衆議院

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第5号 令和5年11月17日(金曜日)

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令和五年十一月十七日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 坂本 哲志君 理事 冨樫 博之君

   理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      五十嵐 清君    井野 俊郎君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    大西 英男君

      大野敬太郎君    勝目  康君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      神田 潤一君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    平  将明君

      高木  啓君    土田  慎君

      中曽根康隆君    西田 昭二君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      山本ともひろ君    中谷 一馬君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      阿部  司君    浅川 義治君

      浦野 靖人君    住吉 寛紀君

      河西 宏一君    吉田久美子君

      斎藤アレックス君    鈴木 義弘君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣         自見はなこ君

   内閣府副大臣       井林 辰憲君

   デジタル副大臣

   兼内閣府副大臣      石川 昭政君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官)  武藤 功哉君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理)

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)           畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         滝澤 依子君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  木村 陽一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茂呂 賢吾君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          松元 照仁君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   奥田 直彦君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   蓮井 智哉君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      古金谷敏之君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     金子 容三君

  高木  啓君     中曽根康隆君

  土田  慎君     川崎ひでと君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  阿部  司君     浅川 義治君

  浅野  哲君     斎藤アレックス君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     勝目  康君

  金子 容三君     五十嵐 清君

  川崎ひでと君     土田  慎君

  中曽根康隆君     高木  啓君

  浅川 義治君     阿部  司君

  斎藤アレックス君   鈴木 義弘君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     泉田 裕彦君

  勝目  康君     本田 太郎君

  鈴木 義弘君     浅野  哲君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 官報の発行に関する法律案(内閣提出第八号)

 官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第九号)

 内閣の重要政策に関する件(経済財政政策・CPTPP等)


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、官報の発行に関する法律案及び官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理兼経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 おはようございます。自民党の鈴木英敬であります。

 質問の機会をいただきました委員長、理事始め皆さんに、心から感謝申し上げたいと思います。

 自見大臣におかれましては、たくさんの担務がおありの中、この官報電子化法案を含め、いずれの担務も丁寧かつ真摯に御対応いただきまして、心から敬意を表する次第であります。

 また、同時期に政務官もやらせていただいておりましたし、同世代でもある方が今大臣をされていること、本当にうれしく思っておりまして、引き続き、激務かと思いますが、御活躍いただきますことを心から祈念をしたいと思います。

 さて、今回は二つの視点、一つは、本法案も一つの契機として、岸田政権が進めるデジタル行財政改革や法制事務のデジタル化、これを国、地方共に更に推進していくべきということ、もう一つは、それらを進める上で必須となるセキュリティーやプライバシー対策、これに万全を期す必要があるということ、これらを中心に質問を行っていきたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 内閣府の調査によりますと、令和五年一月時点で、商業登記法など十二の法律等において、公告したことを証する書面として紙の官報を提出させている規定が存在をしていました。インターネット版官報は紙の官報と同等の権威づけがなかったことから、年間約一万四千件程度、会社等の登記申請などにおいて紙の官報が提出をされていました。

 このような状況に対しまして、経済界からの要望を踏まえ、令和五年一月の閣議了解で、紙の官報とインターネット版官報の同一性確保が徹底され、登記申請などにおいてインターネット版官報の提出が認められることとなりました。

 こうした措置は、今企業で、人手不足とか、あるいは生産性を向上していかないといけない、そういう喫緊の課題がある中で、業務改善に寄与するものであると考えております。

 そこで、その上で、改めて今回の法整備に関する意義や理由について伺います。特に、デジタル行財政改革や法制事務のデジタル化を推進する観点も含めて答弁していただきたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 法令の公布等に用いられる官報を電子化することは、法制分野のデジタル化の基盤となることを始め、我が国のデジタル化にとって象徴となる取組でございます。また、御指摘のデジタル行財政改革にも資するものと思っております。

 具体的には、官報の電子化によりまして、法令の公布等が電子的に完結をし、法令の公布等がされた時点が明確化されるということ、それから、ウェブサイトを通じまして国民がいつでもどこでも無料で官報を閲覧することが可能となります。

 また、官報の電子化によりまして、今後、機械可読なデータの提供が容易となるなど、国民の利便性向上や行政の業務効率化に資する取組が促進されることが期待されるというふうに考えております。

 以上でございます。

鈴木(英)委員 デジタル化の象徴ということでありますので、是非しっかり、それに基づいた制度設計、運用も引き続きやっていきたいと思いますし、いつでもどこでも国民が利用できるという、利便性の向上ということで、まさにこれもデジタル化において大変重要な意義であると思います。

 それでは、次の質問に行きたいと思います。

 今回の官報の電子化は、デジタル臨時行政調査会、いわゆるデジタル臨調によるデジタル規制改革の一環として取組が進められました。一方、先月、岸田総理のリーダーシップの下、行政改革やデジタル田園都市国家構想を含めたデジタル行財政改革を国、地方を通じて一体的かつ強力に推進するため、デジタル臨調自体はデジタル行財政改革会議に発展的に改組されたところであります。

 そこで、まず、官報の電子化を始め、目視あるいは常駐、専任などのアナログ規制の見直し、国会提出法案におけるデジタル原則への適合性を確認するデジタル法制審査、地方公共団体における取組の支援、テクノロジーマップ、技術カタログの整備など、これまでのデジタル臨調の取組に関する進捗について伺いたいと思います。

 あわせて、デジタル規制改革は一朝一夕に成果が出るものではなく、継続的なフォローアップが必要であると考えますが、今後、これらの取組のフォローアップは、デジタル臨調がデジタル行財政改革会議に一つ発展的に改組され、まとまったということでありますから、誰がどのように行うのか。デジタルを通じた規制や制度の改革を進めていく決意と併せて、土田政務官に答弁いただきたいと思います。

土田大臣政務官 ありがとうございます。

 先生今触れていただいたように、いわゆるデジタル臨調は、デジタル行財政改革会議の発足に伴いまして発展的に改組され、本年の十月に会議の開催根拠も廃止されたところでございます。

 それまでに、デジタル臨調では、法令等におけるアナログ規制の洗い出しと、工程表の策定を通じたアナログ規制の見直しの推進、また、新規法令等においてデジタル原則への適合性を確認するデジタル法制審査、アナログ規制とそれを代替するデジタル技術の対応関係を整理、可視化したテクノロジーマップや、アナログ規制見直しに活用できる製品、サービス情報を整理した技術カタログの公表、先生がおっしゃっていただいたとおり、取組を進めてきたところでございます。

 こうしたデジタル臨調における今までの取組、工程表に基づいたフォローアップは、引き続きデジタル庁の方で実施するところという整理になっております。

 今後も、関係省庁と協力しつつ、来年六月までにアナログ規制を一掃するために、実現に向けて取り組んでまいります。

鈴木(英)委員 土田政務官から大変力強い答弁をいただきました。

 デジタル庁でフォローアップを担っていくということでありますので、デジタル庁は非常に期待の大きい組織である一方で、体制、人員がまだまだ不足しているところもありますから、その体制整備も併せて、是非、土田政務官にはリーダーシップを取ってやっていただきたいと思いますし、来年九月にアナログ規制を一掃するんだということをおっしゃっていただきましたから、是非実現するべく、よろしくお願いしたいと思います。

土田大臣政務官 済みません、今私が、ちょっと聞きづらかったかもしれない、九月ではなくて、六月末です。

鈴木(英)委員 来年の六月ということでありました。

 それでは、次の質問に行きたいと思います。

 大事なことは、今回の法整備を契機に、現在の紙の官報を電子官報に単に置き換えるだけではなく、今後の技術革新に対応できる仕組みを構築するとともに、法制執務業務支援システム、e―LAWSとの連携等による法制事務のデジタル化自体にしっかりつなげていくことが大事であるというふうに思っていまして、それによるBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングを進めていくということが大事だと思います。

 また、法制事務のデジタル化による業務改善は、自治体の条例、規則、公報等の業務にも関連をし、地方の業務の効率化、迅速化にもつながるため、国の取組を地方に広げていくことが重要です。

 私も知事を経験させていただいていまして、条例などを作っていく法制事務は非常に手間もかかっているところでありますし、自治体の職員もどんどんどんどん定数も減っていったりしている状況でありますから、こういう地方にも広げていって、地方の業務の効率化、迅速化につなげることも大事だと思いますが、いずれも政府の見解を伺いたいと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 官報の電子化検討会議でも取りまとめられました官報電子化の基本的考え方におきましても、デジタル庁等で取り組んでいる法制事務のデジタル化との連携について御提言をいただいていると承知をしておりまして、委員の御指摘のとおり、官報の電子化を法制事務のデジタル化につなげていくこと、これは極めて重要と認識しております。

 現在、デジタル庁では、法制事務のデジタル化及び法令データの整備・利活用に関する調査・実証事業というものを実施しておりまして、この中で、法制事務の業務フローの見直しに向けた調査ですとか、新たな法制事務システムのプロトタイピングなどに取り組んでいるところでございます。官報電子化の取組とも連携をし、官報入稿の事務の効率化などを含む法制事務のデジタル化を推進したいと考えてございます。

 また、委員御指摘がございました地方自治体における条例等に関する業務の効率化、迅速化にも資するよう、引き続きでございますが、条例案の策定に関する事務のデジタル化に取り組んでおられる地方自治体と密接に意見交換などを行うとともに、例えば法制事務に関するシステムを可能な限りオープン化することなどについても検討してまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 実は、蓮井審議官は私の元上司で、経済産業省大臣官房総務課法令審査委員室で法令を詰める仕事を一緒にしておりましたので、その審議官から、今の法制事務のデジタル化、効率化というのを言っていただいたこと、大変感慨深い思いで今聞いておりましたが、是非地方に、システムのオープン化など、しっかりデジ庁もリーダーシップを取ってやっていってほしいと思います。

 それでは、次の質問に行きたいと思いますが、ここからはセキュリティーとかプライバシー保護への対応について伺いたいと思います。

 今回の法整備におきましては、暗号化等の安全性や信頼性を確実に確保する措置や、改変の有無を確認できる対応等により内閣総理大臣が作成したことを確実に示せる措置などを取ることとしています。

 そこで、私は現在、党で、牧島かれん座長の下、サイバーセキュリティーPTの事務局長を務めておりまして、特に関心を持ってお聞きするわけでありますが、まず、官報を掲載する内閣府のウェブサイトに対するサイバー攻撃からの防御策や、掲載内容に対する改変を防止するための対策について、NISC等も含めた関係省庁と連携して万全の対応を行っていくべきと考えますが、自見大臣に政府の対応をお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 官報は、国の法令や公示事項を掲載し、国民に周知させるための国の公報として重要な役割を果たすものであり、官報の発行に当たっては、委員御指摘の情報漏えいや改変を防止するための対策を十分に講じる必要があると認識しているところでございます。

 この点、現行の官報の編集及び現在国立印刷局が提供しているインターネット版官報の配信におきましては、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が策定をいたしました政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準に基づき、適切なセキュリティー機能を実装したシステムの整備、管理体制の構築等により、あらゆる脅威への対策を講じているところであります。

 官報電子化後の官報の編集及び発行におきましても、引き続き、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準に基づきまして、関係機関と連携しながら必要なサイバーセキュリティー対策を講じてまいりたいと思ってございます。

 特にでありますが、官報の改変のリスクに対応する観点からは、現行のインターネット版官報の配信において、国の認定制度に基づく電子署名及びタイムスタンプを活用することとしており、万一改変された場合にも、改変を検知して、その旨を分かりやすく表示する機能を付与しているところでございます。

 官報電子化後の官報の発行においても同様の対策を講ずることとしておりまして、今後更に先端技術を活用することも含め、万全の対応を取ってまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 自見大臣から大変心強いお言葉をいただきましたが、あらゆる脅威に対応していくんだということ、それから、電子署名とかタイムスタンプとかのことがありました。また、大事なことは、万全に、改変されないように措置を講ずるとともに、万々々が一改変された場合にどういう戦略的コミュニケーションを取るかということも、是非体制を整えていただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど自見大臣から、先端技術を活用することも含めてとおっしゃっていただきました。次の質問に関連しますので、その質問をしたいと思います。

 まさに自見大臣もおっしゃっていただいたように、先端技術、この改変技術とそれを防止するための技術は日々猛烈なスピードで進歩をしております。これらの進歩する技術動向にアンテナを高くしつつ、その動向に合わせて対策を迅速に見直し、その時点時点で最適な技術を採用していくというプロセスが必要であるというふうに考えておりますが、改変防止技術の更新、見直しの考え方についてお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、改変技術とその防止の技術は急速に進化をしておりまして、とどまることはないというふうなことで、非常に大変なことだというふうに認識をしております。

 このため、電子署名及びタイムスタンプといった改変防止の技術につきましては、柔軟かつ機動的に先端技術を活用できるようにするため、特定の技術を法律上規定することなく、内閣府令で都度都度定めるということにしてございます。

 こうした技術中立化した法制度の下で、具体的な技術について将来において適宜見直し、その時点において最適な技術を採用していく考えでございます。

鈴木(英)委員 今、原官房長がおっしゃっていただいたとおり、技術が進歩していくので技術中立的な制度にしてある、柔軟に最先端技術を取り入れるような制度に現在のうちからしてあるということを確認できたということは大変意義があると思いまして、重要な答弁をいただいたと思います。

 それでは、続いては、センシティブ情報への対応についてお聞きしたいと思います。

 官報の掲載事項には、破産公告として、破産者の氏名や住所などのセンシティブ情報も含まれています。したがって、官報のウェブサイト掲載に当たっては、個人情報への配慮を行うことが必要不可欠です。

 そこで、破産者の氏名や住所などのセンシティブ情報を、破産法が想定している公告の範囲、つまり、破産者との間で債権債務関係を有する利害関係人への告知の範囲を超えて、ネット検索などで容易かつ簡便に不特定多数の者が取得できるような結果にならないよう留意する必要があると考えますが、その対策についてお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 破産公告を始めとする官報掲載事項については、一般国民に周知させるために官報に掲載されるものでございますけれども、特に、氏名や住所等を含むプライバシー情報については、官報の電子化に伴い、インターネットの特性といたしまして、これらの情報の加工、流用や目的外利用の危険性が高まることに留意する必要があると考えてございます。

 このため、内閣府のウェブサイトで官報掲載事項を公開する上では、プライバシー情報を永続的に公開するのではなく、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間に限り公開をすること、告示、公告等の記事に含まれるプライバシー情報の拡散を抑止するため、これらの記事を画像化することで、テキスト抽出やテキスト検索を困難にすることといったプライバシー配慮のための措置を講ずるとともに、今後の技術の進展に応じた適切な対応を講ずることといたしてございます。

 プライバシーに配慮しつつ、官報が告示、公告の機能を適切に果たしていくことが重要でございます。関係省庁とも連携しながら、適切に取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(英)委員 今、画像、抽出とかテキストで、検索でできないようにするというふうにおっしゃっていました。現時点においてはそれで、そういう対応をしっかり研究して、今の技術動向でしっかりやっていただければと思いますが、その技術もどんどんどんどん、改変していく技術も進歩していきますので、その点の技術のところも、その前の御答弁いただいたことと併せてしっかり対応していっていただきたいと思います。

 次の質問です。

 破産者の住所につきましては、いわゆる破産者マップなどに利用されて、場合によっては金銭要求に至るケースなどもありました。このような、公告の趣旨、目的とは無関係に、営利目的や犯罪に利用、悪用されてしまう事態を踏まえた対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、破産法に基づき公告された個人の情報に関して、その情報を取得した者がこれをどのように扱うべきかについては、個人情報の保護に関する法律の規律するところによるものと考えております。

 この点に関し、個人情報保護委員会が、破産者等の個人情報を個人情報保護法に反して違法に取り扱っている事業者について、同法が定める罰則に抵触していることを理由に、関係捜査機関への刑事告発を行ったなどの例があるものと承知をしております。

松元政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護委員会におきましては、これまで多数の破産者等の個人情報を地図データとひもづける形で表示しておりますウェブサイトの運営者につきまして、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用しており、個人情報保護法第十九条に違反する事実があること等を理由といたしまして、同法に基づく勧告、命令、関係捜査機関への告発を行うなどの対応を行ってきているところでございます。

 当委員会といたしましては、今後とも、このような個人情報の不適正利用等の事案が発生した場合は、同法に基づき厳正に対応してまいります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 厳正に対応していくという姿勢を表明していただいたことは大変重要であると思いますが、それをしっかり確実に、かつ迅速に運用していく、被害が広がらないように早期に検知をして早期に対処していくということが重要でありますので、その点も含めて厳正に対処をこれから是非やっていっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問です。

 官報が創刊されました明治十六年と現在とでは、社会における情報伝達手段が大きく異なります。そのような中、今回の法整備は、官報の掲載内容を始めとした情報提供の在り方自体を見直すよい機会でもあると考えています。

 インターネット上に掲載された情報は、一度拡散されると半永久的にインターネット上に残される、いわゆるデジタルタトゥーとなります。

 そこで、破産者情報などプライバシーへの配慮が必要な情報に関しては、掲載内容を始めとしたそもそもの情報提供の在り方自体の見直しを行うことも考えられますが、今回の法整備を契機に、情報提供の在り方自体について、ニーズや時代的要請、技術動向を踏まえ、検証や見直しを行ってはどうかと考えますが、政府の見解を伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになるかもしれませんけれども、官報に掲載されているプライバシー情報等を含む公告につきましては、例えば、不特定多数の者に公告の内容について知らせ、権利行使の機会を与える必要がある場合など、一般に周知させる必要があることから、個別の法令の規定に基づきまして官報に掲載をしているものでございます。

 電子化後におきましても、これら公告につきましては、引き続き一般に周知させるために官報に掲載する必要がある一方で、インターネットの特性として先ほど御説明いたしましたようなことがございますので、画像化するでありますとか、期限を絞るなどということをやっておるわけでございます。

 法施行以後の情報提供の在り方に関しましては、情報を必要とする国民のニーズやプライバシー情報の拡散を防止するための技術の進歩等を踏まえまして、適時、プライバシー配慮のための措置の実効性を確認し、必要な見直しを進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 関係機関と連携の上、適切に取り組んでまいります。

鈴木(英)委員 是非、時代の要請、技術動向に合わせて不断の見直しをお願いをしたいと思います。

 それでは、最後の質問に行く前に、一点だけ海外の動向をちょっと勉強しておきたいと思います。EUのことについてお聞きしたいと思います。

 EU、フランス、ドイツなどでは、我が国より先行して官報の電子化が進められていますが、EUは、十年前の二〇一三年から官報の電子版が正本として扱われております。EUにおける官報電子化による効果と、この十年間に生じた課題などについて認識を伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えをいたします。

 EU官報につきましては、従前、紙の印刷物として発行する一方で、ウェブサイトにおいて法的効力を有しない電子版を公開していたところでございます。

 二〇一三年に、電子版のみが法的効力を有することとする旨の規則によってEU官報が電子化をされております。この電子化の目的については、電子版に法的効力を持たせることで、官報が無料で、辺境の地域も含め、全地域に同時にアクセス可能となること等が挙げられておりまして、電子化の効果として、アクセシビリティーが向上したものと考えられます。

 他方、この十年間に特段のデメリットが生じたとは認識はしておりませんけれども、二〇一三年の電子化以降、情報システムの障害により計三回、書面によって発行されているというふうに承知をしておりまして、このように、システム障害等によって電子的に発行することができない場合の対応がやはり制度上留意すべき点になるというふうに考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 アクセシビリティーが向上したということと、今おっしゃっていただいた、システムが止まったときの対応で、一応今回の法律の中にはそういうときの対応も組み込まれていますけれども、是非、そういう課題を踏まえた日本の制度運用をやっていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問に行きたいと思いますが、官報の発行を行う実施主体について、国立印刷局についてでありますけれども、現在、内閣府から国立印刷局への委託により官報の発行が行われています。

 このうち、幾つか例を申し上げますけれども、これまで国立印刷局が担ってきた業務はなかなか、誰でもできるようなものでもないものも含まれています。それぐらい難しい業務をやっていただいていると思っています。

 例えば、東日本大震災におきましては、内閣総理大臣からの緊急要請を応諾し、発災当日のうちに対策本部設置等に関する官報特別号外を緊急的に発行をしました。

 また、国連安保理におきましてアルカイダの国際テロリスト指定や資産凍結に関する決議が行われた際には、その翌日、実は令和三年の大みそかだったんですけれども、内閣府から緊急官報の発行要請があって、国立印刷局の職員が緊急参集をして、その日のうちに官報を掲載、発行し、我が国の資産凍結とかの対応を迅速かつ確実に国内外に示したと思います。

 もう一つ挙げますと、令和の元号の正式告示に当たっては、政府から事前に国立印刷局に対して関係する原稿が入稿され、掲示されるまで秘密の管理を徹底し、一切情報漏えいすることなく、定められた時間に掲示することができたという対応がなされました。

 そこで、ここまで申し上げたような事例を踏まえても、官報事務の受託者については、大規模災害対応や安全保障という点に鑑みても、緊急要請に応諾する義務、職員の守秘義務、公開前情報の取扱者を限定できる等を実行できる者であるべきと考えており、それを踏まえた委託を行うことが必要であると考えておりますが、自見大臣の見解を、政府の考え方をお伺いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 官報に関する事務は、法令の公布等の国家の根幹に関わる極めて重要な役割を果たすという官報の性質上、国の責任の下、継続的かつ正確、確実に執行されることが必要不可欠な行政活動であり、また、正確性及び確実性を担保するための高度な技術及び専門性を要するものであります。

 このため、官報の事務の委託を受ける者に必要な要件については、本法案の検討に先立つ内閣府の官報電子化検討会議におきましても、緊急事態の場合を含め、正確かつ確実に事務を行うことができること、秘密保全が徹底されることといった要件が示されており、これらのことから、具体的には国立印刷局が当該要件を満たすことが示されているところでございます。

 内閣府におきましても、こうした考え方を踏まえまして、今後も、公務員型の行政執行法人でございます国立印刷局に官報の編集等の事務を委託することを想定しており、引き続き、国立印刷局と連携して、官報を正確かつ確実に発行してまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 過去を遡れば、関東大震災のときも、印刷局が、非常にいろいろな告知を政府がするのは大変なときにも官報を発行したというような歴史もあります。

 そういう意味で、緊急時にしっかり対応できる、機能すること、私も災害の対応とかは知事のときにもやりましたけれども、緊急時に国民の皆様、県民の皆様に伝えていくこと、それを法執行していくということの重要性は非常に高いと思いますから、緊急時それから秘密保全、そういうことをしっかりできる国立印刷局などと連携して、しっかり対応していただきたいと思います。

 以上、今日はるる申し上げてまいりましたが、デジタル行財政改革を今回の法案を機にしっかり推進していくということ、それから、国、地方を合わせた法制事務のデジタル化も進めるということ、そして、特にセキュリティーを中心とした技術動向、日進月歩の技術動向に合わせてしっかり制度運用をしていただくこと、これらを求めまして、私の質問を終えたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

星野委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 先ほど鈴木委員がるる質問されておりましたが、感性が近いのか、かなりかぶっておりまして、順番を少し変えながら伺ってまいりたいということを思っております。

 ちょっと先ほどの鈴木委員の更問いみたいになってしまって恐縮なんですけれども、私も破産者情報の官報の公表についての問題意識を持っております。私も、この質問をさせていただくに当たって初めて破産者マップというものを拝見をさせていただきまして、これはさすがにやばいな、非常に問題だなということを思いました。

 大臣、ちなみに、この破産者マップは御覧になられたことはありますか。

自見国務大臣 私個人がそのサイトを見たことはございません。

中谷(一)委員 私も余り変わらなくて、今回初めて見ましたので。見て思ったことは、本当に、自分の近所の住所を登録しても、その近所の破産者の方がピンでばあっと刺さっているような状態なんですよ。そうなってしまうと、明らかにこの人、もしかしたら顔も分かってしまうかもしれないぐらい近くの人の情報が、これだけプライバシーの機微に関わるようなものでも出てしまっている現状がある。

 こうした問題を考えますと、やはりネットの時代になってから、デジタルタトゥーという話がありましたけれども、もうずっと残ってしまうので、そこまで本当に知らせなければならないのかということから考えていかなければならないと思うんです。

 先ほど参考人の方からも、技術でちょっと画像加工をして、一定の期間にしているんだという趣旨の御答弁がありましたけれども、残念ながら、グーグルドキュメントだったりとか、ちょっとOCRの技術をささっと使える人であれば、簡単にダウンロードしてテキスト化できてしまうから、ああやって破産者マップというものが非常に簡易に作られてしまう現状があるということだと思っています。

