衆議院

メインへスキップ



第4号 令和4年11月2日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年十一月二日(水曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    尾崎 正直君

      大野敬太郎君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      島尻安伊子君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中野 英幸君    中山 展宏君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    本田 太郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      神谷  裕君    中谷 一馬君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      岩谷 良平君    奥下 剛光君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    尾崎 正直君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   衆議院法制局法制企画調整部長           森  恭子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (内閣法制局総務主幹)  嶋  一哉君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           池本 武広君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          柴崎 澄哉君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            西  浩明君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           渡邊 国佳君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   二宮 清治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 堀井奈津子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     島尻安伊子君

  平沼正二郎君     西野 太亮君

  牧島かれん君     熊田 裕通君

  中谷 一馬君     神谷  裕君

  浦野 靖人君     奥下 剛光君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     牧島かれん君

  島尻安伊子君     工藤 彰三君

  西野 太亮君     平沼正二郎君

  神谷  裕君     中谷 一馬君

  奥下 剛光君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)

 令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣人事局人事政策統括官窪田修君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青柳陽一郎君。

青柳(陽)委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 今日は、川本総裁、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、我が党、そして私の基本的な認識を申し上げた上で議論に入りたいと思います。

 人生はいろいろ想定外のことが発生します。どんな人でも、どのような立場であっても、例えば、今の仕事の継続が困難になることもあるでしょう、そして勤めている企業が倒れてしまう、そうしたこともあります。また、事故や病気、家族が要介護者になる、あるいは、子育てで困難に直面することもありますし、震災や災害、そういうリスクもあります。

 生きていく中で、こうした想定外の局面に遭ったときに行政や公共に相談する、そういう、頼ることは誰にとってもあるのではないかというふうに思います。

 更に言えば、今、国際情勢はとても流動化していますし、物価も急上昇しているという状況です。日本社会の格差はどんどん拡大して、そしてさらには、これは後の質疑にも大きく関係しますけれども、人口減少の局面に入っている。こうした事態はとても深刻で、いわば不透明な、そういう時代になっているというのを感じざるを得ません。

 更に加えて、この三年弱、新型コロナウイルスの感染の拡大、この影響はとても甚大で、さらに、このコロナウイルスの影響で、日本社会の脆弱だった部分が顕在化したのではないかというふうに思います。

 そうした中で、我々政治は、国民の暮らし、これをしっかり守っていくこと、これにあるんじゃないかと改めて強く感じております。そして、私たち立憲民主党は、支え合いの社会、支え合える社会、これをつくることが大切だと考えております。そして、そのためには行政がきちんと機能しなければいけないと思います。

 国民から信頼される、機能する行政をつくっていくこと、これが必要だと考えておりますけれども、まず、こうした認識について、川本総裁、どうお感じになられますか。まずは、その認識をお伺いしたいと思います。

川本政府特別補佐人 社会情勢が急速に変化し、行政課題は複雑化、高度化しています。その中にあって、公務や公務員が国民に対して果たすべき役割の重要性は一層増していると思います。一方で、国家公務員は、公務の遂行に当たって、規律を厳正に保って、国民全体の奉仕者として、信頼を得ていくことが何より重要であると考えます。

 組織の基本は、人です。一人一人の公務員が高い意欲を持ち、その能力を十全に発揮することにより、初めて組織として重要な役割を果たしていくことができます。

 人事院は、本年の八月に給与勧告と併せて行った公務員人事管理に関する報告において、人材の確保や育成、勤務環境の整備など、四つの柱について提言を行いました。活力にあふれ、国民から信頼され、魅力ある行政組織を実現するためにも、これらの提言についてスピード感を持って取組を進め、人事行政に好循環を生み出してまいりたいと考えております。

青柳(陽)委員 今、お答えいただきました。ありがとうございます。私もほぼ同じ認識であります。

 今も少し触れていただきましたけれども、今日の公務員の人事行政における最大の課題、これは採用応募者数の減少と若年退職者の増加にある、これは共有できると思います。

 そこで、このような現状を改善、解消することが喫緊の課題という立場から議論していくんですけれども、川本総裁はまさに民間の外資系のコンサル出身らしく、今いろいろな改革やメッセージを発信していただいておりますし、今も、人が重要で、人の意欲を出していくという御答弁もありましたが、川本総裁がよく使われている言葉に、ウェルビーイングとかエンゲージメント、これが大切で重視するとされています。

 そもそも、このウェルビーイング、川本総裁が提唱しているウェルビーイングという言葉、これはどういう意味で、何を達成していくのか。エンゲージメントもそうです、どういう文脈で使っていくのか。そして、こうしたウェルビーイングやエンゲージメントという言葉が現場の公務員の皆さんに本当に浸透しているのか。その辺、どうお感じになっているか。

 また、あわせて、これは地方の公務員にも私は共有することが必要なのではないかと。人事院の総裁のメッセージというのは非常に重いというふうに思っておりますので。地方の公務員の現場に、このウェルビーイングという言葉はどのように今浸透されているとお感じになっていますか、また、どのように浸透させていこうと思っていますか。お答えいただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 ウェルビーイングは、WHOの憲章の前文において、満たされた状態にあることとされています。また、エンゲージメントというのは、自発的な貢献意欲のことであるというふうに承知をしています。

 公務組織を能率的で活力あるものとし続けるためには、組織の構成員である職員のウェルビーイングの実現を図り、高い意欲とやりがいを持って生き生きと働き続けられる職場環境を整備することが肝要です。これによって職員のエンゲージメントが高まり、ひいては、公務職場の魅力を高め、多様な有為の人材から働く場として選ばれることにもつながります。

 本年の人事院勧告時の報告においては、このように公務組織の目指すべき姿を掲げた上で、これを実現するための具体的な施策として、例えば、長時間労働の是正や健康づくりの推進を始めとする勤務環境の整備などの諸施策を強力に推進することとしています。

 このような施策を講じていくことを通じて、地方機関も含めた全ての職員がウェルビーイングを実感でき、エンゲージメントを向上させることができる公務職場の実現に努めてまいりたいと思っております。

青柳(陽)委員 今の霞が関の現場あるいは人事院の事務局に、こうした川本総裁の理念といいますか、共有されていると感じていますか。あるいは、なかなかまだ壁が厚いなというふうに感じていますか。

川本政府特別補佐人 浸透するように努力をいたしております。

青柳(陽)委員 外部から一人で乗り込んできて、まだ一年ちょっとですから、是非その改革意欲をいい方向につなげていっていただきたいなと思います。

 今の若い方の職業観とか人生観というのは変わっているんだというふうに思いますが、例えば、仕事よりも家庭やプライベートを重視するとか、QOLが大切だとか、こうした時代の変遷に伴う若い方たちの意識の変化と、国家公務員の仕事、いわゆる公務、これについて、この意識と、公務という仕事と、そしてその志望者数の減少ということについて、総裁はどのように認識して、また、それを把握するためにどういう調査を行って、その調査をどのように分析して、どのように生かしていくかということについて御説明いただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 国家公務員志望者数の減少については様々な要因があると考えていますけれども、若年層にとって魅力ある職場という観点から申し上げれば、仕事のやりがいに加えて、職業を通じたキャリア形成や仕事と家庭の両立への関心が一層高まっていると感じています。

 人事院が総合職の新規採用者を対象に実施したアンケート調査でも、超過勤務の縮減、フレックスタイムやテレワークなど働き方改革への関心が高かったほか、近年は自らのキャリア形成への関心も高まっています。

 また、人事院が就職活動を終えた学生を対象に実施した意識調査によれば、公務を就職先として選ばなかった理由として、採用試験の準備の負担、長時間労働などの勤務環境への不安が回答の上位でした。

 人事院としては、こうした若年層の意識も踏まえ、公務がより魅力ある就職先となるよう、働き方改革、キャリア形成支援などの取組を強力に進め、若い世代の方々に積極的にPRするとともに、採用試験についても受験しやすいものとしていく必要があると考えております。

青柳(陽)委員 この人事院が行った調査だと、やはり若い方には採用試験の勉強や準備が大変だという方が大変多いという結果が出ているんだろうと思いますが、採用試験の改革について、具体的には今どのようなプランを準備しているのか、御説明いただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 国家公務員採用試験においては、国家公務員として必要な基礎的な能力を測る基礎能力試験、各試験の区分に応じて必要な専門的知識などを測る専門試験、対人的能力などを測る個別面接である人物試験などを行っています。総合職試験の中には、政策課題に対してグループで討議する試験などを実施している区分もあります。

 他方、民間企業の採用において、面接やグループディスカッションを重視した選考活動が行われているものと承知しております。

 ですので、採用試験の見直しにおいては、公務員人事管理に関する報告において記したものとしては、民間企業における採用活動早期化への対応、幅広い人材が受験しやすい試験の実現、第二新卒などの確保、理系学生の確保を目的とする具体的なメニューを示しました。このうち、本年度内に方針を決定する主な対策としては四つございまして、総合職春試験の実施試験の前倒し、二番目に総合職教養区分の受験可能年齢の引下げ、採用試験合格有効期間を延ばすこと、それから人文科学専攻者が受験しやすい試験区分の在り方の検討などとしております。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 ちょっと後で、もう一度、今の改革案について確認したいと思います。

 その前に、川本総裁は外資系コンサルから来てもらったので、そもそも、民間の採用試験と公務員の今取り組まれている採用試験について比較が可能だと思います。

 そこで、特に若い方の採用方法、採用試験について、現状でいいんですが、民間企業と公務員の採用試験の相違についてどのように捉えていて、その上で、公務人材確保における民間との適正な競争、これをどうやって確保して、その上でさらに、どうやってよい人材を確保していくかについて、民間の採用方法と公務員の採用方法の違いを踏まえて、どう改革していくかということについて御説明いただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 人材確保競争は非常に熾烈なものになっております。その中で、民間企業の採用活動が早期化しています。国家公務員採用総合職試験の申込者が、そういう意味では、二〇二一年度までに五年連続で減少し続けるなど、公務における人材の確保は非常に厳しい状況にあります。

 このような状況においては、従来の採用戦略、採用手法だけでは好転させることはできないと考えています。そのために、本年の人事院勧告時の報告において、採用試験改革の方向性として、具体的なメニュー、先ほど申し上げたようなものを示しました。もう一度申しますと、総合職春試験の実施時期の前倒し、総合職教養区分の受験可能年齢の引下げを含む各種の施策を組み合わせた総合的な施策です。人事院では、これらの試験改革を来年度の試験から順次実施していきます。

 また、複雑、高度化する課題の解決には、民間人材をより柔軟、迅速に採用できるようにすることが重要であることから、各府省限りで採用できる任期付職員の範囲を拡大するなど、採用円滑化の措置を講じました。さらに、官民人事交流制度の更なる活用に向けた交流基準の見直しなどを本年内に行うこととしています。

 行政の中核を担う優秀な人材を継続的に確保していくためには、当然のことながら、採用試験の見直しだけでは十分ではありません。公務を魅力ある就職先として志望者に認識してもらえることが重要です。そのため、長時間労働の是正はもちろんのこと、より柔軟な働き方の実現、職員のキャリア形成支援などの課題に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。

青柳(陽)委員 直近の統計だと、今の川本総裁がおっしゃっていただいた受験機会の拡大、試験機会の拡大の前に、二〇二二年度の総合職試験においては応募者数が増加しているわけですね。

 この二〇二二年度の総合職試験の応募者数の増加についてはどのように分析されているかということですけれども、これは当然、一般的には、コロナの影響で民間の採用が抑制された、あるいは公務員という安定した職業を選択する若者が増えたんじゃないかというふうに推測されやすいんですけれども、こうした社会情勢による応募者数の増減というのは当然あるわけです。

 今、川本総裁が示している改革プランが行われる前でも、社会情勢によっては受験者数というのは増加するわけですけれども、こうした、単純に、改革プラン、受験機会を拡大して応募者数を増やすだけではない部分について狙いがあれば、今、採用試験の改革をお示しいただきましたけれども、実際に応募者数の増加以外の狙いがあったら教えていただきたいんですけれども、よろしくお願いします。

川本政府特別補佐人 もちろん、応募者数というのは一つの指標だと思います。ですけれども、当然のことながら、主たる目的は、有為な人材に公務の職場に来ていただくということが一番大きな課題といいますか目標だと思っております。

青柳(陽)委員 ですから、今の試験方法を、試験機会を拡大することで有為な人材は確保できるんでしょうか。有為な人材を確保するためにはどういう改革プランを行うのかについて、御所見を伺いたいと思います。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 総裁からもお答え申し上げましたけれども、今試みております採用試験改革というのは、受験の機会を広げ、応募者数を増加する方向に持っていくというのはもちろんでございます。その背景としては、今まで公務員試験を目指さなかった人にもそういう機会を与えたいという思いで、いろいろな機会の拡大策を取っております。

 ただ、委員御指摘のように、採用試験の改革だけで有為な人材が集まるかというと、必ずしもそうではないと我々も思っておりますが、私どもとして、やはり、採用試験以前の問題としては、公務の魅力というものをいかに若い人に伝えていくか、そういうのがまず重要であり、そのために、あらゆる施策の一つとして、働き方改革など公務員にとって働きやすい職場の実現、あるいは、若い人が自分のキャリア形成について非常に強い関心を持っているという状況もございますので、若い人たちが公務に入っても自分の将来が描けるような、そういう公務組織にしていく必要があると考えております。

青柳(陽)委員 長時間労働とか働き方改革については、また私、この後も質疑があるので、そこで取り上げさせていただきますけれども。

 受験、採用試験の機会を拡大したり、早めに始めたり、あるいは年齢も引き下げて受験できるようにしたりということは、それはそれで一定の効果はあるんですけれども、人口減少があって、しかも今、公務員の人気が下がっているという実情は否定できない状況で、さらに、民間企業との人材獲得競争がどんどん熾烈になっている状況で、採用試験の機会の拡大だけでは対応できないのではないかという問題意識でございます。

 それが、まさに人事院が調査していただいた若い人のアンケート、職業として国家公務員を選ばなかった理由は、採用試験の、受験の準備、勉強がすごく負担だということが一番に挙げられているわけなので、こういう状況の中で、一足飛びに全部民間のような試験に変えるということはできないかもしれませんが、より抜本的に試験の方法を、例えば面接重視の部分も取り入れるとか、そういう抜本的な改革についてどう考えるかということを最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

川本政府特別補佐人 人事院といたしましては、そのアンケートの結果も踏まえまして、採用試験については、能力実証の観点に十分に留意しつつ、志望者にとって受験しやすい、敬遠されないような試験となるように見直しを進めたいと思います。

 申し上げてきたように、受験可能年齢の引上げとか、あと試験地の拡大とかとしている総合職試験教養区分については、いわゆる法律、経済といった大学で履修する専門科目を課さずに、プレゼンテーションやディスカッション、面接などのウェートが高くなっておりまして、ほかの試験区分と比べて試験準備の負担は大きくないと考えています。また、一般職の大卒試験においても、専門試験を課さない新たな試験区分を設けることも検討しております。

 このような施策を通じて、学生にとって受験しやすい試験とする取組を進めるとともに、もちろん、環境の整備、働き方とか、そういうことにも心がけていきたいと思います。

 以上でございます。

青柳(陽)委員 働き方改革や人材の育成については、この後の質疑……(川本政府特別補佐人「済みません」と呼ぶ)

大西委員長 どうぞ。

川本政府特別補佐人 受験年齢の引下げでございまして、今、引上げと言ってしまいました。申し訳ございません。

青柳(陽)委員 はい。

 働き方改革については、後ほどの質疑で行いたいと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 川本総裁に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件に関してお伺いをいたします。

 私たち日本維新の会では、人事院勧告制度における官民給与の在り方が実態を反映していないのではないか、したがって、官民給与比較の在り方自体を抜本的に見直して、公務員給与を適正化すべきであるとお訴えをしてまいりました。

 こうした文脈で、平成三十年の二月の予算委員会では、我が党の浅田均参議院議員が、政府の民間給与調査には三つの指標、すなわち、人事院調査、国税庁民間給与実態統計調査、厚生労働省賃金センサス、この三つが存在しまして、中でも人事院の調査が最も高額な数値であることを指摘いたしました。人事院の実施する官民給与の比較は正しく実態を捉えていないのではないかと迫りました。

 人事院は、平成十八年、民間の給与の調査対象を、それまでの企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上から、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上に変更をしましたが、それ以降、十五年以上、調査対象企業規模の見直しはなされておりません。

