衆議院

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第9号 令和4年11月18日(金曜日)

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令和四年十一月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    尾崎 正直君

      大野敬太郎君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中野 英幸君    中山 展宏君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    本田 太郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    赤木 正幸君

      岩谷 良平君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    福重 隆浩君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (規制改革担当)     岡田 直樹君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    尾崎 正直君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       英  浩道君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      藤本 哲也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小山 定明君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        秋月聡二郎君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十八日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     西野 太亮君

  浦野 靖人君     赤木 正幸君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     松本  尚君

  赤木 正幸君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

十一月十七日

 子供のための予算を大幅に増やし、保育士の増員など、保育・学童保育制度の抜本的改善を求めることに関する請願(石川香織君紹介)(第七七号)

 同(石破茂君紹介)(第七八号)

 同(大西健介君紹介)(第七九号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第八〇号)

 同(櫻井周君紹介)(第八一号)

 同(本庄知史君紹介)(第八二号)

 同(湯原俊二君紹介)(第八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府民間資金等活用事業推進室長英浩道君外五名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。工藤彰三君。

工藤委員 皆様、おはようございます。自由民主党の工藤彰三でございます。

 まずは、質問の機会をいただきましたことを、委員長、理事、そして委員の皆様に感謝申し上げます。

 時間も短いですから、早速質問に入りたいと思います。

 この度の民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるPFI法改正案は、平成十一年七月、PFI法が成立後、これまで六度の改正が行われました。

 政府は、本年六月、PPP及びPFI推進アクションプランを改定し、令和四年度から十年間の事業規模目標を三十兆円としています。また、アクションプランや新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画、フォロープランにおいては、コンセッション方式について、公共施設等運営権者がより効率的な運営ができるようにするために改正案の国会への提出を図ると私は理解しております。

 その内容について、順次お尋ねいたします。

 まず初めに、公共施設等の定義の中にスポーツ施設を追加する理由はなぜですか、お答えください。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 本年六月に策定されたPPP/PFI推進アクションプランにおいては、地域づくりの核となるスポーツ施設など、新たな分野における活用拡大の方向性を打ち出しております。

 スポーツ施設については、新設、更新のニーズが高く、民間のノウハウを活用する余地も大きいため、各地において事業化の検討が行われているものの、PFI法の対象施設としては明示をしていないという状態でございました。

 このため、今般の法改正において、スポーツ施設をPFI法に基づく事業の対象として明確に位置づけることで、PFIの活用を更に推進し、各地域におけるにぎわい創出を演出してまいりたいというふうに考えております。

工藤委員 ありがとうございました。

 設置理由は、今説明のとおりであります。

 スポーツ施設の整備、活用状況や老朽化等の現状については、政府はどのように認識されて設定したのか、お答えください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 全国に約一万二千存在する公共のスポーツ施設は、地域住民のスポーツ活動の場として活用されておりますが、このうち、建築後四十年以上が経過している施設は約三割であり、これらの施設の老朽化対策、再整備等が急務となっております。

 スポーツ庁におきましては、学校施設環境改善交付金による施設整備への支援のほか、スポーツ施設のストック適正化に係るガイドラインを作成し周知するなど、自治体におけるスポーツ施設の計画的な整備を支援しているところでございます。

 また、スポーツ庁では、スタジアムやアリーナが地域活性化の起爆剤となり得る潜在力を有していることを踏まえ、運営管理や民間資金活用に関するガイドブックの策定等を進めてきたところでございます。

 さらに、スポーツ施設においてPFIを実施した実績は令和二年度末時点で四十四件あり、その中には、民間の創意工夫により収益性や施設の魅力が向上し、地域のにぎわい拠点の形成に資するという効果を上げているものもあると承知しております。

 今後とも、必要に応じて、内閣府等の関係府省と連携を図りながら、自治体によるスポーツ施設の整備に向けた支援に取り組んでまいります。

工藤委員 御答弁ありがとうございました。

 私、地元の選挙区に、皆さん余り御存じじゃないかもしれませんけれども、二〇二六年アジア陸上大会が開かれます。そのスタジアムがパロマ陸上競技場というんですが、前は瑞穂陸上競技場と呼ばれておりました、ネーミングライツで変わったんですが、これはPFI方式を名古屋市が導入いたしました。かなり古いものですし、観客動員、スタジアムが狭いので、そしてまたバリアフリーが非常に悪い、これを改善せねばならないということで導入してまいりました。

 五百億円弱のPFIでの設置で、観客動員も変えて、そして、その都度、状況に応じて改築、改造できるというのがPFIのよさだと思いますけれども、もっと早くこのスポーツ施設の設置が盛り込まれておりましたら、またやり方もちょっと変わったのかな、そんなふうに思っております。

 是非とも、大阪の万博の話は皆さん誰でも分かりますけれども、アジア大会が名古屋であるということが、多分、この委員会の皆さんの中で知っている方はまだ数少ないのかな、そんなふうでありますので、これからしっかり応援していきたいな、そんなふうに考えております。

 質問に移ります。

 アクションプランにおいて、道路は重要分野とされているにもかかわらず、道路公社について新たな事業件数目標を設定されていない理由をお答えください。

英政府参考人 地方道路公社が管理する有料道路事業におけるコンセッションにつきましては、平成二十八年から愛知県で導入され、国としても他の公社への横展開を図ってきましたが、他の公社からは、事業規模が小さい、あるいは収支状況が悪い、料金徴収期間が短いなどの課題が挙げられ、現時点で導入意向を有する公社はなかったため、事業実施の目標設定には至っていないところでございます。

 一方で、道路分野全体といたしましては、交通ターミナルを対象に、公共施設等運営事業を始めとする地域活性化に資するPPP、PFIの活用を推進するため、令和八年度までに六件の具体化及び公共施設等運営事業一件の事業実施を道路分野における新たな目標として設定しているところでございます。

工藤委員 ありがとうございました。

 今、愛知県の話が出ましたけれども、有料道路について、PPP、PFI法を活用したという事例があるということであります。昨今、国土強靱化、災害対策、そして避難道ということで、道路の活用が非常に注目されておりますので、これをうまく活用しながら、そして老朽化した道路をいち早く改築していただきたい、そんな思いでございます。

 質問に戻ります。

 カーボンニュートラルに関する公共施設等に対する取組、考え方についてはどのような工夫があるのか、教えていただきたいと思います。

英政府参考人 官民の適切な役割分担の下、民間の創意工夫を活用するPPP、PFI手法は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化といった新たな政策課題への取組においても有効でございます。また、SDGsの達成にも寄与すると考えております。

 このため、地域脱炭素の実現に向けた取組として、例えば、発電事業者が需要地の敷地内に太陽光発電施設を設置し、需要家から電気料金を収受する、いわゆるPPA方式や、省エネルギーに係るサービスの成果に応じて報酬を得るESCO事業の導入、こういったものにつきまして、地域における官民の多様な主体が参画するPPP、PFI地域プラットフォーム等も活用しつつ、民間企業の創意工夫を生かした地域主導の取組を促進してまいります。

工藤委員 御答弁ありがとうございました。

 私、今回、この国会の中で港湾法改正案がありまして、改正されたんですが、その中で、皆さん御存じかもしれません、御存じだと思いますが、カーボンニュートラルポート、今、全国で六港選定して、この中でしのぎ合って、知恵を出し合って、協議会をつくって、カーボンニュートラルを進める、そして、目標値を二〇三〇年に四六%減、そして二〇五〇年にはゼロ、これを目指すということで、カーボンニュートラルポートは今あります。これもやはりしっかり活用していただいて、今、答弁の中の二〇五〇年、そしてSDGs、そしてエネルギー改革、これに対して知恵を出してPFIを活用していただきたい、そんな思いでございます。

 続きまして、事業規模目標額が令和四年度から十三年度まで三十兆円という膨大な金額となっていますが、その内訳と、どのように積算されたのか、その積算根拠についてお答えください。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 目標三十兆円の内訳としましては、四つの類型に区分をいたしております。公共施設等運営権制度を活用したPFI事業、いわゆるコンセッション事業について七兆円、収益施設の併設、活用など事業収入で費用を回収するPPP、PFI事業について七兆円、公的不動産の有効活用を図るPPP事業について五兆円、その他のPPP、PFI事業について七兆円でございまして、これらの合計二十六兆円。加えて、取組強化による上積み分四兆円を見込んでいるところでございます。

 この算出の根拠といたしましては、コンセッション事業については、平成二十五年度から令和二年度までの八年間の実績が約十二兆円となっております。これは、関西国際空港や伊丹空港のコンセッションなどの大型案件が計上されているということがございましたので、これに鑑み、平成二十五年から令和四年度までの目標である七兆円を据え置いたものでございます。その他の三類型については、この八年間の実績の一年当たりの平均から十年間の目標を算出したものでございます。最後の取組強化につきましては、新たな分野、領域の開拓や、活用地域の拡大などによる更なる上積みを見込んだものでございます。

工藤委員 ありがとうございました。

 なかなかの規模なんですが、これで、最後、大臣にお尋ねしたいと思います。

 アクションプラン、今の三十兆円の目標とあります。今、るる説明がありましたけれども、ウクライナ情勢やコロナ対策、円安等で民間投資が冷え込む現状、大変厳しい経済状況の中で、目標達成に向けて、大変厳しいと思います、今後どのように取り組んでいくのか、岡田担当大臣に意気込みと考え方をお尋ねしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 工藤委員御指摘のように、我が国の経済を取り巻く環境は厳しさが増しておりますが、こうした中にあっても、未来に向けて、我が国の経済が、一段高い成長路線に乗せていく必要があると考えております。この実現に当たっては、官と民の連携や共同をこれまで以上に深めた新たな官民連携を推進することが重要であり、PPP、PFIがその柱になると考えております。

 こうした考えの下、本年六月にアクションプランを十年ぶりに大改定し、御指摘の、今後十年間で三十兆円という事業規模目標を設定するとともに、当初五年間を重点実行期間として取組を抜本的に強化していくことにしております。

 スタジアム、アリーナや文化・社会教育施設など、新たな分野、領域における活用拡大、小規模自治体を含めた幅広い取組の加速、PFI推進機構の機能強化などに取り組むことにより、今般の法改正もこれらを反映させたものとなっております。これらの取組を集中的に実行することにより、目標を着実に達成し、公共の財政負担の削減や民間の事業機会の創出につなげてまいりたいと考えております。

工藤委員 岡田大臣、ありがとうございました。

 三十兆円ですから、今、民間投資という話も出ましたけれども、なかなか厳しい。大手の銀行や、投資の話はありますけれども、地方においての、十万人以下の都市とか、そういうところでどのようにこのPFIを導入できるのか。問題が多々あるかと思いますけれども、今大臣が、まず五年間走るということでありますので、頑張っていただきたいと思います。

 私もこれでPFIに携わってまいりましたが、その前は、大抵、建設とか設計とかは一般競争入札、指名競争入札、その当時は多々、談合やいろいろな問題がありましたけれども、このPFIによって大分解消されたと思いますけれども、逆に、PFIを導入して圧縮して、そして民間活用だと言いますけれども、その施設が、後、管理になりますと、また地元の公社が使ったりとか、いろいろあります。

 いろいろお話はしたいんですけれども、せっかく導入して、これだけの金額を打ち込むんだという意気込みでありますので、私どももしっかり応援してまいりたいと考えておりますので、岡田大臣陣頭指揮の下でPFI法が成就することを祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩です。

 PFI法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 岸田総理は、本年六月、民間資金等活用事業推進会議において、令和四年度から十年間の事業規模目標を三十兆円と設定し、PPP、PFIの推進策を抜本強化する新たなアクションプランを決定いたしました、公共の施設とサービスに民間の資金と創意工夫を最大限活用するPPP、PFIは、新しい資本主義における新たな官民連携において柱となる重要な取組ですと述べられました。

 全国各地で老朽化の進むインフラの維持、更新を着実に行い、また、適切な公共サービスを維持していくためには、民間の資金や創意工夫を活用したPFIを推進していくことが不可欠であると私も考えております。その意味において、通告に従い順次質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今回の法改正の趣旨に関しましては、民間資金で公共施設を整備、運営するPFI事業をより使いやすくするための法改正であると認識しております。現行のPFI法では、国や自治体が運営権を民間事業者に譲渡する場合、事業の開始後、施設の規模や配置を原則として変更できない仕組みとなっております。また、運用期間は平均で二十年以上となるにもかかわらず、ニーズが変化しても施設の仕様を維持する必要があります。

 既存の施設も、時代とともに、利用者及び施設管理者のニーズも変わってまいります。競技場や文化施設など、運営を民間に任せる際に、事前に定めた計画を柔軟に変更して増改築などができるようにするという視点は、事業者が参入しやすくなるという点において、私もよい施策であると思っております。

 今回の法改正は、主に三つの柱から成っております。一点目として、PFI事業の対象となる公共施設等の拡大、二点目は、公共施設等運営事業に関する実施方針の変更手続の創設、そして三点目が、株式会社民間資金等活用事業推進機構の業務の追加及び保有株式等の処分期限の延長についてであります。

 そこで、お伺いをいたしますが、期限延長については令和十四年度末と承知しておりますが、この期限延長の背景や期限延長の幅など、また、なぜこのタイミングになったのか、経緯などについて御答弁をお願いいたします。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI推進機構は、PFI法において、民間金融機関が行う金融等を補完する資金の供給を行うものとして設立しておりまして、将来的な民間インフラ投資市場の形成を期待し、令和九年度末が保有株式等の処分期限とされているところでございます。

 今後ともPFIを推進していく必要がある中で、民間金融機関から供給される資金のみで自立的な案件形成が進む状況には至っていないと考えており、機構のノウハウや出融資機能を一層活用していくことが不可欠と考えております。

 他方で、保有株式等の処分に必要な期間等を勘案すると、現行の処分期限のままでは令和五年度以降の新規支援が実質的に困難となると考えております。

 このため、案件形成から機構の支援や出融資の決定までには一定の時間を要すること、令和四年度から令和八年度までの五年間がPFI推進の重点実行期間であることなどを総合的に勘案し、機構の保有株式等の処分期限を五年間延長することで、おおむね令和九年度末までの新規支援決定を可能とするものでございます。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に移ります。