 その中で、今、政府参考人の方から、様々対策を講じられているということだったんですけれども、残念ながら是正されていないんですね、結果として。それは、海外にサーバーがあったりとか、やはり自分たちの権限が及び切らず、なかなか対応し切れていない現状がある。これはやはり各部門だけでやっていても限界があると思うので、そういう意味でいえば、大臣が各省庁との連携を図っていただいて、リーダーシップを持ってこの破産者マップに対することの是正というものを私は行っていただく必要があるんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕

自見国務大臣 御指摘のような事例があることは承知してございますが、官報の掲載事項につきましては、それぞれの所管省庁の法令の規定等に基づいて、国民に認知、周知させるために官報に掲載されるものでございますので、まずはそれぞれの所管省庁の中でしっかりと御議論を、問題意識を共有しながらしていただくということが非常に重要であろうかと思ってございます。

中谷(一)委員 それぞれの省庁ではもうやっていらっしゃるんだと思うんですね。やっていらっしゃって、もう何年もこの問題が解決をされていないという現状があるとのことです。法務委員会でもさんざん議論をされてきて、それでも何とかならない、でも何とかしなきゃいけないと思っているのはみんな一緒だと思います。

 私もサイトを見てびっくりしましたけれども、ピンを消すのに十二万円ビットコインで払ってくださいみたいなことが書いてあって、本当に、破産をするということはお金に困っている方であるはずですから、その困っている方に更に追い打ちをかけるようなこうしたものというのはしっかりと是正をしていっていただきたいと思いますので、大臣、ちょっと、せめて意気込みだけでも語っていただけませんかね。

自見国務大臣 官報の発行に当たっては、プライバシー情報を含む告示、公告等の記事を画像化することで当該記事の文字情報の自動取得を防止するなど、少なくとも、現在のインターネット版官報と同程度のプライバシー配慮のための措置を講ずることとしておりまして、さらに、今後の技術の発展に応じた実効性のある措置を講じてまいりたいと考えております。

 また、国立印刷局におきましては、現在提供している官報情報検索サービスと同様のサービスを今後も引き続き提供することが想定されておりますが、本法案で定める新たな措置といたしまして、今後の国立印刷局によるサービスの提供に際し、あらかじめ内閣総理大臣の承認を得るものとする制度を導入することとしておりまして、当該制度を通じて、官報の発行と同等のプライバシーへの配慮を確保することとしてまいりたいと考えてございます。

中谷(一)委員 総理が編集権限を最終的に持たれているということだと思いますので、そういう意味でいえば、所管法令を持たれている各大臣としっかりと連携をしていただいて、少なくとも、もう昭和の時代ではありませんから、明らかにネットの時代の中で情報の共有のされ方が変わってきている。その時代のニーズに合わせた対応をしっかりと行っていただくことを要請をさせていただきます。

 その上で、次に、同様に、機微な個人情報を扱う問題として、帰化者の住所、氏名、生年月日、こうしたものが官報において個人情報が掲載をされているという現状があります。

 諸外国の事例を少し調べさせていただきました。アメリカ、イギリスなど多くの国で、国籍取得者の個人情報を公表しているという事実は私は確認をできませんでした。

 その中で、帰化者の個人情報を公表すること、住所まで公表するということは、帰化者に対する差別につながる可能性であったりとか、それを恐れて希望者が帰化申請をためらってしまうことになるんじゃないかなと思っています。現に破産者マップのように、あれだけ簡易な形で、自分の家の周りに誰が住んでいてどうだみたいなことまでやられてしまっている現状がありますから、そういう意味でいえば、私はこれはしっかりと政府は向き合っていかなければならないと思っています。

 まず、では参考人に確認をさせていただきたいと思いますけれども、官報で帰化者の個人情報を公表する必要性、これはそもそも一体何なんでしょうか。そして、法令においては氏名、住所を含む個人情報まで公表するということは定めていないと認識をしておりますが、政府としてはなぜこのような運用を行っているのか、教えてください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 帰化制度は、公法上及び私法上のいかなる点においても、従来の外国人であった者を特定の日をもって生来の日本人と区別のない対応とするものでありまして、特に重大な法的効果を生じさせることに鑑みて、国の公報である官報に告示することにより、一律かつ明確に効力を生じさせ、周知を図ることとしております。

 仮に、一般の行政処分と同じように、帰化者に対する個別の許可通知の到達時に効力が発生するとした場合には、帰化者と連絡が取れないなど、帰化者側の都合によって帰化の効力発生日が変わることになりかねず、国籍が変わるという手続の確実性及び画一的処理が担保されないこととなります。このような観点から、帰化者を特定するために必要な情報として、帰化前の氏名、生年月日及び住所を官報で告示しているものでございます。

 また、委員御指摘のとおり、この具体的な掲載事項について法令上の直接の定めはございませんが、帰化者を特定するために必要な情報として、帰化前の氏名、生年月日、住所を掲載しておりますが、これは国籍法十条の規定の趣旨を踏まえた運用上の取扱いであるということでございます。

    〔鳩山委員長代理退席、委員長着席〕

中谷(一)委員 運用上の取扱いということで、やはり時代が変わってきていますから、この辺りも柔軟な対応が必要なんじゃないかということを思っております。

 その中で、官報で公表することで、帰化者の方がいつから自分が日本国籍を取得をしたのかということがしっかりと分かるということの利益は、一定理解が理屈としてはできるんですけれども、帰化者の個人情報を住所まで含めて官報に公表することで、国民全体的な何か利益があるとお考えなんですか。それとも、それは特段ないとお考えですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、帰化制度は、特に重大な法的効果を生じさせるものであることに鑑みて、一律かつ明確に周知を図る目的で官報に告示するとしております。これによって、帰化した者を特定するために必要な情報について、官報の閲覧によって、帰化者以外の国民一般もこれを広く知ることができるようになります。

 帰化者以外の方々が実際にどのような用途、目的で帰化に関する官報を確認しているのかについて、法務省として詳細に承知してはおりませんが、例えば、弁護士が相続関係の調査の中で消息不明の相続人が帰化者であることを把握した場合に、官報によって帰化者を特定した上で、弁護士法に基づき、法務省に対し帰化に関する記録の情報開示を求めて照会する例があるものと承知をしているところでございます。

中谷(一)委員 今の事例の御紹介をいただきましたけれども、それは住所を公表する必要まではなくて、氏名であったりとか、例えば、今マイナンバーが普及をしている時代ですから、当然、日本に住所を持たれている方であれば、マイナンバーは取得をできます。例えば、そうしたマイナンバーを調べることであったりとか、あとは外国人登録番号で代替することというのは運用上可能だと思いますが、参考人、いかがですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 第三者が特定の方について帰化されたかどうかを調べるときには、その第三者にとって、在留カード番号などは分かりませんので、やはり、基本的なその特定の方に関する事項として、帰化前の氏名、生年月日、住所、こちらが必要になるものというふうに考えております。

中谷(一)委員 それは、国民の利益として、住所まで知ることが法務省は今の時代になっても必要だとお考えだということでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、具体的な事案において、官報に掲載された帰化に関する情報、これを調べる例があるということは申し上げたとおりでございます。

 これが国民一般的な問題なのかという点につきますと、なかなか難しい問題であると思いますが、先ほど申し上げたような現実の取扱いを踏まえますと、今後の取扱いとしては、引き続き帰化者の氏名等を官報に掲載することを考えており、委員御指摘のとおり、プライバシーへの配慮について、難しい問題であると認識しております。

 今後は、プライバシー配慮のための適切な措置が、先ほど自見大臣からの御答弁にもあったとおり講じられるものと承知をしておりまして、法務省としても、この法案が成立した場合には、その施行に向けて引き続き状況の推移を注視してまいりたいと考えているところでございます。

中谷(一)委員 これは総括して大臣に質問させていただきたいと思うんですけれども、本件について、官報電子化の基本的な考え方等に関するパブコメの中で、官報の電子化に伴ってプライバシー保護の必要性は更に高まるわけですので、ヘイトクライムに用いられかねない住所などの情報の記載をやめて、帰化前の氏名と外国人登録番号で代替するなど、配慮について是非御検討いただければと思いますという意見が寄せられています。

 今の時代、マイナンバーもできてきていますし、いろいろな手段で個人の特定というものは政府の中ではできる状態が進んでいる状況において、やはり、プライバシーの配慮とのバランスというものを考えた際に、私は、少なくとも、住所まで公開して、また第二次破産者マップのような被害が起こらないうちに、しっかりと対応をむしろされた方がいいんじゃないかなということを思っているんですけれども、官報デジタル化の担当大臣として、この問題をどのように是正をされていくお考えであるのか、教えてください。

自見国務大臣 委員御指摘のとおり、官報の発行に当たっては、プライバシーに配慮しつつ、官報による告示、また公示等の機能を適切に果たしていくことが重要だ、この両方のバランスが非常に重要だという認識を持ってございます。

 特に、帰化の公示等に掲載されている氏名や住所等のプライバシー情報につきましては、官報の電子化に伴って、インターネットの特性として、これらの情報の加工や流通や目的外利用の危険性が高まることに留意する必要があると考えてございます。

 各省庁が所管をいたします法令の規定に基づき官報に掲載している記事におきまして、具体的にどのような情報を掲載するかについては、当該法令の趣旨等を踏まえまして、所管省庁において判断されるべき事項であると考えてございます。

 その上で、官報の編集及び発行の権限を有する内閣府といたしましても、所管省庁との調整を通じて、官報の有する、さっき、冒頭申し上げました二つの機能でございますが、それを十分に果たしていくことができるよう、今後とも不断の改善を図ってまいりたいと思ってございます。

中谷(一)委員 それは、大臣が是正に対してしっかりと汗をかいていただけるという理解でよろしいでしょうか。

自見国務大臣 ありがとうございます。

 プライバシーに配慮するという大きな機能と、また、告示等の機能を適切に、あるいは官報による告示、そして公示等の機能を十分に果たしていくことが重要、この二つのバランスをしっかり果たしていく役割を担っていると承知しております。

中谷(一)委員 しっかり取組を進めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、官報と万博についてというテーマで伺わせていただきたいと思います。

 官報と万博の関係を振り返りますと、一八九四年にシカゴ万国博覧会の受賞者発表、これが官報で行われるなど、歴史的にも紙面が果たしてきた役割というものがございます。

 しかしながら、大きな資金が動く事業には、汚職などの問題が起こってきたという負の歴史があるわけであります。例えば、昨今に関して、官報に関して言えば、国立印刷局が発注する官報用紙の入札において業者が談合を繰り返していた疑いがあるとして、本年四月に公正取引委員会が立入検査をしたということが報じられました。

 また、巨額の資金が動く国際的なイベントでは、誘致やスポンサー選定等に絡む汚職などの不祥事が事件として多く取り沙汰されています。

 二〇一五年、イタリアのミラノ万博では、開幕前に政治家や企業経営者、万博の調達責任者らが汚職や談合の容疑で逮捕されています。さらには、開幕後に、マフィア傘下企業がパビリオンや下水道を含む会場建設に関与していたことが判明し、マネーロンダリングや脱税等でも逮捕者が出たとのことです。そして、日本においても、恥ずかしいことに、東京オリンピック・パラリンピックにおける入札談合事件など、一連の不祥事がありました。

 そうした中で、万博協会では、コンプライアンス規定を整備して対策を強化しているとのことですが、会場建設費二千三百五十億円を丸のみしている現状を見ていますと、やはり心配になりますので、大臣に伺わせていただきたいと思いますが、例えば異常に高い単価で発注してしまっているものがないかなど、責任を持って費用の精査を行って、汚職が起こらない体制整備の構築を大臣がしっかりとリーダーシップを持って行っていただいているという認識でよろしいでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博においても、不正事案が発生しないよう、しっかりと対応することが当然だと考えてございます。政府としては、引き続き、関係法規を遵守するとともに、経産省と連携し、博覧会協会においてもコンプライアンスが徹底されるように管理監督を行っていく所存でございます。

 なおでありますが、御心配いただいておりますが、博覧会協会の役員及び職員でございますが、東京オリンピックでも措置された制度と同様でありますが、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」と規定をされておりまして、いわゆるみなし公務員となってございます。協会の役員及び職員には刑法の収賄罪等の適用がございまして、博覧会協会においてもコンプライアンス規定を整備しているものと承知してございますので、こういったことがないように、改めてでありますが、しっかりと徹底してやっていきたいと思ってございます。

中谷(一)委員 それでは、今いろいろ、るるお話をいただいたんですけれども、大阪・関西万博においては不祥事を起こさない、しっかりと取組を行っていただけるとお約束をしていただけますか。

自見国務大臣 私の責任の下で、しっかりと、コンプライアンスの徹底は、再度あるいは幾度も、機会を捉えて働きかけをしてまいりたいと思ってございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 それでは、私からも、今、取組を行っていただけるということだったんですが、精査をさせていただきたいと思います。やはり、様々なことが丼勘定になってはいけませんから、私自身は、定性的な評価、定量的な評価、両面重要だということを思っておりまして、その中で、目標指標の確認から行わせていただきたいということを思っているんです。

 大阪・関西万博の定性的な目標は、基本計画に開催意義として記載をされていますけれども、「いのち輝く未来社会へ」、「SDGs達成・SDGs+beyondへの飛躍の機会」、「Society5.0実現に向けた実証の機会」であるということを、博覧会推進本部事務局から事前のレクで教えていただきました。

 その中でなんですけれども、大阪・関西万博では、百五十の国及び二十五の国際機関の参加を目指し、二千八百二十万人の入場者を想定しているとのことですが、そもそも、大阪・関西万博における定量的な指標、例えばKGI、重要目標達成指標であったりとか、KPI、重要評価指標であったりとか、あと、これらの定性的な指標になりますKSF、重要成功要因など、こういったものの詳細については示されておりませんので、大臣はこれをどのように考えられているのか、教えてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 二〇二〇年十二月に博覧会協会が策定をいたしました大阪・関西万博基本計画におきましては、来場予定者数につきまして約二千八百二十万人を想定するということですとか、あるいは万博に参加する国、機関について、百五十か国、二十五の国際機関を目指すといった定量的な数字をお示ししたところでございますが、それが達成されたか否かをもって、博覧会、万博の成功したかあるいは失敗したかといったものを判断するものではございません。

 万博の意義が、見せる万博から、参加あるいは体験、そして行動変容、行動するという万博へ、時代とともに変化してございます。

 二〇二五年に開催をされます大阪・関西万博は、新型コロナ、インフルエンザ感染症の後の、世界中の人々が参加をして、新たな技術、サービス及びシステムの社会実装に向けた未来社会の実験場ということを実現をし、人類が直面する課題の解決に向けて、まさに未来を開く契機となることを目指してございます。

中谷(一)委員 確認ですが、それでは、定量的な指標、いわゆるKGIやKPIはないという理解でよろしいですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮ですが、一定の数値目標を掲げて、それが達成されたかどうかをもって、万博の成功ですとか失敗ですとか、そういったことを判断するものではないということでございます。

中谷(一)委員 定量的な目標はないと理解をしました。

 その上で、定性的な目標について語っていただいたわけなんですけれども、それでも、経済波及効果、こうしたものが経産省の資料の中で示されていたりとか、やはり、数値の部分を万博協会としても政府としても説明されることというのは現実としてあると思うんですよ。

 その中で、大阪・関西万博において、経済波及効果は重要視していますか、していませんか。教えてください。

自見国務大臣 大変重要なものだと、当然ながら思っているところでございます。

 大阪・関西万博の経済波及効果は、二〇一六年、経済産業省において、万博により増加する支出を基に、産業連関表を用いて試算を行った結果、約二兆円と見込んでいるところでございます。

中谷(一)委員 私もその二兆円の資料を拝見をさせていただいたんですけれども、インプットの数字が、もう七年前ですから、相当古いんですね。建設費用も、一千二百五十億円のときの、初期のもので計算をされていますから。

 もう七年もたった今、やはり、しっかり政府としても、もし重要な指標だとお考えになられているのであれば、今の時点で再計算をして、政府としての経済波及効果としてはこれですということを示した方が、国民の皆さんにとっても理解しやすい指標の一つになるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 経済波及効果につきましては、当時でありますが、二〇一六年に、開催国として立候補するに当たりまして、万博で体験できるコンテンツが具体化していない中において、万博開催のメリットをお示しする目的で試算したものでございます。

 開催が決まりまして、準備を今進めている現段階におきましては、万博の意義や具体的なコンテンツを発信していくことが非常に重要な時期だと考えてございまして、現時点におきましては、経済波及効果を試算する予定にはございません。

 なお、事後評価の観点で、会期終了後に経済波及効果を測定する予定はございます。

中谷(一)委員 事後評価をされるということなんですが、それはいつされる想定なんですか。

自見国務大臣 事後の具体的な時期について今お答えすることはできませんが、二〇二五年の四月から約半年間開催される万博でございまして、その終わった後も幾つかのイベント等がございますので、しかるべき時期にということで御理解いただければと思います。

中谷(一)委員 今、経済波及効果が二兆円だとか二兆八千億円だとか、いろいろなことをいろいろなところで言う人がいるんですけれども、実際、多分、会場建設費が二千三百五十億円になってから再計算された事例というのは私は見たことがないんですよ。

 そういう意味でいえば、国民の皆さんが、これだけの国費を使って開催される事業の中で、必要性を感じていないという方が世論調査でも非常に多くなっている現状を踏まえれば、私は、今、政府がちゃんと責任を持って計算をして、国民の皆さんに、これだけの意味があるんですよということを示していただくことが、むしろ政府にとっても、開催する方にとっても重要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 現在は、時期といたしましては準備を進めている段階でございますので、万博の意義や具体的なコンテンツを発信していくことが重要だというふうには考えている時期ではございますが、経済波及効果自体をしっかりとお示しをしていくということについての問題意識は共有するところでございます。

中谷(一)委員 要するに、国民からすると、二千三百五十億円のうち千五百六十七億円は、国だったり大阪府市のまさに補助金、税金なわけですよ。それにプラスアルファで警備費だったりとか広報費だったりとか、今いろいろなことを言われていますけれども、ここまでのお金を使って、一千五百六十七億円プラスアルファのお金を使って、私たちに何のメリットがあるのか、何のベネフィットがあるかが分からないから、みんな怒って、今、大臣たちを含めて、みんなに意見をさせていただいているんです。

 では、大臣の考える、国民の、私たちに得られる、一人一人に得られるベネフィットというのは一体何なんでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 経済波及効果については先ほど来申し上げたとおりでございますが、大阪・関西万博の意義というものは、改めてでありますが、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマ、及びそのテーマの下で、様々な文化交流ですとか、価値観というものを持ち寄りながら半年間交流をしていくということ、あるいは未来社会への共創ということ自体にあるというふうに考えているところでございます。

 委員の問題意識については十分受け止めさせていただきます。

中谷(一)委員 コストの問題、みんな非常に過敏に感じていると思います。

 今話題の三百五十億円の大屋根、リング、これに関しても、東京ドームを造れるぐらいの予算をかけているということで非常に話題になってしまっているんですけれども、今、これは万博のシンボルどころか無駄遣いのシンボルになってしまっている。

 こうした現状がある中で、今出てきた話ですけれども、大屋根、リングを現地で保存したり、移設して保存をするといったような話が報道で出ていますけれども、そもそもこれも事実でしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 報道が出ていること自体は承知をしてございますが、その後、その大屋根をどのように活用していくのかといったところは、リユースといった観点からも様々な提案等を受けるという段階になっていると承知してございまして、何か具体的なことがしっかりと決まった段階にはないという理解でございます。

中谷(一)委員 これで最後にさせていただきたいと思いますけれども、自見大臣、コスト削減は言うまでもないということをおっしゃっていました。

 その中で、今、明石の元市長の泉さんであったりとか大阪の元市長の橋下さんが、万博についてテレビやSNSで熱心に議論を繰り広げられています。その中で、泉さんのようなコスト削減に手腕を持つ方に、むしろ私は協会の役員に入っていただいて、一緒にコスト削減をやっていただいた方がいいんじゃないかなということを思うんですけれども、協会の役員は社員の総会の決議で選任できるそうでありますから、政府からこうしたコスト削減の手腕を持つ方を協会の役員に推薦していただいて、具体的なコスト削減を目標を示しながら行っていただけませんか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博の会場建設につきましては、協会財務部を中心に建設費の精査を行うとともに、大阪府、大阪市等より出向していただいております建築、土木、そして設備等の経験を豊富に有する技術職員が中心となって、博覧会協会、施工事業者、あるいはプロジェクトマネジメントの支援事業者の三者におきまして週一回の定例会議も実施しつつ、全体の総合工程の管理や、コストを含めた課題整理と調整のための議論を熱心に行っていただいているところでございます。

 その上で、委員から御指摘いただきましたけれども、政府といたしましても、万博の準備を円滑に進めていくために、今年九月になりますが、関係省庁の人員を派遣をいたしまして、協会の体制を抜本強化したところでございます。

 今後も、委員御指摘のコストダウンの観点も含めまして、協会において適切な運営が実施されるように、引き続き、協会の指導と監督を行ってまいりたいと思ってございます。

中谷(一)委員 時間が参りましたので、終わります。

 御丁寧に対応いただきまして、ありがとうございました。

星野委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 おはようございます。東京都練馬区から参りました、立憲民主党の山岸一生です。

 自見大臣、今日はよろしくお願いいたします。

 早速なんでございますけれども、お手元に資料の一というのをお配りをしております。ネットで御覧の国民の皆さんは、私のXにポストしてありますので、是非御覧ください。

 手書きの一枚紙なんでございますけれども、「官報號外」と書いてあって、何か下書きかなと思うんですけれども、実はこれ、正本といいますか、これが本物の官報でございます。こんなことがあったんだなと思うわけなんですけれども、自見大臣、何でこんな、手書きの、下書きみたいなメモが官報の正本になっていたのか、多分、研究されて、御覧じゃないかなと思うんですけれども、これは何だかお分かりになりますか。

 もし分からなければ、ヒントじゃないですけれども、「官報號外」の下に書いてあります「大正十二年九月二日」、ちょうど今から百年前に出た官報なんでございます。何があったかなというのを御記憶でございましょうか。

星野委員長 原官房長。

山岸委員 いや、いいです。別にクイズをしたいわけじゃなくて、官報の歴史に対する大臣の造詣の一端をちょっと御披露いただきたかったのではございますけれども、残念ではございます。

 これは、関東大震災のときの官報号外でございます。今回、官報法の質疑でございますので、こういった官報百四十年の歴史ということに対して、やはり大臣からも御見識があればよかったなと思うんですけれども、残念でございます。

 何かといいますと、関東大震災のときは印刷局が被災をいたしまして、いわゆる印刷機も全部壊れてしまったという中でも、手書きでガリ版刷りの官報を発行し、焼け跡に掲示をして告示をした、こういうことがございました。物価統制であるとか戒厳令であるとか内閣の人事、こういったものを全部貼って回って、告示という大事な機能を果たした、こういうことがあったわけなんでございます。

 私は、今回、法案の審議に際して印刷局の方とヒアリングさせてもらったときに、印刷局の方が一番、ある意味誇らしげにおっしゃっていたのがこのエピソードでございまして、どんなときでも官報は休むことなく発行してきたんですというお話でございました。

 改めて思ったわけなんですけれども、やはり、官報というのは淡々と発行し続けることに意義がある。何か別に面白いものである必要もないし、変わったことも必要なくて、毎日毎日変わらず発行され続けるということが非常に大事なわけでございます。

 もちろん、何も起こらないことが一番なんでございますけれども、しかし、今回、デジタル化ということの中で、当然、システムトラブルとか緊急時ということが想定をされると思うんですけれども、もちろん、ないにこしたことはございませんけれども、大臣、万が一トラブルがあった場合の代替措置ということはどういうふうに規定をしているんでしょうか。教えてもらえますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような事案、システムトラブルが生じた場合には、あらかじめその旨を公表した上で、官報掲載事項を記載した書面を掲示することにより、当該書面を官報として、すなわち書面官報として発行することができる制度をこの法案の中で設けることとしてございます。

 なお、書面官報を発行したときは、より広く国民に周知をするため、一定期間継続して掲示するとともに、掲示した後、直ちに書面官報を頒布するということを予定しております。

