第2号 令和5年11月8日(水曜日)
令和五年十一月八日(水曜日)午前九時九分開議
出席委員
委員長 星野 剛士君
理事 坂本 哲志君 理事 冨樫 博之君
理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君
理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君
理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君
赤澤 亮正君 井野 俊郎君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
小田原 潔君 大西 英男君
大野敬太郎君 神田 潤一君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
平 将明君 高木 啓君
土田 慎君 中川 郁子君
西田 昭二君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
山本ともひろ君 中谷 一馬君
太 栄志君 本庄 知史君
馬淵 澄夫君 山岸 一生君
阿部 司君 浦野 靖人君
住吉 寛紀君 河西 宏一君
吉田久美子君 浅野 哲君
塩川 鉄也君 緒方林太郎君
大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(国家公務員制度担当)
(規制改革担当) 河野 太郎君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(新しい資本主義担当)
(経済財政政策担当) 新藤 義孝君
国務大臣
(宇宙政策担当)
(経済安全保障担当) 高市 早苗君
国務大臣
(国際博覧会担当) 自見はなこ君
内閣官房副長官 村井 英樹君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
内閣府副大臣 石川 昭政君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
内閣府大臣政務官 土田 慎君
内閣府大臣政務官 加藤 竜祥君
外務大臣政務官 深澤 陽一君
厚生労働大臣政務官 三浦 靖君
政府特別補佐人
(人事院総裁) 川本 裕子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 小柳 誠二君
政府参考人
(内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長) 畠山 貴晃君
政府参考人
(内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長) 大村 真一君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 馬場 健君
政府参考人
(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室次長)
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官) 渡邊 昇治君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 窪田 修君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 品川 高浩君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 高村 泰夫君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 笹川 武君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 宮坂 祐介君
政府参考人
(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長) 北川 修君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局長) 奈須野 太君
政府参考人
(内閣府宇宙開発戦略推進事務局長) 風木 淳君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 楠 芳伸君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 江口 有隣君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 渡邊 国佳君
政府参考人
(警察庁交通局長) 太刀川浩一君
政府参考人
(警察庁サイバー警察局長) 河原 淳平君
政府参考人
(消費者庁審議官) 植田 広信君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(出入国在留管理庁在留管理支援部長) 福原 申子君
政府参考人
(外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官) 今福 孝男君
政府参考人
(文部科学省大臣官房総括審議官) 豊岡 宏規君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 悦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 押切 光弘君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 茂木 正君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 真鍋 英樹君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 舟本 浩君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 秋山 公城君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
―――――――――――――
委員の異動
十一月八日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 小田原 潔君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 中川 郁子君
同日
辞任 補欠選任
中川 郁子君 大野敬太郎君
―――――――――――――
十一月七日
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)
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○星野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官小柳誠二君外四十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
私からは、まず、デジタルプラットフォームを悪用した詐欺行為について、官房長官に伺ってまいります。
実は、本件、資料を相当準備をして、整えておったんですけれども、委員長の決裁でお認めをいただけなかったということでございました。
慣例も結構なんですけれども、やはり新しい時代に対応したことを知っていただくために資料を準備をしておりますので、こうした国会改革、しっかりと私は進めていただきたいと思いますので、委員長に要請をさせていただきます。
その上でなんですが、今、昨今のSNSを見ていますと、実在する企業であったりとか著名人が広告塔となって投資を呼びかけているかのような、そうした巧妙な偽広告や偽サイト、偽アカウントなどが散見をされます。
私も、イエール大学の成田悠輔さんという方が友人なんですけれども、その方の偽広告を最近見かけまして、それで、こんな広告が出ているよということで、本人にメッセージを送りました。そういたしましたところ、メタに幾ら通報しても対応していただけないんだということを申しておりました。
そして、孫正義さんに関する偽広告も出ていまして、済みません、本当は資料を準備しておったんですけれども、これもかなり巧妙に作られておりまして、リンク先が日本経済新聞のサイトにほぼ見えるような形で作られていて、こうしたものも、だまされる方がいるんじゃないかなと非常に心配をしています。
そして、これはお認めいただいた資料でございますけれども、日テレのニュースサイト、こちらも悪用をされているという現状がありまして、これは、どういう内容かといえば、日本テレビの「news every.」で放送された内容が偽広告動画として加工をされて、ユーチューブやフェイスブックに投稿されたということの事例、こうしたことが紹介をされているものでありまして、こちらには、岸田総理までもが詐欺の広告塔として悪用された現状があります。
そこで、政府を代表して官房長官に伺わせていただきますが、偽広告、こうしたものを長官も御覧になられたことがあると思うんですけれども、これをどのようにお感じになられているか。私自身は、日本の総理大臣までもが詐欺の広告に悪用される事例、これを放置するわけにいかないと思いますので、厳正に対処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松野国務大臣 中谷先生にお答えをいたします。
SNS等のデジタルプラットフォームサービスの利用が一般化する中、一方、違法・有害情報の拡散等の課題が深刻化しています。また、SNSなどのデジタルプラットフォームで配信されている広告の中に、本人や組織の許可を得ずに、本人であるかのように加工、編集された偽広告が流通していることは承知しており、重要な課題だと認識をしています。
○中谷(一)委員 重要な課題だと認識をしているということで、総理まで使われている広告に対して、やはり厳正に対処していく必要性があるという認識でよろしいでしょうか。
○松野国務大臣 先生の御指摘のとおりであります。
○中谷(一)委員 私も同様の認識でありますので、しっかりと、与野党を超えて、こうした問題は対応していかなければならないということを思っています。
その上でなんですが、SNSに関わる消費者トラブル、こうしたものが、長官もおっしゃっていただいておりますが、続出、多発をしております。
消費者白書によりますと、SNSに関連する消費生活相談件数は、二〇一三年が四千七百七十件であったのに対し、二〇一八年は一万八千八百八十二件、二〇二二年が六万五百五十二件と急増しており、二〇一三年と二〇二二年を比較すると、十年で十二・七倍の件数になっています。
こうした状況を鑑みますと、現時点においては、残念ながら、政府が効果的な対策を講じられていない、このことは火を見るよりも明らかです。これだけ社会問題化されているのに、なぜ政府の対策が有効に機能をせず、いまだに偽広告、偽サイト、偽アカウントなどに関する問題が多発をしている現状が続いていると長官は分析をされていますか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
SNS関連の消費生活相談件数は近年増加をしており、先生から御指摘をいただきましたけれども、二〇二二年は約六万件寄せられています。SNSなどを通じたもうけ話に関する消費生活相談の中には著名人や有名人の成り済ましと考えられる事例もあり、消費者庁においても注意喚起を行っています。
また、警察においては、偽アカウント、偽サイトや偽広告に係る被害について、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているところであります。
さらに、総務省においては、有識者会議において、違法・有害情報対策について、デジタルプラットフォーム事業者等にヒアリングを実施し、事業者の自主的取組を推進するなど、関係省庁において取組を進めているところであります。
このように関係省庁において取組を進めているところでありますが、SNS等のデジタルプラットフォームサービスの利用の増加に伴って問題が発生していると考えています。
引き続き、関係省庁において実態を把握し、必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 各所対策を行われているとのことなんですけれども、残念ながら効果的に機能をしていない。なので、改善をしていく必要があるということを思っております。
その中で、特に広告審査の甘さについて私たちは多分考えていかなければならないということを思っています。
著名人や有名企業に成り済ます偽広告は名誉毀損であったり商標権の侵害に当たって、広告をクリックした先でだまされた場合には当然詐欺罪にも当たることが想定をされ、偽広告を配信している広告主側の行為は許されません。その一方で、プラットフォーム側の責任を問う声もあります。
経済アナリストの森永卓郎さんも偽アカウントの被害に遭っており、広告が出ているプラットフォーム側に抗議をしているのですが、広告は一向になくなりません、広告の審査が甘過ぎるのではないかと思っていますと指摘しています。同様に、日本経済新聞の社説でも、「広告主の実在や広告内容の確認など広告媒体側の審査が不十分」との指摘がなされています。
そこで、長官に伺いますが、偽広告を配信している悪質な広告主側の行為は当然許されません。その一方で、特定デジタルプラットフォーム提供者に指定されている事業者ですら安易に偽広告を掲載してしまっている。広告審査の甘さに対して適切な是正、これを行っていただけるように措置を講じていただけませんか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
一般に、デジタルプラットフォーム事業者の広告審査等については、事業者自身が策定している規約等において、偽情報を内容とする広告に関して一定の禁止規定が設けられているものと承知しています。
また、仮に偽広告が景品表示法等の法令に抵触する場合においては、法と事実に照らして厳正に対処するとともに、行政処分を行った場合には公表し、デジタルプラットフォーム事業者を含む関係者に広くその情報を提供しています。
こうした情報も活用しつつ、デジタルプラットフォーム事業者においても適切な取組を行うことを期待したいと考えております。
○中谷(一)委員 プラットフォーム側の対応というものを求めていくことが私自身はやはり必要だということを思っております。
と申しますのも、世界的にはデジタル広告市場というのは絶好調でありまして、二〇二四年には六千六百七十六億ドル、日本円で約百兆円に達する見通しでありまして、これらを取り扱うデジタルプラットフォーマーの業績も絶好調であります。
こうした状況を見ますと、やはり偽広告などを適切に排除しないまま広告手数料で莫大な収益を得ているデジタルプラットフォーマー側の責任、これを指摘する声というのも当然あるわけであります。
例えば、オーストラリアでは、政府機関である競争・消費者委員会は、フェイスブックを運営するメタに対して、有名人の写真などを使って投資を勧誘する詐欺広告への対策を怠ったとして提訴しました。暗号資産などへの投資については、有名人が推奨しているかのような誤った認識をフェイスブック利用者に与え得る広告を問題視しており、消費者を欺いたり誤解を与える広告主の行為や表現をフェイスブックが手助けした、あるいは意図的に関与したと訴状で主張しました。競争・消費者委員会の委員長は、メタは自社プラットフォームに出稿される広告に責任があると強調、フェイスブック上で詐欺広告を認識しながらも十分な対策を取らなかったと述べています。
日本においても、広告掲載をするデジタルプラットフォーム側の責任については、広告表示で収入を得ている現状を考えたときに、偽広告は明らかに様々な法律に違反するので、長く放置しているとなれば民法上も刑法上も問題になり得ると指摘をする有識者もおりますが、長官は、こうしたデジタルプラットフォーマー、提供者に対する責任をどのように考えていますか。教えてください。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律では、広告主保護の観点からデジタルプラットフォームの取組をモニタリングしていますが、この中で、消費者保護を担当する関係省庁も参加をし、デジタルプラットフォームによる広告審査の取組状況を確認をしています。
また、総務省においては、有識者会議において、違法・有害情報対策について、デジタルプラットフォーム事業者等にヒアリングを実施し、事業者の自主的取組を推進するなど、関係省庁においても取組を進めています。
成り済まし型広告については、一義的には広告主が責任を持つべきものであり、不当な広告を行う事業者に対しては、引き続き、法に基づき適切に対応する必要があります。
さらに、広告を含む取引を仲介するデジタルプラットフォーム事業者についてもその影響が今後更に大きくなっていくと考えられることから、デジタルプラットフォーム事業者においても適切な対応を求めることが重要と考えています。
○中谷(一)委員 長官、確認ですが、もちろん広告主側の問題があるし、それは許されるべきものではないということを思っている前提で、これはデジタルプラットフォーマー側にも大きな責任があるという認識でよろしいですか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
先ほど答弁をさせていただきましたが、影響が今後更に大きくなっていくというふうに考えられることから、デジタルプラットフォーム事業者においても適切な対応を求めることが重要と考えています。
○中谷(一)委員 それは、結論として、責任を持ってやってくれということでよろしいですか。
○松野国務大臣 先生御指摘のとおりであります。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
そうした中で、一つ政府参考人の方にお伺いをさせていただきたいんですけれども、デジタルプラットフォームで偽広告を出稿しているのは一部の悪質な事業者だと考えられており、海外のアカウントを使って広告を出稿するケースが目立っているとのことです。
そこで伺いますが、実際に海外から仕掛けられている偽広告を用いた詐欺で検挙に至った事例はございますか。また、偽広告や偽アカウントを用いた詐欺が何件程度認知できていて、どの程度検挙できているのか、詳細についても教えてください。
○河原政府参考人 お答えいたします。
海外から仕掛けられているものも含めまして、偽アカウントや偽広告を用いた事案に関する認知や検挙件数を網羅的には把握しておりませんが、最近では、本年十月、国外に本社を有するデジタルプラットフォーム上に偽の広告が掲載され、当該広告に従ったことにより金銭的な被害に遭った事件の被疑者を検挙した事例があると承知しております。
警察におきましては、引き続き、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
事例があるということでございますので、今後も適切に捜査をいただいて、御対応いただければと思います。
それで、また長官に戻らせていただきますけれども、日本経済新聞の社説において、「偽装広告については政府も企業もほぼ放置し、対応が遅れていた。」と厳しく指摘をされている現状があります。
我が国においては、大規模デジタルプラットフォームに対しては、デジタルプラットフォーム消費者保護法、取引透明化法、電気通信事業法などで対応しており、例えば、取引透明化法では、大枠を定めながら、詳細を事業者の自主的な取組に委ねる共同規制の手法を用いて消費者の保護を図るように施策を講じていますが、指摘しているような偽広告などの問題が結果として頻発している現状を鑑みますと、プラットフォーム事業者が必ずしもサービスを適切に消費者へ提供できている状況とは言い難く、残念ながら、安心して安全で豊かな消費生活を国民が営むことができておりません。
ちなみに、EUでは、一般データ保護規則、いわゆるGDPRに加えて、デジタルサービス法やデジタル市場法が二〇二四年から施行されます。
デジタル市場法では、規模基準、ユーザー数基準、継続性基準を設け、欧州委員会が巨大デジタルプラットフォーマーを指定し、行為規制や調査、差止め、課税といった権限をかけることができる内容です。
また、デジタルサービス法では、これまでにないデジタル世界の急速な変化に追随し、違法コンテンツの拡散からデジタル空間を保護すべく、ユーザーの基本的権利を確保することや、安全でオープンなデジタルスペースをEU全体に築くことを目的に規制を強化しています。
大規模デジタルプラットフォームなどへ課せられている義務としては、偽情報などの違法な行為やコンテンツを認識したときには速やかに違法コンテンツを削除することや、当局から違法コンテンツに対応するよう命令を受けた場合は直ちに対応することなどが定められています。
そして、義務の違反に対する具体的な罰則規定はEU各国が制定し、罰金の最大額は全世界の年間売上げの六%が科せられます。
欧州委員会は、バーチャルとリアルを融合させるウェブ4・0をリードする戦略を公表する中、プラットフォームに対する規制を機動的に進めていますが、日本政府は、このウェブ4・0時代、新たな時代のデジタル広告規制の在り方についてどのように考えられているのか、長官の見解を伺います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
デジタル広告については、競争政策、消費者保護等の様々な観点から課題があるものと承知をしています。
まず、競争政策上の課題については、二〇二一年四月に、デジタル市場競争会議において、デジタル広告市場の競争評価最終報告を取りまとめました。
それを受け、経済産業大臣が、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律に基づき、二〇二二年十月、デジタル広告分野の特定デジタルプラットフォーム提供者として三社を指定し、今後、毎年度、広告主等との間の取引環境の改善に向けた取組を評価するプロセスを実施することとしています。
また、デジタル広告に関する消費者保護の観点からは、消費者庁において、不当な広告に対して所管法令に基づき厳正に対処していくこととしています。
また、行政処分を行った場合には公表し、デジタルプラットフォーム事業者を含む事業者にその情報を広く提供しているところであり、こうした情報も活用しつつ、広告掲示を仲介するデジタルプラットフォーム事業者においても、適切な取組を行うことを期待したいと考えています。
○中谷(一)委員 私自身も期待したいと思っているんですが、残念ながら、現状、問題が適切に対応されている状況がございませんので、新たな時代に対応した制度を日本においても整備していく必要があると思っていますし、デジタルプラットフォームを詐欺行為などのツールとして利用させないためにも実効性のある対策を講じていくことが必要だと思っています。
大規模なデジタルプラットフォーム提供者に対する規制、時代のニーズに即した形でアップデートをして、法改正や対策をしっかりと進めることは、利用者を詐欺行為等の危険性から保護することのみならず、信頼性のあるデジタルプラットフォーム事業者の利益にも資するものであり、消費者保護とイノベーションを私は両立させると考えています。
そこで、長官に伺いますが、日本においても、安心、安全なデジタルスペースを築くために、EUを見習ってデジタルプラットフォーマーへの規制、これをしっかりと強化をして対応していただけませんか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
デジタルプラットフォーム事業者に対する法規制等の在り方については、我が国においても、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律を制定するなどルールの整備を行ってきましたほか、モバイルエコシステムにおける競争環境について本年六月に最終報告を取りまとめ、必要な法制度を検討しているところであります。デジタルプラットフォームについては、技術革新等により動きの速い分野であり、関係各省庁において海外動向や事業者の状況などを注視し、必要な検討を行っているところであります。引き続き適切に対応していきます。
その上で、デジタル広告に関しては、関係省庁間で連携して競争政策、消費者保護等の観点から取組を行いつつ、我が国における対応について、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 しっかりと対応していただきたいということを思っております。
その中で、やはりプラットフォーマー側にも責任の自覚というものを強く持っていただきたいなということを思っております。
と申し上げますのも、総務省が行ったプラットフォーム事業者による偽情報等への対応状況のモニタリング結果の資料を拝読をさせていただきました。
そういたしましたところ、偽情報への対応状況のヒアリングとして、LINE、ヤフー、グーグル、メタ、Xに対して、「偽情報等の発生・拡散状況を把握できる体制 分析・調査の有無」や「偽情報等に関する申告や削除要請の件数」、「情報源のトレーサビリティ確保、なりすまし防止・認証」など四十七の項目の質問を投げかけていますが、Xからはヒアリングシートの回答、説明資料の提出、こうしたものがございませんでした。
私は、政府から正式に質問をしても、それに対して真摯に対応されない現状は、さすがになめられ過ぎじゃないかなということを思っております。放置することなく適切に対応されるべきじゃないかなと思いました。
先ほどお話をしたEUのデジタルサービス法ではこうした事例も網羅的に対応されておりまして、仲介サービスの提供者は、最低でも一年に一度、違法なコンテンツ等のチェックを行ったことに関するレポートを公表することが義務で定められており、事業者はそれに従う必要性があります。
そこで、長官に伺いますが、政府はこうしたプラットフォーム側の対応をどのように受け止めているんでしょうか。また、資料を提出されずとも問題にならない現行制度のままでよいと思っておられますか。教えてください。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
インターネット上での偽情報等の流通の問題に対しては、表現の自由の確保などの観点から、デジタルプラットフォーム事業者を始め幅広い関係者による自主的な取組を総合的に推進することが重要と考えています。
一方、総務省の有識者会議が主要なデジタルプラットフォーム事業者に対し、偽情報への対策状況についてヒアリングシートに基づく任意の回答を求め、モニタリングを行ったところ、委員御指摘の事業者からヒアリングシート及び説明資料の提出がなかったと承知しています。
政府としては、デジタルプラットフォーム事業者による適切な対応と透明性、アカウンタビリティー確保の実施に期待するとともに、偽情報等の流通の実態を把握しつつ、必要に応じて対応を検討してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
それは、適切に今後指導もしてくださるし、現行制度のままではなく、検討を重ねていただけるという理解でよろしいでしょうか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
デジタルプラットフォーム事業者による対応の在り方につきましては、国際的な動向や表現の自由の確保の観点も考慮し、デジタルプラットフォーム事業者を含む幅広い関係者の意見を踏まえ、必要に応じて対応を検討してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
表現の自由とのバランスを踏まえながら、適切に事業者に対応していただくように、政府からも働きかけていただけますことを要請をさせていただきます。
そして、これだけ広告が出ていますから、注意喚起を行っていく必要があるということを思っております。
二〇二三年の世界十大リスクとして、ユーラシア・グループは、フェイクニュースの拡散による社会の混乱、こうしたものを挙げています。AIの進化とSNSの普及が重なり、フェイクニュースなどが拡散されやすくなっていると指摘をしており、大半の人々には真偽の見極めができなくなるという懸念を示しています。
マサチューセッツ工科大学の調査によると、フェイクニュースは実際にあったファクトニュースより約六倍早く拡散をするそうです。事実とは異なるニュースは目新しく、人々の感情を扇動する内容が多いことが理由だそうです。
この調査結果を基に考えると、一度広がったフェイクニュースをファクトニュースで打ち返すことは至難の業です。
そうした中、台湾では、インフォデミックによるトイレットペーパーの買占めが起きた際に、台湾の首相自らが、お尻を強調したイラストで、誰でもお尻は一つしかないから、だから大丈夫、だから安心してくださいというエッジを立てたメッセージを立てて事態を収束させたというエピソードは余りにも有名であります。日本においても、政府がホームページに、被害に遭わないように気をつけてくださいねと注意喚起を行うだけでは、そんなものは誰も見に来ませんので、しっかりと国民に訴求をするコンテンツ、これを作っていくことが必要だと思っています。
そうした中で、私から注意喚起策のアイデアを一つ、政府の皆さんに提案をさせていただきたいと思います。
日本においても、偽広告に利用されている人たちを見ると、成田悠輔さんだったり、孫正義さんだったり、マツコ・デラックスさんだったりとか、田村淳さんだったりとか、非常に有名な著名人ばかりです。彼らも悪用されていることに困っていて、非常に怒っている現状があると思います。
私は、こうした方々、むしろ社会的に非常に影響のある方々なので、政府と連携をしていただいて、私たちがこうした広告を配信することや投資を呼びかけることは絶対にありませんというメッセージを動画コンテンツなどでしっかりと配信していただくことができたならば、これは広報啓発としても極めて意味があるんじゃないかということを思っています。
それで、私、成田悠輔さんにこのアイデアのことを相談をしてみました。どう思いますかと聞いてみたところ、同調してくださるということでした。そして、これは厚かましくもなんですけれども、具体的に政府からそういう依頼があったときには安価若しくはボランティアでやっていただけませんかとお願いをしたところ、それは前向きに検討してくださるということでありました。
こうした見解を踏まえて長官に伺わせていただきますが、政府から偽広告の被害に遭われている著名人に依頼をして、国民に対してしっかりと訴求をするコンテンツを作成して、注意喚起を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
SNS関連の消費者生活相談件数は近年増加をしています。消費者庁では、これまでもウェブページやSNS等で消費者に対し注意喚起を行ってきたところであり、委員御指摘がありましたとおり、今後も引き続き注意喚起を行っていくことが重要と認識をしています。
御指摘の、注意喚起についてどのような手法が効果的かについては、関係省庁において連携して検討してまいります。
○中谷(一)委員 関係して、検討していただけるということなんですけれども、検討されてきた具体策が現状うまくいっているかといえば、そういった状況にないからこそ、被害の相談が増えている現状があるんだと思っています。私の案も、いい案か悪い案かというのは是非整理をしていただければと思うんですけれども、採用していただけるなら進めていただいた方がいいと思いますし、そうでないんだとすれば、じゃ、政府は具体的に何をするのか、こうしたことを求められると思います。
もしそれについてのお考えが長官にあれば、そちらもお示しいただきたいと思います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
委員からもお話をいただきましたとおり、この分野は非常に変化が激しい分野であります。そういった市場変化に伴いまして、どういった方法が消費者の皆様に届く手法であるのか、このことにつきましては、様々な観点から、関係省庁連携をして対応してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 しっかり前向きに御対応をいただければと思います。
本件に関しては、この辺りで次の質問に移っていきたいと思うんですけれども、最後にもう一度、委員長と与党の筆頭理事にお願いをさせていただきたいと思うんです。
今まで議論をさせていただいた内容は、別に私、政府を追及するような内容では全くなくて、むしろ生産的に、総理まで悪用されている詐欺広告の事例に対して、与野党を超えて、むしろ結束して対応していかなければならないんじゃないかという、問題提起を含めて資料の準備をさせていただいております。
こうしたこともしっかりと踏まえていただいて、資料の配付についてはいま一度理事会で協議をいただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。
○星野委員長 理事会で協議いたします。
○中谷(一)委員 それでは、続きまして、大阪・関西万博について伺わせていただきたいということを思っております。
大阪・関西万博の会場建設費が、当初の予定では一千二百五十億円だったものが、二〇二〇年十二月に六百億円増やして一千八百五十億円と増額されました。その際、大阪府の吉村洋文知事は、何度も増加するとなると、府民、市民も、どうなのという話になりますので、これが増加としては最後と発言をされていました。
しかしながら、今回はそこから更に五百億円増やして、二千三百五十億円に増やす案を政府が受け入れました。二千三百五十億円は当初予算の約一・九倍、一千二百五十億円の当初予算から一千百億円の積み増しは多くの国民が納得しておらず、共同通信の十一月三日から五日の世論調査では、当初契約の約一・九倍まで国民負担が増える万博の開催は不要と答えた方が六八・六%となっています。
本件に関して、まず初めに政府を代表して長官に伺わせていただきたいと思いますが、長官、会場建設費の二千三百五十億円への増額、この増額はこれが最後という理解でよいですか。イエスかノーかで明確にお答えください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
大阪・関西万博の会場建設費の見直しについては、国、大阪府市、経済界が三分の一ずつ負担する会場建設費を最大二千三百五十億円に見直すという博覧会協会の精査結果について、十一月二日に西村、自見両大臣から、国としても受け入れることを表明したところであります。
今般の会場建設費の見直しは、物価高騰等の要因によるものであり、合理化努力も進めてきた中で、やむを得ないものとして受け入れることとしたと承知をしております。
今後、博覧会協会において再度の増額が発生することのないよう取り組むことが重要であり、政府としても博覧会協会における会場建設費の執行の管理を徹底してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 それは、増額は最後ということの理解でよろしいですか。
○松野国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたとおりでありますけれども、再度の増額が発生することがないよう、会場建設費の執行の管理を徹底してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 そのことを、長官、国民にお約束をしていただけませんか。ないように、これが最後だということをしっかりとお約束をしていただけませんか。
○松野国務大臣 これは、今後の進行の具合において、今想定していないような状況が発生し得る可能性がないとは言えませんけれども、現状の物価高騰等による建設費の増加については、先ほど申し上げましたとおり、会場建設費の更なる値上げがないように徹底して管理をしていくということであります。
○中谷(一)委員 長官、それは、今後もやはり増額されてしまう可能性があるという認識を持たれているということですか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
現時点において増額の可能性を考えているものではありません。
ただ、これは、物価高騰等以外の何らかの要因が発生し得る可能性が全くないとは言えないものですから、今ここで私の方から、今後の増額に関しては認めないという発言を控えているということでございますが、先生の御趣旨にのっとってお答えをさせていただきますと、物価高騰等による増額というのが二回ございましたけれども、今後こういうことがないようにしっかり管理させていただくということであります。
○中谷(一)委員 今長官が言っていただいたようなバッファーに対応するために予備費が積まれているんだと思います。
その予備費を含めて最大二千三百五十億円ということで、私は政府にしっかりとお約束をしていただきたいということを思っているんですが、長官、最後にもう一回、御答弁をしっかりいただけませんか。
○松野国務大臣 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、今回の原因等は物価高騰等によるものでございます。それにおける見通しということもあったかと思いますけれども、今後は、こういった要件の中で更に増額がないように、国としてしっかり管理させていただきます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
では、これ以上の質問は自見大臣と行ってまいりたいと思います。長官、お時間だと思いますので、御退席をしていただいて大丈夫でございます。おつき合いいただきましてありがとうございました。
それでは、自見大臣、済みません、ここから質問に移らせていただきたいと思います。
今まで会場建設費の話を長官と行ってまいりました。その中で、資料五、配付をさせていただいておりますが、会場建設費が二千三百五十億円になりますと、これは国民一人当たりの負担額としては六百三十円、大阪府民の負担額としては五千九十六円、大阪市民一人当たりとしては一万九千二百三十六円の負担額となるというのが計算上出てくるわけなんですけれども、共同通信が十月十四日、十五日に行った調査でも、国民の負担増について、七五・六%の方が納得できないとしています。
大臣、こうした意見に耳を傾ければ、一千八百五十億円での規模の、まさに縮小開催の政治決断もできたはずなのに、世論を無視して万博協会の試算の二千三百五十億円を丸のみして強行されていく、その理由は一体何なんでしょうか。
○自見国務大臣 お答えをいたします。
大阪・関西博覧会の会場建設費の見直しにつきましては、私自身も大阪に足を運ばせていただきまして、博覧会協会の皆様と時間を取ってしっかりと意見交換をさせていただきました。その中で、幹部の方々から、どのような算出方法で計算をしたのかですとか、あるいは、節約をしてくださった部分がございます、どのような節約にしたのか等々の詳しい説明を受けたところでもあります。
御案内のように、国、大阪府市、経済界が三分の一ずつ負担するというこの会場建設費、最大二千三百五十億円に見直すという博覧会協会の精査結果につきましては、私どもも、国交省や建設設計の事業者等からの知見もしっかりとお伺いしながら、妥当性や合理化の努力の詳細の検証などを様々な角度から進めてまいったところであります。
今般の見直しにおきましては、建築価格高騰の影響といたしまして、御案内のように五百二十七億円の増額というのが大本でございまして、調達方法の見直しや、またデザインも細かく見直していただいたところがございまして、百四十八億円を合理化をさせていただいております。また、予備費百三十億円も見積もることもさせていただきまして、合計で、合わせて、差し引いて、最大五百億円の増額となっているということでございます。
先ほどの長官の御答弁にもありましたけれども、この物価上昇による資材高騰といったところの社会情勢の変化、あるいは、国民皆さんで、今賃上げということの大きな流れがございますが、労務費の上昇、これは二年間で約一〇%でございます、こういった要因についてはやむを得ないということでありまして、受け入れる必要がございます。特に、私の立場からは、建設現場で働く労働者の方々に適切な賃金が支払われるということ、その賃金の原資を確保するということは大変重要であるとも考えております。
政府といたしましては、増額を丸のみしたということではございませんで、こういった様々な合理化の努力を含めて、博覧会協会が精査したものを確認をさせていただいたという認識でございます。
ただ、委員の指摘はそのとおりでありまして、三分の一が国費ですので、これからもコストダウンについてはしっかりと見ていくということは当然のことであろうかと思ってございます。
○中谷(一)委員 自見大臣、長く答弁をいただいてありがとうございますなんですが、ちょっと、もう少しコンパクトにお話をいただけると助かりますので、よろしくお願いします。
その中で、今いろいろ御説明をいただいたんですけれども、こちら、資料四、配付をさせていただいております。
この資料四は、基本計画の資金計画が示されていたものでございまして、これはまだ会場建設費が一千八百五十億円になっているものでございますが、運営費が八百九億円ということで記載をされておりまして、合計が二千六百五十九億円と記載をされていて、今般の五百億円の増額でこれが三千百五十九億円になっているという認識を私自身は持っているんです。
大臣、これはしっかり教えていただきたいんですけれども、運営費の八百九億円はこれ以上増えないという認識でよろしいですか。イエスかノーかでシンプルにお答えください。
○自見国務大臣 お答えいたします。
運営費につきましては、御指摘のとおり、二〇二〇年十二月に博覧会協会が策定した基本計画では収支共に八百九億円として掲載されていることも、政府としても当然ながら承知をしております。
他方で、運営費は、今後発売が開始される入場券の売上げの状況や民間からの協賛金、またライセンス収入などの動向も踏まえつつ、収支の相償となる範囲内で具現化されていくものだというふうに考えているところでございます。
○中谷(一)委員 これは運営費も更に増えていく可能性を含んでいるということでよろしいですか。
○自見国務大臣 運営費は、これは先ほど、一部繰り返しになって恐縮でございますが、チケットの売上げや民間企業からの協賛金やライセンス収入などが、入ってきたものから出ていくということでございますので、ここが収支の相償となる範囲内で具現化されるということでございますので、八百九億円ということが今記載はされておりますが、それ自体はあくまで試算だというふうに認識をしております。
○中谷(一)委員 売れた範囲内でやられるという理解を持ちました。
その中で、次に、会場警備費の話について伺わせていただきたいんです。
報道で、二百億とか三百五十億とか、いろいろな数字が躍っているわけなんですけれども、当初、警備費は運営費に含まれていて、入場料収入を充てる計画だったんですけれども、いつの間にか国、要するに国民負担の方針に切り替えられているというふうに報じられているんですね。