 PFI事業が平成十一年にスタートいたしましたが、令和二年度までに、全国の累計は八百七十五事業が実施されたと伺っております。

 私は、平成十五年から十八年間、群馬県議会議員を務めさせていただきましたが、県議会の中でもPFI事業の導入に向けて様々な議論がなされましたが、群馬県においては、これまで三つの事業しか導入されておりません。

 私なりに、職員の意見も参考にしながら、要因について考えてみました。それは、自治体職員にPFIの有利性がよく理解されておらず、特に、小規模の地方公共団体においては顕著であり、新たなPFI事業に取り組もうとする姿勢が見られなかったような気がいたします。具体的には、所在する自治体によっては、PFI事業を計画立案、サポートしてくれるようなコンサルタント会社やアドバイザーなどが少なく、東京との情報格差によって導入が進まないのではないかと思っております。

 こうした問題に対してどのような認識でおられるのか、また、PFIに取り組む人材育成などの支援策について、政府のお考えをお伺いいたします。

英政府参考人 今御指摘をいただいたとおり、PPP、PFIの推進を阻害する主な要因として、地方公共団体におけるノウハウや人材が不足しているということが考えられます。

 このため、これまで、地方公共団体におけるPPP、PFI事業の検討を支援する専門家の派遣、それから、契約や事業実施プロセス等に関するガイドラインの策定、周知、地方公共団体、地域金融機関や地元企業などが連携して、ノウハウの習得や人材育成を進める地域プラットフォームの形成の支援といった取組を実施してきたところでございます。

 引き続き、このような取組を推進し、ノウハウ、人材不足の解消に取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 今、ノウハウとか人材が不足しているということを御理解いただいて、専門家の派遣だとかガイドラインだとか、それだとか、地域プラットフォームの形成というような形で支援をしていただくということになりましたけれども、私の経験からすると、県の職員というのは、一人で複数の事業を担っている場合があって、PFIの事業のような専門的なスキルというのを研修、勉強する時間というのが本当に限られているんだというふうに思います。

 そういった中で、PFI事業をやろうとすると、予算だとか、財政部門や首長や部局長等に分かりやすく説明して、その理解を得なければならないということが、これがすごいハードルになっているような気がするんですね。そういった意味では、導入が進んでいない自治体の職員の皆さんにこのPFIの有用性を理解していただくことが何よりも私は大事だというふうに思っております。

 そういった中で、これは通告をしておりませんので、一つの考えとしてですけれども、総務省が行っている自治大学校の研修カリキュラムの中にPFIの事業の講座を設定、もしかしたらやっているのかもしれませんけれども、そこで本当に自治体職員が、やってみたいな、チャレンジしてみたいなと思えるような、そういうような講座とか、そういったものを研修を通じて、やはりこういった底上げをしっかりとやっていかなければ、群馬はまだ三つでございますので、そういった意味では、ちょっと押しなべて北関東は少ないのかなというふうに思っておりますので、是非そういった先例をつくっていただければというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 次に、自治体への調査費用の財政的な措置についてお伺いをいたします。

 アクションプランには、地方公共団体がPFI導入の検討に際し実施する導入可能性調査の調査費用を支援するとしております。特に、新たな活用モデルの形成への支援や、人口二十万人未満の地方公共団体への支援を積極的に行うとアクションプランには明記されておりますが、具体的な内容の詳細についてお伺いをいたします。

英政府参考人 お答えします。

 内閣府では、導入可能性調査などの調査費補助事業を実施しております。案件の採択に当たっては、今後の普及促進に高い効果が期待される案件を優位に評価し、また、事業規模が人口二十万人未満の地方公共団体である案件に配慮をしているところでございます。補助金額は一件当たり上限一千万円でございます。

 このほか、地方公共団体等におけるPPP、PFIに対する理解の向上のための経験を有する専門家の派遣、内閣府などと協定を締結したPPP、PFI地域プラットフォームの行政、自治体を対象にした、事業の導入段階での実現性の明確化や方向性の提示により新規案件の形成を促すための支援、検討に当たり、法律、会計、税務、金融等の高度な専門的知見を要する事業に対し、専門家が助言等を行う支援、こういった支援策を講じているところでございます。

福重委員 ありがとうございました。

 ちょっと、前の質問にも関連いたしますけれども、PFI事業を推進するために、地域再生に資するプロジェクトとしてPFIの活用を図る地方公共団体の取組について、地方創生推進交付金等の地域再生法に基づく支援措置により積極的に支援するとされております。

 そこで、お伺いをいたしますが、拠点整備事業やハード整備事業など、これまでの代表的な実績等、お示しいただけますようお願いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地域再生制度につきましては、地方公共団体が作成をいたします地域再生計画を内閣総理大臣が認定をいたしまして、認定計画に基づく措置を通じまして、自主的、自立的な地域の活力再生に関する取組を支援するものでございます。

 政府が定めます基本方針におきましては、民間のノウハウ、資金等の活用促進を掲げておりまして、地域再生に資するPFI事業につきまして、地方創生拠点整備交付金等によりまして支援を実施しているところでございます。

 具体的には、民間事業者のノウハウや技術力等を最大限に活用しまして、スタートアップと地域の物づくり企業の交流拠点といたしまして、3Dプリンター等の最先端ICT設備を配備したスタートアップ支援拠点をPFI手法により整備する事業に対しまして、地方創生拠点整備交付金により支援しているところでございます。

 今後も、官民一体となった地域の課題解決に取り組むPFI事業に対しまして、地方創生拠点整備交付金を通じまして、積極的に支援していきたいというふうに考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 次に、PFI事業への地元企業の参画という視点についてお伺いをいたします。

 PFI事業については、大企業のビジネスチャンスが大きくなる一方で、地元事業者の仕事を奪ってしまうのではないかという懸念が指摘されております。他方、地元企業からは、PFI事業で必要になる異業種と連携した経験がなく、どうしたらよいのか分からないとの声も聞いております。

 地元企業が受注をしていくため、また、参入、参画していくためには、政府はどのような方策をお考えでしょうか。経験がないと懸念している地元事業者への対応についてお伺いをいたします。

英政府参考人 PPP、PFI事業をそれぞれの地域に合った形で展開するためには、地域の町づくりの中核を担う地域金融機関や地元企業に参画していただくことが重要であると考えております。

 今般の法改正では、地域にとって重要な拠点となるスポーツ施設や集会施設をPFI法の対象として明記することとしております。このため、今後、地域事情に精通する地元企業の役割はますます大きくなると考えております。

 これまでも、行政、地域金融機関や地元企業等の関係者が集い、ノウハウ習得と案件形成に向けた対話、異業種を含む事業者間の交流を図る地域プラットフォームの形成、運営の支援などを行ってまいりました。

 また、今般の法改正によりまして、PFI推進機構による地域金融機関への助言等の業務を追加することとしております。

 引き続き、これらの取組を通じまして、地域金融機関、地元企業などへの支援に取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 今言われました地元金融機関、やはり活用するというのは非常に大事だと思いますので、しっかりとそういったところへノウハウを伝授していただければというふうに思います。

 もう一つ、次の質問に移りますけれども、今後一層厳しくなる人口減少や厳しい財政状況により、公共施設等の維持管理には将来的な負担の増加が見込まれます。国や地方公共団体等が自ら資産を保有し公共サービスを提供するという従来の手法以外の柔軟な手法、特にPFIの有効性、必要性について、運営する管理者や住民で共有することが必要であると思いますが、必ずしも十分には共有されていない現状があると感じております。

 まずは、この点のPFIの歳出削減効果について、現状の御見解をお伺いいたします。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 PPP、PFI事業では、効率的かつ効果的な公共サービスの提供による歳出削減効果と、租税公課や遊休資産等の活用による歳入増加効果が期待されております。

 事業の実施に伴う定量的な効果として試算可能なものを推計したところ、平成二十五年度から令和二年度までの八年間の実績である約二十六・七兆円の事業規模、これに対応する歳出削減効果及び歳入増加効果は約一兆九千九百億円と試算をしております。このほか、運営権の対価収入として約三・二兆円が計上されているところでございます。

福重委員 ありがとうございました。

 是非、地方にPFI事業が推進されるよう、御努力をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳(陽)委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 今日は、所管大臣として岡田大臣にお越しいただいておりますので、せっかくなので、少し政治資金について勉強させていただきたいと思います。

 大臣は、当委員会の質疑において、地元で政党広報掲示板の設置について、その設置と維持管理料を支出しているという答弁でございました。

 私も、業界としては長いので、与野党含めていろいろな方に広報掲示板の維持管理料を支払っているか聞いてみたんですけれども、誰一人、そういう人はいませんでした。松野官房長官も、この委員会で、そういう支出はしていないということでございました。

 そうすると、大臣は、こういうポスターの維持管理料を政治資金で支出するというやり方、これは誰に教わったんでしょうか。それとも、こうした新しいモデルを自分で開発したんでしょうか。それとも、石川県はこれが当たり前なんでしょうか。教えていただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 私の、あるいは私の政党支部の方式が独自かどうかというお尋ねでございますけれども、これについては、他の方や政党支部のやり方がどういうものであるか詳しく調べたわけではありませんので、独自の方式かどうかということは分かりません。

 一般的に、ほかの議員あるいは政党支部の政治活動については、お尋ねの広報掲示板の設置、管理の方式を含めて、私は、やはり、ほかの方のことについて責任を持って答弁できる立場にございませんので、それから、詳細に把握しているものでもございませんので、その点はどうか御理解をいただきたいと存じます。

青柳(陽)委員 それじゃ、恐らく自分で編み出したんだろうと思いますけれども。

 いわゆるグレーな支出になっているわけですけれども、大臣の収支報告書を確認すると、毎年、その支出は十月から十二月の間に行われているわけでございます。今年も、この支出は続けられているんでしょうか。

岡田国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。

 広報掲示板管理料につきましては、各地域を代表して、責任を持って広報掲示板の設置や管理の任に当たっていただいている地域の党員グループの世話役などの方に支出をしているところでありますけれども、具体的に申しますと、翌年分の新しいポスターや貼り替え用のテープをお持ちする機会に支出して、その場で、ただし広報掲示板管理料としてという一文が記載されました領収書を受領することが通例となっております。

 このため、例年、年末にかけて支出するケースが多くございます。本年も、既に一部の方には新しいポスターや貼り替え用のテープ等をお持ちして、その際に支出を行っているというふうに承知をいたしております。

青柳(陽)委員 つまり、これだけ問題になりましたけれども、今年もやめずに支出を続けているということですね、今の答弁は。

岡田国務大臣 一部でありますけれども、例年の作業に取りかかっております。

 これまで御説明申し上げているように、広報掲示板管理料の支出は問題のない取扱いであると認識しておりまして、今後も、世話役などの方の御都合なども踏まえながら、スケジュールもありますので、御相談しながら、新しいポスター等をお持ちし、その際に支出を行っていく予定でございます。

青柳(陽)委員 支出を続けていくということですから、じゃ、自民党さんはどんどんこれはスタンダードになっていくと思いますけれども、本当によろしいんですかね。

 我々、衆議院ですと、普通、選挙区に千か所ぐらい貼っていますけれども、それを維持管理料を払っているケースというのは私は聞きませんが、岡田大臣はこの支出をずっと続けていかれるということなので、私はそれは適切だとは思いませんが、自民党さんはそういう支出を適切だと許容されていくようですから、それは確認させていただきました。

 それでは、PFI法の改正の法案審査に入りたいと思いますが、そもそも、今回のPFI法の改正の背景と立法事実をまず伺いますけれども、大臣は、法改正の提案理由説明で、新しい資本主義の新たな官民連携の柱と位置づけていますが、この新しい資本主義の官民連携の柱というのはどういう意味でしょうか。

岡田国務大臣 新しい資本主義の一つの柱として、このPFI、PFIは従来から続けてきたことでありますけれども、岸田政権になって、新しい資本主義、その一翼を担うものとして位置づけることができると思います。

 やはり、官ではなかなか財政の負担も大きい、そこで、できるだけ削減を図りたい、その一方で、民間の創意工夫というものを取り入れて、新たな官民共同、官民連携という形でPFIを更に推進していくことが新しい資本主義を推進する一つの原動力になる、このように考えております。

青柳(陽)委員 今の説明でお分かりになった方はいらっしゃるんでしょうか。

 PFIなんというのは、もう二十年前からずっとやっているわけじゃないですか。これを、そもそも私は新しい資本主義が何だかまだよく分かっていませんけれども、新しい資本主義とは何で、そして、その柱になるのはなぜ柱になるのか、もう一度、分かりやすく教えていただきたいんですけれども。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 新しい資本主義というものの一つの考え方として、社会課題を成長のエンジンへと転換し、成長を実現するとともに、その成長の果実を分配して更なる成長へつなげることにより、成長と分配の好循環を推進するもの、このように岸田総理は表明をしております。

 一方、現在の我が国が抱える社会課題として、厳しい財政状況、人口減少が続いており、そうした中にあっても、老朽化の進む公共インフラや公共施設の維持、更新を着実に行い、適切な公共サービスを提供することが必要であると理解しております。

 公共の施設とサービスに民間の資金と創意工夫、先ほども申しました、最大限活用するPFIは、厳しい財政状況の下でも公共負担を削減し、多様な政策ニーズに対応することで社会課題を解決するとともに、民間の新たなビジネス機会が市場を創造し、更なる成長を実現するものであり、現在我が国が抱える社会課題の解決に大いに寄与するものであると考えております。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 概念自体は前からあるものなので私は特に新しさは感じませんし、公共施設の維持管理、更新、改修、これは必要ですよね。それは別に前から必要なので、これがどうして新しい資本主義の柱になるのかはまだ分かりませんけれども、ちょっと質問を続けたいというふうに思います。

 我々も、今回のPFI法の改正は反対していませんし、賛成しています。ただ、附帯決議をこの後つけることになります。何でもかんでもPFIでやっても、今検証がないわけですから。やっていないんですね、検証結果、これはもう大臣も御存じのとおりだと思いますけれども。ですから、内容によっては、事業によっては、コストが結果として高くなってサービスが低下している事業もあるという指摘がありますから。

