第4号 令和6年3月22日(金曜日)
令和六年三月二十二日(金曜日)午前九時九分開議
出席委員
委員長 星野 剛士君
理事 上野賢一郎君 理事 冨樫 博之君
理事 中山 展宏君 理事 鳩山 二郎君
理事 森山 浩行君 理事 堀場 幸子君
理事 庄子 賢一君
青山 周平君 井野 俊郎君
泉田 裕彦君 大西 英男君
大野敬太郎君 神田 潤一君
小森 卓郎君 杉田 水脈君
鈴木 英敬君 高木 啓君
土田 慎君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
宮澤 博行君 簗 和生君
山口 晋君 山本ともひろ君
中谷 一馬君 道下 大樹君
山岸 一生君 山崎 誠君
渡辺 創君 阿部 司君
金村 龍那君 住吉 寛紀君
河西 宏一君 吉田久美子君
塩川 鉄也君 浅野 哲君
緒方林太郎君 大石あきこ君
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国務大臣
(経済安全保障担当) 高市 早苗君
内閣府副大臣 古賀 篤君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
内閣府大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 高村 泰夫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 小柳 誠二君
政府参考人
(内閣官房経済安全保障法制準備室長)
(内閣府政策統括官) 飯田 陽一君
政府参考人
(内閣官房経済安全保障法制準備室次長)
(内閣府大臣官房審議官) 彦谷 直克君
政府参考人
(内閣官房経済安全保障法制準備室次長)
(内閣府大臣官房審議官) 品川 高浩君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中溝 和孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 西條 正明君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 西海 重和君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
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委員の異動
三月二十一日
辞任 補欠選任
浦野 靖人君 金村 龍那君
同月二十二日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 山口 晋君
逢坂 誠二君 道下 大樹君
本庄 知史君 渡辺 創君
同日
辞任 補欠選任
山口 晋君 平沼正二郎君
道下 大樹君 逢坂 誠二君
渡辺 創君 本庄 知史君
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三月十九日
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出第二四号)
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
同月二十一日
公務・公共サービスの拡充に関する請願(牧義夫君紹介)(第五一七号)
同(神田憲次君紹介)(第五七四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出第二四号)
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
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○星野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。高市国務大臣。
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重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○高市国務大臣 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、経済活動に関し行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護及び活用に関し、重要経済安保情報の指定、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供、重要経済安保情報の取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とするものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを重要経済安保情報として指定することとしております。
第二に、重要経済安保情報を保有する行政機関の長は、我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るために、一定の基準に適合する事業者に当該重要経済安保情報を利用させる必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該重要経済安保情報を提供することができることとしております。
第三に、重要経済安保情報の取扱いの業務は、原則として、適性評価において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者でなければ行ってはならないこととしております。
第四に、適性評価は、行政機関の長が、当該行政機関の職員等について、当該者の同意を得て、適性評価調査の結果に基づき実施することとし、適性評価調査は、原則として、適性評価を実施する行政機関の長の求めにより内閣総理大臣が一元的に行うこととしております。
第五に、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないこととしております。
第六に、重要経済安保情報の取扱いの業務により知り得た重要経済安保情報を漏らした者や、重要経済安保情報を保有する者の管理を害する行為により重要経済安保情報を取得した者等に対する所要の罰則を設けることとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
続きまして、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為が多様化し、安全保障を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加することで、特定社会基盤役務の安定的な提供を確保することを目的とするものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加することとしております。
なお、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○星野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
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○星野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○星野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。簗和生君。
○簗委員 自由民主党の簗和生でございます。
まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案についてお伺いしていきたいと思います。
安全保障の概念が経済、技術の分野にも拡大し、安全保障上の国家的課題に対応する制度の整備が求められている中、本制度は、経済安全保障分野における情報漏えいリスクを防ぎ、我が国の情報保全の更なる強化を図るとともに、既に情報保全制度がこれらの分野に定着し活用されている国々との協力を一層進めることを可能にすることなどを通じて、国際共同研究開発等を円滑に推進し、我が国の技術優位性を確保、維持するものとなることが求められております。
本法案は、こうした要請に……(発言する者あり)
○星野委員長 御静粛に願います。
○簗委員 応えるものとなっているかという点について、総括的な評価を伺いたいと思います。
特に、諸外国との連携が可能な形で重要な情報を取り扱う者への資格付与の在り方を構築するなど、本制度が同盟国、同志国に通用するものであることが重要であると考えます。
有識者会議での検討等も含め、主要国の情報保全に係る制度について情報収集、分析を重ねてこられたと承知をしておりますが、情報保全対策の同等性という点で、外国と機密情報の共有等を図る上で本制度は十分なレベルにあると評価できるか、機密情報の共有等において、相手国から信頼されるに足る、主要国との間で通用する、実効性のある制度となっているかについて、高市大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野におきましても情報管理に万全を期す必要が高まってきております。
そのため、昨年二月以降、政府として、有識者会議において、産業界のニーズ聴取や外国の制度分析を行いながら、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度の検討を進めてまいりました。
こうした中、今後、国際共同研究における同盟国、同志国との協力や外国政府の調達などでの日本企業の参加を進める上で経済安全保障分野における情報保全の強化が必要であると判断し、今回の法案を提出いたしました。
国際共同研究につきましては、それが重要経済基盤の脆弱性の解消などに関する調査や研究に該当する場合は、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくものと考えております。
また、諸外国におきましては、セキュリティークリアランスを保有していることがいわば信頼のあかしとして認識される事例もあると指摘されておりまして、クリアランスを保有する我が国の民間事業者と外国の民間事業者との間で一定の情報のやり取りが円滑になることも期待されます。
相手国から信頼されるに足る制度とすることの重要性は、御指摘のとおりでございます。
そのため、まず、情報保護の観点から、諸外国と同水準のルールを整備した上で、そのルールを実効的に運用し、実績を重ねていくということによって相手国からの信頼を得ていくことが必要です。
本法案をお認めいただきました暁には、制度を運用するために必要となる関係政令や運用基準、実施体制を速やかに整備し、制度の実効的な運用を確保するとともに、諸外国にもしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。
○簗委員 総括的な御答弁をいただきまして、誠にありがとうございました。
その中で、今、経済界からのニーズというお話がありましたので、この点についてお伺いしたいと思います。
今回、セキュリティークリアランス制度に係る制度の導入を求める意見というものが、経済界から、強い要請という形で、意見書等が出される形で行われました。経済界の声として、各国との共同研究、共同事業に参画していく上で支障がある、海外の政府や企業との取引においてセキュリティークリアランスを保有していることが入札参加や会議出席の前提条件となっているなどの実情があり、我が国でもクリアランスを取得できないかという要望がありました。
こうした、経済界から、国際的なビジネス機会の確保、拡充にもつながる制度の整備というものが求められているわけですけれども、本法案はそうした経済界のニーズを満たすものとなっているのか、本法案について経済界からどのような評価が寄せられているのかという点について伺いたいと思います。
また、あわせて、より詳細な部分の具体化等も含め、今後の実際の制度の運用を見据えて経済界から要望されているものがあれば、どのようなことなのか、お伺いしてまいりたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度を検討するに当たりまして、昨年二月に立ち上げた有識者会議におきましては、経済界からも有識者委員として御参加をいただき、当会議におけるヒアリングでは、個別の企業の方々からもお話を伺ったところでございます。
その中で、企業の方々からは、例えば、海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで十分に情報が得られなかった、宇宙分野の海外政府からの入札の際に、セキュリティークリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっておりまして、詳細が分からず不利な状況が生じているといった声が聞かれたところでございます。
また、本法案が閣議決定されて以降、経済界から出された意見書におきましては、セキュリティークリアランスは、企業が国際共同研究開発等に参加する機会を拡大することにも資することから、我が国の戦略的優位性、不可欠性の維持、確保にもつながり得る、同法案は、国内既存制度との整合性の確保、適性評価に当たってのプライバシーへの配慮など、経済界が主張してきた考え方を反映していることからも、評価できる内容であり、同法案の早期成立を求める、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報のうち、経済安全保障上重要な情報の保全を目的とした本制度の導入は、経済安全保障推進法とともに新時代への対応の第一歩であるといったことが意見書の中で言及されておりまして、一定の評価をいただけているものと承知しております。
また、経済界から指摘されている今後の課題といたしましては、例えば、事業者に対するクリアランスは保有施設などの物理的な情報保全体制の適格性に加えまして、事業者そのものの属性や組織の適格性も見る必要があり、日本企業の実情についても留意しつつ、諸外国に通用する制度設計のためにも、官民での議論の継続を期待する、諸外国との重要情報の共有を促進するとともに、民間事業者の国際共同研究開発や諸外国の政府調達への参加につなげていくため、同盟国、同志国との間で新たに必要となる国際的な枠組みについても政府の取組が期待されるといったことが挙げられるところでございます。
○簗委員 今、一定の評価ということとともに、引き続きの官民での議論の継続というお話もありました。実際、制度を運用するに当たりましては、こうした連携を、有識者会議等でこれまでもそうした民間の議論というもの、意見というものを聞いてきたわけですけれども、引き続きしっかりと連携をして、制度の実効性を高めていただきたいと思います。
次に、国際的な枠組みの必要性についてお伺いしたいと思います。
本制度ができたからといって、必ずしも自動的に同盟国、同志国が持つ機密情報に関わる研究開発に参加できるというわけではなくて、本制度を日本の民間事業者等の海外ビジネス展開につないでいくためには、それを後押しするような同盟国、同志国との連携というものも重要であり、政府間の協議や新たな協力の枠組み等を構築することなど、政府間で環境整備を行うことが必要になることも想定をされています。
今般の法律による制度整備に加え、同盟国、同志国との間で更に必要となる国際的な枠組みの必要性についてどのように認識をしているのか、そしてそれらの締結等に向けた今後の取組等について見解を伺いたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
政府間での秘密情報のやり取りにつきましては、一般的に、相手国において自国の保護措置に相当する措置が講じられていることが前提で行われておりまして、本法案におきましても、第八条でその旨を規定しているところでございます。
有識者会議の最終取りまとめにおきましては、今回の制度整備を踏まえ、同盟国、同志国との間で新たに必要となる国際的な枠組みについても取組を進めていくべきとされておりまして、既存の国際的な枠組みも踏まえまして、御指摘の点、政府間の協議や新たな協力の枠組み等の政府間での環境整備につきましても検討していく考えでございます。
なお、有識者会議の最終取りまとめに記載がありますように、我が国は、相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報を受領国政府・機関が自らの国内法や関連規則に従って保護すること等について定める情報保護協定を、米国、NATO、フランス、豪州、英国、インド、イタリア、韓国及びドイツとの間で締結しているところでございます。
この点、同様の情報保護協定がなければ秘密情報のやり取りが全くできないというものではないものの、情報保護協定は我が国政府と相手国政府との間の情報協力を向上させる基盤となるものでございまして、そうした基盤整備の必要性、重要性や相手国からの要望等を総合的に勘案して締結の要否を決定していると承知をしております。
○簗委員 適切な対応を是非お願いしたいと思います。
続きまして、本制度において、トップシークレット及びシークレットに相当する、政府が保有する安全保障上重要な情報と指定された情報の保全枠組みである特定秘密保護制度との整合性、連続性への配慮というものはどのようになされているかという点について伺いたいと思います。
両制度のシームレスな運用を担保する上でどのような制度設計をしているのか、御説明をお願いしたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案も特定秘密保護法も、指定要件を満たす情報を行政機関の長が指定した上で、これを厳重に管理するという仕組みとなっております。
本法案におきましては、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に支障を与えるもの、すなわち、著しい支障を与えるものも概念として含めまして定義をしつつ、重要経済安保情報の指定対象から特定秘密に該当するものを除くこととしております。
一方、特定秘密保護法は、同法の別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるものを特定秘密としておりまして、トップシークレット級及びシークレット級の情報を対象としております。
