衆議院

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第12号 令和5年4月12日(水曜日)

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令和五年四月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    尾崎 正直君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      勝目  康君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    田中 英之君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中野 英幸君    中山 展宏君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    吉田 統彦君

      岩谷 良平君    浦野 靖人君

      堀場 幸子君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   高市 早苗君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       西辻  浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     田中 英之君

  小寺 裕雄君     大岡 敏孝君

  平沼正二郎君     勝目  康君

  太  栄志君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     小寺 裕雄君

  勝目  康君     平沼正二郎君

  田中 英之君     池田 佳隆君

  吉田 統彦君     太  栄志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府健康・医療戦略推進事務局長西辻浩君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自民党の石原宏高でございます。

 早速ですが、次世代医療基盤法改正案について質問に入らせていただきたいと思います。

 WHOが発表した二〇二〇年版の世界保健統計によると、日本の平均寿命は八十四・三歳、世界一の長寿国です。本来は喜ばしいニュースですが、ところが、多くの方はこのニュースを聞くと、長生きはいいけれども老後が心配だとおっしゃいます。これは、寿命と健康寿命の差があるからです。平均寿命は八十四歳ですけれども、健康寿命は七十四歳。逆に言えば、人生最後の十年間は病気とつき合っていかなければならないということです。

 健康寿命を延ばす、この目標を掲げて、政府は、政府を挙げて、医療分野の研究開発の促進や、その前提となるICT利活用の促進が図られてきました。こうした取組の一環として、次世代医療基盤法が制定、施行されたものと認識しています。

 しかし、施行後約五年を経て、現行法の課題も明らかになってきました。今回の法改正は、現行法の課題を克服し、国民の健康寿命を延ばし、老後に安心と夢を持てる世界をつくるためのものと理解しています。今回は、こうした観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず一問目ですけれども、匿名加工医療情報の利活用が広がっていない原因についてお伺いいたします。

 日本には、国民皆保険制度の下、豊富な医療データが存在しています。ところが、これまでこれらのデータの活用が進んでこなかった。そこには様々な課題があったと思います。それらの課題を克服し、医療データの一層の活用促進のために次世代医療基盤法が制定され、匿名情報の制度が整備されました。にもかかわらず、施行から約五年たった現在、匿名情報の利活用は二十一件にとどまっています。その原因はどこにあるのか、お教えください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の次世代医療基盤法では、医療情報を匿名加工した上で研究開発に利用できることとしておりますが、この匿名加工におきましては、個人の識別につながるおそれがあります特異な検査数値ですとか希少な疾患名などの情報を削除することが必要になります。このため、医療の研究現場からは、匿名加工医療情報では精緻な研究ですとか希少な疾患に関する研究を行うことは難しいのではないかという御指摘もいただいているところでございます。また、匿名加工医療情報につきましては、事後に情報の信頼性を検証する方法がないことから、薬事承認申請に利用することが事実上困難であることも課題とされております。

 現行法が施行されまして約五年、最初の匿名加工医療情報作成事業者が認定されて約三年半でございますが、この間の活用件数が二十一件にとどまっている背景としては、こうした匿名加工に起因する制約が影響している部分もあるのではないかというふうに認識をしております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、今回、匿名加工だけではなくて、仮名情報という形になるというふうに認識をしております。

 では、二問目、同じような内容になってきますけれども、同じく現行制度の下、匿名情報を加工できる認定事業者、匿名加工医療情報作成事業者の数は三と伺っております。個人情報保護の観点から医療情報の加工を担う事業者には厳格な要件が求められるのは当然ですが、約五年間で僅か三というのもやはり少ないような気がいたします。認定の要件が厳し過ぎるのではないでしょうか。

 また、認定事業者の収支はおおむね均衡していますが、認定事業者が実際のデータ加工やデータ管理を委託している事業者の収支は赤字となっています。幾ら公益性の高い事業とはいえ、認定事業者も、その事業を受託する事業者も民間事業者である以上、初期投資やランニングコストに見合った利益が上がらなければ事業は継続できません。利用料や委託料の設定に問題はないでしょうか。データ利用者が増えれば収支は改善するのでしょうか。お考えをお聞かせください。

西辻政府参考人 現行法におきます認定匿名加工医療情報作成事業者は、医療機関から顕名、つまり実名の入った形で医療情報の提供を受け、その保管、加工を行うことになるため、組織的側面、あるいは人的側面、物理的側面、それから技術的側面から厳格な安全管理措置を講じる体制を求めておるところでございます。

 このように厳格な基準を満たすことが必要になりますため、これまでに認定を受けた匿名加工医療情報の作成事業者が三事業者にとどまっているということ自体は必ずしも不自然なことであるとは認識はしておりません。

 一方で、認定に際しましては、例えば認定事業者として収集する医療情報について、一定の規模を確保することを求めておりますが、こうしたものにつきましてはより柔軟な対応を可能とすべきではないかといった御意見もいただいておるところであり、今後検討していきたいというふうに考えております。

 また、認定匿名加工医療情報作成事業者におきます利用料あるいは委託料の設定でございますが、医療情報の収集、加工、提供に要するコスト等を総合的に勘案した上で、自律的に事業を運営することを基本として、各事業者において決定しているところでございます。

 現状では、委員から御指摘いただきましたように、各認定事業者共に、情報基盤整備を始めとした初期投資がかさみ、経営的には非常に厳しい状況にあるというふうに認識をしており、今後、利活用の拡大を含む認定事業の進捗によりまして、収支の改善が図られ、適切な事業運営がなされていくことを期待しているところでございます。

 政府といたしましても、今回の改正を含め、医療情報の収集、提供、研究利用が円滑に行われ、研究成果の国民の皆様への還元につながるよう、引き続き、適正な医療情報の利活用環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 是非、すばらしい試みなので、事前の説明の中で、認定事業者が委託をしているIT企業が数億円の赤字が年間出ているという話を聞きました。それがずっと続くと、なかなか、受託事業者も継続というのが危ぶまれると思いますので、是非、やはりこの利用を増やして、そして手数料が入るようにして、経済合理性が働くように、今回の改正でしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 次に、認定事業者に対し医療情報を提供する協力事業者、協力医療情報取扱事業者は現在百余りと伺います。多様なデータを集め、それを利活用していくためには、より多くの多様な分野の事業者に協力事業者となっていただき、データの提供を受けることが不可欠と考えます。そのために政府はどのような施策を取られているのか、御説明ください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の研究開発を推進するために、医療機関等が保有する医療情報の利活用が重要となっておりますことから、今回の改正法案におきましては、国が広報活動、啓発活動等を通じて、制度に対する国民の皆様の理解を深める措置を講じていくこととしており、また、医療機関等に対しましては、認定事業者への医療情報の提供等の協力に努めていただく旨の規定を設けております。

 また、医療機関等からの医療情報の提供に当たりましては、医療現場における負担を軽減することも重要であるというふうに考えておりまして、現在も、ガイドライン等におきまして、医療機関が医療情報の提供のために必要な情報システムの改修のコスト、これを認定事業者側で負担することが可能であること、それから、医療機関から患者様へ通知等を行う方法につきましては、書面での交付のほか、郵便、電子メールによる方法、あるいは窓口等でタブレット端末を提示する方法なども可能であること等をお示ししているところでございまして、医療現場の負担の軽減にも努めているところでございます。

 今後も、より多くの医療機関に医療情報の活用の推進の重要性について御理解いただき、医療情報を提供いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 医療機関でデータを提供するためにいろいろなシステムの改修みたいなものが必要になってきて、それを認定事業者が援助したりするんですけれども、先ほど御質問したように、認定事業者自身が収支とんとんで、受託業者が赤字という形になりますから、私は、これをしっかり進めるためには、医療機関に対するシステム改修に対して、やはり政府として何か補助を考えることも検討すべきではないかというふうに思います。ある意味、鶏と卵みたいな感じかと思いますので、せっかくすばらしい試みなので、私自身は個人的には、そういうことも考えていく必要があるのではないかというふうに考えているところであります。

 先ほども伺ったように、匿名加工だけでは匿名性が高過ぎる余り、その利活用に支障が生じる。それを解決するために、今回の法改正では仮名情報、仮名加工医療情報という枠組みが創設され、その加工事業者と利用事業者の認定制度が設けられます。

 しかし、その認定基準が余りに厳し過ぎ、実態にそぐわないものになっては、事業者の数が増えず、利活用が進まないことも予想されます。特に、今回新設される利用者の認定基準を定めるに当たって、利用者に丁寧にヒアリングを行い、利用の実態に即した基準とすべきではないかというふうに考えます。

 政府は、新たな作成事業者の認定基準、また利用事業者の認定基準についてどのような基準をお考えなのか、お聞かせください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法の匿名加工医療情報作成事業者の場合は、氏名や被保険者番号など顕名の情報を医療機関からいただいて収集、管理する、それから、情報の利用申請があった場合には法律の目的等に照らし審査を行う、さらに、適切に匿名加工を行った上でデータを提供する等の能力を確認した上で認定を行っているところでございます。

 今回の改正案で創設いたします仮名加工医療情報の作成事業者につきましては、匿名加工ではなく仮名加工を行うという点は異なっておりますが、医療機関等からの情報の収集、管理、あるいは法令に基づく利用審査等の業務内容は匿名加工の医療情報作成事業者と基本的には共通であることから、ほぼ同様の認定基準とすることを考えておるところでございます。

 また、改正法案で創設いたします仮名加工医療情報の利用事業者につきましては、個人情報保護法で求められる安全管理措置を適切に講じる体制があること等につきまして、事前に確認の上、認定を行うことと考えております。その場合でございますが、利用事業者の場合、顕名情報は扱わない、また、自ら匿名加工や仮名加工を行わないという点が作成事業者とは大きく異なっております。

 利用事業者の具体的な認定基準につきましては、このような事業特性や、利用することが想定されます製薬企業あるいは大学等の研究機関の実態も踏まえながら、安全管理措置が適切に講じられるよう、施行までの間に、情報セキュリティーや法律に関する専門家、実務家等の御意見も丁寧にお伺いしながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 事前の説明で、現在の匿名情報事業者の三グループも、恐らくこの仮名情報事業者になられるという話もお伺いしたところであります。

 次に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、いわゆるPMDAに、仮名情報を用いた薬事承認の申請を認めるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

 報道でよく取り上げられるのが、海外では承認されている薬が日本では未承認のために使用できないという問題、いわゆるドラッグラグの問題です。日本では欧米に比べて薬の承認スピードが遅く、治験ボランティアが集まりにくいとも言われています。この問題を解決するための鍵の一つが、既存の医療データの活用です。治験により新たなデータを収集するのではなく、既存の医療データを薬事承認申請に活用する。これが可能となれば、ドラッグラグ解消への足がかりになるはずです。

 そのことを念頭に、今回の改正では、薬事承認申請のため、仮名情報をPMDAに提供できると規定されています。しかし、実際に薬事承認申請に用いるには、データの質の問題、また信憑性の問題をクリアしなくてはなりません。

 また、実際の仮名情報は存在していないので仮定の話になってしまいますが、今回の法案が成立した後、PMDAは仮名情報を用いた薬事承認申請をどのように認めるのか。仮に課題が残るとするなら、その課題を乗り越えるためにどのような取組が必要というふうに考えられているのか、お教えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 医薬品の薬事承認申請に当たりましては、その有効性、安全性を評価するため、一般的には、治験において、注意深く、選択された均質な患者集団を対象に、適切な対照群を設定した比較試験が実施されます。

 一方、患者数が少ないなどの理由により治験の実施が困難な場合等がございまして、そういった場合には、企業による開発が行われにくく、医療上のニーズが十分に満たされない場合が生じてまいります。このような場合におきまして、疾患レジストリーや医療情報データベース等のリアルワールドデータを薬事申請に利活用することが考えられます。

 例えば、医薬品を投与した患者群に対する比較対照として、プラセボ群に代えましてリアルワールドデータを活用することや、既に承認されている医薬品につきまして、特定の疾患背景を持つ患者や特定の年齢層に対する最適な投与量を検討する際に、当該背景を持つ疾患に対して使用されたデータがこのリアルワールドデータに含まれている、そういった場合には、当該データを有効性あるいは安全性の評価に用いることなどが考えられます。

 一方で、このようなリアルワールドデータの薬事申請への利活用に向けましては、治験の場合には、その実施の基準であるGCP等の基準の遵守を通して信頼性を確保することが求められておりますが、それと同様に、データを扱う事業者等におきまして、データの信頼性を確保する取組が適切に行われていることが必要と考えております。

 そのため、厚生労働省では、これまで、レジストリー等の医療情報データを薬事申請に利活用する場合の信頼性確保の考え方といたしまして、令和三年三月に、特定の疾患等に係るデータを収集したレジストリーを利用する場合の基本的考え方や留意点、それから、令和四年九月に、電子カルテ等に基づき構築された医療情報データベースを利用する場合の留意点をお示ししており、これらは、これから出てくるであろう仮名加工医療情報に対しても適用可能と考えております。

 また、医薬品の審査を行うPMDAでは、レジストリーや医療情報データベースの薬事申請への活用に関しまして事業者等からの相談に応じる仕組みを設け、個別のデータベース等について信頼性の確認や信頼性確保のための助言等を行っております。

 さらに、今年度からは、新たに薬事申請への活用に意欲のあるレジストリー事業者を複数選定し、PMDAとの人材交流や研修等を通じまして、当該レジストリーの信頼性確保の取組を集中的に支援する事業を開始することとしております。

 今後、仮名加工医療情報が利用可能となった場合におきましても、この同様の考え方や取組を適用していくことが可能と考えておりまして、その薬事申請への活用が進むよう、事業者によるデータの信頼性確保の取組を支援してまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 続けて、諸外国の薬事承認申請における仮名情報の取扱いについて御質問させていただきたいと思います。

 海外にも様々な医療データが存在します。諸外国において、治験データに限ることなく、データベース等に蓄積された情報により薬事承認申請が可能な国があるでしょうか。あるなら、その具体的な枠組みはどのようなものか、お教えください。

山本政府参考人 委員お尋ねの諸外国での活用事例でございますが、医療データベース等に蓄積された情報につきましては、諸外国におきましても薬事承認申請への利用を可能としている場合があり、実際に活用されている事例も承知しております。

 例えば、米国におきましては、ある民間企業が、がん患者の電子カルテ情報から構築したデータベースを、プラセボ群に代えて、比較対照として活用した実績、あるいは、適用拡大のためのデータとして用いた実績などがあると聞いております。

 また、EUにおきましても、複数の医薬品の承認申請におきまして、有効性を評価するためのサポートとしてリアルワールドデータを活用した事例があると聞いております。

石原(宏)委員 続けて、海外の薬事承認機関への仮名情報の提供を認めるかどうか、お伺いしたいと思います。

 提供先は、今回の法律の改正の中でPMDA等とありますが、この等とはどこを示しているのか。一例として、海外での薬事承認への利用も検討されるべきだと思いますが、そのような海外の薬事承認機関を提供先とするお考えはあるのか。また、現状において困難であるとするならどのような課題があるのか、お教えいただければと思います。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の研究開発はグローバルに進められておりまして、創薬につきましても多くの国で薬事承認を目指す動きが顕著であることから、この改正法案におきまして創設いたします仮名加工医療情報につきましては、外国での薬事承認でも利用できるように検討する必要があると考えております。

 このため、改正法案におきましては、PMDAだけではなく、省令で定める外国の薬事審査機関に対しても、認定仮名加工医療情報利用事業者が承認申請のために仮名加工医療情報を提供できるということとしております。

 具体的に省令に規定する外国の薬事審査機関でございますが、その国におきまして十分な個人情報の保護が図られているかといった観点が非常に重要になりますので、こういったことに関しまして、関係者の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

石原(宏)委員 世界にはいろいろな国があります。なるべくいろいろな国が利用できたらいいと思いますけれども、やはり海外で日本の情報が漏えいするようなことがあってはならないので、厳格に提供する先を選んでいただければというふうに思います。

 次に、連結対象となるデータベースの範囲についてお伺いいたします。

 本改正案により、データの利活用の促進のために、匿名情報は公的なデータベースと連結できるようになると承知しています。連結対象となるデータベースとは現在どの範囲を想定されているのか、お聞かせください。

西辻政府参考人 厚生労働省におきましては、NDB、それから介護保険総合データベース、DPCデータベースの三つの公的なデータベースにつきまして、既に相互の連結提供が始まっておりますほか、現在、感染症法に基づく感染症データベースや予防接種法に基づく予防接種データベースといったそれ以外の公的なデータベースにつきましても、NDBとの連結提供に向けた準備が進められていると承知をしております。

 今回の改正法案におきます匿名加工医療情報作成事業者から提供される匿名加工医療情報につきましても、これらのデータベースとの連結解析が可能となるような提供を想定しているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございます。

 時間も残り少なくなってまいりましたので、あと二問ほど。

 ちょっと基本的なところに戻るんですけれども、今回対象となっているデータの内容についてお伺いします。

 改めて基本的なことをお尋ねしますが、そもそも、加工される前の生データというのはどのようなものでしょうか。病院のレセプト、カルテなど容易に想像できますが、それ以外にありますか。また、このデータには、行った診療行為は含まれているとしても、その結果も含まれているのですか。例えば、行った検査の内容とともに検査結果も含まれているのか、お教えください。

