衆議院

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第3号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    上杉謙太郎君

      尾崎 正直君    大野敬太郎君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      佐々木 紀君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      土田  慎君    中野 英幸君

      中山 展宏君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    本田 太郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      三谷 英弘君    八木 哲也君

      山口  晋君    中谷 一馬君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      岩谷 良平君    浦野 靖人君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (孤独・孤立対策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣         岡田 直樹君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   内閣官房副長官      磯崎 仁彦君

   内閣府副大臣       藤丸  敏君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府副大臣       中谷 真一君

   デジタル副大臣

   兼内閣府副大臣      大串 正樹君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    尾崎 正直君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   衆議院委員部長      小林 英樹君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室長)       渡辺由美子君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官)     長田 浩志君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室審議官)     浅野 敦行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          柳   淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房故安倍晋三国葬儀事務局長)    原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    太刀川浩一君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    原  和也君

   政府参考人

   (警察庁サイバー警察局長)            河原 淳平君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河合  暁君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 足達 雅英君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           住友 一仁君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     山口  晋君

  工藤 彰三君     川崎ひでと君

  鈴木 英敬君     加藤 竜祥君

  田野瀬太道君     八木 哲也君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     土田  慎君

  加藤 竜祥君     鈴木 英敬君

  川崎ひでと君     工藤 彰三君

  八木 哲也君     三谷 英弘君

  山口  晋君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     大野敬太郎君

  土田  慎君     本田 太郎君

  三谷 英弘君     田野瀬太道君

    ―――――――――――――

十月二十七日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外二十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平委員 自由民主党の平将明です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入っていきたいと思いますが、ちょっと順番を変えて、先に後藤大臣にお尋ねをいたします。

 今、円安が進んでいたり、日本経済、様々な課題を抱えているわけですが、元々、小泉政権や第二次安倍政権では、財政政策と金融政策と成長戦略をパッケージで、司令塔をつくって対応してきたと思います。特にアベノミクスもそうで、アベノミクスは単なる金融緩和ではなくて、経済の状態を見ながら、その三つの柱の政策を微調整しながら対処していくというのが自民党のやってきた政策だというふうに思っております。

 一方で、今、なかなか中央銀行が今の円安に関しても動きにくい状態にある中で、じゃ、財政政策をどうするのか、更に言うと、成長戦略をどうするのかというのが問われているはずで、ちょっと前までは、経済財政諮問会議というのがあって、それなりに機能していたと思います。我々が野党のときも、経済財政諮問会議を復活させるべきだと、当時の政権は成長戦略もなかったしマクロ経済政策もありませんでしたから、そういう提案を私が経産部会長のときにもさせていただいて、我々が政権を奪取して経済財政諮問会議も復活をさせたわけでありますが、今、この局面で、ちょっと手詰まり感がある中で、何か経済財政諮問会議のニュースも聞きませんし、あと、三つの柱でいくと、やはり成長戦略が弱いですよね。

 人口減少していく中で、じゃ、日本はどうやって経済を成長させていくのか。それはやはり、自由貿易の推進であったり、レギュレーションのデザインであったりするわけですが、そこのレギュレーションのデザインといったものが余り聞こえてこない。

 この辺を、経済財政担当の大臣として、やはり、リーダーシップを取って、国民にこの手詰まり感、いや、大丈夫だ、こういう手を打つから大丈夫だといった情報をしっかり発信をしてもらいたいし、経済財政諮問会議もその本来の役割を果たしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 ただいま平委員から御指摘がありましたとおり、経済諮問会議が、政府の経済財政運営の司令塔、また金融財政、また成長戦略、そうしたものの司令塔としての機能を発揮していくということは非常に重要なことであるというふうに考えております。

 これまでも経済財政諮問会議では、平成二十五年の政府と日本銀行の共同声明に基づきまして、金融政策を含むマクロ経済政策運営の状況等について定期的な検証を行ってきておりまして、引き続き、諮問会議の場で日本銀行と経済情勢に関する認識も共有しつつ、財政政策と金融政策、成長戦略を含めて適切なポリシーミックスで緊密に連携をしていきたいというふうに考えています。

 加えて、先般、諮問会議における岸田総理からの指示もありましたけれども、官民連携による成長力強化に向けた一体的な取組を進める、多年度の経済財政フレームをしっかりと議論していくという、成長と分配の好循環を実現して、成長と財政規律も両立させていくという大きな枠組みでの議論について御指示もありましたので、しっかりと進めていきたいというふうに考えております。

平委員 しっかりとマクロ経済の司令塔を機能させていただいて、やはり、国民の人たちに、国民の皆さんにしっかり説明するというのが大事だと思います。

 あと、更に言うと、規制改革は今、岡田大臣が担当していると思いますけれども、そこも含めて大臣から強力に発信をしていただきたいと思います。

 質問は以上ですので、大臣、よろしければ御退席いただいて。

大西委員長 後藤大臣、どうぞ。

平委員 それでは、谷大臣にお伺いしたいと思いますが、私の今の最大の関心事項はサイバーセキュリティーであります。ロシアのウクライナの侵略戦争を見ても、いわゆるハイブリッド戦争ということで、まずサイバー空間からいわゆる戦いが始まるということになっております。

 まずは、サイバーセキュリティーの担当大臣、五輪担当大臣と一緒にくっついてきたわけですよね。五輪でいわゆるサイバー攻撃を受けるということでやってきたんですが、やはりなかなか、デジタルが苦手な人がやっていたものですから、答弁なんかも結構厳しいところがあって、そこで、デジタル担当大臣にサイバーセキュリティー担当大臣をくっつけたという経緯があるんです。

 今回、今度は、いわゆる国家公安委員長兼務の内閣府特命大臣、谷大臣のところにサイバーセキュリティーの担当が移ったということですけれども、これは何か、どうしてそっちに担当が移ったのか、教えていただきたいと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 人事のことでございますので、担当大臣が変わった理由は私は分かりません。むしろ、デジタル担当大臣の方がより詳しいのではないかと個人的には思っております。

 ただ、平委員御指摘のように、昨今、様々なものがサイバー攻撃の標的となっている、官だけではなくて民もなっている、サイバー空間の脅威が間違いなく高まっている、これは事実であろうかと思います。

 具体的には、令和四年上半期に都道府県警察から警察庁へ報告のあったランサムウェア被害の報告件数は百十四件です。二年前の令和二年下半期以降、右肩上がりで増加しているなど、サイバー犯罪の増加も確実に見られるところであります。

 自由、公正かつ安全なサイバー空間を実現するためには、警察庁など各省庁の連携の下、政府として一体的に取り組んでいく必要があると考えており、サイバーセキュリティー担当大臣の私といたしましては、関係省庁と連携を図りつつ、我が国のサイバーセキュリティーの確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

平委員 何でデジタル大臣から国家公安委員長兼務の特命大臣に変わったのかということは分からないということなので、また総理なり官房長官に聞いてみたいと思いますが。

 今大臣おっしゃったとおり、警察の分野でも本当にサイバーセキュリティーが重要になってきて、サイバー犯罪が非常に増えているわけで、警察庁にサイバー部隊も新設をしました。国際連携も極めて重要になっていくと思います。

 しかし、ランサムウェアとか刑事事件のところのみならず、例えば、これから進めていくデジタルガバメントをセキュアにするためのサイバーセキュリティーもあれば、いわゆる安全保障の分野でのサイバーセキュリティーもあるわけであります。更に言うと、サイバーセキュリティーはアクティブディフェンスというのをやらないとどうにもならないことになっていて、この辺が、かなり、日本でやるとなるとなかなか大変な仕事になっていくわけでありますし、さらには、世界と、関係国と情報共有するときには、セキュリティークリアランスというものが重要になってくるわけであります。

 申し上げたとおり、警察の範囲を超えてサイバーセキュリティーの対応が重要になっていくというふうに思いますが、政府全体のサイバーセキュリティーの司令塔というのはどうなっているのか、お尋ねをいたします。

谷国務大臣 お答えします。

 先ほどお話ししましたように、昨今の様々な情勢を踏まえると、政府機関や重要インフラ事業者のみならず、様々なものがサイバー攻撃の標的になっているところであり、サイバー空間における脅威は高まっていると認識しているところであります。

 深刻化するサイバー攻撃に対処するためには、関係省庁間、官民間、国際間の情報共有の推進を始めとする連携協力体制の強化や、それらを通じた対処能力の向上により、国全体で包括的に取り組むことが重要であると考えております。

 司令塔機能の強化について御指摘をいただきました。

 仰せのとおり、大変重要な御指摘だと考えております。これにつきましては、新たな国家安全保障戦略等の策定のプロセスの中であらゆる選択肢を排除せずに検討しているところであり、現時点で結論について予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにしても、サイバーセキュリティー担当大臣として、サイバー分野の安全保障政策の強化について政府内の議論をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。

平委員 今、司令塔はお答えできないということなんですけれども、私の理解だと、一応、官房長官ヘッドでサイバーセキュリティーの会議をやられているはずなので、やはり空白があってはいけないと思います。谷大臣は、専ら刑事事件というか警察権の範囲でのサイバーセキュリティーを担当されているんだろうというふうに推察いたしますので、しっかりと、官房長官ヘッドで、今言った安全保障も含めて様々な課題を対応していただきたいと思いますし、当然、防衛省も入ってくるんだというふうに思いますけれども、そういうことで対応をしていただきたいというふうに思います。司令塔不在というのはあり得ませんので、刻一刻と事態は進んでいますので、政府はしっかり対応していただきたいと思います。

 次に、ディスインフォメーション対策をお伺いしたいと思うんですが、SNSなどを使ってディスインフォメーションを流したり、また、社会の分断とか、あと、選挙のときなんかよく行われるんですが、実際にツイートしている人は一私人だったりするんですが、それにいいねをつけたりリツイートすることによって様々な世論に対して影響を与えるということが、今非常に、こういうSNSが発達した時代において容易になってきました。

 同盟国、同志国の対応なんかを見ても、やはり、自由と民主主義をしっかりと海外の内政干渉から守らなければならないという意識を非常に強く持っています。ある国は、日本で言うところの総務省、内務省と言ったらいいのかな、そういうような組織の中に内政干渉対策室をつくって、あと、プラットフォーマー事業者と連携をして、そして選挙管理委員会とも連携をして、外国からの介入、ディスインフォメーションなどの対策をしているという話も聞いています。

 そういった意味では、国際協力も大変重要になってくるわけでありますが、こういった民主主義をしっかり守るためのディスインフォメーション対策というのは政府はどこが担当しているのか、教えていただきたいと思います。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 自由、民主主義、法の支配といいました普遍的価値というのは、いかなる国でも尊重されるべきものでございます。

 オンラインを含め、悪意のある偽情報、すなわちディスインフォメーションの拡散につきましては、これらの普遍的価値に対する脅威となるものというふうに考えてございます。

 同時に、この偽情報につきましては、安全保障上も悪影響をもたらし得るものでございまして、例えば、ロシアのウクライナ侵略等におきましては、ハイブリッド戦、その文脈におきまして、軍事的手段に加えて、インターネットやメディアを通じた偽情報の拡散などによる影響工作といった非軍事手段が複合的に用いられているというふうに指摘をされているところでございます。

 委員御指摘のとおり、同志国との協力といった面も含めまして、偽情報への対応というのは非常に重要な問題であるというふうに認識しておるところでございまして、政府といたしましても、その対応の体制の在り方、そうした面も含めて、新たな国家安全保障戦略等の策定の過程でしっかりと検討してまいる考えでございます。

平委員 ちょっと更問いで申し訳ないんだけれども、そうすると、今、ディスインフォメーション対策をする部署がないのか、取りあえず、NISCでやっているなりどこかでやっているなりしているのか、どっちなんでしょうか。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ディスインフォメーション対策につきましては、その対応が多岐にわたるということがございまして、今、政府、関係各庁において一体として進めてきているというところではございます。

 他方で、これを体系的に、どのような形で、どこまでスコープを広げて考えていくかということについては、しっかりとした議論が必要であるというふうに考えておりまして、そうした見地から、国家安全保障戦略の策定の中でしっかり議論をしてまいりたいということでございます。

平委員 今の答弁を聞くと、どこに問い合わせていいか分からないということだと思います。

 クアッドとかいろいろなところで話題になっていて、同盟国、同志国はこれに関心を持っているので、せめて窓口を、どこへ連絡したらいいの、日本国政府のというのは、つくってもらわないと話にならないと思うので、やることはいっぱいありますし、その整理は必要だと思いますけれども、しっかり窓口をつくっていただきたいというふうに思います。あと、国際連携もしっかり進めてもらいたいと思います。

 最後に、ファイブアイズについてお伺いしたいんですが、ハイブリッド戦争が当たり前の世の中になってきたときに、日本の意思とかかわらず、どこかの国からハイブリッド戦争をしかけられるというリスクはあると思うんですが、今のままだと、日本は孤立していて、日本の技術とリソースのみで守り切らなきゃいけない、そういう状況にあります。リアルな戦争をしかけられたときは、集団的自衛権始め、同盟国との連携というのはできるんだけれども、サイバーにおいては、今ほぼほぼできないということになっています。

 これは本当に深刻な問題で、今、じゃ、ファイブアイズへ入れるかといったら、入れません、日本は。全然、法整備できていませんし、議論も進んでいません、国民の理解も進んでいませんが、もしそういう事態になれば日本を守ることはできないので、これはやはり、ローメーカーがこういう現実を直視して、結構難易度が高い法律も作っていかないといけないんだろうというふうに思っています。

 この辺、ファイブアイズ加入自体、検討してもいないと思いますが、加入に向けた法整備が私は必要だと思っていますが、政府の検討状況、あるのかないかも含めて教えてください。

柳政府参考人 お答えいたします。

 我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、政府全体の情報収集、分析能力の向上を図ることは不可欠であります。その際、我が国自身の能力向上はもとより、関係国との連携強化を深めていくことも極めて重要だと考えております。

 このような認識の下、我が国は、米国、英国を始めとする関係国と平素から緊密に連携し、様々な情報交換等を行っております。

 詳細については、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきますが、引き続き、我が国の情報収集、分析能力の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。

平委員 こういう答弁にならざるを得ないと思うんですが、これはやはり立法の方で、若しくは党の方で議論して提案しないといけないと思うんです。かなり多岐にわたります、これを対応しようと思うと。

 ただ一方で、国会議員がぼけっとしていたら、何か一たびそういうことが起きたときに、ほぼほぼ日本は手も足も出ないというのが今の現状ですから、是非、この委員会にいらっしゃる議員の皆様にも問題意識を共有をして取り組んでいきたいというふうに思っております。

 それでは、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 今日は、子育て支援に特化をして質問をさせていただきます。

 来年四月には、いよいよこども家庭庁がスタートをいたします。小倉大臣には、是非、その先頭に立って、子供、子育て支援について力強く進めていっていただきたいというふうに思います。

 その上で、取組を充実させるためには、当然予算が必要になります。私ども公明党も、子供関連予算の倍増は喫緊の課題だ、このように訴えまして、総理の方からも、子供関連予算の倍増、これを明言をいただいておりますけれども、まず、小倉大臣として、これにどう取り組んでいくのか、この決意をお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 國重委員、温かいお言葉ありがとうございます。

 子供関連予算についてお尋ねがありました。

 来年四月に発足をいたしますこども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な政策を体系的に取りまとめて、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せてその充実に取り組むことといたしております。

 國重委員が提案者のお一人となりまして与野党を超えた賛同を得て議員立法で成立をいたしましたこども基本法では、その十六条におきまして、政府は、こども大綱の定めるところにより、子供施策の幅広い展開そのほかの子供施策の一層の充実を図るとともに、その実施に必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないと規定しているところであります。

 子供の視点に立って、必要な政策を体系的に取りまとめたこども大綱をこども家庭庁の下で閣議決定をし、安定財源を確保した上で強力に進めていくことが立法府の意思でもあると理解をいたしております。

 現在、こども家庭庁の創設を待たずに、私自らがこどもまんなかフォーラムを開催をし、子供や若者、関係者の方々から直接意見を聞きながら、こども大綱に向けた検討を進めているところであります。

 総理も、来年の骨太の方針におきましては、将来的な子供予算の倍増を目指していく上での当面の方針、すなわち倍増への道筋について示していきたいというふうな意欲を示しております。そういう意味では、令和五年度の予算が将来的な倍増を目指していく上で明確な一歩となるよう、予算編成において、私もリーダーシップを発揮しながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

 いずれにしても、子供施策における主役は何よりも子供、若者でありまして、こどもまんなか社会の実現のために、常に子供の視点に立って、全力で取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 小倉大臣から、こどもまんなか社会の実現に向けて、今決意がございました。我が党としても、こどもまんなか社会の実現に向けまして、まずは年内に子育て応援トータルプラン、これを発表いたしまして、結婚、妊娠、出産、幼児教育から高等教育までの支援を段階的に充実させるべく、今取組を進めているところであります。

 特に、全体の子育て支援の中でも手薄になっているというゼロ歳から二歳児までの支援、この補強に優先的に取り組んでいこうということで、妊娠当初からの相談に乗る伴走型の支援と経済的支援の拡充に向けて、これまでの党首会談、また代表質問、予算委員会、こういったことを通して今繰り返し訴えているところであります。

 総理からも、伴走型の相談支援と経済的な支援を合わせたパッケージとして充実させ、継続的に実施していきたいという旨の答弁をいただいております。

 全ての子供に対する支援、これが重要であることはもちろんでありますけれども、小倉大臣には、まずは、とりわけこのゼロ歳から二歳児に焦点を当てた支援の拡充に向けて、各省と連携しながら新たな取組、また既存の取組の拡充にしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 このゼロ歳から二歳児の支援の取組の重要性について、小倉大臣としてどのようにお考えか。また、それを踏まえた大臣の今後の取組の決意、意気込みをお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 どうもありがとうございます。

 國重委員始め、公明党の皆様方にいつも子育てに関して具体的かつ的確な御提言をいただいておりますこと、感謝を申し上げたいと思います。

 核家族化が進んで地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊産婦、子育て家庭も少なくありません。私自身も、子育て当事者の生の声を聞いてまいりましたが、例えば、子育ての広場や産後ケアを行う施設で、子育てに関する様々な御苦労を伺っているところであります。

 とりわけ、委員御指摘のように、未就園児が多い〇―二歳児のいる子育て家庭の中には、日々通う場がない方もおられ、また、地域子育て支援拠点や一時預かりなど、年齢を問わず利用できるサービスが地域によっては偏りがあることなどによって子育ての負担感や孤立感につながりがち、いわゆる、子育てが孤立の孤になってしまっている方が多数いらっしゃると認識しておりまして、妊産婦や〇―二歳児のいる子育て世帯への支援の拡充は喫緊の課題だというふうに考えております。

 そのための方策についてでありますけれども、今般、これも御指摘がありましたけれども、妊娠時から出産、子育てまで、身近な伴走型の相談支援と経済的な支援を合わせたパッケージとして充実をさせていただいて、継続的にこれを実施することとし、総合経済対策に盛り込んでまいりたいというふうに思います。

 今後、本当に子育て当事者のためになるような具体的な内容を詰めてまいりたいというふうに思っております。

國重委員 小倉大臣は、これまで自由民主党の青年局長も務めてこられたということで、様々な若い人たちの声も聞いてこられたと思います。今現在も聞いておられると思います。しっかりそういった声を生かして取組を進めていっていただきたいと思います。

 次に、生後四か月までの赤ちゃんのいる全ての家庭に対して保健師や助産師などが訪問をする乳児家庭全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業についてお伺いをいたします。

 産後うつなどのリスクを未然に防止するとともに、子育ての不安を軽減する上で大切な事業であります。現在、ほぼ全ての自治体で実施をされております。これについては評価をします。

 一方で、この訪問の際に、かえってお母さんやお父さんが不安になることを言ったり、強い言葉で叱責をしたり、誤った知識、情報に基づく指導を行う場合があるとの声があります。私もそのような声を聞いております。

 伴走型の支援で一貫して重要になるのは、お母さん方の心にどこまでも寄り添っていくという姿勢であると思います。指導を行う際には、精神的に不安定になりがちな産後の心身の状態に配慮し、言い方にも工夫をしていく必要があります。

 また、訪問事業を担っているのは、有資格者だけではなくて地域の子育て経験者など、多様な人材に担っていただいております。これはこれでいいことなんですけれども、ただ、訪問スタッフとしてアドバイスをする以上は、正確な知識に基づいた発言が求められます。この点、厚労省はガイドラインを作っております。また、自治体の現場でも研修が行われているというふうに聞いております。

 ただ、現場のお母さん方からは、先ほど言いましたとおり、訪問時に言われたことで傷ついたとの声、また、自分が小児科などで聞いたアドバイスとは違う指導を受けて混乱した、こういった声などが届いているからには、その声に寄り添って改善をしていかなければなりません。

 例えば、厚労省のガイドラインでは、訪問に際しての留意事項として、受容的な対応を心がける、これだけ記載をされておりますが、これをより分かりやすくする。具体的には、実際にお母さん方の声を聞いて、その受け止め方などを検証してみる、そしてそこから、例えば、こういう言い方はちょっと注意しないといけないですよとか、こういう言い方をするといいですよ、ここに配慮するといいですよと、具体例を通して自治体に情報提供していく、こういったことも考えられると思います。

 このようなことを含めて、今後、訪問スタッフの質の向上に向けてより一層取り組んでいただきたいと思いますけれども、これに対する大臣の見解、今後の取組についてお伺いいたします。これは政府参考人で結構です。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の乳児家庭全戸訪問事業、こんにちは赤ちゃん事業でございますけれども、こちらは、やはり昨今、生まれ育った場所とは違う場所で子育てをしたりとかといった様々な事情で子育てについて孤立化をしがちである、そういったことを防ぐために、生後四か月までの乳児のいる家庭、全ての家庭を訪問して、子育て支援に関する情報提供とか養育環境の情報を提供するということを期待をしてやっておる事業であります。これはもう先生御指摘のとおりでございます。

 そうした中で、先生御指摘のように、なかなか、来た人と、受けたお母様方、御家族の方々との間でのコミュニケーションであるとか、あるいは情報の伝達がうまくいっていないという事例があったという御指摘かと思います。

 その事業の実施に際しましては、このガイドラインの中でも、御指摘のように、事前の研修をやることと併せまして、訪問の際には、親子の状態というのを最優先に考慮しながら話を進めること、受容的な対応を心がけることというのを定めてございます。

 今般、さきの国会において成立をさせていただきました児童福祉法の改正、こちらの中で、こども家庭センターの創設など、こういった一連の子育て家庭と関わる相談支援体制とか情報提供体制、こういったものを強化していくという方向性を打ち出されたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、本事業のガイドラインにつきましても、御指摘のような点も含め、より子育て世帯に寄り添った事業として展開していただけるように、ガイドラインの中に反映するであるとか、あるいは、今も、通知の中でも、傾聴とかコミュニケーションというのが留意項目として挙がっておりますので、そういったところについて取組の強化ができないか、より具体的なことをお示しすることができないか等を含め、いろいろ考えていきたいというふうに思っております。

國重委員 お母さんを守ることが子供を守ることにつながりますので、是非しっかりとした取組をよろしくお願いいたします。

 次に、産後ケア事業について幾つかお伺いしたいと思います。

 この産後ケア事業、二〇二四年度までの全国展開が目指されておりまして、現在、千三百六十市町村、約八割の市町村で実施をされております。これも実施自治体が増えていること、これは評価をいたします。

 一方で、じゃ、どの程度、お母さん方に利用されているのか。産後ケアには、宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型、こういったものがありますが、二〇二〇年の厚生労働省の調査によりますと、出生数当たりの利用者の割合はいずれも一%前後、極めて利用者が少ない状況となっております。

 産後ケアホテルを運営する株式会社マムズが昨年十一月に行った調査によりますと、産後ケア施設があれば利用したかったですかという問いに対して、六割以上のお母さん方が、非常に利用したかった、また、利用したかったと答えております。

 この乖離はなぜ生まれるのか。まず、この点について、厚労省としてどのように認識、分析しているのか、お伺いいたします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 厚労省といたしましては、産後ケア事業、こちらの全国展開に向けて、現場における課題などを把握するための調査研究を、今年度の調査研究事業として実施をさせていただいております。

 その調査研究の中で、幾つかの市町村の中でも直接のヒアリングというのを研究班というか調査チームの中で行ってもらっておりますが、やはり、その中でも、市町村の方からは、利用者の増加といったものに十分対応できていない、あるいは、利用ニーズを抱えている方全ての方にこの産後ケアサービスを提供するだけの基盤がないといったようなお答えをいただいておりまして、やはり提供体制の整備というのがまだ追いついていないということがうかがえるというふうに考えております。

 さらには、ほかの事情として、中にいただいた声としては、自己負担額、こういったものというのを考えて利用を断念してしまう人がいるのではないのかといった御意見であるとか、あるいは、なかなか認知がされていない、つまり、周知がまだ行き届いていないのか、この事業について、そういうのは知らなかったというような形で、やはりまだ知られていなかった面があるといったような御意見もございます。

 こうした要因によって、まだ実際の利用にまで至れていないということがあると思いますので、こういった提供体制の整備の課題、さらには事業周知等々といった課題、こういったものがあろうかと考えております。

國重委員 まだ産後ケアを実施していない自治体にこれを広げていく、また、今やっているところも強化していく、この両輪が大事だと思います。

 自治体の中には、利用者を家族等から支援が受けられない人に限定しているところも多くあります。しかし、家族がいたとしても産後ケアを利用したいという人はいます。受託先の限界など様々な課題はありますけれども、利用を希望する人がはじかれることがないように、受皿を更に広げていかなければなりません。

 また、厚労省の令和二年度の調査によりますと、産後ケアの認知度は六四%。そもそも、先ほど答弁にもありましたとおり、周知が不十分な点もあります。これから伴走型支援をより充実させていく、寄り添った支援をしていくというのであれば、産後の特に大変な時期の支援の強化は必要不可欠であります。

 小倉大臣、現在のこの利用実態も踏まえて、今後、産後ケアがもっと利用しやすくなるような取組、これを是非強化していっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 妊産婦の方々の産前産後のうつの問題は非常に深刻な問題だと思っております。妊産婦の死因の第一位が自殺でありますので、私としても、この状況を何としても変えたいというふうに考えております。

 先ほど申し上げた伴走型支援、今般の総合経済対策に盛り込み、かつ継続的に実施をすることとなっておりますが、これが一つの鍵になるのではないかと思います。この伴走型支援によりまして、心身のケアや育児サポート等を必要とする妊産婦の産後ケア事業への利用の案内も行うことができるようになりますし、経済的な支援もございますので、それと併せ持って産後ケア事業の利用負担の軽減が図られることによって、産後ケアの利用にもつながりやすくなることが期待をされております。

 私自身も、愛育クリニックを先日視察をいたしました。大変すばらしい取組をされております。やはり、こういうすばらしい取組をされている方たちがハブとなって、自治体間に質にばらつきがあった場合には、人材育成等も含めてバックアップをしてもらうことも重要だというふうに思っております。

 國重委員から、様々具体的な御指摘をいただきました。今、厚労省が具体的な内容を詰めておりまして、来年の四月以降はこども家庭庁に移管をされることになります。そういった様々な御指摘を受けて、とにかくお母さん方にとってすばらしい事業になるように、具体的な内容を詰めていきたいというふうに思っております。

國重委員 最後の質問になります。

 今言いました産後ケア事業の一環であります、母乳育児をする人の、お母さん方のサポート、乳房ケア、母乳ケアについて伺います。

 育児のやり方には、母乳やミルク、混合など様々ありますけれども、厚労省の調査によりますと、母乳で育てている人の割合が増加している、このことが明らかとなっております。そういったお母さん方を支えて、悩みやリスクを軽減すること、乳房ケアをより受けやすくしていくことが大切だと考えます。

 現実に、ミキハウスが昨年七月から八月に実施したアンケートによりますと、回答者の八割近くのお母さん方が、産後の最大のトラブルの一つとして授乳トラブルを挙げております。うまく飲んでくれない、痛い、出ない、どれだけ出ているか分からない、体勢が難しく腰痛や腱鞘炎になる、こういった授乳にまつわる悩みは非常に多くあります。

 授乳によって傷ついて細菌が入ったり、つくる量と飲む量との需給バランスが崩れたまま放置しますと、乳腺炎になってしまうこともあります。この乳腺炎、非常に大変で、強い痛みと、四十度を超える高熱が出たり、相当つらい思いをすることになります。私も、こういったお母さん方からも話を聞いてまいりました。

 乳腺炎になる前の早い段階で、助産師にマッサージをしてもらったり、アドバイスをもらって授乳方法を見直すなどして状況の改善をすることが、お母さんの体にとっては極めて重要になります。

 現在、乳房ケアは産後ケア事業の一環として提供されております。病院や助産院などに行くデイサービス型、助産師などが家に来てくれるアウトリーチ型を中心に、できるだけ安い費用でマッサージや授乳指導など、これが受けられるようになっているわけであります。

 しかし、先ほど述べましたとおり、そもそも、産後ケアを受けたくても受けられない人たちがいます。また、このような乳房ケアのサービスが産後ケアの中で受けられるということが十分に周知されていない、あるいは利用回数が一人一回までと限定されているなど、まだまだ課題は多くあります。

 小倉大臣、今後の産後ケアの充実を考える際に、是非、乳房ケアにももっと光を当てて、その普及、充実に取り組んでいただきたいと思いますけれども、今後の取組、決意をお伺いいたします。

小倉国務大臣 委員の御指摘のとおり、授乳は、子供に栄養素等を与えるだけでなく、母子、親子のきずなを深め、子供の心身の健やかな成長、発達を促す上で大変重要だと思っております。

 産後ケア事業については、厚生労働省において二〇二四年度末までの全国展開を目指した取組が進められておりますが、こども家庭庁におきましても、その取組をしっかりと引き継いで、乳房ケアも含めまして、支援を必要とする全ての方に産後ケアを提供できるよう取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 前こども家庭庁担当内閣府大臣政務官として、本日は、子供、子育て政策について質問をさせていただきます。

 こども家庭庁担当政務官として考えていたことは、昨今の子供、子育てをめぐる非常に厳しい現実、それを縦軸と横軸でしっかり議論し、その解決に持っていく、そういう思いで仕事をさせていただいておりました。

 縦軸というのは、すなわち個別の課題です。例えば、虐待、あるいはいじめ、不登校、そして子供の貧困、あるいは少子化対策。それぞれ長年にわたり各省庁が取り組んできましたが、依然として解決の段には至らず、むしろ状況は悪化していっている。そうした問題に対して、これまでとは違ったアプローチで対応する必要があるのではないか。それが、いわゆる横軸というふうに私が考えていたものです。

 今回のこども家庭庁設置法あるいはこども基本法等にその考え方が反映されていると思いますが、一つには、そもそも、子供あるいは子育て当事者の意見をしっかりと子供、子育て政策に反映しなければならない。つまり、子供の意見表明、聴取をし表明をしていただく、それに基づいて子供、子育て政策が企画立案され、実行されなければいけないということ。

 二つに、そうした子供、子育て、非常に難しい現場があるわけです、虐待もいじめも不登校も子供の貧困も。もはや行政だけではとてもカバーし切れない状況にある。したがって、NPOあるいは民間と共に、協働してそうした難題に当たっていく必要がある。NPO、民間との協働を前提として施策を立案、実行していかなければいけない。そういった横串の問題。

 そして、こども家庭庁という名称になった以上、子供と共に過ごせる、そして仕事と家庭の両立が図れる、そうした組織でなければ、こども家庭庁が発する施策というのはそもそも現場において説得力を持って届かない、そういう思いもありました。つまり、こども家庭庁自体の働き方の問題、そうした横軸を意識しながら施策に当たっていたわけであります。

 そうした中で、まず縦軸の方、幾つか質問させていただきたいと思います。

 いじめの問題です。

 やはり記憶にいまだ新しいのは旭川の問題、あるいは大阪泉南市においてもいじめの問題が、深刻化した問題が挙げられました。

 これまで、いじめの問題は、とかく文部科学省の所管だ、文部科学省がまず一義的に対応するものだということでこれまで来たわけですが、やはりそのアプローチには限界があるということが、こども家庭庁の議論の中でもされていたところです。

 こども家庭庁は、そもそも、司令塔機能を持って、そして省庁の縦割りを打破し、こどもまんなかで子供、子育て施策を推進していくということが柱に掲げられております。

 そして、そのための担保として各省庁に対する勧告権というものが規定をされました。それを背景に、こうしたいじめの問題、文部科学省だけでは対応できないのであれば、しっかりとこども家庭庁もコミットをしていく、そうした姿勢が必要だと思います。

 そのためには、規定された勧告権を行使するにちゅうちょなく対応していく必要があると考えますが、政府の考えをお聞きしたいと思います。

渡辺政府参考人 委員御指摘ございましたように、いじめの問題というのは、従来、文部科学省を中心に対応してまいりましたが、こども家庭庁におきましても、子供の権利擁護という、こういった観点からいじめ防止対策を担うこととなっております。

 いじめ問題の解決に当たりましては、学校内だけでは解決が困難で、警察あるいは児童相談所、法務局といった様々な関係機関の連携が必要なケースもございますし、また、ニーズの酌み上げといった観点からも、学校や教育委員会になかなか相談できないケースへの対応といったこともやっていく必要があると思っております。

 このため、こども家庭庁では、社会全体でのいじめ防止対策を推進するために、文部科学省とも連携をしながら、地方自治体における学校以外の相談体制の充実、あるいはいじめの重大事案調査の実施の際の第三者性の確保といった、こういった点も文部科学省と連携をしながらしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 また、御指摘ございましたように、こども家庭庁を担当する特命大臣には、いわば勧告権というものがございます。いじめについても、必要に応じて、ちゅうちょなくこの勧告権を発動することが重要だと考えておりますが、まずは、この勧告権を背景に司令塔機能をしっかりと発揮をいたしまして、こどもまんなかという発想の下で、いじめ問題、関係省庁としっかり連携をしながら取り組んでいきたいと思っております。

宮路委員 いじめの問題、対応するにしても、やはり文科省だと、どうしても教育委員会そして先生方への配慮があってなかなか突っ込んで対応できないのではないかということも指摘をされてきました。したがって、しっかり、教育委員会、文科省とはまた別のアプローチでの対応が求められる機会も出てくると思います。その際は、勧告権を行使するにちゅうちょなく是非対応いただきたいというふうに思います。

 続いて、もう一つの縦軸、個別テーマですが、不登校の問題です。

 この不登校、私の把握する限り、不登校者十九万人、それに長期欠席者を加えると二十九万人。一学年百万人程度だとすると、義務教育九年間で、九百万人の中で実に三十万人の子供が学校に通えない状況になっている。これは非常に深刻な事態だというふうに受け止めております。しかも、それがコロナ禍で更にその数が増えているのではないかという声も寄せられています。

 子供の数が減る中で不登校者数が増えているということは、これは非常に重大な事態でありまして、それもまた、これまでの文科省のアプローチ、すなわち、不登校者は学校に返すのが第一だ、学校に通えるようにすることが第一だと。それは確かにそうかもしれませんが、しかし、学校に通うことが本当にその子にとって最善なのかということを改めて問い直される必要があるというふうに思っています。

 そうした場合、やはり、その受皿となる場所を、居場所をつくっていくことが非常に重要である。既に、日本財団などの協力もあり、その居場所づくりというのが全国で進められています。しかし、いかんせん不登校者の数が激増していくという中にあって、これまでのペースで居場所づくりを進めていては到底間に合わないではないか、行政だけではとても手が回らないような状況になっている。だからこそ、先ほど申し上げたNPO、民間団体の取組が必要なんだろうと思います。

 しかし、行政が一つ一つのNPO、民間団体とバイで協力していくというのは、非常に時間もかかり、また実際手が回らないところもあろうかと思います。最近は、いわゆる中間支援団体、あるいは広域NPOと言われる組織が出てきました。つまり、まだまだよちよち歩きの、あるいはできたばかりのNPOを、しっかり先輩NPOとして、指導ではありませんが、ノウハウを提供し、そしてまた、伴走してNPO自体を育てていく。いまだ管内にNPO、民間団体のない小規模な自治体も多数あろうかと思います。そうしたときに、そうした広域、中間支援団体的NPOを活用し、共に課題に当たっていく、居場所づくりを進めていくという視点が不可欠だろうと考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 委員御指摘ございましたように、子供の居場所づくりというのは非常に重要な課題だと思っておりまして、まず、こども家庭庁におきましては、来年四月に設立以降、子供の居場所づくりに関する指針といったものを新たに策定をして、政府の取組を強化していきたいというふうに思っております。