 実態を反映させるには、より小規模な、例えば四十人規模以上を調査対象とすべきではないかと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 給与は、一般的に、職種のほか、役職段階や勤務地域等の給与決定要素によりましてその水準が定まっていることから、国家公務員給与と民間給与の比較を行う際には、単純平均で比較するのではなく、給与決定要素を同じくする同種同等の者同士を比較するラスパイレス方式によりまして精密な比較を行っております。

 現在、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上を調査対象としておりますが、これは、企業規模五十人以上の多くの民間企業におきましては、公務と同様、部長、課長、係長等の役職段階を有しており、公務と同種同等の者同士による比較が可能であるということ、また、現行の調査対象となる事業所数、五十人以上、五十人以上ということであれば、調査員によります精緻な調査が可能であり、調査の精確性を維持することができること等によるものでございます。

 民間の調査対象企業規模につきましては、現行よりも小さい規模の企業も含めるべきとの議論がある一方、国の公務の規模等の観点から、より規模が大きい企業とのみ比較すべきとの議論もあるところでございます。また、民間企業等との人材確保におきます競合がある中で、公務に有為な人材を計画的かつ安定的に確保、維持する必要があり、そのような観点を踏まえた適正な給与水準の確保の重要性についての指摘もございます。

 調査方法につきましては、これまでも、こうした御議論等も踏まえつつ、調査対象企業規模のほか、調査対象産業、調査対象従業員などについても随時見直しを行ってきているところでございます。

 今後においても、各方面の意見を幅広く聞きながら、必要に応じて見直しを行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 様々な議論があることは承知しておりますけれども、我が国の四百二十一万ある企業のうち九九・七%が中小零細企業であることを踏まえて、できるだけ小規模の企業も含めた形で官民比較の対象とすべきではないかなと改めて問題提起をさせていただきたいと思います。

 次に、公務員の給与体系や人事制度についてお伺いをいたします。

 一般職国家公務員の中にも、デジタル業務や研究等に従事するなど様々な職員がいらっしゃいまして、全員が同じように事務を行って管理業務をこなしているわけではないと思います。

 そこでまず、専門性を要し特殊な業務に当たるなどの職員の具体的な職と、それぞれの人数をお聞かせ願えますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 職員が従事する職務には、委員御指摘のとおり、様々なものがあることから、職員に対しては、その職務の種類に応じた俸給表を適用することと給与上しております。このため、一般職給与法におきましては、十一種類十七表の俸給表が設けられております。

 一般職給与法適用職員約二十五万人のうち、一般的な行政事務に従事いたします、いわゆる行政職俸給表(一)が適用されております職員が約十四万人、それ以外の俸給表が適用されている職員が約十一万人ほどおります。

 この行政職俸給表(一)以外が適用されている職員のうち、例えば研究所等に勤務し調査研究業務等に従事する職員、約千四百名ほどおりますけれども、これにつきましては研究職俸給表という俸給表が適用されているところでございます。

 また、今申し上げました基本的な俸給表でございます行政職俸給表(一)が適用されている職員の中でも、俸給のほかに、官職や職務の特殊性を考慮して手当等が支給される場合がございます。

 御指摘ございました、例えば、各府省のIT、セキュリティーに係る部局に勤務して高度の専門人材と一般行政部門の橋渡しを中核的に担う約百七十の官職に、例えば俸給の調整額という手当が適用されているところでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 同一の給与法が適用される一般職国家公務員の中には、研究などの業務に従事する職員の方々、デジタル業務に携わる方々、一定程度いらっしゃるということで、分かりました。

 また、俸給表が基本的に(一)に、そこにあとひもづいて調整を加えるなどの対応をされているとのことだったんですけれども、これは果たして柔軟なものになっているのかどうか、ちょっと御答弁を聞いていて一つ疑問を感じました。

 例えば、現在、各省庁からデジタル庁に職員の方が出向をされているかと思いますけれども、そうした方の中には、民間から来ている職員と同様に、具体的なDXの様々な制度設計業務に携わっている方もいらっしゃるかと思うんですけれども、そうした職員も、一般職ということで、一律の給与法でよいものなのかどうか。

 また、二十八万千人、国家公務員の方々はいらっしゃるかと思うんですけれども、様々な業務に従事されていて、本来、よりきめ細かい、業務によった給与体系があってしかるべきなのではないかなと考えております。

 すなわち、申し上げたいのは、公務員を一般職と一くくりにして、基本的に単一の給与体系、人事政策で対応するということは限界が来ているのではないかということなんですね。もちろん、先ほど、細かい調整を加えている、別表みたいなものもあるというお話だったんですけれども、もっと、大きく変化する社会課題に対応できる多様な人材を確保して、先ほど採用の話もありましたけれども、力を発揮してもらうためには、業務内容に応じた複線的な給与体系と人事政策が必要だと私は思っています。

 こうした方向で、大胆に給与体系や人事制度を再構築すべきときが来ていると思いますけれども、人事院総裁の御所見をお伺いいたします。

川本政府特別補佐人 能率的で活力ある公務組織を実現するためには、給与制度についても社会と公務の変化に応じたアップデートが必要であると考えています。

 本年の人事院勧告時の報告においても、その必要性について言及しています。

 具体的には、変化に適応できる能力や専門的な知識経験を持つ人材を確保するため、積極的な中途採用や機動的で柔軟な配置、登用の必要性が高まっており、こうしたニーズに対応した給与制度としていく必要があると考えております。

 また、採用者の年齢、経歴の多様化に加え、採用後のキャリアパスもますます多様化、複線化していくことから、個々の職員の能力、実績や、就くポストの職責を的確に反映する給与制度としていく必要があると考えております。

 こうした課題に対応するために、中途採用者を始めとする多様な人材の専門性等に応じた給与の設定、初任層、中堅層、ベテラン、管理職層などキャリアの各段階における職員の能力、実績や職責の給与への的確な反映などの取組を進めてまいります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 総裁とも課題共有ができまして、非常によかったなと思っております。

 ますます複雑、高度化している行政課題に適切に対処して国民生活を守っていくためには、霞が関においても、デジタル、金融、法律などなど様々な分野での多様な人材が求められているかと思います。そのような人材を集めて、納得して働いてもらうためにも、環境整備はもう待ったなしだと思っています。

 公務員給与の民間比較は一つの要素ですけれども、同様に、業務に応じた納得感の高い複線的な給与体系が整備されていること、業務に応じた人材育成プログラムや働き方といった人事制度が整っていることは、人材が活躍するための重要なファクターになってくると思います。そのために、長年続いてきた給与、人事制度を大胆に見直す必要がありまして、今がその時期であると声を大にしてお訴えしたいと思います。

 本年九月、岸田総理は、ニューヨーク証券取引所での講演で、日本企業にジョブ型の職務給中心の給与体系への移行を促す指針を二〇二三年春までに官民で策定すると表明しました。総理は、年功序列的な職能給をジョブ型の職務給中心に見直すと述べられまして、専門的なスキルを給与に反映しやすくして労働移動を円滑化して、日本全体の生産性向上、賃上げにつなげたい意図をお持ちとのことです。私も予算委員会で議論させていただきましたけれども、これからの我が国が目指す方向性として、基本的に同意するところであります。

 そこで、総理はジョブ型の職務給中心の給与体系の社会を目指すとしておりますけれども、国家公務員のジョブ型移行についてはどのようにお考えか、人事院総裁の御見解をお伺いしたいと思います。また、国家公務員のジョブ型移行へのメリット、課題などを議論する検討会などの具体的な場を早期に設置して、研究、検討を始めるべきと思いますけれども、併せて川本総裁の御意見をお聞かせください。

川本政府特別補佐人 ジョブ型雇用については、民間企業において注目が集まっており、本年十月の第十回新しい資本主義実現会議において、岸田総理から関連の御発言があったことは承知しております。

 人事院としては、従前よりジョブ型雇用に関する動向や民間企業での実例などについて有識者の意見を聴取するなど情報収集を行ってきており、今後も引き続き研究を進めていきたいと考えています。

 ただ、ジョブ型雇用といっても、捉え方、定義は様々でございます。公務においても、近年、多くの府省において、公務内では得られない専門性を有する民間人材に特定のジョブ、業務に従事してもらうために、任期付職員法に基づく採用などのニーズが高まっています。

 人事院は、各府省がこうした仕組みを通じて必要な人材をタイムリーかつスピーディーに採用し、専門性と民間での経験や業績などを適切に評価した給与処遇を行うことができるよう、現在、任用手続や給与制度の改善を進めているところであり、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 中途で任期つきの方なども入れていって職場を活性化していくといった御趣旨の発言だったかと思いますけれども、国家公務員についても、ジョブ型の在り方の検討は必要との御認識は一緒なのかなと思っております。

 ちょっと御答弁いただけなかったんですけれども、できるだけ早期に、研究、検討の組織を立ち上げて、具体的な議論を進めていただけると大変ありがたいなと思う次第であります。

 時代に合った複線的な給与体系と人事制度を一刻も早く整えて、今、本当にキャリアに悩む若手の官僚の方も多いと聞きます。一旦公務員として勤めると自分の市場価値が上がらない、ここに非常に大きな課題感を抱えておられる若手の方は多いので、また後で河野大臣と議論させていただきますけれども、一刻も早く、人事制度を早く整えて、新たな社会課題に果敢に対応できる霞が関となることを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 私も人事院総裁の方に今日は伺っていきたいと思いますが、先日の人事院勧告概要説明を聞いておりまして、私もいろいろと、合点のいくところ、そして、もう少し深く知りたいところというのがございました。

 総裁がおっしゃっていた四つの柱、まずは人材の確保、そして人への投資、また適切な勤務環境の構築と能力に見合った処遇の在り方、こういった四つの柱というのは、これは公務員に限らず、全ての労働、職場で必要な考え方だというふうに思っております。とりわけ、やはり今、先日ニュースにも出ておりましたけれども、公務員を希望する若い人たちが減っているというような現下の状況がございまして、これは本当に重要な課題であるというふうに認識をしております。

 今日は、少し、総裁の公務員の人事全般に係る基本的なお考えを伺っていきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、最初の質問なんですけれども、先日の御説明の中で、ちょっと気になるワードがございました。社会情勢が急速に変化し、行政課題が複雑化、高度化する中にあって、世界最高水準の行政サービス、これを国民に届けなければいけない、届けるためには、公務組織が、国民本位の、能率的で活力ある組織でなければいけないというふうに総裁はおっしゃっておりました。

 この世界最高水準の行政サービスというのは、一見すると非常に魅力的な単語ですし、力のある単語だと思うんですけれども、人事院総裁がそれをどのようにイメージをされているのか、世界最高水準というのは、どういった点で我々国民に対して見えてくるものなのか、その具体的なイメージをお持ちでしたら、是非御説明をいただきたいなと思います。

川本政府特別補佐人 世界最高水準の行政サービスというのは、一つの目指す姿、理念ということでございまして、今委員御指摘のように、社会情勢が急速に変化して、行政課題が非常に複雑化、高度化している中で、国民の皆様がそういうふうに感じられるというようなものを、職員一人一人が強い気持ちを持って業務に当たっていくということ、それが大事であり、それが国家公務員の使命である、そういうイメージでございます。

 国民の皆様に行政サービスをお届けするに当たっては、やはり国民目線を忘れないことが何よりも大切でありまして、行政は独占サービスであるために、ほかと比較されにくく、客観的視点を失いがちであると思っておりますので、そこも認識をするということでございます。

 ただ、具体的にどのように進めるかということについては、先ほど来申し上げておりますように、本年八月の給与勧告と併せて行った公務員人事管理に関する報告において申し上げた四つの柱、人材の確保や育成、勤務環境の整備などというもので好循環をつくっていくということであります。

 国民の皆様の期待にお応えして、国民一人一人が幸せを実感できる、実感していただけるような行政サービスを提供できる公務組織となるべく、これらの提言についてスピード感を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。

浅野委員 この世界最高水準というものを職員全員が意識して公務に当たるというのは、それはいいことだと思うんですが、やはり具体的にそれをどうイメージ、どのような状態なのかということを共有することが非常に大事なのではないかなとは思います。確かに、省庁、様々な業種がありますし、それら全てに共通のイメージというのは余り現実的ではないのかもしれませんけれども、何らかの物差しが必要なのではないかというふうに感じた次第であります。

 私の方で、そういった行政サービスを過去に評価したものがないのかなというのを少し調べてみたところ、ちょっと昔のデータになるんですが、二〇〇九年に、アクセンチュアが各国政府の顧客サービス成熟度調査というのを行ったそうであります。

 これは詳細な内容は公開されていませんので、私も報道ベースの情報しかまだつかめておりませんが、その中では、よりよい生活の提供という点で、あなた方は今の行政に満足しているかというような質問を投げかけたところ、とても満足している、若しくは満足していると答えた割合が一二%、日本は一二%だったそうです。これは二十一か国に対して調査をしたようなんですが、二十一か国中二十番目という数字だったそうであります。逆に、満足していない、全く満足していないと答えた割合は四九%にもなっているようで、やはりまだまだ課題が当時もあったんだろうなというふうに思うわけであります。

 あと、総裁は今、やはり国民目線、国民本位という言葉を使われましたけれども、それを一つ実践する方法というのは国民に意見を聞くということだと思いますが、この調査では、行政は十分に市民に意見を求めているかという質問に対して、十分に求めている、求めていると答えたのは二三%、全く求めていない、余り求めていないという回答は同じく四九%ということで、やはり国民目線、国民本位という点でもまだ、二〇〇九年時点では課題が多くあったんだろうなというふうに思っております。

 これは通告はしておりませんが、例えばこういう客観的指標に基づく調査というものを是非人事院あるいは政府としても行っていただくのがよいのではないかなというふうに思いますし、もし今現在やっているのでしたら、是非そういったデータをうまく活用しながら、公務組織の活性化ですとか、その世界最高水準に近づけていくような取組を行っていただきたいと思います。

 ちょっとこれは通告していないんですが、ここまでの話を聞いた上で総裁から一言いただければと思いますが、参考人でも構いません。

川本政府特別補佐人 客観的指標というのは、それについては御議論もいろいろあると思いますけれども、既に政府で行われているEBPMとか、そういうような数字も拝見しながら、できることがあれば取り組みたいと思っております。

浅野委員 是非よろしくお願いします。

 政府も組織ですので、やはり民間企業経営と一緒で、ファクトベースでしっかり経営戦略であったり組織運営方針というのを定めていかなければ、なかなか、働いている職員さんは皆さん人間ですから、うまく組織運営の点でも客観的指標の導入というのは是非行っていただきたいと思います。

 続いての質問ですが、人材育成について伺いたいと思います。

 人事院では、令和三年十月より順次新しい人事評価制度が導入されているというふうに聞いております。過去の制度との違いや、変更による狙いみたいなものを分かりやすく、ちょっと御説明いただきたいんですが、お願いします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月から人事評価につきましては制度を順次見直しておりまして、人材育成、マネジメント強化のツールとして活用するための取組を進めておるところでございます。

 具体的には、若手職員につきましては、評価プロセスの中で、強み、弱みなど一人一人の状況をきめ細かく把握し、上司による面談や指導助言を徹底し、強いところを伸ばし、弱いところをフォローして、若手がやりがいを持って成長できる後押しをしようと考えております。

 また、管理職の職員につきましては、部下職員の長時間労働の抑制や業務見直し、人材育成などのマネジメントをしっかり行うようマネジメントに関する具体的な目標の設定を義務化することといたしておりまして、重要マネジメント項目に関する能力評価を重視する方向に変革しようというふうに考えて、マネジメント評価の重点化を行っておるところであります。

 さらに、評語の区分につきましても、これまでの五段階から六段階に細分化し、評語の名称や基準も改めることにより、職員の能力や実績の識別性を高め、職員の達成度や成長などの変化を見やすくし、その育成につなげていくなどの仕組みを導入しているところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 よりきめ細かなフィードバック、そして目標設定による人材マネジメント、成長の促進というようなことなのかなというふうに理解をいたしました。

 それはそれでいいと思いますが、ちょっと一つ問題意識を持っていますのは、この新しい人事評価制度において非常に重要となるのが、やはり管理職の育成スキルだと思うんですね。管理職がそういう人材育成に対して強い意識あるいは十分なスキル、技量を持っていなければ、この制度というのは完結しないというふうに思っております。

 ですから、まず、総裁は、管理職に対する研修というのを以前から何回も発言されているというふうに思うんですが、私自身は、管理職に依存するような人材育成体系というのが、それはそれで必要なんですけれども、それだけではやはり組織として、管理職が持っている以上の成長は見込めないというふうに思います。