大臣、この警備費の額は結果として幾らになるんですか。教えてください。
○自見国務大臣 万博の成功に向けて最も基本的かつ重要で、インフラとも言える安全の確保につきましては、近年の警備事案、事故を踏まえまして、万博を誘致した当初よりも高い水準が求められているという現状の中で、万全を期する必要があるというふうに我々は認識をしておりまして、そういった中で、国が前面に立って確保するとしたところでございます。
そのお尋ねの金額については、現在経産省で精査を進めているところでございまして、まだ確定された金額は出てきておりません。
○中谷(一)委員 いつ分かるんですか。
○自見国務大臣 現在精査をしていただいているところでありまして、当然ながらそう遅くないうちとは思っておりますが、まだこのタイミングでいつということを申し上げる段階にはありません。
○中谷(一)委員 これは、金額感はどの程度になる見込みなんですか。
○自見国務大臣 経産省が現在精査をしている段階ですので、私の方から具体的な規模感についての発言をすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
○中谷(一)委員 これは、当初予算から一千百億円増えていて、二百億なのか三百五十億なのか分かりませんけれども、どんどん増えていくとなると、国民の理解を全く私は得られないと思っておりますので、むしろコストダウンをしっかりとやってほしいということを思っているんです。
そのことは自見大臣も会場建設費の受入れを行われたときの会見で述べられていまして、会場建設費は国費投入するものなので今後もコストダウンは当然の前提、可能な限りコスト削減は言うまでもないということを述べられているんですけれども、私は、自民党政権はコストカット型の経済手法が得意なんじゃないかなとむしろ認識をしておりますので、万博についても是非身を切る改革でコスト削減を進めていただきたいということを思っているんですけれども、大臣、これは具体的には、今後いつまでにどのようなコスト削減を行って、幾らぐらいのコストダウンを目標にしたいと考えられているんですか。
○自見国務大臣 ありがとうございます。
今後、博覧会協会におきましては、再度の増額が当然ながら発生することがないよう、今後も、建築資材の変更、また、工法の簡素化、そして、デザインの変更などにより建設費用を抑えるとともに、また、調達方法の変更、特に、協賛企業の募集なども今鋭意行っておりまして、細かなところの物品等も協賛企業から今いただいている状況でございまして、そういったことを、あらゆる手法を通じまして、建設費の総額を最小限となるようにコストダウンに努めていくことは当然だと考えてございます。
○中谷(一)委員 それを、いつまでにどのようなコスト削減を行って、幾らぐらいコストダウンをさせる目標なんですか。
○自見国務大臣 これは同時並行的に行われるものでございますので、具体的にこの段階で規模と金額を申し上げられるものではございません。
○中谷(一)委員 では、目標はないということでいいですか、スローガンだけ言っていただいているということで。
○自見国務大臣 はい、今はもう、大きな工事だけで数百の規模の工事の工程があるという中で、それぞれの分野であらゆるコストダウンをやっていただきながら、走りながら、考えながらやっているという状況でございますので、この段階で規模、金額を出すことは適当ではないと思っておりますが、繰り返しになって恐縮ですが、コストダウンに努めていくことは当然の前提だと考えております。
○中谷(一)委員 大臣、口先だけで、やはりお茶を濁すようなことは私はよくないと思うんですよ。コストダウンをすると言ったならば、目標をちゃんと示して、どういうふうに進めていくのかということをやはり答えられないと、私は事業の責任者としてはどうなのかなということを思いますので、しっかり考えていただきたいと思うんです。
その中で、今まさに話題になっているリングですね、大規模なこのリング、一周二キロあるそうでございますけれども、これに三百五十億円かかるということが非常に世の中的にも大きな問題を呼んでおりまして、波紋を呼んでいるところでありますけれども、これはそもそも何で必要なんですかね。
というのも、三百五十億円ということは、大阪市民一人当たりの計算をしますと二千八百六十五円、これは負担額として必要になるんですね。それで、大臣、大阪市民の方、国民の皆さんが、こうした負担をしてまで巨大木造リングを設置することが必要だと感じていると思われているんですか。私は、これは身を切る改革どころか、世界最大級の無駄遣いなんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。
○自見国務大臣 大屋根のリングは、「多様でありながら、ひとつ」という今回の大阪・関西博覧会、万博の理念を示す大きなシンボルでもございまして、来場者の滞留スペースとしても重要な役割があるほか、リングの屋上からは海と空に囲まれた万博会場の魅力を楽しむことができるなど、万博会場には欠かせない建築物として認識をしているところでございます。
当初の積算の詳細までは承知しておりませんが、千八百五十億円の会場建設費のうち三百五十億円が、おっしゃるとおり、リングでございます。今回、見直しをするに当たって、リングの上部をCLT材に置き換えるなどの合理化を実施しております。
ただ、繰り返しますが、こちらのリングにつきましては、夏の暑い時期に開催されますので、このリングの上に屋根をつけていただくことで、日よけの、熱中症対策としての大きな役割も果たしてございます。障害のある方、あるいは御高齢の方にも当然ながらたくさん来ていただきたいと思っておりますので、私の立場としては、来場者の方の健康管理の意味でもこのリングの役割は大きいものがあると思ってございます。
○中谷(一)委員 日よけに三百五十億円を国民の皆さんが求めているとお考えになられているかということを確認をさせていただきたいんですけれども。だって、これは壊すんですよね。
○自見国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、今回はリングの上部の部分のCLT材等を、見直すなどの削減をさせていただいてございます。
このリングの持つ象徴的な意味ということ、それから、さっき申し上げました様々な困難を抱える方々も含めまして、動線の確保や日よけ機能、あるいは雨よけということもございますので、大変重要な、御指摘ではございますが、これは当然ながらお迎えする立場としては必要だと思ってございます。
○中谷(一)委員 大臣が必要かじゃなくて、国民が必要だと思っていると思っていますかということを聞いております。
○自見国務大臣 万博を担当させていただく大臣としては、一日二十万人の方をお迎えするという責任がございます。そういった意味でも当然必要だと思っておりますし……(中谷(一)委員「いや、国民が必要だと思っていますか」と呼ぶ)国民にとって必要でございます。(中谷(一)委員「国民にとってじゃなく、国民が必要だと思っていますかと聞いています」と呼ぶ)
では、お答えをさせていただきます。
万博を所掌させていただく大臣としては、繰り返しになって恐縮ですが、二十万人の方の健康と安全を守るという観点からも必要だと思っておりまして、それについては、国民の皆様に対しましては、その必要性を私の立場からしっかりと今のように御説明をさせていただくということだと思ってございます。
○中谷(一)委員 これは、建設資材の価格の高騰だったり人件費の高騰をしているんだけれども、警備費も増額したい、リングもつけたい、何でもかんでも盛り込んでいたら、身を切る改革どころか、税金の打ち出の小づち化しちゃっているじゃないですか。
だから、これはやはりちゃんと見直して、身の丈に合ったことを優先順位をつけて開催すべきだと思うんですよ、大臣。今、日本国民が、円安、物価高で本当に苦しんでいる現状がありますよ。その中で三百五十億円のリング、これはみんな納得できないと思っていると思います。いろいろな人の声を是非聞いてみてください。
大臣、このリングも含めて、コストをもっと抜本的に見直す政治決断をして、身の丈に合った万博の開催をしていただけませんか。
○自見国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、今回の増額に関しましては、資材の高騰や労務費の上昇といったところからやむを得ないというふうに判断をしたものでございまして、合理化の努力も含めて、博覧会協会が精査したものを確認をさせていただいて、国としてもそれを受け入れたということでございます。
私としては、万博が、「いのち輝く未来社会のデザイン」という、コロナの後の初めての国際博覧会でございますので、子供や若者、あらゆる世代の方に万博の意義をしっかりと感じてもらうような万博にしていきたいと思ってございます。
○中谷(一)委員 残念ながら、適切な答えをいただけなかったのは非常に残念な思いでありますけれども、万博についてもまだまだ聞きたいことがあったんですが、次の質問にそろそろ移っていきたいと思います。万博の話はちょっと積み残しでまたやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
公安委員長、お待たせをいたしました。ポーカーに関する政策制度についてということで、参考人の方も踏まえながら質問をしていきたいと思っています。
実は、日本におけるポーカー人口というのがかなり激増していまして、現在、約二百四十万人。これは一年前と比べて七十万人増えていて、今後も成長していく見込みです。
これらを踏まえて、まず参考人の方から質問をしていきたいと思いますけれども、日本国内で実店舗でアミューズメントポーカーを運営する上で必要な許可申請について端的に教えてください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
トランプやトランプ台を備える店舗、施設において客にポーカーゲームをさせる営業につきましては、原則として、風営適正化法に規定するゲームセンター等営業に該当し、都道府県公安委員会へ申請して許可を受ける必要があると考えております。
○中谷(一)委員 風営法の許可を得て、営業、賞品、賞金の提供についての規制、こうしたものがあると思うんですけれども、それらの禁止事項等について教えてください。
○檜垣政府参考人 風俗営業になりますので、例えば、年少者は立入りはしてはいけないとか、料金を表示するといったようなものがございますし、ゲームセンター等営業としましては、特有なものとしましては、遊技の結果に応じて賞品を提供するといったことが禁止されております。また、一般的に、午前零時から午後六時までは原則として営業を行ってはならないといったような規定がございます。
○中谷(一)委員 資料十で、アミューズメントポーカー店舗に関する調査結果、これを配付をさせていただいておりますけれども、店舗が少なくとも全国に三百七十ぐらいありまして、そのうちの百二十二店舗に対して実際に調査員が訪ねて実地調査を行ったとのことです。結果としては、百二十二店舗中の百二十店舗、九八%の店舗において、換金性のあるコインや、ディズニーチケットなどの景品や、店内で利用できる割引券やポイントなどの提供、条例に反して二十五時以降の営業など、風営法に抵触をしているのではないかという調査結果が示されました。
一般論として、風営法五号営業のアミューズメントポーカー店舗において、換金性のあるコインや、ディズニーチケットなどの景品や、店内で利用できる割引券やポイントなどの提供、条例に反して二十五時以降の営業などが認められた場合、風営法に抵触をしていると考えられますが、委員長の御見解を教えてください。
○松村国務大臣 中谷委員にお答えを申し上げます。
先生がお示しいただいた資料につきましては、民間会社の調査結果と受け取っております。したがいまして、コメントすることは差し控えたいと考えておりますが、警察におきましては、平素から、ゲームセンター等の営業を監督する立場から、営業実態の把握に随時努めているところでございます。
今後も、もちろんしっかりと営業実態の把握に努めますとともに、違反が認められた場合におきましては、事案に応じ適切に対処するよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。しっかりと指導を続けていただければと思います。
あとは、ポーカーの大規模大会の運営についても質問をさせていただきたいと思います。
大会の主催者の方が風営法の五号の事業者である場合とそうでない場合、それぞれについて風営法の規制が適用されるのか否かということについて、参考人の方、教えてください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
風俗営業者であるポーカー店舗の方々が大会を開催する場合風営法違反になるかどうかというのは、個々具体的な事例に即して判断することとなりますが、例えばでございますけれども、その大会が通常のゲームセンター等営業と明確に区分されて、大会参加料の合計額が大会運営の費用を上回らないようにするなど、その大会自体がゲームセンター等営業に該当しないというふうに解される場合には、その主催者がゲームセンター等営業の営業者であるか否かにかかわらず、風営法の規制は及ばないと思っております。
あと、それと、先ほど営業規制の時間の関係で申し上げましたけれども、私は午前零時から午後六時とお答えしてしまったかもしれませんけれども、正確には午前零時から午前六時までの間違いでございました。訂正させていただきます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
最後に、参考人と委員長それぞれに質問をさせていただきますけれども、最近、非常に協賛金の高いポーカーの大会というものが開催されるようになりました。スポンサーからの協賛金額を超える賞品が出された場合違法となる可能性があるかということを参考人の方に伺いたいのと、賞金総額が一億円に達するような大規模な大会が開催され始めています。これらの大会の中には、日本でお金を賭けてプレーすることは違法とされているオンラインカジノ、オンラインポーカー事業者がスポンサーに入ったり、大会の参加に際してお金を賭けることのできるオンラインポーカーのアプリのダウンロードを必須にしたりする、こうした大会も存在をしています。
このような状況に対して、大会の適法性について不安の声もありますが、現状、どのように国家公安委員長として認識をされているのか。参考人、委員長それぞれの御見解をお聞かせください。
○檜垣政府参考人 大会に係ります協賛金につきまして、その額とか支払い方、また、大会の運営の中でどのように使われるかによって具体的に違法かどうかというのは判断されることかと思いますので、一概にお答えすることは困難ではございますが、刑事事件として取り上げるべきものにつきましては、法と証拠に基づいて捜査していきたいと考えております。
○松村国務大臣 御指摘は非常に重要な点だと思っております。ただ、特定の行為、特定の犯罪に該当することにつきましては、局長も申し上げましたけれども、個別具体的な事実関係に即して判断されるものでございまして、一概にお答えすることは困難でございますけれども、刑事事件として取り上げるべきものにつきましては、法と根拠に基づきまして捜査をすることになると考えております。
オンライン上で行われる賭博に関する様々な問題につきましては、しっかりと受け止めておりますので、違反行為が認められれば、これに関与する者に対しても厳正な取締りを行うよう警察を指導してまいりたい、このように考えております。
○星野委員長 中谷一馬君、時間が経過しております。
○中谷(一)委員 はい。
最後に、現状、ポーカーの業界においては、多くの法令違反が調査では見られている現状があります。業界のグレーな状況を健全化して、国民が安心してポーカーを楽しめるような、健全な産業にしていただく環境整備を整えていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。
終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、最初に、統一協会の問題を官房長官にお尋ねをいたします。
昨日、世界平和統一家庭連合、いわゆる統一協会の会長が記者会見を行いました。統一協会は、被害者に対する謝罪を行うことなく、また、法的責任を認めていないということが明らかになりました。政府が解散命令請求で認定した組織性、悪質性、継続性を否定しております。
官房長官にお尋ねいたしますが、この統一協会への解散命令請求に対する政府の立場に変わりはありませんね。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをいたします。
旧統一教会についての解散命令請求は、所轄庁である文部科学大臣において報告徴収、質問権の行使やその他の情報収集、分析を行った結果、解散命令請求に足るだけの具体的な証拠等を伴う客観的な事実が明らかになったことから、請求を行ったものと承知をしています。
昨日、旧統一教会が記者会見を行ったこと自体は承知していますが、解散命令請求を行うに至った客観的事実に変更を来すものではないと承知しています。
○塩川委員 変更するものではないということで。
その点、統一協会の会見の中で、百億円という供託金の話なども出されておりました。統一協会による解散命令逃れ、財産保全の法整備逃れの策でしかないと言わざるを得ません。
統一協会が組織として謝罪、反省をしていないということは極めて重大であります。まともに被害者の補償に応じる姿勢がないということが明らかであるわけで、官房長官、改めて、統一協会の財産保全を図る法整備を行うことが必要ではありませんか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
旧統一教会の被害者救済については、法テラスにおいて電話相談を受け付け、内容に応じて弁護団を紹介するとともに、民事保全申立てに際しての援助を行うなど、被害者に寄り添って適切に対応していくこととしています。
このように、政府としては、速やかに被害者の救済が図られるよう、現行法上のあらゆる制度を活用し、被害者救済のために最大限取り組んでいきたいと考えています。
また、議員立法の法案や被害者救済の実効性確保については、御指摘の財産保全に関する法制上の措置も含め、与野党各党において様々な動きがあると承知しており、そうした動きも注視してまいりたいと考えております。
○塩川委員 財産権や信教の自由、こういったものへの配慮もしながらも被害者救済をしっかりと行う、そういう点での財産保全の法整備というのが求められている。そういう点で、政府また与野党が努力をして、財産保全の法整備の実現を強く求めるものであります。
そこで、統一協会は記者会見で、国際勝共連合と一体の活動を行ってきたということも述べております。岸田総理は、国際勝共連合は統一協会の関連団体と認識していると、昨年の参議院予算委員会で答弁もされております。
官房長官にお尋ねしますが、国際勝共連合が統一協会の関連団体、そういう認識に変わりはありませんか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
御指摘の団体については、そのホームページで文鮮明師が提唱者とされるなどしており、各閣僚等において関係を断つべき団体と考えています。
○塩川委員 統一協会自身が国際勝共連合を関連団体としても認めているところであります。
そうしますと、岸田総理は統一協会との関係断絶を宣言をしましたけれども、岸田内閣、政務三役においては国際勝共連合との関係はきっぱりと断ち切っているということについて改めてお答えいただけますか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
先ほど申し上げた理由におきまして、各閣僚等において関係を断つべき団体と考えています。
○塩川委員 松野長官自身は勝共連合と過去関わりがありましたか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
ございません。
○塩川委員 盛山文科大臣が解散命令請求を行う際に、一九八〇年から統一協会の被害があったということがありましたけれども、それ以前から自民党と国際勝共連合との関わりがあったわけであります。
統一協会は一九六八年の四月に日本で国際勝共連合を発足をし、その際に岸信介氏らが発起人として名前を連ねたわけであります。そのときから自民党が国際勝共連合を政治利用してきた。国際勝共連合は、我が党への攻撃や革新自治体攻撃などを行うとともに、統一協会被害者の救済に尽力をしてきた全国統一教会被害問題対策弁護団を攻撃もしてきました。
国際勝共連合の政治利用が、統一協会の霊感商法や高額寄附などの反社会的行為を見逃す背景にあった。国際勝共連合を容認することは、統一協会の被害救済と相入れないものであります。このことを強く求めるとともに、解散命令の決定と財産保全の法整備、これをしっかりと行うことを強く求めていくものであります。
次に、国家公務員の賃上げ、労働条件の改善についてお尋ねをいたします。
人事院総裁にお尋ねしますが、民間の春闘でも、物価上昇との関係で、賃金が物価上昇に追いついていない。公務はその民間の水準にも追いついていないというのが今の状況だと思いますが、その点についての認識をお聞かせください。
○川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
国家公務員の給与は、国家公務員法の情勢適応の原則に基づき、物価や賃金水準の動向も含め、その時々の経済雇用情勢等を反映して、労使交渉等によって決定される民間給与に準拠することを基本としております。
本年の春闘における民間企業の妥結、回答状況については、物価上昇等も背景として、賃上げの水準は企業や業種によって様々ではあるものの、月例給、一時金とも昨年を上回る水準での回答が見られました。
本年の人事院勧告は、こうした民間における大幅な賃上げの状況を反映して、月収で約二・七%、年収で約三・三%の給与改善となっております。
公務員の給与は民間準拠を基本として決定するものであり、今後も民間給与における物価上昇への対応等の情勢が公務員の給与にも反映されていくものと考えております。
○塩川委員 公務の賃金は物価上昇に届いていないんじゃないですか。その点はいかがですか。
○川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
各種の調査で民間の春季賃上げの状況を見ると、月収ベースで対前年比三・〇%から三・九九%となっているものと承知しています。この賃上げには、全体の水準が引き上げられるベアのほか、個々の職員、社員の成績等に基づいて賃金の引上げが実施される定期昇給が含まれています。
人事院勧告は、いわゆるベアに相当するものであり、官民比較の結果、本年の改定率が〇・九六%となったものです。個々の職員について見ると、勤務成績等に基づく昇給等により、ベアとは別に個人ベースで給与は上昇していることになります。本年の改定率である〇・九六にモデル試算した勤務成績等に基づく昇給分を加えると、先ほど申し上げたように、月収で二・七%、年収で三・三%の給与改善となります。
各種調査と本年の勧告におけるこれらの数値を単純に比較することは困難ですが、公務員の給与は民間準拠を基本として決定するものであり、民間給与における物価上昇への対応等の情勢が今後も公務員の給与にも反映されていくものと考えております。
○塩川委員 物価上昇にベアで見たら追いついていないということが一番問われているわけで、そういった点でも、やはり生活を賄う賃金になっていないというのが今の物価上昇の下での賃上げの実態だということが言えるわけであります。
河野大臣にお尋ねしますけれども、政府として物価上昇を上回る賃上げをということを掲げているわけですから、そういう点でも、公務での大幅な賃上げこそ行うべきではありませんか。
○河野国務大臣 政府といたしましては、人事院が行いました官民比較に基づく人事院勧告を踏まえた給与改定を行うというのが方針でございます。
○塩川委員 生計費というのが本当に反映しているのかというのが、やはり人勧の中身で問われているわけであります。
裁判所で働く労働者を組織する全司法労働組合の方のアンケートの取組をお聞きしました。青年労働者への暮らし向きのアンケートですけれども、かなり苦しい、やや苦しいと回答した割合が五六・四%、物価高や燃料費の高騰に苦しむ声が多く、二日に一回しかお風呂に入れない、親から仕送りを受けている、食費を削っているという回答などがありました。ゆとりがあると回答した青年労働者は、それは実家暮らしだからといったことを答えていたわけであります。今の賃金が自立した生活をするのに不十分だということがはっきりと見て取れると思います。
未曽有の物価高騰の事態であります。今お話ししたように、国家公務員の労働者からは、生活が大変とかお風呂にも毎日入れないというような悲痛な声が上がっております。光熱水費や食料品の値上がりなど生計費が大幅に上昇しているときに、この未曽有の物価高騰に見合う賃上げこそ必要だと思いますけれども、改めて、河野大臣、いかがですか。
○河野国務大臣 政府の方針は、人事院勧告に基づいた給与改定でございます。
○塩川委員 人事院勧告を無視して過去には賃下げを行ったということなどもあったわけで、そういう点でも、今の生計費を賄うような賃上げというのを公務においても大きく行っていく、このことが民間の給与を引き上げていくという好循環にもつながっていく、こういう対応こそ求められているということを指摘をしておきます。
次に、国家公務員の男女賃金格差の問題についてお尋ねをいたします。
資料をお配りいたしました。三枚目ですけれども、国家公務員の男女賃金格差というグラフを用意をいたしました。
男性の賃金を一〇〇とした場合の女性の賃金の割合ですけれども、見ていただいたように、左上にありますように、OECDの平均が八八・一、民間企業の平均は七五・七ですけれども、省庁別に見ますと、男女賃金の格差が六割台というところがほとんどで、多いとしても八割ちょっとでしかありません。
担当の加藤大臣にお尋ねいたしますけれども、OECD平均や日本の民間企業平均にも届いていないような、こういう国家公務員の省庁別における男女賃金格差の実態について認識しておられるでしょうか。また、こういうふうに低い理由というのは何なのか、この点についてお答えください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
現在、職員の男女間での給与差異の令和四年度実績について国の全機関が公表済みでございまして、今後、各機関において内容の分析を実施していくことになると考えますが、実態は様々であると承知をしてございます。
国の機関におきましては、法律に定める俸給表等に基づき給与が決定されておりまして、同一の級、号であれば性別にかかわらず同一の支給額となっているため、男女間の給与差異は、職員の採用、登用や勤務年数等によって各機関の数値に違いが生じているものと考えられます。
また、例えば、近年、新規採用において女性の採用数を増加をさせており、相対的に、勤続年数が短く、賃金水準が低い女性職員の割合が多くなっていることが男女の給与の差異が出ている一因となっている場合もあると推察をされます。
○塩川委員 実態は様々で、ただ、採用、登用で男女の違いがあると。この間、加えて言えば、最近は女性の採用が増えているので、そういう意味で相対的に広がるということを言っておられましたけれども、本当にそれだけなのかということをしっかりと見ておくことが求められていると思います。
よく言われているような、採用、登用の違い、それ自身をどうするのかということも求められておりますし、そういった点での分析をしっかりと行うということについて、省庁任せじゃなくて、しっかりと、国家公務員全体としてどうしていくのかということを政府として取り組むことが強く求められていると思います。
そういう分析をしっかりやってもらいたいということとともに、差がある理由として、女性における非常勤職員の割合が多いんじゃないのかということというのを、実態も踏まえてしっかりと分析する必要があるんじゃないかと思うんです。
加藤大臣にお尋ねしますが、こういった不安定で低賃金の非常勤職員に占める女性の割合が高いのではないのか、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。
○加藤国務大臣 塩川委員の御質問にお答えをいたします。
非常勤職員の中で女性の割合が大きいのではないかという御指摘かと思います。
現在の国の全機関において初回の公表を終えたところであるため、まず、公表されたものについて、一覧性等を確保したサイトの整備を通じ、見える化を進めてまいります。その上で、実態の把握や分析等のためにどのようなデータがあれば有用であるのか、各機関の声も聞きながら、必要に応じて検討をすることとしてまいります。
○塩川委員 そういう意味でも、分析の際にどのようなデータが必要なのかということというのが大事な点であります。
そこでお尋ねしますけれども、例えば全職員に係る情報というのは出しているわけですけれども、そういう際に、常勤は常勤、非常勤は非常勤の比較があるんですけれども、男性常勤と女性非常勤の格差、これはどういうものなのか、こういう数字を各省ごとに公表するということもやったらいいと思うんですけれども、その点、フォーマットを変更する考えはありませんか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
繰り返しになりますけれども、公表されたものについては、まずは、一覧性等を確保したサイトの整備を通じて、見える化を進めてまいります。今御指摘の常勤、非常勤の差等につきましても、どのようなデータがあれば有用であるかなど、各機関のお声も聞きながら、必要に応じて検討をさせていただくことといたします。
○塩川委員 それぞれ役所ごとに数字はあるんですよ。それをきちっと明らかにして公表してほしいということが、この男女賃金格差の現状をリアルに見る上で分かりやすいわけで、そういう意味では、男女局の方でこういうフォーマットを作って、そこに数字を入れ込むというのは各省やっているわけですけれども、そういった中に男性常勤と女性非常勤についての差が分かるような、そういう項目を書いてくれと。一項目設ければいいんですから、それはすぐできるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○加藤国務大臣 各機関の実情が見える、見える化に対しては、しっかりと進めてまいりたいと思っております。
繰り返しになりますけれども、各機関の声も聞きながら、必要なものをどのように見える化していくかということも必要に応じて検討をし、今委員の御指摘も踏まえて検討させていただきたいと思います。
○塩川委員 是非追加して、加えていただきたいと思います。
また、役職段階別と勤続年数別の格差について男女のを出しているんですけれども、例えば一定の高い役職のところで、百何%と、女性の方が高いという数字なんかも出たりするのがあったりするんですよね。その場合には、大半が男性なんですけれども、ごく一部女性がいて、その人が相対的に高いということでそういう数字が出るんじゃないかとか、推測はあるんですけれども、要因としてはよく分からないわけですよね。
そういう点でも、この役職段階別と勤続年数別の格差について、格差の割合だけじゃなくて、男性の人数、女性の人数、そういうのも明示をしてもらえば、より分析に資する、まさに見える化とおっしゃっておられましたけれども、そういうものにつながるんじゃないかと思うんですが、そういうことも是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
役職段階別にも格差について人数や比率を見える化、公表すべきではないかということを御指摘かと思います。
給与の差異につきましては、今の段階でどのように出しているかと申しますと、男女別に年度の給与の総額を計算し、当該年度中の各月の給与支払い日における職員数の平均で除することによって年間平均給与を算出し、公表をしております。
まず、役職段階別のものを公表するかどうかということに関しましては、各機関がどのような形で公表を行っているのか、さらに、どのような情報があれば今後の実態把握や分析等のために有用であるのか、当該情報についてどのように算出するかも含め、各機関の声を聞きながら、必要に応じて検討をしてまいりたいと思います。
○塩川委員 是非、具体的に公表の基準を定めてもらいたいと改めて要請をしておきます。
官房長官にお尋ねいたします。
グラフで見ていただきますと、左の方の低い方に、内閣府、内閣官房ということで出てまいります。内閣府が六三・四%で最も低いんですけれども、それはなぜなのか。官房長官、どのように受け止めていらっしゃいますか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
内閣府につきましては、幹部職員に各省庁から男性の出向者が多いことに加え、近年の新規採用において女性の採用数を増加させていることなどから、相対的に、勤続年数が短い女性職員の割合が高くなっていること、女性職員に占める非常勤職員などの割合が男性に比して高いこと、扶養手当や住居手当といった手当を男性職員が世帯主や住居契約者として受給する場合が多いことなどが、男女の給与の差異が出ている要因となっていると考えられます。
○塩川委員 幹部職員に男性の出向者が多いと。何で男性ばかりなのかというその点も、ワーク・ライフ・バランスの関係も含めてどうあるべきなのかといったことの分析も必要だと思いますし、非常勤職員に占める女性の割合が高いというのも実際に内閣府ではあると思うんですが、その辺のリアルな実態というのが公表のデータではなかなか見えてこないというのが率直なところあります。
加えて、内閣官房も六三・六%と低いんですけれども、これは何でなのかについて御説明いただけますか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
内閣官房につきましては、幹部職員に各省庁から男性の出向者が多いことに加え、女性職員に占める非常勤職員などの割合が男性に比して高いこと、扶養手当や住居手当といった手当を男性職員が世帯主や住居契約者として受給する場合が多いことなどが、男女の給与の差異が出ている要因となっていると考えられます。
○塩川委員 内閣府とも共通していますけれども、幹部職員の出向で男性が多い問題ですとか、非常勤における女性の割合が高いとか、そういった問題について、なぜそうなるのか、どうするのかといったことについて、分析と評価、対策ということが当然求められるわけであります。
男女共同参画局の方で用意しているフォーマットなどを見ても、男女賃金格差について説明欄というのがあるわけですけれども、説明欄に書いてあるのも、政府の方が用意をしたQアンドAに即した項目で書いているのがほとんどで、独自の分析というのはまだまだこれからという状況だというふうに感じました。
特に内閣官房は、説明欄に説明そのものがないんですよ。ですから、今官房長官が説明したのが公式に内閣官房の説明となっているということで、こういうことはまずいんじゃないかと思うんですが、説明欄にもそもそも今長官がお話しになったようなことが書いていないといったことについては、官房長官、どう受け止めておられますか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
今後、担当部局において適切に対応してまいりたいと考えております。
○塩川委員 加藤大臣にお尋ねしますが、各府省庁における格差についての最初の公表がありましたと。そういった点を踏まえて、じゃ、今後どうしますかということになるわけであります。
そういったときに、格差の理由をやはりしっかりと明らかにする、そこで分析も行った上での解消策を明記をする。ですから、評価、分析をし、解消策、解決策を示すといったことについてきちんと各府省庁ごとに明記をするということを是非やってほしいと思うんですが、その点、大臣の方から御指示いただけないでしょうか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
御指摘をいただきましたが、繰り返しになりますが、今後、一覧性等を確保したサイトの整備を通じて見える化を図るとともに、御指摘も踏まえまして、各機関で課題の把握、分析を行い、女性の職業選択における活躍推進のための取組を進めることといたしております。
女性の採用、登用を進めることも必要であると考えており、今、採用、登用を進めるということ、また、各勤続年数やポジション等によっての細かい差異、細かい単位の中での男女間の差異、こういったものもしっかりと分析し、なぜそのようなことが起きているかということも踏まえて、必要な課題の解消に努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 そういう意味でも、本当に解消する方向に向かって何ができるのかというのは、見える化を図るとおっしゃった、まさにそういった形で公表して是正を図っていく、こういう取組につなげていただきたいと思います。
人事院総裁にこの点で最後お尋ねしますけれども、人事院として、この七一・八%をどういうふうに評価しているのかということと、是非、男女賃金格差において、やはり国家公務員の身分に関わる、特に給与に関わる仕事をしている人事院として、男女共同参画局や、また内閣人事局が直接の担当だといっても、人事院としてできることがあるんじゃないのかと。男女賃金格差の問題について、国家公務員の是正を図るといった点について人事院は何をやるのかといったこと。その二点をお尋ねいたします。
○川本政府特別補佐人 本来、職員には性別に関係なく男女同一の給与制度が適用されていて、制度上の要因によって給与の男女差異が生じるものではないはずですけれども、職員の採用、登用や継続勤務年数等において男女で違いがある場合には給与に男女差が生じるものと考えております、大変残念なことですけれども。
人事院といたしましては、各府省と連携をいたしまして、管理職などへのアプローチや女性職員へのアプローチを通じて、意識改革のための研修や女性職員が働きやすい勤務環境の整備などを行うことによって、引き続き、女性職員の採用、登用の拡大に向けた各府省の具体的な取組を支援してまいります。
また、お尋ねの人事院の差については、なるべく減らしていくべく手当てをしてまいりたいと思っております。
○塩川委員 人事院は基本的なデータをお持ちだと思いますので、そういう意味でも、分析も、人事院として、やはり男女局などと連携して、しっかりと改善策を図るという点でのイニシアを大いに発揮をしてもらうということを強く求めておくものであります。
では、残りの時間で、地域における国家公務員の低賃金の問題を質問いたします。
今年の人事院の人事管理報告では、「初任給水準については、大卒・高卒とも全国平均で民間水準を下回るが、特に地域手当が支給されない地域などにおいて民間水準を大きく下回る。」と指摘をしております。このような指摘を踏まえて今回の法案が出されたわけですけれども、人事院総裁として、今回の法案の措置で官民格差は解消するんでしょうか。
○川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
本年の給与勧告では、民間企業における初任給の動向や、公務における人材確保が喫緊の課題であることを踏まえ、高卒初任給を約八%、大卒初任給を約六%引き上げるなど、初任給や若年層に重点を置いた俸給表改定を行っております。
行政職俸給表(一)と民間の事務・技術関係職種の初任給を全国平均で比較しますと、勧告前は、大卒初任給で八千円程度、高卒初任給で九千円程度それぞれ民間が上回っておりましたが、勧告に基づく法改正後は、大卒初任給及び高卒初任給共に四千円程度公務が上回る水準となります。
一方、地域手当が支給されない地域における官民の初任給を比較しますと、勧告前で、大卒初任給は一万八千円程度、高卒初任給は一万五千円程度それぞれ民間が上回っており、法改正後も引き続き民間が、大卒初任給で七千円程度、高卒初任給で三千円程度上回る状況にあります。
○塩川委員 地域手当非支給地では民間が上回るという現状、今度の法改正を行ったとしても地域手当の非支給地では民間が上回る状況が残されるということですけれども、人事院としては、こういった人事管理報告も行っているわけですけれども、何で解消しないのか、その辺の分析と、今後どうするのかということについて、人事院としてのお考えをお聞かせいただけますか。
○川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
本年の給与改定では大幅に初任給を引き上げておりますが、さらに、来年に向けて、社会と公務の変化に対応した給与制度の整備を図る中で、更なる初任給水準の引上げや、地域手当の級地区分の大くくり化に取り組むこととしております。
こうした取組を通じまして、地域手当が支給されない地域においても民間並みの水準を確保できるようにしていきたいと考えております。
○塩川委員 今お話があった地域手当の級地区分の大くくり化というのがあるんですけれども、これはどんなものをやるということなんですか。
○星野委員長 官房長官、退席させていただいてよろしいですか。(塩川委員「はい、結構です」と呼ぶ)はい、どうぞ。
○川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。
地域手当は、地域の民間賃金水準を国家公務員給与へ適切に反映させるため、民間賃金水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整する手当として設けられているものです。
一方で、現行制度においては、市町村単位で細かく支給割合に水準差が生じていることについて、隣接する市町村との関係で不均衡が生じているなどの御意見があることも承知しています。
こうしたことから、令和六年に予定している地域手当の見直しにおいては、最新の民間賃金の反映と併せ、現在市町村を単位としている級地区分の設定について広域化するなど大くくりな調整方法に見直すことにより、国家公務員の地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和や、給与事務負担の軽減等を図りたいと考えております。
具体的な施策については今後考えてまいります。
○塩川委員 時間が参りましたので終わりますけれども、地域手当そのものが、地域の賃金格差の固定化、拡大をしてきたといった点が問われていると思いますので、地域手当の抜本的見直し、私たちは廃止を求めておりますけれども、このことについては引き続き質疑をしたいと思います。
終わります。
○星野委員長 次に、冨樫博之君。
○冨樫委員 自由民主党の冨樫博之です。
政府は、先週十一月二日、総合経済対策を閣議決定いたしました。私は、自民党の第二部会長として、宇宙の開発利用の促進を取りまとめ、そして提言をしてまいりました。その実現に向けた取組を今回、特に、今日の質問でありますけれども、宇宙政策の戦略的強化に絞って質問をさせていただきます。
