衆議院

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第5号 令和5年3月10日(金曜日)

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令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石橋林太郎君    石原 宏高君

      尾崎 正直君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    加藤 竜祥君

      勝目  康君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中野 英幸君    中山 展宏君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    牧島かれん君

      松本  尚君    中谷 一馬君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      岩谷 良平君    浦野 靖人君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       後藤 茂之君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  井関 至康君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      七條 浩二君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室次長)           柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        菊池 善信君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        岩松  潤君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        田中 仁志君

   政府参考人

   (内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室内閣審議官)        實國 慎一君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       西辻  浩君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中村 英正君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     深澤 陽一君

  杉田 水脈君     石橋林太郎君

  鈴木 英敬君     加藤 竜祥君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     杉田 水脈君

  加藤 竜祥君     塩崎 彰久君

  深澤 陽一君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     池田 佳隆君

  塩崎 彰久君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

三月十日

 日本軍慰安婦問題の真の解決に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二四〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官黒田秀郎君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。青柳陽一郎君。

青柳(陽)委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、七時間という長い一日ですが、後藤大臣、よろしくお願いいたします。

 新型インフルエンザ特措法の改正、これは重要広範ですが、本日から法案審査が始まるということになりますけれども、まずは冒頭、三年前に未知のウイルス、新型コロナウイルスの感染が確認され、そして蔓延し、私たちの暮らしに甚大な影響を及ぼしました。改めて、この間亡くなられました方に御冥福を、そして、今も病床にいらっしゃる感染者の方、その御家族の皆様にお見舞いを申し上げます。未知のウイルスとの戦いに昼夜問わず懸命に取り組んでこられた医療関係者の皆様始め、全ての関係者の皆様の御尽力に改めて敬意と感謝を申し上げます。

 今なおコロナウイルスの感染は消えておりませんけれども、この三年間の教訓、そしてこの経験を、次に来る感染症、未知のウイルスの対策に生かしていかなければなりません。そのためには、きちんとした検証、そして、これまで行った政策や事業の評価、制度の改革、改善をやり遂げていく、それが政治の責任だと思います。

 その上で、今般の特措法改正で、初動の迅速な対応と総合調整の機能、司令塔機能の強化が必要ということについては、私も同じ認識に立っておりますけれども、その上で、第一に、これまでの政府の対応について本当にきちんと検証と評価が行われ、そしてそれに基づいて、それが生かされる改正となっているのかどうか。

 そして、第二、これは私の今回の一番の問題意識になりますけれども、感染症、未知のウイルス、病原体に対して、科学的知見やデータ、専門家の意見が適切に情報提供されて、そしてそれが共有されて、そしてその上で政治が政策判断を行っていくというこの政策決定プロセスが適正になされる仕組みが構築できるのか、それが担保されているのか、それが私の、今回、この特措法改正の一番の問題意識です。

 この間、時の政権が政治判断と政策決定を先に行い、後づけで、科学者や専門家、データを都合よく使っていたのではないか、また、時には専門家が政治判断をしていたのではないか、こうした指摘があります。

 最終的に政策を判断するのは政治です。しかし、専門家の意見、データ、これが適切に共有されて、その上で政治がこういう政策判断をしたんですよといったことがきちんと説明できる仕組み、この仕組みが大切だというふうに思います。今回の改正が単なる看板のかけ替えでは意味がないというふうに思います。

 まず、大臣、こうした認識について共有していただけますでしょうか。

後藤国務大臣 今、青柳委員から御指摘のあった点については、問題意識を共有しているというふうに申し上げていいと思います。

 昨年五月から六月にかけて開催されました新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議におきまして、この間のいろいろな課題等を検証したわけでありますけれども、初動期等において、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要である、そして、行政機関でクラスターが発生するなど、感染が著しく拡大した場合でも行政機関の機能の維持をできる仕組みづくりが必要である、そして、感染症危機に備えて司令塔機能を強化するとともに、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能を整備することが必要であるというような指摘がなされました。

 今回の改正は、このような新型コロナウイルス感染症への対応の経験と課題を踏まえた上で、政府の感染症危機への対応に係る司令塔機能を強化し、次の感染症危機に国と地方が一体となって初動期から迅速かつ的確に対応できる体制を整えるものであります。

 具体的には、法案の内容に関わる問題になっていくわけでありますけれども、政府対策本部長の指示権について、政府対策本部が設置されたときから行うことができるように発動可能時期を前倒しするとか、地方公共団体の事務の代行等について、感染症法に基づく事務を対象にするとともに、政府対策本部が設置されたときから行うことができるように、対象事務、要請可能時期等を拡大するなど、感染症の発生及び蔓延の、特に先生の御指摘のあった、初期段階から国と地方が一体となって迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組みを整備することといたしております。

 それから、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置をいたしまして、平時の準備、初動対応、それから政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁が集約していく、また、しっかりと科学的な知見等を生かしながら司令塔機能を果たすことといたしております。

 これによりまして、意思決定、総理及び官房長官を支える統括庁にラインを一元化しまして、迅速かつ的確な対応ができることを目指しております。

 国民の命、健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応してまいりたいと思っております。

青柳(陽)委員 ありがとうございます。

 今、冒頭、後藤大臣からは、基本的な認識については共有すると。その上で、今、今回の法案の改正の趣旨をまとめて御答弁いただいたわけですけれども、一つ一つ、私の問題意識に基づいて確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは、科学者や専門家の意見やデータが正確に情報提供されて、その上でそれを政治判断する仕組み、この点の検証と改革はできているのかを確認させていただきたいと思いますが、私は、先ほども申し上げたように、政治が先に政策判断をし、専門家のデータや意見を後づけで行うことが繰り返されたのではないかというふうに問題意識を持っております。

 そこで、データと専門家の意見が情報として上がり、そのデータと意見を踏まえて政治が政策判断をするという仕組みが今回の改正でどのように担保されているのかについて、大臣の御答弁を求めたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスはその性状を急激に変化させることなどから、状況に応じて、感染拡大防止と社会経済活動のバランスが取れた効果的な対策を講じることが重要でありまして、そのためには、幅広い分野の専門家の科学的知見、エビデンスに基づく検討が極めて重要であると考えております。

 このため、これまでも、コロナ対策分科会を始め様々な場面において、感染症や経済などそれぞれの専門的立場から知見を伺った上で、それらを踏まえて政府として必要な判断をし、責任を持って対策を講じてきたというふうに考えております。

 他方、新型コロナ対策の検証を行った昨年六月の有識者会議の報告書においては、次の感染症危機に向けた中長期的な課題の一つとして、エビデンスに基づいてウイルスの特性に応じた科学的、合理的な対策などを行うための意思決定プロセスについて、一層の明確化、体系化を図る必要があるという指摘も受けたところであります。

 今回、内閣感染症危機管理統括庁を設置することによりまして、政府全体の方針立案や各省庁間の総合調整機能を統括庁のラインに集約し、政策の意思決定を一元化、迅速化するとともに、新たな専門家組織である国立健康危機管理研究機構、これはこれからの議論でございますけれども、これが政策ニーズに沿った科学的知見を統括庁に提供することとしていることなど、より明確な意思決定プロセスの下で科学的知見に基づく政策が推進していけるように、そういう体制を整えていく必要があると考えています。

青柳(陽)委員 今、エビデンスに基づく政策決定プロセスを一層明確化せよという報告書の件、そして、統括庁にそのラインを一元化して企画立案を行っていくという御答弁がありました。また、日本版CDCになるんですか、これは別の法律でこの国会で審議されるということでございますが、この情報をしっかり吸い上げていくという御答弁がありました。

 この点について幾つかは、また後ほど質疑させていただきたいと思いますが、感染源の早期発見と情報把握、情報提供、それから対策本部の設置について伺いますけれども、今御答弁にも少しありましたが、感染源の早期発見、それから病原体、感染症の情報の把握、情報の提供のいわゆる初動体制、これが重要ですが、世界の感染源をチェックする体制、新感染症発生のアラート、これをどこがどのように発見し、そしてそれを政府内でどのように共有されていくのかについて、今、一問目、二問目でざっと答えていただきましたけれども、再度、この点についてもう一度御答弁をいただきたいというのが一点。

 そして、もう一つ、政府対策本部が新感染症が発見された場合に立ち上がる、初動を対応するという御答弁もありましたが、政府対策本部が立ち上がる要件、どのような要件で政府対策本部が設置されるのかについて。

 二点、御答弁を求めたいと思います。

後藤国務大臣 国内外の感染症の発生状況の把握については、現在、世界保健機関、WHOを始めとする海外の関係諸機関や在外公館等を通じて、国立感染症研究所や国立国際医療研究センター等と連携しつつ、厚生労働省において情報収集や分析を行っております。

 こうした国立感染症研究所や国立国際医療研究センター等は、今御指摘のあった日本版CDCというような形で機能を強化していくわけでありまして、こうしたことについては、厚生労働省として、しっかりとした対応を常日頃やってもらうということについての方向性については変わりはないと思います。

 それで、未知の感染症の発生が確認された場合でありますけれども、これは、国立感染症研究所と、これは将来において日本版CDCということになって変わるということかもしれませんけれども、こうした科学的な分析を踏まえまして、感染力や罹患時の重篤性等の総合的な危険性を評価するとともに、WHOや諸外国における対応状況についての情報収集を行いながら、感染症法や新型インフルエンザ等特措法に基づく対応を行っていくことになります。

 そういう新型インフルエンザ等特措法に基づく対応ということになれば、そのまま今回の新しい統括庁の方でやってまいることになりますし、感染症の対応ということであれば、厚生労働省の方で感染症法に基づく対応を行うということになります。

 いずれにせよ、一体としてそうした活動を、しっかりと司令塔機能を発揮しながら、厚生労働省と一体としてそういう対応をしていくということでございます。

青柳(陽)委員 対策本部の設置要件について御答弁いただけなかったんですが、お願いしてもいいですか。

柳樂政府参考人 お答え申し上げます。

 新型インフル特措法に、本部の設置に向けたプロセスに関する規定がございます。例えば、新しい新型インフルエンザ等感染症、あるいは、今議員の言及がありました指定感染症あるいは新感染症などが発生したと認める場合には、厚生労働大臣が認めたという旨を公表するということになります。

 その際に、その中身が、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速な蔓延のおそれのあるものであると認めた場合には、厚生労働大臣が、内閣総理大臣に対しまして、当該新型インフルエンザ等の発生の状況、新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度その他必要な情報の報告をしなければならない、こういう規定がまずございます。

 それで、内閣総理大臣は、厚生労働大臣から今申し上げたような報告があった場合には、その報告のあった新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度が、いわゆる季節型のインフルエンザにかかった場合の病状の程度に比べましておおむね同程度以下と認められる場合を除いて、閣議にかけて、臨時に内閣にいわゆる政府対策本部を設置する、こういう規定になってございますので、御指摘の場合には、この規定に沿った手続を踏むということになるということでございます。

青柳(陽)委員 今の二つの問いについて、また後で詰めてまいりたいと思いますが、最初の方の話ですね。世界で感染源が発見された場合、その発見については、発見や病原体の情報については今般設立される日本版CDCが行っていく、これは厚生労働省の所管になると。

 それで、初動が大事だということなんですが、日本版CDCでこのアラートを感知した場合に、今度できる危機管理統括庁に情報は上がる仕組みというのはあるのかどうか。これは法文には規定されていないわけですね。内閣法の改正案で、内閣官房が作っているポンチ絵が、今日は配付していませんけれども、これは皆さん、法案の説明を受けるときに御覧になったと思うんですが、このポンチ絵でいくと、統括庁から厚生労働省、統括庁から日本版CDCへ矢印が出ているんですけれども、日本版CDC、厚生労働省から統括庁に情報が上がる仕組みがポンチ絵には示されていないし、この法改正の条文にも明記されていない、規定されていないわけです。

 情報がしっかり危機管理統括庁に上がるのかどうか、その点についてしっかり大臣に御答弁をお願いしたいと思います。あるいは、条文に、法文にしっかりそのことを規定すべきじゃないかという意見もありますが、これは規定されていないんですね。規定されていなければ情報が上がっていかないんじゃないかというふうに思いますが、この点、大臣のお考えを御説明いただきたいと思います。

後藤国務大臣 今御指摘のとおりでありまして、この法案にはそうした規定はありませんが、ただし、この後また、日本版CDC等を扱う法案が提出になります。これは二つの法案が別々に出ますので、そちらの方の機構法、あるいはその機構法と一緒に議論される整備法の中で、この日本版CDCと今回できる統括庁との間の、科学的知見の収集、分析の、求めたり報告するということをきっちりと法律で書くことにいたしております。

青柳(陽)委員 つまり、新たな専門組織、日本版CDCの設置の機構法で、しっかり統括庁に情報を上げていく、データを上げる仕組みが明記される、規定されるということですね、今の答弁は。だから、今回の特措法の改正と危機管理統括庁の設置の法文にはその規定がないということですが。

 もう一度伺いますけれども、私は、日本版CDCの方にそういう規定があるのは、それは当然だと思いますが、こちらの統括危機管理庁にも、しっかり、新たにできる組織、日本版CDCから情報を吸い上げる規定を作っておくべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 法律の仕組みからいえば、日本版CDCの方は、これからまだできる組織ということでありますし……(青柳(陽)委員「統括庁もこれからできるんでしょう」と呼ぶ)ええ、これからできるんですけれども、統括庁はすぐできますけれども、日本版CDC……(青柳(陽)委員「すぐできるのね」と呼ぶ)いやいや、法律を通していただいたらすぐ……(青柳(陽)委員「いやいや、新たな専門組織も法律が通ったらできる」と呼ぶ)ええ。ただ、専門組織の方は、組織ができるまでにしばらく時間もかかりますし、法律はこちらの法案の方が先に通る、そういう国会の段取りだというふうに思います。

 国会のことについて私がとやかく言うのはなんですけれども、そういう、いわゆる施行期日の問題等から整備法と機構法の方で手当てをして、そして、しっかりと両方が動き始めたときには結びつくという形で全体として仕組みをつくっているということであります。

青柳(陽)委員 分かりました。今、じゃ、法案が通ったらすぐできると。

 ということは、今のこの感染症が、これは後で質問しようと思っていましたけれども、二類から五類に下がる予定ですが、何となく、聞いていると、五類に下がってからゆっくり立ち上げましょうみたいな話も出ていましたけれども、法案が通ったら、今のこの二類相当の段階から危機管理統括庁をすぐ立ち上げていただけるんですね。

後藤国務大臣 施行されれば、もちろん、危機管理統括庁というのは、平時からきちっと設置されて、平時から活動する組織でありますから、当然、別に、今、特別措置法に基づくウイルスが感染しているかどうかということとは別にして、当然、統括庁は常設の機関として設置されます。

青柳(陽)委員 今の答弁、よく覚えておきますので。つまり、今、二類相当が五類に引き下げられるのを待って発足させるわけではない、法が施行されたら直ちに統括庁を発足させるというのが後藤大臣の答弁だということで、これはしっかり見守ってまいりたいというふうに思います。

 それから、もう一つ。先ほど、対策本部の設置要件、参考人から答弁していただきましたけれども、これを何で聞いたかといえば、対策本部が設置されれば、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置がなくても自治体に対して指示ができる、指示権が付与されるようになるわけですね。ということは、これは今自治体も関心を持っていますけれども、対策本部が設置された場合に自治体に対して指示が可能になる。これはどのような、ある程度、自治体と事前調整があるのかどうか、そして、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発動される前に自治体に対して例えばどういうことが指示されるのかについて、国会でしっかり事前に御説明をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

柳樂政府参考人 御質問の趣旨は。済みません。

青柳(陽)委員 政府対策本部が設置されるとすぐに指示が出せるようになる、蔓延防止とか緊急事態宣言がなくても。だけれども、自治体からしたら、ある程度、事前調整してくれるんですかとか、いきなり、どんなものが出るのか分からないと困っちゃうわけですよ。だから、ある程度、事前調整は図りますという国会答弁が求められるわけだし、それから、いきなり外出禁止要請とか病床確保をどのぐらいやれとか、ある程度、国会答弁で、自治体に対して事前に出る指示というのはどういうものなのか、今想定されるものをちょっと説明してくれ、こういうことです。

柳樂政府参考人 はい。お答え申し上げます。

 指示と申しますのは、いきなり指示権を行使するというものではございません。現行の法律に規定がございますが、まずは、政府対策本部長が、関係する地方自治体の長といわゆる総合調整を十分行います。この総合調整というのは、権力的な行為ではなくて、国と地方公共団体相互が十分に、双方に、意見交換、コミュニケーションを取った上で合意に達する、そういう話合いの手続、コミュニケーションの手続を十分取るという、これが総合調整の中身で、これをまず図る、これが前提でございます。

 その上で、総合調整等に基づいて、合意に達しない、あるいはお願いしたことについて行われないというような場合について、国、政府対策本部長から指示を出す、そういう、従っていただけない場合の担保策というのが指示ということでございますので、いきなり指示が出る、こういう制度ではございません。これが一点でございます。

 それから、指示の具体的な内容、これは、その時々の、どういう状況について、どのような行為を、国、地方一体となって感染防止あるいは蔓延防止の対策を行う必要があるかという、その個別個別の事情、状況によってかなり大きく異なるものであるというふうに思いますので、一概に、どんなことが指示の対象になるのか、これは本当にケース・バイ・ケースで、非常に小さなことが、仮の話ですけれども、総合調整で合意に達せず指示に至るというようなケースもあろうかとも思いますし、また、ケースによっては、非常に大きなことについて指示というケースも概念上はあると思いますので、一概にどんなケースが指示の対象になるのかというのは申し上げることは難しいということを御理解いただければと思います。

青柳(陽)委員 それが重要ですね。事前にしっかり、事前調整を行うということですから、それはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に、新型コロナを今般、二類相当から五類にするということですが、この変更の判断というのは誰がどのように判断したのかを確認させていただきたいと思います。それで、その上で、感染症法で扱うもの、指定感染症、新感染症に分類するもの、先ほど御答弁ありましたが、新型インフルエンザ特措法で対応するもの、これを今回の仕組みで、誰がどのように次にウイルスが入ってきたときに判断していくのか。そして、三年前になりますけれども、今回の事案はどうやって判断されたのか、この検証について確認した上で、二類相当というものにしたわけですから、これを法改正して、新型コロナを新型インフルエンザ特措法で対応したわけですが、この初動が適切だったかどうかについても確認をしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染法上の位置づけについてでございますけれども、特段の事情がない限り、五月八日から、新型インフルエンザ等感染症から外して五類感染症に位置づけることを決定をいたしました。この決定は、厚生労働省のアドバイザリーボードや、厚生科学審議会等における専門家によるオミクロン株に関する病原性等の評価や、感染状況等を踏まえて総合的に判断した上で、本年一月二十七日の新型コロナウイルス感染症対策本部において決定したということでございます。

 今後も、未知の感染症が発生した際の当該感染症の感染症法の位置づけということに関しましては、今後とも、感染症法に基づきまして、厚生科学審議会の意見を聞いた上で政府として判断をするということになります。

 それで、御指摘の、今回の新型コロナについての初動についてでございますけれども、当初、その病原性が不明であったために、入院措置や公費による適切な医療を可能とすることが必要になり、二類感染症に相当するということが適当だろうということで、感染症法上の指定感染症に当初指定をいたしまして、令和二年二月に指定をいたしまして、令和二年三月に、その指定感染症についても新型インフルエンザ等特措法の対象にするという改正を行ったところでございます。

 さらに、指定感染症の指定と申しますのは原則一年までということになっていることに鑑みまして、令和三年二月に感染症法を改正して新型インフルエンザ等感染症に位置づけて、必要な施策を引き続き続けたということでございます。

 このように、今回の新型コロナ対策につきましては、未知の感染症への対応が求められる中で、その時々の法制度の下で、状況に応じて、国会の審議も経ながら対策を講じてきたところでございます。

 今回の対応は、いずれもその当時の状況を踏まえれば必要な取組であったと認識をいたしております。

青柳(陽)委員 今の点については、今日はちょっと時間がなくなりましたので、次の機会に更に確認してまいりたいと思います。

 次に行きますけれども、私の今回の問題意識は、有事の際の司令塔機能の強化、これは必要ですけれども、科学的根拠に基づいた、エビデンスに基づいた政策判断を政治がどのように迅速にできるかということですね。政治判断が先で、後づけでデータを持ってくる、後づけで科学者の意見を使うというのを、これは排していかなければならないのではないかというふうに思います。

 そのためには、この間、政治判断が先に行われた事例として、アベノマスクの配付、そして一斉休校といった政治判断がなされたわけですけれども、これについては今回検証が行われた形跡が全くありません。

 これは、まさに今回のテーマです。政治判断が適切なのかどうか、そして、科学者の意見がどのようにその政策に生かされているかということを、今後の仕組みに落とし込む上で、これはしっかり検証しないといけないと思いますが、大臣、これはしっかり検証すべきじゃないですか。

後藤国務大臣 今御指摘になった、アベノマスク、一斉休校とか、いろいろな経済対策などの施策もそうでしょうけれども、昨年六月の新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応、それから、保健医療の提供体制の構築の対応等の整理、評価と、これらの対応に係る中長期的な今後の課題の整理、対応についての意見を求めるために開催したものでありまして、確かに、こうした今御指摘のような案件についての十分な検証が有識者会議でなされていないという指摘はそのとおりでございます。

 御指摘のそれぞれの個別の事業については、そういう意味では、それぞれ所管の役所、例えば、クルーズ船だとかあるいはアプリの問題だとか、そうした評価、検証について、所管各省においてまずは適切に検証、判断をしていただいているものと考えてはおります。

 政府としては、まずは、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めると同時に、統括庁の設置を含めた次の感染症危機への対応を具体化していくことが重要と考えておりますけれども、新型コロナへの対応について、今御指摘のようなことについても不断の検証を行いながら次の備えに反映させてまいりたいというふうに思っています。

青柳(陽)委員 今大臣御答弁いただきましたけれども、私はちょっと不十分だと思います。

 それは、この司令塔機能の強化ということと、それからデータと政治判断ということが、これから次に来る、まあ、コロナは今終わっていませんけれども、更に次に来る感染症対策として非常に重要ですよね。

 この司令塔の強化というのは、感染症の対策と経済の対策、これを両方行っていくわけですよね。両方行うんですよね。それから、生活の支援も行っていくわけですよ。緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置というのはまさにそういうことですから。この間行われてきたことも、あらゆる生活に関わる支援を対策本部で決定して実施してきたわけですから。これを、この部分、見たくないところは各省に任せて、やりたいことだけやるというのでは、本当の司令塔機能の強化につながらないと思いますよ。

 大臣、しっかり、ここは後藤大臣のところでも、少なくとも、改めて検証する、あるいは、検証したものが今あるという御答弁でしたから、あるのであれば、それをしっかり後藤大臣のところでも精査して評価していただかなくちゃいけないと思いますが、大臣、もう一度やっていただきたいと思います。

後藤国務大臣 個別の経済対策あるいはGoToの事業だとか、そういう事業については、やはり所管の官庁で、まずは経済対策あるいはいろいろな対応措置の評価等をすることだというふうに思っています。

 もちろん、内閣危機管理統括庁は、その事務として、行動計画を作ることや、あるいは対策本部の事務や、あるいは推進会議の事務、そうしたことのほかに総合調整の機能をやるということになっておりまして、そういう意味では、内閣官房が持っている総合調整機能の全般を担当するわけでありますけれども、しかし、個別の施策についての評価ということからいえば、個別の施策の評価をまずは所管のところでしっかりやってもらうということも必要だと思います。

 そして、その上で、今先生の一番おっしゃりたかったことは、科学的な知見に基づいて、それを一元的に集約して国全体としての方向性をしっかりと責任を持ってかじ取りをしていけという御指摘だというふうに受け止めておりますので、そのことについては、まさに内閣官房が、そして総理直属の新しい危機管理統括庁において、しっかりと取り組んでいく課題だというふうに思っています。

青柳(陽)委員 今、最後の部分、まさにそのとおりですし、それは壮大な答弁なんですけれども、じゃ、実際に統括庁は本当にそういう組織の体を成すのかどうかというところが次の質問なんですが。

 これは三十八名の組織でスタートすると。内閣感染症危機管理統括庁という、えらい立派な名前がついているわけですけれども、実態はコロナ室の看板のかけ替えじゃないかという指摘もあるんですよ。一般に、霞が関では、三十八人というと課とか室のレベルじゃないですか。これは何でこんな大層な名前になったのか、誰がどうつけたんでしょうか、それをまず確認すること。

 それから、ちょっと時間もなくなったので、今言ったような、本当に総合的な司令塔になるには、この三十八名の組織で本当に足り得るのかどうかについて、大臣からしっかり答弁をお願いしたいと思います。

 私は、これは単なる看板のかけ替えじゃないかと思いますし、司令塔機能強化というのは、普通にこの説明を受けていれば、これはかけ声倒れになるんじゃないかというふうに危惧しますし、もっと言えば、これは今日の一番のテーマですけれども、政治の判断が先にある、つまり、岸田政権、岸田総理がこういうのをやりたいんだと言ったから、内容を詰めずに言っちゃっているものだから、結局こういう落としどころになって、名前だけつくりましたみたいなことになっているんじゃないかというふうに危惧していますけれども、これを是非御答弁いただきたいと思います。

後藤国務大臣 庁と名のるかどうか、そういうことも含めて、これは単に人数だけのことではないというふうに思っています。

 内閣感染症危機管理統括庁というのは、感染症危機対応の司令塔として、従来、総理、官房長官の周りで総合調整機能ということでやっていた業務について、しっかりと縦のラインを通して、そして、そこにスタッフをつけていくという形でつくっている司令塔組織でありまして、そうした役割を踏まえれば、非常に重要な、統括庁という名称を付するにふさわしい組織だというふうに思っています。

 地方公共団体まで含めた総合調整機能を発揮する権能も持っているわけでありますし、それから、今先生おっしゃった、小さい、三十八人というのは、平時、要するに、感染症の感染等が確認されていない平時に、有事の際の準備として計画を作ったり、いろいろな形の訓練をしたり、そのための人数であります。これが、有事となれば三百人程度規模にこのスタッフを増やすということにもなっておりますし、今回、この法案とは別の法案になっておりますけれども、当然、この統括庁をバックアップするための客観的知見を提供する日本版CDC、そうしたものをしっかりと厚生労働省の下につけ、厚生労働省にも感染部の組織をつくりながら、一体として、メインのパーツを、感染対策を行う厚生労働省と、そして、官邸における総合調整機能を使った司令塔機能を組織として縦につなげていく、連携をさせていく、そういう機能を持っておりまして、そうした機能を使って、司令塔機能を平時からしっかりと意識をしながらつくっていくというところに重大な意義があると思っています。

 庁ということでいえば、こんな技術的なことを先生がおっしゃっているという意味ではないですけれども、スポーツ庁も百人ぐらいでスポーツ庁ということで、ほかの二百人、三百人いる局より小さくても庁と名のっている例はございます。局でいいんじゃないかという御指摘だとすれば、そこはやはり、一体性としての特殊な組織体制、そして、やはり地方に対しても指示が行えるという、そういう特殊な調整機能を持った組織であるというふうに考えております。

青柳(陽)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、大臣としてはそう答弁せざるを得ないかもしれないけれども、結局、トップは充て職だし、専門家じゃないし、でも、ちゃんと機能してもらうことを願っていますよということを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

大西委員長 次に、太栄志君。

太委員 おはようございます。神奈川十三区の太栄志でございます。

 先ほどの青柳先生に続きまして、まさに危機管理体制の在り方ということを質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 コロナとの戦い、三年を過ぎました。この間、本当に御尽力をいただいた現場での医療従事者の皆さん、また、御尽力いただいた全ての皆さんに、まず心からの敬意と感謝を申し上げます。

 そして、それと同時に、この三年間で、私の周りでもそうでした、本当に多くの方の命が失われてしまったこと、このことをやはり私たち政治がしっかりと受け止めて、今回、強い危機管理体制を築いていく、そのことが大事だと思っておりますので、私も、まさに今回、岸田総理の問題意識から危機管理庁がスタートすることに対しては、大変高く評価をしております。

 しかし、残念ながら、中身を見てみると、先ほど来議論を聞いていても、実体が伴っていないことに対しては、これは本当に大きな問題だと思っておりますので、是非ともここはしっかりとした審議を通して本当に強い危機管理体制を我が国につくっていく、このことに大臣を始め政務の皆さんにも御尽力いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、その前に、今回のコロナの五類への移行に関して幾つか確認させてください。

 五月八日以降に五類へ移行するということで、ようやく、ウィズコロナ、我が国もそこへ向けて一歩踏み出すことに対しては評価しております。

 しかし、まだ、多くの国民の皆さん、大変不安が高まっております。是非とも政府には、この不安を抑えるためにも、真摯に国民への説明を尽くしていただきたいと思っておりますが、この五類移行の判断に至った理由、この点を分かりやすく御説明をお願いいたします。

本田大臣政務官 太委員にお答えを申し上げます。

 この決定につきましては、新型コロナにおきまして、昨年十一月の臨時国会におきまして感染症法の修正がなされ、新型コロナの感染法上の位置づけについて速やかに検討し、必要な措置を講ずることとされたこと、また、感染法上の各種措置は必要最小限の措置とされていることや、これまでのアルファ株、デルタ株に比べまして、オミクロン株については感染力が非常に高いものの、例えば自治体からの報告では、デルタ株流行期と比べて八十歳以上の致死率が四分の一以下になるなど重症度が低下しているといった、こうした科学的な知見を基に、自宅待機等の私権制限に見合った国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるという状態は考えられないことから、様々な要請や関与をしていく仕組みから、季節性インフルエンザ等への対応と同様に、個人の選択を尊重することを基本とする考え方へ転向するとしたものでございます。

 この決定は、一月二十七日ということでございます。

太委員 ありがとうございます。

 それと、あと、特に医療について、医療提供体制また感染状況を見極めながら移行タイミングを判断していくことになると思いますが、移行後も、当面の間は医療費などの公費負担が継続することを要請したいと思っております。この点に関して、そして、政府は医療費支援について、支援と同時に、政府が言っている特例的な措置の具体的内容に関して、こちらを詳しく教えてください。お願いいたします。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 医療費が自己負担になることによって国民の皆さんの受診抑制につながらないことが何よりも大切と考えております。そのために、急激な負担増が生じないように、入院や外来の医療費の自己負担分に係る一定の公費支援について、期間を区切って継続することとしております。

 また、入院や外来の取扱いにつきましては、原則としてインフルエンザなど他の疾病と同様となることから、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる医療体制に向けて、必要となる感染対策や準備を講じつつ、国民の皆様の安心を確保しながら、段階的な移行を行うこととしております。

 委員御指摘のいつかというところでございますが、現在具体的な内容の検討、調整を進めているところでございまして、速やかに具体的な方針を示したいと考えております。

太委員 ありがとうございました。

 もう一点、お伺いさせてください。地方自治体との連携がこれから大事になってきますが、地方自治体に対して、五類移行の判断や当面継続されるまさに特例的な措置の内容について、どういった説明を行っているのか、現状、今後について、御説明をお願いいたします。

本田大臣政務官 何よりも類型の見直しによって現場の混乱を招かないことが大切と考えておりまして、変更を決定する前から厚生労働省と全国知事会で複数の意見交換を重ねております。これには、加藤大臣と担務である伊佐副大臣と私もウェブで参加をしながらさせていただいております。そして、厚生科学審議会感染部会に全国知事会からも御参加をいただきまして御議論をいただき、その上で、取りまとめを踏まえ、一月二十七日のまず政府対策本部において、特段の事情が生じない限り五類感染症に位置づけることを決定いたしました。

 また、こうした準備に、やはり現場の混乱を防ぐということで三か月程度の十分な準備期間が欲しいということがございましたので、日にちとしては五月八を決めさせていただきまして、地方自治体へのまず周知を、一月八日に知事会の方から要請を受けまして、一月二十七日に地方自治体へ周知を行い、また、一月三十一日には自治体に対する説明会を行い、また、二月の十三日には、これは加藤大臣と伊佐副大臣、私と全国知事会との意見交換ということを、丁寧な意見交換を重ねてきているところでございます。

 引き続き、自治体と連携しながら、ウィズコロナの取組を更に進め、家庭や職場、地域、あらゆる場面で日常を取り戻すことができるように、着実に進めていきたいと考えております。

太委員 政務官、どうもありがとうございました。是非とも、引き続き、不安を少しでも和らげるように、説明、また地方との連携を続けていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。私の方は以上になります。

本田大臣政務官 申し訳ございません、今、一月二十八日と私ちょっと申し上げてしまったんですけれども、一月二十日が発表ということでございます。日にちを間違えまして、申し訳ございません。

太委員 どうもありがとうございました。

 続きまして、それでは後藤大臣の方に、今回の法改正、内閣感染症危機管理統括庁に関してお伺いしたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいのが、大臣はこの危機管理をどのように考えていらっしゃるのか、その点。

 政務官はもう大丈夫ですよね。まだありましたっけ。大丈夫ですか、はい。僕は退席いただいて構いませんので、よろしければ、どうぞ。

 後藤大臣、大変失礼いたしました。

 危機管理に関する大臣の御見解をまずは教えていただきたく、お願いいたします。

後藤国務大臣 危機管理というのは、今、全般のお尋ねだろうと思うので、やはり我々社会、いろいろな、それは災害であれ、それからいろいろな危機があります。感染症の危機もある。そうした、国民生活に襲いかかってくるいろいろな問題点に対して、適切な、客観的な情報を基にしっかりと対応する。そして、その要諦は、国民の命と暮らしを守るために適切に緊急の対応をできること、それが危機管理だというふうに思っています。

太委員 ありがとうございます。

 まさに、様々な緊急事態、また有事に際して国民の命を守っていくこと、まさにそこに尽きると私は思っておりますし、そのための、不測の事態があっちゃいけないと思っておりますので、そこへ向けて、大臣おっしゃった情報収集も大事になってくると思います。

 それでは、もう一つお伺いしたいのが、今回、内閣感染症危機管理統括庁、これは危機管理においてどういった司令塔機能を果たしていくということを想定しているのか。先ほど来お話しされていますが、もう一度、こちら、教えてください。お願いいたします。

後藤国務大臣 先ほどからも話に出ております有識者会議におきまして、一元的に感染対策を指揮する司令塔組織を整備することが必要だという指摘がなされたところでありまして、このような感染症危機対応を図るための司令塔機能を果たすものとして、平時の準備、それから感染症危機発生時の初動対応、そして政府対策本部の事務、そうしたことを、司令塔機能を一貫して統括庁に集約をしまして、意思決定を一元化、迅速化させる。

 それとともに、厚生労働省との一体的対応を確保しつつ、新たに専門家組織として設置される国立健康危機管理研究機構、いわゆる日本版CDCの質の高い科学的知見を踏まえて感染症対策をしっかりと取り組んでいく、そういうところに今回の統括庁設立の目的、今回の法律の目的があります。

