衆議院

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第7号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 上野賢一郎君 理事 高木  啓君

   理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君

   理事 太  栄志君 理事 森山 浩行君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      大野敬太郎君    金子 俊平君

      神田 潤一君    小森 卓郎君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      武井 俊輔君    土田  慎君

      中村 裕之君    鳩山 二郎君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    簗  和生君

      山本ともひろ君    中谷 一馬君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      山崎  誠君    渡辺  周君

      阿部  司君    青柳 仁士君

      金村 龍那君    住吉 寛紀君

      河西 宏一君    金城 泰邦君

      吉田久美子君    塩川 鉄也君

      浅野  哲君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   外務副大臣        辻  清人君

   経済産業副大臣      上月 良祐君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室長)

   (内閣府政策統括官)   飯田 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)

   (内閣府大臣官房審議官) 彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)

   (内閣府大臣官房審議官) 品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡  素彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     猪狩 克朗君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西海 重和君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          児嶋 洋平君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     金子 俊平君

  井野 俊郎君     武井 俊輔君

  泉田 裕彦君     本田 太郎君

  逢坂 誠二君     渡辺  周君

  金村 龍那君     青柳 仁士君

  河西 宏一君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     中村 裕之君

  武井 俊輔君     井野 俊郎君

  本田 太郎君     泉田 裕彦君

  渡辺  周君     逢坂 誠二君

  青柳 仁士君     金村 龍那君

  金城 泰邦君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     青山 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出第二四号)

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房経済安全保障法制準備室長、内閣府政策統括官飯田陽一君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。

 ふだんは安全保障委員会の理事を務めております立憲民主党の渡辺でございます。

 十五分という限られた時間での質問ですので、是非、大臣あるいは政府参考人の方には端的にお答えいただきたいと思います。

 この法律の背景にあるのは、やはり、立法事実として、中国の国家情報法を念頭に置いたものでありまして、とにかく中国の国は、国を挙げて、いかなる組織及び国民も、法に基づいて国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い云々という、要は、国民は情報収集せよ、工作活動せよという法律があります。

 反面で、反スパイ法がまた拡大をされて、中国国内で通常の、例えば、経済データを調査したいとか、あるいは学者さんが、アカデミックの方が研究のためにいろいろ、西側では当たり前のことをやっただけでも、もう中国では、容疑も分からないまま、反スパイ法だといって認定をされ、結果長いこと投獄される、こういう方の手記も読みます。

 こういうことで、日本、我が国に対して、防衛やその他、いわゆる特定重要な法案以外に、様々な経済分野におけるシーズ、これから出てくる芽に対しても、シーズに対しても、種子、種に対しても、当然これはその段階から狙われるだろうということで、非常にいろいろな観点から聞きたいんですけれども、とにかく、この法律、まだ、法律ができたら、それから政令等で運用を考えていくんだというところが多過ぎて、分からない部分をちょっと幾つか具体的に尋ねていきたいと思います。

 それでまず、クリアランスですけれども、原則自国民ということでありますけれども、海外事業がどの業種にも展開をされていて、新規採用あるいは中途採用共に、外国人であるとか、あるいは帰国子女、様々な人材が採用されているという多様性を考えれば、今やそれは当たり前のことで、そうしたときに、外国人へのセキュリティークリアランス、アクセス権、どういうふうに考えるのか。

 つまり、いろいろな国に、例えば、名を出しては言いませんが、ある大きなソフトのコンピューターの会社にはインドの方がたくさんいらっしゃるとか、大変日本には中国の留学生が来ていて、高田馬場の駅前あたりに来ると、中国の大学に入れないから日本の大学に入ると。もうそれは、読み書きそろばん、全部、そろばんなんか今やらないか、読み書き、とにかくできる優秀な人がいる。

 日本で就職したい、とにかく中国では就職できないんだという方々がいる中で、今後、こうした人材が増える中で、外国人へのセキュリティークリアランスというのはどう考えているのか。大臣、まずそこから伺いたいと思います。

高市国務大臣 適性評価は、十二条二項各号に掲げる事項の調査結果に基づいて実施されるものですから、外国人を一律に排除する規定とはしておりません。他方、適性評価は、重要経済安保情報を漏らすおそれがないことについて行う調査でございます。

