭庁に期待をされていることではないかと私は考えますし、何が変わるのかということをよく自治体の議員さんからも聞かれているところです。

 まだ自治体の方にこれは下りていませんけれども、本当にこれだけの盛りだくさんのことを一元化して、じゃ、自治体の方でどうやってやっていくんだろうと、大変心配の声もいただいている中であります。

 そこで、今のそうしたデータを見ていただく中で、これを改善するために、私たちも与野党を超えてやっていきたいという思いで質問させていただきますが、まず、このデータ連携であります。

 子供の貧困、虐待、こうしたことが本当はあるんだけれども見えていない子供たちにも早く支援が届くようにという、プッシュ型支援のために行うということでありますが、一方で、教育データの利活用ロードマップの公表、これが非常に大きな反発を招いたように、非常に、政府が子供のデータを一元管理しようとしているのではないかという不安を抱く国民の声もありまして、私も実際、市民の方からそういうふうなお声をいただいているところです。

 個人データに関するルール整備や合意形成、分かりやすい発信ということが不可欠でございますので、是非、そのことをもちろん踏まえてやっていただくのはよく分かりますが、特に、今回、こういう初めてのことでございますから、自治体では先進的な取組が行われているけれども、それを更に横展開していくということも含めて、どういう成果を期待し、また、教育と福祉という、本当に究極の個人情報でありますから、これについてのどのような慎重な取扱いをされていくのか、副大臣に伺います。

小林副大臣 早稲田委員御指摘のように、やはり、困難を抱えている子供たちの状況が、実態が見えにくい、その結果、支援が届かないという実態があるというふうに認識しています。

 ここをこども家庭庁の中でサポートしていくということですけれども、やはり、ここがしっかり動けるようにするためには、我々、デジタル庁として、このデータのところでしっかりサポートをしていくというのが重要だというふうに考えています。

 そこで、それぞれのニーズに応じたプッシュ型の支援を行うために、子供に関する情報やデータを連携できる環境をつくっていくということです。

 ここでも、早稲田委員の問題意識のとおり、初めてのことにもなってきますので、このデータ連携を何に使って、どういう目的でするのかということと、もう一つは、このデータがどのように守られていくのかということを明確に国民の皆さんに共有しながら進めていく必要があるというふうに思っています。

 ですので、今、関係副大臣とともに副大臣プロジェクトでやっておりますけれども、このプロジェクトは、関係機関が保有する情報やデータを連携させていくことを目指してはいますが、改めて申し上げますと、国が情報やデータを一元的に管理するデータベースを構築することは一切考えておりません。あくまで連携をさせるということであります。また、情報やデータを連携する際の個人情報の取扱いについても、重要な論点として位置づけて検討を進めております。

 このように、個人情報の保護に配慮しながら丁寧に検討を進めることで、国民の不安を払拭し、必要な子供に必要な支援、サービスが届く社会を実現するために取り組んでまいります。

早稲田委員 慎重な上に更に慎重に重ねていただきまして、そしてまた、連携ができるようにということを広く国民の皆様にもアピールを更にしていただきたいと思います。

 その上ででございますが、データが連携をされても、その先にある支援が拡充をされなければ意味がございません。

 これは、副大臣プロジェクトの中でも議論がされておりますし、書かれていることですけれども、困難のある方を見つけるということのみならず、その後の具体的な支援を届けることが重要であるとされておりまして、特にここからがこども庁の出番なんだろうと思いますけれども、その中で、仕組みとして、要保護児童対策協議会、要対協、それから、ソーシャルワーカー、専門人材以外にも、NPO、民間人、それから民生・児童委員さん、そうした取組も拡充をしていくというようなものが書かれておりました。

 個々について御答弁をいただく必要はないんですけれども、とにかく、こども庁として、そういういろいろな、様々なことについて予算を拡充する、その権限を持って、こども庁が主体的にやっていくということの確認をさせていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょう。

野田国務大臣 今副大臣からお話がありましたように、データという、より困難な子供たちに早くつながるということがデータ連携の一番の重要な仕事だと思います。

 ですから、そのために、これまでやはり、福祉等では申請しなければ、申請することもできない、そういう方たちのために、ちゃんとプッシュ型、アウトリーチというのも同時にやらなきゃいけないということで、まさに御指摘のとおり、そこのマンパワーというのを増強していくこと、これは安定的に、そういう人たちの理解、国民の理解をいただきながらですが、データによって助かる、支えられる子供たちにしっかり答えを出していくことはそこなんだということも併せて、合わせ技で、安定財源の確保はこども家庭庁としてしっかり取り組んでいきたいと思います。

早稲田委員 安定財源、しっかり取り組んでいきたいというお言葉でございますので、そこをしっかりとまずやっていただかないと。

 よく、このこども家庭庁関連の資料にソーシャルワーカーという言葉が出てまいります。そして、確かに、これは教育の方で入れていただいておりますし、様々な場面で活躍をしていただいておりますが、圧倒的に足りないわけです。足りないということは財源がそこについていないということでありますから、そういうところも含めて、こども庁として御認識をいただいて、予算をつけていただきたいと思います。

 次の、子供のいじめ対策でございます。

 何が変わるのかという中でいえば、いじめ、不登校、それから児童虐待、こういうもの、もちろん子供の貧困もそうですけれども、最優先課題ではないかと思います。

 そこの中で、学校部門、文科省だけではなくということで、そこに期待する声もあるわけですけれども、資料の二を見ていただきたいと思います。これは、私がレクにおきまして、ビフォー・アフターの分かりやすい絵を提示してほしいと言ったら、これだけが出てまいりました。これも当初はいただけませんでした。これだけを見ると、何が変わるんだろうと私は非常に疑問なわけですけれども、どう改善されるのか。

 例えば、旭川の事例のように、本当に痛ましい、自ら命を絶つというような、そうした深刻な事案も減っておりません。その中で、学校や教育部局がいじめを認めずに死に追い込まれるようなケースを、もうこれ以上そんなことがあってはならない、今後どうやってこれを減らしていく、減らすというか、なくしていくと大臣はお考えでしょうか。これが一番の問題だと私は思っているわけですけれども、大臣のお考え、伺わせてください。

野田国務大臣 現在、いじめ防止の対策については、いじめ防止対策推進法、これらに基づいて、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組が進められてきているところです。

 こども家庭庁が設置された後は、こども家庭庁においても、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、文部科学省における取組に加えて、いじめ防止の取組を担うことになります。

 具体的には、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更する際、それに関与することになります。いじめ事案の把握、また地方自治体における相談体制などの体制づくり、これの推進をいたします。そして、いじめ重大事案への対応に際しての文科省との情報共有、そして連携した対策の実施、必要に応じた勧告権の行使などを考えているところです。

 今後、こども家庭庁において、こうした取組を通じてより多くの子供や保護者の悩みを受け止める体制を充実し、いじめ問題を学校、教育委員会等だけでなくて社会総がかりで対応できるようにしてまいります。

早稲田委員 今大臣いろいろおっしゃっていただきましたが、本当に、旭川の事例のような、こういう深刻な問題を、いろいろ、報道等があってから第三者委員会を設けるような、そういうことまで、こんなことがあってはならないわけです。今おっしゃった相談体制の充実、連携、情報共有、果たしてそれだけでどうなるものなのかと私は非常に疑問に思います。

 それで、NPO法人のプロテクトチルドレン、森田志歩代表、こちらがアンケートを三万人の子供たちにしました。このアンケート結果、先ほど大臣がおっしゃったいじめ防止対策推進法、これを知っていますかというアンケートですね、まず。これについて、大臣にもアンケート結果をお持ちしたいと報道によれば書かれておりましたけれども、それはまだなんでしょうか。その中の中身でございますが、一割未満の子供しかこの推進法を知らないということでありまして、特に、教えてもらっていないのは、自分たちのことなのに大変残念であるし、どうしたらこういうことが本人たちにも分かるかということは非常に重要な話だと思います。

 大臣も今まで、このこども家庭庁設置法案に向けましては、子供たちの声を聞いていただいている、これも私も確認をさせていただいておりますが、子供たちのための法律ですから、国会も含めて、もっと政府としても子供の意見をしっかりと聞いて、本当のことを、本当に困っていることを聞いていただきたいと思います。そうでないと、このいじめ対策は非常に、このものを見てもよく分からない、どれだけこども庁が関われるのかということが疑問でございますので、まず一点は、子供たちをどのように、例えば、いろいろな計画なんかを作るときにも子供を入れていただく、有識者会議にも入れていただく、そういうことも大臣としてはなさる予定というか、お気持ちがあるかどうか伺います。

野田国務大臣 先ほどのアンケートの件は、手元にはまだ届いていませんけれども、報道で知り得ました。

 やはり、ここは子供視点に立っていないんだろうなと。いじめを対策するための大人のための法律だから、子供に対して、いじめというのはあるよ、それは悪いことだよ、だから誰かに言いなさいということがやはり子供に伝えるべきことなので、こども家庭庁としてはそういうことを積極的にやっていきたい、発信していきたいと思っています。

 まだこども家庭庁はできていないんですけれども、今の私の活動の中で、多くの子供たち、個別であったりグループであったり学校単位だったり、様々、直接会ったりオンラインでやったりしていく中で、本当に、十人十色、いろいろな、多様な意見が聞けるということで、こども家庭庁はしっかりその文化を根づかせていき、常に、子供のための役所ですから、子供がいなければ成り立ちませんので、それは肝に銘じて頑張って取組を進めていきます。

早稲田委員 小林副大臣、これで。ありがとうございます、恐れ入りました。

上野委員長 小林副大臣におかれては、退席されても結構です。

早稲田委員 今、相談体制の充実のお話もありましたけれども、相談の窓口は増えております、増えていてもなかなか深刻な事案が減らない、重大ないじめ事案が減らないのはなぜなのかということでございます。

 文科省、来ていただいておりますので、いじめ防止対策について、こども庁と一緒に連携をしていくことで何がどう変わるのか、具体的に教えていただきたいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 いじめは主として学校における人間関係によって生じておりますので、いじめ対策につきましては、まず、一義的には文部科学省が責任を持ちまして教育委員会、学校に指導助言を行い、事案の解決につなげていくということが重要だというふうに考えております。

 他方で、いじめの中には、SNSなどによるいじめなど、発見しにくいいじめが多数発生をしてきておりましたり、あるいは、いじめの背景に家庭が要因となっている場合など、教育委員会、学校のみではその発見や根本的な解決が難しい事案といったようなことなどもございます。

 こうした事案に対しては、学校における組織的な対応を図ることはもとよりではありますけれども、福祉、医療、警察などの関係機関とも連携しながら、先ほど大臣からお話がありましたように、社会総がかりで取り組んでいくということが大事かと思っております。

 こども家庭庁が創設されました後には、文部科学省からは教育委員会に、また、こども家庭庁からは首長部局にそれぞれ働きかけを行うなどして、各地域における相談体制の整備ですとか、いじめ問題について関係機関が連携して当たっていくようなことなど、これまで以上により一層徹底した形でのいじめ対策の充実が図られていくことになると考えております。

 また、こうした各地域での取組がしっかり進められますように、文部科学省がいじめ防止対策推進法において策定いたしますいじめ防止対策基本方針、これの見直しにつきましては、こども家庭庁とも連携協力して見直してまいりたいというふうに考えているところでございます。

早稲田委員 基本方針の見直しも連携していく、それから、日頃からも連携を強化するということでありますけれども、なかなか具体的なものが見えてこないなと私は感じております。

 そして、相談体制の充実というけれども、これだけあっても、それでもなかなか相談ができない子供たちがたくさんいるのではないか。例えば、先ほどのNPOの方では年間に千件ぐらいの相談を受けているわけですけれども、その中で、SNSの相談がフィルタリングがかかっていることによってできないという報道がございました。

 文科省におかれましては、電話とかメールとかいろいろありますけれども、子供たちのいじめ相談、やはり、SNS、それから、本当だったら、私のインターン生から聞きましたところでは、独立した機関じゃないと言いたくない、とにかく誰かに知られたくないということも言っていました。そんなことも含めて、このSNSのフィルタリング、販売店におきまして、こういうものをやった方がいいですよということで、義務づけもありますのでやるんでしょうけれども、やはり、いじめ相談のフィルタリングがかからないようにということ、これも文科省としても取り組んでいただきたい。周知でもいいんですけれども、やっていただくことが重要じゃないかと思いますが、文科省から伺います。

 その後、大臣、このフィルタリングというのも必要だけれども、こういう実際に子供たちが一番使うようなものが使えなければ意味がありません。これについてもお願いいたします。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたように、子供たちがいじめを受けている、あるいはいじめを見つけたというふうなときに、教育相談の窓口に対してしっかりと相談ができる体制を重層的に組んでいくということが大変大事かと思います。子供たちが、ここには言いにくいけれども、ここならば相談できるといったような形で、いろいろな形での相談の窓口があることが望ましいというふうに思います。

 SNSを活用した相談体制ということにつきましても、私ども文部科学省におきましても、SNSなどを活用した相談体制の整備を図ってきているところでございまして、教育委員会と連携してやってきているところでございます。

 このほか、二十四時間子供SOSダイヤルなども設けておりまして、子供たちが、常に携帯した形で、どこに相談をしたらいいかというふうなカードなども配っているところでございます。

 フィルタリングのお話につきましては、子供たちがどのような情報にどのようにアクセスできることが望ましいのかといったような観点も含めて、総合的に検討していく必要があるかなというふうに思っております。

野田国務大臣 フィルタリングに関しては、当初、やはり子供の年齢に応じて、見てはならない暴力とか様々なことからやはり私たちは守らなきゃいけないということで、これはこの線でいかなきゃいけないと思いますが、例えば私が担当している孤独・孤立対策では、もう既に子供の窓口をつくってあります。それは、フィルタリングに関係なくホームページからアクセスできることがあるということ、そういうところをいっぱいつくることがこども家庭庁は大事なんだな、そういうふうに自覚していますので、取り組んでいきます。

早稲田委員 前向きに取り組んでいくということをいただきましたので、今の文科省の方と、もっとそこを踏み込んで、やっていただきたいと思います。余りそこが、やるおつもりがあるのかどうか、文科省の方ではよく分からなかったので。せっかくそこは大臣がしっかり分かっていらっしゃるので、やっていただきたいと思います。

 それから、重大事態への対処でありますけれども、ここが一番重要なわけでございまして、こども家庭庁は、情報を文科省と共有とはありますが、情報の把握は文部科学省のみにしかないわけですけれども、この把握を行わないのかということ。それから、深刻事案に対して、教育部局にもみ消されるというようなリスクもある中で、ストレートに首長部局からこども家庭庁の本庁に届く仕組みなどもつくる必要があるのではないかと思いますが。あとは、もう一つ、勧告権の行使。ごめんなさい、幾つか質問をまとめますが、必要な場合にやるということですけれども、本当に必要な場合にというのはどういう状況なのか。その三点、伺います。

野田国務大臣 続けてお答えしたいと思います。

 重大ないじめ事案への対応については、こども家庭庁は、文部科学省から必要な情報の提供を受けるとともに、地方自治体内での情報共有を促し、また、学校の設置者等が行う調査に当たっての第三者性の確保や運用改善を図ってまいります。その上で、特に必要がある場合には、文部科学省に対して勧告等の関与を行うこととしています。

 地方自治体からの情報収集を含めて、重大ないじめ事案への対応の際の具体的な事務の実施方法については、こども家庭庁が実際に設置されるまでに、文部科学省と連携しつつ検討を進めてまいります。

 勧告権についてですが、先ほども御説明したとおりになりますが、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣は、政府部内の統一を図るため、必要と認める場合には、関係行政機関の長に対して勧告する権限を持ちます。

 例えば、いじめ問題への対応に関しては、いじめ防止対策推進法第三十三条に基づいて、重大事態への対処に関し、文部科学大臣が都道府県、市町村に事務の適正な処理を図るための必要な指導、助言、援助を適切に行っていないと考えられるような場合には、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣が文部科学大臣に対して、必要な対応を行うよう勧告することが考えられます。

 具体的なケースや段階については現時点でお示しすることはちょっと困難ですが、そういうふうになると思います。

早稲田委員 今おっしゃったのは、勧告の内容について、最後ですけれども、これは重大事態ということで定義がされておりますが、いじめが疑われる自殺や長期欠席など、重大事態と位置づけた場合にということになりますと、本当に取り返しのつかない、その前に何かをしていただかなければならないということでありますから、そこのところはもっと早く文部科学省に言えるような体制をつくっていただきたいということは強く要望させていただきます。

 そして、なかなか、具体についてはこれから検討ということも言われておりますので、まだまだ生煮えの段階ではないかと思います。もう少し具体的なことを詰めていただきまして、今、教師の多忙化、教員の負担ということも大変多くなっておりますから、これを軽減する観点からも、こども家庭庁には是非いじめの防止対策について踏み込んだ取組をしていただきたいと要望させていただきます。

 それから、時間がなくなってまいりましたが、予算倍増の確保についてのロードマップであります。

 これは、岸田総理も将来的には予算倍増とおっしゃっています。私たちは子ども総合基本法の中にこれも入れ込んでおりまして、大体GDP比で三%までをやっていきたいというふうになっておりますが、残念ながら、この基本方針、政府案の方では、子供政策を強力に進めるための安定財源の確保が必要とされておるにもかかわらず、具体的な内容は示されておりませんし、今までの国会での議論の中でも具体的な財源の目途なども示されておりません。

 御覧いただきたい資料の方ですけれども、四ページの資料は、よくある家族関係支出。世界的に見ても、やはり先進諸国よりも半分ぐらいということで、大変低くなっておりますし、これをやらなければ、政策論と財源論は、これは両輪であります。それがなかなかお示しいただけないと、本当にできるのか、絵に描いた餅になるのではないかと心配もされます。

 なので、是非大臣には、その具体的な目標と時期、これを明確に示されるべきではないかと思いますが、お答えください。

野田国務大臣 岸田総理は、今おっしゃったように、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより将来的に倍増を目指していきたいと御発言されております。

 私としても、具体的な財源確保に向けたロードマップということではなくて、まずは子供の視点に立って、今、割とばらばらに各省取り組んでいることがあるんですが、そこをこども家庭庁という下に集積させて、そして、体系的に、優先順位等々をしっかり、国会の議論も通じて、必要な子供政策はどうあるべきかなどを検討していくことが最初に重要だと思っています。規模とか大きさとか時期ではなく。

 子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保については、昨年閣議決定をした基本方針で、「政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく。」としているところですので、今後、財源についても、政府全体でしっかり議論していく必要があると考えています。

 いずれにしても、子供に関する予算は、こども家庭庁が設置された暁には、しっかり体系的に取りまとめていきたいと考えています。

早稲田委員 ロードマップということではなくてという大変残念な答弁でございます。ここを示していただかないと、何を優先的にやっていくのかも見えませんし、やはり財源論ということを、しっかりと安定財源ということをやっていただいて、ここは最低、優先課題でやっていくんだということも、もうこうやってこども家庭庁法案が出ているわけですから、やっていただきたいと私は強く思います。

 そして、資料の三を見ていただきたいんです。なぜ、この財源、人員、それから予算を増やしていただきたいということを申すかといえば、これは、下に書かれているとおりの資料でありますが、OECDのワーキングペーパーの中で、どのような社会政策が子供の貧困を軽減できるかということであります。

 時間がないのであれですけれども、一人親家庭で大変子供の貧困率が高いということは、これは一番ですよね。五四・七%、これは世界一位ということになってしまっておりまして、これをなくしていくには、失業をなくすよりも、子育てによる社会的不利を除去する政策が一番重要だということが分かります。

 例えば、賃金差であるとか待機児童が多い保育、それから、家族手当が少ない、これはもう先ほど来申し上げていることでありまして、この中で、いろいろ識者の方たちが述べていらっしゃる、大体四・五兆、単年度でも足りないのではないか、これを追加すべきだという試算もされているところです。

 是非、私たちは、児童手当を高校生まで拡充、それから、児童扶養手当も一万円追加、それから二人親家庭にもということも盛り込んでおりますので、そうしたこと、それから、所得制限の撤廃、特に児童手当の特例給付の復活、それから、小児医療費の無償化、これも自治体で格差がございます。そして、所得制限をなくして無償化をすると、逆に国からのペナルティーのようなことになっている、これもずっと自治体から要望が上がっている優先課題であると思いますので、是非こうしたことを、この中で一つでも、野田大臣、今、イメージとしてやっていただきたいものはあると思うんですね。そういうことを示していただきたい、具体的に。

 このものをやるためにはこれだけの予算が必要だということを示していただきたいと思いますが、いつだったらそうしたことをお示しいただけるのか、再度伺います。

上野委員長 時間が過ぎておりますが、立民さんの範囲内でよろしいですかね。

 では、野田大臣、お願いします。

野田国務大臣 今、本当に、御指摘のとおり、子供の貧困の原因というのは、子供ではなく、やはり周辺の環境、例えば日本の場合は、離婚が三組に一組とか、一人親になる数が多くなっているというところで過去と違うし、あと、今取り組んでいる同一労働同一賃金、女性と男性の賃金の格差、これも、子供に直接のことではないけれども、やはり子供の貧困につながることですし、さらには、女性が七割働いている中で、その半分以上が非正規。そういう抜本的なところと子供に直接やることと、やはり連動させて同時進行でやっていかないと本来の子供の貧困は改善されないと思っていますので、しっかりそこら辺を連携しながら、真に子供の貧困の解消に向けて取り組みたいと思っています。

早稲田委員 ありがとうございました。

上野委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。関係各位に感謝を申し上げたいと思います。

 今ほど、早稲田議員からの、予算の確保、そして何をやるのかという質問に対して、抜本的な部分と、子供にとって直接というお答えがありました。

 私、この新たな組織、基本法ができるに当たって、子供自身から見たときに、何が変わるのか、何が子供たちにとってよくなったか、これが見えることはすごく大事だと思っています。

 私たち立憲民主党は、資料一のとおり、右側に、組織のところで、義務教育、幼児教育、これは子ども省に位置づける、これでいじめを一元管理、しっかり見ていくよという姿勢を示すこと、それから左側には、児童手当、あるいは貧困をなくすんだ、そのための予算を確保する、そして子供の権利をしっかり認めるということを書き込んで、子供たちにとっても、児童手当が増える、高校生にとっては増えるとか、いじめが、いろいろな目が入るよ、そういうことが法案の中に、子供たちにとって見えるということを重視して法案に盛り込みました。

 内閣府と、自民党さん、公明党さんの案、それぞれにお答えいただきたいんですが、組織あるいは基本法ができることで何が変わるのか、子供から見たときに何が変わるというところが特徴なのか、それぞれお答えください。

野田国務大臣 こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供の貧困対策や子供、子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化し、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしています。また、未就園児も含む就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策、子供の権利利益の擁護等を担う観点からの子供のいじめ防止対策などについても、自らが事務を実施し、関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしており、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題も含めて、子供や子育て当事者に対する支援を一元的に担っていきます。

 こども家庭庁を創設して、子供の最善の利益を第一に考える専一の組織、専任の大臣、その下で、組織や制度の縦割りの弊害を排し、政府全体としての子供政策を更に強力に推進して、こどもまんなかの社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

 例えば、先ほどのヤングケアラーのように、やはりはざまに入ってしまっていたもの、そういうものはまだまだあると思うんですね。だから、子供ということで様々社会を見詰め直す、これが今までできてこなかった日本の政治の中で、しっかり、それぞれの各党各会派の皆さんのお考えの下に進めていきたいと願っています。

鈴木(英)議員 お答え申し上げます。

 与党案では、基本的施策の規定において、子供施策を定めるに当たってはかくあるべしという、いわば施策の基本を中心に定めておりまして、したがいまして、今、先ほど委員からおっしゃっていただいたような各論的な施策につきましては、こども大綱の中で施策の具体的な目標と達成期間とともに定めていくことを想定しております。

 具体的に変わる点としまして、与党案におきましては、子供施策において長年の課題とされてきました三つの壁、すなわち、子供の年齢の壁、子供が必要とする施策ごとの制度の壁、施策を講ずる関係省庁の縦割りの壁、これを打破し、支援を総合的かつ一体的に提供することが明文化されたことであります。

 先ほど委員御指摘のような施策については、先ほど申し上げた目標という中で、変わったということを示していくことが大事だと思います。

 さらに、子供施策の実施やこども大綱の作成に当たって子供等の意見を反映するために必要な措置を取ることが国等に対して、これは十一条ですけれども、義務づけられたことも挙げられます。

 このような三つの壁の打破や意見反映の規定は、与党案で、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則について目的規定や基本理念のレベルで言及していることに加えて、より具体的なレベルでいわゆる四原則を実質化しようとするものであります。

 変わったと言われることは大変重要なことで、私も同感であります。私、知事時代も心がけていましたが、そのためには、子供たちに分かってもらえるような情報発信、そして、子供たちとか関係するステークホルダーに実感を持ってもらうような情報発信や説明責任というものも政府に期待していきたいと思います。

岡本(あ)委員 御説明いただいた中では、まだまだ、今までも、やはり連携が必要だとか調整機能が必要だとか協力が必要だという部分が今までもありました。これが新たな組織になって、目に見えて何か課題解決になるのか、そのことを期待をしたいと思うんですが、今の御答弁でいくと、ちょっとまだ、今までの組織を集めた部分にならざるを得ないのかな、これからの大綱なり基本計画がどうなるのか、そこを見ないと分からないなという不安は持っています。

 私たちは一年以上、立憲の法案作り、時間をかけて、様々ヒアリングさせていただきました。

 ある小学生からは、やはり、いじめを受けたんです、絶対いじめはなくしてほしいという声、あるいは、学校でも自分のペースで勉強できるようにしてほしいという声、あるいは、友達とけんかになると、先に相手から嫌なことをされても、いつもけんか両成敗といって両方怒られちゃう、自分の主張も聞いてほしい、そういうような声もいただきました。

 子供の権利が明記されたということは評価をいたしますが、こういう声がしっかり届くこと、そして解決につながるということが非常に大事となります。

 その中の声で、やはり家庭という言葉に対して御意見がありました。自分は虐待を受けて育って、家庭が本当に苦しかった、地獄に近かった、うちにはいたくないから夜になるとなるべく外で過ごすようにしている、組織の名前に家庭を絶対入れてほしくない、こういう声がある。非常に家庭に恵まれて育っている方々も多くいる一方で、こういう声がある。

 これにもかかわらず家庭という言葉が必ず入った理由は何だったのか、また、この家庭の定義ということはどういうものなのか、お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 私も、直接お目にかかってお話をじっくり聞かせていただきました。であればこそ、やはり過去に傷を負った方たちが前に進めていけるように、家庭というものがゆがんだものでなく、誰にとっても、まず子供の第一義の居場所となり得るように努力していくための専一の役所が、このこども家庭庁の第一番のミッションだと思っています。

 昨年末に閣議した基本方針においては、今後の子供政策の基本理念として、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げています。それは、子供を一人っきりで何かということではないと思います。やはり大人たちがしっかりと支えていくという環境なんだと思います。

 こども家庭庁設置法上、家庭について法律上の定義は置いていませんが、こども家庭庁においては、こうした基本理念に沿って、血縁関係や法律上の親子関係のみにとらわれずに、子供を中心に、子供の成長を支える、子供にとっての居場所を広い意味での家庭と捉えて、血縁関係のみにかかわらず、しっかりと支援をしていきたいということでございます。

岡本(あ)委員 大臣、一点確認なんですが、今ほど、血縁のみに限らずということでした。私も、まず、子供にとって安全な居場所があること、それから、その子にとって信頼できる大人が存在すること、これが大事なんだと思います。実親や法的な親に限らず、例えば社会的養護、こういう環境も家庭と読み込んでいいんでしょうか。

野田国務大臣 繰り返しになるんですけれども、こども家庭庁においては、血縁関係や法律上の親子関係に基づく家庭にとらわれることなく、里親家庭など社会的養護の下にある子供や、そういう家庭も含め、誰一人取り残すことなく支援をするということでございます。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 そうであれば、本当はやはり、子供というキーワードで、子供を取り巻くものは全て、安全な居場所と大人がいるということを保障するものだということだけでいいんじゃないのかなと思って、この家庭という言葉がいろいろな解釈が飛び交うということについては非常に疑問を感じますし、この家庭という言葉に傷つくお子さんも現実にいらっしゃるということはしっかり受け止めていただきたいと思います。

 次の質問ですが、幼児教育、幼稚園を文部科学省に残したまま、これは、私はやはり、少なくとも未就学に関しては一元管理が必要と考えております。

 今まで御答弁で、保育指針と幼稚園教育要領、整合性を図るとおっしゃっていますが、これは既にやっているはずなんですね。なので、今回、あえて文科省に残したままでも、ここの部分がより強固になる、あるいは強化される部分というのがあるのかどうか、お答えいただければと思います。

野田国務大臣 小学校就学前の子供にとって一番大切なのは、施設類型を問わずしっかりとした教育、保育がなされることであると考えています。

 また、教育など文部科学省が担う学びに係る行政と、児童福祉などの育ちに係る行政とは、相互に近接する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で、それぞれの専門性を高めつつ、相互にしっかり調整し、密接に連携する方が、政府全体として施策の充実、質の向上になると考えています。