世界では、中国が有人飛行を成功させたほか、独自の宇宙ステーションを構築して、世界で初めて月の裏側に探査機を送り込むなど、宇宙活動を積極的に推進しています。また、インドは日本に先駆けて世界で四番目の月面着陸達成国となり、韓国においても、近年、宇宙開発に力を入れて、ロケット打ち上げに成功しているなど、宇宙開発をめぐる国際競争は熾烈さを極めています。
また、ロシアのウクライナ侵攻で明らかになったのは、宇宙からの画像取得が戦況を大きく左右するということでした。米国スペースX社のイーロン・マスク氏がウクライナ軍に通信衛星機器スターリンクを提供したのは記憶に新しいところです。既に五千基近い衛星が宇宙に打ち上げられ運用されている中で、こうした宇宙活動の国際競争に関する状況についてお伺いいたします。
○風木政府参考人 お答えいたします。
宇宙の開発利用をめぐり国際競争が激化していますことは、委員の御指摘のとおりでございます。米国のスペースX社のロケットや通信衛星に象徴される、民間による宇宙の開発利用の拡大には目覚ましいものがございます。
ロシアは独自の宇宙ステーション建設の姿勢を見せており、また、中国は、二〇一九年には世界で初めて月の裏側へ探査機の着陸に成功し、昨年末には独自の宇宙ステーションを完成させ、宇宙強国の建設に向けて着々と前に進んでいると認識しております。
さらに、委員御指摘のインドですが、本年八月、米ロ中に次いで世界で四番目の月面着陸に成功しました。韓国も、昨年、国産ロケットの打ち上げに初めて成功を収めました。いわゆる宇宙先進国のみならず、宇宙新興国も躍進しつつあると考えております。
世界の宇宙市場に目を転じますと、その規模は年々拡大しております。今後も急速な成長が予測されており、二〇二一年時点で約三千五百億ドル規模の市場が一兆ドル以上にまで成長するとの見方もございます。そのうち、宇宙産業への投資額も急激に増加しており、二〇一七年から二〇二一年にかけての投資額は約五六%増加し、百五十四億ドルに達したとの調査もございます。これは、宇宙産業が世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大する中でも伸長を続けた数少ない分野であるということを示しております。
国際的に宇宙開発競争が激化する中で、我が国が世界の動きに後れを取ることがあってはならないと政府として考えております。このような環境認識の下で、まずは、本年六月に宇宙基本計画を改定し、閣議決定いたしました。関係府省庁が連携して宇宙の開発利用を推進すべく、この宇宙基本計画の着実な実行に全力で取り組んでまいる所存でございます。
○冨樫委員 次に、特にここで申し上げたいのは、宇宙は私たちの生活の中で活躍しているということです。
ロケットによって打ち上げられた衛星により、例えば、皆様御承知の気象衛星「ひまわり」は日々の気象観測を行っております。また、災害時に夜間や悪天候でも宇宙から被害状況の把握が可能になっており、今年七月に起こった秋田での豪雨災害の際も的確にその役割を果たしてくれました。また、私の地元秋田では、JA秋田しんせいと大学発ベンチャーのサグリが共同で、衛星データを活用して土壌診断、育成診断の実証を行っています。農地の中で窒素が不足している部分を選別して、その部分だけに肥料をまくことによって、収量の確保と肥料の削減が図られることに貢献をしております。
そのほか、海外での放送をリアルタイムに見ることができる放送衛星、通信に使用される通信衛星、そして、スマホやカーナビゲーションで利用される測位衛星など、衛星の利用を通して私たちの身近な生活や民間ビジネスにもますます役立つ時代になっていると感じます。
宇宙を利用した地球規模、社会的課題解決への貢献が期待されることについて、政府の見解をお伺いいたします。
○風木政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、ロケットにより打ち上げられる衛星は、気象衛星、それから情報通信、災害対策、スマート農業、自動運転など様々な生活の側面で活用されており、高精度化に伴い、その活用範囲が拡大しているものと認識しております。
例えば、災害対策の分野においては、合成開口レーダー衛星、いわゆるSAR衛星が活用されております。これにより、マイクロ波などを衛星から照射し、その地球からの反射を測定、分析することで、ヘリコプターやドローンが飛べない悪天候の中、あるいは夜間でも、被災地の様子を広範囲にかつ詳細に撮影することが可能です。
また、地球温暖化対策においても、温室効果ガス観測技術衛星からのデータを活用して、CO2などの排出、吸収状況を観測するシステムを整備しており、今後の温室効果ガス排出量取引の議論への貢献も期待されます。
最近では、小型の安価な衛星を大量に打ち上げ複数機を一体的に運用することにより、撮像頻度高く、広い範囲をカバーすることが可能な小型衛星コンステレーションの構築や、その衛星データを活用したビジネスを展開する企業が国内外で急速に増えております。
委員御指摘のとおり、宇宙からの情報は我々の生活にますます身近なものとなっております。民間企業によるビジネスを後押ししつつ、産学官連携して衛星データの様々な方面での活用を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○冨樫委員 今の説明の中にもありましたけれども、日本版GPS「みちびき」等、準天頂衛星システム開発の更なる開発を是非行っていただきたいと思います。そのことによって、自動運転や、あるいはスマート農業等々、人材難と言われている、人材不足にも対応できる。これは社会的課題ですので、しっかりとこれを進めていっていただきたいと思います。
成功は失敗との戦いであります。秋田県能代市には、宇宙航空研究機構、JAXAのロケット試験場があります。先般、イプシロンロケットの燃焼実験で爆発がありました。H3ロケットの初号機打ち上げでも残念ながら失敗をしておりますが、新型ロケットに限らず、研究開発やイノベーションには失敗に学びながら果敢にチャレンジしていくことも重要であり、H3ロケットや改良型のイプシロンロケットも必ずや成功するものと期待をしているところであります。
宇宙へのアクセスにはロケットの確かな開発が不可欠です。今後のH3ロケットを含む我が国の打ち上げ能力の強化に向けた方向性について、高市大臣にお伺いいたします。
○高市国務大臣 我が国が宇宙活動を自立的に行う上で、他国に依存することのない宇宙輸送システムを確保するということは極めて重要でございます。
今冨樫委員がおっしゃっていただいたとおり、H3ロケット、イプシロンSロケット、我が国にとっては基幹ロケットとして開発を進めてきたものでございますが、残念ながら、打ち上げの失敗、試験中の爆発事故などに直面いたしましたが、それぞれ必要な対策を講じた上で、次の打ち上げに向けた準備を進めてまいります。
また、我が国全体で打ち上げ能力を強化する、即応性と機動性の向上を図るということのため、ロケットの開発を行うスタートアップ企業への支援も開始しています。また、射場やスペースポートについても必要な対応を講じてまいります。
このような取組を続けて、二〇二〇年代の後半には、高頻度な打ち上げと、より大きな輸送能力、より安価な打ち上げ価格を実現する宇宙輸送システムを基幹ロケットと民間ロケットを通じて我が国全体で構築して、国内外で増加している衛星打ち上げ需要をしっかり日本に取り込んでまいりたいと思っております。
○冨樫委員 高市大臣には是非、先ほどお話ししました秋田県の能代市のロケットの実験場でありますけれども、この間は失敗しましたけれども、何とか今後も最大限活用していただくようによろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
我が国は長年にわたって宇宙活動の自立性を支える産業や技術力を維持してきましたが、今日の諸外国の状況を見ると、ロケットや衛星の打ち上げを急増させており、我が国の宇宙開発がこうした動きや活動についていけるのか、世界をリードしていくことができるのか、非常に重要な局面と考えています。
今年四月、世界初の民間による月面着陸にチャレンジした企業や、宇宙デブリの回収で世界をリードする企業の活躍など、こうした日本の優れた宇宙のスタートアップや優れた先端技術を政府が後押しをしていくことが、宇宙産業のイノベーションと、成長産業としていくために求められていると考えます。
先日の経済対策において、大学、民間企業等の技術開発を十年にわたり支援する宇宙戦略基金を創設する旨が盛り込まれました。基金においてどのように取組を行っていくのか、その意気込みを高市大臣にお伺いいたします。
○高市国務大臣 今般の経済対策で、宇宙は、市場の拡大が期待される開拓すべきフロンティア分野として位置づけられております。
今冨樫委員がおっしゃっていただいた件ですが、宇宙戦略基金、これは、JAXAにおける従来のプロジェクトに加えて、民間企業や大学などが主体的に行う技術開発や商業化を支援するものでございます。
具体的には、関連市場の拡大による我が国の経済成長、宇宙を利用した安全保障や防災、減災といった地球規模、社会課題の解決、そしてまた、知の探求活動を深化させて先端技術や基盤技術力を強化することが目標でございます。
民間企業や大学、国立研究開発法人が複数年度、最大十年間にわたって大胆に研究開発に取り組めますように、産学官の結節点となるJAXAに新たな基金を設置した上で、戦略的かつ弾力的な資金供給を行うものでございます。
○冨樫委員 いずれにしても、JAXAに基金を積んで、そして、これから産学官一体となってロケットの開発あるいはスタートアップ事業を進めていくということであります。いずれこの先はこれに関する法案が提出されて国会で審議されるというふうにも伺っておりますので、是非ひとつそのことについてもよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。
先ほどいろいろな説明がありましたけれども、私の生活の中にある宇宙産業の新たな可能性を見出していくためにも、JAXAを核にしながら、産学官、今話したとおりでありますけれども、今般の経済対策においても、速やかに、総額一兆円規模の支援を目指すとされています。熾烈な国際競争の中で日本が存在感を発揮していけるのか、高みを目指すことで得られる価値を私たちの生活に享受できるのかが問われていると思います。
宇宙開発支援は、小ぢんまりと始めるのではなくて、まさにロケットのごとく、ロケットダッシュで進めていくことが必要だと思います。高市大臣の強力なリーダーシップで、十年後の日本の宇宙産業が真の成長産業となったと言われるように引っ張っていただくように期待をしております。
最後になりますが、高市大臣のその意気込みを、あるいはその思いをお伝えをしていただければありがたいと思います。
○高市国務大臣 冨樫委員を始め、多くの議員の皆様に宇宙政策について力強い御支援を賜っておりますことを感謝申し上げます。
今、日本では、合成開口レーダー、これは世界に誇る技術でございますし、また、その情報解析、これも様々な分野に活用されていますし、それから、スペースデブリの除去でも先端を行く技術を持っていますし、またさらに、軌道上サービス、衛星の長寿命化、こういったものにも取り組んでいけるスタートアップが生まれています。そして、準天頂衛星の測位の精度のすばらしさ、これは世界に誇るべきものだと思っております。
現在、政府では、我が国の勝ち筋を見据えながら、開発を進めるべき技術と、そのタイムラインを示した宇宙技術戦略の策定を進めております。この戦略に基づいて、今の取組に加えて、宇宙戦略基金もフル活用して、国が主体となって実施するミッションだけではなくて、スタートアップを含む、民間企業や大学などが主体的に行う技術開発や商業化を一層強力に支援してまいります。
また、可能な限り政府が民間事業者のサービスや財を調達するということによって産業基盤も強化され、宇宙利用が更に拡大するという好循環をしっかりと実現してまいります。
○冨樫委員 高市大臣には、先ほど来、質問に丁寧にお答えをいただいて、この宇宙にかける思いのたけを述べさせていただいたと思っております。
まさに、今やらずしていつできる、俺がやらずに誰がやるというような思いを持って、その強い気概で今後ロケットの開発に向けて進んでいきたいと思いますし、私もそれに一緒に取り組んでいかせていただきたいというふうに思っております。
そんなことで今日の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、鳩山二郎君。
○鳩山委員 自由民主党の鳩山二郎でございます。
今日は、内閣委員会で質問の機会をいただきましたこと、改めて感謝を申し上げます。
七名の大臣の所信に対する質疑ということでありますから、できる限り幅広く聞いていきたいと思いますが、二十分という、時間に限りがありますので何問できるか分かりませんが、政府参考人の皆様方、今日はどうぞよろしくお願いをいたします。
まずは、松野官房長官の大臣所信の中で、自然対応の発言がありました。ですので、内閣府として自然災害に対してどう対応するかという、その取組についてお聞かせをいただきたいと思っています。
私の地元は、今年も、七月十日、大きな災害がありました。今、今年もと私申し上げましたけれども、去年は幸いにして、我々のふるさと、地元は災害はなかったんですが、その過去五年間にわたって六回の大きな水害があったので、今年をカウントすると七年で七回の大きな水害に見舞われました。
特に、今年の水害は本当に甚大で、有名な、竹野という、山が土砂崩れが起きて、一人の方がお亡くなりになりましたが、土砂が、あるいは大きな岩が、流れ木、流木がコンクリートを覆っているような状態、まさに目を疑うような状態でありましたし、二百十号という、これは国道ですが、国道も四キロにわたって道路冠水をするということもありました。
住宅の床上浸水も本当に甚大な被害があって、特に特徴的だったのが、いわゆる上流の土砂が下流域の、二キロ先の住宅までその泥が入り込んで、泥の重さで床が抜け落ちるといったような事例もあったわけです。当然、住宅も大きな被害がありましたし、とりわけ農地は、いわゆる施設園芸で頑張っている若手の農家、ハウスをされている方のハウスの、上の方のカーブの部分しか見えないような大きな災害がありました。
いわゆる国交省関係、インフラ関係、あるいは農水省関係の質問は、今日一つ一つは私はしませんが、これは災害特で聞くべき質問だと思います、質問はいたしませんが、ただ、災害対応について考えたときに、やはり国交省や農水省、あるいは関係する省庁は多岐にわたるわけで、内閣府の皆様方はまさにその司令塔だと私は強く認識をしておりますので、その司令塔としての、内閣府の皆様方の自然災害に対する対応というか取組についてお伺いをいただければと思います。
○田辺政府参考人 自然災害への対応につきましては、内閣官房や内閣府が中心となり、政府一体として対応しております。
今夏の梅雨前線による大雨においても、関係省庁出席の下、機動的に災害警戒会議や災害対策会議を開催し、自衛隊やTEC―FORCE等の被災地への派遣を始め、政府一体として初動対応に当たったところです。
また、災害復旧に関しては、被害を受けたインフラ等に係る関係省庁の災害復旧事業による支援のほか、今夏の梅雨前線豪雨等の災害を激甚災害に指定するなどしております。
引き続き、関係省庁と連携しつつ、災害対応に万全を期すとともに、国土強靱化の取組や被災地に寄り添った復旧復興対策を着実に進めてまいります。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
是非、司令塔として、これからも陣頭指揮を執っていただいて、災害対応に当たってくださいますようにお願いをしたいと思っています。
次に、災害、もう一問だけお伺いをしたいと思っておりまして、先ほど答弁の中で激甚指定の話がありましたが、激甚指定についてお伺いをいたします。
先ほど、私、国道が四キロにわたって道路冠水したという話をしましたが、当然、地方都市ですが国道ですから、たくさんの住宅、お店、町工場が張りついています。私は、いわゆる床下、床上になったところは全軒歩きました。そして、いろいろな、様々な御意見を聞きましたけれども、その中で、とりわけ印象深かったのは小さな町工場で、本当に失意のうちだったと思いますが、私、中に入っていったら、もう機械が全部つかっていて、全部駄目になっていて、これは相当手厚い制度がないともう廃業せざるを得ない、そういう声を聞きましたし、床屋さんなんかも同じような状況でした。
そういった中で、今回、我々の地元、いわゆる激甚指定は、公共土木もそうですし、農業に関しても激甚の指定を受けましたが、中小企業は激甚指定を受けることができませんでした。これは法律にのっとってやっていますから仕方のないことだとは思うんですけれども、ただ、そういった苦しんでいる方々の、もっと手厚い制度はないですかという切実な声があるのも事実であります。
ですので、私からは次の質問をさせていただきたいんですが、被災をされた中小企業、小規模事業者の皆様方に対する手厚い制度はどういったものがあるかということと、これは御答弁されなくて結構ですけれども、もし仮に、より手厚くしていこうというお気持ちがあるのなら、その意気込みをお聞かせいただければと思います。
○田辺政府参考人 激甚災害指定が行われた市町村では、中小企業信用保険法による通常の保証等に加え、災害関係保証の限度額の別枠化等の特例が講じられることになります。
激甚災害の指定は基準に基づき行うこととなりますが、中小企業関係につきましては、被災地域における中小企業者の被害額と所得推定額を基準に照らし行っているところです。また、激甚災害に指定されなくても、自治体連携型補助金により小規模事業者の復旧支援を行う制度を設けているところです。例えば、今年の七月七日からの大雨による災害で被災された福岡県においては、現在、同補助金の活用を視野に被災事業者の支援を進めているところと承知しております。
いずれにいたしましても、関係省庁と連携し、被災状況を踏まえつつ、被災企業に寄り添った丁寧な対応を心がけてまいります。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございました。
今、御答弁の中に、しっかりと寄り添うということでございますので、是非よろしくお願いをしたいと思っております。
次に、国家公務員制度改革についてお伺いをさせていただきます。
私は、かつて、三万三千人程度の人口の大川市という市の市長をさせていただいておりました。私が市長としてとにかく腐心したのは、いかに市の職員の皆様方にやる気を出していただくかということであります。当時、私が大川市に就任したときは、特に若手の職員の方々が元気がなくて、それは国家公務員と地方公務員の違いかもしれませんが、人口も減っていて、税収も減っていて、経常経費は九五%超しているわけですから、新しい政策を打とうにも財源がない、そういった部分もあったと思いますが、なので、私が市長就任当初は、とにかく若い市の職員の目の輝きをどうやって取り戻すかということに日々頭を悩ませていました。
私、僅か三年三か月しか市長はしておりませんけれども、その私の経験上で、やる気を出す方法というのは幾つかあるなと思ったのも事実であります。
まずは、これはかなり大事だと思っているんですが、労働組合、自治労の皆様方の折衝というのはかなり大事だと思っています。財政が大変厳しい中で、いわゆる労働組合の皆様方はいろいろな要求をされます。財政が厳しい中でも、事情が厳しい中でも、それを全部応えてあげようという姿勢が私は大事だと思います。給与の面もそうでありますし、福利厚生、いわゆる通勤手当なんかもそうですが、私はできることは全部のむような努力をしてきたわけで、そういったことは大切なことだと思いますし、そういった部分でやる気を出していただくという可能性もあると思います。
更に言うと、これはちょっと申し上げにくいのですが、人事権なんかもまさにそうだと思うんですよね。いわゆる人口が少ない、小規模の地方自治体というのは、人事権で降格人事なんていうのは実際はできませんから、地域コミュニティーの問題がありますから。ただ、やる気のある若手の方々を出世させて、引っ張っていったりすると、それもやる気が出たりするのかなとも思いますし。
私が最も大切にしたのは、市長と市の職員の皆様方の信頼関係をいかにつくっていくかということであります。ですから、若い職員の方とよく夢を語って、共に夢を描いて、そして夢を共有していくという作業は大切にしたわけであります。
ここで御質問であります。政府として、国家公務員の方々、大変優秀な方々ばかりでありますが、その優秀な能力を最大限に発揮していただく取組として、国家公務員制度改革、今後どのようにされるか、御答弁をいただければと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、職員がやりがいを持って業務に集中できる魅力的な職場づくりを進めなければならないと考えております。
そのために、業務の効率化やデジタル化の推進など働き方改革を進めることに加えまして、管理職によるマネジメント能力の向上などといった課題に取り組み、職員が仕事を通じて自己成長できるような職場づくりに向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
次に、通学路の安全対策についてお伺いをしたいと思います。
誠に残念なことに、近年、登下校の学生さんを巻き込む痛ましい交通事故が増えてきております。通学路の安全確保は急務だと思っております。
そういった中で、これも私の地元で恐縮ですけれども、大川市に至っては、二百八号という国道があるんですが、その国道ですら、通学路にいわゆる歩道がない部分があります。国道に歩道がないということは、県道、市道はもうほとんど歩道がありません。ですので、路側帯しかないわけです。そこも通学路になっていて、ただ、その路側帯も物すごく狭くて、恐らく小学一年生が肩を並べて二人歩いたら、もう車道にはみ出ると思いますよ、肩が。そんな現状があります。
こういったことは、恐らく私の地元大川市だけの問題ではなくて、全国津々浦々たくさんそういう場所があると思います。そういった中で、更に大川は特殊な事情があって、大川は家具の産地ですから、物流の拠点でもあります。ですから、大きなトラックが家具を載せてびゅんびゅんそこを通っていくんですね。そうすると、そのトラックの風圧で低学年の子供たちがよろけているのが見えるわけです。
私は、市長時代、これからは車道じゃなくて歩道を整備する時代だと言っていましたけれども、歩道を整備するということは本当に物すごいお金がかかるので、地方自治体でできるわけがありませんし、これはセットバックしなきゃいけませんから、こんなことは地方自治体としては容易ではありません。
そこで質問ですが、様々な対策を取っていただいているというのは分かっておりますが、是非、通学路の安全対策、これは意気込みを込めて、今後どのような取組をされるか、御答弁をいただければと思います。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
通学路の交通安全対策につきましては、関係省庁が連携して対策を講じ、児童などの安全を確保することが大変重要であると認識しております。
このため、道路整備関連の取組といたしましては、各道路管理者において、歩道の整備や交差点改良のほか、歩行空間を確保するという観点から防護柵の設置やカラー舗装化の実施、また車の速度を抑制するという観点からハンプや狭窄などの設置といった幅広い交通安全対策を行い、通学路の交通安全の確保に努めているところでございます。
地方自治体がこのような取組を実施する場合には、国土交通省といたしましても、予算面において、個別補助制度や防災・安全交付金などにより支援を実施しております。
今後とも、引き続き関係省庁とも連携しながら、通学路の安全対策にしっかりと取り組んでまいります。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
昨日説明を聞いたときに、たしかその予算額五百五十五億円と聞いておりますけれども、それだけでは不十分なのではないかなという思いがありますから、我々も懸命に頑張りますので、是非、引き続き通学路の安全対策、お願いをしたいと思っております。
ちょっと順番を変えて、クールジャパンについてお伺いをさせていただきます。
私は初当選して、七年前初めての質問がこの内閣委員会で、そのときもクールジャパンの質問をしたんですが、昨日、問取りに来られた方から資料をいただいて、日本はクールジャパンがうまくいっていないわけではないんだという説明をされて、それは一定度理解しました。伸びている数字があることも私も理解をしたわけであります。
ただ、国家としてのクール戦略で成功事例として挙げられるのが、イギリスや韓国が本当にほとんどでありまして、特に、これは私の個人的な感想ですけれども、本当に韓国は今勢いがすごいと思います。
エンターテインメントの分野で特にすごいなと思うわけですが、私は映画監督に友人がいて、その映画監督の友人が、「パラサイト」という映画ができたときに、二郎さんは政治家としてあの映画を見に行った方がいい、あれは戦略的にアカデミー賞を取りに行っている、そういったことを韓国がしていて、日本の映画業界は出遅れている、十年、二十年、取り戻せないよという話をされました。
音楽もそうですよね。韓国の音楽は今本当に、世界的に大スターがいます。アジア人の歌手が世界的スターになるというのはアジア人としては大変うれしいですけれども、ただ、正直言って、日本人として、日本にもすばらしいアーティストの方はたくさんいるので悔しい思いもあります。
そういった中で、更に韓国でいったら、やはりサブスクのネットフリックスもすごくて、相当きめ細かく考えられて作られているドラマはどれも本当に面白いわけであります。
そういった中で、日本にはまだまだすばらしいものがたくさんある中で、更に言えば、確かに国として得意な分野、不得意な分野がおありでしょうけれども、日本の強みを最大に生かした新たなクールジャパン戦略についてお伺いをいただければと思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
日本のコンテンツ分野の海外展開ですけれども、年々増加傾向にあって、アニメや家庭用のゲームを中心に、二〇二一年には約四・五兆円ということになっています。一方で、世界市場全体でいいますと、更なる拡大が見込まれていて、まだまだポテンシャルがあるというところかと思います。また、御指摘のように、映画、実写や音楽については、韓国などと比べると、まだまだ日本の強みが十分に生かし切れていないというところがあるというふうに思います。
コロナも終わりましたので、クールジャパンの取組を更に強力に推進する必要がありますので、コンテンツ、インバウンド、農林水産品などの海外展開の更なる推進や、DX化、クリエーター支援、適切な対価還元、コンプライアンスの強化などコンテンツの構造改革、そして新たな国際政治経済情勢への対応、そういった課題を踏まえて、新しいクールジャパン戦略について検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○鳩山委員 御答弁ありがとうございます。
恐らく最後の質問になると思いますが、生成AIについて御質問をさせていただきます。
ビートルズの新曲が二十七年ぶりにリリースされるというニュースがありました。二十七年前は、残されたカセットテープではジョン・レノンのボーカルを録音するレベルまで抽出することが困難だった音源を、AIの技術によって拾い上げることが可能になったというわけでありますが、このことは、まさに不可能と思われたこと、想像できないと思われていたものを、AIの技術を駆使することで実現が可能になったことを示していると思います。
それだけに、AIの利用、開発は、我が国の生産性を高めていく上で大変重要なものになってきています。生成AIなど、更に進んだAIの技術に対する取組についてお伺いをさせていただきます。
○渡邊(昇)政府参考人 お答え申し上げます。
生成AIをめぐる技術革新は、イノベーションですとか労働力不足の解消といったメリットもありますし、地球規模の課題解決等にも役立つというふうに考えておりますが、一方で、偽情報の拡散ですとか著作権侵害などのリスクも存在しております。
日本としましては、G7の議長国として、広島AIプロセスを通じて、信頼できるAIの実現に向けて、年内取りまとめに向かって主導しているところでございます。
また、AI戦略会議などの有識者の御意見などもいただきながら、関係省庁と連携の下、様々な分野でのAIの利活用ですとか、あるいは計算資源の確保、基盤モデルの開発等のAIの開発力強化に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○鳩山委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、高木啓君。
○高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。
質問のお時間をいただきまして、ありがとうございます。
最初に、サイバーセキュリティーについてお伺いをさせていただきたいと思います。
国家安全保障戦略の改定によって、我が国は、「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。」というふうに明記をされたわけであります。
一口にサイバーセキュリティーといいましても、例えば、テロや治安対策あるいは安全保障、また、民間を含む経済活動の分野など、極めてこれは多岐にわたると思っております。そのための対策と作業というのは待ったなしになっているんですけれども、しかしながら、しっかりとやらなければいけないという意味では時間のかかることでもあろうかなというふうに思います。
また、内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCが政府においてこの分野の司令塔であるべきと思うのでありますが、多岐にわたる分野を束ねまして、今後一層、実効力のある体制をつくるには、どのような組織形態を構築すべきと考えているのか、まず、河野大臣にお伺いさせていただきます。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○河野国務大臣 ありがとうございます。
サイバーセキュリティーに関しては、重要インフラを中心とした官民の情報共有、これをまず強化をする、それから、必要な民間への支援というものをしっかりやっていかなければいかぬというふうに思っております。
それから、通信を利用した攻撃者が悪用しているサーバーなどをしっかり検知をする、そういう能力を高めなければいかぬというふうに思っております。
それから、ただ受け身でいるだけでなく、重大なサイバー攻撃を未然に防止をすることができるような権限を政府に付与していただくということも検討する必要があるのかなというふうに思っております。
体制につきましては、今のNISCを発展的に解消し、サイバーセキュリティーに関する課題を一元的に対応できるような組織をつくるべく検討をしているところでございます。
○高木(啓)委員 大臣の御認識は全くそのとおりだと思いますし、是非これから力を入れていただきたいと思うんですが、今いみじくも言われた民間との情報共有や、あるいは検知とか、あるいは権限の付与、こうしたものについては、ちょっと後段でも触れますけれども、やはり、能動的なサイバー防御という考え方からすると、かなりこれはハードルの高い仕事にこれからなってくるんだろうと思います。
そこで伺うんですが、個人や企業の情報へのアクセスということが能動的サイバー防御という話になってくると重要になってくると思うんですけれども、例えば、これはどこまで許されるのかという話になってくると思います。外国の軍あるいはその諜報機関、あるいはテロリストなどの通信に対して、例えば新しい組織ができたとして、今でも結構ですけれども、これはアクセスするということが可能になるのかどうか、これは極めて私は重大な課題だというふうに思っています。
つまり、それは、サイバーセキュリティーの分野において、憲法二十一条のいわゆる通信の秘密と憲法十三条の公共の福祉というものがどのような整合性を持つのかという問題にも実はつながってくるのだろうと思っています。
いわゆる慣習国際法的な観点、あるいは我が国の憲法との整合性を含めて、この点の見解を是非お聞かせいただきたいと思います。
○小柳政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のような場合にアクセスがどこまで許されるかなど何ができるかにつきましては、個別具体的な判断が必要であるため、一概にお答えすることは困難ではございますけれども、いずれにいたしましても、政府におきましては、国家安全保障戦略に基づきまして、武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせるサイバー攻撃のおそれがある場合に、これを未然に排除し、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入することといたしておりまして、その実施のための体制整備に取り組むことといたしております。
この検討に当たりましては、安全保障上の必要性はもとよりでございますけれども、御指摘の通信の秘密を含む、憲法や国際法その他の現行法令との関係等を含む様々な角度から政府全体で検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、政府としては、我が国のサイバー安全保障分野での対応能力の向上は喫緊の課題と認識しており、必要となる法制度の整備等の具体化を進めてまいりたいと思っております。
○高木(啓)委員 ありがとうございます。
今、二つの観点というか、二つの質問をサイバーセキュリティーに関してお伺いをしたんですが、この中で、私はやはり、今の御答弁をベースにして考えてまいりますと、飛躍的にレベルアップをしなきゃいけない問題というのが幾つかあると思っています。
その一つは、やはり人員だと思っています。人員を今のレベルではなくて、更に、丸が一つ多くなるぐらいの、一桁上ぐらいの人員を本来的に配置をしておかないと、例えば、政府機関やあるいは民間も含めてだと思いますが、常時監視をしていく、あるいは、監視をしてそれを検査をしていく、そういうことまで含めて、これは多分、能動的サイバー防御ですから、やることになってくると思うし、また、国際標準としての欧米主要国と同等以上のレベルを確保するということになれば、当然これは必要になってくると思うので、そうなると、政府の中にそれだけの人材がいるのかという問題にもなってくると思います。
そういう意味でいえば、恐らく、高度民間人材と言われるような方々の採用なども当然必要になってくると思うので、その高度民間人材も、今の政府というか国家公務員並みの給与体系の中では多分雇えないんだろうというふうに思います。
ですから、こうした給与体系なども含めて、この人材面についてどのようにこれから考えていくのか、これはまさに、私はかなり詳細に検討していかなければいけない課題だと思います。
それから、いわゆる政府クラウド、いわゆるGガバメントというんですかね、政府クラウドの必要性というのが当然出てくると思いますし、また、先ほど人材の問題を申し上げましたが、それに関わっていく人々の、職員のクリアランス制度の問題、こうしたことも制度設計をしっかりとやらなければいけないと思います。
河野大臣から民間との情報共有の話も触れられましたが、これも民間は、例えば攻撃を受けたインフラ関係の企業は余り言いたくないと思うんですよね。ですから、民間事業者にどう協力していただくのかということの、これもやはり法整備もしていかなければいけない、こういうこともあると思います。
いずれにいたしましても、日々危険にさらされているいわゆるサイバー空間であり、我が国のサイバーセキュリティーの問題でありますから、能動的サイバーセキュリティー、いわゆるサイバー防御のための法改正というのは、先ほど来触れられておりますけれども、これはかなり詳細に必要になってくると思います。その根本が私は憲法の問題だと思っておりまして、幾つもクリアをしなければならない課題があるということを、今日は気持ちというか情報共有をさせていただいて、一層この国会の中でこれは議論をしていかなければいけない課題、このように申し上げておきたいと思います。
特に、被害を未然に防ぐという意味での能動的サイバー防御のための法律というのは、多分今までの法体系とはちょっと違ってくるんだろうということも思いますので、そうしたことも含めて、権限の付与という話がありましたが、これも含めて今後の議論の成熟をさせていきたい、このように思いますので、是非、河野大臣にはひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
河野大臣、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
引き続きまして、女性活躍という視点で御質問をさせていただきたいと思います。
女性活躍は論をまたないことでありますが、我が国の女性活躍は更に更に進めていくべきことだなと常々思っています。
今般、総合経済対策の中でも賃上げ促進税制などの拡充ということが言われておりますけれども、女性活躍や子供、子育ての応援も含めた制度に私はすべきだと。せっかくやるんですから、やはりそういうことも是非進めていただきたい。そういうことも含めた制度にしていただきたい。
経済対策にも明記をされておりますが、賃上げ税制の拡充というのは今どのようなことが考えられているのか、御披瀝をいただきたいと思います。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
女性活躍は、日本の経済成長に向けても極めて重要と認識しております。
委員御指摘の賃上げ促進税制についてでございますけれども、今年度末で期限を迎えるところ、経済産業省としては、延長及び拡充を要望しているというところでございます。その中で、仕事と子育ての両立や女性活躍支援を促進するため、賃上げ促進税制の強化を要望しているというところでございます。
先般閣議決定された経済対策でも、女性活躍の推進のための施策として賃上げ税制の強化が明確に位置づけられたというところでございまして、経済産業省としては、今後、与党税調での御議論もいただきながらではありますけれども、確実に実現していきたいというふうに考えているところでございます。
この要望の中では、くるみん認定やえるぼし認定の取得企業がメリットを受けられる制度とすることを検討中でありまして、これにより女性活躍や子育て支援を国全体で応援することに貢献していきたい、こういうふうに考えております。
○高木(啓)委員 今回の経済対策のメインテーマは、デフレからの完全脱却ということであるわけであります。その中での賃上げ税制の拡充というのは、何としても実現をしなければならない。今経産省から力強い御答弁がありましたが、私たちもこれは後押しをして、何としても拡充を実現しなければいけない、こう思っています。
その上で、一層の女性活躍、そして子育て支援を国全体で支えていく、あるいは応援をしていく、そのことにも今経産省は触れられましたけれども、くるみん認定とかあるいはえるぼし認定は、これは経産省の世界とはちょっと別だと思っておりまして、それも含めて私は当然やるべきなんだと思いますけれども、経済対策、あるいは経済政策、産業政策としての賃上げと、社会政策とも言える女性活躍、そして、制度としてもう既に発足をしているくるみん認定、えるぼし認定、これを受けている企業に対して、あるいは団体に対して、今回の賃上げ税制の拡充は二重、三重のメリットがあるべきだ、私はこう思っています。
ですから、既に発足をしておりますくるみん認定やえるぼし認定が更に社会的に拡大をしていくということも展望しながら、今回の賃上げ税制の拡充があるべきだと思うんですが、この点について加藤大臣の御所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今回の経済対策には、「女性活躍支援を促進するため、賃上げ促進税制を強化する。」とされており、現在、先ほど経済産業省から御説明がありましたとおり、仕事と子育ての両立や女性活躍支援に積極的な企業に対する控除率の上乗せ措置を創設する旨の税制改正要望が行われているものと承知をいたしております。
この要望につきましては、令和六年度税制改正で検討、結論を得ることが予定されており、女性活躍推進を担当する立場としては、女性活躍を支援するための要望が行われていることは大変重要であり、どのような結論となるか、しっかりと注視をしてまいりたいと思っております。
また、いわゆる女性活躍推進法に基づくえるぼし認定等とどのような関係の制度となるか検討中であると承知をしておりまして、現時点では結論が得られておりませんが、仮にえるぼし認定等の取得企業にメリットのある制度となった場合には、既にある公共調達における優遇措置等と併せまして、取得することによるメリットがしっかりと社会に伝わるよう、一層の周知や啓発に努めてまいりたいと思います。
○高木(啓)委員 是非お願いしたいと思います。
それで、正直申し上げて、くるみん認定やえるぼし認定が、今までそれほど、認定はされても具体的なメリットはどこまであったのかということもおありになるんだろうと思うんですね。
ですから、改めて、今回、賃上げ促進税制の拡充でありますから、そのときに、やはり、今まで認定を受けていた企業、そういうところにはもっとメリットが行くようにする。あるいはこれから、受けていただく、そのことが一つの動機になってというか、一つのメリットになって、受けていただく企業が増えていくということは社会にとっていいことだと思うんですね。
ですから、そういう意味で、是非、加藤大臣にはこれを後押しをしていただいて、経産省と大臣のセクションと一緒になって、この賃上げ税制の促進を更に充実をしたものになるように、是非、後押しを政府の中からもお願いをしたいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それで、最後に、我が国の女性活躍というものは遅れているとよく言われるんですけれども、果たして本当に遅れているのかどうかということであります。
私はこの九月まで外務大臣政務官をやっておりましたけれども、世界に出ていくと、実はそんなに我が国の女性政策が遅れているということを言われることもないし、感じることも実はないです。私は国連女性機関のUNウィメンの会合に出てきましたけれども、そこでも非常に我が国の女性の政策は評価をされています。
実は、女性活躍には男性の関与が欠かせないというのがこの国連女性機関の基本的な考え方でありまして、つまり、男性の関与があって初めて女性の活躍というのは推進をされるんだから、男性頑張ってくださいというような、そういうメッセージをよく出しているんですね。
それで、女性活躍推進のために、社会的影響力のある各界のリーダーに対して、この国連女性機関、UNウィメンは、HeForSheチャンピオンという称号を与えています。我が国の政治家では、実は安倍総理がこのHeForSheチャンピオンの初代チャンピオンの一人に選出をされておりまして、そして、二〇二二年から二〇二五年までは岸田総理が第二期のチャンピオンに、今現在ですね、任じられているわけであります。