 その上で、十年で三十兆円の事業規模、これを目標とすると、金額ありきになると、我々は、PFIは、コスト削減とサービス向上が期待できる事業に限って、その事業をしっかり精査して実施して、そして、きちんと事後評価も行っていくべきというのが私は必要だと思いますが、事業規模を三十兆円と設定しちゃうと、そういう試算が甘くなっちゃうんじゃないか。三十兆円に達していないから、どんどん、これもあれもPFIでやっていこうということになると、これこそ本末転倒ではないかというふうに思いますし、これは大臣も御存じだと思いますが、特にサービス購入型のPFI事業は、これは、終了した二十七事業全て、事業評価を行わずに、結果としてコストが上がってしまったという事例を公取が指摘しているわけですけれども。

 十年で三十兆円の目標を設定するのは、そうした試算が甘くなってしまったり、民間の経済優位性ばかりが優先されてしまって、国民のサービスの向上にも結局はつながらないんじゃないかというふうに思いますが、十年三十兆円の目標を設定する意味を教えていただきたいと思います。

 そして、もう一回、新しい資本主義の新たな官民連携の柱に位置づけるという意気込みを今説明していただいたんですけれども、その割には、大臣の所信表明は、岡田大臣のこの国会での所信表明ですよ。法案提出、岡田大臣としてはこの法案だけですよね。でも、所信表明は、一番最後の、その他にちょっと入っているだけですよ。新しい資本主義の官民連携の柱だ、十年三十兆円なんだと位置づけている割には、所信の、その他の、最後に入っているだけですけれども、これは意気込みと所信とが合っていないんじゃないんですか。この点もちょっとお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、今の所信の中にPFIをどのように位置づけたかということにつきましては、これは、その趣旨、目的というものを述べるとともに、この委員会において、この改正法案を提出いたしますので、何とぞ御審議のほどよろしくお願い申し上げますといった趣旨のことを書いたと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 そして、三十兆円の目標ありきになってはならない、このことは青柳委員から御指摘があったとおりであると思います。PFIを進めるに当たって、目標ありきとならないことは極めて重要と存じております。

 PFI法においては、PFI事業の実施について、このように基本理念として定めております。それは、低廉かつ良好なサービスが国民に対して提供されることを旨として行われなければならない、これが基本理念であります。このために、PFI法では、事業や事業者の選定を行う際には、当該事業の効果及び効率性に関する客観的な評価を行い、その結果を公表しなければならないことも定めております。

 さらに、法の趣旨を踏まえ、ガイドラインにおいて、事業期間中に、適切なモニタリングによって、そしてサービスの提供状況を確認するとともに、事業終了時においても、当初の目的が達成されたかを評価し、今後の施設運営の改善に生かすための事後評価を行う、このことも求めております。

 今後、PFIの活用の拡大を図るに当たっては、こうしたPFI法の基本理念を踏まえた取組を徹底しつつ、アクションプランの目標達成につなげてまいりたいと考えております。

青柳(陽)委員 今御答弁いただいたとおり、しっかり、コスト、そしてサービスの向上を徹底していくと今表明していただきましたし、評価もきちんとやっていくんだ、ガイドラインに沿ってという表明がありました。これはきちんとやっていただきたいと思いますよ。PFIで効果が出ているものも私たちは認めます。しかし、出ていないものもあるので、これは本当に検証していただきたいというふうに思います。

 今回の法改正の具体的な改正内容については、先ほどの質疑でありましたとおり、対象施設、対象事業を拡大していく、特にスポーツ施設が今回は主なんだろう。それから、コンセッション方式で、事業期間中の事情変更に対応できるようにしていく、これも必要なんでしょう。ただ、この二点については、現行、法改正しなくてもできているわけですよね。やろうと思えばできるわけです。

 しかし、明確に法改正が必要なのは、PFI推進機構の存続期間、株式の処分期限の延長、これは明確に法改正が必要なわけですけれども、先ほど株処分期限延長の理由については説明がありましたので、これは省きますけれども、そもそも、それでは、元々、処分期限を設定していた理由、機構には時限的な期間を設定した理由をお聞かせいただきたいと思います。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI推進機構は、PFI法において、民間金融機関が行う金融等を補完する資金の供給を行うものとして設立をしておりまして、将来的な民間インフラ投資市場の形成を期待し、令和九年度末が保有株式等の処分期限として設定したところでございます。

青柳(陽)委員 つまり、民間インフラ市場を形成するために、その一助となるだけで、主要なプレーヤーにならないという位置づけでつくったわけですよね。それが設置目的ですし、法の趣旨だということですから。

 それでは、大臣、今回の五年の延長措置、その期限が二〇三三年の三月三十一日だと思いますけれども、ここでしっかりクローズしていくんだというふうに明言できますか。

岡田国務大臣 PFI機構について、民間金融機関が行う金融等を補完する資金の供給を行うものとして設立をしており、将来的な民間インフラ投資市場の形成を期待し、令和九年度末が保有株式等の所有期限とされているところであります。

 しかしながら、現時点においては、民間金融機関から供給される資金のみでは自立的な案件形成が進む状況には至っていないと現状考えております。

 こうした中で、地方公共団体におけるPFIへのニーズの高まりに的確に応えるには、機構のノウハウや出融資機能を一層活用していくことが現状欠かせないと考えていて、他方、保有株式等の処分に必要な期限等を勘案すると、現行の処分期限、令和九年度末のままでは令和五年度以降の新規支援が実質的に困難になるという事情もございます。

 このため、案件形成から機構の支援や出融資の決定までには一定の時間を要すること、令和四年度から令和八年度までの五年間がPFI推進の重点実行期間であることなどを総合的に勘案して、処分期限を五年間延長をお願いするものでありますけれども、しかし、これはやはり趣旨からいって抑制的でなければいけないという意味で、この五年間をお願いをしているということであります。

 その先のことは、やはり、その時点での諸般の状況を勘案しながら判断されるべきものと考えております。

青柳(陽)委員 ですから、設置理由はしっかりしていて、補完、あくまでも補完ですから。だから、そもそも機構に株の処分期限が設定されているんだけれども、今回、単純延長ですよ。中身を変えていないわけです。中身は、むしろサービスを更に付加しているわけですから。五年延長したら、しっかり市場が育って、補完的な役割であるこの機構がしっかりクローズできるんだという説明は、今、全く分からなかったわけです。

 だって、今、もう十年やっていて、市場を独占しているわけです、この機構が。それを、内容を変えずに更にサービスを付加して五年延長したら、その延長期間内にクローズできるというよりは、また更に今後延長が必要になってしまうんじゃないかと思いますが、これは大臣、どうお考えですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、機構は、時限的な機関、平成二十五年から十五年間でありますが、その役割も、民間資金の呼び水として、民間資金を補完する形での金融支援等を行うものである、このことは銘記しておかなければいけないと思っております。

 また、市場の形成を担う地域金融機関からも、やはり機構が有するPFIに関するノウハウや知識の共有が期待されているということは、地域金融機関の方からもそういう申し越しがありますし、このため、機構の存続は、いわゆる民業圧迫というものでもなく、市場の形成を阻害するものでもないと考えております。

 そうしたことから、PFI機構の五年間の延長ということは適当な期限と思っておりますが、それは、五年延長して、その先またずるずると延びていくのか、そういう御下問かとも思いますが、そこは、やはり、そのときにその状況を勘案して、これはもしまたそのときに延長する必要があれば、法改正を伴うことでありますので、それはそこに一定のけじめがついているというふうに思って、この五年間の延長をお願いしているところであります。

青柳(陽)委員 今の答弁だと、また五年たったら延長しなきゃいけないということになるんだろうなという答弁にしか聞こえないわけですよね。

 今回、だって、内容を変えていないんですよ。十年やっているんです、既に。十年やって、呼び水とか補完的役割と言う割には、主要なプレーヤーになっていて、地方の金融機関だって、機構にやってもらって、今、黒字なんですから、助かりますから。この内容を変えずに延長すれば、また五年後も恐らく同じことになるんだろうというふうにしか一般的には判断されないのではないかなと思います。

 ですから、もう少し内容自体を検討し直す必要が私はあるんだろうと思いますが、ちょっと、念のため、公取の見解も聞いておきたいと思います。

 十年で市場規模が、もう市場が千三百億円の市場規模になっている。機構は、純利益ですよ、純利益だけでも八・六億の純利益があって、その市場で八・六億の純利益を出している機構というのは株式会社ですから、この株式会社がほぼ一社独占している。この市場にほかに参入する企業はほとんどないわけです。一応、市場は、民間で取れないリスクがある投資のために、呼び水として、補完的な立場として設立されたわけですけれども、それは機構だって投資しない案件はあるわけですよ。リスク投資はしないわけですね。こういう市場ができ上がっている。

 このまま単純に、この市場が今の方式のまま延長するということは、これは逆に民間の競争を阻害することになっていないかどうか、公取の見解を伺いたいと思いますし、じゃ、逆に、市場を阻害するという要件はどういう要件なのか、これも公取に確認したいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI推進機構は、金融機関が行う金融や民間の投資を補完する資金を供給することにより、PFI事業に係る資本市場の整備を促進するなどの目的で設立されているものというふうに承知をしております。

 PFI推進機構の在り方につきましては、一義的には所管府省が判断することということでございますけれども、公正取引委員会といたしましては、一般論として申し上げれば、PFI事業に対し資金を供給する取引に関しまして、公正かつ自由な競争環境が確保されていることが重要であるというふうに考えてございます。

青柳(陽)委員 ですから、それが公正かつ自由な市場になっていないのではないか、逆に、呼び水であるPFI機構が存続すればするほど、自由な市場ができにくくなっているのではないかという、設立趣旨と実態が合っていないような気がしますので、ここは大臣、受け止めておいていただきたいと思います。

 次に、PFI事業の評価について伺いますけれども、会計検査院がPFIについて検査を実施したところ、余りよろしくない結果になっていると思いますし、そもそも、日本がこのPFIをモデルとしていたイギリスにおいてすら、もうPFIは効果が薄いということで、新規事業の採択は停止するということになっています。

 検査院が実施した報告の概要を御説明いただきたいと思います。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、いわゆるPFI法が制定されて二十年余りが経過し、事業期間が終了したものなどが増加してきた経緯等を踏まえまして、今後のPFI事業の実施に資するために、平成三十年度までに十一府省等が実施したサービス購入型六十五事業、独立採算型十一事業、計七十六のPFI事業を対象として検査を行い、その状況を、「国が実施するPFI事業について」として、令和三年五月に国会及び内閣に報告いたしました。

 検査いたしましたところ、サービス購入型のPFI事業に際しましては、国が自ら実施する場合とPFI事業として実施する場合について、それぞれ事業期間全体を通じた公的財政負担の見込額の現在価値を算定して比較しておりますが、競争の効果の反映の有無の点で算定条件が一致しておらず、両者を比較するに当たり適当でない状況となっておりました。

 また、一部のPFI事業におきまして、金利情勢が割引率に十分に反映されておらず、高めに設定されていた結果として、PFI方式の経済的な優位性が高く評価されていた可能性がある状況となっておりました。

 さらに、平成三十年度末現在で事業期間が終了しておりましたサービス購入型のPFI事業二十九事業について見ましたところ、PFI方式により実施することが実際に有利であったかなどについての事後検証、これが行われていたものはないなどの状況となっておりました。

 このような検査の状況を踏まえまして、会計検査院といたしましては、今後、PFI事業を実施する際には、各府省等は、金利情勢を十分に考慮するなどして割引率を設定するとともに、競争の効果を反映させるなどして、より実情に沿った算定を行った上でPFI事業の実施について判断すること、また、内閣府はガイドラインの改定等について検討すること、さらに、各府省等は、内閣府における検討結果を踏まえるなどして、PFI事業の事業期間終了に伴う評価を客観的に行うよう検討すること、こういったことなどに留意する必要があるとの所見を述べたところでございます。

青柳(陽)委員 大臣、今の検査院の報告をしっかり受け止めていただきたいと思いますし、時間が来ましたのでこれで終わりますが、検証すら行われていなかったわけですから、我々は今日附帯決議をつけますけれども、大臣はこの附帯決議を重く受け止めてPFIをやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 岡田大臣とは今日初めて質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと質問の順番を変えまして、今、青柳委員の質問の中で、会計検査院について、検査結果について概要の説明がありました。その中で重要な指摘があったと私は理解をしています。

 PFI事業を選定する際のVFMガイドライン、要は、PFIに見合った事業かどうかを判断する重要な基準、このガイドラインの改定を検討するようにというのが会計検査院の指摘です。

 内閣府さん、改定、検討されたんでしょうか。大臣、お願いします。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

岡田国務大臣 お答えを申し上げます。

 令和三年の会計検査院報告においては、各府省等におけるVFM算定等の実態を踏まえ、今後、PFIを推進していく上での課題が示されたと認識しております。先ほど会計検査院からの答弁もございました。青柳委員からもこれを重く受け止めるようにという御指摘があり、そこはしっかりと受け止めて、今後努めてまいりたいというふうに思っております。

 また、この会計検査院報告を受けて、昨年六月、各府省等及び地方公共団体等に向けて、VFMガイドラインを踏まえた適切なVFMの算定、事後検証マニュアルを踏まえた適切な事後検証の実施を要請したところであります。今後、各府省等におけるVFM評価の改善状況や事後検証の実施状況の把握等を通じて、より実効性のあるPFI事業の実施環境の整備に努めてまいりたいと存じます。

本庄委員 大臣、質問に答えていただきたいんですが、VFMガイドラインの見直しをされたのかどうかを聞いているんですね。その適用について自治体に通知をしたとか、そういうことではありません。変えるか変えないかという話で、検討せよというのが検査院からの指摘ですね。いかがでしょうか。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の会計検査院報告での検査院所見のうち、割引率への金利情勢の反映、事業者選定時、PSCへの競争の効果の反映という評価に係る所見については、昨年六月に、各府省等及び地方公共団体等に対して、VFMに関するガイドラインを参考に適切にVFMを算定することを要請したところでございます。

 割引率への金利情勢の反映については、VFMガイドラインは策定当初から、割引率について、金利情勢を反映したリスクフリーレートの選定を求めており、こうしたガイドラインの趣旨を踏まえた割引率の選定を各府省等に実行してもらうことができれば、本指摘への対応は可能であると認識していたためでございます。