西辻政府参考人 認定匿名加工医療情報作成事業者が協力医療機関等から提供を受ける医療情報でございますが、認定事業者と医療機関等との間の契約においてその内容は決められるものではございますが、基本的には、どのような診療行為を行ったのかといったいわゆるインプット情報、それから診断の内容、さらには検査数値等、診療行為の実施結果に係るいわゆるアウトカム情報についても提供が行われるものと承知をしております。

石原(宏)委員 時間も残り僅かとなりました。最後に大臣にお伺いいたします。

 日本には、世界に冠たる国民皆保険の下、豊富な医療データがあります。そこには、単なる診療行為の記録だけではなく、その診療行為を実施した結果がどうなったかという情報も含まれます。さらに、人の人生を通じて、どのような医療や医薬品がどのような効果を上げたのかというライフコースデータともなります。これは治験では得ることのできない貴重なデータです。まさに国の宝と言っても過言ではありません。

 一方で、医療情報は究極の個人データですから、自分の医療データが創薬に使われると聞いて不安を感じる人も少なくないでしょう。そういった人には丁寧に説明をして、情報の保護をしっかりと図られていること、また、医療データの活用によってどのような成果が得られるのかを具体的に示し、納得していただくことが大切です。自分のデータを活用して病に苦しむ人を救ってほしいと全ての国民が進んでデータの活用を希望する、そういった国民の理解と協力が得られる努力をしていかなければなりません。

 今回の改正によってどのような利益が国民にもたらされるのか、また、医療データの活用についてどのように国民の理解を得ていくのか、大臣の御決意をお聞かせください。

高市国務大臣 今回の改正によりまして、新たに仮名加工医療情報を活用できます。これによって、例えばリアルワールドデータを薬事承認審査に活用できるようになりましたら、これは承認審査に必要なデータを製薬企業が迅速かつ効率的に収集することができますから、新薬開発や既存薬の新たな効能への適用拡大の迅速化が期待できると考えています。

 また、研究開発への利活用に堪え得る匿名加工が難しいCT検査などの画像情報につきましても、仮名加工医療情報としてであれば提供が可能となるということが見込まれますので、画像診断支援AIなどの開発への貢献が期待できます。

 もう時間が来ているんでしょうか。(石原(宏)委員「そうですね。短めで」と呼ぶ)じゃ、まとめさせていただきます。

 患者、国民、医療事業者の方々など、多くの皆様の御理解が不可欠でございますので、本制度の意義また制度の仕組みについて、広報資料の作成また説明会の開催など、様々な機会、手段などを通じて周知を図ってまいります。

石原(宏)委員 大臣、ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わります。

大西委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 おはようございます。公明党の福重隆浩です。

 質問時間が十五分と限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 ただいまの石原委員さんの質疑と問題意識が重複する点もありますが、大事な視点だと思いますので、私からも質問をさせていただきたいと思いますので、答弁に当たりまして、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 現行法による匿名加工医療情報の作成、提供に加え、今回、新たな仮名加工医療情報を作成し、利用に供する仕組みを創設するものであると理解をしております。

 具体的な詳しい質問は後ほどさせていただきますが、高市大臣の趣旨説明の冒頭、「健康、医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を更に促進し、」との御説明がございました。この先端的研究開発は、社会へどのような還元があり、国民がどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。また、新産業創出の創出とはどのような産業をイメージされておられるのでしょうか。御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 新たに仮名加工医療情報を活用できることになりますので、これで、日々の診察時に作成されるカルテに記載される情報を薬事承認審査に活用できるようになりましたら、承認審査に必要なデータを製薬会社が迅速かつ効率的に収集することができます。新薬開発や既存薬の新たな効能への適用拡大の迅速化が期待できると考えています。

 さらに、研究開発への利活用に堪え得る匿名加工が難しいCT検査などの画像情報につきましても、仮名加工医療情報としてであれば提供が可能になりますから、例えばAIを活用した画像診断支援サービスの開発への貢献というのが期待されます。

 また、改正法によりまして、NDBの中に収載されている情報との匿名での連結解析も可能とすることといたしております。このことによって、次世代医療基盤法に基づいて、急性期病院などから収集された電子カルテの詳細な情報と、NDBから得られる急性期病院への入院前後の診療所などにおける診療行為の内容をひもづけて解析できるということになりますから、入院前や退院後の経過なども含めた医療研究が可能となるということで、これでまた研究の幅が広がると考えております。

 このように研究開発が活発化することで、新たな医療品や医療機器、また、健康管理のためのプログラム、診断支援サービスの開発など、委員がおっしゃる医療の発展に寄与する産業の発展につながると考えております。

福重委員 御説明ありがとうございました。

 新たな医療品が作製されて、日本の成長産業を後押しするような、そういうような取組になっていただきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 医療情報を有効活用することで医学の発展に寄与することが可能であり、一定の公共性があると考えております。

 一方、医療情報は機微性の高い情報であります。現行法でも、個人情報保護法の特例とされております。仮名化された医療情報であっても、利活用を考えていく上では、国民の理解と納得が前提であるということは言うまでもありません。

 この法律の第五条には、「国は、広報活動、啓発活動その他の活動を通じて、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとする。」と明記されております。

 政府として、これまでどのような具体的な措置を講じてこられたのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

中野大臣政務官 お答えさせていただきます。

 匿名加工医療情報の利活用を広げていくためには、広く国民の皆様方に制度を理解していただくことが重要であります。

 これまで、患者向け広報動画、ポスターやロゴマークの制作を行うとともに、医療機関や自治体向けのシンポジウムの開催や、医学会等でのPR、さらに、次世代医療基盤法コールセンターの設置を行うなど、国民の皆様方の御理解が深まるような様々な普及啓発の取組を行ってきたところでございます。

 本制度の発展には、患者、国民、医療従事者など多くの方々の理解が不可欠であり、これらの皆様方に対して、医療開発の推進や新たな創薬の実現を通じて、良質かつ適切な医療の提供を目指す本制度の意義や仕組みなどについて御理解をいただけるよう、引き続き効果的な広報活動を進めてまいりたいと考えております。

福重委員 ありがとうございました。

 効果的に、そして丁寧に、国民の皆様に御理解をいただけるように臨んでいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らせていただきます。

 法改正により仮名加工医療情報が追加され、認定利用事業者が、薬事申請のために、医薬品医療機器総合機構、PMDAへ提供が可能になりますが、今回、海外の薬事規制当局への提供も可能となると理解しております。ただし、海外の薬事規制当局へデータの提供については、セキュリティー上、懸念を拭い去ることができません。少なくとも日本と同じレベルのセキュリティー対策が必要と考えておりますが、政府の御見解をお示しください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 創薬を含む医療分野の研究開発はグローバルに進められておりますことから、外国におきます薬事承認審査におきましても仮名加工医療情報が利用できるよう、改正法案では、PMDAのみならず、省令で定める外国の薬事審査機関に対しまして、認定仮名加工医療情報利用事業者が仮名加工医療情報を提供できるということとしております。

 一方で、委員御指摘のとおり、外国の薬事審査機関に対しまして仮名加工医療情報を提供するに当たりましては、データの基となる患者の個人情報が守られることが必要でございますので、省令に規定する具体的な外国の薬事審査機関は、当該国において十分な個人情報の保護が図られるのかといった観点について、関係者の御意見を伺いながら検討を進めていくこととしております。

福重委員 何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 新型コロナも、来月八日以降、感染症法上、二類相当から五類に見直されます。

 ワクチン接種をめぐっては、公明党が二〇二〇年七月の国会質問で海外ワクチンの確保の予算を政府に訴えたことが契機となり、国民の皆様全員分のワクチン確保につなげることができました。加えて、無料接種を実現したことは、我が党の大きな実績でもあります。

 一方、国産ワクチンの開発に関しては、残念ながら、遅れていると言わざるを得ません。二〇二一年三月、経済誌のインタビューで塩野義製薬の手代木社長は、国産ワクチン開発に関して、プロジェクトをやるベンチャー、製薬企業がなかったのは、産官学でそうした基盤を育ててこなかったからですと述べられ、内閣府の担当者も、日本の製薬会社にはワクチン開発の基盤がない、国も支援してこなかった、反省しないといけないとの報道がございました。

 これはワクチン開発に関する話ではあります。広く国民の皆様に御協力をいただいているコロナワクチン接種ではありますが、今回、法改正の一つに、NDB等、公的データベースとの連結がございます。

 そこでお聞きいたしますが、現在も、各自治体において保有されている予防接種記録がございますが、コロナワクチンも予防接種記録に記録されておりますが、予防接種記録のデータベースとの連結について、政府の御見解をお示しください。

西辻政府参考人 御指摘の予防接種データベースについてでございますが、昨年成立いたしました感染症法等の一部改正法に基づきまして、現在、厚生労働省におきまして、その整備に向けた作業が進められていると承知をしております。

 今回の改正法に基づきます公的データベースとの連結提供でございますが、レセプト情報を収載いたしましたNDBだけではなく、御指摘いただいた予防接種データベースを始め、介護保険総合データベース、DPCデータベースといった他の公的データベースとも連結ができるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

福重委員 どうもありがとうございました。

 次の質問なんですが、匿名加工医療の利活用実績、二十一件にとどまっているという要因についてお伺いをしたいと思っておりましたが、石原委員さんと質問が重複をいたしますので、これは割愛をさせていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 病院、診療所、自治体等、協力医療情報取扱事業者は、二〇二二年十二月現在、百八件であります。国立病院機構や国立大学病院、赤十字病院など、公共性の高い医療機関に偏っている傾向がございます。

 患者に同意を求めることが大原則でありますが、患者に対して医療データの提供を依頼するのは協力医療情報取扱事業者であり、作成事業者に情報を提供するのも協力医療情報取扱事業者であります。

 この協力事業者へのインセンティブなど、検討のお考えはありますでしょうか。また、ほかに、協力事業者として協力が得られない理由は、どのようなことを想定されておられますでしょうか。御答弁をお願いいたします。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の次世代医療基盤法に基づく基本方針におきまして、協力事業者である医療機関等から認定匿名加工医療情報作成事業者に対しましては、医療情報の提供に要する費用を超えた情報の対価となるような支払いは行わないことを基本とするということを求めておりまして、医療情報の対価が支払われるということは、現状、想定をしておりません。

 一方で、認定事業者が医療情報の提供に要する費用を負担することは、これは可能でございますので、例えば、認定作成事業者が、協力いただける医療機関に対して、質の高い医療情報を継続的、安定的に提供していただくための電子カルテのバックアップサービス等を提供することによって、医療情報を提供するメリットを感じていただく等の取組も行われていると承知をしております。

 また、医療情報の提供に際して生じる負担を軽減することが重要であると考えておりまして、現行法のガイドライン等において、医療機関等から患者に対する通知の方法について、書面交付のほか、郵便、電子メールによる方法、窓口でのタブレット端末を提示する方法なども可能であること、それから、医療機関等が医療情報の提供のために必要な情報システムの改修コストを認定事業者側で負担することが可能であること等をお示しし、負担の軽減に努めているところでございます。

 今後も、より多くの医療情報取扱事業者に医療情報の活用の趣旨を御理解いただき、医療情報を提供していただけるよう検討してまいりたいと考えております。

福重委員 どうもありがとうございました。

 この分野はスタート台に今立ったところだと思うんですけれども、やはり、これを大きく育てることによって日本の健康を守っていくという部分において、これは大事な取組だと思いますので、是非お育てをいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 厳格な審査項目に基づき国が認定する製薬企業など、認定利用事業者になるには、相当煩雑な手続が予想されております。当然ですが、不正利用した場合には罰則も適用されます。

 現在も、製薬企業や大学などの研究機関が、匿名加工された医療情報の提供を受けております。その製薬企業や大学等を中心に、関心を示し、認定利用事業者として申請されることが予想されます。

 大手の製薬企業などは厳格な審査項目の対応や煩雑な認定作業手続も人員的に対処が可能ですが、ベンチャー企業やスタートアップ企業には煩雑な認定手続が負担で、データ分析の足かせになると指摘する声もありますが、政府として御見解をお伺いいたします。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案で規定いたします仮名加工医療情報の利用事業者につきましては、従業員に対する教育、あるいは、不正アクセス防止策の実施等の、個人情報保護法で求められております安全管理措置を適切に講じる体制があること等について確認の上、認定を行うことを考えております。

 具体的な認定基準につきましては、施行までの間に、情報セキュリティーや法律に関する専門家、実務家等の御意見を聞きながら検討を進めていくことを予定しております。

 委員御指摘のベンチャー企業等につきましても、個人情報の保護を図りつつ医療情報の利活用を促進するという次世代医療基盤法の趣旨を踏まえ、適切な安全管理措置を講じながら仮名加工医療情報の利用を実現することが重要であると考えておりまして、認定基準の策定に当たりましては、ベンチャー企業等の運営の実態等も伺いながら、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。

福重委員 本当に情報の秘匿性はしっかりと担保していただかなくちゃいけないんですけれども、やはり、ベンチャー、スタート企業、そういったところがこういったところで伸びていくということが、新たな日本の柱にもなっていくことにつながっていくというふうに思います。そういった意味で、しっかりと政府としてフォローをしていってあげていただければと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 時間が参りましたので、一問残っておりますけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の私が本庄知史です。

 千葉八区、柏と我孫子の選出です。よろしくお願いします。

 今日は、次世代医療基盤法、通称医療ビッグデータ法ということで質疑をさせていただきます。

 まず、法施行後五年間の評価についてお伺いをしたいんですけれども、ビッグデータの利活用を含む医療のデジタル化ということはもちろん急務ですが、二〇一八年五月の法施行から五年間、率直に言って、利活用は全く進んでいないと言ってもいいぐらい進んでいないというふうに私は思います。

 例えば、医療情報を提供する医療機関、自治体、協力医療情報取扱事業者はまだ百八件ですね。何十万とある医療機関のうちのまだ百件ほどしか情報提供に協力をしていない。そして、集まっている情報も二百六十万人分ですね、一億二千万人の国民に対して。まだまだ不十分、ほぼゼロに近いと言っても過言ではないと思います。アウトプットの方も、認定事業による利活用の実績二十一件ということで、評価もできないぐらいまだ何も動いていないと言ってもいいんじゃないかと思います。

 そういう中で、国民の皆さん、患者の皆さんから見ると、どういう具体的な成果がこの情報提供によって得られるのか、あるいは社会に還元があるのか、こういったことがやはり全く見えていない、そもそも制度を知らない人も多い、こういう状況だと思うんですが、この五年間、大臣から見て成果あるいは還元と言えるようなものがもし何かあれば、是非ここの場でPRしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 平成三十年五月の施行後の実績については、もう既に今委員がおっしゃっていただいたとおりでございます。

 具体的な利活用の成果としましては、新規のプロジェクトを正式に開始する前に実現可能性を調査するために行われるいわゆるフィージビリティースタディーの用途が多いんですけれども、乳がんや心不全などの個別の疾患を対象とした治療実態を把握するための研究に使用された事例や、学術論文の公表につながった事例もございます。

 累計二十一件という利用実績数というのは、決して多い数字ではございません。

 そういったことから、制度の見直しに向けた検討会では、現行の匿名加工医療情報では、希少疾患についての研究、データに基づく精緻な研究、また薬事申請のためのデータとしての活用などが難しいといった課題が指摘されました。そういったことから、今回の制度改正、こういった課題を解消することを目指したものでございます。

本庄委員 法改正の中身はおっしゃるとおりですが、いろいろとまだ足らざるところが多いのかなと思いますので、幾つか聞いていきたいと思いますが、まず、推進の体制についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 医療データ政策の司令塔機能あるいはグランドデザインということについてなんですが、関係省庁や、関連法令とか、あとガイドライン、これが多数あるわけですね。厚生労働省の作成しているガイドラインもあれば、経産省、総務省のものもある、内閣府のものもある、それぞれ根拠となっている法律がある、そういう中でパッチワーク的に医療データ政策というのが推進されているんじゃないかというふうに指摘をしている専門家あるいは関係者も多いわけですね。

 こういった、グランドデザインが見えない、あるいは全体像が見えない、政府としての医療データ政策の推進についてですね、そういった意見について、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

高市国務大臣 確かにおっしゃるとおり、今回御審議をいただく法律案に関しましても、内閣府の方から厚生労働省、経済産業省など、文科省もそうでございますけれども、担当する役所は多うございます。そんな中で、内閣府が総合調整をさせていただいているということでございます。

本庄委員 総合調整がホッチキスでは困るわけで、やはりリーダーシップを発揮していただく必要があるんだと思うんです。

 具体的にちょっと申し上げたいんですが、今、内閣には、健康・医療戦略担当、高市大臣が副本部長を務めている健康・医療戦略推進本部というのがありますね。この戦略本部の下には健康・医療データ利活用基盤協議会というものがあって、今回の法案の検討に当たってもいろいろ議論がなされたと承知をしております。一方で、去年の十月ですけれども、新たに医療DX推進本部というものが設置されておりまして、これは副本部長が厚労大臣とデジタル大臣で、高市大臣は入っていないんですね。事務は、健康・医療の方は内閣府、DXは内閣官房ということで、これは縦割り行政の典型みたいなことになっているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 今委員おっしゃっていただいた、昨年の十月に立ち上がった医療DX推進本部、これは岸田内閣総理大臣が本部長でございますが、全国医療情報プラットフォームの創設ですとか電子カルテ情報の標準化などについて取り組んでいくということでございます。