 先ほど渡辺委員が指摘された中国の国家情報法の規定もよく承知をいたしております。

 適性評価の対象者が外国籍の者であるという事実は、同項一号の重要経済基盤毀損活動との関係に関わる事項として、考慮要素の一つとしては考えられます。しかし、最終的には調査結果に基づく総合評価によって判断されることとなります。

渡辺(周)委員 そうしますと、この法律が成立をして、他国との、例えば情報のいわゆる相互保護協定なんかがある場合はまだ照会できるとは思うんですよ。例えば、留学歴であるとか渡航歴だとか、あるいは配偶者が国籍が外国人であった場合に、例えばNATOの国や、欧米ならば、まだこういう協定に基づいて調べることはできるけれども、そうでない国の場合は照会できない。例えば中国人とか、あるいは韓国だけれども脱北者、北朝鮮系のコリアンだとか、香港だとかシンガポールとかマレーシアだとかという華僑の方々しかり。

 こういうことがあった場合、どうやってその背景調査をするのかということをまずお尋ねしたいと思いますし、そういう海外の情報組織との連携というのはどう構築しているかを含めて伺いたいと思います。

高市国務大臣 出入国管理庁、これも照会できる対象機関でございます。

 外国機関への協力要請については、個別のケースに応じて検討することとなります。

渡辺(周)委員 アメリカでは、国防総省の一部に国防カウンターインテリジェンス・保全庁、DCSAという組織をつくって身上調査をする。これは、第三回の有識者会議で、法政大学の人間環境学部永野秀雄教授が資料として配付されたものを私入手したんですけれども、ここでは、アメリカでは、国防総省の一部に国防カウンターインテリジェンス・保全庁、DCSAというのが身上調査を行う、民間の請負、大学や研究機関にも適用されると。

 当然、アメリカやG7の中で日本だけが経済分野におけるセキュリティークリアランスの制度がないからやるべきだという様々な指摘もありましたけれども、実際、同じレベルに達するには、同じレベルの調査組織というのも必要だと思うんですが、日本の場合はどのような組織を念頭に置いているんでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、特定秘密等を除く重要経済安保情報につきまして、行政機関の長が適性評価の評価を行い、内閣府がそのための調査を一元的に行うこととしているところ、御指摘のDCSAのような組織ですとか外部委託というものは念頭に置いているものではございません。

渡辺(周)委員 それで、その身上を調査する上で、日本とアメリカで例えば相当な違いがあった場合、アメリカで、この程度の、日本のセキュリティークリアランスの基準は本当にこうなのかということが是非なきようにしていただきたいと思うんです。

 この中に、当然、政府や機関や地方自治体以外に、公私の団体には、医療機関であったり様々な金融機関であったりして、その幾つかのクリアランスに必要な調査をすると思うんですが、例えばここに興信所だとか探偵事務所だとか、こうしたものも入るのか。もっと言い方をすれば、町金というか、ブラックマネーを実は借り入れているなんというと、そういう情報というのは、例えばの話、ちょっと反社会的な組織からも聞かなきゃいけないと思うんだけれども、今言っている内閣府に考えている組織というのは、果たして、まずできるか、どこまで把握できるのかということを伺いたい。

 それともう一つ、個人情報と守秘義務との関係で、医療機関が照会を拒否した場合、例えば犯罪捜査の場合は携帯電話の通話履歴なんというのを求めれば開示されますけれども、そうでない場合は、今回の場合はその守秘義務との関係はどうなるか、端的にお答えください。

品川政府参考人 お答えいたします。

 一点目につきましては、調査に際して照会を行う私的団体について、特定の対象を排除しているということではございません。しかしながら、先ほど御指摘のありましたような興信所、探偵事務所、反社会的組織を今想定しているものではございません。

 二点目でございます。

 本法案に基づく照会につきましては、照会を受けた医療機関でありますれば、回答すべき本法案の法律上の義務は生じます。しかしながら、回答を拒否した場合に、これを強制するような措置を取ることはできませんで、回答拒否に対する罰則も置いてございません。

 また、通話履歴の開示に関しましては、刑事手続における捜査におきましても、裁判所が発付する差押許可状に基づいて行うことが一般的であると承知しておりまして、本法案十二条六項の照会の規定によって通話履歴を照会することは想定をしていないところでございます。