 また、競争の効果の反映につきましては、VFMガイドラインは、各入札の競争実態を熟知している各府省等が独自の工夫として競争の効果をPSCに反映することを禁じておらず、そうしたガイドラインの趣旨が更に管理者に理解されるよう周知を図れば、本指摘への対応は可能であるというふうに認識していたためでございます。

 今後は、通知を踏まえた各府省におけるVFM評価の改善状況を含め、PFI事業の実施状況を鑑みつつ、有識者の意見も聞いた上で、ガイドラインの改定も含めて検討してまいりたいと考えております。

本庄委員 私の質問に答えないのも問題ですが、会計検査院の指摘に応えていないのはもっと問題じゃないでしょうか。ガイドラインの見直しを検討せよということです。今のところ、少なくとも、検討はなされていない。もう一年たっていますよ。一年たって検討すらしていない、議論すらしていないというのは、何もやらないと言っているに等しいと思います。

 会計検査院、今の状況について、指摘をした当事者としてどのようにお考えでしょうか。

宮川会計検査院当局者 今、内閣府の方から御答弁がございましたが、会計検査院といたしましては、各府省等が実施するPFI事業に関しまして、引き続き注視していくこととしております。

 内閣府の要請を受けまして各府省等において必要な改善が行われたかにつきましては、国会での御議論等も踏まえつつ、今後、適切に検査してまいりたいと考えております。

本庄委員 検査院にもしっかりしていただきたいんですが、自ら指摘したガイドラインの見直しについて内閣府が一年たっても検討もしていない、この事実をしっかりと重く受け止めていただいて、次の報告のときには改めてきちっと指摘をしていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 PFI推進機構の保有株式の処分権限の延長についてです。

 PFIの推進機構、元々十五年の時限の設立ということで、平成二十五年、安倍内閣で設立をされています。

 当時の国会答弁なんですけれども、こういうふうに言っていますね。呼び水としての機構だが、十五年もたてば日本のインフラ市場も非常に活性化して多数の民間のインフラファンドが組成されていることを想定している、日本にインフラファンドが全く育たないというような状況になった時点では、これは恐らく法の目的が全く達せられないということだ、十年前、国会でこういう答弁がなされています。

 十年たちました。民間の資本、育っていない。機構の業務を延長したい。補完的に補助輪のような趣旨で立ち上げた機構が、結局、補助輪が外せないまま十年たってしまった、こういうことだと思うんですね。

 この十年間のPFI政策は失敗だったというふうに総括すべきだと思いますが、岡田大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI推進機構は、インフラ投資市場が成熟して、PFI事業者が民間金融機関から必要な資金調達を行うことができるようになるまでの時限的な機関として設立されたものであります。これは御指摘のとおりであります。

 しかしながら、現在、市場が整備された状態に至っていないという判断、その一因として、インフラ投資市場において商品となり得る収益性のあるPFI事業の数が十分ではないということが挙げられると率直に考えております。このほか、地域経済の中心的な存在である地域金融機関のPFI事業に関する経験、ノウハウ、人材が不足している、あるいは小規模自治体における実績が少ないといったことも要因と考えております。

 このため、PFI機構における民間資金を補完するための出融資機能とPFI事業に関するノウハウ等を生かしながら、収益性のある事業の掘り起こしをこれまで以上に進めて、市場の形成に寄与してまいりたいと考えております。

本庄委員 十年間いろいろやってきたし、少しずつ市場は拡大しているかもしれないけれども、まだまだ到達点には至っていないということだと思います。

 今回の五年延長の理由ですけれども、今、委員会の中でも答弁も出ていましたけれども、保有株式の処分に五年程度必要だ、あるいは新規の案件形成から融資完了まで五年程度必要だということで、五年延長ということなんですが、今回延長して令和十四年度に機構の業務を終了しようと思うと、今から五年後、つまり令和九年度の段階で、また延長するかどうかを判断しなきゃいけないんですね、五年後に。そうじゃないと十年後に機構が終了してしまいますから。

 今議論しているようなことが五年後また起きるわけですが、そこで業務の終了にめどがつくというようなものはあるんでしょうか、今、内閣府や岡田大臣の中に。

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、このPFI推進機構については、民間のインフラ投資市場が未成熟である中、民間資金を補完する形で金融支援を行うことなどを目的に、時限的な機関として設立されております。こうした背景を踏まえて、先ほども御答弁申し上げましたが、その設置期間については、できる限り抑制的に行うべきであるとも考えております。

 その上で申し上げれば、機構をどうするかについては、その時々の経済情勢や社会情勢、さらには今後の見通しも踏まえながら検討、判断する必要がございます。

 このため、更なる期間延長をするかしないかといった判断は現時点では困難であると存じますが、まずは五年間延長した上で、その期間内にできることをしっかりと進めて、この市場を形成し、PFIが、推進機構が一区切りつけられる状況に達するように、最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。

本庄委員 政府のPFIの今後の重点期間、これは十年間じゃないですか。十年間の重点期間を置いているのに、五年後に判断ができるんでしょうか。この五年と十年の矛盾について御説明いただきたいんですが。

英政府参考人 政府といたしましては、十年間という目標を定めたところでございますが、そのうち五年間を重点実行期間として定めたところでありまして、まず、この五年間を見据えて集中的にやっていくということで、今、この機構についてもそれを考慮して延長期限を設定したところでございます。

本庄委員 政府のアクションプランでは、令和四年度から十三年度までの十年間の目標、三十兆円ですね。先ほどから質疑の中でも出ています。この三十兆円という数字は、機構の業務終了の基準や目安にはなるんでしょうか。

英政府参考人 お答えいたします。

 PPP、PFI推進に係る官民で共有すべき目標として、令和四年度から十年間の事業規模を三十兆円と設定をしているところでございます。この目標を見据えながら、今後、スタジアム、アリーナや文化教育施設といった新たな分野、領域におけるPFI事業の活用の拡大など、集中的に取り組むこととしております。

 単に目標を達成するだけではなくて、効率的かつ効果的で良好な公共サービスを実現するとともに、新たな雇用や投資を伴う民間ビジネス機会を創出してまいりたいというふうに考えております。

 なお、この三十兆円の目標というのは、機構の解散の基準を意味するものではございません。

本庄委員 そうすると、一体どういう状況になったらこの機構の業務は終了して解散するんですかね。市場にとっても、予見可能性は非常に重要だというふうに思うんですね。一定の目安や方向性、それをきちっと議論して示すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 どうなった場合に機構はその役割を終えるのかというお尋ねでございますが、これは、民間金融機関からPFI事業者に対してリスクマネーが円滑に提供され、機構の出融資機能に頼らずとも自立的に案件の形成が進む状況になれば、機構はその役割を終えることができると考えております。

 そして、そのメルクマールについては、これは更に検討を進めて、機構がどうした条件を満たせばその役割を終えて解散するのかという点についても、引き続き検討を続けてまいりたいと存じます。

本庄委員 ですから、どういう基準を満たせば機構の役割を終えたという判断の材料になるのかということを聞いているので、聞いたことを答弁されても困るんですね。

 これはきちっと、詳細じゃなくても、アウトラインぐらい示して、どういう状況になればこの機構の役割が終わるのかということは、きちっと政府として整理すべきだと私は思います。でないと、五年後、また同じような議論がここで行われ、十年後も同じような議論が行われ、そして十五年、二十年となる可能性すらあると思います。結果として、民間資本インフラ市場を育てていくというこの法の目的、機構の目的が達せられないまま、時間だけが過ぎていく、こういうことになりかねないと思いますので、是非しっかりと検討していただきたいというふうに思います。

 次のテーマに移りたいと思いますが、PFI推進機構の財務についてお伺いしたいと思います。

 令和三年度の事業報告を見ますと、機構の経常利益十二・四億円、当期純利益八・六億円、六年連続で単年度黒字ということで、一見、結構な財務状況になっています。

 ただ、この事業報告書を見ますと、例えばこういう記載があります。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当機構が出融資を行ったPFI事業において、大きな影響を受けている事業もあり、約定に基づく支払い繰延べの適用もあります、現状では事業継続に懸念はなく、当機構の出融資の回収見込みに重大な影響を及ぼすものであるとは想定していない、引き続きその影響について注視してまいりますということで、もしかすると出融資先の一部にコロナなどを原因に焦げつきあるいは不良債権化しかねないものがあるのではないか、今のところは大丈夫だとしてもですね、ということをにおわせるような記載があるんですが、この大きな影響を受けている事業というのは具体的にどういう事業ですか。御説明をお願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 機構では、利用料金を自らの収入として収受するPFI事業を対象に金融支援等を行っております。そうした事業の中には、委員御指摘のように、新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響を受けているものがあるのは事実であり、約定に基づき、利払い繰延べを適用している事業もございます。

 しかしながら、各事業者の自助努力や国、地方公共団体等の施設の管理者からの支援策によって、現段階で事業継続に懸念のある案件はないと認識をいたしております。

本庄委員 大臣、質問に答えてほしいんですけれども、コロナの影響を受けて支払い繰延べの適用になっているような事業があると書いてあるので、どういう事業ですかということで説明を求めています。もう一度お願いします。

岡田国務大臣 この件については、PFI事業の性質上、そうした事業者について、個別の名称を対外的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。

本庄委員 これはおかしな話ですね。公的な資金がしっかり入ったこの機構の出融資先の状況について説明ができないというのは、どういう理由でしょうか。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 これは公的な推進機構の出融資も入っているわけでございますけれども、やはり、民間としてPFI事業に参画している事業者の経営状況について云々することは、これは、その与える影響等を考えればふさわしくない、このように判断しております。

本庄委員 個別企業の経営状況を教えてくれとは言っていません。機構が出融資したその先の資金繰り、返済について、どういう状況かと。支払いができないような状況になっているというふうに報告書に書いてあるから伺っているんですが、それも説明ができないということなんですか。

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 先ほども申し上げたように、利払い繰延べを適用している事業もございますが、各事業者の自助努力、また、国、地方公共団体等の施設の管理者からの支援策もしっかりと講ずることによって、現段階で事業継続に懸念のある案件はないというのが私どもの判断でございます。

本庄委員 その判断が適切かどうかを判断しなきゃいけないので、説明を求めています。何度聞いてもお答えにならないんだと思いますので、これ以上は聞きませんが。

 そうなってくると、やはり心配なのは不良債権化のリスクですね。機構の出融資残高、今年の三月三十一日現在で八百億円あります。今のところ問題ないということですが、将来のことまでは見通せないわけです。

 ところが、含み損とか含み益とか評価損益をきちっと調べて公表するという仕組みに今はなっていません。是非、企業会計の基準などを導入するといったことを検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 国の支出がなされているPFI推進機構による情報開示の在り方については、関係者との間における情報の適正な取扱いに留意しつつ、支援対象事業の状況等について十分な情報開示に努め、国民に対して説明責任を果たすことが求められております。

 このため、機構は、事業報告の中で、出融資を行った事業において、新型コロナウイルス感染症の影響により、約定に基づく利払い繰延べの適用がある旨を公表しており、資金回収に与える影響も適切に情報開示しておることから、これは問題はない取扱いをいたしておると考えております。

本庄委員 具体的に支払い繰延べまでなっているような、説明もできない、でも問題ないと言われても、はい分かりましたとはやはりこれは言えないと思うんですね。企業に個人情報があることは一部には理解しますけれども、これは下手したら国民負担に最後は跳ね返ってくる問題ですから、きちっと説明をしていただきたいし、そのための判断材料、判断基準を提示していただきたいと思います。

 かつて、例えば道路公団、ありました。大丈夫だ大丈夫だと言っていたけれども、企業会計で照らしてみたら真っ赤っかだったという先例もあるわけですから、しっかりと検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、機構が情報開示できる範囲は、機構と出融資先との守秘義務契約に左右されるため、個別案件ごとに異なります。このため、一概にお答えをすることは難しいんですが、十分な情報開示に努めるという考え方の下で、機構による情報提供が充実したものとなるように、これは我々、しっかりと指導監督していくということをここにお約束を申し上げたいと存じます。

本庄委員 出融資先に対して何を言っているかを聞いているのではなくて、国会や国民に対してどういう説明をしているかを聞いています。

 そのために、今私申し上げたのは、企業会計基準のような評価損益や含み益、含み損ということも踏まえた財務の状況の報告ということをしっかりと検討していただきたいということを申し上げました。

 時間もありませんので、次のテーマに移りたいと思います。

 スポーツ施設と集会施設の明記についてなんですが、今回の法改正の中で、今までもPFIでやってきているけれども、法律の中にきちっと書くということです。

 スポーツ施設として想定されているのは、スタジアム、アリーナ。私から見れば、もちろん公共がやっているところもありますけれども、本来、民間でやるべき、できることではないのか。あるいは公民館。これもPFIですけれども、公共主体で今までつくってきた。

 これは、今後、どういう場合に、どういう基準や理由で、公共や民間ではなくPFIとしていくのか。公共、民間、PFIの事業選択の判断基準について、ちょっと分かりやすく御説明いただきたいと思います。

英政府参考人 公共施設等の整備等に関する事業をPFI事業として実施するかどうかについては、PFIの活用により当該事業が効率的かつ効果的に実施できるか否かなどに基づき、地方公共団体等が判断することになります。

 なお、一般論でございますが、施設を民設民営で整備する場合にどういった手法を用いるかについては、これもコスト等を勘案し、民間事業者が判断することになると承知しております。

本庄委員 今回、明記されるスポーツ施設とか集会施設というのは、今までですと、例えば災害時に避難所に指定されたりすることがあります。PFIになったことによって、そういう災害時に避難所として使えなくなるというようなことがあってはいけないというふうに思うんですけれども、コンセッション事業者が拒否をしてしまうとか、こういったことが起こらないようにすべきだと思いますが、この点について、大臣、御答弁お願いします。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありましたPFI事業における災害時などの対応については、契約等において規定することが通常であります。例えば、例を挙げますと、横浜市のコンベンションセンターでは、災害時など、市が緊急に避難場所として施設を利用する必要があるときは、市の指示により、優先して避難者等を受け入れることといたしております。また、愛知県新体育館では、大規模災害が発生した際には、帰宅困難者の一時滞在施設等の機能を果たすことを要求しております。