政府といたしましては、本法案で規定する重要経済基盤保護情報につきまして、本法案の制度による情報保全を図るとともに、機微度が上がり指定要件を満たせば特定秘密保護法の制度による情報保全を行うといったシームレスな運用を可能にする制度の設計を行ったところでございます。
また、適性評価という観点からは特定秘密保護法の方がより機微度が高い情報の保護を念頭に置いたものであることに鑑み、特定秘密保護法の適性評価で漏えいのおそれがないと認められた者であれば、特定秘密の取扱いの業務を行える期間に限り、本法案の適性評価を受けずとも、同じ行政機関において重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとしております。
○簗委員 続きまして、重要経済安保情報の定義を明確に示す必要性が指摘されていることについてお伺いをしていきたいと思います。
サイバーセキュリティーやサプライチェーンの脆弱性など、一部の例は示されているわけですけれども、民間事業者等からも、保全対象となる情報の範囲等が明確でないと本制度に参加しづらい、また、指定対象の範囲を明確にすることは、本制度への民間企業の関心を高めることにつながり、本制度を企業経営上うまく活用することで事業機会の拡大等につながるとの声も出ています。
重要経済安保情報の具体的な指定の在り方について見解を伺いたいと思います。
また、あわせて、有識者会議においては、重要な情報のうち、要件を充足するものについては、各省庁において適切に指定されることが望ましく、各行政機関のリテラシーを高めるとともに、国家安全保障局等が中心となって、政府全体の総合調整機能を適切に実施していくべきであるとの指摘がなされています。
各省庁が適切かつ円滑に本制度を運用できるよう、どのように具体の措置を講じていくのか、見解を伺いたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
重要経済安保情報の定義につきましては、本法案におきまして、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件に該当するものであると規定しております。
ここで言う重要経済基盤保護情報につきましては、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでおります。
この重要経済基盤保護情報に該当し得る情報としては、例えば、我が国の重要なインフラ事業者の活動を停止又は低下させるようなサイバー攻撃等の外部からの行為が実施される場合を想定した政府としての対応案の詳細に関する情報、我が国にとって重要な物資の安定供給の障害となる外部からの行為の対象となりかねないサプライチェーンの脆弱性に関する情報、我が国政府と外国政府とで実施する安全保障に関わる革新的技術の国際共同研究開発において、外国政府から提供され、当該外国において本法案による保護措置に相当する措置が講じられている情報などが想定されます。
今後、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準において、対象情報の一層の明確化に努めてまいる所存でございます。
また、本法案の施行に当たりましては、重要経済安保情報の指定と解除、あと適性評価、適合事業者の認定等につきましては、各行政機関において実施されることとなります。
この点、本法案第十八条の規定によりまして、政府内での統一的な運用を図るため、内閣府の長たる内閣総理大臣は、有識者の意見を聞いた上で、運用基準の案を作成し、閣議の決定を求めることとしているほか、同じく内閣総理大臣は、各行政機関における指定等がこの運用基準に従って行われていることを確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長に対して、資料の提出や説明を求め、必要な勧告をし、又はその勧告の結果取られた措置について報告を求めることができることとしております。
本法案をお認めいただいた暁には、法制度の所管となる内閣府におきまして、これらの仕組みが有効に機能し、政府で統一された法律の運用がなされますよう、国家安全保障局とも連携し、適切に対処してまいりたいと考えております。
○簗委員 では、続きまして、適性評価のための調査機能について伺ってまいりたいと思います。
これについては、原則として内閣府が一元的に担うこととしています。
米国では、セキュリティークリアランスの取得に一年から二年かかることもあると聞いていますけれども、米国並みの制度を導入するのであれば、調査を行う人員体制について相応の整備も必要であると考えますけれども、実施体制や人員確保等に向けた見解を伺いたいと思います。また、調査の実施に関して、調査に要する期間、時間の長さと、あと、調査の徹底に係るレベル、どこまで徹底して調査できるかという、調査の迅速性と完全性の両立という観点、重要だと思いますけれども、どのようなものを想定してよいのか、併せて見解を伺いたいと思います。
時間の関係で、ちょっとまとめて、次の質問も併せて先にさせていただきますけれども、一度信頼性が確認された者であっても、適性評価の再実施までの期間、これは十年間ですけれども、事情の変更が生じ得ます。事情の変更をどのように把握するのかという点について伺いたいと思います。
有識者会議からは、信頼性が確認された後に各行政機関と本人とのコミュニケーション等により継続的に状況を把握する仕組みについても検討していくべきである旨の指摘がなされていますけれども、具体的にどのような仕組みを整備していくのか、見解を伺いたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案をお認めいただいた暁には、内閣府において、適性評価のための調査のほか、法制度を所管する立場から、制度の政府統一的な運用の確保などを担当することとなります。
令和六年度の政府予算案におきまして、内閣府として、一元的な調査も含め、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しているところでございます。
その上で、施行後の体制につきましては、法施行までの間に、制度の詳細設計を踏まえまして、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数の見込みや適性評価の調査件数の見込みなどを精査し、必要な体制の整備の検討を進めてまいりたいと考えております。
また、調査に関しましては、重要経済安保情報を漏らすおそれがないことを確認するために必要十分な調査を実施する必要がございまして、そのために必要な調査期間は対象者の個々の事情により異なるため、評価が本人に通知されるまでの期間をあらかじめ一律に定めることは困難でございます。
他方、調査の効率化の観点も重要であることから、本法案では、適性評価の実施に関しまして、民間事業者にとっても分かりやすい運用基準を定めることなど、また、新たに調査機能の一元化の仕組みも構築することとしているため、こうした取組により、調査の効率化や迅速化に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、本法案における適性評価につきまして、適性評価によって評価対象者にかかる負担と情報保全上のリスクとの比較考量によりまして、十年間は適性評価の再実施が不要なものとしております。これは、重要経済安保情報よりも機微度が高い特定秘密の適性評価について、その同様の年数が五年とされていることを踏まえたものでございます。
その上で、御指摘の仕組み等につきましては、適性評価の実施後に本人から申告された調査事項に関する事情変更があった場合には評価を行った行政機関の長に自己申告することを誓約書で求めること、また、評価対象者の上司等から提出された調査事項について事情変更があった場合にも評価を行った行政機関の長に対する報告を求めることなどが考えられるというところでございます。
その上で、本法案で新たに導入する適性評価の調査の一元化、この仕組みにおきまして、いかなる運用上の工夫が可能か検討しつつ、評価対象者の事情変更を把握する仕組みを適切に検討してまいりたいと考えております。
○簗委員 調査を進めるに当たって、人員の体制の強化、増員というお話がありましたけれども、こういうことも含めてしっかり体制を整備して、準備して、実効性をしっかり高めていくということが重要だと思いますので、是非お願いしたいというふうに思います。
次ですけれども、諸外国における事業者に対するクリアランスの制度では、民間事業者等が保有する施設などの物理的管理要件、施設の適格性だけではなく、当該民間事業者等の属性や組織の適格性、すなわち、株主構成や役員構成といった組織的要件の確認も行われており、有識者会議においても、外国に通用する制度を前提とするのであれば、米国にある制度、すなわち、企業に対する外国関係者による所有、支配又は影響を確認する制度の適用等についても検討するべき旨の指摘がなされているわけですけれども、この点について、本制度においてどのような運用がなされるのか、見解を確認したいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
適合事業者の認定のための基準の具体的な内容につきましては今後検討していくこととなりますが、例えば、特定秘密保護法施行令と同様に、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育といった措置の実施に関する規程を事業者が整備し、規程に従った措置により適切に情報を保護することができると認められることなどを政令で定めることを想定しております。
また、本法案第十八条の規定により、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準におきまして、適合事業者の認定に関する事項も盛り込むこととしております。
御指摘の株主構成や役員構成や米国のFOCI、フォーリンオーナーシップ、コントロール、インフルエンスといった組織的要件につきましては、有識者会議の最終取りまとめにおきまして、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされていることを踏まえ、本制度の運用を検討してまいりたいと考えております。
○簗委員 是非、実効のあるそうした制度を構築していただければと思います。
次に、民間事業者等においても、実際に政府から経済安全保障上の重要情報が提供された際には、新たに専用の区画や施設を設ける必要が生じる場合もありますけれども、こうした施設等の整備は、民間事業者等にとって少なからぬ負担になることも考えられます。有識者会議においても、こうした負担については、民間事業者等が政府からの協力要請に応じて政府が保有する安全保障上重要な情報と指定された情報に触れることとなる場合など、経緯や実態も踏まえて、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲内で検討していく必要があるとの指摘がなされていますが、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について見解を伺いたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
前提といたしまして、情報保全制度として適切な形で保護を図りつつ、厳格な管理の下で情報提供をしていくことによりまして、経済安全保障の確保が図られるものと考えております。一方で、御指摘のように、こうした取組は企業にとっても少なからず負担になるという点が御指摘されているところも承知しております。
この点、先ほど御指摘ございました有識者の最終取りまとめにあるように、民間事業者が重要経済安保情報に触れることとなる場合の経緯や実態も踏まえまして、御指摘の支援の在り方について合理的な範囲内で検討していく必要があると政府といたしましても考えております。しっかりと検討してまいる所存でございます。
○簗委員 それでは、ここから経済安全保障確保推進法案について伺っていきたいと思います。
今般の改正により、港湾関係の事業について、令和五年七月の名古屋港のサイバー攻撃事案の発生を受け、荷役作業を行う港湾運送事業者が利用するコンテナの積卸し作業等を管理するシステム、ターミナルオペレーションシステムに支障が生じた場合に影響が甚大になることが判明したため、特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加し、当該システムの導入等に際して事前審査を行うこととなります。
他方で、医療については、医療DXに関するシステムについて、今後開発されるシステムの機能によっては、そのシステムがサイバー攻撃を受けた場合に影響が広範囲に及ぶ可能性もあることから、基幹インフラ制度の運用について引き続き検討していくとされました。今後の取組に係る見解を厚生労働省に伺いたいと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
医療DXを推進していく上で基盤となるシステムとしてオンライン資格確認等システムが稼働しておりますけれども、このシステムについては、開発、運用を行う実施機関である社会保険診療報酬支払基金において、国の基準に準拠したセキュリティー対策を講じているところでございます。
今後、令和五年六月に医療DX推進本部において決定された医療DXの推進に関する工程表に基づきまして、オンライン資格確認等システムを拡充し、電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテの提供等を行うこととしてございます。
これら医療DXのサービスを実現するためにシステムの仕様等を検討する中で、セキュリティー対策の強化を図りながら、経済安全保障推進法の適用も含めて、引き続き精査を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○簗委員 医療分野は大変重要でありますので、是非しっかりと入念な検討をしていただいて、この結論を早期に出していただきたいと私は思っております。
最後の質問になりますけれども、ちょっとまた総括的なお話として、高市大臣に最後お伺いしたいと思います。
基幹インフラに関する検討会合においては、今回の事業の追加について、事案が発生してから特定社会基盤事業に追加されるという形は望ましくないことから、インシデントが発生したことを受けて追加する、いわゆるボトムアップアプローチではなく、トップダウンアプローチが求められるとの指摘がなされていますけれども、今後の基幹インフラの見直しの在り方について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○高市国務大臣 基幹インフラ制度の対象事業につきましては、事案を受けてから後追い的に追加するか議論するのみではなくて、やはり、技術の進歩ですとか社会経済構造の変化を踏まえて、不断の見直しを行うことが必要です。これは委員御指摘のとおりだと思っております。
今回の追加につきましては、経済安全保障推進法の成立後に生じたサイバー攻撃事案を踏まえて検討を実施した結果なのですが、重要な役務を提供する事業については、政府としては、平素から、安定的な提供を阻害する要因となり得るリスクなど、脆弱性を幅広く点検、把握して、その対応策の検討を行っているところでございます。
○簗委員 もう最後ですからまとめますけれども、経済安全保障、今、国家的課題として大変重要でありますので、両法案をしっかりと成立させ、そして実効性のある制度の運用を引き続きお願いしたいと思います。
時間になりましたので、終わります。
○星野委員長 次に、大野敬太郎君。
○大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。
いよいよ、重要経済安保情報の保護活用法案、いわゆるセキュリティークリアランス法案が審議入りとなりました。これは日本にとっても非常に重要な法案、これは委員各位、皆さんも御賛同あるいは共有いただいているかと思いますけれども、非常に重要な法案でありまして、是非ともこれは成立をさせるべきという立場から質疑をさせていただきたいと思います。
私にとりましては、まさに構想五年、着手二年と申しますか、最初に同僚の小林鷹之代議士と検討を党内で始めたときは、役所側は誰も、スルーというか、ほとんど相手にしてくれない、こういう状況。一人だけ反応してくれる人がいましたけれども、ほとんど誰も賛同してくれる人がいなくて、非常に困った状況でずっと検討を続けていたわけでありますけれども、ようやくここまで引っ張っていただいた大臣のリーダーシップに、本当に心から敬意、感謝を申し上げたいと思います。
本日は、先ほど簗委員から相当、今回の提案された法律について包括的に質問がなされましたので、もちろんこのセキュリティークリアランスの法案も含めて、私の方からは、経済安全保障全体のものについて、特に、先ほど大臣もお触れになられました関係者の意識共有の重要性、ここをテーマにして、るる御質問をさせていただきたいと思います。
まず、冒頭、何回も御答弁されているかもしれませんが、セキュリティークリアランスの法案について、大臣としてはどのような効果を狙ったものなのか、御質問をさせていただきたいと思います。
○高市国務大臣 まさに大野委員におかれまして、構想五年ということで、御尽力に感謝を申し上げます。
本法案ですけれども、先ほど来申し上げているような、安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中で、経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏えいのリスクに万全を期すためにも、我が国の経済安全保障上重要な情報を適確に保護、活用するための体制を確立するものでございます。
この法案によりまして、経済安全保障分野における我が国の情報保全が強化されること、それからまた、特定秘密保護法が制定されてから同盟国、同志国との情報共有が一層円滑になったように、外国政府と我が国政府との相互信頼の下、政府間の経済安全保障上の情報の共有もより円滑となること、同盟国、同志国などとのこの分野での協力が一層拡大、深化するということを期待いたしております。
これに加えて、国際共同研究につきましても、それが重要経済基盤の脆弱性の解消などに関する調査や研究に該当するような場合は、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくと思っております。
