第13号 令和5年4月14日(金曜日)
令和五年四月十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 大西 英男君
理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君
理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君
理事 阿部 司君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 池田 佳隆君
石原 宏高君 尾崎 正直君
大野敬太郎君 工藤 彰三君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
鈴木 英敬君 田野瀬太道君
平 将明君 中野 英幸君
中山 展宏君 西野 太亮君
平井 卓也君 平沼正二郎君
牧島かれん君 松本 尚君
中谷 一馬君 太 栄志君
本庄 知史君 馬淵 澄夫君
山岸 一生君 岩谷 良平君
浦野 靖人君 堀場 幸子君
河西 宏一君 福重 隆浩君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(国家公務員制度担当) 河野 太郎君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 谷 公一君
国務大臣
(経済財政政策担当) 後藤 茂之君
国務大臣
(経済安全保障担当)
(科学技術政策担当) 高市 早苗君
経済産業副大臣 中谷 真一君
環境副大臣 小林 茂樹君
内閣府大臣政務官 鈴木 英敬君
内閣府大臣政務官 中野 英幸君
内閣府大臣政務官 尾崎 正直君
内閣府大臣政務官 西田 昭二君
会計検査院事務総局次長 篠原 栄作君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 黒田 秀郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官)
(内閣府大臣官房審議官) 飯田 陽一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中田 昌和君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室次長) 七澤 淳君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 吉川 徹志君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 窪田 修君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局参事官) 佐藤 克文君
政府参考人
(内閣府大臣官房総合政策推進室室長) 笹川 武君
政府参考人
(内閣府民間資金等活用事業推進室長) 英 浩道君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官) 奈須野 太君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局審査局長) 田辺 治君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 楠 芳伸君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 植村 哲君
政府参考人
(総務省国際戦略局次長) 小野寺 修君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(文化庁審議官) 中原 裕彦君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 藤田清太郎君
政府参考人
(経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 松山 泰浩君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 前佛 和秀君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 田部井貞明君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
松本 尚君 西野 太亮君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 松本 尚君
―――――――――――――
四月十三日
国家公務員の再就職状況に関する予備的調査要請書(青柳陽一郎君外九十一名提出、令和五年衆予調第一号)
は本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○大西委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官黒田秀郎君外二十二名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長篠原栄作君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
先日、チャットGPTを使った質問を総理に行わせていただきました。アイデア自体は非常に凡庸なものであったと思いますし、誰でも思いつくような話なんですけれども、タイミング的に、AIが生成した質問を国会で行い、首相が答弁した事例というのが、日本といいますか、世界でも確認はできていないそうでございまして、多分初めてだと思われるということで、非常に御注目をいただきました。
その一方で、私自身、国民の皆様に広く生成AIというのがどういうものか知っていただけた、このことはよかったなと思っているんですけれども、テクノロジーの進化による社会構造の変化にしっかりと対応し、国民生活を豊かにするといった使命を与えられている国会議員として、その非常に重たい責任に対して緊張感を持っているという状態があります。
その中で、コペルニクスが天動説が主流の時期に地動説を唱えたときのような、物事の見方が百八十度変わってしまうコペルニクス的転回、これに対応しなければならないことというのはいつの時代でも訪れてまいりますので、新たなテクノロジーのリスクとベネフィット、これを俯瞰的に捉えながら、国会の皆様、政府の皆様と国民生活の向上、国の発展に寄与するような発想で、実りのある議論を行わせていただきたいと考えておりますので、本日は、松野官房長官、高市大臣、河野大臣など、様々な答弁者にお越しをいただきました。今のAIでは答えられないような明快な御答弁を是非お願い申し上げられればと思います。
まず冒頭、チャットGPTの利用について質問していくに当たって、三大臣、本日お越しをいただいております。高市大臣、河野大臣、松野長官にそれぞれ伺いたいんですけれども、そもそもチャットGPTを使用されたことはありますか。もしあれば、どんな使い方をしているのか、まず高市大臣、そして河野大臣、松野長官、それぞれお答えいただけますか。
○高市国務大臣 私は、チャットGPT、使用してはおりません。
○河野国務大臣 様々使っております。
○松野国務大臣 利用したことはございません。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
松野長官と高市大臣は利用されたことはない、河野大臣は様々利用されたことがあるということだったんですが、具体的にどんなことで使用されたことがありますか。御紹介していただける範囲でお願いします。
○河野国務大臣 個人的なことなので差し控えます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
じゃ、これに対して伺っていきたいなということを思っているんですけれども、チャットGPTの規制や活用を考えるのであれば、まず触って知っていただくこと、このことが重要だと思いますので、是非、高市大臣、松野長官に関しましては、一度使ってみていただけたらうれしいなということを思っております。
その上で、イタリア当局が、チャットGPTの一時的な使用禁止を発表しました。EU各国も、イタリアなど他国と情報を共有しながら、状況を見守っているとのことです。
そうした中において、日本では、現時点において、チャットGPTの使用禁止をするなどの規制を行う可能性はありますか、ありませんか。高市大臣の見解を求めます。
○高市国務大臣 生成AIの利用につきましては、人々がより多くの情報を効率的に利用できる、また、様々なデジタルツールをより簡便に使いこなせるようになるといった点で大きな可能性はあると考えております。ですから、科学技術政策を担当するという立場からは、現時点において直ちに使用を禁止にするなどの規制を行うつもりはございません。
しかしながら、この生成AIにつきましては、一定の懸念は指摘されております。経済安全保障を担当する立場からは、使い方によっては技術情報の流出などの可能性がございますので、そのリスク低減に向けた対策も検討していく必要はあると考えております。
○中谷(一)委員 今、科学技術を担当する高市大臣から規制をする考えはないという御答弁をいただきましたが、政府を代表して、松野長官もその見解でよろしいですか。
○松野国務大臣 現状、規制する考えはございません。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
そうした中で、三月二十九日に、私からこれも松野長官に伺わせていただいたんですけれども、中国が開発した対話型AI、バイドゥのアーニーボットの使用制限を行う可能性について官房長官に伺った際に、「個別のケースについては規制の可能性をお答えできる段階には至っていないということでございます。」との答弁がございましたが、現在はこれは答弁できる段階になっていますか。なっていれば明快に御答弁をいただきたいと思いますし、なっていなければそれはどういった理由からであるのか、これをまず高市大臣に伺わせてください。
○高市国務大臣 AIに対する一般的な規制の在り方については、国際的にも議論が行われております。そうした議論の動向も見極めながら、その必要性を判断していくことになると思います。現在もなお国際的な議論の方向性は定まっていないと承知しておりますので、個別のケースについて規制の可能性をお答えできる段階には今ございません。
ただ、AIをめぐる状況というのは、このところ非常に流動的でございますので、新たなAIに関する課題に対応するために、検討体制を強化する予定でございます。
○中谷(一)委員 これから検討されるということなんですけれども、一応確認ですけれども、今現時点ではないということですよね。
○高市国務大臣 現在も、AI戦略実行会議がございます。
○中谷(一)委員 会議で検討されるということなんですけれども、これからもちろん、状況が流動的なのは私も分かっていますが、今現時点ではないということですね。
○高市国務大臣 現在も会議体はありますが、その規制ですとかリスクの面、それから一方で、技術の発展、この両面からやはり検討を進めていきたいと思います。
○中谷(一)委員 それでは、これは規制の可能性を一応含んでいるという理解でいいんですか。
○高市国務大臣 それは議論をしてみなければ分かりません。啓発活動などで対応できる場合もあるんじゃないかと思います。
○中谷(一)委員 それでは、現時点ではないという理解でいいですか。再度。
○高市国務大臣 現時点では、規制を含んだ議論にはなっておりません。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
それで、この規制の議論、新しいイノベーションというのは必ずベネフィットとリスクがありますので、規制とイノベーション、これは両軸でバランスで考えていかなければならない、どんな技術でもそうだと思います。
その中において、今、全ての企業や研究機関に高度なAI開発を一時停止するように求める署名活動がアメリカで始まりまして、起業家のイーロン・マスク氏、こうした方々が千人以上署名をしたということが話題になったんですけれども、本件に関連して伺いますが、チャットGPTの最新基盤であるGPT―4を上回るシステムなど、高度なAI開発を停止させる必要性が日本においてもあると考えていますか、いませんか。高市大臣、教えてください。
○高市国務大臣 海外の個別企業を念頭に置いた署名活動に関することについては、日本政府としてお答えする立場にはございません。
一般論としてですけれども、企業や研究機関が行っている研究開発に対して政府がその停止を求めるといったら、これは相応の理由が必要になります。ちょっと残念なことではありますが、今、署名活動の対象となっているような高度なAI開発を行っている日本企業を私は存じ上げておりませんので、お尋ねのようなAI開発を停止させる必要性はないものと考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
私もそう思っていて、というのも、何でこの話を聞いたかというと、サム・アルトマンさんが来日をしたときに、これは自民党さんの会議の中でだったと思いますけれども、日本に新たな開発事業拠点を構えるという意向を示されたということでしたので、むしろ、こういった方々の高度AI開発を停止させる可能性があるのかなということを思いまして、聞きました。
今のところないということだったので、それで理解としてはよろしいですよね。
○高市国務大臣 委員の御理解で結構でございます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
こうした中で、これは本当にAI開発競争の矛盾を表しているような話なんですけれども、イーロン・マスクさんが、高度なAI開発の一時停止を求めている一方で、御自身は、生成AIを開発するための約一万個のGPUを購入して、グーグルの親会社であるアルファベットの傘下に属するAI開発会社、ディープマインドからAI開発人材を引き抜いたということが報じられています。
要するに、現在の高度AI開発競争が激化している状況において、安全性や倫理面を考慮した上で、国際社会全体でAIの適切なルール作りを協力して行う必要性があるという一方で、高度AI開発競争において立ち遅れないように、AI研究開発を促進して研究機関への投資や人材育成に注力する必要があるので、イーロン・マスクさんの行動というのは、規制とまさに開発、これを両方進めなきゃいけない環境になっているということを象徴している矛盾的な行動であると思っているんですけれども。
日本政府において、技術革新の追求と、社会や個人へのリスクを最小限に抑えるバランス、これを見極めていただきながら、国際社会と協力をして適切な対応を行っていく必要があるということを思っているんですけれども、日本政府として、この高度AI開発競争に関する世界情勢をそもそも今どのように捉えられているのか、大臣の所見を伺います。
○高市国務大臣 世界情勢ということですので、客観的に申し上げますと、最近の生成AIで採用されている開発手法では、データですとか計算資源、この規模が、AIとしての性能を左右する度合いが従来より大きいと思います。世界的な大企業を中心に、やはりこの計算資源への投資ですとか人材獲得競争、これが激化していると思います。
その中での日本の立ち位置なんですが、残念ながらそこまでには至っておりませんが、力点を置くべき技術、取組というのは日本の強みを生かせる部分がありますので、これを戦略的に見極めて、その中で重点的にリソースを投じていくということが重要だと考えております。
○中谷(一)委員 分かりました。ありがとうございます。
その中でなんですけれども、これは官房長官に伺わせていただきますが、官房長官が、今後、国会、行政、立法府、行政府の中で、やはりこういったものの活用についてのところを触れていただいておりまして、国家公務員の業務負担の軽減、こういった話について触れられています。
コメントとしては、機密情報の取扱いや情報漏えいの懸念への対応についても必要な検討を行った上で、懸念点が解消された場合における国家公務員の業務負担を軽減するための活用等の可能性を検討していくということを述べられているんですけれども、機密情報の取扱いや情報漏えいに対して、具体的には、今、長官としてはどのような懸念を持っておられるのか、また、それに対して必要な検討はどのようなことを想定されているのか、教えてください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
チャットGPTを始めとする生成AIに限らず、外部サービスを利用する場合には、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準に基づきまして、業務上の必要性や外部サービスを活用することに伴うリスクを踏まえた上で、利用の可否を判断する必要があるとされています。
特に、生成AIの利用に際しては、単語による検索ではなく多様な文章形式の質問や応答が行われることなどから、従来の検索サービスとは異なる情報漏えい等のリスクが想定をされます。こうした生成AIの特性を踏まえつつ、望ましい利用の在り方について必要な検討を行うこととしております。
○中谷(一)委員 その具体的な内容を少し触れていただくことはできますか。
○吉川政府参考人 お答え申し上げます。
現在のチャットGPTのサービス提供については、サービスの利用形態から見ますと、不特定多数の利用者に対して画一的な約款や規約等への同意のみで利用可能な形態で提供されていると認識をしておりまして、これは先ほど長官が申し上げた政府統一基準上、外部サービスに該当いたしまして、要機密情報を扱えないものとなっております。また、要機密情報を扱わない場合であっても、リスクを踏まえた形で利用省庁が個別に判断するという基準が適用されることになっております。
先ほど長官から御答弁いたしましたとおり、生成AIは、単語による検索のみでなく多様な文章形式の質問や応答が行われること、入力したデータが広くサービスに利用されるAIの学習に使われることなどの特徴がありまして、従来の検索サービスとは異なるリスクが存在していると想定をされております。
このため、現時点では、利用省庁においてチャットGPTを活用する場合には、業務の範囲を特定した上で、各省で作成している外部サービスに関する規定に基づきまして、利用する業務内容や利用者の範囲などの申請、審査、管理等の所定の手続を確実に実施することによって利用いただくということが重要になりますけれども、今後は、新たにセキュリティーリスクなどが顕在化した場合には、必要に応じて、例えば統一基準に関する検討などを行ってまいりたいというふうに考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
今るる御説明をいただきました。これらのリスクを乗り越えて利用を検討されていくということだと思うんですけれども、本日、河野大臣にもお越しをいただいております。よろしくお願いします。
その中で、河野大臣がチャットGPTの活用に関して、行政で使うという観点でなるべく早く取り組みたいと御発言をされているんですけれども、今ある諸課題をどのように乗り越えて、具体的にはどのような施策に早く取組をしていきたいと思っているのか、特に国家公務員の働き方改革の分野について教えていただきたいと思います。