 同時に、具体的な取組におきましては、委員御指摘がございましたように、NPOを始めとする様々な民間団体が極めて重要な役割を担っております。このため、NPOなどとの積極的な連携、協働により取組を進めるために、来年度の予算の概算要求におきまして、NPO等が創意工夫をして行う居場所づくりに関するモデル事業というものを盛り込んでいるところでございます。

 また、今年度、こども家庭庁の設立を待つことなく具体的な取組も進めておりまして、その中で、実態把握等のための調査研究も行っております。具体的に現場の皆様からも様々な意見を聞いておりまして、そうした中で、NPO自体の裾野を広げていくということも確かに重要だと思いますので、基礎的自治体である市町村との連携はもちろんでございますが、NPO同士、今御指摘ございました、先駆的なNPOと新たなNPOとの横の連携といったことも視野に入れながら、しっかり議論してまいりたいと考えております。

宮路委員 是非、まさにNPOとの協働という視点においては、そうした先駆的なNPOにいかに活躍していただけるかが肝になってくると思います。そうした視点を持って、居場所づくりの施策推進に当たっていただきたいというふうに思います。

 続いて、横軸の話に移りますが、先ほど申し上げた子供の意見聴取、表明についてです。

 もちろん、その点については法案審議の際にも非常に議論になりましたので、準備室においてもしっかりと施策を進めるべく準備に当たっていると思いますが、そもそも、日本の子供は意見を表明する機会に恵まれていないのではないか、そうした癖がついていない、習慣が身についていないのではないかというふうにも言われています。

 実際、意見をどう言えばいいのか分からないという子がいます。それは、やはりトレーニングの機会がないからだろうと思います。日本の教育は世界に冠たるものもあるというふうに言われておりますが、一方で、諸外国と比べて、子供が意見を表明するのが苦手だというふうにも言われている。とすれば、子供の意見聴取、表明ということを大上段に掲げても、そもそも、そうした意見を表明できる子というのは一部に限られてしまう。それは果たして、あらゆる子供の立場に立った子供、子育て施策につながるのかという思いがあります。

 そうした意味では、そもそも、子供が意見を表明する力をどうつけさせるかという視点が非常に重要だと考えますが、政府の見解をお伺いします。

渡辺政府参考人 委員御指摘ございましたように、この子供の意見表明ということは、こども家庭庁設立と同時に施行されますこども基本法の中でもうたわれておりまして、非常に重要な課題だというふうに考えております。

 現在、私ども内閣官房の方では、子供の意見というものをどうやって政策に反映していくかということについて、調査研究事業を実施しております。その中では、もちろん意見を表明する機会の確保ということも重要ですが、御指摘ございましたように、なかなか意見表明ができない子供たちの意見をどう酌み取っていくか、あるいは、意見を表明する力というものをどうつけていくか、こういったことも重要な課題だということで、検討を進めているところでございます。

宮路委員 既に、NPOを中心に、子供の意見を表明する力をつけさせるための取組、いわゆるルールメイキング、例えば、校則を素材に議論をし、そして自らの意見をしっかりと表明し、それが形になっていくことで自己実現を図る機会を得られるといったような取組がなされております。

 是非、そうした取組を大臣自身も御覧いただいて、子供の意見を表明する力をつけさせる取組をこども家庭庁で進めていただきたいというふうに思います。

 続いての横軸ですが、NPO、民間との協働です。

 これは、私が政務官時代、参議院の内閣委員会で上月委員から質問があったときに、私も胸を打たれた質問でしたが、NPO、民間との協働が不可欠だとはいえ、なかなかNPO自体厳しい状況に置かれている。解決されなければいけない課題がある。

 その一つに、予算単年度主義の問題があります。行政のパートナーとして、例えば、子供、子育てに関する事業を委託をする。しかし、これはやむを得ないところもありますが、委託する以上、入札にかけなければいけない。当然、それに対応するために年度前半はその準備に追われ、書類作成をし、そしてようやく採択され、それから委託事業が行われる。つまり、ブランクがどうしても生じてしまいます。

 そして、NPOにとっては、毎年その事業を受託できるかどうかは分からない。これはしようがない面もありますが、とすれば、じゃ、その事業を柱に経営ができるか、NPOの経営ができるかという面がある。あるいは、そこにリソースをかけられるか、受託できるかどうかも分からないところに投資ができるか。そういったジレンマにもさらされているという実態があります。

 あるいは、NPOのメリットというのは、伴走できることです。虐待もいじめも不登校も貧困も、一年では解決はできません。複数年にわたり伴走していくことが求められる。ところが、行政は、人事ローテーション、人事異動がありますから、担当者が替わってしまう。

 そうした中で、NPOの伴走できるという力が非常に効果を発揮するわけですが、NPOの職員が、では、一年、二年、三年とスキルアップしていく、そうなると、役所であれば、当然スキルアップすれば給与は上がっていきます。ところが、NPOの委託費の根拠となる人件費、これは、なかなかそうしたスキルアップを反映した算定になっていないのではないかというふうに言われております。結果、NPOで何年働こうが受託費は変わらない、委託費は変わらない。そこで、NPOの職員に十分な給与が支払われないという問題もあろうかと思います。

 岸田政権は、人への投資、新しい資本主義ということを掲げております。私は、まさにこここそ新しい資本主義、人への投資の最たるケースだと思いますが、この問題について政府の見解をお聞きしたいと思います。

渡辺政府参考人 御指摘のNPOへの事業委託におきます単年度主義につきましては、特に、小さいNPOの方々などからはいろいろな課題があるとの御指摘があることは承知をしております。

 それから、人件費の問題でございますが、これにつきましては、受託者でありますNPOの側の給与水準に応じた日額単価ですとか、あるいは、それがない場合には業務従事者日数等を踏まえて算定いただいているものというふうに認識はしております。

 ただ、いずれにしましても、子供に関する取組を行っているNPOの方々が活動しやすい環境をつくっていくということも重要だと思いますので、具体的なお声を聞きながら、特に他分野での事例などで先行事例もございますので、全体の枠組みの中での制約はございますが、どういったことができるかということを、工夫できるかということを研究してまいりたいと考えております。

宮路委員 これまでとは違った角度から子供、子育て政策を進めていくのが、こども家庭庁です。是非その視点を持って当たっていただきたいと思います。

 最後に、大臣に一問、お伺いしたいと思います。

 縦軸の最大のテーマとも言えるものが少子化だろうと思います。

 二〇一六年、出生者数が百万人を割りました。えらいことになったと思っていたら、あれよあれよと、二〇二〇年八十四万人、二〇二一年八十一万人、今年は八十万人を切ってしまうのではないかと言われています。

 これだけ少子化対策を打っていながら、子供の数が減っていっている。もちろん、コロナの影響もあろうかと思います。しかし、これまでとは全く違った、まさに異次元の少子化対策を打っていかなければいけないというふうに考えています。もちろん簡単ではありません。これまで、二十年、三十年にわたり少子化対策が議論されてきました。しかし、もはや待ったなしです。

 小倉大臣の下、これまでとは次元の異なる、抜本的に強化された少子化対策を打っていただきたい。そして、それは息の長いものでなければいけません。少子化対策は、すぐには効果が出る分野ではありません。したがって、恒久財源を確保しながら、そうした施策に当たっていく必要があると考えますが、大臣の見解をお伺いします。

小倉国務大臣 まず、宮路委員、これまで、こども家庭庁の準備に当たられておりましたこと、敬意を表すると同時に、今日の議論も聞かせていただきました。参考にさせていただきたいと思います。

 例えば、子供の居場所づくりのNPO法人に対する支援をするNPO、いわゆる中間支援団体に対する支援も非常に重要だと思っておりますし、子供の意見表明のプロセスも、先進的な自治体や各国の取組を参考にしながら、すばらしいものをつくり上げていきたいというふうに思います。

 少子化の対策においては、やはり、こういった個々の施策をしっかり積み上げていくことが重要だと思います。

 我が国が子供に優しくない社会だと思っている人が六割を超えておりますので、いかに様々な困難を抱える子育て世帯に対して安心感を与えるかというのが重要だと思います。

 ただ、そのいずれを実施するに当たっても、やはり予算の裏づけが必要です。

 先ほども申し上げたように、総理は、将来的な子供予算の倍増をということを明言をしておりますので、私も担当大臣として、まずは来年度予算がその明確な一歩となるように、しっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

 以上です。

宮路委員 子供、子育てに関わるNPO、民間団体のみならず、多くの保護者、そしてこれから親になろうとしている国民、皆さんが注目していると思います。是非、大臣のリーダーシップで、準備室一丸となって頑張っていただきたいと思います。

 御質問の機会をいただき、ありがとうございました。

大西委員長 次に、小寺裕雄君。

小寺委員 滋賀四区の小寺裕雄でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 谷大臣に、国家公安委員長にと思って質問を用意しましたが、たくさん今日は質問があるようなので、できるだけ簡潔にしてまいりたいというふうに思います。

 河野デジタル担当大臣が十月十三日の記者会見で、現行の健康保険証を令和六年度秋をめどに廃止して、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切り替えるという方針を示されました。

 この健康保険証との一体化については、行政サイドにも、利用する国民サイドにも、それぞれ大きなメリットがあるものというふうに私自身はよく承知をしているつもりではありますけれども、一方で、国民の間では、その一体化について、不安視する声であったり、デメリットについていろいろ声を上げられる方がおいでになる現実があるわけであります。

 そうしたときに、同時に、改めて注目をされているのが、マイナ保険証と同様に、運転免許証とマイナンバーカードの一体化であります。

 去る十八日の予算委員会では、河野大臣から、二四年度末から更に前倒しできないかということを検討しているという趣旨の発言がございました。

 マイナンバーカードの取得率は、本年九月時点で四九%となりました。まだ半分か、いや、もう半分という考え方もそれぞれある取得率でありますけれども、進んでいる宮崎県の都城市では八五%に迫りますし、都道府県でも宮崎県は六三%というふうに大変取得が進んでおります。大臣の御地元の兵庫県が二位で五三・八%、私の地元の滋賀県が四位で五二・三%ということでありますので、取得が進んでいるということでありますけれども、政府として、保険証や運転免許証と一体化をさせることで少しでも国民の取得率を向上させたいという思いは十分理解ができます。

 しかしながら、利用者、すなわち免許証をお持ちの方々にとって、免許証の情報をマイナンバーカードと一体にしてよかった、確かに便利になったというふうに実感してもらうことが何より大切であろうかというふうに考えるところでございます。

 そこで、国民の皆さんに、運転免許証とマイナンバーカードを一体化したときのメリットについて、谷大臣にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

谷国務大臣 お答えいたします。

 マイナンバーカードと運転免許証の一体化のメリットでありますけれども、住所とか氏名の変更の手続がワンストップ化されるということ。今まででしたら、市町村に転居届を出す、運転免許証はまた別の手続ということでございましたけれども、そういうことがなくなり、市町村に転居届、あるいは結婚して氏名の変更届を届け出れば、警察への変更届出は不要になるということが挙げられるかと思います。

 また、居住する都道府県以外の公安委員会の窓口で行う免許証の更新手続が迅速化されるとともに、その申請期間が延長されることも一体化のメリットとして挙げられます。

 改正法の施行に向けて、こうした一体化のメリットをしっかりと広報することにより、マイナンバーカードと運転免許証の一体化がより進むように努めてまいりたいと思います。

小寺委員 とはいえ、デジタル化そのものが他の先進諸国と比較して思うようには進んでいない我が国では、特に年配のドライバーの皆さんから、そんなことしてほんまに大丈夫なんですかという不安の声があることもまた事実であります。

 例えば、個人情報が漏えいすることはないんですか。また、これは先日河野大臣が言われたので少しまた変わるのかも分かりませんが、再発行に時間がかかるマイナンバーカードを運転免許証と一体化させた後、紛失したときに、免許証不携帯状態になってしまう。これは大丈夫なのか。

 さらには、そもそも、マイナンバーカードを発行したときには、これは大変大事なものですから大事にしまっておけというふうにそもそも言われていたのに、運転免許証と一体化するとなれば、これは毎日携帯しなければならないということになるので心配しているというような様々な声が寄せられているところでございます。

 そこで、こうした運転免許証とマイナンバーカードとの一体化に不安をお持ちのドライバーさんたちに対して、どのように、なるほどというふうに納得していただけるようにしていくおつもりなのか、谷大臣にお伺いしたいと思います。

谷国務大臣 小寺委員御指摘の国民の不安というのはおっしゃるとおりだと思います。それが今のマイナンバーカード取得率に表れているのではないかと思います。

 ただ、マイナンバーカードと運転免許証の一体化においては、個人情報が遺漏するということは、現行の免許証に記載されている情報の一部のみをマイナンバーカードに記録し、読み取りでのみ取得できるということになっているほか、本人による暗証番号の設定等のセキュリティー対策を講ずることとしておりますので、個人情報が遺漏するリスクは高まるということにはならないというふうに考えております。

 また、運転免許証と一体化されたマイナンバーカードを紛失した場合に、再取得手続について、確かに現行では時間がかかっていることは事実でございます。可能な限りこれは早くなるように、また、いろいろな方面と、そこのところは関係省庁と検討して、努力していかなければならないと思います。

 マイナンバーカードを紛失した場合には、他人にマイナンバーを見られた場合であっても、マイナンバーの利用にはマイナンバーカードの顔写真との照合等による本人確認が必要であるため、悪用は困難であるものと承知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、改正法の施行に向けて、関係省庁と連携しながら、こうした制度の周知だけではなくて、行政自らの手続の改善を図り、国民の皆様の御理解を得られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

小寺委員 ありがとうございます。

 大臣言われるようにしていただけると国民の皆さんも安心していただけるはずなんですけれども、なかなかそうした声が届かない実態もございますので、是非お取り組みの方、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、このマイナンバーカードの問題についてでありますけれども、元々は二六年中にというお話が、当時の菅総理のかけ声によって二四年度末へというふうに前倒しをされたところであります。冒頭申し上げましたように、更に前倒しをというデジタル大臣の御発言があったわけですけれども、今後のスケジュールについて改めて谷大臣にお伺いしたいと思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

谷国務大臣 小寺委員御指摘のとおり、現在のマイナンバーカードと運転免許証の一体化については、令和六年度末、二〇二四年度末に開始することを予定しております。

 それで、河野大臣が少しでも前倒しできないかという話は警察庁の方にも伺っております。我々もできる限り努力して、前倒しについて具体的な検討を今進めているところでございます。引き続き、マイナンバーカードの普及、利用の推進という観点から、関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと思います。

小寺委員 ありがとうございます。

 次に、少し重い話題ですけれども、安倍元総理が銃撃された件につきましてお伺いさせていただきます。

 先日の大臣所信の中で、「安倍晋三元内閣総理大臣が街頭演説中に銃撃を受け亡くなられるという重大な結果を招いたことを極めて重く受け止めています。」という御発言がございました。

 事案が発生してちょうど一月後に、当時の二之湯前国家公安委員長から委員長職を引き継がれたわけであります。私は、率直に、大変な役職を引き受けられたなという思いがしております。

 そこで、本事案に対して谷国家公安委員長はどのように受け止めておいでになるのかを率直にお尋ねしたいと思います。

谷国務大臣 安倍晋三元内閣総理大臣が街頭演説中に銃撃を受け亡くなられるという重大な結果を招いたことにつきましては、要人の警護に責任を有する警察を所管する国務大臣として、極めて重く受け止めており、ざんきに堪えません。

 私も、大臣就任後に、警護についての検証、見直しについて、国家公安委員会において、警察庁から報告を受けるだけではなくて、時に熱い議論を重ねてまいりました。二度とこうしたことが起こらないように、今回の教訓を生かしていく、無にしないようにしていくということが大変重要なことであると認識したところでございます。

小寺委員 残念ながら、お亡くなりになった安倍晋三元内閣総理大臣は、どれほど悔やんでも、みんなが反省しても、二度と私たちの前に生きて姿を現されるということはございません。

 前任の二之湯国家公安委員長は、退任時に、一生この責任を背負ってその責任の重さを感じている、また、九月二十二日付の京都新聞では、警察庁長官や奈良県警本部長も責任を取ったけれども、私自身も責任を感じて、表彰制度を御辞退したいというふうなお話をしておられました。

 私自身は、警察庁の責任というものは、二度とこうした同じような過ちを繰り返さないということでしかないというふうに考えますが、谷委員長はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

谷国務大臣 御指摘のように、警察による警護が行われていたにもかかわらず今回のような事態を防ぐことができなかった原因の検証と、今後の強化に向けた見直しを行いました。これを踏まえて、警護については、新たな警護要則に基づき、警察庁の関与を抜本的に強化するとともに、体制の強化、装備資機材の充実などを図っているところであります。

 また、技術革新等による新たな脅威に的確に対応するため、警護に常に最新の知見を取り入れつつ、不断に見直しを行っていく必要があると認識しているところでございます。

 要人の警護は、国の治安のみならず民主主義の根幹にも関わる重要事項です。先般、本会議で野田元総理が、前を向いて演説している安倍元総理が後ろから狙撃されるという、大変、民主主義にとっては大きな危機というようなことも言われたかと思います。私も、全くそのとおりだと思います。

 今述べたような取組を着実に進めることにより警護に万全を期すよう警察庁を指導してまいりたいと思いますし、また、国民の信頼も回復するよう努力してまいりたいと思います。

小寺委員 ありがとうございました。どうぞ御奮闘をお祈り申し上げるところでございます。

 時間配分がまずくてあと三、四分しか残っていないんですが、小倉大臣、よろしくお願い申し上げます。

 先ほど来、子育ての方に重点を置かれていて、最後に宮路先生が少子化についてお話しになりました。私、少子化について大臣に所感をお伺いしたいと思います。

 いろいろ前段を書いてきたんですが、時間がないので、いきなりですけれども、先ほど、子供の出生が百万人を切った、実は上半期が三十八万人ということになっておりますので、常識的には、今年生まれる子供の数は八十万人を下回るということは確実であります。

 少子化にはいっぱい問題がありますけれども、やはり私自身は、年金であったり、社会保障制度もありますし、経済規模が小さくなっていくということでありますけれども、じゃ、そもそも、改めて、何でこんな少子化ということになってしまったのかということに対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 コロナの影響もあったかとは思いますが、昨年そして今年と少子化は更に進行しておりまして、何度も申し上げておりますけれども、我が国の有事ともいうべき事態が発生をしていると思います。

 それで、少子化の原因はということでありますけれども、複合的な要因が相まって発生をしていると思っておりまして、例えば、出会いの機会の減少、年齢や健康上の理由、男女の仕事と子育ての両立の難しさや、あるいは子育てや教育に係る費用負担の重さ、こういった様々な背景の下で少子化が進行しているというふうに認識しております。

小寺委員 ありがとうございます。

 特に、少子化の原因は、私自身はやはり、結婚する気はあるけれども、やはりなかなか現実的には、女性が社会進出をして仕事と家庭の両立が難しい、あるいは、実際結婚をすると様々な家事や役割分担が現実的には男性の協力が得られにくいとか、あるいは、地域全体に女性はこうあるべきやというふうな何となく空気が支配をしていて、結婚しようとされている女性がいざ結婚したときの厳しさをやはりいろいろな方々も目の当たりにされているところにも大きな原因があるのかなというふうに思います。

 最後に、先ほどもお尋ねしたかも分かりませんけれども、やはり小倉大臣は、若く、いろいろな新しい発想をお持ちですので、リーダーシップの下に、少子化にどうやって歯止めをかけるのかという決意のようなものをお聞かせ願えればと思います。

小倉国務大臣 様々な原因があって様々な対応があると思います。

 委員御指摘のように、我が国の場合、例えば育児、家事といった無償労働の負担、女性は男性に比べて四倍負っております。私は男女共同参画担当大臣でもありますので、男性の家庭における育児や家事の参画の促進、これも促してまいりたいと思います。

 いずれにしても、一つのことを解決すれば少子化がとどまるというわけではなくて、ありとあらゆるものを全て、これまで以上に打ち込んでいかなければいけない、でなければ少子化は解決できないし、解決は待ったなしという危機的な状況であると思っております。その認識の下で、覚悟を持って少子化対策に取り組んでまいります。

小寺委員 ありがとうございました。終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願い申し上げます。

 本日の質問に際しまして、立憲民主党そして維新の会から質問時間を御配慮いただきましたこと、まずもって感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質問に移りたいと思います。

 今日は、道路交通の安全について取り上げさせていただくわけですが、二〇二一年八月、福岡県太宰府市で痛ましい事故がありました。トラックを運転しておられる方が三秒以上脇見を、書類を見ていたということで脇見をして、そして、四十キロのところを六十キロで来て、センターラインを越えて、真正面から来たバイクと正面衝突、ほぼフルスピードであったというふうに聞いております。

 今回のこの事案、本当に悲惨な事案なんですが、公的には初犯であったとされているんですが、しかし、詳細に調べてみると、過去に刑事罰にならない程度の類似事案があった人であることも事実です。どう見ても厳格な監督が必要だったと思われるわけでありますが、国土交通省にお伺いしたいと思います。現状、そして今後の改善について答弁いただければと思います、国土交通省。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 貨物自動車運送事業法においては、事業者は運転者に対して必要な運転技術や遵守すべき事項等について指導することが責務とされており、特に、死傷事故を起こした運転者や新たに雇い入れた運転者等に対しては、運転記録証明書等により過去の事故歴や運転違反歴等も確認した上で、運行の安全を確保するために必要な運転技術等についてきめ細やかに指導しなければならないことが法令上定められております。

 国土交通省においては、本件事故発生後の令和三年十二月、本件事故を起こした事業者に対し立入監査を行ったところ、運転者に対する指導監督違反等、事業者の運行管理体制に係る十三件の違反事項を確認したところから、本年四月、当該事業者に対する車両の使用を停止する行政処分を行ったところでございます。

 国土交通省としましては、このような痛ましい事故が二度と起こらないよう、事業者に対し、運転者への適切な指導監督を実施することなど、法令遵守を引き続き求めるとともに、監査やそれに基づく処分等を通じた事業者の運行管理の改善等、運送事業の安全性向上に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいります。

緒方委員 よろしくお願い申し上げます。

 この事案、脇見運転で三秒以上正視していない状態が続いているということなんですね。危険運転致死罪の、その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為に当たるんじゃないかと私は思うんですね。自分の意思で三秒以上、三秒以上というのは、六十キロで飛ばしていると五十メートル、六十メートル近く見ていない状態が続いている、しかも自分自身の意思で。ただの過失でいいとはとても思えないわけでありますが、法務省、いかがお考えでしょうか。

門山副大臣 お答えいたします。

 犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でありますので、個別の案件にはお答えを差し控えることになっておりますが、個別の問題を離れて、あくまで一般論として申し上げるならば、自動車運転死傷処罰法第二条第三号の「その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」というのは、ハンドル、ブレーキ等の運転装置を操作する初歩的な技能すら有していないような、運転の技量が極めて未熟なことをいうというふうに解釈されておりまして、これに該当する場合には危険運転致死傷罪の要件を満たすものになると思料されます。

緒方委員 脇見運転で三秒以上前を見ていない状態で運転するというのは、その初歩的な技能を有しないのではないかというふうに思いますが、副大臣、いかがですか。

門山副大臣 ここで言う初歩的な技能というのは、例えば免許証すら持っていないというか、そういうような事案をいうというふうに一般的には解されているところでございます。

緒方委員 国民感情とかなりずれがあるのではないかと思いますが、今の答弁を踏まえて、また今後質問させていただきたいと思います。

 もう一つ、これは警察庁にお伺いしたいと思います。

 携帯電話での脇見は厳罰化されているんですね。携帯電話で意識が散漫になるということについては、これは刑罰が加重されているわけですが、被害者や遺族の感覚からすると、脇見運転、ただの脇見運転というか、脇見運転と携帯電話で意識が散漫になっていることって余り差がないんじゃないかというふうに思われるんですね。その割には刑罰にかなりの格差があるというふうになっているわけですが、警察庁に事前にお伺いしたところ、携帯電話の使用とただの脇見運転では事故に至る率が二倍も違うという説明を伺いました。しかし、それは恐らく、遺族感情として、だから脇見運転は刑罰が軽くていいのであるというふうには、遺族感情としてそう思わないと思うんですよね。

 これは法改正もした上でしっかりと取り組むべきではないかと思いますが、警察庁、いかがですか。

太刀川政府参考人 お答えいたします。

 令和元年に、携帯電話使用の禁止違反の罰則を引き上げております。これは、携帯電話使用の禁止違反の危険性やあるいは常習性がほかの違反に比べて高いことなどを踏まえて行われたものでございます。

 一方、脇見運転と言われる行為には様々な態様のものがございまして、現在は安全運転義務違反として検挙されておりますけれども、その対象となる行為には様々なものがありますので、それらの行為について一律に罰則を引き上げるということについては慎重な検討を要するものと考えております。

緒方委員 別に、一律に上げてくれなんて一言も言っていないです。余りに悪質なものについて、余りにひどいケースについて、脇見運転でも携帯電話と同じぐらいの加重した刑罰が必要なのではないですかというふうに聞いております、警察庁。

太刀川政府参考人 繰り返しになりますけれども、脇見運転と言われる行為については、現在も、安全運転義務違反ということで検挙し、処罰することもできるようになっております。ただ、その中にはいろいろな態様のものがございますので、それについて、新たに例えば構成要件を定めて罰則を強化するということについては慎重に検討する必要があるものと考えております。

緒方委員 私、別に、多様なものがありというのは、私、多様なものがありますよねと言ったわけですよね。一律になんて一言も言っていないですよ。悪質な度合いが高いものだけでも切り出して、構成要件をつくって、そして携帯電話と同じぐらいの加重した刑罰を科すべきではないか、そういうことを言っているんです。あなた、全然答弁になっていないんです。もう一度。

太刀川政府参考人 脇見運転というふうに言われても、一概に脇見運転と言われても、いろいろな態様のものが入るということで、それらをまとめて、新たに構成要件として、安全運転義務違反から切り出して定めるということについては、やはり慎重な検討を要するものと考えております。

緒方委員 答弁を踏まえてまた考えたいと思いますが、全然やり取りがかみ合っていないんですよね。まあいいです、質問を移したいと思います。

 次の事件ですが、二〇二一年二月、大分県大分市での事故ですが、一般道で時速百九十四キロのスピードを出して突っ込んできて、曲がろうとした車にぶつかって死亡事故が起きた。これは今まだ係争中ですけれども、ただ、見てみると、被害者はシートベルトが引きちぎれているんですね。それぐらい衝撃があった、百九十四キロで飛ばすとそんなことが起きるという事例なんですが、現在まだ確定判決となっていないということもありますので、あくまでも一般論として質問させていただきます。

 一般道において超高速で運転する行為というのは、危険運転致死罪の、その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為の構成要件に当たらないのかなと。どんなにスピードを出していても、前を正視して、ハンドルをきちっと握っていれば、危険運転致死罪に当たらない、そういうことなんでしょうか、法務省。

門山副大臣 委員も御指摘のように、犯罪の成否については、捜査機関により収集される、個別判断ですので、お答えは差し控えなんですけれども、あくまで一般論としてお答えさせていただきます。

 自動車運転死傷処罰法第二条第二号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」とは、速度が速過ぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難な状況で自車を走行させるということを意味しているところでございますが、この要件に該当するか否かにつきましては、個別の事案ごとに、証拠によって認められる事実、例えば車両の構造、性能、具体的な道路の状況、すなわちカーブや道幅、車幅などといった諸般の事情を総合的に考慮して判断されるべき事柄であると承知しております。

 したがいまして、例えば進行方向を正視してハンドルをきちっと握っていた、それだからといっておよそこの要件に該当しないというわけではない一方、運転する自動車の速度のみをもってこの要件に該当するというものでもない、そのように認識しているところでございます。

緒方委員 では、三百キロ出していても、今の要件に当てはまらないのであれば危険運転致死罪は取られないという理解でよろしいですか、副大臣。

門山副大臣 仮定の議論に対してちょっとお答えすることはなかなか難しいんですけれども、例えば、アウトバーンみたいなところがあって、そこで三百キロで走っていたというようなケースだったら当たらない可能性もあるのかなと、ちょっとこれは僕も今ぱっと思いついたことなんですけれども、あくまでもこの条文の解釈ということになるのではないかと思います。

緒方委員 この運転者は、何キロ出るか試したかったというふうに言っているんですね。自動車の限界にチャレンジするような超高速度を出してやろうという思いを持つことは、この犯罪の故意に当たるというふうに思いませんか、副大臣。

門山副大臣 大変申し訳ないんですけれども、まさに個別の事案に関することでございますので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきます。

緒方委員 いや、私、この法律におけるところの故意について聞いているんです。スピードをむちゃくちゃ出してやろうという思いを持っている人間の、そのスピードを出してやろうという思いは、この法律における、これは故意犯ですから、故意に当たるのではないかと思いますけれども、副大臣、いかがですか。

保坂政府参考人 法律の技術的な話でございますので、私の方から答弁させていただきます。

 故意といいますのは、客観的な構成要件事実に対応した認識、認容のことを意味します。

 したがいまして、今の要件の関係でいいますと、構成要件は、その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為ですので、これに対応した認識があるかどうかということですので、今おっしゃったスピードを出す動機というのがその故意の動機にはなりますけれども、故意としては、進行を制御することが困難な高速度で走行させているということに対する認識ということになります。

緒方委員 ということは、この罪が当たるためには、俺はこの進行がもう制御できないぐらい、コントロールできないぐらいの困難なスピードで運転してやるんだというふうに思わなければ、この罪での故意は取られないということなんですかね、法務省。

保坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、客観的な構成要件事実に対する認識、認容ということでございますので、こうしてやろうというような意欲とか積極的なものまでが要求をされているわけではなくて、自分のその運転状況がまさに進行を制御することが困難な高速度であるということに対応した認識があれば足りるということでございます。

緒方委員 そんなことを考えながら運転する人っていないと思うんですよね。今から俺は運転するんだけれども、制御することが困難な高速度で今から自分は運転するんだという認識を持つ人ってほとんどいなくて、運転する人というのは、必ず、自分はそこそこうまくやれるんだと思って運転するからなわけであって、相当自暴自棄な人でないとそういうことにならないと思うんですよね。何かちょっとおかしくないですかね、法務省。

保坂政府参考人 繰り返しになりますが、制御をすることが困難な高速度であることに対応する認識といたしまして、その評価的な部分、制御が困難かどうかということ自体を、直接、困難だなという形で認識していることは必要ないのですが、速度を出していて、かつ、それまでの運転状況からして、カーブが曲がり切らないとか、このまま走っていったら道路にぶつかってしまうというような、そういう認識があれば足りるというふうに解されるところでございます。

緒方委員 聞いている人は、多分、何か変なことを言っているなというふうに思われた方が多いんじゃないかと思いますが、質問を続けます。

 二〇一八年十二月、三重県津市の国道で法定速度の時速六十キロを超える百四十六キロで車を運転し、道路を横断していたタクシーに衝突して五人を死傷させた事件に対する名古屋高裁判決では何を言っているかというと、ほかの自動車や歩行者の状況というのは予測が困難であり、そのような予測が困難なものを制御困難な判断要素に入れることはできないということで、危険運転致死罪の構成要件すら否定をしているんですね。

 けれども、普通に考えてみると、車を運転していて、前からどんな車が来るかとか、どんな歩行者がいるかとか、そういうことに気をつけながら運転するのが運転の基本であって、突然出てくる車とか歩行者とかは危険運転致死罪の構成要件ですらないというふうに言われてしまうと、何かそれはちょっと違うんじゃないかな、おかしいんじゃないかなというふうに思うわけですが、法務省、いかがですか。

保坂政府参考人 お答えします。

 またこれは個別の事件における裁判所の判断を前提とした御質問でございますので、その当否についてお答えをすることは差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げました、制御することが困難な高速度という、困難な高速度というのが評価的でございますが、その立案過程における法制審議会等の議論におきましては、それは、道路の状況、つまり道路が曲がっているとか狭いかとか、あるいは自分の車両の性能とかといった、そういうものを考慮するということが説明されていることを踏まえて、恐らくそういう解釈ができ上がっているんだろうと思います。

 ただ、この点につきましては、条文上は「制御することが困難な高速度」となっておりますので、それを具体的な事案においてどのように解釈し当てはめていくかという問題だろうというふうに考えます。

緒方委員 そうすると、曲がろうとしている車というのは、別に、合法な形で、曲がろうとしている車というのにぶつかられて、けれども、これは過失しか取ってもらえないんですよね。故意がわざとで過失がうっかりだと分かりやすく言うとすると、これは決してうっかりの事案ではないと思うんですよね。全然そうじゃないですよ。ただ、そうやって出てくる車については予測不可能だから制御困難の要素に入れることができないと言っているんですが、遺族感情としておかしいというふうに、私、そう感じることは当然だと思うんですよね。

 副大臣、ここは政務としてお答えいただきたいですが、そういう歩行者とか、車が曲がってくるのとかは危険運転致死罪の構成要件にならないというのはちょっとおかしいんじゃないかと思いませんか、副大臣。

門山副大臣 危険運転致死傷罪の構成要件というのは条文で明確に定められておりまして、その各号に当たればこれは罪に当たるし、そうでなければ当たらないというふうに、罪刑法定主義の観点から厳格に定められているので、個別の案件についてここで言うのはちょっと差し控えなければいけない立場でございますが、それに当たれば、それによってしっかりと処罰するということになると思います。

緒方委員 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律は余りに要件が不明確で、かつ厳しい運用がされています。構成要件の適用条件が明確性の原則に反しているとの指摘もございます。逆走したり無免許であっても危険運転致死罪の適用がなかったりとか、飲酒をしていても酩酊状態になければ適用がなかったりしているんです。

 私、これは想像ですけれども、無罪の前例をつくりたくないという検察官の意識にも原因があるんじゃないかというふうに思います。起訴した罪状が裁判所に採用されないとキャリアパスに影響すると思えば、一番手堅い安全策を取りたくなるんです。警察関係者と話すと、検察官が危険運転致死罪を採用してくれない、意識の乖離は大きいというふうな指摘をする方もいます。その結果、どんなに無謀な運転をしても、どんなに速度を出しても、危険運転致死罪が適用されないという負のサイクルになっているんじゃないかと思います。

 法改正を通じて、抑止力を高め、遺族感情に応え、かつ、検察官や裁判官の負担を下げるべきだと思いますけれども、副大臣、いかがですか。

門山副大臣 危険運転致死傷罪というものは、運転の実質的な危険性に照らして、暴行によって人を死傷させた傷害罪や傷害致死罪に準じて、重い処罰の対象とするものでございます。そのために、危険運転行為というのは、悪質、危険な行為のうち重大な死傷事故となる危険が類型的に極めて高い運転行為であって、暴行の結果的加重犯である傷害罪や傷害致死罪に準じた重い法定刑により処罰すべきものと認められる類型に限定して列挙されているものでございます。

 危険運転致死傷罪に当たる危険運転行為の類型を改正したり、あるいは追加したりすることにつきましては、今申し上げました危険運転致死傷罪を重く処罰する趣旨に合致するものであるか否か、また、危険運転行為による死亡事犯の実情等を踏まえて十分な検討が必要であると考えております。

緒方委員 終わります。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、政務三役と統一協会との関係について、まずお尋ねをいたします。

 最初に、木原誠二官房副長官にお尋ねをいたします。

 木原副長官と、統一協会、世界平和統一家庭連合との、またその関連団体との関わりについて、まずは御説明ください。

木原内閣官房副長官 御答弁申し上げます。

 まず、私自身、既に党本部に報告をさせていただいておりますとおり、シンポジウムへの参加、そして秘書が出席した会合等、関連を有していたところでございます。

 当時、当該団体に対する認識が十分でなかったということについて、率直に反省をしているところでございます。

塩川委員 シンポへの参加というお話がありましたけれども、木原副長官御自身が、統一協会、その関連団体の会合に出席をした、その具体の話について御説明いただけますか。

木原内閣官房副長官 今、シンポジウムのお話をさせていただきました。関連団体、アジアの平和と安全を考える東京フォーラムという名前だったというふうに認識をしております。そのシンポジウムにパネリストとして参加をさせていただいたということでございます。

 少し説明をさせていただきますと、私自身は、シンポジウムへの参加は、他のパネリスト、どういう方が一緒に登壇されるか、また、そのシンポジウムのテーマ、そして主催者、こういったところから判断をさせていただいております。

 当該シンポジウムにつきましては、自衛隊のOB、著名なOBの方、そしてまた大手のメディアの論説副委員長であった方、そして大学の教授ということでありましたので、パネリストについては、むしろ私にとっては非常にいいパネルだという認識でございました。