先ほども答弁申し上げましたが、やはり、クリアランスホルダーであるということが信頼のあかしとして諸外国で認識されているような事例もありますので、我が国の民間事業者と外国の民間事業者の間で一定の情報のやり取りが円滑になるということも期待しております。
これによって、事業者の国際的なビジネスのチャンスの確保、拡充に貢献することにつながると考えています。最後に申し上げたのが一番期待していることでございます。
○大野委員 ありがとうございます。
まさに、その点が我々のずっと懸念であったところでありまして、また期待をするところでありましたので、完全に共有をしているということでございますので、是非頑張っていただければと思います。
実は、昨年三月に、党の経済安全保障推進本部、大臣も関与されておられましたけれども、この中で具体的な実装の提言をさせていただいております。多少積み残った部分というのはあるかと思いますが、引き続き御努力いただければと思っております。
その上で、まず、直近の運用上の課題というのは、もしこの法律が通ればの話でありますけれども、先ほど簗委員が御質問されていましたけれども、まさに対象情報の指定、これをどうやってやるのかということで、先ほど政府の方から、統一基準を作って、そして運用ルールを作るんだという話がありましたけれども、私自身は、制度運用というのも重要なんですけれども、意識の共有というのが確実にされていないと、政策立案者の意図がしっかりと現場で酌み取れないとやはりなかなか難しいということになるんだと思うんです。
特に、先ほどもお触れになられましたけれども、基本的に役所というのは何か事態が起きないと対応しない、なかなかできないというところもあります。そういった、文化と申しますか、メカニズムというか、そういうところが基本的にあるんだと思いますし、特に顕在化していないようなリスク、これにはなかなか対応できないというのもあります。
特に、情報の漏えいというリスクに対しては、情報の管理とそれから顕在化するリスクを対処する部門、ここが分離されている部分もある場合が多いんだと思うので、やはりなかなか積極的に、何か事前にこれを保全しようというふうなことになれない部分があるんだと思うんですね。
なので、もちろん統一ルールには従っていただくんだけれども、それ以上に、本当にこの国家にとってリスクがないのかというのをしっかりと、立案者の意識を共有をいただかないといけないんだと思っております。
今、特に、先ほどお触れになられませんでしたけれども、内閣官房には経済安全保障重点課題検討会議、いわゆるリスク点検会議というのがありますけれども、大臣もそれをお回しいただいていると思いますが、これを積極的に活用いただいて、そういう政府が抱えるあるいは日本が抱えるリスク、しっかりと点検をいただいて、そして、保全という意味でもしっかりと情報保全に取り組んでいただければと思っております。
次に、セキュリティークリアランス法案をもうちょっと深掘りをしていきたいところではありますが、ちょっと角度を変えて、同じ、関係者の意識共有、こういう観点から、経済安全保障推進法について、確認のため、まず内閣府に伺いたいと思います。
今回、基幹インフラの改正の審議でありますが、そもそも、この背景と目的、どのようなものだったんでしょうか。
○彦谷政府参考人 お答えいたします。
諸外国において、重要なインフラ事業者がサイバー攻撃の対象となる事案が増加しており、また、インフラ事業者が使用する設備の高度化等により、設備に不正機能が埋め込まれる可能性が高まっている中で、基幹インフラの安全性、信頼性の確保は、我が国の安全保障上の重要な課題となっております。
経済安全保障推進法の基幹インフラ制度は、こうした現状を踏まえ、我が国の外部から行われる行為によって国民生活及び経済活動の基盤となる役務の安定的な提供が妨害されることによって、国家及び国民の安全を損なう事態が生ずることを防止するために創設したものでございます。
具体的には、指定された基幹インフラ事業者が重要な設備の導入等を行おうとする際、国があらかじめ審査を行い、当該設備が我が国の外部から行われる妨害行為の手段として使用されるおそれが大きい場合には、そのリスクを低減させ又は排除することとしております。
今回は、港湾においてリスク対象となる事象が生じたことを踏まえて、法案の改正を提出させていただいているところでございます。
○大野委員 ありがとうございます。まさに基幹インフラの重要性をお触れいただきました。
それでは、国交省に伺いたいと思います。
今、内閣官房からこのように示された、事案があったということでありますが、これは名古屋港のサイバーセキュリティー事案だと思いますけれども、これについて、内容と、それから課題についてどのように認識をされているのか、国交省に伺いたいと思います。
○西海政府参考人 お答えいたします。
名古屋港の事案でございますけれども、昨年七月、名古屋港の五つのコンテナターミナルで運用されております統一ターミナルシステムが不正プログラムへの感染により停止いたしまして、三日間にわたり、コンテナの搬入、搬出作業が停止するという事態になっております。
その結果ですが、三十七隻の船舶の荷役スケジュールに影響が生じました。具体的には、さらに、推計として約二万本のコンテナの搬入、搬出作業に影響が生じたほか、我が国の有数の自動車メーカーの拠点の稼働が停止するといったようなことも報告されております。
このように、規模が大きく、我が国の経済、物流に重要な役割を果たしている港湾のコンテナターミナルのシステムについて、サイバー攻撃によりその機能が停止又は低下した場合には、荷役作業に支障が生じて、国民生活それから経済活動に甚大な影響を与えるおそれがあるということが課題として明らかになったと考えております。
○大野委員 それでは、大臣にお伺いしたいんです。
改めてでありますけれども、この改正によってどのような効果を大臣としては狙っているのか、期待されているのか、お願いします。
○高市国務大臣 我が国の貿易の九九・五%が港湾を通じた海上輸送によって行われておりますので、港湾というのは国民生活及び経済活動を支える重要な役割を果たしております。
昨年七月のサイバー攻撃によって、やはり大変な支障が生じました。ですから、本法案によって、港湾について、特定妨害行為を未然に防止することで物流機能の安定的な提供の確保を図ることができると考えております。
○大野委員 ありがとうございます。
もうちょっと深掘りたいんですけれども、内閣府に伺いたいんです。
今回、一般港湾運送事業者だけを対象にしておりますけれども、内閣府として、これはどういう意図だったんでしょうか。
○彦谷政府参考人 お答えいたします。
基幹インフラ制度においては、国民の生存に必要不可欠で代替困難なもの、又は、国民生活、経済活動が依存する役務で、その利用を欠けば広範囲あるいは大規模な混乱が生じるもののうち、規制対象とすべき事業者や設備が具体的に想定されるものについて、対象事業の外縁を法律に規定することとしております。
港湾においては、御指摘のとおり、様々な事業者及び設備が存在するため、今般、国土交通省とともに全般的な検討を行い、一般港湾運送事業者が運用する、いわゆるターミナルオペレーションシステムが港湾の機能の安定的な提供に重要な役割を果たしていると考えられたことから、本改正法案においては、一般港湾運送事業者を対象として提出したところでございます。
なお、港湾におけるその他の事業者につきましては、それら事業者が利用する設備について、現時点において、ターミナルオペレーションシステムのような具体的に規制対象とすべき設備が想定されないことから、規制対象とはしておりません。
○大野委員 ありがとうございます。
国交省に伺いたいんです。
もちろん、この法律で未然に防ぐということができることが期待されているわけでありますけれども、恐らく、法律だけじゃなくて重層的な対応というのが必要になってくるかと思うんですけれども、現在どんな対応を考えていらっしゃるんでしょうか。
○西海政府参考人 お答えいたします。
昨年、名古屋港の事案が起きました後、検討委員会を七月に立ち上げまして、まず、特に緊急に実施すべき対策といたしまして、中間取りまとめを行いました。その緊急の対応策につきましては、関係事業者に周知するとともに、昨年、地区ごとに説明会を行いまして、必要な措置を講じるよう注意喚起を行った、これがまず最初の取組でございます。
続きまして、本年一月に、引き続きの検討で、今度は情報セキュリティー対策を強化するための制度的措置についても取りまとめを行いました。
その中では、まず、港湾運送事業法の施行規則を改正いたしまして、港湾運送事業者が情報セキュリティー対策の実施状況をどのように行っているか国が審査するという仕組みを導入いたしました。
加えまして、官民が連携して対策を推進する体制を構築するということで、サイバーセキュリティ基本法における重要インフラに港湾を位置づけまして、これについてのガイドライン等を作るということをしたところでございます。
先生御指摘のように、経済安全保障推進法につきましては、調達とかそういった場合の法律でございますけれども、今申し上げた仕組みを通じまして、引き続き重層的な対応を取ることを考えているところです。
今後とも、内閣サイバーセキュリティセンター等、関係省庁と連携いたしまして、最新の情報も踏まえまして、不断の対策を講じていきたいというふうに考えております。
○大野委員 ありがとうございます。
そういう法律以外のガイドライン的な要素によって、ある種、民間とのイタレーションプロセスによって意識の共有を図るというのは非常に重要なことだと思います。
一方で、これも国交省さんに伺いたいんですけれども、中小規模の事業者、ここがちゃんと対応していただいたらうれしいわけですけれども、ここの部分、これは今実際的に規制の対象になっていないわけであります。今後、こういった非常に重要な役割を担っているような中小、本当は、リスク管理というのは、やはりリスクシナリオをしっかりと作って、現場にキャスティングをして、その現場とともにリスクマトリックスを作って、対処方針を一緒に示すというようなプロセスがあって初めて意識共有というものが図られて、なるほど、ここが重要だということになるわけであります。
中小規模の事業者について、今後、その対象とすること、可能性というのはあるのかどうか。もしそういう検討がなされているのであれば、例えば助けてあげるような措置とか考えていらっしゃるのか。その辺、国交省さんにお尋ねしたいと思います。
○西海政府参考人 お答えいたします。
中小規模の事業者につきましては、先生御承知のように、経済安全保障法に基づく基本指針におきまして、その提供する役務に特殊性があるかなど、事業者が提供する役務に支障が生じることによる影響について慎重な検討を行うこととなっております。
一方、今回の対象となる一般港湾運送事業者でございますけれども、中小規模の一般港湾運送事業者も大手の事業者とともに中心的な役割を果たしている、そういったコンテナターミナルもございます。そうした特殊性を踏まえますと、今回は、中小規模の事業者を指定することも想定されます。したがいまして、事業者の指定の基準の策定に今後当たりましては、有識者の意見を踏まえることですとかパブリックコメントを通じまして、丁寧に準備を進めていきたいと考えております。
また、事業者の規模にかかわらず、その対象となりました事業者が円滑に準備を進めていくことができますように、内閣府と連携いたしまして、まず、事業者への制度の周知、広報、それから、港湾の分野も含めて相談窓口、これを設けまして、これを通じた個別相談への対応といったことも支援として行っていきたいと考えております。
さらに、本年五月から先行する十四分野の制度運用が始まりますけれども、そこでも得られた知見ですとか教訓も参考にしながら、一般港湾運送事業者の支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
○大野委員 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただければと思います。
ちょっと角度を変えて、今度は厚労省さんに伺いたいと思います。
まさに先ほど簗委員も御指摘をされましたけれども、これは先ほどお答えいただいたのですが、具体的にどのように、医療DX、これを対象にするかどうかの話でありますけれども、もうちょっと前向きに御答弁をいただければと思うんですが、改めて御質問させていただきたいと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
医療DXを推進していく上で基盤となるシステム、先ほどお答え申しましたとおり、オンライン資格確認等システムというのが稼働してございまして、これにつきましては、国の基準に準拠したセキュリティー対策を講じているところでございます。
今後の医療DXに関するシステムの開発や運用に関する取組は、これも先ほどお答えしたとおりですけれども、昨年六月に策定された医療DXの推進に関する工程表に基づき順次進めているところでございます。
具体的には、例えば電子カルテにつきましては、必要な患者の医療情報を共有するため、遅くとも二〇三〇年にはおおむね全ての医療機関で導入を目指すこととしております。その上で、二〇二四年度には、オンライン資格確認等システムを基盤に構築する電子カルテ情報共有サービスについて、標準規格に準拠した電子カルテを使用する医療機関等から接続を順次開始する。あるいは、標準型電子カルテについても、アルファ版の開発に着手し、一部の医科診療所で試行的実施を行うというような段取りとなっているところでございます。
医療DXに係るセキュリティー対策については、こうしたスケジュールに沿って、経済安全保障推進法の適用も含めて精査、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○大野委員 ありがとうございました。
今るる港湾とそれから医療について細々と伺いましたけれども、何が言いたかったのかというと、冒頭申し上げた、関係者の意識共有、ここが一番重要なんだ、制度運用、これはしっかりやっていただくとしても、制度をつくっただけではなかなか全て浸透しないということなんだと思います。リスクをどのように計測するのか、評価するのか、ここも現場とそれから司令塔で違っていては、なかなかうまく進まない。
実は、港湾も、この事態が起きる前に、医療もそうでありますけれども、党内で複数の議員が、これはやばいんじゃないの、ちゃんと指定しておいた方がいいんじゃないか、こういう意見が結構出ておりましたけれども、現場から、これは役所がいけないんじゃなくて、その更に先にある関係の民間機関、民間の皆さんから上がってきた情報は、いやいや、現場でのやり取りはファクスなんだよ、だから大丈夫だよ、サイバーなんかないよみたいな話があったり、あるいは医療については、まさに地域医療計画で、代替の機関があるから、患者さんにはこっちへ行ってもらえば大丈夫なんだ、こういう話であったように思うんです。
これは我々が思っているリスク管理、リスクシナリオ、キャスティングによるしっかりとした現場の意識共有とはやはりちょっとかけ離れている部分がありますので、そういった、現場も含めた民間、それから政府、省庁、これは地方自治体も含めてでありましょうし、もちろん、大臣が冒頭言った外国の、同志国の政府、そして司令塔、ここの連携、連携というか意識共有、ここをどうやって図るのか。これは大臣にしか多分できない、運用責任者でできないところであると思いますので。
この点、改めて大臣に伺いたいのが、まずは官民連携ですよね、特に重要、ここの重要性、どのように取り組んでいかれるのか、改めてお願いしたいと思います。
○高市国務大臣 まずは、民間事業者の実態、それから技術進展の実情をよく踏まえた上で、官庁の方も、アンテナを高くして、しっかりと正しい情報を収集する必要があると思います。
以前、経済安全保障推進法を議論したときの国会の議事録も読みましたけれども、あの当時の政府側の認識というのは、港湾というのは紙でいろいろやり取りしているんだから大丈夫だ。でも、だんだんシステム化が進んできて、今回のような事態が起きた。
医療についても、私は委員と同じような考え方を持っていたということは、党内で議論したときにもうお分かりだと思います。
先手先手を打ってやはり対応していかなければなりませんので、現在、厚生労働省の方が、医療分野についても、基幹インフラとして、一部の、一定の規模の医療機関などについてどう考えるか、代替性があるのかないのか、そういったことも含めて検討してくださるということですので、その結果を待っておりますけれども、政府の方でも不断にこのリスク管理、リスクのチェックというものはいたしておりますので、更にアンテナを高くしていきたいと思っております。
○大野委員 ありがとうございました。
しっかりと取り組んで、政府全体で、港湾、医療以外に、国交省あるいは厚労省以外も、こういう観点を踏まえてリスクの点検をしっかりといただいて、それで取り組んでいただくということが非常に重要なものだと思いますし、これは恐らくここにいらっしゃる委員の皆さんも同じ意識だと思いますので、ここはしっかりと意識共有をいただければと思います。
最後に、もう時間がありませんけれども、経済安全保障全体について。
実は、国家安保戦略、一昨年に策定された文書、これの冒頭を私は非常に鮮明に覚えているんですけれども、いわく、相互依存の時代から相互依存の武器化の時代に変わったんだという強烈な文章でありまして、はっと目が覚めた記憶がいまだにありますけれども。まさに国際秩序というのが劇的に変わっている、こういう状況でありますので、法律にとどまらない対応、何回も申し上げておりますけれども、制度運用、意識という面でしっかりと取り組んでいかなくちゃいけないということであります。
今、これまで取り組んでいるのはどんなものですかということを御質問させていただいたんですが、ちょっと時間の都合上、大変恐縮ながら。時間があれば是非お答えいただければと思うんですが。
まさに技術力、これは大臣もお触れになられておりますけれども、情報力とともに非常に重要な、国際秩序を左右するような時代になりましたので、そういったものの漏えい、技術流出の防止、これは経済安全保障の中の中心的な課題なんだと思うんですね。
そういった意味で、その技術流出の防止、これをどのように図るのかというのは非常に重要な課題だと思っております。この部分、是非大臣にお答えいただければと思います。
○高市国務大臣 やはり、我が国の技術的な優位性を確保していく、維持していくという観点から、この技術流出の防止というのは非常に重要です。
政府としての取組はもう御承知だと思いますので割愛をいたしますけれども、今の問題意識として、特に国立研究開発法人ですとか大学などの研究機関というのは、国家基盤プロジェクトへの参画などを通じて我が国の重要課題に取り組んでおりますので、研究セキュリティー、インテグリティーの徹底が求められます。