 このように契約書等に適切に定めることにより、PFI事業を活用した施設であっても、災害等の場合の避難所として活用することも可能と認識をいたしております。

本庄委員 契約で取り交わせばそうなるのは当然だと思うんですね。問題は、そういう契約になっているかどうかだと思います。

 国としてきちっと、PFIを採択するときに、一つのガイドラインとして、こういう災害時においての活用について契約の中に盛り込むべし、そういうふうに持っていくべきだと思うんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 こうした契約等によって災害時の対応を定める際に、これが公の性格を帯びた施設であることに鑑みて、そうした契約を盛り込むように、これは私どもの方から働きかけてまいりたいと存じます。あるいは一定の基準を検討させていただきたいと思います。

本庄委員 ありがとうございます。今日初めて議論がかみ合ったと思いました。

 時間も限られてきましたので、もう一つ、ちょっと提案したいことがあるんです。

 PFIの対象に商店街というのは入っていないんですね。少なくとも書かれておりません。PFI法第二条第一項三号には、地下街というのは出てくるんですが、商店街はありません。

 公共施設だけではなくて、公益的施設ということも対象にはなっています。商店街というのは、町のにぎわいの中心となるわけで、特に地方においては公益的な役割も果たしているというふうに私は思います。是非、今後のPFI法の改正において、商店街を追加をする、あるいは政令でも準ずる施設として指定ができるということになっていますので、商店街をPFIの対象にすることについて、是非政府の中で検討してみていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

英政府参考人 PFI法でございますが、商店街の場合ですと、民間が管理する施設、店舗等で構成する場合が多いというふうに考えられることから、公共施設等の整備等を目的とするPFIの事業としてはなじみにくい面があるかと考えております。

 ただし、商店街の中に地方公共団体等が所有する施設が存在する場合には、当該施設の範囲においてPFIの活用をすることは十分可能であると思いますので、そういったものの案件はしっかりと形成してまいりたいというふうに考えております。

本庄委員 私の質問をちゃんと聞いていただきたいんですが、公共施設だけじゃなくて、公益的施設についても対象になっています。箱物だけじゃなくて、商店街というのは場であるわけですね。ここに対しても、PFIの対象になるということを是非検討はしてみていただきたいというふうに思います。

 私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本日、内閣提出第九号、いわゆるPFI法改正法案について質問させていただきます。

 今回の改正案の内容は、一、特定事業の対象にスポーツ施設及び集会施設を加えること、その二、公共施設等運営権に関する実施方針のうち公共施設等の規模、配置の変更を可能とすること、そして三つ目に、株式会社民間資金等活用事業推進機構、いわゆるPFI推進機構の株式等処分期限を五年間延長することが主な内容となっております。

 私は、このうち最も重要かつ実質的な改正点は三点目のPFI推進機構の期限延長にあると思いますので、こちらのPFI推進機構の在り方を通して、官民の適切なパートナーシップの下、民間のノウハウを活用して事業の効率化やサービス水準の向上を目指すPFIそのものについて議論をしてまいりたいと思います。

 まず、PFI推進機構の解散時期の延長について、もうほかの委員からも御指摘がありましたけれども、確認をさせていただきます。

 平成二十五年に設立された機構の目的は、特定選定事業に対する民間の投融資を補うものであります。いまだ民間インフラ投資市場が整備されていない中で、官民によるファンドが独立採算型のPFI事業への劣後融資、劣後債、出資等を行って事業支援をするものと理解しております。

 現行法では株式等の譲渡その他の処分期限を令和十年三月三十一日までとしておりますけれども、今回の改正案でこの期間を令和十五年三月三十一日までと五年間延長する理由を改めてお伺いいたします。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI推進機構は、PFI法において、民間のインフラ投資市場が形成されることが期待されていた令和九年度末までが設置期限とされていたところでございますが、現状では、民間金融機関から供給される資金のみで自立的な案件形成が進む状況にはないというふうに考えられます。

 こうした中でPFIを更に推進していくためには、機構の出融資機能などを一層活用していくことが不可欠と考えております。このため、PFI推進の重点実行期間も考慮しつつ、機構の資産処分期限を五年延長することとし、おおむね令和九年度末までの新規支援決定を可能としようとするものでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 政府は、これまでも、PFI事業が全国の地方公共団体に普及してPFI事業のための資金を調達する市場が整備されれば、PFI推進機構の役割は果たされたと判断できるのではないかとの認識を示しておりますけれども、ここで、では、どのような状況になった場合に民間のインフラ投資市場が整備されたとみなすのか、お伺いをいたします。

英政府参考人 お答えいたします。

 現在、市場が整備された状態に至っていないという一因といたしまして、地域経済の中心的な存在である地域金融機関における経験、ノウハウ、人材の不足や、小規模自治体におけるPFI事業の実績が少ないといった課題が挙げられると思っております。

 インフラ投資市場を含む市場そのものが様々な社会経済の要因に左右されるものであるため、一概にお答えすることは困難でございますが、今後、地域において、経験、ノウハウが蓄積され、資金提供を含め自立的な案件形成が進む環境が整備されれば、機構の役割は果たされたと判断できるというふうに考えております。

阿部(司)委員 こういう状況になれば民間インフラ投資市場が整備されたという、誰もが分かる客観的なお答えというのがいただけなかったと思います。

 それでは、こうした客観性がない中で、仮に、令和十五年三月三十一日の期限が来ても、いまだ民間インフラ投資市場が整備されていないと政府が判断した場合に、更なる期間延長の可能性を妨げるものではないということなのか、大臣の明快な御答弁をお願いいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI推進機構については、民間のインフラ投資市場が未成熟である中、民間資金を補完する形で金融支援を行うことなどを目的に、時限的な機関、御指摘のとおり、平成二十五年から十五年間として設立されております。こうした背景を踏まえれば、その設置期間についてはできる限り抑制的であるべきと考えております。

 その上で申し上げますと、機構をどうするかについては、その時々の経済情勢や社会情勢、さらには今後の見通しも踏まえながら検討、判断する必要があるため、更なる期限延長をするかしないかといった判断は現時点では困難と申し上げざるを得ません。

 しかし、まずは五年間延長した上で、その期間内にできることをしっかりと進めてまいりたい。その意味は、民間金融機関からPFI事業者に対してリスクマネーが円滑に提供されて、機構の出融資機能に頼らずとも自立的に案件の形成が進む、そういう状況を、機構が、この後、期限延長の措置をお願いして、我々も懸命にその市場形成に向けて努力をいたしてまいりたい、このように存じております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 いわゆる機構に関して推進機構支援基準というものがありますけれども、ここで、機構はあくまでも、民間金融機関等の補佐を通して、民間主体の資本市場の確立を促進するための先導的な役割が期待されているのでありまして、また、民間金融機関などの活動を圧迫しないように求められております。

 先般、民間のインフラファンドがないと言われてきた我が国でも、今年の夏、国内インフラを対象とした民間のインフラファンド、グローバル・インフラストラクチャー・マネジメント、インカムファンドというものができまして、秋田県で風力発電事業投資を行ったと報告されておりまして、今後、同ファンドがコンセッション事業など様々な国内インフラ事業に対して投資を行っていくとしています。このように、民間インフラ投資市場の整備に向けて新たな動きが出てきております。

 私たち日本維新の会は、結党以来、身を切る改革を旗頭に、行財政改革の断行を一丁目一番地の政策として掲げてきました。そして、いたずらに官が自ら業を行う範囲を広げて不必要な組織をつくって天下りの受皿になるようなことは、こういったことに対しては徹底的に反対をしてまいりました。こうした意味からも、今回の五年間の延長の間にしっかりと民間のインフラ投資市場を整備するように努めて、決して、様々な理由をつけて組織の存続、延命を図ることがないようにしてもらいたいと思っております。

 そこで、五年間延長した期間の中で民間インフラ投資市場を整備して、期限の再延長はしないという決意を改めて示していただきたいと思いますが、岡田大臣、この点、もう一度御答弁をお願いできますでしょうか。

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 今ほどの御趣旨もしっかり承りまして、先ほどから申し上げているように、我々もこの設置期限についてはできる限り抑制的に行うべしと考えていて、早くそうした民間のインフラ投資市場が成熟して、推進機構が本当に役目を完了して解散という状況に至るのが、これは早い方がいいということは私の考え方でもあります。

 したがって、まずは、今五年間お願いしている更なる延長の期間内にできることをしっかりと進めて、この機構がその任を全うすることができるように全力を尽くしてまいる覚悟でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 次に、推進機構の情報公開についてお伺いをしてまいります。

 機構が設立されて本年三月末までにPFI推進機構が支援決定した案件は五十二件、累積の支援決定額は千三百七十八億円余りに上ると聞いております。

 このPFI推進機構の投融資の実績は、どのような媒体を使って、どの程度のレベルまで情報開示されているのか、現状をお伺いいたします。

英政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI推進機構の情報開示につきましては、機構は、出融資先である民間事業者との間で基本的に守秘義務契約を締結することとなっております。機構としては、関係者との間における情報の適正な取扱いに留意しつつ、守秘義務契約を踏まえ、現状では、融資、投資を行った案件について、支援対象事業名、事業概要、SPCの構成企業といった支援内容について機構のホームページで公表しているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今、ウェブサイトでも公開されているということでありましたが、このPFI推進機構のウェブサイトを拝見しますと、これまでの支援対象事業が一覧で掲載されておりまして、更にそこからクリックすると、事業ごとの支援状況をより細かく見ることができます。

 しかし、その情報量は極めて限られております。主に、対象事業名、支援決定日、対象事業者名、契約締結や特定選定事業支援実施、これは予定も含んだものですけれども、この事実程度ですね。融資がメザニンなのかシニアなのかの別ですとか、融資金額、PFI事業の形態などをこのウェブサイトから知ることはできません。

 さらに、不思議なことに、詳細に見ていくと、平成二十八年までの支援案件については融資額、メザニン、シニアの別が記載されていたものが、翌年以降、記載がなくなって、情報量が絞られてきております。

 そこで、PFI推進機構ウェブサイト上の支援対象事業の情報提供範囲がこのように狭められてきた経緯、そして理由をお答えいただけますでしょうか。

英政府参考人 お答えいたします。

 この機構のウェブサイトにおける表示でございますが、これはまず、民間の事業者から、機構と守秘義務契約を締結していることを理由として、民間業者から、支援形態や支援決定金額といった支援内容の詳細は公表しないでほしい、こういう要請があったため、それ以降の案件については、支援対象事業名、事業概要、SPC構成企業等の情報のみを公開することとした、こういう経緯というふうに聞いているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今、民間事業者からの依頼に基づいて情報開示の範囲を狭めたとの御回答でしたけれども、契約を締結した後にこれらの情報を公開、提供することで事業にどのような支障が出るのか、ちょっと分からないんですね。

 平成二十五年に閣議決定され、その後、数次にわたり改正が行われてきた官民ファンドの運営に係るガイドラインの前文には、ファンドが民間資金の呼び水として効果的に活用されるための重点項目として、こうあります。投資案件の適切な選定、選択、投資実行後の適切なモニタリング、民業圧迫とならないような運営などとともに、投資実績が透明性を持って情報開示されており、監督官庁及び出資者たる国及び民間出資者に適時適切に報告されていること、このように掲げられております。

 また、当該投資について適切な評価、情報開示を継続的に行うほか、ファンド全体の経営状況に関する情報を定期的に開示するなど、国民に対しての説明責任を果たすとしています。大事なところなので、もう一度言います。国民に対しての説明責任を果たすと書かれております。

 このように、官民ファンド運営に係るガイドラインに照らして、私が先ほど指摘させていただきましたようなPFI推進機構の情報開示の在り方は適切なんでしょうか。

 国民に対する説明責任のありように対する御見解も含めて、大臣の御所見をお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 国の出資がなされているPFI推進機構による情報開示の在り方につきましては、関係者との間における情報の適正な取扱いに留意しつつ、支援対象事業の状況等について十分な情報開示に努め、大事なことというふうに委員御指摘でありましたけれども、国民に対して説明責任を果たすということが求められております。

 政府参考人も申しましたが、機構のホームページでは、支援対象事業名、事業概要、SPC構成企業等の情報を公表しておりますが、PFIの一層の推進を図る観点から、今後、掲載する情報の質、量共に更なる充実を図ることが必要と認識しております。

 そのため、監督官庁である内閣府としましても、機構が出融資先との守秘義務を守りながらも、その取組がしっかりと理解されるように丁寧かつ充実した説明を行っていくよう、しっかりと指導監督をしてまいりたいと存じます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 政府がPFIを新しい資本主義における新たな官民連携の柱と位置づけ、その推進を図っていくのであれば、官民ファンドであるという原点を踏まえて、事業に関する情報をしっかり公開して、ホームページ、定期的に確認をさせていただきますので、しっかりと国民に対する説明責任を果たすという姿勢を大臣自ら率先して示していただきますよう、お願いを申し上げます。

 続きまして、機構の役割について、改めてお伺いをいたします。

 PFI法は、推進機構の目的について、第三十一条に規定をしております。そこでは、機構は、特定選定事業又は特定選定事業を支援する事業を実施する者に対し、資金の供給を行うことにより、特定選定事業に係る資金を調達することができる資本市場の整備を促進し、もって我が国において特定事業を推進することを目的とすると定められております。すなわち、PFI推進機構は特定事業に資金供給する株式会社であると言っているわけです。そして、法では、特定選定事業を「選定事業であって、利用料金を徴収する公共施設等の整備等を行い、利用料金を自らの収入として収受するもの」と定義をしております。

 一方で、法に基づき内閣総理大臣が定めたPFI推進機構の支援基準、株式会社民間資金等活用事業推進機構支援基準において、特定選定事業の定義づけがまたこちらで行われています。いわく、同じような文言が続くんですけれども、「「特定選定事業」とは、選定事業であって、利用料金を徴収する公共施設等の整備等を行い、利用料金のみを自らの収入として収受する事業」、ここから文言がちょっと追加されています、「又は利用料金に加え特定選定事業に要する費用に相当する金額の一部として公共施設等の管理者等から支払われるものについても自らの収入として収受する事業をいう。」、このようにあります。

 法で規定している特定事業の定義を、基準という、法よりも下位の文書で再定義するというのは、ちょっと不思議なもののように私は感じました。基準において、又は特定選定事業に要する費用に相当する金額の一部として公共施設の管理者等から支払われるものについても自らの収入として収受する事業というものが加えられているんですね。微妙に両者の定義が異なっているように感じます。

