第18号 令和5年5月10日(水曜日)
令和五年五月十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 大西 英男君
理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君
理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君
理事 阿部 司君 理事 國重 徹君
赤澤 亮正君 石原 宏高君
今枝宗一郎君 尾崎 正直君
大野敬太郎君 川崎ひでと君
工藤 彰三君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
田野瀬太道君 平 将明君
土田 慎君 中野 英幸君
中山 展宏君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
松本 尚君 岡本あき子君
堤 かなめ君 中谷 一馬君
太 栄志君 馬淵 澄夫君
岩谷 良平君 浦野 靖人君
堀場 幸子君 河西 宏一君
中川 宏昌君 福重 隆浩君
浅野 哲君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 小倉 將信君
内閣府副大臣 和田 義明君
法務副大臣 門山 宏哲君
内閣府大臣政務官 鈴木 英敬君
内閣府大臣政務官 自見はなこ君
内閣府大臣政務官 中野 英幸君
内閣府大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 岡田 恵子君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 浅野 敦行君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 小山 定明君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 丸山 秀治君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 里見 朋香君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 今枝宗一郎君
鈴木 英敬君 川崎ひでと君
平沼正二郎君 土田 慎君
本庄 知史君 堤 かなめ君
山岸 一生君 岡本あき子君
河西 宏一君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 池田 佳隆君
川崎ひでと君 鈴木 英敬君
土田 慎君 平沼正二郎君
岡本あき子君 山岸 一生君
堤 かなめ君 本庄 知史君
中川 宏昌君 河西 宏一君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)(参議院送付)
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○大西委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○大西委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。
○宮路委員 おはようございます。自由民主党の宮路拓馬でございます。
法案質疑、トップバッターに立たせていただいたことを感謝申し上げます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今般のDV法改正案ですが、そもそも、中身をいろいろと子細に見ていくと、やはりストーカー規制法と大変類似したところがある、条文の構成にしても、そのように理解しているところであります。
そもそも、平成十二年にストーカー規制法が制定されたということになりますが、このDV防止法は、その翌年の平成十三年に制定されました。当時、ストーカー規制法の議論があったときに、DVについてもストーカー規制法で対応できるのではないかという議論もあったように聞いております。
そもそも、ストーカー規制法は警察が所管し、またDV防止法は内閣府の方で所管しているわけでありますが、ストーカー規制法の制定を受けた翌年、DV防止法が別途制定されることになった理由、これはちょっと基本的な質問になるかもしれませんが、お答えをいただければと思います。
○自見大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、配偶者暴力防止法の制定時には、ストーカー規制法との関係が議論されたと承知をしております。
配偶者暴力防止法におけます保護命令制度とストーカー規制法におけます禁止命令制度は、将来の危害防止のため、公的機関が一定の義務を果たす命令を発し、その命令を刑罰によって担保する点で共通する制度であります。
しかし、この法律で主として対象とする行為は、家庭内で配偶者という特段の関係にある者から振るわれる身体に対する暴力等という特殊性がございます。
また、配偶者からの身体に対する暴力等では、被害者と加害者が生活の本拠を共にしていることが多く、場合によっては加害者をその住居から撤去させる必要があることから、ストーカー規制法における禁止命令とは別個に、退去等命令を設けるなど保護命令制度を設ける必要があるとされました。
なお、配偶者からの暴力の特殊性に照らし、ストーカー規制法と異なり、行政機関ではなく司法機関である裁判所が判断するという手続を取ることとされています。
○宮路委員 ありがとうございます。
やはり、家庭内、生活の拠点を共にするという関係があるがゆえに、ストーカー規制法とは違った特殊性がある、それに対応した退去命令等の措置も講じる必要があるということで、別途、内閣府の方で所管するDV防止法を制定するに至ったということで理解することができました。
続きまして、実は、今回目玉となるのは、精神的暴力もDVの対象として、接近禁止命令の、被害者の対象要件として明記する、加えるというふうに理解しておりますが、そもそも、平成十三年、DV防止法制定時から、実は精神的暴力についても保護命令の対象にすべきという議論もあったというふうにお聞きをしているところであります。
制定から二十年以上既に経過したわけでありますが、今般、ようやくといいますか、精神的暴力についても保護命令の対象にするという改正がなされるに至った理由、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○小倉国務大臣 御指摘のとおり、いわゆる精神的暴力については、法制定時から議論がありましたものの、従来の配偶者暴力防止法においては、その範囲や裁判所における認定の問題があるとして、保護命令の対象とされておりませんでした。
この点、これまでの周知啓発活動等により、精神的暴力は配偶者暴力であるという社会的な理解は二十年前と比較して相当高まってきております。
加えて、最近のDVに関する相談件数等は増加傾向にある中、相談内容の約六割を占める精神的DVにより心身に重大な被害が生じた例も報告をされております。他方で、被害者の申立てに基づき裁判所が加害者に接近等を禁止する命令を出す保護命令の認容件数は一貫して減少しております。
こうした状況も踏まえまして、今般の法案において、接近禁止命令等の対象となる脅迫を、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫とするなどの保護命令制度の拡充等を行うものであります。
○宮路委員 やはり、社会が変わってきたということなんだろうと思います。
当時、範囲の問題であるとか裁判所における認定の難しさが、やはり身体的暴力というのは非常に分かりやすい、外形的にも見えやすい、あるいは証拠も取りやすい。一方で、精神的なものについては、やはり、制定当初、その範囲が不明確ではないかとか、あるいは証拠を押さえるのが難しいだとか認定が難しいだとか、そういったことがあったというふうに理解します。
しかし、今大臣御答弁ありましたとおり、今、相談支援の内容の六割が精神的暴力だということで、当時は、恐らく二十年前は、相談する側も、身体的暴力というのは非常に分かりやすい、だから、身体的暴力に関する相談が大半を占めていたんでしょう。ところが、それから二十年たって、今御答弁ありましたとおり、精神的なハラスメント、これが社会全体で、例えばパワハラであるとか、あるいはモラハラであるとか、そういったことがあってはならないことだという国民的な理解が進んだ。
そういったことを受けて、二十年にしてようやくということにはなるかもしれませんが、今般、ある意味、ルビコン川を越えるというか、大きな一歩を踏み出したということで、是非しっかりと、二十年たった積み重ねをしっかり生かして対応いただければというふうに思っております。
今般の規定上、自由、名誉又は財産に対する加害の告知による脅迫ということで、やはりこれは、すっと聞いてもすぐ、なかなか理解しづらいなというところが正直あろうかと思います。今回、今申し上げたとおり、大きな一歩として精神的暴力も対象にするということになったわけですが、では精神的暴力とは何なのかというのがやはり国民の皆さんにしっかり理解されない限り、被害者もそれを精神的暴力としてなかなか理解、認識しづらいし、そしてまた、加害者もこれは暴力なんだということがなかなか認識できないということですから、改めて、この自由、名誉又は財産に対する加害の告知による脅迫とは具体的にはどのようなケースを想定しているのか、分かりやすく御説明いただければと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者暴力は、加害者が自己への従属を強いるなどのために用いるという特殊性に鑑みまして、害悪を告知することにより畏怖させる行為として脅迫を対象としたものでございます。
具体的な言動が脅迫に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断すべき事柄でございますけれども、自由に対する脅迫については、例えば、身体、行動の自由として、部屋に閉じ込め、外出しようとするとどなるなど、謝罪に関する意思の自由として、土下座を強制するなど、職業選択の自由として、従わなければ仕事を辞めさせると告げるなどが考えられます。
また、名誉に対する脅迫については、例えば性的な画像を広く流布させると告げる行為や悪評をネットに流して攻撃すると告げる行為が名誉に対する害悪の告知と認められる場合には、脅迫に該当し得ると考えております。
財産に対する脅迫につきましては、例えば、キャッシュカードや通帳を取り上げると告げる、被害者が大事にしているものを壊すと告げる行為が財産に対する害悪の告知と認められる場合には、脅迫に該当し得ると考えております。
これらのほか、個別具体的な状況によりまして、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨の告知と認められるものは、脅迫に該当し得ると考えております。
○宮路委員 やはり、これまでの様々な事件の具体的な事例から様々なケースを想定しているということで、幅広く脅迫というのが考えられているんだということが分かりました。
一方で、今般、この法改正に至る議論の中でも、慎重論もあったというふうにお聞きをしているところであります。つまり、いわゆる単なる夫婦間での口げんかと思われるものが脅迫として扱われ、そして接近禁止命令等が広く発令されることになるのではないかということ、これを懸念する声もあったというふうに聞いているところでありますが、この点について、今回の法案策定経過の中でどのような議論が行われたのか、そしてどのような結論に至ったのか、お聞かせいただきたいと思います。
〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕
○小倉国務大臣 接近禁止命令等の対象となる脅迫に該当するか否かは、個別具体的な状況に照らして判断されるものでありますが、脅迫は一般的に人を畏怖させるに足りる程度のものであることが必要であること、接近禁止命令等が発令されるには、更なる身体に対する暴力等により、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいことを要件としていることから、御懸念のような単なる夫婦間での口げんかについては、接近禁止命令等が広く発令されることになるとは考えておりません。
○宮路委員 このDV防止法に関しては裁判所による認定というのが行われるということですから、今大臣の答弁にもありましたとおり、それが生命、身体に重大な危害をもたらすおそれがあるという点については、裁判所がしっかりと判断していくということになろうかと思いますので、そうした懸念は当たらないということを、これはまたしっかりと周知をしていく必要があろうかと思いますので、法案成立後には、その旨も含めて、新制度の内容について周知を図っていただければというふうに思います。
続いて、接近禁止命令等の期間が今回六か月から一年に伸長されるということでありますけれども、これについては、やはり、これまでの事例の積み重ねを見ると、六か月では足りなかったということで一年にするということであります。DV被害に関しては、早く収まるにこしたことはありませんが、残念ながら、これまで想定していた六か月では足りなかった、だから一年にするということでありますが、しかし、逆に考えれば、一年で十分なのかというまた心配も、声も寄せられているところであります。
仮に、一年で接近禁止命令等が必要なくなる事態が、解消されなかった場合どうなるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の接近禁止命令でございますけれども、被害者への接近禁止命令の有効期間といいますのは、命令の申立ての理由となった状況が鎮まるまでの期間として設けられてございます。
今般の見直しに当たりまして、内閣府において調査を行いましたところ、半年を経てもなお加害者からの危害や脅迫等を受けるおそれが相当程度に上ることが明らかになりましたことから、今般、接近禁止命令の期間を六か月から一年に伸長するものでございます。
なお、再度の申立てが可能でございまして、一年を超えて接近禁止命令等が必要である場合には、再度の申立てに基づき判断されることになります。
○宮路委員 やはり、一年では十分ではないということもしっかり想定をして、今般、制度を仕組んでいるということでありますが、再度の申立てがなされる場合、接近禁止命令等が既に発令されている状況で、先ほど御答弁にもありました、更なる生命や心身に重大な危害を受けるおそれが大きいかどうかを判断することになるんだというふうに理解をしております。
接近禁止命令が出て、その命令の効果によって加害者が、基本的にはおとなしくするんだろうと思いますが、おとなしくしていることで危害を受けるおそれがないというふうに、普通に考えれば、そういうふうに軽々に判断されるのではないかというふうに考えるわけでありますが、再度の申立てがなされる場合に何を考慮すべきかということをしっかり明確に示していかないと、その判断がなかなか難しいのではないかと考えますが、この点について御見解をお伺いいたします。
○小倉国務大臣 接近禁止命令等の退去等命令以外の保護命令の再度の申立てにつきましては、特段の規定はなく、通常の申立てと同様に判断されます。委員御指摘のとおり、この点、接近禁止命令等について、再度の申立ての際の重大な危害を受けるおそれが大きいことについての考慮要素が必ずしも明らかになっていないのが現状であります。
このため、再度の申立てにおける重大な危害を受けるおそれが大きいとの要件の判断に当たりましては、被害者が受けた暴力の重大性、被害の状況、保護命令期間における加害者の態度、申立て時の被害者の心身の状況その他の事情を考慮して判断する旨を基本方針において整理したいと考えております。
○宮路委員 しっかりと基準を定めて、それに基づいて、その際もまた裁判所が判断することになるんだと思いますが、一方で、命令の発令まで時間がかかり過ぎるという声もあるというふうに伺っております。
先ほどの慎重論の、むやみやたらにそうした命令が発令されるのではないかという心配がある一方で、命令の発令まで時間をかけ過ぎではないかという話もある中で、このバランスを取るというのは非常に難しいことだとは思いますが、しかし、このDV防止法に関しては、被害の実態の深刻化がとどまらないというところがあって、数度にわたる改正がなされてきているわけでありますので、やはり被害者の保護により重きを置いた対応を是非お願いしたいというふうに思っております。
もう一つ、今般の法改正の大きな要素として、被害者への支援を充実させるべきという点があったというふうに理解をしているところであります。
確かに、保護命令でDV被害の全てが解決するわけではありません。とりわけ、金銭面で困窮し、例えば、専業主婦であるとすれば急遽収入がなくなるわけですから生計を維持することが困難になってしまう、あるいは、そうした結果、生活の見通しが立たず、結果として泣き寝入りして、元のさやに収まってしまう、元のもくあみになってしまうというケースもあるというふうに聞き及んでいるところであります。
そうした意味では、保護命令で当然終わるわけではなく、その先の被害者の自立支援を強化するという観点、これは大変重要であるというふうに思っておりますが、今般の改正を経て、どのように対応するおつもりか、お考えをお聞きしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
被害者の自立を支援し生活再建を図りますことは、被害者の泣き寝入りを防ぐためにも、被害者が展望を持って生活するためにも重要でございます。
本法案におきましては、被害の発生から生活再建支援に至るまで切れ目ない支援を可能とすべく、被害者の自立支援、そして、そのために必要となります多機関連携を基本方針及び都道府県基本計画の必要的記載事項として追加することとしております。協議会の法定化と併せまして、配偶者からの暴力の防止及び被害者保護に関わる機関の連携協力体制を平時から構築することにつながり、被害者の自立支援等が円滑に行われることとなることを期待しております。
さらに、内閣府におきましては、本年三月、被害者の生活再建支援を強化するため、就業、住宅、子育てなどに係る各制度所管府省から関係機関等へ発出されました通知の概要を整理し、配偶者暴力相談支援センター主管部局に対して通知を発出したところでございます。