渡辺(周)委員 想定していないけれども、相当なことをしないと、他国とのクリアランスと同等にならないんじゃないのかなというような思いはするんです。だからといって、過度にプライバシーを侵害するようなことがあったり、個人情報が余りにも拡大して調べられることがあってはいけないとは思うんですけれども、この点についてはまだ相当これからも議論する余地はあると思います。

 それから、ちょっと時間がないので早口で聞きますけれども。

 例えば、民間事業者が適合する施設のクリアランス、民間事業者の適合する施設設備、例えば、国から、懸念すべき海外メーカー、言ってしまえば中国製の機器、こういう懸念すべき海外メーカーの情報提供、ただ、保全のために、資金のことはこれまでも委員会で出てきていますけれども、そのために必要な資金援助等はどう考えているのか。

 そしてまた、こうしたことをやっていく上で、軍事、非軍事の境目、デュアルユースの境目が複雑で分かりにくい。今、これから対象が広がるわけですから、中央、地方を問わずに、企業向けに、経済団体とか商工会議所なんかがセキュリティークリアランスに対して相談する窓口が設けられないと混乱を来すと思いますけれども、その点についてはどう考えていますでしょうか。

高市国務大臣 まず、資金援助についてでございますけれども、これは有識者会議の最終取りまとめにおきましても、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲内で検討していく必要と述べる前段において、政府から協力要請に応じてCIに触れることとなる場合など、経緯や実態も踏まえてとしておりますので、これを踏まえて検討をしっかりとしてまいります。

 それから、デュアルユース技術があるのでということで、相談窓口、民間の相談窓口の話ですが、本法案では、政府が保有する重要経済安保情報の提供を受けて、その取扱いの業務を行うことについて、自ら意思を示し、政府と合意して契約に至った事業者及びその従業者を対象に当該情報の保護措置を講じていただくこととしておりますので、これ以外の民間事業者が対象となることはございません。

 そのため、広く一般企業を対象に制度に関する相談を受け付ける窓口の設置は今検討はいたしておりませんが、本法案をお認めいただいたら、有識者の意見を聞いて閣議決定する運用基準において、どのような情報が重要経済安保情報として指定されることとなるのかということを明確に示した上で、様々な機会を通じて、一般企業も含めて、制度の理解、周知に努めてまいります。

渡辺(周)委員 実は、これまでの議事録を見ても、本法案をお認めいただいた後に、これから細部を詰めていくみたいな話なんですが、実際、デュアルユースの境目、例えばゲームコントローラーの機械を作っている会社だったり様々な部品を作っている会社が、実は軍事転用される可能性と言い始めたら、幾らでも網をかけることができるわけですけれども。では、うちの会社は大丈夫なのか、後からそういうことになりやしないだろうかということに、やはり軟弱な地方なんかは特に、相談する窓口、専門家、特にセキュリティークリアランスが分からない方も、なかなかその理解が進んでいないところもあるとは思うので、そこは是非御配慮いただきたいと思います。

 最後に。

 もし被用者が漏えい問題を起こした場合に、雇用者側の責任、賠償はどうなるのか。他国の情報を漏らしたら、莫大な損害賠償が起きるだろう。アメリカでは、採用時に調査を行ったとして雇用者責任が問われるために、採用試験前に人的スクリーニングを行うんだ、これも先ほど申し上げた有識者会議の第三回の資料にもありました。

 つまり、その部署に就く人に後からセキュリティークリアランスをかけるのではなくて、会社に入る時点で既にセキュリティークリアランスを全員が受けるということにした方がフェアじゃないかと思うんですね。あるところからのコースから外されたり、いろいろ途中で不利益を被らないようにという話がありますけれども、そもそも最初からそうしたものはある程度本人の同意の下に採用時点でかけておいて、その上で、その方の配属先なり将来の部署なんかも決めるという方が、私は逆に言えばフェアなんじゃないかと思いますが、そこはどうなっていますでしょうか。最後にそれをお伺いします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 何点かございました。