 推進本部の検討においては、当面は、診療現場における情報の連携など、いわゆる一次利用に重点を置いた取組が行われると承知しています。しかしながら、その本部でいろいろ検討されて、診療現場でDXが進むことによって、また医療研究のための医療情報の収集ですとか活用も円滑化されるという関係性にありますから、私も連携はしていかなければなりません。

 総理が本部長を務めておられる本部の方は、臨時委員として私も呼んでいただくことは可能でございますので、もしも二次利用について議論をするということになったら、しっかりと出かけていきたいと思っております。

 もう一つ、岸田総理が本部長で私が副本部長を務める健康・医療戦略推進本部ですが、これは健康・医療戦略の作成、実施の推進、また先端的研究開発や新産業創出に関する施策の企画立案に取り組むものであって、必ずしも医療のデジタル化を目的としたものではございません。

 いずれにしましても、しっかりと連携をしながら、そしてまた臨時委員として呼ばれていったときにはしっかりと発言をして、一貫性を持たせてまいりたいと考えております。

本庄委員 役割というか、扱っている中身はおっしゃるとおりですが、いずれも総理が本部長なんですよね。非常に大きな構えの本部で、後ろにいる事務方も併任されていたり、結局同じ人がやっているというような状況じゃないかと思うんです。

 高市大臣が副本部長をやられている方の健康・医療戦略本部、ここは実は全大臣が入っているんですよね。だから、厚労大臣もデジタルも入っているわけですよ。その更に各論として別途DXができているということで、これはやはり一つの大きな本部に集約をして、そこの下に、それぞれの、一次利用だとかビッグデータだとか、分科会的に設置をして、一体的に議論をしていく、そういう体制が必要じゃないですかと私は申し上げているんですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 こればかりは、内閣総理大臣が本部長でございますので、私の方から私見を申し上げたり、本部を合体してほしいとか、こういったことを申し上げる立場にはございません。それぞれの本部の中での自分の役割をしっかりと果たしてまいります。

本庄委員 是非、統合的な戦略本部、推進体制をつくって、政府一丸となって、一本でやっていただきたいなということを付言させていただきます。

 次の質問ですが、法令違反あるいは不正行為、不適切事案についてお伺いをしたいと思うんです。

 現在の認定匿名加工医療情報作成事業者は三つあります。そのうちの一つ、一般社団法人ライフデータイニシアティブと、その下の情報の取扱受託事業者、NTTデータ。昨年九月、患者本人への連絡、オプトアウト通知なしにデータベース化してしまったという法令違反、不適切事案があったということで、これは報道にもなっているし、報告もあったというふうに思います。

 事務方によれば、ここ五年間でこういった法令違反、不適切事案はこの一件だけだということですが、そのことの確認と、あと、申告、報告があったのはこの一件だということだとしても、それ以外にないということは言えないと思うんですが、政府として実態をどのような体制で把握をされているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 まず、一件だけだったのかどうかということですが、この事案が発生したときに、私も、これは大変なことだと思いました。

 まずは、認定事業者において不適切な取扱いがあったといった事案に関しましては、厳正な指導を行って、そして徹底的な原因究明をし、そしてまた医療情報取得の際の確認機能の強化、役職員に対する教育、それから、問題を把握してからの報告が非常に遅かったということ、これはとても大きな問題だと思いましたので、報告の迅速化ということで、再発防止策を講じさせました。

 一件だけなのかどうかということで、他の認定事業者に対しても、同様の事案が発生するおそれがないかなど確認も行いましたし、制度の信頼性の再確認、これはしっかりとやったつもりでございます。

本庄委員 今回、こういう情報漏えいがあると報告しなきゃいけないということが法律上も決まっているわけですが、やはり私は、まず一つは、もっと定期的に事業者から業務に関わる状況の報告を、四半期ごと、あるいは半期ごと、サイクルはいろいろあると思うんですが、させるべきではないかというふうに思うんですね。

 今、まだ数も少ないので不祥事も少ないですが、これから本格稼働していくといろいろなことが起きてくるというふうに思いますので、事が起きたときだけ報告するということではなくて、日常的な報告義務をしっかり課していくべきじゃないかと思いますし、それから、政府には立入検査の権限なんかも認められていますが、より積極的に抜き打ち的な検査をしていくというようなことも必要ではないかと思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 不適切な事案が再度生じないということのために、厳格な罰則の適用というのもありますけれども、それで担保するだけではなくて、厳正な審査による事業者の認定、それから継続的な監督、また、被害の拡大を速やかに防ぐための迅速な報告体制の整備が非常に大事だと思っております。

 認定事業者に対する実地検査、これを行います。有識者とともに、適切な運用がされているかという確認を行うなど、継続的な監督に努めてまいりたいと思っておりますし、今後、必要に応じて、ガイドラインなどの見直しも含めて、認定事業者が適切な事業運営を行えるように取り組んでまいります。

本庄委員 先ほどの与党質問からもありました、ちょっと使い勝手が悪い、規制がきつ過ぎるという声もある一方で、これからより広範に活用していくとなると、チェック体制は相当厳格にしていかないといけない部分、両面あると思うので、是非、バランスの取れた、そして実効性のある取組をお願いしたいというふうに思います。

 次の質問で、国民への周知ということなんですが、今、百八件の医療機関しか情報提供をしていませんけれども、したがって、私もいまだ現物は見たことがありませんが、情報提供しているお医者さんにかかると、オプトアウト、つまり、こういうことで情報が行きますよという紙が渡されたりするということなんですけれども、これは断れば情報が行かないわけですが、断る人はほぼいない、一%以下だということなんですね、部会での話だと政府からそういう数字も出たんです。

 ほぼみんなが受け入れているという状況ですが、理解をして、よしとして拒否をしていないのかと言われれば、やはりそうじゃないと私は思うんですね、この数字だけ見ると。多分、何も知らないか、余り深く考えずにそのままになっていて、結果、拒否していないという状況になっているだけだという可能性は極めて高いと思うんですね。

 そこで、国民あるいは患者への不断の情報提供あるいは周知活動が重要だと思うんですが、先ほどから答弁ありましたけれども、これまでやってきていますというお話はありましたが、これまでやってきてこの状況ですので、やはり、やり方、考え方を変えた広報や周知活動をしないといけないと思うんですけれども、そういった問題意識について、大臣、どのようにお考えになりますか。

高市国務大臣 次世代医療基盤法ですが、これは個人情報保護法の特例法でございます。ですから、主務大臣の認定を受けた事業者に対する場合に限り、オプトアウト手続によって医療機関などから医療情報を提供するということを認めております。

 この場合のオプトアウトなんですけれども、例えばウェブページに掲載するとか、単に患者本人が知り得る状態に置くということだけではなくて、本人が認識する機会の確保の観点から、あらかじめ本人に対して通知するということにいたしております。

 その通知に加えて、やはり、委員おっしゃるように、制度の趣旨とか目的についてもっと広く国民の皆様に理解していただくことが重要だと考えております。これまでの広報活動についても、先ほど中野政務官も申し上げましたけれども、更に国民の皆様の理解が深まるような、様々な普及啓発の取組ということに知恵を絞ってまいりたいと思います。

本庄委員 いざ情報提供をしている医療機関にかかって、そこで初めて知って、初めてそこで判断を迫られるということでは、なかなか一般の方々は対応が難しいと思うので、平素から、そういう仕組みがあってそういう病院があるんだよということをやはり知っていただく、そういう努力がもっともっと必要だというふうに思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 そして、法案の中身の方へ入っていきたいんですが、先ほど来作成事業者の話が出ていましたが、利用事業者の方について少しお伺いしたいんです。

 仮名加工医療情報の利用事業者、これを、今後は、匿名と違って仮名なので、より機微な情報なので、認定した者にしか利用は認めない、こういうことになるわけで、ここが厳格化の一番肝だと思うんです。この認定基準、これから作成ということですが、どういった考え方でこの認定基準を作成されるのか。そして、一つ具体的には、例えば外国法人なんかはどういう扱いになっていくのか。その辺りの基本的なお考えをお聞かせいただきたいんです。

高市国務大臣 利用事業者の認定に限って申し上げますけれども、利用事業者は顕名情報は扱わず、また、自ら仮名加工は行わないものではございますけれども、この度の仮名加工情報は、他の情報と照合することによって個人の特定が可能であるということ、それから、原則として第三者提供が禁止されるものであるということを踏まえますと、やはり、従業員の方々の教育、それから不正アクセスの防止策の実施など、安全管理措置を適切に講じる体制が確保されているということなどを確認した上で認定を行うということになると考えております。

 海外の企業でございますが、これも、次世代医療基盤法の目的の実現に必要な範囲内において、個人の権利利益の適正な保護を図った上で、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行うことを否定するものではございません。ただ、本法の趣旨や目的に反した不適切な仮名加工医療情報の利用ですとか第三者への提供が行われることがあってはなりませんので、この利活用の認定審査においては、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行う事業を適切かつ確実に行うことができるか否かについてしっかりと審査を行います。それから、当該企業が所在する国の個人情報の保護に関する制度についても、適切に研究開発を行う能力と併せて考慮するつもりでございます。

本庄委員 海外の企業だから駄目だとはもちろん私は思いませんし、不当な差別はよくないと思いますが、やはり、経済安全保障というか、情報安全保障の観点も海外企業については必要ではないのかなというふうに思いますので、国内の企業と全く同じ見方でいいのかどうか、その辺りは是非、これから認定基準を作成されるに当たって御検討いただきたいなというふうに思います。

 次に、公的データベースの連結の方に移りたいと思うんです。

 先ほど来出ていますNDB、ナショナルデータベース、レセプト情報のデータベースですね、ここと連結させるということなんですが、ここで連結する情報は、今回肝煎りとなっている仮名加工情報は除外をされていて、従来の匿名加工医療情報、つまり、役に立たないとは言わないけれども、十分じゃないと言われている情報のみが連結をされるということだと私は承知をしておりますが、それで連結の実効性が上がるのかどうか。そして、なぜ、より精緻な今回の仮名加工医療情報を外すという判断になっているのか。そこのところを教えていただけますか。

高市国務大臣 NDBなどにおいて、研究者に提供されるデータは匿名データに限られておりますことから、連結後の匿名性を維持するために、改正法案においては、匿名加工医療情報に限ってNDBとの連結を可能にするということにいたしております。

 この匿名加工医療情報をNDBなどの匿名データと連結して利用することによって、例えば、次世代医療基盤法に基づいて、急性期病院などから収集された様々な検査データなどを含む詳細な医療情報と、NDBから得られる急性期病院への入院前後の診察所などにおける診療行為の内容をひもづけて解析できますので、入院前や退院後の経過なども含めた医療研究が可能となるということなど、匿名データ同士であっても研究の幅は広がると考えております。

本庄委員 済みません、併せてお聞きしたのが、今回、仮名加工を外している、外さなければいけないのがどういう理由なのかというのを、私、いま一つよく理解できていないんです。

高市国務大臣 今回、先ほど申し上げたかと思うんですけれども、何といっても連結後の匿名性を確保するという、これは個人情報保護法の特例法でございますので、そこのところは重視をさせていただいたということでございます。

本庄委員 これは今後の運用の中でどのくらい実効性が上がるかを見ながらの判断だと思いますけれども、より利活用を進めていくためには、そういったことも視野に置いておく必要があるのではないかというふうに思っておりますので、引き続き御検討いただければと思います。

 それから、今回のこの連結に当たって、新たなID番号を振り、そして連結させていけるようにしていく、違うデータベース同士ですから、ということだと思うんですが、どのぐらいの所要時間を大体見込んでいらっしゃるんでしょうか。一年、五年、十年、どのくらいたてば、この連結ということが実際の研究者によって利用開始の状態になるというふうに、見通しとしてどのぐらい、どのようなお考えでしょうか。

高市国務大臣 この連結については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するということといたしております。

本庄委員 施行はそうなんですが、実際に使える状況。

 今でも、このNDBの情報というのは、申請してから出てくるのが非常に遅いと言われているんですね。したがって、法律は成立をし、施行したものの、実際にはなかなか使えない、連結がまだですまだですといって一年も二年もたっていくということが起きやしないかということでお伺いをしているんですが、いかがですか。

高市国務大臣 データベース間の匿名データの連結提供については、既に、NDBと介護保険総合データサービス、それからDPCデータベースとの間で開始はしております。だから、そこでの仕組みを基礎として、次世代医療基盤法のデータとNDBなどとの連結提供についても具体化を進めることになります。

 少なくとも、改正法の施行までの間に、このシステムテストを含めて、必要な準備は進めてまいります。

本庄委員 速やかにということで、よろしくお願い申し上げます。

 この関連で、今、厚労省関連の公的なデータベースの連結ということで、NDB、介護DB、DPCデータが挙がっていますが、民間のデータベースというのももちろんたくさんあるわけですが、そこもある種、宝の山と言えるとは思うんですけれども、こういったところとの連結というのは今後、念頭に置いていらっしゃるんでしょうか、政府として。いかがでしょう。

高市国務大臣 まずスタートは、公的なデータベースからということで考えております。

本庄委員 はい、分かりました。

 あるものは最大限活用していくということは、私は大事じゃないかなというふうに思いますが、公的なデータベースの活用の前に、まず政府内の体制を是非一本化して、強力な司令塔機能をつくっていただきたいと思います。

 あと、残された時間で、利活用促進のための更なる方策ということで、この間も、与党議員のお二人からも少し出ていましたけれども、今回、法改正で、広報をするとか啓発するとか、あるいは医療機関側にも努力義務、責務ということで情報提供に努めてくださいということなんですが、それでは情報提供をしようとはならないと思うんですね。メリットもないし、面倒だし、下手すればお金もかかる、手間もかかるということで、かけ声だけではやはり前に進まないと思うんですね。目に見える具体的なメリットが、情報提供、つまり医療機関側にないと、私は、今の百八件、二百六十万人というデータの前提が広がらないと思います。

 そこでお伺いしたいんですが、事業者が経費を負担するというような、ごくごく限られた話では、私は不十分だと思います。例えば、システム改修などというのに公的な補助、あるいは何らかの診療報酬の点数上のメリット、あるいは研究成果の優先的な利用、そういった、医療機関側から見た、具体的で目に見えるメリットが私は必要だというふうに思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 現行法に基づく基本方針、閣議決定されたものにおきましては、協力事業者である医療機関などから認定匿名加工医療情報作成事業者に対しては、医療情報の提供に要する費用を超えた情報の対価となるような支払いは行わないことを基本とするということを求めておりますので、医療情報の対価が支払われるということは想定しておりません。

 ただ、認定事業者が医療情報の提供に要する費用を負担するということは可能ですので、例えば、認定作成事業者が、協力いただける医療機関に対して、質の高い医療情報を継続的、安定的に提供していただくための電子カルテのバックアップサービスなどを提供するということによって、医療情報を提供するメリットを感じていただく、こういった取組も行われているということでございます。

 今後、電子カルテの標準化についても医療DX推進本部が立ち上がって取り組まれておりますし、様々状況は変わっていくと思います。医療DXの取組によって電子カルテ情報の標準化などが進みますと、また研究開発という二次利用のための医療ビッグデータの収集や活用も加速されていくという関係性にもありますので、DXの進展にも期待をしながら、それぞれ負担はできるだけ減らしていく。そしてまた、医療機関側には、基本方針を逸脱することはできませんけれども、新たにこのシステムを入れるような場合、ここに対してしっかりと応援をしていくということになるかと思っております。

本庄委員 私がお伺いしたのは、事業者が何か対価を払うとかそういうことではなくて、もっと公的な支援が必要じゃないかということを申し上げているんですね。メリットのない病院側と自己負担させられる事業者という関係が続いている限りは、今の百八件、二百六十万人というこの数字が大きく変わるということは、私はとても期待できないんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非これからも検討をお願いしたいと思います。

 最後に、今大臣もちょっと言及されました電子カルテの標準化、これはかなり重要だと思いますし、関係者の専門家からもそういう声が多数出ていて、結局、レセプト情報がなぜ使いやすいかというと、標準化されているからだと。一方、カルテは標準化が遅れていて、下手したらお医者さん任せになっている。ここのところをやはりしっかり標準化していくことが、今進めているビッグデータの普及促進には極めて重要だと思います。

 ただ、先ほど来、大臣のお話を聞くと、この話は恐らく大臣が入っていない医療DX推進本部でやっていて、今大臣が取り組まれている方の本部の直接の所掌の外になっているんじゃないかと思うのですが、この一点だけ見ても、やはりその二つの本部は非常に関係性を持っていると思うので、是非、政府一体で、厚労省も含めて、強力に推進していただきたいと思いますが、最後に御答弁をお願いします。

高市国務大臣 電子カルテ情報の標準化が進むということで、あちらの、DXの本部の方では一次利用を念頭に議論が進んでいますけれども、研究開発という二次利用のための医療ビッグデータの収集、活用も当然加速されるという関係性もありますので、医療DX推進本部の取組、これに呼ばれましたら、しっかりと出かけていって主張してまいりたいと考えております。