○河野国務大臣 AIは、大量の情報を効率的に処理をすることができるという観点から、霞が関公務員の働き方改革に資するところは多々あるんだろうと思っておりまして、内閣人事局では、デジタル庁の支援を受けながら、各省でどういうことに人工知能を活用すれば働き方改革に資するかという、ハッカソンみたいなものをやりたいというふうに思っております。
ただ、これはすぐにできるかというと、先ほど官房長官からも御答弁ありましたように、機密の情報の取扱い、あるいは情報の、どこでどう処理をされるか、様々まだ課題がありますので、それを一つ一つクリアをした上で、いわば情報の安全な取扱いというものの懸念を始め様々な課題をクリアした上で実際にはこれを使っていくということになるだろうと思いますが、なるべく早くそういうことができるように積極的に努力してまいりたいと思っております。
○中谷(一)委員 ハッカソンなど、私もやった方がいいと思いますし、いい提言じゃないかなと思って聞いておりました。
その中で、これもまた、私、チャットGPTに聞いてみたんです。行政で早く使うということで、今まさに河野大臣にした質問をそのまま、あなたが日本の閣僚なら国家公務員の働き方の分野についてどういうふうに答えるかということを問うた際に、私が河野大臣だったらということで返ってきたのが、文書作成、管理の効率化、問合せ対応の効率化、研修、教育プログラムの充実、情報共有の効率化、事業仕分、政策立案の支援ということで、これが細かく書いてあるというような内容なんですけれども、これらに関して、今このチャットGPTがこういうふうに働き方改革で使った方がいいんじゃないかとしている提言に対して、これは一考の価値がありますか。
○河野国務大臣 詳細に見ておりませんから分かりませんが、いろいろなことに使えるということは、そのとおりだと思います。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
様々、本当に利用ができるものだということを思っております。
皆様の中でも、行政や立法府に携わる者、こういったAI革命の中で、私たちのこの動いている時代が本当に非常に速くなっているんだと思います。
今日も、日刊スポーツですかね、新聞を見ておりましたら、石器時代に鉄器が出てきたような革命だというような趣旨の話を官僚の方が述べられていたという話があったんですけれども、インターネットは、情報の交換、流通に革命を起こしたものでありますけれども、高度AIというものは、情報の生成であったりとか受発信に対して革命を起こすものであるということを私自身は思っております。
やはり、この時代に対応した流れをしっかりと私たちがつくっていかなければ、世界の中で置いていかれてしまうようなことがあったときに、産業競争力でも落ちていくと思いますし、生産性や働き方、様々な部分でやはり劣ってしまうということになってしまいますので、まず私たちが率先して使ってみて、リスクとベネフィットをしっかりと見定めた上で政策を進めていく必要があると思いますので、まさにここにいらっしゃる閣僚の皆さん、あと政府参考人の皆さんも同席をいただいておりますが、私たちがどう牽引するかが、まさに日本をどう引っ張るかという肝になると思いますので、是非御注視をいただいて、よりよい形での発展を目指していただければということを思っております。
その上でなんですけれども、四月末に開催されるG7デジタル・技術大臣会合で、責任あるAIとAIガバナンスの推進に関連をして、AIの管理、運用のルールを共有するための枠組みづくりや、国際的な技術標準の策定に取り組む企業への支援などが議論されるということを想定をしますが、G7の議長国としてイニシアチブをどのように発揮するかということが非常に注目をされているところだと思います。
その中で、イノベーションと規制のバランスを踏まえた議論を具体的にはどのように行っていく考えであるのか、官房長官、教えてください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
我が国としては、AIについては、開発の振興、利活用の推進、適切なルール作りのいずれも重要であると考えています。
今月末に開催されますG7デジタル・技術大臣会合で、このような考え方を基本として、信頼できるAIの普及推進という各国共通のビジョンを実現するための具体的な方策について議論することを考えているというふうに聞いています。
具体的には、各国や地域によって異なるAIの管理、運用に関する基本的枠組み等の、いわゆるAIガバナンスの相互運用性の推進、国際的な技術標準策定に参画する企業等、多様な民間主体への支援方策、生成AIの機会とリスクへの対応に関する国際的な枠組みの下での分析、検証方策等につきまして、議長国として、担当省庁において議論を主導していくことを目指していると聞いています。
○中谷(一)委員 今、官房長官からコメントをいただきました。
実際に出席される河野大臣、もし、答えられる範囲で、補足だったりとか、展望で、私はこのように牽引していきたいというような思いがあれば、教えてください。
○河野国務大臣 公務員制度担当大臣としては所管外でございます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。そう返ってくるかなと思っておりました。
その中で、やはり、私たちがG7デジタル・技術大臣会合、これをどのように牽引するかということは、日本のプレゼンスを発揮する意味でも非常に重要であります。
各国、本当に対応はまちまちでありますけれども、規制をとにかく強く強化をしていきたいと思っている諸国もございますし、イノベーションをしっかり育てていくということを考えている諸外国もある、もちろん、我が国のようにバランスを考えてどう使っていくかということを考えている諸外国もございまして、るる対応がある中で、やはりどのように牽引するかということを本当に世界中が注目をしていると思いますので、よりよいデジタル技術の発展について、ガバナンスをしっかりと推進をしていただけるような体制づくりをお願いをしたいということを思っております。
一旦、チャットGPTの質問はこの程度にさせていただきまして、ティックトックを含むSNSの利用に関する考え方ということで質問をさせていただきたいということを思っております。
その中で、今皆さんに配付をさせていただいている資料、パネルでも御用意をさせていただきましたが、こちら、今、各省庁における、ツイッターやインスタグラムやフェイスブック、ユーチューブ、LINE、ティックトック、noteとか、こういったものの公式アカウントの比較をした資料となっております。
この質問に入る前に、私、ちょっと気になったので確認をさせていただきたいんですけれども、これは三大臣、高市大臣、河野大臣、松野長官に伺わせていただきたいと思いますが、お三方は、そもそも、それぞれティックトックを使用されたことというのはありますか。もしあれば、どんな使い方をしたことがあるか、教えてください。
○高市国務大臣 私は、個人的に、チャットGPTにつきましてもティックトックにつきましても、サイバーセキュリティー、また自分が持っている個人情報、こういったことの保護の観点から、使ってはおりません。
○河野国務大臣 ございません。
○松野国務大臣 使用したことはございません。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
これも、私もそんなに使うわけじゃないんですけれども、私自身は触ったことがあります。その中で、やはり触ってみないと分からないことというのはたくさんありまして、個人情報が入っていない端末でもいいので、是非一度、規制を検討されたり、何か活用を検討されるツールがあれば、これからは大臣の皆様にも是非触ってみていただけたらなということを思うんです。
今、そういう状況下において、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブ、LINE、ティックトック、note、それぞれあるんですけれども、各省庁において、ティックトックを使っている事例というのは一つもないんですね。
広報というのは基本的に公開情報だと思うんですけれども、こういったものを使用していない理由として、広報として使用すること、利用することが有用でないと考えているのか、若しくはこれは何かしらのリスクがあると考えていて利用していないのか、内閣の事務を総括する、おさである長官の見解を伺わせてください。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
我が国においては、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準等によりまして、広報など要機密情報を取り扱わない場合であっても、各省庁においては、様々なリスクを十分に踏まえ、必要な措置の助言を内閣官房に求めた上で利用の可否を判断しており、必要と認めたものの利用のみを許可しているということでございます。
特定の国や企業を排除するものではありませんが、政府としては、先ほど述べた運用を適切に行うことにより、セキュリティーの確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 それは、結論としては、今各省庁の判断で使っていないということなんだと思うんですけれども。もちろん、外部サービスを使うときというのは、どういうふうに情報の取扱いを行うかということというのは当然考えていかなければならないということを思っているんですけれども、ティックトックに関しては、本当に様々な国で規制が検討されていたりとかしている中で、ただ、私は、問題点の背景となるエビデンスがまだ自分自身で見つけられていないんですね。なので、先日も、政府のインテリジェンス能力の部分についての所見を伺いたいなと思って質問させていただいたんですが、残念ながら、ゼロ回答でありました。
その中において、先日、官房長官にこれも伺わせていただいたんですけれども、日本において、ティックトックのアクティブユーザー数が一千七百万人程度と推計され、仮に利用が停止されたときには社会へのインパクトは非常に大きくなると思いますが、日本でもティックトックの利用制限を含めた同様の措置を検討する可能性があるのかないのか教えてくださいということを尋ねたところ、特定の企業を排除するということではございませんとの答弁をいただきましたが、これは、日本におけるティックトック利用の制限の可能性は現時点ではないという認識で正しいですか。イエスかノーかで、端的に教えていただければと思います。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
SNS等の利用に関しましては、特定の企業やサービスの排除ありきではなく、セキュリティーやプライバシーの確保が重要であると認識をしています。
このため、総務省を始めとして担当省庁において、より一層の周知啓発を図るなど、今後も適切に対応していくことが重要であると考えています。
○中谷(一)委員 ということは、現時点ではないという理解でよろしいですね。
○松野国務大臣 現時点では、特定の企業やサービスの一般利用の禁止といった制限を行うことは考えていません。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
現時点ではないということです。今後は様々また検討されていくんだと思いますので、そういった理解をいたしました。
ティックトックの質問をちょっと続けたいんですけれども、官房長官は三十分で退席をされるということで、次の電力業界に関する諸課題でどうしても長官に一問伺いたいことがありますので、これを聞いて、またティックトックに戻ります。済みません。
公正取引委員会が三月三十日に発表した排除措置命令等の資料において、旧一般電気事業者の役職者が、階層を問わず、禁止されていた情報交換を頻繁に実施するなどし、自らのグループの利益につながる行為を主体的に行っていたことが明らかとなりました。
公正取引委員会が過去最高の課徴金納付を命じるなど大きな話題となっていますが、本件について松野博一官房長官が、電力自由化を通じた競争促進は重要であり、電力各社による公正な取引を妨げる行為について独占禁止法に基づく命令がなされたことは、電力システム改革の趣旨に反するものであり、極めて遺憾でありますと述べています。
この事業者向けの電力供給取引に関して、不当な取引制限を禁止する独占禁止法第三条に違反する行為があったことについて、法令遵守を徹底するため、実効的な取組を速やかに講じるべきであると考えますが、官房長官としてはどのような措置、対応を行う必要があると考えているのか、教えてください。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
公正取引委員会においては、三月三十日に、中部電力、中国電力、九州電力及びこれらの関連会社による独占禁止法違反行為に対して、排除措置命令及び課徴金納付命令を行ったものと承知をしています。
電力自由化による競争促進は重要であり、電力各社による公正な取引を妨げる行為によって独占禁止法に基づく命令がなされたことは、電力システム改革の趣旨に反するものであり、極めて遺憾であります。
経済産業省においても、関係各社に対して、法令等の遵守に係る実効的な取組を実施すること等を求める行政指導を行ったと承知しています。また、今後、各社からの報告等を踏まえ、厳正に対応するものと理解をしています。
また、経済産業省においては、更なる競争促進策等についても検討が行われているものと承知していますが、本件も踏まえまして、今後も不断の電力システム改革を進めてまいりたいと考えております。
○大西委員長 どうぞ、御退席いただいて結構です。
○中谷(一)委員 長官、ありがとうございました。貴重なお時間を済みません。御退室ください。
続けて、中谷副大臣にお越しをいただいておりますので、ここから先は副大臣に伺ってまいりたいということを思います。
今の御説明をいただいて、これは本当に社会的に大きな問題になっていまして、様々な識者から提言が行われている状態がございます。一連の不正問題を受けて、内閣府のタスクフォースからも、送配電事業の資本関係を電力大手から完全分離する所有権分離を含めた構造改革、こうしたものが提言をされています。
ドイツやイギリスなどでは所有権分離の成功事例がありまして、特に、送配電事業者においては経営効率も図られたこと、そしてこれは金融市場や株式市場の賛同を得ることになったことから、送配電の所有権分離は実現性の高い課題なんじゃないかということを受け止めているわけなんですけれども、その一方で、よくデメリットとして挙げられる代表的な事項、例えば災害時の対応における小売部門との連携などというのは、送配電の分離を厳格に進める上で整理可能な課題なんじゃないかということを思っておりまして、送配電の所有権分離を進める上での本質的な障壁にはならないんじゃないかということを思っているんです。
電力システム改革専門委員会の報告書においても、所有権分離については、中立性を実現する最も分かりやすい形態として所有権分離があり得るが、これについては改革の効果を見極め、それが不十分な場合の将来検討課題とすると記載されているんですが、まさに不十分であった今、将来的な検討課題ということなんですけれども、今、現下において、やはり送配電部門の所有権分離を、今回の不正問題に対する具体的な対応策として、早急に検討を実施されるべきものだということをおっしゃられる方が非常に多くいるんですけれども、この不正問題を機に、送配電の分離、これを進めるお考えはありませんか。
○中谷副大臣 先生御下問の所有権分離の妥当性についてでありますが、電力システム改革当時の議論におきましては、仮に所有権分離を行った場合には、送配電会社と発電会社、小売会社との間の資本関係がなくなってしまうということで、安定供給に必要なグループ一体での資金調達に支障が生ずるおそれがあるということであります。
また、当時の一般電気事業者の株主が所有権分離に反対した上で、所有権分離後、株式価値の毀損などが発生した場合には、憲法第二十九条に保障される財産権の侵害に当たる可能性も否定できないということで、所有権分離ではなく、持ち株会社又は親会社の下で送配電部門を子会社化する法的分離を採用することが妥当とされたと承知をしているところであります。
なお、自主的な判断で所有権分離を選択することは全く妨げてはおりません。経済合理性があれば、自主的に選択することもあるというところであります。
先生、英国やドイツの例をおっしゃいましたけれども、送配電事業者についても、所有権を分離した方が経済合理的であるかどうかについてはケース・バイ・ケースということでありまして、民間事業者である送配電事業者自身が自主的に判断すべき事項であるというふうに認識をしているところであります。
英国は、元々国営でありましたから、国が所有権分離を行ったというところであります。ドイツにおいては、経営悪化を受けて、資本増強のために、一部の民間事業者が自主的に送配電部門を売却し、所有権分離を実施したというところであります。これはケース・バイ・ケースということです。
他の国、他の欧州国の例でも、英国と同様に、元々国営企業であったものを民間化する際に所有権分離が行われたという事例もあると認識をしているところであります。
政府が民間企業に対して強制分離を求めたものではないというところでありまして、いずれにせよ、自主的な判断で所有権分離を選択することは妨げていない、経済合理性があるものであれば、所有権分離を行うものが出てくることはあり得るというふうに考えているところであります。
○中谷(一)委員 中谷大臣、分かっていて御答弁されているのか、若しくは、今、取りあえず、やはり政府の立場で原稿を読まなきゃいけないのか、私ちょっと分からなくて今聞いていたんですけれども。
今の話、ちょっと一つ一つ言っていきますと、財産権の問題、これに関しては、都留文科大学の高橋教授が提言の中で、送配電会社が法に違反し、公共の利益を阻害した場合には、許可の取消しができるという電気事業法の規定があるということを指摘をした上で、情報漏えいをした送配電会社の許可を取り消した上で、送配電網の引受先に即日に許可を出すことで、実質的に所有権分離への道が開けるという提案がされています。
また、タスクフォースの中で、「未だに日本では、所有権分離をすれば安定供給に支障が生じるとの指摘があるが、根拠がない。むしろ諸外国の経験に照らせば、中立的な送電会社の下で公正競争が徹底されれば、送配電網の強化と需給バランスの合理化が実現され、電気料金の低減だけでなく安定供給に寄与すると考えられる。実際に所有権分離が主流の欧州では、変動性再エネ電力が増え続ける中で、停電時間が増えた事実はない。」、これはタスクフォースの提言書の中に書いてあります。今そのまま読みました。
あとは、今日の電気新聞にも出ていましたけれども、災害復旧時に小売部門の協力が必要なため、送配電部門の法的分離が望ましいという意見に対しては、全ての小売電気事業者に災害復旧の協力を明文化させればいい、本質的な障害にはならないということが言われているんですけれども、それぞれに対して、何か御意見をいただけますか。
○中谷副大臣 まず、先生がおっしゃった憲法の件でありますけれども、これは内閣法制局としっかり詰めていく必要があるというふうに思っております。財産権の侵害については、今後検討していく必要があるというところであります。
さらに、先生が言われた迅速な災害対応力の低下の件でありますけれども、これについては、今、発電から配送電、そして小売まで、一体的に持っているというところが、実は、迅速にやるという場合には連絡調整が必要ですから、そういった意味では非常に、今のところメリットがあるというふうに思っています。これはばらばらになっていくとなかなか難しさも出てくるので、そういった観点では、メリットとして、迅速な災害対応能力というものがあるというふうに考えているところであります。
