衆議院

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第3号 令和5年11月10日(金曜日)

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令和五年十一月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 坂本 哲志君 理事 冨樫 博之君

   理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      赤澤 亮正君    井野 俊郎君

      井原  巧君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      神田 潤一君    黄川田仁志君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      平  将明君    高木  啓君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      西田 昭二君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    本田 太郎君

      牧島かれん君   山本ともひろ君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    阿部  司君

      浦野 靖人君    住吉 寛紀君

      藤巻 健太君    河西 宏一君

      吉田久美子君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   内閣官房副長官      村井 英樹君

   財務副大臣        神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   外務大臣政務官      穂坂  泰君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       阪本 克彦君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           米村  猛君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          荻野  剛君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            幸  清聡君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            佐々木雅之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     井原  巧君

  杉田 水脈君     谷川 とむ君

  住吉 寛紀君     藤巻 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     黄川田仁志君

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  藤巻 健太君     住吉 寛紀君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣人事局人事政策統括官窪田修君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲富修二君。

稲富委員 おはようございます。

 衆議院議員の稲富です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、人事院勧告について総裁に伺ってまいりたいと思います。

 今回の人事院勧告の、まず全体構成について伺います。

 今年の人事院勧告の構成は、公務員の人事管理に関する報告が置かれ、次に勤務時間に関する勧告、次に一般職員の給与についての報告、勧告となっております。

 しかし、先日、総裁の国会における人事院勧告概要説明の中では、給与勧告があり、勤務時間勧告があり、公務員人事管理に関する報告となっておりました。

 人事院は、国家公務員法において、まず第一に、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告がその役割としてうたわれております。それは、大臣も以前国会で御答弁されているように、人事院が国家公務員の労働基本権を制約することに対する代償機関という位置づけがあるからでございます。

 なぜ今年の人事院勧告がこのような、例年と違ったような順となっているのか。また、国会への説明は従来どおりということになっておりましたが、その真意のところをお伺いをまずいたしたいと思います。

川本政府特別補佐人 おはようございます。

 お答え申し上げます。

 労働基本権制約の代償機関としての機能についての認識は、いささかも変わるものではございません。人事院は、社会経済情勢や国際情勢が激変する中で、国民の利益を守り、世界最高水準の行政サービスを提供し、活力ある社会を築く、そのためには、行政の経営管理力を高め、公務組織の各層に有為な人材を誘致、育成することが不可欠であると考えています。

 このような基本的な考え方に立ち、本年の人事院勧告、報告では、最初に、公務員人事管理における課題認識と対応策の全体像を分かりやすさの点からお示しすることとし、別紙第一で報告をいたしました。この報告の中で言及した勤務時間に関する取組のうち、法律改正が必要となる事項は別紙二で勧告し、また、本年の給与改定に関しましては別紙第三で報告し、必要な法律改正について別紙四で勧告したものであります。

 今後とも、労働基本権制約の代償措置を始め、人事院の役割を適切に果たしてまいります。

稲富委員 ありがとうございます。

 優先順位は特段つけているわけではないんだという御答弁かと思いますが、そうはいっても、よく我々、一丁目一番地とかいう言葉を使います。やはり一番目に来るのは、どういうのが最優先するのかということは非常に大事なことでありまして、是非その点を踏まえて、これからも職務に励んでいただければと思います。

 次に、人材確保について伺います。

 総裁も談話の中で、多様で優秀な人材を集めることは国家的課題である、あるいは、公務における人材確保は今危機的な状況にあるということをおっしゃっております。私も全く同じ認識でございまして、やはり日本が安定した国家運営ができるというのは、この官僚機構に負うものが非常に大きい、その役割が非常に大切であると。

 しかし、十月三十日の朝日新聞にありますが、学生のキャリア官僚離れが報道されておりました。志願者が十年間で三割減ったとかいうことも記載がありました。

 若い方々が公務に希望を持ってチャレンジをされるに当たっては、やはり少なくとも二つ、私は大事だと思うのは、労働環境の改善と、やはり、総裁の言葉が、ウェルビーイングに当たるかどうか分かりませんが、やりがいだと思います。

 労働環境の改善については、今回、賃上げをするであるとか、フレックスタイムのより柔軟な運用ということが盛り込まれている。その仕組みを改善をするということはできるわけです。

 しかし、やりがいをどう感じてもらえるかというのは非常に難しいところでございまして、例えば、今、若い有為な人材が、法学部であれば大企業の法務部門に行ったり、あるいは外資系コンサルやIT関連企業、経済学部や工学部なんかは自ら起業しようとする方もたくさんいらっしゃる。

 一つの大きな公務としての選択肢を、やはり若い方々に希望を持って持ってもらえるようにするために、それは、やりがいは、例えば、国を動かしているとか貢献している、社会をよくしたいという、そういった志に応える組織にするというのは一朝一夕にはできないかもしれませんが、それがなければ、恐らく若い方々は、環境整備だけではなかなか難しいんじゃないかと思いますが、どうやってやりがいを感じてもらえるような組織にするのか、その点、総裁の見解を伺います。

川本政府特別補佐人 公務を支える多様で有為な人材の確保のためには、職員が働きながら成長を実感し、仕事のやりがいを感じられるような公務組織を実現することが重要と考えます。

 一つ目の成長実感については、成長というのは人に評価されて実感できるものであり、マネジメント力の向上、公正な人事評価の実施や、周囲からの働きぶりに関する適切なフィードバックが不可欠です。二つ目の仕事のやりがいについては、仕事の意義や目的を言語化することが大切であり、上司が日頃から様々な機会にそれらを明示して適切に伝えることが重要だと考えられます。

 人事院は、本年八月に勧告と併せて行った公務員人事管理に関する報告において、人材の確保、職員の成長と組織パフォーマンスの向上、多様なワークスタイル、ライフスタイルの実現などの三つの柱について提言を行いました。

 先ほど申し上げた二点も踏まえ、多様な職員一人一人が躍動でき、ウェルビーイングが実現される魅力的な公務の実現に取り組んでまいります。

稲富委員 ありがとうございます。

 是非お取り組みいただきたいんですが、やはりどうしても時間がかかる。喫緊の国家的課題であるということは、もう早く若い方々に参画をしてもらうようなことをしていかなければいけないと思います。

 そこで、先ほど取り上げさせていただきました同じ朝日新聞の報道によると、国家公務員の総合職の合格者は、今、地方の国公立大学や私立大学が増えております。

 大学も多様化をしているということで、先日、東京のある大学の学生課に勤めている方とお話をしたところ、今や自宅から通学している方が七割、独り暮らしが三割ということで、我々が学生の頃と逆転をしてしまっている。

 恐らく、ここも想像がつくわけでございます。かつては田舎から出てきたような、私もそうでしたけれども、東京に来て学生生活を送るということができたわけですけれども、やはり経済格差の影響もあろうかと思います、なかなか東京まで出てきて学生生活を送ることが難しくなってきている。しかし、だからこそ、これから公務を、国家公務員を志望される方に、地方には大きな可能性があるんじゃないかと私は思うわけです。

 先ほど申し上げましたように、地方出身の方の合格者が増えている。ただ、その方々がどれだけ勤務をしているかというところまでは調べているわけではない。あるいは、地方から東京、都市圏で働くに当たっては、やはりどうしても住居費の問題は大きな問題になります。

 そういったことも含めて、少し地方に目を向けて、優秀な人材はたくさんおりますので、是非そういう方々をリクルートするといいますか、しっかりと目を向けていただきたい。

 その点が今回の報告にはいささかなかったのではないかというふうに私は思いましたけれども、その点、是非総裁の見解を伺いたいと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 人事院は、多様で有為な人材を確保するために、各府省と連携しながら、国家公務員の仕事や各府省の業務概要などを幅広く紹介するほか、国家公務員の仕事が国民生活を支え、やりがいや成長実感を感じられる魅力的なものであることを学生にアピールする取組を行っています。

 こうした取組について、対面によるイベントを全国各地で実施するとともに、地方の学生も移動の負担なく参加できるオンラインイベントも積極的に開催しています。また、志望者が都合のよいときに利用できるアーカイブによる視聴も可能としています。

 人事院としましては、このような取組を通じて、公務の魅力が全国各地の志望者の目に触れる機会を積極的に展開してまいりたいと考えております。

 なお、御指摘の住居手当につきましては、地方からの採用者も含め、自ら居住する住宅を借り受け、月額一万六千円を超える家賃を支払っている職員に対して支給することとしております。民間における住宅手当の支給状況なども踏まえて改定も行ってきているところでございます。

稲富委員 どうもありがとうございます。是非しっかりと地方の人材発掘に努めていただければと思います。

 続きまして、特別職の職員の給与に関する法律について河野大臣に伺いたいと思います。

 この法律によって、総理は四十六万円、大臣三十二万円、副大臣三十二万円、政務官二十九万円の賃金アップが実行されます。この物価高の中で、多くの国民が大変困っている中で、なぜ今このタイミングでこの法案を提出をされたのか、大臣の御説明をお願いいたします。

河野国務大臣 特別職給与法につきましては、特別職の国家公務員には、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長や人事院総裁、各種委員会の委員長など様々なものがあり、官職の職務と責任に応じて多様な人材を確保するため、その給与については、従来から、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定をしてきており、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と判断し、今回の改正法案を提出したものでございます。

 昨日、官房長官が総理や政務三役の今回の給与増額分を国庫返納することを発言されたことも受けて、法案担当大臣である私としても、法案の早期成立に尽力してまいります。

稲富委員 しかし、政治家が任命されている部分については、これは法律上、切り分けることは十分に可能なわけでございます。

 今回の賃上げについては、今年の四月から遡及してこれを行うわけでございます。一方で、今回の経済対策に盛り込まれると思われる国民への減税というのは来年の六月ですよね。こっちは四月から給与を上げます、しかし、国民への減税は来年の六月ですと。これはやはり、大臣、まずいんじゃないかというふうに思われませんでしたか。

河野国務大臣 官職の給与はその職務と責任に応じて定まるものであり、内閣総理大臣や国務大臣などのみを据え置くことは、ほかの官職とのバランスを欠くこととなり、公務員全体の給与の体系を崩すことにもなりかねないので、今回の改正法案を提出いたしました。

稲富委員 据え置くことはバランスを欠くと言いながら、でも返納するということです。

 私、これは立ち止まって考える場面が幾つかあったと思うんですね。その一つは、我々は、一般職の国家公務員の給与引上げは賛成です。賃上げを公務にも広げていかなきゃいけないという、その御趣旨は我々も同意するものです。しかし、総理始め政治家が就いている、任命された部分については賛成できません。本来であれば、岸田内閣の第二次改造内閣が発足をして、政務官が辞め、そして副大臣が辞めました。そのたびごとに、重く受け止めると内閣が言っているわけです。だから、そこで立ち止まって考えるべきだったというふうに思いますが、大臣、どう思われますか。

河野国務大臣 先ほどから繰り返しで恐縮でございますが、官職の給与はその職務と責任に応じて定まるものでございます。

稲富委員 返納するというふうに表明をされました。しかし、それも簡単なものでは私はないと思います。

 そこで、ちょっと参考人に伺いたいんですが、第二次改造内閣が九月に発足してから、副大臣、政務官が辞められました。これは四月から遡及しますけれども、その政務三役で辞めた方の給与、これはどうなるのでしょうか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 現在国会に提出させていただいております特別職給与法の改正案が成立した場合、月例給につきましては、令和五年四月一日に遡って改定されますので、令和五年四月一日以降に在職していた場合、差額分は追給、追加して支給されることになります。

 ただ、ボーナスにつきましては、例えば基準日前、十二月一日の一か月前ですので、十一月一日より前に退職した場合には支給されないということになります。

稲富委員 つまり、辞めた方々にも、月例給については追加支給されるわけです。

 国庫返納するということでございますが、これは法的に大丈夫なんですか。

窪田政府参考人 従来の、これまでの取扱いについて申し上げますが、政務三役が在職時に政務三役として支給された給与を返納することが明確に決定されている場合においては、実際の現金提供等の行為が総理大臣等の退職後であっても自主返納できるものと解されるという立場を私どもとしては取っております。

 なお、今回の返納に係る詳細については、今後検討することとされております。

稲富委員 これは恐らく申合せをされるんですよね。申合せをして、返納しますということをするんですけれども、申合せの場に辞めた方はいないんですよね。なので、辞めた後も返納ができるという理屈が通じるのであれば、仮に、これから出てくるかもしれない、大臣や副大臣や政務官が辞めた後に、その在職期間の給与が大臣として不適切だったから返せということも可能になるという話になると思うんですよ。私は、非常に不安定な解釈の中でやっておるんじゃないかと思うんです。

 なので、これは我々、後で同僚議員が言いますけれども、特別職の、今回、政治家から政務三役になっている、あるいは総理については、政治家についてはやはり凍結をするというのが一番分かりやすいやり方であって、そうでなければ、先ほど申し上げたように、非常に不安定な中で、辞められた方も返納をせざるを得ないということになるんじゃないかと思いますが、その点、最後、御答弁お願いします。

窪田政府参考人 現在の取扱いを繰り返し申し上げますが、現在は、支給された給与を返納することが明確に決定されている場合においては自主返納できるものと解しておりまして、なお、今回の返納に係る詳細については、今後検討することとしております。

稲富委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 まず冒頭で、人事院勧告制度における官民給与の在り方について一言申し上げます。

 日本維新の会では、人事院勧告制度における官民給与比較が実態を反映していないのではないか、したがって、抜本的に見直して、公務員給与を適正化すべきであると訴えてまいりました。様々な議論があることはもちろん承知しておりますが、我が国の四百二十一万ある企業のうち九九・七%が中小零細企業であることを踏まえて、官民給与比較について不断の見直しをしていただけますよう、川本総裁に要望いたします。

 次に、霞が関の組織カルチャーに変化を起こし、活性化させていくにはどのような手を打っていくべきなのか、議論をさせていただきたいと思います。

 私は、霞が関は我が国の経済発展と社会の安定に非常に大きな役割を果たしてきたと思っております。もちろん、時代ごとに様々な批判も向けられてきましたけれども、国民生活を支えるためになくてはならない機関であると思います。

 しかし、組織も、それを構成するのは人でありまして、優秀な人材が集って、先ほど稲富委員も指摘しておりましたが、やりがいを持って働いて、組織としてのパフォーマンスにつなげることが国民の利益に資することになります。そのためには、時代の変化にしっかりと合わせて仕組みを整えていく、改革していくことが重要であると思います。

 こうした中で、近年、若者の霞が関離れが顕著になりまして、また、職員のモチベーション低下、組織としての政策形成機能の劣化というものが指摘されるようになっております。これは大変な危機感を感じております。何とか霞が関を活性化して、若い方が夢や希望を持って働ける環境をつくっていくことが今まさに必要とされていると思います。

 一方、民間では多様な働き方が広がって、年功序列の人事が大きく変わってきております。先進的な企業では、ジョブ型の人事制度も採用されてきております。一方で、この変化から一番遠いのは霞が関なのではないかなと考えております。日本型雇用の典型とされる年功序列、減点主義、さらには、民間とのいわゆる流動性がない、人材市場との流動性がない、こちらが閉鎖的な風土を形成している。これが霞が関の特徴でありまして、改革するといっても歩みが遅々としたものであるというのは、皆さんも思っておられるのではないかなと思います。

 こうした中、二〇〇八年六月に国家公務員制度改革基本法が制定されまして、法施行後三年以内を目途として必要な法制上の措置を、法施行後五年以内を目途として必要な措置を講ずるため諸改革事項の検討を進めるとされました。

 そこで、まず、国家公務員制度改革基本法成立後、今日までの公務員制度改革に対する全般的な評価を河野大臣に伺います。あわせて、法に基づく改革案である、信賞必罰の処遇の基盤となる人事制度、官民人材交流の進捗について伺います。

河野国務大臣 まず、公務員をめぐる諸課題というのは日々変わってくるものだと思います。そういう意味で、不断の見直しというのが大事なんだろうと思います。

 基本法が立案されていた頃というのは、公務員の志望者がここまで減る、あるいは公務員の若手が、ここまで離職が進むということは想定をしておりませんでした。そういう中で、やはり今日、霞が関における働き方改革、特に、長時間労働等、勤務の予見性がないということについては、これは大きな課題になってきているというふうに言わざるを得ないかと思います。

 人事評価制度につきましては、平成二十一年度から人事評価制度を導入し、能力及び実績に基づく人事管理の礎と位置づけるとともに、令和三年からは、評価区分を見直し、管理職員のマネジメントに対する評価も充実するなど、順次制度の改善を行ってまいりました。

 また、官民人材交流につきましては、平成二十六年の官民人事交流法の改正により、対象法人を拡大し、手続を簡素化する、さらには、それに加えて、透明性の向上を図るとともに、交流を推進するための取組を継続的に実施しているところでございます。

 こうしたものもしっかりと見直しを続けながら、よりよいものにしてまいりたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 不断の見直しをしていく、一定は改革を進めつつ、これからも不断の見直しをしていくという御答弁だったかと思いますが、まず、私は、能力・実績主義は不徹底なままで、人材交流も、構想されていた改革にはほど遠いのかなと思っております。

 霞が関を活性化して、高いパフォーマンスを上げていくには、優秀な人材に来てもらい、働きがいを持ってもらうことが重要であると思います。そのためには、能力・実力主義を徹底していくべきと考えております。例えば、シンガポールですと、三十代で事務次官として活躍して実績を積んだ後、その後、また別の省庁の事務次官を務めるというようなこともあると聞いています。