 今回、幼稚園については引き続き文部科学省の所管としましたが、政府案では、学校教育法及び児童福祉法に、両省庁が相互に協議を行い、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容を定めることとする規定を新たに設けております。これにより、施設類型を問わず、共通の教育、保育を制度上担保をして、質の一元化が図られると考えています。

 なお、現状において、私立の幼稚園や保育園は都道府県等が認可しており、公立の幼稚園や保育所は設置者である市町村が運営しています。こうした所管等の在り方を、こども家庭庁の設置に合わせて見直すことは考えていません。

 他方、施設類型を問わずしっかりとした教育、保育がなされることが子供にとって重要であり、こども家庭庁においては、教育、保育の内容面についての研修の支援など、自治体を通じた現場への指導助言を行える体制を構築する必要があると考えています。

 しっかり検討してまいります。

岡本(あ)委員 市町村からすると、やはり保育所に関しては市町村が直接担当しているので、子供の姿まで見える自治体もあります。一方で、幼稚園になると、どうしても県の権限に頼らざるを得ない、直接声を出せない、あるいは直接権限を行使できない、こういう課題があります。

 あわせて、保護者からしても、申込方法から何からもう全然違う中で、選択肢として、子供の状態を考えたときの選択肢が横並びで見えるということが必要だと思いますし、そのときに市町村が管理、助言もできるということのメリットは非常に大きいと思いますので、是非、今後もこの点は検討していただきたいなと思っております。

 そして次に、いじめ、不登校です。

 これも、どこが変わるのかというので、先ほど早稲田議員が本当につぶさに確認をしてくださいました。私も資料二に書いておりますが、矢印のところに赤線を引かせていただきました。上の部分は今御指摘しました幼稚園の部分で、その下にいじめ重大事案に係る情報共有と対策の一体的検討というのが、要は連携を強化をするということになるのかなと思いながらも、でも、先ほどの子供さんの声ですけれども、いじめをなくしてほしい、ただ、文科省の学校現場から見ると、担任の先生からすると、どちらも自分の児童生徒なんです。どちらのお子さんも見なきゃいけない。一義的にすぐどっちが課題があるのかというのに、ちゅうちょせざるを得ない部分も現実起きています。

 そういう中では、やはり私は、子供の組織ができて、そこの中に、少なくともこの重大事態に関するところの組織は一元的に新しい組織でできるように、こういうことも考えることも必要だと思いますし、私たち自身は、そもそもやはり義務教育、幼児教育に関しては一元的に見ることが必要だと思います。

 いじめに対して、やはり文科省に残した状態であるということが果たして本当に解決に進むのか、この点もお答えください。

野田国務大臣 まさに今委員が御指摘したことでございまして、文部科学省も法律によって今主たる所管をしていただいているんですが、しっかりと取り組んでいるところもあれば重大事態になってしまうこともあり、そこをしっかりと、誰一人取り残さないという精神の下でこども家庭庁が更に重層的にいじめ対策に関わっていく、関与していくということは、今までよりも大きな前進だと思います。

 それで、今おっしゃったように、内輪のことに関しても第三者的な立場から関わりますし、また、こども家庭庁だけが関わるのではなくて、こども家庭庁を通じて様々な人たちとの関わり、先ほどありましたソーシャルワーカーとかまた児童相談所、いろいろな人たちの知見を得ながら、いじめに対して学校が抱えるジレンマ、学校内で解決できないジレンマ、例えばそういう関係性とか、さらには、学校外で起きてしまっている、SNSで起きてしまっている、そういうことについても広く総合調整を担って、当然、子供たちの居場所の、多くの時間を過ごしているのは学校ですから、そこで分かりやすいことはいじめ対策防止法で明らかなんですけれども、それ以外のところでやはりいろいろなことが起きているということを私たちは漏らさずに関わっていきたいという趣旨で、こども家庭庁が総合調整に入るということになります。

岡本(あ)委員 私たちは、やはり一元管理のメリットが大きいという点は主張させていただきます。

 ちょっと質問を飛ばさせていただきます。

 資料の三になりますが、これは自民党さん、公明党さんの案のこども基本法案です。附則のところに、事態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備、これを検討するというものがあります。

 私たちは、今、文科省に対して第三者的な立場という御答弁がありましたが、子供の政策自体が果たして理念にのっとっているのか、それも、更に客観的な立場で、そして、先ほど申し上げましたとおり、子供の声をしっかり拾って、必要な課題があったら解決に結びつけなければいけない、こういう立場の組織が必要だと思います。

 審議会では、私はやはり、今まで勧告権を行使したことがないとか、今までの議会の中で、ほかの組織ですけれども、というところを鑑みると、なかなか中では限界があるのかなと。

 附則に書かれている点について提出者に伺いますけれども、これは、私たちが考えている、第三者的に独立できること、調査や提言ができる機能があること、こういうことを期待して今後検討事項に入っているもので間違いないか、お答えください。

中野(洋)議員 岡本委員にお答え申し上げます。

 提案者で、公明党に対してということで御通告もいただきましたので、我が党の考え方ということで述べさせていただきます。

 公明党といたしましては、子供政策に関する、先生御指摘のような調査やあるいは勧告などを行う組織であるとかそうした機能、こういうものが重要である、このような考えでございます。

 他方で、御指摘のあったような、政府が今検討しておりますこども家庭庁が設置をされれば、政府において、こども家庭審議会で、内閣総理大臣等の諮問に応じまして、又は自ら、専門的見地から、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する重要事項の調査審議、また内閣総理大臣や関係各大臣等に対する意見具申などを行うということとなります。

 先生、こども家庭のこういう審議会では実効が上がらないのではないか、こういう御指摘でございます。まずは、国会の行政監視機能の下、これがもし設置されれば、こうした運用状況をしっかりと注視をしていくべきではないかというふうに考えております。

 その上で、我が党としても、この運用状況を含めた行政府の施策の実施状況、これをしっかり見ながら、大事なのは、基本理念にのっとった子供政策が本当に行われているのか、これが大事だというふうに思いますので、子供政策の一層の推進のために、どういうものが足りなくて、どういうものが必要になっていくのか、こういうことについては当然検討していくこととなろうと思いますし、我が党としての意見もその中でしっかりと訴えてまいりたい、このように思っております。

岡本(あ)委員 私たちも、第三者的な機能というのは、やはり実行してみないとという話もありましたけれども、あらかじめ必要じゃないかという立場を取らせていただいております。

 次に、子供に関するデータ活用について副大臣に伺いたいと思います。

 これはデジタル庁で取り組んでいて、重点項目として、子供というキーワード、貧困や虐待の話がありますが、資料四、資料五を御覧ください。

 一番最初の会議のときに、内閣府から、子供に関するデータで、こんな項目があり得ますよということで出されたものだと思います。ちょっとこれを子供に見せたらびっくりされまして、例えば、授業中の様子とか、あるいは言葉遣いとか、服装とか身だしなみとか、成績も全部取られるの、十八歳まで全部黒歴史を取られるんじゃないか、こんなのやめてよという声もいただきました。

 一つは、ちょっと主観的なデータも入っているんじゃないかということと、非常にセンシティブなプライバシー情報が含まれる可能性があります。これの取扱いというところを確認させていただきたいと思います。

 ちょっと続けて聞いちゃいますが、資料五を見ますと、外部委託や第三者に提供する可能性も、今まで先行事例でも、外部の方に協力いただいている先行事例は伺っておりますが、これらセンシティブ情報が第三者にまで提供される可能性があるんじゃないか。私は、本人同意、保護者同意を少なくとも取るべきじゃないかと思うんです。

 非常にリスクが高い御家庭やお子さんで例えば拒否をするとすれば、なぜ拒否をするのかというところを注意深く見るという視点もあってもいいと思うんですが、あずかり知らないところで勝手に使われて、勝手に分析されて、勝手に、下手したらレッテルを貼られて、勝手に第三者に提供されるおそれもあります。

 これの目的、それから取扱いについて、副大臣からお答えください。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 子供に関するデータ連携につきましては、教育や福祉等のデータは国民の究極の個人情報ということでありますので、個人情報保護法令の整合性はもとより、やはり国民の意識にしっかり沿った検討が必要であるということを、今回の副大臣の会合でも当初から議論をさせていただいているところであります。

 現在議論が進んでおりまして、国が子供の情報を一元的に管理するようなデータベースは構築しない、各自治体において子供に関する情報を共有するためのデータ連携を前提としているところであります。そして、個人情報の取扱いについても重要な論点の一つというふうに位置づけておりますので、現在、論点整理を進めているところであります。

 潜在的な支援が必要な子供を守るためにどのようなデータ連携が必要なのか、そして、どのようなデータ連携ならば国民の理解が得られるのか、デジタル庁や関係省庁と連携をして進めてまいっている次第でございます。

 そして、委員御指摘のように、全国各地における先行的な取組には、データ項目について、客観的データのみを用いるとともに、これは学校では普通に先生方がなさっているんですが、けがが多いとか服装の汚れが目立つなど、やはり現場でなければ分からない、教師の方々や福祉現場の方々の気づきを活用しているという、これが主観的データの意味合いでありますので、既存のデータのみ用いるほか、そういったものをどう取り扱うか、先進事例をしっかり踏まえる中で、きちっとした国民の理解を深めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 データ活用、支援のつなぎ方、第三者の部分も含めて、これは、法令のみならず、やはりきちっと、御指摘のような、国民の理解がないまま、知らないままに進むということがないように、改めて全国各地の事例を研究して、実証実験も行います。そして、先ほども言いましたように、デジタル庁、関係省庁、連携して、検討を進めてまいりたいと存じます。

 以上です。

岡本(あ)委員 国民の理解、意識とおっしゃいましたが、それ以前に、子供、自分のデータなんですから、子供の参加する権利、あるいは自分のデータを使っていいのかどうか、それこそ、子供の意見表明権、しっかり尊重していただきたい。埼玉県ではしっかり同意を取っていますので、そういうところを参考にしていただきたい。このことを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 今シーズン三回目、内閣委員会で質問させていただきます。貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 持ち時間も短いものですから、早速質問に入らせていただきます。

 本日、テーマとして、こどもまんなか社会、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援ということで、今回のこども家庭庁設置法案に際して政府の説明として上がっております、このことについて質問させていただきます。

 私もまさにこうした思いでおります。是非これを実現していただきたい。ここまで大臣がリーダーシップを発揮されてきたことに敬意を表したいと思います。

 その上で、ただ、本当にこれを実現できるのか、若干、やはり抜け落ちているところがあるのではないのか、そんな心配もあるものですから、本日、幾つか質問させていただきます。

 まず、確認としまして、今回のこども家庭庁設置法案で、こどもまんなか社会、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援とうたっていることについて、誰一人取り残されていないことをどのように確認するんでしょうか。大臣、お願いします。

野田国務大臣 こどもまんなか社会とは、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策を我が国の社会の真ん中に据える社会ということになります。このこどもまんなか社会実現に向けて、昨年末閣議決定した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げているところです。

 そのために、こども家庭庁では、子供、子育て支援、児童虐待対策など子供政策について一元的に企画立案、総合調整を行うとともに、子供の居場所づくり、困難な状況にある子供の支援などの事務を集約して自ら実施するなど、組織や制度の縦割りの弊害を排し、政府全体として子供政策を更に強力に推進することとしています。支援が必要な子供や家族ほどSOSを発することが困難であることが多いため、教育や福祉の現場の情報を活用しながら、アウトリーチ型で支援を届けていきます。こうした取組を通じて、こども家庭庁の下、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を実現してまいりたいと考えています。

 例えば、今日の委員会でもヤングケアラーの話が出ました。この子供たちはやはり取り残されてきた。けれども、こども家庭庁を始め、子供基本法の各党の議論が始まって、しっかりと集中的にその存在やら問題点というのを議論することができて、積み重なっていく。

 と同時に、やはり、私の場合は医療的ケア児というのを専門的に取り組んでいるんですけれども、いまだ義務教育に行けていない子供たちもいるんですね。そこが今まで議論する場がなくて、こういうところで、こども家庭庁ができることによって、医療的ケアを受けていても子供なんだ、そこの子供たちが学校に行けるということも可能になってくる。そんなことを期待しながら取り組んでいるところです。

櫻井委員 大臣、ありがとうございます。

 医療的ケア児のお子さんたち、学校に行けない、教育を受ける機会を失われているということもありますし、それに加えて、病院にずっと入院していると家族と離れ離れになってしまうという問題もあったりして、地方自治体、私の地元の兵庫県でもそういった取組をやっていたりしておりますので、そういったところを国としてもやってもらえるというのは本当にありがたいなというふうに思います。

 ただ、今、大臣のお話の中で、子供たち、特にヤングケアラーとかいうような形の子供たちについて、SOSを発信しにくいとか、こういった話もございましたが、ただ一方で、私は、そのSOSを発する場所、行き先というのもやはり必要なことではないのかなというふうにも思うんです。

 いろいろな相談窓口がありますけれども、今、大臣、縦割り行政を排しというふうにもおっしゃいましたけれども、とはいえ、どうしても、行政の窓口、ここですよ、ここですよということになってしまうと、子供だったらもうここに電話してくださいと、ある種一一〇番的な一つの窓口があった方がいいのではないのかなというふうにも思います。

 そこで、ちょっと私の地元の事例なんですが、兵庫県の川西市というところでは、子どもの人権オンブズパーソンという制度、これはもう二十年以上前です、二十世紀に既につくっております。一九九八年頃に、いじめの問題など子供の問題を解決するために、市の条例を制定してこの制度をつくりました。子どもの権利条約に基づいての条例でございます。国内初の条例、取組ということでございました。

 当時、市長さんが、中学校の、学校の先生出身ということもありまして、こどもまんなか政策、取り組もうということで取り組まれたというふうに聞いております。毎年百件前後、始まった当初は百件を超えるような相談件数というかケースがあったわけなんですが、最近はちょっと減ってきてはいるんですけれども、やはりそれぐらいのケースがございます。一回のケースについて一回の相談で終わることはほとんどなくて、やはり何回も相談をしたり、関係部署と調整をしたりということもやっております。

 これは川西市の条例に基づく設置ですので、川西市内のいろいろな部署とは連携が取れる、場合によっては勧告を出したりということもできます。ですが、例えば、兵庫県ですとか、ほかの、川西市以外のところになってくると、なかなかそうしたことが難しい、要請とか協議とか相談ということになってしまうということで、限界もあるというのが現実でございます。

 例えば、子供でも、中学校までは川西市立の小学校や中学校ということになりますけれども、高校になると、川西市内には川西市立の高校というのはございませんので、すべからく兵庫県立の高校に行くことになるわけでございまして、そうすると、県立の学校に行っていて、そこで例えばいじめの問題があっても、市の窓口で、このオンブズパーソンのところで相談を受けても、なかなか、踏み込んでということが若干難しかったりするケースもあるようでございます。

 あともう一つ、何といっても、やはり予算、財源の問題です。これは川西市独自でやっているものですから、市の単独事業としてやっている。ほとんどは人件費なんですけれども、職員の人件費も含めますと毎年三千万円以上かかっているというところでございますので、これは国家予算、年百兆とかそういう規模で議論している国会からすると、何だ三千万円かというふうに思われるかもしれませんけれども、やはり、一般市において三千万円というのは、市の単独事業としては結構大きなものでございますから、なかなかこの負担も大きいというのもございます。

 そうしたことを考えますと、誰一人取り残されず、抜け落ちることのない支援ということのためには、声を受け止める機関、川西市であれば子どもの人権オンブズパーソン、これは弁護士の先生がオンブズパーソンとなっていて、そのサポート役として相談員というような方も雇って、スタッフとして配置されているわけなんですけれども、こういった事例を、地方自治体に任せてしまうというのではなくて、やはり国も率先してやるべきではないのかというふうに思うところです。

 そこで、今日はちょっと、立憲民主党の法案提出者の方にも来ていただいております。城井先生に来ていただいております。ありがとうございます。

 立憲民主党が提案した子ども総合基本法案では、子供の権利を擁護する機関、子供コミッショナーを設置することを規定しておりますが、これにより、先ほど申し上げたような課題が解決できるのかどうなのか。子供コミッショナーを設置することの意義について、御説明をお願いいたします。

城井議員 お答え申し上げます。

 結論としては、解決できる仕組みをつくることを法案に盛り込んだということを申し上げたいと思います。

 子供コミッショナーを国に設置する場合に、政府の外側から、独立した立場でまずチェックができること、いじめなどの重大な事案があったときに調査ができること、そして、再発防止などで提言や勧告ができる、こうしたことが重要だというふうに考えています。

 地域の窓口との指摘がありましたが、そこを念頭に置きまして、国に置くとともに、各地域においても、合議制の機関を全ての都道府県に設置することを義務づけるとともに、市町村にも設置することができるという形にいたしました。相互に連携、そして協力するように努めなければならないということといたしております。

 川西市のように、一部の自治体では権利擁護機関をつくっているケースもありますが、個別の活動ですし、あるところ、ないところで差が出てくるというのはどうかという点に配慮したということでございます。

 我々の法案に基づいて、そうした、国のみならず、各自治体での設置した機関が主体となって、特定の自治体にとどまらず、子供の権利を図ることが全国的にできるようにしていくべきだということで、仕組みを盛り込んだところです。

 費用面についても、立憲民主党案では、その費用の全部又は一部を補助することができるといたしております。財政面からも、しっかり子供の権利擁護に自治体が取り組んでいけるように支えていきたいというふうに考えています。

櫻井委員 今、立憲民主党の法案提出者の城井議員に御説明いただきましたけれども、大臣、どうでしょう、これを機会に、せっかくこども家庭庁を設置するというんですから、こうした、子供コミッショナーというのか、オンブズパーソンというのか、名称は私は別にこだわらないんですけれども、やはりこうした第三者的な機関が必要だと思うんですが、大臣、せっかくですから、盛り込んでいただけないでしょうか。

野田国務大臣 いわゆるコミッショナー、又は、今お話をしていただいたオンブズパーソン、これについては、まさにこの場で、与野党において様々な議論や提案をしていただいているところで、是非、その議論を注視してまいりたいと思います。

 政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することとしているところで、このこども家庭庁においては、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供たちや子育て当事者や有識者等の意見を聞く、そういうことにより、公平性、透明性をしっかり確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、そして最善の利益を実現できるよう、何度も申し上げていますけれども、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかり取り組んでいきます。

櫻井委員 注視をするというか、今後検討していただけるかもしれないという御趣旨の答弁なのかなというふうにも思ったんですが、すぐできることとしては、予算措置はせめて。こうやって川西市のように一生懸命頑張っている自治体は全国に三十ぐらいあるというふうに承知をしております。予算措置だったら来年度からでもできることだと思いますので、是非、大臣のリーダーシップでそこをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっと別な観点の質問をさせていただきます。同性カップルの下で養育されている子供についてです。

 同性カップルの下で養育されている子供といいますと、具体的に申し上げますと、女性同士のカップルで、カップルになる前に、異性婚といいますか、男性と女性とで結婚していました、そのときに子供がいます、その後、離婚をして、子供を連れて女性のパートナー同士で結婚する、結婚というか、日本では結婚と認められておりませんけれども、パートナーとなる、家庭を持つというようなケースが結構ございます。

 こうした場合に、法律上の親子関係が認められない。だから、実の母親の方は親子関係が認められているんですけれども、母親とパートナーの相手方については、これは親子関係が認められないということがございます。

 具体的な事例として、お声を私も聞いてまいりました。

 現在二十二歳になるうちの子供は、小学校一年生の作文に、血縁のない親、母の同性パートナーの名前を書いて、そうすると、先生からこれは誰ですかと赤ペンで書かれて以降、外で家族の話をしなくなりました、二年生のときには、子供の夏休みの絵日記に書いた家族旅行の絵には、血縁のある親と自分だけはちゃんと描いてありましたが、血縁のない親のことは薄い棒人間で書かれていましたということです。

 学校現場ですと、児童生徒が性的マイノリティーであった場合の配慮、これは結構なされるようになってきたんですけれども、児童生徒の保護者が性的マイノリティー、そういった家庭を持っているという場合についての配慮は、まだなかなか浸透していないというようなところ、不十分なところがあるようです。

 それから、事例二つ目ですが、私の産んだ次男が入院したことがあったのですが、私が不在で、同性のパートナーが手続をしようとしたところ、血縁の親を連れてきてください、離婚している元夫でもいいと言われて、入院の手続ができなかった、当時、元夫は養育費も払わず、面会交流もなかったにもかかわらず、血縁優先であった、こういう話も聞いております。

 同性カップルの下で養育されている子供が、ある種肩身の狭い思いをしているというのみならず、病院で診察をしてもらえない。こうなってくると、命に関わる問題ですから、これはやはり重大な問題だというふうに思います。

 今日、副大臣にも来ていただいていますので、ちょっとお伺いをしたいんですが、現状、取り残されている子供、抜け落ちている子供がいる、同性カップルの子供たちは大きな困難に直面している、私はそのように認識をしておるんですけれども、副大臣はどのような認識でいらっしゃいますでしょうか。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 委員御指摘の、同性カップルの方々、またその子供を始め、子供や家庭をめぐる環境は、社会生活の様々な場面において課題が生じているものと認識をしている次第であります。

 政府といたしましては、憲法にあるとおり、国民の権利が保障され、現在御審議をいただいております今回のこども家庭庁設置法第三条の任務にあるとおり、ひとしく健やかに成長することのできる社会の実現への取組が必要であると考えております。

櫻井委員 ひとしくということでおっしゃっていただきましたが、ただ、先ほど申し上げたような事例の場合、病院で、同性のパートナーの方が子供を連れていったというときに、病院の側からすると、家族関係を証明するものが何もないと、赤の他人が連れてきたように見えてしまうわけですよね。そうすると、やはり病院としては、いや、親じゃないから駄目だ、保護者じゃないから駄目ですというふうに言わざるを得ないというのも、ある種ごもっともというふうに思わざるを得ないところもあるわけなんですよ。

 これはやはり、何か証明できるようなものというのを国の制度として持っていく。地方自治体の中では、例えば、パートナーシップの条例を設けて、市役所の方で、区役所で証明をするというようなことはやっている自治体もありますけれども、全ての自治体でそうやっているわけでもございませんし、やはり何らかこうしたものがないと救いようがないというふうにも思うんですけれども、副大臣、具体的にどうやって、ひとしく子供たちを支えていくというふうにお考えでしょうか。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 昨年末閣議決定した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、大臣がるる申し述べておりますが、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援というものを掲げているところであります。

 政府といたしましては、御指摘の性的少数者については、職場や学校等を始めとして、社会での理解増進に向けた啓発活動の充実、適切な相談対応や人権救済等に取り組んでいるところでありますが、こども家庭庁設立をお認めいただければ、同性カップルの下で養育されている子供について、必要な支援が届かないといったことのないような対応をしっかりしてまいりたいと存じます。

 子供の保護者が同性カップルであるからという理由のみで必要な給付、支援が子供に対して行われないということがないよう、御指摘の事例を含めて、しっかり、把握をした場合にどう適切に対応できるかということは、引き続き、設立をお認めいただければ、検討してまいりたいと存じます。

櫻井委員 じゃ、もう少しケースを限定いたしまして、今申し上げた病院のような事例、これはどうやって、この問題というかは解消できるんでしょうか。

 つまり、今申し上げたように、実の親のパートナーが病院に子供を連れていったというときに、保護者じゃないでしょうと言われたときに、いやいや、保護者ですというふうにちゃんと証明するものがないわけですよね。こういう場合はどうやって、このケースは、この問題は解消できるんでしょうか。

赤池副大臣 委員、具体的な事例ということなんですが、病院のことでいえば所管が厚労省になります。学校でいえば文部科学省。

 ただ、こども家庭庁設置ということになったら、そういった縦割り行政を排して、子供に関することは、総合調整能力、企画、そしていざとなれば勧告権ということになりますので、その辺はしっかり、まずは省内で、政府全体で検討させていただきたいというふうに思っておりまして、この場では、のみということで御理解いただきたいと存じます。

櫻井委員 せっかくこれからこども家庭庁を設置しようというときなのに、これからというふうに言われると、非常に残念な思いにならざるを得ません。

 ちょっと、せっかくですから、大臣にもお尋ねをしたいと思います。

 実は、先週の金曜日に、「マリッジ・フォー・オール・ジャパン 結婚の自由をすべての人に」という院内集会がございました。私も出席をしてまいりました。昨年の三月にも同じ団体の院内集会があって、同様の趣旨の集会がございました。野田大臣もメッセージを寄せていらっしゃいます。

 このメッセージの中では、「同性婚については、同性カップルの子どもたちは法律上の親子関係が認められないなど、今この瞬間にも大きな困難に直面しています。」、このようにメッセージで書かれていらっしゃいました。そして、「誰もが過ごしやすく、持てる能力を十分に発揮できる社会こそが、日本の未来をより明るくするカギになると思います。」というふうにも書かれています。私も全く同じ思いでございます。

 大臣、今私が問題提起をいたしました病院のケースでございますが、それも含めて、今この時点で直面している子供たち、今この瞬間にも大きな困難に直面している子供たち、どうやって救済できますでしょうか。

野田国務大臣 副大臣の答弁のとおりで、私たちは、設置法をしっかりお認めいただいた後に、速やかに、子供の立場に立って、親がどういうコンディションであっても、やはり子供の権利擁護、そういうことのパートナーですから、味方ですから、それにしっかり取り組むということで。

 ただ、具体に関しては、正直、内容の通告がなかったので、今の現状とか、所管は厚労省ですね、何を今検討しているのかちょっと存じていないので、これをしっかりまた確認をしていきたいと思っています。

 私は、ちょっと違う側面から。実は、私は、超党派で皆さんたちと不妊治療の法制化に向けて取組をいたしましたところ、体外受精を含めて、この国は不妊治療を法的に認めるということになりました、遅きに失していますけれども。その技術を認めることによって、実は、民法ができた頃には想定していなかった、体外受精によって精子提供、卵子提供という、あれはしっかり確立されることになったんですけれども、親についての家族法制というのはまだ前のままなので、ないことになってしまう。そこが今非常にトラブルになっているので、法律が技術革新に追いついていない中で、そこもしっかり、一番つらいのは子供ですから、だから、そこはきちっとこども家庭庁でも取り組みたいと思っています。取り組みます。

櫻井委員 非常に力強い御答弁をいただきましたけれども、結局のところ、今、家族の在り方が今の技術に追いついていないというふうなお話もございました。

 同性カップルで養育される子供たち、いろいろなケースがあって、海外では認められているわけですよね。国際カップルの場合ですと、外国で、例えば、私が聞いたケースとしては、カナダ人と日本人で今、日本に住んでいるケースですとか、アメリカ人と日本人のカップルで今、日本に住んでいるケース、かつ、アメリカ人の方の女性が今妊娠をしていて出産を予定している。アメリカでは、体外受精とかいろいろな方法が、法整備が進んでいますから、そういったことが可能になるということなんですけれども、そういった意味で考えますと、G7の国の中で同性婚ないしは同性のパートナーシップを認めていないのは日本だけですよね。

 やはりこれは日本でもちゃんとこういった法整備をしていくべきだ、一部の熱心な自治体に任せるのではなくて、国としてしっかり取り組むべきだと思うんですが、最後に、大臣、それに対する意気込み、所管外だと言わずに、思いを御披露いただければと思います。

野田国務大臣 こども家庭庁の任務は、子供を、しっかり権利擁護を守ることなので、これまでの同性婚等々の議論は当事者の議論が多かったと思いますけれども、やはりそこで、家族を成すときの、子供がしっかりと、この国で差別されることなく他の子供たちと歩んでいけるかということが、こども家庭庁が調べなければならない観点だと思うので、今までとまた違う角度から、こども家庭庁、子供を守るということを最優先として取り組んでいきますので、そういうところも総合調整しながら、副大臣の答弁どおり、差別があっちゃならないし、それでちゃんと個々の尊厳を守らなければならないということには変わりありませんので、やや遅れたとするならば、今度は子供という、今まで、要は政治の中で余り語られていなかった大切な国民の方の立場に立って、いい解決を導いていきたい。それがこども家庭庁の役割と期待していただければと思います。

櫻井委員 時間になりましたので、質問はこれで終わりにさせていただきますけれども、私は、子供庁なり子供省という名称でよかったんじゃないか、子供を真ん中にするんだったら、子供ということをすればよかったんだというふうに思っているんですが、とはいえ、今回、政府の法案としては、こども家庭庁と、家庭というのが入っているわけですから、様々な家庭の在り方、これを積極的に国としても認めて、国民の、どんな家庭の形であれ幸せな家庭をつくれるように支援していくようなことに持っていっていただくようお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 野田大臣とは今回初めて質疑をさせていただきます。実は、千葉八区、柏、我孫子で私当選をさせていただきました。出身は京都なんですが、父方が岐阜県で、大垣なんですけれども、以前より大変親近感を覚えておりました。また、自民党の加藤先生は岡山五区かと思うんですけれども、私の母方の実家が金光町にありまして、大変親近感を覚えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、議員に当選させていただく前は、岡田克也さんという議員の下で秘書をやっておりまして、野党時代の民主党の子供、子育て政策、あるいは、民主党政権時は、副総理の秘書官という立場で社会保障・税一体改革にも関わらせていただきました。子供も、中学生、小学生、二人おりまして、大変、子供、子育て政策、関心を持って取組をさせていただいております。