 私が本日配付した資料を御覧いただきたいんですが、最近、民間では、簡単に申し上げますと、若手社員を期間限定で管理職登用をして、様々な責任ある立場を経験させる、そして、期間が終わればまた元の職場に戻って、しっかりそれを糧に、今後の、その後の活動に邁進してもらう、そういった運用が始まっているようでございます。

 若手職員の組織に対する愛着であったり、あるいは仕事に対する使命感であったり責任意識、こういったものを醸成するためには、こうした、機会をつくり、自発的に成長するような仕組みも必要なのではないかというふうに思うんですが、若手のエンゲージメントについて、是非、人事院のお考えを伺いたいと思います。

川本政府特別補佐人 公務において若手職員の離職が今増加傾向にある中で、未来の公務を担う若手職員一人一人が生き生きと働くことができる環境づくりは非常に重要であると切に感じています。

 若手職員のエンゲージメントを高め、離職を止めるために必要なことは次の三点であると考えています。一つ目は若手職員に成長を実感してもらうこと、二つ目は仕事のやりがいを感じてもらうこと、三つ目は勤務環境を整えること、もちろんほかにもございますけれども、この三つは非常に大事かと思います。

 一つ目の成長実感については、成長というのは人に評価されて実感できるものであることから、先ほど委員御指摘のように、コーチングとか、そういうようなものも大事ですし、あと、公正な人事評価の実施や、周囲からの働きぶりに関する適切なフィードバックが不可欠です。

 あと、二つ目の仕事のやりがいの実感については、仕事の意義や目的を言語化することが大切であって、上司が日頃から様々な機会にそれを明示して適切に伝えることが重要ですので、その意味で管理職のトレーニングというようなことを常々申し上げているわけですけれども、それも、若手の自発的なやりがいを感じるための仕掛けだと思っております。

 三つ目の勤務環境の整備については、テレワークやフレックスタイム制の活用による柔軟な働き方を推進し、職員一人一人の能力発揮やワーク・ライフ・バランスの実現、健康確保を図っていくということが重要だと思います。

 先ほど申し上げた三点も踏まえて、未来の公務を担う若手職員一人一人が生き生きと働くことができるように施策を進めてまいりたいと思っております。

浅野委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人勧に関しての質疑をまず行います。

 今年の人事院、公務員人事管理に関する報告についてであります。

 「業務量に応じた定員・人員の確保等」として、「業務量に比して定員が十分ではないために必要な人員を配置することができず、恒常的に長時間の超過勤務により対応せざるを得ない部局等も依然としてある。 このため、本院としては、定員管理を担当する部局に対して必要な働きかけを行う」と述べております。

 人事院総裁にお尋ねしますが、このような要請というのは過去行ったことがあるんでしょうか。また、人員確保において、業務量に比して定員が十分でないと言うが、何が問題となっているのか。そして、定員管理を担当する部局に対してどのような働きかけを行ったのか。この点についてお答えください。

川本政府特別補佐人 人事院では、これまでの勧告時報告においても、業務量に応じた要員の確保の重要性について言及してきたところです。

 例えば、昨年夏の勧告時報告においては、各府省の定員をめぐる状況として、緊急の事態への対応や内閣の重要政策の推進に係る業務に対応するため、限られた人員で超過勤務によって対応せざるを得ない状況にあること、また、これらの業務については一定の増員がなされることもある一方で、定員削減の影響もあって、業務量に比して要員が十分でなく、恒常的に長時間の超過勤務を命じざるを得ない部局などもあることについて言及しました。

 その後、人事院において、各府省における超過勤務の上限に関する制度の運用状況を聴取したところ、平時の限られた定員の下で、早急な実施が求められる業務に他部署からの一時的な応援などにより対応してきているとの意見がありました。これらについては、一定の増員がなされている部局もある一方で、過去の定員削減の影響を受けている官房部局など、業務量に比して定員が十分ではないために必要な人員を配置することができず、恒常的に長時間の超過勤務により対応せざるを得ない部局なども依然としてあると伺っています。

 人事院としては、今後、新たな取組として、各府省の令和三年度における上限を超えて超過勤務を命じた状況を把握する際に、恒常的な人員不足が生じていた部署で定員不足が生じていたかなどについて調査し、その状況を取りまとめることとしております。これを踏まえ、定員管理を担当する部局に対して、業務量に応じた定員確保について必要な働きかけを行うことを考えております。

塩川委員 それで、実際に、その定員管理を担当する部局に対してどのような働きかけを行ったんでしょうか。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、累次、様々なレベルで、様々な機会を捉えて、定員担当部局に対して私どもからお話をさせていただいているところでございます。

 ただ、今総裁から答弁がございましたとおり、新たな取組として、各府省の令和三年度における上限を超えて超過勤務を命じた状況を把握する際に、恒常的な人員不足が生じていた部署で定員不足が生じていたかどうかなどについて調査をいたしまして、その状況を私ども取りまとめることとしてございます。それを踏まえまして、定員管理を担当する部局に対して、業務量に応じた定員確保について今後また必要な働きかけを行ってまいります。

塩川委員 人事院においては、例えば二〇一五年度の年次報告で、若年層職員の減少で技能などが世代間で継承されないなど業務遂行上の重大な支障が生じているということを指摘をしています。

 四年前の私の質問に人事院は、政府の総人件費抑制方針の下、継続的な定員削減や新規採用抑制の取組が進められてきた影響だと認めました。業務遂行上の重大な支障を解消するためにも、抜本的な増員が必要だと思います。

 河野大臣にお尋ねしますが、先ほどの、定員管理に係る、業務量に比して定員が十分ではないといった点について、人事院の要請を受けて、政府はこの現状の解決のために必要な人員配置に向けどのように取り組むのかについてお答えください。

河野国務大臣 人事院から要望等ございましたら、真摯に対応してまいりたいと思います。

塩川委員 まだ要望を受け取っていないということですかね。

河野国務大臣 まだでございます。

塩川委員 人事院として、しっかり要望をまずしていただきたいと思いますけれども。

 この内容そのものは当然大臣も御承知のことだと思いますが、それを受けてどういうふうに取り組まれるのか、そういうことについてのお考えはありませんか。

河野国務大臣 要望を精査しまして、柔軟に対応してまいりたいと思います。

塩川委員 政府の対応についてですけれども、政府は、国の行政機関の機構・定員管理について、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に沿って厳格に管理を行うということを閣議決定を行っております。これは毎年行っているものですが、文面は去年の閣議決定と全く変わりません。定員合理化計画の下での人員削減は限界、破綻をしております。業務量に見合った増員を図ることが必要だ、この点でも、定員合理化計画の撤廃、見直し、このことが必要ではないかと思いますが、大臣はいかがでしょうか。

河野国務大臣 これまでも必要な増員等を行ってきておりますので、しっかりとその方針に沿ってやってまいりたいと思います。

塩川委員 人事院としては、内閣人事局、また担当の大臣である河野大臣に、この報告の内容について、いつ要請、要望される御予定でしょうか。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、今後、私ども、調査をいたしまして、それも踏まえまして、内閣人事局の方に必要な働きかけを行いたいと考えてございます。

塩川委員 是非、しっかりとした現場の実態、深刻な実態を踏まえた働きかけを求めたいと思います。

 行政の需要量に見合う人員が配置されていないというのは、この間も問題になってきております。

 二年前、赤羽国交大臣は、地方整備局の定員について、二〇〇一年の国交省発足以来、約二割純減しており、出先の事務所、出張所の組織体制もかなり細っている、二〇一九年の台風十九号災害のように、災害発生時における機敏な初動対応について、本当にぎりぎりでやって、本当に危うくという、地元の皆さんに心配をかけてしまった例があると述べておりました。

 組織を細らせてきた定員合理化計画、総人件費抑制方針を見直すべきだ、抜本的な増員を図ることを強く求めておくものであります。

 それとも関連し、国の機関における障害者雇用についてお尋ねをいたします。

 厚労省にお聞きしますが、四年前、公務部門における障害者雇用の水増しが問題となりました。

 障害者雇用促進法では、「すべて事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであつて、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。」とあります。

 特に、国の機関については、障害者基本計画で、「国の機関においては、民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、法定雇用率の完全達成に向けて取り組むなど、積極的に障害者の雇用を進める。」とされております。

 法定雇用率の完全達成は当然のことですが、適正な雇用管理を行うことによる雇用の安定や、職場への定着が図られているかも問われております。

 厚労省は、この四年前の水増しの問題を受けて、その後、定着率の調査を行っております。

 二〇一八年十月二十三から二〇一九年十二月三十一日までに採用された障害者の定着率は幾らでしょうか。また、二〇一八年十月二十三日から二〇二〇年六月一日までに採用された障害者の定着率はどうなっているか。さらに、二〇一八年十月以降に採用した障害者の現時点の定着率はどうなっているのか。この三点についてお答えください。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省といたしましては、塩川委員御指摘のあったように、公務に係る障害者の国等の機関における不適切な計上等があったことに対する反省の下、様々な措置を講じております。そしてまた、定着状況に関しまして、時点を限ったものではございますが、調査をしているという状況でございます。

 幾つかお尋ねがありましたが、随時お答えをさせていただこうと思いますが、まず、定着状況につきまして、二〇一八年、平成三十年六月一日現在で、法定雇用率が未達成であり、採用計画を策定した府省庁に対し、採用された障害者を対象に調査を行っております。

 時系列的に申し上げますと、まず、お尋ねのあった調査の関係でいいますと、平成三十年十月二十三日から令和元年十二月三十一日までに採用された障害者の定着状況についてでございますが、済みません、大変失礼いたしました、直近の、二〇二〇年、令和二年六月一日時点で、離職をした数は全体で八百七十六人、定着率は八三・四%でございました。

 続きまして、幾つかお尋ねのあった数字に関してでございますが、平成三十年十月二十三日から令和元年十二月三十一日までに採用された障害者を対象とした調査でございますが、離職者数が四百三十一・五人ということでございまして、済みません、失礼しました、離職者数が四百二十四人、定着率が九一・一%という数字でございます。

 続きまして、令和元年六月一日現在の調査ということでございますが……(塩川委員「えっ、令和元年」と呼ぶ)令和元年六月一日までに採用された障害者を対象とした調査でございますが、離職者数が百六十一人、定着率が九四・九%という数字でございます。

 済みません、ちょっと雑然としたお答えになってしまって恐縮ですが、数字としては以上でございます。

塩川委員 終わりますけれども、四年前から今に至る定着率がどうかというお答えはなかったんですよね。一年で一割の方、二年で二割ぐらいの方が離職をされておられる、そういう状況をきちっと把握をする必要がある。

 続きは、この後の給与法の質疑でも行いたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

大西委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣人事局人事政策統括官窪田修君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 自民党の藤井比早之です。

 それでは、早速、給与二法の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の人事院勧告、給与法改正法案では、民間給与の上昇に伴い給与を引き上げるということですけれども、中でも初任給そして若年層に配慮することとされています。近年、このように若年層の皆様への重点的措置がなされていると理解しておりますけれども、この点についてお伺いします。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 近年、民間企業等と人材獲得競争が熾烈になる中、国家公務員採用試験の申込者数は減少傾向にある一方、若年層職員の退職者数は増加傾向にあり、公務における人材の確保は厳しい状況でございます。

 こうした状況を踏まえ、近年、給与勧告において引上げ改定を行う場合には、人材確保の観点や、民間企業におきます初任給の状況等を考慮し、初任給及び若手職員の給与水準の改善を重点的に行っております。

 本年におきましても、相当額の初任給の引上げを行うとともに、三十歳代半ばまでの職員が在職する号俸について改定を行うこととしたところでございます。

藤井委員 今ほど、若い方の志願者、申込者が少ないという話がございました。近年の国家公務員の志願者数の減少そしてまた若手職員の離職の増加、この原因はどこにあるのかと考えておられるのか、それをまずお伺いします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、国家公務員の志望者数の減少傾向や若手職員の早期離職の増加傾向の原因についてですが、様々なものがあり、一概には申し上げられませんが、人事院の調査によりますと、学生が職業として国家公務員を選ばなかった理由として、採用試験の勉強や準備が大変と答えられた方が七六%、業務内容をこなすことが大変そうと答えられた方が六一%おられたことなどが挙げられております。

 また、私ども内閣人事局のアンケートによりますと、現職の若手職員の離職意向の理由として、もっと自己成長できる魅力的な仕事に就きたいであるとか、仕事を通じて専門性、スキルが磨かれている実感がない、長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しいなどといった答えが挙げられているところでございます。

藤井委員 今、試験勉強とか大変そうとか、そんな話をされましたけれども、それよりも、本来は、やはり天下国家のために、日本国のために、国民の皆様のために働きたいという、やりがいを感じられるか、そういう思いを持っておられる方、若い方は大勢いらっしゃると思うんですよ。そういうことが、今は、魅力的であるのかどうか、そしてまた自己成長できるのかどうか、そういうところで悩んでおられるというのが非常に大きいと思うんです。

 その辺のところは後でまた触れますけれども、まずは、本当に耐えられないのは長時間労働、それもサービス残業だと思います。国会対応や各省協議など、残業時間の異常な長さという問題がございます。この点、河野大臣は、前回大臣をされているときに、残業時間を確実に把握して、これに応じた超過勤務手当が必ず支払われるようにとする指示をされたと理解しておりますけれども、この実績と成果について大臣にお伺いいたします。

河野国務大臣 霞が関の公務員が俗に言うサービス残業をかなりやっていたのは事実でございまして、それは好ましくないということで、きちんと残業時間を把握して、超過勤務に対して手当を満額支払うということにいたしました。今年度は、昨年と比べて二三%ぐらい、七十七億円でしたか、増の四百三億円を計上しておりまして、これで満額の支払いはできるというふうに思っております。

 また、各府省、昨年の八月頃から、パソコンのログなどを使った客観的な勤務時間の把握というものができるようになっておりましたので、これをまずしっかり見える化していくというのが大事だと思っておりますが、成果というのは、最終的には長時間労働が解消されなければならないと思っておりまして、まずは第一歩目として超過勤務手当を満額支払うようにいたしましたが、この次のステップとして、長時間労働を減らし、やりがいのある仕事ができている、自分が成長できている、そういう感覚を霞が関の職員の皆さんに持ってもらえるようになって初めて成果と言えるかなというふうに思っておりますので、頑張ってまいりたいと思います。

藤井委員 今、二三%増という話がございました。元々、サービス残業というのは問題視されておりまして、これは誰もが、やっていただきたいというふうに思っていたんですけれども、財務省そしてまた財務当局からしても、青天井になるんじゃないか、また、原資は国民の税金ですから、それでいいのかというのがあって、なかなかできなかった。結構革命的な話なんです。

 そういう点で、取り組んでいただいたことに感謝したいんですけれども、まさに先ほど大臣がおっしゃったように、これはあくまでも国民の税金ですから、本来、長時間労働を是正しなければいけない。ですから、是正するために、そもそも、超過勤務の見直しであったり、テレワークの環境整備であったり、デジタル化を進めて業務の効率化ができないかどうか、それが必要でございますので、特に長時間労働の是正の取組について大臣にお伺いします。具体的な取組です。

河野国務大臣 一つは、常勤の職員と非常勤の職員の業務の仕分をしっかりやってもらって、非常勤の職員の皆さんにやっていただいた方が全体として効率的になるものについてはそれを進めていきたいと思いまして、そちらの方面の予算の増額を各省庁にお願いをしているところでございます。

 また、閣僚が出席するような会議を簡素化をする、不必要なものはやめる、あるいは持ち回りで行う、資料も削減をしてもらう、資料を用意する時間も減りますので。そうした簡素化をやってもらいたいと思っております。

 また、テレワークにつきましては、テレワークができるように、特に、現在、コロナの状況もございますので、テレワークの推進というのは非常に重要だと思っております。テレワークに関する機材の整備、あるいは、テレワークでも、必要な超過勤務が行われた場合には超過勤務手当が支払われるようなルールの徹底といったことをやってまいりたいと思っております。

