第25号 令和4年5月13日(金曜日)
令和四年五月十三日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 上野賢一郎君
理事 井上 信治君 理事 工藤 彰三君
理事 平 将明君 理事 藤井比早之君
理事 森田 俊和君 理事 森山 浩行君
理事 足立 康史君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 東 国幹君
伊東 良孝君 石原 宏高君
金子 俊平君 国定 勇人君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
鈴木 英敬君 高木 啓君
高見 康裕君 永岡 桂子君
平井 卓也君 平沼正二郎君
松本 尚君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 山田 賢司君
吉川 赳君 和田 義明君
泉 健太君 おおつき紅葉君
城井 崇君 堤 かなめ君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 阿部 司君
浅川 義治君 遠藤 敬君
堀場 幸子君 三木 圭恵君
河西 宏一君 平林 晃君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
櫛渕 万里君
…………………………………
議員 加藤 勝信君
議員 勝目 康君
議員 木原 稔君
議員 塩崎 彰久君
議員 鈴木 英敬君
議員 鈴木 隼人君
議員 國重 徹君
議員 中野 洋昌君
内閣総理大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(こども政策担当) 野田 聖子君
内閣府大臣政務官 小寺 裕雄君
内閣府大臣政務官 宮路 拓馬君
内閣府大臣政務官 宗清 皇一君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 彦谷 直克君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長) 谷内 繁君
政府参考人
(内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室審議官) 蝦名 喜之君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 内山 博之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 出倉 功一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡崎 毅君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
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委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
伊東 良孝君 東 国幹君
山田 賢司君 高見 康裕君
吉川 赳君 国定 勇人君
大串 博志君 おおつき紅葉君
本庄 知史君 泉 健太君
山岸 一生君 城井 崇君
阿部 司君 三木 圭恵君
浅川 義治君 遠藤 敬君
大石あきこ君 櫛渕 万里君
同日
辞任 補欠選任
東 国幹君 伊東 良孝君
国定 勇人君 吉川 赳君
高見 康裕君 山田 賢司君
泉 健太君 本庄 知史君
おおつき紅葉君 大串 博志君
城井 崇君 山岸 一生君
遠藤 敬君 浅川 義治君
三木 圭恵君 阿部 司君
櫛渕 万里君 大石あきこ君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
こども家庭庁設置法案(内閣提出第三八号)
こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三九号)
こども基本法案(加藤勝信君外十名提出、衆法第二五号)
子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出、衆法第八号)
子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出、衆法第二七号)
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○上野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案の各案を一括して議題といたします。
この際、内閣提出、こども家庭庁設置法案に対し、森山浩行君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森田俊和君。
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こども家庭庁設置法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○森田委員 ただいま議題となりましたこども家庭庁設置法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
子供を産み、育てていくためには、何かと出費がかさみます。他方、我が国においては、ここ数十年間賃金はほとんど上がっておらず、子育て世帯の経済状況は厳しさを増しております。こうした状況の下、子育て世帯に対する給付など、子育て支援の充実が求められておりますが、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は、依然として低水準にあります。そこで、立憲民主党といたしましては、子供施策に係る予算について具体的な数値目標を設定し、これを確実に増額し、児童手当の支給対象の拡大及び児童扶養手当の増額等を行うべきであると考えております。
また、政府案においては、教育はこども家庭庁の所掌事務に含まれておりませんが、子供施策を総合的かつ効果的に実施するためには、教育も含め、子供施策を一元的につかさどる新たな省の創設が必要であります。
さらに、子育てにおいて家庭は大切なものであるとは認識していますが、貧困、虐待等、家庭だけでは抱え切れない課題も数多く存在しており、家庭が子供の権利を尊重して助けてくれる場にならず、家庭という言葉に苦しむ方々もいらっしゃいます。立憲民主党は、子供を社会全体で支援すべきと考えており、こども家庭庁という名称に問題意識を持っております。
加えて、子供施策を総合的かつ効果的に実施するための組織及び体制の在り方について検討を加えるに当たっては、子供の権利擁護を行う子供コミッショナーの設置についても検討が行われるべきであり、そのためには子供の権利の擁護に関する施策の実施状況についても勘案することが不可欠です。
以上のような認識の下、これらの事項について確実に検討が行われることが必要であると考え、本修正案を提出した次第であります。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、政府は、速やかに、GDPの額に占める子供に関する施策に係る公費の支出の割合が三%以上となるよう、児童手当の給付対象の高校生までの拡大等並びに児童の属する全ての低所得者世帯に対する児童扶養手当の支給及び支給する手当の額の増額等を行うために十分な予算を確保するための施策について検討を加え、その結果に基づいて必要な財政上の措置を講ずるものとすることとしております。
第二に、政府は、速やかに、初等中等教育も含め、子供に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るために必要な事務を一元的に行う行政組織の在り方について、当該行政組織の名称をこども省とすることを含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすることとしております。
第三に、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援に関する施策に子供の権利の擁護が含まれることを明示することとしております。
なお、第一及び第二は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本修正案の趣旨であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○上野委員長 この際、お諮りいたします。
各案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長彦谷直克君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○上野委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。三木圭恵君。
○三木委員 おはようございます。日本維新の会の三木圭恵でございます。
こども家庭庁に対する質問もいよいよ今回が最終となりました。早速質問に入らせていただきます。
まず、こども家庭庁が創設されることにより、地方の行政事務に何か変わることがあるのか、子供たちが一日の大半を過ごす学校という教育現場で何か変わることがあるのか、お尋ねしたいと思います。できれば簡潔にお答えをお願いいたします。
○野田国務大臣 おはようございます。
お答えいたします。
子供政策の具体の実施は、地方自治体が中心的に担っております。その体制等は自治体の判断となるため、こども家庭庁の設置によって地方の行政組織や学校等に直接影響があるわけではありませんが、いずれにしても、子供政策に関連する部局同士が連携を図ることが重要だと認識しています。
特に、こども家庭庁は、教育行政を担う文部科学省と緊密な連携を図っていくこととしており、自治体においても、首長部局と教育委員会の連携が極めて重要であると考えています。
○三木委員 ありがとうございます。
パネルを作ってみました。
維新の会が提出した教育子ども福祉省の構想では、教育と福祉が一元化され、国の組織が、文部科学省を含めて、内閣府と厚生労働省、子供に関する施策を所管する省庁が一体となって子供たちの学びと育みを見守っていく、支えていく、また、子育てをしている大人も安心できる、そういった組織となるように考えて作成した法案です。
パネルの一ですが、維新の教育子ども福祉省の図を作成しました。この三つの所管が、連携ではなく、一体となったものが教育子ども福祉省でございます。
次に、国の組織が一体化されたら、地方の組織はどう変わるのか。
こども家庭庁では、先ほど野田大臣のお答えがあったとおり、何も変わらないというお答えをいただきましたけれども、地方によって形の選択ができるというのはそのとおりだと思います。
私たちの考えた案で大きな特徴は、教育委員会の中に福祉部局の一部を組み込むことです。こうすることによって、教育委員会が市長部局と一線を引き、市長部局が教育に全く関与できないという状況をなくしていきます。
また、いじめの事案があり、教室内で解決できない大きな事態になりつつあれば、重大事案になる前に、福祉部局を通じて市長部局の調査部門に報告が行く体制を構築いたします。このいじめの窓口というものを福祉部局、教育委員会の外に置きまして、重大事案になる前に、市長部局が、要請があれば調査をするという地方の組織を考えております。
実際の学校現場なんですが、学校現場である教室には福祉担当員を置き、小学校低学年では、例えば軽度発達障害で立ち歩く子や特別な支援が必要な子に対するサポートを行います。例えば、軽度発達障害のお子さんの中には、縦文字は読めないけれども横文字は読めるとか、八ポイントの字は読めないけれども九ポイントの字は読めるなど、サポートがあれば学習能力を伸ばせるお子さんがたくさんいます。そういったお子さんのサポートを福祉担当員が行うことによって、大多数の、マジョリティーである子供たちの学習は教員がスムーズに行うことができ、子供たちの教育の質を担保することがたやすくなります。
教室内で起こったいじめの小さな芽を発見することも、虐待や貧困も、大人である教員と福祉担当員がいれば発見しやすく、解決につながりやすいと考えます。
今までも、いじめ重大事案が問題となり、非常に痛ましいいじめ問題が起きてきました。しかも、それを隠蔽していたという事実が度々報道され、子供の命が守られなかったという最悪の事態を招いてきたことを真摯に受け止め、反省と、今後に向けて最大限の努力をしていかなければなりません。
もちろん、そういった事案が全部だというわけでは当然なく、大多数のいじめ問題が教員の方々の子供たちへの愛情と努力で解決されているということも承知しております。その上で、やはり、教員だけでなく福祉担当員もいれば、協力し合い、相談し合い、いじめ事案などの問題解決に向けての力が大きくなると考えます。
また、働き方改革によって、教員の労働時間が非常に長くなっていることも鑑みて、やはり福祉担当員を教室に置くということが最善の道ではないかというふうに私たちは考えております。
そして、学校の施設です。現状では、文部科学省と厚生労働省、内閣府の縦割りにより、教育現場としてのみ使われている学校施設が、教育と福祉が一体化することにより、縦割りの弊害をなくし、多くの利用法を考えることができるようになると考えます。
例えば、放課後児童クラブなんか、今、余裕教室の活用ということで縦割りがだんだんなくなってきていることと思いますけれども、例えば、夕方の子供食堂の利用であるとか、お稽古事や民間のスポーツ塾にも使用の門戸を広げることができるのではないでしょうか。こうしたことによって、働くお母さん方が、放課後児童クラブに子供を預けているとお稽古事がさせられないというような問題を解決することができると考えております。
今回のこども家庭庁では、国の組織がこういった形になるというのは理解をしておりますが、地方の行政組織、そして学校現場にはどういった変化があるのか、私は、何度聞いても、答弁の中で、何かが変わるかということを読み取ることができませんでした。
そこで、野田大臣にお伺いいたします。
様々な、地方行政の中で好事例などもあると言及されておられました。地方行政の中で、組織、様々研究をされている、調査をされているというお答えでございました。そのような組織は多くが、教育委員会だけに学校現場を任せるのではなく、教育委員会に福祉部局を置いたり、いじめの窓口は市長部局に置いたり、教育と福祉が一体となる工夫をしていると思います。
そして、多くの現場で聞かれる声は、ソーシャルワーカーの人員配置をもっと加配してほしいという声です。先日の維新の堀場委員の質疑の中でもお伺いしていました。こども家庭庁の予算でソーシャルワーカーの加配ができないかという問いに、野田大臣のお答えは、文部科学省の所管であり、こども家庭庁が創設されたとしても、そこは文部科学省の予算で配置することしかできないとの内容の御答弁であったと認識しております。
しかしながら、私は、やはり再度お伺いしたいのです。たとえ省庁が一体となっていなくても、このことが実際にできるのであれば、それはとてもすばらしいことだと考えますし、やはり無理なのだとなれば、それこそ縦割りの弊害と言わざるを得ないと考えます。実際に、教室に福祉を担当するソーシャルワーカーのような存在が少ないとお考えではないでしょうか。そうお考えであるのであれば、福祉の担当であるソーシャルワーカーの加配を、福祉を担当するこども家庭庁でお願いすることはできないでしょうか。
○野田国務大臣 初めに、地方自治体の好事例、例えば大阪府箕面市では、子供や家庭に関する教育や福祉の様々な情報を連携させた子ども成長見守りシステムを構築しております。このシステムにより、貧困や虐待などで注意を要する子供を早期に発見、支援することが可能になっていると承知しています。こうした事例は、データを活用した教育行政と福祉行政の連携の好事例であると考えています。
内閣官房においては、自治体における関係部局の連携体制の事例を把握するための調査を実施しているところです。今後、各自治体における取組を情報共有することなどを通じて、自治体におけるこどもまんなかの考え方に基づく体制の検討が一層進むよう取り組んでまいります。
そして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては、子供のカウンセリングのための時間が十分確保できないなど、課題が指摘されていると承知していますが、その課題解決の取組は文部科学省において進められていくものと考えています。
こども家庭庁としては、文部科学省に対して必要な協力を行うとともに、学校における支援の取組と連携した地域の体制づくりを通じて、子供や家庭に支援を届けてまいります。
具体的には、地域の関係機関、団体から成る支援ネットワークづくり、今国会で御審議いただいている児童福祉法改正によるこども家庭センターの全国展開、支援が必要な子供や家族に対する、SNSを活用したプッシュ型の情報発信や分かりやすい広報の充実強化、地方自治体における子供や家庭に関するデータの連携、プッシュ型支援などに取り組んでまいります。
これらを通じて、支援が必要な子供を誰一人取り残すことなく、支援につながるよう取り組んでまいります。
文部科学省だけに任せるとは申し上げておりません。しっかり連携を取って取り組んでまいります。
○三木委員 ちょっと、こども家庭庁の予算でできないということは残念なんですけれども、やはりソーシャルワーカーであるとかスクールカウンセラーの予算が少ないということは野田大臣も御認識されていると思いますので、是非とも文部科学大臣の方に、予算を増額するように、また財務省の方にも是非とも、連携という形でも結構ですので、御提案をいただきたいと思います。そして、今後に少しでも教育と福祉を一元化させることを検討していただくようにお願いをいたします。
また、こういった議論が国会で行われることがとても大切なことと思います。そういった意味で、この論戦に加われたことを大変誇りに思っております。
最後に。
子供を取り巻く環境は日々変化していっていますが、それと同時に、子育てをする大人の環境も大きく様変わりしてきています。私は常々、現在の少子化は何が一番大きな理由なのだろうと考えてきました。私の考えるところは、平均寿命が延びたということも一番大きいのではないかなと思っております。人生が五十年、六十年だった時代から、人生が八十年、九十年、百年となってきた時代へと移り、人生が長くなったことから、多くの人々は自分が働けなくなったときの不安を大きく感じるようになってきたのではないでしょうか。また、女性が、自分の人生を自分らしく生きるためには自立していることが必要だということを、人生が長くなってきたことでより強く感じるようになってきたのではないでしょうか。
