衆議院

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第24号 令和4年5月11日(水曜日)

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令和四年五月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上野賢一郎君

   理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君

   理事 平  将明君 理事 藤井比早之君

   理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君

   理事 足立 康史君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      石橋林太郎君    石原 宏高君

      石原 正敬君    金子 俊平君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      吉川  赳君    和田 義明君

      阿部 知子君    荒井  優君

      大串 博志君    大西 健介君

      岡本あき子君    堤 かなめ君

      中谷 一馬君    藤岡 隆雄君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      山田 勝彦君    阿部  司君

      早坂  敦君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    平林  晃君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    大石あきこ君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   議員           加藤 勝信君

   議員           勝目  康君

   議員           木原  稔君

   議員           塩崎 彰久君

   議員           丹羽 秀樹君

   議員           岡本あき子君

   議員           早稲田ゆき君

   議員           三木 圭恵君

   国務大臣

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   内閣府大臣政務官     小寺 裕雄君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  蝦名 喜之君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官)  相川 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長)            岸本 武史君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     石橋林太郎君

  松本  尚君     塩崎 彰久君

  大串 博志君     岡本あき子君

  堤 かなめ君     大西 健介君

  中谷 一馬君     荒井  優君

  本庄 知史君     山田 勝彦君

  山岸 一生君     阿部 知子君

  浅川 義治君     早坂  敦君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     石原 正敬君

  塩崎 彰久君     松本  尚君

  阿部 知子君     山岸 一生君

  荒井  優君     中谷 一馬君

  大西 健介君     藤岡 隆雄君

  岡本あき子君     大串 博志君

  山田 勝彦君     本庄 知史君

  早坂  敦君     浅川 義治君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     平沼正二郎君

  藤岡 隆雄君     堤 かなめ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)

 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)

 こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)

 子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)

 子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)


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     ――――◇―――――

上野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長谷内繁君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 自由民主党の藤井比早之です。

 質疑、質問をさせていただきます。

 まず、こども基本法案についてお伺いさせていただきます。

 平成六年、一九九四年に子どもの権利条約、児童の権利に関する条約を批准して以降、約三十年が経過をしております。

 子供施策において長年の課題とされてきた三つの壁もございます。

 自民党、公明党、与党から提出されたこども基本法案の意義をお伺いします。

 こども基本法案において、基本理念と基本的な施策とがどのようにつながっているのか、基本理念が基本的な施策にどう落とし込まれているのかをお伺いいたします。

加藤(勝)議員 まさに、この法案の背景には、昨今、子供をめぐる様々な事件、問題、深刻化している、こういう状況があります。

 また、こうした中で、子供に関する施策において、いわゆる三つの壁、一つは年齢の壁、そしてもう一つは、必要とする施策ごとの制度の壁、そして、施策を講ずる関係省庁縦割りの壁、これが長年課題とされてきたところでありますので、こうした課題を解決をし、子供に関する施策、まさに横串を通した形で推進をしていくための基本法、そこに本法案の意義があるというふうに考えております。

 本法案については、三条で基本理念を定めさせていただいているほか、二章には、基本理念を具体化した基本的施策についての規定も置かせていただいております。

 例えば、基本理念全体に一貫する、子供のことを第一に考えるという基本的姿勢は、今申し上げた三つの壁の打破を企図した、子供施策に係る支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備などについて定める第十二条において、子供施策に係る支援が、支援を必要とする事由、支援を行う関係機関、支援の対象となる者の年齢又は居住する地域などにかかわらず、切れ目なく行われるようにするということがうたわれているところであります。

 また、第三条第四号では、子供の意見の尊重を基本理念として掲げておりますが、これを受けて、十一条では、基本的施策として、子供施策の策定等に対し、子供等の意見の反映のために必要な措置を講ずることを定めております。

 このように、この法案では、基本理念を掲げるにとどまらず、基本的施策としてそれをどう具体化していくか、こうした規定も設けているところであります。

 なお、実際の各具体的な政策については、こども大綱の中で進めていくことを想定をしているところでありますが、この法案の意義がしっかりと発揮されるよう、しっかりとその実施にも努めていただきたいというふうに思っております。

藤井委員 基本理念だけではなくて、それを具体化するというところを盛り込まれているところ、そしてまた、それをこども大綱で、このこども大綱は、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律という既存の三法律、別々に作成されてきたというのを一体的に作成するという、意義のあるものでございます。そのような政策を盛り込んでいただいていることを感謝申し上げたいと思います。

 先ほど答弁の中にもありましたけれども、参画というところなんですが、こども基本法案第三条第三号には、全ての子供について、意見を表明する機会、多様な社会的活動に参画する機会が確保される旨規定されておりますけれども、具体的に想定されておられるものをお伺いいたします。

加藤(勝)議員 まず、意見を表明する機会についてでありますが、児童の権利に関する条約第十二条第一項が、児童に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利を定めていることを踏まえ、盛り込まれた要素であり、様々な形の意見表明の機会を想定しているところでありますが、例えば、現在、衆議院の厚生労働委員会において審議中の児童福祉法改正案における意見表明等支援事業も、意見を表明する機会を確保するための取組の一例だというふうに考えております。

 同事業においては、児童相談所が児童に対して措置による指導を行う場合や一時保護の決定をする場合に児童から意見聴取をすることなどが想定をされているところでありますし、また、具体的な対応については、様々な手法を適切に組み合わせること等により、偏りのない形で意見を反映するための措置を講じていくということが大変大事だというふうに思っております。

 また、多様な社会的活動に参加する機会については、まさに様々な分野における活動に子供が主体となって参画することを後押しする趣旨であり、私的な活動への参加のみならず、公的な活動への参画も念頭に置いております。

 具体的には、例えば、本法案の十一条で想定している、子供施策を策定等をするに当たって子供の意見を反映する機会を設けることも、多様な社会的活動への参画の一環になるものと考えておるところであります。

 子供施策を策定などをするに当たって子供の意見を反映する機会を設けることで、子供施策がより子供目線に立ったことを担保するという意義、これはもちろんのこと、それに加えて、子供の社会参画に当たるものとして、それを通じて子供におのずと責任感が養われる、こういった効果も期待できるものと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 意見を表明する機会、特に参画する機会というのが重要でございます。先ほど児童福祉法の話もございましたけれども、実際に具体化していくことということが大事でございますので、こども家庭庁が設置された暁には、是非とも、この基本理念に盛り込まれていますので、期待をするところでございます。

 こども基本法案の質疑はこれで終わりたいと思いますので、提出者におかれましては、御退席いただいて結構でございます。

上野委員長 御退出いただいても結構です。

藤井委員 現在、子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)二〇二二策定に向けて議論が行われている、これは党でも行われておりますけれども、というふうに理解をしております。

 子供の性被害を防止するための取組について伺います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年十二月に閣議決定をいたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきましては、教育、保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、日本版DBSと呼んでございますが、これの導入に向けた検討を進めるということとしてございます。今後、このための法的論点の整理や仕組みの検討などを行っていくこととしているところでございます。

 日本版DBSにつきましては、子供の安全、安心の確保のための大変重要な施策と考えておりまして、必要な検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

藤井委員 今、日本版DBSの話をしていただきました。特に、こども家庭庁が創設されることによって、縦割り打破という点では非常に期待できるのがこの日本版DBSだと理解しております。

 児童が被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備として、性犯罪歴を持つ人物が教育や保育の現場などで働くことを制限する日本版DBSの導入、これは、教員の方は、保育士の方は、学習塾はどうなっているんだ、ベビーシッターはと、それぞれ所管が縦割りになっていまして、また、犯罪歴どうするかということになると、警察とか法務省という話になってくるんです。そういった調整が必要だという点において、縦割りを打破して横串で対応できるこども家庭庁が創設されることによって実現されることを望みます。

 また、性被害防止という点では、SNSを活用した不適切な書き込み、こういった被害は本当に深刻です。一旦流れてしまったらどうしようもない。サイト管理者等への削除依頼や加害者への取締り強化、厳正な対応、被害の予防、拡大防止対策、これは総務省とか法務省とかいろいろなところが絡んできますので、警察も、そういう点での施策の充実強化、法制化等も含めまして是非とも取り組んでいただきたいと思います。

 また、縦割り行政の打破という点で、CDR、予防のための子供の死亡検証、子供さんの予防できる死亡を減らすため、子供さんが死亡した場合にその原因に関する情報の収集、分析、活用等、チャイルド・デス・レビュー、CDR、これも縦割り行政の打破という点で重要なのではないかと考えております。

 現在は、子供さんがどこで亡くなったかによって所管が違う。河川とか公園だったら国土交通省だし、保育園は、こども園は、幼稚園は、小中学校はということでそれぞれ違う、死因究明になるとまた別ということで、全国の自治体でモデル事業を行って、地域で関係者が情報連携を行い、子供の死亡検証体制が整うよう進めているところですけれども、まさに、これまで縦割り行政で進まなかった連携をこども家庭庁が主導して、次の事故や虐待の予防に社会全体で取り組んでいただきたいと考えておるところでございます。

 CDRの推進方策の検討についてお伺いします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 予防のための子供の死亡検証、CDRでございますけれども、予防可能な子供の死を防ぎ、分野横断的な視点に立ちながら効果的な予防策を導き出すために、現在、厚生労働省におきまして、令和二年度からモデル事業が実施されているところでございます。その中で、CDRの意義、目的について検証に関わる関係者間におきまして共通認識が必要であること、子供を失った遺族への配慮や心理的支援が必要といった課題があることなどが指摘されております。

 こども家庭庁設置後におきましては、こうしたモデル事業の実施状況等も踏まえまして、ただいま議員御指摘のありましたように、厚生労働省、警察庁、法務省等関係省庁と緊密に連携しながら、更に検討を進めてまいりたいと考えております。

 加えまして、現在、内閣府において行っております幼稚園、保育所等における子供の死亡等の重大事故防止のための検証、厚生労働省において行っている子供虐待による死亡事例等重大事例の背景、要因等の分析、検証、さらに、文部科学省で行っている災害共済給付に関する事故情報の収集、分析につきましても、こども家庭庁の下で取り組んでいくこととしておりますので、これらの事業をこども家庭庁で一体的に行うことによりまして、子供の安全の確保にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 まさに、こども家庭庁ができて横串で連携をしていただくことによって、子供の安全が、今後二度とないようにということで取り組んでいただけるんじゃないか、それを切に望みたいところでございます。

 次に、ヤングケアラー対策についてお伺いします。

 ヤングケアラー、まさしくケアする子供さんに光が当たる、今回それは非常に重要だと思います。こども家庭庁が創設されれば、子供第一ということで、新たな抜本的な対策強化が期待されます。

 一方で、今までは、ケアされる側というか、それが高齢者なのか、その方も看病が必要なのか、介助なのか、見守りなのか、ケアされる側が障害者の方なのか、子供さんなのかとか、それぞれ、ケアされる側の施策が今現在縦割りになっていまして、どっちかというと、この施策を充実しないといけないという形で今までなされてきたという形になります。こうした施策側との連携が心配ですし、また、厚生労働省と分かれることによって何か弊害が起きないのかというのを心配するところです。

 こども家庭庁には、縦割りを排してヤングケアラー対策の充実を望みますが、この点についてお伺いします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 ヤングケアラーの問題でございますけれども、ヤングケアラーにつきましては、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいという構造になっておりますけれども、昨年五月には、厚生労働副大臣と文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームにおきまして分野横断的な支援施策の取りまとめを行うなど、関係機関の連携の強化、支援の充実を図ってきたところでございます。

 委員御指摘のこども家庭庁設置後におきましては、こども家庭庁が関係省庁、今申し上げました厚生労働省、文科省以外、それ以外にもあると思います、としっかりと連携をしまして、ヤングケアラーにつきまして、社会的認知度を高めますとともに、福祉、介護、医療、教育等の関係者が情報共有、連携して早期発見、把握し、子供の意向に寄り添いながら必要な支援につなげられるよう取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 これはやはり、ケアされる側の方がいないとこういう問題は生じないというのもありますので、そこを充実させるというか、そこを処理するというか、解決するということが大切なんですけれども、やはり、今回こども家庭庁ができて、ヤングケアラーということで子供さんに光が当たるというのは非常に重要なことですので、そこからの視点での施策の充実強化を望むところでございます。

 次に、障害児支援についてお伺いします。

 これは、横串でこども家庭庁が果たす役割と意義をお伺いするのですが、一方で、障害児と障害者で所管省庁が分かれるんじゃないか、そういう弊害がないか、そういうことがないように是非ともお願いしたいという点で、どのように縦割りを排する取組を行われるのか、お伺いします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁でございますけれども、こどもまんなか社会の実現を目指しまして、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点に立って、子供を誰一人取り残すことなく、その健やかな成長を社会全体で後押しすることとしておりまして、障害のあるなしにかかわらず、全ての子供の育ちの保障を担うこととしております。

 その上で、障害のある子供への支援につきましては、障害のある子供の地域社会への参加、包容、インクルージョンを推進する観点等を踏まえまして、一般の子育て支援施策で対応できるものにつきましてはその中で対応しつつ、それを超える支援ニーズにつきましては障害児施策としてきめ細かく対応することとしております。

 具体的には、障害児通所サービスを利用しているお子様が保育所等へ移行するための支援の強化、保育所等での障害のある子供の受入れの推進などを進めながら、医療的ケア児や発達障害など、その障害特性に応じた支援の充実を図ることなどによりまして、障害のある子供も取り残されることのないよう支援を更に充実してまいりたいと考えております。

 また、議員御懸念の、新たな縦割りが発生するのではないかということでございますけれども、それにつきましては、障害のある子供が大人になり、引き続き必要な支援を受けながら安心して地域で生活を送るためには、成人に対する支援、サービスへの円滑な移行、接続が重要でありますことから、こども家庭庁設置後におきましては、障害児、障害者を共に支援の対象とする法律につきまして厚生労働省との共管とするなど、連携して事務を実施していくこととしております。

 加えまして、障害児施策につきまして、こども家庭庁に置くこども家庭審議会のみならず、必要に応じて、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会と合同で障害者福祉施策全体の中で審議することなどによりまして、年齢による壁が生じることのないよう、厚生労働省と緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。

藤井委員 これは、見合ってボールが落ちないようにというか、お互いにむしろ重複して支援していただくぐらいの気持ちでの連携を是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、子供さんの虐待防止、いじめ防止にこども家庭庁が果たす役割、意義についてお伺いいたします。

 まさに縦割りも廃止して、警察との情報共有とかも含めてこども家庭庁が司令塔機能を発揮することによって、自治体も含めて対応が充実強化されるというのを期待しております。ただ、いじめ防止では、やはり学校現場で縦割りが生まれないようにというのが重要だと思いますので、その点も含めてお伺いします。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、児童虐待防止対策につきましては、これまでも厚生労働省を中心に取組が行われてきたところでございますけれども、今後、こども家庭庁におきましてこれを引き続き行いますとともに、関係省庁にまたがる児童虐待防止対策を政府の中で主導していきたいと考えてございます。

 また、現在審議中の児童福祉法案におきましては、家庭への支援を強化し、虐待の発生を未然に予防するため、全ての妊産婦や子育て家庭、子供へ一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置、あるいは、訪問による家事支援などの創設、市町村が必要と判断した場合には、利用勧奨、措置によりプッシュ型での支援の提供を可能とするなどの内容を盛り込んでいるところでありまして、これらの施策を通じて、児童虐待防止に全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、いじめ防止等の対策につきましては、これまでの文部科学省による取組に加えまして、今般新たに、こども家庭庁においても、いじめ問題に対して、児童の権利利益の擁護という観点から取り組むこととしてございます。地方自治体における具体的な取組や相談体制などの体制づくり等をこども家庭庁は主に担っていこうということを考えているところでございます。

 また、文部科学省との連携が非常に重要でございます。文部科学省との間では、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針の策定、変更の際の関与でありますとか、重大事態への対応に際しての情報共有や、相互に連携した対策を実施をすることとしてございます。

 また、教育の場とそれから児童の権利利益の擁護ということの連携は自治体の場でも必要なことでございまして、首長部局と教育行政との連携がこうした面でも進みますように、グッドプラクティスの把握、普及を進めてまいりたいと考えております。

 こども家庭庁におきましては、関係省庁はもとよりですが、それぞれの関係省庁が所管をする様々な現場、これは委員御指摘の学校現場も含まれますが、としっかりと連携をしながら児童虐待の防止やいじめの問題に取り組みまして、子供の命を守り、全ての子供が健やかに成長することができる社会の実現を目指してまいりたいと考えています。

藤井委員 虐待防止とかは、やはり多くの方が見ておくというか、その目が必要だと思います。家庭だけじゃなくて、地域だけじゃなくて、そういう点で、縦割りでそういう形にならないように。

 また、いじめ防止については、学校現場、文部科学省もそうですし、こども家庭庁が司令塔機能を持って、複数眼で見ていくということが大事なんじゃないかと思いますので、是非とも、その点、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 こども家庭庁が創設されることによって、こども園への支援、待機児童解消対策、放課後児童クラブへの支援が抜本的に強化されるんじゃないか、これを望むところでございます。この点について伺います。

 一方で、こども園については、幼稚園との縦割りの弊害が危惧されています。特に、自治体の現場において、教育委員会との縦割りをどう克服するか、教育委員会とどう連携していくのかが課題となります。自治体の現場での教育委員会との連携について、その方策を具体的にお伺いします。

相川政府参考人 お答えいたします。

 こども家庭庁は、こどもまんなか社会の実現を目指し、子供や子育て当事者の視点に立った政策立案を行っていくこととしております。

 これまでも、幼児教育、保育の無償化、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備、保育人材の確保、新・放課後子ども総合プランに基づく受皿整備に取り組んでおりまして、令和四年二月からは、保育士や幼稚園教諭等を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%引き上げるための処遇改善を実施しております。

 こども家庭庁設置後においても、必要な施策の実施ができますように、子供の視点に立って、安定財源を確保しつつ、内容をしっかり充実させていきたいと考えております。

蝦名政府参考人 委員から、特に縦割りの排除についての御質問でございます。お答え申し上げます。

 子供政策の具体の実施につきましては、地方自治体が中心的に担ってございます。この体制については自治体の判断となりますけれども、いずれにしても、子供政策に関連する部局同士が連携を図ることが非常に重要だというふうに考えています。

 また、こども家庭庁は、教育行政を担う文部科学省と緊密な連携を多くの分野で図っていくことが必要でございます。自治体におきましても、首長部局と教育委員会との連携というのは極めて重要であると考えております。

 現在、内閣官房におきましては、自治体における関係部局の連携体制の事例を把握するための調査を実施をしております。今後、各自治体における取組を情報共有することなどを通じまして、自治体におけるこどもまんなかの考え方に基づく体制の検討が進みますよう取り組んでまいりたいと考えているところです。

 また、幼稚園、こども園といった施設類型のいかんを問わずに、しっかりとした教育、保育がなされるということが大変重要です。

 こども家庭庁におきましては、教育、保育の内容面についての例えば現場での研修の支援など、自治体を通じた現場に対する指導助言を行える体制を自ら構築する必要もあると考えておりまして、今後、この点についてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

藤井委員 こどもまんなか、子供第一と考えたら、施設類型はどちらでもいいんですよ。特に自治体の現場では、教育委員会とどうなるんだとかいうのをすごく心配の向きがありますので、その点、是非とも連携をよろしくお願いを申し上げたい。また、子供さんのことを考えての保育士さんの給料アップやそういった処遇改善というところも、しっかりとよろしくお願い申し上げたいと思います。

 不妊治療の保険適用の意義についてお伺いします。これはすごいんですよ、反応が。伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 子供を持ちたいと願っておられます方々が有効で安全な不妊治療を受けられるように、令和四年度診療報酬改定におきまして、中医協での議論を踏まえて、不妊治療の保険適用が行われたところでございます。

 具体的には、関係学会が作成いたしました診療ガイドラインで整理された有効性、安全性を踏まえまして、一般不妊治療としてタイミング法、人工授精、それから生殖補助医療として体外受精、顕微授精などが本年四月から保険適用されたところでございます。

 この不妊治療につきましては、これまで自由診療で実施されておりまして、具体的な診療内容や価格が様々でございましたが、今般の保険適用によって、有効性、安全性が確認されたものが保険診療に位置づけられるということによって、治療の質の標準化につながり、また、国民の皆様が安心して不妊治療を受けられるようになるといった意義があるものと考えてございます。

 以上でございます。

藤井委員 これは本当に皮膚感覚でもそうなんですけれども、いろいろな人からありがたいという話を聞くんですよ。物すごい反応です。これだけやはり子供が欲しい、そして悩んでおられた方が大勢いらっしゃったんだなというのと、あと、中所得層とか高所得層でも、やはりやっているというのがばれると恥ずかしいとか、やばいとか、そんなのでちょっとためらっておられたとか、やってもいいんだろうかという方とか、みんな関心を持っていただいているんですよね。

 今、むしろ、意義と聞いたのは、これだけの反応がありますとか、これだけ問合せがありますとか、そんなのをむしろ聞きたかったところなんですよ。これだけ反響が大きいということは、それだけ子供が欲しいという皆様が本当に多いということなんだと思います。

 子供が欲しいという皆様に直接支援することが非常に重要である。まず、子供を産みたい、欲しいという皆様への支援をもっと行うべきだと考えますが、これまでの取組とこれからの取組についてお伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化の背景は、個々人の結婚、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っております。

 例えば、出生動向基本調査によりますと、理想の子供数を持たない理由につきまして、子育てや教育にお金がかかり過ぎると回答した割合が五六・三%となっており、委員御指摘のとおり、出産、子育て、教育に係る費用負担の重さといったものが、子供を産み育てたいという希望がかなわない障壁の一つとなっていると思っております。

 政府では、こうした子育てや教育に係る経済的な負担を軽減するため、児童手当の支給ですとか、幼児教育、保育の無償化、高校生への修学支援、高等教育の修学支援、そして今般の不妊治療への保険適用、こうした様々な支援を行ってきております。

 今後とも、少子化社会対策大綱等に基づき、関係省庁とも連携しながら、財源を確保しつつ、子育てや教育に係る経済的な負担の軽減、そして、子育てや出産といった希望がかなうような環境整備に取り組んでいきたいと思っております。

藤井委員 やはり費用負担、しんどいんですよ。たとえ高所得者だとか低所得層だと言われている皆さんでも、保育料が高いとか、あとはやはり塾の負担が高いとか、それで諦めるというか、どうしようかなと思う方が本当に多いんです。また、低所得層だけじゃなくて、共働き、本当にしんどいんだと言って、不平等感を持っておられる方は多いので、そういう点で、子育てがしんどいとか、子育てが自己犠牲を伴うんじゃないか、そういうような社会から、子供が忌避される社会から、子育てが楽しい社会、子育てが自己実現にプラスとなる社会、子供が愛され喜ばれる社会を取り戻すために、こども家庭庁に魂を吹き込むことが必要だ。

 こども家庭庁が創設される意義、その果たす役割についてお伺いします。

相川政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、子育てに希望を持ち、子供が安心して生まれ育つことのできる社会を実現していくため、幼児教育、保育の無償化や、新子育て安心プランの着実な実施、高等教育の修学支援等、政府一丸となって様々な子育て支援に取り組んできたところでございます。

 こうした取組によりまして、着実に子供や子育て世帯に対する支援は充実してきておるところでございますが、一方で、児童虐待、いじめ、貧困、少子化など、子供や子育て世帯を取り巻く課題は多岐にわたり、深刻化してきております。

 こうした状況を踏まえまして、子供に関する政策を我が国社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会、これを実現するための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設することといたしておりますが、こども家庭庁においては、子育てに対する負担や不安、孤立感を和らげることを通じて、保護者が自己肯定感を持ちながら子供と向き合える環境を整え、支援することが子供のよりよい成長の実現につながるという観点から、子育てを社会全体でしっかりと支え、個々人が子育てに希望を持ち、子供が誰一人取り残されることなく健やかに成長することができる、こどもまんなか社会を実現してまいりたいと考えております。

藤井委員 今回の法案が、こどもまんなか社会をつくる歴史的な法案となりますことを心から祈念申し上げます。

 時間となりました。終わります。ありがとうございます。

上野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一です。

 本日は、先日の参考人質疑で触れたテーマの続編というような形で質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、児童虐待を予防するための保育のリソースの活用の転換についてお伺いをいたしたいと思います。

 先日も、複数の参考人の方々、また今ほども先生方が、児童虐待の問題について御指摘をされているところでございます。

 そこで、まず、厚労省にお伺いをいたします。

 昨年八月までに、児童虐待に関する検証結果、第十七次まで報告がなされておりますけれども、残念ながら子供が死亡に至った児童虐待死の事例をめぐる状況について、三点、端的にお伺いいたします。なお、割合については有効割合で御答弁をいただきたいと思っております。

 まず一点目、子供の年齢についてでありますけれども、ゼロ歳から三歳未満の年齢層、一般に未就園児が多いと言われる年齢層でありますが、この割合、心中を除いた場合にどれほどあるかという点。

 二点目、子供の死亡時のお母様、実母の就業状況で最も多かったものは何なのか。

 そして三点目、こうした御家庭の地域社会との接触状況について、ほとんどない、あるいは乏しいと思われる事例の割合、どれほどか。

 それぞれ簡潔に御答弁をいただきたいと思っております。

川又政府参考人 厚生労働省では、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会におきまして、死亡事例等重大事例の背景、要因等を分析、検証しております。

 お尋ねの第十七次報告におきます、不明あるいは未記入の回答を除いた有効割合で申し上げますと、一点目の、心中以外の事例における死亡時点の子供の年齢につきましては、ゼロ歳から三歳未満であった者は三十四人、六九・四%。

 二点目の、母親の就業状況で最も多かったのは無職でありまして、心中以外の事例が二十一人、四八・八%、心中事例が七人で五三・八%。

 三点目の、家庭の地域社会との接触状況につきましては、心中以外の事例が、ほとんどない十人、乏しい八人、合わせて十八人で五八・一%、心中事例におきましては、ほとんどない三人、乏しい二人の計五人、五五・五%となっております。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 つまり、児童虐待死に至った御家庭に見られる傾向でありますけれども、いわゆる子供の年齢は、先ほど申し上げたとおり、未就園児率が高いと言われるゼロ歳から三歳未満に多い、また、専業主婦の御家庭、ワンオペに陥りやすいと言われておりますけれども、これも半分近く、また、こういった状況の中で、地域社会との接触も乏しい、こういった傾向が見られるわけであります。要するに、二十四時間子供にかかり切りで、本来、相談相手が必要なんだけれども、孤立してしまっている。

 先日の参考人質疑でも、コロナ禍でこういった状況が更に加速をしているという御懸念を示された先生方もいらっしゃいました。

 逆に、こうした家庭にとっては、本来は、預けられれば、保育所などの施設というのはセーフティーネットとしての機能を発揮し得るわけでありまして、このセーフティーネット機能を補完していってはどうかという本日の質疑のテーマであります。

 そこで確認をしたいのが、他方で、近年、待機児童問題が盛んに叫ばれてきておりまして、公明党も国、地方で連携を取りながら全力で取り組んでまいりました。一方で、少子化に伴いまして保育所などの定員充足率が徐々に低下をしてきているというふうに言われております。この定員充足率について、厚労省の現状認識をお伺いをいたしたいと思います。

川又政府参考人 令和三年四月一日時点の保育所等の定員充足率は九〇・九%となっておりまして、御指摘のとおり、ここ数年、若干低下傾向にございます。

河西委員 ありがとうございます。

 要するに、全体としては約一割は空きが出てきている。これはグロスです、全国グロスですので、当然、地域によって濃淡がある。まだまだ待機児童の方もいらっしゃるわけでありますけれども、徐々にポスト待機児童時代も見据えていかなければいけない、そういったフェーズにあるわけであります。

 そこで御提案なんですが、せっかく確保してきた保育のリソース、これを、孤立しがちで今すぐにでもヘルプが必要な御家庭、先ほど御紹介したような、こういった御家庭が活用しやすい仕組みをつくってはどうかという点でございます。

 他方で、従来の一時預かりやショートステイなどの制度もあるわけでありますが、なかなか機能し切れていないということはこれまでも委員会で指摘をされてきたところであります。例えば、未就園児一人当たりで見ますと、令和元年度の実績ですけれども、一時預かりが一年間で約三日間、また、ショートステイも一年間で約〇・〇五日というような状況であります。

 この理由、様々お伺いをしますと、定期利用ではない点が最も大きいのではないか。余り知らない保育者に子供を預けるのは正直不安だとか、あと、予約が取れずに面倒だ、あるいは、私の妻にも聞いてみたんですけれども、やはり料金設定が割高だ、これは率直な生活者としての声であります。

 要するに、制度とニーズの間にミスマッチがあるわけでありまして、そこで、このミスマッチの解消、また、冒頭申し上げました児童虐待防止の観点から、共働きなどでないと子供を保育所に預けられない保育の必要性認定、この線引きを柔軟化させてはどうかという点でございます。

 具体的には、今は保育の必要性が認定されない専業主婦でも、週に一、二回程度、定期的に子供を保育所に預けられる新たな定期利用制度を創設してはどうかという御提案でございます。当然、地域ごとの定員や待機児童の状況といった実情に合わせながら、専業主婦でも使える定期利用制度を自治体が選択できるようにしてはどうかというふうに考えますけれども、まず、政府参考人の見解をお伺いいたします。

川又政府参考人 御指摘のとおり、保育所等につきましては、児童数の減少などによりまして、地域によっては定員に空きが出ている施設も生じてございます。今後の保育所の在り方について検討すべき時期に来ていると考えています。

 また、近年、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況等を踏まえ、保育所が、その蓄積してきた知識経験を生かし、ふだんは保育所を利用していない家庭を含めて、地域の子育て家庭に対する支援の担い手となることが期待されております。

 そのため、今国会に提出しています児童福祉法の改正法案において、市区町村が、保育所等を含め、身近な子育て相談機関を整備するよう努めることとしているほか、昨年度開催いたしました今後の保育所等の在り方についての検討会におきまして、人口減少地域などで定員に余裕のある保育所が、ふだんは保育所に通っていない子供を週に一、二回程度預かる事業をモデル的に実施することなどが提言をされております。

 今後、法改正あるいはこの提言などを受けて、このようなモデル事業の実施の検討、保育所を地域子育て支援の拠点として活用している自治体の好事例の横展開など、保育所における未就園児家庭などへの子育て支援の推進をしてまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 是非、取組の加速化をお願いいたしたいわけでございます。

 そこで、野田大臣にお伺いいたします。

 児童虐待の予防、また、こどもまんなか社会の実現という観点から、今申し上げました、保育の必要性認定の柔軟化、また専業主婦の方でも使える保育所の定期利用制度の創設について、是非ともリーダーシップを発揮をしていただいて、充実、拡充、また実現していただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いいたしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、全国的には依然として待機児童が発生しているものの、地域によっては保育所の定員に空きが出ていることは確かであります。

 また、近年、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況を踏まえて、保育所には、地域の子育て世帯に対する支援の担い手になることが期待されているところです。

 今、答弁があったように、こうした状況を踏まえて、今国会では、市区町村が、保育所等を含め、身近な子育て相談機関を整備するよう努めることを盛り込んだ児童福祉法の改正法案が提出されており、現在御議論いただいているということを承知しています。

 また、昨年厚労省に設置されました有識者会議による提言、これを踏まえて、ふだん保育所に通っていない子供を週一、二回程度預かるモデル事業の実施も、先ほどもありましたけれども、検討などが進められていくものと承知しています。

 いずれにしても、保育所等に通われていない子供を含む全ての子供の教育、保育の質を保証することは重要でありまして、今後、こども家庭庁の設置を待たずして、就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針、これは仮置きですけれども、しっかり策定を検討してまいります。

河西委員 ありがとうございます。

 しっかり公明党としましても後押しをさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、若者政策についてお伺いをします。

 これまで、このこども家庭庁関連法案の質疑、どちらかというと子供がクローズアップをしてきておりますけれども、ここからは、若者という観点に重きを置いて質疑をさせていただきます。

 まず、こども家庭庁設置法案の所掌事務について、第四条二十項には、子ども・若者育成支援推進大綱の作成及び推進とあるわけでございまして、子供はもちろん、若者もこども家庭庁として取り上げるべき重要なテーマであるというふうに考えております。

 そこでお伺いいたしますが、今後、こども家庭庁は若者政策について具体的にどのように取り組むのか、御見解をいただきたいと思います。

谷内政府参考人 若者政策についての御質問についてお答えいたします。

 昨年末に閣議決定いたしました基本方針におきましては、今後の政策の基本理念といたしまして、思春期から青年期、成人期への移行期にある若者が円滑な社会生活を送ることができるようになるまでを社会全体で支え、伴走していくこと、また、子供の意見の年齢や発達段階に応じた子供政策への反映とともに、若者の社会参画を促進することを掲げております。

 今回の政府提出法案におきましては、こども家庭庁の所掌事務といたしまして、子供、若者育成支援に関する事項についての政府部内の統一を図るための企画立案、総合調整や、今議員御指摘になりました、子ども・若者育成支援推進法に基づく大綱の作成、推進などを規定しております。