○中谷(一)委員 分かりました。
時間がもうなくなってきましたので、今日はこの程度にしておきますが、最後に、四問目の質問に、メンタリティーの話を少し触れさせていただいたんですけれども、電力会社は全ての機能を有するべき、そうでなければ電力会社ではないというような垂直統合時代に築き上げられたメンタリティー、これが不正の元になったんじゃないかという指摘がされているわけでありまして、現在の法的分離では不十分であるということを指摘する方々がいらっしゃいます。
一方で、この旧一般電気事業者の不祥事に対する懲罰的な対応は、過度な自衛反応を招くことだったりとか、近視眼的な対応になる懸念があるので、あくまでも、GXを推進していく上で、将来的な課題としてどうするかということが大事だと思っています。
その中で、具体的には、百五十兆円のGX投資において百三十兆円の民間資金の活用が不可欠、その中で、やはり、健全で透明性の高い競争環境の整備、コングロマリットディスカウントの解消、ガバナンス、コンプライアンスの徹底、不文律の自主規制ではなく、電気事業法等への法的根拠の明確化などが必要だという意見があるんですけれども、副大臣、この辺り、どのようにお考えですか。
○中谷副大臣 先生、メンタリティーのお話をされましたけれども、これは、大手電力会社が発電から小売まで一貫して行ってきた、その地域における電力の供給の責任を負っていた、こうした中で、大手電力会社には電力の安定供給を担うという強い責任感が形成されたというのは理解をしているところでありますけれども、大手電力会社においても、経済性をより重視していかなければいけないということは、これは大分変わってきたというところであります。
競争の環境でありますけれども、競争の環境整備については随分進んできているというふうに私どもは見ているというところでありまして、この競争環境を使っていただきながら、ガイドライン等で律していきたいというのが私どもの考え方であります。
御指摘のコングロマリットディスカウントの解消については、発電部門や小売部門を別会社化するものとして受け止めましたけれども、発電も小売も自由化された競争部門であり、どのような事業形態を取るかについては、各事業者の責任で、経営判断で行われるべきものと考えているところであります。
コンプライアンスについては、つまり法令遵守については、企業の活動の前提であるというところでありますし、仮に問題があれば、命令や指導など、個々の案件に適切に対応することが重要であるというふうに考えております。
引き続き、電力事業の健全な発達の観点から、しっかり監督していきたいというふうに考えています。
○中谷(一)委員 時間が参りましたので、これ以上の質問はこの辺りで控えさせていただいて、また質問の機会をいただければと思います。
ありがとうございました。
○大西委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず、学術会議法案について質問をいたします。
政府が今国会に提出を予定している日本学術会議法案については、厳しい批判の声が寄せられております。ノーベル賞受賞者とフィールズ賞受賞者の皆さんが、「日本学術会議法改正につき熟慮を求めます」という声明も出されています。その中では、「今回の法改正が、学術会議の独立性を毀損するおそれのあるものとなっていることに対し、私たちは大きな危惧を抱いております。」「政府は性急な法改正を再考し、日本学術会議との議論の場を重ねることを強く希望します。」、このような声明の内容について、重く受け止めるべきであります。
そこで、学術会議の選考ルールの制定や会員候補選考に深く関与する権能を持つ選考諮問委員会についてお尋ねをいたします。
配付資料で、これは内閣府が学術会議の幹事会で説明された資料で、学術会議のホームページにもアップをされているものですが、内閣府の日本学術会議法の見直しの検討状況によると、二枚目の表、横長の方ですが、上の枠囲みのところに、下の方は青い字で書いてありますけれども、選考諮問委員は、科学に関する知見を有する関係機関と協議の上、会長が任命するとあります。
この関係機関とは何を想定しているのかについて御説明ください。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、政府において進めております見直しは、コオプテーション方式を前提として、会員、連携会員以外の声も聞きながら幅広く、バランスよく選考を進めていく、そういう、学術会議が自ら現在進められている自主的な改革の考え方を踏まえて、国民の信頼確保という観点から、それに制度的な透明性を確保するための枠組みを与えよう、そういうものでございます。
御指摘の選考諮問委員会については、お示しいただいた紙の中身、これ自体はまず検討中という前提でお渡ししたものでございますけれども、学術会議が国民から理解され、信頼される存在であり続けるためには、会員などの選考が透明なプロセスで行われることが必要だろうというふうに考えております。したがって、会員等以外の有識者から成る選考諮問委員会を学術会議の中に設置して、会員などの選考に関する規則、選考について意見を述べるということによって、コオプテーション方式を前提としながら、選考プロセスの透明化を図ろうとしているものでございます。
選考諮問委員会の委員、ここも検討中でございますけれども、その紙にございますとおり、科学に関する研究の動向、これを取り巻く内外の社会情勢、あるいは、産業若しくは国民生活における科学に関する研究成果の活用、そういったことについて広い経験、高い識見を有する方の中から、会員選考に必要な知見を有する人を選んでいく。それは、御指摘のとおり、学術会議の会長が科学に関する知見を有する方と協議して任命するということでございますので、まず、政府が何かプロセスに介入するというようなことは考えておりません。特段、独立性に変更を加えるというようなつもりもございません。
済みません、長くなりました。
その上で、御指摘の選考諮問委員会の任命に当たっての協議先でございます。この点についてもまさに現在検討中でございまして、現時点で申し上げることはできませんけれども、御存じのとおり、平成十六年に学術会議法を改正したとき、このときは、選考プロセスを変えましたので、初回の会員選考を行うために日本学術会議会員候補者選考委員会というものを設置いたしました。それで、その委員会の委員の人選は、客観性、公平性を確保するために、そのときも、科学に関する知見を有する総合科学技術会議の有識者議員、それから日本学士院の院長、そのお二人に学術会議会長が協議して任命したというふうに承知しております。そういった例も参考にしながら、今、検討しているところでございます。
直接申し上げられなくて申し訳ございません。よろしくお願いします。
○塩川委員 配付資料の一番後ろですよね。今、最後に説明された、日本学術会議法の附則の第四条のところに、コオプテーションにする、その前段階のときに会員を選ぶ際に、初回の会員選考に当たってこういったスキームを設けたということですけれども、その際に、日本学士院の院長もありますけれども、総合科学技術会議の議員のうちから総合科学技術会議の議長が指名するものということになっておりました。
こういうのが一応は念頭にあるという説明を学術会議の方にはされたということですかね。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、こういった例も参考にしながら検討している、そういうふうに御説明いたしました。
○塩川委員 参考にしながらということですから、これが念頭の一つにあるということであります。
会長が協議を行う関係機関とは、総合科学技術会議の議員のうちから総合科学技術会議の議長が指名するものを想定しているということで、これは、現在の総合科学技術・イノベーション会議、CSTIのメンバーを想定しています。
CSTIの議長というのはどなたになるんでしょうか。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
総合科学技術・イノベーション会議の議長は内閣総理大臣となっております。
○塩川委員 大臣にお尋ねします。
総理大臣が議長であるCSTIのメンバーが、学術会議の会員候補選考を左右する選考諮問委員会の人選に深く関与する、こういうことを政府としては想定しているということでよろしいでしょうか。
○後藤国務大臣 今、政府参考人から答弁したとおり、選考諮問委員の任命に当たっての協議先については、平成十六年の例も参考にしながら現在検討しているところでありますから、現時点でお答えできないことについては御理解をいただきたいと思います。
また、選考諮問委員会の委員については、繰り返しになりますけれども、科学に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢、産業若しくは国民生活における科学に関する研究成果の活用の状況、科学の振興及び技術の発達に関する政策に関し広い経験と高い識見を有する者の中から、会員選考に必要な知見を有する人を、学術会議会長が科学に関する知見を有する者と協議の上任命することとしておりますけれども、現在検討中のプロセスにおいて、内閣総理大臣が委員の選考に関与するという考えはありません。
○塩川委員 この選考諮問委員会というものの権能として、選考に係る規則の制定、学術会議側の規則ですよね、並びに会員候補者の選考及び連携会員の任命の際に、あらかじめ同委員会に諮問するとなっています。
つまり、会員選びのルールを作る点、あるいは実際の会員候補者の選考に当たって、あらかじめ選考諮問委員会に諮問するということですから、そういう点でも深く会員候補選考に関与するというのが政府のこの選考諮問委員会の中身であって、その選考諮問委員会、五人と想定しているメンバーを選ぶ際に、会長が任命するとは言いますけれども、ここにあるように、CSTIのメンバーの意見、これをしっかり把握する、こういった、協議の上となっているわけであります。そこのところが非常に大きな重みとなって、学術会議側に関わってくるということになります。
ですから、参考にと言いますけれども、具体の例示としてはCSTIになっているわけですから、内閣府のホームページを見ますと、CSTIは、内閣総理大臣のリーダーシップの下、科学技術・イノベーション政策の推進のための司令塔として、我が国全体の科学技術を俯瞰し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行っているとあります。
総理をトップとする司令塔の役割を果たす政府機関のメンバーが学術会議の会員候補の選考にいわば深く関与、介入するものであり、そのことが学術会議の独立性を侵害するものとなるのではありませんか。
○後藤国務大臣 内容については先ほど申し上げたとおりで、あくまで、平成十六年のときにはこういう方たちに協議をしながら扱ったことがあるということを一つの参考としながら、しかし我々は内閣総理大臣が委員の選考に関与するという考えはないということを前提に、今、制度を検討しているところであります。ですから、こういう内容がそのまま決まりそうだという前提に立ってのお話についてはお答えをすることはできないと申し上げております。
一般論として申し上げるとすると、例えば、政府が任命する審議会の委員等が選考諮問委員の人選に当たって協議を受けることになる場合であっても、一人の有識者として自らの経験や識見に基づいて判断されることとなると考えております。
学術会議の会員についても、総理が任命するものではありますけれども、政府から独立して職務をしっかりと行っていただいているのではないかというふうにも思っております。
○塩川委員 学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関であり、独立して職務を行うとあります。いわば、政府の審議会のように政府が求める特定の任務、目的に基づいて議論する会議体とは根本的に違います。その違いの大本にあるのが会員の選考方法、コオプテーション、これに対して、外から介入する仕組みとなりかねないというのが今回の出されている法案で政府が説明している中身だということが極めて重大だということであります。
CSTIで学術会議の在り方の議論をしたときに、CSTIのメンバーの皆さんは、当然、学術会議の梶田会長もメンバーで途中から入っているわけですけれども、梶田会長を除けば、政府の学術会議法改正案について誰も反対をする立場に立っていない、政府案に同調する立場だったという点も看過することができません。やはり総理直属の司令塔組織であるCSTIの下に学術会議を置くようなもので、学術会議を政府の下請機関にしようとするものと言わざるを得ません。法案への批判が広がるのは当然であります。
学術会議の理解も得られていない、こういった法案はそもそも出すべきではないのではありませんか。
○後藤国務大臣 学術会議あるいは五日の学術会議の幹事会においても様々な御意見や御懸念が示されていることはしっかりと受け止めておりますし、そうしたことも踏まえて検討しなければならないというふうに思っております。
学術会議の見直しについては、ただし、学術会議においてもそれぞれ、学術会議自身で、様々な関係者との議論を通じて、令和三年四月の、より良い役割発揮に向けてを取りまとめて、これに基づいて自主的な改革を進めているところであると承知をいたしております。
政府において検討を進めている見直し法案は、学術会議が現在自主的に進めておられる考え方を踏まえた上で、国民の信頼確保という観点から、それに制度的に透明性を確保するための枠組みを与えようとするものだというふうに考えております。
選考プロセスについて申し上げれば、選考諮問委員会の委員も会長が任命し、意見尊重義務はありますけれども、最終的に会員候補者を推薦するのは学術会議であるということであります。
また、諸外国のアカデミーが独立した民間団体でありながら国を代表する地位を認められ、国から財政的支援を受けることを含めて、国民に説明できるよう運営されているのと異なりまして、日本の学術会議は、主要先進国では唯一、国費で賄われる国の機関として独立して職務を行っている、そういうことでありますから、国民の信頼に応えるような、そういう透明なプロセスで行われる会員の選考等の改革は必要なことなのではないか、そのように考えております。
いずれにしても、今国会に提出をしたいということで考えておりますけれども、一層丁寧に学術会議に御説明し、十分に意見を聞きながら、検討を進めていきたいと考えております。
〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
○塩川委員 会員選考プロセスの透明性の向上ということを理由としているわけですけれども、透明性の向上というんだったら、政府が行った、政府による六人の会員候補の任命拒否こそ、不透明そのものなんですよ。そのことについて何らの説明もしないでこういう法案を出すこと自身がけしからぬと言わざるを得ません。ですから、政府がやるべきことは、このような法案を出さない、そして、そもそも任命を拒否したこの六人について直ちに任命する、このことを強く求めるものであります。
学術会議については以上でありますので、大臣は退席いただいて結構であります。
次に、環境省にお尋ねをいたします。
環境省が行っている原発事故由来の除染土再生利用実証事業についてお尋ねをいたします。
所沢では、近隣の地元町会も反対の決議を上げました。所沢の市議会も反対の決議を上げました。市長も、地域住民の理解がなければ分かったとは言わないと述べております。地域の理解は全く得られておりません。撤回すべきではないでしょうか。(小林副大臣「委員長」と呼ぶ)
○藤井委員長代理 ちょっと待ってください。(塩川委員「委員長、ちょっと止めてくださいよ、だったら、時間。止めてよ」と呼ぶ)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○藤井委員長代理 速記を起こしてください。
内閣府笹川室長。(塩川委員「求めていませんよ。答弁を求めていないんだよ」と呼ぶ)先ほどちょっと手を挙げておられたので、済みません。
○笹川政府参考人 ファクトに関する、事実関係に関する御説明がございますので、一言申し上げます。
先ほど、塩川先生から、CSTIの政策討議についての言及がございました。
その中で、CSTIは、梶田会長を除いて、政府案に賛成であったというたしか御指摘がございましたので、一言だけ申し上げさせていただきます。
このときのCSTIの議論は、政府が何か政府案を提出して審議をお願いしたわけではなく、幅広い視点から自由に御議論いただくということで、一年近く議論をしてきたものでございます。
したがって、梶田会長以外賛成だったというのは若干不正確、不正確と言っては失礼ですが、補足した方がいいかなと思って、済みません、手を挙げた次第でございます。
以上です。
○塩川委員 反対の意見を述べていないということを言ったんですよ。考え方についての議論をやっていたんだから、それについて、政府と立場が異なるような発言がその中に出てこないということを議事録を見て言っているわけですから、そんなことについて、聞いてもいないのにしゃしゃり出てくること自身がおかしいと、この場で強く抗議いたします。
○小林副大臣 塩川委員にお答えをいたします。
環境調査研究所で計画をしている実証事業に関して、周辺自治会において実証事業に反対する旨の決議がなされたこと、また、所沢市議会において、住民合意のない実証事業は認めない旨の決議がなされたことは承知をいたしております。
環境省としては、これまでにいただいた様々な御質問や御意見について、引き続き、丁寧にお答えをしていく姿勢に変わりはございません。
以上です。
○塩川委員 環境省が福島県内で実証事業を計画した二本松市の原セ地区では、事業が中止となっております。原セ地区の事業について、福島地方環境事務所が出した地区住民へのお知らせ文書には、事業着手ができない理由について、説明会において風評被害への懸念など多数の御意見をいただいたため、現時点で事業着手できておらず、計画どおりの工程を進めることが困難となりました、地元の御理解をいただくことが重要であることから、受注者との契約についても解除に向けて調整と述べております。
このように二本松市で事業が取りやめとなったのは、近隣住民の方から反対の声が上がったからということではありませんか。
○小林副大臣 お答えいたします。
環境省では、二本松市内に仮置きをされていた除去土壌を二本松市道の整備に再生利用する実証事業ができないか、二〇一六年から検討しておりました。お述べのとおり、周辺住民に対して複数回の説明会を実施いたしましたが、風評被害への懸念など多数の御質問などをいただきましたが、当時はまだ再生利用の実証事業の前例がなく、御理解いただける具体的なデータをお示しできなかったということであります。
一方、同時期に飯舘村長泥地区でも実証事業を検討しており、そちらの受入れ環境が整ったことから、まずは長泥の案件を優先して実施をし、二本松の案件については見送ることとして、その旨を地元の方々にお知らせをしたということであります。
○塩川委員 風評被害への懸念など多数の意見が出て、地元の御理解をいただくことが重要という立場だから、結果としてやらなかったんですよ。であれば、環境省が実証事業を計画している所沢も、新宿御苑も、またつくばにおいても、みんな住民から反対の声が上がっているわけで、住民の理解が得られない計画は撤回をすべきだということを強く求めて、委員長の裁きは納得のいくものじゃありません、そういったことを改めて抗議をしまして、質問を終わります。