人生が長くなってきた、新しい時代にふさわしい子育て支援が必要になってきていると私は思います。もちろん、子育て支援のみならず、子育てをしている世代への支援、こういったものが必要になってきていると考えております。今後、維新が今まで訴えてきた子育て支援策や子育て世代のための施策を、子育て立国プランとして、これは試案なんですけれども、教育の無償化、そして教育と福祉の一元化、子育て世代への支援ということを訴えてまいりたいと考えております。
もしよろしければ、通告はしていないんですけれども、野田大臣に、今後の子育て支援について決意をお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○野田国務大臣 三木委員には、この委員会でたくさんの有益な御提言をいただきまして、ありがとうございます。
先ほどのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについても同様でございまして、このこども家庭庁ができるとすぐに、文科省としっかりと連携を取って、子供支援を届ける新しい方策をしっかり検討していきたいと思っています。
女性のことを指摘されました。今の若い女性たち、二十代、三十代の将来の平均寿命が百歳とかいうのが調査で出ていると聞きました。やはり、女性個人がしっかりと経済的不安なく生きていくことで母としての役割も十分果たしていけるのかなという、新しいフェーズもあるんだと思います。
とにかく、今までそういう様々な議論がこの日本の中で真剣に行われてこなかったという自省の念を込めて、しっかりとこども家庭庁において様々な知見を取り入れていくことをお約束したいと思います。
○三木委員 ありがとうございます。非常に心強い御答弁をいただきました。決意を聞かせていただきました。
また、やはり幼保一元化も今後進めていかなければならないと考えておりますし、また、子供たちが幼稚園、保育園、認定こども園から小学校一年生に上がって、そこの急激な変化というものは、子供も大きな変化ですけれども、子育てをしている家庭にとっても非常に大きな変化となってくると思います。
お母さん方が迎えに行く保育園と違って、子供たちが一人で通学路を帰ってくる、そういった六歳、七歳、八歳、九歳、まだまだ小さな子供たちが安心、安全に学校に通学できるように、また、お母さん方が、お父さん方が、保護者の皆さんが、子供たちが安心して学校に通って帰ってこれる、まあ、お迎えに行けたら一番いいと思いますが、そういった未来、今もそういった努力が教育現場の中でなされているとは思いますけれども、そういったことをサポートするような体制をつくっていけたらなと思っております。
どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
今日は、質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。
子供関連法案の質疑も終盤でございます。今日は、お許しをいただいて、私の質問は全て自民党さん、公明党さん提出のこども基本法案に対する質問をいたしたいと思います。
これまで、いわゆる役所の形に関する議論は大臣との部分で随分尽くされてきたというふうに思いますが、そこと恐らく裏表になるであろうこども基本法案について、大事な部分をきちんとこの場で確認をしたいというふうに思いますので、是非、提出者の皆様からは端的な御答弁をお願いできたらと思います。よろしくお願いします。
それでは、こども基本法案と子どもの権利条約の関係について、まず確認をさせてください。
子どもの権利条約、四つの一般原則、子供たちに分かりやすい表現であえて申し上げますと、以下のようになります。
まず一つ目は、命を守られ成長できること。これは、全ての子供の命が守られ、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されるということ。そして二つ目には、子供にとって最もよいこと。子供に関することが決められ、行われるときは、子供にとって最もよいことは何かを第一に考えますということ。そして三つ目には、意見を表明し参加できること。子供は自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を子供の発達に応じて十分に考慮しますということ。そして四つ目には、差別のないこと。全ての子供は、子供自身や親の人種や国籍、性、意見、障害、経済状況など、どんな理由でも差別されず、条約の定める全ての権利が保障されます。この四つであります。
これらについてこども基本法案と照らしますと、この四つの要素自体は盛り込まれている部分があるというふうに感じたわけですが、必ずしも条約の文言に沿った形にはならなかったんじゃないかというふうに、特に野党側で検討したときに感じた次第であります。この点、なぜかというのをお答えください。
○加藤(勝)議員 城井委員の御質問に答えさせていただきたいと思います。
まず、このこども基本法案の第三条一号から、まさに基本理念において、児童の権利に関する条約、いわゆる四原則、今委員がおっしゃられた順番とはちょっと違いますけれども、差別の禁止、生命、生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重及び児童の最善の利益に相当する内容を規定をさせていただいております。
今、委員は規定ぶりについての御質問だというふうに思います。一方は条約ということですから、条約がそのまま訳されて文言化されているわけでありますが、我が国の国内法においては、やはり国内法としての整合性というものは当然求められてきているわけであります。こうした観点から、このこども基本法案の立案に当たって、既に児童の権利条約に関する規定を盛り込んでいる例えば児童福祉法あるいは子ども・若者育成支援推進法、こうした表現を踏まえて、今回こうした規定ぶりをさせていただいたということでありますので、冒頭申し上げたように、実質的に、児童の権利条約の四原則をこの基本理念の中の四項目として取り上げているということでございます。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○城井委員 子どもの権利条約、四つの原則について実質的に盛り込んでいただいていること、そして既存の法律との整合性という説明でございました。
次に参ります。
既存のものということで申しますと、今回のポイントの一つでありました文部科学省との関係について次に伺いたいと思いますが、この文部科学省所管のいわゆる教育政策と、こども基本法案にある子供施策の関係について伺いたいと思います。
幼児教育や初等中等教育など、ゼロ歳から十八歳まで、専ら子供に関わる教育政策はこども基本法案にある子供施策に含まれるか、この点を確認したいと思います。
教育法体系の中で、こども基本法案に盛り込まれた子どもの権利条約の基本理念や四つの一般原則が及ばない部分があるのではないかと懸念をしています。提出者から見解をお示しください。
○木原(稔)議員 おっしゃるように、教育政策は文部科学省の所管でありまして、一方で、このこども基本法にも子供施策というものがあり、その関係ということの御質問だと思いますが、子供施策の定義上、教育政策は子供施策に含まれることから、児童の権利に関する条約の四原則について定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた、当然、学校教育にも及ぶことになります。
もとより、児童の権利に関する条約を発効した段階で、これは平成六年なんですけれども、文科省が通知を発出しておりまして、そこには、本条約は、基本的人権の尊重を基本理念に掲げる日本国憲法、教育基本法と軌を一にするものであります、したがって、本条約の発効により、教育関係について特に法令等の改正の必要はないところではありますが、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られることが肝要でありますとした上で、学校教育及び社会教育を通じて、広く国民の基本的人権尊重の精神が高められるようにするとともに、本条約の趣旨に鑑み、児童が人格を持った一人の人間として尊重されるよう、一層の努力が求められてきたところであります。
学校教育の内容自体は、憲法や教育基本法を頂点とする、いわゆる教育法体系の中で定められるものでありますけれども、その教育法体系の中でも、先ほど申し上げた通知の中のように、児童の権利に関する条約の趣旨が考慮されてきたところであります。
○城井委員 大事な点を御答弁いただいたと思います。法案にある子供施策に含まれるということ、そして、学校教育にも基本理念や一般原則は及ぶということで確認をさせていただきました。
続いて、法案にあります事業主の努力の部分についてお伺いしたいと思います。
この事業主の努力につきましては、立憲民主党案では言及をしておりませんで、大切な視点を提示いただいたと評価をいたしております。この事業主の努力について、こども基本法案に盛り込んだ理由は何でしょうか。そして、どういった効果を期待しているか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
長時間労働などが仕事と子育ての両立の難しさにつながっているという現状に鑑みますと、子供の健やかな成長のためには、ワーク・ライフ・バランスの実現など、国、地方公共団体のみならず、事業主の果たす役割も大きいと言うことができます。
また、少子化社会対策基本法におきましても、子育て支援の観点から、事業主の努力に関する規定を設けて、事業主は、子供を産み育てる者が充実した職業生活を営みつつ豊かな家庭生活を享受することができるよう必要な雇用環境の整備に努めるものとすると定められておりまして、本法案においても、同様の問題意識から規定を設けたものであります。
以上です。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○城井委員 長時間労働の実情、ワーク・ライフ・バランスを踏まえてという御答弁だったかと思います。
今の点で少し、通告はないんですが更問いで確認をしたいと思いますが、事業主が必ずしも手が届かない部分があるのではないか。例えば、教員の長時間労働については、今、残業代がやはり一定額にとどまっていてということで、これは国の仕組みであります。あるいは、医療関係者なども縛られるところがありますが、そうした、事業主の努力が及ばない部分については国の責務の範囲で対応していくという捉まえでよいかというのを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤(勝)議員 おっしゃるように、まさに自由主義経済的に、あるいは市場経済的に動いているというところにおいては、今答弁させていただいたように、経営者の責務ということは当然問われるということだと思います。
他方で、教員だけじゃなくて、国家公務員そのものもそうかもしれません、それから、一定の規制のある、御指摘のあった医療とか介護とか、こういった現場において、その働き方をどうしていくのか。
これは、これまでも政府の中で議論をさせていただいたところでありますし、当然、そうしたことも、もちろん政府側もそうですし、ただ、全部政府ではなくて、やはり経営者というか実際に運営されている方の判断もあろうかと思います。そこはよく共有というか連携しながら対応していくということは、本件に限らず進めていかなきゃいけないことだろうというふうに思います。
○城井委員 職種ごとの状況による丁寧な対応をということで確認をさせていただきました。ありがとうございます。
続きまして、子供施策の定義における、切れ目ない支援についてお伺いをいたします。
切れ目ない支援につきましては、立憲民主党案のポイントの一つでございまして、こども基本法案の条文にも盛り込んでいただいたことは評価をいたしたいと思います。
この切れ目ない支援は、どのくらいの年齢、どういった状況の子供を念頭として届けられる想定か。妊娠、出産、育児及び子供の成長に関する切れ目ない支援を行うことを想定していますか。そして、これまで支援が届いていなかった、中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていない子供や若者も支援の対象となりますか。お答えください。
○鈴木(英)議員 お答え申し上げます。
結論から申し上げれば、御指摘の点は全て想定していますし全て対象であるということで、思いは同じであるということでありますが、具体的に述べたいと思います。
この基本法案は、これまで長年の課題とされてきました年齢、制度、縦割りのいわゆる三つの壁を打破することを企図しておりまして、これを端的に表現したのが十二条であります。子供施策に係る支援が、支援を必要とする事由、支援を行う関係機関、支援の対象となる者の年齢又は居住する地域等にかかわらず、切れ目なく行われるようにするため、必要な措置を講ずるものとすると定めております。
御質問の、支援の対象者の年齢や状況、また若者も含まれるのかという点につきましては、この法律に言う子供とは、一律に十八歳などの年齢で区切ったものではないこと、また、子供施策は、子供に関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策と定義をしておりまして、子供施策と一体的に講ぜられる若者向け施策が含まれることから、御指摘の中学校卒業後に修学も就業もしていない子供も含めた幅広い年齢層に対して、必要とされる支援が切れ目なく行われることを想定しております。
また、先ほど申し上げた十二条で、支援を必要とする事由にかかわらずとしておりますとおり、児童虐待、貧困、いじめ、不登校、高校中退、非行といった困難の種類や制度ごとの壁を越えて、困難を抱える子供を対象としております。
さらに、子供施策は、二条二項一号におきまして、心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われる子供の健やかな成長に対する支援、二号におきまして、就労、結婚、妊娠、出産、育児等の各段階に応じて行われる支援を例示として明記したほか、十二条におきましても、子供施策に係る支援が切れ目なく行われるようにするための措置について規定をしておりまして、御指摘の、妊娠、出産、育児及び子供の成長に関する切れ目ない支援が想定されております。
○城井委員 想定しているということ、対象となるということと、冒頭に、同じということでおっしゃっていただきました。
実は、今ほど確認をした大きく二点の部分は、立憲民主党案に盛り込んだ文言そのものであります。我々からも超党派での議論の中で先んじて提出していた我が党案も踏まえての自民党内の議論があったのではないかというふうに想像いたしておりますが、今ほどの答弁で、この切れ目ない支援については、そこの込めた内容とそして狙いについては同一ということで確認をいたしました。ありがとうございます。
続きまして、ここからは少し異論もあるところということで、少し議論というか確認をいたしたいと思います。
基本理念についてであります。
基本理念の一から四は、先ほど確認をした子どもの権利条約の四つの原則のお話でした。ここからの残り二つ、五と六につきましては、そことは少し内容が異なるものでありました。
まず、基本理念の五について伺います。
この中で、子供の養育は家庭を基本とされています。この委員会の質疑でも何度も議論がございましたが、家庭を基本にできない事情を抱えた子供たちを前提にした理念にすべきではないかという点は、この委員会質疑での議論があったけれども、それを踏まえても、やはりこの部分は申し上げなければならないと思っています。
政府からもございましたが、広い意味での家庭の定義について説明がありました。ただ、これはちょっと無理があるんじゃないかというふうに思っています。せめて家庭的な環境というふうに表現するならば、政府側からの説明も包含できるというふうに考えます。
この表現なら許容範囲ではないか、是非、条文修正を御検討いただきたいと思いますが、提出者の見解をお聞かせください。
○木原(稔)議員 基本理念の五についての御質問でございます。
家庭を基本にできない事情を抱えた子供たちも含めた理念とすべきという城井委員の御提案の趣旨は、私が思うに、これは私どもとしても同じ考えだというふうに私は思っておりまして、本法案の三条五号は、子供の養育は家庭を基本として行われるとの認識の下、父母その他の保護者に対して子供の養育に関し十分な支援を行うべきことを規定したものでありますけれども、実は、この部分は、児童の権利に関する条約の前文のところにも同様の趣旨の記述がございます。すなわち、家族が児童の成長及び福祉のための自然な環境であるとされ、また、そのような家族に必要な保護及び援助を与えられるべきとされているところであります。
その上で、この条文では、家庭での養育を受けることが困難な子供に対しても、その健やかな成長のために、できる限り家庭と同様の養育環境を確保することを子供施策の基本理念と定めることとしておりまして、御指摘のような、家庭を基本にできない事情を抱えた子供たちを前提にした理念も併せて示す形で整理しているということで、是非御理解を賜りたいと思います。
○城井委員 くしくも今提出者から御答弁いただきましたが、家庭を前提にできない子供たち向けにも、先ほどの後半の答弁の部分ですね、養育環境の確保という言いぶりがあったと思いますが、そちらで書いていただければ、我々も入っているなということを素直に受け止められたというふうに思います。家庭を基本というふうになると、今ほどのところとは少しずれがあるのではないかということを改めて指摘をしたいというふうに思います。
もう一点伺います。基本理念の六についてです。
家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できるとしていますが、これも、多くの方から既に御指摘がありますように、夢や喜びのある家庭や子育てばかりではありません。厳しさや大変さも同居するのが子育ての現実であるということを踏まえるべきだと考えます。この部分は、少なくとも、例えば、子育てしやすいぐらいにするならば、一つの形だと思います。
ここを変更すべきだと思いますが、この条文修正についても是非検討いただきたいと思います。提出者から御見解をお聞かせください。
○木原(稔)議員 基本理念の六についての御質問でございますけれども、昨今では核家族化やまた地域との関わりが非常に希薄になっているという現実がありまして、それによって子育てを困難に感じる保護者が増えている状況にあるということはまさに御指摘のとおりでありまして、我々の元にも、子育ての現実として、喜びを感じる場面もある一方で負担を感じる場面が多いという声が、ヒアリングをしている中でも少なからず寄せられているところであります。
このような事情を踏まえて、私ども提案者としては、国や地方公共団体を始め社会全体で保護者を支援し、子育てをしやすい環境を整備することで保護者の子育ての負担を低減し、子育てに喜びを感じられる場面が相対的に多い社会を目指すことを基本理念として掲げて、このような社会を、家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会、そういう社会ということで表現をしたものであります。