これを見ると、我が国の女性活躍に対する取組というのは国際的には一定の評価を受けていると私は思っています。さらに、我が国は国連女性機関の主要ドナーの一か国でありまして、その活動も実はかなり高い評価をされています。
したがって、今後、私は、国際社会において、我が国が女性政策に積極的に関与する国として、国際機関で活躍する人材の育成やプレゼンスを向上させるために必要な予算の確保等を通じて、世界の模範となるべき日本になるべきだと考えておりますが、このことに対して見解をお伺いしたいと思います。
○深澤大臣政務官 お答えいたします。
我が国は、二〇一四年以降、国際女性会議WAW!を計六回開催し、ジェンダー主流化の重要性について国内外に発信してきております。
また、本年五月のG7広島サミットでは、議長国として、ジェンダー平等の実現に向けて政治、安全保障、経済及び社会の各分野を橋渡しするネクサスアプローチの重要性を強調しつつ、議論をリードさせていただきました。
国連女性機関はジェンダー分野を専門とする唯一の国連機関でありまして、同機関との協力は、委員御指摘のとおり、岸田総理によるHeForSheチャンピオンへの就任を含め、ジェンダー分野における我が国のプレゼンスを高めることに寄与するものと考えております。
外務省といたしましては、ジェンダー分野における我が国の国際的なプレゼンスを更に向上させるため、国際機関との連携や人材育成に必要な予算を確保し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを一層推進していく考えでございます。
○高木(啓)委員 深澤政務官から大変力強い御答弁をいただきました。
この国連女性機関は非常に頑張っている機関の一つだと思っていまして、その中で、我が国の立場は本当に主要ドナーの一つとして大変重んじられています。
ですから、こういうところをしっかり我が国として関与していく。さらに、いわゆる経常経費や、あるいは政策的経費も含めて、こういうところにしっかり予算をつけて、私は、我が国の女性活躍あるいは女性政策のプレゼンスを国際的に高めていただく、その努力を是非続けていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○星野委員長 次に、河西宏一君。
○河西委員 公明党の河西宏一でございます。
本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、新たな総合経済対策につきまして、新藤大臣にお伺いをいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
大臣は所信で、物価上昇を上回る構造的な賃上げ、これはずっと総理も言われていることでありますけれども、これを実現をする、そのために、不安定な足下を固めて物価高を乗り越えるとし、新たな総合経済対策の意義に触れられました。この点について、先日の十一月二日の閣議決定を受けまして、少し深掘りをさせていただきたいというふうに思っております。
今御紹介申し上げました不安定な足下という意味においては、内閣府の景気動向指数、この足下の一致指数は横ばいであります。そして、先行きを示す先行指数が少し気になるところでありますけれども、コロナ禍からの回復に物価高が冷や水を浴びせるような形で下落基調に若干入っている、踏ん張ってはいるんですけれども上昇気流に転ずるまでは至っていない、こういうことでございます。
また、少し遅れて反映をされる遅行指数でありますけれども、例えば、その一つの家計調査の消費支出、これは、二人以上の勤労世帯の名目増減率は半年間マイナスが続いておりまして、少し長いかなと。
加えまして、四月から六月期の四半期別のGDP速報、これは個人消費が実質で前期比マイナス〇・六ポイントということで、本来、春闘による賃上げ、あるいは新型コロナの五類への移行があったわけでありますけれども、しかし消費が鈍いということで、実際に商店街、私も先日築地の場外を少し回ってきたんですけれども、ちょっと去年よりも厳しいんだよねというお声が、その地域でもそういった会話が交わされているそうでございます。そうした実態が現場からは伝わってきているわけであります。
まず大臣にお伺いをいたしたいのは、この消費の鈍りの原因について、改めてどう分析をされているのか。また、これが今後、我が国の日本経済、とりわけ物価と賃金の好循環、この移行プロセスを今我が国は歩んでいるわけでありますけれども、これに与え得る影響について大臣の御見解をいただきたいと思っております。
○新藤国務大臣 御質問ありがとうございます。
御指摘のように、今、私たちの国の経済は三十年ぶりと言われる大きなチャンスを迎えている。これは、デフレからの脱却、GDPギャップがぎりぎりですけれどもプラスに転じている。ましてや、株価や賃金上昇、そして企業の投資、こういったものが三十年ぶりにいみじくも上向いているわけであります。
そういう中で、しかし、デフレを脱却するそのまず第一弾は、総理が常に申し上げておりますけれども、後戻りさせないことが必要だ。それには、今の賃上げの流れを構造的な上昇につなげていかなければならない。それから、経済が、先行きの伸びをきちんと予見できるような投資や生産性の向上、こういった政策を総動員していかなくてはならない、このように思っているわけであります。
まず、その下での一番の大本は、賃金が上昇して物価の上昇率を上回り、かつ、それが消費に回って、かつ、そこが企業の業績につながっていく、それによって初めて企業は安心して構造的な賃上げができていく、こういう好循環をつくっていくわけなんでございますが、その中で、今御指摘をいただきましたように、やはり消費が、少し心配なところがあるわけであります。これは、四―六のGDP速報で個人消費が二四半期連続のプラスの後に、今回、マイナスの〇・六パーになりました。これはやはり食料品の消費が少し減少している、価格が高くなっていますから、こういったことが原因だと思います。
それと、消費者マインドが、微妙なんですけれども、少し弱含みになってきた。これは、物価高が最初のコストプッシュからそれを超えて全般にわたってきたときに、やはり所得の高い層も含めて、この先、もしかして物価がまだ上がっていくのかということに関する意識から、物価動向の警戒感から消費者マインドがやや足踏みが見られているところだということでございます。
ですから、ここの部分をきちんと後押しするために今回様々な経済対策を組んで、これまで継続してきました様々な生活支援や物価高対策に加えて、給付と減税を組み合わせた中で可処分所得の向上を図ろう、その中から持続的可能な経済成長への道筋をつくっていきたい、このように考えているわけであります。
○河西委員 御答弁ありがとうございます。
かなり丁寧に御説明をいただきました。ありがとうございます。
今おっしゃっていただいた好循環ということでありますけれども、我が国は、細かく申し上げますと、賃上げ先行ではなくて値上げ先行で好循環を目指しているわけでございます。本来であればディマンドプルで、企業の収益が上がって賃上げから始まるわけでありますが、今はコストプッシュ型でインフレが始まっている。今、まさに先ほど大臣も言及いただきましたけれども、特に、今年の利益が来年の賃上げの原資になってくる中小企業にとりましては、先ほど御分析もいただきました消費の鈍り、これは賃上げを持続させる体力を奪うことになりかねないということでございます。
また、御案内のとおり、円安また輸入原材料の高騰など、様々、石炭などはもう五倍ぐらいになっているということでありますけれども、この影響で、いわゆる交易損失、三十兆円程度の所得が海外に流出をしているということであります。
いずれにしましても、コスト増による中小企業への打撃は極めて大きい。今まさにおっしゃっていただいた持続可能な賃上げの原資を十分確保できているという状況には中小企業の皆様はまだないんだろうなというふうに思っております。
加えまして、一つ気になるのは、景気動向指数の一致指数の一つ、有効求人倍率でありますけれども、これもコロナ禍前に回復するに至らないまま、昨年十二月で頭打ちで下落傾向ということで、これは、今、人手不足でありますけれども、また、中小企業は約七割の雇用を担っていただいているわけでありますけれども、場合によっては人件費に割ける体力すらも衰えてきているのではないかという見方も可能なのではないかというふうに思っております。人手不足なのに有効求人倍率が上がり切らない。
このままでは物価と賃金の好循環にスムーズに移行し切れないリスクもありますし、有識者の皆様からも、政府による中小企業への賃上げ支援、これは我が党の西田実仁税調会長も数年にわたって主張してきました赤字企業も使える賃上げ促進税制、これもついに今回の経済対策にも入りましたけれども、こういったことに加えまして、やはり財政措置による消費者への所得の補填が必要だという御指摘が具体的にございます。東大の渡辺努先生などからでありますけれども、まさに、今回の総合経済対策、給付と、所得税及び住民税の減税ということで、この二つのスキームは文字どおり消費者への所得の補填でございまして、我が党としても、可処分所得に好影響を与える思い切った施策をということで御提言も申し上げてまいりました。
その上で、給付は、住民税非課税世帯等の物価高に苦しむ方々へスピード感のある支援ということで、非常に分かりやすい。コロナ禍でも行ってきました。他方で、中間層などの方々へ、なぜ給付ではなくて来年六月を中心とした減税なのかについては、国民への理解が広がり切っているというふうにはまだ言えないような状況でございまして、メッセージ性のある説明が必要だというふうに私も思っております。
この来年六月の減税が持つ経済政策上の意義や狙いについて、是非、新藤大臣の御見解をお示しいただきたいと思っております。
○新藤国務大臣 とても重要な御指摘をいただいたと思います。
大事なことは、何か、給付か減税か、それから、一つずつのことをどちらを選択するかというふうにどうしてもなってしまう嫌いがあるんですけれども、私たちは、総合的なパッケージでこの国全体の好機をつかむ、チャンスをどうやって現実化させていくかということを考えなきゃいけないと思っているんです。
まず第一に、今、現状で生活支援は続いております。そこも、十二月までに終わる予定だった燃油やそれから電気代、この支援は三月まで支援をするとともに、地域の実情に応じて重点地方交付金というものをまた拡充して。ですから、燃油対策に加えて、特に寒冷地でたくさんこれから灯油を使うところには、地域なりの事情で、併せて自治体を通してその交付金が配れるようになっていて、それは今でも実行中なんですね。
ですから、それに加えて、今回の経済対策、今後補正を出させていただいて御審議いただいた上で速やかに給付できるようにしたい。それは、この物価高で最も厳しく影響を受けている低所得者の皆さん、そして子育ての皆さん、そういう方々にまずは速やかに送ろうということをやりました。
でも、そのときに給付の対象になっていない方々にも別の支援金が、重点支援交付金が手厚く出ている。ここの説明がないので、交付金だけで足りるのという議論になってしまうのは、私はとてもそこは注意しなきゃいけないというふうに思っているんです。
その上で、四月から賃上げが、これを一生懸命に今春闘の中で民間の皆さんもそれぞれ頑張ってやるとおっしゃっています。我々も後押しをしたいと思っています。賃上げが、四月に方針が出たとして、それが実行されるのは数か月かかるわけです。そして、そのときに、まず六月のボーナス月に減税を始めることで、ボーナスでふだんの給料よりも大きな額が入るときに減税を同じタイミングで始めますので、可処分所得は非常に高く上がった感が強くあるわけであります。
その後も順次減税を続けていくわけなので、そういう組合せによって、物価高に負けない消費が拡大される、その前提となる可処分所得が増える、それが結局賃上げの実現につながっていく、こういう効果を私たちは期待しているということでございます。
○河西委員 ありがとうございます。
まさに今言及をいただきました所得税と住民税、合わせて四万円ということでありますけれども、それ未満の方々に対しても、今回は重点支援地方交付金を活用されまして、これを中心として、いわば補完的な給付を、これは給付金チームということで新藤大臣の下で制度設計を行われると伺っております。
このスキームは、橋本政権下で平成十年に行われました所得税減税、定額減税も含めて前例がないというふうに聞いております。制度設計は決して簡単なものではないんだろうというふうに思っておりますが、前例のない制度をつくってでも補完的給付を行う意義、また、政権として国民に伝えたい思いや狙いがあれば、是非大臣に最後にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○新藤国務大臣 様々な層に対してメッセージを届けたい、そして、みんなで今回頑張って国を新しいステージに上げていこう、それは、少子高齢化、人口減少、そして働き手が少なくなっても成長していく経済、これをつくらなければ私たちの未来はないわけです。その転換するタイミングが今非常にいい状況が来ている。
ですから、給付金で対象となる所得税を払っていない住民税非課税世帯、それから、税金を納税していただいている方々、だけれども、その間に、先生が御指摘のように住民税の均等割のみお支払いの方々がいらっしゃいます。それから、納税が四万円に満たない方々がいて、これは恩恵がフルにお持ちいただくことができません。そこのところに同等の水準で御支援ができるような、そういうことを工夫せよ、これが総理から私にいただいた指示でございまして、今一生懸命、制度設計を考えています。
できる限り簡潔に、それから公平を旨としますが、基本、これは可処分所得の向上のためのものであって、一律の公平な還元のみではないので、そこはある程度のくくりを持って、水準を下げてはいけないと思いますが、その水準と、プラス、そこの幅というのは多少の柔軟性を持って設計しなければいけないのかなと。
簡潔な手続と、迅速に効果が表れるような、そういう工夫をして、非常に難しいんですけれども、今一生懸命考えて、税制改正の議論と併せて、年末までにはしっかりとしたお答えが皆様にお示しできるようにしたいと思います。
○河西委員 大臣、ありがとうございました。
我々としてもしっかり責任を持って説明をしていきたいというふうに思っております。
新藤大臣の御質問は以上となりますので、御退席いただいても結構でございます。
続きまして、松村国家公安委員長、お待たせいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
国家公安委員長として松村大臣が所信で述べられました、犯罪被害者等施策全体を取りまとめる司令塔として取組を強化をされる、この趣旨を踏まえまして、第四次犯罪被害者等基本計画にあります犯罪被害者のための休暇制度について本日は一点お伺いをしたいと思います。
その前に、厚生労働省に確認をいたしたいと思いますが、この休暇制度、労働者の休暇制度は三つに大別をされるというふうに思っております。一つは、ベースとなる、労使の自治で定める特別休暇、これは慶弔休暇などがあります。二つ目は、年次有給休暇とか裁判員休暇、これは労基法で定められる法定休暇。もう一つは、育休とか、個別法で定められる法定休暇ということであります。
この並びを見ますと、ベースは、労使自治でコンセンサスが取りやすい慶弔休暇とかは、法定化するまでもなく一般的に設けられている。一方で、労働者の安全又は健康を確保するために必要な場合は、社会の要請から立法措置がなされる場合において法定化をされる、こう私は理解をしているわけなんですが、厚労省の基本的な考え方、法定休暇とそうでないものはどうやって分かれているのか、簡潔にお述べをいただきたいと思っております。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
特定の休暇を法定するかどうかについての明確な基準があるわけではございません。それぞれの法の趣旨や目的の実現のために必要とされる場合におきまして、当該法において休暇制度が法定されております。
このため、労働基準法は、全ての労働者の最低労働条件の確保を目的とするものであることから、最低労働条件に位置づけるべき休暇を法定化してございます。また、例えば育児を行う労働者につきましては、その職業生活と家庭生活の両立という目的を実現するために、育児・介護休業法において、全ての事業所で適用されるべき制度として育児休業制度が法律で規定されております。
○河西委員 ありがとうございます。必要とされる、それぞれに応じてということで。
最後、松村大臣にお伺いをいたしたいんですが、実は、犯罪被害者の実態、これに目を移しますと、事件が起きた後、事情聴取、裁判への参加、マスコミ対応と、様々生活が急変される中で、それでもなお自助努力で、会社に説明をして、また休みを取っていかなければならない、こういう状況に追い込まれるわけであります。
実際に交通犯罪で妻子を亡くされた壮絶な体験を乗り越えて、今は遺族会の方で団体の幹部として活動されている方からのお話なんですが、私は事故後、残っていた有休、勤続十年特別休暇等をかき集めて、たまたま一か月間休みが取れたので、そのときにその休暇を使って回復をして今の自分がある、他者のためにも今奉仕をすることができている、こういうことでありました。そういった体験に照らしても、この犯罪被害者の休暇、是非とも法定化をしてほしいということであります。
一方で、厚労省の方でリーフとか動画、いろいろ周知をしていただいているんですが、今年三月の調査においても、これは民間に委託をして行われた調査ですが、この犯罪被害者のための休暇制度の導入の要望を認知をしている企業は全体で三・八%、実際、導入済み、予定、全体で僅か一・〇三%ということで、なかなかまだまだ難しいなと。
その上で、当然、犯罪被害者はレアケースでありますし、またレアケースであるべきなんだろうと思います。しかし、誰もが犯罪被害者にならないという保証はないわけでございます。とりわけ交通犯罪は、政府が自動車政策を推進する以上は誰もが加害者にも被害者にもなる、これが車社会でございます。
したがいまして、私は、本来であれば、この犯罪被害者休暇は政治と行政の責任において法定化されるべきなんだろうというふうに思っておりますし、当事者の方からも、裁判員休暇とせめて同じ制度で、こういうお声をいただいております。
大臣には、こういった方々の声も受け止めていただいて、犯罪被害者のための休暇制度の法定化、是非とも司令塔として陣頭指揮を執っていただきたいわけでありますけれども、御見解をいただきたいと思っております。
○松村国務大臣 河西委員にお答えを申し上げます。
犯罪被害者等における休暇制度につきましては、第四次犯罪被害者等基本計画に基づきまして、厚生労働省において、先生がお話しになったように、リーフレットや導入企業へのインタビュー動画の作成等により周知啓発を行っていただいていると承知をしておりますが、御指摘のように、いまだこの休暇制度を導入している企業は大変少なくて、かつ十分に認知されているとはとても言い難い状況であると私も思っております。
私といたしましても、この休暇制度は、犯罪被害者の方々の御家族や御遺族が被害を回復するために重要な制度であると認識をしております。更なる周知や啓発が必要であると改めて思っております。
そういう意味では、国家公安委員会におきましては、政府全体の犯罪被害者等施策を取りまとめる司令塔といたしまして、まずは、厚生労働省に対し、この休暇制度の導入に向けたより一層の取組を促してまいりたい、このように考えております。
○河西委員 大臣、ありがとうございます。
以上で終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
まず最初に、今も行われているイスラエルによるガザの虐殺を日本政府が許していることに抗議します。
既にガザの死者は一万人を超え、四千人以上の子供が殺されたと言われています。先日、上川外務大臣がわざわざイスラエルを訪問し、支持を表明、そして本日はブリンケン米国務長官に、イスラエル、パレスチナ間に対する米国の外交姿勢を支持。アメリカが虐殺のための軍事支援をしている、それをやめるように言うべきところに、どうかしていますよ。
また、沖縄でも、米軍基地のために、沖縄県民を踏みにじって、国による代執行をしようとしている。どっちを向いた政治をしているんですか。代執行は許されません。
さて、岸田政権は、同じ手で経済でも棄民政策を続けています。国民の皆様に、このままでは駄目だと立ち上がっていただきたいと思い、質疑を行います。
国民の負担が多過ぎる問題についてです。
岸田内閣が十一月二日に、デフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定しました。その経済対策で、第一の柱としてこのように掲げられているんです。「賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和する」ことだと。しかし、この経済対策の中身は国民負担の緩和にはなっていないんです。むしろ逆なんです。
パネルの一です。
まず、国民の負担が多過ぎるのを認めるのであれば、このように、何より一ですね、岸田総理の増税プランを今すぐにやめてください。防衛増税を始めとする増税プランを撤回するべきです。そして、しょぼい所得税減税のごまかしではなくて、このような緊急対策、必要なことをやっていただきたいんです。消費税は廃止、季節ごとの一律の給付金、そして社会保険料の減免です。そして、総理の責任で賃上げを行わなきゃ駄目なんです。
パネルの二です。
これは、「直近三年間の物価高の推移」。二〇二〇年を平均、一〇〇%として、毎月の、そして直近の二〇二三年九月までの物価が何%上がったかを示すグラフです。二〇二二年以降、コスト高による悪い物価高が襲いかかって、現在、物価は二〇二〇年平均よりも六%を超えて上昇しています。この物価高を超える、すなわちこのグラフを超える賃上げがなされない限りは実質的に賃金は目減りする、つまり暮らしは悪くなるというわけです。
実際に、その実質賃金が十八か月連続下がっている。多くの国民が食費を切り詰めるまで生活しているんですね。先ほど、消費が弱含みになっているとおっしゃっていましたけれども、まさにそうで、そうしたら消費税減税をやらなきゃいけないんですね。
ここで、新藤大臣に伺います。
今回の経済対策で、物価高を上回る賃上げについて、どのぐらいで実現するんでしょうか。事前に出した質問で、どのぐらいの期間でどのように実現するのかと聞いたんですけれども、どのようにはもうなしで、どのぐらいの期間で実現するのかについてお答えいただきたいです。
○新藤国務大臣 いろいろ皆さんが心配されていることを代弁してくれているなというふうに思って聞いております。
その上で、大事なことは、国民の負担の緩和は、今負担しているものを下げる、これも緩和になります。一方で、私たちがやるべきは、デフレから脱却をして、経済自体を成長させながら、その中で国民の負担の軽減を図っていく、これが非常に重要なわけであります。(大石委員「賃上げのことを伺っています、どのぐらいの期間で」と呼ぶ)
ですから、賃上げは、構造的な賃上げの実現というのは、まさに御指摘がありましたような、物価上昇を超える賃金の上昇によって行います。まずそのために今この対策を打って、そして、それはできる限り速やかに実現したいと思っていますが、それをコントロールできることではないんです。これは民間の経済ですから。
ですから、私たちは、まず賃金を刺激をする、それに加えて消費を刺激をする、加えて、それには生産性を上げなければ駄目だと。様々な総合的な対策を、まさにパッケージでやらなければいけない。そこを是非御理解いただきたいと思います。
○大石委員 どのぐらいで実現するのですかと事前に打診したときに、来年度が賃上げが物価高に追いつくことができるかの正念場だとおっしゃっているんですよ。だから、来年度が正念場だと考えていると思っているんですけれども。イエスかノーかでお答えください、時間がないので。
○新藤国務大臣 イエス、ノーで答えろと言われても、大きな質問をされているのに、それはイエス、ノーではありません。
そうではなくて、来年度の政府の見通しでは実質賃金が、物価上昇を賃金が上回る見込みを立てていますが、民間エコノミストでは、それは来年ではなく再来年になるということもあります。
ですから、非常に微妙なところで、私たちとすれば、この流れをきちんと構造的な賃上げに結びつけていきたい。そのための総合的な対策が必要で、それが効果を奏することによって実現する、このようにお考えいただかないと、イエスかノーかではない、このことは申し上げます。
○大石委員 質問は、二〇二四年が物価高を上回る賃上げの正念場だと内閣府がお答えになったので、それでよろしいですねという確認だったんですけれども、結構です。
まず、物価高を上回る賃上げ、しかし、正念場だとおっしゃっているんですけれども、今回の経済対策では賃上げ目標のパーセントも掲げていないんですよ。だから、一体それはどんな現状認識をされているのかということで、内閣府に伺います。
岸田総理の経済対策に掲げた、賃金上昇が物価高に追いついていないと認識を示す資料の名前を教えてください。
○茂呂政府参考人 統計の名前ということでありますと、厚労省の毎月勤労統計にあると思います。
○大石委員 賃金上昇が物価高に追いついていないという認識の資料を下さいと言ったら、この資料をいただいたんですけれども、これは、十一月六日の金融政策、物価等に関する集中審議参考資料です。来年度追いつく見通しだと新藤大臣もおっしゃったので、それを裏づける資料はこちらと。「岸田内閣の「物価と賃金の見通し」」という資料が、こちらなんです。
青い棒グラフが名目賃金。名目賃金が、このオレンジの折れ線、物価上昇よりも下にある、だから賃金上昇が物価高に追いついていないんだと。それは定性的にはそうなんですけれども。
しかし、この資料で、物価高が賃金上昇に追いついていない資料を下さい、認識の資料を下さいと言ったら、追いついていないではなくて、追いつく見通しだという資料が来たんですね。来年度、二〇二四年、これですね、追いつく見通しなんだと。これが、物価が一・九%上がる、それに対して名目賃金一・九だから来年度追いつくんだという見通しが書いてある資料なんです。だから賃上げ目標は要らないとでも言いたいんでしょうか。
この数値も、この民間予測の数値も庶民の実情に対して楽観的なものではありますけれども、もしこの数値が確からしかったとしても、来年度、賃金が物価に追いついたというのは間違いなんですね、この二〇二四年度。二〇二二年から二三年の二年間で、オレンジの、この数値二つですけれども、足したら六%。物価高は計六%、そして名目賃金は四・一%の予測なんです。この予測においても、実質的に賃金が一・九%目減りした状態なんですね。だから、少なくとも、二〇二四年は賃金が三・九%以上になって初めて実質賃金は相殺されるんです。国民の負担は初めてそこでとんとんになるんです。
先ほどから、賃金の目標がないということを申し上げました。二年前の岸田内閣の経済対策では、不十分ながら、不十分ながらも二〇二二年春闘に向けて三%賃上げを求めていたんですよ。その先鞭をつけるために、公的部門の三%相当として、月額九千円の介護、保育、医療の賃上げというのを掲げたんですね。まあ、非常に不十分ではあったわけですけれども。でも、今回は賃上げの目標も示されなくて、もっと悪いものになっているんです。
パネルの四。
「岸田内閣の「介護職の賃上げ」」。これが、十月に二転三転した上で、昨日、やはり月六千円の賃上げですとなっているんですね。よろしいですか、SNSを見てくださいね。一桁足らぬ、介護職なめてんの、ゼロが一個足りねえだろう、こんな額で離職に歯止めがかかると思っているのか、日給で六千円アップの間違いか、十万にしろの声。それから、ケアマネは放置かなど、声があふれているんですけれども、届いていますでしょうか。その意味、分かっていますでしょうか。
そして、今回の制度のたてつけも、前回、二年前と同様、地方自治体や事業者に多くの負担になり、大混乱は避けられない。その大混乱をした挙げ句、この額がしょぼい。あり得ません。今どれだけ介護崩壊が深刻か、分かっておられませんね。
パネル五を御覧ください。全て厚労省の資料です。「すでに起きている介護サービスの崩壊」、二〇二二年度の数字です。
まず、この崩壊一が原因で、崩壊二から四まで起こっているんです。介護職員の全産業平均との給与差、月六・八万円、直近では七・四万円に拡大するとの試算です。これによって介護職がすごいことになっている。
崩壊二、訪問介護職の有効求人倍率十五・五三倍。これは、訪問介護というお年寄りを介護する事業所が、人手が足りない、十六社やったら一人だけ介護職が手を挙げるという悲惨な状況なんです。
むちゃくちゃ人が足りないに加えて、人がついに流出を始めました。崩壊三、介護就労者がついに流出。二〇二二年度に初めて流出が起きたんですよ。前年度の就労者の一・六%に相当する六・三万人がほかの職に流出したんですよ、食べていけないから。
崩壊四、介護離職者年十・六万人。これは、家族を介護しながら働く人たちが、もう離職せざるを得ない、失職に追い込まれた数が増えると言われています。介護しながら働く人は三百六十五万人いまして、全労働者の五%に相当していますから、潜在的にそれだけ失職してしまう人というのがあふれているということなんですね。
厚労省に質問をしたかったんですけれども、時間がないので飛ばします。この崩壊を見て、ちゃんとゴールを設けて、厚労省も内閣もやってください。介護崩壊させないでください。もう介護崩壊していますので。
最後、万博についてなんですけれども、歴史上一番無駄な国費を使おうとしているのが大阪万博ですね。戦費には幾らでも使う。でも、子育て対策やったら、いきなり国費がないからとかいって社会保障を減らしたり、介護サービスを削ったりしようとする。でも、使おうとしているのが大阪万博。
大阪で、そもそも維新が、二〇二五年に万博、カジノ、都構想、一気にやりますとむちゃを言い出して、全てが今失敗しつつあるんです。それのお尻を拭かないでください、政府が。直近の世論調査でも、万博の開催不要は六八%ですね。もはや、やる大義は何もないんですよ。
それで、自見大臣が、今日の立憲の委員の方が質問されていたのに対して、とんでもないへ理屈でお答えになっていたんですね。何か木の枠、これですよね、この木の枠三百五十億円、ほんまに必要なんですか。障害者とかも熱中症になるから必要やとか、建設労働者の賃金を確保するために必要だとかへ理屈をおっしゃっていて、なめているのかと。だって、建設労働者に、時間がないから、残業規制をほごにしてやらせるとか言っていた人が、賃金をちゃんと確保しないといけないから、障害者の熱中症がとか、もう本当にばかにしているんですよ。
社会に建設とか運輸とかの人員が足りない中で、その貴重な労働力、そして公金をどぶに捨てるのは最悪なんです。自見大臣、先ほどのやつはちょっと悪い冗談やったな、やはり万博は中止しないといけないなと思われますか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
まず、明確に否定をさせていただきたいことがございます。
二〇二四年から労働者の上限が始まりますけれども、私の立場から、様々な機会を捉えて、労働者の安全、安心を守ることは非常に重要な課題であり、万博においての労働時間の上限規制撤廃は相入れないということは再三再四申し上げてきたところでございまして、まず冒頭それをお伝えさせていただきたい、私の立場からはしっかりとそれをお伝えさせていただきたいというふうに思います。
また、世論調査についてのお答えをさせていただきます。
国民の皆様の間で万博への機運が十分に高まっていないことについては真摯に受け止めたいと思ってございます。これまでも、二〇二五年大阪・関西アクションプランとして、万博に向けた政府の取組というものも示してまいったところではございますが、こういったことをまだこれからしっかりとお伝えしなければいけない状況にあるということだと理解をしてございます。
また、建設費についても同様でございますが、これは、国、大阪府市、そして経済界が三分の一ずつ負担をするという今般の会場の建設については最大二千三百五十億円に見直すという精査結果について、先ほど来も説明をさせていただきましたが、物価上昇、また、労務費の上昇といった要因もあり、適正な賃金を確保するという観点からも、また、工事内容につきましても百四十八億円の合理化、見直しをしていただいたということからも、我々国といたしましては、やむを得ないものとして受け入れることとさせていただいたところでございます。
今後も、博覧会協会においては再度の増額が発生することがないように取り組むことが非常に重要であり、政府としても博覧会協会における会場建設費の執行はしっかりと管理をさせていただきたいと思ってございます。
いずれにいたしましても、二〇二五年の四月から始まる万博でございますが、子供たちや若者たちにも夢や希望を与えられるような、しっかりと内容のある万博にしてまいりたいと存じます。
○大石委員 国民負担を増やす岸田内閣は、やはり総辞職しかありません。
終わります。
○星野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十五分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山岸一生君。
○山岸委員 東京都練馬区から参りました、立憲民主党の山岸一生です。今日はよろしくお願いをいたします。
まず最初に、給与法の質問を少しさせていただきたいと思います。
私、昨日も地元練馬の駅頭で話をしていたら、地域の方から言われたんです。山岸さん、総理のお給料上がるんだってね、ちょっとひどいんじゃないのと言われてしまいました。おっしゃるとおりだと思います。
非常に、今国会、関心が高く、そして評判が悪い法案、これが特別職の給与を引き上げるという法案でございます。もちろん私も、現場で頑張っていらっしゃるお一人お一人の公務員の皆さんのお給料をしっかり民間と同じように引き上げていく、これは大賛成でございます。しかし、今回の法案の問題は、これに連動して政治家のお給料も上がってしまうということでございます。総理大臣、大臣、副大臣、政務官、これらの方々のお給料がいわば連動して上がっていくということで、強い違和感がございます。いわば総理賃上げ法案ではないかと思うわけでございます。
法案そのものは、今日この後御説明いただきますので、後日の議論ということになりますけれども、まず、前提になる事実を幾つか確認をお願いしたいと思っております。
今十一月でございますけれども、十二月になりますと期末手当というものがございます。今年の十二月の総理大臣を含む特別職公務員のボーナス、期末手当の支給は何日でございましょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
本年十二月期の国家公務員の期末手当、ボーナスの支給日は、十二月八日になっております。
○山岸委員 十二月八日でございますね。
そうしますと、今これから法案の議論をするんですけれども、予定どおり法案が可決、成立をいたしますと、この十二月八日支給の期末手当から新しい基準で適用をされる、こういう理解でいいんでしょうか。しかも、遡って上乗せをされる、六月期のボーナスで、いわば、上がっていない分もこの十二月のボーナスに上乗せをして支給をされる、こういう理解でよろしいでしょうか。確認お願いいたします。
○窪田政府参考人 ボーナスの算定の基準日が十二月一日でございますので、現在提出させていただいている法案が十一月中に成立いたしますれば、御指摘のとおり十二月からの支給になります。
○山岸委員 ありがとうございます。
では、その前提での確認ですけれども、十一月中にこの法案が成立をいたしますと、総理大臣が十二月八日の期末手当で受け取る金額というのは、幾らから幾らに、何円増えるのか教えてもらえますか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
法案が成立したという前提でございますが、制度的に算出いたしますと、総理大臣の本年十二月期のボーナスの額は約五百九十六万円となり、本年六月期のボーナスの額約五百六十万円と比べますと約三十六万円の増額となります。
○山岸委員 三十六万円もボーナスが増える。もちろん、総理大臣のボーナスはいわゆる成果報酬とは厳密には異なりますけれども、いわば、自動的に、何もしないで三十六万円ボーナスが増えるというのは、これは国民感情からすれば到底納得できるものではないと私は思います。
私は、政治家の給料が安ければ安いほどいいという考えは取りません。私自身もサラリーマンを辞めて政治家になりましたので、お給料で生活をしているわけでございます。多様ななり手が政治家になるためにも、やはり一定のお給料は必要だろうと思います。だけれども、上げるのは違うでしょう、今政治家のお給料を上げるのは違うでしょうと、これはやはり声を大にして申し上げたいと思います。
国民の皆さんが物価高で大変苦しい、賃上げが追いついていない、さらに、総理肝煎りの減税は来年だと言っているときに、来月総理大臣のボーナスが三十六万円も増加をする、これは到底納得が得られるものじゃないと思いますから、今後の審議の中で我々はしっかりと見直しを求めていきたいということをまず指摘をさせていただきます。
続きまして、加藤大臣、今日お運びいただいておりますけれども、加藤大臣の事務所費の件について、引き続きお伺いさせていただきます。
予算委員会等でもるる御答弁いただいておりますけれども、ちょっと私まだ理解が追いついていない部分がありますので、お伺いしたいと思うんです。
お母様に対して月額十五万円を支払っていらっしゃる、これが適正かどうかということがこれまでも議論になってまいりました。大臣は、記者会見あるいは答弁等で、周囲の相場の最低ラインだ、あるいは、複数の不動産関係の方々から情報をいただいて設定をしたということをおっしゃっていますけれども、その根拠となる何らかのデータなり資料なりというものがあればお示しいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、実母に対して、家賃として十五万、月額支払っておりましたが、家賃につきましては、所有者である実母が、地元の不動産事業者の方々などに相場を確認をして賃料を決めたと聞いております。資料についてなのですが、その際の聞き取りのメモなどがないので、相場の根拠を提出することは難しいと考えております。
○山岸委員 資料はないというお話ですけれども、これは私が勝手に申し上げているわけじゃなくて、大臣御自身がそうおっしゃっているんですね。九月十九日の記者会見で、相場を示せる資料をそろえようとしていると御発言をされているので、その発言を基に、その後の会見や委員会等で御答弁されているわけですから、当然、その基になる何か資料をお集めになったんだろうという前提でお伺いしているわけなんですけれども、結局、じゃ、資料はない、なかったということでよろしいんでしょうか。
○加藤国務大臣 相場の根拠ということで、資料の提出は難しいと考えております。
○山岸委員 今大臣がお話しになったのは、お母様がかつて地元の不動産業者に確認をされたというケースでございますよね。今現在のその価格が適正かどうかということに関して、大臣や大臣の事務所の方で地域の不動産業者に、問題が出た後に、これで合っているのか、相場どおりかということを新たに確認等はされたんでしょうか、されていないんでしょうか。教えてください。
○加藤国務大臣 新たに、現時点でということでは確認はしておりませんが、そのときの家賃は当時の相場を基に決めているということで、それ以降、特に大きな変化があるというふうには、特に確認をしていないという状況です。
○山岸委員 新たな確認はされていない、お母様から聞かれた話を国会等で答弁されているということですね。
じゃ、お母様に聞き取りをされたのは、これはどなたがいつ頃されたんでしょうか。
○加藤国務大臣 最初の家賃を決めたときの聞き取りということですか。(山岸委員「いえ、今現在です」と呼ぶ)はい。
今現在は、私自身が当時のことを振り返りながら、母や関係者の方々に確認をしたということになります。
○山岸委員 関係者の方々というのは、どなたでございましょうか。
○加藤国務大臣 当時、母が相談をした方々ということになります。
○山岸委員 つまり、全部お母様がなさった話ということでございますね。この一連の問題を受けて大臣御自身や大臣の事務所が不動産会社に何か問合せをされたりとか、そういう御自身での調査というものは、この件に関しては一切なさっていない。あくまで大臣からお母様に、あのときどうだっけと言って、お母様から、不動産屋さんから聞きました、こういう話を聞かれた。以上でも以下でもない、こういう理解でいいですか。
○加藤国務大臣 当時のことを思い起こしながら、関係の方々には、当時のことをということで確認、ヒアリングはさせていただきました。
○山岸委員 そうしますと、大臣、これまでの御答弁、少し見直された方がいいんじゃないですか。つまり、これまであくまで大臣が主語で、不動産相場を勘案しましたとか、不動産関係の方に聞きましたというふうに大臣はずっと一貫しておっしゃっているんだけれども、今のお話は、それはお母様からの又聞きですということですよね。
それはやはり、誰が確認するかというのは非常に大事なわけで、加藤大臣が御自分の行為としてさも答弁されている話は実はお母様からの伝聞ですという話だとすれば、それはちょっと訂正をしてもらった方がいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
○加藤国務大臣 はい、そのとおりだと思います。
○山岸委員 余りにあっさりお認めになるので若干拍子抜けなんでございますけれども、本当に、大臣の言葉というのは大変重いんですよね。この間、蓮舫さんと社会保険料と社会保障の言葉の議論なんかもありますけれども、本当に言葉の一個の違いが非常に大きい話であって、調査していない、お母様から聞いた話をさも自分が調べましたかのように予算委員会で答弁されているわけだから、これは予算委員会をやり直さなきゃいけないぐらいの話に私はなってしまうと思いますよ。
大臣、当時のことは当然お母様に聞くよりないというのはそうかもしれませんけれども、であれば、母はこう申しておりました、私が母に電話しましたらこう申しておりましたということを当然御答弁いただかなければいけないし、昨年同じような形で最終的に辞任なさった寺田大臣のケースも、やはりどなたがどなたに確認したかというところで非常に混乱をしたわけでございます。
加藤大臣、大変失礼ながら、そういった経緯も含めて、やはり、この手の問題に対する問題意識といいましょうか危機感といいましょうか責任感というものにいささか欠けるような答弁姿勢ではないかとお見受けしますけれども、もし何か、この点、自覚なり反省があればお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 一つ訂正になるかもしれませんが、済みません、先ほど私が申し上げた、母が当時相場について相談をしていた方々に対して、私もここ最近御連絡をさせていただいて、当時母にどういうふうにアドバイスをされていたかということを私自身が確認をさせていただいたというところであります。(山岸委員「また変わっちゃった」と呼ぶ)いや、先ほど、済みません、母経由でではなくて、母が相談をしていた相手に私自身が当時の様子を確認をしたということはありました。