 これらの規定に基づきまして、こども家庭庁は、若者政策について、政府部内の司令塔機能を果たすとともに、自ら事務を実施することになります。

 また、昨年十一月にこども政策の推進に係る有識者会議から総理に提言されました報告書におきましても、若者の自立や社会参加に向けた取組の充実が提言されており、こども家庭庁の下でしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 今も、若者の社会参加という御答弁がありました。これは非常に重要なテーマであるというふうに思っておりまして、先日の本委員会での野田大臣の御答弁でも、こども家庭庁が仮に勧告権を行使する場合には、まず何よりも、子供や若者から直接意見を聞くんだ、子供の、あるいは若者の視点から実態把握や情報収集を行うとの御答弁がございました。

 これは極めて重要な御答弁であるというふうに思っておりまして、今まで政治に興味、関心を持ちにくく、投票率もまだまだ低い若者にとって、自分たちの世代の声が届くんだ、しかも、それが政策に反映される機能が今回政府に新設をされるという、その認識を持つ契機になるというふうに思っておりまして、私は、この姿勢は極めて高く評価をいたしたいと思います。実は、私も公明党の中で日常的に取り組んできたテーマにもなります。

 また、今般の議員立法につきましても、公明党といたしまして、子供自身が、あるいは若者自身が表明した意見がどう社会に反映されていくのかも含めて体験をしていくことが重要であるということで、こども基本法案の基本理念の中に、意見が尊重され、さらに、社会における活動に参画する機会が確保されることという内容を盛り込んだところでございます。

 この点をめぐりまして、先日の参考人質疑で、土肥潤也さんという若者の社会参画に取り組まれている方から、実際、自分たちの声で社会が変わるという成功体験が重要であって、ただ、実際、子供や若者が我々国会議員とか政府に意見を言うのは難しい面もある、したがって、ユースワーカーやコーディネーターなどの媒介者が子供、若者の声を引き出していく、こういった機能が大事だというふうにおっしゃっておりました。

 このユースワーカーやコーディネーターは、こども家庭庁が子供や若者の意見を聞く際に重要な存在だ、かつ、高い中立性と客観性が求められる存在だというふうに考えております。

 最後にお伺いいたします。

 今後、こども家庭庁として、こうした媒介機能を担う方々とどのように連携をしていくのか、そして、子供や若者の意見をどのように聞いていくのか、方向性や具体的なお考えがあれば、大臣にお伺いをいたしたいと思います。

野田国務大臣 政府提出法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることを規定しています。また、昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。

 こども家庭庁においては、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討していくこととしており、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うこととしています。

 その際、今御指摘のとおり、子供や若者の声を引き出したり、行政等に伝える存在は大変重要であると認識しています。

 子供が意見を言いやすい環境をつくり、子供の声を引き出すファシリテーターのような役割、子供と近い目線、価値観で子供が意見を表明する支援を行うサポーターのような役割などの在り方について、しっかり検討してまいります。

 調査研究の結果を踏まえ、子供や若者から意見を聞く様々な手法を組み合わせて、多様な意見を聞くよう努めながら、子供政策をしっかり反映させる仕組み、検討してまいります。

河西委員 調査研究ということで、前向きな御答弁、ありがとうございます。

 時間が参りました。以上で終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 もっとよい未来、立憲民主党、大西健介でございます。

 今日は、質疑の機会を賜り、ありがとうございます。

 さて、大臣、名は体を表すという言葉がありますけれども、やはり法案の名称というのは、その法律の理念だとか基本的な考え方が表れているというふうに私は思っています。

 というのも、私自身、子ども総合基本法という、我々が出している法案の立案に関わらせていただきました。その際、子ども家庭省にするのか、子ども省にするのか、我々もかなり悩みました。

 私たち、立案に当たって、今日お配りした資料の三ページにつけさせていただいていますけれども、二〇〇六年当時に、小宮山元厚労大臣らが中心にまとめた育ち・育む応援プラン、こういうものを参考にさせていただきました。これを見ていただくと、もうこの二〇〇六年当時に、我々は、子ども家庭省というのを挙げていたんですね。ですから、私たちも、最初は子ども家庭省で検討を始めました。

 ただ、当時、当時の枝野代表から、昔は、子供は家庭を基盤に成長するから、家庭を支援することで子供の育ちを応援できるという考え方だった、ところが、この十五年で家庭の在り方も大きく変わってきて、一人親家庭や家庭のない子供たちというのも増えてきた、親による虐待を受けて、家庭という地獄で苦しんでいる、そういう子供たちも増えてきている、だから、あえて家庭という言葉は使わずに、子供の最善の利益を図ることを正面に据えた方がいいんじゃないか、こういうふうに枝野さんから言われました。

 私も悩みましたけれども、一方で、子供だけじゃなくて家族全体、さらには、その背景にある男女共同参画といった問題まで踏み込まないと子供の最善の利益は図れないんじゃないか、こういう意見もあって、党内かんかんがくがくの議論の末に、我々は、家庭という言葉はあえて名称に用いないということにいたしました。

 二〇一八年、東京目黒区で、五歳の船戸結愛ちゃんが虐待で死亡するという事件がありましたけれども、一時保護された際に、結愛ちゃんは、パパ、ママ、要らぬと言っているんですよね。そして、残されたノートには、「もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします」と、家庭という地獄からもう逃げ出したい、こういう思いをつづっているわけです。

 資料を御覧いただきたいと思いますけれども、一ページ目、これは、虐待サバイバーの当事者の方々が中心になって、こども家庭庁の名称変更を求めるネット署名です。

 この時点で三万人を超えているということなんですけれども、家庭という言葉が入っていることで苦しむ人が現にこうやっているんです。子供によっては、家庭が子供の権利を尊重して助けてくれる場にならない、そういう人たちがいます。そして、虐待を受けた虐待サバイバーの人たちにとっては、普通の家庭という、こういうものの呪縛に苦しんでいる。彼らにとっては、いろいろな家庭があっていいんだ、家庭が全てじゃないんだ、そういうメッセージがとても大切だというふうに思います。

 野田大臣は、四月二十二日の中谷委員への答弁で、虐待サバイバーの代表にも直接会ってじっくりお話を聞いたと答弁をされていますけれども、それでもなお、こども庁にしないというのはなぜなのか、何かほかのところに気を遣っておられるのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 大西委員、私はそういう、何か恐れるようなタイプではないということは十分御承知の上での御質問だと思っていますが。

 こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であります。

 児童の権利に関する条約の前文の考え方、この基本法の議論の中にも出てまいりますけれども、条約に批准して以来ずっと、カウンターパートになる国内法の整備がなされていなかったということで、今回、各党御議論をいただいているわけですが、その前文の考え方で、子供は、家庭環境の下、幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているわけです。

 今御指摘のように、私自身、こども庁という名称を求める署名活動をされている、虐待を受けて立ち直られた女性の方とじっくりお話をさせていただきました。まさに、ここに書いてある、今いただいた資料の中にある、様々なこれまでの価値観をやはり打破していくんだと。

 先ほども不妊治療の話がございましたし、精子提供や卵子提供等々、血統に基づかない親子関係というのも事実としてたくさん、我が家もそうですけれども、ございまして、家庭というのは必ずしも過去の家父長制、血統、血統主義に基づくものだけではないということを私たちは広く国民各界各層にお伝えして、子供たちにとって居心地がいいというものが家庭であり、そして、血がつながっていなくても親としての責任を果たせる大人が必要だ、そういうことをポジティブにお伝えする機会が必要ではないかということで、そもそも家庭というのは、普通とかそういうことでなく、居場所の一つとして、例えば学校であったり家庭であったり、様々な場所の中の一つである、そして基本的なところであるんだろうと。

 そういうことで、これまで御苦労された、つらい思いをされた方たちの気持ちも晴れるような、やはり国全体が、その家庭、問題がなければそのままでいいんですけれども、何かあったときに必ず、国が責任を持ってプッシュ型で、その親に問題があれば親とともに寄り添うし、子供のそういう思いがあれば、その子供の希望にかなえるような選択肢を速やかにつくっていこうという意思の表れでもあるというふうに御理解いただければと思います。

大西(健)委員 その大臣の説明は分からないわけではないけれども、でも、国語辞典で家庭と引いたら、少なくとも大臣の答弁のようなことは書いてないわけですよ。でも、家庭という言葉が入っていることによって実際苦しむ人たちがいるわけですから、やはりそこは考えていただきたいというふうに思います。

 現実問題として、親や家庭と子供の利益が相反する場合というのは私は起こると思います。そのときに、まさにチルドレンファーストで、徹底的に子供の最善の利益の側に立てるかどうか、これが私は問われているんだと思います。

 ただ、与党の中には、子供が権利の主体であること自体に否定的な意見もあるというふうに伺います。

 資料の二ページ目に記事をつけていますけれども、この中に、実際、かぎ括弧つきで与党議員の発言が、自民党議員の発言が出ていますけれども、例えば、個人を大事にし、それを拘束するものは悪であるというマルクス主義思想があり、制度をつくったらそういう人たちばっかりだったみたいなことになる、左派の考え方だ、恣意的運用や暴走の心配があり、誤った子供中心主義にならないか、こんな発言があります。

 この問題は、私は、右とか左とかイデオロギーの問題ではない、当たり前のことです。それに、そもそも、誤った子供中心主義って何なんでしょうか。

 私は、こどもまんなかということを掲げている野田大臣にお伺いしたいのは、誤った子供中心主義というのはあると思いますか、いかがですか。

野田国務大臣 自民党は多様性に富んでいるので、様々な御意見があろうかと思います。

 今御指摘のように、日本国憲法においても、子供を含めて全ての国民に基本的人権が保障されており、子供が権利の主体であることに否定的な自民党議員はいない、与党の自民党議員にはいないと認識しています。

大西(健)委員 私が聞いているのは、誤った子供中心主義ってあるんですか。いかがですか。

野田国務大臣 私自身、そういう言葉を聞いたことがございませんので、分かりません。

大西(健)委員 私は、大臣がないと思うなら、大臣がないと答えてほしいということだけです。その答えた人はあると思っているのかもしれませんけれども。

 ただ、少なくとも、それが誤っているかどうかというのは、私は、大人が決めることじゃなくて、子供が、あるいは子供の側に立つ独立した第三者機関が決めるべきだというふうに思います。

 そこで、配付資料を見ていただきたいんですけれども、先ほど見ていただいた三ページ、これは二〇〇六年当時にまとめた育ち・育む応援プランというものなんですけれども、ここには、私たちはもうこの時点で、二〇〇六年当時で、子どもオンブッドという名称で、既に、子供の権利の擁護のための独立した第三者機関を設置すべきだというのを掲げさせていただいています。

 一九八一年にノルウェーが先駆けとしてこれを設けたということですけれども、世界七十か国以上に置かれている。国内でも、自治体の動きの方が先行していて、一九九八年に条例を制定した兵庫県の川西市を筆頭に、全国約四十の自治体が第三者機関を設けています。更に言えば、与党の公明党も、昨年の衆議院選挙の公約に、子供コミッショナー設置というのを掲げている。

 私は、子供の権利の擁護のための独立した第三者機関を設置しないという選択肢はないんだと思います。

 そこで、具体的な在り方とかは、それは今後更に議論するとしても、附則に検討条項を置いて、例えば、検討して一年以内に結論を得るなどと期限を区切って検討すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 いわゆるコミッショナーについては、与野党において様々な議論や提案がなされているとまさに承知しておりまして、その議論をしっかり注視しているところであります。

 政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することにしています。このこども家庭庁においては、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことにより、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかりと取り組んでまいります。

大西(健)委員 じゃ、附則に、五年以内にいろいろ、検討条項が置かれていますけれども、その中にこの子供コミッショナーが含まれるのか含まれないのかよく分かりませんが、私は含まれるんだと思いますが、いろいろ検討した結果、子供コミッショナーを置かないという結論になることはあり得るということですか。

野田国務大臣 まさに今皆様方がこの場で御議論されているところをしっかり注視してまいります。

大西(健)委員 先ほども私申し上げたように、世界各国の事例だとか自治体の先行事例、与党公明党さんも公約に掲げておられて、私は、選択肢として置かないという結果、結論というのはないと思いますので、少なくとも期限を区切って、その在り方についてはいろいろな議論をしていいと思いますけれども、是非これは設置をしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 次に、資料を御覧いただきたいんですけれども、資料の次のページです。これは、ユニセフの調査、レポートカード十六というものですけれども、これを見ていただくと、例えば、子供の幸福度、全体三十八か国中、日本は総合順位では二十位なんです。真ん中を見ると、身体的健康、これは一位です。ところが、精神的幸福度は三十七位、これはワースト二位になっている。特に、その中の指標の一つ、生活満足度が高い十五歳の割合、これはまたワースト二位になっている。

 子供たちが幸福かどうかというのは、まさに、この調査だと、十五歳の子供たちに直接聞いているわけです。私は、子供が幸福かどうかというのは、大人が決める問題ではなくて子供自身が決めることだと思います。そのために、やはり子供の声を聞くということがとても大切だと思いますし、また、こども家庭庁ができれば、このワースト二位の子供の精神的幸福度というのが改善できるということをお思いになるかどうか、大臣にお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 今お話しのユニセフの調査において、三十八か国中、我が国の子供の幸福度の順位は二十位、分野ごとで見れば、生活満足度や十五から十九歳の自殺率が指標となっている精神的幸福度は三十七位であったことは承知しておりました。

 御指摘のとおり、子供の声を聞くことは大切であり、子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする一歩であると考えています。

 こども家庭庁では、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討していきたいと考えています。さらに、発足を待つことなく、令和四年度に子供の意見を聞くための手法などに関し調査研究を行うなど、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行い、子供政策をしっかり進めてまいりたいと思っています。

 現に今も、オンラインであったり、地方の子供たちとは直接なかなか会う機会がないのでZoomを使ったり、様々な手法で直接の声を日々聞いているところであります。

 いずれにしても、こども家庭庁において、こどもまんなかとの考え方の下で、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点で子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供の権利を保障し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくと考えていまして、その中で、ユニセフの子供の幸福度についても改善が図られていくものと考えています。

 そもそも、このユニセフの子供の調査というのがなかなか国会でも議論されたことがかつてありませんでした。こども家庭庁、こども基本法の議論の中で様々な子供に関するデータが出てきたことは非常によい傾向だと思います。それをやはり上げていくことを目標にしていくことが大切だと思っています。

大西(健)委員 私、先ほども言いましたように、これは十五歳の子供、当事者が幸福かどうかと聞かれて答えていることなので、それが三十八か国中ワースト二位というのは深刻だと思いますので、まさにこれからもこういう指標をしっかり国会で我々議論していくことが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 先ほどの、名は体を表すという話にもう一回戻りたいんですけれども。

 子ども総合基本法を作るに当たって、我々もいろいろな検討を重ねたんですけれども、次のページにカラー刷りのこういうのを載せさせていただいているんですけれども、これは我々の法案を作るときに法制局に作ってもらったものなんです。

 これは色が分けてありますけれども、赤字はこども家庭庁への統合に関して中核と考えられるもの、オレンジは議論が必要と考えられるものなんです。ちなみにですけれども、我々は初等中等教育も赤字で考えていたんです。

 これを見ていただくと、さっき言ったように、私たちは、家庭と言うからには、家庭ももちろんですけれども、男女政策みたいなものまで含めた幅広いものを初めこうやって検討していたんですね。そうすると、例えば、この円が二つ重なっているところがありますよね、真ん中のところ。ここに書いてあるものの中でもオレンジ色になっている、例えば、厚労省の子ども家庭局の所管事項でも、今回は、母子保健みたいなものは移るけれども、DV防止法関係の事項は移らない、あるいは、その上にある雇用環境・均等局、厚労省の均等局の事項の中でも、育休やマタハラのようなことは今回は移らないということなんですね。

 つまり、私がさっき言ったように、家庭という言葉を法案の中に入れるんだったら、むしろ、名は体を表すだったら、こういうふうなものが入らなきゃいけないんじゃないか。そこが入っていなくて、ただ名前だけが家庭になっている。

 名は体を表していないんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 先ほども触れましたけれども、家庭という言葉自体に限定はしていません。子供にとって最善の居場所の一つとしての家庭というのが何であるかというのを、過去は非常に血統であったり産んだ親とかにこだわっていたけれども、そうじゃないよということをやはりこども家庭庁の中では、皆さんと力を合わせて、子供にとって最善の、一番身近な大人がいる場所として、愛される場所として家庭というのをつくり上げていくんだという立ち位置に、私は、こども家庭庁の家庭という意味は、新たな、そもそも辞書には出ておりますけれども、法律的に何か定めているわけではないので、ここにいる皆さんの家庭というのはそれぞれ違う思いを持っていらっしゃると思いますから、そういうものをしっかり多様に認めていくような政策づくりというのは極めて重要だと思っています。

 そこで、今お話があったこども家庭庁の所管する施策というのは、子育て家庭への支援に関するものを多く含んでいるわけですが、DV防止法については内閣府、仕事、子育ての両立支援については厚生労働省が引き続き所管するということにしているわけです。

 こうした施策については、その対象が子供のいる家庭だけでは限られない、つまり、DVの場合はお子さんのいない夫婦というのも当然範囲の中に入っていますので、それぞれの関係施策の全体の中で、関連する施策、制度と一体的に企画立案及び実施していくことが適切ということから、引き続き、それぞれ府省の所管とすることとしています。

 ただ、そうであっても、子供を真ん中に置いた中で、子供にとって最善ではない場合には、子供からそういうものに対して、当事者目線に立って、司令塔として、厚生労働省や内閣府と緊密に連携しながら問題解決に取り組んでいくという姿勢でございます。

大西(健)委員 今の私の質問に対する答弁については理解はしましたけれども。

 今の答弁の中で改めて家庭という言葉の話が出てきましたけれども、大臣の言わんとすることは分かりますよ、ただ、法律の名称ですからね。法律の名称に使う家庭という言葉が、いや、一般の辞書に載っている家庭とは意味が違うんですと言われたら、それは違うんじゃないかなと。まさに一般で通じている家庭という言葉が入っているんですよ。そのことによって、さっきも言いましたけれども、苦しんでいる人がいるということは重ねて申し上げたいと思います。

 それから、次に移りたいと思いますけれども、我々は、子ども総合基本法の第十条で、GDP比三%の予算を確保するということを明記させていただいていますし、それだけじゃなくて、何に使うのかという具体的な施策についても法案の中に書かせていただいています。その一つが、児童手当や児童扶養手当の拡充でございます。

 次のページ、資料を御覧いただきたいんですけれども、これは私が座長をしていたときに、我が党の子ども・子育てプロジェクトチームに、あすのば代表理事の小河さんとキッズドアの理事長の渡辺さんが来ていただいたときに提出いただいた資料です。

 ここに小河さんが書かれているように、右側ですけれども、我々立憲民主党も強く求めて実現した低所得二人親世帯へのコロナの給付金、これは画期的だったと思いますけれども、ただ、政府も、緊急経済対策の中で、低所得者の子育て世帯の子供一人当たり五万円を配るという話もされていますが、長引くコロナ禍によって再度の給付が必要になっていることからも明らかなように、低所得の子育て世帯ではふだんからぎりぎりの生活を送っていたのが、コロナによってそれが浮かび上がってきた。ですから、単発、単発の支援じゃなくて、それでは足りなくて、やはり恒久的な給付というのをやっていく必要が私たちはあると思っています。

 左側の、キッズドアの渡辺さんの資料の方に移っていただくと、囲ってあるところですけれども、まさに高校生の部分、現在の制度は一番お金がかかるときに支援が打ち切られる。その下には、線を引いておきましたけれども、当事者の声が載っております。一番お金がかかる高校生からは国の手当がなくなるので塾なども通わせることができず、子供たちにも不便な思いをさせてしまっているのをかわいそうだと思いつつ、何もできないのでもどかしいです、来年、長女が高校へ上がります、児童手当もなくなり、支出面での不安が大きいですという声も載っています。

 九九%が高校に今進学している中で、月一万円でも児童手当があれば、子供たちは無理にアルバイトをしなくても済むわけです。

 是非、この切実な声に応えて、児童手当の高校卒業年次までの延長、これをこども家庭庁創設時に、それを機会に是非やっていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 児童手当については中学生までの児童を対象として支給しているところですが、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要という指摘がございます。

 昨年五月に成立した改正法附則において、児童手当に関して、児童の数等に応じた効果的な支給、その財源の在り方、支給要件の在り方について、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえて、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされているところです。

大西(健)委員 検討、検討ではなくて、実際にコロナ禍でこれだけ本当に生活が逼迫している人たちがいることが明らかになったわけですから、是非やっていただきたい。

 実際、小学生までだった支給対象を、子ども手当という形で中学生まで延長したのは民主党政権です。ですから、自公政権がやらないんだったら、我々がもう一度やはり政権を取って高校卒業年次までやらなきゃいけないということになりますから、是非これを本当に真剣にやっていただきたいというふうに思います。

 次に、この法案の「こども」には、この委員会の質疑の中でも、「こども」というのには外国人の子供も含まれるというふうに大臣は答弁されています。しかし、現状、外国人には就学義務がないために、外国籍の児童生徒は学齢簿への記載対象にはなっていません。したがって、不就学学齢児童生徒調査の対象からも除かれている。学校に行っていない子がどれぐらいいるかという調査をするときにも、外国人は対象ではないというふうに文科省は通達している。

 ただ、それは問題だという話になって、二〇一九年度に、実態把握のために文科省が初めて調査をしました。結果は、六人に一人の外国籍の子供が就学していないということが明らかになっています。先ほど答弁の中でも、大臣、誰一人取り残さないということをおっしゃいましたけれども、取り残されている人がいるんです。

 現状では、外国籍の子供には就学義務がないために、保護者が就学の手続をしない限りは、その子供は不就学の状態に置かれてしまいます。また、自治体の窓口担当者や学校長の裁量に左右されてしまうという実態もあります。

 こども家庭庁ができれば、この外国籍の子供の不就学のゼロに取り組むように、文科省やあるいは自治体に勧告であったりとか協力を求めるべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 外国籍の子供の就学に関しては、毎年閣議決定に定めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、そこにおいてその促進策が規定されておりまして、文部科学省において取組が進められているところです。

 具体的には、外国人の子供の就学状況の実態把握、就学の促進に関する指針の策定、学齢簿において外国人の子供の就学状況も把握して就学案内を送付するなど、自治体が講ずべき事項を示すなどの取組を通じて、外国人の子供の就学促進を図っているものと私は承知しています。

 昨年十二月に閣議決定した、こども家庭庁の創設に係る基本方針においては、外国人の子供も含む全ての子供が、施策対象として取り残されることなく、当事者として持続可能な社会の実現に参画できるよう支援することとしています。

 したがって、今後、こども家庭庁において取組を進める際には、外国人の子供が取り残されることのないよう、文部科学省を始めとする関係省庁における取組、今申し上げた取組と連携しつつ、新たに取組を進めてまいります。

大西(健)委員 さっき言ったように、二〇一九年の実態把握調査というものを初めてやったわけです。やった結果は、六人に一人、就学していないわけです。誰一人取り残されないという状況には全くないと思いますので、今後も、その実態をしっかり把握していただいて、改善に取り組むようにしっかり文科省や自治体にも協力を求めるべきだと私は思います。

 最後に、資料の最後のページにつけましたけれども、これは中日新聞の記事です。先日、内閣府が行った調査で、貧困層の子供で、学校の授業が分からないという子供の割合が、比較的暮らし向きが安定している層の三倍以上、進学希望について、中学、高校までにとどまる割合は四倍以上だった。親ガチャという言葉がありますけれども、まさに、記事のタイトルは「「親ガチャ」データで裏付け」というふうに書かれています。これを見れば、もはや、残念なことですけれども、学力とか進学というものが、学校だけの問題ではなくて、家庭環境と密接不可分にある。

 私は、だからこそ、こども家庭庁、こども家庭というんだったら、まさにこども家庭庁であって、だから、家庭という名称をつけるんだったら、そのこども家庭庁が初等中等教育を所管すべきじゃないかと。まさに、だって、学力とか進学がこれだけ家庭の環境と密接不可分なわけですから。だから、こども家庭庁、だから初等中等教育も入るんだったら分かるんですけれども、名前は家庭庁だけれども初等中等教育は入らないという話なんですね。

 これは、大臣、御覧いただいて、いかようにお思いになりますか。

野田国務大臣 子供に関する施策は、今お話があった文部科学省、そして厚生労働省の所管に関わるものだけではありません。例えば、人権擁護の関係だと法務省、少年非行の関係では警察庁、通学路の安全確保の関係では国土交通省など、実は、子供の健やかな育ち、学びには様々な省庁が関わっております、現実。子供に関する施策の所管や組織全てを一元化していくことは合理的ではないと思っています。

 また、教育など学びに係る行政については、児童福祉など育ちに係る行政と相互に近接している側面はあるものの、それぞれの目的を追求する中で、専門性を高めつつ、相互にしっかり調整して密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上になるものと考えました。

 このため、初等中等教育から高等教育、社会教育まで一貫して文部科学省の下でこれまでどおりその充実を図りつつ、こども家庭庁と文部科学省が密接に連携するということといたしました。

 委員御指摘の子供の貧困対策に関しては、文部科学省と連携をして、学校を地域に開かれたプラットフォームと位置づけ、スクールソーシャルワーカーが機能する体制づくりを進めるとともに、地域において支援に携わる人材やNPOと一体となって、また、教育や福祉等のデータを連携させて、支援が必要な子供たちを早期に把握し、支援につなげる取組を推進することとしています。

 こうした取組により、全ての子供の健やかな成長を、学びと育ちの両面から、教育と福祉の連携により支援できる体制を構築していきたいと思います。

大西(健)委員 先ほど、大臣、私の質問に対して、例えばDVだったら子供のいる家庭だけじゃないとおっしゃいましたよね。例えば交通事故もそうですよ、子供だけの問題じゃない。でも、学校の話というのは子供だけの話ですから、だから、聞けば聞くほどよく分からないというふうに思います。

 我々立憲民主党は、参議院選挙に向けて生活安全保障を掲げて、三本の柱の一つに教育の無償化を掲げています。今、防衛費のGDP比、五年で二%に引き上げるというような話が出ていますけれども、それはそれとして、じゃ、子供の予算、GDP比三%台にすることを国に義務づける、これに後ろ向きのようでは、私は、本当の意味でチルドレンファーストの実現はできないというふうに思います。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

上野委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 与野党を通じて唯一の校長出身の国会議員ですので、まさに子供のことに関しましては所管だと自分自身も思って、今日は質問させていただきます。

 実は、私が校長をしていた高校というのは私立高校ですので、私立高校、一般的には多くの皆さんはお金持ちの通う高校だというふうに思われるかもしれませんが、まさに民主党政権のときに高校無償化をしてから、私立高校には就学支援金という形で、家庭の所得に応じてお金が出るようになっています。ですので、私立高校も、お金のない方も十分に通うことができるようになってきた、これはまさに当時の民主党政権の大きな功績だというふうに思っています。

 僕が高校の校長をしていたその学校は、実は決して学力が高い学校ではない、もっと正確に言うと、札幌には七十校高校がありますが、その中でも下から数えた方が早い高校になります。

 先ほど大西先生が出していた最後の資料、貧困層の方々が授業が分からない、三倍といったものは、本当に身につまされる思いがありまして、実際、今、研究者の調査によりますと、中学校三年生の三割が小学校四年生の学力を満たしていないという調査もあるぐらいなんですね。中学校三年生の三割が小学校四年生の学力のまま中学を卒業して、そして今、九九%の子たちが高校に来ますので、もちろん私の高校にも来ているわけです。

 その中で、どうやって高校一年生に数1や数2を教えていくのか、これは大変本当に難しい問題で、その中で、当然ですけれども、これは義務教育じゃありませんので、せっかく高校に入っても、高校を辞めていく子たちが当然多かったわけです。私が校長になったときは、当時一年生の一割の子たちが辞めていくような、中退するような学校でしたが、校長になって一年後にはそれが一〇%から三%まで下がってきていて、今もう六年目になりますが、辞める子はいるんですけれども、二%台まで下がってきています。ほぼ全国の平均と同じだと思っています。

 もちろん、高校生が中退することの理由は幾つもありますけれども、一つ大きく大事なのは、やはり学校のマネジメントなんだというふうに思っています。校長の向き合い方、つまり、学校のことは学校の中で十分に対応がし切れるんじゃないかというふうに思っているわけです。

 今日は資料をお配りしております。いじめ防止対策のことについて、こども家庭庁が出しているものです。

 いじめ、これは本当に学校の中では大変難しい問題でして、文部科学省の認めているいじめの定義でいうと、パワハラ、セクハラと同じで、被害を受けた生徒がこれはいじめだったという形になればそれをいじめとして認定するというのが、これは文部科学省の定義になっています。そのとおりなんだろうと思います。そういうふうに、いじめられたという気持ちを持つ子供がいてはいけないわけですね。

 でも、一方、そういった環境が起きないようにどういうふうに接するかというのは、私が高校の校長をしていた限りでも、これは学校の中でもっともっと向き合うべき問題じゃないかというふうに、そして十分にし得ることじゃないかというふうに思っている中、今回、こども家庭庁が設置されることによって、もう一つ、屋上屋と言ったら、これは横にはなっていますけれども、屋上屋という形でもう一つの所管ができることで、かえっていじめが表に出にくくなってくるんじゃないかというふうに思っています。

 そこで、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、こども家庭庁、いろいろな機能を持ちますということですが、こども家庭庁ができることによって、いじめの数というものは減っていくんでしょうか。大臣、どのようにお考えですか。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

野田国務大臣 校長先生としての御活躍、大変頼もしく思いますし、そういう好事例を多くの全国の学校の皆さんに倣っていただいて、こどもまんなかということは、子供が辞めずに済むような環境を大人がちゃんとしかけていくことだと思いますので、是非、引き続きのお取組をお願いいたしたいと思います。

 いじめがなくなるのかどうか。いや、なくしていくために、やはり重層的に、学校も一生懸命やってくれています、一生懸命取り組んでいますけれども、温度差はあると思うんですね。荒井先生のように熱心にコミットしていこうという人よりは、そうではないところにいる子供たちが仮に学校だけで立ち往生していたら、やはり、そこはもう一つ、二つ外側の力があって、包括的にいじめの状況というのを見てあげるということは大事だと思います。

 いじめ防止の対策については、いじめ防止対策推進法、これができて、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組というのを進めてきていただいております。それは重要だと思っています。ただ、近年のいじめ問題の深刻化などを踏まえると、子供の権利利益の擁護等を担う観点からは、こども家庭庁においても、いじめ防止等の対策を担っていく。これは、当然、学校は直接そこの関わりが近いとはいえ、学校だけで済まないような事態も当然発生してきているので、我々、全体でしっかり調整していこうということになります。

 具体的には、こども家庭庁では、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更する際の関与、いじめ事案の把握、地方自治体における相談体制などの体制づくりの推進、重大ないじめ事案への対応に際しての文科省との情報共有、そして連携した対策の実施などを行っていくこととしています。

 近年、いじめの問題は、学校内だけでは解決が困難、警察や児童相談所、法務局等の関係機関との連携が必要なケースもあります。こども家庭庁としては、地方自治体における相談体制を始めとする体制づくり等をしっかり進めることが重要だと考えています。

 こどもまんなかという発想の下で、いじめ問題への対応について多くの人たちが関わっていけるよう、こども家庭庁が文部科学省や地方自治体と連携を図ること、これが大切なことで、これをしっかり取り組んでいきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 いろいろな考え方があると思っていますけれども、いじめのことについて是非私見をお伝えさせていただきたいのは、いじめの数というのは、減らしていくものではなくて、逆に、役所とかはなるべく多く見ていく、そういう姿勢が大切なんじゃないかと思うんですね。どうしても、いじめの数を少なくしていこうという、何となくまさに忖度みたいなものが学校現場には働きやすいんじゃないかというふうに思うんです。

 実際、学校では、いじめがあるかどうか、アンケートを必ず取ることになっています。そして、取って、それをまさに文科省に、教育委員会を通じて文部科学省に提出することになっています。そして、そのまとまったデータが、いじめの件数が増えたか下がったかという形になるわけですが、でも、正直、学校現場にいた感覚としては、例えば保健室や担任の先生たちから上がってくる話とアンケートの数がやはり合わない感じがするんですね。やはり、子供たちや保護者の皆さんはそれを言いにくいんじゃないかという形があるわけですね。もっとそれを言えることが実は大事なんじゃないかと思っています。

 これはまさに、学校というのは、非常に、閉じやすい系というか、マネジメントしやすい、決していいことではないと思っているんですね。できるだけ開いていくことが大切だと思っている中に、ただでさえ、教育委員会や、若しくは首長部局、若しくは文科省とかをある程度上に見ながら、子供たちに接している学校の先生たちが、ますますこのこども家庭庁が出ることで萎縮をして、いじめの件数を少しでも減らした形にしなければいけないんだというプレッシャーがかかること自体が、実は結局こどもまんなかにならないんじゃないかというふうに思っています。