太委員 分かりました。今回の設立の目的も含めて分かりましたが、大臣、今回のコロナ危機において、もちろんまだ続いております、コロナにおいて我が国の危機管理がどういった点で足りなかったのかと認識されているのかという点を、こちらも追加でお願いいたします。教えてください。

後藤国務大臣 やはり我々、感染症にしましても、こうしたパンデミックが起きるということについて、例えば医療提供体制にしても、そして経済活動としてどういう調整をしていくのか、そうしたことについて平時からしっかりとした計画を作り、そして、何かが起こったときにはどういうふうに対応していくのか、そういう訓練、そして、そのチェックに対してどれだけの準備ができているかきちんと検証をしていく、そういう作業を常日頃からしていかなきゃいけない、そういうことを強く思いました。また、客観的ないろいろなデータをどういうふうに集積していくのか、危機に際して、その基本となるいろいろなデータの整理、データの収集、そうしたことの体制もしっかり整えていくことが大切だ、そのことを痛感いたしております。

太委員 大臣が今おっしゃったことで、特に調整機能が大事だということで今回統括庁をつくっていったんだなと、ようやく私も分かってきたところなんですが、まさに今回、司令塔としてやっていくということで統括庁をつくっていくということなんですが、ここで具体的にちょっとお伺いしたいのが、今回、統括庁が設置された後、感染症有事の際に政策決定をしていくその主体というのはどこにできていくのか、そこを教えてください。お願いいたします。

柳樂政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症危機が発生をして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく政府対策本部が設置されました場合には、新型インフルエンザ等への基本的対処方針の策定ですとか、あるいは、各府省、都道府県知事、指定公共機関に対する総合調整、指示などに関する意思決定を特措法に基づきまして政府対策本部において行う、こういうことになるわけでございます。

 今般、私ども政府としては統括庁の設置を御提案申し上げているわけでございますが、今申し上げた政府対策本部において意思決定が行われる、このことは今回の法改正によって統括庁が設置された後においても変わらないということでございます。

太委員 結局、それじゃ、ごめんなさい、統括庁で何をしたいのかが全く分からないなというのが結論でありまして。

 先ほどから大臣がおっしゃっていた、まさに危機管理の上で、あるいは今回の反省の上で、調整が足りなかったということで、まさに大臣の問題意識と一緒なんだなと思ったんですが、それだったら、今の内閣法の中で、総合調整というのは別に新たに法改正しなくてもできますよね、規定されていますよ。なぜここで法改正までしてやっていくのか、大臣の先ほどからの危機管理の捉え方、今回の反省点を踏まえてもちょっと見えてこないんですが、大臣、それじゃ、法律は要らないということですか。今の、調整機能でいいということですね。これはできれば大臣にまずお答えいただきたい。お願いいたします。

後藤国務大臣 内閣が持っている総合調整機能というのは、単に各省の仕事を調整するという意味ではなくて、国の重要政策については、企画立案をすることや、それから重要案件の執行について、指示を、あっ、これは指示ではないです、総合調整という内閣法の考え方に基づいて、実を言うと、これは中央省庁改革会議でも最高の政策調整の権限というふうにうたわれているわけであります。

 そういう意味では、官邸、いわゆる内閣総理大臣の下にある総合調整機能というもの、しっかりとそれを担う統括庁というものを設置して、総理、官房長官、そして縦のラインでしっかりとこの統括庁というのをつくって、そこに、実際に最も感染症対策の中核となる厚生労働省にも組織、そして専門家のグループをつくり、それをつなげていく、そのことによって司令塔機能を高めて、そして危機管理に対して対応のできる体制を整えていく。

 ですから、もちろん、個別に特措法に基づいてつくられている権限もありますけれども、一般的に総合調整機能として今までも権限を持っていたものがあったとしても、それをどれだけ的確にそして強力に推し進めることができるか、それをしっかりと支え、補助をしていく、総理大臣を支えていく、そういう司令塔機能としての統括庁の機能であるというふうに考えております。

太委員 大臣、御説明いただきましたが、それでもやはり、なぜ今回必要なのかが見えてこないです。

 冒頭言いましたように、私は危機管理体制を強化しなきゃいけないという立場でして、よりよい組織づくりをしていただきたいという視点からの質問なんですが、今の、まさに有事の際に統括庁は政策決定していかないということですよね。そこも含めてやはり問題だと思っておりますし、やはりこれは平時の組織として、平時の組織としては理にかなっていると思っています。

 ここでお伺いしたいのが、統括庁、先ほども青柳先生の方に答えられていますが、職員数の積算根拠、数は分かっています、平時が三十八名、有事は三百名ということですか、ということで分かっておりますが、では、この積算根拠を教えていただけますか。お願いいたします。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁については、平時、有事それぞれに、それぞれの司令塔機能が発揮されるように、平時には政府行動計画の策定、推進、実践的な訓練の実施、各省庁間の準備状況のチェック、改善といった、有事への備えに係る業務に必要な定員として三十八人を確保いたしております。また、有事、政府対策本部の設置時には、政府対策本部の下で各省庁等の対応を強力に統括し、政府全体を俯瞰して総合的な感染症危機対応を行うために、百一名の専従職員、それと各省庁幹部職員を統括庁に併任し、合計で三百人規模で対応をすることといたしております。

 これらの定員については、有識者会議報告書等を踏まえて、平時、有事に必要となる業務を想定しまして、それを実施するための適切な体制を積み上げて必要数を算出したところでございます。

 具体的には、平時については、今申し上げた計画や訓練の内容を充実させ、それを機能させるような点検、改善を行うためのPDCAサイクルを回していくことを強化することなどのために、現在の平時体制のおおむね倍程度の三十八名という体制にいたしております。有事については、現在の有事体制、新型コロナウイルス等感染症対策推進室の組織を再編成しつつ、初動対応における水際対策の必要な機能も強化したこと等々、追加的な機能も含めて、定員百一人の専従職員で対応するということで積算しております。

太委員 ちょっと分かりづらかったんですが、数については分かりました。内閣官房コロナ室の大体二倍ぐらいということで三十八になったということだと思っておりますが、これまでの他省庁から寄せ集めじゃなくて、専従をある程度置いたということは、これは評価できると思っておりますが、ですけれども、大臣、まだまだこれはほかの国に比べると圧倒的に少ないです。単純に比較できませんが、アメリカのFEMAだと七千人以上、これは平時です。あとは韓国、人口は半分以下ですけれども、四百人以上。ドイツも三百人強ですか。そういった意味で、まだまだこれは平時の組織なんだなということですね。これは本当に危機管理という言葉にはふさわしくないんじゃないかと思っております。

 もう一つお伺いしたいのが、では、こういった統括庁の職員、スタッフの方たち、専門性はどういった方たちになるんでしょうか。もちろん、医学的な見地というのは、厚労省から医務官ですか、入られるということで分かりますが、それ以外、どういった専門性が取り入れられていくのかを、そこを教えてください。

後藤国務大臣 それぞれ、官房副長官の当たるところは、これは縦のラインでしっかりと内閣の意思を動かしていける、そういう中心的な人を、総理、官房長官、官房副長官というラインでセットするとともに、それから、今おっしゃったような厚生労働省との接続も含めて、医療の専門的なことについて担当する者、また行政等をしっかりと統括して、各省をしっかりとまとめていける官房副長官補、こうした最も強力な縦のラインを使っておりまして、そういう意味では、実質的に力のある、そういう縦のラインを築いているというふうに思います。

 そこへ、今御指摘のあった専門的な知見等については、これは日本版CDCというのをつくって、ここも非常に大きな機能を発揮できるようなものをつくりまして、これは専門的な立場の厚生労働省の下に置きますけれども、ここで、先ほど青柳先生からも御指摘のあった、ここをしっかりとつないでいく機能をつくることによって、こうした専門的な知見もしっかりと、バックアップ体制を取りながら、司令塔機能の決断をしていく、そういうふうに考えています。

太委員 大臣、医学関係以外、そこに関してはどういった見地、そこはもう想定されていないのかどうかということも含めて教えてください。

後藤国務大臣 危機管理監、こことも密接に連絡を取っていくということで、そういう意味では危機管理全般との、そのノウハウだとか、そういうことについての連絡もしっかり取っていくということであります。

 それで、感染症に特化した危機管理組織であるということは、これは我々そのとおりだというふうに考えております。そういう意味では、全般的な、危機管理全般をここで対応するということではなくて、やはり感染症特有のそういう専門知識や、あるいは感染症特有の対応について、やはり特化した対応をしていくための組織であるというふうに考えています。

太委員 残念ながら、これだと、平時において、まさに感染症対策ということなんでしょうが。

 今回いろいろな、先ほど青柳先生の質問の中でもありましたけれども、本当に専門家の知見というのは、医学的なこともそうだし、行動経済学、心理学も含めて、あるいはデータをどう分析するか、そういったことこそが今回反省として入れられるはずなんですが、これはまさに、今までのコロナ対策室ですか、そのままの方がいいんじゃないですか。しかも、危機管理という言葉を使われる以上、そこは本当に期待した分、私は本当に今残念に思っているところであります。

 では、もう一点。まさに今回の統括庁のトップに立たれるのが官房副長官ということで、内閣感染症危機管理監だと思うんですが、その方はどういった専門性が問われるのかというところを教えていただけますか。では、続けてお願いいたします。

後藤国務大臣 今般御審議をお願いしています内閣法改正案におきましては、統括庁の事務を掌理する内閣感染症危機管理監には官房副長官の中から内閣総理大臣が指名する者をもって充てると規定しているところでありまして、内閣官房副長官は、内閣総理大臣の判断に従いまして、内閣全体についてしっかりと、総理の意向をしっかりと反映させた、そういう最も縦のラインで仕事のできる、そういう意味では、専門職というよりも、政治の決定における最もキーパーソンであるというふうに思っております。

太委員 改めて、危機管理に対する対策ということが想定されていないことが分かってまいりました。

 もちろん、官房副長官の方たちは優秀な専門性を持っていらっしゃると思いますが、まさに、今回の危機管理統括庁ということであれば、危機管理に対する経験だったりとか、そういった実務経験というのが問われてしかるべきだと思っておりますが、そこもないとなれば、大臣、ちょっとそこをもう一度考え直して、相当、本当に中身を詰めていただかないことには危機管理対策はなされないと思っておりますので、どうか、わざわざ法案提出するのであれば、本格的な危機管理体制を築いていただきたいと思っておりますので、そこをお願いしたいと思っています。

 大臣にもう一つお伺いしたいのが、今回、有識者会議の中からもさんざん出ているのが、やはり権限の一元化といいますか、責任の所在だと思います。そこら辺に関して、どういった形で今回の統括庁の中で取り上げられていくのか、そこを、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

後藤国務大臣 内閣の総合調整機能、あるいは特措法に基づく職務、こうしたものを国の司令塔機能として果たしていくわけでありますから、これは、言うなれば、内閣、内閣総理大臣の決断の責任を支える、そういう機能を持っているわけでありまして、そういう意味では、非常に事務をしっかりと統括庁が預かっていく、そして、総理、官房長官を支えていくということで、そうした内閣の責任を果たしていく上の重大な組織であるというふうに考えています。

太委員 今回も、残念ながら、一元化というのが全く見えてこないと思っております。省庁のまさに省益を優先されてしまって、縦割り行政はそのまま残っています。

 今回、一番、国民の皆さんからも話を聞いている中でも、私たちなんかもずっとコロナ対策を見ていても、やはり問題だったのが、誰が責任者なのか。もちろん総理もいらっしゃる、官房長官、あと厚労大臣、コロナ対策大臣もいらっしゃるということですが、四人もいらっしゃる中で、結局、責任の所在が見えてこないということだと思っております。

 今回、危機管理統括庁ということであれば、まさに危機管理の一番大事なポイントというのは、責任の所在を明確にしていくこと。これは、統合幕僚長をなさった河野前統合幕僚長も言っています。明確にシンプルな形で組織をつくることと、あと、トップの顔をしっかりと見せていくこと。そこが全くなっていないこういった危機管理体制ですので、そこを是非とも、大臣、このままではやはり相当これは問題だと思っておりますので、ここを改善していただきたいというふうに思っております。

 それと関連しまして質問させていただきたいのが、もうちょっとやはり、今回、リスクコミュニケーションの在り方ということで、相当これは、今お伝えしたとおりです。誰が責任者か分からないということで、国民にもしっかりとメッセージが伝わっていかない。今回の統括庁の中で、ここはどういうふうに総括されて、どういうふうにリスクコミュニケーションを取っていかれる想定なのか、そこを教えてください。お願いいたします。

後藤国務大臣 昨年六月の有識者会議の報告におきましても、専門家助言組織のメンバーの個々の発言が政府方針とそごがあるかのように国民に受け止められる場面が生じるなど、リスクコミュニケーションの在り方に問題があったという指摘も受けております。

 今後の感染症危機において、国民や事業者の理解を得ながら感染症対策を推進するためには、科学的知見を踏まえて、政府の方針に基づいて、一体的に情報発信を行うことが重要だと考えています。

 このため、統括庁においては、司令塔機能を発揮しながら、新たに専門家組織として設置される日本版CDCから提供された科学的知見を踏まえて決定した政策について丁寧に説明を行うなど、政府の方針に基づいて、関係省庁も含めた一体的な発信をしっかりと中心となってやっていくということが任務だと思います。

太委員 大臣、ありがとうございます。進めていただきたく、よろしくお願いいたします。

 そして、統括庁では、自然発生的な感染症だけを対応していくのか、それとも、生物化学兵器など、今回のまさにウクライナ戦争を受けて、様々な生物化学兵器、核兵器と同じように、いろいろと不安が相当高まっていく中で、生物化学兵器の使用による攻撃、あるいはバイオテロも含めて、そういった予防、対処についても念頭に置かれているのかいないのか、そこを教えてください。いないと思いますけれども。

後藤国務大臣 御指摘のような、生物化学兵器による攻撃やバイオテロが発生した場合については、政府における初動対応の在り方は、個々の事案の様相や推移に応じて様々であるというふうに考えておりますけれども、統括庁においても、感染症の蔓延の防止という観点で、必要な対応、企画立案、総合調整を行うということになります。今回の統括庁については、感染症の発生防止、蔓延の防止という観点からの危機に対してしっかりと対応するということであります。

 いずれにしても、御指摘のような事態がもし万が一起きるような状況においては、統括庁と内閣危機管理監、そこが連携をして、危機に迅速かつ的確に対応していきたいと考えています。

太委員 今の点も含めて、私は、できれば、これは今回は無理かもしれないですけれども、オールハザード型のそういった危機管理体制をしていくのが、やはり本質的な、本格的な我が国の危機管理体制を強化していくことにつながると思っていますので、そこを見据えながら、これからも政府の方針をチェックさせていただきたいと思っております。

 この問題、まさに国民の命に直結することです、危機管理。そういった意味で、与党、野党、そういうことは関係なく、是非とも、大臣、強いリーダーシップで我が国の危機管理体制強化へ向けて御尽力いただきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

大西委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず冒頭に、新型コロナウイルス感染症に関する政府の自己評価について伺ってまいりたいと思います。

 今般のコロナ禍において、安倍内閣で千四百七十二人、菅内閣で一万六千二百五十一人の方がお亡くなりになり、岸田内閣では今年三月八日時点で五万五千百二十五人の方がお亡くなりになり、累計で七万二千八百四十八人の方が新型コロナウイルス感染症で他界をされております。

 こうした状況の中で、このコロナ対応について、対策本部の資料を拝見をさせていただきましたら、人口比で見ればOECD諸国の中で非常に少ないということを感染者数について申し上げられておりまして、岸田総理も、人口当たりの感染者数はG7諸国と比べて低い水準と答弁をされております。

 しかしながら、アジア諸国における感染者数が欧米諸国と比べて少ないのは、遺伝的な要因や免疫的な要因、国民の衛生環境など、何らかの特殊要因があるということも指摘されておりまして、日本においては、むしろ、感染者数が少なかったにもかかわらず医療提供体制が逼迫するなど、諸外国と比べて必ずしも実効性の高い優れた政策が講じられたとは言えなかったという意見が多数あるわけなんですけれども、そこで、まず大臣に伺いますが、三政権で行われたコロナ対策、これは総じてうまくいったとお考えですか。自己評価について教えてください。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

後藤国務大臣 なかなか自己評価というのも難しいわけでありますけれども、確かに、今議論が出ておりました新型コロナの人口当たりの感染者数等は、保健医療体制や衛生環境が日本と同様に充実していると考えられる他のG7諸国との比較においては低い水準に抑えられているというふうには考えております。また、台湾、韓国、死亡者等の比較においても、人口規模の影響を受けない人口当たりの死亡者数は日本は低い水準に抑えられているというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、大変多くの方が命を亡くされたり、大変苦しんでおられますので、そのこと自体について、人口当たりの死亡者数を云々するということであってはならないというふうに思ってはおります。

 このような結果となった要因については、我が国の医療制度や公衆衛生政策や、社会文化的な要因だとか遺伝的な要因だとか、これは専門家の皆さんも様々な問題点を指摘されておりまして、それがどの程度寄与したかについて一概に申し上げることは困難であるというふうに言わざるを得ないわけでありますけれども、政府としては、国民の命と暮らしを最優先で守る、そういう観点から、感染拡大と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視して新型コロナ対策に最大限取り組んできたことだけは申し上げたいというふうに思います。

 そして、最後、これはこの間の医療関係者の御尽力、国民各層の御協力の成果でありますし、その御協力に対し心から感謝を申し上げる次第です。

中谷(一)委員 先ほど来、青柳委員や太委員からも、客観的検証的に評価をしていくこと、これが極めて重要だという話がありました。

 その中で、データの数字自体はうそをつかないんですけれども、データは都合よく使われることがあります。

 その中で、ジョンズ・ホプキンス大学の集計を基に、NHKのデータでまとまった東アジアの死者数というものがあるんですけれども、三月八日時点において、東アジアでは、台湾の累計死者数が一万七千六百七十二人、韓国の累計死者数が三万四千六十一人、中国の累計死者数が八万七千四百六十八人、こういった数値がある中で、日本の累計死者数七万二千八百四十八人が、特筆してうまくいったのかというと、私はそういう印象はないんですね。あえて地理的にも人種的にも違いがあるG7諸国との比較を持ち出して、人口当たりの、しかも感染者数は低いと宣伝をされている理由は何なんでしょうか。教えてください。

後藤国務大臣 人口百万人当たりの人数で見ると、台湾が七百五十八人、韓国が六百六十、中国は六十二ということですけれども、この前提には、ゼロコロナ政策の在り方、あるいは、どれだけ本当に感染者数がしっかりと把握されているのか、そういう問題も背後にはあるとは思います。日本の場合は五百八十三。日本の感染者数は正確に捕捉をされている数字であるというふうに思っています。

 ですから、G7の諸国に比べれば、今御指摘の台湾、韓国、中国、日本等のそうしたアジア圏の国の百万人当たりの死亡者の数の比較はG7ほど顕著な差があるわけではないというのは、委員の御指摘のとおりです。

中谷(一)委員 当然、今申し上げた東アジアの諸国はしっかりデータを積み上げられていると思います。

 その上でなんですけれども、やはり危機管理は、最悪の事態を想定をして周到な準備を司令塔の指揮官が行うこと、これが重要であるわけですね。なので、やはり楽観的な自己評価を外に喧伝してしまうというのは非常に怖いことだなということを思っております。

 なので、累計で非常に多くの、七万二千八百四十八人の死者が出ていることに対して、やはり反省をして、次にどう備えるのかということがコロナ担当大臣として求められているということを思っているんですが、そのことについて所感を述べてください。

後藤国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。七万人の方、別に、国の人口の比に応じて数字がどうこうとか、そういうことを申し上げるようなつもりはございません。

 日本の政府として、そしてやはりパンデミックに、COVID―19に戦う世界として、しっかりと危機管理体制を整え、そして、こうした感染症に対して、次の機会にはよりよい危機管理体制を取れるようにしていかなければならないというふうに思っております。

中谷(一)委員 是非、期待を申し上げておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 ここからまた、本法案についての深掘りの議論をさせていただきたいということを思っているんです。

 先ほど来、第三者的な立場から客観的、科学的に様々なことを検証していくべきだというような提言が委員からもあったと思うんですけれども、今回、有識者会議を設置されて、それを踏まえる形で統括庁の創設を決定されたわけなんですけれども、それで本法案が提出をされているという状況の中で、やはり報告書においても、今後とも、多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたいということで締めくくられておりますので、不断な検証という言い方をされていましたけれども、不断な検証に加えて、節目節目となるような検証、そのときに起こった大きな事象について私たちがどう捉えて、その検証結果を基にどういう政策をつくっていくかということが極めて大事になってくるわけなんです。

 この検証の方法についての、そもそも有識者会議の在り方についてまず伺いたいと思うんですが、この構成員についてなんです。そもそも何でこの構成員になったのかということが分からなくて、どのような考えに基づいて、その根拠は何だったのかとか、具体的な、どのような過程を経てこの構成員になられたのか、この方々は第三者的な立場から本当に客観的、科学的に検証するに当たりふさわしい人選だったと言える理由は何なのかということについて、端的にまず教えていただけますか。

後藤国務大臣 有識者会議の構成員の選定に当たりましては、有識者会議ができるときに、その検討対象として、新型コロナウイルス感染症発生以降これまでの、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応や、保健医療の提供体制の構築の対応等の整理及び評価に関する事項、そして、こうした対応に係る中長期的観点からの課題の整理に関する事項、そういったことについて意見を求め、評価をしていくということで、この有識者会議の検討を行いました。

 こうした検討課題を踏まえて、それにふさわしいと考えられる構成員を選定したところであります。

中谷(一)委員 私は、そのふさわしいとされる方々の中に、子供、子育てをしている方の意見というものを聞ける方、検証ができる方というのが入っていなかったということに対して意識をしておりまして、というのも、構成員の日本プライマリ・ケア連合学会の理事長からも、子育て中の方の声も聞き、報告書に盛り込みたかったという指摘がありまして、そもそも、子育て中の方の意見を聞かなかったのはなぜですか、理由を教えてください。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議においては、御指摘の子育て中の方も含めて、個人の方からの意見は聴取していないというのは御指摘のとおりなんですけれども、経済団体、地方団体、医療関係団体、様々な団体からの意見聴取も含めて、五回にわたって熱心な御議論をいただいたというふうに思っています。

 意見交換先の選定に当たっては、有識者会議が、先ほど申し上げたような、そういう視点からの検証を行う会議として元々設置をされておりますので、そうした開催趣旨を踏まえたそういう関係の団体を選定して、意見交換、聴取を行ったところだというふうに考えています。

 御指摘のとおりで、本当に子育て中の方も含めて幅広い国民の声にもしっかりと耳を傾けた不断の検証を行いながら、次の備えに反映をさせていかなければならない、そのように思っています。

中谷(一)委員 今御答弁をいただいたんですが、子育て中の方を含め個人の方からの意見は聴取をしていませんということなんですけれども、これは、例えばキッズドアだったりとかフローレンスだったりとか、そういった方の声を代弁できる団体というのは幾らでもあったと思うんですけれども、これがなぜ医療関係団体、若しくは首長会だったりとか経済団体とか、そこに限定をされたのかということに対して私は今伺っておりまして、もう一度答弁いただけますか。

後藤国務大臣 できる限り幅広い方の御意見を伺うべきだというふうにもちろん思っています。

 こうした議論をするときに、やはり幅広く意見をいろいろな角度からいただくということと、五回という回数の評価、それ自身もあろうかとも思いますけれども、それでも、ある程度、こうした法案に向けて、そして足下の感染症の対策に向けてしっかりと対応をしていくということのために、感染症が終わった後ゆっくり検証しているというんじゃなくて、走りながらしっかりと検証するということで、五回にわたって熱心な御議論をいただいて、まとめていただきましたので。

 そういう意味でいえば、一人一人の個人の声をなるべく聞くべきだという御指摘はそのとおりだと思いますけれども、それぞれの関係の団体、そうしたところからある程度集約されている意見を伺って、そして、全体としての感染症対策の検証、そういうことを、ある程度、全体を眺望しながら進めるという議論をしたというふうに思います。

中谷(一)委員 走りながら検証をされていくということだったんですけれども、私もその意見には賛成でございまして、じゃ、大臣にお願いをしたいんですけれども、コロナ禍で影響を受けたのは本当に幅広い方々がいらっしゃいます。今、多分五回のヒアリングだけで完結されるような団体数では全くなくて、もっともっと幅広く、どういった方がダメージをすごく受けていたのかとか、どういった提供体制が必要だったのかとか、そういったことを更に検証していただきたいということを思っておりますので、子育て世代の方々を含む様々な団体から今後もしっかりと意見を聞いていただき、検証を進めていただくことをお約束をしていただけませんか。

後藤国務大臣 まずは、新型コロナ対策の終息に向けた取組を着実に進めていくと同時に、有識者会議の報告書も踏まえて、統括庁の設置も含めた次の感染症危機への対応の準備を具体化していくことが重要と考えております。

 新型コロナへの対応については、今御指摘をいただいた子育て中の方も含めて幅広い国民の声に耳を傾けて、不断の検証を行いながら、次の備えにしっかりと反映させていく、その気持ちで取り組ませていただきたいと思います。

中谷(一)委員 是非お願いします。

 最近、私のSNSのコメントにこんなことが書かれておりました。そのまま読みます。

 最近、言葉どおりの異次元な少子化対策をよく耳にするので、これから初産しなきゃいけないのでめちゃ怖です、身を粉にして働いたって手取りで二十万も稼げないのが現状の世の中だと思います、そういった現状、その理由は何か、間違った解釈をしない方々に子育て世代を助けてほしいですという意見がありました。

 このように、異次元過ぎる少子化対策というのは国民を不安にしますので、同じ次元で、目線を合わせた対策を私は是非お願いしたいということを思っておりまして、その中で、今、本当に子育て世代の方々が苦しんでいる現状があります。物価高も続いていますし、やはり、コロナ禍も三年間続きましたから非常に生活が厳しくなっているという現状がありまして、特に、困窮世帯の方々を対象に調査したものがあるんですけれども、コロナ禍で生活はどうですかという調査なんですけれども、物価高も踏まえてなんですが、ほぼ一〇〇%の家庭が家計が苦しくなったということを言っています。

 それで、支援団体からは、貧困が原因で子供の自殺というのが非常に増えているという現状がありまして、今の状況に絶望して命を絶つ子供や親、こういったものが増えかねないということが指摘をされています。

 なので、これは是非政府にお願いをしたいんですけれども、新型コロナ、物価高騰対策予備費を活用していただいて、政府が昨年四月に支給を決定した低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金と同内容の児童一人当たり五万円の特別給付金を速やかに支給をしていただけませんか。お願いします。

羽生田副大臣 足下の消費者物価指数が前年比四・三%という中で、国民生活に大きな影響を及ぼすエネルギー、食料品を中心とした物価上昇が続いております。年度末に向けて、総合経済対策、補正予算の執行を更に加速し、賃上げに向けた取組を強化するとともに、足下の物価動向に速やかに対応すべく、エネルギー、食料品価格の影響緩和について必要な追加策を検討する必要があると認識しております。

 こうしたことから、先週の金曜日でございますけれども、総理から、エネルギー、食料品価格の動向や国民生活、事業者への影響を踏まえ、必要な追加策の提言を与党にお願いをしたと承知しております。こうしたことの提言の内容も踏まえて、新たな対応策について検討してまいりたいと思います。

中谷(一)委員 委員長、是非速やかに給付、よろしくお願いします。ごめんなさい、副大臣、是非よろしくお願いします。

 では、本件はこの程度にさせていただいて、次に、新型コロナワクチンの購入と廃棄に関する検証について伺いたいと思います。

 総理に対して、先日の本会議で、ワクチンを購入した当初は何人の方に何回の接種を行う想定で、結果として八億八千二百万回分のワクチンを購入することになったのですか、また、当初の計画時には廃棄数、割合はどの程度の想定であり、今回の約七千七百五十万回分の廃棄見通しは想定の範囲内であるのか、甘かったと考えているのか、教えてくださいと尋ねたところ、各国によるワクチンの獲得競争が継続する中、接種希望をする全ての国民の皆様にワクチンをお届けできるよう、接種回数を含め、様々な可能性を視野に入れて、複数の種類のワクチン企業と確保に向けた交渉を行ってきました、結果的に、有効期限が到来したワクチンは医薬品の適正な管理の観点から廃棄せざるを得なかったものの、これまでの確保の取組は必要であったものと考えておりますとの答弁をいただいたんですけれども、これは何にも細かく答えていただいていないんですね。

 なので、一つ一つ確認をしてまいりますが、まず、この八億八千二百万回分のワクチン、これは、当初、どのような計画に基づいて積算されて購入することになったのか、定量的な想定を教えてください。

羽生田副大臣 新型コロナワクチンを確実に確保するということは、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要なことであります。これまで、世界各国で獲得競争が継続する中、接種を希望する全ての国民の皆様にワクチンをお届けできるよう、様々な可能性を視野に入れた上で、着実な確保に取り組んできたところであります。

 例えば、一、二回目の接種用のワクチンにつきましては、令和二年度に契約を締結しているわけでありますけれども、どの企業がワクチン開発に成功するかまだ分からないような状況であったということである中での契約でありました。

 そして、三回目の接種ワクチンにつきましては、一、二回目に接種したワクチンと異なるワクチンを接種することができるか分からない状況の中での契約であったということでありました。

 そしてまた、四回目の接種については、行うか否かも含めて検討を進めていたところでありましたけれども、オミクロン株対応のワクチンの開発が期待されているものの、どの企業がこれに成功するかまだ分からないというような状況でもあったわけでございます。

 さらに、製造国による輸出規制等のリスクがあったことを踏まえると、アストラゼネカ社のワクチンや、武田社のノババックスワクチンといった国内で製造されるワクチンも確保する必要があったということでございまして、このように、その時々の置かれた状況の中で国民の皆様にワクチンを確実にお届けするというために、そういった取組のためにワクチンを確保したということで、このような結果になったということでございます。

中谷(一)委員 もちろん、世界的な危機でありましたから、ワクチンの獲得競争もありましたし、様々な局面があったと思います。

 その上でなんですけれども、なので、そういう状況だったから、当初計画というものは特になく、廃棄数の割合とか、そういったものの想定はなく施策が進められたという理解でよろしいですか。

羽生田副大臣 契約の段階で、約八億八千万回分ということでありましたけれども、これが実際にどの程度使われるかということは想定したわけでございますけれども、なかなか入ってこなかったりしたこともあったものですから、使用期限が来てしまったということもあって、廃棄に至ってしまったということがあったと思います。

中谷(一)委員 難しい状況があったことは理解します。

 その上でなんですけれども、今回の約七千七百五十万回分の廃棄見通しというのは、これは想定の範囲内であったのか、それとも、やはり甘かったなと思って反省する部分があるのかということを教えてください。

羽生田副大臣 これまでの世界各国でのワクチンの獲得競争が継続する中、接種を希望する全ての国民にワクチンをお届けできるよう、接種回数を含め、様々な可能性を視野に入れた上で、着実な確保に取り組んだという結果に基づくものであります。

 結果的に、有効期限が到来したワクチンは医薬品の適正な管理の観点から廃棄せざるを得なかったということでございますけれども、そういったことで、これまでの確保の取組は必要なものであったというふうに考えております。

中谷(一)委員 じゃ、甘くなくて、必要だったということだという理解をさせていただいたんですけれども、でも、これからは、今までのエビデンスが蓄積されているわけですから、シミュレーションできないとまずいなと思っておりますので伺わせていただきます。

 令和四年度補正予算で九千万回分のワクチン予算として四千七百五十億円が計上されておりまして、単価が五千二百七十八円と、前回の二千七百二十五円とは、倍とまでは言わないですけれども、かなり多くなっている数字が今計上されている状態があるんですけれども、これはそもそもなぜ値段が倍近くになっているのかということと、ワクチンの購入費と流通経費としてそれぞれ見込まれる額の積算根拠と妥当性、これを教えてください。

羽生田副大臣 新型コロナワクチンの確保につきましては、令和四年度二次補正予算において、九千万回分のワクチン確保や流通等に必要な予算額として四千七百五十億円を計上したところでございますけれども、当時、二〇二三年度の新型コロナワクチン接種の在り方も決まっていない中で、どのような形で接種が行われてもワクチンが不足することのないように様々な可能性に対応した、そのために、これまでの実績を踏まえた上で必要と見込まれる額を計上したというところでございます。

中谷(一)委員 説明になっていなくて、要するに、前回、多く仕入れたとき、まさにいろいろな緊急性だったりとか難しさもあったときの単価の方がむしろ安くて、今の、いろいろなことがシミュレーションできる単価の方が高いという状態があり、なおかつ、これは新型コロナが五類に移行される前提で、ワクチン支援が縮小される議論をされていらっしゃるわけですよね。

 二四年度以降に接種を受ける人、これは自己負担が生じる可能性がある定期接種に移行をしていくことが検討されている状態ですから、むしろ、この九千万回分必要とした積算根拠が全く分からないので、そこを僕たちに分かりやすく示していただけませんか。

羽生田副大臣 九千万回分を決定したときには、まだ五類にする話が決定した段階ではございませんので、そういったことが主で計算をしてきたというところでございます。

 また、金額的に今非常に高くなったということでございますけれども、供給費用の変化に関連する要素というものがいろいろあるわけでございますけれども、新たな変異株に対応するワクチン開発の費用の変化、そして材料費、部材等の流通費用の変化、そして、海外からの輸入となるということで為替の変化というところが考えられるところでございます。

 また、新型コロナワクチンの単価及び契約金額については、秘密保持契約の対象でありますので、国が契約を締結した各企業に対して改めて公表の可否を問い合わせた上でないと公表できないわけでございますので、公表は避けさせていただきますけれども、そういったことが原因であるというふうに考えております。

中谷(一)委員 私もその為替の説明を当局から受けたんですけれども、当時コロナが始まったときから今までのピンキリを見たって、最大値で一・四倍ぐらいですよ。これが倍ぐらいいくというのは、どこまで大きくなっているかというのがちょっとよく分からないのと、あと、九千万回分の話も、そのときは五類に移行しない前提だったという話だったので、これは今後減らしていく可能性は当然あるということでよろしいですか。

羽生田副大臣 五類になったときのワクチンの方法は、高齢者あるいはリスクの高い方は春夏でワクチン接種をするということとして、五歳以上の方は全員秋冬ということで行うということですから、それに見合う形というものが、やっと計算がしやすくなってきたということですから、今後は、先生御指摘のように、無駄がなるべくないように、ただ、国民に必ず行き渡るということを想定して決めていきたいというふうに思っております。

中谷(一)委員 是非、積算を見直して、私たちに分かりやすく示してください。

 今日は時間がありませんのでこの程度にしておきますが、またワクチン検証については単価の話なども含めて聞いてまいりますので、よろしくお願いします。

 次に、新型コロナワクチン予約システムの過大請求事案について伺います。

 これも本会議で触れさせていただきましたが、パソナの過大請求問題について、総理から、先日、更にこの情報提供を呼びかけたところ二自治体から情報があったという答弁をいただいたんですけれども、本件、立憲民主党の政策課題発掘チームの、りっけんチェックというチームでもモニタリングをずっと続けておりまして、その後、当局から、三自治体から報告を受けているという話を伺ったんです。今、事案がもう明確になっている三市に加えて、三自治体から報告を伺っている事案について、この情報提供はどこの自治体で、どういった内容であったのかということを教えてください。