山岸委員 デジタル官報にトラブルがあった場合は紙を発行するということでございます。

 もちろん、それはないにこしたことはないんですけれども、一定程度やはり現実的に起こり得るんじゃないかというのが、この間、私も幾つか調べてみて、中央省庁のホームページ等がトラブルやサイバー攻撃等によって一定期間閲覧できなくなるということは間々起きていると承知をしております。

 今日はNISCにお越しいただいていますので、ちょっと御答弁、事例の御紹介をお願いしたいんですけれども、直近で、官庁のホームページが一定の時間にわたって閲覧できなくなるというようなケースというのは、どんなふうな場合があって何時間ぐらい継続したのか、幾つか御紹介いただけますか。

中溝政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からお尋ねがありました中央省庁のホームページが閲覧できなくなった事例、最近の事例について申し上げますと、原因はサイバー攻撃に限らず様々ではありますが、例えば、法務省のホームページで、令和五年五月八日から九日にかけて断続的に閲覧しづらい状態が発生した事案でございますとか、内閣サイバーセキュリティセンターのホームページが、令和五年九月二十七日に三時間程度正常に閲覧できない障害が発生した事案等について承知してございます。

山岸委員 ありがとうございます。

 数時間から数日ということが、頻繁とまでは言いませんけれども、一定起きているわけでございます。

 そうしますと、やはり、デジタルと紙の場合との一つの違いとして、バッファーがないという問題があります。紙の官報の場合は、いわば前の日に入稿して、印刷しておいて、配送しておいて、あとは八時半に貼るだけだよというふうな状況なので、途中、若干トラブルがあっても何とか間に合うということができるわけなんですけれども、デジタル官報になりますと、例えば、八時半に発行しようと思ったんだけれども、八時二十五分にサーバーがダウンしましたとなっちゃったら、八時半に発行できないということがやはり起こり得るということを想定をしておく必要があるんだろうというふうに思います。

 その場合に、紙を代替的に掲示をするということなんですけれども、この具体的な運用、確認をお願いしたいんです。法案には、内閣府の掲示場に紙を貼ると書いてあるんですけれども、具体的にはどのような場所に掲示をすることを想定しているのか、教えてもらえますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 現在、官報の発行において、官報は、国立印刷局の本局、港区虎ノ門に掲示をされております。令和六年度に国立印刷局本局は近接する場所に移転をする予定でございますけれども、引き続き、本法案の施行までの間、この移転先の場所にある掲示場に官報を掲示する予定でございます。

 本法案の施行後、通信障害等が生じた場合の書面官報の発行においては、内閣府の掲示場、すなわち内閣府が管理する場所に書面官報を掲示することとしており、その具体的な場所は、今後、内閣府令で定めることにしております。

 この点に関しまして、これまで、国立印刷局の本局、港区虎ノ門の掲示場が長年にわたり国民に定着したことを踏まえれば、今後詳細を国立印刷局とも調整する必要がございますけれども、現時点において、書面官報の具体的な掲示場所としては、引き続き国立印刷局本局の掲示場を活用することを想定をしております。

山岸委員 一つ先の質問まで御回答いただきまして、ありがとうございます。

 来年度移転するわけですよね。移転先においてもしっかり場所を確保するという御答弁をいただきまして、ありがとうございます。やはり、いついかなるときでも発行をして周知をするということが官報の大事な機能ですので、何か、移転後に誰も目に触れないような裏庭に掲示場がひっそりあるということではやはり困るわけでございまして、しっかりした場所を確保いただきたいということはお願いを申し上げておきたいと思います。

 こうした官報の特殊性ということを踏まえた上で、先ほどの鈴木議員の質問とかぶりますので一つ飛ばしますけれども、発行先はこれからも国立印刷局に委ねることを想定しているという大臣からの御答弁がございました。それはそれで一つの方向として結構だなと思う一方で、是非確認しておきたいのが、実は、今回のこの法案というのは印刷局の実務に対して何か新しい影響を及ぼすものではないということなんでございます。今回の法案自体は、デジタルで発行しますという、いわば定義の整理といいましょうか、概念の整理を行ったものであって、具体的に印刷局で行っている編集実務においては何らこの法案自体は影響しないわけなんでございます。原稿を入稿して編集して印刷して発行して配送する、こういう一連の動きには今後も変わりはないわけなんでございます。

 では、その印刷局の事務というのは今どうなっているのかと見ますと、売上げを教えていただきました。官報等事業の売上げというのは、年間百八億円だそうでございます。その内訳を見ますと、製品の売上高が三十五億円、他方で、公告料収入が七十三億円ということで、大体、七、三ぐらいで公告の方の比率が高いんでございますね。

 これは結構特殊といいましょうか、僕は新聞記者をやっていましたけれども、新聞社でも広告と新聞紙の売上げというのは、大体六、四とか五、五ぐらいでして、官報事業においては公告収入というものの重要性が非常に高いということが言えるんだと思います。今後も、官報のユニバーサルサービスを支える上では、公告という収入源というものが非常に重要なわけでございます。

 そこで、大臣にお伺いしたいんでございますけれども、今回のこの法改正に伴って、公告料というものは何か変化があるのかということなんですね。デジタル化するんだから、コストが下がるんだから安くなるだろうみたいな議論もあり得ると思うんだけれども、ただ、今申し上げたように、今回の法案自体は印刷局の実務に何ら変更を及ぼすものではないので、急に何か安くなるということはないわけなんでございます。

 その点で、今後、公告料というものをどういうふうに考えているのか。現状維持をしていくのか、あるいは値下げということを考えていくのか、この辺の政府の考えを教えてください。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 官報に記事を掲載する際の公告料につきましては、これまで、独立採算で運営する国立印刷局が、編集作業に必要なシステムの費用を含め、安定的に官報の業務を行うために必要な額を徴収してきており、また、公告料の一部については、官報販売所等が公告の取次ぎを行うために必要な手数料として納められているものと承知をしているところでございます。

 官報の電子化後におきましては、まずは、官報の発行を安定的に行うための基盤を確保するとともに、機械可読なデータの提供を始め、様々な利便性の向上を図る必要があることからも、引き続き、現在と同様に所要の額を徴収する必要があると考えてございます。

 また、現在、官報の業務に関する内閣府と国立印刷局の委託契約におきまして、公告料の設定又は改定に当たっては内閣府の承認を得ることとされておりますが、今後も、内閣府と国立印刷局において委託契約を締結する場合には、同様に承認制とすることが適当であると考えてございます。

 いずれにせよ、詳細については、今後、国立印刷局と調整してまいりたいと思います。

山岸委員 大臣、明快な御答弁ありがとうございます。公告料は今後も同様にということでございますので。

 もちろん、デジタル化に伴って、いろいろなコストが減っていったり、あるいは利用者の利便性が向上する、これは非常に大事なことで、目指すべき方向だろうと私も思います。しかし、申し上げたように、今回の法案によって印刷局の編集実務が何か急に軽量化するわけでは全くないわけでございまして、ここは引き続き、国と印刷局とで経営状況をよく考えながら、過度なコストカットありきではないという前提でしっかり取り組んでもらいたいということをお願いさせていただきまして、次の話題に移らせていただきます。

 私は今、大阪・関西万博のことをよく調べておるんですけれども、実は、官報は非常に便利でございまして、官報にいろいろな工事の入札情報というのは全部出ているんですよね。例えば、直近ですと、日本館の発注情報なんて全部官報に書いてありまして、金額だけじゃなくて、細かい要件、これは、週休二日、しっかりやってねみたいな、そういうふうなことまで全部官報に書いてあるわけで、やはり官報は非常に重要だなと思って調べている中で、一つ、自見大臣の当委員会におきます先頃の万博に関しての御答弁に関して、是非確認をお願いしたいということがありますので、お伺いしたいと思います。リングの問題でございます。

 大臣は、日よけ、雨よけ、熱中症対策ということをせんだっての当委員会での答弁で御強調しておられました。世界最大の日傘、世界で一番高い日傘だということなんでございますけれども、ここに関連しまして、このリングといいますのは円状になっておりますが、そのうち、一定の部分が海上部分にせり出す仕組みになっております。ここは、海上ですから、当然、リングの上の部分の遊歩道はございますけれども、地上部分には歩ける場所はないと理解をしております。

 大臣、この海上部分にも日よけ、雨よけとしての機能というのは果たしてあるんでしょうか。いかがですか。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 まずはリングについてでありますが、「多様でありながら、ひとつ」という大阪・関西万博の理念を表すものでございます。リングの屋上からは海と空に囲まれた万博会場の魅力を楽しむことができ、かつ、木造で、再利用することを想定しておりますサステナビリティーの象徴でもあり、万博会場に欠かせない建築物として認識をしております。

 また、昨日お話をいたしましたように、リングには様々な機能がございます。その例といたしまして、熱中症対策としての日をよける効果ですとか、あるいは来場者の方々の動線、あるいはたまっていただくような停留スペース、たまり場ですね、停留スペースなど、様々な機能があるということも申し上げたとおりでございます。

 そして、そのリングの日よけ、雨よけに対する定量的な、お話しの効果測定は非常に難しいものがございますが、幅が三十メーターございまして、全長は約二キロの……(山岸委員「海上の話を聞いています」と呼ぶ)はい、この後、続きます。二キロの世界最大級の木造建設となっておりまして、その下を来場者が回遊できる構造となっておりまして、そういった観点からも、日よけ、雨よけということは申し上げたとおりでございます。

 また、お尋ねのところでございますが、海上部分でございますが、ここについては、会場の東西というものをつないでおりますので、多くの来場者が円滑に移動できるための複数の動線の一つとしての役割を果たすものでございます。繰り返しになって恐縮ですが、様々な機能を持っているということの一つに動線ということもあるものでございます。

 なお、会場コンセプトであるつながりというものを体現しているものでございますので、リングとしての形状は維持をしてまいりたいと考えてございます。

山岸委員 少なくとも、日よけ、雨よけの機能は海上部分はないということはお認めいただいたんだろうというふうに理解します。

 動線機能があるということなんだけれども、私はイメージ図を見たんですけれども、そんなに幅広くないと思うんですよね。多分、私と今の大臣ぐらいの幅の、ささやかな遊歩道というのが恐らく実態ではないかなというふうに思います。屋上部分、いわゆるスカイウォークのところですね。

 これは動線としても不十分じゃないかなと思うんですけれども、ここで本当に何万人もの方が行き来をするという想定になっているんですか。大臣、いかがですか。

自見国務大臣 済みません、先ほど御答弁申し上げたので、やや繰り返しになって大変恐縮でございますが、幅は三十メーターでございます。幅でございます。

山岸委員 それは構造物全体の幅でございまして、スカイウォークの幅のことを今申し上げたんだけれども、大臣、お手元にないようなら結構でございます。

 今日、私は、御提案でございまして、この海上部分、先ほど申し上げたように、日よけ、雨よけの機能はない、動線としても非常に細い通路であるということで、ここの部分だけ取りやめたらどうかなという御提案をしたいんでございます。

 先ほど大臣から、リングの形状は維持をしておきたいという話があったんでございますけれども、ここだけやめるということは実務的に可能なんじゃないでしょうか。大臣、御提案はいかがですか。

茂木政府参考人 まず、上部構造の遊歩道でございますけれども、御指摘のとおり、全体幅三十メートルにわたって遊歩道があるわけではありません。ただ、二層になっておりまして、下層の方は約六メートルほどの幅がありまして、上層の方は約三メートルほどの幅があります。

 そういう意味では、二層の遊歩道が上部構造を貫くという形になりますので、こうした動線の効果というのが、もちろん地上をもって移動する場合もありますし、こうした上の部分に上って移動する場合もございますので、両方の効果を私どもは期待しているというところでございます。

山岸委員 大臣、海上部分の取りやめというのは選択肢として取り得ないんでしょうか。ここだけすぱっとやめて、いわば三日月状のリング、これも非常にまた、それはそれでシンボリックじゃないかなと思いますけれども、こういう発想というのは、大臣、お持ちじゃございませんか。

自見国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、海上部分のリングのことでございますが、東西をつなぐという非常に重要な役割を果たしてございますので、動線としての役割も期待してございます。なお、つながりということを体現しておりますので、リングとしての形状を維持していきたいと思ってございます。

山岸委員 じゃ、この話はこれ以上伺っても、見直しはしないということだと思いますので、私から提言だけ申し上げます。

 お手元に資料二をお配りしておりますけれども、万博のリングというのは三つの工区に分かれております。お手元の資料でいうと黄色とオレンジと青、三つに分かれていまして、海上部分はこのうち南東工区、青の工区なんでございますね。したがって、ここだけ取りやめるんであれば、いわば、ほかの二つの工区には影響は極めて限定的であって、一つのJVに頭を下げれば実行可能なオプションでございます。

 しかも、私はこの間、これを事務局にお聞きしましたらば、陸上部と海上部の比率は何割かと聞いたら、ちょうど三対七という話でございまして、海上部が三割なんでございます。なので、ここだけすぱっとやめれば三割カット、三百五十億円で百億円カットということが実現可能な話だろうと思っておりまして、これからコストの議論をしていくんであれば、これぐらい分かりやすい、海の部分三割ぱかっと削って百億円安くしますというぐらいの分かりやすいコストカットということを検討してみてもいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、当然、やると言えないのは分かりますけれども、こういったことも含めてコストカットは分かりやすく大胆に検討していくと、これぐらいのお考えだけでも表明いただけないでしょうか。いかがですか。

自見国務大臣 全体の見直しの中で、この度、百五十七億円を削減をしていただいております。

 お尋ねのリングでございますが、会場コンセプトであるつながりを体現していることから、リングとしての形状は維持をしていきたいと思ってございます。

山岸委員 残念でございます。

 じゃ、そのリング、これから造っていく中でなんですけれども、暑さの対策になるんだという御説明でございました。ただ、これは何も設備がなければ、単に屋根があるだけだったら、むしろ、温室じゃないですけれども、暑さは変わらないわけでございまして、当然、扇風機とかミスト発生装置、こういったものの設置ということが必要になってくるんだろうと思いますが、現時点において、このリングの中の暑さ対策のいろいろな機材というものはどういうふうなことを、設置を予定しているのか、教えてもらえますか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 リングの下での休憩用といたしまして、ベンチの設置を検討しているところでございます。

 また、暑さ対策といたしまして、ほかにも、企業に協賛していただくことにより、ミストシャワー、給水機、マイボトルの洗浄機、あるいは自動販売機などの設置に向けましての検討を行っているところでございます。

 委員御指摘、御提案いただいておりますミストシャワーでございますが、申し上げたとおり導入を予定してございます。

山岸委員 ミストシャワーはあるということなんですけれども、それだけで十分なのかなと。扇風機、さっきお聞きしたんだけれどもお答えなかったようでございまして。

 資料の三におつけしているんですけれども、新国立競技場、オリンピックのときですね。このとき、オリパラのときの新国立競技場には、これも非常に暑さが問題でございまして、私は当時、新聞記者でこの見直し問題を取材していましたけれども、コストを安くするために冷房をつけなかったということで、どうするんだという話になって、ミストシャワーに加えて気流創出ファンというものをつけたわけでございます。これは一周ぐるっと、百八十五台だったかと思いますけれども、大量に扇風機をつけて何とかしのいだわけでございまして、この万博のリングもミストだけで大丈夫かしらと思うわけなんでございますけれども、扇風機というのはつける御予定はございませんか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 暑熱対策については、当然様々な機器について現在検討をしています。

 今具体的にこういう機器ということは申し上げられないですが、企業からの御協賛も検討しながら、具体的な機器については今後整理をしていきたいというふうに考えております。

山岸委員 これから追加で考えるということなんですが、大臣、その費用はどこに計上されていますか。このリングの三百五十億円の中に含まれているんでしょうか。それとも、今お話があったように、全部どこかから寄附でもらうということを想定しているのか。この追加の暑さ対策の設備の費用について教えてください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 様々な対策に使います機具あるいはその他物品につきましては、現在、企業の協賛を得る努力をしているもの、あるいは整ったもの等がございますので、一概に建設費の中に計上しているかどうかということについてのお答えができる段階ではございませんので、差し控えさせていただきます。

山岸委員 そうしますと、一定、企業から協賛という名前、本当に自主的な協賛なのかどうなのか分かりませんけれども、協賛をしてもらう。ただ、追加で、やはり購入しなければいけないというものも当然出てくるという想定なんだろうと思いますが、じゃ、その費用というのは、今の二千三百五十の中に何か、暑さ対策費用みたいなものは計上されているんでしょうか。それとも、これから更に新規で何か必要になってくる可能性も排除できない、こういうことでよろしいですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 熱中症対策は非常にまず重要だと考えてございます。御案内のとおり、熱中症は毎年千人以上の方がお亡くなりになります。そして、四万人から五万人が救急搬送されておりまして、その八割が高齢者となっているものでございますので、万全を期す考えでございますが、委員申し上げていただいた様々な対策は、ありとあらゆるものの中に練り込まれているものもございますので、一概にお答えすることは、現時点ではコメントを差し控えさせていただきます。

山岸委員 そうしますと、一概には答えられないということは承知いたしましたが、つまり、更にこの三百五十億円というところからお金が増える可能性が否定をできないということでよろしいんでしょうか。

自見国務大臣 失礼をいたしました。それは考えてございません。

山岸委員 考えていない、三百五十億円から増えることはありません。じゃ、何かを切り詰めてこの追加設備のものを捻出をする、こういうことでよろしいですか。

自見国務大臣 当然そうでございまして、全体の枠の中でしっかりと機能を、効果を発揮させるものを用意しつつ、また、協賛をいただいたり、あるいは様々な工夫を凝らしてコストダウンに努めているところでございます。

山岸委員 分かりました。全体の枠は増やさないで、その中でやりくりをするんだ、これは是非徹底をしていただかなければいけないと思います。

 先ほど来、協賛という言葉があったので、ちょっと一個、これは確認でお願いしたいんですけれども、最近、ボランティアの名前を取りながら、実質的には役所が職員を動員するみたいなことが大阪でも見られているわけでございまして、万博への協賛ということはあくまで、当然ボランタリーベースであるわけであって、政府の予算が足りないから、企業に機材をただでよこせというふうなこと、当然これはあってはいけないと思いますので、大臣、この協賛ということの、あくまで自発的なお願いだということはくれぐれも揺るがないということを一点教えてもらえませんか。

自見国務大臣 そのとおりでございます。

山岸委員 ありがとうございます。

 時間ですから終わりますけれども、やはり今後、費用の膨張が決してないように、そして、その費用の膨張を抑えるために民間にしわ寄せが行くことがないようにということはきっちり求めておきたいと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 官報の発行に関する法律案及び官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し質問させていただきます。

 明治十四年以降、百四十年にわたり発行が続けられている官報について、電子官報を官報の正本として位置づける、これまで法的な位置づけがなく、慣習法としていた内容を法律に明文化するの二点が法律案の骨子であります。

 データの再利用が困難などの経済界からの声を受け、デジタル臨調での会議を経て、官報の電子化方針が決定し、今般の法案提出に至ったと承知をしております。

 既に様々な委員から御指摘がありましたけれども、確認の意味で、令和四年の十二月のデジタル臨調の席上で、岸田総理は、官報の電子化が我が国のデジタル化にとって象徴的な取組であると御発言をされております。まず、この発言の意図するところをお伺いいたします。

 また、戦後、新憲法下で公式令が廃止されたことに伴い、法令等の公布の法的根拠が失われ、戦後七十年以上が経過してしまいましたが、なぜ、これまで官報の根拠法を定めることをしてこなかったのか、お答え願えますでしょうか。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 昨年末、デジタル臨時行政調査会におきまして、経済界の要請も踏まえ、デジタル社会の実現に向けた構造改革の一環として、官報の電子化の方針が決定されたところでございまして、その実現に向けて、内閣府において具体的な検討が進められてきたところでございます。

 官報の発行について定めた成文法は存在しませんが、明治十六年の創刊時から長期にわたりまして紙の印刷物として発行されてきており、また、様々な法制度において、官報が紙媒体であることを前提として、官報が公示の手段として規定されると解されておりまして、法令によっては、官報の印刷、これは印刷局法でございますが、といった、明らかに官報が紙媒体であることを示す規定もあります。

 これらのことを踏まえますと、官報が紙の印刷物であるということは慣習法になっていると解されるわけでございます。このため、官報を電子化するに当たりまして、慣習法の内容を変更する立法措置を取ることといたしまして、あわせて、法令の公布を官報をもって行うことについて、これまで慣行として確立してきた事項を法律に明文化することとさせていただきました。

 法令の公布等に用いられる官報の電子化は、官報が法令分野のデジタル化の基盤となり、国民がより迅速に法令等の情報にアクセスできるようになる、我が国のデジタル化にとって象徴的な取組であると考えられます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

阿部(司)委員 我が国はイギリスとは違い、成文法の国で、国の決め事は法令の形で定められるのが通常であると考えるならば、慣習として確立していたとはいえ、長期にわたり根拠となる法律を定めてこなかったのは政府の怠慢のようにも感じるところでありますけれども、今般の電子法をきっかけにして官報の根拠法が定められることについては、いいことではないかなと思っております。

 既に政府は、平成十一年から、紙の印刷物として発行される官報と同じ内容のインターネット版官報を公開しておりまして、また令和五年の閣議決定で、必要な申請において、紙の官報の代わりとしてインターネット版の官報を提出できるよう措置を取っております。

 こうした中で、今回、法制度を整備する意義をお伺いしますとともに、法制化によりどのような効果が期待されるのか、御見解を改めてお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 法令の公布等に用いられる官報を電子化することは、法制分野のデジタル化の基盤となることを始め、我が国のデジタル化にとって象徴となる取組であります。

 具体的には、官報の電子化によりまして、法令の公布等が電子的に完結し、また法令の公布等がされた時点が明確となるほか、ウェブサイトを通じて国民がいつでもどこでも無料で官報を閲覧することが可能となります。

 また、官報の電子化によって、今後でありますけれども、機械可読なデータの提供が容易となるなど、国民の利便性の向上や行政の業務の効率化に資する取組が促進されることが期待されております。

阿部(司)委員 国民の利便性が向上するという御答弁でしたけれども。

 ちょっとお金のことについて続いてお伺いをしてまいりたいんですが、今、官報は、行政機関の休日を除く毎日発行されておりまして、各都道府県の官報販売所に届けられております。一日当たり平均五千五百部が販売されていると聞いております。電子化によりまして、紙の発行が原則はなくなり、紙代の削減による経費の削減が見込まれるんですけれども、一方で、電子化に伴うと、システム構築ですとか、新たな経費も発生してくると思います。

 そこで、削減される経費と増える経費、それぞれ具体的にお答え願えますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 官報の電子化により、紙の印刷に必要な設備投資や人件費等につきまして、今後、官報に係る書面の発行部数が一定程度減少することが見込まれるため、この点において経費の削減につながる部分はあるものと考えております。

 一方、電子化に伴い必要となるシステムの改修、運用につきましては、官報の利便性向上のためにどのような機能を付加するか、機械可読化とか、あるいは検索機能でありますとか、あるいは場合によってはカラー化とか、そういったもの等々によって変わり得るものでございます。現時点で経費の詳細についてお答えすることはなかなか難しいものと思っています。

 いずれにいたしましても、今後、一年六月以内に施行するわけでございますが、この施行に向けた準備を進める中で、既存のインターネット版官報のインフラも活用しながら、国立印刷局と連携をし、効率的な官報の発行に努めてまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 是非、お金がかかり過ぎることのないよう、効率的な官報のデジタル化を進めていただけたらと思います。

 現在、紙の官報において、特段の視覚障害者への対応はなされていないと承知をしております。今後、電子官報となった段階では、視覚障害の方への対応をしていくべきと考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

原政府参考人 お答えをいたします。

 官報は、国の法令や公示事項を掲載し、国民に周知するための国の公報として重要な機能を果たしているものであることに鑑みれば、目の不自由な方につきましても、官報に掲載された情報にアクセスすることができるよう配慮することは重要だというふうに認識をしてございます。

 近年、技術の進歩に伴いまして、ブラウザーや個別のアプリケーションのテキスト読み上げ機能が向上してきております。また、文字の拡大表示も容易になっているなど、ソフトウェアに実装されている機能の発達によりまして、以前に比べれば、目の不自由な方がインターネット上の情報を受け取りやすくなってきているものと認識をしておりますが、一方で、課題もあるものと認識をしております。

 具体的には、テキスト読み上げ機能については、画像化された情報については直ちに読み上げ機能を活用することが困難であるほか、特に、PDFファイルのテキスト情報については誤読が生じる場合があるなど、利便性や正確性の上ではいまだ課題があるものと承知をしております。