 年功人事では、交流を進め、リボルビングドアを実現して、閉鎖的な霞が関に外からの空気を入れ、多様な人材が活躍できる気風を築いていくべきだと考えております。こうしたことを進めていくための基盤となるのが、適切に能力、実績を評価していく人事評価制度の存在であると思います。

 そこで、内閣人事局では、昨年十月から新たな人事評価制度の運用を始めたと聞いておりますが、今回の人事評価制度改正の趣旨を伺います。これまでの五段階評価から六段階評価とした意図は何でしょうか。お答え願います。

河野国務大臣 人事評価、これは任用、給与、人材育成など、人事管理の基礎となるものでございます。職員の能力、実績共に適切に評価をしなければならぬと思っておりますが、これまでは、五段階評価で何かみんなAがつくみたいな、明らかにちょっと違うだろうというようなことでございました。これを、五段階を六段階に細分をするとともに、今まではSとかAとかBとかそういう評価だったものを、優良とか良好とか、もうちょっとこれを日本語に直して、もう少し評価者が適切に評価をできるようにしてみたというところでございます。

 やってみてどういうことになるのか、これもしっかり結果を見た上でやっていかなければならないと思いますが、これまでは、何かみんな同じようなところに上司がつけていたという習慣があるんだと思いますが、そこはやはり、ちゃんと部下を評価をして、いい者は引き上げるし、そうでないところはもうちょっと頑張れという意味でも、きちんとした評価をつけていくということをやっていく必要があるのかなというふうに思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 評価基準がしっかりしておりまして客観的な人事評価が実施されなければ、抜てき人事も不信を生むだけでありまして、外部人材を適正な処遇で迎え入れることもできないと思います。そのために、実際に評価が機能しているのか、職員の皆さんが制度に信頼を置いているのかが重要なポイントになってくると思います。

 これまでの人事評価制度における、五段階評価での各段階それぞれの割合についてお聞かせいただければと思います。参考人、お願いします。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 令和二年に内閣人事局が実施いたしました、平成三十年十月から令和元年九月までの能力評価及び令和元年十月から令和二年三月までの業績評価に係る評語分布調査によりますと、五段階評価の一般職員につきましては、能力評価では、Sが九・一%、Aが五三・二%、Bが三七・二%、Cが〇・四%、Dが〇・〇%。業績評価では、Sが一一・二%、Aが五二・一%、Bが三六・三%、Cが〇・四%、Dが〇・一%でございました。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 平成三十年からの一年間の評価についてお答えをいただきました。

 この数字を見て分かるのは、A、B、つまり真ん中に評価が集中をしているということです。能力評価で九〇・四%、業績評価で八八・四%、この二区分に集中しております。乱暴な言い方をすれば、霞が関では九割の人が普通という評価だということです。もちろん、Sも一〇%程度いるんですけれども、C、Dはほぼゼロです。上位一〇%の人だけが少しだけ給与が上がるというようなことでは、形だけの実績主義となりまして、実質横並びとなるのが必然になってくると思います。

 こうした結果になるのは、つまり絶対評価をしているからであります。私は、評価ごとにしっかり相対評価にして、客観的にシビアな評価を行うことで、真に人事評価制度として機能して、職員の皆さんからも信頼を得るものとすることが重要であると思います。

 また、三百六十度評価、こちらについて霞が関OBの方から聞いたんですけれども、これは機能していないということでした。仲間内でやると誰が評価しているのか分かってしまうから、みんな気を遣って、正当な評価をつけない。なので、評価のパイをしっかりと広げるなど工夫をする必要があると思います。

 今回の人事院勧告を受けて、初任給や若手に重点を置いた措置を取るとのことですが、これで公務員試験の受験者が増えて、若手が生き生きとやりがいを持って働くようになれるとはちょっと思えません。やる気のある若手も、三年もすれば組織の風土に染まっていきます。

 頑張れば、結果を出せば適正に評価をされて、それが大きく給与に反映され、やりがいのあるポストにしっかりつながる、スキルアップを図ることができる、こんな大胆な取組が必要だということを声を大にして訴えさせていただきたいと思います。

 皆さん、先ほど稲富議員からも指摘がありましたが、国家公務員になられるような人材というのは、外資コンサルとか、外資金融とかも内定を取れて、たくさんお給料がもらえる人材だと思うんです。ですから、やりがい、しっかりと評価されて新しいステージに行ける、こんな人事制度を、是非改革を進めていただきたいと思います。

 また、霞が関の活性化につながる抜てき人事、こちらについてお伺いします。

 何をもって抜てきというかなんですけれども、これまでの慣例を超えた人事に取り組んでいるということで、事前に、二階級以上上位の職制への昇任、採用年次にとらわれない早期登用の事例の資料をいただきました。こうした管理職への任用状況を踏まえて、霞が関の抜てき人事の現況に対する河野大臣の評価を伺います。

河野国務大臣 管理職任用状況調査というのを毎年実施をしておりますが、直近の二〇二二年、二段階上位の官職に昇任した例として、幹部職五件、管理職三件でございます。霞が関の人数から見ると極めて少ないと言わざるを得ないのかなというふうに思っております。

 やはり、抜てきとか相対評価というものも活性化には恐らく必要なんだろうと思いますが、その反面、かつてのように霞が関で働きたいという方が大勢いて、いわばより取り見取りという状況ならそうかもしれませんが、現状、なかなか霞が関を志望してくれる優秀な人材がいない、いないとは言いませんが、少なくなってきたという中で、やはり人材を霞が関の中で育ててもいかなければいけないという中で、どういう人事をやっていったらいいのかというのは、これはいろいろなことを考えて、ある面、いろいろなことを試しながらやっていかなければいけないのかなというふうに思っておりますので、こうやったらいいという何か一つの正解があるものでもないんだろう。恐らく、それは省庁によっても違うのかもしれませんし、年次、職責のレベルによってもまた変わってくるのかもしれません。

 どこの辺りで抜てきをするのがいいのか、若手からどんどん抜てきをするのがいいのか。そうすると、若いうちに、まだ大器晩成型の人は、同期がどんどん先に行くのに取り残されてしまう、じゃ、ほかへ転身するかということになっても有為な将来の人材を失うことになりますので、少しいろいろなことを考えながらこれはやっていかなければいけないのかなというふうに思っております。

阿部(司)委員 私は、センターピンはやはり年功序列を壊すということにあると思うんですね。そこで抜てき人事は非常に象徴的なものになってくると思います。

 もう一問あったんですけれども、時間が来ましたのでこれで終わります。また御議論させていただければと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、人事院総裁の方に、主にフレックスタイム制、今回の人事院勧告の内容のポイントの一つでもありますが、フレックスタイム制度について少しお伺いをしていきたいと思います。

 フレックスタイム制については、従来、育児介護等職員に認められてきた措置の一般職員への拡大ということで、例えば、単身赴任者の帰省であったり、遠隔地に居住する御両親の元に行かれたりとか、あるいは通院、通学、そして地域活動に充てるために、ゼロ割振り日というものを設けられるようにする、こういった制度の趣旨かと理解をしております。

 ただ、今回のゼロ割振り日を使えるようにしますという新たな要素よりも、むしろ、これまでの、従来のフレックスタイム制の運用について少し伺いたいと思うんですが、これまでは、先ほど申し上げたように、育児、介護等を行っている職員の方々が中心になって、こういったフレックスタイム、ゼロ割振り日も含めて、フレックスタイム制度を活用してきたということなんですけれども、ただ、制約があって、勤務時間の総量を維持するという要件があるということなんですね。

 フレックスタイム制度というのは、家庭の状況であったり、それぞれの職員の皆様のワーク・ライフ・バランスを高めるために、柔軟な働き方、労働時間を設定できるという制度なわけでありますが、総量を維持する要件というのがなぜ必要なのか。民間企業では、総労働時間というものは、ある種の成果を上げれば、それより少なくてもいいよというような柔軟な運用もされている企業が多くあります。

 公務員の皆様の働き方改革もこれから進めていくに当たっては、こうした総量維持という要件、なぜあるのか、まず御説明をいただきたいと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 今般の制度改正において勤務時間の総量を維持することとしているのは、柔軟な働き方を推進するとともに、適切な公務運営の確保、職員の勤務能率や健康、安全の確保という点も重要と考えているためです。

 他方、勤務時間の総量を変える制度については、例えば、短時間勤務制度について、本年三月に提言をいただいた勤務時間等に関する研究会の最終報告においても、選択を可能とする意義は大きいというふうにされています。また、一部の民間企業においても導入されているものと承知しています。

 ただ、行政サービスの提供に支障が生じてはならないこと、公務においては多種多様な職種、職員がある中で、どのような職種がどのような制度になじむのかなど、整理すべき様々な課題があると考えております。

 ですので、人事院としては、このような課題も踏まえつつ、引き続き必要な研究を行ってまいりたいと思っております。

浅野委員 必要な仕事の内容とか、あるいは住民からの対応を、しっかりと体制を確保しなきゃいけないとか、いろいろな要求があるのは分かるんですけれども、フレックスタイム制の運用をいかに柔軟に、職員の皆さんのワーク・ライフ・バランスを高めながら運用していくかというものは非常に重要な課題だと思いますし、このフレックスタイム制度が導入されてからもう随分と時間がたっていて、民間企業では、普通、そういう課題整理というのは一年とか二年でやってしまうわけですね。

 いまだに課題の整理が必要だというのは、正直、じゃ、これまで何をやっていたのかという指摘を受けても仕方がないわけで、これは提言も受けているのであれば、是非、人事院として、次の勧告までに整理をして結論を出していただきたいと思うんですけれども、人事院総裁の今の御所感を伺いたいと思います。是非、急いでいただきたいと思います。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 行政には、国民の利益を守り、活力ある社会を築くため、行政サービスを適時適切に提供するという重大な役割があると考えてございます。そのことを踏まえれば、公務においては、行政サービスの提供に支障が生じないよう、柔軟な働き方の推進と執務体制の確保とのバランスが図られていることが求められているというふうに考えてございます。

 加えまして、公務におきましては、交代制勤務が必要な現場業務を始めとしまして、本府省におきましても様々な業務がございます。どのような職種、職員がそのような制度になじむのかなど、整理すべき課題がまだ多くございますので、それらについて適宜検討を進めて、研究を進めていきたいというふうに考えてございます。

浅野委員 それは先ほども総裁から類似の答弁をいただきましたが、私が言いたいのは、だから、その課題を整理するのにそんなに時間、何年も何年もかからないでしょうという話なんですね。

 職員さんの働き方改革をちゃんと進めてあげないと、先ほど河野大臣もおっしゃっていましたけれども、離職者が増えたりとか、公務員を希望する若者が今、現に減っているわけですね。ですから、これは待ったなしの課題の一つだと捉えていただいて、是非早急に課題を整理して、対応を明確にしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので次に移りますが、このフレックスタイム制の、今回新たに設けられるゼロ割振り日の導入に当たっては、職場の方々から、ある種の懸念が表明されています。

 それはどういう懸念かというと、年休行使を元々しようとしていたのに、フレックスタイムを使って、前後でしっかり残業を、就業時間調整をして、ゼロ割振り日として対応してくれとか、あるいはその逆で、ちゃんと計画的に仕事をこなして、よし、今度の金曜日はゼロ割振り日を設定して三連休にして実家に帰省しようと考えていた人が、年休行使日数が少ないから年休で消化してくれと言われるようなケースが想定されるわけですけれども、やはりここは本人の計画がしっかりと尊重されるようにしてほしいと。

 周囲から、上司だとかから、どちらで消化をするかというところについては、余り、個人の裁量をちゃんと尊重してくれ、そういうような声も出ているわけですが、ここに対して、しっかりと運営面で対処をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 国家公務員のフレックスタイム制は、制度の利用を希望する職員が自ら申告した場合に適用されるものであり、勤務時間を割り振らない日の設定が強制されることはありません。また、当然のことながら、年次休暇の取得が制限されるものでもありません。そのような運営はあってはならないことと考えております。

 人事院としては、引き続き、フレックスタイム制の活用を進めるとともに、年次休暇についても、職員が使用しやすい職場環境の整備に努めてまいります。

浅野委員 当然そういったお考えをお持ちだとは思います。

 ただ、現場の部下と上司のコミュニケーションの中で、年度の後半になってくると、民間企業でも公務員の職場でもそうだと思うんですが、年休行使日数が少ない職員に対しては、年休を取れ取れといろいろな圧力がかかります。いろいろな声かけがかかります。

 そういった中で、フレックスを利用したゼロ割振り日を使えずに、年休で消化するような雰囲気が各職場に生まれるおそれというのは十分に想定されますので、是非ここは運用面をしっかり監督をしていただきたいと重ねて申し上げたいと思います。

 次に、賃金体系の話に移りたいと思います。時間があと二、三分なので、二問行けるか分かりませんが。

 まず、公務員の給与と民間給与を比較するときに、人事院では、全体の平均値同士を比較して幾ら高いとか、そういう情報を提示されていると思うんですが、私、大事なのは、まず、若手あるいは中堅、ベテラン層、それぞれでしっかりと比較をしていく、ライフステージに合った処遇となっているかをチェックしていくという重要性が一点。

 もう一つは、我々国会がちゃんと公務員と民間の賃金比較がしっかりなされているのかどうかというのを確認するためにも、情報公開の面で、職位や等級ごとの較差情報というのをしっかり開示していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 官民の給与比較は全体の給与水準にどの程度の較差があるかを把握するために行っていることから、個別の職位や職務の級別の官民較差は算出しておりません。

 一方、官民比較の基礎となる公務と民間の人員や給与のデータについては、毎年、勧告の参考資料などでお示ししているほか、人事院のホームページなどで、役職段階別、勤務地域別、学歴別、年齢階層別等に集計した詳細なデータを公表しており、これらを基礎資料として給与改定を行っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 こうした情報が、まだまだ、国会も含めて、もう少し広く知られるような対応は是非お願いしたいと思いますが、公表をされているということですので、今後、しっかり我々も見ていきたいというふうに、私も見ていきたいというふうに思います。

 最後の質問になるかと思いますが、二〇二四年度は、人事院において、給与制度のアップデートについての勧告が予定されていると聞いております。今後は、より個人の生産性に見合った成果主義的な賃金体系へと変わっていくことも予想されております。先ほど阿部委員もそういったお話をされておりましたけれども、私もそのような感触を持っておりますが、こうした人事評価制度の今後の在り方について総裁がどのようにお考えになっているかを最後に伺いたいと思います。

 例えば、イギリス、カナダ、オーストラリアなどでは、成果に基づく報酬システム、あるいはパフォーマンスを総合的に評価して処遇に結びつけるような評価制度というのが既にあるというふうにも聞いております。

 是非、人事院の今後の中長期的な在り方について、そんな視点から御答弁をいただければうれしく思います。

星野委員長 川本総裁、時間が過ぎておりますので、簡潔におまとめください。

川本政府特別補佐人 はい。

 公務組織の活力を維持向上させる観点からは、能力、実績に基づく登用や、めり張りのある給与処遇を推進していくことが重要です。

 これまでも、人事院は、人事評価によって職員の能力、実績を的確に把握して、任用や給与に適切に反映できるよう必要な制度を整備してきていますけれども、今後も、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備の一環として、職員の役割、貢献に応じた処遇を実現する観点から、管理職員の果たす役割の重さに鑑み、本府省の課室長級の俸給体系を職責を重視したものに見直すことなどを計画しております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人事院勧告、報告の内容について質問をいたします。

 人事院の人事管理報告の、非常勤職員制度の運用の在り方の検討について、まず伺います。

 「非常勤職員の人材確保も厳しさを増しているとの意見が一部府省から寄せられている。」とあります。人事院にこの点をお聞きしますと、府省との意見交換の場で、一定の知識経験を有する非常勤職員を安定的に確保する必要がある場合が増えているとの意見が寄せられたということであります。例えば、厚生労働省のハローワークの相談業務などという説明がありました。

 川本総裁にお尋ねいたします。

 人事管理報告では、非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討していくとありますけれども、どのような検討を行っていくんでしょうか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 非常勤職員制度については、平成二十二年に期間業務職員制度を導入し、制度の適切な運用がなされるよう、各府省に対して制度の周知徹底や助言を行ってまいりました。この期間業務職員制度の導入から十年以上が経過しており、近年は、御指摘のように、有効求人倍率が上昇し、非常勤職員の人材確保も厳しさを増しています。

 こうした状況を踏まえまして、引き続き行政サービスの提供を支える有為な人材を確保することができるような環境整備が必要との認識に基づき、非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討していくこととしております。

 今後、各府省の実態や関係者の意見も踏まえて、見直しの方向性を考えてまいります。

塩川委員 この期間業務職員をめぐっては、期間業務職員が年度を越えて勤務継続する際に、人事院規則に基づき、連続二回を限度とするよう努めるとされ、更新三回目での公募が求められていますけれども、そのことも含めて見直しを考えるのか、お聞きいたします。

川本政府特別補佐人 委員御指摘の三年雇い止めについては、必要とされる能力が期間業務職員としての勤務実績により実証できると明らかに認められる場合に、連続二回まで例外的に公募を行わずに再採用できる三年公募要件を指しているものと認識しております。

 本年の公務員人事管理に関する報告において、非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討を行っていく旨を表明していますが、御指摘の三年公募要件の在り方についても検討してまいりたいと考えています。