本庄委員 是非、押しかけて、そしてリーダーシップを発揮してください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。本日はどうぞよろしくお願いします。

 今、本庄委員からちょっとお話があったところ、せっかく、ちょっと関連の質問を私用意しておりましたので、そこから始めさせていただきたいと思いますが、本日は、次世代医療基盤法改正法案に関する質疑ということで、よろしくお願いいたします。

 冒頭申し上げると、電子カルテはちょっと日本は遅れているのと、実はアメリカも遅れているんですよね。アジアなんですよ、圧倒的に進んでいるのは。それは様々な理由があって。ただ、全部電子カルテにしても、ベンダーがずれていると相互のデータの共有ができなかったり、これは、かなり大きなグランドデザインで、今、日本が遅れている分、グランドデザインを大きくやって調整していった方がいい問題で、慌てて電子カルテを無理やり導入させるよりは、全体的なグランドデザインを整えてからしっかりと進めた方が日本はいいかなと思います。アメリカと日本は遅れています、はっきり言って。アジアがむちゃくちゃ進んでいるんですよね、中国とか韓国とか。

 そういうことが、今、本庄委員からありましたので、是非そこはしっかりと御検討いただき、ただ電子カルテを入れればいいという問題ではないということは申し述べます。

 そして、今、本庄委員からあったんですが、認定事業者に医療情報を提供する場合に、やはり医療機関の負担が増えるということも困るんです、医療機関、新型コロナ感染症の対応で経営的にも人員的にも限界にある中で。

 ただ、難しいなと私が思うのは、認定事業者が医療機関に過度の謝礼金を払うことはないと大臣さっきおっしゃいましたよね。ただ、現実的に、本庄委員の質問と若干重なりますが、医療情報を提供するに当たって、医療機関側は何らかの作業が必ずやはり必要になるんですね。

 ここに関して、その費用の分担、さっき大臣おっしゃいましたよね、一部、電子カルテ。

 ただ、ここの費用の分担はかなりしっかりとルールを決めておくことで、絶対に、DPCの急性期の病院にデータというのはやはり蓄積されていく部分が多いと思うので、ここは、費用分担というのは今明確に決まっていますか。一部さっき大臣おっしゃいましたが、明確に決まっていますか。(高市国務大臣「ごめんなさい、最後が聞き取れない」と呼ぶ)

 じゃ、もう一回言いますね。要は、だから、医療情報を提供するに当たって、医療機関側に作業が必要になるわけですよ。これに対して、さっき大臣は、電子カルテの一部のところを提供するとか、そういう話がありましたが、この点の費用分担をどうするか。要は、ただでやるのは、こんなの、医療機関側も、当然、持ち出しになったり人的負担がかかったり、いろいろなことで取られるので困るわけですよ。ただ、過度の謝礼金は払わないとさっき大臣おっしゃいましたよね。だから、実際そこをどういうふうにするのかちゃんとルールを決めておかないと困るんですよ、お互いに。だから、どうされるかということを聞いているんです。

高市国務大臣 負担につきましては、認定仮名加工医療情報作成事業者が医療機関で生じる費用を負担するということが基本でございます。

吉田(統)委員 じゃ、例えば、いわゆる事務作業者に対する対価なんかも払うということでいいんですかね。そこが非常に大事なのと、じゃ、そこと、追加で、結局、これは医師との関係なんですよね。データだけの、数字上のものだけを抽出していくということであればいいんですが、そのバックグラウンドになる様々なデータ、要は、何の病気に関するどういったデータを取りたいのかだとか、こういった類型のコホートをつくって研究していきたい、あるいは薬を作ったりするデータにしたいとか。つまり、ここで重要なのが、ただ数字だけを抽出することと、医療情報、つまり医師と認定事業者が一定程度のコミュニケーションを取った上で取った情報というのは、精度と価値が変わるんですね。

 ただ、ディオバン事件という事件が日本でも起こりました、高血圧の。これは、アカデミアと製薬会社の癒着が原因ですよね。ですから、認定事業者と医師との距離感というのが今回非常に大事になるんです。ただ、この距離感が適度に保たれれば、数字だけじゃなくて、非常に高い精度の情報が得られるわけです。

 しかし、過度に医師とコミュニケーションを取り過ぎることは、やはり何らかのバイアスがかかりますし、また、変な癒着関係に陥ることがある。ただ、逆に、医師の医療情報を全く排除して数字のみにすると、我々研究をしていた立場からすると、これは非常に価値が低いデータになるんです。ここは、大臣、どうやってお考えになられていますかね。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

高市国務大臣 いわゆる委員のお尋ねはデータの質、信頼性の担保ということになるかと思うんですけれども、認定匿名加工医療情報作成事業者においては、医療機関における医療情報の種類、形式などの実態を踏まえて適切な方法で医療情報を取得するということとともに、研究開発に関するニーズに応じて必要な医療情報を選定して抽出するということについて高い専門性を有する医療情報取得、整理責任者を配置するということを認定基準として求めております。

 また、認定匿名加工医療情報作成事業者が医療情報を収集するに当たりましては、データ入力の仕様を共有するということとともに、規格を共有する各医療機関から取得した医療情報について、病名の標準化ですとか異常値の修正といったデータクレンジングに注力しているということも承知をしております。

 やはり、今後、薬事承認申請への活用ということもございますので、医療現場の段階でのデータの品質管理というのは非常に重要だと考えています。政府としましては、これは、私が入っていない医療DX推進本部で、電子カルテ情報の標準化の取組を進めていくということになっておりますので、認定作成事業者においても、収集する医療情報の信頼性の向上に向けて適切な努力を払うように指導してまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 分かりました。大変に今しっかりとした御答弁をいただいて、大体理解できたんですが、この後、政府参考人の方からで結構ですけれども、今、大臣の答弁を聞いていて、やはりこれは、創薬に最も資するようにというビッグデータの使用の仕方というふうに私には聞こえてきていて、いいんですよ、製薬メーカーがそれをどんどん使ってほしいですよね、逆に、大臣。

 ただ、例えば、今の時代、医療はオーダーメイド医療、SNPというものが発見されてから、非常に、病気のなりやすさというのが分かるようになったわけですよ。HBOC陽性の方は乳がんになりやすくて、これは私が何回か質問して保険適用にしていただきましたけれども。

 こういった部分で、アカデミアがこのデータを使いたい、連鎖解析をやったり様々な解析をするときにアカデミアがこれを使いたいということは想定しているのかということと、アカデミアが使用する場合はどういうふうに使用すればいいのかということをちょっと政府参考人から教えていただけませんか。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 認定仮名加工医療情報作成事業者が協力医療機関からデータをいただく場合のデータの精度の確保、クレンジング等につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、基本的には、この制度は、認定利用事業者、つまり、国が仮名加工医療情報の利用を認めた利用事業者が利用するためということですので、利用事業者は、委員から御指摘があった製薬企業だけではなくて、当然アカデミアや研究機関も利用事業者になり得るということは、その利用事業者が活用しやすいような形でのデータの収集というふうなことを作成事業者の方は意識しながらデータを収集するということになろうかと思います。

吉田(統)委員 ちょっと分かりにくいので確認なんですけれども、だから、認定事業者がデータを集めますよね、そのデータをアカデミアが使いたいという意味ですよ。と僕は言っているんですけれども。ちょっと今の説明だと分かりにくいんですが、アカデミアが、製薬会社じゃなくてももちろん使ってもいいわけですよね。それがちょっと今の説明だと分かりにくいので。

 そのときに、アカデミアがどういうルールの下で、また費用とか、そういったものに関して、そういった工夫が何らかされているのかと聞いているんです。だから、製薬メーカーだけが使う想定に聞こえちゃうので、アカデミアがそういった様々な、連鎖解析やそういうのに使うときにも使いやすい設計になっているのかということを聞いているんですよ。もう一回お願いします。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 私が申し上げましたのは、この制度は、次世代医療基盤法は、医療機関等から仮名加工医療情報の作成事業者がデータをいただいて、それを使う仕組みですので、仮名加工医療情報作成事業者のデータを使うという意味では、製薬企業であっても、それからアカデミアであっても、認定事業者としての認定を取っていただくということになります。

 恐らく、現在、次世代医療基盤法ではなくて、個人情報保護法に基づいて、学術目的の利用とか公益目的の利用とかいう形でアカデミアが使ったりというふうなことができると思います。あの制度につきましては、当然、従来できていたものはこれからも当然できるようになるわけですけれども、この制度にのっとる以上は、アカデミアでありましても、やはり認定利用事業者としての認定を取っていただくという形になります。

吉田(統)委員 その説明で結構です。よく分かりました。

 要は、アカデミアはアカデミアで、今は自分のネットワーク、例えば国病機構だと国病機構の臨床研究センターでの共同研究とか、大学同士の共同研究、そういった形でやっていますけれども、今回、これを使うならそういうちゃんと認定を受けてくれ、そこを聞きたかったんです。ありがとうございます。

 じゃ、今は細かい話を聞いていったんですが、大臣にお伺いしたいのは、まず本法案のグランドデザインをしっかりと聞いていきたいんです。

 医療情報のビッグデータ化ということですよね。個人情報の保護は同時に図っていかなきゃいけないです。ただ、まだ今のところ、こういったビッグデータを活用し切れていないのが我が国の研究開発や創薬ではないかと思うんです。検討ワーキングチームの一員の方からも、今回の法案で、医療ビッグデータ活用、余り効果がないんじゃないかなんという危惧の声も上がったということは聞いております。

 今までに、NDB、介護データベースなど、類似のデータベースがあまた設置されていますよね。今回それを連結をするということですが、この際、しっかりとした活用ができる大きなデータベースを作るべきだと思うんです。

 ですから、今回の法案に限定せずということで大臣にはお答えいただけると一番分かりやすいんですが、政府として、医療データの活用について、将来のグランドデザインをどのようにお考えになっているかをちょっと確認させてください。

高市国務大臣 将来のグランドデザインということでございましたら、またちょっと今御審議いただいている法案とは別になりますけれども、医療DX推進本部で議論されている全国医療情報プラットフォームの創設、それから併せて電子カルテ情報の標準化ということで、これは大きく環境が変わっていくと思っております。

 その推進本部では、一応、将来、二次利用に係る仕組み、そういった議論も考えつつ、当面、一次利用に重点を置いた取組、これについて御議論いただいていると理解していますが、やはりDXが進んでいくということによって医療研究のための医療情報の収集、活用も円滑化されるという関係性がございますので、本法案との関係性も大いにあるということです。

 将来、やはり全国規模の、全国医療情報プラットフォームが創設されるということが大変楽しみなことだと考えております。

吉田(統)委員 それでは、大臣、またちょっと細かいことも聞いてまいります。

 今回の法案で、今、グランドデザインのお話を聞いたんですが、大臣、この法案でどのような成果が得られるかということはやはり大事になってきますよね。当然ですよね。すなわち、一つは、さっき創薬のことを大臣はおっしゃっていただいたんですが、医薬品や医療機器の認定のスピードアップに資するかというところなんですね。

 今回の法案によって、仮名加工医療情報の収集と利用が可能になるわけです。しかし、そもそも、このデータが医薬品や医療機器の承認申請に関して仮名加工医療情報としてPMDAに提供された場合に、PMDAが、提供されたデータに一定程度というか、できれば絶対的な信頼を置いて承認の手続に入るような、それだけ精度の高いデータにして、かつ、PMDAはそういった扱いをしていかないとなかなかいい形になっていかない、短期的な視点で見ればですよ、ということなんです。

 なので、PMDAの審査における信頼感がないと、例えば製薬会社がこの仮名加工医療情報を創薬の現場で積極活用しようということにならないですよね。PMDAがお墨つきを一定程度与えてくれる、政府が保証を与える、こういった形のデータにしなければならないわけです。

 もう一回申し上げますが、要は、政府がこのデータを、PMDAが信頼できる、このデータを用いたというか、もちろんデータだけですよ、使い方は別です、使い方は製薬メーカー等々が使うわけですから。ただ、数字そのものとしては、絶対的な信頼度を置けるデータにできるんですか、大臣。

高市国務大臣 まず、仮名加工医療情報など医療データを薬事承認申請に活用するということについては、これはデータの信頼性が担保されるということが非常に重要でございますので、認定仮名加工医療情報作成事業者については、先ほどもちょっとお話をいたしましたが、医療情報取得、管理責任者として配置するということを認定の要件として想定しています。

 それから、医療情報データを薬事承認申請に活用するに当たっては、厚生労働省で、令和三年三月に、特定の疾患等に関するデータを収集したレジストリーを利用する場合の基本的考え方や留意点、また、令和四年九月には、電子カルテ等に基づいて構築された医療情報データベースを利用する場合の留意点といった、薬事承認申請に活用するためのポイントを示しておられます。これらは、仮名加工医療情報に対しても適用可能だと考えております。

 まずは、医療情報の収集や整理に知見を有する認定仮名加工医療情報作成事業者が、これら厚生労働省が求めておられるポイントを踏まえて、仮名加工医療情報の信頼性の確保を図っていくべきだと考えています。

 では内閣府は何をするのかということですが、本法に基づく医療データの薬事承認申請への活用を推進するために、PMDAも参画した形で、仮名加工医療情報を薬事承認に活用するための検討ですとか研究が行われるように、これは厚生労働省とも連携して取り組んでまいりたいと思います。

 やはり信頼性をしっかりと担保するということが、委員おっしゃるとおり、もう全てだと思います、とても大事なことだと思っております。さすが医師として活躍されたプロフェッショナルだなと思いながら御指摘を伺っておりましたけれども、これはとても大事な御指摘だと心にとどめて、これから取組を進めてまいります。

吉田(統)委員 大変御丁寧な御答弁。本当に、大臣、研究者もまたしかりなんですけれども、採血のデータなんかやはりぶれがあるわけですよ。そういったところで、チャンピオンデータみたいなデータばかり抽出していくと問題が出てくるものですから、ここは、政府が御意見を聞けるような専門家もたくさんいらっしゃいますので、そういった方からも非常に御助言をいただきながら進めていっていただきたいと思います。

 では、もう少し時間がありますので。今回の法改正では、仮名加工医療情報を収集できるようにするだけでなく、NDBや介護データベース、その他の公的なデータベースとの連結解析が可能になると聞いています。この連結解析が可能になることで、どのような効果が生じると大臣はお考えですか。

高市国務大臣 今回、連結していけるということによって、非常にこれは、希少な疾患であったり、それから急に数値が上がったような場合、こういった情報も当然活用できますし、それから、やはり、急性期の病院に運ばれる前後にどういう診療所にかかったのか、どういう投薬を受けたのか、こういうことを総合的に見ていけるということが物すごく大切で、これは研究にも活用していける大きなポイントであろうと私は考えております。

吉田(統)委員 大臣、一生懸命お答えいただきましたけれども、まだ何となく生煮えの議論の状況なのかなと今聞くと思いますね。結構です。

 ただ、大臣、連結により個人情報管理のリスクマネジメントが、やはり必要性が増加しますよね、これをやると。利用者が、連結できる医療情報を不適切に利用することがないようにしなければいけませんが、その辺の措置というのは同時に考えていらっしゃいますかね。

高市国務大臣 このデータ提供なんですけれども、いずれも、仮名でなくて匿名の状況で行われます。加えて、利用者によって不適切な利用が行われないように、認定事業者が設置する審査委員会において、NDBとの連結可能な形での提供が行われることを前提とした、利用の目的そしてまた態様などの審査を行うことを予定いたしております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続き、ちょっと関連で聞いていきますが、今回の仮名加工医療情報と既存のNDBや介護データベースとの連結解析を行う上で大切なのは、死亡情報がこれは載ってきますよね。死亡情報をいかに正確にデータベースに載せることができるかということも重要なんだと思います。

 人というのは、今は、亡くなるときは、大臣、心停止ですよね、心臓死が死で、脳死という概念がその後、今あるわけです。ただ、基本的には、人間の死というのは心臓が停止することをもって死亡となるわけであります。

 ですので、例えば、死因が心不全になることというのは極めて多いんですね、大臣。これはもちろん間違いじゃないです。ただ、今回進めようとしている医療ビッグデータの活用だと、全部心不全になると支障が出ちゃうんですよ。大臣、お分かりになりますよね。

 厚生労働省では、ここは厚生労働省なのかもしれませんが、死亡のバックグラウンドとなる疾患を、ごめんなさい、厚生労働省自体は、当然、この死亡届、なるべく詳細に書くように昔から我々は指導を受けるわけであります。

 ただ、実際に人が亡くなるときに、病院で、自分の担当医のそばで亡くなるわけではないですね、必ずそういうわけではない。介護施設に入所中に亡くなる場合は、介護施設の先生、常駐していた先生や提携されている医師がみとる、それで死亡診断書を書くわけであります。その際に、必ずしもこれは、特に老健の院長先生だとちょっと臨床から離れられた先生もいらっしゃったり、あるいは、担当医と患者さんとの関係の深度、深さや期間が千差万別となるんです。

 そうすると、これは、日頃からの連携はもちろん重要なんですが、非常にここ、記載の仕方のルールを決めて、何かもう始まっているんですよね、大臣、この作業が。そうすると、最初にこの死亡情報を正確に収載できるようなルール作りを早めにしておかないと、途中でルールを変えたらデータの信頼性が落ちちゃうんですよ、大臣。