昨年の、産総研の中国人研究員の逮捕、起訴という事案がございました。この後すぐに、関係省庁の局長宛てに、私の名前で、研究インテグリティーの確保、徹底を要請する通知も発出しましたし、新しいこのチェックリストのひな形というものも添付した事務の通知を出しております。そしてまた、各法人の取組状況についてフォローアップも行っております。
我が国の研究開発力の強化のためには、卓越した外国人研究者の能力の活用ももちろん重要でございます。ただし、他方で、各研究機関で、情報セキュリティーの強化も含めて機密情報をしっかり守る取組が求められるので、そのための体制を整えるためにこれからも力を注いでまいりたいと思っております。
特に、去年発出した通知、そしてまた、新しいこのチェックリストのひな形など、どの程度しっかりと対応していただいているかのフォローアップについては、去年の十二月に内閣府が主に国立研究開発法人等、今年の二月に文部科学省が大学について発表しておりますので、その中で見えてきた課題というものもお互いに認識しながら、しっかりと関係機関と対応を強化するために励んでまいりたいと思います。
○大野委員 ありがとうございます。
私、三つの大きなフレームワークがあると思っていまして、一つは、スパイ等の外部からの不正行為、これを防止すること。これは、特秘法と並んでセキュリティークリアランス法案で塞いでいただいて、特に不競法ですね、こういったもので塞いでいただいている。これで、ある種、しばらくはもつだろうと思っています。
もう一つが、まさに経済活動の適正化ですよね。大臣もお触れになられたところでありますけれども、ここは、輸出規制とか、あるいは対内直投の制限とか、特許の非公開とか、こういった部分も随分強化をいただいています。ただ、実は、外為法、もう結構限界に来ておると思いますし、三番目の柱のサイバーについてはまだまだ丸空き状態なんですね。
○星野委員長 大野委員、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○大野委員 はい。
ということで、もう少しの努力が要るということを申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、宮澤博行君。
○宮澤委員 自由民主党の宮澤博行でございます。
本日は、セキュリティークリアランス制度について、そして基幹インフラ制度について御質問させていただきます。(発言する者あり)
今日は、御覧のとおり、野党の皆さんからも大変多大なる御声援をいただいております。その御声援を背に一生懸命質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まずは、この制度、言葉が難しいということ、それから、秘密の情報を対象にしているからなかなか説明が難しいということ、だからこそ分かりやすくこれを説明していく必要があると思っておりますので……(発言する者あり)
○星野委員長 御静粛にお願いします。
○宮澤委員 是非とも、大臣にはそういった点について御答弁をお願いしたいと思います。
まずは、この状況なんですけれども、安全保障の概念が経済、技術の分野に大きく拡大し、我が国の情報保全制度の更なる強化を図ることが必要となったためと書いてあるんですね。
これはもうちょっと説明していただきたいなと思うんですね。どういう状況なのか、分かりやすく、そのところはお願いしたいと思います。
○高市国務大臣 やはり、我が国をめぐる安全保障環境が厳しくなっている、国民の皆様の生命や生活、さらに経済活動を支えていて、それらが依拠している重要インフラや重要物資のサプライチェーン、これはサイバー攻撃など外部の行為から保護しなければなりません。そのため、政府が保有している経済安全保障分野における情報管理というのは一層重要性を増している状況にあるということです。
事業者の方からも、経済安保分野における政府の共同開発においても機微な情報が入手できないといった課題も聞かれています。こうした声にも応えることは必要です。
それから、政府が保有する経済安保上の重要な情報の保全制度を強化する、それを通じて事業者の国際的なビジネス機会の確保、拡充に貢献していく、これが重要である。
こういう考え方の下、この法案を提出して御審議をお願いいたしております。
まだ言葉が難しいですか。
○宮澤委員 ありがとうございます。
では、別の観点から説明を求めたいんですけれども、そうすると、特定秘密保護法との関係、すみ分け、それについてはどういうふうに説明されるでしょうか。
○高市国務大臣 経済活動の担い手というのは民間事業者でございます。政府との協働、連携が重要となる経済安全保障という分野の特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するということのみならず、情報保全に関して信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要です。ですから、特定秘密保護法を含めて既存の制度の改正ではなく、新たな法律によって経済安全保障上重要な情報の保全制度を立案したものでございます。
ちなみに、特定秘密保護法におきましては、特定秘密を適合事業者に保有させなければ行政機関の所掌事務の遂行が立ち行かないというような、いわば非代替性が認められたときに情報提供が可能とされています。これに対して、この法律案におきましては、各行政機関の長が、安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときには、事業者への情報提供を行うことができます。だから、随分状況が違うということで御理解をいただきたいと思います。
○宮澤委員 その情報の内容がどんなものかについては後ほど御説明いただくとして、先ほど大野議員も構想五年というふうにおっしゃられて、自民党の中においても相当準備されたんですけれども、高市大臣も、大臣になられて、いろいろこの条文化においては御苦労されたやに聞いております。
どんな御努力をされてここまでこぎ着けられたのか、それはなかなか、法案審議のときに、先生、出てこないじゃないですか。是非、ここに至るまでの御苦労について一言コメントをいただけるとうれしいと思います。
○高市国務大臣 与党も野党も、各党においてもこの問題については熱心に党内の御議論をいただいていると承知をしておりますので、委員の先生方の御苦労もたくさんあったと思います。
私については苦労というほどのものではございませんが、ただ、政府として、昨年二月以降だけを見ましても、有識者会議を十回にわたって、しかも一回当たり長時間、開催をしております。その有識者会議を開く前の準備作業も含めますと、政府部内はもちろん、有識者会議委員の皆様とは、幅広く、そして重要な論点についてはかなり深く掘り下げて議論をしてまいりました。
その中で、産業界の方々にも来ていただいて、お互い営業先がどこであるかというのがばれたら困るので匿名を条件で様々な企業の方に来ていただいて、そのニーズをお聞かせいただく、現場でどういうことが起きているのか、なぜセキュリティークリアランスが必要だと思っているのか、そういうお話を伺うということ、これも続けてまいりましたし、あとは、やはり、外国の制度をしっかりと調査するということも、なかなか職員にとっても私にとっても大変な作業だったと感じております。特に、外国の制度調査というのは、これは海外でも通用する制度とする必要がありますので、国内外の幅広い関係者に御協力をいただいて丁寧に取り組んでまいりました。
もう本当にたくさんの方々のお力をおかりして本法律案の提出に至ったということでございます。
○宮澤委員 ありがとうございました。
では、その取り扱う情報について聞いていきたいと思います。
まず、用語の整理をさせてください。
重要経済基盤保護情報というのがありますね。今回、重要経済安保情報というのがありますね。用語はどういうふうにすみ分けというか定義されているんでしょうか。ちょっと簡潔に説明していただきたいと思います。事務局、いかがでしょうか。
○品川政府参考人 お答えいたします。
重要経済安保情報の定義につきましては、本法案におきまして、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件に該当するものであると規定しております。
ここで言う重要経済基盤保護情報につきましては、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでいるところでございます。
○宮澤委員 ありがとうございました。(発言する者あり)今から私が聞いていきますから。よろしいですか。
経済安全保障上重要な情報の候補として説明が政府から資料としてあったものの中に、サイバー関連情報とか規制制度関連情報、調査・分析・研究開発関連情報、国際協力関連情報等々あるわけですよね。これらの説明はありましたけれども、じゃ、なかなか答えにくいかもしれませんけれども、これらが漏れてしまった場合はこんなデメリットがあるんだ、だから守らなくちゃいけないんだというふうな説明をしなくちゃいけませんけれども、その点についてはどうされますでしょうか。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、国家及び国民の安全を害する行為が及び得る対象範囲として、我が国の国民生活や経済活動を支える重要なインフラと我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要物資のサプライチェーンを先ほど申し上げましたように重要経済基盤と定義し、これを外部による行為から守ることに関する情報のうち特に保護すべきものを対象とする制度としております。
お尋ねの点でございますけれども、このような情報が漏えいすれば、我が国の重要なインフラやサプライチェーンを害する行為が行われる危険性が高まり、また、そうした行為に対する有効な防御策を講じにくくなって被害が拡大するおそれが高まるなど、我が国の国家及び国民の安全を損なう事態が生じかねないと考えております。
○宮澤委員 具体的にはその情報が何なのかということと、その場合のリスクについては何なのかというのはなかなか説明しづらい、それは確かに分かります。
では、ちょっと次の話に移りますけれども、企業が保有している情報について等をお伺いいたします。
こういう説明がありました。政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報ということなんでしょうけれども、この説明書の中に、企業からの声として、ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった、そういう声もあったやに聞きました。
これは、ぱっと聞くと民民の関係じゃないですか。国家が制定する法律がなぜ民民の関係にまで波及していくのかというのも、これもまた説明しなければいけません。
そんなわけで、まず聞きます。企業が保有している情報で実質的に安全保障に重要な情報の保全というものは、今回の法律でどういうふうな保全になるのか、どういうふうな対象のたてつけになるのか、それについて説明していただきたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案は、政府が保有する経済安全保障分野における機微度の高い情報を保護するとともに、必要に応じて民間に活用してもらうための制度を整備するものでありまして、基本的には民間企業の保有する情報は本制度の対象とはなりません。
ここで言う民間企業の保有する情報に関しまして、例えば、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報につきましては、これを重要経済安保情報として指定することは考えられるところでございます。
また、本法案第十条第二項に規定しているとおり、政府が適合事業者の同意を得て行わせる調査研究等によりまして当該適合事業者が保有することが見込まれるものについても、重要経済安保情報として指定することがございます。
ただし、いずれの場合におきましても、民間事業者に情報指定の効果、すなわち本法案による情報の取扱者の制限や罰則等が及ぶのは、当該民間事業者が政府と秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を重要経済安保情報として受け取り、保有するに至った場合に限定されるものとなっております。
○宮澤委員 だとすると、純粋に企業が持っている情報、産業スパイとか等はありますけれども、じゃ、そういう情報はどういうふうに今後守っていくんでしょうか。この法律外かもしれませんけれども、参考として説明してください。
○高市国務大臣 この法律案は、政府が持つ情報を基本的に守っていくというものでございます。産業スパイ等ということになりますと、不正競争防止法、これをしっかり企業として要件を整えていただくということも大事なんだと思っております。だって、営業秘密、営業上の重要な秘密だったり重要な技術情報だということをしっかりと表示、指定する、社員もそれを分かっている、非公知のものであって、誰でも知っているようなものじゃなくて、ちゃんと管理されている、こういったことというのは重要でございますよね。だから、不正競争防止法があるのにこれを十分に活用できていない企業もあると思っております。
ですから、現在ある法律をしっかりと活用していただく、本当に大事な、取引先の名簿であったり重要な技術情報というのは今の法律で対応できるような体制を整えていただく、こういったことを周知していくのも重要だと思っております。
○宮澤委員 ありがとうございました。
続きまして、取扱者について質問をしていきます。
まず、適性評価についてです。これは自然人が対象なんでしょうけれども、内閣総理大臣による一元的な調査というような形になっておりますけれども、従来の調査との違いというのは一体何なんでしょうか。そこのところをまずはお願いします。
○高市国務大臣 まず調査があって、その調査の結果を受けて適性評価をするということになります。本法律案では、適性評価は個別の行政機関が行う、ただ、そのための調査については内閣府において一元的に調査をする、内閣府の長は内閣総理大臣ですから、内閣総理大臣はということになっております。特定秘密保護法の方は、各行政機関が調査もし、各行政機関が適性評価もしているということでございます。
何で、今回、内閣府による一元的な調査ということを入れ込んだかといいますと、これはやはり調査を受ける方々の負担軽減ということがございます。内閣府による一元的な調査の結果を用いた適性評価を十年以内に受けられた方というのは、他の行政機関による適性評価を受けたいという場合にも、新たに他の行政機関が調査を再度同じ人に対して行う必要はなくて、内閣府が一回調査した結果をもってそのほかの行政機関の適性評価も受けることができます。
ですから、やはりこれは、国家公務員もそうですけれども、行政機関の職員もそうですけれども、適合事業者の従業者の方々の御負担を軽減するということ、それから、調査の結果というのはそれで十年間有効ということになります。特段何か本人の事情が変わったときにはちゃんとそれを自己申告していただくということを誓約していただきますけれども、有効ということになりますので、一定のポータビリティーを保てるということが大きなメリットだと思っております。
○宮澤委員 今大臣から、一定のポータビリティーとおっしゃいましたけれども、じゃ、その証明方法というのはどうするんですか。成り済ましというのはあり得ますよね。だから、証明をもらいました、証明をもらったのは私です、ほかの何者でもありませんと。その証明は、カードなんですか、書類なんですか。どういうふうにこれから証明していくんでしょうか。その点については何か予定とかはありますでしょうか。
〔委員長退席、鳩山委員長代理着席〕
○高市国務大臣 そこのところは私もこだわっておりまして、まだ役所内で議論をいたしております。
現在、特定秘密保護法に基づく適性評価の結果というのは公印を押した紙を一枚もらうんだという話を聞きましたが、私はその紙を確認しているわけではございませんけれども、証明の方法ということ、これは物すごく大事だと思っております。
ただ、やはり情報保全ということを考えますと、私はクリアランスホルダーですといろいろなところに自ら言い触らすというのは、かえってスパイからのターゲットになる可能性もありますので、そこはちょっと情報保全の観点から慎重であるべきだと考えております。
ですから、要は、事業者の方に対しては、自分のところの従業員が適性評価を受けましたという通知の内容を重要経済安保情報の保護以外の目的に利用、提供することは禁止しております。ですから、企業の方が営業目的で第三者に従業員の方々の適性評価の結果を示して回るということはないと考えております。
ただ、やはり、国際的なビジネス機会の拡大、日本にも同じようなレベルの情報保全制度ができたんだということで、相手から信頼をしていただく。これはBトゥーB、先ほど委員がおっしゃっていました、この法律自体は国が持つ情報を対象にしたものだけれども、じゃ、企業間はどうなるんだというと、やはり、相手国にも同じような情報保全制度が確立されているということをもってお互いの企業間でも信頼ができますから、そういう機会に何か示せるような証明ですね。外国の政府調達に参加できるようになるのか、また外国企業との取引ができるようになるのか、また国際研究に参加することができるようになるのか、その効果は様々だとは思うんですけれども、何か明確に、例えば、顔写真つきで、又は英語表記もあって証明できるようなものがあった方がいいなというのが、これは私の意見です。
ただ、それについてどうなるかというのはこの法律案をお認めいただいた後に検討するという約束になっておりますので、よろしくお願いいたします。
○宮澤委員 ありがとうございました。
政府と民間の関係、その証明が民民、BトゥーBに大きく影響を与える、その構造については理解できました。
では、そのBトゥーB、事業者についてお聞きします。
適合事業者という文言が出てきます。適合事業者、ですけれども、適性評価は自然人ですよね。適合事業者の審査というのはどういうシステムになっているんですか。これは法律の条文を見る限りでは判然としてきませんけれども、何か構想とか予定とかはあるんでしょうか。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