このような取組を含め、引き続きしっかりと被害者の自立支援を図ってまいります。
○宮路委員 被害者の支援というのは、これまでの法改正、数次にわたる法改正においても非常に議論になってきた点だと思います。
私が、本日、あれっ、今日はダブルリボンじゃなかったな、いつもはダブルリボンをつけているんですが、ああ、自見政務官がおつけになられている、まさに女性への暴力根絶、DV防止のシンボルであるパープルリボンと、あと児童虐待防止のオレンジリボン。やはり、DV被害と児童虐待というのは密接な関係にあるということで、さきの法改正においても、その連携をしっかり図るべく、児童相談所との機関連携をしっかり図るべきだということも規定されてきたという経緯もあります。
そういう意味では、DVというのは本当に根深い問題が根底にあるわけでありまして、その支援というのも一筋縄にはいかないというふうに理解をしております。
そういう意味では、今般、法の規定で新たに努力義務となる、そしてまた、都道府県の計画にもしっかり記載することになる、協議会も法定化されるということですが、仏を作っていただきました、その仏にしっかり魂を入れるかどうかは、やはり機関連携がいかにスムーズに進むか、実効性を伴うかにあろうかと思いますので、改正法成立後は、その点、しっかり意識をして、各機関に法改正の趣旨を徹底していただきたいというふうに思っております。
続きまして、配偶者暴力防止法という法の名称ですから、この法の対象にどういった者が含まれるのか、被害者として想定されるのかという点についてお伺いをしたいと思います。
これまでの議論の中で、いわゆる法定婚の配偶者だけではなく、事実婚、これも対象になっている、あるいは同棲しているカップルも対象になるという議論が行われてきたというふうに理解をしております。
冒頭、このDV防止法の趣旨についてお伺いしたときに、生活の拠点を共にする、その特殊性から、やはり個別法で対応する必要があるということで制定されたこのDV防止法ですから、その趣旨に鑑みれば、いわゆる性的マイノリティー、LGBTQのカップル、こうした方々についても、生活の拠点を共にしているのであれば対象になり得るというふうに考えておりますが、この点については、これまでの法律改正の議論の中でも非常に問題というか議論になってきたというふうに伺っております。
今般、この点についてどのような整理をするおつもりか、お伺いをしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法は、対象となる「配偶者からの暴力」の配偶者につきまして、事実婚の者を含めて規定しており、婚姻関係にある者のほか、事実上婚姻関係と同様の事情にある者についても適用されるのが原則となっております。
また、議員立法によります平成二十五年改正においては、生活の本拠を共にする、交際をする関係にある相手からの暴力にも対象が拡大されてございます。
性的マイノリティーのカップルに関しては、先般の参議院内閣委員会におきまして、「保護命令について同性カップルも対象となった例がある旨を周知徹底すること。」との御決議をいただいたところでございます。御決議を十分に尊重し、対応してまいりたいと存じます。
○宮路委員 既に保護命令の対象になった事例があると。つまり、裁判所が判断したということですから、法改正する必要もなく、この点については現行法下においてもしっかり対応できるということですから、その周知徹底について是非お願いをしたいというふうに思っております。
最後になりますが、今般、精神的暴力を接近禁止命令等の対象とするなど、大きな一歩を踏み出したというふうに考えております。
一方で、この二十年来の変化について冒頭触れましたが、社会は変化し、家族観も変化してまいります。これまでも、社会情勢や価値観の変化に応じてこのDV防止法については改正がなされてきているところでありますが、被害者保護のためには今般の改正で終わるということはないかと思っております。
対象の拡大等について不断の見直しが今後も必要であるというふうに考えておりますが、最後、政府の御見解をお伺いいたします。
○小倉国務大臣 本法案には、施行後三年を経過した場合において、施行状況を勘案し、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の検討規定を設けております。
法案をお認めいただいた暁には、施行準備に万全を期すとともに、施行後の運用状況等も踏まえ、配偶者からの暴力の防止と被害者の保護を図る観点から、検討規定に基づく必要な対応を行うことを考えております。
○宮路委員 精神的暴力を対象にするという大きな一歩を踏み出した、その実例がこれからも積み重なっていくと思います。今の規定では、しかし、抜けがある、漏れがある、十分に対応できないところがあるというのは、その事例の中で見えてくることもあろうかと思います。そのときは、果断にというか迅速に対応する必要があると思っておりますので、立法府である我々としても、しっかりそこを注視していきたいというふうに思っております。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○神田(憲)委員長代理 次に、福重隆浩君。
○福重委員 おはようございます。公明党の福重隆浩でございます。
早速ですが、DV防止法改正案について質問をさせていただきます。
これまでのDV防止法においては、保護命令の申立てができるのは身体的な暴力を受けた人に限られておりましたが、今回の改正案では、自由、名誉又は財産に対する加害の告知による脅迫を受けた者を追加することとなっており、いわゆる精神的暴力による保護命令の拡充であり、この改正は非常に重要な意味を持つものと思っております。
岸田総理は、昨年の十二月に行われた男女共同参画会議において、あらゆる暴力の根絶に向けた取組を抜本強化するとの意思を表明されたと伺っております。
そこで、まず小倉大臣に、今回の法改正に当たり、担当大臣としての思いや意義、及び、そしてまた経緯についてお伺いをいたします。
また、今回、日本で初めてG7各国の男女共同参画・女性活躍担当相会合が開催されることとなっておりますが、その会議に対する大臣の思いに関しましても御答弁をお願いいたします。
○小倉国務大臣 私自身、昨年の九月に、配偶者暴力に関する相談支援の現場に伺いまして、相談支援者や民間シェルターの方々とも意見交換をしまして、被害者が精神的な面も含めて大変な困難に直面をし、加害者から逃げた後にも生活に大変御苦労されている状況を伺いました。
保護命令の対象を身体的暴力以外の暴力へと拡大をすることは、配偶者暴力防止法の制定以来の課題でございました。本改正案におきまして、接近禁止命令等について重篤な精神的被害を受けた場合にも対象を拡大することを始め、保護命令制度を拡充することは、被害者保護を強化する観点からも大変意義深いものと考えております。
また、被害の発生から生活再建支援に至るまで切れ目ない支援を可能とするべく、多機関連携を強化するための仕組みを設けております。ただ、法律はしっかりと運用されなければ意味がありません。法案をお認めいただいた暁には、配偶者からの暴力の被害に苦しむ方が一人でも多く救われるよう全力を尽くしたいと思っております。
また、福重委員に御紹介をいただきましたように、来月二十四日及び二十五日、G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が栃木県の日光市で開催をされます。G7における男女共同参画に関する担当大臣会合が日本で初めて開催されるものであり、我が国の男女共同参画や女性活躍に関する現状ですとか、配偶者暴力の防止等を含む取組状況を国際社会に発信をするとともに、我が国の取組を一層進展させる契機としたいと考えております。
引き続き、関係各国、機関や、地元とよく連携をいたしまして、検討、準備を進めてまいりたいと考えております。
○福重委員 大臣自ら、担当になられてすぐ意見交換をされたということは大事な視点だというふうに思っております。そういった方々の思いをしっかり酌み取った法の整備をしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次の質問に移ります。
内閣府の資料によりますと、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は、令和二年度、十二万九千四百九十一件、令和三年度は十二万二千四百七十八件と高止まりの傾向にあります。一方で、裁判所からの保護認容件数は年々減少しております。
一般的に考えれば、相談件数が多くなれば保護認容件数も増加するのではないかと思いますが、相談件数の高止まりの状態に対して保護認容件数が減少している因果関係について、どのような理由を考えておられるのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
最近の配偶者からの暴力に関する相談件数等は増加傾向にあります中、相談内容の約六割を占める精神的暴力によりまして心身に重大な被害が生じた例も報告されております。一方で、御指摘のとおり、保護命令の認容件数は一貫して減少しております。
この要因といたしましては、現行制度では身体に対する暴力などを受けた被害者のみが対象となっていることや、被害実態に照らして接近禁止命令の期間が短いなどの課題があったと考えております。
このような考えの下、本改正案を提出させていただきましたところでございます。
○福重委員 ありがとうございました。
現行法では取り締まれない部分が、今回、法改正につながるというようなことで、大事な視点だなというふうに思いました。
次の質問に移ります。
先日、地元の群馬県において、配偶者からの暴力を受けている方などを所管する担当者と懇談をしてまいりました。その際、担当者の方からは、被害者本人がDVを受けていると気づいていない、あるいは、自分が悪いのだと思い込んでいる事例などがあると伺いました。
このような場合、被害者本人にこれはDVなんだと気づかせることが第一歩であり、入口になると思います。話を聞く中で、うつ病やPTSDの疑いがある場合は、医師の診察を受け、裁判所に提出される診断書等が有効な資料になります。
他方、精神的な暴力を受けながらも、具体的な症状がない場合もあると思います。その場合は、聞き取りの中で、相談員が丁寧かつ客観的に、精神的な暴力を受けていた被害者の心の声をどれだけ聞き出すことができるか、またどこまで証明できるか、あるいは裁判所に提出する書類として書面にできるかが課題であり、相談員の方々のスキルと経験が問題解決のキーになることを痛感させていただきました。私は、話を伺いながら、関係者の御労苦に頭が下がる思いでございました。
このような相談員からの現場の声に対して、国や自治体も研修等などの開催をしているとお聞きしておりますが、更に研修の充実が必要と考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○和田副大臣 お答え申し上げます。
相談員の皆様は被害者の保護を図る上で大変重要な役割を果たしていただいており、必要な知識やスキルを身につけ、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であると考えております。
内閣府では、被害者に対する相談や支援に携わる方が配偶者暴力や児童虐待等に関する知識や理解を深め、相談対応や支援を適切に行うことができるようにするため、全国の配偶者暴力相談支援センターの相談員、民間支援団体の相談員、児童相談所の職員等を対象に、オンライン研修を実施しております。
法案をお認めいただいた暁には、今般の改正内容について相談員の方々に十分御理解いただくことが重要であることから、基本方針において、例えば、接近禁止命令等の要件となる心身に重大な危害の解釈についても記載するなど、今般の改正について周知を図るほか、施行に向け、相談員の方々を始めとする関係者のためにも研修を充実させていきたいと考えております。
○福重委員 今、研修の充実を図っていただけるということでございますけれども、今申し上げましたとおり、相談員の方々の本当にスキルが大事でございます。そういった意味では、法改正の趣旨を十分に理解していただくこと、それからまた、やはり相談員の方々のしっかりした予算確保、そういったものもしっかりと充実をしていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
次の質問は、NPO等が運営している民間のシェルターについてお伺いをいたします。
これも最前線で頑張っていただいている担当者から伺った話でありますが、DV被害を受けている被害者の一時避難所として、民間シェルターが極めて重要な施設であるとの指摘をいただきましたが、現状として、民間シェルターは、職員の不足や高齢化による業務への影響、さらには財政的にも厳しい状況に置かれているとのことでありました。
政府から令和四年五月に公表された資料では、全国の民間シェルターの約八五%が財政的な基盤の弱さを運営上の課題にされております。自治体によっては、地域女性活躍推進交付金や性犯罪・性暴力被害者支援交付金などを活用している自治体もあるとのこと。しかしながら、いずれも予算規模が小さいため、支援が限られているのが現状であります。
財政当局との交渉も必要になると思いますが、DV被害者の支援強化には民間シェルターの存在は欠かせない施設であります。私は更なる財政的な拡充が必要と考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○和田副大臣 お答え申し上げます。
民間シェルター等は、いち早くDV被害者支援における課題を提起し、解決に向けて活動してきた先駆性、行政と比較してフレキシブルな支援ができる柔軟性、地域の実情に応じ、地域の社会資源を活用しながらその特性を生かした活動を行う地域性、専門的な知見に基づくニーズに対応した支援活動を行う専門性等の強みを有しており、地域におけるDV被害者支援に重要な役割を担っていただいております。
その一方で、財政面や人的基盤の不足、行政との連携不足といった課題を抱えているものと認識をしております。
そのため、御指摘もありましたとおり、内閣府では、令和二年度から、民間シェルター等と連携して先進的な取組を進める都道府県等に対する交付金を交付することにより、地域におけるDV被害者支援の強化に取り組んでいるところでございます。
今後とも、民間シェルター等と連携してDV被害者支援に取り組む都道府県等の支援に必要な予算の確保に努めてまいります。
〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○福重委員 ありがとうございました。
今御答弁の中で、フレキシブル性だとか社会の特性、地域性というようなお話をいただきました。
県なんかが運営している一時避難所では、例えば携帯が使えないとか、そういうような限定的なことがあって、なかなかほかとの情報、友人との連絡というのができないというような形の中で、民間シェルターに移りたいというようなお声も多いそうでございます。
そういった意味では、今後もこの民間シェルターというのは重要な位置づけになってまいりますので、交付金の強化ということを今お話しされましたけれども、是非そういったところを頑張っていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に入らせていただきます。
地元群馬県では、第四次群馬県DV対策推進計画の中で、自立支援の体制整備として七つの支援策を打ち出しております。その一つ目には、住居の確保に向けた支援を掲げております。まずは、安心して住める住居の確保は非常に大事であります。
今年二月、予算委員会第八分科会において、我が党の佐藤英道議員は、子育て世帯が公営住宅に優先的に入居できる仕組みを国土交通省が検討していることに言及し、母子、父子世帯やDV被害者世帯の優先入居も推進すべきと訴え、これに対し斉藤国土交通大臣は、母子、父子世帯を含む子育て世帯が低廉な家賃で公営住宅に入居する意義は非常に大きいとして、取組を拡大する意向を表明され、DV被害者世帯についても、居住の安定確保が必要であり、優先入居を推進したいと答弁されました。
そこでお伺いをいたしますが、現状の取組状況について御答弁をお願いいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
被害者の自立を支援し生活再建を図ることは、被害者の泣き寝入りを防ぐためにも、被害者が展望を持って生活するためにも重要でございます。中でも住宅は、被害者が自立して生活するための基盤であると考えております。
内閣府におきましては、本年三月、被害者の生活再建支援を強化するため、住居を含め、就業、子育てなどに係る各制度所管府省から関係機関等へ発出された通知の概要を整理し、各都道府県の配偶者暴力相談支援センター主管部局に対して通知を発出したところでございます。
その中で、DV被害者の居住の安定確保につきましては、国土交通省と連携し、各地方公共団体に対しまして、改めて、公営住宅への優先入居、目的外使用の周知を図るとともに、地方公共団体と配偶者暴力相談支援センター間で公営住宅の空き室情報等を共有、連携している事例を周知し、これを参考に各地方公共団体において、配偶者暴力相談支援センター等との連携を図るよう検討を促すとともに、セーフティーネット登録住宅制度の推進を依頼しております。
さらに、地方公共団体における公営住宅の空き室情報等の問合せ窓口及びセーフティーネット住宅提供システムについて周知しております。
このような取組を含めまして、被害者が安心して住める住居の確保を始め、引き続き自立支援を図ってまいります。
○福重委員 どうもありがとうございました。
公営住宅に関しましては、県だとか市でやっている公営住宅、それは自治体で行っておりますので、やはり、国がそういった方針を示して、国と地方がしっかり連携して、そういった方々が優先的に入居できる体制というものを構築していくことが、こういった方々を本当に生活の安定をさせることにつながりますので、是非そういったことに対しての対応をよろしくお願いしたいと思います。
質問が残りましたけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○大西委員長 次に、岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