 テーマにつきましては、アジアの安全保障、まさに尖閣諸島が国有化される中での安全保障を考えるということでございました。

 そして、主催者につきましては、まさにフォーラムという名前でございましたので、まさにフォーラムという認識をすると同時に、実は、大手のメディアが後援もされているということでございました。

 したがいまして、その時点では全く疑いもなく参加をさせていただいたということでございますが、大変不明を恥じますが、今回のこのような事態になって、メディアの方の方から、実はあれは関連団体だよということをお知らせをいただいたということでございまして、追加的に党の方に報告をさせていただいた、こういうことでございます。

塩川委員 もっと正直に語っていただきたいんですが。

 ちょっと確認なんですけれども、今お話しいただいたフォーラムというのは、二〇一六年十二月十八日のアジアと日本の平和と安全を守る東京都フォーラム主催のシンポジウムに出席をされた、その後援団体には西東京平和大使協議会というのもあったということで、まずよろしいですか。

木原内閣官房副長官 大変申し訳ありません、その西大使平和協議会というものがあったかどうかということは、ちょっと現時点では認識をしてございません。

塩川委員 これは、だって、写真も出されておりますけれども、そこの中に、主催として西東京平和大使協議会というのがあるのは、それは御存じですよね。

木原内閣官房副長官 大変申し訳ありません、私自身、先ほど申し上げたのが率直な認識でございまして、その後、メディアの方から、このまさにフォーラムそのものが、アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラムというのがあって、これがそもそも関連団体だという御指摘をいただきましたので、そういうことかということで追加報告をしたということでございまして、今、先ほど御指摘いただいた件につきましては、そこまで実は確認を取っておりませんが、いずれにしても、関連団体のフォーラムであるという認識を持って報告をさせていただいたところでございます。

塩川委員 この西東京平和大使協議会がそもそも後援をしているということについては、改めて確認して御回答いただけますか。

木原内閣官房副長官 申し訳ありません、フォーラムの名前自体が、アジアと日本の平和と安全を守る東京都フォーラムということだったようでございますので、正確に申し上げたいと思います。

 その上で、その西東京平和大使協議会というものが後援をしていたかどうかということについて、私自身がどこまで調べられるかちょっと分かりませんが、当時の資料は残っておりませんのでちょっと分かりませんが、できる限りやってみたい、このように思います。

塩川委員 それと、二〇一九年九月二十九日に、東久留米市で、セイセイカイと読むんでしょうか、木原誠二の誠に世界の世ですね、誠世会特別シンポジウム、緊迫する東アジア情勢と日本の進路、これには参加をされたということでよろしいんでしょうか。

木原内閣官房副長官 はい、参加をさせていただいております。

塩川委員 今言いましたように、主催は誠世会、後援は、西東京平和大使協議会と、アジアと日本の平和と安全を守る東京都フォーラム、この主催、後援についてはこれでよろしいでしょうか。

木原内閣官房副長官 御指摘をいただきました誠世会は、地元の有権者の方が、国政報告を何回かしてもらいたいということで、年に一回程度開催するということでつくっていただいた、つくっていただいたというか、団体である、あるいは会であるというふうに認識をしてございます。

 私自身は、この誠世会というものに年に一回、国政報告に呼ばれて参加をさせていただいてきたわけでございますが、この点についても、今御指摘いただいた、二つ団体を御指摘いただいたと思いますが、後援をしていたということは、当時、認識をしてございませんでした。

 今回、御指摘をいただいて確認をさせていただいたところでございます。

塩川委員 じゃ、この二〇一九年九月のシンポの方は、主催は誠世会で、後援は、西東京平和大使協議会と、アジアと日本の平和と安全を守る東京都フォーラム、この点については承知をしているということですね。

木原内閣官房副長官 この点につきましては、メディアの方から指摘を受けて、そしてその名称も含めて御指摘を受けましたので、そういうことだというふうに、現時点、認識をさせていただいてございます。

塩川委員 この誠世会については、木原副長官が週刊文春の取材で、誠世会は二〇一六年夏頃に設立をし、七回程度国政報告に出席をしたと述べていますが、これはそのとおりでしょうか。

木原内閣官房副長官 ここに、今御指摘いただいた、どのように回答したかということがございますが、二〇一六年夏頃、地元の有志の方から、地域の知り合いの皆さんを集めて政治経済の勉強会をやりたいので、その際、日程が許せば国政報告を行ってもらいたいという話が私の事務所スタッフに寄せられ、その有志の方々によってスタートした会ということで、その後、七回程度参加をさせていただいたということでございます。

塩川委員 このシンポも主催をしている誠世会というのはどなたがつくったんでしょうか。

木原内閣官房副長官 今申し上げたとおりでありまして、地元の有志の方々が集ってつくっていただいたと認識をしてございます。

塩川委員 この二〇一九年のシンポをフェイスブックにアップをしているお地元の野島武夫東久留米市議は、週刊文春の取材に、誠世会は木原誠二さんを応援する団体、平和大使協議会のメンバーで木原さんを応援する人たちがつくった組織と述べています。ということでよろしいでしょうか。

木原内閣官房副長官 当初、私のところにお話をいただきましたときは、地域の中で、まさに先ほど申し上げたように、政治経済を勉強するということで、時間が合えば国政報告をやってもらいたいということで集まった会であります。その中に、地域の活動を一生懸命やっておられる方が多々おられますので、私自身参加をさせてきていただいたということでございます。

 結果的に支援をしていただいていたかどうかということについては、個々の皆さん、どうだったかということは分かりませんが、基本的に私をその国政報告会に呼んでいただいていたということでございますので、当然御支援をいただいていた、というか御理解をいただいていたもの、このように承知をしてございます。

塩川委員 御支援、御理解をいただいていたという団体ということです。

 それで、この平和大使協議会のメンバーの方が関わっていたという点はどうですか。

木原内閣官房副長官 率直に申し上げて、これは現時点になってみれば、やはり脇が甘かったということだと思いますが、その当時においては、それぞれの方々の思想信条や背景といったようなものはしっかりと確認はしていなかったということでございます。

塩川委員 平和大使協議会のメンバーの方がこの誠世会に関わっておられたということは、そのとおりですね。

木原内閣官房副長官 何人かの方がそうした団体に関連をしているということは承知をしてございました。

 他方で、同時に、その方々、その方々というか方、地域の中でかなり熱心に地域活動をされておりましたので、それに参加をしていた皆様は、多く、地域の方々、私もよく存じ上げる方々も参加をされていたということでございます。

塩川委員 平和大使協議会というのは、統一協会の中で、まさに、天宙平和連合という文鮮明夫妻が創設をした、その機関の付設機関であります。まさに中核的な組織になるわけですが、その平和大使協議会のメンバーが関わってつくった誠世会、御支援、御理解をいただいているそういった団体に七回も、会合に出席もされたわけですが、当然、自分のことを支援、理解しているそういう団体、誠世会が、選挙でも、関係する皆さんが、御支援を受けたということに、その点はどうですか。

木原内閣官房副長官 その選挙の支援ということをどういうふうに捉えていただくかということでございますが、例えば電話がけ、あるいは選挙カーの運行、あるいはボランティア支援、こういったものにつきましては、私の事務所は一貫して、自民党の地域支部のうち特に青年部そして女性部で全てこれを賄ってきておりますので、その今お名前を出していただいた会にとどまらず、他のところから選挙について支援を受けるということは、これまでもございませんし、これからもないというふうに思っております。

塩川委員 その地元の東久留米市の方が、誠世会は木原誠二さんを応援する団体、平和大使協議会のメンバーで木原さんを応援する人たちがつくった組織ということで、副長官自身も支援、理解をいただいているということであれば、応援するということなら、選挙支援があったというのは当然思うところですが、なかったと言えるんですか。

木原内閣官房副長官 支援という中身をどう考えるかだというふうに思いますが、二つに分けて申し上げれば、まず、選挙を戦っていく上での選挙活動ということに関して申し上げれば、先ほども申し上げたように、例えばビラ配り、ポスター貼り、電話がけ、そして選挙カーの運行、こういったものについては、繰り返しになりますが、私の事務所、また私の選挙の選対は全て自民党の地区支部の女性部、青年部を中心にさせていただいておりますので、その点についての支援というものは一切ございません。

 他方で、有権者としてどうだったのかということにつきましては、私がここで申し上げることではないのかなというふうに思ってございます。

塩川委員 自民党の点検項目に、選挙におけるボランティア支援というのがあるわけです。そういう点でいえば、誠世会という木原さんを応援する団体がありましたねと。それ自身が、統一協会の関係者の方がつくられてきた組織。そういう点で、統一協会関係団体の人から、選挙におけるボランティア支援を受けていたんじゃないんですか。

木原内閣官房副長官 大変、繰り返しの答弁で恐縮ですけれども、選挙は基本的に全て、基本はボランティアということだろうというふうに思います。私どもの自民党の地区支部の青年部、女性部も皆さんボランティアとしてやっていただいている。

 そういう中で、ボランティアとしてやっていただく活動につきましても、私は自民党の支部に全てお願いをしてやってきた、この十七年間、ここは一切変わりがございませんので、そういう意味でも、ボランティア支援というものはお願いしたこともありませんし、受けたこともないということでございます。その旨、党に御報告をさせていただいたということでございます。

塩川委員 誠世会というような、統一協会の関係者がつくった後援の団体というのは、木原さんだけじゃないんですよ。

 例えば、井野防衛副大臣につきましても、新聞赤旗の報道、スクープがありますけれども、俊世会というのがあるわけですよね。井野俊郎の俊を取って、世界平和統一家庭連合の世を取るという格好で、まさに、自民党国会議員を応援する、そういった団体を同じようなネーミングでつくっているという点でいえば、これはやはり統一協会が組織的に応援をするということを受け止めざるを得ないわけであります。

 そういった点でも、この誠世会というのが、まさに木原副長官の選挙に支援を行う、そういう団体というのは、これはもうはっきりしているんじゃないでしょうか。そういうことについてきちんと明らかにすべきではありませんか。

木原内閣官房副長官 誠世会という名前につきましても、これはその皆様が命名をしてくださったというふうに理解をしております。私の中では、私の地元には誠心、誠の心の会もあります。それから、至誠、至る誠の会もあります。また、誠実会という非常に単純な名前もあります。いろいろな方々が私の誠という字を取って、いろいろな会をやっていただいているという中にこの誠世会があったという認識でございます。

 しからば、ほかの会の皆さんが選挙活動等々で支援をしているのかというと、それも全く違うということでございまして、誠世会につきまして、多分、委員が御指摘されているような選挙活動の支援というものは、これはないと申し上げていいと思いますし、申し上げるべきだ、このように思っております。

塩川委員 でも、誠世会に関わった人が選挙支援をしたということはあるんじゃないですか。

木原内閣官房副長官 繰り返しの御答弁になって大変恐縮ですけれども、先ほども申し上げたように、その選挙支援というお言葉をどのように理解するか、私は二つだというふうに理解をしておりまして、一つは選挙活動の支援、あるいは選挙戦の支援ということで申し上げれば、これは、本当に繰り返しになって恐縮ですが、私は、私自身のことを申し上げれば、落下傘候補でありますので、この十七年間、地域の自民党の役員、青年部あるいは女性部の皆さんにずっと支えていただいて、何とか今地域の中に少しずつ溶け込んできたということでありますので、まさに、選挙活動の支援ということにつきましては、他の団体から何か、あるいは他の会から支援を受けるというふうなことはございません。

 他方で、有権者としてどうだったのかということにつきましては、本当に申し訳ありません、これは私が何か言うことではないのではないかな、このように思っているところでございます。

塩川委員 自民党の点検項目そのものも不十分なわけですけれども、少なくとも、選挙におけるボランティア支援ということで、回答している議員さんはいるんですよ。そういった点について誠実に明らかにするということは、最低限の責務ではないのかと思います。

 で、今話題になっている推薦確認書については、副長官は交わされたことはありませんか。

木原内閣官房副長官 今御質問をいただきました推薦確認書についてでございますが、事務所の様々な資料の確認、また事務所スタッフへの聞き取りを徹底して行いましたが、御指摘の団体とそのような文書を交わしたという事実は確認されませんでした。

 他方で、この管理作業の過程で、過去四回、私は六回選挙をこれまで戦っておりますが、過去四回の選挙で受領いたしました約一千に及ぶ推薦状のリストを確認をさせていただきましたところ、一件、昨年の総選挙の際、世界平和連合から推薦状を受領しているということが確認をされたところでございます。

 つまびらかに御報告すべきだというふうに思いますので、御報告をさせていただきます。

塩川委員 世界平和連合から推薦状を受けていた、それはどういう経緯で受けたんでしょうか。

木原内閣官房副長官 私の場合、毎回、選挙に当たりましては、本部だけで二百五十に近い様々な団体から推薦状をいただいております。その中には、私どもの方から推薦依頼をして受け取っている推薦状もございますれば、自主的にお持ちをいただいている推薦状もございます。もちろん、今申し上げた推薦状は後者、すなわち自主的にお持ちいただいたものである、このように理解をしております。

 ただ、まさに二百五十もある、こういう状況でありますので、大変申し訳ありませんが、その一つ一つを明確に認識しているというわけではございません。したがって、今回の報道を踏まえて、改めて事務所において徹底的に調査をした結果、推薦確認書を交わした、こういう事実は確認できなかったところでありますし、その経緯についても、現時点でつまびらかにはなってございません。

 ただ、いずれにいたしましても、こういう推薦状を受け取っていたということにつきましては、私、そしてまた私のスタッフ、事務所も含めて、当時の認識がやはり不足をしていた、正しくなかったということだろうと思います。深く反省をし、おわびをしたい、このように思っております。

塩川委員 この世界平和連合から推薦状があったと。で、世界平和連合から具体的な政策要望ですとか、そういったことについての要請、働きかけ、何らかの呼びかけを受けたことはありませんか。

木原内閣官房副長官 具体的に、何か政策要望等を受けたことはございません。

塩川委員 統一協会について言えば、そもそも、その組織そのものが反社会的、反国民的団体だということが問われているわけであります。霊感商法や高額献金によって多額な経済被害をもたらしていること、正体を隠した伝道活動で信教の自由、信仰選択の自由を侵害していること、当事者の意思を無視した集団結婚式など婚姻の自由を侵害をしていること、多数の裁判においてこれらの違法性と統一協会の責任が認められております。

 統一協会が反社会的な団体であり、また、日本を韓国に貢ぐエバ国として、韓国教団本部に送金するために違法なやり方で国民の財産を収奪をしてきた反国民的な団体、こういう認識を木原副長官はお持ちでしょうか。

木原内閣官房副長官 まず、率直に申し上げるべきだと思いますが、今回のこのような事態になるまで、そうした認識は十分でなかったということを改めて申し上げ、反省をしたい、このように思います。

 その上で、今塩川委員からお話がありましたとおり、悪質商法に関連する問題、あるいは親族の入信に起因しての御家族の困窮や崩壊といった問題など、まさに社会的に問題が指摘されている団体である、このように現時点で認識をしているところでございます。

塩川委員 ちょっとこれでもう時間がかなり押していますので、ほかの皆さんにはちょっと今日は聞けないんですけれども、官房長官、今のやり取りもありましたように、推薦確認書という形で、こういった統一協会関係団体から具体の政策要望を受けている、そういった推薦確認書を交わしたという自民党の議員、複数おります。また、内閣の政務三役の中にもいるわけであります。今、木原副長官の答弁にもありましたように、世界平和連合から推薦状を受けていた、こういった事例もあるわけであります。

 今まで、自民党の調査はもちろん、点検にはもちろん入っていない。また、政務三役についてもきちっと説明せよと言ってきたわけですよね。それが果たされていないわけですよ。

 改めて、こういう事態について官房長官としてどう受け止めているかというのが一つと、推薦確認書、それから世界平和連合からの推薦状、こういった実態について、政務三役については、これはしっかり調べて説明してもらえませんか。

松野国務大臣 まず、岸田内閣の閣僚等、いわゆる政務三役に対する問題の御指摘でございますけれども、政府における旧統一教会との関係につきましては、各閣僚等がそれぞれ点検をし、旧統一教会との過去の関係を調査、説明をし、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底するとしているところでございます。

塩川委員 いや、だから、それぞれが説明するといって、説明してこなかったじゃないですか。野党の質問でやっと明らかにしたというのが現状じゃないですか。こんな無責任な対応を続けさせるわけにいかない。しっかりと、政務三役については、これは政府の責任でしっかりと明らかにしろと、このことを徹底すべきだと。改めて、官房長官。

松野国務大臣 政務三役に関する御指摘の問題に関する説明責任のありように関しては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、それぞれにおいて、説明が十分でないという御指摘があれば、それは政治家の説明責任としてしっかりと説明をするということではないかと思います。

塩川委員 それぞれ政務三役任せがこういう実態ですから、まさにその説明責任が果たされていないわけで、こういうことを放置していること自身が無責任じゃないですか。岸田政権の姿勢そのものが問われる。

 しっかりと政務三役については政府として明らかにするということを示すと同時に、自民党は自民党でしっかりとした調査を行うべきだということを申し上げ、小倉大臣以外はここで下がっていただいて結構です。また日を改めてお聞きするときがあると思います。

 それでは、小倉大臣に、こども家庭庁設置法と統一協会関連のことについて何点かお尋ねいたします。

 先ほども紹介した推薦確認書には、家庭教育支援法、青少年健全育成基本法の制定に取り組むとか、LGBT問題、同性婚合法化に関しては慎重に扱うとの項目があります。

 統一協会は、個人よりも家父長的な家族秩序を重視しています。統一協会の政治部門である国際勝共連合幹部が公開した改憲案では、家庭という基本的な単位が最も社会、国家に必要だ、これがなければ自然かつ基礎単位になり得ない同性婚が広がっていくなどと、同性婚や選択的夫婦別姓、男女共同参画を攻撃しておりました。

 家族重視といいながら、統一協会が行ってきたことは、霊感商法や高額献金、二世信者の人権侵害などで、家族関係を破壊することだった。こういった反社会的団体である統一協会には、家族政策や子供政策を語る資格がないんじゃないかと思いますが、小倉大臣のお考えをお聞かせください。

小倉国務大臣 我が国で、様々な団体が様々な意見を主張されていると思います。ただ、委員御指摘の、特定の団体が推進している政策の方針について、政府としてコメントをさせていただくことは差し控えたいというふうに思います。

塩川委員 今まさに大きな問題となっている点、この点について政策への影響がどうだったかということをきちっと検証することが必要だ。

 こども家庭庁設置法の立法過程において、統一協会の働きかけが政策をゆがめたのではないのか。当初、名称がこども庁だったのに、こども家庭庁になったこと、市民団体や有識者、国連子どもの権利委員会から強く実現を求められていた子供コミッショナー制度が盛り込まれなかったことが、法案審議でも大きな議論になりました。

 国際勝共連合は、昨年十二月、機関誌の「世界思想」を紹介するホームページ上で、「心有る議員・有識者の尽力によって、子ども政策を一元化するために新しく作る組織の名称が「こども庁」から「こども家庭庁」になりました。」と強調していました。

 名称変更に自民党議員などの働きかけがあったのではありませんか。

小倉国務大臣 まず、この新しい組織の名称についてでありますが、昨年の十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本指針において、こども家庭庁とさせていただきました。

 このこども家庭庁の名称の経緯でありますが、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかり支えることが子供の幸せにつながるという趣旨でありまして、新しい組織の名称として適切であると考えております。

 この点、児童権利条約の前文の考え方においても、家庭環境の下で子供は成長すべきとされているところでもありまして、そういう、どこか特定の団体とか特定の議員の意見への配慮があったのかという質問に対しましては、一切ないというふうに認識しております。

塩川委員 もう一つ、子供コミッショナーの件ですけれども、「世界思想」の二〇二二年の四月号では、「子供・家庭政策をめぐる攻防」という特集記事で、子供コミッショナー制度の問題点を指摘していました。子供政策の議論には危うい傾向が進む、子供コミッショナーもその一つだ、拙速な導入は避けるべきと主張し、国際勝共連合のホームページ上でも、家庭破壊をもくろむ文化共産主義などと、子供の権利保障を攻撃をしておりました。

 また、国際勝共連合幹部の青津和代氏が事務局を務めていた全国教育問題協議会も、子どもの権利条約を子供基本法の中心にして権利を拡大すれば子供の最善の利益になると主張する考えがあるが疑問だ、子供コミッショナー制度は人権左派に悪用されると極めて危険と、子供コミッショナー制度を攻撃をしてきました。

 青津和代氏は、全国各地で、自民党地方議員などが主催する集会で家庭教育支援の講演活動を行っています。

 一方、子供コミッショナー制度に対する自民党議員の主張は、個人を大切にし、それを拘束するものは悪であるというマルクス主義思想があるとか、左派の考え方だとか、恣意的運用や暴走の心配があり、誤った子供中心主義にならないかなどと、国際勝共連合、統一協会の主張と同じであります。

 子供コミッショナーは批准国の標準装備という世界の流れに逆行するような、子供コミッショナー制度の実施を行わなかった背景に、このような統一協会関係団体の動きがあったのではありませんか。

小倉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 子供政策並びにこども家庭庁の在り方について、これは総理も、政府においても、政策を決定する際に、多くの国民の皆さんの意見を聞いて、有識者、専門家とも議論を行い、その結果として政策を判断をしております、一部特定の団体によって全体がゆがめられるということはないと思っておりますというふうに答弁しているものと承知をしておりまして、塩川委員御指摘の点についても、そのような過程の中で決定をされたものと思っております。

 いずれにしましても、子供の権利擁護を第一に考え、子供の最善の利益を第一に考えて、こどもまんなか社会を実現をしていく、児童権利条約にも書かれているような、そのような理念に沿って子供政策を充実をさせていくのが、今度できるこども家庭庁の役割だというふうに担当大臣としては考えております。

塩川委員 こども家庭庁設置法の通常国会での議論の中で、参考人質疑におきまして、日弁連の子どもの権利委員会幹事の野村武司弁護士は、国連子どもの権利委員会は、子供コミッショナーの仕組みを、子供の権利を促進し保護するものとして、条約締約国の中核的な義務と位置づけている、子供コミッショナーは児童の権利条約を批准している国の標準装備になっていると述べておりました。

 子供コミッショナー設置というのは、条約締約国の中核的義務であり、標準装備であります。このことが求められていたにもかかわらず、統一協会と自民党の癒着がコミッショナー制度の実現を阻むなど、子供の権利保障の大きな障害となったのではないのか、こういった点について、統一協会の政策への影響、徹底的な検証が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

大西委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 まず、国葬のことについてお伺いしたいと思います。

 七月八日、安倍元総理が銃撃され、お亡くなりになられました。安倍元総理の長年の御功績、それから大阪の発展にも大変御貢献をいただきましたことに対して、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 同時に、選挙という民主主義のプロセスの根幹が暴力によって踏みにじられたということに対しまして、やはり断固として抗議をしなければなりません。そのような思いから、私は九月二十七日の国葬儀に出席をさせていただきました。

 しかし一方で、この国葬儀の実施に対しては多くの反対意見があったことも事実でありますけれども、なぜ多くの反対意見があったとお考えになられますでしょうか。

松野国務大臣 岩谷先生にお答えをさせていただきます。

 安倍元総理の国葬儀に対して、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいたことは真摯に受け止めなければならないと考えております。

 今回いただきました御意見、御批判の多くに共通するものは、説明が不十分であるとの御指摘であったと認識をしています。そうした観点から、今後、今回の国葬儀について検証を行うこととしており、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのかについて、幅広い有識者の方々から御意見を伺い、論点を整理をしたいと考えております。

岩谷委員 是非、真摯に受け止めていただいて、検証を進めてもらいたいと思いますが、今回の国葬儀、予備費の支出で行われたということについても批判の声が上がっております。

 そもそも予備費の支出自体、やはり財政民主主義の観点からは抑制的であるべきというふうに思いますけれども、今回の国葬儀は特に、世論調査をしても多くの反対の国民の皆さんからの声が上がっていたという状況下で予備費を支出して国葬を行ったということは、やはり財政民主主義に反するおそれが強かったというふうに言えるのではないでしょうか。

原(宏)政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣経験者の葬儀に係る経費につきましては、当然のことながら想定し得るものではないことでございますので、従来より、案件ごとに予備費の使用によって対応してきたところでございます。今回も、八月二十六日に予備費の支出に関する閣議決定を行ったところでございます。

 憲法及び財政法の規定に基づき、予見し難い予算の不足に充てるため、内閣の責任で予備費を支出することができるとされておりまして、財政民主主義に反するという指摘は当たらないものと考えております。

岩谷委員 反しないと考えるということですけれども、適切か適切ではなかったのかと言われれば、私はやはり適切ではなかったというふうには思います。

 ちょっと質問の順番を入れ替えさせていただきますけれども、結局、今回の国葬に対して多くの反対意見があったのは、やはり基準や手続が不十分であったということから、いろいろな説明が後づけ的に感じられて、納得できないというふうに思われた方が多かったのではないかというふうに思います。

 この点、私ども日本維新の会では、独自に国葬儀について法案を提出させていただきました。私どもの法案では、国葬儀を行う場合には、基準を設けた上で、理由や費用の見込みなどについて国会の承認を得ることとされております。また、国葬儀を行った場合は、参列者数であるとか費用等について、その内容を国会に報告するということとされております。

 我々維新の法案のように、国葬儀を行うに際しては、一定の基準を設けた上で、国会の承認や報告を必要とするというふうになっておりますけれども、この内容についてどのようにお考えになられますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 内閣総理大臣経験者の葬儀の在り方につきましては、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案をし、その都度、ふさわしい形を判断するものと考えています。

 その上で、総理が七月十四日に安倍元総理の国葬儀を執り行うことを表明して以降、総理や私から、国会や記者会見等の場を通じて、国葬儀を執り行うこととした理由や意義などについて繰り返し丁寧に説明をしてきたところであります。

 国葬儀に要する経費につきましては、八月二十六日に予備費で支出することを決定した式典関係の経費に加えて、九月六日にはその時点における警備、接遇、儀仗に係る経費の見込みを公表するとともに、衆参議院運営委員会で説明をしました。さらに、国葬儀終了後の十月十四日には、国葬儀の経費の全体像を示すための速報値を公表をし、衆議院予算委員会理事会、参議院予算委員会理事懇談会において説明をいたしました。

 参列者数につきましては、国葬儀当日に速報値をお示しした上で、十月十四日に経費の速報値と併せて確定値を公表し、衆議院予算委員会理事会、参議院予算委員会理事懇談会で説明をいたしました。

 政府としては、理由や意義、経費や参列者について丁寧に説明をしてきたと考えていますが、先ほど申し上げましたとおり、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいたことを真摯に受け止め、今後、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのかについて、幅広い有識者の方々から御意見を聴取をし、論点整理を行っていくことであります。

 政府のお示しをする整理を素材として、与党はもちろん、国会においても党派を超えて御議論をいただければと考えております。

岩谷委員 ありがとうございます。

 説明もしたし、報告等も行ったというお答えだと思いますが、やはり事前にルールがしっかりとあればここまでの批判は起こらなかったと思いますので、我々の法案についても、是非、各党各会派の皆さん、議論をいただければありがたいなというふうに思っております。

 ちょっと念のための確認なんですけれども、十月五日、代表質問に対して総理が、今後、内閣総理大臣経験者の国葬儀の実施については、中略、一定のルールを設けることを目指しますと御答弁をされておられますが、これは、あえて内閣総理大臣経験者の国葬儀についてはと限定した表現をされたのは、総理大臣経験者以外は国葬儀の対象にならないというお考えなのか。そうでないならば、答弁のとおりだと、総理大臣経験者以外の国葬についてはルールを設けることは目指さないというお考えなのか。念のため確認をさせていただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 国の儀式としての国葬儀には皇室典範で定められた大喪の礼がありますが、戦後実施をされた閣議決定に基づく国葬儀は、吉田元総理、安倍元総理の二例であることから、内閣総理大臣経験者の国葬儀について検討を行うこととしたものであります。

岩谷委員 私は、総理経験者だけではなくて、あるいは民間の方でも国葬の対象になるような方がいても当然だと思いますので、もし政治家だけが国葬の対象なんだというような考えが無意識の中にあるとすれば、やはり認識を変えていただいて、対象の範囲も含めて広く御検討をいただきたいというふうに思います。

 それと、今回の国葬儀、私も参列しておりましたけれども、その中身も、本当に国葬儀と呼ぶにふさわしい中身だったのか、少し疑問があります。

 天皇皇后両陛下の使者の方であるとか、皇族方に御臨席いただいたり、あるいは儀仗隊の弔砲であるとか音楽隊による奏楽など、確かに国葬儀と呼ぶにふさわしいような内容もあったものの、一方で、海外から多数賓客がお見えの中で、あれは恐らく武道館の備付けの椅子だと思うんですが、非常に簡素な椅子に長時間お座りいただいたこととか、また、全員が献花するような形だったためか、あるいは警護上の問題もあったかもしれませんけれども、三時間、四時間あるいは五時間とか会場で待った方もいらっしゃる。

 さらには、献花した方から順番に退席されるという形だったために、聞くところによると、最後、岸田総理以下葬儀委員の皆さんと、それから御遺族の皆さん、本当に少数だけが残られてひつぎをお見送りされたというようなことも聞いておりまして、本当にその内容として、国葬儀としてふさわしいものだったのか、少し疑問を感じたところであります。

 私は、今後、国葬儀の手続等を検証するというふうに聞いておりますけれども、手続だけじゃなくて、やはりその内容とか中身の部分についてまで検証するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

原(宏)政府参考人 お答えいたします。

 内閣総理大臣経験者の国葬儀につきましては、その内容や費用等についてあらかじめ決められたものはございません。実施に当たりまして、その都度、その葬儀にふさわしいものとなるように検討されることとなると考えております。

 いずれにいたしましても、今後、幅広い有識者の方々から御意見を伺う中で、そのような点についての御意見があれば整理をさせていただくということになると思います。

 それから、前例でいろいろなことが積み重なってきておりましたのであのような形になっているという面もあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、政府のお示しする整理を素材といたしまして、与党はもちろん、国会においても党派を超えて御議論いただき、国民各層の幅広い御理解を得ることができるよう努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岩谷委員 今、前例というお言葉も出ましたけれども、私は、先例とか前例に従ったからよいというわけではないと思いますので、是非、内容の検証というところも要望させていただきたいと思います。

 官房長官、御退席いただきまして結構です。ありがとうございました。

 続きまして、関連しまして、要人警護の問題につきましてお伺いしたいと思います。

 今回、安倍元総理への銃撃につきまして、例えば現場の警備とかあるいは警護計画のチェックについて問題があったんじゃないかという批判がたくさん出ているわけですけれども、私は、そもそもその前に、日本の警護の体制というものがしっかりとした体制になっていたのか、あるいは、その裏づけとなる予算がしっかりつけられていたのかというところが大いに疑問を持っているわけでございます。十分な予算もつけられず、政治家の命を身を挺して守れと言われても、警察の皆さんも困るという話だと思うんですね。

 そういったところを議論させていただきたいと思うんですけれども、まずは、政治の側で考えなきゃいけない問題として、警察の警護に政治家のサイドがもっと協力していかなきゃいけないんじゃないかということなんです。

 政治家というのは、どうしても、有権者の皆さんにいわゆるスキンシップ、握手等をしたいとか、なるべく近くで演説をしたいとか、あるいは、物々しい警護で遠い存在のように思われたくない、身近な存在を演出したいとか、そういった思いがあるのは私もよく分かりますけれども、一方で、そうすると警護が難しくなるという、ある意味でジレンマがあるわけです。

 ゆえに、警護を行うに当たっては、警護される側、政治家側が協力ということをしていくことが非常に重要なわけですけれども、まず、どのようにして政治家サイドに協力を求めていっているのかということと、もし協力を得るに当たって何か課題となっているようなことがあれば教えていただきたいと思います。

 それから、今回も、安倍元総理の背後が交通規制がしかれていなかったことが問題だというような指摘もありますけれども、交通規制をするにも、何でこんなところで車を止めるんやとか、そういったクレームが来ればやはり萎縮してしまうわけで、日頃から、警護のための交通規制等も必要なんだということを、国民の皆さんの理解を得ていく必要があると思います。

 こういった国民の皆様の理解あるいは協力を得られるように、情報発信など、どのように取組を行っていかれるか、お答えいただければと思います。

谷国務大臣 警護対象者の安全の確保は、御指摘のように、警察のみで達成できるものではなく、警護対象者及びその関係者の理解と協力を得た上で警護を実施することが不可欠だと思っております。安倍総理の事件を受けて、今まで以上に、この点については理解と協力を得るように、警察としてもしっかり取り組んでいく必要があろうかと思います。

 特に、例えば選挙の場合に、やはり警護対象者の思いと、それを警護する警察のあれをよくすり合わせることが大事だと思います。警護対象者直近への警護員の配置や装備資機材の配置、設置などにつきましては、警護対象者及びその関係者に対して説明を尽くし、その理解と協力を得る必要があるものと認識しているところであります。

 また、大規模な警護に伴う交通規制については、事前にホームページ、ラジオ等の各種媒体を活用した広報活動を行い、幅広く国民の理解と協力を得られるよう努めているところでございますけれども、今後とも、そこのところはしっかりと国民の理解を得るように頑張っていきたいと思っております。

岩谷委員 ありがとうございます。

 本当に、今回、このことを受けて、我々政治家サイドが意識を変えて警護にしっかり協力していくというふうに、大臣も是非、政治家として、そういったことを周知をしていただきたいと思いますし、また、本委員会の委員の皆様にも、各党各会派で御議論いただければというふうに思っております。

 続きまして、今回の被疑者というのは、事前に旧統一教会への批判をネット上に投稿していたり、三年前にも教団幹部の殺害を示唆するような内容をツイッターに投稿していたというふうに報道されております。

 こういった犯罪に発展するおそれがあるネット上等の投稿を事前に把握して要人警護に活用するということも非常に大事なことだと思いますが、警察庁として、こういったネット上の投稿に関する情報収集等どのように行われているか、お伺いしたいと思います。

 また、一方で、ネット上の情報というのは本当に膨大でして、プライバシー保護や通信の秘密との兼ね合いもあってなかなか限界があるというわけでありますけれども、そうした限界がある中ででもしっかりと情報収集を行っていくためには、ネットの事業者の方であるとか、あるいは広く国民の皆様から情報提供をいただくことが不可欠だと考えますが、こういった事業者や国民の皆様の協力をどのように求めていかれるか、教えていただければと思います。

原(和)政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、特定のテロ組織等と関わりがなくても、社会に対する不満を抱く個人がインターネット上における様々な言説等に触発され違法行為を敢行する事例が見受けられ、新たな脅威となっていると認識をいたしております。警察におきましては、今般の警護の検証及び見直しを踏まえ、要人警護に万全を期すべく、インターネット上の情報を含め、様々な情報収集活動を強化しているところでございます。

 また、御指摘のとおり、インターネット上の情報は膨大である、まさに御指摘のとおりでございまして、警察といたしましては、警護対象者の安全確保のため、今後も法令に基づき必要な情報収集に鋭意取り組んでまいりたいと思います。

 また、警護の万全を期すに当たりまして、警護の現場で警護員が取る様々な措置について国民の皆様の理解と協力を得ることが不可欠であることはもとより、御指摘のとおり、インターネット事業者や国民の皆様からの情報提供を得ることも重要であると認識をいたしております。

 警察といたしましては、警護について今後更に国民等から理解と協力が得られますよう、積極的かつ適切な情報発信等を行ってまいります。

岩谷委員 ありがとうございます。

 今回、幾つかの国の警護体制につきまして調べてみましたけれども、大変驚きました。例えば、有名なアメリカのシークレットサービスですけれども、人員として六千人以上、それから予算が一年間で約二十七億ドルということで、今のレートでいうと約四千億円の予算を持っている。さらには、フランスでも千二百六十人の人員とか、韓国でも六百人以上の人員という中で、日本では、言われていることは、今まで、警視庁SPで二百人前後とか、予算は数百万円だったというふうに言われております。

 今回、警察庁の方では、要人の警護、警備を強化するための費用として、来年度当初予算の概算要求に約二十二億五千七百万円を計上したというふうに報道がなされておりますが、これは大幅な増額だとは思うんですけれども、一方で、単純に比較はできないんですけれども、今申し上げたとおり、アメリカのシークレットサービスは予算規模が年間約四千億円です。増やしても日本はまだ二十数億円というレベルということで、二百倍近くも違うわけですね。