適合事業者につきましては、本法案第十条に基づきまして、重要経済安保情報の保護のために必要な施設設備を設置していることなどを政令で定める基準に適合するか否かの判断が行われることとなります。
判断のための基準といたしましては、例えば、特定秘密保護法の政令に定められているのと同様に、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育などの措置の実施に関する規程を定め、これらの措置を講じることにより重要経済安保情報を適切に保護することができると認められることなどが想定されているところでございます。
これに加えて、株主構成や役員構成などの組織的要件につきましても、有識者会議の最終取りまとめにおきまして、主要国の例を参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされた経緯も踏まえて、検討してまいりたいというふうに考えております。
また、本法案第十八条におきましては、適合事業者の認定に関する事項を含む運用基準を策定することとしておりまして、これにより各行政機関における判断の統一を図ることとしたいと考えております。
○宮澤委員 時間も制限されておりますので、ちょっと次に港の方に移りたいと思います。
今回、港湾が経済安保推進法に盛り込まれることとなりました。先ほど大野議員も指摘されていましたけれども、なぜ最初から入れていなかったのかについては、これはやはり我々としても反省しなくちゃいけないところがあろうかと思います。先日の国会、本会議の場でも、TOS停止でも大きな影響はないと考えていたという答弁があったんですね。我々としても一端の責任はあるかもしれませんけれども、これは大いに反省しなければいけない選考過程なんじゃないでしょうか。
ですから、これは反省し、次に生かすために、さあ、次どうするかの教訓を得ていかなければなりません。何か、国交省若しくは政府の方からこれについてのコメントがあればおっしゃっていただきたいと思います。
〔鳩山委員長代理退席、委員長着席〕
○西海政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、経済安全保障推進法の制定当時は、国交省におきましても、たとえ、あるコンテナターミナルシステムの機能が停止した場合であっても、その影響は限定的であるというふうに評価しておりました。
この点は、当時のターミナルシステムの実態でありますとか、いろいろ様々ヒアリングした結果、判断したものではございますけれども、先生御指摘のように、今回の名古屋港の事案を鑑みますと、やはり非常に大きな影響が国民の生活、経済活動にあったということでございますので、その点はよく教訓といたしまして、今後は迅速な対応を図るべく、今回の経済安全保障推進法の対象にしていただいて、しっかり情報セキュリティー対策に対応していきたいと考えております。
○宮澤委員 だとすると、今後、これは十五番目ですよね、十六番目、十七番目、どういったものを追加していくかについては、これはどういう審査過程を取っていくのか。これは政治的な判断だから、政治の側で若しくは行政の側で必要性があればどんどん認めていくんだとしていくのか、そういった追加のシステムというのは構築するのかしないのかについては、何かコメントはありますでしょうか。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
基幹インフラ制度の今後の方向性につきましては、先ほども議論がございましたとおり、不断の見直しをしていく。私どもとしては、基幹インフラをめぐりまして、サイバー攻撃を含め外部からの行為がどのように行われるのかということについての、リスクについての評価というものを政府の関係省庁の会議の中でしっかりと議論をし、あるいは現場の企業の皆様からの御意見もいただきながら、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
○宮澤委員 では、不断の努力、我々も協力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
そして、港についてもう一点お聞きしたいんです。
いろいろな規模の港がありますよ。私の地元にも御前崎港がございます、これは漁港ではなく港湾でございますけれども。どのレベルを対象にするんですか。ちっちゃい港湾まで対象にしていったら、なかなか事業者の方の負担も大変ですよね。それについてのコメントと、さらには、設備を整備するための支援策か何かは用意しているのかどうなのか、それについては政府の方からもコメントをお願いいたします。
○西海政府参考人 お答えいたします。
今回の名古屋港の事案のように、大量のコンテナの輸送に影響が生じるような大規模な社会的混乱が生じ、国家及び国民の安全を損なう事態が、おそれがあるということに鑑みますと、今回対象とする港湾につきましては、我が国にとって重要な物流拠点でありますコンテナの取扱量が多い港湾、これを対象とすることを考えております。
事業者につきましては、それぞれの港湾ごとに許可をする仕組みでございますので、行っている事業ごとに、港湾の規模を考慮しながら選定したいと考えてございます。
次に、先生の御指摘にございました、中小とかの事業者があった場合の支援でございますけれども、先ほど大野先生にお答えいたしましたように、まずは制度の周知、広報ですとか、あるいは、港湾でも個別の相談窓口を設けまして、どのように円滑に準備していくか、これについて対応していきたいというふうに考えております。
また、今回、国土交通省の補正予算で、海外の事例の調査でございますとか、あるいはサイバーセキュリティ基本法に基づくガイドラインを港湾についても策定していきますので、こういった中身を通じまして、事業者が円滑にサイバーセキュリティーの対策を講じていけるように支援を考えていきたいと考えております。
○宮澤委員 ありがとうございました。
では、最後に一問お聞きいたします。
セキュリティークリアランスに戻りまして、罰則についてであります。
この罰則についての条文も拝見しましたけれども、妥当な線かなと私は思っております。だとすると、特定秘密保護法、これにおける罰則との比較、海外の同様の制度の罰則との比較、これを参考までにお示ししていただくことが重要かなと思います。私はこの条文に賛成でございますので、改めて政府の方からの説明をお願いします。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案では、重要経済安保情報が漏えいした場合に安全保障に与えるおそれのある支障の程度が、同様の漏えい罪に関する規定を設けている特定秘密保護法よりも相対的に小さいことから、それに応じた水準の罰則を設けることとしております。具体的には、例えば業務取扱者による漏えい罪の法定刑は、特定秘密保護法では、十年以下の懲役、又は情状によりこれに一千万円以下の罰金を併科することとされているのに対しまして、本法案では、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしておりまして、罰金刑のみの選択も可能となっているところでございます。
また、諸外国の制度における罰則のみを取り出した比較につきましては、各国の刑事法制が異なることから一概に比較することはできませんが、我が国については本制度の罰則と特定秘密保護法の罰則等を併せて考える必要があると考えております。
○宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、鈴木英敬君。
○鈴木(英)委員 ありがとうございます。自民党の鈴木英敬であります。
質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
先輩の専門家の先生たちが既に御質問いただきましたので、少し重複などがあるかもしれませんが、順番を変えながら質問させていただきたいと思います。
経済安全保障分野においても、情報漏えいリスクに万全を期すべく……(発言する者あり)
○星野委員長 御静粛にお願いします。
○鈴木(英)委員 我が国の情報戦の更なる強化を図る観点から、この度、制度が整備されることは極めて有意義で、大いに評価できるものであると思います。
今日は、その実効性の確保という観点から、現時点で法案に表現されていない論点とか、執行体制も含めて質疑をさせていただき、また、関連して、サイバーセキュリティーなどについても聞きたいと思います。国際連携、官民連携、これが一つのキーワードだと思っています。
それでは、まず、高市大臣に、セキュリティークリアランス法案の意義についてお伺いしたいと思いますが、特に、国際連携、官民連携、イノベーション、こういう観点からのこの法案の意義についてお答えいただきたいと思います。
○高市国務大臣 それでは、国際連携から申し上げますと、本法案によりまして、経済安全保障分野において同盟国、同志国から信頼される制度が構築されましたら、同盟国との経済安全保障上、重要な情報の共有が円滑になります。ですから、経済安全保障に関する国際連携が進んでいくということが期待できます。
また、先ほど来申し上げておりますが、やはり同盟国、同志国との国際共同研究の拡大ですとか、外国政府の調達などへの日本企業の参画というものも促進される可能性が高く、さらには、信頼のあかしとしてのセキュリティークリアランスによって、内外の民間事業者間の連携も深まっていくでしょう。そうすると、技術やビジネス面で新たなイノベーションを生む機会にもつながると思っております。
また、本法案によって、政府が保有する機微な情報を民間に共有して官民連携をするということによって、経済安全保障に関連する施策をより円滑かつ効率的に推進することが可能になります。
ですから、サプライチェーン上の脆弱性の解消ですとか重要インフラのサイバー脅威への対処などについても、こうした新たなレベルの官民連携によって民間の創意工夫を政策立案に一層取り込むことも可能になりますから、経済安全保障政策分野での政策が進化するという、イノベーションにつながる、そういうことも期待いたしております。
○鈴木(英)委員 ありがとうございました。大変的確にお答えいただきました。
特に、イノベーションにつきまして、先ほど簗先生への答弁にもありましたけれども、宇宙スタートアップが海外の政府調達に入れなかったというのがありますけれども、宇宙スタートアップとかディープテックの企業は、内外の政府にお客になってもらって、技術を増やしていって、イノベーションを起こしていくということがありますから、今回の制度ができていくことでイノベーションが進んでいく、そういうふうなことを期待していきたいと思います。
続いて、国際連携について少し具体的にお伺いしたいと思います。
先ほど簗先生の御質問にもありましたけれども、今回の同盟国、同志国との連携の更なる強化という観点で、具体的にどういう進め方を、どういう方向性でいくのかということです。
例えば、米英間とかは、ISA、インダストリアル・セキュリティー・アグリーメントとかを活用して、二国間でセキュリティークリアランスの相互適用とかをしておりますし、ファイブアイズとの連携強化もにらみながら、今後の国際連携の具体的な方策、教えていただきたいと思います。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
経済安全保障分野の情報保全の強化に当たりましては、民間事業者や同盟国、同志国との情報共有と協力の推進が必要であり、委員御指摘のとおり、国際連携を進めていくことは極めて重要だと考えております。
先ほど申し上げましたが、政府間での秘密情報のやり取りは、一般的に、相手国において自国の保護措置に相当する措置が講じられていることが前提で行われておりまして、本法案におきましても、その旨を規定しているところでございます。
我が国は、相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報を受領国政府・機関が自らの国内法や関連規則に従って保護すること等について定める情報保護協定を、米国、NATO、フランス、豪州、英国、インド、イタリア、韓国及びドイツとの間で締結しているところであります。こうした枠組みなどを活用して、国際連携を進めてまいります。
また、有識者会議の最終取りまとめにおきましては、今回の制度整備を踏まえまして、同盟国、同志国と新たに必要となる国際的な枠組みについても取組を進めていくべきと指摘をいただいております。
今後、既存の国際的な枠組みをも踏まえて検討していく考えでございます。
○鈴木(英)委員 ありがとうございました。
是非、しっかりとした相互適用ができるように取組を進めていただきたいと思います。
続いて、官民連携、民との関係で幾つか質問したいと思います。
まず、適合事業者について、これは先ほど来質問がありました。適合事業者は、適合事業者の基準が政令で、適合事業者と契約する契約事項は法律でということで、これはなかなか、どういう整合性なのかなと思いつつも、適合事業者の政令で定める基準はどういうふうになるのかということと、次の質問も併せて行きたいと思いますが、適合事業者とはいえ、適合事業者になった後、どういうふうに的確な情報保全をするか。社内体制とか、漏えいが万が一発生した場合の対処をどうするのか。そういうところを適合事業者に全部丸投げで、あんたたち全部考えてよというのはさすがに無理だと思いますから、分かりやすいガイドラインなどを示す必要があると思いますが、その点も含めてお答えください。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
適合事業者の認定のための基準の具体的な内容については今後検討していくこととなりますが、例えば、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限や従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育といった措置の実施に関する規程を事業者が整備し、規程に従った措置により適切に情報を保護することができると認められることなどを政令で定めることを想定しております。
また、役員や株主の構成といった組織的要件についても、それをどのように考慮をするかについて、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきと指摘をいただいていることを踏まえまして、今後しっかりと検討してまいりたいと考えております。
また、重要経済安保情報を民間事業者に提供する場合には、事業者の適合性を確認した上で、御指摘ありましたように、政府との間で秘密保持契約を締結する必要がございます。この契約には、重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる従業者の範囲、重要経済安保情報の保護に関する業務を管理する者の指名などのほか、重要経済安保情報の保護に関し必要な事項をこれまた政令で定めるということとしておるところでございます。
また、具体的な内容は今後検討してまいりますが、御指摘の社内体制の在り方や取扱者の選定、万が一の漏えい事案発生時の対応などについても、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準において記載することも含め、政府として、適合事業者に求めるところを可能な限り明らかにし、事業者の予見可能性の確保に努めてまいりたいと考えております。
○鈴木(英)委員 重要な御答弁をいただきました。適合事業者の予見可能性を高めるために、しっかり政府としても取り組むということであります。
加えて、できれば、こういうことをやってくださいね、適合事業者はこういう社内体制をやってくださいねとかということをなるべく早くお示しするということも大事でありますので、それも併せて御検討いただければと思います。
それでは続きまして、民間保有情報について、これは宮澤先生からもありましたけれども、もう少し突っ込んでお聞きしたいと思います。
本法案の対象かどうかを問わず、我が国全体として、官民で情報漏えいリスクのために万全を期す、全体として情報保全体制を強化をしていくということが大事だと思います。
他方で、民間活動を阻害してはいけませんから、過度な規制は駄目だという大前提の下での質問でありますけれども、漏えいしたら安全保障上支障があるかどうかということの情報、これは支障がある、これは支障がないというふうに明確に区分するというのは、やはり民間保有情報でも結構難しいと思うんですね。
ですので、本法の対象か否かにかわらず、我が国全体の情報保全の強化、漏えいリスクに万全を期すという観点から、民間の皆さんにも民間保有情報の保全に当たって別途ガイドラインとかを示すべきではないかと言う有識者の方々もいらっしゃいます。
そういう観点から、我が国全体で、官民全体での安全保障の確保という観点から、民間事業者に対するガイドラインを示すなど、その辺りについての政府の見解を教えてください。
○彦谷政府参考人 お答えいたします。
御指摘のような民間企業が保有する情報に関しましては、有識者会議の最終取りまとめにおいても、諸外国でもセキュリティークリアランスの対象ではないため、今回のセキュリティークリアランス制度の検討の射程からは外れるとされているところでありまして、政府としても、今御審議いただいております本法案のような政府の情報保全制度ではなく、不正競争防止法や外為法による保護、管理を含め、別途検討していくべき重要な課題であると考えているところでございます。
その上で、有識者会議の最終取りまとめにおいて、国が一方的に規制を課すことは民間活力を阻害する懸念もあることに留意が必要としつつ、他方で、民間事業者が自らのために営業秘密をしっかりと管理していくことは、我が国の安全保障にも資する面があるとされています。
その上で、政府として、民間事業者等が真に必要な情報保全措置を講じられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要があるという御指摘をいただいているところであります。
こうした御指摘を踏まえまして、今後しっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。
○鈴木(英)委員 ありがとうございます。
まさに、今次長が最後におっしゃっていただいた有識者会議の最終取りまとめの、民間事業者等任せにせず、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討をということで、有識者会議からも示されておりますので、是非検討していただきたいと思います。