本日、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
今回のDV防止法の改正案、六月にはG7の大臣会合もございます。そして昨日、不同意性交等の法案も、審議に入るということで、法案提出がございました。また、昨今、困難女性支援法が改正されたり、あるいはストーカー規制法、児童虐待防止法、様々、時代の流れにようやく追いついてきつつあるなと思っています。
今回は、身体的暴力に加えて精神的暴力、心身に対する暴力もこのDV防止法の対象になるということです。大変評価をさせていただきます。
今ほど福重委員とのやり取りの中にございましたとおり、私も資料一を用意しております、相談件数がどんどん上がってきている一方、真ん中にピンクの棒グラフがありますが、実際に保護される件数が残念ながら下がってきている。相談の中では、先ほど御答弁の中に、精神的暴力が含まれていた。私の地元でも、やはり、相談をすると、相談される側も、残念ながら、身体的暴力ですか、命に関わる危険はありますか、こういうのを聞かざるを得なかった。この点に対しては、相談する側も相談される側もつらい思いをしてきたということになります。
今、法改正、速やかに行っていただきたいですが、残念ながらこのピンクの保護される件数が減っているということで、ここで残念ながら保護できなかった方々もいらっしゃるということを重く受け止めていただきたいと思います。
実際、保護命令の申立てから発令までの平均審理期間、約十二日間かかっております。現状は、実際、命に関わる精神的暴力を受けている、もう心が病んでいる、そういうような状態にあっても、審理を経ないと、要は約二週間後じゃなきゃ保護がされないという実態があります。この間に更なる被害を被るリスクもあります。
速やかな保護が可能となるために是非取組を進めていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 保護命令の申立てから発令までの期間そのものにつきましては、司法権である裁判所に関する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、他方、行政府といたしましては、配偶者暴力防止法において、配偶者暴力相談支援センターで、保護命令制度の利用に関する情報の提供、助言等の援助を行うこととしております。その際、証拠書類の収集の負担が保護命令の申立ての支障になることを避ける必要があると考えており、また、申立ての段階から必要な情報を裁判所に提出することで迅速な裁判に資するものとも考えております。
このため、法の見直し時におけるワーキンググループからの提言も踏まえつつ、配偶者暴力相談支援センター等による申立ての支援強化を図りたいと考えておりますし、こうした取組により、保護命令の申立てを行う被害者に対する支援に努めてまいりたいと考えています。
○岡本(あ)委員 裁判所の権限の中に介入は難しいかもしれませんけれども、やはり私、迅速な申立て、それから、申立てから審理の中で最短で済むように、協力をする、バックアップ体制を是非整えていただきたいと思います。
一方で、諸外国を見ますと、緊急保護の制度があったりしますので、一日でまずは保護をすることを優先する、そういうような制度もございますので、諸外国の例も見ていただきたいと思います。
そして、相談されたときに、これはやはり保護を求めた方がいい、実際にそのための資料を用意しようというときに、資料四の1、2と用意させていただきました。1は、身体的なものとして、事例を男女共同参画局の方で挙げていただいているものです。これは現行でも適用になります。それから、四の2のところに、精神的なもの、性的なもの、こういうところが例示として出されております。これの背景も当然必要なんだとは思いますが、基本、ここに挙がっているような例、プラス、そこの背景をしっかり聞き取った上で保護に結びつける、そのためのサポートをするべきだと思います。
例示としても、更に具体的な例示、こういう精神的な暴力、性的暴力の範囲を明確にするべきだと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 接近禁止命令等の対象になる脅迫は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を与える旨を告知してする脅迫であり、刑法第二百二十二条第一項脅迫罪と同じ文言とさせていただいております。
委員からも御紹介がありましたように、例えば、自由に対する脅迫として、言うことを聞くと言うまでは外に出さないなどと告げるような場合、名誉に対する脅迫として、性的な画像をネットで拡散するなどと告げるような場合、また、財産に対する脅迫として、被害者が大事にしているものを壊すなどと告げるような場合などが対象となり得ると考えられますが、他方で、具体的な言動が脅迫に該当するか否かについては、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断すべき事柄でもあると思っております。
そうした中で、配偶者からの防止の、実情を踏まえた法案となるよう、この法案をお認めいただければ、施行に向けて、この制度の趣旨の周知を含め、施行、運用に遺漏なきよう、私どもとしてはしっかりと万全を期したいと考えております。
○岡本(あ)委員 是非、事例の蓄積もしていただきたいですし、いろいろな条件が整って保護の対象になる、あるいはこういう部分が十分ではなかった、そういう例もあり得るかと思いますので、相談する側にも、自分は対象になるんだ、ここに駆け込めばいいんだ、そう思ってもらえる、あるいは、証拠をそろえる意味でも十分になるように、是非、例示の蓄積それから公表というところに御努力をいただきたいと思います。
そして、申立人、今現在は変わっておりませんが、親族や、特に子供からの申立て、これも必要なんじゃないかと思います。今後の検討課題として、是非この点も検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 保護命令は、申立てをした被害者とその配偶者との夫婦関係などに重大な影響を及ぼすものであり、保護命令の申立人を被害者以外が行えるようにすることは、他の裁判手続との整合性など、相当慎重である必要があると考えております。
他方で、先般の参議院の内閣委員会におきましても同様の御意見がございまして、その中で、「被害者本人による保護命令の申立てが困難な場合についての必要な支援を検討すること。」との御決議をいただいたところであります。
岡本委員の御意見もよく受け止めまして、配偶者暴力相談支援センター等による申立ての支援強化を含め、対応を検討したいと考えております。
○岡本(あ)委員 配偶者の場合、実際、被害を受けていて、言葉に出せない、あるいは相談するのもつらい、そう思っていらっしゃる方もいると思います。一番そばにいる親族あるいはお子さん、こういう方々が味方になっている中で動き出すこともありますので、是非その点も検討に加えていただきたいと思います。
続きまして、LGBTQ、同性のカップル間の暴力、この点をお聞きしようと思いましたけれども、先ほど宮路委員が御質問されて、御答弁をいただいております。LGBTQ等、同性カップルも保護になる実際の事例があるということで、是非これは広く周知をしていただきたいと思います。
続きまして、資料二を御覧ください。
今、結婚しているカップルのみならず、交際中のカップル、デートDVも含めて被害がありますけれども、この中で位置情報、これは今回、無承諾取得に関しては対象になるよという法案の中身になっておりますが、今、恋人やパートナーと位置情報を共有している中で、トータルでは二三%が共有をしているんですが、この中でさらに、十代のカップルは三割を超えて位置情報を共有する、あるいはSNSの共通アカウントを持つ。これがおつき合いする、あるいは愛情のあかしという形で、メールアドレス、パスワード、それから共通アカウント、お互いの位置情報、こういうのをお互い持っていることがおつき合いをしているあかしになりつつあります。
この中で、最初は、おつき合いしているときは当然合意をしているものと思いますけれども、実際に被害に遭った後、相手方は当然これを削除するというのはなかなかないと思いますけれども、被害に遭った時点で、承諾をしていた過去というのは当然取消しになると認識してよろしいでしょうか、御確認させてください。これは内閣府ですね、お願いします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
電話等禁止命令の対象行為といいますのは、その行為が行われた場合に、恐怖心等から被害者が配偶者の元に戻らざるを得なくなったり、要求に応じて接触せざるを得なくなったりして生命、身体の危険が高まることから設けられたものでございます。
今般、従来の規制対象であります連絡手段、通信手段の代替手段や、デジタル化の進展に伴って生じてきた新しい行為について、従来の規制対象の行為と同様に被害者に危険をもたらし得ることから、追加を行うものでございます。
具体的には、今般の法案によりまして、被害者の承諾を得ないで位置情報記録・送信装置によりその位置情報を取得すること等を電話等禁止命令の対象行為に追加することとしておりますけれども、例えば、当初はお互い合意の下で位置情報を互いに共有していたものの、関係が悪化し、今後の位置情報の共有を断る旨を伝えられてもなお引き続き位置情報を取得した場合には、承諾を得ないでに該当し得ると考えてございます。
○岡本(あ)委員 安心しましたが、ただ、伝えてからだという言葉が入ったので、伝え方というところもいろいろなケースがあり得るのかなと思います。
本人に必ず伝わった状態かどうかというところまで被害者が確認をしなければいけないとなるとハードルがございますので、この点はやはり、被害を受けているということと、実は過去には共通アカウントを持っていた、位置情報も共有していたけれども嫌だということをお伝えする、伝わったかどうかは別としても、意思表示があったということをもってということも必要なんじゃないかと思いますので、是非この点、もしお考えがあればお示しいただきたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
これは、保護命令の対象となるものでございます。これは違反すると罰則の対象となるものでございますので、個別具体的な事実関係に基づいてやってまいりますけれども、拒絶の意思を直接、また、第三者を通じて伝えた場合も該当いたします。伝えたということが必要かというふうに考えてございます。
○岡本(あ)委員 伝えるということは必要なんだとは思いますが、相手方がそれを受け取ったとか伝わったとかということをもってというよりは、伝えた事実、第三者を通じてでも、伝えた事実をもってという点にしていただきたい。これは要望としてお伝えをしますし、是非適用していただきたいということを申し上げさせていただきます。
時間の関係があるので進みますけれども、今回、子供への接近禁止命令も入りました。非常にありがたいことだと思います。ただ、これは未成年の子供に限定をしております。同居していても、十八歳を超えて、十八歳、十九歳、二十歳、そういうお子さんもいらっしゃると思います。DVと児童虐待がセットになっている、約半分は児童虐待もあり得るという状況です。
本当は資料を用意しようと思ったんですが、残念ながら資料を提供できませんけれども、十九歳の娘が実の父親から性被害を受けていた、でも、過去には、地裁ではこれが無罪になってしまった、そういう例があります。
ちょうど小倉大臣は、こども家庭庁の大臣でもございます。子供に関しては十八歳に限らないというところも、こども家庭庁の思いとしてはそこで線引き、切れ目を出すということはないと伺っておりますけれども、今回このDV法では、子供への接近禁止は未成年の子供に限定、そして、成人した子供は親族になるという御説明でしたが、意味は理解しつつも、ただ、やはり子供に対しては子供なんだというところをしっかり明記するべきなんじゃないかと私は思っています。あえてここを子供は未成年に限るとしてしまった理由は何なんでしょうか。
それから、先ほど申し上げましたとおり、児童虐待が約半数、一緒に含まれているケースがある中で、特に、娘に対する性的虐待というのも非常に多くあります。今回の法律でも、DVだ、配偶者だというのは重々分かりつつも、でも、子供も巻き込まれるケースが多い、その中には十八歳で虐待が終わるわけではないというところで、成人した子供への虐待、特に性的虐待への対応が抜け落ちているのではないかと思います。今回のDV法でも、あえて未成年と書いたことが、一つ抜け落ちるところを助長してしまわないか、この点を心配しております。
この点について、成人した子供もしっかり守り切るための法の運用をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 まず、子への接近禁止命令、これを未成年の子とした背景でございますが、平成十六年の改正において、被害者自らが監護、養育をする必要がある場合が多く、例えば、配偶者に被害者の子が連れ戻されたような場合に、被害者が配偶者と面会することを余儀なくされることが一般的に想定される未成年の子を対象とすることとされたものでございます。
他方で、委員御指摘のとおり、成年の子につきましては、被害者を保護するための親族等への接近禁止命令が設けられておりますので、それに該当するかと思います。
その上で、岡本委員が御指摘されましたように、こども家庭庁におきましては、子供は年齢で線引きするのではなく、心身の発達段階にある者ということでもございますし、先般の参議院内閣委員会におきましても、「DVの被害が被害者本人のみならず、その成年の子にも及ぶ事案等に対しては、親族等への接近禁止命令により保護が可能なことについて、一層の周知徹底に努めること。」との御決議をいただいたところでございます。
こうした決議を十分に尊重し、また、配偶者暴力の加害者による成年の子への虐待等に関する岡本委員の御懸念についても、問題意識をしっかりと受け止め、対応してまいりたいと考えております。
○岡本(あ)委員 十八歳になったから、後は自分で考えられて自分で判断できて、自分の身を守れるとは限りません。しかも、児童虐待から続いているケースも、特に、DV家庭であれば、児童虐待から続いている場合があると、そのお子さんも、恐怖心から支配下に置かれて、十八歳、十九歳になってなお被害が続くというケースもありますので、私は、ここは法律上もあえて未成年に限定をする必要はなかったのではないかという思いは今なお、親族でカバーできるのは重々分かりつつも、ただ、法律を見た方、理解した方、あるいは成人になった子供さん自身がこれを見て、未成年に限ると書かれちゃうと、自分が受けるショックというところもあり得るなということは受け止めていただきたいと思います。
この後、ちょっと一個、総務省にお聞きをしたいと思います。
地元でこういう相談に乗っている方から、成人したお子さん、特に、いろいろなケースを伺っているという話がありました。DV家庭で、親から自分も性的虐待があって家出をしました、でも、住所変更ができない、住基ブロックはDV被害者と高齢者虐待と児童虐待しか使えなくて却下されてしまうというケースがあると伺ったんですが、これは事実でしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
住民基本台帳制度におきますDV等支援措置は、住民票の写しの交付等の制度を不当に利用して、DV等の加害者が被害者の住所を探索することを防止し、被害者の保護を図ることを目的とするものでございます。住民基本台帳事務処理要領におきまして、DV等支援措置は、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待の被害者に加えまして、その他これらに準ずる者からの申出についても受け付けることとしております。
その他これらに準ずる者の具体的な例といたしましては、お尋ねのような、児童虐待を受けている者が十八歳に達した後も引き続き支援を必要とするケースを想定しておりまして、この旨は通知により地方公共団体に対してお示ししているところでございます。
○岡本(あ)委員 安心しました。児童虐待に値する中では十八歳を過ぎてなお対象にできるということが明らかになったと思います。
先ほどに戻りますけれども、児童虐待法では十八歳過ぎてということもでき得るということになっているので、あえて、やはりDV法に関しても、子供に関しては是非、未成年に限るという言葉はなくしていただきたいなということを重ねて申し上げたいと思います。
親からの虐待のみならず、兄弟間でも被害が起きている現状もございます。DV防止法、児童虐待防止法、ストーカー規制法、様々、時代に合わせてアップデートしてくださっていますが、実は抜け落ちているケース、特に、家庭内暴力の中での兄弟間とか、親族間とか、そういうケースがあるのではないかという思いは持っておりますので、是非、これらの法律の運用の中身、それから、こういう方々が抜け落ちないように、この点も私としてはしっかり注視をしていきたいと思います。
それから、保護から先の自立へ切れ目ない支援をお願いしたいと思っておりますが、民間シェルターや伴走型の支援には、民間団体の力は必須でございます。困難を抱える女性支援法もできておりますので、この点、実効が上がることを期待したいと思いますが、やはり民間支援団体の財政的援助、これも不可欠だと思います。是非この点も明記するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 DV被害者等の保護や相談、自立支援等を行う民間シェルターにつきましては、先ほども申し上げたように、リモートで見学をさせてもらって、支援に携わっている方々と意見交換もさせてもらいました。印象を受けましたのは、民間シェルターの方々が被害者に寄り添ったきめ細やかな支援をされていることでありました。
配偶者暴力防止法第二十六条におきましては、「国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。」と規定されており、この必要な援助には財政的な援助も含まれているものと理解をしております。