 そういった考え方もあるんだということも踏まえて、是非、文部科学省とこども家庭庁で、この二つの、一体的な対応、推進という形に、言っていますが、まさに、文部科学省、学校現場が開いていくことをどのようにサポートできるのか、そういった目線で進めていただきたいというふうに思っております。

 続いて、いじめというのも、いろいろ重層的ないじめがあるというふうに思っていますが、もちろん、いじめの数は、なので、増やしてちゃんといじめの件数を把握することが大事ですが、減らさなければいけないのは重大事故だと思っています。もちろん、最近は北海道でも自死に至る大変残念な、そして陰惨ないじめがあったばかりですけれども、なぜこういったいじめが、子供の自殺に、これは絶対にあってはいけないことなわけですが、起こるのか。この辺りを文科省はどのように考えているのか、政府参考人に伺いたいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 深刻ないじめ事案に至ってしまう要因ということにつきましては、個々のケースによって様々なものがあるかとは思いますけれども、一つの要因といたしましては、個々の教員がいじめのささいな兆候を見逃してしまったりですとか、あるいは、学校内での組織的な、いじめの早期発見、早期対応が十分に徹底されていないというふうなこと、あるいは、事が重大な事態に至る前に、児童福祉機関ですとか警察などとの関係機関と十分な連携が取れていない、こういったようなことが様々考えられるところかと思います。

 文部科学省としましては、いじめによって子供たちが深く傷つき自ら命を絶つようなことは決してあってはならない、こうした事案の根絶を目指す必要があるということで、去る四月二十八日に緊急に行いました都道府県・指定都市教育長会議におきましても、文部科学大臣から、改めてこの認識の徹底をしますとともに、学校の組織的な対応についても改めて徹底をしたところでございます。

 引き続き、こども家庭庁の創設を契機といたしまして、連携をしながら、学校での対応の改善、関係機関との連携、教育相談体制の整備など、様々な施策を重層的に進めていく必要があるというふうに思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 このゴールデンウィークのときに地域を歩いていましたら、僕の事務所にも匿名の御連絡がありまして、子供がいじめに遭っているんだけれどもということでした。一度しっかりとお話を聞いたところ、実は、その方は、お電話いただいた方は学校の先生だったんですね。学校の先生で、学校の仕組みのことをよく理解されている方が、当然、保護者ですので、学校の教頭や校長にもかけ合って、どうにかして自分の子供のいじめを、こうやって改善できるんじゃないか、こうしたらいいんじゃないかということを話しているわけですが、僕のところにまで連絡をしてこざるを得ないところまで来ているわけです。

 先ほどお話しされたように、いじめ、これは、学校にまつわる問題というよりも、世の中の問題全てが、やはり、まさにおっしゃっていただいたように、早期発見、早期対策なんですね。まさに初動が一番大切なんですけれども、特に子供の問題に関して、この初動の遅れがどんどんと積もっていくと、一番追い詰まるのは子供たちで、親にも先生にも言えなくなると思うと、もう行き場所がなくなってしまう。そういう寂しい、悲しい思いをしている子供たちがやはり日本にたくさんまだいるんじゃないかというふうに思うわけです。

 もう一度言います。こども家庭庁ができたからといって、いじめの問題が解決するわけでもありませんし、いじめの問題がなくなるわけでもないと思います。僕は、大きな問題はやはり学校現場に元々あって、この学校現場に関してもっともっとまなざしを向けていき、それは最終的には予算になると思いますけれども、しっかりと予算の配置をして、学校の先生だけではなく、まさにスクールワーカー、ソーシャルワーカーみたいな人たちも含めた、そういった皆さんをしっかり置いていかないと、特に、今本当に、従前よりお話がこの委員会でもありますが、SNS等で拡散しやすくなってきていますので、大変子供たちが追いやられやすい状況が昔に比べてできているわけですね。

 本当に、こども家庭庁という新しい庁ができて、そこに多くの予算が与えられる、もちろんいいことなんだろうというふうに思うんですが、一方では、学校の中にしっかり予算を充てていかないと、結果的には子供たちが苦しんでいるものを改善されていかないんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 先ほど、いじめは減らないんじゃないか。いや、まさに私が申し上げたいのは、隠されていたいじめというのがやはり明るみに出てくることはとても大事です。

 私、男女共同参画もやっているんですけれども、女性の議員がハラスメントで候補者として成り立たないとか、成人した女性、男性もそうですね、そういうハラスメント、なぜか大人になるとハラスメントというんですが、いじめですよね、それはあるんですね。それをやはり子供たちが多方面で言える場所があるということ。

 今おっしゃったように、初動、親にも言えない、先生にも言ってもちょっと閉鎖的で、本当かとか言われてしまうと、子供にとっては次なる手が打てないということもあり、やはり広く私たち、国全体で、いじめはあるんだ、隠れたいじめもあるんだ、そういうものが深刻化しないうちにしっかりと手を差し伸べようということは、実は、こども家庭庁の、学校が主体であることは変わらないんです、だけれども、更にやはり多くの手だてを講じていこう。今おっしゃったスクールソーシャルワーカーとか、そういう、外にいて、学校の直接中にいない人たちをもやはりつないでいくことがこども家庭庁の大きな任務だと私は思っていますので、考え方としては一緒であります。

 是非しっかり取り組みたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 最後に、時間になりましたので。

 まさに子供たちは大人の振る舞いを見て全ての言動や行動をしていると思います。その意味でも、昨今、SNS、特にツイッター等で他者を自分勝手に批判するような風潮が、これは様々な言論者、若しくは政治家だって行っていますし、こういうものが大きく子供たちのいじめにも間接的にはつながっているんだという責任を、特に言論の府である国会議員の皆さんも多く持ってほしいと思って、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

藤井委員長代理 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄と申します。内閣委員会においては初めて質問に立たせていただきます。

 まず、地元栃木県第四区の皆様に心から感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。野田大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、こども家庭庁設置に関わることでございますが、強い司令塔機能を有し、子供の最善の利益を第一に考え、常に子供の視点に立った政策を推進するものと趣旨説明で述べられていると思います。この職員の体制、組織の体制というのは当然重要になってくると思いますが、プロパーの職員、これを採用されるということでよろしいんでしょうか。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 来年四月の新卒職員の採用に向けた各府省の説明会や人事院の試験はもう既に始まっている一方、設置根拠となる法案を御審議いただいている現時点でこども家庭庁として採用活動を行うわけにはいかないため、来年四月からの採用は難しいと考えています。当面、各府省から職員を転任させるほか、民間人材の登用や自治体からの職員出向を積極的に行うことによって円滑な発足を目指します。

 こども家庭庁の発足が決まった後、職員採用の在り方を含めた中長期的な組織体制の在り方について、速やかに検討に着手します。

藤岡委員 そうしますと、採用をされるということは、プロパーをまだ決められないというか、その方向性も示されないということなんでしょうか。だって、司令塔機能を有すると言っていて、全て多国籍軍といいますか、もちろん、一方で民間の登用というのも重要でございます。司令塔機能を有していて、ど真ん中でやっていくわけですよね。この体制が、プロパーで登用されない、それはまだ方向性を示されないということだと、意気込みとしては、私、非常に残念な思いがいたしますよ、大臣。是非ちょっと、大臣にお願いしたいと思いますが、御決意、改めてお願いしたいと思います。大臣、お願いします。

谷内政府参考人 まずお答えいたします。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたのは、来年四月からのプロパー職員の採用はなかなか難しいということを申し上げたということでございます。

 こども家庭庁創設後のプロパー職員の採用でございますけれども、同じ内閣府の中にも消費者庁、金融庁等ございまして、発足後何年かしてからプロパー職員を採用している例もございます。したがいまして、先ほど大臣も申し上げましたように、こども家庭庁発足後に、どのようにプロパー職員を採用するか、早急に検討していきたいというふうに考えております。

藤岡委員 私、実は金融庁の一期生なんですね。速やかに採用は始まっていたと思います。これは本当に、大臣、是非お願いしたいと思うんですけれども、少なくとも採用するということぐらいは言っていただかないと、こども家庭庁、これはどういう体制なのかというところを、じゃ、全てほかの省庁からということになると、高い立場でやっていかれるということですよね。一段高い立場から企画立案を行うのに、人材は全て他省庁からやっていったら、どういうふうになるかというのはもう想像がつきますよね。

 では、ノーリターンルールとか適用されるんですかね、幹部に。そういうことも考えられますし、やらなくてはいけないということも考えられなくちゃいけないと思いますし、少なくとも人材をプロパーで採用をされるということを、大臣、お願いします。

野田国務大臣 速やかに検討に着手いたします。

 もう既に子供政策というのは各省で、厚生労働省、文科省始め様々な省で担っているものをしっかりと束ねて連携させていくというのが当面の仕事でございまして、かつ、この創設を待たずして、予算とか様々な制度で先行して、こども家庭庁が担う仕事、役割に取り組んでいる、取り組み始めたところなので、それは、何も勝手の知らない人たちが集まるわけではありませんので、しっかり取り組んできた人たちがまずコアを固めていって、今委員が御指摘のように、金融庁や、そして私も消費者庁を手がけたんですけれども、しっかりと次代の人たちと仕事をしていただくという環境整備をしていきます。

藤岡委員 なかなか悩ましい御答弁をされてあれだと思うんですけれども、少なくとも、やはり高い立場から司令塔機能を有するということでございましたら、これは採用していくということぐらいは、やはりこの場で明言をしていただかなければ、なかなかその組織の体制がはっきりしないな、本当に強い司令塔機能を有するのかなというところは、私は正直疑問に思います。

 したがって、これは、大臣、もう一度お願いをしたいと思うんですが、少なくとも意気込みをもう少し示していただきたいなということを思うんですが、よろしくお願いします。(発言する者あり)

上野委員長 御静粛に。

野田国務大臣 御審議の最中でございますので、私の方から先々の採用についてもまだ時期尚早だと思いますが、これまで金融庁そして消費者庁、つくられてきましたが、しっかり司令塔機能を果たしていると思いますので、それを踏襲して、こども家庭庁、皆様方の十分な審議をいただいて、創設の暁には速やかに検討に着手します。

藤岡委員 はっきりちょっと御答弁されなかった、大変残念に思うんですが、司令塔機能を有するということで、これは是非お願いをしたいなということを思います。

 続きまして、話を保護者運営の学童保育、いわゆる放課後児童クラブということ、私は学童保育という通称を申し上げておりますが、この保護者運営の学童保育に少しちょっと目を向けていただければなということを私は思っております。

 私も実は、この保護者運営での学童保育の会長というのを一年間務めておりました。実は、抽せんで会長でありました。正直びっくりしたんですけれども、保護者運営で、ある意味普通に共働きを前提としていて、その中で、先生の給与計算だとか先生の採用だとか、あるいは、指導員の先生方に対して、何かあったら当然改善の指導を行わなければいけないんです。でも、子供を預かっていただいているということで、当然、なかなかいろいろ言いづらいということで、いろいろ聞いておりましたら、やはりその役員をやられた方は本当に大変な思いをされていて、なかなか、男女共に、まさにさっき大臣も男女共同参画の話をされておりましたけれども、男女共にフルタイムで働いていくというか、こういう中において、なかなか保護者運営というのは、今後、何らか後押しをして、この体制の移行なりを含めてやはり考えていただかないとこれは非常に大変だと思います。

 しかも、もう御案内だと思いますけれども、学童保育というのは一年生から三年生のときに利用する頻度が高くて、その間に例えば一回だけ役員をやるとかということが回ってきたりするわけなんです。そうすると、役員を抽せんで当たった方、当たらない方、当然、その考えにすごく落差があるんですね。それは、役員を抽せんで当たった方は物すごく大変、抽せんで当たらなくてうまくいったら何が大変か分からないとか、そういうぐらいの思いになってしまうようなところもあるんです。役員をされた方は本当に、子供たちと過ごす時間がまさに減ってしまうとか、家族でいろいろなってしまうとか、声が本当に出ているぐらいでございまして、これは一一%ぐらい、運営委員会のことも含めて、現在、全国にもあるということをデータでいただきました。

 これは是非、大臣、保護者運営の放課後児童クラブ、学童保育、これはもう今の時代は、少なくとも何らか、社会福祉法人なのか、NPOなのか、民間なのか、運営主体を持ってもらって、そこにやはりやっていただくというようなことに移行するような、また指導員も引き継いでいただくとか、何らかそういう後押しを是非野田大臣のリーダーシップでこれからお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 御指摘のとおり、放課後児童クラブの運営主体というのは様々であり、委員御指摘の保護者会が運営主体となっているクラブが一定数あると承知しています。

 私たちの調べたところによると放課後児童クラブ数というのは二万六千九百二十五、令和三年の五月一日現在ということなんですが、そのうちの運営委員会、保護者会が実施しているクラブ、今委員が御指摘のそういうクラブは四千六百十五か所、一七・一%ございます。

 保護者会による運営には、子供たちや地域の実情への深い理解に基づく運営が期待される一方、今お話があったように、その運営が保護者の方々に過度な負担になることは好ましいことではないと考えています。

 今、放課後児童クラブ運営事務等については、遊び及び生活の場の消毒、清掃、おやつの発注、購入、会計事務等の運営に係る業務等を行う職員を配置するための補助を実施しているところです。そういうのを踏まえて、放課後児童クラブの運営に当たっては、こうした補助もしっかり活用しつつ、保護者の方々に過度な負担にならないよう、地域の実態に合わせて運営していただきたいと思います。

藤岡委員 当初の時間も参りましたので、最後にさせていただきたいと思いますが、是非、今、していただきたいと最後おっしゃいましたけれども、これは積極的にやはり実態を把握して対応をお願いしたいと思うんですけれども、していただきたいではなくて、積極的にこれは是非お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 厚労省としっかり連携して検討いたします。

藤岡委員 よろしくお願いいたします。

 では、以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

上野委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初のテーマは障害児支援についてです。

 私自身、会社の仲間とともに、地元長崎県の各地域で発達障害の子供たちの自立支援事業、放課後等デイサービスを運営しております。障害を持った子供たち一人一人の障害特性、個性に応じた療育であったり特別支援教育、この重要さ、現場の支援に当たった者として本当に感じているところです。

 子供政策の基本理念で掲げられている、全ての子供の健やかな成長、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援において、専門的知識を持った教職員や施設が充実していることが必要不可欠です。しかしながら、この少子化の時代にあっても特別支援学校に就学する子供の数は増え続けており、学校建設が全く追いついていません。

 特に、私の地元は島が多いんですが、島が深刻な状況です。上五島や対馬で特別支援学校の設立を求める保護者の声をたくさん聞いてきました。来年障害を持った子供が小学生に、入学する年になった、この島で家族で暮らし続けたいが特別支援学校がない、このままでは家族全員で島を出ないといけない、仕事も変わるし経済的にも不安だ、特別支援学校をつくってほしい。

 このような特別支援学校の設立を求める声は、島だけではなく、全国各地で大きくなり続けています。この声にどう応えるのでしょうか。特別支援学校の設立に対し、国としてどのような支援を行うのでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化に伴いまして全体の児童生徒数が減少する一方で、特別支援学校の在籍者はこの十年間で一・二倍となっており、障害に応じた専門的な指導を行う学びの場として特別支援学校の充実は重要な課題だというふうに認識をしております。

 こうした認識の下で、文部科学省といたしましては、本年三月、特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の報告を取りまとめまして、特別支援学校教諭の特別支援学校教諭免許状保有率の向上ですとか、全ての教師がおおむね十年以内に、複数年、特別支援教育を経験することなどについて関係者に通知することで、教師の専門性の向上を図ることとしております。

 加えまして、特別支援学校の施設整備につきましては、教育環境の改善を図る観点から、令和三年九月に特別支援学校設置基準を策定いたしますとともに、特別支援学校の新増築等に対して優先的に国庫補助を行うこと、また、令和六年度まで、既存施設の改修に係る国庫補助率を通常の三分の一から二分の一に引き上げることで、各学校設置者への支援の強化を図ってきているところでございます。

 引き続き、障害のある児童生徒が安心して学べる教育環境の整備を図ってまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。補助率を二分の一に引き上げるという大変ありがたい御答弁でございました。

 配付資料を御覧ください。

 障害児学校のよりよい設置基準を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会の佐久美会長にお話を伺いました。この団体は、毎年全国各地で七万筆の署名を集め、政府へ要望活動をしています。佐久美会長は、特別支援学校をつくるかどうかは各都道府県に任されていて、現状の国と地方の二分の一ずつの負担割合の場合、最終的に予算を理由に断られてしまうことが多いと言われていました。これが現実だと思います。

 地方の財源には限りがあり、人口減少によって、これからますます地方の財源が厳しくなることが予測されます。需要に対し、供給のスピードが全く追いついていません。この資料の表にあるとおり、国庫補助率が上がれば学校建設数も上がっていきます。例えば、一九七二年から七八年のように国の補助率を三分の二まで引き上げる、そういったことが必要ではないでしょうか。

 野田大臣、こども家庭庁が新たに設置されることにより、このような特別支援学校の設立も含めた子供政策を推進するための予算は大幅に増額されるのでしょうか。

野田国務大臣 岸田総理は子供政策に関する予算について、今後はこども家庭庁の下で、子供の視点に立って、体系的に取りまとめていきたい、その際、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより、将来的に倍増を目指していきたいという御発言がございます。

 私としても、期限、規模ありきではなく、子供の視点に立って、安定財源を確保しつつ、必要な子供政策の充実にしっかり取り組むことは重要だと考えています。

 今後、子供政策に関する予算は、こども家庭庁の下で体系的にしっかり取りまとめていきたいと考えており、子供政策に関する予算との関係で、文教予算の位置づけについてもこの中で検討していくことになると考えています。

 まさに障害児は、少子化の中にあって、障害区分というんですかね、法律ができることによって、そもそも、この年表を見ても分かるように、最初はやはり身体、その後、知的、精神まで来て、最近では発達障害、さらには、うちの息子のように医療的ケアということで、とにかく、どんどん障害の種類は増えているんですけれども、学校の方がまだ区分も対応できていないというような形だし、昔は重症の子供は亡くなってしまうというような、何かそういう昔の常識にとらわれていて、今は成長できるんですね、医学の進歩とか福祉の。そういうところがちゃんと乗っかっていないなというのは、当事者としての実感としてあります。

 ですから、是非、私たちも、今回、こども家庭庁は、今までは子供、子育ての中に障害の子は入っていなかったんですね。障害の子は、障害者の中の子だったんだけれども、今度はこども家庭庁の中の全ての子供のメンバーなんですね。そういうところを踏まえて、文科省ともしっかり取組を進めていきたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 野田大臣が本当に障害児支援について大変明るいということが、そして情熱があられることが伝わってきて大変うれしく思っております。

 健常な子も障害のある子も、みんな同じ子であり、どの子にも学びたいという気持ちがあります。その当たり前の権利が全ての子に認められ、豊かな障害児教育が全国各地で実現されることを心より願っております。

 続いてのテーマです。子供の居場所づくりについてです。

 不登校の子供たちが急増しています。私の地元のある中学校では、全児童数百二十人のうち二十人もの児童が不登校。大変驚きました。

 令和二年における小中学校の不登校の児童生徒数は約十九万人で、八年連続で増加を続けています。学校に行きたくても行けない子供たちがたくさん存在し、また、自分の育て方が悪かったのかもしれないと自らを責めてしまったり、仕事も手につかないほど悩みを抱えている親御さんたちが本当にたくさんいらっしゃいます。このような社会情勢だからこそ、不登校は決して悪いことではないというメッセージが大切だと思います。

 教育機会確保法が成立され、不登校の子供に対し、学校への登校を強制せず、それぞれに合った学習環境が保障されることになりました。つまり、学校に行かねばならないという呪縛から解放されたのです。そして、フリースクールなど、学校以外の居場所が法的に認められるようになりました。学校に代わる学習支援の場としてのフリースクールの存在意義がますます大きくなってきています。そして、全ての子供の居場所づくりを主導するこども家庭庁への期待も高まっているかと思います。

 そこで、野田大臣にお伺いします。

 学校以外の学びの場としてのフリースクールへの支援は、今後どのように強化されていくのでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ち、そして、持ちながら、様々な学びと、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、幸せな状態で成長できるようにすることが重要であるというふうに掲げました。

 こども家庭庁においては、子供の居場所づくりに関する指針を策定します。政府全体の取組を強力に推進するとともに、自らもNPO等と連携をして、今お話がございました、不登校の子供への支援を含め、様々な居場所づくりを進めてまいります。

 こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、指針の策定に資するよう、子供の居場所についての実態把握や論点の整理に関する調査研究を行うこととしています。調査研究の結果も踏まえて、不登校の子供への支援を含め、具体的な居場所づくり支援の在り方について検討を進めます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 フリースクールを実際に運営している方々から直接お話を伺いました。そこには共通の課題、大きな壁が存在しています。それは、月額三万円から四万円ほどの利用料、つまり、自己負担が発生しているということです。義務教育期間であり、教育機会確保法でも学校に代わる場所として認められている以上、将来的には無償を目指すべきではないかと考えます。

 その上で、緊急の課題として、経済的な理由でフリースクールも利用できないような不登校の子供たちが存在していることは大変な問題です。なので、貧困世帯や一人親世帯に対し、すぐにでもこの利用料の自己負担の補助を国が行うべきではないでしょうか、お答えください。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 不登校児童生徒が家庭の経済状況にかかわらず学校以外の多様な場で社会的自立に向けた学習等に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備することは重要なことと考えております。

 このため、文部科学省におきましては、フリースクール等で学ぶ困窮家庭の不登校児童生徒に対し、通所や体験活動に必要な費用を支援しながら、そうした取組が社会的自立に与える効果の検証に係る調査研究事業を進めているところでございます。

 また、学校や教育委員会とフリースクール等との連携が適切になされることが支援の質の確保の観点から重要と考えておりまして、都道府県、指定都市教育委員会を対象として、予算事業におきまして、教育委員会等とフリースクール等の関係機関の連携協議会の設置ですとか、フリースクール等と合同で行う教職員等向けの研修会の実施を支援しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、不登校児童生徒の社会的自立を目指して、個々の状況に応じた多様な支援を推進してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 不登校になっている子供の保護者の方々から話を聞いて感じたことは、出席扱いになるフリースクールがすごく求められているということでした。子供たちは、学校に行きたいと心のどこかで思っていて、不登校の状態を不安に感じている子供がほとんどであるということも知りました。出席扱いになるフリースクールに通うことで、子供も親も安心感が生まれてきます。

 さらに、これもお母さんたちから共通して聞かれたのが、朝のあるあるなんですけれども、毎朝学校へ欠席の電話をするのが本当に精神的に苦痛だという声が聞かれました。これも出席扱いのフリースクールに通わすことができれば、フリースクールと学校が連絡を取り合ってくれることで、朝の連絡も不要になり、かなりのストレスの軽減になるようです。

 是非とも、フリースクールの設置、大事ですし、その上で、出席扱いになるフリースクールを広めていただくよう心からお願い申し上げます。

 不登校が子供を駄目にするのではなく、不登校を駄目だと思っている大人が子供を駄目にしてしまいます。大人が変われば、親が変われば、子供は元気になります。子供の自己肯定感が高まるような環境整備が求められています。そのためには親への支援も重要です。

 話を伺ったお母さんがこのように言われていました。明日にでも息子が死んでしまうのではないかという事態のときに、相談窓口がどこにあるのか、どこに相談していいのか分からない、子供一一〇番にかけてみたが、ただ機械的に話を聞いてくれるだけで、すぐに電話を切った、行政は来たら助けますよ的な対応に感じていた、自分からアピールしないと支援してもらえない、私としてはもっと入ってきてほしかった。とても重要なメッセージだと思います。

 SOSを出せない子供や親はたくさんいらっしゃいます。こども家庭庁は、このような困難さを抱える家庭に対しどんどんと積極的に入り込んでいただきたいと心からお願い申し上げまして、時間が参りましたので、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、十五分のお時間を頂戴し、ありがとうございます。

 子供は私たちの大事な社会の構成員であり、未来であります。その子供に対する施策がこうやって内閣を挙げて議論されるということ、大変重要ですし、またうれしく思います。

 今日は、野田大臣に専ら御質問をさせていただきます。

 まず、内閣府の特命担当大臣というもの、野田大臣も地方創生、少子化対策、男女共同参画を所掌しておられます。そのほかにも、女性活躍担当、こども政策担当、孤立・孤独対策担当。子供政策の、こちらは担当大臣を兼務しておられます。

 そもそも、昨年の十二月二十一日の閣議決定において、こども家庭庁を外局として設置するということと同時に、子供政策を担当する内閣府特命担当大臣を必置とするということが閣議決定されております。

 そこで、お尋ねですが、必置をするということはある意味当然と思いますが、これを専任とすべきと私は考えておりますが、野田大臣のお考え、お聞かせをいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えする前に、阿部委員とは長らく、党は違いますけれども、女性政策や子供政策で様々な政策を積み上げてきたこと、本当に学ばせていただきまして、これからもしっかり、子供たちのため、女性のために働いていければと願っているところであります。

 昨年末に閣議決定した基本方針において、子供政策を強力に進めていくためには、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて、専任の大臣が司令塔となり、政府が一丸となって取り組む必要があるとされています。

 これまで、少子化対策を担当する大臣は必ず置くこととされていましたが、例えば、子供の貧困対策や子供、若者育成支援を担当する大臣については法令上必ず置くこととはされておりませんでした。このため、政府提出法案では、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣を必ず置くことを規定しています。これによって、今後は、これまでは担当大臣を必ず置くとはされていなかった事務を含め、子供政策全般を一元的に担う担当大臣が必ず置かれることとなります。

 なお、閣僚の任命や担務は内閣総理大臣の専権事項でございますので、専任について私から申し上げるのは差し控えますが、今後、必ず置かれることとなる担当大臣の下で、子供政策を強力に推進する体制を確保していくという考えであります。

阿部(知)委員 今回こども家庭庁となりますが、やがては子供家庭省と、子供省でもいいと思いますが、そういうものとして、国の骨格的な、私はこれは行政の司令塔となるべきだと思います。

 もちろん、専任か否かは内閣総理大臣の専ら事項でありますが、是非、総理になられてでも専任としていただきたく、それほどに重要なことかと思います。

 引き続いて、二点目の質問をさせていただきますが、私が本日取り上げたいのは、これまで主に厚生労働省が担ってきた母子保健領域、これもまたこども家庭庁の所管する業務となるわけですが、逆に、移管されることによって、従来の歴史的積み重ねもあり、また、今、更に重要性を増しているような産後ケア、妊娠から出産、出産後に至るまでの産後ケア事業がきっちりと展開されていくかについての確認をさせていただきたいと思います。

 これも同じく令和三年十二月二十一日の閣議決定で、こども政策の新たな推進体制に対する基本方針の中で、産後ケア部門については、全国どこに住んでも、産後うつの予防等心身のケアや育児のサポートといった産後ケアという支援が受けられるようにということが閣議決定されております。

 昨日の一谷議員とのやり取りの中でも、十分、野田大臣はその重要性を自覚しておられると思いますが、やはり、本当の意味で、全国どこでも、いつでも誰でもどこでもとすることについては、大変、これからやらねばならないと思うことがあるわけです。その中でも、特に、昨日の大臣の御答弁を聞いておりまして思いましたのは、民間との協力や、あるいは、現状どこまで何がなされているかの把握ということはございましたが、私が本日伺いたいのは、総務省が行政評価調査をされておりまして、その報告が令和四年一月に出ております。

 この総務省の行政評価調査の結果によれば、いわゆる産後ケア事業あるいは出産後の産婦さんの精神的な不調も含めた産後の訪問事業等々がいろいろ調査の対象になっておるのですが、特に産後ケア事業については、まだ、令和三年の四月から法律にのっとった開始がされておるところで、令和四年一月の報告ですからフルにカバーしていませんが、主に提供しているのは、病院が六八・七、助産所が二九・九、独自施設が一・四。これは、実は、遡る厚労省の令和二年九月の調査で、法定したものが始まる前でございますが、なかなか、正直申しますと、リソースが足りていなくて、病院に依拠せざるを得ないところも多いし、小さな市町村では実施ができておらないという実情が、特にこの総務省の行政評価から上がってまいりまして、厚生労働省に勧告が出されております。

 大臣のお手元の資料一枚目には、一体、産後ケア事業がどのくらい実施されておるのか、これは、厚労省が、法定事業が始まる前の調査でありますが、例えば、出生数当たりの利用者数、宿泊でいうと〇・八八%、一%にもいかない。アウトリーチ、訪問が一%、デイサービスは一・四二。すなわちみんな一%台で、非常に実際にはこれが普及しておらないということで、総務省の見解によれば、やはり県が、例えば広域連合をつくったりもっと前に出て、リーダーシップを発揮して関わっていくということを厚生労働省への勧告として出されております。

 先日、一谷議員との御質疑の中で、山梨県の産後ケアセンター、宮川さんのおられた山梨県ですね、御存じだということでありまして、あれは、県が主導して二十七の自治体をつなげたものであります。

 是非、野田大臣には、この産後ケアは市町村と国、半々の負担で成り立つものですが、なかなか、今、市町村は、ヒューマンリソースも少ない、財政も苦しい、そして経験がないという中で、県の役割が重要になっていると思いますが、その点に関しての御所見と、また、どのようにこの総務省の行政評価にお答えを出していかれるか、お考えについて伺います。

野田国務大臣 委員が法案成立に御尽力されて以来、令和元年の母子保健法の改正によって法定事業として位置づけられたことを踏まえて、政府としては、令和六年度までに産後ケア事業の全国展開を図ることとしています。

 今お話がありました行政評価の指摘があり、現在、厚生労働省において、市町村が産後ケア事業に取り組みやすい環境を整えることができるよう、事業を担う専門職の研修等を実施しているということを承知していまして、今後、調査を通じて市町村における課題を収集し、必要な対応を行っていくということになっています。

 さらに、今のお話では、今の行政評価の指摘を踏まえて、実態調査の一環として、産後ケア事業の共同実施や広域調整の実施状況について、都道府県における好事例を収集して周知をするなど、必要な体制をも行っていくということでございます。

 こども家庭庁においては、組織の成り立ちを御理解のように、子供というのは、出現している子供ではなく、母親のおなかの中に着床し胎児として育ってきているところから子供として寄り添っていくというのがこのこども家庭庁の今までにない取組でありまして、当然、その過程の中に、産後ケアで苦労している母親を支えることで子供の健やかな育ちを導いていくということもありますので、しっかり、厚労省が今取り組んでいることに対して連携しながら取り組んでいきます。

阿部(知)委員 大臣のお手元、二枚目を開けていただきますと、ここに私が早口で申し上げた産後ケア事業の総務省による行政評価と勧告が書いてございます。

 二枚目右の端の方、令和六年度末までの産後ケア事業の全国展開に向け、各地の現場が抱える課題、委託先の偏在やそれに伴う産婦の移動の支援、対象期間の延伸対応、一年までに延びたということで、子供が動き出すところでありますから、今までにない課題も出てまいりますし、それを把握し、取り得る方策を検討の上、都道府県の役割を含め幾つかの選択肢を示すなどとなって、ここが重要なのであります。

 実は、この法律を作るときに、都道府県をどう位置づけようかということは念頭にあったのですが、他の母子保健事業がほとんど市町村と国になっている関係で、でも、散在していてなかなか集約しないとできない、あるいはノウハウを伝えてもらわないとできないという現状の中で、これは財政的にも、例えば、今自治体が半分、国が半分ですが、自治体は大変厳しいので、本来は私は国が全額出しても、だってそこからしか子供は育っていかない、グッドスタートを切ってほしいので、それでもいいくらい思っていますが、せめて県単位の支援をもう少し考えていただきたい。

 野田さんは総務大臣でもありましたし、こうした各自治体間格差をどう均てん化していくかは大きな課題になろうかと思います。是非、念頭に置いて確認をしていただきたいと思います。

 さて、次には山梨県の先ほどお示しした産後ケア事業を念のため御紹介してありますが、これは県が先んじて頑張ってくださった好事例であります。ただ、いろいろコロナで利用者の変動もあって財政的にも苦しいということ、あるいは、産後うつも増えまして、今まで一割だったのが二四%くらいになっている、産後うつが、コロナで。いろいろニーズは高いというところで、ただリソースがないという、どうやって提供していくかだと思います。

 最後の質問になりますが、厚生労働省も総務省も、よくこの事業を定着させるためにいろいろ調査をしてくださっていて、本当に感謝をします。調査の中で一番抜けているのが、利用者調査であります。野田さんも、やはり産後の体のつらさも経験されて、何が本当にお母さんたちが思っていることなのか。令和六年まで全国展開するためにも、利用者の調査も重ねて行っていただきたいが、その点についてお願いいたします。

野田国務大臣 確かにおっしゃるとおりで、妊娠も大変ですし、出産も大変ですけれども、その後の産後が、やはりいろいろな意味で、私の場合は、うつにはならなかったけれども、全身の痛みというのに襲われまして、そこまでやはり見ていただかないと駄目なんだろう、その声は届いていないなというのを痛感いたしております。