 そういう前提で、これから少し質疑をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、基本認識、基本理念についてお伺いをしたいというふうに思います。

 立憲民主党の法案提出者、城井先生、立憲民主党は今回、子ども総合基本法案を提出しています。前身の旧民主党時代からチルドレンファーストを掲げて、子供、子育て政策を党の一丁目一番地の政策ということで位置づけてまいりました。改めて、立憲民主党が掲げるこのチルドレンファースト、この理念、基本的考え方について、端的に御説明をお願いいたします。

城井議員 お答え申し上げます。

 令和二年の調査によりますと、児童虐待の相談数、児童生徒の自殺、小中学校の不登校児童数はいずれも過去最多となり、子供を取り巻く環境はより厳しさが増しています。こうした問題を考える上で基本となる理念がチルドレンファースト、すなわち、全てにおいて子供を第一として考えるという理念です。

 立憲民主党では、子どもの権利条約にのっとり、子供の最善の利益を最優先するというチルドレンファーストの理念の下、子供、子育て政策を進めるべきだと考えています。

 そこで、今回我々から提出した子ども総合基本法案に、子供の最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体で子供の成長を支援する社会を実現するため、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、施策を進めていくことと明記をいたしました。

本庄委員 ありがとうございます。

 この立憲民主党のチルドレンファーストという考え方に対して、政府・与党は、今回、こどもまんなか社会を掲げておられます。このこどもまんなか社会について、岸田総理が四月十九日の本会議で、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会と説明した上で、立憲民主党の考えとも基本的に同じ方向だ、こういうふうに答弁をされております。これは野田大臣も同じ御認識、つまり、こどもまんなか社会とチルドレンファーストは同じ方向だ、こういう御認識でしょうか。

野田国務大臣 岸田総理と同じでございます。

本庄委員 ありがとうございます。私も同じ方向だというふうに思いますし、そうであると信じたいというふうに思っております。

 このチルドレンファーストという私たちの理念、政策、これは、もう十年以上前から、民主党政権のときから掲げているもの、政権時に閣議決定した、例えば子ども・子育てビジョンということで、お手元の配付資料の中にも、少し古い資料にはなりますが、資料1ということで、子供が主役、チルドレンファーストということで、当初から掲げさせていただいております。

 他方で、当時の自民党がどういう主張をされていたのかということです。お手元の資料の2を御覧いただきたいんですが、雑誌の「WiLL」二〇一〇年七月号の抜粋です。「「創生日本」大座談会」ということで、安倍元総理、そして今回の与党法案提出者の加藤先生らが対談をされています。この中で、傍線を引っ張ってありますが、安倍元総理が、子ども手当について、民主党が目指しているのは、子育てを家族から奪い去り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です、これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしていたことです、このようにお述べになっています。

 この座談会、加藤議員も御一緒されていましたが、これは当時の自民党の子ども手当に対する考え方だという理解でよろしいんでしょうか。

加藤(勝)議員 このとき、座談会的な形でこれはたしかまとめられたというふうに認識をしておりますので、ここはまさに安倍、まだ総理と総理の間のときですけれども、あのときの発言ということで、それに対して私自身が何か、一政治家としての発言ですから、コメントする立場ではありませんが、ただ、この頃のときを思い出すと、やはり、子育ては社会がするか家族がするか、ややそういった議論がなされて、結果的に、子ども手当の中で最終的に決着をした。

 そして、今回の法案、私たちが出させていただいている法案においては、まさに児童の権利条約の中で、例えば、児童の養育及び発達については父母が共同の責任を負う云々という条約、また、それを踏まえて、法案の中では、「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識」、そういった整理をさせていただいているということではあります。

本庄委員 ありがとうございます。

 当時の民主党も、今お配りした資料1にもありますが、「社会全体で子育てを支える」という言い方はしていますが、社会や国が子育てをするというふうには言っておりません。したがって、当時の安倍総理の発言はかなり度を超えたものだったと私は思いますし、今、一議員の御発言だということで、否定をされなかったのは大変残念だなというふうに思いました。

 実は、この発言に関しては、その後、安倍氏が総理大臣に返り咲いた後、平成二十八年二月、衆議院の予算委員会で、当時の岡田克也民主党代表が発言を撤回するように求めました。ですが、安倍総理、御答弁の中でこれを拒否をしたということです。

 したがって、一議員の発言ではなくて、一国の総理の発言とも取られかねない、そういう状況ですが、野田大臣、政府として、この発言、否定された方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 御指摘の安倍元総理の発言、これは過去の一議員としてのものであり、その趣旨についてお答えすることは困難ですが、あえて言うならば、子育てにおいて家庭が大事だという趣旨の発言ではないかと私は考えました。

 いずれにしても、当時の子ども手当について様々な議論があって、民主党、自民党、公明党の三党合意に基づいて平成二十四年に児童手当法が改正され、改正法の中身は、目的規定に記載されたとおり、児童手当は、父母その他の保護者が子育てについての一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とするというのが基本的認識ということになります。

本庄委員 一議員の発言だったんですが、国会で撤回を求められてそれを拒否をしたということをもって、単なる一議員の発言ではなくなっているんじゃないでしょうかというのが私の問題意識で、お伺いをしたんですが、時間の関係もありますので、そうであれば、今の副大臣、赤池副大臣に関してお尋ねをしたいと思います。

 こども庁に関する赤池副大臣の御認識なんですが、お配りした資料3ですね、これは赤池副大臣のオフィシャルブログということで、いろいろなことが書かれているんです。

 二〇二一年五月五日、「五月五日はこどもの日 こども庁設置ありきではなく家族支援政策の充実を」というタイトルで、下線を引いているところですね、内閣府と厚労省、文科省の縦割り行政になっているから、それを打破するためにこども庁を設置すればよいという単純な話ではない、内閣府自体が縦割り行政を打破するための中央官庁であり、そこに設置された会議を統合し強化すれば済む話だ、こういうふうにおっしゃっています。

 今回のこども家庭庁、提出の趣旨の一つは、三つに分かれている役所の行政を一元化していくということもあるという中で、この過去の副大臣の御発言はかなり認識にずれがあるんじゃないのかなと思いますが、御答弁をお願いします。

赤池副大臣 委員の御質問にお答えをいたします。

 御指摘のブログの記述については、私が副大臣就任前の一政治家としての考え方を申し述べたものであります。

 当時、現場の声は、組織改編だけされても、現場の支援、安定財源の確保を含めて、それだけでは我々は大変だ、そういう様々な声を我々もいただき、そして、自民党内もいろいろな議論で活発化、自由闊達に議論をしているさなかの私の発言でございます。

 そういった様々な立場、考え方、議論がある中で、御承知のとおり、昨年、自民党も一つに提案をまとめ、そして、それを受けて、政府としても、十二月に、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針を閣議決定し、そのときは私は副大臣ですから、この過程にもしっかり関わらせていただいて、そのまとめにも関わらせていただいた次第でございます。

 私としては、閣議決定した基本方針の下で、そしてそれに基づいた今回のこども家庭庁設置法について、野田大臣を支えて、しっかり推進してまいりたいと存じます。

本庄委員 一議員としては立場、考え方を変えて、副大臣として今業務に取り組んでいる、こういうことでしょうか。

 そうであれば、是非このブログに今の御見解を上書きされたらいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう、副大臣。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 我が国は、自由で開かれた選挙を通じて、我々は国民代表として選ばれてこの場所におります。いろいろな声を選挙区で様々な方からいただいて、それを政党という中で徹底的に議論をして政策を立案をいたします。その過程で、いろいろな議論、いろいろな考え方を述べたものであります。

 ただ、一度決まれば自民党は一体となって推進し、そして議院内閣制の下で政権を支えて具体的に実行していく、その過程を、こうやって書いたことが今とは矛盾しているとは思いませんし、閣議決定以降、私は、こども家庭庁設置云々、内容について否定的な発言をしたことはございません。

本庄委員 政党人ですから、個人の考えがいろいろあっても、党で決まれば、内閣で決まればそれに従うということですね。

 じゃ、もう一つお伺いします。

 赤池副大臣、こういうふうにもおっしゃっています、五月五日ですね。子供の問題は結局家族の問題だと。

 もちろん家族の問題ですけれども、今回のこどもまんなか社会というのは、それを超えて、社会や行政が子育て、子供をしっかりと見ていく、それがこどもまんなかの理念だと私は理解をしておりますが、結局家族の問題なんですか、副大臣。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 家族、家庭というのは、先ほど野田大臣が前の議員の方の中で、今回の法案もそうですけれども、具体的に法律婚とか血族のみをもって家庭、家族という形では言っておりません。

 ただ、いろいろな方々の中で、当然、問題のある方々、家庭というのはたくさんありますので、それを抜きにして、子ども権利条約の前文や条文にも書いてあるとおり、それを抜きにして議論はできない。そういう意味での趣旨でブログに書かさせていただいたわけであり、現在の設置法や政府の方針に反したものとは考えておりません。

本庄委員 赤池副大臣は、このブログの中で、もう一つおっしゃっていますね。家族というのは国家の基本単位だと。二ページ目ですね、三月五日、二〇二一年。

 家族は国家の基本単位なんですか。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 表現ぶりは正しくはないんですが、最高裁の判決の中で、夫婦別氏始め、家族法制の最高裁の判決の中で、社会の基本的な単位とか、そういう表現がございますので、それを私の中ではそのような表現としてさせていただいたということでございます。

本庄委員 社会と国家はまた違うんじゃないかと私は思いますし、こどもまんなか社会、基本理念と、この御指摘、ブログの記述、一致をしないというふうに思います。

 じゃ、更にちょっとお尋ねしたいと思います。選択的夫婦別姓の問題ですね。

 内閣府の家族法制に関する世論調査、これが三月二十五日に公表されております。ここで三択ありまして、夫婦同姓制度を維持した方がよい、二七%、夫婦同姓制度を維持した上で旧姓の通称使用について法制度を設けた方がよい、四二%、選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい、二八・九、こういうことです。

 この調査について、野田大臣は、通称使用の法制度という実態がないことが設問になったことに疑問を感じている、無責任だ、あるいは、国民にとって非常に分かりづらい、こういう発言をされております。

 一方で、法務省の古川大臣、設問自体全く問題がない、こういうふうに御答弁を、記者会見で御発言をされています。

 副大臣にお伺いする前に、ちょっと先に法務省にお伺いしますが、政府内で旧姓の通称使用についての法制度を設けるということは検討されているんでしょうか。検討もしていない選択肢が入っているとすれば、全く問題がないという大臣の答弁、発言はおかしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。政務官ですね、済みません。

加田大臣政務官 本庄委員の質問にお答え申し上げます。

 旧姓の通称使用の法制化を目指すのかどうかという質疑でありますけれども、今回の世論調査の結果をいろいろ受けましても、夫婦の氏の在り方についていまだに国民の間で様々な意見があると受け止めております。

 夫婦の氏に関する制度は広く国民全体に影響を与えるものでありまして、今後の国民各層の意見や国会における議論の動向等を注視しながら、更なる検討を進めていく必要があると考えております。

本庄委員 そんな一般論をお聞きしているのではなくて、いいですか、旧姓の通称使用についての法制度を設けるということを今どこかで検討しているんでしょうか、検討していないものが選択肢に入ったとすればおかしいんじゃないですかということをお伺いしています。

加田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどの、一般論と言われましたけれども、その部分の方も話した上で、法務省としまして、現段階で旧姓の通称使用について法制度化を目指すことをしているわけではありません。

本庄委員 その上で、赤池副大臣にお伺いをしたいと思います。

 お配りした資料3、ブログの中で、この世論調査について、これは一議員ではなくて、副大臣になった後の御発言です。

 前回までの質問内容が長く回りくどい表現で分かりにくく、今回は分かりやすく表現に改め、すっきりして選択しやすいものになっており、国民意識に沿った現実的なものだと思います、最新の世論調査の結果に沿って、夫婦同氏制度を維持しつつ、通称拡大のために引き続き力を尽くしていきたい、こういうコメントです。

 現役副大臣としてのコメントですが、副大臣は旧姓の通称使用についての法制度を目指していらっしゃるんですか。

赤池副大臣 委員にお答えをいたします。

 御指摘のブログに書いたものは、私の一国会議員としての見解であります。

 政府の一員である内閣府副大臣として、第五次男女共同参画基本計画に沿って更なる検討を進め、国民の理解を得るよう努めてまいります。

 なお、第五次男女共同参画基本計画をまとめるまでには自民党内において本当に様々な意見があり、正式な会議で四回、長時間の激論が交わされて、まとめさせていただいたものであります。

 そして、基本計画においては、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組むとされておりまして、男女共同参画局が中心となって、今現在、国家資格が三百二あるんですけれども、この通称拡大ができないかということで、ほぼ全て通称拡大が可能となっております。

 そして、選択的夫婦別氏制度が導入された場合は、別氏を選択した夫婦の子供は必ず一方の親の氏、親子別氏になるということもございますので、第五次共同参画基本計画においては、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえて、更なる検討を進めるというふうに書いてあります。

 今回の世論調査は、法務省さんが作っていただいて、内閣府で社会調査をした結果を踏まえて、その結果を踏まえて私が見解をブログに書かさせていただいたものであり、政府の基本計画に逸脱するものとは認識しておりません。

本庄委員 副大臣が、個人の見解とはいえ全く真逆のことを書いている、言っているというのは、職務遂行上いかがなものなんでしょうか。副大臣として私は不適任だというふうに思います。

 いいですか、いや、答弁は求めていません。上司の野田大臣は、通称使用の法制度という実態がないことが設問になったことを疑問に感じている、無責任だ、ここまでおっしゃっているわけですね。私もそう思っています。副大臣は部下だと思うんですけれども、その副大臣が全く反対のことを、個人的見解だといって書いていいんですか。一体どうなっているんでしょう、この縦のライン。

 副大臣、まず端的に答えてください。

赤池副大臣 先ほども申し述べましたとおり、政府の決定は、第五次共同参画基本計画の文言であります。その文言の中には、通称使用の拡大、周知徹底、それから、夫婦の氏に関する問題に関しては、国民各層の意見、そして司法の判断も踏まえて、更なる検討を進める、これが政府の決定です。

 私の見解は、この政府の基本計画から逸脱したものとは考えておりません。

本庄委員 副大臣、よく聞いてください。通称使用の拡大を否定しているわけではありません。法制度を整備するということについてお伺いしております。そういう方向で頑張るということですか。

赤池副大臣 この通称拡大に関しては、法務省さんの御見解のとおり、法務省でも検討もしておりませんし、内閣府でも検討しておりません。

本庄委員 そうであれば、一体何を頑張るのか。ちょっと、このブログに書いてあることが、私、よく分かりません。

 大臣、上司として、どうでしょう、ちょっと口を慎むように副大臣に御指導された方がいいんじゃないでしょうか。いかがでしょう、少なくとも副大臣の間だけはですね。

野田国務大臣 私は、長いことこの選択的夫婦別姓に取り組んでいるので、私がちょうど初当選の頃は、自民党内では九割以上反対、そもそも、通称であっても夫婦が別々の名字になるのはいかがわしい、だらしない、様々なことを言われたときがございました。それで、いろいろな議論を重ねる中で、おおむね党内でも、ばらばらの名字を名のることはいいところまで来て、実は、平成八年の答申では、基本的には選択的夫婦別氏に持っていこうと。ただ、やはり、現実社会の中で、それをやるといろいろ差し障りがある、それを待つまでには差し障りがあるということで、暫定的に通称使用を認めて、デファクトみたいな形、法律ではないんだけれども、社会活動の中で、会社とかそういうところでは旧姓を使っていいよとかいう、そのムーブメントを起こしてきたのも事実なんです。

 ただ、おっしゃるとおり、法務省でも法制審議会でも通称使用の法制度というのは最初から考えていないし、今も考えていないということが肝なんだと思いますね。私はそれを大臣に申し上げたんですけれども、世論調査を作るに当たっても、多様な意見をやはりのみ込んでいかなきゃいけない。そもそも、平成八年の最初の世論調査の中に、誰もが想定していなかった通称制度というのが入っているわけですね。それも、何らかの、国民の代表たる国会の中での意見を取り入れてということであったかと思います。

 ですから、今回も、私はそこを指摘したんですけれども、あとは法務省が担うことですから、一〇〇%満足はしていませんけれども、今のやり取りのとおりでございます。

本庄委員 大臣の苦しい胸のうちもかいま見えるような気がいたしますが、閣内不一致とまでは言いませんけれども、せめて、大臣、副大臣のラインはしっかりと整理してもらいたいですね。(野田国務大臣「ごめんなさい、言い忘れちゃった」と呼ぶ)

 じゃ、もう一度、大臣。

野田国務大臣 確かに、今、物事が進みつつある中で、決定して、それに反することは許されないんですけれども、やはり対話の中で、自民党も、みんな同じでは気持ち悪いですね。いろいろな意見がぶつかり合って初めて、最善の策をつくっていきたいということで、一議員としても尊敬していますし、私が不在のときもずっと私の任を担っていただいておりまして、関係は良好であります。

 ただ、いろいろな、様々な議論を自民党が集めてきているという理解で私は受け止めているので、不一致とかいう、そういうぎりぎりの話ではなく、当然、政治の中にはそういうことがないと駄目なんですね。みんないろいろなことを、同じことを言っていちゃ駄目なので、様々な意見を吸い上げていく過程のやり取りだと受け止めていただければと思います。

本庄委員 政府の中の話ですからね。党の中でもないし個人でもない。自由闊達に好き放題物を言っていいというわけではないと私は思います。

 じゃ、選択的夫婦別姓についてもう一点だけ。

 資料2、もう一度御覧ください。資料2の裏面ですね。安倍元総理の御発言、また御紹介をしたいと思います。横線を引いてあるところ、「夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ。」、こういうことをおっしゃっています。

 野党時代の一議員の御発言だと恐らくおっしゃるだろうと思いますが、これも実は予算委員会で取り上げられておりまして、平成二十八年二月、これも岡田さんですけれども、発言の撤回を求めたときの安倍総理の答弁、家族の価値を重視する保守党としての自民党の考え方を述べたものであろうと、総理大臣として御答弁されているんですね、夫婦別姓が家族の解体を目指すということについて。

 これは自民党の考えなんでしょうか。自民党法案提出者、御答弁をお願いします。

加藤(勝)議員 基本的に、先ほどの発言と一緒でありますので、これは明らかに、安倍当時の総理、特に御指摘の点については、政治家としての御判断をお話をされているんじゃないかというふうに思います。

 ただ、御指摘の点について申し上げると、さっき赤池副大臣からありました第五次男女共同参画基本計画、この中においても、「また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、」、こうした指摘もなされているわけでありますから、まさに、この議論に関しては、多様な観点から、また多様な意見もあるわけでありますので、そうしたものをしっかりと積み重ねながら議論をしていくこと、また結論を得ていくことが大事だというふうに思います。

本庄委員 国会で、総理大臣そして総裁が、自民党の考え方を述べたものだ、こういうふうに明言されているわけですね。一議員の発言だというふうには言えないと思います。

 時間が来たので終わりますが、今回の大臣とそして副大臣の夫婦別氏制度それから世論調査に対する考え方のそご、非常に問題があるというふうに思いました。

 委員長、是非これは理事会でしっかりと整理をしていただきたいと思いますので、御協議をお願いいたします。

上野委員長 後刻、理事会で協議いたします。

本庄委員 ありがとうございました。次は、政策の議論をさせてください。

上野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金村龍那君。

金村委員 日本維新の会の金村です。

 初めて質問させていただいたのが三か月前の予算委員会、この第一委員室でした。非常に緊張したことを覚えておりますが、この部屋に入ると独特の空気感があって、内閣委員会って大変だなと思っております。

 今日は厚生労働委員会から質問をさせていただきますので、本当に、この機会をいただきましたこと、感謝を申し上げます。

 まず、今回のこども家庭庁設置法案、政府の設置法案においては、いわゆるこどもまんなか社会の実現、そして、子供の学び、そして育ち、とりわけ育ちに軸足を置いた法案だと私の中では理解しております。

 加えて、我が党も、教育と福祉の一体化ということで、子ども育成基本法案を提出させていただきました。

 大切なのは、やはり、こどもまんなか社会をどのように実現していくのか、ここを、やはり対立するのではなく、建設的な議論の中で、より踏み込んで政策提言させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、我が党の三木委員の質問に対して、いわゆるこども家庭庁の職員の増員ですね、今、二百名程度おられるところから、百名以上増員されるという答弁がございました。

 これは、職員を増やします、これは配置としてはすばらしいことだと思うんですけれども、ただ単に事務職員を増やすだけであっては、やはり、厚生労働省の子ども家庭局から内閣府の外局であるこども家庭庁になるのが、お引っ越しみたいなやゆをされかねませんので、いわゆる増員される職員の皆さんの予算規模や、そしてその職階、どのようなお考えに基づいているのか、お聞きさせてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁の創設に当たりましては、これまで省庁間、制度間のはざまに陥った課題や新規の政策課題へ対応することとしておりまして、その定員につきましては、議員おっしゃったように、移管される二百名プラス百名というふうに今のところ考えておりますけれども、これからは、民間の方々や地方自治体の職員を含め政策スタッフとして採用することを含めまして、全体で三百名を上回る体制を目指して体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、予算編成過程等におきまして、しっかりと関係省庁と議論していくことになるというふうに考えております。

 また、議員御指摘の予算規模でございますけれども、これにつきましても今後の予算編成過程の中で議論していくことになりますけれども、例えば内閣府、厚生労働省、文科省からこども家庭庁に移管される事務に係る令和四年度の予算の数字を単純に足し上げますと、これには特別会計の予算もございますけれども、おおよそ四・七兆円という規模になります。

金村委員 ありがとうございます。

 私、かねがね、やはり、こども家庭庁、現場をしっかり持っていただきたいと。その考え方も一つとして、我々は教育と福祉の一体化を、学校教育の現場を拠点としてしっかりアプローチしていくということに視点を置いておるんですが、今回のこども家庭庁は、実際にはやはり現場を私の中では持っていないという認識を持っておりまして、実際に子供たちが現場で困難を抱えている、保護者が支援を求めている、又は、いわゆるそこで直接支援だったりそういうサービスを提供する働く人たちがやはりしっかりと、こども家庭庁ができたことによって充実感を実感できる、そういったものに変えていかなければならないと思います。

 そういう視点に立つと、私も、そして野田大臣も、障害児を育てる親として、やはり現場感覚のところを大切にしていかなければならないと思います。

 その上で、例えば障害児が生まれたとき、親が最も負担があるのが入口の障害受容だと思うんですね。自分の子が障害児であったということをしっかりと受け入れて、その子に適した環境を子育てで整えていく。こういったときの家庭支援というのは、まさにこども家庭庁が私は役割を担っていかなければならないと思うんですけれども、とりわけ未就学児の障害児、そして家庭支援、こういったところについてこども家庭庁がどのような役割を担っていくのか、教えていただけますか。

野田国務大臣 まさに現場感覚というか当事者意識で、障害児を抱えると全く世界が、今ある子供、子育ての世界の中に入れない子供たちの側につくということで、いろいろ厳しいけれども見えてくるものもあるんだなと、お互い共鳴し合うところがあるんだと思っています。

 こども家庭庁においては、こどもまんなか社会の実現を目指して、子供や子育て当事者の視点に立った政策立案を行っていくこととしております。障害のある子供やその保護者の視点に立ち、地域社会への参加、インクルージョン、包容を推進することが重要だとも考えています。

 こども家庭庁においては、小学校就学前の子供の支援、これについて、認定こども園等での受入れ、質の高い障害児通所支援の提供等、自ら所管し、施策を推進していくこととしています。また、医療的ケア児や発達障害児者の支援については、早期の発見、把握、適切な支援、サービスのつなぎ等において、教育、医療、母子保健、福祉等の関係者による情報共有や連携が大変重要です。

 こども家庭庁においては、自ら支援策を実施することと併せて、文部科学省や厚生労働省の関係省庁と緊密に連絡を図りながら、子供政策の司令塔として政府全体の関係施策の充実を図ってまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 大臣の答弁を聞いておりますと、今ある実際の障害児支援とか、例えば未就学の段階の支援ですね、そういったものに対してしっかりと調整機能だったり指示命令系統を有しているということですので、決して、現場が今一番あるべき姿になっているかというと、私は違うと思うんですね。そういった意味では、現場の声をしっかりと聞いて、こども家庭庁のまさに権限を使って、よりいい支援をしていっていただきたいと思います。

 加えて、維新案は教育と福祉の一体化ですから、学校教育の現場から福祉のアプローチもしっかりしていこうという考えに基づいているんですが、今、こども家庭庁、当然、教育は文科省、そして、いわゆる育ちの支援をしていくということですので、例えば小学校や中学校、高校に通う障害児において、学校教育の中で支援が必要だとなった場合に、こども家庭庁がどのような介入の仕方をして、実際にその障害児が学校教育の現場でいい教育を提供されるのか。つまり、学齢期における障害児支援について、こども家庭庁の役割を教えていただけますでしょうか。

野田国務大臣 発達障害児者、医療的ケア児という議員提案なんですけれども、やはり接着剤の役割がなくて、厚生労働省が担っている福祉、医療と、学校現場というのは、やはり省の壁があるので、なかなか相互のやり取りができないということで、そこを接着していく意味であの法案、法律が必要だったと受け止めています。

 共生社会の実現に向けて、障害のある子供の地域社会への参加、インクルージョンを推進していくということが重要。こども家庭庁は、放課後等デイサービス等に通う障害のある子供に対する支援など、学齢期の障害のある子供に対する支援についても、自ら施策を推進するということになります。

 今申し上げた医療的ケア児の支援であれば、文部科学省において、学校における医療的ケア看護職員の配置に必要な支援を行うなど、医療的ケア児に必要な支援を行う体制整備に努めています。

 こうした文部科学省、関係省庁にまたがる施策についても、関係省庁と緊密に連携を図りながら、子供政策の司令塔として、政府全体の取組を推進してまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 改めて、医療的ケア児に保護者が同伴しなければ学校に通えなかった、それを、大臣が積極的に動かれて、結果として、看護職員を配置することによって、保護者が同伴しなくても学校に通学できるようになった。これはまさにこども家庭庁の私は役割だと思うんですね。司令塔にしろ、総合調整機能にしろ、現場で困っていることをしっかりと課題解決に導いていく。やはりその声をいかに拾っていくかというのが私はポイントだと思うんですね。

 このこども家庭庁、質問させていただくに当たって準備室の皆さんと少し意見交換する中で、これは質問ではないんですが、少しでもこども家庭庁が、ワンストップである例えば支部みたいなものを、現場の支援ができる、そういったものを持つことによって、確かにいろいろな声というのはいろいろなところから上がってくると思うんですけれども、直下で、例えば人口が密集している五大都市とか七大都市とか、そういう大きなエリアに、より子供の育ちを支援するケースが、格差とかそういったもので増えていく場所にしっかりとこども家庭庁の支部を置くことによって、より近い場所で声を拾い上げていく。できれば検討いただきたいと思います。

 その上で、一つの声を聞く先が、実質的には地方自治体に当たると思います。我々は、教育と福祉の一体化ですから、例えば教育委員会の中に福祉部局を置く、又は、福祉を担当するところに、教育委員会の中でも例えばいじめを所管する部署を移管する、そういう形で、できるだけ学びの現場からもしっかりと福祉のアプローチができるようにするというのを我々自身は考えているんです。

 例えば、今回、こどもまんなか社会、こども家庭庁というのは国民にすごく注目されていると思うんですね。そういう中で、例えば、地方自治体の現場の人たちが、行政組織が一つ増えるだけだよねと、そういうことになってはやはり困るわけですね。しっかりと、困難を抱えている、こどもまんなか社会の中で全ての子供の利益を優先できる体制を整えなければなりませんので。

 つまり、地方自治体において、今回のこども家庭庁ができることによって、どう効果が伴うのか、ここはやはりしっかり見ていかなければならないと思うんですね。ここをお答えいただけますか。

野田国務大臣 先ほどの御提案も、我々、国民の代表の国会議員が運よくそういう当事者と出会うと法案化の手続が進められるんですけれども、出会えない障害を持つ人たちをなくすために、やはり網羅的に、総合的に、そこの責任の所在というのを明らかにしなきゃいけなくて、こども家庭庁はそれをしっかり担っていく任務を私は持っていると思っています。

 子供政策の具体の実施というのは、今御指摘のように地方自治体が中心的に担っています。その体制等は自治体の判断になりますので、こども家庭庁の設置によって、その組織等に直接影響があるわけではありませんが、いずれにしても、子供政策に関連する部局同士が連携を図ることが重要と認識しています。

 特に、こども家庭庁は教育行政を担う文部科学省と緊密な連携を図っていくことということを何度も申し上げていますけれども、自治体においても、首長部局と教育委員会の連携が極めて重要であると考えています。

 現在、自治体における関係部局の連携体制の事例を把握するために調査を実施しているところです。今後、各自治体における取組を情報共有することなどを通じて、自治体におけるこどもまんなかの考え方に基づく体制の検討が進むよう取り組んでまいります。

 もう既に国に先駆けてこどもまんなかの行政に努めている地方自治体も好事例として存在しているんですが、まだちょっと、今までそれについてなかなか皆さんも、届いていなかった、情報共有ができていなかったということで、それをしっかり促していきます。