○藤井委員長代理 次に、堀場幸子さん。
○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
本日は、セキュリティークリアランスと経済安全保障についての質疑をさせていただきたいと思います。
というのは、昨年、私も内閣委員会に所属しておりまして、初めての国会で、この経済安全保障について、初めての重要広範ということで、非常に思い入れも思い出もあるこの法案について、そして現在、法律ができて、その後の様々なことが進んでいる時期だと承知しております。既に、重要物資のことであったり最先端の技術のシンクタンクとかその辺のことはもう終わっていると承知しておりますが、基幹インフラの部分と特許出願のところが、現在、パブリックコメントが終わって有識者会議が終わったという局面だというふうに理解をしております。
そもそも、我が党の経済安全保障に対する考え方は、自由競争の中で経済成長をしていく、これが大前提であるということは言うまでもありません。私たちは自由経済の中でやっております。なので、自由競争を阻害するような規制というものに我が党は本当に反対をしてきた。先日の国家戦略会議の中で、養父市もやはり岩盤規制を突破したかったとか、そういうことを議論させていただいているところです。
とはいえ、私ども、今の国際環境は非常に厳しいという理解もさせていただいています。なので、安全神話で、この国は何もしなくても攻めてこないとかそういった非現実的な議論にはくみすることはできないという立場であります。やはり、何もしないで大丈夫だよという時代ではないと思っています。
とはいえ、この経済安全保障の法案を昨年質疑させていただいたときに、実効性が担保できるのかというのが非常に大きな議論だったというふうに記憶しています。ざる法になってはいけないというふうに思っておりますので、今回、しっかり、特に基幹インフラの部分というのは規制を強めていくという理解をしておりますので、少し高市大臣と議論をさせていただければと思っております。
特定妨害行為の防止による特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する基本指針についてお尋ねをします。
第三章の特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に当たって配慮すべき事項というところに、特定妨害行為の防止のため、再委託については、最終的に委託を受けた者まで情報を記載することが原則であるけれども、再委託先を適切に管理していると認められる場合はこの限りではないというふうにされております。この場合の適切な管理とは何か、現時点での検討状況を教えてください。
〔藤井委員長代理退席、宮路委員長代理着席〕
○飯田政府参考人 お答えいたします。
今御指摘がございました基幹インフラに対する妨害行為を防止するためには、原則としてというのは、まさに御指摘のありましたとおり、最終的に委託を受けた者までを確認して審査を行う、これが原則でございます。一方で、再委託先等が妨害行為を行うおそれを十分に低減できるような管理をしている場合については、最終委託先までを確認せずとも審査を行うことが可能な場合もあるというふうに考えております。
その点につきましては、今御指摘がありましたとおり、基本指針案において、再委託の対象範囲に関する考え方としてお示しをしているところでございます。
この制度の詳細については、今後、関係省庁主務省令で定めることになるわけでございますけれども、今後とも引き続き、事業者を含めまして関係者の皆様の意見もお聞きしながら、この制度が特定妨害行為を防止する上で十分実効性を確保した制度となるように検討をしてまいりたいと考えております。
○堀場委員 やはりこの再委託というところが非常に難しいところだと思っています。最初の指定された業者というのは、やはり基幹インフラですから大企業が多いですし、非常に重要な会社、大きな会社で、しっかりと信頼が持てる、そういった会社が指定されていくと思うんですけれども、その委託先、そしてもっとその先の委託先を調べるのが非常に難しいですよねということを、私たちは、重要物資のサプライチェーンの調査のときにもずっと言わせていただいていました。
サプライチェーンの調査というのは、ちょっと種類は違うんですが、イギリスで近代奴隷法がありまして、そこでサプライチェーンの調査をする、末端までしっかりと人権を確保した政策をしていますかというような調査をしている人が何人もいらっしゃるんですが、そういったところの実際にサプライチェーンというものを調査している人に話を聞くと、三つ先まで追うのは本当にしんどいというのが現実だというふうに聞いています。
なので、ここの部分が非常に難しいんだろうなということを思っておりますので、委託先、そしてもっとその先の委託先についての管理というものが非常に重要になってくると思っておりますので、ここの部分がざるにならないようにしていただきたいなというふうな御指摘をさせていただきます。
次いで、第四章に入ります。
第四章は、特定社会基盤事業者に対する勧告及び命令に関する基本的な事項が定められていると承知しています。この重要維持管理等の委託相手の事前届出の事項の詳細というものを教えていただけますか。
○高市国務大臣 委託先ということでございますが、特定社会基盤事業者が特定重要設備の維持管理また操作を他の事業者に委託する場合、計画書をまず主務大臣に届け出ていただくことになります。
届け出ていただく事項については、今後、詳細について検討しまして、主務省令で定めていくことになりますけれども、委託の相手方に関する事項については、現在まだ調整中ではありますが、基本指針案に記載しているような内容になるということです。
例えば、相手方の名称、住所、設立国、一定割合以上の議決権を保有する者の名称、国籍、保有割合、役員の氏名、国籍、また、売上げの中で外国政府等が一定割合以上である場合には、その国名及びその国が占める割合などが考えられます。
こうした届出事項を政府において確認して、基本指針案に示している審査に当たっての考慮要素、これも踏まえて、特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれについて審査をいたします。
審査に当たっては、必要に応じて、事業者に対しまして情報提供の協力を求めることも可能でございますので、適切に対応してまいります。
○堀場委員 ありがとうございます。
やはり最初に懸念していたのは、ここに書かれている名前、住所、設立国、そして、さっき大臣がおっしゃっていました、一定の割合以上の議決権の保有者の名前、国籍、このぐらいの情報で本当にフロント企業を、例えば悪意のある国のフロント企業を発見することができるのかなという懸念を持っています。
というのは、フロント企業側は、日本にこういうところをしかけようとしている人たちというのは、やはり、とても抜け穴を見つけて見つけて見つけてやってくると思うんですね。なので、正々堂々と、やあやあ、私たちはこうですというようなことを言うのかなという懸念もあります。
そして、大臣もどこかでおっしゃっていたと思いますけれども、中国、仮に中国という国であるならば、やはり三人寄ったら共産党に、しっかりと組織に組み込まれていくというシステムになっていますので、そういったシステムで、そして、その中の情報を求められたら絶対に答えなければならないというような国でありまして、ほかの国も、恐らく様々なシステムがあると思います。北朝鮮については分からないこともたくさんありますから。そういった様々な、向こう様はそういうふうにいろいろなことをやってくることが想定される中で、これだけの情報で本当に判断できるのかというところが懸念な点だと思っています。
なので、この内容で本当に問題を把握することができるのかということについて、高市大臣、お願いします。
○高市国務大臣 詳細については、今後、主務省令で定めていくことになります。
例えば、委託の相手方が実施している、特定社会基盤事業者が確認したリスク管理措置なども届出をするように求める予定でございますので、主務省令で定めていく中で、しっかりと抜け穴のないように対応してまいりたいと思います。
○堀場委員 今ちょうどお答えいただきましたリスク管理というものがどういうものかという質問をしようとしておりました。
妨害行為を防ぐためのリスク管理というものを主体的に企業がしていくことを奨励しているとは思うんですけれども、このリスク管理というのはどういう措置なのか教えてください。
○高市国務大臣 御指摘のリスク管理措置でございますが、現在、基本指針案におきましても、その考え方は示させていただいております。
具体例のうち、維持管理などの委託に関するものでは、例えば、委託の相手方において特定重要設備の操作ログの定期的な確認によって不正行為の有無を確認すること、また、委託の相手方が再委託を行う、そういう場合には、再委託を受ける者に対して、自らと同等のサイバーセキュリティー対策を講ずることを契約などで担保するなどということがございます。
リスク管理措置でございますが、特定社会基盤事業者や、あと設備の供給者や委託の相手方において自ら講じていただくものでございますけれども、制度の実効性を高めるためにも、これはしっかり取り組んでいただくことが重要ですから、その取組状況などを審査においてしっかりと考慮してまいりたいと存じます。
○堀場委員 今、大臣もお答えいただきましたけれども、やはりその委託相手、そしてまた、大きな事業であればあるほど委託先が増えていくというふうに思っておりますので、それを政府が一つ一つ追っていくという作業が本当にすごい量になるんだろうなということを想定して、そのすごい量を大きな情報のデータとして集めていただいて、それがまた活用されてくるというふうには思ってはいるんですが、導入時期において、そして少しこなれてきた時期において、やはり抜け穴であったり抜け道を発見してやっていくということになると思いますので、そこをちゃんと臨機応変にやっていただけると安心できるのではないかなというふうに考えています。
パブコメの中をちょっといろいろ見させていただいて、少しそのことで質疑をさせていただきたいと思います。
「審査基準を具体的に示すべき」であったり、「「外部にある主体から強い影響」について具体的に示すべき」であったりとか、こういうものがあるんですよね。企業さん側からすると、やはりこういうニーズは上がってくると思います。だって、どうしていいか分からないから、明確にしてください、これはすごく気持ちは分かるんですけれども、それをやってしまうとこの法律の趣旨から離れてしまうんじゃないかなという懸念を持っています。
やはり、先ほど言っていました、悪意を持って、わざわざフロント企業をつくってやろうとされている方々が仮にいた場合には、こういったことをすごく対策として講じられてしまうんじゃないかなという懸念を持っているんですが、大臣のお考えをお願いします。
○高市国務大臣 私も、パブリックコメント、全部を拝見して、意識としては堀場委員と同じでございます。
事業者の予見可能性を高めるため、詳細な審査基準を示してほしいといったお声はございました。他方、やはり詳細な審査基準を示すということは、かえって基準を悪用した申請を容易にするということによって、特定妨害行為を行おうとする主体を利することになりかねないという問題があると考えました。
基本指針案においては、事業者の予見可能性に配慮するという意味から、審査に当たっての考慮要素という形で一定の考え方をお示ししたのですが、現時点の基本指針案で記載している以上に詳細な審査基準を示すことは考えておりません。
○堀場委員 ありがとうございます。やはりちょっと、どこが抜けるかというところが分かられる方が怖いなという思いがあります。
そして、同様に、ブラックリスト、ホワイトリストというようなものを公表してほしいというものもあるんですけれども、そうすると、過去の審査を通過した、若しくは駄目だったというような企業を教えることになってしまうんじゃないかなというふうに思っているんです。
私自身も、昔、うちの父親が靴屋だったんですけれども、余りよくない材料屋さんがあったりすると、ここで何かミステイクがいっぱい起きているけれども、その情報というのが余りなかったら、再度ここにうちは何か取引があって注文してしまうとまた同じようなアクシデントになる。
情報を共有したかったよねと思うのは、自由競争をしていて、会社をしている人はとてもそう思うと思うんですね。でも、やはりこの経済安全保障というカテゴリーで考えたとき、この法から考えたときには、これもちょっと厳しいんじゃないかなというふうに思うんですが、大臣の御所見をお願いします。
○高市国務大臣 政府が何らかの形で特定の企業や国を名指しする、いわゆるブラックリストですとかまたホワイトリストについては、一部の事業者の方から作成、公表を求める声をいただきました。
ただ、やはり堀場委員の問題意識と共通すると思うんですが、この制度では、供給者の属性のみならず、リスク管理措置など、設備自体にも着目する審査を行うことにしています。
ブラックリストについては、対外的にこれを示すことで、そのリストを迂回して妨害行為が行われるおそれもございます。ホワイトリストについても、例えば、当初はリスクがないと判断したベンダーであっても、役員の変更など事情変更があれば再度審査が必要になることも考えられますので、網羅的に適時に公表するということは困難だと考えております。ですから、現時点で何らかのリストを公表するということは検討しておりません。
○堀場委員 ありがとうございます。
今、細かい、今出ている情報、そして今協議体の中で語られているお話、いろいろ教えていただいて、やはりこの経済安全保障というものが、基本指針及び今やられている方向性の中でしっかりと守られていくのか、そして実効性をどのように担保するのかというところが非常に重要になってきて、ここは本当に、今、正念場と言えばちょっと言葉は大きいかもしれないんですけれども、大きな一つの山場だとは思っています。
ここで、やはり規制をするということなので、企業さん側からすると初めての経験の中で、ちょっとどうなんですかというお問合せもすごくあるとは思うんですけれども、企業の皆様とコミュニケーションを密に取られているというお話も聞きましたので、そういった形で、是非、御理解を賜りながらやっていただきたいなというふうに思っております。
今、ここまで、ちょっと細かいことを含めて御質問させていただきました。この基本指針にて経済安全保障がしっかりと守られていくことが可能なのか、つまり、穴がないようにつくっていっていただけるのか、実効性をどのように確保していくのかということについての大臣の御所見をお願いします。
○高市国務大臣 今調整中の基本指針案ですが、制度の基本的な考え方、特定社会基盤事業者の指定基準、それから特定重要設備、重要維持管理などを定めるに当たっての考え方、届出事項や審査の考慮要素、事業者等との連携、おっしゃっていただいたとおりの話なんですが、こういった基幹インフラ制度を運用するために重要な事項というのはお示しをしております。
今後ですけれども、この基本指針案を速やかにまず閣議決定した上で、来年春頃を予定しております制度の運用開始に向けて、抜け穴のない制度となるように政省令の策定を進めてまいります。
それから、制度の詳細について、事業者の皆様への周知、広報も実施してまいります。先ほど、余り細かい基準をオープンにはしないと申し上げましたが、個別の御相談についてはしっかりと応じてまいりたい。
実効性のある制度にしていきたいと思っております。
○堀場委員 ありがとうございます。
冒頭申し上げましたとおり、我が党としては、やはり自由競争が非常に重要で、その競争の原理が経済成長のエンジンだと思っておりますので、そこを崩すことはできないというのが大前提な上で、でも、この国際状況の中で、一種、だから、私、この話をしていると、昔のブロック経済を勉強したときのことがどうしてもよぎってしまうんですけれども、でも、やはり、今、令和の時代に、当時とはまた違う新しい形で、しっかりと対話の中で、こういったもの、国を守るための基幹的なものを作っていくということをされている歴史的な瞬間だと思いますので、是非、実効性のある法として動かしていけることになるような省令を作っていただければなというふうに思います。
後半は、セキュリティークリアランスについてお話をさせていただきたいなというふうに思っています。
最初の大臣所信のときに少し大臣にもお聞きをさせていただきました。セキュリティークリアランスというのは非常に重要なんだなというのは日々、私は文科委員会なんですけれども、最先端技術のお話をお聞きしたりとか、したりとかする機会が非常にありまして、様々お話をしていると、やはり機微情報に触れることができないということに対する御懸念というか、だから日本が何となくばく進していけないというか、そういったお話に触れる機会が非常にありまして、セキュリティークリアランスは非常に重要だと思っております。
一方で、この間、報道等で見ている限りでは、高市大臣の罰則のお話がありました。これは非常に重要な点なんですけれども、この罰則についてどのようにお考えか、お知らせください。
○高市国務大臣 セキュリティークリアランス制度を新たに構築していくということは、日本企業が、諸外国の、調達ですとか、それから外国企業との共同研究若しくはお取引において著しく不利な状況に置かれない、これが一つの目的でございます。そうしますと、罰則ということを考えるときにも、対外的に通用するレベルでなきゃいけないということは一つ私が強く思っていることでございます。
現在、具体的に、その制度設計については、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議において、制度の在り方について御議論いただいている最中でございます。
ただ、罰則について、我が国には、政府が調査をして適性評価を行うという意味でのセキュリティークリアランスを規定している唯一の法律は、特定秘密保護法がございます。ここで情報漏えいなどに対する罰則がございます。それからもう一つ、民間企業の方々にとってなじみが深いという意味では、不正競争防止法がございます。これは営業秘密を侵害した場合の罰則がございますので、こうした既存の制度も参考にしていく必要があると思っております。
○堀場委員 ありがとうございます。
先ほどから何回も申し上げている、実効性を担保していくという点において、罰則というものが必要な場面というのは必ず出てくると思っています。
そして、今、有識者会議のお話がありましたけれども、その中で様々議論がなされていると思っているんですが、安全保障に重きを置いた議論なのか、若しくは国際研究に言及された議論なのかということも含めまして、有識者会議の中でどのような議論をされているのか、教えてください。
○高市国務大臣 先ほど申し上げました有識者会議は、セキュリティークリアランスについて議論をいただいております。ですから、具体的な事例やニーズなどについて御説明いただくなどしながら、セキュリティークリアランスの在り方について議論をしております。
これまで、その会議の場で、企業の方々に来ていただいて、いろいろなお話を伺いました。具体的には、やはり国際的なビジネスへの参加ですとかサイバーセキュリティー対策に関する情報共有といった場面においてセキュリティークリアランス制度が必要だといったお話ですとか、それから、今後の制度設計に当たっては諸外国と機能的に同等性を持った制度整備が必要である、こういった旨のお話を、具体的な事例を挙げていただきながら伺ってきたところでございます。