なお、この表現は、現行の少子化社会対策基本法にも同様の表現が規定をされているところであります。
以上のように、御指摘の三条六号の文言は、子育てに負担を感じる場面が多いとの現実を課題として捉え、子育てをしやすくするための子育て支援策の充実等を通じてこれに向き合う姿勢を示したというものであり、この点も是非御理解をいただきたいと思っております。
○城井委員 向き合う姿勢ということの御答弁がございました。ちょっと目標にしては遠過ぎる目標ではないか。やはり、現実に困難を抱えている方々からすると、ちょっと自分たちのことには感じられないというふうに感ずる方は多いというふうに感じます。
先ほどの答弁の中でもございましたが、社会全体で子育ての支援をしていくという部分を前面に出していただくという形がやはり適当であるということを改めて申し上げたいというふうに思います。
続いて、基本的施策の七にございます財政上の措置について伺います。
財政上の措置が、条文上では努力義務にとどまっています。この委員会質疑でも随分議論がございましたが、岸田総理は子供施策の予算倍増を明言しながら、その後の国会質疑でただしても、内容も、時期も、そして規模も不明のままでございました。これまでの答弁を振り返ってみますと、期限、規模ありきではなく、体系的な取りまとめを行うことにより将来的に倍増を目指していきたいというのが総理の発言の趣旨だということでの国会答弁が繰り返されるばかりでございました。
ただ、これをこのまま受け止めるわけにもいかないというふうに思っていまして、何を、どのように、いつまでに行うのか、どのような施策を行うことで予算が倍増するのか、このめどすら、結局これまでの審議で国民には見えていない状況です。今のままで突っ込みますと、結局また単年度予算での折衝を繰り返すことになるんじゃないかということをとても危惧しています。
この財政上の措置について、目標を含めて明確化すべきというのが我々の意見であります。我々からは、予算倍増を見据えた子供、子育て関連予算の対GDP比三%の目標ですとか、応能負担の原則の下、所得税の最高税率引上げを含めた抜本的な税制改革や教育国債の活用など、子供施策の財源についての一定の考え方をこれまでも示してきました。
この子供施策の財政上の措置の在り方について、与党の法案提出者は具体的にどのように想定をしているか、お聞きしたいと思います。
○國重議員 お答えいたします。
子供施策を強力に進めるために、安定財源を確保しつつ予算を充実させることについては、与野党で一致しているものと認識をしております。
与党案提出者といたしましては、こども大綱において、実施すべき子供施策を定め、それに必要な予算を確保していく、こういった流れを想定し、財政上の措置の規定について、踏み込んで工夫をさせていただいております。
具体的に申し上げますと、法案九条四項で、こども大綱を定めるに当たっては、子供施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとすることとするとともに、十六条で、こども大綱の定めるところにより、子供施策の幅広い展開その他の子供施策の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずることとしております。
その安定財源については、国民各層の御理解をいただきながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、その確保に努めていくべきものであると考えております。
子供施策の充実に向けて、また先生のお力もいただいて、党派を超えて取り組んでいきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
○城井委員 大事な点を御答弁いただいたと思います。
具体的な目標、達成するための期間、そして実施に必要な財政上の措置、これをパッケージでということが基本法案には書いてあるということでよろしいですね。確認だけさせてください。
○國重議員 具体的な施策、また目標の期間、こういったことも定めて、それに必要な財政上の措置というようなものをしっかりとそこに措置していくというようなことで、それらを併せてしっかり進めていくという理解でおります。
○城井委員 今後の子供施策の予算確保に向けては、大変大きな法律の足がかりになる部分だというふうに思いましたので、丁寧に確認をさせていただきました。ありがとうございました。
続いて、子供の権利を擁護する独立機関、我々はいわゆる子供コミッショナーというふうに呼んでおりますが、この設置について伺います。この点も随分議論になりました。
附則には、国は、この法律の施行後五年を目途として、法律の施行状況及び子供施策の実施状況を勘案し、子供施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備その他の基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のために必要な方策について検討を加え、その結果に基づき、法制上その他の必要な措置を講ずるものとすることとあります。
この大変長い一文でありますが、とても重要な一文だと思っています。ただ、我々から見ますと、独立機関の設置を含めた、政府の外側から子供の権利を擁護するための仕組みづくりについての言及が不明確かつ不十分だと考えます。
例えば、教育現場等でも、いじめや不登校など子供をめぐる問題を扱う際の第三者委員会の設置について、その中立性の確保などでもめることが本当に多くあります。それらを踏まえて、子供の権利を擁護する、中立で、透明性を確保しつつ、調査権限と提言機能を備えた独立的な第三者機関としての子供コミッショナー、併せて、子供の問題の初動対応に当たる各地域にも合議制の機関としての地域版の子供コミッショナーを設置すべきであります。
そこで、以下、質問いたします。
この子供コミッショナーや地域の合議制の機関を設置する場合、特に子供コミッショナーについては、独立性や法的拘束力の強弱を考慮して、例えば、三条委員会での方式、あるいは八条委員会の形での設置、そして第三者委員会の形といった設置方法が考えられると思っています。私どもからも、事前に、立憲民主党案の中では、独立性が高く、そして法的拘束力も強い三条委員会方式での設置を提案していました。
こうした具体的な設置方法について、与党法案の作成段階でどのように検討されたか教えてください。
○加藤(勝)議員 私ども与党というか自民党の中ということで話をさせていただきたいと思いますけれども、まさに現実である児童の虐待、いじめ、様々な課題、また一方で進む少子化、こうしたことにどう対応していくべきなのか、政策的な対応と併せて、それをどう具体的に担保していくべきなのか。
例えば、学校におけるいじめといっても、学校だけではなく外との絡み、あるいは複合的な要因もあるわけであります。それに対してどう対応すべきか、かんかんがくがく、いろいろな議論もさせていただいたところであります。
その上で、また、ある組織を置くということについて考えると、それが全体の統治機構といいますか、今、子供に対する様々な体制があるわけでありますけれども、現存の体制の中でどう位置づけていくのかとか、あるいは組織がどういう所掌をするのか、あるいは権限、こういったことについて十分議論していかないと、統治機構全体の中での位置づけというのは必ずしもできないと思っております。
いわゆる子供コミッショナーについても様々な議論があったところであります。諸外国でもそうした組織を設けている。ただ、そのありようというのは、やはり国々における文化とか元々ある統治機構とか、それによって異なっているというふうに承知をしておりますし、じゃ、日本においてそれがどうなっていくのか、これについても、本当にいろいろな見方、今、一つの姿は城井委員からもお話がありました。必ずしも現在議論が熟してはいないという我々は認識をしたところであります。
他方で、今回、政府から提出されているこども家庭庁設置法案で、家庭庁が設置されるということ、また、子供の権利利益の擁護を任務として、まさに勧告権が子供設置庁に与えられる、さらにそこに審議会も設置をされる、こういったことが規定をされているわけでありますので、こうしたことをしっかりと、その動向を注意深く見守っていくということを含めて、先ほど読み上げていただいた検討条項を設けさせていただいた、こういうことでございます。
○城井委員 二つあったと思います。
まず、後半のところから申し上げますと、こども家庭庁、そして勧告権の設置、そして審議会の存在ということなんですが、どれも政府の中からの子供の権利擁護の話だと思っています。政策のずれで子供に影響があった場合に、国がその当事者になってしまうケースがあるのではないか。そうすると、それとは違う立場で、どうやって子供を守っていく機能を確保するか、この点が必要なのではないかというのが、我々が政府の外から権利を擁護する仕組みをつくるべきということを言っている理由の一つであります。
そしてもう一つ、統治機構全体の中での位置づけや権限ということでございました。おっしゃる部分は大変理解ができるところであります。現在ある仕組み、そして今回のこども家庭庁を設置する中で、外側からの権利擁護の機能をどのように置くかというのは、様々な形があると思いますが、本当でしたら、自公案を国会提出いただく前に、超党派での議論で、その必要な権限や機能といった部分についてもう少し煮詰める時間を本当はいただきたかったというのが率直な思いであります。このイメージが合わないので、結局、条文の中に盛り込むための足がかりがないという状況になってしまったというのは、とても残念なことだったというふうに感じています。
そこで、一つ確認をしたいと思います。子供の権利擁護のための機能の確保について確認をさせてください。
中立性と透明性を確保して、調査権限と提言機能のある第三者による子供の権利擁護の機能の必要性そのものについて、組織の在り方については先ほどお話しでしたが、この機能の必要性そのものについて提出者はどう考えるか、この点は必要だというふうにお認めになるか、この点を確認させてください。
○加藤(勝)議員 基本的な考え方は先ほど申し上げたものに尽きるところでありますけれども、いずれにしても、検討項目に書いてありますように、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進、この子供理念の中には、いわゆる、全ての子供について、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるということ、これが明確に書かれているわけでありますが、それをどう具体的に担保していくのか、この必要性ということは我々も認識をしておるところであります。
○城井委員 では、改めての確認をいたしますが、この附則にある検討事項におきまして、「実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備」、この実態の把握と公正かつ適切な評価の対象には、このこども基本法案の目的にもあるように、「権利の擁護が図られ、」とございますが、この子供の権利擁護に関する取組も当然含まれるというふうに考えますが、含まれるとの理解でよろしいか、お答えください。
○加藤(勝)議員 先ほど申し上げました、子供施策の基本理念として、全ての子供について、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるということを掲げているところでありまして、検討条項に、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のための必要な方策と書いてありますから、当然、基本理念の中に、今申し上げた、個人として尊重され、その基本的な人権の保障、いわゆる子供の権利の擁護、そのために必要な方策も当然含まれるものと考えております。
○城井委員 大事な答弁をいただきました。子供の権利擁護も当然含まれるということで、確認をさせていただきました。
この子供の権利の擁護の在り方については、今後も国会で議論が続くことと思いますが、今ほどの御答弁がある意味で次の議論のスタートというふうになると思いますので、是非、何よりも子供を守るために、前向きな議論を今後もさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
残りの時間で基本的施策について伺いたいと思います。
ここまでの委員会質疑でも具体的な政策の方向性についてもいろいろ議論がございましたが、不明確な点も多くございました。そこで、こども基本法案にございます、こども政策推進会議で作られることになるこども大綱に含まれる内容、盛り込まれる内容について、以下、質問いたしたいと思います。通告は全部であと五つあったんですが、この中から幾つか選んでお伺いをと思います。
まず、子供の生活を経済的に安定させるための施策として、児童手当の拡充、児童扶養手当の拡充、子供の貧困対策の拡充、養育費に必要な費用の支払いの確保について、基本的施策に位置づけ、こども大綱に盛り込むべきと考えますが、提出者の見解をお願いします。
○國重議員 お答えいたします。
本法案九条三項三号におきまして、こども大綱の記載事項には子供の貧困対策に関する大綱の記載事項も含まれることとなっております。
現行の子供の貧困対策に関する大綱におきましても、重点施策の一つの経済的支援として、児童手当、児童扶養手当制度の着実な実施、養育費の確保の推進が明記をされております。
こども基本法では、その目的規定において、子供が置かれている環境等にかかわらず、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を標榜しており、そうした目的の下で策定されるこども大綱においてこれらの施策が盛り込まれ、より強力に推進されると考えております。
○城井委員 最後に、今ほどの基本的施策についてですが、子供の生存と安全を保障するための施策として、虐待の防止、社会的養護の拡充、ケアリーバーに対する支援、子供が性犯罪及び性暴力の当事者とならないための取組、子供の死亡の原因の調査、いわゆるチャイルド・デス・レビューについても基本的施策に位置づけ、こども大綱に盛り込むべきと考えますが、提出者の見解をお願いします。
○國重議員 お答えいたします。
本法案九条三項二号におきまして、こども大綱の記載事項には子供・若者育成支援推進大綱の記載事項も含まれることとなっております。
御指摘のありました虐待の防止、社会的養護の拡充、児童養護施設に入所していた子供等に対する支援など、現行の子供・若者育成支援推進大綱においていずれも言及されているところであります。
これらの施策は、困難を有する子供も取り残さず、全ての子供に対して必要な支援が行き渡ることを理念とするこども基本法に基づき策定されるこども大綱の下で盛り込まれ、より強力に推進されると考えております。
○城井委員 これからも、子供を第一にした政策推進、共に頑張ってまいりましょう。
終わります。ありがとうございました。
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、子供のデータ連携、子供データベースについてお尋ねをいたします。
デジタル庁にお聞きしますが、国が一元的に子供の情報を管理するデータベースを構築することは考えていないと述べておりますけれども、自治体が一元的に情報管理をする、そういう仕組みをつくるということはあるんでしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
今、子供に関する情報データ連携によりまして、困難を抱える子供たちを早期に発見してニーズに応じたプッシュ型の支援につなげること、これが重要と考えておりまして、関係府省とともに、デジタル庁では、副大臣プロジェクトチームで検討しております。
これに関しまして、デジタル庁では、関係省庁と連携をしまして、七自治体において実証事業を行うこととしております。個人情報に配慮の上、地方公共団体で、教育、保育、福祉、医療等の子供に関するデータを分野を超えて連携することで、真に支援が必要な子供や家庭における個別のニーズに応じたプッシュ型の支援を実施する際の課題等を検証したいと考えてございます。
この実証事業におきまして、七自治体が参加しているわけでございますけれども、プッシュ型の支援につなげる目的の範囲内で、それぞれの自治体において、分散している情報を集約した上で分析するところもあるというふうに承知をしているところでございます。
○塩川委員 分散している情報を集約するところもあるということですが、今例にも挙げております実証事業の自治体の取組について、デジタル庁が出している自治体の実証事業計画概要を見ますと、東京都の昭島市や愛知県のあいち小児保健医療センターの計画概要に子供データの一元管理とあるのは、そのとおりですね。
○内山政府参考人 お答えいたします。
今御指摘のありましたように、今出していただいている提案段階の計画には、一元的にという文言が、昭島市や愛知県の計画に書かれていることは御指摘のとおりでございます。
ただ、これはまさに、これから事業の取組を進めていく上で、それぞれの自治体において、個人情報にも配慮しながらどのように扱っていくかというのは、これからそれぞれの自治体で検討を進めていただくものというふうに考えてございます。
○塩川委員 自治体レベルにおいては、子供データの一元管理、こういう方向で進めるということになっております。
その場合、自治体の情報管理システムのこのような制度設計に国も関わっていくということでよろしいでしょうか。
○内山政府参考人 デジタル庁では、地方公共団体におきます住民記録あるいは介護保険といった基幹業務システムについて、国が定める標準仕様書に準拠したシステムに移行する統一、標準化の取組を進めているところでございます。
こうした取組を踏まえながら、先ほどの子供に関する各種データの連携による実証事業につきましては、システムの制度設計等につきましては、当然、自治体が提案した事業計画に基づいて取り組むものとしてございます。ただし、今後、他の自治体へも横展開できますように、国といたしましても、本実証事業を通じまして、データ項目の標準化、データの相互運用性の確保、転居等における情報連携等の課題に関して、参加自治体とともによく整理をしてまいりたいというふうに考えています。
○塩川委員 横展開できるようにということで、自治体の子供データの一元管理に国も関与をしていくということになります。
この子供データベースなどで扱われる行政機関の個人情報は、それぞれの行政目的に基づき収集、保有しているものです。目的外利用は原則禁止です。それは、公権力を行使をして取得をしたり、申請、届出に伴い義務として提供する、そういう意味でも非常に慎重に扱わなければならない、そういう情報だということであります。任意で出しているわけじゃない。