 当然、リスク対策にはコストがかかるわけですから、さらに、どんどん今巧妙化していて、例えばドローンによる襲撃とかも懸念されているわけなんです。やはり、我が国の民主主義を守るために、警察の皆さんにしっかりしてくださいと言うだけではなくて、政治の側がむしろしっかりと予算をつけて体制を拡充させていくという必要があると思いますけれども、大臣、この点、どのようにお考えになりますか。

谷国務大臣 お答えします。

 アメリカのシークレットサービスのお話がございました。なかなか、諸外国のそういう警備あるいは公安関係との比較というのは大変難しいものがあります。人件費は入っているのかどうかとか様々な問題がございますが、いずれにいたしましても、今回の安倍元総理の重大な結果を踏まえまして、警護の強化に向けた見直しを確実に行うためには、体制をまず強化しなければならない、また、装備資機材の充実等にも取り組まなければならない。これは不可欠だというふうに認識しております。

 その中で、新たな警護要則に基づく取組を着実にするために、体制の構築については喫緊の課題であることから、来週には、十一月一日付で警察庁に警備第二課を新設し、警護を担当する体制を大幅に拡充することとしており、この新たな体制の下で警護に万全を期するよう警察庁を指導してまいりたいと思います。

 また、言われるように、警護の在り方というのは、様々な、新しい、ドローンであるとか、そういう危機に対処するための資機材も必要でございますので、警護に関する装備資機材の情報収集、開発、導入、これに努めることとしてまいりたいと思います。

 また、警護に関する教養訓練、いわゆるプロとしての資質向上、これも大変大事なことでございますので、実践的教養訓練を受けることができるようにしたほか、銃声のみならず不審な物音を感知した際の瞬時の回避措置を含む高度な教養訓練を行うこととしているところでございます。

 来年度予算概算要求におきまして、警護への先端技術の導入、銃器による攻撃から警護対象者を守るための装備資機材の整備等のため、御指摘のように二十二億五千七百万円を計上しているところでございますが、しっかりとこれらの充実に努めてまいりたいと思います。

岩谷委員 予算確保に向けまして大臣の御尽力をお願いいたしまして、時間になりましたので、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

藤井委員長代理 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 午前中、最後のバッターになります。お疲れかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、岸田政権政務三役と旧統一教会との関係、お尋ねをしていきたいと思います。

 つい先ほども、塩川議員とのやり取りの中で、木原官房副長官から、推薦状の受領があった、こういうふうな御答弁もございました。山際大臣がお辞めになった後も、次から次へと新しい事実が出てくるという状況でございます。

 官房長官にお伺いしていきたいのでございますけれども、まず初めに、こうした新しい事実、自民党さんの点検には含まれていない、推薦確認書の提示やあるいは署名、さらには推薦状の受領、あるいは少額であってもパーティー券の購入と、少なくも四つぐらいあるわけでございますけれども、松野長官御自身は、以上のような具体的な事実、御自身に関してはあるかないか、お答えいただけますでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生から御指摘があった団体との関係は、私は特段ございません。

山岸委員 特段ないということなんですが、四点、私は申し上げました。確認書の提示や署名、推薦状の受領、パーティー券少額の購入。特に、先ほど木原副長官は、推薦状は一千通以上あるものを丹念にお調べになって受領があったことが分かったというふうなことも報告されていましたが、松野長官は、お調べになった上で、ないということがおっしゃれますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 当該事案に対しまして、事務所等にも確認をさせた上で、特段の関係はないということでございます。

山岸委員 事務所に聞いて特段の関係はないということだったんだけれども、じゃ、個別具体に、こうした事実、例えば、特に、推薦状を一方的に送ってきたというふうなケースが先ほど木原副長官からはありましたけれども、こうしたケースだと、なかなか、単に長官が事務所に何かあったと聞いて何もないということでは、明らかになってこないようなケースかと思いますけれども、こうした一つ一つのもの、ないということが言えますか。

松野国務大臣 事実関係については、これは私の知り得る限りということであるかと思いますが、私の意識では、ないということでございます。

山岸委員 まさに、これまで知り得る限りでそれぞれ説明をされてきて、そのたびに、今は知らなかったけれども後から分かったということが何度も何度も出てきて、この議論を繰り返しているわけなんです。

 なので、松野長官ですら、知り得る限りないという御答弁で、これだけ問題になっている個別具体のことについて、ないということをおっしゃれないということなので、やはりここは自民党さんの点検とは一線を画して、岸田政権として、政務三役については、改めて、今既に具体的に四つ出ているわけでございます、確認書の提示や署名、推薦状の受領、そして二十万円以下の少額のパーティー券の購入、こうしたものに関して個別具体に、政務三役、調査、確認を行うべきではありませんか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、私個人に関する点でございますが、この知り得る限りという表現が、どういった捉え方をするかというのは幅がある表現なのかもしれませんが、事務所等で確認をし、また、私が政治活動をもう随分長くやらさせていただいておりますけれども、その中の意識として関係がないということでございますので、加えさせていただきたいと思います。

 そして、政府の政務三役等への調査はどうかという御質問でございますが、政府における旧統一教会との関係につきましては、これまでも申し上げてきましたとおり、各閣僚等がそれぞれが、旧統一教会との過去の関係を調査、説明をし、新たな接点が判明した場合には、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底をするということにしております。

 引き続き、この方針に沿って、適切に対応していく考えであります。

山岸委員 長官、真摯に御答弁いただいていると思うんですが、そういった中で、意識としてはないということを今もおっしゃったわけでございまして、そういうふうに主観で、あるかないか、覚えているかどうかということをやっていくと、次から次へと新しいものが出ていって、切りがないことを繰り返してきたわけなので、ここはファクトを調査すべきだ、こういった推薦状がしっかり残っているのかとか、事務所の記録がないのか、こういう事実をきちんと調べるべきだということで、この間、御提案をしてきたわけでございますが、残念ながら、調査に関しては現時点では決断いただけないということでございますので。

 委員長、この確認書の提示と署名、さらに、推薦状の受領、また、少額のパーティー券の購入ということについては、委員会として、岸田政権に調査をするように求めていただきたいと思いますので、理事会で御協議をお願いいたします。

藤井委員長代理 理事会で協議いたします。

山岸委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 さて、続きまして、山際大臣の月曜日の辞任についてお伺いしていきたいと思うのでございます。

 私、まずびっくりしたのが、辞めるときの理由で山際さんがおっしゃったのが、政権に対して御迷惑をかけるということをおっしゃったんですが、謝る対象はそこなんでしょうか。やはり、国民であったり、この間、多大な審議を費やしてきている国会に対しても謝るべきじゃなかったかなと。極めて、今、残念ながら、内向きな政治の姿を表していたなと言わざるを得ないと思います。

 山際大臣、なぜ辞めるに至ったのかという、この去り際のプロセス、私、実は多くの疑問があるのでございます。

 実は、今回に限らず、岸田政権の意思決定、物事の決め方が、最近よく分からないなというケースが多過ぎるのでございますね。統一教会の調査はやるつもりがないと言ったのがやるとなったり、民法は不法行為に入らないと言ったのが入るというふうになってしまったり、政府、なかんずく総理官邸が一体どういうふうに物事を決めているのかというのが全く見えてこないんです。

 これは、私が野党だからではないと思うんですね。多分、与党の、自民党の先生方も、この間、どうなっているのかな、こういう疑問をお持ちなんじゃないかと思います。我々国会議員ですら分からないんですから、国民の皆様にとってはなおさら見えづらい状況になっているわけで、そうなれば、例えば経済、マーケットに対しても、様々な意思決定の予測可能性という点からも不安定材料になってくるわけで、今日はあえてこの点を徹底的に解明していきたいと思います。

 まず、お手元、資料をお配りをしておりますけれども、山際大臣がお辞めになった、辞表を提出をした二十四日月曜日、当日の流れということで書いております。

 この日、参議院の予算委員会が行われておりまして、午後二時の時点で岸田総理は、山際大臣、替えませんかという質問があったのに対して、昼、報道につき聞きましたが、そういったことは全くありませんと全否定をしていらっしゃるわけです。そのまま四時十四分まで総理は国会に出席をしておられました。

 ですが、この後、午後五時に総理は自民党役員会を急遽欠席をされて、午後五時四十五分には予定していた経済財政諮問会議が中止になるということでございますから、この時点では、もう更迭の腹を決めていたんだろうということが容易に想像されるわけでございます。

 四時までは辞めさせる気はなかったのに、五時になったら辞めてもらう。朝令暮改という言葉がありますけれども、もうそれを通り越して暮令暮改と言うほかないんじゃないかなと。非常にばたばたな決め方になっているわけなのでございますが、ここで私は、松野官房長官が重要な役割を果たしていらっしゃるというふうに理解をしております。

 官房長官、お伺いいたしますけれども、二十四日の午後から夕方にかけて、総理の指示を受けて山際大臣に辞職を求めたのは松野官房長官ですか。

松野国務大臣 山岸先生にお答えをさせていただきます。

 まず、私が山際前大臣に辞任を促したという事実はございません。

 山際前大臣の辞任につきましては、二十四日の予算委員会終了後、山際大臣から総理に対して辞意を表明したい旨の意向が示され、総理から指示を受けまして、私は総理と山際大臣の面会を調整をしたということでございます。そして、二十四日の夜、総理と山際大臣が面会をし、山際大臣から辞表とともに辞任の申出があり、総理がこれを了としたものであるということでございます。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

山岸委員 アポイントの調整をしただけだというお話ですけれども、ということは、じゃ、総理と山際大臣は何の了解もなく、落としどころもなく、何の前提もなく面会をした、そのアポイントの調整をしたにすぎないということをおっしゃっているんでしょうか。

 既に報道でも出ておりますので申し上げますが、産経新聞十月二十六日朝刊、参議院予算委員会が終了した二十四日午後、松野官房長官が山際氏を東京赤坂の衆議院宿舎に呼び出し、首相の意向を伝えたと。この意向というのは、辞めてほしいという意向を伝えたということではないんですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、山際大臣から総理に対して辞意を表明したい旨の意向がございました。それを受けてということでございます。

山岸委員 山際大臣から辞表を提出したいという意向を受けて、松野長官が山際さんに面会になって、面談時間等を調整したということなんですか。

松野国務大臣 先ほど答弁させていただきましたとおり、辞意の意向に関しては、山際前大臣、当時は大臣でありますけれども、それから岸田総理の方に会ったわけでありますが、当然のことながら、その後の事務処理、進め方についてがございますので、そのことについて私が調整をしたということでございます。

山岸委員 ちょっとよく、やはり長官の動きがさっぱり分からないので。単に日程調整していますという、メッセンジャーボーイをしていますというだけであれば、やはり官房長官の職というのはそれでいいんだろうかというのは、私は大いに疑問に思うわけなのでございます。

 単にアポイントの調整をするだけだったら事務方がやればいいわけであって、閣僚、まさに内閣の要である官房長官が単につないだだけですという話であれば、私、それは、やはり長官職として、申し訳ないけれども、機能していないんじゃないか。となると、やはり総理官邸が今機能不全になっているということなのではないだろうかというふうに、ちょっと疑問にここは思わざるを得ないわけなのでございます。

 二十四日の山際大臣との面談に関してもうちょっとお聞きしたいんですけれども、日経新聞、こう書いています。二十四日の参議院予算委員会の後、政府高官は山際氏を呼び出し、申し訳ないが、自分から辞任を申し出てほしいと頭を下げたとありますが、この政府高官は松野官房長官のことでよろしいですね。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 当該報道による政府高官というのが誰を指しているかについては、私は承知をしておりませんし、申し上げる立場にございません。

 その上で、大臣、国務大臣が自分の職に関しての進退を判断するというのは極めて重要なことでございまして、御本人がその進退に関して判断をしたということでございますし、これももう先生御案内のとおりでございますけれども、人事に関しては、任免に関しては総理大臣の専権事項でございます。大変重い判断は、これは総理にしかできない御判断でございますので、総理が山際前大臣の辞意を受けて、総理の御判断は了としたという流れでございます。

山岸委員 長官おっしゃるように、閣僚の辞任、非常に重たいことですし、総理の専権事項、それもおっしゃるとおりなんです。だけれども、今回の辞任というのは非常にイレギュラーな事態だから、あえて詳しくお尋ねしているんです。

 僅か一時間の間に、四時から五時までの間に急遽辞任が決まる、こうした出来事。さらには、その後の後任の指名を含めても大きな混乱をもたらしているわけで、私も元々長らく政治記者をやってまいりましたので、いろいろな閣僚や政権の引き際を見てまいりましたけれども、ここまでばたばたな更迭劇は正直見たことがございません。

 一例を挙げたいと思いますが、後藤新大臣の裁判官訴追委員への就任ということが、これは本当、ハプニングでございますね、生じました。後藤大臣は、火曜日の午前中には既に山際氏の後任として名前が、内定していたわけですが、同じ火曜日の午後一番の衆議院本会議で、裁判官訴追委員会の委員として選任をされました。午後六時には、今度、認証式で閣僚に就任をされた。三権分立の観点から、閣僚になる方は院の役職からは当然引いていただくわけなんですけれども、なので、次回の本会議、来週の本会議で、後藤大臣は委員を辞めてもらって新しい方を選ぶという手続をまた踏まなければいけないんですね。

 国会に対してもまた大きな負担をかけているわけで、何でこんなお粗末なことになっているのかなと。これは、総理官邸と自民党さんの国対とがしっかり連携していれば到底起こり得ないハプニングであります。

 松野長官にお聞きしたいのでございますが、国対との調整を担うのは一義的に官房長官、あるいは副長官のサポートも受けてということになりますけれども、この一連の山際氏の辞任の流れ、さらに後藤氏を大臣に起用するという月曜から火曜にかけての流れ、自民党の国対にしっかり伝えておったんですか。連携不足があったのではありませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政府において、国会のことも含め、与党と国政全般にわたり様々なことを相談するということは、これも当然のことでございます。

 後藤大臣の任命につきましては、先ほども申し上げましたとおり、総理がその専権事項として任命をしたというところでございます。

 裁判官訴追委員会の委員につきましては、後藤茂之委員の辞職等の手続が進められているものと認識をしておりますが、いずれにしても、政府としては、国会対応を含め、今後とも与党としっかりと連携をしていきたいと考えております。

山岸委員 しっかり連携できていないのではないかということをお聞きしているので、そこはお認めいただきたかったなというふうに思います。

 また、もう一個、連携不足、具体的に御指摘したいと思うんですが、経済財政諮問会議が、月曜日、突然中止になりました、先ほど申し上げましたけれども。午後五時四十五分からの開始日程だった諮問会議が急遽中止になったわけですが、内閣府にお聞きしますけれども、総理官邸からこの会議を中止するという御連絡があったのは何時頃のことですか。

茂呂政府参考人 お答え申し上げます。

 二十四日月曜日の午後五時半頃でございます。

山岸委員 五時半、会議が始まる十五分前ですよ。当然、民間人の委員の方々も官邸に向かって、中には当然入っていた方もいらっしゃると思います。天変地異等なら分かりますけれども、こんな運営というのは、私は官邸の体を成していないと言わざるを得ないと思います。

 内閣府、もう一個お聞きしますけれども、過去の事例で経済財政諮問会議が中止になったケースというのはございますか。

茂呂政府参考人 お答えいたします。

 経済財政諮問会議につきましては、開催日の前日の夕方に開催の日程を公表することとしております。日程の公表後に会議を取りやめた、そういう前例は確認できておりません。

山岸委員 前代未聞なのでございます。もちろん、自然災害あるいは閣僚が病気になるということはこれまでもあったわけですけれども、その都度調整して開催を続けてきたわけであって、重要な会議なわけですから、そういう調整すらなしに突然中止する、私はこれは政権のガバナンスが非常に危険水域ではないかと正直思います。

 山際氏が辞めたから一件落着ということではなくて、むしろ、この辞任のプロセスを通じて、岸田政権、岸田官邸の機能不全があらわになった、ひいき目に言っても、あらわになりつつある、こう捉えざるを得ないわけでございまして、ここは松野長官にはしっかりリーダーシップを求めていきたいし、それを果たせないというのであれば、官房長官御自身もよくよくお考えになる必要があるのではないかと思います。

 時間が限られていますから、次へ参ります。

 官房長官は、ここまでで結構でございます。ありがとうございます。

 今日は、多くの副大臣、政務官の皆さん、お忙しい中お運びをいただいております。私からは、四人の副大臣、政務官の皆さんに対しては同じ質問を順にお答えいただきたいというふうに思っております。

 先ほど官房長官にもお伺いいたしましたけれども、推薦確認書、この提示を受けたことがあるか、その上で、サインをなさったことがあるか。また、推薦書を受領したことはあるか。さらに、パーティー券、自民党さんの点検、公表には含まれていない少額のものについても購入があったか。大串さん以外の四人の方、順番に、以上、お答えをお願いいたします。

星野副大臣 お答えいたします。

 確認できる限り、確認書の提示を受けたことも、また署名もしたこともございません。また、推薦書……(山岸委員「推薦状の受領」と呼ぶ)はい、受け取ったこともございません。また、教会側にパーティー券を購入してもらったこともございません。

中谷副大臣 旧統一教会関連団体から確認書を提示されたことはございません。よって、サインをしたこともありません。また、推薦書についても受け取っておりません。また、関連団体によるパーティーの購入もございません。

中野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 旧統一教会や関連団体の推薦確認書並びに協定書は交わしたことがございません。また、推薦状につきましても、いただいたことはございません。また、旧統一教会や関係団体にパーティー券を購入をしていただいたということもございません。

 以上でございます。(山岸委員「推薦確認書の提示は」と呼ぶ)推薦確認書の提示もいただいておりません。

尾崎大臣政務官 お答えいたします。

 確認書の提示を受けたことも、署名したこともございません。また、推薦状の受領もございません。また、事務所で過去の記録を調べましたけれども、パーティー券の購入もございません。

山岸委員 ありがとうございます。

 四人の副大臣、政務官の皆さん、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 済みません、大串副大臣、お残りいただいておりますけれども、この間、非常に率直な御答弁をいただいていて、実態解明に資するものではあるんですが、中身がすご過ぎて、正直驚いているわけなのでございます。

 まず、先日の厚生労働委員会の御答弁の中で、推薦状はすぐ見つかったんですけれども推薦確認書が見つからなくてという言い方をされていたのでございますが、推薦状はお手元にあるのでございましょうか。これ、あるのであれば、御提出をいただけないでしょうか。

大串副大臣 推薦状は今手元にはございませんが、私的に取り交わされたものですので、その取扱いについては、現時点では公開することは差し控えたいというふうに思っております。

山岸委員 これ、委員会に御提出いただけるように御協議をお願いできませんか。

大西委員長 そのようにいたします。理事会で協議をいたします。

山岸委員 委員長、踏み込んだ御決断、ありがとうございます。御協議をお願いをいたしたいと思います。

 大串副大臣、続けて、先日の御答弁からの引用になりますけれども、パーティー券の購入について、こうおっしゃっているんですね。少額のもの、これは、正直言いますと、一つ公開し出すとどんどんみんな公開しなければならなくなる可能性もあると思いますので、自民党の判断で、私は多額ではなかったので名前がなかった、こうおっしゃっているんですが、これは、少額ならば皆さん買ってもらっているということを大串副大臣は同僚議員から耳にしていらっしゃるということで理解してよろしいんでしょうか。

大串副大臣 それはちょっと誤解が、私の言葉足らずだったと思います。

 基本的には、私のパーティー券を買っていただいている方でも、名前を出してほしくないという方がいらっしゃると思います。相手方があることですので、全部出せと言われると、私の、二万円ずつ買ってもらった人全て出すことになることを私は危惧したわけでございまして、今回は、ただ、非常に関心が高いということでありましたので、地元のメディアに対して、そういう事実があったことをお伝えしたということでございます。

山岸委員 じゃ、続けてお伺いいたしますけれども、ボランティア等の支援は受けていないとおっしゃっているのでございますけれども、ただ、政策協定、推薦確認書を取り交わしたときの窓口の方というのは熱心に応援をしていただいている方だと思うのでございますけれども、この方が選挙の直前に集会を開いてくださったわけなんですよね。確かに選挙の期間中ではないと思いますけれども、もう選挙が間近な時期で、様々な地盤培養行為を、立候補準備行為をされているという状況の中なわけでして、この集会開催であるとか、その場でみんなで応援していこうというふうなことというのは、選挙におけるボランティア支援には当たらないということで報告されなかったということなんでしょうか。

大串副大臣 そのときは一般的な国政報告会ということで開催いたしましたので、その参加していただいている方に対しては政策を伝えるということでございますので、ボランティアとは認識をしておりません。

山岸委員 ただ、これはもう衆議院の公示の二週間前とかでございまして、公選法上認められている行為として、ある程度の立候補準備行為はできるわけでございまして、例えば、選挙はがきなどを書いてくれる方を探すというふうなことはこの段階でもやっていらっしゃる可能性はあると思うんですけれども、こういった国政報告会の場で、はがきをお配りしたりとか、そういうふうな応援の依頼というのはしていなかったんでしょうか。

大串副大臣 はい、一切行っておりません。

山岸委員 真摯な御答弁、ありがとうございます。

 大串副大臣、説明は、説明姿勢は非常に丁寧だなと思うんですが、正直にお話しになればなるほど、非常に際限のない関係性が明らかになっていくわけで、消費者政策の担当大臣として、果たしてその任に当たることがふさわしいのかということを我々は厳しくただしていかなければいけないと思います。

 ありがとうございます。御退席いただいて結構でございます。

 済みません、高市大臣、お待たせしまして申し訳ありません。残り少なくなりましたけれども、残った時間で、重要土地規制の問題、議論をさせていただきたいというふうに思います。

 私、八月に長崎県の対馬に行ってまいりました。この内閣委員会の派遣に入れていただきまして、やはり現場を見ることは大事だなと改めて思いました。というのが、東京でメディア等で聞くのとは違って、率直に言うと、拍子抜けをしたという感想もございました。

 やはり、聞いていますと、自衛隊施設が韓国のホテルに周りを囲まれて本当に大変だというふうなところで聞いておったところが、確かに宿泊施設はありましたけれども、平家や二階建ての、民宿というのがふさわしいような表現だと思いますし、そもそもコロナ禍で営業していなかったということもございました。

 もちろん、そこで働いている自衛隊の皆さんからしたら、目の前で外国人の観光客が昼間からバーベキューしているというふうな景色が好ましいかどうかといえば、気持ちはうれしくないとは思います。ただ、それがいわゆる国防上の、安全保障上の危機かというと、事はそう単純ではないんだろうと私は思いました。

 やはり、こうした安全保障の問題というのは、必要以上に脅威をあおって強い規制をつくるということは決して好ましくない。なぜならば、そうした強過ぎる規制というものは、国民に不安を招き、国民生活に不便をもたらし、政府に対する不信を招くからでございます。結果的に、規制の信頼性、実効性を損なうことにもなりかねない。なので、冷静な議論を通じて必要十分な規制をつくっていくということが大事で、だからこそ、我々国会によるチェックが大事だということを改めて思った次第でございます。

 そこで、今回、十月に第一弾の注視区域の指定が出てまいりました。特別注視区域と注視区域ですね、十月に出てまいりまして、これをお伺いしていきたいのでございますけれども、今回、五十八か所の区域を指定すると。一覧表、お手元、資料二でおつけしておりますけれども、まず、ぱっと見て思うのが、地域的な偏りが非常に大きいなということでございます。

 もちろん対馬が入っているわけなのでございますが、入っていない場所、沖縄、全く入っていないのでございます。なぜ除外したのかということを聞きましたらば、要は準備が整った場所から指定します、こういう説明をされているわけなのでございますけれども、政府参考人にお聞きいたします。

 初回の区域指定の考え方ということの中に、準備が整った地域と書いていらっしゃいますけれども、では、逆に、整わなかった準備とは何を指していますか。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 準備の具体的な内容でございますけれども、実際に区域の指定を進めるに当たりましては、個別の施設や離島ごとに、次のような準備を行っております。

 まず、指定の事由、法や基本方針に対する要件の該当性の評価、次に、重要施設の敷地や国境離島等の区域の範囲の精査、三つ目といたしまして、区域の外縁についての詳細な検討、四つ目といたしまして、区域の内側の土地や建物の所在についての確認、公図の確認といったようなことをやらせていただいております。

 これらの準備に要する期間は施設や離島ごとに異なりまして、作業量も膨大でございますので、準備が整ったものから実施するというふうに御説明させていただいたところでございます。

山岸委員 敷地の範囲の確定なんというのは事務的にできる話であって、それが間に合わないというのは私は理由にならないと思いますよ。単に、やはりこれは地元の反対が少なくてやりやすいところから始めたという、そういうことじゃないんでしょうか。やはり、安全保障上と言いながら、実務的にやりやすいところから指定していくということで本当に法の役割が果たせるのかなと。恣意的、便宜的な選び方は決して好ましくないというふうに思います。

 そこで、これから第二弾、第三弾と追加していくのか、いかないのか、現時点、分からないわけなのでございますけれども、あるいは当面これで打ち止めということもあるのかどうか。政府参考人、第二弾以降の区域指定の見通しに関して教えてください。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問でございますけれども、第一回目の区域指定の終了後、鋭意検討を進め、準備が整ったものから順次区域の指定を行っていく所存でございます。

山岸委員 だから、それが年度内なのかとか来年なのかとか、日程の見通しを説明してください。

三貝政府参考人 第一回目の区域の指定でございますけれども、現在、年度内での区域の指定を目指しておるところでございます。この区域の指定終了後、鋭意検討を進め、準備が整ったものから順次指定をしていく所存でございます。

山岸委員 そうすると、じゃ、今回示した五十八の候補地以降の第二弾、第三弾については、当面は行わないということですか。

三貝政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、第一回目の区域の指定が終了いたしましたら、鋭意検討を進めまして、準備が整ったものから順次指定をさせていただきたいと存じます。

山岸委員 ちょっと曖昧な説明だな。こういう個人の土地所有、財産権に関わる非常に大きな制約を課す法律でありながら、その運用の見通しが示されないというのは非常に疑問がございますけれども、その上で是非一点お聞きしたいのが、人口密集地に関する指定でございます。

 人口密集地に関しては、基本方針の中で、「指定しないことがある。」という説明になっていて、実際、今回、第一弾からは外れております。私の地元練馬にも大きな駐屯地が二つありまして、地元では不安の声というものもあるわけでございます。

 今後どうなるのかということなんですね。第二弾、第三弾で追加されていくことがあるのか。それとも、人口密集地については当面はやらないということなのか。やはり、地域をいつまでも不安定な状況に置いていくのは決して好ましくないと思います。

 これは、基本方針で、やらないことがあると書いてあるだけなので、やるかやらないかは政治判断になりますから、高市大臣から御答弁をお願いしたいんですが、やらないならもう当面やらないというふうに明言いただきたいと思います。人口密集地、人口集中地区に関しては今後も指定しないかどうか、この見通しを教えてください。

高市国務大臣 今委員おっしゃっていただいたとおり、基本方針には、「指定しないことがある。」という表現でございます。周囲に人口集中地区が形成されている施設等についても、法の要件や基本方針の内容に照らして評価を進めてまいります。

 だから、指定される場合もあるということでございます。

山岸委員 指定される場合もあるということでございました。是非、そこは丁寧な手続でもって進めていただきたいと思います。

 ちょっと時間が迫っておりますから、はしょってまいりますけれども、次に、調査。これから重要注視区域を調査していくという、その具体的な進め方に関してなのでございますけれども、やはり、具体的な調査になりますと、当然、防衛省・自衛隊と連携をしていくということが実務的には欠かせなくなってくる。しかし、一方で、私は、自衛隊との連携に関しては、相当慎重な検討が必要じゃないかなと思っております。

 先ほど、対馬の分屯地の話を申し上げましたけれども、本当に必要最小限の人数で警戒監視任務に当たっていらっしゃる。こうした現場の皆さんが周辺の調査をするということは、二つの意味で考えられない。現場の負担という意味でも考えられないし、地域の皆さんからしても、制服組の皆さんが地図を持って、双眼鏡を持って町を歩いているというのは、やはりそれは不安を招く話であって、いずれの意味からもあってはならないと思いますので。

 ここは高市大臣にお伺いしたいのでございますが、様々な観点から、自衛隊に調査の協力を求めることは抑制的であるべきと思いますけれども、大臣の見解を伺います。

高市国務大臣 九月十六日に閣議決定されました基本方針においても示しておりますが、重要土地等調査法に基づく土地等利用状況調査は、内閣府において一元的に実施するということにいたしております。

 現地調査につきまして、防衛省などの重要施設などを所管する関係行政機関に関して、例えば現地の地理案内ですとか移動手段の提供などの御協力を要請することはございますが、あくまでも調査を行うのは内閣府でございます。

山岸委員 あくまで道案内ということでございました。それは是非、抑制的な運用をお願いしたいというふうに思います。

 最後のテーマでありますパブコメに関してでございます。

 やはり、具体的な地域の指定に際して、今回、パブコメを取らないという運用になっている。どういうことかというと、つまり、お住まいの方、土地をお持ちの方からすれば、自分の土地が対象にひっかかるかどうかということは決まるまで分からないんですね。決定して、官報に告示されて初めて何丁目何番地ということが分かる、分かったときにはもう手遅れで意見も言えない、こういう運用になっているわけでございます。

 パブコメの実施をしない理由は、政府参考人、手短にお願いします、なぜ行わないのか。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 注視区域や特別注視区域の指定につきましては、行政手続法の定めるパブリックコメントの適用除外規定に該当する行為であると考えられるため、パブリックコメントの対象とすることは考えておりません。

山岸委員 行政手続法の対象外ということなのでございますが、区域の指定というのは確かに対象外になっているんですが、実施をしているケースもあります。例えば国立公園、環境省は国立公園のエリアを広めたり狭めたり結構頻繁にやっているのでございますけれども、毎回パブコメをかけております。地域や近隣の方にきちんと説明するというためにパブコメがやはり有効だというふうな判断でございます。

 実際に、法令には適用除外だけれども任意でやっていますというパブコメ、私、総務省に聞きましたらば、相当数あるのでございますね。もう時間がないから答弁はいただきませんけれども、法令に基づくパブコメは約一千件。一方で、任意のパブコメは五百数十件ある。すなわち、今、パブコメ全体の三分の一は任意でやっているということなんですね。

 だから、法令上の義務じゃありませんということはやらない理由にならないわけでございまして、これは是非、高市大臣にお伺いしたいのでございます、これも政治判断になりますから。

 区域指定に際して、私はパブコメを行うべきだと思います。今回、第一弾は離島が多いから確かに関係人口は少ないですけれども、これから本土の基地まで広げていくというときに利害関係者が大変出てまいりますので、こうした幅広い皆さんの理解を得るために区域指定のパブコメを行うべきではありませんか。

高市国務大臣 この重要土地調査法に基づく区域指定は、我が国の安全保障のための措置でございます。ですから、土地等利用状況審議会の御意見を聞いた上で、国が責任を持って判断し、実施すべきだと考えております。

 ですから、この審議会の御意見も聞きますし、それからまた、区域指定に先立ち、地理的状況などの地域の状況を把握することも重要ですから、関係地方公共団体の御意見も伺います。また、住民や事業者の方から個別のお問合せがありましたら、コールセンターも設置いたします。

 区域指定をパブリックコメントの対象とするということは考えておりません。

山岸委員 二言目には皆さん安全保障とおっしゃるのでございますが、お住まいの方にとっては、自分の所有地の大きな権利の制約をもたらすという意味では、安全保障のためだろうが、国立公園の環境保護のためだろうが、これは変わりがないわけでございまして、もう時間だから終わりますけれども、やはり大きな不利益変更をもたらす以上、しっかりと前もってパブコメを取って意見を聞くということが必要であるということは重ねてお願いをして、終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、委員の皆さんにお願いを申し上げます。時間厳守で委員会の審議に御協力をいただきたいと思います。

 質疑を続行いたします。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党、千葉八区、柏市、我孫子市です。本庄知史と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、まず統一教会の問題から入りたいと思います。

 松野長官にお伺いしたいと思います。

 二〇一五年の八月に、下村大臣が、統一教会から世界平和統一家庭連合への名称変更を行う際の大臣でした。その後、馳大臣を挟んで、二〇一六年八月から一年間、松野長官は文科大臣に就任されています。当時、担当の大臣として、この旧統一教会の問題についてどのような御認識、あるいは御対応があったのでしょうか。御答弁をお願いします。

松野国務大臣 本庄先生にお答えをさせていただきます。

 旧統一教会については、同教会が文部大臣の所管となった平成八年以降、文部科学省は、旧統一教会の任意の協力を得て聴取を行い、民事裁判の確定判決で指摘されている状況の解消などを重ねて強く求めてきたところであります。

 私が文部科学大臣であった当時、旧統一教会から宗教法人法に基づく申請等はなく、特段の対応を要するようなことはありませんでしたが、また、当時、国と旧統一教会を被告とした訴訟が提起をされており、文部科学省では、無用な誤解を避けるため、旧統一教会に対する聴取を中断をしていたと承知をしています。

 その上で、旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘をされていると承知をしており、このような状況を踏まえて、社会的に問題がある団体であると認識を持っています。

 いずれにせよ、政府としては、旧統一教会に関して、相談体制の強化等による被害者の救済、消費者契約等の法制度の見直し等による再発の防止、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権を通じた事実把握、実態解明、この三つについて並行して進める方針であり、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

本庄委員 今、文科大臣時代のお話について、非常に他人事のような御説明をされたと思います。

 この問題は、今に始まったことではなくて、もう何十年来とわたって行われてきた霊感商法あるいは高額寄附、こういった犯罪まがいの反社会的行為が行われてきた、そういう団体の問題です。

 歴代の文科大臣にも政治的な責任があると私は思います。今官房長官であるだけではなくて、この統一教会を所管していた大臣もしていた、その責任や自覚というものはお持ちでないんでしょうか。もう一度御答弁ください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 文部省当時、また文部科学省であった時代を通じて、先ほども申し上げましたとおり、旧統一教会の任意の協力の下、聴取を行って、民事裁判の確定判決で指摘されている状況の解消などを重ねて強く求めてきたところであります。

 その上において、先生から御指摘のあった問題に関しては、この問題は非常に憲法上の信教の自由等の問題もあり、その中において、従来の判断の下で、文部科学省として、そういった任意の聴取等を進めてきたということでございます。

本庄委員 その結果が今の状況だと思うんですね。

 官房長官として、今政府で様々な責任を果たされていると思いますが、今日午前中の御答弁を聞いていても、政府の政務三役ですらこの教団との関係について調べないと。これは、党と議員の関係とは違うんじゃないでしょうか。政府、公職、行政を預かるその責任者や副大臣、政務官の問題ですよ。これは、内閣を責任を持って管理している官房長官として、きちっと三役の調査をすべきだというふうに改めて申し上げておきたいと思います。

 これは会社だったら通用しませんよね。部長や課長が反社会団体と接点がありました、会社として調べません、部長、課長それぞれに聞いてください、考えられないことだと思います。私は、この世の中の常識に反している今の政府あるいは党の対応が、国民の理解を得られていない、その原因じゃないかと思っています。

 残念ながら、副大臣や政務官を一々この場にお呼びはしたくありません、しかし、政府として調べない、確認をしないということですから、やむを得ずお呼びをしております。

 木原副長官、今日午前中、推薦書をもらっていたということですが、まずその前に、確認書について、署名はないということでしたが、提示もなかったという理解でよろしいんでしょうか。

木原内閣官房副長官 午前中も御答弁をさせていただきましたが、御指摘の推薦確認書についてですが、事務所の資料、また事務所スタッフへの聞き取りなどで確認をさせていただきました。その結果、そうした事実は確認されませんでした。提示もなかった、このように理解をしております。

本庄委員 それでは、お認めになった推薦状、これは私もですし、皆様方もそうだと思いますが、団体が推薦状を出すというのは、かなりの関係、信頼関係だと思うんですね。

 先ほどの午前中の御答弁では、依頼はしていないが先方から推薦状が来たとありました。ふだんおつき合いのないところから来るんでしょうか、推薦状。あり得ないですよね。日常的に接点や交流があったと思わざるを得ません。

 この点について、シンポジウムとかイベントとかそういったもの以外で、例えば一緒に会食をしたとか、例えば一緒に後援会活動をしたとか、そういった接点、これまでなかったんでしょうか。

木原内閣官房副長官 午前中も申し上げましたが、毎回、選挙に当たりましては、二百五十近い推薦書というものを様々な団体から頂戴をしております。申し上げましたように、推薦依頼をしていただくもの、そして自主的にお持ちいただくもの、様々なものがございます。自主的にお持ちいただくものについて、それぞれどういう関係の中でいただいてきたかということは、それぞれ濃淡があるというふうに思ってございます。