塩川委員 三年雇い止めも含めて検討していくということであります。

 人事院は、一定の知識経験を有する非常勤職員を安定的に確保する必要がある場合が増えていると説明しておりますけれども、ハローワークの相談業務を行っている期間業務職員の方々は、まさにこれに該当すると思います。

 厚生労働省にお尋ねします。

 一般職給与法の改定があったときに、人事院が通知していますように、非常勤職員についても四月に遡及して適用するということになりました。ハローワークの期間業務職員の四月に遡った給与改定の増額分には、当然、一定の予算が必要ですけれども、この予算の確保というのはきちっと行われておりますか。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの非常勤職員につきましては、厚生労働省本省におきまして、各都道府県労働局における執行見込額を把握しまして、必要な予算の配賦額の調整を行っていくこととしております。

 現時点で、省内の予算の範囲内で対応が可能であるというふうに考えております。

塩川委員 四月に遡及して、しっかりとした支給が行われるように、予算措置、対応を求めたいと思います。

 重ねて厚労省にお尋ねしますが、一定の知識経験を有する非常勤職員を安定的に確保する必要があるときに障害になっているのが、先ほども確認をした期間業務職員の三年雇い止めであります。

 ハローワークの期間業務職員は、様々な給付金や制度、職業訓練や、労基法、雇用保険、失業保険などの高い専門知識や、カウンセリングの技術、能力が必要であります。こういったハローワークの期間業務職員の方々が担っておられる仕事というのは、公募制度で、三年で雇い止めにする、そんな仕事ではないと思いますが、厚労省としてお答えください。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの期間業務職員につきましては、委員からお話ございましたように、ハローワークの中で担当の職務を責任を持って担っておりまして、非常に重要な役割を果たしていると考えております。

 ですので、関連の法令、それから人事院の規則や通知などに基づきまして、その中で必要な人材がしっかりと確保できるように、これからも努力をしてまいりたいと考えております。

塩川委員 三年雇い止めで済まされるようなそういう仕事ではない、専門性や経験も必要だ、そういう仕事だとお考えになりませんか。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークの期間業務職員は、非常に様々な法令の知識、それから現場における経験などを積む必要がありますので、そういったところでは専門的な能力の必要がある職員だというふうに考えております。

 ですので、私どもとしましても、職場内での実務経験、そういったものをしっかり積んでいただくとともに、職員の指導それから研修などもしっかりと行いまして、採用や雇用などにつきましては、関連の法令あるいは人事院の規則、通知などに基づきましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 本当に専門的な仕事をされておられる方々、じゃ、三年雇い止めで、はいそれまでという話じゃなくて、本来しっかりとした仕事ができる方々であります。

 川本総裁にお尋ねいたします。

 ハローワークなど労働行政に携わる労働者を組織しております労働組合であります全労働省労働組合の方からの現場の声として、公募制度はやめてくださいという声が寄せられております。

 労働行政の期間業務職員は、緊急的に対応すべき雇用対策や、厚労省の重点課題を担っています。その期間業務職員が年度を越えて勤務継続する際、人事院規則に基づき、連続二回を限度とするよう努めるとされ、更新三回目での公募が厳格に実施されています。公募において、職場で共に働く仲間同士が競わされることによってチームワークが阻害され、当該期間業務職員に強い心理的負荷を強い、メンタル疾患に罹患する者も少なくありません。さらに、面接結果のみで採否を決定し、蓄積された経験や専門性を全く考慮しないという、この公募の弊害は一刻も放置できない問題と批判をしております。

 人事院として、このような期間業務職員の三年雇い止めなど、更新時公募、これは撤廃をすべきではありませんか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁いたしましたように、本年の公務員人事管理に関する報告において、非常勤職員制度の適切な運用の在り方等について検討を行っていく旨を表明しておりまして、御指摘の三年公募要件の在り方についても検討してまいります。

塩川委員 三年雇い止めを五年に延ばすとか、そういうこそくで小手先のやり方では解決しないということを申し上げておきます。

 雇用の断絶は、その職員の方にすれば生活の断絶を意味いたします。他の省庁と違うところは、就労相談に来られた方がライバルとなるような、そういうことに置かれているのがハローワークの業務に従事する期間業務職員の方の実態であります。本当にメンタルを壊しながら仕事をしている方もいらっしゃる。雇用の安定が一番の要望だ、そのことを強く求めている声にこそ応えるべきであります。

 川本総裁、先ほど、関係者の意見を聞くということをおっしゃっておられました。是非、ハローワークなど現場の非常勤職員の声を聞いていただけませんか。

川本政府特別補佐人 適宜対応してまいりたいと思います。

塩川委員 しっかり声を受け止めていただきたいと思います。

 本来、一定の知識経験を有する非常勤職員を安定的に確保するのであれば、これは非常勤職員ではなくて常勤職員ということであります。

 厚労省と、それから川本総裁にお尋ねします。

 こういった非常勤職員について、ハローワークの期間業務職員の方などを念頭に、本来こういった仕事は非常勤職員じゃなくて常勤職員として処遇すべきではないのか。その点についてお答えください。

幸政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院規則におきまして、期間業務職員は、相当の期間任用される職員を就けるべき官職以外の官職である非常勤官職であって、一会計年度に限って臨時的に置かれるものとして定義されてございます。

 臨時的な官職の性格というのは変わりませんので、常勤的な官職に就ける場合には、国家公務員法に基づいて、採用試験又は選考により、常勤の官職、常勤の国家公務員としての能力の実証を行う必要があるということの原則はあるかと思っているところでございます。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 ハローワークにおきましては、従来から、我が国の雇用失業情勢や行政ニーズの変化に的確に対応できるようにということで、常勤職員と非常勤職員の適切な役割分担の下で、必要な業務を遂行できる体制づくりをしてきているところでございます。

 非常勤職員につきましては、先ほどお尋ねもございましたけれども、私どもといたしましては、しっかりと能力を高めていただき、非常勤職員として行っていただける仕事、これを担っていただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 現場では本当に人が足りないという状況、常勤の仕事を非常勤がやっている、そういったときに問題となっているのが定員合理化計画ですよ。定員合理化計画の下で、必要なところに必要な人材が充てられない。こういう定員合理化計画、これをきっぱりと見直す、やめる。大臣、是非お答えください。

星野委員長 河野大臣、時間が過ぎておりますので、端的にお願いします。

河野国務大臣 はい。

 必要なところに必要な人材を充ててまいります。

塩川委員 終わります。

     ――――◇―――――

星野委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣人事局人事政策統括官窪田修君外五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党の西田昭二でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 早速ではございますけれども、限られた時間でありますので、質疑に入らさせていただきたいと思います。

 まずは、河野大臣におかれましては、霞が関の働き方改革についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 河野大臣が力を入れて取り組まれております霞が関の働き方改革を進めていくためにも、質疑者の協力の下、早期の質疑通告は重要でありますが、本日の委員会の通告状況はどのような状況になっているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 霞が関の働き方改革の中で、国会に関する業務というのも非常に重要な要素でございますので、立法府の御理解、御協力をいただきながら、ここも進めてまいりたいというふうに思っております。

 本日の委員会の質問通告でございますが、八名質問者のうち、自民、公明、立憲、維新、国民、有志、れいわの委員の方からは、前々日までに御通告をいただいたところでございます。残りの方は、昨日の定時までに通告をいただきました。

 引き続き、通告の早期化に御協力を賜りたいと思っております。

西田委員 本当にこれは両議院全てにおいて協力の下で進めていかなければならないことだと思っておりますし、伺いますと、前日の夜の十時にファクスで通告したとかという話も以前はありましたけれども、本当に議員各位の皆さん方の協力の下、しっかりと進められていることを感謝申し上げるところでございます。

 次に、この度の特別職の給与法の改正についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、報道等でも連日取り上げており、様々な厳しい意見も出ていることは私も承知をしているところでございます。また、国会においても反対の声が出ております。このような状況の中で、総理や閣僚の給与の引上げを内容とする特別職給与法改正法案の意義について、大臣の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 特別職給与法につきましては、特別職の国家公務員の中に、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長、人事院総裁あるいは政府の各種委員会の委員長など様々な役職があり、官職の職務と責任に応じて多様な人材を確保するため、その給与につきましては、従来から、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定してきており、また、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と判断し、今回の改正法案を提出したものでございます。

 官職の給与はその職務と責任に応じて定まるものであり、内閣総理大臣や国務大臣等のみを据え置くことは、他の官職とのバランスを欠くこととなり、公務員全体の給与の体系を崩すことにもなりかねません。

 また、既に、内閣総理大臣は三割、国務大臣及び副大臣は二割、大臣政務官は一割を国庫に返納してきているところでございますが、これに加えて、昨日、官房長官が総理や政務三役の今回の給与増額分を国庫返納することを発言されたことも受けて、法案担当大臣である私としても、法案の早期成立に尽力をしてまいりたいと思います。

西田委員 ありがとうございます。

 法案を進めていく、また、成立するためにもしっかりとそういった説明をお願いしたいと思います。

 次に、一般職の給与法の改正についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 人事院が行った職種別民間給与実態調査の結果を踏まえ、月例給及び特別給の引上げ、在宅勤務等手当の新設、フレックスタイム制の更なる柔軟化を行うため、一般職の職員の給与に関する法律等を改正することの勧告を国会及び内閣は受けましたが、今回の法改正によるフレックスタイム制の更なる柔軟化とは、具体的にどのように改正するのか、また、どのように活用されていくのか、期待をしているのか、政府の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、育児介護等職員のフレックスタイム制で認められております措置を一般の職員に拡大し、勤務時間の総量を維持した上で、勤務時間を割り振らない日を設定できるよう、フレックスタイム制を更に柔軟化するものでございます。平日に勤務時間を割り振らない日を設けることで、単身赴任者の帰省や、遠隔地に居住する親の訪問、通院、あるいは主体的な学びのための大学院通学等に活用されることを期待しているところでございます。

西田委員 ありがとうございます。

 政府は、この度、法改正において、勤務時間法の適用を受ける国家公務員の勤務時間については、人事院勧告どおり、令和七年度から、フレックスタイム制の活用により、勤務時間の総量を維持した上で、週一日を限度に勤務時間を、割り振りながら、日を設ける措置の対象となる職員の範囲を拡大することということになっておりますが、具体的にはどのような範囲に拡大し、また、そのことによりどのような効果が出るのか、政府の見解を伺いたいと思います。

窪田政府参考人 本法案は、現在、育児介護等職員のフレックスタイム制で認められている措置を一般の職員にも拡大するものでございます。

 これによる柔軟な働き方の推進は、職員一人一人の能力発揮やワーク・ライフ・バランスの実現、公務環境の魅力向上につながるほか、公務能力の向上にも資するものと考えております。

西田委員 ありがとうございます。

 昨今、人材獲得競争や、就職先として多くの選択肢があること、そして、国家公務員という職種に対する魅力の低下などの様々な事情はありますが、若者の国家公務員の志望者数が減少している傾向にあります。危機的状況にあるということでもありますが、このような状況下においても、国家公務員として熱意を持って働いてくれる人材の確保は非常に重要でございます。

 今後も、引き続き優秀な人材を確保していくためにも、採用試験の見直し等に力を入れていくべき必要があるのではないかと考えておりますが、人事院としてどのように取り組んでいくのか、人事院としての見解を伺いたいと思います。

川本政府特別補佐人 公務における人材確保の厳しい状況や、行政課題の複雑高度化の状況を踏まえれば、採用試験を通じた新規学卒者の確保は喫緊の課題です。

 人事院におきましては、採用試験においては、昨年度から総合職の春試験の実施時期の前倒しなど、採用試験の改革に取り組んできています。また、受験しやすい試験実施方法の実現という観点から、オンライン方式を活用した採用試験について実施することを検討したりをしております。

 人材確保のためには、採用試験、人材育成、給与などについて一体的に取り組む必要があります。給与面においては、新卒採用と民間人材等の採用の双方を念頭に、採用時の給与水準を改善するとともに、その後の役割や活躍に応じた給与上昇を大きくするなど、競争力を高めるために必要な措置を令和六年度までに講じていきます。

 さらに、公務員人事管理の在り方について聖域を設けることなく骨太かつ課題横断的な議論を行うために、各界の有識者による人事行政諮問会議を立ち上げ、来年の春頃に中間報告をいただき、同年中をめどに最終答申をいただく予定にしております。

西田委員 国家公務員、本当に優秀な人材を集めるためには、様々な方針、方策が大変必要だと思っております。

 昨今、人手不足、様々な状況下の中で、やはり、国としても本当にしっかりと、そういう優秀な人材を集めていくためにも取り組んでいただきたいと思っております。

 また、国家公務員の志望者が減少していることに重ねて、離職者の増加についても非常に大きな問題であります。このような状況下にあって、国力を維持し、高い水準の行政サービスを維持するためには、人材の確保は非常に重要であり、国家的な課題でもあります。

 優秀な人材が霞が関に定着し、今後、可能な限り離職者を減らし、公務員の方々に熱意ややりがいを持って活躍していただくためには、国家公務員の働き方改革による環境整備が何よりも重要だと考えております。

 そのためには、今後、どのように取り組み、対策を講じていくのか、大臣の見解をお伺いをさせていただきます。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 やはり、やりがいを持って仕事に当たるというのが大事だと思いますので、古いしきたりを続けているような、無駄な作業はばさっと切るとか、あるいはデジタル化していくというようなことをやらなければならないと思います。惰性で続けているもの、本当にこれはやらなきゃいけないのかという見直しは、各省各部署でしっかりやってもらいたいと思っております。

 また、働き方改革の中で、長時間労働の是正とともに、勤務の予見性というのは非常に大事だと思っておりますので、国会対応業務を含め、立法府の御理解をいただきながら、働き方、改善をしていきたいというふうに思っております。

 そのほか、テレワーク、フレックスタイムをしっかり、導入するだけでなく、使えるようにしていかなければならないと思っておりますし、また、中途採用をしっかりと拡大をしていく、あるいは、霞が関の情報をしっかり発信していくというようなこともやっていかなければならないというふうに思っております。

西田委員 ありがとうございます。

 私どもも、本当に、霞が関を夜、散歩程度、回るときにも、電気がこうこうとついている、遅くまで仕事をしているんだなという感謝の思いが込み上げるわけでございますけれども。

 今大臣が言われたとおり、様々な取組を通じて、少しでも離職者を減らしていく、相当数の人数が出ているということも伺いますので。本当に、その方々は大変優秀な人材であります。そういったことを、経験、年次を積み重ねていただきながら、国のため、国民のために働いていただくことを期待をするところでございます。

 私自身の質問は、以上でございます。

 これからも、河野大臣におかれましては、霞が関の働き方改革をしっかりと進めていただき、離職が少なくなるよう、そしてまた国家公務員を希望する方々が少しでも増えるように期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

星野委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 今日は、初めて内閣委員会で質問をさせていただく機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 国家公務員の志望者の減少が続いております。西田委員の質問にも関連しますけれども、キャリア官僚の総合職受験者は十年間で三割減、また離職者も増加しております。一九年度に自己都合で退職した二十代のキャリア官僚は八十六人と、六年前の四倍に上っております。

 今年八月、川本人事院総裁の談話の中でも、社会経済情勢や国際情勢が激変する中、行政に求められる役割が一層大きくなる中、高い志を持つ優秀で多様な人材確保が国家的課題であるとしながら、公務における人材確保は、今、危機的な状況にありますとの現状認識が示されており、採用時の給与水準の改善やブラックな働き方のイメージの払拭、職員の多様なワークスタイル、ライフスタイルの実現、ウェルビーイングの土台を確かなものにし、公務組織の魅力向上を図っていく等々、人事行政を総動員し、最大のシナジーをつくり出していくとの決意が述べられております。

 そこで、総裁に質問いたします。

 まず、公務に取り組みたい、この優秀な人材、国家公務員になりたいという方たちを増やしていく、採用試験の志望者を増やすためにどのような取組、改革を進めていかれるのか、御答弁を願います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 公務組織を支える多様で有為な人材を確保するためには、採用試験、人材育成、給与等の在り方について一体的な取組を推進していく必要があります。

 採用試験においては、昨年度から採用試験の改革に取り組んできています。例えば、総合職の春試験の実施時期の前倒し、人文系の専攻者が受験しやすい試験の実現、合格有効期間の延伸、総合職教養区分の受験可能年齢の引下げや受験地拡大などを講じています。今後、社会全体としてデジタルの活用が進んでいる中で、オンライン方式などの採用試験についても検討していくこととしております。

 給与面においては、新卒採用と民間人材等の採用の双方を念頭に、採用時の給与水準を改善するとともに、その後の役割や活躍に応じた給与上昇を大きくするなど、競争力を高めるために必要な措置を令和六年度までに講じてまいります。

吉田(久)委員 続いて、初任給の引上げに伴う官民較差の是正について、また、中堅幹部の実績や能力に応じた給与体制の見直しについてお伺いいたします。

 今回の一般職の給与法提出の背景は、国家公務員と民間との給与水準を均衡させるべく人事院の勧告にのっとって行われるもので、民間の大幅な賃上げを反映して、初任給を始め若年層に重点を置き、月例給は過去五年の平均と比べて約十倍のベースアップであり、三十三年ぶりの大幅増額になることになります。今、物価高に負けない賃上げを進めていく上で、官も併せて給与引上げを行っていくことは極めて重要であり、妥当なものであると思います。