そういう点でも、副大臣会議でも、住民税の所得データを直接使用することは地方税法で原則禁止とされている、また、学習成績はセンシティブな情報だ、個人の資質や能力に関わるので学校外への共有については相当な抵抗感がある、こういう意見も出されているところであります。
このような子供データの連携に関して、個人情報の保護に配慮と言っておりますけれども、何を行うのか、本人同意というのは取るのか、市民は行政による個人情報の一元管理を拒否できるんでしょうか。
○内山政府参考人 今、実証事業、まさに取り組んでいるところでございます。
実証に参加する自治体が安全に安心してこの実証事業に取り組めるということが大事だと思っていまして、そういう意味では、連携するデータ項目、それとか、連携する目的は何か、あるいはデータを連携する部署、どの部署からデータを出してどの部署で受け取るのかといったようなこと、そして、データ連携に関する責任を負う部署はどこか、あるいは、個別の支援を最終的には目的としているわけでございますけれども、データを分析する過程では仮名、匿名加工ということも考えられないかといったようなこと、こうしたような個人情報保護に配慮する観点から、必要なことについて、実証に参加する自治体とともに、参加自治体に共通するようなことがないか、今後、早急に整理をしていきたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 ビッグデータでの仮名化、匿名化の話は別途あるんですけれども、個人の、子供のデータが一元的に管理をされる、そういう際にこういったことについて拒否できるのかといったことについてのお答えはありませんでした。
また、お尋ねしますが、どのような情報を収集しているか、収集した情報でどのような分析、対応策を行っているのか、こういったことについて、本人の要求があれば開示をする、こういう仕組みというのを考えるんでしょうか。
○内山政府参考人 それぞれの自治体のデータの扱い方につきましては、今実証に参加している自治体につきましても、それぞれ自治体の持たれている個人情報保護の審議会への諮問、あるいは個人情報保護条例の改正などの対応もされながら対応しているというふうに承知をしています。
そうした意味で、先ほど、様々なデータを例えば一時的に分析のために収集をするということはあり得るというお答えをしましたけれども、それについて、それを一元管理というのかというのもございますし、そうした先生御懸念のようないろいろな御心配についても、これから実証事業の中でよく整理をさせていただきたいというふうに思ってございます。
○塩川委員 具体的な歯止めについての方向性も示されていないということであります。
教育のデータ、子供データベースが、デジタルタトゥーと言われるように、非常に、入れ墨、刻み込まれてしまう、嫌なラベリングとなるような可能性、危惧という声というのもあるわけです。
個人情報が本人の不利益になるような利用がされないという保証があるのかということが問われています。本人が望まない個人情報がどういう扱いになるのか明らかにされていない、そういう中で進んでいるということに強い危惧を覚えるものであります。個人情報で求められているのは、個人情報の利活用に突き進むことじゃなくて、自己情報コントロール権を始めとしたプライバシー権の拡充こそ必要であります。
大臣にお尋ねいたします。
困難を抱える子供たちのために求められているのは、子供施策の予算の抜本的拡充と人員体制の強化であります。基本方針にあるデジタル基盤を整備して行うプッシュ型の支援というのは、子供施策の現場の専門職員を増やさず、逆に人減らしのツールにならないのかという懸念も覚えるわけですが、この点、いかがお考えでしょうか。
○野田国務大臣 お答えいたします。
昨年末に閣議決定した基本方針において、待ちの支援から、必要な子供や家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換すること、子供に関する教育、福祉等のデータ連携を進め、支援に活用することを掲げています。
今、支援が必要な子供や家族ほど、SOSを発すること自体が困難であったり、相談支援の情報を知らないなどの課題があるわけです。施設型、来訪型の支援に来ることを待っていては、支援が必要な子供や家族にアプローチすることは難しいと私は考えています。
そのため、地方自治体において、関係部局に分散管理されていることが多い子供に関する教育、福祉等のデータを連携させて、支援が必要な子供を発見し、プッシュ型の支援、アウトリーチ型の支援につないでいくことが必要であると考えています。その際、教育や福祉等のデータは国民究極のプライバシーであり、個人情報保護法令との整合性に加えて、国民の意識に沿った検討が必要だと考えています。
こども家庭庁において、現在デジタル庁で実施している調査研究や実証事業の成果も踏まえつつ、個人情報の扱いやガイドライン等の策定も含めて、国民の理解を得ながら、データ連携の在り方についてしっかり検討を進めてまいります。
○塩川委員 お答えはありませんでした。
やはり、教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、児童相談所職員など、子供に関わる専門職員を本当に増やすべきだ。この間、文科省がやっているようなSCやSSWについては目標を達成できなかったという経緯もあります。そういった点でも、自治体への財政支援もしっかり行うことを含めて本格的に前進をさせる、こういった取組こそ行うべきだ。それにふさわしい国の財政措置を求めて、質問を終わります。
○上野委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉健太君。
○泉委員 立憲民主党の泉健太でございます。
本日、この内閣委員会、総理出席ということで、こども家庭庁法案の議論をさせていただきます。
その前に、今、世界は目まぐるしく情勢が動いているということで、幾つか確認をさせていただきたいことがございます。
まず、総理、フィンランドが、ニーニスト大統領そしてマリン首相が、NATO加盟の共同声明というのを出しました。総理、このことについて、今、受け止め、見解、どのように考えていますでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘のように、十二日に、フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相が、フィンランドがNATOに早期に加盟申請すべきという共同声明を発出したということですが、今現在、フィンランドの国会、議会においては議論がまだ続いているとも承知をしています。
いずれにせよ、今回のロシアによるウクライナ侵略、これは国際秩序の根幹を揺るがすような大きな事態であり、これを受けて、各国が安全保障について、あるいは国際秩序についていろいろな議論を行っている、その中でフィンランドが伝統的な対ロ外交を見直しをするべく議論を進めていることについては私も理解するところであり、今後、この動向については注視をしていきたいと考えております。
○泉委員 やはり、ロシアの今回の軍事侵攻というものがむしろ世界の中で反ロシアを招く、当然のことだと思います。
その意味では、是非、こうしたことも踏まえて、ロシアに対しては改めて、自制、撤退、あらゆるウクライナに対する被害を加えることをやめるべきだということを、是非、総理の方からもロシアに対して改めて強く求めていただきたいというふうに思います。
そして、今、国内においては、いわゆるコロナ対策を様々進めているところでありますけれども、今、少し私、政府のメッセージがある意味混乱しているんじゃないかというふうに見えます。
官房長官なんかは記者会見で、マスクの着用について、十分距離があれば屋外では外してよいのではないかということを言った。しかし、総理も昨日の厚生労働委員会などではそういったこともおっしゃっているようにも思うんですが、一方で、新聞の見出しなんかには、今までのものを緩和するつもりはないとか、現時点では変えないというメッセージで伝わってしまっている。そしてまた、今度、文部科学の方では、学校での体育の授業ではマスクを外してよいという話で、かなり政府のメッセージがばらばらになってしまっているというふうに見受けられる。
ここは、やはり改めて統一をして、総理の口からも、官房長官が記者会見で言ったように、屋外で距離があればマスクはなくて大丈夫だということを明確に言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、私も、マスコミの報道等を見ておりますと、少し国民の皆さんが戸惑われるのではないかという報道があるということを感じております。委員がおっしゃるように、私も総理として、その点をしっかり整理をし、はっきりさせなければいけないと考えます。
まず、新型コロナの感染経路については、飛沫、エアロゾル、そして接触感染、こうしたものが指摘をされているわけでありますので、子供も含め、マスクの着用については、感染の基本的予防策として、マスクの着用、大変重要であると認識をしています。
そして、今は、これは再三申し上げておりますが、最大限の警戒を維持しつつ、できる限り行動制限をせずに社会経済活動を回していきたいと思っているところであり、この時点においてマスクの着用を緩和するということ、これは考えていないというのがまず基本であります。
その中で、これは従来から申し上げているように、人との距離が十分取れれば屋外でマスクを着用するということは必ずしも必要ないということ、これはもう従来から申し上げているところです。
気温やあるいは湿度が高いときには熱中症のリスク等も高くなるわけでありますから、屋外で人との距離が十分ある場合、これは具体的に、たしか二メートル以上、少なくとも二メートル以上という数字も挙げて、距離を確保できている場合、マスクを外すことを、これは専門家の意見もしっかり踏まえた上で奨励をしているというのが政府の立場であります。こういったことについては、しっかり周知、広報、一層徹底しなければいけないと思っています。
また、報道ということで申し上げるならば、二歳以上の園児へのマスクの着用の奨励は見直すという報道がある、このことを承知していますが、これは、政府としては何か具体的な方針を決めた事実はないということも改めて申し上げたいと思っております。
○泉委員 やはり、ちょっと聞いていて分かりにくいですよね。せっかく、前段、いいのかなと思ったら、現時点での緩和は現実的でないみたいなことをおっしゃるので、結局、方向性がやはり見えにくいわけです。
ただ、今の総理の答弁を伺って、まず一点は、子供の、二歳以上の保育園児のマスクについては、これは政府として求めたことはない、そして着用の義務はないということで、改めて、よいのですねということが一つ。
そして、我々が、私が改めて言いたいのは、人との距離が十分取れれば屋外での着用は必ずしも必要ではないというところ、ここを明快に、そういうことだということでよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 まず、結論から言うと、委員のおっしゃったとおりでありまして、二歳以上の園児へのマスクの奨励を見直すという報道については、政府としてそのような方針を決めた事実はないということ。それから、屋外においてのマスクの着用については、先ほど私から申し上げたとおりであります。これは従来から方針は変わっておりません。従来から、屋外において、そして一定の距離を取ったならば、マスクを外すことは奨励させていただいているということであります。
要は、結論として、従来から、政府の方針としては、マスク着用に対する考え方は今時点では変わっていないということであります。
○泉委員 そうやって言うから、また分かりにくくなるんですけれどもね。その変わっていないというのが、もう両論、何かぐちゃぐちゃになってしまっているという状態なんです。
ただ、改めてですが、国民のために今明確にメッセージを確定させれば、屋外では十分な距離があればマスクは必要ないということであると理解をいたしました。
さて、五月十五日日曜日は、沖縄が日本復帰五十年ということでありまして、総理も沖縄の方に行かれるということだと思います。
さきに、五月十日の午後に、総理は玉城デニー沖縄県知事から、建議書、平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書を受け取られたということであったと思います。思いを持って読みたいというふうに述べられたということで、読んでみられて、どの点、どういうところが気になりましたか。
○岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、五月十五日、沖縄の本土復帰から五十年の大きな節目を迎えます。その中で、御指摘の知事からのこの建議書についてですが、そうした大きな節目を迎えて、知事として、これまでの歩み、そして今後の沖縄について様々な考え方を述べられたものであるということであり、私としても、しっかりこれを読ませていただき受け止めさせていただく、このように申し上げた次第であります。
沖縄の今日までの歴史、多くの方々の御努力によって、沖縄は、大きな苦難の中で、県の振興、社会資本整備や産業振興など、様々な努力を行い、そして成果を上げてこられました。しかし、今なお様々な課題がある。
県民一人当たりの所得は四十七都道府県のうちまだ最下位であるとか、子供の貧困問題ですとか、こうした大きな課題が存在する、こうしたことについては重く受け止めなければならないと思いましたし、また、今なお重くのしかかっておられる県民の皆さん方の基地負担の問題、この基地負担の問題についても国としてしっかりと受け止めて、負担軽減のために一層大きな努力をしなければいけない、こうしたことについて改めて強く感じた次第です。
是非、引き続き、こうした思いもしっかり受け止めながら、沖縄発展のために、そして基地負担軽減のために努力をしていかなければいけない、こうしたことを考えた次第であります。
○泉委員 総理、平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書を、全文読まれましたか。
○岸田内閣総理大臣 直接受け取らせていただき、そして、その建議書を前に知事さんと意見交換をさせていただきました。その際に、建議書、読ませていただきました。
○泉委員 何か今のお話だと、どうやらそのときに見たということのみで、思いを持って読ませていただくというふうにおっしゃったけれども、それ以降は読んでおられないということ。
これは是非、総理、私は思うんですが、これは沖縄……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。静かにしてください。これは沖縄、五十年、節目の大事な建議書であります。今からでもよいので、改めて全文をしっかり読んでいただいて、そして、玉城デニー知事なり、あるいは十五日の沖縄のその式典の際には、是非、この建議書を踏まえた総理からの言葉、これをお作りをいただいて、発していただきたいと思います。
○岸田内閣総理大臣 言葉足らずだったかもしれませんが、建議書は読ませていただきました。
○泉委員 そして、改めてですけれども、知床の観光船事故について。これも、どうしても総理に伺わなければいけません。
現時点で、昨年六月の特別監査の結果、それを受けての行政指導、また業務改善報告書、これを国会の側から開示をしてもらいたいと我々は要求しています、立憲民主党として。しかし、これがまだ開示されておりません。しかし、国交省も努力をしているというか、開示をする方向であるやに伺っています。
是非、今、被害者家族からは、国の検査監督は適切だったのかという声が上がり、これまでの行政指導と業務改善報告書、これを一刻も早く開示をしていただくことが、全てこれは国民のため、また事故再発防止につながると思いますが、総理、いかがお考えですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、今回の事故でお亡くなりになられた方々に対し改めて哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆様方にお悔やみを申し上げさせていただきます。
その上で、委員御指摘の点でありますが、今回事故を起こした事業者に対して、昨年に国土交通省から発出した行政指導文書、そして事業者から提出された改善報告書、これにつきましては、個人情報に配慮しつつ、本日中に開示する予定であるということを国土交通省から報告を受けました。それをまず明らかにさせていただきます。
そして、現在、事業者に対する特別監査を行っております。これについては、立入検査や関係者からの事情聴取などを進め、事故時の状況あるいは安全管理対策の実施状況などについて確認をしている、こうした状況です。
この特別監査については、まだ終了時期をお示しすることができない状況ではありますが、終了後、この監査を終了したならば、速やかに特別監査の結果をまとめて公表することを予定していると承知をしております。
○泉委員 ありがとうございます。
当初、この業務改善報告書などはもう少し時間がかかるんじゃないかと言われておりました。しかし、こうして国会で質問させていただくというやり取りの中で、今お話があったように、本日中にということであったのは一定の前進だと思っております。
引き続き情報公開に努めていただきたいと思いますし、第一回の会合の中で、委員の方からは、救命具について、やはり気象条件に応じた地域別のルールをと。水温が非常に低いところ、気象が非常に厳しいところ、そういったところと南国の水温の高いところでは、やはり海に落ちた場合では相当命の危険性は異なるということは、もう既に委員から示されております。
これは、誰が考えてもということだと思いますので、是非、総理についてもその認識を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 今回の事故を受けて、私からは徹底的な安全対策に関して指示を出したところであり、この指示を受けて、現在、国土交通省において、有識者から成る検討委員会で検討を進めているという状況です。
今回事故を起こした事業者に対する昨年の行政指導等の経緯や現在実施中の特別監査の結果も踏まえて、監査や行政処分の在り方も含め、御指摘の安全対策等、これを総合的に検討していくことをこの検討委員会で予定しております。様々な御指摘を検討委員会でしっかり受け止めてもらい、議論、検討を進めてもらいたいと考えております。
○泉委員 ありがとうございます。
この事故でも、大変残念な、大人の方また子供の方、亡くなられたり、又は行方不明であったりするということであります。引き続き、対策に取り組んでいただきたいと思います。
そして、今、こども家庭庁法案ということで、まず、我々立憲民主党は、教育の無償化、これを大きく掲げさせていただいています。非常に重要なものであるし、他の政党からも、教育の無償化は進めるべきだという声が上がっている。