ここまで民間の話をしてきました。
サイバーセキュリティーの世界での官民連携の事例を少し紹介したいと思います。こういうのを参考に、是非、情報の保全と活用というのを官民連携でやっていただきたいというものです。
実は、アメリカのCISA、サイバーセキュリティー社会基盤安全保障庁が立ち上げましたJCDC、米国官民共同サイバー防衛連携というのがありまして、ここで官民が戦略面、運用面で協力をして、重要情報や懸念事項を共有する仕組みがあります。ここには、関係省庁や民間事業者だけじゃなくて、ファイブアイズの政府なんかも参加をして、情報に対しては、独自にアクセス制限をかけたりするとともに、共有もやるという枠組みがあります。
ちなみに、我々は、サイバーセキュリティー分野で日本版JCDCみたいなものをつくっていくべきではないかと思っているわけでありますが、こういうような、官民連携で情報保全と活用をやっていく、そういう枠組みをこのセキュリティークリアランスの分野でもつくっていくことを是非求めたいというふうに思っていまして、これは答弁は結構ですから、私の意見として申し上げたいと思います。
続いて、独立行政法人が保有する情報についてお伺いしたいと思います。
独立行政法人が保有する情報は今回の重要経済安保情報の指定対象とならないと理解していますが、それでよろしいかということと、他方、JAXAとか、あるいは経済安全保障重要技術育成プログラム、いわゆるKプロの推進主体であるJSTとかNEDOとかには重要経済安保情報に該当し得るものもあるのではないかというふうに考えられるわけでありまして、他方で、特定秘密保護法においては、独立行政法人は対象になっておりません。
今回の重要経済安保情報の指定の対象に独法が保有する情報はならないと理解しているものの、他方で、今申し上げたようなJAXA、JST、NEDOなど、安全保障上漏えいすると支障がありかねない情報もあるかと思いますので、こういう独立行政法人における情報保全の強化、これについてどう考えているか、お答えください。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、政府が保有する経済安全保障上重要な情報について、特別な管理措置を講ずることで保全していくというものでございます。
独立行政法人につきましては、国が自ら主体となって直接に実施する必要のない事務を実施する機関であるという位置づけでありますから、本法案の行政機関には含めないということとしております。
したがって、本法案では、独立行政法人が保有する情報は、民間事業者が保有する情報と同様の位置づけでございます。すなわち、独立行政法人は、必要に応じ、本法案第十条の適合事業者として、国から契約に基づいて重要経済安保情報の提供を受けたり、また、国が行わせる調査研究等によって生じる情報を国との契約に基づいて重要経済安保情報として保有することとなります。
また、独立行政法人が保有する重要な情報の扱いにつきましては、いずれにせよ、不正競争防止法や外為法に基づき、適切な保護、管理がなされることが基本であると考えているところでございます。
○鈴木(英)委員 ちょっと、やや頼りない感じでありますけれども。
今の御答弁も理解できますけれども、あと、各行政機関の長、独立行政法人を所管する行政機関の長によって対策に対する温度差があってはいけませんので、政府一丸となって、各独立行政法人によって温度差、対策のばらつきが出ないように、仮に適合事業者になったとしても、そういうところについても是非配慮をしていただいて、全体としての情報保全の強化、特に、JAXAはサイバー攻撃と見られる事案もありましたから、そういうことで、情報保全の強化に是非万全を期していただきたいと思います。
それでは、時間の関係で、順番を入れ替えてお伺いしたいと思います。
今回提出されている両法案に関連するサイバーセキュリティーに関して少しお伺いをしたいと思います。
今回のセキュリティークリアランス法案では、重要経済安保情報の例示としてサイバー脅威対策等に関する情報が挙げられていますので、セキュリティークリアランスとサイバーセキュリティー、これは切っても切り離せない、そういう関係であります。
また、先ほどありましたとおり、経済安保推進法の改正も、今回、名古屋港のサイバー事案を踏まえて、基幹インフラとして一般港湾運送事業を追加するということであります。
他方、先ほど国交省の審議官の方もサイバーセキュリティ基本法の話を出していただきましたが、サイバーセキュリティ基本法に規定するサイバーセキュリティ戦略本部の本部員には国交大臣は指定されていません。特に必要があると認められる場合に内閣総理大臣が指定できるというのはもちろん承知をしています。他方で、国交大臣関連では、航空、鉄道、物流なども既に基幹インフラに指定をされています。また、本部員には、金融担当大臣や厚労大臣も含まれていません。
そこで、今回の法整備は、今申し上げたような状況、そして、先ほど来いろいろな委員からあったように、医療とかいろいろな分野の今後の話もありますので、是非、全大臣を本部員とする、そういうサイバーセキュリティ基本法の改正をやってはどうかということと、併せて、今本部長は官房長官なんですけれども、それを内閣総理大臣に変えてはどうか。この辺りの見解を土田政務官にお伺いしたいと思います。
○土田大臣政務官 お答え申し上げます。
今委員御指摘いただいたとおり、サイバーセキュリティ戦略本部、内閣官房長官を本部長として、また、一部の国務大臣を本部員として置いております。
今日るる御議論いただいていますけれども、サイバー攻撃被害というのは非常に多様になっている中で、この戦略本部の構成というのは非常に重要な論点の一つだというふうに認識しておりますので、しっかりと現下の状況を踏まえながら、不断の検討を行っていきたいと思います。
○鈴木(英)委員 土田政務官から力強い御答弁をいただきました。是非、現下の状況を踏まえて、不断の検討をしていただきたいと思います。
先ほど来、前に御質問された委員からも、基幹インフラの追加について話がありました。
少し意見を申し上げたいと思いますけれども、アメリカでは、サイバーセキュリティーの観点から、重要インフラが十六分野指定されていて、通信のほかに情報技術という分野が含まれています。
今回の経済安保推進法の改正では、基幹インフラに港湾事業を追加するというところでありますけれども、今後、我が国においても、サイバーとの関連が非常に強い基幹インフラということで、クラウドサービス事業者とかそういうのも追加していく、そういうことを是非検討してほしいと思います。業法がないから追加できないみたいな、そういう理屈が本当に我が国を守っていくために通じるのかどうか、そういうことも含めて、政府においてはしっかりと検討していってほしいと思います。
それから、もう一つ、次の質問に行きたいと思います。
セキュリティークリアランス制度とも関係の深いサイバー安全保障に関する法整備についてお伺いしたいと思います。
国家安保戦略の中で、サイバー安全保障分野で三つの取組が記載されていまして、そのうち一つ目には、民間事業者がサイバー攻撃を受けた場合の政府への情報共有や、政府から民間事業者等への対処調整、支援等の取組を強化するなどの取組というふうに書かれていまして、これは官民連携の観点から極めて重要です。
サイバー攻撃を受けた場合に官民で共有すべき情報の中には、今回の法案における重要経済安保情報を提供する必要も出てくる可能性もあるというふうに思っておりまして、セキュリティークリアランス制度とサイバー安全保障分野の法整備というのは極めて関連が深いと思いますので、この場でお聞きしたいと思います。
他方、サイバー安全保障分野に関する法整備については、岸田総理も可能な限り速やかにとおっしゃっていただいておりますけれども、専門家会議もいまだ開催されず、検討状況も明らかになっていない状況で、関係者の懸念も高まっています。
そこで、サイバー安全保障分野における法整備の検討状況について政府にお伺いしたいと思います。
○小柳政府参考人 お答えを申し上げます。
我が国のサイバー対応能力を向上させることは、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題であると認識をしております。
能動的サイバー防御の実現に向けた法案につきましては、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたってございますが、可能な限り早期に法案をお示しできるよう検討を加速しているところでございます。
いずれにいたしましても、国家安全保障戦略に掲げられた、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるという目標に向けて、引き続き努力をしてまいります。
○鈴木(英)委員 引き続き努力をしていただくということでありますけれども、その努力が、本当に実効を伴う形の努力を是非やっていただきたいと思います。関係者の懸念も大変高まっている状況でありますし、今回せっかくこうやってセキュリティークリアランス制度の法案を出すということになっているわけですから、サイバー安全保障の方も、官民連携という観点でも大変重要なことが記載されていますので、是非法整備の加速をお願いしたいと思います。
最後、一個だけセキュリティークリアランスに戻って質問をしたいと思いますが、適性評価や調査の体制などについてお聞きしたいと思います。
一部報道によれば、国防総省が二〇一九年に新設した組織で、調査に当たる人たちは数千人の専門職員がいる、また、審査プロセスには一人当たり約十万ドル、一千五百万円のコストがかかる可能性があって、国防総省では年間約三万八千人分を処理しているので、年間コストは三千八百万ドル、五十億円以上を超えるとも言われているという指摘もあります。
したがって、調査を担う人員体制とか予算というのは大きな課題でありまして、改めて、この一元的調査を行う内閣府の組織はどの程度の規模を想定しているのか。また、当該組織において調査業務を行う職員はどういう人材を想定しているのか。また、併せて予算規模のイメージなどについてもお伺いしたいと思います。
○彦谷政府参考人 お答えいたします。
本法案を認めていただいた暁には、内閣府において、適性評価のための調査のほか、法制度を所管する立場から、制度の政府統一的な運用の確保などを担当するということとなります。
令和六年度の政府予算案におきまして、内閣府として、一元的な調査を含め、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しているところでございます。
その上で、調査業務を行う職員の専門性や予算など施行後の体制につきましては、法施行までの間に、制度の詳細設計を踏まえ、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数の見込みや適性評価の調査件数の見込みなどを精査し、必要な体制の整備をしっかりと進めていきたいと考えております。
○鈴木(英)委員 少し、予算規模のところはなかったですけれども、この法案は、公布の日から一年を超えない範囲で施行するというふうになっています。ということは、無事に成立したとすると、令和七年度中のどこかで施行がスタートするわけです。そうすると、今年の年末あるいは夏の概算要求、あるいはその前提となる骨太の方針、そういうところで、一定、組織や予算のことを要求していかないといけないので、時間的余裕はありません。この段階で何も決まっていないということではやはり駄目だと思いますので、この法案の審議と並行して、そういう、実効性を確保するための体制、人員、在り方、そういうことについての検討も是非加速をしていただきたいと思います。
以上、いろいろ申し上げさせていただきましたけれども、今回のこの法案がしっかりと成立をした上で、我が国の情報保全が強化をされる、そういう一助になることを心から期待をしまして、私の質問としたいと思います。
以上です。
○星野委員長 次に、吉田久美子君。
○吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。
冒頭、令和六年能登半島地震におきましてお亡くなりになられた皆様方の御冥福をお祈りし、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
我が国を何度も襲う自然災害は、多くの方々を突然の苦難に陥れ、当たり前の日常がどれほど貴いものだったかを痛感させるものです。
九州におきましても、近年だけで、二〇一六年四月の熊本地震、二〇一七年七月九州北部豪雨、そして二〇二〇年七月の熊本南部における豪雨災害、私の身近な方たちも被災をされました。とても人ごとではございません。
どんな災害であっても、一日も早く被災者の皆様が日常を取り戻すことができるよう最大の支援をすることが国の責務であります。政府におかれましても、能登半島の復旧復興、そしてなりわい支援に全力を尽くしていただきますようお願いしたいと思います。
世界に目を移しても、つらい現実を目にします。ロシアによるウクライナ侵略は二年を過ぎてまだ終わりが見えず、イスラエルとハマスの戦闘もラマダンをきっかけとする停戦さえ実現せず、加えて、十八日には、北朝鮮が、戦術核兵器として位置づける短距離弾道ミサイルと見られる超大型ロケット砲を一斉に発射をする訓練映像を世界に見せつけるなど、自然ではなく、人間が引き起こす、現在の複雑化し、混沌とした世界情勢を見るとき、暗たんたる気持ちになるのは私だけではないと思います。
だからこそ、国政を預かる一人として、また平和の党公明党の一員として、我が国の平和を守り、国民の命と安全な生活を守る上で何を強化すべきか、また、これ以上悲惨で不幸な方向に進まないよう、どう世界を平和へとリードしていくのか、こうした現実に即した重要な課題に逃げずに向き合わなければならないと心に期しているところです。
それでは、今法案の重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について質問をさせていただきます。
今法案は、安全保障の対象が、外交、防衛分野だけでなくて、今や経済、技術分野にも広がっており、国の持つ、経済安全保障上、漏えいされることで我が国の安全保障に支障を与えるものを重要経済安保情報として国が指定をし、その情報の保護を適切に行い、かつ当該情報を活用することが我が国の安全保障上重要であるとの認識の下に、一定の基準に適合する事業者には情報提供を認めることとし、その事業者の中でも、その情報にアクセスする必要がある者のうち、情報を漏らすおそれがないという確認、セキュリティークリアランスを国の適性評価によって行い、政府が適正と認めた人には情報の取扱いを許可をするという、このセキュリティークリアランスという制度の法整備を進めるものであると承知をしております。
このセキュリティークリアランスの法整備については経済界からも強い要請があり、例えば、国際共同研究開発や他国との政府調達に参加する際にこのセキュリティークリアランスが求められるが、それがなくて我が国の企業が参加をできない、また限られた情報しか提供してもらえない、そういうケースがあったと聞いております。
改めて高市大臣より、今法案の我が国の安全保障上の必要性そしてメリットをお示しいただきたいと思います。
○高市国務大臣 お尋ねの効果ということで申し上げますと、まず、政府内の経済安全保障上重要な情報の保全が強化されるということによりまして、外国政府との相互信頼の下、政府間のこれらの情報の共有もより円滑になって、同盟国、同志国などとの経済安全保障分野の協力が一層拡大する、深化するということを期待しております。
また、国際共同研究におきましては、それが重要経済基盤の脆弱性の解消などに関する調査や研究に該当する場合には、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくと考えております。
さらに、諸外国においては、やはり、このセキュリティークリアランスを保有しているということがいわば信頼のあかしとして認識されている、こういった事例が指摘されておりますので、クリアランスを保有する民間の事業者同士が国際的にやり取りができるということで、そういう情報のやり取りも円滑になる、またそれを通じたイノベーションが発現する、こういう効果もあると考えております。
○吉田(久)委員 我が国において、セキュリティークリアランスとして特定秘密保護法があるというふうに思いますけれども、なぜ既にある特定秘密保護法の改正ということにならなかったのか、その方が切れ目のないシームレスな法体系になったのではというお声もありますが、この点について御説明いただきたいと思います。
○高市国務大臣 特定秘密保護法は、漏えい時に安全保障に著しい支障を与える影響を保護するものでございます。
本法案は、特定秘密保護法では対応されていない、漏えい時に安全保障に支障を与える機微度の情報を保護するものでございます。
やはり、経済安全保障という分野は、政府と民間事業者の協働、連携が重要となります。そういった特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、情報保全に関して、信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用するということが重要でございます。
このため、特定秘密保護法を含め既存の制度の改正ではなくて、新たな法律によって、経済安全保障上重要な情報の保全制度というものを立案いたしました。
○吉田(久)委員 法案名にもあるように、今法案は、情報を保護、秘匿するだけではなくて、今御答弁いただきましたように、民間との連携そして情報の活用ということを重視している点で、特定秘密保護法とは別の法律として制定することとしたと理解をいたしました。
世界各国が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削っております。我が国の経済安全保障の取組の抜本的な強化は大変重要であり、令和四年五月の経済安全保障推進法が制定されて以来、今法案が目指すところのセキュリティークリアランスという法整備を進めて、重要な経済安保情報の取扱いについては、我が国の安全保障上の不利益が引き起こされることがないよう、漏えいを防ぎ、適切に管理をしつつも民間との情報の活用も目指すという双方向のベクトルを持つ法案となっており、より民間に機微な取扱いを求めるものになっていると思います。