羽生田副大臣 御指摘のように、これはもう公になっておりますけれども、大阪の枚方市の場合があったわけでございますけれども、厚生労働省から自治体に対しまして、ワクチン接種に関する全ての業務委託が適切に行われているかを速やかに確認するように依頼したところ、今御指摘いただいたように、三自治体から報告がございました。

 これはまだ検討中でございますので、どこという形で発表はできない段階でございますけれども、これにつきましても、本当に不適切事案であったかも含めて、今、自治体に確認をさせていただいているところでございますので、これがはっきりしてくれば当然公表してくるということになると思います。

中谷(一)委員 いつ頃をめどに公表をしていただけますか。

羽生田副大臣 自治体が行う事業については、一義的に各自治体が適切な事業実施に努めるべきということでありますので、現時点でいつということはなかなかはっきり言えないのでございますけれども、事案を精査した結果、極めて悪質な事案が発覚した場合には、適正な事業の実施を促す観点から、その事業の概要を自治体に改めて周知する等の対応を取ってまいりたいと思いますけれども、できるだけ早く結果を出したいというふうに考えております。

中谷(一)委員 速やかにお願いします。

 その前提で、自治体名は必要ありません、あと不適切事案であったかどうかも判断の精査は必要ありませんので、どういった報告内容が三市からあったのか、概要だけでも教えていただけませんか。

羽生田副大臣 具体的な自治体名は今の時点ではちょっと出せないのでございますけれども、今、調査中ということでございますので、内容については引き続き精査をしてまいりますので、その後になると思いますけれども、それはお許しいただきたいというふうに思います。

中谷(一)委員 今のままだと何も分からないので、しっかり、この話はずっと聞いていきますから、今度は答弁の準備をお願いします。

 次の質問に入らせていただきます。

 統括庁におけるフェイクニュースによるインフォデミック対応についてということで伺わせていただきたいと思っているんです。

 今般のコロナ禍ではSNSや各種メディアで様々なフェイクニュースが流通をしまして、特定の商品が品薄になるという事態が発生をしました。目新しく、人の感情をあおる傾向の強いフェイクニュースは真実の情報よりも拡散スピードが速く、拡散範囲が広いという研究結果があり、ファクトニュースでフェイクニュースを打ち返すには専門的な知見が必要になります。

 私自身、母校のデジタルハリウッド大学院でデジタルコミュニケーションを学びました。その際に教えてもらったことは、FESTAファクト、ソーシャル時代のコンテンツにはそれが大事だということを教えてもらいました。これは何を言っているかというと、ファン、エキサイトメント、サプライズ、スリル、アグリーメントの頭の文字を取ったFESTAという言葉が大事で、例えば、台湾でフェイクニュースによるトイレットペーパーの買占めが起こったときに、オードリー・タン・デジタル大臣が中心となって、台湾の首相自らが、お尻を強調したイラストで、誰でもお尻は一つしかないからトイレットペーパーを買い占めなくても大丈夫ですよ、安心してくださいとかなりエッジの立てたメッセージを配信したというエピソードは余りにも有名なんですけれども。

 インフォデミック対策にはやはりこういった広報、コミュニケーションの専門的な知見というものが非常に重要でありまして、国民に対する情報伝達や対策の周知、理解促進は重要な課題であり、政府としても、誤情報の拡散防止や不正確な情報発信に、より一層取り組む必要があると考えておりますので、統括庁では感染症に係る情報を一元的に集約して、信頼性の高い情報をタイムリーに国民に分かりやすく伝えるという立場も担うと思いますので、私の方からは、国民の不安に応えるリスクコミュニケーション、起きてしまったことへの恐怖を鎮めるクライシスコミュニケーション、これを適切に行っていただくために平時から広報の専門家を統括庁へ何かしらの形で配置することが望ましいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、科学的知見に基づかない不正確な情報、誤った情報が流通することは非常に国民の不安をあおり、また不適切な行動に結びつくということで、問題であるというふうに思っております。

 有識者会議におきましても円滑な情報提供に留意する必要があるということでありまして、統括庁においては日本版CDCや関係省庁と連絡、連携して科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく発信していくということに努めていくというふうに考えております。

 また、今御指摘のありました統括庁内における広報の実施体制の整備、これも非常に重要な課題だというふうに認識をいたしておりまして、御指摘も踏まえて、今後、専門人材の配置も含めて、実施体制について検討を深めてまいりたいというふうに思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

中谷(一)委員 是非前向きに進めていただければと思います。

 その上で、本日、国光政務官にもお越しをいただいておりまして、総務省関係の話もちょっと幅広に伺っていきたいと思うんです。

 パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、有事の際に、政府当局が、健康や治安に関わる検索エンジンなどのコンテンツ、このアルゴリズムの規制を行うことを考えて、危機管理やフェイクニュース拡散防止を行うために、EUがデジタルサービス法というものを定めておりまして、危機管理対応条項、これの中では、公共の安全又は公衆衛生に対する重大な脅威などに対して、こういったものが発生したときに、超大規模オンラインプラットフォーム及び検索エンジンに対し、危機に対するサービスの評価、必要な対策の実施、効果の報告を要求できる仕組みを実装しているんですけれども、日本政府において、こうしたデジタル空間に関する危機管理の検討状況と具体策については現状どうなっているのか、教えてください。

国光大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のデジタルサービス法、DSAは、安全なオンライン環境の構築を目的に、オンラインプラットフォーム事業者等に対する網羅的なルールを定めたものでございまして、その中に危機対応メカニズムも規定があるものと承知をしております。

 このメカニズムでは、戦争や感染症の拡大といった公共の安全や公衆衛生に対する危機が発生した場合に、欧州委員会が、超大規模なオンラインプラットフォーム事業者、これは具体的には欧州の人口の一〇%以上のユーザーがいる事業者でございますが、に対して、偽情報等による危機の拡大を防止するための措置を講ずるよう求めることができるという旨を規定されているものと承知をしております。

 また、DSAの施行は来年の二月からでございますので、どのような運用がなされるかなどというのは現時点では詳細は分かりかねるところでございますけれども、総務省といたしましても、DSAを始めとする取組を参考にしながら、偽情報に対する取組、引き続き検討をしてまいりたいと思っております。

中谷(一)委員 是非検討を深めてください。

 そして、統括庁の中でもこういった情報の知見は極めて重要になると思いますので、感染症のこともそうですし、オールハザード型という話も仲間たちから指摘がありましたが、本当に、危機管理全般、情報のコミュニケーションは極めて重要になりますので、こちらは政府として知見を深めていただければと思います。

 最後に、国光政務官に伺いますけれども、総務省の調査において、フェイクニュースを信じている人というのが多数いたという情報がありまして、その中で、やはりプラットフォーム事業者によるフェイクニュースの実態把握の促進、インフォデミックのワクチンとしての情報リテラシー教育、あと、ファクトチェック活性化のための環境整備など、インフォメーションヘルスを確保する取組というのを進めていく必要があると思っているんですけれども、これは具体的にどのように進めて成果を出していきたいと考えているのか、最後に教えてください。

国光大臣政務官 御指摘のとおり、インフォデミック、非常に大きな問題でございます。

 そのため、主に、総務省といたしましては、事業者による対応と、それから、ICTリテラシーの向上、民間によるファクトチェックの取組など、この主な三本などを中心に進められていることが重要であると考えております。

 これらの取組の成果として、国民が偽情報にだまされずに適切にインターネット上の情報を受け止めているかということの把握が重要ではございますが、これはそう簡単ではございません。そうした情報をうのみにせずに冷静に対応できるリテラシーをどれだけ多くの方が身につけたかということを測る方法ということの検証も必要と考えております。

 そのため、総務省におきましては、現在、今後のデジタル社会に必要なリテラシーの在り方やその向上方策を検討する有識者会議を開催をしておりまして、リテラシーをどのように測るのかということの指標も御検討いただいているところでございます。

 今後、こうした指標の在り方も含めまして、有識者会議での検討も踏まえつつ、民間のファクトチェックの取組とも連携をしながら、リテラシー向上の取組を推進してまいりたいと思います。

中谷(一)委員 是非、予算事業にしていただいて、行政レビューにも落とし込めるような形で、成果指標、測っていくということが重要だと思いますので、前向きに進めていただければと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子でございます。

 本日は、新型インフルエンザ等対策措置法及び内閣法の一部を改正する法律案の法案の質疑をさせていただきたいと思います。

 未知のウイルスによるパンデミック、非常に長く、そして、まだまだトンネルの中かもしれないですけれども、少し光が見えてきた、アフターコロナになってくる、そういったところにあると感じています。

 そもそも、学校の休校が始まったり、私も子供がいますので、この状態がどうなるんだろうというのが本当に保護者としても非常に不安でしたし、働いていましたので、仕事がずっと在宅になるという、そういった経験も非常に新しい経験でしたし、戸惑い、そして私たちはこの後どうなるのかなと強い不安を覚えたことを思い出しているところでございます。

 それで、やはり感じたのは、オンライン、ICTが非常に弱いんだなというのをひしひしと感じました。学校教育の中で、家で、在宅で子供が勉強するといっても、WiFi環境がない人があったり、また、そのWiFiが不安定で、オンラインの会議と学校を両方するにはちょっと弱いとか、五人ぐらい子供がいると、五台タブレットがやってきても、WiFiがそれだけ強くないので授業が個別に受けられないとか、様々、小さいけれども、我が国のデジタル化が非常に遅かったというものをひしひしと感じたのが、コロナ禍における最初のところだったのかなというふうに考えています。

 そして、私たちは、普通に生きていればなってしまう病気であったり、けがであったり、救急のこと、そういったときに、病院にかかることがなかなかできなかった、お医者様に診ていただくことがなかなかできなかったということも発生しました。救急車も、呼んだらすぐ来るという、平時が非常にありがたかったんだということがよく分かった、そういったこともあったのではないでしょうか。私たち、病院というものが、非常に当たり前のように医療体制があるというふうに思ってきたけれども、この未知のウイルスが始まったときには、本当に体制が整っていなかったんだなということを感じざるを得ませんでした。

 そして、今日は、新型コロナウイルス感染症の総括、そして課題、そして今後の感染症のパンデミックに備えるということをテーマにお話をさせていただきたいなと思っています。一つ目は病院の在り方です。二つ目は保健所、そして、その後にクラスター、ワクチンについても少しお聞きしていきたいなというふうに思っているところでございます。よろしくお願いいたします。

 まず、病院の在り方と緊急時の対応ということで、令和三年度の決算報告において、会計検査院がコロナの関連事業を特定して検査の対象として取り上げてくださいまして、コロナ予算の全貌が分かってきました。

 先日の参議院の予算委員会で、我が党の猪瀬参議院議員が、この辺、非常にたくさんやらせていただきましたけれども、その中でも、前例にない規模の財政支出が続けられてきたというこの現状をやはりもっとしっかり考えた上で、透明性の確保や国民への説明責任を果たすこと、その調査が開始されたと承知しているところでございます。

 今まさに、新型コロナをめぐる一連の対応についての総括が行われなければならないと思っています。本当に巨額の予算が出ていったということも、しっかりと私たちは認識しなければならないと思います。

 その中で、病床の確保の支援を名目として支払われた緊急包括支援交付金約九兆円については、この金額の大きさとともに様々な議論があるところです。やはり、九兆円、子供予算が今幾らかとか、防衛費増額で一兆円分を増税するんだとかいうお話をしているところに、病床のところで医療機関に払われていったこの九兆円というもの、それについては様々議論があると承知しています。

 まず一つ目に、受入れ体制を整備せずに休業補償を受け取っていたと言われている、いわゆる幽霊病床についての総括を羽生田副大臣にお願いしたいと思います。

羽生田副大臣 大変な問題だというふうに考えております。

 まず、新型コロナの病床確保料は、令和二年の四月から措置しているものでありますけれども、これは患者の確実な受入れを図る観点から、補助金の実施をしたわけでございますけれども、その実施要領におきましては、令和三年の四月から、入院受入れ要請があった場合には正当な理由なく断らない旨を明確化し、そして、令和三年十月からは、小児など特定の患者さんのための病床であるというようなことで、患者を受け入れられない正当な理由等を明確化した書面でもって締結をするということにしたわけでございます。

 そしてまた、病床の効率的な活用を促す観点から、令和四年一月からは、病床使用量の多寡により補助単価に差を設けるなど、そういった措置を講じてきたわけでございます。

 厳格な運用に努めるなど、随時見直しを進めてきたところでございますけれども、結果的に残念な結果が生まれてしまったのは誠に残念なわけでございます。

 また、会計検査院からの所見も、各都道府県に対しまして、必要な看護師数の確保がされていないことを理由に入院受入れ要請を断った事例の有無を調査したり、不適切な交付があれば返還を求めることということとしてございます。

 そして、その上で、病床確保料の見直しについては、現在、新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴う各種対策、措置の段階的見直しに合わせて、具体的な内容の検討、調整を進めておりまして、今後、速やかに具体的な方針についてお示しをするということとしております。

堀場委員 ありがとうございます。

 ほとんどの病院は一生懸命やってくださっていたと思っています。なので、病床があれば重症化した人がすぐに入れる、そういったところを確保する、これは非常に重要ですし、そういう体制を取っていただいた、これはとても大事なことだったと思うんですけれども、やはりこの金額の大きさという点から考えても、抜け道があったのかなというのは否めなかったのかもしれないというふうに思っています。

 そもそも、これはいつもそうなんですけれども、病床の数で私たちはカウントをしていると思います。この病院には病床数はどのぐらい、この病院には病床数がどのくらいということで、病院の規模というのは病床数で一定測られているのかなというふうに理解しています。

 ただ、緊急時、今回もそうですけれども、医療系のスタッフの皆さんがやはりとても大変でした。当然、医療スタッフの方が濃厚接触者になってしまって、一人休んだりとか、二人お休みすることによって現場が回らなかった、そういった事案もあったと思いますし、医療スタッフの方が感染した、こういったこともあったかとは思います。けれども、それを前提とした上でも、やはり、医療系のスタッフのそういった増減をカウントせずに病床数だけで物事を判断していたから、このような事態が発生したのではないかというふうに考えています。

 なので、この点を反省した場合、病院の規模というのは、病床数だけではなく、もっと総合的に判断するべきだと考えるんですけれども、いかがお考えでしょうか。

羽生田副大臣 新型コロナの入院患者を受け入れる医療機関の確保というものは、各都道府県から新型コロナ患者の受入れ要請があれば、即時に患者を受入れ可能とするために、人員配置を含めた入院受入れ体制を整えた病床を提供可能な医療機関に対して、患者が入院していない期間、病床確保料を交付する仕組みとなっておりますので、ベッド数だけでなく、人員確保ということも含まれているということでございます。

 また一方で、そうした病床であっても、医療従事者あるいはその御家族に感染あるいは濃厚接触者が出たときに、それに伴って人員不足が生じてしまうということもあったわけでございまして、また、コロナ患者の治療にかかる時間や人員が想定以上であったり、通常医療の制限も相まって、対応する医療従事者の確保、調整にもかなり時間がかかってしまったというようなこともございました。実際にそういったことで受入れが困難になった場合もあると承知しております。

 こうした点につきましては、各都道府県において、いわゆるG―MISによりまして、重点医療機関における看護職員の欠勤者数を把握、活用すること等を通じて、感染状況等に即したフェーズ運用を促進するなどという対応を行ってきたところでございます。

 今後、新興感染症発生、蔓延時の感染症患者の入院体制を確保するためには、改正感染症法に基づきまして、平時に都道府県と医療機関がいわゆる協議を行って、こういったことに対しての協定締結をしていくということも非常に大切な体制の確保であるというふうに思います。

 また、病床確保の稼働に必要な人員体制等につきましても、新型コロナ対応での先進事例も紹介しながら、実効性や効率性に留意しつつ、新興感染症の症状に応じ、その考え方などについてお示ししていきたいというふうに考えております。

堀場委員 平時にやはり都道府県と病院が密接にコミットすることで乗り越えていけることがたくさんあるんだなというふうには考えています。

 なので、今回のこのパンデミックのときに、保健所から病院を紹介される、保健所は病床であったり医療機関の状況を正確に把握できたかどうかということも含めて考えたときに、ここに保健所を絡ませたことによって非常に混乱をしたのではないかというふうにも思います。なぜならば、現場にいれば、今日は病院の誰々さんがお休みで、今日はベッドは空いているけれども受入れは難しいということであったりとか、様々な判断ができるのではないかというふうにも考えています。

 また、保健所自体が本当にファクスでやっているという状況下にありました。ほかの国の人たちと、家に新しくオンラインができたので、こんな形でつながれるんだねなんて言いながら、久々に昔の仲間に話していたときも、ファクスって何みたいな、日本にはメールはないの、日本にはWiFiは飛んでいないのみたいな、そんなやり取りをしたことも覚えていて、それが最初のこのICTという話だったんですけれども、この現状の中で、迅速に、そして正確に対応することができたのかなという疑問があります。

 そして、私たちは、都道府県と病院が平時に密接に関わっていくということで、物事が様々クリアになって進んでいくということに大変賛成をさせていただいているので、やはり、国民の生命を守るためにも、緊急時に、都道府県の知事が指定する病院で、感染症法上の感染症の分類に応じた諸対応をしていくシステムという方が合理的なのではないかというふうに考えています。

 例えば、病院と病院が、平時から、ここの病床はいっぱいなんだけれども、そちらが空いていますよねというような連携を、病病の連携とかもされていると思うんですね。そういったシステムを活用すれば、緊急時にも、平時の延長での対応、そしてそこに人員を投入するということで、都道府県がイニシアチブを持って、病院と、医療としてやっていけるのではないかというふうに考えているんですけれども、羽生田副大臣の御所見をお願いします。

羽生田副大臣 新興感染症発生、蔓延時の対応に当たっては、各医療機関が都道府県と締結した入院や発熱外来等の対応に関する協定に基づき、地域における各医療機関の機能や役割に応じて必要な医療を提供する体制を構築していくという、これは新感染症法の方でもそういうふうになっておりますので、これをしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、感染症法による入院につきましては、都道府県知事の勧告又は措置によるものであるという、私権を制限する性質であること、また、地域全体の医療資源を把握して入院調整等の業務を担うということで、患者に必要な医療を提供できることが、都道府県が行うことというふうにしてあるところでございます。

 いずれにいたしましても、都道府県、それから保健所の行政、医療機関とが、感染症の状況に応じて連携して対応を進めるということは非常に重要なことでございますので、新しく改正の感染症法に基づく予防計画、医療計画の策定というものを通じて、各地で感染症医療提供体制が確保されるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

堀場委員 そうなんですよね、連携が大事と、これはどこの質疑のときも、最近、連携、連携、連携で、その連携がうまくいっていないから課題が、問題が発生していて、例えば、縦割り行政がうまくいかないから、こども家庭庁をつくって連携していくんですよと言われたりとか、いろいろなところでこの連携という言葉を使われるんですけれども、この連携がうまくいっていれば恐らく問題は発生していなくて、今回の保健所が、実際に、保健所が悪いというわけじゃなくて、余りにも量が多くて、保健所がファクスというツールしか使っていなかったということも含めて、状況として、連携だけではこれはうまくいかなかったであろうことが容易に想定されると思うんですね。幾ら平時から一生懸命たくさんの人たちで連携していても、やはりうまくいかないことがある。

 そして、医療的な、アドバイザー的な判断がないと、都道府県知事もやはり判断しづらい。やはり、そういうところで、先ほどから出ていましたCDCのところもそうで、日本版CDCであったり、東京もそういった機能をつくりたいというふうに言っているというふうに聞いておりますけれども、都道府県知事が判断する基準として、やはり医療機関との密接な関係というのは非常に重要だと思っている。そこに保健所がくっついてくるから、ちょっと話がややこしくなってきたのではないかというようなことも考えている次第でございます。

 ですので、保健所の業務について少し御質問させていただきたいと思います。

 保健所の設置というのは、そもそも、昭和の十三年頃、衛生という概念が余りなかった頃に、きれいに、清潔にするんですよというところから始まりまして、広く国民の衛生概念を普及させていくという大きな目的があったかと思います。そして、健康の相談とか、保健の相談とか、栄養食のための料理の講習会とか、食中毒の対策とか、家のことと、衣服のことまで、何でも相談に乗ってもらえて、日本の、私たちの国民のそういった衛生の状況というのは非常に高いレベルに来たというふうに認識しています。

 一方で、地域保健法というのが、二〇〇〇年、改正されまして、保健所の体制に見直しが加えられたというふうに理解しています。保健所をどんどん統合再編をしていくというような道がたどられていきました。保健センターとか福祉事務所とかと一緒になって、何か名前がややこし過ぎて、今回のパンデミックのときには、二枚看板の課題というのが非常に保健所を分かりにくくしてしまったということも一つ大きな混乱の元だったのかなというふうに思っています。なので、名前がやはり非常に難しいんだなというところを思っているところですけれども。

 二〇〇〇年に、中核市へ移行しているところで、今回、このパンデミックのときに、大阪は維新が保健所を減らしたんだと大きな御批判を頂戴していましたけれども、我が党が、最初に橋下徹大阪府知事が誕生したのは二〇〇八年ですから、これは当たらないんだということは調べれば分かるんですけれども、そういったうわさも流れて、いやいや、統合再編による機能強化が目的としてみんなでやったのになと。

 そして、全国で、一九八九年には八百四十八か所あったところが、二〇二〇年には四百六十九か所と半数になっていった。こういった、保健所というのは減少をたどっていた。つまり、機能をより効率化して、小さくても効率的に動いていくということを目指していったというのが、今回、パンデミックが起こる前までの保健所の動きだったと思います。

 では、それを受けて、今回のパンデミックにおける保健所の対応の総括をお願いしたいと思います。羽生田副大臣、お願いしていいですか。

羽生田副大臣 大切な御指摘をありがとうございます。

 保健所が、数も少なくなっていて、今回のパンデミックに対応する機能が十分でなかったということが今回の反省の一つとしてあるのであろうというふうに思っているところでございます。

 御指摘のように、保健所自体は、地域保健対策全般の業務を適切に実施しているということから、感染症の蔓延防止時には、専門的な知識を持った人員の配置等を含めて、速やかに対応できる体制を平時から計画的に準備しておくことも重要であろうというふうに思うわけでございます。

 このために、昨年十二月に成立いたしました改正感染症法においても、保健所設置自治体に対して予防計画の策定というものを義務づけることとなっておりますし、また、各保健所においても、予防計画等との整合性を確保しながら、健康危機対処計画を作成することとなっております。やはり人員の確保というものも大変必要でございますので、そういった意味から、専門的知識を有している、保健所業務を支援するためのIHEATという、そういった要員によって体制強化をするということも、この中でうたわれているところでございます。

 これらの措置によりまして、感染症の蔓延時に対応できる保健所体制というものを平時から構築し、状況に応じて必要な人員が配置されるように、必要な措置、支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 ということは、今後は、このコロナ禍そしてパンデミックを経て、今までは縮小傾向にあった保健所の体制を、緊急時、非常時に備え、平時であっても保健所の体制を強化し、そして専門的な人員を配置するというふうに、保健所の在り方が少し変更されるという認識でよかったですか。

羽生田副大臣 平時に緊急時に対応するだけの人員を常時配備するというのはこれまた大変なことでございますので、いわゆる平時のときもやはりきちっとした人員を確保するというのは当然必要でございますけれども、緊急時には、それに対応して、先ほど申し上げましたように、IHEATというような、そういった人員を確保できる体制を整えておくということが非常に大切であるというふうに思っているところでございますので、そういった御理解でいただきたいと思います。

堀場委員 そうなんです、保健所はすごくたくさんの業務があって、感染症というのはもちろんそうなんですけれども、あとは災害医療であったり、精神保健とかもあると思いますし、専門的で広域的な業務に特化している。でも、一方で、母子保健、パパママ教室とか、今は、沐浴教室とか、お父さんの妊婦体験とか、そういったことをみんな保健所でやっているというところもあるでしょうし、高齢者の皆さんの保健サービスに関しても担っていらっしゃる。

 こういったものとともに、食中毒とかそういったところの様々な衛生管理もやられていて、すごく業務が多岐にわたり、そしてセンターと一体化してしまったりとか、非常に細部にわたっていて、本当に保健所というものが、一緒くたになってしまっている部分があるので、少しこれは整理が必要なのではないかなというふうに思っています。

 まず、そもそも、全国知事会の方から、パンデミックの際、各種の対策に、法的根拠の明確化であったり、関係の地方公共団体の長に対して様々な権限を付与してほしいという要望がありましたから、蔓防ができる、蔓延防止重点措置の創設がされ、蔓防というふうに、この名前も、皆さん、本当は最初はちょっとどういうことかなと思いながらも定着したこの蔓防という名前のものが創設されて、都道府県知事がイニシアチブを持って、地域の実情に合わせて、例えば御高齢の方が多いエリアであったりとか、人口が多いエリアであったり、海外の方が多いエリアであったり、あとは水際対策が必要なエリアであったりという様々な地域の事情がありますので、そういった事情に合わせて医学的なエビデンスを基に判断できるようにということで特措法が改正されたというふうに認識しています。

 なので、さっきも言ったんですけれども、保健所というものがパンデミックの際に、感染症の予防とか、そういう計画を立てるとか、皆さんに広く認知をしていただくとか、そういった業務をやられるということには大賛成ですし、必要だとは思うんですけれども、今回のように、一回保健所が受けて、そして病院を振り分けていく、そういった対応を今後もなさるのかどうか。

 そして、私たちとしては、いや、指揮命令として都道府県が出すならば、やはり提携の病院、先ほどから強化するとおっしゃっていたこの病院が、平時のシステム、病病連携とかの、そういったものを活用していく方が専門性の観点からも合理的だと考えるんですけれども、副大臣の御所見をお願いします。

羽生田副大臣 感染症危機管理においては、保健所だけでなく、医療機関など関係機関と、また連携という言葉を使わせていただきますけれども、連携をしっかりしていくということが非常に大切であるというふうに思っております。

 また、都道府県知事の指揮命令機能の実効性を高めるということも非常に大切なことであるというふうに思っておりますので、先ほどお話しした改正感染症法におきましては、平時における都道府県知事の総合調整権限や指示権限の創設、そして都道府県の連携協議会の設置というものなど、感染症対策における都道府県知事の関与や関係機関との連携を強化していくということを、この改正感染症法で入れてあるところでございます。

 また、保健所は、疫学調査の実施であるとか、調査から得られた知見に基づく感染症対策の企画立案等、これも仕事でございますし、また、感染症の蔓延防止等に必要な業務を総合的に実施しておりまして、これらの業務を主に治療等を行う医療機関に集約するということで十分な対応ができるのではないかというふうに考えておりますので、それを進めていきたいというふうに思っております。

 保健所体制におきましては、感染症対応業務に従事する保健師を令和五年度に約四百五十名増員をしておりまして、必要な地方財政措置を講じるとともに、保健所設置自治体において、保健所の体制整備に係る予防計画、健康危機対処計画を策定し、平時からの準備を行うことということで、保健所体制も強化してまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 今回のコロナウイルスというのは、インフルエンザのように肺に疾患の出る、そういったウイルスだったと思っているんですけれども、少し足の長いというか、ちょっと時間のかかるものだったというふうに思います。

 でも、今これから、未知のウイルスに対して、若しくは人工的に造られるかもしれない、先ほど出ていました生物兵器とかバイオテロといった、そういったものは、もっともっとスピード感が大事だと思うんですね。一気にばあっと蔓延してしまうことを阻止するということが非常に重要なんだと考えたときには、やはり、指揮命令系統がシンプルで、そしてクリアで、そして多くの人がより専門性の高いところで直接指示、命令ができる、そういった環境が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 先ほども言いました、都道府県の知事が、例えば様々な飲食店とかに、ちょっとお休みしてくださいという休業要請をしたりとか、大きな会場でコンサートするのはちょっと待ってくださいとお願いをしたりすると思います。そういった決断をするときには医療的なエビデンスが必要、そしてそれで医療機関と連携をする、そして病院同士も、病床及び看護師、医師の皆さんもそうですけれども、医療スタッフの皆さんの全体の規模を把握して、できるできないの融通をしっかり病病連携の中でやっているという平時の中にあって、それを都道府県知事が判断をしていくというシステムでなければ、やはり、保健所というのは保健所設置自治体の管轄ですから、そもそものリーダーが、日常時のリーダーは都道府県知事ではないですよね。

 そういったことも鑑みた場合、やはり緊急時にどういった体制を取るかというのは非常に重要なのではないかというふうに考えているところなんですけれども、ここまでで御所見をいただけますか。お願いします。

羽生田副大臣 今の関係は、保健所だけでなくて、例えばエックス線であるとか、ほかの化学兵器であるとか、そういったものを総合した形での研究機関というものが各県にもできておりまして、そこで十分な検討をしているという、まだ検討段階で、対応するまでに至っておりませんけれども、そういったことを計画してやられているということで、そういったものについては保健所だけでは対応できませんので、当然、そういったものを十分に活用していきたいというふうに思っております。

 また、先ほどちょっと保健所の機能で申し上げた中で、一つ間違えたところがございまして、これらの業務を医療機関に集約するというのは、これはできないということで、保健所はやはりしっかりと絡んでいっていただかなければならないということで、ちょっと言い間違いをいたしましたので、その点を修正させていただきます。

堀場委員 ありがとうございます。

 この次に、副大臣ができると言ってくれたのにと言おうと思っていたんですけれども、できないという。なかなかそこに人員を配置していくというのは非常に課題があるというのは認識しているけれども、やはり、シンプルで、現場が困らない、そして迅速に対応できる体制というものを議論した上で、構築していくということに寄与したいなというふうに思っているところです。

 次に、ワクチン接種についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回のワクチンというものも、今になって様々課題が出てきたというのは、ほかの方の質疑の中でも出てきたかとは思うんですけれども、多くの医療機関でワクチン接種というものを行ったというのが今回のコロナ禍でした。

 それは通常の診察業務に結構支障が出たんじゃないかなというふうに思っていて、ただ、ワクチン接種なので、コロナにかかる前の方、健康の方が来られてやるので、業務としてはそんなでもないんですよと言われたんですけれども、やはりその時間に、通常であれば診てもらえる人が診てもらえなかったりとか、慢性的な疾患でお薬が欲しい方たちもいらっしゃったと思いますし、御高齢の方なんかは病院に行っても診てもらえないというのが一つ大きな課題だったんじゃないかなというふうに思っています。

 その状況を鑑みた場合、今後、緊急時というのはやはり集団接種会場にしていくのがいいんじゃないかなというふうに考えています。自衛隊さんがやられていた集団接種の会場、私も集団接種会場での接種でしたけれども、やはりシステム化されているので、はい、こっちこっちこっちこっちと、予約もできていて、本当に機能的で効率的な接種ができたと思います。

 確かに、移動の課題というものはあるにしても、もうちょっと感染力の強い感染症だった場合のことも考えたときに、そしてまた同時に、ワクチンの低温輸送、今回、やはりヤマトさんとか佐川さんが一生懸命、低温で、バッグで皆さん運んでくれたとは思うんですけれども、そういったことではなく、しっかりと大型でがっつりと一回で入れられるような、そういった輸送であったり、そして管理であったり。電源を入れ忘れて廃棄になったというお話もあったかと思います。そういったことも解消されるんじゃないかなというふうにも思っていますし、ワクチンの残量、そして効率的な供給、そういった等の点でメリットがあると考えているんですけれども、今後の集団接種場ということについての御所見をお願いします。

羽生田副大臣 大変重要なことでございますけれども、やはり集団接種というのは、今委員からの御指摘のとおり、ワクチンの搬送であるとか、あるいは全体的な流れにおいて非常に集団接種の会場というのが便利でいいというのはもちろんございますので、自衛隊の接種会場だけでなくて、各自治体で、ほとんど全ての自治体で団体接種の会場を設置してやっておりましたけれども、そこに病院の先生やら開業している先生方が出動してワクチンを接種していたというのも事実でございまして、かなりの多くの方が出動していただいたおかげで、最大百七十万件が一日でできたというような結果も生まれたわけでございます。

 やはり、集団接種というのは、そういったワクチンの供給面やら効率的な面から考えますと非常に便利なものである、いいものであるというふうに思うわけでございますけれども、ただ、医療機関等において個別接種についても、平時の接種体制というものを有効活用ができて、高齢者や基礎疾患のある方が身近な医療機関で接種を受けられるという、今言葉がはやっておりますけれども、かかりつけ医機能、こういったもので接種が受けられるということも非常に重要なことであるというふうに思っておりますので、そういったこともしっかりと続けてまいりたいというふうに思っております。

 また、今後の感染症流行時におけるワクチン接種体制の在り方につきましては、接種対象者の範囲、あるいは使用するワクチンの取扱方法等を踏まえて検討する必要があるというふうに考えておりますので、現時点でこうだからこうだという、そのときによって状況は違いますので、今こうだということをはっきり申し上げるわけにはいきませんけれども、状況に応じてしっかりと体制を組んでいきたいというふうに考えております。

堀場委員 ワクチン接種の大型接種場、大型じゃなくてもいいんですけれども、集団接種ということにすごいメリットがあるんだなということが、今回、一つの教訓として私たちは経験値を得たのかなというふうに思っています。今後もだから両立をされていくという方向性だというふうに認識をさせていただいておりますけれども、集団でやるということと、これは、緊急性が高いワクチン、つまり感染力が強いワクチンのときにはやはりそうするべきだったんじゃないかな、そうする方がいいんじゃないかなというふうな考えを持っています。

 次に、クラスターのことを少しお尋ねをしたいと思っているんですけれども、ダイヤモンド・プリンセスのときの反省というか、あそこの初動のクラスターというところが、一つ大きなクラスターの課題なんだなというふうには認識しています。

 クラスター対策というものそのものが、だんだん、初期の、初動の、ぐっと上がるところのクラスターの対策、つまり、これ以上感染を増やさないためのクラスターの対策と、その後、ハイリスクの人たちがいらっしゃるエリアでの、集団のハイリスクの人たちのためのクラスターの対策というのは、またちょっと意味合いが違うんじゃないかな、同じ言葉を使っていても意味合いが違うんじゃないかなというふうに理解をしているんですけれども、クラスターの対策について整理が必要だと思っているんですね。また、これを、さっきずっと言っている保健所でクラスター対策を全部対応されているんですけれども、こういった見直し等についての御所見をお願いしたいと思います。

羽生田副大臣 クラスターが発生した、こういったことが確認された場合に、感染源の推定あるいは濃厚接触者の把握ということも非常に大切なことであるというふうに思っておりまして、クラスター対応は、今回の新型コロナの発生当初より保健所の業務として行われてきたわけでございますけれども、新型コロナの感染者数の増加に伴いまして、保健所の業務自体が大変な負担になってきたということも事実でございます。