 大卒の総合職の初任給は十八万九千七百円ということで、大企業に比べて見劣りをしており、そもそも、初任給も含めて大手企業に比べて官僚の給料は高いとは言えず、課長になれば、管理職手当がついても残業や休日出勤の手当が廃止され、手取りは微増であり、責任が重くなるタイミング、つまり、役職に就いたとしても実績や能力に見合った給料がもらえる見込みがつかないという、将来設計に迷うタイミングで民間企業は有能な人材を官から引き抜こうとしているとの見方があります。せっかく経験や知見を積んだ若手や中堅幹部が引き抜かれることは、国にとって大きな損失です。

 まず、我が国では、年功制で、諸外国に比べて若年層の給与所得が少なく、この改善は官民共にそもそも必要だと考えております。我が国の深刻な少子化対策の上でも若者の給料を上げることは極めて重要で、若者世代、子育て世代のウェルビーイングの向上、将来の安定した所得の見通しが立つことが欠かせません。

 その上で、質問いたします。

 この給与法に伴う初任給の引上げで官民較差はどの程度是正されるのか。また、若手、中堅の給与の伸びが二十代から三十代にかけて鈍る傾向があり、この点についての是正が離職者を減らす上で必要であると考えますが、この点にどう対応されるのか、御答弁を願います。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 本年の給与勧告では、民間企業におきます初任給の動向や、公務において人材確保が喫緊の課題であることなどを踏まえ、高卒初任給を約八%、大卒初任給を約六%引き上げるなど、初任給や若手層に重点を置いた俸給表改定を行っております。

 行政職俸給表(一)と民間の事務・技術関係職種の初任給を全国平均で比較しますと、勧告前は、大卒初任給で八千円程度、高卒初任給で九千円程度それぞれ民間が上回っておりましたが、勧告に基づく法改正後は、大卒初任給及び高卒初任給共に四千円程度公務が上回る水準となります。

 また、近年、初任給や若年層に重点を置いて給与の引上げに取り組んできていますけれども、御指摘のとおり、二十歳代後半から三十歳代にかけまして給与の伸びが鈍る傾向がございます。このため、採用時の給与水準を改善するだけでなく、採用後の役割や活躍に応じた給与の上昇を大きくし、給与面での競争力を高めることを考えています。

 具体的には、係長級から本府省課長補佐級の俸給の最低水準を引き上げることや最優秀者のボーナスの上限を引き上げることについて来年の勧告に盛り込めるよう、引き続き関係者と意見交換を行いながら検討を進めてまいります。

吉田(久)委員 貴重な人材の確保の上でも、是非大きな改革となるようお願いいたします。

 次に、非常勤職員の給与について質問いたします。

 行政改革の結果、公務員の非正規雇用化が進んできました。多くの女性から、当事者として、不安定で不当な待遇に悩んでいるお声をいただいております。

 国家公務員数は現在三十万人まで減少しており、今も定員削減計画の最中にあると聞いておりますけれども、一人にかかる業務負担は限界に来ており、公務員のブラック化にもつながっていると思われます。

 そもそも、国家公務員数は人口比で欧米各国よりも少なく、適正な人数となっているのか見直す時期に来ているのではないか、国民にとって必要な公的な業務であるにもかかわらず不安定な雇用になっている、この非常勤職員の待遇についても今後改善を進めるべきで、官僚の常勤採用増も検討すべきとの声もあります。これは、男女の所得格差是正にも寄与するものと考えます。

 今法案によれば、常勤職員の俸給は四月に遡及して改定されることになりますが、非常勤職員の基本となる給与についても同様に四月に遡及して改定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 国の非常勤職員の給与につきましては、一般職給与法の規定により、各府省におきまして、常勤職員の給与との権衡を考慮して、予算の範囲内で支給することとされております。具体的には、人事院が定めた指針に基づき、各府省において運用しております。

 非常勤職員の基本給の改定時期につきましては、本年四月に今申し上げました人事院の指針が改正され、これを踏まえた各府省等の申合せで、職務内容等が常勤職員に類似する非常勤職員については、常勤職員の給与改定に準じて改定することを基本とすることとしております。

 今般の一般職給与法の改正案が成立した場合には、指針や申合せに沿って、各府省において非常勤職員の基本給について、四月からの給与改定に取り組んでいくものと考えております。

吉田(久)委員 最後に、地域手当の見直しについてお伺いいたします。

 現在、級地区分は市町村単位で設定をされているわけですが、人事院は広域化するなど大きなくくりにする方法に見直すとしております。地域手当に直結する見直しについては、影響は少なくありません。もし、広域化することで地域手当の割合を低い方に合わせて低下させるようなことになれば、該当する方にとって、手取りが減り、収入減になり、家計にとって痛手となりかねません。

 先日も、大都市に隣接する町村の保育園園長さんのお話を伺いました。隣の級地区分の高い大都市に園の人手が取られてしまい、地元に住んでいるにもかかわらず、保育士さんの人材確保さえも難しいと嘆かれておりました。そもそも、地方創生といいながら、地方に行くと手取りが減る仕組みは是正が必要だと思います。東京一極集中を是正する意味でも、むしろ地方で頑張ったら給料が上がる、得する仕組みへの転換も必要なのではと考えます。

 地域手当の見直しについて、どのような狙いで、どのような点に留意して進めていかれるのかをお伺いいたしたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地域手当は、地域の民間賃金水準を国家公務員給与へ適切に反映させるため、民間賃金水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整する手当として設けられているもので、現行制度におきましては、行政区域の最小単位でございます市町村ごとに支給地域及び支給割合をきめ細かく定めているところでございます。

 一方、御指摘のとおり、市町村単位で細かく支給割合に水準差が生じていることにつきましては、隣接する市町村との関係で不均衡が生じているなどの御意見があることも承知しております。

 こうしたことから、令和六年に予定しております地域手当の見直しにおきましては、最新の民間賃金の反映と併せ、現在市町村を単位としている級地区分の設定につきまして広域化するなど大くくりな調整方法に見直すことにより、国家公務員の地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和ですとか、給与事務負担の軽減などを図りたいと考えているところでございます。

 地域手当に関しまして、各方面から様々な御意見があることは承知しておりますけれども、見直しに当たりましては、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与へと適切に反映させるという手当の趣旨を踏まえつつ、今後、具体的な検討を行っていきたいと考えております。

吉田(久)委員 是非、大きなビジョンに立っての改革を進めていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党・無所属の本庄知史です。本日もよろしくお願いをいたします。

 時間の制約もありまして、ちょっと質疑の順番を変えて、まず、神田財務副大臣の問題から入りたいというふうに思います。

 今回の給与法改正に伴う予算額は千七百二十億円とのことですが、これは財務省で担当しているのが神田副大臣だというふうに承知をしております。

 ところが、財務副大臣、しかも税理士でありながら、税金の滞納、差押えを長年繰り返してきたということが明らかになりました。給与法を審査する上でも、副大臣の資質、問われなければいけないというふうに思います。

 昨日の参議院での質疑では、精査するということを連発をされて、まともな答弁はほとんどありませんでした。今日は通告もいたしておりますので、その精査の結果をお示しいただきたいと思います。

 まず、明らかになっている過去四回の税金の滞納、そして差押え、この税目、滞納額、御説明をいただきたいと思います。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 まず、私のこの滞納の問題については、国民の皆様におわびを申し上げたいと存じます。

 その上で、委員の御質問でございますが、税目ということですが、昨日の参議院財政金融委員会などにおいて、合計四回の差押えにつきまして、いずれも固定資産税の滞納によるものとお答えしたところでありますが、現在、滞納額なども含めた事実関係については精査しているところでありまして、できる限り速やかにお示しをできるよう作業を進めているところでございます。

本庄委員 そんなに時間のかかる精査ではないというふうに思います。

 少なくとも、四回目の差押え、これは参加差押えです。つまりは、既に差押えを受けているものを、また別の税目が滞納されて差し押さえている。ここは少なくとも固定資産ではないというふうに思いますが、いかがですか。これは、国会での答弁、虚偽になってしまいますよ。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 その参加差押え、この点についても、決して虚偽の答弁ということではなくて、私自身もきちんと精査しないと不明な点がございますので、分かり次第速やかに報告をさせていただきます。

本庄委員 これは、去年の差押えで、今年の一月四日解除です。そんなに時間はかからないでしょう、昔の話ならともかく。本気で精査をされているとは思えません。至急確認の上、委員会に報告をしてください。

 委員長、よろしくお願いします。理事会でお取り計らいください。

星野委員長 はい。

本庄委員 それから、明らかになっている過去四回の滞納、督促、差押え、これ以外に、差押えには至らないものの滞納や督促があった、こういう事実はありますか。

神田副大臣 今現在、その点においても、委員質問の点についても、私の方で精査を進めておるところです。その結果は、判明した事実につきまして適切に報告を申し上げたいと考えております。

本庄委員 これは四回でもかなりの回数だと思いますが、これ以外にも新たに出てくるということであれば、これはおよそ副大臣、財務副大臣の任にないというふうに思いますが、それだけのお覚悟はありますか、副大臣。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 この点につきましては、私が判断することにおいては控えたいと考えております。

本庄委員 神田さん御自身の認識を伺ったんですが。

 ところで、今年分はきちっと納税されたんでしょうか。さすがに御記憶されていると思いますが、いかがでしょう。

神田副大臣 本年分ですが、本年分については、事務所スタッフに任せております。

 現在のところ、そのような税金の未納はないと考えております。

本庄委員 考えておりますではなくて。

 私、通告もして、確認をお願いいたしましたが、もう一回答弁してください。そんな答弁でいいんですか。

神田副大臣 この納税につきましては、本年分は、確認をいたしましたところ、ございません。

本庄委員 そうであれば最初からそのように答弁してください。時間がもったいないと思いますよ。

 ところで、過去四回差押えを受けた物件、これは報道によれば、神田副大臣が二〇一二年に六千八百万円で購入をしたと。これは事実ですか。そして、そのローンを今も払い続けているというふうに聞いておりますが、どなたが幾らお支払いになっているんでしょうか。

神田副大臣 先生がおっしゃられたこの御指摘の物件ですが、金融機関からのローンにより購入をしたものでございます。

 その上でですが、物件の購入価格、それからローンの支払い者及び支払い額につきましては、会社として一般的に公表している情報ではなくて、私以外の第三者も関わり得るために、どこまでお答えをできるのかという点も含めて精査をしておるところでございまして、今の時点でお答えすることにつきましては御容赦いただければと考えております。

本庄委員 今現在もローンの支払いが続いているということはお認めいただけますか。

神田副大臣 そのとおりでございます。

本庄委員 それでは、関係者と御意向を確認の上、本委員会に御説明、御報告をお願いします。

 委員長、理事会でお取り計らいください。よろしくお願いします。

星野委員長 今答弁していますから。(発言する者あり)

 一旦速記を止めてください。

    〔速記中止〕

星野委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行いたします。

 報告を、理事会に報告をしていただくということで決定をさせていただきました。

本庄委員 御決定ありがとうございます。

 さて、この物件の所有者でもある会社、神田副大臣が代表取締役、有限会社エヌケイソリューション、この会社の現在の業務内容や年間の売上げ等、実態はどのようになっていますか。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 私が代表取締役となっております会社が保有する土地建物について、まず、税金の滞納により市税事務所から差押えを受けたことがあるのは事実でありますし、深く反省しております。

 その上で、有限会社エヌケイソリューションの主な業務内容は、不動産の管理でございます。

 御指摘いただきました年間の売上高等につきましては、会社として一般に公開している情報ではなく、どこまでお答えできるかも含めて精査をしているため、今の時点ではお答えすることは御容赦いただければと考えております。

本庄委員 不動産管理を営んでいる会社の入っているビルが差押えを受けたと。冗談にもならないような話だと思いますが。いずれにしても、御答弁ありませんでした。

 委員長、この件も含めて、確認の上、理事会に報告をしていただきたいと思いますので、御協議をお願いします。

星野委員長 理事会で後刻協議をいたします。

 なお、先ほど理事会で決定と申しましたが、協議の誤りでありましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

本庄委員 私、昨日からの答弁を聞いていて、どうしても理解できないんですね。国会議員としての仕事が忙しい、それで手続を怠ってしまった、あるいはスタッフに任せていた。本当にそれだけで、四回も滞納や、しかも差押えまで至るということになるんでしょうか。

 この有限会社エヌケイソリューション、ほぼ実態はないと思うんですね、会社として。利益も上げていないんじゃないですか。そういう会社がローンを払わなきゃいけない、税もかかってくる。かなり金策がしんどいんじゃないかと思います。

 副大臣、単刀直入に伺いますけれども、滞納や差押えを四度も繰り返した理由、金欠で税金が払えなかったんじゃないんですか、多忙ではなくて。いかがですか。

神田副大臣 委員御指摘の点についてですが、不動産管理会社という、エヌケイソリューション、これについては、業務はきちんと行われております。

 その上で、今の御質問に対しては、金欠かという点については、そのようなことはございませんし、きちんと営業を営んでおります。

本庄委員 であれば、滞納も差押えもないと思うんですね。

 この有限会社の売上げや利益ではとても払えないからこういうことになっている。なのでポケットマネー。昨日そういう答弁もあったじゃないですか、自ら払っていると。

 私、何でこんなことを聞いているかというと、この四回の差押えが解除をされた時期なんですね。二〇一三年十二月、二〇一四年六月、そして今年一月。十二月、六月、一月、これは全て国会議員の夏と冬のボーナスの時期と重なっているんですね。これは偶然にしては余りにもどんぴしゃだと思うんですが、国会議員のボーナスから捻出して支払われたんじゃないですか。いかがですか、副大臣。

神田副大臣 その点についても、ただいま、どういう資金経緯があったかという点についても精査をしているところでございます。

 この点についても、きちんと、分かった時点で御報告を申し上げたいと存じます。

本庄委員 昨日、文書で通告し、そして参議院の委員会でも聞かれた内容ですね。しっかり準備して臨んでいただきたいと思いますが、こんなことでいいんですか、内閣委員会。しかも、副大臣、これは千七百二十億円の予算のかかっている給与法の審議ですよ。一問も今日答えていないんじゃないですか。しっかりしてもらいたいんですが、いかがですか、副大臣。

神田副大臣 お答え申し上げます。

 現在、報道がなされてから精査を始めました。その結果、まだ精査を続けておるところでございまして、その事実関係が分かり次第、御報告を申し上げたいと考えております。

本庄委員 神田副大臣も含めて政務三役の給料が上がる。そして、国会議員としてのボーナスの給料も上がります、十八万円。金策に困っていらっしゃるのならこれはプラスかもしれないけれども、余りにも不誠実な御答弁だと私は思います。

 至急事実関係を精査いただいて、来週には間に合いますよね、しっかり出していただきたいと思いますが、いかがですか。

神田副大臣 報道は今週でありました。今時点で確たる見通しを申し上げることについては困難ですが、委員の皆様の御指摘については真摯に受け止めておりまして、できる限り速やかにお示しできるよう、作業を進めているところでございます。

本庄委員 確認しますが、その報告の前に副大臣を辞任するということはありませんね。少なくとも、自ら辞表を出すということはありませんね。いかがですか。

神田副大臣 私の立場についての言及については、控えさせていただきたいと存じます。

本庄委員 しっかり説明責任を国会に対して果たしていただいた上で、けじめをつけて辞任していただければと思います。

 副大臣に対しての質疑は以上です。ありがとうございました。ここで結構です、副大臣は。

 さて、河野大臣、済みません、お待たせしました。本題の給与法。

 私、よくこんな恥ずかしい法案が国会に出てきたなと驚いております。物価高、賃上げが追いつかない、国民生活苦しい、だからこそ、今、政府・与党も、経済対策、減税が必要だというふうにおっしゃっているわけですね。そういう中で、真っ先に総理大臣や国務大臣の給料がアップする、こんな法案、何で国会に出てきたのか、私は正直理解できません。

 全体を否定はしていません。一般職の給料アップもいいと思います。政治家以外の給料のアップも、特別職、いいと思います。しかし、総理や大臣が入っている、それを平気に国会に出してきたということに驚きを禁じ得ません。

 持ち回りの閣議ということで、私、閣内でほとんど議論がなかったんだろうなと思いますが、不思議なのは、これは事前審査を与党はやっていますよね、自民党さんも公明党さんも。与党の事前審査の中で、この大臣、総理の給料アップ、異論、異議、出なかったんですか。大臣、いかがですか。

河野国務大臣 与党のことについてお答えする立場にございません。

本庄委員 与党のことではなくて、政府が提案をしている法案について、与党の中でどういう議論が出たのかということを伺っております。いかがですか。

河野国務大臣 与党の審議について、私の方からお答えする立場にございません。

本庄委員 私の聞くところ、特段の異議もなく了承された、自民党、公明党の党内プロセスにおいて、というふうに聞いておりますが、これ、もう政府だけの問題ではなくて、政権全体が感覚が麻痺しちゃっているんじゃないですか。国民生活、経済の現状、そして国民の感情、私は、いよいよ末期症状じゃないのかなというふうに思います。

 昨日、官房長官が慌てて返納を言い出しました。国民の怒りが収まらないということだったんでしょうが、実は、これまでの国会答弁やあるいは記者会見で、岸田総理や官房長官は見直しに極めて否定的な答弁を続けてきた。そして、返納ということについては一言も言及がありませんでした。それが突然、昨日公表ということになったんですが、それだったら最初から返納とセットで国民に理解を求めればよかったんじゃないですか。いかがですか、河野大臣。

河野国務大臣 昨日の午後、官房長官から返納について記者会見で話があったと承知しております。

本庄委員 法律のとおり通して給料のアップをしようとしていたけれども、余りにも国民の反発が強くて慌てて取り繕った、こういうことじゃないかというふうに思います。返すのであれば最初から上げなきゃいいというふうに私は思います。

