衆議院

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第2号 令和6年2月16日(金曜日)

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令和六年二月十六日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 上野賢一郎君 理事 冨樫 博之君

   理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君

   理事 太  栄志君 理事 森山 浩行君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    東  国幹君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      大野敬太郎君    神田 潤一君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高木  啓君    土田  慎君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      宮澤 博行君    簗  和生君

      柳本  顕君    山本 左近君

      山本ともひろ君    石川 香織君

      逢坂 誠二君    中谷 一馬君

      本庄 知史君    山崎  誠君

      米山 隆一君    阿部  司君

      浅川 義治君    住吉 寛紀君

      河西 宏一君    日下 正喜君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      塩川 鉄也君    浅野  哲君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松村 祥史君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (孤独・孤立対策担当)  加藤 鮎子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (感染症危機管理担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   新藤 義孝君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)    自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   会計検査院事務総局第一局長            佐々木規人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  八幡 道典君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内田 欽也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹林 悟史君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官)  武藤 功哉君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     長崎 敏志君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房孤独・孤立対策担当室長)        山本 麻里君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局参事官) 飛田  章君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 明珍  充君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 瀧澤  謙君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   宮坂 祐介君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      北川  修君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       中石 斉孝君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    松多 秀一君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          嶋田 俊之君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   榊原  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡野結城子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 辻  貴博君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田 易範君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            田中 郁也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         林  正道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         菊池 雅彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 宮武 宜史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 針田  哲君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     東  国幹君

  杉田 水脈君     井原  巧君

  鈴木 英敬君     柳本  顕君

  牧島かれん君     中曽根康隆君

  山岸 一生君     石川 香織君

  浦野 靖人君     浅川 義治君

  河西 宏一君     日下 正喜君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     小森 卓郎君

  井原  巧君     杉田 水脈君

  中曽根康隆君     中村 裕之君

  柳本  顕君     山本 左近君

  石川 香織君     米山 隆一君

  浅川 義治君     浦野 靖人君

  日下 正喜君     福重 隆浩君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     牧島かれん君

  山本 左近君     鈴木 英敬君

  米山 隆一君     山岸 一生君

  福重 隆浩君     河西 宏一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官八幡道典君外五十四名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長佐々木規人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田でございます。

 本日は、トップバッターで質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。新藤大臣、朝一番から大変ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いをいたします。

 今日は、経済財政政策の基本的な理念、これを念頭に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 御存じのとおり、日経平均が三万八千円を超えました。バブル後最高値、最高額ということになっています。このままデフレ脱却政策を進めれば、四万円を超えるということもあり得るんだろうというふうに受け止めております。そしてまた、税収を見てみますと、これは上振れが続いているということで、昨年度の税収は約八兆円も上振れをしたという状況になっております。

 この数字だけ聞くと、日本経済、かなりいい方向に向かっているなと実感するわけでございますけれども、政府の現在の経済認識はどうかということで、月例経済報告の表現を読み上げてみますと、日本経済、景気は、一部に足踏みも見られているが、緩やかに回復をしていると。相当慎重ということだと思います。国民生活の実感で考えても、物価高というものの影響はありますし、賃金はそんなに伸びていないじゃないかということを感じておられる方々も多いと思います。マクロで見た景気状況と、それから実際の生活者の景気実感というのは乖離があるというのが現実ではないかなというふうに思っています。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですけれども、現在、デフレの完全脱却を目指す経済政策、これの立案に汗を流されていらっしゃるかと思います。賃金上昇について、マクロで上昇すればよしという形で政策立案をされるのか。それとも、これは地域間で格差があるのも現実ですし、業種それから企業規模によっても、それぞれ国民の皆さんが感じる賃金上昇、違いが生じると思います。こういったところにも目配りしながら経済政策を立案されるのか。この辺の基本的な考え方を教えていただければと思います。

新藤国務大臣 大変重要なというか、基本的な認識、これを共有することがとても重要だと思っています。

 その意味で、今委員が御指摘いただきましたように、日本は経済を好転換させるチャンスを迎えている、これは紛れもない客観情勢があると思います。一方で、賃金が上がっていますが、物価がそれを上回る上昇を続けている。ですから、実質賃金が上昇していないという中で、やはり、国民生活に、消費の、まだまだそういった不安がある、こういう状態だと思います。

 ですから、私どもとしては、今般、まずは構造的な賃上げを実現させよう、これは春闘において精いっぱい御支援させていただきたいと思いますし、また、賃上げが実現できるための、税制も含めて様々な支援をしようと思っています。

 大事なことは、マクロ経済で数字が上がっても、それが国民、そしてまた国内隅々に浸透していなければ、やはり一人一人の皆さんの実感というのが得られない。私たちは、それぞれの地域で、それぞれの働き方において、満足、さらには納得した上で豊かさを実感できる、そういう経済をつくらなければいけないし、今その実現できるチャンスが来ているんだとすれば、隅々の、今委員が御指摘いただいたような、そういう分野も気配りをしながら、また、そこに政策がきちんと行き渡るような工夫をしながら全体的な政策を運営していきたい、このように考えます。

泉田委員 大臣、ありがとうございました。

 単にマクロの数字を見て、いい悪いということではなくて、本当に国民の皆さんが喜んでいただける、血の通った政策立案に努めていただけるということで、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そこで、次に、具体的に一つ例を出してお伺いをしたいと思うんです。

 企業が賃金上昇のための原資を獲得するというためには、一つは価格転嫁をしなければいけない。対消費者を基本とする企業さんにとっては、やはり値上げしないといけない。それをやらないと原資が出てこないということになるわけでございます。

 光熱費それから原材料費、こういったものが上昇している中で、価格をいじれない人たちもいます。それから、賃金を上げようにも、公定価格で政府によって賃金が決められてしまう方々もおられるわけです。こういった方々が抜け落ちにならないようにするというのは、なかなか各省任せにするというのは難しいところがあるんじゃないかなというふうに思っています。

 私の耳に入るものにも、こういった話があります。製薬業界、かつて日本は世界第二位の製薬競争力を持っていたのが、今や、ドラッグロスが生じ、それからインフルエンザがはやり、コロナが増えている中で、解熱剤が入らない、たん切り剤が手に入らないというようなことになっています。ここも同様に、光熱費とかそれから原材料費が上がっているわけです。しかし、薬価改定、マイナス〇・八%ということになっている。我々の給料は、一体原資はどこから取ればいいのかということになると思います。

 これは、各省任せに折衝すると、それぞれのフレームワークの中で、これまでの経緯というものを財務省と交渉するということになるわけです。政府の基本方針として、公定価格はどうするのか、そして、上げることのできない小売単価、こういったものをどうするかというのは、基本的な方針を示すべきなんじゃないかなというふうに私は思います。

 では、原資はどうするんだといったら、先ほど申し上げたとおりに、税収は今上振れしています。デフレの完全脱却を目指すということになると、この上振れの税収と、それから、整合性なんですね、取り残された人たちの賃金をどうするかという、全体的なフレームワークを是非、経済財政政策の在り方として考えていっていただければなというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、物価上昇に追いつかない、公定価格で決まる賃金とか、国によって価格が統制されている、こういった業種におかれる賃上げをどうするのかということについて、ふだんどのように考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

新藤国務大臣 取り残された分野があっていいとは思いません。ですから、様々な工夫をしなければならないと思います。

 その意味で、まず基本認識として、構造的賃上げというのは、物価が上昇すれば、それも適切な範囲で物価が安定的に上昇するならば、それを上回る賃金上昇率を確保する。ということは、賃金が上がるということは製品価格も上がる。それから、これは地方も含めてですが、特に中小企業、全雇用者の七割が中小企業です。ですから、春闘に参加しない、組合のない企業もたくさんあるわけですから、そういう分野も含めての波及が必要で、特に下請価格に転嫁なされなければ、これは、大企業だけ数字が上がったけれども、その吸収を下請価格の圧縮によってということが起きては絶対にならない。ここはとても重要なところなので、私は強くこれを訴えていきたいと思っているんです。

 その意味で、今委員が御指摘されたエッセンシャルワーカーの部分、公定価格のところは、交渉ではありませんので、ここは、今回の診療報酬改定、これは医療の診療報酬と介護報酬と障害福祉サービス報酬、この同時改定があったわけでありますけれども、この中で、医療、介護等の現場で働く幅広い職種に目配りをした、そういった様々な交渉を政府内で行いました。

 結果として、物価高に負けない賃上げの実現、それに必要な水準の改定率、今般は、令和六年度において、人件費の分、二・五%の上昇を見込んでいます。それから、七年度においても二%のプラスという改定率を織り込んで、その中で、公定価格の分野においても、そこの賃上げは行ったということでございます。

 それから、薬価についてはいろいろと工夫がございました。でも一方で、不採算となっている医薬品の単価、これを特例的に引き上げる、こういった工夫もさせていただいております。

 いずれにしても、構造的賃上げは、全ての分野そして各地域に及んで、全体として物価が上がってもそれを上回る賃金が確保されていて、そして、それを前提にして製品価格が上がり、業績が上がるならば、その好循環は維持できる。これは社会通念として、こういった物価と賃金の相関関係というもの、これを構造的に確立させていきたい、このように思っているわけであります。

泉田委員 ありがとうございました。

 基本的には、構造的に好循環というのは私も可能だと思っています。

 問題は、例えば、各省と財務省が折衝をするということになるときに、保険財政の枠内でやりましょうということになると、新薬について価格を上げても、ほかで削ってゼロサムになってしまう。同時に、光熱費も上がってしまうというようなことになると、財源を出すにはどうしたらいいかという、収入の方のフレームワークをどうつくるかという議論も、やはりそれは大きな方向として必要じゃないか。

 インフレ経済になると、大臣御存じのとおり、累進課税ですから、当然、経済、物価が上がるスピードよりも税収というのは増えるという構造になるわけです。したがって、上振れしたところの財源をどう使うかという原理原則というのも、是非、指導力を発揮して、安心して予算要求できるような体制を整えていただきますようお願いを申し上げて、次の質問に参りたいと思います。

 次に、少子化の話なんですけれども、少子化が日本はかなり進展しているという状況で、特に近年、何でこんなに子供が生まれないのかといえば、政府だけではなくて民間機関等様々なところが分析していますが、やはりコロナの影響があった、それで婚姻率が下がったものが数年遅れて影響が出てきたとか、教育費が高いので、特に地方なんてそうなんですけれども、子供を三人育てて、東京を含め都市部の大学に出すということになると、親が破産するというような状況になってしまうわけです。こういった教育費の上昇等々があることによって少子化が進んでいる、これが一般的な分析かなというふうに思います。

 ただ、中長期的に見たときに、本当にそれだけなんだろうかという思いは禁じ得ません。

 私の父親は七人兄弟でした。当時、昭和の初期、つまり戦前ですね、日本人の平均兄弟の数というのは、七人いたり五人いたり九人いたりというのはそんなに珍しくなかったということかなというふうに思っています。

 私が育った、ちょうど「サザエさん」の時代ですよね、昭和の戦後の時期、子供、兄弟の数というのは、三、四人は珍しくありませんでした。二人以上というのが当たり前ということだったのに、僅か数十年で合計特殊出生率一・二というふうになってしまいました。

 これは本当に、バブルの、婚姻率が下がったことだけが原因なんだろうか、教育費が高くなったということだけが原因なんだろうか、ほかにも要素があるんじゃないかなというふうに私は思っています。

 一つは、国の制度、どうして昔、昭和初期ですね、子供がそんなに生まれたんだろう。農業に従事する人が大変多かった。子供が多ければ多いほど、働き手が増えて親御さんの負荷が下がる。それに加えて、私、実は、育てられるときに、こういうふうに言われて育てられました。いいか、おまえ、大きくなったら親の面倒を見るんだぞと言って育てられたわけです。そうすると、子供が一人よりは三人、三人よりは五人、五人より七人であれば、親が老後になったときに仕送りする額が増えるわけです。子供が多ければ多いほど、将来の生活が安定するというようなこともあった。

 今、国から援助してもらって楽な生活を送ろうと思う最もいい方法は、子供をつくるということじゃないんですよね。子供をつくると、将来、自分たちが相当教育費を出さないといかぬということに確かになってしまう。一番楽に、遊んで、遊んでというか、お金を自分たちのために使って、国から援助してもらうには、DINKS、ダブルインカム・ノーキッズ、子供を持たずに、入ってきた収入は全部自分たちで使ってしまう、そして、老後は人様が育ててくれた子供が払ってくれる保険料で年金をもらうという生活をすると、一番国からの給付が多くなるということになってしまうんじゃないか。

 少し、こういう制度設計でいいのかと厚労省にはインフォーマルに何回か言っているんですけれども、やはり、子育てして苦労した人というのは老後の年金というのが増額する制度というのも考えていいんじゃないかなというふうに思っています、二人、三人と子育てをすると。

 これは、子供を産めない人はどうするんだと必ず声が出るんですが、養子でも育てると年金が増えるというふうにして、子供を産める産めないは関係なくして、子育てを頑張った人は年金が増える制度、これは財源がかからないわけです。今アナウンスすれば、将来、増えた子供がその増えた部分の年金を払ってくれるわけですので、今からでも日本の活力を十分引き出していけるんじゃないかなと私は思っております。これは私の考え方なので。

 それで、大臣にお伺いしたいんですけれども、戦前、七人から九人、兄弟がいるというのも珍しくありませんでした。戦後の昭和の時代、二、三人の兄弟は普通でした。そして、近年、合計特殊出生率がそれと何かもう一桁違うと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、一・二六は余りにも低いんじゃないかなというふうに思います。

 昭和の時代と現代、今と何が違うというふうに感じていらっしゃるのか、感想を伺えればと思います。

新藤国務大臣 非常に難しい問題で、一つの原因ではないと。そして、様々な要因で、また、それぞれの、一人一人の人生観や、それから生活設計、こういったものにも関わってくるし、もちろん、経済的な負担、こういったものも大きな側面だと思います。

 私どもとすれば、経済白書においては、まずはデータのところからいえば、現在の少子化の要因というのは、女性人口の減少がある、それから非婚化の進行があり、夫婦の出生率の低下がある、こういったことで分析しています。

 でも、その要因としては、やはり、子育て世代、住居費や養育費用、こういったものの負担が、負担感が重いと。かつて、今委員が御紹介いただいたような昔の頃を考えれば、はるかに今の方が手厚い支援になっていますが、でも、生活費に対する負担が、率が違いますよね。それから、そもそも、自分の生活でどれだけのお金をかけて暮らすかという意味において、今、昔とは比べ物にならないほど豊かな暮らしをするようになった。

 ですから、様々な要因があるというふうに思っているわけであります。

 大事なことは、国の基本は国民ですから、そして今、一・二六の出生率になっている。これは、どんどんと人が減っていくことになるんですけれども、まず一つに言えることは、二〇〇〇年代に生まれた子供たちが、百二十万人ぐらいのペースで生まれていました。その人たちが、今二十歳、それから、これから二十五、三十になって主力になってくれます。ですから、二〇三〇年ぐらいまでは、まだそのペースがあるわけですね。

 でも、今、直近で生まれている子供たちが七十七万、そして、この一年は更に下がるというような指摘が、予測が出ていますね。そうなると、その後の二〇四〇年以降になると、もう人がいないわけですね。

 ですから、子供が、その年に生まれて完結するのではなくて、生まれて、育って、社会で活躍して、そして現役として社会を支え、やがて高齢化して、今度は逆に支えられる立場になる。この連関の中で、人口問題というのは長期のプログラム、私たちは、向こう百年のプログラムが予定されてしまう中で、これをどう克服していくかというのはみんなで共有しながら、我々としても、政治としてお手伝いできる政策はできるだけ充実させていきたい、このように考えるわけです。

泉田委員 ありがとうございます。大臣御指摘のとおり、大変難しい問題。

 神田川という歌、御存じかと思います。四畳半一間でも子供がいっぱい生まれた時代もあった。でも、今は駄目だ。これは考え方とか社会情勢の違い、こういったものをどう政治として乗り越えていくかということも我々も必死に考えながら、この問題に取り組んでまいりたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、マクロ経済と財政政策との関係ということでございます。

 今、政府は、日本財政の状況を説明するのに、GDPに対する政府債務の比率、これを使って、日本はほかの国よりも大変多くの政府債務があって大変なんだという説明をされていますけれども、これは、何十年も同じ説明をしながら、ギリシャのようになる、ジンバブエのようになると言いながら、なっていません。

 なぜならないのかということなんですけれども、政府債務の残高と、それから財政の硬直度というのは必ずしも直接的なリンケージはないということだと思っています。というのは、費用として歳出で発生するのは利払い費ですから、この利払い費がどれだけ出るかというのは、政府債務残高には依存しないで、やはりそこの金利の違い、各国の金利の違いというのも影響するわけなので、ある意味、政府債務残高だけで単純比較するというのはミスリーディングであるということなんだと私は思います。

 むしろ、政府債務残高のGDP比というのは、時系列で見て、これが発散してしまうのか、それとも収束して破綻しないで運営できるのかという観点では意味がありますけれども、国際比較で使う指標としてはいかがなものかというふうに考えております。

 そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですけれども、直近の政府純利払い費のGDPに対する比率、すなわち政府債務から発生して、実際費用として発生するお金、これはGDPに対してどれぐらいの比率なのかというのを、G7各国で高い方二つと低い方二つ、教えていただければと思います。

林(幸)政府参考人 お答えいたします。

 OECDのデータによりますと、二〇二二年の政府純利払い費対GDP比について、G7諸国の中では、最も高い国はイタリアで四・一%、次いでイギリスで四・〇%となっております。一方、最も低い国はカナダでマイナス〇・四%、次いで日本の〇・一%となっております。

泉田委員 ありがとうございます。

 そのとおりでして、つまり、財政の硬直度の高いのはG7の中ではイタリアとイギリス、そして、財政の硬直度が低い国がカナダと日本ということになるわけです。

 だから、政府がちょっとやはりミスリーディングで、家計に例えて説明するのも、これは本来違うと思うんですよね。通貨発行権を持っている国、これは言葉は悪いですけれども、例えば賭博場に例えると、必ず勝つ人がいるんですよ。丁半、丁半とやっていて、胴元です。通貨発行権を持っている国と家計を一緒にして議論すると、ミスリーディングで、必要以上のデフレプレッシャーをかけているんじゃないかなというふうに思います。

 それで、もう一つ、指標、これは政府参考人にお伺いしたいんですけれども、国債がデフォルトしたときの保険料に相当する指標というのがあります。これはソブリンCDS価格というんですけれども、G7各国の中で日本の順番はどうなっているのかというのを教えていただければと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃいました保証料に当たりますCDSスプレッドでございますけれども、これは、その時々の経済財政の状況等の様々な要因で日々動いているわけでございますが、直近、二月十四日時点で申し上げますと、G7各国で高い順に並べまして、日本のCDSスプレッドはドイツの次、下から二番目に低いところにあるということでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 すなわち、日本国債の信認は、日本はドイツに次いで高い、G7の中で極めて財政が安定しているというのがマーケットの評価ということになります。

 日本が三十年間、賃金上昇ができなかった。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた一九八〇年代後半から九〇年代の初頭にかけての日本の競争力を何が低下させてきたんだろうかと考えると、指標が間違ったんじゃないかなと。財政運営の指標、これを見直さないと、日本の成長、デフレからの完全脱却は難しいんじゃないかということを実感をいたしております。

 結局、単年度の収支均衡、これは、プライマリーバランス、基礎的財政収支が達成したとしても、経済が縮小してしまったら、結果として負担が重くなるということになるわけです。本当に財政再建をしたいと思うのであれば、投資的経費と国債費というのを除外をしたコアプライマリーバランス、つまり、経常資金だけを念頭に置いた収支均衡というのを目指す。自由に国債を出せなんということを言っているわけじゃないわけです。どういうふうにしたら世界各国の成長に負けないのか、賃金が上昇できるような、そして、今日よりあしたがよくなる社会がつくれるのかということになると、このプライマリーバランスという財政政策、これを見直す必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 そもそも、日本は世界最大の債権国です。世界最大の債務国はどこか。米国、アメリカです。そして、その世界最大の債務国の国債を最も持っている国が日本です。何で、世界最大の債務国が経済が力強く成長して、世界最大の債権国の日本がお金がないと言ってきゅうきゅうとしないといけないのか。これは、基本的なところで、指標の取り方さえ変えれば日本のあしたというのは大きく成長する余地を残している、世界でもまれな国、まだ復活する力のある国ということだと思っています。

 新藤大臣、是非、経済財政政策の基本的な指針、すなわち、投資をして将来戻ってくるお金、時間がないので答えを先に言っちゃいますけれども、建物を建てたときに投資なのかそれとも消費なのか、お聞きしたかったんですが、時間がないので答えますね。建物を建てたときに投資なのか消費なのか、これは目的によって違うわけです。アパート、こういったものを建てて将来賃料が入ってくるのは投資だし、別荘を建ててコストだけ払えば消費になるわけです。

 将来、自動車産業が発展するとか、半導体産業が、製薬産業が発展するというところにお金を使うところに上限を決める必要はないわけで、それに投資をすることによって将来リターンが戻ってくるというものについては大胆に出してよくて、経常的な経費のところについてはバランスをさせていくという考え方で、日本経済を是非飛躍的に発展をさせていただきたい。そのためには、このプライマリーバランス、どうあるべきかというところを考え直してほしいなと思っているんですが、感想で構いませんけれども、新藤大臣、どんなふうにお考えか、教えていただければと思います。

新藤国務大臣 重要な御指摘なんですが、どちらか一辺倒で語れないということですよね。財政政策のみでも駄目だし、経済政策のみでも駄目だ。だから、財政はやはり弾力性を持ってバランスを取っていくということが重要です。

 それから、私たちは今、世界に対して、もう一度日本経済を復活させるためには、労働市場改革が必要だと思っています。それから、生産性革命とともに新たな投資、そしてスタートアップ、これは誠に世界の趨勢に追いついていない状態があります。

 新しい経済や需要をつくりながら、それを支えていく人材を確保する、その上で健全な財政運営を維持していく、この両方がうまく相まって我々は次の新しいステージをつくりたい、このように考えているわけです。

泉田委員 ありがとうございました。是非とも、日本の力を引き出していただきたいと思います。

 時間ですので終わりたいと思いますが、本当は、個人金融資産は二千兆円あるんです、日本は。何と、一人当たりで計算して、GPIF並みに運用すれば、一世帯二百五十万ぐらいお金が入ってくるという力を日本国は持っているわけです。こういったものを年金制度に当てはめていくということになると、年金制度改革をしなくても支払える世界が私は来ると思っているんですが、次の機会に譲らせていただいて、今日は質問をこれで終わらせていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

星野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 日本維新の会・教育無償化を実現する会の会派を代表して質問をさせていただきます。

 一番最初、日本版のライドシェアについて河野大臣にお尋ねさせていただきたいなと思っています。

 今回、政治と金の問題で国会が非常に流動的というか、やはり予算委員会を通しても、今、重要な政策であったり予算というもの自体に対しての議論をするという、そういったところを深みに持っていくといったところがなかなか実現できていないということに、非常に、それに関しても大きな罪なんじゃないかなと思っているんですけれども、そうやって違うところに目が行っている間にいろいろなことが実は進んでいるなということをしっかりと見ていかなきゃいけないということを思っているところでございます。

 現在、国交省においてパブリックコメントをされているところだと承知をしております日本版ライドシェア、これが、私は、前回の臨時国会の大臣所信のときも、たしか河野大臣にライドシェアについて質疑をさせていただきました。これからどういう公共交通の在り方について規制を改革していくのかという議論をさせていただいたと記憶しているんですけれども、この国交省さんがやられている日本版のライドシェアを見て、ちょっとびっくりしたんですよね。やはり、タクシー業界さんとの関係性が非常に強過ぎるんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 例えば、許可基準であったり、資格要件、台数、運送の形態、こういったところで新規参入ができるような状態ではないんじゃないかなと私自身は考えているんですが、ライドシェアの規制改革とはどのようなものを大臣が想定されているか、御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 おはようございます。

 今、日本全国、都市部、地方を問わず、なかなか移動ができない、公共交通機関を使った移動ができないという地域、時間帯が増えている、これは非常にゆゆしきことだというふうに思っております。

 そういう中で、今回、日本版のライドシェアということで、まず、移動の自由ができない地域において、今までのタクシーやバスとは少し違った形での移動の手段というものの導入をしていきたいということで、まず四月一日から七十八条の三号を使った移動手段、それから、七十八条の二号ですか、交通空白地をどうするかというようなことを順次取り入れていきたいということで、まず三号の方のパブコメがスタートいたしました。

 これは、パブリックコメントで今回国交省が出したのはあくまでもたたき台でございますので、これにいろいろな方からの御意見をいただいて、しっかりとしたルールというものを作っていきたいというふうに思っております。さらに、その後、二号のパブリックコメントを用意をして、なるべく早く二号もスタートをさせていきたいというふうに思っております。

 そういう中で、実際に移動の手段を確保できているかどうか、これはいろいろな形でデータが取れるというふうに思っておりますので、いろいろやってみて、足らなければどんどんルールを変えていきたいというふうに思っております。今までは何となく、もうパブコメを出したらそれで行くぞみたいな、なんちゃってパブコメみたいなのがなかったわけではないと思いますが、今回のは、国交省とも相談をして、かなり真摯に皆さんの意見を取り入れていきたいというふうに思っておりますので、多くの方からのコメント、御意見をお待ちをしていきたいというふうに思っております。

 そういう中で、都市部、地方にかかわらず移動が自由にできる、公共交通機関を使って移動が自由にできるような、そういうようにしていきたいというふうに思っておりますので、広く今御意見を募集しているところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 パブコメまで行っちゃうと、もう何か変えることができないんじゃないかなとか、パブリックコメントを幾ら書いても、何か、それにお答えをしていただくだけで、制度自体が変わるのかなといった、なんちゃってパブコメみたいな、そういう状態になかなかあったのかなという懸念もありますので、これに関しては、やはり、何度も、次の臨時国会でも同じ質問をしなくていいように、是非早めに進めていただきたいというのが私の、京都の人間の思いだということを前回もお伝えさせていただいたんですが、今回もお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、河野大臣にはもう一つ、スマートフォンの活用というのを、前回、全然違う地・こ・デジの方でやらせていただいたときも、やはり、マイナンバーカードを持って避難してくださいというのは結構ハードルが高い、ああいうときに何を持って逃げるというのは難しいので。やはり、皆さん、スマホは持って逃げると思うんですよね。なので、配車アプリもそうですけれども、やはり、今、海外を見ていると、かなりスマートフォンの中で、国であったり地方自治体とのアクセスができるような状態にあると思いますし、身分証明もそれでできるような状態にあると思うんですね。

 それは河野大臣よく御存じだというのは存じ上げているんですが、それをやはり、今なかなか、アンドロイドから進めるというのも存じ上げているんですが、それも是非進めていただいて、カードを持って一緒に逃げてくださいというコメントをしなくても、スマホ一つでできるような時代を早くつくっていただきたいなと思っております。これは大臣のコメントをいただくことはないんですが、そういう思いだけお伝えさせていただきたいと思います。

 次に行かせていただきたいと思いますので、河野大臣はここで。ありがとうございます。

 DV施策の現在地という御質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 今、共同親権の議論というものがかなりされていると思っております。我が党の浅田さんが参議院の方でも実子誘拐についてお話をさせていただいたかと思うんですけれども、子供に会えないという方もたくさんいらっしゃって、こういうことから、共同親権という、海外ではメジャーな仕組みであると存じ上げているんですが、それについて日本で導入しようという議論がされていると承知をしております。

 そんな中で、やはりいつも議論になるのがDVとの関係性だというふうに思っているんですけれども、共同親権を進めるためには、まずはDVというものをしっかりと、DVから守っていくということをやらなければ先に進めないんじゃないかな、皆さんがその懸念があるから、今、国民的に非常に大きな議論になっているんじゃないかなと思っているところでございます。ですので、まず、DV防止に関する更なる充実について大臣の御所見をお伺いしたいんです。

 この間、DV防止法の改正がありました。このときに、まだ足りないですよねというところで議論が終わったと思っておりますので、これで被害者が救われるのか、そして更なる、次はどのようにするのか、加藤大臣の御所見をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 配偶者等からの暴力は重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。誰もが尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現するため、配偶者等からの暴力の根絶に向けて具体的な取組を進めていくことが重要であると考えております。

 本年四月からは、重篤な精神的被害を受けた場合にも接近禁止命令等の対象を拡大することを始めとする保護命令制度の拡充や、被害の発生から生活再建に至るまで切れ目のない支援を行うための多機関連携を強化する仕組みの創設などの改正が盛り込まれた改正配偶者暴力防止法が施行となります。

 改正配偶者暴力防止法の内容につきましては、改正法の概要やQアンドA、改正のポイントに関するパンフレット等の作成、ウェブサイト等での周知、配偶者暴力相談支援センター等の地方公共団体関係職員等に対する説明会等の実施など、広報啓発等に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、改正配偶者暴力防止法の円滑な運用に向けた準備を着実に進めるとともに、被害者に対する相談支援の更なる強化を図ってまいりたいと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 ちょっと、余り欲しいお答えが頂戴できなかったんですけれども、DV防止法、改正させていただいたものをしっかりやりますよという地点に今いますというお答えだったのかなと思います。

 やはり最大のポイントは、精神的暴力で保護命令がしっかりと出るのかというところだと思っているんですね。

 そして、もう一つ重要なポイントは、加害者と一応なっている方が、本当に自分が加害をしているということに気がついていないということがありますので、それについての加害者プログラムを充実させていくということを、前回の質疑というかDV防止法のときもさせていただいていたんですけれども。

 やはりここが一番重要なところで、自分自身は加害意識がない中で、被害を受けていると認識をされているという認識のずれが、直接的な暴力、たたいたりする暴力というのは、それは跡が残ったり証拠が残るけれども、精神的な暴力は非常に証拠が残りにくい。録音とかをすれば違うかもしれないんですけれども、録音は前後の文脈で全然話が変わってくるので、なかなか証拠となりづらいかなとは思うんですが、そういった様々な難しい状況がある。そこで誤解が生じて、加害者の側にも、訳が分からないで、思いがある、被害を受けた方にもまたそういう思いがあるというふうな複雑さが出ていると思うんですね。

 大臣おっしゃっていた、多機関との連携を強化するということを政府は常に言っていて、個人情報の壁をできるだけ乗り越えて連携をしていくんですというお答えなんですけれども、やはりここは一つにならないと、児相と配暴センターが情報共有をして実質的な何か支援をできるのかというのは非常に疑問があるし、それほどにも児相の今の現状が非常に厳しいと思っているんですね。

 大臣、ちょっと細かいんですけれども、DVを受けている被害者の方がいるといたしまして、その方が児童虐待を行っているケースというのがあると思うんですけれども、大臣はどのようにお考えかをお聞かせください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、例えば、同じ家庭内において、DVと児童虐待が同時に発生する等のケースも考えられることと思います。例えばですけれども、子供がいる家庭において、両親の間で暴力行為が発生した場合には、子供に対する心理的虐待に当たり得るものであり、また、子供自身への暴力があれば、子供の安全が損なわれ、健やかな成長、発達にも多大な影響を及ぼしたりすることもございます。そのため、それぞれの対策を相互に連携協力して進めていく必要があると認識をしてございます。

 基本方針におきましては、要保護児童対策地域協議会及び法定協議会の活用などにより、児童相談所と配偶者暴力相談支援センターとの連携を一層強化をし、個々の事案について、それぞれの立場で考え得る対応を積極的に共有をして適切に対処することが求められる旨を明記をしておりまして、配偶者暴力相談支援センターにおける要保護児童対策地域協議会への参加の促進、また、DV対応に当たる相談員等と児童相談所の職員の双方を対象とする研修の実施、こういった取組を引き続き進めていくところでございます。

堀場委員 ごめんなさい、ちょっと質問があれだったんですけれども、DVを受けている被害者が、男性でも女性でもいいんですが、精神的な暴力、まあ直接的でもいいんですけれども、暴力を受けていて、その方がお子さんに対して児童虐待を行っているという、暴力の連鎖が家庭の中で起こっているということが考えられるんですけれども、それについて加藤大臣の御所見をお聞きしたかったんですけれども。

加藤国務大臣 御質問を履き違えていないとすれば、委員の御指摘のように、そういったケースというのが、DVと児童虐待が同時に発生するケースは考えられると思います。

堀場委員 考えられるじゃなくて、実際にあると思うんですけれども。何でこれを聞いているかというのもちゃんとレクで事前にお話ししていますし、この文章も、質問も同じ文字で質問を書いているので、それに見合ったお答えをしてほしいなと思うところなんですけれども。

 なぜこれを言っているかというと、DVの被害に遭っている方は、やはり精神的に非常に厳しいところに追い詰められていて、この人は加害者かもしれないけれども被害者でもあるという状況にあるならば、こういった人を救うためにはどういう仕組みが必要かなということを考えた場合、どう思いますかということです。

加藤国務大臣 委員御指摘のとおり、加害者への対応ということも大変重要だと私自身も考えてございます。

 加害者に働きかけることで加害者に自ら暴力の責任を自覚させる加害者プログラムというものがございますが、これは被害者支援の一環として大変重要だというふうに考えております。

 改正配偶者暴力防止法に基づく基本方針において、都道府県等が被害者支援の観点から加害者プログラムの実施に取り組むことが望ましいとの考え方を示すとともに、関係機関等により構成される法定協議会における協議の一例として、加害者プログラムの活用をお示ししたところでございます。

 さらに、地方公共団体の担当者等への研修の実施等を通じ、加害者プログラムに関する理解の促進を図っておるところでございます。

 これらの取組により、各地域における加害者プログラムの実施の推進に努めてまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 何が重要かというと、例えば、共同親権のある国、共同親権を実行されている国において、こういった、司法において刑事罰としてやられているところもあると思いますけれども、刑事事件として扱われて、そして司法から受講命令が出る、こういう加害者プログラムであったり感情のコントロールであったり、そういったものに対する受講命令が出るということがやはり行われていたり、裁判所の中で非常にきめ細やかな、DVではないかとかいう調査であったり、様々な体制が既に構築されていて、共同親権が実施されていると承知しているんですね。

 今、日本では、じゃ、加害者プログラムをやろうとしても、人材を育成するところですよ。どういうふうにやったらいいか、これから実証をやったりしていって、その結果を待っているんですよみたいな状態の中で共同親権の導入ということを言うと、やはり、DVの被害を受けた経験のある皆様からすると非常に御不安が募るのかなというふうに思っているんですね。

 なので、共同親権というものを進めていくということを政府として考えていらっしゃるのであれば、どうぞ、DVというものに対してもしっかりと体制を構築する、特に家裁の役割、そういったところをしっかりと強いメッセージとして出していただきたいなと思っております。

 そして、一番ここから重要になってくるかなというふうに思っているのは、精神的暴力であっても様々あると思うんですが、家庭内であっても、DVと言われている四つの暴力に対して警察がしっかりと対応できるのかなというのも一つ大きなポイントだと思っています。

 警察といたしましては、精神的暴力というのはどのように定義されているか、松村大臣、お願いいたします。

松村国務大臣 法律上、精神的暴力を定義しているものはまずございませんが、例えばDV防止法におきましては、配偶者からの暴力とは、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義されておりまして、いわゆる精神的暴力については、心身に有害な影響を及ぼす言動に含まれているものと承知をいたしております。例えば、大声でどなるであるとか、罵るであるとか、物を壊す、また逆に、何を言っても長時間無視し続ける、こういったことであろうかと思います。

 現在、警察におきましては、こうした配偶者間の暴力については、相談をお受けをした場合におきましては、事件化すべき事案については必要な捜査を行うことといたしておりまして、必要に応じて、被害者の安全確保を最優先とした措置を講じているところでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 警察の皆さん、本当に頑張ってくださっていらっしゃるのは承知をしている前提で、警察というのは家庭の中には入っていかないんだよとか、例えば学校の中には入っていかないんだよというような言説をよく耳にするかなと思うんですね。

 私、文科の委員もやっておりまして、教育関係もずっとやっているんですけれども、学校の中の例えばいじめというものも精神的な暴力だと思うんですけれども、そういう無形で証明がなかなか難しいもので大きな傷を負ってしまう、若しくは、人生を棒に振るような大きな大きな傷を負ってしまう子がいらっしゃるんですけれども、そういった、なかなか目に見えないものに対してどういうふうに対応すればいいのかなといつも思うんです。

 そういうときに、やはり、警察というものは、今まで介入しないと言っていたところにも入っていくことができるのか、特に家庭は不介入というふうにしているのかどうか、大臣からはっきりと答えていただきたいなと思います。