 また、オミクロン株の流行以降、患者数が急増して、全ての患者への聞き取りなどの実施が困難となってしまったということもあったわけでございますし、一方では、従来株と比べて潜伏期間あるいは発症間隔が短いということ、そして、感染拡大時には濃厚接触者の特定と待機の有効性が低下してきているという、これがオミクロン株の特徴でしたけれども、こういったことがあったということ、そしてまた、医療機関や高齢者施設等においては感染が拡大した場合の重症化リスクが高いということもありまして、保健所におけるクラスター対応を整理して、やはり、入院医療機関あるいは高齢者施設において集中的にクラスター対策というものが必要になってきたということになったわけでございます。

 新型コロナの五類変更後も医療機関や高齢者施設でのクラスター防止対策というものは継続していかなければならないというふうに考えておりますので、引き続き、厚生科学審議会の感染症部会等で議論をしていただきまして、それを踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 最後に、後藤大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 ここまで、私どもの反省と、そしてこれからについて様々お話をさせていただきました。病院の在り方、そして、病床だけではなかなか把握できなかった医療スタッフの皆様のこともありますよね、やはり病院同士の平時の体制とかも大事ですよね、都道府県の知事がリーダーになった場合に、様々なエビデンスも必要ですし、いろいろなことがあるよねというお話をるるさせていただいたんですけれども。

 ポイントとして、都道府県から事務代行であったり様々な人員が派遣されたりとかしてきて、緊急時には都道府県のリーダーシップというのが非常に強くなると思うんですけれども、そのときに保健所というものが一つの大きな役割を担っている場合、担っている状態で今回やってきたんですけれども、そして、かつICTがいまいちなときに、都道府県と保健所設置自治体との関係性の中で指揮命令系統がうまくいくのかなというようなことを疑問に思っています。

 ここについて、後藤大臣、最後に御答弁をお願いできますか。

後藤国務大臣 今回の法改正では、昨年六月の有識者会議で、行政機関内でクラスターが発生し庁舎を閉鎖する事態が生じたこと等、いろいろ行政機関の体制についても指摘がありまして、今回は、都道府県知事による市町村長の事務の代行について、感染症法に基づく事務を可能とするように、また、要請可能時期を前倒すことも含めております。

 改正後は、市町村長からその市町村が属する都道府県の知事に対して、新型インフルエンザ等の蔓延により当該市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなった場合であるとして、事務代行の要請がなされた場合には、要請を受けた都道府県知事は、市町村長が実施すべき特定新型インフルエンザ等対策を代行する義務を負うということになりました。

 新型インフルエンザ等対策を効果的に実施するためには、地方公共団体相互間の連携協力をすることがまず重要でありまして、今るる先生からも御指摘があったところでありまして、地方公共団体に対して、こうした連携をしっかりと進めていくことの周知を行い、また、事務代行が必要な場合にはスムーズになされるように、国としても努力をしていきたいというふうに思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 うまくいくかいかないかというところだと思うんですが、うまくいくところもあれば、うまくいかないところもあるというふうなお答えなんだろうなというふうには思います。

 緊急時、国民の命が懸かっている、なので、やはりシンプルでクリアな体制をつくっていきたいなと思っておりますので、また質疑させていただくことになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 新型インフルエンザ等特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案に関して質問いたします。

 二〇二〇年一月に日本国内で新型コロナウイルス患者が確認されてから三年以上が経過いたしました。この間、変異を重ねてきたウイルスは幾多の流行期を迎え、それに対応して政府、自治体の対策が取られてきました。コロナ禍は人々の命を奪い、社会と国民の意識を大きく変えました。

 こうした中で、本年五月の八日からは、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが現在の二類相当から五類に移行します。まだコロナは完全に収束したわけではありませんが、三年を経て、社会経済は落ち着きを取り戻しつつあります。

 しかし、感染症の脅威がなくなったわけではありません。グローバルに人、物が活発に行き来する世界は、新たな感染症の危機とともに生きていく時代でもあります。こうした認識の下、国内でのコロナ流行から丸三年を経過した今、これまでを総括し、未来に備えることこそが重要だと考えます。

 今般、政府は、感染症対策に関する対応の強化を目的として、新型インフルエンザ特措法及び内閣法の一部改正案を提出いたしましたが、将来に備えていくとすれば、まずしっかりと過去を振り返る必要があるかと思います。

 そこで、我が国の新型コロナウイルス感染症に対するこれまでの対応について、評価と総括をお伺いします。政府のコロナ対策は及第点なのか、それとも落第点なのか、後藤大臣、お伺いいたします。

後藤国務大臣 政府としては、国民の命と暮らしを最優先で守る観点から、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、新型コロナ対策に最大限取り組んできたと思っております。

 具体的には、緊急事態措置等によりまして感染拡大防止を図る一方で、国民や事業者への支援やコロナ禍からの回復を図るための各種経済対策を講じてまいりました。同時に、国民の命と健康を守るために、病床確保を始めとする医療提供体制の整備強化、ワクチン接種の推進、治療薬の確保等に取り組んできました。

 さらに、その後のウイルスの特性の変化等に応じまして取組内容を柔軟かつ機動的に見直しながら、オミクロンへ、そしてまたBA・5へと徐々に変わるウイルスの特性に応じた対策を進めてきたというふうに思います。

 こうした取組によりまして、新型コロナの人口当たりの感染者数は他のG7諸国と比べて低い水準に抑えられたというふうには思いますし、GDPや企業業績は新型コロナ前の水準を回復し、有効求人倍率もコロナ前の水準を回復しつつあると承知はいたしております。

 新型コロナについては、特段の事情がない限り、五月八日から五類感染症に位置づけることを決定したところでございます。国民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、円滑に平時の社会経済活動を取り戻していけるように万全の準備を進めてまいりたい、そのように考えております。

阿部(司)委員 一生懸命様々な取組を進めてきた、また、諸外国と比較をした感染者数は少なく、経済はコロナ前の水準に回復してきているといったお話だったかと思いますが、ほかと比較をして結果オーライということではなくて、実際にコロナ禍で生じてきた様々な問題ですとか、また不手際だった点、こうした点をしっかりと直視していくべきと思います。

 ちょっと振り返っていただきますと、情報不足による国民の不安は非常に大きいものがありました。また、政府と専門家が異なるようなことを発言して、国民は、何を信じるべきか、非常に大きく揺れ動いたかと思います。また、保健所そして医療機関の逼迫、マスクを始めとする医療用品の不足、国と都道府県間の連携不足と相互不信、ワクチン不足、はたまた、ワクチンを打った方がいいのか打たない方がいいのかといった国民の不安。この三年間、非常に様々なことがありました。

 喉元を過ぎれば熱さ忘れるではなくて、今、こうしたことにもう一度目を向けて、直視をして、今後の対策に生かしていくべきだと思いますし、そのためには、政府、政策担当の方々には素直に物事を見ていただきたいと思っております。

 昨年六月に、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の報告が出されました。そこでは、我が国のコロナ禍による超過死亡数が諸外国に比べて低く、GDPの落ち込みも少なかったとする一方で、政府の取組は、対応に至る意思決定、そして科学的知見に基づく評価、分析で問題がなかったとは言えず、医療用物資の不足、保健医療体制構築など、不十分だったと言わざるを得ないと述べられております。この有識者会議報告書におきましても幾つもの課題が指摘をされておりますが、このほかにも様々取り組むべき問題があるかと思います。

 そこで、新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣でもある後藤大臣が今後最優先で取り組むべきであるという課題についてお示しをいただくとともに、その解決時期のめどについてもお聞かせをいただけますでしょうか。

後藤国務大臣 今委員から御指摘もありました有識者会議の検証におきましても、次の感染症危機に向けた課題をいろいろ指摘をいただいております。

 感染症危機の初期段階からしっかり機能する保健医療提供体制を立ち上げて、ウイルスの特性等に応じて機動的に対応できる、そういう体制をしっかりと準備すること、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能をきちんと整備しなければならないということ、科学的知見と根拠に基づく政策判断に資するために、政府における専門家の組織を強化して、そうしたものをしっかりと受け止められるようにすること、そういった視点は非常に、そういう指摘は重要だったというふうに思います。

 そういう観点から、昨年十二月にはまず感染症法等の改正を行いまして、国と都道府県との間の連携協力によりまして、保健医療提供体制の整備が進みやすい、そういう制度基盤をつくります。また、機動的なワクチン接種体制の整備、水際対策の実効性の確保等の措置を講ずることといたしております。

 次いで、今国会におきましては、感染症対策の司令塔組織として、現在御審議いただいている法案によりまして、内閣感染症危機管理統括庁を設置することとしているほか、別の法律でございますけれども、新たな専門家組織として日本版CDCを設置するための法律も準備しております。

 こうした感染症危機への備えとして司令塔機能を確立し、そしてその司令塔機能に専門家の見識を集めていけるような、そういう体制を整え、今、感染症の戦いが終わっているわけではありませんけれども、次のそうした対応をきっちりと取っていけるような体制を整えていくことが大切だと思っております。

阿部(司)委員 次なる感染症に備えるために様々な手を打っていくといったお話だったかと思いますが、先ほど来この有識者会議の報告について触れておりますけれども、後藤大臣は、この有識者の報告結果をどのように捉えていらっしゃるのか。

 報告書では、今後とも社会経済財政への影響、財源の在り方、施策の効果などについて多面的な検証を行うよう求めております。私も、政府として、各種専門家を含めた検証チームを立ち上げるなどして、更なる新型コロナウイルス対策の検証、分析を行って、優先順位ですとか時間軸、こうしたものも明確にした上で今後の取組方針を決めていくべきだと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いします。

後藤国務大臣 有識者会議の検証そして御指摘から、今回の法案提出、あるいは緊急に対応すべき政府としての考え方については先ほど御説明をしたとおりでありますけれども、まずは、新型コロナ対策の終息に向けて取組を着実に進めていくこと、そして、統括庁の設置を含めた次の感染症危機への対応を、体制整備を含めて具体化していくことが、まず足下、重要と考えておりますけれども、今先生から御指摘があった新型コロナへの対応については、不断の検証を多面的に行う必要があるということはそのとおりであるというふうに考えておりまして、不断の検証を行いながら、次の備えにきっちりと反映させていきたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 不断の検証、これは必要だと思うんですけれども、しっかりと区切りをある程度つけてやるべき必要があるんじゃないか、そういった御提案です。

 有識者会議では、四回から五回の会議による短期間で報告をまとめたものであります。ここで取り上げられていないものも恐らく多岐にわたると思います。だから、今後の多面的な検証というものを有識者会議でも求めているんだと思うんですけれども、コロナの対応につきましては、都道府県レベルでも、例えば、山梨県では、今後発生し得る感染症の大規模な蔓延に備え、直ちに活用できる県民全体の情報資産として整備することを目的に、コロナウイルス感染症への対応について客観的な視点からの検証、記録を行うとして、シンクタンクの力もかりて、三百五十ページ余りの包括的な報告書を作成しております。

 政府においても、国内の感染流行から三年という期間を経て、五月から感染症法上の位置づけも変わる今、将来に備えた本格的な検証作業を実施していくべきと思いますので、是非、本格的な検証実施を重ねてお願いを申し上げます。

 引き続き、保健医療体制についてお伺いしてまいります。

 保健医療体制については、新型コロナウイルスへの対応に当たって、病床確保、入院調整、移送などで対応不能事例が生じるなど混乱が見られましたが、有事に医療資源が有効活用されるための仕組みづくり、医療資源の再配置について御見解をお伺いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 新興感染症発生、蔓延時におきます医療提供体制につきましては、今般の新型コロナの対応での経験を踏まえまして、昨年の感染症法の改正によりまして、都道府県が定める予防計画また医療計画に沿いまして、あらかじめ都道府県と医療機関の間で入院や発熱外来、人材派遣等の対応に関する協定を締結する仕組み、これを法定化していただいたところであります。

 現在、令和六年度の施行に向けた議論を行っているところでありまして、今後、策定をいただきます都道府県における医療計画等、また協定締結などを通じて、感染症発生、蔓延時におきまして、通常医療の提供を継続しつつも迅速かつ的確な感染症対応を行う体制を構築していけますよう、ただいま議論を踏まえた対応について検討を行っているところであります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 コロナ禍におきまして、特に、地域のかかりつけ医が十分な役割を果たすことができなかったように思います。感染症に対する実効性のある地域医療体制構築に向けたかかりつけ医の役割や、その他機関との連携協力体制についてもしっかりと御検討を進めていただきますようお願い申し上げます。

 次に、統括庁のお話について入っていきたいと思うんですけれども、今回の内閣法の改正は、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置して、そこに感染症施策の総合調整機能を与え、感染症危機対応における司令塔機能を担わせるというものだと理解をしております。危機に際して、司令塔機能は決定的に重要だと思います。新たな感染症に対応するにも、司令塔機能を発揮するには十分な権限が必要です。

 そこで、新設される統括庁に付与される権限及び総合調整機能の具体的な範囲をお伺いいたします。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁は、内閣官房に置かれるものでございまして、感染症危機管理における司令塔機能を担うため、内閣法の条文上、感染症の発生及び蔓延の防止に係る行政各部の統一保持に係る企画立案、総合調整事務を所掌するということとしております。

 内閣官房は内閣総理大臣の活動を直接に補佐、支援する機関というふうにされておりまして、その中で、統括庁は、感染症危機管理に関し国政全般の基本方針を企画立案して定める、また、その方針に基づいて各省庁の取組を政府全体として統一するために、最高、最終の総合調整権を行使する、こういうことになるものでございます。

 加えまして、新型インフルエンザ特別措置法が適用される感染症危機が発生した際におきましては、政府対策本部長が各府省庁等に対する総合調整及び指示等の強力な権限を特措法に基づいて行使するということになるわけでございますが、統括庁は、このような政府対策本部の事務を処理するということを通じまして、各府省庁などの感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を発揮することが可能となる、こういうようなものでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 危機が起こった際は、しっかりと指揮統制を組織で行っていかなければなりませんが、要は、しっかり、上下関係というんですかね、危機が起こった際には、統括庁が上で、その他の省庁は従う、このような組織体制であることを明確にしていく必要があるかと思いますが、総合調整、連携とおっしゃいますけれども、非常にその点が不十分なのではないかなと思います。

 この三年間のコロナ禍でも、うまくそこのリーダーシップが発揮されてこなかった点というのが、後ほどちょっと触れますけれども、あったかと思いますので、先ほどほかの委員からも指摘がありましたが、危機管理に際して実効性をしっかりと発揮、担保するような組織に是非していただきたいと思っております。

 内閣感染症危機管理統括庁の設置目的なんですけれども、感染症の発生及び蔓延の防止に関する施策に係る司令塔機能を強化する点にあるとのことでした。危機への対処という観点からは、感染症以外のバイオテロ、健康危機の全般を含めて所管をした方が危機管理全般としてよいのではないかな、すっきりしますし、実効性も非常に兼ね備えた強力な組織になるのではないかなと思うんですけれども、こちら、後藤大臣の御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 感染症危機管理につきましては、迅速な初動対応だけではなくて、中長期的な視点での感染症上の対応が求められること、また、医学や公衆衛生に係る専門的知見を踏まえた政策判断が重要になること、それから、国民の行動によって影響の程度も大きく変わってくるので、まず国民の経済行動、国民を巻き込んだそうした息の長い取組も求められるということにおきまして、他の分野の危機管理対応とは異なる特徴も持っているというふうに考えています。

 このため、厚生労働省や新たな専門家組織として設置される日本版CDC、そうしたものの科学的知見を活用しつつ、感染症危機における司令塔機能を一元的に担う組織として内閣感染症危機管理統括庁を設置するということとしたものであります。

 緊急事態については、事態ごとに特徴や必要となる専門性が異なることから、各事態への対応に当たる機関がそれぞれ定められているわけでありますけれども、当該事態に応じて生じた国民の健康被害についても、それぞれの対応を担う機関を中心とした対応がされるものというふうに思っております。

 いずれにしても、統括庁としても、健康被害への対応に有益と考える知見を提供することなどによりまして、こうしたそれぞれの危機対応機関と協力をしながら、しっかりと統括庁としても貢献をしていきたいというふうに考えています。

阿部(司)委員 感染症に特化した組織で、オールハザード型の危機には、そうした組織を想定していないということでしたけれども、健康危機、いわゆる放射能ですとか、あとはバイオテロ、こうしたものも非常に、感染症の危機に対処していく点で共通点も多いかと思いますので、政府の危機管理体制として、より現実的な整理をしっかり続けていただきたいと思います。

 続いて、組織の意思決定に関してお伺いをしてまいります。

 今後も、未知なる感染症、ウイルスが蔓延する事態となりましたら、科学的な知見とエビデンスに基づいて適時適切な意思決定が求められるかと思いますが、今般のコロナ禍における政府の意思決定プロセスは果たして適切だったのか、問題があったとしたらどのような点だったのか、後藤大臣の課題認識についてお伺いできればと思います。

後藤国務大臣 専門家の知見をしっかりといただきながら、政策決定については一元的にしっかりと国民に説明をしていく、そうしたことをやはり明確に意識を持って行っていく必要があるというふうに思います。そのことが、国民の側から見たときに、ワンボイスの政策メッセージとして安心して国民がそれを受け止められることにつながる、そのように思っています。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 有識者会議の報告書でも、意思決定プロセスに問題があるというふうに触れられております。特に感染症への対応については、専門家が有する科学的知見に基づいた意思決定が求められ、そのためには、意思決定に際しての専門家と政府の関係を適切に整理しておく必要があるかと思います。

 ところが、今回のコロナ禍では、今おっしゃったように、専門家と政府の発言が異なり、国民に混乱が生じるような状況も見受けられました。今後このようなことが起こらないように、意思決定に関しても検証を進めて、それを踏まえた上で、政府と専門家の関係をしっかりと整理すべきと考えますけれども、政府と専門家の一体性を担保する仕組み、そしてその両者の関係性について、後藤大臣の御見解をお伺いいたします。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスはその性状を急激に変化させるということでありますから、状況に応じて、感染拡大防止と、それから社会経済活動のバランスが取れた効果的な対策を講じることが重要でありまして、そのためには、幅広い分野の専門家の科学的知見やエビデンスに基づく検討が極めて重要であります。

 このため、これまでも、コロナ対策分科会や様々な場面において、感染症や経済などそれぞれの専門的立場からの知見を伺った上で、それらを踏まえて政府として必要な判断をし、責任を持って対策を講じてきたところではありますけれども、他方、この間、今御指摘のあった六月の有識者報告においては、専門家助言組織のメンバーの個々の発言が政府方針とそごがあるように国民に受け取られる場面や、専門家と行政のどちらの立場として説明したのか分かりづらい場面が生じるなど、リスクコミュニケーションの在り方に問題があったという指摘を受けております。

 そうした感染症対策を効果的にするための提言も受けまして、国民や事業者の理解、そうしたものをしっかりといただくために、新たに専門家組織として設置される日本版CDCとともに、しっかりと連携をするとともに、科学的知見に基づく感染症対策をより効果的に推進していくように、幅広い専門家の皆様とも連携しながらコミュニケーションをしっかり取っていきたいと思います。

阿部(司)委員 今、日本版CDCのお話が出ましたけれども、CDCという組織についても、例えば、危機管理というのは非常にミリタリーの分野と親和性が高いと言われますけれども、自衛隊と防衛研究所の関係、まあ統括庁とCDCの関係もそういった関係なのかなと思います。私はそのように捉えておるんです。

 ですので、指揮、コマンダー、いわゆる司令官、司令塔組織に対してしっかりとインテリジェンスを提供する、その範疇を超えてはならないと思うんですよね。そこの、いわゆる軍事ですとシビリアンコントロール、これが感染症危機の分野でも非常に重要な観点になってくるのではないかと思いますので、その点、しっかり御留意の上、連携をしていただきたいと思っております。

 今、危機管理の話をしてきましたけれども、様々な危機に対処するには、危機管理に関係する職員が危機管理に関して一定の知見を有することが必須だと思います。危機管理の中に感染症の危機対応というものがあって、危機管理というものは一つ間違うと甚大な被害をもたらしますし、人命も損なわれますし、そして、それを抑えるためにも、今回のコロナ禍におきましても多大なるリソースを突っ込んでいくということで、非常に、政治家がしっかりと、リーダーが決断をしていく、行政側がしっかりそれをオペレーションしていくということが必要になってくるかと思います。

 その点におきまして、行政のオペレーションも、いろいろな法令も感染症のことも分かった上で、適時、意思決定者にアドバイスをし、オペレーションしていく、こうした人材が必要不可欠であると思いますけれども、このコロナ禍の混乱においてでも、危機管理のいわゆるプロと言われる人材が果たしてどれだけいたのかというところは非常に疑問が残るところであります。

 ですので、役所の、省庁の、様々なオペレーションも法令も分かっている方々が危機管理についてしっかりと学んでいく、トレーニングをしていく、こうした取組が必要だと思うんですけれども、こちら、御見解を政府参考人にお願いします。

下田政府参考人 お答えいたします。

 危機管理に当たりましては、平素より幅広い観点から発生し得る事態を予測して、その備えを着実に進めておくことが重要であると考えます。

 特に、平素から危機管理に携わる職員に必要な訓練を行い、その知見等の向上を図ることは、事態への迅速かつ冷静な対処を可能とするために極めて重要であると認識しております。

 このような認識の下、政府におきましては、危機管理に携わる様々な省庁等の職員の参加を得て、大規模自然災害であるとか重要事故、事件など、国民生活を脅かす様々な事態を想定した訓練を積み重ね、職員の危機管理に関する知見等の向上を図ってきているところでございます。

 今後とも、そうした知見等の向上に向けて、不断に検討そして訓練を積み重ね、万全の危機管理体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 今もやっているという趣旨だったかと思いますけれども、例えば、自衛隊であれば防衛大学校があったり、いろいろな訓練の機会があったり、警察もそうですね、警察の学校があって、消防も消防のそうした訓練の機関があるという中で、いわゆる中央省庁、内閣官房なのか厚労省なのかちょっと分かりませんけれども、いわゆる具体的な危機に際しての危機管理能力を高めるための教育訓練の機会というのは、恐らく、聞いている限り余りないように、OJTが中心になっているというふうに理解をしておりますので、なかなか予算を取るのも難しいかもしれないですけれども、私は非常にここは手厚くやるべきだと思っておりますので、是非、取組を進めていただきたい、御検討いただきたいと思います。

 次に、五類移行後の対応に関してお伺いをしてまいりたいと思います。

 日本維新の会では、かねてから新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけを二類相当から五類へと変えるべきだと訴えてまいりました。

 こうした声を受けまして、ようやく総理も五類への移行を決断して、本年五月八日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが変更となります。また、この三月からは、マスク着用についても、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねられることとなります。

 こうしたことを通じて、規制が弱まって、より現実的な対応が可能になる一方で、国民の感染症予防に関する認識や実効性が低下することも一つ危惧されるかと思います。

 こうしたことを防ぐには、科学的知見に基づいて、五類移行後の感染防止対策の方針、感染者や感染リスクの高い人に対する行動規範、マスク着用が求められるシチュエーションなど、具体的なガイドラインを設定して、様々な媒体で分かりやすく国民に周知するよう徹底すべきかと思いますが、政府参考人の御意見をお伺いいたします。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、五類へ移行後の感染防止対策の方針、あるいは感染者等の行動規範、それからマスク着用の在り方等についてでございますけれども、これは、専門家の御意見を聞いた上で、それを踏まえて、コロナ政府対策本部決定において具体的な在り方をお示しをしてきているところで、特にマスク着用を中心としてお示しをしてきているところでございますし、それから、それ以外の新たな健康習慣、身近な感染対策というものについても、現在、専門家の先生に見解をお聞きしているところでございまして、これらにつきましては引き続き検討を進めてまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、これらの情報をできるだけ分かりやすく国民の皆様にお届けするということが大事だと考えておりまして、記者会見を始めとしまして、ホームページやSNSの活用等も通じて、広報の取組を一層推進してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。是非しっかり進めていただければと思います。

 一つ質問を飛ばしまして、コロナ禍において、自治体は様々知恵を絞って対応に当たってきておりますけれども、五類移行に伴って、財政的負担が第一線で奮闘する自治体に生じるようなケースも出てくるかなと思っております。例えば、宿泊療養施設が原則廃止になることに伴いまして、原状回復が完了するまで自治体が負担する経費がありますけれども、こうした経費については国が財政的支援を行うなど、自治体に生じる財政負担を確実に支援する措置を講じるべきと思いますが、政府参考人、御見解をお伺いいたします。

鳥井政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴います様々な政策措置の対応については、自治体の混乱を回避するためにも、必要となる感染対策、準備を講じつつ、段階的な移行を行うことが必要と考えております。

 このため、各自治体の意見も伺いながら、段階的見直しの具体的な内容の検討、調整を進めているところでございまして、引き続き、委員御指摘の点も含め、自治体等の御意見をよく伺いながら、段階的な移行というものに努めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 次に参ります。

 最後に、内閣感染症危機管理統括庁新設に関連しまして、行政組織の肥大化防止について伺います。

 この前、総理の方に本会議で質問をしましたところ、内閣官房は、省庁に横串を刺すという大義名分の下で肥大化を続けてきたと指摘をしまして、整理すべきだというようなことを申し上げたんですけれども、統廃合に努めてきたということで、批判には当たらないとの御見解を示されました。

 そこで、確認のために、内閣官房の人員及び管理職数の過去十年の推移について政府参考人にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、内閣官房における過去十年間の定員の推移でございますが、平成二十五年度は八百十八人、令和四年度は千三百七十九人となっておりまして、この十年間で五百六十一人の増員となっております。

 次に、定員のうち、本省課長相当職以上の定員数の推移でございますが、平成二十五年度は百十九人、令和四年度は百九十三人となっておりまして、この十年間で七十四人の増員となっております。

 なお、定員及び管理職数の増加の主な要因といたしましては、所要の法律の成立を受けて内閣官房に新設をされました国家安全保障局、内閣人事局の設置に伴う増員に加えまして、新型コロナウイルス感染症への対応、こども家庭庁の設立準備等、その時々の内閣の重要な政策課題に対応するための体制整備に伴う増員などが主な要因でございます。

阿部(司)委員 様々新しい取組もある中、一貫して増員傾向でありますが、木原内閣官房副長官にお伺いしますが、やはり行政というのは肥大化していく、これは一つの宿命なのかなと思うんですが、今回の改正案に肥大化に歯止めをかける条項を設けるべきだと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

木原内閣官房副長官 内閣官房がその重要政策の企画立案、総合調整等、内閣の司令塔としての本来の機能、役割を十分発揮できるようにする、そういう観点から、今委員御指摘いただいたように、事務の不断の見直しを行って、できるだけ組織を効率的なものとしていくということが重要である、このように考えております。

 したがいまして、これまでも、内閣官房において、平成二十七年一月の閣議決定、あるいは同年七月の内閣官房・内閣府見直し法案に対する附帯決議、こうしたことを踏まえて、三年後の見直しなどを行ってきておりますし、その後も不断の見直しを行ってきているということでございます。

 他方で、内閣がその時々の重要な政策、あるいは内閣が取り組もうとする政策課題に常に機動的に対応していくということもしっかり、あるいは機動的に対応できるようにしておくということも重要な考慮事項であろうというふうに考えておりますので、いずれにしても、バランスを取りながらこれからも取り組んでまいりたいというふうに思っております。

阿部(司)委員 終わります。ありがとうございました。

大西委員長 この際、休憩することとし、午後一時から委員会を再開します。

    午後零時二十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。緒方林太郎君。

緒方委員 今日、三十分、よろしくお願いします。

 後藤大臣そして本田政務官、よろしくお願い申し上げます。

 まず、法案に入る前に、一つ、独立行政法人国立病院機構についてお伺いをしたいと思います。

 昨今、国立病院機構の労働環境のブラックな事案が取り上げられております。私個人も、具体的な内容について厚生労働省の方に、このような問題があるということを事細かに説明をさせていただきました。

 私からは、独立行政法人通則法第三十五条の三における違法状態の是正の命令を出すべきだということを厚生労働省に申し上げました。反応は極めて後ろ向きでありました。その際に厚生労働省から言われたのは、通則法第三条において独立行政法人は自主性を重んじることが要件となっているということでありますが、それはよく存じておりますけれども、それがあるからといって、違法状態の是正の規定の適用に際して、その適用自体はあるわけでして、ここを判断する必要があると思っています。

 そうすると、理由としてあり得るのは、独立行政法人通則法第三十五条の三に基づくと、不正や法令違反又は業務運営が著しく適正を欠くといった事例がないのか、それを放置することにより公益を害することが明白でないのか、それとも特に措置を取ることが必要ないのか、この三点のどれかに当てはまらないから命令をしないということだというふうに理解をいたしております。いずれですか。

本田大臣政務官 緒方委員にお答え申し上げます。

 まず、御指摘がありました国立病院機構の件でございますけれども、現在、国立病院機構において、報道等があっている、この事実関係を確認中と伺っております。

 そこを踏まえまして、段階的なものがございまして、例えば、仮に労働関係法令に違反する行為等が確認され、不適切な業務運営が行われると認められている場合には、まず、厚生労働省から国立病院機構に対して、自主的な改善に取り組むよう要請することになるものと考えております。その上で、自主的な取組の結果、改善が図られない場合には、その次にさらに改善命令を行う必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、主務省庁として、事実確認の結果を踏まえまして、必要に応じ適切に対処してまいりたいと考えております。

緒方委員 もう一度だけお伺いします。

 不正や法令違反、さらには業務運営が著しく適正を欠いているということが現時点では確認できていないという理解ですね、政務官。

本田大臣政務官 はい。おっしゃるとおり、まだ確認ができていないということでございます。

緒方委員 それでは、質問に移っていきたいと思います。

 新型インフル特措法において、これは後藤大臣に対してではなかったですが、私、大臣所信の質疑の際に、所掌事項の追加が問題が多いというふうに指摘をさせていただきました。危機管理統括庁を新設するとは書いてなくて、バスケットクローズが一項置かれているだけだと。

 本会議答弁で、中谷一馬議員の質問に対して、岸田総理は、この規定に基づき内閣官房が所掌する事務は、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の関係法律において、国政全般の総合戦略機能を担う内閣官房の所掌事務規定との親和性が高く、そして、内閣官房において所掌するべき特別の理由があるものに限ることとしておりますとありました。そんなこと、どこにも書いてないんですよね。

 総理がそう答弁したというのは分かるけれども、今回の内閣法の所掌事務の追加というのは、将来、法律さえ作れば、ぼんぼんぼんぼん内閣官房が肥大化していくということを可能にしているものであります。問題だと思いませんか、後藤大臣。

後藤国務大臣 今御指摘の規定は、そもそも、特措法に基づく政府対策本部の事務、はっきり言えば、本部が都道府県に対して指示を行うような、そういう内閣の総合調整事務に当たらないような事務、それを統括庁が所掌することを法律上明確にする際に、内閣官房の所掌事務規定の根拠も一緒に明確化する必要があるために設けられた規定であります。

 この規定は無限定な規定ではなく、国政全般の総合戦略機能を担う内閣官房の仕事、そういう内閣官房の位置づけを踏まえた、内閣官房の基本的職務と親和性が高く、かつ、内閣官房において所掌すべき特別な必要があるものに限って法定化されるものだ、そういう意味で、際限なく法律によってここに内閣官房の事務がどんどん積まれていくということは考えられないということを総理からは答弁をさせていただいております。

緒方委員 まず、二つ問題がありまして、そんな総合調整でない機能を内閣官房が担うということ自体、これが問題なんです。そもそも、そんな形で総合調整機能でない事務を内閣官房が担うようになっていくということが問題だということを一つ指摘させていただきたいというのと、今、大臣、いろいろ言われました。その理屈は分かります。しかし、法律を作ってしまえば、あの規定であれば、内閣法の改正なくどんどん所掌事項を追加していけるわけですよ。将来的にそういう衝動が起きたっておかしくないじゃないですか。

 これは修正協議も含めてやらせていただきたいと思いますし、こういう形のやり方は本当によくないと私は思います。与党の皆様方も、修正協議が上がってきた際には是非真摯な取組をお願い申し上げたいということを述べて、次の質問に移りたいと思います。(後藤国務大臣「一言いいですか」と呼ぶ)どうぞ。

後藤国務大臣 先ほどここまで言おうかなと思ったんですけれども、次また何かおっしゃるんじゃないかと思って、答弁を控えておったんですけれども。

 法律に基づいてということは、これは、法律は国会が通さなければ通らないものであります。法律に基づき内閣官房に属せられた事務、これは各省の所掌事務にも、こういう例文でいわゆるバスケットクローズを書くということは、中央省庁会議の連絡でも決まっていることではあるんですけれども、いずれにしても、そうはいっても個別法を決めるということは国会を通じてなされるので、国会の御審議において、国政に関する基本方針の企画立案や危機管理を主な機能とする内閣官房が担う、そういう事務としてふさわしいかどうかということについては御判断をいただけることなのではないかなというふうには思っております。

 いずれにしても、そういう意味で、無制限に内閣官房の事務が広がるということはないものというふうに理解はいたしております。

緒方委員 各省に総合調整の権限が与えられたということで、それと同じ並びなんだと言っているんですが、それはなぜ設けられたかというと、二〇一五年の内閣官房・内閣府スリム化法において、内閣官房と内閣府が拡大していっているから、それを食い止めるために各省の大臣に総合調整の機能を持たせようじゃないかということで、そのバスケットクローズが入ったんですよね。そういうことですよ、因果関係でいうと。

 なので、今大臣の言っていることはちょっと論理が逆転をいたしておりまして、しかも、内閣官房・内閣府スリム化法ができてからも、内閣府も内閣官房もどんどんどんどん所掌事項が増えているわけですよ。大臣がそういうふうに言ったとしても、後藤大臣は私は信頼したいと思います、しかし、将来の内閣、将来の国務大臣が内閣官房にやらせておけというような衝動が起きないとは限らないということでありまして、これは行革の観点からも厳しく指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、今回の法律における様々な権限関係について質問させていただきたいと思います。

 今回、司令塔機能を強めるということでありますが、官房長官が危機管理統括庁と、そして今、ワクチン担当をやっておられる。そして、新型インフルエンザ等対策特別法に基づく副本部長として、大臣がコロナ担当を所轄しておられるということ。そして、厚生労働大臣が感染症法だと。明らかに一元化じゃなくてキングギドラみたいになっているわけですよね。こんな仕組みがうまくいくはずないと思います。危機管理の要諦は、指揮命令系統の一元化であります。