とにかく、セキュリティークリアランス制度がないばかりに日本企業が国際的ビジネスで不利になるような状況、これを何とかもう拡大させないという問題意識を持って、今、いろいろな御意見を伺いながら、我が国にとって望ましい制度の在り方について、スピード感を持って検討したいということで進めております。
○堀場委員 特に、さっきおっしゃったサイバーのところも、一緒に研究に入っていけないというか、情報共有がされない、これは私もお聞きしたお話でした。そして、あとは、衛星とかAIとか量子、こういった最先端の研究をするには、ないと駄目なんだということをすごく力説されたことがありまして、やはり私も、最先端研究の中で日本が遅れていくということが、様々な成長、経済成長も含めてですが、国際競争力も含めて、様々な点で、プラスになるわけがないんですよね。
だから、やはりこのシステムがないがゆえに、なかなか入っていけないということもそうなんですが、じゃ、セキュリティークリアランスというシステムが仮に日本でできました、アメリカみたいに三つぐらいあるのか、二つなのか、分からないですけれども、どのレベルの、どういうタイプのものができるか分かりませんが、取りあえず、相手国がそれを見て、ああ、日本のセキュリティークリアランスは信頼できるなとまず思っていただかないといけない。やはり、日本目線で独りよがりにつくってもなかなか難しいというところがあります。
なので、ここで、実効性があるなといろいろな国に思っていただけるようなシステムであるべきだとは思っているんですけれども、どのようなセキュリティークリアランスの在り方を目指しているのか、教えてください。
○高市国務大臣 やはり政府として適切な情報保全がきちっとできるということ、先ほど申し上げましたように、日本企業が国際的なビジネスにおいて後れを取るようなことがないようにするためにも、同志国、同盟国などの諸外国からも信頼を置かれ、認められるような、実効性のある制度にしていく必要があると考えております。
○堀場委員 ちょっとここは通告がなかったんですけれども、やはり、例えば、プライバシーをすごく調査されるので嫌だとか、余りよくないと言われる方もいらっしゃると思うんですよね。
誤解をしてはいけないのは、これはそれを担当する人にとって必要なもので、全国民がそこに組み込まれるとかそういったシステムではないということもやはりつけ加えなければならないですし、そして、今度、じゃ、研究職の人が、自分がどのレベルのセキュリティークリアランスを超えているのか、審査に合格しているのかということは、一つの、プライドと言っては変かもしれないですけれども、それを持って責任ある仕事ができるということにもつながると思うんですね、ポジティブな意味で。
だから、その人たちが、自分が調べられちゃうから嫌だなという人もいるかもしれないですけれども、私が聞いた多くの研究をされている方というのは、これを付与してもらうことで、もっと自分が高みに行けるというか、もっと自分の研究を深めることができるという観点をお持ちの方が非常に多いということもつけ加えさせていただきたいと思います。
やはり不安が、ちょっとほかの、今、マイナンバーとかもやっているんですけれども、どこに行っても、やはり個人情報というものに対して非常に日本人の方というのは重きを置いている、だから個人情報保護法というものがしっかりと機能していると私は理解はしているんですけれども、個人情報はしっかりと守っている、けれども、自分は審査を受けてでも研究をやっていきたい、若しくは、そういうふうな任務を与えられるような方にはお願いをしたいというようなところが重要なんだというふうに思っております。
このセキュリティークリアランス、設定までどんなようなスケジュール感で動いているのかというものも、今分かっている範囲で結構ですので、教えていただければと思います。
○高市国務大臣 このセキュリティークリアランスの議論につきましては、今年の二月十四日の経済安全保障推進会議において、岸田総理から、今後一年程度をめどに可能な限り速やかに検討作業を進めることといった御指示がございました。
可能な限り速やかにということでございますので、必ずしも一年ということではなく、準備が整い次第、また皆様に御審議をいただきたいと思っております。
○堀場委員 今、ここまでいろいろな、経済安全保障とセキュリティークリアランスについて、通告を含めた議論をさせていただいたんですけれども、私、すごくこの経済安全保障とかセキュリティークリアランスの議論をしていて思っているのは、やはり私たちは、新しい令和という時代にいるんだと。昭和の時代に構築された様々な考え方であったり慣習であったり感覚では、やはり今の国際情勢もそうですし、今のこのデジタル社会を、まあ簡単に言うとデジタル社会なのかもしれませんが、それを取り巻くための本当に多くの技術というもの、そして、アルテミス計画みたいなものもありますけれども、どんどん地球の外に出ていくということをもっとポジティブに捉えたときに、必要なものなんだというところなんだと思うんです。
一方で、本当に難しいなと思っているのは、例えば、セキュリティークリアランスであれば個人情報でしょうし、経済安全保障であれば適正な経済環境をつくるであったり自由競争であったり、そういったものとのバランスだと思うんですね。
このバランス感覚というものを、やはり私たち政治家というものもそうですし、政府の皆さんにもしっかりと持っていただいて、日本を守るということを含めてやっていただきたいなと思っているんですけれども、ここまで議論させていただいて、高市大臣、今、これからどうやって進めていこうと、この安全保障とセキュリティークリアランス、どういう思いでやられているか、少し教えていただければと思います。
○高市国務大臣 基本的には、やはり自由な競争というのは大事だと思います。先ほどの基幹インフラに関して審査をさせていただくということについても、一つは、規制になっちゃいますよね、企業にとっての負担だとも言われますけれども、ただ、その企業がサイバー攻撃を受けて大変な損害が出たとしたら、これは信用も落ちます、株価も落ちます、場合によっては相手から損害賠償を求められるようなことにもなる。それを国の方でも審査しますよということで、本当に、セキュリティーを確保した上で、存分に企業が活躍していくためのお手伝いでもあると思っております。
そしてまた、セキュリティークリアランスをしっかり制度として構築することによって、日本の技術の可能性は開けていくと思います。
今、研究者の方などでも、もうクリアランスホルダーオンリーということで、入れない学会があるというように伺っておりますので、特に民間企業の方からお話を伺いますと、さきに委員がおっしゃっていただいたとおり、宇宙ですとか量子ですとか、こちらの分野になるとデュアルユースの分野でございますので、なかなかこれはクリアランスがないと対応していただけないという話もありますので、日本の経済成長にもしっかりつなげていくという観点から、頑張ってまいりたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
この議論もそうなんですけれども、やはり最先端の技術のお話をたくさん、今回の国会、私自身も、違う委員会でですけれども、AIのことであったり、AIリテラシーとか、今度はAIとか情報に対する、子供たちもそうですが私たちも、やはりしっかりと道徳心を持って、線を引いてやらなきゃいけないですよねとか、そういった議論を様々なところでさせていただいています。
なので、私たちは、最先端の技術というものを非常にしっかりと、国民が興味を持って、前に進めていかなければならないと思うんですけれども、どうしても何だかちょっと遠いところに感じてしまうというのが私たちの、私たちと言うと皆さんに失礼かもしれないんですけれども、私とか、普通にお母さんとかをやっていると、なかなかそういう最先端の技術というものが身近にないから、こういった議論がちょっと遠く感じてしまうのかなというふうに思っています。
でも、実は非常に身近で、この国を、そして自分たちの子供を守るためには必要なんだと私自身は思っていて、一番最初に、大臣所信のときにも言わせていただきましたけれども、なかなか女性で安全保障とかこういう議論をするのはよろしくないというか、余りそういう、攻撃的じゃないよね、これは攻撃じゃないんだよねとか、そういうことをずっと言っているんですね。
守るためにどういう改革が必要なのか、守るためにどういうことが必要なのかという議論だと私は思っていますので、そういった、平和を維持するために私たちはこれをやっているという観点も是非大臣に持っていただきたいなという思いと、そして、我が党としては、今、何度もお願いしているとおり、抜け目のないシステムにしてほしい。
そして、そもそも、うちの議論をしているときにも出ていたんですけれども、穴が空くシステムならば、ない方がいいんです。だって、ない方が、絶対、経済成長であったり、いろいろできます、経済安全保障というものに対して。でも、なかったら今困るんですよね、我が国を守ることがなかなかできなくなってきたんですよね、そういう国際情勢ですよねということをやはりたくさんの方に御理解していただいて、特に経済界の方、私、理解してくださると思うんですよね。自分たちが、特にこの基幹インフラ、指定されているものを見たら、これはなくなったら困るよねということは皆さん分かっているし、それを支えていらっしゃる方にも自負はあると思うんです。だから、絶対に分かっていただけると思うので、もう何度も言っているんですが、抜け目のないもの。
そして、サプライチェーンの調査が非常に難しいであろうということを何度も言わせていただいて、小林大臣はそれでも、いや、大丈夫ですとおっしゃっていたんですけれども、そこをすごく懸念をしているということも含めてお話をさせていただいて。
そして、最後に一個だけ。サプライチェーンの調査ということに対して、やはりちょっと厳しさを感じていらっしゃるのかな。今ちょっと運用が始まっていると思うんですけれども、重要物資の安定的な供給を確保する制度の中で、サプライチェーンの調査というものがもう多分法制度としてはでき上がっていると思うんですが、ちょっとその情報とかが分かれば。私は是非、罰則規定があった方がよかったですよねと言いたいなと思っていますので、最後に少しお話を伺えればと思います。
○高市国務大臣 昨年の十二月に、十一物資を指定いたしました。今、それぞれ担当の省で安定供給のためのプランを作っていただいて、既に動き始めております。
ただ、本当に十一物資でいいのかどうかという問題がございます。それで、昨年の九月に、各省庁にお願いして、サプライチェーン調査をして、供給途絶の蓋然性が高いとかそういったものを洗い出していただいたんですが、今年の二月にまた各省の局長級の方々に集まっていただいて、再度、サプライチェーン調査をしてほしい、例えば原材料を海外に頼っているとか、そういったことも含めてやってほしいという依頼をいたしましたので、これはエンドレスで続けてまいらなきゃいけない取組だと思っております。
○堀場委員 ありがとうございました。
経済安全保障、クリアランス、非常に重要だと思いますので、また引き続きやらせていただければと思います。
本日はありがとうございました。
○宮路委員長代理 次に、小寺裕雄君。
○小寺委員 お時間いただき、ありがとうございます。
それでは、早速質問させていただきます。
今日は、PFIをいろいろお聞きしたいと思います。
PFIというのは、PPP、いわゆる官民連携手法の一つであって、一九九〇年代前半、イギリスのサッチャー首相が始めたというふうに承知をしております。小さな政府への改革、つまり英国病からの脱却を目指し、国有企業と公共サービスの民営化の取組をされた、その後のメージャー政権でPFIの概念というものが確立されたと承知をしております。
公的関与の薄いものから言いますと、民営化、第三セクター、PFIのコンセッション方式、PFI、指定管理、業務委託というふうになるかと思うんですが、我が国では一九九〇年代後半になってそうした取組が始まりました。現在、様々な公共施設や住宅、あるいは斎場であったり、浄化槽など、全国の自治体で幅広くPFIの利活用が進んでおります。
私がPFIに関心を示すようになったのは、私の地元滋賀県では近江牛の輸出に取り組もうという計画がありまして、屠畜場が老朽化をしておりまして、再整備が必要になっております。この再整備に、いわゆる屠畜手数料を充てることによって、輸出コンソーシアムと一体となって整備することで、PFIがふさわしいのではないかと私自身が考えて、それを一生懸命研究しているというところがきっかけでありました。
そこで、改めてお尋ねをしますけれども、PFIの根本的な仕組みと、これまでの経緯であったり、その効果、事業実施状況はどうなっているか、お尋ねしたいと思います。
○英政府参考人 お答え申し上げます。
PFIは、公共の施設とサービスに民間の資金と創意工夫を最大限活用するものでございます。PFIを活用することにより、行政にとっては公共サービスに係る財政負担が軽減され財政健全化に資する、また、住民にとっては民間の創意工夫を生かした良好なサービスを受けられる、地域経済にとっては新たな民間の事業機会の創出につながる、こういった効果があるというふうに認識しております。
PFIは、平成十一年のPFI法の施行によって導入され、これまでに七回の法改正による制度の追加などがございました。
内閣府としても、実施手続等に関するガイドラインを整備し、普及を図ってきたところでございますが、事業規模目標を盛り込んだアクションプランを策定し、関係省庁と連携して推進してきたところでございます。
その成果として、PFI事業の件数といたしましては、令和三年度末までに計九百三十二件が具体化されております。総じて着実に増加してきているというふうに認識をしております。
○小寺委員 ありがとうございます。
こうして今御説明があったように始まったPFIですけれども、PFI法も度々改正をされています。
大きな改正だけを挙げても、平成二十三年に、利用料金を徴収する公共施設等において、施設所有権を公共の主体が有したまま、施設の運営権を民間業者に設定する方式、いわゆるコンセッション方式というふうに理解をしておりますけれども、この導入、これが割と大きな弾みになったかというふうに思います。また、二十五年には、公共施設など運営事業等への金融支援を行うPFIの推進機構が設立されております。さらには、令和四年には、推進機構の保有する株式や債券などの処分期限を令和十五年までに五年延長するなどの改正もありましたし、こうした度重なる法改正をされてまいりました。
その目的というのは、より活用しやすい制度に改めたり、また、PFIを進める上で阻害する要因を取り除くことにあるということは、言うまでもありません。
そして、同じく昨年には、PPP/PFI推進アクションプランが改定されておりますけれども、今回の改定のポイントはどういうところにあって、それを踏まえて今後どのように取り組んでいこうというふうにされているのか、お尋ねしたいと思います。
○英政府参考人 日本経済を取り巻く環境が厳しさを増す中で、公共施設の整備やサービスの提供において官と民の協働をこれまで以上に深めることが重要であり、PFIや、広義の官民連携を指すパブリック・プライベート・パートナーシップ、PPPですね、これを更に推進していく必要があるというふうに考えております。
こうした考えの下で、昨年六月にPPP/PFI推進アクションプランを十年ぶりに大改定をし、十年間で三十兆円という新たな事業規模目標を設定するとともに、当初の五年間を重点実行期間として取組を抜本的に強化してきたところでございます。
具体的には、スタジアム、アリーナや文化・社会教育施設など、新たな分野における活用の拡大を図るため、関係省庁と連携し、これらの施設におけるコンセッション等の活用について、地方自治体の首長に対するトップセールスを行っております。
また、PFI事業の実施件数が少ない小規模自治体における活用の拡大を図るため、行政、地域の金融機関、地元企業などの関係者が集まり、ノウハウの習得や案件形成に向けた対話や、事業者間の交流を図る地域プラットフォームというものがございますが、この形成、運営支援を行っております。
加えて、民間の創意工夫を更に生かすため、事業に関する積極的な提案を行った企業には事業者選定時の評価を上乗せすることができる仕組みを導入し、各省庁及び都道府県などに通知を行っております。
引き続き、関係省庁と連携し、アクションプランに基づく取組を着実に推進することにより、PPP、PFIの推進に取り組んでまいります。
○小寺委員 ありがとうございます。
このアクションプラン、いろいろ新しい取組をお話しいただきました。これは大変重要な視点というか、期待するところでありまして、今、令和三年度末で九百三十二の取組があったというふうに、冒頭で言っていただいたわけですよね。恐らくそれから増えているので、多分、千という数字が見えているんだというふうに思いますけれども、これは、もちろん内閣府は十分お分かりのことだと思いますけれども、実は大変偏りがありますよね。やっているところとやっていないところの差が非常に激しい。
一つは、大都市圏にという言い方はおかしいですけれども、案件のそもそもの数の問題があって、ローカルであったり、あるいは小さな自治体にとっては、取り組みたいけれども取り組むものがないというところもあるでしょうし、また、四十七都道府県で申し上げますと、資料には取組の少ない例として十以下という縛りで書いていますけれども、たしか、数字が間違っていたらごめんなさいですけれども、取り組んでいない都道府県が結構あったりして、県レベルでもPFIを全くやっていないところが、少なからずというか、割とありますよね。たしか、政令指定都市でも一つあったぐらい。
つまり、PFIに対する認識というのが、その規模になってくると、いわゆる職員のスキルとかそういう問題ではなくて、トップそのものの意識として、PFIは嫌やとか、何かPFIには賛成できぬという、こだわりみたいなものがあったりするのかなという気がするぐらいではありますけれども。
いずれにしても、この後、次の質問で言った方がいいのかも分かりませんけれども、要は、広がって成果が出てきている事例がたくさんあるにもかかわらず、十分、計画以上の速度でPFIの事例というのは広がってはきているものの、私自身はそのスピード感には満足しているとは言えない。もっともっと加速度的にやっていかないと、いわゆる今後の公共施設の老朽化であったり、集約化であったり、また人口減少というものに対応していくためには、私自身は、もっとPFIが各自治体で先進的に取り入れられるべきではないかというふうに考えているところなんですね。
ですから、いわゆるPFIの推進において、今、アクションプラン、こうして言うていただきましたけれども、引き続き課題となっているものにはどのようなものがあるのか、是非、具体的にお答えいただけたらと思います。
○英政府参考人 お答え申し上げます。
PFIの推進において引き続き課題となっているものとして、小規模な自治体を中心にPFIの案件数が少ないというのは、今御指摘いただいたとおりかと思っております。
その理由としては、PFI事業の実施には従来の方法と異なるノウハウが必要となるところ、地方自治体や地域の企業、金融機関においてそういったノウハウが不足しているということが考えられます。