 例えば、自治体において教育や福祉等に関するデータを連携させ、真に支援が必要な子供、家庭を発見し、ニーズに応じてプッシュ型の支援を届ける取組、こういうことを推進してまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 今大臣の答弁で非常に僕がうれしかったのは、好事例をしっかりと把握をして、それをアナウンスしていく、実はここが欠けていたと思うんですね。ある自治体はいい取組をしていて、実際に、例えば、いじめやヤングケアラー、DV、虐待、家庭に様々な困難を抱える子供たちのケースをある種支援によって覆していく、そういう事例というのは多分全国で必ずあるはずなんですね。それはひょっとすると、自治体とNPOが連携したりとか、いろいろなケースが考えられると思うんですけれども、そういった事例がなかなか、例えば東京のある都市ではできているけれども、それが伝わっていないからこそまだ同じ課題を抱えてしまっている自治体というのはたくさんあると思うんです。

 なので、こども家庭庁の本来的な機能であるいわゆる司令塔機能、この好事例をしっかりと社会に展開していくということは力を入れていただきたいなと思います。

 続いて、子供の意思を尊重する、子供の意見表明のところについて少しお伺いさせていただきます。

 私自身、障害児の子育てをしておりますが、同時に、障害児を療育支援する施設をこれまで八年間経営をしてまいりました。その中で、実は今回、子供の意見表明を改めて考えさせていただいたときに、本当に、このタイミングで子供の意見表明、子供の意思を尊重するということがワードとして入ってきたことは喜ばしいことだと思います。

 その上で、我々、障害児の支援に携わっている者から考えると、実際にその子自身が自らの意思を表明することができないケースもたくさんあるわけですね。そういったときに、じゃ、どうやってその子の意思を尊重していくのか。これはやはりその子の環境設定だったり、あとは、どれだけ周りの関わる人たちがその子に配慮できるのか、ここだと思うんですね。

 つまり、意見を表明してくださいと言ったところで子供が意思を表すことができるわけではなくて、やはり社会全体、関わる人たちがどれだけ、ちょっと言葉は悪いですけれども、聞く力を持っていけるのか、環境設定に対して意識を向上していけるのか、こういったマクロ的な啓蒙活動というのは、私の中ではこども家庭庁が担っていくべき課題だと認識しているんですが、この啓蒙、子供の意見を表明する、そのためには周りの社会全体が子供が意見を表明しやすい環境をつくっていく、実際にその子供の声を聞いていく、こういったところの啓蒙活動をどのようにお考えか、お伺いさせてください。

野田国務大臣 御指摘のとおり、子供といっても、十人いれば十人とも、性格から能力から様々なものが全部違うわけですね。ですから、大人が勝手に子供、子供といっていろいろなことを押しつけてもいけないわけで、今おっしゃった大事なところは、私たちも、昨年閣議決定した基本方針、そこで、児童の権利に関する条約にのっとって、子供は自らに関係のあることについて自由に意見が言える、そして大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分に考慮することなどの基本原則をいま一度社会全体で共有して、必要な取組を推進することが重要であるとしています。

 この基本原則は、私たち大人はもちろん、当事者である子供たちにもっともっと知ってもらわなきゃいけないと思います、恐らくなかなかそういう機会もなかったと思うので。こども家庭庁においては、子供自身や大人を対象として、児童の権利に関する条約などの周知啓発、これをしっかり取り組んでまいります。

 また、国会で御審議いただいている児童福祉法の改正案、これにおいては、都道府県等の法定事業として、児童福祉に知見のある支援員が、児童相談所長等の意見聴取等の対象になっている子供等に対し、子供の意見、意向を聴取し把握すること、必要に応じて、聴取、把握した意見、意向を勘案して児童相談所等の関係機関との連絡調整等を行うことを内容とする意見表明等支援事業、これを創設するなど、子供の意見表明等を、社会の基盤をしっかり整備してまいります。

金村委員 ありがとうございます。

 啓蒙活動、本当に大切ですので、是非展開していただきたいと思いますし、また、加えて、児童福祉法の改正、まさに今日から法案質疑もスタートしておりますけれども、我が党の堀場委員もこの質問でさせていただいたとおり、例えば、これは児童福祉法の改正ではないんですけれども、いわゆるDV被害だったり、それからヤングケアラーだったり、家庭に困難がある、そういった方々の窓口が割と縦割りのまま現存してしまっている現状というのが当然ありますので、ここを一つ、つまり、窓口は一つなんですよ、一つの場所に行ったらきちんと支援を受けられるという分かりやすさが困難を抱えている人たちにとっては多分必要だと思いますので、また児童福祉法改正の方でも質問する機会もありますので、そちらでもさせていただきますが、御理解いただければと思います。

 その上で、社会全体が子供に対する聞く力を養ってきた、実際に子供が意見を表明した、この先で大切になってくるのが、やはりその子が意思をしっかりと表したときに、その子を守ってあげなきゃいけないと思うんですね。

 当然ですけれども、例えば、ケースとしては、例えばいじめを受けている子がいじめに遭っていると自分の意思をきちんと表したときに、それが悪い方向へ回っていってしまうと、実際にいじめがもっと過酷になってしまうのかもしれない。つまり、アプローチを間違えてしまえば、意思を尊重したことにつながらない。

 この子供の意見表明、子供が意思を表したときに、こども家庭庁の役割として、その子自身をどうやって守っていくのか、ここについてもお伺いさせてください。

野田国務大臣 子供が自ら声を上げた際に、子供が不利益をかぶらないようにすることが重要であります。

 例えば、今、いじめの話ですが、例えば虐待であれば、虐待について、被虐待児から市町村に申出があった場合には、常に子供の安全の確保を念頭に置くことはもちろんのこと、相談に際して子供の思いを受け止めること、また、相談に関し知り得た情報については正当な理由がない限りこれを漏らしてはならないこととされています。

 また、今お話のありましたいじめについても、被害児童から相談を受けること等が想定されるスクールカウンセラーの方たちに対して、適切に守秘義務を課すことを国の報告書において示しているところです。

金村委員 やはり、いじめなどは教育現場で起きやすいと思うんですね。そういった意味では、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーなど福祉の視点からのアプローチを学校教育の現場からもしてほしいと。実は、割と、それが教育と福祉の一体化の議論の入口だったりしたものですから、少しお伺いさせていただきました。

 その上で、改めて、今回、いわゆるこども家庭庁の設置法案、こどもまんなか社会、やはり国民の注目は高いと思うんですね。そういった中で、例えば、今実際に困難を抱えている、いじめや虐待、そういったものを抱えている子供たちが、直接こども家庭庁にその状況を、意思を表明することもあり得ると思うんですね。

 例えば、学校教育の現場で起きているいじめについて、こども家庭庁が直接介入することは制度上可能なんでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育に係る個別の事案につきましては、学校や教育委員会また文部科学省において、関係法令等の規定に基づいて適切に対応するということが基本だというふうに考えております。

 その上で、こども家庭庁におきましては、子供の権利利益の擁護を担うという観点から、必要に応じて、こうした文部科学省を始めとする各省に対する関与を行うということとしてございます。

 具体的には、勧告を含めた総合調整機能の発揮、あるいは、いじめ等でありますれば、例えば個別法に基づく関与の仕組みを今回設けようと思ってございますので、こうした関与を行いますほか、自らも、子供のいじめの防止等の業務を担い、地域における相談体制などの体制づくり等を担うこととしてございます。

 こうした役割分担の上で、仮に学校教育に係る個別の問題を指摘する情報や意見がこども家庭庁に届くということとなった場合には、文部科学省や関係自治体に対しまして当該情報等を共有し、その上で、文部科学省等において事案に応じて適切な対応が行われるということと考えてございます。

 いずれにいたしましても、子供の健やかな成長を社会全体で支えていくため、文部科学省等と密接に連携をし、その対応に不備がございますれば、必要な権限を行使することも含めて、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 学校教育といじめのところだけでいえば、先ほど子供の意見表明のところで大臣がおっしゃっていただいたとおり、やはり、教員にとって、そういう視点が全ての教員が整っているかというと、なかなか難しいと思うんですね。スクールカウンセラーやいわゆる学校の現場から福祉のアプローチでいじめなどは解決を図っていった方が、私はスムーズだと思うんですね。

 確かに、我が党は教育と福祉の一体化を伝えていますけれども、実際に、こども家庭庁の例えば司令塔機能や調整機能を使って、いじめ事案があったときにそういう配置を施すとか、そういった権限があればスムーズにいくと思うんですね。必ずしも、組織のたてつけとして我々は望んでいるんですけれども、必ずしもそうではない。実際に起きてしまったことをスピード感を持って解決するためには、直接こども家庭庁がそういう人物を配置することも選択肢に入れることも一つじゃないかなと考えています。

 その上で、学校だけではなくて、学校外における子供のSOS、例えば、スポーツジム、学習塾、又は習い事、子供にとっての様々な集団というカテゴリーがあると思うんですけれども、そこで起きてしまったいじめ等の事案について、こども家庭庁の役割を重ねてお答えいただければと思います。

蝦名政府参考人 委員御指摘のように、子供をめぐる状況につきましては、いじめに代表されますような事案、あるいは児童虐待や貧困など、大変複雑化をしていると考えておりますし、多岐にわたってございます。

 そうしますと、関係省庁は、文部科学省を始め、これまた多岐にわたると考えておりますし、地方自治体が実際の現場を抱えておりますので、自治体の関係部局等と緊密に連携をして事案に対応していくということが必要であると考えています。

 御指摘の、例えば学校外で生じているいじめの問題については、学校での把握でありますとかあるいは適切な対応が、いかに教育委員会が現場を持っているとはいえ、難しいというような場合もあるというふうに考えております。

 今般、こども家庭庁におきましては、こうしたいじめの問題について、学校内、学校外と分けるわけではございませんけれども、全般として、自らの所掌事務として、こうした学校内外を問わないいじめの防止に資する取組や体制の構築を各自治体において推進をするとともに、必要に応じて警察等の関係機関との連携も図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 また、子供をめぐる様々な課題に対応するため、関係機関との連携といたしましては、例えば、要保護児童対策地域協議会でありますとか子ども・若者支援地域協議会の枠組みを活用して、地域における居場所づくり等の関係者などと連携をしたアウトリーチ型の支援につなげていくといったようなことなど、関係機関が連携した支援の充実というものも進めていければと考えてございます。

 また、自治体におきましては、教育や福祉等に関するデータを連携をさせた独自の取組をされている例もありますけれども、こうした事柄も、いじめを始めとする子供の、学校だけでは見えないような様々な困難に対する対応としても有効であろうと考えてございます。

 こうしたデータの連携などにより、真に支援が必要な子供、家庭を発見し、ニーズに応じたプッシュ型の支援を届けるという取組も是非推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

金村委員 ありがとうございます。

 私、今回質問するに当たって、政治に携わったのが二〇〇二年ですから、この二十年間を思い返しても、前半十年は、ここまで、子供の例えば貧困とか虐待とか、いわゆる子供に対する支援が必要だという議論、二十年前はなかったんですね。やはり、ここ十年ぐらいが、相当クローズアップされて、ようやく行政組織も改まる、こども家庭庁という名称で、いわゆるこどもまんなか社会ということが国民の注目にもなってきていると思うんですね。

 だからこそ、今しっかりアナウンスや議論していけることがすごくいいタイミングだと思いますので、改めて、設置法や、また与党の皆さんが出していただいているいわゆる議員立法も含めてしっかりと議論して、よりいいものにしていっていただきたいと思います。

 それで、最後になりますが、来年発足して、こども家庭庁の長官の人選についてお伺いをさせてください。

 いわゆる事務方のトップという捉え方もできますし、政治任用で民間人も含めて登用するということもあり得ると思うんですけれども、例えばどのような人選を今の段階でお考えなのか、総理の専権事項だとは思うんですけれども、担当大臣として野田大臣にお答えいただければと思います。

野田国務大臣 政府案では、「こども家庭庁の長は、こども家庭庁長官とする。」というふうにしています。新しく創設を目指すこども家庭庁にとって、その長官は、専任の大臣を助け、こども家庭庁の事務全般について監督を行うものであり、子供政策推進などに関し重要な役割を果たすものだと考えています。

 その具体的な人選については、法案の成立後、創設に向けて、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて強い司令塔機能を発揮する上で適当な人材が選考されるものというふうに考えています。

金村委員 ありがとうございます。

 私、全然選択権はないんですが、これは目玉だと思いますので、是非、野田大臣に務めていただければと思います。

 時間になりましたので、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 私からは、子供政策を進めるに当たっての教育データと児童福祉データの連携と活用について質問をしてまいりたいと思います。

 先ほども、何人かほかの委員からも御質問ありましたけれども、今議論されている法案の目的は、組織をつくることにあるのではなく、子供を真ん中に据えた政策を推進して、理想とする社会を実現することにあると理解しております。そのためには、教育と児童福祉のデータ活用をしっかりと図っていくことが必須であると考えます。

 しかし、一口に教育と児童福祉のデータ活用や連携といっても、そこには政策分野が異なる省庁の壁、また国と自治体の違いといった組織の壁が存在しております。さらに、それぞれの自治体内においても、子供に関する教育、保育、福祉、医療等のデータは部局ごとに管理をされている上に、学校、保健所、児童相談所、医療機関等々、関係する機関は多様であり、これらの部局や機関が縦割りにデータを取得、管理、活用しているのが現状で、その結果、子供に関するデータが十分に生かし切れていないというのが現状なのではないかと思います。

 子供に関するデータは、例えば学習履歴であり健康履歴であり家庭状況である等々、ほとんどが個人データ、もっと言えば個人データの塊と言っても過言ではないと思います。そのため、幾らよりよい子供政策実現のためといっても、決まった考えもなく無条件に個人データを集めるなどといったことがあってはならないと思っております。子供に関するデータを活用するのであれば、データの取得目的や取得の範囲、管理、活用などについての原則とルールが不可欠であると思います。国民の理解の下、これらの原則とルールがあって初めてデータ連携や有効なデータ活用が可能になると考えております。

 そこで、今回は、これから子供政策をつかさどる新たな組織が子供に関するデータ、特に教育分野と児童福祉分野のデータを活用していくに当たって前提となる環境整備について、野田大臣と有益な議論をできればと思っております。

 そこで、初めにお尋ねいたしますけれども、子供政策に関してのデータ活用の現状について野田大臣にお伺いできればと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおりで、私も、少子化対策とか子供政策というのは、自分の感情ではなくて、やはり数字上、この国はどんどん子供の数が減っているとか、そんなことをやはり合理的に考えながら政策を打っていかなきゃいけないということで今日まで来ましたので、その考えは全く賛同するところです。

 子供政策に関するデータは、国や地方自治体において統計や意識調査などを通じて取得し、EBPMなどに活用されているものと、まあ子供政策が十分かどうかは別として、承知しています。

 一方、国においてEBPMを更に進めることはもちろんのことなんですが、とりわけ、地方自治体など現場における様々なデータを活用した子供や家庭への支援、これについては、一部の地方自治体における先行事例というのはありますが、今後やはり一層力を入れていく必要があると考えています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 基本的には、教育のデータは文科省が所管をしていて、児童福祉関係は厚労省というような形になってくるかと思うんですけれども、更にその連携というものを、今、野田大臣おっしゃったように、活用を進めていくに当たって連携を特に強化をしていく必要があると思っております。

 子供というくくりで、教育や児童福祉データの連携と活用状況、これをお伺いしましたけれども、次に、教育分野そして児童福祉分野、それぞれにおける個人データの取扱いの実態をお伺いしたいと思います。

 現在、教育分野及び児童福祉分野それぞれにおいて、個人データの取得目的はどのように定められているのか、また、データ取得や取扱いに関するルールはどうなっているのか、また、この取得のプロセスや管理について、これもどうなっているのか、文科省参考人そして厚労省参考人、それぞれお伺いをできればと思っております。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 教育データの効果的活用によりまして、児童生徒の学びの向上や教員による効果的な指導、支援、それから国や地方自治体の政策改善など、様々なメリットがあると考えております。

 現在、教育データにつきましては、紙の情報かデジタルデータかにかかわらず、法令に基づくものとして、指導要録や健康診断票の作成が求められておりまして、それぞれ、各教科の評定や出席状況、健診結果等が記録されているため、学校はこれらの情報を取得、管理することになってございます。

 その上で、法令に基づかないものとしては、各種学力調査などに関するデータ、こういうものもありまして、それらをどのように取得、管理するかは、学校設置者や学校の実情及び利用目的等によって異なるものと考えており、各自治体の個人情報保護条例等に従い必要な対処がなされている、こういうふうに認識をしてございます。

 また、教育データの安全な管理、セキュリティーの確保の観点からは、文部科学省におきましては、平成二十九年に、各教育委員会や学校が参考とできるように、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン、これを策定いたしまして、随時改定を行っているところでございます。

 また、現在、教育データの利活用に当たっての安全、安心の確保に向けた論点につきまして、文部科学省で開催しております教育データの利活用に関する有識者会議で議論をいただいているところでございまして、個人情報保護やプライバシーの確保等も含め、必要な方策を今検討しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、個人情報保護を大前提としながらも、教育データの利活用と安全、安心の両立が実現できるよう必要な取組を行ってまいる考えでございます。

川又政府参考人 児童福祉分野におきます個人情報の取得目的やプロセスにつきましては、その施設や事業の目的及び態様が様々であるため、一概にお答えすることは困難でございますけれども、個人情報保護法及び各自治体で制定されている個人情報保護条例に沿って、各自治体において適切に管理されているものと考えております。

 個人データの取得あるいは管理に関する国の指針といたしましては、例えば、保育所につきましては、円滑な小学校教育への接続が行われるよう、最終年度の指導の過程や子供の発達状況等を記載した保育所児童保育要録を作成し、入学する際に小学校に送付することを求め、その記載する項目などを定めております。

 また、児童相談所におきましては、児童相談所運営指針におきまして、相談を受理した子供ごとに児童記録票を作成し、保存するようお示しをしているところでございます。

 こうした取組を通じて、各自治体において適切に情報等を取得、管理いただけるよう努めているところでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 各自治体、現場で適切に運用、管理をされているというふうに理解をいたしました。いわゆる共通のガイドラインというか、省庁をまたがったものはないというふうに理解いたしました。

 教育も児童福祉も、第一線で実際に子供たちと向き合い政策を実施していくのは自治体、特に、基礎自治体である市区町村になってくるかと思います。こうした中で、私は、データの利活用といったときに、二つのレベルで考えることができるのではないかなと思います。

 一つは、現場レベル、実践レベルの具体的な政策アウトプットの改善や解決につなげるもの、例えば、タブレットによる教育データから、個々の子供がどこで分からなくなったかを把握して、指導改善につなげるといったものであります。便宜的にこれを実践レベルでのデータ活用と呼ぶことにいたします。

 もう一つは、個々人や個々の事例を対象とするのではなくて、大勢の子供たちから得られた、いわゆるビッグデータから傾向をつかんで、それを全国の政策形成などに生かしていくといったようなもので、政策形成レベルのデータ活用と呼ぶことができると思います。

 昨今、子供を取り巻く環境や課題がますます複雑化する中では、実践レベルにおいても政策形成レベルにおいても、多面的にデータを活用することなしには、個別の問題解決も適切な政策づくりも不可能になってきているかと思います。

 例えば、虐待問題一つ取っても、児童相談所が有する情報だけでなく、学校における学習の状況や出欠状況、友人関係、さらには家庭状況等々、周辺の様々な状況から多面的に問題を捉えることで、個々の事例への対処だけでなく、有効な政策形成にも結びつけることができるというのは、先進的な自治体では既に取組が進められて実績も出てきているところかと思います。

 そこで、野田大臣に、総合的な子供政策の形成や政策実施における教育分野と児童福祉分野のデータ連携の必要性について、改めて御見解をお伺いいたします。

野田国務大臣 まさに今御指摘のとおりで、支援が必要な子供や家族ほど、SOSを発すること自体が困難であったり、相談支援の情報を知らないなどの課題があります。施設型、来訪型の支援に来ることを待っていては、支援が必要な子供や家族にアプローチすることは難しいと今考えています。

 子供や家庭の状況に合わせたオーダーメイドの支援を行うプッシュ型支援、またアウトリーチ型の支援を充実させることが重要ですが、そのためには、地方自治体において、関係部局に分散管理されていることが多い子供に関する教育や福祉等のデータを連携させて、支援が必要な子供を早く発見して支援につなげていくことが必要だと考えています。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 今、野田大臣からも、総合的に子供政策を行っていく、プッシュ型、アウトリーチ型の支援を行っていく上でも、教育データ、児童福祉データの連携は重要であるとの認識が示されたかと思います。

 一方で、データ連携を進めていくには、領域の横断が不可欠かと思います。例えば、教育分野や児童福祉分野には、国の省庁の部局を頂点として、都道府県の関係部局、市区町村の関係部局、これらの周辺に連なる研究者ですとか実務者の方々の政策コミュニティーみたいなものが存在していて、ネットワークが築かれているかと思いますけれども、分野ごとに、縦割りの壁、どうしてもスムーズにまだまだいかない部分もあるのかなと思っております。

 野田大臣もおっしゃっている、真に子供を真ん中にした政策を実施してこどもまんなか社会を実現するためには、この見えない壁、組織の縦割りですとか、あと同時にデータの縦割りも存在するということをしっかり認識した上で乗り越えていく必要があると思っております。

 こうした中で、近年、関係省庁が知恵を出し合って、子供に関する情報やデータについての課題や活用方針を検討する動きが始まってきているかと思いますけれども、子供に関する情報、データについての最近の取組状況を、デジタル庁参考人、御答弁をお願い申し上げます。

内山政府参考人 お答えいたします。

 先ほど野田大臣からも御答弁ありましたとおり、子供に関する情報、データ連携によりまして、困難を抱える子供たちを早期に発見してニーズに応じたプッシュ型の支援につなげるということはデジタル庁としても重要と考えておりまして、関係府省とともに、副大臣プロジェクトチームで検討しているところでございます。

 先日、四月七日の第三回の副大臣プロジェクトチームの会合におきましては、取組に向けた論点整理の骨子案をお示しをしており、今後、五月から六月の取りまとめに向けて更に議論を深めていきたいというふうに考えてございます。

 あわせまして、デジタル庁では、関係府省と連携し、七自治体において実証事業を行うこととしてございます。個人情報の保護に配慮の上、地方公共団体で、教育、保育、福祉、医療等の子供に関するデータを分野を超えて連携することで、プッシュ型の支援を実施する際の課題等を検証するということにしてございます。

 こうした実証事業を通じまして、必要となるデータ項目、データ連携を実現するシステムや体制の在り方、制度面、運用面での課題等を整理をしていくこととしておりまして、これによりまして、効果的なデータ連携の在り方を検討、構築してまいりたいと考えてございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 今お話にあったとおり、デジタル庁、内閣府、厚労省、文科省の関係する四省庁の副大臣が、子供というくくりで、いかにデータを活用できるのか、課題は何であるのかなどの議論を始めていることは、非常に、まさに子供をめぐるデータを横串に通していこうとするものでありまして、是非頑張っていただきたいなと思っております。

 この四省庁副大臣PTでは、現在、子供に関する情報、データ連携の在り方、デジタルを活用した包括的な子育て支援の在り方、子供に関する政策の可視化の在り方をテーマに議論がなされているとのことですけれども、これはデジタル庁が今中心になって取りまとめを、調整なども行っているかと思うんですけれども、デジタル庁というのはあくまで基盤を整える組織だと思うんですね。本来、こうした子供ということを軸に方針を決めて、取りまとめて、責任を担っていく立場というのは、新たな子供のための組織、すなわちこども家庭庁なのではないかと思っております。

 先ほど、それぞれ文科省、厚労省の参考人の方々からいろいろと御答弁いただいたんですけれども、個別の法体系があればそれによる、それ以外は政策を実施する自治体の個人情報保護条例の規定によるといった趣旨であったかと思います。

 各自治体の個人情報保護条例、これは、当該自治体における個人情報の扱いについて定めた一般的ルールかと思います。子供政策に向けて、その特性に基づいて様々な個人データを収集するためのルールを定めたもの、そのものではないと思うんですね。

 なので、これからより積極的に教育ですとか児童福祉の個人データを活用していくのであれば、国民の理解をしっかり得るためにも、何のために使うのか、どんな効果を生んでいくのかということを、しっかりと原則とルールというものを、子供政策を担う、総合的にその責任を担う組織が、責任者が示していくべきだと思っております。

 具体的には、子供のことを総合的に担う組織というのが、子供政策を明示して、その実現に資する個人情報、教育、児童福祉データを、標準化ですとかガイドラインの策定、これをしっかりと行っていくべきだと思っております。

 今、我が国には、児童のプライバシー保護に特化したルールはまだないと思っております。例えば、ガイドラインには、利用目的をしっかりと明確化することと同時に、情報の扱いを定めた、例えばEUのGDPRですとか米国の児童オンラインプライバシー保護法なんか、各国の例も参考にしながら、適切な形で、しかも最小限の情報取得にとどめることなどを定めていくことが重要かと思っております。また、データの管理、扱いについて、立入検査権のあるコミッショナーのような設置なんかも考えられるかもしれません。

 今回の維新案では、教育子ども福祉省として、組織として教育と児童福祉が一体に取り組み、複雑化する子供の問題に対処することができる体制を提案させていただいておりますけれども、この今の政府案のこども家庭庁でいくとなったとしても、子供政策を総合的に担うとされる新組織こそが、教育、児童福祉データの活用、連携に向けて、その前提条件となる原則、ガイドラインを策定する環境整備を図っていく必要が、繰り返しになりますけれども、あると思っています。

 そこで、最後に、野田大臣に、総合的な子供政策形成、実施に向けたデータ活用の前提となる、今るる申し上げました環境整備について御見解をお伺いしますとともに、決意もお伺いできればと思います。

野田国務大臣 昨年末に閣議決定した基本方針において、待ちの支援から、必要な子供や家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換すること、そのために、子供に関する教育、福祉等のデータ連携を進め、支援に活用することを掲げています。

 こども家庭庁においては、デジタル庁や文部科学省等の関係省庁と連携して、真に支援が必要な子供や家庭のニーズに応じたプッシュ型の支援につなげるための地方自治体における子供データ連携の取組を推進してまいります。

 その際、御指摘のとおり、教育や福祉等のデータは国民の究極のプライバシーであり、また、個人情報保護法令との整合性に加え、国民の意識に沿った検討が必要と考えています。

 現在、デジタル庁で実施している調査研究や実証事業の成果も踏まえつつ、個人情報の扱いやガイドライン等の策定も含め、国民の理解を得ながら、データ連携の在り方について検討を進めてまいります。

 障害ある、なしというのは極めて機微なプライバシー、個人情報であったんですが、昨今、やはり自然災害の下で逃げ遅れてしまわれる障害者又は高齢者の中で、そこを事前に明かすことで、自治会で、事前に避難先とかそういうことを先んじてやっておくことで難を逃れる、そういうことも徐々に自治体によっては取組が行われています。

 しっかりと、個人情報について、何のために使われるか、特に子供、そこは今申し上げたとおりのことをするためにということの説明責任を果たしていきたいと思っています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

上野委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治です。

 野田大臣に質問させていただくのは初めてになります。

 今日のこの質疑に先立ちまして、委員長、各理事、委員の皆様、また事前にヒアリングをさせていただきました各省庁の職員の方、また委員部の方、大変ありがとうございました。

 また、今回の質疑の内容につきましては、地元横浜の日本水上学園の関係者の皆さん、そして出身の小宮信良さんにもいろいろ御協力いただきました。併せて申し上げます。

 今回、いろいろ質問を用意させていただいたんですけれども、時間の関係で少し先にしゃべらせていただきますと、まず、私、率直に、法律の文案を見たときに、漢字の「子ども」と平仮名だけの「こども」が、これまでの政府の制定した法律もいろいろあったんですね。そこら辺は事前にちょっとレクを受けまして、ごっちゃになっているところもいろいろ意味があったりなかったりというふうに伺いました。

 あと、今回、政府案、閣法と私たちの維新が出した子ども育成基本法案で、両方とも同じ文言であります、子供の定義の中に心身の発達過程という文言があるんですね。これも、これまでの質疑の中で、おおむね十八歳、少し飛び出ることもあるかもしれないということだったんですが、この文言だけ、法律だけを見ると、心身のうちの身というのは体ですので、体が大きくなっていくのは二十代でも三十代でも、私も実は四十ぐらいまで身長も伸びていたんですね、まあ横も伸びていたんですけれども。それで、この文言だけでいうと、十八歳なのか二十歳なのかというそこら辺が若干曖昧だけれども、そこら辺は政策の中で、少し残してあるんだということも分かりました。

 今回、私たちの維新の案と政府案の大きな違いは、やはり教育が入るか入らないかというところなんですけれども、最初に、教育のところについて文科省の方にちょっとお尋ねしたいんです。

 教育基本法もあるんですが、教育の目的ですね。私は、個人的には、個人の人格形成を目指して、一人一人がなるべく自立して幸福追求をしていくということが教育の目的だろうと思うんですが、中には国のための教育と考える方もあるかと思うんですけれども、今の政府としてはどのようなお立場かというのをお伺いします。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 教育基本法の第一条が、教育の目的として、個人の人格の完成、すなわち、各個人の備えるあらゆる能力を可能な限り、かつ調和的に発展させることとともに、個人は、同時に、国家、社会の一員であることから、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成、これを掲げているところでございます。