松村国務大臣 まず、家族に対する暴力の警察の介入ということでよろしゅうございますでしょうか。

 これについても、家族間での暴力事案であっても、適切に捜査を行うとともに、必要に応じて、被害者の安全確保のための措置を講じているところでございます。

堀場委員 ということは、やはり、民事不介入という形というよりかは、しっかり、家庭の中で実際に暴力が存在すれば介入していく、若しくは、介入という言葉が正しいかどうか分からないんですけれども、相談を受けるであったり、捜査をするであったり、様々な、多種多様な御対応を警察としてはできるということでよかったですかね。よかったということで、分かりました。

 何が言いたいかというと、実は、虐待というのは高齢者の皆様にも結構今多く見られるのかなと思っていまして、同居の高齢者の皆様に対してどういうふうに対応するのかなというのは結構難しい問題なんですよね。

 子供の場合は、児相というものもございますし、クローズアップもされますけれども、あと、保育園に預けて分かるとか、泣き声で分かるとかあると思うんですけれども、御高齢で介護をされているような方に対する暴力というのはなかなか発見しづらいなと思っていますし、自分から助けてと言うことも少ないんじゃないかなと思っているんですが、そういった同居高齢者への暴力に対してどのように御対応されているか、よろしくお願いいたします。

松村国務大臣 高齢者の虐待についても、警察におきましては、早急に確保する必要の認められる事案と捉えております。認知した場合におきましては、被害者の安全確保を図るとともに、法令に基づいて、速やかに市町村に通報いたし、事件化すべき事案については必要な捜査を行っているところでございます。

 また、このほかに、市町村からの逆に依頼を受けて、市町村が実施する立入調査への援助、いわゆる付添いみたいな形で行うなど、関係機関と連携して対応を行っているところでございます。

堀場委員 やはり、発見していくというのが非常に難しくて、それは、地域であったり、様々な、地域包括ケアシステムのような見守りであったり、御高齢者をしっかりと家族以外でも支えていく仕組みというのは、こういうものを防止するのに役立ったり、発見する機能になっていくんだなというふうに思うんです。

 今、ここまでるる、DVであったり、家庭、家族の中での暴力、そして家族の中でも目に見えない暴力、そういったものについて議論させていただいたんですけれども、やはり、こういう今まで警察が不介入とされていた事案で、家庭とか学校とかそういったところにある無形の暴力、つまり証拠が残りにくい暴力に対して、大臣の御所見を、そして今後どのようにされるか、是非決意を聞かせていただければなと思います。

松村国務大臣 先生御指摘の、家庭内における配偶者からの暴力事案であったり、児童虐待事案であったり、さらには学校でのいじめ問題であったり、これをやはり認知した場合には適切に捜査を行うこととしております。必要に応じて、やはり、被害者のまず安全確保のための措置を講じることは極めて重要であると思っております。

 今後も、被害者の安全確保を最優先とした適切な措置が講じられるよう、警察を指導してまいりたいと考えております。

堀場委員 やはり、DVも、児童虐待も、そして実子の連れ去りとか虚偽のDVも、それは全て犯罪ですので、そういったものをしっかりと見ていただいて、そして、我々も、こういったDVというものにしっかりと対応する体制をつくることで、共同親権、しっかりと前に進めていけるんじゃないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 加藤大臣と松村大臣、ありがとうございました。

星野委員長 では、御退席いただいて結構です。

堀場委員 では次に、全世代型社会保障制度について、新藤大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

 今日、私、資料を作らせていただいたんです。こんなくだらない資料を何で作らなきゃいけなかったのかなと申し上げますと、今、予算委員会を見ていますと、支援金について非常に議論をされているところだと承知をしています。何で、社会保障を納めている人の人数で総額を割って五百円とか三百円という数字を出したのかなというのが私は甚だ疑問なんですけれども、それがついたせいで、社会保障に五百円とか三百円上乗せして取られてしまうんじゃないかなというふうな懸念を持たれている方が非常に多いんじゃないかなと思います。

 大臣とかほかの方も、御説明としては、負担はありませんよということをおっしゃっています。でも、それの意味がちょっといまいちよく分からない、誤解が非常に世の中には回っているんだなと思いまして、明らかに分かるよねというこの表を作りました。

 つまり、社会保障の改革を徹底することで圧縮される部分、それがあるので、そこの隙間ができますよねと。余っている部分、今までいただいている社会保障費等を圧縮したら、残高の部分、ここに、子供予算に使えるように、名前を支援金として、新しい費目というか枠をつくりますというお話だと私自身は理解をしているんですけれども。

 この言葉がなかなか理解をされずに、今、三百円と五百円が、報道を見ても、五百円のマークをつけながらワンコイン取られるみたいな、何かそういった言説でちょっと誤解が生じているのはやはり説明が足りていないのか、なぜ、割って五百円とか三百円という数字を出したのか、それすらも私には分からないんですけれども。だって、社会保障は皆さん違う金額を納めていらっしゃるのに、一人五百円とか三百円で定額で取られちゃうみたいなイメージを受けられるようなメッセージの出し方をされていることに非常に違和感を持っています。

 まず、新藤大臣には、全世代型社会保障制度改革で拠出されるお金を、こども未来戦略の子供、子育て政策の加速化プランの方に、財源としているんですけれども、それについて、今のことも含めて大臣の御所見をお願いいたします。

新藤国務大臣 これは度々御質問いただいて、とにかく皆さんが不安に思っているので、また分かりづらいわけですね。ですから、できるだけ、そういう御質問をいただく中で、我々も丁寧に説明していきたいと思っているんですけれども。

 まず基本的に、今委員が資料を作っていただきましたけれども、今回のこども未来戦略、子育て加速化プランは三・六兆円あるんですけれども、これは支援金だけで構築するものじゃないですよね。

 まず、既定予算の最大限の活用が一・五兆円。これは、今ある予算の中でうまく執行の工夫をできるもの、これをかき集めて一・五兆円積み上げます。それから、歳出改革で公費を節減できる。ここが、九年間の歳出改革の合計額を平均で割って、大体、年間当たりこのぐらいの、要するに千八百億なんですけれども、このぐらいの金額は歳出削減できるので、これを積み上げていって、これで約一・一兆円です。それから、支援金というのは、今度は歳出改革、今の一・一兆円は公費の部分ですから、歳出改革によって保険料も削減できるわけです。保険料を削減した部分のその見合いを、本来今まで払っていた枠の中で、新たに支援金として、そこを御負担いただく。

 だから、負担が増えないんじゃなくて、負担の割合が変わらないということで説明していかなきゃいけないと思うんです。

 合わせ技で三・六兆円。一番大きいのはやはり歳出改革、それから既定予算の工夫、これをやって、しかも保険料を削減した部分のその枠の中で新たな支援金という形でお願いするので、今まで負担した割合と変わりませんよ、こういうことなんです。

堀場委員 やはり、その御説明が、全体像の中で、今までの予算部分と税金の部分とそして社会保険料の部分ということで、今回、社会保険料のところだけを抜き出したのがこの資料なんですけれども、何でわざわざこのことをしたかというと、私、この説明を部会でも受けましたし、何度も受けたんですけれども、やはりちょっと、私の能力の限界か分かりませんが、最初の一回の説明ではちょっと何のことか分からない、やはり支援金というものが新しくできるということだけが走ってしまうんだなということを感じましたので、まずこれをしっかりと明確にしたいなと思いまして、今質問をさせていただきました。

 それで、でも、これはただ、見ていると、全部で一・一兆円できるということで、この改革工程を見ていくと、二〇二八年までにいろいろできる金額というのがあるんですが、二〇二四年に取り組む医療・介護制度の改革ではどの程度の予算を生み出すことを試算されているのか、教えてください。

新藤国務大臣 二〇二四年度、これにおいては、薬価改定、それから医療保険、介護保険の見直しといった制度改正を実施して、国費ベースの社会保障関係費において約千四百億円の減少効果を生じさせている、こういうことです。

堀場委員 ということは、二〇二八年までに、加速化プランと一緒に、同時進行でこの改革が進んでいって、金額がどんどん一兆円まで増えていくという考え方でよかったですか。

新藤国務大臣 そこはとても重要なところなんです。

 今、私、御質問がそういうことでしたから、国費ベースで千四百億と言いました。でも、この一兆円の積み上げというのは、そうではなくて、歳出改革と賃上げによる社会保険負担軽減の範囲、これは二〇二三年度で千五百億円、それから二〇二四年度で千七百億円、このことを予定しています。ですから、二年間で三千三百億捻出できることになっているんですね。六年間ですからこの三倍、三千三百億の三倍相当のものは調達ができる、これが支援金の一兆円の根拠であって、歳出改革の方の公費削減は、これは年間の、今回は千四百億でしたけれども、二〇一三年から二〇二二年までのこれまでの九年間の実績を年間で割ると約千八百億になるんです。今後も同じペースで歳出改革は行っていきますので、それを六年間でやると一・一兆円になる、こういう計算で、別々の計算なんです。

堀場委員 ありがとうございます。

 ということは、やはり賃上げがベースになっている、賃上げすることで社会保険料も、入ってくる金額が変わってくるよねというところなんだなというふうにも理解をさせていただきました。

 今、これで……(新藤国務大臣「それは違うよ」と呼ぶ)ごめんなさい、じゃ、もう一回いいですか。

新藤国務大臣 賃上げの部分というのは、賃上げをすることによって雇用者報酬が増えるので、分母の、全体の雇用者報酬が増えます。一方で、分子である税と社会保障の負担は、ここは分子ですから、分子の方は削減されますよ、若しくは負担率が変わりませんよと。

 賃上げによって雇用者報酬という分母が増えるので、ですから、全体としての国民負担は軽減のトレンドが更に強まりますよ、こういうふうに御理解いただきたいです。

堀場委員 分かりました。ありがとうございます。

 ちょっと時間があれなので次に行かせていただきたいんですが、まず、全世代型社会保障制度の、働き方に中立な社会保障制度というのはどういうものなのか、教えてください。

新藤国務大臣 この働き方に中立的というのは、正規、非正規を問わず、どのような働き方でも同様の社会保障制度の対象となることを目指しているということでございます。個人の働き方の選択だとか労働市場によって、同じような働き方をしているのに、その人の置かれている立場によって社会保障を受け取る範囲が違ってくる、これは、こうしたことのないように、ゆがみのないように中立的に制度をつくっていくこと、こういう考え方です。

堀場委員 ありがとうございます。

 これの、能力に応じて全世代が支え合う、全世代型の社会保障というふうにあるんですけれども、今の社会保障制度というものに限界があるということで改革をされると思うんですね。それを改革するというのは、でも、やはり今ある制度の改良をしていくというのが前提なのかなというふうに考えているんです。

 それはなぜかというと、さっきの、私の前の方の質疑でもあったと思うんですけれども、やはり世代間で支え合うという考え方から脱却しないといけないんじゃないですかというのが我々日本維新の会の考え方です。

 今の社会保障というのは世代間で支え合うので、人口動態を見ても、ちょっともう限界に来ていますよね。それを超えていて、若い世代の人数が非常に少ない中で御高齢の皆様をお支えするという世代間のやり取りは非常に厳しいので、やはり所得で見ていかなきゃいけないんじゃないかなという、見方を変えた抜本的な改革が必要だということを我々日本維新の会は主張させていただいているんですけれども、能力に応じて全世代が支え合う、全世代型社会保障とあるんですけれども、今の社会保障の制度の限界というものは世代間の格差だと思うんですが、それについての大臣の御所見をお願いします。

新藤国務大臣 やはりこういうやり取りをどんどんやった方がいいですよね。

 なぜ、全世代型社会保障、今までの社会保障とどう違うのか。それは、世代が全部になったからではなくて、元々の社会保障というのは、医療や障害など、そういうようなものが社会保障で、便益を受けるのが高齢者で、負担は現役世代。子育ては社会保障の枠の中に入っていないんですよ。子育て支援だったんです。

 ですから、それを今回は、全世代で支え合うというのは、本来、社会保障の原点なんです。ですから、それは、現役世代で負担をするけれども、でも、子育てをしている部分については保障を受けましょう、それから、高齢者であっても、負担ができる範囲においては、それは社会全体を維持するための負担も行っていこうではないかと。

 そして、あらゆる世代が、自分たちの生活、社会を維持するために、そうした支え合う形をつくらなければならない。少子高齢化、人口減少社会においてはますますそれが顕著になっているから、今回、私たち岸田内閣において、全世代型社会保障というのは、世代をインクルードするとともに、子育て、教育改革、そういったものもこの社会保障の中に入れたという意味で、新しい概念だというふうに御理解いただいて、かつ、とどめに、これから生まれてくる子供たちのためにも、この社会保障をきちんと維持できるような、そういうことで、今いる人たちだけじゃなくてその次の人たちにもきちんとこの保障が維持できるような、そういう設計をしていこうじゃないか、こういうことを最後加えたということでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 今、入ってくるところの改革をされて、そして、次、出ていくものについて、子育て、そして教育、そういったものを入れていくというような社会保障全体の仕組みというものを、捉え方を変えましょうというような改革をされているというふうにお聞きしました。

 最終的に、何か、私はツイッターとか、ツイッターじゃないですね、今はXですが、見させていただいても、大学、三人目を無償にすると言ったら、子供を二人育てている人が、自分の子供は奨学金なのに、税金をいっぱい納めたり社会保険料をいっぱい納めて、自分のところは奨学金で行かせなきゃいけないのに、三人のところは国のお金で行けるのかというような、子育てしている方のそういうつぶやきを見るんですけれども、不公平感があるんですよね。

 すごく、今政府がやられている政策の中に、不公平感を感じる、もっと言うならば、福祉の漏れる人がたくさんいるということなんですよね。福祉だから本当は漏れちゃいけないはずなんですよね。そういう人にこそ、お支えする手が伸びるようにする。

 だけれども、私たちは、何度も多分申し上げているんですが、どこにどの程度お困りの方がいらっしゃるのかを把握するのが難しいですよね。なので、税と社会保障の一体改革、そういったものをしっかりと前に進めるということをしなければならないし、デジタル化、さっき申し上げましたマイナンバーであったり、様々な仕組みの中で、しっかりとお支えするセーフティーネットをつくらないと、若い人であっても、御高齢の方であっても、例えば特性を持っている方であっても、挑戦できるような社会をつくるための社会保障であるべきだと思っておりますので、またこういった議論をさせていただいて、よりよい社会保障についてまた考えさせていただければなと思います。ありがとうございました。

 新藤大臣、ありがとうございました。

 高市大臣に最後お尋ねをさせていただきたいと思います。

 これも、私、前回も多分やらせていただいたと思うんですけれども、重要土地調査についてやらせていただきたいと思います。

 指定された区域内の土地利用の状況調査で、重要施設の機能阻害行為というのを防止できるのかなというのを大臣にお尋ねしたいと思います。

 というのは、この内閣委員会で対馬に行かせていただいたんですけれども、自衛隊さんの横に海外資本の宿がある、そういうところを見せていただいたんですけれども、やはり、すごく高い壁があるとかではないので、自衛隊さんの敷地の中に酔っ払ったりとか道に迷った方が入ってこられるというのはあるというふうにお聞きをしているんですけれども。

 そういった状況を目の当たりにしたときに、本当にこの調査だけで大丈夫なのかということをすごく懸念しているんですが、大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 重要土地等調査法でございますけれども、重要施設などに対する機能阻害行為を防止するということを目的としております。

 ですから、そのため、勧告そして命令もできますし、また、機能阻害行為を防止する観点から、国が適切な管理を行う必要があると認められる場合には、国が土地、建物を買い取ることなどの措置も講じられるようにしております。さらになんですけれども、例えば、所有権が移転される、それを事前届出しなかったとか、それから、命令に従わなかったというような場合には、懲役刑も含めた刑事罰も定めております。ですから、全体として制度の実効性は担保されていると思います。

 今、外国資本についてのお尋ねもございましたが、法律案の段階、法律が成立するまでの有識者会議の中でも、日本企業、実質的には日本企業なんだけれどもその実態は違う、そのようなケース、それから、去年話題になりましたようなケースでも、直前に帰化をされて、そして日本で設立した法人として活動されている、そういったケースもございますので、この法律では、日本人か日本法人か、外国人か外国法人か、こういった区別をせずに、適切な利用をしていただくということで、利用規制となっております。

堀場委員 やはりここの議論というのは、利用の規制なのか、取得することを規制するのかということなんですけれども、取得の規制についてはどのようにお考えか、一言よろしいですか。一応これも書かせていただいたので。

高市国務大臣 平成二十二年度か二十三年あたりに、御党ともいろいろと、議員立法でやれないかという議論をしたことを思い出しております。

 今回、指定区域内にある土地、建物というのは、それらの利用者が外国人、外国法人である場合に限定せず、利用の実態を調査して、必要に応じて利用規制を行うということで、これは先ほど申し上げましたとおり、やはり、有識者会議において、ダミーとして日本企業が使われることがあるということがございました。

 利用の規制にとどまった、つまり取得の規制ではないということの理由なんですが、これも長年、国会でも地方議会でも議論を重ねた上、今の利用規制の法律になったということを委員もよく御承知だと思います。

 私なども最初は取得規制を考えて議員立法に励んでおりましたが、やはり日本では、国内法よりも国際法の方が上位に位置をします。残念ながら、過去の国際約束のうち、特にGATSですね、これで、サービスの貿易や投資活動についてはいわゆる内国民待遇の義務が規定されていて、土地取得に関して内外差別的な立法を行うこと、また相互主義的な措置を取ることも原則として認められないということでございます。

 ただ、平成二十三年あたり以降から、日本政府が締結している協定ですとか、こういった国際約束を見ますと、土地留保、土地の取得について留保をつけたり、そういった御努力を外務省でやっていただいていると承知をいたしております。

堀場委員 やはり、今、例えば、山を海外の方に買われたり、水源は大丈夫なのかとか、様々なお言葉を頂戴しますし、これも前の臨時国会の大臣所信のときに言ったかもしれませんが、京都という町が、本当に、たくさんの海外の資本、特に中国の方に買われていく。だから、実際は、京都の町が、いにしえの日本の都だと思いきや、本当に多くの、土地の部分では海外資本になっているというようなことを御懸念されている方もとても多くいらっしゃいます。

 この取得というものが厳しいのは重々承知で、何度もやっているんですけれども、やはり何かしらの、確かに分かるんです、日本法人だと思ってもフロント企業であったり、様々複雑で調べにくいこともありますし、そしてそれが分かりづらいということも現状としてあるんだろうというのは重々承知しているので、やはり日本の国土を守るという観点から、引き続きずっと議論は続けていかなければならない問題かなというふうに思っておりますので、それも含めて、また次の経済安全保障について御質問させていただきたいと思っております。

 まず、基本インフラの機能、これは安全性や信頼性の確保のために更なる課題があると私は認識をしているんですが、大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 基幹インフラ制度でございますね。

 これは、昨年十一月までに政省令の整備を終えまして、特定社会基盤事業者として現在二百十一者を指定しました。本年五月十七日から制度の運用を開始する予定でございます。ですから、まずは運用開始に向けて準備をしっかり行って、この制度を通して基幹インフラ役務の安定的な提供を確保したいと思っております。

 その上でなんですけれども、やはりサイバー攻撃を考えますと、その手法というのは絶えず高度化しております。インフラ事業に対する脅威も今後変化していく可能性が高いと思っておりますので、基幹インフラ役務の安定的な提供のために必要な取組は不断にアップデートしていくことが重要だと思っております。

 ですから、例えば、現在、この制度の対象になっていない事業も含めて、重要なインフラについては各省庁で対応していただいておりますが、幅広く脆弱性を点検、把握して、対応などの検討を行っています。

 一番この国会で先生方に御尽力、御協力を賜りたいのは、基幹インフラに一般港湾運送事業を追加するための法律案の提出に向けた準備も進めておりますので、不断にチェックを続けてまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。サイバーセキュリティ基本法の中での重要インフラというところとのリンクがやはり非常に重要で、ここが一番、今後やっていかなければならないものなんだろうなというふうに思っております。

 ちょっとお時間があれなので一つ飛ばさせていただいて、新しい国際秩序の形成というものを経済安全保障の中で大きな課題として認識している、例えば、自律性の確保であったり、優位性ひいては不可欠性の獲得とか維持するとか、そういったものと併せて、国際秩序の維持、若しくは、新しい国際ルールを日本がリーダーシップを取って作っていくんだというような強い思いを持って、この経済安全保障の法律をこの内閣委員会で議論したのかなというふうに記憶をしているんです。

 ここで、新しい国際秩序の形成に向けて、今後どのような動きがあるのかということをお尋ねしたいんですね。特に、情報保全の在り方というものが国際信用の土台になると思っておりますので、その辺りを、大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 では、情報保全の在り方ということに絞ってお答えをさせていただきますと、やはり、同盟国及び同志国、友好国との間で、日本はしっかりと大切な情報を渡しても保全できる国なんだよ、こういった状況をつくり出すことが大事だと思っております。

 これは経済分野においてもそうでございますので、経済安全保障版ということでございますが、セキュリティークリアランス制度を創設したく考えておりまして、新しい法律案の提出に向けて準備を進めております。

堀場委員 ありがとうございます。

 このお話というのは、経済安全保障の議論から始まって、ずっと継続して私もやらせていただいておりますし、経済安全保障というのはすごく新しい考え方と捉えることもできるのかなと思っておりまして、サイバー攻撃であったり、新しい戦争の形、若しくは、新しい国土の、そして国民の皆様の生命と財産をお守りする方法をやはり時代に合わせて模索していかなきゃいけない時期なんだと思っているんですね。なので、こういったものをしっかりと議論をした上で、私たちがどのような形で日本という国を守っていけるのかということを引き続き議論したいなと思っています。

 セキュリティークリアランスについても、もうすぐ法律が出されるんだろうと思っておりますが、これらについても非常に課題が多いと認識をしておりますので、また議論させていただければなというふうに思っております。

 本日はありがとうございました。

星野委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。

 早速質疑に移りたいと思います。

 まず、危機管理に関して、我が国の危機管理の要である林官房長官にお伺いをいたします。

 それでは、早速行きます。官房長官、まずお伺いします。

 官房長官はこの危機管理に関してどのように御見解を持っていらっしゃるのか、その定義といいますか、何が大事か、そういった点を含めて、御見解をまずお聞かせください。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 大変大事な御質問でございますし、急なお問いかけでもございますが、まさに、あらゆる事態にしっかりと対応できるように万全の準備をしておく、こういうことが大事なことではないかと考えております。

太委員 今官房長官がお話しされた、あらゆる事態に備えておく、まさにそこが大事だと思っておりますし、私も、危機管理の一番大事なポイントは、まずは最悪のケースをしっかりと想定して、そしてシミュレーションを繰り返すこと、そして、有事が起こった際にどうその危機をしっかりと最小限に食い止めていくか、その対処の在り方だと思っております。

 といっても、まさに災害に関しては、どれだけ手を尽くしたとしても、なかなかこれは想定をし尽くすことはできないと思っておりますし、専門家に言わせても、まさに災害というのは必ず裏切るということでの備えということも大事だと思っておりますが、それでは、もう一つお伺いさせていただきます。

 官房長官、元日の日の能登半島地震、これは、政府としては、政府の想定の中にあったのかどうか。規模も含めて、被害状況も含めて、その点に関して教えてください。これは通告に関連しておりますので、よろしくお願いいたします。

林国務大臣 この能登半島地震、想定していたか、こういう御趣旨だと思います。

 文部科学省に設置をされました地震調査研究推進本部で、活断層や海溝沿いで起きる地震につきましては、地震活動や地殻変動、地質等の調査データに基づいて、それぞれの調査の進捗等に応じて順次長期評価を行っていると承知しております。

 この日本海側でございますが、海域活断層については、令和四年の九州、中国地方沖の評価の公表に続いて、令和五年から必要なデータを整理、分析した上で、能登地方沖を含む海域の評価を進めているところでございます。

 活断層の評価は、科学的にも十分解明されていない事象、これを扱うことから、専門家でも意見が分かれることが多く、評価を決定し、公表するには一定の検討を要すると聞いております。こうした状況であったということでございます。

太委員 官房長官が御指摘のとおり、まさに専門家の間で意見が分かれていた状況はあったと思いますが、この活断層の調査を含めて、政府の方でしっかりと長期評価、ここを出していない状況の中で今回起こったということだと思っております。

 そして、専門家の中でも、まさにこれは想定の甘さが指摘されておりますし、想定を超える地震が大きな被害をもたらした、初動の遅れにもつながったんじゃないかという指摘があります。実際、石川県知事、あるいは石川県の防災会議の震災対策部会長からも、国の長期評価の公表の遅れが原因で石川県において想定をしっかりと出し切れていなかったというのが実態だったと思っております。

 といいますのも、今回、震災が起きたときに、石川県としては、県が作る防災計画の中の被害想定において、二十七年前、一九九七年に策定された被害想定のままで、ちょうどこの三年ぐらい前から石川県能登半島で群発地震が続いていましたし、そして、昨年五月五日のマグニチュード六・五ですか、能登半島での地震を受けて、この見直しに着手している中での今回の震災だったというのが、そういった時系列になります。

 それで、今回、文科省の方も含めて、これは政府として、やはり地震本部による震源地域の地域リスク評価の遅れというのが私は問題だったんじゃないかと思っておりますので、ここを、官房長官、今後どういうふうに改善していくのか、あるいはどのように対応されるのか、その点、御意見をお願いいたします。

林国務大臣 まさに今委員から御指摘がありましたが、今般、能登地方の地震活動が継続している状況に鑑みまして、能登地方の海域活断層の長期評価、これはできるだけ早急に進めて、その結果を公表することとしていると承知をしております。文部科学省において着実に作業を進めていただきたいと考えております。

 また、自治体においては、地震は国内どこでも発生し得る、これを前提に、その時々の最新の科学的知見を活用して防災対策を行っていただけるように、引き続き、政府の行う地震の調査結果また評価については自治体向けに個別に説明を行うなど、情報発信を丁寧に行ってまいりたいと考えております。

太委員 では、引き続きよろしくお願いいたします。

 次です。

 大規模災害時の被災地との情報通信網の在り方に関してお伺いいたします。

 今回、まさに元日の日にこの震災が発災し、通信網も混乱しました。官邸は、被災自治体と連絡を取ろうとしましたが、結果として、輪島市長との連絡が取れたのは、発災から五時間後、午後十時過ぎだったと。総理が現地の被害状況を直接お伺いしたそうなんですが、それが午後十時過ぎだったと。

 総務省は、地方自治や通信を所管していますが、今回のような緊急時の通信網の整備は管轄ではありません。そういった中で、今後、この大規模災害時の被災地の情報通信網の在り方をどのように考えていらっしゃるのか。そして、今回、この能登半島地震発災直後の段階において、連絡の取り方を含めて何か問題があったのかなかったのか。その点を含めて、官房長官、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 政府におきましては、例えば、内閣府におきまして都道府県等と災害対応の連絡体制を構築しておりますほか、国土交通省が各基礎自治体とのホットラインを構築するなど、自治体、首長さんなどと直接連絡を取ることができる体制を整備しておるところでございます。

 今般の能登半島地震におきましても、通信網が寸断をされた、あるいは被災自治体の市役所等には電話が殺到した、あるいはまた、首長や職員も被災されて、実は役所への出勤ができない場合もあったなどなど、様々な困難があったと承知しております。

 今御指摘いただきましたように、発災当日に総理自ら被災自治体の首長と連絡を取り合うなどして被災地との連絡保持に努めたところでございます。

 災害発生時に速やかに自治体と連絡体制を構築して、連携して災害対応を行うことができるように、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

太委員 今、官房長官からありましたように、まさに総理が御本人で電話をして、この五時間後に、輪島市長との電話で、被害状況を初めて、相当ひどい状況だと分かったということも報道されておりましたが、本当に総理が電話するようなことなのか。あるいは、そういったことも含めてしっかりと、平時において、この通信網、どう連絡体制を取れるか、それを是非とも構築をしていただきたいと思っております。

 次へ移ります。

 大規模災害時における日米の連携に関して。

 今回も、発災直後に米軍から我が国に対しての支援の申出もありました。そして、在日米軍から、結果として、二日間にわたって物資輸送の協力が行われました。

 大規模災害時における日米連携の意義について、日米関係の今後の重要性も踏まえて、官房長官、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 我が国におきます大規模災害に際しましては、まずは我が国自身が主体的に対処する、これが基本であるわけですが、これまでの大規模災害におきましても、政府を挙げて人命救助や生活支援に全力で取り組んできております。

 他方、日米防衛協力のための指針におきましては、大規模災害が発生した場合に米国は日本の活動に対する適切な支援を行う、こういうふうにされております。米軍から状況に応じた支援を受けること、これは緊急かつ人道的見地から大変有意義であると考えております。これまでも、日米両政府は、実際の大規模災害発生時の協力や各種防災訓練への米軍部隊の参加等、緊密に連携してきております。

 今般の能登半島地震への対応についても、被災地の状況等を踏まえつつ、適切に米軍による輸送支援を得ることができました。これも、平素からの日米間の協力体制の構築、また実動訓練などの成果の表れであると考えております。

 今後とも、災害時により効率的かつ迅速な救援活動が実現できますように、米軍との連携、これを更に深めてまいりたいと考えております。

太委員 今回、特に日米の間で協議がうまくいったというふうに私も聞いておりますし、熊本地震も含めて、東日本から含めて、様々、反省点が生かされながらよくなってきていると思っております。

 是非とも、もちろん、自衛隊にしても米軍にしても、この防災というのは本来任務、主たる任務ではないですが、ですけれども、まさにこういった機会を通して日米同盟の意義というものがしっかりと国民の間でも共有されていく、そのことにつながっていくと思っておりますので、引き続き、このことはよろしくお願いいたします。

 続きまして、首都直下型地震などの大規模災害時における米軍基地の周辺地域での日米の協力体制についてお伺いしたいと思います。

 今後、様々大規模震災が発生した場合、救援などで米軍基地の存在は大きな役割があるというふうに考えております。しかし政府は、各自治体の米軍基地との間の災害協力協定を管理していないというのが現状だと聞いております。

 この協定の現状をしっかりと把握していないという中なんですが、今後スムーズな、もちろん、国全体としての米軍との、自衛隊との協力の在り方、あるいは災害時の基地の活用等を含めて、そういったことを考えた場合に、基地を抱える自治体などと、災害対応の、立入りなどの様々な状況を把握していくことが政府として必要なんじゃないかと思うんですが、その点に関して、これはどなたか、官房長官でなくても構いませんので。官房長官、どうぞお願いいたします。

林国務大臣 今、太委員からも御指摘がありましたとおり、大規模災害への対応に当たっては、在日米軍と地方自治体が連携することは極めて重要だと考えております。

 この点、日米両政府は、地方自治体が災害時の救助や医療サービス、また防災訓練等を実施するために、必要な場合に在日米軍施設及び区域、これを使用できるように、日米合同委員会の合意によって必要な手続を定めております。各地方自治体は、このような日米両政府間で合意された手続等に基づいて、それぞれの自治体の災害対応上のニーズを踏まえて、現地の米軍当局との間で、現地実施協定、これを結んでいると承知をしております。

 政府としては、大規模災害時における在日米軍と地方自治体の連携体制、これの更なる強化に向けて、地方自治体のニーズの把握に努めつつ、不断に検討を行ってまいりたいと考えております。

太委員 官房長官、ありがとうございました。

 ごめんなさい、私、ちょっと認識不足だったんですが、これは防衛省が本来把握しているのかなと思っていたんですが、政府というのは、内閣府の方において把握しているということでよろしいでしょうか。ちょっとそちらの方、事実関係を教えてください。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども防衛省の方で把握をさせていただいております。

 都道府県等による災害準備及び災害対応のための在日米軍施設及び区域への立入りに係る日米合同委員会合意に基づく現地実施協定の立入り申請手続におきまして、防衛省が把握をしているという協定がございますので、防衛省の方で把握をさせていただいているというものでございます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

太委員 昨日お伺いしたら、それは管理していない、把握していないということであったんですが。それでは、是非とも、基地のある全自治体の把握状況など、逆に抜けがあったりするんじゃないかというところも含めて、ちょっとそれをまた改めて教えていただきたいと思っております。

 では、次に移りたいと思います。

 今回の震災も受けて、病院船についてお伺いさせていただきます。

 まず、官房長官にお伺いいたします。ちょっと順番が変わってしまって大変申し訳ないんですが。

 まず、今回の能登半島地震において、船舶による医療支援の必要性というのを認識されたのか、実態も含めて、こちらは官房長官にお願いいたします。

林国務大臣 今般の能登半島地震におきましても、自衛隊の艦艇であるとか海上保安庁の船艇であるとか、また、さらに、民間事業者の保有する船舶、これらが災害救援物資の輸送等の支援活動を行っておりまして、災害時における船舶の活用は大変有意義であると考えております。

 その上で、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律、これにおきまして、基本方針として、船舶を活用して提供される医療と陸上の医療施設において提供される医療、この間の適切な役割分担や相互の連携協力を確保すること、これがこの基本方針に掲げられております。

 この基本方針も踏まえて、船舶を活用した医療提供体制の整備に当たっては、自己完結的に海上で活動でき、また広い空間を有してより多くの物資、人員を輸送することができるといった船舶の特性、これを生かしまして、災害時における被災地の陸上医療機関を補完する役割、これを果たすこととしていると承知しております。こうしたことで、一人でも多くの被災者の命と健康を守ることが期待できると考えております。

 この法律、本年六月までに施行するとされておりまして、松村担当大臣の下で必要な検討を進めまして、船舶を活用した医療提供体制の速やかな整備に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 官房長官、ありがとうございます。

 本当に御指摘のとおりで、一人でも多く被災者を救出するという視点からも、是非とも災害時における船舶の活用ということを進めていただきたいというふうに思っておりますし、今回も、防衛省の方でも、含めて、様々、大型フェリーなどを使って被災地での物資の支援と入浴支援なども行ったというふうに聞いております。

 それでは、官房長官にお答えいただきましたけれども、まさに今年の六月までに、議員立法で二〇二一年に成立した病院船の推進法ということで、こちらは今施行される状況だと思いますが、今後、実際、これは六月までにちゃんと間に合いそうでしょうか。そのスケジュールを含めて、ごめんなさい、もう一度御見解を。これは大事なポイントだと思っておりますので、このスケジュール感、お願いいたします。ちゃんと進めていただきたいということで。

内田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この法律、今年の六月までに施行するということになっております。

 施行後につきましては、内閣に船舶医療活用推進本部という本部が立ち上がりまして、その場で議論いただき、整備推進計画という計画を策定する、その計画に従いまして各種取組を進めていくということで、スケジュール的には、法律上、そのように定まっているところでございます。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

太委員 是非ともその点、もちろん、コストの問題、また人員確保や、あるいは運用に関してもしっかりと御検討いただいて、これは無駄のないように御留意して進めていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次に移りたいと思います。

 官房長官、こちらまでになりますので、どうもありがとうございました。

 次、同じ危機管理の視点からになりますが、新藤大臣にお伺いいたします。

 感染症危機管理に関してお伺いさせていただきます。

 昨年十二月の新型インフルエンザ等対策推進会議の意見で、感染症危機管理におけるEBPM、合理的な根拠に基づく政策立案ということの重要性に言及されておりますが、大臣、感染症における重要性に関しての大臣の御見解、ここを共有されているかどうか、その点、お聞かせください。

新藤国務大臣 この新型インフルエンザ等対策推進会議、私が所管しているわけでありますけれども、その中で、これから政府の行動計画を新たに策定する、リニューアルするということなのでございますけれども、そこの中核の中にこのEBPMというのは位置づけております。

 このEBPMを実現させるためには、DX、それから様々なデータの標準化ですとか、そして情報収集、共有、分析、この基盤となる、そういったものをつくっておく。前回のコロナのときにそこが本当に苦労しましたので、できる限り速やかに全国で情報共有ができるように、しかも合理的に対処方針が共有できるような、そういう形をつくりたい、その大本になるのがEBPMとDX、このように考えています。

太委員 それでは、お伺いいたします。

 二〇二二年六月のコロナ対応の有識者会議の報告書においては、「今後とも社会経済財政への影響、財源のあり方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めたい。」というふうに更なる検証の必要性が示されておりますが、今回のコロナ対策の予算使途の精査や効果について、大臣が主導して、EBPMの考えに基づいて、大臣が先ほどおっしゃったように検証を行うべきだと考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まさに、検証、それから実際に起きたこと、これを分析をして、更に合理化をするためにはどうしたらいいか。こういったものを含め、そして、次に備えるためには何が要素として必要か。これは、保健や医療、それから経済への影響、さらには情報の提供と共有、サーベイランス、またリスクコミュニケーション、様々なものを対策を打たなきゃならない。もう一つ重要なことは、訓練を徹底する、訓練の精度を上げていく。