藤井委員 ありがとうございます。

 会議の簡素化とか資料を少なくする、これは非常に大きなことだと思いますので。これは、印刷するだけでも大変だという話がございます。また、先ほどテレワークの話がございました。官邸の会議とか、別に、省庁の会議でも、コロナということで、いわばテレワークで参加できた、非常に簡潔で楽になったと思います。特に省内の打合せとか、更に言えば、地方支分部局、出先機関との会議とかは、わざわざ来ていただかなくてもテレワークでやっていくということが大事だと思いますので、そういう点での取組をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 実のところ、国家公務員の長時間労働の是正には、霞が関特有の前例踏襲主義、そしてまた無謬性を追い求める完璧主義、省庁縦割りによる各省庁調整とか各省協議、この煩雑さというのがございます。元々の働き方を変えないといけないですし、システム化をしていかないといけない。先ほど大臣からは、常勤、非常勤のすみ分けといいますか仕分というのも必要だという話をされましたけれども、やはりシステム化できるところはできる、それと、政策をやるところはやるというところで、そういう仕分というのが大事なのではないかというふうに考えます。

 また、国会対応業務の過酷さというのにつきましては、まず隗より始めよといいますか、政治をつかさどる者としては、そういうところでいわば長時間労働が発生しないように、せめて通告時間を早くするとか、そういったところをみんな取り組んでいかねばならないかなというふうに考えております。

 また、次に、健康管理とか仕事と生活の両立支援についてお伺いしたいと思います。

 仕事と生活の両立支援ということで、前回の法律改正では、男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進のために育児休業の取得回数制限の緩和が盛り込まれるなど、妊娠、出産、育児等と仕事の両立を支援するというようなところが盛り込まれております。

 更に言えば、親御さんの介護との両立とか生活スタイルに合わせた、こういった対応をしていくことが大事だと思いますけれども、その点についてお伺いいたします。

窪田政府参考人 国家公務員の健康管理あるいは仕事と生活の両立支援についてでございますが、まず、健康管理につきましては、国家公務員法に基づきまして、国家公務員健康増進等基本計画に沿いまして職員一人一人の健康の保持増進に向け様々な取組を行っているところであります。

 例えば、私ども内閣人事局において、各府省の管理監督者を対象としたハラスメント防止やメンタルヘルスに関する研修などを実施して、職員の健康の保持増進に向けて取り組んでおります。

 また、仕事と生活の両立を支援するために、育児休業や介護休業等の各種制度について、必要とする職員が活用することができますよう、管理職の理解促進や、好事例の共有を含めた分かりやすい周知等を進めさせていただいております。特に、男性の育児休業につきましては、一層の取得促進を目指しまして、職場全体の意識改革や事前の業務分担の見直しを促しているところでございます。

 今後とも、男女問わず職員が心身共に健康に仕事と生活が両立できるような環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 高い使命感、倫理観を持っていたとしても、同じ人間でございますので、自己犠牲を強い続けるというのには限度があると思います。是非、健康管理、そしてまた仕事と家庭の両立のために、是非とも職員さんのためによろしくお願い申し上げたいと思います。

 国家公務員の働き方改革、長時間労働の是正のためには、法制執務の業務の効率化が欠かせないと考えております。前回、河野大臣が大臣をされていたときには、御指摘により、閣議請議書の青枠とこよりとじが廃止されました。やればできるんです。いや、実はこれはすごく大変なことなので。

 業務効率化のための法制執務のデジタル化、e―LAWSの取組についてお伺いします。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 e―LAWS、法制執務業務支援システムにつきましては、当面の取組といたしまして、正確かつ信頼性の高い法令データを整備するとともに、法令データをe―LAWSに迅速に掲載するために、データ更新を行うための業務フローの見直しを行うこととしております。

 また、中期的な取組として、法制執務全体の業務フローの在り方について検討した上で、法制執務の業務、システムの見直しを実施することとしているところでございます。

 法令データの整備及び更新につきましては、本年四月から迅速な法令データ更新のための新たな業務フローを開始をし、今臨時国会から全法案を対象として本格実施をしているところでございます。

 また、法制執務全体の業務、システムの見直しについてでございますが、関係省庁と連携をし、ユーザーである各府省の法制執務の担当者などに対し、法制執務の実態、ニーズなどについてヒアリングを進めるとともに、デジタル臨時行政調査会においても、法令データ更新の更なる迅速化、法令データベースの高度化等に向けて検討をいただいているところでございます。

 今後とも、これらの取組を着実に実施をし、デジタル庁として法制執務の合理化、効率化や法案作成作業の負担軽減に取り組んでまいります。

嶋政府参考人 お答えいたします。

 法令審査を所掌する内閣法制局といたしましては、法令審査事務におけるデジタル技術や各種システムの活用といたしまして、法令案等の形式的チェックを補助する法令審査支援システムを導入して当局及び立案府省庁等で利用するとともに、その機能向上を図る、現行日本法規の電子版であるスーパー法令ウェブやe―LAWSの法令の電子データを審査の基礎資料として活用する、資料送付など対面を必要としない場合のメール等の利用、審査におけるウェブ会議システムの利用といった取組をしております。

 令和四年度は、法令審査支援システムにつきまして、システムを利用した法律案等の形式的チェックの効率化に資する機能を追加する等の改修を行っているところであります。

 法令審査を含む法制執務全体のデジタル化につきましては、法制執務全体の業務フローの検証、e―LAWSの機能向上等につきまして、デジタル庁及び総務省が関係府省庁と連携しつつ検討を行い、必要な見直しを実施する予定とされておりますので、内閣法制局といたしましても、デジタル庁から御答弁ございました取組について、連携して取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 結構隔世の感があると思っておるんですけれども、一回読み合わせするのに一人で一時間二十ページが限度だとか、そうなってくると、デジタル庁をつくるために、紙のこんな法案だったんですよね。一回読むのに例えば百時間かかるとか二百時間とかかかるという話なので。二千ページあったら、当然、百時間とかいうことですから、それをチェックするのにこれだけ時間をかけている。

 先ほど、法制局の方が支援システムをつくっておられるという話もありましたし、今までまさしく黒表紙と読み合わせをしていないといけなかったということなんですけれども、これを、電子データも審査資料にする、これは結構革命的な話なので、非常にそういう前向きな取組をしていただいていることに感謝を申し上げたいんですけれども、まさしく参照条文とかそういったものは自動作成が電子データでできないか、また、新旧対照条文から改め文を自動作成することができれば、また、AIでエラー検出やチェックができれば、逆に法案作成の誤り防止にもつながると思いますので、こういった点での業務改善というのを是非とも政府を挙げてよろしくお願い申し上げたいと思います。

 昨年九月一日にデジタル庁が発足いたしました。デジタル庁に有為のデジタル人材が集っていただかないといけない。デジタル庁の人材確保にどのように取り組んでおられるのか。まさに最先端のデジタル人材を確保するには相応の処遇が必要なんです、これは民間との比較で。そういう点で、デジタル庁の取組を政府参考人にお伺いしますとともに、国家公務員採用試験にデジタル区分というのが創設されたのは大きな前進だと理解しておりますけれども、本当に有為の人材を確保するには、これはやはりデジタル職とかサイバーセキュリティーを担当する、それはまあデジタル職でもサイバーセキュリティー職でもいいんですけれども、別の俸給表とか、給与体系自体を変えないといけないんじゃないかと思いますけれども、この大きな点については大臣にお伺いしたいと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 デジタル庁におきましては、まさに民間の専門人材の知見を活用すべく、能力と志とを併せ持つ優秀な人材を広く集めたいと考えておりますので、常勤、非常勤といった、各自の状況に合った形での採用を実施いたしますとともに、特にデジタル人材の処遇におきましては、デジタル分野等における専門性や職務の御経験又は従事していただく職務内容なども考慮させていただいております。また、まさにリモートワークをしやすい環境を整えますとともに、プロジェクトベースでデジタル人材については参画していただくなど、柔軟な働き方を可能とする職場環境整備にも取り組んでいるところでございます。

 民間出身の職員の皆様は、やはり国民目線あるいは利用者目線ということで、デジタル基盤の整備、行政サービスの提供などに様々な支援をしていただいているところでございます。

 また、民間出身の職員の中には、やはりデジタル庁が提供するサービスは国民全員が対象となっているということで、国民全員が直接ユーザーとなるものであるとか、社会全体のデジタル化を進める基盤の構築であり、これまでなかなかできない経験だということで、そういった声があるとも承知しております。

 こういった優秀な方々が柔軟にデジタル庁に参画していただけるよう、高いモチベーションそれからやりがいを持って職務を全うしていただけるよう、今後も、魅力的な、官民融合した組織文化を醸成していきたいと思っております。

河野国務大臣 デジタル庁は、今、総勢で七百五十人ということで、これは、シンガポールのデジタル庁に相当するところは二千人以上いるということを考えても、今かなり人数が少ない中で悪戦苦闘しているというのが正直なところでございますが、民間企業がデジタルトランスフォーメーションということでデジタル人材の採用、中途採用を特に強化している中で、デジ庁の採用もかなり苦戦をしております。

 委員おっしゃるように、やはりデジタル人材を採用するためには別な処遇の仕方というのが必要でございまして、デジタル職の俸給表というものを、これはまず人事院において検討していただかないといけませんので、人事院において御検討をいただく中で、処遇の改善、採用のときにも、今、手続はかなり緩和をしてもらっておりますし、処遇もかなり柔軟性を持って処遇できるようになっておりますが、やはりデジタル職の俸給表というようなものが必要になってくると思いますので、これは人事院においてまず検討をしていただいて、その後、政府としてしっかりこれに対応していきたいと思っております。

藤井委員 大臣から前向きな貴重な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 正直言いますと、デジタル庁は、今七百五十人という話がありましたけれども、霞が関の定員管理の常識からすると非常に画期的な話でございまして、大体、スクラップ・アンド・ビルドで、どこそこの省庁のどこそこの分を減らした分しかつけないというのが常識である中で、よくこれだけ集めていただいているなというふうに感謝をするところなんですが、今、それこそ、最初に創設されたから、貴重な経験ができるんじゃないかということで人は集まっていたとしても、実際、民間の方は、こんな処遇だったらやってられないというふうに早晩言われてしまう可能性があるわけです。

 そういう本当に優秀な方は、むしろ海外との取り合いということになりますので、国内とのやり取りででもないんですよ。これで海外にヘッドハンティングされていくと、まさに国力が低下していく、そういうことになりますので、是非ともそういう点での処遇というのを考えていただくことが必要なのではないか。

 また、逆に、デジタル庁のところで、処遇が低いけれどもなぜ来るのかということになると、これは、それこそ民間とのやり取りの中で、自分のところにまた戻ったときにメリットがあるとか、決してそんなことがあってはいけないわけでございますので、守秘義務を含めて、そういう点で、是非とも処遇等を含めて、是非、魂をデジタル庁に吹き込んでいただければというふうに考えるところでございます。

 また、定員管理の関係では、今回、今回といいますか、昨今の災害の激甚化、そしてまた対応能力の専門化ということで、出先機関の定員増が図られております。地方支分部局、特にいわゆる国土交通省の方でございますけれども、これは非常によいことだと考えておりますけれども、この取組についてお伺いします。

 また一方で、霞が関、中央省庁では、本当に対応すべき行政課題の変化、世界情勢は大きく変化しておりますし、社会自体も、時代自体も非常に大きく変わってきている。したがって、省庁の枠を超えた取組がますます必要になっています。

 例えば、例に挙げれば、新型コロナ対応なんてそうですし、ワクチンの接種というのもそうですし、じゃ、デジタル庁をつくる、こども家庭庁をつくる、当然そうですし、経済安全保障もGXもとなってきますと、いわゆる一つの省庁とか各省庁割りで対応できないんです。定員要求や予算要求自体は年度ごとですから、内閣の最重要課題や国家的プロジェクトに迅速に対応しようと思ったら、年度途中でも、やはり適切な定員配置、業務分担の見直し、柔軟な人員配置が必要なんです。その取組についてお伺いします。

横田政府参考人 国家公務員の定員管理につきましては、平成二十六年に閣議決定されました方針に基づきまして、内閣の重要政策への対応に重点的に増員を措置しているということでございます。

 まず、お尋ねの一点目でございます出先機関の定員についてでございます。

 平成三十年以降、おおむね純増基調ということになっておりまして、御指摘のございました地方整備局につきましては、防災、減災という観点から重要課題であるということで、令和元年からの三年間で三百二十一人純増になっておるというところでございます。

 また、お尋ねの二点目でございます、内閣の最重要課題、そういったものについては迅速に対応すべきであるということでございます。

 こういった緊急かつ政府全体で対応する事案に対しましては、担当省の内外から即戦力となる職員を集めて迅速、柔軟な対応を行うということになっておりますが、定員面につきましても、必要な場合には年度途中であっても柔軟に増員を行っているというところでございます。

 例えば、令和二年度の途中でございましたけれども、新型コロナウイルス対策ということで、内閣官房それから厚生労働省には、合計千三百八十九人の緊急増員を行ったということでございます。

 引き続き、こういった各府省の状況であるとか、あるいは政策課題の重要性といったことを踏まえまして、柔軟な対応をしてまいりたいというように考えておるところでございます。

藤井委員 今、出先機関では地方整備局の純増という話をいただきました。国土交通省発足以来というよりも、むしろ昭和四十年代の地方建設局以来増えているということでございますので、よくぞそういう取組をしていただいたなと感謝をするところでございます。

 また、中央省庁については柔軟な対応をされているという話なんですが、実際のところ、多くの人を集めて内閣の重要課題に対応するといっても、その方々は平時の元々の仕事があるわけです。そこから引っぺがされて併任をされたりとか、そういうので対応しているというのが現状でございますので、実際それでやっていけるのかというのが今、先ほど新型コロナの対応もお話しいただきましたけれども、実際、例えばワクチン接種とかやっていても、こんなのでできるのかというのが正直な感想だったんです。

 私は、首相官邸といいますか、官邸主導とか政治主導に対して批判的な方はいらっしゃいますけれども、私はむしろ、首相官邸とか、内閣の重要課題にきっちり対応するというその体制をもっと強化すべきではないかと思っております。

 多様な人材を確保する。国際社会の現実に通じた人材を確保する。最先端技術にも通じて、そして民間の最先端の状況にも通じた人材を確保する。しかしながらちゃんと現場が分かっている、地方のことも分かっている、国民の声、民の思い、苦しみ、つらさを知っているという人材が省庁の縦割りを排して集まってくる必要がある。官邸に、人材登用と確保が必要なのではないか。そうでなければこの時代の変化に対応ができない、そのように考えます。

 その際に、多様な人材を登用する入口というのも重要なんですけれども、やはり出口。人生百年時代ですから、一旦官邸に集まって、内閣の最重要課題に身を粉にして自己犠牲で一生懸命やった人、その人の後の処遇をどうするか。

 今どうなっているかというと、基本は、各省庁からみんな集まってきて、最後に処遇するのは出身省庁の処遇ということになると、結局そっち向いて仕事をするということになるんですよ。最後はそっちに忠誠心を誓うということになるんですよ。そうではなくて、首相官邸で日本の最重要課題に忠誠を誓って一生懸命やった方がばかを見るということになると、何をやっているのか分からない。こんなことをしていては、日本国の国力の低下は避けられない。

 その点について、大臣の御見解をよろしくお願い申し上げます。

河野国務大臣 藤井委員には、ワクチン接種のとき、副大臣として本当に獅子奮迅の働きをしていただきまして、誠にありがとうございました。

 あのときも、各省庁からいろいろな人に出てきてもらって、この国難をどう乗り切るんだ、結構大変な仕事でございました。そういう意味で、首相官邸にいざというときに人がきちんと集まるというのは大事なことだと思っております。

 私はかつて、熊本地震のときに防災の担当大臣をやったことがございますが、防災部局、あれは内閣府でございますけれども、そこに各省から人が来てもらって、一度この災害をみんなで乗り切る、その人が今度は各省に戻ると、災害が起きたときに、次に何が起こるのか、次にそれぞれの部署でどういう準備をしたらいいのかというのがよく分かって、先手を取って各省が動くことができるということがありますので、内閣官房あるいは内閣府に集まった人がまた各省でそれなりの重要なポストに就くというのは非常に重要なことだと思っております。

 ただ、今、各省が俗に座布団と言われている定員枠を持ったまま人が内閣官房、内閣府に集められて、結果として各省の人が足らなくなって各省が回らなくなっているというようなこともありますので、今回は少しそうしたところの解消もしなければいかぬなというふうに思っているところでございます。

 各省の人材と、それをどう首相官邸に集めるか。これは多分いろいろなケースがあるし、また、人によってもいろいろなことがあると思いますので、そこのところは、委員おっしゃるように、省益を超えて、国益のためにみんながまずスクラムを組むという前提の下、様々な処遇の在り方というのは考えてまいりたいと思っております。