役員会、取締会等で、経済安全保障が重要な経営課題となると答えた企業が八四%ということ、また、政府に企業側が求めるものとしては、政策の方向性をしっかり明示してもらいたいということが四七・四%というデータがあるということで、ジャーナリストの船橋洋一さんの著書から最近知りましたけれども、漏えいした場合に、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金、又はこれを併科するという罰則が設けられていることから、そこには国家権力が行使されるわけであります。
民間がこの情報を取り扱う上で、どこからが活用でどこからが漏えいとみなされるのか、運営の透明性の確保は極めて重要だと考えます。有識者会議でも懸念する意見があったと思いますが、民間事業者の経済活動を萎縮させることのないよう、明確な指針を示した上での運用をお願いをしたいと思います。
そこで、国の持つどのような情報が重要経済安保情報として指定されるのか、具体的な、どのような情報が重要経済安保情報となるのかを確認をさせていただきたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
重要経済安保情報の定義につきましては、本法案におきまして、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件に該当するものであると規定しております。
ここで言う重要経済基盤保護情報については、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでいるところでございます。
その上で、この重要経済基盤保護情報に該当し得る情報として、例えば、我が国の重要なインフラ事業者の活動を停止又は低下させるようなサイバー攻撃等の外部からの行為が実施される場合を想定した政府としての対応案の詳細に関する情報、我が国にとって重要な物資の安定供給の障害となる外部からの行為の対象となりかねないサプライチェーンの脆弱性に関する情報、我が国政府と外国政府とで実施する安全保障に関わる革新的技術の国際共同研究開発において、外国政府から提供され、当該外国において本法案による保護措置に相当する措置が講じられている情報などが想定されます。
委員の御指摘を踏まえまして、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準におきまして、対象情報の一層の明確化に努めてまいりたいと考えます。
○吉田(久)委員 重要経済安保情報として指定をされるのは、今御説明いただいたとおり、一つが重要経済基盤情報であるということ、二つ目は公になっていないということ、そして三つ目が、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であること、この三つの条件に全て該当する、国の持つ情報について指定をするものということでありますけれども、民間が元々持っていた情報に政府が付加価値を与えて重要経済安保情報として指定されることがあるのかどうか、もしあるとしたらどのような場合が想定をされているのかをお伺いしたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のようなケースとしましては、例えば、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報につきましては、これを重要経済安保情報として指定することは考えられるところでございます。
なお、そのような場合におきましても、民間事業者に情報指定の効果、すなわち本法案による情報の取扱者の制限や罰則等が及ぶのは、当該民間事業者が政府と秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を重要経済安保情報として受け取り、保有するに至った場合に限定されるところでございます。
○吉田(久)委員 民間が元々持っている情報については、指定されたとしても、政府と秘密保持契約を結んでいない限りは法的効果は及ばないということを確認をさせていただきました。
続いて質問したいと思いますが、技術革新、これはスタートアップ企業を含めて民間で生み出されているものです、それを世界に伍するものになるように後押しをしていくことが国には求められております。民間の持つ先端技術の情報については、国としても保全が必要なものであり、秘匿すべき情報があると判断され得るケースもあると思いますが、その情報管理は今法案の適用外でございます。
民間事業者にこの法案以外で情報保全措置を求める仕組みについて、どのようなものがあるのかを説明をいただきたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本法案は政府が保有する情報の保全のための制度でございまして、重要経済安保情報以外の情報についての民間における管理は、本制度では対象としていないところでございます。
他方で、御指摘のような情報に関しまして、有識者会議の最終取りまとめにおいては、国が一方的に規制を課すことは民間活力を阻害する懸念もあることから留意が必要であり、民間事業者等が営業秘密として自主的に管理していくことが基本としつつ、民間事業者等が自らのために営業秘密をしっかりと管理していくことは、我が国の経済安全保障にも資する面があるとした上で、政府として、民間事業者等が真に必要な情報保全措置を講じられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要があるとの指摘をいただいているところでございます。
また、お尋ねの民間事業者における情報保全に関係する現在ある仕組みにつきましては、不正競争防止法や外国為替及び外国貿易法の仕組みが存在いたします。
我が国の技術的優位性を確保、維持する観点から、民間事業者における技術流出の防止も重要な課題と認識しております。引き続き、不競法や外為法といった既存法制で対応しつつ、有識者会議の最終取りまとめの指摘も踏まえ、検討を行ってまいりたいと考えます。
○吉田(久)委員 既存の法制で対応しつつ、不断の取組の見直し、検討を行っていくということでありますけれども、経済安全保障を確立する上で軸となる概念は、我が国が代替困難なポジションを獲得するという戦略的不可欠性だと岸田総理も答弁をされており、それを確立するためにも、決して民間の活力をそぐことがないよう万全の配慮をしつつ、かつ、我が国の安全保障環境が脅かされるような情報が流出してしまわないように、既に民間にある様々な最先端技術の保全が、まずは民間自らのリテラシー強化で適切に行われるよう、側面からの支援も強化をしていただき、知らないうちに世界最先端の技術を持つ事業者と人がそっくり海外へ流出してしまうことがないよう、国として最大に支援をしていく取組も強化も併せて是非お願いをしたいと思います。
次の質問に入りたいと思います。
国民の知る権利との関連について確認をさせていただきます。
国家安全保障分野において立法を行う際の、国家安全保障のための合理的措置と市民による政府情報へのアクセス権の保障を両立するための、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則、通称ツワネ原則というものが存在することを知りました。
その冒頭部分には、近年の歴史を曇りのない目で振り返ると、正当な国家安全保障上の利益が最大に保護されるのは、実際には、国の安全を守るためになされた国家の行為について、国民が十分に知らされている場合だということが分かるとあります。つまり、国民が知ることによって安全保障上の利益が最大化する、高まるということが分かったという、極めて示唆に富んだ指針だと感じております。
今法案では、行政機関の長が我が国の安全保障上に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、国会や裁判所等に重要経済安保情報を提供するものとすると規定をされております。裏を返せば、行政機関の長がおそれがあると判断をすれば、立法府や司法機関に当該情報を開示しないものになっております。
特定秘密保護法においては、国会との関係において、情報監視審査会が衆参両院に設置をされ、行政における特定秘密の保護に関する制度の運用を常時監視をする仕組みが整備をされております。
今法案においても、国民の知る権利を保障し、行政の暴走を抑える仕組みが必要なのではないか。行政機関の長が重要経済安保情報と指定したものが真に必要で適正なものなのかどうか、国会や裁判所が監督できる仕組み、若しくは第三者機関のようなものは必要ではないかとの、この法案を不安視する声に対しての政府の見解をお伺いしたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本法案におきましては、行政機関の長は、国会において保護のために必要な措置が講じられ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときは、国会の秘密会に対して重要経済安保情報を提供するものとされております。
これに関しまして、政府といたしましては、本法案第九条第一項第一号に規定しているとおり、国会におかれまして、国会法等により非公開とされた審査、調査であること、この審査、調査において重要経済安保情報を利用する場合には、この情報を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、こうした審査、調査以外の業務にその情報が利用されないようにすること、その他の重要経済安保情報の保護のために必要な措置を講じていただくことが必要であると考えております。
いわゆる受皿に関する具体的な方策につきましては、国会において御議論いただくことと考えておりますところ、これらの方策により、国会において本法律案の運用状況について御確認いただくことができると認識しております。
加えて、現在、特定秘密の指定及びその解除等の適正を確保するために、独立した公正な立場から内閣府の独立公文書管理監が検証、監察等を行っているところ、重要経済安保情報につきましても同様の検証、監察を独立公文書管理監が行うことを想定しておりまして、施行準備期間中に所要の下位法令の整備を行うことを考えております。
以上のとおり、本制度の運用におきまして、国会の監視や第三者による検証、監察を想定しているところでございまして、こうした対応について丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
○吉田(久)委員 是非、しっかりとやっていただきたいと思います。
セキュリティークリアランスを得るため、国が実施する適性評価の調査を受けることについての本人同意についてお伺いしたいと思います。
これは、任意でかつ真摯なもの、真の同意でなければならないとされておりますけれども、基本的には会社の要請があってすることでありますので、事実上強制にならないのかが懸念をされております。
本人の真の同意はどのように判断をするのか、また、同意を拒否したり取り下げても不当な扱いがなされないことをいかに担保をするのか、また、救済制度なども必要ではないかと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、適性評価を受けることに同意しなかったことや、適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的のために用いてはならないという、いわゆる目的外利用禁止の規定を置いております。この規定によりまして、事業者が適性評価を受けることに同意しなかった従業者に対して、これを理由として人事上の処遇などで不合理な不利益取扱いをすることは明確に禁止されており、そのような行為を行った事業者は法令違反とみなされると考えております。これによりまして、従業者が同意をしない自由が確保されることになります。
委員から事実上の強制にならないかという御指摘がございましたように、事業者と従業者との間でこの目的外利用禁止規定の実効性を担保するためには、運用上の対応も重要と考えております。
具体的には、今後、有識者の意見を聞いた上で作成し、閣議決定を求めるとされている運用基準などにおきまして禁止行為を明示すること、規定の遵守を事業者との契約等でも求めること、さらには、通報、相談の窓口を設けることなどを考えておりまして、これら必要な措置を適切に講じてまいりたいと考えております。
○吉田(久)委員 適性評価の有効期間は十年となっております。十年経過していなければ、ほかの行政機関でも改めての調査なく適性評価が実施可能というふうになっておりますけれども、結婚や離婚、新たな人間関係の構築など、人生は変化の連続であり、また、社内でも同じ部署にとどまっていない、また、離職や転職のケースなども十年のうちにはあり得るかと思います。
このセキュリティークリアランスの適格性の更新、どのようになされるのかを御説明いただきたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
本法案における適性評価は、適性評価によって評価対象者にかかる負担と情報保全上のリスクとの比較考量によりまして、十年間は適性評価の再実施が不要なものとしております。これは、重要経済安保情報よりも機微度が高い特定秘密の適性評価につきまして、同様の年数が五年とされていることを踏まえたものでございます。
御指摘の更新につきましては、十年を経過した日以後も重要経済安保情報の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者については、改めて適性評価を行うこととなります。これに加えまして、重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認められた後、疑いを生じさせる事情が生じた場合には、十年を待たずに適性評価を再度実施することとしております。
また、適性評価の実施後に本人から申告された調査事項に関する事情変更があった場合には評価を行った行政機関の長に自己申告することを誓約書で求めること、また、評価対象者の上司等から提出された調査事項について事情変更があった場合にも評価を行った行政機関の長に対する報告を求めることなどが考えられるところでございます。
その上で、本法案で新たに導入する適性評価の調査の一元化の仕組みにおきまして、いかなる運用上の工夫が可能か検討しつつ、評価対象者の事情変更を適切に把握する仕組みを検討してまいります。
○吉田(久)委員 セキュリティークリアランス、このポータビリティーについてお伺いします。
セキュリティークリアランスを持っていることが、諸外国ではステータスシンボルのように、対外的に信頼できるあかしとして通用するものとなっているような話も聞きました。先ほどちょっと大臣も答弁されましたけれども。これはそういうものとして使用可能なのかどうか。例えば、履歴書等に適性評価認定者みたいな形で書き込めるのか。また、本人がそれを証明する仕組み、また、第三者が確認できる仕組みというものは設けられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○品川政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、国際的な協力枠組みの中など必要な場面におきまして、評価対象者がクリアランスを保有していることを我が国政府から外国政府等に示す仕組みの在り方については、今後検討していきたいと考えております。
一方、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者であることを対外的に示すことは情報保全の観点から慎重であるべきとも考えておりまして、本法案では、適性評価を受けた本人が自らその結果を対外的に示すことまで禁止しているものではないところでございます。
他方で、民間事業者が従業者の適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的のために利用することは禁止されているところでございまして、民間事業者が営業目的等で従業者の適性評価の結果を第三者に示すことはできないと考えております。
以上でございます。
○吉田(久)委員 セキュリティークリアランスを受けることによって、いつまでも個人情報が国に管理されるのではという心配、懸念がございます。さらに、個人情報が目的外で使われることがないよう、今るる説明いただきましたけれども、厳格でかつ適正な管理、これが求められます。実効性はどのように担保されるのかを最後にお伺いしたいと思います。
○星野委員長 品川準備室次長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。
○品川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、適性評価のために収集した個人情報につきましては、それが漏えいしたり目的外で利用されたりすることがないよう、厳格に管理する必要がございます。
本法案では、第十六条第一項におきまして、行政機関の長に対し、適性評価の結果や収集される個人情報などに関して、重要経済安保情報の保護等以外の目的で利用、提供することを禁止しているところでございます。また、禁止される目的外の利用には、目的外で情報を保存し続けることも含まれると考えております。
今後、個人情報の管理につきまして、厳格な管理の方法、評価対象者の個人情報をどの程度の期間保存することとするかも含めて、運用基準等で適切なルールを定めてまいりたいと考えております。
○吉田(久)委員 運用上の細部について、今から明確化、透明化していくべきことが少なくないと思われます。結局、この法案で一部の企業のビジネスチャンスだけが広がって、多くの国民の知る権利が縛られて、当該法案による適性調査によって個人情報が国に管理されることによって、国民に不利益を招くような事態、ひいては国民の知るべき情報がつながれないことによって国の安全保障レベルが低下をするようなことがないよう、しっかりとこの委員会での審議も踏まえていただき、細部にわたっても改善を図った上で運営方針を取りまとめていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○星野委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 引き続き、質問させていただきます。
少し時計の針を巻き戻してみたいと思うんですけれども、特定秘密保護法が制定をされる一つのきっかけになった事案は、御承知のとおり、平成二十二年九月に尖閣諸島沖で発生した、中国の漁船と我が国の海上保安庁の巡視船の衝突事故でありました。このときに、海上保安庁の職員が、自らが、撮影した動画映像を当時の政府に許可なくネット上に公開したということがあって、あのとき大変大きな議論になりました。賛否両論、いろいろな意見があったことを覚えております。