ただ、少し議論を整理したいのは、教育の無償化を実現するに当たっては憲法を改正せねばならないと、総理、お考えでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 教育の無償化については、従来から、教育基本法等の考え方に基づいて、政府としても、幼児教育、保育の無償化、高等教育の無償化、こうしたものに取り組んできました。
そして、御質問は、憲法を改正しないとこうした無償化は進まないのかという御指摘ですが、憲法の議論、これは私も再三申し上げているように大変重要な議論だと思っておりますが、具体的に憲法の中身まで私の立場から踏み込むことは、従来から控えさせていただいています。
ただ、憲法において、教育の充実、自民党においてもたたき台素案の項目の一つに掲げているわけですが、憲法において将来を担う子供たちの教育の充実をしっかりと書き込むということは大変重要であると認識をしております。私の立場からは、そのように申し上げておきたいと思います。
○泉委員 非常に歯切れの悪いお答えだったと思いますけれども。
しかし、今総理が前段でおっしゃった、憲法に教育の無償化は現在は別に書かれていない、しかし、総理としては、政府としては、あるいは与党としては、教育の無償化はこれまで累次進めてきたというお話がありました。これは、これからも進んでいくし、進めていかなければいけないという意味では、この教育の無償化が書かれていなければそれが進められないというものではないというふうに理解をいたしました。
もう一つ、理由というか、これがありまして、二〇一二年のときに、日本は、国連の社会権規約と言われるものを、留保条項を撤回しているわけですね。その留保条項の撤回というところで、中等教育に関して、特に無償教育の漸進的な導入、あるいは高等教育についても、同じように無償教育の漸進的な導入というものを日本が義務として負ったという機会がございました。
総理、そういう認識でよろしいですね。
○岸田内閣総理大臣 御指摘のように、二〇一二年に、政府としても、社会権規約の留保の撤回を行っております。政府としても、この社会権規約の規定もしっかり踏まえながら、様々な政策を進めていかなければならない立場にあると認識をしております。
○泉委員 これは国際的な取決め、国際規約でありますので、これを踏まえて、今、教育の無償化も進んでいるということであろうと思います。
そして、我々立憲民主党、この教育の無償化、様々訴えているわけですが、そういう中でいえば、総理の発言を少し、これまで約半年にわたって、確認をしてみたいと思うんです。
例えば、今年の一月五日、経済三団体の新年祝賀会において、次世代を担う子育て、若者世代の世帯所得に焦点を絞って、倍増を可能とするような制度改革にも取り組む、こうおっしゃった。また、一月二十五日、予算委員会においては、こども家庭庁を中心に、将来的に子供政策に関する予算倍増を目指すとおっしゃった。また、ちょっと関連して言いますと、五月五日に、ロンドン・シティーにおいて、資産所得倍増を実現するためにという言葉もおっしゃられた。
総理、倍増がお好きですか。
○岸田内閣総理大臣 結果的に倍増という言葉を多用しているのは御指摘のとおりであります。
やはり、こうした政策に向けて強い意思を示すということは大事だと思いますし、その表現の仕方として、私の表現、稚拙かもしれませんが、倍増という言葉を多用させていただいているということであると認識をしております。
○泉委員 分かりやすいですね。
そして、総理は、まず最初の令和版所得倍増のときに、こういうふうに政府答弁、質問主意書に対して答弁がなされています。
岸田総理が提唱している令和版所得倍増計画について、平均所得や所得総額の単なる倍増を企図したものとしてではなく、岸田内閣総理大臣が答弁したとおり、一部ではなく、広く、多くの皆さんの所得を全体として引き上げるという、私の経済政策の基本的な方向性と。令和版所得倍増計画というのは方向性だとおっしゃった。
では、改めてですが、この若者世代の所得倍増、これは、具体的に、いつまでに何をもって行うという倍増の計画なのか、それとも単なる方向性なのか。同じく、こども家庭庁を中心に子供政策に関する予算倍増とおっしゃった。これも、具体策を持って積み上げで倍増に至る計画をお持ちなのか、それとも方向性をおっしゃっているのか。お答えください。
○岸田内閣総理大臣 もちろん大きな方向性を示しているわけですが、そのためにも具体的な施策を積み上げていかなければならない。その具体的な施策について、まず、足下から一つ一つ積み上げていきましょうということで施策を列挙させていただいている、こうしたことであります。
○泉委員 ということは、現時点で、倍増させるための計画があるわけではないという理解ですね。
○岸田内閣総理大臣 いついつまでに倍増するとか、そうした期限を区切ってはいないということは、御指摘のとおりであります。
○泉委員 これは総理、いかがですかね、総理も本当に率直に、ある意味素直におっしゃった、倍増という言葉が好きで、そして、具体的なものを示すものではないというふうにおっしゃったわけですが、しかし、国民の皆様からすると、資産所得倍増も、そうすると同じですか。資産所得倍増というのも、具体的な、いつまでにというものじゃなく、全体の方向性を示したものという理解でいいですか。
○岸田内閣総理大臣 今申し上げたのは、いつまでに倍増するということを申し上げているわけではないということであって、具体的なものを示さないということを申し上げているわけではありません。
具体的な政策をしっかり進めるということで、政府においても、勤労者皆保険制度の問題、あるいは男女が希望どおり働ける社会づくり、賃上げ税制を始めとする様々な賃上げ政策の動員、あるいは人への投資など、様々な政策を用意しているわけであり、子供政策に対する予算についても、従来から申し上げているように、こども家庭庁、もしお認めいただいたならば、そこで改めて、子供政策を中長期的にしっかり整理をし、予算についても整理をした上で、社会全体でどうした財源の負担を考えていくのか。その上で、全体の予算の積み上げを考えていく等、こうしたこれからの道筋については説明をさせていただいています。
こうしたものを一つ一つ積み上げることによって、大きな方向性を実現するべく努力を続けていきたいと考えております。
○泉委員 これ、今まで伺っていて、結局、倍増というのは、国民の皆さん、どう感じますかね。倍増といったら、倍増だと思うんじゃないですか。倍増というのは、一が二になるということを指すんじゃないですか。
でも、総理からお話を伺っていると、必ずしもそうではない。いずれ、もしかしたら、総理も御引退されて、私も引退して、その頃には、額としては今から倍になっているときが来ているかもしれない。でも、そんなことを言っているわけではないですよね。また、国民がそんなことを期待しているわけではないんじゃないですか。
総理が、今ここにおられる総理が倍増という言葉を使うということは、当然、総理の任期中に倍増させるということを多くの国民が期待をし、また、そう信じるんじゃないですか。
それを、一回目の令和版所得倍増で、まあ、途中から取り下げたような形になったから懲りたんじゃないかと思ったら、これまた一月そして五月と、倍増、倍増を繰り返しておられる。やはり倍増がお好きですか。そして、その倍増というのは、具体策は、あくまで、いつまでに倍増するということは示さない、示せないものであって、また、実際に、そこに向かっての計画が示されているわけでもないものであって、抽象的なものだということなんですね。
○岸田内閣総理大臣 国民の皆さんが期待しているのは具体的な結果であると認識をします。ですから、具体的な政策によって結果を出すことが私たちには求められていると認識をしています。
ですから、所得倍増という議論から始まっていますが、所得を引き上げるという方向の中で、特に子育て世代、若者世代、こうした世代に対する所得の引上げにしっかりと焦点を当てよう、さらには、こども家庭庁等を通じて、子供に対する予算、これをしっかり引き上げていこう、こうした具体的なものを積み上げて全体の所得向上につなげていく、こういった具体的な政策を列挙し、道筋を示していく、こうしたことが大事だと考えて、様々な政策を用意しているということであります。
○泉委員 そうなんですよ。向上であれば、別に何のことはないんです。それであれば、うそはないんですよ。でも、それが、何の根拠もないのに倍増、倍増というのが続くから、総理、おかしいということなんです。
倍増ということを国民に訴えて約束をされているわけですから、それは是非目指していただきたいと思いますし、そこで結果を見るということになると思いますので、是非心してこの子供政策に取り組んでいただきたいと思います。
さて、先日、明石市長の泉房穂市長が、このこども家庭庁について、やはり文部科学省の義務教育の政策が移管されないと、これでは意味がないんじゃないかというお話がありました。総理も先ほど子供政策を一つにしてとおっしゃいましたけれども、学校の中で起こる様々な問題、これはヤングケアラーの問題もそうでしょうし、あるいはいじめの問題、そして子供のカウンセリングなどなど、様々な問題は、結局のところ、今隣に野田大臣おられますけれども、統合はされない。このことについて、総理、いかがお考えですか。
○岸田内閣総理大臣 子供をめぐる課題、これは、社会が複雑化する中で、課題も多岐にわたり、多様化し複雑化しています。結果として、様々な課題も、文部科学省、厚生労働省のみならず、法務省であったり国土交通省であったり、様々な省庁にまたがってきます。こうしたものを全て一元化するというのは現実的なのかという議論はあると思います。それぞれが専門性をしっかりと伸ばす中で、いかに連携をしていくのか。さらには、それを統一的にコントロールしていく司令塔となる組織が必要なのではないか。こういった議論の中で、こども家庭庁という組織を提案させていただいていると認識をしております。それぞれの専門性を生かすことと連携のバランス、これが政府全体として子供政策を進める上で重要であると認識をいたします。
○泉委員 文部科学省という、まさに子供の教育、育ちをつかさどるところが今回統合されないというのは極めて残念なことであります。
立憲民主党は、我々の法案を出して、子供の育ち、これは家庭であっても教育であっても、それを一体的に我々は見ていくということで法案を出させていただきました。それが残念ながら今与党の考え方になっていないというのは非常に残念なことであります。
さて、児童手当の所得制限、これは以前予算委員会でも触れましたが、改めて。
私は、総理、この与党の考え方というのは本当によく分からない。もういよいよ今年の十月から特例給付が廃止されます。今年の十月から特例給付が廃止をされる。そして、何と六十一万人の子供が児童手当を受けられなくなる。この時代にですよ。この、今、総理も認識、懸念をされている少子化の時代で、何とか様々な皆様にできるだけ子供を産んでいただけるように、子供を育てやすいようにという取組をしているにもかかわらず、六十一万人の子供に対する特例給付をなくす、こういう政策になっております。
総理、御存じですか。実は、総理や政府は、この特例給付を削減することによって三百七十億円の財源をつくり出すというわけです。それをほかに振り分けようという話をしている。
ただ、この近年の少子化で、二〇一八年から二〇二〇年だけでいっても、単に子供の数が減ったので、児童手当の総額というのは七百六十億円減っています、子供の数が減っていますから。十分財源を生み出せているわけですよ。それに加えて三百七十億円削っちゃっているわけです。これはひどくないですか。なぜこんなことをするのか。
所得が多い世帯だって、このコロナでがくんと減っている世帯もある。あるいは、所得が多い世帯だって、子供の教育費、家賃、様々に生活費にお金がかかっているケースもある。そういう意味では、決して生活は楽ではない。年収だけで判断するものではない。
一方で、やはり専門家の皆さん、恐らく私は野田大臣もそうだと思うけれども、普遍主義ということで、総理や政権与党が、幼児教育だとかについては所得制限を基本的にかけていないのと一緒で、やはり児童手当も所得制限はなくていいじゃないか、これは多くの皆さんが言っておられますよ。それが社会の分断を招かない。向こうはもらっているけれどもうちはもらっていない、政府は不公平だ、そんなのだったら税金なんて納めたくない、こういう分断を招くような社会ではなくて、なぜこの児童手当を、所得制限を設けるのか。
是非撤廃していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 まず、児童手当については、児童手当法に基づき、父母その他の保護者が子育てについて第一義的責任を有する、こうした基本認識に立っております。その上で、家庭等の生活安定に寄与すること、そしてもう一つのポイントとして、次世代を担う児童の健やかな成長に資すること、この二つの大きな目的を掲げて支給するものであると認識をしています。
そして、児童手当については、元々は昭和四十七年から所得制限が設けられていたわけですが、その後、様々な議論があり、結局、平成二十三年の民主党、自民党、公明党による三党合意に基づいて、現在の基準額九百六十万円が合意されたと承知をしております。制度の目的、あるいは支援方法などに応じて判断されるものであると思っております。
そして、年収一千二百万円以上の方々に対する特例給付の見直しの問題、これについても御指摘ありましたが、これについては、子供、子育て支援の充実を図る中で、長年の課題である待機児童問題の解決を図ることと併せてこれを行っているということであります。要は、子供対策全体の中で、子育て世帯への支援全体の中で、ニーズに対応してその充実を図るという内容であると認識をしております。
○泉委員 児童手当総額はそもそも減っている。財源もそこから出せるはずですよ。
総理、改めてですが、是非、ただ単に答弁を読むだけではなく御自身の頭の中でお考えいただいて、この所得制限は外していくのが、これはヨーロッパの流れでもあるし、我々日本も、少子化をより深刻に抱えている、そういった国だということで、是非決断をしていただきたいと思います。
以上です。
○上野委員長 次に、遠藤敬君。
○遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。
総理、また連日、野田大臣、お疲れさまでございます。
今日は、まず総理にお伺いしたいんですけれども、最近お聞きしませんが、成長と分配、この議論はどうなっているんでしょう。
○岸田内閣総理大臣 成長と分配の議論、これは引き続き大切な議論であると思っています。
成長と分配の好循環を実現する、要は、市場や競争に全て任せるのではなくして、官と民が協働して、市場の失敗や外部不経済の是正の観点から、デジタルや気候変動等の社会課題を成長のエンジンとする、そして、その成長の果実をしっかり分配する、そして、そのことが次の成長につながる。こうした成長と分配の好循環は重要であるという考え方、これは基本的な考え方として今も大事にしている考え方であります。
○遠藤(敬)委員 実は何を言いたいかと申し上げますと、食料、エネルギー、本当に、ウクライナ危機の中でこれからどうなっていくのかということは、もう現実に、今、社会現象として起きております。
私が考えるには、ここで子供が関連するんですけれども、我が国は資源というものを、昔から、古来から、御案内のように、人への投資、人材をいかにつくっていけるか、それ以外に財産がないと思うんです。
そのためにもこども家庭庁が大事なんだろうという思いもありますが、私どもの考えと政府の考えるこども家庭庁との行き先は同じなのか分からない。同じところを見ているのか分かりませんが、政府が考えるこども家庭庁と我々が考える子供政策とはちょっと違うのではないか。今の日本の構造に合わせた、将来の子供たちが希望の持てる、そんな日本の子供政策が必要ではないかということを御提案を申し上げているわけであります。
一つ総理にお聞きしたいんですが、この子供への投資という、先ほど泉委員からもありましたけれども、倍増というのは、人がつくるものであって、エネルギーであっても、様々な分野で成長を促し、それを分配につなげるというんですけれども、結局これも人じゃないですかね。どうですかね、総理。
○岸田内閣総理大臣 成長ということを考えた場合に、重要なのは四つあると申し上げております。その第一に掲げているのが人への投資であり、そして二つ目として科学技術・イノベーションへの投資、そして三つ目としてスタートアップへの投資、そして四つ目としてデジタル、グリーンへの投資、これを四本柱として掲げています。
今、世界の経済社会が大きく変化するこれからの時代を考えた場合に、有形資産、物よりも、無形資産、事が重要になってくると指摘をされています。価値創造の源泉となるのは創造性を発揮する人であり、子供を含む人への投資、これを強化する、これこそが成長の鍵でもあると考えます。
こうした人への投資は、個人の生産性の向上を通じて成長を実現するとともに賃上げにもつながる、そしてこの賃上げが新たな需要を創出し、次の成長にもつながる。こうした考え方に基づいて、子供を含む人への投資、これを、先ほど委員から御指摘があった成長と分配の好循環の中で大変重要な要素と捉えて、政府としても様々な政策を用意しなければならない。その中で、子供ということを考えた場合に、こども家庭庁、大変重要な取組であると認識をしております。
○遠藤(敬)委員 考え方は、総理、全く同じなんです。これからが、ちょっと違うところがありまして。
今、こども家庭庁の議論をしているに当たっては、僕たちは、これからの日本を支えるのは、総理がようおっしゃるように、人への投資の、その投資の人たちに、子供たちに、私は、稼げる日本人をつくるという強い意思が、メッセージが大事だと思うんです。まさに日本の構造自体を、教育に対して、また福祉に対しても考えるべき時期に来ているんだと思うんです。
かけ声はよくても、看板を立てても何も変わらないのが今の日本の構造です。これを変えていこうというところで、看板をつけて変わるのかなというのが私どもの考え方でありまして、グローバルの市場で稼いで国に還元する、これがいわゆる総理がおっしゃる成長と分配の肝になると思うんですね。
もう一つ申し上げるならば、我々が考えているのは、こども家庭庁の、やはり幼保一元化ができなかった。これは総理、答えられないかも分かりませんけれども、幼保一元化をして、こども家庭庁をつくろうと思いましたか、どうですか。
○岸田内閣総理大臣 こども家庭庁、政府として提案させていただくまでの過程においては様々な議論があったと思います。委員御指摘のように、幼保一元化の議論ももちろんあった。
しかし、政府としては、子供政策を社会の真ん中に据えて議論をするということを考えた場合に、子供に関わる政策が、文部科学省、厚生労働省、それ以外にも、人権に関わる問題であれば法務省であったり、様々な、社会行動に関しては警察庁であったり、あるいは通学等の分野においては国土交通省であったり、この分野、省庁に関して言うならば、かなり多くの省庁にまたがって議論をしないと子供政策全体をしっかり把握することはできないということから、これらを一元的に、一段高い立場からしっかりとリードする役所をつくることによって、それぞれの専門性も生かしながら連携をより強力なものにしていく、こうした考え方に基づいてこども家庭庁という組織を提案させていただいている、こうした議論の過程があったと承知をしております。