○山岸委員 また変わっちゃった。
私、結構、決めつけにならないように一個一個確認しながら質問させてもらっているんですね。それはお母様からの又聞きだったんですねと申し上げて、そうですと大臣がおっしゃったので今申し上げたら、いや、違いましたと。お母様から聞いた方々に大臣御自身が連絡をされたということなんでございますね。
この方々というのは、どういう方々でいらっしゃいますか。地元の不動産業者という理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 地元の不動産関係の方々や、その方々と連絡を取っていた母の相談相手の方々です。弁護士の方ですとかになります。
○山岸委員 また今度新しい登場人物が出てきてしまったもので、ちょっと私も頭が追いつかない部分があるのでございますけれども、要するに、大臣がお母様から、あのとき誰に相談したのということをお聞きになったらば、お母様が、不動産会社の○○さんと自分の顧問弁護士の方ですよというお話を大臣が聞かれたので、大臣御自身が、いわば公務の合間を縫って、お忙しい中だと思いますけれども、お電話をされた、こういう事実関係でお間違いありませんか。
○加藤国務大臣 はい、当時の様子を聞かせていただきました。
○山岸委員 大臣御自身がでございますか。秘書の方とかではなくて、大臣御自身がという理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 はい、そのとおりです。
○山岸委員 となりますと、不動産会社の方というのは、当然、あの辺の相場は坪単価とかいう話になると思うんですけれども、弁護士の方というのは、ちょっと私も急な新たな登場人物の方なのでよく分からないんですが、この方が何か当時の書類の作成であるとか賃料の決定というようなことを、交渉事に関わっておられた、こういう方が何かいらっしゃって、その方に十五万円で合っていますかというふうなことを確認されたということでしょうか。
○加藤国務大臣 当時どのように決まったのかということについて、所有者である実母が地元の不動産事業者などに相場を確認して賃料を決めたという話を聞かせていただきました。
○山岸委員 分かりました。じゃ、弁護士の方は相場そのものとは関係ないんですね。そのときの手続を御存じの方、こういうことでございますね。
あのときお母様が不動産屋の○○さんと○○さんに連絡していたよという話をこの弁護士の方が教えてくれた。こういういきさつで、大臣御自身が不動産会社の方に、坪単価幾らで合っていますかというふうなことを問合せをされた。こういう流れ、ちょっと僕も流れがよく分からないものだから、この順番を整理したいんですね。
いろいろな報道があって、大臣が資料をそろえますと会見でも明言された。いざ資料を調べようと思ったら、紙はないということで、お母様から、あのとき弁護士の方にこう相談したのよという話になり、弁護士の方に相談したら、弁護士の方が、不動産会社、どこどことどこどこに相談したということで、大臣がそこに連絡をしてみた、こういう順番、整理で合っていますか。違うところがあったら教えてください。
○加藤国務大臣 繰り返しになりますが、私が確認をさせていただいたのは、家賃については、所有者である実母が地元の不動産事業者などに相場を確認して賃料を決めた、そうであったということを当時の顧問弁護士の方にも聞いて確認をしたということです。
○山岸委員 これ以上なかなか、深掘りしても、大臣は原稿を読まれるだけだから、今日はこれぐらいにさせていただきますけれども、今日、この短いやり取りの中でも、これまでの各予算委員会での答弁と違うようなことをおっしゃって、それをまた元に戻したというか更に変わってしまったのかというような、大変安定しない御答弁ぶりであります。
これから内閣の重要政策を担っていかれるに当たって、やはりこういう御対応では大変困りますので、大臣、いま一度、もう一度、経緯をしっかりと説明いただけるような、それこそ資料を整えてもらえませんか。どなたに大臣御自身が確認をされたのか、あるいは、この部分は伝聞です、こっちは又聞きだけれども、ここは自分で聞きました、こういうところをもう一回ちょっと整理をして委員会に御提出いただけないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○加藤国務大臣 聞き取りづらかったかも分かりませんが、改めまして、私自身が、家賃につきましては、所有者である実母が地元の不動産事業者などに相場を確認して賃料を決めたということを、母とその顧問弁護士の方等に確認をして、当時の相場のものであったというふうに申し上げているところであります。
○山岸委員 御答弁内容が二転三転しているから、明確に書面にしてくれませんかということを申し上げたわけなんだけれども、やる気がないということでございますので、大変残念な思いがいたしますけれども、今後も引き続き、この話はお伺いをしていきたいというふうに思います。
委員長、今後、加藤大臣から、一連の、答弁のぶれを含めて、当時の経緯をもう一回まとめてくれないかということを理事会の方でも御協議願えませんでしょうか。お願いいたします。
○星野委員長 現時点で答弁されていると思いますので。(山岸委員「理事会で協議してもらえませんか。答弁ぶれていますから、理事会で協議してもらえませんか」と呼ぶ)答弁されていると思いますので。
はい、どうぞ。
○山岸委員 大変残念でございます。引き続き、伺っていきたいと思います。
さて、続きまして、警察の関係でございます。
これは月曜日でしたけれども、宮崎県警に対して、刑事事件の被告側が、警察の方で証拠を改ざんしたのではないかという疑いで告訴を東京地検に行ったということがございました。お手元の資料ですと二枚目になりますけれども。
どういう話かと簡単に御説明申し上げますと、事件で警察が証拠品の写真を撮っている。その写真はデジカメでございますので、SDカードに記録をされる。このSDカードは普通のカードではなくて、キオクシア製のライトワンスメモリーカードと申しまして、一回しか書き込みができない、一回書き込んだら変更、削除、編集ができない、こういう仕組みなわけです。なので、一見、改ざんとか改変とかできないはずなんだけれども、今回、この宮崎の事件で提出されたSDカードの中から、三十数枚かと思いますけれども、一連の部分の写真が欠落をしていたということで、それは警察の方で証拠品の改ざんがあったのではないか、こういう案件でございます。
まず、松村国家公安委員長、この事案について大臣はどのように承知をされているか、今後、警察庁としての対応というのをどういうふうにお考えか、教えてもらえますか。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘のような報道につきましては承知をいたしておりますが、私も会見でこのことは申し述べましたけれども、宮崎県警からは、警視庁の通達に基づき適切に対応している旨の報告を受けているところであります。
○山岸委員 いや、大臣、これは深刻だという御認識がおありじゃないんでしょうか。私はこれは結構しっかり考えないといけない問題だと思います。証拠品から一部の写真が抜き取られているという、そういう趣旨の告発でありまして、これは事実であれば、やはり証拠の信頼性を揺るがし、刑事司法の正当性というものも揺るがす深刻な案件であって、しっかり対応しなければいけないという、まずそもそもの認識が大臣、おありなのかどうなのか、もう一回教えてもらえませんか。
○松村国務大臣 答弁の前に、先ほど、警察庁の通達を警視庁通達と申し上げましたので、訂正をさせていただきます。
その認識はございます。
○山岸委員 認識はあるということで、ありがとうございます。
では、その認識に見合った対応がなされているのかということが大事なわけでございます。
まず、これは事務方で結構なんでございますけれども、当然、SDカードが改ざんされるなんということはあってはいけないわけであって、そうならないような基本的なルールというものがあるかと思うんですけれども、その概要を説明してもらえますか。
○渡邊(国)政府参考人 ルールということでお尋ねがございました。
委員の御指摘のとおりなんでございますけれども、平成三十一年三月二十九日付で、警察庁から、デジタルカメラで撮影した写真や、その記録に使用するSDカード等の外部記録媒体の取扱いについて基本的な事項を定めまして、写真、画像ファイルですけれども、これが一切編集、加工等されないまま記録、保管されていることを担保しているものでございます。
○山岸委員 今言及のありました平成三十一年、二〇一九年の通達、お手元、一番後ろのページに配付しておりますけれども、ここに、構造上、原ファイルの編集、加工、消去ができないものを使えということを通達をされているわけなんでございます。
ただ、ここにいわば抜け道があるのではないかというのが、今回、宮崎の事案で指摘をされている点なんでございます。
どういうことかと申し上げますと、確かに、SDカードそのものは、一回書いてしまったら書換えができない仕組みなんだけれども、カメラからそのSDカードを抜き出してパソコンに一回データを吸い上げる、パソコンの中でファイルを何枚か削るなり、削ったら削ったで、いわば番号を、名前をつけ直して、さも連番になっているかのように番号をつけ直して新しいSDカードに戻せば、何もなかったかのように新しいデータを作ることができる。いわば改ざんが可能な仕様になっているのではないかと思いますけれども、この点、いかがですか。
○渡邊(国)政府参考人 御説明いたします。
御指摘は、記事にもございますけれども、パソコンにコピーしたものについて、編集、加工して戻せば別のものができるのではないかという御指摘だというふうに理解しておりますが、仮に、原画像ファイルというふうに私ども申し上げておりますけれども、元々の画像がパソコンにコピーされて編集、加工等をされたとしても、そのパソコンで編集、加工されたものについては、元々の原画像とは別の画像ファイルが生成されることになるというふうに考えておりまして、原画像自体を厳格に保管管理することによって分別できますので、例えばすり替えるですとか、そういった事態は想定し難いというふうに理解しております。
○山岸委員 想定し難いということなんだけれども、それが起こってしまっているんじゃないかということが今回の問題で、しかも、これは私が勝手に思っている危惧ではないわけで、現場の警察官の方あるいは各地の県警の方でも同じような問題意識をお持ちだと思うんですね。
というのが、都道府県警の中には、今お話があった警察庁の通達よりも更に厳しい独自の基準を設けていらっしゃる県警もあるというふうに伺っていますけれども、これをお調べ願えませんかというふうにお願いをしてあります。その結果を教えてもらえますか。
○渡邊(国)政府参考人 お答えします。
デジタルカメラで撮影した写真の記録に用いる外部記録媒体につきましては、都道府県警察において入札を行うなどして調達しております。
委員御指摘がありましたように、都道府県警察によっては、先ほど申し上げた警察庁の通達の内容に沿った上で、例えば、パソコン上で編集、加工した画像を媒体にコピーできないことなどの独自の仕様を必要とする仕様として加えた上で入札を行っている県警察もあるというふうに承知しております。
○山岸委員 具体的な県名を教えてもらえませんか。
○渡邊(国)政府参考人 秋田県警察でございます。
○山岸委員 ありがとうございます。
秋田では独自の指針があると。私も伺った範囲ですと、ほかに新潟、宮城ですか、幾つかの県で、基準という明文化かどうかは別にしても、独自の運用をしているというふうなことを伺っております。
やはりそういう問題意識を皆さんお持ちなわけで、実際に、今指摘をしたキオクシアのライトワンスメモリーカードというのを使っているところがある一方で、新しい基準によってそれ以外のカードを使っている都道府県警もあると承知をしております。
この都道府県警のカードの使用実態をお伺いしたいんでございますけれども、キオクシアのライトワンスを使っている都道府県が幾つあって、それ以外のカード、具体的にはPGSというメーカーかと思いますけれども、ほかにもあるかもしれませんが、それ以外のカードを使っている都道府県警はどこか、カードの種類ごとに教えてもらえませんか。
○渡邊(国)政府参考人 お答えします。
現在、都道府県警察におきまして使われている製品は二種類ございまして、委員御指摘の会社の製品のほか、別の会社の製品を使用しているという状態です。
それぞれの製品を使用している都道府県警察の数について申し上げます。御指摘の会社の製品のみを使用しているのは三十六、別の会社の製品のみを使用しているのは三、両方の製品を使用しているのは八、都合四十七ということになっております。
○山岸委員 ありがとうございます。
やはりキオクシアが圧倒的に多いとはいえ、十を超える都道府県警察では、別のカードも単独で使ったり併せて使ったりしているということですよね。
現場のこうした動きというものは非常に意味が大きいというふうに思います。やはり、キオクシアのカードの仕様だとパソコン上でいじれてしまうということについて懸念がある、だから上乗せの基準を作ったり別会社のカードをあえて採用したりしているわけでありまして、これは、平成三十一年の警察庁の通達がやはり現場から見るとちょっと大丈夫なのか、漏れがあるんじゃないか、こういうふうな問題意識があるということなんだと私は理解をするんですけれども。
大臣にお伺いしたいのは、ここまでの議論をお聞きいただいて、やはり、この三十一年指針、警察庁の指針というものは、現場の実態に合わせて、よりハードルが高い、厳しいものに見直していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
現時点におきましては、捜査上問題が生じているとの報告は受けておりません。
他方で、都道府県警察における外部記録媒体の使用実態については、日々の技術の進展に適応するためにも、警察庁においても継続的に把握させたいと考えているところでございます。
その上で、必要があれば、通達の改正も含めて検討するよう指導してまいりたい、このように考えております。
○山岸委員 前向きな御答弁というふうに受け止めさせていただきました。
今回の宮崎の一件がどうかということはこれからの話なんでありますけれども、これを契機に調べてみたら、実際に十一の都道府県警ではほかの会社のカードも使っているという実態があるわけでございます。
そうしますと、これは邪推と言われたらそれまででございますけれども、キオクシアのカードをどうしても排除してはいけないという何か事情があるのかなということも少し考えてしまったりもするわけなんでございます。つまり、実質的に今二社しかないわけですよね、作っている会社が。基準を厳しくするとキオクシアのライトワンスが使えなくなっちゃって一社しかなくなってしまうということが何らか現場で不都合になるんだろうかということを私も考えたわけなんだけれども、別に不都合はないんじゃないかというふうな気もいたします。むしろ、何かキオクシアをあえて残さなければいけない理由があるんだろうかと考えてしまうわけなんでございます。
これは確認ですけれども、キオクシアに対して警察庁からの再就職というのはあったりするんでしょうか。教えてください。
○楠政府参考人 お答えいたします。
国家公務員の再就職状況につきましては、国家公務員法により公表制度が設けられております。
これによりますと、警察庁の職員に関しまして、過去五年間、今委員から御指摘のありました会社に再就職をした事例はないものと承知しております。
○山岸委員 ありがとうございます。
一方で、かつての親会社、母体である東芝に対しては継続的な再就職があったというふうに理解をしております。この点、これ以上は深掘りしませんけれども、やはり、ちょっとこの辺り、明確にもう一度ルールの整理ということをしていただきたいというふうに思います。
先ほど大臣から、警察庁に把握をさせたいというお話がございました。把握というのは非常に幅広い言葉でございますので、一つこれは御提案なんでございますけれども、今日指摘をしたようなパソコンへの取り込みだとかそういうふうなことがひょっとしたらほかでも日常的に行われている可能性があるのかもしれないというのが、今回、宮崎の一件で明らかになっていることなんだろうと思います。
そこで、各都道府県警の現場におけるSDカードの利用実態、どんなふうに現場で使って写真の保存や記録をしているのか、こういう実態調査ぐらいはこれを機会にやってみよう、これぐらいのところまでは、大臣、おっしゃってもらえないでしょうか。いかがでしょうか。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
都道府県警察におきましては、平素から、SDカード等の外部記録媒体の保管管理状況について適切に点検、確認しているものと承知をしているところでございます。
その上で、警察庁においても、平素より、捜査上の問題等があれば、都道府県の警察から必要な報告を受け、必要な指導を行っているところでございます。
SDカード等の外部記録媒体の利用実態において問題等があれば、警察庁においても、しっかりと把握をさせた上で、必要な措置を講じるよう指導してまいりたいと考えております。
○山岸委員 ひとつよろしくお願いをいたします。
これから、捜査の可視化であったり、あるいは諸外国で採用されている警察官のボディーカメラなどであったり、やはり飛躍的にデータの量が増えていくということが今捜査現場で起こっているわけでございまして、今、それに見合ったルールになっているんだろうか、保存方法になっているんだろうかということが問われていると思いますので、この問題をきっかけにして、更に徹底をしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。
残りの時間で、高市大臣、済みません、お待たせしました、土地規制の問題を議論させていただきたいと思います。
昨年でございますが、重要土地規制法、当委員会で審議をして成立をしました。私も、会派の方針に従って賛成をしたわけでございますけれども、当然、その立場から、運用をチェックをしていく責任があると考えております。
地元練馬には、練馬駐屯地、第一師団でございますね、そして朝霞駐屯地、陸上総隊司令部、非常に重要な機関がある中で、住民の皆様のお話を伺っている中で、これはちょっと運用がまずいんじゃないかなということがございます。それが、当事者、利害関係者である地権者や住民に対して情報提供が全くなされていないということでございます。重大な私権の制約を受けることになる住民が知らされないままに、注視区域、あるいは特別注視区域の指定がされているということがあるわけでございます。
まず、大臣、基本的な認識をお伺いしたいんですけれども、今時点、国が、指定候補地、指定地ではありません、指定候補地の段階で、その地域の住民の方や地権者の方々から何らかの意見というものを受け付けるような仕組みというのはあるんでしょうか。教えてください。
○高市国務大臣 重要土地等調査法に基づく区域指定というのは、我が国の安全保障のための措置でございます。土地等利用状況審議会の御意見を聞いた上で、国が責任を持って判断し、実施すべきものと考えております。
区域指定に先立ってということなんですが、地理的な情報など、地域の実情を把握するということが重要ですので、関係地方公共団体からは御意見を聴取することといたしております。
ただ、区域指定に先立って、地権者や住民の方々から意見を受け付けるという仕組みは設けておりません。法に関する個別のお問合せについて、コールセンターで御質問などに対応しているということでございます。
○山岸委員 ないということですよね。
今、コールセンターなんかの言及はありましたけれども、済みません、若干時間がないので、コールセンターの話は飛ばさせてもらいます。
国がしないということであれば、じゃ、自治体はできるのかということを確認したいんですけれども、国ではなく自治体が、候補地となっているエリアの住民の皆さんに対して何らか説明を行ったり、あるいは住民の方から意見を聞いたりするということは、これはできるんでしょうか。教えてください。
○宮坂政府参考人 お尋ねのとおり、関係公共団体から私どもの方で御意見をお聞きするという機会を設けております。
自治体の皆様の方で地元の住民の方に御説明するということにつきましては、一つ注意点がございまして、私どもの方で、まず区域図の案を御提示いたしまして、それを意見照会をしておるという内容でございます。この内容につきましては公表しないでいただきたいということを私ども申し上げておりますけれども、そうでない部分につきまして御説明をされる機会、説明会等を開催されるということについては何ら問題ないかと思っております。
○山岸委員 今の御答弁、大事なところだと思います。
お手元の資料、四ページ目になりますけれども、国から候補予定地の自治体に対する事務連絡の中に、公表しないでくれというくだりがあるわけですね。何をしちゃいけないかと言っているかというと、地図とか地名、こういったものは開示してもらっては困るということをおっしゃっているわけです。
当然、こうなると、自治体は、じゃ、言っちゃいけないのかな、何もしちゃいけないのかなというふうに判断してもおかしくはないわけでございまして、具体的な、やってはいけないことは何かというのを確認させてほしいんです。
具体的にお聞きします。
例えば、自治体が、区の広報、例えば、練馬区報とかに地域名とか地図を載せる、これは、この基準でいうと、やっていいのか、いけないのか。教えてください。
○宮坂政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、意見聴取に際しまして関係地方公共団体に送付しております区域図案、それから区域が所在する地域の町字リストでございますけれども、これは、公にいたしますと、事業者や地域住民の方に混乱を生じさせるおそれや、関係公共団体と国との間の率直な意見交換に問題が生ずるおそれがあるということから……(山岸委員「具体的に聞いています」と呼ぶ)はい。公表を差し控えるということをしておりまして、したがいまして、御質問がありました、自治体が広報に対象地域を明示した地図を掲載するというのはお控えいただくようにお願いしております。
○山岸委員 これはできないと。
じゃ、別の例を聞きます。
自治体が、指定候補予定地の地権者や住民の皆さんに対して、例えば、どこどこ何丁目、公民館というような形で説明会を開く。これはできますか、できませんか。
○宮坂政府参考人 お答え申し上げます。
委員御質問の方法におきまして、仮に、地方公共団体の方で区域図案と内容を明らかにするような形で説明をされるということであれば、これは公表に当たり得ると思っております。
一方で、対象を区域指定案の地域に限らずに行う場合、これは公表に当たらないというふうに考えております。
○山岸委員 また別の例もお聞きいたします。非常に細かくお聞きしているのは、自治体にとって非常に分かりづらいからでございます。
自治体が対象区域の周辺にチラシを投函する、つまり、あなたの御自宅は今、予定地に入っておりますのでというふうなチラシを投函して、広報、周知啓発を行うという行為は、ここで言うところの禁じられる公表に当たるのか、当たらないのか。教えてください。
○宮坂政府参考人 お答えいたします。
今委員の御指摘のお話の中では、指定候補地の予定地の住戸ということで、明示的に場所を指定してチラシを投函されるということでございますので、この場合には公表に当たってくるのではないかというふうに考えます。
○山岸委員 本当に、べからず集というか、自治体が何か地域の皆さんに情報提供しようと思ったら、ことごとくできないということになるわけですよね。
先ほどの例でいえば、一個だけ多分できるのは、少し広目にエリアを取って説明会を開く、これはできるということです。でも、その中で、例えば、どこどこ何丁目の、ここが線ですよということは言っちゃいけないということでございますよね。
これは、利害関係者である住民の方、地権者の方からすれば非常に不安な話だろうと思います。正式に指定をされるまで、自分のうちが入るか入らないかすら教えてもらえないということですよね。自治体に聞いても教えてもらえない。聞かれた自治体も、いや、これは国から口止めされているから言いたくても言えないな、こういうことで、本当に、住民の皆さんや地権者の皆さんが不安定な状況、そして不安な思いをされているわけであります。
もう時間がなくなってまいりましたので、大臣、これは最後の質問になると思うんですけれども。
やはり、ここまで議論させていただいて、今、幾つか具体例を挙げて、これはできますか、できますかと聞いても、ほぼできない、若干工夫すればできるかもなというふうな話があったわけでございます。
ここをもう少し工夫をしていただいて、例えば、自治体に対して何らかのガイドラインをお示しいただく。こういうことはしていいですよ、これぐらいの情報提供はできますよというふうな、何らかの、ガイドラインという形でも構わないんですけれども、少なくとも、国として御負担をお願いしている以上は、各自治体の皆さんに対して、重大な私権制約を受けることになる地権者や住民の方々に対して、できる限りの情報提供ができるような国としての仕組みということに改めていく必要があるんじゃないかと考えていますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 区域指定に先立ちまして、関係地方公共団体にその御意見を聴取するために送付している区域図案なんですけれども、やはり、その後のプロセスを経て変更される可能性がございます。
私も、土地等利用状況審議会に出席したりしていましても、最初にここが候補地になるのかなと思っても、現地に行ってみたら、やはり外縁や地形やいろいろなことが変わっていたというようなことで、公になることで住民や事業者の間にまず混乱を生じさせるおそれがあるということ、また、関係地方公共団体との率直な意見交換に支障を及ぼすおそれもあるということから、今のような扱いにさせていただいております。
ただ、区域の指定後は、事業者や住民の皆様への周知というのは非常に重要だと思っておりますので、地方公共団体の御協力も得ながら、広報を積極的に行っているところでございます。
○山岸委員 時間ですから終わりますけれども、大臣は今混乱とおっしゃったけれども、今の方がよっぽど混乱していると思います。是非見直してほしいということをお願いして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、太栄志君。
○太委員 神奈川十三区、太栄志でございます。
この間、地域を歩いて、そして草の根活動を徹底してやってまいりました。そういった地元の声を中心に、本日、各大臣の皆さんに、また政府参考人の皆さんに質問したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初、新藤大臣に、先週、週刊文春で報じられたベトナム人実習生の宿舎環境をめぐる問題について伺います。
この問題は、二〇一七年十月に東京新聞でも報じられていました。大臣のお地元、埼玉県川口市の川口鋳物工業協同組合から国が要望を受け、そして、外国人技能実習生の待遇改善のために設けた国の宿舎の広さ規定が、公表から僅か三か月で基準変更、つまり待遇改善規定が三か月で後退してしまったというものです。
報道によりますと、二〇一七年五月、議員会館の新藤大臣の事務所で、大臣の同席の下で厚労省と法務省に対して鋳物組合から要望が行われたとされていますが、まず、大臣、実際面会されたのでしょうか。この面会の有無を教えてください。
○新藤国務大臣 この問題は、私の地元の組合から、そうした制度の運用について、途中で、事前の指導に対して変更があったということで、これを何とか国と相談したいということで私の方に依頼がありましたので、お引き合わせはいたしました。
私の方で、政府の方に、関係の府省庁に、話を聞いてやってほしいということの、そういったお引き合わせはいたしましたが、それについて私が何かを、そこで、このようにしたらどうかとか、そういった働きかけ等は一切行っておりません。
○太委員 大臣、今、お引き合わせをしたということなんですが、大臣も同席をなさったという認識でよろしいでしょうか。そこを確認です。お願いします。
○新藤国務大臣 六年前のことなんですけれども、最初に、今まで、その他のことも含めていろいろと、いろいろな団体からの御要請、また個人も含めて御要望があります。それに対して、こういったことだから話を聞いてやってほしいということは、間々、日頃の政治活動で行われることで、その一環として、そのときに最初の引き合わせを行った、こういったことはあったかもしれませんが、いずれにしても、それ以降の、詳細な中身のやり取りとか、そういったことを私は承知をしておりません。
○太委員 大臣、中身は承知していないということなんですが、分かりました、同席をされたということですね。
報道によると、大臣も同席をした上で、この話の中で、一緒にいたということなんですが、それでは、今日は法務省また厚労省に来ていただいています。まず、法務省さんから、どういった話の内容だったかというところを教えてください。
○福原政府参考人 お答え申し上げます。
法務省におきましては、議員からの要請を受けて本件運用要領の改正を行ったという事実は確認をされていないところでございます。(発言する者あり)はい。
○星野委員長 済みません、もう一度答弁をお願いします。やじに答えないでください。
○福原政府参考人 はい。
入管庁におきましては、今回、要請があったというお話でございましたけれども、要請を受けたという……(太委員「内容を教えてください」と呼ぶ)はい。
入管庁におきましては、当時の情報が残っていないということでございまして、確認は困難でございます。
○太委員 残念ですが、それでは、厚労省の方はいかがでしょうか。お願いいたします。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一七年四月に要領を公表した後、新藤議員の事務所におきまして、厚生労働省の担当者から技能実習制度の、まず制度の説明と、あと、その際、団体から宿泊施設についての実情をお伺いしたということはございます。
○太委員 ありがとうございます。
まさにこの問題、今も続いているんですよね、この制度が。まさに基準が変更されてから。そういった意味では、本当にこの基準変更の大切なタイミングだったと思っていますし、法務省はなぜ記録が残っていないか、本当に驚いておりますが、いずれにしろ、今、厚労省の方から、この中身について要望を受けたということなんですが、それは新藤大臣からも何かあったんでしょうか。それは業界からだったのか、そこをちょっと確認をお願いいたします。
○原口政府参考人 お答えいたします。
詳細な記録は残ってございませんが、議員からの要請を受けて改正したという事実は確認されてございません。
また、業界の方からは実情をお伺いしたということでございます。
○太委員 それでは、もう一度お伺いしたいんですが、まず法務省から。
この基準が変更されました。先ほどのお話でも、新藤大臣の事務所での面会があったのは二〇一七年五月。四月にこの基準が公表されたことになっているんですが、それから基準変更まで三か月、この基準変更の理由について教えていただけますでしょうか。まず法務省からお願いいたします。
○福原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の二〇一七年七月十四日付の技能実習制度運用要領の一部改正についてでございますが、同年四月に公表いたしました宿泊施設に係る基準につきまして、新制度への移行に伴いまして、旧制度から引き続き技能実習生を受け入れる施設に関する緩和措置として行ったものと承知をしているところでございます。
○太委員 厚労省からもお願いいたします。同じ質問です。なぜこの基準が変更されたのか。お願いいたします。
○原口政府参考人 お答え申し上げます。
公益財団法人国際研修協力機構の巡回相談というのを企業に対して行っておりました。その状況等から、基準を満たさない団体が一定数存在している実態を把握したために改正したものと考えています。
○太委員 先ほどもお話をしたんですが、この制度はいまだに残っているんですよね、六年たっても。
ということで、じゃ、基準をいまだに満たしていないのかどうかということなんですが、この問題は地元の川口市でも、市議会でも取り上げられていました、当時、二〇一七年。我が党の碇さんという市会議員が再三質問していたんですが、現場も見られたそうです。碇議員とお話をしましたが、本当に劣悪な環境の中で建てられてしまって、しかも国の基準を満たしていなかったということで、おかしいんじゃないかと。といいますのも、元々この建設費の半分、約二億円を市の方で負担したということで、市でも様々議論になったそうなんです。
そういった中で、なぜ突然基準が変わったのか。今、厚労省の方からは、経過措置の中でということでなんですが、これだけやはり長過ぎますよね、いいかげん。
といいますのも、まさに今でも、まず今、実習生あるいは留学生、失踪事件が相次いでいます。我が国として、本当に今人材難の中で、どう外国の方たちも労働力としてまさに共生していけるのか、そのことが問われていると思っているんですが、そういった中で、本当にこのままで大丈夫なのかというところで、もう一度、厚労省、教えてください。
なぜこんなに長く、これは一時的な措置のはずだったのに、ずっと続いているのか、その点、返答をお願いいたします。
○原口政府参考人 技能実習法の施行規則では、技能実習生に適切な宿泊施設を確保することと定まっておりまして、運営要領では原則として、先生御承知のとおり、一人当たり四・五平米と決まっております。
一方で、旧制度からの移行に当たりましては、宿泊施設の中では四・五平米確保できない、急には確保できないということも考慮しまして、その場合であっては、一定の代替措置が講じられる場合には例外を認めるという経過措置を設けたところでございまして、個別に判断したところでございます。(太委員「まだ、なぜ続いているのか、経過措置でですね」と呼ぶ)
というところで、個別に引き続き判断し、適切に対応していると考えております。
○太委員 これは本当に残念ですね。これはまさに、国際的な人権感覚、そして人道的な観点からも日本の人権感覚が本当に疑われかねないと思っているぐらいに、実際、ベトナム人の人たちが、こんなところに住めないということで訴えているという、そういった実態もあるわけですよね。
やはり、こういうのを放置してしまうというのは、これは相当深刻な問題だと思っておりますので、この一連の基準変更に関して、含めて、新藤大臣、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いします。
○新藤国務大臣 指摘いただいた基準の変更は、まさに厚生労働省また関係省庁の検討によってなされたものであって、川口の事例のための例外ではない、全国的基準でございますから、例外規定としてやったものではないということはまず御理解いただきたいと思いますね。
その上で、私も、これは様々な実情を踏まえて各省庁が適切な判断をいただいていると思っておりますし、技能実習制度が適切に運用されること、それは私も願っております。
○太委員 大臣、大臣のお地元、川口市というのが、全国で二番目ですか、外国人の住民が多い、そういったところだと聞いております。そういった意味でも、もちろん、地域の産業をしっかりと守るというのは大事なことだと思っています。一方で、そういった外国人の実習生の人権を守ることも大事だと思っていますので。
そこをまた、本当におかしな状況が私は続いていると思っています。この国の基準の寝室スペースですか、大体三畳分ということですよね。ですが、今の川口の状況というのは約二畳。そういった意味で、劣悪な状況がずっと続いていますので、そこを転換するために、是非とも大臣、お力添えいただきたいと思っております。
これに関連して、もう一つ問題があります。
鋳物組合の政治団体から、もうこれは大臣、記事にもなっておりますが、大臣が代表を務める自民党支部に多額の寄附を行っている、極めて深い関係があるということです。報道では、多額の献金の見返りとして口利きをしたのではないかということなんですが、この点に関して、大臣、御見解をお願いいたします。
○新藤国務大臣 まず、私は、最初に申し上げましたが、そうした団体側からの相談があって、それを、よく話を聞いてやってほしいということは、そういった意味で引き合わせをいたしましたが、内容についてどうすべきだということは、私は触っておりません。ですから、それについて、そもそも働きかけをしておりませんので、それに対する見返りというものも存在しないと思っています。
それから、鋳物組合というのは、川口の地場産業で、しかも、川口の鋳物というのは日本の中でも非常に重要な位置を占めている、そういう人たちです。ですから、地元を支えていただく地場産業の皆さんが、地元選出の私を熱心に御支援いただいていることも事実であります。
しかし、このことによって何か献金額が変わったりとか、そういったことはございませんし、地元の団体からの政治献金については、私、それは、法令にのっとって、収支報告書に記載しているとおり、適切に運営されております。
○太委員 まさに、このところも、本当に、政治とお金の問題、様々相次いでおります。まさに政治への信頼に直結する課題でありますので、是非とも、大臣、説明責任を含めて今後も引き続きお願いしたいということと、あと、まさに政治家は襟を正して、疑念を持たれずに、信頼回復へと取り組んでいかなきゃいけないと思っておりますので、引き続きこの問題、政治とお金の問題を含めて、こういうふうな疑惑にしっかりとお答えいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
大臣、それでは、これでよろしいですので。ありがとうございました。
続きまして、次に移ります。
子供の交通安全対策の推進ということで、こちらはこども家庭庁を中心に伺いたいと思います。
この問題、私は内閣委員会で何度も質疑させていただいてまいりました。子供の命を守るためにまず最低限我々政治がやらなきゃいけないことは、まさに危険通学路をなくしていくことだと思っております。私の地元でもそうです。地域の方が、ここにガードレールが欲しいとか、通学路を何とか、危ないからと言っても、行政もなかなか動いてくれない、そんな状況、あるいはたらい回しになってしまうということが続いていると思っています。
何とかこの状況を変えなきゃいけないという中で、私がこれまで言ってきたのが、こども家庭庁を司令塔機能として、司令塔機能というのは権限と財源だと思っています、そこをしっかりと持ちながら、今、四つですか、国交省、文科省、あと内閣府、警察庁、縦割りの弊害が出ていると思っていますので、そこをしっかりと、司令塔機能の中で優先順位をつけて、まずは子供の命を守っていくということで対策をしてほしいということをずっと訴えてきたんです。
令和五年度こども家庭庁の交通安全業務計画、この中でようやく、司令塔機能を果たしますということは出てきました。それは、八街の事件を受けて、全国一斉の合同点検を行いました。その危険箇所、全ての箇所に安全対策を講じることを目指して、こども家庭庁が司令塔となって、文科省、警察庁、国交省などと連携を図りながら取組を推進していくということなんです。
それでは、まずお伺いしたいのが、こども家庭庁としては、子供の通学路の安全確保のために予算がどれほどあるのか。そこをまずお答えいただけますか。お願いします。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
今のところ、予算額は示されておりません。ゼロであります。
○太委員 司令塔機能を果たすということなんですが、予算ゼロで本当にこれができるのかどうか。もちろん、実際にこども家庭庁がガードレールを造ったりとか信号を立てたりということではないと思っているんですよ。ですけれども、やはり権限と財源のセットだと思っておりますので、そこを是非とも目指してやっていただきたい。
そういった中で、では、どういった形でこども家庭庁が、予算ゼロの中で司令塔機能を果たしていくのか。その点に関して、これも副大臣ですかね、お願いいたします。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
前振りですけれども、私も大変危険な、交通事故が一番多かった愛知県出身の議員でありますから、しっかり太議員と考えは一緒だと思います。その上で、内閣府のお答えをさせていただきます。
通学路の交通安全対策については、令和三年六月に発生した、今紹介されました千葉県八街市の死傷事故を受け、通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策を取りまとめ、各省庁が自治体と連携しながら対策を進めております。
この緊急対策全体の取りまとめは内閣府が行っておりますが、こども家庭庁が設立されたことに伴い、緊急対策のうち、通学路の合同点検についてはこども家庭庁において取りまとめることにしております。
この通学路の合同点検に基づく対策については、本年四月の関係閣僚会議において、暫定的な安全対策の実施を含め、目標期間の令和五年度末までの、通学路合同点検対象の全国七万六千四百四か所全てにおいて安全対策を講じることを目指し取り組むこととの総理からの指示があったところでございます。
こども家庭庁といたしましては、年度末までに全ての箇所で安全対策が講じられるよう、各省庁に対し、取組状況を確認し、その進捗を促すなど、司令塔としての役割をしっかりと果たしてまいります。
私からのお答えでございます。
○太委員 ありがとうございます。
是非ともそういった形で、今まさに五年度末までの、危険箇所をなくすように司令塔機能を果たしていただきたいと思いますが、是非ともそれ以降もこども家庭庁で司令塔としてやっていただきたいと思っておりますので。
そこに向けて、大臣にお伺いしたいのが、今まだこども家庭庁は財源がない中なんですが、それでは、各省庁に対して、しっかりと財源を、予算を確保するように働きかけを是非ともお願いしたいと思いますが、大臣、どうか意気込みも含めてお願いいたします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
委員御関心の、緊急対策として取り組んでいる通学路等における安全確保につきましては、歩道整備や標識の設置などハード対策につきましては、措置が講じられれば完了となりますが、学校での見守りや指導、取締りなどのソフトの対策、これは令和六年度以降も継続して実施されるものと承知をいたしております。