 それで、昨年末に閣議決定した基本方針においては、子供の視点、そして子育て当事者の視点に立った政策立案の必要性を掲げています。子供政策を進めるに当たっては、子供や子育て当事者の意見を反映させていくことが重要だとしっかり考えています。

 産後ケア事業の全国展開を図る中で、自治体、事業者などの現場の方々の意見だけでなくて、必要に応じて利用者の声も丁寧に聞きながら、利用者とか利用できなかった方とか、取組を進めていくことが必要と考えていますが、これから具体的な方法については検討してまいります。

阿部(知)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。もっと拡充されることを願って、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、堤かなめ君。

堤委員 立憲民主党の堤かなめです。

 持ち時間二十一分頂戴いたしまして、保育、幼児教育環境の改善について質問いたします。

 国立教育政策研究所が二〇二〇年、二年前に発行した「幼児教育・保育の国際比較 質の高い幼児教育・保育に向けて」によれば、OECD諸国、つまり先進諸国において、保育と幼児教育への財政支出は増加しているものの、更なる追加の投資が必要とされております。各国に共通して投資の優先度が最も高いのは、保育者を増やして担当グループの規模を小さくすること、すなわち保育者の配置を手厚くすることです。二番目に、保育者の給与を上げること、三番目に、特別な支援を要する子供をサポートすることとなっています。

 では、まず、投資の優先度が最も高い、保育者の増員、保育者の手厚い配置についてですが、我が国の現状は惨たんたるものだと言わざるを得ません。

 資料を御覧ください。

 本年三月の新聞記事ですけれども、見出しは「保育士配置基準 低すぎる」となっています。そのことを背景に、保育園の散歩で行った公園に子供が置き去りにされた、そういう事案がたくさん起こっているということを報じています。

 例えば、東京都に住む三十代の女性は、当時二歳の長男が通う私立の認可保育園からこう告げられた。保育士ら四人が二から五歳児二十二人を連れて公園に出かけた、遊び終えた園児らを整列させ、園児の帽子を見て人数を確認、約二十分かけて園に到着後、長男を保護した別の園の保育士から連絡があり、初めて置き去りに気づいたということです。一人でいた時間は約十分だという説明があったということですが、十分もあったら、道路に飛び出したり誰かに連れ去られたりしたかもしれない、保護者にとってはたった十分ではない。

 また、北海道に住む女性も、当時二歳だった長男が、やはり保育園の散歩で行った公園に置き去りにされ、保育園と公園は子供の足で歩いて三十分、その間には大通りもあったということです。

 そういうことで、配置基準が低過ぎて、子供を安全に見守ることが難しい現状がある、勤務先は基準を上回る配置をしているが、それでも人が足りず、残業も日常的、一人一人の子供に目が行き届かない状態では、深刻な事故が起こりかねない、そういうふうに指摘されています。

 そこで、まず、認可保育所、認可外保育所の別に、園庭を持たず近くの公園を利用している割合はそれぞれどのくらいか、また、このような子供の置き去り事案の件数を把握しているのか、お聞きします。

川又政府参考人 お答えします。

 認可保育所について、国が定める設備基準の参酌基準では、園庭の確保が難しい都市部などにおいて、近隣の公園などが園庭の代替地と確保される場合には園庭の設置を必ずしも求めていないということでございまして、国として、そうした施設の割合については把握していないところでございます。

 また、認可外保育施設につきましては、指導監督基準においても園庭の設置を求めていないところであり、園庭を持たない施設の割合については把握してございません。

 また、後半の事案等の件数につきましては、保育所等における園外活動時の園児の見落とし等について、件数等については把握してございませんけれども、各自治体が管内で起きた事例を把握しているかどうか、把握している場合、どのような対策、取組を行っているかについて、本年四月、サンプル的な調査を実施いたしました。

 同調査の結果を踏まえまして、各自治体及び各園における対策や取組の好事例を共有するとともに、園外活動時の安全対策に関する指導監査の徹底、園児の見守り活動等に従事する者、これは保育支援者と呼んでいますが、を配置するための国の費用補助の積極的な活用について、各自治体について周知を行ったところでございます。

 園外活動時の園児の見落とし等はあってはならないところでありまして、こうした対策を引き続き進めてまいりたいと考えております。

堤委員 園庭がないところも把握していない、また、置き去り事案の件数も把握していないということで、これはちょっとどうかな、いかがなものかと思います。

 また、本年度から、政府は、園外活動の見守りを行う保育支援者を雇えるよう、補助を使いやすくしたということですけれども、この改正は、認可の保育所、認定こども園だけが対象で、企業主導型は同様の補助がないと聞いていますが、事実でしょうか。

 あわせて、こども家庭庁設置法案では、こども庁の事務として第四条に、小学校就学前の子供の健やかな成長のための環境の確保、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針では、施設類型を問わず共通の教育、保育が行われることを制度的に担保することが明記されています。

 法律の趣旨にのっとり、縦割り行政を排し、施設類型を問わず保育所の補助や助成の在り方も同様にすべきと考えますが、現状の政府の補助や助成の違いをどう認識され、今後どのように改善されるのか、お聞きします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございました厚生労働省の補助事業でございますが、おっしゃるとおり、対象は認可保育所と幼保連携型認定こども園と承知をしておりまして、認可外保育事業の一類型でもあります企業主導型保育施設については対象外となっているというのは事実でございます。

 ただ、一方、企業主導型保育施設におきましては、保育士の業務負担軽減等を目的といたしまして、保育士の補助を行う者を雇用した際の保育補助者雇い上げ強化加算を設けておりますので、園外活動時なども含めまして、保育士の勤務環境改善のために活用を進めていきたいと考えております。

 また、次でございますけれども、こども家庭庁の基本方針にのっとって、施設類型にかかわらない教育、保育の提供ということは非常に重要だと思っております。

 先ほど御指摘のございました企業主導型保育施設は、企業の福利厚生としての位置づけを持ち、多様で柔軟な保育サービスを提供するために設けられた制度でございまして、認可外保育施設の一類型ではありますけれども、企業の拠出金により、公的に運営費や施設整備費が措置をされる施設となっております。

 おっしゃるとおり、認可保育所、幼稚園、認定こども園、企業主導型保育、これら、それぞれ異なる法制度に基づく施設でございます。また、施設に対する補助についても、異なる部分、一部ございますが、例えば企業主導型保育施設については、運営費補助につきまして、認可保育所並みになるように、障害児の加算ですとか保育士の処遇改善など、補助の拡充を行ってきたところでございます。

 こども家庭庁が創設されれば、厚生労働省と内閣府が所管している各種の保育関係の補助金がこども家庭庁に一元的に移管をされるということになるわけでございます。各施設の制度上の違いや特徴も踏まえつつ、支援や補助についての整合性を図るように、引き続きしっかりと検討してまいります。

堤委員 補助や助成の整合性をしっかりと確保していくというお答えをいただきました。

 さて、国際比較によれば、四、五歳児において、日本では、三十人の子供に保育士一人という配置基準になっております。これは先進国で最低レベルです。例えばフランスでは、十五人に保育士一人、つまり三十人であれば二人、日本の二倍の保育士が配置されています。

 保育の現場からは、国の配置は余りにも低過ぎる、保育士が余裕を持って業務や質の向上に取り組むようにすべきといった声が寄せられています。先ほどの公園での置き去り事案というのも、そういったことが原因の一つかと思います。

 しかも、保育士の業務の過酷さは、国会でも、野党議員から何年も前から何度となく、今回、この委員会でも指摘されております。二〇一五年、既に七年も前ですけれども、政府は、一歳児と四、五歳児の配置基準の改善について、財源の確保に最大限努力するとしています。保育関係団体からも要望が出されています。

 それから七年もたっているのに、まだ解決していません。いつまでこの深刻な状況を放置し続けるのでしょうか。配置基準の早期改善に向け、必要な子供政策にはどんどん予算をつけると何度も答弁されておられる野田大臣の明快な答弁を求めます。

野田国務大臣 御指摘のとおり、職員配置の改善は、教育、保育の質の向上のために重要な課題と考えています。

 三歳児の配置改善に関しては、平成二十七年度から取り組みました。

 今御指摘の四歳、五歳児の配置改善については、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項とされており、現在のところ、七年未実施ということになっています。

 基本方針において、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体で費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしていますので、こども家庭庁の創設に当たって、四歳、五歳児の配置改善など、〇・三兆円超の事項、これについても引き続き財源の確保をしっかり努めてまいります。

堤委員 七年も未実施ということです。これはどんどんじゃなくて、ちびちびということではないでしょうか。博多弁では、ふうたらぬるいと言います。是非しっかり、どんどんやっていただきたいと思います。

 保育士不足の背景には、余りにも低い人員配置のまま、運営費の抜本的な引上げをしてこなかった保育行政があります。その結果、保育士さんたちは、本日も出ていましたが、お昼の休憩もきちんと取れないなど業務の負担が大きく、また、子供の命を守るなど責任の大きさに見合った給与ではないことから、資格を持っていても保育士という職業を選ばない方が多くおられます。これは、保育士不足から、定員に空きがあっても子供を受け入れられないなど、待機児童の解消、少子化対策という観点からも大きな問題です。

 そもそも、四、五歳児の配置基準は、戦後間もない昭和二十三年から、七十四年間もの長きにわたりそのままです。ずっと改善されてこなかった。はっきり申し上げて、放置し過ぎです。

 政府は、野田大臣は、少子化担当大臣として、こども庁の設置を待つ必要もないと思います。

 私は、こども家庭庁ではなく、略称としてこども庁という言葉を使いたいなと。政府がこども家庭庁に固執するのであれば、経済産業省を経産省といいますし、こども庁、私たちは子ども省と指摘していますけれども、その設置を待つ必要もなく、野田大臣は少子化対策担当大臣でもあられますから、是非すぐにやってください。ぐずぐずせずに実行してください。よろしくお願いします。

 優先順位二番目の、保育者の給与についてでございます。

 保育士の賃金は全産業の平均と比較して八万円程度低い水準にあり、政府の今回の改善では不十分であると我が党の議員は再三再四指摘してきました。

 その上で、立憲民主党は、四月十一日に、保育所、幼稚園、認定こども園、学童保育、児童養護施設、乳児院等で働く全ての職員に対し、更に月額一万円の賃上げを行うという法案を国民民主党と共同で衆議院に提出しております。したがって、優先順位二番目についての質問は省略いたします。

 投資の優先度が三番目に高いとされている、特別な支援を要する子のサポートについてです。

 地元のある認可保育所で働いておられる方からお手紙をいただきましたので、紹介いたします。

 てんかんやダウン症、脳性麻痺のお子さんたちをお預かりしてきました、しかし、保育士一人分の人件費は出ません、市の障害児配置加算がありますが、様々な条件がついており、特に、年度途中での障害児の受入れについては支給されませんとのことです。そして、このような特別な支援を要する子供たちへの支援が不十分であるがゆえに、やむを得ず障害児の受入れをしない、障害を持つ子供の受入れを拒否せざるを得ない保育所が多くあることも事実です。

 さらに、お手紙を御紹介します。

 障害児のお子さんをお持ちの保護者の方がよく言われるのは、行き場がないという言葉です。障害児を育てていくということだけでも想像を絶するほど大変なことで、当事者でなければ分からないくらいのきつさ、大変さ、つらさです、そういう保護者の方が行き場がないと言わなくてもいい社会でなければならない、保育所がどんなお子さんでも気持ちよく受け入れられる環境、そして、障害のあるお子さんを受け入れられるかどうか迷ったり断ったりせず、喜んで受け入れられる体制づくり、そういう社会であってほしいと切に願いますということでした。

 そこで、最後に、このような現状の改善が早期に必要ですけれども、全国の障害を持つお子さんをお持ちの保護者の皆様、働きたくても、子供を預かってくれる保育所がなかなか見つからずに、働くことを諦めざるを得ない保護者の皆様に、野田大臣の思いをお伝えいただけませんでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

野田国務大臣 まさにその一人でございまして、ただ、うちの場合は、夫がキャリアを諦めてということなので若干違うかなと思いますが、確かに行き場がない経験もさせていただきました。

 ただ、やはり多くの人たちに出会って構っていただけると子供は育っていきます。親でなくても、やはり愛を持って接していただければ、また、専門性を持っている方に正しく接していただければ全ての子供は育っていくので、そういう経験を自らさせていただいたことを是非お手紙をいただいた方にもお伝えして、決して諦めずに、やはり、さっさとやれということなので、私もさっさとやれるよう頑張りたいというふうにお伝え願いたいと思います。

 障害のある子供の受入れに伴う、保育士を加配する、そのための費用について、地方交付税により財政措置をしていますが、平成三十年度に、これまで四百億円であった当該予算を総額として八百八十億円に拡充するとともに、各市町村の障害児保育に係る財政需要を的確に反映するため、各市区町村の保育所等における実際の受入れ障害児数に応じて地方交付税を算定する方式に変更したということを承知しています。

 今お話を聞いていて、障害児の受入れを促進するために行った平成三十年度の地方交付税措置の拡充の趣旨や内容について、改めて、厚生労働省とともに、いま一度自治体に対してしっかり周知し、障害児保育の推進を働きかけてまいります。お約束します。この働きかけについては、こども家庭庁の設置を待たずに速やかに行います。

堤委員 子供政策において、投資の優先順位、これを間違わないようにしなければならないと思います。やはり基本は、先ほど言いましたように、人の配置だと思っています。

 保育や幼児教育の質の向上という理由で少し私が懸念しておりますのは、子供のプライバシーにまで踏み込むようなデータを集めていくということが行われるんじゃないかということも懸念しております。質の向上ということで、また、保育と幼児教育を共通のものにしていくという中で、教育という側面を余りにも強調し過ぎる。

 私は、保育が幼児教育化するのではなく、幼児教育がもっと保育機能を高めていく。例えば給食であったとしても、やはり栄養のあるもの、私、地方創生特別委員会のときにオーガニック給食という話もしました。やはり成長、発達途上にある子供たちが、非常に安全で、安心で、おいしい、栄養たっぷりのものを食べるということ。

 私は、小さいとき、保育園ではなく幼稚園だったんですけれども、今はかなり変わっているのかもしれませんが、お昼がいつもパンと牛乳だったんですね。それで、パンも、特にジャムパンが食べられなかったんですが、ジャムパンしか残っていないことがあって、とても、幼稚園の給食に対して余りいいイメージを持っていないんですね、今は変わっているのかもしれないんですが。

 やはり保育園はいろいろ、自園調理であったり、非常に食事も配慮しています、生活の場でありますから。幼児教育は教育の場ということで、少しその辺が心配もあります。そういった意味で、そういったところを中心にまず投資をしていただきたいなと。そういう、教育に余りにも走らないようにということは、私、一応、幼児教育のコースで教員をしておりましたので、少しそういったことも心配しております。

 また、先進国レベルの、最低レベルの保育や教育環境をとにかく先進国平均にまで引き上げるということを最優先として、そのための財源、何度も申し上げましたが、末冨先生も財源、財源、財源とおっしゃっていました。遠慮をするようなタイプではないということですので、財務省に遠慮せずに頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

上野委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。よろしくお願いいたします。

 今日、五月十一日なんですけれども、我が家の二十回目の結婚記念日でございまして……(拍手)どうもありがとうございます。長女が十九歳で、今度の成人式、十八の成人年齢にはなったんでしょうけれども、成人式は二十歳でやるみたいですが、そういう節目を迎えることとなりました。

 小田原で銀行に勤務をして、私が選挙に出るので熊谷に来て、一月に長女を出産し、四月の統一地方選挙で県議選に初めて挑戦をして、しかも落選をし、その後、浪人中に介護の事業所を立ち上げ、二人目出産、三人目出産、年子で出産をしたということで、当時、青年会議所の委員長なんかをやっていたりとかというのもあったものですから、夜は帰ってこないということで相当負担をかけて、よく、熟年離婚の一番の理由が、子育てに関わらなかったということがあるらしいですけれども、私も今でも言われておりますので。

 何が言いたいかというと、自分に対する反省の気持ちを込めまして、おまえが子育てを論ずるなというふうに家庭に帰れば言われますが、そういった反省に立って質問させていただきたいと思っております。

 やはり、おなかを痛めていない男性が子供中心の考え方をするというのは、本人もそうですけれども、周りも含めて、相当な決意と覚悟と教育が必要だという認識でおりますので、そういった認識に立って質問に入らせていただきますので、よろしくお願いします。

 まず、こども家庭庁の、私なりに今までずっと話を聞いていて思う定義なんですが、これは、子供を真ん中にしたまず政策を行うということ、そして家庭、家庭が入るか入らないかはいろいろな議論がありますが、子供の幸せを実現させる中心的な環境としての家庭の実現をも図っていくという役所ということで捉えているんですが、こういう認識でよろしいでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 家庭をしっかり支えることが子供の幸せにつながるとの観点から、家庭をしっかり支えること、家庭を支援する政策を充実させることは重要であると認識しています。

 こども家庭庁設置法上、家庭について法律上の定義を置いていませんが、こども家庭庁においては、血縁関係や法律上の親子のみにとらわれず、子供を中心に、子供の成長を支える、子供にとっての居場所を広い意味で家庭と考え、血縁関係の有無にかかわらず、しっかり支援をしていきたい。

 こども家庭庁において、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点で、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもまんなか社会の実現に取り組んでまいりたいと考えています。

 実は、このこどもまんなかという考え方は世界でも初めてでありますから、委員も非常に戸惑いもあろうかと思いますけれども、非常に革新的で、でも、自分たちも子供だったという振り返りをしながら、やはり、どう幸せにこれからの子供たちを導いていく大人になれるか、そういう繰り返しの学習をしていかなければならないと思っています。

森田委員 戸惑いというお話がありました。私はすごくいいなと思っています。

 先ほど、先ほどというか、ずっと議論を聞いていて、やはり、血縁関係にとらわれない、子供が基本的に生活をする一番の環境とか人間関係たる場所であり、環境であり、そういったものを多分捉えて家庭という言い方をする、そういう捉え方をされているんだ、そういうお話、説明を聞いてまいりましたが、そういうことを中心に考えていきたいと思うんです。

 こども家庭庁の機能ということにいくと、あらゆる省庁であり、あらゆる政策であり、こういったものの真ん中に子供というものを常に置いておくということを、一々口を出していくという役所というふうに捉えてよろしいんでしょうか。

野田国務大臣 こどもまんなか社会とは、常に子供の最善の利益を第一に考える、子供に関する取組、政策が我が国の社会の真ん中に据えられる社会ということになります。

 これまで、ややもすると、大人の視点、制度や事業を運営する側の視点中心に行われていた子供政策を、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策へ大転換するものであります。このこどもまんなか社会を目指すための司令塔としてこども家庭庁を創設し、その実現にしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。

 やはり、一元的な子供のための役所が出現することによって、常にこどもまんなかということを全方位で捉えていただけるように仕事をしていきたいと思います。

森田委員 おっしゃるとおり、多分今までは大人中心、大人真ん中であり、あるいは、産めよ増やせよという時代なんかは国家中心、国家真ん中であり、あるいは、いろいろなことを考えていくと、行政真ん中であり、学校真ん中であり、あるいは、子育てとか勤務環境でいえば会社真ん中であり、こういうこどもまんなかでないものが今あるからこその、こどもまんなかだという捉え方をされているということでいいかなと思っています。

 では、私は何でそれがいいかなと思うと、子供は当然育てば大人になるわけで、子供のときに大事にされていた子供たちは、自分は社会の中で大切にされるべき存在だと、要するに自己肯定感が上がっていく。そしてまた、子供のときに意見を聞かれた、意見を聞いてもらえたという経験を持つ子供たちは、恐らく、大人になってから地域に出て、あるいは会社に入って、いろいろな組織の中に入って、自分は意見を聞いてもらうべき存在なんだと。

 要するに、健全な民主主義の主権者あるいは市民としての育ちの過程で、こどもまんなか社会というものの在り方というものが相当やはりプラスに働いてくるだろう、こういうふうに思っておりますので、マイナスのところを拾い上げるというところも必要ですし、今の現状をプラスの方向に持っていくという方向もとても大事な視点なんじゃないかなというふうに思っております。それなので、こどもまんなか、私は大賛成です。

 子供の声を聞くという話がこれまでも出てまいりました。非常に難しいことだと思います。難しい中の一番最たるものは乳幼児だと思っています。まさか、ばぶばぶという言葉を聞き取りなさいということ、これは難しいと思うんですが。

 例えば、私、自分が三歳のときに、年少になるんでしょうか、保育園に通い出したんですが、登園拒否をしました。そのときの理由が、私、自分で言ったのは覚えていないんです、聞かされた話だと、うちは両親共働きで、いわゆるおばあちゃん子で育ったんですが、うちに植木屋さんが来ていたので、植木屋さんの片づけをうちのおばあちゃんがやっているから、それを手伝わなきゃいけないんだ、だから休ませてくれというので言ったらしいんですが、それは結局保育園に行きたくなかったんですよね、今考えてみたら、思い起こせばということですけれども。

 要するに、乳幼児といえども、ばぶばぶのちょっと後ぐらいであれば、例えば、ママがいい、ママがいいと言って、登園し始めた頃、慣らし保育なんということをやるところもありますけれども、でも、さすがに、いきなり行って八時間預けるとか、今十一時間保育とかになっていますけれども、それはやはりちょっときついんだろうなと。

 ママがいい、ママがいいというふうにお子さんが言うのであれば、ママがいられるような環境をつくるということの、その保育の環境もそうだし、それから会社の環境もそうだし、地域の環境もそうだし、そういうものに合わせていくということ、こういう視点が必要なんだろうなと思っていますが、一番難しいと思われる乳幼児の声をどういうふうに聞いていくのか、大臣の方からお考えをお聞かせください。

野田国務大臣 政府提出法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることを規定しました。また、昨年末に閣議決定した基本方針においても、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。

 こども家庭庁においては、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても検討していくこととしています。

 こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度においては、乳幼児などの低年齢の子供の声をどう聞くかをも含めて、子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うこととしています。その調査研究の結果も踏まえ、年齢、発達段階に応じて、子供や若者から意見を聞く様々な手法を組み合わせて多様な声を聞くように努めながら、子供政策に反映させる仕組みを検討してまいります。

 前回、別な委員から質問がございまして、乳幼児の声をどう聞くか、ずっと私は、あれ以来毎日考えていました。

 今お話があったように、赤ちゃんは泣くのが仕事といって、会話は成り立ちませんが、でも、その泣いていることがコミュニケーションなんだと。要するに、私たち大人がそっちに寄り添うような考え方を尊重して、泣いている赤ちゃんが何を求めているかということにやはり思考をフォーカスさせる、そんなようなことを今まで余りやったことがないので、そんなことも、可能性として私たちの社会をよくする、取り組むべきなのかなというふうに思っています。

 今、長時間置いておくのはかわいそうと。様々な意見があるんですけれども、そこは、寄り添う人がママである必要もなく、パパでもいいわけで、それは、他人の大人であっても、その子に対してしっかりケアができる人であってもいいというような、そういう幅広の、子供の声を聞く環境整備というのは必要だと思っています。

森田委員 今、生かす仕組みとありましたけれども、もし今、いわゆるフィードバック、どういうふうに政策に還元していくか、お考えがあればちょっと端的にお聞かせください。

野田国務大臣 今年度中に行う調査研究の中で検討していくのですが、反映の仕方は、例えば、こども家庭庁の職員が聴取した子供の意見を、庁内における検討とかこども家庭審議会の資料として提供、又は、こども家庭審議会において子供や若者から直接ヒアリングを行い、これらを踏まえ政策の具体化を検討するということが考えられます。

 いろいろいただいた子供の意見は、実際に政策に反映するかどうかは、まさに子供の年齢や発達段階、実現可能性などもしっかり考慮しつつ、子供の最善の利益を実現する観点から、こども家庭庁において、こども家庭審議会等における議論を踏まえ判断することとなると考えています。

 いずれにしても、聴取した意見が政策に反映されたかどうかについては、子供にフィードバックすることは重要であります。

 これからの調査研究の結果を踏まえて、様々な手法、これはこうだということで、いろいろな手法を組み合わせて、そして多様な子供たちの声を聞き、政策の反映がなされるよう努めていきます。

森田委員 例えば、子供たち、特に乳幼児の声を聞く。声は聞けなかったとしても、例えば、保育の現場に近いところにいらっしゃる主任さんとか園長さんとか、あるいは現場の保育士さんとか、そういうふうに、日頃お子さんとか親御さんとかと接していて感じる、特に、今でいうと、危機感みたいなものを感じる、保育の現場、ちょっと危ないな、いろいろな、例えば親御さんあるいはお子さん、問題があるなと。

 いろいろなことを含めて、現場に近いお声を是非聞いていただけるような、そんな仕組みを、これは別に国だけじゃなくて、市町村、都道府県を含めてだと思うんですが、是非こういったものを仕組みとして整えていただき、実際にそれが政治に反映できる予算と人材も必要だと思いますので、そういったことも含めて是非お願いできればなと思います。

 それから、さっき、家庭というものの定義の中で、今までのような血縁関係にとらわれずみたいなお話があって、例えば、そこに入ってくるのは、養護施設みたいなものも、大型、一律、一括じゃなくて、例えばグループホーム的なものだとか、大きい施設であってもユニット化をするとか、そういったこともやるんだろう、含まれるんだろうと思っています。

 ですから、どっちかというと相互乗り入れ的な考えを、施設的なもの、支援的なものも家庭に寄せていくし、あるいは血族的なものに寄せていくし、血縁関係とかというものもちょっと制度的なものに寄せていくしということをやっていくのが、これからの一ついい着地点なのかなと思っているんです。

 そういったことで考えると、今、産休、育休の期間中に支払われる賃金で補填される額はやはりどうしても目減りしてしまう、働いていた方が、損得の問題じゃないですけれども、金銭的にはプラスになるということもありまして、直接給付を、金銭的な、直接、自分で見るんだという選択をした場合に、雇用保険から出てくるものに加えた直接給付をやるような仕組みというのも考えられないかなというふうに思っているんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

野田国務大臣 子供を持つ家庭において、保護者が自らの選択に基づいて子育てを行うことができる環境を整備すること、これが重要だと。御指摘のように、保育所等に通っている方だけでなくて、家庭で子育てをされる方々への支援も重要であると考えています。

 今、児童手当については、三歳未満の子供について月額五千円の加算を行っています。さらに、こうした経済的な支援に加えて、在宅で子育てを行う家庭等への支援として、一時預かり事業や地域子育て支援拠点事業等を実施しています。

 今後とも、在宅での子育てを希望する方に対し、その希望が実現できる社会環境の整備、これを進めていきたいと思います。

森田委員 ありがとうございます。

 それから、先ほど、長時間の保育が厳しいとか、それは、特にゼロ、一、二、小さいお子さんをという話が聞かれることもありますけれども、産休、育休を企業の側としても是非取ってもらいたいという方向に持っていくとすると、どうしても障害になるところが、空く期間の人材をどうやって適切に埋めていくかということがあります。

 レクのときに、昨年だったか、両立支援等助成金等でいろいろと支援を始めたというお話も聞いておりますが、ちょっと時間の関係で、大臣に。

 会社の人事の負担を考えると、引継ぎのことであったり、いろいろと、もちろん、代わりの人材を確保するのに、今、うちは介護の施設に関係していますけれども、紹介会社に言うと、じゃ、年収の三割を払ってくださいと言って、七、八十万、百万というお金を払わないと人材がそもそも確保できないとか、こういうことにもなっているので、協力してあげたいけれども、なかなか現場のことを考えると難しいというふうに思っている中小企業もたくさんあると思うので、是非これは大臣からも、そういった企業の支援について取り組んでいただきたいと思いますので、その御決意を是非お聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 今、令和の時代に、お金だけではなくて、様々社会を回していくのに女性の働き手というのが必要とされています。女性も七割ぐらいが有業、働いておられるわけでして、企業の在り方も、男性が働き、女性が家でという時代はもうなくて、やはり、男女とも、能力に応じた仕事で社会また企業を繁栄させていくという時代だという経営者の認識をいただきたいなと。

 女性を雇用するのが前提ということであれば、女性にだけ起きる妊娠、出産はパッケージの中に想定内として入れていただいて、昨日妊娠して今日出産するわけではございませんので、そういうやはり新たな働き方の、人のつくり方、回し方とか、そういうのも是非御検討いただいて、できる限り私たちも、そういう取組に、前向きな取組に対しては様々な形で御支援できるのではないかと思います。

森田委員 先ほど申し上げたとおり、こどもまんなかにするということは、人材、予算を含めて、相当なやはり決意、覚悟がないとできないと思っておりますので、一々口を是非出していただきたいなというふうに思っています。

 時間の関係がありますので、最後、最後というか、文科の関係、教育の関係にちょっと入っていきたいなと思っております。

 先ほども山田議員の方からも指摘がいろいろと、学びの場の多様性みたいな話もあったんですが、教育の目的が、いつの間にか手段が目的化してしまっているというようなこともあって、学校できちんとやっていくことが何か教育のしっかりした形なんじゃないかみたいなふうに、これは我々の世代も含めて思っちゃっているところがあると思うんです。

 今までは、例えば近代の教育制度の成り立ちを考えると、工場で働ける均一な人材を育てるとか、あるいは、国立大学であれば、優秀な官僚を育てて、国家をちゃんと引っ張っていく、こういう目的があったと思うんですけれども、今の教育の目的を考えると、働き方も、テレワークだったりITだったり、もちろん物づくりの現場もあるし、何もあるし、かにもあるしということで、様々なところで、大きい組織の中で働く人もいれば、一人でこつこつやって働く人もいるし、いろいろな選択肢がある中で、学校の教育だけは、何か明治以降に発展させてきたものをそのまま保存してやっているような、そんなイメージかなというふうに思っています。

 声を聞くということであれば、学校の、学校というか、教育というものをまず捉えた場合に、どういうふうに教育を受けたいかというのも、選択肢として、いろいろな選択肢がある中で選択をし、自らの学びを深めていくということがあっていいんじゃないかなと思いますが、不登校という選択があった場合、あるいは学校以外のところで学びたいんだという選択があるときにどう支えていくか、是非、鰐淵政務官からお答えいただければと思います。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 今委員の方からお話がございました、どのようなことを学びたいのか、どういう生き方をしたいのか、また、不登校という子供たちの抱える課題、多様化、複雑化しております。

 そういった中で、学校の在り方、教育の在り方ということでしっかりとやっていかないといけないと思っておりますけれども、文科省としましては、児童生徒がまず多様化しているということ、また、学校が様々な課題、例えば働き方改革を進めていかなければならないとか、そういった様々な課題を抱える中にありましても、一人一人の能力また適性等に応じまして、その意欲を高めて、やりたいことを深められるような、そういった教育を行っていくこと、これは、まずは、学校教育において誰一人取り残さない義務教育を実現していくことが重要であると考えております。

 その上で、文科省として特に認識しておりますのが、今おっしゃっていただいた、特に不登校とか、それぞれ子供たちの抱えている課題も多様化している中で、こういった児童生徒への、一人一人へのきめ細やかな教育も重要になってくると認識をしておりますので、そういった子供たちへの教育の充実をしっかりと行っていきたいと思っております。

 具体的には、学校教育制度におきまして、不登校児童生徒の実態に配慮した柔軟な教育課程を編成しまして、きめ細かな教育が可能である不登校特例校の制度を創設しまして、その設置を促進をしております。

 加えまして、平成二十九年に設立しました教育機会確保法の趣旨を踏まえまして、児童生徒がフリースクール等の学校以外の多様な場で社会的自立に向けた学習等に取り組むことができるように、フリースクール等との連携を含めた教育支援センターの機能強化、また、フリースクール等民間施設における学習や自宅におけるICTを活用した学習を行った場合、一定の要件の下、指導要録上の出席扱いとできることとしております。

 文科省としましては、全ての児童生徒の社会的自立を目指しつつ、個々の児童生徒に応じた支援を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 先ほども数字が出ていました、年間二十万人の子供たちが不登校であり、自殺者が年間五百人出ていると。別に、これが全部学校の責任とはもちろん言いません。ただ、学校真ん中からこどもまんなかに変えるということも、今回、こども家庭庁の中に入っていないということではありますけれども、やはりそこは大事な視点だと思っています。

 それからもう一つ、最後に、やはり民主主義の育成ということを考えると、学校の場における児童生徒の声をきちんと反映をさせていくということがすごく大事だと思っています。このことについて、文科省のお考えを政務官からお聞かせいただきたいと思います。

淵上政府参考人 学校において実施される教育活動等の種類や特質に応じまして子供たちの主体的な関わりを確保するということは、教育的な観点から重要な意義を有していると考えております。

 例えば、校則に関しましては、その制定や見直しの過程で児童生徒が関与することは、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながるとともに、身近な課題を自分たちで解決する経験となるなど、教育的な意義があるというふうに考えております。