藤井委員 まさに日本国のために、国益のために、日本国民のためにスクラムが組めるような体制づくりをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間となりました。終わります。

大西委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳(陽)委員 青柳陽一郎でございます。

 先ほどの人勧の質疑に続いて議論させていただきたいと思いますが、まず最初、ちょっと違う話題から入りますけれども、賃金のデジタル払いについて伺いたいと思います。

 厚生労働省に伺いますけれども、この賃金のデジタル払い、労基法では、二十四条で、賃金は通貨で支払うということが規定されておりますけれども、デジタル払いについて、どういう背景でこうした話が出てきて、そして、どういう議論になっていて、このデジタル払いはいつから実施されるのか。さらには、留意する点としてどういう議論が行われたのか。また、これは法改正が必要になるのかならないのかについて、厚労省の見解を伺いたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 賃金支払いに関する労使の新たな選択肢として資金移動業者の口座への賃金支払いを認めること、今委員おっしゃいましたいわゆる賃金のデジタル払いにつきましては、賃金のデジタル払いに関するニーズなどを踏まえた規制改革実施計画等の閣議決定を受けて、制度化に向け、令和二年八月から労働政策審議会労働条件分科会において議論を重ねてまいりました。

 その労働条件分科会におきましては、特に、労働者の賃金の安全かつ確実な支払いを確保するための方法が論点となりました。議論の結果、資金移動業者の口座への賃金支払いに当たりましては、労働者の同意を得た上で、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座への支払いのみ認めることとされました。

 具体的なその指定要件といたしましては、銀行と同程度の安全性、確実性が求められていることも踏まえて、資金移動業者が破綻した場合に労働者の口座残高の全額を速やかに保証する仕組みを有していること、不正取引等により労働者の口座残高に損失が生じた場合にその損失を補償する仕組みを有していること等としております。

 労働条件分科会におきましては、こうした指定要件を含んだ労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱について、十月二十六日に、おおむね妥当であるとの答申が行われました。ということで、省令改正が必要でございます。

 今後は、令和五年、来年の四月一日からその改正省令が施行されて、資金移動業者からの指定申請受付を行う予定でございます。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 今、背景は、そういうニーズがあったということですから、特にこれは若い方からのニーズなんだろうというふうに思いますし、労働界からの意見は、とにかく安全性をしっかり確保していただきたいということだったので、この点は、業者を指定する場合にしっかり確認をお願いしたいと思います。

 その上で、次に人事院に伺いますけれども、公務員の給与の支払いについても同等の規制があるのかないのか、どのように規定されているのかについて伺います。

柴崎政府参考人 御質問でございますけれども、今答弁できるような資料が手元にございません。

 大変恐縮でございます。

青柳(陽)委員 いや、これは昨日も通告のときに議論になりましたけれども、公務員も同等の規定があるんでしょう、賃金で支払うということで。給与を振り込みにする場合も、民間と同様に、同意を取って、同意が取れれば銀行振り込みになるんでしょう。それを今度デジタル払いにするときに、どういうことが手続として必要になるのか。これは通告していると思いますので、お答えいただきたいと思います。

窪田政府参考人 失礼いたします。お答えいたします。

 民間企業における賃金のデジタル払いは、御指摘のように、労働基準法に定める賃金の通貨払いの原則の例外として、現在、具体的な制度設計を行っているところですが、国家公務員の給与につきましては、労働基準法が適用されず、一般職給与法で現金払いの原則が規定されているところでありますが、課題を精査しつつ、民間部門における資金移動業者の動向を注視してまいりたいと現在は考えているところでございます。

青柳(陽)委員 民間は労基法で、賃金は通貨、本人の同意を得れば銀行振り込みが可能、公務員も、労基法ではないけれども、同等の基準が適用されているということですね。

 それでは、河野大臣に伺いますけれども、今御説明ありましたデジタル払いが、民間では来年の四月から施行、始まるということでございますが、この背景は、若者のニーズというのが一つの背景だというふうに聞いております。公務員の若者人材を確保するためには、あらゆる手段を尽くすべきだろうという観点から、公務員の給与のデジタル払いについて、今の検討状況あるいは河野大臣のお考えがあればお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 民間の動向を注視しながら、人事院で精査されることと思いますので、それを待ちたいと思います。

青柳(陽)委員 分かりました。

 是非、この点についても、ニーズを把握した上で御検討いただければいいんじゃないかなというふうに思います。

 それでは、引き続き、働き方改革を中心とした問題について議論してまいりたいと思います。

 公務員の若年退職者の増加、これは先ほど来議論がありますように、公務のやりがいや、あるいは、大きな問題になっているのは超過勤務、残業の問題だと思います。これは御案内のとおり、公務員には労使の協議の場がなくて、主体的な決定によって働き方改革を推進していくことが制約されているということでございますが、そういう中で、長時間労働をどう是正していくかということですけれども、公務員の長時間労働の是正のための具体的な方策、対応について、まず大臣の御所見。そして、どうやって魅力ある職場にしていくかについて、同じように大臣の御所見を伺いたいと思います。

河野国務大臣 委員おっしゃるように、若手職員の離職はかなり大きな課題になってきております。

 一つは、民間に行けばもっと高い給料で仕事ができるけれども、大きな仕事をしたい、国民のための仕事をしたいということで来てくれた職員が、なかなか理想と現実のギャップに苦しんでいる。あるいは、国会対応を始め、なかなか予見性のない長時間労働を強いられることで仕事と家庭が両立できない。そうした原因がございます。

 そういう中で、まずは、先ほども申し上げましたが、サービス残業を、きちんと超過勤務手当を支払うということをやってまいりましたが、これは金を払ったからいいというものではなくて、それはあくまでも第一歩で、究極的には、残業をなくす、残業を減らす、そして、やりがいのある仕事ができるというのが大事だと思っております。

 国会の御理解をいただきながら、長時間労働を減らしていくと同時に、常勤職員、非常勤職員の仕事の割り振りというものをきちんと見極めながら、適切な業務ができるようにしていきたい。

 そして、もう一つは、上司との、きちんと自分のキャリアパスについての相談というものができる、あるいは、上司ときちんとそういう面談ができる、自分のキャリアパスがある程度きちっと見えるという状況をつくり出していくということが大事だと思っております。

 また、デジタル技術を使った、テレワークといったこともしっかり進めてまいりたいと思っております。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 最初に確認しますけれども、民間では、超過勤務に対して法令、労使協約における基準が示されて、労働基準監督署における監視があり、さらに罰則もあるわけです。厳格な措置で運用されていると言えますけれども、これに対して国家公務員の方は、超過勤務に対する基準とか監視とか罰則というのは、そうしたものは講じられているのかどうかについて確認をさせてください。

柴崎政府参考人 お答えいたします。

 まず、規則でございますけれども、三十一年の四月に国家公務員におきましても人事院規則を改正いたしまして、民間とほぼ同様の形での超過勤務の上限の規則というのを作ってございます。

 その監督でございますけれども、今申し上げた規則にのっとった形で、人事院の方で、各府省、ヒアリングをしたり、アンケート調査をしたりしながら、指導を行っております。

 更に申し上げれば、今年の四月に、超過勤務を縮減する観点から、長時間労働の調査・指導室というのを立ち上げまして、そちらで今、調査、指導を始めたところでございます。

 罰則については、公務については特段ございません。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 監督、調査、指導というのがあるということでしたけれども。

 人事院の国家公務員給与等実態調査において年間の超過勤務時間数を調査しているわけですけれども、平成三十一年四月、今答弁ありました人事院規則改正によって施行された国家公務員給与等実態調査における平均年間超過勤務時間の調査結果、これは本府省と本府省以外で調査がありますけれども、令和二年は年間三百四十八時間が、三年は増えていまして三百五十八時間、令和四年は更に増えて三百八十三時間になっています、これは本府省。でも、本府省以外の方は、令和二年は百九十時間、これが令和三年になれば百八十一時間、令和四年は百七十九時間。本府省は超過勤務時間が増加して、本府省以外は減少しているわけです。

 この結果はどのように分析しているか。なぜ、本府省は増加し、本府省以外は減少しているのか。そして、あわせて、これは先ほども答弁ありましたけれども、再度確認させていただきますけれども、この超過勤務手当を全額支給するという方針を打ち出し、実現しているのは、まさに河野大臣なんですけれども、令和二年秋以降の超過勤務手当についてきちんと全額支給されているのかどうか、確認をさせてください。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、超過勤務の時間の推移の原因ということだと思います。

 今委員御指摘のとおりの数字でございますけれども、本府省が増加、本府省以外の方は若干の減少というのが実態としてございます。

 これにつきましては、私ども、各府省から様々な形で聴取をしてございます。その中で、やはり、年間を通して新型コロナウイルス感染症への対応、それに伴う経済対策等を行っていたということが大きく影響していたというふうに伺っているところでございます。

 また、参考といたしまして、令和二年度におけます超勤上限を超えた要因というのを見てみますと、新型コロナウイルス感染症対策関連の業務を行っていた職員の数というものが分かりますが、これが前年と比べますと、他律部署というところでは約一・九倍、自律部署というところでは約二・九倍という形で、数字で表れているものでございます。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 先ほど御答弁あった、調査、監督、指導が必要ということで、今も新しく規則が変わって調査していただいておりますけれども、国家公務員の平均年間超過勤務時間の推移、これは各府省ごとの調査結果が公表されていないんですね。これでは実態を正確に把握できないのではないかというふうに思います。

 超過勤務時間を正確に調査して、そして指導していかないと、実際は勤務時間の縮減につながらないのではないか、これは当然だと思いますが、今御答弁いただいた特例業務、他律的業務、自律的業務の調査も、各府省ごとの調査結果が公表されていないんですね。

 これはなぜ、各府省ごとの調査を公表しないんでしょうか。本気で対応していくには、きちんと調査をして分析をして指導していく必要があると思います。なぜ、各府省ごと、あるいは各課ごとに調査をし、その結果を公表しないのかについて伺いたいと思います。

 また、今御答弁ありました特例業務の範囲、他律的業務の部署の指定についても、これは人事院自身が、統一が図られていない、各府省ごとに相違があるというのも認めているわけですね。であれば、なおのこと、各府省ごとに調査する必要があります。

 これは、なぜやらないのか、なぜそういう公表になっていないのかを御答弁いただきたいと思います。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 上限を超えて超過勤務を命ずることができる特例業務の範囲及び他律部署の指定につきましては、各府省ごとにそれぞれ所掌事務が異なっておりますし、業務も非常に細かく分かれるものでございます。

 そういう観点で、まずは、所管行政の適切な遂行に責任を有する各府省におきまして、人事院規則等に従って、府省固有の業務内容等を十分に踏まえた上で、適切に判断する必要があるというふうに考えてございます。

 各府省別の数値というものでございますが、今申し上げたように、府省固有の業務内容と密接に関連しているということから、自府省の超過勤務の上限の運用状況に関する説明責任という観点からも、まずは各府省において対応いただくのが適切であるというふうに考えているところでございます。

青柳(陽)委員 それじゃ減らないですよ。これは、各府省ごとに調査して、しっかり減らしていくという指導をすべきじゃないでしょうか。総裁、いかがですか。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係ということだけで、私、答弁が不足してございました。

 各府省ごとに調査をすべきではないかということに関しましては、先ほど申し上げました調査・指導室におきまして各府省ごとにしっかりと調査をしているところでございますし、今後ともしっかりやっていきたいと思います。

青柳(陽)委員 いや、だから、調査してもらって公表して指導しないと減らないでしょうと言っているんです。それをやるべきだと言っていますが、総裁、どうですか。

 この資料、全部まとまって出ているんですよ。だから、何省がどのぐらいかというのは分からない。それから、他律的業務とか自律的業務とか、特例といいながら、予算とか会計、あるいは人事、給与というのが超過勤務が多いんですよ、国会対応もそうなんだけれども。でも、それは別に特例業務じゃなくて、通常の業務の範囲なのに超過勤務が多いんですよ。でも、これは、どの省にどういうふうになっているのか把握できないわけです。

 これは人事院自身も認めているんです、各府省ごとに分類の仕方が違うというのは。だから、各府省ごとにしっかり公表して、人事院が責任を持って指導しないと、減らないのではないかと申し上げています。

 これは総裁の御意見を伺いたいと思います。

川本政府特別補佐人 調査、監督、指導をいたしますには、やはり、きちんとした根拠、データが必要であると思います。

 今、人事院では、各府省ごとの実態について、四月に設立いたしました調査・指導室の下に調査を進めております。それを開示するのかどうかというのはまた次の段階かと思いますので、まずはデータ集めというのをしたいというふうに思っております。

青柳(陽)委員 河野大臣にもお伺いしますけれども、しっかり人事院が指導して、減らしていくというのを私はやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 人事院に権限と責任があるということは間違いないところでございますが、じゃ、なぜサービス残業が横行していたのかということでございまして、ようやく、川本総裁になって、人事院がいろいろと内閣人事局のお尻を蹴飛ばすようになりまして、今我々も、人事院からの様々な要請を受けて、いろいろな調査をやろうということになっております。

 人事院としっかり連携をしながら、また人事院が川本総裁の下でしっかりと権限を行使をしながら、この働き方改革というのを進めていきたいというふうに思っているところでございます。

青柳(陽)委員 人材の採用とか、若年層の早期退職の最大の要因が、超過勤務時間、残業だと言われているわけですから、これは本気で改革をしていただきたい。

 残業手当が全て支払われるようになったということについては、本当にいい改革だなというふうに思いますけれども、あとは、本気でサービス残業や超過勤務を減らしていくという取組が必要だと思います。

 再度聞きますけれども、超過勤務を命じる側の権限は完全に各府省に委ねられているわけで、そこに対して人事院は何らかの指導を行使できるのかということについてもう一度伺いたいと思いますが、これはできなければ、これが構造上の問題になると思いますが、いかがでしょうか。

柴崎政府参考人 お答えいたします。

 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の第二条の規定に基づきまして、同法の実施に関する権限及び責務を人事院としては有してございます。

 したがいまして、長時間労働の是正に関する必要な指導を我々としては行っていきたいというふうに考えております。

青柳(陽)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、新型コロナウイルスの感染症や大規模災害という危機もあって、本当に国民の命と暮らしを守るために日々現場で汗をかいて懸命に働いてくださっている公務員の皆さんには敬意を表したいというふうに思います。そうした中で、今の志望者、公務員を目指す志望者が減少したり、若者、若い人たちの早期退職が増加しているというのは本当に憂慮すべき事態でございます。

 霞が関あるいは永田町も一体となって取り組んでいきたいということを申し上げて、質問を終わります。どうもありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 先ほど、給与と人事制度の質問を川本総裁にさせていただきました。

 河野大臣は、ブラックからホワイトへ霞が関を変えていきたいという強い意向をお持ちであると伺っております。私も、本委員会での質疑を通じ霞が関の働き方改革を訴えてまいりましたので、是非実現していただきたいと思い、質問させていただきます。

 人材流出が続く中で、霞が関においても働き方改革を進めていくことは必須との認識は各党共通のものとなっています。一方で、官僚の皆さんの負担感が高く、改善が望まれていると言われているのが国会対応業務であり、この部分は、私たち国会議員、各党会派の皆さんの協力なしには改善が見込めないと思っております。

 そこで、本日は、官僚の皆さんが重い負担感にあえぎ、霞が関の働き方改革を阻害していると言われる国会業務について、まず最初に取り上げてまいりたいと思います。

 人事院では、毎年の人事院勧告に合わせて公務員人事管理に関する報告を発表しております。そして、公務員人事管理に関する報告の骨子、これは令和四年八月八日に出たものですけれども、こちらでは、勤務環境の整備という項目において、職員のウェルビーイング実現に向けた職場環境整備が肝要とし、その対応策を示し、長時間労働是正に向けて、特に国会業務対応について言及がなされています。

 そこには次のような記載があります。読ませていただきます。「国会対応業務について、質問通告の早期化、オンラインの対応は超過勤務の縮減に寄与。引き続き国会等の理解と協力を切願」。以上です。昨年の報告書骨子から切願というワードが用いられているようですけれども、公文書で切願という表記は極めて異例なのではないかなと感じております。

 そこで、公務員人事管理に関する報告書の骨子の中で、あえて切願と書き込んだ意図を人事院総裁にお伺いいたします。

川本政府特別補佐人 国会対応業務は、特に本省の他律部署において上限を超えて超過勤務した最大の要因の一つとなっており、職員にとって大きな負担になっております。

 昨年来、国会対応業務による超過勤務縮減の観点から、私より、衆議院、参議院の両院議長を始め関係各方面の方々に御理解、御協力をお願いしてまいりました。各府省からも、質問通告の早期化、オンライン化が超過勤務の縮減につながったと聞いており、議員の先生方の御協力に感謝申し上げます。