浅川委員 ありがとうございました。

 そして、教育基本法で言う国民という文言は、国民という言葉だけを見ると純粋に日本国籍を持つ人ということに考えられるんですけれども、実際には日本に在住の外国人の方とか外国籍の方も対応していますと。それが、今回、政府法案でありますこども家庭庁設置法案でも、あるいは私たちの子ども育成基本法案でも、全ての子供たちということで、外国に籍のある方、あるいは日本に在住している外国人にも適用していくということだと思います。

 今回、その名称については、ちょっと確認したいんですが、こども家庭庁の家庭という文言について、当初はなかったんじゃないかなということを、これまでの過去の経緯からすると思っていまして、実際、ちょっとこの後の質疑に関わるんですが、家庭という言葉が入っていると、家庭環境にないお子さん、先日までの質問にも出てはいるんですけれども、特に養護施設で生活する子供からすると、家庭が前提とされた法律なのかというふうに受け止められかねないと思うんですね。

 もし、養護施設で暮らしている子供たちのことを考えたら、家庭というのはなくてもよかったのではないかなと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

野田国務大臣 新たな行政組織の名称については、これまでの議論を踏まえて、昨年の十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、こども家庭庁としたところです。元々なかったとかあったとかいうのではなく、しっかり閣議決定したのがこども家庭庁で、それが変更したわけではございません。

 児童の権利に関する条約の前文の考え方において、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨で、これは、もとより、子育ての責任を家庭のみに負わせるという趣旨でもなければ、血のつながった親と住むことが家庭でもないし、大事なことはやはり、家庭という定義というのは非常に広くて、その子にとって居心地がよくて健やかに生きていける場所全てを家庭というふうに位置づけたいということで御理解いただければと思います。

 ですから、養護施設も当然家庭として、本来ならば、少人数で暮らしていく、また、例えば、養護施設と一般家庭の違いは、やはり、親が帰ってくる場所と、養護施設では世話をしてくれる人が出てしまう、そういう問題もありますけれども、限りなく今努力をしていただいて、家庭に近づいている養護施設もありますので、それに敬意を表しながら、家庭というのは固定化されているものではないというふうに、むしろ伝えていきたいと願っています。

浅川委員 どうもありがとうございました。

 養護施設と里親委託制度について、実は、そういう施設の関係者から伺った話で、今はもう政府としては里親委託制度に養護施設からシフトしていくという方針が打ち出されている、ただ、それはちょっと事実認識が違うのではないかというようなことも伺っております。

 実は、先般厚労省が発表した社会的養育の推進に向けてという中に、社会的養育については次のような効果が期待できるということで里親委託を優先しているんですけれども、その一つが、特定の大人との愛着関係の下で養育され、安心感の中で自己肯定感を育み、基本的信頼を獲得できる、適切な家庭生活を体験する中で家族のありようを学び、将来、家庭生活を築く上でのモデルにできる、家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学んだり、地域社会の中で社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得できるというふうになっているんですけれども、ここで言う適切な家庭生活の適切というのはどのような状態をいうんでしょうか。

野田国務大臣 養護施設と里親で、里親の方が何か今政府としては一生懸命取り組んでいて、養護施設に対してちょっと間違った認識を持っておられるのではないかという趣旨でお答えさせていただくならば、適切というのは、あくまでも主体は子供ですから、子供にとって、例えば最初に生物学上の親から虐待を受けたり親を亡くしたりした子供が、そこと類する家庭をつくるいろいろな選択肢の中に、最初は養護施設がほとんどだったと思います。ただ、世界的にも、家庭養護というのは、一般的には親がいて子供がいるというのを世界的にスタンダードみたいにしているので、それに近づけようということが念頭にあると思います。

 日本はどちらかというと、養護施設がどんどん進んでしまったので、他国に比べて施設にいる子供の割合が高い。里親について、なかなか、親というのは血を分けた存在みたいな固定観念がある中で、里親とか特別養子縁組というのは進んでこなかったんですね。だけれども、近年、そういう取組が自治体で進むようになってきたので、それをやはり加速させていく、基本的には、子供の選択肢を広げてあげることで、子供の居心地のいいところを、どこかに固定化せずに子供に選んでもらえるような配慮が進んできたというふうに私は受け止めています。

浅川委員 その里親委託については、例えば二年未満での委託解除が六割とか、そのうちの三割弱は、他の施設に行ったり、他の里親への措置変更というのもあるようなんですね。

 こういった数値的なデータを追っかけていくと、この先の課題として、里親を充実させるためには、里親になってもいいですよと手を挙げられる方が物すごく必要になる。今施設にいらっしゃるお子さんが二万四千人ぐらいだと思うんですけれども、今、里親に、多分全国で七千人ぐらいだったかと思うんですけれども、その数をシフトしていくとなると、物すごく里親で手を挙げられる方が必要になってくるというか、いろいろ問題点もあるんですね。

 そこで、今後、是非、政府の方針はそう簡単には変えられないかもしれないんですけれども、そういった養護施設の方たちの声も是非聞く機会を多く持っていただいて、検討していただければと思っているところでございます。

 この里親の制度については、性犯罪の履歴とかの問題を扱う、日本では個人情報もあるのでそう簡単にできないんですけれども、日本版DBSのようなものがもしこの先できたときには、里親で受けていただいているような方にもちゃんと確認をしていく。つまり、里親の中では、家の中で何が起こっているか分からないというようなケースもあるのではないかというような声もあります。もちろん、養護施設でも同じようなことはあると思うんですけれども、そこら辺も要望しておきたいと思います。

 私、実は、小学生の頃、まあ保育園だったんですけれども、ずっといじめられっ子で、ほとんど毎日のように泣いていたんですね。どうしていじめられたかというのが中学生の頃になって分かったんですけれども、小学生のときに私をいじめていた子と中学でまた一緒になりまして仲よくなったんですけれども、私をいじめていた中心の人は、多分私に構ってもらいたかったんだと思うんですね。それで、ちょっかい、毎日のようにいろいろないじめをしてきていたんですけれども。

 ただ、いじめの原因は、それだけとは限らないんです。いじめの原因のもう少しあるのは、私、今もそうなんですけれども、幼い頃から変わり者だとよく言われておりまして。

 ただ、この議場内にいる議員の先生、皆さん大体同じような感じかなと私は実は思って、実は、この国会議員になってすごく安心したのは、先生の皆さん、本当に皆さん個性的で、何となく、ここにいるとそんなに違和感を感じない私がおりまして。これは議事録に残ってしまうんでしょうか。特に足立先生とかを見て、私も思う存分できるようになりまして。

 それで、実は、ちょっと重要なのは、私、小学校低学年のとき、いじめられた一つは、昼間、月が出ているわけないだろうと言われて、みんなにいじめられたんですね。でも、月は別に夜だけじゃないじゃないですか。でも、子供で幼いときは夜しか見れないと思っていたようで、あるとき、上弦の、いわゆる半月ですね、お昼過ぎに、ほら、出てるじゃんと言って、みんなが納得したんですね。そうすると、いじめる側は、自分の知らないことを言っている変な人をやはりいじめようとするところがあるかなと。これは実は差別とか偏見にもつながるんですけれども。

 毎回、私、委員会質疑でUFO問題を触れているんですが、せんだって、私、この内閣委員会でUFO問題を取り上げさせていただいたんですが、実は、国会議員の先生方にもまだ、アメリカの政府で米軍がUFO問題を発表したという、当時の河野防衛大臣も会見をしているということを御存じない方もいらっしゃるようなんですね。ネット上では七割方、何という質問をしているんだ、こんな大事なときというので、非常に批判的な意見がありまして。

 でも、アメリカが発表した未確認空中現象について、日本の政府がどう捉えるかという質問はこの間したからいいんですけれども、そのことを私がこの国会の場で、議場の場で質問ができたというのは、日本維新の会、すごい政党だなと本当に思っているんですね。いや、そんな質問するなと、昔の流れでいうと、されるのかなと思ったんですけれども、堂々とこの間、十五分間させていただいたんですね。

 こういうような感覚を持っている人がいじめられるんだなと、私は身をもって分かっていたので、是非、いじめに絡む次の質問なんですけれども、ちょっとそれを念頭にお願いしたいんです。

 実は、国立大学の附属の小中学校で、先生が複数で児童生徒をいじめているのではないかという情報があって、そのうちの児童の一人はもう登校拒否になっていると。これは国立の大学なので、もしそういった情報をこども家庭庁の方で察知した場合には、もちろん、それは学校は隠蔽していますからね、隠蔽しているわけですけれども、どのような対応というのが考えられるか、お伺いしたいんですけれども。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般、教育については、文部科学省の下でこれまでどおりその充実を図る、それに対して、こども家庭庁はしっかり連携をしていくというようなたてつけとしてございます。その上で、学校教育に係るいじめを始めとする諸課題については、基本的には、学校の設置者、文部科学省が、それぞれ法律等に定められた役割を果たす、それに対して、こども家庭庁は必要に応じて関与を行うということとしております。

 ただ、御指摘の国立大学については、間に地方公共団体が入っておりませんので、これは、学校の設置者である国立大学法人と、その監督を行っている文部科学大臣ということになります。

 仮に、そこでいじめのような問題が起きた場合、それをこども家庭庁が、例えば被害者からの情報の提供とかいったような形で察知した場合でございますけれども、基本的には、まず、権限のある文部科学省とその情報を共有をいたしまして、そこが国立大学法人に対して、あるいは学校に対してしかるべく措置を取るということが基本だろうと考えてございますが、そこで十分な取組がなされない場合には必要な関与を行っていくという関係でございます。

浅川委員 こういうようなケースの場合に、維新案ではどうでしょうか。金村代議士、神奈川十区で活躍されておりますが、私も神奈川一区なので、よろしくお願いいたします。

金村議員 浅川委員の質問にお答えさせていただきます。

 まずは、我が党の子ども育成基本法案で設置することとされている教育子ども福祉省は、教育などの学びの行政と児童福祉などの育ちの行政とを一体的に行う組織である、このような教育子ども福祉省の組織像の細部は法成立後に検討することとなるが、御指摘の国立学校における教員による不祥事に際して、その設置者たる国立大学法人において自浄作用が発揮されない場合には、教育子ども福祉大臣は、必要に応じて、学校の設置者である国立大学法人に対し監督権限を行使することとなると考えられる。

 このような権限行使の主体を、学びと育ちの行政を一体的に行う教育子ども福祉省とすることによって、いじめ等の問題に対し、教育と福祉の双方の観点に立った、より迅速かつ適切な解決ができるようになると考えられます。

 ありがとうございます。

浅川委員 つまり、我が党の案でいけば、すぐに対応ができるということなんですね。やはり、繰り返しこれまでの質疑でも申し上げていますけれども、文科省の学校教育の部分をここに入れなかったというのは、今後いろいろな問題点が出てくるんじゃないかなと思うんですけれども。

 改めて、大臣は、アメリカのUFO問題が発表されたというのは御存じでしたか。つまり、未確認空中現象について、アメリカの政府がもう調査研究をしている、組織もできている。つまり、それが、広く多くの人が知っていないと、知らない人が、そういうことに対していじめの原因になり得ると思うんですね。御存じでしたでしょうか。

野田国務大臣 議員活動として専門にしていないんですが、一般として、そういう情報を時々耳にすることはございました。

浅川委員 どうもありがとうございます。

 ほかの委員会のときには、見たことはありますかと言って、ちょっとひんしゅくもあったので、そこまでお伺いしませんでしたけれども。

 いずれにしても、今後、ちょっと子供政策で、特に小児科との連携とか子供食堂とか、そういったところにも政府としても力を入れていただきたいと思いますが、金村委員、そこら辺について、将来、政権交代を実現したときには大臣になっているかと思うので、その前提で、少し所信を一分ほどいただければと思いますが。

金村議員 突然でびっくりしておりますが、まず、多様性のある政党に所属できて本当に喜ばしいと思います。

 その上で、子供政策、私は、とにかく窓口を一つにする、サービスを一本化する、行ったり来たりするようなことがないようにしていくことがまず入口、その上で、子供の成長と子供の福祉をしっかりと兼ねる、教育と福祉の一体化が今の段階にあれば望ましいと考えています。

浅川委員 ありがとうございます。

 いじめは犯罪だということを、私が親愛なる相模原の太衛先生からいつも聞いておりまして、今度、野田大臣とお話しすることがありましたら、またお願いしたいと思っております。

 以上です。どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、我が党の浅川委員が、大変いい政党だ、こう言っていましたが、我々は結構苦労していまして。浅川議員が当選してくるまでは、党内で、私がちょっと変わった人だと言われていましたが、彼が来ると、私が普通の人のグループに入りまして……(発言する者あり)いやいや、普通の人のグループに入っていまして。それから、どんな質問でもしていいんですが、さすがに、この内閣委員会で官房長官をお呼びしてUFOの質問をしたときは、もうやめてくれ、こう申し上げたことは付言しておきたいと思います。

 まあ、しっかり一致団結して頑張っていきたいと思います。

 今日は法案審議でありますが、ちょっとだけ時間をいただいて、小林副大臣、それから佐藤厚労副大臣、お越しをいただいていますので、若干だけ。

 前回の、前々回かな、内閣委員会でマイナ保険証のことを取り上げました。すると、日経新聞の大林尚編集委員が、私もふだんからよく記事を拝見していますが、今日の日経のネット記事でその質疑を取り上げてくださって、フェイスブックでもそれを拡散をいただいています。

 まさにマイナ保険証について、先般私が指摘した、情報を持ってくるのは患者さんなんだから、助かるのはお医者さんなんだから、また、保険財政も助かるんだから加算するのはおかしい。妊婦加算は、まだ理屈があるんですよ。理屈のある妊婦加算は、小泉進次郎さんが暴れて何か取りあえず凍結した。いや、それはいいですよ。百歩譲って、まだいいですよ。でも、今回のマイナ保険証は、もう本当にこれは大問題だということで、前回、内閣委ですから、大臣に上げてくださいということで、厚労省の担当の方に申し上げました。

 今日も内閣委ですから厚労大臣はいらっしゃいませんが、佐藤副大臣においでいただきました。これは、厚労省内、大臣まで含めて御検討いただけたでしょうか。

佐藤副大臣 令和四年度の診療報酬改定におきましては、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認につきまして、外来で、患者の同意の上、過去の薬剤情報や特定健診結果等の情報を活用して診療等が行われた場合に、初診料等に新たな加算を設け、評価することといたしました。

 これは、患者さん方にとっては、自ら同意した上で過去の薬剤情報や特定健診結果を医療機関等に提供することで、よりよい医療が受けられるメリットがあることが評価されたものであります。具体的には、より多くの種類の正確な情報に基づいた総合的な診断や、重複する投薬を回避し適切な処方を受けられるといったメリットがあります。

 我が国の医療保険制度の仕組み上、通常の診療報酬改定と同様、患者の方にも窓口で一定の御負担をいただくことになりますが、国民の皆様にはこうしたメリットがある点を丁寧に周知、広報し、御理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

 なお、前回の足立議員との議論も含めて、今回の国会での議論の状況につきましては大臣等にも共有されているところであります。その上で、オンライン資格確認のメリットの周知を始め、オンライン資格確認の普及に向けて対応していくという方針の下で、関係省庁と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

足立委員 佐藤副大臣、ありがとうございます。しかし、どうしようもない答弁でありまして。

 これは参院選でやりますよ、参院選で。もうこればっかりやりますよ、私、マイク持って。私、全国回ってくれと言われているんですよ。全国回って佐藤副大臣の悪口ばっかり言いますよ。いや、それは冗談です。が、公明党さんが、せっかくこれ、公明党さんでしょう、これをやらないと。大臣を押し倒してでもやらないと。(発言する者あり)何かやじが飛んでいますけれども。本当に自民党ってろくでもないですね。本当に選挙でやりますよ。

 敬愛する小林副大臣、これね、デジタル庁、ちょっと頑張らないと、ほっておいたらデジタル庁は潰れますよ、本当。何のためにデジタル庁をつくったのか。単に、システムを調達します、終わり、そうならないためには、この問題、僕は、小林さん、これは政治家として動かないと絶対駄目だと思いますよ。いかがですか。

小林副大臣 いつも足立委員からはデジタル化に向けて前向きな御提案をいただきまして、本当にありがとうございます。

 今回の件ですけれども、関係省庁が一体となってマイナンバーカードの普及促進に取り組むという方針はお互いに確認をしているところです。

 御指摘の診療報酬加算については厚労省で議論されるものでして、中医協のところで結論が一旦得られているわけですけれども、今後も、今回の改定の影響を調査、検証の上、評価の在り方について議論していくことになっているというふうに確認していますので、しっかりその議論を注視しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 私、本当、誰よりもデジタル庁を応援している立場でありまして、本当に、誰よりも早く、マイナンバーというものが、あるいはマイナンバーカードを使うことが日本の行政を前に進めることにつながるということで、私は、七百人いる国会議員の中でマイナンバーの重要性を誰よりも早くから、法律を作ったときは、民主党政権と安倍政権と、ちょうど替わるときですよね。だから、自公民はこれは当事者ですよ、法律を作った。我々は、そのときはまだ政党がなかった。できた直後か。しかし、国会に上がらせていただいて、これが日本の改革のセンターピンだ、マイナンバーで社会保障も変えられる、こういうことで、私は、七百人いる国会議員の中で、誰よりもたくさんの回数、中身も誰よりも深い議論をしてきた自信があります。こだわっているんですね。

 でも、もし小林副大臣が今みたいな御答弁に終始するんだったら、本当にデジタル庁、僕は先ほど大林尚編集委員と申し上げたけれども、日経新聞は今、デジタル庁をぼこぼこにしていますけれども、あれは僕は一面の真理だと思いますよ。

 だから、それを乗り越えて、デジタル庁が本当に日本の行政を……(発言する者あり)ちょっとうるさいな。大体、態度が悪いんだ、この人。

上野委員長 静粛にお願いします。

足立委員 私は、デジタル庁のためにも、この件はこの国会中に。いや、中医協とかいろいろあるでしょう。だから、厚労省はもう動けないですよ。公明党さんの悪口を言って申し訳なかったけれども、でも、与党は力があるんだから頑張らないと。そのときに、厚労省が、それは手続上仕方ないと。手続上仕方ないとか言っているのは、何か玉木さんも最近言っていますけれども、手続よりも大事なものがあるんですよ、手続よりも大事なことが。

 小林副大臣、やはりこれ、もう一回、私はテーブルに、要は、一応閣僚間でもやってくれたと言っているんだけれども、もう一回、牧島大臣と一緒に。厚労省がこういう立場なのは、一応手続上は理解する。しかし、デジタル庁が参院選前にこのままこれを放置したら、デジタル庁のレゾンデートルに関わりますよ。大問題だと思っているんです。

 何で妊婦加算だけあんなに大騒ぎして。妊婦加算は、お医者さんが大変なんです。だから、加算するのは当たり前じゃないですか。小泉進次郎さんはその辺よく分かっていないで、子供保険とか、妊婦加算凍結とか。政治家だから仕方ないけれども、行政的には合理性の全くないことを押し込むのがあの人は好きなんだ。

 でも、行政の合理性って、ある程度大事ですよ、ある程度ね。妊婦加算って、だって合理性があるじゃない。大変なんだから、お医者さん。でも、今回の話は、お医者さんは助かるんでしょう。逆でしょう。(発言する者あり)使わなくたっていいんだって。だから、結局、もうマイナンバーは使わないでおこう、そういうことになるわけ。

 だから、私は、本当にこの参院選で、この十年、私はマイナンバー、マイナンバーと言ってきた。それで、ようやくデジタル庁ができた。安倍政権も本腰を入れてやってくださった。ようやくここまで来たわけですよ。でも、この日本のデジタル化、潰れますよ、これで。これを放置したら。これを放置して国政選挙に突入したら、本当に日本維新の会は岸田内閣を潰しにかかりますからね。(発言する者あり)

 石原さん、それだけの力があったら見せてくれと今言ったんですよ、国民の皆さん。自民党は本当におごっていますよ、こんな問題を放置して。それは、立憲民主党がどうしようもないのはそのとおりだ。しかし、私はこの問題は絶対に問題にします。このままだと日本のデジタル化は十年、二十年遅れる。(発言する者あり)ちょっと、委員長。

上野委員長 御静粛にお願いします。

足立委員 小林さん、何かできることはないですか、参院選までに今国会中にできること。

小林副大臣 少し今の御質問、御指摘のところを整理しますと、我々デジタル庁として、デジタル社会の形成のための施策については、他省庁に対しても、ある種言える権限があるということになっています。

 じゃ、今回の件はどうかというと、オンライン資格確認の導入促進という施策と捉えれば該当し得ると思っていますが、診療報酬に加算するかどうかというのは完全に我々の権限の全く外にあるんですね。

 そういうところは少し御理解をいただいた上でお話をすると、いずれにせよ、診療報酬に加算をすると利用する患者さんに負担が増える、そうするとカードの普及を阻害するのではないか、こういう御指摘なんだと思います。だとすると、これは診療報酬を決める場所でちゃんと整理をしていただかなきゃいけない話だということです。なので、先ほど申し上げたように、診療報酬の分析を中央社会保険医療協議会で評価の在り方も含めて議論していくということになっているので、そういうふうに答弁をしているということです。

 あわせて、今回の件でもし阻害があるとするならば、それは、健康保険証とこのマイナンバーカードを一体化するということに対して、少し負担が増えるので、ためらう方がいらっしゃる、こういうことだと思っていまして、一方で、マイナンバーカード全体の普及というのは、そもそも、カードを持っていて、どれだけの利便性を我々が提供できるかというところにかかっていますので、そちらはデジタル庁として責任を持って、全体で、やはりカードを持った方が便利なんだというふうに思っていただけるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 小林副大臣、ありがとうございます。お忙しい中お越しいただいたので、御答弁いただいたことには感謝を申し上げますが、この話は、また一般質疑を含めて、しっかりやっていきたいと思います。

 あと、もう時間がなくなっちゃったんですが、宮路政務官は、問い、どれで来てくれているんだっけ。(発言する者あり)児童手当ね。厚労省じゃなくて……(発言する者あり)えっと言うけれども、大体、こういうややこしい制度をつくっているのは与党なんだから、ちょっと余り胸を張らないでくださいよ。

 さて、大臣、これは法案審議なので、本当は野田大臣への御質問が後半あって、特に、子供たちは国の宝です。質問をちょっとこっちにしたいんですけれども、大臣はまた次回。だから、野田大臣への御質問は今日はしませんが、御容赦いただいて。ただ、そこでしようとしていた話は、子供たちの問題を、ミクロの、現場の話を中心にこの法案は議論しているわけですが、少子化という問題、あるいは、人口全体の中で、人口全体がどうなっていくか、そのときの社会保障負担がどうなっていくかみたいな話を、ちょっとじっくりまた。今日は大臣には謝りたいと思います。

 その上で、残る三、四分ですが、今、経済対策で、児童手当の給付対象というか、児童手当の議論、あるいは非課税世帯の議論、そういういろいろな議論が出ています。必ず出てくるのが所得制限です、所得制限。しかし、私は、もう毎回予算委員会でも言っているんですが、一々いろいろな給付で所得制限するのはベーシックな再分配ができていないからだと。

 例えば、給付つき税額控除みたいな形で所得税で再分配をきっちりやっておけば、所得控除だけではなくて給付をしておけば、ふだんの給付はばたばたする必要はないんですよ。みんなに一律に配ったらいいんです。だって、子供たちはみんな、どの家庭にも、お金持ちの家にいる子供たちもそうでない子供たちも、同じ子供たちなんだから。だから、私は、一々そういう所得制限を課するのではなくて、ベーシックな再分配を根本からしていないことがそういうことにつながっているのではないかということを申し上げています。

 それは政務官でいいですね、お願いします。

宮路大臣政務官 児童手当に関しての所得制限の、設けるべきかそうでないべきかということも含めてのベーシックな再分配に関する御質問ということで。

 まず、そもそも児童手当は、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給するもので、昭和四十七年の制度発足時から所得制限を設けております。

 御指摘の児童手当を始めとする各種給付制度において所得制限を設けるかどうかについては、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものというふうに考えております。

 御党の御主張であられる、私も何度か委員会質疑でも聞かせていただきました、ベーシックインカムとされる政策については承知しておりますが、その導入に当たっては、財源の確保を含めまして、乗り越えなければならない課題がたくさんあるというふうに考えております。

 政府としては、社会保障各制度の見直しを行うことを通じて、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、そして、次の世代に引き継いでいくことを目指しているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 この問題はもう時間が来ますので終わりますが、このマイナ保険証の問題、それから今あった経済対策、これ、所得制限のオンパレードですよ。私たちは、まさにマイナンバーで国民の所得と資産をちゃんと捕捉して、ベーシックに、ベーシックというのは、例えば所得税体系の中とか、いろいろな形で再分配政策をちゃんとやっておけばいいんですよ、ふだんから。

 その一つのイメージが給付つき税額控除ですよ。だって、給付つき税額控除を何でやらないかというと、何で軽減税率にしたかといったら、マイナンバーがまだ普及していないからと書いてあるじゃない。まあ、それはいいや、ちょっと誤解もあるかもしれない。

 だから、私たちは、やはりマイナンバーをフル活用して再分配政策をしっかりやっておくと。給付つき税額控除でもいいんだけれども、これだけ動乱の時代は、誰が困っているか分からないことが多いわけですよ。誰がお困りなのか分からないから事前給付ということで、給付つき税額控除を事前給付にしたものが、それがベーシックインカムなんです。もうそれ以外ないんです。

 だから、日本維新の会は、何か思いつきでベーシックインカムと言っているんじゃなくて、この動乱の時代に国民の生活を守るためにはベーシックインカムなんだ、こういう主張をしてきた。それをやれば、しっかりと所得再分配をやっておけば、一々経済対策のときに政府・与党と、政府、与党、あるいは自民党と公明党でけんかしなくていいんだ。公明党の存在意義も薄まりますよ、そうすれば。だって、そこで飯食っているんだから。そこで、所得制限をつけるつけないで仕事したふりをしているんでしょう。

 そういう古い国会は乗り越えて、新しい国会をつくっていく、そうした訴えを参院選でしていきます。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日は、よろしくお願いいたします。

 こども家庭庁設置法等に関する審査ということで、今日は、冒頭、こども家庭庁設置に関する質問をさせていただいた後、いわゆる、最近国民の皆様の中でも関心の強くなってきている所得制限について伺い、そして最後は、放課後児童クラブの運営についても取り上げさせていただきたいと思いますので、今日は文科省にも来ていただいておりますが、よろしくお願いいたします。

 まず最初は、こども家庭庁の名称について、大臣にお伺いをしたいと思います。

 今日の午前中もこのような名称について質問があったかと思いますけれども、我々が説明を受けた際には、当初、こども庁という名称が検討されていたのが、途中から家庭という文言が入ってきて、先ほど大臣が答弁された、閣議決定の際には、こども家庭庁という名称で閣議決定がされたという経過でありました。

 やはり、この家庭という言葉をどういう意図、どういう思想の下につけ加えることにしたのかというところをまず伺いたいと思っています。

 質問としては、やはり、私のところにも、こども家庭庁と、家庭がつくことによって、今後、特定の家庭環境であったり特定の家族構成を前提として施策を設計、運用することがないのかといった懸念であったり、あるいは、今日、午前中の質疑で、血縁のないものも含めた幅広い家族の在り方というのは認めていくんだ、こういう大臣の御発言もあったので、そこは安心をしたところでありますが、個々人の家族観や、結婚や出産などの選択に影響を及ぼし得る取組、例えば、こういう条件がないと支援はできないとか、そういうことがないようにしていただきたいというのが国民の皆様からの声としてあるんですね。

 ですから、この辺りの懸念について、こども家庭庁、家庭をつけたそのときの思想であったり、あるいはこうした今私が申し上げた国民の皆様の不安に応える答弁をお願いしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

野田国務大臣 御質問ありがとうございます。

 新たな行政組織の名称については、今お話があったように、これまでの議論を踏まえて、昨年十二月に閣議決定をしたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針、ここで、こども家庭庁としたところです。児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨でありまして、政府が家庭に過干渉するという趣旨ではありません。

 むしろ、必要としている支えを提供。今まで、ややもすると、国は、非常に、家庭、家族とかそういうのをプライベートなものとして、直接の支えとかいうのがなかなか、いわゆるプッシュ型とかアウトリーチとか、そういうことをせずに来ました。結果として、やはり困難を抱える子供たちがコロナ禍の中でも非常に増えて、これは平時からそうだったんだろう、コンディションが悪かったんだろうと。マクロでいえば、大変な人口減少、それも少子化、子供を産みたいけれども産めないという人たちが増えている。こういうところを改善するために、やはり、子供にとって安らぎの居場所が幾つもあるという、そういうことを改めて皆さんと、家という、かつての、血のつながった関係性、むしろそういう固定したものではなくて、最初そういう生物学的に親がいても恵まれなかったら、虐待を受けたら、次にあなたに居心地のいい場所を提供するというのが、このこども家庭庁の家庭という言葉の意味であると受け止めていただければありがたく思います。