 だから、ここを、内閣府として、死亡情報を現行の匿名加工医療情報や仮名加工医療情報に載せるための制度設計でどういった工夫をされているのか、非常に重要なので、大臣、そこをお答えいただけますか。

高市国務大臣 確かに、私の母親が亡くなりましたときも、心不全と書かれて、急死だったんですが、心不全で、それは人が死ぬときは心不全なんだろうとは思ったんですが、いまだによく分かりません。

 この連結を行うNDBにおいて、令和六年度より、死亡情報の収集が開始されます。死亡診断書に係る情報が収集されるということなんですが、やはりその質の確保というのも非常に重要なことです。

 この死亡診断書を作成する際のそれぞれの判断についての質の向上については、死因の判断という極めて医学的、専門的な課題を指示されていると受け止めております。医師法などの観点から、これは厚生労働省ですが、必要な取組が行われております。

 死亡診断書で、ちゃんと記入マニュアルがあって、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全などは記入しないこと、また、死因としての老衰は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いること、こういったことは浸透させていただいていると思いますので、特にここは、より質の高い情報の連結が行えるように、厚生労働省と連携してまいります。

吉田(統)委員 是非、本当に大臣、それをやっていただいて。

 厚生労働省の政府参考人の方は来られていますかね、ここの分野。もしあれだったら、ちょっと一言、今の大臣のお言葉で、どういった連携をするのかということを、大坪審議官ですかね、お願いできますか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、今、高市大臣がおっしゃいましたとおりでありますけれども、死亡診断書の書き方について、これは今回の法案の効果のみならず、全ての死因統計の作成の基本となる資料でございますので、正確でなければならないと考えております。

 大臣から今、このマニュアルについて御説明をいただきましたけれども、かなり詳細に、直接死因から、因果関係と考えられるものから、たくさん書くようにということでマニュアルを作らせていただいていまして、これは毎年更新をし、新たに医師になられるドクター始め一生懸命研修に努めていただいているわけでございます。

 医師の皆様には、引き続きこれをしっかり読んでいただいて、適切な運用をしていただきたいというふうには考えております。

吉田(統)委員 死亡診断書、死体検案書、非常に重要な書類ですが、なかなか書くのも大変でして、これは本当に、医師、人の死を認定する書類なものですから、我々も心して書くわけですけれども、なかなか大変な作業でして、これも、しっかりとしたものを書く中で、医師の負担も一定程度、余り過度にならないようにはしていただきたいなと思います。ただ、重要なデータなので、なるたけ精緻に書いていただいて、これは厚生労働省、やっていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、たくさん用意したんですが、あと、ちょっと国病機構の臨床研究センター。さっき、アカデミアでの研究開発の話をさせていただきました。二月の予算委員会第四分科会で、国立病院機構臨床研究センターの運営費交付金がなくなっちゃったということで。

 こういったビッグデータを活用していったり治験をしていく場としては、日本だとやはり国病機構、国立病院機構の臨床研究センターが非常に大きな役割をずっと果たしてきたんですよね、頑張ってきた。

 しかし、ちょっと時間がないので余り細かくは話せないんですが、多分、治験の場として、製薬メーカーと国病機構臨床研究センターがやはりまたやっていくことになると思うんです。しかし、この臨床研究センター、そもそも運営費交付金をなぜゼロにしちゃったのかということもそうだし、レクの中で一定程度のお答えをいただいたんですが、今、どうも、現場での流動研究員とかが、任期が終わるとそのまま首になっちゃったり、ある種の雇い止めですよね、任期を切って、もう続けたくても続けられなかった。いずれにせよ、特に、数字に見えない流動研究員とか実験助手とか研究助手という、正規のスタッフじゃない方がどうしてもちょっと今減らされているんですよね。

 実際、データの解析をする方は、こういう方の場合が臨床研究センターの場合は多いんですけれども、ここに関して、ちょっと現状の認識と、何らか対応してくださるのであれば、そこをお伺いしたいので、ここも大坪審議官ですかね、お願いします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、二月にも御質問いただいたところでございます。

 国病機構につきましては、年金機構、国民年金法等の一部改正法律、これが令和二年ですね、このときの成立を前提として、令和二年度まで同機構が負担していただいていた公経済負担、この分とほぼ同程度の額ということで、運営費交付金、これを皆減する見直しということで、国の方でこの公経済負担の方を負担するということで、運営費交付金が令和三年度以降出ていないというところでございます。

 それ以降の事業費、これは、国病機構は、中期計画にも掲げておりますように、臨床研究事業を一つの目標としております。事業費を確認してみましたところ、令和三年度も令和二年度とほぼ同程度の額、事業費は確保しているということ。

 それから、ちょっと、先生から御指摘をいただいたので、過去十年の常勤と非常勤と流動研究員、この人数、定員等々調べてまいりました。定員が少し減ってはいるんですけれども、現員として、そこの現人数というものが、元々そこを満たしていないというところでありまして、現在いらっしゃる人数についてはほぼ変わりがないということでございます。

 それから、さらに、臨床研究センターにおいて、常勤の職員は任期が定めがないわけでありますが、任期つきの場合には原則三年を超えない範囲で任期を定める、また、非常勤の場合には一年度ごとの更新。この際、任期が参りました場合には、更に次の任期も採用したいということを希望した場合には、勤務実績等を踏まえて採否の決定を行うこととしておりまして、労働関係法令に基づいた対応を行っているということを確認をしております。

 労働契約法に抵触する形でのいわゆる雇い止め、こういった実態はないというふうに報告をいただいているところではございます。

吉田(統)委員 もう時間が来たので終わりますが、また議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

藤井委員長代理 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。よろしくお願いします。

 我が国は、医薬品、医療機器共に貿易収支は輸入超過であるとともに、ベンチャー企業発の革新的な医薬品、医療機器が事業化されている欧米に比べて、ライフ系のベンチャー企業が育っていない状況にあります。

 米国では、政府系のみならず、民間の医療情報データベースが構築されておりまして、匿名加工された医療情報は研究などで大いに活用され、医療、創薬の発展を支えています。

 こうした中で、二〇一八年五月に、我が国においても、医療ビッグデータを活用することで健康や医療に関する先端的研究開発及び新産業を創出することを目的とした次世代医療基盤法が施行されました。

 施行から五年近く月日が流れまして、法の附則を踏まえ、次世代医療基盤法検討ワーキンググループの検討を経て、今般、一部改正法案が提出されたと承知をしております。

 この改正案では、新たに、仮名加工医療情報の取扱規定を整備して、匿名加工医療情報を匿名医療保険等関連情報等と連結をして利用することができる状態で提供するための仕組みを創設する、さらに、医療情報取扱事業者に関し、認定事業者への医療情報提供等によって国の施策へ協力するよう規定がなされるなど、医療情報がより利活用しやすいものへと改正がなされる、これを目的としている。そして、この利活用も進んでいくのだろうと感じております。

 一方で、個々の事項に関しては、疑問点ですとか改善点、先ほども、これまで様々委員から御指摘ありましたとおり、ちょっと重複してくるかもしれないんですけれども、そういった点があると思いますので、順次確認をさせていただきたいと思います。

 まず、法に基づく医療情報の利活用の実態について確認をさせていただきたいと思います。

 次世代医療基盤法は、第一条で、「健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的とする。」とうたっております。そのための仕組みである次世代医療基盤法施行から五年近くたっておりますが、この五年間の医療データ利活用の実績、本庄委員からも指摘がありましたけれども、それによる代表的な成果をお伺いをいたします。改めて参考人にお伺いします。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の次世代医療基盤法、平成三十年の五月に施行されたわけですが、この施行以降、これまでに約二百六十万人分のデータが収集され、二十一件の研究利用が行われております。

 具体的な利活用の実績といたしましては、新規プロジェクトを正式に開始する前に実現可能性を調査するいわゆるフィージビリティースタディー、この用途がやはり多いわけですけれども、中には、乳がんや心不全等の個別の疾患を対象とした治療実態を把握するための研究、これに利用されたケース、あるいは学術論文の公表につながったケースもあると承知をしております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 二十一件、二百六十万件のデータ、様々な、学術論文等にも役立っているという御答弁でしたけれども、この二十一件、どう評価するかなんですが、私は全然少ないなと思います。今回の改正を機に、もっと活用がなされて、画期的な研究開発の成果につながることを大いに期待したいところなんですけれども、今の政府参考人の御答弁を踏まえまして、法施行後五年間の医療情報の利活用実態に対する高市大臣の評価を是非お伺いできればと思います。

高市国務大臣 一定の実績はあったということですが、やはり累計二十一件の利用実績数というのは決して多い数字ではございません。

 この制度の見直しに向けた検討会では、現行の匿名加工医療情報では、希少疾患についての研究、またデータに基づく精緻な研究、さらには薬事申請のためのデータとしての活用が難しいといった課題が指摘されました。

 だからこそ、今回の制度見直しによってこれらの課題を解消するということで、更に利用が進んで、医療分野の研究開発成果、これが国民の皆様に還元されるということが何よりも重要ですので、ここを期待いたしております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 これからも大いに、利活用、そして国民の皆さんへのメリットの還元が進むことを期待しております。

 次に、医療情報を収集して匿名加工する認定匿名加工医療情報作成事業者についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回の改正では、匿名加工情報と比べて加工程度が低く、いわばより多くの情報を含んだ仮名加工医療情報の仕組みが創設されまして、特異性の高い医療情報などの二次利用の活用が可能となりますが、現時点で認定されている匿名加工医療情報作成事業者は、ライフデータイニシアティブ、日本医師会医療情報管理機構、匿名加工医療情報公正利用促進機構の三団体のみであります。

 このように、認定加工医療情報作成事業者が三団体のみであることによる弊害はないのか、高市大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 弊害がないかと問われると、大変難しゅうございますが、三団体にとどまっている理由ということは申し上げられます。

 認定匿名加工医療情報作成事業者というのは、医療機関などから医療情報の提供を受けて、その保管、加工を行うということになるので、組織的な側面、それから人的な側面、それから技術的な側面などから厳格な安全管理措置を講じる体制を求めております。

 この厳格な基準を満たすことが必要になりますので、これまで認定を受けた匿名加工医療作成事業者は、法律施行からの約五年間で三事業者にとどまっています。これ自体は必ずしも不自然なこととは考えておりません。

阿部(司)委員 厳しい審査があって認定されたもので、適正な数字であって、特に問題もないといった趣旨の御答弁だったかと思いますが、個人情報である医療データを扱う事業者、厳しい認定基準を満たして、十分な能力を有している必要があって、認定された事業者というのはしっかりとこの基準を満たしているものだと思います。しかし、データの利活用料、これは各自が独自で決めることのできる自由価格というふうに聞いておりまして、三団体のみですと、いわゆる寡占状態が生じるのではないかなと懸念をしております。

 また、各認定事業者が集めるデータに特色があると聞いておりますけれども、幾つもの事業者が存在することで、得意とする収集データの範疇も変わってくるとすれば、利用者サイドからすると、一定数以上の認定事業者が存在することの方が望ましいと思うんですね。

 こうした点も御勘案の上、是非、認定事業者を増やしていく努力をしていただきたいと思うんですけれども、高市大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 認定加工情報作成事業者の数に制限を設けているわけではございません。この改正法案がお認めいただけましたら、仮名加工医療情報の提供が可能となります。そうしますと、認定仮名加工医療情報作成事業に新たに参入する事業者が出てくるだろうということは十分に想定できると思います。でも、これはしっかりと周知、広報していかなきゃいけないことだと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。しっかり、フェアな、そういう市場というんですかね、これが形成されるような周知、お取組を進めていただけるようお願い申し上げます。

 次に、医療情報の提供者である医療機関等についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 医療情報を認定匿名加工医療情報作成事業者に提供することができるのは、病院、診療所、老健施設、調剤薬局等の医療機関のほか、自治体、健康保険組合等の保険者、学校設置者とされています。

 こうした中で、認定匿名加工医療情報作成事業者に医療情報を提供する医療機関、自治体の数は、令和四年十二月時点で三十五都道府県、百八件でありまして、自治体は弘前市と逗子市の二団体、後期高齢医療広域連合は青森県後期高齢者医療広域連合一団体のみでありました。

 こうした状況に照らしまして、なぜ、医療情報提供機関となっている自治体、後期高齢者医療広域連合が少ないのか、お伺いをしてまいりたいと思います。そして、自治体等からの医療情報提供を増やしていくための今後の方策について、内閣府参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の次世代医療基盤法に基づく認定事業者への医療情報の提供でございますが、現状、自ら医療分野の研究活動を実施するなど、医療情報の利活用の重要性に対して深く御理解いただいている大学病院などを中心に御協力いただいているものと理解しておりまして、その中で、委員からも言及いただきましたとおり、二つの自治体が、弘前市と逗子市でございますが、御協力いただいているという状況でございます。

 医療情報が有効に利活用されるためには、医療機関から提供いただく情報のみならず、自治体等にも趣旨を御理解いただいて、例えば特定健診データですとか、そういった自治体の情報についても併せて収集が進むことが望ましいというふうに考えております。

 今回の改正におきまして、医療情報を取り扱う事業者に対して協力を求める規定を新たに盛り込むこととしておりますが、今後、医療機関のみならず、自治体あるいは後期高齢者広域連合なども含めまして、医療情報の利活用の成果をやはり国民の皆様に還元するという次世代医療基盤法の制度の趣旨、これをできるだけ御理解いただけるよう、制度説明をいろいろな形で、パンフレットの作成や配布だけではなくて、自治体向けのシンポジウムの開催等を含めて実施をして、更なる周知、広報に努めていきたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 二〇二二年時点で全国の医療施設だけでも十八万施設強あると言われている中で、協力医療情報取扱事業者が百八件というのはちょっと少な過ぎますし、情報提供する事業者が存在しない県というのが十二ありまして、収集データに地域的な偏在が生じる可能性もあるかなと思っております。

 その上で、様々な事業者からの多様な医療情報の収集という観点からは、今ありましたけれども、自治体にどんどん協力を求めていくべきだと思います。手間ですとかリスク、こうしたことを危惧されているかもしれませんから、その部分もしっかりケアをしていただきたいと思います。

 今般の改正で、御答弁にもありましたとおり、国の施策への協力規定が設けられているということでしたので、しっかり自治体等の皆さんの声を聞いた上で、実情を踏まえて、できるだけ多くの多様な医療情報を、取扱事業者の協力を求めていくことを要望いたします。

 同時に、医療情報の提供元を増やしていくことについてお伺いをしてまいりたいんですが、病院等の医療情報取扱事業者にメリットを付与していくべきだと思います。先ほどもほかの委員からも御指摘がありましたけれども、メリットがないとやりませんよねということですね。

 なので、医療情報を提供することによって、例えば、病院などの事業者が金銭面でメリットを得られるような仕組みを整備していくこと、これについてどうお考えか、高市大臣、御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 現行法に基づく基本方針で閣議決定されたものにおいては、医療情報の提供に要する費用を超えた情報の対価となるような支払いは行わないことを基本とするということを求めていますので、医療情報の対価が支払われるということは想定いたしておりません。

 ただ、認定事業者が医療情報の提供に要する費用を負担するということは可能ですので、例えば、認定作成事業者が、協力いただける医療機関に対して、質の高い医療情報を継続的、安定的に提供していただくための電子カルテのバックアップサービスなどを提供するということによって、医療情報を提供するメリットを感じていただく、こういった取組も行われております。

 さらには、医療情報の提供に際して生じる負担を軽減するということも重要だと思っております。現行法のガイドラインにおきまして、医療機関などから患者さんに対する通知の方法については、書面の交付だけじゃなくて、郵便ですとか電子メールによる方法、また窓口でタブレット端末などを提示する方法も可能であるということ、また、医療機関などが医療情報の提供のために必要な情報システムの改修コストを認定事業者側で負担することが可能であるということをお示しして、医療現場の負担軽減にも努めております。

阿部(司)委員 いわゆる負担軽減の部分ですと、医療情報のバックアップサービスの提供などの様々な配慮をされているといった御答弁だったかと思うんですが、これからもっともっと増やしていくに当たって、よりそこは踏み込んだ、もっともっと実効性を担保していくような取組を進めていただきたいなと思います。ちょっと漠然としているんですが、こうした要望を是非お伝えさせていただきます。

 次に、自ら医療情報を提供する立場にある患者さんについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 個人情報保護法の特例法として位置づけられる次世代医療基盤法では、あらかじめ本人に通知をすることで、本人同意を得ずに個人データを第三者に提供することが可能となるオプトアウト手続が進められております。

 この中で、患者さんに対して情報提供の意義、制度を分かりやすく伝えることが重要になってくると思いますが、患者さんに対する具体的な説明、こちらはどのように行っているのか、改めてお伺いをしたいと思います。

 また、今後の医療情報の利活用を考えたときに、制度自体への国民の理解が不可欠だと思います。この国民の理解を醸成していくことについて、内閣府政府参考人に御見解をお伺いいたします。

西辻政府参考人 次世代医療基盤法に基づきまして医療機関等が患者に対して行う通知でございますが、医療情報の提供を自分は望まないという患者が確実に提供の拒否を意思表示できる、表示する機会が確保されるよう、合理的で適切な方法により行うということをしておりまして、通知の中では、制度の趣旨についても併せて説明をしていただくということになっております。