 文部科学省としては、昨年六月の事務連絡におきまして、例えば、生徒会活動、学級会活動を通じて校則を議題に取り上げるといったような先導的な取組事例を周知いたしますとともに、生徒指導担当者向けの研修会などでもその周知徹底に努めているところでございます。

 このほか、修学旅行などの学校行事などにつきましては、小中高の学習指導要領の解説におきまして、児童生徒の意見や希望も指導計画に反映させて、児童生徒による自主的、実践的な活動が助長されるようにするということを求めているところでございます。

 文部科学省としましては、引き続き、各学校において子供たちの主体性を生かした適切な教育活動が行われていくように取り組んでまいりたいと考えております。

森田委員 もし最後、政務官から、やはり学校の主体性というものを考えると、校長先生に例えば予算と権限を与えるとかということも含めて取り組んでいくべきだと思いますが、もしお考えがあれば最後お聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

鰐淵大臣政務官 ありがとうございます。これまでも、特に校則のことを含めまして質問等もいただいております。

 やはり、学校におきましても、一つの社会として、児童生徒がどのような学校生活を送るのか、また、その上、社会におきましてどのように活躍していくのか、そういったことを学ぶ上で、一つ、例えば校則ということで御紹介いただきましたが、そういったことを主体的に自分たちで、時代の様々な変化の中で考えて決めていく、見直しをしていく、こういったことも重要な取組だと思っておりまして、文科省もそういった通知もこれまでも出させていただいております。

 先ほどから議論があります、子供たち、児童生徒中心の学校生活が送られるような、そういった学校運営が引き続きできるように、文科省としてもしっかりと対応していきたいと思っております。

森田委員 こどもまんなかの教育の実現、期待しておりますので、よろしくお願いします。

 終わります。

上野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 こども家庭庁の議論をさせていただく前に、前回の質疑について少しお話をさせていただきたいと思っています。

 前回、私、組織論のお話をさせていただきました。今、これからつくられるこども家庭庁というものが、上意下達の上からの組織というもの、ピラミッド型の組織というものになるんですよねというお話だったかと思います。非常に私は昭和型な組織というふうに思っていますというふうに私は申し上げました。ただ、それには、このピラミッド型にはいい面もありますので、ハイブリッドのような形がいいのではないかというようなお話をさせていただいたんです。その際に、野田大臣の答弁の中で、堀場委員のお言葉をかりれば古臭い組織だというような御発言があったんですけれども、私自身は、このピラミッド型の組織というものに対して感情移入は余りなく、それが古くて臭いというような組織だというふうには思っておりませんので、そこだけは、訂正とは言わないんですが、私の言葉をおかりすればということだったので、私はそのような表現は、一応、目を皿にして読んだんですが、そういった表現は特にございませんので、そういった、ちょっと印象が悪くなるようなことはできればお避けいただければなというふうに思っております。

 私自身、こういう場でたくさんいじめの問題とか、ほかの先生方もいじめの問題というふうに捉えられるんですけれども、子供たちに、いじめをなくせ、いじめをするなと言うのであれば、私は、本当に大人が、大人の世界からいじめがなくならないのに、子供たちにいじめをなくせと言うのは非常に難しいなと思っています。

 なので、できれば、大人が、みんなが本当に前を向いて真っすぐいろいろな問題に取り組んでいくという姿勢を子供たちに見せていきたいなというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 今日は、発見機能としての学校ということで、学校組織についての議論を少しさせていただきたいと思っております。

 一番最初に、日本維新の会の子ども育成基本法の方で御質問をさせていただきます。

 日本維新の会の子ども育成基本法の中では、教育と福祉の一体化を目指しているということですけれども、学校はどのような位置づけになっているか、教えてください。

三木議員 堀場議員の御質問にお答えいたします。

 我が党の子ども育成基本法案においては、基本理念として、子供の教育に係る施策と福祉に係る施策とは適切に組み合わされ、一体的に行われることが確保されなければならないことを掲げています。

 福祉という観点からは、学校は、子供が長時間滞在する場所であることから、貧困や虐待などの困難を有する子供を発見する場所として極めて有用です。すなわち、学校の現場で発見された困難を有する子供をスムーズに福祉につなげ、その困難を解決していくことが重要であると考えます。

 もちろん、子供たちにとって、学校が安心して学べる場、楽しくお友達と遊べる場であることが子供たちの育ちに大切であることは言うまでもございません。福祉の手助けが必要な子供たちには福祉担当員が適切な支援を行い、教員の負担を軽減し、もって子供たちに適切な学びを教えることの一助となる、このような学校という現場での学びと福祉の連携が最重要であると考えます。

 また、いじめ事案につきましても、重大案件になる前に学校現場で迅速に対応することが必要です。事が起こってから調査、勧告を行うのではなく、重大案件にならないように未然に防ぐためにも、学校という教育現場に福祉の担当員を置くことは有用であると考えます。

 このような考え方の下、我が党の案では、教育など学びに関する国の施策と児童福祉など育ちに関する国の施策を一体的につかさどる組織として、教育子ども福祉省の設置に関する基本方針を定めることとしています。

堀場委員 ありがとうございます。

 私も学校にいたからというわけではないんですが、学校の先生たちが、表に出ていないいじめを本当にたくさん未然に防いでくださっているという面もある。確かに、重大な事案はたくさんありますけれども、それ以上に発生している日常的ないじめに対して、先生方が非常に真摯に取り組んでくださっていることによって助けられている命もあるというふうに私自身は考えておりますし、そういうところも目にしてきたところでございます。

 ですので、学校という機能が一つ非常に子供たちにとって重要だという認識の下、こども家庭庁は支援が必要な子供をどのように発見するのか、また、教育という分野と切り離しているということについて、こども家庭庁では、そこで発生している問題についてはどのように発見するのか、教えてください。

野田国務大臣 お答えします。

 支援が必要な子供を発見する場として学校は重要です。学校現場での教職員、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーが関係機関等による支援へとつなげているところですが、この対応を学校に任せ切りにせず、関係機関、団体が連携して、子供や家庭に支援を届けることが必要です。また、学校以外にも、地域における様々な相談支援機能が円滑かつ着実に役割を果たすことが重要です。

 さらには、支援が必要な子供や家族ほど、SOSを発すること自体が困難であったり、相談支援の情報を知らないなどの課題があり、子供や子育て当事者の視点に立った情報発信や、子供に関する教育、福祉等のデータを連携させて、支援が必要な子供を発見し、支援につなげていくことも不可欠です。

 こども家庭庁において、学校や教育委員会を含めた関係機関、団体から成る地域の支援ネットワークづくりを進めます。また、今国会で御審議をいただいている児童福祉法改正によるこども家庭センターの全国展開など、子供や家庭からの相談体制を充実します。さらに、支援が必要な子供や家族に対する、SNSを活用したプッシュ型の情報発信や分かりやすい広報の充実強化を進めます。加えて、デジタル庁や文部科学省等の関係省庁と連携し、地方自治体における子供データ連携を進め、支援が必要な子供を発見し、プッシュ型の支援を推進します。

 これらを通じて、支援が必要な子供を誰一人取り残すことなく、支援につなげるよう取組を進めてまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 とても盛りだくさんだったのでなかなか覚えにくかったんですが、児童福祉法の改正の部分、今、厚生労働省さんの方で審議中だと承知しているんですけれども、それでも、やはり、こども家庭センターというものが新しく創設される、そこからの支援につなぐというところでデータ連携のお話が出てきているところでございます。

 それも含めてなんですけれども、じゃ、学校の現場というところがどの程度、子供たちにとって有意義で発見機能があるのかというようなところを考えていきたいなと思っています。

 支援が必要な子供をどのように発見するのかということだったんですが、子供の貧困というものに着目した場合、大体気づくポイントというのが十個あるとよく言われています。

 子供の表情が暗くて乏しいであったり、給食の喫食状況、低体重、低身長、肥満、不衛生な身体状況、服装、子供と保護者との違和感のある距離、頻繁な欠席、遅刻、居眠り、問題行動、低い自己肯定感、病気がち、放置された虫歯、保護者が家庭生活や子育てを余り話そうとしない、保育料の滞納や納入金の遅延、給食費の遅延、こういったものが挙げられるというふうに言われているところでございますけれども、これらというのは学校現場で非常によく見つけることができるものではないでしょうか。

 学校の機能を充実させていく方が、よりスムーズな支援につなげることはできませんかというようなお話でございます。

 日本維新の会が、先ほど三木圭恵議員によって御説明していただきました、学校の中でも福祉的な人材を投入することで、教員の働き方改革を実現するとともに、子供たちのこういった貧困であったりSOSを見逃さないというようなことを考えているところでございます。

 先ほど野田大臣もおっしゃっていました、支援を要求できない子供たちというのは非常にたくさんいて、例えば、今ここにある状態が当たり前だと思っていると、これが支援に値する状態にあるということに判断がなかなかできずに、支援要求ができない子供たちというのはたくさんいます。ということは、子供が真ん中にいても、周りの大人が気づかなければ、彼らに対して支援の手は届くことはありません。

 なので、様々な、子供たちの方からのSOS、周りの大人の、親からの、保護者からのSOS、これのキャッチというのはできるんですが、探し当てるという機能はやはり学校に一番重きが置かれるべきではないかというふうに考えております。

 子供の貧困について、こども家庭庁の方では、これは私、ちょっと、通告に入っていましたか。入っていましたか、よかったです。子供の貧困について、こども家庭庁の方ではどのようにされていくのか、教えてください。

野田国務大臣 貧困状態にある子供についても、支援が必要な子供と同様に、支援が行き届きにくいとの課題がありますので、こども家庭庁においては、学校現場の気づきを支援につなぐ地域の支援ネットワークづくりや、子供や家庭からの相談窓口の充実、情報発信や広報の充実強化、地方自治体における子供データ連携によるプッシュ型支援の推進などの取組をしっかり進めてまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 学校との連携の地域ネットワークということであれば、それは、学校側で担うのは教員という認識でよかったですか。

野田国務大臣 教員も、スクールソーシャルワーカーとか、先ほどお話があったカウンセラーとか、もろもろの方たちです。

堀場委員 今、現状として、スクールカウンセラーは週に一度若しくは二度の配置で、とてもとても足りないというのが現場の声だというのは、恐らくたくさん議論として見受けられるものだと思います。SSW、スクールソーシャルワーカーにしても同様で、必ず文部省の予算の中でついている、福祉を担っている、この二つのお仕事をされている人たちというのは、学校現場の中で非常に十分足りているという状況にはありません。

 ということは、今の現状として、彼ら若しくは教員の負担感があるんですけれども、それらのところからの吸い上げということであるならば、それはちょっと子供たちを発見するには機能が弱いのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

野田国務大臣 スクールソーシャルワーカーの配置について文科省が今取り組んでいるので、しっかり連携して取り組みたいということです。

堀場委員 私自身は、もしこども家庭庁ができた場合、学校の現場に、こども家庭庁の、つまり、福祉的な部分のお金で、学校の現場に予算で人を投入するようなことはできないんですかという話をレクのときにはさせていただいていて、もっと現場に入れたいけれども、文部科学省の予算では入れられないこれらの福祉的な業務ということであるならば、是非そういったことも御検討していただきたいなというふうに思っているところでございます。

 よく学校の教員が持つ一クラスの人数を減らしましょうというお話が、ここでもたまに議論に上ります。中学生の四十人というのはもってのほかですので、減らさなければならないんですけれども、とても少なくなっても教員の負担は実は余り減らないというのが私の感想です。

 というのは、余りにも福祉的な業務が多いです。福祉的に支援が必要な家庭若しくは子供というのが一昔前よりも非常に多いので、たとえ二十人学級になったとしても、先生方の福祉的な業務からの免れがなければ、やはり、指導法、新しい指導法、新しい評価、新しい何々、何々ということをずっとやっていらっしゃる先生たちに、更に福祉的な業務となったときの負担感というのは減らないというふうに考えておりますので、この福祉的な業務を減らすという観点から考えると、仮にこども家庭庁ができた場合でも、できることはもっとたくさんあるのではないかなというふうに考えております。

 こういった専門職と協働型の学校のプラットフォームということで、静岡市の取組について少しお話をさせていただきたいなというふうに思っています。

 静岡市では、部局間の連携会議というものを置いて、子ども未来局、教育委員会、福祉保健長寿局の三つで構成されている部局間の連携の会議を設置して、総合教育会議というものと併せて貧困対策の推進をしているというところだとお聞きしています。

 それは、一番のポイントは、学校の課題発見や共有の能力を向上させることで支援の必要な子供たちを発見していって、そのまま支援につなげていこうという取組であります。

 また、スクールソーシャルワーカーの職務を見える化する。どんな職務をする人かということをよく子供たちにも周知することで、支援が必要な子供たちからのSOSの手をしっかりと握り返してあげるようなシステムをつくるというふうな取組をされているかと思います。

 こども家庭庁ができた場合、こういった取組についてどのようにお考えか、教えてください。

野田国務大臣 今お話にありました静岡市では、スクールソーシャルワーカーが全小中学校に巡回できるように配置、スクールソーシャルワーカーと学校教職員の役割整理を行い、その役割を教職員や保護者、児童生徒に周知すること等により、貧困を始め困難な状況にある児童生徒に教職員が気づき、スクールソーシャルワーカーを通じて学校外の支援につなぐ仕組みを機能させているものだと承知しております。

 子供の貧困対策に関する大綱で掲げている、地域に開かれた子供の貧困対策のプラットフォームとしての学校の好事例であると考えています。

 これまで、政府では、大綱に基づいて、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や、その活用に係るガイドラインや活用事例集の作成、周知、学校と自治体の虐待相談窓口等の連携の強化などに取り組んできたところです。

 昨年末に閣議決定いたしました、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針、ここにおいても大綱と同様に、学校を地域に開かれたプラットフォームとして位置づけており、私としても、こども家庭庁創設後も、文部科学省など関係省庁と連携しながら、学校と連携した子供の貧困対策を推進していくことが重要だと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 縦割りではない連携を強調すること、縦割りではできないんだよ、縦割りではない連携というものをしっかりとやることで、こういったいい事例として、プラットフォームについて学校のプラットフォームができているというふうに認識しています。

 これは、日常的な連絡相談や信頼関係や、そういったものの構築が意識レベルでできているということがポイントになっているということなんですね。こども家庭庁ができても、こういった取組について推進していく、前に進めていく、たくさんやっていきたいというふうにおっしゃられるのはもう当然だと思っているんですけれども、これを、じゃ、こども家庭庁としてどういった関わり、つまり、強い司令塔機能、上下の関係ではなかなか私はつくり出すことはできないんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 今、横並びになって情報交換をすることで、つまり、縦割りの壁に穴を空けることでうまくいくというような方法が見つかったのではないか。つまり、壁を取り除く、なくなる、一つになるとうまくいくという事例だと認識しているところです。

 こども家庭庁という強い司令塔機能を持つことが、逆にこういった事例に対してうまくいかなくなるんじゃないかなという心配をしているんですけれども、そういった懸念についてはどのようにお考えか、教えてください。

野田国務大臣 先ほど答弁いたしましたけれども、学校現場に任せ切りにせず、学校や教育委員会と地域の関係機関、団体とが連携することが不可欠です。

 こども家庭庁においては、学校や教育委員会を始め、児童相談所などの児童福祉機関、地域のNPOなど様々な関係機関、団体から成る地域の支援ネットワークづくりを進めることにしています。具体的には、要保護児童対策地域協議会における有機的な連携の促進とか、子ども・若者支援地域協議会の設置促進と機能強化に取り組んでまいります。

 さらには、学校現場の気づきなど、定性的なデータを含めて教育のデータを福祉等のデータと連携させる、そして、真に支援が必要な子供や家庭をニーズに応じたプッシュ型の支援につなげるための地方自治体における子供データ連携の取組を推進してまいります。その際、教育や福祉等のデータは国民の究極のプライバシーであり、国民の理解を得ながら、データ連携の在り方について検討を進めてまいります。連携を重視して取り組んでいくということになります。

堀場委員 私が様々質疑をさせていただいているところで、やはり連携をすると。縦割りを打破する、縦割り行政の打破という目的でこれをつくるんですけれども、今まで連携がうまくいかなかったからこういう形になりましたというところで、このこども家庭庁ができると認識しているんですが、では、上下になったら何がうまくいくんですかというと、勧告権があるとか強い司令塔機能がある、調査権がある、こういったところでうまくいくんだという筋ですよね。でも、やはり別部隊なので、連携をするという形になっていく。

 全てを連携するには合理的ではないというお答えだったんですけれども、全てを別にネットワークとしてやるといって、では、先ほど出ていた要対協が児童の虐待についてそれだけ、何人かというところも細かいデータもありますけれども、そういったことが本当に今機能しているのかというふうなことを厚生労働省に聞いたときに、機能しているところもあれば機能していないところもあると。では、機能しているところの子供たちは救われるけれども、機能していないところの子供たちは救われないのかというふうにやはり差が出てきてしまうというのが、私がネットワークでやるといったときのちょっとした不安です。

 やはり、その差が出ない、もちろん学校でもあるんですけれども、学校という教育の現場は、もちろん特色ある学校教育をされているんですけれども、一定の質というものは担保されていると思っています。ということは、やはり学校という既にあるものを使った支援を、こども家庭庁という組織になったとしてもやっていくという方法を模索されるべきではないかなというふうに考えています。

 周りの大人が気づいて、それをつなげて、続けて、それが育むということになるんだと私は思っていますので、こどもまんなか社会というのは、子供を真ん中に集めてきて、子供たちを自由にさせるということではなくて、やはり周りの大人が気づく、それをつなげていく、しっかりとそれを続けていくというこの三つが大事だと思っています。

 学校を支援の入口というふうにするならば、末端に機能がないわけですよね。今、こども家庭センターができれば、それはこども家庭庁の末端の機関なんですかといったら、そうではないということなので、末端の、そういう手足になる部分がこども家庭庁には今のところないということならば、こども家庭庁を創設するよりも、文部科学省と厚生労働省、地方自治体レベルも含めて一緒になっていく方がいいと思うんですけれども、それについて御意見をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 様々御意見やお考えがあると思います。ただ、共通していることは、これまで、日本の国の政治の中にあって、子供を中心とした施策、政策、予算立て等々がやはりなかったということが第一番の問題でございます。

 そういうことを含めて、かつてのケースでいうならば、ばらばらということであれば、消費者行政というのは大変な格差がありました。きちっとしているところでは、消費者がしっかり保護されて、啓発活動もあり、ただ、全く消費者行政に関心のない地域ですと、やはり多くの御老人が詐欺に遭ったり、そういうことが大変起きたんですが、消費者庁を創設して、全国展開、平準化させていくことでやはり地域間格差というのはなくなってきていました。

 まさに委員が御指摘のとおり、子供の世界の中でも今は格差が相当あります、教育の場においても。極端な例を言えば、義務教育でも入学できないところもあれば、様々な手だてを講じて、どんな子でも学校に行かせるという、地域間格差というのは大変あります。

 そういうのをしっかりと平準化させて、どの子でも、子供目線に立って、例えば未就学も、子供が認定こども園や保育園を選ぶんじゃないんですね、親の関係で選ぶ中で。ただ、行った子供は、どの園にしても同じだけの保育を受けて、同じだけのやはり学びがないと子供視点とは言えませんね。そんなことをやはりしっかりやっていくために、こども家庭庁という司令塔機能、そして、全国をしっかりと見届けられる、国が責任を持って取り組む、そういう組織体というのは絶対必要なんだと。

 今までしっかりと取り組んでくれていた好事例の学校やそういうところをしっかり他のところへお伝えすることで、やはりそういうよき習いを増やしていくこと、これがやはり連携。ただ単に地域の団体を連携するということではなくて、やっていないところとやってきたところをしっかり連携させて、水準を上げていく。

 子供にとって、どこでも同じ育ちが受けられる、学びが得られるということがこども家庭庁にとって必要で、そうなっていくと、単に文科省と厚労省の一部をつけるだけではなく、安全、安心であれば警察であったり、様々広がってくるわけですね。

 そこを考えたときに、総合調整ということで一段上の、全ての省庁に、監督権を背景にしていろいろ、アドバイスから始まって最終的には勧告権、それぐらいの強い権力を持った総理大臣の下のこども家庭庁というのが機能するのではないか、そういうことを是非御理解いただいて進めさせていただきたいと思っています。

堀場委員 ありがとうございます。

 私も、学校という現場が一番子供たちに、一般的な子供たち、たとえ障害があったとしても、一般的な子供たちには非常に近いところにある存在だと思っています。そこに行くのが嫌だ、行きたくないという子もたくさんいるのも重々承知していますし、行きたくても行けない子がいることも重々承知した上で、それでもやはり子供たちにとっては学校という場が非常に重要で、給食なんかも喫食状況によっては本当に一目瞭然で子供の状況が分かる一つの目安になっているところです。

 私がさっき言っていました、もしこども家庭庁ができたならば、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを是非こども家庭庁の予算で入れてはくれないかなというふうに私は思っています。

 というのは、もうそれぐらい先生たちは限界を超えています。子供たちにとって一番必要なことは大人にゆとりがあることなので、心にゆとりがない状態で先生たちがどうしても接しなければならない。二十三とか二十四しか仮に児童数がいないクラスを持っている担任の先生でも、一人でも二人でも支援の必要な子供がいたならば、その対応に手を取られる、もう一人欲しいというところだと私は思っています。

 三十人程度学級であっても、三十五人程度学級でも、そこに福祉的な業務を担う担い手がいることで、先生たちは本当に救われるし、相談する相手もいる。そういったことも全部含めると、やはりそういった福祉の手を学校の中に入れていくという決断をしていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 子供政策を総合的に考えていく上で、私は、学校や教育、つまり文部科学省がやはりその中に入っていないということは、どう考えても私の中では考えられないというふうに思っています。それは、やはり子供にとって学びというものと育みを分けることができないということが大きな理由です。やはり、こどもまんなかで、子供のためというのであれば、そこは一体化するべきだと私自身は思っていますけれども、こういったことを今、日本維新の会としては対案として出させていただいているところでございます。

 ただ、野田大臣がおっしゃっているその思いももちろん分かりますし、そういった子供の政策について今後もどんどん議論をさせていただくことで、いろいろなものが前に進んでいけばいいと思っています。

 ちょっと一分ぐらいあるので、もし、ソーシャルワーカーとスクールカウンセラーについて前向きに取り組んでいただけないか、御意見があったらお願いします。

野田国務大臣 延長の答弁ということになるんですが、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーについては、児童生徒個人に働きかけるだけでなくて、学校組織など組織にも働きかけ、学校の教育相談体制や生徒指導体制の中でそれぞれの専門性を発揮していくことが重要であります。

 その上で、福祉的な支援が必要な児童生徒については福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーが、また心理的な支援が必要な児童生徒についてはスクールカウンセラーが、それぞれ教職員と緊密に連携を図りつつ、チーム学校として組織的、計画的に対応する必要があります。

 このような学校が一体となった取組を推進する観点から、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーについては、学校教育を担う文部科学省が引き続き責任を持って所管する必要があると考えているところです。

 そういう配置についても、引き続き文部科学省がしっかり充実に努めていくものだと考えています。

堀場委員 ありがとうございます。

 もしそれが答えなのであれば、なおさら、やはり学校がプラットフォーム化していくためには、一体化した組織としての教育子ども福祉省というところで頑張らせていただきたいなというふうに思うところです。

 本日はありがとうございました。

上野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 野田大臣、関係各所の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 先日、ツイッターで、米国の著名な起業家であるイーロン・マスク氏のつぶやきが話題になったんですけれども、御存じでしょうか。二〇二一年十月時点で日本の総人口が一年前より六十四万四千人減り、過去最大幅の減少となったことに関するニュースに関連してのツイートでした。出生率が死亡率を超えることがない限り、日本はいずれ消滅するだろう、これは世界にとって大きな損失となるという内容で、様々なメディアでも話題となりました。

 こどもまんなか社会を目指していこうとしている中、我が国に生まれてくる子供たちがどんどん減ってきている。この事態にどう対処していくべきかということで、本日は少子化対策について質問をしてまいりたいと思います。

 まず、少子化の現状について、少しおさらいをしてまいりたいと思います。

 二〇二二年四月一日時点の日本の子供、十四歳以下の人口は千四百六十五万人、これが前年比で、四十一年連続で、マイナス二十五万人となっております。また、子供の総人口に占める比率ですけれども、一九五〇年における子供人口の割合は全人口の三五・四%だったんですけれども、現在、一一・七%に激減をしております。

 また、二〇二一年の出生数、こちらは速報値になりますが八十四万人と、新型コロナの影響もあり、六年連続で最少になっております。ちなみに、第二次ベビーブーム期の一九七三年には約二百十万人でした。

 ということで、このように、子供の数は減り続けてきたんですけれども、状況は一向に改善されてきておりません。

 一方で、人口が減少しても、テクノロジーの活用などによって生産性を高めることができれば問題ないというような意見もあると聞いております。

 こんな意見もあって、正直なところ、政府が本気でこの少子化問題を解決していく気があるのかどうか、ここも含めて、これまでの政府の少子化対策に関する評価、どう総括をしているのかということと、少子化に関する現在の課題認識について、野田大臣にお伺いをいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 政府では、これまで、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化、高等教育の修学支援など、様々支援を充実させてきたところであります。

 一方、御指摘の二〇二〇年の出生数は八十四万八百三十五人と過去最少となっており、少子化の進行、人口減少は我が国の有事ともいうべき大きな課題であると私は認識しております。

 少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が実は絡み合っています。

 このため、少子化社会対策大綱に基づいて、安定的な財源を確保しつつ、結婚支援、妊娠、出産への支援、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域社会による子育て支援、多子世帯への支援を含む経済的な支援など、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組むことにより、今後も、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。少子化は有事と認識しているということでした。

 様々な要因が絡んでいて大変複雑で、なかなか解決が難しい問題かと思うんですけれども、これまでの政府の議論を見ていますと、結婚した後、パパ、ママになった段階からの支援が割とこれまで手厚くなってきているような印象を受けております。出産育児一時金ですとか、あと子育ての保育園無償化など、まさにその例かと思います。

 様々なステージを包括的に支援をしていく必要があることは十分承知をしておるんですけれども、その一方で、その前段階、特に結婚したくてもできないといった方々の支援はどうなっているのか。

 お手元の資料一、こちらを御覧いただきたいんですけれども、簡易的な試算によれば、現在十八歳から三十四歳の人口二千百五十万人のうち、結婚したくてもできない方々の数は約四百五十万人程度に上るといったことで、結構な数字だなと思うんです。

 少子化対策に向けて、出産、子育て支援に加えまして、結婚など、その前段階での支援が重要と考えるんですけれども、この御見解、野田大臣にお伺いいたします。

野田国務大臣 おっしゃるとおり、少子化の原因としては、未婚化、晩婚化の進行や夫婦の持つ子供の数の減少等がありますが、その背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っていると考えています。

 そのような中で、夫婦の持つ子供の数は、一九七〇年以降おおむね二人前後で推移していることから、少子化の原因として、特に未婚化、晩婚化の影響が大きいと言われており、結婚の希望をかなえるための支援は重要であると考えています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今、野田大臣からも、未婚化、晩婚化が少子化に大きな影響を及ぼしている、また、その背景として結婚できない現実があるとの認識を示していただけたと思っております。この点に関しまして、私自身、政府による過去の支援というのが不十分だったんじゃないかなと思っております。

 そこで、過去の結婚支援に向けた施策に関する総括及び評価、これがどのようなものになっているのか、また、特に政府の結婚支援策の費用対効果等についてもお伺いをできればと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの人々が、いずれ結婚することを希望しながら、適当な相手に巡り合わないですとか資金が足りないなどの理由で、その希望がかなえられていない状況にございます。

 このため、若い世代の結婚の希望が、希望する年齢でかなうよう環境を整備することが重要であり、その旨、少子化社会対策大綱にも盛り込み、雇用の安定など若い世代の経済的な基盤の安定を図るとともに、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援など、地方公共団体が行う結婚の希望をかなえる取組を支援をすることとしております。

 内閣府では、結婚の希望をかなえるための公的な支援に取り組むべきとの声も多いことを踏まえまして、出会いの支援が重要であることから、地域少子化対策重点推進交付金を活用いたしまして、自治体の結婚支援センターによる取組を支援をしているところでございます。

 こういった取組の費用対効果を直接申し上げることはなかなか難しいのですが、私ども内閣府の調査によりますと、自治体の結婚支援センターにおけるマッチング数ですとか成婚数等の実績につきまして、各自治体で把握している限りの数字にはなりますけれども、令和二年度の実績で、マッチング数で三万二千十八組、成婚数では千七百四十八組というふうな数字を把握をしております。

 いずれにしましても、結婚は個人の自由な意思決定に基づくものである点に十分留意しながら、今後とも、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備に取り組んでまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 ここまで過去の少子化対策についてお伺いしまして、少子化問題について、未婚化、晩婚化が大きな原因の一つであるという認識も示していただきましたし、今、マッチングの支援なんかもやっているといったお話もいただきました。

 未婚化、晩婚化については、価値観の変化、お見合い件数の減少など、様々な要素が絡んでいると思いますけれども、そもそも、結婚したくても、経済的に厳しい若者が増えていることが根本的な原因なのではないかなと思っております。

 直接的な結婚支援だけではなくて、若者の所得そのものを増やすための抜本的な対策こそが必要であることを、ここで問題提起をしていきたいと思います。

 私、今、東京都の北区に住んでおるんですけれども、この東京都北区、何と男性の生涯未婚率が三九・五%、東京二十三区でナンバーワンと言われております。

 先日、この北区に住んでいる私の友人、三十代後半の男性で婚活中なんですけれども、話をしたところ、マッチングアプリで頑張って婚活をしているんだけれども、女性に対して男性が非常に多い上、男性は年収でフィルタリングをされてしまってなかなかマッチングが難しいと。低年収、彼は年収五百万円未満と言っていたんですけれども、なかなか、年収が低いと、相手を選ぶどころかプロフィールも見てもらえないと。私、結婚相談所がいいんじゃないかと言ったんですけれども、そうしましたら、男性は年収五百万円が最低ラインで、女性も会費を払って身銭を切っているので、最低そのくらいの相手を見つけないと割に合わないと思っている節がある、そうした話がありました。

 要は、収入がないとマッチングの土俵にも上がることができないという、こういった声があるのが実情であります。

 一方、女性の求めるスペック、これが高過ぎるという声も男性側から上がってきているんですけれども、女性の視点に立つと、妊娠、出産、育児を考えると、最低一年間は、もしかしたら三年ぐらい働きづらい状況ですので、一定の収入を気にするのも仕方ないなと思っております。

 そこで、マクロのデータを見ていきたいんですけれども、資料二を御覧ください。結婚したくてもできない理由として、経済的な理由が年々増加をしております、二のところですね。一番、適当な相手に巡り合わない、この要因、今るるお話し申し上げましたけれども、そもそも、女性が求める男性の年収と実際のギャップ、これが存在していると思います。

 そして、資料三になるんですけれども、経済的な理由のところですが、三十年前に比べて、実質賃金、こちらは約二割減少してきております。

 また、めくっていただきまして、資料四では、税、社会保険料、こちらの負担、四十年間で約三倍になっていると言われています。これは、若者、あと低所得者の方ほど高負担になっていると言われております。

 結果として、この資料五のとおり、可処分所得で見ますと、所得の減少幅は更に拡大しておりまして、三十年前と比較をすると、手取り収入は約三割減少しております。

 このような経済的に困難な状況にありまして、若者の結婚支援、マッチング支援をしたとしても効果は非常に限定的で、焼け石に水なのではないかなと思っております。

 本質的には、こちら、日本維新の会で日本大改革プランというものを提示させていただいておりますけれども、若者が安心して結婚したい、さらには子供をつくりたいと思える収入が得られる社会の実現に向けて、税制、労働市場、社会保障の一体改革が必要だと考えております。

 労働市場を流動化させることによって適切な人材移動がなされ、そのことによって企業の人材雇用のインセンティブも向上して賃金も上昇していく。そして、正社員と非正規の格差、また世代間の格差も是正していく。単に流動化させるだけではなくて、しっかりとベーシックインカムで最低所得保障をして、セーフティーネットを整えて、その上でチャレンジをしていただく。

 このような労働市場、社会保障の一体改革を進めて、若者の所得向上を図っていくことこそが少子化対策として不可欠だと考えるんですけれども、野田大臣の御見解をお伺いいたします。

野田国務大臣 御指摘のとおり、若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備は非常に重要な課題であると受け止めています。

 そして、今お話がありました、男性の年収別有配偶率を見ると、いずれの年齢層でも一定水準までは年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高い傾向にあることから、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することは重要であると考えます。