 内閣府といたしまして、国立印刷局等の関係機関と連携をしながら、目の不自由な方々の官報に掲載された情報へのアクセシビリティーの向上に向けた仕組みについて、丁寧に検討を進めてまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 音声読み上げソフトが普及発達してきておるというのは承知をしておりますけれども、法改正を機に、是非、視覚障害の方へのより丁寧な対応、検討を進めていただければと思います。

 次に、関連する項目として、DX、特に霞が関におけるDXを中心にお伺いをしてまいりたいと思います。

 釈迦に説法でありますけれども、DX、デジタルトランスフォーメーションとは、AI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フロー改善、新たなビジネスモデルの創出だけではなく、レガシーシステムからの脱却、また、企業や組織風土の変革を実現させることだと言われております。

 一方で、同様によく耳にするデジタル化は、アナログな業務プロセスをデジタルで処理できるようにすることであり、紙の資料をデジタルデータに置き換えるですとか、手作業していた業務をITツールによって効率化、自動化するといったことが該当いたします。

 このため、DXを成功させるためには業務やビジネスモデルをデジタル化することが前提になりますが、逆に、デジタル化によってDXが実現するわけではありません。

 こうしたDXについて、国を挙げての推進というのがずっと訴えられておるわけですけれども、実際には、世界の中で日本は大きく後れを取っていると言われております。

 スイスに拠点を置くIMD、国際経営開発研究所が二〇二一年に発表した世界のデジタル競争力ランキング、こちらは、一位アメリカ、二位香港、三位スウェーデンに続き、日本は二十八位という結果になっております。

 特に、コロナ禍で、このデジタル化の遅れというものは白日の下にさらされたと思います。

 自治体では、感染者数の報告を電話、ファクスで行ったため、集計結果が不正確となって、緊急経済対策で実施した特別定額給付金、こちらの申請処理で、デジタルが十分に機能せず、手作業に頼らざるを得ない、こんな状況に陥りましたし、民間企業でも、テレワークをしっかり導入しているという状況でしたけれども、押印のためだけに出社する判こ出社、こういった言葉も生まれました。

 このコロナ禍を通じて、医療、行政手続を始めとした社会のあらゆる分野で一層明らかになったのが、我が国のデジタル敗戦かと思います。

 しかし、コロナ禍を経て、ZoomですとかTeamsですとか、こうしたウェブ会議とかテレワークというものは普及しましたし、ネット通販とかデリバリーサービス、こちらもかなり利用が増えてきたと思います。

 様々な意味で、コロナというのがDXの大きな分水嶺になってきたのかなと理解をしております。

 この間、我が国では、令和三年には、デジタル臨調、こちらが設置をされまして、翌令和四年にはキャッシュレス法が成立して、また、六月にはデジタル規制改革推進法が成立をして、どんどん規制の見直し、また、施策策定の基本方針の一環としてデジタル技術の活用というものがかなり位置づけられて、推進をされてきたと理解をしております。

 このデジタル臨調は、構造改革のためのデジタル原則に照らして、四万以上ある法令、通達等の適合性を点検した、規制の一括見直しプランを策定しまして、アナログ規制見直しを、先ほど土田政務官からも御答弁ありましたが、令和六年の六月まで行うことといたしました。

 そこで、このアナログ規制の見直しの進捗状況をお伺いしたいと思います。また、こちらの進捗に関する御評価を、副大臣、本日お越しいただいておりますので、お伺いしまして、このアナログ規制見直しに係るフォローアップ体制もお答えをいただければと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

石川副大臣 阿部委員にお答えいたします。

 阿部委員、DX、霞が関の業務改革に関しましてお取組をいただいてありがとうございます。

 その上で、お尋ねのアナログ規制の見直しにつきましては、法令等に含まれるアナログ規制の洗い出し作業を行いました上で、昨年十二月に、約一万条項について、見直しの方針、それから見直しに向けた工程表を策定したところであります。

 現在、各府省が工程表に沿いまして見直し作業を進めております。

 その進捗状況につきましてはデジタル庁でフォローアップを行っているところで、本日、河野デジタル大臣からも公表をいたしましたが、これまで見直しが必要とされていた六千四百五件に対しまして、現時点までに合計千六百二十二件の見直しが完了したというところを確認しております。

 なお、工程表では本年九月までに見直しが完了する規制は千五百八十三件でありましたけれども、各府省庁の御尽力によりまして、予定を前倒しして見直し完了となった事例も多数出てきていることもあり、当初の予定を超えるペースで見直しが進んでおります。

 このように、アナログ規制見直しの取組はおおむね順調に進んでいるところですが、現在、デジタル庁では、従前の体制を維持しながら、十三名の担当職員によるフォローアップを実施しており、引き続き、関係省庁と協力して、原則、来年六月末までにアナログ規制の一掃を実現するために、フォローアップ、副大臣としても取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 予想を超える、前倒しで進んでいるということで、多分、進捗は厳しいんだろうなと思っていたので予想外で、是非頑張っていただきたいと思います。

 このデジタル臨調の開催目的は、デジタル改革、規制改革、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討して、国や地方の制度、システム等の構造改革を進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会をつくることとしています。その一歩としてのアナログ規制改革と理解をしておりますけれども、霞が関を見渡してみて、そもそも、民間やほかの組織に比べて、DXの前提となるデジタル化、こちらが進んでいるかというと、決してそうではないのかなというふうに感じております。

 その最たるものが、霞が関のペーパー信仰とファクス文化なのではないかなと思っております。

 先ほども申し上げましたが、DXの前提となるものが業務のデジタル化であります。しかし、霞が関、そして国会もですけれども、日常業務そのものが民間と比べて著しくデジタル化が遅れているように感じております。何でだろうなと思ったところ、紙の資料がとにかく多い。これは本当に様々な方々が指摘されてきましたが。ついでに言うと、各省庁からのA4一枚の資料も封筒に入って持ってきたり、封筒文化も健在であります。日常業務でファクスのやり取りが多いからというのも非常に影響しているのかなとも思うんですけれども。

 そこで、ファクスについてお伺いをしたいと思います。

 令和三年六月、「各府省の業務・手続におけるFAXの利用廃止について」及び同追加連絡というものが発出をされております。こうした依頼文書を発出した意図を、副大臣、お尋ねいたします。

石川副大臣 お答えいたします。

 二〇二一年六月の事務通知についてお尋ねと思います。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けましてテレワーク等の出勤回避が求められる中、ファクスの利用は出勤が前提となっておるためテレワークの推進を阻害する要因の一つとなっているほか、オンライン化により一層の効率化を進める必要があると考え、ファクスの利用廃止を進めることといたしました。

 このため、令和三年六月七日付の事務連絡により、各府省に対しましてファクスの利用廃止を求めるとともに、廃止が困難な業務、手続があれば提出するように求めたところであります。

 さらに、六月二十五日付の事務連絡におきまして、各府省から提出された廃止が困難な業務、手続を類型化した上で、廃止が困難としたこれらの類型に該当するものであっても、実情を踏まえて、引き続きファクス廃止を積極的に見直すように求めているところであります。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 続いて、令和三年そして令和四年にファクス利用の調査を実施されております。この調査概要と、その後の対応についてお伺いをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年調査につきましては先ほど副大臣から御答弁いただいたとおりでございますが、行政改革推進本部事務局から各府省に対しまして、ファクスの利用を廃止した場合に具体的に支障が生じることなどにより廃止が困難な業務、手続があれば提出するように求められました。また、廃止が困難とした類型に該当するものであっても、実情を踏まえて、引き続き積極的に見直しを求めたと承知しております。

 また、さらに、令和四年十二月、内閣人事局が各府省のファクス利用状況、見直し状況のフォローアップ調査を行ったと承知しております。その際、高齢者や障害者向けの手続や相談、また遠隔離島など電子メールの利用が困難な特殊な環境の業務などを除けば、既に廃止済み又は廃止予定であったと承知しております。

 引き続き、ファクスの廃止に向けた各府省の検討状況を確認し、技術の進展も踏まえつつ対応を促してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 どうしてもファクスをなくせない一部の業務を除いて、大半は廃止の見込みになったというふうに理解をしておるんですけれども。

 それでも、霞が関ですとか国会、ファクス文化花盛りと感じるのは、議員会館で仕事をしておりますと、各省庁から、これからファクスを送るので返信をお願いしますというような連絡が日常に非常に多いんですよね。多分、どの事務所でもそういう状況なんじゃないかなと思うんですけれども。例えば、国会質問の答弁者の連絡も、メールでお願いしますとお伝えしても、ファクスで来るんですね。メールも送信しておきましたので、ファクスを確認で送りましたというような、こうしたことが続いているわけですよね。こうした中で、ファクス文化花盛りを日々体感しているわけなんですね。

 ところで、先日、東京新聞に、「都庁は「原始時代」だった 元ヤフー会長・宮坂学副知事が語るデジタル化の現在地と展望」という記事が載っておりましたので、少々御紹介をさせていただきたいと思います。

 原始時代かと思いましたね。ヤフーのときとは全然違う。前の世界では紙とペンは誰も使わず、ファクスも見ていなかったので、久しぶりに見たみたいな感じ。都庁内にはWiFiもなかったですから。僕にとってインターネットって空気みたいなものなので、空気ないんだみたいだった。

 DXって、きらきらした世界が来るみたいな印象がある。でも物事には順番がある。デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション。最初のデジタイゼーションとは、スマホとかパソコンで資料を作るように、情報をデジタルツールで作ることです。元々、ここは都庁もできていた。

 でも、デジタルの情報を隣の部署で渡すのに、一々プリンターで印刷して渡していたんですよ。これって、結構日本中で起きてることなんですけど。まず、その次のデジタライゼーションをやらないと、更にその次のDXの抜本的な改革は無理。それでペーパーレスやキャッシュレスなどをやった。具体的には紙が七割ぐらい、ファクスも九九%ぐらい減りました。

 四年前、巨大な地方行政組織であり、国と同じくお役所カテゴリーに属する都庁に降り立った宮坂さんの目に映った都庁は原始時代であったということなんですけれども、それでは、現在、霞が関の各省庁に、国会に宮坂氏が降り立ったとしたら何と感じるでしょうか。原始時代なのか、はたまた昭和なのか。

 ということで、質問に入りたいんですが、霞が関のDX化、まずステップ一のデジタイゼーションを速やかに完全実現することが必要と考えますが、こちら、副大臣の御意見を伺うとともに、ファクス利用廃止の目標年限を区切ったらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

石川副大臣 ありがとうございます。

 私の事務所も、できるだけレクもオンラインで行ったり、資料についてはメールで取り寄せる、自民党においてもそういったデジタル化を進めているところでございます。

 そんな中で、先ほど委員から、ファクス廃止の目標年限についてお尋ねをいただきました。

 政府におきましては、先ほど御答弁したとおり、廃止が困難である、霞が関の中でそういう回答が来ているものも多少ございます。これはやはり、障害者の対応であるとか災害等の緊急対応とか、様々な業務に関しましては多少残らざるを得ない部分もあろうかと思いますが、委員の御指摘のとおり、これは霞が関全体の問題、そして立法府の皆様にも御協力をいただかないといけない問題だと思っております。

 そういったことが徐々に解消されまして、DXが浸透していき、その結果としてファクスがなくなっていくということでございますので、何年までになくすということは今ここではお答えはなかなか難しいことでありますけれども、こういった歩みを可能な限り前倒しして、ファクス廃止に向けまして私としても尽力していきたい、このように考えている次第でございます。

阿部(司)委員 アナログ規制のチェックは前倒しで進んでいるわけですから、こちらのファクスの廃止も、是非、目標年限もしっかりどこかのタイミングで表明いただいて、また、こちらに、議場におられる先生方におかれましても、認識をしっかりと変えて、ファクスをなくしていくという意識でみんなでDXを進めていけたらと思います。

 石川副大臣はこちらで質問は終わりですので、御退席いただいて結構でございます。

星野委員長 退室いただいて結構です。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 次に、霞が関の業務における生成AIの活用についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 近年、チャットGPTに代表される生成AIが非常に世界で注目を集めておりますが、こちらの活用、ビジネスシーンですとか、あとは日常生活でかなり進んできているなという印象を持っております。

 特に、大量の文書を扱う業務が至る所にある自治体ですとか官公庁は、チャットGPTなどの文章生成AIを活用する余地が大きいと言われております。公務員のなり手不足が深刻化する官公庁での業務効率化に期待が寄せられております。

 以上を踏まえまして、霞が関の業務を生成AIを利用することにより効率化できないかという観点で質問をしてまいりたいと思います。

 ちなみに、私は、当委員会を始めとして、機会あるごとに、霞が関の皆様のやりがいを推進して、働き方改革を推進することを通じて、是非、国民生活に資する国の行政組織として高いパフォーマンスを上げていただけるよう、日夜訴えているところであります。

 霞が関のブラック業務として名高いのは、この両巨塔が、国会対応業務と法制業務とされております。

 以前、霞が関の本府省で、法案改正業務に携わっている職員の方から話をお伺いしましたところ、法制執務事務作業が膨大であり、職員が疲弊し切った様子をリアルに語っていただきました。特に、間違いを許されずに、限られた期間での法改正は非常に神経を使い、七時間ぶっ通しで読み合わせを行って、終わったときには崩れ落ちそうになったというようなお話でした。

 そこで、法制執務事務の具体的な現状についてお伺いしたいと思います。

 今でも確認のために法案の全てを通しで読み合わせる作業は行われているのでしょうか。お答え願います。

滝澤政府参考人 お答えをいたします。

 各府省が所管する法令の内容等、様々でございまして、立案作業の実態の詳細というのは把握することは困難でございますけれども、法律の立案作業については、条文の正確性を期するためには、議員御指摘ありましたような読み合わせのほかに、法令協議、用例検索、引用法令の確認など様々な作業がございます。読み合わせについても、基本的に全ての条文についてやっていくということが基本かと思っております。

 これらの作業は重要なものでございますけれども、時間を要するために、職員にとって負担の大きい業務の一つであるというふうに認識をしております。

阿部(司)委員 法案等の文言の整合チェックなど単純な作業を、多大な労力を使って人力で行う。人的リソースをこうした労力からより創造的な業務にシフトすることで、無駄に職員が疲弊することをなくして、組織全体のパフォーマンスを上げていくことにつなげていけるものと考えます。

 そこで、霞が関における生成AIの業務への活用というものをお伺いしてまいりたいと思います。また、霞が関の業務に生成AIを活用することに対する課題、こちらも是非お伺いできればと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の生成AIの行政における活用につきましては、関係省庁と連携の上、チャットGPTなどの生成AIの業務利用に関し、申し合わせているところでございます。これを受けまして、各府省庁において、業務を効率化、高度化するための検討や、例えば公開資料の要約などに既に活用されているものと認識をしてございます。

 一方、生成AIの活用によって、権利侵害ですとか機密情報の漏えいが生ずるリスクなどの課題があるというふうに認識してございまして、こうしたリスクを適切に管理しつつ、利活用を進めているところでございます。

 現時点では、数字的な目標等は特段設定していないところでございますけれども、日々進化する生成AIの技術を安全かつ効果的に利活用すべく、環境整備やユースケースの開拓に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 こちらの活用を少しずつ検討を進めておられるという御答弁でしたが、この分野は地方自治体の方が進んでいるように感じます。

 本年八月、東京都では、個人情報、機密性の高い情報は入力しないことなどを盛り込んだガイドラインを策定しておりまして、生成AIの業務活用に向けて、全局で導入をいたしました。

 また、横須賀市、こちらでは、生成AI開国の地を標榜しまして、本年四月から職員全体にチャットGPTを自由に使ってもらう取組というものを始めているそうです。

 もちろん、生成AI、情報漏えいですとか回答の不正確性、著作権侵害など様々な問題があります。しかし、AIの世紀を迎えまして、世界、社会、そして行政組織も生成AIと向き合って、課題を踏まえた上で活用していかざるを得ない時代を迎えていると思います。

 霞が関においても申合せが取りまとめられておりまして、業務利用について一定のことは書き込まれているそうなんですけれども、六十九ページにわたる都のガイドラインと比べても、現場の職員が、A4、四ページの申合せを見て、即対応できるようなものとも思えません。

 こうしたガイドライン的なものをより充実させるとともに、チャットGPTなどの生成AIの業務への活用に向けた職員研修などを実施していくべきではないかと思いますが、研修の現状を含めて、こちらの意思も含めて、参考人にお伺いできればと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、デジタル人材の育成ですとか一般職員のITリテラシーの向上のために、情報システム統一研修というものを行っております。そのうち、AIにつきましては、この情報リテラシー研修の一環、一つといたしまして、令和四年の一月よりAIリテラシー研修というものを実施してございます。御指摘のチャットGPT等の生成AIに特化したものでは必ずしもございませんけれども、職員のAIに関する基本的な知識の習得を図っているところでございます。

 今後もさらに、生成AIの技術の進歩ですとかリスクを見極めながら、各府省庁における業務の実態も踏まえ、生成AIの業務利用に関する職員研修の実施について検討してまいりたいと思っております。

 また、デジタル庁といたしましては、内閣人事局とも連携をいたしまして、例えばワークショップといったものなども開催してございます。こういったものによって、具体的な現場の実態も踏まえた形でのユースケースの開拓、こういったものにも取り組んでいるところでございます。

阿部(司)委員 この生成AIは、生産性という観点においても爆発的な効果を発揮する大きなイノベーションだと思いますので、今もある程度リテラシーを高める取組を進めておられるということでしたけれども、これを活用して、いかに業務を効率化するか、職員の、様々、仕事の場面における価値提供能力を高めていくというか、こうした観点で、是非、このスキルをアップさせていく、しっかり使い方を学んでいく研修をしっかりやっていただければなと思います。

 少しだけ早いですけれども、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

星野委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 浅野哲委員の差し替えで本日は質問させていただきます。大臣もどうぞよろしくお願いいたします。

 これまで様々、本日も質問はされていましたこの二法案に関して、私も質問させていただきますが、大分通告の内容がかぶって、丸かぶりしているところもありまして、特に立憲の中谷代議士また維新の阿部代議士とは趣旨も含めてかぶっているところがございまして、国会の活動も野党間でより連携していければより深い国会議論ができるのになと思いながら本日も聞かせていただいておりましたけれども、余り余計なことを言うと怒られるかもしれませんので、しっかりと質疑にまず入らせていただきたいと思います。

 では、ちょっと通告の順番を変えまして、こちらも中谷代議士が聞かれていたプライバシー保護に関して、私も同じ問題意識を持っていますので、お聞かせをいただきたいと思います。

 これまで、世界中で、人権に関する考え方というのは時代とともに変わってきました。広がって強化をされてきたと思います。昔は、女性の参政権がなかったり、あるいは、ある国では奴隷制度があったり、あるいは、日本でも出自に基づいて差別などが行われてきた。それは今でも残っている部分もあるかと思いますけれども、そういったところがだんだんと改善をされてきて、人権に関する考え方が強化、広がってきたのが人間の歴史かと思います。特に二十世紀の後半以降、情報通信技術が発達するのに伴う、それと同時に、プライバシー権に関する考え方も拡大して強化をされてきたのが近年の動向かと思います。

 日本では、戦後も、就職活動の中で出自を聞かれたり、家族の仕事を聞かれたりするようなことが当然のようにありましたけれども、今では、そういったことはしてはならないというふうな新たな規範ができていますし、また、運転免許証には昔は本籍が書かれていたものが今では書かれていないなど、そういったプライバシー権に関する考え方も強化をされながら、行政なども取り組んでいることかと思います。

 今回、官報の電子化、インターネットでの頒布を行う、それが正本になるという法律改正案でございますけれども、インターネットが活用されるのと同時に、やはり、官報の考え方、プライバシー権に関する考え方の変化に伴って、官報での公示の内容についても、しっかりと時代の変化に合わせて検討していくべきだと私は考えております。

 先ほどもお話に挙がりました、破産法に基づいて、破産した方の氏名と住所が掲載をされることであったり、あるいは国籍法に基づいて、あるいはその運用に基づいて、帰化をした人の氏名、生年月日、住所などが一律全て掲載をされるということが、果たして今のプライバシー権の考え方の中でふさわしい運用なのかということは、改めて今回のこの電子化の契機に考えていただきたいというふうに考えております。

 まず、こういった個人情報の保護の観点で、今回、官報の電子化に当たって、どのような対策であったり考え方をしているのか、政府の取組をお伺いできればというふうに思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 破産公告を始めとする官報掲載事項につきましては、法令の規定等に基づきまして、一般国民に周知させるために官報に掲載されるものでございます。特に、氏名や住所等を含むプライバシー情報につきましては、官報の電子化に伴いまして、インターネットの特性として、これらの情報の加工、流用や目的外利用の危険性が高まることに留意する必要があるというふうに考えております。これは従前の答弁と同じでございますけれども。

 このため、内閣府のウェブサイトで官報掲載事項を公開する上では、繰り返しになりますけれども、プライバシー情報を永続的に公開するのではなくて、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間に限り公開をすること、告示、公示等の記事に含まれるプライバシー情報の拡散を阻止するため、これらの記事を画像化することで、テキスト抽出やテキスト検索を困難にすることといったプライバシー配慮のための措置を講ずるとともに、今後の技術の進展に応じた適切な対応を講ずることとしております。

 プライバシーに配慮しつつ、官報が有する告示、公示の機能が適切に果たされていくことが重要でございます。今後とも、関係省庁とも連携をしながら、適切に取り組んでまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 既にインターネットで官報が公表されていて、個人情報については検索できないような処置を行っているとはいえ、やはり技術の進歩に伴って、人間が読んでそして把握できるような情報であれば、これは当然AIなどでも把握をされて、そしてリスト化をされる、公表されるといったことが容易にできてしまうということは想像できますので、しっかりと技術の進歩に伴ってプライバシーを守っていくような運用を電子化の部分ではしていく必要があると思うんですけれども、やはり、どれだけ行っても、そこをしっかりと続けていくことは困難だと思いますし、そもそも本当にこの情報を公開する必要があるのかということを、これは電子化の部分というよりかは法務省の方でしっかりと、私は改めてこの時代に検討していただきたいというふうに考えております。

 破産者の氏名と住所を全て掲載すること、官報に必要なのか、そして、帰化をした人の氏名、生年月日、住所などを全て官報に記載をして、全国民が見れるような状態にすることが本当に必要なのか。そのことについて私は検討していただいて見直していただくことが必要だと考えているんですけれども、法務省の方、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 破産法によれば、裁判所は、破産手続開始の決定をしたときは直ちに破産手続開始の決定の主文等を公告しなければならないものとされております。この趣旨は、破産債権者等の関係人に対し、破産者について破産手続開始の決定がされた事実を知らせ権利行使の機会を与えることによって、これらの関係人が不測の損害を受けることを防止することにございます。

 そのため、破産公告においては、誰について破産手続が開始したのかを特定するため、破産者の氏名及び住所が掲載されているものと承知しております。

 また、帰化制度は、公法上及び私法上のいかなる点においても、従来の外国人であった者を特定の日をもって生来の日本人と区別のない対応とするものであり、特に重大な法的効果を生じさせることに鑑みて、国の公報である官報に告示することにより、一律かつ明確に効力を生じさせ、周知を図ることとしております。

 このような観点から、帰化者の帰化前の氏名と生年月日及び住所を官報で告示しているものでございます。

 今後の取扱いとしては、引き続き、今まで述べたような観点を踏まえ、破産公告や帰化者の氏名等を官報に掲載することを考えてはおりますが、先ほど内閣府から答弁があったように、官報の電子化後は、プライバシー配慮のための適切な措置が講じられるものとも承知をしております。

 法務省としましても、本法案が成立した場合には、その施行に向けて関係機関と適切に連携するとともに、引き続き、状況の推移を注視してまいりたいと考えているところでございます。

斎藤(ア)委員 詳しく教えていただいて、ありがとうございました。

 ただ、従前どおりの取扱いを続けるというのでは、私はやはりそれではいけないというふうに思っております。ほかの方法で代替をするなど、あるいは、そもそもこの情報は本当に開示をする必要があるのかということは、法務省の方でも不断に検討を続けていただきたいし、私からも問題提起を続けさせていただきたいと思いますので、どうぞお取り計らいのほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、電子化のことに関するところ、質問に入らせていただきたいというふうに思っております。