民間シェルター等は、地域におけるDV被害者支援に重要な役割を担っている一方で、財政面や人的基盤の不足、行政との連携不足といった課題を抱えておりますことから、内閣府では、先ほども申し上げたように、令和二年度から、交付金を交付することによって、地域におけるDV被害者支援の強化に取り組んでまいりました。
今後とも、民間シェルター等と連携してDV被害者支援に取り組む都道府県等の支援に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。
○岡本(あ)委員 よろしくお願いします。
前半に申し上げましたけれども、保護命令が出るまで十二日間かかる、その間に更なる被害を受けるおそれがあると、やはり逃げなきゃいけない、そういうケースがございます。民間の支援団体は、制度に乗らなくても、緊急的な保護をサポートしてくれたり、いろいろな情報を下さったり、着のみ着のまま逃げてきちゃった場合、本人に金銭的負担もお願いできない場合、団体がそれこそいろいろな寄附をいただきながらサポートをしている事例もございますので、柔軟に動ける、制度のはざまで漏れた場合の被害者を救済できる、そういう動きもできるということを是非念頭に置いて支援をお願いしたいと思います。
そして、被害者の保護と自立に向けた、住まい、それから就労、経済、養育のための支援メニューというのも被害者に対しては必須でございます。
この点について、具体的な支援メニューがありましたら御提示いただきたいと思います。これは内閣府にお願いします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
被害者の自立を支援し生活再建を図りますことは、被害者の泣き寝入りを防ぐためにも、被害者が展望を持って生活するためにも重要でございます。
本法案は、被害の発生から生活再建支援に至るまで切れ目ない支援を可能とするべく、被害者の自立支援、そして、そのために必要となる多機関連携を基本方針及び都道府県基本計画の必要的記載事項として追加するとともに、多機関連携の場として協議会を法定化することとしております。
さらに、委員御指摘のとおり、自立への支援メニューは多岐にわたっております。このため、内閣府においては、本年三月、被害者の生活再建支援を強化するため、被害者が利用できる経済的支援について一覧表に整理し、各都道府県の配偶者暴力相談支援センター主管部局に対して周知を行っております。また、就業、住宅、子育てなどの分野におきます支援策につきましても、各制度所管府省から関係機関等へ発出されております通知の概要を整理して、各都道府県の配偶者暴力相談支援センター主管部局に対して通知を発出しております。
このような取組を含めまして、引き続き、しっかりと被害者の自立支援を図ってまいります。
○岡本(あ)委員 よろしくお願いします。
今回、法改正の中で、被害者御自身が所有をしている住宅であれば退去命令をする期間を長くすることができるということが法改正の中にありましたけれども、結局は、被害者が加害者から逃げることが前提になっています。所有者が配偶者、加害者の場合は、当然、いられない部分がかなり限定をされて、やはり逃げなきゃいけないということになります。
今ほど自立のためのメニューをいただきましたが、まず居所を変えなきゃいけない前提になっておりますし、子供が一緒の場合は、子供の転校や生活環境の変化も被害者側が負わなければならないという状況です。
被害者所有でなくても引き続き居住できる制度にするべきだと思いますし、逃げなくてもいい、被害者がいろいろな苦労をするということではないDV防止策を更に強化していただきたいということを最後にお願いを申し上げたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
○小倉国務大臣 岡本委員御指摘のとおり、今回の法案におきまして、退去等命令の期間について、住居の所有者又は賃借人が被害者のみである場合において、被害者の申立てがあったときには六か月間とする改正を盛り込んでございますが、今回の法案で一律に退去等命令の期間を伸長することとはいたしておりません。
ただ、二か月間を超えて退去等命令が必要な場合には、退去等命令の再度の申立てを活用することもできますので、退去等命令の再度の申立ての要件であります、被害者が住居からの転居を完了することができない事情に該当する場合として、例えば疾病又は負傷のため転居することが困難なとき、子の就学に著しい支障が生じるとき、親族の介護に著しい支障が生じるときが考えられる旨を、今後、基本方針において整理をさせていただきたいと考えております。
○岡本(あ)委員 細かい点、幾つか確認をさせていただきました。
法律が時代に合わせて動いてきているということは重ねて評価を申し上げ、更に時代を先取りできるように、被害者が逃げたり、あるいは救われない人が一人でも少なくなること、このことを願って、質問を終わります。
ありがとうございました。
○大西委員長 次に、堤かなめ君。
○堤委員 立憲民主党の堤かなめでございます。
DV法の改正につきましては、参議院において、衆議院に先立って議論が行われました。また、本委員会でのこれまでの質疑もございましたが、外国籍のDV被害者への支援については議論がございませんでしたので、この点に絞って質問させていただきたいと思います。
一点目に、DV被害者への安定した在留資格の保証についてです。
外国籍の方々へのDVの防止と被害者保護のため、被害者の安定した在留資格が必要であることは、人種差別撤廃条約委員会や女性差別撤廃条約委員会などから繰り返し勧告が出されてきました。しかしながら、DVから逃れるために配偶者と別居や離婚した外国籍の被害者の場合、日本で定住する道筋が非常に狭いというのが現状です。
例えば、日本人の夫や妻との間の日本国籍の子供や、日本で育ち、母国語を使えず、今後も日本で暮らしたいと願っている子供を残して被害者が母国に帰ってしまえば、もう二度と、一生この子に会えないということになる、そういった事情から、何としても日本にとどまりたいという思いを強く持たれる方もおられます。
また、母国には既に家族がいない、働くところもないなど、母国に帰国できないなどの事情を抱えた外国籍の方は、たとえDVを受けていても、その被害を耐え忍ぶしかないという非常に過酷な状況に陥ってしまいがちです。
そこで、このような事態を防ぐため、DV加害者である配偶者から在留手続に関する協力を得られない外国人のDV被害者が在留資格の更新や在留資格の変更手続を行う際にどのような配慮が可能なのか、教えてください。
〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、在留期間の更新又は在留資格の変更の申請があった場合には、申請人の活動内容等が在留資格に該当することに加え、それまでの在留状況等を総合的に勘案し、在留期間の更新又は在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに許可することとしております。
ただいまお尋ねございましたDV被害者から在留期間更新許可申請等がなされた際に、DV加害者である配偶者から在留手続に関する協力が得られない場合には、個々のDV被害者の状況に十分配慮しつつ審査を行い、柔軟に対応しているところです。具体的には、DV加害者である配偶者から協力を得ることが困難であるとして申請に係る立証資料の一部が提出されない場合には、その他提出された資料により審査を行い、所要の在留資格を付与することとしております。
○堤委員 DVの加害者からの協力が得られない場合、資料の提出などの協力が得られないというときでも、適宜、状況をきちんと勘案して、きちんとした御配慮をいただくということだと思います。
それでは、二点目に、入国管理の際の、在留資格を問わない保護と救済について質問いたします。
スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが、二〇二一年三月六日、名古屋出入国在留管理局の収容施設において三十三歳の若さでお亡くなりになりました。これまでにも、入管の収容施設では、医療放置に起因すると見られる死亡事案が幾度も発生し、そのたびに、内部調査が行われ、医療体制の見直しを始めとする再発防止策がうたわれましたが、またもや悲惨な事案が繰り返されてしまったことは残念でなりません。
また、ウィシュマ・サンダマリさんの場合、同居する同国人パートナーからの暴力を受け、救いを求めて警察に相談に出向いたにもかかわらず、在留資格がない状態だったため、保護ではなく、入管の施設に収容されてしまったとのことです。その後、入管でもDV被害を繰り返し訴えたのですけれども、DV被害者としての保護や支援を受けることはありませんでした。
そこで、このウィシュマ・サンダマリさん事件を踏まえ、在留資格の有無にかかわらず外国人のDV被害者も救済の対象とするよう入管の運用を改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
入管庁におきましては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針を踏まえ、内規であるDV措置要領を定め、在留資格の有無を問わず、日本在住の外国人をその対象としております。
その上で、ただいま委員より御指摘のございました名古屋事案に係る調査報告書におきまして、担当職員がDV措置要領の存在や内容等を認識していなかったことなどを指摘したことを踏まえ、入管庁におきましては、令和四年一月に、DV事案への職員の理解を深め、より一層適切に対応するため、専門家の意見等を取り入れ、DV措置要領の充実化を図る改定を行った上で、毎年実施しておりますDV事案への対応に特化した研修におきまして、DV措置要領について周知徹底しているほか、専門家による講義や実例を基にした事例研究を通じ、DV事案の認知手法等の習得及び職員の意識向上を図っているところです。
入管庁における外国人DV事案の認知件数でございますが、令和二年には百十件であったところ、令和四年につきましては、速報値でございますが二百四十九件に増加しており、これらの取組の効果が表れているものと考えております。
引き続き、在留資格の有無にかかわらず、外国人のDV被害者の立場に十分配慮しながら、個々の事情を勘案しつつ、適切な対応に努めてまいりたいと存じます。
○堤委員 ありがとうございます。是非、引き続き取組の強化をお願いいたしたいと思います。
三点目に、外国籍DV被害者への福祉的支援についてです。
支援現場においては、外国籍の被害者が在留資格を失っている場合、本来であればDV防止法における一時保護などの支援の対象となっているにもかかわらず、その後の自立支援に必要な福祉的支援のめどが立たないことなどを理由に一時保護など公的な支援を断られるケースが多々あると聞いております。
厚生労働省は、在留資格がない方の場合も、緊急に保護を要することが認められれば一時保護の実施が可能である旨通知をしている、さらに、婦人相談所ガイドラインにおいては、自立のめどが立たないことを理由に一時保護をしないという運用は行ってはならないという旨を明記しているとのことです。しかし、現実には、多くの支援窓口において、上記通知やガイドラインに沿った対応がなされていないというのが実態ではないかと思っております。
DV法二十三条、「職務関係者による配慮等」では、「被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。」と明記されています。この条文に、在留資格の有無にかかわらずという文言も入れるべきと考えますが、もしその改正がかなわないとすれば、在留資格の有無にかかわらず被害者として扱われることを更に周知徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○和田副大臣 お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法においては、職務関係者は、被害者の国籍を問わずその人権を尊重しなければならないこととされております。先ほどの御指摘のとおりでございます。また、在留資格の有無を問わず、日本在住の外国人の被害者も法が対象とする被害者に含まれております。
委員の御意見もしっかりと受け止めて、法案をお認めいただいた暁には、外国人の被害者の保護等について、運用上更に何が必要か精査の上、基本方針の活用等も含め、必要な対応を図りたいと考えております。
○堤委員 あわせて、在留資格の有無、法的地位にかかわらず全ての被害者に迅速かつ適切な援助、支援サービス、保護が提供されることを確保するため、基本方針や基本計画への明記が必要と考えておりますので、その点について要望しておきたいと思っております。よろしくお願いします。
次に、矯正教育についてお聞きします。
矯正教育とは、非行や犯罪を犯した者を矯正して、直して、社会に復帰させるという教育のことです。この矯正教育の充実は、DVや、DVに含まれる性暴力の予防、加害者にも被害者にも傍観者にもならないための教育という点からも重要と考えております。
資料を御覧ください。タイトルは、「男子少年院における「生命(いのち)の安全教育」について」というものでございます。
この資料の提供をいただいたのは、元福岡少年院長の渡辺玲子氏でございます。この渡辺玲子氏の略歴につきましては、裏のページにありますように、三十六年間という長きにわたって、法務省矯正局所管の矯正施設、いわゆる少年院において矯正教育や社会復帰支援の現場で指導に当たってこられた専門家の方でございます。
まず、この資料提供の趣旨について、最初に、こちらに書いてありますので、読み上げたいと思います。
男子少年院には、強制性交や強制わいせつ、今国会で刑法が改正されれば不同意性交罪、不同意わいせつ罪に変更となるわけでございますが、これらの性犯罪を行って入院した人もいれば、特殊詐欺や窃盗、傷害、大麻等の薬物事案で入院している人もいます。前者は性犯罪を防止するためのプログラムを受けますが、後者については性に関する特別なプログラムが現在用意されているわけではなく、各少年院で工夫した授業が行われたり、少年院の矯正教育全般の中で各自よりよい生き方を学び取っていくような仕組みになっています。
しかし、そういった人の中にも、女性に対し暴力的支配を行ったり、女性を商品のように扱う業務に従事してきたりした人はいます。人と、支配、被支配ではない関係を築くことについて、教育を受ける機会を逸してきた人も少なくありません。
そんな中、在院者を対象に以下のような授業を実施し、意義があったので紹介します。
現在、福岡県では、性暴力対策アドバイザー派遣事業として、小中高校に講師を派遣し、出張授業が展開されています。本年度からは全ての公立の小中高校が対象です。学校での授業を受ける機会を逸しがちな少年院在院者に、同様の授業を必須で行うことは意義があると考えます。
また、少年院の法務教官が少年にとって日常の生活レベルで様々な価値規範のモデルとなっていることを考えると、受講する少年だけでなく大人も共に受講し考える機会となることは、一層意義があると思います。
ということで、実施の概要が一番から九番まで書かれておりますが、これはちょっと、時間の関係上、読み上げません、省略させていただきます。
また、十の在院者の感想、そのような授業、生命の安全教育を受けた感想について読み上げさせていただきたいと思います。
他人の気持ちだけでなくて自分の気持ちも大事にしていいんだと思った。
同意について、確認し合える関係をつくることが大事と言われ、そのときはよく分からなかったが、今考えると、確認し合っても雰囲気や関係性が悪くならないような関係をつくることが大事という意味だったんじゃないかと思う。そういった関係を築くことができないことも自分の非行の原因につながっているのかと思った。
自分と相手の境界線って大切だと思った。振り返ってみると、自分がされて嫌だったことを人にしたこともあって、それは相手の境界線に勝手に入ってしまっていたのだと思う。また、男は自分の問題は自分で解決すべき、怖いと思っても強く振る舞うべきといった思いがある。変なプライドを捨てて自分に素直になることも大切だと気づいた。
パートナーとの性的同意を紅茶に例えた話が物すごく分かりやすく、印象に残った。境界線の話では、過去の出来事を思い出していろいろ考えさせられた。
セックスについて真面目に考えたのは初めてだった。相手の嫌を受け入れることは相手を大切にしているという話もあって、そういった考え方を大切にしていこうと思った。
境界線は、目に見えなく、人それぞれ。今まで私は、分からないから、こうなんだろうと自分の思いを押しつけていた。そのせいで人を悲しませてきたのに、それにも気づかず、何か悪いことしたっけと思っていた。自分と人はそれぞれ考え方が違うということをしっかり考えないといけないと思った。
といった感想が寄せられているということでございます。
長々と紹介させていただきましたけれども、これについて、このような少年院の取組、生命の安全教育について、どのような感想を持たれ、どのような評価をされるのか、お聞きしたいと思います。
○門山副大臣 少年院においては、在院者の非行名が性非行に該当する者などに対しては、性非行防止指導として体系的なプログラムを実施し、自己の性非行に関する認識を深め、性非行をせずに社会で適応的な生活を送る方法を身につけさせる指導を行っているほか、非行名が性非行以外の在院者につきましても、社会での生活状況など、在院者の実情を踏まえ、各少年院ごとに性に関する指導を行っているところでございます。
委員御指摘のとおり、少年院在院者には、性や性暴力に関する知識や認識が乏しい者が少なくないものと承知しており、福岡少年院のような、関係機関と連携した取組について、各少年院が実施し、在院者に性に対する正しい知識を身につけさせることは、出院後、健全な社会生活を送るために重要であると認識しております。
○堤委員 このような教育が重要であると認識いただいているということで、大変心強く思います。
そこで、全国の少年院に在院する少年たち全員が矯正教育の中で生命の安全教育を受講できるようになれば、少年たちの社会復帰に資するのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○小山政府参考人 お答えいたします。