 政府では、少子化社会対策大綱に基づいて、若い世代の経済的基盤の安定を図るため、若者の雇用の安定や非正規雇用対策の推進などに今取り組んでいます。例えば、わかものハローワーク等におけるフリーターの正社員化支援、正社員転換等を行う事業主へのキャリアアップ助成金による支援、そして同一労働同一賃金の実現を通じた非正規雇用労働者の処遇改善、まだまだやれることはあると思いますが、今後も、関係省庁と連携しつつ、結婚の希望をかなえるための取組を含め、総合的な少子化対策を進めてまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 少子化対策に向けては、より抜本的に、かつ政府が一丸となって取り組んでいくことが重要だと考えております。まず若者の所得向上が重要、そして所得向上のためには、今の社会の構造自体の改革、つまり税制、労働市場、社会保障の一体的改革が必要だと思っております。

 野田大臣、この少子化対策のために、関係省庁に働きかけて、さきに申し上げたような抜本的な改革を進めるリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですけれども、是非、意気込みの方をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 こども家庭庁は、今こそ子供政策を強力に推進して少子化を食い止めるとともに、一人一人の子供のウェルビーイングを高め、社会の持続的発展を確保しなければならないとの認識に立って創設するものです。

 政府提出法案において、こども家庭庁の所掌事務として、結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項に関する企画立案、総合調整を規定しています。

 こども家庭庁において、これまで内閣府や厚生労働省等に分散していたそういう司令塔機能を一本化して、各省庁より一段高いところから、労働政策や社会保障政策への必要な関与も含めて、少子化対策の企画立案、総合調整を行います。結婚支援から妊娠前の支援、妊娠、出産の支援、母子保健、子育て支援、子供の居場所づくり、困難な状況にある子供の支援などの事務を集約して自ら実施します。

 今後、こども家庭庁の下で子供政策を我が国社会の真ん中に据えることで、子供をめぐる様々な課題を一元的に中長期的な視点を持って進める中で、少子化対策を強力に進めるために必要な政策については、国民各層の理解を得ながら幅広く検討を進め、安定財源の確保を図りつつ、しっかり充実をさせていきます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 しっかり統合調整機能を果たしていくという力強い御答弁をいただいたと思います。引き続き御議論してまいりたいと思います。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

上野委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会の早坂敦です。今回、貴重な時間をいただいて、大変恐縮いたします。よろしくお願い申し上げます。

 私は、地元の宮城県にて仙台市議会議員を務め、そしてまた、放課後デイサービスで児童指導員としても働いていました。地方議員の経験と、また現場目線、その観点も踏まえて質問をさせていただきます。

 私たち日本維新の会は、幼保一元化を主張しておりますが、幼稚園にも保育園にも通えていない未就園児が多数いると言われている事実を忘れてはいけません。国としてどこまで把握しているのか、どのような支援、措置を取ってきたか、そして今後について伺います。

川又政府参考人 お答えします。

 未就園児、まず、その数でございますけれども、小学校就学前の児童のうち、保育所や認定こども園、幼稚園に就園していない児童、いわゆる未就園児の数は約百八十二万人と推計されております。このうち九七%がゼロ歳から二歳児でありまして、これはゼロ歳から二歳児の児童の人数に対する割合で見ますと約六割という状況になっています。この未就園児のうち、保護者が就労しているなど保育の必要があるにもかかわらず保育所に空きがない待機児童ということで見ますと、五千六百三十四人でありまして、その九割がゼロ歳から二歳児となっております。

 保育の必要がある児童が保育所を利用できるように、引き続き、受皿の整備を進めるとともに、家庭養育の支援など併せて取り組んでいるところでございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 やはり、特にゼロ歳児から二歳児までの待機児童というのは大変多くて、私も地方議員時代に大変相談がありました。やはり、今、共稼ぎが多くて預けるところがないという、そして、人材不足であって、仕事場も大変苦労しているという方々が多いです。

 それで、昨日、仙台市の郡市長が記者会見で、十四年かけて認可保育園と小規模事業者を三・六倍、四百二十一か所に拡大し、待機児童をゼロにしたと、そこまでの経緯、取組を発表しました。しかし、四百二十八人の隠れ待機児童もいるという話もありますが、現場目線も大切です。地方自治体の地道な取組や成果を精査しながら国の施策として生かしていただきたいという思いです。

 次に、幼稚園や保育園は、子供にとってセーフティーネットではないかと思います。義務教育年齢が引き下がれば、保育園にも幼稚園にも行くことができない子供たちが行き場を失うことが防げるのではないでしょうか。そして、地域社会から取り残される子供たちを減らすことができるのではないでしょうか。私たち日本維新の会は、義務教育年齢引下げの議論と併せ、幼保一元化に係る課題として根本から向き合うことをしております。

 大臣に伺います。

 義務教育年齢引下げについてはどうお考えなのか、お願いいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 乳幼児期の教育及び保育は、子供の健全な心身の発達を図りつつ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。

 このため、幼稚園、保育所、認定こども園に通う子供はもとより、いずれの施設にも通っていない、今委員がお話をされている未就園児をも含め、小学校就学前の全ての子供の成長を支えることが必要であります。

 こども家庭庁においては、子供の育ちを支える際に留意すべき事項等を、就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針、まだ仮称ですが、として閣議決定をし、政府内の取組を主導して、認可外施設を含む全ての施設や保護者に周知、普及を図るとともに、未就園児の実態把握を進め、市町村等と連携して、子育て支援サービスや、幼稚園、保育所などへの就園につながるプッシュ型の支援などを進めてまいります。

 なお、義務教育の年齢の引下げについては、先日の本会議で総理から答弁がございまして、様々な観点から多角的かつ慎重な検討を必要とする問題であり、今回のこども家庭庁の設置と併せた検討は行っていません。

 実は、未就園児というのは、私も自らの子供を育てる中で、改めて自分で理解したところなんですけれども、みんな、ほぼほぼ行っていると思い込んでいるんですね。

 だけれども、今お話しのように、様々な事情で行けていない子がいて、行きたくても行けない子とか様々いるということが、ちょっと今まではきちっとした議論になっていなかったので、こども家庭庁は、やはり、そこを非常に重要に思っていて、全てのスタートライン、園に行っていても行かなくても、またどの園であっても、子供たちに差ができないよというのが、このこども家庭庁のまず大きな柱の一つであります。

 義務教育という議論もありますが、まずは中身の充実、しっかり実態を捉えていくということに専念していきたいと思います。

早坂委員 ありがとうございます。是非前向きに進めていただきたいと思います。

 次に、子供たちのケアが届くのは学校の中です。しかし、今の学校には福祉的な視点が欠如していると思います。

 維新案では、新組織を設置し、同一組織内に、一番重要な教育と福祉を所管する部局を置いた上で、同一大臣の下で総合調整を図るとしております。

 こども家庭庁の設置において、どのように学校の福祉的機能強化を図っていくのか、そして、教育と福祉の連携を実現していくのでしょうか、伺います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、小学校の就学前についてのお話もございました。

 今回、幼稚園と保育所という、それぞれ、学校それから児童福祉施設の位置づけのあるものについて、こども家庭庁が片や所管し、文部科学省が片や所管するというのが政府の提案でございますけれども、小学校就学前の子供にとりまして一番大切なのは、施設類型を問わず、しっかりとした教育、保育がどこの施設においてもなされるということであろうというふうに考えております。

 このため、政府案におきましては、学校教育法及び児童福祉法に、両省庁が相互に法律上の協議を行いまして、幼稚園における教育の内容、あるいは保育所における保育の内容を定めることとする規定を新たに設けることとしてございます。

 これによりまして、例えば、幼稚園においても福祉的な要素が、それから、保育所においても教育的な要素が、それぞれ盛り込まれることになることが期待されまして、施設類型を問わず、共通の教育、保育を制度上担保し、質の一元化を図ることが可能となるというふうに考えております。

 ただ、今申し上げたのは基準をどう作るかの話でございまして、更に大事なのは、そうした基準が現場の幼稚園や保育所、認定こども園でしっかりと生かされるということでもあるというふうに考えてございます。

 そうした、それぞれの特色を生かした取組がしっかりと一元的に進められるように、教育、保育の内容面についての、例えば研修を支援するとか、自治体を通じた現場への指導助言を行う体制をこども家庭庁においても構築するという必要があると考えてございまして、今後、しっかりそれらの点についても検討をしてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 日本維新の会は、文科省、厚労省など、子供たちの施策担当部局を統合した教育子ども福祉省の新設を含めた議員立法を提出しております。本当の意味で、子供たちのためにしっかりとした組織を新設していただきたいという思いです。

 次に、いじめの問題における地方自治体との連携についてお伺いします。

 こども家庭庁では、いじめ問題に対して、教育行政を担う文科省と緊密な連携を図り、地方自治体においても、首長部局と教育委員会の連携は重要としておりますが、具体的な連携の在り方はどのように変わるのでしょうか。きちんとできているのか、誰が評価するのか、そして、いじめの防止、解消が図られるのか、大臣に伺います。

野田国務大臣 いじめ防止等の対策については、いじめ防止対策推進法等に基づいて、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組が進められている一方、こども家庭庁においても、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、子供のいじめ防止等の対策を新たに担うこととしています。

 その上で、文部科学省との間では、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針を文科省が策定、変更する際の関与、いじめ重大事態への対応に際しての文科省との情報共有、連携した対策の実施、必要に応じた勧告権の行使などを行っていくこととしています。

 また、こども家庭庁は、地方自治体における相談体制などの体制づくりを推進することとしており、今後、各自治体におけるグッドプラクティスを把握、普及することも含めて、自治体における具体的な取組や体制づくりを支援してまいります。

 こどもまんなかという発想の下で、いじめ問題へ、対応について多くの人たちが関わっていけるよう、こども家庭庁が文部科学省や地方自治体と連携を図りながら、しっかり取り組んでまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 このいじめの問題は、大変、これからまだまだ取り上げられる重要な問題だと思います。

 それで、私、先日、文部科学委員会で質問させていただいたんですが、仙台のいじめ問題でも、学校側は初め認めず、重大事態を認定するまで大変時間を要してしまいました。

 また、二〇一九年の、北海道旭川市で中学二年生の女子生徒が凍死死体で発見されるという痛ましい事件がありましたが、一年を経てようやく、市教委が第三者委員会を始めいじめを認定しました。

 学校には裁量権、判断権限はありますが、それを外部からチェック、是正する権限はありません。本来は、学校や市教委が自浄能力、自浄作用で解決すべきでありますが、できていません。

 これは、同じようなことが繰り返しておりますので、隠蔽を表に出させる強い権限が必要ではないかと思いますが、いかがですか。伺います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 いじめの認知につきましては、いじめ防止対策推進法及びこれに基づき定められたいじめの防止等のための基本的な方針におきまして、いじめの疑いのある段階からの早期対応、あるいは、個人でこれはいじめじゃないといった判断を行うのではなく、学校内での組織的な状況の共有を行うことが重要とされております。これを踏まえ、学校において適切に対応することがまずもって必要だと考えてございます。

 こうした取組が進められるよう、いじめ防止対策推進法などの周知徹底や、教育委員会それから学校の取組への支援が重要でございまして、これらにつきましては、引き続き、文部科学省を中心としてしっかり行っていただく必要があると考えてございます。

 一方で、委員御指摘の、児童等の生命身体などに重大な被害が生じるような、いわゆる重大事態に至る、この場合には、調査を行ったりというような、いじめ防止対策推進法に基づく特別のルールがございますけれども、これらにつきましては、委員御指摘のとおり、公平性の確保をどうするのかといったような様々な課題があるというふうに認識しています。

 こども家庭庁が設置された後には、重大ないじめ事案に関しまして、文部科学省から必要な情報の提供を受けるとともに、地方自治体の中でも、教育委員会のみならず首長部局での情報共有を促すといったことや、学校の設置者等が行う調査に当たっての第三者性をどう確保するかといったこと、あるいは、運用をどのように改善するかといったことについて、文部科学省と連携をして取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 具体的なそうした事務の実施方法につきましては、今後、こども家庭庁が実際に設置されるまでの間に、文部科学省とも連携をしながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 この仙台市のいじめ、重要事態になるまでに、その児童が欠席して、登校拒否して、三十日間じゃなくて、実は重要事態になるまで三か月かかったと。これは本当に大変な問題であります。

 そして、今のいじめは大変本当に陰険にもなりつつ、SNS等、私も二人の子供がいまして、もう成人していますが、そのときの、いろいろPTAとかやっていまして、いじめの問題というのはまた本当に大変な、重大な問題だなということは思いますので、これから是非しっかりと取り組んでいってあげて、お願いしたいと言わせていただいて、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 野田大臣、本当にお疲れさまです、長時間。

 今日は、毎度ですが、私は、ミクロよりはマクロというか、少子化対策あるいは子供たちの問題、これは今我が党の各委員からも御質問させていただきました。私からは人口動態の話をさせていただきたいと思います。

 その前に、前回の四月二十七日の内閣委員会で児童手当の話を少し取り上げました。私が申し上げた趣旨は、所得制限について、政府がいろいろ給付を考えるときに、それは手当もそうです、それぞれ、その場その場で各省庁が所得制限を設けるけれども、それが本当の意味で公正公平な所得再分配につながっているのかというのはなかなか分からないんじゃないかなとふだんから思っています。

 そういった観点で、私たち日本維新の会は、そもそも、所得税体系の中で、単なる所得控除等ではなくて、給付も入れて、いわゆる給付つき税額控除、それを事前型にするとベーシックインカムということになるわけでありますが、もっと根本的な所得再分配をふだんからやっていれば、児童手当等についても所得制限を設ける必要なんか全くない、こういう主張を元々申し上げているわけであります。

 そこで、大臣に、そもそも、じゃ、児童手当に、岸田内閣がいろいろ、岸田内閣だけではありません、それぞれ、それまでの自民党政権も、給付を何かやるときに、この給付は子供たちのためなのか、あるいは経済、景気対策のためなのか、いろいろな趣旨が交ざります。そこで、児童手当に所得制限を設けている趣旨はどういう理由なのかということを改めて教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 まず、児童手当を始めとする各制度において所得制限を設けるかどうか、個々の制度や目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものだと考えています。児童手当というのは、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給するものであり、制度発足時から所得制限を設けております。昭和四十七年の制度発足時から所得制限が設けられているということになっています。

足立委員 法律に、いわゆる家庭等の生活の安定に寄与するということと、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資するという、二つの目的があります。

 だから、二つ論点があって、前者の、家庭等の生活の安定に寄与するという観点でいうと、裕福なところには要らないという、まさに所得制限の議論になるのはよく分かるんです。ただ、それについては、さっき申し上げたように、いや、でも、大臣が今おっしゃったように個々の制度で考えているわけだから、本当に、その家庭が様々な、児童手当とか何たら給付とかいろいろな福祉等の制度が束になってその家庭を支えていることを考えると、個々に判断しているんだけれども、家庭等の生活の安定というものを誰がどこで判断しているのか多分分からないという指摘をしているわけです。

 それからもう一点は、後者、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的にするんだったら、家庭の年収で線を引くのはおかしいのではないか、これを申し上げているわけです。

 大臣、余りここでこれ以上時間をかけてやるつもりはありませんが、予算委員会、また月末というか、あると思うので、予算委員会に向けて、これは是非予算委員会で岸田総理も交えて議論したいと思っていますので、是非ちょっと頭の体操をしておいていただきたい。

 まず一点目の、個々とおっしゃったけれども、個々の制度ごとに考えたものを束ねたときに、家庭等の生活の安定にちゃんと寄与している、その寄与も、寄与し過ぎていたら不公平ですから、様々な家庭がある中で、本当に今、岸田内閣が行っている制度の束が公正公平なのかというのは、多分誰も分かっていないんじゃないかと思うんですが、大臣、今この時点で、いや、それは分かっているんだ、これは分かっているんだということじゃないですよね。ちょっと、あ、やめておきましょうか。やめておきましょう。

 じゃ、これは予算委員会への前振りということで、予算委員会ではがっちり、今申し上げた趣旨、事務方は、今日私が申し上げたことを、ちょっと日本語が下手で申し訳ありませんが、別に英語も下手なんですけれども、是非よく整理をして。

 個々に判断しているというのが政府の答弁なんです。でも、個々に判断していて、本当に公正公平さ、そこに九百六十万、九百何ぼで線を引いていることが公正公平なのかということについては大いに私たちは問題視をしているということを、今日は一言申し上げておきたいと思います。

 さて、大臣、私は、これは党としてはまだ全然オーソライズしていませんが、やはり人口については、もちろん、子供たちを育むことについて、マクロ的な何か国家的な要請でやるものではない、これはもう当然だと思います。しかし、一般論としての人口動態は、国力にも関わるし、国民の経済的あるいは社会的生活にも関わるので、例えば一億人を余り割って、八千万人なのか六千万人なのか、はたまた四千万人なのか、将来ですよ、ということについては、私はやはり一億人を割りたくないなと個人的には思っているわけですね。

 今日、法務省にお越しをいただいています。要は、なぜ法務省にお越しいただいたかというと、人口動態を考えるときには、亡くなられる方がいらっしゃるわけですけれども、当然、子供たちが生まれてくる、少子化対策を講じてたくさんの子供たちに誕生していただきたい、希望出生率といいますが、希望がかなえられることを、私たちは力を尽くしていきたいと思いますが、あわせて、外国からの移民とか帰化もあるわけですね。

 これについて、まず、大体どんな感じで実態がなっているか。それから、移民や帰化について目標を政府は持っているのか、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

君塚政府参考人 今、委員の方から移民ということがございました。この移民というのは多義的な言葉でございますものですから、私ども、これを永住という形でまず読み替えてこの数値を申し上げますと、平成二十三年から令和二年、過去十年間における永住許可件数というのは、最も多い年、これは平成二十五年でございますけれども、約四万五千件、最も少ない年、平成二十九年でございますけれども、約二万八千八百余りとなっておりまして、おおむね三万から四万件程度で推移をしているところでございます。

 ただ、この永住許可に関しましては、個別に審査を行って永住を許可しているところでございまして、素行善良とか、独立の生計であるとか、日本国の利益に合致しているかどうかというような観点で審査を行って永住許可をしているわけでございまして、永住に関しまして、特に許可数の目標を設定しているものではございません。

 それから、永住ということじゃなくて、日本に勉学だとか留学だとか、それから就労だとか、婚姻という形で、私ども、これを中長期在留者というような言葉を使ってございます。これに在日の方々も含めた特別永住者という形で、在留外国人というような言葉を使ってございますけれども、これにつきましては、昨年、令和三年末の在留外国人数というのは二百七十六万人余りということでございます。

堂薗政府参考人 それでは次に、帰化についてお答えいたします。

 最近十年間、平成二十四年から令和三年までの帰化の許可者につきましては、八千人から約一万数百人の間で推移をしているところでございまして、永住許可数と同様、帰化許可数についても目標値は定めていないところでございます。

足立委員 それぐらいの規模ということです。

 だから、規模的には、後ほどちょっとあれしますが、人口の減少を何か補うような規模感では全くないわけだし、当然、目標もないわけで、それは当たり前といえば当たり前で、移民政策を取っていないからでありますが。

 じゃ、話を今日の本題である出生に移したいと思いますが、野田大臣、出生率について思い出せば、安倍政権のときだったかな、希望出生率一・八という目標がございました。要は、移民等については目標はないが、出生率については政府目標がある、それは今申し上げたことだということでいいんでしょうか。

野田国務大臣 確かに、希望出生率というのを、一・八でした、設定していることは間違いありません。

足立委員 それは今も有効だということですか。

野田国務大臣 はい、今も有効です。

足立委員 ありがとうございます。

 希望をかなえるということであって、恐らくそれ以上の意味はないのだろう、こう思いますが。

 さて、じゃ、希望出生率一・八だったと思いますが、それが今も有効な政府目標だとして、現実は、目標と現実は乖離をしたまま、コロナ禍で更に乖離は広がっているわけでありますが、厚労省が人口推計ということをやっています。足下ではないと思いますが、その厚労省の推計は、大体、概要はどうなっているか、御紹介ください。

横幕政府参考人 お答えをいたします。

 日本の将来推計人口につきまして、平成二十九年に国立社会保障・人口問題研究所が公表しておりますが、その中で、長期的な出生率について三つの仮定を置いております。

 高位の出生率一・六五と仮定した場合には、二〇四〇年に人口が一億一千四百万人、二〇六五年に約九千五百万人と推計しております。中位の仮定の場合、出生率一・四四ですけれども、二〇四〇年に約一億一千百万人、二〇六五年に約八千八百万人。低位、一・二五の出生率と仮定した場合には、二〇四〇年に約一億八百万人、二〇六五年には約八千二百万人、このように推計をされております。

足立委員 そういうことで、そもそも一・八は想定もしていない、少なくとも今のスタディーは。これは平成二十九年だから、これはまた次は、五年おき。次は、やはり政権に忖度して、一・八というのを高位にするんでしょうか、ちょっと。

横幕政府参考人 原則五年ごとにやっておりますけれども、今予定しているところは、コロナ感染症の影響で基礎となる調査が一年遅れましたので、次は一年遅れた形になることを想定しております。(足立委員「いつになりますか」と呼ぶ)来年になります。二〇二三。

 その方法については、これは私どもの審議会で議論をしていただきながら、一般的な科学的な知見から議論いただいて行うということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 確かに、人口政策というのは政治的にも難しいテーマで、余り言い過ぎるとまた炎上するのでこれ以上は言いませんが、先ほど申し上げたように、やはりいろいろな意味で、私は、個人的には一億人を割りたくないな、そのためにいろいろ考えないといけないなと思うときに、理論上は、選択肢は、子供たちがたくさん生まれてくれば人口は中期的には回復していく。移民を入れれば当然そうなるということですが、移民はいろいろな入れ方、移民政策はバリエーションがいろいろあって、ポイント制とかで、その国のためになる人だけをスクリーニングして入れるという国もたくさんありますね。

 他方、子供たちは、生産年齢人口になるまでは時間がかかります、二十年なりかかります。その間は、いわゆる子育ても社会保障の一つだとすれば、子育てにかかる社会保障の費用は膨らみますね。そういうところの財政的な負担をどれぐらい野田大臣は考えたことがあるのか。

 私は余りちゃんと考えたことはないんですが、なぜ私が考えたことがないかといえば、いずれ生産年齢人口になって返ってくるわけだから、子育て費用は投資だという考え方に基づいて、これは財政負担なのではなくて投資なんだということで、十年でも二十年でもいい、それは気にせず、国民民主党さんのように教育国債と言うつもりは我々は今のところないんですが、これは投資であるということで考えています。

 どれぐらいの規模で社会保障負担が膨らむのかということについて、大臣は何か御見解というかがおありかどうか、教えていただきたいと思います。

野田国務大臣 今、足立委員からもろもろ御示唆もありまして、まず、やはり、負担とかそういう形ではないと思うんです。本来ならばやるべきこと、子供に対する投資を怠ってきたということで人口減少が始まっているので、当然やるべきことを今後はやるので、何か負担ではないというやはり線引きをしないといけない。投資であって、無駄になくなっていくお金ではなくて、リターンが必ず、当然国内にも返ってきますし、また、世界的なやはり評価にも、人口が減るということじゃなくて、ボリュームゾーンがどんどん高齢化するというのは、やはり他国からしても投資意欲に欠く国になっていくので、そういう意味では、子供が育っていくことが大事。

 先ほどおっしゃったように、産み育てるというのは極めて個人的なことなので、とりわけ男性からはなかなか、言うと問題になってくる長い歴史がありましたので、今は、産まないという選択をされた方の権利をしっかり守りつつ、ただ、産みたいと願っている人が、さっきの希望出生ですね、一・八あるのにもかかわらずそこに到達できていないという問題点を解決するために、様々、取り組んでいないことを取り組みましょうと。

 例えば、やはり顕著なのは、男性の育児、家事参加が全然足りていませんよねとか、お金を全然使っていませんよねとか、そういうことがまだ山積みなんですね。そういうことをクリア、明らかにして、皆さんで、そのお金は出し方は様々あると思う、これに限るということも、いろいろな形でお金をコンセンサスを得て集めていくことが大事、そういうふうに思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので終わりますが、先ほどの推計、私は、推計も、政府目標が一・八なら、やはりそれを推計に入れるべきだと思うし、それから、今の話も、私は投資だと思うので、負担だとは思わないけれども、客観的に、一・八が足下で実現したらどれぐらいの財政負担になるのかということの検討もしていただきたいとお願いをして、また予算委員会でこのテーマを取り上げることを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

上野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、厚労省そして文科省さんにも来ていただきながら、子供行政に関する様々な各論も含めて質疑をさせていただきたいと思いますが、まず取り上げたいのは、こども家庭センターをこれから設置していくに当たって、幾つか懸念点がありますので、その質疑をさせていただければと思います。

 現在、各自治体には、母子保健法に基づいて、妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受けるための子育て世代包括支援センターというのがございます。それと併せて、また別の法律、児童福祉法に基づいて、虐待や貧困などの問題を抱えた家庭に対応するための子ども家庭総合支援拠点、こういった拠点もございます。これらが今併存している状況なんです。

 二〇二一年四月、昨年の四月の時点で、例えば、先ほど最初に申し上げた子育て世代包括支援センターというのは全市町村の九割を超える千六百三市町村で設置が済んでいる。一方、子ども家庭総合支援拠点、いわゆる虐待や貧困問題に対応するための拠点ですが、こちらは四割弱の六百三十五市区町村にとどまっているのが現状であります。

 今回、児童福祉法の改正も議論をされておりますけれども、この中では、この子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点とを一本化してこども家庭センターというものを設置するということにしておりまして、市町村には努力義務が課される、そういった現状があるということをまず冒頭申し上げた上で、一つ目の質問なんですけれども、やはり、人材をどのように確保していくのかということを伺いたいと思います。

 これまで例えば子育て世代包括支援センターを設けていた自治体、全体の九割以上あるということなんですけれども、ここに新たに包括支援拠点的な機能を加えてこども家庭センターを設置するためには、どうしても業務負荷が増大してしまいます。

 まず確認したいのは、業務負荷が増えるということは明らかですので、これを、職員のスキル向上、能力強化によって達成するのか、もちろんそれも必要だと思うんですけれども、やはり、職員の人材の新たな確保、純増という部分がしっかり前提となっているべきだと思うんですけれども、その辺りについて、政府の見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

川又政府参考人 児童虐待防止や家庭支援の充実のために、今般の児童福祉法改正案におきまして、現行の児童福祉の子ども家庭総合支援拠点、母子保健の子育て世代包括支援センターの機能を維持した上で見直して、一体的に相談支援を行う機関としてこども家庭センターを創設するという趣旨でございます。

 このセンターでは、全ての妊産婦、子育て世帯、子供に対する相談を行うこと、子育て世帯に対して計画的に支援を行うためのサポートプランの作成を行うことなどの業務を実施するということとしております。

 センターにおいてこのような業務を担う人材を各地域で確保していくことは大変重要と考えております。その確保に当たっては、これまで両分野の相談支援や指導に関わった経験者の活用、自治体の規模に応じた柔軟な人員配置を認めること、市町村向けの研修の充実、児童福祉法改正案において導入することとされている子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進などによりまして、市町村において適切な人材が確保できるように、国としても支援をしてまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 何をやろうとしているのかは理解できましたし、その必要性も、直ちに否定されるものではないと思いますけれども、やはり、柔軟な人員配置であったり資格取得の促進といったような受入れ環境の整備とか、あるいはプッシュ型の支援、こういったことは必要だと思うんですけれども、一番大切なのは、その仕事に就きたいと思える人間をより多く増やしていくことだと思うんですね。モチベートしていくことというのもまた必要だと思います。

 次の質問なんですけれども、例えば保健師の児童相談所への配置割合というのがございまして、令和二年度では五八%だそうです。政府の目標としては今年度までに一〇〇%という目標を立てているんですが、非常にこれは、達成の見通し、厳しいものがございます。

 児童相談所だけでこのような状況ですので、さらに、こども家庭センターを整備するために、例えば総合支援拠点のような機能をより多くの自治体に設けていこうとすると、やはりそういった能力のある人材に主体的、積極的に参加していただかなければなりません。

 ただ、平成三十年度に保健師の活動基盤に関する基礎調査というのを政府が行っておりまして、特に若い二十代、三十代の保健師の定着のためには、一つ、処遇改善というのはよく議論されることですけれども、自己のキャリアアップが図れる職場環境の整備や、子育てをしながら働くことができる労働環境への改善というのが必要だという指摘がされたそうでございます。

 ですので、柔軟な人員配置ですとか資格取得促進というのは否定はしませんけれども、少し論点としてもうちょっと多様なアプローチをした方がよいのではないかというふうに思っておりますが、この人材確保に向けてどのように取り組んでいくのか、改めて答弁を求めたいと思います。

川又政府参考人 お答えします。

 妊産婦や子育て家庭、子供への相談支援等を適切に行うためには、専門的な知識を有する保健師の人材確保は重要と考えております。

 今回の改正法案で盛り込んでおりますこども家庭センターにおける具体的な保健師の配置については、今後検討していくこととなりますが、例えば現行の子育て世代包括支援センターにつきましては、国として、保健師等の専門職の配置を一名以上求めるとともに、その運営に必要な財政支援、これは子ども・子育て支援交付金で措置しておりますが、を行っております。また、毎年、保健師等の母子保健関係者を対象とした国主催の研修の開催など、資質向上のための環境整備を実施をしてきたところでございます。

 今後とも、自治体における保健師等の確保と育成の取組を支援し、相談支援体制の整備を引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

浅野委員 やはり、ちょっと先ほどと同様の議論になってしまうんですが、財政支援ですとかそういったことは必要だと思う一方で、やはり、保健師になりたい、保健師として働きたいという人が、若い世代がもっと多く誕生していくような環境整備というものが重要になっていくんだと思いますので、その点も抜けのないように是非御検討いただきたいと思います。

 野田大臣にはちょっと質問通告はしておりませんので要望にとどめますが、やはり、人員確保に向けては予算の確保というのは大事なんですけれども、非常に、子育て支援とか福祉分野、保健師さんなんか特にそうですけれども、この仕事に就こうという若者が今全体的に減少傾向にあるというのもまた現実としてありますので、財政措置や資格取得促進というような施策に加えて、そういった若者を喚起するような取組というのも是非今後の運営の中で考えていただきたい。これは要望にとどめさせていただきます。

 次の質問なんですけれども、小規模自治体ではどうなのかという議論もさせていただきたいと思います。

 小規模自治体では、これまで支援拠点というのを設置してこなかった自治体も多くございまして、やはりその理由としては、地域の少子化などから高齢者への対応を重視せざるを得ず、子供にお金、予算を措置することがそもそも難しいであるとか、児童虐待件数が認知件数が少なく、児童虐待担当者などの専任担当者を置く必要性に乏しいといった理由がこれまで挙げられてきました。

 この環境についてはこれからもそれほど大きく変わるものではないと思うんですけれども、ただ、こども家庭センターを全国に展開していく中で、やはり小規模自治体にどう対応していくのか、これは考えなければならない問題だと思いますので、現時点での政府の考えを伺いたいと思います。

川又政府参考人 御指摘のように、地域において様々な事情があるという点は念頭に置く必要があると考えております。現在、既に全市町村のうち九二%、御紹介ございましたが、九二%の市町村におきまして、母子保健の子育て世代包括支援センター若しくは児童福祉の子ども家庭総合支援拠点のいずれかが設置されているという状況にはございます。

 児童虐待を未然に防止をし、家庭支援を強化していくため、児童福祉の分野と母子保健の分野の一体的な対応が重要であるということは、これはどの自治体にも言えることであるというふうに考えております。今回の改正案において、可能な限り早くこども家庭センターを全国展開できるように、自治体に促してまいりたいと考えております。

 その上で、小規模自治体については、先ほどの子ども家庭総合支援拠点の設置が進まないことについて、審議会の専門委員会がまとめた報告書におきましても、自治体がその必要性は理解しつつも、人員確保の体制構築に関して課題があるということが指摘をされております。

 厚労省としても、小規模自治体がこども家庭センターを円滑に設置できるよう、人材確保のための財政支援を行うこと、複数の自治体が共同で設置することを可能とすることや、柔軟な人員配置を認めることなどを検討し、自治体の御意見も伺いながら、その設置につきましてしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 では、次のテーマに移りたいと思いますが、次は野田大臣にお伺いしたいと思います。

 これまでこの法案審議の中で、子供コミッショナーに関する質疑、様々な委員の皆様がされてまいりました。例えば、四月二十二日の当委員会では、立憲民主党の中谷委員が、ヨーロッパでは四十七か国中三十四か国が既に導入済みなんだということを引用しながら、この子供コミッショナーの必要性について政府の認識をただしたんですけれども、野田大臣は、やはり、与野党において様々な議論や提案がされているのでそれを注視したいということを述べておられましたし、政府としては、当事者や有識者の意見を聞くことで、公平性、透明性を確保しながら、子供の権利利益の擁護を図っていく、こども家庭審議会においての話ですけれども、そういった答弁をされてきました。翌四月二十七日も同様に、立憲民主党の櫻井委員が同じ質問をされたときも同じような趣旨の答弁をされましたし、今日の午前中も、大西委員が同様な観点で質問した際にも同じ答弁を繰り返されております。