 今御指摘いただいたような、会食とかそういったようなものはなかったということでございますが、地域の中でそうした活動をされている方々、それは、地域の中におられる方々とのおつき合いはあったということでございます。

本庄委員 地域の活動や支援者の中にたまたま旧統一教会の方がいらっしゃるということと、組織、団体として推薦状まで出すということは、全く次元の、話の違うことじゃないですかね。私は、それを一緒くたにしてもらっちゃ困るというふうに思います。

 そして、今、ないとおっしゃいましたけれども、それはもう確認されているんですね、きちっと。

 そして、推薦状が出たということは、我々の常識からいえばお礼をいたします、電話か手紙か、やり方はいろいろありますが。どういった対応を選挙の後されましたか。

木原内閣官房副長官 私の事務所では、事務所というか、選挙の際でありますけれども、推薦状をいただいた際には、そのいただいた時点でお礼状をお渡しをしているというふうに理解をしております。そういう運用をしております。

本庄委員 それは、木原副長官のお名前でお礼状ですか。

木原内閣官房副長官 通常は選対本部長の名前でお渡しをしている、こういうことでございます。したがいまして、私の名前ではございません。

本庄委員 旧統一教会関連団体に出された推薦状に対するお礼、是非、資料としてこの委員会に提出をお願いしたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

大西委員長 後刻、理事会で相談します。

本庄委員 その上で、もう一つおっしゃっていました。選挙は政党の支部が取り仕切ってきた、したがって、選挙中の協力について自分は関知しないと。

 あり得ないと思うんですよね。木原さんを公認している政党の支部の活動、そして対外的なつき合い、把握されていないんですか。もう一度御答弁ください。

木原内閣官房副長官 私、午前中、関知していないということは申し上げたことはなかったと思います。

 私が申し上げましたことは、私の選挙につきましては、自民党の地区支部の女性部そして青年部の皆様に、電話がけやポスター貼りやビラ貼り、また選挙カーの運用など、全てお任せをしているということを申し上げただけでございまして、その他のことについて関与していない、あるいは関知していないということは申し上げていない、このように思っております。

本庄委員 それでは、その政党支部あるいは団体から、旧統一教会あるいは関連団体に対して、選挙に際し、何らかの依頼、要請等されているんでしょうか、されていないんでしょうか。御存じですか。お答えください。

木原内閣官房副長官 先ほども申し上げましたように、私の選挙活動につきましては、政党支部の女性部、青年部で活動を全てやっていただいております。その他のところに何か支援等をお願いをするということはないと承知をしております。

本庄委員 木原さんの選挙運動は、青年部、女性部だけでやっているんですか。ちょっと私よく分からないんですが、もっと幅広い組織あるいは人たちがお支えになっているからこそ、今の副長官というお立場もあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、今、女性部、青年部だけですけれども、その支部全体の活動について、一切、そういった統一教会関係の団体への依頼はしていない、そして選挙においての協力も得ていない、こういうことでよろしいんですか。

木原内閣官房副長官 明確に申し上げますが、そうした関連団体等に選挙活動の支援をお願いしたことはございません。

 そして、支部だけでやっているのかと言われれば、それは、私の秘書、秘書団は全力で手伝ってくれております。私、木原誠二事務所と、そして政党支部で選挙活動をさせていただいている、こういうことでございます。

本庄委員 今、政党支部ではなくて木原事務所というものも出てきたと思うんですが、選挙ですから、政党支部と自らの事務所と一体だと思います。例えば、選挙においての動員、一切依頼されていない、よろしいですか。

木原内閣官房副長官 はい、依頼をしたことはございません。

本庄委員 それでは一応確認させていただきますが、例えば陣中見舞い、電話がけ、選挙はがき、ポスター貼り、選挙の協力、活動、いろいろあるんですが、一切ないということでよろしいですか。

木原内閣官房副長官 私の場合、今いただいたもので申し上げれば、ポスター貼りは自民党の青年部に全てお願いをしてございます。それから、選挙はがきにつきましては自民党の市議団にほぼ全てお願いをしてございます。

 したがって、その他の皆さんに何かお願いをするということはない、こういうことでございます。

本庄委員 木原さん本人ではなくて、では、そのお願いされた市議団あるいは青年部の皆さん、そこからもお願いをしていないんですね。それは確認されたということでよろしいですか。

木原内閣官房副長官 市議団の皆さん、そして青年部の皆さんがどういうおつき合いをしているのかということを、私がつぶさに全部聞き取るということはなかなか難しい、このように思っておりますが、いずれにしても、むしろ、それぞれの地域の中でお願いをしながら選挙活動をし、支援の輪を広げていただいている、このように理解をしております。

本庄委員 その地域の中で、旧統一教会関連団体が組織的に動いているのではないかということを私はお伺いをしています。地域の中は当然ですね、木原さんの御地元の中の話ですから。選挙の推薦をもらっている、これは選挙のような活動においても協力があったという蓋然性はかなり高いと思うんですよね、普通に考えれば。

 私、いま一度きちっと確認してから答弁された方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

木原内閣官房副長官 これは党の調査において、選挙時のボランティア支援、また組織的な支援という項目がございました。したがいまして、その時点でしっかりと調査をし、そして私の事務所においても調べをし、そうした関係は、また依頼はしたことはないということは確認済みでございます。

 そして、もう一点申し上げますと、先ほど来申し上げていますように、二百五十に及ぶ推薦状等をいただいております。これは本部だけでありますので、それ以外の選挙の各地区地区を入れますれば、かなりの数の推薦状をいただいておりますが、その多くの団体において、選挙活動の支援そのものをいただくということは現実問題としてないというのが実態でございます。

 それは、私の選挙区が特殊なのかもしれませんが、少なくとも私の選挙区においては、そうした支援団体の多くの皆さんは、選挙活動そのものはされないというのがむしろ常識ではないかな、このように認識をしております。

本庄委員 一般的な団体と、こういったまさに人海戦術可能な団体と、選挙に対する協力の形は違うと思います。

 なお引き続き木原副長官にはきちっと質問を続けたいというふうに思いますが、時間にも限りがありますので、もう一人、磯崎官房副長官、済みません、お忙しいところ。政府が調べてくれないというもので、お呼びするしかありませんでした。

 磯崎副長官は、この旧統一教会あるいは関連団体とのこれまでの関係、接点はないと理解をしておりますが、その確認と、そして、今話題になっている推薦確認書、これを提示を受けたりあるいは署名をしたことがあるかないか、さらには、推薦状を受け取ったりしているか、パーティー券の購入はあるか、御答弁をいただきたいと思います。

磯崎内閣官房副長官 まず、この団体との接点でございますけれども、これは党の方で調査がございまして、その中でも答えたところでございますけれども、主催行事に一度出席をしたことがある、また、関連行事には、ピースロードという行事でございますが、三度出席をしたことがある。このことは党の方に報告をさせていただいております。

 それで、さらにということで、推薦確認書でございますけれども、これは提示をされたこともなく、署名したこともございません。

 また、パーティー券の購入につきましては、私自身、政治資金パーティーを開いたことがございませんので、販売の実績自体ないということでございます。

 また、推薦状につきましては、これも確認をしましたところ、今回、直近の選挙、今年の七月でございますが、このとき、そして前回、六年前の二〇一六年、二度とも推薦状はいただいておりません。

本庄委員 官房長官、お待たせしました。

 こうやって都度都度各委員会で聞いているのも、私はいかがなものかなと思うんですね。本来であれば、これはやはり政府できちっと調べていただきたいということを改めてお願いしたいと思います。

 その上で、先日の委員会で、厚生労働委員会ですかね、明らかになりましたけれども、大串デジタル副大臣、この推薦確認書に署名をしているということであります。

 この副大臣、大串さんは、デジタルの担当だけではありませんよね。消費者庁、そして今まさにやっているこの被害者の救済、こういった問題も担当されている副大臣なのではないでしょうか。私は、ちょっと担当者として不適任だと思うんですが、副大臣を交代した方がいいんじゃないでしょうか。いかがでしょう、長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 旧統一教会との関係については、大串副大臣から説明がされているものと承知をしております。

 あと、政府の政策決定に当たりましては、担当部局における検討、関係省庁との調整、有識者、専門家等との議論など、様々なプロセスを経て行っており、特定の団体により不当な影響を受けるようなことはないと考えております。

本庄委員 あるかないかの問題ではなくて、中立性、公平性に疑念が生じるような人を副大臣として置いておいていいのかということを私は申し上げています。

 今まさに、今まさにですね、与野党間では救済の法案を作って、そして政府の中でもこの救済についての検討をされていると思います。あるいは文科省の方でも、質問の聴取、こういった準備もされている。そのさなかに、関わっている政務の一人が、まさにこの当該団体から、推薦確認書に署名している。私は、ちょっと常識から余りにかけ離れているんじゃないかというふうに思うんです。

 もう一度答弁をお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げたことと重複をいたしますけれども、旧統一教会との関係に関しましては、大串副大臣本人が説明をされ、その上においても御指摘されるような点がございましたら、更に政治家としての説明責任を果たしていくということだと思いますし、今のポジションにおける責任に関しては適切に行われるものと認識をしております。

本庄委員 その認識が外れないことを私も心から期待をしたいと思います。

 統一教会ではありませんが、関連で、官房長官、お伺いをしたいと思います。

 今、文化庁の方でやっている旧統一教会に対する報告徴収、質問権行使、この準備についてですが、先日も文科大臣が、現在、文化庁宗務課では、八人の職員に加えて、文化庁、文科省内から応援として十六名を配置、計二十四名ということで、体制強化を図られているということですが、私、ちょっとこれだけじゃ十分じゃないんじゃないかというふうに思います。例えば法務省の関係者、警察の関係者、消費者庁の関係者、こういった幅広い知見のある職員、さらには外部の法曹関係者やジャーナリスト、こういういろいろな人の力をかりないと、この初めての大きな仕事に、私は、文科省、文化庁だけで取り組むのは大変なんじゃないかな、困難じゃないかなというふうに思います。

 審議会、有識者会議はありますが、ここも過半数が宗教関係者です。残りは学者さん。実務家もいないし、やはり幅広さに私は欠けていると思うんですね、検討体制に。

 これは本当に重要な質問になると思います。是非、もっと体制を強化して取り組んでいただきたいと思うんですが、これは文科大臣だけでは限界がありますよ、他省に対して協力を求めるのは。是非、官房長官、リーダーシップをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生から御指摘をいただきましたとおり、本件に適切に、スピード感を持って対応していくためには、更なる組織としての増強が必要だと思いますし、その中においては、法務省、警察庁と今先生からお話をいただきましたが、そういった部門も含めて必要だと今までの議論の中でもございまして、今、法務省、警察庁を始めとして、このチームの増強に向けて指示を出し、今進んでいるところでございます。

本庄委員 今名指しで挙げた省庁の関係者には申し訳ありませんが、是非、オール政府、オール霞が関で取り組んでいきたいと思います。

 あわせて、今、与野党で協議をしている議員立法についても、これは今、議員立法ですけれども、政府の後押しなくして前進は難しいですから、是非、この国会で成立をさせる、そのために政府の協力をお願いをしたいというふうに思います。

 さて、次のテーマ、総合経済対策について御質問をしたいと思います。

 後藤大臣にお伺いをしたいと思いますが、大変なときの大臣御就任で、もうこれは後藤さんじゃないと務まらないということだというふうに思います。私も、民主党の頃から先生を拝見してまいりましたので、その資質や見識はよく理解をしているつもりです。先日、岸田総理も記者会見で、任命の理由として、政治経験の豊富さ、説明能力の高さ、経済社会の変革に向けての情熱、この三点を挙げられました。

 私もそういう印象を持っておったんですが、水曜日の所信の御挨拶を聞いて、正直驚き、そして失望いたしました。僅か二行、山際さんの所信挨拶に追加をされたのみで、残りは一言一句同じ文章ですね。これは同じ話を二回聞かされた我々もうんざりですけれども、大臣、ちゃんと目を通されたんですか。御答弁をお願いします。

後藤国務大臣 今委員から御指摘のありました所信的挨拶でございますけれども、私自身としては、自分の意気込みをしっかりとつけ加えて述べさせていただいたというふうには思っております。

 また、所信的挨拶について、前大臣の発言を私自身、自分としてしっかり確認をいたしまして、政策に関する政府の基本的な方針として述べたところでございまして、こうした方針は数日の間に変わるものではないというふうには考えておるところでございます。

 ただ、いずれにしても、本庄委員から今御指摘をいただいたように、自分自身の経験や様々な関係者、有識者等の知恵を結集させる形で政策を練り上げて、しっかりと実行してまいりたいというふうに思っております。

 担当する数多くの重要政策にそれぞれ前向きに全力で取り組み、閣僚としての負託に応えてまいりたいと思います。

本庄委員 幾ら前大臣の後任だ、引継ぎだといっても、一言一句変わらない、まさにコピペですよね。完コピじゃないですか。どうかと思います。普通は少しぐらい手が入るものだと思います。

 今おっしゃった決意、この度、数多くの重要政策を担当することになりました、与えられた職務に全力で取り組み、閣僚としての責任を果たしてまいる所存です、この二行が、後藤大臣の全てが詰まっている、そういうことでしょうか。

 私はちょっと物足りないと思います、大臣の今までの御経験や能力からすれば、もっといろいろなことをお述べになることができたというふうに思いますし、非常に残念に思っています。くしくも、官僚が書いたものを読んでいますというふうに私は御答弁をされたというふうに理解をいたしました。

 官房長官、岸田内閣はこういうやり方なんですか。官僚が書いてきた作文をそのまま大臣が赤も入れずに読む、そういう内閣なんですか。御答弁をお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 後藤先生の所信表明に関するお話は今御本人からお話があったとおりでございますけれども、先生も長くこの世界において政策また行政に関わられてきたからこれはもう御案内のとおりでありますけれども、閣僚は、自分たちのチーム、その行政組織全体を率いながら、より効果的な施策を実行していくというのが閣僚の役目でございますから、当然のことながら、大臣御本人の思いはあります、政策もございます、加えて、スタッフとしての官僚からの様々な知見、意見等を総合的に勘案して、こういった所信表明を始めとした政策運営に当たるということかと考えております。

本庄委員 大変残念ですね。是非、答弁の中で大臣の決意やお考えをお聞きしていきたいというふうに思います。

 それでは、また先ほどの旧統一教会との関係について、大変申し訳ありませんが、大臣と副大臣と政務官にお伺いをします。

 旧統一教会との関係、接点、あったかなかったか。とりわけ、この推薦確認書について提示、署名があったかなかったか、そして選挙における推薦書を受けていたかどうか、そしてパーティー券、少額も含めて購入があったかどうか。これについて、大臣、副大臣、政務官、お答えをいただきたいと思います。

後藤国務大臣 私が知る限り、調査をしている限り、旧統一教会との関係はございません。

 お尋ねのありました、旧統一教会との間で推薦書、政策協定書等を交わしたこと、あるいはパーティー券を購入してもらったことはありません。

藤丸副大臣 旧統一教会との関係はありません。

 旧統一教会との関係で政策協定や推薦確認書、パーティー券を購入してもらったことはありません。また、当該団体等から、選挙支援を依頼したり、組織的支援等を受け入れたりはしたことはございません。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 旧統一教会関係の団体からは、先生が御指摘の要素も含め、特段の関係はございません。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 旧統一教会及び関連団体との関係はございません。

 また、先ほど本庄委員が御指摘ありました四点、推薦確認書の提示、署名、推薦状の受領、それから、少額も含めたパーティー券の購入、教会及び関連団体からの購入、それはありません。

河野国務大臣 統一教会とのおつき合いはございませんが、週刊誌で、十八年前に私の事務所から祝辞が一件出されているという御指摘はいただいております。

本庄委員 済みません、官房長官はここで。ありがとうございました。

 藤丸副大臣、済みません、推薦状を受けたこともないということでよろしいですか。(藤丸副大臣「ありません」と呼ぶ)はい、分かりました。

 経済対策が今日、閣議決定、これからですかね、されるかと思います。総額二十九兆円ということで、相変わらずの大盤振る舞いだなと思いますし、規模よりも私はスピード感をもっと重視すべきだったと思います。参議院選挙は七月に終わって、もう三か月、今ようやくこの対策が出てきているというこのスピード感のなさに驚くとともに、国会も十月の三日まで開いていなかったわけですから、その間、準備して、開会の召集日に、これで一日も早く成立させてくれといって出してくるのが私は本来の政府の今の在り方だと思います。危機感もスピード感も不十分だというふうに言わざるを得ません。

 その上で、一部報道ですが、元々二十五兆円の経済対策の規模が一晩で二十九兆円に上積みされたというふうに出ておりますが、これは事実ですか。

後藤国務大臣 経済対策の検討過程についてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、国民生活に高い効果のある具体的な政策を積み上げて、経済的な効果も勘案しまして、中身も規模も国民に納得していただけるような思い切った対策を決定したいと思います。

本庄委員 否定はされなかったというふうに思います。

 貴重な税金、しかも一千兆円を超える債務を抱える国が、たった一晩で、与党の意向で四兆円も上積みされるということがあったんだとすれば、私は非常に問題のある政策決定プロセスだというふうに思います。

 その上で、子育て支援十万円、これについて伺いたいと思うんですが、妊娠、出産、子育て支援十万円という話が出ておりますし、閣議決定もなされるんでしょう。この十万円の給付というのがどういう形でなされるのか。現金の給付、あるいはクーポン、やり方はいろいろあるというふうに思いますが、岸田総理も答弁では、自治体の判断で現金給付もオプションとして排除されないという答弁をされていて、これは、クーポンが基本で、希望すれば現金も可能、こういうことなのかなというふうに理解をしておりますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 今般、支援が手薄なゼロ歳から二歳までの低年齢期に焦点を当てまして、妊娠時から出産、子育てまでの身近な伴走型の相談支援と経済支援を合わせたパッケージとして充実をし、継続的に実施する体制を整えようということで、総合経済対策に盛り込むこととしているところでございます。

 伴走型の相談支援と組み合わせて実施する、その経済的支援の実施方法については、厚生労働省において、各自治体の判断により幅広く認める方向で検討しておりまして、クーポンのみでなく、現金給付もオプションとして排除されないものと承知をいたしております。

 いずれにしても、妊産婦、子育て世帯に効果的な支援が行き渡ることが重要であるというふうに考えています。

本庄委員 この議論、どこかで聞いた話だなと思いながら答弁を伺いました。

 去年、令和三年度の補正予算でも同じような議論があったことは恐らく皆さん、記憶に新しいんじゃないかと思います。当初、十万円の現金だという話から始まって、いやいや、それはばらまきだろうということで、半分の五万円をクーポンにしよう、こういうことになりました。しかし、やはり批判がやまず、結局、選択制ですよということになりました。

 この結果、各自治体がどういう選択をしたか。一千七百四十一市町村のうちクーポン券を選択したのは六団体ですね、六団体。率でいえば〇・三四%ですよ。基本的にはもう選択されなかったんですね。にもかかわらず、今回もまたクーポン、これをお考えになっているということですか。

 これはまた同じような結果になるんじゃないでしょうか。いかがですか、後藤大臣。

後藤国務大臣 そこのところは、各自治体において、最も効率的に、また自治体の状況に応じた手段を選んでいただければよいというふうに思っております。

本庄委員 自治体に任せた結果がこの六団体、〇・三四%ですから、もう結果は言わずとして見えているわけですね。

 そこで、河野大臣、お伺いをしたいと思います。

 私、クーポンにも利はあると思うんですね。使い道をある程度限定できる、地域を限定できる等々、いわゆる現金のばらまきとはまた違った点がある。ただ、他方で、やはり印刷代がかかるとか時間がかかるとか、こういったデメリットもあって、政策的にはどうか、こういう議論だというふうに思います。

 そこで、クーポンの欠点を補うやり方の一つとして、やはり電子化、電子クーポン、これは非常に大きいんじゃないのかなというふうに思います。

 実は、自治体の実例もある。残念ながら、東京都は似たようなことをやっていますが、最初にIDを紙で送るという意味において、私は、ちょっと電子クーポンの趣旨とそごがあるのかなというふうに思っているんですが、クーポンをもし取り入れるのであれば、やはり電子クーポン。これは、年配の人や子供と違って、現役世代の若い人が対象でしょうから、かなりなじむと思うんですね、本格的にやれば。

 いかがでしょう、この電子クーポン普及促進、もし政策として、現金給付ではなくてクーポンを取るということであれば、デジタル大臣として推進する気はありますか。

河野国務大臣 特定の給付についてではなく、今後、政府が行う政策に関して何か給付をするような場合、あるいは、これまで紙のクーポンを使っていたような政策をやる場合は、デジタル庁から各府省に対して、今後は、紙ではなく、電子的にデジタル技術を用いて政策を実行してほしいということをこれまで申し上げているところでございまして、今後とも、まずは電子で考える、電子でできるものをやってもらう、そういうことを強力に進めてまいりたいというふうに思っております。

 その際、事前にIDを紙で送ってしまうようなことがないように、いろいろなことは考えていかなければいけないと思いますが、少なくとも、まず、デジタルファーストで政策を実行に移していくということを、デジ庁としても各府省にしっかり申入れはしてまいりましたし、これからもやってまいりたいというふうに思っております。

本庄委員 是非その方針を徹底するとともに、自治体が選択するということであれば、その後押しを、財政面も含め、技術面も含め、是非、デジタル庁の方でしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 さて、電子化になじむのが子育てクーポンだとすれば、なじまないのが私は保険証だというふうに思います。もちろん、全部駄目だということではありません。選択を希望する人が選ぶ、これはいいのかもしれない。あるいは、時間をかけて丁寧にやる、これもいいのかもしれない。

 問題は、前倒しという期間の問題が一つ。そしてもう一つは、保険証との一体化、マイナンバーとの一体化を望まない人、あるいはできない人、こういう人に対するフォローというところだと思います。非常に、地元の皆さん含め、国民の皆さんは困惑をしていると思います。

 最後なので、一点だけ確認させてください。

 六月に閣議決定をした骨太方針に、一体化について書いてある。これはそのとおりです。ただし、そこには、加入者から申請があれば保険証が交付されるということで、選択すれば引き続き紙の保険証も認めるよということが書いてありました。これは完全廃止だと、つまり保険証を完全廃止ということであれば、私、この閣議決定に反していると思います。

 その点について、この間、どういった議論があって廃止することになったのか、完全廃止ということになったかも含めて、御答弁をお願いします。

河野国務大臣 マイナンバーカードの普及、利用の促進のために、まずは、どういうメリットがあるのか、それからどういう利用シーンが考えられるのか、あるいは国民の皆様が持っている不安や懸念についてどう応えるのか、そういうことをしっかりとやっていきたいというふうに思っておりまして、各省庁に対しても、利用シーンの拡大ということをお願いをしているわけでございます。

 国民の皆様の御理解をいただいて、二〇二四年秋までに保険証を廃止をし、マイナンバーカードと保険証の一体化をやってまいりたいというふうに思っております。

本庄委員 時間が来ました。終わりますが、答弁はなかったですね。閣議決定に書いてあった、申請があれば保険証は交付されるというこの例外がどこに消えてしまったのですかというのが私の質問です。これについてはなお問い続けていきます。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 早いもので、国会議員になりましてから、ちょうど今月で一年目となりました。今朝も地元中央林間の駅に立ってまいりましたが、今日の質問は、まさにこの間、地元で聞いてきた声を基にして各担当大臣の皆さんに質問したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。特に今日は、経済安全保障、そして要人警護、また、サイバーセキュリティー、国家安全保障戦略、国民への説明責任、このことをキーワードに質問させていただきたいと思っております。

 まず、その前に、旧統一教会との関係について、高市大臣そして谷大臣にお伺いしたいと思いますが、旧統一教会から推薦確認書を提示され、署名を求められた事実はあるか。各大臣、お答えいただけますか。お願いいたします。

高市国務大臣 ございません。

谷国務大臣 私も同様です。ございません。

太委員 はい、了解いたしました。

 さらに、それでは、各大臣に、大臣の責任において、副大臣と大臣政務官に対して、政策協定への署名の有無について確認してもらいたいんですが、これは同意いただけますでしょうか。お願いいたします。

高市国務大臣 今日の内閣委員会でも、副大臣、政務官、お答えしたと思いますが、ないと承知をいたしております。改めて確認が必要でしたら、そうさせていただきます。

谷国務大臣 私は、副大臣、政務官に直接確認はしておりませんが、もし必要であれば、今の高市大臣の答弁と同じように、確認させていただきたいと思います。

太委員 それでは、是非とも確認いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、高市大臣に、最近の御発言について幾つか確認させていただきたいと思います。

 まず、これは名古屋市内ですか、講演において、高市大臣の発言として、安倍元総理の国葬反対のSNS発信の八割が隣の大陸からだったという分析が出ている、そういった発言がされた可能性があると指摘されておりますが、これは大臣の御発言だったのかどうか、そこを教えてください。

高市国務大臣 今おっしゃったような発言、申し上げておりません。

太委員 はい、分かりました。では、発言なさっていないということで承知をいたしました。

 それで、これは大臣の発言とは関係ないです。それとの関係ということで、これは新聞報道でありました。今年の八月二十日でした、日経新聞。

 高市大臣も出馬された二〇二一年、昨年の自民党総裁選挙において、公安調査庁の元幹部が、証拠は見せられないとした上で、SNS上で党内対立をあおる投稿は中国発が多い、発信は北京時間の午前九時から午後五時の間が目立っている、組織的な関与を裏づけると語ったとされる、元公安調査庁の幹部の方の発言として新聞報道がありましたが、まさに日本の警察、公安、インテリジェンスというものが、まさに諸外国と比べても非常にこの調査権、強いのを持っています。

 そういった意味で、是非とも大臣には、発言されていないということなんですが、そういったことが報道されていることも含めて、改めて、大臣、一般論としてお答えいただきたいんですが、大臣が知り得る政府のインテリジェンス、機密な情報に関して、この扱いについてのお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 国家公務員法でも定められておりますけれども、職務上知り得た秘密は外に漏らしてはならない、これは退職をした後も適用されますので、これは大変重要なことだと思います。

 それから、政務三役も、各関係省から、例えば内閣府でしたら、説明を受けることがございます。私の場合も、関係省から説明があった場合、機密性の判こが押してあったり、まだ先に発表するようなことについて事前説明を受けた場合には、自分が持っていると怖いので、持って帰っていただくようにいたしております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 まさにそういった機密情報をこれからも適切に管理して対処いただきたいと思っておりますし、大臣今おっしゃいました、まさに職務上知り得た情報というのは外に出さないということなんですが、これは、先月、九月二十八日のプライムニュースに大臣が御出演なさったときに、セキュリティークリアランス制度に関する法案提出時期を問われた中で、これは大臣の発言です、私も見させていただきました。

 経済安保大臣に就任した日に言われたのは、中国という言葉を出さないでくれということと、来年、二〇二三年の通常国会にセキュリティークリアランスを入れた経済安保推進法を提出することは口が裂けても言わないでくれということを大臣が発言されているんですが、これはどなたに言われたのか、政府のどなたに言われたのか、総理なのか、そこをまず教えていただけますか。これは大臣の発言です。

高市国務大臣 今申し上げたことは、職務上知り得た秘密には当たらないと思います。

 就任した日に、総理に言われたのではなく、職員からそういうレクがございました。非常に短い時間で記者会見に臨まなければならなかった私に対しまして、まず、経済安全保障推進法、これは中国という特定の国を対象にしたものではないということ、それから、セキュリティークリアランスについては、私が大変自民党内でも経済安全保障対策本部長として前向きに発言をしておりましたので、提出時期について、来年ということはまだ言わないでほしいという説明はありました。

太委員 大臣、分かりました。総理ではなかったということですね。

 ですけれども、まさに、口が裂けても言わないでくれということをテレビで言うというのは、これは相当大きな、それこそ問題だと思いますので。しかも、これは一番問題なのは、こういった発言がどんどん出ていくと逆に中国に対して利することになりはしないかということも懸念されますので、是非とも、引き続き、まさにこの経済安全保障に関する所管の大変重要なポジションだと思っておりますので、そこは御発言を気をつけていただきたいと思っております。

 それで、今大臣が発言されましたセキュリティークリアランスのこの制度の、今、来年の通常国会ということをテレビでは発言されましたけれども、そうじゃないと。ですから、今、どういったタイムテーブルで進んでいるのか、そこを教えていただきたいということと、もう一つ、このクリアランスの、どういった領域、これを対象にしていくのか、そこも含めて、ちょっと御説明お願いいたします。

高市国務大臣 セキュリティークリアランスというのは、その事柄の性質上、その人に重要な情報を取り扱う資格を付与するというものでございますので、今、各所から御意見を伺っております。

 様々なパターンがやはりございます。例えば、官と官の共同研究であったり、官と民の共同研究であったり、民と民の共同研究であったり。それに従って様々なものが求められると思いますので、今、そういったことで検討を重ねていっている、非常に前向きに検討を重ねていっている段階でございます。

 今委員がおっしゃったように、まだ事業の、対象事業が決まっているとか、そういう段階にはございません。

太委員 分かりました。

 私たち立憲民主党も、このセキュリティークリアランス制度に関しては、今回の附帯決議、通常国会での附帯決議にも、この制度を創設するようにということで盛り込みましたし、まさにこれが経済安保の中で、大臣が指摘されたとおりで本当に肝の部分だと思っておりますので、そこは是非とも国会での審議をしっかりと、もちろん個人のプライバシーをしっかりと守っていく、この点も含めて議論を進めていただきたいと思っておりますので、引き続き、大臣のリーダーシップを期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 あともう一つ、セキュリティーの対象についてなんですが、今、一部から、中小企業の負担増しを配慮して、企業の規模に応じて対象を制限していくとか様々な見解がありますが、是非ともそこも、安全保障上しっかりと、我が国の情報をしっかりと、機微情報を守っていく、人材を守っていく、そういった視点で取り組んでいただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 高市大臣、ここまでということで、こちらで御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 次に、安倍元総理のあの事件を受けての要人警護の体制について、谷大臣に伺いたいと思います。

 まず、今回、改めまして、我が国の憲政史上最長となる内閣総理大臣として、我が国の発展に御尽力されたことに、安倍晋三元総理に改めての敬意を表します。

 その上で、やはり今回の問題というのは、参議院選挙の最中に、しかも白昼の衆人環視の下で、ああいった形で、元総理をしていた方が、テロに、まさに暴力行為に対して命を落としてしまう、このことにあると思っています。

 我が国の危機管理体制の在り方をもう一度見直さなきゃいけませんし、やはり民主主義の根幹、表現の自由をいかにして守っていくのか、そのことを今回のこの事件を通して私たちはしっかりと向き合ってやっていかなきゃいけないと思っておりますが、まず、今回の事件における警察庁の責任について、谷大臣、御見解をお聞かせください。お願いいたします。

谷国務大臣 安倍晋三元総理大臣が街頭演説中に銃撃を受けて亡くなられるという重大な結果を招いたことを極めて重く受け止めており、ざんきに堪えません。

 国家公安委員会の管理の下、警察庁において、このような事態の発生を防ぐことのできなかった要因を検証したところ、警護計画やその前提となる危険度評価に不備があること、現場指揮官の指揮が十分でなかったこと等、専ら都道府県警察の責任で警護を実施していた仕組みに限界が生じていたことが明らかになったところであります。

 そこで、国家公安委員会では、新たな警護要則を制定し、警護における警察庁の関与を抜本的に強化することとしました。情報の収集及び分析についても、警察庁が警護を的確に実施するために必要な情報の収集、分析及び整理を行い、その結果を都道府県警察に通報する仕組みを導入したところです。

 新たなこの警護要則に基づく措置を確実に講じるとともに、体制の強化、人員、予算も、そして装備資機材の充実等を図ることにより警護に万全を期するよう、警察庁を指導してまいりたいと思っております。

太委員 大臣が御就任されたのは、まさに事件の後ですので。ですけれども、大臣、先ほど、今朝の御発言の中で、八月二十三日に警察庁から報告書が出されました、そこの議論にも加わったということで、大臣、よろしいでしょうか、これは。確認です。

谷国務大臣 事件が起きたのが七月八日で、直ちに警察庁次長をヘッドとして検証チームを立てました。その当時の国家公安委員長は二之湯大臣でございました。その後、八月十日に私が替わり、何回ですか、私だけでも六回か七回しました。相当熱心な議論を積み重ねた最終的に、御指摘の、八月二十三日ですか、それがまとまったというところでございます。

太委員 大臣、了解いたしました。まさに大臣も議論に加わられている中での今回の報告書だったというふうに理解しました。

 今回の報告書の中で、警察庁は、適切な対応があれば結果を阻止できた可能性が高かったということで報告書を出されております。

 それで、大臣御指摘ありました、三十年ぶりに、まさに、警護に関する内規、警護要則を見直しをしていくということで対処されたと思っております。

 それで、大臣、先ほどありました、警察庁と、あと各県警、都道府県警との連携を今回の見直しの中で強化していこうということを明記されたということでしたが、ですけれども、大臣、見直し前の警護要則でも、警察庁と都道府県警が警護情報の収集と分析を行い、それによって導き出されたリスク評価から警護計画を構築し、その計画に基づいて現場の警護計画を実行するという流れが、これはもう定められていました。

 ですから、確かに、見直し、大臣も加わられて進められた、それは分かりましたが、一方で、何が足りなかったのか。実際、前の時点から規則に書かれてあったんですよ。そこは大臣、どのように評価されているのか、そこを教えてください。お願いいたします。

谷国務大臣 まず、先ほど八月二十三日に報告と申しましたけれども、八月二十五日であったかと思います。

 その上で、前の警護要則にあったのではないかという御指摘でございます。

 確かにございますが、それは、都道府県警察本部長が必要な情報収集及び分析に努めなければならないということで、警察庁の関与がもう一つ不明確というか、そう明示していなかった。ですから、それを、警護における警察庁の関与を抜本的に強化した、そして、情報の収集及び分析等についても、警察庁が警察庁自らの様々な情報の収集、分析及び整理を都道府県警察に通報する仕組みを新たに導入した、そういうことでございます。

太委員 大臣の御説明、前からもあったということで、やはりこの問題、紙に、要則にどう書いたかということよりも、実際にそれをしっかりと実践できるかだと思っております。

 私ども、今回の事件を受けていろいろと勉強させていただく中で、「政治と暴力」、これは最近出された本です、日本大学の福田充先生、まさに危機管理の我が国の第一人者だと思っておりますが、福田先生からもちょっといろいろとお話を聞かせていただきました。福田先生がおっしゃっていたのは、やはり警護自体の緊張感が足りなかったんじゃないかということと、幾ら紙に書かれても、それが実践できなかったら意味がないということだと思っておりますので、そこをもう一度、この点、しっかりと認識を持っていただいて、この警護体制強化に向けて進めていただきたいと思っております。

 それともう一つ、コストに関して。

 警護見直しと、あと、先ほど維新の岩谷議員の質問にも答えられていましたが、予算も増やした、例年の二十倍ですか、あと人員も増やしたということなんですが、これで大臣、今、体制強化に向けて対策は十分なのかどうか、そこを、大臣の御見解をお聞かせください。

谷国務大臣 御指摘のように、新たな警護要則に基づきまして、その体制強化、また資機材等の充実に努め、その体制強化の一環として、来週十一月一日付で警察庁に警護第二課を新設し、警護を担当する体制を大幅に拡張することとしております。

 ただ、これで十分かと言われますと、私は防災担当大臣でもあるんですけれども、防災と一緒で、整備充実に努めればそれで十分とは言えないと思います。常に新たな事態も起こり得ますし、また、そういう検証といいますか、そういう気持ちで常に充実強化を引き続き休むことなく図っていくことが重要だと思っております。

    〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕

太委員 大臣おっしゃるとおりで、これで十分ということはないと思います。

 一方で、もちろん、予算も限られている中でありますので、そこは是非ともできる限りの努力をしていただきたいですし、やはり、我が国の危機管理の弱点というか特徴として、なるべくコストをかけずに、現状の仕組みを余り変えないで乗り切ろうという危機管理が多い、これはよく指摘されます。ですので、今回のことをきっかけとして、是非とも、コストがかかっても要人警護の在り方を抜本的に見直していくということで、是非ともこの点。

 ただ、大臣も今日午前中おっしゃっていました。治安を守ることと同時に、要人をしっかりと警護することと同時に、今回の教訓というのはまさに民主主義をしっかりと守っていくということにつながると思っていますので、そこを是非とも、引き続きの大臣の取組をお願いいたします。