 官報を電子化するということ、今、インターネットで既に発行していますので、そちらを正本にするということでございますけれども、事前にお話を聞いていますと、今回、電子化されたものを正本とすることに係る特段の費用は必要ではないし、また、電子化で削減できる国の予算はあるのかというお話に関しても、紙で発行しているものの費用に関しては国立印刷局が得ている収入で賄っているというようなことを教えていただきましたので、特に、今回の電子化に伴って、予算措置が必要だったり、あるいは予算が軽減されるようなことはないといった理解をしているんですけれども、それでよかったでしょうか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 官報に関する業務については、現在、内閣府から委託を受けた国立印刷局において、国からの運営費交付金によらずに独立採算によって業務の運営がなされており、今後も、国からの予算の支出は予定していないものと承知をしております。

 今回の官報の電子化によりまして、紙の印刷に必要な設備投資や人件費等について、今後、発行部数が一定程度減少することが見込まれますので、この点においては経費の削減につながる部分はあるものと考えております。

 また、一方、電子化に伴い必要となるシステムの改修、運用につきましては、官報の利便性向上のためにどのような機能を付加するか等によって変わり得るものでございます。現時点で経費の詳細についてお答えすることは難しゅうございます。

 いずれにいたしましても、施行に向けた準備を進める中で、国立印刷局と連携して、効率的な官報の発行に努めてまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 これから詳細を検討されて精査をされていくということだと思いますけれども、いずれにしましても、公告収入などで賄っている紙の発行でございますので、そこまで予算が軽減されるということはそもそもないんだというふうに簡単に想像できます。

 これも既に先ほど阿部委員の方から議論がありましたけれども、今年の閣議決定で、インターネット版を用いて申請を行うということが既にできるようになっている申請がありますので、大分デジタル利用も既に進んでいるわけでございます。

 今回の法律改正によって、電子版と紙の官報の関係が逆転して、電子版が正本になるということですけれども、一体そのことにどれほどの意義があるのか。そのことではなくて、それの後に何か、これからつながっていくものがあるのか。どういった意義を見出して今回の取組をされているのか、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 これまでは、紙の官報が掲示されたときをもって法令の公布等が行われてきたこととされてまいりましたが、今回、官報の電子版が正本となることで、法令の公布等が電子的に完結をし、すなわち、ウェブサイトに官報を掲載することをもって法令の公布等が行われたこととなり、法令の公布等がされた時点が明確となる、こういうことでございます。また、正本である官報が、ウェブサイトを通じ、いつでもどこでも無料で閲覧することが可能となり、国民の方々がより迅速に法令等の情報にアクセスできるようになります。

 さらに、官報の電子化によりまして、今後、機械可読なデータの提供が容易となるなど、国民の利便性の向上や行政の業務効率化に資する取組が促進することが期待されております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 実務的な利便性の向上ももちろんあると思いますけれども、やはり象徴的な意味も強いかと思いますので、本当に、政府のデジタル化、特に行政部門で遅れている部分が多いかと思いますので、こういったところも契機としながら、更にデジタル化を進めていただきたいというふうに考えております。

 我々国民民主党会派としましては、今回の法律改正案には賛成でございますので、その前提の下で、今回の法改正がどういった意味を持つのかということを何点か続いて質問させていただきたいと思います。

 まず、憲法との関係でございます。

 天皇の国事行為を定めた憲法七条の一号には、「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。」というふうに、国事行為の一つが規定をされているわけでございます。官報は紙媒体で頒布をされるものであるということは、戦前は勅令によってしっかりと定められていましたけれども、戦後はそれが慣習法によって、紙で頒布をするものであるというふうに理解をされているという状況でございます。

 日本の今の憲法は一九四六年の十一月三日に公布をされたものでございますけれども、当然、憲法というものは、公布というものは紙媒体で行うという、当時は勅令があって、そして今は慣習法ですけれども、そういった理解に基づいてこの公布の規定がなされているものだと思います。

 今回の法改正というのは、その公布に関する憲法の想定しているやり方について何か変更を加えるものなのか、解釈変更を伴うものなのか。それとも、憲法の公布の規定に関しては、その方法に関しては想定を何らしていないということであって、憲法解釈の変更には当たらないという理解なのか。政府の考えをお伺いしたいというふうに思います。

原政府参考人 お答えをいたします。

 一般に、法令の公布とは、成立した成文の法を公表して、一般国民が知ることのできる状態に置くことであると承知をしております。

 この公布の方法については、これまで紙の印刷物である官報をもって公布が行われてきたところでございます。今回の電子化によって、今後は電子的に発行される官報をもって公布が行われることとなるわけでございます。

 このように、公布の方法については実態上変更が生ずることになるわけでございますけれども、成立した成文の法を公表するという公布の意義に変更は生じないわけでございます。

斎藤(ア)委員 分かりました。ありがとうございました。

 憲法に記載されている公布の方法に関しては特に想定はなく、憲法解釈の変更には当たらないという御答弁かと思いますけれども、その点、承知をいたしました。ありがとうございました。

 次に、史料としての官報の扱いについてお伺いをしたいと思います。

 これまで官報の中には、先ほども関東大震災のときに手書きでされたものがあるというようなことが紹介をされていましたけれども、もう一つの、署名がされた官報が国立国会図書館に納本されている例として、これも先ほどちょっと言いましたけれども、昭和二十一年、一九四六年の日本国憲法の公布のときの特別号外の官報には、当時の両院議長の署名とか総理大臣の署名がなされたものが国立国会図書館に納本されているということで、本来、官報というのは誰かが署名をして納本するようなものではないと思うんですけれども、このときには特別に、納本する際には署名をされて納本されているということで、史料の一部として国立国会図書館のホームページでも公開をされているわけでございます。憲法の公布という極めて重要なイベントでございますので、こういったことが当時の立法関係者の知恵によって、知恵というか思いつきというか、ちょっと当時の方に聞かないと分かりませんけれども、こういったものがなされていると思います。

 今回、電子化をされて、紙のものを国立国会図書館に納本するのではなくて、電子データが公文書館に保存をされていくということになりますので、こういった署名をされた官報といった歴史上価値があるようなものというのは官報では生まれなくなるということかと思いますけれども、その点について、政府の方で問題意識を持っていたり、あるいは検討されたようなことはありますでしょうか。教えていただければと思います。

原政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の日本国憲法の公布がなされた官報への著名な方々のサインが載っかったものにつきましては、当時の法制局長官である入江俊郎氏の個人文書として国立国会図書館に寄贈されたものであり、国立国会図書館のウェブサイトによれば、同氏が憲法公布の記念とするために主要な関係者から署名を集めたものと推測されると承知をしているところでございます。

 このように官報にサイン等がされた事例は、私どもとして、ほかに承知をしてございません。そもそも、当該官報になされたサインは法的な意味があるかという趣旨でいえば、そういう意味は有していないものでございます。

 このため、官報の電子化の検討に際して、お示しいただいたようなサイン等がされた官報を歴史資料として残す観点については、今回、特段の検討を行っていないところでございます。

 なお、むしろ、歴史資料として重要な公文書としては、例えば、法律及び政令の公布に係る御署名原本が国立公文書館において保存されており、今後も同様に御署名原本が保存されることになるものであろうというふうに承知をしております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 詳細に教えていただき、ありがとうございました。

 これでもう終わりますけれども、今回の法改正を契機に、デジタル化が進んで、日本の生産性の向上につながることを祈念しておりますので、是非、引き続きのお取組をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 官報発行法案について大臣にお尋ねをいたします。

 官報の発行の法律を作るということですので、そもそも官報とは何なのか、官報にどのような役割があるのか、この点について御説明をいただけますか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 官報とは、国の法令や公示事項を記載し、そして国民に周知させるための国の公報でございます。

塩川委員 どういう役割があるんでしょうか。

自見国務大臣 失礼いたしました。

 官報は、国の公報として、明治以来、長年にわたり発行され、広く国民一般に定着しているものでございます。

 本法律案については、官報の電子化に伴い、官報の発行方法等の必要な事項を規定してございますが、これまでに広く国民一般に定着をしている国の公報としての官報の位置づけ自体には変更が生ずるものでなく、また、その名称も変更することはしておりません。

 これらのことから、法律において官報ということの定義の規定は設けていないということではございます。

塩川委員 いや、定義の話はまだ聞いていなくて、役割がどのようなものなのかというのを確認したかったんですが。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 官報は、創設以来、国の法令や公示事項を掲載し、国民に周知させるための国の公報として重要な役割を果たしてきたものでございます。

 法令等の公布は官報をもって行われてきておりまして、また、例えば、多数の関係者に周知する必要がある公告についても、官報に掲載することにより公告し、それによって法的効力が生ずることが法令で定められている場合があるように、官報は法的関係を確定させる役割をも有しております。

塩川委員 法令等の公布の手段と同時に、官報掲載によって法的な効果が生ずるものだというお話であります。そういう点では、国民の権利義務にも影響が生じ得るものが官報ということであります。国民に周知させるための国の公報ということでありますけれども。

 加えて、ちょっとお聞きしたかったんですが、第十三条で、官報の電磁的記録について公文書館に移管するとあるんですけれども、これは官報を公文書として位置づけているということなんでしょうか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 公文書として位置づけるわけではございませんけれども、保存のために公文書館に移管をするということでございます。

塩川委員 国立公文書館に移管するということになりますと、公文書の中でも歴史的な重要な公文書が国立公文書館に移管をされて、また、国民に広く公開、閲覧対象とするというものであります。

 そうなりますと、国立公文書館に官報の電磁的記録を移管するというのは、官報そのものが歴史的資料として、重要な公文書としての役割を持っているということを意味するということでしょうか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 特定歴史公文書として重要な意味を持つものという位置づけでございます。

塩川委員 今お話しのように、特定公文書、まさに歴史資料として重要な公文書としての位置づけもあるんだということであります。

 大臣にお答えいただけたように、官報というのが、国民に周知させるための国の公報としての重要な役割がある。その中身として、役割とすれば、法令等の公布の手段であると同時に、官報掲載が法的効果が生ずることを定めているものもある、そのことによって国民の権利義務に影響が生じ得る、そういう点での、重要な事項について公にする手段としての役割を果たしている、極めて重要な役割を果たしているのが官報ということになります。まず、このこと自身が国民の知る権利を保障するものになっているということも併せて指摘をしておきます。

 そういう重要な役割を持つ官報についての法律を作る際に、官報の定義や役割を規定しないというのはおかしいんじゃないですか。

自見国務大臣 官報の定義を規定しないのかということでございますが、官報は、国の公報として、明治以来、長年にわたり公布され、広く国民に定着しているものでございます。

 このため、本法案においては、官報の電子化に伴い、官報の発行方法等の必要な事項を規定しておりますが、これまでに広く国民一般に定着している国の公報としての官報の位置づけ自体には変更が生じるものではなく、また、その名称も変更することとはしておりません。

 このようなことから、本法案においては官報についての定義の規定は設けていないということでございます。例えば、通貨及び貨幣といったことも定義が置かれていないのと同じでございます。

塩川委員 貨幣という法律があるかどうかは承知しておりませんけれども、官報の法律を作るわけですよ。官報とは何なんですか、官報の役割は何ですかと、お答えになっているわけですよね。そういう基本的なことについて、それが国民に広く定着をしているということではないと思いますよ。官報って何だろうねと疑問を持つ国民の方も多くいらっしゃるときに、官報の法律を作るのであれば、発行方法だけを決めるのではなくて、官報そのものがどんなものなのか、定義、役割、これはきちっと規定するというのは大前提だと思うんですけれども、入れないのはおかしいんじゃないですか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 そういう意味で官報そのものが非常に重要な役割を果たしているということは、これは事実でございます。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、立法のときにおいて既に広く定着している概念については改めて定義規定を置く必要が薄い、そういう場合がございまして、今回の官報につきましても、立法時に既に広く概念として定着しているものというふうに理解をしておりまして、定義規定を置かなかったということでございます。

塩川委員 納得のいくものではありません。

 そういう点でも、官報が果たしている重要な役割、それをきちっと条文上も規定をするということが求められているということを改めて申し上げておきます。

 その上で、そういう重要な役割を持っている官報についてですけれども、第八条で閲覧期間を設けているわけです。

 今、官報の重要な役割をるる確認をしてきたところですけれども、国民に広く周知させるための国の公報であり、国民の知る権利を保障する、そういった、特定重要公文書等にも当たるような、そういう官報について、閲覧期間を設ける必要はないんじゃないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 官報掲載事項につきましては、法令の規定等に基づき、一般国民に周知させるために官報に掲載されるものでありますが、プライバシー情報につきましては、官報の電子化に伴い、インターネットの特性として、これまでの情報の加工、流通や目的外利用の危険性が高まることに留意をする必要があると考えているところであります。

 このため、官報の発行においては、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間に限り公開することとした上で、法令を始め、プライバシーへの配慮の観点から支障がない官報掲載事項につきましては永続的に公開することとしているものでございます。

 なお、現在の紙の官報の掲示期間は一日であります。また、国立印刷局が情報提供として公開をしておりますインターネット版官報は九十日間掲載されております。

塩川委員 今後デジタルを正本とするという点では、デジタルであれば、別に閲覧期間を設ける必要もないでしょう。当然、可能なことですから。

 プライバシー保護の話をされました。センシティブ情報についての適切な配慮を行うということは必要だと思います。でも、それは別に原則を九十日間で閲覧を制限をするということでなく、原則永続的に閲覧を可能とする、その下でセンシティブ情報についての必要な配慮を行うというのが基本じゃないでしょうか。

 九十日間とされている閲覧期間を、制限する必要はないんじゃないですか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、メリット、デメリットございますけれども、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間に限り公開をするということにした上で、法令を始め、プライバシーへの配慮の観点等から支障がない官報掲載事項につきましては永続的に公開をするということでございます。

 なお、九十日を過ぎましても、国立国会図書館におきましてはその分全て閲覧ができますので、そういう意味で、閲覧ができなくなるということではないということでございます。誤解なきように、もし誤解されていたのであれば、済みません。

塩川委員 いや、そもそも閲覧期間を設ける必要がないんじゃないかということを聞いているんですよ。公文書館の話は別の話でありますので。

 今お話を聞くと、いや、プライバシーへの配慮が必要ですと。また、当座の利便性という点でも九十日ぐらいが適当だと言っているだけの話なんですよ。でも、本来、重要な役割を果たす官報について、国民への周知の国の公報として位置づけ、その中に、当然、法令の公布手段、法的な効果が生ずる、国民の権利義務に影響が生じ得る、まさに重要な公文書として位置づけるというのであれば、これはやはりきちっと、閲覧期間を設けずに閲覧を可能とするということこそふさわしいことであって、その上で、プライバシーの保護や利便性についても対応すればいいだけのことであって、閲覧期間を設ける理由にならないじゃないですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員のようなお考えのやり方も一つのやり方だろうとは思いますけれども、私どもとして、現在、インターネット公報につきましても九十日間掲載をされているということ、それから、現在の紙の官報の掲示期間は一日であること等々から考えまして、九十日間が適当であろうというふうに判断をさせていただいたところでございます。

塩川委員 いや、私の案も一案だというんだったら、そういうことは検討会議で検討されたんですか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 官報電子化の基本的考え方、官報電子化検討会議の中におきまして、「一般国民が官報を閲覧し、又は入手し得る仕組みの構築に当たっては、現在の紙の印刷物である官報の場合と同様に、一定期間を通じて、真正な情報が記録された官報を閲覧し、又は入手し得る状態に置く必要があると考えられる。」ということでございました。

塩川委員 ですから、閲覧の期間を制限をするということについて、それを行わない、永続的にでも閲覧を可能にする、そういうことについては検討されていないということですね。

原政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど引用した中に、「一定期間を通じて、真正な情報が記録された官報を閲覧し、」ということでございますので、検討はいたしたものと思っております。

塩川委員 一定の期間ということについて、その前提として、その期間を設けずにといった議論というのはあったということですか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 途中段階におきまして、そういう考え方も一つの意見として出ておったというふうに記憶をしております。

塩川委員 そういうのが十分検討されたのかということなんじゃないでしょうか。

 ですから、定義もない、役割についての規定もない、そういう議論で、発行方法だけを議論するというのがベースになっているから、今言った中途半端な検討会の議論になっているんじゃないですか。

 そういう点でも、今回の法案は極めて不備があるという点では、もう一回出し直す必要があるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 今回、プライバシーへの配慮の観点から支障がない官報の掲載事項については永続的に公開をさせていただくことといたしました。

 また、官報の掲載事項については、法令の規定等に基づきまして、二つのバランスと申し上げておりますけれども、一般国民に周知をさせるために官報に掲載されるものでありますが、同時に、プライバシーについても、官報の電子化に伴い、インターネットの特性として、これまでの情報加工、流通や目的外使用の危険性が高まることに留意する必要がある、こういう考えの下で一定の整理をさせていただいたものでございます。

 今回の法律の提出につきましては、デジタル化の象徴ということと、デジタル化をするに当たっての法制化が必要だということで御理解賜ればと思います。

塩川委員 デジタル化の象徴というんだったら、デジタルであれば、閲覧期間を制限する必要もそもそもないんじゃないですか。それはそう思いませんか。

自見国務大臣 繰り返しになって申し訳ございませんが、プライバシーへの観点等から支障がない官報情報については永続的に公開することとしてございます。

塩川委員 それは、閲覧期間を設けることが前提に、その一部を永続的にと言っているだけなので、基本は永続的にして、配慮が必要なものについては閲覧期間を設ける、そういうやり方があるというのも一案だという話を、今政府参考人の方でもあったわけですから、そういったことを含めて、もう一回差し戻して議論した方がいいんじゃないですかと言っているんですが、いかがですか。

原政府参考人 お答えをいたします。

 そういった議論も含めた中で、官報電子化検討会議の下でそういう結論になったものというふうに理解をしております。

塩川委員 まともな議論があったというふうには全く見えてこないというのがこの中身だと思います。

 この法案について、今回の法律で、じゃ、今後、過去に遡って官報を閲覧するということは保障されるんでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案及び整備法案の規定によりまして、これまでに発行された紙の官報と、また法施行後に電子的に発行される官報のいずれにおいても国立公文書館に移管することとしてございまして、国立公文書館において過去に遡って官報を閲覧することが可能でございます。

 なお、国立国会図書館等においても、これまでに発行された官報及び法改正後に発行される官報のいずれについても閲覧することは可能でございます。

塩川委員 ちょっと時間がないので、もうここで終わりますけれども、やはりもう一回考え直してほしい、本来こういう法案は出し直していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 十分、よろしくお願いいたします。

 大臣、お疲れさまでございます。

 この法律なんですけれども、電子化に関することについて、法律とか大臣の提案理由説明を聞いていて、電子化に関する、なぜ電子化が正本となるのかという、その目的がどこにも書かれていないんですね。

 そもそも法律に目的規定がない。そして、提案理由説明で何を言ったかというと、デジタル化の象徴であると。デジタル化の象徴であるからデジタル化します、それはただのトートロジーでありまして、意味のないことなんですけれども。

 いろいろな可能性があると思います。紙を減らすとか、無償でやり取りできることを促進するとか、検索可能性を高めるとか、いろいろなことが考えられると思うんですが、そもそも目的は何ですか。大臣。

自見国務大臣 お答えいたします。

 これまで官報は有料の紙の印刷物でありましたが、本法律案によりまして官報が電子的に発行されることで、ウェブサイトを通じていつでもどこでも無料で官報を閲覧することが可能となり、国民の方々がより迅速に法令等の情報にアクセスできるようになるものでございます。

 また、本法律案では、電子的に官報が発行された時点をもって法令等の公布が行われたこととなることを明確に定めておりまして、法令の公布等が電子的に完結し、法令の公布等がされた時点が明確となります。

 さらに、官報の電子化によりまして、今後、国民の利便性の向上や行政の業務の効率化に資する取組が促進されることとなり、例えば、機械可読なデータの提供、あるいは、官報に掲載を依頼する際の入稿から掲載までの作業時間の短縮といったことが期待されるところであります。

緒方委員 その中で、私は、検索可能性を高めるということがあるかなと思ったんですけれども、言及がなかったんですね。

 今、法令検索で公告と検索すると、法律だけで四百四件ありました。この中には、実は様々な個人情報に当たるものが含まれていると思います。今話題になっているのは破産とか帰化とかでありますが、それ以外の個人情報も結構含まれているのではないかと思いますが、レクのときに聞いてみると、そういう個人情報についても全て画像化させ、テキスト化することができないようにした上で、つまり、テキストとして取り込めないようにしているというふうに聞いたんですが、これは事実でしょうか。全ての個人情報を画像として取り込むということをこれからも続けていかれるということでしょうか。大臣。

原政府参考人 お答えをいたします。

 この法律につきましては、一年六月内の施行期日ということで、即施行ではございませんので、今おっしゃったようなことも含めて、一年半の間に各省庁と相談をしながら進めていくものだろうと思います。

緒方委員 レクのときの説明と少し違いましたね。

 大臣、是非御理解いただきたいと思うんですけれども、全ての個人情報を全部画像化して、つまり、検索可能性を落として、そして、テキストとして取り込むことができないようにしてしまうというのは、ちょっとそれはやり過ぎなんじゃないかと私は思うんですね。これは真摯なる検討を求めたいと思います。大臣、一言。

自見国務大臣 お答えいたします。

 利便性の向上とプライバシー保護の両方のバランスを取りつつ、しっかりと問題意識を受け止めてまいりたいと思います。

緒方委員 もう一つあるのが、現在国立印刷局が実施している有料の官報検索サービスについては、こちらは現在、全て情報をテキストで提供しているため、検索可能性がむちゃくちゃ高いんですね、個人情報でもばちんと出てきます。

 レクのときに聞いて、私、それはまずいと思ったのが、今回のこの法改正を契機に、国立印刷局と協議した上で、この官報検索サービスについても画像提供をして、検索可能性をなくす方向で相談しているというような話がありました。そうすると、そういう過去の検索サービスは何かというと、何の検索可能性もない画像の膨大なデータだけがあるんですね。

 そこまで利便性を下げることをするというのは、これはよくないと思いますし、少なくとも有料のデータのところについては、ある程度個人の検索可能性をしっかり残すべきだというふうに思いますが、官房長、いかがですか。

原政府参考人 国立印刷局におきましては、現在、キーワード検索等の機能が付与された有料版の官報情報検索サービスを提供しておりまして、その際、利用規約において、個人的な使用の範囲を超えた利用を禁止するなどの措置を講じているところでございます。

 委員御指摘のようなところにつきましては、やはり、先ほど大臣からも御答弁ありましたような、利便性とプライバシー等々とのバランスをどの辺で取るのかということの御議論だと思いますので、その辺りも含めて、内閣府において、プライバシーへの配慮措置等についても確認した上で承認するようなことを考えたいと思います。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 私自身、例えば、さっき、個人で使う限りにおいてということでしたが、国会での作業に使うために、官報に掲載されている個人に関する情報を国立国会図書館に請求したことがあります。国立国会図書館に聴取してみると、やはり、国立印刷局の有料官報サービスと契約した上でそういうデータを取り出して、我々が国政調査ということで何かやろうとするときに情報として提供しているんですね。

 緒方林太郎が過去に何かやらかしていないだろうかというのを調べたいと思う方が仮にいたとして、全て画像になってしまうと、もう私の名前はひっかからないんですね、そういうことがないように努めたいと思いますけれども。そういう、我々の国政調査活動にも影響するものであるというところがありますので、これは今回の法律の射程から少し外れるところですけれども、有料の官報検索サービスについて、大臣、一言いただければと思います。大臣。

自見国務大臣 お答えいたします。

 今般、本法案の検討に先立つパブリックコメントにおきまして、プライバシーに配慮すべきとの意見を一定数いただいたことも踏まえまして、プライバシー配慮のための適切な措置を講じる必要があるものと考えてございます。

 その上で、先ほど申し上げたとおり、官報の発行における情報の提供につきましては、今後の技術の進展に応じて、プライバシーの保護とそして利便性の双方に配慮した最適な情報提供を追求してまいりたいと思ってございます。

緒方委員 先ほどから、破産者マップや帰化情報について多くの議論がありました。非常に関心高く聞いたわけでありますが、破産者マップというのは、よく考えてみると、あれは金融機関が持っているブラックリストにほぼ類似なんですよね。ということは、作成そのものがそもそも禁じられているものではないんだろうというふうに思うんです。禁じられるのは何かというと、これを公開する行為が禁じられるんだ、私自身はそういうふうに理解しております。でなければ、金融機関はどこでも持っていますよ、ブラックリスト。それを作ること自体も駄目だということになるので、恐らくそういうことではないんだろうと思う。