浅野委員 ありがとうございます。

 大臣自身のお言葉で御答弁をいただいて、その思いといったものは少し理解できたような気がいたしますが、やはり、国民の皆様からの声として、この後の議論にもありますが、例えば所得制限だとかあるいは家族の年齢とか属性だとか、そういったもので支援、手を差し伸べる対象を限定することがないように。対象が限定されてしまうと、どうしても、その対象の範囲内にいなければいけないですとか、まさに、全く別の問題ですけれども、いわゆる百三十万円の壁の議論に似たような現象を及ぼしてしまわないようにしなければいけない。その辺りを我々は懸念しておりますので、しっかりその辺りは今後の制度設計の中で配慮していただきたいということを、まず冒頭申し上げさせていただきます。

 次の質問なんですけれども、こども家庭庁を創設することによる効果が何なのかという議論が我が党の中でもこれまで度々ありました。

 就学前の児童に対する教育、保育や、いじめ、不登校への対応というのは、今後こども家庭庁が文科省と連携して対応することになるというふうに聞いておりますけれども、では、これまでもそれは文科省、厚労省、内閣府それぞれ連携して対応してきた部分もあろうかと思います。こども家庭庁をつくることによってどのようなメリットが更に新たに生まれるのかといったところをまずは確認をさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 教育については、文部科学省の下でこれまでどおりその充実を図りつつ、こども家庭庁と文部科学省が密接に連携して、子供の健やかな成長を保障、そういうこととしているところです。

 小学校就学前の子供について、学校教育法及び児童福祉法に、文部科学省と相互に協議を行い、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容を定める旨の規定を新たに設けることとしておりまして、これによって、施設類型を問わず、共通の教育、保育を制度上担保して、質の一元化が図られると考えています。

 と同時に、いずれの施設にも通っていない、これは義務じゃないので、義務教育じゃないので、未就園児が存在するわけですね、そういう子供たちも含めて、就学前の全ての子供の育ちを支えていかなければなりません。子供の育ちを支える際に留意すべき事項等を、就学前の子供の育ちに係る基本的な指針、またこれも仮ですけれども、として閣議決定し、政府内の取組を主導することとしているところです。

浅野委員 今の御答弁の中にあった基本的な指針という部分ですね、私も、現場の方々から声を伺っていますと、非常に、未就学児が小学校に上がるときの接続性という部分に多くの課題を感じていらっしゃる方が多いというふうに思っております。

 例えば、文科省の調査では、幼保小の架け橋プログラムの取組というのがあるそうなんですけれども、幼稚園、保育所、認定こども園の七割から九割が、やはり児童が小学校に上がるときに何らかの問題、課題を抱えているというふうに回答しているそうです。例えば、保育園などではお昼寝の時間があったりするところもありますけれども、そのまま小学校に上がったときに、どうしても、習慣化されていますので、その時間帯になると眠くなって授業に集中ができないとか、やはりそういった課題を感じる保護者、そして園があるそうなんですね。

 ですから、小学校に上がるときに、保育園でも幼稚園でも、そしてこども園でも、あるいはどこにも通っていない子供であっても、小学校に上がる時点で、こういう能力であったり習慣であったり、そういったことをしっかりと身につけておくこと、共通基準みたいなものを是非明らかにしていただいて、教育の質の確保につながる取組を推進していただきたいというふうに思います。これは要望です。

 次の質問ですけれども、次からは所得制限の話をさせていただきたいと思います。

 先日の本会議でも取り上げさせていただきましたが、高等学校等就学支援金という制度がございまして、この制度ですと、今、所得制限がかかっております。年収基準としては、五百九十万円、そして九百十万円といった基準があるんですけれども、そもそもこの高等学校就学支援金に所得制限をかけている理由は何なのか、その背景を御説明いただきたいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちの誰もが、希望する質の高い教育を受けられる環境を整備するためには、教育の機会均等に関わる施策をより一層推し進めることが必要というふうに認識をしております。

 こうした観点から、高等学校等就学支援金につきましては、平成二十六年度に制度改正をいたしまして、支給対象を年収約九百十万円未満の世帯を対象ということにいたしました。

 この所得制限で捻出した財源を有効活用することで、一つには、私立高校等へ通う年収約五百九十万円未満の世帯の生徒への加算拡充、二つ目は、授業料以外の教育費を賄う高校生等奨学給付金の創設などを可能としておりまして、低所得世帯の支援を拡充できているというふうに考えております。

 文部科学省としましては、今後とも、教育費の負担軽減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

浅野委員 どうもありがとうございます。

 ちょっと通告はしていないんですけれども、この九百十万円と五百九十万円という二つの基準がこの制度ではございます、年収制限をかける際の基準ですね。これは、九百十と五百九十が当時どのように決まったのか、もし答弁できるようでしたら、いただきたいんですけれども。

淵上政府参考人 少し、正確な情報は今手元にないのですけれども、記憶の限りで申し上げますと、当時、全体の制度設計を見直すという過程の中で、どの程度の家庭に高校の授業料の負担を求めることとするかということと、それから、やはり、手厚い支援が必要な家庭というのはどういうことなんだろうということを検討する中で、その水準が決まっていったということでございます。

 制度創設後におきましても、低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいこと、それから公私間の教育費格差などが課題としてございましたので、先ほど申し上げましたように、九百十万円という世帯の所得制限を活用して新たな支援を講じたという経緯でございました。

浅野委員 済みません、急な質問で、御対応いただいてありがとうございました。

 ちょっと私の方でも少し事前に調べさせていただいたときに、九百十万円という基準が決まった背景は、その当時、支援が必要とされている低所得層の割合というのが全体の約二〇%ぐらいだったということで、そして、反対に、上位二〇%というのがどの辺りから上なのかというのを見たときに、それが当時、九百十万円から上の辺りが二割ぐらいいたんだということで、この九百十という数字が決まったというふうに聞いております。

 また、五百九十という基準についても、当時の、児童がいる世帯の中央値が五百九十万円だったということで定まったそうなんです。

 私、ちょっと課題提起をしたいのは、まず、この五百九十と九百十という二つの基準が当時の統計的なデータに基づくものであって、現状はこれが更に変わっているという事実があることなんです。

 例えば、この五百九十という中央値は、二〇一九年の厚生労働省の調査によると、児童がいる世帯の平均所得というのが七百四十五万円というような数字も出てきておりまして、かなり、晩婚化も進んだり、あと共働きが増えたという背景もあって、年収が上がっているんですね。これが中央値だそうなんです。ですから、こういったところも時代に合わせて見直すべきだというのが一つです。

 もう一つは、先ほど御答弁いただいた中で、収入の多い世帯から、受け取らない代わりに、それを支援が必要な世帯に分けるんだということなんですが、その結果、何が起きているかというと、例えば、世帯年収一千万円でお子さんが四人いる御家庭と世帯年収が五百万円でお子さんが一人だけの世帯というのを考えたときに、四人のお子さんを親御さんは学校に行かせたいわけで、四人分の学費を考えると、どうしても公立で行ってほしい、子供に対して公立学校への進学を求めざるを得ないというような現実がある一方で、子供が一人の世帯年収五百万円の御家庭では、この支援制度を使って、公立でも私立でも自由に行かせられるというような現状もあるんですね。いわゆる逆転現象が起きてしまっている。

 こういった課題もあるので、高等学校等就学支援金の制度について少し見直すべきではないのかなというふうに思っているんですけれども、改めて文科省の御答弁、御見解を伺いたいと思います。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど先生が御指摘をいただいたケースは、そういうことが生じ得る可能性があるわけでございますけれども、もう少し厳密に申し上げますと、九百十万円、五百九十万円というのは、モデル世帯での、モデル例としてお示しをしておりますので、もう少し精緻に申し上げれば、課税標準によって変わってまいりますので、少し、計算はそれぞれの世帯構成などによっても変わってまいりますということはちょっと申し上げたいと思います。

 その上で、高等学校就学支援金制度につきましては、先ほど申し上げましたように、制度全体としましては、より支援が必要とされる世帯に対する支援を充実をしながら、全体として教育の機会均等に資するように設計をしているところでございまして、このために、この結果、改正前よりも教育の機会均等に資する制度となっているというふうに評価をしているところでございます。

 ただ、今後とも、教育費の負担軽減にはしっかり努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

浅野委員 改正前よりも効果が出ているという評価をしているということなんですが、その一方で、先ほど私が例示した、お子さんがたくさんいる世帯などにとっては、やはり実質的に進学先を制約せざるを得ない、子供が少ない御家庭では比較的そういう制約がなく進学先を選べる、こういった認識になっている。このことが、子供をつくろうという意思のある若者に対してどのような影響をもたらすのかということはしっかり政府としても御検討いただきたいと思いますし、私としては、所得制限というものはやはり一種の不公平感を生み出す制度なのではないかなというふうに思いますので、これからもここは議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 続いて、まだ同様に所得制限の話をさせていただきたいと思いますが、給付型奨学金について、あるいは無利子型奨学金というものもありますけれども、奨学金制度で所得制限を設けている、これについても、その理由、背景、是非御答弁をいただきたいと思います。

里見政府参考人 お答えいたします。

 令和二年四月より開始いたしました高等教育の修学支援新制度では、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低いという状況にあることなどを踏まえまして、真に支援が必要と考えられる低所得世帯に限って、給付型奨学金と授業料減免による支援を実施しているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 所得制限をかけている理由ということで、真に支援が必要な世帯に、なぜ、どういった理由で限定をかけているのかということなんですけれども、今の答弁ですと、家庭の経済力が進学率に大きく影響するからということなんですが。

 恐らく、それというのは、私も統計的なグラフを見たことがあるんですけれども、本当に、例えば非課税世帯のような世帯だけじゃなくて、年収が上がれば上がるほど、やはり連続的に、線形的に進学率というのが上がっていくようなデータだったと思いますので、じゃ、なぜそれが一部の世帯に限定されるのかというところについては、ちょっと今の答弁では疑問が払拭できなかったわけです。

 ただ、ちょっと次の質問に移りたいと思いますけれども、そもそも子供と親というのは、当然ながら別の人間ですから、別人格です。親の収入で子供の将来の負担、つまりは、奨学金は、給付型であればもらい切りですけれども、そうでない場合には、将来子供が返さなければいけない。親の収入で子供の将来の負担が左右されてはならない、されるべきではないというふうに思っております。

 親の収入を詳細に知っている子供は少ないと思いますし、親から子に親の経済力が継承されるなんという保証は一般にはないわけです。全く同じ仕事に就けば別ですけれども、親の会社を継いだりするのだったらあり得るのかもしれませんが、それでも、親の経済力を子供が継承するなんということはどこにも保証されていないわけであります。だからこそ、国は、所得制限を設けずに、全ての子供を平等に支えるべきだというふうに考えております。

 今の私の発言なんですけれども、子供自らの奨学金の返済、その負担が親の収入によって左右されているという今の現状について、改めてちょっと文科省、政府のお考えを伺いたいと思います。

里見政府参考人 お答えいたします。

 まず、所得制限を撤廃することにつきましては、低所得世帯以外は、既存の貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、高校卒業後の進路が多様でありまして、進学せずに働く者との公平性に留意することがあることを十分に踏まえまして、慎重に議論する必要があると考えております。

 また、幅広い学生に対しまして、希望者全員に対する貸与の実現など、無利子奨学金の充実に努めてきたところでございますが、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、きめ細やかな救済制度を講じ、高等教育への進学の支援の充実を図ってまいりました。

 文部科学省といたしましては、修学支援新制度や無利子奨学金などの教育費の負担軽減策を着実に実施することによりまして、家庭の経済事情にかかわらず、安心して学べる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 私、やはり奨学金というのは、貸与型というものを別に否定する気はありませんけれども、やはり、できることなら、基本的には無利子型奨学金をスタンダードにしていくべきだというふうに思うんですね。利子の部分はやはり国なりなんなりが補填をして、自分が学びたいという意思のある子供に対しては無利子でお金を貸して、将来しっかり返していただくということで。

 そこに利子が入ってくると、やはり、借りることに対する抵抗感であったり、それを理由に学ぶことを諦めたりだとか、そういう学生が出てくることも想像ができますので、是非、今後、この無利子型奨学金も、精力的に取り組んでいただいていることは分かるんですが、更にもう一歩踏み込んで、基本的に無利子型をスタンダードにしていくというふうにしていただきたいというふうに思います。

 では、次のテーマ、放課後児童クラブについて話を移してまいりたいと思います。

 この放課後児童クラブなんですけれども、二〇二〇年の四月に基準が変更されました。どういうふうに変更されたかというと、放課後児童クラブを運営をする支援員が不足しているということを背景にして、職員の資格と配置基準というものを、従うべき基準というものから参酌すべき基準に緩和し、これによって、無資格者一人のみでも放課後児童クラブの運営が可能となりました。

 現在、資格を持った支援員が一人もいない施設も多く存在しておりまして、例えば、そういう無資格者のみで運営されている施設は全国に七百十一か所、そのうち七十一名以上の大規模施設というのが三十三か所、これは二〇二〇年の九月時点の厚労省調査のデータですけれども、こういった状況だそうであります。

 また、一クラス当たりの人数が、国のガイドラインの基準、おおむね四十人以下となっていない施設が全体の約四割に上っているという現状もあるそうでございます。

 やはり気になりますのは、このような状況で子供たちの安全をしっかりと運営側が管理できるのか、確保できるのかということなんですが、放課後児童クラブなどの安全性の確保、そして質の確保というものをこれからどのように担っていくのか、御答弁をいただきたいと思います。

川又政府参考人 放課後児童クラブの人員配置、資格要件の基準につきましては、令和二年四月一日から参酌標準となっておりますけれども、人員配置数に関する基準を独自に設定をいたしました四十四の自治体がございますが、四十四の自治体の状況を見ますと、事業をいかなる体制で運営する場合でも、子供の安全の確保について最大限留意することが必要であることから、常時連絡可能な人員を設定し、緊急時に速やかに対応できるよう連絡体制の整備、緊急時には併設している施設職員の応援を得られる体制を整備といった安全確保の方策を条例等で併せて定めているか、あるいは今後定めるように検討するというふうに承知をしております。

 また、厚生労働省といたしましても、放課後児童支援員に対する研修、処遇改善の推進、活動内容に関する質の向上のための評価の推進、好事例の普及、展開、放課後児童クラブを巡回し育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置、支援員等の補助職員の配置などを行いまして、安全確保、あるいはその質の向上に努めているところでございます。

浅野委員 今おっしゃっていただいたような様々な対策をするのであれば、例えば、緊急時の連絡体制を整えたり、あるいは補助員を準備したりと、正直、国のガイドラインが緩和されたことによって現場の負担がかなり上がっているような気がするんですね。であれば、最初からしっかり厳格な基準を設けて、自治体負担を増やさないような配慮が必要なのではないかというふうにも思いますけれども、今後、これから本格的に始まりますので、しっかり我々も見ていきたいと思います。

 この放課後児童クラブに関しては、今日、二つ、現場の方々からの御要望もいただいておりますので、ちょっとその二つを取り上げさせていただきたいと思います。

 一つは、放課後児童クラブの開所時間が、小学校に上がったばかりのお子さんを想定していますけれども、保育園やこども園のときと比べて開所時間が短い、短くなってしまうので、学校が終わった後、子供たちの面倒を見るために親がその時間家にいなければいけないとか仕事をすることができない、いわゆる小一の壁というものが課題視されております。

 是非、現場の要望としては、放課後児童クラブの開所時間を保育所と同程度に延ばしてほしい、こういった要望があるんですけれども、これについて政府の御認識を伺いたいと思います。

川又政府参考人 保護者の就労時間あるいは就労状況が多様化している実態を踏まえまして、地域のニーズに沿った放課後児童クラブを運営していただくということが重要であります。設備運営基準におきましても、保護者の労働時間等を考慮して開所時間を定めるということが規定をされてございます。

 令和三年五月一日時点で、開所時間を調べてみましたところ、平日において十八時三十分を超えて開所しているクラブは全体の約六割となっており、その割合は着実に増加しているところです。

 厚労省としても、御指摘の小一の壁というような問題が生じることのないよう、保育所と比べ開所時間が短いという課題についての支援策といたしまして、長時間開所する場合の加算、あるいは長時間開所する放課後児童クラブの職員の処遇改善などを実施しているところでございます。

 子育て支援に切れ目が生じることのないよう、きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 よろしくお願いします。

 もう一つございます。もう一つは、放課後児童クラブにおける昼食の提供に対する要望です。

 現在、放課後児童クラブの所管というのは福祉部門が担っておりまして、いわゆる学校給食は教育委員会が所管をしている、いわゆる縦割りとなっています。放課後児童クラブの運営指針では、おやつの提供については記載があるんですけれども、昼食については定められておりません。実施するためには、自治体の責任の下で各自治体が対応しなければならず、実施するためのハードルがやや高くなっている現状があります。

 それでも、一部の自治体、例えば、奈良市ですとか越谷市、あとは島根県の益田市などでは、昼食の提供を通じて、家庭で食事を取りづらい、取れない児童に食事を提供しているといったこともあるそうでございます。

 是非、こども家庭庁を創設した際には、このような課題に一元的に取り組める体制ができるものというふうに期待がされておりますので、例えば夏休みなど長期休暇の際や学校が休校となっている期間、子供たちが安心して過ごせる場所を確保する意味でも、この放課後児童クラブに昼食提供というものを御検討いただきたいということなんですが、政府の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 少し前まで、待機児童というと、未就学児、保育園とか幼稚園ということになっていたんですけれども、少子化でどんどん年がスライドしていて、もう今は、やはり学童の子供たちが増えているという現状をしっかり捉まえていかなければならないといつも思います。

 御指摘のとおり、地方自治体の福祉部門と教育委員会など子供政策に関連する部局同士、しっかりと連携を図ることが重要だと認識しています。放課後児童クラブ等への給食提供については、自治体の福祉や教育の担当部署が連携を行いながら、学校給食の施設や人員など、地域の実情に応じて、自治体において適切に御判断いただくべきものと考えています。

 でも、こども家庭庁の中には、やはり、貧困問題とか様々な事情でしっかりと食事が取れない子供たちも増えていることも現実ですし、また、少し前から食育というのを国でやっていて、最近ちょっと聞かれなくなっているんですが、食育ということを通じて、やはり自らの健康管理ができる子供たちをつくっていかなきゃいけないというのも国の方針だと思っているので、是非、御判断はそれぞれ自治体ですけれども、こどもまんなか社会をつくる意識の下でいろいろ取り組んでいただければと思います。

浅野委員 よろしくお願いします。

 国、こども家庭庁から、いわゆる貧困家庭の子供たちへの対応も併せて、こういった放課後児童クラブの役割みたいなものを是非随時見直していただいて、各自治体にメッセージを発信していただくことが現場での変化を促すことにつながると思いますので、是非そこは、こども家庭庁のリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 次の質問になりますが、今度は、小学校も高学年になりますと、放課後児童クラブ以外の場所で子供たちが過ごす場所が欲しいというような要望、ニーズが出てまいるそうです。

 例えば、中学校に上がる前に、落ち着いて勉強ができる場所を探したい。私の地元でも、例えば駅の近くの商業施設のフリースペースなんかで、子供たちが宿題をしていたり、友達同士で集まって勉強をしたりという光景があるんです。正直、私が子供の頃はそういったところが余りなくて、家で勉強するか、塾に通っている子供は塾で勉強するかぐらいだったんですけれども、今は、なかなかそういう場所も、何というか、子供たちが勉強する場所がなくて、商業施設のフリースペースにしか集まる場所がないみたいな現状があるのかなというふうに、見ながら考えております。

 政府としても、子供たちに、放課後児童クラブにこだわらない場所の提供をしていきたいという意向を持っているというふうに聞いたんですが、では、具体的にどのような場所を想定しているのかということをちょっと伺いたいと思いますし、私自身は、企業に勤めていたときに、やはり、子供が会社に来て、例えば親の近くで過ごせるなんということができれば、企業内託児所なんかもありますけれども、もっと職場に子供を受け入れられるような風土が醸成できれば、子供が地域社会を身近に感じる機会をつくり出したり、あるいは郷土愛を醸成したり、若しくは従業員の多様な働き方の実現にもつながるんじゃないかなというふうに思いますので、そういった観点に対しても政府の御見解をいただければと思います。お願いします。

野田国務大臣 昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びと社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、幸せな状態で成長できるようにすることが重要であることを掲げています。

 こども家庭庁においては、子供の居場所づくりに関する指針を策定して、政府全体の取組を強力に推進するとともに、自らも放課後児童クラブを所管するとともに、児童館や青少年センター、子供食堂、学習支援の場を始めとする様々な居場所づくりを進めていくことにしています。

 こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、指針の策定に資するよう、子供の居場所についての実態把握や論点の整理に関する調査研究を行うことにしています。調査研究の結果を踏まえて、また、御提案いただいた内容もしっかり参考にして、様々な居場所づくりを進めてまいります。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 コロナ禍になりまして、親が、これまでは会社に出ていた方々が家で過ごす時間も増えた一方で、子供たちも学校だけではなく家庭、学校以外の場所で過ごす場所も増えてきて、子供が一番安心できる場所はどこなんだということを考えたときに、やはり、先ほどもありました、安全が確保されていて、自分が信頼する大人がいる場所が子供にとっては一番いい、安心できる場所だと思いますので、そういった点では、職場に子供を連れていきやすい社会づくりというものも是非これから進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

上野委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、こんにちは、立憲民主党、福島県出身の馬場雄基です。

 初めて内閣委員会にて質疑に立たせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 昨年の衆議院議員選挙におきまして、伝統あるこの国会に初めて平成世代が加わりました。二人です。まだ私ミレニアム世代ですね、Z世代にはなれなかったんですけれども、自民党の土田慎議員、そして私、馬場雄基、二人になります。今日はいらっしゃっていないかなと思いますけれども。

 時代は既に令和に変わりました。失われた三十年ど真ん中世代の、私、その世代の一人として、この間に生まれてきたひずみやゆがみに対して責任を持って挑んでいきたいという覚悟で本日質問をさせていただきます。

 まさにこの法律はその一つだと思っております。今、子供を取り巻く環境、痛ましい事件の数々が起きています。虐待、いじめ、自殺、残念ながら様々あります。私も伺いましたが、児童相談所に寄せられている相談件数、年々増加傾向です。令和二年度だけでも約二十万件を超えている相談があります。一日当たりに換算すれば五百五十件。今この瞬間にも起きている可能性はあります。私たちは、例えば児童虐待致死事件、こういったものにも遭いました。岡山や愛知、本年でも起きております。今もなお私たちの心に深い悲しみが刻まれているというふうに思います。

 そこで、子供政策をつかさどる野田大臣にお伺いさせていただきます。

 被害者となってしまった亡くなった子供たち、あるいは加害者となってしまった親、そういった方々に対してどのようなお言葉をおかけになるでしょうか。また、なぜこういった問題が起きるのか、お考えを教えてください。

野田国務大臣 馬場委員、平成四年生まれ、ちょうど私はその少し後に国会議員に初当選させていただいて、昭和の生まれでございます。よろしく。

 児童虐待により子供が亡くなる、未来が奪われてしまうという事態は、大変痛ましくて、決して起こしてはいけないことであります。

 こども家庭庁においては、これまで各省において別々に担われていた子供政策に関する総合調整権限を一元化して、子供の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしています。児童虐待防止対策についても、これまでも厚生労働省中心に取組が行われてきましたが、こども家庭庁において、これを引き続き行うとともに、関係省庁にまたがる児童虐待防止対策を主導していきます。

 私も今ちょっと育てにくい子供と一緒に暮らしているんですけれども、国会議員を長らくやっていたからといって子育てにちゃんと反映できるわけではなく、やはり子供の身勝手にかあっとくることも、この年でもございます。ですから、子供を守るということは、その一番近くにいる親の支えも必要なんだろうと。

 そういうことも総合的に勘案しながら、起きたことだけで終わらせるのではなくて、そうならない予防を、こども家庭庁はしっかり、各方面との総合調整役として、知見を集積させて取り組んでいきたいと思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 確かに私自身、この事件を見たときに、もちろん殺してしまった親が悪いのは当然なんですけれども、親にだけ責任を問う、そういった状況はいけない、そういう社会ではあってはならないというふうに思っております。

 時代は変化しています。昭和、平成、令和、時代が変わるにつれて、家族の在り方も変わっています。大家族中心であったのが、私もそうですが、核家族、あるいはシングル世帯、様々な家族の変化が生まれております。

 確かに、子供に関する予算、これは増加傾向でもあります。しかし、これは、九〇年代、まさに私が生まれてからですけれども、九〇年代から始まった少子化対策が基軸になっている、源流であるというふうに思います。

 ただ、私はしっかり考えたいのは、子供にとって子育ては余り関係ない、つまり、少子化の問題は子供にとっては関係ないんじゃないかというふうに思っています。つまり、子育てする親、家庭ももちろん大切ですけれども、そもそも、少子化に関係なく、一人一人の子供たちにしっかりと立脚した制度を今こそつくるとき、それが今の時代の変化に合わせた制度であるというふうに私は思っています。

 そこで、改めて、こども家庭庁について伺います。

 こども家庭庁の家庭です。家庭とはどんな家族を想定しているのか、こちらは、内閣府さん、是非お答えください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 昨年末に閣議決定いたしました基本方針におきましては、今後の子供政策の基本理念として、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げております。

 こども家庭庁設置法上、議員御指摘の家庭につきまして法律上の定義は置いておりませんけれども、この委員会で野田大臣が何度か答弁されておりますけれども、こども家庭庁におきましては、先ほど申し述べました基本理念に沿いまして、血縁関係や法律上の親子関係のみにとらわれず、子供を中心に、子供の成長を支える、子供にとっての居場所を広い意味での家庭と考えまして、血縁関係の有無にかかわらず、しっかり支援していきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今、血縁関係、そういったものには関係なくというお言葉がありましたけれども、今、本当に家族はいろいろな形があります。先ほど申し上げましたシングル世帯もあれば、離婚されている方もいますけれども、じゃ、そういった家庭とはどういうものになるのか。そして、子供のいる未婚の親、様々な形があります。同性カップルの里親ということも考えようによってはあるというふうに思います。

 つまり、これをどこまで家庭として認識するのか、この定義が今答え切れていない曖昧な状態の中で、家庭というものを子供と同時に併記していくことというのは、いささか強調し過ぎではないかというふうにも感じている次第です。

 内閣提出案について、その家庭という意味において、法案第三条にもあります、「子育てにおける家庭の役割の重要性」。本当に数多くの家庭の種類がある中で、でも家庭の役割は重要ですというふうに一方で言っています。

 全然レベル感が違うはずです。例えば、三世帯すくみのそういう家庭もあれば、シングルの家庭もあれば、未婚の方もいる。それを、全部において家庭の役割の重要性というふうに一くくりでくくったときに、非常に曖昧に、かつ、その家庭というものが独りだけ際立ってしまう、その家庭の責任が大きく捉えられてしまうのではないかというふうに思っています。

 ここで、改めて野田大臣に伺いたいというふうに思います。

 ここで述べている「子育てにおける家庭の役割の重要性」、この役割について、政府は家庭にどのようなことを期待しているのか、お答えください。

野田国務大臣 今委員がいみじくも、様々な多様な家庭があって、曖昧であると。曖昧でいいんだと思います。要は、かなめは、子供にとって居心地のいい、健やかに育てるところが家庭だというふうに。

 これまで、ややもすると、家庭というのは、そこにいる、もっと昭和的に言うと、血のつながった、自分を産んだ親がどんな親であっても、そこで我慢しなきゃいけない場所というふうにみなされていたけれども、もうそうではないんだと。子供にとって必要な場所、必要なところを総じて、先ほども御質問いただいたように、そういういわゆるスタンダードな家庭もあるでしょう、里親もあるでしょう、いろいろな形態があって、でも、基本的に、こども家庭庁の基本の考え方は、子供にとっていいところは、そこは家庭という。

 ある程度そういう名前を名づけておかないと、決して、学校が居場所、学校で育っている、生活しているわけでもなく、やはり自分の基本的な、食事を取ったり、お風呂に入ったりする場所は家庭と位置づけて、その形状はいかにも、いろいろ多様な形であっていいということを、是非、このこども家庭庁をつくるに当たって、あえて家庭をつけることで、今までは閉じ込められていて、個人の責任ということから解き放たれて、これだけみんなが苦労、子供たちが大変な思いをするんだから、もうとにかく社会全体で支えていこうという意思表示でもあります。そういうふうな転換を受け止めていただきたいと、家庭をつけさせていただいています。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに、変化していることを受け止めていただいた御答弁であったというふうに思います。

 しかし、子供において家庭が全ての居場所であるというのはまた一義的に違うというふうに思います。家庭にはなかなか居場所を見つけられない、そういった子供たちがいるのもまた事実です。