 結局、場当たり、つけ焼き刃、そして人気取りの政策を重ねてきている。今回の給与法もその象徴だというふうに私は思います。

 私たちは修正案を提出をしておりますが、一般職、自衛官、政治家以外の特別職の給与改定は賛成ですが、特別職のうち政治家の部分については給与、ボーナスを据え置く、そして国会議員のボーナスも、これはほっておくと連動して上がってしまいますので据え置く、こういうものを出しています。

 さて、河野大臣は、閣僚であると同時に国会議員でもあります。閣僚としての給与あるいはボーナスは返納ができるでしょう、しかし、国会議員としてのボーナス、十八万円アップ、ここの部分は返納はできません。いかがされますか、そのまま受け取るということでよろしいですか。

河野国務大臣 法に基づいて対応してまいります。

本庄委員 それで国民の理解が得られるというふうにお考えでしょうか。

河野国務大臣 法治国家でございますから、法に基づいて対応するというのは当然のことだと思います。

本庄委員 なぜ私たちが提案をしている議員修正に応じていただけないんでしょうか。いかがですか。

河野国務大臣 政府として提案した法案でございますので、国会で慎重に御審議の上、早期成立を図りたいと思っております。

本庄委員 河野大臣の答弁を聞いていますと、他の官職とのバランスがどうだとか、そういうことをおっしゃっています。

 しかし、今回のように給与アップをするという法案の中で政治家だけ据え置いたという先例があります。一九九八年、平成十年ですけれども、小渕政権ですね。総理や閣僚や政務次官などの政治家の給与、ボーナスを据え置く。これは自民党からの提案の議員修正ということで実現をしたものであります。このときは、国会議員の給与、ボーナスの引上げも据置きというふうになりました。

 これは、政府・与党が決断すれば、法律の修正で議員のボーナスのアップの部分を含めて対応ができるんです。法律のとおりやるとおっしゃいますが、法律を修正する、変えることもできるんですね。いかがですか、大臣。

河野国務大臣 国会での御審議等ございますので、国会の方で対応していただきたいと思います。

本庄委員 是非、与党の方にも御理解をいただいて、私どもの提案をしている議員修正について御理解をいただければというふうに思います。

 最後に、前の委員会で私が指摘をした天下りの問題について、公務員という観点からお尋ねをしたいと思います。

 四月二十八日のこの委員会で、日証金、日本証券金融株式会社への日銀、財務省からの天下り、これを取り上げました。

 日証金の社長、これは一九五〇年から七十年間切れ目なく、十代連続日銀のOBです。財務省からも一九六〇年から六十年間、十人切れ目なく、副社長など役員に天下ってきました。

 河野大臣は、こういうケースがどれくらいあるか、事実関係を調べたいというふうに答弁されましたが、その調査の結果、どうなりましたでしょうか。

河野国務大臣 東証プライム市場に上場している約千八百社について調査をいたしました。各社の代表取締役、社長ポストへの国家公務員OBの就任状況を確認したところ、株式会社INPEX及び石油資源開発株式会社の二社において、二十年以上にわたって経済産業省OBが連続して就任していることを確認したという報告を受けております。

 この件は、再就職等規制のルールに違反するものでもございませんが、また、企業としての判断の下、選任されたものと承知をしております。そのこと自体は法律に基づいた手続にのっとったものではございますが、この両社につきましては、政府が一定の株式を保有をしているところでございますので株主として政府がある面判断ができると思っておりますので、私は、同一企業のトップに何代にもわたって国家公務員のOBが就くことは好ましくないと思っておりますので、その旨、この所管をしている経済産業省に伝えているところでございます。

本庄委員 時間が来たので終わりますが、今の二社の二十年間の再就職の状況について、資料を理事会の方に提出をしていただきたいと思いますので、お取り計らい、よろしくお願いします。

星野委員長 後刻、理事会で協議いたします。

本庄委員 以上で終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 厚生労働省が今月発表した九月の毎月勤労統計調査によれば、実質賃金は前年同月比二・四%減、実質賃金のマイナスは十八か月連続となっています。物価高の中でも、今も多くの国民は苦しいやりくりを続けております。

 こうした中で、先ほど来、何人もの委員から指摘もありましたが、特別職の中でも国家公務員法で定められる成績主義原則の適用外である政治職の総理大臣を始め、大臣、副大臣、政務官の給与を上げるという岸田総理の判断に、SNS上では怨嗟の声が満ちあふれました。

 そこで一点、昨日、松野官房長官から総理と大臣の皆さんは昇給分を返納するという発表がありました。しかし、だったら最初からそうしておけばよかったじゃないか、そういう声も数多く上がっております。

 そこで、まず、そもそも今回、特別職給与を一般職に準じ上げることとした理由を、何度もほかの委員から質問がありましたが、確認の意味で理由を伺います。明確かつ簡潔にお願いいたします。また、総理、政務三役の昇給を了とした給与関係閣僚会議でいかなる議論があったのか、河野大臣、お答え願います。

河野国務大臣 先ほどから答弁をしておりますが、特別職給与法につきまして、特別職の国家公務員には、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長や人事院総裁、政府の各種委員会の委員長など様々なものがあり、官職の職務と責任に応じて多様な人材を確保するため、その給与については、従来から、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定してきており、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と判断し、今回の改正法案を提出したものでございます。

 また、昨日、官房長官が総理や政務三役の今回の給与増額分を国庫返納するということを発言されたものでございます。

 給与関係閣僚会議の内容につきましては、事務方から答弁させます。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 給与関係閣僚会議の構成員である各大臣の方々からは、それぞれの立場からの意見をいただき、それを踏まえて、会議において取扱方針を決定いたしました。

 具体的に申し上げますと、国家公務員担当大臣につきましては、一般職は人勧尊重の基本姿勢、特別職は一般職に準じて扱うことが適当。総務大臣におかれましては、地方公務員の給与について、国家公務員の給与を考慮して決定すべき。財務大臣におかれましては、財政は極めて厳しい状況だが、人勧の趣旨、経済政策の方向性を踏まえ、給与改定に異存はない。厚生労働大臣におかれましては、勧告は現下の経済雇用情勢を踏まえたものであり、勧告どおりの改定が適当である。経済財政担当大臣からは、民間における賃上げの動きに整合的であり、勧告どおり改定することが適当であるといったようなことでございます。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 事前のお打合せでは、持ち回りでということで、持ち回り閣議ということで、その議論の内容についてはお答えいただけなかったんですけれども、今、それぞれの大臣から御発言があったということで受け止めました。

 過去の給与関係閣僚会議については、ホームページ上で議事要旨が公開されていますので、私、確認しようと思ったんですけれども、持ち回り開催ということで議事要旨がなく、議論の中身を知るすべがありませんでした。

 そこで伺いますが、給与関係閣僚会議を持ち回りとすべき要件を定めた根拠規定をお教えください。そして、今回、何を根拠に持ち回り開催としたのか。また、今回の持ち回りによる給与関係閣僚会議のメンバー及び具体的方法、例えば、秘書官がお伺いして説明をしたとか、決裁文書に担当大臣が押印するとか、こんな内容についても、政府参考人、お答え願います。

窪田政府参考人 お答えいたします。

 一般的に持ち回りによる会議とすべき要件を定めた根拠規定はございませんが、給与関係閣僚会議につきましては、その時々の構成員の都合や議題の内容等の状況を総合的に勘案しつつ、いわゆる持ち回り開催の方式により行うことがございます。

 給与関係閣僚会議の構成員は、内閣官房長官、国家公務員制度担当大臣、財務大臣、総務大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣・経済財政担当であります。

 給与関係閣僚会議につきましては、内閣人事局において、国家公務員制度担当大臣に事前に公務員給与の取扱方針や会議構成大臣としての御意見案を説明した上で、開催については、各構成員が事前に取扱方針などについて内容を了承するとともに決裁し、最終的に主宰者たる内閣官房長官の決裁をもって持ち回りの開催といたしております。

阿部(司)委員 統一の基準があるということではなく、柔軟にその都度決定をして、いつでもできるということで理解をいたしました。

 通常、持ち回りで決裁権者の決裁を得るということであれば、メンバーが一堂に会してインタラクティブな議論がないと考えるのが常識的なんですが、それぞれの決裁権者が案件の説明を聞いて了として押印をする、こんなイメージです。

 ですから、持ち回り開催では、我々国会議員はもとより、国民も、総理の給与を上げることに対して、関係閣僚の誰が慎重な意見を示したのかとか、苦しい国民生活をおもんぱかった議論があったのかどうかなど全く分かりません。ブラックボックスなんですよね。

 ところで、内閣官房ホームページを見ますと、令和に入ってから十一回、給与関係閣僚会議が開かれていることが確認できます。このうち六回が持ち回り開催となっておりまして、特に岸田政権になってからは、直近の四回の会議は全て持ち回り開催となっております。なぜ、総理や閣僚といった特別職の昇給を決める会議が議事要旨も公開されない持ち回り開催で行われるのでしょうか。私は疑問です。

 岸田政権が給与関係閣僚会議の持ち回り開催を多用する理由、もしありましたら、河野大臣、お願いします。

河野国務大臣 これは、閣僚の時間とか内容とかいったものを総合的に判断して決めているものと承知しております。

阿部(司)委員 総理や閣僚の給与を上げる議論について、経済状況ですとか国民生活を踏まえてどんな議論があったのか、国民が知り得る状況は整えておくべきということを申し上げておきます。そのときの多忙な状況だとかいろいろあるかもしれませんが、これは非常に重要な話だと思うんですよね。優先度は非常に高いと思うんです。ですので、そこをしっかり、その状況を整えていただきたいと思います。

 先ほど、今回の総理、閣僚等の給与引上げの判断は、従来からの、一般職の国家公務員の給与との均衡を図る、公務員全体の給与の体系を維持するを主として、二点の観点から、一般職の給与改定に準じて行ったという趣旨の御答弁がありました。

 そこで伺いますが、従来どおりとされる、一般職との均衡を図り、公務員全体の給与体系を維持する観点から判断すべきとの判断基準は、政府でどのようにオーソライズされているのでしょうか。河野大臣、お答え願います。

河野国務大臣 特別職の国家公務員の給与につきましては、従来から、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定をしてきているところでございます。

 これまでの人事院勧告の取扱方針の閣議決定におきましては、特別職の国家公務員の給与について、一般職の国家公務員の給与について人事院勧告どおり改定を行うものとするといった趣旨に沿って取り扱ってきたというところでございます。

阿部(司)委員 特別職、特に成績主義原則が適用されない政治職の特別職の給与について、一般職の国家公務員給与との均衡を図り、公務員全体の給与の体系を維持する等の観点から行うべきという必然性がないと思うんですが、こうした方針が何かに定められたものじゃないということと私は今受け止めました。

 これまでのやり取りで明らかになったのは、選挙で選ばれる政治職としての特別職国家公務員給与が、人事院勧告による一般職の給与に準じてほぼ自動的に、さしたる議論もなく、慣例で決定されているということであります。

 総理、閣僚は現在、申合せで給与の一部を国庫に返納していることは承知をしております。しかし、だからといって、物価高で実質賃金が全く上がらない国民生活を横目に見ながら、為政者がのうのうと半自動的に昇給を決めてしまうセンスが、全く私は理解できないんですね。

 今回の総理、閣僚等の政治家の昇給判断は、岸田政権の政治姿勢そのものなのではないかなと思います。仮に日本維新の会が政権の座にあれば、決して認めないと思います。

 以上、述べましたとおり、岸田総理四十六万円、閣僚三十二万円、それぞれアップとなる今回の特別職昇給は、賃金の伸びが物価高に追いつかない中、到底国民の理解は得られなかった。そこで返納に方針転換をされたわけですが、そもそも法案自体を撤回すべきじゃないですか。河野大臣の御見解をお伺いします。あわせて、特別職給与については、今後は、十分な議論もなく、安易にこれまでの慣例を基に一般職に準ずるという対応は改めるべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

河野国務大臣 国家公務員全体の給与の体系を維持する観点からも、あるいは官職の給与はその職務と責任に応じて定まるものであるという観点からも、内閣総理大臣あるいは国務大臣等を据え置くことは、他の官職とのバランスを欠くことになり、公務員全体の給与の体系を崩すことにもなりかねないというふうに思っております。

 制度としては今回の法案でお出しをするわけでございますが、運用として増額分を返納するということを、昨日官房長官からお話を申し上げたところでございます。

 私が若干懸念をしておりますのは、全国の自治体で、首長が給与をカットする、それに応じて地方議員が給与をカットする、結果として地方議員の選挙で手が挙がらない、立候補者がいない、中には欠員になってしまうということがありました。

 確かに、委員がおっしゃることもよく分かります。しかし、制度は制度として維持をした上で、時々に応じて、そこは運用でしっかりと御理解いただけるように対応するというのは、これは私は一つのやり方だというふうに思っております。

 身を切る改革と言って、結果として地方議員のレベルが下がってしまった、あるいは地方議員が定員に達しないということが起きてしまえば、地方自治も民主主義も成り立たないわけでございますから、そこのところはしっかりと議論をした上で、制度と運用というやり方で対応するというのも、私はこれは十分あり得ることだと思っております。

阿部(司)委員 要は、今のお話をお伺いしまして、いろいろな御懸念もおありとのことだったんですが、体系を維持する、このこと自体、私は議論するべきだと思うんです。一般職と特別職で別々にしたっていいと思うんです。それが従来どおり、体系を崩さないようにする、均衡を図る、これで思考停止をしてしまっているというのは私は問題だと思います。やはり国民の理解が、従来どおり均衡を図る、これでは理解は到底得られないと思います。

 今回の特別職給与の対応、国家予算から見れば非常に小さなものかもしれませんけれども、是非、この点、国民にどう寄り添うべきか、もう一度、岸田総理始め閣僚の皆様には考えていただきたいと思います。

 一つ質問を飛ばしまして、霞が関の政策形成機能と職員のやりがい向上について、政官関係、すなわち政治と官僚の関係の変化という観点から伺ってまいりたいと思います。

 政治主導を旗印に、二〇一四年、内閣人事局が誕生してから間もなく十年になろうとしています。内閣人事局は、各省庁の次官、局長、審議官など幹部職員約七百人の人事を一元的に管理するというものであり、それまでの人事制度に比べると画期的なものでありました。

 内閣人事局の発足により省庁人事は劇的に変わりましたが、省庁による縦割り打破を目指した改革の結果、省庁側が主体的に動くようになり、政治主導の完成形と評価する意見がある一方で、官邸に人事権を握られて、その副作用が強く出てきているという意見も多く聞かれます。

 例えば、長期にわたり官房副長官を務められた古川貞二郎氏は、官邸一強状況の下、各省庁は官邸の下請のようになっているケースが増え、そうなると官僚の意欲は目に見えて低下をし、長期的な成果が望めないと述べております。

 そこで、近年の政官関係の変化により霞が関が萎縮し、受け身になり、政策形成能力が劣化を来しているとの見方に対する御所見をお伺いします。また、岸田政権ではどのようなスタンスで官に臨んでいるのか、その基本姿勢も河野大臣にお伺いできればと思います。

河野国務大臣 かつては、霞が関の省庁が官邸の言うことを聞かず、ばらばらに省益を優先をして動いていたという御批判がありました。そこで、内閣人事局を策定をして、やると今度は霞が関が萎縮する。これは批判しようと思ったらどっち側からでも批判ができるというのがございますから、そういう雑音に惑わされずに仕事をしていくというのが大事だと思っております。

 要は、どちらがいいということではなくて、やはりバランスなんだと思います。各省庁がしっかりと各省庁の分担するところの仕事をやり、官邸はそれを国全体としての方針を示しながらまとめていくということが大事なんだろうと思います。

 岸田政権として、政治がしっかりとした方向性を示した上で、それぞれの専門である、プロである霞が関の各省庁がそれを肉づけしていく、そういうことでやってまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 河野大臣おっしゃるとおり、バランスが大事だと思います。

 というのは、やはり、今の霞が関で起きている現象を見ると、実際、かなり官僚の皆さんが疲弊しておられる。若手がどんどん辞めていく。複合的な理由があろうかと思いますが、いわゆるトップダウンでばあっと指示が飛んできて、詳しい説明がないままに、場当たり的にばあっと指示が飛んできて、それをとにかくやらなくちゃいけないということで疲弊をしていく。若手は誰を見て仕事をしているのか全く分からなくなってきている、こんな声もあるんです。もちろん、トップダウンの内閣人事局の効果というものもありますが、これが逆効果にならないような、バランスをもっと取った施策、体制というものをもう一度考える必要があるのではないかなと思います。

 次の質問に参ります。

 つい先日、山田太郎文科政務官、柿沢未途法務副大臣が相次いで職を辞しまして、そして、先ほども神田財務副大臣、こちらにお見えになっておりましたけれども、世間の耳目を副大臣ですとか政務官が非常に集めております。

 政治主導ということでは、内閣人事局より更に十五年ほど遡り導入されましたのが、いわゆる政務三役、大臣、副大臣、政務官体制です。この政務官体制なんですが、一般には、大臣、副大臣までは何となくイメージできても、政務官が何をしているのか、そもそも政治家なのか、多くの国民はその役割ですとか活動をほとんど知らないのではないかなと思います。