少年院におきましては、少年院に送致されることとなりました事件の本件非行を惹起した者のうち、性非行の原因となる認知の偏り又は自己統制力の不足が認められる者に対します性非行防止指導というもの、それから、本件非行が性非行以外の在院者に対しましても、その必要性や特性等、在院者の実情に応じまして、集団又は個別によって実施をする性に関する指導を実施するなど、在院者の性や性暴力に関する知識や認識に関する指導に取り組んでいるところでございます。
ただいま御指摘のありました、文部科学省それから内閣府が連携して作成されました生命の安全教育につきましては、性に対する誤った認識や行動、性暴力が及ぼす影響などに関しまして在院者の理解を促進する上で有効な教材であると考えられますことから、法務省といたしましては、関係省庁と連携し、各少年院において活用が図られますよう、今後、生命の安全指導につきまして各少年院に周知してまいりたいと思っております。
○堤委員 各少年院に周知を図っていただけるというお答えでございました。
先ほどお答えにもありましたが、文部科学省は、内閣府と共同で生命の安全教育の教材や手引を作成し、その周知や展開を図っていると聞いております。
矯正教育の更なる充実のため、省庁の垣根を越えて、法務省とも連携し、生命の安全教育を広めていただければと思います。文科省にお聞きします。いかがでしょうか。
○里見政府参考人 お答えいたします。
文部科学省では、子供たちを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育を全国の学校で推進しているところであり、幼児期、小学校、中学校、高等学校など発達段階に応じた授業用のスライド教材や動画教材、児童生徒から相談を受けた際の対応のポイントや指導上の配慮事項等をまとめた指導の手引、さらには各段階の指導内容等に関する教員研修動画等を作成しております。
これらはホームページ上で公開をしており、少年院等矯正教育の場においても実情に応じて活用いただくことが可能となっております。
今後も、法務省の求めに応じまして、生命の安全教育の最新の取組を情報共有してまいります。
○堤委員 ありがとうございます。連携していただけると期待しております。
少し、本筋ではないんですけれども、矯正という言葉自体、今の時代に合っているのかという疑問もございます。矯正教育の内容とともに、例えば社会復帰支援教育などへの名称の変更も御検討いただけたらと思っております。
また、少し時間がありますので、最後に内閣府に一点要望させていただきたいと思います。
薬物を使った性犯罪対策についてでございます。
最近、報道がございまして、性犯罪の被害を裏づけるため、尿に含まれる睡眠薬などの薬物成分について数分で検査できるキットを警視庁が全国で初めて開発したとのことです。警視庁捜査一課が民間企業と協力して開発したこの検査キットは、先月から本格的に導入されまして、島嶼部を除く都内の全警察署に配られるというふうに聞いております。
性犯罪、性暴力の根絶に向けまして、全国の都道府県警においても警視庁と同様に検査キットの活用がされるように、内閣府からも働きかけをお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それから、これも要望でございます。
福岡少年院で実施されました生命の安全教育は、元々、二〇一九年、四年前に福岡県議会で議員提案条例として成立いたしました「福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例」、いわゆる性暴力根絶条例に基づいて実施されたものでございます。そして、福岡県内では小学校、中学校、高校、全ての学校でこれが実施されておりまして、非常に多くの人たちが受講し、そして、先生たちからも、また生徒からも非常に好評といいますか、本当にこういったものが大事だと。
そして、この国会では、先ほども申し上げましたように刑法の改正がなされると思っております。その中で、同意ということが非常に大切というふうなことも議論されております。刑法が変わったということを周知するということ、そして、同意が大切だということを、本当にたくさんの、知らずに被害者になったり加害者になったり傍観者になったりするということがないように、この生命の安全教育、事件が起こってしまったら、被害者も加害者もその後の人生が大変なことになりますので、この予防教育というものを本当に省庁連携いたしまして広めていただきたい、そのことが一番大切なのではないかというふうに思っているところでございます。
このことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○宮路委員長代理 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。
配偶者からの暴力及び被害の保護等に関する法律の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。
今日は、質問事項が非常に多い割に時間がちょっと少なめという状態ですので、たくさん行かせていただきたいと思います。是非、小倉大臣にはちょっと想像力を働かせてお答えいただきたいなと思います。
まず、配偶者暴力相談支援センター、配暴センターについてお尋ねをします。
まず、DVの被害者が一番最初に避難する先として考えられております配暴センターですけれども、これはどこにあるか、教えてください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者暴力相談支援センターですけれども、本年四月一日現在、全国に三百十一か所ございます。都道府県が設置したものが百七十三か所、市町村が設置したものが百三十八か所でございます。
これらの配偶者暴力相談支援センターは、それぞれの地域の実情に応じまして、婦人相談所のほか、男女共同参画センター、福祉事務所、児童相談所、市役所等がその機能を担っております。
内閣府では、国民の皆様がお住まいの地域の配偶者暴力相談支援センターの情報にアクセスできますよう、地域別に整理した一覧表を作成し、ホームページに掲載してございます。
○堀場委員 ありがとうございます。
多分、いただいた資料の中で、だあっと一覧になっている、都道府県ごとにどこにあるのかというのが、調べれば分かる状態にあるんですけれども、それって本当にDVの被害を受けている方が行けるかなというのがまず一つ目の疑問です。
配暴センターに、被害が少ない初期の段階から相談に行くことができればいいと思うんです。だけれども、DVというのは徐々に徐々にというところが非常に大きいですから、初期の段階から相談に行くのかな、気軽に相談に行くかなというのが一つ疑問です。
設置に関し配慮が必要だと思います。というのは、どこにあるかが分からない、分かりづらいという意味で配慮が必要だと思うんですけれども、大臣の御所見をお願いします。
○小倉国務大臣 内閣府では、DV被害者の方にでき得る限り早期に気軽に御相談いただけるよう、配偶者暴力相談支援センターの全国共通の短縮番号でありますシャープ八〇〇八を、「はれれば」の語呂合わせで周知を図っているところであります。また、令和二年度からは、新たな相談窓口といたしましてDV相談プラスを設置をし、二十四時間の電話対応等を行っております。
こうした中、例えば、これってDVなのでしょうかと相談をされる方もいらっしゃると承知をしております。片や、堀場委員の御指摘のとおり、被害を受けてもなかなか相談ができない被害者の方も少なくないと認識をしております。
また、被害者には、男性、先ほどありました外国人、障害者、高齢者等様々な方々もいらっしゃいます。こうした方々もためらうことなく相談ができ、必要な支援が行き届くよう、施設の設置や整備、相談の対応、情報提供等の面におきまして、様々な被害者の立場に寄り添った配慮が行われるように促してまいりたいと思っております。
○堀場委員 DVというのは種類があると思うんですけれども、例えば、結婚して最初の頃に暴力を、一発ぐらいがんと、殴られるのか蹴られるのか分からないんですけれども、あった。だけれども、しばらく何もなくて、ああ、何かあれはなかったのかなと思っていた。けれども、徐々に、年を重ねるごとに、言葉がとてもきつくなってきたな、あれっ、何か駄目なんじゃないかな、子供ができても、ああだこうだと、こういうふうになっていくという、長い期間、スパンの中で、DVというものが、本当に支配的な感じというか、言い方はよくないかもしれないですけれども、精神的に非常に重いものを背負わされるような、そういったものになるというのがDVの非常に大きな課題だった。今回、それが改正の中で精神的暴力という形で表現されるようになったんですけれども、そういう、徐々に入ってくるものなんですよね。
そういった状況の中で、なかなか相談に行けない、というか、相談していいものなのか、そして、全然知らない人に相談できるのか。役所の中に何かお部屋があって、そこに到達するのも結構大変というような状態の自治体もあります。それで、婦人センターと書いてあるから男性は入りづらいです。
そういった様々な、相談がしづらい現状があって、電話でできればいいかもしれないんですけれども、ずっと監視されている状態だとなかなか電話もできない。そういったこともあるというふうに、実際に被害を受けている人の方から見たら、本当に相談しづらい状況に現状があるのだということを一つ御指摘をさせていただきたいと思います。
そして、やっと配暴センターにたどり着いた。それで、配暴センターというのは、これは本当にDVですね、大変だとなったときに、保護命令の申立て手続等を一緒にやってくれますかということをお尋ねしたいと思います。
弁護士に依頼したりとか、そういうことをお手伝いはしてくれると思うんですけれども、実際に、まず、弁護士費用が全くない方はとても多いと思うんですね。法テラスですと言われました、でも、法テラスは無償ではないです、立替え費用の償還がありますよね。終わったらお金を全部払わなきゃいけないというのが現状です。そういう状況の中で、経済的困窮をしている人がなかなか到達できないんじゃないかな。
じゃ、弁護士さんじゃなくて自分でやってみようという方がいたとしても、それは本当に複雑で難しい手続になっています。そういったものを一緒にやってくれることができるのか、若しくは、本当は代理申請と言いたかったんですが、それは難しいなと思っております。なので、この一緒にやってくれるのかというところをお願いしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法第三条第三項第四号では、配偶者暴力相談支援センターの業務として、保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡その他の援助を行うことと規定されております。具体的には、例えば、申立て先の裁判所や申立て書等の記入方法等について助言を行うといったこと、また、センターの体制等にもよりますけれども、申立人の裁判所への出頭に付き添うなどの支援を行うことも考えられます。
また、先ほど委員からは法テラスのお話をいただきましたけれども、内閣府といたしましても、法務省、法テラス、日本弁護士連合会との協議の上、三月末に所要の事務連絡を発出いたしまして、配偶者暴力相談支援センターと法テラス、弁護士会との連携の一層の強化を図っているところでございまして、こうした取組によりまして、被害者が必要な法律相談等につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
なので、個人情報関係があるので、連携もそうなんですけれども、私、これから話す話はいつも言っている話なので、小倉大臣はまたかというところかもしれないんですけれども、避難をしたり保護申立てをしたりするというのは、配暴センターだけじゃなくて、実は、配暴センターに相談に行くじゃないですか、そうすると、ああ、これはDVですね、一応、警察にも一緒に行きましょうということで、生活安全課に行ってくださいと言われることが多いと聞いています。それで、生活安全課に行ってまた同じ話をするわけですね。同じ話をするんです。そうしたら、ああ、お子さんがいらっしゃいますね、じゃ、今度、児相に行ってくださいと言われるわけですね。そして、児相に行くわけですよ。また同じ話をします。児相に行った場合は、もちろん子供からのヒアリング。警察でも恐らく生活安全課の中で子供のヒアリングはあるかもしれないですけれども、そういった様々なところで同じ話を何回も何回も何回もするんですね。それで、保護命令を出したら、裁判官の前に行って、すごく何かちょっと怖そうだなと思いながら同じ話をするということになります。
本当に、何度も何度も同じ話をしなければならない。そして、自分の被害が、たくさん被害の種類がある、六種類ぐらいDVは規定されているかと思うんですけれども、例えば性的な被害であった場合、何度も何度も同じことを、見ず知らずの、男性を含む、男性というか異性であったり、知らない人に、何度も同じことを言う。これって結構私はハードルが高いと思っているんですね。
何度も申し上げているように、窓口というのは一本化されるべきじゃないか。最初のファーストアクションは、最初の支援の入口はたくさんあってもいいかもしれないけれども、支援に到達したときには、ここは一本であるべきではないかというふうに考えております。大臣の御所見をお願いします。
○小倉国務大臣 配偶者暴力相談支援センターは、地方自治体が、それぞれの地域の実情を踏まえ、適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにしているものでありまして、各自治体の判断により、例えば福祉事務所や児童相談所が配偶者暴力相談支援センターの機能を担っている例も少なくございません。また、そうでない場合も含め、被害に遭った方々は大変厳しい状況に置かれておりまして、様々な支援を提供するに当たっては、関係機関がそれぞれの専門性を生かしつつ相互に連携をすることにより、できるだけ被害者の負担が軽減されるよう努める必要があるものとも考えております。
片や、堀場委員の問題意識のとおり、恐らく、DV被害に遭われた方は心身共にゆとりもなく、トラウマかもしれないそのようなプライバシーに関わる話をいろいろなところにしなければいけない、それだけで非常に心理的なハードルが高くなってしまう、そういったことも私としては十分に認識しているところであります。
そういった中で、今般の改正法案では、関係機関の連携協力について基本方針及び都道府県基本計画の必要的記載事項とするとともに、地域における協議会の法定化も規定をいたしております。
協議会の運用は、設置主体である都道府県等が地域の実情に応じて具体化することになりますが、配偶者暴力相談支援センターのほか、例えば警察や児童相談所なども念頭に、関係機関の間で機微にわたる情報も含めた情報共有の円滑化が図られるものと考えておりまして、こうした関係機関の連携強化が、窓口で赤裸々に説明をしなければいけないというような当事者の負担も含めて、個々の被害者の負担軽減にもつながるのではないかと考えておりますので、そういった負担軽減につながるように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
協議体の設置というのは、これもいつもお話をしているとおり、会議が多いんですよねというところなんですけれども、これは、児相は都道府県単位、配暴センターは基礎自治体が設置の単位だと認識しています。というところの、やはり個人情報の壁の差というのがあって、個人情報があってなかなか連携がしづらいという現状が現場レベルであると思うんですよね。
あとは、被害の人に最初にコンタクトした人と何か信頼関係ができたであったり、いろいろ話すことができた、でも、都道府県レベルの、そちらの方の相談に行くと、もうこの人の手を離れたので、なかなかこの人とは相談ができないとか、人間関係の中でお話ができたことであっても、そういう様々な、心理的だけではないいろいろなハードルがある。
配暴センターにたどり着いてから、保護命令というか、私たちの中で、わあっとなっていますよと言われる状況の中で、一番初期の、パニックになっているときに、ワンストップでさあっと行ってくれるとやはり非常に安心して、そして、ああ、私は救われていいんだというメッセージをいただいているような気になると思うんですよね。煩雑で、何個も何個もいろいろなところに行ってやっている、もう何だったんだろうというような状況を避けていかなければならないというふうに思っています。
なので、配暴センターは非常に重要ですし、ここが最初の助ける場所、実際に人と会う場所ですよね。電話相談ではなく、お顔を見て判断できる、そういった最初のステップですから、是非、ここの充実、そして、連携という形だけではない、物理的に一つになっていくという方向性も含めて、一緒に考えていただければなというふうに思っています。
その次に、やっと配暴センターで相談ができて、警察も行きました、児相も行きました、これは保護命令を申請しなきゃいけないなとなった場合についての質問をさせていただきたいと思います。
まず、保護命令の対象となる精神的暴力の定義を教えてください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
配偶者からの暴力は、一般に、身体的暴力のほかに、精神的、性的、社会的、経済的暴力に類型化されますけれども、いずれも、加害者が自己への従属を強いるために用いることが指摘されております。このような配偶者からの暴力の特殊性に鑑みると、生命や身体にとどまらず、害悪を告知することにより畏怖させる行為について広く対象にする必要がございます。
このため、本法案におきましては、生命、身体に加えまして、自由、名誉、財産に対する脅迫を受けた被害者についても接近禁止命令等の申立ての対象とすることとしたものでございます。
具体的な言動が脅迫に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断すべき事柄でありますけれども、例えば、自由に対する脅迫として、言うことを聞くと言うまで外に出さないなどと告げるような場合、名誉に対する脅迫として、性的な画像をネットで拡散するなどと告げるような場合、財産に対する脅迫として、被害者が大事にしているものを壊すなどと告げるような場合などが対象となり得ると考えられます。
○堀場委員 精神的暴力というのは、多分、身体的な、直接的な暴力とは違って、一回でアウトとなるのかなというのが、すごい思っているところなんですね。