 こういったことを総合的に準備していきたい、このように考えております。

太委員 大臣、是非ともしっかりと検証していただいて、EBPMに基づいて進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、今御指摘がありました訓練の大切さに関してなんですが、昨年十月から十一月に、内閣感染症危機管理統括庁は、令和五年度の感染症危機管理対応訓練を実施しました。

 成田空港の検疫所や航空会社、国立感染症研究所、東京都などと連携して、政府、自治体が一丸となった感染症危機管理の初動対応を確認することを目的として実施されましたが、今回の一連の訓練から得られた実践的な知見、教訓は何だったのか、そして、大臣が先ほども触れられた政府行動計画、この見直しにどうこれを反映していくのか、その点をお聞かせください。

新藤国務大臣 まず、感染症危機統括庁が九月一日にできて、そして、我々は、まず訓練をやろうと。私はそのときに、これは危機管理の要諦だと思っているんですけれども、訓練でできないことは本番でできない、ですから訓練をないがしろにしては駄目だということを徹底しようと。

 そして、今ちょっと御紹介いただきました各県との訓練も、これは当初は、政府と、東京都と、まずは地方自治体と、そこで訓練をしてみようだったんです。私は、これでは意味がないと。ですから、オンラインを活用して、そして、全国知事会に相談をして、初回から全国都道府県と、全都道府県の知事若しくはその責任者という方々が参加をする訓練、これをやりました。

 それから、羽田空港においては、羽田と成田の空港においては、検疫所や航空会社が参加する水際対策訓練。それから、今度は実際の、実務的な対処をするためのを、これは東京都と一緒にやりました。

 さらには、前回のときも、国立感染研究所と地方の衛生研究所との連携がなかなかうまくいかなかった。ですから、自治体だけではなくて、感染研や医療機関、こういったものを巻き込んだ連絡体制、訓練体制、これを組んでいるわけであります。

 そして、まず一回やれば、そこでいろいろなことが出てきますから、この訓練の精度をしっかりと上げて、常に備えたい、このように考えているわけであります。

太委員 はい、分かりました。今大臣の方から今後の方向性についても御見解をお聞かせいただきましたので、是非とも、訓練をしっかりと重ねながら、機能する、そういった危機管理体制を構築していただきたいと思っております。

 次に移ります。

 これは本当にコロナ禍で何度も指摘されたことだと思っておりますし、危機管理においてリスクコミュニケーションは大事だと思っております。

 新型コロナ対応では、総理がいて、官房長官、厚生労働大臣、またコロナ対策担当大臣と、感染症対策に当たる閣僚の役割分担が不明瞭であったと思っております。だからこそ、国民から見れば、結局誰が政策責任者なのか、そこが分かりづらいということがあったと思っておりますが、やはり危機管理の大事なところというのは、トップの顔がしっかりと見えて、常に指示系統が明確であることだと思っておりますが、それでは、お伺いします。

 先ほど指摘しましたコロナ対応の有識者会議の報告書でも、リスクコミュニケーションの在り方に問題があったことが指摘されています。今のことですね。

 それでは、コロナ対応の政府全体としての情報発信、またリスクコミュニケーションの課題認識、どういうふうにこれは認識されているのか、その点、大臣、お聞かせください。

新藤国務大臣 これはまさに、これまでの、実際に起きたこと、経験を踏まえて、今、分析そして検証を行っているところでございますから、しかるべきときに専門家会議の取りまとめの中で報告をさせていただきたいと思います。

 そして、ちょっと一つ、重要なことなんですけれども、リスクコミュニケーション、コミュニケーションの中にあえてリスクとつけているのは、これは通常の情報連絡体制が、まず整備しなきゃなりません。それから、今委員が御指摘いただいたような、政府としての総合司令塔機能、これを強化させておくこと。役割分担とともに、そうした統合した指示系統をつくらなきゃいけないということ。それともう一つ、今回非常に、私も思いましたし、専門家の中でもこういった意見が出まして、リスクコミュニケーションというのは、本来、有事において様々な情報が錯綜します、そして、不安とともに、あってはならない差別とか、それから、あってはならない、誤った情報が流布されたり、こういった部分の、このリスクをどうやってコミュニケーションとして維持させるかという観点も入れようという意味で、リスクコミュニケーションとあえて使っております。

 これは、専門の方に委員に入っていただいて、そういった観点からも、どのように今後の政府行動計画にそれをきちっと位置づけるか、こういった検討をしているところでございます。

太委員 是非とも、問題点をしっかりと認識された上で改善していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 高市大臣にここでお伺いしたいんですが、我が国における国産のワクチン開発に関して。

 今回、ワクチンを輸入に依存したことで、供給が不安定で、多くの国民や自治体、また接種現場での混乱を来しました。

 コロナ禍を通じて、世界のワクチン開発競争から取り残され、国内の医薬開発の課題とサプライチェーンの脆弱性が露呈されることとなりましたが、国産ワクチン開発で日本が後れを取った理由、まさに三十年前は日本はトップでしたよね、ワクチン開発に関しても。そういった中で後れを取った理由と、また政府の課題認識、そして現在の国産ワクチンの開発状況について、高市大臣、教えてください。

高市国務大臣 まず、後れを取った理由ということでございますが、これは、令和三年六月のワクチン開発・生産体制強化戦略でも指摘をされましたけれども、やはり、最新のワクチン開発が可能な研究機関の機能、人材、産学連携の不足でしたり、また、ワクチン開発への戦略的な研究費の配分が不足していた、また、薬事承認の在り方などの課題が指摘されております。それが全てではございませんが、主なものでございます。

 それから、やはり、ワクチンを国内で開発できる体制を整えておくということはもう極めて重要で、医療安全保障と呼んでもいいだろうと考えております。

 まず、新型コロナウイルス感染症に関する国産ワクチンにつきましては、政府が支援をしました第一三共株式会社、MeijiSeikaファルマ株式会社のメッセンジャーRNAワクチンが、それぞれ昨年の八月と十一月に国内製造販売承認されました。

 国産ワクチンの開発については、他の感染症も含めて必要でございます。今後の感染症有事に備えて、先ほど申し上げましたワクチン開発・生産体制強化戦略に基づいて、AMEDに設置したSCARDAにおきまして、世界トップレベルの研究開発拠点の形成ですとか、また国内企業やアカデミアへの戦略的な研究費の配分によって、現在、ワクチン開発能力の向上に取り組んでいる最中でございます。

太委員 大臣、是非ともこれは、改めて、国産ワクチン、しっかりこだわってこれから進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上になります。高市大臣、一問だけで申し訳ないですが、ありがとうございました。

 それでは、ちょっと時間になってきました。次に、新藤大臣にまたお伺いさせていただきたいのが、TPPに関して教えてください。

 大臣は、所信のスピーチの中でもありました、海外の経済活力の取り込みということで、高い水準のルールを有し、世界の平和と繁栄にも貢献するTPP、今はCPTPPですね、CPTPPについては、これをゴールドスタンダードとして維持発展させるよう、イニシアティブを発揮してまいりますというふうにお話しされています。

 それでは、二〇二一年の九月に台湾が加盟申請を行っております。台湾に関して、我が国としてどういった形で、このCPTPPをまさに拡大していく、発展させるためにどういったイニシアティブを発揮しているのか、その点を教えてください。

新藤国務大臣 いろいろ担当大臣をやらせていただいております。このCPTPPも担当ということで御答弁しますが、その前に、さっき訓練の話で成田と羽田と勢いで言っちゃったんですけれども、成田空港だけでございますので、水際訓練は成田空港だけですから、これは訂正させていただきたいと思います。

 それから、CPTPPは、ハイスタンダード、そしてバランスの取れた二十一世紀型、さらに、我々がゴールドスタンダードと言っておりますのは、まずはハイスタンダードの貿易のルールを維持する、それから、トラックレコードを考慮して、加入要請のエコノミーの貿易等に関するコミットメントの遵守状況、これをしっかりと見ていくということ、さらには、参加国のコンセンサスによって運営していくという、この三つの原則の下に運営していこうと。

 特に、EUを離脱直後のイギリスとの交渉によって、元々環太平洋で始まったものが、イギリスが入ったという、今、我々は、加入の承認の手続をしていただきました、こうした中で、また大きな要素があるというふうに思っております。

 そして、今申し上げましたように、今後新たな加入、これは、御希望に応じて、我々はこの三つのゴールデンスタンダードを遵守しながら検討していくわけでありますけれども、そういった中で、やはり、台湾も含む加入申請をされているエコノミーについて、この高いレベルを完全に満たすことができるか、そうしたトラックレコードも考慮しながら考えていこうと思っています。

 そしてその上で、台湾は、我が国にとって基本的価値を共有して緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーだと思っておりますし、かねてからこの加入要請に関し様々な取組を公にしてきていると承知をしております。我が国としても、そのような台湾による加入要請は歓迎しているところでございます。

太委員 大臣、御見解、分かりました。

 ですけれども、私がお伺いしたいのは、まさにどう我が国として働きかけをしているのか。これは、台湾はまさに、国内の経済の様々なルールにしても状況にしても、真っ先に入っていただかなきゃいけない、加盟していただかなきゃいけないというふうに思っております。

 もちろん御党、与党として様々動かれているというのも承知しておりますが、それでは、政府としてどうされるか。私はまさに、大臣もこれはおっしゃいましたよね、世界の平和と繁栄にとって大事だと。これは、アジア全体にとってもそうですし、この地域の平和にとっても、このTPPを広げていくことは物すごく大事だと私は思っていまして、その大前提はやはり、台湾にもしっかりと入ってもらうこと、それをまず進めなきゃいけないということなので、大臣、何か働きかけをなさっていますか。

 たしかイギリスのとき、昨年加盟したイギリスに関しては、我が国が加入に対する担当か何かだったと思っているんですが、台湾に対して、何か動きというのがなかなか見えてこないんですよ。そこに関して、大臣、後押しをしていただきたいという趣旨から、お願いします。

新藤国務大臣 経済のハイスタンダードの共通ルールを持つとともに、そのルールを守っていく、その中で信頼ができ上がる、それは、単なる経済利益を超えた、世界の平和と繁栄に資するものではないかと思っています。

 しかし一方で、このルールを三原則の中で遵守しながら進めていくと申しました。ですから、台湾についての我が国のスタンスは、先ほど申し上げましたけれども、今後、台湾を含む加入要請エコノミーについてどのように対処していくか、これは、このCPTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかどうか、またトラックレコードも考慮しつつ、しっかりと見極めていく、この中で我々は行動していきたい、このように考えているわけであります。

太委員 もう台湾は、加盟申請して三年になります。是非とも、まず台湾に入っていただく、その後、もちろんアメリカにも再加盟してもらわなきゃいけないし、あと中国もあります。そこも含めて、私は、中長期的な視点の中からどう加盟国を増やしていくかだと思っていますので、やはり一番は台湾だと思っていますので、その後押しをどうかお願いいたします。

 アメリカに関してもお伝えしましたが、アメリカもまた、大統領選挙、トランプ政権になったときを見据えながら、大変難しいです、ですけれども、我が国が、まさに大臣が書いているように、イニシアティブを取るということは、様々な働きかけをすることだと私は思っていますので、どうかその点も含めて御対応をお願いいたします。

 新藤大臣、以上になります。ありがとうございました。

 済みません、時間になりましたが、最後に、孤独・孤立対策についてお伺いしたいと思います。

 コロナを通して国民の孤独あるいは孤立の状況というのはより深刻になったと思っておりますし、今、本当に社会が大きく変わってしまっていると私は思っております。どんどん孤立しやすくなっていく。

 そういった社会の中、一方、確かに昨年、この孤独・孤立対策の法律も成立しました。ですけれども、国の支援や施策というのがまだまだ具体的に見えてこない、そこが問題だと思っております。

 加藤大臣にお伺いしたいのが、孤独・孤立対策の目標設定と施策の評価についてですね。これはなかなか簡単ではないかもしれないんですが、やはり、この点に関して、私、以前小倉前大臣にもお伺いして、引き続き検討していくというふうに御答弁いただいているんですが、具体的にどういうふうに考えているか、目標設定、また、どう評価していくのか。大事なポイントなので、お願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本年四月に施行される孤独・孤立対策推進法に基づき、新たに作成する孤独・孤立対策重点計画に定める施策については、原則として当該施策の具体的な目標及びその達成期間を定めるとともに、適時に目標の達成状況の調査を行うこととしております。

 昨年秋以降、孤独・孤立対策に関する有識者会議において、法に基づく新たな重点計画に盛り込む施策の評価、検証の在り方や方法について御議論をいただいてきたところであり、有識者から、「目標の設定に当たっては、各種施策の実施によりどのように孤独・孤立の解消に資することを目指すかをナラティブとして示すことや、アウトプットとしてわかりやすい取組の達成目標を設定すること、施策間連携を評価する視点を持つこと等が重要である。」との御意見をいただいたところでございます。

 こうした有識者の御意見を踏まえつつ、今後、政府において新たな重点計画の策定に向けた検討を進めていく中で、重点計画に定める各種施策についても、関係府省庁と連携しながら、孤独・孤立対策の観点からの具体的な目標とその達成期間を可能な限り定めていくとともに、適時、目標の達成状況の調査を行ってまいります。

星野委員長 時間が経過しております。おまとめください。

太委員 大臣、ありがとうございました。是非とも、やっている感だけじゃなくて、具体的に進めていただきたい。大事な案件ですので、よろしくお願いいたします。

 以上になります。

星野委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、私からは、政治と金の問題、そしてその改革案について林官房長官に伺ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私の妻のお父さん、義理の父、深田愼治が林芳正官房長官の地域の後援会長を初当選の頃から長く実は務めておりまして、その関係で、うちの父からは、林は将来、総理になって、総裁になって国をよくするために働く男だと思っていると、私、実は耳にたこができるぐらい聞かせていただいておりまして、その中で私自身も林長官が将来の総裁候補のお一人であるということは思っておりますので、本日はそういった前提で質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 その中でなんですが、ここからはちょっと厳しく入らせていただきたいと思うんですけれども、政治と金の問題に関して与野党の政治改革案が出てきておりますが、自民党の案がとにかく甘い、甘過ぎるということを思っております。

 こちら、資料を配付をさせていただいておりますが、罰則強化に関して、自民党は具体策なし、多くの野党は連座制導入で政治家が責任を取る体制整備。政治資金パーティーに関しては、自民党は個人のパーティーへの規制はなし、多くの野党は企業、団体による券の購入禁止や全面禁止などの規制強化。企業・団体献金に関して、自民党は禁止に否定的、多くの野党は禁止、廃止。政策活動費に関して、自民党は使途公開に否定的、多くの野党は禁止、廃止という状況になっていますけれども、こうした政治と金の問題に対する各党の改革案に対して、長官、御覧になられてどのように受け止めていらっしゃいますか。

林国務大臣 まずは、お父様には、九五年の最初から大変お世話になりましたことを改めて御礼を申し上げるとともに、その御縁で中谷先生の結婚式、披露宴にもお招きをいただきまして、本当にありがとうございました。

 ここからは答弁をさせていただきます。

 政治資金の透明性向上などの観点から、御党を始めとして、連座制の導入や企業・団体献金の禁止など、様々な政治改革の案が示されているものと承知しております。

 政治資金に関するルールにつきましては、各党各会派において御議論いただくべきものと認識しておりまして、個々の御提案について政府の立場からコメントすることは控えますが、国民の政治に対する不信の声は真摯に受け止めなければならないもの、そういうふうに認識をしております。

 私が所属しております自民党におきましても、岸田総理が、これは総裁として述べられておるとおり、運用面での改革を先行させつつ、政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立、厳格化等について、党としての考え方、これを可能な限り早急に取りまとめて各党と協議を行っていく、こういう方針であるというふうに承知をしております。

中谷(一)委員 林長官、これを見ていただければ分かると思うんですけれども、自民党が、企業・団体献金、例えばこれを禁止にします、廃止にしますと言っていただければ、他の野党はほとんど乗れるんですよ。罰則の強化も、連座制の導入、これに関しても、自民党がやると言っていただければ、進んでまいります。政治資金パーティーも、やはり全面禁止であったりとか、企業、団体による券の購入の禁止、こうしたものをやると言っていただければ、すぐに進んでいくと思いますので、どうか官房長官から総理に対して、もっとしっかりとリーダーシップを発揮して具体案を示していただくように促していただけませんか。

林国務大臣 まさに総裁として総理が述べられているように、今ございましたこと、政治資金の透明化、公開性の向上、より厳格な責任体制の確立、厳格化、こうしたことについて党としての考え方を可能な限り早急に取りまとめて各党と協議を行っていく、こういうふうに申されております。

 私は、党の方で総理をお支えする党の役員としての立場はございませんで、官房長官ということで政府としてお支えする立場でありますが、今日委員からそういう御指摘があったということはしっかりと共有させていただきたいと思っております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 その中でなんですけれども、岸田総理が、二月の十四日に、説明責任という言葉、この言葉を百二回使われたそうでありまして、非常に、一日で百二回というのは相当な数字だと思うんですね。よほど説明責任を果たしているのかなということを見ておりましたら、議事録を読むと、ほとんどが抽象的な言葉で、具体的な議論はほぼありません。逃げに逃げに逃げ回ってゼロ回答を繰り返しているという状況があります。

 結果として何が起こっているかというと、ほかの委員会の質疑でもそうなんですけれども、説明責任を果たしているとは到底言えない状況でありまして、政治と金の問題に対して、NHKの世論調査で、説明責任を果たしていると答えた方がたったの二%しかおりません。その中で、総理を筆頭とした政府・与党は、現在、この説明責任をそもそも果たせていると考えているのか。長官、お答えください。

林国務大臣 個々の世論調査の結果の要因等について政府としてコメントすることは控えますけれども、国民の政治に対する不信の声、これは真摯に受け止めなければならないものと認識しております。

 政府の立場ということで、一般論として申し上げますれば、それぞれの関係者において引き続き適切に説明責任を果たすということが重要であると考えております。

 岸田総理も、自民党総裁として、関係者に説明責任を尽くすことを党として促していく旨述べられておりまして、この方針に沿って対応されるものと考えております。

中谷(一)委員 説明責任という言葉だけではなくて、是非、具体論も含めて示していただきますように総理に促していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 その中でなんですけれども、ちょっと具体的な話に入らせていただきたいと思います。

 次は政府参考人に聞いてまいりたいと思うんですけれども、こちら、自民党の東京都第二十四選挙区支部、代表、萩生田光一議員の収支報告書です。このような形で、収支報告書に不明と記載されていますが、本来的には、収支報告書、添付文書の不記載、虚偽記載に関する違反は、重過失の場合も含めて五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金、そして公民権の停止となる大問題でありますが、本件については立件や課税をされる状況には至っておりません。

 そこで、まず確認させていただきますが、政治資金収支報告書で、収入総額、支出総額などの記載欄に不明と書かれて提出をされると、これはどのような問題が発生するのか、端的に御答弁をいただければと思います。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、個別の事案につきまして実質的調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきまして、政治団体の会計責任者は、毎年十二月三十一日現在で、政治団体に係るその年の全ての収入、支出等を記載した収支報告書を作成し、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならないと規定されております。

 何らかの事情によりまして政治団体側で収支報告書を正確に記載することができない場合に、記載できない項目について不明と記載された収支報告書の提出や訂正があったとしても、そのような場合に実務上受け付けない取扱いとはしておりません。

 政治資金規正法上、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に与えられている権限は、いわゆる形式的審査権のみとなっております。これは、政治活動の自由を尊重し、本来自由であるべき政治活動に対する行政庁の関与を必要最小限にとどめるべきであるという考え方に基づくものであると承知をしております。

 また、不明と記載された収支報告書の提出や訂正があった場合には、不明の部分につきましては判明した時点で訂正する旨を、宣誓書に記載をいただいております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 要するに、政治家は、一般国民と比べて優遇をされている状態があるということなんですね。

 その上でなんですけれども、SNSのXにて、確定申告書の収入金額や所得金額等の記載欄に不明と記載して、これで確定申告を終わったとするポストが大変反響を呼んでおりまして、二月十六日、本日時点で約四百五十万回表示されております。

 内閣委員会ではSNSの画像を添付資料として配ってはいけないということでございましたので、私の方で類似のサンプルを作成をさせていただきました。こういった資料でございます。

 そこで、本件について政府参考人にまず伺いますけれども、本資料のように、確定申告で収入金額等や所得金額等の記載欄に不明と書いて提出すると実際にはどのような問題が発生するのか、端的に御答弁をください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 申告納税制度の下では、まずは納税者の方々におきまして、御自身の収入や必要経費を計算し、申告していただくことになります。

 一般論として申し上げますと、収入金額や所得金額の記載欄に不明と記載された申告書が提出された場合、税務署におきまして、納税者に対して、電話や文書により申告内容の確認及び自主的な見直し依頼をさせていただくことがございます。その上で、課税上問題があると認められるにもかかわらず申告内容の見直しをしていただけない場合には、税務調査を行うなど、適正、公平な課税の実現に努めることとしております。

 今後とも、適正、公平な課税の実現の観点から、適切に対応してまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 要するに、国民に対してはしっかりと厳しく対応するということなんですね。

 ここから長官に伺わせていただきますけれども、本件について、大変反響を呼んでいるXのポストに付随するコメント、これを読み上げさせていただきます。

 政治家を見習う感じですね、国民もこれでよいやろ、今年は不明でオーケーの年にしてほしい、何か言われても記憶にないって言えば大丈夫、使途不明でも経費で落ちるって本当ですか(三千万円以下の条件があるようですけど)、国税からも検察からもオーケー出ていますから安心ですね、など、本来模範となるべき政治家が行った行動に対して、不公平感、不平等感、これが広がっている現状があります。

 こうした国民からの厳しい指摘に対して、こういった画像が出回ってしまうぐらい非常に厳しい状況になっている、このことについて長官はどのように受け止められますか。

林国務大臣 先ほど世論調査についても申し上げたとおり、一つ一つについて政府の立場でコメントをすることは差し控えなければならない、こういうふうに思っておりますが、こういう一連の事態が起こっていることについて真摯に受け止めて、政府としても、政治不信を払拭するために日々の政策をしっかりと実現、実行していく、このことが大事であるというふうに思っております。

中谷(一)委員 その政治不信を払拭をしていただくためには、しっかりと行動をしていただくことというのが重要だと思います。

 それで、これは多分、自民党の議員さんからの質疑だったと思うんですけれども、やはり、使途不明の裏金をつくった人に関しては、納税をした方がいいんじゃないかという趣旨の御質問をされて、党内でも検討されているという報道が出てまいりました。

 その中で、使途不明などの場合には課税対象として税を納付させる案の検討に入ったとの報道ですけれども、そもそも、これは派閥から個人への支出が行われていたということを認めたという認識でよいのか、また、いつ頃、何名程度の議員に納税させる想定であるのか、教えてください。

林国務大臣 御指摘の報道については承知をしておりますが、党の方の対応に関わる事柄でありますので、官房長官の立場でお答えすることは控えたいと思います。

 その上ででございますが、岸田総理は、総裁として、報道にあるような検討が行われているということは全く承知していないというふうに、総裁の立場で述べられていると承知しております。

中谷(一)委員 長官、私たちも、平時なら、党に関するような話を官房長官に聞くなんという、やぼなことはしませんよ。でも、何で聞かなきゃいけなくなっているのかというと、多くの国民、そして私たちも含めてなんですけれども、政治と金の問題をしっかり正していかなきゃいけない。国の一大事だと思っています。

 質問通告でも、私、初めてこうした文言を入れさせていただきました。官房長官への質問は、総理大臣の代理としても伺いますので、質問事項につきまして政府・与党とお話をしていただいた上で御答弁を願います。本当に、これを初めて私は入れさせていただきました。

 官房長官は、内閣の要であり、首相の右腕と言われる存在です。内閣の事務を総括し、首相と毎日顔を合わせて、国会や与党との調整役を担いつつ、二人三脚で政権運営を挑む。第二次岸田内閣の内閣総理大臣の臨時代理第一順位の林芳正官房長官に伺わせていただいています。

 どうか、真摯に国民に向き合って、様々、御答弁をいただけませんか。

林国務大臣 ほかならぬ委員からの御質問ではございますが、このお尋ねが党務に関する事柄でございます。

 先ほど少し申し上げましたように、党において総裁を補佐する党の役員、そうした党における立場というのを有しておらないということで、お答えする立場にはないと申し上げたとおりでございます。

 一人の政治家として申し上げますれば、やはり、政治資金収支報告書の内容等々については、関係者において説明がなされる、このことが大変重要であるというふうに認識をしております。

中谷(一)委員 一人一人の政治家がしっかりと説明責任を果たしていただく、このことも重要だと思いますが、やはり、総理が総裁としてリーダーシップを発揮していただくことも極めて重要なことだと思っています。

 党のことだからお答えできないという話だったんですけれども、国民の皆さんは今日から確定申告が始まっているんですね。その中で、やはり、裏金をつくった国会議員が、使途不明なまま、納税をしないまま、国民が納得感を持って納税できるかといえば、そういった環境にないわけです。

 今、やはり、私たちが範を示して、脱税していた議員がいたということを率直に認めていただいて、しっかりと納税を促していただくということ、このことが極めて重要なんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほどもお答えしたとおりでございますが、冒頭申し上げましたように、こうしたことが起こって政治不信を招いているということは大変遺憾なことである、こういうふうに申し上げたとおりでございます。

 この御質疑があったということは、政府において総理を支え、総理は総裁でもあられますので、総理に対してしっかりと共有をしたいと思っております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 総理に対して、できればこちらも伝えていただければと思うんですけれども。SNSやメディアで、総理はもう御覧になられているかもしれません、先日おっしゃった、法令にのっとり適切に申告、納税を行うようにお願いしたいということに対して、多くのメディアで、おまえがな、自身のことをしっかりとやってと厳しいコメントが寄せられています。裏金さておき納税呼びかけという言葉は、Xのトレンドワード入りまでしている現状であります。

 信頼回復のために火の玉になるどころか、国民の怒りに火をつけて、火だるまになっている状態かと思いますので、やはり総理自身が襟を正して、自浄作用を促していただく必要があるということを思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 その中でなんですが、やはり、長官、納税をつかさどる政府の代表としても伺いたいんですけれども、使途不明のお金を持っている、まさに裏金として現在持ってしまっている状況がある議員に対して、今、納税することを呼びかけずに、国民が納得して納税ができるかといえば、そういった状況にないと思います。

 その中で、今年の納税率、これが下がってしまう懸念というのを私は少なくとも持っているんですけれども、長官はそうした御懸念はお持ちではありませんか。

林国務大臣 一般論になってしまいますが、国税庁においては、様々な機会を捉えて、課税上有効な各種資料情報の収集、これに努めております。課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして、適正、公平な課税の実現に努めておりまして、この点は、対象が政治家であろうがなかろうが取扱いを変えることはないというふうに承知しております。

中谷(一)委員 政府参考人で、今日、田原課税部長、出席していただいていますかね。ありがとうございます。

 最近、記事を拝読をさせていただきました。その中で、国税庁の使命である納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現することは大事だ、こういった趣旨を述べられていたんですけれども、今そういったことができそうな状況ですか。現場でお困り事やトラブルは発生していませんか。お答えください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 本日二月十六日、確定申告開始ということでございまして、今現在で、議員御指摘のようなトラブルが発生しているという報告は聞いてございません。

中谷(一)委員 それでは、問題なく納税が行われていくという認識を持たれているということでよろしいですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、本日、確定申告、開始したばかりでございます。今現在において、御指摘のようなトラブルが発生しているという報告は聞いてございません。

中谷(一)委員 また何かありましたら是非教えてください。

 次に、昨日、自民党が行った聞き取り調査の結果が出てまいりましたので、これに関連して長官に伺わせていただきたいと思うんですけれども、長官、こちら、そもそも御覧になられましたか。

林国務大臣 まだ出たばかりでございますので、つぶさに読んだということではございませんが、さっと目を通させていただきました。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 ということであれば、私の方からちょっと、どんなことが書かれていたかということを少し読み上げさせていただきたいと思うんですけれども。これは匿名だったので、誰が言ったかということは分からないんですけれども、「派閥の幹部の先生方は、細田会長や安倍会長に不記載を止めて記載すべきという上申をすることができたはずであり、幹部が不記載を止めようと動くべきだったと思う。幹部の責任は重いと思う。このような慣習が続いていたことについて、幹部の先生方に憤りを感じている。」「派閥から記載しなくていいと言われたので「裏金」みたいなものではないかと思い、全額残した。疑義がないように「清和研」の文字が入った口座で保管していた。細田氏に返すと言ったし、安倍氏にもおかしいと言った。他の議員も言っていた。」などというコメントがありました。

 当然、幹部には責任はあると思うんですけれども、私、このコメントを見て、多数の議員が違法性を認識しながら、この人たちは自分がまるで被害者のように説明をしていることに対して極めて違和感を感じました。余りにも他人事、他責的な発言に対して、長官はこれをどのように思われますか。私は、ちょっと遵法精神が乏しいんじゃないかなということを思ったんですが。

林国務大臣 この報告書でございますが、自民党において外部の弁護士を交えた関係者への聞き取りをされて、その結果が弁護士のチームによって報告書として取りまとめられたものと承知をしております。

 党の調査については、官房長官の立場でコメントすることは差し控えますが、総理が自民党総裁として、説明責任が今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないこと、今後とも、あらゆる機会を捉えて、国民の信頼回復に向けて、関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないし、党としても求めていくこと、こう述べられておられます。

 こうした方針に沿って、引き続き対応していくものと考えております。

中谷(一)委員 外部の第三者に任せるといいながら、弁護士の選任プロセスも分からず、匿名で、肝腎なことは何も書いていない、お手盛り感満載の報告書でありました。その中で、使途は政治活動以外ゼロ、違法性のある支出はゼロ、これは本当ですかと疑問を抱かざるを得ないような、非常にもやもやする内容です。

 これ以上、自前の調査をされることに限界があるんじゃないかなということを思いますので、客観的な第三者機関を与野党協議した上で設立をしていただいて、真相解明をしっかりと果たしていただいた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、総理が自民党総裁として、今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって説明責任が果たされるというものではないこと、こういうふうに申されておられるところでございます。あらゆる機会を捉えて、信頼回復に向けて、関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないし、党として求めていく、こうした方針でございますので、党としてこうした方針に沿って対応をしていくものと考えております。

中谷(一)委員 しっかりと対応をしていただくように、総理に促していただければと思います。

 続けて、大規模パーティーの件について伺ってまいりたいということを思っております。

 岸田首相が代表を務める新政治経済研究会は、二〇二二年に七回パーティーを行って、収入一千万円以上の特定パーティーはそのうち六回、利益率は八七・七%で、総額一億三千六百九万円程度の利益が計上されています。

 また、林芳正官房長官が代表を務める林芳正を支える会は、二〇二二年に七回パーティーを行い、収入一千万円以上の特定パーティーはそのうち四回、利益率は八一・五%で、総額六千九百九十五万円程度の利益が計上されています。

 しかしながら、閣議決定されている国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範では、「パーティーの開催自粛 政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と記載をされていますが、岸田文雄総理大臣、林芳正官房長官が率先して大規模パーティーを開催して多額の資金を得ていることに関して、これは国民の理解を得られると思っていますか。

林国務大臣 この大臣等規範でございますが、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められたものでございます。

 この大臣等規範に言う、政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものに当たるか否かの具体的な基準が特に定められているものではなく、同規範の趣旨を踏まえて各国務大臣等が適切に判断すべきものということでございます。

 その上で、岸田総理ですが、総理大臣就任前から続けてきた勉強会であり、国民の疑念を招くようなものではなく、大臣等規範に反するようなものではないと考えている旨答弁されていると承知をしております。

 また、私の政治資金パーティーについても、恐らく外務大臣時代ということだと思いますが、大臣就任前からずっと続けてきた勉強会等でございまして、国民の疑念を招くようなものではなく、大臣等規範に反するようなものではないというふうに考えております。

中谷(一)委員 これのまさに大規模の部分の決まりがなくて、各大臣で適切に判断をされるということなんですけれども、じゃ、長官の考える大規模というのはどのくらいの規模になるんですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、この具体的な基準は特に定められているものではなくて、同規範の趣旨を踏まえて各国務大臣等が適切に判断すべきもの、こういうことでございます。

 この規範の趣旨というのは、大臣であるというようなことの地位を利用して、何かパーティーを大きくする、そういうことを律すべき、こういうことである、こういうふうに思っておりまして、そういった意味でも、先ほど申し上げました私のパーティーについては、就任前から続けてきた勉強会等であるということを申し上げたところでございます。

中谷(一)委員 私は、定義がないのなら、これを機会に大規模の定義を定めていただいて、閣議決定で決めていただいた方が非常に明瞭になるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか、長官。

林国務大臣 いろいろな経緯がありまして、こうした規範が定められております。そうした経緯等も踏まえながら、委員から今御指摘がございましたので、それを受け止めて、どうするかは不断に考えていかなければならないと思っております。

中谷(一)委員 是非、御検討いただければと思います。

 その上で、大臣自身はこれからも、私は、この大規模は、やはり一千万円の特定パーティーというのはそれに該当するんじゃないかなと思うんですけれども、一千万円以上の規模のパーティーを林長官自体はこれからも続けるおつもりですか。

林国務大臣 いわゆる政治と金をめぐって、国民の皆様から厳しい目が注がれていると受け止めております。

 私の政治資金パーティーについては、官房長官就任以来開催しておらないところでございますが、私の政治資金パーティーについては、そうしたことも踏まえながら、引き続き検討していきたいと考えております。

中谷(一)委員 おっしゃるとおり、政治と金の問題で、非常に政治資金パーティーに対する疑義の目が向いております。本来、健全に行っていたパーティーが問題であったかといえばそうではなかったと思いますけれども、薗浦健太郎さんが個人のパーティーでも裏金をため込んでいて起訴をされたという事案もありますので、これからは政治家全体が襟を正していかなければならないと思います。

 それを率先して、大臣の皆さん、長官を含めてですが、皆さんに正していただきたいと思いますので、どうか政治全体で襟を正すような率先垂範をお願いしたいと思います。

 それでは、済みません、自見大臣、お待たせしました。万博の話に少し入らせていただきたいと思います。

 私、これは昨日の報道で見たんですけれども、大阪・関西万博の建設において、トイレ一か所に対して約二億円の工事費用をかける契約事例があると報じられていますが、これは事実でしょうか。

自見国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。

 まず、御案内のように、万博の博覧会会場でございますが、東京ドーム三十四個分の百五十五ヘクタールがございますため、博覧会協会が準備をいたします公衆トイレ施設でありますが、会場全体で約四十か所を計画しております。便器の数でいえば約千六百五十基となります。そのほか、民間パビリオンや海外パビリオンにもトイレ施設が準備をされる予定となっております。

 そのうち、お尋ねの八か所について、御指摘の、若手建築家を活用した公衆トイレ施設を活用する予定がありまして、それぞれの施設の便器は約六十から四十など、数十個配置されるものであります。御指摘いただきましたように、お尋ねの八か所のうち二か所につきましては約二億円で契約をいたしました。

 その上ででありますが、万博会場の施設整備に当たりましては、来場者が安全かつ快適に万博体験を楽しめるよう、デザイン性やユニバーサルデザイン、環境配慮等に留意することを、二〇二〇年に決定した基本計画において定めているところであります。

 御指摘の、博覧会の会場内のトイレにおきましても、今後活躍が期待される若手建築家が設計を担い、機能性、美しさ、施工性、コスト、また会期後のリサイクル等を考慮して仕様を決定し、競争性のある入札により契約に至ったものであると承知をしております。

 また、費用の適正化を継続的にモニタリングするために、経産省に、外部から成ります二〇二五年大阪・関西万博予算執行監視委員会を設置することとしております。現在、もう設置をいたしております。

 こうした新たな仕組みも活用いたしながら、コストダウンに向けた博覧会協会の不断の努力がされるよう、政府としても、しっかりと監督管理を徹底してまいりたいと思ってございます。

中谷(一)委員 トイレ一か所に対して約二億円、豪華けんらんなのかもしれないですけれども、これはさすがに高過ぎませんか。私は、身を切る改革とはほど遠いと思うんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、新たな枠組みも設置をしてございます。大阪・関西万博の予算執行監視委員会でございます。その中でしっかりとコストダウンに向けた不断の努力がされるように、政府としても、管理監督を徹底していくと同時に、魅力のある、万全の準備に取り組んでまいりたいと存じます。

中谷(一)委員 デザイナーズトイレということなんですけれども、これはテーマの「いのち輝く未来社会のデザイン」に何か関係があるんですか。私には少なくとも無駄遣いの極みに見えるんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 博覧会の趣旨に沿いまして、若手建築家が設計を担いまして、その能力を十分に発揮していただきまして、機能性、美しさ、施工性、コスト、また会期後のリサイクル等を考慮して仕様を決定したものでございます。