 そこで、岡田大臣にお伺いをいたしますが、PFI法に定める支援対象と支援基準に定める支援対象はどのように異なるのか、分かりやすく御説明願います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI法における機構の支援対象事業は、PFI事業のうち、事業者が利用料金を自らの収入として収受するものと定義されております。具体的には、利用料金のみで費用を賄ういわゆるPFIの独立採算型事業と、利用料金に加えて公共の負担で一部の費用を賄う混合型事業の二種類の事業を指しております。

 一方で、委員も御指摘になった、PFI法に基づき内閣総理大臣が定める支援基準における機構の支援対象事業は、法で定義する事業の内容をより具体的かつ分かりやすく説明しようという観点から、利用料金のみを自らの収入として収受する事業と、それに加えて公共から支払われるものについても自らの収入として収受する事業、こういうふうに書き分けているものであります。

 したがって、委員御指摘の、PFI法が定める支援対象と支援基準に定める支援対象は、これは私、明確に同じというふうに申し上げたいと思います。御懸念のように、法律に定める機構の支援対象事業の範囲を告示において拡大するものではないというふうに御答弁申し上げたいと存じます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 法と支援基準で同じものを指して示しているということで、具体的には、両者とも、独立採算型と混合型を指しているとの御答弁でしたけれども、全く同じことを指しているのであれば、あえて支援基準で別の言い回しをする必要がどうしてあったのかなと、ちょっと疑問に感じております。

 同時に、やはり微妙に支援基準が支援対象範囲を広げているような印象を与えてしまっているのではないかなと感じる次第です。

 そこで、次に、PFI推進機構が金融支援を実施している実際の事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 横浜地方合同庁舎整備事業、こちら、資料をお配りしておるんですけれども、横浜のみなとみらい地区に国の十五官署を集約するものですね。こちらがPFI法の適用を受けまして、平成四十五年の年度末までを事業期間として、戸田建設を中心とする企業がSPCを構成し、施設の整備及び維持管理並びに運営事業が実施されます。建物自体は来年三月末の竣工を目指して建設が進めておられるとのことですけれども、その後の施設運営まで含めた総事業費は約二百九十億円と言われております。

 今、皆様にお配りしておる資料は、こちらの施設全体の断面図になります。黄色く塗られている部分が食堂、売店とコンビニエンスストアでありまして、さらに、コンビニ上の立体駐車場の一部、こちらも、休日、休館日の時間貸し部分なども含めて、これが、SPCによる、利用料金を収受する部分であると思われます。

 そこで、国土交通省にお伺いをいたしますが、建物全体に占める食堂、売店、コンビニ、駐車場の面積割合をお示しください。

秋月政府参考人 お答えいたします。

 横浜地方合同庁舎(仮称)整備等事業につきましては、関東地方整備局において、二〇一九年二月に事業者と契約を締結し、現在、二〇二三年三月の施設完成を目指して工事中でございます。

 御質問いただきました、事業者が収益を上げて実施するものの各面積と建物の全体延べ面積に占める割合については、食堂、売店が約五百二十平米で全体の約一・一%、コンビニエンスストアが約百九十平米で約〇・四%、駐車場が約千七百六十平米で約三・六%、合計で約二千四百七十平米で約五・一%となっております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 次に、内閣府にお伺いをしてまいります。

 この横浜地方合同庁舎に対するPFI推進機構の融資状況を、融資対象部分、金額、シニア、メザニン別についてお答えを願います。

英政府参考人 PFI推進機構は、横浜地方合同庁舎整備等事業に対しまして、令和元年五月、融資による支援を決定しているところでございます。

 機構の融資実行額等につきましては、機構が関係者との調整を行ったものの、関係者の了解が得られておりませんので、大変申し訳ないのですが、現時点ではお答えすることができません。

 機構の情報開示については、先ほど大臣の答弁もありましたが、関係者から御理解をいただけるように努めてまいりたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 ちょっと、詳細についてはお答えをいただけなかったんですけれども、いわゆる今回のこの横浜の庁舎の件、混合型として官民ファンドが融資を実行したというふうに理解をいたしますけれども、実際に、先ほどの御答弁のとおり、国交省からの御答弁にもありましたが、SPCが利用料金を得る割合は面積比で見ると僅か数%。コンビニ、駐車場の割合で四%、売店等を合わせて五・一%ということでした。なので、実態は、九五%以上のサービス購入型事業に対してファンドからの多大な金融支援がなされていることになります。

 先ほど、機構の役割の件でもいろいろとやり取りさせていただきましたが、独立採算型と混合型でよりリスクマネーを投じていくといったことが機構の役割かと理解をしておりますが、この横浜地方合同庁舎整備事業に対するPFI推進機構の金融支援の状況について、機構が設立の趣旨に合った適切な役割を果たしているとお考えか、岡田大臣の御認識をお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 横浜地方合同庁舎整備等事業は、機構が支援対象としている、利用料金を自らの収入として収受するPFI事業であり、機構が民間の金融を補完するとともに、金融機関へのノウハウ移転も行っておりますことから、これは機構の設立趣旨に即した事業であると理解をいたしております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 個人的には、より積極的な、いわゆる民間インフラ投資市場をつくるようなことに率先してその役割を果たしていただくように、リードしていただきたいと思うんですけれども。民間のノウハウと活力を生かした官民連携を推進すべきというお立場かと思うんですが、そのためには、適正なバリュー・フォー・マネー、VFM評価に基づく事業選択をしていくとともに、政府が百億円のお金を出資している官民のファンドであるPFI推進機構は、設立趣旨に沿った支援に当たるべきでありまして、いたずらに趣旨から逸脱するとも言われかねないような支援というのはすべきでないと考えますので、今後の事業選択に当たっては、こうした点に十分に御留意をいただきたいと思います。

 さて、るるPFI推進機構に関して質問をしてまいりましたけれども、今後、様々な分野で、官民が連携して、より効率的で質の高い行政サービスを提供していくことはますます重要になってくるかと思います。同時に、PFI事業の展開に当たっては、地元企業ですとかスタートアップなどが参画できる仕組みが求められると考えておりますけれども、こうしたことを促す方策について、岡田大臣の御見解をお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI事業をそれぞれの地域に合った形で展開するためには、やはり地域の町づくりの中核を担う地元企業や地域金融機関に参画していただくことが重要であります。また、よりよい公共サービスを提供する観点から、新しい技術やアイデアを持ったスタートアップの参画も重要であり、私はこれを歓迎すべきものと考えております。

 こうした地域企業やスタートアップから活発な提案が行われることは、PFI事業の質の更なる向上だけではなくて、地域の雇用や地域経済の活性化にもつながる極めて重要な点と考えております。

 このため、本年十月に、積極的な提案を行った企業には事業者の選定時の評価を上乗せすることができる仕組みを導入して、各省庁及び都道府県等にも周知をしたところであります。

 こうした仕組みに加えて、地域の関係者が参画してPFI事業の案件形成を図る地域プラットフォームも積極的に活用しながら、阿部委員御指摘のように、地域金融機関、地元企業、スタートアップの参入を支援して、この推進機構の目的、あるいはPFI事業の目的を達成してまいりたい、このように考えております。

阿部(司)委員 本日は、PFI推進機構の在り方を通じて、PFIについての議論をさせていただきました。この法の目的、趣旨にのっとった活動、取組を是非していただきたいと思います。

 私ども維新でも、PFI自体は推進して、どんどん民間の活力を利用して、様々な公共サービスのコストを削減して、価値を創出していく、このこと自体はどんどん推進していくべきだという立場ですけれども、今、様々な御指摘をさせていただきましたが、この年限、延ばしますけれども、そして、明快な、必ず解散をするという御答弁まではいただけませんでしたが、しっかりこの期限内に民間インフラ投資市場をつくり上げる、そういう気概を持って、是非、このお取組、推進をしていただきたいと思います。

 時間は少し余りましたが、これにて私の質問を終了とさせていただきます。ありがとうございました。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、PFI法の法案質疑ということで、短い時間ではありますが、質疑をさせていただきたいと思います。

 また、私も、ほかの委員の皆様と同様な問題意識を持って今回の質疑に臨んでおりますので、類似の質問はあると思いますが、整理の意味も含めて、通告に従いまして質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、早速質問ですけれども、私が今回の法案の中で着目をしておりますのは、新たに明記されることとなったスポーツ施設や集会施設でございます。

 後ほど、その明記をすることによる効果なども聞きたいと思っているんですけれども、まず初めに、このPPP、PFI事業において、スポーツ施設や集会施設がどれほど今活用されているのかについて伺いたいと思います。特に、答弁の中に含めていただければと思っておりますのは、例えば、地域の住民の皆様が集まる際などに使用しているような、比較的小規模な集会施設についての実態も確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 御答弁申し上げます。

 ただいま御下問のありました実績について、スタジアムやアリーナ、体育館、プールなどのスポーツ施設におけるPFI事業の実績は、令和二年度末時点で四十四件でございます。また、特に御指摘のあった公民館、市民ホールなどの集会施設におけるPFI事業の実績は、令和二年度末時点で九件でございます。

 なお、これらのほかに、図書館や商業施設などに集会施設の機能も含めて複合施設として整備される例が多いと承知しておりまして、これら複合施設の実績は、令和二年度末時点で六十四件という実績がございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 今の答弁を聞きますと、いわゆる公民館等の施設単独では九件、そして複合施設を含めるとそれは六十四件ということで、単独でのPPP、PFI事業での運営実態というのはやはりまだ少ないのかなというふうに感じた次第でございます。

 その上で、二つ目の質問に移りたいと思いますが、本法案におきまして、スポーツ施設や集会施設というものをあえて明記をするということですけれども、やはりほかの委員の皆様も聞いておられましたが、どのような効果が見込まれるのか。

 私も、事前の説明を伺った際には、これまでもこうしたスポーツ施設や集会施設ができないわけではなかったけれども、あえて今回明記をするんだというような話を伺ったときに、この立法事実がどこにあるのかというのは、やはり多くの議員の皆様が気になされたことだと思うんですけれども、この部分について確認をさせていただきたいと思います。

 また、アリーナですとか大型のスポーツ施設については、やはり比較的大規模な施設、そして民間との共同によって一定の経済効果が見込めるのは理解はできるんですけれども、先ほど申し上げたような公民館だとか地域の集会施設という部分で、今実際にニーズがあるのかどうか、この部分についてもお伺いできればと思っております。よろしくお願いします。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 本年六月に決定したPPP/PFI推進アクションプランでは、御指摘の、地域づくりの核となるスポーツ施設や身近な拠点となる集会施設など、新たな分野でのPFI事業の活用の拡大を打ち出したところであります。

 特に、お尋ねの集会施設については、住民にとって身近な存在であり、地域のにぎわいを生み出す上での核となり得ると考えております。

 その一方で、こうした集会施設については、老朽化が進んでいるものが多くございまして、例えば公民館の約六割が築三十五年以上ということで、改築などの必要性が高まっております。

 こうした新設、更新共にニーズは高いために、これに民間のノウハウを活用していく余地があると認識しているところであります。

 例えば、分かりやすいところで、私、地元に石川県野々市市というところがありまして、そこは、公民館を、図書館とまとめてPFI事業として再整備し、施設の利用者が非常に増えております。図書館は約八・六倍に増えました。そして公民館も一・三倍ということで、これは一定の効果を上げているというふうに思います。

 こうしたきめ細かな、住民に身近な施設を明記することによって、スポーツ施設並びに集会施設、これら整備に努めていきたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 具体的な事例もお示しをいただきまして、ありがとうございました。

 今、公民館と図書館を複合化した施設が御地元にもあられるということを伺いましたけれども、やはりそういったケースをもっともっと、これからどんどん増やさなきゃいけないというふうに私も思っております。

 ただ一方で、今回、PPP/PFI推進アクションプランでも明示されておりますように、そういった投資市場といいましょうか、PPP、PFIの市場が未成熟だという課題意識はもう既に政府も示していると思うんですけれども、なぜ未成熟、伸びていかないのか。やはりここに焦点を当てて、そこの課題を解決していかないと、幾らPPP、PFIの対象として明記をしたところで、やろうと思えばこれまでもできていたわけですので、それがされてこなかったという状況が余り変わるようには思えないんです。

 市場が未成熟である原因と課題、そして、今何らかの対応を行っている事例があるのであれば、その部分、御答弁をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 現在、御指摘のとおり、市場がいまだ整備された状態に至っていない一因として、インフラ投資市場において商品となり得る収益性のあるPFI事業の数が十分ではないということが挙げられると考えております。

 このほか、地域経済の中心的な存在である地域金融機関のPFI事業に関する経験、ノウハウ、人材が不足していること、また、小規模自治体におけるPFI事業の実績が少ないといったことも要因と考えております。

 このため、PFI機構における民間資金を補完するための出融資機能とPFI事業に関するノウハウなどを生かしながら、収益性のある事業の掘り起こしをこれまで以上に強力に進めるということと、加えて、今回の法改正により可能となります機構による地域金融機関への助言なども積極的に活用して、機構が保有するPFI事業に関するノウハウなどの民間金融機関への移転を更に進めていくことによって、PFI事業の件数も増えて、それがインフラ投資市場というものを形成するようになる、その目標に向けて努力を強力に進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いします。

浅野委員 まだ件数が十分に積み上がっていないという現状ですとか、あるいは民間側にノウハウ、経験が蓄積されていないという現状で、まずは事例を積み上げていきたい、そういった大臣側の思いというのは、今少し聞かせていただく中で感じたんですけれども。

 ちょっと私が今懸念しておりますのは、PFI事業をできる民間事業者を増やしていって、日本全国的に官民連携で公的な施設をより充実させていく、そして経済性を上げていく、これは私は方向性としていいと思うんです。

 一方で、懸念をしておりますのは、やはり元々公的な施設ですから、行政が責任を持って、住民、国民の共通の利益である施設に対して責任を持って管理をしていたわけですけれども、これを民間にどんどんどんどんウェートを移していった結果、政府、行政の責任範囲の縮小であったり、あるいは経済合理性、いわゆるVFMとか、経済性を重視する余り、先ほども取り上げたような、地域で住民が集まるような場になっている、いわゆる収益性を目的としたわけではない、交流、福祉としての性格の強い施設、こういった部分の整備やメンテナンス、管理が後退をするのではないか、こういった懸念があるわけです。