これは非常に難しいなというふうに思っていて、まず、加害者の方が、加害者と設定される側の加害意識がない場合が非常にあるのかなと思っているんですね。というのは、言っている方はそんなに加害意識がないことを主張されるわけですね。多分、恐らく最終的にはそうなる。保護命令が出るときに、いや、そんなつもりで言っていませんということが起こる。それが、精神的暴力のときは非常に大きいんじゃないかな。
身体的暴力は、例えば傷痕があるとか打撲痕があるとか、様々なことで証拠になり得るものがあるんですけれども、この精神的暴力、録音したりとか、動画、録画したりとかというのも今はあるのかもしれませんが、加害意識がない場合の精神的暴力等の基準について教えてください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
接近禁止命令等の対象になります脅迫は、先ほど御答弁申し上げましたけれども、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫でございます。その告知される害悪の内容でありますが、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものであるということが必要でございます。
委員御懸念のような加害意識がない場合でありましても、具体的な言動が接近禁止命令等の対象となる脅迫に該当するか否かというのは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断することとなります。
○堀場委員 例えば、ふだん反社会的な人と全く接点がない人が、何か起こったときに、ちょっと大きく言って、そういう人たちにお願いしておまえの家族に危害を加えるぞみたいなことを言った場合と、実際にふだんからそういう人たちとおつき合いがある方が、俺はお願いしたらいつでもやってもらえるんだぞみたいなことを言った場合で、その言葉尻だけを捉えて判断してしまうと、表現、例えば文章に書いたら、歩いているときに気をつけろよとかいうのも、その前後ですごい恐ろしいことを言われた後に気をつけろよみたいに言われたら、それは脅迫に聞こえたりする。だけれども、文字に起こしたら、気をつけてねだったら、それは脅迫に該当しないじゃないかと。
でも、それの言葉が非常に怖かった、重かったという方がいらっしゃったとします。そういう事案というのはあると思うんですね。なので、そういう加害意識がない状態で言っているということが、状況が変わったり、その前後で非常に重要な意味を持つことになって、それで被害を受けていると主張する方がいらっしゃると思うんですね。
何でこんな話をしているかというと、保護命令が出たときに、裁判官の人がどうやって判断するのかなと思っているんですね。ふだんの関係性を全部知らないのに、例えば、向こうの関係性を幾ら説明しても、証拠がないですよねみたいになったときにどうやってこれを立証するのかなというのが、私の問題意識というか、そこを越えていかなきゃいけないと思っているということですね。
ストレス耐性というのは、言われても、大丈夫か大丈夫じゃないかというのは人によってすごく大きく異なると思っています。本人が平気だと考えていても、私はストレスは感じていない、大丈夫と思っていても、身体症状の方が先に出てしまうという方がいらっしゃると思うんですね。例えば、おなかがすぐ下っちゃうんだよねとか、そういったことなんですけれども。
様々な捉え方でこれを立証していかなきゃいけないというふうに考えています。大臣の御所見をお願いします。
○小倉国務大臣 今般、精神のみについて害が生じた場合についても対象と判断されるよう、重大な危害を受けるおそれが大きいの要件について、身体を心身に改正しております。
この心身の解釈についてのお尋ねだったかと思いますが、この要件は、先ほど来申し上げているように、個別具体的な状況に照らし裁判所において判断すべき事項だとは思いますが、身体に対する暴力等により、うつ病やPTSDのほか、適応障害、不安障害、身体化障害のような、精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えております。
このうち、ストレス耐性があって自覚症状がないんだけれども、ただ、身体的に症状が表れているというような、堀場委員御指摘のようなケースは、身体的な症状として表れるものとして、先ほど申し上げたもののうち身体化障害が該当するのではないかというふうに考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
これは、裁判官が判断することを私はここで延々と今やらせていただいています。それはなぜかというと、この法律を作ったときに、改正案をやっているときに、政府側若しくは私たちがどういう思いでこれを作っているのかというものをしっかりと残しておきたいという思いがあるんですね。
裁判官の人を疑っているわけではないですし、裁判官もきっと救うためにやってくださっていると思ってはいるんですけれども、それにしては保護命令が余りにも出ないというのが問題意識でした。ここで変わっていただかないといけないし、かといって乱発されても困るんですよね。だから、しっかりとここで線を引くという作業をしなければ、私たちは、例えば共同親権の議論であったり、そういったところに、次の議論に行けないなというのが私の、今の現状だと理解をしています。
なので、今、ここは非常に重要だと思っているので、何度もお答えをしていただいて申し訳ないんですけれども、もう一つ、性被害と保護命令の関係性についてどのように解釈をされているか、小倉大臣、お願いします。
〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
○小倉国務大臣 配偶者暴力は、加害者が自己への従属を強いるなどのために用いるという特殊性に鑑み、害悪を告知することにより畏怖させる行為として脅迫を対象としたものであります。
具体的な言動が脅迫に該当するか否かは裁判所が判断すべき事柄でございますが、自由に対する脅迫につきましては、性的自由に対して害を加える旨の告知も対象となり得ると考えております。また、名誉に対する脅迫におきましても、例えば性的な画像を広く流布させると告げる行為が名誉に対する害悪の告知と認められる場合には、こちらもまた脅迫に該当し得ると考えております。
○堀場委員 ここの部分というのは、夫婦間であっても性的な被害というものが存在するんだという認識をまず私たちは持たなければならないというところがファーストステップで、そのときに、先ほど立憲さんがやられていましたが、同意というのはどういうものなのかというところを次のステップとしなければならないんだろうなというふうに思っています。
夫婦間において、婚姻関係があるにもかかわらず性被害を訴えるというのは、それはどういう状態なのかなというお話を聞いたことがあって、夫婦なんだから、どっちかがお願いねとしたときには受けて当たり前なんじゃないのみたいな感覚がある、そういう夫婦のスタイルの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、様々な方がいらっしゃって、そのときはよかったんだけれども、後から、いや、実はあれは自分は同意はしていなかったんだということになって性被害を訴えることも可能になってくるというのがこれからの解釈なんだろうなというふうに思っています。
なので、そういったところで保護命令をどうやって出すのかなというのがまず疑問点であります。
もう一つ、次の質問ですけれども、一つ一つの被害はもしかしたらすごくちっちゃいかもしれないと私は思っているんですね。日々の積み重ねなんですよね。だから、それを、積み重ねを全部裁判所で言うことはできない。でも、一つ一つ小さな事案が重なって、それが被害、様々な、先ほど六つの定義だったと思いますけれども、それぞれが小さな小さな性被害、本当は嫌だったんだよねという部分を積み重ねていくことで保護命令の対象となるのかどうか、教えてください。
○小倉国務大臣 個別の事案における証拠に基づき、具体的な言動が脅迫に該当するか否かについては裁判所が判断するべきものであることは御理解をいただきたいと思いますが、その上で申し上げれば、先ほど来申し上げているように、脅迫は一般に人を流布させるに足りる程度のものである必要がありますが、その害悪告知が人を流布させるに足りる程度のものであるかどうかは、害悪告知に至る経緯、加害者と被害者との関係、被害者の心理的状況などの個別的事情をも考慮に入れることになると考えております。
したがいまして、配偶者からの暴力は複数の行為が継続的に行われることが多くあり、たとえある行為が脅迫に該当しない場合であっても、他の行為が脅迫に該当することは十分想定されると考えております。
○堀場委員 脅迫に想定されない行為が、でもそれは受ける側としては心理的なちょっとしたストレスが発生する、これの回数が異常に多いということも恐らく対象になるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、それで大丈夫ですかね。
○小倉国務大臣 先ほども申し上げたように、ある行為がそれ自体脅迫に該当しない場合であっても、複数の行為が継続的に行われて、それを一体として見て、先ほども申し上げたように、一般的に人を流布させるに足りる程度のものであった場合には、それもまた脅迫に該当するのではないかと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。そのお答えが欲しかったです。済みません。
その次、保護命令の申立てをしてから保護命令が出るまで十二日間というのは非常に長い、先ほどの方も御訴えはあったと思うんですけれども、これは長いと思っているんですね。なかなかこの判断が難しいというのは分かるんですけれども、被害者の方から見れば、十二日間、とても長いです。じゃ、十二日間どこにいるの、私はどうすればいいの、この間はどうすればというのが非常に大きな思いだと思います。
この十二日間を何とかしたいなというところなんですが、仮命令等のそういった処置というものはお考えになられていませんか。お願いします。
○小倉国務大臣 答弁させていただく前に、先ほど、人を畏怖させるに足るというのを流布と言ってしまったようで、畏怖に訂正させていただきたいと思います。失礼いたしました。
仮命令についてでありますが、保護命令制度は、命令を受けた者への権利制限を伴うものでございます。この仮命令等につきましては、具体的な在り方について様々な御議論、御意見があることは認識しておりますが、命令を行う主体をどうするか、その際の適正手続の確保をどうすべきか、また、命令違反を行った場合に罰則を科すことができるかなど、憲法が求める適正手続の要請との関係も含め、極めて慎重である必要があると考えております。
先ほども申し上げた中で、そうした中で、行政府といたしましては、配暴センターにおいて保護命令制度の利用に関する情報の提供、助言等の援助などを行うこととしておりまして、その際、証拠書類の収集の負担が保護命令の申立ての支障になることを避ける必要があると考えておりまして、また、申立ての段階から必要な情報を裁判所に提出することで迅速な裁判に資するものと考えておりますので、こうした取組によりまして、保護命令の申立てを行う被害者に対する支援に努めてまいりたいと考えております。
○堀場委員 何で仮命令という話をしたかというと、逃げてきた人はお金がないパターンが非常に多いなというふうに思っています。そうなったときに、家から出てきて保護命令申立てをしている間にも金銭的な困難さを抱えている場合が非常に多いですし、ちょっと、次と二つまとめて言ってしまうんですけれども、保護命令が出れば児童扶養手当は支給されるんですけれども、保護命令がなければ、離婚が成立するまで児童扶養手当はもらえていないのが現状だと思います。
これはもらえるようになっているかとか、そういったお話がちらっとあったんですけれども、離婚まで時間がかかることが多いDV事案に対してどのような支援があるのか、こども家庭庁さん、お願いしてもいいですか。
○浅野政府参考人 お答えさせていただきます。
委員御指摘のように、配偶者暴力防止法に基づく保護命令を受けることが、幾つか掲げられている児童扶養手当の支給要件のうちの一つとなっております。
このほかの支給要件の一つに、遺棄というものがございます。父又は母による現実の扶養を期待することができない場合はこの遺棄に該当し得ることを、昨年、通知により明確化したところでございまして、保護命令が出る前であっても、一年以上遺棄されている場合には児童扶養手当の支給対象となり得るものと考えております。
また、児童扶養手当以外の支援ということでございますが、一人親の方々について規定している母子父子寡婦福祉法におきまして、遺棄された時点から一年以上その状態が継続すると見込まれるときには一人親に当たるとしておりまして、その旨、本年三月に改めて周知を行ったところでございます。
このため、保護命令が出る前であっても、この法律でございますとか予算事業によりまして、一人親支援策の対象となり得るものと考えております。
具体的には、一人親家庭の支援のために、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度によります生活資金等の貸付け、それから、ひとり親家庭等日常生活支援事業によるヘルパーの派遣でございますとか、母子・父子自立支援プログラム策定事業による自立、就業支援など、様々な事業を実施しているところでございますので、配偶者からの暴力による被害者の方の支援につながるよう取り組んでまいりたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
同じように、男女共同参画局さんも支援メニューがあるとお聞きしているので、お願いしてもいいですか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
被害者の自立を支援し生活再建を図ることは、被害者の泣き寝入りを防ぐためにも、被害者が展望を持って生活するためにも重要でございます。
今、こども家庭庁さんから御答弁がありましたけれども、それに加えまして、被害者が利用できるメニューとして、例えば、家計の急変に対応するもの、また、犯罪被害者に対するもの、一定の所得基準以下の方に対するもの、あとは、先ほど御答弁あった一人親に対するものなどがございますけれども、内閣府においては、今年の三月、被害者の生活再建支援を強化するために、被害者の方が利用できる経済的支援について一覧表に整理いたしまして、各都道府県の配偶者暴力相談支援センターの所管部局に対して通知を発出しております。
こうした取組も含めまして、しっかりと被害者の保護を図ってまいりたいと存じます。
○堀場委員 ありがとうございます。
この法律案の改正によって、いろいろ変わることがたくさんあると思うんです。それを是非周知していただいて、まず運用の段階でどれだけの人がお救いできるのかということ、そして、今回、加害者プログラムについて何もなかったというのは非常に残念だと思っておりますので、その点も継続して目指していただければなと思っております。
本日はありがとうございました。
○大西委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、DV被害防止法の審議ということで、時間が十三分しかございませんので、早速質問に入りたいと思います。
今日は、まず最初は、この法案の第五条の二では、都道府県に対して、協議会の設置に対する努力義務というのがかけられております。一方、市町村に対しては、できる規定というふうになっております。
最近のDV発生件数というのが年々増加の一途をたどっておりまして、今日の岡本委員の資料にもありましたが、本当に毎年毎年、前年を上回る相談件数が出ている。それだけ各自治体においても様々な相談案件が来ているということだと思うんですが、やはり、DV事案に対して迅速かつ的確に対応するためには、私自身は、これまで都道府県が主として対応してきた体制から、市町村が主として対応する体制にこれからだんだん移行していくのではないか、そうしないと現場に近いところで適切な対応ができなくなってしまうのではないか、そのように感じております。
その観点からいくと、市町村に対してできる規定とした今回の法案の中身については、少し政府の考えを聞く必要があるかなというふうに思っておりますので、まず、私自身は、市町村についても協議会の設置は努力義務規定とすべきだという考え、立場でありますが、今回できる規定とした理由について、政府に伺いたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今般の法案におきまして、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会につきまして、市町村は組織することができる旨の規定としております。
このように規定いたしました趣旨は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策については、都道府県における配偶者暴力相談支援センターが中心的な役割を担っていること、また、基本計画につきましても、都道府県は基本計画を定めなければならないこととされている一方で、市町村は市町村基本計画を定めるよう努めなければならないこととされていること、地方分権の観点からは義務づけは必要最小限にすべきことなどによるものでございます。
その上で、都道府県が設置します法定協議会に市町村の関係機関の参加を促すこと等によりまして、現場での被害者へのきめ細やかな支援につなげていきたいと考えております。
○浅野委員 今答弁いただきましたけれども、やはり私が懸念しているのは、これから精神的なDVも対象に加わるということで、更に相談件数、該当件数というのが増えていくのではないか。そして、今本当に若い世代が割合としては多いわけですけれども、これから被害が発生する年齢層の多様化というのも進むという懸念がございますので、そういった観点からすれば、今、基本計画はこれまで県が中心的役割を担ってきたからとか基本計画を作るのが都道府県だからという、今を基点とした発想ではなくて、これからどういう状況になるかを見通して、自治体、地方公共団体側もちゃんと受入れ体制を整備していかなければいけないと思うんですね。
事後的に追随していくのではやはり遅いので、これは未然防止が何よりも大事ですから、今後の検討の中では、市町村のより主体性発揮というものを是非念頭に置いて議論をしていただきたいということを要望させていただきます。