 また、医療情報を幅広く利活用していただくということを進めていくためには、患者御本人のみならず、どなたもいずれ患者になる可能性があるわけですから、国民の皆様にとにかく制度の趣旨を理解していただくということが非常に重要であると考えておりまして、これまで、制度を分かりやすく説明した患者向けパンフレット、ポスターやロゴマークの作成、配布、それから、医療機関や自治体向けのシンポジウムの開催や、医学会等でのPR、次世代医療基盤法に関するお問合せのコールセンターの設置など、様々な普及啓発の取組を行ってきたところでございます。

 引き続き、患者、国民、それから医療従事者の方、多くの方々が制度の趣旨を御理解いただきますように、また、良質かつ適切な医療の実践やその高度化を目指す制度の意義や仕組みについても、効果的な広報活動を今後更に一層進めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 患者さんへの通知について言うと、各事業者が分かりやすい形で、説明の用紙をお渡しして通知をしている、また、政府としても様々な広報活動、PR活動をしておられるということでしたけれども、例えば、ドナー制度など、ドナーを集める制度について、こうした広報なんかと比較をすると、まだまだ認知度は低いかなというのが一国民としての実感であります。どれだけの国民が本制度を認知して、自らの医療情報が医療の革新、創薬に役立っていくといった意義を理解しているのか、まだまだかなと思っております。

 また、オプトアウトによる事前通知の下、患者さんは自らの医療情報の提供を拒否できることになっておりますけれども、例えば、患者さん本人に対しましても、何がしかの情報提供をする、インセンティブを与える、御本人の健康に資するような情報ですね、こうしたインセンティブを与えるような制度もつくっていくと、より情報提供を拒否する方が減っていくことにも一層つながっていくのかなと思うんですけれども、このような仕組みをつくることはできないのか、高市大臣の御見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 次世代医療基盤法は、収集した医療情報について個人を特定できない形での利用に限定するということによって、個人情報の保護と医療情報の利活用の両立を図る制度でございます。ですから、今回の改正法におきましても、個人を特定する識別行為というのは、薬事審査に係る審査機関からの調査に回答する場合を除き、認めておりません。

 患者個人に対する健康に関するアドバイスといった具体的な行為を行うためには、必然的に当該個人を特定する必要があるということから、次世代医療基盤法に基づいてこれを行うということは困難でございます。

 ですから、広く国民の皆様への還元を目的とした研究ですとか、創薬などの成果の実現を目指すものであるという制度の意義、仕組み、また研究の成果について広く御理解をいただくということが重要かと思います。

 それからまた、医療機関側でも、それによって生まれた新薬であったり、新たな最新の医学的知見をしっかりと活用して、患者の方々に還元していただくということは大事だろうと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 次に、データの標準化、そして医療DXについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 ほかの委員からも御指摘ありましたが、コロナ禍で明らかになったのは、我が国のDXの致命的な遅れ、特に医療分野での遅れだったかと思います。こうした状況の下で、認定事業者が取り扱うデータ、こちらは数百、数千、数万という施設から収集される一般の診療情報であり、データの利活用の前提として、病院の電子カルテ情報などの標準化を始めとする医療DX推進は喫緊の課題と言えるかと思います。

 こちら、医療DXを推進するために、医療DX推進本部ともしっかり連携して、高市大臣がリーダーシップを発揮していくべきと思いますが、大臣、御見解をお伺いします。

高市国務大臣 医療DX本部との連携は非常に重要だと思っております、残念ながらメンバーではございませんが。やはり二次利用というところで議題が立ちましたときには、しっかりと発言をしてまいります。

阿部(司)委員 前向きな御答弁ありがとうございました。

 次に、高市大臣から、医療情報の標準化を含め、今非常に医療DXの重要性も御認識いただいておりますし、しっかりやっていくといった御答弁がありましたが、医療DX推進に当たっては、医療データの一次利用だけではなくて、二次利用も視野に入れた取組をしっかりと進めていくべきだと思うんですけれども、厚労政務官、御答弁をお願いします。

本田大臣政務官 阿部委員にお答え申し上げます。

 質の高い医療の提供等に向けて、電子カルテ情報を含む保健医療情報について、関係者間で必要な情報共有を円滑に行い、利活用を積極的に推進することは重要と考えております。

 その上で、委員御指摘のように、医療DXの取組として、二次利用にも資する電子カルテ情報等の標準化に現在取り組んでいるところでございまして、この春を目途として、今この工程を進めているところでございます。引き続き、情報の利活用を推進してまいります。

阿部(司)委員 一次利用を中心とした取組を進めておられると聞いておりましたもので、二次利用はこれからなんだというような、事前のお打合せ、そんな話がありましたもので、是非、この二次利用を視野に入れた取組、工程表等も策定が進められているかと思いますが、しっかり二次利用の視野も含めて進めていただきますようお願い申し上げます。

 続いて、データ漏えい、データの不適切使用について伺います。

 医療情報は非常にパーソナルな機微情報です。このため、最も気を配らなければならないのは、個人情報の漏えい、データの不適切な利用ということになるかと思います。こうしたことを防いでいくには二重三重の対策が必要かと思います。

 そこでまず、法施行後の個人情報漏えい件数、これは先ほどほかの委員からも御指摘ありましたが、そして、同意取得されていない医療情報を認定事業者が誤って取得してしまった事案があれば、それぞれ件数と概要をお伺いいたします。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年五月の次世代医療基盤法の施行以降、認定作成事業者から個人情報が漏えいした事案は確認はされておりません。

 一方で、医療機関が患者の医療情報を認定事業者に提供する際に、プログラムの誤りによりまして、法令で定める手続が取られずに提供された事案が一件ございました。この事案につきましては、認定事業者から外部に個人情報が漏れたわけではないものの、重要な手続を怠っていたということですので、認定事業者に対しましては、法令に基づく報告徴収、同じく法令に基づく指導、これを行いますとともに、外部有識者によるヒアリング等も経て、徹底した原因究明と確実な再発防止策を講じさせたところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 何か事案が起こったらしっかり報告をしていくといったお話でしたけれども、あと、システムのミスということでありましたが、人的なミス、こうしたことも起こり得るのかなと思っております。こうしたことを踏まえまして、データの不適切利用ですとか個人情報の漏えいは起こることを想定した、前提とした対応策が必要だと思うんです。

 そこで、被害者救済ですとか補償制度を整備するべきなのではないかなと思うんですけれども、高市大臣の御見解をお伺いします。

高市国務大臣 現行法の認定匿名加工医療情報作成事業者に対しては、その認定要件として、万が一の医療情報等の漏えい等が生じた場合における被害の補償のための措置を講ずることを求めております。

 改正法によって新たに認定する認定仮名加工医療情報作成事業者そしてまた利用事業者に対しましても、現行の規定を参考に、適切な認定基準を検討する予定でございます。

 事業者を認定した後も、この事業者に対する継続的な監督も行いますし、万が一の場合の迅速な報告体制の整備なども必要でございます。

 それから、適宜ガイドラインの内容の見直しを図って、認定事業者による信頼性ある事業活動がなされるように、厳格に制度を運用してまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 要は、危機管理として、何か起こってしまったときの事前の備えと、一旦データ漏えいが起こってしまったときの対応というのを、想定に合わせてしっかりと規定をしていくべきかと思います。監督の方を是非よろしくお願いします。

 ここまで、今回の法改正に関連しまして、るる個別事項について確認させていただきましたが、最後に、より大きな視点で、医療のビッグデータ活用で創薬が発展して、医療の質が向上して、医療分野における我が国の国際競争力が高まっていくのかといった視点でお伺いをしてまいりたいと思います。

 単刀直入にお伺いします。

 高市大臣、今回の法改正で医療データの利活用は進んでいくのでしょうか。お答え願います。

高市国務大臣 進んでいくと思っております。

 新たに仮名加工医療情報を利用できるということになりましたら、リアルワールドデータを薬事承認審査に活用できるということになります。承認審査に必要なデータを製薬企業が迅速かつ効率的に収集することができますから、新薬の開発や既存薬の新たな効能への適用拡大の迅速化が期待できると考えております。

 また、研究開発への利活用に堪え得る匿名加工が難しいCT検査等の画像情報についても、仮名加工医療情報としてであれば提供が可能となりますので、画像診断支援AIなどの開発への貢献も期待できると考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今後、大いに、医療ビッグデータが様々に利活用されて多くの成果を上げていくことを私も心から期待いたしております。しかし、そのためには、法の整備だけではなくて、政府として強力に医療ビッグデータ利活用をバックアップしていく取組が求められると思います。

 そこで、法改正成立後の、法の趣旨を実現するための具体的な政府のお取組を高市大臣にお伺いします。

高市国務大臣 この改正法ですが、成立後一年以内の施行を予定しておりますので、政府としては、まずは、適切な利用が進むように、利用者の実態も踏まえた適切な安全管理措置を定めた認定基準を作成すること、そして、NDB等の公的データベースとの連結解析を実施しなければなりませんので、それに必要なルールを作成することなどに取り組んでまいります。

 その上で、利用することが想定される企業ですとか研究機関などへの制度改正内容の周知、広報もしなければなりません。

 また、薬事承認に向けたデータの信頼性確保のための取組といった改正法の趣旨を実現するための具体的な運用について、関係省庁と連携しながら、専門家の方々また実務家の方々の御意見も伺いながら計画的に進めていく必要があると思っております。非常に関係者が多岐にわたりますので、関係者間の連携はしっかりと図って、計画的に進めてまいります。

阿部(司)委員 現場の方から、その方はアカデミア、医療関係の方なんですけれども、何かデータを使おうとしたら、日本には数千件しかないデータがアメリカには数万、数十万あるということで、大きな差があると思うんですね。ここをしっかりと埋めて日本の医療産業を大いに発展させていくよう、お取組を進めていただきますようお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤井委員長代理 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、次世代医療基盤法の審議ということで、十五分しかございませんが、よろしくお願いしたいと思います。

 本日、これまでも各委員の皆様が同じような観点での質疑もされておりますので、確認の意味も込めて、重複する部分についてはできるだけ簡潔に進めていきたいと思います。

 我々国民民主党としては、仮名加工医療情報の創設、そしてその利活用というものには期待をしております。なぜなら、やはり新しい薬を作ったり、新たな治療法開発に寄与するだろうという期待感が大きいからであります。

 日本以外の、先ほどアジアの医療のデジタル化が進んでいるという話もございましたので、少しそこも触れさせていただきますと、特にASEAN各国では、元々医師の数が少ないことですとか、地方において医療へのアクセス性が悪いといった課題に直面したことを背景にして、医療業界を挙げて医療データの活用とデジタル技術の導入を推進し、現在では、遠隔診療であったり、あるいは遠隔地でも薬の購入ができるようなアプリ開発が進んでいるというふうに言われております。

 日本も、今、地方の医師不足であったり、医療へのアクセス性の低下というものが社会問題化しておりまして、同じ境遇にあるというふうに言うことができるかと思いますので、今後の医療業界の更なるデジタル技術、IT技術の活用はもっと意欲的に進めるべきだと考えております。

 今回、仮名加工医療情報を創設し、それを活用することによって、具体的な便益としては、例えば、お医者さんによる診断、治療の効率化や適正化、あるいは健康管理、生活習慣、予防サービスの質の向上や効率化、新たな産業創造にもつながるということであったり、あるいは先ほどからございますように、医薬品の臨床開発や審査期間の短縮といった便益も期待がされている。あと、もう一つ私が期待しているのは、行政による医療政策の評価、評価性やフィードバック性を高めることにも役立つのではないかというふうに期待をしております。

 ただ、そのためには、仮名加工医療情報というものを作るだけでは不十分でありまして、国内にとどまらず、国内外から幅広い医療情報を取得できる環境整備であったり、あるいは国内外の幅広い研究機関が参画をすることであったり、ただ、それだけでなくて、日本人に効く新たな薬の開発や医療技術開発が行われること、これをしっかり担保しなければいけないというふうに思っております。だからこそ、今回、この制度の中で認定利用事業者の十分な確保と、しっかり厳正な審査というのが求められているんだというふうに理解をしてございます。

 質問に入りたいと思いますが、まず、先ほど申し上げました国内外の幅広い医療情報を取得できることというのが必要だと思うんですが、ちょっと通告の順番を変えまして、日本の企業が海外の医療情報にアクセスしてその情報を利活用しているという事例は現在あるのかどうか、まずそこから確認をしてまいりたいと思います。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 各国におきましては、それぞれの国の情報の保護ですとかあるいは利活用に関する法令等に基づきまして、具体的な情報の利活用の対象等が決まっているものと認識をしております。

 海外の情報を日本が活用しているケースがあるのかという御質問でございますが、例えば米国におきましては、米国内のがん患者約三百万人について、診療記録に記載されている情報をデータベース化し販売、提供する民間企業が存在しており、日本の製薬企業もそのような海外の民間データベースの利活用を行っている等の事例が存在しているものと承知をしております。

浅野委員 ありがとうございました。

 次に、国内外の幅広い研究機関に参画をしていただくことによって、最終的には、日本人が利用可能な新薬あるいは新たな治療法の開発が効率的、効果的に行われることを期待しているんですが、今日の質疑の中でも、仮名加工医療情報の利用事業者には外国の企業、事業者も含まれ得るという答弁があったというふうに承知をしておりますが、念のため、もう一度その点を確認させていただきたいと思います。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたように、医療分野の研究開発の中には、例えば感染症や希少疾患など、国際的な連携による研究が求められるものが存在いたします。また、医薬品や医療機器の中には、日米欧三極で薬事承認を取得し、グローバルな供給が行われ、また、そうした供給が望まれる物資もございます。

 こうしたことから、海外の企業でありましても、次世代医療基盤法の目的の実現に必要な範囲内におきまして、個人の権利利益の適正な保護を図った上で、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行うことを否定するものではございません。

 一方で、法律の趣旨や目的に反した不適切な仮名加工医療情報の利用や第三者提供が行われることがあってはならない。このために、利活用者の認定審査におきまして、仮名加工医療情報を利用して研究開発を行う事業を適正かつ確実に行うことができるかについて審査を行うこととしております。

 具体的には改正法案の成立後に下位法令等で認定基準を定めることになりますが、法律で禁止している、医療分野の研究開発に必要な範囲を超えた情報の取扱いが行われないこと、それから、認定範囲を超えて情報が第三者に提供されないことなどを担保し得る安全管理措置が確実に実行されることについて、審査を行うこととしております。

 また、その際、当該企業が所在する国の個人情報の保護に関する制度についても、適切に研究開発を行う能力と併せて考慮することになると考えております。

浅野委員 今、後段の部分、認定の内容についても少し触れていただきましたが、医療情報というのは、いわゆる個人情報の中でも要配慮個人情報というものに含まれる情報ですので、一般的な個人情報保護という考え方よりもより厳しく、確実にルールを守っていただく必要があると思います。

 今日はちょっと時間もありませんので要望にとどめたいと思いますが、認定基準についてはどう担保するかというのも、できるだけ早期に具体的に示していただいて、事業者側の準備もありますし、あるいは我々国会サイドでもしっかりその妥当性というものは議論をする必要もあろうかと思いますので、是非早期に具体化していただくことを望みたいと思います。

 その上で、次の質問なんですが、最終的には、国内外の医療情報を入手し、そして国内外の幅広いプレーヤーに参画をいただいて、何をしたいかといえば、日本に住む我々がこれからも持続的に様々な疾病リスクを回避できるような医療技術開発、あるいは新薬の創造というものをしていただかなければならないんですが、特に最近では、コロナ禍になって、ワクチンや治療薬、日本の国内での開発力が低いのではないか、そういう指摘もある中で、日本の企業がしっかりと、様々な医療データを活用して、ワクチンや新薬の開発を進めていっていただかなければいけないと思っております。そういうような日本主体の活動を強化することに資する運用を図っていただきたいと思いますが、それについて、政府の今の考えを伺いたいと思います。

高市国務大臣 そもそも、今回の制度の見直しでございますが、いずれも製薬企業やアカデミアの研究者の方々から強い要望があったものでございます。

 今回の法改正によりまして、日本の企業や研究者による医療情報の利活用が一層促進されて、我が国の研究開発の更なる促進や国際競争力の強化につながると考えています。

 また、現行法でございますが、認定作成事業者が匿名加工医療情報を提供する際に、研究の目的が日本の医療分野の研究開発に資するものであることを審査するということを求めております。ですから、改正法が目指す利活用もしっかりと進んでいくように、成立後は、利用者の実態も踏まえた適切な認定基準の検討ですとか、利用することが想定される企業や研究機関などに対する積極的な周知、広報、ここに取り組んでまいりたいと存じます。

浅野委員 ありがとうございます。

 次の質問ですが、本日これまで各委員からも質問がありましたので、それを前提として質問させていただきたいと思うんですが、仮名加工医療情報を薬事申請に利活用するに当たっては、PMDAなどに情報を提供できるようになるというのが本法案の内容であります。そして、その情報は、海外の薬事規制当局、例えばアメリカではFDAなどがありますが、ここにも提供できるようになるというふうに今日のほかの委員の皆様のやり取りの中でも理解をいたしましたが、ちょっと確認したいのは、そもそも仮名加工医療情報を申請時に提出することによってどのようなメリットがあるのかという、その具体的なイメージをちょっと教えていただきたいと思います。