PFIに必要なノウハウの具体例として、例えば、地方自治体にとっては長期の事業期間を見据えたリスク分担などの方法、それから、地域の企業にとってはそのリスク分担を踏まえた収支の判断基準、金融機関にとっては事業収益に着目したプロジェクトファイナンスの方法といったものが挙げられます。
こういったノウハウを普及させて、小規模な地方自治体にも取り組みやすい環境をつくっていくことが課題というふうに認識をしております。
○小寺委員 ありがとうございます。
資料を見ると、政令市であったり都道府県レベルでいうと、八〇%の自治体がPFIに取り組んでいただいている。それから、人口二十万人以上でも六割ぐらいが取り組んでいる。これがまた、人口二十万以下になってくると四割、さらに、十万人以下になってくると一〇%というような数字が示されているように、自治体規模において、これまでのやり方では非常に難しい面があるのかな。
一つは、物件数そのものの規模感によるもの。それから、今室長が言われた、金融機関、それからコンサル、設計、施工業者、運営会社みたいな一体を地元でつくっていくことの難しさですよね。特に金融機関でいえば、大概、メガバンクみたいなところが出てきて、そもそもそこがコンサルに入って、いわゆるゼネコンと組んで、結局地元の会社はどうなんやみたいな形でどんどん物件が進んでいくパターンになると、自治体が小さくなってくると、小さな自治体の、あるいは建築関係になってくると、それはやはり地元にとっては大変大きな一つの事業ですから、そこに参画をどうしてもしたいという中で、本当にPFIで地元で組んでやっていけるのかどうかという懸念がやはりあるんだろうというふうに思います。
とはいえ、やっているところはやっている。私がそれこそ議連で御紹介いただいた茨城県の境町は、大変小さな自治体であるにもかかわらず、子育て用に特化した形の市営住宅を、いわゆるアフタースクールであったりママカフェみたいなものを併設する形で、非常に稼働率というか入居率が高くて、住民満足度も高い。
あるいは、これからですと、高齢者向けの住宅と、いわゆるデイサービス機能であったり、そうしたものを複合的に一体的に整備する、いわゆる民間でやっているサ高住みたいなものを公的にPFIでやるようなことが地方で求められているわけであります。
やはり一つは、うまいこといっているところは、調べてみると、トップの考え方が全然違うということですから、首長さんに、今、いわゆるアクションプランでもありますけれども、相当PFIについてしっかりと御理解をいただいて推進をしていただくような取組を、役所側でどんどんプッシュ型でやっていかないと、とてもではないが、これ以上の取組が進んでいくというふうになかなか思えない点があるわけですね。
私の地元で申し上げますと、この間、国民スポーツ大会が近くありますので、県立アリーナを大型のPFIでやりました。これはJVでやったので、地元の一番大きな建設会社に参画していただいたんですけれども、参画いただいた企業からは、次もどうですかと言うと、よっしゃという声がなかなか上がってこない。
それから、これから実は滋賀県では、令和十年でしたかね、全国初の県立高等専門学校というのを整備する。これもPFIでやろうと言うているんですが、地元からは、地元企業だけで是非、いわゆるコンソーシアムをつくるので、知事に向かってもやらせてほしいという声が上がっているんですが、実際のところ、やはりメガバンクのいわゆるコンサルがもう既に入っていて。
例えば滋賀県ですと、滋賀県の地銀で果たしてそこまでのものが仕切ってやれるのかどうかという問題と、先ほどアクションプランの中にあったように、いかに小さなところに、金融機関なりにノウハウを与える、あるいは人材をしっかり支援、伴走型支援というんですか、ずっと進んでいく中で、やはり専門的知見を持った人がある程度寄り添ってやってあげないと。県レベルだったらまだしも、市、町レベル、滋賀県ですと人口十万人を超えているところまでですので、人口二十万人以上は大津市しかありませんから、そういう人口十万人とか一桁のところに本当にPFIを落とし込んでいこうと思うと、相当な支援が実は必要ではないかというふうに考えています。
これは、デジタルと同じなんです。デジタルの人材だって、そんなのいるわけがありませんから、そんなこと、勝手に言われたら、申し訳ないですけれども。
それぐらいやはり限られた人数でいろいろな所掌の事務をしながら新たなものに取り組むというのは、基礎自治体にとっては大変なことだということを御理解いただかないと、どんなに一生懸命いい計画を作っていただいたって、先ほど申し上げた、トップの意識があれば別ですけれども、ないところに落とし込んでいこうと思うと大変だということを是非御理解いただきたいです。
今申し上げましたように、地元企業の参入がなかなか妨げられているというふうに感じておられると思うんですけれども、そうした点について、内閣府ではどのようにお考えになりますか。
○英政府参考人 PFIにつきましては、今御指摘いただいたとおり、資金やノウハウを有する大企業が参入しやすいという一面があるのは確かでございますが、PFI事業をそれぞれの地域に合った形で展開するためには、地域の町づくりの中核を担う地元企業に参画していただくことが極めて重要だと考えております。
このような観点から、事業主体である地方自治体の判断により、事業者選定において構成員に市内企業を含むこと、あるいは、市内企業に一定金額以上の業務を発注すること、あるいは、地域経済への貢献を具体的に示していること、こういったことを義務づけたり、加点したりすることにより、地元企業が事業に参画しやすくしている例もあるというふうに承知をしております。
実際、令和三年度に受注者が決まったPFI事業は全五十一件ございますが、このうち九割近くの四十四件に地元企業が参画しておりまして、このうち二十一件では、地元企業が代表企業として受注をしております。
また、地元企業が中心となって地域に貢献しているPFI事業も多くございまして、例えば静岡県の函南町では、地元企業が中心となって道の駅を整備し、地元の人材や食材を活用しており、その集客力を見込んで、隣接地に大手食品メーカーのテーマパークが進出して、相乗効果で利用者や売上げが更に増加したというふうに承知をしております。
内閣府としても、こういった事例を広く紹介してまいりたいというふうに考えております。
○小寺委員 ありがとうございます。
今、そうやって地元企業が参画しているというふうな御説明をいただいたんですけれども、やはりこれは大手のゼネコンからいうと、JVを組んでも、自分が連れてくる部隊等がありますので、なかなか難しいというふうに思っています。
五問目を聞こうと思ったんですが、質疑時間が終了いたしましたので、突然ですが、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○宮路委員長代理 次に、中山展宏君。
○中山委員 今日は、質疑の時間をいただきまして、理事、委員の先生方に心から感謝をいたします。
自由民主党の中山展宏です。
今日は、情報戦、認知戦についてお伺いをしたいと思うのですが、SNS等を通じた個人の認知領域や社会への浸透、いわゆるインフルエンスオペレーション、影響力工作とか世論操作とか認知領域作戦とか、様々な言い方がありますが、安全保障上の潜在リスクとして懸念をされています。
今朝、先ほど松野官房長官が記者会見で、偽情報等に関する体制整備について、もう公表された。その中で、しっかり今日、質疑をさせていただきたいと思いますが、安全保障に関わる偽情報拡散を通じた情報戦、認知戦について、今日、伺ってまいりたいと思います。
まず、一般的な偽情報、いわゆるディスインフォメーションの定義というか、事例も含めて御教示をいただきたいと思います。
〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
○植村政府参考人 お答え申し上げます。
政府として偽情報やディスインフォメーションを統一的に定義したものはない状況と認識をしておりますけれども、一般的に、インターネット上の偽情報あるいはディスインフォメーションは、何らかの意図性を持った虚偽の情報を指すものと理解をされております。
偽情報を流通させる目的、あるいはその情報に含まれる誤りの程度によりまして、利用者に与える影響も異なるところでございます。
例えば、我が国におきましても、災害時に虚偽の言説、あるいは虚偽の画像、虚偽に生成された画像がSNSで広く拡散される事例なども見受けられているところでございます。
○中山委員 政府としてなかなか偽情報自体の定義は今までは難しかったんだと思います。今も、表現の自由、言論の自由に大変配慮されておられると思いますし、ましてや、言論統制であったりとか検閲ということは論外であることはもう大前提でありますし、その中で、情報を発信することへの萎縮を避けるということも大事でありますから、今回、偽情報に対しての新たな体制を整備されるにおいては、これは安全保障に関わることとして限定をされているんだと存じますし、是非、今後も、誤情報は、誤解の上でミスインフォメーションを行ったことに対しては、社会的にも、決していいことではありませんが、政府としては受容していくという方向には変わりないんだと拝察をしておりますので、よろしくお願いいたします。
その上で、いわゆる外国勢力が関与する偽情報の実態を防衛省さんに伺いたいと思います。
○田部井政府参考人 お答えいたします。
国際社会におきましては、紛争が生起していない段階から、偽情報あるいは戦略的な情報発信などにより他国の世論、意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定を防護することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれているものと認識しております。
偽情報に関しましては、例えば、ウクライナ侵略開始初期には、ゼレンスキー大統領が自国民に対し投降を呼びかけたと見せかける、いわゆるディープフェイクの動画が拡散いたしました。また、ロシア政府は、ウクライナがアメリカの支援を受けて生物兵器の開発を行っていると主張し、そうした主張が各種メディアを通じて拡散されました。こうした動きは、ウクライナ国内の混乱や、ウクライナや米国に対する国際社会の信用を低下させることを狙ったものと考えられます。
また、台湾に関しましては、昨年八月のペロシ米下院議長の台湾訪問に合わせて、インターネット上で、中国軍が台湾軍の戦闘機を撃墜したとか、台湾の空港がミサイル攻撃を受けたといった偽情報が拡散したことが確認されております。
また、蔡英文総統は、中国軍が今月十日まで台湾周辺で行った軍事演習について、不正確な情報が意図的に拡散された可能性を指摘し、政府一体となって、虚偽の情報に惑わされず、民主的な台湾を守ることが最優先である旨表明しているものと承知しております。
こうした状況を踏まえ、防衛省といたしましては、関係省庁と緊密に連携しながら、我が国防衛の観点から、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信等を肝とした、認知領域を含む情報戦への対応に着実に取り組んでまいります。
以上でございます。
○中山委員 まさに、我が国を取り巻くところではなかなかおっしゃっていただけない部分があるのかもしれませんが、国際社会の中では、私からもちょっと付言させていただくと、ロシアの政府の影響下にあるトロール組織、あおる、トロールをする組織と言われる例えばIRAは、二〇一六年のアメリカの大統領選に介入したとか、また、同じようにロシアの影響下にあるサイバーフロントZに関して申し上げると、具体的にインスタグラムやユーチューブ、ティックトックを利用して世論操作を行っていると英国政府は指摘をしています。
先ほど、蔡英文総統が、これは十一日だと思いますが、先般、台湾周辺海域で中国による軍事演習が行われたと同時にサイバー攻撃と、まさに偽情報の拡散が行われたということを指摘しております。
そういうことを受けて、本当に、政府としても、昨年の暮れ、国家安全保障戦略においても、防衛力整備計画においても、偽情報に対しての対処について記述をされました。
今、少し読み上げさせていただきますが、防衛力整備計画において、「認知領域を含む情報戦等への対処」ということで、
国際社会において、紛争が生起していない段階から、偽情報や戦略的な情報発信等を用いて他国の世論・意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定への影響を局限することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれている状況を踏まえ、我が国として情報戦に確実に対処できる体制・態勢を構築する。
このため、情報戦対処の中核を担う情報本部において、情報収集・分析・発信に関する体制を強化する。さらに、各国等の動向に関する情報を常時継続的に収集・分析することが可能となる人工知能(AI)を活用した公開情報の自動収集・分析機能の整備、各国等による情報発信の真偽を見極めるためのSNS上の情報等を自動収集する機能の整備、情勢見積りに関する将来予測機能の整備を行う。
と書かれています。
そこで、いよいよ、先ほど松野長官が、偽情報等に関する新たな体制整備について、その体制を公表されたと思いますが、この体制の状況と、何をやるか、御説明をいただきたいと存じます。
○中田政府参考人 お答えいたします。
偽情報の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響をもたらし得るものでございます。
御指摘のように、昨年十二月に策定されました国家安全保障戦略においても、外国による偽情報等に関する情報の集約、分析、対外発信の強化等のための新たな体制を政府内に整備する旨記載されたところでございます。
これを踏まえまして、先ほど官房長官から発表いたしましたが、今般、外国による偽情報等の拡散への対処能力を強化するための体制を内閣官房に整備することといたしました。
具体的には、外務省、防衛省等が外国からの偽情報等の収集を強化するとともに、内閣情報調査室の内閣情報集約センターにおいて様々な公開情報の収集、集約、分析を行うこととし、その一環として、内閣情報官の下で、外国からの偽情報等の収集、集約、分析を実施いたします。
また、偽情報等に対する対外発信等を内閣広報官の下で官邸国際広報室が、国家安全保障局、外務省、防衛省を含む関係省庁と連携して実施してまいります。
政府といたしましては、これらの取組を、内閣情報官と内閣広報官に加え、外政を担当する内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長を含めた体制において、一体的に推進してまいります。
○中山委員 おっしゃっていただいたように、平時、日常と有事の境目がなく、有事のときにディスインフォが飛び交うのは、もうそれはそうだと思いますから、それ以前に、私たちが、これはある脅威国が言っているように、戦わずして勝つというか、日常の中において、私たちの認知領域に、内心に、戦意を喪失というか、彼らの安全保障環境にとって有利な、そういった意図で私たちの内心に入り込もうとするというところを、やはりしっかり、これは平時がとても大事だということを是非肝に銘じていただいて、活動を行っていただきたいと思います。まして、軍事と民間の境がない、まさに民間の中でのSNS、プラットフォーマーでの偽情報の工作でありますから、そういった観点からもしっかりお願いをしたいと思います。
ちょっと更問いになりますが、情報収集分析にAIを使われるということになっております、想定をしておられると思います。まだこれからシステムとかをいろいろ考えていかないといけないと思うのですが、このAIの導入に関して、方向性というか、先ほど国家安全保障戦略、防衛力整備計画の中では触れておりますけれども、もし今の時点で、ごめんなさい、ちょっとこれは質問通告しておりませんけれども、AIをどのように活用していくかというところ、言及ができれば、おっしゃっていただければと思います。
○七澤政府参考人 お答え申し上げます。
新たな体制の下での具体的業務等の在り方につきましては、現在調整しているところでございますけれども、AIの利活用の在り方につきましても検討しつつ、今後、政府全体で偽情報等に効果的に対応することを目指してまいります。
○中山委員 まさに、これから偽情報の拡散の手法がAIということになっていくんだと思います。
先ほどのようなトローリング、荒らしとかあおりとかをする上においても、エモーショナル、感情に訴える言葉、巧みな言葉に関しても、AIがその人に合った言葉というものを考え出したりとか、もちろんディープフェイクに関してはそうですし、分断工作や陰謀論を通じて、ボットシステム、これはイスラエルのホルヘという偽情報を拡散する請負企業が取材というか答えておりますけれども、数万人のアバターをAIで自動的に作って、ディープフェイクを作成して、それで繰り返し際限なく偽情報を拡散するというシステムができ上がっているということですから、それに対処するためにも、まさに、人海戦術で偽情報を捕らまえるには限界がありますから、是非、人工知能、AIの活用を、予算の部分においてもしっかりと、これは政治として後押ししないといけないと思いますから、進めていただきたいと思います。
次に、ファクトチェック。事実、偽情報であるかどうかのファクトチェックが大変重要だと思いますが、このファクトチェックの方法について。
私は、先に申し上げると、背面調査も含めて、資金源がどうであるか、もちろん外国勢力、脅威国、懸念国である外国勢力に関与する人的要因、さらには資金源、こういったこともしっかり調べられるかどうかということが大事だと思いますが、このファクトチェックの方法についてお教えいただけないでしょうか。
○七澤政府参考人 お答え申し上げます。
新たな体制における偽情報への対応に当たりましては、ただいま委員から御指摘がございましたとおり、ファクトチェックを含む情報の分析が極めて重要であると認識しております。
その上で、いずれにせよ、様々な手段を用いて偽情報等の収集、集約、分析に当たってまいりますけれども、それに当たりましてどのような手段、方法を取っていくかにつきましては、引き続き、今後検討してまいりますし、効果的に対応してまいりたいと考えております。
○中山委員 あえて今私が申し上げさせていただきますけれども、ファクトチェックをする、背面調査も非常に必要だと思います。その上で、例えば偽情報を発信する者が特定できた場合に、実効性を持たせるためには、例えばSNS上でそのアカウントを停止することを、これは安全保障上、私たちの安全保障環境を毀損する、そういった流布、拡散をしている者のアカウントは私は停止してもいいと思うのですが、偽情報を発信する、発出する者への対応というのは、今後、検討はされますでしょうか。
○七澤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘のございましたような点につきましては、どのような対応を取るかにつきまして今後検討していくところでございますので、具体的にはまだこの場面で申し上げられませんけれども、いずれにしましても、様々な手段を用いて外国等からの偽情報等に効果的に対応していく考えでございます。
○中山委員 今、米国で大きな議論になっているのは、安全保障上の懸念国に強く影響されるSNS企業が、懸念国による偽情報拡散のプラットフォームになるんじゃないかということで、予防的措置でそのSNS企業をどのように扱っていくかということが、米国下院ではこれはもう通っている話になっていますが、そういったことも含めて、是非、海外の動向も注視をしていただきながら、一度拡散してしまえばなかなか、方法としては、正しい情報を当局として繰り返し伝えていくということが応戦の方法だとは伺っていますけれども。