 その趣旨に沿いまして、しっかりと若手建築家の皆様には、見直しの、危機感も深めまして、全体の費用がかさむことのないような工夫も繰り返ししていただいた上での決定ということを御理解いただければと思います。

星野委員長 中谷君、時間が経過しておりますので、おまとめください。

中谷(一)委員 済みません、私の時計ではまだちょっと、五秒ぐらいあったんですが、それでは、委員長からの指摘でありますので、こちらで終了させていただきたいと思います。

 いろいろ聞きたいことがありますので、また今後もよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 冒頭、能登半島地震で命を落とされました皆様に哀悼の誠をささげるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 さきの三連休を利用しまして、私も能登半島地震の現場に行ってまいりました。一刻も早くとの思いがありましたけれども、ようやく現場に入ることができました。志賀町を中心に支援に入っているNPO法人、愛知ネットの皆様の御案内で、ボランティア活動をしながら被災地を回り、皆様からの声をお聞きしてまいりました。

 その中から、やはり政治として何としても取り組まなければいけない緊急の課題、感じたものがあります。幾つか取り上げさせていただきたいと思います。

 各地で震災で住宅等に大きな被害が出ているわけでありますけれども、特に液状化の被害についてまず取り上げさせていただこうと思います。

 液状化の被害については、皆様御存じのように、極めて広範に面的に発生しております。今回伺ったのが内灘町の西荒屋地区でありまして、区長さんのお話では、幅一キロ、長さにわたりますと幹線道路に沿って五キロぐらいが面的に被害を受けているということでございます。

 皆様の下に資料一をお配りをしたんですが、その道路の様子の一部でありますけれども、見ていただいたら分かるとおり、大きく、揺れが激しかった状況もあるんでしょうけれども、それとともに、液状化をしてしまったことで、道路がゆがみ、町全体が本当に大きなゆがみの中にある。地盤が大きく動いた、損傷したということが液状化の特徴だというのは、この写真を見ていただいてもお分かりをいただけると思います。

 それで、建物自体に損傷がそれほど大きくなくても、基礎がゆがんでしまったことで住むことができない、あるいは、住むために建て替えたいんだけれども、そのためにはやはり、基礎が駄目なので一から建て直さなければいけない、そういう状況かと思います。

 今、建物の様々な被災の調査が行われていまして、通常の基準で、一部損壊、半壊、全壊というようなことで判定がされているわけでありますけれども、その判定自体が液状化の被害には適合していないのではないか、地元の皆さんも非常にその点危惧をされておりますし、私も強いそういう感想を持ちました。住民の皆さんは、もう一か月が過ぎておりまして、早く今後の復旧復興の見通しをつけてもらいたい、そのためにはこの被害をどういうふうに認定してもらえるのか、それが大きなポイントになっているということであります。

 質問でありますけれども、今お話ししたとおり、液状化の被害というのは特別な視点で見ていかなければいけないのではないか、例えば、建物の基礎の状況などもきちっと反映した独自の被害の評価基準、指針が必要なのではないかと思います。この点、どのようにお考えになるか、平沼政務官に来ていただいています、お答えいただけますか。

平沼大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員におかれましては、実際に現場を見ていただきまして、ありがとうございました。私も、内灘、かほく等々、見させていただいております。

 その上で、液状化被害を受けた住家については、基礎の破壊状況から全壊の判定や、外壁又は柱の傾き、また、潜り込みからの大規模半壊や半壊の判定など、外観のみで判定できる、まずは簡素化を図っているところでございます。また、外観で判定された結果について被災者から再度調査依頼があった際は、内観調査によって、床や基礎に生じる液状化特有の被害に関して適切に算定できる基準としております。

 被災自治体に対してこうした取扱いを周知徹底することにより、被害認定調査が適切に行われるよう、国として積極的に助言を行ってまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 本当に、今お話あったとおり、やはり、特別な視点というか指針というか評価というか、そういったものをこの際議論をし、打ち立てていっていただきたい、そして適用いただきたいということであります。

 それからまた、被害が水道、下水などのインフラにも広く及んでいます。特に、やはりこの液状化、地盤が大きく動いて面的に損害が発生しているということでありますから、まず緊急対応で水道などを通してくださいというお話はありました。でも、それはあくまでもやはり緊急対応ですよね。本来であれば、やはりこれは全面的に、かなりの範囲を造り直さなければいけないということだと思います。

 こうした液状化の被害について、私はやはり、特別な対応、特に自治体に対する支援などが必要というふうに思います。この点、どのように考えているか、国交省でしょうか、お聞きをしたいと思います。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 液状化の再度被害の防止につきましては、例えば、平成二十八年の熊本地震では、液状化による宅地被害が発生した地域において、地方公共団体が実施する、液状化による被害が再び生じないようにするための公共施設と隣接宅地の一体的な液状化対策に対して、防災・安全交付金による支援を行ってまいりました。

 今回の地震においても、被災した方々が安全に安心して住み続けられるよう、熊本地震における取組も踏まえて、液状化対策の支援にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 今のお話は今後の液状化の被害を小さくするという取組、それもあると聞いておりますけれども、今回の被害に対して、その復興復旧に対してどういう特別な支援が可能か、そういう質問なんですけれども。

菊池政府参考人 今回の地震におきましても、熊本地震における取組も踏まえて、液状化への支援にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。今回の地震においても、そのように考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 どこが大変ということはないんです。輪島も大変でありますし、ほかの地域も大変だ。ただ、この液状化というものについては一定の特徴があるわけで、私はやはり、この液状化のリスクというものについては、これは全国に広がりますので、今回を一つのモデルにして、どんな支援が適切なのかを十分に検討していただきたいというふうに思っております。

 今お話もありましたけれども、国交省として、事前対策で、液状化のリスクのあるところに対して地盤の強化等の取組を進めているというお話を聞いたんです、平成二十五年ぐらいからですかね。どのくらいそれが進んでいるのか、お聞きをしたいと思います。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、埋立地とか旧河道など、液状化のリスクの高い地域は全国に一定程度存在しているものと認識しております。

 このため、国土交通省においては、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に基づき、令和二年に全国の液状化の発生傾向図を作成、公表し、地震に液状化が生じる傾向が強い地域の周知を図ってきたところでございます。全国の液状化被害が懸念される地域において、今後発生し得る大地震などによる被害を軽減するための液状化予防対策を促進する必要があると考えております。

 国土交通省といたしましても、地方公共団体が実施する液状化に対する安全性の調査や住民への情報提供、対策工事などの取組を支援してまいります。

 以上でございます。

山崎(誠)委員 具体的には、どのぐらい、何か所ぐらいその対策が練られているんですか、実施できたんですか。

菊池政府参考人 まず、液状化の発生傾向図、これについては全国で作成、公表しているところでございます。

 それぞれの地域における住民への情報提供、対策工事などにおきましては、地方公共団体が現在実施しているところでございます。

 以上でございます。

山崎(誠)委員 何件ぐらい実施しているんですか。

菊池政府参考人 対策工事は、それぞれの地権者あるいはいろいろな造成工事によって行われるものでございまして、それぞれの地域ごとに行われているものでございますので、全国一律にという数字ではなかなかちょっと示すのが難しいかと思います。

山崎(誠)委員 宅地液状化防止事業というのがあって、交付金なども出しているわけだから、これは何件ぐらい実施できているのか、実際にハザードマップを見ればどのぐらいの危険箇所があるのか分かるわけですから、それのうちのどのぐらい対策が進んでいるのかというのは、国交省としてはこういう事業があるんだから、また後ほどお聞かせをいただきたいと思います。

 私が言いたいのは、あの内灘町のように、本当に被害が大きくなってから対応するのも大変だし、それ自体もやっていただかなきゃいけないんだけれども、事前にできることがあるのであれば、それをもっと積極的にやっておかないと、今後もまだまだこういった被害が広がりますよということをお伝えをしたいのであります、お願いをしたいのであります。よろしくお願いします。

 次に、輪島を中心にして発生した海岸の隆起の被害についてもお聞きをしたいと思います。

 本当に前例のない大きな被害だということで、水産庁の皆さんなども、漁港をどういうふうに復興するのかということで、調査を急ぐというようなお話がありました。一刻も早くこうした方針を、調査を終えて作っていただきたい。

 そして、現地の皆さん、本当に困っていらっしゃる方、自分たちのなりわいをどういうふうに再生していくのかということが今懸かっているわけでありまして、一刻も早く現場の皆さんの声を聞いて今後の方針を確認をいただきたいのでありますけれども、水産庁の取組を教えてください。

田中(郁)政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、石川県の輪島市から珠洲市までの外浦海域と言われる漁港では、地盤隆起によりまして海底が露出するなど、甚大な被害が確認されているところでございます。

 水産庁では、漁業の一日も早い再開に向けまして、予備費を活用しました緊急調査を現在実施をしているところでございます。石川県とも連携しながら、国が被害実態を把握するなどの詳細な調査を行っているところでございます。この調査の結果を踏まえまして、短期的な生業再開のための仮復旧と、あと、中長期的な本復旧という二つの段階に分けて復旧作業を進めていく考えでございます。

 その際、地元の皆様との対話が重要であるというふうに考えてございます。県等とも十分調整を図りながら、地元の漁業関係者の意向を尊重しながら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この隆起については、恐らく誰も想定していなかった、事前には検討していなかった事態だというふうに本当に思います。そういう意味で、前例を超えるような対応がやはり求められるというふうに思いますので、是非、真摯に現地の皆さんの声に耳を傾けて、早急な対応をお願いをしたいと思います。

 こうした今の能登半島の状況を見ていく中で、最後は官房長官にお尋ねをしたいんです。

 復興の在り方については、本当に幅の広い議論が必要だと思っております。各省庁にまたがる様々な事業をやはり束ねて、そして、いい方向に持っていかなければいけない。この際、私は、能登の復興、ただの復旧復興ではなくて、本当に環境調和で、魅力的な港町、あるいは能登半島全体の再生を目指していただきたい。

 これは、東日本大震災のときの、私もそのときは与党にいたのでありますけれども、反省もあって、どうしても土木工事中心の復興プランニングというのがやはり先行してしまって、本当にその地域のよさをどういうふうに生かすのか、地域の皆さんのふるさとをどう豊かにしていくのかという視点が私はまだまだ足りていなかったのではないか、これは私自身の反省も込めてでございます。

 是非、私は、政府の総合調整機能を発揮していただいて、能登半島の総合的な、まさに創造的な復興を実現してもらいたい、今、その議論を始める必要があるときだと思います。林官房長官の御所見をいただきます。

林国務大臣 山崎委員より大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 今示していただいた液状化、それから漁港への被害、隆起も含めて、今回の地震は石川県、新潟県、富山県に大きな被害をもたらしたわけでございます。

 今般の災害からの復旧復興を一日も早く進めていくために、総理を本部長にいたしまして、全閣僚を構成員とする能登半島地震復旧・復興支援本部を設置しておりまして、二月一日に第一回会議を開催いたしました。今お話がありましたように、地元の方がどうお考えになっているのか、今委員から御指摘のあったことも含めて、やはりこれが非常に大事だ、こういうふうに考えておりまして、本日、二回目の会議がありましたけれども、被災自治体の首長もオンラインで参加をしていただいて、閣僚、我々を含めて、総理を含めて、首長の皆様方の御意見を直接聞く、こういう形にさせていただいたところでございます。

 こうしたことを通じて、被災自治体と緊密に連携しながら、そして被災地の皆様のニーズをしっかり受け止めて、復旧復興の段階に合わせて必要な対策を講じて、被災者の帰還、そして被災地の再生、政府一体として責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 重ねてお願いです。美しい能登半島でありますから、本当に環境調和で。そして、観光だとか、漁業、農業、あの千枚田などもありますよね。本当に、私は、そういう環境、そして自然資源の宝庫だと思っておりますので、そういったものを損なわないように、是非、創造的な復興を計画をしていただきたいと重ねてお願いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 次に、災害時の情報システムのお話をさせていただきます。

 今回、Suicaを使った被災者情報の把握の取組というのが始まっております。私は、災害時に、被害や被災者の情報把握、あるいは救援の効率化だとか、あるいは復旧復興の進捗把握だとか、この分野での情報システムの活用というのは非常に重要だろうと思って、まだまだ遅れていると私は思っているんです。

 今回、このSuicaを使った被災者情報の把握の取組というのが、一月の二十六日にプレスに発表になった。一月二十日ぐらいに議論があって、二十六日に発表があって、二月から試験導入ということでございました。

 私は、このシステム導入は大事だという立場ではありますけれども、余りにも、被災のさなかにこうした新しい仕組みを導入して現場が混乱しているんじゃないかなと思って、非常に心配でございました。

 この心配は私は今も消えていないのでありますけれども、幸い、富来の活性化センター、モデルで実施をしているところを見てきまして、様子をお聞きをしました。私は、担当者の方が本当に丁寧に対応していただいていて、富来での導入というのは、二百人前後の避難者がいる中で百五十人ぐらいに配って、その方々が首にちゃんとひもでSuicaを身につけているという姿を見ました。それをぱっと使っている姿も見ました。

 そういう意味で、ここは私が見た限りでは非常に頑張って導入を進められているとは思うんですけれども、果たして、この試行の目的は何で、この運用を通してどんなことを実現したいのか、被災者の皆さんにどういうメリットをお与えしたいのか、その辺りを一回お聞きをしたいと思います。デジタル庁、いらしていますかね。

榊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の取組でございますけれども、これは、被災者が避難所を利用する際に、避難所に設置しましたカードリーダーにSuicaをかざしていただくことで、被災された方の各避難所の利用状況を把握するということとしております。

 お話にありましたとおり、まずは志賀町の二つの避難所において、二月七日よりカードリーダーの設置とSuicaの配付を開始しまして、今、志賀町のほかの指定避難所にも順次導入を行っているところでございます。

 こうしたデータを石川県庁に集約しまして、町のニーズを聞きながら、各避難所の利用者把握、物資の支援の効率化、町が作成する被災者台帳の基礎情報等に活用されるということを目指しております。

 また、それぞれの現場の混乱がないように、デジタル庁、あるいは、これを一緒にやっております防災DX官民共創協議会の職員の立会いなど、しっかりサポートをしていきたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 目的は分かるのであります。それをやっていただきたいのでありますけれども、現場を見る限り、今回のシステムでそれはできません。

 というのは、全員が持っているわけではありませんし、ピッとかざして、ここに自分はいるよということが分かるわけですけれども、それをみんな全員が必ずやっているわけでもないし、例えば、家に避難してしまった方はピッとできないわけですね、いろいろなところに移動したりして。そういう方々も把握をしたい、そういう思いがあるけれども、今の現場の運用状況ではそういうことはできません。

 だから、これは、もっと事前にきちっと計画をして、こういうことをやるんだということをちゃんと準備しておかなきゃできない話です。本来であれば、マイナンバーカード、マイナンバーを使ってこれをやるんだということで、テストのいろいろな取組も行われているのは分かりました。でも、それが今回は間に合っていないということだと思います。

 今後、こういうシステムづくりをどういうふうに進めていくのか。今回のこの取組というのが、私は、突然降って湧いたようで非常に危惧をしたのでありますけれども、何とか現場は混乱しないで済んでいる。ただ、あれを持っている方々にどんなメッセージを与えられるか。今でもできることはあると思います。あれをピッとしたら、その人がそこにいる、安心を与える、そういう仕組みにはなっていると思いますよ。それをしっかりと今後につなげていく、今後の取組についてお聞かせください。

榊原政府参考人 答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の能登半島地震では、残念ながらでございますが、マイナンバーカードを活用したシステムの実装というのは成ってございません。

 デジタル庁といたしましては、マイナンバーカードを利用した避難所運営のデジタル化に関する実証事業を進めているところでございます。昨年十月に神奈川県で実施しました実証実験では、入所手続に要する時間が十分の一に短縮できるなど、避難所運営にマイナンバーカードの活用が有効であるということは分かってございます。

 こうしたマイナンバーカードを活用した避難所運営の仕組みが多くの自治体で実装できるように、例えばデジタル田園都市の交付金によるサービス導入の加速など、様々な形でしっかり対応していきたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 結局、マイナンバーカードを皆さん持っていないわけですよね。これが普及したとして、みんなが持ったとして、じゃ、今度、災害時にそれを持って避難するかというまた大きなハードルがありますよ。それにいろいろな個人情報がひもづいて、そうなったときに、なくしちゃった、どうしようとか、大混乱の中で、本当に私は、マイナンバーカードの設計自体にもっと工夫がないと、とてもとても災害時に活用できるようなものにならないと思うんですよ。

 そういうところも含めて、もう一回、マイナンバーカードについては、私は、導入、一定の目的を持ってするのは必要だと思っている立場であります。ただ、今のままじゃ使えませんよ、どう頑張っても。そこを、私は、今回のこの取組でも大いに参考になることが出てきていると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 能登のお話は終わりましたので、関係者の方、大丈夫です。

 次、カジノの事業についてお伺いをしたいと思います。

 カジノ事業ですが、全国で三つの事業を認定して免許を与えるという方針で進んでいるということであります。現状、どうなっているか、お聞きをしたいと思います。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ事業の現状、あるいはその先行きということだと思われますので、まず、大阪におけるIR事業でございますが、大阪府市と民間事業者が作成した特定複合観光施設区域の整備に関する計画が、去年の四月十四日に国土交通大臣により認定されております。その上で、去年の九月二十八日には、事業の実施体制や実施方法などについて定めた実施協定が大阪府市と民間事業者との間で締結されたと承知しております。

 そして、今後でございますけれども、当該民間事業者からカジノ事業の免許の申請がなされる、それがなされれば、私どもカジノ管理委員会において厳正な免許審査を行うということでございます。

 それから、もう一点、長崎におけるIR事業でございますが、これにつきましては、長崎県と民間事業者が作成した特定複合観光施設区域の整備に関する計画について、去年の十二月二十七日に国土交通大臣により認定しないこととされたと承知しております。

山崎(誠)委員 端的に言うと、大阪IRしか動いていない。長崎・佐世保、これは、再申請、どうなんでしょうかね。前にまた行くんでしょうか。

 あるいは、他の地域の申請受付というのは、これは政令ですかね、省令で決めて、また募集をかけなきゃいけないんですけれども、その予定はありますか。国交省、来ていただいていますね。

飛田政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法では、三を上限として区域整備計画を認定することができますが、認定の申請は政令で定める期間内にしなければならないと定められております。この政令を定めるに当たっては、IR整備法の附帯決議におきまして、各地方公共団体による申請を公平に受けられる期間とすることとされております。

 このため、認定の申請期間を定めるに当たりましては、公平性を確保する観点から、申請主体である自治体の状況をよく見極めた上で判断する必要があり、自治体の状況を注視してまいります。

山崎(誠)委員 受付を再開する予定があるんですか。

飛田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自治体の状況をよく見極めまして判断をしていくというような形かと思っております。

山崎(誠)委員 私は、当初の目標、三事業を上限に対応するというお話でありますけれども、どう考えても、今、オンラインカジノなども広がっていますし、コロナ禍もありました、カジノをつくる合理性が本当にあるのかどうかというのが今問われているんじゃないですか。

 そして、その中で、今回の申請の状況を見ると、大阪IRは進んでいるかもしれないけれども、ほかは追従する計画は見当たらない、申請の受付も再開する予定はない。本当に、この事業、カジノの事業というのは、国がこれからも今までどおりの計画、方針で推進していく、それが妥当かどうか。どうお感じですか。

飛田政府参考人 お答え申し上げます。

 IRの区域整備計画につきましては、IR整備法に基づきまして、昨年四月に大阪の区域整備計画を認定したところでございます。

 IRは、国内外から多くの観光客を呼び込むものとして、我が国が観光立国を推進する上で重要な取組でございます。IR推進の取組が観光先進国の実現に向けて効果的なものとなるよう、IR整備法等に基づき適切に対応してまいります。

山崎(誠)委員 官僚の皆さんは、法律があるので、それに従って作業するしかないということなのかと思います。

 それで、林官房長官にお聞きをしたいのであります。

 今のような状況で、当初の計画はほとんど実現は今不可能な状態じゃないか、あるいは、その目標を達成しようという取組も私は進んでいるようには思いません、今の答弁から。

 安倍元総理の下、成長戦略として、多くの反対の声を押し切って、鳴り物入りで始まったのがこのカジノ事業であります。林官房長官、岸田総理の下でも、このカジノは成長戦略だという位置づけは変わっていませんか。お聞きします。

林国務大臣 このIR整備法でございますが、カジノ収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設、IR区域の整備を実現する、そのことによって、我が国において国際競争力の高い滞在型の観光、これを実現して観光及び地域経済の振興等に資する、こういうふうに考えております。

 今、やり取りを委員にもしていただきましたが、カジノ事業を含むIR整備について、大阪において関係自治体と事業者による手続が進められているものと承知しておりまして、引き続き、IR整備法等に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 私がお聞きしたのは成長戦略かどうかですよ。これだけ今いろいろな課題もあって、止まっている、ほとんど進んでいない、大阪は進んだかもしれません、それが現状なのに、これをどうするのか。方針を、この戦略を見直すタイミングが来ているんじゃないかと思います。

 なぜこれを言うかといえば、例えば、カジノの管理委員会というのに予算がついておりますよね。このカジノの管理委員会の予算、資料二を見ていただくと、令和六年は三十七億円ついています。そして、下に人員の様子が書いてありますけれども、百六十四人いる職員、来年度は百六十七人にも増強をして、予算をプラスしてカジノをやろうとしているんですよ。

 これは、元々、カジノの戦略があって、法律があって、それに基づいて作業をしているわけでありますけれども、本当にこのまま、例えば大阪IRがずっと進む中で、それが二〇三〇年に開業とか、そういう計画でありますけれども、それまでずうっとこの体制で、予算を使いながら、貴重な人材を使いながら、このカジノ戦略、カジノ計画を維持をする、それが本当に妥当かどうか。官房長官、どうですか。

林国務大臣 それぞれの役所における体制等についてはそれぞれの役所に聞いていただければと思いますが、先ほど申し上げましたように、国際競争力の高い滞在型観光、これを実現して観光や地域経済の振興等に資するというふうに考えておるというふうに申し上げたとおりでございます。

 そういう位置づけでこの仕組みができておりますので、この根幹となるIR整備法等に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 カジノがなければ、別にカジノ管理委員会をつくる必要はないんですよ。これだけの予算をかけて、これだけの人員を割いて、カジノをやる必要はないんですよ。

 観光戦略はありますよね。IRというのはいろいろな複合的な施設です。会議を開くコンベンション設備も必要でしょう。そういうことで計画をするなら、私は大賛成ですよ。あるいは、先ほども言いました能登半島など、人にたくさん来てもらう、新しいそういう観光の拠点をつくるという、大賛成ですよ。

 何で、カジノにこだわって、これだけの無駄を、申し訳ないけれども、継続するのか。これは、元々、カジノを成長戦略として決めて、それを今も維持をしている、一旦始まった公共事業をやめることができない、この体質が私は災いしていると思うんですよ。大阪IRを進めたいのであれば、それに合わせた体制にスリム化をして、もう終わっている作業はたくさんあるんだから、少なくともカジノ委員会は半減しても私は大丈夫だと思いますよ。

 そういったことをちゃんと政治の主導でやっていただかないと、こんな無駄をこれからも続けていく、私は大きな問題だと思います。林官房長官、どうですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、この整備法において、カジノ収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を実現する、こう書いておりまして、そう申し上げたとおりでございます。

 整備法等に基づいて適切に対応してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 もう最後ですけれども、せっかくですので。カジノ委員会の担当の大臣にもお越しをいただいています。

 松村さん、どうお感じですか、今の議論。本当は細かく、カジノのこの管理委員会がどういうふうに動いているか、お聞きをしたかったのでありますけれども、多分、レクでお聞きをしていると思います。残業時間、例えば、昨年……

星野委員長 時間が経過しておりますので、おまとめください。

山崎(誠)委員 平均十八時間でした。それで人を増やしている。

 私は、空っぽの委員会をこれ以上動かす必要はないと思うんですけれども、大臣、最後、お答えください。

松村国務大臣 定員や予算についてのお尋ねかと思いますけれども、この管理委員会につきましては、それぞれの専門職の皆さんを集めた立場で運営をしておりますので、予算や定員についても私は適切であると考えております。

山崎(誠)委員 終わります。ありがとうございます。

星野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。森山浩行君。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 立憲民主党の森山浩行でございます。

 内閣委員会ということで、まずは全体の話から入っていきたいというふうに思います。

 昨日の報道でありますけれども、日本のGDP、世界順位が四位に転落をしたという報道となっています。このGDPというのは国内の総生産ということでありますから、もちろんお金の出来高というのがあるわけですけれども、その基になる数字、一番大事なものが人口という部分になるかと思います。人口が減っているのにGDPが上がるというようなことは、なかなか考えるのは難しいという部分もあります。

 そして、日本の人口の推移でありますけれども、江戸時代が終わる頃には三千万人、日清、日露戦争の頃には五千万人、第二次大戦が終わる頃には一旦八千万が七千万まで落ちて、前の大阪万博の前に一億人を超える。そして、一億三千万近いところまで行って、現在、毎年八十万人近い皆さんが減っているというような状況にあります。

 国立社会保障・人口問題研究所によりますと、二〇七〇年の中位推計でいうと九千万人を切る八千七百万人、あるいは、十年前の同じ予測によりますと、二一〇〇年には五千万人を切るんじゃないかというようなところの予測となっています。

 官房長官、日本の人口の目標というものを国家目標として立てたことは今まで特にないのではないかというふうに思いますけれども、少子高齢対策だということで子供を産みやすい環境をつくるといっても、五千万が一億になるようなことはないんだと思います。経済界などを含めて、GDP、この維持をするためには一億ぐらいは必要なんじゃないかというような世論もある中で、例えば移民。例えば、労働者に入ってきてもらう。入ってきてもらった労働者に日本で子供を産んでもらうかどうか。いろいろな選択肢というのがあるのだと思います。

 しかしながら、この議論について、根本的な議論が始まっていないように感じていますけれども、今、日本政府としてどのようにお考えか、また、長官御自身、これからどのような議論を進めていこうとされているか、お答えください。

林国務大臣 結婚や妊娠、出産、子育て等は個人の自由な意思決定に基づくものでございまして、今先生がおっしゃっていただいたように、人口数の国家目標というものは、そういった意味でも定めていないというふうに承知をしております。

 一方で、我が国は、急速な少子高齢化、人口減少局面、二〇〇七年ぐらいからだったと記憶をしておりますが、直面をしております。昨年末にこども未来戦略を閣議決定させていただきましたが、急速な少子化、人口減少に歯止めをかけませんと、我が国の経済社会システムを維持することは難しい、ここでもそういうふうにされておるところでございます。

 まずは、少子化、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、こども未来戦略の加速化プラン、これを着実に実行していくことが重要であり、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 目の前の議論としてはそうなのだと思います。ただ、今の状況のままで、五千万人になっていく国家だというときに、五千万人、これを基準として考えた場合には、今のインフラ整備を始めとして、過大であると言わざるを得ません。今から七十年後の日本を考えたときに、この過大なインフラを背負った五千万人の日本人だけの国家なのか、それとも、今のインフラを生かしながら、あるいはGDPの世界順位を守りながら、移民も含めて一億を目指すということなのかということで、全くこれからの国家の運営の仕方は変わってくるのだと思います。

 こういうことについて議論を早急に始めなければならないのではないかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 まさにいろいろな政策、これを議論していくことが重要だ、こういうふうに思っておりますが、人口がどのぐらいかというのを目標にするというのは先ほど御議論させていただいたような状況でございますが、インフラですとか経済社会システムの維持ということについて、先ほど申し上げたとおりの状況でございます。

 特定技能制度なるものを既に導入をしておるわけでございます。が、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人、これを家族ごと期限を設けることなく受け入れる、こういうようなことは、今我々がやっております特定技能のような、専門的、技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとする我々の今の在り方とは少し違う、こういうふうにも考えておりまして、何が我々にとって、また日本の将来にとって重要なのかという議論は不断に続けていかなければならないと思っております。

森山(浩)委員 これは本当に国民の皆さんにも問いたいと思うところなんです。そのときに、政府が持っている情報をしっかり出していただきたい。五千万の国であればこんなふうになりますよ、その場合は公共事業はこのようにしなければなりませんよ、一億を目指すんだったら、今の我々だけでは無理だから、外から入ってきてもらうにはこういうリスクがありますよ、こういうことをしっかりとまとめて、説明をして、これは国民の皆さんに考えていただき、選んでいただくというようなことが必要だと思いますので、是非その御準備をいただきたいと思います。

 我々国会の責任でもある、そして政府、担っていただいている皆さんの責任でもあると思いますので、是非議論をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 危機管理体制です。

 先日の予算委員会でも、危機管理監の不在という部分についての情報提供というのをしっかりやりましょうというような議論をさせていただいたところでありますけれども、今回の能登地震における石川の馳知事、連絡のつき方、あるいは当日の動きについて御説明をお願いします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきましては、都道府県等と災害対応の連絡体制を構築しておりまして、大規模な災害が発生した際には、被災都道府県の知事の安否と庁舎の被災状況について確認するとともに、都道府県とも連携して災害対応を実施しているところであります。

 今回の能登半島地震におきましても、十六時十分に地震が発生し、十六時半には内閣府と石川県庁との連絡体制を構築するとともに、馳知事と石川県庁の間における連絡が取れていること、また庁舎に被災がないことについて確認をしてございます。

森山(浩)委員 迅速な御対応ありがとうございました。

 馳知事が東京に行っていたことがけしからぬというような論調も一部あったようでありますけれども、私はそうは思わない。知事がどこにいるかというようなことについては、把握をされていれば、あるいは県庁とつながっていればいい話であります。

 ただ、そのときに、知事自身が、あるいは知事の第二順位であります危機管理監自身が被災をするというようなことも考えられます。我々、党で災害局というのをつくっていまして、これを担っていますけれども、局長、事務局長、また代理を含めて四、五人の政治家、それから四、五人の事務官、それぞれがしっかりお互い連絡が取れるような状態にしています。

 これは、順位なんかも決めていただいていると思いますけれども、知事あるいは危機管理監の携帯電話番号表はあるのだというようなお話をいただいています。知事そして危機管理監、政令市も同様だということですけれども、電波というのはつながらなくなることもあります。衛星電話であるとか、あるいは固定電話の中でも危機管理用のものであるとか、県庁あるいは政令市役所と常に連絡を取れる体制という部分については、構築は終わっていますでしょうか。

上村政府参考人 今委員おっしゃいましたように、通常の電話などが使えない場合にも連絡が取れますように、多様な連絡体制を取ることとしておりまして、都道府県また政令市については、全てそういう体制が整ってございます。

森山(浩)委員 災害の基本的な、一義的な責任、現場の責任というのは都道府県と政令市にあるというふうに認識をしております。誰かが被災をしたとしてもここが機能するようにしておくということをしっかりやっていただくとともに、今回は一月一日ですけれども、本当に、休んでいる、あるいは寝ているというような状況、あるいは入院している、いろいろな状況があり得るという中でも常に連絡が取れるようにしておくということについて、これはもう一度しっかりと徹底をしていただきたいというふうに、長官、よろしくお願いをいたします。

 この後、関西万博の話をさせていただきますが、被災地との人、金、物の話を含めて、全体把握という部分については政府全体でやっていただかなければなりません。中身については大臣とやりますけれども、長官、是非大臣を支えていただいて、全体把握という部分、これをしっかり後押しをしていただきたいと思います。

 長官、結構です。

 さて、大阪・関西万博についてです。

 十二月の六日に、私が筆頭者ということで、二〇二五年日本国際博覧会に関する予備的調査をお願いをいたしまして、内閣委員会で十二月十三日に決めていただいて、これを出していただくということでお願いをしました。震災があって一月二十六日の開会日までに間に合わなかったわけですが、二月の六日というような形で出していただきました。

 これは、全体把握というようなことの問題意識というところなんですけれども、大阪・関西万博に関連する国の費用についてという資料をいただいています。この報告書とは別ですね、行政として出していただいた分。これが、バージョン1が十二月十九日、バージョン2が二月七日ということで、バージョン1は、我々が国会から政府にお願いをした後にまとめていただいている。そして、バージョン2は、この報告書ができ上がったものと平仄を合わせるという形で出していただいているというふうに認識をしています。

 これは、もう何年も準備を重ねてきた中で、全体の費用というものを見ようというような感覚が薄かったんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博への国民の理解を得るということが非常に重要だということで、透明性を持って万博の費用の全体像を国民に示していくことが非常に重要であるということ、国会の御議論も踏まえまして、昨年十二月にバージョン1として、政府として万博費用の全体像を公表し、また、バージョン2として、今月七日になりますが、令和六年度の予算案等を踏まえた更新版を公表したものであります。

森山(浩)委員 まさに現場は、万博の協会であるとか、あるいは経産省であるとかというような皆さんにやっていただいているわけで、大臣の役割というのは、全体を把握をしてチェックをするというような部分が大きいのだというふうに思います。

 そういう意味で、今回、全体の費用というような形で出てきたものの中でいうと、三千二百億円というような桁が出てきています。最初の会場建設費が千二百億から千八百五十億、そして二千三百五十億というような形で上がってきた。これはやはり、全体像を最初に決めて、その中でやろうという意識が薄かったのだというふうに思います。

 これについては、この段階、もう非常に近づいてきていますけれども、できることを全部やるというような形で予算の縮減に努めていただきたいというふうに思っています。

 例えば、十一月二十四日の予算委員会で明らかになりましたけれども、いわゆるリング、これは、くぎ一本使わない伝統工法と言っていたけれども、実はくぎを使うということが明らかになり、くぎを使う工法であれば三百四十四億円本当に要るのかというような議論もしっかりしていかなきゃいけないのだというふうに思います。

 あるいは、リングの下に、埋立地をもう一度掘り直してそこに水を入れるという、ウォーターワールドというような部分があります。これは、埋立地の中ですよ。真横が海ですよ。リングに上ったら海がすぐ横に見える、そういう中で、本当にもう一回会場の中に水を入れるために掘り直すというようなことが必要なのか。これについては、ニューディール政策じゃないんだからというようなことを言われたりもしていますけれども、こういった部分であるとか、先ほど中谷委員からもありましたトイレが二億円というようなことも、これは最初に、これぐらいの値段でやってくれというふうな発注をかけていれば、一億以内あるいは何千万とかいうようなシーリングの中で決められたものでしょうけれども、言い値で二億円と決まっていってしまっているというようなことも含めて、全体管理というのが非常に大事だと思いますけれども、この努力の方向についてお願いします。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博に要する費用につきましては、第三者の目も入れながら、計画との乖離による費用の上振れが生じないよう、費用の適正化について継続的にしっかりとモニタリングしていくことが大変重要でございます。

 このため、国会での御議論もしっかりと踏まえた上で、会場建設費や運営費など、万博の主要な費用の執行状況の適正性を継続的に確認すべく、経済産業省に外部有識者から成る二〇二五年大阪・関西万博予算執行監視委員会を新たに設置をいたしまして、先月二十五日に第一回目の会合を開催したところであります。

 さらに、運営費の執行におきましても、今月六日の博覧会協会の理事会におきまして、理事及び監事が参加をいたします運営費執行管理会議を設置することが決定され、今後、チケットの販売状況、運営費の支出金額とその内容、また支出抑制策についても議論されることになったと承知をしてございます。

 こうした新たな枠組みもしっかりと活用しつつ、無用な国民負担を生じさせることのないよう、不断の見直しに全身全霊で努めてまいりたいと存じます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 万博の費用が、二千三百五十億という会場建設費になったときに、我々、千八百に戻すべきだという話をしています。愛知万博、二〇〇五年は、千八百億を千二百億まで縮減をしているということをしっかり見習いながら、お願いをしたいと思います。

 そして、IRの予定地が横にあるわけなんですけれども、この夢洲に、場所に決まったという経緯については、これも十一月の予算委員会で経産省とやり取りをしましたが、二〇一四年には、夢洲が適地ではない、不適だということで、バツだという評価、大阪府の委託で調査が行われていますが、二〇一六年に知事の御意向ということで決まったと。

 これについては、経産省は、知っているけれども関与していないというような答弁をされていますけれども、その後、IRと万博は別のものだ、切り分けるんだというようなことで進んできているところでもあります。

 インフラ等も含めても、この場所がいいとは今でも私は思っていませんけれども、IRに絡むから更に広げなきゃいけないとかいうようなことがないようにしていただきたいですけれども、この用地についてはいかがですか。

茂木政府参考人 万博の予定地である夢洲の決定経緯については、今委員からもお話があったとおりでございますが、この点につきましては、まず、予算も含めて、大阪・関西万博とIRは全く別のプロジェクトであるというふうに位置づけられておりますし、予算も、万博の予算は万博のみに使われるということになります。したがって、万博の会場建設費がIRのために使われることはございませんし、それから、交通環境等の周辺インフラの整備というのも夢洲で行われておりますが、こちらもIRのためではなく、夢洲エリアの将来の土地利用を見据えて整備されているものというふうに承知をしております。