 国会の運営に関する事項は国会でお決めになることですが、人事院としては、職員の適正な勤務条件を確保する観点から、国会対応業務の改善は引き続き重要な課題だと考えておりまして、こうした問題意識の下、本年の勧告時報告において、「国会を始めとする関係各方面の御理解と御協力をお願いしていきたい。」と言及させていただくとともに、報告文の骨子においては、昨年同様に、勧告文、報告の内容を端的に表現するものとして、切願という用語を使用させていただいたところです。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 国会に対し依頼や要望まではしづらい中で、切に願うという言葉を用いたものと拝察いたします。私は、国会業務の改善に何とか協力してほしいという人事院、そして霞が関の皆さんの心の叫びを聞いた思いです。

 そこで、次に、国会業務の実情を何点か確認させていただきます。

 国会業務のうち特に問題とされているのが、国会質問の通告です。通告は、実りある国会議論に向けて、与野党の申合せの下、行われているものと了解しておりますけれども、質問日前日の夜になって初めて通告内容を知らされる場合、待機や質問対応で、職員の皆さんは深夜まで残業せざるを得ない状況になります。

 そこで、質問通告の実情を確認する意味で、国会質問の通告が出そろった平均時間について、近年の状況をお伺いします。質問の何日前の何時に出そろっているというふうにお答えいただけますでしょうか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 国会対応業務の状況については、私ども、これまで種々調査を行っておりますが、一例として申し上げれば、令和二年の臨時国会中において、全ての質問取り等が終了し答弁作成に着手できるようになった時間につきまして、各省庁に調査をいたしました。

 この結果を以前の平成三十年と比較いたしますと、前日二十時十九分から十八時五十五分へと早期化はしております。ただし、それでも、三分の二は定時であります十八時十五分以降、二十時以降も三分の一超という状態になってございました。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 過去二回の調査結果をお示しいただきました。いずれも、質問日の前日の夜八時過ぎと、あと、七時ちょっと前ぐらいということで、まあ遅いなという印象を持ちました。

 我が党では、霞が関の働き方改革を推進する立場から、職員の皆さんに無用な負担をかけないよう、質問通告は質問日の二日前までに行う、レクはなるべくオンラインで行う方針を示しまして、所属の衆参議員に徹底をさせているところですけれども、政党ごとの質問通告時間の遅い早いの傾向はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 質問通告につきましては、一般的に国会の委員部から各府省の連絡室に連絡されるものですので、各府省においては、時間帯、時間等について当然知り得る立場にあるわけですが、それを会派ごとには整理していないと思われますし、私ども内閣人事局におきましても、そうしたデータは収集しておりません。

阿部(司)委員 やった方がいいと思うんですけれども、そこまでは把握していないとの御答弁でした。

 また、いいデータがありまして、独自に官僚からの聞き取りを行った調査がありまして、ワーク・ライフバランス社というところが出している調査ですけれども、通告期限を守らないのは、日本維新の会を除いた野党が圧倒的に多いという結果となっております。議員がしっかり自覚を持って、なるべく早く通告をすることが重要であると訴えたいと思います。

 次に行きます。

 国会業務には待機以外にも不毛なものがありまして、若手職員のやる気を失わせる要因の一つともなっています。

 例えば、若手職員は、国会質問対応で大量のコピー取りに追われ、委員会や本会議当日になると、夜中や朝早くに、担当大臣や関係者に資料を届けるべく、大量の資料を抱えて暗がりの国会ですとか霞が関周辺を自転車で届けて回るのが慣例のようになっていると聞いたことがあるんですけれども、こうした状況は今も現実にあるか、お伺いをいたします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 暗がりで答弁をいろいろなところに届けるようなことは、相当以前はあったかもしれませんが、現在は、大量の資料を添付できるメール等がありますので、それほど一般的ではないと思いますが、それでも、答弁セット後に、翌日のレクに備えて、例えば国会の控室とかの場所に資料を届ける程度のことはあるかと思います。

 いずれにしても、若手職員の場合、答弁が確定しても、少なくない部数の印刷やインデックス貼りといった答弁セットのための業務が続くために退庁時間が遅くなるということはあるかと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 メールなどが出てきて前よりかはましになっているという御答弁でしたけれども、ただ、今も変わらず負担が多いという御回答だったかと思います。

 ここまでお聞きいただいた上で、国会業務をめぐる状況をどのように感じておられるのか、河野大臣の率直な思いをお聞かせください。

河野国務大臣 今日のこの法案審議、七人が質問に立たれますが、昨日の定時までに、四人の方の質問については答弁の打合せを終えることができました。御協力に感謝を申し上げたいと思いますが、定時後であったり、あるいは一行通告で、結局、その後、質問者あるいは事務所の方を追いかけて、そこから質問を確定して答弁を作らなければいけないということもございました。

 霞が関の中では、国会業務、それから法令協議、それから予算といったものについて非常に長時間労働の原因になっているということですが、この国会業務につきましては、今のところ、委員会の前日が必ず残業にならざるを得ない。それから、なかなか予見性がないものですから、子育て、介護をしている職員は、家族間で介護の割り振りであったり、あるいは子供を保育園に迎えに行く、誰が行くというようなことをやるわけですが、国会業務があると会期中は予見性が立てられないということで、介護に家族で入れないというようなことがあって、そうしたことも負担感につながっているようでございます。

 国会は非常に重要なあれでございますが、質問通告あるいはオンラインレクといったことをきちっとやっていただければ、それなりに質の高い議論が委員会でできるようになると思っております。

 現時点ですと、例えば、早朝に答弁の打合せをやったときに、これは答弁を変えた方がいいといっても、なかなか変えられないんですね。ですから、例えば前の日あるいは前々日に答弁の打合せができれば、この答弁はそろそろ時代に合わないから変えようといったときに作業ができるわけですが、早朝に、これは本当は変えたいんだけれどもちょっと間に合わないなということが、これまでもありました。

 ですから、議論の質を高めるという意味でも国会の御協力をいただきたいところでございますし、今、これまでの質疑でもいろいろ、データがあるのかということで、川本総裁からも、しっかりと国会業務に関するデータを集めろ、議論ができるベースを集めろという御指示もいただいているところでございますので、国会の御協力をいただきながら、しっかりと働き方改革につながるようにしていきたいと思っておりますし、また、通告を受けた後の役所の中の答弁の作成と、それをどうオーソライズしていくかというプロセスについても我々見直さなければいかぬと思っておりまして、そこは、プロセスの見直しと、デジタル技術をいかに使っていくか、両方からやっていきたいというふうに思っているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 国会業務におけるデータ、今、いろいろとそろえていって改善に生かしたいという御答弁がありましたが、是非やっていただきたいと思っております。

 さらに、デジタルの話も出ましたけれども、国会業務のデジタル化、今もオンラインレクというのが少しずつ進んできておりますけれども、先日、本年の四月になりますけれども、ブラック霞が関を変えていこうと、係長、課長級の官僚の有志の八人の方々、当時の二之湯大臣と川本総裁宛てに提言書を提出したと聞いております。

 彼らは、国会議員への政策説明、いわゆるレクについて、オンラインで対応してもらえる議員が増えて、明らかに効率が上がったと述べています。悲しいことに、その理由は、議員会館廊下での二、三時間の待機がなくなったからという話だったんですけれども。議員がオンラインレクで対応するだけでも官僚の皆さんの負担はこれだけ減るのに、関係省庁への、答弁資料を何十部とコピーして配付して回る、これは非常に大変ですし、一般の民間企業から見ると、おかしいと思うんですね。各省庁の幹部の皆さんを含めて、国会議員も含めて、意識改革が必要なのだと思っております。

 このような国会業務をDXで改善していく余地というのは大きいと思うんですけれども、DXによる国会業務の効率化、職員負担軽減について、河野大臣の御所見をお伺いいたします。

河野国務大臣 例えば、直前で答弁を差し替えるようなときに、一々コピーをして、また耳を貼ってもらったりということがありますが、デジタル化することによって、そういう必要がなくなります。また、答弁の作成のときに、テレワークでも答弁の作成、答弁の作成のための打合せというようなことができるようになります。オンラインでレクをやっていただければ、霞が関から議員会館の往復という時間もなくなりますし、廊下で順番を待たずにオンラインを切り替えていけばいいということがございますので、デジタル化によって業務が効率化する部分というのは多分にあると思っておりますので、霞が関でもデジタル化が国会関係業務でできるように努めてまいりたいと思っておりますし、オンラインレクを始めとした御協力をいただくことができればありがたいと思っております。

 もう一つつけ加えさせていただきますと、結構、国会あるいは議員会館とのやり取りにファクスが使われておりまして、これをできればメールに切り替えていただきますと、いろいろなものを同送することもできますし、打ち直しというような必要もなくなりますので、ここは是非、国会の御理解をいただいて、ファクスからデジタルに切替えをさせていただけたらありがたいと思っております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 是非、更なるDXの推進、我々も、ファクスをなくしていくですとか、是非御協力をさせていただきたいと思っております。

 次に、職員のキャリア形成についてお伺いをいたします。

 霞が関からの若手の人材流出の原因の一つで、キャリア形成の不安、不満が挙げられております。対応する一つの方策として、キャリア形成するための学びの機会をしっかりと用意することが重要だと思いますけれども、現在提供されている研修について、残念ながら、意味が感じられないという声も多いと一部若手職員から聞き及んでおります。

 そこで、実践的で職員ニーズを捉えた研修やリスキリングの機会提供に向けての改善の方法についてお伺いをいたします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 職員がキャリア形成していくためにも研修等の機会は重要であります。研修の主催者がその趣旨や目的を職員にしっかり伝えていくことが重要かと思います。

 研修内容は、社会経済情勢の変化や受講者アンケートなどの結果も踏まえてこれまでも改善してきたところではありますが、私どもとしても、各省の人事当局とよく意思疎通を図って、公務に求められる課題や人材開発の動向なども踏まえつつ、実践的でニーズを捉えた研修機会を提供できるように努力してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 ニーズに合った研修、リスキリングが重要だと思いますので、しっかり職員の方々の意向を把握して御対応いただきますようお願い申し上げます。

 ただ、幾らすばらしい研修機会が用意されて、職員が自己研さんの意思を持っていても、仕事が忙しくて時間が取れないという、こうした声も聞いております。

 そこで、民間で導入が進むサバティカル休暇の導入なども含め、職員の学びを担保する制度を充実させるべきと考えますが、人事院総裁の御意見をお伺いいたします。

川本政府特別補佐人 国家公務員についても、質の高い行政サービスを国民に提供し続けることが必要であり、学び直しのニーズが高いというふうに思っております。

 ですので、例えばフレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化というのを、今、研究会をつくりまして、お聞きしたところ、提言されています。

 今後、その提言の内容を基本として、各方面と調整の上、必要な措置を速やかに講じます。これを活用することによって、例えば午前のみ又は午後のみの勤務や、職員が希望する時間帯での休憩時間が可能となり、大学院への通学など、学び直しにも利用できると思います。

 また、平成十九年度に、大学等における修学等を希望する常勤職員に対し、職員としての身分を保有したまま職務に従事しないことを認める自己啓発等休業制度が設けられています。

 今後、職員の学び直しを支援する観点から、同制度の具体的な利用状況や同制度に関する要望などを踏まえ、必要な調査研究を行っていきたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 若手の職員の方々から聞くのが、本当に忙し過ぎて、新しいことを勉強する時間が全くないと。これは本当に、霞が関をこれから活性化させていく、国を支えていく上でも重要だと思いますので、是非取組を進めていただけたらと思います。

 ここまでるる議論をさせていただきましたが、総理が、ジョブ型社会への移行によって労働移動の円滑化、そして生産性向上、さらには賃上げにも結びつけたい意向を示している中で、そろそろ公務労働についても、ジョブ型も念頭に年功賃金自体を改めるべきだと考えているんですけれども、河野大臣の御見解をお伺いいたします。

河野国務大臣 給与制度も時代の移り変わりに合わせてアップデートしていくということは必要だと思います。

 人事院の方で様々な御検討が進むだろうと思いますので、人事院としっかり連携をしながら、明日の霞が関を目指して、いろいろと変えるべきところは変えていきたいというふうに思います。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 ブラック霞が関からホワイト霞が関へ。様々な障害を乗り越えて、霞が関が真に国民生活に役立つ組織として活性化するよう関係各省が力を合わせて取り組んでいただきますよう、また、永田町も、国会議員の皆様にもお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 先ほどに続きまして、よろしくお願いいたします。

 川本総裁に、先ほどの質疑の少し続きを最初一問だけさせていただきたいと思うんですが、本日、私の配付資料に、若手を期間限定で登用するというような取組が民間で行われている、そういう資料を添付させていただきました。

 先ほど、総裁の答弁の中では、やはり、若手職員の離職を防ぐためには、成長を実感できる環境と、あとは仕事のやりがい、そして勤務環境を整える、この三つの要素が大事なんだということでありました。私が今日添付させていただいた資料は、詳細は後ほど読んでいただければと思うんですが、二番目の、仕事のやりがいというものを見出すためには非常に有用な取組ではないかなというふうに思っております。

 これまで、本日の質疑の内容ですとか人事院の方針というものを考えますと、期間限定での若手の抜てきというものは、今のところ取組としては余りなされていないように思うんですけれども、是非こういったことも、今後、若手職員のやりがいや成長促進のために御検討いただきたいというふうに思っているんですが、それに対して一言御所見をいただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 具体的な人事については各省庁がなさっていることでありますけれども、そういうことの御要望があれば、できる範囲で御要望を検討させていただきたいというふうに思っています。

浅野委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 では、当初予定していた質問通告に従いまして質問させていただきたいと思います。

 ちなみに、私は、今回の質疑については、二日前の通告、そして昨日、定時前の打合せを既に済ませておりますので、御理解をよろしくお願いいたします。

 まず、高度な能力や専門性を有する人材に対する給与体系についてお伺いをしたいと思います。

 ちょっと、最近、気になる記事を見かけました。十月三十一日の日経新聞の記事だったんですが、防衛省が、サイバーセキュリティーを担う人材をフルタイムで雇用できないので、これは処遇の関係でなんですけれども、時給制で採用したというような内容がありました。やはりサイバーセキュリティーを担う人材というのは今後ますます重要性が高まっていきますし、有用な、専門的な人材というものをしっかり国としても採用して、国のサイバーセキュリティーの向上に寄与してもらう必要があると思うんですが、給与制度がネックになってフルタイム採用ができなかった、そういうような記事を見かけました。

 ですけれども、総裁が先日御発言された内容を見ますと、民間人材の取り込みは極めて重要だ、給与についても、民間経験を適切に評価した設定や、高度な専門性や業績に応じた設定を行えるようにしましたというふうにおっしゃっているんですが、総裁が言われていることと、今こういった現場で起きていること、ややそごがあるのかなというふうに考えております。

 この高度な能力、専門性を有する人材に対する給与、俸給制度について、人事院の現状の取組、そして総裁の課題感などがあればお伺いをしたいというふうに思います。

川本政府特別補佐人 高度の専門的な知識経験などを有する人材を採用するための枠組みとして、任期付職員法によって、職員を任期を定めて採用した上で特別な俸給表を適用することが可能となっています。

 この特別な俸給表においては、比較的若手の専門スタッフに対応する水準から、特に高度の専門スタッフ、審議官級で年収で千七百万程度ですけれども、に対応する水準まで用意されておりまして、採用される者の専門的な知識経験や業務の内容などを踏まえながら、各府省において柔軟に運用されております。

 また、極めて高度な専門性を有する民間人材を採用する場合には、人事院の承認を得て、一般職職員の中では最高額である事務次官の俸給月額を上限、年収で二千三百万程度でございますけれども、として、特例的な俸給月額に決定することも可能です。

 なお、本年七月には、デジタル庁に対して、特例的な俸給月額に決定する際、一定の要件の下であれば人事院に協議することなくデジタル庁限りで決定できるように措置をいたしました。

 さらに、人事院といたしましては、今後、社会と公務の変化に応じた給与制度のアップデートを図っていくこととしておりまして、その中で、中途採用者を始めとする多様な人材の専門性等に応じた給与の設定についても検討を進めていくこととしています。