次の質問なんですが、協議会を設置した場合に地方公共団体がその旨を公表することになっておりますが、どういうふうに公表するのか、伺いたいと思います。
この公表することの狙いというのが何なのか、よく分からないんですね。これまでの議論もありましたが、例えば、配偶者暴力相談支援センターですとかというのはあるわけです、もう公表されておりますから。協議会を都道府県なり市町村が設置したことを公表することによってどのような環境改善を引き起こしたいのかという、この狙いがよく分かりません。どういう効果を生むものなのか、そこも含めて御答弁いただければと思います。
○岡田政府参考人 今回、協議会を設置すると、設置した地方公共団体はその旨を公表するということとさせていただきました。公表することによって、まず見える化を進めるということでございます。
協議会が組織された、どういうふうにやっていくかということでありますけれども、例えば、地方公共団体の広報への掲載、インターネットの利用、その他適切な方法によるということで想定しておりますけれども、内閣府といたしましても、内閣府のホームページなどで、全国的に法定協議会がどのように設置をされているかということを把握して、公表の在り方も検討していきたいと考えております。
先ほど申し上げましたように、設置していただいたものを公表していただくということで、まず、皆様方に、特に地方公共団体の方が、あるのかどうかということの情報提供にもつながると考えておりますので、公表するということでございます。
○浅野委員 私が疑問に思ったのは、協議会というのは、直接被害者の方がそこの協議会に行って何か相談をするとかそういうものではなく、地方公共団体の中でDV被害にどう対応するべきかというのを協議する場だということなんですね。ですから、公表することによって、今答弁いただいたように、DV被害を受けている方が、この地域にはDV被害者を支えるための協議会があるんだなというのを認知するためというのはあるんでしょうけれども、恐らく、この協議会に参画する方々を募るためにも、この地域にはこういう協議会がありますよというのを周知する役割もあると思うんですね。
ですので、実際の、私もちょっと事前に幾つかの自治体のホームページなどを見て、この協議会が設置された旨を公表されたページを探したんですけれども、残念ながら、限られた時間の中で見つけることができませんでした。という状況ですので、今、公表することが目的になっていて、余りそれが効果につながっていないというふうに思われますので、ここは是非、どういう成果につなげたいのかというのをしっかり検討いただいて、参画者を募るのであればしっかり、もう少し公表の仕方を工夫するとか、そういったところを是非御検討いただきたいというふうに思っております。
次の質問です。
今回、DV被害者に援助を行う婦人相談員というのが第四条に規定されておりますけれども、この婦人相談員というのは元々、売春防止法の中で規定をされておりましたが、売春防止法で規定されている婦人相談員にDV相談支援をしていただくというのがどうなのかという議論も先般ありまして、法改正が行われて、婦人相談員という名称が女性相談支援員に改められたりとか、あるいは、売春防止法ではなく、困難女性支援法の下で規定し直されるというような法改正がされるというふうに認識をしております。
質問なんですが、ただ、まだ、やはり、困難女性支援法の下で規定された女性相談支援員というのが支援をする方々の名称で、女性というものが非常に前面に出ている。一方で、近年、DV被害者の二割から三割は男性、相談してくる方々の二割から三割が男性ということも考えると、このような名称ですと、女性のための相談体制であるというふうに認知される可能性が非常に高くて、男性が相談しにくくなるのではないか、そういうような懸念もあります。
このことに配慮して、やはり名称を再検討したりだとか、あるいは何らかの対応を検討すべきではないかと思うんですが、政府の見解を伺いたいと思います。
○小倉国務大臣 委員御指摘の婦人相談員は、厚生労働省所管の困難な問題を抱える女性への支援に関する法律により女性相談支援員とされることになっており、その名称につきましては内閣府が改正の要否を検討すべき事柄でないことは御理解をいただきたいというふうに思っております。
その上で、性別にかかわらず、配偶者からの暴力は犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害だと考えております。
各地公体におきましては、それぞれの地域の実情に応じて、配暴センターにおいて専用の窓口を設けることや他の窓口の紹介など、配暴支援センターに限らず、何らかの形で男性相談に対応するとともに、男性相談についての周知を行っているものと承知をしております。
また、内閣府が実施をするDV相談プラスにおきましても、性別にかかわらず、DV被害の相談を受け付けてございます。
内閣府といたしましては、地域の実情に応じ、被害者の性別にかかわらず、相談しやすい環境の整備がなされるよう、引き続き推進したいと考えております。
○浅野委員 ありがとうございました。
時間がなくなってきましたので、次の質問に移ります。
先ほど堀場委員が最後に加害者プログラムのことにも言及されておりましたが、私も加害者プログラムについて質問したいと思います。
近年、加害者プログラムに関する調査研究事業が行われているんですが、対象地域や参加者が極めて限定的で、今後の調査研究事業について政府が今どのように考えているのか、まず伺いたいと思います。
○小倉国務大臣 まず、私どもの認識としては、配偶者暴力の被害者の中には、子の養育上の事情や経済的な事情により加害者と同居することを選択せざるを得ない方もおりますので、加害者への対応は被害者支援の一環として大変重要であると考えております。
委員御指摘の加害者プログラムにつきましては、令和二年度から四年度にかけて五つの都道府県等の協力を得て試行実施を行っており、それによって得られた知見に基づき、実施に当たっての留意事項を整理をして、都道府県等にお示しをすることといたしております。
その上で、内閣府からお示しをする留意事項も活用した各都道府県等での今後の実施状況を踏まえ、加害者プログラムの受講の在り方や全国での実施体制の在り方などについて検討を行い、全国的な実施に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
○浅野委員 是非、引き続き推進していただきたいと思います。
時間が参りましたので、最後、要望にとどめますが、この加害者プログラムは、実際にDVが発生した後の再発防止や更生プログラムの性格が強いんですけれども、先ほども申し上げたように、未然防止こそ大変重要だと思っております。例えば、DV加害者となりやすいリスク因子を早期に発見できるような取組を研究、推進するとともに、そのような傾向を発見した際の啓発事業なども充実させていただくことを最後に要望させていただいて、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○大西委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
配偶者暴力防止法改正案についての質問をいたします。
最初に、DV防止法の範囲に、デートDV、非同棲の交際相手からの暴力にも広げていく必要があるのではないのかということについてお尋ねしたいと思っています。
政府のワーキンググループの議論におきましても、デートDVについて相談が多いのは、私は自分のアパートに住んでいる、彼も彼のアパートに住んでいる、だけれども、ちょいちょい出入りしていて、私の鍵も彼は持っていて、夜中に入ってきていきなり性暴力を受けたりということがあって、一緒に暮らしていないけれども、暴力の深刻性については同居している交際相手とも全く変わらない。同居ではないデートDVに対しても保護命令の枠を広げてほしい。
このような深刻な実態を踏まえた見直しを行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 委員御指摘のいわゆるデートDVは重大な人権侵害であり、許されない行為と認識をしております。現行法におきましても、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力については対象となってございます。
その上で、このような関係以外の非同棲交際相手からの暴力につきましても、暴行、傷害、監禁、強要等の犯罪に該当し得るほか、ストーカー事案として相談支援の対象となり得ることを明らかにして周知啓発等を図るとともに、御指摘の一時保護も含めて、予防や緊急避難などについて必要な施策の整理を行い、デートDVにも対応したストーカー被害者支援マニュアルの改定を行い、本年三月に自治体等に配布をしてございます。
こうした取組により、まずは、いわゆるデートDVの防止や被害者の保護を図っていきたいと考えています。
○塩川委員 深刻な人権侵害を招くこのデートDVについて、ワーキンググループの議論でも多くの方がその点を指摘をされておられます。
生活の本拠を共にしていないからということで対応できないというのは非常にまずい。生活の本拠を共にする交際という部分の書きぶりを変えるなり、何らかの形で対応できる法制度にしていく必要があるのではないかとか、また、配偶者暴力という捉え方自体が大変狭い捉え方で、この法律ができた当初はまずここから出発するという必要性があったかと思うが、実態から考えると、デートDVの深刻性は軽く考えるべきではない。デートDVも入れるべきではないか。こういうふうに踏み込んだ対応こそ必要だと思うんですが、改めて、いかがですか。
○小倉国務大臣 委員にも御紹介いただきましたが、配偶者暴力防止法は、配偶者暴力が密室の閉鎖的関係において行われる暴力であり、外部から被害が発見されにくく、被害が深刻化しやすい等の特殊性があることをもって保護命令等の特別の制度が設けられており、交際相手全てをこうした特別な制度の対象に一律にすることは困難だと考えております。
ただ、一方で、先ほども申し上げたように、デートDVも重大な人権侵害であり許されない行為と認識をしておりますので、ストーカー被害者支援マニュアルの活用等により、まずは、いわゆるデートDVの防止や被害者の保護がどれぐらい図られているか、しっかりと注視をしてまいりたいというふうに考えています。
○塩川委員 親密な関係にある配偶者において、密室かどうかということに限定をせず、こういった被害を防止するしっかりとした措置を行うように、そもそもの防止法の趣旨に立った改正こそ求められているということで、是非、重要な課題として、見直しに向けた取組を求めていきたいと思っております。
次に、民間のDVシェルター支援に活用されています性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金、その配偶者暴力被害者支援調査研究事業についてお尋ねをいたします。
この事業について、二〇二〇年度から二〇二三年度の予算額がどうなっているのかについて教えていただけますか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府が実施します性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金の配偶者暴力被害者等支援調査研究事業における予算額でございますけれども、二〇二〇年度は約二・三億円、二〇二一年度は約三・四億円、二〇二二年度は約三・六億円、二〇二三年度には約三・六億円の予算を計上しております。
○塩川委員 今年度について、三・五億円とお聞きしたんですが。
○岡田政府参考人 言い間違えたようでございます。失礼いたしました。
二〇二三年度につきましては、約三・〇億円の予算を計上しております。(塩川委員「三・〇。三・五じゃなくて」と呼ぶ)三・〇でございます。
○塩川委員 昨年度は三・六億円、今年度は三・〇億円ということで、減っているわけですね。これでは支援の取組が広がらないのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二〇年度から二〇二二年度の三年間はパイロット事業といたしまして国が全額負担としておりましたけれども、都道府県等と民間シェルター等の連携が定着してきたなどの状況ですとか、他の交付金等の負担割合等を踏まえまして、二〇二三年度の実施に当たりましては、国の補助率を四分の三とした上で、事業規模を拡充したものでございます。
○塩川委員 今までは十分の十だった、それを今年度から四分の三にしたということで、ですから、地方公共団体が出す四分の一を含めれば総量は増えるだろうという話なんですけれども、実際、でも、十分の十が四分の三になって、地方公共団体の負担が発生するということで、自治体の取組が後退することにならないかという懸念があるわけです。その点をどういうふうに受け止めているのかということと、あと、大阪府の事例がこの点で課題ではないかと思っておるんですが、その点について確認したいんですが、大臣、分かりますか。
○小倉国務大臣 先ほど、これまで十分の十としたところを、今年度からは国が四分の三、地方公共団体が四分の一とさせていただいたところでございます。その理由は、都道府県等と民間シェルター等との連携が定着してきたなどの状況や、他の交付金等の負担割合等を踏まえたものということでございます。
この補助率の変更に当たりましては、地方負担分について特別交付税措置が講じられることとされておりますので、その旨、各都道府県等に通知をし、地方公共団体の取組が委員御懸念のように後退しないように努めているところでございます。
内閣府としては、地方公共団体による負担分も含めて、民間シェルターに行き届く必要な事業規模を確保することが重要だと考えておりますので、これまで以上に官民一体となって、より質の高い被害者支援が実施されるよう、必要な事業規模の確保も含めて努力をしてまいりたいと思っております。
なお、お尋ねの大阪府の事例につきましては、令和四年度に大阪府から申請がなされ交付決定された事業の一部について、令和五年度の申請では大阪市及び堺市から申請がなされた件であるとは承知しております。その経緯等につきましては、個別の自治体間の関係にも関する事柄でございますので、国の立場からお答えするのは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 全体として、そもそも、国の予算規模を増やせば更に大きく広がるわけですから、減らすのはいかがかというのは率直にあります。
それと、大阪府の事例ですけれども、私、お聞きしたところ、昨年度は五団体だったわけですね。府が直接支援するのが三団体で、市を経由したものが二団体だったんですけれども、今年度は府による直接の支援を取りやめて全て市経由の支援にしたところ、申請が一件しかなかったということなんですよ。
ですから、大阪府としての支援を取りやめたことと、支援の主体となる市の方が四分の一の負担を考慮して消極的になったことが背景にあるんじゃないのか。単に、政令市、大阪市や堺市に移行したというだけではなくて、一般市において今までやっていたような民間シェルターへの支援というのが、一般市が四分の一の負担をするということをもって民間シェルターへの支援に消極的になっているというのが、申請が一件というところに表れているんじゃないのか。
こういう実態についてリアルに把握する必要があると思うんですが、そういう実態も踏まえて、大臣のお考えをお聞かせいただけないですか。
○小倉国務大臣 繰り返しになりますけれども、個々の自治体がどのように判断をされ、どのように予算を申請しているかにつきましては、個別の自治体間の関係にも関する事柄でございますので、国の立場から予断を持ってお答えをすることは困難だというふうに考えております。
いずれにいたしましても、地方分も含めて必要な事業規模を確保することが何よりも重要だと思っておりますので、担当大臣として十分な事業規模の確保に努めてまいりたいと考えています。
○塩川委員 自治体間の話ではなくて、国のこういった支援制度がどのように活用されるかの話なんですよ。国のこの支援というのが十分の十だったものが四分の三になることによって、実際にその活用が減ってしまっているのではないのかということが懸念されているわけですから、それは自治体のお話ですというので国が関与しない話にならないわけで、国の支援制度なんですから。
そういう、現に後退するような事態になっているんじゃないのかということについては、これをきちんと確認する必要があるんじゃないですか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今、令和五年度の事業については、各自治体からの申請内容について審査をした上で交付を決定することとしておりますけれども、現時点で、申請の中を拝見いたしますと、実施主体の民間シェルターの数というものは減っていないということは確認できております。
ですので、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、この交付金も活用して、各自治体が、それぞれの地域の実情も踏まえつつ、民間シェルター等の民間団体と連携した取組を更に進めていただくということを期待しております。
○塩川委員 いや、大阪府の実態を教えてほしいんですけれども。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今、大阪府のということでございました。大阪府につきましても、管内の民間シェルターの規模は昨年と変わってございません。また、令和五年度の申請書類の提出を受けておりまして、今後、ほかの自治体からの申請と併せて、適正に審査等の手続を進めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 大阪府が大阪府として直接支援するということはやらないという話なんですよね。そういうことはお聞きになっていますか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度の申請に当たりましては、大阪府からの申請書類もいただいてございます。