 地方公共団体が必要であると判断した場合は整備をしますが、そこに、妥当であれば補助金や交付金で国としても支援するものである、そういうふうに考えております。

森山(浩)委員 そして、予算の上振れについては、さらに、能登の地震の影響もあり、中止だ、あるいは延期だというような世論も出てきているわけですけれども、中止あるいは延期の場合のBIEへの手続及び補償金の額について御説明ください。

茂木政府参考人 まず、万博を中止した場合ということでございますが、これは、BIEに提出して承認された登録申請書というのがございまして、こちらにおいて、BIEの総会で決定をするという形になっております。BIEの総会では、総会出席者の、出席しかつ投票権を有する代表団の三分の二以上の多数により議決をする必要があるということになります。

 それから、補償についてでございますが、こちらは、参加国には万博への参加により直接生じた妥当性のある費用を、それから、BIEに対しては入場料収入の二%に相当する損失を補填することというのが定められているというところでございます。

森山(浩)委員 中止、延期、それぞれにあるけれども、四月十三日、一年前と、一年前を超えた場合では違うんじゃないですか。

茂木政府参考人 まず、中止については特段の規定はありません。延期ですとか、延期というのは、開催日を遅らせるとか開催期間を短くするとかこういうことですが、この場合には三分の二以上の議決が必要ということになります。

 仮に中止をした場合の補償については、先ほど申し上げた要素が補填の対象になるわけですが、補償の上限額というのが決められておりまして、これが、今年の四月の十三日までであれば、補償の上限額は総額で二億三千万ドル、本年の四月十三日以降であれば五億六千万ドルということになります。

森山(浩)委員 整理しますと、中止の場合は特段の手続はない、補償はしなきゃいけない、延期の場合には三分の二の議決を得た上で補償しなきゃいけないことになっているということです。ですので、決断をする場合にも、そこまで把握をした上でしなきゃいけないのかなと思います。

 それで、東京五輪。今、裁判になっていますね。東京オリンピックについては、予算が膨らんだこと、そしてその発注の問題等もあります。同じような国際イベントということでもあります。この経験を生かすというような形の意識は持っていられますか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 東京オリンピックでは、オリパラ事務局が、オリパラ関係予算として、大会の運営又は機運醸成や成功に直接資するものであって、大会招致を前提に新たに又は追加的に講じるものについて、毎年国の予算額を公表していたというふうに承知をしております。

 こうした東京オリンピックの取組を踏まえまして、大阪・関西万博でも、大阪・関西万博の準備等に直接資する事業であって、大阪・関西万博のために新たに又は追加的に講じるものについて、関連予算の金額を公表したというものでございます。

 これに加えまして、万博のアクションプランですとかインフラ整備計画に掲載されている事業についても、これは万博のための新規又は追加的なものではありませんが、透明性の観点から、あえて各事業ごとの合計額を示して、随時更新をしているということでございます。

 先ほど自見大臣からも申し上げましたとおり、会場建設費や博覧会協会の運営費等の適切な執行管理を行うために、経産省におきましても有識者委員会を新たに設置しまして、第三者の目も入れながら、計画との乖離による費用の上振れが生じないよう、費用の適正性についてしっかりとモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 裁判になるようなことがないようにということも含めて、しっかり五輪の教訓を生かしていただきたいと思います。

 工事の進捗についてです。

 先日、関経連の会長が、建設会社はけしからぬ、しっかりせいというようなコメントをされているということもありましたけれども、人件費が高騰する、あるいは資材が不足をする、電線などが大変不足をしていると聞いています。

 その上で、震災の復興というようなものについても、東京の業者というよりは大阪の業者がメインとなって震災復興に関わっているという場面も多くなっているようでございます。

 そういった意味で、震災とそして万博というところでいうと、同じ会社の中で両方オペレーションしているというようなこと、あるいは、今は土木と建築で分かれているけれども、ここから先、建築という部分についても被災地に乗っかっていくというようなことも多いかと思います。

 この工事の進捗について、大丈夫なのかというような議論があるわけですけれども、これはいかがですか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、能登半島地震の災害復旧復興対応、これが最優先だということについては論をまたないところだというふうに私どもも考えております。

 その上で、様々な声が出ているということは承知をしております。例えば、電線などの一部資材が足りないとか、そういったお声も出ておりますが、この点につきましても、これは先々週でございますが、岸田総理から、経産大臣、万博担当大臣に対して、需給を丁寧に把握して、復興に支障のないよう、万博関連の調達を計画的に進めるよう、こういった指示もあったところでございます。

 この点については具体的な取組も進めておりまして、例えば、電線不足につきましては、既に経済産業省から電線業界に対しまして、被災地の復旧復興に向けた需要への対応に最優先で取り組むように要請をしております。それから、北陸の主要な流通業者さん、こちらにも注文相談窓口を設置して、優先供給体制を構築しているところでございます。

 それから、経産省では、必要な物資の供給の円滑な確保を図るべく、石川県からの相談に迅速に対応するための連絡窓口も設置して、こちらで現地の状況もしっかりと把握をして、声も吸収するという形にしております。

 今後も、被災地の復旧復興対応を優先する取組が促進されるように、事業者団体や民間事業者に働きかけを行っていきます。

 また、国土交通省にも御協力いただいておりまして、復旧復興に必要な資機材や人員の確保、これができる限り円滑に進むように、状況をきめ細かく注視をしていただいて、実需に基づく適切な発注を建設業界に要請するなどの対応をしているというふうに伺っております。

 こうした対応の中で、現時点において、万博関連の資材調達等によって能登の復興に具体的な支障が生じているものという情報には接しておりません。

 また、万博工事の方も着実に作業を進めておりまして、二〇二五年四月に予定される大阪・関西万博の開会を遅らせるという必要があるというふうには現時点では認識をしておりませんが、引き続き、資材等の需給をきめ細かく把握して、万博関連工事の調達、あるいは工事の進捗によって復興等に支障がないように取り組んでまいります。

森山(浩)委員 さらに、これは埋立地です。私のところは関西空港もよく使うんですけれども、関西空港ができてから三十年というような状況ですけれども、いまだに不等沈下が起こっていて、ジャッキアップしながら使っていると。上に何にもないんですよ、上に何にもないところでも不等沈下が起こるという状況にありまして、それより新しい埋立地でありますから、当然そういうことが予測をされるわけですけれども、この不等沈下対策についてはいかがですか。

茂木政府参考人 大阪・関西万博の会場は、土地所有者であります大阪市が、地盤沈下対策として、圧密促進工法によって地盤改良をした後に盛土をした上で博覧会協会に引き渡したものというふうに承知をしております。

 一方で、御指摘のとおり、会場の敷地は若齢の埋立地であるということもございますので、これは、仮設建築物の許可等の時点で、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならないというふうにされているところであります。

 こういった点を踏まえまして、博覧会協会としては、施設の検討に当たりましては、沈下抑制対策として例示する、例えば、浮き基礎ですとか、くい基礎ですとか、こういったことを計画することをガイドラインでも推奨しているというところでございます。

 また、協会としては、地盤の沈下量を毎月計測をしております。不均一な沈下等が想定される場合には、盛土等の追加的な対策を講ずることとしています。

森山(浩)委員 そして、工事の安全性の問題です。

 これは、日本万国博覧会公式記録第三巻、前回の大阪万博のときの資料なんですけれども、十七人の方が工事で亡くなっています。

 これは、非常に突貫工事、当時の公式記録集の別冊においては、「この時間との戦いに示されたものは、まさに「日本人の勤勉さ」であり、同時に、「突貫工事の日本人」の姿であった」というような記述もあります。非常に急いで工事をやって、そして十七人の命が失われたというようなことになるのかもしれません。

 こういったことも踏まえて、今後はこんなことがあってはいかぬということで、前の万博の会場のところには慰霊碑が建っています。これをしっかり胸に秘めてというか、きちんとこのときのことを見ていただいて、亡くなるような方がないように、事故ゼロを目指すのは当然ですけれども、亡くなるようなことがないようにしていただきたいのですが、この辺の対策はお願いできますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博の建設工事におけます労働者の安全管理につきましては、博覧会協会は、建設工事に伴う施工ルールを策定し、労働基準法、労働安全衛生法等の関係法令を遵守して作業を行うよう指導しているところであります。

 具体的には、施工事業者に対しまして、博覧会協会への安全衛生計画書の提出ですとか、あるいは事故発生時の報告を義務づけるとともに、施工現場での安全確保等を連絡する作業調整会を毎日開催していただいておりまして、各施工事業者に出席を求めているところであります。

 さらに、このルールの実効性を担保するために、四つの工区がございますが、それぞれの工区の統括施工者が日々ルールの厳守状況を確認し、定期的に博覧会協会に報告する体制も構築しているところでございます。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする大阪・関西万博で施工事業者の労働者の皆様の安全確保は最重要だと認識をしてございます。今後も、安全管理を徹底した上で、万博の開催に向けて準備を進めてまいりたいと存じます。

森山(浩)委員 予算の話は本当に大事です。予算の話は大事で、これはもう縮減をしていかなきゃいけないと思いますけれども、何よりも命の問題、これについては本当に徹底的にお願いをしたいと思いますし、現場で労働基準法の規制を外せなんという話が一時期出たこともありました。そんなことがないように是非お願いをしたいと思います。

 集客の見込みなんです。

 二千八百二十万人、愛知が二千二百万人程度でしたから、更に大きな人数になっています。これはインターネットのバーチャルの部分も含めてという開催になるわけですけれども、リアルに二千八百二十というのは維持しなくてもいいんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 大阪・関西万博の来場者数は約二千八百二十万人を想定しておりまして、集客見込みについて変更はございません。

 より多くの方々に来ていただくためにも、全国的な機運醸成を図ることは非常に重要であり、万博がもたらすメリットを日本全国が享受できるよう、全国の交流人口の拡大を打ち出す万博交流イニシアチブ、これを現在展開をしているところでございまして、今後は、全国の子供たちの万博の学習機会への活用につながるような出前授業の実施ですとか、あるいは全国の自治体と万博参加国の交流をしていただくような取組の促進、あるいは自治体が万博の機運醸成のために地域の文化資源を活用して実施する文化芸術事業への支援、そして万博を契機として都道府県において新たに実施する地方創生に資する取組への支援といったものを行い、機運醸成を進めてまいりたいと思っているところでもございます。

 また、私自身も、パビリオンを出展するプロデューサーですとか各国大使の皆様との意見交換を積極的に行わせていただいておりますが、皆様、創意工夫にあふれた展示や万博に向けた熱意あるいは使命感のようなものもあふれておりまして、子供たちや若者たちにも夢とそして力を与えられるような万博になると、日々確信を強めているところでございます。

 こうした万博の魅力を積極的に発信してまいりたいと思ってございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 これについては、本当に来ちゃったら、あの朝の大阪駅や本町駅での混雑なども含めて心配な部分もありますので、今後また議論をしていきたいと思いますが、今課題、問題になっているのが、赤字になったときに補填を誰がするのかと問われたときに、国は補填しませんと言った。大阪府も補填をしませんと言った。そして経済界も、そんなの補填しませんと言っている。

 これは、いざというときにどうかということを決めておかないで大丈夫ですか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省としては、まずは赤字にならないようにするということが重要でございまして、早期にその芽を摘み取って対策を取っていくということが重要だというふうに考えています。

 このため、先ほども大臣からもお話しいただきましたけれども、万博の主要な費用の執行状況の適正性を確認する有識者委員会というのを新たに設置をいたしまして、ここで博覧会協会の支出の状況等をしっかりとモニタリングをして、早期に芽を摘み取っていきたいというふうに考えています。

 そうした事態を想定しているわけではないんですけれども、万が一にも赤字が見込まれるような事態が生じるような場合には、こうしたことを踏まえて、どのような対応策を講じていくのか、経産省としても、博覧会協会、関係者としっかりと検討していきたいというふうに考えています。

森山(浩)委員 何にも答えていないじゃないですか。

 大臣、どうですか。誰も補填しませんという話をしちゃうと、工事する人はおちおち仕事を請けられませんよ。だから、最後は三者でとにかく話をつけて出すんだというようなことぐらいは言わなきゃいけないんじゃないですか。

自見国務大臣 御質問ありがとうございます。

 まずは執行体制をきちんと管理、指導していくということだと思いますし、また、今し方茂木審議官からもお答えさせていただきましたように、その芽を摘む努力をした上で、万が一にも赤字が見込まれるような事態が生ずる場合には、あらかじめ、赤字にならないようにどのような対策を講じていくのか、経産省がしっかりと、一義的にはということになりますが、博覧会協会とともに検討するという答弁でございますので、私としては、それをしっかりと見ていくという立場でございます。

 いずれにいたしましても、収支相償ということが非常に重要であると認識をしております。

森山(浩)委員 何か、頑張りますとか、決まっていませんということがまだまだ多いので、しっかりと全体把握するということでお願いをしたいと思います。

 議論をまた続けていきたいと思います。ありがとうございました。

星野委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀でございます。

 最初に、昨日予算委員会でもお尋ねした、日本のEEZ内における中国のブイ設置についてお尋ねいたします。

 本来は、過去の発言また危機管理ということで林官房長官に質問したかったのですが、責任を持って答えられるのが外務省しかいないということで、名簿を見ると、林大臣官房参事官の方に質問したいと思います。

 昨日は時間切れで再質問できませんでしたが、上川外務大臣からは、ブイの設置は、一方的な現状変更の試みで、受け入れられない、極めて遺憾である、非常に強い口調での答弁がありました。ただし、中国側への働きかけを強めていくのみで、日本が撤去や調査することについて御答弁がございませんでした。

 昨年十一月十九日のテレビ番組で、前外務大臣であります今の林官房長官が、中国に通知せずに撤去できるとの考えも述べておられます。

 また、その三日後には、我が党の三木圭恵議員が予算委員会で、中国が撤去しないのであれば、日本が回収し、中身を調べた方がいいとの質問に対して、総理は、ブイの撤去も含め、検討していくということで、撤去に踏み切る可能性に初めて言及したわけですが、昨日の答弁には撤去に関する発言がございませんでした。

 昨年七月から既に半年以上、七か月近く経過しても政府は放置しており、放置といいますか、いろいろ働きかけをしておるのは承知しておりますが、結果として放置しているような状況になり、対応が後手後手で、受け身であると言わざるを得ません。

 ブイの撤去や調査というのは選択肢からなくなったのでしょうか。また、撤去するとしたら、その判断を所管している省庁はどこになるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

林(誠)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、中国による当該ブイの設置につきましては、一方的な現状変更の試みであり、全く受け入れられず、日本側から直ちに抗議するとともに、昨年十一月の日中首脳会談では岸田総理から、日中外相会談では上川大臣から王毅部長に対しても直接、ブイの即時撤去を求めたところでございますけれども、それにもかかわらず、現時点で現場海域におきましての状況が改善していないことは極めて遺憾でございます。

 我が国といたしましては、引き続き、あらゆる機会を捉えて中国側に対しブイの即時撤去を強く求めていくとともに、現場海域における必要な警戒監視及び状況把握や、様々な角度からの調査、分析を行っていく考えです。

 その上で、中国側が当該ブイを放置しているという現状を深刻に受け止めており、ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応につきまして、当該海域において関係国が有する権利及び義務、我が国国内法令、当該ブイが船舶交通や我が国漁業活動へ与え得る影響等も踏まえ、関係省庁間で連携して検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく考えでございます。

住吉委員 我が国が撤去するという考えは外されていないのか、それも選択肢に入っているのか、また、では撤去するとなるとどこが所管になるのか、そういう質問だったんですけれども、それはいかがでしょうか。

林(誠)政府参考人 お答えいたします。

 我が国の対応につきましては、繰り返しになりますけれども、ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応につきまして、関係省庁間で連携して検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく考えでございます。

住吉委員 ちょっとよく分からなかったところもありますけれども。

 ちなみに、ブイが設置されてから既に七か月が経過しております。我が国の主権にとって非常に重要な影響を与える事態に対する対応としては、余りにも悠長だなという印象を持っております。

 この事態への対応に、なぜこんなにも時間がかかっているのでしょうか。何がハードルがあるのでしょうか。御答弁をお願いします。

林(誠)政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、我が国としましては、中国側に当該ブイの即時撤去を強く求めておりますとともに、我が国が取り得る対応につきましても、繰り返しになりますけれども、ブイの撤去や移動、我が国によるブイの設置を含む様々な対応について、関係省庁間で連携して検討して、対応していく考えでございます。

住吉委員 だらだらと時間が過ぎている印象です。

 例えばですけれども、まだ百歩譲って、この日までに中国側が撤去しなければもう撤去しますよとか、そういったことは言っているんでしょうか。スケジュール感とかあるんですかね。今の答弁を聞いていますと、中国の対応待ちみたいな形、そういう姿勢に感じます。これは何年も、また何十年もこんな形を取っていくんでしょうか。御答弁をお願いします。

林(誠)政府参考人 お答えいたします。

 具体的な対応の内容、それから実施時期を含めまして、検討状況につきましてはお答えすることは差し控えたいと思います。

住吉委員 問取りのときもいろいろな役所の方々が来て、防衛省もいました、海上保安庁もいました。この質問に対して、私は官房長官に聞きたかったわけですけれども、これは責任を持って外務省が答弁しますということでした。

 もう一度聞きますけれども、撤去しますと判断するのはどこになるんでしょうか。

林(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 当該ブイへの対応につきましては、関係省庁間で緊密に連携して対応しているところでございます。引き続き、様々な対応について関係省庁間で連携して検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく考えでございます。

住吉委員 もう一つ聞きますけれども、例えば、こういうブイが二つ目、三つ目と置かれても同じような対応なんでしょうか。

 ちょっと、昨年九月の産経新聞の記事、少しだけ紹介させていただきます。

 領海警備担当次長を務めた遠山純司氏がコメントしているんですが、「中国は少しずつ刻んで工作する「サラミスライス戦術」で静かに少しずつ事態を進める。わが国は常に状況を注視し、異変を把握した場合、遅滞なく必要な措置を講じる必要がある」と警笛を鳴らしております。

 中国が管轄権を既成事実化して実効支配を狙う暴挙の可能性も私はあると思っておるんですが、外務省はこの認識はあるんでしょうか。

林(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定の状況につきましてお答えすることは差し控えさせていただきますけれども、あくまでも、ブイの対応につきましては、関係省庁間で緊密に連携して対応していく考えでございます。

住吉委員 いろいろな可能性がある中で、そういう可能性は私は極めて高いと思いますし、こういう可能性はないから大丈夫なんだと思って対応するべきではないと思っています。であるならば、即時撤去、これをしなければ取り返しのつかないことになるのじゃないでしょうか。

 外務省は、日本のEEZ内のブイの、ちょっとまた繰り返しになりますけれども、独自で撤去していくということ、また、どんな機能、どのような目的で設置されたのか、私は調査するべきだと思いますけれども、それは国際的に受け入れない行為だと考えているのでしょうか。それとも、林前外務大臣が、これは取っても問題ないんだとテレビ番組で発言したような考えと同じなのでしょうか。教えてください。

林(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員御指摘の調査につきましては、現場海域におきまして必要な警戒監視及び状況の把握、また、様々な角度から調査、分析を行っているところでございます。

住吉委員 分かりました。

 いろいろな質問もありますので、ちょっと、なかなかこれ以上議論を深めていくということは難しいと思いますので、この質問はこれだけにしますけれども。

 ブイ以外にも、昨年一年間に、尖閣諸島周辺の接続水域では、中国海警局船の侵入が通算三百五十二日確認されております。尖閣諸島というのは日本固有の領土ですが、海警局側は、日本の漁船と海保船が尖閣海域に不法侵入したという、かなり常軌を逸した主張もしているわけです。

 また、外務省さんの方でも、中国からのサイバー攻撃、これもこの前発表されました。内側と外側からもかなりやられているのではないかというふうに思っております。

 もちろん悪いのは中国であって、皆さんを非難するというのはかなり酷だと思いますが、この対応については、余りにも悠長な対応だと感じております。毅然とした対応を是非一刻も早く取っていただきたいと思います。

 では、次の質問に移ります。

 次は、公益法人への寄附促進についてお伺いしたいと思います。

 まずは、公益法人の存在意義についてですが、この日本社会、複雑多様化して、様々な課題が発生し、それに対応するとまた別の問題が発生するというような状況になっております。地域のコミュニティーの希薄化や共働きが増え、これまで地域や家庭で担っていた役割が、行政、特に地方自治体にしわ寄せされ、行政の現場、特に小さな自治体においては多忙化が深刻な状況です。近年では地域の貢献や社会課題に取り組む企業なども増えてきましたが、まだまだ足りていないという状況です。

 そのような中で、公益法人の意義は今後ますます増えてくると思いますが、まずは、政府がどのように認識しているのか、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、社会的課題の解決には、機動的できめ細やかな対応が難しい行政や、利潤の獲得を目的とする営利企業のみでは限界があるというところがありまして、公益法人を始めとする民間の非営利部門の役割が重要でございます。

 公益法人は、明治の制度創設以来、地域社会の発展、青少年の健全育成、福祉、学術、芸術文化など、社会のあらゆる分野において、民間公益活動の主たる担い手として活躍をしてまいりました。

 少子高齢化、地域社会の疲弊、環境問題など、対応すべき社会的課題は複雑化し、日々新たな課題が生まれております。公益法人には、これまで以上に、多様な社会のニーズに柔軟かつきめ細やかに対応して、社会的課題の解決に取り組んでいただきたいと考えております。

住吉委員 共通認識は一緒かなと思っております。営利目的の企業さんではなかなか手の届かない、あれもこれも行政がやるというのは、お金もかかりますし、限界があります。そういった中で、公益法人を始め、一般社団であったり、財団、またNPO、こういったところも、地域の課題を解決といいますか、取り組んでいく上では、非常に重要な存在、これからも非常に重要なプレーヤーになっていくわけでございます。

 しかし、そういった団体は、行政からの補助金頼み、これだけではなかなか持続的な運営は難しく、これから特に少子高齢化が進む中で、自治体の財政運営というのは一層厳しくなっていくことが予想されますが、そういうような状況では、急に補助金の打切りや削減、こういったことが発表されてもおかしくありません。実際にそのような事例というのは、私の地元でもありましたし、他の自治体でも見受けられます。

 その中で重要になってくるのが、民間の資金を活用することだと思っております。そして、鍵を握るのが寄附という文化です。我が党は、寄附文化醸成のための法案、公益法人等に対する寄附を促進するための税制上の措置等に関する法律案を昨年六月十五日に提出させていただきました。

 実際に、日本では、個人寄附というのは二〇一〇年で大体四千八百億円ぐらいでしたが、二〇二〇年では約一兆二千億円と、十年間で二倍以上、二・五倍と非常に伸びております。一方で、寄附文化が非常に盛んだと言われておりますアメリカなんかでは、二〇二〇年で三千二百億ドル、今のレートに換算しますと大体四十八兆円、約五十兆円と比べると、まだまだ伸びる余地があると言えます。

 さらに、日本の場合は、寄附額の五五%をふるさと納税が占めております。善意の寄附なのか返礼品目的なのかは分かりませんが、そういった状況になっております。

 一方で、ニュースなんかを見ますと、高齢者の方が余ったお金を何千万円と自治体に寄附したり、また、場合によっては匿名で何億円と寄附する、そういうニュースも散見されるようになってまいりました。日本の年間の相続額、これは年によってかなり大きくばらつきますが、ならすと年間約五十兆円程度あるわけです。さらに、寄付白書二〇二一には、遺産の一部を寄附したいと考える人、これは四二・三%ということになっております。

 寄附の文化を醸成していくことが社会課題解決の上で必要不可欠だと考えますが、政府の御所見をお伺いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 社会的課題の解決には、民間の非営利部門の役割がますます重要となってきており、その活動が国民や企業からの寄附によって広く支えられていくよう、寄附文化の醸成は重要な課題であると考えております。

 また、年間の個人寄附が、米国では約三十五兆円に対し、我が国では約一・二兆円であり、寄附市場がいまだ発展途上にあるとの指摘もございます。

 公益法人に対する国民の皆様からの更なる寄附を呼び込んでいくため、公益法人制度、公益信託制度をより使い勝手よく、かつ、透明性が高く、国民の皆様から信頼されるものに改革すべく、現在、法案の準備を進めているところでございます。

住吉委員 法案の方も、また別の機会にしっかりと議論させていただきたいと思います。

 実際に、寄附促進について、今現在政府が行っている具体的な取組があれば教えていただけませんでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公益法人に対する寄附税制ということでは、今の公益法人制度をつくったときに、現行の公益法人は全て寄附優遇税制の対象となりました。その後も、税額控除制度の導入など、寄附文化を醸成して草の根の寄附を集めやすくする、その方向での税制拡充というのを行ってきたところでありまして、現在、これらの制度改正もありまして、公益法人に対する寄附金額は増加傾向にございます。令和四年度ですと、公益法人に対する寄附金収入は約七千億円と、現行の制度が定着した二十五年度から比べますと三倍以上の伸びとなっております。

 ではありますが、委員御指摘いただいたように、まだ諸外国と比べると大分違うじゃないかということもございまして、今後、更に一層、公益法人に対する国民や企業からの寄附をより幅広く呼び込んでいくために、法案を準備しておりますが、具体的には、一つは、公益法人に係ります財務規律や行政手続を柔軟化して、より公益法人が機動的、積極的に社会課題解決の取組を行っていけるよう、そういった活動を促進していくこと。

 二点目としまして、こういった公益法人の成果を国民に分かりやすく可視化する、そういうインパクト測定の取組の普及促進ですとか、公益法人の法人運営の財務情報などを分かりやすく国民に開示していく、透明性をもっと上げていく、ガバナンスを向上させていくということ。

 そして、行政としましても、公益法人の様々な社会貢献的な活動の状況を国民に分かりやすく発信していくための情報のプラットフォームというのを今よりも整備していくこと。

 こういったことなどで、国民がもっと公益法人を応援したくなるような、寄附をしてプッシュしたいなと思えるような公益法人制度にすべく、改革を進めておるところでございます。

 また、先生の御指摘にもありました、御老人の資産の活用、民間の保有する資産をより公益的な活動に回していくということを促進していくためには、公益法人と併せて公益信託の制度も、今必ずしも活性化されている状況ではありませんが、これをより活性化していく制度、これも公益法人の制度の改革と相まって、同時に公益信託制度も、より国民に使ってもらえるような、使い勝手のよい、透明な、そんな制度にすべく、改革を進めておるところであります。

 これらの改革を実現するため、現在、所要の法案を準備しておるところでございます。

住吉委員 御丁寧に、本当にありがとうございます。

 様々な制度を使いやすくしていくこと、これは重要だと思っていますし、これから法案も出てくるということで、我々も、真摯に審議、また議論して、よりよいものにしていきたいと思います。

 一方で、いろいろな制度があって、一般の方々というのは、制度が使いやすいとかもあるんですけれども、単純に、例えば、自分の寄附したお金がこういうふうに使われているんだな、こういう社会の役に立っているんだなというところに私は喜びを感じるんじゃないかなと思っています。そういういろいろな、国民に分かりやすくPRするとか、情報のプラットフォームとか、そういったこともありましたので、しっかりとそういったところは継続していただけたらと思います。

 ちょっと制度の話もございましたので、次の質問に行きたいと思いますが、この寄附文化、これを醸成していくことは、公益法人、NPOも含めてですけれども、そういったプレーヤーが持続可能な活動をしていく上でも非常に重要ですし、それが社会の課題を解決する上で非常に重要だと思っております。

 先日、寄附文化を醸成するための維新の会の勉強会を開催させていただきました。日本ファンドレイジング協会代表理事で至善館大学副学長の鵜尾様をお招きして、いろいろな助言をいただいたところでございます。今後、この寄附文化を醸成する上で、税制の部分の制度改正も必要なのではないかという助言をいただきました。

 例えば、日本の場合、返礼品があったら寄附と認められません。一方で、自治体が行っているふるさと納税は、当然、返礼品があっても全額寄附控除を認めております。それだと、ちょっと整合性が合わないのではないでしょうか。

 また、海外の方に目を向けますと、イギリスでは、百ポンド以下の寄附であれば寄附額の二五%、また、百ポンドを超える場合には、超えた部分の五%の、返礼品があった場合でも寄附控除の対象となっております。また、アメリカの場合は、寄附金額と返礼品の市場価格相当額の差額分が寄附控除の対象となっております。

 日本では、一般に流通するような商業的価値を持つ物品やサービスなどを受け取らないこととされておりますが、実際の当事者なんかは、せめて返礼品を可能とするようにしてほしいというような声が上がっております。

 今後、寄附文化を醸成していく上でも制度を改正する必要があると思いますが、政府の御所見をお伺いいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきました、ふるさと納税との対比において考えるということに関してでございますが、ふるさと納税は、住所地の団体から寄附先の団体に実質的に個人住民税の一部を移転するという効果を生じさせるものでありまして、公益法人、公益的な法人に対する寄附促進、民間法人への寄附を促進するためにインセンティブをつける寄附優遇税制とは、ちょっとたてつけの異なる、生まれの異なる、別個のものとして創設されたというものであると承知しております。

 公益法人、公益的な法人への寄附とふるさと納税制度の関係において、同一的に整合性を持って議論すべきかというところについては、必ずしも並べて論ずることを求められているものではないのではないかと考えておるところでございます。

 御指摘いただきましたような、寄附の一定割合の返礼品を認めるという制度につきましては、現行の寄附税制の趣旨、寄附というのは対価性を持たない任意の提供である、利益の供与であるというふうに捉えておる寄附税制の趣旨ですとか、実際に返礼品によって寄附獲得の競争というのが起きたときに、その社会的影響というのはプラスマイナスいろいろあると思います。いろいろ検討事項はあると思いますので、こういったことを踏まえた慎重な検討が必要となろうと考えております。

 そういうところでありますが、最初に大臣からも申し上げたとおり、寄附文化を醸成していくということが重要なことであることは論をまたないところでありますので、国民からより幅広く公益的な法人に寄附を呼び込んでいけるような、制度をよりよくしていく改革を進めてまいりたいと思います。

住吉委員 ちょっとふるさと納税の例を出したので、別に、ふるさと納税とはもちろん性質が違うわけですので、そういうつもりはございませんが、例えば、最近ですと、クラウドファンディングとかでも、ちょっとしたもののお返しといいますか、返礼品に近いようなものがあると思います。そういった形で、応援したいところに市民が、国民が寄附をしやすくする一助になるんじゃないかなと思っています。

 ふるさと納税、最近では、返礼品の過熱状況みたいなことも一部、一部というか問題になっている自治体もたくさんあるので、そうならないようにしていくことというのはもちろん必要ですけれども、やはり、寄附文化を醸成していく上で、出す側はほとんどその制度がどうこうというのは余り意識していないと思うんですね。そういった意味で、今後も検討を重ねて、よりよい寄附文化の醸成につなげていただけたらなというふうに思っております。

 今回質問していないですけれども、ほかにも、遺贈寄附の問題もございました、みなし譲渡課税問題であったり。また、特定の基金を設置することで、寄附をしても非課税になるんですけれども、例えば、絵画をもらっても、それを売って使うこととか、土地をもらっても、それを売って運用に使うとか、そういうことがしにくいというような意見もございました。これは本当に税制の関わるところなので、ちょっと担当省庁がまた別になってしまうので、情報共有といいますか問題共有の、シェアということで、御紹介をさせていただきました。

 次に、寄附する側の教育、いわゆる金融ケーパビリティー教育についてもお伺いしたいと思います。

 岸田総理、施政方針演説でもありましたが、二千兆円を超える日本の個人金融資産を国民所得の伸びと稼ぐ力に役立てるために、年初から抜本的に拡充した新NISA制度がスタートしました。これは施政演説の中でもありましたが。

 金利が高い時代は、投資せずとも、貯蓄することによって資産形成することが可能でしたが、低金利時代に突入して、自身の資産運用を行う上で、金融リテラシー教育の重要性が叫ばれてまいりました。実際に、金融機関や生命保険なども、民間の、いろいろな小学校や中学校に出前講座を開いて、金融リテラシー教育の推進に力を入れているのは実際目にしてきました。

 また、別日に、我々、我が党の勉強会で、公益社団法人日本フィランソロピー協会の高橋様を招いて、寄附文化の醸成に向けてと題した講義をしていただきました。実際に、金融リテラシー教育、これは政策化されて進められている一方で、個人にとっての適切な金融行動を取ると同時に、公共善のためにお金を使い、社会そして未来の社会をよくするために役立てる金融ケーパビリティー教育についてはまだまだ進んでいないというのが実情であり、この教育の必要性を強くおっしゃっておりました。実際に、日本の教育の中で寄附について学ぶ機会というのは非常に少なく、寄附教育を受けたことのある人というのは五%程度とのことです。

 今後、寄附文化を促進し社会課題を解決していく上でも、こういった金融ケーパビリティー教育も進めていく必要があると思いますが、政府の御所見をお伺いいたします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、これまでも、日本銀行や金融業界団体等と連携をいたしまして、金融経済教育を推進してまいりました。その際には、最低限身につけるべき金融リテラシーを体系的に整理いたしました金融リテラシー・マップというのがございますが、これを踏まえて取り組むことが重要であると考えてございます。

 この金融リテラシー・マップと申しますのは、家計の管理、生活設計、適切な金融サービスの利用選択など、国民一人一人がより自立的で安心かつ豊かな生活を実現するために身につけるべき生活スキルが整理されております。金融リテラシーの向上によりまして、家計金融資産の有効活用等を通じまして、公正で持続可能な社会の実現に寄与するということとなっております。

 そして、この金融リテラシー・マップの中におきまして、寄附を含む自らの支出行為が社会にどのような影響を与え、社会にどのような貢献ができるかを考えてライフプランを考えることができるようになることということが考慮すべき内容として盛り込まれてございます。

 金融庁といたしましては、こうした点も踏まえて、国全体に広く金融経済教育の機会を提供できるよう、官民一体で取り組んでまいりたいと考えてございます。

住吉委員 是非進めていただきたいと思います。

 日本、古来から助け合いの精神といいますか、人間自体も一人では生きていけないわけで、そういった機運を醸成することというのが結果として社会課題の解決につながっていくかもしれない、そういうことを小さいうちからしていくだけで、この日本、大きく発展するものだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、済みません、最後に、こども未来戦略についてお伺いいたします。

 昨年十二月二十二日に閣議決定されたこども未来戦略において、かなり厳しい日本の今の現状が記載されております。急速な少子化、人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済社会システムを維持することは難しい、そして、人口減少が続けば、労働生産性が上昇しても、国全体の経済規模の拡大は難しくなると。

 このこども未来戦略ですが、将来的には三・六兆円規模の予算を投じて各種施策を進めていくということです。

 「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。」との出だしで始まるこども未来戦略ですが、出生率等の目標らしきものはございません。目標らしきものは、強いて言えば、終わりで述べられている、「少子化・人口減少のトレンドを反転させる」との記述ぐらいです。

 実際、どのような状況になれば、どういう状態になれば今の経済社会システムを維持していくことができると考えているのか、政府の見解をお伺いいたします。

工藤副大臣 住吉議員にお答え申し上げます。

 今、若干問いが重なっているんですけれども、経済社会システムと加速化プランの方の両方でよろしいんでしょうか。

 政府といたしましては、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望をかなえることを少子化対策における基本的方向としており、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることを目標としております。少なくとも、少子化のトレンドを反転させなければ、今の経済社会システムを維持することは難しいと考えています。少子化のトレンドを反転させていくということは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより希望がかなえられまして、その差が小さくなり、結果として出生率が向上していくと考えております。

 なお、今、出生率の数字が明記されていないということでありますけれども、これは様々、いろいろな考え方がございまして、読み上げればそれで終わりなんですけれども、私の考えといたしましては、やはり、私たちは人数が多い、当時、学級でも、同級生が三百人いた時代と、今、同級生がもう百人、小さな学校ではすごく子供が減っている、パイが違う状態を考えることと、その減った率、当時の結婚、出産の率を考えることは若干異なっていることでありますけれども。

 委員がおっしゃりたいのは、率をきちっと出さなければ国として目標設定ができないんじゃないかと考えておりますが、そのところは一概に、時代も変わってきておりまして、出生率一・幾つ、二・幾つというものを明確に示すということは、ちょっと今、いかがなものかとは考えております。

住吉委員 副大臣の思いは分かりました。

 人口減少というのは非常に大きな問題だと思っております。一方で、少子化、高齢化社会にも、もう実際に突入していると思っています。

 私も、昔、県会議員をさせていただいたときに、この課題に対して議会でもいろいろと議論してきたところなんですけれども、人口を増やしていく社会をつくって今のシステムを維持するのか、それとも、人口が減っていく前提で今のシステムをそれに合わせたように変えていくのか、そういったところをこれからしっかりと議論していかなければならない、そういう時代に来ているのかなと思っております。