浅野委員 ちょっと一点確認をさせていただきたいんですが、これは参考人でも構いません。

 今、デジタル庁については人事院に相談なくそういった独自の給与制度を適用できるようにしたというふうにおっしゃいましたけれども、この上限については、いわゆる事務次官級を超えることも可能だという理解でよろしいのか、やはりそこのキャップは有効なままなのか、その辺りを確認したいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点でございますけれども、特別な枠組みで、デジタル庁に対しまして、一定の要件の下で人事院に協議することなく決定できるような措置を講じておりますけれども、それも、法律の定める、額としては枠内の話でございますので、上限という意味では、先ほど総裁の答弁で申し上げました、事務次官の俸給月額を上限としてというところはかぶった中での運用の話ということでございます。

浅野委員 ありがとうございました。やはり依然として事務次官級を上限としているということが分かりました。

 今、法の枠の中でという御発言がありましたが、次の質問は、その法律について取り上げたいと思います。

 そもそも事務次官を超えることができないということ、そして事務次官の給与水準が約二千三百万程度であるということを、その原因は何かというときに、国会法第三十五条の中で、国会議員の給与を定めているんですが、「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受ける。」というような規定がございます。歳費法の第一条でその具体的な金額が定められているわけでありますが、要するに、国家公務員は国会議員の給料を超えることができないというような法律が国会法三十五条であります。

 なぜそのような規定が設けられたのか、歴史的経緯も含めて、これは法制局に伺いたいと思います。

森法制局参事 お答えいたします。

 先生御指摘の国会法三十五条は、昭和二十一年に公布された日本国憲法四十九条を受けまして、翌二十二年に定められたものでございますが、制定時には、国会議員としての権威と機能を発揮させるため、一般官吏の最高のもの以上の金額を受けることを明記するとの議論があったようでございます。

 また、識者によりますと、国会議員の地位や待遇が明治憲法下においては官吏に及ばなかったことを改め、最高機関たる国会の構成員に値するように高めるという思想の表れとする見解もございます。

 いずれにいたしましても、一般職の国家公務員の給与額と国会議員の歳費の額との関係をどのように考えるかにつきましては、先生方の立法政策的な御議論によるべきものと考えております。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 いろいろ歴史的背景もあるようでございますが、やはり、国会の機能と権威という言葉がございました。確かに、国権の最高機関たるこの国会で職務に従事する国会議員の機能と権威というものは、私も、重要視されるべき、されなければいけないというようなことは理解をいたしますけれども、ただ、当時と今とで、行政が果たさなければいけない機能、そしてそこに必要な人材と能力というものを考えますと、今、民間では公務員よりもはるかに高い水準で働いている方々が、国の機能を維持するために、国を守るために公務員として従事をいただくためには、やはりそれにふさわしい給与水準というものが必要なのではないかというふうに感じております。

 この国会法三十五条の規定そのものをというのは、やはり立法府の中で議論するべきものなのかもしれませんけれども、こうしたキャップがはまっていることに対して、総裁が、今後の公務員の優秀な、そして高度な人材を確保する上で全く障害になることはないと考えているのかどうか、その辺りの御認識を伺いたいというふうに思います。

川本政府特別補佐人 現行法上、特定任期付職員を含む一般職職員の俸給月額は議員歳費を超えられない関係になっていると承知しています。

 一方で、高度な能力や専門性を有する人材の確保は喫緊の課題でございますので、的確な処遇の確保に取り組む必要というのもある中で、私どもは、法の下で、本年九月に、現行給与制度の下における民間人材を採用する際の柔軟な取扱いを明文化した通知を発出し、併せて、運用上の判断目安や運用事例なども示しているということであります。

 ただ、こうした給与制度上の取組も進めてまいりますけれども、他方で、多様な有為の人材を公務に誘致していくに当たっては、国家公務員には、我が国の行政を担い、国民生活を支えるという民間とは違う、異なるやりがいがあることも積極的に周知していくことも大事だというふうに私は考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 時間が来たので終わりますが、引き続き、公務員の処遇制度については今後も議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先ほど、国の機関における障害者雇用について質問いたしました。その定着率について御答弁いただいたんですが、それに続けて、厚労省に確認なんですけれども、先ほど御答弁いただけなかった、二〇一八年十月以降に採用した職員の方の定着率について、二〇二〇年六月一日までに採用された場合の定着率、手前の方で、八三・四%、お答えもいただいたんですが、現時点の定着率はどうなっているのか、その点をお聞きしたいのですが。

堀井政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど塩川委員からお尋ねをいただきまして御答弁をさせていただいた定着率に関する調査でございますが、これは私ども、国の行政機関の障害者の採用・定着状況等の特別調査ということで、採用計画の期間、これは平成三十一年一月一日から十二月三十一日まででございますけれども、この進捗状況でございますとか、採用者の定着状況等を把握をするために、関係府省の協力の下、先ほど委員からも御指摘のあった期間、つまり平成三十年十月二十三日以降に雇い入れられた障害者に対して、臨時的かつ特別に調査をして公表したものでございます。

 したがいまして、先ほど御紹介をさせていただいた調査時点のものに関しては、お尋ねのような調査結果を御紹介することができたのですが、現時点では、この調査については厚生労働省としては実施をしていない、そういう状況でございます。

塩川委員 障害者雇用の水増し問題が発覚をして、その是正ということで、二〇一八年のときに、独自の採用方針を持って、霞が関における障害者雇用の推進も図ったわけですけれども、そのときに入った方々が引き続き仕事を続けていられるようなことをきちっと確認することが、雇用の安定の面でも、職場における合理的配慮がちゃんと行われているかという点を確認する点でも極めて重要だと思っております。

 改めて、二〇一八年で採用された方以降の障害者雇用について、現在の定着率をきちっと明らかにする、そういう調査を行うことは考えませんか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、令和二年の調査以降、国の機関を対象とした調査は実施していないところでありますが、一方で、障害のある方もない方もやりがいを持って働き続けることができる職場をつくるということで、各省庁においてしっかりと取り組むべきということで、政府全体として、いろいろな講習の実施などを行っているところでございます。

 今後の各省庁の状況を踏まえて、更なる実態把握が必要か否かについては、障害者の雇用状況を毎年把握しております厚生労働省と適宜相談してまいりたいと考えております。

塩川委員 厚生労働省としては、調査を考えませんか。

堀井政府参考人 厚生労働省といたしましては、内閣人事局等から御相談がありましたら、適宜その御相談等に乗ってまいりたいと思います。

塩川委員 定着率の現時点の調査もしっかり行って、合理的配慮がどうなっているのか、雇用の安定につながっているのか、こういったことをしっかりと検証して、改善策を取ることが必要です。

 その点でも、障害者の雇用の雇用形態がどうかということも改めてきちっと確認しておく必要があると思います。常勤なのか非常勤なのか、常勤の場合でも任期付職員のように期限が定められたような雇用なのか。こういった点で、もちろん障害者の方の雇用の在り方についてのニーズも当然あるわけですけれども、実際に常勤、非常勤の区分、任期付職員の人数、こういったことについての人数を、是非、国の府省庁について明らかにしてもらいたいんですけれども、分かりますか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 これにつきましても、先ほどから紹介させていただきます、厚生労働省が令和二年に行った調査において、平成三十年十月二十三日から令和二年六月一日までに採用された法定雇用率上の障害者の方の人数は、常勤が千五百五十五人、非常勤が四千二百三十一人余りとなっております。

 なお、常勤のうちの任期付職員の人数につきましては調査がなされてございません。

塩川委員 国の機関全体ということで、常勤が千五百五十人、非常勤は四千二百三十一人。そういう意味でも、非常勤の方が非常に多いということもここに見て取れるわけであります。

 これは、それぞれの府省庁ごとの数字を厚労省なり内閣官房が把握していないかというふうに聞きましたら、把握していないという話で、それぞれの府省庁に問合せをいたしました。その際に、三十一の府省庁において、常勤と非常勤を区分して集計をされていたというのが僅か四省庁で、そういう点で、各府省庁においても、しっかりと雇用の形態についても明らかにしていただきたいと思っています。

 明らかにしたのは警察庁と金融庁と人事院と会計検査院、この機関の皆さんの御努力は多とするものでありますけれども、非常勤の割合が非常に高いんじゃないのか、常勤の場合でも任期付職員など期限の定めのある雇用形態になっていないのか、こういった実態の把握が必要だと思います。

 そこで、常勤、非常勤の区分を明らかにされておられる警察庁さんに、常勤職員中の任期付職員の人数や、また、二〇一八年十月以降に、この四年間で採用された障害者の方がこのうち何人か、お答えいただけないでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 警察庁に勤務する職員のうち、障害者として把握している常勤職員は、令和四年六月一日現在で五十名でございます。なお、非常勤は五名でございます。五十名の常勤職員のうち、任期つきの職員は八名となっております。

 この四年間で採用した障害者である職員につきましては、二十名ということになっております。

塩川委員 こういった数字を各府省庁でも是非明らかにしていただきたいと思っています。現状、ほとんどの役所で常勤、非常勤の区分が明らかになっておりません。全体としても非常勤の方が多いということもありますので、障害者の雇用の安定、職場への定着が図られているかが疑問であります。

 大臣にお尋ねしますけれども、障害者の雇用形態の実態把握、定着率の把握、また、それを踏まえた課題整理、これを行う必要があるのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 障害者の雇用につきましては、やはり国がきちんと先頭を走るというのは大事なことなんだろうと思います。

 定着率、あるいは常勤、非常勤の数といったことだけでなく、それぞれの業務の質ですとか、あるいはそれに対する満足度、あるいは働く環境の中での問題点、こういったものを国がやはりしっかりと把握をして、それに対応していくということが大事だと思いますし、国が先頭を走るからこそ民間も様々御努力をいただくんだろうと思います。

 現時点では、国より民間の方が様々な御努力をいただいているというところは多分にございますので、国もやはり負けないような努力をする必要があると思っておりまして、内閣人事局といたしましては、厚労省に対しまして、定期的に調査をするよう依頼をしていきたいと思っております。

塩川委員 是非、障害者の雇用の現場での実態を把握をいただいて改善策を図るという点について、是非大臣の方からも、厚労省、関係機関への働きかけを改めて求めたいと思っています。

 そういう点で、是非、内閣人事局としても、職場において合理的配慮が行われているかどうか、これはやはり四年前の検証という意味でも、障害者の職員の方に対するアンケート調査を実施をする、こういうことなどもお考えになったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 内閣人事局でやるか厚労省でやるか、そうしたことも含めながら、相談をしながらやってまいりたいと思います。

塩川委員 採用の応募資格の点についても、障害者団体の方から改善を求められてまいりました。

 二〇一八年の財務省の応募資格に、自力により通勤でき、かつ介助なしで業務の遂行が可能であることとありました。ヘルパー等を利用すれば通勤ができ、職場介助者の活用等で業務が遂行できる障害者を一律に排除する欠格条項であり、明らかに障害者差別だという障害者団体の指摘を受けて、財務省はこの要件を削除するということがありました。

 ほかにも、活字印刷文に対応できることとか口頭面接に対応できることといった、障害者を排除する差別的な規定や合理的配慮の非提供に該当する要件などがないか、是非とも総点検を行ってもらいたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 合理的な配慮を求めるマニュアルというのが作成をされておりますので、各府省に、このマニュアルが徹底されているように、しっかり周知をしていきたいと思います。

塩川委員 それと、障害者枠で採用されたある職員の方は、配置転換を希望しているが、障害者であることを理由に却下をされている、各局の業務についての説明会が毎年行われているが、障害者職員には開催連絡がなく、参加すらさせてもらえないという声もあるとお聞きしました。

 こういったことについての改善策も是非図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 きちんと合理的な配慮が行われているように、そこは徹底していきたいと思います。

塩川委員 是非、実態把握を踏まえた、障害者雇用の拡大と雇用の安定を図るための取組を強めていただきたいと思います。

 残りの時間で、ケア労働者の賃上げの問題です。

 岸田総理が昨年強調しました三%、九千円のケア労働者の賃上げがどうなったのか。この点について、保育士、幼稚園教諭の賃上げについて、申請があった市町村数及び実際の賃上げ額について明らかにしていただきたいと思います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 今般の保育士等の処遇改善に係る補助金について、申請があった市町村数は千四百五十五市町村であり、そのうち、公立保育所について申請があった市町村数は五百十市町村となっております。

 実際の賃上げ額となる職員一人当たりの処遇改善の状況については把握しておりませんが、今般の補助金による処遇改善の実施に当たっては、補助額以上の賃金改善を実施すること、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書を提出することなどを要件としており、補助額が賃金改善に確実に充てられるようにしております。

塩川委員 お配りしている資料にもありますように、申請した市町村は民間保育園を中心に全体の八割で、公立施設の申請では三割に届きません。賃上げ実績は把握もしていない。この点では、やる気が問われる問題であります。

 同様に、学童保育の実施状況はどうでしょうか。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 今般の放課後児童支援員等の処遇改善に係る補助金について、申請があった市町村数は千百四十五市町村であり、そのうち、公設公営の放課後児童クラブについて申請があった市町村数は三百四十五市町村となっておりますが、そもそも放課後児童クラブがない場合などもあることに留意する必要があると考えております。

 実際の賃上げ額となる職員一人当たりの処遇改善の状況については把握しておりませんが、今般の補助金による処遇改善の実施に当たっては、補助額以上の賃金改善を実施すること、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書を提出することなどを要件としており、補助額が賃金改善に確実に充てられるようにしております。

塩川委員 資料の二枚目にありますように、申請した市町村は民間学童保育中心に全体の三分の二で、公立施設の申請では二割にも届いていません。賃上げ実績についても実額での把握が行われていない。

 これでは、岸田首相の鳴り物入りのそういった事業についてのやる気のなさというのを率直に指摘せざるを得ません。公立で何でこんなに実施が少ないのかとか、実際の賃金額がどうなのか、こういったことは最低限把握をすべきことであります。

 元々、子ども・子育て本部のお知らせには、「施設・事業所での実際の職員配置状況などにより、一人当たりの引上げ額が月額九千円を下回る場合があります」とあります。公定価格上の配置基準に基づいて補助額を算定しているために、こんなことをわざわざアナウンスをするような状況になっているわけです。

 この保育士の配置基準の低さ、これこそ見直すべきだ。それが保育士の賃上げにもつながる。四、五歳児の配置基準は七十四年前から変わっていません。三歳児は五十五年前から変わっていません。配置基準の抜本的な見直しをし、保育士を始めとしたケア労働者の抜本的な賃上げを図ることを求めて、質問を終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 国家公務員給与法ということで、質疑、十分でありますが、よろしくお願いします。

 まず、人事制度が官僚を萎縮させている可能性に関し、河野大臣にお伺いしたいと思います。

 民主党政権の三役というのは官僚に威張り散らすことで不評を買ったんですね。ただ、二〇一三年以降は、人事上の圧力を行使しつつ官僚を恫喝する手法が一般的になった、そう思っています。

 現在の人事管理の在り方が官僚を萎縮させているのではないかと思いますけれども、河野大臣、いかがですか。

河野国務大臣 ちょっと、その人事管理のやり方が萎縮させているという意味がよく分かりませんが、本来やりたいと思ってきた仕事がどうもできなかったとか、長時間労働になっているとか、そういう働き方がやはり官僚のなり手を減らしている、やる気をそいでいる部分というのは確かにあるんだろうと思いますので、そういう意味で、働き方改革をすることでブラックな霞が関をホワイト化するというのは喫緊の課題というふうに思っております。

緒方委員 官邸に口答えをしたら更迭されたという事例を見て、余計な進言はしないというふうに、そういう傾向があるというふうには思いませんか、河野大臣。

河野国務大臣 余り聞いたことはございません。

緒方委員 某省某局長と話しておりますと、若干の誇張はあると思いますけれども、局長がかつての課長補佐ぐらいの権限しか持っていないと自虐的に語っていました。そのような姿を見て、将来ある学生が官僚を志さなくなるという懸念を共有いたしますでしょうか、河野大臣。

河野国務大臣 どこの某省かよく分かりませんが、少なくとも私は余りそういうふうには感じておりません。

緒方委員 実際に官僚志望者が減っているというのは、特に総理大臣官邸と各省庁の関係の在り方に原因の一端があるのではないかと私は思うんですね。そういうふうには思われませんか、河野大臣。