 大臣が今回、司令塔をつくる、司令塔をつくると言われましたが、立法事実についてお伺いしたいと思います。

 後藤大臣のポストの方が司令塔たり得なかったんでしょうか。

後藤国務大臣 これは、本当の意味で国家権力の中枢に司令塔をつくろうというふうに考えたときに、各大臣はそれぞれ内閣法に基づき権限を、厚生労働大臣も持っていますし、例えば危機管理、今回の新型コロナに関係するということでいえば、文科大臣が関係するところも、国土交通大臣が関係するところもあります。そういう全体としてのいろいろな政策を最後に司令塔機能としてきちっと掌握して実行していくということになれば、やはりこれは、最高の総合調整機能を持っている内閣官房の縦のラインにその事務を集めるということが組織論的に見ると最も強力で、司令塔機能としても近いですし、それに、恐らく日本の内閣制度との間の親和性も、親和性という言葉は余りイメージがよくない言葉でしたか、割合に制度的にも折り合いのつきやすい制度であるというふうに思っています。

 それで、総合的な戦略機能を担う、そういう内閣官房に司令塔機能をつくることによって、要するに総合調整機能の事務等を担う官房長官のラインのところにきちんと事務を集約していく。それは、担当大臣がそういう事務をやるのに比べれば、やはり縦のラインが通っているということは司令塔機能としては強いものだというふうに思います。

緒方委員 これまで後藤大臣は何をよりどころにして新型コロナ対策相であったかというと、まず最初に政府対策本部の副本部長で、この事務を担当する国務大臣というのが副本部長にある、そこからスタートして、岸田内閣においては、新型コロナ対策、つづめて言うと健康危機管理担当相のような形で発令行為が出ているというのもあるということはよく承知をいたしております。

 今回の法改正によってこの副本部長のポストは残るわけであって、そして発令行為としての新型コロナ対策相というのも残るわけですね。その一方で、今回の内閣法の第十五条の二における危機管理統括庁の事務を担当する国務大臣は官房長官であります。

 新型インフルエンザ等関連の事務を担当する国務大臣というのは誰なんですか、後藤大臣。

後藤国務大臣 特措法という意味でいうのであれば、それは特措法を担当している新型コロナの担当大臣です。

 それから、感染症法という意味でいうのであれば、これは厚生労働大臣が所管大臣ということになります。

緒方委員 しかし、危機管理統括庁の事務の中に、新型インフルエンザ対策特別措置法に規定する政府行動計画の策定とか推進に係る事務というのはこの危機管理統括庁が担当することになっている。そして、危機管理統括庁を担当している大臣は内閣官房長官だというふうに理解しているわけですが、ちょっと整理していただかないとよく分からないんですけれども。後藤大臣。

後藤国務大臣 今、私、今の制度でお答えしてしまいましたが、おっしゃるように、統括庁が出てきた場合には、統括庁の分掌規程に従ってそういうことになっていきます。

 そのときには、内閣総理大臣の下に内閣官房長官がいて、危機管理庁に官房副長官、そして、それぞれ、充て職でもありますけれども、しかるべく司令塔機能を、内閣を統合していく司令塔機能にふさわしい人たちをそこに配していくという考え方です。

緒方委員 そのときに、後藤大臣は新型コロナ対策相であることは多分変わらないんだと思います。変わるのかどうか私分かりませんけれども、こうなった後に、新型インフルエンザ対策特別措置法の政府対策本部の構成自体は今回の法改正にも入ってきていないわけで、引き続きそういう国務大臣が置かれるはずなんですね。置かれるんじゃないかというふうに思います。置かれない。(後藤国務大臣「分からない」と呼ぶ)分からない。なるほど。

 後藤大臣は今後、司令塔ではなくなるんですかということを質問したいと思いまして、お伺いいたしております。後藤大臣。

後藤国務大臣 担当大臣として、今、新型コロナの健康危機管理担当大臣というのが総理から任命されて、全体としてコロナの対策について調整をしているわけではありますけれども、これは内閣官房の総理の機能を任命されて担当している大臣ということではありますけれども、しかし、感染症を始めとした厚生労働大臣の職務、こうしたものに対して直接の総合調整ができているかどうかということについて言えば、これは、それぞれの大臣が責任を持って仕事をしているというのが今の状況であります。

 そういうことを考えたときに、やはり、総合調整機能を本当に発揮して、司令塔機能を発揮させていくということのためには、官邸の縦のラインをしっかりと使った司令塔機能をつくることが好ましいというふうに判断しているわけです。

緒方委員 この法律におきまして、官房副長官が就くことになっている内閣感染症危機管理監、これは官房長官を助け、その命を受け仕事をするというふうに書いてあります。

 ということは、後藤大臣は、後藤大臣のポスト、政府対策本部の副本部長であってこの事務を担当する国務大臣は、恐らくこの危機管理監に対して指揮や命令をする権限は持たないということだと思いますけれども、いかがですか。

後藤国務大臣 どういう担当大臣を置かれるかということは、そのときの総理大臣の判断になると思います。ですから、どういう担当大臣を置くかということについて、私は予断を持って語るわけにはいきませんけれども、少なくとも、統括庁ができるということを前提のこの仕組みでいえば、担当大臣がこの縦のラインに入っていないという御指摘はそのとおりです。

緒方委員 そうなんです。だから私、これは結構しつこく聞きましたけれども、結局、指揮命令系統が非常に複雑になっていくんじゃないかということを非常に危惧をいたします。つまり、もう一度言いますが、危機管理監は、官房長官を助け、その命を受けですから、それ以外の国務大臣から命を受けることを想定していないわけです。

 そうなってくると、恐らくですけれども、官房長官はふだんお忙しいので、国務大臣を一人やはり新型コロナ担当相として置き続けるというときに、危機管理監に対して指揮命令の権限を持っていない人間が国務大臣を務めていることというのはバランスが悪いし、いざというときにまたこれはこじれるんじゃないかということを述べさせていただきました。

 この件について、最後にもう一つだけ。

 医務技監に危機管理対策官の併任をかけてやるということなんですが、これぐらいで厚生労働省との総合調整が図られるとは、私、到底思えないんですね。さらには、コロナ対策というと、厚生労働省だけではなくて、経済対策もあったり、いろいろなことをやらなきゃいけないというときに、それ以外の調整機能を医務技監が持てるかというと、併任ですから、やれないんじゃないかと思いますけれども、この辺りの調整機能が少し弱いのではないかなと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 医務技監が別に一人で全部調整すると言っているわけではありません。ただし、医務技監というのは、医療や感染症対策等のいわゆる専門家である、医療、感染症のプロである人たちを総括する、そういう立場であります。専門家でもありますから。そういう意味でいえば、いわゆる政治判断の真ん中にいる人、そして、各省の行政事務についてきちんと調整するポジションにある副長官補、そして、今おっしゃった内閣感染症危機管理対策官、医務技監として医療だとか感染症だとかそういうことの専門にある人、そういう者を縦にして、そしてそこにもちろん人を、常時、そしてまた非常時、有事になれば集めていくということです。

 それで、内閣官房の事務というのは官房長官がやっているわけでありますけれども、この内閣官房の事務を統括する担当大臣が官房長官であることの意味は、内閣制度において非常に重要な意味であるというふうに思っています。非常な危機のときには、やはり官房長官も、この仕事に、中心になって、司令塔機能として参画するということが危機の状況だと思います。

緒方委員 それでは、続きまして、地方の権限の話に移らせていただきたいと思いますが、私、政令指定都市、福岡県北九州市の選出であり、そして保健所政令市でもあります。今回のコロナ対策、当時落選中でありましたが、ずっと見ていて、都道府県と政令指定都市や、保健所政令市とのかみ合わせの悪さというのを本当に目の当たりにさせていただきました。

 ただ、政府もそこは気づいておられるようでして、例えば令和三年の通常国会でこの法律、特措法を改正して、少し情報のやり取りができるようになったとか、昨年の臨時国会での感染症法等の改正においてかなりの整理をつけたということは、これはよくよく承知をいたしております。さすがだなというふうに思いました。

 ただ、この新型インフル特措法では、例えば政令指定都市と一般市町村の差をつけていないんですね。市町村と書いてあるときの市の中には、全て政令指定都市が入るということになっています。

 指定都市の権能として、地方自治法に何と書いてあるかというと、例えば医療に関する事務とかも、地方自治法に書いてある医療の事務というのは、指定都市の権能であるというふうに書かれているわけでありまして、いろいろな新型インフルエンザ対策に関する権能が政令指定都市に、対策に関する権能が政令指定都市に割り振られております。

 この法律で、その辺りの配慮が一切ないんですけれども、問題だというふうに思いませんか、後藤大臣。

後藤国務大臣 特措法は、政府対策本部が国レベルで策定する基本的な対処方針に基づいて、市区町村のような基礎的自治体ではなくて、広域自治体である都道府県の長である都道府県知事が、地域の感染状況等に応じて講ずるべき具体的な措置等を判断するという法体系にいたしております。

 そういう意味では、特措法においては、一般的な法律で取られているような政令市を県とみなすという規定を導入していない、考え方を導入していないわけでありまして、それは感染症法の体系などとは違うところであります。特措法は、全国的かつ急速に蔓延するおそれがある感染症を対象としていることに加えて、通勤通学など現代社会における人の移動性の激しさだとか、そういう、ある程度広域的な、面的な広域さの対応も必要であるという考え方でもあります。

 いずれにしても、特措法におけるこうした枠組みを通じて、それぞれの地域において、都道府県や政令指定都市が実際にしっかりと緊密な連携の下に動いていただくことは、これは非常に重要なことだというふうに思っておりまして、今後とも、新型インフルエンザ等の対策の着実な推進には、そこの間の連携は非常に重要だという委員の問題意識は共有いたしております。

緒方委員 菅元総理が総理退任後に、横浜選出でありますので、もっと政令指定都市に権限を寄せた方がよかったんじゃないかと自分は思ったというような話もしておられました。政令指定都市側にいるとそう思っちゃうんですね。

 ただ、今の大臣の答弁からすると、どちらかというとこの対策においては、政令指定都市は物すごく権限をたくさんいろいろ持っているわけですけれども、それをできるだけ都道府県知事の方に寄せて、そして都道府県知事の広域的な、まさに都道府県における司令塔機能を果たさせる、つまり、権限をどちらかというと県の方に寄せていくというような方向性で考えておられる、そういう理解でよろしいですか、大臣。

後藤国務大臣 寄せていく方向で考えているというふうに御説明したつもりではなくて、今の特措法の考え方がそういう考え方でできている。

 先生御指摘のように、感染症法でもそうでありますけれども、実際、具体的な、住民と権利義務関係等で近いところで仕事をしているのは基礎的自治体でありますけれども、しかし、そこの上に県というものがあって、実際は政令指定都市はその県の事務をやっているということで行政分担はできていますので、その辺のことは分かった上で、特措法の考え方というのはそういう考え方でできているということを申し上げました。

緒方委員 この法律では、都道府県の対策本部のメンバーとして、政令指定都市や保健所政令市の関与が一切ないんですね。私、これは中に入れるようにやってはいかがかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 具体的な問題についてはいろいろまた考えさせていただきたいというふうに思いますけれども、今のところは、特措法それから感染症法、非常に似ている領域を束ねていますが、そういうことでの考え方の整理で、今、制度は運用されております。

緒方委員 これが非常にコロナのときに問題になったのが、実は休校措置であります。

 多分、全国的に起きたんじゃないかと思いますが、我が福岡県におきましては、休校措置を取るときに、県立の学校と市立の小学校、中学校において休校措置の期間がずれたんですね。県の方が長く取って、福岡市とか北九州市みたいな政令指定都市は短く取ったというのがあって、こういう分野にも実は政令指定都市と都道府県との違いというのが出る。当時、単に仲が悪かったとかいうのもいろいろあるんですけれども、それはあえておいておいて。

 文部科学省にお伺いしたい。その後、何らかの調整をする取組をされましたでしょうか、文部科学省。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校保健安全法におきましては、学校の設置者というのが、感染の予防上の必要があるときには、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができるとされております。

 御指摘のとおり、都道府県の方が設置している学校については都道府県、政令市が設置しているところは政令市の教育委員会の方が決めるということになっておりますが、そういった学校の臨時休業の要否をそれぞれ判断するということでございます。

 また、都道府県と政令市の方の教育委員会の権限関係につきましては、現状は地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、都道府県は政令指定都市を含む市町村に対して、学校保健に関して必要な指導助言、これは適正な事務の執行上必要であればそういった指導助言ができるということになっておりまして、そこは現状のとおりでございます。

緒方委員 たしか、新型インフルエンザ対策特別措置法を作るときに、この問題を、全国知事会だったと思いますけれども、指摘していたんですね。多分、大阪の経験を踏まえてだと思います。

 当時、橋下知事と平松市長で、何かどうも十年ちょっと前のインフルのときに休校措置がずれたということがあって、この問題を、二〇一二年に新型インフルエンザ対策特別措置法を作るときに、この件をちゃんと考慮に入れてくれということをたしか全国知事会か何かで言ったはずなんですね。

 けれども、当時の民主党政権は、感度が弱かったんだと思いますけれども、この件を一切考慮することなく法律を作ってしまって、制度をやることなくですね、やってしまったということがあって、今回、コロナが広がったときに、まさに私が住んでいる福岡県で、最終的には、ずれたんですけれども、緊急事態が発動されたので、全部ばっと、顕在化することはなかったんですけれども、瞬間的に、兄弟の中で、お兄ちゃんは休校なんだけれども弟は学校行きますみたいな、どうしたらいいんですかという事例というのが物すごく起きたんですね。

 もう一回、文部科学省にお伺いしたい。その後、特段の取組をしていないということですね、文部科学省。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 休業の措置については、一斉休業というのは当然必要な場合があるかもしれませんけれども、基本的に、休業の場合、感染症の場合はそれぞれの学校ごとに教育委員会が判断するということになっておりまして、そういった形で、必要最小限、学校であったり、学年であったり、学級であったり、そういった必要な範囲内でやるようにということで、そういった取扱いの見直しはしているところでございます。

緒方委員 かつては、政令指定都市は、学校の教員の給与については、人事の任命権は市長にあるんだけれども、学校の給与、先生の給与自体は県が払っていたんですね。それを地方分権によって政令指定都市に寄せたんです、これは地方分権でですね。その結果として、県が政令指定都市に対して権限を行使する取っかかりがもう一切なくなってしまったということがあって、これは何か法制度として私は考えた方がいいと思います。

 また、大阪でも起きたし、コロナでも起きた、そしてまた次やるときに休校措置がずれるというのはよろしくないと思いますので、この件、提言をさせていただきまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 自民党の石原宏高でございます。

 早速、質問に入りたいと思います。

 新型コロナが発生して以来、三年間にわたり、多くの国民にとって初めての経験となる感染症との戦いは、国民の皆様に多大なる犠牲を強いてきたのではないかと思います。しかし、国民の皆様の努力のかいもあって、私の個人的な意見になりますけれども、新型コロナとの戦いにも光が見えてきたのではないかと思います。

 そんな中で、今回、総合調整機能を強化する観点から、内閣感染症危機管理統括庁の設置などを柱とする本法案が提出されました。

 法案の趣旨には私は賛同いたします。しかし、重要なのは、今回の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、次なる感染症との戦いにおいて、政府が一体となって強力な取組を行っていくことが重要だと思います。そのために必要なのは、この三年以上にわたる新型コロナ対策をしっかりと総括することだと思います。もう既に各委員から同じような考え方が述べられておりますが、何が効果的で、何が足りなかったのか、今回の経験を踏まえて次の備えをどういうふうに行っていくのか、そんな観点で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、後藤大臣に御質問させていただきます。この三年間のコロナの対策、総括についてお伺いしたいと思います。

 内閣感染症危機管理統括庁が設置された後も、その体制の下で有効な感染症対策を実施するためには、平時からの政府一体となっての取組が必要不可欠です。そのためにも、改めてこのタイミングで政府として新型コロナウイルス感染症対策の総括を国会も含めて行っていく必要があると思います。

 そこで、後藤大臣に、これまでの三年間の、政府・与党一体となっての新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでこられましたけれども、この三年間の取組を振り返って、その成果や課題についてどのようにお考えになっているのか、また、先ほど、昨年の、有識者会議を五回やって、医療団体の方や経済界の方、また地方自治体の方から意見を聞かれたと言われておりますけれども、そういう中で、現場の保健所の職員の方々の意見や病院の医師や看護師さんの方々の意見も反映されて有識者会議が行われたのかどうか、その点をお伺いいたします。

後藤国務大臣 まずは、この三年間の取組を振り返ってということでありましたので、ちょっと繰り返しになる点もあるかとも思いますけれども申し上げます。

 政府としては、国民の命と暮らしを最優先で守る観点から、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視して、コロナ対策に最大限に取り組んできたというふうに思っております。

 こうした取組によりまして、新型コロナの人口当たりの感染者数はG7の各国と比べても低い水準に抑えられましたし、GDPや企業業績は既に新型コロナ前の水準を回復しておりまして、有効求人倍率もコロナ前の水準を回復しつつあるというふうに承知をいたしております。

 一方で、今御指摘のありました新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議においては、医療関係団体、地方団体、各方面からの意見聴取も含めまして、五回にわたって熱心な御議論をいただいて、それまでの政府による新型コロナ対応の検証を行うとともに、次の感染症危機に向けた中長期的な課題を整理し、報告書を取りまとめていただきました。

 報告書では、初動期において、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくり、それから、感染が著しく拡大した場合も行政機関の機能を維持できる仕組みづくり、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能を整備すること、そうしたことの指摘がなされたところでありまして、今回の法改正案では、このような新型コロナウイルス感染症への対応の経験と課題を踏まえて、感染症の発生及び蔓延の初期段階から政府対策本部が迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組み等を整備するとともに、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置して、感染症の発生及び蔓延の防止に関する施策の総合調整等に関する事務及び政府対策本部等に関する事務を所掌することなど、感染症危機に対する司令塔機能の強化を内容とする法案を出しております。

 こうした司令塔機能の発揮を通じまして、国民の命、健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応してまいりたいと思います。

 そして、今、感染症との戦いは、まだ終わったわけでもありません。そしてまた、今、次への対応ということで、こうした制度的な法律も出させていただいているので、まずはこうしたことをきっちりと対応させていただきつつ、今先生から御指摘あったように、五回ヒアリングをした中に個人からのヒアリングがあったのかと言われると、それは、ある程度、普遍的に、団体を代表して意見を言っていただいたので、そういう意見聴取は行ってはいませんので、いろいろな方の御意見をしっかりと踏まえたそういう反省、あるいは、きちっとした整理を踏まえた上で、今後とも、よりよい制度やよりよい体制づくり、政策づくりに取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、マスクの着用についてお伺いしたいと思います。

 三月十三日から、マスクの着用は個人の判断に委ねられます。その対応をめぐって、デパート、スーパー、公共交通機関、一般の会社でも、少し混乱があるのではないかと思います。また、対応も分かれているのではないかと思います。諸外国の状況を踏まえれば、こうした弾力的な措置をもう少し早い時期に取るべきだったというような指摘もあります。

 改めて、マスクの着用を奨励してきたことは感染防止に対してどの程度効果があったというふうに政府として考えられているのか、今回のこのタイミングでのマスク着用の考え方を見直すに至った理由、背景、また、今後もやはり、ある程度、国民の皆様に、どういうところだったらマスクをした方がいいよとか、それを少し示した方がいいと思うんですけれども、どういうふうに、どういう媒体を使ってそういうことを示していくのか、その点をお聞かせいただければと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 マスクの取扱いにつきましては、二月十日の政府対策本部決定において、三月十三日から、現在の、屋内では原則着用、屋外では原則不要としている取扱いを改め、行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、マスクの着用は個人の判断に委ねることを基本とすること、政府は各個人のマスク着用の判断に資するよう、感染防止対策としてマスクの着用が効果的である場面などを示し、一定の場合にマスクの着用を推奨することといたしました。

 この見直しですが、専門家からいただいた、マスクを含む基本的な感染対策に関して、個人の判断に委ねることを基本とし、今では過剰とも言える感染対策はできる限り早期に見直しつつ、新型コロナの特性を踏まえて、有効な方法について、引き続き丁寧に情報を発信すべき等の御意見を踏まえたものでございます。

 また、この見直しに当たりましては、専門家から、マスクの有効性に関する知見をお示しいただきました。それとともに、併せて、基本的な感染対策は引き続き重要である、重症化リスクが高い方への配慮は必要であるという御意見もいただいております。

 これを踏まえ、政府としては、医療機関を受診するときですとか、高齢者など重症化リスクが高い方が多く入院、生活する医療機関や高齢者施設等を訪問するとき、あるいは通勤ラッシュ時等、混雑した電車やバスに乗車するときには、重症化リスクの高い方への感染を防ぐためにマスクの着用をお願いすることといたしました。また、医療機関や高齢施設等の従事者は、引き続き勤務中のマスク着用を推奨することといたしております。

 こうした見直しの趣旨や、マスクの着用をお願いする場面につきましては、混乱が生じないよう、テレビCM等も活用しつつ、引き続き丁寧に周知をしてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、水際対策の効果とその総括についてお伺いしたいと思います。

 有識者会議の、次の感染症危機に向けた中長期的な課題によると、水際対策について、これらの措置の実効性や隔離、停留などに使用する宿泊施設などの不足が指摘されたとされています。

 私の選挙区にはいろいろな企業がありますけれども、ある企業さんから、やはりコロナの蔓防のときに、ドイツから精密加工機械を輸入したのに、それを取り扱う技術者が入国できなくて困っているというような悲鳴なんかも上がっておりました。

 地方創生の観点からも、今や地方の主要産業となりつつある観光業への打撃は深刻なものでもありましたし、現在は観光客が戻ってきて、北海道へのスキー、雪見客など、インバウンドも順調に回復しています。

 入国制限などの実施は社会経済活動への影響が極めて大きいことから、科学的なエビデンスや諸外国の水際措置の状況も勘案しながら難しいかじ取りが迫られていたと思います。

 そのことを理解した上で、今回の一連の水際対策は適切だったのか、どのような効果を上げたか、また今後はどうされるのかをお聞きしたいと思います。また、確認ですけれども、新型コロナが五月の八日に五類扱いとなれば、水際措置は完全に撤廃されるという理解でよろしいでしょうか。

井関政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のこれまでの水際対策について、政府としましては、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、内外の感染状況やニーズ、主要国の水際対策等の状況等を踏まえながら、適切に判断することとしてきたところでございます。

 特にオミクロン株につきましては、令和三年十一月末の発生当初から水際対策を講じてまいりました結果、病床確保やワクチン接種の推進など、国内の対応体制を整備する時間を確保できたものと考えております。そして、昨年十月には、ビザなし渡航、個人旅行の再開等の緩和を行い、インバウンド観光を復活させたところでございます。

 引き続き、内外のニーズ等を踏まえながら、きめ細かく適切に判断してまいる考えでございます。

 また、委員から御指摘いただきました新型コロナウイルスの感染法上の位置づけの変更後の水際対策につきましてでございますが、この変更に伴いまして、新型コロナウイルスの検疫法上の扱いも変わることとなりまして、無症状者の入国時検査、陽性者の隔離など、検疫法上の水際措置が適用されないこととなるというところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 次に、この改正によって、政府対策本部長たる内閣総理大臣が都道府県知事などに対する指示権の発動可能時期が前倒しをされます。

 それでお尋ねいたします。

 この三年間で、蔓防や緊急事態宣言になる前に知事などに指示が出せず、具体的にどのような不備が生じたのか。また、蔓防になる前の指示もいろいろとあると思うんですけれども、例えば飲食店の営業自粛とか、さっきも議論になりましたけれども、休校とかイベントの自粛などありますけれども、新たに蔓防の前に政府対策本部長たる内閣総理大臣が指示が出せる、その具体的な例についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。また、政府が指示を出すかどうかは一定の基準に基づいて決定されるのではないかと私は個人的に思っているんですけれども、例えば、感染者の人数や新たな感染症の症状の重さなどが考えられますけれども、政府として、現在、どのような基準に基づいて蔓防の前の指示権が発動されるのか、その点を教えてください。

柳樂政府参考人 指示権発動の前倒しに関するお尋ねがございました。

 これは先ほどから度々出てまいります、昨年開催いたしました有識者会議の報告書におきまして、感染の初期等に、政府と都道府県との間において、特措法に基づく施設の使用制限の対象施設の範囲の考え方などにつきまして調整が難航した事例があったということ、このため、初動期等におきまして、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要である、このような指摘がなされました。

 このことを踏まえまして、今回の法律改正案では、政府対策本部長、内閣総理大臣でありますが、新型インフルエンザ等蔓延防止等重点措置に係る事態、あるいは新型インフルエンザ等緊急事態に至る前であっても、政府対策本部が設置されている間において指示を行うことができる、そういう内容を盛り込んでいるところでございます。

 指示を行う基準というお尋ねでございますが、法律上、要件を明確に規定をしてございます。

 具体的に申しますと、政府対策本部が設置されている間から指示を行うことができるようにするに当たりましては、一つ目に、新型インフルエンザ等の蔓延により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、二つ目の要件として、総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合であって、三つ目として、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときであって、四番目に、その必要な限度において指示を行うことができるということとしておりまして、そういうような要件に基づいて、政府対策本部から指示が出せるということでございます。

石原(宏)委員 ちょっと私も勘違いしていて、要件はあるんですけれども、感染者の数とか症状とかではない、もう少し幅広い考え方で、最初は調整をして、都道府県にお願いするわけですけれども、それがかなわなかったときには指示権が発動されるということで理解をいたしました。

 次に、今回のコロナに関して、いろいろなシステムを作ってきたと思うんですけれども、今、新型コロナ対策のために作ってきた幾つかのシステムが今後の新たな感染症に利用可能なのかどうか、お伺いしたいと思います。

 例えば、新型コロナウイルス感染確認アプリ、COCOAとか、また、入院をされている患者さんの状況を医療機関で入力をしていただく、厚労省のMyHER―SYSとか、コロナの接種記録システムであるVRS、また、私も携帯に入れておりますけれども、コロナのワクチンの接種証明アプリ。

 今回、これらのシステムが導入をされましたけれども、新たな感染症が再度日本を襲った際に、そのままこのシステムが活用できるのか。危機が現実になってからシステムを開発するとなると、また時間がかかってしまうと思いますので、平時からの備えが重要と考えますけれども、このシステムがそのまま使えるのかどうか、また平時の備えとしてどういうふうにしようとしているのか、お教えいただければと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 今回コロナ対応で導入されたシステムの次の感染症への活用につきましては、次の感染症の感染力や病原性に応じて必要な感染症対策を踏まえた機能を備える必要が求められること、新たな技術やICT機器の活用も考慮する必要があることから、そのまま活用できるとは一概に言えないと考えておりますけれども、御指摘のとおり、有事となってからでは、短期間で構築する必要があるなど、様々なハードルがあることから、平時から活用しているシステムを有事でも使えるようにするという考え方が重要だというふうに考えてございます。

 例えば、今例示いただきましたCOCOAにつきましても、デジタル庁と厚生労働省が先月取りまとめたCOCOAの総括報告書がございますけれども、その中でも、その旨を記載しているところでございます。

 また、ワクチン接種につきましても、新型コロナワクチン接種に限らず、予防接種事務全体のデジタル化のための環境整備を、地方公共団体の基幹業務等システムの統一、標準化の目標時期、令和七年度を目途に取り組まれていると承知しておりまして、御指摘のように、システムに関して平時からの備えに努めたいというふうに考えてございます。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 そうですね、確かに、予防接種は、共通化をしていくと、そしてそれが新たな感染症のワクチンに使えるとなると非常にいいと思いますので、是非、全国の自治体の、なるべく統一化をして、いざというときに使えるようにしていただけるといいのではないかというふうに思います。

 次に、ちょっと何問か飛ばしてしまいますが、中小企業の対策についてお伺いをしたいと思います。

 コロナ禍で、事業者の事業継続を支援する給付金や資金繰り支援、事業再構築補助金、各種の需要喚起策などが講じられてまいりました。特に、実質無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資は、コロナ禍にあって、多くの中小企業の経営を支えてきました。

 他方、業績の立て直しがままならないまま、返済開始の期限が迫る企業も、現状、増えているところであります。足下の急激な物価高も重なり、資金繰りに行き詰まって倒産する中小企業も徐々に出てきているところであります。

 その他、コロナとは関係ありませんけれども、後継者不足や資金難といった固有の課題も抱える中で、コロナの収束後を見据えて、今後、中小企業に対する支援をどのように講じていこうとしているのか、政府のお考えをお聞かせください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナの影響の長期化ですとか物価高、今委員御指摘ございましたように、非常に多くの中小企業は厳しい状況にあるわけでございます。

 御指摘のとおり、これから多くの中小企業が民間ゼロゼロ融資の返済の本格化の時期を迎えることになります。既に利用者の六割程度の方は返済中でございますけれども、これから返済に苦しむ事業者の皆さんも出てくると思われます。

 こうした事業者の皆さんに対しては、まず、各種の経営改善事業、傷む前に経営改善事業を実施するということもやっております。あるいはまた、返済期間を長期化しつつ、その間に収益力の改善を支援するコロナの借換え保証制度を一月十日から開始しておりまして、資金繰り支援をしているところでございます。

 それでもなお、増大する債務に苦しむ中小企業の皆様には、四十七都道府県に設置されている中小企業活性化協議会がございます。こちらで、個別の事案に応じた債務の圧縮あるいは債務の減免も含む再生支援を行っております。業種別の再生支援事例集の作成なども通じまして、取組の一層の強化を図ってまいりたいと思っております。

 また、この分野に深い知見や多くの経験を有する商工中金、このノウハウも活用して、地域の金融機関と連携した対応も強化してまいりたいと思っております。

 それから、コロナ収束後でございます。御指摘のとおり、意欲的な事業転換、あるいは事業承継、こういったものも取組を後押ししていく必要があると思っておりまして、事業再構築補助金によりまして、中小企業の新分野展開、業態転換などの取組、それから、事業承継・引継ぎ補助金によりまして、事業承継や引継ぎ後の設備投資や販路開拓などの新たな取組や、事業引継ぎ時の専門家の活用などを支援してまいりたいと思っております。

 こうした施策を総動員いたしまして、引き続き、中小企業の支援に万全を期してまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 本当に光が見えてきていると私自身は感じているんですが、是非、中小企業の支援もしっかりと行っていただきたいというふうに思います。

 ちょっとまた質問が飛んでしまうところもあるんですが、今回の法改正により、市区町村は新感染症対策を都道府県に代行してもらうことが可能となります。また、その事務の範囲も拡大されます。具体的には、どのようなケースになったら、市区町村の業務を都道府県が代行をするようなことになるのか、また、その代行の範囲というのはどこまで拡大されるのか、そして、今までも、コロナ、三年間ありましたけれども、市町村において都道府県から人員派遣をしてもらった例等、具体的な例等ありましたら、教えていただければと思います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議の報告書におきまして、「行政機関内でクラスターが発生し庁舎を閉鎖する事態が生じたことがあったことから、対策を実施すべき行政機関を都道府県がサポートするなど、その機能を維持できる仕組みづくりが必要である。」、こういう指摘を受けたところでございます。

 お尋ねの、都道府県知事が市町村長の事務を代行を行うケースということでございますが、このような有識者会議報告書の指摘を踏まえまして、今回の法改正案では、都道府県知事による市町村長の事務の代行につきまして、感染症法に基づく事務も可能となるよう対象事務を拡大する、これは今までは特措法に基づく事務に限られておりました。そのように対象事務を拡大するとともに、政府対策本部設置時から行うことができるよう、要請可能時期を前倒すということとしております。

 しかし、どのような場合に市町村長が都道府県知事に代行の要請を行うことができるか、こういうことにつきましては、従来から、新型インフルエンザ等の蔓延により当該市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったと認めるときという、こういう規定がございまして、この点については改正前と変わらないものでございます。

 今申し上げた、市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったときというのはどういう意味なのかということでございます。これは、例えば、例でございますが、自治体の職員間におけるクラスターの発生や濃厚接触者に該当したことによる自宅待機の要請などによりまして多くの職員が出勤できなくなって、その結果、市町村がその機能をほとんど果たせなくなったときというようなところを想定をしているということでございます。

 次に、代行の対象となる事務の範囲でございますが、これは、新型インフルエンザ等対策のうち、地方公共団体が特措法及び感染症法の規定により実施する措置であって、新型インフルエンザ等の蔓延を防止するため特に必要があるものを、この法律上、特定新型インフルエンザ等対策として政令で定めることとしております。

 その具体的な事務の内容につきましては、今後、法施行までの間に検討いたすことになりますが、例えば、感染症法第十二条に基づく医師からの発生届の受理、HER―SYSへの入力に関する事務などなどを想定しているところでございます。

 最後に、人員派遣を行った事例の有無についてでございますが、過去の人員派遣の実績について網羅的に把握できているわけではございませんが、例えば、緊急事態あるいは蔓延防止等重点措置が公示されていない状況におきまして、保健所業務の負担軽減の観点から、市の保健所に対して応援職員を派遣している事例があったということを承知をいたしております。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 もう残すところ、時間が少なくなったので、最後、一問。

 先ほども、午前中の議論でも日本版CDCの話が出ておりましたけれども、コロナ対策に関しては、これまで、厚労省における感染症の専門家の会議や内閣官房の経済学者や感染症専門家による会議などが設置されておりましたけれども、感染症対策には、やはり、午前中の議論もありましたけれども、専門家の知見がしっかりと正確に司令塔に提供される必要があるというのは論をまたないと思います。

 厚生労働省における、いわゆる日本版CDCの、健康危機管理研究機構の設立のための法案が提出をされる予定でありますけれども、今後、同機構に期待する役割についてお伺いをさせていただければと思います。

 そして、今でも、国立感染研究所の脇田先生なんかはこの会議に参加をされているんですが、新たな統括庁の中の会議とかには、恐らく新たなCDCのメンバーの方が会議に出てこられるのではないかと思いますが、そんな将来のイメージでいいのかどうか、教えていただければと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構、いわゆる日本版CDCでございますが、米国のCDCと異なる独自の特徴といたしまして、自らが病院という臨床機能を持つこととしております。これによりまして、基礎から臨床までの一体的な研究成果に基づく質の高い科学的知見を迅速に提供する役割を担うこととなります。

 具体的には、統括庁や厚生労働省の求めに応じまして、政策決定に必要な科学的知見についての調査研究を行い、平時から質の高い科学的知見を統括庁や厚生労働省に迅速に提供するとともに、パンデミック時には、政府対策本部長の招集を受けて政府対策本部で意見を述べることにより、統括庁等の政策決定につなげる役割を担うこととされております。

 これによりまして、感染初期における調査分析等の初動対応の強化、患者受入れ機能や重症患者等の診療機能の強化、国内外の治験ネットワークの中核的役割を果たすことによる研究開発力の強化などの効果が見込まれ、科学的知見の質とスピードの強化につながるものと考えているところでございます。

石原(宏)委員 時間が来ました。終わります。

大西委員長 次に、松本尚君。

松本(尚)委員 自由民主党の松本尚でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、内閣法の改正で設置されます内閣感染症危機管理統括庁についての質問をさせていただきます。

 これまでにも、私、昨年の三月の四日にこの内閣委員会、そして今国会の予算委員会の二度にわたりまして、感染症対応の司令塔機能についての質問をしてきたところでございます。