 とはいえ、政務三役は今回給与法で昇給する特別職公務員に該当するわけでありまして、そうした意味からも、政務官が省庁の中で日常、具体的にどのような仕事をしているのか、今日は土田政務官にお越しいただきましたが、お伺いをしたいと思います。また、大変恐縮ですけれども、御自身、政務官制度が求めている職責を果たしているとお考えかどうか、是非御所見をお伺いしたいと思います。

土田大臣政務官 御質問いただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、国家公務員制度改革担当大臣の下に大臣政務官というものは置かれていないんですけれども、河野大臣をお支えしている大臣政務官としてお答えをさせていただきます。

 具体的には、大臣や副大臣との意見交換を行いつつ組織としての判断に参画する形で、大臣としての政策判断をお助けする役目を負っております。

 具体的にということですので、私がデジタル庁でどういうことをやっているかということでございますが、重要な意思決定などを行う経営企画会議に参加することで、都度都度、大臣の御指示を賜りながら、諸政策の推進であったり諸課題の解決に向けて取り組んでいるところでございます。また、デジタル庁、官民融合の組織でございますので、これまで霞が関にない、新しい官民融合の組織文化の醸成を進めているところであり、引き続き、大臣を支える職責を果たしてまいりたいと思います。

 私の職責、しっかり果たせているかというところでございますけれども、果たしているつもりでございますが、まだまだ不十分なところも当然あると思いますので、引き続き努力してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 土田政務官、ありがとうございました。

 各省で副大臣、政務官の活動もかなり異なることだろうと思いますが、ある霞が関OBから、こんなことを聞いたんですね。副大臣、政務官、実態として機能していない、活躍の場をつくらないといけないから、かえって負担になるケースもある。

 もちろん、政務三役がチームとして活発な活動をしているところもあれば、そうでないところもあるかと思います。

 私は、この政務三役、もっと活用されればいいのかなと思っていまして、長期間の任期、省庁にいることになればそれぞれの専門性も高まりますし、また、政と官で日常的に議論して、よい政策アイデアをつくっていくことにもつながることもあると思いますし、若手の皆さんですとかやる気のある皆さんとの交流を通じて、長期間在職すれば関係性も築けて、また、それが抜てきとか人材発掘にもつながるのかなと思っております。

 是非、霞が関活性化のために、ある程度の任期、働いていただきたいと思うんですけれども、事前に人事局に政務官の平均在任期間をお聞きしたんですけれども、正確なデータはないということで、大体、内閣改造ごとの任期だとのお答えをいただいたんですが、実際、もっと早い回転ポストになっていると思います。

 そこで、大臣に、現状の政務官制度の評価をお伺いしますとともに、この政務官制度が活性化にも資するよう取り組むべきとの私の考えに対する御所見をお伺いいたします。

河野国務大臣 私も総務省で大臣政務官をやりましたが、あのときは、総務省が機構・定員を持っておりました。

 それまで外務省は、国名とか地名を外務省独自の言い方をしておりまして、例えば、ヨルダンと言わずにジョルダン大使館とか、イギリス大使館と言わずに連合王国大使館とか、外務省は好き放題やっておりましたので、在外公館の勤務手当の稟議を私のところで否決をいたしました。当時は田中真紀子外務大臣ではなかったかと思いますが。

 外務省のそうした地名を全部一括で改めて直すということになりましたので、政務官というのは、やはり、仕事をいろいろ活発にできるポジションというふうに思っております。

 もう少し申し上げれば、政務官は内閣人事でございますが、副大臣は認証官でございます。宮中で陛下から認証していただくわけでございますが、残念ながら、今、国会の審議の中で、副大臣の答弁というのが、ほとんど他委員会のみということになっておりまして、外務大臣も含め、閣僚の海外出張であったり、あるいはほかの会議への出席であったり、あるいは重要な打合せというものがあっても副大臣が代わりに答弁することができない、そういう状況になっておりますので、是非、ここは立法府の御協力をいただいて、大臣や副大臣、政務官のチームで国会への対応もさせていただけるような改善が行われれば、更に副大臣、政務官は活躍の場が増えるし、そこで立派な答弁をする副大臣、政務官を抜てきしようということにもつながっていくだろうと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。終わります。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 先ほどに続きまして、よろしくお願いいたします。

 こちらは給与法改正案に対する質疑ということで、まず、河野大臣に伺いたいと思うんです。

 やはり、先ほど人事院総裁とも少し議論させていただいた内容ではありますが、今回の法案の概要は、まず、月例給の引上げ、平均改定率一・一%と、若手に重点を置いた初任給の引上げ、そして、ボーナスの引上げ〇・一か月、在宅勤務等手当の新設、フレックスタイム制のゼロ割振り日の対象拡大、こういったところが主なポイントかなというふうに思うんですけれども、連合が今年の春闘の集計結果を発表した際の賃金上昇三・五八%、あるいは、中小企業に絞れば三・三五%に比べると、平均改定率一・一%という数字がどうしても見劣りしてしまいますし、また、在宅勤務制度あるいはフレックスタイム制度の柔軟運用も、民間のそれと比べて十分か、同じ水準になったかと言われると、やはり、先ほど人事院総裁との議論でも、まだ不十分な点があるんじゃないかと感じる部分が多いんですね。

 まず、この法案が成立することによって、公務員の人材不足や働きがいの向上、解消に近づくのかどうか、大臣の現時点での見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 解消すると言うつもりは全くございませんが、解消に近づくかと言われれば、それは何がしか近づいているんだろうというふうに思っております。

 今度の改定につきましては、これは人事院勧告に基づいて政府としても対応しておりますので、中身については人事院にお尋ねをいただきたいと思いますが、それ以外にも、かつては、公務員は残業しても大半がサービス残業になるという悪習がございましたが、管理職以外はきっちり残業代を払うということにいたしました。若干これで、管理職になったばかりで給与が下がってしまうという弊害も出てきておりまして、そこは人事院と詳細をまた議論していかなければいけないと思っております。

 ただ、国家公務員になってくれるような方の多くは、民間でもっと給与の高い仕事に就くことも可能な方が多い中で、給与が下がっても、国のため、国民のために仕事をしようという意欲を持って来てくれているわけでございますから、我々がこれからやらなければいけないのは、そういう諸君がやりがいがあると感じてくれるような働き方を実現をしなければならないと思っておりますし、やってよかったと思えるような霞が関にしていかなければならないと思っております。

 また、今日再三申し上げておりますが、長時間労働の是正というのは、これはやらなければいけませんし、子育て、介護、あるいは自分の能力を引き上げるための研修のようなことをやるためには、自分の勤務時間、働き方の予見性というものが重要になってまいりますので、そこは立法府の御理解を更にいただきながら是正をしていきたいというふうに思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 仕事の予見性を高めるというのは非常に大事だと思うんですね。今、予見性が決して十分あるとは言えない状況の中で、今回私が注目したのは、フレックスタイムの拡大運用と、あとは在宅勤務制度の新設ということなんですが、公務労協の調査によると、フレックスタイム制の利用率が、本府省で一〇%、本府省以外で七・二%。とりわけ、元々、育児、介護等を理由としたフレックスタイム制の行使率というのが〇・九%というふうに非常に低いわけですね、現状として。

 先ほども大臣は、柔軟な勤務制度を使えるようにしていかなきゃいけないんだということもおっしゃっていたんですけれども、今回、仏作って魂入れずでは駄目だと思います、私も。大臣も十分にその御認識はお持ちだと思うんですが、在宅勤務、フレックスタイム制度の利用率を高めるために、大臣は今どのようなことを考えているのか。仕事の予見性を高めるとおっしゃいましたけれども、じゃ、そのためにどんなことを考えているのか。是非お聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 フレックスタイム制がまだ一桁%でございますし、テレワークを週一回以上やるというのも三割というところにとどまっております。ただ、例えばデジタル庁は、ふだんから半分ぐらいの人はテレワークをしておりますから、これは役所によってやはり大きな差があるんだと思います。

 まずは、それぞれの役所で、フレックスタイム、テレワーク、やっていいんだよという、当たり前のことができるという、意識改革というものをしっかりやっていくというのが大事だと思いますし、やはり、部下に対して、子育てであったり介護であったり、あるいは自らの研修であったりということにしっかり配慮をするマネジメントをやっていかなければならないと思います。

 そういう意味で、内閣人事局は、管理職のマネジメント能力をしっかり評価をしよう、マネジメントできる人には高評価、マネジメントのできない人は少し評価を下げざるを得ないということをやっております。

 それからもう一つは、やはり、国会の会期中の国会対応が予見性の妨げになっている部分というのがございますので、これは立法府に、委員会の日時を早期に決定をしていただいて、通告をしっかりと早い時間にやっていただくということが御理解をいただければ、予見可能性というのはその部分上げることができると思っております。

 もちろん、各役所の中で国会対応業務を更に効率化をする、あるいは、そうしたものもテレワークでできるというような、内部の改善ももちろん重要でございますが、そういうことをやりながら、フレックスタイム、テレワークというのがもう少し広がっていくように努力をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、国会対応も改善が必要だということなんですが、今年に入ってからも、衆議院の議院運営委員会では質問通告の早期化に向けた申合せをしておりますし、私も今回、二日前にはしっかり通告をさせていただいて、オンラインでのレクチャーもさせていただきました。

 随分とオンラインの活用というのが広がってきたような気がいたしますが、是非、せっかくこの話題になったので皆様にも申し上げたいのは、通告する際にファクスを使うと、全て打ち込み直さなければいけないという問題が今あるそうです。私はメールなんですけれども、地域・こども・デジタル特別委員会では、メール通告という形になって随分と改善したという話もありますので、内閣委員会においてもそういった、皆様からの御協力をいただければいいんじゃないかなというふうに思います。

 さらに、フレックスタイム制をより利用率を高める方策として、一つ御提案させていただきたいんです。

 次の質問は人事院総裁への質問になりますが、今のフレックスタイム制度は、当日、始業した後に帰る時間を変更できないという問題があるんですね。事前に、始業時間前に、この日は何時から始業して何時まで働きますというのを決めておかないと、当日変更ができないという、非常に使いづらい制度になっているということなんですね。民間企業では当日の申告で帰る時間を早めたりとかということは可能になっている場合が多い中で、なぜ公務員の職場では、当日始まってからの終業時刻の変更ができないのかというところであります。

 私も、これを調べていましたら、今年三月のテレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会では、まさにこの、始業開始後であっても当日の状況に応じて変更の申告ができるようにすべきだ、職場の長が変更を承認するかどうかの決定権を持って柔軟に対応すべきだというような提言も出ていたということであります。

 これは三月ですから、人事院勧告、今年の勧告内容に盛り込まれてもよかったんじゃないかなというふうに思うんですが、なぜ盛り込まなかったのか。そうすべきだと思うんですけれども、総裁、どう思われますか。

川本政府特別補佐人 御認識のとおり、現状においては、当日の始業後の勤務時間の変更はできないこととしています。

 一方で、職員のより柔軟な働き方を進めることも求められておりますので、勧告時の報告において表明いたしましたとおり、臨時、緊急の業務の状況の変化等があった場合で、公務運営に支障がないと認めるときには、当日の勤務開始後でも、職員の申告を考慮して終業時刻を変更することが可能となるよう、今後必要な規定の改正などを行うこととしております。

浅野委員 では、確認ですけれども、それは次回の勧告時には、しっかり制度を整えて、勧告内容に含めていただけるということで、そういう理解でよろしいでしょうか。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 今ほど御指摘のあった点につきましては、本年の勧告時の報告におきまして既に盛り込んでおりまして、「勤務時間の割振りは、適切な執務体制の確保の観点から、遅くとも勤務開始前に行う必要があるが、臨時・緊急の業務の状況の変化等により、職員が当日の勤務時間の変更を申告した場合で、当該変更を行っても公務の運営に支障がないと認めるときは、勤務開始後であっても、将来に向かっての勤務時間の割振りの変更を可能とする。」、今年八月七日の勧告時報告に盛り込ませていただいております。

浅野委員 では、既にそういった運用が可能という理解でよろしいですね。

荻野政府参考人 お答えします。

 今申し上げました今年の夏場の勧告時報告に盛り込んでおりまして、これは方針でございます。こういった見直しが令和七年四月から実施できるように、見直しについて、実施を図っていきたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 時間がないので最後の質問に行きたいと思いますが、河野大臣、ちょっと質問を一つ飛ばさせていただきまして、役職定年制あるいは高齢者の処遇について伺いたいと思います。

 昨年も私、ここで同じ質問を当時の二之湯大臣にしたんですけれども、これだけ担い手不足がある中で、役職定年制や賃金水準の引下げの基準年齢が六十歳であることがやはり今後問題になっていくのではないかというふうに指摘をさせていただきました。

 昨年は、二之湯大臣も、年齢でなぜそういった影響を受けるのかというのは釈然としない部分があるというようなこともおっしゃっていましたけれども、河野大臣御自身のお考えを伺いたいと思います。

河野国務大臣 今おっしゃったことは、人事院の意見の申出に沿ったものでございまして、人事院で今この問題については検討されるというふうに承知をしておりますので、人事院の検討を待ちたいというふうに思っております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 給与法について質問をいたします。

 最初に、特別職給与法についてであります。河野大臣に伺います。

 物価高騰が国民生活に深刻な打撃を与えているときに国民に対して軍拡増税や社会保険料の負担増を押しつけるだけでなく、そもそも、これまでコストカット経済を推進をし、非正規雇用を拡大をし、賃金の上がらない国にした、その自民党政治の責任が重大であります。

 総理や閣僚らの給与引上げとなる特別職給与法は、国民の理解を得られないのではありませんか。

河野国務大臣 この委員会でも度々答弁をしておりますが、特別職給与法につきましては、特別職の国家公務員には、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長や人事院総裁、政府の各種委員会の委員長など様々なものがあり、官職の職務と責任に応じて多様な人材を確保するため、その給与については、従来から、一般職の国家公務員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、一般職の国家公務員の給与改定に準じて改定をしてきており、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と判断し、今回の改正法案を提出したものでございます。

 また、昨日、官房長官から総理や政務三役の今回の給与増額分を国庫返納するということの御発言があったことを受けまして、法案担当大臣である私としても、法案の早期成立に尽力してまいりたいと考えております。

塩川委員 それでは国民の理解は得られないということを申し上げておきます。返納ではなく、特別職の給与法は撤回をすべきだと求めておきます。

 今行うべきは、一般職の職員の方々の賃上げと、労働条件の改善であります。直ちに行うべきは非常勤職員の待遇改善、それが一つであります。

 先ほどハローワークについて厚労省にもお尋ねしましたが、非常勤職員の賃金について、人事院は、この四月に非常勤職員給与指針を改正し、給与法の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員についても常勤職員に準じて改定するよう求めています。ベースアップ分について四月に遡及して適用するものです。

 河野大臣にお尋ねしますが、その給与改定の増額分は今年度の予算から捻出することになります。非常勤職員の多い厚労省や国交省を始めとして、各省がしっかりと予算を確保できるのか。この点について、各府省への働きかけ、また、必要があれば財政当局への働きかけを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 国の非常勤職員の給与につきましては、一般職給与法において、各府省において、常勤職員の給与との権衡を考慮して、予算の範囲内で支給することとされており、具体的には、人事院が定めた指針に基づき、各府省において運用しているところでございます。

 本年四月には人事院の指針が改正され、これを踏まえた各府省等申合せにおいても、職務内容が常勤職員に類似する職員について、常勤職員の給与改定に準じて改定することを基本とする旨の改正を行ったところでございます。

 申合せの改正に際しては、遡及改定に関し、財政当局に理解を得つつ、各府省に対しても、非常勤職員の処遇改善を確実に行うことができるよう、関連部局間での連携や地方支分部局などへの周知をお願いをしているところでございます。

 引き続き、各府省に、非常勤職員の処遇改善に取り組むよう働きかけを行ってまいりたいと思います。

塩川委員 川本総裁にも、是非、人事院としても、各府省に対して、予算確保を求める、そんな通知を出したらどうかと考えますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員の処遇につきましては、先生も御承知のとおり、人事院といたしましても、これまで累次取組を進めて、その処遇改善に取り組んできているところでございます。今後につきましても、引き続き、処遇改善につきまして必要な対応を取ってまいりたいというふうに考えております。(塩川委員「通知は出しませんか」と呼ぶ)

 具体的にどのようにやっていくかということにつきましては、今後、内閣人事局とも連携しながら考えていきたいと思います。

塩川委員 しっかりとした対応を求めたいと思います。

 続けて、一昨日の質疑の続きですけれども、人事院の人事管理報告に、「初任給水準については、大卒・高卒とも全国平均で民間水準を下回るが、特に地域手当が支給されない地域などにおいて民間水準を大きく下回る。」と指摘をしていることを取り上げました。今回の法改正を行ったとしても、地域手当の非支給地では、大卒で七千円、高卒で三千円民間が上回るということを川本総裁も答弁をしたところであります。

 総裁は、更なる初任給水準の引上げや、地域手当の級地区分の大くくり化に取り組むと答弁されました。地域手当の級地区分の大くくり化とは、現在市町村を単位としている級地区分の設定について広域化するなど大くくりな調整方法に見直すということを答弁されたところです。

 そこで、総裁にお尋ねしますが、地域手当の級地区分の大くくり化とはどのようなものか。つまり、市町村単位のものを、都道府県単位なのか、もっと広い、広域のブロック単位なのか、それともほかの形なのか、その点をお聞きしたいということと、今、二〇%の格差があるわけですけれども、二〇%の格差はそのままなんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地域手当は、地域の民間賃金水準を国家公務員給与へ適切に反映させるため、民間賃金水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整する手当として設けられているものでございます。