河野国務大臣 むしろ働き方改革だと私は思っております。

緒方委員 続いて、国会を理由とする残業に関し、河野大臣にお伺いいたしたいと思います。

 河野大臣、一議員時代は結構残業を増やす議員だったんですね。私の前職の外務省時代、例えば、思い出しても、ある援助関係で、一方の当事者のNGOの意見だけで呼びつけられて叱られたりとか、これは私の記憶が正しければですけれども、イラク戦争後、どう見ても机上の空論としか思えないアメリカ作成の戦後復興のプランを見せられて、日本は何も考えていないと叱られたとか、少しでも反論しようものなら、その経緯を全てメルマガに書かれて、そのときに使われる用語は害務省という表現でした。これが数多くの外務官僚の残業を増やしたことは、私は間違いないと思います。

 ただ、私、これを河野大臣にわびてくださいと言っているんじゃないんです。こういう経験、反省を若手議員に語った上で、国会を理由とする残業が増えないように働きかけてはいかがかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 私が余り残業を増やしたことがないとは言いませんが、私が外務省の残業の大半だった、そういうつもりもございません。

 いずれにしろ、国会関係の業務で残業が非常に長時間になっているという現実がございますので、これに対してはしっかり対応していかなきゃいかぬと思います。

緒方委員 恐らく心当たりがかなりおありになられるのではないかというふうに思います。

 もう一つ、国会がよく原因だと言われるんですけれども、それは我々も気をつけていかなきゃいけないと思うんですけれども、よくよく聞いてみると、国会に臨むに当たって、手がかかる政務三役とか局長とか課長とか、そういう存在も結構大きいのではないかというふうに、私、自分自身の経験も踏まえてですけれども、思うんです。これは行政部内で対応できることでありまして、国会の対応に過度の業務を求める、そういう政務三役とか局長、課長とか、そういうものに対して対応されてはいかがかと思いますが、河野大臣、いかがですか。

河野国務大臣 国会の答弁の作成についても、業務の効率化というのは当然にやっていかなければいかぬと思います。

緒方委員 余り答えになっていないわけでして、もちろん効率化していかなきゃいけないんですけれども、過度の資料を求めたり、過度の説明を求めたりする政務三役や局長、課長に対して、やめろというふうに指示を出してはいかがかと思いますが、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 それは、各省の大臣を中心に答弁をするわけですから、答弁者にはしっかり気をつけてもらわぬといかぬと思いますが、そこへ持っていくまでのプロセスについても、合理化、効率化、これは必要だと思います。

緒方委員 担当大臣として、よろしくお願いします。

 最後に一つ。同じく、私がかつて勤めていた外務省の関係なんですが、今日、政務官、お越しいただいておりますが、一部のですけれども、本当に限られた一部なんですけれども、在外公館の公館長のパワハラがひどいんですね。ひどいんです。

 東京の職場環境は幾ばくか改善してきています、やはり人の見る目もあるということで。ただ、閉鎖空間としての在外公館は、パワハラからの逃げ場がないんですね。その結果として、追い込まれるケースがかなり出てきています。

 これは国内と同じ対応をしていても駄目でして、在外公館という特殊な場であることを踏まえた新たな取組強化をしないと、ちょっと、今日、事例は出しませんけれども、聞いて、もう何やっているんだろうかと思うような腹立たしい事案が出てきております。外務省の対応を求めたいと思います。外務省。

秋本大臣政務官 委員は元外務省の職員ということで、私以上に外務省についていろいろと詳しく御存じなんだろうというふうに思います。

 その中でのパワハラ、しっかりと防止せいという質問だというふうに思いますけれども、外務省では、パワハラ防止等の措置に関する規則を制定しています。パワハラの防止にしっかりと努めていかないとというふうには当然思っているわけでございまして、特に、在外公館に関しましては、勤務状況の調査を毎年実施しているほか、本省、在外公館におけるパワハラ担当窓口の設置、相談窓口におけるハラスメントに該当する具体例に関する全省員に関する回章や研修を通じた定期的な周知及び注意喚起等の取組を行っています。

緒方委員 それは基本的に国内勤務の人間でも大体似たようなことをやっているわけです。

 これは官房長にお伺いしたいと思います。

 特殊性があるわけですよね。本当に追い込みにかかりたいというサディスティックな人からすると絶好の環境なわけですよ、パワハラをやろうとする人間からすると。けれども、そうさせないための仕掛けを何か特別に考えないといけないんじゃないかなというふうに私は思うんですが、官房長、いかがですか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政務官から申し上げたように、勤務状況の調査に関しては、在外から毎年報告が受けられるように、これは大使館、総領事館としてということではなく、各個人が、各館員が外務本省の特定部署、これはまさに監察、査察を行っているところでありますけれども、そこに自分の意見を述べることができる、その意見によって不利益を被ることは決してないようにする、そういうような形で報告できる、連絡できるというようなシステムをつくっておりまして、これによってパワハラの事案が見つかるというようなことがございます。

 それから、在外それから本省において窓口をつくっております。その窓口は本省にもつくってあって、在外の人が本省の窓口に相談することもできるということで、在外、東京から離れているということはあるかもしれませんけれども、今、問題があったら、東京、本省の方に問題が分かるような形にすることをどんどん整備を進めている、そういう状況でございます。

緒方委員 最後の質問にしたいと思います。

 私が知っているケースは余りにひどいケースです。余りに悪質なケースについては更迭等の人事での処遇をすべきだと思いますけれども、官房長、いかがですか。

志水政府参考人 パワハラについては、セクハラもそうですけれども、そういったハラスメントについては、これは決して許されないということを、ほぼ毎月、本省から本省内及び在外に周知する省内のメールを出して徹底しております。

 その上で、先ほど申し上げたような形でパワハラ案件が分かれば、これはパワハラかどうかというのをまず認定する必要がありますし、そこは簡単ではない場合もあるかもしれませんけれども、その場合には、どういう状況かに応じて、必要な注意もするし、さらに、本当にひどいというような場合には人事に関しても考えるということになるかと存じます。

緒方委員 終わります。

大西委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 国家公務員の一般職、特別職の給与法の審議に当たりまして、れいわ新選組は二つの法案とも反対ということをまず表明いたします。

 間違っていただきたくないのは、特に一般職の給与の引上げについては私たちは賛成です。しかし、なぜ法案に反対するのか。それは、給与をもっと大幅に引き上げるべきであると考えるからです。

 例えば、高卒初任給について、改定後であっても最低賃金を下回っています。引き上げられた高卒初任給は十五万四千六百円ですが、勤務時間法に定められた時間を基に計算しますと、時給九百二十一円となり、最低賃金の加重平均九百六十一円を下回る結果となります。しかも、最低賃金の引上げは三十一円なのに、給与法の時間当たり引上げ幅は二十三・八円にしかすぎず、その差が更に拡大するという看過できない結果となっています。

 また、今回の対象となる一般職の国家公務員二十八・一万人には医師や看護師も含まれます。給与引上げは実に三年ぶりですよね。つまり、コロナ禍で命を削って感染症対応に当たられてきた国家公務員に対してようやくの引上げがこれほどの僅かな額であるというのは余りにひどくありませんか。

 医師や看護師だけではありません。岸田政権は保育士、介護職員の給与を三%、月額約九千円引き上げましたが、桁が一つ違うのではないでしょうか。パネル一を御覧ください。

 このパネルは、全産業平均の月収と比べて、保育士は七万一千円、介護士は八万五千円、給料が低いということを表したグラフです。特に、保育士の人件費は国家公務員の給与の改定に準じて算定されていますから、この法案のような僅かな額の引上げでは、結局、保育士の給与はほとんど上がらないことになってしまいます。れいわ新選組の提案するように、月十万円アップして初めて、命を守るケア労働に寄り添うことができるのではないかと考えます。

 ただでさえ、二十五年のデフレで、その中での消費税増税が繰り返された結果、実質賃金はだだ下がりです。そこにコロナが直撃し、そして現在の物価高騰が追い打ちをかけて、九月の消費者物価指数は、三%と、実に三十一年ぶりの上昇幅です。一方で、二一年度の企業の法人所得が過去最高で七十九兆円にもかかわらず、労働分配率は三十一年ぶりの低水準であるという試算も出ております。

 大臣、公務員の給与をもっと引き上げることができれば、保育や介護を始め、地域や民間の給与水準への波及効果が大きいと考えますが、いかがお考えでしょうか。

河野国務大臣 国家公務員の給与は、人事院勧告に従って政府としては対応していきたいと思います。

櫛渕委員 日本は過去三十年、給与が上がっていません。先進国でこのような状況は日本だけです。是非、大臣始め政府には、民間企業の賃上げを待つのではなくて、波及効果の大きい公務員の給与を引き上げることで地域の賃上げをリードしていく、そのリーダーシップを是非とも取っていただきたいと思います。

 さて、パネル二を御覧ください。

 国家公務員の地域手当に係る級地区分というものがございます。地域手当は、民間企業の賃金の高いところで働いている人に支給されるが、場所によって違うんですね。

 例えば、東京二十三区が一級地、最も高いランクに位置づいています。それに対して、同じ都内でも、私の地元である三鷹市は五級地となっています。隣接する杉並区や世田谷区は一級地で、月給や扶養手当に二〇%が加算されているのに対して、五級地である三鷹市は一〇%の加算です。つまり、同じような年齢の方が同じような仕事をしても給与が一割も違うということがあるんですね。

 そして、この問題は、級地区分、国家公務員の給与に限った話ではないということなんです。介護報酬では、東京二十三区は一級地ですが、三鷹市は三級地と、約五%低くなります。保育所の人件費も、三鷹市は約五%低い区分となります。介護も保育も、地域区分、共に国家公務員の級地区分が基になっていますから、国家公務員の給与水準とその地域区分が介護や保育など幅広い住民生活に影響している、これが現状です。

 しかも、この級地区分、見直されるのは何と十年に一回なんです。今述べたように、国家公務員の給与はもちろん、多くの人に影響を与えるのですから、この見直しの期間をもっと短縮すべきではないでしょうか。

 政府は、賃金構造基本統計調査と職種別民間給与実態調査を毎年行っているのですから、例えば三鷹市と隣接する杉並区、世田谷区で給与に一〇%も差がついていることが適当かどうか、すぐ分かるはずだと思いますよ。

 人事院総裁にお伺いいたします。

 国家公務員の級地区分の区分けが今のままでいいのか。例えば都道府県単位にすべきではないか。さらに、区分の見直しの期間をもっと短縮すべきではないか。以上、お伺いいたします。

川本政府特別補佐人 国家公務員の地域手当は、全国一律に適用される俸給表を補完し、地域の民間賃金水準を適切に反映させるため、民間賃金水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整する手当として設けられたものです。

 地域手当の支給地域や支給割合については、国民の理解を得られるものとなるよう、政府統計を用いて算出した客観的なデータに基づいて、統一的な基準により定めております。

 具体的には、民間賃金水準を都市ごとに集計できる厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用いて算出した賃金指数に基づいて、国家公務員が在職している地域について、民間賃金水準に、一級地から七級地までの支給割合を行っております。

櫛渕委員 時代は激変していますので、その状況に迅速に合わせた柔軟な対応を求めるのと同時に、そもそも、保育士の給与や介護報酬が算定されることがこの級地区分に合わせて行われること自体、私はおかしいと思います。ケア労働については、人事院勧告の級地区分とは切り離すべきだと考えます。是非、政府にはその検討をお願いしたいと思います。

 さて、もう時間となりました。

 総理は、所信表明演説で、官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組みますとか、また、公定価格においても、看護、介護、保育を始め現場で働く方々の処遇改善を進めますとおっしゃっています。しかし、今回の給与法では……

大西委員長 櫛渕議員に申し上げます。

 申合せの時間が経過しております。御協力をお願いします。

櫛渕委員 物価上昇に見合った賃上げにも、介護や保育の現場の処遇改善にもつながりません。私は、今こそ積極財政で国民の暮らしを救うべきだと考え、繰り返し、この法案には反対ということと、もっと大胆な引上げがあるということを申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。

 私は、我が党を代表して、ただいま議題になりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の二法案に対し、反対の立場から討論いたします。

 日本維新の会は、一貫して、政府が国家公務員の給与改定のベースとする現行の人事院勧告の在り方そのものに反対の立場を取ってきました。

 人事院勧告は、民間企業の給与の調査を基にしていると説明されていますが、調査対象の民間企業は企業規模五十人以上、かつ事業所規模五十人以上の事業所から選ばれており、事業規模が小さい企業は含まれていません。加えて、対象者には非正規労働者は含まれず、正規雇用者に限定されています。ゆえに調査方法そのものに大きな問題があることは歴然であり、勧告が唱える給与の官民較差解消はお題目にすぎません。

 勧告が民間企業全体を反映させた適正な調査結果に基づくものであるならば従うべきかもしれませんが、年々非正規労働者が増える中で、民間企業全体の給与水準との乖離はどんどん広がり続けているのではないでしょうか。

 また、人事院に勤務する公務員の給与を人事院が決定しているプロセスも適正性を欠いています。自分の給与のベースアップを自分で勧告できること自体、適切ではありません。調査及び勧告を続けるにしても、第三者機関に委ねるなど、プロセスの適正化を図るべきです。

 もちろん、国家公務員総合職の志望者が減少の一途をたどる中、有為な人材を可能な限り確保するために待遇の改善を図っていくことも必要です。しかし、それは適正な勧告制度によって行われなければなりません。

 日本維新の会は、人事院勧告制度の抜本的な見直しによって公務員の給与を適正化することで官民間の実質的な同一労働同一賃金を実現するとともに、大阪府や大阪市で実際に断行されたように、公務員を身分から職業とすべく、いわゆる身分保障や評価制度を改め、能力・実績主義に徹した公務員制度に改革すべきだと考えます。

 以上の理由により、我が党は、今次二法案に首肯する余地はないと申し上げます。

 最後に、この場をかりて、国会改革について付言させていただきます。

 先ほど触れた国家公務員の志願者減少に関して、我々立法府の人間にも改革が求められています。隗より始めよです。各党の皆さんには、我々日本維新の会が遵守している質問通告の二日前ルールを徹底するなどして、官僚の方々の業務負担を軽減するよう強く訴え、私の反対討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

大西委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表いたしまして、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、両案とも反対の立場から討論いたします。

 まず、一般職の給与法案についてです。

 反対する第一の理由は、厳しい生活に直面している中高年層に俸給の引上げがないことです。法案では、初任給及び若年層の俸給を引き上げるとしていますが、物価の高騰に直面しているのは中高年層も同じです。一部ではなく、俸給表全体を改定することを求めます。

 反対する第二の理由は、高卒初任給について、改定後であっても最低賃金を下回っていることです。引き上げられた高卒初任給は十五万四千六百円ですが、時給換算で九百二十一円となり、最低賃金の加重平均九百六十一円にも届いていません。しかも、最低賃金の引上げは三十一円なのに、給与法の引上げは二十三・八円にしかすぎないという、看過できない結果となっています。

 反対する第三の理由は、過去二年の特別給の引下げに対し、今回の引上げでは追いついていないからです。令和二年は年間給与でマイナス〇・三%、令和三年はマイナス〇・九%でしたが、今回はプラス〇・八%でしかありません。少なくとも、過去二年で下げられた水準を回復し、更に大幅に超える賃上げが必要ではないでしょうか。

 特別職の給与法案については、内閣総理大臣や国務大臣、副大臣、政務官などの幹部職を対象とするものであり、一般職とは逆に、引上げの必要はないという点で反対いたします。

 なお、人事院は、毎年、少なくとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならないと定められています。少なくとも一回ですから、近時のような急激な物価高騰の局面では、年に複数回の勧告を行うなど、もっと迅速な対応をすべきです。人事院におかれましては、是非とも御検討をお願いいたします。

 日本は過去三十年、給料が上がっておりません。民間企業の賃上げを待つのではなくて、波及効果の大きい公務員給与を引き上げることで、介護、そして保育、また地域の賃上げをリードしていくべきだと述べまして、私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。

大西委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大西委員長 河野大臣及び木原内閣官房副長官は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

大西委員長 次に、内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。

 令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得た次第であります。

 この際、令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案の起草案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 原油価格や物価の高騰により家計の負担が増加する中、今般、政府は、特に影響が大きい低所得者世帯に対し、一世帯当たり五万円の電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を支給することとしたところであります。

 本案は、この給付金の趣旨に鑑み、支給対象者が自ら給付金を使用することができるようにするための措置等を講ずるもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、この給付金の受給権は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないこととし、また、その支給を受けた金銭も、差押えを禁止することとしております。

 第二に、租税その他の公課は、その支給を受けた金銭を標準として課することができないこととしております。

 第三に、施行期日を公布の日とするほか、所要の経過措置を設けております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大西委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.