 やはり圧倒的に、アメリカ、またフランス、また隣の韓国に比べても、我が国の要人警護、人数でも韓国の半分以下です、三分の一以下です、人口は半分以下なのに、韓国は。あと、この予算規模、まだまだ、私はかけるべきところはしっかりとかけていくということを取り組んでいただきたいと思っております。

 その中で、今回の反省点として、訓練の在り方についても今日質問させていただきたいと思いますが、これは通告しております。実弾を用いた警護訓練の実施状況について、御説明をお願いいたします。

原(和)政府参考人 お答えを申し上げます。

 警察におきましては、これまでも、各種の教養訓練におきまして実弾等を用いた射撃訓練を行ってきたところでございます。今後は、今般の警護の見直しを踏まえまして、銃声のみならず不審な物音を感知した際の瞬時の回避措置を含む高度な教養訓練を行うことといたしております。

太委員 ありがとうございます。実弾演習をなさってきたということで、了解いたしました。

 是非とも、今回、本当に反省すべき点として、一発目の銃撃をされてから二発目までの間に三秒間の余裕があった。これは多くの皆さんが、あの映像を見られながら、あの間何かできなかったかという方が本当に多くいらっしゃるかと思います。

 例えば、これは三十年前です、一九八一年でした。アメリカのレーガン大統領暗殺未遂事件がありました。あのときは、あれは六発撃たれていました、一発目と六発目までの間が一・八秒、その間に、まさに隣にいたSPが体を張って大統領を守ったというのがあったんですが、もちろん、今回の件で、捨て身でとかそういった話じゃなく、もう少し対策できたはずだということで、ふだんからも是非ともこの実践を、実弾を含めたそういった取組も重ねていただきたいというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それで、次、お伺いさせていただきます。

 事件発生直後に、国家公安委員長、そして警察庁長官による会見がすぐに開かれなかったその理由について、御説明をお願いいたします。

谷国務大臣 直後に、国家公安委員会委員長、当時は二之湯大臣でございましたが、又は警察庁長官による会見が開かれなかったという御指摘はございました。

 ただ、事件は七月八日でございました。その事件発生後、警察庁では、事実関係を把握するとともに、警護についての検証及び警護の見直しのための体制を検討していたところ、国家公安委員会においてこれらについて報告を受けるため、七月十二日に臨時委員会を開催することとされました。事件が七月八日、臨時委員会が七月十二日です。当時の二之湯国家公安委員会委員長は、この日に、この臨時委員会の開催に先立ち会見を行い、また、この臨時委員会終了後にも会見を行い、その臨時委員会終了後の会見に当時の警察庁長官も陪席しているところでございます。

太委員 大臣、その理由を聞きたかった。まあ、理由は、検証していたということで、警護見直しのための体制についての検討を進めていたということですね。失礼いたしました。

 それで、やはりこれは遅かったと思います。県警本部の県警本部長が記者会見を行ったのが翌日、七月九日。今大臣がおっしゃったように、国家公安委員長と警察庁長官は四日後です、七月十二日。これはちょっと遅過ぎると思います。

 確かに、いろいろな状況を把握してからというのはあるかもしれないんですが、情報を明かせないこともあるかもしれない。ですけれども、その時点で知り得た情報でしっかりと組織のトップとして説明できなかったことを、これは残念ながら、この検証報告書にもこの点全く記載されていないんですが、これはやはり私は問題だったと思っております。

 三木武夫総理が銃撃された事件のときは、その四時間後に国家公安委員長が記者会見をちゃんと開いています。やはりリスクコミュニケーション、まさに民主主義国家において、これも危機管理の専門家が言っています、やはり、国民としっかりとした情報共有をしていく、そういうことを通して安心感を持ってもらう。そのためにも、やはりこの記者会見の問題、相当問題だったと思っておりますので、どうか大臣、この点、引き続きの検証をしていただきたい、それで改善していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そして、この間、私はずっと、警護体制をしっかりと強化していこうということをお伝えしましたが、やはり、警護を強化することによって、残念ながら個人の自由とか人権とかというのが侵害されることになってきますが、その点に関しての、大臣、もし何かコメント、御見解がありましたらお聞かせください。お願いいたします。

谷国務大臣 テロ対策は必要だ、しかしそれは、強化されることで自由や人権の価値が損なわれる、そういう懸念が指摘されているがどうかということかと思います。

 警察においては、公共の安全と秩序の維持という責務を果たすため、様々な活動を確かに行っています。しかし、警察活動の基となる警察法の第二条では、「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」と今の現行の警察法は明記されております。そういうことがないように、しっかりと警察庁を指導してまいりたいと思います。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 是非とも、私もそのバランスもやはり大事だと思っておりますので、国民の皆さんに安心、安全をしっかりと抱いていただくことと同時に、警備体制の強化と同時に、やはり個人のプライバシー、自由も、そことの兼ね合いをしっかりと見据えながら、アメリカ型というか欧米型の監視社会に余りにも深入りし過ぎると、そのバランスというのがやはり我が国としては大事だと思っておりますので、そこをバランスを取りながら、引き続きの大臣のリーダーシップで、民主主義を、そして治安を守るための警護体制を確立していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。大臣、どうもありがとうございました。あっ、まだありましたね、次の質問。失礼いたしました。

 次に、サイバーセキュリティーに関して質問させていただきます。

 今回のウクライナ戦争でも明らかです。ハイブリッド戦争となる中、やはり、サイバー空間における我が国の法整備とそして防衛環境の整備、これは本当に相当に遅れているのが現状だと思っております。

 九月の十三日、これは読売新聞に報道がありました。サイバー空間を常時巡回監視し、安全保障の脅威となり得る通信、挙動を早期に探知して、攻撃元のデータやファイルなどを無力化する対抗措置を取るようにすること、つまり、反撃的な意味合いを含んだ積極的なサイバー防御、アクティブサイバーディフェンスを国家安全保障戦略に盛り込む方針で検討に入ったというふうに報道されているんですが、サイバーセキュリティー担当大臣として、大臣、これは、この報道のとおりですか、もう既に検討に入っているということでよろしいかどうか、教えてください。

谷国務大臣 委員御指摘のとおり、昨今の様々な反省を踏まえますと、いわゆる官だけ、政府機関だけではなくて、民間の様々なものがサイバー攻撃の標的になっているところであり、サイバー空間における脅威は間違いなく高まっていると認識しております。

 積極的サイバー防御について御指摘がございました。新聞報道にあるのではないか、あったのではないかという御指摘でございますが、サイバー分野をこれからどうしていくかということにつきましては、新たな国家安全保障戦略等の策定のプロセスの中であらゆる選択肢を排除せずに検討しているところであり、現時点で結論について予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、サイバーセキュリティー担当大臣として、サイバー分野の安全保障政策の強化について、政府内の議論をしっかりと進めてまいりたいと思います。

太委員 大臣、了解いたしました。

 それでは、現在検討しているということで了解しましたが、大臣今おっしゃったのは、結論について予断を持ってお答えすることはできないということなんですが、私、結論じゃないんです、今の検討状況を教えていただきたいということで、御回答をお願いいたします。再度。

谷国務大臣 検討していると明確にお答えしたわけではありません。あらゆる選択肢を排除せずに検討しているということでございまして、国家安全保障戦略等の策定のプロセスの中で幅広く、幅広く、いろいろなやり方がある、そういう選択肢、これは駄目だとあらかじめ排除することなく、幅広に検討しているということでございます。

太委員 これはいつまでに検討するんでしょうか、教えてください。

谷国務大臣 国家安全保障戦略等の策定については、私、全体として所管しているわけではございませんので、私からはいつまでということをお答えすることはちょっとできかねるところでございます。

太委員 大臣、サイバーセキュリティーに関して、先ほど言いましたアクティブサイバーディフェンスも含めて、それの結論じゃなくて、検討しているということ、そこも含めて、サイバーセキュリティーに関して、その結論はいつ出す予定なんですか、そこを教えてほしいです。全体の話ではなく。全体のことは後で、この後、官房長官に伺いますので。

谷国務大臣 全体のことではなくてサイバーセキュリティーのことだという問いでございますが、全体の策定のプロセスの中でこの問題を検討しているということで、サイバーセキュリティー分野だけについて、ちょっといつまでということは、まだ私の方からはお答えをすることを差し控えさせていただきたいと思います。政府内の議論をしっかりと進めていきたいと思います。

太委員 それでは、松野官房長官に、教えていただけますでしょうか。

 今まさに、国家安全保障戦略、官房長官を中心にまとめられていると思うんですが、その検討状況を教えてください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 二〇一三年に我が国初の国家安全保障戦略が策定されてから約九年が経過をしております。その間、世界のパワーバランスが変化をするとともに、我が国周辺における軍備の増強の加速、経済安全保障、宇宙、サイバーといった新しい脅威の増大など、安全保障環境に大きな変化が生じております。こうした中で、政府としては、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定することとしており、現在議論を行っているところであります。

 新たな国家安全保障戦略等の策定に当たっては、国民を守るために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速し、我が国の防衛力の抜本的な強化に取り組んでいくということでございまして、先生御指摘のサイバーセキュリティーの問題もこの中に含めて議論されていくということでございます。

太委員 私は、この問題、ずっと安全保障委員会でも質問してきました。この三文書改定、これは一年前から言っていて、ずっと、あらゆる選択肢を、可能性を探っていくということで、総理を始め各大臣、防衛大臣、外務大臣も言っていますが、大臣、あと二か月しかないんです。

 国会でなぜ審議をしないのか。余りにもこれは国会軽視だと思っておりますが、大臣、ちょっと本当に、私の時間、もうないんですが。あと二か月。とにかく、今、与党の協議がスタートしているというのは承知しています。有識者会合もしています。ただ、なぜ国会で議論がないのか。

 その点、してほしいということに対して、長官の御返答をお願いいたします。

    〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現状については、先ほど申し上げたとおり、また谷大臣から答弁をさせていただきましたけれども、今後は、国会における質疑にお答えする形で政府として様々説明をさせていただくという考えでございます。

太委員 大臣、確かにこれまでそんなやり方、ずっとそうだったと思うんですよ。ですけれども、これって本当に国会軽視じゃないですか。国民の議論が全くない中でやるというのは、これはやはりおかしいです。

 そういった中で、アメリカとはいろいろ話したり、あるいは今朝も、これは読売新聞も、あるいは日経新聞も、一面、トマホーク購入に向けて動いていると。

 私は別に、今回のアクティブサイバーディフェンスにしても、そういったことを反対しているんじゃなく、今こそ議論が必要なのになぜしないのか。それはやはりおかしいと思いますので、そこを是非とも、これは今からでも議論をして、しっかりとした国民的な支持と理解がなければ、国防は、これは守れないですから。

 長官、どうかこの点、時間が限られていますし、政府のやり方、これはやはりおかしいですよ。ちょっと国民、国会の議論がなさ過ぎですので、何とか変更していただきたいと思っていますので、引き続き私、これは指摘していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

大西委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。今日はありがとうございます。

 まず、旧統一教会との関係性について、大臣、副大臣にお伺いをいたします。

 午前中より様々議論がありました。

 まず、推薦確認書の提示があったのか、そしてそれに対してサインをしているのか、そして推薦状を受け取ったことがあるのか、そして少額の寄附を受けたことがあるのかということを、谷大臣と後藤大臣はもう既に御答弁が終わっていますので、その他の大臣、副大臣、政務官に御答弁をお願いいたします。

小倉国務大臣 ちょっと明確な質問通告が私に対してありませんでしたけれども、お答えをさせていただきます。

 まず、推薦確認書については、私も報道で存在を知ったぐらいですから、署名したことはございません。あとは、お金のやり取りでしょうか。お金のやり取りもしたことはございません。

 以上です。

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたような、また報道もされておりますような政策協定とか推薦確認書ですか、こうした接点は一切ございません。提示を受けたこともございませんし、署名をしたこともありません。また、推薦状を受け取ったということも私はございません。また、少額の寄附とおっしゃいましたけれども、そうした寄附等の支援を受けたことはございません。

 以上であります。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 推薦書、それから政策協定等々の事実はございません。提示を受けたことも、お誘いを受けたこともございません。また、お金のやり取りに関してもございません。

 以上です。

自見大臣政務官 推薦確認の提示、推薦状、寄附、いずれもございません。(稲富委員「パーティー券、寄附」と呼ぶ)パーティー券の購入も、いずれもございません。

稲富委員 ありがとうございます。

 本来であれば、これは内閣として調べれば済む話だと思います。

 副大臣、政務官、これで結構です。ありがとうございます。

 それで、後藤大臣にまず御質問させていただければと思います。

 先ほど我が党の同僚からもありましたように、今日、恐らく、総合経済対策の発表かと思います。

 それで、所信が前の大臣と同じじゃないかということの御指摘があった。私も、ここにいて聞いていまして、ちょっとこれはというふうに思いました。

 今日決定する総合経済対策は、何らか、後藤大臣なりの考えあるいは政策というのは何か反映されているんでしょうか。まず、それを伺います。

後藤国務大臣 経済対策というのは、大臣が一人でつくるものではありません。これは、党等で、非常に幅広い、政府としての議論、与党としての議論、また関係者の皆さんの議論等もいろいろ聞かせていただきますし、また、国会でのいろいろな討論も現実には政府の政策決定に大きな影響があると思います。

 そういう意味では、私自身も、例えば、雇用の話だとか、新しい資本主義の話だとか、ずっと昨年から取り組んでまいりましたし、また、子供政策の問題とかも含め、また、成長戦略や、あるいは経済再生の仕事も、前の大臣をやる前もずっとやっておりましたので、そういう意味では、いろいろな思いを込めて経済対策に取り組んできているというふうに思います。

 私、先ほども申し上げましたけれども、一言一句変わっていないという御指摘も最初あって、それについては私の決意を書き加えた。

 しかし、政策の部分については変わっていないではないかということについては、まず、政策の部分について、私は大臣になったときによく読ませてもいただきましたし、そして、改めて、その政策決定過程にもいろいろ関わってきたわけですから、そういうことではありますけれども、大臣としていろいろ丁寧に見させていただいて、そうした中で、役所としての政策決定の国会に対する報告として修正をする必要があるのかどうか、そういうふうに見ました。数日前に大臣が政府を代表して政策について国会で説明している内容について、特に変更を要することはないというふうに判断したことでございます。

 いずれにしても、しっかりと経済対策を、約束どおり本日になろうかと思いますけれども、何とか仕上げまして、そして、予定どおり、なるべく早くにそうした対策を実行していくように、しっかりと臨みたいと思います。

稲富委員 大臣の決意は分かりました。

 それで、今日のその対策なんですけれども、大きな柱の一つがエネルギーの価格高騰対策であろうかと思います。具体的にはおっしゃれないかもしれませんが、どういった対策を考えていらっしゃるのか、なるのか、御答弁をお願いします。

後藤国務大臣 総合経済対策の一つの柱として、物価高、円安への対応も含めて、特に、ウクライナ情勢等によって原油等の国際的な原料価格が上昇する、そのことが国民の不安につながっている、不安定な状況につながっているということでありますので、電気料金等の負担の上昇を直接的に軽減する前例のない思い切った措置等や、インバウンド需要の回復、半導体等の攻めの国内投資の拡大などをつなげるような、そういう物価高、円安対策を進めていきたいと思います。

 今、円安メリットも引き込むという意味での半導体の話をちょっとつけ加えてしまいましたから、先生の御質問外のことにお答えしたかもしれませんが、前例のない思い切った措置で、コストを肩代わりするような政策など、引き続き続けていく原油価格の対策に加えて、新しい対策も考えていきたいというふうに考えております。

稲富委員 電気料金の高騰で、恐らく、漏れ伝え聞いているのは、家庭、企業に対する支援をする、負担軽減をする、あるいは都市ガスについてもすると。

 これまで予算委員会でも、これは与野党を超えてるる議論がありました、LPガスです。これは今回どういうふうに扱われるのか。

 これまでも議論されてきたように、元々LPガスは都市ガスより平均すると高い。そしてまた、LPガスは全国の約四割の世帯が利用している。あるいは、特に地方において広く活用されている、使われている。事業者も中小企業が多い、中小・小規模事業者が多いということで、このLPガスの高騰は、答弁では、電気料金や都市ガスに比べても高騰が一割程度であるというような政府答弁がありましたけれども、さはさりながら、今申し上げたように、地方あるいは中小事業者に多いということから考えれば、対策が必要だと思うわけです。

 そこで、どのような対策になり得るのか、なっているのか、あるいはそれは家計に対してどれぐらいの対策になり得るのか。大臣、答弁をお願いします。

後藤国務大臣 今、先生から御指摘あったように、都市ガスに対する対策をやるということになれば、LPガスについてもどうなのかということが議論になっていくと思います。

 LPガスについては、燃料の分が少ないのではないかとか、あるいは提供者が二万社以上あるとか、実を言うと、いろいろな前提条件もあります。そうしたこともありますので、価格上昇抑制に役に立つような配送合理化等の措置を講じていく、そういうふうに今考えているわけでございます。

 規模等については、今の段階で申し上げる状況ではありません。

稲富委員 家計への負担軽減はどうなるんでしょうか。

後藤国務大臣 今のところ、価格上昇抑制に資する配送合理化等の措置を講ずるということで、今後引き続き検討していくということだと思います。

稲富委員 つまり、家計への負担軽減はどれぐらいあるかというのは見通せない、分からない、はっきりとしないという御答弁かと私は思います。

 ですので、先ほど申し上げたように、確かに、都市ガスよりも上がり方が少ないとか、元々高い、地方に多いということを考えれば、やはり家計に、負担軽減につながるような政策が必要だと思います。いろいろやり方が難しいとかありますけれども、それは是非工夫の上やっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 それで、もう一点。

 大きな柱が賃上げだと思うんですけれども、大臣、そもそも、例えば政府が企業に賃上げしてくれとか事業者に賃金を上げてくれと言うこと自体に、私自身は実はすごく違和感があります。

 元々、政府が賃上げという、いわば政策のテーブルにのせたのが二〇一三年、一四年ぐらいじゃないでしょうか。累次にわたって賃上げ税制なり様々な政策を取ってきたけれども、実質賃金は上がってこなかった。そして、物価高になって、賃金が上がらないことがすごく大きな負担となってきているわけですよね。

 政策によって、大臣、賃上げというのはできるんですか。

後藤国務大臣 今、政府としては、例えば労働移動が活発になるようにするとか、あるいは能力、スキルアップ、リスキリングだとか、いろいろな具体的な雇用の政策等もやっているところでもありますし、最低賃金の問題やそうしたこともしっかり取り組んでいるところではありますけれども。

 私、基本的な考え方を一つ申し上げるとすれば、やはり賃上げをしていくためには、実質賃金をしっかり担保していくためには二つの条件が要ると思います。

 一つは、やはり実質賃金、すなわち物価をカバーしていくだけの賃金を引き上げていく、それを可能にする価格づけが前提になると思います。また、原材料が上がったときに、それをきちっとマークアップする価格、すなわち何を言いたいかというと、マークアップをしないで、賃金を打ったり、あるいは出入りの業者を打ったりすることにしていけば、基本的にはデフレ状態がスパイラル的に縮小均衡になってしまう。そういう意味で、拡大均衡にしっかりしていくということが一つの考え方。

 車の両輪のもう一つは、やはりきちっとしたイノベーション。そうしたイノベーションを進めることによって、やはり生産性の不連続的な上昇をもたらすことによって、しっかりとした実質賃金の好循環をつくっていく。

 この車の両輪をしっかりと進めていくことが、新しい資本主義、これからの賃金を拡大し、好循環をしながら国民の富を増やし、暮らしを守っていく道だというふうに思っています。

稲富委員 ありがとうございます。でも、ちょっと分からなかったです、私は。済みません。

 非常に説明していただいたんですけれども、賃金を上げられるのかという非常にシンプルな質問をしたつもりでしたけれども、上げられるかどうかというのは、ちょっと今の御答弁、もう、ごめんなさい、時間の関係で、また追ってさせていただきます。と思いますので、また是非ちょっとこれは深めていただければと思いますし、個人的に言えば、これはこれまで、いわば累次にわたって政策を打って、実質賃金を上げてこなかった、上げられなかった、むしろ、これは政策で上げられるのかどうかという方向感を変えないといけないと、私個人的には思っています。ありがとうございます。

 後藤大臣、これで結構です。ありがとうございました。

 それでは、岡田大臣に、ギャンブル依存症対策についてお伺いをいたします。

 私の地元でも、ギャンブル依存症の家族を持つ方から切実な声をいただいております。家族会の方からも幾つか切実な声をいただいておりますので、その点、地元の声を届けるという意味も含めて、少し御質問させていただければと思います。

 まず、オンラインによるアクセス制限の必要性です。

 国立病院機構久里浜医療センターの松下院長さんによると、ギャンブル依存症外来を訪れた約百八十人を対象とする調査では、主にオンラインでの公営ギャンブルなどをやっている人が三分の一を占めているということです。公営ギャンブルも今インターネットでその投票ができるようになって、ギャンブルに対していわば非常に容易にアクセスできるようになったということです。コロナの影響もあって、オンラインでのギャンブル参加が増えているということです。

 これについては、基本計画でも、その投票における対策は考えられているということなんですけれども、随分トレンドは変わったと思うんですね、コロナで。なので、その実態はどうなっているのか。あるいは、更なる対策が必要だという声があると思うんですけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、公営競技においても、ギャンブル等依存症対策として、御本人や御家族の申請に基づき、インターネット投票の利用停止を行う制度や、また、利用者本人の申請に基づき、購入限度額を設定できる制度が導入されているところであります。

 やはり、委員御指摘のとおり、コロナ以降、実際にそうした公営競技の場に足を運ばずとも、インターネット投票ということによって、一層これが、二十四時間可能になるというようなこともございまして、非常にギャンブル等依存症対策の一つの焦点になってくるのではないかというふうにも思います。

 今後は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、これらの制度についてより一層の周知を図るための、インターネット投票サイトにおいて視覚的に訴えるような新たな注意喚起表示、特にのめり込みに対する注意喚起、こうしたことを関係事業者において検討を行い、令和六年度を目指して導入することといたしております。しっかりと対処をしてまいりたいと思います。

稲富委員 あともう一つ、オンラインのカジノが今これもまた非常に増えていまして、当然カジノは違法でございますが、海外でそれをオンライン上でやれば、やることが容易になっているわけです。

 例えば、これは私はやったことはありませんのであれですけれども、無料サイトで、当初は、最初は無料で、容易にそこに入っていってゲーム感覚で遊んでいくうちに、途中から課金ができるようになるということでカジノにはまってしまうということもあるということで、特にコロナ禍においてこれが非常に進んでいってしまっている。海外に要は賭け金が随分と流出をしているということも言われております。

 いわば、違法と合法、完全な違法行為だけれども、それがまず知られていないということと、合法、違法の境目が非常に低くなっているわけです。

 そこで、このことも併せて、先ほどありましたけれども、国民への注意喚起、オンラインカジノはとにかく違法なんですということもしっかりと伝えていかなきゃいけないと思いますが、大臣の見解を伺います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 オンラインカジノ、これが日本国内で一部でも行われれば、それは刑法上の賭博罪が成立する、そのことはこれまでも政府として申し上げてきたことでありますけれども、違法であり犯罪である、このことは更に強調をしていくべきではないかというふうに私は思うところでございます。

 オンラインカジノについては、現在、関係省庁がそれぞれの所掌に基づいて対応しておりまして、例えば、内閣官房はギャンブル依存症の対策、そして警察庁は、今おっしゃいました、違法なギャンブル等の捜査、取締り、また金融庁はマネーロンダリングの対策、また法務省は検察による捜査、取締り、あるいは刑法の解釈、こういったつかさつかさでしっかりとオンラインカジノに対して必要な対策を取っていくべきものと。我々も、合法、違法を問わず、依存症対策については我々の仕事と。担当大臣として最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。

稲富委員 しっかり、是非、広報に努めていただきたいと思います。ありがとうございます。

 岡田大臣、これで結構です。ありがとうございました。

 続きまして、小倉大臣、是非お願いします。

 今日は、孤独、孤立について伺おうと思ったんですけれども、午前中から少子化の話もあって、少し担当大臣として伺いたいんです、基本的なことです。

 午前中からもありましたように、出生率も下がり、恐らく、一年間、今年生まれる赤ちゃんは八十万人を割ると言われている。中位推計よりもはるかに早く人口減少が始まっている。有事だというふうにおっしゃいました。それは恐らく問題意識は共通だと思うんですよね。

 ただ、これまで累次にわたって政策を取ってきたけれども今の状態にあって、やはり、政策によって本当に出生率を回復できるのかということを考えなきゃいけないと思うんですよね。

 大臣は、政策によって出生率を本当に上げられると思っていらっしゃるのか、その点をまず伺いたいと思います。

小倉国務大臣 少子化の原因を分析をいたしますと、様々な課題がございます。例えば、午前中申し上げたように、出会いの機会がないですとか、あるいは、晩婚化に伴って、肉体的な理由から子供が持てないというケースもございます。あるいは、教育費や子育て費用にお金がかかって、経済的な理由で多くのお子さんを持てないという方もいらっしゃいます。あるいは、仕事と子育ての両立が現状難しいという課題がございます。

 それぞれ子供が持ちたくても持てない理由は様々でありまして、明確化されている部分もございますので、それについては、一つ一つの政策を着実に実現をすることによって、少子化の対策につながるんじゃないかなと思います。

 あともう一つ大きいのは、これも午前中申し上げたように、我が国は子育てに優しくない社会であると思っている人が六割を超えております。子育て先進国のスウェーデンは僅か二%でありますから、やはり雰囲気として、非常に子供を持つことについて慎重に若い世代が特になってしまっているのではないかというような気もいたしております。

 そういったものについては、来年四月、こども家庭庁ができますので、政府が本腰を入れて少子化対策そして子供政策を行うということを国民の皆さん方に理解をしてもらえるように努力をしたいというふうに思います。

稲富委員 大臣、別の方の答弁の中で財源の話があって、ここはもう政治家として是非。この少子化対策の財源をどうするかというのは、簡単な額じゃないですよね。でも、先ほど、政策によって、ある意味、出生率を回復できる、あるいはできるという立場に立てば、やはりお金がかかる、財源をどうするかということになるわけですよね。

 その中で、どういうふうに財源調達するのがいいのか。恒久財源が必要だというふうにたしかおっしゃったと思うんですけれども、そうであれば、どうやってそれを調達する、それがいいと思われるのか、御自身の考えを教えてください。

小倉国務大臣 たしか、恒久財源というか安定財源というふうに申し上げたと思います。

 この安定財源の確保なくしては子供政策の充実はないというふうにも感じております。ただ、この安定財源の確保というのは、やはり国民各層の子育てあるいは子供政策に対する理解が何よりも重要だと思っています。

 こども家庭庁の設置に伴って、来年、こども大綱策定を初めてすることになります。このこども大綱の中で、これから先、少子化対策、子供政策、我が国でどうやって前に進めていくか、しっかり書き込んでまいりたいと思います。

 それで、まず、何に使うかについて国民の皆様方に十分に御理解をいただいてから、その安定財源の確保に国民各層の皆さんに納得をしてもらえるような、そういう議論をして前に進めてまいりたいというふうに思います。

稲富委員 財源調達ですので、やりくりするか、あるいは国債発行してそれで賄うか、あるいは増税するか、あるいは保険みたいな形にするのか、もうその三つしかないと思うんですよね。

 大臣、どう考えていらっしゃるのか。やりくりで終わらせるのか、それとも国債発行してもいいと思っていらっしゃるのか、それとも何らか増税が必要だと思っていらっしゃるのか、その考えを聞きたいんですよね。

小倉国務大臣 それは、もう繰り返しになりますけれども、様々な方策があると思います。歳入改革、歳出改革、それぞれあると思います。まさにこれについて国民各層の理解が必要だと思いますし、理解をしていただく上で、まず使い道についてしっかりと提示をさせていただいて、納得をしていただくことが先決なんじゃないかというふうに思っております。

稲富委員 この点はしっかりと、これからもまた議論できればと思います。

 最後に、孤独・孤立対策の担当大臣ですよね。なぜこれが必要なのか、どういったお仕事をするのか、大臣の思いなり、どういった担務をするのか、是非お答えいただければと思います。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策についてでありますが、長引くコロナ禍の影響や物価高騰などによって、孤独、孤立の問題はより一層深刻な社会問題となっております。中でも自殺者数の増加などは、この孤独、孤立の問題もその要因の一つというふうに考えております。

 また、核家族化や未婚化、晩婚化を背景とした単身世帯や単身高齢者の増加といった我が国の社会環境の変化が孤独を感じざるを得ない状況を生み出してきているとも考えておりまして、今後、こういった状況の深刻化も懸念をされております。

 何をしているかということについてでありますが、昨年の二月、孤独・孤立対策の担当大臣が設置をされまして、昨年末に重点計画を打ち出しました。重点計画の下での基本方針の下で各施策を実施しているところでありまして、具体的に幾つか申し上げれば、こういった対策に取り組んでいるNPOに対する支援でありましたりとか、官民連携プラットフォーム、さらには全国で初めての実態調査、こういったことを実施しておりまして、それぞれの方策について、更に継続、発展をさせていただきたいというふうに担当大臣としては考えているところであります。

稲富委員 時間になりましたので、終わります。

 谷大臣、申し訳ございません、また次回に御質問させていただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、この後、官房長官の記者会見があると聞いておりますので、冒頭、官房長官の方に質疑をさせていただければと思います。終わり次第、御退席をいただいて結構でございます。

 本日取り上げさせていただきたいのは、まず初めに、先日執り行われました国葬儀の件、そしてその次に、小倉大臣に子育ての所得制限についてお伺いをさせていただきたいと思います。そして、最後になりますが、高市大臣には経済安全保障の点について伺わせていただきたいと思います。

 まず、国葬の、国の儀式の在り方、手続についてということで、質問通告に従いまして質問させていただきます。

 私は、先日行われました安倍晋三元総理の国葬儀に参列をさせていただきました。そして、そこで献花をさせていただきました。当日、印象的だったのは、国会議事堂から衆議院のバスに乗って、ほかの議員の先生方と日本武道館に移動の最中ですけれども、皇居の周辺に沿ってバスに乗っておりますと、随分と長い行列ができておりました。それは、この葬儀に当たり、献花をしに行く国民の皆様の列だったわけですけれども、中に、聞くところによると、四時間、五時間以上並ばれた方もいらしたというふうに聞いております。一方で、国葬反対のプラカードや横断幕を持って主張を繰り返す方々もいらっしゃいました。

 これはやはり、賛成、反対、いろいろと国論を二分した一つの儀式であったわけですけれども、これを調べていきますと、今回だけの現象ではなかったということが分かってまいります。

 五十五年前の一九六七年十月三十一日に執り行われた吉田茂元総理の国葬では、神奈川県大磯町にあった元総理の自宅から日本武道館までの沿道には約十七万人の人々が集まったと書物に書かれてありました。また、国葬には、当時の皇太子御夫妻を始め、海外七十二か国からの使節団、各界代表など約六千人が参列したという記録が残っております。

 一方、当時も、吉田茂元総理の国葬が行われた翌年の国会質疑の中では、国葬を政府の思いつきだというふうに指摘する社会党の田中武夫議員の指摘に対して、水田三喜男当時の大蔵大臣は、国葬儀には法的根拠はない、何らかの基準が必要だなどと発言したというふうに議事録でも確認ができます。

 こうした過去のやり取りなども考えますと、今回も現に賛成、反対、国論が二分された事態になりましたが、今回の国葬儀について、国会への事前説明なく閣議で決定したやり方、この法的妥当性というものを、改めて官房長官の御認識を伺いたいと思います。

松野国務大臣 浅野先生にお答えをさせていただきます。

 安倍元総理の国葬儀につきましては、国の儀式を行うことは、立法権にも司法権にも属さず、当然行政権の作用に含まれ、また、現行の内閣府設置法において国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式の執行は行政権に属することは法律上も明確になっているかと考えております。

 さらに、国葬儀の実施は国民の権利を制限したり義務を課したりするものでなく、法律による授権も必要としないことなどから、閣議決定を根拠に実施したところであり、法的にも妥当なものであると考えています。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、官房長官の御答弁の中では、国民の権利義務を侵すものではないので行政権の範囲内でできるんだ、要約するとそういったことをおっしゃったかと思います。そういった、国民の権利を侵害しないのであれば行政権の中で行使できるんだという考え方、侵害留保説というふうにいうそうなんですけれども、今の日本の法体系の中では、国民の権利を侵害しないのであれば行政権の任意性、裁量性の下でできるというような理解がされて、これまでも運営されてきております。

 ただ、一方で、やはり侵害留保説と同様に、それに対する考え方というのが、重要事項留保説というのがあるそうでございます。これはどういうことかというと、国民の関心が強い、あるいは国の在り方に関わるような重要な事柄について何かを決定する場合には、やはり事前の国民同意、言い換えれば国会の事前了承が必要ではないか、こういった考え方がございます。

 私を含め多くの皆様、これまで、事前に国会に説明がなかったのはなぜなんだ、するべきではなかったのか、こういった指摘をする方々の多くは、この重要事項留保説の立場に立った主張をされてきているわけで、私もこの立場に立っております。

 やはり五十五年前も同じことを繰り返しておりました。今回もまた同じように閣議了解のみでこの儀式を決定したがゆえに、国論を二分する議論に発展をいたしました。

 確かに、国民の権利義務を侵してはいないかもしれない。だけれども、日本という国にとって重要な儀式を行うかどうかの判断というのは、望ましくは、やはり国民の理解の下で静かに行われるのがあるべき姿ではないかなというふうに思っております。

 したがって、今後いろいろなルールを設けるといったことも考えるというような岸田総理の御発言もあったようでありますが、この国会の事前同意、又は手続に関する法整備、ないしはそういった基準づくりといったものがやはり私は必要だと思うんですけれども、官房長官の御所見を改めて伺いたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 行政の実務におきましては、先ほど私から答弁をさせていただきましたとおり、先生から御紹介をいただきました侵害留保説という立場に立っているところでございますが、先生からお話があったような御意見、重要事項留保説があることは承知をしております。

 政府としては、国葬儀を含む国の儀式を行うということは当然行政権の範囲であり、先ほど申し上げたとおりでございますが、国民の権利を制限したり義務を課すものではないため、法律の根拠は必ずしも必要でなく、行政の裁量によって実務可能と考えています。

 一方で、安倍元総理の国葬儀に対して、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいていることは真摯に受け止めなければならないと考えており、政府としては検証を行うこととしています。

 国会との関係など、どのような手順を経るべきかについて、幅広い有識者から意見を伺い、意見と論点を整理してお示しをしたいと考えております。

浅野委員 是非、その政府内における検証も行っていただいた上で、その結果についてはしっかり国会にも御説明をいただきたいと思いますし、御存じのように、これからこの衆議院においても、議院運営委員会を中心に、先日の国葬儀の検証というものが行われる予定になっておりますので、是非そちらにも注視をしていただきたいと思います。

 ちなみに、私がなぜこのような重要事項留保説の立場に立ったのかという背景を少しだけお話しさせていただきますと、吉田茂元総理の国葬儀を決定したのは、御案内のように佐藤内閣でございました。このときに、じゃ、なぜ内閣の了解の下で国葬儀が決められるのかというのは、当時も議論があったそうなんですが、そのときの理由の一つになったのが、一九五一年に行われた貞明皇后陛下の大喪儀、これを閣議了解で国葬として行ったという事実があった。これを一つの参考として、閣議了解で国葬儀を行うことができるということを佐藤内閣が判断をし、吉田茂元総理の国葬儀を行うことにした。そういったような文献といいましょうか過去の資料を私は拝見いたしまして、そういった経緯もあったのではないかというふうに考えております。

 ただしかし、少し気になるのは、貞明皇后陛下というのはやはり皇族であらせられますし、皇族の喪儀を国葬で行うかどうかという問題と、元総理とはいえ国民を国葬儀として、国葬儀を行うかどうか、この判断がなぜそこでつながったのかということであります。

 ですので、皇族の喪儀と国民の葬儀というものを当時どのような整理をしたのか、私もまだここまでは調査がし切れていませんけれども、吉田茂元総理の国葬儀が行われたから、そういう前例があるから安倍元総理の国葬儀も行える、こういう判断はもう少し慎重に考えるべきではないかというふうに思っております。

 なぜなら、吉田茂元総理の国葬儀が判断された背景には、貞明皇后陛下の国葬儀が参考にされていた、そこに皇族と一国民との差があったということでありますので、ここは政府内においてもしっかりと検証していただければ私としてもよろしいのではないかというふうに考えております。