 そうすると、それは個人情報保護法の枠内で厳格に対応すべきものだというふうに思うわけでありますが、官房長、いかがでしょうか。

原政府参考人 お答えを申し上げます。

 個人情報保護法につきましては、ある意味所管外ではございますけれども、御指摘をよく踏まえた上で検討させていただきたいと思います。

緒方委員 最後に、大臣に一言だけ。

 今回、下手をすると、画像で取り込むところの幅がぶわっと増えることによって、むしろ、この法律を通した、副次的な結果も含めて、利便性が下がる可能性を、私はレクのときに、その可能性があるのかなと思ってしまいました。

 利便性を下げることはしないというふうに断言していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 利便性とプライバシーの両方に配慮をするということが非常に重要だというふうに思ってございます。

 委員いろいろ御指摘いただきました問題意識もしっかりと受け止めてやっていきたいと思います。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 この官報法改正案について、検討会議のまとめた官報電子化の基本的考え方には、プライバシー配慮のための措置を取ることも必要とされていますが、本法案にはその結論が見当たりません。

 自見大臣、どのような情報をどこまで官報の掲載事項とするのか、その結論を得た上で、個別法である破産法、国籍法などの見直しの検討も同時に行うべきではなかったかと考えますが、この点、御見解をお伺いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 官報に掲載されておりますプライバシー情報等を含む公告等につきましては、一般に周知させる必要があることから、個別の法令の規定に基づきまして官報に掲載されているものでございまして、これらは官報の電子化の後においても同様に一般に周知させる必要がございます。

 また一方、プライバシーの配慮につきましてでありますが、専門家から成ります内閣府の官報電子化検討会議におきまして具体的な措置について検討を行うとともに、パブリックコメントにおいても御意見をいただいておりまして、こうした御意見を十分に踏まえた上で、今回、御指摘の問題意識も踏まえて法案を提出させていただいております。

 今後、技術の進展に応じまして、プライバシー配慮のための適切な対策を講じながら、官報が有する告示そしてまた公告の機能が適切に果たされていくことが重要であり、委員御指摘のような問題意識も踏まえながら、関係省庁とも連携しながら適切に進んでまいりたいと思ってございます。

櫛渕委員 検討会議でもパブリックコメントでもそのような声が出ているのであれば、今ここで同時に検討すべき事項じゃないんですか。それが大臣のリーダーシップだと思いますよ。

 今回の、官報が法的根拠を持つのはよいとしても、利便性、効率性ばかりが強調され、センシティブ情報の取扱いが不明確であるのは、この法案の大きな欠点であると考えます。

 さて、自見大臣には少子化対策もお聞きしたいところでありますが、今は所掌が違うということで、残りの時間は、こども未来戦略方針について、担当副大臣にお伺いをいたします。

 戦略方針にある加速化プランでは、二〇二八年度までに徹底した歳出改革を行い、実質的な追加負担を生じさせないとしています。

 しかし、十一月八日の、支援金制度の大臣懇話会で出された最新の資料には、仮とはしつつも、支援金の運用を医療保険から徴収することが書かれています。これは明らかに国民負担が増える話でしょう。加速化プランの支出は、三兆円台半ばを三年間で実施とあります。これだけの額を歳出改革で生み出せるとは到底思えません。

 また、副大臣、二〇二八年度までに実質的な追加負担を生じさせない、消費税など子供、子育て予算の財源確保を目的とした増税は行わないとされていますが、これは、加速化プランの期間だけ、つまり二八年度まで、その後は増税があり得るという理解でよろしいんでしょうか。

 なぜなら、このパネルを見てください。こども未来戦略方針スケジュールを図式化いたしました。まず、支出として、加速化プランの三兆円台半ばを三年間で実施、その財源は何かというと、その下ですね、歳出改革もあるけれども、こども特例公債をつなぎとして支援金制度をつくるとしています。そして、水色の安定財源へと移行する。加速化プランが完了する二〇二八年度までに安定財源を確保と書かれています。

 目指す規模として、二〇三〇年代に予算倍増、昨年から総理が繰り返し言っている予算倍増、倍増、結局十年後という、これ自体大きな問題であるわけですが、いずれも、こども家庭庁予算ベースで九・四兆円、国と地方の事業費ベースで十六兆円。本来、十六兆円が筋と考えますが、この規模を安定財源でやると言っているわけですね。

 では、この安定財源は何なのかということなんです。思い出すのは、過去にも似たフレーズがありました。あの消費税八%、一〇%、これの増税を決めた二〇一一年の社会保障・税の一体改革の成案です。そこには、消費税収を主たる財源として安定財源を確保と書かれており、安定財源といえば消費税を指すことは今や自明の理と言える状況ではないでしょうか。

 事実、ひどいコロナ禍で経済が落ち込み、そこに歴史的な物価高が押し寄せ、国民は賃金が上がらず、食費を切り詰め、これほど苦しい生活を強いられているにもかかわらず、一方、国には三年連続で過去最高税収が記録され、消費税収も過去最高となりました。まさに財務省にとって安定財源であることがよく分かります。取り過ぎですよ。

 また、経団連からは、消費税は財源として安定的であり選択肢の一つとか、少子化の財源も中長期的に確保すべき、消費税を例外にする必要はないという言葉は、この戦略方針とぴたりとくると言わねばなりません。

 副大臣、この安定財源とは、やはり消費税ではないんですか、違いますか。お答えください。

井林副大臣 お答え申し上げます。

 まず、少子化対策の財源につきまして、本年六月十三日に閣議決定いたしましたこども未来戦略方針でございますが、加速化プランに必要な財源の基本骨格をお示しをしてございます。

 全世代型社会保障を構築する観点からの歳出改革を引き続き行うことや、既定予算の最大限の活用などを先行させ、それによる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減効果を活用しながら、実質的な追加負担を生じさせないことを目指しております。また、経済活性化、経済成長への取組を先行させる。そして、これらを行う中で新たな枠組みを構築するという形で、安定財源を確保することとしております。

 なお、二〇二八年以降の話でございますが、こども未来戦略方針において、加速化プランの効果の検証を行いながら、政策の内容、予算を更に検討しまして、こども家庭庁予算で見て、二〇三〇年代初頭までに、国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指すとしております。その財源につきましては、同方針におきまして、政策の内容を検討し、内容に応じ、社会全体でどう支えるのかということを検討するとしておりまして、こども家庭庁の方におきまして、こうした方針に沿って着実に取組を進めているものと承知をしてございます。

櫛渕委員 この安定財源とは消費税ではないですかとお聞きして、そうではないというお答えはいただけませんでした。そして、二〇二八年度以降も増税はないということについては否定されなかったというのが今日のお答えと受け止めました。

 実質という言葉が出ますけれども、結局、実質国民負担が増えるんですよ、支援金制度を継続しても、消費税増税でも。これは何で先に聞くかというと、みんな将来が不安なんです。それが少子化加速の正体なんですよ。将来が安心、これがなければ子供を持てない。そうじゃありませんか。なのに、消費税増税にしても支援金制度にしても、結局は国民負担を増やすことになる。そうすれば、少子化は加速し、ますます日本は……

星野委員長 櫛渕君に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

櫛渕委員 国家自滅の道になってしまいます。

 今、れいわ新選組は全国でストップ増税のデモをしていますけれども、若者の参加が広がっているんです。増税駄目、絶対です。

 世論でも、消費税減税が国民の四割を超えている。これは、短期的な物価高対策ではないです。

星野委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願い申し上げます。

櫛渕委員 失われた三十年の痛みの声と政府には是非とも受け止めていただいて、少子化対策の財源には消費税増税はしない、そして……

星野委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

櫛渕委員 消費税廃止、このことを強く求めて、私の質問を終わります。

星野委員長 時間を守ってください。

 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表し、官報発行法案と整備法案の両案に反対の討論を行います。

 官報発行法案の重大な問題は、国民への公開を明記せず、官報に閲覧期間を設け、閲覧に制限をかけていることです。九十日間とされる閲覧期間に何の合理性もありません。期限なしで閲覧できるのは、法令と、内閣府令で定める事項となっており、プライバシー保護などを口実として、恣意的に制限をかけることが可能な仕組みです。

 そもそも、官報は、法律等の公布や公示事項を記載することで法的効果を生じさせ、国民の権利義務に影響を与えるものです。あわせて、国民に広く周知する役割を持っています。センシティブ情報への適切な配慮を行いつつ、官報を永続的に閲覧できるよう保存、公開することで、国民の知る権利を保障することこそ行うべきです。

 官報に閲覧期間を設けることは、国民の知る権利を狭めるものであり、反対です。

 官報発行法案との整合性を取るための改定を行う整備法案にも反対であることを申し述べ、討論を終わります。

星野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、官報の発行に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

星野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、特に経済財政政策・CPTPP等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官武藤功哉君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 立憲民主党の馬淵でございます。

 今日は、一昨日の当委員会での、まず内閣法制局の答弁について問いたいと思います。

 それは、一昨日、これは木村参考人からですが、私の問いに対して、憲法十四条のこの件に関してですが、一般国民であっても旧宮家に属する方々という、皇統に属する方々が皇族の身分を取得するような制度を念頭に置き、中略、そして、一般論としては、皇族という憲法十四条の例外として認められた特殊な地位を取得するものでございますので、憲法十四条の問題は生じないものと考えております、こう答弁されました。ここでは結論だけを述べられて、この論理の流れというのが明らかではありません。

 そこで、内閣法制局、どのような論理で一般国民が第十四条の例外となるのか。これは順を追って端的にお答えいただきたいと思います。

木村政府参考人 現時点では具体的な制度を念頭に置くことができませんので、一般論として申し上げます。

 まず、前提といたしまして、憲法は、第十四条において法の下の平等を定めつつ、その特則の規定と解される第二条におきまして皇位は世襲のものとし、また、第五条及び第四条第二項におきまして摂政、国事行為の委任の制度を設けておりまして、これらの制度を円滑に運用することは憲法の要請するところであり、このために、現在一般国民である皇統に属する方を新たに皇族とすることを可能とする制度を法律によって創設することについては、憲法自体が許容しているものと解されます。

 その上で、皇統に属する方のうちいずれを皇族とするかにつきましては、皇室典範、すなわち法律に委ねられていると解されますところ、皇統に属する男系男子を対象に、例えば養子制度を検討することは、憲法第二条、第五条等を踏まえまして、法律において養子となる方の範囲を適切に定めます限り、憲法十四条との関係において問題が生ずるものとは認識しておりません。

馬淵委員 そうでありますと、皇室典範かあるいはその他の法律において、一般国民たる、養子縁組に当たる方、この方を皇族とするという、ある意味、平等原則から離れることになります。

 この憲法十四条は、一般国民は平等原則、そして、皇族、皇室の方々はその例外となるということであります。これは前回も確認をいたしました。今の御答弁ですと、この法制化そのものが憲法十四条に抵触するということにはならないんですか。お答えください。

木村政府参考人 済みません、繰り返しになるところがございますけれども、憲法第十四条の特則の規定と解されます第二条、また第五条及び第四条二項の規定を踏まえますと、これらの制度を円滑に運用するということは憲法の要請であります。

 また、皇族の範囲につきましては、法律の定めるところに委ねられていると解されますことから、現時点では具体的な制度は明らかではございませんが、一般論といたしましては、立法によって、現在一般国民である、例えば旧宮家の方々を新たに皇族とすることを可能とする制度を創設いたしましても、憲法の許容するところであると考えております。

馬淵委員 大変重要な答弁を今いただいたと思っています。

 つまり、憲法、これは根本規範であります。そして、法律はあくまでも、その下位に属する効力を持つ、下位の効力となります。しかし、この下位の効力を持つ法律によって、憲法で規定されている原理原則を変えてもいいということになるんですか。法制局。

木村政府参考人 先ほど来申し上げておりますのは、あくまでも、憲法十四条の特則の規定と解されます第二条、あるいは憲法第五条、第四条二項の規定との相互関係においてそのようなことが成り立つのではないかということを申し上げておるわけでございます。

馬淵委員 内閣法制局、済みません。今の説明でも、憲法違反の疑義、これは既に有識者会議、この報告書に挙げられていく中での、様々な有識者の御意見の中にも指摘をされてきたことであります。したがって、この疑義に対して、明確な論理構成として今お答えいただいたのはなっていないんじゃないですか。

 つまり、今の状況では、内閣法制局がただ単に結論ありきで今のお話をされている。二条、四条二項、五条、これらを踏まえて憲法が許容するとおっしゃっていますが、少なくとも、下位法によって憲法の原理原則、しかも平等原則という憲法の最も重要な部分でもあると思っています、この部分がないがしろにされることになります。

 幾ら聞いても同じ答弁しか返ってこないんでしょうけれども、極めて重要な御答弁をいただきました。

 内閣法制局が、私は本当に残念なんですが、安保法制以降、いわゆる閣法の合憲お墨つき機関に成り下がってしまっているのではないか。今後は、立法府の総意に基づく議論が早急に行われていくと思いますので、この点は明確にしていかなければならないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 内閣法制局、これで結構です。

星野委員長 退席していただいて結構です。

馬淵委員 済みません、お待たせいたしました、新藤大臣。

 大臣がいらっしゃらなかったので、私の方で水曜日、一昨日に、事務方に少々確認をさせていただきました。七万円給付の問題です。

 これにつきまして、答弁も御覧になっておられると思いますから、もう大臣も御存じだという前提で、事実確認は私はしませんので、大臣の御所見を伺っていきたいと思います。

 まず、この七万円給付でありますが、さきに行った三万円給付、これは緊急支援と言われながら、自治体ごとに給付開始の時期に大きな差が生じてしまっていました。このような不公平が生じるようなスキームを今回のこの七万円給付では採用する、このように聞いております。

 なぜこのスキームで行わねばならないのか。三万円給付、七万円給付共に、地域の実情に合わせた独自性を持った取組をきめ細やかに実施できるようにということで、いわゆる給付金が組み込まれたわけです。地域の実情に合わせた独自性、これは関係ないんじゃないですか。お金を渡す、これが一番重要なことですから。

 つまり、このようなスキームが私は妥当だと思えないんですが、新藤大臣、いかがお考えですか。

新藤国務大臣 まず、馬淵委員が問題意識としてやはり速やかに配るべきだ、これは共有しております。私もそのように考えて、できるだけまた工夫をしたいと思っています。

 少し事務方の答弁が、言葉が足りていなかったのかなというふうに今聞きながら思ったんですけれども、今回の給付、なぜ重点支援地方交付金になったかといいますと、まずは、金額として、既に支給している三万円、プラス七万円で生活支援すると。でも、同じ重点支援地方交付金の中に、推奨事業メニューというプラスアルファのものがございます。それから、子育て支援のものについてもそこに加えてもいいということで、様々なプラスアルファ、それは地域の実情によって、特に寒冷地で灯油の消費の激しいところとそうでないところで、やはり多少のそういった工夫も、今もう既にあります。ですから、こういうものを加味した上で進めていく。

 何よりも、前回のときは三月の補正でございましたが、結果的に六月の地方議会で処理をすることになりました。ですから、もう既にその時点でラグが生じたわけです。今回は、補正予算を成立いただくならば、それを前提にして、速やかに、様々な事務手続が素早く進むように工夫をして、委員の御心配いただいていること、これも私たちも実現させていきたい、このように思っているわけです。

馬淵委員 大臣、私は事務方にもそれを尋ねたんですよ。いわゆる推奨メニュー、これは独自の判断があるでしょう、LPガスの問題だったり様々、いわゆる上乗せ、横出しという部分、これは分かります。だから、そこは地域の実情に合わせてやったらいいんですよ。

 しかし、給付金は関係ないですよ、一律に配るんですから。これが、この枠組みの中に置いている限り、自治体任せになるので、やはり時間がかかってしまうんですよ。だから、これはやはり変えるべきだと思うんですよ、もう今決定しておられるということでしょうけれども。私は、前の質問で、当時の後藤大臣にもそのことは指摘をしてきました。

 新藤大臣、これは変えるべきですよ。いかがですか。

新藤国務大臣 是非、構造的な仕組みを御説明させていただきたいと思います。

 委員の今のお話を私の方で解釈するに、推奨事業メニューは推奨事業メニューだ、それから、交付金は交付金で別々に配ればいいじゃないかとおっしゃっていると思うんですけれども、仮に国が、じゃ、交付金のみはやる、交付すると言っても、結局、配るのは自治体にお願いすることになるんです。それは、結局、国民台帳というのがあるわけじゃありませんから、地方自治の業務の中で、それぞれ対象を特定してお配りすることになる。

 ですから、今回の交付金の事業と、それから、それを含めた、推奨事業を含めた、それは自治体として交付計画を作って、それを国がその範囲でもって、中身をチェックした上でお届けするということになります。

 ですから、要は、その手続をいかに速やかにするか、ここに工夫が必要だというふうに思っておりまして、趣旨とすれば、委員が問題意識を持っていることと同じようなことをやりたいと思っています。

馬淵委員 しかしながら、自治体においては、コールセンターの再設置だとか人員の再度の雇用だとかが生じるわけですよ。結局、地方任せということになりますので、自治体にお願いをするわけですから。国が直轄で給付をする仕組みにすれば、これは、おっしゃるように、自治体から一定の原簿が必要ですけれども、少なくとも、国が給付をするという仕組みにすれば、今申し上げたようなことは出てこないんです。

 テンポラリーだから、このように毎度毎度同じことを繰り返す。もうテンポラリーではないですよ。様々な形で、世界中の様々な情勢も含めて、経済がどうなるか分からない中では、給付という仕組みに関しては、真剣に、国が直轄で速やかにできる方策を考えるべきです。

 私は、一点提言をしたいと思っていたのが、実は、給付の仕組みの中で、源泉徴収という徴税の仕組みがあります。これは大抵が、財務省や国税は絶対にそれは認めないと言うんですが、源泉徴収の仕組みで、いわゆるサラリーマン、労働者、勤労者、こういった方々は、源泉徴収の仕組みの中で、市町村にいわゆる給与報告書も出ていますから、市町村はそれを把握しています。この源泉徴収の仕組みを逆に回す。集めるのではなくて、配る側に。当然ながら、会社が代わりにやっているわけですから、源泉徴収しているわけですから、口座も全部把握しています。世帯の概要も全部分かっています。このように、勤労者には、少なくとも、源泉徴収の仕組みを逆に回せば、お金が届きます。

 そして、いわゆる非課税世帯の方々で、年金や、あるいは生活保護の方々、こういった方々は、市町村がそのまま給付しています。さらには、確定申告者、自営業の方々、これは国税に確定申告でちゃんと申請します。

 つまり、国税に一定のデータがあり、市町村は、少なくとも、今申し上げたような自営業者あるいは非課税世帯の方々、これも把握している。給与報告書は、サラリーマンの部分も市町村に行く。つまり、市町村ワンストップで、お金を逆戻しで回すという方法はすぐにでも取れる。こういった議論や検討は政府で全くされていないんです。

 国税には、eLTAXという徴税の仕組みをシステム上で把握している大変大きなシステムがございます。これを今申し上げたような形で給付の仕組みに使えば、即座に、いつでもいわゆるプッシュ型の給付が可能になるんですよ。こういった検討が政府でなされていないということが私は問題だと思っているんです。

 新藤大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 よい問題提起をしていただいていると思っています。

 私の方では、今それを一生懸命検討しております。政府の中で、徴税部局、それから地方自治を所管する総務省を含めて、どのようにすれば迅速に、しかも、委員がおっしゃるように、これはテンポラリーになってきました。ですから、今回も、そもそも重点支援地方交付金を使うのは、既に一回ルートができているからというのもございます。

 先ほど委員が御指摘いただいた、国がやれば地方自治体がコールセンターや人を雇わなくて済む、地方自治体はそうなると思います。しかし一方で、国の方で、またそれを配るためのコールセンターや、本当にとんでもない事務費をかけて委託の業務が入ってくる。ですから、これはどっちに行っても、結局、一人一人にお配りするには更に新しい仕組みが必要だと思っています。それは、例えば電子的な手段をもっと効率よく使えるようになれば、申請も速やかに、そして給付も速やかに、そういった方法もできるじゃないかということを今いろいろ検討しています。

 できるだけ委員の問題意識に沿うような形で私どももやりたい、このように思っているわけです。

馬淵委員 私が申し上げたコールセンターなんというのは、自治体に任せているので、それがまちまちだから余計時間がかかるんですよね。

 先ほど申し上げたように、徴税の仕組みを使って逆戻ししていくという給付の仕組みであれば、大変大きなシステムですけれども、eLTAXを使えば、徴税情報は全部そこにありますから、これは瞬時にできるはずです。

 ですから、こういった取組を、是非、新藤大臣、率先してやっていただきたいと思います。同じことをまたやったら、本当に、一体何をやっているんだという話になりますよ。

 そして、もう一問だけ、時間がありませんので、国民負担率について尋ねたいと思います。

 国民負担率については、総理が所信表明で、コロナ禍で国民負担率は高止まりしましたが、成長の成果もあって低下する見込みです、その低下を確かなものとし、ちょっと略しますが、国民負担率をコロナ禍の水準に後戻りさせることなく、このように述べられました。

 国民負担率は二十年以上、お手元の資料を御覧いただきますと分かりますように、右肩上がりの上昇です。令和二年度四七・九、三年度が四八・一、そして四年度が四七・五、令和五年度が四六・八ということで、少し下がる見込みだということです。

 このような状況で、この低下を確かなものとするという点、これも新藤大臣はもう確認いただいていると思いますが、これはどれぐらいの数値を目指すのかということで、端的にお答えいただけますか。

新藤国務大臣 これは、まさに総理が申し上げていますように、コロナ禍の水準に戻さない、そのことを意味している、このように御理解いただきたいと思います。

馬淵委員 つまり、コロナ禍水準というのは、四七・五から四八・一、このような水準には戻さない。

 そして、数値目標というのはないんでしょうけれども、少なくとも、四六・八というのが令和五年度の見込みですから、この四六・八%の国民負担率、これが後戻りしないようにするということだと私は説明を受けています。今、そういう御答弁だったというふうに受け止めますが。

 国民負担率は、皆さん御存じのように、税負担と社会保障負担が分子です、この和が分子。そして、分母は国民所得です。GDPではありません。でも、GDPにほぼほぼ連動すると言われていますが。これを下げるということは、すなわち、分子を減らすか、分母、国民所得を高めるか、あるいはその両方ということになりますが、現状で、この十年、国民所得の成長推移というのはおよそ一・二%程度なんです。つまり、なかなか成長は難しいという状況。この五年だけ見れば、コロナもありましたから約〇・九八、一%ですね。

 このような状況の中で、四六・八%を維持しようとすると、必要な成長率は、計算すればすぐ出ます、一・三%ほどになります。この一・三%、これを維持していくということがどれほど大変かというのは、先ほど申し上げたように、この十年間を見ても、なかなかそこにたどり着かないような状況。そして今後は、社会保障負担、ここの部分は、当然ながら、高齢化が進みますから増えていきます。つまり、分子が増えていく方向になる。

 所得税減税の話がありますが、今後増税ということが起きた場合には、この国民負担率をそれこそこれ以上大きくさせない、後戻りはさせないということについては、なかなか困難ではないかと考えられます。

 新藤大臣、これはすなわち、岸田総理はもう増税はしないという決意を持って発言しているということになるんでしょうか。新藤大臣はどうお考えですか。

新藤国務大臣 大事なことは、今委員がお配りしていただいたものの中で、令和三年、四年はコロナ禍ですが、租税負担率が上がっているわけです。一方で、国民所得は、令和元年度は四百二兆円だったものが、令和三年は三百九十五兆円。結局、国民所得は下がってしまったんですけれども、でも、税は、別に税率は変更していませんが、税収が上がったんですね。だから結局、国民負担率が上がってしまった、こういうことになります。

 今私の一番大事なことは、三十年ぶりのチャンスを迎えている日本経済、このコストカット型の、デフレではないものを何としても実現しなきゃいけない。それは結果的に、国民所得が増えていく、分母を増やすことによってその負担率を上げないようにしていく、これが重要なことではないかなと思っています。

馬淵委員 もう時間です。

 研究によると、二〇四〇年には六、七%国民負担率が上がるのではないか、社会保障の自然増がありますから。そして、成長を遂げるのはなかなか難しいです。過去十年を振り返ってもそうです。これからこれを二%なり上げていくことができればよろしいですが、なかなか厳しい。そういう状況の中で増税はできないという現状にあるんだということだけを申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、一般質疑ということで、主に総合経済対策について、十一月の二日に閣議決定されたデフレ完全脱却のための総合経済対策についてお尋ねしたいと思います。