 例えば審査期間が短縮をするですとか、どのようなメリットがそれによって発生するのか、これまでよりも改善するのか、その部分を教えていただけますでしょうか。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の仮名加工医療情報の海外の薬事規制当局への提供でございますが、基本的には、今回、改正法案におきまして、いわゆる我が国のPMDAだけではなく、省令で定める外国の薬事審査機関に対しても、認定仮名加工医療情報利用事業者が承認申請のために仮名加工医療情報を提供できることとしております。

 具体的にそれによってどういうメリットがあるのかという御質問でございますが、これは国内のPMDAに出す場合と同様でございますが、申請する企業が治験のデータをそろえるに当たり、仮名加工医療情報という非常に精度の高い医療情報を使うことによりまして、例えば、新しく開発をしている新薬との比較をする比較対照群、コントロールデータとして仮名加工医療情報を使うといったようなことで、治験の期間ですとか労力というものが短縮されるというふうなメリットがあり、PMDAに申請する場合と、海外の承認機関に申請する場合と、そこは同様であるのではないかというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 もう残り僅かなので最後の質問になるかもしれませんが、今の議論を聞いておりますと、仮名加工医療情報であったり、あるいは匿名加工医療情報も含めて、医療情報をいかに幅広く集めるかというところも大事になると思います。

 ただ、今年の三月二十四日時点で、次世代医療基盤法に協力している事業者は合計百十件、医療機関が百六件、地方公共団体が三件、学校設置者が一件ということで、まだまだ少ないのかなという印象を持っております。

 つまりは急性期病院を有する一部の医療法人に偏っているということのようなんですが、かかりつけ医とか地方公共団体がまだまだ少ない、含まれていない。多様なデータを収集するためにはもっと協力者を獲得する必要があるんですが、そのために政府として今後どのような対策を打っていくのか、最後に伺いたいと思います。

高市国務大臣 現行の次世代医療基盤法に基づく認定事業者への医療情報の提供につきましては、現状は、医療情報の利活用の重要性について深く御理解いただいている大学病院など急性期の医療機関を中心に御協力をいただいています。

 今後、医療情報を有効に利活用させるためには、より幅広い協力事業者からの情報の収集が必要ですので、急性期の医療機関のみならず、それ以外の医療機関や介護施設、自治体などにも、制度の趣旨を御理解の上、御協力を賜りたいと思っております。

 そこで、今回の改正法においては、この医療情報を取り扱う事業者に対して協力を求める規定を新たに盛り込むことといたしました。

浅野委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 次世代医療基盤法案、医療ビッグデータ法案について質問をいたします。

 個人情報保護法におきましては、個人の心身に関する情報である医療情報は、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮する個人情報である要配慮個人情報に当たります。要配慮個人情報の取得や第三者提供の際には、あらかじめ本人の同意を得るオプトインの手続が必要であり、本人に通知をした上で本人が停止を求めなければ提供するオプトアウトの手続は認めておりません。医療情報の第三者提供については、オプトアウト手続は認められないということであります。

 一方、次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報は、医療情報の利活用を推進するために、利活用の壁となっているとした本人同意のオプトイン手続を外して、オプトアウト手続としたものであります。

 これは、本人同意の手続を形骸化をするものではないのか、その点についてまずお伺いします。

高市国務大臣 次世代医療基盤法は、個人情報保護法の特例法として、主務大臣の認定を受けた事業者に対する場合に限り、同意でなく、オプトアウト手続によって医療機関から医療情報を提供することを認めるものでございます。

 これは、患者などへの丁寧な通知が行われることによって自分の医療情報の提供を拒否する機会が付与されること、認定作成事業者は、十分な安全管理措置が確保されていることなどについて主務大臣から認定を受けるとともに、その監督下に置かれることにより医療情報の慎重な取扱いが確保されること、また、医療機関等から提供された医療情報は認定作成事業者によって特定の個人が識別されることがないよう匿名加工が施された形で利用されることなどによりまして、個人の権利利益が侵害されることを防ぐ仕組みとなっていることによるものでございます。

塩川委員 やはり個人情報、特にこういった医療情報などの要配慮個人情報というのは、その人自身の個人情報をしっかりとコントロールできるような仕組みにしていくことが必要であって、それについて、丁寧なとはいいながらも、オプトアウト手続ではそれに応えるものとは言えないという点を指摘をしておくものです。

 その上で、今回の法改正で措置する連結可能匿名加工医療情報は、公的データベースとの結合で、個人の医療情報が時系列で把握をできるようになります。また、仮名加工医療情報は希少な症例や薬剤使用などの特異な記述も残すので、容易に個人が特定可能となり得ます。

 より慎重に取り扱うべき個人情報の第三者提供なのにオプトアウト手続でよいのか、明確な本人同意の手続を取るべきではないのか、この点についてお答えください。

高市国務大臣 NDBなどの公的データベースとの連結を可能とする連結可能匿名加工医療情報につきましては、あくまでも匿名加工し、本人を特定できない形で提供するものでございます。従来の匿名加工医療情報と同様の理由によりまして、適切に個人の権利利益の保護が図られると考えております。

 また、新たに創設する仮名加工医療情報については、匿名加工医療情報と同様に、患者さんへの丁寧な通知が行われることによって、自分の医療情報の提供を拒否する機会が付与されております。

 また、認定作成事業者は、十分な安全管理措置等が確保されていることなどについて主務大臣から認定を受けるとともに、その監督下に置かれることにより医療情報の慎重な取扱いが確保されます。

 また、医療機関などから提供された医療情報は、認定作成事業者により、その情報だけでは特定の個人が識別されることがないよう加工された形で、安全管理措置を適切に講じる体制を有する者として国の認定を受けた利用事業者に限って利用を認めることによって、個人の権利利益が侵害されることを防ぐ仕組みとしております。

 このため、同意ではなく、オプトアウト手続により、医療機関などから認定事業者への医療情報の提供を認めるものでございます。

塩川委員 仮名加工情報は、本来、第三者提供が禁止されておりますが、仮名加工医療情報は本人通知のみで第三者提供を可能としております。個人情報保護の規定の緩和ばかり進めているというのが実態であります。

 そこでお尋ねしますが、匿名加工医療情報について、利用の停止を求める意思表示がされた件数及び割合はどうなっているのかについてお答えください。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代医療基盤法におきましては、医療機関等から本人に通知を行う方法として、インターネット掲示や院内掲示など単に本人が容易に知り得る状況に置くのではなく、あらかじめ本人に通知するということを求めております。

 オプトアウトの具体的な件数、割合でございますが、正確に把握しているわけではございませんが、認定匿名加工医療情報作成事業者において一定の期間におけるオプトアウトが行われた割合については、おおむね一%未満であったというふうに聞いております。

塩川委員 オプトアウトの手続で、拒否が一%未満ということでありました。

 もう一つお尋ねしますが、難病患者データベースや小児慢性特定疾病患者等のデータベースにつきまして、本人同意を基に医療情報を取得をするとなっておりますが、この難病DBや小慢DBについて、同意を拒否した件数及び割合がどうなっているのかについて御説明ください。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の健康局難病対策課で実施した平成三十年のウェブアンケートによりますと、難病患者では、毎回同意していないが二%、同意していないときも何度かあったが一〇%、小児慢性特定疾患患者等では、毎回同意していないが一%、同意していないときも何度かあったが一二%となってございます。

 アンケートでございますので、件数は承知しておりません。

塩川委員 今お答えいただきましたように、オプトアウトの匿名加工医療情報の場合に拒否は一%未満でしたが、オプトインの難病データベースや小慢データベースの場合には十数%が拒否のときがあるということであります。難病患者や小児慢性特定疾病患者で医療情報提供に同意しない理由として、個人情報をむやみに提供したくないからという回答も多かったわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、やはりオプトアウト手続では、このような本人の意思表示が明確にされないのではないかと思いますが、お答えください。

高市国務大臣 次世代医療基盤法は、医療情報について匿名加工又は仮名加工を施した上で利活用を行う制度ではございますが、その利活用につきましては、患者さん御本人に対してしっかりあらかじめ認識をしていただくことが重要であると考えております。

 ですから、同法におけるオプトアウトでは、ウェブページへの掲載など単に患者本人が知り得る状態に置くということではなく、御本人が認識する機会の確保の観点から、あらかじめ本人に対して通知することを求めております。

 通知の手段としましては、その内容が御本人に認識される適切かつ合理的な方法により行うことを求めております。主に医療機関の窓口などにおいて患者さん御本人に対して書面などを用いて通知が行われていると承知をしております。

 また、通知に関しましては、十六歳未満の方については保護者に対しても通知を行うことや、障害をお持ちの方や高齢者に対しては十分な配慮を行うこと、また、さらには御本人またその御遺族などからの問合せに係る窓口機能の確保なども求めております。

 患者本人の皆様などに対して本制度をしっかりと認識していただいた上で、医療情報を提供していただく仕組みを構築いたしております。

塩川委員 これまでオプトインで行っていた難病の場合などにつきましては、イエス、ノーにチェックをする、あるいは署名をするという形での明確な意思表示というのがあるわけですけれども、オプトアウトの場合には通知ですから、そういう点でも非常に本人の意思表示というのが明確にされるような状況にないということを指摘をし、個人情報保護の根幹である本人同意の手続がなし崩しとなるといった点が強く危惧されるものであります。

 一方で、医療情報を利活用する事業者サイドを見ますと、要配慮個人情報である医療情報に対する適切な取扱いが軽んじられている。このことは、昨年の、認定事業者であるライフデータイニシアティブとNTTデータが第三十条に基づく本人への通知を行わずに計九万五千百九十五人分の医療情報を提供した、プライバシーの侵害が懸念される、こういった事態があったことも極めて重大であります。

 そこで、今回の法改正で、医療機関や介護事業所、自治体、学校等に対し、国の施策への協力の努力規定が盛り込まれております。

 本改正案に向けた検討の場でありますワーキンググループでは、さきに示した問題を起こしたLDIの委員の方が、病院の協力を得るのが非常に大きな足かせだ、今の法律では医療機関からデータを出すのはあくまでも任意、ここが非常に効率も悪いし、一診療機関当たり五百万ほどの費用が必要になってくる、データ集めは義務化してほしいと要求するなど、事業者の都合を優先する発言を行っております。

 医療提供取扱事業者には医療情報提供の義務づけはないのに、医療情報提供への圧力をかける、そういう規定になってしまうのではないのかと強く懸念するところですが、この点、いかがでしょうか。

高市国務大臣 この改正法で新設する協力規定でございますが、医療分野の研究開発を推進するために医療情報の利活用がますます重要となる中、収集する医療情報の充実を図るために、本法の趣旨を医療機関や地方自治体などに御理解いただき、御協力をお願いする目的で設けるものでございます。

 今回の協力規定を設けた後も、医療機関などが本法に基づく医療情報の提供を行うかどうかは任意でございます。さらに、医療機関などから提供する旨の通知を受けた患者さんが協力することも任意でございます。

 医療情報の提供は任意であるということを前提に、医療情報を研究開発に利用することの意義、またその成果を分かりやすく広報してまいりたいと存じます。

塩川委員 任意といいながら、医療情報の提供を求めていくといったことが新たに規定で盛り込まれるわけですから、関係の、医療情報についての、医療提供の取扱事業者に新たな大きな負担、負荷をかける、こういった点でも、それぞれの国民への、個人情報の提供、医療情報の提供を促進するという流れを強める点でも懸念するものであります。

 次世代医療基盤法の見直しに当たって、経団連の要望書では、医療機関による通知の事務負担軽減のためといって、ポスターに印刷されたQRコード等によりスマホ上での通知文書の誘導、閲覧をもって通知とみなすことについても検討すべきだといった要求も出されています。

 こういった利活用優先、個人情報保護軽視の姿勢は許されないと思いますが、この点、いかがですか。

高市国務大臣 あくまでも、個人情報をしっかりと保護した上で、貴重な医療情報の活用を促していくということでございます。

塩川委員 事業者サイドでは、より一層情報収集がしやすいような、そういうスキームということで個人情報保護の規定をどんどん後退させる、こういった要求が背景にあるということは極めて問題があるわけで、現在の認定医療情報等取扱受託事業者はNTTデータ、日鉄ソリューションズ、日立製作所の三社でありますが、一方、医療ビッグデータを推進する国の機関を見ると、健康・医療戦略室に日立製作所、デジタル庁にNTTデータ、日鉄ソリューションズ、日立製作所がある。国の組織体制では、医療情報の保護よりも利活用優先、企業利益を優先する構図となっている。こういった組織の構成そのものが問題があるということを最後に指摘をして、質問を終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 八分、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、個人特定の可能性についてお伺いしたいと思います。

 仮名加工情報であれば、超希少な疾患等、何らかの特異値を有する方は特定できるようになるはずです、間違いなく。その観点から、特異値を有する方へのオプトアウトの手続は相当慎重にやるべきではないかと思いますが、局長、いかがですか。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 仮名加工医療情報は、ほかの情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように医療情報を加工して得られた個人に関する情報であり、それ単体では本人は特定できないものというふうに考えております。

 一方で、利用者が悪意を持って他の情報と照合するということで本人を特定し、権利利益の侵害を行うおそれがあることは、これは否定できない。こういうことで、改正法案におきましては、国が仮名加工医療情報を利用する方について安全管理措置等を審査した上で認定を行う、さらには、本人を特定しようとする行為を、再識別行為でございますが、これを法令で禁止する、それから、不正な行為を行った際の罰則を設けることといたしておりまして、本人の権利利益が適切に守られる仕組みとしておるところでございます。

緒方委員 いや、私、さっき言ったとおりです。難病の中で、例えば、日本の中で数名しかいないような疾患とか、そういうケースになってくると、仮名加工情報でも間違いなく特定可能なはずなんです。だから言っているんです。

 オプトアウトの手続をそういった方々についてはしっかりと説明しないと人権侵害につながるというふうに思いませんかと聞いているんです、局長。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 仮名加工医療情報を医療機関から提供いただく際には、先ほどから何回か出ておりますけれども、医療機関におきまして、患者さんに対して通知を行うということになっております。

 この通知につきましては、当然、この制度の趣旨ですとか、その情報がどういう形で使われるのかということにつきまして、できるだけ丁寧に分かりやすくということを書いておりますので、例えば十六歳未満の方あるいは障害をお持ちの方、高齢者の方、いろいろな方、それぞれに応じまして、より適切で合理的な方法で通知を行うということで御本人の意思を確認するという形で進めてまいるということでございます。

緒方委員 この件、是非気をつけていただきたいと思います。

 続きまして、今回、個人としての情報保護については、匿名加工そして仮名加工の手続で対応されているんですが、結構重要なものとして、集団としての、集団が特異値を出す場合、例えば風土病とか、学校とか、勤務先の特定健診とか、そういう地方自治体、学校、会社等の集団としての人権についても配慮すべきではないかというふうに思いますが、局長、いかがですか。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 今の、現行の次世代医療基盤法の認定匿名加工医療事業者、これにつきましては、事業者が審査委員会を設置し、そこで、個別の利用申請ごとに、研究の成果の公表等が一定の地域あるいは団体に属する方に不利益を及ぼさないよう配慮されたものであるか等についても適切に審査を行うとしておりまして、新たに創設する仮名加工医療情報作成事業者の認定に対しても同様の対応を行うことを想定しているところでございます。

緒方委員 この件、是非よろしくお願いしたいと思います。特定の地域で特定の疾患が多いとかいうとき、それはもしかしたら情報として非常に重要な情報なんだと思いますが、逆に、あそこはああいう風土病があるよねという、風評被害になる可能性があるということは、これは常に気をつけていただきたいと思います。

 そして、次に協力医療情報取扱事業者についてお伺いします。

 匿名加工医療情報公正利用促進機構については東京大学系だというふうにお伺いをしたんですが、なぜ情報を提供する側に東大病院が入っていないのかということを、私、非常に疑問に思いました。これは指摘に留めさせていただきたいと思いますが、やはり加工する側に入ってくるのであれば、ちゃんと情報を提供する側に、東京大学にしっかりやるべしというふうに是非言っていただきたいということが一つ。

 その上で、協力事業者は、国立病院機構系を始めとして公立病院が極めて目立ちます。なぜかというと、恐らく、民間病院は情報を提供することについてメリットを感じていないんだと思うんですよね。そうすると、この仕組み、誰が金を払っているかというと、最後のエンドユーザーですよ。エンドユーザーが金を払っているわけであって、そのお金が加工業者に行き、そして協力してくれる病院に行くわけでして、この仕組みを本当に回そうとするのであれば、もっと、仕組みの最後のところに明確に製薬会社を置くべきではないかというふうに思いますが、局長、いかがでしょう。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法に基づくこの法律の基本方針におきまして、情報の収集、加工、提供に要する費用、これについては認定匿名加工医療情報の作成事業者が負担する、つまり、医療機関に対してその費用を支払うことができるという形にしております。