また、緊急対策以外につきましても、第十一次交通安全基本計画におきまして、通学路交通安全プログラム等に基づく定期的な通学路合同点検の実施等を、生活道路における交通安全対策の推進においてゾーン30の整備の推進等を位置づけており、内閣府としましては、令和六年度以降も引き続き、関係省庁と連携し、各種施策に適切に取り組んでまいります。
非常に大事な問題意識だと思っておりますので、精力的に取り組んでまいります。
○太委員 はい、分かりました。是非とも、先ほどお伝えしたように、予算も大事だと思っていますので、そこをしっかりと確保して、この取組を進めていただきたいということと、危険箇所をなくすように、まずはこの点検に出てきたところを対処いただきたいと思っております。
続けてになりますが、この五年度でまさにこの箇所は終わるわけですよね。それ以降に関して、こども家庭庁としてどういった子供の命を守るための通学路行政をやっていくのか、その取組について教えてください。お願いいたします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど、今後の取組の意気込みに含めて答弁をさせていただきましたので、若干繰り返しにはなりますけれども、ハード対策につきましては、措置が講じられれば完了となりますが、学校では、見守りや指導、取締りなどのソフト対策は令和六年度以降も継続して実施をされるものと承知をいたしております。
これからも、令和六年度以降も引き続き、関係省庁と連携をして、各種施策に適切に取り組んでまいります。
○太委員 ありがとうございました。
それでは次に、経済安全保障に関してお伺いさせていただきます。高市大臣、お願いいたします。
昨年も、ちょうど同じ時期に臨時国会で私は同じことを質問しました。まさに我が国の技術流出を防ぐためにも、また、ほかの国との連携を強化していく、その視点からも、早急にセキュリティークリアランスを制度化していく、法制化をしてほしいということをお願いいたしましたが、この一年間、残念ながら何もありませんでした。
そういった中、ちょうど今朝も新聞にありました、中国の国家機関による核兵器開発に我が国の先端技術の工作機械が流出した、軍事転用されていたという実態が取り上げられていましたが、本当に早急にこのセキュリティークリアランスということで、私は対策を、制度化をしていかなきゃいけないと思っております。
まず、大臣、これはどういった形で進めていく予定なのか。といいますのは、本来なら今年の通常国会でしっかりと法制化してほしかった、できなかったという中ですが、今、特定秘密保護法を改正して対応すべきじゃないか、そういった現場の声もあります。
そういった中で、大臣、今後の見通しというか、ごめんなさい、これは聞いていなかったですかね、一応先週もお伝えしていると思うんですが、こちらで。ちょっとその点、所信表明でお話しされているのかもしれないですけれども、今後のセキュリティークリアランス制度導入に向けてのどういったタイムテーブルを持っていらっしゃるのか、その点を教えてください。お願いします。
○高市国務大臣 委員には、いつもセキュリティークリアランスについて前向きなお話、またプッシュをいただき、ありがとうございます。
今年の通常国会に提出できなかったのは残念でございますが、去年の夏に就任いたしまして以来、様々諸外国の制度も調べ、また、総理などとも相談を続けてきた中で、今年の二月に岸田総理から、有識者会議を設置して、しっかりと議論を進めた上で制度を考えていくようにということで、ようやく御指示をいただきました。そこからずっと、二月から大体月二回ぐらい、かなり長時間有識者の皆様に御議論いただいて、六月に中間取りまとめを公表することができました。
そして、それを基にしてこれから法律案にしていく作業なんですが、つい先般からまた有識者会議を再開しまして、大きな論点について最終的な議論をしていただいております。
何とか来年の通常国会で先生方に御議論をいただけるように、法制化に向けて頑張ってまいります。
○太委員 分かりました。一年遅れですが、是非とも大臣のリーダーシップでここは進めていただきたいというふうに思っております。
その上で、このセキュリティークリアランス制度の具体的な方向性について幾つか教えていただきたいと思っております。
まず、適性評価制度について。防衛産業の人や現場の声の中でも、やはり他国に比べて、日本の現状、これまでの制度では大きく後れを取ってしまうと。あと、さらには、法制化するのであれば、民間でも使いやすい制度設計にしてほしいということで、進めるべきだと思っております。
そういった中で、例えば、政府の職員がこのライセンスを取得した後に、異動したりとか、あるいは政府から民間に行った場合とか、そういったときも引き続きこのライセンスが有効である、そういった仕組み、まさにこれはポータビリティー性のある資格制度に進めていくべきだというふうに思っておりますが、大臣、この点に関しての御見解を教えてください。お願いいたします。
○高市国務大臣 先ほど申し上げました、今年六月におまとめいただいた中間の論点整理でございますけれども、その中でもポータビリティー性について触れられております。
具体的に、一度得られた信頼性の確認のための調査結果が、一定の有効期間の間、組織や部署を超えて有効となるポータビリティー性が確保され、適正な水準が維持されるよう、政府全体で統一的な対応を行っていくことが望ましいといった御指摘をいただいておりますので、こうした御指摘を踏まえて検討を進めているところでございます。
○太委員 大臣、ありがとうございます。
その有識者会議の中間報告は私も見させていただいております。そういった中で、今検討を進めていて、この年明けですか、通常国会に提出をしていただくということなんですが、そこは、有識者会議で言われていることを、この方向で進みそうだということの認識でよろしいのか。そういった意味で、大臣の御見解を教えていただけますか。
有識者会議の方向性というのは了解いたしました。その上で、大臣のお考えということを教えてください、ポータビリティー性に関してですね。
○高市国務大臣 ポータビリティー性ということで申し上げますと、私の見解も同じでございます。
例えば、今、日本にある唯一のセキュリティークリアランス制度というのは特定秘密保護法に基づくものでございますけれども、国家公務員が九七%取得していますよね。そうすると、一旦調査を受けてクリアランスを持っている国家公務員が、人事異動で全然違う役所に行ったり、その役所の中でも全然特定秘密と関係のない部署に行ったら、一旦その資格を失って、また異動して戻ってきたらもう一回調査を受けなきゃいけないということで、国家公務員の中でも非常に不便だというお声もありますし、先ほど委員が御指摘くださったように、民間企業も、各役所ごとに調査を受けなきゃいけないということになると困るというお声も伺っておりますので、私としては、先ほどの中間論点整理の方向に沿って法制化を進めたいと考えております。
○太委員 分かりました。是非ともその方向性で進めていただきたいと。
大臣、今おっしゃった、まさに民間の活用ということも含めて、これも、ほかの国、特にアメリカと比べると圧倒的に我が国が劣っている、まだ満たないところだと思っておりますので、そこも、進めていく上での、このポータビリティー性というのはキーになると思っておりますので、その点、是非とも先導していただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、今大臣も少し触れられましたが、政府として統一感を持ってやっていくということなんです。
現在、特定秘密保護法の中では、所管の官庁ごとに適性評価とそのための調査を行っているというのが現状でありますが、今検討を進めている中で、今後どのような形で、適性評価を行っていくことの主体として、そこはどうなっていくのか。その点、方向性を教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○高市国務大臣 調査の主体ということになりますと、実はまだ、今法律案をお示しできるという段階ではございませんから、その信頼性確認のための調査をするのはどこか、その結果を管理するのはどこかという主体が確定しているわけではございません。
ただ、先ほど申し上げました中間論点整理に当たって、調査の機能を一元的に集約する可能性も含めて検討するよう、こういう指摘がなされております。仮に、調査の機能を一元的に集約するということになりましたら、政府部内の一つの部署が、部局がこれを担うということが想定されます。
具体的な組織については、今後、有識者会議での御議論を踏まえながら、しっかりと法律案に入れていくということになる、そういう段階でございます。
○太委員 まさに私は、今大臣がおっしゃった、一つの部局なり部署がということだったんですが、例えば、アメリカだと国防総省ですか、そういった形で、ある程度一つの部署がしっかり責任を持ってやっていますが、そういった意味での経済安全保障担当大臣がいらっしゃるわけですので、その部署で進めていくということができるものなのか。そこの点に関してどうなんでしょうか。
本来ならそういった形が望ましいんじゃないかと思っているんですが、そちらはどうなんでしょうか。お願いします。
○高市国務大臣 まだ法律案を国会にお示ししておりませんので、私の独断で断言はできませんが、ただ、今特定秘密保護法でやっているのも、各省ごとにということは基本的に考えておりません。一つの部署を政府内に設けて、そこが責任を持つ。また、大事な個人情報ですから、これをしっかりとセキュリティーを固めて守るということも大事だと私は考えております。
また改めて、法案を御審議いただくときにいろいろとお話をさせていただきます。
○太委員 大臣、どうもありがとうございました。
大分踏み込んで御見解をお聞かせいただきまして、是非ともその方向性で、これはまさに一つの部署でというところを進めていただきたいと思っております。
そして、次なんですが、報道等によれば、十月十一日のこの有識者会議の中で、経済安全保障上重要な情報として四つの分野が示されたということですね。もちろん、この間、私も経済安全保障制度の推進ということでお話をさせていただいておりますが、制度設計に当たり、大臣今おっしゃいましたが、政府としては、本当に慎重に、この制度設計というのは必要だと思っておりますし、特に、経済活動の自由、国民の権利保護と情報管理の秘匿性、あとライセンスの利便性なんかも、そういったことも考慮した管理機関というのをしっかりと制度設計していただきたいと思っておりますので、その点、どうぞよろしくお願いいたします。
以上となります。どうもありがとうございました。もうこれで高市大臣、大丈夫ですので、ありがとうございました。
ごめんなさい、時間がなくなってまいりましたので、次に移りたいと思います。
次、これは加藤大臣ですね、改めまして。次は、障害者福祉政策ということでお伺いさせてください。
この四月に統一地方選挙がありました。私の秘書で、学生時代に精神疾患を患って、強制入院を数度経験して、自ら精神障害当事者であることを公表していた堀合研二郎さんが、私の地元で市議選に挑戦して、無事当選を果たしました。
ですけれども、日本では、そういった意味では、精神障害当事者の議員というのはまだまだ本当に少ないです。堀合さんも、選挙に出ると決意してから、様々、いろいろなハードルがありましたし、大変な経験をされました。何とか乗り越えましたが、私はやはり、まずは政治こそが率先して障害者にも様々、チャレンジする機会、政治に参入する機会を提供してこそ、真の意味での共生社会、進めることに具体的に動いていくべきだというふうに考えておりますが、そういった意味で、今回の質問を、堀合さんを含め、家族会の声を参考にして作成しました。
まず大臣にお伺いしたいのが、第五次障害者基本計画は、昨年の八月に行われた国連の障害者権利条約に基づく対日審査において出された総括所見との適切な連携に努めつつ作成されたと認識しています。そこで、この第五次障害者基本計画の作成において、この対日審査の総括所見の内容をどの程度盛り込めたのか、そしてどのように整合性があるのか、そして、この計画の遂行において条約とどのように向き合うのかを教えてください。お願いいたします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
第五次障害者基本計画につきましては、昨年に公表された障害者権利委員会の総括所見も踏まえつつ障害者政策委員会において御議論をいただいたところであり、例えば、あらゆる分野における合理的配慮の提供の確保や日常生活用具等の補助等、総括所見に関連する施策が可能な限り盛り込まれているものと考えております。
内閣府としましては、第五次障害者基本計画に基づいて、障害者施策の総合的かつ計画的な推進に政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
○太委員 是非とも、これは国際機関から見ても、やはり我が国の対応が相当遅れている部分というのはありますし、そこは引き続き対策を進めていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
次に、これは地元でも多く寄せられる、本当に大きな課題だと思っておりますが、障害者の工賃の問題、これを上げてほしいという切実な声が多くあります。
第五次基本計画で、就労継続支援B型事業所の工賃向上に向けた官民一体となった取組を推進すると記載されています。この官民一体の取組というのが具体的に何かというところを教えていただきたいと思っております。どうぞお願いいたします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、就労継続支援B型事業所で働かれております障害のある方の工賃を上げていくということについては、非常に重要なことだというふうに思ってございます。
厚生労働省として、その工賃の水準向上のための取組といたしましては、工賃向上計画支援等事業というのを行っておりまして、都道府県を通じまして、地域の状況に応じて、専門家の派遣による経営力の強化ですとか品質向上、販路拡大といったような生産活動に対する支援を実施をすることをやっておりますが、これに加えまして、平成三十年度の報酬改定におきましては、平均工賃月額に応じた報酬体系を導入したところでございます。令和三年度の平均工賃月額は、新型コロナウイルス感染症の拡大前である令和元年度を上回るというような現状になってございます。
さらに、今後ということでございますが、今般の経済対策におきましても、工賃向上のための支援策を盛り込んでございます。先ほど申し上げました取組と併せまして、引き続き、就労継続支援B型事業所の利用者の工賃の向上に努めてまいります。
○太委員 ありがとうございました。
次に、これもまた厚労省の方にお伺いしたいんですが、障害者への医療費の全国一律化ということですね。国連の総括所見においても、障害者への医療費補助が不十分だとの懸念が示され、費用負担能力に基づいた医療費補助金の仕組みを設置し、より多くの支援を必要とする者を含め、全ての障害者に拡大するよう勧告がなされています。さらに、障害の医学モデルの排除が勧告されています。
これらは、我が国として、障害を除去、軽減するための医療、つまりは、精神、更生、育成医療については助成制度を整えていますが、一般医療については各自治体の自主性と独立性に任せているという実態を指摘しています。
このことによって、障害を持っている方が一般医療を受けることを経済的理由でためらい、健康な暮らしが阻害されてしまっているという状況となっていますが、国として全国一律の制度とする意向はあるのか、その見解を教えてください。お願いいたします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
障害者総合支援法におきましては、障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な措置といたしまして自立支援医療費支援制度を設けまして、医療費の自己負担の軽減を図ってございます。
こうした国の制度とは別に、地方自治体においては、独自に、障害のある方に対します医療費助成制度を設けている例があると承知をしてございます。
こうした地方自治体の医療費の助成でございますが、それぞれの実情に応じまして、その対象者、またその補助内容は様々でございます。これらを全国で一律のものとするというようなことは想定した制度になっておりませんし、また、新たな軽減制度を設けるということについては、現在の限られた厳しい財政状況の下では慎重な検討が必要であると考えております。
○太委員 これは、国としての対策というのを是非とも検討していただきたいと思っております。
ちょっと時間になりましたので。これは事前に通告しているんですが、障害のある方の人口比率を踏まえた上で、我が国の障害者の法定雇用率、その数値目標、将来的な目標について御見解を教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○星野委員長 田中審議官、時間となっておりますので。
○田中政府参考人 お答えいたします。
障害者の雇用率制度でございますが、これにつきましては、社会連帯の理念の下で労働市場における障害者の参画を進めるということで、労働者の総数に対して雇用率の対象となる障害者である労働者の総数の割合を基準として設定をしてございます。
これに基づきまして、法定雇用率を達成していない企業への助言、指導等々を通じまして、障害者の雇用全体の促進を図ってまいりたいと考えております。
○太委員 時間になりましたので終わります。
どうも御返答ありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
○星野委員長 次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。
本日は、大臣所信に対する質疑ということで、内閣の重要課題に関してお尋ねしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、機密情報の秘匿、管理についてお伺いいたします。
先ほどの太委員とも問題意識はかぶるのですが、今年の六月に報道されたように、国立研究開発法人産業技術総合研究所で主任研究員を務める中国籍の研究者が、警視庁公安部に不正競争防止法違反で逮捕されました。この事例は、二〇一八年四月に研究データを中国企業に流出させたという疑いです。発覚の経緯は、二〇二二年に産総研から警視庁に相談があり発覚した。そして、二〇一八年に前述の容疑に当たる実行行為を行ってから二〇二二年までの四年間、産総研は気づかなかったということでございます。
ちなみに、容疑者は二〇〇二年から産総研に勤務していることから、入所後から発覚までの二十年間の期間に同様の行為があったことは当然捜査されるべきところでございますが、PCやサーバー等の復元、解析を行うデジタル技術を用いても限界があり、その全容は不明のままとなる可能性もございます。
今、日本の研究現場において外国人の存在というのは欠かせなくなっております。私も理系の研究室では中国人の研究員がいたということを記憶しておりますが、こういった事例は全国各地で多数存在するのではないかと考えられます。
私も五月の衆議院財務金融委員会で指摘したように、日本以外の国では死刑や無期懲役に処されるほどの重大犯罪であるスパイ活動を、日本では、出入国管理法、外国為替管理法、旅券法、外国人登録法などの違反、窃盗罪、建造物侵入などの刑の軽い特別法や一般刑法でしか取り締まれず、事実上この日本はいわゆるスパイ行為がし放題な状況でございます。日本の人材、知的財産が外国に流出しているだけではなくて、日本の安全保障上重要な情報や最先端技術が大量に盗まれている可能性もあります。
十月三十日の衆議院予算委員会において我が党の和田議員が指摘したように、我が党はスパイ防止法制定の必要も訴えているところでございます。
冒頭に紹介した事例では、容疑者は不正競争防止法違反で逮捕されておりますが、高市大臣も、著書「美しく、強く、成長する国へ。 私の「日本経済強靱化計画」」、この中で指摘されているとおり、現在の不正競争防止法では、日本の学術機関の研究成果が外国政府や軍に利用されることを防ぎ切れない、いまだ製品化が決まっていない段階の大学での研究はほとんど営業秘密に指定されていない上、外国人研究者が祖国の国益に貢献する行為を図利加害目的とは断定できないということを述べております。
我が国は資源に乏しく、人材や技術が世界で競争していくための本当に貴重な財産、資源の一つであると言えるでしょう。そのような状況で、技術、情報が簡単に他国に流出するならば、我が国の存立に重大な影響を及ぼすでしょう。
産総研の事例は氷山の一角とも言われておりますが、今後、このような機密情報漏えいを防ぐためにどのように対処していくのか、大臣の見解をお伺いいたします。
〔委員長退席、冨樫委員長代理着席〕
○高市国務大臣 まずは、拙著をお買い上げいただき、ありがとうございます。
まずは、やはり、産総研のような事例を受けて、今ある法律でできることは徹底していただくというのがすごく大事だと思っております。
産総研の設置法、今日本で国立研究開発法人、二十七法人ありますが、それぞれに設置法がございますけれども、職員が知り得た秘密を漏らした場合、産総研法でしたら、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金となっています。この罰金の金額がもう少し大きな法人もございます。
まず、それぞれの法人においてその設置法の趣旨を、要は、マネジメント層も職員も、そこで働いている非常勤の方も含めて、みんなが知っていただく。その職を退いた後も適用されますので、これを知っていただくということも必要です。
それから、不正競争防止法は、確かに、私も著書に書いたとおり、全てに適用できるわけじゃございませんけれども、適用できる場合にはしっかりと適用する、これも必要だと思います。
産総研の事案が発生しまして、その直後、六月二十日付で、私の名前で各国立研究開発法人を所管する省の局長宛てに、もう少し研究インテグリティーというものを徹底してほしいという通知を出しました。そしてまた、国立研究開発法人の長が集まる会議でも、内閣府から出向いて、令和三年に決めた研究インテグリティーに関する注意事項について徹底をいたしました。
あわせて、六月に、大学や研究機関向けに、新しいチェックリスト、きちっとマネジメントができているかどうか、当該研究員が例えば外国の方だったとしたら、どこから資金提供を受けているかとか、過去の共同研究者は誰だとか、そういったことも含めて、チェックをするためのリストも改定したものを配付いたしております。
まずは、現在できることをしっかりとやる、その上で、各法人の取組状況についてはフォローアップを行うことといたしております。
○住吉委員 今ある法律を徹底していく、それは当然のことだと思っております。
私も、いろいろな企業さん、回らせていただきました。技術者は本当に仕事に対して誇りを持って、世界でも通用するような技術をこの日本で開発されているということは、私も日本人として非常に誇りに思っているところでございます。
その方々が口々に言うのは、今のは国立でございましたが、民間企業においても、やはり技術の漏えい、これは一番神経をとがらせているというようなお話をどの企業さんも言っているわけでございます。そういった方々のために、報いるためにも、我々もしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますし、今大臣の力強い御答弁を聞いて、しっかりと取り組んでいただけたらというふうに思っております。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
次は、外国資本の国土買収についてお尋ねしたいと思います。
先日、平野秀樹さんの「サイレント国土買収 再エネ礼賛の罠」という本を読ませていただきました。外資による国土買収の問題点として、分かりやすく言うと三点問題があると思っております。
一つは、安全保障上の問題で、私たちの命に直接関わってまいります。二つ目は、経済、社会的なマイナス要因であり、国土が外資に占有されることにより、ガバナンス、統治力への波及が考えられます。また、三つ目の問題点としては、次世代が持つ主導権を失うという点が挙げられます。これらを防ぐ手だてを講じていくことが、政治家の役割ではないでしょうか。
著書の中で平野さんは、日本の国土がどれだけ外資に買われているのか全貌がつかみ切れていないということに対して強い危機感を持っております。
ちょっと著書を引用させていただきますが、森林、農地以外の地目の外資買収面積については全く分からない、外資を区分した政府統計は存在していないからだ。結局、外資によってどれほど国土が買われたのか、我が国にはそういった区分による統計がなく、全貌は分からないのだ。次の一手を打つべき際の基本は、現状の買収ファクト、事実をまず押さえることから始めなければならないが、その現況がつかめていない、これが問題の根幹で、まずはここから始めるべきだろうと指摘されております。
そこで、現在、統計として分かる範囲の森林、農地の外資買収の現状と、公表の方法について政府にお伺いいたします。
○押切政府参考人 お答えいたします。
まず、農地取得に関します調査につきましては、平成二十九年から、農地法に基づく許可申請書等の情報におきまして、外国法人や居住地が海外にある外国人と思われる者が出資等を行っている農地所有適格法人、また居住地が海外にある外国人と思われる者による事例について、農業委員会を通じて調査を行っているところでございます。
なお、令和四年は、居住地が日本にある外国人と思われる者が出資等を行っている農地所有適格法人、また居住地が日本にある外国人と思われる者も調査の対象としたということでございます。
加えまして、本年九月に施行されました改正構造改革特別区域法に基づく法人農地取得事業において、法人の役員や主要な株主の国籍等を把握する、こういうことにされたことに併せまして、農地法においても、農地所有適格法人等について同様に把握をするということにいたしました。
次に、森林取得に関する調査につきましては、平成二十二年から、森林法に基づく届出等の情報において、居住地が海外である個人と法人、また、公表情報等を活用しまして、国内の外資系企業と思われる者によります平成十八年以降の事例につきまして、市町村を通じて調査を行っているところでございます。
○住吉委員 ありがとうございます。
ちょっと実績については御答弁がなかったんですが。あっ、ございますか。
○押切政府参考人 まず、農地の方からでございますけれども、居住地が海外の外国人から出資を受ける法人でございます。農地、これは二十九年から令和四年まで数字がございますけれども、これに該当するのが六社で六十七・六ヘクタールでございます。また、居住地が海外の外国人の方、この場合は一者ということで〇・一ヘクタールとなってございます。
先ほど令和四年の話をさせていただきましたけれども、この場合、居住地が日本の外国人から出資を受ける法人、これが十二社、十二ヘクタールとなってございます。居住地が日本の外国人の方、この場合は百二者ありまして、百四十二ヘクタールとなってございます。
続きまして、森林についてでございますけれども、居住地が海外の個人、法人の場合です。この場合、森林は、平成十八年から令和四年までの累計となりますが、三百二十件で二千七百三十二ヘクタール、また、国内の外資系企業の場合ですと、三百二件で六千七百三十四ヘクタールとなってございます。
○住吉委員 ありがとうございます。非常に多くの土地が買われているということでございます。
今御答弁のこの公表の仕方なんですが、外国人であったり外国法人の定義というのが、居住が海外にあるか否か、そういったところで判定しているということで、本書の中では、例えばですけれども、ダミーの子会社とか、またカムフラージュするために日本人を登記名義人としたケース、また届出をそもそもしていないケースなど、多数抜け落ちている可能性があるというような御指摘もございます。
確かに、悪意のあることに対しては、今の現状、防いでいくところが難しいところでございますが、その点に関して、次に、重要土地調査法についてお伺いしたいと思います。
重要土地調査法は、事実上の外資土地規制の第一歩であり、この法律が果たす意義というのは牽制効果としても大きく、我が党としても一定評価しているところでございます。この重要土地調査法は一歩前進なわけですが、この新法については、大きく分けて懸念点も二つございます。
一つは、新法による規制区域が限定的でエリアが狭いこと。ここ十数年で、最も多く買収された森林、農地が直接の調査区域に入っていない。また、二つ目が、規制レベルの低さ。新法による規制は、限られたエリアの土地利用について、国が調査するにとどめ、所有規制や強制的な立入調査、土地収用にまで踏み込んでいないということです。
新法は、買取りが進む土地の利用について安全保障という新しい観点からチェックを加えようとするものですが、実際その指定範囲を見ると、軍備等に関わる狭い範囲しか調査しておりません。また、市街地というのは特別注視区域から除くとされております。
新法が規制するエリア、注視区域の面的な広がりというのは、防衛施設等からおおむね一キロメートル以内に限られます。その区域内では、安全保障の観点から重要施設周辺や国境離島の機能阻害を防止するため、調査と規制が行われますが、これが非常に狭い範囲となっております。
国土の差もありますが、アメリカの場合は、審査対象となる軍、政府施設の周辺については最大百マイル、つまり約百六十キロの規制区域を取っているということを比べると、非常に狭いことが分かります。
また、現在、全国の防衛施設のない半島部や岬、海岸部一帯などが、新たな風力やバイオマスの再生エネルギー開発の名目で買い進められておりますが、こういった買収は新法の網にはひっかかりません。
また、森林、農地が規制対象になっていないことも、今後の課題として残ります。
そもそも、現行法制の森林法、農地法には、先ほどの御答弁もあったように、海外からの買収を想定した安保上の視点はなく、各種許認可の際にそういった観点からの審査は行っておりません。
広大な森林資源が抱える水資源や豊かな農地が育む食料資源は、安全保障に直結する資源としてのニーズを高めているため、何らかの規制を加えていく必要があるということは誰しもが思うところでございます。
もう一つの論点として、規制内容について十分とは言い難い。新法は土地売買そのものの規制をせずに、調査に基づく利用規制だけです。
自衛隊基地や原発などの周辺の特別注視区域については、土地売買の事前届出が義務づけられるほか、利用面の調査に対する虚偽の報告や無届け等にも罰則が用意されますが、特別注視区域であろうと売買は自由となっております。
新法は、各省庁と自治体が持つ所有権情報を一元的に内閣府内の組織が管理することにしておりますが、それらの運用は実務面でも容易ではございません。実務上、登記簿と固定資産台帳等がよりどころとなるため、そもそも日本の登記は任意でもございますし、所有者情報も更新されているとは限りません。
さらに、このような膨大な作業を三十人程度の人数でこなしている現在の体制でも限界があり、自治体との協力やDXを積極的に活用していく等の工夫がなければ、なかなかワークしないのではないかと思われます。
大臣も所信において、この重要土地調査法について、これまで二百十九か所の区域指定を行った、そして、安全保障上の重要施設などに対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいりますと述べておりますが、この体制拡充や規制レベルを上げるような何らかの対応をお考えでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。
〔冨樫委員長代理退席、委員長着席〕
○高市国務大臣 委員が御指摘の問題意識は、私にも十分分かります。
御承知かと思いますが、平成二十三年、もう十二年前ですけれども、自民党内でも議員立法で安全保障土地法案(仮称)を議論しておりました。それは、土地の取得規制ができないかどうかという論点から始まり、御党でも条文化したものをお持ちだったので、いろいろな議論をしたことを思い出しております。
ただ、現在の重要土地等調査法につきましては、財産権との関係がどうなんだとか、それからWTOのGATS、サービス貿易協定との関係でどうなんだ、様々な論点をみんなで詰めて詰めて議論した上で、国会や地方議会も含めて長年の御議論をいただき、有識者会議の御提言も踏まえて、我が国の安全保障、領海などの保全及び国民生活の基盤の維持という観点から、重要施設周辺と国境離島及び有人国境離島地域離島とする法律案を国会に提出し、十分に御審議いただいて成立したものでございます。
よって、現在の重要土地等調査法においては、重要施設などに対する機能阻害行為に対して勧告、命令を行うことですとか、また、機能阻害行為を防止する観点から、国が適切な管理を行う必要があると認められる場合には、国がその土地、建物を買い取ることなどが定められていて、これで制度の実効性というものを担保しております。
今後でございますけれども、法律の附則にも書いてございますとおり、法の執行状況、それから安全保障をめぐる内外の情勢などを見極めた上で、更なる政策課題について対応する、検討をしていくということになるかと存じます。
○住吉委員 ありがとうございます。
大臣の著書にも、先見の明で、いろいろな御苦労が書かれていたと思います。安全保障と土地法制を研究する議員の会を立ち上げて、そしてやってきたけれども十年以上かかってしまった、そういうようなお話もありましたし、大臣という立場ではそういった答弁しかできないのかなと思いつつも。
私は、以前の国会までは財金の方に所属しておりました。そこでは、先般は防衛費の増額の財源確保法、これが重要広範として非常に議論されてきたわけで、我々維新の会としても、周りの安全保障の環境、日本を取り巻く安全保障の環境を鑑みたときに、防衛費の増額自体はもちろん賛同しているところですが、結局、外からの脅威に対して備えていたとしても、こういった機密情報の漏えいであったり、また土地の問題、こういったことが内部から崩壊してしまっては結局元も子もないということで、問題意識を持って、この二問を大臣にさせていただきました。
引き続き、このことについては我が党内でもしっかりと議論して、しっかりと未来のために提案できるように頑張ってまいりたいと思います。
大臣への質問は以上でございますので、御退席いただいて結構でございます。
続きまして、首都機能バックアップ構造の構築についてお尋ねしたいと思います。
我が党は、政策提言維新八策二〇二二において、中央集権体制から、人、物、金を地域に移譲し、また、地域特性に応じて各地域が主体的に意思決定を行い自立、活性化していくことを可能とする地方分権体制に移行します、そして将来的には、大阪・関西を首都機能のバックアップを担う拠点とすることにより、多極分散型の国家を実現しますと主張しております。
また、地元関西からも要望のあった、首都機能バックアップ構築についてお伺いしたいと思います。
平成二十六年三月に政府業務継続計画が策定されましたが、マグニチュード七クラスの被害を想定しており、東京圏外の代替拠点の在り方というのは今後の検討課題とされております。
首都圏にいかなる災害が発生しても政府機能が麻痺することがないように、東京圏外の代替拠点についても早急に検討を進め、大規模災害への対応が可能となる関西の位置づけを明確にした国会、各府省を含めた国全体の事業継続計画を策定するとともに、放送、通信、交通、物流といった指定公共機関を始め、民間事業者の事業継続計画等との整合性を確保し、官民協働による、適切かつ迅速に計画を推進することが必要ではないでしょうか。
また、東京圏外でのバックアップに当たっては、これを想定した職員の移動手段、既存の庁舎、設備及び資機材の活用、宿泊施設等の確保に係る具体的なオペレーションを検討の上、必要な容量や代替性の確保に向けた輸送計画等を策定することも重要です。
このような国全体の業務継続計画の策定及び法律や計画等に位置づけるお考えはありますでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
○田辺政府参考人 首都直下地震が発生した場合に緊急災害対策本部等の機能を確保するためには、あらかじめ業務継続計画を策定し、そのバックアップを行う代替拠点を確保することが重要と考えております。
このため、首都直下地震対策特別措置法に基づく政府業務継続計画では、首都直下地震により官邸が使用できない事態を想定して、内閣府、防衛省、立川広域防災基地の順に三か所を緊急災害対策本部の一時的な設置場所として位置づけております。
また、政府の業務継続のためにはあらゆる事態を想定する必要があるため、首都圏以外においても代替拠点の確保に係る検討を行っています。
具体的には、大規模地震に係る現地対策本部の設置予定箇所や、各府省等の地方支分部局が集積する都市など、大阪市を含む代替拠点となり得る地域において、既存施設の活用や通信環境の整備などに係る検討を進めているところでございます。
○住吉委員 本当に、あらゆる事態を想定していかなければならないと考えております。
首都直下型地震が起こっても大丈夫だというような計画はされているわけですが、現在の国際環境では、当然、自然災害ではなくて、例えば、ないことを願いますが、首都圏が物理的な攻撃を受ける可能性も全くないわけではないと思っております。そのような状況に対応するためにも、東京圏外にバックアップ構造を確保していくことは重要であると考えております。
そして、この代替拠点を今検討されているということでございますが、そのような体制ができたとしても、なかなか、ぶっつけ本番で移転しては様々な混乱やミスが考えられますので、平時より、非常事態を想定した備えとして、例えば、提案ですが、国会審議や各省庁の業務を一定期間関西で実施するなど、首都機能バックアップに必要な人材の育成、確保、訓練等の社会実験を計画的に行うことが必要ではないでしょうか。
その際、実施に当たっては、行政並びに指定公共機関や業界団体等の関係機関、またライフライン、インフラ事業者等も交えたものとして、国全体の事業継続計画の点検、見直しを行い、実効性を確保することが重要であると考えますが、そのような首都機能バックアップの平時の備えとまた今後の見通しについて、政府の見解をお伺いいたします。
○田辺政府参考人 首都直下地震発生時に、中央省庁において非常時優先業務が円滑に実施されるよう、訓練等により政府業務継続計画の実効性を確保することは非常に重要と考えております。
このため、政府業務継続計画において、政府は、平常時から非常時優先業務の継続に係る教育及び訓練を実施するとともに、業務継続計画の実効性について評価を行い、その結果を踏まえ、計画を見直すこととしています。
これを踏まえ、内閣府においては、政府全体の業務継続計画を有効に運用し、改善していくため、中央省庁業務継続ガイドラインを作成し、代替庁舎への移転訓練を含め、業務継続に係る訓練や教育の実施を促しているほか、各省庁の業務継続計画の実効性について、毎年、有識者による評価を行い、改善を促しています。
引き続き、関係機関と緊密に連携しつつ、緊急災害対策本部等の機能の確保に万全を期してまいります。
○住吉委員 私の提案がすぐに採用されるとは思っておりませんが、災害はいつ発生してもおかしくないわけでございます。なるべく早く、そういった事態、いつ起こってもおかしくありませんので、今この瞬間起こるかもしれない、そういうようなことに対してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そして、この質問の冒頭でも申しましたが、我々は、関西を首都機能のバックアップを担う拠点とする、これはリスク分散の観点からもそうですが、東京一極集中是正、地方創生、そういった観点からも必要だと考えております。
次は、東京一極集中の是正の観点からお尋ねしたいと思います。
令和五年七月二十八日に閣議決定された第三次国土形成計画において、国土構造の基本構想として、シームレスな拠点連結型国土という考えが打ち出されております。国土全体にわたって、広域レベルでは人口や諸機能を分散し、東京一極集中の是正と、地方と東京のウィン・ウィンの関係構築を目指したものと理解しておりますが、この構想実現のためにどのような取組を進めているのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。
○秋山政府参考人 お答えを申し上げます。
将来目指す国土構造を示し、その実現に向けた、広く関係省庁の施策、取組が盛り込まれました国土形成計画でございますけれども、御指摘がございました本年七月、令和で最初の計画が閣議決定されたところでございます。
国土計画は、地域段階の観点、そして広域的な観点と重層的にまとめられておりますけれども、委員御指摘の広域的な観点について着目をし、御説明を申し上げますと、新たな国土計画では、広域レベルでは人口や諸機能が分散的に配置される国土構造を目指し、東京一極集中の是正にもつなげていくことといたしております。
この国土構造を実現するために、それぞれの広域圏、その発展を図るとともに、その広域圏の中、さらには広域圏の間の連結強化を行いますシームレスな拠点連結型国土を構築していくこととしておりますけれども、そのために、産業、生活面など幅広い取組を、関係省庁がそれぞれの知見を生かし、さらにはきちんと連携をし、進めていくことが重要であり、国土交通省といたしましても、シームレスな総合交通ネットワークの機能強化などに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
○住吉委員 ちょっと時間もないので、関連して、政府機関の地方移転に関してお尋ねいたします。
東京一極集中是正で、企業の本社移転であったり、またテレワークを推進したことによって、地方への移住を国なり地方が積極的に進めている中で、政府機関の地方移転に関しても、本気度を示していくという上で進めていく必要があるのではないかと考えております。
地方創生の視点のみならず、国家組織の在り方や行政改革、また、働き方改革の視点に立って、国の機関における業務について、SNSの普及に見られるようなICTの進展を踏まえ、テレビ会議やテレワークその他最新のICT等を活用した実証実験に政府全体で取り組むというような方針も確認されております。
実際に、地方にいても都会と同じような便利さを享受できる世の中を目指していく中で、国の政府機関がここにある必要というのは少しずつ薄らいでいるのではないでしょうか。
新しい時代にふさわしい国家組織の在り方や行政改革、働き方改革等の進捗状況、また、文化庁、消費者庁及び統計局においては、地方移転のメリット、デメリットについて検証を行いながら進められているということですが、この進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、バックアップ機能を担う上で最適な都市圏である関西で実施することが効率的と考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○石川副大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、二〇一六年に決定した政府関係機関移転基本方針におきましては、地方創生の視点のみならず、国家組織の在り方や行政改革、それから働き方改革の視点に立ちまして、国の機関における業務について、テレビ会議やテレワークそのほか最新のICT等を活用した実証実験に政府全体で取り組んでいることとしております。