○塩川委員 大阪府が直接民間シェルターへの支援を行うということは今年度はやっていないんじゃないのか。そこはどうなんですか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度の事業、先ほども答弁を申し上げましたけれども、今後、各自治体からの申請内容について審査をしていく上で交付を決定することとしておりまして、個々の自治体からの申請の内容ですとかその経緯等については、お答えすることは差し控えさせていただきたいと考えておりますけれども、大阪府下の支援規模を見てみますと、昨年度と同規模となってございます。
○塩川委員 ですから、大阪府の直接の支援というのはやらないというふうにお聞きしているんですよ。それが、全体として、市の方が取り組む際に四分の一の負担を懸念して、そういう意味では支援に消極的にならざるを得ないような実態をつくっているんじゃないのかといったことについて、これを国としてしっかり把握する必要があると思っているんです。
そのことを強く求めると同時に、自治体任せや民間任せではなく、国が責任を持った対応こそ行うべきだということを求めまして、質問を終わります。
○大西委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
小倉大臣、よろしくお願いします。
DVについて、緊急性の高い場合における安全の確保ということについてお伺いしたいと思います。
今回の法律で、これまでの法律もそうですけれども、裁判所で手続をすることが前提になっているわけですが、DVを受けている人というのは、事実上、周りが取り囲まれているような気持ちになって、逃げる選択肢とか、裁判所に手続を申し立てるとか、そういうことを思いも寄らない人がかなりおられると思います。
よく、殺すか、殺されるか、逃げるか、この三つの選択肢しかないのであるというようなことを言う方もおられるわけですが、逃げるという選択肢を持たないという方もおられる中、そうすると、残るのはもう殺すか殺されるかというふうに追い詰められているけれども、じゃ、裁判所に行くかというと、そんなことは考えたこともないという人もいるわけですね。実際に、四割ぐらいの方は誰とも相談していないというようなデータがあるとも聞きました。
憲法上の課題があるということはよく分かっておりますが、司法手続に行く前であっても、厳格な要件の下、行政が、申立てを受けてからではなくて、プッシュ型でもやれるところまでやるべきだ、そういうふうに私は思ったりするんですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。大臣。
○小倉国務大臣 仮命令等、迅速に対応する新しい手続につきましては、先ほど申し上げたように、命令を行う主体をどうするか、その際の適正手続の確保をどうすべきか、また、命令違反を行った場合に罰則を科すことができるかなどの、憲法が求める適正手続の要請との関係を含めて、極めて慎重である必要があると考えております。
その上で、プッシュ型支援につきましては、様々な状況に置かれた被害者に情報が届くよう、住民に身近な市町村による取組も含め、関係機関が連携をして広報啓発に取り組み、一人で悩まず相談するよう促すことが重要だと思っておりますし、相談支援につきましても、できる限り気軽に、いつでも対応できるように、二十四時間対応の電話相談や、SNS、メールによる相談など、多様なニーズに対応できるよう相談体制の充実を図っているところであります。
その上で、相談の現場におきましては、相談者が被害者に寄り添い、丁寧に耳を傾ける中で、一人一人の被害者の状況を踏まえた対応を通じて、御指摘のような課題に対応することが重要だと考えております。
○緒方委員 今、相談という言葉を使われましたが、相談に来ない人なんですね、私が言っているのは。相談にそもそも来ない方々がおられて、そういう方々については、通報についても努力義務がかかっているわけでありますから、行政の権限として、乗り込めるところについてはできるだけやるというのが私は必要じゃないかと思うんですね。
裁判所を経由するとか、相談を受けてからやるとか、そういうことではなくて、行政の判断として、DVを受けている方々に何らかの手を差し伸べるということ、これをやるべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○小倉国務大臣 まず、配偶者暴力防止法のたてつけといたしましては、保護する前に、本人の意思により保護をされるということが前提としてあるのではないかというふうに考えております。
中には、客観的に見てDVの被害に遭われているような状況であっても、本人自身がそうと認識していないようなケースもあろうかと思います。そういった方々にもしっかりとDV対策、DV防止に関する情報が行き届くよう、先ほど申し上げたような関係機関と連携をして広報啓発を行い、また、そういった、もしかしたらDVなんじゃないかと思ったときに気軽に相談できるような体制整備をすることが重要であるというふうに考えております。
○緒方委員 分かります。憲法の要請とかとの関係でそうならざるを得ないということ、これはよく分かるんですけれども、ただ、先ほどから申し上げているとおり、相談と言われても、そもそも、DVを受けている人は、自分の周りが全部閉ざされているような、もう逃げられない状況、どうしようもない状況、心が折れている状況にある人たちは結構いるはずなんです。そういう方々に対して、今の状況だと光が当たらないと思うんですけれども、それは問題だと思いませんか、大臣。
○小倉国務大臣 昨年の九月に、私は、DV相談プラス、全国的に受け付けている相談窓口の視察に行ってまいりました。SNSの相談を受け付けている現場も拝見をさせていただきました。お話を伺いますと、夜の相談が多いということでありまして、配偶者が寝た後にこっそりとSNSで相談をするということであります。
ですから、こういったSNS等による相談体制を整備することによって、まさに、逃れられない、そういった方々に対してもきちんと相談支援の手を差し伸べることができるのではないかと考えております。
○緒方委員 それでは、もう一つ、一時保護ということについてお伺いしたいんですが、一時保護という言葉は、配偶者暴力相談支援センターの業務規定として書いてあるんですが、私、根拠規定としてすごく弱いなというふうに思ったんです。
何をもってあなたは一時保護をやっているんですかということについて、もっと法令上、権限、位置づけを明確にすべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○小倉国務大臣 お答えいたします。
配偶者暴力防止法におきましては、配偶者暴力相談支援センターは、被害者の緊急時における安全の確保及び一時保護を行うこととしております。
緊急時におけます安全の確保は、例えば、婦人相談所の一時保護所が離れた場所にある場合などにおいて、緊急に保護を求めてきた被害者を、一時保護が行われるまでの間、適当な場所にかくまったり避難場所を提供したりするものであります。また、一時保護は、配偶者からの暴力を避けるために緊急に保護すること等を目的に行われるものであり、婦人相談所自らが行うもののほか、状況に応じ、民間シェルター等の適切な委託先で保護することになります。
そうした意味では、現行の法令の下でも一時保護の位置づけが明確化されており、その下で適切に対応されているものと考えております。
○緒方委員 いや、別に何か今一時保護をやっていることが悪いと言っているんじゃないんですけれども、いろいろかくまったり何だったりとやることについて、もう少し権限とか位置づけを法令上しっかりと書き込んで、こういうことをやる組織なんですということをはっきりした方が私はいいんじゃないかと思うんですね。あなたは何の権限を持ってやっていますのと聞かれたときにちゃんと答えられるように、法令上も整備をすべきじゃないかということなんですけれども、大臣、いかがですか。
○小倉国務大臣 現行以外にどのような規定があり得るのかにつきましては、法律事項にするからには、かなり一時保護の在り方について具体的に考えなければいけないので、その法律事項の整理が必要なのではないかと考えております。
○緒方委員 最後、一問だけ。
この件、法律も大事なんですが、自治体の人事の体制がすごく重要だと思うんですね。
自治体において、しっかりと、こういった部局のところにポジティブマインドを持った積極的な方を置くということ、これが実際の問題の解決に私はとても重要な要素になってくると思っております。
是非、この法律が通った後、大臣の方から、全国知事会、政令指定都市市長会、そして全国市町村会とか、そういうところに行って、ここにしっかりと優秀な人間を張りつけるようにということを依頼すべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○小倉国務大臣 まず、配暴センターの職員の皆様、委員の言葉をかりれば、ポジティブマインドを持って大変重要な仕事を担っていただいていると認識をしておりますし、感謝を申し上げております。
内閣府といたしましても、関係の職員の皆様が必要な知識やスキルを身につけ、誇りを持って働いていただける環境を整えることは重要と考えておりまして、各種研修の実施などに取り組んでいるところであります。
人事につきましては、地方自治に関わることでありますけれども、先ほど申し上げました各種研修等の内閣府の取組に御協力をいただくよう、呼びかけをさせていただきたいと思います。
○緒方委員 終わります。
○大西委員長 質疑に入るに先立ち、大石委員に申し上げます。
大石委員におかれましては、度々質疑時間を超過しておりますので、特に時間厳守をお願いをしたいと思います。
次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
DV防止法改正について。
この法律は必要なものですし、改正によって改善されている点はあります。しかし、本日の与党、自民、公明の質疑を聞いていて、やはり、この日本社会はなぜDVが起きているか、DV被害者の女性が配偶者に暴力を受けて八割が逃げることができないままにされているか、この問題に全く肉薄していない。そして、いかに行政対応が不十分か、ここに肉薄しておりません。
本日の公明党の委員の質疑の中で、このようにおっしゃっています。地元でDV被害の相談の担当者と懇談した、被害者の心の声をどれだけ引き出せるか、書面にできるか、相談員のスキルと経験が問題解決のキーになると痛感したと。これは、一見まともなことを言っています。そのとおりなんです。
しかし、そこで公明党の方が大臣に聞いた質問は、相談員の研修の更なる充実はあるかでした。これが国会議員しぐさというんです。ほんまに現場でちゃんと聞き取りしましたか。この社会問題、御存じですか。
DVの相談員、婦人相談員とか女性相談員と、さっき名前も出てきました。その方の多くは非正規雇用の女性です。
三月九日の朝日新聞。もう限界だ、広島県内の自治体で婦人相談員の仕事を約八年間続けてきた五十四歳女性。二〇二一年春、退職を決意した。DVに苦しむ女性を支援する仕事に使命を感じていたが、非正規の待遇の悪さに追い詰められた。月十四万円余りの給料から税金や家賃、光熱費などを引くと、手元にほとんど残らない。夜はファミレスやホテルで清掃の仕事をし、週末もバイトを入れた、相談員の仕事を続けるためだったと話す。この記事によると、この相談員の方御自身もDV被害者だった、だから続けたかったとあります。
これが日本の縮図じゃないですか。経済的格差、社会的地位の格差がDVをつくり、DVから抜け出すための大事な相談員の仕事も、相変わらず不安定な雇用で、女性にやらせている。何という皮肉ですか。
でも、これはよく知られている問題です。いわば、このような問題、大きな象がこの部屋にいるのに、誰も目を向けず、象が見えないふりをして、違うところをついて、法律がよくなった、でも研修は充実せよ、充実しますと、そのように貴族たちが議論しているのはおかしいじゃないですか。
維新や立憲もそうです。まあ、そう言われたら心外だと思うんですよ。ここにいる人たちの多くが、自分は被害を受けた女性に寄り添っている、温情的だと思っていると思います。一生懸命議論していると思っているでしょう。でも、違うんじゃないでしょうか。非正規雇用に置き換えていったのが維新ですし、そういう流れと闘うのをやめたのが立憲じゃないですか。
二〇年の総務省の調査では、非正規公務員の四分の三を女性が占めています。思いやりよりも、女性の正規雇用を増やしてください。
行政に伺います。大臣に伺います。
お金がないという、緊縮財政を引きずって、行政の対応は足りていません。必要な措置を講じないといけない。それはDV防止のために必要なんです。大事な相談員を正規雇用にする予定は、ビジョンはありますか。大臣にお伺いします。
○小倉国務大臣 御指摘の婦人相談員は、婦人保護事業の重要な担い手でありまして、可能な限り多くの市区に配置されることが望ましいと考えております。
そのため、厚生労働省におきまして、人材確保と定着が図られるよう、令和五年度予算において、技能や経験に応じた更なる処遇改善の実施、セミナーや研修会の開催などの採用活動等に必要な費用の補助を盛り込んだところであります。
厚生労働省におきましては、これまでも、全国会議等の場におきまして未設置市区に対し早急な配置をお願いしているところでありまして、こうした補助事業の活用を含め、引き続き自治体と連携をし、婦人相談員の配置促進に努めていただくものと期待しておりますし、内閣府といたしましても、厚生労働省と連携をいたしまして、婦人相談員の更なる処遇改善に努めてまいりたいと考えております。
○大西委員長 申合せの時間が経過しております。御協力をお願いします。
○大石委員 まとめますね。
DVの核心は、支配を生む経済格差や……(発言する者あり)さっき、有志の会はもう一問やっていたじゃないですか。
○大西委員長 質疑を終了してください。
○大石委員 さっき、有志の会、質問時間を終了して、一問質問をしていましたよ。
非正規雇用の撤廃を訴えて、終わります。
○大西委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○大西委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○大西委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、神田憲次君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含める改正は、加害者が自己への従属を強いるために生命・身体・自由等に対する脅迫を用いることに着目したものであることを踏まえ、発令要件の対象となる精神的暴力等が限定されることのないよう、その趣旨を周知徹底し、運用に万全を期すこと。
二 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含めることとした一方、退去等命令の発令要件には含めないことにより、精神的暴力等が身体的暴力に比べて重大な被害をもたらさないものであるという誤解を与えることのないよう、その正確な趣旨の周知を徹底すること。併せて、退去等命令の発令要件について、精神的暴力等へ対象を拡大することを含めた見直しを検討すること。
三 被害者本人による保護命令の申立てが困難な場合についての必要な支援を検討すること。
四 保護命令の申立てから発令までの平均審理期間は約十二日となっており、その期間の長さから被害者が保護命令の申立てをちゅうちょすることのないよう、被害者の保護を最優先にした必要な対応を講ずること。
五 被害者が配偶者からの暴力(DV)を受けた場合に、加害者から逃げることを前提としていることが、DVの被害を更に深刻化・長期化させている場合があることに鑑み、被害者とその子が引き続き同じ住居に居住できるよう必要な対応を検討すること。
六 保護命令について同性カップルも対象となった例がある旨を周知徹底すること。併せて、通報の努力義務を含め、同性カップル間の暴力への対応にも遺漏なきを期すこと。
七 DVの防止に資するため、DVを受けている者を発見した者がその旨を通報する努力義務について、十分に周知すること。
八 被害者の権利擁護及び被害者の子に対する支援について更なる取組の強化に努めること。
九 被害者からの行政機関への苦情に関する適切な対応について周知徹底を図ること。
十 保護命令の申立てに関する手続のIT化に向け、被害者の負担軽減を含め必要な対応を推進すること。
十一 DVの被害を受けた女性の約四割、男性の約六割は誰にも相談しなかったとの調査結果も踏まえ、被害者が女性の場合のみならず、被害者が男性の場合や、同性カップル間の暴力も含めDV被害者が相談しやすい体制を整備すること。
十二 被害者の相談対応や安全確保のための支援、生活再建や心身の回復に向けた支援等を担う婦人相談員の適正な配置や専門職としての位置付け等、公的相談窓口の体制を強化すること。併せて、被害者支援において重要な役割を果たしている民間支援団体への財政支援の一層の充実を含めた更なる支援の実施について検討すること。
十三 DVの被害が被害者本人のみならず、その成年の子にも及ぶ事案等に対しては、親族等への接近禁止命令により保護が可能なことについて、一層の周知徹底に努めること。
十四 DVと児童虐待が同一家庭内で同時に発生している実態及びDVが子供の成長や心理に与える影響について情報を収集し、その知見を踏まえた研修を関係機関の職員に対して行うこと。
十五 国が定める基本方針及び都道府県が定める都道府県基本計画の改正に当たっては、加害者プログラムや子供に対するDV防止のための教育について記載するよう努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○大西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小倉国務大臣。
○小倉国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力をしてまいりたいと存じます。
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○大西委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○大西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会