 私、ちょっと今日あえて伺いたいのは、もう二週間ほど前からずっとこの子供コミッショナーの設置についての政府見解というものを質問し続けてきているんですけれども、そのたびに与野党の議論状況を注視するということで答弁をされてきております。実際にこの二週間にわたって、様々な観点からこの子供コミッショナーの必要性、委員ばかりでなく、参考人質疑の中でもその必要性が議論されてまいりました。

 今日は、そういったこれまで注視いただいた内容を踏まえて、今どのように考えているのかということを、是非野田大臣には、これまでの答弁から一歩踏み込んだ答弁をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

野田国務大臣 コミッショナーについては、現在様々な観点から御審議をいただいているところであります。

 私、大臣としましては、政府提出法案で、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することにしています。こども家庭庁においては、国会での御審議をしっかりと受け止め、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見も聞く、そのことにより、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、そして、その最善の利益を実現するために必要なことをしっかりと検討、実現してまいります。

浅野委員 今のおっしゃること、政府、こども家庭庁においては、こども家庭審議会の中で公平、透明性を確保して取り組んでいくんだ、国会の意見も踏まえていくんだというその御意思、大変ありがたいですし、是非期待申し上げたいところではあるんですけれども、やはり参考人の皆様も言っていたのは、独立機関の必要性というものを非常に重要視されていたというふうに私は受け取らせていただきました。

 政府として、政府の主体的な行為として、透明性、公平性を確保するために様々な取組をされるのはそれはいいことだと思う一方で、やはり、第三者機関の必要性、独立した機関の必要性というものについても、ここは国会も政府も謙虚に検討を進めていくべきなんだというふうに私は思うんですね。

 ですので、今日、時間の関係でこれ以上質問はいたしませんけれども、是非、今後、省庁の中でも、第三者機関の必要性が本当にないのか、こども家庭審議会だけで十分なのかという部分については常に検討をしていただきたいですし、この委員会でも私は継続して議論させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、続いての質問です。

 続いては、障害児支援について質問をさせていただきたいと思います。

 厚生労働省の調査によると、子供の出生数が減る中、障害児支援サービスを利用する子供は一九年度までの五年間で約二倍の四十万人という数字まで、かなり増えております。

 今日お配りした資料にもちょっと記載が、関連記事があるんですけれども、障害を持つ子供を養育する御家庭では、片方の親が働き方を制限せざるを得ない状況などがあることから、相対的に年収が低くなっているといった調査結果がございます。詳細はこの資料の方をお読み取りいただければと思うんですが、こういった状況を考えますと、障害者支援策の更なる拡充というものが常に出ている状況にあるんですけれども、これに対して、現状、政府がどのように対応しているのか、まず確認をさせていただきたいというふうに思います。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

堀内政府参考人 お答えいたします。

 障害児支援について御質問いただきました。

 まず、障害児のいる家庭の費用負担を軽減する取組といたしまして、現行、児童発達支援等に係る利用者負担については、所得に応じて一月当たりの負担限度額を設定いたしまして、これとサービス費用の一割とを比較して低い方の額としており、その負担が過重なものとならないようにしておるところでございます。

 また、令和元年十月からは、三歳から五歳児の障害児に対する児童発達支援等の利用者負担につきましては、所得区分にかかわらず無償化するという取組を行っているところでございます。

 また、子の障害の有無にかかわらず親の就労を支える社会というのを構築していく観点からは、親の就労により支援時間が長くならざるを得ない場合であっても、障害児が適切に発達支援を受けられるようにする必要があると我々も考えているところでございます。このため、児童発達支援や放課後等デイサービスにつきまして、親の就労に対応するために支援時間が長くなる場合も適切に評価されるよう、次期報酬改定に向けて検討してまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今の施設の利用料については、所得制限つきで利用料負担に上限を設けているというような支援策の紹介がございましたが、もう一つ、今日、次に伺いたいのは、障害児を育てる保護者に対して、今、特別児童扶養手当が支給されておりますが、この特別児童扶養手当についても所得制限がかかっている制度になっております。

 今、所得制限の内容と所得制限が設けられている理由について政府に説明を求めたいというふうに思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございました特別児童扶養手当でございますが、特別児童扶養手当等の支給に関する法律に基づきまして、障害児を監護する父母等に対して支給することとしており、父母等に一定額以上の収入がある場合には支給しないということにしてございます。

 この所得制限につきましては、限られた財源を活用し、特に支援を必要とする方に支給を行う必要があること、児童手当等の他の給付制度も制限があること、障害福祉サービス等についても所得に応じた利用者負担の仕組みとなっていること、そうしたことから設けているところでございます。

浅野委員 聞く限り、先日質問した高等学校等就業支援金の所得制限の考え方とかなり似ているのかなというふうに思っておりまして、先ほど足立委員の質疑にもございましたけれども、個々の制度の趣旨、個々の制度ごとに所得制限の考え方を整理しているとはいいながらも、結構似た概念で全て所得制限がかかっているのではないかというふうに私は今考えております。ここについては、今後の委員会の中でもより議論を深めていきたいというふうに思いますが。

 今日、次、取り上げたいのは、特別児童扶養手当については、申請の却下率、許可率と言い換えてもいいかもしれませんが、地域によってかなりばらつきがあるという実態が、今日お配りをした資料の二の方に報じられております。

 地域差、却下率は最大で二百七倍にも上っているというような、かなり衝撃的な数字が出ておりますけれども、審査を担う判定医が一人でやっていたりだとか、一人でやるから個人差が出やすいとか、いろいろな課題が指摘されておりますけれども、政府においてこの問題を今どう認識して、今後どう対策していこうとしているのか、それについて答弁を求めたいと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 特別児童扶養手当につきましては、国が一律の認定基準を定めた上で、各自治体、都道府県や指定都市において認定事務を行っているところでございます。

 一方、こうした特別児童扶養手当の対象となる障害のうち、特に精神の障害につきましては、私どもも、厚生労働科学研究ということで研究班で調査を実施しておりまして、御指摘のように、認定の地域差があるという報告があったところでございます。

 このため、今年の三月に開催しました障害保健福祉関係主管課長会議におきまして、こうした調査結果の内容を周知するとともに、各自治体に対しまして、現在の特別児童扶養手当の精神の障害に係る障害の程度及び認定要領等について改めて周知し、適切な認定の実施を求めたところでございます。

 また、今後につきましては、今年度から来年度にかけまして、厚生労働科学研究におきまして、特別児童扶養手当の精神の障害に係る等級判定のガイドライン、そうしたガイドライン案を作成するための調査研究などを実施していきたいと思っております。

 この調査研究の結果等も踏まえながら、特別児童扶養手当の認定の適正化について検討してまいりたいと考えております。

浅野委員 是非早急に進めていただきたいと思います。

 今、ガイドラインの策定ですとか、運用の再徹底みたいな話をされておりまして、それも必要だと思うんですけれども、先ほど私が申し上げたように、やはり、判断するお医者さんが一人でやっているという、その属人性が非常に強いプロセスであることも一つの要因なのではないかというふうに思うんですね。

 ですので、そこは是非運用を改めていくべきではないかと思いますし、今後の検討の中で、ガイドラインのみならず、体制面についても検討項目に含めていただきたい。このことをちょっと申し上げたいと思いますが、これについて、ちょっと御答弁、一言いただければと思います。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました厚生労働科学研究、これにつきまして今後行うこととしておりますので、今の委員の御指摘も踏まえまして、検討してまいりたいと思っております。

浅野委員 よろしくお願いします。

 じゃ、次の質問ですが、次は、出産育児一時金について質問させていただきます。

 先日の本会議でもこの問題を取り上げさせていただきまして、現在政府では実態調査を行っているという答弁がございましたが、今日は、やはり、改めて調べてみますと、年々、出産にかかる費用というのが増えているようなんですね。厚生労働省の調査でもそれが明らかになりました。二〇一九年度は公的病院でも全国平均約五十一万円、個室料金代などを除く最低限の水準でも約四十四万円かかるとされておりまして、現在の一時金四十二万円では足りていない実態が指摘をされております。

 今、この金額、一時金自体を引き上げてほしいという要望もある一方で、そもそも出産にかかる費用の保険適用ができないのかという声も多くございます。

 やはり、安全な分娩に必要な医療的行為とそれ以外の付加的なサービス、快適性を向上させるような付加的なサービスというのを分離することによって、医療的行為についてはしっかりと保険を適用する、それによって安心して誰もが出産できる環境を整えつつ、ワイズスペンディングといいましょうか、公的なお金ですので、賢い利用を促進する、こういった考え方もできるのではないかと思うんですが、政府の見解を伺いたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 健康保険制度におきましては、労働者やその被扶養者の業務災害以外の疾病や負傷に対しまして療養の給付を行っているところでございますが、正常分娩につきましては疾病や負傷には当たらないということから療養の給付の対象とはしておらずに、すなわち、御指摘のとおり、保険適用はされていないという状況でございます。

 一方、出産に要する費用の経済的負担の軽減を図るという観点から、正常分娩、異常分娩にかかわらず、先ほど御指摘のとおり、出産育児一時金を健康保険から現金給付として支給しているところでございます。

 お尋ねの正常分娩を保険適用するということについてでございますけれども、幾つかやはり課題があるというふうに考えておりまして、例えば、一つは、身体の一時的な異常であります疾病や負傷に対して行われるという療養の給付の基本的な考え方自体を見直す必要があるということ、それからまた、保険適用といたしますと定率の自己負担が新たに求められることになりますので、地域によっては新たな自己負担が発生し得るということ、それからまた、出産においては、現在、分娩時の安心感あるいは産後ケアの充実といったことのために、必ずしも医療的な必要性にもよらない多様なサービスが提供されて、妊婦さんの方でそれを自由に選んでいただいているような実態がある中で、診療報酬でどのように評価をしていくのかといったような課題があることなどから、慎重な検討を要するというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 そういう論点も具体的に提示していただき理解が深まりましたので、今後また更に議論させていただきたいと思います。

 今日は質疑時間が終了しましたのでこれで終わりにしますが、一問、スクールソーシャルワーカーについて取り上げようと思っておりました。こちら、是非、人員確保して、全ての子供たちが学校環境でも安心して過ごせるような環境整備に御尽力いただくことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いします。緒方林太郎です。

 大臣に、今日、結構、少子化対策について議論しておられる方がたくさんおられたんですが、非常に端的な質問からスタートをさせていただきたいと思います。

 これまでの少子化対策がほぼ失敗に終わってきた原因というのは何だというふうにお考えでしょうか、大臣。

野田国務大臣 二〇二〇年の出生数は八十四万八百三十五人と過去最少となっていて、少子化の進行や人口減少は我が国の有事というべき大きな課題となりました。

 今の問いにお答えするならば、実は少子化の背景というのは様々な要因があるわけで、例えば、そもそも個々人の結婚とか、その前に至る恋愛とか、又は出産、子育ての希望の実現を阻むものがたくさんあって、それに対して、少子化社会対策大綱というのがあるんですけれども、取り組んでいるものの、やはり若い人たちがそこに至るまでには、まだ到達し得ていない、まだやっていないような様々な施策、政策があるのだというふうに私は理解しているところです。

緒方委員 希望出生率、先ほどから何度も出ていますが、希望出生率と実際の出生率の差分のところ、これは政策によって解消できるものだというふうにお考えでしょうか、大臣。

野田国務大臣 政策というのをどういうことに捉えるか。例えば、教育とか又は働き方の慣習とか、様々、家の在り方とか結婚の在り方とか、とにかくありとあらゆる手だてを講じて、今までどちらかというと議論もされてこなかったことも、例えば、フランスのお話をされましたけれども、フランスの場合は、法律婚と事実婚、ほぼ平等で、子供がしっかり育てられるとか、そういうやはり様々な取組をしっかりと見聞して、それができるかどうかは政治判断があろうかと思います。

緒方委員 そういう中、今日、自由民主党、立憲民主党の提案者から来ていただいておりますが、自由民主党、立憲民主党、そして政府の考える少子化対策というのはいかなるものでしょうかということについて、まず自由民主党、そして立憲民主党、そして野田大臣にお答えいただければと思います。

塩崎議員 緒方委員の御質問にお答えをいたします。

 少子化対策とはどういうものかということについての御質問でございますが、我々の提出しておりますこども基本法案、こちらの二条二項二号の中では、子育てに伴う喜びを実感できる社会を実現するために、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援という形で、これらのものを全て子供施策という形で包含をしております。

 こういったものと一体的に実施することによって、少子化対策も併せて、これまで以上に推進できるものというふうに考えております。

 以上です。

岡本(あ)議員 お答えします。

 本日のやり取りの中で、野田大臣からも、先ほど、子供への投資を怠った結果という言葉がございました。大きな要因の一つではないかと思っています。

 私たちは、少子化対策というのは、子供をとにかく産んでくれ、産んでくれだけではならないですし、そもそもそういう発想ではないと思っています。子供、子育て支援、チルドレンファーストの考えの下、徹底して進めること、誰もが安心して出産、子育て、教育を受けられる、そして何より、子供たちの、子供の権利、そして育ちを支えられる、その投資をしていく、予算を確保するということが重要だと思っています。

 具体的な項目とすると、不妊治療の保険適用の拡充ですとか、出産費用の無償化ですとか、あるいは、児童手当を高校三年生まで拡充をしていく、増額をしていく、学校給食の無償化、貧困対策、大学や専門学校の無償化など、あらゆる投資を尽くすということだと思っております。

野田国務大臣 少子化というのは、今、先進国が以前からずっと取り組んでいることで、日本は若干、他の先進国に比べて、子供が減り始めて半世紀ぐらいですかね、(発言する者あり)私はピークの前なんですけれども、減り始めてもう五十年近くになるわけですね。

 そこから本来着手して中長期的に取り組まなきゃいけなかった、国家の課題というか、国をどう存続していくかという問題だったんですけれども、残念ながら当時は、お生まれになった頃は経済成長があったものですから、子供の数が減っても経済とリンクしない、大丈夫なんだという有識者の判断があり、また、やはり男性主導だったので、なかなか妊娠、出産に立ち入れない、政策として踏み込んでいけないとか、様々な当時のボタンのかけ違いがあって、そのまま残念ながら今日に至って、結果として、ようやく多くの、党派を超えて皆さん方が、性別も超えて、少子化による人口減少というのは非常に国にとっても不安材料であるということで、これまではどちらかというと母子というようなイメージが強かったんですけれども、やはり社会をつくっていくということで、今こうやって取り組んでいただけているものだと思っています。

緒方委員 塩崎さんからの答弁を聞いて少し気になったんですが、法律の規定を読んでいただいただけなんですけれども、それ以上に細かい政策を現時点ではまだお持ちでないという理解でよろしいですか。

塩崎議員 緒方委員の御懸念というか問題意識ですね、少子化対策というものが、日本の政策の中で非常に優先順位が高い、まさに喫緊の非常に大きな問題であるということを私も同じように考えております。

 ただ、政策としては、野田大臣からもお話がありましたように、まさに、子供を持ちたいけれども持てない方がたくさんいる中で、その理由も様々であり、また、解決の政策も、まさに先ほど申し上げたような、妊娠に至るような対策、又は妊娠に至る前の段階の就労環境の整備であったり、又は教育の問題だったり、様々な多元的な政策が必要なものでございまして、こういったものをパッケージでどのように育てていくか、支援していくか、これが、今回まさにこども基本法案ということで、縦割りを超えた形での基本法として定める意義ではないかというふうに考えております。

緒方委員 先ほど大臣が、これまでやったことのないものにも取り組んでいかないといけないんだと。まさにそのとおりだと思います。

 私、少子化というのは本当に危機的で、このままいったら国家が滅びるというぐらいの強い意識を持っているわけでありまして、その中で、先ほど足立議員の方からも少し提起がありましたが、前回も言わせていただきました給付つき税額控除、これを活用するつもりもないかなというふうに思うんですね。

 所得控除としての配偶者控除を廃止してそれを財源とした上で、子供の数といったような様々な条件づけをした上で給付つきの税額控除とする方が、私は政策的に適当じゃないかと思うんです。なので、特に非課税の方に対して、現時点で、恩恵を及ぼすという観点からは、給付つきで税額控除をする方が恩恵が及びやすいということもあると思います。

 前回ちょっと質問通告がうまくいきませんでしたので、野田大臣、見解をお聞かせいただければと思います。

野田国務大臣 前段として、少子化の進行は、人口の減少と高齢化を通じて、労働供給の減少、将来の経済や市場規模の縮小、そして経済成長率の低下、地域社会の担い手の減少、現役世代への負担の増加など、結婚しない人や子供を持たない人を含めて社会経済に多大な影響を及ぼすものです。当然、安全保障も含まれてくるわけですね。また、子供政策は未来への投資であり、結婚、妊娠、出産、子育ての問題の重要性を社会全体として認識する必要があると考え、これが大前提だと思います。

 そこで、御指摘の給付つき税額控除については、私は実は税は所管ではないということで前回もちょっと申し上げなかったんですけれども、同様の政策目的を持つ制度、それとの関係をどうするかなどの問題があるということが今議論されていると思います。

 また、新たに給付つき税額控除を導入するには、所得や資産の把握が必要といった課題のほか、行政の執行可能性やコストといった課題等の問題があるということが話し合われており、そこを承知していて、慎重に検討していく必要があると私は考えています。

 また、結婚、妊娠、出産、子育てというのは、御承知のとおり、個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押しつけたり、またプレッシャーを与えたりすることがないように留意しつつ、社会全体で若い世代の結婚の希望や希望の子育てを応援する取組が必要だと思います。

緒方委員 前回の財務省の政府参考人の方とほぼ同一の感じの答弁でありました。

 ただ、大臣は、プレッシャーを与えることは望ましくないというような話をされたんですけれども、配偶者控除というのはむちゃむちゃ今プレッシャーを与えているわけですよね。そういう制度の見直しも含めて、何がいいとか、私は別に、これこそ押しつけるつもりがないんですけれども、ただ、今までの延長上では恐らく少子化の流れは変わらないというふうに思うんですね。なので、私は、大臣が言われている、これまでやったことのないものにも取り組んでいかなきゃいけないということに大きな期待をしたいと思います。頑張っていただければと思います。

 そういう中で、ちょっと前回の質疑の中で、大臣が一つ言われたことの中で、これは確認までなんですが、前回、大臣、分断をつくらないことが大事なんだということを言われた。もっともな表現だと思うんですけれども、ただ、先ほど言った給付つき税額控除というのは、子供をもうけることによって定額で税金を控除していくということ、そして、ゼロを下回ったら給付するということなので、こういうインセンティブづけの仕組みまでをも、分断をつくらない、そういう意味合いではないですよねということをここで確認させていただければと思います、大臣。

野田国務大臣 そういうことではなく、少子化対策で、きちっとした言葉遣いをしないことによってまた男女の分断がございましたし、また産む産まないの分断がございましたし、様々そういう経緯があったので、きちっと取り組みたいということです。

緒方委員 それでは、少し質疑を移したいと思います。

 大臣、十年前ぐらいにNHKスペシャルで「卵子老化の衝撃」という番組がありました。これは私、十年前の番組なんですけれども、いまだに、衝撃を持って受け止めたいい番組なんですね。多分、見たことがあるんじゃないかと思いますが、今日、この議場におられる方にも是非見ていただきたい。今、オンデマンドで二百二十円で見られますので、見ていただければと思うんですけれども。

 日本における少子化の原因の一つとして、第一子をもうける年齢が後ろに倒れれば倒れるほど、一人の女性が一生に産む子供の数というのは減っていくというのがあると思うんですね。ということは、それを裏返すと、いろいろな要因がもちろんそこに絡むわけですけれども、それが前に倒れれば倒れるほど少子化は解消の方向に向かい得るものであるというふうに大臣は御認識でしょうか。

野田国務大臣 卵子の老化については、私たちが当事者なので非常によく理解しているところであります。

 いずれにせよ、若い世代の方々が結婚、妊娠、出産、子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを希望を持って描き、様々なライフイベントに柔軟に対応できるよう、妊娠に関する正しい知識を含め、必要な知識や情報を学び、将来のキャリアとともにライフイベントについて考える機会を学校、家庭、地域、企業等の様々な場で提供することは重要。

 私も二十年不妊治療したんですけれども、最初に行っていた病院はほとんど中年、私も四十でスタートしましたので、不妊治療。なぜそうなったかというと、卵子の老化についての教育を受けていなかった世代なんですね。だから、すごく今おっしゃっていることは私の心にも響きますし、そういうことにならないように、つまり、きちっと気がついていればちゃんと妊娠ができたという、私たちの世代はその世代なので、不妊の、そういうことがないように、やはりしっかりと取り組んでいきたいと私自身も思います。

 また、内閣府においては、地方公共団体による中高生や大学生、社会人を対象としたライフプラン講座などの取組に対して、地域少子化対策重点推進交付金により支援をしています。

 今後とも、関係省庁と連携しまして、学校教育から家庭、地域、社会人段階に至るまで、教育や情報提供に係る取組を進めてまいります。

緒方委員 大臣から、その次の問いの答えを半分以上いただいたんですが。

 私、実は、このNHKスペシャル「卵子老化の衝撃」という番組、十年前のものなんですけれども、これは学校で流したらどうかなと思ったんですね、高校で、保健体育の授業とかで一時間。これによって別に全ての少子化が解消するなんて思っていないけれども、先ほど言われたように、知識がないことに伴って、それで出産を断念せざるを得ない人というのが結構多いというのに私自身も感じるところがあって、突拍子もない提案なのかもしれないんですけれども、特定のテレビ番組を学校で流すとかいうことについてなんです。

 ちょっと突拍子もないのかもしれませんけれども、こういう番組を全国の高校で、一時間だけ保健体育の授業とかで放映するって、考えてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、もう一回答弁いただければと思います。

野田国務大臣 その番組を放映するかどうかは別として、やはり、男女とも、卵子というのは非常に限りがあるんだ、私たち、私もそうですけれども、不妊に入ってしまった原因は、毎月生理があれば子供が産めるというような間違った認識を持っていて、それに対して、当時、ネット上で随分たたかれました、国会議員のくせに知らないのかと。実は、それで自分も振り返って学校教育を調べてみたら、そういうことを教えていないんですね。やはり、教わっていないということは、結果としてそうなるんですね。

 ですから、何らかの形で、女性はもとより、卵子の期限があるということをパートナーになる男性もしっかり知り得る場所というのは必要で、二十代からどんどん劣化して、老化していくわけですから、それについて知らないと、そういう望んだ妊娠に届かないということになることは、これからの若い人たちにはそうならないようにしていきたいと願います。

緒方委員 それを本当によろしくお願いします。

 大体、今、第一子をもうける女性の年齢というのは、三十・七歳とか、三十一歳をちょっと下回るぐらいなんですね。

 あの番組でもありましたが、やはり、三十五歳とかになってくると結構難易度が上がっていくということがあったりして、そうすると、第一子をもうけるところが三十歳を超えて三十一歳のところで、別に三十五で切る必要があるかどうかというのはあると思いますけれども、その間が物すごくレンジが短いというのは、これを解消することも少子化対策として物すごく重要なことだと思います。

 これは本当かどうか分かりませんけれども、歴史的に見て、第一子をもうける年齢、例えば二十歳でもうける方、二十五歳でもうける方、三十歳でもうける方が、一生に子供をもうける数というのは歴史的に変わっていない、余り差がないというふうに聞いたんですね。本当かどうか分かりません。

 それが何を意味しているかというと、今の日本の少子化というのは、一枚めくると、それは第一子をもうける年齢が後ろに倒れていることがあるのだ、私はそういうふうに思っておりまして、もちろんこれだけが原因じゃないと思うけれども、こういうことの解消が知識を得ることによって可能なのであれば、是非頑張ってくださいとエールを送らせていただきたいと思います。

 それでは、最後、五分ぐらい質問させていただきたいと思います。

 今度は行政機構上の問題ですが、今回できるこども家庭庁というのは、権限だけを見ると、第二厚生労働省に見えるわけですよね。元々厚生労働省にあったものを内閣府に持っていったものと、今厚生労働省にあるものをくっつけて、新しいこども家庭庁をつくるというので、外形上見る限りは、第二厚生労働省だというふうにどうしても思ってしまう。

 やはり私、官僚出身ですので、設置法の権限がどう動いているかというのに物すごく関心があるわけですよね。なので、組織自体は若干の中途半端さがあるのかなと。

 大臣、ずっと、国務大臣としての勧告権があるとか、あとは、こども家庭庁の長官の資料とか説明要求をすることができるとかいうことを言われるんですけれども、そもそも、勧告権なんか行使したら、野党の筋から閣内不一致だと言われるのが関の山でありまして、大体そんなものは行使しないんです。

 大臣として、やはり新しくやってくる権限が不足しているなというふうに思うことはありませんか、大臣。

野田国務大臣 こども家庭庁の創設に当たって一番大切なことは、やはり常に国会の場で子供政策の議論が交わされること。そのためには、いい悪いは別にして、やはり責任あるカウンターパートの役所があって、そこに設置法があって、基本方針や基本理念があって、そこで初めて現実的なやり取りができるんだということがまず一義的に大事で、第二厚生省でしたっけ、そもそも、これまでは厚労省の一部とか文科省や警察も様々関わっているんですけれども、それをむしろ一元的に、単独でしっかり捉えていく、子供政策として、厚労省の一部ではなくて、やはり一つの、単独の、一元化するということが大変大きな意味があるんだと私は思います。

緒方委員 やはりどうしても権限が、文部科学省のものが基本的に全部はじかれているということもあって、それを一生懸命、勧告権であるとか資料、説明要求とかいうことでつないでいるんですが、あくまでもそれは、自分の手元にあるんじゃなくて手を伸ばす話ですので、なかなかこれは難しいところがあるんだろうと思います。

 これを補うのは、これはエールを込めて申し上げたいと思いますが、この組織の中途半端さを補うのは閣僚とかこども家庭庁長官の権威だと思うんですね。あの人がああ言っているのだからやらざるを得ないよねとかいうような、閣僚とこども家庭庁長官の権威というものがこの組織を補う重要な要素になってくる、私は実はそう思っています。

 野田大臣は強いから、恐らく、野田大臣が大臣をやっている間は多分それなりにうまくいくんですよ。けれども、この後、でもしかの大臣が来ると、子供、家庭担当の大臣でもやらせるかとか、こども家庭庁の担当大臣ぐらいしかやらせるところはないよねみたいな大臣が来たときには、本当にこの役所が弱くなるということを非常に強く危惧をいたします。なので、頑張っていただければと思います。

 最後、時間もないのであと一問ですが、この法律の附則に検討規定がございます。五年たったら再検討しますよという規定があるわけですが、いろんなことを検討した上で再検討ということになって、いろんなことを勘案した上で組織の再検討ということになっていて、何を勘案するかというと、子供の健やかな成長及び子供の家庭における子育てに対する支援に関する施策を勘案して再検討を行うということになっていますが、これは政府参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 この、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援に関する施策の中には、子供の権利利益の擁護というものは含まれますでしょうか。

谷内政府参考人 緒方委員にお答えいたします。

 緒方委員御指摘の、今回提出いたしましたこども家庭庁設置法附則の第二項にあります、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援の中には、子供の権利の擁護に関する施策と密接に関係しておりますので、この勘案する対象といたしまして、子供の権利の擁護に関する施策は含まれるというふうに考えております。

緒方委員 ありがとうございました。

 日本の抱える課題、少子化というのは、先ほども申しましたが、本当に、これからの人口動態、先ほど、上位で見ても、二〇六五年だったかな、にはすごい数字が来ているわけですよね。一億、全部切るわけですよ。二〇四〇年ぐらいまでは一億を維持するということになっていますが、それは何でかというと、先ほど言ったように、私のような第二次ベビーブームの頂点の人間がまだ生きているからですよ。その人間たちが、二〇六五年ぐらいになると、私でそのときには九十二歳とかの年になるわけですけれども、そういうとき、我々の世代が終わると、どどどっと日本の人口は減っていくんですよね。

 是非、野田大臣が打った政策によって、今八十四万人から、たしか、何か七十五万人という数字が最近聞こえてきました、これを逆転させることができれば、私、野田大臣は名大臣だと思いますよ。その道筋をつけていただきたいと思いますが、意気込みだけ、最後、お聞かせいただければと思います。

野田国務大臣 この三年は、新型コロナウイルス感染症で、ある意味有事でございまして、子供の命を守ろうとすると、どうしても病気との向き合いがあって、ためらいがあったと思いますけれども、しっかりこういう場での議論を生かして、若い人たちがやはり親になろうという夢と希望が持てるようにお力添えをいただきたいと思います。

緒方委員 終わります。

上野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、こども家庭庁の組織の在り方の点について、また、子供コミッショナー制度について質問をいたします。

 これまでの答弁で、大臣は、こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供、子育て支援や少子化対策、児童虐待などの子供施策に関する総合調整権限を一元化して、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮すると答弁をしております。

 それでは、これまでの子供施策に係る総合調整権限とはどのようなものか、これまで機能していたのか、その点についてお答えください。

野田国務大臣 お答えします。

 これまで、子供施策に関する総合調整権限は、青少年の健全な育成や子供の貧困対策については内閣府政策統括官において、子供、子育て支援や少子化対策については内閣府子ども・子育て本部において、そして、犯罪から子供を守るための対策については内閣官房において、児童性的搾取については国家委員会及び警察庁において、また、児童虐待については厚生労働省において、それぞれ別々に担われてまいりました。

 これまでも、内閣府、内閣官房、国家公安委員会及び警察庁、厚生労働省がそれぞれの観点から取り組んできたものと承知しているのですが、今般、政府提出法案においては、これまでの少子化の対処や子供、若者育成支援に加えて、子供のひとしく健やかな成長の実現に向けた基本的な政策についての規定を新たに設けます。これによって、これまで分散していた総合調整権限をこども家庭庁の下にまとめるとともに、広く子供の成長に関わる基本的な政策全般について一元的に担うことといたします。

 また、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行うことで、子供や若者の意見を踏まえて、行政各部の統一を図るための企画立案、総合調整を行います。

 これらによって、こども家庭庁が、常に子供の視点に立って、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて強い司令塔機能を発揮することができると考えております。

塩川委員 それぞれ、これまでの期間における総合調整権限のお話がありました。それはそれで、それぞれ発揮をされていたかどうかという問題があるんですよね。

 その点で、先日、幼稚園型の認定こども園に係る幼児間性暴力について、我が党の本村議員が指摘をした事例があります。それに関してですが、幼稚園型の認定こども園の所管というのはどこになるんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ございました幼稚園型認定こども園は、御承知かと思いますけれども、認可施設である幼稚園が保育所的な機能を備えて、いわゆる認定こども園法に基づく認定を受けた施設となってございます。

 幼稚園型認定こども園につきましては、幼稚園としての認可権者である都道府県による指導助言が行われるほか、子ども・子育て支援法における特定教育・保育施設として、市町村による指導監査等が行われております。

 こういった幼稚園型認定こども園において何らかの問題事案が生じた場合には、一義的には園が適切な対応を行うということが求められるわけですが、その上で、問題事案の円滑な解決が図られるように、事案の内容や状況を踏まえて、都道府県と市町村とが、ただいま申し上げましたようなそれぞれの権限を踏まえて、連携しながら必要な対応、支援が行われているところでございます。

 一方、内閣府、国といたしましても、自治体からの求めや事案の内容や状況を踏まえまして、文部科学省と連携しながら、本件についても必要な助言等を行っているところでございます。

 引き続き、適切な助言に努めてまいります。

塩川委員 国として、幼稚園型の認定こども園の所管というのはどこになるんですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 認定こども園法上の認定こども園ということですので、この認定こども園法は、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省の共管になってございます。

塩川委員 三府省の共管ということです。

 今、内閣府の子ども・子育て本部の話も出ましたけれども、内閣府の子ども・子育て本部は、内閣府設置法に基づき、子供、子育て支援のための基本的な政策、少子化の進展への対処に係る企画立案、総合調整権限を持つとしております。

 この子ども・子育て本部は、幼稚園型の認定こども園についても総合調整権限は及ぶんでしょうか。

藤原政府参考人 現在、内閣府の子ども・子育て本部における総合調整権限の対象となっておりまして、実際、本件につきましても、内閣府を中心に文部科学省ともよく協力をいただきながら、自治体からの求めに応じた助言を図っているところでございます。

塩川委員 子ども・子育て本部が、この認定こども園に係る件についても総合調整権限が及ぶと。今、自治体等への助言という話もされたところです。

 先日、幼稚園型の認定こども園に係る幼児間性暴力について本村議員が紹介をしましたが、保護者の方は、幼稚園や基礎自治体、愛知県の関係部局、また児童相談所などに相談をしてきたと。また、国の機関では内閣府や文科省や厚労省にも被害を訴えているけれども、子供への聞き取りや事実認定、被害幼児の救済や加害幼児への対応を誰が行うのか、この点について、たらい回しになっているという指摘がありました。

 総合調整権限を持つ子ども・子育て本部が関わりながら、たらい回しにされるような事態が生じているんじゃないでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました具体的な事案について、個別に御答弁申し上げることは差し控えたいと思いますが、現在、抽象的なお答えになって恐縮ですけれども、保護者の方に対して、保護者との面談を自治体の方から提案をしているという状況と伺っておりますし、そのことを我々も把握をしながら、適切に助言をしております。