このため、同基本方針に基づきまして、道府県からの提案を受けまして、先ほど委員御指摘のとおり、京都府への地方移転を実施した文化庁、消費者庁及び総務省統計局におきましては、実際の移転に先立ちまして、地方移転のメリット、デメリットについて検証等を既に実施しているところでございます。
また、関西圏への移転ということでございましたが、特に、大阪への地方移転を実施した医薬基盤・健康・栄養研究所を始め、研究、研修機関二十三機関におきましても既に地方移転を実施しているほか、二〇二一年には、複数の省庁の協力を得まして、サテライトオフィスの利用による地方勤務を試行し、テレワーク等による地方勤務の可否について検討を行ってきたところでございます。
政府関係機関の地方移転の取組については、二〇二三年度中にも総括的評価を行うこととしておりまして、ICT等を活用した場合の国の機関としての機能発揮の可否や具体的な課題についても同評価において検証を行いまして、今後の必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○住吉委員 東京一極集中是正に関して、政府機関の移転というのは、温度差はあるにせよ、我が党とも賛同するところだと思っております。
さらに、我が党は、東京圏への政治、行政、経済等の中枢機能及び人口の一極集中により、東京圏とその他の地域との間における経済格差が生じていること、そして、災害その他非常の事態の発生により首都中枢機能を維持することが困難となるおそれがあること及び我が国における少子化が進展し、人口の減少が継続するおそれがあることを鑑み、副首都機能整備を推進するため、副首都法案というのを今年の三月九日に衆議院の方に提出させていただきました。
この法律案は、東京圏と並ぶ我が国の経済の中心として我が国の経済の成長を牽引するとともに、災害等の発生により首都中枢機能の全部又は一部の機能を維持することが困難となった場合に当該機能を代替する機能を副首都機能、そして、副首都を整備すべき地域として内閣総理大臣が指定する地域を副首都地域と定め、副首都機能整備を推進することを目的としております。
政府も一極集中の是正を課題として対応している中で、我が党の考える副首都機能の整備の推進に前向きに取り組むお考えはあるのか、政府の御見解をお伺いいたします。
○石川副大臣 お答えいたします。
御党から議員立法を提出していることは十分承知をしております。それを踏まえまして、東京圏への過度な一極集中を是正しまして多極化を図るということは重要な課題と認識しております。
このため、デジタル田園都市国家構想等の総合戦略に基づきまして、地方移住や企業の地方移転推進等による地方への人の流れの創出、自動運転やMaaSなどを活用した地域交通のリデザイン等による魅力的な地域づくりなど、総合的に取り組むこととしております。
引き続き、こうした取組を通じまして、地方創生の取組をなお一層加速、深化することで、東京圏への過度な一極集中の是正と多極化を図ってまいりたいと考えております。
○住吉委員 ちょっと時間もないので、引き続き、この件についてはまた議論していきたいと思います。
最後に、大規模災害への備えについてお伺いしたいと思います。
南海トラフ地震、首都直下地震など国難レベルの災害に備えるため、従来のような縦割り行政ではなく、事前防災から復旧復興まで一連の災害対策を担う、そういう対策を行うことが重要だと考えております。
具体的には、過去の災害経験や知見の蓄積、調査研究の一元化、災害対策専門人材の育成、事前対応から復興に至るまでの取るべき対応のシナリオ化、被災地支援の総合調整などが考えられます。
このような業務は、内閣府や内閣官房が司令塔として陣頭指揮を執って省庁横断的に行われることが多いわけですが、このような課題を一元化していく必要があると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○平沼大臣政務官 委員おっしゃるとおり、災害に対する、防災の必要は感じております。
南海トラフ地震や首都圏直下地震などの大規模災害に対しては、内閣府を中心に関係省庁が連携して被害想定等を整理し、建物等の耐震化や避難などの対策を含んだ基本計画を策定しております。
また、基本計画に基づき、関係省庁が一体となって発災時の救助、救急等の具体的な応急対策計画を策定し、発災時に直ちに行動することとしております。
今までも、大規模災害発災時には、内閣総理大臣の指揮の下、内閣官房や内閣府が中心となって省庁横断的な取組を行い、関係省庁と自治体の適切な役割分担の下、被災地の迅速な復旧、早期の復興に取り組んでおります。
このように、事前防災から復旧復興まで政府が一体となって取り組み、災害対策に万全を期しているところでございます。
○住吉委員 内閣府というのは、所掌範囲も非常に広範、多種多様な業務を行っております。もう少しスリム化することも必要ではないかなとは個人的に思っております。
また、私も、地方議員のときには関西広域連合議会にも出向させていただいておりました。そこでは、防災省であったり防災庁の創設、こういったことを国の方に、先ほどの一元化を担う役割でございますが、そういったことをつくっていくことも必要ではないかと。今でもそういった要望が来ているわけでございますが、ちょっと時間もないので、それについて、最後、お考えをお願いします。
○星野委員長 平沼政務官、もう時間となっておりますので。
○平沼大臣政務官 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、防災庁のような組織というのもありますけれども、今現在において直ちに設置する必要性は低いかなとは考えておりますけれども、防災体制の充実強化は非常に重要な課題でございますし、関係省庁や地方自治体の連携の在り方について、不断の見直しを進めて、万全の防災体制の確保に努めてまいりたいと思っております。
○住吉委員 以上で終わります。
○星野委員長 次に、堀場幸子君。
○堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。
本日は、大臣所信に対する質疑ということで、前半は女性活躍について、そして、後半はライドシェア及び個人タクシー等のタクシーの規制改革についてさせていただきたいなと思っているところでございます。
今日、この委員会で、前半、自民党の高木委員が、日本の女性政策は国際機関で高い評価を受けているんですよと言われて、私はちょっともう、椅子から落ちそうになったんですけれども。男性の活躍がないとかではなくて、男性が活躍するということも重要なんだというお話がありました。それは非常によく分かるんですけれども、私は一応女性というカテゴリーに所属しているんですけれども、それはちょっと、非常に驚きを隠し切れず、今回質疑をさせていただきたいなと思っています。
まず、加藤大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。女性活躍とは何だと思われますか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
女性の活躍は、女性が、その人権がきちんと尊重され、男性と責任を分かち合いながら、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できるということであると考えております。
女性の参画を拡大することは、例えば、企業において多様性の向上を通じてイノベーションを喚起するとともに事業変革を促し、企業価値を高めることにもつながるなど、様々な局面においてプラスの効果をもたらすものと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
そして、もう一つ、ついでというかおまけというか、女性らしい視点というのを最初、岸田総理、おっしゃっていたかと思います。加藤大臣にもお持ちなのだと思うんですけれども、その女性らしい視点というのは何を指しているか、改めてお願いします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
委員御指摘の発言といいますのが、岸田総理が九月十三日の記者会見で述べられた御発言の趣旨については、総理御自身が記者からの御質問への書面回答において御説明されているとおり、政策決定における多様性の確保が重要であることや、今回任命された女性大臣に、その個性と能力を十分に発揮して職務に取り組んでほしいという趣旨で述べられたものと理解をしております。
○堀場委員 総理の発言はいいんですけれども、それを受けて、加藤さんも女性だと思うんですけれども、向けられて発言されているんだと思うんですよね。
私は、さっき、最初に大臣がおっしゃっていたとおり、仕事をしていく上で、男性、女性という理由で何か判断が分かれるという今の現状に対して、おかしいんじゃないかなと思っています。
例えば、前半戦でありました、男女の賃金格差がありますよね。これについては、おかしくないですか。これは非正規の人が多いからですよねとか、出産、子育てで一時的に離れる人がやはり女性が多いからですよねとか、いろいろなことがありますよね。でも、それを女性という理由でやっているのかどうかということについて、私たちはもっと考えなきゃいけないですよね。
そして、アンコンシャスバイアスの話とかいろいろありますので、女性らしい視点で、加藤大臣はどうお考えですか。
○加藤国務大臣 私自身が女性らしい視点で何かを捉えているという意識を自分自身で持っているつもりは個人的にはありませんが。また、私自身が大臣としてどのように働いていくかということを岸田総理のコメント等の真意を捉えながら申し上げるとすれば、私自身は、女性だからというよりも、子育て当事者としての感性や共感力を持って仕事に当たりたいと考えておりますし、また、女性参画におきましても、社会に存在するアンコンシャスバイアス等を、あるその環境の中で、政治に参画した一人の女性の、政治の女性参画の当事者としての視点や経験を生かしながら仕事に当たってまいりたい、このように考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。安心しました。
やはり、女性らしい視点があると勘違いされて、勘違いというか、思い込んでいらっしゃる方というのは結構いらっしゃるんですよね。女性はみんな平和を志向しているとか。何かいろいろな思いで、女性だからこその視点、女性ならではの視点と私は結構言われるんですけれども、それは女性によっても違いますよね。
体験してきたこと、例えば私は一人親ですから、一人親としてしんどいなと思うことはたくさんあるんですけれども、そういった、おっしゃるとおり、当事者として何があるのかなという視点で物事を見ていると思っているので、女性だからという判断を、うちの党は特にそういう嫌いが余りないんですよね。だから何か、予算委員会で女性がいっぱい出てジェンダー平等とかという概念が、多分うちの党は余りないのかなと思っていて、我々は、そういう見せるためにというよりかは、仕事の内容で判断をしていくというような、非常に厳しいところもあると思いますが、やりがいのある場所なのかなというふうに思っているところでございます。
これらについて、今回、女性版の骨太の方針二〇二三というものを拝見させて、毎年やっているのであれなんですけれども、今回、WPSへの取組強化というものが入ったと思うんですが、これに対する大臣の御所見をお願いします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
女性・平和・安全保障、いわゆるWPSにつきましては、二〇〇〇年十月、国連安保理において、国際社会の平和と安全保障におけるジェンダーの視点及び女性の参画に初めて焦点を当てた女性・平和・安全保障に関する安保理決議第千三百二十五号が全会一致で採択され、その後、これまで合計十の関連決議が採択されてきていると承知をしております。
これらの決議は、紛争による女性、女児への不均衡な影響を認識し、紛争下の性的暴力から保護を重視しつつも、紛争の予防、解決、平和構築、平和維持のあらゆるレベルにおいて女性を積極的主体として位置づけ、全ての関連取組への女性の平等な参画を加盟国に呼びかけるものだと承知をしております。
これらの決議を実施するため、我が国におきましては、二〇一五年に第一次行動計画を策定し、本年四月に第三次行動計画を策定しております。
この行動計画では、主な取組として五つ挙げさせていただきますが、女性の参画とジェンダーの視点に立った平和構築の促進、紛争下の性的暴力及びジェンダーに基づく暴力の対応と予防、防災、災害対応、気候変動に関する女性の参画とジェンダー主流化、国内のWPS促進のための取組、そしてモニタリング、評価等を定めておりまして、これにのっとった取組を進めていくこととしております。
現行の第五次男女共同参画基本計画におきましても、行動計画を関係機関と連携しつつ効果的に実施し、平和構築及び復興開発等のプロセスへの女性の参画を一層促進する旨が定められており、また、本年六月に策定した女性版骨太の方針二〇二三においても、行動計画に基づく取組を着実に実施する旨が定められているところです。
また、長くなって恐縮ですが、本年六月には、G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を開催しましたが、その成果として取りまとめた日光声明においても、WPSについて、紛争の予防と平和、安全保障の構築を目的とした意思決定機関やプロセスにおける意思決定に女性の完全、平等かつ意義ある参加を増やすことは、政府の正統性や、紛争や自然災害を効果的に管理する能力を高め、強靱な民主主義をもたらすことになると確認したところであります。
こうしたWPSを推進することの社会的な意義を踏まえつつ、関係閣僚とともに取組を推進してまいりたいと考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。
この中で、国内における、日本におけるWPS的な視点、アジェンダというか、課題として取り上げられているものがあるかと思うんですよね。つまり、外交政策としてだけ、紛争解決とか、紛争解決の現場に女性が必要だよというメッセージだけでは実はなく、紛争だけじゃなくて災害もあると思いますね。例えば、日本が多分リーダーシップを発揮できる分野として、災害の、防災の領域に女性が非常に多くいらっしゃる。それは政策としてずっとやってこられたと思いますけれども、そういったことも多分、日本として言っていけることだと思うんですけれども、でも、まだまだ実は、国内の状況を見て、WPS的な目標達成には至っていないと指摘されていることがたくさんあるかと思うんです。
そういった、女性が活躍する社会というものをこのWPSというのは取っているんですけれども、女性というカテゴリーに所属しているだけで、我々女性は、平和を志向し、弱者側に立つということができるのかなというのが私の疑問なんですね、一つ目の。加藤大臣に対する質問です。だって、紛争を解決するのに女性が半分いることのメリット、これはどのようにお考えか、教えてください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど申し上げた決議の中にもある趣旨でありますが、紛争の予防、解決、平和構築、平和維持のあらゆるレベルにおいて女性を積極的主体として位置づけ、全ての関連取組への女性の平等な参画を加盟国に呼びかけているものと承知しておりますが、この積極的主体として位置づけて、全ての関連取組への女性の平等な参画を促していくということが重要なんだというふうに考えております。
○堀場委員 それはなぜ重要なのか、お願いします。
○加藤国務大臣 紛争による女性、女児への不均衡な影響、こういったものがある中で、当事者である女性を積極的主体として位置づけ、その中で関連取組への女性の平等な参画を促していくということが重要だというふうに考えております。
○堀場委員 だから、参画をすることが重要だと考えるその理由は何ですかということをお聞きしているんですけれども。
○加藤国務大臣 様々なバイアスですとか、様々な女性に対する参画が厳しくなるような阻害要因が解かれていけば、積極的主体としての女性の参画が結果として推進をされていくものと考えておりますので、女性が積極主体として参画していくという状況をつくり上げていくこと自体が、女性活躍、女性の声、不均衡な影響というものをなくしていく過程にもなるというふうに考えております。
○堀場委員 ちょっと意味がよく分からなかったんですけれども。
私の質問は、WPSが、私はこれはいいなと思っている理由があるんですけれども、それがお答えをいただけないから何度も聞いているんですけれども、WPSが、紛争解決の現場に女性が必要ですよねと言っていると思うんですけれども、それはなぜ大事だと思われるのか、大臣はなぜそれが大事だと思われるのかということを質問しているんですよね。
参画することが大事ですではなくて、参画することによって何があるから大事だとお考えなのか、教えてください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
あらゆる分野における女性の参画の促進は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現、また、多様な視点の確保を通じた社会の持続的発展につながるものだと考えております。
○堀場委員 ちょっとよく、欲しかった答えが来なかったのであれなんですけれども。
私たちは、やはり今、男性がたくさんいる、ここを見回しても、ちょっと空席もありますけれども、非常に男性が多いですよね。例えば、この国会という政治の現場に男性が多いということは、各国、特にWPSとかでも指摘されている大きな課題だと私は認識をしています。
世界経済フォーラムでも、二〇二三年のジェンダーギャップ指数だって、非常に低い状態にありますよね。特に何が一番足を引っ張っているかというと、政治参画ですよね。〇・〇五七という、百四十六か国中百三十八位、非常に低い部分であります。
特に衆議院議員を見たら、私たちは衆議院議員で女性という、非常に珍しいなと思っているんですけれども、例えば、さっき別館にいたんですけれども、別館の二階は、女性のトイレというのは、大きな多目的トイレ一つにもう一つしかないですよね。でも、恐らく男性のお手洗いはたくさん、違う場所にもあります。そうなると、女性のトイレは非常に並ぶ。前提として、女性がいることは前提じゃないのかなと思わず思ってしまうような建物の造り、例えばそういうことを含みますよね。
例えば、様々いろいろあると思います。女性が参画するに当たって、やはり環境を変えていかなきゃいけないですよね。私たちは非常にそれを強く主張していますので。例えば、女性が選挙に出やすいという環境は、どんな人にとっても選挙が出やすいですよね。さっきおっしゃった、多分、精神疾患をお持ちの方であっても、お子様がいても、一人親でも出やすい環境をつくるという環境調整は、恐らくたくさんの人に可能性をもたらしますよねということを思っているんですね。
だから、女性じゃなくてもいいんですけれども、恐らく女性も厳しかったので、女性の目線というか、女性がしんどかったことは何なのかを解決することによって、価値観の変容が起きて、参画がしやすい社会ができるんじゃないかなと私は考えているんですね。
なので、環境調整が必要だと思うんですが、女性が活躍する社会においては今やるような環境調整が必要だと思うんですが、どのような環境調整が必要だと思いますか。
○加藤国務大臣 女性が生き生きと活躍できる社会を実現するための環境整備、また環境の調整としましては、長時間労働を中心とした労働慣行、女性への家事、育児等の無償労働時間の偏り、また固定的な性別役割分担意識などの社会の構造的な課題を解決していく必要があると考えております。
また、女性の活躍の基盤となるものとして、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現が不可欠であり、DV対策や性犯罪、性暴力対策の強化、生涯にわたる健康への支援なども極めて重要な環境整備、また、委員のお言葉をおかりすれば環境調整であると考えております。
○堀場委員 では、女性の政治家が少ない理由をどのようにお考えですか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点から極めて重要でございます。令和二年に内閣府において行った調査においては、男性議員に比べて特に女性議員が課題と感じていることは、議員活動と家庭生活との両立が難しいこと、性別による差別やセクシュアルハラスメントがあることであることが分かりました。
令和三年六月に改正をされた政治分野における男女共同参画の推進に関する法律においても、国及び地方公共団体に、議員活動と家庭生活の両立支援やハラスメント対策を行う義務が新たに課せられております。内閣府においても、課題解決に向けて、引き続き政治分野における男女共同参画の取組を後押ししていきたいと考えております。
○堀場委員 私は、女性の政治家の少ない理由の一つには、選挙の立候補の難しさがあると思っています。昨日、我々日本維新の会は、公職選挙法の改正案というものを、四十五項目だと思いますが、出させていただきました。こういう具体的な変革がなければ、女性はもちろん、一人親の、例えば男性のシングルファーザーの方も出にくいだろうし、たくさんの人が政治参画しづらいと思っているんです。
だから、まずは、女性ならではの視点というよりかは、しんどいなと思っていること、しんどいなと思う人の視点に立って政治を行うということが、男女共同参画局さんで女性活躍を考えられる上で重要なことなんじゃないかなと思うんですね。
私は、男女共同参画の担当大臣が小倉大臣で、男性でした。G7の会合のときに、女性ばかりの中一人男性で、海外からそれなりにいろいろなことを言われたと承知をしているんですが、それについて私はもっと強く反論するべきだったんじゃないかなと思っているんですね。さっき男性の活躍と言いましたけれども、価値観の変容を受け入れて、そういう弱者側であったりしんどい人の方に立てる立場の人がリーダーになれば、男性であっても女性であってもいいと私は思っています。
だから、そこで女性が何人とかいう性差を求める目標設定ではなくて、本当に配慮される、合理的な配慮も含めた配慮ができる人材がどんどん増えてリーダーになっていく、これが女性活躍、女性というカテゴリーにいる人がもっと働きやすくなるための一つの方策だと思いますので、そういった視点も是非お持ちいただければなと思います。
もう一つ、WPSで指摘されている暴力の件です。
DV法改正案、前回やらせていただいて、改正されたかと思いますが、精神的暴力について非常に前進した法案だったと思います。
ただ、DVの最大の問題点の一つとして、加害者側に加害者意識がないというふうなことが挙げられると思います。これが解決しなければ共同親権の議論が進まないのではないかなと懸念をしているところでございますので、DVの加害者のプログラムの進捗について教えてください。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
配偶者暴力の被害者の中には、委員御指摘のとおり、子の養育上の事情や経済的な事情などにより加害者との同居を継続することを選択する方もおられまして、そうしたことも踏まえれば、加害者に働きかけることで加害者に自らの暴力の責任を自覚させる加害者プログラムは、被害者支援の一環として大変重要だと考えております。
加害者プログラムの普及に向けましては、令和二年度から令和四年度までの三年間、五つの自治体の協力を得て試行実施を行い、それによって得られた知見に基づいて、本年五月、地方公共団体が実施する上での留意事項を取りまとめ、都道府県等にお示しをしたところであります。
これまでの試行実施におきましては、加害者プログラムを実施していく上で、加害者にプログラムを案内するための関係機関等の連携協力や、プログラムの実施に係る人材育成などの必要性も把握をされております。
これらを踏まえ、改正DV法に基づく基本方針においては、都道府県等が被害者支援の観点から加害者プログラムの実施に取り組むことが望ましいとの考え方を示すとともに、関係機関等により構成される法定協議会における協議の一例として、加害者プログラムの活用を示したところであります。
さらに、地方公共団体の担当者等への研修の実施等を通じ、加害者プログラムに関する理解の促進を図ることとしております。
これらの取組により、各地域における加害者プログラムの実施の推進に努めてまいります。
○堀場委員 ありがとうございます。
この加害者プログラムは、DVの中では非常に重要なポイントになる一つの境目かなと思っておりますので、もう少し、これは男女関係なく、加害者になっている方に加害者であるということに気づいていただく、ここからスタートしなければならないと思っておりますので、積極的に進めていただければなと思います。
最後、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」ということを骨太の方針でうたわれているタイトルの中に、性犯罪、性暴力の対策というのがあります。
旧ジャニーズの皆さんの問題を受けて、非常に我々は、性被害というのは女性だけが受けているものではないという認識が世間に広まったところだと思います。これはずっと主張してきたんですけれども、こういうところに入っている、女性の尊厳のための枠の中にあると、男性の被害者は相談しにくくないですかということをずっと言わせていただいています。
なので、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」というタイトルではなくて、人間が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現と変更するべきではないかと私自身は思っておりますが、大臣の御所見をお願いします。
○加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、まず、性犯罪、性暴力は、被害者の性別を問わず重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。
他方で、被害者には女性が多く、性犯罪、性暴力を始めとする暴力の根絶に向けた取組を進めることは、女性活躍、男女共同参画の前提であると認識をしております。
政府としては、性犯罪、性暴力の根絶のための取組や被害者支援を一層強化するため、本年三月に性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針を取りまとめるとともに、本年七月には、全ての子供、若者が、男の子も含みます、性被害を受けることのない社会を実現するため、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージを取りまとめ、各般の施策に取り組んでいるところでございます。
こうした方針などに基づき、引き続き、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会、そして全ての方々が安心して過ごせる社会の実現に向け、性犯罪、性暴力対策の着実な実施を推進してまいります。
○堀場委員 余り答えになっていなかったと思うんですが、女性であることを限定する必要がないんじゃないかなという御提案だけ受け入れていただきまして、次に行かせていただきたいと思います。
河野大臣、お待たせして申し訳ございません。
まず、ライドシェアと個人タクシーの規制改革について大臣にお尋ねいたします。ライドシェアの定義と、そして課題ということについてお願いいたします。
○河野国務大臣 ライドシェアの定義というのは特にないんだと思います。海外でも、ライドシェアと言われているサービスは様々な形態がございます。アプリで配車をお願いをして、アプリを使って決済をする、そこは大体共通なのかなと。サービスを提供する側は、自分の車でサービスを提供する。この辺りのサービスのことをライドシェアと言っているんだろうというふうに思います。
今、我が国は、人口減少の中で、都市部に人が集まる、例えば北海道ですと札幌とか、東北だと仙台に人が集まって、地域の多くが過疎化する中で、御高齢の方には免許の返納をお願いをしている。ところが、過疎化もあって、公共の交通機関の維持がなかなか難しい。そうすると、そういう地域に住んで、自分で車を運転されない方は移動の自由が奪われてしまうというような問題が起きている。
これをどう解決するかというときに、究極的には自動運転ということになるんだろうと思いますが、短期的には、委員がおっしゃる個人タクシーも含めたタクシーの規制改革。これは、タクシーの業界の、タクシーを業としているタクシー企業の規制を改革するということと、タクシーの運転をするために必要な二種免許の改革ということだと思います。それと、三つ目の選択肢として、ライドシェアと言われたり、あるいは自家用旅客有償運送と呼ばれている仕組みであったりを拡充する。
この三つの、自動運転、タクシーの規制改革、ライドシェア、この三つで課題を何とか解決をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○堀場委員 ありがとうございます。全く私もそれを主張したいところであります。
私は京都の人間でありまして、今、京都は非常に、非常に厳しい状況にあります。タクシーを、それこそアプリで呼んでも、もう探し切れませんと。私は東京に行かなきゃいけないのに、朝早過ぎても、帰ってくるのが遅過ぎてもタクシーがない、こういった現状があります。
そして、もちろん、私の住んでいるエリアは住宅街ですけれども、ちょっと過疎化が進んでおりますので、バスが減らされている、タクシーもないとなると、みんな非常に、非常に現実的に困っている。そして、このエリアに民泊ができるので、数少ないバスに大きいかばんを持った海外旅行の方が乗られると、バスに乗れなくなる。もう本当に今非常に苦しいところにあるのが京都市の現状なんです。
その中で、短期的に、喫緊の課題として、運転手の不足の解消、そして若返り、これをしていただきたいと思っていまして、国交省さんにお尋ねいたしたいと思います。
個人タクシーの規制改革が必要だと考えています。前回レクの中でお話ししたときには、特に譲渡の課題、譲渡が七十五歳までにないと消滅してしまうという仕組みについて、コロナ禍でタクシーを辞められた方で譲渡がうまくいっていない、マッチングがうまくいっていないという現状がある。それについての御所見と、もう少し、政府の中で、タクシーが飽和状態にある、改正タクシー特措法のフェーズではないという認識を持たれているのかどうかも含めて、お願いします。
○舟本政府参考人 お答え申し上げます。
タクシーの運転手は、先生おっしゃったとおり、コロナ禍の影響を受けて大幅に減少しておるところでございます。一方で、地域によりましては、旅客輸送需要があるにもかかわらず、この点に対して、地域や時間帯によりまして、タクシーの需要に対して供給が追いついていないという状態が生じております。この問題については、解決するべき喫緊の課題であるというふうに認識をしておるところでございます。
個人タクシーにつきましても、やはりタクシーの中で、タクシーの需要に応えていく上で重要な役割をこれまでも果たしていただいておりますし、これからも果たしていただくものというふうに考えております。
そういう観点で、先生も御指摘ありましたように、新規参入とか事業の譲渡譲受などを通じまして、事業者の増加でございますとか若返りの促進、こういうものをやっていきたいというふうに思っているところでございます。
こういう観点から、先生も先ほどおっしゃいました、コロナ禍の影響を受けて譲渡譲受のマッチングがうまくできなかった、このようなケースがございます。令和二年度、三年度にうまくマッチングができなかったために廃業されました件数分につきまして、今回、令和四年度から八年度にかけまして、この件数を新規の個人タクシー事業者に許可できるように制度改正を行ったところでございます。
更に加えまして、先ほど河野大臣からもありましたけれども、地方でも運転手の不足ということが深刻になっているところでございますけれども、このようなケースにも対応できるように、都市部の個人事業者が譲渡譲受をその地域で行って、ほかの運転手さんに譲渡譲受を行っていただいた上で、地方部にUターンですとかIターンをして新規に個人タクシー事業を開業できるように制度改正もさせていただいたところでございます。
引き続き、地域の利用者のニーズに個人タクシーも含めた交通サービスがしっかり応えられるように、適切に制度の見直しや運転手確保策を行ってまいりたいというふうに考えております。
○堀場委員 ありがとうございます。今は運転手のお話ですよね。
やはり報道で、ほかにもいろいろあると思うんですけれども、八十歳まで年齢を引き上げるという報道も一部出て、それよりも先に挑戦すべきことがあるんじゃないかなというところで、ライドシェアの議論も非常に盛んになっているかなと思っています。
万博がありますので、大阪でも今、ライドシェアもそうですし、自動運転が万博でお試しされますので、そこで実証実験した上で実用化できないかというような議論もされているかと承知をしているところです。だから、この三つが、河野大臣のおっしゃるとおり、非常に重要な次の世代の交通を担っていくんだろうなと思っているところです。
タクシー業界の中には様々な規制というのがありまして、御存じだと思うんですけれども、エリアの営業規制、これも非常に課題なんじゃないかなと思っていますし、あと、ローカルルールで、例えば、京都駅は私有地の部分に業者さんが入っているので、何曜日と何曜日に何色のシールが貼ってあったら止められますよとか、一回幾ら、二十円だったかな、何かそういうのでやりますよというような、様々な、入る、入れないとかがタクシーの業者の中でもあります。あとは、例えば人がたくさんいるようなところには看板があって、タクシー乗り場とあって、三列まで並べますよとか、そういうところでやられているタクシー、並べますよね。
いろいろなことがあるんですけれども、ライドシェアを導入したときに、こういった様々なタクシー業界の規制若しくはローカルルールというものがたくさんありますよね。こういったものを解決するために、ライドシェアを導入するためには、様々、細々と解決しなきゃいけないなと思っている問題があるんじゃないかなということで、大臣に御所見をお願いしたいと思います。
○河野国務大臣 一言で言ってしまうと、規制でがちがちのタクシーの規制を改革をする。
かつては物理的な、タクシーメーターの後ろをハンダづけして開けられないようにして、それでなければいけませんというものが、ソフトメーター、ダイナミックプライシングができるようになりましたし、最低の、何台持っていないと駄目というのも、場所によっては一台でいいですとか、市役所の部屋を借りてそこで支店扱いにしてもいいですとか、いろいろ規制を緩和しました。
タクシーの規制を緩和するのと、ライドシェアの、例えば、運転手さんの社会保険をどうするのか、安全管理をどうするのか、労働時間の管理をどうするのか、アルコールの呼気の管理をどうするのかというものをやっていくと、大体真ん中で同じようなルールになるんだろうと思います。
そういう形にして、とにかく公共の足を増やしていくということをやらなければいかぬと思っていますし、今、コロナで、割と年配のタクシーの運転手さんが、やはりコロナの感染が嫌だからといって辞められて、二十九万人ぐらいいたところが二十三万人ぐらいまで減ってしまって、今、一生懸命タクシー業界は努力をしていただいていますが、やはり有効求人倍率が非常に高いということもあります。
そういう中で、例えば、私の地元の神奈川県なんかは、普通免許はいろいろな言語で受けられるんですけれども、二種免になると、途端に、日本語でなきゃ駄目よということになって、日本に在住している外国の方で、やってもいいという方が二種免許を取れなかったり。京都は地理試験というのはないのかもしれませんけれども、東京とか神奈川は、私も試験を見せてもらいましたけれども、もう全くお手上げというような地理試験をやっています。今はもう、GPSで動けるときに地理試験は要らないだろう、むしろ、GPSを正しく使えますかという方が、その確認が必要であったり。
あるいは、二種免許を取るのに、一日三時間までしか乗っちゃいけませんというと結構穴空きになっちゃうんですけれども、四時間まで乗っていいですというと、ぴしゃっと収まって、午前中最後の実車をやって、午後卒業試験ということになると、五日ぐらいだったか、それで講習が終わるみたいなこともありますので、やらなきゃいけないところというのはまだまだあると思います。
同様に、今地域で足がないところで、自治体だったりNPOだったり、いろいろなところが自家用車で運送をしていいですよ、でも、町の中だけねとか、町の一部だけねというようなことになっているんですが、病院にも行けないとか、JRの駅のあるところは市街地だから行けないとか、そういう規制もやはり直していかないといけないのかなというふうに思っております。
○堀場委員 ありがとうございます。
やはりデジタル化の推進というのは、大臣とは、前、違う委員会なんですがやらせていただいていたと思うんですけれども、様々な技術が今ありまして、様々なところで可能になることが本当に多くなっている時代なんですけれども、やはり昔からずっと続いている慣例、慣習、そういったものにどうしても、縛られるとまでは言わないんですけれども、そういった規制を改革することに消極的というような状況が生み出されてしまって、なかなか思い切った、自動運転もそうですけれども、そのほかの様々な、機械の導入であったり、デジタル化で解決できるような課題というのはまだまだいっぱいあると思うんですけれども、そこができないのかなというのが残念なんじゃないかなと思っているので、そこを是非推進していただきたいなと思っています。
最後に、ライドシェアの導入を含む規制改革の推進会議が、この間、六日に行われていたと思うんですが、そこの進捗を教えていただければと思います。
○河野国務大臣 十一月の六日だったと思いますが、俗に交通空白地と言われている地域を抱えている首長さんの話を伺いました。それから、海外でライドシェアのサービスを展開をしている企業に海外の状況を伺ったり、あるいは弁護士さんに海外のライドシェアのサービスがどのような社会保険であったり安全管理をしているのかという比較について話をいただきました。
これから都市部や観光地についても同様な話を伺っていきたいと思っておりまして、年内に何がしか一定の結論を出したいと思っております。
一発で最後まで行くとは思っておりませんが、守るべきは規制ではなくて、規制やルールは必要なら変えればいいので、守るべきは移動の自由ということを守らなきゃいかぬと思っておりますので、そこはスピード感を持ってしっかりやってまいりたいと思います。
○堀場委員 ありがとうございます。
ちなみに、京都は地理が結構簡単なので、地理試験があっても簡単なのかなとは思うんですが、本当に、大臣のスピード感をもって対応していただけると信じて頑張らせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日は、新藤大臣、高市大臣にお越しをいただいて、リスキリングとセキュリティークリアランスについて、二つのテーマで質疑をさせていただければと思います。
まず、リスキリングについて伺っていきたいと思うんですけれども。
先日の予算委員会で私も質問に立たせていただいて、総理に対して、総理がおっしゃる供給力の強化という言葉の意味というのは何ですかというふうに聞いたところ、単純な生産能力の強化だけではなくて、生産性の向上であったり、一言で言えば、企業が稼ぐ力を高めることだ、そんな答弁をいただきました。
その後、十一月二日に総合経済対策が発表されまして、私も内容を拝見させていただいたんですが、やはり日本企業の稼ぐ力を高めるということも重視されているように思うんですが、この総合経済対策が、じゃ、そのために何を我々に提案してきているのかというところが、ややまだ理解が追いついていないところがありますので、まず、新藤大臣には、企業の稼ぐ力を高めるために必要な基本的事項についてどのような認識をお持ちなのか、伺いたいと思います。
○新藤国務大臣 まさに総理が申し上げておりますように、また、私たちが打ち出しました総合経済対策の中で、国民の暮らしを守り抜く、物価高から暮らしを守る、これをまず大前提として、その上で、いかに日本の経済を新しいステージに移行させていくか、その意味においてとても重要なパートが供給力の強化だということになると考えます。
その供給力の強化、まさにそれは企業の稼ぐ力を高めるということになるのでございますけれども、何よりも賃上げをきちんと、構造的に、物価上昇率よりもそれを上回る賃金上昇、これを確実なものにしていかなければならない。そのためにはまずは可処分所得の後押しをしようということで、所得の低い層の皆様方は、国民生活は今、物価高で大きな影響が出ています。ですから、ここの部分に対する減税や給付、こういったもので支援策をさせていただく。
その上で、その先の、じゃ、稼ぐ力というのはどうやってつくるのか。それは生産性の向上につながっていくわけでありますけれども、それは国内投資の拡大をする。
例えば、それは、戦略的な物資、これを、供給を深めるための過去に類のないような投資減税をやろう。それから、イノベーションボックス税制ですとか、さらには、中堅・中小企業の省力化投資に対する新しい補助制度、これはカタログ式と私は名前をつけたんですけれども、簡便で、何かを、機械を買う、若しくは省力、省人化投資をした場合には、こういった設備を入れれば幾らの補助金が出るかがすぐに分かるような、そういう新しい補助制度というもの、こういうものも出させていただきました。
そして、投資を拡大するとともに、労働市場の改革、これを進めなければいけない。そこの重要な肝が、今日先生がテーマで御質問いただくリスキリングです。
これで、それぞれの方々が自分の能力を、更にスキルをアップしていただいて、そこで、省人化投資と相まって新しい仕事の仕方が始まれば、そこにふさわしい技術を持った方にはふさわしい職務給という、ジョブ型の移行をしていこうということ。そして、成長分野へ労働力が円滑に移動していく。こういったことをもたらしたいと思っているわけであります。
その上で、その先にあるのは潜在成長率の向上です。他国に比べて我が国は〇・五%程度、この潜在成長率が低い、こういうことが問題として我々は把握しているわけであります。この潜在成長率は、労働投入と資本投入と生産性の向上、この三つの要素で成るわけです。ですから、それぞれにとって必要な施策を、今回、経済対策の中には盛り込ませていただきました。