今、いわゆるアテンションエコノミーと言われる、注目されることに重きを置く経済というか、SNS上はそういった意味合いもあるんだと思います。ですから、辛辣な偽情報の方が早くに多く拡散されて私たちの意識に浸透されることがないように、しっかりこれは皆様にも検討していただきたいと思います。
最後に、今度、十六日、日曜日から開かれるG7の外務大臣会合、軽井沢で開かれる会合において、ロシアに対する、偽情報に対しての非難に対する決議表明をされるということ、準備をされているということを拝察しております。是非、我が国から、外国勢力による安全保障を毀損するような偽情報は決して許すことはできないということをしっかり発信をしていただくと同時に、新たにできた新体制、偽情報対策の新体制において、しっかり人材の確保と、また、政治として、足らない部分において、しっかり予算も含めて応援をさせていただくことをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○大西委員長 次に、山岸一生君。
○山岸委員 東京都練馬区から参りました、立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いをいたします。
今日は、公務員の再就職、いわゆる天下りの問題からお尋ねをしてまいります。
我が党は、昨日、衆議院に対して予備的調査の要請を提出をいたしました。幹部、事務次官級の経験者について、過去十年分に遡って、天下り、再就職を調べていただきたい、いわゆるわたりを繰り返したり、あるいは同じポストに継続的に同じ省庁のOBが占めている、こういったことはないんだろうかということをしっかり調べてほしい。これはこれから院で決めていただく話ですから、今日は答弁を求めませんけれども、政府にはまず誠意ある対応をお願いをして、質問に入っていきたいと思います。
今回、国土交通省の次官経験者による空港設備会社への人事介入、これはもちろん論外なんでございますけれども、私は、ここで、より大きな、構造的な背景ということを考えていきたいと思っています。それは、指定席という考え方なんでございます。同じ役所の同じような経歴を務めたOBが同じ企業、団体の同じポストに継続的に就いていく、こういう事実上の指定席、天下り枠が用意されているケースというものが相当数あるのではないか、その一端が今回現れたのではないかと考えています。今回の人事介入問題の背景にもこういう前提があって、だから、自分たちの島だというふうな誤った認識の下に介入が行われていたのではないか。今日は、この指定席問題に関してお伺いしていきます。
例として、今日は会計検査院を取り上げさせてもらいます。個人的な恨みがあるわけじゃ全くなくて、むしろ日頃の仕事には大変敬意を持っておるんですけれども、一般的に、会計検査院というのは、一番利権とはほど遠い行政機関と見られていると思いますし、お金にもきれいな機関だと思われていると思います。その検査院であっても、やはり天下りとは、あるいは指定席の問題とは無縁ではない、いわんやほかの省庁をやということで、あくまで例ということで今日はお聞きしていきたいというふうに思うわけでございます。
お手元、資料一をお配りしておりますけれども、会計検査院から東京メトロに対して、同一ポストに対して継続的に再就職をするという事例がございました。この資料は、前回の予備的調査、平成三十一年でございますけれども、このときの公表資料に記されている内容でございます。
ちょっと表が見づらいかもしれませんが、左端から七番目が就職日付でございまして、平成二十二年九月と平成二十七年九月に会計検査院OBが調査役で就職をしている。
ネットで御覧の国民の皆様には、私、ツイッターに資料を上げていますので、御覧になりながら議論に参加してほしいなというふうに思います。
検査院にまずお聞きしたいんですけれども、これは、平成三十一年ですから、しばらく前の調査でございますので、これ以降、今日までに、東京メトロへの再就職事例というのがあれば教えてもらえますか。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
お尋ねの予備的調査は、平成二十二年一月一日から三十年十二月三十一日までの再就職について調べたものと承知しております。
国家公務員法第百六条の二十四の規定に基づく届出により、平成三十一年一月一日以降の再就職について確認しましたところ、元職員一名から、令和二年九月一日に東京地下鉄株式会社に再就職した旨の届出がありました。
○山岸委員 確認ですけれども、再就職先のポストは調査役でよろしいですか。
○篠原会計検査院当局者 はい、調査役でございます。
○山岸委員 そうなんです。わたりが、わたりといいましょうか、この指定席、三代にわたって少なくとも継続をしている。平成二十二年つまり二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年、五年置きに検査院から東京メトロに、同じポストに再就職をしている。
これはまさかと思いますが、確認ですけれども、調整は誰がやっているのかなと考えてしまうんですが、現役あるいはOBによる調整、あっせん、仲介、そういったことはありませんよね。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
お尋ねの事項につきましては、国家公務員法第百六条の二十四の規定に基づく当該元職員からの届出を踏まえまして、現職の職員があっせんしていないことを確認しております。
また、OBによるあっせんにつきましては、国家公務員法の規定に基づく再就職に係る規制の対象ではないため、会計検査院として確認する立場になく、またその権限も有していないものと考えております。
○山岸委員 OBによる紹介、あっせんは対象じゃないから調べようがない、否定されない。これだけ規則的に同じポストに就職をしているということであれば、やはりそれは疑いを招くと言わざるを得ない。
何で今日このケースを取り上げているかといいますと、東京メトロは会計検査院の検査対象でございます。国が出資をしている企業でございます。こうしたケースがほかにもかなりあるのではないかなと伺っております。
検査院、お伺いしたいんですけれども、予備的調査、もう四年前の話でございますので、これ以降、検査院から検査対象の企業や団体に再就職をした、天下りをした方というのはどれぐらいいらっしゃるのか、教えてください。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
会計検査院法第二十二条に基づき会計検査院が検査する必要のある団体に再就職している者は、国家公務員法第百六条の二十四の規定に基づく届出により確認できた範囲では、四人おります。
○山岸委員 前回の調査は四年前でございますので、毎年一人、定期的にといいましょうか、一定のペースで検査先の企業に就職をしている。
調査から大分時間がたっておりますので、一言指摘しておきたいんですけれども、やはり天下りというのは、大抵、事件が起きると一旦止まったり減ったりするんですけれども、そのうちまたじわっと元に戻っていくということを繰り返してまいりました。検査院からの天下りも恒常的にまた行われているという状況の中で、やはり復活をしてきている、あるいは緩んでいるということも懸念をされますので、継続的な調査と公表ということがやはり必要だということをまず指摘をしておきたいと思います。
問題は、これらの指定席への天下りが検査院の業務に万が一にも影響を与えていないかということなんですけれども、というのが、かつては、OBの社員が検査に立ち会うというふうなことがあったというふうに伺っています。これは平成十八年に国会で答弁されていますので、事実だと思いますけれども。
そこで、検査院にお伺いしたいんですけれども、遡れる範囲で構いませんけれども、この間、東京メトロに対する検査を行った際に検査院のOB社員が陪席をした事例、あるいは検査に際して検査院OB社員と現役とが連絡を取り合った事例というものはあるのかないのか、聞き取りの上御回答をお願いしますと通告していますので、御回答をお願いいたします。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
会計検査院では、現在、退職予定者に対して、検査対象団体に再就職した場合には会計実地検査の立会い等を行わないことについて周知しているところであります。
東京地下鉄株式会社の検査を担当する課に確認しましたところ、検査の際に当該元職員が陪席した事例や、検査に際して連絡を取った事例はございませんでした。
○山岸委員 ないということで、そこは明確にしていただきました。是非徹底いただきたいと思います。
なぜ今日は東京メトロを取り上げているかと申しますと、これも、東京メトロに何の含むところもございません、私も毎日利用しているヘビーユーザーでございますので。ただ、東京メトロというのはどういう会社かといいますと、今回の人事介入で問題になった国交省の本田元事務次官が現在会長をお務めの会社でございます。一連の報道でも明らかなように、この本田会長というのは、OBと役所のつながりということに大変強い関心をお持ちの方だ、実際に行動にも移されているということで、ちょっと懸念がありますので、確認させていただきたいと思います。
私がもし本田会長だとすれば、自分の部下に検査院のOBがいるとなると、やはりその人を通じて検査が少しでも有利になればいいなとか、そういうふうに思っても不思議じゃないと思いますので、これは検査院にお伺いしておりますけれども、東京メトロの本田会長が検査院OB社員の業務に関与したこと、あるいは助言したりしたことというのがあるのかないのか、聞き取りの上御回答願いたいとお願いしております。お答えください。
○篠原会計検査院当局者 お答えいたします。
再就職後の当該元職員の業務内容につきましては、国家公務員法第百六条の二十四の規定に基づく届出がされている事項以上のことは承知しておりません。
東京地下鉄株式会社会長による当該元職員への関与や助言につきましては、同社の業務に関することであり、その有無等も含めて、会計検査院として承知してございません。
○山岸委員 分からない、調べようがない、ゼロ回答ということなんでございます。
こういうふうに一定のペースで就職をしている純然たる指定席でありながら、その先のことはもう分からないと、非常に不透明な状況になっている。私は、この指定席ということについて、もう一度政府全体でしっかり捉えていただく必要があると思います。
今日は会計検査院と東京メトロを取り上げて、当事者からすれば、何でうちだけと思われるかも分かりません。これはあくまで一つの例として御紹介、取り上げたわけでございます。本来、様々な政府機関に対するお目付役である会計検査院も決して例外ではないとなれば、ほかの省庁というのは許認可の権限も予算も会計検査院とは比じゃないわけでございますから、やはりそういった様々な省庁においてビルトインされている指定席への天下りという考え方、これが癒着の温床にもなっているし、OBにとっては、自分の口利きによっていわば権力を維持する、そういうツールにもなっている、そういった現状が今回明らかになったわけでございますので。
官房長官、ここまで議論をお聞きいただいていますのでお伺いしたいんですけれども、官房長官はこの間一貫して天下り調査に否定的な対応を取られております。それは納得はしませんけれども、その理屈でいっても、全体を調べるのは大変だということだとしても、せめてこのいわゆる指定席、政府関連企業、団体の特定のポストに特定の行政機関のOBが継続的に就職をしていく、こういう指定席の在り方については、実態を政府の責任で網羅的に調査をすべきではないかと考えますけれども、長官、いかがでしょうか。
○松野国務大臣 山岸先生にお答えをさせていただきます。
特殊法人等整理合理化計画や公務員制度改革大綱等に基づき、独立行政法人、特殊法人については、役員に就いている退職公務員等の状況について当該独立行政法人等が公表するとともに、これらを内閣で取りまとめ、公表するなどの取組を行い、透明性の確保を図っているところであります。これに加え、国家公務員法に基づき、再就職情報を届け出させ、これを公表しています。
これらの取組を通じまして再就職の透明性の確保が図られていると考えており、今後とも、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下、再就職等規制の遵守の徹底を図ることにより対応してまいりたいと考えております。
○山岸委員 やっていますという答弁ですけれども、再就職は辞めてから二年間しか追っかけられていませんから、やはりこうした指定席というものが、いわば、今、僕らが把握できない隠れ指定席ということも恐らく実際にはたくさんあるんだろうと思います。こうしたことから目を背けることなく、まず、この機会にうみを出し切る、徹底調査を求めておきたいと思います。
官房長官、ここまでで結構でございます。ありがとうございます。
続きまして、マイナンバーカードの議論をさせていただきたいと思います。
昨年の十一月の当委員会で私が質疑をしました政府文書の関連でございます。お手元、資料二でお配りをしております。
ちょっとおさらいさせていただきますけれども、タイトルが「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」という文書で、平成二十七年、二〇一五年十一月六日付で、五省庁の連名で出ているものでございます。何を言っているかといいますと、当時、政府は、マイナンバーカードと国家公務員身分証を一体化しよう、がっちゃんこしようということを進めておりまして、それに対して、一部の省庁が、いや、ちょっとうちは勘弁してくれということを言っていたという文書でございました。
昨年の当委員会でこの文書を指摘をしまして、政府のマイナンバーカードを国民に何でもかんでも勧めるという仕組みはおかしいんじゃないか、足下でやっていないじゃないかということで御指摘申し上げましたらば、いや、これから使うようにしますので、一体化するようにしますので、こういうふうな御答弁ぶりでございました。
そのフォローアップをお願いしたいと思うんですけれども、五省庁全てお招きをすると時間がなくなっちゃいますので、当委員会と関連の深い二省庁に今日はお越しいただいております。内閣官房と警察庁、それぞれ参考人で構いませんからお伺いしたいのでございますが、その後、国家公務員身分証とマイナカードの一体化の進捗状況を教えてください。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
身分証とマイナンバーカードの一体化を行ってこなかった内閣官房の一部の部局につきましては、これを全て一体化することとし、順次切替え中でございます。内閣官房では、本年五月末までに一体化への移行が完了する予定でございます。
以上でございます。
○楠(芳)政府参考人 お答えいたします。
警察庁におきましては、本年三月十三日より身分証とマイナンバーカードの一体化を実施しております。具体的には、まず、霞が関の本庁の職員など従来からICカード型身分証を発行していた職員を対象として、本年三月十三日より身分証とマイナンバーカードの一体化を実施しております。また、現時点では一体化が未実施の附属機関や一部の管区警察局などにおきましても、順次一体化を進めていく方針でございます。
○山岸委員 二つの省庁は、もう一体化する、始めているということなんです。
では、何が変わったのかなということをお聞きしたいんですね。つまり、平成二十七年時点では、非常にこれは問題があるのでうちはできませんと言っていたものを、今回やるというふうに変えるというからには、当然、何かが解消されたから、不安が解消されたから、制度が改善されたから、システムがよくなったから使えるようになるという判断でなければ理屈が通らないわけでございますけれども、谷公安委員長、お越しいただいております。何が改善された、何が変わったから今回この一体化ができるという判断になったのか、その根拠を教えてください。
○谷国務大臣 お答えいたします。
マイナンバーカード導入前の二〇一五年、平成二十七年当時の判断としては、委員御指摘の文書にあるとおり、身分証とマイナンバーカードを一体化し、これが窃取などされた場合には、警察の対抗勢力に職員の所属省庁、住所、氏名等を一括して把握されるとの懸念があったことから、一部の関係省庁とともに一体化を見送ることとしたものと承知しております。
しかし、マイナンバーカードの導入後、身分証との一体化を実施したほかの多くの省庁において、職員の所属省庁、住所、氏名等が一括して把握されたことにより業務に支障が生じたという事案は把握されていないものと承知しているところであります。他省庁における一体化の運用実態も踏まえ、身分証をなくしたときの、防止の指導や、あるいは情報を一括して把握されないための取組を進めることにより、様々な懸念を払拭できると考えているところであります。
委員御指摘の平成二十七年の文書は、警察など、そういう治安あるいは安全保障関係の省庁が、新たな取組ですから、どうしても慎重に考えるということの結果、やや一体化が遅れたということを御理解願えればと思います。
○山岸委員 どうしても慎重に考える、私はそれは必要なことだと思います。慎重に考えていただかなければいけない省庁だったわけで、今の谷大臣の御説明だと、他省庁で実害がなかったからということをおっしゃっているんだけれども、まさに、意見表明をした、申入れをしたこの五省庁というのは、他省庁と次元の違う情報管理が求められるから、うちは違いますよ、うちは使いませんよということを言っていたわけであって、今の谷大臣の御説明だと、ほかと横並びになりましたというだけの御説明にしかなっていなくて。
具体的にお伺いしたい。
問題点(1)、(2)と書いてあるわけですよね。職員の人定把握の容易性が(1)、(2)が個人情報・秘密情報の流出という、二つの具体的なリスクを示しているわけなので、大臣は、今の御説明ですと、単に若干慎重だっただけですということなんだけれども、この具体的な(1)、(2)の課題に即して、これがこう変わりましたと、私は、見たところ何も変わっていないんじゃないかと思いますけれども、大臣、ここは解消されたんですよということ、どこのことを指しておられるのか、具体的に教えてもらえませんでしょうか。
○楠(芳)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、平成二十七年当時の文書には二つの点があります。
一つ目の点につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁申し上げましたとおり、一体化して、これが窃取等された場合には、職員の所属省庁、住所、氏名などが一括して把握される懸念があったということでございます。これは、十一月の際にも大臣から御答弁申し上げましたとおり、それについてはいろいろ工夫をして対応していきたいということで申し上げたところでございますが、一体化の実施後は、省庁名が記載されたカバーをマイナンバーカードにかぶせてカードホルダーに入れることによって身分証明として使用することとなります。情報を一括して把握されないための取組として、例えばでございますが、身分証として利用しないときにはカバー部分とマイナンバーカードを別々に保管するなど、そういった措置が考えられるところでございまして、そういった措置を取って、身分証の亡失等の防止の指導という中で、職員にそういうことを周知を図っていきたいというふうに思っております。