 これは提案なんですけれども、子育てにおける家庭の重要性というのもありますけれども、それだけではなくて、例えば保育の重要性、あるいは学校の重要性、地域の重要性、様々あって、社会全体で子供をとにかく守るんだというのが、今の恐らく野田大臣の姿勢であるというふうに思います。その中で、なぜに家庭だけ特化させられるのか。言うならば、こどもほにゃらら家庭、地域、あるいは保育、学校庁とかというなら分かるんです。ただ、こども家庭になってしまうと、そこだけ一義的に取ってしまえば、どうしても間違った理解に進んでしまわないかということを懸念いたしますが、そちらについてはどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 ずっとこの日本の政治、国会の中で懸念の一つが、児童の権利条約を批准しているものの、そこに見合う国内法がちょっと整備されていないんじゃないか、そういう勧告もいただいている中、一つには、各党が御提示いただいている基本法が出てきているわけですけれども、そこの進捗状況が定かでない中、やはりコロナ禍で相当子供たちが傷ついている、自殺も増えてしまったり、虐待も。そこはやはり速やかに対処できる国であらねばならないということで、こども家庭庁の創設に向けて今走っているわけです。

 その前段のいろいろな議論の中で、そもそも、国連の児童権利条約の批准に際して、足りない、勧告も受けているというところが一番最初のスタートラインとするならば、その条約の前文の中に、全ての子供は家庭養護の下に幸せにするんだというふうにうたってあるんですね。ですから、とりわけとっぴな、突然つけたわけではなくて、元々は、子供、家庭というのはセット、国連の条約を批准するときにセットだったという、原理原則に戻っているというか、そういうふうに受け止めていただければよろしいのではないかと私は思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 私も当然その条文は読ませていただいておりますけれども、これが国連で採択されたのは一九八九年、私が生まれていないときでございます。つまり、やはりそこが基準になるのは当然です。そのときの時代は、まさに平成元年のときでございますので、そのときの言葉の表現としてはもちろん適切であったというふうに思います。しかし、このように社会の情勢が変化して、時代の要請が今来ているというふうに私は思っています。

 家庭も大事です。でも、家庭以外にも、どんどんどんどん増えて、サポートしていくというのが今の国のスタンスであるならば、それを明確にする名称、あるいはその姿勢というものが今まさに求められていると思っています。困っているのは子供たち、泣いているのも子供たちです。だからこそ、そこに立脚した制度、政策というものをつくり上げていきたいというのが私の願いです。

 今度は、子供の権利を守ることについて伺いたいというふうに思います。

 こども家庭庁は、子供の権利を守るために具体的に何を行いますか。内閣府さん、お答えお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁におきましては、子供の視点に立って、子供の権利利益の擁護を図り、子供の最善の利益を実現できるよう取り組んでまいります。

 議員の御質問の、具体的に子供の権利利益の擁護に関する事務として何をするのかということでございますが、例えば、冒頭議員が御質問になった虐待の防止、さらにはいじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備、さらには、教育、保育施設等や子供が活動する場などにおいて働く際に性犯罪歴等につきましての証明を定める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討、そういったことなどに取り組むこととしております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 さらに、もう一つ伺いたいと思います。

 こども家庭庁に設置予定と言われる審議会、その中に、子供政策に関する重要事項を話し合うということがございます。この重要事項というのは、何を根拠に、誰がいつ判断していくのでしょうか。内閣官房さん、よろしくお願いいたします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今御質問の件、事前の通告にはいただいておりませんけれども、常識的に、こども家庭審議会で審議されるものにつきましては、子供政策について、当然、皆様の御関心のあること、あと問題になっていること、さらには今後改善すべきようなこと、そういったものを審議するというふうに我々としては考えているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 つまり、重要事項について、今、現段階で、何がどのように決定され、それがいつ開催されていくのかがいまだ不透明であるというような状況である、これはかなり問題なのではないかというふうに思います。

 個別具体的なケースというものが今本当に起きています。先ほども件数を申し上げたとおり、この瞬間にも、今困っていて児童相談所に相談をかけてくる、そういったものもたくさんあるし、そもそもそういったところにアクセスできない、そういった方もいらっしゃるわけです。その一人一人を救うというのが今回のこども家庭庁の役割にもかかわらず、この重要事項というものが今分からないということは、それはあってはならないことではないかというふうに思います。

 この法案を通して、困っている現場は変わるのでしょうか。例えば、児童相談所はこう変わる、あるいは子供たち一人一人はこう変わる。

 常々、ちょっとこういう場で言うのはおかしいのかもしれないですけれども、少し気になるのが、今回、岸田内閣になってからすごく使われる言葉に、例えばですけれども、総合調整、あるいは連携、あるいは司令塔機能の強化、全て具体的なものがなく、何ならば、今の体制のままでも誰かがリードを取ればできるような、そういう言葉のものしか出てこなくて、実際の現場に還元するような力強い、実践が見える姿が法案から見えてこないというのは大変問題なのではないかなというふうに思っています。

 もう一度、伺わせてください。重要事項を話し合うということのその重要性というもの、是非教えてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回のこども家庭庁設置法の中に規定されておりますこども家庭審議会でございますけれども、現在、厚生労働省の中にあります例えば社会保障審議会の児童部会とか障害者部会、これは子供に関する部分でございますけれども、あと成育医療等協議会、さらには内閣府における子ども・子育て会議、そういったものの移管、機能を統合することを当然考えております。

 したがいまして、現時点で問題になっている、例えば冒頭で議員が御質問になりました虐待の問題、これはまさに今ある社会保障審議会の児童部会でまず大いに議論されておりますけれども、そういった現に今問題になっているものは、既にある審議会で議論されておりますので、当然、こども家庭庁が設置された後には、このこども家庭審議会でも議論になっていくということでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今ある既存の組織を統合しというような言葉は確かに私も何度も聞いているんですけれども、現場にどれだけ還元できるかが、本当に、まさに求められた転換点にある今私たちの位置だというふうに思っています。

 私たち、立憲民主党の対案を出させていただいて、ここには一貫して子供の権利について述べられています。内閣府の外局として、政府をチェックする、そういう意味合いにおいて、子供の権利が侵害された際に子供の味方に立ち、そしてその実践を行っていく独立した組織、コミッショナー制度の導入を提案しております。

 野田大臣、現場を重んずるコミッショナー制度よりも、今の例えばこども家庭庁あるいは審議会の体制の方が子供の安心を担える、子供の権利を守れるというのは、どういう理由で説明されますか。お答えください。

野田国務大臣 そこまで傲慢な気持ちは持ち合わせておりません。

 ただ、やはり今まで日本の政策の主流に置かれてこなかった子供政策をきちっと見える化して、そして受皿をつくって、ややもすると現場ではばらばらの、それぞれが取り組むんだけれども、その情報共有ができていなかったりして事態を深刻化させるケースもありましたので、総合調整というのはそういう非常に重要な役割。こちらとこちらをつないでいくことで速やかにその事態について対処していく、そういう役割を担う役所がございませんでしたので、それをつくることがやはり子供を守る最善の道ということで、こども家庭庁を創設することで、集中的に、子供に関することには、皆さん、今まではどこに何を言えばいいんだろうというところもあったけれども、迷ったときはすぐこども家庭庁につながるような、そういう見える化をさせていただいたことが第一歩であり、内容については、この国会での議論を経て、やはり様々な、今日も委員から御意見をいただいていまして、それがしっかりと肉づけされていく。

 私たちもしっかり基本方針を作りましたけれども、それ以外で多様な子供政策に関する御知見をいただいているので、それはしっかりと受け止めて、そもそもそれがなかったわけですから、今まで。いろいろな子供の政策の議論をしても、それぞれの各役所でしゅうっとやってしまってその場で終わってしまうことがあったけれども、こども家庭庁の場合は、児童虐待も、事件があったときだけ取り上げるのではなく、恒久的にやはりきちっと予防できるような、責任を持って取り組む。そういうふうに受け止めていただければいいと思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。ポジティブな回答をいただいているというふうに認識しております。子供の権利を守る仕組み、今の与党案だけではまだ不十分というふうな御回答であったと思います。

 本当に、繰り返しますが、今この見直しのちょうど議論をしているということは、まさに転換点を迎えられるチャンスだというふうに思っています。大人の都合だけではなくて、組織の変化だけではなくて、一番困っているのは子供。この子供に対してどれだけ守れるか。社会全体で、私たち日本という国は、どんな家庭の状況であっても一人一人の子供は何が何でも守る、そういう気概を持った、そういう省庁にならなければ私はいけないというふうに思っています。

 思い自体は多分一緒だというふうに思っていますので、是非ともそれを実践する意味で、子供に対して、子供が本当に守られていく、そういう制度を、実践を通して、是非ともお願いを申し上げたいというふうに思っています。ありがとうございます。

 子供は一人一人また違います。そして家庭もまた一つ一つ全然違います。その子なりの成長を社会全体でサポートをしていく、そして、時代の要請に合わせて現場の課題を解決できる組織体制を築いていくことこそ今求められていることを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 本当にありがとうございました。

上野委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 子供の人権、尊厳に関わって、今、政府の対応が不十分だと私は考えております。幼児間性暴力の問題について、こども家庭庁で変わるのか、ちゃんと子どもの権利条約が位置づけられているのかという観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、大臣にお伺いをいたします。

 公立、私立の別、認可、認可外の別、保育園、幼稚園、認可こども園などの別を問わず、法案の第三条のこども家庭庁の任務として、幼児間性暴力、児童間性暴力をなくすために動くということを確認をさせていただきたいというふうに思います。

野田国務大臣 こども家庭庁は、子供の権利利益の擁護に関することを所掌事務としており、幼児間、児童間のものも含め、子供が性犯罪、性暴力の被害に遭わないよう取組を行うことになります。

 こども家庭庁は、子供政策の司令塔として、関係府省と密接に連携し、また自ら対応することにより、子供に対する性犯罪、性暴力がなくなるよう取り組んでいきたい、そういうことでございます。

本村委員 ありがとうございます。

 幼児間性暴力の実態をこの間どうつかんでいるのか、内閣府子ども・子育て本部の方にお願いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 性犯罪、性暴力は、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与え、その後の生活にも甚大な影響を与えるものであり、あってはならないものと考えております。

 認定こども園や幼稚園、保育所等における幼児間の性暴力といった事案の件数につきましては、国として網羅的には把握はしてございません。ただ、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において令和二年六月に決定をされました性犯罪・性暴力対策の強化の方針にあるとおり、子供たちが加害者にも被害者にもならないよう、発達段階に応じて分かりやすく指導するということが非常に重要だと考えておりまして、各施設におきまして、保護者の理解も得ながら、取組が推進されるように努めてまいりたいと考えております。

本村委員 そもそも、つかむ努力をしているかということが問題になるわけです。

 これは報告事項にはなっていないというふうに思いますけれども、まず実態をつかむ努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 就学前の児童の間の様々なトラブル、おっしゃるとおり様々あろうかと思います。そういったものを網羅的に把握をするということはなかなか難しいかと思いますが、ただ、事例としては、自治体や園経由でいろいろな助言を求められるということがございます。そういった機会を捉まえまして、適切な支援ができるように努めていきたいと考えております。

本村委員 苦しんでいる方々がいらっしゃいまして、実態をつかんでいただきたいというふうに思います。

 四歳のときに性暴力被害に遭った方を私も存じ上げておりますけれども、大人になってもずっとトラウマを抱え、苦しみ続けております。そのトラウマケアも、医療費も自己負担ということで、ずっと被害者が苦しみ続けなければいけないという問題です。

 三歳、四歳の幼児期の性暴力について、大人になっても苦しみ続けるような甚大な影響があるというふうに思いますけれども、これは男女共同参画局長、お願いします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 性犯罪、性暴力は、幼児期の被害であっても、心身に長期にわたる傷痕を残す場合があることが専門家からも指摘をされているところでございます。

 政府といたしましては、生命の安全教育として、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないため、水着で隠れる部分については他人に見せない、触らせない、もし触られたら大人に言うということ、また他人を触らないということなど、発達段階に応じた教育を進めていくこととしております。

 また、幼児期の性暴力により大人になっても長く苦しまれていらっしゃる方は、相談やカウンセリングなどの心理的な支援を行う性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが全国都道府県五十二か所にございますので、ちゅうちょなく御相談をいただければと思います。

本村委員 幼児期だからといって、幼児間性暴力を決して軽視はしてはならないというふうに思いますけれども、大臣に一言お願いを申し上げたいと思います。

野田国務大臣 委員からこの御質問を事前にいただいたとき、私は非常に考え込みました。私も今母親として十一歳の息子を育てているんですけれども、年齢は十一歳なんですが、知的には三歳、四歳。ですから、この該当年齢。その年齢って、被害者、当然、今、私たちは大人からの性被害に対して一生懸命取り組んでいます、わいせつ教師とか、そういうことをしっかり、DBSとかで大人からの被害を絶対止めるということをやっているんですが、実際、息子が友達の加害者になるということを思ったときに、一体何ができるんだろうと、自分に問いかけたときに、正直申し上げてなかなか答えが見出せない状況であります。

 ただ、まずやるべきことは、被害を受けた子供たちをしっかり守ること、その心の傷を全力で癒やすような環境整備をすること。加害になった子に対しては、本当にそれが悪いことかどうかも分からない世代なんですね、いたずらに追い詰めることなく、ここが非常に私も難しいんですけれども、その子の成長に応じて、やはり友達が嫌がることをしてはいけないんだよということを上手に諭せる指導者を常に園なり地域社会は持つべきで、親だと、多分、思い切り叱っちゃったりして、逆に萎縮しちゃうんじゃないかと。

 それで、幼児間の性被害って、確かに被害者にとっては深刻だけれども、それによって逆に加害者を追い詰めて、子供たちが萎縮するということも望まれないと思うので、そこは、こども家庭庁も、非常に大切なことだと思います、親としても。そこは、いま一度、いろいろ調査をして、まだまだ加害の意識のない子供たちだと思うんですよね、ほぼほぼ。その子たちをもやはり被害者にしないような、そして被害者の子供をしっかりとその場できちっと守れるような体制づくりというのを検討していかなければならないというふうに私個人も思っていますし、それについて検討させていただきたいと思います。

本村委員 ありがとうございます。

 私、生活相談としてお受けをいたしましてこの事件に触れたわけですけれども、愛知県内の私立の幼稚園、認定こども園で実際に幼児間の性暴力の被害の訴えがありました。その被害女児は、急性ストレス性反応を発症して、四歳なんですけれどもおむつの生活を余儀なくされておりますし、脱毛ですとか、過食ですとか、睡眠障害ですとか、光や音の刺激を嫌がって、感情のコントロールができずに、人の視線も気にしてベビーカーで移動するなど、様々な症状が実際には出ております。昼夜逆転の生活になってしまったりですとか、大変な状況になっているわけです。

 保護者の方は、幼稚園さんや、あるいは基礎自治体、愛知県の関係部局、児童相談所など、相談に行きましたけれども、実際はたらい回しというような状況で、実際には保護者の方にとっても精神的なダメージとなっております。内閣府や文部科学省や厚生労働省にも被害を訴えておられます。

 私立の幼稚園、認定こども園での幼児間性暴力の場合、誰が責任を持って、子供さんを含む関係者からの聞き取りや事実認定、そして被害幼児さんの救済や加害幼児さんの対応をするべきだというふうに考えているのか、見解を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の愛知県内の私立の幼稚園、幼稚園型の認定こども園であった施設だと聞いておりますけれども、園児の性被害に関する事案につきまして、愛知県や園の所在する市役所を通じて承知をしております。

 幼児間のこういった性暴力といった事案につきましては、早期発見、早期対応に努めるということが重要であると考えておりまして、事案が発生した場合には、被害園児に寄り添い、心のケアを第一に対応することが大切であると私どもも考えております。

 私立幼稚園や認定こども園におけるこのような事案への対応については、一義的には、園において、関係者からの聞き取りですとか、被害幼児のケア、加害幼児への指導といったことを行っていただくとともに、当該事案に関する状況を踏まえて、市町村や都道府県などが連携をして対応していただくということが必要であると考えております。

 なお、内閣府といたしましても、文科省など関係省庁とも連携をしながら、自治体からの求めに応じて、必要な助言等を現在も行っているところではございます。

本村委員 第一義的には園で対応ということを言われるんですけれども、その園に相談したときに、おたくの娘さんはそういううそをつく娘さんだから信用できないとか、そういうふうに結局言われてしまいまして、事件がなかったかのようにさせられてしまったということで、保護者の方が声を上げておられる事案があるわけです。

 第一義的には幼稚園さんだと。それで動いてくれないから、保護者の方は、本当にいろいろなところに回って、どうにか解決してほしいということで、被害を調査してほしいということでやっておられるわけです。やはり適切な対応、事実認定や被害救済がされないといけないというふうに思います。

 小学校の児童間性暴力であれば、いじめという定義に当てはまって、そして第三者委員会が設置されるということになっていますけれども、幼稚園、保育園、こども園の場合は対象外で、第三者委員会を設置するということが定められていないものですから、愛知県も、法的根拠がということで、なかなかできないというふうに言っているわけです。

 やはり、幼稚園、保育園、こども園などでも幼児間性暴力、大人からの幼児への性暴力もあると思います。第三者の公平公正な調査が必要だというふうに思いますけれども、制度としてつくっていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。これは大臣に。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮ですが、幼児間の性暴力につきましては、早期発見、早期対応に努めるということが非常に重要だと考えておりまして、そういった事案が発生した場合には、被害園児に寄り添い、心のケアを第一に対応するということが重要であると考えております。

 その上ででございますけれども、いじめ防止対策推進法、これは、御承知のとおり、議員立法で成立をしていただいた法律だと承知をしております。この法律では、子供の発達段階等に鑑みて定められたものと承知をしておりまして、法律の対象には、幼稚園、保育所、認定こども園といった、その在籍する子供、児童については含まれていないと承知をしております。

 ただ、この法律に基づいて策定をされましたいじめの防止等のための基本的な方針におきましては、発達段階に応じて、幼児期において留意すべき事項についても明記をされておりまして、幼児期の教育においても、発達段階に応じて幼児が他の幼児と関わる中で相手を尊重する気持ちを持って行動できるように取組を促すというふうな記載がございます。

 いずれにせよ、こういった性暴力の問題は未然に防止をするということが重要でございますが、万一発生してしまった場合には、被害園児や保護者に寄り添い、園児の心のケアを第一に対応するということで、内閣府としても、引き続き、関係省庁と連絡、連携をしながら、このような考え方の周知に努めていきたいというふうに考えておりますし、自治体などからの御相談があった場合にはしっかりと対応していきたいと考えております。

本村委員 国として、事件の調査、そして第三者の委員会を是非制度としてつくっていただきたいんです。

 愛知県内のこの事例では、二〇二〇年十二月に自治体に相談してからいろいろ回っていますけれども、被害女児の話は聞かれていないわけです。ずっと聞かれていないわけでございます。第三者の調査もやられていないということで、そういう中で、被害を受けた子供さんが幼稚園退園に追い込まれて、睡眠障害ですとか過食嘔吐ですとか、そういう精神科に通っているわけです。泣き寝入りしないでいいように是非していただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

野田国務大臣 今、政府参考人から話がありました。まず、いじめの防止対策の法案は議員提案ですから、是非、その改正に向けて各党が御議論いただくのであれば、私たちはしっかり御協力をさせていただきたいと思っています。

 あと、恐らく幼児間の性被害というのが想定されていなかったので当然この法案の中にも入っていませんでしたが、指針の中に盛り込まれているということで、恐らく現場、地方自治体もしっかり対応できなかったと思います、いわゆる隙間事案になってしまった。これは、こども家庭庁がそういうところはちゃんと埋めていくということなので。

 その方法が何かというのはさはさりながら、まず第一義的には、傷ついた子供たちをしっかりと全力で支えるということをやらなければなりませんし、その後の取組については、加害児童ということも何となく、本人が加害の意識があるかというのもすごく微妙な年頃なので、そこら辺も慎重に取り組んで、とにかく相手を傷つけない関係性というのを小さい頃から学べるように、指導者の人たちに更なる御理解をいただきたいなと思います。

本村委員 最初に相談に行ったときに、うそつきなどと言われて被害者を傷つけるセカンドレイプに当たるようなことが、こういうことはどこでもあってはならないというふうに思います。

 適切な対応がどこでも取れるように、幼児の性暴力の被害の相談対応マニュアルなども、各幼稚園でも保育園でもこども園でもやはり徹底するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは、こういった事案が起きたときの適切な相談、適切な対応、あるいはそういったことを実施するためのマニュアルなどのようなものが必要ではないかというふうな御指摘だったかと思います。

 先ほど申し上げました令和二年六月の政府の関係府省会議において決定されました性犯罪・性暴力対策の強化の方針、この中で、学校側で相談を受ける体制を強化をするとともに、相談を受けた場合の教職員の対応についての研修の充実を図るということも規定をされております。

 また、これを踏まえて、生命の安全教育の教材、幼児教育用の教材も作成をいただいておりますけれども、それに、あわせまして、教師用の指導の手引も作っております。この中では、児童生徒が性暴力被害を受けた場合の対応を事前に検討しておくですとか、被害体験を聞き取るときに安心して話せる場所を選ぶとか、なぜ、どうしてなどの圧力をかけるような言葉を避けようとか、複数の教職員から繰り返し聞くということは避けましょうといった、児童生徒から相談を受けた場合の対応のポイントにつきましても周知をすることにしております。これは幼児教育施設に在籍するような児童についてのケースについても同様であろうというふうに考えております。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、こうした点を周知をすることも含め、各園において適切な対応が取られるようにしっかり対応していきたいと思っております。

本村委員 子どもの権利委員会の一般的意見七号では、意見表明権について、話し言葉又は書き言葉という通常の手段で意思疎通ができるようになるはるか以前に、様々な方法で選択を行い、かつ自分の気持ち、考え及び望みを伝達しているとし、乳幼児でも意見を表明できるというふうにしております。

 法案第三条の、子供の意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とありますけれども、これは、乳幼児の意見表明権も保障されるということで確認をさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 政府提出法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることを規定しています。

 また、昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。

 児童の権利に関する条約の第十二条では、自己の意見を形成する能力のある児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保し、その意見はその児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されることが規定されており、その趣旨として、委員御指摘の児童の権利委員会の一般的意見では、最も幼い子供でさえ権利の保有者として意見を表明する資格があるのであり、その意見はその年齢及び成熟度に従い正当に重視されるべきとされていることを承知しています。

 こども家庭庁において、この児童の権利に関する条約を踏まえて、適切に対応してまいります。

本村委員 愛知県内の私立の幼稚園におけるこの幼児間性暴力は、その基礎自治体からも、あるいは愛知県からも、被害幼児さんから聞き取りが行われておりません。

 被害幼児さんから何度も聞き取りを行うというのではなく、やはり司法面接のような形で適切な聞き取りが必要だというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 司法面接のようなというふうな御指摘がございました。

 厳密な意味での司法面接とするかどうかはちょっと別といたしまして、子供からの聞き取りを行うに当たりましては、子供への負担はできるだけ少なくするということが重要であり、子供の発達段階や事案の内容を踏まえながら、子供の心理的苦痛や不安を理解し、配慮をするということが必要であると考えております。

 本件ですけれども、愛知県や園が所在する市におきまして対応できることはしっかりしていくということを前提といたしまして、現在、まずは保護者の方に対して面談をさせていただいてはどうかというふうなことを提案している状況であるというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げました、指導の場合の手引というものの御紹介をさせていただきましたが、こういったことを踏まえて対応いただくことができるように、内閣府としては、自治体からの求めに応じて、必要な助言をしっかりしながら、本件についても支援をしていきたいというふうに考えております。

本村委員 先ほど大臣も、加害という自覚がない子供さんに対しての対応についても必要だというふうに思っております。

 加害という自覚はないにしろ、そういう行為をした幼児さんも、実は性被害者であるがゆえに性暴力を行った可能性がございます。厚生労働省さんも様々調査をしてくださっているんですけれども、性的虐待を受けた子供さんに表れる性化行動についてお示しをいただきたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の性化行動につきまして、厚生労働省の調査研究におきまして、性被害を受けた子供ほど、性的な事柄に敏感に反応しますですとか、他の子供に性的加害を行うなどの問題性の高い行動を取る傾向があるというふうにされているところでございます。

本村委員 だからこそ、大臣、第三者の調査を行ってやはり事実認定をしていかなければ、加害行為を行ったその幼児さんも本当は支援、救済の対象になるかもしれないわけでございます。やはり、加害行為、自覚がないにしても、そういう幼児さんを、性的虐待を受けているのであれば救済しないといけないというふうに思いますけれども、大臣、その点からも第三者の委員会が必要なんじゃないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まず、子供への性暴力は絶対あってはならないことであります。幼児がもし性的虐待を受けており、そもそも性被害者である場合は、当然、救済しなければならないと考えます。

 こども家庭庁においては、子供の権利利益の擁護に関する事務を所掌し、子供の性被害の防止も含めた子供の安全に関する取組を担うこととしております。子供の性被害防止プランの取りまとめや、性的虐待に遭った場合の児童相談所における対応など、子供の性被害の防止に向けた施策をこれまで以上にしっかりと推進してまいります。

本村委員 是非、そういう観点からも第三者の調査が必要だというふうに思うんですね。是非考えていただきたいというふうに思います。

 幼児間性暴力というのは、大人の目が行き届かない中で発生をいたします。今、保育士の配置基準でいえば、例えば四、五歳児は三十人に一人で保育士さんがケアをしなければいけないということになっております。一人の保育士さんで四、五歳児三十人、これを、一人一人子供さんたちの発達を保障しながら安全に保育できるというふうに考えますか。大臣、お答えをいただきたいと思います。

野田国務大臣 教育、保育の質の向上の観点で、保育士の配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えています。三歳児の配置改善に関しては、平成二十七年度から取り組んでいるところです。御指摘の四歳、五歳児の配置改善については、ここでも議論がございました、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項とされていて、現在のところ未実施になっています。

 子供政策に関する財源確保については、基本方針においても、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしています。四歳、五歳児の配置改善などの〇・三兆円超の事項についても、引き続き毎年度の予算編成過程において財源の確保に努めてまいります。

本村委員 ずっとそういう御答弁が続いているわけですけれども、子供ど真ん中ということを言っているわけですから、この機にやはりこの配置基準、保育士の配置基準についても見直していただきたいと思うんです。

 今の保育士の配置基準は子供たちを大切にしていないと私は考えますけれども、大臣、そう思いませんか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教育、保育の質の向上を図るという観点から、保育士の配置の改善を図っていくということは非常に重要な課題であるというふうに我々も重々承知をしております。繰り返しになって恐縮ですが、四歳、五歳児の配置の改善につきましては、〇・三兆円超のメニューということで、積み残しの課題というふうに認識をしております。

 昨年の年末の基本方針におきましても、財源の確保につきまして、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めて、確保に努めるということになっておりますので、この配置の改善といった課題につきましても、引き続き財源の確保に努めていきたいというふうに考えております。

本村委員 今の保育士の配置基準というのは、四、五歳児は七十四年前の基準なんです。一、二歳児は五十五年前の基準です。体制強化が本当に喫緊の課題だというふうに思います。

 以前、私、衆議院の本会議で児童虐待の問題を質問させていただいたときに、総理が、児童虐待相談対応件数の増加の背景には、核家族化による育児不安を抱える方の増加等が考えられるという答弁がございました。やはり保育士の配置基準も見直して、一人一人の子供たち、保護者の方への支援、ケアを日常的に強めることが必要だというふうに思います。

 また、幼稚園や保育園やこども園での幼児間性暴力は、大人の目が行き届かない中で発生をいたします。子供たちの変化を敏感に感じ取る、そういう専門性も必要だというふうに思います。この保育士の配置基準、七十四年前、五十五年前、こんな基準は是非もうこの際見直していただきたいということを改めてお願いしたいと思いますけれども、大臣。

野田国務大臣 去年、こどもまんなかという言葉を使い始めたら、みんな変な顔をされまして、何を言っているんだと言われたんですけれども、本当に幸いなことに、今は普通に皆さん、こどもまんなかという言葉を使っていただいている。ようやく、子供をちゃんと育てていかなければならないという共通認識みたいなのが醸成されてきているかなと思っています。しっかりと取り組んでいきたいと思います。取り組んできているんですが、やはり、なかなか子供のことを中心に据えての政治が進まなかったのも原因だったと思うので、しっかり遅れを取り戻すべく、御協力を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

本村委員 予算倍増と言うなら、まずこちらを改善をしていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、最初に、与党提出のこども基本法案の提出者に御質問いたします。

 前回もお聞きした点ですけれども、こども基本法案と、子どもの権利条約、学校教育との関係についてであります。

 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという私の質問に、提出者の木原稔さんは、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁しました。

 一方で、先日、金曜日の質疑の答弁では、鈴木さんでしたか、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶと言います。

 こども基本法は学校教育の内容に踏み込まないけれども、こども基本法の基本理念は学校教育に及ぶと言います。違いがよく分からないんですが、説明をいただけますか。

木原(稔)議員 先日の本会議での私の答弁に対しての御質問をいただきました。

 御紹介いただいたとおり、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれることから、児童の権利に関する条約の四原則について定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた、当然、学校教育にも及ぶこととなるということを答弁させていただきました。

 その中で、じゃ、学校教育の内容は何かということとなると、学校教育における教育課程に関する事項のことであります。すなわち、学校教育法では、小学校、中学校、高等学校などの各段階について、それぞれ、教育の目的とそして目標というものが掲げられておりまして、これらに従って文部科学大臣が学習指導要領を定めることになっております。

 こうした事項について、まさに憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法案の中で、学校教育の内容、換言すると、学校教育のカリキュラムに踏み込んだ規定は置かなかったということになります。