 これはちょっと、通告の内容、通告文書ではないんですが、今日の議論を受けてそういった懸念を感じたわけですが、大臣として、これは、効率性を高める目的はありますが、やはり、経済性とか効率性ではない、福祉とか、いわゆるコストを容認しなければいけない部分について、行政としてはしっかりそこは責任を持っていくんだ、こういった考えを持っていただきたいんですけれども、その点に関して、大臣から一言いただければと思うんですが。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI事業の中でも、サービス購入型と言われております、公が引き続き主体となって、そして管理を民間に委ねていく、そういう場合は、しっかりと公的施設の質というものを担保する、民間にのみ任せるわけではない、そういう理念の下で、サービス購入型の事業というものはいまだPFI事業のかなりの部分を占めておりますし、先ほど浅野委員が御指摘になったような、経済性のみを優先するような、そうしたPFI事業であってはならない。これは公共も、経費の節減とかあるいは民間の知恵、そうしたものを、創意工夫を導入することができるとともに、民間もまたメリットを得ていくということで、いわゆるウィン・ウィンと言うと言葉が合っているか分かりませんけれども、公の立場でも、そういうサービスというか、福祉が後退するものであってはならない、このことは私の決意として申し上げておきたいと存じます。

浅野委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問になると思いますが、本日配付させていただきました資料を少し御覧いただきたいと思います。

 内閣府の調査によると、令和二年度のPFI事業における地域企業の参画状況というのがこの資料に掲載されておりますが、上の四角の中に書いてございますように、地域企業が参画している事業自体は九五%ある、さらに、地域企業が代表企業として参画している事業は全体の三七%あるということで、一定の参画率ではあるというのが政府の評価なんですけれども。

 ただ、事業規模別に見ていきますと、やはり百億円以上の事業では、地域企業が代表企業として参画している割合はゼロ%。そして、規模が小さくなるに従ってその割合は高まっていくんですが、PFI事業といえども、やはりその地域経済の中でしっかりとお金が回って、地域でPFI事業を支えていく、運営していく。地域の主体性というのが非常に大事な要素になっていくと思うんですね。ただ、現状を見ますと、かなり大きな事業規模の場合、ゼロ%ということになっております。

 やはりここを改善していく努力というものが政府にも求められていくのではないかと思うんですが、スポーツ施設や集会施設においても参画率を高める取組、必要だと思いますが、最後にこの部分をお伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 地域企業の参画状況という資料を拝見をいたしました。

 地域における課題解決や魅力の向上に向けては、公共の施設とサービスに民間の創意工夫を最大限に生かすことができるPPP、PFIを活用しながら、官民の多様な主体が参画し、地域が一丸となって取組を進めることが重要と考えておりまして、このために、浅野委員御指摘のように、地域の町づくりの中核を担う地域金融機関や地元企業がPFI事業に参画することは極めて重要と考えております。

 このような観点から、事業主体である地方公共団体の判断によって、事業者選定において、代表企業が市内工事の受注実績があることを義務づける、あるいは、構成員に市内企業を含むことを義務づけ、あるいは加点をする、評価の上乗せをする、あるいは、市内企業に一定金額以上の下請業務を出すことを義務づけるといった、地元企業が事業に参画しやすくしている例もあることを把握しております。

 内閣府においても、地域プラットフォームの形成、運営の支援などを通じて、地域金融機関や地元企業などのPFI事業への参加を促してきたところでありますが、今般の法改正事項としているPFI推進機構による地域金融機関への助言などの機能も併せて活用しながら、地域金融機関や地元企業が参画しやすい環境を整えてまいりたいと存じます。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PFI法改正案について質問をいたします。

 事業の実施から二十数年間。PFI事業についての検証が必要であります。

 法務省に、PFI刑務所についてお尋ねをいたします。

 会計検査院は、昨年五月、「国が実施するPFI事業について」という報告書をまとめています。

 サービス購入型の六十五事業のうち、三十年度末時点において維持管理、運営業務が開始されていた五十七事業について、モニタリングにより確認された債務不履行の発生状況を見ると、同種の債務不履行が繰り返し発生していて、債務不履行の年間の発生件数が多くなっているものが見受けられたと述べています。その事例として、島根あさひ社会復帰促進センターが挙げられています。

 PFI刑務所がうまくいっていないことを会計検査院が指摘をしておりますが、法務省は承知しておりますか。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 承知しております。

塩川委員 PFI刑務所である島根あさひ社会復帰促進センターのトラブルについて、会計検査院の報告書は、わざわざ囲みにして紹介もしているわけであります。

 元々法務省は、刑務所の事務について、捜査や裁判とともに一連の刑事司法手続を構成するもので、国家刑罰権という主権の行使に直接関わるものであることから、民営化はなじまないとしていたのではないでしょうか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 平成十四年度の総合規制改革会議では、民間参入の拡大によります官製市場の見直しといったような観点から議論がなされまして、刑務所の事務についても議論の対象になされたものと承知しております。

 民営化を始めとする官から民への事務の移管を検討するに当たりまして、法務省といたしましては、刑務所の事務は捜査や裁判とともに一連の刑事司法手続を構成するものでございまして、国家刑罰権の実現という、まさに主権の行使に直接関わるものであるということから、民営化や包括的な業務委託にはなじまないと考えておりました。

 しかしながら、一方で、刑務所の幅広い業務を検討してまいりますうちに、被収容者の身体、財産を直接侵害する実力行使や、被収容者に対して直接義務を課したり又は権利を制限したりといった処分等を行う事務、こういうものの、権力的でおよそ民間委託にはなじまない事務を除きました、それ以外の事務につきましては、民間への委託も可能であると整理したところでございます。

塩川委員 公権力の行使であっても、被収容者への実力行使や権利制限、受刑者処遇などを除き、守秘義務やみなし公務員をかけることによって、施設の整備や収容監視、職業訓練、信書の検査補助、矯正教育、健康診断といった公権力の行使は民間委託できることとしたという話であります。

 法務省は、今年六月、PFI事業に関する有識者会議報告書をまとめております。その中では、国職員が刑務官としての基礎的技能を向上させることの難しさについて、どのような課題があると述べていますか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の報告書につきましては、有識者会議において取りまとめられたものでございます。この報告書におきまして、官民協働の施設であります社会復帰促進センターでは、一般の刑事施設と比べて、刑務官としての基礎的技能の向上を図ることが難しい面があるとされております。

 具体的には、被収容者と接する際の状況に応じた立ち位置や、各種検査や被収容者の監視を行う際の着眼点といった基礎的技能、これを、一般刑務所におきましては勤務を通じて身につけてまいりますところでございますが、社会復帰促進センターでは相当程度の業務を民間事業者が行っておりますため、これらの技能の向上を図ることが難しい面があると指摘されているところでございます。

塩川委員 公権力行使のうち、施設の警備や収容監視などの業務について、PFI事業者の民間職員が担っているということになります。

 ですから、PFI事業によって公権力の行使に係る業務が国と民間に分割されたことによって、国職員が刑務官としての基礎的技能を向上させることが困難となっているということですね。

小山政府参考人 お答えいたします。

 PFI手法を活用した官民協働刑務所に限らず、矯正職員の基礎的技能の向上というのはなかなか難しい点がございます。官民協働刑務所だからといって、それに限って難しいということはなかなか一概には申し上げられないのではないかと思っておるところでございます。

塩川委員 いや、でも、この報告書は、官民協働の施設でPFI刑務所について、今述べたような、基礎的技能の向上を図ることが困難となっていると。つまり、公権力の行使について、国の職員がやる部分とPFIによって民間職員がやる部分と切り分けられているために、結果として国の職員の基礎的技能の向上が困難になっている。

 PFI事業だからこそではありませんか。

小山政府参考人 御指摘のような点につきましては、報告書でも述べられているとおりでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、いずれの施設がどのような難しさを持っているかということは個々それぞれでございまして、職員によっても、難しい方、そうでない方、いろいろございますので、総体的に職員の技能というのは高めていく必要があっているところかと思っております。

塩川委員 国と民間で業務の切り分けを強いるPFI事業が、国職員の基礎的技能向上の妨げとなっているということであります。

 我が党は、そもそも施設警備や収容監視などの公権力の行使を営利企業が担うことには反対であります。こういったPFI事業の問題点が改めてはっきりとしたということです。

 そこで、PFI手法を活用してきた喜連川社会復帰促進センターや播磨社会復帰促進センターについて、事業期間終了後、PFI手法を継続しなかったのはなぜでしょうか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 喜連川社会復帰センター及び播磨社会復帰促進センターにつきましては、本年の三月末をもちましてPFI事業が終了となり、本年四月から、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律に基づく民間委託事業を開始しております。

 これらのPFI手法を活用した事業を開始するに当たりまして、受刑者に対する職業訓練の実施や収容状況を監視するといった権力性の弱い業務につきまして、構造改革特別区域法によって特例措置を設けて、民間委託を行うこととしております。

 その後、平成二十一年五月に、この特区法に規定する特例措置が廃止されまして、同時に、公共サービス改革法に同様の特例措置が設けられたことによりまして、これらの業務を民間委託する場合につきましては、公共サービス改革法を根拠といたしまして行うこととされております。

 令和四年四月から開始いたしました両センターの民間委託事業におきましても、職業訓練の実施など権力性の弱い業務を引き続き実施するに当たりましては、新たに公共サービス改革法を根拠として民間委託を行うこととしたものでございます。

塩川委員 公共サービス改革法については、地域限定の特区をやめて、市場化テストの導入で刑事収容施設の民間委託を全国展開するもので、公権力行使を民間業者が全国の刑務所で行うことを可能にするもので、我が党は反対をしたところであります。

 それを踏まえた上で、報告書の中でも、引き続き公権力の行使に係る業務を委託する場合には公共サービス改革法を活用することとなる、今の答弁のとおりですけれども、公権力の行使に係る業務を委託する場合にはPFI事業は実施できないとしているのはなぜなんでしょうか。

小山政府参考人 お答えいたします。

 冒頭の御質問に対するお答えと重なってまいりますけれども、刑務所の事務というのは、捜査や公判とともに一連の刑事司法手続を構成するものでございまして、国家刑罰権の実現という、まさに主権の行使に直接関わるものであるということでございます。ここの直接関わるものにつきましては、PFI事業になじまないと考えておるところでございます。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 PFI刑務所というのは、もうまずいということで、今後はやらないという話ですよね。国としては、今、アクションプランにおいても、過去十年間の事業規模目標二十一兆円を、今後十年間で三十兆円とする計画を立てております。活用対象の拡大も掲げております。それなのに、一度実施をしたPFI刑務所はもう行わないということは、このPFI刑務所については、これはもう失敗だった、うまくいかなかった、問題があったということをお認めになりますか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 事業の実施にどのような手法を用いるかについては、やはり実施事業の目的や内容に鑑みて、最終的には、事業の実施主体である国や地方公共団体等が判断すべきものと考えております。このため、事業目的によっては、必ずしもPFI手法を活用しない場合がある。

 一方で、PFIのような民間の創意工夫や資金を活用することは、場合によっては有効な手段の一つと認識しておりますので、引き続き、こうした、ケース・バイ・ケースでありますが、PFIのメリットや効果等の周知、優良事例の横展開、案件形成の支援等に取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 刑務所についてPFI事業というのはまずかった、なじまないということはお認めになりますか。

岡田国務大臣 刑務所PFI事業は、公権力の行使を伴う施設の警備や収容監視等に係る委託業務について、構造改革特別区域法に委託の根拠を設けることでPFI事業として実施していたわけであります。

 しかし、当該規定が廃止されたことから、事業期間が終了したPFI事業については、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律、略して公共サービス改革法に基づき、公権力の行使を伴う業務の民間委託を実施していると承知いたしております。

塩川委員 PFI事業でやっていたものを継続するということも当然可能だったのに、わざわざPFIというのは取りませんということを決めたということですから、うまくいっていないということを認めたということでもあります。PFI推進が様々な矛盾を拡大することを認識すべきであります。

 最後に大臣、民間資金、経営能力、技術的能力を活用するというのがPFI事業だとしてきましたが、今回の改正を見ても、民間資金どころか、国の資金を活用する仕組みを延長するものであります。また、民間の経営能力、技術的能力の活用どころか、実施方針を事業者の都合で変更できるようにするなど、PFIの優位性はそもそも看板倒れではありませんか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI推進機構、国と民間のそれぞれ百億円の出資により、民間投資の呼び水として質的、量的に民間資金を補完するとともに、事業の形成に必要なノウハウや人材の提供を行う存在として設立されました。今後、老朽インフラの更新需要等に応えるため、民間の資金やノウハウを活用できるPFIのニーズが見込まれることから、機構の出融資機能などを一層活用していくことは欠かせないと考えております。

 また、実施方針の変更手続の創設は、社会経済情勢が変化した場合において、運営事業の効率的、効果的実施のために必要な工事等を可能にするものであり、PFI法の趣旨である民間ノウハウの活用の観点から、運営権者によって提案することを位置づけたものであります。この改正によって、事業開始時には予見されなかった事態への対応が可能となるなど、より効率的、効果的な事業を実施できることとなり、引き続き、民間資金、経営能力、技術的能力を活用した施設の運営が実施されることとなります。

 看板倒れという認識は持ってございません。

塩川委員 公共が果たすべき仕事は、民間任せでなく、公務が担うべきだということを申し上げて、質問を終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 PFI法ということで、先ほどから会計検査院の指摘がなされておりますが、国のPFI事業、特にサービス購入型の事業の効果については、先ほど指摘があったとおり、比較対象や金利という視点から問題が指摘されたり、さらに、衝撃的なのが、コスト面では全ての事業が従来型より高い、そして、サービス面においてはいずれの事業でも事後検証が困難であるとの指摘がなされています。真の意味で民間資金の活用になっていないものが多いんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

英政府参考人 まず事務的な答弁をさせていただきますが、PFIは、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、公共事業を効率的かつ効果的に実施するものでございます。