それから、もう一つの点、文書の中で書いてございましたのが、一体化して、窃取された場合には、不正アクセスが行われた場合などに個人情報を把握されるんじゃないかということで、これは導入前の当時の判断としてということでありましたけれども、その後、マイナンバーカードにつきましては、機微な個人情報は記録しないでありますとか、それから高いセキュリティー対策が講じられたということでございます。
そういったことも踏まえつつ、さらに、一体化の運用の状況でございますとか、それからマイナンバーカードを利活用しようという政府全体の方針ということも踏まえまして、警察庁におきましても一体化を実施するということにしたものでございます。
○山岸委員 今、目隠しカバーの話がございました。極めてアナログな工夫なんですけれども、マイナンバーカードを首から下げて、あえてその上に、写真と名前だけでしたっけ、あと省庁名か、だけが出るカバーをかぶせて、非常に二度手間をかけてカードをぶら下げる。なぜそこまでする必然性があるのか。非常に、マイナンバーカードを広めるんだという政府の方針の中で、現場が不利益を被るということがあってはならないという問題意識で私はこれを聞かせてもらっているわけなんです。
その関係でもう一個お伺いしたいんですけれども、この五省庁、内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省、いわゆるインテリジェンスに関わる、あるいは安全保障、犯罪捜査、非常に機微な情報を扱う部署ということで特別、特例だったわけですけれども、その重要性は当然これからも変わりがないわけでして、とすれば、今後も部署によっては、あるいは担当によっては一体化を免除されるという職員もあっておかしくはないと思うんですけれども、そういう運用は想定されているのか。今後も免除される方がいるのであれば、その対象の所属も併せて明らかにしていただきたい。これは官房と警察庁、両方お願いいたします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房における今回の措置は、これまで身分証とマイナンバーカードの一体化を行ってこなかった全ての部局の職員を対象とするものでございます。
以上でございます。
○楠(芳)政府参考人 お答えいたします。
警察庁の職員につきましては、先ほど申し上げました、情報を一括して把握されないための取組を進めつつ、所属を問わず一体化の対象とすることといたしております。
○山岸委員 どちらも全ての職員の方にこれを求めるということなんですけれども、本当にそれで大丈夫なんだろうか。
これまでさんざん、情報保全の必要性ということはこの委員会でも様々な分野で議論があって、セキュリティークリアランスの議論なんかもありましたけれども、一律に全ての職員にこのマイナ身分証を持たせるということ、これは職務によっては非常に危険を伴うこともあり得るんじゃないか。その方の名前と住所が分かってしまう、本名と住所が分かってしまう、そのことが、その方個人だけでなく、社会全体に危険を及ぼす、不利益を及ぼすということも想定されると思いますけれども、これはさすがに全員というのは見直すべきではないか。多少なりとも例外、これは、谷大臣、通告していませんけれども、今答弁をお聞きになって、少しは柔軟な運用ということを考えるべきじゃないかと思いますけれども、御所見があればお伺いいたします。
○谷国務大臣 お答えさせていただきます。
何か立場が逆になったようでございますけれども、基本的に、今、内閣官房あるいは警察庁の官房長の方からお答えさせていただいたとおり、全て行うというのが原則であります。
ただ、警察について言いますと、そもそも、警察庁本庁はありますけれども、中には、附属機関とか、あるいは管区警察局で都道府県警の本部にあるところは、そもそもセキュリティーゲートがないとか、あるいは県警独自のゲートがあるとかいうことで、若干一体化の時期がずれることもあり得るということは御承知おき願いたいと思います。
検討した結果、例外なしといいますか、全ての職員という考え方でございますけれども、仮に委員御指摘のように支障があるということが判明すれば、またその時点で検討はさせていただきたいと思います。
○山岸委員 基本的に全ての公務員に持たせるということで、これは政府の方針なわけですけれども、その結果としてやはり現場の公務員を危険にさらすことがあってはいけないということで、私は一貫してこの問題をお伺いしておりますし、そうした懸念を抱かせるようなシステムを国民にも押しつけるべきではないということは改めて御指摘をさせていただきまして、これはまた引き続きお伺いをしてまいります。
今日は、残った時間で、大阪のIR、カジノの問題を質問をさせていただきたいと思います。
これは今朝ほどでございますね、岸田総理が大阪のIR、カジノを認可するという意思を表明された。なぜ今日なのかなということなんでございますが、統一地方選挙の前半戦が終わった直後のタイミングであって、極めて政治的だと言わざるを得ません。
当時、当委員会、僕はまだ議席を預かっていなかったですけれども、この委員会でも審議をしてきたわけですけれども、以前から政府は、カジノに際しては、これは菅総理だと思いますけれども、透明性、公平性を確保し、国民の理解をいただきながら整備に当たると、とにかく透明性ということをずっと言ってまいりました。
IR汚職などの事件もありましたので、より一層透明性が求められてくるという中でありながら、突然、この統一選が終わった直後のタイミングで認可をしますと、政治的な意図を感じざるを得ないわけなんですけれども、今日はお越しいただいていますのは西田政務官でございますね、なぜ今日なのか、端的に。これは統一選の前半戦が終わるまで見極めたということなんでしょうか、政治判断ということなんでしょうか、教えてください。
○西田大臣政務官 お答えいたします。
大阪のIR区域整備計画については、本日、IR推進本部の意見調整を経て、先ほど認定がなされました。
審査委員会においては、論点と考える点について、申請者側から所要の説明を聴取した上で、多岐にわたる観点から十分な審査を重ねた結果を踏まえて、今般、認定し得る計画との審査結果が取りまとめられております。
また、こうした論点と考える点については、計画の実施状況評価として、しっかりと状況を確認することとしております。
また、御指摘のように、統一地方選挙の結果を受けて認定を判断したという事実はございません。
○山岸委員 そういう事実はないということなんだけれども、私は、ファクトからそういったことが強く疑われるということを今日指摘したいと思います。
今回の審査に際しては、特定複合観光施設区域整備計画委員会、有識者委員会、七名のメンバーですけれども、ここが審査をしてきたということなんですが、この運営に非常に疑問がございます。
資料の三、お配りをしておりますけれども、今、我々は、これは議論の内容を公表されていませんから、何が行われたかということを知るすべがないんですが、出席状況を出してもらいました。これは非常に私は見ていて疑問があるのでございます。資料の三に、これは左上から右下にかけてずらっと並んでいるわけなんですけれども、下線を引いておりますのが欠席者のおられる審査会、会合でございます。初めの頃はずっと皆さん皆勤賞だったんですけれども、昨年の秋から、十一月から、非常に欠席の方が多いようにお見受けをいたします。
これは、政務官、理由をお聞きしたいんですけれども、委員の欠席が常態化しているのはなぜか、教えてもらえますか。
○西田大臣政務官 お答えいたします。
特定の委員の欠席が常態化しているということはなく、また、いずれの回も定足数を満たしており、欠席が常態化しているという御指摘は当たりません。
各委員は、それぞれのお立場上、多忙な中、御都合をつけ、開催しているところであり、それにより、多岐にわたる観点から実質的な審査を行っていただいておりました。
○山岸委員 私、いろいろな審議会を見てきましたけれども、大抵全員出席ですよ。私、委員個人を全く責めるつもりはありませんよ。当然、皆さん責任感を持って参加してもらっていると思います。しかも、当然、都合を聞いて次の日程を決めるわけですから基本的には全員出席が、昨年の秋からずっと、どなたか一人はほとんど休んでいらっしゃるし、二十二回、令和五年一月二十七日に至っては、お二人も休んで、五人しか出席していないという、非常に緊張感のない、あるいは、これは実質的な議論が本当に行われていたんだろうかということを考えざるを得ないような出席状況になってしまっているわけでございます。これは、本当に形ばかりじゃないのかしら。しかも、タイミングが去年の秋からですよね、十一月から。
なので、これは私の見方です、ほとんど実質的な議論は昨年の秋までに終わっていたのに、何らかの理由、配慮によって、今に至るまで結論を、あるいは公表を先延ばしをしていたのではないかと見られても仕方がないと思いますけれども、それ以外の説明があるならば、政務官、教えてください。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
大阪のIR区域整備計画の認定審査については、外部有識者から成る審査委員会において、多岐にわたる審査項目について必要な審査を重ねてきた結果として、今般、認定し得る計画との審査結果が得られるに至ったところでございます。具体的に、三月に三回、四月に一回開催し、審査を重ねております。
ですので、御指摘のような、結論が出ていたのに公表を先延ばしにしたという事実はございません。
○山岸委員 これだけファクトを指摘しても、事実はないと、木で鼻をくくったような回答になってしまうのが私は非常に残念でありまして、これは、今回結論が出たということなので、早晩、この計画委員会の議事録というものは速やかに公表するという決まりになっておりますので、速やかな公表をお願いをしたいというふうに思います。
もう時間でございますから質問はいたしませんけれども、ここまで、事実に即して見てまいりましたけれども、やはりこれは、統一地方選挙の前に公表されるということになれば非常に世論に与える影響も大きい、IR反対の声が大きくなるのは困る、そういうふうな政治配慮で、ここに至るまで、あえて人為的に結論を出すのを遅らせていたのではないかという疑いは拭えないと思います。
透明性ということを口では言いながら、結局、この肝腎の最後の出口のところが極めて不透明な政治的な決め方になっております。これは信頼を損なうものだということを申し上げて、IRに関しては強く再考を求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○大西委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
まず、今朝、十四日の朝、岸田総理が大阪のIRの認定を決めたとの報道、そして九時半頃に、公明党の斉藤鉄夫国交大臣が正式に認定をしたと。この大阪のカジノ計画は認定してはいけない問題についてです。
パネルの一です。
大阪のカジノ、IRをめぐる報道、先ほどの山岸委員の問題意識と似ているんですけれども、このような報道がありました。
三月二十九日、選挙前ですね、IR認定判断、統一地方選後に先送りの報道。それから四月九日、統一地方選で大阪ダブル選を維新が制して、吉村知事がその日に、IR誘致の民意を得たと発言。四月十二日には、大阪IR計画を政府が認定へとの報道。そして翌日、岸田総理が万博起工式に出席。そして十四日、IR計画を認定へ?と。この資料を作ったときは、その時点、はてなだったんですけれども、本日、このはてなが取れたということです。
国交省に伺います。
この報道された、三月二十九日、政府が認定判断先送り、それから四月十二日に、政府が認定へというのは、実際にそうだったんですか。
○西田大臣政務官 お答えいたします。
そのような事実はございません。
○大石委員 そのような事実がないのであれば、これは政治的に判断があったかのような報道になるので、訂正を求めないんでしょうか。
○西田大臣政務官 求めません。
○大石委員 事実誤認だということでよろしいですか、この報道は。誤報道だということでよろしいでしょうか。
○西田大臣政務官 お答えいたします。
報道について言及する立場ではございません。
○大石委員 本来は、IR計画を国交省の中の審査委員会が基準に基づき評価し、外部には漏らしてはならないとされています。しかし、この状況、あからさまに大阪の選挙結果で認定を決める流れを政治がつくっている。
改めて伺います。
大阪のダブル選の選挙結果が国の審査に影響したということでよろしいですか。イエスかノーかでお答えください。その際、立憲の山岸委員への質問の回答が長かったので、結論だけ、先ほどのように端的にお願いします。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
御指摘のような、統一選挙の結果を受けて認定を判断したという事実はございません。
○大石委員 四月十三日の時事通信によると、政府関係者は様々な政治情勢を踏まえて決めたと説明、国会運営や次期衆院選などをにらみ、維新との決定的な対立は避けたい本音をにじませたと。これだけ政治的な報道がなされまくっていて、ごまかしても説得力はありません。
続いて伺います。
認定のプロセスなんですけれども、これは、国の審査委員会が評価結果を国土交通大臣に報告して、国土交通大臣が認定します。
伺いますが、大阪のIR計画の審査委員会の評価結果は、いつ大臣に報告されたんでしょうか。何月何日でしょうか。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
四月十一日に、大臣が審査委員会から報告を受けたと承知をしております。
○大石委員 四月十三日の時事通信によると、四月七日に開かれた審査委員会で報告書案を大筋で了承とあります。それから、大臣が、今朝方、今週になってと、十一日と今おっしゃいました。なので、審査委員会が選挙をまたいで大臣に報告したということになります。
もう一度申し上げますが、本来、審査委員会は、自治体から出された計画書を粛々と基準に基づき評価し、大臣に報告すべきところです。プロセスにおかしなところがなかったか、検証が要ります。
というのも、これまでの報道でも、今朝の報道では、自民党の茂木幹事長が一月中旬に吉村知事と焼き鳥屋で集まり、認定決定は二月中との見通しを伝えたとあります。
それから、そういった政治的関与がうかがえるということ、このパネルでもそうなんですね、国交省と維新が接触している報道があると。昨年から、大阪市と、松井市長と審査委員会が協議だったり、維新の馬場代表が認定を示唆するなどの報道がなされています。
このような認定のプロセスに政治的介入、それから、大阪府市からの接触やその逆があった可能性が報道からは示唆されます。国の審査プロセスを直ちに開示し、徹底検証がなされなければいけません。
そして、あたかも大阪のダブル選でIRへの民意を得たとすることも、事実に基づかず大問題です。吉村知事は、選挙結果を受けて、カジノ誘致について民意を得たと発言しているが、印象操作です。二年前の都構想でも、民意を得たと。選挙で勝って住民投票をやって、住民投票は否決されていますので、その否決された当事者の知事なのだから、印象操作を慎むべき。
そもそも吉村知事は、選挙公報でも、カジノ、IR誘致は争点にしていません。
パネルの五です。
選挙公報でも、どこにIR、書いてあるんやと。ここだけかと。ここに小さく記載しているだけなんですね。にもかかわらず、当選翌日の記者会見では、吉村知事、カジノを含む統合型リゾート、IRについては、選挙で最も主たる争点となりました、これで最も主たる争点となった、一定の民意が示されたと思っていますと語っています。このような民意の演出をしてはならない。
パネルの四です。
大阪府知事選挙は、投票率四六・九%と低い。調査によって異なりますが、出口調査ではIRの賛否は拮抗しており、これはNHKの出口調査ですけれども、IRの賛否、賛成三五、反対三八で、カジノ反対の人が上回っている。そして、カジノ反対の人の半数が吉村知事に入れているんですね。これはつまり、多くの有権者の投票行動は、カジノ誘致の賛否とは別の観点で行われています。それは都構想の結果を見ても明らか。この選挙結果は、カジノ誘致の民意ではありません。
そして何より、カジノ計画の認定審査で、この致命的な問題点、何一つ解消していないんですよ。
パネルの六です。
これは、三月二十九日に私が内閣委員会でパネルを出したものに、えんじ色の更新をしました。このパネルで致命的な問題を四点にまとめましたと質疑をしたんですけれども、その四点とも今なお何も変わっていない。
変わったところがえんじ色の部分で、2の土壌対策の方向性について、十二月に大阪府が行った専門家会議の結果概要が、三月二十九日の質疑の時点でも全くホームページにも公開されていなかった、翌日の三月三十日にやっとホームページ公開されたんですが、土壌対策、引き続き検討を深めると。これは、内容を見ると、液状化層が点在して地盤の連続性の想定が難しいという、非常に難しい問題になっているので引き続き検討を深めるのだと。なぜこれで見通しが立ったと言えるのか、認定に値するのか。
地盤沈下の対策費用は、大阪市とカジノ業者の負担の方法がまだ公開されていない中なんですね。だから、公金がどこまで膨らむのか、市民の負担がどこまで膨らむのか、まだ分かっていないんですよ。
基本協定によると、液状化と土壌汚染は大阪市の負担が決まっている。でも、地盤沈下は、通常はカジノ業者なんですけれども、通常を超えるものは大阪市だとあるんです。詳細は非公開、隠匿されているんですよ。
この専門家会議というのは、まさにこの地盤沈下の費用に係る対策として検討していて、だから、費用負担をどっちがするかも未定だし、その費用が何ぼかかるのかも未定。そして、通常じゃないから、おおむねこれは市民が負担するんだなというところだけ見えている。
こういう状況の中で、この状況をほとんどの人が知らされていない中で、住民合意と言えるとは、あり得ないんです。
また、そもそも、大阪のIR計画なんですけれども、年間、日本人が一千六十七万人カジノを利用する、IRじゃなくてカジノを利用する、その日本人が年間二千七百億円カジノで失う、売上げになると計画されているんですね。これは割ると、一人平均二・五万円。日本人の十人に一人が大阪のカジノに行って平均二・五万円失ってくる。これは失うお金なので、賭け金は違うんですよね。粗利を例えば七%としたら、日本人の十人に一人が大阪のカジノに行って、年間三十万円から四十万円を賭けてくる。どんな見込みなのか。
○大西委員長 大石君に申し上げます。
申合せの時間が経過しています。終わっています。
○大石委員 そうですね。まとめますね。
このような、実現性評価にしても住民評価にしても、審査をせずに、政治的な思惑、取引によって認定した可能性が高くて、これは公正公平な認定と言えない。これは国民のとんでもない負の遺産になってしまうことです。徹底的にプロセスを明らかにさせて、認定の撤回を求めていきます。
終わります。
――――◇―――――
○大西委員長 この際、御報告申し上げます。
昨十三日、議長より本委員会に送付されました、議員青柳陽一郎君外九十一名からの国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。
次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会