 先ほどから何回も御質疑の中でも出ておりますけれども、現状で、利活用の実績が二十一件にとどまっているという中で、どうしてもやはり認定事業者としては、情報基盤の整備を始めとした初期投資がかさんでおりまして、経営的にも非常に厳しい状況にあると思っておりますが、一方で、今回の仮名加工医療情報の規定の創設、それからNDBとの連結等によりまして、利活用の拡大ということは相当進んでいくんだろうというふうに思っております。

 それによりまして、まさに、利活用者からも情報提供の対価を受け取るということによりまして、この認定事業がいわゆる業務としてもきちっとした形で機能していくのではないかというふうに考えております。

緒方委員 つまり、実は、この法律を六年前に作ったときもこの議論があったんです。私、ちょうどそこに座っておりまして、野党の筆頭をやっていたんですけれども、この仕組みが回るためのお金の流れが実はよく見えなかった。協力する事業者、病院も含めてですけれども、やはり個人情報に当たるものを出すというリスクに見合うだけのお金をもらえないとやらないと思うんですよね。その原資はどこにあるかというと、最後の利活用者なわけであって、一番お金を出してくれそうなのは誰かというと、研究するのを最後に創薬事業につなげたいという製薬会社なわけですから。もうこの仕組みは回っていないわけですよ。回したいのであれば、しっかりとお金を出してくれる人を明確に置くべきだと、意見を言わせていただきたいと思います。

 そして、最後に一問。

 これは今、全国ベースでやっているんですけれども、例えばですけれども、私、想像してみると、一つの県が旗を振って、うちの県の中で情報を集めて、うちの県の中に加工業者を置いて、そして、うちの県に創薬事業の研究施設とかそういう企業を誘致、発展させるとか、そういうことを地域ベースでやるというのは、これはありだと思うんですね。そういうことを推進すべきだと思います。

 そうすると、この場合、加工業者の要件が少し厳しくなってしまうんじゃないかというふうに思いますが、局長、いかがでしょう。

西辻政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましては、認定事業者が多様な医療情報をビッグデータ化し、医療分野の研究開発に役立てていくという観点から、ガイドラインにおきまして、認定事業の開始後一年間で年間百万人以上、それから三年間で年間二百万人以上の医療情報を収集する見込みがあるということを認定要件の一つとして示しております。

 一方で、今回の改正法案の取りまとめに向けて議論をいただきました検討会、この中の中間取りまとめにおきましては、やはり認定事業者の多様化を図る観点からも、例えば特定の地域で、委員御指摘いただいたような、面としてその地域を捉えた上で、その地域の大病院から診療所までを協力機関として医療情報を収集し連結しようとするような事業者などについては、この百万人という規模の基準とは別に、例えばデータの質など、異なる基準を設けられないかといったことも御指摘をいただいております。

 今後、検討会の指摘も踏まえ、改正法の施行に向けて次世代医療基盤法のガイドラインの改定等を検討していく中で、この百万人以上という基準の取扱いも含めて検討した上で、適切な認定基準の在り方を模索してまいりたいと考えております。

緒方委員 大臣、是非、全国知事会とか指定都市市長会とか、そういうところに売り込んでいってはどうかなと思いますので、指摘させていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 次世代医療基盤法、五年前にできたこの法律は、個人が普通はばれたくない自分の体や心に関するセンシティブな情報を医療の研究開発などのために活用するというものです。例えば病歴や障害、また健康診断結果などの個人情報のうち、第三者に識別されて不正に利用されたときに御本人やまた子供などの子孫に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じる、そのような情報を医療情報だと定義して、これらを匿名化などの加工を行うなどしながら、そのデータを利活用するという法律です。

 この法律は、れいわ新選組は、当時、山本太郎参議院議員としてですけれども、五年前の制定から反対しております。

 そして、今回の改正案では、現行法ではデータ利活用が結局進まなかったということから、もっと個人情報保護の加工を緩めて、そしてまた時系列データとして活用できるデータにしていこう、そうしたら使う側も使っていただけますか、そういう趣旨のものです。

 医療技術の進歩で、これまで治せなかった難病の治療などに対して人類がより多くの選択肢を持てる、見出し得るという可能性は否定しません。しませんが、しかし、個人情報流出リスクの危険性が極めて高くて、そこの歯止めの議論が余りにもなされていなくて、でも、これが最優先じゃないんでしょうか。

 今日も、高市大臣もさることながら、立憲とか維新の委員の方も、このリスクが見えていないのかな、又は、リスクは承知でビジネスに使えるものは使う、そういう議論なのか。人の個人情報をどう考えているのか、非常に疑問です。

 他国でも、保護されているはずの医療データがサイバー攻撃で大量流出したという事例がありますよね。二〇二二年の十二月にオーストラリアのニュースとして報道されているんですけれども、最大手の民間の保険会社から一千万人もの医療データがサイバー攻撃を受けて流出する、それでダークウェブというところに投稿された、一千六百人の情報が。ダークウェブというのは個人情報を取引するような、サイバー犯罪に使われるようなサイトなんですけれども、そういうことが四か月前にオーストラリアで報告されているんです。

 高市大臣、今日の答弁でも、そういったことも対策していくとか、被害があった場合、それに対する最小化の措置とおっしゃっているんですけれども、こういったケースでそれはできるんですか。

高市国務大臣 サイバー攻撃は、今年だけじゃなくて、随分前から、ヨーロッパ方面の医療機関でも大量の個人情報が流出した、こういう事件は度々起きております。

 日本の医療機関のサイバーセキュリティー対策というものも強化していかなきゃいけないし、本法、この改正法に関わっていく事業者のサイバーセキュリティー対策というのも当然強化していかなければならないものでございます。

 しっかりと情報の安全管理を行う体制が備わっているということを国が事前に認定する制度といたしておりますので、委員御指摘のような観点というのはしっかりと受け止めてまいりたいと存じます。

大石委員 認定しているんですけれども、NTTデータも、これは情報漏出ではないですけれども、通知が完了していないデータを吸い上げたという話になっているわけで。

 これは、高市大臣、データ流出したら議員を辞めていただけますか。そのぐらい大事なことじゃないんですか。お願いします。

高市国務大臣 これは、医療機関や今回の改正法に係る事業者だけではなくて、日本中の基幹インフラ、重要インフラにも幅広く関わる問題でございます。

 サイバー攻撃というものを一〇〇%防ぐというのは、はっきり言って難しいです、難しゅうございます。しかしながら、これは個人を特定できないように加工した情報、匿名加工した情報を医療の発達に活用するという仕組みでございますので、サイバー攻撃を受けたら議員を辞めるかどうか、そのような御質問をいただいても、この改正法の内容とは関係のないことだと存じております。

大石委員 この法律の本性というのは、個人が他人に知られたくない情報を第三者が利用する、これを規制緩和で緩めて、かつ、データを連結させて有機的に活用するということだから、流出リスクも上がるし、それを流出させられた個人の人生が奪われてしまうぐらい行くだろうということなんです。

 サイバー攻撃とかはいろいろありますし、個人流出も、これは国外だけの話ではないですよね。二〇二三年の四月までの段階、今年だけでもすごい量の個人情報が国内でも流出している。三月三十一日には大手携帯会社から最大五百二十九万件の流出、二月十六日にはソフト会社から十一万件、個人情報十三万件、同じく二月十日、大手有名私大でサイバー攻撃で三万六千件、こういった形で個人情報がたくさん流出している中において、極めて、ばれたくないという情報が、歯止めの議論が全くないというのはやばいでしょうということを言っているんです。

 また、この法律は医療情報を保有する医療機関が個人情報を第三者に渡すわけですが、医療機関には、病院だけではなく、例えば集団健診をやっている小中学校など、学校も含まれて、幅広く対象にしているわけですが、これを通知のみで同意なしでできるという問題点についてはほかの委員からも指摘されました。

 これは元々五年前の法律なんですけれども、今回の改正案では、医療情報を保有する医療機関に対してデータの提供を促す努力義務規定が含まれ、これが一種の動員、事実上の強制になり得るという問題があります。

 ある学校にヒアリングしますと、現状、生徒の個人情報は学校で預かっていて、教育委員会にもそのまま出さないということをやっています。そのたがを外す。この法律がうまく利活用できなかったという一つの理由としては、やはり個人情報は大事だから各ユニットで守っているんじゃないんですか。それを努力規定で吸い上げさせて、無理やり進めてはいけないです。

 そして、最後なんですけれども、高市大臣、せめて、個人が後から自分の医療情報を削除してと言ったら、確実に削除されますか。

高市国務大臣 あくまでも、患者さん若しくは学校の集団健診を受けた方々、任意でございます。強制的に医療情報を使うということではございません。医療情報の提供をした場合でも、その後でも、御家族若しくは御本人が、中止、その停止を求める仕組みを盛り込んでおります。

大石委員 答えていないじゃないですか。削除できますかと言っているんですよ。法令上、削除の規定はないですよね。だから、削除はできないんです。人生をむちゃくちゃにする自覚がないと言わざるを得ません。

 終わります。

大西委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律改正案に反対の討論を行います。

 本制度は、医療機関が患者の医療情報を本人への通知のみで民間の作成事業者に提供できるものです。本人同意も得ずに個人の情報を外部提供することは許されず、特に、医療情報というセンシティブな情報が重大なプライバシー侵害の危険性にさらされると我が党は反対してきました。実際、二〇二二年には、認定事業者であるライフデータイニシアティブ及びNTTデータが、本人への通知を行わずに、九万五千百九十五人分の医療情報を提供した問題が起きています。

 その上で、本案で創設される措置の問題点を述べます。

 仮名加工医療情報は、特異な値や希少疾患名等の削除等は不要であるなど、現行の匿名加工医療情報より更に生データに近い上、対照表の削除も不要なため、他の情報と突き合わせることで容易に復元が可能な情報です。

 また、連結可能匿名加工医療情報は、本制度における主な医療情報の提供元である急性期医療など大きな病院に限らず、町の小さなクリニックや薬局など、全ての保険診療に係るデータ及び特定健診に関わるデータが含まれているNDBを始めとした様々な公的データベースと結合するものです。

 本人特定のリスクを高め、さらに、プライバシー侵害の危険性を高める措置で、反対です。

 加えて、本案が検討されたワーキンググループでは、前述の問題を起こしたLDIの委員が、病院の協力を得るのが非常に大きな足かせ、任意というよりほぼ義務化をと、事業者の都合を優先させた発言をしています。実際、ワーキンググループの中間取りまとめにおいて、医療情報を取り扱う事業者全てについて次世代医療基盤法に基づく取組に参画することが当たり前となるよう施策を検討するとされた結果、医療情報取扱事業者に対する国の施策への協力の努力規定が創設されることになります。

 医療機関等に対し医療情報提供の圧力をかけようとするものであり、認められません。

 以上、反対理由を申し述べ、討論を終わります。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 有志の会の緒方林太郎です。

 採決に際し、一言申し上げます。

 まず、前回のフリーランス法の採決でも討論を希望しましたが、理事会の協議により、討論は御遠慮願うことになりましたとのことでした。当事者として言わせてもらえば、私は一切、遠慮に当たる行為をしていません。この点は強調しておきたいと思います。

 さて、今回の医療ビッグデータ法改正案、この法律を作るとき、私は野党筆頭理事で、修正をしております。参議院で修正提案者として答弁もしていますので、法律作成の当事者の一人と自負をいたしております。当時、与党筆頭理事として快く修正協議に応じていただいた平井卓也先生に、この場で改めて感謝を申し上げたいと思います。

 今回の法律は、人権保護との関係で、中身はぎりぎりのところでセーフかなというふうに思います。ただ、この仕組みは、運用がここまで余りうまくいっていないように見えます。法律作成当時から、各病院からのデータ提供がうまくいかないのではないかと懸念していました。きちんとサイクルが回るためには、この仕組みの中で金が回り、事業として利益が一定程度見えることが絶対に必要です。だから、製薬会社をきちんとエンドユーザーで位置づけないと、加工業者も育たないし、協力事業者も増えないでしょう。

 また、協力事業者となっている自治体が青森県弘前市とそして逗子市にとどまっていることは残念です。都道府県規模でやってくれるところが出てくるよう、全国知事会、指定都市市長会にもきちんと働きかけてはいかがでしょうか。地域の面レベルでの対応を促すことも一つの類型であるべきです。そして、そのためには、加工事業者の要件は緩和した方がいいでしょう。

 最後に、この法律は個人情報保護法の特別法です。人の健康、命と関わる情報を扱うからこそ、漏えい事案、不正使用事案が出てしまうと法への信頼性そのものが損なわれます。匿名加工情報から仮名加工情報に要件が緩和されると、個人の人権に抵触する可能性は格段に上がります。本来であれば、それらへの対応は、今回、法案修正等で対応すべきものがあったと私は思っています。

 しかし、最近は誰も修正協議をやらないようになりました。法案の問題点に対して附帯決議で収めるという手法がよく使われます。全てを否定することはしませんが、本来修正すべきものまで附帯決議でお茶を濁すとき、この手法は国会審議を形骸化するツールとなります。最後にこの点について強い警句を鳴らして、私の討論といたします。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 次世代医療基盤法改正案に反対します。

 医療の技術の進歩、それによって、これまで治せなかった難病などの治療ができるようになることの可能性は否定しません。しかし、個人情報リスクの危険性は重大です。保護されているはずの医療データがサイバー攻撃で流出するという実例が大規模で報告されています。そして、国内でも大規模な個人流出が相次いでいます。利活用の推進には、この国は自分の個人情報は守り抜いてくれるんだという事実と信頼関係が大前提となりますが、今は到底そういう状況ではありません。穴だらけ。

 また、削除義務の規定すらありません。問題です。

 そして、差別や命の選別につながる倫理的問題への歯止めが不可欠ですが、それも非常に不十分です。この法のガイドラインにおいても言及はされているんですけれども、基本方針に不当な差別、偏見その他の不利益が生じないための措置が記され、科学技術・イノベーション基本計画において倫理的、法的及び社会的課題への対応を掲げていますけれども、肝腎の実効性は担保されていない。

 ビジネスで利活用する以上、データ加工業者の内部に設ける内部監査的な審査委員会では足りません。歯止めにならない。

 データが本格的に利活用される前のこの段階において具体的対策を法に書き込まないのは、医療ビジネスにだけ目を向ける姿勢であると言えます。

 れいわ新選組は、せめて、データ利活用の前提として、内閣府や地方自治体に、欧州の一部の国で存在するような公的な倫理審査委員会を設置し、事業者内の審査委員会との連携を図るべきと考えます。しかし、そのような規定は本法案にも盛り込まれていません。

 せめて附帯決議で、例の附帯決議で盛り込もうとしましたが、自民党の提案によって、肝腎のれいわが提案した部分が削除、修正されました。附帯決議の第九項目めがそれなんですけれども、データの利活用に伴って生じ得る倫理的問題に適切な基準を定めるべきだとしたところが削除、内閣府や自治体といった公的な機関が審査委員会をするべきだとしたところが削除、常設の審査機関、会議体であることが必要だというところが削除されました。

 この姿勢は問題であり、やはり今の与党、国の姿勢は、他国での取組よりも遅れ、国民を情報漏えいや倫理的なリスクにさらすものだと考えます。これは、現在、議員立法提出で議論されているゲノム医療法案にも横たわっている問題と考えられます。

 以上、この法案は重大な問題を含み、通すべきものではないと考えます。反対します。

 以上、終わります。

大西委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大西委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、神田憲次君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。稲富修二君。

稲富委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用について、多くの府省が関与していることに鑑み、政府の司令塔機能を明確にし、あるべき全体像を示すとともに、必要に応じて速やかに制度を整備すること。

 二 仮名加工医療情報については、他の情報と照合することにより特定の個人が識別される可能性があることに鑑み、安全管理措置に係る厳格な基準を策定すること。

 三 医療情報の第三者提供については、本人への通知が行われていない医療情報の提供など、医療情報の不適切な取扱いが生じないよう、認定匿名加工医療情報作成事業者等に対し、安全管理措置の徹底を図ること。

 四 匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用を推進するため、医療情報取扱事業者、認定匿名加工医療情報作成事業者、認定仮名加工医療情報利用事業者等に対し、必要な措置を講ずること。

 五 匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報を利活用する事業者から徴収する利用料が、認定匿名加工医療情報作成事業者等の運営の実態に照らして適正なものとなるよう促すこと。

 六 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報について、個人の権利利益の保護を図りつつ効果的に利活用することができるよう、規格の適正化を推進するとともに、官民の医療情報に係るデータベース間の連携を一層緊密化すること。

 七 仮名加工医療情報の利活用については、認定仮名加工医療情報利用事業者による研究の進捗を確認する等、我が国の医療発展や国際競争力の強化等につながるよう留意すること。

 八 医療情報の第三者提供に際して本人に通知するに当たっては、仮名加工医療情報については他の情報と照合することにより特定の個人の識別が行われ得ること等を踏まえ、医療情報がどのように利活用されるのかを本人が理解しやすくするため、通知内容を丁寧なものとするよう配慮すること。

 九 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用の推進に当たっては、基本方針に不当な差別、偏見その他の不利益が生じないための措置が明記されていること、科学技術・イノベーション基本計画において倫理的、法的及び社会的課題への対応を掲げていること等を踏まえ、有識者を交えた会議において、利活用に伴って生じ得る倫理的問題等を総合的に議論することを検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

大西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大西委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。高市国務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。

    ―――――――――――――

大西委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大西委員長 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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