 いずれにおきましても、先ほどから野党の皆さんからもお話がありましたように、危機管理の要諦というのは、組織はとにかくシンプルにしなきゃいけないんだ、それから、リーダーは顔を見せなきゃいけないんだ、この意味というのは、恐らく、当該事案の担当リーダーがしっかり責任を取るというふうに言い換えていいと思いますけれども、そして最後に、情報は出しどころは一つにしなきゃいけないということだろうということを、何度か主張させていただいております。

 本日は、危機管理統括庁を設置、運用するに当たって、この三つがちゃんと実行されるのかどうかについて確認をしていきたい、そういう質問にしたいと思っております。

 まず、お手元の資料の一と二を御覧ください。

 資料の一というのは、昨年の本委員会でも私が話題に取り上げましたインシデントコマンドシステム、すなわち、非常時における指揮命令系統というものを示したものでございます。

 この組織構造は、有事あるいは災害に対しても共通して用いることができるもので、情報の収集、政策立案、実行、ロジスティクス、財政支援、こういったことがリーダーによって統括され、また広報担当者も明確にされているということであります。こういう組織をつくれば、縦割りを排し、緊急事態の初動からその先までを統一的、包括的にハンドリングできるというふうに思っています。この一番上に現場とありますが、この現場は本当の末端の市町の現場でもいいし、官邸でも別にそれは構わないというふうに思います。とにかく、どこへ行ってもこういったたてつけをしておくということが重要だと思います。

 一方で、資料二の方は、内閣官房が今回の統括庁を設置するに当たっての説明に使用している組織の概要でございます。

 まず最初に質問したいんですけれども、この両者、資料一と二、共通点と相違点はどんなところにあるかということを説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕

柳樂政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の提出資料にございますインシデントコマンドシステムの模式図、米国の連邦緊急事態管理庁で採用されている危機管理の手法の標準的なフローチャートということは承知しております。

 また、米国と我が国、行政の仕組み、統治機構に違いはあるとはいえ、その考え方を踏まえて感染症危機に迅速的確に対応していくことは重要であるというふうに基本的に認識をしております。

 その上で、お尋ねでございますが、共通点という点で申しますと、この図ではっきり出ておりますのは、指揮ラインが、トップに、統括庁としては、司令官である内閣感染症危機管理監をトップにし、その下にそれを支えるサポートスタッフである監補、さらに、厚生省との情報の連結、それから、厚生労働省が持っている政策資源をスムーズに内閣感染症危機管理統括庁の業務に生かし、また逆に政府の内閣感染症危機管理庁の方針を迅速に厚生労働省等に伝える、そういうリエゾンをするスタッフである対策官、このラインが一つに、従来と比べると明確にこの一ラインに収束されていっているという、この点について、インシデントコマンドシステムでまさに現場指揮官からその下に真っすぐなラインを置いているという点が共通している点であると認識をしております。

 また、あえて相違点として申しますと、その下の、先生御提出の資料の実行部門、計画・情報部門、補給・支援部門、財務・総務部門。これは私ども政府が法案の説明のために作成をした資料でございまして、こうした実務部門については法律の中に明確に表れるものではございませんので、それは政令なり省令あるいは訓令のようなレベルで設置される中身でございまして、更に更にその下のレベルで設置されるものでございますので、この絵の中には先生御指摘の一番下のラインのものは出てこないというのが相違点であると認識をしております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 この下の、横にずらっと資料二で並んでいる部分というのは、これから省令等々で決めるということだと思いますけれども、そこの部分をしっかりと統括できるような、そういう組織図にしていただきたいと思います。この資料二はあくまでも説明のためのポンチ絵だと思いますから、人がいたり役目が書いてあったり非常にごちゃごちゃしているんですけれども、是非、資料一にあるような明確な組織図を作っていただきたいなと思います。

 次に、資料三を御覧ください。内閣官房の組織図です。これはホームページから取ってきたものですけれども、内閣感染症危機管理統括庁というのはこの中のどこに位置するのか。私、一応、1、2、3と振ってきましたけれども、この1、2、3、どれになるのか。あるいは4があるんだったら、それを説明していただきたいと思います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 内閣感染症危機管理統括庁の内閣官房の中での指揮命令系統という観点での位置づけを御説明した上で、この表での位置づけについてお答えをしたいと思います。

 内閣官房における指揮命令系統という観点で申しますと、統括庁は内閣総理大臣及び内閣官房長官を直接支える組織というふうに位置づけておりますので、内閣法上、統括庁の長である内閣感染症危機管理監を内閣官房副長官の充て職としておりまして、内閣官房長官を助ける職という位置になるわけでございます。また、内閣官房の事務全般をつかさどる内閣官房副長官の指揮命令の範囲から統括庁の所掌事務を除外するという位置づけを法律上しております。

 ということで、もっと分かりやすく、既存の組織との関係で申しますと、今の先生の資料三の一番下の方に赤く横になって内閣人事局というのがございますが、この内閣人事局と同じ位置づけの組織ということでございます。

 ということでありますので、1、2、3のどこに位置づけられるかというお尋ねのお答えは、3の位置づけになるということでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 法律の案文を読みながらどこに位置づけるかというような今の説明だったと思うんですけれども、まず、どんな組織をどこにつくりたいかがあって、それから法律ができるので、今の答えだと、何か逆の順番のように聞こえるんですけれども。

 とにかく、ここは内閣官房長官にぶら下がっている、かなり高いレベルで統括庁をつくるんだということが組織図からは分かるし、ゆえに、それなりの権限とかそういったものもあるんだなということが、恐らく、何も知らない人がこれをぱっと見たときに、この統括庁がどういう位置づけかということがよく分かるんだろうと思います。

 なぜ私が組織図というものにかようにこだわるかというと、先ほど申し上げましたように、危機管理上、組織をシンプルに組み立てておくということは、危機管理を行うにおいては最も重要なことだと思うわけです。

 例えば、資料二の下の方に、矢印の上に丸をつけてあると思いますが、危機管理統括庁が、厚生労働省の方にも矢印がついていて、新たないわゆる日本版CDCというところにも矢印がついていて、その両方は下の方に赤線で横になっていて、三角みたいになっている。統括庁は、この新たな専門家組織に何か言ったり、何か情報をやり取りしたり、厚生労働省ともやり取りしたりしている。こういうふうにやると、一体どっちが指揮権を持っているのか、権限を持っているのか、分からないんですね。正直、厚労省の下に日本版CDCがぶら下がっているんだったら、僕が丸で囲んだところの矢印というのは要らないということになると思います。

 大体、省庁の作るこういったポンチ絵というのはやたら矢印が多いんですけれども、しっかりとそういったことを考えながら是非組織図を作っていただきたいと思うんですね。

 この組織図については、今言ったように、誰が見ても指揮命令系統がすぐに明確に理解できて、さらには、誰が責任者であるか、どこの部署が何をしているのか、それらが一目瞭然に理解できるということが求められるわけです。内閣官房にあっては、この統括庁を設置するに際して、是非、この組織図を、資料一のようなインシデントコマンドシステムのように、国民に分かりやすく提示をしていただきたいというふうに思います。

 さて、今国会、一月三十日の予算委員会で私は、内閣感染症危機管理統括庁は感染症対策に関する政策決定を行う組織なのか、それとも、どこかで決定された意思を実行するための調整組織なのかと質問しましたところ、後藤大臣からは、統括庁は、感染症危機への対応に係る企画立案や各省庁の総合調整機能など、内閣総理大臣が司令塔として最終的な意思決定や判断を的確に行うことを助けるための所掌を持つ役所であるというお答えでありました。

 更問いをしたかったんですけれども、時間も全くなかったのでできませんでしたから、この場で更問いをしたいと思いますが、ここでおっしゃる総合調整というのは具体的にはどういうことを示すのか、お答えいただきたいと思います。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理統括庁は、感染症危機管理における司令塔機能を担うために、感染症の発生及び蔓延の防止に係る行政各部の統一保持に係る企画立案、総合調整事務を所掌するということとしております。これは内閣法十五条の二の規定です。

 内閣官房は、内閣総理大臣の活動を直接に補佐、支援する機関とされておりまして、単に各省の施策を束ねるだけではなくて、感染症危機管理に関し国政全般の基本方針を企画立案して定め、当該方針に基づいて各省庁の取組を政府全体として統一するために、最終、最高の総合調整権を行使するという強力な機能を持ちます。

 統括庁は、こうした機能を担うことにより、内閣総理大臣が最終的な意思決定や判断を的確に行うことを直接に助ける役割を担うものです。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今、大臣の方からは、単に束ねるだけじゃないんだということをおっしゃっていただいたと思います。

 この総合調整、特に調整という言葉はよく役所で使うんですけれども、この言葉の持つ意味というのは、各省庁の意見の最大公約数を模索しながら平準的な解決策を落としどころとする、もしかしたらそのように誘導するような、何となく言葉の印象というのを私は持っているんですけれども。

 危機管理では、危機に対応するため、その時点でベストと考えられる意思決定を迅速果敢に行って、国民にその政策意図を適切に示すということが求められるというふうに思います。その点において、この庁は各省庁や機関の調整の結果をその意思とするものではないということが、今の答弁からはうかがえるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、一つの指揮命令系統に統合されて、情報の収集、分析から政策決定に至るまでをこの庁が主体的に行う組織であるべきだということを、いま一度、後藤大臣に確認したいと思います。それでよろしゅうございますか。

後藤国務大臣 先生のおっしゃるとおりです。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 そういったことをしっかりと一元化してつくっていただいて、それを最終的に総理の方に進言して、最終決断は総理が取るというようなことだろうというふうに思います。

 その前段のところでしっかりしたものをつくらないと総理も決断ができませんから、是非、今大臣のおっしゃったようなプロセス等々でもって仕事を進めていただけるようにしていただきたいと思います。

 では次に、今内閣官房にある内閣危機管理監、これについて伺いたいと思います。

 内閣危機管理監と内閣感染症危機管理統括庁の関係性について、資料二の右の方に矢印をつけましたが、条文では、第十五条第三項は、「内閣危機管理監は、」中略しますが、「内閣感染症危機管理統括庁の事務の処理に協力する。」と書かれております。

 この協力という意味は何なのかを御説明いただきたいと思います。

柳樂政府参考人 先生の資料二の右側の内閣危機管理監との関係ということでございますが、御指摘のとおり、内閣法改正において、感染症対応に係る司令塔機能を統括庁が一元的に担うということで、感染症危機における初動対応についても統括庁の所掌とする、今は内閣危機管理監の所掌でございますが、それを統括庁の所掌とするということでございますが、臨時に命を受け、内閣危機管理監がその事務の処理に協力するという旨の規定を設けまして、そういった対応に隙間が生じないようにしているというところでございます。

 感染症の発生あるいは蔓延によりまして国民の生命、健康に重大な被害が生じるおそれがある事案が発生した場合には、今回のこの法案における協力規定に基づいて、内閣危機管理監が上司である内閣官房長官などから臨時に職務命令を受け、初動対応について統括庁の事務に協力するということを想定しているものでございます。

 政府における初動対応の在り方は個々の事案に応じて様々でありますので、具体的な協力の在り方については、統括庁の発足までの間に詳細を詰めていくことといたしております。

 いずれにしろ、内閣危機管理監の知見を今回の内閣感染症危機管理統括庁の感染症危機の初動対応に活用するなど、双方が持っている知見を生かして、連携をして対応できるように作業をしていくということでございます。

松本(尚)委員 そうすると、初動対応においては内閣危機管理監の方がしっかりと責任を持っているし、どこかの時点で感染症危機管理監の方が責任を負うというような、そういう流れになるんですか。協力するというのは、では、最初から、初動から何から全部、感染症危機管理監の方が権限を持っているんですか。

柳樂政府参考人 感染症危機における初動対応については、この新しい統括庁ができますと、統括庁が一元的に担うということでございます。

 ただ、その際に、感染症危機管理に限らない、従来からの様々な危機管理への対応において内閣危機管理監に蓄積された様々な知見、例えば海外からの緊急の邦人の国内への移送など、感染症危機管理統括庁はまだこれからできるということでございまして、知見はそれほどそういった点についてはありません。

 一方、内閣危機管理監の方にはそういった知見、経験をたくさんお持ちでありますので、そういった知見を感染症危機管理統括庁の業務実施に提供をしていただき、協力をする形で、感染症危機への対応をスムーズに行う、そういう関係でございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。今の話で、ぼやっと、分かったような分からないような感じだったんですけれども。

 感染症の危機が生じました、どこかの時点で内閣感染症危機管理統括庁が、僕は、初動は、最初は必ず内閣危機管理監が出てくるんだろうと思います。そういうふうになっていて、でき上がった危機そのものが感染症が原因なのかそうじゃないのかが分からない時点というのは当然そうなりますよね。ですから、それはそれでいいでしょう。

 ただ、これはどうやら感染症っぽいなとなったときに、その事態に対応する主体が内閣の感染症危機管理統括庁に何となく移っていくというのじゃなくて、いつをもって指揮権限が誰から誰に移譲するんだということを明確にしておかないといけないと思うんですね。そうしないと、ある一定の時期に誰が責任者だったかということが必ず問題として後で上がってくると思います。それもまた意思決定のプロセスをきちんと国民に示すということになりますから。

 この点においても、条文上の、協力という漠とした言葉については、運用の面で結構だと思いますから、しっかりと明確に決めておいていただきたいなと思うわけであります。

 次に、内閣感染症危機管理監、内閣感染症危機管理監補、それから内閣感染症危機管理対策官、これらは内閣感染症統括庁の要の三役と言えるだろうというふうに思いますが、誰もが危機管理についての知識や見識があるとは全然思えないんですね。そのため、こういった三役の方は、任命時以降の一定期間の間において、危機管理についての研修等々を受けることになるんでしょうか。また、そういった予定というのは持っているんでしょうか。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のこれら幹部職に対する研修ということでございますが、今のところ、内閣感染症危機管理監それから危機管理監補に誰が充てられるかということは、総理が今後御判断をされるということでございますので現時点では未定であるということですとか、あるいは、危機管理監、危機管理監補のような特別職、対策官のような幹部職員に対する研修と、それから一般職員に対する研修を同列で考えるのがいいのかどうかというような、いろいろ考慮点はあろうとは思いますが、御指摘のように、統括庁全体として、感染症危機の発生時において迅速かつ的確に司令塔機能を発揮できるように、ふだんから統括庁職員の資質向上を図りまして万全の体制を取るということは非常に重要なことだというふうに考えております。

 ですので、統括庁における研修の在り方につきましても今後検討してまいりたい、このように考えてございます。

松本(尚)委員 今後検討するんじゃなくて、是非、統括庁の職員は確実に研修を受けさせて、トレーニングをさせてください。ただ単に危機管理統括庁の中で危機管理をやるんだよぐらいな話だと、これは絶対にいざというときには動かないと思います。とりわけ、私が先ほど申し上げた要の三役、この人たちは必ず受けさせてください。しっかりとそういったトレーニングをしておくということが、必ず、いざというときには役に立ちます。

 物事をとにかくふだんから危機管理について考えさせるということが必要なので、誰がその任に当たるか、それを総理が決められるというのであれば、むしろそういったものをしっかりと受けている人間を選べみたいな話になりかねませんし、それでも別に構わないと思いますけれども、しっかりとそういうことは計画的に研修をさせるんだということは決めていただきたいなというふうに思います。

 危機管理の三つの要諦のうち、リーダーが顔を見せるということについて、大臣に質問したいと思います。

 この統括庁の政策立案の責任者というのは内閣感染症危機管理監であるということを、ここで確認をしておきたいと思います。

後藤国務大臣 内閣感染症危機管理監は、内閣感染症危機管理統括庁の長であり、統括庁が担う感染危機管理に関する事務は管理監が責任者となるものです。そのため、条文上も、管理監は統括庁の庁務を掌理すると規定されております。掌理とは事務をつかさどり治めることを意味する言葉でありまして、例えば内閣官房においては、国家安全保障局長や内閣人事局長などが組織の長としてこの表現を使っている。そういう意味においては、責任者ということになると思います。

 政策立案のという限定がちょっとひっかかるところもありまして、政策立案というのは、対策本部の長である内閣総理大臣が政策立案の長であるということだろうと思いますけれども、先生の御趣旨だと思うところの統括庁を管理監が責任者として掌理しているということについては、これは明確になされているところです。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 企画立案案、企画立案をしてでき上がったその案を総理に上げるわけですから、そこの上げるまでの間の、でき上がる政策についての責任は管理監が取るんだろうというふうに考えてもいいかなと思います。

 最終的には全部、総理が最終責任者であるということは私も理解はできます。ただ、一連の、ある一定期間の感染症対応で、いろいろな政策が出てくる。時には失敗することもあるでしょう。だけれども、そういったときに、失敗したじゃないか、総理、責任を取って辞めろみたいな話になると、これはもう国が、ほかにもやることはいっぱいありますからね、国がもたなくなりますから、やはりそのときの責任者としてしっかりと、官房副長官が充て職になっていますけれども、その人がしっかりと、私が責任者です、私が責任を取って辞めるなりなんなり、辞めなくてもいいかもしれませんが、そういうようなことがちゃんと国民に分かるようにしないと、最後の最後が責任者は総理なのでというふうにして逃げを打たないような組織にしておいてほしいなと思います。

 今回のコロナ感染症のパンデミックでは、政府のコミュニケーション能力が問題になりました。一連の感染症対策における政府からの広報の重要性について、鈴木政務官にお伺いをしたいと思います。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 政府における一連のコロナ対応の経験を踏まえ、不正確な情報や誤情報が国民の間に広まることは国民を混乱させ、問題であり、こうした事態を収めるためには、政府が一体となって、科学的知見に基づいた正確な情報を分かりやすく国民に対し広報することが極めて重要であると認識しておりますし、そしてそれをなるべく速やかに、そして、例えばSNS上で誤情報を発見したら速やかに訂正するなどの臨機応変さ、こういうことを持ちながらやっていくことが重要だと思います。

 また、昨年六月の新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議におきましても、政府に対し、円滑な情報提供に留意するよう御指摘をいただいております。

 今後の感染症対応において、これまでの経験等を踏まえ、内閣感染症危機管理統括庁が、感染症対策の司令塔として、科学的知見を踏まえて決定された政策について国民に丁寧に説明するなど、政府の方針に基づき、関係省庁や地方自治体等と一体となって情報発信を行うことが重要であると認識しております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 とにかく、分かりやすく。それから、いろいろな政策に対する反論というのがやはり出るんですよね、メディアから。SNSもそうです。そういったものを、明らかに間違っているものについてはしっかりと反論しなきゃいけない。今でもやっているとは思うんですけれども、聞くと、いや、それはホームページに書いてありますと。大体、反論するやつはホームページを見ませんから。やはり、しっかりと国民の前に出ていって、こう書いてあるけれども、これはこんなふうな理由で違うんだよということをやっていく、そういう国民との対話を持ちながら政策を進めていくということが必要だろうと思います。

 最後の質問になりますが、統括庁としての広報官、これは設置されるのでしょうか。その場合、この資料二におけるどこの部分に広報官が位置することになるか。あるいは、どういった人間がその広報官にふさわしいか、どういった人を任命するかということですが、これについて政務官にお聞きしたいと思います。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 広報の重要性については先ほど答弁したとおりでありますが、感染症対策の司令塔であります統括庁には、感染症対策に関する情報発信において中心的な役割を果たすことが期待をされるため、統括庁内における広報の実施体制の的確な整備は重要な課題であると認識をしております。

 例えば審議官をヘッドとする広報担当ラインを設けるなど、いずれにしても、委員の御指摘も踏まえながら、今後、具体的な実施体制や人材配置について着実に検討を深めてまいりたいと考えております。

 私の経験から、例えば感染状況の説明は、例えば三重県では感染情報プロジェクトチームの管理職が固定して記者会見をするというようなことをやっていましたので、いずれにしても、そういう運用面の効果的な方法についてもしっかり検討するべきだと思っております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今、固定してというふうにおっしゃいましたけれども、やはり決まった人間が決まった時間にちゃんと話をするということが大事なので。私は、この資料二でいけば、広報官というのは、例えば内閣感染症危機管理監補、この人自身がやってもいいし、この人にぶら下がってやる、いわゆる、できるだけ責任者の近いところに置くということが非常に大事なことではないかなというふうに思います。

 非常に今日は実のある議論ができたと思います。ありがとうございました。

宮路委員長代理 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 新型インフルエンザ等特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 二〇二〇年一月、我が国において、新型コロナウイルス感染症の初の陽性者が確認されました。これまで我々は、三年間の長きにわたり、新型コロナの第一波から第八波を経験をいたしました。罹患された方は累計で、三月九日現在、約三千三百二十九万人にも上り、また、七万二千九百八十九人の多くの貴い人命が失われました。改めて、心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。

 この間、三回にわたり緊急事態宣言が発令され、国民生活に甚大な影響を及ぼし、また、日本経済に大きな打撃を与えました。しかし、多くの国民の皆様の御協力によりワクチン接種が進み、献身的な医療従事者の皆様のおかげで医療提供体制が整い、日常的な感染対策が功を奏し、コロナ前とは言えませんが、日常生活に戻りつつあると思います。

 川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、決してコロナを注意しなくてよくなったのではない、必要な注意を払うことで日常生活ができ、つき合っていける感染症になってきたと捉えるべき、新たな変異株の発生など、警戒を怠ることはできないと指摘されました。

 また、大阪公立大学大学院の掛屋弘教授によると、社会経済活動の制限でウイルスが消滅することはない以上、ウイルスが常にそばにいると社会全体が理解した上で、共存しながら活動を持続させることに重きを置いて進むしかないだろう、さらに、我が国では、なるべくかからないことが大切、でも、かかったら休んでいいよと、感染、発症に寛容になり、助け合える社会になっていくことが新型コロナ社会で経済活動をうまく回していく一つの鍵になるのではないかと述べられておられます。

 このお二人の識者からの提言や、政府においても新型コロナへの医学的知見を蓄えていると思います。その上で、これまで様々な政策や対応を実行してまいりましたが、来週十三日から、条件はありますが、マスク着用が緩和され、さらに、五月八日から五類へ移行するに当たり、今後、国民の皆様にどのような点に注意しながら日常生活や社会経済活動をしていただくのかなど、国民への情報発信についてどのように取り組まれるのか、御答弁をお願いいたします。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでの新型コロナ対策におきましては、基本的対処方針や、それを受けて各業界が策定をする業種別ガイドラインにより、個人及び事業者に対して基本的な感染対策を徹底するよう要請してまいりました。

 五月八日の感染症法上の位置づけ変更後においては、基本的対処方針及び業種別ガイドラインは廃止となり、個人及び事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなってまいります。その際、議員御指摘のとおり、国民への情報提供が重要であると考えておりまして、政府としましては、自主的な感染対策について必要となる情報提供を行うなど、個人及び事業者の取組を支援していくこととしております。

 一昨日、八日に開催されました厚生労働省のアドバイザリーボードにおいても、位置づけ変更後の自主的な感染対策についての議論が行われたと承知をしておりまして、今後の議論も踏まえまして、できるだけ早くお示ししてまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に入ります。

 今回改正予定の新型インフルエンザ等対策特別措置法においては、国の行政機関の長や都道府県知事等に対する指示権行使について、新型インフルエンザ等対策本部が設置される時点から行うことができるよう、発動可能時期を前倒しする改正案であると認識をしております。

 その条件として、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合と明記されておりますが、国民生活及び国民経済に甚大な影響とは具体的にどのような事案を想定されておられますでしょうか。

 また、今回の改正では、市町村の庁舎でクラスターが発生し行政活動が継続できなくなった場合、新型インフルエンザ等対策本部が設置された段階で、都道府県より市町村へ直ちに支援に入り業務を代行できるように改め、対象業務を拡大するとお聞きしております。

 そこでお伺いをいたしますが、クラスターが発生した場合、何を基準に行政活動の継続ができないと判断するのか、また、判断する方はどなたになるのでしょうか。また、支援人数の規模等の基準、さらには、支援に関して、即座に市町村業務の遂行が可能であるのか、御見解をお伺いいたします。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 まず、指示権の発動可能時期前倒しについてでございます。

 昨年の有識者会議で、初動期等において政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要という御指摘を受けまして、指示権の発動可能時期について、議員御指摘のとおり、新型インフルエンザ等の蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合に、政府対策本部が設置されてから行使することができるというふうにしております。

 この時期の前倒しということでございますが、蔓延防止重点措置ですとか緊急事態措置、これは、単に感染が拡大すればそういったものが出るということではなくて、感染の拡大、蔓延していることに加えて、医療提供体制や公衆衛生体制が逼迫している、あるいは、それらに支障が生じるおそれがある、そういうことも満たされて初めて蔓延防止重点措置とか緊急事態措置が出るというのが制度ということでございますので、そういった、医療や公衆衛生体制の逼迫するまでに至っていない感染の初動期において新型インフルエンザ等が急速に蔓延をし、このまま感染拡大が続くと国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼしかねない場合ということが想定されるわけでございます。

 このような場合に、迅速かつ的確な感染対策を講ずるために前倒しで指示権が発動できるようにするということで、十分な備えをするというのが目的、内容でございます。

 それから、もう一つの代行については、先ほども申し上げましたが、新型インフルエンザ等の蔓延により当該市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったと認めるときという要件でございます。その具体的な内容は、例えば、自治体の職員間におけるクラスターの発生や濃厚接触者に該当したことによる自宅待機要請により多くの職員が出勤できず、その結果、市町村がその機能をほとんど果たせなくなったときというような場合を想定しているものでございます。

 なお、その認めるときの主体は誰かということでございますが、条文上、「市町村長は、新型インフルエンザ等のまん延により当該市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなったと認めるときは、」という条文でございますので、市町村長が判断主体ということでございます。

福重委員 ありがとうございました。

 次の質問に入ります。

 先ほども申し上げましたが、政府は、五月八日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類を二類相当から五類へ移行するための調整を行っておられます。

 対応方針では、法的根拠がなくなると医療費の公費負担はなくなり、患者が受診を控えることが懸念されますが、当面継続されるとしています。詳細については検討中のことでございますが、段階的に縮小、自己負担になると理解しております。

 ただし、国民の皆さんにどの程度自己負担をしていただくのか、また、全ての国民の皆さんが対象になるのか、あるいは重症化しやすい持病をお持ちの方や高齢者など対象を絞るのかなど、感染症部会及び政府対策本部でどのような議論になっているのか、お示しいただきたいと思います。

 あわせて、高齢者の方などへは分かりやすい情報提供とともに、自治体など関係機関にも早めの情報提供をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

 さらに、新型コロナに感染していても、自己負担となると低所得者世帯や生活困窮者などは特に受診を控える可能性がございます。万一、感染していて医療機関を受診しないとなると、最悪の場合、感染拡大の温床にもなりかねません。この状況について、政府としては政策を検討されておられるのでしょうか。

 以上について、政府の御見解をお示しいただきます。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの五類感染症への位置づけの変更に伴いまして、感染症法に基づく入院等の措置は終了することになりますため、こうした一定の行動制限に伴って行ってきた医療費等の負担軽減措置についても見直すことになります。ただし、急激な負担増が生じないよう、自己負担分に係る一定の公費負担について、期限を区切って継続することといたしております。

 この点に関しまして、厚生科学審議会感染症部会においては、自己負担が高額となることを懸念する意見があった一方で、他の疾病における費用負担との公平性を踏まえつつ検討することが必要との意見がございました。

 現在、こうした対応の内容につきまして検討を行っているところでございまして、速やかに具体的方針をお示ししたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 こういったことはできるだけ、今も速やかにという言葉がございましたけれども、本当に早め早めに手を打っていただいて、国民に情報提供をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 第五類移行に伴い、これまで感染症指定医療機関や発熱外来などに限定されていた新型コロナ患者の入院や外来診療に対応する医療機関が段階的に拡大されます。

 報道によりますと、現在、全国に約四万二千か所ある発熱外来を中心に新型コロナ疑いの患者を診察しておられますが、五類移行後は、インフルエンザの検査実績を基に、約六万四千の医療機関に広げたいと考えておられるということでございます。入院については、将来的に新型コロナ病床をなくし、全病院八千か所余りで受け入れる体制を目指し、入院医療機関の拡大に向け、都道府県に移行計画の策定を求めるとお聞きしております。

 ただし、五類への移行後も医療現場では一定の感染対策が求められます。医療の現場では新型コロナの感染力に強い不安感を持っております。このため、感染症対策のために講じなければならないことや準備することなどの内容を示すことが、医療機関の警戒感を払拭することになると思います。

 さらには、医療機関向けの感染対策費用の補助や診療報酬の上乗せの継続や人員の支援が、受け入れられる医療機関の増加につながっていくことと思います。

 このような必要な支援策について、政府としてどのような施策をお考えでありますでしょうか。御答弁をお願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴いまして、広く一般的な医療機関でも対応していただきたいというふうに考えておりますが、類型が見直しをされましても、ウイルスの感染性などのその性質、特性は変わるものではございませんので、こういったことに対して医療機関の先生方に引き続き診療を行っていただくに当たりましては、新たな医療機関の参画を促しつつ、必要となる感染対策や準備、こういったものについて政策を講じることが重要であるというふうに考えております。

 このため、具体的に申し上げますと、より多くの医療機関が新型コロナの診療を行っていただけますように、エアロゾルの対策に必要なHEPAフィルターつきの空気清浄機等の設備、こういったものの支援、また、パーティションですとか個人防護具などの物品、また、学会のガイドラインに沿った効率的な感染対策ですとか治療の方針、こういったことの御知見などについても周知をさせていただきたいというふうに考えております。

 また、加えて、外来や入院に関する診療報酬上の特例措置、また病床確保料の取扱い、これまで行ってまいりましたが、こういった各種対策、措置の段階的な見直しにつきまして、現在、関係者と意見交換をしながら、具体的な内容の検討、調整を進めてきているところでありまして、まとまり次第、速やかに具体的な方針をお示ししたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 五類に移行するに当たっても、やはり医療関係者の皆様の御協力が必須でございます。そういった意味では、政府ではしっかりとした対応をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが五類に移行後の医療提供体制について、厚生労働省は、感染対策に必要な物資の費用の助成など介護事業者へ行っている支援について、原則として継続するとお聞きしております。

 具体的には、感染対策に必要な物資や介護人材の確保にかかった費用の助成や、事業所で働く職員を対象に検査キットなどで定期的に行う集中的検査への支援などであります。

 また、感染した高齢者が入院できずに施設内で療養する場合に支払われる一人当たり最大三十万円の補助金も、要件をしっかり精査しながらも継続すると承知しております。

 その上でお聞きいたしますが、厚生労働省は、介護事業者に対し、スムーズに入院調整ができるよう日頃から医療機関との連携を強化することや、施設の入居者が希望する場合には積極的にワクチン接種を進めることを求めていく方針であると認識しております。医療機関との連携の強化や、入居者の希望による積極的なワクチン接種については、具体的なガイドラインや支援策など、国として提示する予定はおありでございましょうか、御答弁をお願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘いただきましたとおりでありまして、五類に移行後も、高齢者施設等で療養を継続するに当たりましては、医療機関との連携の強化、こういったものが極めて重要であります。もう既に御説明いただきましたような、各種取ってまいりました施策、こういったものは引き続き継続させていただく方向で調整をしております。

 加えまして、ワクチンについてのお尋ねもございました。

 令和五年度における新型コロナワクチン接種については、まずこの五月から、高齢者等の重症化リスクが高い方や高齢者施設等の従事者の方への接種を行うということを既にもう公表させていただいているところであります。

 こういったことをこれまでにも、累次にわたってワクチン接種をさせていただいている中で、高齢者施設の皆様にも御協力をいただきながら進めてまいったところでありますが、引き続き、自治体を通じて、進捗の確認ですとか、好事例の横展開などの情報提供を行いながら、順調に円滑に進んでいくように努めてまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 私の地元群馬県では、前橋赤十字病院を拠点として、病院間調整センターを設置しております。これは、病院と医師会、保健所などが総合的に調整を図り、非常に有効で重要な機能を果たしております。限られた病床を効率的に使用するため、各病床の機能や使用状況をデータベース化し、タイムリーに入力して関係者間で共有できるシステムであります。国の方針を見ながらではありますが、病院間調整センターは、重要なミッションを全うし、五月八日に向けて業務縮小に入ると聞いております。

 これは好事例の一つではありますが、新型コロナの感染症法上の位置づけを五類に引き下げる際、混乱を防ぐため、ある県知事は、一定の移行期間を設け、段階的な対応をすべきであると述べています。具体的には、患者の入院先を行政や保健所が探す入院調整をめぐり、医師会、消防、保健所が連携して軽症、中等症の患者の入院先を相談できたり、行政が重症者の入院先をあっせんしたりする仕組みが必要と指摘されました。その仕組みの構築や入院調整のため、地域が必要に応じて使える新たな交付金の創設を要望しております。

 新たな交付金について、政府の御見解をお願いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴いまして、感染症法に基づく入院等の措置は終了することになりまして、幅広い医療機関が新型コロナの入院患者を受け入れる際に、入院の調整、行政の方で行っていたというものは、一義的には自律的な医療機関での調整という姿に徐々に移行していただきたいというふうには考えております。

 ただ、先生御指摘のとおり、これには一定の時間と準備が必要であろうかというふうに考えております。厚生労働省といたしましては、移行に当たって、医療関係者の皆様、また全国知事会の皆様からも意見を頂戴しているところでありまして、各都道府県においての今の入院調整の在り方、また自律的に医療機関に一部お渡ししているような部分、こういったことを丁寧にヒアリングを行っております中で、地域の実情を踏まえて、具体的な在り方の検討を速やかな段階で方針としてお示しさせていただきたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 是非、地方に寄り添って支援策を検討していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 ちょっと時間の関係上、一つ質問を飛ばさせていただいて、次に、内閣法の一部改正の質問に入ります。

 この三年間、新型コロナウイルスの影響により、様々な場面において危機管理体制の脆弱さが露呈したことは否めません。私も、危機管理体制の強化が不可欠であると強く思っております。

 今回の内閣法一部改正案では、意思決定の一元化、迅速化の強化等を目的に、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置することが大きな柱の一つであります。この点につきましては、公明党として、昨年の参院選の重点政策の中で掲げさせていただきました。

 これまでの対応では、緊急事態宣言や重点措置の際に、事業者の営業時間短縮などをめぐり国と自治体の間で規制や制限に差異が発生し、現場に混乱を招いたこともありました。また、省庁間での調整に必要以上の時間がかかり、初動の遅れにつながり、迅速さに欠けたことは検証すべきであると思います。

 この統括庁の設置に当たっては、縦割り行政の弊害を排し、実効性の高い体制構築に全力を注ぐべきであります。これまでの課題などを整理、検証し、改善点を今からでも精査し、統括庁がキックオフした際には即座に業務がスタートできる体制を組むべきであります。

 統括庁のトップには官房副長官が就任されることとなっておりますが、強いリーダーシップの下、先ほど申し上げました初動の迅速な対応と機動的な動きが確実に実行できるよう、政府の御決意をお伺いいたします。