○遠藤(敬)委員 総理、実は、総理ぐらい偉くなるとそういうことはないのかも分かりませんが、野田大臣もないかも分かりませんが、子供政策についてお伺いをしたいと役所に問合せすると、どういうことになるか。御存じかも分かりませんが、厚労省、文科省、今、こども家庭庁の準備室、それから内閣府、皆さん来られるんです。来られて、これは誰に聞いたらええのと言ったら、みんな、全員手を挙げるんですよ。これは完全に、子供政策の中でどこが所管しているのか分からないんです。全員手を挙げるんです。まだこれはよい事例で、下手したら誰も、うつむいたままという、これが今の状況です。
これは党の論ではないんですけれども、私個人の考え方としては、野田大臣、こう見えても僕、文教族になろうと思っていたんですよ、知らないうちに国対族になっていましたけれどもね。本当に僕は子供政策をやろうと思っていたんです。
僕が認識する限りでは、今は二階建て半、文科省、厚労省、内閣府と二階建て半に縦積みしているんですね、縦積みしている。それが、たらい回しとよく言われますけれども、どこへ電話しても、あっちこっちこっちと回されて、困ってきた。それを野田大臣が、前回別件でお話ししたときに、それを直すのがこども家庭庁なのよとおっしゃっていただきましたが、これはなかなか変えられません。
なので、私が申し上げたのは、幼保一元化していただいていたら我々も賛同しています。これができない限り、なかなか、こども家庭庁をつくったからといって、形が変わるもの、また国民の窓口が一気に変わるものではないと私は思うんです。
御提案申し上げているのも、おぎゃあと生まれて二十二歳までは一つの窓口で完結する、出口まで完結できる、これが本来の在り方だと思うんです。これは省壁があるんでしょうか。何がどうあるのか分かりませんが。幼保実現化ができないのに、看板をつくっても、これはなかなかできないだろうなと。誰の方を向いて話をしているのかということが、今現実の役所の縦割りの弊害なんですね。
総理のリーダーシップで、また野田大臣のリーダーシップでやっていただけるんだろうと期待はしておりますが、今の現状はそういうことなんです。我々ですらこんな感じなので、国民が、保護者が相談窓口に行くと、そういう状態になって、最後には、自治体に聞いてください、こういうことになるのが実態なんですね。
ですので、私自身は、一気通貫の入口を、そこに相談したら、全て、厚労省からいわゆる文科省まで整理をしていただける窓口をつくろうとされているんだと思いますけれども、私どもは、全部解体して、子供福祉に関する政策は全て一元的にやるんだというぐらいやらないとこの構造は変わらないということを申し上げているのが我々の対案であります。
是非そこのところはよくよく理解をしていただいて、総理のリーダーシップで、そんなことを遠藤は言うとったけれども、そんなことはないんやろなと是非言っていただけるような環境をつくっていただけるという自負はありますでしょうか。野田大臣、せっかくなので、どうぞ。
○野田国務大臣 エールを送っていただき、ありがとうございます。
気づきは私たちも一緒でございまして、幼保一元化という、省庁の縦割りを排して、子供はしっかり守っていこうというのがそもそものこども家庭庁の魂であります。
私たちは、この設計に当たっては、まだ目に見えない子供たち、生まれ出ていない、女性のおなかの中にいる胎児を含めて周産期から、今遠藤委員がおっしゃったように、一応、子供としては十八までという区切りがあるわけですけれども、いろいろ成年年齢も変わることもあり、自らがやはり成人した、成熟したというふうに自覚ができるまで、私たちは、こども家庭庁は寄り添っていこうと。本人の意思に、自分がそうなったときまでしっかり寄り添うという体系を取っています。
幼児教育に関しては、そもそも、園児、未就園児もいる、そして地域によっては、認定こども園、両方を兼ね備えたところに行ける子供もいれば、保育園に行く、保育園も様々ですね、認可だったり認可外だったり企業内だったり。
そこら辺が今、実のところ、幼保というざっくりとした分断よりも、それぞれの多様な、多様であることは大事で、選択肢があることは大事なんですけれども、選択肢ではなくてやむを得ず行ったところでの幼児教育によって、小学校一年生になったときに、ほかの子供たちよりも育ちが遅れているとか学びが遅れているということが今やはり大きな問題になりつつあるので、私たちが着目したのは、そういう省庁の大人の論争よりも、まずは今いる子供たち、大阪に生まれるか岐阜に生まれるかで、とりわけ幼児教育の中での格差が起きないように、幼稚園を預かっている文科省、そして保育園を担っている厚生労働省、そして認定こども園の内閣府、それぞれが様々なことを進めていくときに、こども家庭庁が協議に加わって連携して、そして、それぞれが格差が大きく出てこないような総合調整をしっかり内閣総理大臣の強いリーダーシップの下で行うということが肝要だと思って進めている。
結果として、その壁が、子供の世界の中では、どこの園に行っても同じように健やかに学び育つことができるということを目標にして取り組んでいく所存でございます。
○遠藤(敬)委員 ですので、総理、野田大臣、これは一気通貫でやらないといけないですね。ですので、この子供政策についての問いに、誰ですかと言ったら全員手を挙げるとか全員うつむくとか、簡単に言うと、この責任者は誰ですかと言ったら一人の人間が手を挙げないといけないんですよ。そうでないと、たらい回しが続くわけなので、これをこども家庭庁が本当にリーダーシップを取ってやっていただけるのか。幼保一元化ができない時点で、ああ、これは無理だなと僕は思っています。これは基本的な、我々が反対をする理由の大きなポイントの一つなんですけれども、それを是非改めて、成立するんでしょうから、成立した暁には、そこは肝に銘じて行政を進めていただきたいなと思っています。
あと、教育の無償化、いろいろと先ほど泉委員からもありましたけれども、総理、教育の無償化はこのこども家庭庁がやっていただけるんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 子供たちが誰でも家庭の経済事情にかかわらず質の高い教育を受けられるチャンスを平等に与えられるよう、学校段階、それぞれに応じて負担軽減策、こうした政策を着実に進めていくことが必要であると認識をしています。
そして、今日までも幼児教育、保育の無償化など様々な施策を進めてきたわけですが、これからについては、こども家庭庁をお認めいただいたならば、こども家庭庁において、政策、さらにはその裏づけとなる予算もしっかりと整理をした上で、その財源は社会の中でどこが負担をするのか、政府であったり企業であったり、社会の中でどこが負担をするのか、これをしっかり整理をした上で全体のボリュームを引き上げていく。こうした無償化に向けて裏づけとなる様々な財源についても考えていかなければならないと思います。
是非こうした形で、社会がどのように子供たちの育ちや学びを支えていくのか、こうしたことを整理する役割もこども家庭庁にしっかり担ってもらって、社会全体としての負担の在り方についてもしっかり考えていきたいと思っています。
○遠藤(敬)委員 そういうことなんでしょうけれども、要は、総理、これはこども家庭庁が担うんだと言ってほしいんですよ。そうでないと一気通貫にならないということを私は申し上げておるわけなんです。
最後に、我々世代の、私より大先輩の岸田総理でありますけれども、もう少し我々の時代は、日本に、日本社会に夢や希望があったと思うんです。何とかなるんじゃないか、何とか生活できるんじゃないかと思った世代でありますけれども、今や、どうなっていくんだろうかと不安ばかりがこの日本社会の若者には蔓延している。その度合いは違いますよ。どんどんどんどんその部分が我々のときよりも増えていっているというのが現実だと思うんです。
誰もできないだろうと言われた大谷翔平選手の二刀流、それは、これからの若者に、例えば仕事を、一つの仕事しかできないけれども、能力のある子、やる気のある子は二つも三つもかけ持ちして、それがやる気になって、僕も、私も、できるんじゃないの、そう思ってもらえるような社会構造に切り替えていく、そういう時代に直面しているんだと思うんです。それが総理の言う成長に、税収として上げていただいて、それが福祉や日本の行政にも、社会にも分配される、これしか僕はないと思うんです。
ですので、エネルギーやいろいろなことをおっしゃいますけれども、結局、やるのは人なんです。人への投資以外にこれ以上の成長はないと思うので、これからの成長は、日本の子供たち、孫たちにどういった日本の、夢や希望を持てる、そんな構造をつくれるのかということが大事だと思うので、構造を変えていく、それが行政のトップである総理の仕事だと思うんですね。
口ではいろいろなことを、成長や分配を言いますけれども、それ以外にないです、こうやってウクライナ危機が出てくると。それを我々政治家も肝に銘じて進めていかなくてはならないなと。大谷選手が教えていただいた、できないかも分からぬけれどもやってみる、やればできたという若い人たちの思いに、希望に応えられるような政治でなければならないなと思っております。
最後になりますけれども、子供のマスクの問題、総理もコメントされておりますが、子供のマスク、本当に、僕が一番心配しているのは、呼吸もそうですけれども、顔の表情が分からないというその部分については、今後、是非、子供のマスクの着用の義務といいますか、強制力がないのか分かりませんが、できるだけ総理のメッセージとしてお出しいただけることはできないでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 マスクに対する基本的な考え方は、先ほど答弁させていただきましたので繰り返すことはいたしません。
しかし、今後については、我々は、できるだけ平時を目指して、今、移行期間として、感染症対策をしっかり維持しながら、できるだけ経済社会を動かそうという方向で取組を進めています。感染状況ですとか専門家の皆様方の意見もしっかり踏まえながら、現実的な対応を絶えず考えていかなければいけない課題であると認識をしています。
マスクについても、今後の動向をしっかり見極めた上で、政府として考え方を明らかにしていきたいと思っております。
○遠藤(敬)委員 終わりますが、たらい回しのない子供政策、野田大臣、トップとして、是非、頑張っていただきたいと思います。
終わります。
○上野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
総理、今日はよろしくお願いいたします。
時間が五分しかございませんので、二問まとめて質問させていただきたいと思います。
これまで、こども家庭庁設置法、関連法に対する質疑を行っておりましたが、今日は、取り上げたいのは一つだけ、子供コミッショナー制度につながる提案を二つさせていただきたいと思います。
子供に関わるこれまでの政府の取組といいますのは、少子化に対する危機感を背景に、出産や子育てに関する支援に重きが置かれてきたと、今認識をしております。
近年は、保育所の待機児童の解消といった量の確保というものを最優先課題として取り組んできていると思いますが、その反面、子供にとっての保育、教育の質の確保というのが相対的に、相対的にではありますが、後回しとなってしまった結果、直近の出生数が七十五万人台まで落ち込んでいる、そういった状況だというふうに思いますし、また、近年では、子供を取り巻く状況、貧困、虐待、いじめ、不登校、ハラスメント、こういった、環境が悪化をしておりまして、子供たちの自殺の数も増えております。
こうした状況を受けて、政府は、従来の少子化対策から、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの実現に向けて政策を推進する、子供中心の政策へかじを切ったこと、これは我々国民民主党も、大人が中心の施策体系から子供が中心の施策体系に転換をする、この部分では思想を同じくしていると認識しておりまして、評価をしておりました。
ただし、諸外国の取組を見てみますと、まだ少し、取組として更なる強化が必要ではないかと思うところがございますので、これから二つ、質問、提案をさせていただきたいと思います。
一点目は、国が自治体に対して、保育所などを年に一回は訪問して問題がないか確認することを求めてきたんですが、実際に、これは自治体によってばらつきがあります。訪問、チェックしている自治体と、そうでない自治体がある。
イギリスでは、全ての子供のウェルビーイング実現に向けて、自治体のレベルでも子供政策の責任者の配置を義務づけて、国が全国の自治体の取組状況を定期的に評価をしています。我が国でも、こども家庭審議会というのがこれから設置をされることになると思うんですけれども、いきなり子供コミッショナーということはもう今日は申しませんが、このこども家庭審議会に教育委員会や教育機関などに対する調査権限を付与するということを検討すべきではないか、これが一点目です。
二つ目の質問なんですけれども、更にその先になりますが、子供たちは、自分にどのような権利があるのかを知らなければ、権利が侵害されていても声を上げることが当然ながらできません、何が侵害されているのか分からないわけですから。ですから、子供たちと、その子供たちに関わる大人が置かれている状況に応じて、子供の権利について周知をしたり、子供の声を聞いて、子供に代わって改善を求めることのできる独立機関が、だからこそ必要だと我々は思っています。
スウェーデンでは、子供コミッショナーが、施設で暮らす子供の声を聞いて、施設内での虐待を把握し、政府に改善を求めて、子供と接する職員の犯罪歴チェックの義務化などの実現に貢献をしている例もあります。
子供の権利利益の擁護に取り組む独立機関の必要性を、まずは検討を政府内でしていただきたい、設置を約束してくれとは申し上げませんので、政府内で継続的に検討していただきたい、これを今日は総理に是非明確に御答弁をいただきたいというふうに思っております。
以上、二問になります。よろしくお願いします。
○岸田内閣総理大臣 まず一問目ですが、こども家庭審議会、これは、内閣総理大臣の諮問機関として、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会実現に向けた基本的な政策の重要事項に関して調査審議するというものであります。ですから、御指摘のように、教育委員会や教育等の活動を直接調査する機関ではないと位置づけられています。
しかしながら、こども家庭審議会が述べる意見を受けて、こども家庭庁等において地方自治体に対する施策の取組状況の調査を行う、こうしたことは考えなければならないと思っています。こども家庭庁におけるそうした取組状況の調査等を踏まえて現場の実態把握をしっかりと行って、関係省庁の施策を含め、必要な改善につなげていく、こうした連係プレー、しっかりとした体制をつくっていく、これが大事であると思っています。
そして、二点目の子供コミッショナーについての質問でありますが、もう既に、これにつきましては様々な議論が委員会でも行われてきたと承知をしています。
政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することによって、まずは子供の権利利益の擁護にしっかりと取り組んでいくわけですが、その際に、子供の視点に立って、第三者機関であるこども家庭審議会等で様々な声をしっかりと聞かせていただく、透明性や公平性、これをしっかり確保しながら権利利益の擁護を図っていく、こうした取組を進めていかなければならないと思っています。
そして、声を聞く、子供の意見を聞くということについては、これは審議中の児童福祉法改正法においても、施設における処遇等について、第三者である支援員が子供の意見を聞いて対応する意見表明等支援事業、こうした新たな事業を設けるということにしておりますので、こうした形で、権利の擁護、そして子供の声を聞く、こうした課題について政府としても対応を考えているというのが考え方であります。
○浅野委員 ありがとうございました。
是非とも、こども家庭審議会の意見を政府として最大限尊重し、そして、その機能強化に向けた検討も継続されることを望んで、質問を終わります。
ありがとうございました。
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
こども家庭庁設置法案について、岸田総理にお尋ねをいたします。
今、子供の貧困は約七人に一人、一人親世帯の半分が貧困状態であります。二〇二〇年度では、虐待の相談件数は二十万件、不登校も二十万件、いじめの認知件数は五十一万件に上り、いずれも大幅に増加をしています。十代の死因で自殺が最多を占めるのは、G7で日本だけ。
総理、子供の置かれている現状が深刻だという認識をお持ちですか。
○岸田内閣総理大臣 昨日ですが、現場の第一線で、子育てを含め、社会の様々な方々の支援を行っている民生委員、児童委員の皆様方と車座対話というのを行わせていただきました。その中で、今、新型コロナ禍の中、子育て世帯が孤立をしている、また、児童虐待、いじめ、さらには子供の貧困など、子供をめぐる課題が一段と複雑化している、そして多様化している、こうした様々な具体的な例を挙げて、指摘を受けてきました。
こうした状況を考えますときに、人は国の礎でありますので、様々な深刻な状況、これはあってはならないことであると深刻に受け止めている次第であります。
○塩川委員 深刻に受け止めているということですが、子供の相対的貧困率、直近の二〇一八年で一三・五%ですが、しかしながら、この貧困率を明らかにしている最初の年となっている一九八五年は一〇・九%です。つまり、この三十年余りで子供の相対的貧困率は、一〇・九から一三・五、改善どころか悪化しているというのが実情ではありませんか。その認識をお持ちですか。
○岸田内閣総理大臣 子供の貧困率、今手元に資料がありますが、平成二十七年で一三・九%、平成三十年が一三・五%、国民生活基礎調査ということであります。こうした数字、これは重く受け止めなければならない数字であると認識をいたします。
○塩川委員 さらに、今、コロナ禍で、格差の拡大が強く懸念をされている。まさに貧困と格差が拡大をする、こういう中での子供の貧困の深刻さというのが改めて問われているときであります。
三十年のこの経緯を見ても、相対的貧困率が改善どころか悪化をしたままだ、そこにそもそも、自民党政治の下、長期間放置をしてきたということが問われていると思います。