 その前に、CPTPPについてお尋ねいたします。

 このCPTPPは、日本が加盟するアジア太平洋地域における経済連携協定であり、関税引下げ、貿易・投資の自由化を進めるとともに、公正な通商ルールの構築を目指す協定であり、我が国にとっても非常に重要な協定であるということは言うまでもございません。

 このように重要なCPTPPの閣僚級会合がサンフランシスコで行われ、そこに新藤大臣も参加されて、本日の早朝に帰国されたということで、大変お疲れさまでした。

 まずは、その成果と、また、大臣が出席された意義についてお伺いいたします。

新藤国務大臣 この国会中に、委員会の御理解をいただいて出張させていただきました。まずは御礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今回私が担当大臣として出かけたことは非常に意義があったと思っております。前回、五月のときに閣僚会合がございましたけれども、そのときは、やはり国会の事情があって副大臣が出ました。結果として、なぜ日本は大臣を出してこないのかということで、そういった、残念だという声が上がったということも聞いております。

 それから、今般、私参りましたけれども、各国全て大臣が集まりました。ですから、十一か国プラス、イギリスを入れて十二か国の大臣が集まったわけであります。その中で、TPPの一般的な見直し、これをやっていこうということ、それから、新規加入の今後の展開について、こういったことが大きな議題になりました。

 ことごとく出席の方々から言っていただいたのは、発言の折々の中に、やはり日本のこれまでのイニシアチブに感謝するという声はとても多く出ました。TPPで進めてきたことが、米国が突如の離脱をして瓦解の危機にあったときに、日本のイニシアチブは、そのとき物すごくみんなで頑張って、一つにまとまろうということでCPTPPになりました。

 それから、イギリスがEUから離脱して世界中に大きな衝撃が出たときに、いち早く日本とイギリスは二国間のEPAを結び、そして、含めて、TPPへの加入を誘いました。そして、日本がイギリスの、加入国の検討をする議長国になりまして、また、そういうことに対する努力を、非常に各国が大臣同士での話の中で言っていただいた。

 そして、何よりも、これから世界で、ゴールドスタンダードと言われておりますけれども、とてもハイスタンダードなTPPをどうやって拡大させていくか。その際に、やはり、原則を守って、ルールの中で進めていく、貿易的な威圧だとか経済威圧行為だとか、貿易の不均衡や貿易のルールが守れない中でこのTPPをただ拡張することはできないんだということを、今回みんなで合意をしたわけであります。

 直接のお話合いをしながら、そして、結局二国間の会談も五か国とやったのでございますけれども、全ての国が、日本に対して、私に対して、今後TPPをどうするつもりなんだ、この部分はどう考えるかというふうに、向こうから私の方にどんどんと聞いていただく。ですから、そこに日本のイニシアチブがあるかということはお分かりいただけると思うんですけれども、大変な無理をしながらやってまいりました。(発言する者あり)

 御質問いただければ、お答えいたします。

住吉委員 まあ、中国と台湾、いろいろ問題はありますが、この委員会で質問は私はしないでおきたいと思いますが。

 政府の、これまでの日本のイニシアチブに感謝するという言葉があったからこそ、大臣が前回出なかったので残念だった、そういうような発言もあったのかなと思っております。非常に有意義であったと思いますし、我が国の国益にも資することですので、今後も期待したいと思っております。

 また、我が党は、総理大臣、外務大臣始め、大臣は積極的に海外の会議や外交、外遊を行い、また、大臣不在の際は、答弁は副大臣が代わりにするべきということも申し上げております。

 今回、委員長、理事の皆様、また大臣もいろいろと調整いただいてこの質疑する機会をいただき、まずは感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、理事の皆様にも更にお願いしたいのは、今後、外交等、国益の観点から、大臣不在の場合は副大臣での対応で委員会を開く、これも国会改革の一つだと思いますので、御検討をお願いしたいと思います。(発言する者あり)いやいや、副大臣対応をするということでお願いしたいと思っております。

星野委員長 やじは慎んでください。

住吉委員 それでは、総合経済対策についてお尋ねいたします。

 今回の総合経済対策、十一月の二日に閣議決定されましたが、首相が、総理が表明したのは九月二十五日であり、減税の構想が伝わってきたのは十月の中旬頃でした。今年の初めにも、三月の二十二日に政府は二兆円超の物価高対策を決定し、三万円給付、これを行っております。

 ここで気になるのが、そのタイミングです。この時期に経済対策を行っても低所得者層が恩恵にあずかれるのはかなり遅く、もっと早く対応できなかったのでしょうか。また、春の物価高対策、これは、うがった見方をしますと、四月の統一地方選挙の前、また、今回の総合経済対策は衆参補欠選挙の前というタイミングから、一部ではこのような経済対策は選挙対策ではないかと称する声も聞かれております。

 今回の総合経済対策をなぜこの時期に打ち出したのか、念のため確認しておきますが、選挙対策というわけではございませんよね。大臣の見解をお伺いいたします。

新藤国務大臣 今、我が国経済は三十年ぶりの大きなチャンスを迎えているということ、株価が上がり、そして百兆円を超える投資が起こり、そして様々な指標が上向きになっている。でも、一方で、目の前の物価高対策に苦しむ社会があって、今後、構造的な賃上げという、物価上昇率を上回る賃金の上昇が確保できるか、非常に重要な時期に来ている。そして、政府は生活支援の対策をこれまでも打ってきましたけれども、それを、一応、夏までの間やろうとしていることを延長いたしました。暮れまでの様々な生活支援策、これが途切れる前に今回の対策を打つタイミングがあった、私はそのように思っております。

 そして、前回の給付金、これについてはやはり、先ほど馬淵委員にもお答えしましたけれども、国が決めましたけれども、それを本当に御家庭にお届けするには地方自治体の手続が必要です。ですから、そういうところの手続の工夫をした上で、しかも現在できているルートを生かしながら、速やかにそうした効果が上げられるような、そういったことを盛り込んだ、それが今の時期です。

 それから、ここから来年度の新規の予算ができ上がって執行するまでに時間がかかります。ですから、この年度の途中で、ここで、先の、要するに経済の予見性を高める意味で、様々な、これからどんなふうに国が景気拡大、そして経済を強化していくのか、そういったメッセージを出す必要があって、ですから、目の前の給付に加えて、その先の投資や生産性を向上するための工夫をこの中に入れさせていただいた、こういうことでございます。

住吉委員 もっと早くできたのではないかと思ったりもしますし、また、いろいろ報道がありました減税も来年の六月、給付も、先ほど馬淵委員の質問でもありましたが、非常に遅くなるんじゃないかというようなこともございます。そういった中で、やはりもっと早くに即効性のある対策が必要だと私は思っております。

 そして、この経済対策の効果についてもお尋ねしたいと思います。

 内閣府が十五日、先日発表した七―九月期のGDP速報値、これは、前期比〇・五%減、年率換算で二・一%となっております。マイナス成長は三四半期ぶりで、個人消費と設備投資が弱含み、輸出の伸びも力強さを欠いていた、そういったことが要因と分析されております。

 この結果、GDPギャップ、これも埋まったと説明されておりましたが、これがマイナスに転じる可能性もあり、今回の経済対策の必要性というのは非常に高まったものだと思っております。

 しかし、第一の柱であります物価高から国民生活を守る、この施策の、先ほども申しましたが、減税と給付には即効性が欠けるものではないでしょうか。減税は来年六月頃と言われております。このような現状に対する対策である総合経済対策の効果をどのように見込んでいるのでしょうか。

 政府の資料によると、本経済対策の効果として、消費者物価の抑制としてマイナス一・〇%程度とされております。しかし、給付や減税を行い、消費を刺激するなら、物価はますます上昇するのではないでしょうか。物価高対策といいながら、正反対の施策を行っているのではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

新藤国務大臣 物価の抑制効果としては、特に燃油、それから電気代、こういったものが実際に物価の動向を見ますと数字に表れております。ですから、私どもが打っている対策によって一定の効果が出ている、このように御理解いただきたいと思います。

住吉委員 ちょっと補正予算とも関連するので、今日は財務省にも参考人としてお越しいただいております。

 この経済対策において、財源として補正予算が組まれるということです。しかし、補正予算とは、財政法第二十九条、これを見ますと、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合、これの場合に編成ができると規定されております。

 今回の総合経済対策の五つの柱を見ておりますと、第一の柱である物価高から国民の生活を守る、これはまだ緊要であると言えるでしょうが、しかし、第二の柱から第五の柱は、地方の成長や社会変革、国土強靱化といった中長期的な対策であり、緊要とは決して言えるものではございません。そうであるならば、今回の補正予算は全体として特に緊要であるとは言えず、補正予算の趣旨を逸脱していると思いますが、財務省の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 補正予算につきましては、今先生から御紹介のございましたとおり、財政法第二十九条におきまして、義務的な経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合などに作成することができるというふうにされてございます。

 来週二十日に国会に提出を予定してございます今回の補正予算案でございますけれども、これはまさに、先般、十一月二日に閣議決定をされました総合経済対策という予算作成後に生じました事由に基づきまして、その総合経済対策に掲げられました物価高対策や賃上げ実現のための取組などを速やかに実行するための特に緊要となった経費の支出を予算計上したものでございます。

 したがいまして、財政法の求める補正予算の要件につきましては、これを満たすものというふうに考えてございます。

住吉委員 満たすものということで、確認いたしました。

 それでは、そのような観点から、総合経済対策について確認させていただきますが、この第一の柱、物価高から国民の生活を守るという第一の柱に充当されているのは約二・七兆円であり、歳出約十三兆円の二割余りで、残り八割弱は国土強靱化や国内投資促進といった中長期的な対応に対する支出となっております。戦略産業への投資促進は、もちろん今後の雇用や所得の増加につながりますが、今求められている物価高に即効性があるわけではありません。

 我が党は、十月の二十三日に岸田内閣総理大臣に申し入れた緊急経済対策提言においても、今すぐ手当ての必要な対象、すなわち、物価高対策と生活困窮者支援に絞り込んだ対策が求められ、短期と長期の施策を明確に区別し、補正予算による実施分については、二〇二四年三月末までの期間を対象とした短期的措置としております。

 今回の総合経済対策の中長期的対応は、二〇二四年度本予算では間に合わないほど緊急なものなのでしょうか。一般的に、本予算より補正予算の方が審議日程がタイトで国会によるチェックが緩い傾向にありますが、毎年のようにこの時期になると巨額の補正予算が組まれております。

 今回の総合経済対策に短期的対応と中長期的対応を混在させたことについての大臣の見解をお伺いいたします。

新藤国務大臣 まさに先ほど委員が御指摘いただきましたように、GDPギャップ、プラスにぎりぎり乗ったかと思えば、そこが弱含みになっている、GDP成長率も安定成長とは言えない、そういう状態に来ています。

 ですから、目の前の物価高、国民生活を物価高から守る、その意味において、コストがかさんでいる燃油やガソリン、それから重点支援地方交付金による地方の様々な生活支援、こういったものを継続させるわけであります。

 そして、給付金については、所得の厳しい、物価高の影響を強く受ける層に対しては、可及的速やかに、できれば補正予算成立後に最大限のスピードでお配りできるような、こういったものをまず物価高で苦しんでいる皆さんにはすぐ届けるようにしようということをやります。

 その上で、今度は、この補正予算によって、結局それを究極的に、安定的な、物価上昇とともにそれを上回る賃金上昇を果たさなければ、GDPも上がりませんし、国民所得も上がっていきません。ですから、それには、目の前のコストプッシュに対する対策に加えて、先の投資を誘引する、そして生産性をもっと向上させるための工夫が必要だ。だから、労働供給力を増やそうという意味において、リスキリングや、それからジョブ型の、賃金をきちんと受け取れる、自分の能力に応じて賃金が受け取れる、そういう働き方に変えていこうということをやるわけです。

 そういう人たちに給料をきちんと払うためには、企業が今度は省力化、今、人手不足の中で生産性を上げるためには、人を増やすことがなかなか難しい中では、企業の生産性を上げるための新しい設備投資が必要だ。だから、今回、このタイミングで、省力化のための施設を入れるならば、あらかじめ、こういう機械を入れたらば幾らの補助金が出るということが分かるような、カタログ式の補助金という今までにない仕組みを入れて、中小企業の皆さんが申請しやすくしました。

 それは、投資をもっと拡大させようということでございます。その中から経済が循環していって、安定成長軌道に乗せるためには、これは一刻の猶予もならない。したがって、今回の補正はそうした二面性を持つといいましょうか、短期の、今お手伝いをしなきゃいけないことと、先に向けての動きを力強く後押しするための対策を今度は組んだ、そういうことでございます。

住吉委員 本当に丁寧に御答弁いただきました。

 一つ一つの施策自体は、それはやった方がいい施策が盛り込まれていると思っております。もちろん方向性としては賛同しますが、手法一つ一つについてはもっといろいろあるんじゃないかとか、そういう意見もたくさんありますが、一つ一つの施策については、方向性としては我々もそう思うところでございます。

 ただ、これを補正予算でやるということに対して、先ほど財務省の方に確認しましたが、緊要であるということにしか使えないはずなわけでございます。そういった中で、これは本予算にしっかりと盛り込んで長期的にやっていくものというのが非常に多く紛れ込んでいるのではないかということは、私も指摘させていただきたいと思っております。

 そして、予備費についても財務省の方にお尋ねしたいと思います。

 今回の補正予算において、コロナと物価高対策の予備費を二兆円減額、そしてウクライナ情勢経済緊急対応予備費、これを五千億円減額して、その減額分を補正予算の財源に充てていくと聞いております。喫緊に対応が必要な対策でいうと、先ほどでいうと約二・七兆円ですので、本来この予備費を活用することでより迅速に経済対策が行えたのではないかと考えておりますが、しかし、私が問題にしたいのは、予備費の使途の変更について財務省の方にお伺いしたいと思います。

 この予備費制度は、憲法第八十六条で定める予算の事前議決の原則の例外であり、具体的な使い道は予算成立時に決まっておらず、政府が閣議で決めることとなっております。これも度々指摘しておりますが、そのため国会の監視が及びにくく、財政民主主義に反するとの批判が根強いわけでございます。

 鈴木財務大臣も、令和四年十一月二十八日の予算委員会において、「財政規律の観点から、予備費は濫用されるべきでなく、その使用に当たっては、必要性や緊急性等についてよく所管省庁との間で議論、検討を行った上で、憲法や財政法の規定に従って適切に使用を判断していくことが必要であると考えております。」このように発言しております。

 このように、予備費の使途を途中で変更できるとするならば、ますます政府が好きなようにお金を使うことができるようになり、財政規律に重大な悪影響を及ぼすことは目に見えております。

 今回のように予備費の使途を途中で変更すること、これは妥当であるか、政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の経済対策及びこれに基づき編成をいたします補正予算案におきましては、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の使途につきまして、新型コロナウイルス感染症の五類への移行あるいは足下の本予備費の使用状況などを踏まえまして、重点化、明確化を図ることとしたいと考えてございます。

 具体的には、令和五年度当初予算に計上いたしましたコロナ、物価予備費につきまして、コロナ禍から平時への移行等を受けまして、本予備費の目的からコロナ対策を外し重点化、そして、物価高に賃金上昇が追いつかない中で、物価と賃金の好循環に向けました足下の賃上げ促進の環境整備のために必要な経費につきまして、予期せぬ不足が生じた場合にも物価高騰対策として機動的に対応できることを明確化することとしてございます。

 この使途の重点化、明確化でございますけれども、これも来週国会に御提出する予定でございます令和五年度補正予算案におきまして、これは予算総則の補正を予定をしてございますことから、妥当なものであろうと考えてございます。

 なお、当然のことながら、この予算総則の補正を含めまして、補正予算案につきましては、今後国会で御審議をいただく、御審議をお願いするということになってございます。

住吉委員 国会の方で審議していくということですが、この重点化、明確化、重点化は確かにそうだと思います。一方で、物価高対策に賃上げ促進、これが含まれているような御答弁でしたが、物価高対策というのはある程度突発的なことに対することだと思いますし、賃上げというのは長期的な視点で取り組むべきものだと思っております。そういう意味で、物価高対策の中に賃上げというのが、私は後からくっつけたような、そこの用途が広がってしまっている、そういう印象を受けております。

 今般、莫大な予備費を積んでいる、これ自体もいろいろ批判があるわけなんですが、鈴木財務大臣も、用途をしっかりと限定しているんだ、これがある意味、首の皮一枚つながったような答弁だったと思いますが、その根底がずれてしまっている。これはこれ以上質問はしませんが、その点だけ指摘させていただきたいと思います。

 続きまして、この経済対策の中に含まれております基金についてお尋ねしたいと思います。

 補正予算案を見ると、基金向けに、計三十一基金、そして約四・三兆円ほどございます。うち新設は、宇宙開発や小中学校のデジタル端末の更新、ワクチンの臨床試験、漫画やアニメなどに関する人材育成のための、この四つの基金、計約六千七百億円計上されております。また、既存の二十七基金に資金を積み増すわけでございます。

 十一月の十一日、十二日に行われました秋の行政事業レビューにおいても、基金について、公正な目標がなかったり、終わりの、エンド期がなかったり、効果検証が十分なされていない等の問題点が指摘され、河野大臣も、秋のレビュー実施後記者会見において、今ある全ての基金について横串を通した点検、見直しをやっていきたいというふうに思います、そのために、まず次回のデジタル行財政改革会議で総理に報告した上で、横串の点検、見直しのためのルールを作り、成案を得て点検、見直しというものを始めていきたいというふうに思います、このように発言しております。

 現在、既にいろいろ問題があるんじゃないかと指摘されている基金ですが、そもそも基金というのは年度をまたいで執行することが可能であり、この国会の監視の目も届きにくい。コロナ禍で一気に濫用されている印象を受けますが、今回の経済対策において約四・三兆円もの基金を新設又は積み増すことについて、大臣の見解をお伺いいたします。

新藤国務大臣 この基金は、様々な問題点を御指摘いただきました。一方で、予算の単年度主義、それから総計予算主義だとか、単一年度、単一予算主義とか、いろいろ原則があるんですけれども、その中で、やはり単年度主義に縛られずに柔軟な使用が求められるもの、そして、複数年度にわたり事業を実施可能な状態にすることによって、民間事業者の予見可能性を高める、計画的、安定的な事業運営を行う、こういった将来の、先のことを見越しながら、大きな、単年度で終わらない仕事についてはこういったものを進めていこうということが、これは有効に活用していくべき部分もございます。

 御指摘いただきました宇宙戦略基金は、まさにこれからのフロンティアです。世界が競争していく中で、予見可能性を高めて、単一年度で終わる仕事では全くありませんので、そういったものに関して、世界との競争に打ちかつためにも、これは今回、法改正、JAXA法の改正も含めて、新しい枠組みをつくらせていただきました。

 子供たちのGIGAスクールの端末の更新も、これは来年から向こう三年間が本格的になるのでございますけれども、こういったものを安定的にしてもらうためには、しかも、工夫をして、今回は、基金は国ではなくて県に、四十七都道府県に、県に基金を積んで、そこで共同調達をしてもらおうと。市町村による様々な調達の格差がございました。こういったものも向上させるという様々な工夫をするためのことがございます。

 そして、この基金の執行は、補助金等適正化法というのがございます。その施行令において、そもそもこれが、あらかじめ各年度の所要額を見込み難い事業であるか、また弾力的な支出が必要かといった、こういったものを審査しなさいということが法律に定めてあります。

 そして、この執行に当たりましては、所管官庁において、基金事業の運営及び管理に関する基本的事項を公表し、そして、毎年度、基金の額及び基金事業の実施状況を各省庁の長に報告させるといった中で、適正な管理をできるだけさせるように枠組みがあります。

 それに加えて、様々な工夫、またチェックをしていく中で基金の有効性を高める、この努力が必要だ、このように思っております。

星野委員長 住吉寛紀君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

住吉委員 はい。

 もう時間がないので終わりますが、るる説明いただきましたこの基金、別に基金を否定しているわけではございません。ただ、補正予算で基金を積むという、さらには、二〇二二年度末時点では二十九事業の残高が一・四兆円に上る、こういうことも、ずさんな使われ方がされている可能性も指摘されている中で、補正予算で基金を積んでいく、これは果たして本当にいいのか、また今後議論していきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速質問に入りたいんですが、十一月の二日に内閣が提示された総合経済対策について、来週から予算委員会なりなんなりが始まる予定があると聞いておりますので、大枠の考え方について今日は大臣に質問をしたいと思います。

 一つ目は、過去にバブルがはじけた後、いろいろな経済対策を打ってきたと思うんですね。直接の補助金を出したり融資の枠を増やしたり、コロナのときは利子補給をして、政府系の金融機関だとか民間系の金融機関を介して融資をしてコロナ対策をしてきたと思うんですけれども、今まで、政府の支出又は財政支出を増加させることで、GDPの増加の原因ではないというふうに言う方もいれば、増加すると言う方もいらっしゃるんですね。大臣は後者だと推察するんですけれども、まず初めに、簡単にお答えいただきたいんですが。

新藤国務大臣 当該の政府支出や財政支出、これが公共事業を増加させる場合、家計消費や企業設備投資の促進につながる、こういった場合についてはGDPの増加の要因になっている、このように思います。

    〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 今回の総合経済対策の中に、インフラや技術の投資が多く散見されるんです。ペーパーをいただいた中で、があっといろいろなことが書いてありますけれども。

 この投資がGDP成長に与える効果は、表れるまでに時間がかかるんじゃないかというふうに思うんです。そういうふうにも言われています。例えば、一千億何かに投資をしたからといって、すぐにGDPがぱっと上がるものじゃないんだと思うんですね。二年先、三年先。

 そうなってくると、今回の物価高に対する総合経済対策からいくと、ちょっとかけ離れたことがいっぱい入り過ぎているんじゃないかという考え方ですね。それについて御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 今お答えしましたように、公共事業ですとか、それから家計消費、企業設備投資、こういったものの促進はGDPに反映がなされることになります。一方で、委員が御指摘されたように、投資を促進する、そうした中長期の効果、こういったものを狙っているものもございます。

 結局のところ、これは、両方がうまく循環していかなければならない。そういう意味において、まず、今、経済を新しく、ステージをつくれるチャンスを迎えていますが、一方で、それはまだ、確実なものにするためには様々な工夫が必要だと。

 ですから、賃上げも始めとして、生産性の向上、設備投資、そして労働供給力の強化、こういったものをやっていくわけでありますけれども、そうしたものも含めて、究極は、潜在成長率を上げていくということにつながっていかなきゃいけないわけです。その潜在成長力の引上げをするためには、労働投入と資本投入、そして生産性の向上、こういった要素があると言われています。

 ですから、今度の経済対策は、目の前のことをやりながら、そして、直接の事業でもって需要を喚起する、こういったものもあり、その上に、今申し上げましたが、労働の柔軟性とか資本の投入、そして生産性の向上、こういう要素を入れて、効果を出しつつ次の効果も見出していく。経済の成長予見性をきちんとつくりながら、世の中が循環していく、そして民需主導の自立型経済をつくる、これがやはり大事なことでございますから、そのための、よい効果が出るようなもの、これを盛り込んだつもりでございます。

鈴木(義)委員 例えば、これは内閣府の方からいただいた資料なんですけれども、近年の経済対策の中で、二〇一九年十二月に出している安心と成長の未来を拓く総合経済対策、これが、財政支出が十三・二兆円というふうに当時出しているんですね。事業規模が二十六兆円、こう見込んでいるという一覧表です。

 今回のデフレ脱却のための総合対策、これが二十一・八兆円で、事業規模が三十七・四兆円という数字が示されているんです。自分が作った数字じゃありませんから、内閣府の方で頂戴した資料。

 それと、もう一枚、不思議だなと思うのは、資料要求しているわけじゃないので、私が手持ちの資料で使わせてもらうんですけれども、この総合経済対策、今申し上げましたように二十一・八兆円を、何らかの形で税金を投入するに当たって、実質GDPの換算が十九兆円伸びるというふうに、二十一・八兆円を使っていながら十九兆円しかGDPが伸びないというんじゃ、冒頭お尋ねした、財政出動をするからGDPが上がるのかということにつながらないんじゃないかと、この数字を見る限り、これも、私が積算した数字じゃないんです。内閣府の方で出してきた数字なんです。