後藤国務大臣 昨年五月から六月にかけて開催されました有識者会議におきましても、次の感染症危機に備えまして、危機に迅速的確に対応するために、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能が必要との御指摘がなされたところでございます。

 今回の法改正で設置される内閣感染症危機管理統括庁は、こうした指摘を踏まえまして、感染症危機対応における司令塔機能として設置することとしておりまして、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応、政府対策本部の事務等に係る司令塔機能を一貫して統括庁に集約し、総理及び官房長官を直接支えて、各省庁の取組を統括するために、内閣官房副長官の充て職である内閣感染症危機管理監をトップとして据えることによりまして、感染症危機管理における政府全体の方針立案や各省の総合調整に関する意思決定を迅速かつ的確に行うことを可能としています。

 こうした司令塔機能の発揮を通じまして、国民の生命、健康の保護と社会経済活動との両立を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応してまいりたいと存じます。

福重委員 大臣、ありがとうございました。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ちょっと一つ質問をまた飛ばさせていただきますが、政府は、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、国立健康危機管理研究機構を新設すると伺っております。先ほどからも話がございましたいわゆる日本版CDCであり、公明党が強く主張し、岸田総理の施政方針演説に対し我が党の石井幹事長も取り上げました。

 この組織は、中立性を担保し、科学的な知見を透明性の高い政策立案に素早くつなげられるかが課題であります。内閣感染症危機管理統括庁を立ち上げ、厚生労働省内に感染症対策部を設置いたしますが、新たな機構は、これらの組織に科学的な知見を提供する機構であります。例えば、政府の判断を追認するだけの専門家組織となれば、新たな機構の存在意義を失うことになりかねません。

 そこでお伺いをいたしますが、新機構は、科学的な知見の提供を主な目的としますが、前に申し上げましたとおり、政府や統括庁、関係機関など、中立性を保つため、どのように取り組まれるのか、御答弁をお願いいたします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 国立健康危機管理研究機構は、統括庁や厚生労働省の求めに応じまして、政策決定に必要な科学的知見につきまして調査研究を行い、質の高い科学的知見を統括庁や厚生労働省に迅速に提供する役割を担うものでございます。

 その際、機構は、政府と一体的に感染症対策に当たることから、政策的ニーズを常に政府と共有しながら科学的知見の獲得を得ることとなりますけれども、あくまで研究機関でございまして、政府の政策の可否を決定するものではございません。また、実際の研究におきましても、利害関係者等からの影響を排して、科学的手法に基づき行われることが当然でございます。

 今般の国会に提出いたしました機構の創設のための法案におきましても、役員及び職員は、誠実かつ公正にその職務を遂行しなければならないこと、機構OBによる契約に関する法令違反の要求や依頼等を受けた際に、機構の長にそれを報告しなければならないものとするなど、独立行政法人通則法の規則を準用すること、職務上の義務違反が認められる役員につきましては、厚生労働大臣が機構に対して解任を含む必要な措置を行うことができることなどの規定を盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、機構の公正な運営が図られますよう検討を進めてまいりたいと考えております。

    〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕

福重委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 今回の法律改正案に直接関係はございませんが、コロナ禍において、自治体や保健所で働く保健師さんについて問題が浮かび上がってきました。これから御紹介する新聞報道では、保健師さんが大変な御苦労をされていた記事であり、衷心より感謝と敬意を表したいと思います。新型コロナのパンデミックにより、一部の保健師さんがアイデンティティークライシス、いわゆる自己喪失にあるとの記事であります。

 幾つかの保健師の声を紹介します。

 本来の保健師の業務は、地域での健康相談、健診や家庭訪問活動での病気の予防、高齢者や障害者の生活環境の整備や介護予防教室での講師など、地域の保健活動は多岐にわたり、かつ、地域住民の保健活動のため重要な仕事をしている自負があります。しかし、新型コロナの襲来で、地域での保健活動が結果後回しになってしまった。早朝から深夜まで新型コロナの対応に追われ、心身共に疲弊し、第三波を迎えた二〇二〇年の年末は、保健所で新年を迎えた保健師もいました。さらに、三十代の女性保健師は、数をこなすだけの仕事に意味があるのだろうかと自問自答したそうです。

 このような過酷を極めた保健師さんが多くいることは間違いありません。その結果、アイデンティティークライシス、自己喪失に陥ってしまっているとの報道でありました。

 この状況は、保健師さんだけではなく、医療従事者の皆様など、多くの方が感じていると思います。是非、保健師さんや医療従事者の皆様のメンタルヘルスケアを国が責任を持って取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 感染症対応の中で、保健師や医療従事者が安心して働くことができるよう必要な環境を整備する、これに併せましてメンタルヘルス対策もしっかり進めていくことが必要であると考えております。

 厚生労働省といたしましては、保健師へのメンタルヘルス対策として、地方自治体に対し、適切な業務管理の重要性に加えまして、セルフチェックや相談窓口の設置等の有効な取組の実例をホームページやウェブ説明会等によりお示しし、取組を支援しているところでございます。

 また、医療従事者一般のメンタルヘルス対策については、専門的、総合的な支援を行うために、各都道府県に医療勤務環境改善支援センターを設置しておりまして、これを通じ、医療機関に対してストレスチェックの着実な実施を促し、勤務環境改善に関する周知啓発等を行っているところでございます。

 これらの取組により、保健師や医療従事者のメンタルヘルス対策が適切に行われるような体制の確保に努めてまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 私、コロナ禍から一年半、県会議員を務めておりました。そういった中で、本当に、今言いました市町村の保健師さん、そしてまた県庁の職員、そして医療従事者の皆様が大変な思いでこの三年間を戦い抜いてくださいました。その感謝を持って、政府としては、今後もそういった人たちを支え守る体制というものをしっかりと維持していただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、四十分間という時間をいただきました。後藤大臣、よろしくお願いいたします。

 本日は、新型インフルエンザ特措法等の改正についての議論ということで、まず、先ほどから各委員の皆様も触れていますけれども、国内で新型コロナウイルス感染症が発生してから三年余り、そして明日は、三月十一日、東日本大震災から十二年という時が経過をいたします。

 やはり、この間、様々な自然災害やこうした感染症が国内で発生をいたしまして、そのたびに我々は多くのことを教訓として学んでまいりました。

 今日、私が意識をしながら質疑をさせていただきたいと思うのは、やはり平時からの備えが重要であることと、そして初動対応の迅速性や的確性につながるためには何をすべきかという観点でございます。そこについては、やはり現場への権限移譲であったり、現場を信じて、そして国は、ラストマン意識を発揮しながら、しっかり責任を取り、地域を支えること、この意識が大変重要なんだろうというふうに思っております。

 その観点で、まず最初に、一問目に入りたいと思うんですが、今回の新型インフルエンザ特措法改正案の内容を見ますと、初動期において、政府と都道府県が一体となって危機対応をする仕組みを実現するために、本法案では、国の権限強化が必要ということとされております。

 発生地域の実態を踏まえ、機動的かつ柔軟に判断するのであれば、私は、国の権限強化、権限の見直しというものも必要だと思うんですが、むしろ都道府県知事、都道府県の権限強化こそ必要ではないかというふうに感じておるんですけれども、今回の法案の中身を見てみますと、後ほど触れますが、総理の指示権を発動できる時期を前倒ししたり、あるいは都道府県が命令権を発動する要件を更に政令で定めるといった、国の権限が大きくなり、都道府県の権限が、小さくなるとまでは言いませんけれども、制約を受けるような内容になっているように感じられます。

 まず一問目に伺いたいのは、都道府県の権限強化についてどのように大臣が考えていらっしゃるか、その点についてお伺いをいたします。

後藤国務大臣 インフル特措法は、新型インフルエンザ等が全国的かつ急速に蔓延をして、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑みて、その対策の強化を図って、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となることを目的として、そういう事態の中で運用されるわけです。

 そのためには、昨年六月の新型コロナウイルス感染症対策に関する有識者会議報告書でも指摘されておりますけれども、初動期等において、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要である。

 今回の法改正案では、政府対策本部長、これは内閣総理大臣ですが、都道府県知事に対して行う指示権について、政府対策本部が設置されたときから、蔓延防止等重点措置時や緊急事態宣言時でなくても行うことを可能とするということを内容としているわけです。

 今先生の御指摘でございます。新型インフルエンザ対策においては、感染症法や特措法等に基づく感染症対策の実務を担い、各地域の感染状況等をよく知る都道府県知事、これが重要な役割を果たしているということは、私も肝に銘じて、理解をしているつもりであります。

 そして、こうした都道府県知事との連携は非常に重要なことだというふうに考えておりますけれども、当初の、こうした初動期における新型インフルエンザ等に対する対応という、急速に蔓延し、国民生活が脅かされるような時期のときの対応についてのことでございますので、道府県知事との連携を強めながら、今後とも、緊密に連携して、国、地方一体となって取り組んでいくことが望ましいと思います。

浅野委員 今御答弁いただいたんですけれども、大臣も、都道府県知事の権限、都道府県知事と国との連携というのが非常に重要だという認識はお持ちだということなんですが、答弁の中でも触れていただきました、令和四年六月に、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の中で、次の感染症危機に向けた主な中長期的課題の中に、確かに、今大臣がおっしゃった、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要という見解が記載をされておりますが、じゃ、なぜそういう見解に至ったのかという背景を遡ろうとしても、なかなか、なぜそう思うに至ったのかという根拠の部分の情報というのが、どうも今回見当たらない、薄いのではないか、そういうふうに感じております。

 私の手元の資料にございますのは、感染拡大を防止するために使用制限をかけるべき対象施設、そして時短要請の在り方などについて、政府と都道府県との調整が難航した事例があったとだけ書いてあるんですね。ただ、難航した事例があったのかもしれませんが、だからといって、すぐに総理の指示権の発動時期を前倒しして、都道府県を従わせるような仕組みをつくってしまうのが本当にいいことなのかどうか、ここに疑問を持っているわけでございます。

 次の質問に移りたいんですが、この法案の二十条に、政府対策本部長、つまり総理大臣の指示権についての規定がございます。

 まず伺いたいのは、総理の指示権の発動可能時期を前倒しすることが必要だと言えるような立法事実がこれまであったのかどうか、まずそこを確認させていただきたいと思います。

柳樂政府参考人 お答え申し上げます。

 議員自身の御説明の中にも出てまいりましたように、昨年六月の有識者会議報告書の様々な課題、指摘の中に、緊急事態宣言また蔓延防止等重点措置の公示がされていない感染初期段階においても政府と都道府県の間で調整が難航した事例があった、こういう記載がございます。

 これは具体的にどういう事例かと申しますと、これも議員から御紹介もございましたが、施設の使用制限の要請対象とするのか、あるいは事業の継続を認めるのかということに関して、特定の業種を、例えば、具体的に申しますと、ホームセンターや理美容を感染拡大のおそれのある施設として使用制限をしていくのか、それとも、国民の生活に必需なサービスの提供施設であるので事業の継続を求めていくのか、そういう観点から国と都道府県との間で調整が難航したという事例、これが、同じ有識者会議の報告書に、ファクトをまとめた部分において記載されている。こういったことが、冒頭申し上げた、政府と都道府県の間で調整が難航した事例があったということでございます。

 こういったことを踏まえまして、これ自体は一か月も二か月も調整が続いたということではなく、当然、政府対策本部長の指示を受けて初めて解決したというようなものではなく、いずれにせよ解決をしていったわけですけれども、若干時間がかかり、このときは緊急事態宣言が出てから解決したという、若干不手際なような事態が生じたという形ではありますけれども、一定の期間の間に解決をいたしましたが。

 制度的な裏打ちがないと、最終的に総合調整をしても合意に至らない、また、政府として新型インフルエンザ対策を要請しても都道府県との間で調整がつかないというケースが当然起こり得るわけで、そのときに、蔓防あるいは緊急事態宣言が出ていない場合に、最終的に政府の意思を全国、その都道府県だけではなくて、全国の感染拡大防止を実効的に行うために、早期に、迅速に方針を確定していく、そういう手段が必要であるということを踏まえまして、冒頭申し上げているような、政府対策本部が設置されたときから、蔓延防止重点措置、緊急事態が出ていない場合であっても、対策本部長の指示権について行使することができるようにする、そういう規定を盛り込んだわけでございます。

浅野委員 次の質問に移る前に、今の部分の具体例をもう少し詳しく教えていただきたいんですが、今、ホームセンターと理美容業界をその要請の対象とするかしないか、あるいは時短営業をどこまで要請するかしないかという点で国と都道府県の見解が不一致だった例があったということなんですが、東京都などが当時そういう該当自治体だったのかもしれませんが、じゃ、国が対象とすべきと言っていたのに、都道府県が、いや、それは対象とすべきではないと言っていたのか、あるいは、都道府県が対象とすべきだと言っていたにもかかわらず、国が対象にすべきではないと言っていたのか、どちらなんでしょうか。

柳樂政府参考人 事実関係といたしましては、政府としては、国民生活の安定的な生活の確保という観点から、ホームセンターや理美容を提供する事業者の事業継続が望ましいのではないかという立場であり、都道府県の方としては、施設の使用制限を要請したいということで、調整に時間がかかったという経緯でございます。

浅野委員 つまりは、都道府県の方がより厳しい対応をしようとしていたのに対して、国が生活の維持を理由にそれをすべきではないというふうに主張していたということなんですけれども、感染拡大を防止するという観点でいえば、前者の方、都道府県の方がより抑制的、感染防止に対して強力な措置を取ろうとしているというわけでありました。

 最終的には、協力金などの補償をする、補償といいましょうか、支援をすることによって、国民生活を支えながら社会活動の抑制というのをその後行うことになったわけですけれども、であれば、やはり当初から、都道府県の判断に委ねていた方がよかったのではないかという見方も今できるわけです。

 次の質問なんですが、こうした事例を聞いてみますと、本当に、本法の第二十条の規定に基づいて、対策本部長が指示権を初期から発動させた場合に、間違いなくよい結果につながるのか、どのような結果になるのか、私は予測が難しいと思うんですけれども、総理の指示権に無理やり都道府県を従わせるという法のたてつけにしてよいのでしょうか。どのような効果を政府が期待しているのか、お伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 感染症対応の初動期から政府と都道府県が一体となって危機対応ができるという仕組みを整備することは重要だろうというふうに考えます。

 そのため、今回の法改正案では、まさに今議論になっているような都道府県知事等に対して行う指示権についても、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあり、一定の要件に該当する場合は、政府対策本部が設置されたときから行うことができるようにする、そういうことを申し上げているわけでございます。

 早期に感染拡大を、全国的な、あるいは地域的な広がりを持って進めていくために、国、地方が一体となって感染症危機に迅速的確に対応できることが重要だと思います。

 それから、規定を作ったからといって、必ずすぐに発動されるわけのものでもないと思います。政府対策本部長が特措法に基づく総合調整を行った事例は、時期に関係なく、これはありません。

 ですから、そういうような形で話をまとめるという最終的な手だての中できちんと地方と国が話をしながら進めていくということが、これは基本ではあるとは思いますけれども、そういう措置を担保しておくということは必要なのではないかというふうに考えています。

浅野委員 今、大臣の方からも、指示権を発動できるということであって、必ず発動するわけではないということを触れていただきましたけれども、ちょうど次の質問で聞こうと思っていたんですが、であるならば、政府対策本部長が指示権を発動するよりも前に、事前に各府省庁の長や都道府県の知事と調整を行って、できるだけ指示権発動を回避しながら、全体が同じ方向を向いて対応していけるような仕組みが準備されていると思っていいんでしょうか。そういった調整を行っていただけるということでよろしいんでしょうか。

後藤国務大臣 今回の法改正案で、発動可能時期を政府対策本部の設置時に前倒しをする政府対策本部長の指示権、二十条第三項でありますけれども、これは、新型インフルエンザ等の蔓延により、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるにもかかわらず、基本的対処方針に基づき、指定行政機関の長及び都道府県等が実施する新型インフルエンザ等対策に関して、政府対策本部長による総合調整が行われても所要の措置が実施されない場合であって、新型インフルエンザ等対策を的確迅速に実施するため特に必要があると認めるときに行使することが可能というふうに規定をしておりますので、いずれにせよ、総合調整が行われた上でなされるものであるという意味においては、今先生が御指摘いただいた、一定のコミュニケーションが図られているという事態の上で指示がなされることが前提になっているというふうに考えております。

 いずれにしても、こうした規定を設けることをもって、一方的な対応を前提にするものではなく、各府省や各都道府県の関係者と連携を密にした国の対応が全体としての感染対策を円滑に進めていく道だというふうに思っております。

浅野委員 国と都道府県でよく、総合的な調整をするのが今回立ち上げる統括庁の役割だとも思いますので、その部分は是非お願いしたいと思います。

 続いての質問ですが、新型インフル特措法の三十一条の六そして四十五条では、都道府県知事による事業者あるいは施設管理者に対する要請権あるいは命令権といったものが規定をされております。

 今回、対策本部長である総理の指示権の発動可能時期は前倒しをされることになるという内容なんですが、都道府県知事の要請そして命令の権限発動可能時期というものについては前倒しの規定はございません。

 私、事前の通告では、命令権について前倒しということを書いて通告をさせていただいたんですが、せめて要請だけでも事前に、蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態措置の発動以前から予防的に発動できるようにすることはできなかったんでしょうか。そういったことは考えられないんでしょうか。御意見を伺えればと思います。

後藤国務大臣 命令発出をまず申し上げると、事業者の自由や権利をこれは一定程度制限するものであることは確かでありますので、蔓延防止等重点措置又は緊急事態宣言が発出されている状況において一定の要件を満たす場合に発出することが可能となっているわけでありまして、このため、蔓延防止等重点措置、緊急事態宣言が発出されていないような時点で事業者への命令発出を可能とするということについては慎重に検討するべきだというふうに考えているわけであります。命令発出については、そういう意味で、これはある程度法律に基づく措置としてこのようにいたしております。

 御趣旨からいうと、要請等ができないかというようなことはあろうかと思いますけれども、いろいろな形の、要請ということであれば、特措法においても、いろいろな、もう少し前のレベルで要請を出すこともできる仕組みにはなっておりますので、いろいろその辺のところは、命令権限の発動ということで、今回、そういうところについてはちょっと難しいということであります。

浅野委員 ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思いますが、もう少し都道府県の命令権について掘り下げていきたいと思います。

 今回の法改正の中で、都道府県知事が施設管理者や各事業者に対して命令権を発動させるときの要件として、新たに、政令で定める事項を勘案してという文言が追記をされました。

 まず伺いたいのは、勘案をするというのは、どこまで知事の判断を制約するものなのか。法技術的な話になりますので、こちらは参考人でも答弁は構わないんですが、勘案してというのは、どこまで知事の判断を限定するものなのか、どのように捉えればいいのか、まず、その点、答弁いただければと思います。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の法改正案の規定、これも、有識者会議の報告書におきまして、都道府県の特措法に基づく措置について、個々の事例についての判断がより迅速的確に行えるよう、国が適切な運用の在り方について基準や指針を示すことが重要であるとの指摘を踏まえて盛り込んでいるものでございます。

 具体的には、次の感染症危機に備えて、命令等の措置の実効性を向上させるため、政令に、都道府県知事が事業者に対して命令を発出する際の判断に係る勘案事項を規定するための委任規定を設けたものでございます。

 お尋ねの、勘案してという文言の意味でございますが、事業者に対して都道府県知事が命令を発出する際の要件である、特に必要があると認めるとき、これは法律にそう規定されておりますが、それに該当するか否かを都道府県知事が判断する際に、様々な事項を総合的に考慮して判断していくということになりますが、その際の考慮要素を政令で具体的に規定していくということでございます。

浅野委員 御答弁ありがとうございます。

 特に必要があると認める場合だけでは足りず、政令で定めた事項を考慮した上で特に必要があるかどうかを判断してくれ、そういうことなんだというふうにおっしゃったと思うんですけれども。

 条文をもう少し詳しく見てみますと、まず、蔓延防止等重点措置に係る要請を出す時点で、政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を行う者に対し、つまり、どういう業態の人に対して要請を出すかどうかをまず政令で定めているということですね。その次に、政令で定める措置を講ずるよう要請することができる、つまり、措置の内容についても既に政令で定められているんですね。それでもお願いしたことを聞いてくれなかった者に対して、今度は、特に必要があると認める場合には命令をすることもできるということで、もうかなり、事前、要請の段階から、要請をする相手、そして要請をできる内容については政令で定めていますから、それでも更に命令をするときに、政令で何かを定めてそれまで考慮しろというのは、都道府県知事の裁量がもうほぼないんじゃないかというふうに感じるわけですけれども。

 これから内閣感染症危機管理統括庁を立ち上げて、この組織が対峙すべきは未知の感染症というのも含まれます。未知の感染症になった場合に、じゃ、どういう対象にどういう措置をお願いするかというのは、必ずしも、これまでの蓄積された知見の延長線上にあるとは限らないと思うんですね。一定程度の柔軟性というのも、臨機応変に対応できる柔軟性というのも法律上確保しておくべきではないかと思うんですが、今回は更に知事の判断の幅を狭めるような改正になっているのが、非常に懸念点としてございます。

 ここまで話した上で、今回のこの、更に政令で定めるという部分、都道府県知事の裁量性、臨機応変な対応を阻害してしまうのではないか、この点について見解を伺えればと思います。

柳樂政府参考人 ちょっと確認をさせていただきたいと思うんですが、今先生の御指摘があった、もう既に政令で定める場合というような規定があった上でというような御指摘がありましたが、今読まれているのは今回の改正条項とは違う条項でありまして、同じ三十一条の六でありますけれども、一項のところを今先生は御指摘をされたのだと思います。

 今回、我々が改正しようとするところは、三十一条の六の一項ではなくて、三十一条の六の三項の部分で、ここは今、政令で定める事項とかそういうのが全くなくて、単に、特に必要があると認めるときに限りというだけの条文になっておりまして、それについて都道府県知事の勘案事項を明確化していく、そういう改正を行っております。

浅野委員 御確認いただいて、ありがとうございました。

 そのとおりです。私が指摘をさせていただいたのは、まず、政令に基づき要請をして、それでもなおかつそれを実行しない者に対して命令ができるというたてつけでしたから、要請をする段階である程度政令で定められた事項の範囲内になっていたわけで、かなりの限定がかけられていました。さらに、それでも言うことを聞いてくれない者に対して命令をする際に更に政令で限定をかけることが、本当に臨機応変な対応につながるのか、ここを指摘させていただいたわけでございますので、第一項の政令については特段問題視はしてございませんが、第三項において追加的に政令を定めるということが問題なのではないか、これが私の質問の趣旨でございます。

後藤国務大臣 私は、先生の御趣旨、正しく受け止めていたつもりであります。

 有識者会議で議論をされましたのは、都道府県の特措法に基づく措置について、個々の事例についてより早く判断が迅速的確に行えるようにするためには、ある程度、国が適切な運用の在り方だとか基準だとかそういうものを示す必要がある、そういう指摘もなされておりまして、そうした指摘を受けたことを踏まえた対応であります。

 命令発出の要件である、特に必要があると認めるときに該当するか否かを、勘案すべき事項を政令で書いておくということでありまして、都道府県知事が命令を行うに際して、個々の事例についての判断をより的確に行えるようにということであります。

 それで、問題は、どの程度の政令の書き方になるかということが先生の御懸念に影響が出てくることだというふうに思います。そういう意味におきましては、今後、必要な命令の発出を制約することがないように、先生の御懸念に触れることがないように、機動的な運用が行えるようにすることも重要であるということを考えて、この政令の内容は十分丁寧に検討してまいりたいと思います。

浅野委員 大臣、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 時間が少し短くなってまいりましたので、一問飛ばさせていただいて、続いて、統括庁について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、政府は今回、内閣感染症危機管理統括庁の業務として、新型インフルエンザ等対策政府行動計画等に基づく各省庁の準備状況のチェック及び改善を行うこととしております。各省庁は、これらの点検や改善によって、常に即応体制を整えておく必要があると感じております。

 この即応体制というところが私は非常に肝だと思っているんですけれども、具体的にどのように、この行動計画に基づくチェックと改善によって即応体制に結びつけていくのか。現在政府で検討されている内容について教えていただきたいと思いますし、是非、この点検や改善というプロセスがどの程度の頻度で行われていくものなのか、教えていただきたいと思います。

柳樂政府参考人 御指摘の、いわゆるPDCAサイクルの回し方ということになると思います。

 今般のコロナ対応の経験ですとか、あるいは昨年六月の有識者会議の報告書を踏まえまして、政府行動計画等の内容を充実をさせ、これに基づいて各省庁や都道府県において充実した訓練や有事への備えに係る業務を着実に実施するとともに、また、それらが有事に機能するものとなっているかを統括庁において点検し、更なる改善を行うこととしているものでございます。

 平時において、こうしたPDCAサイクルを着実に推進できるよう、統括庁の体制について、これまで、新型インフルエンザ等対策室、コロナ以前の組織でございますが、よりも増員をいたしまして、三十八人を確保するということといたしているところでございます。

 また、今後の政府行動計画の見直しの中で、いわゆるPPE、個人防護具等の医療用物資の具体的品目や備蓄数量について具体的に記載をする、また、訓練の内容を見直して、より実践的なものとすることなどを検討するとともに、また、これらのチェック、改善の頻度についても今後検討を加えまして、平時の備えが有事においてしっかりと機能するものとなるように取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

浅野委員 次の質問に移りたいと思います。

 続いては、統括庁が平時からどのような情報を収集し、把握しておくべきかという質問になるんですけれども、まず、新型インフル特措法の第十四条では、厚生労働大臣に様々な報告義務を課す規定がございます。例えば、罹患した際の病状の程度に関する情報であったり、感染症の発生状況、あるいは感染症の動向や原因に関する情報、そして感染症の予防や治療に必要な情報、その他必要な情報、こういった様々な情報を調査、収集して、厚生労働大臣が対策本部長である総理に報告をする義務が規定をされてございます。

 ただ、実際には、厚生労働大臣が直接、調査、情報収集を行うのではなく、都道府県に対して、それらの情報収集作業というのが協力要請という形で行くことになります。

 私は、この三年間の反省として、例えば、この間、HER―SYSであったり、VRS、そしてCOCOAといった様々な情報システムが開発されてまいりましたが、一部、連携不足であったり、機能不全といった多くの問題があり、決して、全体で見たときに、それぞれ、包括、それらで集めた情報を統合的に管理、把握するような手段がこれまであったとは感じておりません。

 ですから、これから統括庁を設立するに当たっては、有事の際に迅速なデータ収集や分析を行うためにも、平時からしっかりそうしたデータを収集し、連携させ、統括庁として全体の状況を把握できるようなシステムの、情報基盤の整備が求められると思うんですけれども、聞くところによると、新型インフルエンザ等対策政府行動計画に含まれていない、この情報システムの構築に向けた内容が。これは是非含めるべきではないかなというふうに思うんですが、是非、大臣の御見解を伺いたいと思います。

後藤国務大臣 今委員から御指摘いただいたデジタル化の推進、これをしっかりと取り組むことは重要なことだというふうに考えております。

 現行の政府行動計画には、御指摘のような、今般のコロナ禍において新規に開発、使用された医療システム等について記載はなされておりません。おっしゃるとおりでございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症への一連の対応を振り返る中で、政府行動計画においてこうした情報基盤の整備について盛り込むように、検討してまいりたいと思います。

浅野委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。大変重要なことだと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問になるかと思いますが、政府参考人の方に伺いたいと思います。

 情報システムの関係で、厚生労働省が、新型コロナウイルス感染症が流行するよりも前に、パンデミックを想定した症例情報迅速集積システム、FFHSというシステムに研究予算を投じて開発をしたということを伺っております。このシステムは、医療機関や保健所などで診断された感染症の症例情報を迅速に集積し、分析することで、感染症の発生動向を把握することを目的として開発されたものなんだそうです。

 まさに新型コロナのときなどに活用されればよかったのではないかというふうに思うわけですが、ただ、実際に活用されてはいなかったということを伺いました。なぜ活用しなかったのか。是非、その理由について教えていただきたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の症例情報迅速集積システム、FFHSと呼んでおりますけれども、これにつきましては、平成二十二年度より厚生労働科学研究において検討されておりましたが、新型コロナの発生当時において研究段階にとどまっておりまして、開発、運用は行っていないものでございます。

 それで、お尋ねの本システムが活用されなかった理由ということでございますけれども、このFFHSの目的は、患者の年齢、性別等の最低限必要不可欠な情報を迅速に共有することとしている一方で、今般の新型コロナ対応におきましては、患者の年齢や性別等の情報の収集に加えて、自宅療養者の健康観察結果等の迅速な把握、共有が求められたこと、また、今回、保健所に発生届の事務負担が大きなものとなっていたことから、保健所だけではなくて、医療機関においても、システム上、直接発生届が提出できて、保健所等へ共有することができる仕組みが必要だったことから、新たなシステムとしてHER―SYSの開発に至ったものでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 続きはまた次回以降させていただきたいと思うんですけれども、今の話を聞いていても、なぜ、このFFHSで開発、培ってきた、システムのベースデザインであるとかノウハウというものが今回生かされなかったのか、生かされたのかどうかもちょっとこれから確認をさせていただきたいと思うんですが、非常にもったいないというふうに思うんですね。

 だからこそ、先ほど大臣が御答弁いただきましたように、基本的な計画の段階で、こうしたものが必要だというのをしっかり国の方で、統括庁の方で示していただいて、それに基づいて厚労省なり各省庁が必要な情報を収集できるシステムを構築しなければいけないと思いますので、大変重要なものだと思っておりますので、是非そのことを重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 新型インフル特措法、内閣法改正案について質問をいたします。

 政府の司令塔機能強化といいますけれども、そもそも、この間の政府のコロナ対策がどうだったのかという検証が必要であります。

 政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は、専門家の意見を聞くプロセスを経ずに政策を決めるケースがあったと述べておりますが、この指摘をどう受け止めておられますか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスはその性状を急激に変化させることなどから、状況に応じて、感染拡大防止と社会経済活動のバランスが取れた効果的な対策を講じることが重要でありまして、このためには、幅広い分野の専門家の科学的知見やエビデンスに基づく検討が極めて重要であると考えています。

 このため、これまでも、コロナ対策分科会を始め様々な場面において、感染症や経済などそれぞれの専門的立場から知見を伺った上で、それらを踏まえて政府として必要な判断をし、責任を持って対策を講じてきたところでございます。

 他方、新型コロナ対策の検証を行った昨年六月の有識者会議の報告書においては、次の感染症危機に向けた中長期的な課題の一つとして、エビデンスに基づいてウイルスの特性に応じた科学的、合理的対策などを行うための意思決定プロセスについて一層の明確化、体系化を図る必要があるとの指摘をいただいておりまして、こうしたことについては我々も重要なことだというふうに考えております。

塩川委員 専門家の意見を聞くプロセスを経ずに政策を決めるケースがあったという尾身会長の指摘をどう受け止めるかという点についてのお答えはありませんでした。

 専門家の科学的知見を軽視をし、政権の都合を優先した政策が推進されてきたのではないのか、こういうことが問われているわけです。

 お尋ねしますが、二〇二〇年の二月末、当時の安倍首相が全国の小学校、中学校、高校の休校を要請した際に、当時設置をされておりました政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では議論がされたんでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナ対策のための小学校、中学校、高校及び特別支援学校等における一斉臨時休業の要請については、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において、当時は、推進会議の前身ですが、議論はされておりません。

 しかしながら、令和二年二月二十四日に開催された同会議において、これから一、二週間が急速な拡大に進むか収束できるかの瀬戸際との見解が示されまして、また、新型コロナの拡大の防止のために迅速な対応が必要であることという御指摘を踏まえて、一斉臨時休業の要請を行うことを同月二十七日に政府対策本部において決定したものと認識をいたしております。

塩川委員 一、二週間が瀬戸際と。その場合、ではどういう施策がふさわしいのかといった点について、全国休校がいいのかという点についての専門家の意見を聞く、そういうことが行われていないという点が問われているわけです。

 次に、二〇二〇年の四月に政府対策本部で、突然、全世帯への二枚ずつの布マスク、アベノマスク配付を打ち出した際に、このコロナウイルス感染症対策専門家会議では議論がされたんでしょうか。

後藤国務大臣 マスクについては、令和二年三月九日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議で示された専門家の見解において、クラスター発生のリスクを下げる効果があるとされたところであります。

 一方、当時はマスクの需給が逼迫しておりまして、多くの国民が市中でマスクを全く手に入れることができない状況であった。このような状況の中で、マスクの需給の逼迫を解消し、国民の健康を守るために、同年四月に厚生労働省において、布製マスクを国民全体に配付することとしたものでありまして、これは尾身会長が御自身でお話しをされているように、配付すること自体について相談はなかったというふうに申し述べられているとおりであります。

塩川委員 今お話があったように、専門家会議で議論がなされていなかった、そういったことこそ検証を行う必要があるということを併せて申し上げておきます。

 専門家会議は、感染実態の状況分析や三密回避対策などを提言し、貢献してまいりました。これらの提言が反映をされ、政府対策本部決定の基本的対処方針ともなっています。この専門家会議の意見も聞かずに、政府は全学校閉鎖やアベノマスク配付を打ち出したわけであります。

 しかも、政府は、二〇二〇年の六月には、政府対策本部直属だった専門家会議を廃止をし、平時対応の新型インフルエンザ等対策有識者会議の下の新型コロナウイルス感染症対策分科会へと変更してしまいました。その背景には、この専門家会議が、感染症対策として、行動変容を促す意図から、政府に経済的な補償の要請を求めるなど、官邸の意向に沿わない提案を行ってきたことがあり、専門家会議を政府対策本部から遠ざけようという意図があったのではないのかということを私も当時指摘をしたところであります。

 続いて、その後、二〇二〇年の十二月、菅政権は、翌年の一月末が期限となっているGoToトラベルキャンペーンについて、六月末まで延長する閣議決定を行いました。その際に、政府はコロナ対策分科会に諮問したんでしょうか。

後藤国務大臣 GoToトラベル事業については観光庁において実施された事業でございますけれども、御指摘の延長については観光戦略実行推進会議において決定したものであると承知しております。本決定について、新型コロナウイルス等感染症対策分科会には諮っていない。

 今先生からお尋ねの件については、尾身会長から、事前に御相談がなかったものとして御指摘を受けている案件でございまして、そのことについては率直に認めますけれども、実際に、専門家の皆様に多くの実際の対応については御相談もさせていただいてきたということも併せて申し添えさせていただきたいと思います。

塩川委員 転機となるような時期の施策がどうだったのかという点でも、GoToトラベルキャンペーンの延長というのは、まさに年末年始で大きく感染が拡大する、そういう時期のものであって、そういうときに、尾身会長自身、当時、分科会にそういう諮問はありませんと国会でも答弁をしておりました。尾身会長は、私どもは今の感染状況のときは中止した方がいいということを再三申し上げてきたと述べていることも指摘をしておきたいと思います。