 特に本件につきましては、内閣府を中心に、文部科学省あるいは厚労省にも連絡を取りながら、自治体への助言に努めているところでございまして、しっかりと助言を続けていきたいというふうに思っております。

塩川委員 助言はしているということですけれども、解決はしていないんですよ。やはり、子供への聞き取りや事実認定を行う、被害幼児への救済、また加害幼児への対応、こういったことをしっかりと、誰がどういうふうにやるのか、そういう点が非常に曖昧にされている。そこで、総合調整権限があると言われても、それが発揮されているのかということが問われてくるわけであります。

 現行の子ども・子育て本部において総合調整権限があると言われるけれども、具体の事案を見たらたらい回しになっているといった場合に、今回、更に広げる格好で総合調整権限を発揮をするこども家庭庁を置くというんだけれども、そのこども家庭庁が、じゃ、ちゃんと総合調整権限というのが発揮できるんだろうかと率直に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 先ほどの答弁で、児童の性的搾取については国家公安委員会というのを、ちょっと、公安を抜かしてしまいましたので、訂正させてください。

 個別の案件については、今参考人が申し上げたように、差し控えますけれども、まずは、やはり一義的には地方自治体が取り組むべきことと思います。

塩川委員 それで解決をしないから、国がしかるべき役割を果たす。そういうときに、総合調整権限がある子ども・子育て本部がちゃんと請け負うのかなと思うと、助言はしているというんだけれども解決をしていないという点では、これではやはりたらい回しのままじゃないのかという点で、総合調整権限の発揮そのものは必要な措置ではありますけれども、それで十分とするのかどうかというのがやはり問われているということであります。

 子どもの権利委員会は、この間の日本政府報告に対する勧告において、特に二〇一九年三月、第四回、第五回の日本政府報告に対する勧告で、分野横断的に、全ての活動を調整するための明確な任務及び十分な権限を有する適切な調整機関の設置を要請しています。

 大臣、お尋ねしますが、こども家庭庁は、子どもの権利委員会が勧告で求めている調整機関なんでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 児童の権利委員会から、二〇一九年の政府報告審査の総括所見において、条約の実施に関連する全ての活動を調整するための明確な任務及び十分な権限を有する適切な調整機関を設置するよう要請する旨の勧告があったことは承知しています。

 こども家庭庁は、子供の権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しするために、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む新たな司令塔として創設するものであります。

 こども家庭庁は、外務省とも連携をして、児童の権利に関する条約に基づく児童の権利委員会への対応など、条約に関する取組を主体的に進めてまいります。

塩川委員 いや、お答えいただいていないんですが。こども家庭庁は、子どもの権利委員会が勧告で求めている調整機関に当たるのかどうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、児童の権利委員会からの勧告については承知をいたしておりますが、我が国政府として、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織が必要であると主体的に判断したものでございます。

塩川委員 だから、主体的に判断しているから、権利委員会の勧告に対応したという措置ではない、そういう話であります。

 元々、権利委員会を批准する段階でも、今の、現行のままでオーケーだよということで入ってきていますから、そういう点では非常に不十分な状況でいるというのが我々としての認識であります。

 その上で、子供の権利利益擁護のための総合調整機関であったとしても、政府による子供への権利侵害があるような場合、また、政府による子供の権利侵害に対する不作為があったような場合に、政府内部の機関でこれを取り扱うのには無理があるんじゃないのか。

 先ほど本村議員の事例で紹介をしたように、総合調整権限の機能を持つ子ども・子育て本部が関わりながら、たらい回しにされるような事態が生まれているわけです。

 大臣にお尋ねしますが、子どもの権利委員会の勧告では、先ほど言ったような調整機関の設置と一体に、全ての児童及び本条約の全ての分野を対象とする評価及び監視のためのメカニズムの設置、いわゆる子供コミッショナー制度の設置を要請しております。

 子供施策の総合調整機関とともに、子供施策を評価、監視するメカニズムである子供コミッショナーがセットで置かれることで、子供の権利を保障する役割を果たすことができるんじゃないでしょうか。

野田国務大臣 いわゆるコミッショナーについては、本委員会で、今日もそうでございますが、与野党において様々な議論や提案がなされているということでございまして、私もその議論をしっかり注視してまいります。

 政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することにしています。こども家庭庁においては、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことにより、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかり取り組んでまいります。

 なお、個別事案の対応については、一義的には自治体において行われるものと考えているところです。

塩川委員 こども家庭審議会の話がありましたけれども、こども家庭審議会というのは、審議会に応じて動くところですから。やはり、自らの発意で、政府から独立して動く子供コミッショナーとは違うものだということを指摘しなければなりません。

 参考人質疑でも、国連子どもの権利委員会は、独立した監視機関の仕組みについて、子供の権利を促進し、保護するものとして、条約締約国の中核的な義務として位置づけられているという指摘があったことは大事な点だと思っています。

 大臣に重ねてお聞きしますけれども、議論を注視するというのではなくて、政府としての考えはどうなのかということを問うているわけですから。

 政府の実施をした法制度などによって子供への権利侵害があった場合や、政府による子供の権利侵害に対する不作為があったような場合に、政府内で処理するというのは、これはまともにできるのかというのが問われるわけで、政府から独立した立場で政府を評価、監視する機関というのは必要じゃないでしょうか。

野田国務大臣 先ほどと繰り返すことが多くなりますけれども、政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁の創設をすること。こども家庭庁において、子供の視点に立って、こども家庭審議会、これは諮問だけではなくて自ら発意することもできますので、その場において子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことによって、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるように、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかり取り組んでまいります。

塩川委員 子供コミッショナーは、政府から独立したというところが大きなポイントですので、そういった点でも、こども家庭審議会はそれに当たるものではないということもまた明らかであります。率直にこの問題についての、政府として、大臣としての見解が示されないというのは極めて残念であります。

 それでは、与党案の提出者、また立憲案の提出者にお尋ねをいたします。

 この子供コミッショナーのことですけれども、政府から独立した立場で政府を監視、評価する機関であるとともに、子供の意見表明を代弁し、個別の事案の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要ではないかと考えますが、お答えください。

勝目議員 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、行政組織について規定を置く際には、国家行政組織、その統治機構全体の中での位置づけ、あるいはその組織の所掌事務であるとか権限であるとか、あるいは構成員、こうしたものについて十分な議論が必要だ、このように考えております。

 御質問のいわゆる子供コミッショナーにつきましては、諸外国でそのような組織を設けている国、これがあるということは承知をしておりますけれども、その機能あるいは組織形態といったものは様々であります。このいわゆるコミッショナーという言葉が何を指すのかということにつきましても、我が国国内での議論というのは熟していないんじゃないか、こういう状況であると認識をしております。

 御指摘のありました、政府を監視するというこの仕組み、機能につきましては、まさに今御審議中でありますこども家庭庁設置法案によりまして、この役所が設置された場合におきましては、担当大臣が他省庁の子供施策に勧告する、その勧告権があるわけでございまして、この権限が十分に働くかということを注視をいたしたいと思っております。

 また、具体の権利侵害の相談、救済につきましても、これは設置法案の中で、こども家庭庁の任務として子供の権利利益の擁護というのが掲げられておりますし、また、所掌事務として、虐待の防止であるとか、いじめの防止等に関する相談体制整備といったものが規定をされているわけでございます。

 こうしたことを踏まえて、こども家庭庁の事務の実施状況、こうしたものを注意深く見守っていきたい、このように考えております。

早稲田議員 子供コミッショナーについての御質問にお答えしたいと思います。

 立憲民主党案では、国に子供コミッショナーを設置することとしております。これは、子供の権利を守るためには、政府の外側から独立した立場で子供の権利擁護の状況を監視すること、いじめなどの重大な権利侵害事案があったときに必要な調査ができること、そして、その再発の防止等のために必要な勧告ができること、これらの点が重要であると考えております。

 加えて、立憲民主党案では、より子供に身近な立場からも、その権利の擁護を図るべく、子供の権利侵害に関する救済の申立てを受けてその解決を図ること等を所掌事務とする合議制の機関を全ての都道府県に設置することを義務づけるとともに、市町村は、これを設置することができるものとしています。そして、これらの機関は、相互に連携、協力するように努めなければならないとしております。

 このように、我々の案では、国や自治体に設置された機関が主体となって、必要に応じて連携や協力を行うことで、特定の自治体にとどまらず、全国的に子供の権利の擁護を図ることが可能となると考えております。

塩川委員 与党案におきましては、残念ながら、子供コミッショナー制度を設けるものとなっていない。議論が熟していないというお話でしたけれども、ただ、やはり、この間の権利委員会の対応などをめぐっても、条約締約国の中核的な義務という位置づけの中で、数十か国でこういった措置が行われているということは、我々としてしっかり受け止める必要があると思っております。

 立憲案におきましては、子供コミッショナーの制度を国において設置もし、さらに、合議制の機関を都道府県でも必置をして、市町村でもその対応について求めていくという点では、個別の事案の救済という点でも積極的な役割を果たすものであると思っております。

 そこで、立憲案の提出者に、もう一点、関連してお尋ねしたいんですけれども、子どもの権利条約を本当に生かしていく上で、四つの一般原則がありますけれども、やはり、子供の意見表明権をしっかりと保障するというのが要のことだろうと思っています。子供の最善の利益を保障する上でも、もちろん、差別は許されない、成長、発達を保障する、そういう権利を求めると同時に、それを進める上でも、やはり、子供の意見表明権を保障するということが基本の点だと思っています。

 子供は権利の主体ではありますけれども、大人と同じような自己決定権を持つものではありません。だからこそ、自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして子供コミッショナーは必要不可欠ではないかと思いますが、立憲案の提出者のお考えをお聞かせください。

早稲田議員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、全ての子供について、その子供の年齢それから発達の程度に応じて、子供の意見を聞く機会及び子供が自ら意見を述べる機会を確保すること、その意見を十分に尊重することは大変重要なことだと思っております。

 児童福祉法の改正案につきましても、今度は意見表明支援ということの事業も新たに入りました。こうしたことも踏まえればなおさらのこと、この子供コミッショナーを国に、そしてまた自治体に設置をすること、この重要性が分かると思います。

 以上です。

塩川委員 やはり、自由に意見を表明するということがあっての意見表明権という点を強調したいと思っております。

 それでは、残りの時間で、与党提出のこども基本法案について、基本理念に、子供の養育について家庭を基本として行うという条文の文言についてお尋ねします。

 他の法律で、このような条文の規定というのはあるんでしょうか。

丹羽議員 お答えいたします。

 児童福祉法第三条の二におきまして、児童が家庭において心身共に健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならないと定めた上で、ただし書におきまして、家庭での養育がかなわない場合には、家庭における養育環境と同様の養育環境等において児童が養育されるよう、必要な措置を講じなければならないと定めているところであります。

 この条文が追加された際の審議におきましては、家庭で養育を受けるということがまず第一、基本だろうということが厚生労働大臣から答弁されており、家庭を基本という文言こそないものの、児童の養育については家庭を基本として行うという趣旨の考えがございました。

塩川委員 家庭を基本という文言というのはないと。それは他の法律にもないということはよろしいですか。

丹羽議員 塩川先生おっしゃるように、家庭が基本ではないということで大丈夫でございます、文言はないということで。

塩川委員 第一というのは第一義的責任という対応でのことだと思いますけれども、子供の養育について家庭を基本として行うという法律上の文言というのはないということです。

 そうしますと、子供の養育について家庭を基本として行うという、その意味はどういうことなんでしょうか。

丹羽議員 児童の権利に関する条約の前文におきまして、同様の記述がございます。

 家族が児童の成長及び福祉のための自然な環境であるということにされておりまして、児童は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであるとされております。

 御質問の中の、児童の権利に関する条約及び児童福祉法と同様の考えということで考えております。

塩川委員 でも、権利条約の前文においては、家族というのは、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべき対象だ、そちらにウェートがある書きぶりですよね。つまり、家族に対する公的支援の必要性を強調する文脈での記述になっているという点がポイントだと思います。

 しかし、子供の養育について家庭を基本として行うという趣旨と、そこは大きく違うんじゃないでしょうか。

丹羽議員 趣旨は全く変わらずに、児童が家庭において心身共に健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならないということが、家族に対する話でございまして、ただ、それにおいても、家庭で養育を受けるということがまず第一の、基本であろうと。児童の養育については家庭を基本として行うということを前にも厚生労働大臣が述べておりまして、そういった面におきましては、家庭の環境が保たれない場合は、しっかりと制度的に国として対応していくという内容になっております。

塩川委員 第一と基本は違うんですよ。それは第一義なのか第一次なのか、これ自身も少し、権利条約の条文上はいろいろ議論はあるんでしょうけれども、基本という用語をなぜ使っているのかという点です。

 そういう点でいうと、やはり、子供の養育は家庭が基本だということを書くことによって、虐待や貧困、ヤングケアラーなど、家庭の中で苦しむ子供が少なくない中で、この条文の規定が、苦しむ子供や保護者を更に追い詰め、孤立させるということになりはしないのか、こういう懸念というのを持つんですが、いかがでしょうか。

丹羽議員 もちろん、児童が家庭において、最近社会的な問題にもなっておりますヤングケアラーということは委員もおっしゃられましたけれども、このヤングケアラーとか、そういったことに陥らないように、今回のこの法案の中にも、社会全体として、子供の養育、成長を見守っていくというふうな内容でございます。

塩川委員 家庭ということで、その下で傷ついた、そういった子供たちがあるということをしっかり見る必要があると思います。

 それと、やはり、家庭の養育責任の強調というのが家庭の自助努力を強いることにつながらないのかという危惧を持つんですが、その点はどうでしょうか。

丹羽議員 この基本理念の第三条の五にもございます、子供の養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的な責任を有するという認識の下、これらの者に対して子供の養育に関して十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難な子供にはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、子供が心身共に健やかに生育されるようにすることというふうに書いております。

塩川委員 第一義的に、その後に社会的な支援の話が出てくるわけですけれども、その前段として基本という言葉が出てくる、その意味は何なのかというところが問われているわけです。

 私、その点で、家庭の自助努力を強いるということが問題になるということを先ほども述べましたが、これまで自民党は、例えば生活保護制度について、自助努力による生計の維持ができない者に対する措置ということを原点に実施するとして、生活保護給付水準の引下げを求め、実施してきたという経緯があります。

 児童扶養手当も同様であります。就労による自立支援を名目にして、児童扶養手当の減額や一部支給停止規定を設けるなどしてきました。

 母子家庭の母親の就労率は八割と極めて高い水準であるにもかかわらず、一人親家庭の貧困率は五割、OECD諸国で最悪水準であります。母親の就労の大半が非正規雇用で低賃金となっている現状があります。

 こういう現状をそのままにして、子供の養育は家庭が基本という規定は、母子家庭に自助努力として就労による自立を迫ることにつながるんじゃありませんか。

丹羽議員 再度、このこども基本法の要領にもよりますけれども、基本理念におきまして、子供の養育について、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的に責任を有するという認識の下、これらの者に対して子供の養育に関して十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難な子供に対してはできる限りの支援を行うというふうにされております。

塩川委員 これまで、児童扶養手当の改悪や生活保護制度の改悪など、子育て支援の後退を合理化する理由として、自助努力を強いる家庭の養育責任が強調されてきました。

 家庭に養育責任を迫るんじゃなくて、児童扶養手当を始めとした社会手当の抜本的拡充など、子育てへの公的支援を拡充することこそ求められている。子供の養育は家庭が基本という規定はこれに逆行するものだと指摘をして、質問を終わります。

上野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。この度、山本太郎代表の議員辞職を受けまして、そのバトンを引き継ぎ、比例東京ブロックで繰上げ当選させていただきました。

 本日は、大石あきこ議員の貴重な時間を譲っていただきまして、九年ぶりの国会質疑に立たせていただきます。大石議員始め、委員長そして関係者の皆様に、心からこの機会、感謝を申し上げます。

 また、野田大臣、私、野党としては初めての質問なんですね。今日はよろしくお願いいたします。

 さて、このこども家庭庁法案、この質疑に立たせていただくことは、私にとって大変感慨深いものなんです。といいますのも、私の実家は、五十年以上、幼稚園、保育園、そして今は認定こども園、また学童保育もやっております。そうした中で常々母が言っていること、それは、大人の都合でこの国は子供政策が決められている、子供の育ちを根幹に置いた社会そして国にしなければ日本に未来はない、そのことをいつも言っておりました。

 私、幼い頃は、大人都合って何だろう、分からなかったんですよ。でも、約十年前に民主党政権ができて、当時も、子ども家庭省を創設しよう、一元化をしようと試みながらも、残念ながら失敗に終わりました。その流れの中に自分もいて、その意味を理解したんですね。

 本日は、今回のこども家庭庁法案の設置が真に子供の育ちを根幹に置いた社会になるものなのか、そうした国づくりの土台となるものなのかを議論させていただきたいと思います。

 さて、まず初めに、大臣は少子化担当大臣でもおられますが、一九九〇年、一・五七ショックと言われた合計特殊出生率から約三十年がたちました。二〇一九年は一・三四と下降しております。先ほど緒方議員からも質問がありましたけれども、この少子化対策が最大の国家の危機だと言われながらも出生率が下落した、この実態について、その主たる原因と、そして失敗だということの御認識はあるかどうか、まずお伺いします。

野田国務大臣 お帰りなさい。

 少子化対策については、先ほども申し上げたんですけれども、もう五十年近く前から出生数が下がり始めてきていたんですが、当時のやはり経済等、政治、有識者というのは、高度経済成長期であったので、子供の数の減少と経済というのはリンクしないというか、国に何ら被害というか問題を起こさないような認識があったことと、やはり男性議員にとって、子供を産むという発言というのは非常に難しい状況に長らくございました。

 ただ、今、少子化社会対策大綱なんかでも一生懸命取り組んできていることは、やはり若い人たちは、九割、結婚して子供を持ちたいと望んでいるし、やはり二人は欲しいと望んでいるけれども、それがかなわないということに対して、これをやればそうなるというような問題ではなく、重層的に、様々な社会が抱えている問題、働き方であったり教育であったり、そんなことをやっていかなきゃいけないというところまで来たんだと思っています。試行錯誤があったと思います。

 そんなことも踏まえて、子供目線、見える子供に何かをするという子供政策じゃなくて、やはり少子化対策ということで、少子化というのはあくまでも生まれてこれなかった見えない子供たちの数ですから、そういうことを踏まえて、こども家庭庁では周産期からしっかりと子供を第一に置いて、真ん中に置いて取り組んでいこうということをこれから皆さんとともに進めていきたいと願っています。

櫛渕委員 結婚、出産、これは個人の選択であります。他人、ましてや国家が口出しすべきものではありません。しかし、結婚したい、子供を産み育てたいという思いは、いわば人間の素朴な感情でもあり、希望でもあると思うんですね。それを望む人も少なくありません。そうした望みがかなえられない、選択できない状況に追い込まれて、育てられない、産めないというのは、私は国家として最大のやはり失敗だという認識からスタートしなければいけないと思うんですよ。

 そして、私が今日申し上げたいのは、少子化が進んできたこの三十年間、一方でどんな社会状況だったか。二十五年以上ずっとデフレで、そして経済の不況が続いて、そもそも少子化対策の失敗の前提にあるもの、ここをしっかり見なければ、私は前に進めないんじゃないかというふうに思うんですね。それは何かと言えば、やはり、このデフレ下の中での賃金の下落と、そして雇用の破壊、こうした現実があるわけです。さらには、長い不況、この中で、経済が悪いにもかかわらず、そこに消費税を導入して増税をしてきた、こうしたことも、時代、重なっているんですね。決定的にそこに政策の間違いがあったのではないかということをまずお話ししたいと思います。

 まず、パネル一、子供を希望数まで持たない理由、これを皆さんにお示ししたいと思うんです。いろいろな理由があります。けれども、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、これがトップなんですよ。そして、この率、見てください。三十代から三十四歳、八一%ですよ。

 そして、もう一つパネルをお示ししたいと思います。二枚目です。一世帯当たりの所得の中央値の推移、これを見てください。一九九五年の中央値が五百四十五万円だった。それに対して、二十五年のデフレで所得の中央値が約百八万円も低下しているということであります。

 今年の三月に、政府の経済財政諮問会議で同じような報告が発表されています。それによれば、三十代半ばから四十代半ばの所得が二十年余り前の世代と比べて百四万円減少、四十代半ば、五十代半ばの世帯については百八十四万円も減少なんですね。さらには、二十代そして三十代、こうした若い世代の単身世帯、年収二百万円の割合が増えていて、これは非正規雇用の割合が大きく上昇しているからだという分析があります。つまりは、少子化対策そのものも不十分だったけれども、それ以上に、基盤となる賃金と、そして経済が消費税によって破壊されてきた、ここに私は真の原因があると思うんです。

 大臣にお聞きいたします。こども家庭庁設置法案には安定財源について具体的な明示がなく、一方、政府の閣議決定資料には、「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み」ということが書かれています。これは財源の部分でありますが。

 大臣にお聞きします。

 広く負担していく新たな枠組みとは、消費税の増税や子供保険をつくるなど、まさか、こうした状況の中で国民負担を増やすということではありませんね。

野田国務大臣 今お話があるように、結婚そして子供を持つことは強制でありません。ただ、現実、結婚したい、子供を産みたい、育てたいという声に応えられていないのがやはり今の政治なんだと思います。

 それで、しっかり、若い人たちの希望の実現を阻んでいることを列挙しまして、それに対して対策を打っていかなきゃいけない。例えば、今お話があったような経済的な不安定や長時間労働、又は出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、例えば、家事、育児の負担が依然として女性に偏っているという状況、子育て中の孤立や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さ、年齢や健康上の理由、様々な要因が絡んでいると言えます。

 それで、私たちは、これらを負と捉えるのではなくて、これらを解決していけば、やはり若い人たちに希望の道筋を与えられるという立ち位置であらねばならないと思います。どうしても、負担、負担と、子供に対するお金を負担とおっしゃってしまうと、そこで立ち往生してしまうので、やはり、これからの投資、これからの日本の国としての指標のためにも、子供をしっかり育てられるような国づくりための費用として各層に理解をいただきながら安定財源を求めていく、そういうスタンスでございます。

櫛渕委員 大臣、国民負担は増やさないと言えないんですか。

 二十五年もデフレが続いて賃金が下がる、そんな中で、国民負担率は昨年度は過去最大、四八%ですよ。国民負担率というのは所得に対する税金と社会保障費用の負担の割合ですから、つまり、給与をもらっても半分しか使えない、これが現実なんですね。

 消費税に至っては、全部社会保障に使われると信じている国民は多いかもしれませんが、それはうそじゃないですか。実は、そのほとんどが法人税減税や大企業の優遇の穴埋めに使われているに等しい状況、そうした状況が今の現実です。

 そして、実際に、消費税収のうち、子供、子育て政策に使われているのは何%か、これを内閣府に聞きました。二・二兆円なんですね。つまり、令和四年度の全体の消費税収は二十七・五兆円、そのうち二・二兆円ですから、約八%にしかすぎないんです。一割に満たないんですよ。

 消費税、これは、逆進性が高いために、低所得者ほど負担が大きいものです。生活に苦しい人ほど消費税は圧迫感が強いし、将来への安心感も失う。

 消費税導入時に竹下登総理もこの逆進性については懸念されたという当時の記録がありますので、ちょっと紹介したいと思います。

 一九八八年、今から三十四年前なんですが、竹下登元総理の発言で、五つあります。

 一点、逆進的な消費税は、逆進的な税体系となり所得再分配機能を弱めるものではないか。懸念二点目、結局中堅所得者の税の不公平感を加重するものにならないか。そして三点目、所得税がかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないか。そして四点目、いわゆる痛税感が少ないことから税率の引上げが安易になされるのではないか。そして五つ目、新しい税の導入により事業者の事務負担が極端に重くなるのではないか。私はこれらの懸念に応えていくことが極めて大切なことであると認識しています、このように発言をされているんですね。

 少子化が進んだのは、こうした背景にある消費税の導入と増税、そして経済不況。増税のたびに経済が悪くなっていったことはデータでも証明されているとおりじゃありませんか。このままで、所得の低い人は子供を持てません、そして産めません。さきに示したとおり、二十代、三十代の若者の単身世帯に年収二百万円台が増えているというこの現実に立ち返って、ここからスタートしなければいけないんじゃないでしょうか。

 消費税は全てのものに日々かかります。子供も大人もです。低所得者は、年間所得の一か月分に近い金額を消費税で納めなければならないということは、一年に十一か月分しか給料をもらっていないのと同じこと。そもそも、強制的に取りやすいところから取るのは、政治、行政的に不公平じゃありませんか。税はお金を持っている人から納めていただくのが基本ではないでしょうか。

 大臣、消費税は廃止して、子供、子育てに特化した財源を別途、積極財政で、国債を発行して、例えば、子供国債、教育国債などで国が責任を持って財源をつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 様々御意見をいただいて、いずれにしても、子供政策に係る費用、負担ということになると子供たちが肩身の狭い思いをしますので、やはり、私たち大人がしっかりと投資をしていく、子供たちの将来を支えていくというスタンスで子供政策に関しては捉えていきたいなと思っています。

 いずれにしても、この法案を御議論いただきまして、子供政策に関する予算というのは、こども家庭庁の下で体系的にしっかり取りまとめていきます。

 子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保、今もいろいろ御意見をいただきましたけれども、昨年閣議決定した基本方針でも、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めて確保に努めていくというふうにしているところであり、今後、財源については政府全体でしっかり議論していく必要があると考えています。

 いずれにしても、子供目線に立ち、必要な子供政策の充実をしっかり取り組んでいきたいと思います。

櫛渕委員 私は、子供が負担だなんて一言も言っていないんですね。子供に投資をすることは大賛成なんですよ。だから、積極財政で、国債を発行して、しっかり子供に最大限の投資をしようということを大臣にもお聞きしたつもりです。

 橋や道路のインフラに投資するように、子供への投資というのはソーシャルインフラ、こうした考え方で米国のバイデン政権でも主張され、注目されているじゃありませんか。

 例えば、教育を完全無償化すれば人材が育ちます。将来の子供はその人材の恩恵を受けますし、将来世代も受益者になるわけですね。今に投資をしなければ、その人たち、将来に投資すると私は思えないんですよ。今やらなくてどうしますか。

 よく将来にツケを回してはいけないと、まるで子供にツケを負わすかのようなことを、国債発行のことを積極財政で言うと言う方がいらっしゃるんですが、私はそういう方にははっきり申し上げたい。財政規律のせいで、今、子供の虐待、貧困、いじめ、自殺、そして子供が生まれない、このことの方がよほど日本の将来にとって深刻なツケを回しているんじゃありませんか。子供や教育へ投資した場合の受益者は誰なんですか。本人じゃないんですよ。まさに社会であり、国じゃありませんか。

 イーロン・マスク氏の日本消滅発言、大変な私は衝撃を持って受け止めました。世界一影響力のある人が日本についてそう評しているということの危機感が、積極財政であればすぐできるじゃありませんか。この危機感、しっかり持っていただいて、国がこのままいけば消滅するかもしれないというぐらいの大きな危機感の中で、財政の信頼確保どころか、国家の信頼が揺らいでいる、これぐらいの危機感を持って、大臣には、財源について、国民負担をまずは増やさない、そして積極財政で、子供国債あるいは子育て国債のような形で取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 この危機のときには、今すぐ緊縮政策、緊縮財政の政策、これを積極財政政策へと切り替えて、大胆に財政出動をして子供に最大限の投資をすることを約束してください。

 大臣、まさかと思いますが、子供始め全ての社会保障に使うからといって誤ったメッセージが出て消費税が増税されました、今回も、先にこども庁をつくって、子供の財源は必要だからと小手先で国民負担を増やそうとしているのではありませんよね。少なくとも、経済がよくなり、少子化対策で効果が出るまでは、大臣、国民負担は増やさないとここで明言してください。

野田国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、今現在は、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めて確保に努めていくというふうに財源については申し述べているところです。

櫛渕委員 同じ質問を立憲民主党そして維新の代表者の方にもお聞きいたします。

 立憲民主党の案では、子供予算を対GDP比三%以上と法案に明記されていますが、どのように財源を確保するのか。まさか、消費税増税や子供保険の負担、このことはないと考えてよろしいでしょうか。

早稲田議員 櫛渕委員の質問にお答えいたします。

 立憲民主党案では、子供、子育て予算の対GDP比三%以上の数値目標を明記しております。このように、具体的な数値を明示した上での予算確保を国に義務づけることで、子供施策の実施に必要な予算を安定的に確保することを目指しております。このような措置がなければ、単年度ごとの議論になってしまい、安定性、確実性に欠けると考えたためです。

 なお、子供、子育て予算の対GDP比三%以上としておりますが、これは、新たに十六兆円の財源を確保する必要があるということでは必ずしもありません。現行でも約一・七%、九兆円の子供、子育て予算が確保されていることを前提に、残りの一・三%、七兆円が目標達成に必要であると認識をしております。

 その財源につきましては、まずは教育、保育、医療、介護なども含めてベーシックサービスを拡充していくことで、可処分所得を増やすことが必要であると考えています。

 その上で、応能負担を前提に、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の強化など、年間所得一億円以上の富裕層を念頭に置いた税制改革を考えていく必要があると考えています。

 コロナ禍を乗り越えることを前提とした上で、累進税率の強化も念頭に、あらゆる税の抜本的な改革が必要となってきます。

 ただ、これだけ地域経済が傷んでいる中では、税率引上げを先行させるのではなく、個人消費を増やす意味でも、給付先行で考えていく必要があります。将来世代への恩恵があることに鑑みて、教育国債の発行なども含めて検討を行いながら、委員おっしゃるとおり、未来への投資の考え方の下、力強く子供施策を進めてまいりたいと考えています。

櫛渕委員 時間がないのではしょりますが、導入でその話は分かるんですけれども、まず、ベーシックサービス拡充も、じゃ、どこからどう取るのかということもよく分かりませんでした。

 そして、導入でそうなったとしても、じゃ、中長期的に、消費税増税とか、あるいは子供保険とか、やはり国民負担を増やしながら進めていくという考えはないのかどうかもお聞きしたかったんですが、取りあえず分かりました。

 何かいろいろ聞こえましたけれども、実効性があるのかどうか大変疑問に思います。

 維新の方はいかがでしょうか。

三木議員 我が党の子ども育成基本法案においては、第一条の冒頭に、次代の社会を担う子供の育成への支援は日本社会の未来への投資であるとの認識を示しています。このような認識の下で教育無償化に積極的に取り組んできた我が党としては、財源の確保についても重要な課題であると認識しています。

 このために必要な財源について、昨年の衆院選で、維新八策二〇二一においては「予算枠を財務省の取りまとめから独立させ、GDPの一定割合を必ず子どものために配分する等と定めた上で、その財源を着実に活用できる組織のあり方を検討します。」という公約を掲げたところです。

 子ども育成基本法案の下で子供関係予算の執行の司令塔となる教育子ども福祉省は、子供の教育、福祉等に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、子供の教育、福祉等に係る施策を一体のものとして実施するために設置されるものであり、縦割りによる予算の無駄遣いの削減も期待できるところです。財源の規模とその調達は教育子ども福祉省の具体の制度設計とともに詰めていくことになりますが、いずれにしても、子供のための予算を優先して確保するという考え方の下で、子供の育成施策が力強く推進されることになると考えております。

 加えまして、ウクライナ危機におきまして、コストプッシュインフレが起こっている現在、日本維新の会では、消費税の軽減税率の品目の増加なども提案をさせていただいているところでございます。

 教育施策について、消費税の増加などは考えておりません。

 以上でございます。

櫛渕委員 そろそろ時間となってしまいました。

 財源、結局、国民負担を増やさないということを明言いただけなかったのは大変残念であります。そして、中長期的に、子供、子育ての国債を発行した形で、将来のツケではないんだ、子供に投資するということは、これからの国にとっての、そして私たち、今生きている子供も、そして全ての人々にとっても、とにかく緊縮政策が、この三十年、悪くなってきたということにしっかり原点に立ち返っていただいて、まずは積極財政で、大胆な財政出動で国民の生活の底上げ、そして経済再生、その土台があってこその少子化対策であることを最後に申し上げます。

 そして、れいわ新選組は、子供関連政策、こうした項目、これは一部でありますが、規模感でいえば、対GDP比三%以上は当たり前だと思っています。むしろ、対GDP比三%以上というのは、欧米から比べれば、平常時ですよね、平時のものとして積まなきゃいけない最低限のものであり、むしろ今は非常時ですから、そして遅れてきた分を取り戻さなきゃいけないんですよ。ですから、規模感としては、総理は倍増と言っていますが、三倍、最低でも三倍必要なんじゃないか、それぐらい積極財政で、子供、子育て、しっかり、国債を発行して、まずはこの危機を脱却するということで、こども家庭庁、皆さんと一緒にこうした取組を進めていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

上野委員長 次回は、来る十三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


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