そのときに菅総理大臣がおっしゃったのは、国の情報管理、これがしっかりしていないことに強い危機感を覚えた、こう発言をされまして、これを受けて、当時の官房長官が、国会、予算委員会だったと思いますが、その中で、秘密保全に関する法制の在り方について早急に検討したい、こう答弁をされております。
これを受けて、政府が検討会議を設置をいたしまして、翌平成二十三年には、この会議の報告書として、秘密保全法制を早急に整備すべき、こうした報告がなされたわけでございます。その後、政権が替わって、平成二十六年に具体的には施行になっているんですけれども。
何が申し上げたいかというと、実は、この尖閣諸島の事案の二年ほど前に、これは本会議でも申し上げたんですが、平成二十年当時、経済産業省が設置をしております検討会、勉強会があります。これは、技術情報等の適切な管理の在り方研究会という研究会なんですが、この報告書によりますと、諸外国においては国家安全保障上の観点から信頼性確認を行うことが一般的であり、我が国でも導入を検討すべきだ、こうした報告書が提出をされていたわけでございます。
特定秘密保護法の方はそういう意味では施行にベクトルが向いたんですけれども、この経済安保、いわゆる技術領域、経済領域のことについては、こうした報告書が既に十六年前に上がっていながら、この間、具体的に施行に向けたベクトルというのは示されてはこなかった。このことについて、非常に失ってしまったものも大きいのではないかなというふうに問題意識として持っています。
そこで、最初に伺いたいのは、なぜ、平成二十年当時に既にそうした今と変わらない問題意識が示されていたにもかかわらず、コンフィデンシャル級の情報管理について前に進めてくることができなかったのか、この経緯をお尋ねしたいと思います。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
近年、安全保障の裾野が経済、技術分野に拡大する中で、経済安全保障分野においても、情報保全に万全を期す必要性が高まってきております。
そのような中で、政府としては、一昨年の十二月に閣議決定された国家安全保障戦略において、経済安全保障分野における新たなセキュリティークリアランス制度の創設の検討に関する議論等も踏まえつつ、情報保全のための体制の更なる強化を図るとしたところでございます。
これを踏まえて、約一年をかけて有識者会議を開催して議論してまいりましたが、委員の御指摘を受け止め、今後速やかに、本法案により我が国の経済安全保障分野における情報保全の強化を図ってまいりたいと考えております。
○庄子委員 今、何か、近年になって必要性が高まってきたという認識を示されましたが、いや、そうなのかなと。十五年、十六年前のあの研究会の段階で既にそのことは分かっていて、けれども、何か前に進まない目詰まりがあって今に至ってしまっているというふうに私には思えます。
何か大きな、例えばさっきの尖閣でのああした事案があって、リアクションを取る形で法律ができるというのではなくて、真に国民にとって、国民の権利やあるいは財産や命を保全、守っていくために本当に必要性があるものであれば、そうしたリアクションではなくて、丁寧かつ分かりやすい説明ということを前提としながらも、これは果断に法整備を検討していくべきだし、そのことをしっかり情報を提供して国民の皆様に見える形で議論を尽くす、そういう姿勢が大事なんじゃないかなというふうに思えてなりません。今、自然災害等も続いている中で、災害があってから国土の強靱化を図りましょうというのと何か共通するような感じがいたします。是非、その点については認識をしっかり持っていただけたらありがたいなというふうに思います。
そういう意味で、今回のセキュリティークリアランスの制度の創設というのは、少し時間はかかりましたけれども、防衛と民生技術の領域、境界線、これが曖昧になっている中にあっては必要な措置だというふうに私は思います。
その上での確認なんですけれども、平成二十六年施行の特定秘密保護法において、経済的な分野というのは多々ございましたが、特定秘密に指定されるものはありませんでしたので、どうも、この経済分野というのは、政府が所有する守るべき重要経済安保情報というその姿が、非常に内容が見えにくい、そうした側面があるのではないかと思っておりまして、繰り返しになりますけれども、具体的な重要経済安保情報の内容について明確な定義というものを示していただく必要があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 重要経済安保情報の定義ということにつきましては、法律案の中で、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件に該当するものであると規定をしております。
この重要経済基盤保護情報につきましては、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示して、それによって対象を絞り込んでおります。
この重要経済基盤保護情報に該当し得る情報としては、例えば、我が国の重要インフラ事業者の活動を停止又は低下させるようなサイバー攻撃などの外部からの行為が実施される場合を想定した政府としての対応案の詳細に関する情報であったり、我が国にとって重要な物資の安定供給の障害となる外部からの行為の対象となりかねないサプライチェーンの脆弱性に関する情報であったり、我が国政府と外国政府の間で実施する安全保障に関わる革新的技術の国際共同研究開発において、外国政府から提供され、当該外国において本法案による保護措置に相当する措置が講じられている情報などが想定されます。今申し上げられるのはここまででございます。
今後、有識者の御意見を聞いた上で案を作成して、閣議決定によって定める運用基準において、対象情報の一層の明確化に努めてまいりたいと思います。また、それが指定を行う各行政機関にとって非常に重要な情報になるからでございます。
○庄子委員 今の大臣の御答弁にありましたように、今後の運用の中で詳細については決めていくというところが結構残っていますので、これからもこの問題についてはしっかり議論をさせていただかなければいけないなというふうに思います。国民も、あるいは対象となり得る民間事業者の皆様も、予見可能性がしっかり立つ、そうした情報を提供いただければというふうに思います。
その上で、議論の中で、適性評価のことや、いろいろ焦点が当たってまいりましたが、まあ隠れているとまでは言いませんが、私なりに今回非常に重要だなと思っているポイントなんですが、いわゆる政府若しくは政府職員のリテラシーという問題がとても重要ではないかというふうに思います。指定すべき情報を確実に指定するという能力や力、あるいは、指定する必要が低いと思われるものが何かしら紛れ込んだりするというリスク。そういう意味でいうと、政府及び政府の職員の皆様が最新技術情報に関する豊富な知識を得ていただかなければならないという側面がありますし、その膨大な情報を的確に取捨選択する、あるいは評価し、分析し、それらを活用していくといったリテラシー、これは非常に幅も広いし奥も深い領域だというふうに思います。
一体、この情報を指定することにどうした意味があるのか、この情報を指定することに政策的意義がどこに存在するのかといったことについて、政府のリテラシーをしっかり高めていくということについて、ここは重要な問題だと思っておりまして、大臣に是非明確な御答弁をお願いしたいと思います。
○高市国務大臣 庄子委員がおっしゃるとおりだと思います。
本法案の施行に当たりまして、重要経済安保情報の指定や解除などは各行政機関の長が実施することになりますけれども、各行政機関が経済や技術に関する最新の動向を把握していなければそれもできません。特に、今回の重要経済安保情報というのは割と技術の進歩が速いので、指定をしても、要件を満たさなくなったら解除しなきゃいけないという特色があります。
ですから、各行政機関において、それぞれが所掌する重要経済基盤に関する情報収集、分析、あとリスクや脅威の点検、これをしっかり行うということ、それから、日頃から民間事業者とのコミュニケーションをより一層緊密に取ってもらうということなど、所掌する政策分野における重要経済基盤への理解を不断に深める努力をしていただくことが重要だと思っております。
今回の法律案にも書かせていただいたんですが、内閣府は、情報の指定、解除に関する運用基準を所管します。内閣総理大臣が各行政機関に対して、情報の指定などについて必要があった場合に、資料の提出や説明を求めて、必要な勧告をする際、この事務処理も担うということになります。ですから、各行政機関が所掌する事項に精通する人材、これもまた内閣府にも必要になってまいります。
ですから、制度の運用の中で、適材適所の人材配置というのはもちろんですが、研修もしっかり実施をする、さっき申し上げたような取組も進めていくということで、リテラシーの向上も含めた取組をしてまいります。
○庄子委員 極めて分かりやすく明確に御答弁をいただきました。この進行管理をしっかり政治の側、政府の側でやっていかなければいけないというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
これは先日の本会議でも総理にお尋ねをさせていただいているんですけれども、このセキュリティークリアランスという制度がしっかりワークしていくための肝になってくるのは、相手国から信頼される制度か否かということになるんだろうと思います。先日の質問に対して、総理からはこういう御答弁をいただきました。欧米主要国と同水準のルールを整備し、そのルールを実効的に運用、実績を重ねていくことが重要だ、こう話された上で、重ねてこうおっしゃいました。本法案成立後、制度運用上必要となる関係政省令や運用基準等の実施体制を整備し、制度の実効的な運用を確保する、こう述べられたわけでございます。
それで、その御答弁を引き取る形で重ねて伺うんですけれども、信頼性の獲得ということについて運用基準で策定をするということなので、どういう点が信頼性獲得のために重要なポイントになってくるのか、運用基準の策定に際してどういうところに留意しようと考えていらっしゃるのか、ここをお尋ねをしたいと思います。
○高市国務大臣 運用基準につきましては、この法案の第十八条において、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施、適合事業者の認定について定めるということとしております。
それで、この基準を定めるに当たっては、有識者の御意見を聞いて定める、閣議決定を行うということになるんですが、これから作っていくわけです。この法律案をお認めいただいた後に速やかに作業に入って作っていくんですが、既に海外との間で、諸外国との間で通用している特定秘密保護法の運用基準も参考にしながら、指定対象となる情報は明確化する、そして、適性評価や適合事業者の認定についても制度の実効性が確保されるようにしっかりと詳細を定めるということで、政府として統一的な運用が確保されるということがとても重要だと思っております。
○庄子委員 よろしくお願いをしたいと思います。
次の質問ですが、個人に対してのいわゆるクリアランス以外に、事業者に対するセキュリティークリアランス、ファシリティー・セキュリティー・クリアランスというんでしょうか、これもあります。
事業者へクリアランスを与えていく際には、重要情報、これを物理的に他の部署から遮断して保全できるハードの施設があるかどうかということはもちろんなんですけれども、建物だけではなくて、いわゆるセキュリティーの面からいう通信インフラ、これも重要な設備、施設になってくるというふうに思いますが、こうした通信インフラが含まれていくかどうかということと、その上で、事業者が組織としての適格性、例えば外国からの何らかの影響あるいは支配関係、こうしたものを有しているかどうかといった確認が必要になるだろうというふうに思います。簡単に書面で取れる確認だけではないのではないかというふうに思いますが、具体的にどのように実行していかれるか、お尋ねをいたします。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
適合事業者の判断のための基準は、法案の第十条一項で、重要経済安保情報の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するものとしており、御指摘の通信の遮断も含めて、具体的な内容は今後検討してまいります。
使用する機器等について、特定秘密保護法の施行令と同様に、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、使用する電子計算機の使用の制限などの措置の実施に関する規程を事業者において定め、かつ、当該規程に従った措置を講ずることにより重要経済安保情報が適切に保護されると認められることなどが想定されております。
また、事業者の組織的な要件につきまして、これをどのように考慮するかにつきましては、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされていることなどを踏まえて、今後検討してまいります。
なお、法案の第十八条で、有識者に意見を聞いた上で作成し、御指摘がありました運用基準でございますが、こちらにおきまして、適合事業者の認定についても統一的な運用を図るための基準を定めるとしております。民間事業者からの予見可能性にも十分に配意した運用を図ってまいりたいと考えております。
○庄子委員 そうなってくると、民間事業者の側は適合する施設を保有するために負担が生じるという可能性があります。恐らく、合理的な範囲の中で今後検討という御答弁しか今の段階ではできないのではないかなというふうに思うので、質問はいたしませんが、民間企業の方々における過度な負担につながらないような配慮、合理的な配慮、これはよく検討をお願いをしたいというふうに思います。
次の質問ですけれども、さっき大臣が少し御答弁の中でも解除のことについて触れていらっしゃったので、この点の確認です。
重要情報の機動的な指定だけではない、解除については、これが慢性的かつ過剰な指定の常態化にならないように気をつけなければいけない観点だと思っています。当該情報が指定の要件を満たさない状況であるかどうかについて、どの機関がどうやって評価して、最終的に誰が解除の判断をしていくのか、さらには、機動的、つまり、解除しただけではなくて機動的に解除できたかどうかについての検証をどう行っていくのか、お尋ねをいたします。
○彦谷政府参考人 お答え申し上げます。
解除の判断でございますけれども、こちらは、指定と同様に、行政機関の長が行うということになっております。したがって、行政機関の長及びその職員において、指定している情報が既に公になっていないか、周辺事情に照らして秘匿の必要性が低下していないかなどを随時判断することとなります。
また、重要経済安保情報の指定については五年以内の有効期間を定めることとされており、これが満了する都度、期間延長の要否、すなわち、裏を返せば解除の要否が当該行政機関により吟味されるということとなっております。
さらに、情報の指定及び解除については、統一的な運用基準を定め、制度を所管する内閣府において、それが基準に従って適切に行われているかをチェックし、必要があれば勧告などを行うこととしております。
このほか、特定秘密の検証、監察を行っている独立公文書管理監が、本法案の重要経済安保情報についても、その指定や解除が適切になされているかを独立した立場で検証、監察することを想定しております。
こうした複層的なチェック機能を通じて、各行政機関の長により適切に情報指定の解除が行われるようにしてまいりたいと考えております。
○庄子委員 今の御答弁、とても重要だと私は思いました。他の主要国の中では、過剰な指定が指摘されている、そうした国もありますので、指定はもちろん重要なんですが、今おっしゃっていただいた機動的な解除の仕組み、ここをしっかり構築をしていただくということが重要だと御指摘をさせていただきたいと思います。
最後になりますけれども、いわゆる適性評価を受けてクリアランスホルダーになった方、そうした民間の皆様のいわゆる地位といっていいんでしょうか、ステータスといっていいんでしょうか、あるいは処遇の在り方などについては、これも今後検討すべきテーマだというふうに思います。
あえてお尋ねをいたしますが、政府による個人への適性調査とその評価、あるいは重要情報を取り扱っていただくというかなり重たい負担を強いることにもなるんだろう、こう思いますので、そこに見合ったステータスであったり処遇が必要ではないのかという議論もこの間ございました。将来の話かもしれませんが、民間市場におけるクリアランスホルダーであることのインセンティブについて、仮にそうした市場の動きが構築されてくるとして、政府はそこに何らかの制限などを加えるあるいは示唆する、こうしたことがあり得るのか、伺っておきたいと思います。
○彦谷政府参考人 有識者会議の最終取りまとめにおきましても、政府が新しい制度について分かりやすい説明を尽くしていくべきであり、その際には、諸外国では、信頼性の確認を受けることで処遇面も含めて社会での活躍の幅が広がるものと認識されていることを踏まえることも重要という指摘もいただいているところでございます。
御指摘のクリアランスを保有している情報の取扱いについてでございますが、この重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者であることを対外的に示すことは情報保全の観点から慎重であるべきではありますが、本法案では、適性評価を受けた本人が自らその結果を対外的に示すことまで禁止しているものではございません。
また、先ほどもございましたが、今後、国際的な協力枠組みの中で必要な場面において、評価対象者がクリアランスを保有していることを我が国政府から外国政府等に示す仕組みの在り方についても検討していきたいと考えております。
○庄子委員 ありがとうございます。
国民の間にも非常に関心の高い、また民間の皆さんも注目をされているこの法案でございますので、これからも丁寧な御答弁をお願いをしたいということと、それから、この後の運用のところで詳細を決めるという積み残っているテーマもたくさんございますので、しっかり国会の中で議論をし、国民の皆様に御理解をいただいてまいりたいと思っております。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会