 最後、もう一つ、二〇二二年の七月、岸田政権は、濃厚接触者の待機期間を七日間から最短三日間に短縮をしました。その際に、コロナ対策分科会の意見を聞いたんでしょうか。

後藤国務大臣 御指摘の濃厚接触者の待機期間の短縮については、感染症法に基づく措置でありまして、厚生労働省において、令和四年七月二十二日に決定したものです。

 新型コロナウイルス感染症対策分科会においては、濃厚接触者の待機期間の短縮について事前にお諮りすることはしてはおりませんけれども、この取扱いについては、感染が急拡大している中で、感染拡大防止対策としての在り方を検討すべきとの専門家等からの提言、それから、厚生労働省の助言組織であるアドバイザリーボードにおける専門家等の意見、そうしたものを十分に伺った上で、公表する際に、専門家の皆さんと共有しながら取りまとめたという認識でおります。

塩川委員 濃厚接触者の待機期間の短縮といった点については、専門家の皆さんからもそういう検討が必要だという話はあるわけですけれども、それが最短の三日間でいいかどうかということこそ、きちっと検討する必要があるわけで、コロナ対策分科会の意見を聞いていないということでいえば、そういう点での政権としての政治判断がそこにあったということです。

 アベノマスクや全校の休校、GoToの延長、濃厚接触者の待機期間の短縮など、専門家会議やコロナ対策分科会の意見を聞いていない事例を紹介をしました。これは、専門家の科学的知見を軽視をし、政権の都合を優先した政策が推進されてきた、こういうことを示すものではありませんか。

後藤国務大臣 政権の都合というのが何をお示しになっているのかは私にはよく分かりませんけれども、政権にとって最も大事だったのは国民の命と暮らしを守ることであり、そのことは国民から最も政府が信頼される一番の道だったというふうに思っております。

塩川委員 GoToの延長がどうだったかということもしっかりと検証すべきだということを申し上げておきます。

 それで、専門家が科学的知見を踏まえてコロナ対策の提案を行える制度的保障が必要ですけれども、現状はどうなっているか。新型インフル特措法第七十条の二で、有識者会議としての新型インフルエンザ等対策推進会議が設置をされております。この特措法第七十条の三で規定している対策推進会議の所掌事務は何かについてお答えください。

後藤国務大臣 意見を述べたことがあるかという御質問でありますか。(塩川委員「七十条の三そのものが所掌事務として何を規定しているかということですね」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。

 どうも失礼しました。新型インフルエンザ等対策推進会議の所掌事務については、特措法七十条の三第一号におきまして、第六条第五項の規定により内閣総理大臣が政府行動計画の案を作成しようとするときに内閣総理大臣に、十八条四項の規定により政府対策本部長が基本的対処方針を定めようとするときに政府対策本部長に、それぞれ意見を述べることとされております。また、特措法第七十条の三第二号において、これらの意見を述べることのほか、新型インフルエンザ等対策について調査審議し、必要があると認めるときは内閣総理大臣又は政府対策本部長に意見を述べることも所掌事務とされております。

塩川委員 そのような所掌事務のある対策推進会議ですけれども、この七十条の三の第二号の方で、新型インフルの感染症対策について、必要があると認めるときは政府に意見を述べることができると規定をされています。このように、対策推進会議が必要があると認めるとき政府に意見を述べる、この規定を使って対策推進会議が政府に意見を述べたことというのはあるんでしょうか。

後藤国務大臣 これまで、特措法七十条の三第二号の規定に基づいて新型インフルエンザ等対策推進会議が内閣総理大臣又は政府対策本部長に意見を述べたことはありません。

塩川委員 この対策推進会議自体は何回ぐらい開かれているんでしょうか。

柳樂政府参考人 この対策推進会議というのは、親会議である対策推進会議と、その下に各種分科会がそれぞれ設置をされているということでございます。

 合計の数字、今直ちに持っておりませんが、非常に頻繁に開かれておりまして……(塩川委員「親会議の話」と呼ぶ)親会議につきましては、分科会の決定でもって迅速に意思決定をしていくという観点から、二つの分科会、いわゆるコロナ対策分科会と基本的対処方針分科会、それぞれが分科会として最終決定をすることができるという位置づけにありますので、親会議そのものは一回開催しているということでございます。

塩川委員 法律で規定されている対策推進会議は一回しか開いていない。議長を選んで、会議の運営規則を定めただけで、それも持ち回りだったわけであります。

 今御説明のように、その下に子の会議があるということで、基本的対処方針の分科会ですとかコロナ対策分科会等々、分科会が設定をされているわけです。

 それで、先ほど大臣の答弁をいただいたように、第七十条の三の第二号の規定を使って、対策推進会議が必要があると認めるとき政府に意見を述べる、こういうことは行っていないということでありました。子の会議も含めて、この規定に基づいて意見を述べたということはあるんでしょうか。

後藤国務大臣 先ほど、意見を述べたことがないというふうに申し上げたつもりでありました。

 今、政府参考人の方からも申し上げたように、新型インフルエンザ等対策推進会議の下に、基本的対処方針分科会、新型コロナウイルス感染症対策分科会、これは頻繁に会合を開いておりまして、そういう意味では、厚生労働省に置かれておりますアドバイザリーボード、それから新型コロナウイルス感染症対策分科会は今回コロナの対応においてフル回転をしていただいていると思っています。

塩川委員 親会議の下に子の会議があって、基本的対処方針分科会ですとかコロナ対策分科会が頻繁に開かれていますと。その点でいえば、基本的対処方針に対して、変更する際には意見を述べるということもありますし、また、必要があれば、政府としてコロナ対策分科会の開催を求めるということもあるわけであります。

 ただ、このような、分科会の方から政府に対して、まさに必要だということで意見を述べるということができるのかという問題なんですけれども、やった事例はないという答えなんですが、例えば、二〇二二年八月にコロナ対策専門家有志の緊急提言がありました。その際に、なぜ今提言なのか、政府のコロナ分科会で議論するのが筋ではないかというマスコミの質問に尾身氏は、分科会開催は政府が決める、その場がないので今日この場で示した、このようなことを言い、また、ほかの方からも、分科会で議論してほしかったと述べています。

 このように、分科会のメンバーの方々が分科会を開いてほしかった、分科会で議論してほしかったといったときに、つまり分科会メンバーで政府に意見を述べたいということを求めたときに、なぜ分科会を開くことができなかったんでしょうか。

後藤国務大臣 私は、そのときの事情のことについては、御通告も特に私は承っていなかったので、そのときの事情について、どういう状況であったのかは分かりません。

 できる限り、委員の先生方が議論をしたいとおっしゃるときには議論をしていただくことが筋だろうというふうに思っておりますけれども、今の御指摘については、その事実の状況等について私は今承知しておりません。

塩川委員 事務方でも結構なんですが、分かれば教えてもらえますか。

柳樂政府参考人 御通告がないので、今この場で直ちに正確に政府として申し上げることはできません。

塩川委員 お聞きしているのは、法律上は、対策推進会議が必要があると認めるときには政府に意見を述べるという規定があるんですけれども、それが活用されていませんよねという話をしているわけなんです。

 その際に、今言ったように、具体の、昨年の八月の段階で、分科会が意見を述べたいと言ったのに開かれない、なぜこんなことになるのかというのは、この分科会を置くことを規定をしている政令に差し障りがあるんじゃないのかということを私は指摘をしたいと思っています。

 分科会について定めた新型インフル特措法の政令では、分科会の所掌事務は、会議の所掌事務の一部を担うとされています。政令においては、分科会の所掌事務として、必要があると認めるときは政府に意見を述べるという規定が記載されていないということですよね。

柳樂政府参考人 分科会の規定はございますけれども、それぞれ分担を規定しているだけでございまして、分科会の権限が推進会議本体よりも小さくなっているとか、そういうことはございません。

塩川委員 法文の方では、インフルエンザの対策について調査審議し、必要があると認めるときは総理又は本部長に意見を述べることとあるんですけれども、政令の規定ぶりを見ると、例えばコロナ対策分科会の規定のところには、調査審議することしか書いていないんですよ。必要があると認めるとき総理、本部長に意見を述べるというのは落ちているんですよね。そういうことですよね。

柳樂政府参考人 繰り返しになりますけれども、政令で所掌事務と書いてありますのは、各分科会における分担を定めているだけでございまして、分科会単体で推進会議としての行為はできるということでございます。

塩川委員 ですから、分担は分担なんだけれども、もちろん、だから、基本的対処方針分科会は基本的対処方針についての意見と、そっちの方は入っているわけですから。コロナ対策分科会には入っていないわけですよね。

 そういう分担は分かりますよ。だけれども、第七十条の三の第二号にある調査審議、これはどこにも書いてあるんだけれども、必要があると認めるときには総理、本部長に意見を述べるという規定は、法文にはあるのに、政令の所掌事務には書いていないでしょうということを聞いているんです。

柳樂政府参考人 繰り返しの御答弁になって大変恐縮でございますが、各分科会の規定はそれぞれの分科会間の分担を決めているだけでありまして、各分科会自体が、法律に基づく、推進会議の規定に基づく権限、例えば提言であれば提言を出すことができるということでございますので、政令で調査審議しか書いていないから法律に基づく推進会議の権限が行使できないということではございません。

塩川委員 必要に応じて政府に提言ができるということで読めるという話ですから、そういう点では大いにこれを活用されてしかるべきなんだけれども、そういう状況になっていないわけです。分科会を開こうというにも開かれないという現状があるんですから、そういう現状こそ正す必要があるということを言わなければなりません。

 そういう点でも、専門家が自らの科学的知見に基づいて政府に意見を述べるという場や機会が欠落しているのではないのか、制度面でも科学的知見に耳を傾けないような仕組みになっているのでは問題だということを述べておきたいと思います。

 あわせて、新設する国立健康危機管理研究機構、日本版CDCの関係ですけれども、ここで、対策推進会議の所掌事務にある、対策推進会議は、必要があると認めるときは総理又は政府対策本部長に意見を述べるという規定と同様の事務を持つんでしょうか。厚労省の方でお答えください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 感染症等に関する科学的知見の基盤、拠点となる新たな専門家組織、いわゆる日本版CDCを創設するため、国立健康危機管理研究機構法案及び国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を今国会に提出いたしました。

 これらの法案におきまして、機構が統括庁に対して迅速に質の高い科学的知見を提供し、政策決定に役立てることができるよう、平時から科学的知見を統括庁や厚生労働省に報告するとともに、パンデミック時には、インフル特措法に基づき、政府対策本部長の招集を受けて政府対策本部で意見を述べることができることについて、規定を盛り込んでいるところでございます。

 なお、機構におきましては、平時から統括庁や厚労省との間で感染症に関する情報提供や意見交換等を積極的に行うことにより、これら組織と密接に連携できるようになりますので、そうした体制の整備等に取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 研究機構法においては、このインフル特措法改定案の部分の規定で、政府対策本部長は必要があると認めるとき本部会議において機構に意見を述べさせることができるというもので、主語は本部長。機構が意見を述べるという事務は規定されていません。機構法案の方では、機構は省令で定めるところにより業務の実施状況を総理及び厚労大臣に報告するものとするとあるだけで、具体的に意見具申の規定まで触れた中身にはなっていないわけです。

 そういう点でも、政府に対して専門家がコロナ対策の提案を行う、そういった制度的保障が担保されていないと同時に、実際に、そういった制度があるとされていたとしても、それが機能していないという点でも政府の姿勢が問われるということを指摘しておくものです。

 それから、こういった会議体についてなんですけれども、五類への見直しを行う五月八日以降、コロナ対策の提案という役割を担ってきたコロナ対策分科会は継続するんでしょうか。

後藤国務大臣 こうした子の会についても、当分の間、まだコロナウイルスの状況の見極めが必要でありますから、そのまま存続をさせます。

塩川委員 厚労省にお尋ねします。

 五類への見直しを行う五月八日以降、コロナ感染症の分析と評価という役割を担ってきた厚労省のアドバイザリーボードは継続するんでしょうか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけが変更された後のアドバイザリーボードの開催につきましては、その時々の新型コロナの感染動向等を踏まえて判断していくこととなると考えております。

塩川委員 やはり科学的知見に基づいた施策の具体化こそ必要であって、恣意的な運用を行う歯止めになるような対応が求められている、そういう点で、それを伴わないような司令塔機能の強化ということでは、市民の権利侵害や、感染症対策に逆行する施策となる懸念が拭えないということを指摘しておきます。

 次に、司令塔機能としての統括庁の位置づけについてなんですけれども、内閣に置かれている復興庁、デジタル庁と統括庁はどのように違うんでしょうか。

後藤国務大臣 復興庁やデジタル庁は、内閣に直接設置され、内閣補助事務、これは行政各部の総合調整と、分担管理事務、例えば復興一括交付金の配賦だとかシステムの管理だとか、こうした二つの、内閣補助事務、分担管理事務の双方をつかさどることとされています。

 統括庁は、国政全般の総合戦略機能をつかさどる内閣官房に置かれまして、内閣補助事務のみをつかさどる点で、復興庁やデジタル庁とは異なるというふうに考えております。

塩川委員 次に、内閣府に置かれている消費者庁や金融庁と統括庁はどのように違うんでしょうか。

後藤国務大臣 消費者庁や金融庁は、内閣府の外局として置かれまして、大臣からは独立的な位置づけで、自らの名前において行政事務の実施を行う組織とされているものと認識いたしております。

 統括庁は、このような独立的な位置づけではなくて、内閣総理大臣を直接に補佐、支援する機関である内閣官房に置かれ、内閣官房が有する最終、最高の総合調整権を行使し、内閣総理大臣や官房長官を直接助ける組織であるという点で、消費者庁、金融庁とは異なるものです。

塩川委員 次に、内閣官房に置かれている内閣人事局と統括庁はどのように違うんでしょうか。

後藤国務大臣 内閣人事局と内閣感染症危機管理統括庁は、いずれも内閣官房に置かれて、内閣官房長官に直属する組織である点では同じではありますけれども、統括庁は、厚生労働省の医務技監が庁の幹部に充てられ、厚生労働省との一体性を有する特殊な組織であること、所掌事務上も、特措法に基づき、地方公共団体まで含めた強力な総合調整及び指示の権限を有していること等におきまして、内閣人事局とは組織、事務の性質が異なるものと考えております。

塩川委員 そこで、統括庁の名称なんですけれども、例えば統括庁を英語名称で言うとどういう表記を考えておられるんでしょうか。

後藤国務大臣 お尋ねの内閣感染症危機管理統括庁の英語名称については、現時点では決まっておりません。

塩川委員 デジタル庁、復興庁とか消費者庁、金融庁、これはそれぞれエージェンシーがつくわけですよね。つまり、執行機関として、いわゆる分担管理事務、独立して行うといった機関になるわけですけれども、統括庁の場合にはエージェンシーという言葉は当てはまるんでしょうか。

後藤国務大臣 今申し上げたみたいに、英語名称について、現時点では決まっておりません。

 統括庁を設置するまでの間に、国民や諸外国から見て統括庁の役割が分かりやすく説明できるような名称にするべく、今後検討してまいりたいと思います。

塩川委員 いわゆる庁がつくところというのは、分担管理事務になっているわけですよ。だけれども、統括庁は、分担管理事務はない、内閣補助事務のみというのが先ほどの答弁でもありました。その場合に、庁という名称をつけると非常に混乱を招くことになりはしませんか。

後藤国務大臣 統括庁は、行政各部の感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を担う組織として設置することとしています。こうした組織の役割をより的確に表現するために、昨年六月の政府対策本部決定において司令塔機能を創設することとした趣旨を推し進めるとともに、各府省の外局などの既存の庁とは区別する観点からも、内閣危機管理の統括庁という名称としたものであります。

塩川委員 既存の庁とは区別すると。別に、庁という言葉をつけなければ区別する必要もそもそもないわけですよね、違うと言っているわけですから。

 お話がありましたけれども、昨年六月のコロナ対策本部決定では、内閣官房に新たな庁を設置する、内閣感染症危機管理庁を置くと、庁の名称を使っていたんですけれども、今回の法案では統括庁となっています。どういうことでしょうか。

後藤国務大臣 いろいろ検討する中で、今も申し上げたんですけれども、組織の役割をより的確に表現するためには、昨年六月の政府対策本部決定において司令塔機能を創設することとした趣旨を推し進めるとともに、各府省の外局などの既存の庁と区別する観点からも、内閣感染症危機管理統括庁という名称にさせていただいたということです。

塩川委員 今は統括庁、昨年六月は内閣感染危機管理庁ということですけれども、そもそも、岸田総理が二〇二一年の総裁選で掲げていたのは健康危機管理庁だったんです。この二一年総裁選で岸田総理が看板政策に掲げた健康危機管理庁というのは、どこに行ってしまったんでしょうか。

後藤国務大臣 御指摘の総裁選挙における政策等については、政府としてお答えすることは差し控えたいと思います。

 ただ、いずれにせよ、内閣感染症危機管理統括庁は、昨年六月に取りまとめられた新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の報告書において、次の感染症危機に備え、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能を強化し、一元的に感染対策を指揮する体制が必要であることが指摘され、そうした指摘を踏まえて、感染症危機対応における司令塔組織として内閣感染症危機管理統括庁を設置することとしておりまして、統括庁が司令塔機能を発揮しまして、国民の命、健康の保護と経済活動の両立を図りながら、感染症危機に迅速かつ的確に対応することが可能となるものと考えております。

塩川委員 ですから、庁はエージェンシー、執行機関、分担管理事務を担うというのがあるのに、岸田総理が総裁選でも危機管理庁と言ってしまったから、結局、そこをこだわらざるを得なくて、統括庁と、表記から何だかよく分からない組織になったというのが実態なんじゃないでしょうかね。そう思いませんか。

後藤国務大臣 統括庁は、各省庁の対応を強力に統括して、政府全体を俯瞰した総合的な視点で感染症危機管理を推進するために、各省より一段高い立場で国政全般の総合戦略機能を担う内閣官房に、総理、官房長官が直轄する恒常的な組織として設置するものとして、統括庁ということになっております。

塩川委員 総理の看板政策の名前だけは残したいというところが背景にあると思うところであります。

 最後に、この間議論もされてきている内閣法の第十二条第二項第十五号、内閣官房の所掌事務のところの「法律」についてですけれども、今回、インフル特措法が入るということですけれども、現行の法律で既に対象となるというものというのはあるんでしょうか。

後藤国務大臣 内閣官房が所掌することとなるものは、現時点では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく事務のみです。

塩川委員 ほかに同じような規定を持つ法律には、同じような組織法、設置法ではどのようなものがあるのかについて御説明いただけますか。

柳樂政府参考人 お答えします。

 各府省の設置法におきまして、御指摘の内閣法第十二条第二項第十五号の規定と同様に、法律に基づいて○○省に属せられた事務というふうに規定されているものがございます。

塩川委員 内閣府の設置法などでも、法律に基づきということで、どんな法律が対象になるかということについては、内閣府の方に問い合わせたところ、網羅的に整理したものはないという話であります。

 非常に不分明なところでありまして、こういう規定があることによって内閣官房の機能が肥大化するんじゃないのかといった懸念が生じるということを申し述べて、質問を終わります。

大西委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 本日、朝から夕方まで審議が行われたんですけれども、ここで十分に明らかになったのは、この法律は全然駄目だ、次の感染症対策のときに司令塔機能を発揮するんだとおっしゃっているんですけれども、これはもう全然無理だ、だからこの法案は持ち帰ってやり直しや、というか、こんなに責任感のない内閣はもう総辞職やというのが本日の質疑のまとめになろうかと思います。(発言する者あり)まだ早い。まあ、続いていくわけなんですけれども。

 既に国内で七万人を超える方がコロナで亡くなってしまった。そして、これは七万人だけではなくて、見えない、間接的な死亡もあります。医療体制の不足、それから高齢者の施設でのクラスターですとか、コロナやワクチンの後遺症、コロナ禍での放置。そして、コロナ不況で経済的に傷ついている人。そして、今なお、医療などの現場で働く人を苦しめている。これへの反省がないし、危機感がないし、責任感がない。ここまで駄目な政権は、繰り返しますが、基本的に内閣総辞職しかありません。

 しかし、状況を変えないといけないので、まずは質問します。

 今回の新型インフル特措法等の法改正については、内閣感染症危機管理統括庁を新しくつくるのだ、三年前のコロナ発生の初動後にできたコロナ室を発展的に解消させ、平時から置く統括庁にする、司令塔機能を強化するということなんですけれども、内閣官房、後藤大臣に伺います。本日の質疑において立憲の青柳議員が指摘されたことをもう一度お伺いしたいんですよ。

 この間、アベノマスクですとか、学校の一斉休校ですとか、変なアプリですとか、政府が言うコロナ対策というのがありましたけれども、それについて、効果的だったのか、検証がなされた形跡がないですよね。しかし、それらは対策本部で決定した対策ですから、それらの対策の評価、検証を各省に任せる、自分たちは知らないではなくて、司令塔強化にこれはつながりませんので、各省庁の検証が不十分ならば内閣官房の大臣のところで検証するべき、あるいは、各省庁で検証したものが既にあるならば、内閣官房の後藤大臣のところでそれを精査、評価すべきだと。

 この指摘について、改めて後藤大臣、そうだと、内閣官房の後藤大臣のところで精査、評価するべきでよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 私は内閣法に基づいて、法律に基づいて仕事をしているので、それぞれの所管大臣が政策として決定、実行していることについて、所管省でしっかりと評価をしてもらいたいというふうに思っています。

 そして、いろいろなことを、それは我々いつでもきっちりと精査をし、そして評価をし直す、そのことの重要性は委員御指摘のとおりだというふうに思っていますけれども、その全てを待ってというよりも、我々は今、足下、次の感染症が起きたときのために司令塔機能を強化して、そして体制を整える、そういう方向で前へ進んで、国民の命を少しでも守る方向で進んだ方がいいというふうに思っています。

大石委員 立憲の青柳議員がおっしゃったときの回答よりも後退していると思うんですね。まさに次の対策に進むためにこそ、今、既に起きたことの検証を、それこそ司令塔機能を持つというところがちゃんとやってというのがないと無理でしょうというお話だったんです。

 そのときに後藤大臣は、個別の事業は所管の官庁で、まずは措置の評価をすることだ、ただし、一元的集約、国全体のかじ取りとの指摘、青柳議員の指摘と受け止めているので、新しい統括庁において取り組んでいく課題だというふうにお答えになったんですけれども、取り組んでいく課題だとお答えになったということは事実でよろしいですよね。

後藤国務大臣 それはおっしゃるとおりです。

大石委員 はい。なので、これをもう少し詰めて聞きたかったんですね。取り組んでいく課題だとお答えになったことなので、これは取り組むという意味でよろしいですよね。

後藤国務大臣 これは、今後とも、いろいろなことについて、きちんと反省をし、そして評価をし、将来に向けてよりいいものに変えていくために検討していくことは当然のことだというふうに思っております。

大石委員 でも、確認したいんですよ。将来の課題とか、次から本気を出すとか、そういうふわっとした組織づくりは要らないんです。自民党政権のコロナでの失策の居直りを許すことになっちゃいますし、無駄なもので役所のリソースを無駄遣いする、そういうことになってはならないんですよ。

 だから、取り組むべき課題だというのが、将来の何かいつかやりますではなくて、今日からこの法案の審議が始まって、数週間予定されている、この審査のプロセスで既に取り組んでもらわないと困るんです。

 なので、後藤大臣、この審査のプロセスでも内閣官房の後藤大臣のところで検証に取り組むと約束してください。伺います。

後藤国務大臣 先ほどから申し上げているように、不断の見直しをしながら、ちょっとでも前進できるように、皆さんと一緒に力を合わせていきたいと思います。

大石委員 イエスという意味ですか。イエスでよろしいですか。この審議の中で検証に取り組んでいただきたい。

後藤国務大臣 私が申し上げたとおりです。

大石委員 イエスじゃないからノーなのか分からないんですけれども、そういう態度だから、この法律は要らないだろう、そういうことだと思うんです。

 ただ、もっと言えば、そんな、この法律のことだけでは、関係ないといいますか、コロナ対策は終わっていませんので。だから、次の感染症対策のために、絶対にこのままにはしていてはいけないんです。だから、この国の対策の不備については、内閣官房の後藤大臣に精査、評価をしていただきます。できないなら、岸田総理にしていただきます。

 ここからは、コロナ対策の不備の一つのケースとして、地方衛生研究所、地衛研の人材不足、人員不足について質問していきますので、後藤大臣、聞いていてください。

 昨年の秋、令和四年九月二日、新型コロナウイルス感染症対策本部決定の新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対策の具体策が出されました。そこに、保健所の体制、機能の強化として、地方衛生研究所の整備が明記されました。次の感染症に備えるために、地方衛生研究所、略して地衛研と呼ばれたりしますけれども、が今の体制では駄目だということが政府によっても認められたことになります。

 ここで伺います。これは内閣官房に、司令塔機能にお答えしてもらいたかったんですけれども、どういうわけか厚労省しか答えられないと言われているんですけれども、取りあえず、司令塔担当の後藤大臣に伺いますね。

 これまで、地方衛生研究所の機能強化をうたわれても具体策がない状況でしたが、今回、取り組むということでした。現時点での具体的な策はどのようなものですか。

後藤国務大臣 厚生労働省しかお答えができないというふうに政府が言っているのは、厚生労働省の所管事項だからです。厚生労働省が来ておりますので、厚生労働省から答弁をさせていただきたいと思います。

本田大臣政務官 大石委員にお答え申し上げます。

 今後の新興・再興感染症に備え、地方衛生研究所には、特に、民間検査機関が検査体制を整え軌道に乗るまでの感染初期における検査需要にしっかりと応えること、そして、ゲノム解析等により地域における変異株の状況を分析し、自治体や国立感染研究所などと情報共有することなどが求められていると認識しております。

 そのため、地方衛生研究所の機能強化を図るために、国はこれまで検査機器の整備等の支援を行ってきたところでございますが、委託事業の実態調査や有識者の御意見等を踏まえ、地域保健法に基づく基本指針や関係通知等で地方衛生研究所の体制整備の在り方を示すこととしております。

 さらに、次の新興・再興感染症に整えた具体策としまして、昨年十二月に成立しました改正地域保健法に基づき、都道府県が主導する形で、域内の地方衛生研究所等による連携体制の構築を進める、それとともに、人員体制の強化、育成を図るため、令和五年度地方財政措置におきまして全国で約百五十名の職員を増員、令和五年度予算案に検査能力の向上等実践的な訓練に対する財政支援を盛り込んだところでございます。

 さらに、今般提出をさせていただいております国立健康危機管理研究機構法案とその整備案におきまして、新機構の業務として地方衛生研究所等の職員に対する研修等の必要な支援を行うことを規定するとともに、地方衛生研究所等はその職員に対して新機構が実施する研修等を受ける機会の確保に努める旨を規定することで、地方衛生研究所における検査やサーベイランスに係る資質の向上を図っていきたいというふうに考えております。

大石委員 地方衛生研究所の機能強化ということでお答えいただきました。

 結局は、人とお金をどうするんですかというところで、人としては、衛生研究所の職員を全国で百五十人、それ以外におっしゃっていた措置の部分は、それ以外の部分で一・五億円の令和五年度の予算案だというふうに聞いております。

 このうちの百五十人の職員の増員に関してなんですけれども、この百五十人、全国でということで、衛生研究所当たり二人ということなんですけれども、少なくないですか。これは厚労省としてどういう要求をどういう算出根拠でしたのか、お示しください。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 この交付金につきましては、厚労省ではなく、普通交付税措置においてついたものでございまして、地方交付税措置というのは、地方公共団体の規模等を踏まえ算定するものと認識しております。

 そこで、総務省の示しているものが人口百七十万人を想定して算定しており、それが、令和五年度の標準団体の措置人数を二名増員で、全国ベースで百五十名増員ということで、必ずしも都道府県に二名ずつ増員というわけではないということをお答え申し上げます。

大石委員 最終、総務省が措置をするとしても、厚労省としてどういう要求をしたんですかというふうに聞いたんですよね。

 先日から厚労省に聞いて、厚労省が予算要求した資料もいただきました。その中で、厚労省として地方衛生研究所ごとに二人の増員という、そのような資料でしたが、それでよろしいですか。

本田大臣政務官 ちょっと解釈が違っているかもしれませんけれども、厚労省の方では機器の支援を行っておりまして、人員増強につきましては、先ほどお伝えしたように地方交付税の方で措置が取られたということでございます。

大石委員 厚労省として地衛研の機能強化というものに主体的に取り組んでおられると思うんですけれども、だから、それは二名で足りるのか。今から、二名じゃ足りないんじゃないんですかという質問をしたいんですけれども、総務省に聞かないとそれは分からないということでしょうか。

本田大臣政務官 厚労省から総務省に対しまして、健康危機にしっかりと対応できる地方衛生研究所の体制を構築するために、その二名というところですね、必要な企画立案や各種調整を行う職員の増員について要求を行い、厚生労働省としては要求どおり措置を認めていただいたものと考えております。

大石委員 今の答えであれば、総務省がやったんだからという先ほどの、前の回答はよく分からないんですけれども、その二名の措置の要求が総務省によって通ったんだというお話でしたので、このまま、厚労省がその二名についてどう考えているのかというのを伺いたいと思います。

 新型コロナで検査体制が不十分だったという課題を政府として反省し、地域保健法での法的な位置づけを整備して財政支援を行うということは当然なんですけれども、ここで二つ大きな問題があります。一つには、この百五十人増というところで、これまでの経過を踏まえれば、余りにも足りないだろうと。そしてもう一つには、足りない上に、財政措置が先ほどおっしゃっていた交付金、地方交付税交付金ですので、一般財源に溶け込んでしまって、その算定どおりには増員されていないという問題があります。

 そういった現状をまず厚労省が認識して、かつ、司令塔機能を担う内閣官房が認識してこの問題に対処できるのかというところが、一番大事な、解決するべき点だということでお伺いしていきたいんですね。

 百五十人の地衛研の職員を増やし、検査体制を強化ということです。これは、地衛研ごとに二名ということ。でも、リアルな現場で、今実際に余りにも検査人員が足りないので、二名じゃ足りないんですよね、実際に。これはどういう認識なのか。今が十分で、もっと充実させます、そういう認識は間違いなんですよ。

 これは、遡ってみれば、過去にもっと大きな人数を、百五十人どころじゃない人数を減らしているということを見据えていますか。過去の削減を把握して今回の百五十人で足りると算定したかを知りたいんですが、これは先日問い合わせたんですけれども、そのときお答えいただけなかったんですけれども、例えば、過去数十年で地衛研の研究職の数はピークからどの程度減ったかということを御存じですか。お答えいただけますか。

本田大臣政務官 済みません、今、手元にないので、お答えを控えさせていただきます。

大石委員 先日も分からないとおっしゃっていたので、それでそうなるんですけれども、これも大変危機的なことだと考えています。

 二〇〇九年の新型インフルエンザのときも、保健所とか地衛研の人員体制の強化が必要だという報告はされていたんですが、無視されてきたという経緯は押さえていただきたいんですね。過去から人員が足りない、足りないという指摘も厚労省の審議会の中でもされているんですけれども、無視して、そこでコロナがやってきて、検査体制が全く取れないという、そういう大失策があった。その経緯を踏まえないと、次の感染症に備えるとは全くなっていないので。

 どのくらい減ったかについて厚労省からお答えがなかったので、次回までに正式に調べてもらおうと思うんですけれども、仕方なく独自でざっくり計算したんですよ。

 まず、地元の大阪市について調べましたところ、これは研究所の事業年報などから調べましたが、大阪市の地衛研でいうと、ピークが三十年ほど前で、研究職の数で七十九人。そこから徐々に減って、橋下維新市政になってからは雪崩を打つように減って、七十九人から、二〇一五年には四十六人まで減っています。一つの研究所の中で、研究職だけでも三十三人削減されている。

 大阪市は極端な例なので、次、全国を見ていきますと、厚労省が二〇一〇年の七月二十日開催の第一回地域保健対策検討会の資料に掲載されているデータがありました。そのデータによると、地衛研の常勤職員数、平均の推移で見ると、ピークから、都道府県では平均で五人減少、指定都市では平均で九人減少ということです。今回、二人の増員と言っていることですから、これは元にも戻らないということですよね。

 さらに、先ほど二〇一〇年の資料と言いましたが、二〇一四年の報告書で、これも厚労省の審議会のものですけれども、小沢さんという、地衛研の全国協議会長の方が重大な指摘をしています。職員や予算の削減によって検査技術を有する者がいないと、二〇一四年の段階で言っています。深刻な現状が報告されてきていましたが、国は放置しました。

 さらに、この小沢参考人ですけれども、その審議会の中でこうおっしゃっています。これほど健康に直結する非常に重要な機能を担っている地方衛生研究所ですが、これほど行政でないがしろにされている公的試験研究機関もないのではないか、非常に自虐的にならざるを得ない、財政や人事の草刈り場になっているとまで言わせています。

 この参考人の発言の背景には、大阪での地方独立行政法人化、地衛研の独法化の動きがあるんですけれども、これは次回に掘り下げるとして、それにしても、この独法化を承認したのも政府ですし、何もしなかった政府の罪は重いと考えています。

 伺います。改めて、全国的に見ても、一つの衛研当たり二名増員、足りなくないですか。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 地方衛生研究所の体制を構築するために必要な企画立案や各種調整を行う職員の増員について要求を行い、厚生労働省としては、要求どおり措置を認めていただいたものと考えております。

 そこで、地方衛生研究所の人員体制につきましては、地方衛生研究所を設置する自治体において把握し、適切に確保していただくべきものでありますが、当該措置を踏まえ、次の新興・再興感染症に整えた体制整備を行っていきたいと考えております。

大石委員 このように、厚労省の段階でも、非常に無責任な状況だと思うんですね。これらの事務は法定受託事務ですので、幾ら自治体がやるといっても、国が本来管理するべきものです。ですから、この交付金の問題というのも大きくて、実際に増えていない、職員数が。だから、少なくとも職員数や予算の基準を、何らかの形で、できるだけ法律の形で示すべきではないでしょうか。これはまた次回にも伺っていきたいんですけれども、こういった、厚労省も現場で実際に職員が増えているかを追えていない、追う気もないという感じで、実際にその司令塔機能を担おうという統括庁の内閣官房の後藤大臣も、これについて、まずいな、これはこの法案を見直さなあかんなと思われるか、お答えください。

後藤国務大臣 地衛研の問題は地衛研の問題として、きっちり議論したらいいと思います。

 この新しい法案について言えば、やはりきちんと、平時からしっかりと司令塔機能を発揮させて、そして有事の準備をしてという、そういうPDCAサイクルを回していくということは、日本の感染症対策にとって私は前向きなことであるというふうに思って、この法案をお願いをいたしております。

大西委員長 申し上げます。

 申合せの時間が経過しています。

大石委員 まとめますね。

 今大臣がおっしゃったことは、私が言ったことなんですよ。責任感がないこの法案の内容を見ても、それは無理ですよということを申し上げたんですよ。

 引き続き追及していきます。終わります。

大西委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十五分散会


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