 以上です。

塩川委員 学習指導要領、カリキュラムについては、こども基本法は踏み込まないということであります。そういうことでいいんですよね。

 その学習指導要領には、現状、子どもの権利条約については一言も書いていないということなんですが、この点は、それでいいのかなと思うんですが、いかがですか。

木原(稔)議員 例えば、児童の権利に関する条約の発効をした際に、随分前ですけれども、平成六年に文部科学省が通知を出しておりまして、その通知は、一部ですけれども、ちょっと読み上げると、「学校教育及び社会教育を通じ、広く国民の基本的人権尊重の精神が高められるようにするとともに、本条約の趣旨にかんがみ、児童が人格を持った一人の人間として尊重されなければならないことについて広く国民の理解が深められるよう、一層の努力が必要であること。」とされているんですね。

 学校教育の内容自体は、先ほど申し上げたように、憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の中で定められているというところでありますけれども、その教育法体系の中でも、今申し上げた通知のように、児童の権利条約に関する条約の趣旨がこれまでも考慮されてきたところであり、そうした意味において、学校教育の内容に及ぶというふうに言えるのではないかなと私は理解しております。

塩川委員 いや、説明がちょっともうひとつよく分からないんですけれども。

 もう一つの、この前の委員会での答弁ですけれども、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶとあります。このこども基本法に掲げた子どもの権利条約の理念は学校教育に及ぶということなんですけれども、学校教育の内容にも及ぶということでいいんですか。

木原(稔)議員 学校教育の内容には、だから、そこには踏み込まなかったという答弁をさせていただいたところでありまして。

 例えばですけれども、教育に対する何が内容で、何が内容でないかというところでいうと、これは事前に通告いただいていないですけれども、例えば、各学年に応じて、教科には教科書というものがあって、教科書というのは教科書検定制度というものがあります。例えば教科書検定の内容にまで、どの教科書を採択すべきだとか、この文章の記述はよくないとか、まさにこれは教育内容そのものでありますけれども、そういったことに踏み込むのではない。

 また一方で、例えば文部科学省が既にやっている政策でいうとGIGAスクール構想などがありますが、あれは、内容というよりも、教育の質の向上といいますか、ICTの発達した社会の中で、リモートでいかに子供たちにしっかりと教育していくか、また、このコロナ禍において学校の教育の質をいかに担保していくか。まさに、内容ではなくて教育支援そのもの。

 これは仮定の話ですけれども、もしGIGAスクール構想を文部科学省がやっていなかったとしたら、そうすると、私どものこども基本法などを通じて、憲法の二十六条の子供が教育を受ける権利、これを担保するために、質の向上を踏まえて、こういったGIGAスクール構想などを文部科学省に対して勧告をするというようなこともあるかもしれない。

 つまり、内容と内容でないものというのは、今具体例を例えば申し上げましたけれども、そういったことであります。

塩川委員 子どもの権利条約の理念は学校教育の内容には及ばないという御答弁、学校教育の内容に、学習指導要領のことも例示としてお話がありました。

 この間、生徒指導提要の改訂作業が行われていまして、そこの中に、子どもの権利条約、四つの一般原則も書き込まれています。これについては、教職員のみならず、保護者、あるいは関係者、そして児童生徒についてもその理解が必要だとなっているわけであります。

 だとしたら、まさに権利の主体である児童生徒が子どもの権利条約について学ぶということが必要じゃないのか。そういった点で、学習指導要領が、現状、子どもの権利条約に触れていないというのはいかがか。今のこのこども基本法案のたてつけでいえば、そこについては踏み込まない、及ばないということになる、それでいいのかということなんですが。

木原(稔)議員 こども基本法の「目的」の中には、「この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、」ということを、こども基本法の中にはしっかり児童の権利に関する条約の精神のことをうたわせていただいており、そういった今回の基本法を通じて、今回設置されることとなるこども家庭庁を通じて、その理念をしっかりとこども家庭庁の中で実現していただくということになっていくのだというふうに理解しております。

塩川委員 率直に言って、まさに子供の権利を保障するといったことを考えたときに、その権利が何たるものかということを学ぶ機会なしには、それを自らのものとすることができないわけであります。自らの権利を学ぶということは、他者の権利を学ぶということであります。子供の権利を学ぶということは、大人にも権利がある、そのことの中で子供自身の成長も保障されるということだと思います。そういう点での、このこども基本法案のたてつけについては、これでいいのかということは率直に思わざるを得ません。

 何か一言ありますか。

木原(稔)議員 私どもとしては、既存の教育法体系があり、そしてその横に、このこども基本法という、また別の子供に関する基本法という一つの体系ができ、それがお互いにグラデーションするところもありますが、何よりも、こどもまんなか社会の中で、子供にとって一番よい環境は何かということを追求していくために、こういったこども基本法案を作らせていただいたところであります。

塩川委員 グラデーションというお話がありましたけれども、そうすると、教育基本法、教育法体系とこども基本法というのは、グラデーションはあるけれども一定のすみ分けをしているということですかね。

木原(稔)議員 すみ分けということが正しい使い方かどうかはちょっと今すぐに判断できませんが、でも、ある意味、教育の内容に関することなのか、それとも教育支援に関することなのか、そういう意味でいうと、教育ということではつながっているという意味で、すみ分けということも言えるのではないかなと思います。

塩川委員 教育法体系に、この子どもの権利条約の基本理念、四つの原則などが本当に及ぶのかといった点についての懸念があるということを申し上げておきます。

 それで、それとの関係で、文科省にお尋ねいたします。校則の問題であります。

 我が党は、校則問題のプロジェクトチームをつくっておりまして、この間、中高生や保護者の方や教職員にアンケート活動を行ってきております。三千人の声を寄せていただきまして、「校則に言いたい! 中高生・親・教師三千人の声」、こういった本も出して、その中身について紹介をしているところであります。

 たくさんのアンケートを寄せていただきました。やはり、校則の問題で多かったのが、一つは頭髪関係と服装の関係であります。

 頭髪関係では、先生に囲まれて無理やり髪の毛に黒スプレーをかけられたとか、先生に前髪を切られたとか、なぜツーブロックが駄目なのかなど、そういう声も寄せられていますし、服装関係では、靴下の色とか長さを指定をするとか、スカートの長さを指定をするとか、下着の色を指定をするとか、こういった話というのは、大臣、率直におかしいと思いませんか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校におきましては、その教育目標、教育目的を達成するために、必要かつ合理的な範囲内におきまして校則を定めることができる、こうされているというふうに承知をしておりますけれども、その校則の中身につきましては、絶えず、時代の状況ですとか社会の情勢、あるいは、子供たち、保護者の意向、地域の状況など、そういったものを踏まえながら、積極的に見直しをしていくということが大切かというふうに考えております。

野田国務大臣 ちょっと通告でなかったので、個人的な意見になるかもしれませんが。

 私自身は、すごく厳しい校則の下で、小学校、中学校、高校を送りました。今、息子は本当に自由に、下着の色も靴下も関係ない公立の小学校に通っています。

 ただ、前回ここで議論になったときに、髪の毛を黒くするという、なぜそういうことをしなきゃいけなかったのかなというと、かつては、色の違いでやはり差別とかいろいろなことがあっちゃいけないので、配慮としてみんなと同じにしたという話もエピソードとして聞きましたが、うちの息子の場合はちょっと茶色いので、でも、やはり健康とか様々な育ちを考えたときには、これはちょっと我が家では厳しい話だな、そこはする必要はないんじゃないかなというような話をさせていただきました。

 それぞれ学校が責任を持って取り組んでいるので、子供の意見を聞いて、しっかりと、子供が本当に学校を楽しく過ごせるような、そして子供をしっかり守れるような校則というのを是非御検討いただければと願います。

塩川委員 やはり、子供の生育過程もあるでしょうし、体調や健康状態なんかの影響も当然あったりするわけです。その上で、髪型とか服装というのは、やはりその人の基本的人権そのもの、ライフスタイルと深く関わるものだから、人間の尊厳に関わるものだ、ここをどう尊重するかということが教育の現場では求められていると思います。

 それで、子どもの権利条約の第二十八条第二項には、締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って適用されることを確保するための全ての適当な措置を取ると、校則の問題についても触れております。これを踏まえ、子どもの権利委員会の日本政府への勧告では、学校は児童の意見を尊重する分野を制限をしている、児童が学校において自らに影響を与えるあらゆる事柄について意見を十分に表明する権利を促進するための取組を、締約国、日本政府が強化することを求めておりました。

 しかしながら、この子どもの権利条約の日本政府の報告を見ると、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないとしております。

 子供の意見表明権とは、子供自身に影響を及ぼす全てのことについて自由に意見を述べる権利があるということであります。校則の制定は子供に影響を及ぼす事項そのものであり、意見表明権の対象となることは明らかではありませんか。

淵上政府参考人 児童の権利に関する条約に関します平成二十年、平成二十九年の我が国の政府報告におきましては、校則の制定に関して、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうにされておりますけれども、同じくこの報告書は、これに続きまして、しかし、児童の発達段階に応じて、校則の見直しに当たり、アンケートの実施や学級会、生徒会での討議の場を設けるなど、必要に応じて、児童の意見を尊重した学校運営を実施している旨の記述がされているところでございます。

 文部科学省としましては、校則の内容は日々の教育指導に関わるものでございまして、校則の制定や見直しの過程で児童生徒自身が関与するということは、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながり、身近な課題を解決するなどの教育的な意義があるというふうに考えておりますので、昨年六月の事務連絡におきましても、校則の趣旨や見直しの必要性などについて周知をいたしますとともに、先導的な取組事例をお示しをしているところでございます。

塩川委員 十二条第一項をどういうふうに受け止めるのかという問題だと思うんです。

 例えば、ユニセフの子どもの権利条約ハンドブックでは、第十二条の子供の意見表明権について、このように紹介しています。子供は自分に関係のあることについて自由に意見を表す権利を持っています、その意見は子供の発達に応じて十分考慮されなければなりませんと述べています。

 子供の関わることについては、子供は自由に意見を表すことができる、関係者は子供の意見に耳を傾けよと求めているのが子どもの権利条約です。しかしながら、校則に係る子供の意見表明権を認めない文科省の立場というのが一貫をしている。

 そもそも、先ほど木原さんも紹介された一九九四年の事務次官通知の中に、校則は学校の責任と判断において決定されるべきもの、意見を表明する権利については、必ず反映されるということまでを求めているものではないとしていますが、ここには、子供は自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利を持っているということが触れられていないんです。

 自分に関係のあることについて、とにかく自由に自分の意見を表す権利を持っているということがこの意見表明権の第十二条ですけれども、何で事務次官の通知にはこの肝腎なことが触れていないんですか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 児童の権利に関する条約の第十二条第一項に関しましては、先ほども申し上げましたように、校則の制定、カリキュラムの編成などにつきましては、児童個人に関する事項とは言えないので、十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうに解しているところでございますけれども、ただ、他方、校則の運用、見直しなどにおいて、子供たちの意見を聞くといったようなことは、先ほども申し上げましたとおり、教育的な意義も有するものでありますので、そうした取組をすることは望ましいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 校則について、子供が自由に意見を表す権利があるという子どもの権利条約の観点が欠落しているんじゃないのかということを申し上げて、質問を終わります。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日、最後二十五分、よろしくお願いいたします。

 まず、家庭という問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 先日の質疑で、野田大臣に、結婚というのは家と家の結びつきだと思いますかという問いをしたところ、憲法も引用した上で、個人と個人の結びつきであるということで、家と家との結びつきという考え方を採用せず、そして、自由民主党提案者でありました工藤先生も、そういう家と家という感覚はないなという感じで今の時代になっていると考えております、そういう答弁がありました。

 赤池副大臣、同じ考えでありますでしょうか。

赤池副大臣 委員にお答えを申し上げます。

 日本国憲法第二十四条の婚姻の規定というのは当然でございますし、私としては、少子化社会対策大綱、令和二年五月二十九日閣議決定にあるように、令和の時代にふさわしい環境を整備し、国民が結婚、妊娠、出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により、希望する時期に結婚でき、かつ、希望するタイミングで希望する数の子供を持てる社会をつくってまいりたいということを考えている次第でございます。

 家、家庭については、内閣府の社会調査の中でも、それぞれ大変大事なものであり、癒やされるとか、そういった機能に関しては、今回の設置法の中でも、子育てにおける家庭の重要性ということで、十分踏まえられていると考えている次第でございます。

緒方委員 全然私の質問に答えていないんです。

 結婚というのは家と家の結びつきだというふうに思いますかと聞いているんです、副大臣。

赤池副大臣 今、内閣府副大臣としての回答ということであれば、先ほどお話ししたとおりでございます。

緒方委員 じゃ、先日、もう一つ、家庭という概念に対して、大臣はニュートラルという言葉を使いました。私は、大臣として、家庭という概念についてはニュートラルだと。

 ニュートラルという言葉は、どう捉えておられるか分かりませんが、ある争いのあるテーマについて、どちらも支持したりとか応援したりとかしないということを意味いたしております。これがニュートラルという言葉の正確な意味であります。

 赤池副大臣にお伺いします。

 赤池副大臣は、家庭というものに対してニュートラルな立場を取られますか。

赤池副大臣 委員御指摘の、野田大臣における御質問の、ニュートラルという文脈で私に聞かれているということなんですけれども、事前に、緒方委員の方から私に対してその質問をするということがどうかということが判別をいたしておりません。

 改めて、野田大臣の前回の答弁を踏まえる中で、一体どういう趣旨で言ったかということは、私自身しっかり精査をしていない状況でございますので、この場で私が副大臣としてどういう立場で答えるか、ちょっとそこはお答えを控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 家庭という概念に対してニュートラルと言われたんですね。

 私は、これはきちっと通告をいたしております。どこで副大臣に当てるかということも含めて、いろいろな可能性があり得るので準備をしておいてくれときちっと伝えております。

 もう一度お伺いします。家庭という概念に対して、副大臣はニュートラルな立場をお取りになりますでしょうか、副大臣。

赤池副大臣 緒方委員にお答えをいたします。

 私自身、結婚とは何よりも個人と個人の自由意思に基づいて行われるべきだという、先ほどお話しした日本国憲法の考え方というものを前提としているところであります。その中で、今回、こども家庭庁設置法の中でも、子育てにおける家庭の重要性というのも入っているというふうに理解をしているところです。

 児童の権利に関する条約の前文においても同様の規定がありますし、今回の設置法の中でも、子供の健やかな成長のため、家庭における子育てをしっかりと支えてまいりたいというふうな考え方をもってお答えに代えさせていただきたいと存じます。

緒方委員 全然答えに代わっていないんですね。私は同じことをずっと聞いておりまして、大臣の答弁と同じですかという極めて単純なことを聞いています。

 家庭という概念に対して、大臣がニュートラルだと言われた。ニュートラルというのは、英語の辞書を引くと、特に論争とかで、特定の側を応援したりとか、そういうことを一切しないということを意味しているわけでありまして、結構、答弁を聞いたとき、衝撃的だったんですけれども、副大臣、そういうお立場に立ちますでしょうかと聞いております。(発言する者あり)いや、大臣じゃないです、副大臣。

上野委員長 では、野田大臣、簡潔にお願いします。

野田国務大臣 こども家庭庁の名称のときも家庭をどうするかという論争がございまして、私は、ひたすら、やはり子供にとって幸せな場所が家庭なんだ、そういう認識でニュートラルと申し上げた次第です。

緒方委員 そもそも、それはニュートラルという意味とは違います。

 質問を移したいと思います。

 午前中の答弁で、赤池副大臣、家庭を国家の基本単位と言っていたことについて本庄委員から指摘がありました。最高裁判決でも同様の表現があったというふうに言われましたが、最高裁判決にあるのは、社会の自然かつ基礎的な集団単位という表現であります。

 赤池副大臣にとっては、国家の基本単位と社会の自然かつ基礎的な集団単位というのは同じなんですか。

赤池副大臣 緒方委員にお答えをいたします。

 午前中の質問でも、同様の趣旨ではありますが、同じ表現ではないということを注釈した上でお答えをさせていただいている次第でございます。

 国家がイコール社会か、それは、国家社会という言葉もある、国際社会という言葉もある、それぞれの国家の定義、また社会の定義はいろいろあると存じますが、私自身は、最高裁の判決と同趣旨でその表現を使わせていただいたという説明を午前中させていただいている次第でございます。

緒方委員 びっくりしました。

 もう一回だけ確認させてください。国家の基本単位と社会の自然かつ基礎的な集団単位というのは同じ趣旨で語られ得るという理解でよろしいんでしょうか、副大臣。

赤池副大臣 繰り返させていただきますが、国家の定義も様々な定義がございます。また、社会の定義も様々ございます。国際社会、国家社会、それから地域社会、様々な定義がございますので、私が自分のブログで書かせていただいた趣旨は、最高裁と同じ判決の趣旨だということを御説明をさせていただいたということでございます。

緒方委員 言葉の定義というのはそんなに変わり得るものなんだなと、今びっくりいたしました。

 先日の議事録を精査したところ、いわゆる家庭政策とは何ですかという話を大臣に聞いたところ、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安、悩みを相談できる場所、地域子育て支援拠点の整備とか、また、仕事と子育ての両立を支援する保育の受皿の整備、子育て家庭に対する児童手当や児童扶養手当等による経済支援、そういう言及がありました。非常に重要な政策だと思いますけれども、家庭にダイレクトにフォーカスを当てた政策ではないですね、これは。それに加えて、大臣は、とにかく子供がウェルビーイングになれること、これが家庭政策だというふうに言っておられました。これもよくお気持ちは分かります。

 けれども、これらをまとめると、それらの政策というのは、家庭というものを政策の目的に置いているのではなくて、あくまでも、打った政策の副次的効果として家庭にプラスが及ぶ、そういう類いのものだと理解してよろしいでしょうか、大臣。

野田国務大臣 お答えします。

 家庭をしっかり支えることが子供の幸せにつながる、その観点から、家庭をしっかり支えること、家庭を支援する政策を充実させることは重要であると認識しています。

 他方、家族の在り方も多様化している中で、大事なことは、子供を中心に考えることです。必ずしも家庭、世帯ありきでなく、子供の健やかな育ちを支えるために何が必要なのかといった観点から政策の在り方を考えることが大切ではないかと思います。

緒方委員 なので、私もそうだというふうに言っていて。

 ただ、今言っているのは、政策を打つときの目的があり、結果がありということだと思うんですけれども、今の大臣の答弁を聞いていても、家庭というものに、それを目的に何か政策を打っているように、どう考えても答弁で見えない。ただ、何か別の目的を持って政策を打った結果として家庭というものにプラスが働くというふうに聞こえるんですね。

 だから、あくまでも家庭政策というのは、目的として置かれているのではなくて、副次的効果としてプラスの効果が及ぶ対象である、それぐらいの認識でよろしいでしょうかと聞いています、大臣。

野田国務大臣 そもそも、私はずっと、こどもまんなか、又は、そこに必要となる行政組織が要ると考えたのは、まずは、子供という言葉がこの国会で、三十年近くいるんですけれども、ほとんど出てこない、何かいびつな感じがいたしました。特に、その結果、悪い結果として、少子化というのが急速に進んでいるんだけれども、真剣な議論が行われてこなかった。最初の頃は、やはり、私たちのせい、女性のせいになっていました、責任。私たちが学歴を持って働くようになったから子供が生まれなくなったというような議論も普通に行われていました。

 ですから、私自身が申し上げたいことは、マクロでは、やはり国の指標は子供のありようだと思います。家庭というのも、これまでは、家ということで、子育てが非常に個人的なことになっていて、何の影響か知りませんけれども、他国に比べて国が関わってこなかった日本の反省も踏まえて、家という一つの拠点、居場所を通じて、そこから子供に今までなし得なかった様々な政策、施策を届けることで、やはり、国難と言われている少子化、人口減少ときちっと向き合っていく、そして、さらには、子供の質の向上、困難を抱えている子供がコロナ禍でたくさん出てまいりました、そこをしっかりと解決していく。両建てで取り組んでいきたいと願っています。

緒方委員 いろいろと答弁ありましたが、私、ずっと何でこれを聞いているかというと、家庭政策というのは何だろうとずっと考えているわけですよ。こども家庭庁と入ったからには家庭政策というものがあるはずであって、それが何なんだろうということを知りたいので、ずっと聞いているんです。

 少し質問を変えたいと思います。

 家庭に対する金銭的な支援、これは、現行法でも先日の答弁でも、家庭というものに対して支援をするということはないということはよく分かりました。そもそも、日本の税の仕組みは、個人が課税単位でありまして、夫婦とか世帯をベースとした仕組みとなっていないです。

 世帯に対する支援というのはあるんですけれども、比較的限られておりまして、例えば、十万円給付の際に収入把握が世帯合算方式にならなかったというのも、これも一つの表れだと思うんですね。先日の質疑で大臣は、世帯をベースにする仕組みについては、DVとの関係もあるというので、慎重たらざるを得ないということも、これも御指摘をされました。

 そうやって考えていくと、給付政策として、家庭を主体とした政策を打つことは基本的に考えていないということなんだろうと思ったんですけれども、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 さはさりながら、やはり、今までの制度をしっかりと支えつつ、世帯というありようが変容していることは御存じですよね。

 今回のコロナ禍での給付で一番問題になったのが、一人親とかまたDVとか、そういうところに直接お金が行かないという状態になっている、それで、地方創生の方の臨時交付金を横展開してもらうというようなことがありましたので、やはり、そういうところではしっかり、有事の際に届くべきところに届くというスキームをきちっとつくっていくという状況にあることを御理解いただきたいと思います。

緒方委員 だから、大臣がそれを指摘したというのは、世帯ベースでやってしまうと世帯主に行ってしまうからということなので、基本的に私の言っていることと近いんだと思うんですけれども、家族とか世帯とかを中心とした政策というのは、少なくとも、税とか給付の政策の中において余り多くないですよねということを確認までに聞いているんです、大臣。

野田国務大臣 どう答えて言えば御納得いただけるか分かりませんが、少ないことは少ない。

緒方委員 赤池副大臣、まだ副大臣になられる前に、家族という共同体を国や自治体がどう支援していくのか、そういう問題があると思いますということをブログで書かれておりました。けれども、実際問題として、家族とか世帯とかに対する給付の政策とかそういうものが、それほどメニューとして多くない。

 そう考えたときに、赤池副大臣が考えておられる、国や自治体が家族という共同体を支援していくというのは、それは何を意味しているんでしょうか、副大臣。

赤池副大臣 委員にお答えを申し上げます。

 それを、こども家庭庁設立と同時に、様々な有識者や、今日もそうだと思います、緒方委員からも御提案もいただけると思いますが、いろいろな形で、個人、そして、世帯なのか家族なのか家庭なのか、どういう支援の在り方があるかということを是非衆知を集めて構築できたらいいなということを思っている次第でございます。

緒方委員 そういう中、将来的に世帯とか家族をベースとした税の仕組みを考える余地があるのかなという。

 これは財務省にお伺いをしたいと思いますが、例えば、欧米の国の一部は、夫婦を課税単位とする二分の二乗制度を取っているところがある。フランスはN分のN乗ですので、世帯を課税単位としているわけですが、かつて、自由民主党の税調でもこのN分のN乗を検討されたことがあるやに聞いております。現在の財務省のお考え、お伺いできればと思います。

青木政府参考人 委員御指摘の世帯単位の課税、いわゆるN分のN乗などの御提案につきましては、高額の所得者に税制上の大きな利益を与えることや、それから、共働きに比べまして片方の方が働いている世帯が有利になることなど、様々な課題があると承知しておりまして、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

緒方委員 そうなんですよね。

 世帯とか家族をベースにして政策を打つのは、なかなか、現状でもそれほど多くないし、将来的にやろうとしても結構課題が多い。だから、私、ずっと、しつこくこいつは何を聞いているのかなとみんな思っていると思いますが、家庭政策、家族政策というのが何なのかということに強い関心を持ち続けているということであります。

 それでは次に、財源の話を少しさせていただきたいと思います。

 先日、福祉としての子育て支援と社会政策としての少子化対策というのは別物であるという話をしたところ、大臣からは、そのとおりだと思いますという話がありました。

 私、ずっと、これから、大臣、いろいろな仕組みを考えていかれると思うんですけれども、例えば少子化対策については、財源をしっかりと見出すということ、あとは、子供を多く持つということに対するインセンティブみたいなものを仕組みに織り込む努力をしてほしい、これは応援の気持ちを持って。これは耳障りのする内容が含まれます。やはり、財源論をするのとインセンティブの話をし始めるというのは、ともすれば反対の方が出る議論なんですけれども、私、これは大臣へのエールも込めて、こういう財源論とインセンティブ論を盛り込んだ少子化対策、みんなで考えましょうよと。

 大臣、これを言うと敵ができると思いますけれども、そういう敵については、私が前面に出て守るぐらいの気持ちを持ちますので、大臣、答弁いただければと思います。

野田国務大臣 むしろ、政策を進めていくときに賛否があった方が議論は進むと思います。一番この国会で滞ってしまうのは無関心ということなので。それぞれの背景、取りあえず、子育てというのは十人十色ですから、様々な御意見をいただきながら、子供のために何が一番いいかというお話をさせていただきたいと思います。

 少子化については、もう先ほど申し上げたように、人口減少についてもっと、やはり、生まれてくる子供が生まれないというのは、目に見えないことですけれども、それが多くの社会の制度に負荷をかけているということをしっかりと取り上げていきたいと思いますし、あと、何でしたっけ、もう一つ目は。(緒方委員「財源とインセンティブ」と呼ぶ)

 それもいろいろ議論があるんですけれども、ためらわずに、今まで、やはりやるべきことが滞っているという意識を私は持っています、もっともっとやってくればよかったと。そこはしっかりと、どういう在り方にせよ、皆様方に御理解いただいて、今までは子供がいるいないが分断になっていました。そうじゃなくて、子供に恵まれた方も恵まれなかった方も、やはり、誰かの子供によってこの社会は動いていく、そういう共通のメリットというのを新しくつくっていかないといけないのではないかと思っています。

緒方委員 少子化対策としてよく挙がってきてはなかなか結実しないものの中に、給付つき税額控除の考え方があります。いろいろ条件をつけて税額を控除して、そしてゼロを下回ったものについては給付をするという考え方ですけれども、現在の所得控除をベースとした考え方は、あれは、基本的に所得控除というのは金持ち優遇になってしまいますので、金持ちになればなるほど税率が高いわけですから、所得控除すると、金を持っている人間ほど税金がまけられるわけですよね。そういうものではなくて、むしろ、子供の数とかそういったことによって定額の税額控除を定めて、様々な条件付の上で税額控除をする方が政策的に適当だと私は思うんですよね。

 ただ、これは不幸な歴史がありまして、民主党政権時代にこれは言われたので、多分、自由民主党の方は、給付つき税額控除というと、民主党の政策だろうということで、はじく傾向があるんですけれども、まずもって財務省にお伺いしたいのが、この給付つき税額控除についてどうお考えでしょうか。

青木政府参考人 給付つき税額控除につきましてお答えします。

 児童手当など、同様の政策目的を持つ制度との関係をまず十分整理することが必要であるというふうに考えます。また、新たに給付つき税額控除を導入することにつきましては、所得とか資産の把握が必要といった課題のほか、それから行政の執行可能性やコストといった課題などがありまして、慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。

緒方委員 大臣、子育て政策の中で、この給付つき税額控除というものをもう一回虚心坦懐に考えてみませんか。場合によっては、例えば配偶者控除みたいな、ああいう、税が、中立的でない税なんですね、配偶者控除というのは。家族の在り方とかそういうものを決めるものであって。そうじゃなくて、極めて中立性の高い、もちろん、政策目的を持っているので、一〇〇パー中立かと言われるとそうじゃないですけれども、給付つき税額控除とかいうふうに振っていくことによって、少子化解消につなげようというような思いをお持ちになりませんでしょうか、大臣。

野田国務大臣 ちょっとこのことについては通告をいただいていなくて、今いろいろと御説明をいただいたところですけれども、様々な提案をこの国会の場でもいただいておりますので、皆様方と議論しながら、子供にとって最善、これからの日本にとって最善を皆さんと模索させていただければと思います。

緒方委員 非課税の方に恩恵を及ぼすとかいうことも含めて、様々なインセンティブづけをするときに、給付つき税額控除というのは、私は非常に有益だと思うんです。ただ、ともすれば、これが盛り上がったのが、当時の民主党政権下で盛り上がったので、何か、そういう色がべたっと塗られちゃって、はじく傾向がこちらの皆様方にはあられるんですね。

 なので、この手法、税の理論としては私は大いにあり得ると思っておりまして、逆に、税制改革としては巨大なものになるはずですけれども、これまでやったものがことごとくうまくいかなかったのであれば、少子化対策ということで、そんなに、出生率がすごく上がったとかそういうことはなかったわけで、これまで政策として成果が、まあ、出なかったと言うとかわいそうなんですけれども、けれども出なかったので、であれば、これまでと違う発想を持って、根本的に何か、インセンティブづけである、財源論であると、そういうものを変えた議論をしないと、今までの延長上にはきっと日本の少子化を解消する力は出てこないんじゃないかというふうに思ったので、この指摘をさせていただいております。

 もう少し質問したいところではありますが、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 この際、御報告いたします。

 厚生労働委員会との連合審査会は、来る五月十日火曜日午後一時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、明二十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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