その期間に、子どもの権利条約の取組もあったはずであります。子どもの権利条約の批准から約三十年、子どもの権利条約の批准に当たって、政府は、子どもの権利条約の内容について、現行国内法制によって既に保障されているとしてきました。そのことが、OECD諸国の中でも子供関連の社会支出が少ないなど、子供施策の遅れを生み出してきたのではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 少子化対策あるいは子育て世帯への支援など、子供に関する施策については、これまでも政府として様々な取組を進めてきました。保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化、高等教育の無償化、あるいは、地域社会による子育て支援、多子世帯への支援を含む経済的支援、あるいは不妊治療の保険適用の開始などの妊娠、出産への支援、こうした様々な取組を進めてきたところです。
そして、我が国の家庭関係社会支出の対GDP比、二〇一九年度で一・七三%、これは、米国の〇・六一%は上回るものの、OECD平均二・一との比較においては低い、こうした指摘があるのは十分承知をしています。
いずれにせよ、これまでのこうした取組をしっかりと大事にしながら、今後とも、昨年策定した、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針、これに基づいて政策を充実させていきたいと考えております。
○塩川委員 OECD諸国の中でも子供関連の社会支出が少ないということをお認めになった、そこに、自民党政治の果たしてきた問題、このことが浮き彫りとなっているということを正面から受け止めるべきであります。
児童扶養手当の問題も先日取り上げましたが、母親の就労の大半が非正規雇用、低賃金となっている現状があるのに、就労による自立支援を名目にして、児童扶養手当の減額や一部支給停止規定を設けるなど、子育て世帯支援に逆行することを行ってきた、このことへの責任が厳しく問われていると思います。
そういった点で、こども家庭庁設置法案において、子どもの権利委員会の勧告を踏まえて行った措置というのはあるんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 児童の権利委員会から、二〇一九年の政府報告審査の総括所見として、条約の実施に関連する全ての活動を調整するための調整機関の設置要請などの勧告があったこと、これは承知しておりますが、他方で、今回のこども家庭庁設置法案については、少子化が深刻化し、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一段と複雑化する中で、我が国として、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織が必要である、こうしたことを主体的に判断したものであると思います。
いずれにせよ、児童の権利条約については、その趣旨も踏まえて、政府として、子供政策、主体的に進めていきたいと考えております。
○塩川委員 勧告は承知しているけれども、こども家庭庁の設置は主体的に判断したものだ、つまり、子どもの権利条約に基づき子供施策を進める、こういう姿勢が感じられないということがうかがえるわけであります。子どもの権利条約の内容について、現行国内法制によって既に保障されているという政府の立場が変わっていない、その点が問われているということを指摘しなければなりません。
だからこそ、政府から独立した立場で政府を監視、評価するとともに、子供の意見表明を代弁をし、個別の事案の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要だと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
○岸田内閣総理大臣 子供コミッショナーにつきましては、先ほども議論がありました。また、これまでも委員会で様々な議論が行われてきたと承知をしております。
政府としては、こども家庭庁を創設することによって子供の権利利益の擁護に取り組んでいく方針でありますが、その際に、第三者機関であるこども家庭審議会等で、子供やあるいは子育て当事者、また有識者等の意見もしっかりと承り、公平性、透明性を確保しつつ、権利利益の擁護を図りながら、最善の利益を実現できるよう政策を進めていきたいと思います。
あわせて、子供コミッショナー、子供の意見をしっかりと聞く、こうした観点から申し上げるならば、審議中の児童福祉法改正案においても、意見表明等支援事業、こうした新たな事業を設けることで対応していきたいとも考えております。
以上です。
○塩川委員 コミッショナー制度についての取組の話はありませんでした。
国連子どもの権利委員会は、独立した監視機関の仕組みについて、子供の権利を促進し、保護するものとして、条約締約国の中核的な義務として位置づけられている、このことも参考人質疑の中で参考人から述べられていたことを重く受け止めるべきであります。
子供は権利の主体ではありますけれども、大人と同じような自己決定権が認められているわけではありません。だからこそ、自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして子供コミッショナーというのは必要不可欠ではないのか、このことを改めて総理に問いたいと思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、子供コミッショナーについては様々な議論が行われてきました。
しかし、子供の声をしっかり聞くべきではないか、こういった指摘は大変重要な指摘だと受け止めた上で、その子供の声を、そして子育て世帯等当事者の方々の声をしっかり受け止める仕掛けとして、こども家庭審議会ですとか、あるいは児童福祉法改正案における意見表明等支援事業を新設するなど、こうした取組を政府としては用意をしていきたいと考えております。
○塩川委員 子供の意見表明権を保障する子供コミッショナーの設置、そして、子供を支える予算の抜本的拡充と、そのための人員の大幅増員、このことを強く求めて、質問を終わります。
○上野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 五分、よろしくお願い申し上げます。
少子化対策について、まずお伺いしたいと思います。
政権発足から七か月強がたっていると思います。これまでに岸田政権として少子化対策で成し遂げたものというのは何がございますでしょうか、岸田総理。
○岸田内閣総理大臣 少子化対策、言うまでもなく、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊な課題であるとして、私の内閣においてもしっかり取組を進めていかなければならないという認識を持ち、今まで具体的に何かやったかということにつきましては、少子化対策という観点から、子育て世代等における所得の引上げなど様々な政策を講じ、さらには、これは以前からの議論でありましたが、不妊治療等、こうした具体的な対策を実行するなど、大きな問題意識を持って様々な政策を実行しているということであります。
これからも引き続き努力を続けていきたいと考えております。
○緒方委員 現在の少子化がこのまま進行するときに、インベスト・イン・キシダにならないという認識をお持ちですか、岸田総理。
○岸田内閣総理大臣 少子化が進行するということは、我が国の将来を考えた場合に大変深刻な状況であります。ですから、少子化対策という形で、こうした現象に対して政府として対応するということは大変重要であると思います。
そして、あわせて、インベスト、投資の方のお話をされましたが、日本への投資ということを考えた場合には、少子化対策と併せて、生産性の向上を始めとする様々な施策、デジタル、科学技術・イノベーション等を総動員した生産性の向上、こうした点もしっかりと考えていかなければならないと思っています。
○緒方委員 今回の法案の中で、やはり、家庭というものがどういう意味合いを持つのかということについて、私自身、何度も野田大臣と議論させていただいたわけでありますが、端的にお伺いしたいんですが、家社会の秩序というものと個人の人権、これはどちらが重要であると総理は思われますでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、政府の政策としては、保護者を中心とする家庭が一義的に子育てについて大きな責任を持つわけですが、それを社会全体でしっかり支えていく、これが基本的な考え方であると思います。
こうした考え方の下に、委員の御質問は、家庭と個人の権利、どっちが優先されるか。これは共に大事な考え方であり、今言った児童福祉の基本的な考え方は大事でありますし、そして、子供の個人の様々な権利あるいは声、こうしたものはしっかり尊重しなければいけない。
今回のこども家庭庁の議論の中でも、そのバランスということについてはいろいろな議論があったと承知をしております。
○緒方委員 次に、男女共同参画についてお伺いをしたいと思いますが、これは純粋に質問でありますが、岸田政権における男女共同参画の政策の中に選択的夫婦別姓制度というのは入っておりますでしょうか、岸田総理。
○岸田内閣総理大臣 私の内閣においても、個性と多様性、これは活力ある社会を実現するために大変重要であると認識をしています。
選択的夫婦別姓については、議論が従来から続けられています。政府においてもこうした議論は尊重していく方針ではありますが、いずれにせよ、国民の皆さんの理解と協力、これが何よりも重要です。そうした国民の皆さんの理解につながるかどうか、こうしたことについてしっかり考えながら議論の推移を見守っていかなければならないと私は思っております。
○緒方委員 終わります。
○上野委員長 次に、櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。
総理、私の持ち時間は三分ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
こども家庭庁設置法案の財源について御質問いたします。
一昨日の内閣委員会では、野田大臣から、国民負担は増やさないというお答えはありませんでした。総理、こどもまんなか社会という理念、私、大賛成なんですね。だからこそ、国が責任を持って、これは確実に実現できるんだよと財源を明確に示すこと、それが私は大変大事だと思うんです。子供にも、そして国民にも不安にさせてはならないと思ってお聞きいたします。
総理は、こども家庭庁創設に当たり、この先、消費税増税や子供保険、こうした国民負担を増やさないということで考えてよろしいでしょうか。もし答えづらいとすれば、その理由は何なのか、簡潔に教えてください。
私が想像するに、今年の一月に経済財政諮問会議で、基礎的財政収支の二〇二五年度黒字化目標を堅持するという決定、こうした方針がなされているからではありませんか。
しかし、私、思うのは、プライマリーバランスにこだわっていると、国を滅ぼすんじゃないかと心配なんです。
といいますのも、緊縮財政による政策の失敗、実際に、少子化対策を三十年やっても、子供は残念ながら増えませんでした。また、二十五年以上のデフレでありながら消費増税を続けてきた、その結果、賃金は下落し、雇用は破壊され、七人に一人の子供が貧困。そして、虐待やいじめは止まらずに、子供の自殺率は、二〇二〇年度、過去最多の件数を記録してしまいました。
総理にとっては、財政規律を守ることと子供の未来を守ること、これはどちらが優先されるんでしょうか。緊縮財政の政策を続けて同じ三十年を繰り返すのか、あるいは、れいわ新選組が主張する積極財政に転換をして、子供や教育のために新たな国債を発行する、そして子供の未来に希望を照らす、こうした政策、どちらを選ぶのか、是非今ここで選択をしていただきたいんです。いかがでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、国民の皆さんに負担をお願いすることについてどう考えているかということにつきましては、政権交代以降、新子育て安心プラン等に基づいて、既に一・四兆円程度を確保して、幼児教育、保育の無償化、あるいは保育の受皿確保、こうした政策を進めてきました。
そして、今後については、まさに今審議をお願いしているこども家庭庁がスタートをすることができたならば、このこども家庭庁において司令塔機能を発揮して、子供政策全体をしっかり整理した上で、裏づけとなる予算についてもしっかり整理を行い、そして、国、自治体、あるいは企業、そして家庭等、社会全体でどうやってその財源を賄っていくのか、これをしっかり整理する必要があると思います。必要な政策をしっかりと整理をし、その財源についても今言った形で整理することによって、社会の負担、そして国の負担、こういったものをしっかり明らかにしていくことが大事であると思っています。
それから、財政再建と子供の未来のどちらが大事なのかという御指摘がありました。私は、財政は国の信頼の礎であると思います。そして、信頼は、決して私たちが判断するのではなくして、市場であったり国際社会が私たちの国をどう評価するか、こうしたことでありますから、こうした市場や国際社会の信頼をしっかりつなぎ止められるような財政政策を進めていくことが、結果として子供たちの未来にもつながると信じています。
様々な政策を進めるに当たって、最大限、市場や国際社会において日本の信頼をしっかりつなぎ止められるような財政政策を進めていくことが求められていると思っております。
○櫛渕委員 今、総理から二点大きくお答えいただきました。ありがとうございます。しかし、昨年の十二月の閣議決定の中には、国民に広く負担を社会について求めるというような記述もありましたので、私は質問させていただいたんですね。是非、消費税増税や子供保険、こうした形で、このこども家庭庁を設置した暁には、またこれを理由に国民負担を求めるということはあってはならないと思います。
そして、国の信頼、国際的な信頼、大変大事でありますけれども、しかし、是非総理に認識していただきたいのは、大変な、今危機的な状態だということであります。二十五年のデフレと、そして貧困と格差、このことはとても、総理もいつも演説でおっしゃっているじゃありませんか。
○上野委員長 櫛渕君におかれましては、時間を過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。
○櫛渕委員 是非、非常時だということ、平時ではないんです、非常時において、国債を発行する、このことは国民にとってまずは必要なことですので、子供国債、そして教育国債で、しっかり積極財政でやる道筋を是非検討していただきたいということを強く申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○上野委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
これにて各案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○上野委員長 この際、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。野田国務大臣。
○野田国務大臣 子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案については、政府としては反対であります。
―――――――――――――
○上野委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党・無所属の堤かなめです。
私は、会派を代表し、我が党提出のこども家庭庁設置法案に対する修正案に賛成、内閣提出のこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対、自民及び公明提出のこども基本法案に賛成、我が党提出の子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案に賛成、維新提出の子ども育成基本法案に反対の立場から討論を行います。
私たち立憲民主党は、旧民主党時代から、チルドレンファーストの理念を掲げ、子供、子育て政策を一元的に立案、遂行する子ども省の創設を訴えてきております。ようやく私たちの考えが浸透してきたことと思いますが、政府については理念や実効性において懸念があります。
まず、新組織の名称についてです。
検討当初はこども庁という名称とされていたにもかかわらず、最終的にはこども家庭庁とされました。子育てにおいて家庭が大切であることに異論はありませんが、貧困、虐待等に苦しむ子供たちにとって家庭が安心できる場にはならず、家庭という言葉に否定的な感情を持つ方々もいらっしゃいます。立憲民主党は、子供を社会全体で支援すべきであり、こども家庭庁という名称には問題があると考えております。
また、政府案においては、教育はこども家庭庁の所掌事務に含まれておりませんが、子供施策を総合的かつ効果的に実施するためには、教育も含め、子供施策を一元的につかさどる新たな省の創設が必要です。
さらに、岸田総理は予算委員会において、子供政策に関する予算は、将来的には倍増、これはしっかり目指してまいりたいと発言をされています。しかし、野田大臣からはその点について明言していただけず、大変残念に思います。
こうした問題点を改善するため、この間、与党との修正協議を重ねてきたものの、一切修正が行われなかったため、政府案に反対せざるを得ません。
自民及び公明提出のこども基本法案は、基本理念の一部に懸念する事項はあるものの、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則である、差別の禁止、児童の最善の利益、生命、生存及び発達に対する権利及び児童の意見の尊重に相当する内容を規定している点は評価できます。また、各府庁にまたがった子供政策に横串を刺す理念法の必要性については共有しており、賛成いたします。
なお、維新提出の子ども育成基本法案については、組織の在り方、基本理念において認識が異なる部分があることから、反対いたします。
子供関連予算の倍増、子供コミッショナーの設置などを明記いたしました立憲民主党提出の子ども総合基本法案への委員各位の御賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○上野委員長 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
会派を代表して、政府提出のこども家庭庁設置法案及びその修正案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し反対、与党提出のこども基本法案に対し賛成、立憲民主党提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案に対し反対、そして、日本維新の会提出、子ども育成基本法案に対し賛成の立場から討論をいたします。
そもそも、この国会は、子供国会と呼ばれるほど、子供に関する議論が行われたと承知しております。しかし、一方で見え隠れするのは大人の思惑です。