 ちなみに、国民民主党も、この国葬の在り方について党内で議論をしてまいりまして、つい先ほど、今日の午後二時に、国の儀式として行う葬儀に関する法律案というものを参議院の方に提出をさせていただきました。私どもの考えとしては、国葬儀として行うのは天皇陛下、上皇陛下に限る、そして、国民を国葬、国を挙げて見送るかどうかというのは、あくまでもやはり内閣葬として判断されるべきではないか、こういった内容でございますので、是非、官房長官には後ほどこちらを御一読いただきたいというふうに思っております。

 最後に、ちょっと先ほども申し上げましたが、一点確認をさせていただいて、官房長官への質疑は終わりたいと思います。

 これから、議院運営委員会を中心に国会内においても国葬の検証作業が行われます。この結果がどういった結果になるのか、まだ各会派間の協議前でございますので、私からは何も言えることはないんですけれども、いずれにしても、立法府としての考え方がまとまった場合、是非、政府としても尊重していただきたい。それに対する官房長官の現段階での御見解を伺いたいと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 一般論として、国会で、国会の意思が示された場合には、これは厳粛に受け止めるべきものであると考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 是非、今後の議論に御注目をいただきたいというふうに思います。

 では、官房長官はここまでで結構ですので、御退席いただいて大丈夫です。

 では、続きまして、小倉大臣の方に、子育て支援策に関する所得制限、これをテーマに質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 小倉大臣は、少し恐縮ですが同世代ということもありまして、今の我々世代、そして我々よりも若い世代が抱える子育ての悩みや、そしてどういった環境の中で子育てに従事しているのか、よく御理解をされているということを私も期待をしながら質疑をさせていただきたいと思います。

 国民民主党、我々としては、子供に関する公的給付についてはそもそも所得制限を撤廃すべきだという基本的な姿勢の下にこれまで活動してまいりました。

 そんな中で、小倉大臣が先日、SNS、ツイッターにおきまして、子育て支援に関する給付はできる限り所得制限をかけずに行うべきだというふうな発信をされておりました。十月の十八日のツイッターへの投稿だというふうに記憶をしてございます。

 この発言に対して、私も少し期待を持ちましたし、世の中の子育て世帯の皆様も反応された方がたくさんいらっしゃいました。

 まず、最初の質問は、こういった発言、発信内容、どのように考えてそのように発信をされたのか、そのような考えに至った理由と、これまで政府方針としては、やはり所得制限をある種肯定している考え方のように見受けていたんですけれども、これまでの政府方針との差異について大臣の方から御説明をいただきたいと思います。

小倉国務大臣 どうもありがとうございます。

 浅野委員、同世代でありますので、お互い切磋琢磨させていただければな、このように思っております。

 言及をいただきました私のツイッターについてであります。

 ツイッターの文面は、こうした給付に際してというふうな文言でございまして、こうした給付というのは何を指しているのかというと、今、総合経済対策の中で検討されている、妊娠から出産、子育てまでの身近な伴走型の相談支援と経済的な支援を合わせたパッケージに関して言及をさせていただいております。それについてできる限り所得制限をすべきではないというのが、私のツイッターの発信の趣旨であります。

 なぜこういった発信をしたのかについてでありますけれども、私といたしましては、伴走型の相談支援は、妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じ、全ての妊産婦、子育て家庭に必要な支援を確実に届けるために重要なものであり、かつ、併せて検討している経済的な支援を伴走型の相談支援とパッケージで実施することにより、相談実施機関へのアクセスがより容易になり、伴走型相談支援の事業の実効性がより高まるものと考えているからであって、そうするに当たって、できる限り幅広い方々を対象にするという観点を大切にしたいという意見を申し上げました。

 なお、この支援パッケージは所得制限を設けない方向で検討されているというふうに承知をしております。

 政府方針との整合性はという問いもありました。

 政府といたしましては、これまでお答えしておりますとおり、各制度において、所得制限を設けるかどうか、所得制限があるものもあればないものもございます。それについては、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと考えておりまして、私の今回の発信も、この方針に沿ったものだというふうに認識をしております。

浅野委員 ありがとうございます。

 伴走型の支援、それをパッケージとして提供するに当たって、この施策に関しては所得制限は設けず広く対象とする、そういった御答弁だというふうに理解をいたしました。

 百点満点では私としてはなかったんですが、これまで様々な現金給付策がございました。やはり非課税世帯を対象としていたり、一定の年収以下の世帯を対象としたり、こういった施策が数多くある中で、今回、所得制限を設けないという点については一定評価をさせていただきたいというふうに思いますが、やはり、本当に子育ての現場で頑張っていらっしゃる多くのお父さん、お母さん、そして関係する御家族の皆さんからすれば、もう一歩、二歩踏み込んだ大胆な政策転換を期待したい、そういうふうに考えているのもまた現実でございます。

 続いて、児童手当にちょっと話を移していきたいと思うんですけれども、この児童手当の制度というのは、今大臣の方も、制度の目的に合わせてという話がございました。

 児童手当法の第一条には、児童手当の目的が書いてございます。ちょっと一部を読み上げますと、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。」、こういったことが書かれております。

 そのために、今、児童手当、具体的には、三歳未満で月一万五千円、三歳から十二歳で一万円、三子以降は一万五千円ですね、そして中学生には月一万円というような金額が支給されているわけでありますが、これにはやはり年収九百六十万というものを境に所得制限が設けられているわけであります。

 改めて大臣に確認させていただきたいんですが、この児童手当の目的、そして今申し上げたような支給方法を踏まえたときに、じゃ、なぜ所得制限を設ける必要性がこの制度であったのか、その理由について御答弁を求めたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 児童手当制度、まさに御紹介いただいたように二つ目的がございます。一つは、次代の社会を担う児童の健やかな成長ということでございますが、他方で、家庭等の生活の安定に寄与するという目的もございます。生活をどれぐらい支えられるか、特に、生活の厳しい、収入の少ない家庭をどう支えていくかというものも児童手当の目的の大きな一つでございます。そういった趣旨に鑑みまして、昭和四十七年の制度発足時から、この児童手当については所得制限が設けられているものと承知をいたしております。

 他方で、様々な御意見があることも理解をいたしております。私も、大臣になりましてから、子育て当事者とたくさん意見交換を交わしました。非常に子育てに経済的な負担が重いことも理解をさせていただいております。

 いずれにしても、児童手当につきましては、令和三年の改正法附則におきまして、児童の数等に応じた効果的な支給、その財源の在り方、支給要件の在り方について、子供、子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえて、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされておりまして、子供政策全体の中で検討を加えていくことになるというふうに考えております。

浅野委員 今、大臣からも、いろいろな関係者のお話を聞いているという話がありましたが、少し、これも大臣は十分に御認識だと思うんですが、この児童手当法が制定された昭和四十六年、そして運用が開始された昭和四十七年当時というのは、この日本国内における世帯構成、いわゆる専業主婦世帯というのが非常に大勢を占めておりまして、共働き世帯というのが非常に少ない時代でありました。それが、御存じのように、平成に入ってから逆転をして、今は共働き世帯がほとんど、子育て世帯の多くを占めているような環境になっています。

 それで、改めてこの児童手当法の第一条を読み返してみますと、父母その他の保護者が子育てについての第一義責任を有すると書いてあります。お父さんだけじゃない、お母さんも、そしてその他の家族も第一義責任を有している、家族全員で第一義責任を有しているというふうに読むことができますが、当時はやはり働いている者がいわゆる世帯主でしたので、世帯主の年収を基準に所得制限が今も運用されています。

 ですけれども、今現在、じゃ、世帯の収入環境はどうなっているかというと、先ほど申し上げたように共働きが多くなっておりますし、また、両親のみならず、ほかにも収入を得ている家族がいるかもしれない。そういった中で、やはり生活を支えるというのは非常に大事だと思うんですね、生活を支えるために児童手当を給付するというのは大事なことだと思います、ですけれども、その前提として世帯主の年収で区切っているから、いろいろな逆転現象だとか国民の中での不公平感というのが生まれてきているのではないかなというふうに思います。

 今、家族の在り方も非常に多様になってくる中で、世帯主の年収で所得制限を考えるということは時代に合わないんじゃないか、むしろ、多様な家族の在り方を考えるならば、もはやこの所得制限という制度そのものが要らないのではないか、私はそのように考えております。

 この点に関して、大臣、何か御所見がありましたらお願いいたします。

小倉国務大臣 私も、家族環境が変化をする中で、どうやって子育て当事者を支えるかということはしっかり考えていかなければいけないと思います。だから、政府はこれまで累次に、例えば保育所の整備でありましたりとか、あるいは保育の無償化を手がけてまいりました。先ほど来申し上げております伴走型支援も、まさに時代に合った子育てサービスをいかに提供するかという観点から検討しているものでございます。

 今委員から御指摘のありました、そういった家族環境が変わる中で、主たる生計維持者の収入を基に現在支給を決定をいたしておりますけれども、それをどう考えるかということであります。

 先般の児童手当の見直しの際に、世帯間の公平性の観点から世帯合算の導入を求める重点化の御意見があった一方で、導入した場合の共働き世帯への影響があるという御意見もありました。そういった検討の結果、導入を見送ることとした経緯があるのは委員も御承知のとおりかと思います。

 他方、繰り返しになりますけれども、先ほど言及をさせていただいた附則の中で様々な検討規定がございます。そういった検討規定の中で、委員が言及をされた世帯合算についても検討していくことになるものというふうに考えております。

浅野委員 私は、世帯合算で所得制限を考えればいいといった意図ではなくて、やはり収入の形、そして家族の形、いろいろなものが多様化する中で、所得制限をかけるということが非常に難しくなってきている、どんなやり方をしても、やはり公平というものを実現することが難しくなっている、こういったことを考えれば、所得制限がないという前提の下にいろいろな制度設計をすべきではないか、そういうことを今日はお伝えをしたかったので、その点、是非、誤解なきようにお願いいたしたいと思います。

 もう一点、この所得制限に関連して、以前、二〇一二年以降、自民党が政権復帰を果たしてから、所得制限が、再びと言ったらいいんでしょうか、児童手当に所得制限が復活をいたしました。しかし、それ以前は所得制限とセットで年少扶養控除という制度が存在をしておりまして、民主党政権のときに、所得制限を撤廃したときに年少扶養控除を廃止をしております。

 ですので、考え方としては、所得制限を復活させるのであれば、年少扶養控除も復活させてほしい、こういった声が多いわけですけれども、現在は所得制限のみが復活をしております、運用されております。

 私はやはり年少扶養控除を復活すべきではないかと思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘の年少扶養控除につきましては、民主党政権のときの子ども手当の創設に合わせて廃止されたものと承知をしております。

 この年少扶養控除の廃止に合わせて、確保した財源等を元に、その後、幼児教育、保育の無償化や保育の受皿確保などを進めて、子育て支援の更なる充実を図っております。

 再び年少扶養控除を設けるべきではないかという御指摘がありましたが、設けることは考えてはございません。

 いずれにしても、引き続き、子育て世帯への支援の充実に取り組んでいきたいというふうに思います。

浅野委員 過去の関係大臣、同様な答弁をされているんですけれども、私はやはり、幼保の無償化ですとか子育て支援を充実しているから年少扶養控除の復活が不要なんだという論理は、少し粗っぽいかなというふうに思います。

 なぜなら、やはり消費税を増税するときに、その増税分の使途として、子供たちの環境改善であったり介護職の待遇改善に充てよう、こういう合意、合意というか、こういうことが決定されて実施をされました。ただ、だからといって、元々あった子育て施策の一部をやらなくて済んだというような考え方でいては、いつまでたっても子育て政策、子育て支援策が充実していかないと思うんですね。

 ですから、元々あった制度をしっかり生かしながら、その上に消費税財源で今回の幼保無償化であったり様々な施策をするということであれば、やはり増税した価値があったというふうに言えるのかもしれませんが、消費税増税分を財源にこれをやったからこっちはやらなくてもいいというような考え方に至ってしまうと、施策としての発展性、将来性というのが余り期待できなくなってしまいますので、そこは今後、是非、引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、小倉大臣、以上となりますので御退席いただいても結構でございます。

 残りの時間僅かとなりましたが、高市大臣、お待たせいたしました。最後に、経済安全保障について質疑をさせていただきたいと思います。

 現在の日本の貿易総額の二三・九%は中国とのやり取りであります、これは二〇二〇年度のデータでありますが。中国に対する依存度を高めてきた結果、例えばコロナ禍では、中国国内のロックダウンの影響によって日本のサプライチェーンが大きな影響を受けました。打撃と言ってもいいかもしれない。例えばマスク不足もそうでしたが、こういったことがありました。

 アメリカは、大国間競争時代に備えて、米中経済のデカップリングを目指しているという話もございます。

 また、先日行われた中国共産党の中央委員会の中では、やはり国内、中国の超巨大市場の優位性をよりどころとして世界のリソースを集めるという内容ですとか、あるいは、国内大循環と呼ぶ内需主導型経済を構築をするといった方針が出されておりますし、その他方、外国からの制裁や内政干渉に対抗する仕組みを整備するといった言及もされております。

 いろいろなことを考えなければいけないこの中央委員会の内容だったわけですけれども、こうした現状を踏まえて、今後の対中依存度の在り方、特に経済面でですが、大臣がどのような課題認識を持っているのか伺いたいと思います。

高市国務大臣 今委員おっしゃったように、確かに、コロナ禍で、私たちは初めて中国でマスクの七割を生産していたんだということに気がついたり、様々なものが不足をいたしました。ですから、やはりサプライチェーンを強靱化していかなきゃいけないという問題意識の中にあって、国会において経済安全保障推進法をお定めいただいたものと思っております。

 とにかく、この経済安全保障推進法というのは、特別に中国というふうに、特定の国を念頭に置いたものではございませんけれども、ただ、安全保障に影響を与える、こういうファクターをフォローするということは当然だと思います。

 特に、先ほどおっしゃったサプライチェーンという点でいいますと、今回の法律の中にも日本の経済構造の自律性の確保のための取組が盛り込まれておりますので、現在、特定重要物資を何にするかということで、様々民間企業にもお伺いをしながら、できるだけ早く政令で決定をしていく、その取組を進めているところです。

 これまでは、ちょっと経済効率性ということを日本は重視し過ぎて、大きな市場のそばに工場を持っていくとか、それから安く輸入できるものは輸入するということでしたけれども、特に命に関わるもの、また私たちの生活や産業に広く普及しているもの、それから将来途絶する蓋然性が高いもの、こういったものはできるだけ自国で生産できるような環境をつくらなきゃいけないし、また、今、日本にないもので、代替できる物資をまた研究開発してくださる、こういった企業に対しても支援をしていかなきゃいけないと考えております。

浅野委員 そこはおっしゃるとおりだと思います。

 私がちょっと問題意識を持っておりますのは、経済安全保障関連法、この通常国会で成立した内容を見ますと、やはり外部からの変動要因に対して、いかに日本国内経済、レジリエンスを保持しておくか、こういった外乱に対する強靱性のようなものも重要視されておりますし、あとは、技術開発面でしっかり日本の強みを発揮するような官民連携ですとか、特許の非公開制度がございました。

 ただ、私がもう一つ重要だと思っているのは、中国となると超巨大市場ですので、対中国経済と日本経済とのつながり方、あるいはアメリカ経済と日本経済とのつながり方、地域であったり相手国の市場と日本がどのような意図を持って関係性をつくり上げていくのか、守りではなく攻めの考え方に従ってやはり経済政策といったものは考えなければいけないとも思っています。

 その点では、今日はちょっと残り時間がございませんが、次回以降、高市大臣とこういった観点についても議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、時間が参りましたので、本日は終了させていただきます。ありがとうございました。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

神田(憲)委員長代理 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 本日は、内閣委員会で質疑をさせていただくのは何だかちょっと久々で、どきどきさせていただいておりますけれども、私、実は文科委員の方でも委員会に所属をさせていただいております。本日御質問させていただく案件に関しては、文科でも関わりのあるようなことだと思って、この二点を挙げさせていただいております。

 ちょっと通告と順番を変えさせていただきたいと思うんですけれども、一番最初に、通園バスの安全対策についてお伺いしたいと思います。

 九月五日、静岡県の牧之原市において、幼保連携型の認定こども園にて、子供が痛ましい事故で亡くなるということがありました。熱中症でした。この事案の原因は何だとお考えか、教えてください。

小倉国務大臣 堀場委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 今回、御指摘をいただきました静岡県牧之原市で起きた通園バスにおける事故を受けて、静岡県から報告を受けると同時に、私を議長といたします関係府省会議を開催をいたしまして、有識者、先進自治体からヒアリングを行いました。

 それらを通じまして、今回の事故における園の対応の問題点、原因といたしまして、例えば、園児のバスの降車時に、運転者、乗務員共に、送迎用バスに幼児が残っていないか確認を行わなかったこと、園児の出欠について職員間での共有や保護者への確認ができていなかったこと、また、園全体として、バスの送迎に関して、所在確認等の置き去り防止のための必要な手順を決めて各職員に周知することをしていなかったことなどがあったと考えておりまして、これらを踏まえて緊急対策の取りまとめを行わさせていただきました。

堀場委員 ありがとうございます。

 私どもも、日本維新の会の方で、十月七日には維新でレクをさせていただいております。この際に、今大臣のおっしゃられた、こども政策担当大臣の指示ということで、緊急対策の取りまとめに当たっての基本方針というものの御説明を受けました。私どもは、この中ですごく疑問に思ったことがありました。

 そのときに、うちの議員の中から、今回の事案の原因は何ですかと問われた際に、まだ原因は分かっていませんというふうなお答えを頂戴していて、何が問題だったのか、何が一番の問題だったのかというところまでは、静岡県の方から上がってきていないため、まだ決まっていませんということだったんですけれども、このときに既に、安全装置をつけるということが確定しているというふうに伺っていました。これは、原因が何か分かっていないにもかかわらず先に対応が出てきたということになっていて、私たちの党では非常に疑問視された場所でした。

 そもそも、九月九日に総理の指示で、緊急点検であったり実地調査の指示が出たと伺っています。関係者のヒアリング、そして、マニュアルであったり登園のシステムであったり、そういったものをしっかり確認するようにという指示が出て、小倉大臣が御対応されたと思っています。

 でも、もうそのときは様々なことが想定されていて、私どもは完全なるヒューマンエラーなのではないかというふうな認識を持っていたんですけれども、安全装置の義務化、そしてそのガイドラインを作る、そしてマニュアルを作るというような順番で説明を受けたんですけれども、この安全装置の義務化が決まった経緯について教えてください。

小倉国務大臣 確かに、この取りまとめにつきましては、静岡県の特別指導監査の終了を待つことなく行いました。

 と申しますのも、今後同じような悲劇が二度と繰り返されることのないように、できるだけ早く子供の安全を確保することが重要だと判断したからであります。当然、静岡県の状況を伺うと同時に、様々な、先ほど申し上げたような、有識者や先進自治体からお話を伺った上で対策を取りまとめたわけであります。

 安全装置についての御質問がございました。

 当然、我々は、ヒューマンエラー自体をなくすことの重要性も認識をしておりまして、車内に子供が残っていないのか園の職員等がしっかり確認することこそが重要だと思っております。だからこそ、義務化する項目の一つに、バスの乗降車時等の子供の所在確認を加えさせていただきました。

 他方で、ヒューマンエラーというのはどうしても起こり得るものでありますから、このヒューマンエラーを補完する観点から、今回、バスへの安全装置の装備を義務化をすることとしたわけでありまして、あわせて、これも言及ありましたように、全職員、関係者が共通認識を持って取り組んでいただくような安全管理マニュアルを作成、周知をしておりまして、こうしたソフト、ハード両面から、園の職員等が確実に車内の確認をし、置き去りが生じないように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 緊急点検の結果の概要というものも頂戴しまして、拝見しておりますと、多くの園であったり学校では、ほとんどのところがしっかりと確認という作業をしていると思います。私も学校の現場にいたときに、出席の確認というのは非常に、何人もの目でやっている、そういった作業だと思います。なぜならば、来ていなかったら困るからです。

 そういったことを踏まえると、ほかの園は本当に真摯に一生懸命取り組んでいました。にもかかわらず、この案件が起きて、そして、安全装置を義務化するということになりました。ということは、私たちの法案を出させていただきましたけれども、その方では、安全装置を義務化するという負担を園側に強いるにもかかわらず、園側はそれだけでも負担が増えてしまうんですけれども、そういったものに対する支援というのはどのようになっているのか、教えてください。

 報道では、上限二十万円、国が九割、自治体一割というふうに報道されていたものも見たんですけれども、現状、国としてはどのように判断されているか、教えてください。

小倉国務大臣 お答えさせていただきます。

 安全装置について、まさに緊急点検の結果、どれぐらいの園が入れているかというと、一%前後という結果でございました。

 そういう意味では、園の設備や備品等の整備、維持管理については基本的には事業者の責任で適切に行っていただくことになっておりますが、今回、義務化されるまでの期間が非常に短いこと、あるいは、市場に出回っているような安全装置の数がまだ少ないこと等に鑑みまして、今回の安全装置の装備に関する国からの支援でありますけれども、事業者の負担が、先ほど九割とありましたけれども、実際には実質的にゼロとなるように財政措置を講じる必要があるというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 ということは、上限の二十万円というのもないということでよろしかったですか。

小倉国務大臣 これは、先ほど申し上げたように、まだ市場に出回っている安全装置自体が数が少のうございます。どういった安全装置が標準的な装置かというものをしっかりと見極めた上で、標準的な安全装置を装備する上で事業者の負担が実質的にゼロになるような、そういう適切な予算措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

堀場委員 そうなんですよね。ブザー式のものは、非常に安価なものも出回っているというふうに聞いております。韓国であったりアメリカであれば義務化されているエリアもありますので、そういったところから取り寄せると非常に安いものもあるとは聞いているんですけれども、一方で、センサーというようなものを導入した場合は、本当に高価なものだというふうに聞いています。

 なので、この上限を決めないで措置をするというのは、ちょっと予算がどうなるのかなという心配とともに、ただ、園の方に負担をかけないというのは非常に重要なことなのではないかというふうに思っています。

 日本維新の会及び立憲民主党さんと一緒に出させていただきました法案には、維持費の方も国側で負担をする必要があるんじゃないかというふうに考えています。なぜならば、今導入しているのが一%前後だからなんです。

 これは、皆さん多分使い方とかもよく分かっていないし、それなのでマニュアルを作られると思うんですけれども、こういったものに、維持管理をしていくのに一体どのぐらいお金がかかるのかなということも踏まえると、やはり、実質的な負担がゼロになるようにするというのであれば、こういった維持費に関してもゼロにするべきではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 先ほど答弁申し上げたように、基本的には、園の設備や備品の導入、整備というのは事業者の責任で基本的に行っていただくことになっております。

 今回は様々な、先ほど申し上げたような背景がございまして、実質的にゼロ負担となるような財政措置を講じる必要があると考えているわけでありますけれども、そういった意味では、安全装置の維持管理費につきましては、他の設備や備品等とのバランスや財源確保の方策と併せて考えるべきものというふうに認識しております。

堀場委員 ありがとうございます。

 そして、同時に出される安全管理マニュアルというものについてお尋ねさせていただきます。

 マニュアルを渡して、はい、やってくださいというのはなかなか厳しいのかなというふうに私どもは考えています。このマニュアルはどういったものか、教えてください。

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど、関係府省会議で有識者の方々からヒアリングをいたしました。園の現場の皆さん方は大変多忙でございますので、分かりづらいマニュアルあるいは大量のマニュアルは、逆に園の現場の皆様方に負担をかけてしまうというような御意見もいただきました。

 そういった御意見を踏まえて、分かりやすく、簡潔なものとなるように心がけさせていただきましたし、あわせて、今後、研修等で御活用いただけるような動画なども作成をして、より実効性の高いものとなるように努めてまいりたいというふうに思います。

 また、現場で運用していく中で、都道府県や各園から、工夫すべき点など様々な意見が出てくることは考えられるところでありまして、そのような追加的に出てきた意見も踏まえて、必要に応じて、マニュアルの改定には柔軟に対応していきたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 全く同じ意見で、実はみんな、九割以上、九割近い園が、非常に頑張って真面目に取り組んでいらっしゃる中で、こういったマニュアルを上から国がやりなさいというのは、本当に現場の中で混乱を生むんだろうなということが容易に想像されると思っています。ですので、是非、こういったものは現場の中で、現場の先生たちが使ってみてどうなのかというところにしっかりと耳を傾けていただければなというふうに思います。

 次の質問に行きます。

 日本の女性の活躍についてお尋ねいたします。ちょっと順番が違くなってしまって申し訳ないです。

 女性の経済的自立にはどのような施策が必要だと考えているか、小倉大臣、お願いいたします。

小倉国務大臣 今委員が言及されました女性の経済的な自立というのは、社会環境が変化をして人生百年時代を迎える中で、女性がその長い人生を通じて経済的な困窮に陥らないようにするために極めて重要だというふうに思っております。そういった認識の下で、新しい資本主義の中核にも、女性の経済的な自立というのを位置づけさせていただいております。

 具体的な方策でありますけれども、まずは、男女間の賃金格差の是正に向けて女性の正規雇用比率を増やしていくなど、構造的な課題への対応が必要だと思っております。

 なかんずく、女性の労働力率が出産、育児期に低下をするいわゆるM字カーブは解消に向かっておりますが、出産後に女性の正規雇用比率が低下をするいわゆるL字カーブが現在でも解消されておりません。このため、今年の四月に策定した女性デジタル人材育成プランに基づいて、成長分野への労働移動を促すなど、女性の正規雇用の拡大や処遇改善に取り組んでまいりたいと思います。

 あわせて、男性の育児休業取得の促進や長時間労働慣行の是正などを通じて、男性の家事、育児への参画を進めて、男女共に仕事と子育てを両立できる環境を整備をしてまいります。

 また、女性役員始め女性の登用を更に促していくことも重要だと思っておりまして、内閣府では、現在、プライム市場上場企業を対象に執行役員等を含めた役員に占める女性割合の調査を実施しておりまして、この結果を踏まえて、今年度中に第五次男女共同参画基本計画における令和七年までの企業における女性役員の割合に関する新たな成果目標の設定を行うべく検討を進めております。

 こうした数値目標を掲げて、その進捗状況をしっかりと見える化をしながら、女性役員を始め女性の登用目標達成に向けた取組を担当大臣としてしっかりと進めてまいりたいと思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

堀場委員 ありがとうございます。

 私ども日本維新の会では、日本大改革プランというものを作らせていただいております。今大臣の答弁にありました、正規雇用の比率を上げる、私はこれは余り、戻れるのかなというところがあります。お休みして戻るのは本当に心苦しいですし、同じポストには戻れないですし、様々なこと、戻るということではそうです。辞めて、そして正規の雇用を増やすというふうになりますけれども、また二人目ができたときには同じことになる。

 私たちは、労働の市場を流動化して、移動するということに関しては非常に歓迎すべきものだと思っているんですけれども、それを、常に正社員であるべきなのかということに関しては、少し考えが違うのかなというふうに思っているところです。

 政府が発表しています女性の経済的自立というところでも、女性の視点も踏まえた社会保障制度、税制等の検討というところで、配偶者の経済力に依存しやすい制度は男女の賃金格差も相まって女性の経済的困窮に陥るリスクを高める結果になっている、今の社会保障制度ですね。現行の制度は分配の観点から公平な仕組みとなっていないというようなことが御指摘された上で、社会保障制度や税制について、やはり再度検討しなければならないのかという、すごく重要な指摘をされていると思います。

 私ども、日本大改革プランでは、労働の在り方というものをしっかりと議論させていただいておりますし、まず、失業保険の在り方も含めて、自分の意思で辞めたときにはなかなかもらえないとかそういったことではなくて、しっかりと失業保険ももらえるであったり、我が党では、セーフティーネットですけれども、ベーシックインカム、給付つき税額控除、どちらかのしっかりとしたセーフティーネットをしくことで、労働市場を移動しやすくなるんじゃないかであったりとか、そして、子供がしっかり産めるようにN分のN乗方式を取る税制の改革であったりとか、本当に様々な大改革が必要なんだろうなというふうに思っています。

 昭和から続く、女性が働くということがなかなか受け入れられないこの日本社会を変えるには、本当にもっともっと根本的なグレートリセットが必要だと思っておりますので、是非またこういった議論をさせていただきたいと思います。

 ちょっとお時間がなくなってきましたので、残りの少子化のことであったりこども家庭庁のことは、またおいおいゆっくりやらせていただければなと思っております。小倉大臣、ありがとうございました。

 次に、高市大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

 私は、今日、実は本当に楽しみにしていたんです。なぜならば、先ほどのデジタル人材もそうですが、女性が、安全保障であったりそういったものをこういう場で議論することがなかなかないなというふうに感じていました。なので、今日、こういう質問ができることをとても光栄に思っています。

 一番最初に質問させていただきます。

 科学技術の提携であったり連携を推進する場合には、私はセキュリティークリアランスというものが必要だと思っています。このセキュリティークリアランスの議論、今日、本当にすごいなと思っていたのは、自民党さんからも、立憲民主党さんからも、そして国民民主党さんからも、セキュリティークリアランスの問題はいつ進むのだというような質疑がありました。私も同じ思いでございます。

 この議論はいつ本格化するのか、そして法整備の必要性について、こういったところに、高市大臣の思いをお聞かせください。

高市国務大臣 ありがとうございます。

 国会でも附帯決議をいただきました。セキュリティークリアランスということは、例えば国際共同研究を行う上でも、相手から求められる場合もありましょうし、また、日本の大切な技術が流出してしまわないようにお互いに重要な情報を守り合う、こういう環境をつくるために非常に重要なことだと考えております。

 今、本当に急げ急げという声をいただいて、とてもありがたく思っております。各所から御意見を伺いながら、ただ、様々な立場の方がいらっしゃいます。また、クリアランスという事柄の性質上、難しい課題も民間企業にはあります。そういったことも勘案しながら、やはり日本として、これだ、これがベストだという制度をできるだけ早くつくり上げるべく頑張ってまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 実は、先ほども申し上げましたとおり、私は今、文科委員も兼任させていただいております。十月三日に、イノベーションの研究、文化、教育、青少年を担当されている欧州委員の皆様と懇談する機会を頂戴いたしました。その際に、国際頭脳コラボレーション等、地球規模の課題解決のために適正な競争と協力が必要だというふうなお話になりました。私もそのように思っています。

 私は、最先端の研究を共同で行う場合、一番重要になるのは価値の共有だと思っています。そして、その価値の共有をしているということをどのように担保するのか、保証していくのかということも必要だと発言をさせていただきました。

 当然、防衛分野におけるセキュリティークリアランスも非常に重要だと思っているんですけれども、例えば、このときにお話で出たのは、東京大学でやられている海底の研究、非常に興味深いということで、一緒にやりたいなというふうなお話もあるんですけれども、やはり海底の研究というのは、海底を制する者は海を制すると私は思っていますので、非常に重要な秘密を保持できるような研究だと私自身は認識しています。ということは、相手側の価値が同じな価値観であるということを保証してくれないと、私どもの研究としても協力はできないのではないかというふうに考えています。

 そういった観点から、セキュリティークリアランスの議論の必要性を、とても重要性を認識しています。前の国会でも経済安全保障の議論の際に質疑をさせていただいたんですけれども、是非高市大臣のリーダーシップで、各層必要なセキュリティークリアランスについての議論を進めていただきたいと思っています。

 私が一番懸念しているのは、その価値の共有の担保というところと、それをしなければ連携できないのではないか、国際的に孤立しないかというふうな懸念を持っているんですけれども、その点について、高市大臣の御見識をお願いいたします。

高市国務大臣 確かに、価値の共有というのはとても大事なことだと思います。そして、我が国の重要な技術が、仮にも我が国を狙うかもしれない兵器に流用されるというようなことになったら、これはもう大変でございます。今、友好国とも徐々に議論を進めていかなければならないなと思っております。

 日本でセキュリティークリアランスの制度をつくりましたよといっても、他国から認められないという内容では困りますので、そういったことも併せて、ベストな制度を築き上げるべく頑張ってまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 是非この内閣委員会でも、そういった質疑をさせていただければなというふうに思っています。

 経済安全保障の議論の際に、私ども本当に、先ほども出てきましたけれども、サプライチェーンの実効性を担保する方法についてなども何度も議論をさせていただきました。やはり、ほかのところでサプライチェーンの調査をやっている方に聞くと、一つ目、二つ目までは行けるけれども、その先が非常に厳しいというお話も頂戴しています。

 ですので、やはり経済安全保障の様々なことを前に進めていくためには、この内閣委員会の場で、様々な議論と情報を共有させていただけるというのが非常に重要ではないかと思っておりますので、是非引き続きよろしくお願いいたします。

 次の質問に行きます。

 重要土地等調査法の施行について、この土地利用状況調査というのはどのようなものか、教えてください。

高市国務大臣 この重要土地等調査法に基づき実施する土地等利用状況調査でございますが、注視区域内にある土地などで機能阻害行為が行われることを防止するため、それらの土地等の利用状況を把握するために行うものでございます。

 調査は、公簿などの収集を基本として、必要に応じて、現地・現況調査、また土地等利用者に対する報告徴収などの方法を適切に組み合わせて実施していくものでございます。具体的には、不動産登記簿の情報を活用して、注視区域内にある土地などの所在、地目、建物の名称などを確認するほか、土地等利用者の氏名、本籍、国籍なども調査することといたしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 この調査において、地方自治体が、何か業務が加わるようなことはありますか。

高市国務大臣 特に業務が変わるということはございません。ただ、この重要土地の指定に当たりましては、地方公共団体の御意見も伺うことにいたしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 先日いろいろお話をお伺いしたときに、地方自治体の方でも何か負担が増えるのか、何か新しい部署をつくるのか、そういったことも御心配されているようなお話も耳にいたしましたので。今、大臣の方から明確に答弁をいただきました。

 この重要土地調査法が施行されたんですけれども、今、海外資本に日本の土地が買われているという現状があります。特に、私は京都一区なんですけれども、京都の町の中の町家などは本当に今値段がすごく上がっていて、固定資産税が非常に高くなってきて、住んでいる人はしんどいんですけれども、どんどん人口流出が、出てしまって、私ども、この古都京都というものがどうなるのかなと心配をしているんです。

 その主たる原因が海外資本による買い付けだと。買っていってくださるんですけれども、その買われていく京都という町は、どんどん中国であったり中国系の土地になってきているという現状があります。こういったものに対する危機感は京都の方から本当によく耳にするところでございます。

 この海外資本に土地が買われていく現状をどのようにお考えか、教えてください。

高市国務大臣 私は重要土地等調査法を所管している立場でございますので、法律の目的ということを考えますと、安全保障に非常に関連の深いものという考え方になります。

 町中の町家が買われていっているということについての御懸念の声もあるのかもしれませんけれども、この法律に関しましては、機能阻害行為というものが行われるということでなければ、その対象にはなりません。ただ、適時適切に必要な利用規制は発動いたします、これは安全保障に関わるような場合でございますけれども。

 それで、取引規制というものは確かに入っていないんですけれども、それと比較しても遜色のない実効性の確保には努めてまいります。

堀場委員 今、海外資本に土地が買われているという課題については、私たち日本維新の会としては、本当にやはり自由に経済が回っていくということを大切に思っています。なので、余り、規制を加えるということに対して是としない政党でございます。けれども、やはり自分たちが国家国民のために何ができるのかという観点から物事を考えていかなければならないということと、あとは、安全保障というものが本当に今多様になってきているんだなというのを実感しているところです。

 先ほどハイブリッド戦争のお話も出ていましたけれども、本当に、アクティブディフェンスの話も前の国会のときはさせていただきましたし、様々に検討しなければならないことが今のこの瞬間も起きているんだなというふうに深く実感しているところでございます。

 まだまだ学びが足りていないところはありますけれども、今後とも、この内閣委員会を通して、この質疑を通して頑張らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はこれで終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本日、まず河野大臣に、マイナンバーカードについてお伺いをしてまいりたいと思います。初めまして。よろしくお願いします。

 政府は、二〇二二年度末までに、すなわちあと五か月でほぼ全ての国民がマイナンバーカードを取得する目標と掲げておりますけれども、私は、デジタル庁が成功するかどうかは、この最大の試金石はマイナンバーカードの普及にあるのではないかなと思っております。

 本日は、マイナ保険証を中心に、マイナンバーカード普及に向けて建設的な議論ができればと思っておりますので、よろしくお願いします。

 今月十三日の記者会見で河野大臣は、二〇二四年秋に向けて、現在の健康保険証を廃止しまして、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証に切り替えると表明をされました。この発表を受け、SNSを中心に非常に世論も沸き立ちまして、マイナンバーカードの実質義務化に対する賛否が今も世論をにぎわせています。