 一方、現行制度におきましては、先生御指摘のとおり、市町村単位で細かく支給割合に水準差が生じているということにつきまして、隣接する市町村との関係で不均衡が生じているなどの御意見があることも承知しているところでございます。

 こうしたことから、令和六年に予定しております地域手当の見直しにおきましては、最新の民間賃金の反映と併せまして、現在市町村を単位としている級地区分の設定について広域化するなど大くくりな調整方法に見直すことによりまして、国家公務員の地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和や、給与事務負担の軽減等を図りたいと考えているところです。

 御指摘の、具体的にどのような単位で大くくりをするのか、都道府県単位なのか、ブロック単位なのかということでございますけれども、具体的にどのように大くくり化を行うかにつきましては、今後検討を行ってまいりたいというふうな状況でございます。その中で、級地区分の数ですとか支給割合の在り方につきましても、併せて検討を行っていきたいと考えております。

塩川委員 二〇%の格差はそのままなんですか。

佐々木政府参考人 支給割合のところをどうやっていくかという、そこの在り方につきましても、併せて検討を行っていくということでございます。

塩川委員 都道府県単位だとしても、人事の異動というのは当然それをまたいで行われるようなことを考えた場合に、基本的に、二〇%の格差があれば非常に差し障りが出てくるというのは当然のことであります。小手先の対応でないような、やり方ではなく、地域手当の抜本的な見直しが必要であります。

 この地域手当については、我が党は、二〇〇六年に導入されたときに、同一価値労働同一賃金の原則、職務給原則に反するとともに、地域の低賃金構造を固定化し、地域間格差を拡大するとして反対をしてきたところであります。

 最低賃金との関係を見ても、この十月からの地域別最低賃金で、東京都の最低賃金は時給千百十三円でした。最も低い岩手県の最低賃金は時給八百九十三円。そうすると、その差は二百二十円で、東京都と岩手県の地域間の格差の割合は一九・八%であります。地域手当の二〇%と符合しているのは、偶然ではないと思います。

 人事院にお尋ねしますが、公務の地域手当に引きずられて民間でも地域間格差が固定化、拡大している、そういうことを地域手当がもたらしているんじゃありませんか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 私どもの国家公務員給与につきましては、民間賃金の状況を踏まえて国家公務員の給与を設定しているという関係にございます。その中で、国家公務員の給与が国家公務員以外にも影響を与えているという部分があるということはそのとおりだと思いますけれども、それが実際にどの程度の影響力を持っているのかということは、私どもとしては必ずしも承知していないところでございます。

塩川委員 地域手当で格差がある、その公務に学んでということで地方の中小企業などが賃金水準を決めるというのは、これは現にありますよね。

佐々木政府参考人 民間企業におきましてどのように給与を決定するか、その際にどのような要素を考慮して判断されるかというのは、それぞれの民間企業の御判断だというふうに承知しております。

塩川委員 人事院として、そういう事業者の方の会合、懇談会もやっていますよね。そのときにそういう声を聞いていないんですか。地域手当も含めた、それぞれの地方の公務員に準じてそれぞれの事業者が賃金を決めるという例というのは承知していないですか。承知しているでしょう。

佐々木政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、民間企業がどのようにそれぞれの会社の給与を決定するかということにつきましては、それぞれの企業ごとに様々な判断がなされているというふうに承知しております。その中で国家公務員の給与というものも参考にしておられるところは、それはあり得るんだろうというふうに認識しております。

塩川委員 ですから、地域手当によって地域間の格差が固定化するような状況をつくり出しているんじゃないのか、そのことが今問われているわけであります。

 地方においての賃上げの努力というのも政府として大いに取り組まなければなりませんけれども、地域手当というスキームによって地域間格差が固定化されるような、こういうやり方そのものを見直すことが必要じゃないのか。そこまで踏み込んで、これは人事院、しっかり検討すべきじゃありませんか。総裁、いかがですか。

川本政府特別補佐人 いろいろな諸方面の御意見を伺いながら検討してまいりたいと思います。

塩川委員 この地域手当が、結果として地方での人材確保を困難にする、そういう要因の一つともなっているということも含めて、やはり今、全国どこでも暮らせば同じように生計費がかかると言われているときに、そもそも最低賃金の地域別そのものを見直して全国一律にするということと、大幅に引き上げる、我が党は時給千五百円を目指すということを求めておりますけれども、その点でも、国家公務員における地域手当は廃止をして、その分については基本給にもきちんと反映をする、そういう制度の改正こそ行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 十分、よろしくお願いいたします。大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 最初に、先ほど阿部さんの方からもありましたが、いわゆる総合職の職員、キャリア、ノンキャリアと言われる区分についてお伺いをしたいと思います。

 私自身、平成六年、外務公務員1種職員として入省したわけでありますが、キャリア、ノンキャリアという言葉も嫌いですし、その区分も私は大嫌いなんですね。総合職で入った人間が、その肩書だけで、ある程度の時期まで同時昇進していける仕組みというのは、私は見直すべきではないかとずっと思っています。

 いわゆるキャリアシステムというのは、平成十九年の国家公務員法改正によって人事評価制度を入れたことによってなくなったと当時言われたんですね。しかし、全然そうなっていないんです。なぜそうならないというふうに大臣はお考えでしょうか。河野大臣。

河野国務大臣 いまだにキャリア、ノンキャリという言葉は使われておりますけれども、ノンキャリの方の中から次官級の職に就いている方もいらっしゃいますし、私が外務大臣だったときにノンキャリの方でも大使になっている方はいらっしゃいますから、かつてほど、キャリア、ノンキャリでルートが違うということは大分なくなってきているのではないか、全くなくなっていると言うつもりはございませんが。

 あとは、今日いろいろ御議論をいただきました人事評価が、今まではAとBにぐしゃっと固まっているとか、そういうところがもう少し是正され、管理職のマネジメントがきちんとできるようになれば、やはり適材適所、有為な人間を引き上げるということにつながっていくのではないか。まだ委員おっしゃるようになっていないのかもしれませんが、行く行くそういうところを目指して、我々としてもしっかりやってまいりたいと思います。

緒方委員 先ほど阿部さんの方からも御提案があったんですが、人事評価を相対評価にしてはどうかという考え方、余り明確に答弁がなかったような気がしたんですが、大臣、いかがお考えですか。

河野国務大臣 やはり職員一人一人の評価は、まず、その職員がどうなのかというのは、これは絶対評価をしてあげないとかわいそうで、部局によっては優秀な人材が集められている部局というのがあって、そこで相対評価ということになると、それは優秀なやつがいっぱいいるから、おまえ、ちょっと中位以下ということになりますので、まずは絶対評価をした上で、それを相対的にどう見ていくのかということにやはりなるんだろうと思います。

緒方委員 私の認識では、これは法令というよりも行政学の世界だと思いますが、古くから、総合職、旧1種職員の人事管理というのは、同時昇進をベースにして、そして、その中で、コップの中の激しい争いをさせることによって、全員を物すごく働かせて、そして組織のリソースを最大化させるというような人事管理だったのではないか、経験者としてもそう思うんですね。そして、それが過剰労働や天下りとセットだったというふうに私自身は認識しています。そして、そういった運用のレガシーが現時点でもあるのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがお考えですか。

河野国務大臣 私、職員として役所にいたことがないものですから、話には聞いておりますが、実体験はございませんが、マネジメントの能力というのをこれから見るようになりました。

 やたらと残業が偏っていたりということは、これはマネジメント能力を問われることになりますし、専門職で、要するに、ゼネラリストではなくて専門職で上がっていくというようなルートもできているわけですから、今までの霞が関とはやはり違うことになると思いますし、これからは、官民の間での回転ドアみたいなものが、デジタル庁を始めいろいろなところで起きてくると思いますので、これは霞が関もやはり変わらざるを得なくなるのではないかなと思っております。

緒方委員 私、かつて、一か月の残業時間、勤務時間ではなくて残業時間が三百四十二時間だったことがあります。私のような事例を絶対に出さないようにということをお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、国会対応における長時間勤務の問題点なんですが、国会対応で長時間勤務になることの原因、もちろん国会側に問題があることは、それは私も否定しませんし、先ほど言われたとおり、私も質問通告を早くやるようにしていますが、行政側の方にも問題が必ずあると思っているんですね。私の見立てでは、大体、比率で七対三から六対四ぐらいで国会と行政側の問題というのがあると思います。

 何が問題になるかというと、手のかかる政務三役、そして手のかかる局長、手のかかる課長というのが、これがあるせいだと思います。国会側にいろいろ求めることは我々受け止めますが、大臣の方から、手のかかる、そういった役所の中の人間に対して、ほどほどにしておけという指示を出すおつもりはございませんか。大臣。

河野国務大臣 おかげさまでデジタル庁ではそういうことがないものですから、レクは早く済んでいると思っておりますが、委員のおっしゃることもよく分かりますので、そこは、内閣人事局から各省庁に対して、その部分の効率化はしっかり図れということと、いいものは横展開をしろということは徹底したいと思います。

緒方委員 あともう一つ。最近、私、ある委員会で非常に簡単な質問を一問出したところ、その担当省庁から十二名来たんですね。何でそんなふうになっているのかというと、人を出しておかないと、役所の中の消極的権限争いで、来ないところに質問の答弁作成が当たるということがありました。

 これはなかなか政務からは見えにくいところだと思いますけれども、そういう消極的権限争いで仕事を増やすことはやめるようにというのは、大臣から是非言っていただきたいと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 デジタル庁では、総務の課長がこっちと言ったらもう権限争いはそこで終わるということにしておりますが、各省庁に、何らかの方法で、そういう無駄な時間を使わないように、そこは徹底させたいと思います。

緒方委員 本当に私はびっくりいたしまして、あなた方、何しに来たのというふうに言ったわけでありますが、本当にこれはよく起きるんですね。大体、質問取りすると、終わった後に外で、どこが担当するかというのをよく協議していますが、あのときにいないと、じゃ、あそこにやらせようということでぶつけたりしているということがあるようでありますので、気をつけてください。

 最後に、外務省にお伺いしたいと思います。私、外務官僚でありまして、外務省の体質についてお伺いしたいと思います。

 課長時代に補佐級の人間を複数長期休暇に追い込んだ人物が、公館長を四ポスト経験して、何事もなかったかのように退官をいたしております。その課長の時代は、朝四時、五時で課に十人以上残って、むんむんとした環境で仕事をしていた、その結果として複数の課長補佐級が長期休暇に追い込まれています。そのほかにも、部下を長期休暇に追い込んだ人物が何のおとがめもなく職務を継続しているケースは間々ございます。

 外務省には潰れた方が負けという文化があるんじゃないですか。外務省。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 外交の要諦は人であり、外務省としても、各職員がやりがいを持って働き、その能力を最大限発揮できるようにするためには、良好な職場環境の維持は不可欠だと考えております。

 そのため、外務省では、例えばパワハラ防止に関する定期的な意識向上と注意喚起を図る等、パワハラはあってはならないという強い意識を持ってパワハラ防止に努めているところであります。

 今後とも、パワハラの防止と適切な対応を徹底してまいりたいと思っています。

緒方委員 最後の質問をしたいと思います。

 この点を、かなり高位の外務省の幹部に指摘したんですね。そうしたところ、上司側の事情というのを懇々と説明をされて、私はびっくりしたことがあります。

 上司のパワハラで人が長期休暇に追い込まれる事案において、追い込まれる側にも責任があり、追い込む側にも何分かの理があるというふうな御認識をお持ちでしょうか。官房長。

志水政府参考人 外務省におきましては、先ほど穂坂政務官から申し上げたように、パワハラはあってはならないという強い認識を持ってパワハラの防止に努めているところでございます。

 パワハラに関しましては、ガイドラインがございまして、外務省においてもそれを規則として制定しているところでございまして、それに基づきまして、もしパワハラがあるという話があれば、まず、そのような情報を集める、その上で、きちんと調査をした上で、パワハラがあるということであれば、それは適切な措置を取るということを徹底しているところでございますので、パワハラをした上司に分があるとかという話ではなく、パワハラはあってはならない、そういうことで外務省ではやっておるところでございます。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 一般職給与法について。

 今日の委員会の中で、国家公務員の人材確保が課題なんだ、辞めたがっている、やりがいがない、それで、何で、みたいな雑談をしている。人事評価で横並び評価、みんなでいい評価しているからや、もうちょっと頑張れる者がいるとか、いろいろ試してみようかなみたいな、そういう雑談。

 でも、なぜ辞めたいって、人を増やさないからじゃないですか、人員、賃金、削減してきたからじゃないですか、公務員バッシングを自民党とか維新が、構造改革、身を切る改革、その名の下にやってきたからじゃないですか。そうやって悪循環をつくってきた、そこをまず謝罪して変えていくということがないと駄目ですよ。雑談して放置プレーは許されません。いいかげんにしてください。

 さて、この法案には大きな問題があります。この法案は、名目上の賃上げではありますけれども、余りに額がしょぼいんです。しょぼいことによって、物価高騰に追いつかない実質賃下げになってしまっています。

 人事院勧告の仕組みとして、四月時点の民間の名目賃金を踏まえて官民較差を是正するものですが、これは今年でいうと二〇二三年四月。それ以降も更に物価は上がっているのであり、それによって十八か月連続で実質賃金が実際に下がっているのであり、だから、政府は、この現実に照らして、緊急の経済対策の一環として、そこを補う賃上げを主導するべきです。

 この人事院勧告の結果は、地方公務員給与にも波及し、また、来年の春闘や民間給与にも影響を及ぼしていきます。

 引上げが三千八百六十九円平均だ、給与は去年より上がるからええやんという考えの方は多いと思うんですけれども、違うんですよ。今回の給与引上げは、引上げ率にして約一%、三千八百六十九円平均にすぎません。そしてさらに、これは平均の引上げ額なので、若年層に重点を置いた傾斜配分をするので、中高年は一律千円の引上げでしかなくて、こういう少な過ぎるパイを分け合うから全てがしょぼくなっているんです。

 国人勧は地方自治体でも準拠されるために、地方への影響もマイナスです。例えば大阪府、国人勧を受けた大阪府の人事委員会勧告が既に出されていますけれども、改定率一・二一%で四千四百九十一円としょぼい。そして、三十歳代後半の職員は一律五百円賃上げ。たった五百円なんです。

 デフレマインドとか公務員バッシングマインドが勝ち過ぎて、額面がちょっとでも上がったらええ、それ、冷静になってください。公務員給与においても、総理の責任で賃金を上げる経済対策が絶対に必要なんです。それをやらない、賃上げ目標も設定しない岸田内閣を徹底的に批判しなければいけないんです。

 パネルを御覧ください。

 これは二日前の内閣委員会でも示したんですけれども、岸田内閣の作ったグラフ、資料なんですね。オレンジの線が物価高で、青い棒グラフが名目賃金だと。二〇二二年、二〇二三年、物価高よりも賃金が下になっている。だから、この青がオレンジよりも随分上に来ない限り、悪い物価高による国民負担は取り戻せないんです。来年でいったら、このマイナス分を取り戻そうと思ったら、二〇二四年部分、平均で三・九%、一・九じゃなくて三・九%賃上げになってやっととんとんなんだと。賃金は物価高に追いつかなくて、暮らしは貧しくなっているんです。だから賃上げ目標が要るんですよ。

 二日前にそのような質問をしていたら、委員会の場で新藤経済再生担当大臣はこのように言いました。政府の見通しでは、来年度、実質賃金が物価上昇を上回る見込みを立てている、来年度、二〇二四年一・九、物価高に賃金が追いつくということを言っているんですけれども、でも、民間エコノミストの予測では、それが再来年になることも、一年遅れになることもあると。岸田内閣の作ったグラフのこのオレンジに青が追いつくのがまだ、更に一年先かもしれないと新藤大臣が言っているんです。だったら余計に、高い賃上げ目標を政府が掲げないと駄目じゃないですか。人事院勧告を守るだけでは、失われた三十年は取り戻せないんです。

 内閣人事局の答弁も、政府が人事院勧告に必ず従うとの法的義務はございませんとしています。また、国家公務員労組にもヒアリングしたんですけれども、不利益改定ではない、増額の利益になる改定であれば、政治の主導力による賃上げを反対する立場ではないということでした。したがって、人事院勧告を上回る公的部門の賃上げは、法的にも道義的にも問題がありません。

 なお、公務労働者の目線に立てば、この人事院勧告制度の背景にある公務員に対する労働基本権の制約、団体交渉権がないとかストライキ権がない、これは不当であって、労働条件は本来対等な労使関係で決定されるべきであることは申し述べておきます。

 そして、ここが最も強調すべき点なんですけれども、非常勤職を底上げしないといけないんです。

 非常勤職と総理のような特別職に〇・九六%一律引上げを適用するのは間違っているんです。非常勤職、時給一千百十四円の職員が平均の〇・九六改定であれば、引上げはたったの時給十・七円。最低賃金に近づくだけなんですね。一方で、元々給与の高い特別職、同様の率を掛けたら、総理が年間四十六万円ですか、閣僚が年三十二万円となり、批判を浴びている。それはそうでしょう。元々低い非常勤単価について、人事院勧告で、ちょっとどや顔をしながら、本年四月、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定に努めるというような指針の追加をされているんですけれども、これは朗報扱いでは駄目で、準じるでは駄目なんですよ。非常勤給与の率こそ大幅に引き上げるべきなんです。