今まさに、この瞬間も支援が必要な子供たちがたくさんいます。新型コロナウイルスは、大人のみならず、子供たちの生活も一変させました。一刻も早く支援が必要な子供たちに寄り添う体制が必要です。
このこども家庭庁設置法案が、もしかしたら子供たちを救う手だてになるのではないかと期待を込めておりました。しかし、内閣委員会での質疑を通して分かったことは、こども家庭庁では縦割り行政を打破することができないということでした。厚生労働省と文部科学省の縦割り行政を打破するために、勧告権と調査権という司令塔機能を持つ組織をつくる、その内容は、厚生労働省と内閣府の関係部局だということです。そこに見え隠れするのは、単に、子供の政策の中心を文部科学省には譲らないぞという大人の思惑です。
このこども家庭庁ができたら、学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった福祉を担う人材を投入していただけないかと質問しました。答えはノーでした。これを縦割り行政といいます。今、スピード感を持って活用できるものがあるのに、お金の出どころや管轄が違うということで、結局変えることができません。幼稚園、保育園、認定こども園の一元化もできません。
要するに、一体化のメリットは、類似点の多い行政サービスを集約し一体化することで効率化が図れることです。コスト面でも人材面でも活用ができます。また、イノベーションを推進するなら、上意下達ではなくチームで取り組む一体化した組織であるべきです。
だからこそ、日本維新の会の子ども育成法案に賛成し、政府提出法案及びその修正案に反対します。
一方、与党提出のこども基本法は、課題はありますが、その方向性、思いは同じであり、附帯決議という形も整いました。未来への期待を込めて、賛成いたします。
立憲民主党の法案につきましては、様々な課題は共有しつつも、コミッショナー制度の定義が不明瞭な点や不確かな財源において反対と言わざるを得ません。
以上で私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○上野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、子供関連法案の討論を行います。
国連子どもの権利条約を批准してから約三十年、貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子供の権利侵害は深刻です。
このような中、子供たち自らが意見表明権の重要性を述べ、子供の権利擁護などの支援を行う方々の運動が広がっています。今回の法制定がこの期待に沿うものでなければなりません。
今必要なのは、子供を権利の主体として明確に位置づけ、憲法の基本的人権と権利条約の四原則を保障する政治への転換です。その具体化のために、子供が自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして、独立した立場で政府を監視、評価するとともに、子供の意見表明を代弁し、個別の事案の相談、救済に対応する子供コミッショナーは必要不可欠です。また、子供を支える活動をしている方々の一番の願いである予算と人の確保が求められています。
しかし、政府には、国の政策によって子供の権利を侵害してきたことへの反省がありません。だから、こども家庭庁設置二法案は、子どもの権利条約の文言すらなく、子供コミッショナーもなく、予算と人の担保もありません。根本問題に手をつけず、理念も目的もなく組織をいじるだけでは子供の権利侵害を解決することにはつながらず、反対です。
また、閣法と相まって、子供に関する取組の共通基盤として提出された与党案についてです。基本理念に条約の四原則を盛り込んだとしていますが、不十分なだけでなく、以下の問題があります。
養育は家庭が基本との文言は、これまでの法令にはない規定で、家庭の責任を強調するものです。児童扶養手当や生活保護の改悪など、子育て支援の後退を合理化する理由として、家庭の養育責任が強調されてきました。この規定は、子供と保護者に更なる自助努力を強いるものです。そして、虐待や貧困、ヤングケアラーなど、家庭の中で苦しむ子供たちが少なくない中で、苦しむ子供や保護者を更に追い詰め、一層孤立させることになり、看過できません。
「教育基本法の精神にのっとり教育を」とあえて書き込み、教育内容に権利条約の四原則が及ばないたてつけにしています。過度な競争・管理教育、いじめ、不登校、理不尽な校則など、教育における深刻な子供の権利侵害を脇に置くことは容認できません。
さらに、与党案に盛り込まれた子供のデータ連携を推進する規定は、政府が、個人情報を民間企業のもうけの種として利活用する政策を推進している下で、子供の個人情報集積を進め、プライバシー権の侵害やスコアリングなどによる権利侵害が生じるおそれを高めるものです。
以上の理由により、与党案には反対です。
また、維新提出の子ども育成基本法案には、閣法と同様の理由で反対です。
立憲提出の子ども総合基本法案は、子供コミッショナーを盛り込むとともに、子供施策の予算の目標を明記しており、賛成とします。
以上、申し述べ、討論を終わります。
○上野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 有志の会、緒方林太郎です。
採決に際し、討論いたします。
まず、自由民主党、公明党が提出する理念法たるこども基本法案については賛成をいたします。
与党内で価値観の相違が見え隠れする中、一抹の不安はありますが、この法律に基づいて、よき子供政策が行われ、ひいては少子化対策につなげていかなくてはなりません。
その観点から懸念されるのが、内閣提出法案であるこども家庭庁設置法案です。
文部科学省所管の権限移管がほぼなく、理念法を実施していくための権限がこども家庭庁に十分に与えられていないという根本的な問題点があります。結果として、縦割りの構図を残すことになります。もっと総合調整機能を発揮できるような仕組みとするべきだったとの観点から、内閣提出法案には反対といたします。
しかし、私の反対は、むしろ野田大臣へのエールであります。今後、権限が不十分な中でも、子供政策を力強く進めていかなくてはなりません。野田大臣が答弁で言っておられたように、これまでやっていなかったことに果敢に踏み出していかないと、国家の存亡に関わる少子化対策はできません。今までの政策の延長上には日本の将来はないと思っています。そして、この法律にある陣容で大胆な政策転換をやるのはイバラの道であると思っています。
質疑でも指摘をいたしましたが、その権限の不十分さを補えるのは、国務大臣や今後任命されるこども家庭庁長官の権威です。野田大臣の在任中に、我々が感嘆するような政策を打ち出し、そして結果に結びつけてほしいと心から願います。
日本が抱える課題の大半は少子化に起因をしています。財政、社会保障、ひいては安全保障まで、今のままでは維持不可能です。国家が消滅しかねないという日本の現状を前に、この議場にいる全ての議員は、政治家として、歴史の法廷に立つ覚悟を持ってこの難局に立ち向かわなくてはならないと思っています。
我々の双肩にかかる責任は重大です。内閣提出法案には反対となりますが、その先頭に立つ野田大臣を掛け値なく応援しておりますので、獅子奮迅の活躍を祈念し、討論といたします。(拍手)
○上野委員長 次に、櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
れいわ新選組は、内閣提出のこども家庭庁設置法案とこども家庭庁設置整備法案、そして、自民党、公明党提出のこども基本法案、日本維新の会提出の子ども育成基本法案には反対、立憲民主党提出の子ども総合基本法案には賛成の立場で討論いたします。
まず第一に、政府提出のこども家庭庁設置法案と整備法案については、安定財源を確保するとしながら、質疑を通じて明確な答えはありませんでした。むしろ、消費増税や子供保険などで国民負担を増やす可能性の高いものであると判断し、法案に反対いたします。
一九九〇年に一・五七ショックと言われた合計特殊出生率は、二〇二〇年は一・三三まで下降しています。子供を希望数まで持てない理由、そのトップが、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからという厚生労働省の調査結果もあり、その割合は三十歳から三十四歳に至っては八〇%以上と、圧倒的な声でした。
国民所得の中央値が二十五年以上のデフレによって百八万円以上も下がり、大半の国民所得が低くなる中、子育て世代を苦しめる消費税で子供の教育や子育て世代の財源をつくるのは本末転倒であると考えます。消費税は廃止して、子供、子育てに用途を限定した新規国債を発行し、国が責任を持って財源をつくるべきです。
れいわ新選組は、国の緊縮財政政策を積極財政へと切り替え、大胆に財政出動して、子供の未来に投資することを強く求めます。財源の規模は、対GDP比三%以上は当たり前。これまでの遅れを取り戻すためには、現在の子育て予算の少なくとも三倍は必要です。
第二の反対の理由は、少なくとも、幼児教育の政策が文部科学省に残ったままであることです。子どもの権利条約の四つの原則の一つである子供の最善の利益を第一とするなら、保育園、幼稚園、認定こども園の全体を所管する省庁が必要です。行政の縦割り解消のみならず、親の就労の有無に関係なく、全ての子供に保育と幼児教育を受ける権利を保障していく、そのために必要だと考えます。それによって子供の就園率を上げ、虐待防止や親が孤立せず地域や保育者とつながり子育てができる、そうした土台ができるじゃありませんか。
また、一日のうち子供が長い時間を過ごす学校について、最終的に二十人以下の少人数学級を目指し、フリースクールにも国が責任を持って予算をつけ、ユニバーサル教育の下、子供の自由な学びを支えることが必要だと考えます。そのためには、教育現場における教職員の長時間過密労働や早期離職、休職者の増加をなくし、教職員の数を増やすことに力を入れなければなりません。二〇〇七年度の統計と比較しますと、非常勤講師は約一・五倍、再任用短時間勤務者は約十四倍にも増えており、国の責任において正規常勤での定数を増やすことを強く求めます。
れいわ新選組は、日本が子どもの権利条約を批准して二十八年たつ今、子供を権利主体として位置づける真のこどもまんなか社会、その社会の確立が必要であると考えます。そのためには、積極財政で、子供に最大限の投資をすることが最低条件であることを重ねて訴え、政府提出法案への反対討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
○上野委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○上野委員長 これより採決に入ります。
まず、三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、森山浩行君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、内閣提出、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○上野委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、工藤彰三君外二名から、自由民主党、公明党、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、関係府省庁、地方公共団体等の連携を十分に確保すること。特にこどもの教育に関しては、こども施策に関する総合調整機能を担うこども家庭庁と教育行政をつかさどる文部科学省との緊密な連携の確保を図ること。
二 こども家庭審議会は、メンバー及び運営の公平性・透明性に加え、こどもを取り巻く諸課題に迅速に対処するために必要な課題の把握・検証を不断に行い、関係府省庁、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などに対する実効性のある施策の実現に取り組むこと。
三 こども施策の検討に当たっては、こどもや若者の意見を把握するために、特定の手段によることなく多様な手法を検討・活用するとともに、こどもや若者が意見を表明しやすい環境整備に向けて、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などと緊密に連携すること。また、こどもの意見形成を促進するために、こどもの年齢及び発達を考慮し、こどもが理解しやすくかつアクセスしやすい多様な方法で十分な情報提供を行うこと。
四 こどもの年齢及び発達の程度に応じ、こどもの意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮するための方針を早期に具体化し、その実施に当たっては、関係府省庁に対しその趣旨を徹底するとともに、実効性の確保に向けて恒常的な連携を図ること。
五 我が国の家族関係社会支出が諸外国と比べて低水準となっているとの指摘を踏まえ、政府はこども政策に関する予算の確実な確保とともに、更なる予算確保のための中長期的な方策及びそのための安定財源の確保の検討に早期に着手すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野田国務大臣。
○野田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
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○上野委員長 次に、加藤勝信君外十名提出、こども基本法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○上野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、工藤彰三君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
こども基本法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、こどもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を目指すこと。また、社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を担保するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
二 こども施策の実施に当たっては、いじめ、不登校、自殺、虐待等、こどもを取り巻く状況が深刻化していることを踏まえ、全てのこどもの生存と安全、教育を受ける権利等の保障に万全を期すこと。また、教育及びこどもの福祉に係る施策のより一層の連携確保を図ること。
三 こども施策を実施するための予算及び人員を十分に確保し、全てのこどもの成長の支援に万全を期すこと。また、教育を受ける機会が等しく与えられるよう、義務教育のほか、幼児教育、高等学校教育、大学教育など、教育の全過程について必要な負担軽減策に取り組むこと。
四 こども施策の推進は、全てのこどもについて、こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもの意見を聴く機会及びこどもが自ら意見を述べることができる機会を確保し、その意見を十分に尊重することを旨として行うこと。
五 こども施策の実施に当たっては、希望する者が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現を図るため、結婚、妊娠・出産、育児及びこどもの成長に関する支援が切れ目なく行われるよう十分配慮すること。また、これまで支援が届きにくかった中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていないこどもや若者も支援の対象とすること。
六 長引くコロナ禍の影響等により、子育て世帯の生活が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯への支援の拡充策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
七 保護者の経済的な状況など生まれ育った環境によってこどもの成長が左右されることのないよう、子どもの貧困率の低減に取り組むこと。
八 保育士や幼稚園教諭をはじめ、子育て支援の現場で働く職員について、更なる処遇改善について検討を行うこと。また、子育て支援の現場で働く職員数の不足等により、必要な支援が停滞することがないよう新たな人材を確保するための方策を検討するとともに、職員の業務負担の軽減に努めること。
九 こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置について、個人情報の適正な取扱いを確保するに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の義務規定を遵守するだけでなく、その基本理念を踏まえ、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会勧告も参考としつつ、こども及び父母その他の保護者の私生活の自由に配慮するものとすること。
十 こどもに関するデータや統計の活用に当たっては、政府全体として収集すべきデータを精査し、各府省庁が連携してデータを収集・分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価及び改善策の検討を行い、その内容を必要に応じ国会に報告すること。
十一 日本国内のこども並びにこどもに関わる大人及びこどもを養育中の保護者を含むあらゆる大人に対する、児童の権利に関する条約の趣旨や内容等についての普及啓発に、その認知度を把握しつつ取り組むこと。
十二 基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策については、必要に応じ、本法の施行後五年を待つことなく、速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○上野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○上野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野田国務大臣。
○野田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
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○上野委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○上野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三分散会