 もう質疑時間が終了しましたので、これで終わります。ありがとうございます。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、まず最初に、国立女性教育会館について、加藤大臣にお尋ねをいたします。

 埼玉県嵐山町にあります国立女性教育会館の撤去、移転問題についてであります。

 国立女性教育会館は、男女共同参画社会形成を推進する役割を担い、広大な敷地に宿泊棟や女性、家族に関する専門図書館などを備えております。町民の方々も様々に関わっており、嵐山町民の誇りとなっております。しかし、昨年の十一月に、国は町に対して、現行施設を撤去、移転する旨の説明を行いました。

 昨年末に嵐山町の佐久間町長とお話をいたしましたけれども、佐久間町長は、女性教育会館はナショナルセンターとして機能強化されると認識していた、閉鎖をされれば町の魂が奪われてしまうような事態だ、それだけは避けたいと述べておられました。埼玉県や埼玉県議会も、撤去反対、存続の要望を上げております。

 嵐山町の国立女性教育会館は、機能と施設の拡充を図るべきであり、地元の声を受け止め、撤去、移転計画は是非撤回をしていただきたいと思いますが、お答えください。

加藤国務大臣 独立行政法人国立女性教育会館につきましては、現在、その機能を抜本的に見直し、強化し、内閣府が主導する男女共同参画社会の形成の促進に寄与するための新たな中核的組織として整備することとしております。

 機能強化の在り方につきましては、男女共同参画会議の下に開催したワーキンググループの報告書において、「現在の研修棟や宿泊棟といった施設の在り方についても、今後検討していくことが必要である。」とされており、検討に当たりましては、同会館が所在する埼玉県及び嵐山町と丁寧に相談を進めているところでございます。

    〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕

塩川委員 国立女性教育会館について、ハードからソフトへなどということで、検討会などで言われているんですけれども、大いに、ソフト面の拡大というのは非常に重要で、特に、法案、検討中のものが出されていますように、やはりナショナルセンターとしての役割もある。センター・オブ・センターズとしての役割も是非持ってもらおう、そういった形での機能強化を図るというのは重要な方向だと考えております。

 その際に、様々なソフト機能を強化すると同時に、やはりハードとして研修、宿泊施設を持っていること自身に大きな意味もあるんだ、そういった際に、嵐山町においてその機能強化を図るんだ、この点は是非ともはっきりさせて取り組んでいただきたいと思うんですが、改めて、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 現在の施設につきましては、啓発や研修等について、今後対象とする層の拡充を図っていくに当たりまして、オンラインを活用した実施のニーズの増加が見込まれることや、ハードの施設がソフトの施設を圧迫しているという現状があり得るということに鑑み、施設の見直しの必要性について検討をしているところでございます。

塩川委員 ですから、オンラインなんかは是非大いにやってもらって、そういう研修もあるわけですけれども、実地の研修、宿泊研修なども当然有効に活用してきたわけですから、そういう点での取組を是非とも進めてほしい。今、宿泊施設なども、少人数な場合にはそもそもお断りするような実態というのが現場にあるんですよ。これじゃ利用促進すら進まないんじゃないのか、こういう問題なんかも、声も上がっているわけですから、是非、ソフトとともにハードもということでの、嵐山町における拡充強化を求めたいと思っています。

 国立女性教育会館の取組、例えば、災害とジェンダーの問題などにつきましても、非常にこの間も研修などにも取り組んでおられて、そういう意味では、まさに能登半島地震でジェンダーの視点での取組が強調されているときに、本当に力を発揮をしている、そういった機関になっております。今の場所でそういう役割を是非とも果たしてもらいたいと思っております。

 オンラインとかアウトリーチを大きく進めたいとおっしゃっているのは当然で、そういったことをこの嵐山町で、宿泊、研究施設を伴う形で行ってもらうことこそ求められていると思います。その上で、是非、地元の声を受け止めた、撤去、移転計画は撤回をして、現地での存続、機能強化を求めたいと思います。

 この国立女性教育会館について、政府は法案も準備しております。その際に、今は独立行政法人なんですよね。それを、ジェンダー平等の遅れが顕著なこの日本だからこそ、この国立女性教育会館は、独立行政法人ではなくて国直轄の機関として運営を行っていくべきではないのか、位置づけるべきではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国立女性教育会館は、昭和五十二年に文部省の附属機関として設置をされ、平成十三年四月に独立行政法人化をされております。

 機能強化後の法人におきましても、国が自ら主体となり直接に実施する必要がない業務を持たせることに変わりはないため、国の機関とすることは、現在のところ検討をしておりません。

 機能強化後は、男女共同参画に関する施策を総合的に進めるナショナルセンター、全国各地の男女共同参画センターを支援するセンター・オブ・センターズの機能を担わせることを目指してまいります。

塩川委員 国立女性教育会館は、非常に大きな役割を果たしていたにもかかわらず、独立行政法人という形態にあるがゆえに、何度も廃止や統廃合、この議論の憂き目に遭ってきた、対象にされてきたところであります。その点では、かつて独法化をした消防研究所については、やはりその役割が極めて重要だということで、消防庁に統合して国の機関に戻した、こういう例もあるわけであります。是非、国立女性教育会館は国の機関として位置づけるべきだ、このことを改めて求めておくものであります。

 加藤大臣については、ここまでで結構でございます。

 続けて、自民党の派閥裏金問題について、林官房長官にお尋ねをいたします。

 林長官にお尋ねしますが、自民党が国会に聞き取り調査に関する報告書を出しました。この聞き取り調査に関する報告書について、これで全容解明はされたと言えるんでしょうか。お答えください。

林国務大臣 昨日ですが、自民党における外部の弁護士を交えた関係者への聞き取りによりまして、その結果が弁護士のチームにより報告書として取りまとめられたものと承知をしております。

 党の調査につきまして官房長官の立場でコメントすることは差し控えますが、岸田総理は、自民党総裁として、説明責任が今回の聞き取り調査や政治資金収支報告書の修正をもって果たされるというものではないこと、さらに、今後とも、あらゆる機会を捉えて、国民の信頼回復に向けて関係者には説明責任を果たしてもらわなければならないし、党としても求めていくこと、こう述べられておるものと承知をしております。

 こうした方針に沿って引き続き対応していくものと考えております。

塩川委員 林長官御自身も自民党の一員でもあります。そういう意味ではまさに関係者で、岸田派は解散をしたという話がありますけれども、そこで座長というお立場で、取りまとめにも関わっておられたわけであります。

 そういった立場から見て、岸田派においても三千万の不記載も出ていたわけですよね。こういったことについて、派閥の一員でもあった、その幹部でもあった林長官としてこの報告書をどう受け止めているのかというのは、一人一人が説明責任を果たすという点では、当然のことながら林長官としても説明すべきではありませんか。改めてお答えください。

    〔鳩山委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 官房長官の立場で報告書の内容についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、国民の政治に対する不信の声、これを真摯に受け止めて、引き続き、関係者において適切に説明責任を果たす、このことが重要だと考えております。

塩川委員 自民党議員として、岸田派の派閥の構成員だった林議員として、岸田派のこの三千万の不記載の問題についてはどのようにお考えですか。

林国務大臣 私の所属しておりました宏池会についてのお尋ねですが、パーティー関連の収入につきまして、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留する、こうした事務手続を取っていたほか、銀行への入金履歴を手書きで転記する際に転記ミスを起こして収支報告書への記載が漏れることもあった、こういうこと等から不記載が生じたというふうに報告を受けております。

 会計責任者の不確かな会計知識等に基づくものではありますけれども、結果として政治資金収支報告書に多額の不記載が生じるという事態を招いたことについて、宏池会座長の立場にあった者として遺憾であるというふうに受け止めております。

塩川委員 この間、岸田総理と、自民党総裁の立場、もちろん宏池会の領袖としてのお立場だったというのも含めてやり取りをしてきましたけれども、宏池会の座長としてお答えいただきましたので、重ねて岸田派、宏池会についてお尋ねしますけれども。

 例えば、こういった派閥のパーティーについて、いわゆるノルマを設けていたというのは今回の報告書でも書かれているところですけれども、宏池会においては、このパーティー販売のノルマというのはそもそも幾らだったのか。例えば、林官房長官御自身は、ノルマは幾らだったんでしょうか。

林国務大臣 宏池会におきましては、達成できなかった場合にペナルティーが科されるといったような意味でのノルマといったものは、そうした厳格なものは設けておらず、議員ごとに緩やかな努力目標があったと承知をしております。

 座長はどうだったんだ、こういうお尋ねでございますが、私の場合は、座長という立場であり、最大限対応するというふうにされておりましたが、一応の目安としてパーティー券百枚というものがあったと認識をしております。

塩川委員 百枚というのは、金額ということでは二百万円ということでよろしいんでしょうかね。

林国務大臣 一枚二万円でございますので、二百万円でございます。

塩川委員 例えば一期生、二期生のような若手の方などは、これは幾らぐらいなんでしょうか。

林国務大臣 今手元に詳細なものを持ち合わせておりませんが、閣僚経験があるかないか等によって、いろいろな、緩やかな努力目標があったのではないかというふうに思っておりますが、したがって、私よりも目標は低かったんだろうというふうに思います。

塩川委員 岸田総理の答弁の中で、岸田派について、パーティー収入については基本的に全て銀行口座に入金しているという話がありました。

 宏池会のパーティー収入については、毎年毎年派閥のパーティーごとに専用口座を作っているということなんでしょうかね。

林国務大臣 宏池会による政治資金パーティーにおきましては、パーティー関連収支、これを明確に区分する観点から専用口座を設けていたところでございます。

 また、年ごとではなくて、パーティー専用の口座を恒常的に設けていたところでございます。

塩川委員 そうしますと、宏池会のパーティーの収支を扱う口座、専用口座があって、毎年毎年、そこにお金も入り、そこから出ていく。ただ、この口座であれば派閥のパーティーの出入りのお金だというのがはっきりしている、そういうことでよろしいですかね。

林国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

塩川委員 その場合に、どの議員の紹介によるパーティー券か不明な分について、これを別にしていたというふうな答弁があるんですけれども、誰の紹介か分からない不明分については別にしていた、その不明な金額の内訳を教えていただけますか。

林国務大臣 不記載金額の内訳ですが、二〇一八年の政治資金収支報告書に係るものが七百六十四万円、二〇一九年の政治資金収支報告書に係るものが八百四十一万円、二〇二〇年の政治資金収支報告書に係るものが八百九十六万円であったと認識をしております。

塩川委員 元々派閥パーティー収入について不記載だったものが三千五十九万円で、二〇二〇年八百九十六万円、二〇一九年が八百四十一万円。三千五十九万円の内訳として、二〇一八年に千三百二十二万円だったんですけれども、今のお答えの七百六十四万円との差は何なんでしょうか。

林国務大臣 寄附の取消し要請というものがございまして、五百五十八万円でございます。したがって、略式起訴に係る千三百二十二万円から五百五十八万円を引きまして七百六十四万円、こういうことでございます。

塩川委員 それぞれの金額について、内訳ということなんですけれども、不明分についてどういうふうな、要するに、入金した団体があるわけですよね。それごとの区分が当然あるわけですけれども、そこを教えてもらえますか。

林国務大臣 お尋ねの趣旨が必ずしも理解できているかどうかちょっとあれでございますが、先ほど申し上げたような、どの議員の紹介によるパーティー券か不明な分が、それぞれ、先ほど申し上げたような年ごとにあったということだと思います。

塩川委員 では、その前の段階の話として、どの議員が集めたお金か分からないといった部分があるということなんですが、どの議員か特定というのは、例えば議員ごとのナンバーとかがあって、それが入金の際に記録をされるという形ではっきりしているということでよろしいですか。

林国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、達成できなかった場合のペナルティーが科されるようなノルマというものがございませんで、議員ごとに緩やかな努力目標がありました。

 その上で申し上げますと、パーティー券がどの議員との関係での売上げであるかは、振り込み時にパーティー券の番号を記載いただいたり、当該議員事務所がまとめて振り込みをしてくることなどにより、事務局において確認していたと承知をしております。

 ちょっとその内訳については手元に数字はございません。

塩川委員 是非改めて内訳を教えていただきたいと思います。

 それで、派閥の中では、各議員の、緩やかな努力目標と言っている、いわゆるノルマの基準を達成したかどうかの確認というのは、具体的には誰がどのように行っていたわけなんですか。

林国務大臣 先ほど、ちょっと最後の方に申し上げましたけれども、振り込み時にパーティー券の番号を記載いただいたり、当該議員の事務所がまとめて振り込みをしてくることなどにより、事務局において確認をしていたということでございます。

塩川委員 この点について改めて精査してお聞きもしたいと思うんですが、そもそも、この収支報告書の不記載となっていた三千五十九万円の内訳について、二〇一八年が千三百二十二万円、二〇一九年が八百四十一万円、二〇二〇年が八百九十六万円と岸田総理は答弁されました。

 この二〇二〇年の収支報告書の訂正では、本年の収入額に八百九十六万円が追加をされています。前年からの繰越額については一千六百五万円増加をしています。一八年、一九年の不記載分の合計は二千百六十三万円なんですが、二〇二〇年の前年からの繰越額というのは一千六百五万円で、五百万円以上違うのは、これはどういう理由なんでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、二〇一八年分、これは五百五十八万円が寄附の取消しということでございまして、略式起訴に係る千三百二十二万円からこれを引いた額が七百六十四万円、これが先ほど申し上げましたような、どの議員の紹介によるパーティー券か不明な部分について別にしていた、こういう部分でありますので、そこを差引きすると先ほどのような数字になってくるということであろうというふうに思います。

塩川委員 先ほどの取消し要請は五百八十四万で、今の私が言った差額が五百五十八万で、若干違うんですが。

林国務大臣 さっき間違えて言ったかもしれませんけれども、五百五十八万円です。

塩川委員 改めて事実関係を確認したいと思います。

 最後に、岸田派のパーティーのことですけれども、二〇二〇年の収支報告書の訂正では、派閥のパーティー収入額が八百九十六万円増加しているのに購入者数は二千二百十八人のままで変わらない点について質問しましたら、総理は精査を続けていると答弁されましたが、これはどうなったか、教えていただけますか。

林国務大臣 お尋ねの人数につきましては、精査を続けているところと聞いております。

塩川委員 精査を続けるという質問でもう一か月ぐらいになっているんですけれども、こういう点でも、本当に全体像が明らかになっているのか、そうはとても言えないということがあると思います。

 そういう点でも岸田派としての説明責任を尽くされていないということを申し上げなければなりませんし、昨日自民党が出した報告書そのものも極めて不十分なものであって、実際には、中身を見ても、誰がいつか始めたのかも全く明らかになりませんし、使途についても、いろいろ項目は挙げられていますけれども、何で安倍派の参議院議員改選組がその年だけ金額が多いのか、選挙に使ったんじゃないのか、こういうことについて何らのコメントもないわけで、こういった問題についての徹底解明が求められる、このことを改めて申し上げておくものであります。

 それでは、安倍派の派閥裏金問題について、清和研に所属をされておられました塩崎政務官、石井政務官、松本政務官にお尋ねをいたします。その順番でそれぞれお答えいただければと思うんですけれども。

 昨日、聞き取り調査に関する報告書が出されました。御覧いただいていると思います。今回、この聞き取りに当たって、聞き取りの対象になっていたかどうかという事実関係の確認と、あわせて、報告書の内容をどのように受け止めたのか、所感をお答えいただけますか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 私自身は聞き取りの対象とはなっておりません。

 報告書については、まだ全体を熟読するには至っておりませんけれども、今回の事案についてのヒアリング結果を基に、弁護士の先生方が客観的な観点から評価をされたものと認識しております。

 以上でございます。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどの答弁にも同じでございまして、私も聞き取り調査の対象とはなっていないところでありますので、よって、聞き取り調査は受けていないということの答えにもなります。

 よろしくお願いします。(塩川委員「報告書の感想、受け止め」と呼ぶ)報告書の受け止め。

星野委員長 一応、委員長を通してください。

石井大臣政務官 はい。

 報告書の私自身の受け止めについては、あらましは拝見させて、読んでおりますけれども、特段、そういうことかなという点だけで、特に感想はございません。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 私は、聞き取りは受けておりません。

 報告書の感想につきましては、昨日、私もざっと目を通させていただきましたけれども、やはり、同じ清和研の人間としては非常に残念なことだなというふうには思っております。幾つかの批判等々も出ていたようでございますけれども、若手の人間としてはもっともなことだろうというふうに思いました。

 以上です。

塩川委員 次にお尋ねしたいのが、この清和研、安倍派のパーティーについてのノルマのことなんですけれども、お三方は二〇二一年の当選ですので、二〇二一年の十二月にもパーティーがあるんですけれども、二〇二一年の十二月、二〇二二年の五月、二〇二三年の五月と派閥のパーティーが三回あるんですが、その際に、それぞれノルマを持って取り組まれたのか、その額が幾らか、この点を教えてもらえますか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 二〇二一年の当選以降ですので、派閥のパーティーとしては、私の理解としては二回というふうに理解しております。

 それぞれにおいて販売目標というか努力目標みたいなものはお示しがあったように記憶しておりますけれども、そのつぶさな中身については、これは政策集団の内部事務に関することでございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 ノルマの額、是非お答えいただきたいんです。だって、林さんもお答えになっているんですから。しっかりとお答えいただけますか。

塩崎大臣政務官 販売目標の具体的な金額については、これは政策集団の内部事務に関することでございますので、答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、私の政治資金につきましては、全て法にのっとって適正に処理をしているものでございます。

塩川委員 何で言えないんですか。だって、皆さんは目標を持ってやっているんでしょう。適正にということをおっしゃっておられるのであれば、基本、透明性を確保することこそ政治の信頼、土台ですから、そういった点では、まず、入口である販売目標、ノルマの金額、言っていただけませんか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 政治資金規正法上の透明性という観点から、派閥のパーティーの売上げにつきましては、これは公開を法にのっとってさせていただいているものでございます。

 また、私の政治資金につきましても、これは法にのっとって適正に処理をさせていただいているものでございますので、お答えとしては、派閥の具体的な販売努力目標ということについては差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 済みません、では、石井政務官、松本政務官は、その点、ノルマはどうだったのか、教えてもらえますか。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 いわゆる派閥、政策集団から努力目標のものはもちろん提示されたということはありますけれども、同じく、やはり政策集団の内部事務に関わることでございます。回答を差し控えさせていただきたいと思います。

松本大臣政務官 お尋ねにつきましては、私も同じ、努力目標というのは提示されたことがございました。その中身については、今の答えと同じになりますけれども、少なくとも、林官房長官の数よりは多くなることはないということだけは言えると思います。

 ありがとうございます。

塩川委員 いや、全く納得いきませんね。初歩の初歩の話じゃないでしょうか。内部事務に関わること、回答を控えたい。だって、派閥はないんでしょう。要するに、清和研を解散と言っているわけじゃないですか。何でそんなに縛られるんですか。おかしいじゃないですか。内部事務という、清和研そのものがなくなるというときに、何でそこにこだわる必要があるんですか。ちゃんと答えてください。

 では、塩崎さん、どうですか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、販売目標というものはございましたが、私の政治資金につきましては、法にのっとって全て明らかにしているところでございます。

 そのほかは先ほど申し上げたとおりでございます。

塩川委員 内部事務に関わることなのでお答えは差し控えたいということについて、いや、内部事務といっても、清和研そのものがなくなるわけですから、何でそこにこだわるんですか。

 三人そろって同じようなことを言うということは、これは口裏合わせをしているということになるんじゃないですか。組織的にこういったことについて公表しない、後ろ向きの姿勢だ、そういうことを自ら語るということになるんじゃないですか。そのことが政治不信を拡大することになるということをしっかりと受け止めるべきじゃありませんか。

 そういうことを、じゃ、もう一回、塩崎さん、どうですか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 私のお答えの仕方が何か十分誠実に伝わっていなかったんだとしたら大変申し訳なく思いますが、我々三人、同じ一回生でございまして、同じグループに属していたものでございますから、同じ質問について同じ答えになるのはやむを得ないところかということで御理解をいただければというふうに思います。

塩川委員 内部事務だからお答えは差し控えたいという、そういう指導、指示が派閥からあったということなんですか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 今、誰かから指示があったのかという御質問がございましたが、特段そういう指示はいただいておりません。

 以上です。

塩川委員 こういうことだってまともに答えられないような話で、国民の信頼を回復することはできないということは強く受け止めるべきであります。納得するものではありません。

 関連することがありますので、ほかの点でお尋ねしますけれども、こういった販売目標、ノルマを超えた部分については派閥から還付されるという、いわゆるキックバックの仕組みがあるということについては、お三方は承知しておられたのか、その点。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、私は、政治資金につきましては全て法にのっとって適正に報告をしておりますので、いわゆる還付金のありやなしや、そういったことについての特段の認識はございません。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 私自身は、先ほどの還付金の話でございますけれども、特段認識しているものではありません。

松本大臣政務官 お答えをいたします。

 私も、還付金はいただいておりませんでしたので、その時点で、いわゆる還付金の仕組みがあるかどうかということについては承知をしておりませんでした。

塩川委員 その時点では承知していなかったと。今はそういう仕組みがあるということは御理解をしているということですか。

松本大臣政務官 既に報道等の、こういう状況でございますし、昨日も党から報告書がありましたので、現時点で、そういったものがあったということについては、皆様承知しているとおり、同じように承知をしているところです。

塩川委員 昨日出された報告書の中でも、還付金の仕組みあるいは留保金の仕組みという格好で、実際に不記載になるような仕組みについて書かれたところが出ていたわけであります。

 そういったことについて違法性が問われていたわけですけれども、今の認識で結構ですから、派閥としてパーティー収入の一部を不記載にしていたということについて、違法性があった、そういうことは受け止めておられますか。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えします。

 私個人としては、政治資金につきましては適正にこれまでも処理をしてまいりましたが、昨日報告書も公表されましたとおり、所属していた清和政策研究会において、こうした還付金の問題、そしてその不記載の問題等があったことにつきましては、これは、その一員として残念に思っているところでございます。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどの違法性というお話で、そういう認識ももちろん、つまり、収支報告書に派閥としての記載がなかった点、そして修正をした点、そして各皆さんがそれに基づいて修正をしている点についてでございますので、それは、不記載ということであれば違法性を、だということで、私も承知しております。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 ほかのお二方とも同じ感想でございますけれども、基本的に、違法性があるということは、この事態を知って初めて、こういうことがあるんだなということで認識をした次第で、それ以前については、適正に私自身は処理をしておりましたので、何も分からなかったというのが正直なところでございます。

 ありがとうございます。

塩川委員 三人は、一応不記載がないということでありますので、そういう点での政治資金規正法の違法行為ということに直接携わるということは、今回の件については指摘はされていないところでありますけれども、しかし、派閥全体が大きく疑われているわけなんですよ。そういったことについて、きちんとその問題について明らかにして本来の信頼回復の道があるわけですから、今のような答え方を続けたとしたら、安倍派はずっと裏金問題について隠し続けるのか、こういう批判を浴び続けるのは必至じゃありませんか。そのことについて、これでいいのかというのが厳しく問われるわけであります。

 そういう点でも、二〇二二年、二〇二三年、安倍さんが会長に就いた、その際に、このキックバックの仕組みの変更の話があったということが報道されておりますし、幹部の方々の中でも若干そういうやり取りのことが紹介されているんですけれども、この二〇二二年、二〇二三年の派閥パーティーの際に、キックバックの仕組みの変更に関して派閥側から指示があったのか、文書とかメール等が出されたのか、こういうことについての認識をお伺いします。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えします。

 そのような事実は承知しておりません。

石井大臣政務官 私も同じくですけれども、書面、メールというのも覚えがなく、また、聞き漏らしておったら申し訳ないですけれども、私としても、キックバックの仕組みの変更ということについては認識しておりません。

松本大臣政務官 私も同様に、そのような変更に関してというか、そもそもそういう仕組みがあるということは存じませんでしたので、派閥から指示があったということについては全く存じ上げません。

塩川委員 是非、事務方も含めて、事実関係がどうかということは明らかにしていただきたいと思います。

 最後に、今回の報告書の中でも、幹部の責任を問うような声なんかも紹介をされておりました。お三人には、安倍派の裏金問題に対する対応について、派閥の幹部の対応について、どう受け止めておられるかをそれぞれお答えください。

塩崎大臣政務官 塩川委員の御質問にお答えいたします。

 今回の問題、私自身は政治資金の報告については適正に行っておりましたけれども、先ほど申し上げたとおり、所属していた政策集団においてこのような問題が起きてしまったことを大変残念に思っておりますし、そうしたことによって国民の皆様に政治不信を招いてしまっていることを大変申し訳なく思っているところでございます。

 それぞれが、国会議員でございますので、ほかの人がどうこうというよりは、自分がまず、政治不信の解消のために何ができるか、そういったことをしっかりと考えて行動してまいりたいと思っております。

石井大臣政務官 お答えします。

 派閥の幹部の責任という御質問でございますけれども、まず、私自身、所属していた集団、政策集団における派閥の幹部の責任をどう私が思っているかどうかということは、この場でお答えすること自体を差し控えさせてはいただきたいと思っておりますし、派閥の責任については派閥の責任の中で、今後についても考えていただきたい点だと思っております。ここでお答えするのは差し控えさせていただきたい、そう思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 リーダー論については、いろいろ思うところ、たくさんございますけれども、ここでそれを披瀝するのは差し控えたいと思います。

 ただ、少なくとも、個々でいろいろな判断があって、個々でいろいろな事実があるんだろうというふうに思います。それを明確にしていくということは必要だろうというふうには思っております。

 以上です。

塩川委員 極めて残念な答弁であります。やはり国民がこれだけ怒っているときに、その批判の中心となっている安倍派における裏金問題について全容解明をするという立場に立っていないということでは、国民の不信が拡大するだけであります。

 改めて、厳しくその問題を指摘するとともに、今後是非しっかり答えていただきたいということを重ねて申し上げて、お三方はここで退出していただいて結構であります。

 それで、最後に、官房機密費について林長官にお尋ねをいたします。

 内閣官房報償費、この官房機密費の定義についてなんですけれども、私が承知しているところでは、国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり、具体的な使途が特定されない段階で国の会計からの支出が完了し、その後は基本的な目的を逸脱しない限り、取扱責任者である内閣官房長官の判断で支払いが行われるとともに、その使用は、内閣官房長官という政治家によるすぐれて政治的な判断の下で決定されるものということで承知をしておりますが、こういうことでよろしいでしょうか。

林国務大臣 今委員から御指摘をいただいた定義は、この内閣官房報償費に関する開示請求訴訟の大阪地方裁判所判決における国主張の定義である、こういうふうに認識しておりまして、まさに、少し短く言えば、言うものがあるのでございますが、そういうものということで承知をしております。

塩川委員 ここに、機動的に使用するとあるんですけれども、この機動的に使用するということの意味するところはどういうところなんでしょうか。

林国務大臣 内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて、内閣官房長官のその都度の判断で使用する、そういった趣旨でございます。

塩川委員 その都度の判断で使用するという話です。

 それで、官房機密費には三つの類型があります。政策推進費、調査情報対策費、活動関係費という三つであります。そのうちの政策推進費については、内閣官房長官が政策を円滑かつ効果的に推進するために機動的に使用するものであり、官房長官が自ら出納管理を行い、直接相手方に渡す経費ということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 今御指摘のありました政策推進費でございますが、施策の円滑かつ効果的な推進のため、内閣官房長官としての高度な政策的判断により、機動的に使用することが必要な経費であり、内閣官房長官が直接相手方に支払うものとして取り扱われております。

塩川委員 機動的にという話をお聞きしましたけれども、官房機密費については、年度末には多額の支出が行われて、ほぼ使い切っているんですね。十二億三千万の官房機密費ですけれども、使い残しの、いわゆる返納額というのが、二〇二〇年度で見ると、残った金額というのが十三万六千三百七十一円、二一年度が十九万九千百七十四円、二二年度が十七万四千四百六十二円というので、ほぼ全額使い切っているわけです。機動的にという、官房長官がその都度の判断で使用するというのを考えたときに、こんなにきれいに使い切るというのは全く納得がいかないんですが、これはどういうことなんでしょうか。

林国務大臣 先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正で効果的な執行を行っているところでございます。

 国民の不信を招くことがないように、適切な執行に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 毎年度毎年度ほとんど残額が出ないで使い切るというのは、もう最後はつかみ金として引き出したとしか思えないような、これについてのまともな説明がされないような状況で来ているのが官房機密費の実態だということを申し上げなければなりません。

 そこで、内閣官房報償費のうち、その支出に占める政策推進費の割合、三つの類型のうち、政策推進費の全体に占める割合が幾らになるのかを、菅義偉官房長官、加藤勝信官房長官、松野博一官房長官の、それぞれが官房長官に就いていた時期ごとに示していただけますか。

林国務大臣 内閣官房報償費に占める政策推進費の割合について、過去五年分で申し上げますと、菅官房長官の期間は九一%、加藤官房長官の期間は九五%、松野官房長官の期間は九六%でございます。

塩川委員 ですから、政策推進費というのは、まさに官房長官の判断で行われる支出であって、自ら出納管理を行い、直接相手方に渡す経費というお金であります。そういう割合というのが全体の九割以上を占めているというのが官房機密費だ。その官房機密費の支出においても、菅さんのときが九一%、加藤さんが九五%、松野さんが九六%と、どんどんどんどん高くなっている。

 こういう不透明なお金が、どんどん比重が増しているということが、これはおかしいんじゃないかと思うんですが、官房長官、いかがですか。

林国務大臣 内閣官房報償費の性格については先ほど申し上げたとおりでございますが、政策推進費の割合、また、過去の官房長官の比較について述べるということは差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、内閣官房報償費は、取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正で効果的な執行を行っているところでございます。

塩川委員 闇金とも言える、こういった政策推進費の割合が高くなり、一層不透明なお金の使い方が問われるというところであります。

 会計検査院にお尋ねします。

 会計検査院は、官房機密費についてどのような検査を行っているのか。実地検査は年二回やっているとかということなんですけれども、簡単に、官房機密費についての検査の内容についてお示しください。

佐々木会計検査院当局者 お答えいたします。

 内閣官房報償費の検査は、内閣官房の会計経理についての検査の一環として実施しております。

 検査に当たりましては、計算証明書類として提出される支出決定決議書や、取扱責任者の領収証書、支払い明細書等について検査したり、役務提供者等の領収証書等の関係書類の提示を受けたり、関係者の説明等を受けたりするなどして検査を実施しております。

 以上です。

塩川委員 時間が来たので終わりますけれども、政策推進費について官房長官に直接ただすようなことがあるのかといった点についても明らかになっていないわけであります。

 この間、実際に官房機密費が何に使われたのか。政治家に渡していた、評論家に渡していた、マスコミ関係者に渡していた、こういう格好での、政策買収や世論誘導が疑われるようなお金の使い方はきっぱりやめるべきであります。

 官房機密費の使用の実態を国民と国会の前に明らかにする、機密費の党略的、私的な流用はやめよということを申し上げて、今日は終わります。

星野委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 最初に、能登半島地震で命を失われた方々に対して心からお悔やみを申し上げますとともに、いまだ困難な生活を強いられている被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 最初に、この地震のこと、能登半島地震についてお伺いをしたいと思います。

 本年の元旦にこの地震が発生をして以来、政府、自治体、そして自衛隊、警察、消防など、指定公共機関の皆さんの献身的な御尽力にまずは心から敬意を表したいと存じます。

 中でも、この間、被災者の救助、救援活動において、あらゆる面で自衛隊が大きな役割を担ってきたと思われるわけでありますが、一方で、災害時に、本来国防を主要任務とする自衛隊にばかり頼っていくというのも私は限界があるのではないかというふうにも感じています。例えば、有事と自然災害が同時に発生をするというようなことも想定をしておかなければいけないと思うので、自衛隊の今の定員と実員のマンパワーというもので本当にこれが足りるのかどうかという危惧を常々持っています。

 人口減少や、最近の高卒生全体の求人倍率が極めて今上昇しておりますので、こういうことを考えますと、定員と実員、そしてその充足率というんでしょうか、ここに対する考え方を、私は今後の方針として、やはり今の時代にしっかりと合わせていく、そのための早めの対策を立てていくべきと考えますが、どのように思われますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の定数は、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等においてあるべき自衛官の人員数を積み上げたもので、現在、二十四万七千百五十四人であり、防衛力整備計画ではこの総定数を維持することとしています。

 少子化や労働人口の減少により我が国が人手不足社会を迎える中でも、必要な人員を確保し、自衛官の充足率を一〇〇%に近づけていくことが自衛隊の体制強化の観点から重要だと考えております。このため、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じてきております。

 加えて、令和六年度予算案以降は、自衛官の定数分の人員を確保すべきであるとの観点から、これまで実質的に採用の制約となっていた、定数の範囲内で定めていた予算上の上限人員数、実員を廃止することといたしました。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、防衛力を発揮するに当たっては必要な人材を確保することが必要不可欠です。このような取組を通じ、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努め、自衛隊員の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいります。

高木(啓)委員 是非そのようにお願いしたいと思います。

 私は、長年、東京地方協力本部の自衛官募集相談員をやっていますので、その実情についてはよく存じ上げているつもりであります。ですから、今の答弁のように、万全を期すように頑張っていただきたいと思います。

 次に、災害時に、被災者の避難所生活において様々な不便があると思いますが、特に、一人一人の健康を考えたときに、日常的に飲んでいる薬の問題というのは極めて深刻だというふうに思っています。

 能登半島地震では、特に奥能登地域を中心に、発災直後の輸送道路の崩壊あるいは不通などによって、薬の供給がスムーズにいかなかったというふうにも聞いております。ましてや、今は全国的に薬不足が深刻と言われておりまして、被災地でなくても、必要な人に必要な薬が供給できないということもあるというふうに聞いています。

 災害発生後の避難所において薬の供給を十分に行える体制をつくるには、やはり、国、自治体、そして薬剤師会を始めとする薬を扱う業界団体の皆さんともよく協力をして、どのような仕組みをこれからつくっていく必要があるのか、政府の見解を伺います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 今回、発災直後から、厚労省、石川県庁、現地の卸売業者などが連携し、必要な医薬品を供給できるよう努めていたところでございます。

 ただし、御指摘のように、発災直後は、道路の状況や悪天候などにより配送に相当の時間を要していたところでございまして、しかしながら、現地の医療機関等から県庁等へ供給の要請を受けた医薬品につきましては、陸路の状況にもよりますけれども、基本的には翌日には現地に届ける体制を整備させていただいたところでございます。

 また、一月十八日には、厚労省から改めて各メーカー等に対し、被災地からの求めに対応できるよう、優先的に被災地に供給するよう依頼をしたことに加えまして、個別のメーカーが限定出荷を理由に優先的な供給が困難と応答した場合には、厚生労働省が直接各メーカーと調整をさせていただいた上で、必要とする医薬品を優先的に供給できるような対応を行っているところでございます。

 また、医薬品の調剤につきましては、一月七日より、日本薬剤師会を通じて出動した各地のモバイルファーマシーが、JMAT、日本医師会災害医療チーム等とともに、避難所を巡回して医薬品を御提供いただいておりまして、被災地における医薬品の安定的な供給に御尽力をいただいているところでございます。

 先生御指摘のとおり、災害発生時に迅速に医薬品を安定供給できる体制の整備というのは不可欠でございまして、薬剤師会や卸売業者などの御協力による今回の事例をよく分析しながら、発災直後においても医薬品が迅速に安定的に供給される方策について不断に検討してまいりたいというふうに思ってございます。

高木(啓)委員 不断に検討して、是非万全の体制をつくってください。

 続いて、先ほど申し上げましたけれども、必要な人に必要な薬が行き渡っているのかという問題があると思います。

 これは被災地だけの課題ではなくて、例えば、糖尿病の薬であるGLP1という薬があるようでありますが、最近は、この薬は痩せ薬として処方されるケースが散見をされておりまして、ネットで検索をいたしますと、すぐに、痩せ薬としてGLP1を処方しますという広告が氾濫をしているという現状があります。つまり、糖尿病の薬が痩せ薬として処方されるというのは、本来糖尿病患者の治療に使われるべきその薬が不足をするということにもなりかねないわけで、被災地の避難所だけではなくて、全国的に、通常の医療にも支障を来すことになるのではないかと思います。