 自治体非常勤の例です。これは大阪府。非常勤職員の給料表めいたものを去年から導入したんですけれども。経験年数に応じた単価。といっても、働いていったら僅かばかり上がるという給料表めいたものを作って。でも、これがさっさと最低賃金に追いつかれちゃったんです。じゃ、今年はどうしたのかというと、今年の十月から、施設管理員とか調理員さん、何年働いても最低賃金千六十四円という一律給料表になってしまったんですね。どこに行ったんですか、経験年数に応じた単価というコンセプトは。最賃になっているじゃないですか。これは一体何をやっているのか。もう人をばかにするのはやめてください。

 河野大臣にお伺いします。

 今こそ非常勤職員を含む公務部門の賃上げを岸田内閣が主導し、人事院勧告を上回る画期的な法改正をするべきです。いかがですか。

河野国務大臣 政府としては、国家公務員の適正な処遇の確保や国民の理解を得るという観点からも、また、労働基本権制約の代償措置といった観点からも、第三者機関としての人事院が専門的見地から行った官民比較に基づく人事院勧告を尊重するということを基本姿勢としております。

大石委員 変えるべきときではないんですか。

 国民の所得を増やさない岸田内閣は、総辞職しかありません。

 終わります。

星野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 この際、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、青柳陽一郎君外二名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。青柳陽一郎君。

    ―――――――――――――

 特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

青柳(陽)委員 ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府原案は、内閣総理大臣や政務三役を含む特別職の国家公務員の給与を、一般職の国家公務員の給与に準ずる形で引き上げることとするものです。

 しかし、急速に進む円安や、原油を始めとする原材料価格の上昇などにより物価は高騰を続け、賃金、所得が物価高に追いつかず、多くの国民の生活は厳しい状況に置かれています。それにもかかわらず、内閣総理大臣や国会議員から任命されている政務三役などの給与を引き上げることは、到底国民の理解が得られるものではありません。

 また、政府原案は、二〇二五年大阪・関西万博の政府代表の給与についても引き上げるものです。

 しかし、二〇二五年大阪・関西万博の会場建設費は、二回増額され、当初計画から一・九倍の二千三百五十億円となり、国民に対して納得いく説明のないままに国による負担の受入れが表明されたところであり、加えて、海外パビリオンの建設工事の遅れなども指摘されています。このような中で政府代表の給与を引き上げることも、到底国民の理解が得られるものではありません。

 加えて、政府の予算編成を担当する財務副大臣が税金を度々滞納している事実も明らかになりました。開いた口が塞がりません。

 以上のことから、内閣総理大臣、政務三役などや、二〇二五年大阪・関西万博の政府代表の給与を引き上げず、現行のまま据え置くため、本修正案を提出する次第であります。

 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、内閣総理大臣並びに国務大臣、内閣官房副長官、常勤の内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官及び常勤の大臣補佐官のうち国会議員から任命されたものの俸給月額について、特別職の職員の俸給月額の改定にかかわらず、当分の間、なお従前の例によるものとするとともに、これらの者の期末手当についても、当分の間、支給割合を百分の百六十五とすることとしております。これに伴い、国会議員が受ける期末手当についても、内閣総理大臣や政務三役などの例によるものとすることとしております。

 第二に、二千二十五年日本国際博覧会政府代表の俸給月額について、改定にかかわらず、当分の間、なお従前の例によるものとするとともに、期末手当の支給についても、当分の間、内閣総理大臣や政務三役などの例によるものとすることとしております。

 このほか、所要の規定を整理することとしております。

 以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。

中山委員 自由民主党の中山展宏です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の二法案に対し賛成の立場から、立憲民主党から提出された修正案に対し反対の立場から討論いたします。

 まず、一般職給与法改正案についてです。

 賛成する理由は、本年の人事院勧告を踏まえ、民間給与との較差を解消するに当たり、初任給を始め若年層に重点を置きつつ俸給表の引上げ改定を行うとともに、テレワーク手当の創設やフレックスタイム制の更なる柔軟化を行うものであり、働き方の多様性への対応や公務組織への人材確保の観点から適切であるものと考えるものであります。

 国家公務員の給与は、地方公務員や独立行政法人の職員のみならず、公務員に準拠している学校や病院などの民間職員の給与にも影響を及ぼすものであることから、賃上げの流れを止めないためにも、早期の成立、施行が必要であると考えます。

 次に、特別職給与法及び政府代表臨時措置法改正案についてです。

 賛成する理由は、特別職の国家公務員には、内閣総理大臣や国務大臣のほかにも、会計検査院長や人事院総裁、各種委員会の委員長など様々なものがあり、多様な人材を確保するため、一般職職員の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与の体系を維持する観点から、民間に準拠した改定を続けていくことが適切との政府の判断には同意できるものであると考えます。

 その上で、総理や閣僚などの給与が上がることについて、昨日、法案成立後に、政治家である総理及び政務三役については、総理三割、大臣、副大臣二割、政務官一割の返納という今の取組に加え、今回新たに給与の増額分全てを返納する旨を申し合わせるとの方針が表明されたことを承知しております。

 あわせて、本法案に際し、民間の賃上げの実現に向けて、一層の責任を肝に銘じて、政府と共に果たしてまいりたいと考えます。

 なお、立憲民主党から提出された特別職給与法及び政府代表臨時措置法改正案に対する修正案については、官職の給与は職務と責任に応じて定まるものであるにもかかわらず、総理や政務三役の給与を据え置くのは、ほかの官職とのバランスを損なうことなどから反対するものであります。

 以上のことから、速やかに政府提出二法案を成立させることを委員各位にお願い申し上げ、私の討論といたします。(拍手)

星野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党・無所属の本庄知史です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました国家公務員一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案については、我が党会派提出の修正案に賛成、政府原案に反対の立場から討論をいたします。

 一般職の給与法改正案は、八月に出された人事院勧告に基づくものであり、民間給与との較差を解消し、初任給を始め若年層に重点を置いた月給、ボーナスの引上げ、在宅勤務手当の新設、フレックスタイム制の更なる柔軟化などを主な内容とするものです。物価高、賃上げの流れ、働き方改革、公務の人材確保等に資するものであり、賛成です。

 特別職の給与法改正案については、政府原案は、総理大臣や国務大臣始め政務三役の月給、ボーナスの引上げを含むものであり、総理大臣は四十六万円、国務大臣は三十二万円の給与アップとなります。また、仕組み上、これに連動して、国会議員のボーナスも十八万円アップします。

 物価高、これに追いつかない賃上げで、国民生活は厳しさを増しています。政府の経済対策が、低所得世帯に七万円の給付、それ以外の方々には来年六月以降四万円の減税という中で、政治家が真っ先に、しかも、一般の国民への給付や減税を大幅に上回る給与アップというのは、反対です。このような恥ずかしい法案を、政府そして与党も了承し、国会に提出してきたことに、私は強い違和感を覚えます。

 今回の給与アップ法案に国民の怒りは収まらず、政府は慌てて、原案どおり月給、ボーナスを引き上げた上で、総理大臣や国務大臣は引上げ分全額を国庫に返納すると表明しました。しかし、それであれば、初めから据え置けばいい話です。また、国会議員は、公職選挙法上、ボーナスを国庫に返納ができません。いつもながらの場当たりの、取り繕っただけの対応は、国民に見透かされています。

 立憲民主党会派提出の修正案は、総理大臣や国務大臣始め政務三役の月給、ボーナスを引き上げず、これを据え置くとともに、連動して引上げとなる国会議員のボーナスも据え置くものです。

 過去には、平成十年、小渕政権において、当時の厳しい経済状況を理由に、政府案を議員修正し、総理大臣や国務大臣、国会議員の月給、ボーナスを据え置いた前例もあります。

 国民の理解と信頼を得ながら、現下の厳しく困難な状況を乗り越えていく。そのためにも、我が党会派が提出した修正案に、与党含め各党各会派の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

星野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会、堀場幸子です。

 会派を代表して、ただいま議論となりました国家公務員の一般職、特別職の給与法案に反対、修正案に賛成の立場から討論をいたします。

 そもそも、この一般職の給与法案は、単に公務員の給与を上げる下げるということだけを規定しているものではありません。給与体系、すなわち仕事に対する評価に関わることだと認識しております。だからこそ、我が党は一貫して、現在の公務員制度を抜本的に改革し、能力・実力主義にのっとり、めり張りの利いた人事制度を導入するべきだと主張しております。

 従来の日本型の雇用慣行である終身雇用と年功序列から微修正を繰り返している現在の公務員制度は、様変わりしている民間企業の人材採用マーケットから取り残された存在となっています。高い専門性を有する人材のフレキシブルな採用や、ジョブ型雇用も進みつつある日本の働き方の変革に追いついていくべきです。

 大切なことは、職種や実績にかかわらず一律に昇給していくという考え方から脱却し、能力を発揮している公務員がしっかりと報われる制度を構築することです。ただ単に初任給を上げるだけではなく、若手の段階から能力や仕事の専門性等を評価される、それに基づく賃金制度の再構築と待遇改善、賃上げが必要であると考え、本法案には反対いたします。

 もう一つの法案である特別職の給与法案は、総理や政務三役を始めとする国会議員の給与を増額するものであり、到底受け入れられるものではありません。物価高に賃上げが追いつかず、国民が税負担や社会保険料の増額に苦しむ中、総理たちの給与を先に上げる道理はなく、国民からは厳しい目線が注がれています。

 総理は、予算委員会における我が党の議員からの指摘を受けて、今更ながら特別職の給与法の増額分を全て国庫へ自主返納するという宣言をされました。そうするぐらいなら、法案そのものを見直して、給与自体を最初から上げるべきではありません。右往左往している感が否めません。

 また、国会議員の期末手当もこの特別職給与法で定められており、どさくさに紛れて国会議員全体の給与が上がるということは看過できないことです。強く反対いたします。

 総理や閣僚、整備費の増額が続く現状での万博政府代表の給与、そして国会議員の期末手当は決して上げるべきではないという観点から、修正案には賛成いたします。

 その場しのぎの自主返納ではなく、今後は総理などの給与が特別職と連動しない法改正を早急に準備、提出することを申し上げ、反対討論とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の一般職、特別職の給与法等改正案について討論を行います。

 特別職給与法案を、賃上げの流れを止めないために必要として、岸田内閣総理大臣や閣僚などの給与を引き上げることに、国民は怒り心頭であります。断固として反対するものです。

 未曽有の物価高騰が国民生活に深刻な打撃を与えている今、コストカット型経済を続け、非正規雇用を拡大し、日本を賃金の上がらない国にしてきた自民党政治の責任が問われています。そのときに総理大臣らの給与を引き上げることは、国民の理解を得られるわけがありません。

 その上、岸田政権が本案成立後に引上げ分を国庫返納する方針と述べていることは、余りにもこそくで、国民を愚弄するものと言わなければなりません。国民の不信を招くことがあってはならないというなら、特別職給与引上げ法案はきっぱり撤回すべきであります。

 立憲民主党の修正案は、総理大臣や閣僚などの給与を据え置き、引上げを認めないものであり、賛成であります。

 一般職給与法案は、給与を引き上げるものであり賛成としますが、余りに不十分です。国民の生活が苦しさを増している今、求められているのは物価上昇を超える賃上げです。

 にもかかわらず、本案は、民間準拠を根拠とした人事院勧告に沿って、僅か一・一%の賃上げにとどまっています。新設された在宅勤務等手当も実態に合わない低い額であり、高卒初任給が最低賃金以下になる地域も残されたままです。国家公務員の生活を保障するものになっておりません。これで賃上げの流れとどうして言えるでしょうか。

 地域手当による地域間格差の問題も深刻です。最低生計費は全国どこでも同水準であることが明らかになっています。地域の低賃金構造を固定化し、地域間格差を拡大する地域手当は廃止すべきです。

 そもそも、国家公務員法六十四条二項は、俸給表は生計費も考慮すると定めています。生計費原則を重視する給与制度への見直しを強く求めるものです。

 国家公務員の給与が、地方公務員や病院、学校、幼稚園、保育など数百万人の労働者の給与に影響を与えていることは、政府も認めています。まず公務において賃上げを率先して実現することこそ国の責任です。

 フレックスタイム制については、そもそも脆弱な人員体制の中、長時間労働、超過勤務が常態化している公務の現場において、その利用は容易ではありません。個々人の就業時間が分散することで公務の集団的執務体制の弱体化を招くとともに、就業時間が客観的に把握されないまま推し進めることで長時間労働が常態化するおそれもあります。これらの現状を放置し、介護育児等職員に限定した制度を一般職員全員に広げることは、懸念を深めるものです。

 優先すべきは、職場における人的体制の拡充や勤務時間の適正な管理、努力義務にとどまらない勤務間インターバルの制度化などの実現です。

 公務公共サービスを拡充し、長時間過密労働、非常勤職員の拡大、男女賃金格差を解消するためにも、定員合理化計画を撤回し、総人件費抑制政策の廃止を求めて、討論を終わります。(拍手)

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 採決に際し、討論いたします。

 一般職給与法は賛成、立憲民主党提出の修正案に賛成、特別職給与法に反対です。本件については、既に私の前に数多くの議論と意見表明がなされたので、私がそれ以上の追い打ちをかけることはいたしません。

 せっかくの機会ですので、国家公務員制度の一端について河野大臣に提案をしたいと思います。

 内閣官房、内閣府の所掌事項の混雑ぶりは目を覆うレベルです。それは、この委員会の一般質疑を見れば明らかです。消極的権限争いのなれの果て、単なる重複と無駄の権化、そして機動性を失った硬直化の三つを指摘させていただきたいと思います。

 まず、消極的権限争いです。

 単に複数省庁に関わるからという理由だけで内閣府に持ち込まれている事務がかなりあります。二〇一五年のスリム化法で、各省大臣にも総合調整の権限が委ねられるようになりました。この各省大臣の総合調整権限をフル活用して、あえて名指しをいたしませんが、なぜ内閣府にあるのかよく分からない事務を各省大臣の担当に戻すべきです。

 次に、重複と無駄です。

 内閣官房と内閣府の間で同じようなことをやっている部局があります。しかも、スタッフ制で機動的に対応するという仕組みになってはいますが、そのスタッフ制とチームがタコつぼ化をして、異なるタコつぼで同じようなことをやっていることが多いです。行革の観点からも、是非目を凝らして見ていただきたいと思います。

 その延長としての、組織の硬直化が起きています。

 本来機動的に動くべき内閣官房、内閣府ですが、幾つかの組織は各省の固定ポスト、もっと直截的には植民地化しています。どこにも機動性のかけらすらない組織がかなりあります。

 内閣官房と内閣府という組織を全体として見たとき、私の感想は、世界のどこにも存在しない異形の組織という感想にしかなりません。私は、この委員会でしつこく内閣官房・内閣府スリム化法のバージョンアップを言っています。野党の方からは余り反応がないのですが、数多くの与党の諸先生から、あれ、そのとおりだと私も思うんですという御意見をいただいています。自民党諸姉諸兄に申し上げたい。御党政調において内閣の部会を二つに分けなくてはならないこと自体が異常なんです。

 落選機会の多い私ですが、国会にいるときは、常にこの内閣委員会に所属する族議員だと自負をいたしております。だからこそ、この点を強調させていただきました。河野大臣に響くものがあったことを期待しながら、討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

星野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 会派を代表して、給与法二法に共に反対の立場から討論を行います。なお、立憲民主党提案の修正案は、正直、一般職の賃上げ修正が優先だろうと思いますが、さりとて、我が党の、総理などの特別職は所得向上の対象外だという考えと大きく矛盾はしないため、賛成です。

 給与法二法に関してです。

 人事院勧告を踏まえ、一般職公務員の給与は増額されていますが、民間の賃金上昇は物価高騰に追いついておらず、そのため、官民較差を埋めるということを第一目的とする人事院勧告を実施する給与法の仕組みでは、公務員の実質賃金も物価高騰に追いついていかないのは当然です。

 その点を踏まえ、有識者からは、人事院勧告プラスアルファが必要という指摘がなされています。公務員給与は低い方がいいというこれまでのプロパガンダからの転換が必要です。

 人事院勧告の結果は、来年の民間給与に大きな影響を及ぼします。公務員給与が例えば五%引き上げられれば、来年の民間給与もそれかそれ以上に引き上げざるを得ないでしょう。それが賃金上昇を伴ったデマンドプルインフレ、よい物価高への移行なのです。

 民間労働者であろうが公務員であろうが、この国の生産、供給を支える労働者であり、そして消費を支える重要な主体です。岸田総理は公的部門の賃上げを目標を持って行うべき。これに法的、道義的問題はありません。今こそ、人事院勧告を上回る画期的な法改正をするべきです。

 以上の理由から、一般職給与法改正案には反対します。

 次に、特別職給与法案についてです。

 総理大臣などの特別職については、現状、公務員の働きがいを奪い、そして経団連とアメリカの顔色をうかがう上級国民の方々がお座りになっていることから、所得向上の対象外とし、したがって、増額改定には反対します。

 また、この法案は、万博政府代表の給与引上げが含まれます。これが身を切る改革の実態、うその現れ。れいわ新選組は、万博中止を求める立場からも反対します。

 公務員給与については、身を切る改革や構造改革の誤ったプロパガンダによって、公務員バッシングのやり玉に上がってきました。しかし、今こそ、正規一般職だけではなく、非常勤も含めて底上げし、三十年以上続いたコストカット経済からの脱却の第一歩とするべきです。

 れいわ新選組は、物価上昇にすら追いついていない、単純に人事院勧告に従うだけの給与法には反対します。

 終わります。

星野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、青柳陽一郎君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

星野委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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