先ほども答弁で申しましたけれども、一つの仕事、これを重ねていって、総合的なパッケージとして、いろいろな層や、それから時機、こういったものを考えながら、日本の国の経済の構造を改革しながら、私たちが目指すべき、少子高齢化、人口減少社会、それでも成長していける、そして、地方が過疎で苦しんでいますけれども、それぞれの地域でもきちんと暮らしていける、そういう国をつくりたい、このように思っているわけであります。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○浅野委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。
企業が稼ぐ力を高めていくために必要なこと、大臣の説明を少し整理をさせていただくと、まずは資本投入、労働市場改革、そして生産性向上、こういう三つの要素がある。
その中で、私は今日、リスキリングをテーマにさせていただいているんですが、労働市場改革のための、一人一人の労働者の能力向上、機会創出、こういったものに寄与するものなのかなというふうに認識をしておりまして、その実効性を高めるために、次からの質問をさせていただければと思っております。
まず、次に伺いたいのは、今日の資料の二ページ目、資料の二というところを御覧いただきたいんですが、リスキリングというものの目的を大臣あるいは政府としてどのように今捉えているのか。どういう意義があるのかというのは今説明をいただきましたが、リスキリングを推進することで、どういったアウトプットにつなげていこうとしているのか。ここがまず聞きたいところであります。
政府の文書を一部抜粋したところで、黄色いハッチングのところを御覧いただければと思うんですが、リスキリングについては、労働者が自らの意思でリスキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことが重要、内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、労働者が自らの選択によって労働移動できるようにすることが急務だ、こういうふうに書いてあります。さらには、五年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるよう、個人への直接支援を拡充する、こういうふうに書いてあるんです。
これは、労働組合ですとか現場の労働者の受け止めとして、どちらかというと転職を前提としてリスキリング支援を推進していくんじゃないか、こんな不安が今現場にはあるということなんですが、正直、私、個人的にこの文書を読んだときに、内部労働市場、外部労働市場という言葉もありますから、いわゆる社内転職的なスキルアップあるいは仕事の変更、こういうものも視野に入れているような受け止めもできると思うんですが、その辺り、転職を前提として考えるのか、それともそうではないのか、大臣から御説明をいただきたいと思います。
○新藤国務大臣 今初めに委員が御指摘いただいた骨太の方針、それは要するに、リスキリングの理論的説明が主になっているというふうに思います。
今日、添付資料につけていただきましたが、その前の、一枚目のページ、それは、今回の経済対策において私の方で整理させていただいた、リスキリングは何のためにあるのかというところでございます。
リスキリングによる能力向上支援、これは、構造的賃上げを実現するために不可欠なものだということをまず位置づけさせていただきました。その上で、個々の方々の能力向上の支援をする。それから、個々の企業の実態に応じた職務給、ジョブ型の導入。そして、先ほども申しました、そうした身につけた方たちが、成長産業の、そういったところへの労働移動の円滑化、これは三位一体の労働改革と呼んでいるわけなんであります。
しかし、このリスキリングは、例えば、最も世界で有名な、AT&Tがリスキリングの有名な事例として紹介されますけれども、結果として、それは内部の、若手の方も含めて、企業内部の人材の方々が八割方、新たなジョブ型で、ジョブを身につけて、そして職務給を得た、こういうことになりました。
ですから、その方の働き方によって、それからその企業によって新しい仕事が増える。特に、省人化の投資というのは欠かせません。とにかく徹底的に人がいないんですから、失業率がこれだけ下がって、有効求人倍率が高止まりしていて、それで、どこかに余っている人を入れるのではなくて、やはり必要なところに必要な人材を投下する。
そのときに、新しい仕事の仕方や、今の人数でも効率よく業績を上げられる、そういう事業計画に切り替えていかなきゃいけないときに、その設備やそのサービスをきちんと使いこなせる人材として、リスキリングというのが非常に重要になってくるということだと私は思っています。
ですから、企業の内外を問わず、リスキリングの結果として、企業内の昇任、昇格、それから企業外への転職も含めた処遇改善、こういったものが動きとして大きくなってきて、その中で円滑な労働移動、そして雇用の充実というものが図られればいいのではないかな、このように思っております。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○浅野委員 ありがとうございます。
今の大臣の答弁を伺っていて感じたことは、DXあるいはGXに伴う、事業者が取り扱う機器の変化ですね、より高性能な機械、機材に換わっていったり、こういった新しい技術や新しい方式に適応するための人材をもっともっと増やしていかなきゃいけない。そのためのリスキリングだということで、結果として、社内転職的な異動なのか、社外にまで及ぶ転職なのか、ここは現時点では余り想定をしていないということなのかなと理解をいたしました。
時間が限られているので、次の質問なんですが、次は参考人の方でも結構なんですけれども、リスキリングの重要性というのは私も同じ認識を持っておりますし、大変これから大事なことだと思っています。これを一人でも多くの労働者の方々に知っていただいて、利用していただく必要があるというふうに思うんですけれども、じゃ、ニーズ調査というものを政府がこれまでやってきたのかとか、どの程度の実態を把握しているのかということについて伺いたいと思います。
まず、リスキリングに対する意識調査を実施した実績、特に、リスキリングに対する認知度や転職を目的としたリスキリングの需要、あるいは在職のまま昇給アップや昇進を目的としたリスキリングの需要に関する現状認識について政府に伺いたいと思います。
○馬場政府参考人 お答え申し上げます。
リスキリング支援策を検討する上で、我が国の企業や労働者の実態や、おっしゃったニーズを的確に把握することは必要でございます。
このため、政府部内では、厚生労働省で、毎年度、能力開発基本調査というのを実施しておりまして、企業調査、個人調査等を実施しているところでございます。
本年六月に公表されました令和四年度の調査によりますと、自己啓発という名前ですが、職業に関する能力を自発的に開発し向上させるための活動を実施している労働者は三四・七%にとどまってございます。自己啓発を行っている者のうちで、自己啓発を行った理由として、現在の仕事に必要な知識、能力を身につけるためと回答した者が、正社員で八〇・六%、正社員以外で七三%と最多となっております。それに対しまして、昇進や昇格に備えてと回答した者が、正社員で二〇・七%、正社員以外で六・八%。更に言いますと、転職や独立のためと回答した者は、正社員で一〇・七%、正社員以外で八・五%であります。自己啓発を行う上での何らかの問題点があるかという問いに対しまして、問題点があると答えた労働者が七九・九%もございまして、問題点の内訳を見ますと、仕事が忙しくて自己啓発の余裕がないというのが最多でございます。正社員では、費用がかかり過ぎるが次点となっておると承知しております。
いずれにいたしましても、こうした毎年度の調査に加えまして、民間等による調査も活用しながら、事業者や労働者のリスキリングに関するニーズや実態を適切に把握できるよう、関係省庁とよく連携してまいりたいと存じます。
○浅野委員 本日の資料三を御覧いただきますと、これは連合総研が調査をしたデータを載せてあります。
先ほど、自己啓発をしているという者の割合が三十数%というふうにお答えになられていましたけれども、これはリスキリングというのを知っていますかという質問をしたときにどういう答えが返ってきたか。世代別に見ても、あるいは、職種で見ると管理職の方がやや多めではあるんですが、全体をならしてみればおよそ三割程度と、やはり自己啓発に取り組んでいる方とそんなに割合としては変わらないのかなという現状が今見えてきております。
まず、リスキリングというものによって、労働者の能力向上、そして将来的な労働市場改革につなげていくというこの大きな流れは重要なことなんですけれども、だからこそ、このような現状に対して、やはり何らかのメスを入れなければいけないんじゃないかとも思うんですね。
今、参考人の方も厚労省が調査をしているというふうに言ったんですけれども、ここは是非内閣で、リスキリング、労働市場改革は大変重要な、壮大なテーマですから、独自調査というのをやってもいいんじゃないかと私は思います。
そういう議論が政府の中でないですか。ちょっと現状について教えていただければと思うんです。
○馬場政府参考人 お答え申し上げます。
現状では、厚生労働省の調査を私ども踏まえて、あと、民間の調査もございまして、研究所等々の調査も参考にさせていただいております。
御指摘はしっかりと受け止めて、検討させていただきたいと思います。
○浅野委員 是非よろしくお願いします。
いろいろな、多分、厚労省の調査も民間の調査も、リスキリングとか労働市場改革を出口として考えて設計されたアンケートなのかどうか私は存じ上げませんが、しっかり出口を意識してそれ用の調査というのを行わないと、しっかり需要側のニーズというのを把握できないと思いますし、三割程度という現状を見れば、もう少し力を入れて現状把握に努めていただきたいと思います。
続けて、次の質問に行く前に、もう一点だけ課題提起をさせていただくんですが、資料の四を御覧いただきたいと思います。
これは帝国データバンクがリスキリングの企業の取組状況について調査をした結果を載せているんですが、御注目いただきたいのは、大企業と中小企業それぞれでEラーニングがどのくらい取り組まれているかという、赤枠で囲った部分になります。大企業は、やはり設備投資を積極的に行っていて、Eラーニングやオンライン学習サービスを四割の企業が活用しているというふうに答えておりますが、中小企業に関していえば、二五%程度とややその割合は少なくなっている。
いろいろな考察が行われているんですけれども、やはり、右側のグラフを見ると、中小企業になればなるほど、リスキリング取組割合というのが、従業員の割合が減っていくんですね。
いろいろな理由があると思うんですが、やはりリスキリングには、受講するために会社を休んで別の場所に行かなきゃいけなかったりとかするケースもありますので、そうなると、どうしても受講するモチベーションが上がらない、受講をするような時間の猶予がつくれない、そんな状況が考えられます。Eラーニングやオンライン学習サービスがあれば移動する必要がないので、比較的受講のしやすい環境になるのではと思うんですが、やはり中小企業は資本力がありませんので、現状は大変リスキリングに対する取組が難しい。
今、中小企業のDXが進まないとか、いろいろな、人材育成が難しいみたいなことが長年言われておりますけれども、こういった現場の実態を踏まえて、今後是非、対応策も考えていただきたいと思います。
次の質問なんですけれども、次の質問は、資料五を御覧いただきたいと思います。
これはPwCというコンサルティング会社の調査結果ですけれども、この調査結果によりますと、テクノロジーの変化、これは、新しいテクノロジーの活用に順応できるという自信があるかどうか、そして、テクノロジーの変化についていけるよう絶えず新しいスキルを学んでいるかどうかという、この二つの質問に各国の人々が答えた結果になるんですが、御覧のように、インドとかは非常に高いですね、七割近くの方が自分はテクノロジーの変化についていけるんだという自信を持っている、そして約半数の方が常にスキルを学んでいるぞ、こういう回答をしています。
日本は非常に寂しい結果となりまして、数字は申し上げませんけれども、このグラフで見ても一目瞭然、非常に変化に対して順応していくという自信が低い、また絶えず新しいスキルを学んでいない、こういうデータが出てまいりました。
先ほどリスキリングに対する認知度が低いという話もありましたし、中小企業などでもなかなか取り組めない事情があるということもお話をしましたが、この現状を踏まえて、今日の資料一、新藤大臣が今回、総合経済対策のために作られたというこの資料を見ると、主な取組のところに赤線を引いてありますが、補助率を上げます、あるいは業界団体に働きかけます、非正規雇用労働者に対する支援も新たに設けますと書いてあって、これはそれぞれ大事なんですが、もっと根元のところ、多くの人々、働いている人々の意識の問題、ここがこの国のリスキリングの目の前に立ちはだかっている大きな大きな壁だと思うんですね。
ここに対してどのように対応していくのか、現状の御認識を伺いたいと思います。
○新藤国務大臣 非常に根源的で、とても大事な御指摘だと思っています。
私もここをどう改善しようかということでいろいろ考えを巡らせているんですけれども、基本的なまずデータとして、日本は在職者のリスキリング割合は四割です。しかも、それは、主に職を失ってからリスキリングを始める。企業側は、いる限りは、要するに終身雇用、一括、一律の昇進ですから、そういう中で、新たな、ジョブ型やリスキリングの必要性というものを余り感じていない企業がまだまだ多くあるということです。
ちなみに、今人手不足が最も叫ばれている介護や医療、それから旅館宿泊、それからサービス業や運輸、この部分は最も人手が足りないということに、出てくるんですけれども、何と、省力化投資というものでチェックすると、まさにそこの、人が足りないと思っている業界が省力化投資がやはり押しなべて低いんですよ。ですから、単に人を増やしたいと思っていて、省人化の工夫がない、そこには新しい技術も必要ない、この循環をよい方向に変えなきゃいけない。
デンマークは最もリスキリングが世界で進んでいると言われていますが、これは七割が在職中のリスキリングです。ということは、企業がその理解をして、やはり自分の企業のためにも技術を身につけてもらいたい、そういう企業側の考えがあり、そこに働いている人たちも、自分と、また、この仕事のためにリスキリングをしよう、こういう意識が相まってそういった高い率になってくるわけなので、こういったものをやりたいと。
それには、やはり、どういうタイミングで受講してもらうか、仕事中に職場を休んで研修させるのか、それとも、リスキリングのための時間休や若しくはお休み、そういったものを認めながらやっていくのか、様々なことを検討しなきゃいけないと思うんですけれども、そういう根本的なところの構造を直していかなきゃいけないということがあります。
それに加えて、私どものリスキリングの支援は企業経由が七割なんです。企業はそのリスキリングを、どういうリスキリングをしたらいいかがまだ意識が徹底していない。ですから、そこはそこで、今回、大体、リスキリングの助成が受けられるものは国が認定した講座に特定されるんです。だけれども、たくさんの業界団体で独自の講習をやったりしているんですが、申請すれば国は認める道があるんですけれども、申請するということもまだ分かっていない。だから、リスキリングの対象講座の枠を広げようということを考えています。
それから、個人経由で自分で独自にリスキリングできる割合も、それも五割にまで高めていこうと。でも、それは、七割の企業経由を削って個人に移すのではなくて、全体のリスキリングの講座数が増える中で、それぞれ企業経由の受講も増やさなきゃならないし、個人経由も増やさなきゃならないし、トータルでリスキリングのもっと厚い、重層的な講座が実現できるようにしたいというふうに思っているわけです。
そして、加えて、教育訓練給付については、高い賃金を獲得できている分野、また雇用ニーズの高い分野、こういったものにつきましては補助率や補助上限を、これも今年度、今年末までに結論を出しますけれども、リスキリングを充実させるための助成の拡充、こういったことも考えているということでございます。
○浅野委員 ありがとうございました。
リスキリングについてはもっといろいろ多面的に議論を深めたいところなんですが、もう時間になりますので、ここから先はセキュリティークリアランスの方に移りたいと思います。
新藤大臣、もしよろしければ御退席いただいても結構でございます。どうもありがとうございました。
では、お待たせいたしました、高市大臣にセキュリティークリアランスについてお伺いいたします。
まず、根本的な質問なんですけれども、経済安全保障上重要な情報として指定する情報の対象範囲ですね、今様々な検討が加えられていると思うんですけれども、やはり、民間企業、現場からの不安として、政府保有の情報に限られるのか、民間が所有する情報も含まれる可能性があるのか、ここについて伺いたいのと、あわせて、セキュリティークリアランス導入企業というものは手挙げ式なのか、指名式も含まれるのか、この二点を教えていただきたいと思います。
○高市国務大臣 まだ法律案を国会にお示ししていない段階ですので、あくまでも見通しとしてしかお答えできませんけれども、有識者会議の中間論点整理を御覧いただいたかと思いますが、そこでは、「経済安全保障上重要な情報を指定していくに当たっては、我が国として真に守るべき政府が保有する情報に限定し、そこに厳重な鍵をかけるというのが基本的な考え方である。」とされております。また、制度の対象となる事業者でございますけれども、政府から制度の対象となる情報の共有を受ける意思を示した民間事業者など及びその従業者であって、対象となる情報へのアクセスを真に必要とするものとされております。
ですから、今後、この考え方に沿って、さらに最終的な取りまとめに向けた議論を有識者会議で続け、先生方に次期通常国会でお示ししたいと考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。
明確に確認できる答弁だったかと思います。
続けてなんですが、そうなりますと、やはり、セキュリティークリアランス制度を見据えて、今から各民間事業者が、自分たちがこのセキュリティークリアランス制度を活用してより事業の幅を広げるのかどうか、そうするためにはどんな準備が必要かというのを考え出している企業もあると思うんですけれども、まだまだ軟らかい状態ではあるものの、私のところに届いている声として、セキュリティークリアランスを導入するためには、やはりセキュリティー対策がしっかりした施設でちゃんとした運用をしなければいけないということになるのかなというふうに予想しております。
例えば、民間事業者でもセキュリティーレベルの高い専用区画を設けたりとかしないといけないのであれば、非常にそこはコストがかかる問題にもなります。特に、大企業ならそれを耐えられるかもしれないんですけれども、防衛産業ですとか様々な機微な製品、技術を取り扱う中小企業もあります。
中小企業がセキュリティークリアランス制度の適用を受けようとしたときに、ハイレベルなセキュリティーを確保できる、担保できるような施設を自社に確保しなきゃいけないとかなった場合に、ハードウェアなのかソフトウェアなのか分かりませんけれども、そこに対する設備投資、設備導入費用を抱えられるのかという不安もあるというふうに聞いています。
ここについては要望になるのかもしれませんけれども、是非、大企業のみならず中小企業も恐らく該当する企業は出てくると思います、それに備えて導入支援を政府としても考えていくべきではないかと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 確かに、大企業だけじゃなくて中小企業も、日本政府の調達に入りたいとか、海外の政府調達に入りたいとか、また、海外では割と民間企業同士のお取引でもクリアランスを持っているかどうかと聞かれるような場合もありますので、必要だということで手挙げをされる企業も出てくると思います。
これも中間論点整理ですが、政府と同様に適切な情報保全の観点から専用の区画や施設を設ける必要があり、民間事業者等にとっては少なからぬ負担になると指摘された上で、こうした民間事業者などにおける保全の取組に対する支援の在り方について、合理的な範囲内で検討していく必要があるとされました。
まさに浅野委員の問題意識と共通していると思いますので、しっかり配慮しながら検討してまいります。
○浅野委員 残り時間が僅かになりましたので、もしかしたら最後になるかもしれませんが、続けさせていただきます。
次の質問は、今度は労働者個人の目線から見たときの問題意識なんですけれども、やはり、これまで特定機密情報を取り扱えるのは公務員だけ、民間の人がそういうセキュリティークリアランスのようなものを受けるのは初めてだということで、過去に例がないということで、ちゃんと事前に制度の説明、もしこれを破ってしまったときの罰則であったりとか、そのときどうなるのか、どういうリスクがあるのかという説明であったり、日常活動の中でどんな制約を受けるのかみたいな、そういうところまでちゃんと理解していただかなければいけないと思うんですね。
日本の民間企業の中では基本的にセキュリティークリアランスそのものがありませんでしたので、どの企業も初めての取組なんですね。やはりこれは、ちゃんと会社側から対象者に対して丁寧な説明が必要ですし、会社内でどのような運用をしていくのかについても、ある種の労使間の合意形成が必要だと思います。
政府には、事業者に対して事前に十分な情報提供を行うのはもちろんなんですけれども、経済界や労働界の準備状況を十分に把握し、その内容を尊重して進めていくような仕組みづくり、例えば合議体とか、こういったものが必要ではないかとも考えるんですが、現時点で大臣のお考えを伺えればと思います。
○高市国務大臣 今、日本にある唯一のセキュリティークリアランス制度になりますが、特定秘密保護法がございます。あれは、外交、防衛、テロ、スパイという四分野に限定されていますので、ごくごく僅か、民間の方が三%クリアランスを持っておいでですが、それは防衛省の調達に入っていらっしゃるような企業のごく限られた方々でございます。
今後、国会でお認めいただいたら、こういうセキュリティークリアランス制度が経済安全保障版ということでもう少し対象が広くなってくるんですが、やはり、中間論点整理でも、まず、本人の意思に反して調査が行われるようなものではないということ、また、クリアランスを真に必要とする者の任意の了解の下で行われるものだということ、それから、既存の制度、つまり特定秘密保護法でも丁寧な手順を踏んで本人の同意を得て調査を行うことが大前提になっておりますので、労働法制も踏まえまして、ちゃんとプライバシーの関係、従業者の処遇への影響の考慮も含めて対応していかなきゃいけないということを考えております。
また、その制度を詳しく、ちゃんと正しく理解していくための広報活動、説明の場も設けてまいります。有識者会議にも、連合の皆様、また各経済団体の代表の皆様にも御参加いただいております。
○浅野委員 時間が来たので終わります。どうもありがとうございました。
○星野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後二十分、よろしくお願いいたします。
親愛なる星野委員長の下で質疑させていただくこと、光栄でございます。そして、質疑時間に御配慮いただきました立憲民主党の皆様方に御礼を申し上げたいと思います。
最初に、先ほど堀場さんが質問した女性活躍につきまして、堀場さんのフォローアップみたいな形になるかもしれませんが、大臣の女性活躍に対する考え方についてお伺いいたしたいと思います。
女性活躍については二つの大きな方向性があり得ると思うんですね。一つは、実力主義をベースに機会の平等を志向する考え方と、それとは真逆とまでは言いませんが、制度的に結果の平等を誘導する考え方、この二つがあります。
アメリカでいうとアファーマティブアクションでしょうし、フランスでいうとパリテ、クオータみたいなものだろうと思います。そして、完全に結果の平等を保障するのは、一番典型的なのがフランスの県議会。男性と女性でリストを組んでそれで選挙するので、必ず同数になるということであります。
この機会の平等を志向する考え方と、結果の平等を制度的に誘導する考え方、大臣はどちらの考え方をベースに女性活躍を考えておられますか。大臣。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
女性の活躍は、女性が、その人権がきちんと尊重され、男性と責任を分かち合いながら、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できるということであると考えております。その上で、機会の平等か結果の平等かというのは、その社会の状況、ありようによって変わってくるものかなというふうに考えております。
背景にアンコンシャスバイアス等が様々あるこの日本においては、まずは機会の平等をというところがフェーズとして必要になってくるのかなというふうに考えております。
○緒方委員 政治分野における男女共同参画の推進について、例えば、選挙のときの男女の候補者の数ができる限り均等になることを目指すという考え方について大臣はどう思われますか。
○加藤国務大臣 クオータ制の導入についてお聞きになっているということでよろしいでしょうか。
一定数を確保するということであれば、法律等によって議席の一定数や女性候補者の比率に関する義務づけを行うものであれば、これは国会で御議論をいただくべきものであると考えております。
○緒方委員 大臣、今私が読んだフレーズ、実は、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の文章をおおむね省略して読み上げただけなんです。均等になることを目指すというふうに言っているんです。もう一度答弁いただければと思います。
○加藤国務大臣 政治分野において男女の比率が均等になっていくことを目指すということは、私も必要な、重要なことだと捉えております。
○緒方委員 先ほど堀場さんが質問したときに、私、自分自身が考えていることと方向性が一致しているので、あっと思ったんですけれども、私、実は、政治分野における男女の共同参画を推進するに際して障壁になっているのは、公職選挙法が障壁になっているのではないかというふうに思っています。そういうふうに思いませんか。大臣。
○加藤国務大臣 委員の御質問の具体が把握できないため、直ちにお答えすることは差し控えさせていただきます。
○緒方委員 ここは通告なしでしたので、もうこれ以上追及いたしませんが、公職選挙法、私も実は、今皆さん方、選挙で経験しておられると思いますが、何となく、自分の持っているリソースを全て投入してやらないと選挙に勝てないというような思いを持ちながら、私自身もそうですし、みんなやっているけれども、実は、男女共同参画を促すときに、もっと、例えば議論とか討論とか、そういうものを中心に置いた選挙活動というのに振っていくことによって選挙は変わっていくんじゃないかなと思いますし、そうしないと、週末から何から全部行事に行って、私も、焼きそば、フランクフルト、むちゃくちゃ食っていますよ。
そういうことでない選挙のスタイルというのは一つあるのではないかと思うので、これは実は、男女共同参画の部局と公職選挙法を担当する総務省の選挙部の間でいろいろなやり取りを、もちろん、公職選挙法というのは議法ですけれども、いろいろなやり取りをしてほしいなというふうに思うんですね。なぜ今、政治分野における男女共同参画が進まないのかということで、ここの対話は是非やっていただければというふうに思います。
その上で、質問を移したいと思います。
次は、公益法人における内部通報についてお伺いをいたしたいと思います。
最近、公益法人職員による内部通報が、文部科学省から内閣府に併任がかかっていた職員によって、公益法人の職員が内閣府に通報したら、その情報がその職員によって公益法人側に漏えいされたという事案がありました。とんでもないんですよね。絶対あってはならない。公益通報者保護の観点から、絶対あってはならない。
しかし、公益通報者保護法をよく読んでみると、役所からの漏えいについては処罰の対象になっていません。よくよく調べてみると、国家公務員法第百条の守秘義務違反とかぶるからだというふうに言われました。
大臣にお伺いしたい。
この公益法人に対する内部通報の漏えい事案というのは、国家公務員法第百条の秘密の漏えいの事案に当たるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
まず冒頭、今般の情報漏えい事案につきましては、大変遺憾であり、改めて関係者の方々に対しまして深くおわびを申し上げます。
国家公務員法の守秘義務違反になるかということにつきましては、その対象となる秘密に今回の事案が当たるかどうかということだと考えられます。
一般論として、国家公務員法第百条が規定する秘密とは、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するものの二つの要素を備えている事実を指すものであると承知をしております。
なお、今般の事案につきましては、現在、処分権を持つ文部科学省において事実関係の調査がなされているものと承知をしております。内閣府としても、その調査に協力をしてまいります。
○緒方委員 それは違うと思うんですよね。単に、併任がかかっていたのが外れたので、今、大臣の下での職員ではないということで、文部科学省での処分ということが検討されているということなんでしょうが、それは単なる役所の懲戒の話であって、けれども、これは、仮に国家公務員法第百条の秘密の違反であれば、刑事罰がかかるものですから、内閣府が内閣府として主体的に判断しなくちゃいけないと思うんですね。
秘密の要件というのは先ほど言われたとおりです。秘密の必要性と非公知性です。当然、公益法人について通報した人間の情報というのは秘密にする必要性がありますし、そして、非公知性、公に知られていない、いずれも知られていないですよ。ということは、これは秘密に当たるはずです。
文部科学省が処分を検討している、それは単なる役所の懲戒であって、この話とは違います。国家公務員法第百条における秘密の漏えいに当たる、なので、内閣府として主体的にこの問題を取り上げていく、そのおつもりはございませんか。大臣。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
この度の漏えい事案は、大変、公務員が個人情報を漏えいするという意味で非常に重大な事案だと認識しまして、心よりおわび申し上げる次第でございます。
確かに、国公法の守秘義務違反も含めた厳正な対処ということについては、やはりその当該職員の人事管理の権限を持つ当局において御検討なされるものであろうというふうに承知し、その事実関係とかの協力はいたしてきておりますし、してまいりますが、告発の取扱いを含めて、文科省さんと相談しながら、まあ、人事管理の権限は文科省にございますので。
○緒方委員 いや、違うと思いますよ。だって、今、人事管理の権利を誰が持っているか。それは今、併任が外れているので、九月にどうも併任が外れたそうでありますので、文部科学省の職員ですよ。しかしながら、起きた事案は全て内閣府の中で起きているわけですよね。これは刑事罰につながる話ですから、じゃ、文部科学省が刑事罰に向けた告発をするのか。するわけないじゃないですか。
何を言っているんですか、室長。認識が間違っていると思いますよ。もう一度。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員法守秘義務違反の告発の取扱いというものについては、事実関係を確定した上で、文科省さんと連携して対処してまいりたいと思います。
○緒方委員 しかし、レクの段階で、文部科学省は既に処分に向けた動きを始めているというふうに言っています。
では、室長、大臣でも結構ですけれども、お伺いしたい。今回漏えいされた事案について、秘密でないという可能性はあるんですか。室長。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
秘密に当たるかどうかでございますが、漏えいした情報というのは、情報提供者の氏名と情報提供を行政機関になしてきたという事実であります。これは個人情報の保護に違反する漏えいであるというふうに思いますが、守秘義務における秘密との関係については、更に当局と連携して相談してまいりたいと思います。
○星野委員長 済みません、もうちょっとはっきりとお話しください。最初からでいいですから。
○北川政府参考人 はい。
文科省とも連携して検討してまいりたいと思います。
○緒方委員 文科省と連携する話じゃないですよねとさっきから言っているんです。起こったことは全て内閣府の中で起きているんです。なぜ今文科省の話があるかというと、文科省から内閣府に併任がかかっていて、その併任がかかっている間に起こった事案だから文科省が、それで、その併任が解けたから今文科省に戻っているだけであって、起きたことは全て内閣府で起きているんです。人にそういう形で押しつけちゃ駄目ですよ。内閣府としての主体的な判断が必要です。
もう一度お伺いします。非公知性と秘密にする必要性、いずれも満たしていると思います。これは秘密じゃないですか。そして、内閣府としてしっかりこれは対応すべきじゃないですか。室長。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。ありがとうございます。
本事案に関しましては、関連する訴訟が提起されておりまして、争訟中でもありますので、その訴訟の行方も注視しつつ、秘密ということについても検討してまいりたいと考えます。
○緒方委員 この件はこれで終えさせていただきます。
最後に、交通安全担当大臣として加藤大臣にお伺いをしたいと思います。
本題に入る前に、大臣に一つだけ。大臣は、秘書に対してスピード違反を指示したり、そこまでいかなくても、制限速度で走れば到底到着できないような時間を指定したりしたことがおありになりますか。大臣。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
そのようなことをしたことはございません。
○緒方委員 それでは、本題に移っていきたいと思います。
第十一次交通計画において、交通事故事件等の捜査においては、初動捜査の段階から自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条又は第三条、つまり危険運転致死傷罪の立件も視野に入れた捜査の徹底を図るということが第十一次交通計画に明記されています。
私、この危険運転致死傷罪の件をずっとこの国会で追ってきているんですけれども、実務上本当にそうなっているというふうに大臣は思われますか。大臣。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
令和三年から七年までを期間とする第十一次交通安全基本計画では、交通事故事件等の捜査においては、初動捜査の段階からいわゆる自動車運転死傷処罰法に規定されている危険運転致死罪の立件も視野に入れた捜査の徹底を図ることとされております。
この点につきまして、警察庁においては、都道府県警察に対し、初動捜査の段階から危険運転致死傷罪の立件も視野に入れた捜査の徹底や、捜査力を強化するための捜査体制の充実等について必要な施策を講じるよう指導をいたしているものと承知をしており、適切に推進されているものと認識をしております。
内閣府としては、引き続き、関係省庁と連携をし、第十一次交通安全基本計画に基づいて各種施策に適切に取り組んでまいります。
○緒方委員 警察関係者と話をしていると、うちの地元の警察の関係の方ではないんですけれども、危険運転致死傷罪は、過去の判例等を踏まえるとどんどん適用しにくくなってきているというお声を聞くことがあります。
少し報道されましたけれども、例えば、一般道でスピードを出すという意図を持って百九十四キロ出して事故を起こして人をひいた方についても、最初の適用の罪は過失で適用されようとしているものを訴因変更するように活動して、ようやく危険運転致死傷罪になったと。
これは警察と法務省それぞれにお伺いしたいと思いますが、こういった危険運転致死傷罪は、これまでの過去の判例の積み上げ等々を踏まえると、適用しにくくなってきているよねというような声が、それぞれ上がってきておりませんでしょうか。法務省、そして警察庁。
○太刀川政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣が御答弁されたとおり、私ども警察といたしましては、交通事故が発生した場合には、危険運転致死傷罪の立件を視野に捜査を進めているところでございます。
そして、その危険運転致死傷罪の適用件数、令和四年七百三十件、四年前の平成三十年の六百十三件に比べますと相当の増加をしているところでございまして、適用しにくくなっているという実感は持っておりません。
○吉田政府参考人 一般論として申し上げますと、検察当局においては、悪質、重大な交通事犯等に対し、危険運転致死罪の適用も視野に入れて捜査に臨み、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、当該事案の内容や諸情状を考慮して起訴、不起訴の判断を適切に行っているものと承知しております。そして、起訴する場合には、個々の事案の特質を捉え、その犯情を最も的確に反映できるような訴因を選択、構成しているものと承知しております。
検察当局においては、会議や協議等の場を捉え、こうした危険運転致死傷罪の適用を視野に入れた捜査、処分の実施について指示、周知を繰り返し行うとともに、同罪の適用に関する事例等の情報を共有することなどを通じて、悪質、重大な交通事犯に対する厳正な法適用の実現に努めているものと承知しております。
○緒方委員 終わります。
――――◇―――――
○星野委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。
去る八月七日の公務員人事管理についての報告、一般職の職員の勤務時間についての勧告及び一般職の職員の給与についての報告、勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁川本裕子君。
○川本政府特別補佐人 人事院総裁の川本裕子でございます。
人事院は、八月七日、国会と内閣に対し、国家公務員の給与及び勤務時間の改定についての勧告を行い、本勧告どおり実施していただくよう要請をいたしました。
本日は御説明の機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
まず、給与勧告について御説明いたします。
本年も、月例給、特別給共に民間が公務を上回る結果となったため、引上げを勧告いたしました。
月例給は、一万円を超える初任給の引上げを始め、若年層に重点を置いて引き上げるとともに、特別給の年間の支給月数は、〇・一〇月分引き上げて、年間四・五〇月分としております。また、テレワーク中心の働き方をする職員の光熱費などの負担を軽減するため、在宅勤務手当等の新設を勧告しております。
次に、勤務時間に関する勧告についてです。
一般の職員でも、フレックスタイム制を活用して、勤務時間の総量を維持した上で、週一日を限度に勤務時間を割り振らない日を設定することを可能としております。
続いて、公務員人事管理に関する報告について御説明いたします。
今回の報告では、三つの柱を立てて、具体的な施策を示しています。
まず、一つ目の柱は、人材の確保です。
行政の担い手となる人の確保は最重要課題であり、従来の採用戦略、手法を大胆に変えていくことが必要です。人事院は、昨年から採用試験改革に取り組んでおり、今後も不断の見直しを行ってまいります。
また、複雑化、高度化する行政課題に対応するためには、民間と公務の知の融合が鍵となります。民間人材の積極的な採用や、官民の活発な人事交流を推進してまいります。
二つ目の柱は、職員の成長と組織パフォーマンスの向上です。
年齢を問わず、キャリア形成やスキルの向上への関心が非常に高まっています。職員のキャリア形成を更に支援し、職員の学びを後押しする取組を進めます。
三つ目の柱は、多様なワークスタイル、ライフスタイルの実現とウェルビーイングの土台となる環境整備です。
職員の希望や事情に応じた働き方が可能となるよう、冒頭、勤務時間の勧告で申し上げたフレックスタイム制の活用などの制度改革を進めます。また、勤務間のインターバル確保のための努力義務を新たに設けます。
本年六月、衆議院の議院運営委員会の理事会において質問通告について申合せをしていただき、深く感謝申し上げます。行政部内においても国会対応業務の更なる改善に取り組んでまいります。
人事院は、本年九月に、各界の有識者による人事行政諮問会議を立ち上げました。今後とも、新時代にふさわしい公務員人事管理の実現に向けて取組を進めてまいります。
星野委員長を始め、理事、委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、今回の勧告の速やかな実施のために所要の措置を取っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
○星野委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。
――――◇―――――
○星野委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。
―――――――――――――
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○河野国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
これは、本年八月七日の人事院勧告に鑑み、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、全ての俸給表の俸給月額について、若年層に重点を置きながら引き上げ、期末手当及び勤勉手当の支給割合を年間〇・〇五月分ずつ引き上げること等としております。
第二に、新たに在宅勤務等手当を設けて、住居その他の場所において、正規の勤務時間の全部を勤務することを、一定の期間について一か月当たり平均十日を超えて命ぜられた職員には、月額三千円を支給することとしております。
第三に、フレックスタイム制を活用した勤務時間を割り振らない日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大することとしております。
引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
これは、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
特別職の職員の俸給月額及び期末手当等について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○星野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十九分散会