 こうした、ある意味、薬の目的外使用とも言われる行為を是正するすべというものはないのかどうか、是非見解を聞かせていただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のGLP1受容体作動薬は、美容や痩身など承認効能以外の目的で使用された場合の安全性及び有効性は確認されておりません。また、GLP1受容体作動薬は、糖尿病治療への使用により、低血糖や急性膵炎などの重大な副作用が発生する可能性がございます。美容や痩身といった適応外使用をした場合、これらの重大な副作用の発生に加え、予期せぬ健康被害も起こり得ると考えております。このため、厚生労働省では、承認された効能、効果以外での使用を行わないよう、関係学会の協力も得て注意喚起を行っているところでございます。

 また、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により重篤な健康被害が生じた場合には、医療費などの給付を行う医薬品副作用被害救済制度による救済給付がございますが、GLP1受容体作動薬を美容や痩身など承認効能以外の目的で使用した場合には、適正な使用とは認められず、救済給付を受けられない可能性が非常に高い旨も併せて周知しております。

 さらに、医療法による広告規制におきましても、医療機関のウェブサイトなどにおきまして、承認効能以外の目的で使用した場合には医薬品副作用被害救済制度等の対象とならないことを明示することを新たに求める検討を行っているところでございます。

 引き続き、関係機関と連携して注意喚起を行うなど、GLP1受容体作動薬の適正使用の推進に努めてまいりたい、このように考えております。

高木(啓)委員 今の最後のところが重要なところで、広告に対して、新たなガイドラインでそういうのは補償対象になりませんよというようなこともきちっと明示していただいた上で、こういうことにならないように是非お願いをしたいと思っています。

 続いて、国際平和協力業務の一環としてやっておられるUNRWA問題、国連パレスチナ難民救済事業機関に対する支援についてお伺いをさせていただきます。

 政府は、UNRWAに対して、物資及び資金の拠出など、人道支援の名目で長年にわたって御支援を続けてきたわけであります。しかしながら、UNRWAとハマスのテロリストの関係が既に明らかになってきておりまして、今年一月二十八日に、追加的資金拠出を一時、これは外務省も停止をするということになったわけであります。

 このUNRWAに関しては、既にかなり前から、UNウォッチや米国のメディアなどを通じて、組織の汚職、そして支援物資や資金のハマスへの横流しなどが指摘をされ続けてきたわけであります。

 そこで伺うんですが、一月二十八日にUNRWAに対する追加的資金拠出の一時停止を政府が決定をしたその具体的な理由、そしてその根拠は何だったのか、教えていただきたいと思います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 昨年十月七日のイスラエルへのテロ攻撃にUNRWAの職員が関与した、こういった疑惑を我が国としては極めて憂慮しております。

 本件に関しまして、国連及びUNRWAが当該職員の契約を直ちに解除し、調査を開始したことから、我が国として早急に対応を検討いたしました。そして、国連による調査が行われて、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの令和五年度補正予算の拠出を一時停止せざるを得ないとの判断に至りました。

 多くのUNRWA職員は献身的にガザでの人道支援活動に従事しておりまして、UNRWAは、パレスチナ難民を対象とした保健、医療、教育、福祉分野のサービス提供など、不可欠な役割を担っております。

 UNRWAがこうした本来の役割を果たすためには、同機関のガバナンスが信頼の置けるものであることが前提となります。

 我が国としましては、国連やUNRWA、関係国と緊密にコミュニケーションを取りつつ、UNRWAのガバナンス強化を含め、適切な対応が取られることを強く求め、国連による調査、そして、独立した評価グループによる検証に積極的に協力していきたいと思っております。

 同時に、我が国としては、他の国際機関への支援等も通じまして、引き続き、ガザ地区を含む地域のパレスチナ人への人道支援に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

高木(啓)委員 今御答弁でガバナンスの強化という話がありましたが、本当にUNRWAのガバナンス強化というのはできるのでしょうかという疑問を私は非常に持っています。

 最近の報道によりますと、UNRWA本部の地下にハマスの司令本部が置かれていた、そこからパソコンなどが押収をされていたと言われています。UNRWAのラザリーニ事務局長は、そうした事実を知らなかった、こう言っていますが、これはUNRWAの本部の地下ですからね。この本部から電力の供給も行われていたというふうにも言われている。そういうことを総合して考えてみますと、事務局長の認識にも信憑性が問われると私は思います。

 UNRWAには十三人の日本人職員がいると聞いておりまして、政府は、UNRWAに対して、歴史的に巨額の資金を拠出してきたわけであります。ですから、タックスペイヤーである国民に対する説明責任を果たす上でも、UNRWAとハマスの関係、そしてまたUNRWAの実態について、私は独自の調査をすべきと考えますが、見解を伺います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道は承知をしております。現下のイスラエル・パレスチナ情勢の下において、ガザ地区における御指摘の報道の事実関係について、現時点で直接確認をすることは困難ではございますが、日本人職員からの事情聴取を含めまして、関連情報の収集に努めているところでございます。

 UNRWAにつきましては、昨年十月七日のイスラエルへのテロ攻撃にUNRWA職員が関与したとの疑惑を含め、様々な指摘がなされておりまして、国連による調査や独立した評価グループによる検証が行われているところでございます。

 我が国としては、国連、UNRWA、関係国と緊密にコミュニケーションを取りつつ、こうした取組に積極的に協力するとともに、我が国としての情報収集も進めていきたいと思います。

高木(啓)委員 最初から腰の引けたような、調査ができないとか、それはよくないと私は思いますよ。だって、我が国は、資金拠出の金額からいって、今現在、第六位ですよね、世界で。それだけやはり重要な役割を担ってきていて、そして、国民に対してもそれを、だからきちっと説明すべきだと思いますよ。

 ですから、イスラエルにも、それからパレスチナにも我が国は大使館を置いていて、そこにも職員がいて、大使もいて、そしてUNRWAには十三人の日本人職員もいて、そしてさらには日本人のボランティアや様々な方がいますから。ですから、独自の調査ができないということはないと思っていて、これは是非、私は検討していただきたいと思いますし、国民に対してしっかりこの説明をする。

 それは、UNRWAがどういう組織であるのかということと同時に、ハマスとのつながりはどうなのか、そして、職員が、ハマスとのつながりとともに、その周辺にいる家族や親族を含めて、そういったテロリストとの関係性というのはどうなのかということまで含めて、私は調べるべきだというふうに思いますので、これは是非検討していただきたいという要望を申し上げておきます。

 UNRWAの年間予算というのは、二〇二二年でおよそ十一億七千四百万ドル、これは公開情報で記載されています。これは、一ドル百四十円ぐらいで日本円で換算をすると、日本円でいうと約一千六百五十億円ぐらいになるだろう、こういうことであります。

 実際、この予算の八割は人件費なんですよ。この人件費は何かというと、UNRWAの職員の七五%は教師か学校職員なんですね。つまり、先ほど岡野審議官から、UNRWAは不可欠なんだ、不可欠な組織なんだと言われていましたけれども、しかし、民生の意味でいえば、八割が人件費に使われている中で、食料や医療支援は残りの二割程度の予算で行われているということなんですよ、これは。

 ですから、そういう意味でいって、本当にこの地域の人道支援やそういうことはUNRWAでなければできないのかということは、私はもっと検討すべきことなのではないかなと。一概にこれが不可欠なんだと簡単に言われますけれども、私はそれが本当にそうなのかという疑問を持っています。

 大半が人件費に充てられていたというこの現実というのは、私は、パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの、この機関として正当なガバナンスに基づく正しい手法だったのか、過去を含めて正しい手法だったのかというふうに思いますので、この部分についての見解を是非教えていただきたい。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 UNRWAは、数百万人ものパレスチナ難民を対象に、保健、医療、教育、福祉などのサービスの担い手となる人材の確保が不可欠な支援を実施しておりまして、こうした人材が学校やクリニックで難民救済活動に従事しております。

 UNRWAの予算のうち人件費が相当割合を占めるのは、UNRWAがパレスチナ難民に対してこのようなサービスを提供しているためでございまして、それ自体は、現地の実態に応じた支援を行う上で必要なものと認識をしております。

 他方で、適切な予算配分というのは支援の実態に合わせて不断に改善していくべきものと考えておりまして、モニタリングを含めたガバナンスの確保などをUNRWAに要求をしているところでございます。

高木(啓)委員 適切であったというようなお話がありましたが、じゃ、教師や学校職員に対する人件費を含めて、八割が人件費だということが適正であるとすれば、教育の内容がどうなっているのかというのを是非公開していただきたい、私は。教科書は何を使っていて、どんなことが書かれているのか、そのことをやはり国民に知らしめるべきじゃないですか。私たちがキャッチをしている情報によると、それもかなり、いろいろな意味で疑義が残るような教科書が使われているという報告も聞いています。ですから、そういうことを含めて、これが本当に適切だと思われるんだったら、そのことのエビデンスをきちっと私たちにも示していただきたい。このことを是非お願いしておきます。

 UNRWAの設立は一九四九年であって、以来七十年余が経過をしているんですけれども、現在は、設立当初の目的と現在の組織の実態が私は相当乖離しているのではないかというふうに想像しています。時代に応じて組織の解消や他組織への統合を含めた改編が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 UNRWAは、御指摘のとおり、七十年以上の活動実績を有しておりまして、数百万人ものパレスチナ難民を対象に、保健、医療、教育、福祉などの不可欠なサービスを提供しております。これまでも、状況に合わせて組織改革を行ってきたと承知をしております。現在は、特に人道状況が深刻化の一途をたどっているガザ地区において、住民一人一人に必要な人道支援を届ける上で不可欠な役割を担っていると認識しております。

 UNRWAがこうした本来の役割を果たすためには、同機関のガバナンスが信頼の置けるものであることが前提であります。現在、国連による調査や独立した評価グループによる検証が行われておりまして、御指摘の点につきましては、これらの結果を踏まえて検討していくべきものと考えております。

 我が国としましては、関係者と緊密にコミュニケーションを取って、UNRWAのガバナンス強化を含め、適切な対応が取られることを強く求めて、また、国連による調査などに積極的に協力していきたいと思います。

高木(啓)委員 様々な報道から見て取れるUNRWAの実態というのは、結果として、ハマスのテロリストと密接な関係にあるだけではなく、国連の看板を隠れみのにしたテロ支援組織ではないのかというような指摘すらあるわけですよ。今いろいろお話がありまして、不可欠な組織だ、これは大事なんだという話がありましたけれども、一方ではこういう指摘すらある。なぜそのような指摘がなされる事態にまで及んでしまったのか。

 我が国政府としては、これは大事なんだ、UNRWAは支援しなきゃいけないんだと言っているけれども、一方では、これほど言われている、テロリストの支援組織なんじゃないかとまで言われている。なぜこのような指摘がなされる事態に及んでしまったのか、政府はこれをどのように考えますか。そしてまた、政府がそのような考えに至る根拠というのは何なのか、示していただきたいと思います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 UNRWAにつきましては、昨年十月七日のイスラエルへのテロ攻撃にUNRWA職員が関与したとの疑惑を含め、様々な指摘があると承知をしております。その逐一についてコメントをすることは差し控えますが、UNRWAが、ガザ地区等に、現地の住人に寄り添った人道支援を行っていることについて、様々な視点から様々な情報の発信が行われていると認識をしております。

 我が国としても、先ほど申し上げたように、関連情報の収集に努めておりまして、また、国連による調査や独立した評価グループによる検証等に積極的に協力をしていきたいと考えております。

高木(啓)委員 我が国独自にきちんと調査をしていただきたいと思います。

 UNRWAに関して最後の質問をしますが、昨年の九月から十月にかけて、UNRWA、日本に拠点設立へという記事が幾つかのメディアに載りました。政府として、UNRWAの拠点を我が国に誘致をしようとした、アジアに初めてということになりますが、というような事実はあるんでしょうか。また、現在、政府内でこの問題はどのように取り扱われているのか。実際に拠点設立の計画はあるんでしょうか。そして、あるとすれば、その計画の内容を明らかにしていただきたいと思います。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 日本政府として、UNRWAの拠点を日本に誘致したという事実はございません。

 御指摘に関しましては、UNRWAが、日本国内における広報、そして民間企業や団体、個人からの寄附を扱う法人を日本に設ける意向を有しているということは承知をしております。

高木(啓)委員 今の状況の中で、政府としてはそういう事実はない、しかしながら、UNRWA自身はそういうことを置きたいという意向を持っているということだと思います。

 今の状況の中で、私は、それは本当に許されるのか、世論として、国として、国民の感情として許されるのかということに非常に疑問があります。そのことについては、これからも注視をし続けていきたいと思います。

 UNRWAついては以上にさせていただきます。

 次に、エネルギー安全保障について伺います。

 昨年十月、IEAの二〇二三年版ワールド・エナジー・アウトルックが公表されまして、その少し前に公表されたOPECの石油需要予測との違いがひとしきり話題になりました。しかし、再生可能エネルギーの普及や原子力の利活用を織り込んでも、将来のエネルギー需要の予測において、石油を始めとする化石燃料は依然として重要性が高いことも読み取れる内容であったと思います。

 我が国はかねてからエネルギー資源の乏しい国であって、エネルギー安全保障は国家存亡の生命線だろうと思いますが、結論を予断して一方の方向にのみ偏るというのは非常に大きなリスクになると考えます。

 こうした相異なる複数のエネルギー国際機関の報告を踏まえて、我が国のエネルギー安全保障はどうあるべきと考えるのか、見解を伺います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、エネルギー安全保障を確保するために、徹底した省エネルギーに加え、再エネや原子力、火力など、あらゆる選択肢を追求していくことが基本方針であります。

 その上で、現時点でエネルギー供給の大宗を担っておりますのは石油を含む化石エネルギーでありまして、これらの化石エネルギーは、脱炭素電源への転換を進めていく中でも、今後とも重要なエネルギー源だと考えてございます。

 特に、御指摘の石油につきましては、一次エネルギーの約四割を占めており、運輸、民生、電源などの幅広い燃料用途や、化学製品などの素材用途を持っていることに加え、平時のみならず緊急時のエネルギー供給源としても意味がある、まさに国民生活、経済活動に不可欠な存在だと考えてございます。

 このため、石油の安定供給に向けて、産油国に対する継続的な増産、安定供給の働きかけ、JOGMECのリスクマネー供給などによる支援を通じた日本企業の権益取得の後押し、さらには、供給途絶リスクに備え、国内で十分な石油の備蓄量の確保などの取組を進めてございます。

 引き続き、石油が果たす重要な役割を認識しながら、脱炭素とエネルギー安全保障の両立に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。

高木(啓)委員 そのとおりだと思います。

 現状、エネルギー資源に乏しい我が国において、再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めることができたとしても、今お話しのとおり、エネルギー安全保障上の石油の重要性は変わらないと私は考えています。なぜなら、石油は、エネルギー源だけではなくて、有事のために備蓄も比較的しやすい、また、様々な石油製品の原材料だからであります。

 その意味で、産油国の集まりであるOPEC及びその事務局との関係強化というのは、私は、我が国にとって重要なエネルギー安全保障と危機管理のために必要な方途であると考えておりまして、外務省、エネ庁共にその努力をすべきだというふうに思います。

 特に、外務省はOPEC事務局長の日本招聘を計画していたと思いますが、その日程を含めて現状の見通しをお伺いいたします。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 石油を始めといたしますエネルギーの安定供給は、我が国の経済と国民生活のために極めて重要でございます。

 我が国といたしましては、これまで、OPEC加盟国を始めといたします産油国への増産を含む世界の原油市場の安定化に向けた働きかけ、あるいは、IEAなど関係国際機関、G7、G20などの枠組みを活用しつつ、アメリカなどとの主要国との連携、主要消費国との連携を行っているわけでございます。

 委員御指摘のとおり、産油国の多くがメンバーでございますOPECとの関係強化は重要でございます。昨年六月、委員が外務大臣政務官時代にウィーンを訪問していただきまして、適時の情報共有や意見交換、様々なレベルでの協議の実施、人的交流が重要との認識が共有されたことを踏まえまして、外務省といたしましても、OPECとの関係強化にしっかり取り組んでいく考えでございます。

 御質問のOPEC事務局関係者の訪日につきましても、早期の実現に向けまして、引き続き調整を進めていきたいと考えてございます。

 以上です。

高木(啓)委員 是非、早期の招致に向けて頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと質問が一つ残ってしまいまして、こども家庭庁の皆さん、申し訳ありません、通告したんですが。

 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、能登半島の地震対策についてお尋ねをさせていただきます。

 犠牲になられました皆様方に改めて哀悼の誠を表しますとともに、被災された皆様方に心からのお見舞いを申し上げたいと思っております。

 この間、私も、輪島、珠洲、七尾、あるいは穴水や能登町といった三市二町を中心に、被災の現場に行ってまいりました。関係者の方々とも、いろいろな意見をいただいてまいりまして、現場に行ってみて、改めて、被害の広範囲さ、また集落全体が面的に壊滅的な被害を受けているということの実態を自分の目で確認をしてくることができました。

 そうすると、東日本大震災を経験した一人として、今後、近い将来考えられる対策としては、この地域、町全体をどのように復興していくかというグランドデザイン、これを描いていくことが必要になってくると思います。目の前にある壊れた住宅をどのように建て直すかということもさることながら、復興まちづくりということについてそろそろ本格的な検討と準備を始めていく必要があるのではないか、そう思っております。

 特に、この復興まちづくりで申し上げますと、区画整理、市街地や住宅関連、道路、公園、下水道、港湾、海岸保全、河川管理といったたくさんの事業制度がございますので、これを被災のあの小さな市町村に全て担ってもらうというのは非常に厳しいだろうな、そんなふうに思っております。

 ここは、この復興まちづくりの推進と、そしてそれに歩調を合わせた復興住まいづくり、この二つの事業については、国の職員の派遣、あるいは事務事業の代行、そして技術的な支援、こうした国の強い関与が絶対に必要だというふうに思っておりますが、まず、この点、どのように取り組んでいらっしゃるか、また取り組んでいかれるか、お考えを伺いたいと思います。

堂故副大臣 お答えいたします。

 復興まちづくりについては、地域の将来像を描くものであることから、被災市町の主導により、住民の皆様の思いを丁寧に酌み取りつつ進めていくことが重要と考えます。

 国土交通省といたしましては、市町の復興まちづくりを積極的にバックアップしていく必要があると考えています。具体的には、関係省庁と連携し、現地及び本省における支援体制を構築するとともに、被災状況調査を国直轄で実施するなど、被災市町の計画策定の取組への支援を進めているところであります。

 また、復興住まいづくりについても、石川県や被災市町、被災者の意向を丁寧に把握しながら住まいの復興に向けた検討を進められるよう、石川県に職員を派遣し、計画策定の加速化に向けて支援しているところでございます。

 引き続き、現地のニーズや状況をきめ細やかに把握しながら、強力な支援を実施してまいります。

 以上です。

庄子委員 副大臣、ありがとうございます。

 半島特有の震災の影響で、自治体のマンパワーが非常に疲弊している中での今後の復興事業ですので、今おっしゃっていただいたような、国の強い関与を改めて求めておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 副大臣はここまでで結構でございます。ありがとうございます。

 数字の確認をさせていただきたいと思っております。

 今後の本格的な復旧復興のために、いろいろなものが同時並行で必要ではありますけれども、やはり、上水、下水道の、水の供給をどうするか、あるいは排水をどういうふうにしていくかということが被災地の復興にはとりわけ重要だというふうに思っております。

 現地に伺っても、やはり、水が出ない、排水が使えないところについてはほとんど手つかずに近い状況でございますので、この復旧を急いでいただきたい。現在の上水、下水の復旧率、これについてどこまで進んでいるのか、また、今後の完全な復旧のめどについてはどうなっているか、それぞれ伺いたいと思います。

鳥井政府参考人 まず、水道の方の復旧状況でございますけれども、二月十五日、昨日時点で、石川県内の約七割が断水解消し、現在、約三万六百二十戸が断水中でございます。

 国といたしましても、全国の水道技術者の派遣による人的支援や、補助率のかさ上げの前倒し適用などの財政支援を行っているところでございまして、三月末までに約九割強が断水解消する見込みとなってございます。

 引き続き、早期復旧に向けて全力で取り組んでまいります。

松原政府参考人 お答えいたします。

 下水道の復旧状況につきましては、七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町の六市町におきまして、管路内に堆積した土砂を取り除くことなどによって流下機能を確保した管路の延長の割合は、二月十五日時点で、全管路の六三%となっております。

 被災者の皆様にこれまでどおり水を使っていただけるようになるためには、水道と下水道の両方が使用可能となることが必要であります。引き続き、厚生労働省や関係団体と連携をし、例えば、水道と下水道の復旧工程を共有して効率的な進捗を図るなどの取組を行い、水道の復旧に遅れることがないよう、上下水道一体となった早期復旧に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

庄子委員 特に、下水で申し上げれば、トイレの衛生環境については、今は寒い時期ですから、まだ余り臭いこそ気になりませんが、衛生状況、今後本当に心配です。是非、加速的にお願いを申し上げたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 液状化の話は今日の委員会の質疑でも出されておりましたが、石川県を中心に、新潟から福井にかけて広いエリアで液状化の現象が報告をされております。専門家によりますと、東西約三百二十キロにわたって被害が広がっているという報告もございまして、これまでの数多くの震災と比べても、液状化の被害の深刻度合いが分かるんじゃないかなというふうに思っております。この地に戻って住み続けたい、そんなふうに思っていただく皆様に安心感を早く持っていただくためにも、液状化対策は急務であります。

 そこで伺いたいんですけれども、仮に個人のお住まい、住家に被害がない場合であっても、液状化における宅地の復旧支援、この復旧支援に被災者生活再建支援金が支給できるように検討をしていただきたい、そのように思っておりますが、いかがでしょうか。

瀧澤政府参考人 お答え申し上げます。

 被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対しまして、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により最大三百万円の支援金を支給する仕組みとなっております。

 この著しい被害があったかどうかにつきましては、住家の被害認定方法を定めた被害認定基準により、外壁や基礎のひび割れ、破損など、住家への直接的な被害を基に判定を行うことが原則となっております。

 その一方で、地盤の沈下により住家が地盤面の下に潜り込んでしまったなどの場合には、地盤の液状化等が生じた場合の判定方法というものを活用いたしまして、必ずしも住家自体の外観には大きな被害が見られなくても、損傷しているものとして判定することが可能となっております。

 また、中規模半壊に至らない世帯でも、敷地の被害のようにやむを得ない事由によって住宅を解体をせざるを得ない場合には、制度上全壊と同様の支援を受けることも可能となっております。

 内閣府といたしましては、このような形で液状化による被害に即した被害認定を行うことによりまして、自治体と連携をしながら、住宅の再建がしっかり進んでいくように適切な支援を行ってまいりたいと考えます。

庄子委員 住家に直接被害がないケースでも、宅地の液状化のみで、それが住家にいたずらしていないというケースもあろうかと思います。今るる取扱いの範囲を御説明をいただきましたけれども、いわゆる生活基盤に被害があるという今のお話ですから、住家だけではなくて、その敷地も、これはその個人にとっては大事な生活基盤にほかなりませんので、こうしたところも是非読み取っていただいて、生活再建支援金が柔軟に利活用ができますように、是非今後検討をお願いをしたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 また、被災地では、これは東日本のときもそうでしたが、医療資源、お医者さんや看護師さんの不足という問題が非常に大きな課題となりました。今、現状では、特に看護師さんの不足が大きな課題だと私は認識をしております。

 昨年の十二月、震災の直前でしたが、石川県看護協会の会長さんがある雑誌の特集で対談をされておりまして、このようにおっしゃっていました。年間七百もの病院、施設から延べ八千人を超える求人が出てきているけれども、実際仕事を望んでいる看護師は五百人もいない、従来からこの地域において看護師不足が慢性化しているということを表明をしていらっしゃいました。

 そして、この能登半島地震の後、例えば輪島市唯一の総合病院におきましては、看護師さんの大量退職意向が示されるなど、医療資源の不足に一層拍車をかけているという状況だと認識をしておりまして、ここも、先ほども申し上げましたが、国の支援が今々どうしても必要な状況だというふうに理解をしております。

 国として医療資源の対策、被災市町にとっては非常に重要でございまして、中長期的な対応を求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省としては、能登半島北部の四か所の病院において必要な医療が提供できるよう、全国の公的医療機関から看護職員の派遣調整を行っているところでございます。二月十五日の時点では、四病院に四十二人の看護職員を派遣しており、これまでに派遣された看護職員は延べ千六百九人となっております。

 加えて、現在、石川県において、看護職員御本人の意向もお伺いしながら、看護職員の宿舎の整備や、離職防止に向けた取組としては、能登半島北部の病院の状況が改善されるまでの間は県南部の公立病院に一時的に異動し、状況が改善した後に再び能登半島北部の病院に戻ってもらうという在籍出向の仕組みなどについても検討していると承知しておりまして、引き続き、石川県や医療機関とよく連携して、必要な対応をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

庄子委員 今厚労省さんにおっしゃっていただいた四十二名の看護師さんの御支援、これは先ほど申し上げたように、中長期的に是非、現場のニーズに応じてお願いをしたい。恐らく三月末という期限が今のところあるんじゃないかなというふうに思いますが、是非、現場のニーズを踏まえて、中長期的な視野に立って、お願いをしてまいりたいと思っております。

 今、宿舎という話もされたので、それに続いて、現場の状況で、宿舎の必要性というのを申し上げておきたいと思うんです。

 私は、富山県の氷見市に泊まって珠洲まで移動するんですが、三時間以上現状でかかっておりまして、作業の車が氷見から穴水まで数珠つなぎになって渋滞をしております。日中の活動時間が非常に制約をされて、道路が非常に、凹凸が激しい、陥没があるので、暗くなっては危ないんですね、運転するには。だから明るいうちにみんな帰ってこなければいけないということで、非常に効率が悪いということを見てまいりました。

 是非、現場での作業時間を確保するという意味からも、これはいわゆるハードの整備のための作業だけではなくて、ソフトの部分も含めてですけれども、民間の力をかりつつ、現場のより近いところに前線基地ともいうべき宿泊施設が必要だというふうに思っておりますが、この対応方についてお尋ねをいたします。

林(正)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、被災地では、水道や電気などのライフラインが被災し、利用可能な宿泊施設が限定されていることから、工事従事者の中には、キャンピングカーなどでの宿泊や、金沢など遠方の宿泊地から長時間かけて移動し、復旧作業に当たっている方も多くいらっしゃると認識しております。また、今後の本格的な復旧に向けては、更に多くの工事従事者の現地入りが見込まれております。

 こうした宿泊環境の改善に向け、国土交通省では、関係省庁や地元自治体と連携し、キャンピングカーなどが停泊可能な場所や、コンテナなど簡易な宿泊設備の設置が可能な場所に関する情報を二月一日に関係業界団体等に周知したところです。

 ライフラインの復旧状況等を踏まえつつ、引き続き、関係省庁や地元自治体とも緊密に連携し、民間の力もおかりしながら、宿泊環境の改善に取り組んでまいります。

庄子委員 是非お願いをしたいと思います。

 この項目の最後にさせていただきますが、一般木造住宅の耐震化です。

 これは、私の地元、宮城県沖地震の直後、昭和五十六年、建築基準法が改正をされまして、耐震化が強化されました。

 今回の地震によって、いわゆる住宅の損壊が多かった、六万棟以上住家に被害があったわけでございますけれども、恐らく古い耐震基準で造られた一般木造住宅が多かったのではないかというふうに思われます。

 今後、どの地域でもこうした大きな地震が発生しても不思議ではありません。改めて、せめて住宅崩壊と圧迫死を防ぐような耐震診断、そして必要な耐震改修、これを粘り強く続けていく必要があるというふうに思っております。

 費用負担などが、あるいは高齢化などがネックになっているかと思いますけれども、この古い一般木造住宅の耐震化のラストワンマイル、これをどのように乗り越えていくか、具体策をお尋ねをいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 度重なる住宅被害を踏まえますと、住宅の耐震化を進めることは大変重要な課題であると強く認識しております。

 このため、これまでも住宅の耐震診断や耐震改修の普及啓発、あるいは交付金等を活用した支援等を行ってきており、その結果、直近のデータである平成三十年で見ますと、住宅の耐震化率は約八七%まで進捗し、非耐震の住宅は約七百万戸まで減少してきたものと推定しております。

 今般の能登半島地震の被災地域では、耐震改修促進のための取組は行われてきておりましたけれども、耐震化率が比較的低い状態のままとどまっており、ミクロで見ますと全国的にもこうした地域が点在しているものと考えております。

 今後、その要因について、高い高齢化率などの地域特性も踏まえつつ、課題を整理し、高齢者への普及啓発等を含め、更に実効性の高い施策を講じて、その推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 引き続き、公共団体と深く連携して進めてまいりたいと思います。

庄子委員 とても大事な御発言をいただきました。是非、今後、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 もう一点、大綱一点ですが、違法オンラインカジノ問題について取り上げさせていただきます。

 これは、コロナの影響もあって近年非常に日本の社会で蔓延し、大きな課題になっている問題でございます。デジタル分析会社、シミラーウェブジャパンの調査によりますと、オンラインカジノへの日本からのアクセス数は、二〇一八年十二月に月間約七十万回だったものが、一九年二月頃から急増いたしまして、二一年九月には約八千三百万回。これは明らかにコロナ禍の影響だというふうに思われます。百十八倍になりました。

 先般、千葉県で逮捕された自称ユーチューバーは、海外にサーバーのあるサイトの運営元の動画を配信をしておりまして、登録者数七千人、再生回数は千九百回、この程度で三千万円の報酬を受け取っていたということが報じられておりました。また、アフィリエイターと称する人が、自らのサイトから会員登録した人がそのカジノでプレーを続ける限り、使われた金額の数%が報酬で入ってくるという仕組みになっておりまして、これが反社の資金に流れているという指摘がございます。短期間で莫大な借金を背負うリスクもあるこうした違法オンラインカジノ、国としても対策が急務だと思っております。

 そこで伺うんですが、海外に運営法人がある場合、日本の捜査権は及ばないということは承知をしておりますが、国内に運営法人、運営サイトがあった場合の法人への取締り、そして違法オンラインカジノを利用した個人への取締りを一層強化をするべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

松村国務大臣 いわゆるオンラインカジノに係る賭博事犯につきましては、海外での運営を標榜しているサイトであっても、その運営実態に照らして違法行為が認められる場合には、オンラインカジノの運営に関与する者や多数の賭け客を検挙するなど、取締りを推進しているところでもございます。

 例えば、昨年九月に、警視庁等におきまして地道な捜査を行いまして、国内でオンラインカジノの決済システムを運用していた者や、同システムを利用していた賭け客を検挙したところでもございます。

 私といたしましても、オンラインカジノに関する様々な問題についてはしっかり受け止めておりまして、引き続き、厳正な取締り、また、実態解明や広報啓発を強力に推進していくよう警察を指導してまいりたいと考えております。

庄子委員 是非、国家公安委員長のリーダーシップで、今おっしゃっていただいたような取組をお願いをしたいと思います。

 ここまでで結構でございます。ありがとうございます。

 オンラインカジノ、これは違法です。賭博ですから。これにのめり込んだある男性、三十代の男性は、始めたきっかけは何だという取材に対して、無料版のカジノゲーム、このゲームに有名なスポーツ選手が出演する広告を見て、大々的に広告が打たれているので問題はないだろうと思った、こう話しています。

 無料版のゲームが賭博という違法行為の入口になっているということは明らかでありまして、無料版のサイトの広告、これは違法ではないものの、カジノへ誘い込む呼び水になっている、こう、弁護士や、あるいは我々が部会で招致をいたしました公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会の田中代表なども強く指摘をしておられました。

 無料版を隠れみのにしているとの指摘に対し、当局はどのように考えているか、伺います。

檜垣政府参考人 無料版サイトを含めまして、オンラインカジノをめぐる問題が様々な場面で指摘されているものと承知しております。

 オンラインカジノに関しましては、オンラインカジノに誘引するような広告等がいろいろございます。これらは直ちに違法賭博行為の誘引には当たらないようなものなどもありますが、賭博はあくまで犯罪でございます。オンラインカジノを利用するユーザーを増やそうとするような試みは、犯罪者を増やすことにつながるものと考えております。そのような視聴者に与える影響を考慮することを広告事業者等に対して注意喚起しているところでございます。

 こうした取組に加え、引き続き、オンラインカジノの違法性の周知に関する取組を推進してまいりたいと考えております。

庄子委員 例えば、有名なJリーガーなどが広告塔になって使われて、それを見た若者がゲーム感覚で入って、そこから実際の賭博行為になっていっている。そこから、莫大な借金を背負って、いわゆる闇金からお金を借りる、返すために闇バイトをしていく、こういう悪循環にはまっていっている若い人たちが多いので、いろいろな制約はあるにせよ、広告を出している無料サイトの結果、そこから有料なオンラインカジノにつながって犯罪に至っていっているケースについては、その入口になっている無料版サイトの広告についてはしっかり締めていくということについて、もう少しこれは力を入れてやっていただかないといけないんだろうというふうに思っておりまして、今後もこれはフォローさせていただきますけれども、是非お願いをしたいと思っております。

 海外の運営会社、サイト、これは海外にあるケースのが多いんですが、これと国内にいるカジノ利用者をつないでいる、中間に決済代行業者が存在をしています。集めた賭け金を海外に送金し、多額の手数料を得ていると考えられています。

 無許可で海外へ送金を行っていると、例えば銀行法あるいは資金決済法に違反をするという指摘があるんですが、この取締りの強化についてはどのように取り組んでいらっしゃるか、また今後どのようにやっていかれるか、伺いたいと思います。

檜垣政府参考人 先ほど大臣の御答弁にもありましたが、昨年九月、警視庁等におきまして、国内でオンラインカジノの決済システムを運用していた者等を常習賭博罪で検挙したところでございます。

 御指摘のような賭け金の決済に関与する者につきましては、その実態の解明を図り、関係省庁とも必要な情報共有を図りつつ、厳正な取締りをするよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

庄子委員 ほとんどの場合、恐らくこの間に決済代行業者が入っているというふうに思われますので、各都道府県警との連携でというふうにおっしゃいましたが、是非ここは、ターゲット、唯一日本の警察で、海外には捜査権が及ばない中で、できる大きなポイントだと思いますので、ここは力を入れていただきたい、そう思います。

 そして、ここは意識啓発という意味でも是非お願いをしたいと思っていますのは、海外の国や州によっては、合法化している国があるわけですね。正当なライセンスを受けている運営会社もあります。そうなると、海外にあるオンラインカジノ、カジノの運営サイト、これは違法じゃないのではないかという誤解が日本人の中に広がっていく可能性が強い。実際そういう誤解をしている人も多いわけであります。それが結果的に、違法な賭博行為が日本社会に広がっている。こういう、日本は実は違法オンラインカジノの運営法人の草刈り場になっているという指摘もあるぐらいであります。

 このオンラインカジノが賭博罪に当たる違法行為であるという理解、認識、これを社会全体にどのように啓蒙していくのか、取組を伺いたいと思います。

檜垣政府参考人 済みません、御答弁の前に、先ほど私、常習賭博罪で検挙と申しましたが、常習賭博幇助罪での検挙でございました。訂正させていただきます。

 また、お答えいたしますが、警察では、日本国内からオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪であるということを周知するため、消費者庁と連携してポスターを作成し、若者に対する啓発を重視して、大学等に掲示したり、SNSを活用するなどして広報啓発を行っているところでございます。また、来年度予算案に、若者やオンラインカジノの利用が見込まれるインターネット利用者等を対象とした広報啓発の経費についても計上しております。

 引き続き、仮に海外では合法なオンラインカジノであっても、日本からオンラインカジノに接続して賭博を行うということは犯罪であるということについて、効果的な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。

庄子委員 この問題は、また継続して取り組ませて、また取り上げさせていただきますけれども、非常に日本の中に大きな被害そして犠牲が広がっておりますので、取組の一層の強化をお願いを申し上げます。

 以上です。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は、新藤大臣の方に、まさに今春闘が始まったばかりですけれども、非常に大事な春闘になるかと思います、賃上げに向けてどのような環境整備をしていくのか、これを中心に大臣にお伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、今の経済情勢認識について大臣にお伺いをしたいと思います。

 十三日のことになりますが、日経平均株価は千円以上値上がりをして、一時三万八千円を突破しました。三十四年ぶり、バブル後の最高値を更新したということでありました。また、同日ですが、ニューヨーク外国為替市場では、円相場、一時一ドル百五十円台まで下落して、約三か月ぶりの円安水準となった、そんなことが最近ありました。

 株価が上がるのは結構なことですし、それだけ企業業績も好調なんだろうということを思わせるわけですけれども、それは、賃上げにとってはプラスの材料なのかもしれませんが、一方で、円安が進んでいるという現状もあります。

 これから春闘の交渉が本格化していく中にありますが、賃上げに向けた観点でこの状況をどのように捉えているか、大臣の御認識を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、株式市場、為替、それらについてのコメントというのは、市場に無用な混乱をもたらすという観点から、私からは常に差し控えております。