 今、私の手元に、カード取得義務化方針発表後に民間のシンクタンクが実施したマイナンバーカードに関するウェブ調査、これは千人ぐらいの調査なんですけれども、この結果がありますので、御紹介したいと思います。

 まず、カード保有について、カードを持っている、持っていないが取得するつもり、七八・八%、持っていないし取得するつもりはない、一八・四%。カード使用経験について、あり二九%、なし三一%。二〇二三年三月までのほぼ全国民カード取得の目標達成について、達成できると思わない、七六・九%。結構悲観的な数字です。マイナ保険証への一本化方針について、現行の保険証とマイナ保険証の併用を求める、三四%、マイナ保険証のみに一本化でよい、二九%、マイナ保険証不要、二七%。今回のマイナカード実質義務化について、反対四二・六%、賛成二九%。

 一つの調査ではありますけれども、このような結果でありました。いかがでしょうか。

 今月十日現在のマイナンバーカード交付率が四九・五%。この調査では、七六・九%の人が、来年三月までにほぼ全国民がカードを取得するという目標達成はなかなか厳しいのではないか、無理だと思っている。

 こうした状況で、河野大臣は、この目標達成、できると思いますか。また、ポイント付与の大盤振る舞いをしてもなかなか取得率が上がらない、マイナンバーカードが普及しない根本原因は何だとお考えですか。河野大臣の率直な御見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 まず一つは、マイナポイントがあるからマイナンバーカードを取ろうと思ってくださっている方も、マイナンバーカードを取ったけれども、これは何に使えるんだろうという方が結構いらっしゃいます。一つは、マイナンバーカードを使ったサービス、マイナンバーカードを何に活用できるのかということをやはりもう少ししっかり広報していかなければいけないと思っております。

 今、様々、薬の情報などを、マイナポータル経由で御本人が同意をしていただければ、医療機関や薬局と共有することができるようになっておりますし、例えば前橋市のようなところは、マイナンバーカードと交通系のICカードを連携をして、高齢者の割引、様々、そうしたものがICカードから引き落とされていく。実際に、前橋市では、福祉タクシーの利用券もマイナンバーカードに入れていただいていますが、この福祉タクシーを利用される方の九割はマイナンバーカードを保有している、こう言われていますので、まずは、このマイナンバーカードがしっかり活用されるというのが大事だと思います。

 それからもう一つは、取りに行くのが、平日来いと言われても、仕事しているのに行けないよという方、あるいは、うちのおじいちゃん、おばあちゃんは寝たきりなんだけれども、どうやって本人が取りに行ったらいいんだというような、申請と交付の手間が面倒くさいということは言われております。これについても、少しいろいろなことを考えていかなければいけないなと思っております。

 それから三番目が、マイナンバーカードからいろいろな個人情報が流出してしまうのではないか、税やら年金やら医療の情報がマイナンバーカードから流出するのが怖いから取らない。これは誤解で、四情報しか入っておりませんから、そうしたことはないわけで、マイナンバーカードに関するセキュリティー、あるいは個人情報の取扱いといったことをもう少し積極的にお知らせをしていかないといけないのかなというふうに思っております。

 二〇二四年の秋に保険証と一体化をしますということを申し上げましたので、それに関して、いやいや、そんなことを言っても、おじいちゃん、おばあちゃんは取りに行けないよとか、セキュリティーはどうなるんだというような、それぞれが懸念、不安に思っていらっしゃる声が今デジタル庁にも数千件お寄せいただいておりますので、それをしっかりまとめた上で、一つ一つ丁寧にお答えをする。あるいは、交付の手続の簡素化みたいなことも、できるところはやっていかなければいけないかなと思っております。

 来年の三月末までにおおむね全ての国民の皆様に持っていただくという目標をしっかり目指して頑張ってまいります。

阿部(司)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 後ほど触れようと思っていました問題意識も、同じ方向性でお答えをいただけたのかなと思っております。

 どこかの会見で、河野大臣は、ポイント付与で、餌で釣るようなやり方は邪道なんじゃないかというようなことをおっしゃっていたと仄聞しておるんですけれども、私も同感であります。本筋で勝負をすべきかなと思います。

 本筋というのは何か。それについて順次議論を進めていきたいと思います。

 関係省庁の皆さん、日夜、マイナンバーカード普及に知恵を絞って、汗をかいておられることかと思います。

 そこで、次の質問です。

 デジタル庁、総務省、厚労省の職員の皆さんのマイナンバーカード取得率をお伺いいたします。霞が関の中でも突出してカード取得率が高いと想像しておりますけれども、ほかの省庁に比べて取得率は高いのか低いのかもお教えください。よろしくお願いします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねにありました、まずデジタル庁職員のマイナンバーカード取得率でございますが、九八・四%でございます。総務省、厚労省も、それぞれ、九八・四、九八・五ということでございます。

 サンプル調査の結果でございますが、国家公務員平均、全体が今、八四・二%ということでございますので、当該三省庁については平均よりも高いということでございますが、一〇〇%目指して頑張りたいと思います。

阿部(司)委員 関係省庁の皆さんのカード取得率ですが、非常に高く、将も兵も極めて士気が高いということに安心いたしました。

 しかしながら、今回のマイナ保険証義務化方針を、国会の議論もなく、唐突と受け止めている国民の方々も多くいらっしゃいます。

 そこで、河野大臣が今般、マイナンバーカード保険証の実質義務化を前倒し実施する方針を示されたその意図をお聞かせいただきたいと思います。大臣。

河野国務大臣 マイナンバーカードは、申請に応じて交付をするというところは変わっておりませんので、義務化ではございません。

 保険証とマイナンバーカードを一体化することで、先ほど申し上げましたように、本人の同意の下、様々な、薬の情報、あるいは病院にかかったような情報を医療機関、薬局とシェアすることができるようになります。また、一々、就職、転職、退職、そうした折に保険証を切り替える必要がなくなるということもございます。

 そして、いずれ、健診の情報とか電子カルテと連携することによって、日本の医療の質を上げることにつながっていくというふうに思っておりますので、これは、これからの高齢化社会の中での国民の健康を考える上でも非常に重要なことではないかというふうに思っておりますので、多くの皆様にこうしたことを御理解をいただいて、マイナンバーカードを持てば保険証と二枚持つ必要はなくなりますので、そうした利便性も含め、御理解をいただけるように努力してまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今、義務ではないとおっしゃいましたが、実質的には義務のように感じてしまう国民も多いかと思うんですね。反対される方の中で多いのが、マイナンバーカード取得は任意ではないのかということですね。

 マイナンバーカードの取得自体が、そもそもが任意であるのか義務であるのか、政府としての明確な御答弁を参考人にお伺いいたします。

村上政府参考人 事務方から御答弁申し上げます。

 釈迦に説法でございますが、マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる最高位の身分証であり、安全、安心なデジタル社会のパスポートということではございますが、先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおり、その取得は本人の意思で申請するものであり、国民の皆様に取得義務は課されておらず、取得を強制するものではないということでございます。

阿部(司)委員 任意という御答弁でありました。マイナンバー法の十六条の二にも、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき、その者に係るカードを発行するものとすると規定されており、デジタル庁のホームページ、FAQにも、カードの取得は義務ではありませんとはっきり示されております。

 であれば、国民皆保険の我が国で、現行の保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化するということは、実質のマイナンバーカード取得義務化となり、法の趣旨に反することにはならないか、御見解を政府参考人にお伺いいたします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードは、趣旨、繰り返しになりますが、国民の申請に基づき交付されるものでございます。この点につきましては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に当たっても変更することはございません。

 したがって、マイナンバーカード保有を義務づけるということを申し上げているものではないということでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 しっかりこうした声に耳を傾けて、説明を尽くしていただくのが大事かなと思っております。

 また、このマイナ保険証、普及を進めるのであれば、医療機関の環境を整えていく必要もあるかと思います。マイナ保険証を使うとかえって医療費支払い額が増えてしまうという問題につきまして、私も委員会の場で指摘をさせていただきまして、制度改善していただいたことを評価させていただいておるんですけれども、一方で、実際、マイナ保険証に対応できる医療機関は今どれほどまでに増えたのか。直近の医療機関等のマイナンバーカード対応状況を政府参考人にお伺いいたします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカード一枚で受診できますオンライン資格確認につきましては、来年四月から全国の保険医療機関、薬局での導入を原則として義務化します制度、この詳細を本年の八月に公表いたしておりますけれども、これ以降、顔認証つきカードリーダーの申込数、こちらが大きく伸びてございまして、十月十六日現在、義務化対象施設の約八九%の医療機関等に申込みを済ませていただいているというところでございます。

 この顔認証つきカードリーダーにつきましては、これをお申込みいただきました後に、医療機関等におきまして資格確認端末の導入やシステム改修が必要となってまいりますけれども、こちらを終わられまして、オンライン資格確認の運用を実際に開始されました施設、こちらが義務化対象施設のうち約三四%となってございます。

 来年四月に向けまして、必要な機材の確保やシステム事業者の改修体制の強化、こういったことにつきまして、関係省庁と連携しながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 今の御答弁ですと、薬局も含めた医療機関等のカードリーダー、この申込状況が八九%、運用開始施設、実際に運用を開始している、対応できる施設というのが三四%ということでした。

 関係規則の改正によりまして、二〇二三年四月までの全医療機関等のマイナンバーカードリーダー設置が義務づけられまして、設置やソフト導入などに対する補助も行われているそうですけれども、大きな病院では大量のリーダーが必要となって、大幅な経費持ち出しが見込まれる。同時に、古くからの町の診療所などでは、環境整備だけでなく、カード対応そのものが難しい場合もあると思います。状況に応じた支援策を講じていただきまして、どこの医療機関、薬局に行ってもマイナ保険証に対応できる状況をつくっておくことは義務化の前提条件であると考えますので、是非、遺漏なきよう取り組んでいただきたいと思っております。

 さて、本年一月から二月に、デジタル庁は二万人のモニターを対象にしたインターネット調査を実施しています。そこで、マイナンバーカードを取得していない理由は、一、先ほど河野大臣もおっしゃっていましたけれども、情報流出が怖いから、これは三五・二%、二、申請方法が面倒だから、三一・四%、三、メリットを感じないから、三一・三%でありました。

 もう既に問題意識は同じだと思っているんですけれども、本筋で勝負すべきと申し上げたのはこのことです。国民がカード取得を望まない理由の三大要因、情報流出への不安、申請手続の煩雑さ、カードそのものの利便性、こちらにしっかりと対応して、国民の皆さんにメリットと意義を訴求していくことこそがカード普及の本筋であると考えております。

 また、マイナポータル経由で申請を試みたんだけれども、何度手続をしようとしても同じ場所に戻ってしまう、カード受領に窓口まで本人が行かなければならない、e―Taxで確定申告をしようとしたら認証が複雑で大変過ぎた。接続障害も二〇二二年の三月十四日には発生しております。こうした声が私のところにも多数届いております。

 マイナポータルの使い勝手及びカードの取得手続を、先ほど大臣もおっしゃられていましたけれども、利用者目線で改善すべきかと思いますけれども、政府参考人の御見解をお伺いいたします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナポータルでは、令和三年十月に薬剤情報の閲覧機能を始めて以来、医療費情報の閲覧、ふるさと納税の控除証明書の連携、国民年金保険料免除の申請、診療情報の閲覧等々、様々な機能強化を行ってまいりました。

 その結果、情報量が多い、探しにくい、それから、カードをかざす回数が多いという話をいただきまして、これはインターフェースにも課題があると思うんですが、自己情報を取得する際はそれでログインしていただくんですが、手続をする際は、実はマイナポータル、ログインしなくても、手続のときにかざしますので要らないんですが、結果として、今のインターフェースだと、ログインするときにやって、手続のときにもやって、何で何回もやるの、こういうふうに見える場合もある等々、やはり改善点は残っているというふうに考えてございます。

 そのために、今度、マイナポータルの画面を更にまた手を入れまして、とにかく、出産などのライフイベントや目的ごとに、見つけるというコーナーを見つけて、そこから出産とか何とか手続とか、すぐ入れるようにというふうにシンプルに分かりやすいようなデザインにいたします。これは年内、十二月を目途に、まず先行版でできるところから改善をいたしまして、見つける方はほぼ十二月にできると思います。ほか、探すとかいろいろな機能を来年度に向けて順次改善をしてまいります。

 それから、マイナンバーカードのスマホ搭載、予定をさせていただいてございます。スマホ搭載をしますと証明書自体がスマホの中に入りますので、そのたびにカードをかざす必要はなくなるといったようなところも含めて、皆様からの御助言をいただきまして、利用しやすいマイナポータルになるよう、これはPDCAを回していくということであると思いますので、絶えざる改善に向けて努力してまいりたい、このように思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 是非、PDCAサイクル、高速で回していただいて、使いやすいマイナポータルをつくっていただけたらと思います。

 次に、マイナポイントの事業費に関してお伺いをしてまいりたいと思います。

 六月からスタートしたマイナポイント事業の申請期間が、当初の九月末から十二月まで延長されました。カード取得、健康保険証、さらに公金受取口座の指定まで行うと二万円のポイントがもらえる大キャンペーンですけれども、これまでのマイナポイント事業に係る総事業費をお聞かせ願います。政府参考人、お願いします。

足達政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナポイント第一弾の予算額につきましては約二千九百七十九億円でございます。また、マイナポイント第二弾の予算額については約一兆八千百三十四億円でありまして、第一弾、第二弾の予算額の合計は約二兆一千百十三億でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 マイナポイントの事業費を今お答えいただきましたけれども、トータルで二・一兆円、大変な額ですね。事業は経済対策としての面もあるとレクでお伺いもしましたけれども、それでは政策目標が曖昧ということになるんじゃないでしょうか。

 我が国の本年度の防衛に係る当初予算が約五・二兆円です。二・一兆円という金額がいかに大きなものか。政府がいかにマイナカード取得を推進したいかよく分かるんですけれども、これはいささか邪道なのではないかなと思っております。

 今多くの国民が感じている不安、カードを取得すると個人情報が流出してしまうのではないか。手続が煩雑で面倒。多くの国民が感じる、カードを持つと具体的に何ができて、どれだけ便利になるのか分からない。こうしたことにしっかりと対策を講じていく。同時に、マイナポイント事業にかけた何分の一でもいいので、ここにしっかり、国民の皆さんに対して様々な媒体で直接情報漏えい対策を説明して、カードの意義だとか具体的にメリットを伝えるキャンペーンを展開すべきなのではないでしょうか。

 DX社会の基盤になるのがマイナンバーカードでありまして、DXで社会の在り方を変えていって、国民生活を豊かにしていく、そのためにも、マイナンバーカードの普及は重要なことと考えております。

 そのためには、まず制度に対する国民の信頼が何より重要だと思っております。国民の声に耳をしっかりと傾けて、説明を尽くして、疑念があれば晴らしていく、本筋での努力が求められていくことかと思いますけれども、マイナンバー普及への課題克服に向けた今後の取組について、河野大臣の御見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、まずはマイナンバーカードの利活用のシーンをしっかりと拡大をし、それをお伝えをする。さらには、取得の手続を緩和をして取りやすくするということをやらなければならぬと思っておりますし、このマイナンバーカード、あるいは情報の流出、漏えいに対する不安に対して、やはりしっかりと御説明をして、広報をしていくというのが何よりも大切だと思いますので、私自身、今、デジタル庁でいろいろ動画を作ったり、いろいろな文書を出してみたり、いろいろなことを可能な限りしっかりやってまいりたいというふうに思っておりますので、委員の皆様の御協力もいただきながら、しっかりと前へ進めてまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 マイナ保険証実質義務化の表明でマイナンバーそのものの関心も非常に高まっておりますので、国民の信を得られるような形でDX時代の基盤を整えていただきますようお願い申し上げまして、河野大臣への質問を終わりとさせていただきます。

 では、どうぞ、結構でございます。

 続きまして、ちょっと時間がかなり少なくなってきたんですけれども、就職氷河期世代の対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 後藤大臣、よろしくお願いいたします。元々厚労大臣を歴任されていらしたということで、就職氷河期の問題にも通じておられるということで、非常に期待をしておるところでございます。

 この就職氷河期世代、バブル経済崩壊後の不況下で労働力の需給バランスが崩れて、非正規雇用が広がった時期に就職活動を迎えた世代であり、現時点でおおむね三十六歳から五十一歳が、今、二〇二二年四月時点ですけれども、該当されると言われております。この世代、千七百万人、そして非正規で働く方が三百七十万人と言われております。

 この世代では、一斉就職とメンバーシップ制を特徴とする日本型雇用慣行の下、継続的に不利な状況が続いておりまして、貧困、孤立化、さらには、高齢の親が引きこもりの子の生活を支える七〇四〇問題ですとか八〇五〇問題として、課題が顕在化しております。そこで、これからの社会保障の影響なども危惧されるなど、非常にこの就職氷河期対策はミクロでもマクロでも大きな社会課題となっているかと思います。

 そこで、ちょっとお伺いしてまいりたいのが、就職氷河期世代向けに支援プログラムをこれまでやってこられたかと思います。ここでは、正規雇用を三か年で三十万人増やす目標を掲げ、関係各省庁が様々な施策を展開されたと聞いておりますけれども、最終年度を迎えまして、その成果についてどうなったのか、後藤大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 就職氷河期世代支援につきましては、今阿部先生から御指摘のありました就職氷河期世代支援プログラム、これに基づきまして、不本意ながら非正規雇用で働いている方々と、それから、御指摘のありました引きこもり状態にあるような方々、それぞれの就労の支援や社会参加の支援について、しっかりと取り組んできているわけでございます。

 こうした中で、就職氷河期世代の正社員数を三十万人増やすことを目指して、目標としてきたところでございます。

 昨年度までの二年間の施策の実績としては、ハローワークの職業紹介によりまして氷河期世代が正社員に就職した件数は約二十万件、キャリアアップ助成金により非正規雇用から正規雇用等に転換された方は約七万人となるなど、一定の成果を上げてきたと言えると思います。

 しかしながら、二〇二〇年に入って新型コロナ感染症が拡大しまして雇用情勢が非常に厳しくなったために、離職者の増加などによりまして施策の効果が相殺されまして、過去二年間の正社員数の増加は三万人となっております。

 このため、今年六月に閣議決定された骨太方針二〇二二におきまして、来年度からの二年間を第二ステージとして位置づけまして、これまでの施策の効果も検証の上で、効果的、効率的な支援を実施し、成果を積み上げていくことといたしております。

 こうした考え方の下で、今後とも就職氷河期世代支援に取り組んでいきたい、これが、これまでのプログラムの成果の評価だと思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 三十万人、正規雇用の目標を立てていたところで実際には三万人だったということで、目標値の十分の一の結果となっております。コロナの影響があったというお話だったんですけれども。

 政策が十分な効果、成果を上げられなかったその理由というのをしっかりと総括をしておく必要があると思っております。その総括をした上で、今おっしゃった第二ステージ、この第一ステージの取組をどう検証したのか、この両者の相違点は何なのか、お伺いをしたいと思います。

吉岡政府参考人 お答えいたします。

 就職氷河期世代の支援に当たりましては、関係府省の協力を得つつ、施策の実績をできる限り年齢階層ごとに把握すべく、我々も努力をいたしております。その際、PDCAサイクルを回すということに十分に意識をしておるところでございます。

 具体的には、行動計画に盛り込まれております個々の施策ごとに検証作業を行っているところでございまして、一つには取組状況とその評価、二つ目といたしましては当該評価に基づく施策の見直し、それから三つ目といたしましては今後の取組方針、こういうものを整理をいたしました資料を作成しまして、例えば本年の五月に公表を行っておるというところでございます。

 先ほど大臣からの答弁にもありましたように、新型コロナ感染症の影響によりまして雇用情勢が厳しくなり、正規雇用者数が伸び悩む中で、本年六月の骨太方針におきまして、来年からの二年間を第二ステージと位置づけて、これまでの施策の効果の検証を踏まえた効果的、効率的支援に取り組んで、成果を積み上げるということといたしております。

 この方針に沿いまして、令和五年度の概算要求におきましては、一つは、これまでの実績が例えば目標を大きく下回っているような事業につきましては見直しを行う一方で、例えば二年間で二十万件の正規雇用を実現したハローワークについては、就職氷河期世代の専門窓口の体制強化のための予算要求を行うとか、そういうめり張りをつけた重点化を図ってきているところでございます。

 今後、本年末を目途に、毎年作成をいたしております行動計画の改定を行いまして、予算も踏まえた第二ステージにおける施策の具体化を図っていくという予定でございます。

 こうした取組を通じまして、より効果的、効率的な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、引き続き、この件、議論をさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

大西委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 まず、通告しました質問に入る前に、二十六日、政府の税制調査会で消費税に関する議論が行われ、消費税の引上げについて議論すべきだという意見が相次いだと報道があります。

 冒頭、子供政策担当として、小倉大臣、こども家庭庁で予算を倍増するとおっしゃっていますが、その財源に消費税増税を充てる考えはありませんね。イエスかノーかで端的にお答えください。

小倉国務大臣 政府税調でどういう議論がなされたのか詳しく承知をしておりません。なおかつ、所掌は財務大臣であって、私は子供政策の担当大臣であります。

 子供予算を将来的に倍増する上での安定的な財源確保につきましては、従来から答弁しておりますように、国民各層の様々な理解を得た上で実現がなされていくものだと思っております。

櫛渕委員 ノーではないというお答えでした。

 大臣、正気ですか。少子化が何で進んでいるのか、子供を希望数まで持てない理由が何なのか、現実を見ていらっしゃいますか。

 子育てや教育にお金がかかるからと、圧倒的に多いのが経済的な理由です。特に、若年層の女性の八割以上がそのように答えているんですね。

 二十五年のデフレとコロナ、そこに物価高が追い打ちをかけて、国民生活はいわば三重苦と言われる状況に置かれており、特に女性の自殺は、ここ、過去最高を数えています。過去最多の数なんですよ。それほどひどい状況の中で、非正規労働の七割は女性、そして、男女の賃金格差はひどく、一人親の二人に一人が貧困という状態です。その状態の中で自民党政権が繰り返してきたのが消費税増税でした。社会保障に全て使われているというのはうそじゃありませんか。決定的にこうした間違った政策が、少子化の進行を止められない根本的な真の原因です。

 大臣は午前中、少子化は我が国の有事とおっしゃいましたけれども、少子化を国家の最大の危機であると認識されているのであれば、その危機に対して、まずは子供国債とか教育国債とか、積極財政で、国の責任で子供政策を大胆に支えるという決意を示していただきたいんですよ。

 さきの通常国会でも、私はこの場で総理や大臣にも申し上げました。子供政策の予算を倍増するのは大賛成です。しかし、その財源を、消費税増税であるとか社会保険料の引上げであるとか、国民負担に求めるべきではありません。そのことを強く冒頭申し上げます。

 さて、山際大臣が辞任されました。しかし、辞めたからといって、旧統一教会の問題が幕引きされるわけではありません。

 パネル一を御覧ください。

 大臣、一九九六年に法制審議会が答申をした選択的夫婦別姓の法案が、なぜ四半世紀を経ても国会に上程されないんですか。二〇二〇年の第五次男女共同参画基本計画で、夫婦別姓の文言がなぜ削除されてしまったのか。世論調査では七割以上が夫婦別姓には導入賛成と言われながら、民主主義国家として異常だと思います。これは、行政の不作為というよりも、旧統一教会と結託した自民党政権の国民に対する背信行為ではありませんか。

 二〇〇一年十一月、統一教会の機関紙、世界日報に、当時の山谷えり子衆議院議員が、夫婦別姓に反対する連続インタビューに登場されております。通称の使用拡大で十分だ、家族は運命共同体、家庭や国というのは喜んで自分をささげることのできる尊いものですと語っておられます。

 一方、この時期、地方では、男女共同参画の推進計画に基づいて地方自治体が次々と条例を制定しています。しかし、この条例が幾つもバッシングの対象になっているんですね。特に、宮崎県の都城市では、二〇〇三年、全国で初めての同性愛者、性同一性障害者、トランスジェンダーなどの人権尊重を盛り込んだ条例が成立をいたしましたが、世界日報のバッシングの影響で、性的少数者に配慮する文言そのものがその後削られるという事案がありました。

 フェミニズムのバックラッシュ、つまり、ジェンダー平等に対する反発的な動きの主体、それは誰だったと思うかとフェミニストの方に尋ねると、しばしば世界日報若しくは統一教会、国際勝共連合が言及され、最も怖い相手として認識されていた、そのように、研究者である山口智美教授らは著作の中で度々語られています。実際に世界日報の編集者にも直接会われ、現地でフィールドワークもされているんですね。

 世界日報は、事実上、旧統一教会でもありますから、国と地方のジェンダー政策をゆがめてきたと言えるのではありませんか。

 そして、この間、自民党内に何が発足していたのか。パネル二を御覧いただきたいと思います。

 二〇〇五年の四月、自民党内に、過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチームというのが発足され、座長は安倍元総理、事務局長は山谷えり子議員であります。

 ここが何をされたかというと、ここに書いてありますとおり、このプロジェクトチームは、内閣府の男女共同参画基本計画に関する専門調査会に対して、ジェンダーという文言は削除すべきと要求しているんです。これは、当時のレジュメのコピーでありますけれども、見直しのポイントとして、明らかにそのことが書かれています。

 その結果、この年の十二月に策定された男女共同参画基本計画第二次では、ジェンダーの言葉は辛うじて残ったものの、バッシングする側の勢力の主張に沿った説明書きが加えられることになりました。ここに圧力が働いていたとしたら、とんでもないことです。

 さらに、パネル三を示します。

 二〇一〇年、民主党政権下ですが、山谷えり子参議院議員が予算委員会においてこう述べられています。選択的夫婦別氏制度を含む民法改正は家族解体法案、今守るべきは家族ですよというふうにおっしゃられています。一方、これと類似する言葉が、旧統一教会の関連団体である国際勝共連合のホームページにも確認できるんですね。家族解体政策ということが書かれています。ふだんとても日常的には使われないワードが重なるというのは余りにも奇妙じゃありませんか。

 ちなみに、本日質問に当たって、この事例は一枚のパネルにしていたんですけれども、今朝方、自民党の理事より急遽、二枚に分けてくれと、パネルに対して強い要求がありました。この二つをよほど関連づけられたくないようであります。

 男女共同参画だけではありません。パネル四です。

 こども家庭庁、この名称変更についてありますけれども、こども庁からこども家庭庁への変更について、国際勝共連合のホームページにある「世界思想」の一月号には、心ある議員、有識者の尽力によって名称変更することが実現できたと、成果としてアピールされているんですよ。心ある議員って一体誰なんですか。これは、関与がなかったと言えるんでしょうか。

 大臣にお伺いします。

 これら国際勝共連合や統一教会と癒着した自民党が、選挙応援の見返りとして、本来あるべき選択的夫婦別姓の導入やジェンダーの政策、そして、こども庁の名称やコミッショナー制度導入など、政策決定を大きくゆがめてきたのではありませんか。いかがお考えですか。簡潔にお答えください。

小倉国務大臣 櫛渕委員に御指摘をいただきました選択的夫婦別氏制度、確かに、平成八年と二十二年に法制審の答申を踏まえた改正案が準備されたと認識をされております。しかしながら、この問題については、国民の間に様々な意見があったほか、当時の政権内においても様々な意見があった等から、改正法案の提出にまでは至らなかったものと承知しております。

 平成二十二年は民主党政権でございました。当時与党の議員であった櫛渕委員はよくこの点を承知しておられるというふうに思っておりますけれども、そのような経緯で選択的夫婦別氏の導入が実現できていないということであります。

 選択的夫婦別氏、ジェンダー平等、さらには、こども家庭庁の名称の問題、御質問をいただきました。

 この点、全てに通ずるところでありますけれども、総理が申しておりますように、政府においても、政策を決定する際には、多くの国民の皆さんの意見を聞き、有識者、専門家とも議論を行い、その結果として政策を判断をしています、一部特定の団体によって全体がゆがめられるということはないと思っておりますということでございまして、私も同様の考え方をしております。

櫛渕委員 これだけの疑惑の実態があるわけですから、これは調査していただきたいと思います、大臣。

 今、こども家庭庁のお話もされましたけれども、事実を把握して検証せずに、これからの政策推進をどうやってやるんですか。こども家庭庁の名称変更については、特に多くの国民が疑念を持っています。是非調査してください。大臣の名誉のためにも、ここで組織の疑惑を晴らした方がよろしいと思います。そして、大臣とこども家庭庁準備室に関わる職員の皆さんの使命ではありませんか。ここで子供たちと国民を是非とも安心させてください。政府が調査することを強く求めます。

 そして、行政だけではありません。委員長、私は与野党にも呼びかけたいと思います。

 安倍元総理の事件をきっかけに次々と事実が明るみに出ていますが、これまでの自民党はもちろん、各党も大手メディアも大勢の宗教被害者を見て見ぬふりをしてきたのではありませんか。安倍元総理の長期政権が続いて、みんなが官邸の顔色を見て物事が動く、忖度をする、情報は隠蔽される、だから政権交代が必要なんですよ。国や国民を見ないで、政権だけ、永田町だけで物事が動き、社会全体を無視してきたことの結果が現在のこの状況を招いているのではないでしょうか。

 是非、私はここで、このうみを徹底的に出すために、立法府の国政調査権を発動し、国会に特別調査委員会を設置することを提案いたします。

 衆議院の事務局に、手続について教えてください。説明をお願いします。

小林参事 特別委員会につきましては、国会法の規定に基づき、必要に応じて院議によって設置されるものでございます。

櫛渕委員 もう一度、事務局から手続についてお聞かせください。この国会中の特別調査委員会の設置は可能ですか。

小林参事 設置の時期に関してでございますが、会期の初めに限らず、必要の都度ということでございまして、会期中であれば特段時期的な制約はございません。会期途中での設置も制度上可能でございます。

櫛渕委員 与野党全ての議員の皆さん、お聞きいただいたと思います。設置は可能です。

 ロッキード事件も、リクルート事件のときも、国会で特別調査委員会が設置されました。なぜなら、総理大臣が関係した問題が起きていたからです。ロッキード事件では田中角栄総理、リクルート事件では竹下登総理、いずれも大きな権力を持ち、日本の政治を采配してきました。

 総理大臣は、言うまでもなく、国会の議決で誕生します。その総理大臣に疑念が生じれば、その生みの親である国会がきちんと調査を行う、これは当たり前のことではないでしょうか。

 今問われているのは、統一教会と安倍元総理の関わりです。統一教会が政治や政策にどのように影響を及ぼしたのか、その中で安倍元総理がどのような役割を果たしたのか、国会に調査特別委員会を設けて調べることは歴史的な義務とも言えます。国会で調査が行われなければ、再び同じような問題が起き、社会がゆがめられることになるかもしれません。被害者が後を絶たない、そんなような状況になるかもしれないんです。だからこそ、れいわ新選組は調査特別委員会の設置を強く求めています。

 大臣に最後お聞きします。

 特別調査委員会、これは国会の事項でありますけれども、先ほどの政府における調査、これは政府の役割も大変重要です。最後に、調査するかどうか、御意見をお聞かせください。

小倉国務大臣 先ほど申し上げたように、様々な政府の政策立案の過程で、特定の団体に影響を受けたということはございません。ですから、調査の必要性はないというふうに私は思っております。

櫛渕委員 政府に対しての調査、これは疑惑を晴らすため、大臣の名誉のためでもあります。改めて、政府への調査と、そして国会において特別調査委員会の設置ということを強く求めて、私の質問を終わります。国民のため、未来のため、与野党全ての議員の皆様に呼びかけます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

大西委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 去る八月八日の一般職の職員の給与についての報告、勧告及び公務員人事管理についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁川本裕子君。

川本政府特別補佐人 人事院総裁の川本裕子でございます。

 人事院は、八月八日、国会と内閣に対し、国家公務員給与の改定の勧告及び公務員人事管理に関する報告を行いました。

 本日は御説明する機会をいただき、厚く御礼申し上げます。

 まず、本年の給与に関する勧告について御説明いたします。

 月例給、特別給共に、民間が公務を上回っていたため、三年ぶりに引き上げることといたしました。

 月例給について、初任給や若手に重点を置き、三十歳代半ばまでの俸給月額を引き上げるとともに、特別給の年間の支給月数を〇・一〇月分引き上げて年間四・四〇月分とし、引上げ分は勤務実績を反映する勤勉手当に配分しております。

 大西委員長を始め理事、委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、この勧告を速やかに実施していただくために所要の措置を取っていただければありがたく存じます。

 続きまして、公務員人事管理に関する報告について御説明いたします。

 社会情勢が急速に変化し、行政課題が複雑化、高度化する中にあって、世界最高水準の行政サービスを国民の皆様にお届けするためには、行政を支える公務組織が、国民本位の、能率的で活力のある組織であり続けなければなりません。

 今後の日本の経済社会の最重要課題は人だと考えます。組織を支える人材、組織のミッションを実現させる人材をいかに確保し、いかに育てるか。そして、組織の構成員のウェルビーイングの実現を図り、パフォーマンスを上げられるような環境を整備し、適正に処遇していく。これらの視点は、今の公務組織に特に必要です。

 今回の報告で示した課題と対応策は、いずれも行政の担い手となる人に関わるものです。

 それでは、四つの柱に分けて御説明いたします。

 一つ目の柱は、危機的な状況にある公務人材の確保についてです。人事院は、この国家的課題に対して、従来の採用戦略、採用手法にとらわれずに大胆に取り組んでいきます。

 採用試験の改革について、いつ、何をやるのか、具体的なメニューを示しており、総合職春試験の実施時期の前倒し、教養区分の受験可能年齢の引下げや試験地の追加などの検討に着手しております。

 また、複雑化、高度化する課題の解決には、民間人材を一定程度取り込むことが極めて重要です。そのため、各府省がタイムリーかつスピーディーに民間人材を採用できるよう、任期付職員の各府省限りで採用できる範囲を拡大するなど、採用円滑化の措置を講じました。給与についても、民間経験を適切に評価した設定や、高度な専門性や業績に応じた設定を行えるようにしました。

 二つ目の柱は、公正な人事評価と人への投資です。

 多様な人材が活躍できる職場にするためには、職員が自らのキャリアを自律的に考えられるようにすることが求められます。また、成長とは人に評価されて実感できるものであることから、公正な人事評価の実施が不可欠です。これらの実現のために、管理職員のマネジメント能力の向上や若手職員のキャリア形成支援の充実を始め、人への投資が必要です。人事院は、新たな研修コースの新設や研修教材の充実などに積極的に取り組んでまいります。

 三つ目の柱は、勤務環境の整備です。多様な人材に公務を志望していただくためには、職場の魅力を高める取組も急務です。

 長時間労働の是正に関しましては、本年四月、人事院に勤務時間調査・指導室を立ち上げました。不適切な事例に対しては指導を行い、是正を求めていきます。

 昨年来、国会対応業務による超過勤務縮減の観点から、私より衆議院、参議院の両院議長を始め関係各方面の方々に御理解、御協力をお願いしてまいりました。各府省からも、質問通告の早期化、オンライン化が超過勤務の縮減につながったと聞いており、議員の先生方の御協力に感謝申し上げます。しかし、まだまだ問題は深刻です。引き続き、関係各方面の御理解、御協力をお願いしてまいります。

 また、価値観やライフスタイルの多様化に応じた働き方が可能となるよう、フレックスタイム制度を速やかに柔軟化します。

 最後の四つ目の柱は、給与制度のアップデートです。

 これまで申し上げた様々な課題を念頭に置きつつ、各職員が躍動できる組織の実現にふさわしいものになっているか、公務全体のあるべき給与水準や給与カーブも含め検証し、来年夏には、具体的な措置の骨格案を示したいと思っています。

 行政の担い手となる公務員一人一人が生き生きと働くことができるよう、また、組織としてパフォーマンスを最大限発揮し、国民の皆様の御期待に応えられる公務組織となるべく、関係機関とも連携して、スピード感を持って取り組むことで、人事行政に好循環を生み出してまいります。

 改めまして、皆様におかれましては、今回の給与勧告を速やかに実施していただくために所要の措置を取っていただきたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

大西委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。

     ――――◇―――――

大西委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、指定職俸給表等を除く俸給表について、初任給及び若年層の俸給月額を引き上げることとしております。

 第二に、勤勉手当の支給割合について、年間〇・一月分を引き上げること等としております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 秘書官の俸給月額及び内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

大西委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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