 その件についてお尋ねしたいと思うんですけれども、大臣でよろしいんですか。

茂呂政府参考人 お答えいたします。

 まず、財政支出と事業規模の関係でありますけれども、財政支出といいますのは、国、地方の歳出、それと財政投融資を合計したものになります。それから、事業規模というものでございますけれども、それは、財政支出に加えまして、資金繰り支援などの政策金融を通じた民間企業への貸付け、それから、設備投資など、政府の補助金を受けて民間企業が自ら拠出する自己負担分、こういったものを含めた、すなわち、民間の資金も含めた経済対策全体の事業の規模を示してございます。

 それからもう一つの、内閣府の経済押し上げ効果のGDP換算でありますけれども、これにつきましては、この経済対策がGDPをどの程度直接的に押し上げる効果があるか、そういうことを試算したものでございます。

 ですから、GDPの構成項目ではない、単なる資金の移転、例えば、資金繰り支援ですとか国際機関への拠出金、そういった資金の移転は控除してGDPの押し上げ効果を試算しているため、少し数字が、十九兆円という数字になっているということでございます。

鈴木(義)委員 先ほどもお尋ねしたように、二十一・八兆円税金を使っていて十九兆円しかGDPが上がらない、これはおかしいじゃない、誰が聞いても。おかしくないんですか。

新藤国務大臣 まず、そのときの、今、二〇一九年の経済対策という御指摘をされました。だとすると、その年に当初予算で仕事を始めていますよね。しかも、委員が先ほど御指摘されたように、目の前ですぐ効果が出るものと先のものが入っているんじゃないかと。

 ですから、まさに、そのときに効果が出せる、要するに公共事業だとか、そういった直接の数字が出るものと、それから、将来に、次のタイミングで出てくるものもあるわけです。しかも、今のGDPを測る場合は、それ以前の予算や経済対策もずっと加味しているわけです。

 ですから、一個ずつを重ねることは、しかも出した数字の帳尻が合うか合わないかではなくて、いかに今度の対策で直近のGDPにどう影響を与えるかということを政府が行っている経済計算で出しているわけでありまして、私たち政治が考えるのは、それを前提にしながら、タイミングとしてどういう状況で何の対策を打つべきか。

 二〇一九年のときは、これはコロナの本当に厳しいときでございますから、そういうときに、やはり資金繰りの支援だとか雇用の維持、そういったものを含めて事業を手助けしなきゃいけない。そういうときの内容と、それに伴うGDPの効果と、今回のように、まずは目の前の物価高対策をするとともに、先の生産性を向上させるための仕掛けを組む、それから、確実に物価上昇をもたらす、安定的な物価上昇を超える賃金上昇をさせるためには、そのための対策を打たなければならない。

 様々な施策が、そのときのタイミング、時期を見ながら総合的に組まれている、このように御理解いただきたいと思います。

鈴木(義)委員 それであれば、金融システム不安の対応で金融安定化特別保証というのは、まあ、ちょっと古い話です、これは、平成十年の十月から平成十三年の三月の倒産件数全体の二万八千四百八十七件のうち約九千六百件、また、平成二十年十月から二十三年の三月のリーマン・ショックへの対応で景気対応緊急保証として、倒産件数全体の三万六千八十件のうち約一万六千百件の倒産が回避されたというふうに推計されているわけです。これは中小企業庁が出している数字。ですから、今回、大臣がおっしゃったように、今出しているお金がすぐに利く場合もあるが、中長期になるときもあるだろうと。

 内閣府に照会をかけたわけです。今まで経済対策をいっぱいやってきたけれども、GDPに対するどれだけの効果があったのか検証したんだったら数字を出してくれと。ないと言うんですよ。計算のしようがないのか、でも、中小企業庁ではこういう、推計かもしれませんけれども、何をやったらどうなったのかというのを、今回もそうですけれども、やはり検証して、それが経済効果として利いていたのか利いていないのか、どこで誰が判断するのかということだと思うんです。

 最後に、その検証するというところだけ、大臣、御答弁いただきたいんですが。

新藤国務大臣 先ほどから、今回委員が問題意識を持たれているように、この対策の、幾ら打ったから幾らだと、それはそのときに推し量れるものの数字は出せるが、そうでないものがあると申し上げました。

 ですから、結局のところ、経済対策、それから予算、政府が行う事務事業によって経済がどのようになっているか、それが検証なんです。それを踏まえて次の必要な対策を打つ。これが、本来であれば、経済が安定していれば、本来補正というのは、本当の突発的な、若しくは必要なものにピンポイントでやるときもございました。でも、今のように、まだ経済が不安定な状態、コロナのときはもう話になりませんでした、コロナのときは国民を救わなきゃならない、そういうときのために、機動的に、迅速に対応できるための予算を組まざるを得なかった。

 今回は、そこから脱して、新しいものをつくろうという中で、今までの対策を打った結果として現状の経済があって、それを分析して、また次の必要な、検証した上で次の対策が打たれていく、私たちはそのように考えているわけであります。

    〔鳩山委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 もう一点だけ。

 過去に経済再生担当大臣にも質問したんですけれども、経済指標のGDP、円で示すのはいいんですけれども、やはりドルベースで示すのも一つだと思うんです。

 世界的に見て、GDPの比較をするときは必ずUSドルを使いますから、そうすると、今回のGDPが上がっているというのが、輸出もあって輸入もあるわけです。そこはドルで決済していますから、海外で稼いで入ってくれば、そこで為替の換算をして、百十円の時代と百五十一円の時代は全然違う。何もしなくても二割、三割、GDPは増えちゃうんです。それでいいんだといえばそれで終わってしまう話なんですけれども、どこをベンチマークで比べていくかというのを示していくのが、やはり経済波及効果がどれだけあったということにつながるんじゃないかと思うんです。

 その辺についてのお考えを最後にお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 各国のGDP比較は、これは全世界共通でドルベースでやろうと。一方で、自国の経済がどのように動いているか、それは自国の通貨でもって換算していく、これには合理性があると思っています。

 ただ、今為替は、特に自分たちの国の政策を超えた要素というのも出てきます。ですから、そちらは要らないというのではなくて、様々な要素は常に見ながら、総合的な検討が必要だ、このように思います。

鈴木(義)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、新しい資本主義におけるGXに位置づけられた原子力の利用に関連して質問をいたします。

 首都圏に所在する原発であります日本原電の東海第二原発の防潮堤、鋼製防護壁を支える地中連続壁基礎の工事施工不良について質問をいたします。

 工事関係者の内部告発をきっかけに、我が党の県議団などが原電等にただすことで明らかになったものであります。地震、津波対策として不可欠の防潮堤工事に施工不良が明らかになったことは極めて重大であります。

 配付資料を御覧いただきたいのですが、ここにもありますように、津波対策として要となる防潮堤において、取水口部分というのは一番弱い部分ですよね。その上にこういった鋼製防護壁を設けるんですが、鋼製防護壁だけだと倒れちゃうものですから両脇の柱でそれを固定をするといった、その南基礎、北基礎において不具合があった、施工不良があったということですので、極めて重大な問題であります。

 原子力規制庁にお尋ねします。

 この件について、四月、六月、八月と原電が原子力規制庁に対して説明を行っていると思うんですが、その不具合の内容について明らかにしていただけますか。

古金谷政府参考人 お答えいたします。

 本件につきまして、私ども原子力規制庁は、四月でございますけれども、現地の検査官が事業者からコンディションレポート、これを拝見いたしまして、その中に、東海第二発電所の防潮堤工事の鋼製防護壁の北基礎で地中連続部の鉄筋籠を沈設した際に、計画していた高さよりも上方で、上の方で高止まりした事案というものがあるということを確認したということでございます。

 また、六月及び八月には、同じく現地の検査官でございますけれども、また同じくコンディションレポートにおきまして、東海第二発電所の防潮堤工事の、今度は南基礎ですね、そちら、それと同じく北基礎の露出した地中連続壁部の側面におきまして、コンクリートの未充填、それから一部の鉄筋が変形していたというような事案があったというふうに聞いてございます。

塩川委員 四月に北基礎に鉄筋籠の高止まりがあった、六月と八月で南基礎と北基礎でコンクリートの未充填及び鉄筋の変形が確認をされたということなんですが、私は、六月に南基礎で確認され、八月に北基礎で確認されたというふうに承知していたんですが、違いますか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 六月にまず聞いたのが、議員おっしゃるように南基礎でございます。八月の方に聞いたのが北基礎ということでございます。

塩川委員 南基礎についてのコンクリートの未充填及び鉄筋の変形が確認をされ、北基礎については、鉄筋籠の高止まりが四月、コンクリートの未充填及び鉄筋の変形が八月に確認されたということです。

 規制庁に伺いますけれども、原電がこの件についての公表というのは十月十六日に行ったと承知しているんですけれども、十月十六日の原電の公表資料を見ると、南基礎のことしか記載をされていないんです。原電の公表資料では北基礎の不具合は記載されていないと承知しているんですが、それでよろしいですか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原子力発電が十月十六日に公表した資料でございますけれども、委員御指摘のとおり、北基礎に関する記載はないというふうに承知しております。

塩川委員 原子力規制庁、現場の検査官には当然そういった不具合について、コンディションレポートということを確認するということで把握もしていた、つまり原電側についてはそういう問題が起こっているということを当然分かっていたわけであります。

 それなのに、六月に分かったこのようなコンクリートの未充填とか鉄筋の変形ということについても、やっと公表したのは、我が党がこの問題を原電側に問合せをし、記者会見をするというタイミングの十月十六日になっている。そういう点でも、四か月も後なんですよ。それでも、そこで認めたのは南基礎の話だけなんです。北基礎の方にあった鉄筋籠の高止まりとコンクリートの未充填、鉄筋の変形ということについては、四月、八月と分かっていたのに十月のときにも公表していないんですよ。これはやはり原電の姿勢としておかしいと思いませんか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 一義的に、公表するしないという判断は事業者の判断だというふうに思っておりますけれども、やはり社会的に影響があるものについては速やかに公表するということが本事案に限らず望ましい行為だというふうに考えられます。

塩川委員 つまり、同じ、場所は違うけれどもコンクリートの未充填、鉄筋の変形というのは南基礎でも確認をし、北基礎でも確認をした。その南基礎だけ公表しているんですよ。北基礎を隠しているんですよ。これはやはり、どう考えてもおかしいですよね。この件としておかしいと思いませんか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案について、我々として、これは事業者が独自判断するということでございますので、その点について我々としてコメントするということは差し控えたいと思いますが、同じ十月十六日に、我々、日本原子力発電と面談をしております。その面談録及びそのときに事業者が提出した資料がございます。これは公表しておりますけれども、その中には、北基礎についても若干の記載をしてございます。

塩川委員 確かに、原電が規制庁に説明をした、そのことについて、原子力規制庁が公表している資料の中には、南基礎と同様の不具合について北基礎にもあったということは原電側が触れているんだけれども、それは原電として公表していないですよね。そこがおかしいと思いませんか。規制庁の方には言っているのに、何で公表しないんですか。おかしいと思いませんか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどと同じ答えになりますけれども、こういった件の、公表するしないというところについては、一義的には事業者の方が判断すべきものというふうに考えております。

塩川委員 極めて原電側の対応というのは不誠実で、隠蔽だと言われても仕方がないということを言わなければなりません。

 この経緯を明らかにする上でも、原電が作成をしているコンディションレポートについて是非出していただきたいと思うんですが、そういうことを規制庁として取り計らってもらえませんか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 コンディションレポート、これにつきましては、事業者の所有しているものでございます。私ども、これは検査の中で、現場の検査官が随時閲覧はしてございますけれども、我々がこれを文書として入手しているものではございませんので、これ自身、我々として御提出するということは困難でございます。

塩川委員 事業者が所有するということですけれども、まさにトラブルについての記録になっているわけで、これは、事業者が出すということについて、何か特段差し障りというのはあるんですか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの原子力規制という観点におきましては、特に公表することについて問題があるというふうには考えてございません。

塩川委員 問題がないということですから、原電としてしっかり出すということも求めたいと思いますし、是非その点についても規制庁の方からも原電にも働きかけをしてもらいたい、このことを申し上げておくものであります。

 南基礎、北基礎のコンクリートの未充填や鉄筋の変形について、規制庁としては現場の確認は行っているんでしょうか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案につきましては、現時点、工事中という状況でございますので、まずは事業者の方でしっかり対応する、これは耐震性能等にも問題があるかもしれませんので、そういう意味では、事業者がしっかり対応する必要があるというふうに認識してございます。

 我々といたしましては、やはり、こういった工事において発生した不具合、そういったものが、是正が確実になされているかということも含めまして、事業者の設備が法令上の要求に適合しているかどうか、適合していることを、我々、使用前検査等において今後確認していくということを考えてございます。

塩川委員 二枚目に写真もあるように、こういった不具合が撮れるわけですから、確認のしようもあるわけで、やはり規制庁としてしっかりと現場の確認が求められていると思います。

 それと、北基礎工事において、鉄筋籠が高止まりして、予定した深さまで沈まなかったということは事実でしょうか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 そういった事実があるというふうに私どもも認識してございます。

塩川委員 工事において、曖昧にできない問題ではないかと考えますが、いかがですか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のように、我々としても、本件については、耐震性能等の観点から、しっかりと対応が必要な問題というふうに認識してございますので、こういったものについて、今後、我々としても使用前検査等で確認してまいりたいというふうに考えてございます。

塩川委員 十一月の八日に、東海第二原発の立地自治体である東海村議会の全員協議会が行われた場で、原電は、鉄筋籠の高止まりは問題ないので工事を再開していると発言をしておりますけれども、原子力規制庁は了解しているんですか。

古金谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、当然のことながら、運転再開に当たっては、技術基準、法令上の要求に適合しているかどうかというものを使用前検査等で確認してまいります。

 一つ一つの工事について、我々として、やるかやらないかというところについて確認をして、オーケーを出すというようなところまでは私どもはやっておりませんが、当然、最終的に、使用開始前には、基準への適合性、法令要件への適合性というものは確認していくということでございます。

塩川委員 そうしますと、この議会の場で、了解もしていないような話を了解しているかのようなニュアンスで、工事を再開しているという問題があるわけですけれども、そういったことについて、今、規制庁の方が、個別のことについて了承するものではない、最終的には使用前検査で判断をするというお話ですから、そういった点でも、今の原電の対応というのが改めて問われているわけで、重大な施工不良を住民にも知らせずに工事を進めるということは認められないことであります。

 安全対策よりも工期最優先の原電の姿勢が厳しく問われているところで、原子力規制庁がお墨つきを与えるようなことが決してあってはならないと申し上げます。

 大臣にお尋ねしますけれども、GXで原子力の利用と言いますけれども、そもそも、こういった安全対策を施す際に、きちんとした対応が取られているのか。問題があったときに、まさにその地域の住民に知らせることも必要であるにもかかわらず、この点をずっと先延ばし、あるいは隠蔽と取られるようなことが行われる。こういった問題があるときに、原電自身が、工期最優先で、来年には動かしたいんだ、そういう腹でやっているのであれば極めて重大であるわけで、こんなことで原子力の利用などと言えないと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 原子力発電所に関係する、原子力に関係する事業、これについては、担当省庁の方できちんと、法令にのっとって、またそれは対応されるものと承知をしておりますし、今委員、いろいろな問題点も指摘されました。それに対する政府からのお答えがございました。これも踏まえた上で適切に運営していただきたい、このように思います。

星野委員長 塩川鉄也君、時間が経過しておりますので、おまとめください。

塩川委員 はい。

 この安全協定を結んでいる地元の自治体、住民に説明もありませんし、水戸地裁は、こういった避難体制の不備を理由に運転差止めの判決も行っているときであります。

 老朽原発の東海第二は、再稼働は中止、廃炉こそ必要だということを申し上げて、質問を終わります。

星野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 イスラエル軍がガザの病院に突入しました。それをアメリカ政府は賛同しているんですよ。

 それで、日本政府は、この国会の中でも、これは国際人道法違反ではないのか、その疑いはせめて言えないのかというのに対しても、コメントは控えると、そんな恥ずかしいことを言っているんですよ。

 これが虐殺でなくて何なんですか。これが力による一方的な現状変更でなくて一体何なんですか。アメリカの二枚舌の正義が、あなた方の正義なんですか。それならば二度と正義を語るな。国際社会は共犯なんです。岸田政権の……(発言する者あり)静かにしてもらっていいですか。これ、どうなんですか。

星野委員長 御静粛にお願いします。

大石委員 日本の経済政策について伺います。

 日本の経済再生のため、総理の責任で賃上げを行うべきだと、十一月の二回の内閣委員会で申し上げてきました。岸田内閣の、介護のたった月六千円の賃上げ、そして国家公務員のたった〇・九六%の賃上げ。これは、物価高にすら追いつかない、実質賃下げです。

 岸田内閣は、このように言っているんです。賃金上昇が物価高に追いついていないと、口では言っているんですよ。でも、まあ、来年か再来年に追いつくだろうという甘い見通しをしているんですよ。そんなの許されない。

 パネル二を見てください。

 これは直近四年間の物価高と賃金の推移です。青の棒グラフが名目賃金、そしてオレンジの線が物価ですね、物価上昇。二〇一九年を一〇〇%としています。二〇一九年の終盤に何があったか。消費税増税が自公政権によってなされました。八%から一〇%に消費税が上げられた。そこからの名目賃金と物価高の推移を見ているんです。この青い棒グラフが名目賃金、それが物価高を上回らなければ、国民はダメージを受け続けているんですね。

 それで、消費税が上がってそこからどうなったか。消費税が上がっているのに物価は下がるという、デフレですね。名目賃金もだだ下がりしているんですよ。そのような状況が続いて、そしてコロナまで乗っかってきて、国民は大きな危機に見舞われてきて、そしてウクライナでのロシア侵攻が始まって、コストプッシュインフレで物価が上がっているけれども、御覧のように、青い名目賃金、ずっとその下を行っているんですね。だから実質賃金がマイナスと言っているんです。

 この青いグラフが物価を追い越している月なんか、ほとんどこの四年間でもないですよね。追い越しているところをちょっと濃いめの青にしています。これが二〇二二年の三月なんですけれども、そこ以降から直近の二〇二三年九月までが十八か月。ニュースでもあるように、十八か月連続の実質賃金マイナスだというのはこういう状況なんですよ。

 でも、その前からも見てください。この四年間で賃金が上回っているところなんか、ほとんどないじゃないですか。ずっと国民生活は危機なので、これを埋めなきゃいけないということをずっと申し上げているんです。それで消費税廃止や減税が必要だと言っているんです。

 しかし、新藤大臣がこんなことを言っているんです、今日も言っていますね。賃上げのためには生産性を上げなければ駄目だと。何を言っているんですか。結局は、三十年間同じことを、同じ間違いかデマを言い続けているんですよ。生産性を上げなければ賃金が上がらぬ。

 パネル三を見てください。

 これは労働生産性と賃金の推移で、厚労省の資料なんですね。この黒い点線が生産性、これは日本とイギリスは同じように推移した。なのに、ピンク色の実線、これが実質賃金、日本ははいつくばっている、イギリスは跳ね上がっている。

 生産性と実質賃金、控えめに言って関係ないんですよ。経団連がただただコストカットで賃金を減らす圧力をかけましたし、その飼い犬の政治家の皆さんも大いに貢献してきたんですよ。だから、まずは自公が謝罪、ざんげして、総辞職です。そして、責任のある政府が賃上げ目標を決めて、大胆な賃上げ、まずは公的部門の大幅賃上げからやらなきゃいけないんです。そのためには、生産性がとか、もううんざりなんですよ。そんな資本家目線の政治家はもう要らないんです。

 厚労省が九月に出した労働経済白書には、国民が貧しくなった原因が書いてあるんです。この三十年、非正規が増えて労働分配率が減った結果だ、生産性向上は賃上げにならなかったと厚労省の白書に書いてある。逆に、白書にこうも書いてあります。一%賃上げすると二・二兆円の経済効果があり、十六万人の雇用が創出され、雇用者報酬も増える。そして、こうも書いてあります。賃上げは消費を増加させ、更なる賃金の増加につながり得ると。分かっているんだったら、さっさとやれよ、ただそれだけなんですよ。うなずいていらっしゃいますね。

 そして、岸田内閣が賃上げも消費税減税もせずに財政規律にとらわれているんですけれども、一方、上限も設けずに支出しようとしているのが、維新の尻拭いのための大阪万博です。補正予算までつけている。二〇二〇年の計画、千八百五十億円からいろいろ理由をつけて上がり、二千三百五十億円に増額、そのうち三分の一を国が負担することになります。

 パネルの四です。

 万博の木のリング、今日も内閣委員会で複数の方がこれの質疑をされていますけれども、三百五十億円、熱中症対策で増やさないのか、熱中対策では増やしませんみたいな自見大臣の言い訳みたいな答弁をやっているんですけれども、実際には三百五十億円よりも高かったんですよ。今回の補正予算案に増額部分が含まれると経産省が認めています。

 だから、一体、じゃ、それだったら本当はお幾らなんですか。経産省、補正予算九百四十六億円の中に含まれているけれども、内訳はお答えできないという答えでした。お答えできないじゃなくて、公開しないといけないでしょう。工期、契約の関係でお答えできないと言っているんですよ。でも、三百五十億円は二〇二〇年の数字ですので、普通に考えたら上がっているはずなんですよ。

 じゃ、公開してくれないので、粗い試算を行いまして、ほかと同様の割合で費用が増加したら、四百二十九億円に上がっているはずなんです。でも、これは質疑でもありましたけれども海の上での工事もありますので、ほかより上がるんじゃないんですか。もっと高いんじゃないんですか。それよりも低いんですか。公開して説明しなければならない。

 ましてや、夢洲への万博の本当の狙いはIR、カジノですので、ますます大阪市民や国が負担するべきではないんですね。このカジノについては、とんでもない実態は内閣委でも取り上げてきましたけれども、十一月に入って更に、法、条例違反、そして、元々カジノ事業者である大阪IR株式会社がペーパーカンパニー、実体なき会社、これでは工事ができないと批判が高まっております。

 そもそも、大阪府市がカジノ事業者と不平等な契約を結んで、三年の解除権を与えていつでも撤退できるという。それを受けて、既に大阪府市は七百八十八億円もの公金を投入して土壌対策工事を進めようと、アセスメント、環境アセスの住民説明会をこの間行っているんですよね。しかし、このアセスの住民説明会では、条例に基づいて大阪IR株式会社が来ないといけないんですけれども、来ずに、委託のコンサルにやらせている。

 大阪IR株式会社自体、社員が二名しかいなくて、代表のエドワード・バウワーズというMGMの人と、高橋豊典というオリックスの人の二名だけなんです。電話もない、登記された場所に行っても会社はないんですね。このような、工事を含む多額の支出をする契約が、秘密契約なんですけれども、それをこのペーパーカンパニーにやらすというのは危険極まりがないんですよ。

 国交省は、連絡先とか情報提供が可能なのか。これは追って追及していきますが、住民に対して連絡先さえ明かさないのはあり得ない。このようなカジノは中止すべきだと改めて申し上げます。

 最後に、新藤大臣に経済対策についてお伺いします。

 先ほどの、労働生産性の向上、労働生産性と賃金は関係がないということが厚労省の資料からも明らかなんですけれども、新藤大臣、まだ生産性の向上が賃上げに必要だとおっしゃいますか。

新藤国務大臣 まず大事なことは、委員が御指摘されているように、物価の上昇を上回る賃金上昇、構造的かつ持続的にそれが可能となるような形態をつくらなければいけない。様々な要素があります。

 第一に私たちがやっていることは、まず、生産性の前に、可処分所得を向上することだ。そして、コスト型の、物価高に対しての対策を打ちながら、可処分所得を上げることによって、そしてそれが将来の所得の予見性を高めること、減税も含めて。こういった政策を打ちながら、春闘でもって今みんなが必死に努力をしようとしています。

 その中で、新しい経済をつくるために、人口減少、少子高齢化、こういう世の中で、そして、様々な意見を持つ人がそれぞれの生活の充実を求めている、このニーズにどう応えていくか、総合的な対策を打っていきたい。

 一つの原因ではありません。しかし、大本に、賃金の上昇、構造的な賃上げの実現、これが非常に重要だということを私たちは申し上げているわけです。

大石委員 生産性の向上が賃上げの条件になるような経済政策、それを唱えている内閣は要りません。

 終わります。

星野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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