 その上で、一般論として申し上げれば、株価は、基本的には、企業の業績、そして将来性に関する市場の評価によって決まるわけであります。また、円安については、海外展開企業には、輸出による売上げや海外法人からの配当受取等が円ベースで増加すること等を通じて収益にプラスの影響がある、そして、輸入品の原材料コストが増加するということで収益を圧迫する要因にもなる、プラス、マイナスいずれもあるということでございます。

 私とすれば、今の日本経済が好調で、この期待が強く出ているという中で、是非その経済の流れが賃上げに結びつけられるようにということを大いに期待をしているわけでありますけれども、実際の賃上げは、それぞれの情報を踏まえた上で、各企業の支払い能力、それから現状における交渉、こういったもので決定されていくわけであります。

 ですから、構造的な賃上げに向けたしっかりとした取組、これを私どもとすれば政労使の意見交換の中でお願いをしておりますし、また、対策は、我々も政府として、打てる対策をしっかり打っていきたい、このように考えているわけであります。

浅野委員 ありがとうございます。

 やはり、労使交渉の上で賃上げの幅というのは決まっていくわけですけれども、ただ、大臣もおっしゃるように、様々、特に為替影響なんかは、収入を増やす部分もありますけれども、コストを上げる部分もあって、もろ刃の要素がございます。

 次の質問は、やはりこのところずっと高騰が続いております原油価格について伺いたいと思います。

 現在、持続的賃上げの実現には、大臣が先ほどおっしゃったように、事業者が収益をまず確保しなきゃいけない、そして、その収益が確保できるということを予見可能な状態でなければいけないということがあるかと思います。

 その中で、今、原油価格の高騰が続いている状況というのは、企業側にしてみればコスト圧迫要因、そして賃上げに対しては非常に慎重な姿勢にならざるを得ない要素になっているということでありますが、これは経産省の方に伺いますけれども、原油価格について、これまでずっと高騰が続いております、上下しておりますけれども、今後の見通しをどのように見ているのか、参考人の方から答弁を求めたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昨今の原油価格につきましては、二〇二二年二月のロシアによるウクライナ侵攻を受けまして、国際指標であるブレント原油の価格が百三十ドル近くまで上昇いたしました。けれども、直近では、中東情勢の緊張を含む地政学リスクがある一方で、米国、中国の景気減退懸念などもありまして、八十ドル台前半で推移しているということで、いっときの高騰は足下では収まっているという状況だと認識してございます。

 その上で、原油価格は、世界経済や原油の需給動向、ウクライナ情勢や中東を始めとする産油国をめぐる国際情勢など様々な要因を踏まえて市場で決まるものと承知してございまして、今後の原油価格の見通しについて、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

浅野委員 事前にも、上がる、下がる、どうなるというのは言いづらいというのは聞いておりましたけれども、ただ、企業は今春闘交渉をする中で、こういった先行きが分からない中で春闘交渉をしなければいけない。そんな中でできるだけ賃上げをしていただかなければいけないわけですから、分かりませんというのは政府の見解なのかもしれませんが、ただ、その環境の中で企業が賃上げ判断をしなければいけないという現実もまたあります。

 続いての質問は大臣に伺いたいと思いますが、現在行われているガソリン、電気代等への激変緩和措置は、特にガソリン代の激変緩和措置は四月末までとなっております。これらのエネルギー価格は、運送業や情報サービス業など企業活動の固定経費として業績見通しにも関係しているため、春闘交渉にも影響を与え得るものだろうというふうに認識をしております。

 国際取引市場での原油価格の見通しというのは確かに読みづらいところがありますが、激変緩和措置というのは日本政府が行っている政策であって、今、四月末でやめる予定だということが決まっておりますので、そうなると、今約二十円程度の補助金が一リットル当たり供給されているわけですけれども、これがなくなることによる影響というのは確実に今のところ起こることになっておりますが、これは春闘交渉真っただ中な事業者にとっては、エネルギー経費がこれから増えるぞ、そういう見通しにつながるわけで、交渉結果にも影響を与え得ると思います。

 このような状況に対して、政府はどう、大臣がどう認識しているのか、是非お考えを伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、激変緩和事業、これは二〇二二年の一月に燃料油について事業を開始しました。電気、ガスについては、二〇二三年一月分から値引きを開始しているということです。燃料油で六回、条件や期間の変更があります。また、電気、ガスについても二回、これまで変更してきました。

 現状で、今、四月までというふうに期間が設定されております。そのタイミングで、今後どうするかというのは、これまでも、国際情勢、また経済、エネルギーをめぐる情勢、こういったものを見極めて、また出口戦略、こういったものを見据えた形で機動的、柔軟に判断してきた、こういう状況があります。ですから、その中で、我々とすれば適切な対応を考えていくことになると思うわけであります。

 あわせて、エネルギーのコストが上がる、それは、売上げが変わらなければ、コストが上がれば賃上げに対するマイナス要因になることは、これはもう自明の理でございます。しかし、一方で、物件費も含めて、そうしたコストを転嫁して、価格転嫁しながら賃金をきちんと維持していく、こういう流れをつくらなければならないということでございます。

 ドイツやフランスも同じ時期に始めたんですけれども、短い期間で終了しています。なぜなら、あちらの国では日本よりも激しいコストプッシュが起きたわけですけれども、しかし、そういった国々では、物価高を超える賃金、こういったものが実現して、その中で、賃金でコストを吸収する。それから、賃金が上がるということは、製品価格が上がる、サービス価格が上がる、売上げが上がるということですよね。この中で、コストに対しての対策を打っていく、こういう流れができております。

 私たちの構造的賃上げというのは、物価が上がれば、その物価を、しかも、その物価は安定的な、適度な、適切な範囲でなければならない、これは大前提ですけれども、その上で、それを超える賃金の上昇がある。その前提は、価格が転嫁されている。そして、大企業から中小、下請、そういったところにもきちんと価格の変動が波及している。こういう形をつくれれば、前提として、コストが上がっても、それを吸収でき、かつ、それを上回る企業収益を実現できるならば、賃上げは構造的に、安定的に進んでいく。この好循環をつくらなければならない。

 社会の通念として、物価に合わせた賃金設定というのをしていくべきだということを、いろいろな各層、国それから地方も含めて、それぞれの、国の中に、そういうデフレマインドからの脱却というのは、ここは一番大きなところだと思うんですけれども、そういった形をつくらなければならないと思っているわけであります。

浅野委員 ありがとうございます。

 後段の部分、好循環をつくることが重要だというのは私も同感なところでありますし、この後、労務費の価格転嫁についてもちょっと質問に取り上げたいと思うんですが、その前にちょっと一点確認したいのは、前半、大臣は、燃料費への補助も、これまで六回、政策の変更の決定をしてきている、やはり今後も柔軟かつ機動的に対応をするということをおっしゃったと今聞こえたんですけれども、これはつまり、今の時点で四月末でやめるという方針はありますが、この方針をまた、七回目の判断というんでしょうか、柔軟かつ機動的に、例えば延長するだとか内容を変更するだとか、こういったことも現時点では否定されないということでよろしいですか。

新藤国務大臣 そこはまさに否定、肯定ではなくて、これまでも、そういう柔軟かつ機動的な判断、対応をしてきたということでございます。

 今決まっていることは、四月までの措置というものは決まっています。その時点の国際情勢またエネルギー価格、こういったものも含めて、様々な中で適切な判断を機動的、柔軟にしていかなければならないと思うことで、現状で、肯定、否定というところまで、私が今この時点では申し上げることはできないと思っています。

浅野委員 ありがとうございました。

 重要なやり取りだと思いましたので、引き続き注視していきたいと思います。

 是非、私としては、大臣おっしゃるように、状況に合わせて柔軟に対応していただきたいですし、やはり春闘交渉、賃上げ交渉は、この三月、四月あたりで、一定程度、規模の大きな会社は結論が出ます。ただ、それはガソリンの激変緩和措置が終わる前の話ですので、終わる段階でどうなるかというのをどう予見させるかというところも非常に大事だと思います。

 大臣は、この賃上げに向けても、そういった環境整備をする責任がおありの方だと思いますので、是非、政府の中での検討や、春闘交渉中に一定の予見可能な見通しが産業界に届くように御配慮いただきたいというふうに思います。

 続いて、労務費の価格転嫁について伺いたいと思います。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたが、やはり、労務費を価格に転嫁しなければ、先ほど大臣がおっしゃっていたような好循環というのは生まれないというふうに私も思います。

 特に、これまでも、労働組合の電機連合やJAMの調査によると、製造コスト上昇の要因として、労務費の影響が大きくなっているとともに、この価格転嫁が一番難しいということも言われております。

 公正取引委員会は、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針というのを周知しているんですが、価格転嫁の妥当性を証明するための資料を作成するのにとても膨大な労力がかかる上、説明が難しいという声も現場からは上がってきているそうです。

 経営トップの理解だけでなく、調達部門などへの浸透や顧客の理解醸成を具体的に進めていく必要があると考えていますが、それをどのように徹底していくのか。例えば、価格転嫁の必要性を社内に共有した企業を評価するような制度などをつくったらどうかと思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 賃上げを社会全体のノルマにする。社会通念として、今までの長い間、物価は余り変わらない、そして業績も上がらない、だからコストをカットしてというのに、もう私たちはみんなが、いつの間にかそういう気持ちの中で物を語るようになっている。ここを、今我々は三十年来の最大のチャンスが訪れているというのは、少なくとも、物価は上がっていて、それから企業収益も最高状況になっているということが見えているわけであります。

 しかし、一方で、それは、中小企業や地方にきちんとそこが浸透しているかといえば、まだまだ簡単ではないし、何よりも実質賃金が、要するに物価の上昇率を超えられないわけですから、賃金の上昇率が。結果、実質賃金がプラスにならなければ、これは消費が力強くなることはなかなか難しい。ここを打破しなきゃならない。

 その意味において、やはり、賃上げの大前提は、価格転嫁、これが、仕方ないではなくて、価格転嫁をした上で経済を動かしていくんだ、そして、その分、業績を拡大するんだ、こういう流れをつくれるかどうかだと思っているんですね。特に、我が国の雇用の七割を占める中小企業、ここにまで値上げがきちんとできるかどうか、賃上げができるかどうかだと思います。

 今委員も御指摘いただきました、私どもと公正取引委員会が連携しまして、価格転嫁のためのガイドラインを作りました。画期的と関係者の中では言われています。

 そして、このガイドラインの一番最後のところには、価格転嫁のための交渉シートというものも我々作らせてもらいました。それには、下請が親企業と交渉する際には、こういう要素でもって交渉したらいかがでしょうかというような、標準的なそういうシートを作ったわけであります。かつ、そこには、公正取引委員会というクレジットが入っております。これを私が説明したときに、中小企業の皆さんは、いや、この公取のクレジットが入っているのは大きいねと。だけれども、知らなかった、今初めて見ましたと。もうみんなに配っているし、ホームページでも全部公開しているんですけれども。

 だから、是非そういったことを皆さんに、より更に周知をしていきたいと思います。

 また、中小企業庁の方では価格交渉ハンドブック、国交省ではトラック運送事業者のための価格交渉ノウハウ・ハンドブック、こんなものも出しておりますし、私の地元の埼玉県などは、価格交渉の支援ツールということで、企業間で取引される原材料だとかサービス価格の推移、これを業種ごとに可視化できるツール、こういったものも作りまして、とにかく、確かに、委員がおっしゃるように、交渉の基準を作るのは難しいわけですね。ですから、中小企業の皆さんでも使えるような、そういったことをやっていきたいと思います。

 そして、労務指針については、是非現場レベルで活用できるように、全国の各ブロックでの指針の内容、それから企業向けの説明会、さらには、関連する団体が千八百七十三ございますから、この業界団体に対して各所管の省庁からフォローアップを行うように私どもの方から要請をしている、こういう状態でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 私も、そのハンドブック、指針を拝見しましたが、かなり、これまで、画期的という評価だそうですけれども、中小企業からしてみたら、こういう、ここに記入して交渉すればいい、しかもそこに公取のクレジットが入っている、政府がこの方針を示しているんだからと、そう言えるのが心強いというのは私も聞いておりますが、大臣も御自身でおっしゃったように、それをまだ目にしていない中小企業はたくさんあるということで、その部分をいかに隅々まで行き渡らせるのかというところが、本当に今回、中小企業の賃上げがなされなければ、大臣がおっしゃる好循環、日本全体での好循環というのは夢物語になってしまいますので、そこをどういうふうに実効性を高めていくかというのは是非引き続き努力をしていただきたいと思います。

 次の質問ですが、今度は、海外の企業と取引する場合の価格転嫁について質問したいと思います。

 海外企業、特に中国や韓国の企業に対しては、価格転嫁の理解が得にくいという声が現場から届いております。海外企業については、各産業を所管する省庁から業界団体を通じて、海外企業を含む会員企業に対して幅広く指針の周知徹底とフォローアップを行うというふうにしているそうですけれども、それができればいいんです。どうやって実効性をこれも担保するのか。具体的な、実効性をどう確保するのかについて、是非お考えを聞かせてください。

新藤国務大臣 今も私が申し上げました千八百七十三の業界団体、その業界団体に所属する会員企業に対して価格転嫁のガイドラインの周知徹底を図っている。この会員企業の中には海外企業も含まれているわけであります。ですから、そういう中で、この方針を徹底し、また理解を得られるように努力をする。

 しかし、何よりも難しいのは、春闘も、労働組合にお入りになられている、また労働組合としての交渉はできても、労働組合に入っていない中小企業の方が多いわけですから、そして、そういうところにもきちんと、社会全体が、下請から孫請、ひ孫、もうずっと下まであるわけですね。そこまでの中にどう浸透させていくか、そして同様に、海外企業に対してそういった流れをどう打つかということになりますから、ここはもう、私どもとすれば、そういったことをきちんとPRしながら、各業界団体で行動を促していく、またそのための応援をしていきたい、あらゆるインフォメーションをしていきたい、このように考えています。

浅野委員 では、次の質問に移ります。

 次は、国が発注する案件の価格転嫁について伺いたいと思います。これは政府参考人の方に質問させていただきます。

 先日の参議院の所信質疑の中で、岸田総理は、国交省の公共工事においては、官公需法に基づき毎年閣議決定をしている国等の契約の基本指針にのっとって、契約締結後の物価動向を踏まえて、スライド条項を用いた契約変更を行っているというふうに答弁を総理はされました。

 この基本方針の中では、次のように書いてあります。

 「公共工事の発注に当たっては、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の実勢価格を反映した適正な請負代金の設定や適正な工期の確保について、契約後の状況に応じた必要な契約変更の実施も含め、適切に対応するものとする。」とあります。

 一方、国の物件及び役務の契約については、ちょっと表現が違います。「契約の途中で需給の状況又は原材料費、エネルギーコスト等の実勢価格に変化が生じた場合には、契約金額を変更する必要があるか否かについて検討し、適切に対応するものとする。」という記述になっております。

 つまり、前者は契約変更の実施を含め適切に対応すると書いてあるんですが、後者の場合はそれが書いていません。必要があるか否かについて検討するという表現にとどまっています。

 是非、国の物件及び役務の契約についても価格転嫁の徹底を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、物品とか役務契約に関する基本方針におきましては、契約期間中の更なる契約変更の必要性を検討する、その上で適切に対応するということになってございますけれども、物品、役務の契約でございましても、契約後の状況に応じて、契約変更も含めて適切に対応するということの考え方には変わりはないというふうに認識をしております。

 お尋ねの、物品、役務契約における契約後の変更事例につきましては、予算の執行は各府省の責任の下で行われますので、中小企業庁として全てを把握しているわけではございませんけれども、経済産業省が実施した物品、役務の調達について申し上げますと、基本方針に当該措置が盛り込まれました令和四年度以降、例えば、新聞の定期購読ですとか、自動車用の燃料、ガソリンの調達、それから事務用の消耗品といった契約におきましては、原材料費、エネルギーコスト、労務費の高騰などに伴い、契約変更が行われた事例が確認されているところでございます。

 いずれにいたしましても、足下のコスト上昇局面において必要な価格転嫁を適切に行うという観点から、今後とも、契約の事業者さんとも密にコミュニケーションを取っていきながら、基本方針にのっとって適切に対応してまいりたいと考えますし、こうした対応が、関係の各府省庁や政府関係機関、地方公共団体などにおいても適切に取られるよう、中小企業庁としても継続的に呼びかけを行ってまいりたいと考えております。

浅野委員 実質的には既に契約変更も含めてこれまで行った事例があるということなんですが、であるならば、本日の資料三には今の私が読み上げた文章が記載されておりますけれども、わざわざこれは分けなくてもいいのではないかと思うんですが、分けなきゃいけないんですかね。一緒にはできないんでしょうか。ちょっとこれは更問いになりますが、お願いします。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事、これは一般的に複数年度にわたる契約も多くてということに対しまして、物品や役務の調達につきましては多くが単年度の契約になっている、契約の都度、実勢価格を反映した予定価格を作成することができる、こういったことでございますので、一般的なことを申し上げれば、契約期間中に発生する価格変動による影響は相対的に低いという観点から、こうした書きぶりの違いになっているというふうに理解しております。

 繰り返しになりますけれども、物品、役務の契約でございましても、契約後の状況に応じて、契約変更も含めて適切に対応するということの考え方には変わりはないというふうに認識しております。

浅野委員 ありがとうございます。

 少なくとも、やはりこの指針を読んで現場の方たちは動くので、契約変更も含めてという文言があるかないかで非常に現場の方たちの印象は変わると思うんですね。くれぐれも、物件、役務についても契約変更も含めて対応をすべき、こういう意気込みを現場の方には周知していただきたいというふうに思います。

 何度もうなずいていただいていますので、御理解いただけたものというふうに思いますが、本当に今、春闘交渉期間中というのもありますけれども、やはり中小企業の、この仕事を受ける側の価格転嫁が実現しなければ先ほどの大臣の好循環は生まれませんので、是非そこは徹底いただきたいと思います。

 続いての質問に移りたいと思いますが、供給力の強化という言葉がこのところよく聞かれます。大臣も所信の中でこの供給力の強化というのを一つの項目に出されておりましたが、以前も私、予算委員会で質問させていただきましたが、供給力強化と言われてしまうと、サプライチェーンの製造能力だとか、市場に供給する能力のことを指しているようにイメージをしてしまうんですね。

 ただ、総理は、時には企業が稼ぐ力だと言ったり、新藤大臣御自身も、マークアップ率を高める、マークアップ率という言葉を使われたりもしているんですけれども、供給力の強化をどういうふうに、ちょっとかみ砕いて説明していただきたいと思います。

新藤国務大臣 供給力の強化、それはいわゆる富を生み出す力、だから、総理も私も、稼ぐ力といったことで申し上げております。それは、つまるところ潜在成長率を引き上げていくということなんですと私は思っています。潜在成長率というのは、資本と労働とそれから生産性、全要素生産性、この三つの要素ですから。

 ですから、現実に、資本ということについては、私たちがやらなければならないのは、日本の国の生産設備の使用年齢がすごく長くなっていて、G7の中で後ろから二番目でございます。設備が更新が進んでいないので、このままいけば、どんなに頑張っても国際競争に勝てない、こういう状況になっていて、これは、企業とすれば生産設備の更新は必ずやらなければならない状態になっていて、それを受けて、企業の設備投資の意欲というのはとても高い状態になっている。でも、まだ現実の実行に移すとなると力が弱い。だから、そこを私たちは後押ししようと。これが資本です。

 それから、労働は、まさに一人一人が、一律の採用で一律定年、その中でなかなか生産性が上げられないということであるならば、ここはもう一度自分のスキルを磨こう、その上で、自分の能力や自分がやりたい仕事に見合った給与体系、ジョブ型、こういったものをやるべきだし、そのジョブ型に移行するには、自分がそれなりのスキルを身につけるためのリスキリング、これは五年で一兆円、もう枠を用意してあるわけであります。ですから、そうやって労働市場を円滑化させることによって要素が高まってくる。

 そして、さらには、生産性においては、何といってもイノベーション、新たなフロンティアの挑戦、開拓、そしてスタートアップ、そういう産業の活性化を促すような需要を新しくつくっていく、こういったものをつくりたい。

 これらの要素を兼ね合わせて、それらが全体としての日本の富を生み出す力、潜在成長率の増強、これが私どもが言っている、今委員がおっしゃった供給力の強化という意味でございます。

浅野委員 今の話を聞くと、ますます、供給力の強化という言葉を使うよりも、稼ぐ力を高めようとか潜在成長率の強化とか、そういう言い方の方が我々としてもしっくりくるものですから、ここは是非、産業界も、供給力の強化と言われたときに、よし、じゃ、生産能力を高めようとか、そういう発想にすぐ行っちゃいますので、資本、労働力、あとは生産性ですね、これをちゃんと総合的に高めるというイメージを持たれやすい表現を使っていただきたいと思っています。

 次の質問なんですが、今大臣がまさにおっしゃった、潜在成長率を高める、若しくは企業の稼ぐ力を高めるためには、資本の増強、あとは労働者のスキルアップ、そしてイノベーション、技術革新を通じた生産性の向上というのは確かに大事だと思います。ここには是非、政府としても今考えられているような政策資源を投入していただきたいんですけれども、今日は、それに加えて、もう一つ、目を向けていただきたいという話をしたいと思います。

 今日の資料の四、そして資料の五に、少し具体的な中小企業の例を挙げさせていただいています。

 これは、株式会社ワーク・ライフバランスの小室代表の方からいただいた資料を少し私の方で手直しさせていただいたんですが、例えば、サカタ製作所という中小企業ですね。こちらは、一人当たりの残業時間、毎月十七・六時間から一・二時間に減りました。下の方を見ていただくと、残業が累計で二万一千七百五十時間減って、残業代が三千四百四十五万円減りましたということなんですね。これを会社の社員のボーナスに全て還元した。こうやって賃上げを実現している企業もあるという具体的事例です。

 じゃ、何でこれができたのかという話をしますと、上の方にちっちゃな黄色い線を引っ張ってありますけれども、例えば、十五分単位で業務棚卸しデータを集計して無駄を排除したりだとか、あるいは、これまで重複していた業務を整理して、限りある人員の中で最も効率的な業務プロセスを実現する、こういったことを細かく細かく積み上げていった結果、こういった大きな成果につながっているという企業の例なんですね。

 大臣が先ほどおっしゃった資本の増強、古い設備を新しくしたりだとか、あるいは従業員のリスキリングを支援して新たな能力を身につけていただいたりだとか、あるいは技術革新で、これまでにない製品、これまでにない付加価値を生み出して利益率を上げる、これは非常に大事なことなんですが、それをやると同時に、できることがもう一つある。

 それは、業務プロセスの見直し、いわゆる、平たく言えば業務効率化ですけれども、これに対する支援を、例えばコンサルティング支援だったりとか専門家の派遣だとか、いろいろできることがあって、これは中小企業はやりたくてもなかなかノウハウがなくてできないことですから、これをやると、設備を入れ替えなくても、従業員がそのままでも、業務プロセスを見直すことによって企業の収益が創出できる。こういった支援にも目を向けていくべきだと思うんですが、最後、大臣の見解を伺いたいと思います。

星野委員長 時間が過ぎておりますので、短くおまとめください。

新藤国務大臣 同じような趣旨で私たちもやっていきたいというふうに思っています。

 このサカタさんの、とてもいいことだと思うんですけれども、一番最初にワーク・ライフ・バランス全社員研修、これをおやりになっていますよね。例えば、私は、こういう研修をやるのに補助金の対象になるんじゃないのと。ここの会社は補助金に頼らずにやったかもしれない、いただいたかもしれません。少なくとも、働き方改革の補助金の対象になります。それから、十五分単位の業務棚卸しをやった。これは非常に重要ですけれども、これができるということは、完全に自分の会社の業務をDX化していると思います。

 ですから、そういう企業の稼ぐ力、まずは自分たちの生産性を上げるには、働き方を変えるとともに、少ない人手でも生産性を上げられる、そういう設備を入れていく。

 私たちが今回カタログ式と呼んでいるのは、補助金をもらうのにはすごく面倒なんです、いろいろ、たくさんの資料を書かなきゃならないんですけれども、そういったものを、要するに、所要をカタログの中で表示してあって、この機械を買ったらどういう生産性が上がるかの計算もきちんと出しておくし、そして幾らの補助金が出ますということが分かる。だから、選んで、まずはIoTだとかDXをやるならばこういうのを使ったらいかがですか、そういったものを一千億用意しました。

 そういう企業の体質改善も含めて応援していきたい、このように考えているわけであります。

星野委員長 もう時間が過ぎております。

浅野委員 はい。終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 まず、冒頭、能登半島地震の犠牲になられた皆様に心からお悔やみを申し上げるとともに、今なお被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。

 本日は、震災関係に絞って質問をしてまいります。

 私も、一月十九日から二十二日にかけて、奥能登の珠洲市と輪島市の被災地へ行ってまいりました。発災から三週間たっておりましたけれども、珠洲市の副市長は、元日のときの服そのままに、役所の皆さん百人以上の方々と詰められておりました。本当に、とにかく初動の一週間は大変だった、特に下水、やっと仮設トイレが届いたときには、トイレは神様だ、そう思ったということをおっしゃっていました。役所の給湯室には雪入れのバケツも置いてあったんですね。雪を解かして水を確保されていた、それが現実でありました。

 パネル一を御覧ください。

 水の不足、今でも珠洲市のほぼ全域で断水が続いており、一部地域では仮復旧でさえ四月以降と報道されています。そして、写真にあるように、マンホールが一メートル近くも飛び出し、それが連続してぼこぼこと表に露出をしている。私は、NGO出身でして、国内外で様々な災害支援に携わってきましたけれども、地盤がこんなにもへこんで沈んでしまい、破壊されていた状況は初めて見ました。

 そして、住まいです。両市とも、調査した建物のうち九割以上が損害家屋、被害家屋と発表されました。大半が木造家屋で、耐震基準を満たしていなかったからと言われますけれども、それ以上に、四メートル以上もの海底隆起、これによる地殻変動がどれほどのものだったのか。私も輪島市の門前町の鹿磯漁港へ行ってきましたけれども、文字どおりの、人知を超える巨大な揺れだったということが現実としてはっきり分かりました。

 午前中の質疑で林官房長官が、活断層の長期評価について、国の公表が遅れたということをお認めになりました。

 そうであれば、大臣、政府の地震リスク評価の遅れによって現場の危機管理が行き届かず、大きな被害につながったことになりますから、少なくとも九割以上の被害家屋については、家屋の全壊から一部損壊に至るまで、被災者生活再建法、そして災害救助法において、けちな上限金額を定めずに、再建にかかる費用の八割を国が支給する、残り二割は自治体や義援金でカバーする、それぐらいやるべきではないですか。大臣、いかがですか。

平沼大臣政務官 お答え申し上げます。

 一定以上の住家被害を受けた方に対しては、被災者生活再建支援法に基づき、都道府県の相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、被災者の生活の再建支援の支給を行っているところでございます。被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者を側面的に支援するものと位置づけられております。

 その上で、被災者生活再建支援制度の見直しに関しては、熊本地震、東日本大震災といった過去の震災や、秋田県や福岡県など令和五年梅雨前線等による大雨被害の被災地において現在も支給が継続されているところとの公平性の確保という課題もあることから、慎重に検討すべきものと考えております。

櫛渕委員 政務官にお答えいただきましたけれども、大臣に質問をさせていただいたんですね。

 質問の内容については、お見舞金ということで、繰り返し同じ答弁なんですが、先ほど申し上げたように、今までにない、想定し得ない巨大地震だったということ、これは是非とも勘案いただきたいんですよ。そうですよね。三千年、四千年に一度と言われる地殻変動が起きた、このリアリティーを是非受け止めていただき、九割以上の被害家屋については、是非、国の負担八割、少なくとも、最低でも被災者に負担が起きない形の仕組みをお願いしたいと思います。

 そして、今、大臣にということを申し上げたのは、実は委員長にお願いがあるんです。

 内閣府防災が国家の防災機能を担っているのに、防災大臣が内閣委員会で答弁できない、答弁できるのは災害対策特別委員会のみというルールはおかしいと思うんですね。是非これは、内閣委員会で防災大臣と議論ができるように委員会でお取り計りいただきたいと思います。お願いいたします。

星野委員長 はい、どうぞ続けてください。

櫛渕委員 お願いします。

 そして、この続きとして、広域避難や仮設住宅などについて山ほどお聞きしたいことがあるんですけれども、次に、避難所の在り方に入っていきたいと思います。

 パネル二枚目を御覧ください。

 これは、日本の避難所、三十年前からのものを、今回に至るまで、代表的なものを並べさせていただきました。大臣、どう思いますか。約三十年前の阪神・淡路大震災、そして十二年前の東日本大震災、そして熊本地震、そして今回、避難所の環境がほとんど変わっていないんじゃないでしょうか。

 大臣は熊本出身の政治家でもございますので、ここは大臣としてではなく、熊本の政治家として一言お願いできないでしょうか。大臣が難しければいいです。大丈夫です。

星野委員長 いいんですか。

櫛渕委員 はい、大丈夫です。熊本の出身の政治家、松村大臣にと思いました。

 熊本もまだ復興していない、途上ですので、私も何度も熊本の被災地にも行きましたけれども、是非、有権者の皆さん、残念がっておられると思いますので、大臣としての御答弁、今後お願いをしたいと思います。

 さて、避難所についてなんですけれども、そもそも、災害救助法における日本の避難所は中長期的な避難生活を想定していません。だから、学校の体育館などが避難場所になっていたり、備品も少ないんですね。そして、市町村の地域防災計画でも、多くの場合、避難所の運営は被災した住民が主体になっています。しかし、実態として、高齢化も進んで、被災者任せはもう限界ではないですか。

 役所もそうですよ。被災した自治体職員がずっと災害対応に当たっており、今回も、珠洲市の副市長や職員は元日から三週間詰めっ放し。これは三・一一も同じ状況でした。こうした被災者任せの避難所運営は抜本的に見直すべきだと考えます。

 元々、自治体職員も、実際の避難所を運営する経験が多いわけではありません。被災経験のある自治体が応援に来て、支援に当たるなどしています。むしろ、平時から、避難所運営に知見のある災害NPOと連携をしたり、避難所運営リーダーなどの人材育成にもっと力を入れて、非常時になったときには全員でいち早く派遣する、駆けつける、こうした支援する側にも予算をつけて、被災者や自治体を助ける人材を増やす方がよほど大切であると考えます。

 また、食事や炊き出しについても、今回、初動から支援に入った災害NPOにお聞きしますと、過去の災害では、災害救助法を活用した、行政から支援団体や自衛隊へ提供された食材そして被災者への弁当、これが初動においてなかった地域があるということでした。

 法律上、行政がベースラインとしているパン、おにぎり、弁当、これは一人当たり千円くらいの基準のものが提供されることになっているんですけれども、発災四日目に、七百人ぐらいの避難所において、一食分の食料配布がおにぎり一個だった、こうした避難所もあったそうです。道路事情など、調達が難しかった可能性もありますけれども、災害救助法の運用に対する自治体の理解や自衛隊への依頼の在り方などの問題もあったのではないかということが、現場から指摘があります。

 つまり、被災自治体によって格差が出てしまうこともあるわけでして、食事や炊き出しの調整というのは、避難所において命をつなぐ被災者にとって大変重要です。こうしたミッションを被災自治体に任せるのではなくて、行政、自治体、そして自衛隊、NPO、炊き出し自体のバッティングを避ける意味からも、経験を積んだ災害NPOや団体に調整を任せる、これがむしろ被災者のニーズに寄り添えるということになると思います。

 政府にお聞きいたします。

 専門性を持つ災害NPOが初動から行政と連携して避難所運営や食事、炊き出しの調整を担うことができるよう、制度の見直しをしていただけませんか。短くお答えください。

平沼大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の地震においては、豊富な支援経験を有する、百十を超える専門ボランティア団体、NPOなどが、発災直後から被災地入りしまして、物資の提供、炊き出しや避難所の運営支援、重機による作業などを実施しております。また、これらの専門ボランティア団体の活動調整のため、一月二日より、JVOADが現地入りして、国、県、支援団体の連携を進めていると承知しております。

 内閣府といたしましても、被災市町における連携の円滑化を図るため、市町ごとを中心となって活動するNPOなどの団体名を通知し、積極的な連携を依頼したところでございます。

 一方で、委員の御指摘のとおり、災害時の行政とNPO、ボランティア等の民間団体が連携し効果的な被災者支援を行うためには、平時から、行政、社会福祉協議会、民間団体等の支援団体の方々がよく連携して、顔の見える関係を構築していることが重要であると考えております。

 引き続き、自治体と連携を強めて、しっかりと構築をしてまいりたいと思っております。

櫛渕委員 JVOADとかの日常的なネットワークの存在は私も存じ上げております。ただ、こうした情報共有や官民連携、こうしたレベルではもうないんじゃないかということを申し上げているんですね。大事なのは、問題はその先なんですよ。非常時になったときに、被災地に現場を移して、実際に緊急救援や問題解決をどう図っていけるのか、費用はどうしていくのか、こうした身分保障も含めた在り方を改めてレベルアップさせていかないと、こうした本当の意味での連携というのは難しいと思います。

 イタリアの例を見てみたいと思います。パネル三を見てください。

 これはイタリアの避難所であります。プライバシーが確保されたテントが設置され、内部には簡易ベッドと暖房器具が完備されています。また、食堂用の大きなテントが準備され、避難所で提供される食事は温かいものが基本。メニューは、パン、パスタ、ハム、野菜、ワインつきだそうですよ。それがなぜ可能なのかというところが更に重要です。

 次のパネルです。

 イタリアにある市民安全省、これが防災と市民保護を目的とした国家組織として存在している、このことが、先ほどの安心できる避難所を実現させているわけですね。

 例えば、これを見ていただくと、災害NPOや専門ボランティアが被災地に派遣される場合には、原則最大二週間は日当と交通費が国から保障される。そして、ボランティア団体が市民安全省の建物にオフィスを構えていて、地下にある司令部では平時でも二十四時間三交代制でモニター監視や情報収集を行っていたり、また、NPOは、単に災害時に活動するだけではなくて、平時から教育や訓練などを行い、十八歳から二十歳の若者の教育も引き受けています。受講者には給料まで出るというプログラムがあるそうです。それによって、専門知識や技能を持ったボランティアが全国に百万人、こうした規模で組織をされている、そして、災害直後から稼働するシステムが構築されているということであります。

 また、避難所では、市町村の職員は避難所の運営をしません。被災地以外の自治体のボランティアが支援に入り、救援活動できる体制がふだんからできている。そして、災害直後からベッドや温かい食事、清潔なトイレを提供し、被災地への出発は発災から二十四時間以内だそうです。

 また、もう一つ重要な点は、イタリアの災害ボランティアは専門職であり、国が身分を保障している点です。

 日本では阪神・淡路大震災の一九九五年がちょうどボランティア元年と言われましたけれども、それから三十年がたちますけれども、ボランティアに対する社会の認識や国の制度が追いついていないと思わざるを得ません。同じボランティアといっても多様であり、専門性の高いNPOは、この間、震災対応で大変活躍しています。災害ごとにいち早く現場に行って、ノウハウや知見を蓄積して、専門性を要する、こうしたNPOが今でも各地の被災地復興を支え続けています。

 こうした多様な団体が災害救助法を活用できるよう、制度を見直したり、国が身分を保障したり、あるいは公務員として採用するなど、彼らの経験と蓄積の力を国として最大化させる、こうした新しい仕組みをつくるべきだと思います。官民連携というふわっとした言葉でやっている感を出すのではなくて、こうした市民安全省のような常設の国家組織の機能を是非参考にしていただきたいと思います。

 そして、見ていただきたいのが次のパネル、スフィア基準です。

 これは、災害や紛争による被災者への人道対応の最低基準というもので、今から二十七年前に国際的に定められています。被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利があるという明確な理念の下に、具体的に……

星野委員長 櫛渕委員に申し上げます。

 時間となりました。発言をおまとめください。

櫛渕委員 はい、もう少しでまとめます。

星野委員長 いや、もう少しじゃなくて。時間となりましたので、おまとめください。

櫛渕委員 はい。

 スフィア基準で、トイレの数、居住スペース、性暴力への配慮などの基準が定められています。

 災害大国の日本で何があっても心配するなと言える社会にするために、れいわ新選組は防災省の設置を呼びかけておりますので、是非、今後も議論をさせていただきたいと思います。

 最後のパネルだけ示させてください。これで終わります。

 三・一一のときには、内閣府に震災ボランティア連携室というのがありました。こうした蓄積が内閣府防災にはつながっておりませんので、是非、今後、国家組織としての防災省をつくっていくために尽力をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 次回は、来る二十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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