 このうち、いわゆるサービス購入型の事業でありましても、業務を一括、長期で発注することによって全体を見据えた効果的な業務実施が可能となり、財政負担の軽減が図られる、あるいは民間の創意工夫を生かした良好なサービスが提供される、こういう効果が期待されているということから、引き続き有効な手法であると考えております。

緒方委員 財政負担は下がると言いましたが、会計検査院からは全ての事業で従来型より高いと書いてあります。間違っていませんか。

大西委員長 英君、答弁は簡潔に。

英政府参考人 個別のケースによって、おっしゃるような指摘があるのは事実でございますが、PFIの手法としては、これはやはり効果があるというふうに考えているところでございます。

緒方委員 個別の事業と言われましたが、会計検査院では全ての事業においてコストが高いと書いてあるんですね、従来型より。全然、個別の話じゃないですよ。全体としてそうなっていないですか。

英政府参考人 PFIにつきましては、事業選定時あるいは業者の選定時の時点でVFMを計算いたしますが、それにつきまして、私どもの調べた限りでは、特定事業選定時のVFMで平均七・九%、それから事業者選定時のVFMで平均一六・八%であり、行政自らが事業を実施する場合と比べて効率化が見込まれるということで考えているところでございます。

緒方委員 サービス購入型のPFIの中には、単なるアウトソーシングとか初期投資の繰延べにすぎないと思われるものがかなりあるように思われます。そういうものの数が増えても余りプラスはないんじゃないかというふうに思いますが、室長、いかがですか。

英政府参考人 サービス購入型でございますが、これにつきましては、先ほども御答弁申し上げたように、事業を長期的に契約することで、業務を一括、長期的な、全体を見据えた効果的な業務実施が可能になって、それで効果があるというふうに考えているところでございます。

緒方委員 じゃ、大臣にお伺いしたいと思います。

 コストが従来型より高くなるものというのはPFIの理念に反していると思うんですけれども、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 コストが従来型より低くなる、VFMを生み出していく、そうした事業を推進してまいりたい、このように思います。

緒方委員 つまり、今、低くなるものを推進していきたい、そのとおりなんです。だから、従来型より高いというのは、PFIが目指すその理念に反しているというふうに思いませんか、大臣。

岡田国務大臣 そうした事例が多くなるということは、これは理念に反していると思いますので、これがVFMをできるだけ生み出していく。

 それで、先ほどから政府参考人も申し上げておりますように、公共の負担のみで費用を賄ういわゆるサービス購入型の事業であっても、業務を一括、長期で発注することにより、全体を見据えた効果的な実施が可能となり、財政負担の軽減が図られるということでありますので、この点に目を光らせていきたい、このように思います。

緒方委員 民間からのプロポーザルがきっかけとなるPFIが、レクのとき聞いたら十近くあって、現在七つぐらいが進んでいるということで伺いました。

 民間からのプロポーザルを受けること自体は法律に盛り込まれているんですけれども、指摘として、ガイドラインがないためにやりにくいということがあるそうです。民間プロポーザルを端緒とするPFIが進むような仕掛けをより推進してはいかがかと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 PFI事業では、おっしゃるとおり、民間の創意工夫をいかに引き出して最大限に活用できるかが鍵となると考えております。このため、平成二十三年にPFI法を改正し、民間提案をきっかけとしたPFI事業を実施することができる制度を定めたところであります。

 先ほど御指摘になりましたとおり、民間提案制度の実績については、十件が採択され、事業実施に至ったもの七件ということで、これまでも制度の円滑な運用と活用促進のためのマニュアルを制定し、周知をしてきたところであります。

 また、本年十月には、PFI事業において積極的な提案を行った企業には事業者選定時の評価を上乗せすることができる仕組みを導入し、各府庁及び都道府県等に周知したところであります。

 こうした制度や仕組みの積極的な活用を通じて、民間の発意と創意工夫を生かした効率的かつ効果的なPFI事業の創出を図ってまいりたいと存じます。

緒方委員 今のように、自治体側が対象事業を選ぶのが主となるスタイルでは、どうしてもサービス購入型のアウトソーシング的PFIがすごく増えて、成果が限定的になるんじゃないかということを思うんですね。その結果として、もしかしてコスト高になるのであれば更に論外だと。むしろ、考え方を転換して、一定の要件を備えた、これを強調させていただきますが、一定の要件を備えた事業についてはむしろPFIを原則とするような形でやるぐらいでいかないと、真の成果が出ないのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 お答え申し上げます。

 緒方委員の非常に熱のこもった御意見、一つのお考えとして、議論をさせていただきたいと思います。

緒方委員 終わります。

大西委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 質問時間が五分なので、端的に申し上げます。

 本法案は、問題の多いPFIを拡大しようとするものです。れいわ新選組は、公約でPFI法そのものの見直しを掲げており、それを今回、地域づくりの核となる身近な施設にまで広げるのは、更に懸念が増すと言わざるを得ません。

 我が党の山本太郎代表は、二〇一八年六月十二日の参議院内閣委員会において、PFIの推進は世界の潮流に大きく逆行した、全く周回遅れの議論であると厳しく指摘をしています。

 これに反論するためか、内閣府は二年前に諸外国におけるPPP/PFI事業調査を行い、海外では拡大しているように見せていますが、これを調べると、調査を請け負ったのは日本総研であり、当時のPFI推進室参事官は日本総研の出身者の方でした。結果を素直に受け取るわけにはいきません。

 パネル一を御覧ください。

 オランダの国際シンクタンクであるトランスナショナルインスティテュートの調査によれば、二〇〇〇年から二〇一九年、約二十年間の間に、五十八か国、二千四百以上の町が、再公営化や公営化など、公共サービスを公の管理下に置いているんですね。内閣府に聞くと、日本でも七件の失敗例があるという回答でした。

 世界の破綻した民営化や官民連携の例に学ばずに、更に市民社会に身近な施設にまで対象を広げて、アクセルを踏むのはなぜなんでしょうか。

 日本の公共サービスは、行政が重要な役割を果たしてきたのはもちろんですが、地域社会も重要な担い手です。地域の人々は、公共サービスの単なる受益者ではありません。共に地域のことを考え、行動してきた主体ではありませんか。その中核的な場の一つが、本法案でPFIの対象として更に広げることになる地域の集会施設、つまり公民館です。

 岡田大臣に質問いたします。

 なぜ、今回のPFI改正案で、対象を公民館にまで拡大するのですか。

岡田国務大臣 お答えいたします。

 コミュニティーセンター、文化ホール、そして公民館といった集会施設については、住民にとって身近な存在であり、地域のにぎわいを生む上での核となり得ると考えております。

 他方、やはり老朽化が進む中で、新設、更新のニーズは高いし、民間のノウハウを活用していく需要があると認識しておることからでございます。

櫛渕委員 地域住民の声や参加は、どのように担保されるんでしょうか。

 PFI推進アクションプランによれば、関係者の連携する地域プラットフォームの構成メンバーに、産官学、金融はあるものの、地域住民やNPOの存在は想定されていません。

 全国公民館連絡会というのがありますけれども、こういう文章が掲げられています。公民館は、戦後の焦土の中から生まれ、人間尊重、生涯教育、学習、住民自治といった理念に立って、地域づくり、人づくりの中核的機関として、地域住民や関係者の営々たる努力に支えられてきたというものです。

 また、公民館は、社会教育法第二十三条で、営利を目的とした事業を禁止されていることも重要です。営利事業が禁止されているのに、運営を営利企業に任せる、これは余りにも構造的に矛盾していませんか。

 一方で、今年九月に開かれた全国公民館研究集会富山大会では、文科省の講演がありました。これは、PFI促進についてと題され、資料十ページ以上を扱う力の入れようです。手元の資料二、これがその一部でありますけれども、利用できる補助金や交付金、こんなにたくさんのメニューが用意されているんですね。これは要は、金でPFIに誘導していく、そうした狙いが見て取れます。

 そう考えると、PFIの推進や拡大、ここから導き出されるのは、財政負担を削減しつつ、民間のビジネスチャンスを創出するという、公共を食い物にした金もうけという結論でしかありません。本法案によって、住民自治は奪われ、公共サービスの有料化や市場化が進んでいきかねません。

 大臣、それが岸田政権の言う新しい資本主義なんでしょうか。今必要なのは、むしろ、住民参加による新しい民主主義であると私は考えます。行政と民間企業のパートナーシップよりも、行政と住民のパートナーシップによって、住民に投資をし、そしてコミュニティーを強くする。また、そのことによって公共事業を再構築していく、公共サービスを再構築していく、そのことこそ、私はあるべき姿であると考えます。

 その方向性に逆行したこの法案を到底認めるわけにはいかない、そのことを強く指摘し、私の質問といたします。

大西委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。

 PFIは、法施行後二十年以上が経過する中で、民間事業者の相次ぐ経営破綻などの問題事例を生み出してきました。今回の質疑で取り上げたPFI刑務所を始め、様々な問題点があることや、低コストで質の高いサービスを提供するとの触れ込みが全くの幻想であったことを、会計検査院の報告でも指摘しています。まさにPFIの破綻は明らかです。

 そうした状況にもかかわらず、岸田内閣は、PFIを新たな資本主義の中核とし、デジタル田園都市国家構想の推進力と位置づけ、今後十年で三十兆円の事業規模を目標に推進していくとしています。

 PFIの延命と推進を図るために出されたのが本法案であり、到底容認できるものではありません。

 本案は、コンセッション事業において、実施方針で定められた公共施設の規模や配置を、事業途中であっても、民間事業者からの提案で変更可能としています。

 営利を目的とする民間事業者の意向を反映させるためのものであり、公共施設管理者が実施方針で条件づけた政策目的が損なわれ、施設としての公共性が一層形骸化する懸念があります。

 また、株式会社民間資金等活用事業推進機構、いわゆるPFI推進機構の設立期限を二〇二七年度末まで延長しています。

 この間、同機構が行ってきたことは、関西空港の運営で巨額の債務を抱える関西エアポート株式会社への二百億円超の出資などです。収益の上がらないPFI事業者の延命にほかなりません。

 そもそも、民間資金を活用して公共施設の整備、運営を行うのがPFIとされており、国が出資する官民ファンドでPFI事業者を支援することは、政府のこれまでの説明とも矛盾しています。機構の延長は認められません。

 我が党は、PFIが、大企業、金融機関、ゼネコンのための新事業をつくり出すために、従来の公共分野の仕事を民間事業に明け渡すものであること、公共施設の管理運営を民間事業者に委ねることで、収益事業が優先され、公共サービスがゆがめられること、中央の大企業とその系列企業が仕事を取ることになり、地元企業の仕事が奪われることなどの問題点があるとして反対してきました。まさにその懸念が現実のものとなっており、即刻PFIをやめるべきです。

 公で行うべき仕事を民間任せにすべきではありません。きちんと公で責任を持って行うべきだと述べて、討論を終わります。

大西委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表して、PFI法改正案について反対の立場から討論いたします。

 れいわ新選組がPFI改正案に反対するのは、単にこの法案のみというより、PFIがまさに象徴するように、公共サービスの分野を民間企業がどんどん侵食し、利益を上げる一方で、住民サービスの低下やコスト増、不安定な労働環境や事業継続性の不透明さ、これが大きな問題だからです。

 しかも、箱物だけではなく、水道や医療、命に関わる分野、あるいは、刑務所など人権に関わる分野にまで及んできた。そして、今回は更に拡大して、公民館のような住民自治や地域のつながりを核とする施設にまで積極的に開放しようとしています。本当にこれでいいのでしょうか。

 私たちは、二〇〇九年に議員立法として成立した公共サービス基本法の理念にもう一度立ち戻るべきではないでしょうか。この法律では、公共サービスについて、国民の選択の機会を確保すること、国民の意見を反映することなどを権利として尊重するよう求めています。しかし、PFIはどうでしょうか。国からの押しつけや補助金、交付金での誘導によって公共サービスが切り売りされた結果、国民は選択の機会を奪われ、意見が反映されることもありません。もうかるのは一部の民間企業だけです。

 そもそもPFIを拡大するのは、世界的な潮流に逆行しています。PFIの発祥地イギリス、水道企業大手の母国フランスを含め、世界では再公営化が進んでいるのは質疑でも指摘したとおりです。商業的で金融化された管理運営形態よりも、公平さやユニバーサルアクセス、持続可能性、民主性などを根本理念とした公共の利益、これを追求する自治体を含む非営利の所有運営形態が選択されているんですね。こうした状況に背を向けて、ひたすらPFIの拡大に邁進するのがこの法案であり、賛成するわけにはいきません。

 しかも、海外どころか足下の状況すら見ていないのが現状でしょう。会計検査院は昨年の報告で、PFIの制定から二十年余りが経過し、事業期間が終了したもの又は終了が近いものが増加してきている、PFI事業に係る事後検証等を行い、課題等を明らかにすることが重要と指摘しています。しかし、これに基づいた十分な検証作業が行われないままに、今回の改正案が提出されました。

 公共サービスの理念を放棄し、世界の潮流にも背を向け、事例の検証も行わない、こうした状況でPFIを更に拡大するのは論外であると指摘をいたしまして、反対討論といたします。

大西委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、神田憲次君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。稲富修二君。

稲富委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 PFI事業を推進するに当たっては、民間が担うことによってコストの削減とサービスの向上が期待できる事業に限り実施されるよう徹底すること。

 二 PFI事業の実施に当たっては、国民の安心及び安全に十分留意し、提供される公共サービスの水準が維持・向上されるとともに、地域経済の活性化に向けて地元企業、とりわけ中小企業の参画が促進されるよう、国及び地方公共団体が責任をもって管理すること。

 三 PFI事業の事後評価及び諸外国の事例も含めた課題分析を行い、今後の事業実施に活かすこと。

 四 株式会社民間資金等活用事業推進機構に対し、多額の国費が用いられていることに鑑み、出融資決定時及び実行後における当該出融資の情報開示を適切かつ定期的に行うよう求めることを通して、国民に対する説明責任を十分に果たすこと。

 五 株式会社民間資金等活用事業推進機構は民間資金の呼び水の役割を果たすという設立の趣旨に鑑み、設立以来拡大してきた業務が民間企業及び地域金融機関の活動を阻害することがないよう留意するとともに、民間インフラ投資市場の形成を延長期限内に行い、同機構の業務が早期に終了するよう最大限努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

大西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。岡田国務大臣。

岡田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

大西委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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