 他国の情報ということにつきまして、我が国政府が他国の情報を入手をしまして、本法案の規定によって重要経済安保情報に指定をして民間事業者に提供した場合は、罰則を含めまして本法案の規範に服すると考えております。

 また、損害賠償というお話がございましたけれども、この点につきましては、行政機関と適合事業者が締結する秘密保持契約の内容によってくるものと考えております。

 そして、三点目。人的スクリーニングの話でございますけれども、有識者会議の永野教授の指摘事項は、実はクラシファイドインフォメーションではなくて、いわゆるクラシファイドでない情報について、アメリカですとCUIと言っておりますけれども、そのCUIについての指摘でございました、第三回の有識者会議では。

 この点につきましては、有識者会議の最終取りまとめにおきまして、CI以外の重要な情報の取扱いというところで御提言をいただいております。どういういう御提言かといいますと、信頼性の確認のための調査も含め、一定の保全措置を講ずる必要性について、今後検討を進めていくべきというふうに提言をされておりまして、政府といたしましても、これを踏まえて今後検討してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、二〇二五年日本国際博覧会協会の規程と役員発言、及び、セキュリティーについて伺ってまいります。

 大阪・関西万博でAIを使った攻撃に対する防御力の必要性が提唱され、博覧会協会がサイバーセキュリティー対策などに注力をしている中、協会の副会長、理事である大阪府の吉村洋文知事が万博に関する講演を行っている際に、今、批判しているね、名前は言えませんけれども、「モーニングショー」の玉川徹。今、批判するのはいいけれども、入れさせぬとこうと思って。入れさせてくれ、見たいと言っても、「モーニングショー」は禁止、玉川徹は禁止と言うたろうかなってという、いわゆる出禁発言を行い、波紋を呼んでいます。

 その件について、発言が言論統制に当たらないかという批判の声があるとの記者からの質問に対し、政治家として政治的な意見を言った、僕自身が本当に出禁にする権限があれば問題だが、権限がないと釈明しています。

 そこで、まず確認をさせていただきますが、協会の理事会運営規程を見ると、「理事会は、すべての理事をもって構成し、業務執行に関する重要事項を決定する」と記載されています。要するに、運営に関する事項は主催者が裁量で決定することができ、主催者と入場者との関係は契約自由の原則によって規律されることとなるため、公序良俗や法令等に違反しない限り、出入り禁止の要件を議決することは可能です。すなわち、セキュリティーなどの観点も含めて、吉村副会長など理事は、万博イベントに関して特定の人やメディアの出入りを禁止する提案を行い、決議することは理論上できる権限を有していると考えますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 博覧会協会におきまして、公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会定款三十二条というのがございますが、この中で、代表理事以外の理事は、代表理事に対して、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を請求することができるとございますので、この理事会の目的に沿うものであれば、議事の提案を行うことは可能でございます。

 その上で、まず、この規定は代表理事に対する理事会招集の請求でございますので、実際に理事会で決議が行われるかどうかは代表理事の判断によるということになります。

 また、理事会で決議を行うと判断した場合には、定款の三十四条というのがございまして、こちらに基づきまして、決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席した上で、その過半数をもって行うというふうにされているところでございます。

中谷(一)委員 ということは、理論上、決議すること、提案することはできる、要するに、そういう権限を有しているという理解でよろしいでしょうか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおりでございますが、あくまでも理事会の目的である事項を示して招集するということになっていますので、この理事会の目的に沿うものであれば、提案することは可能であるということでございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、提案することは可能であるということでありますけれども、もう一つ、コンプライアンス規程に関して確認をさせていただきます。

 コンプライアンス規程を見ますと、役員及び職員の責務が記載されている第三条には、博覧会を成功させるためのコンプライアンスの重要性などが記載されており、公序良俗に違反する行為、いじめを含むハラスメント、各種差別行為を行ってはならないとされており、今回の出禁発言は、理論上、コンプライアンス規程違反などの問題が生じる可能性があると思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 博覧会協会におきまして、協会の業務執行の公正性を確保する観点から、また、協会に対する社会的信頼の維持向上に資することを目的としまして、二〇二五年日本国際博覧会協会役職員の職務上の倫理に関する規程と、それから、今御指摘ありましたコンプライアンス規程というのを定めているものでございます。

 御指摘の御発言につきましては、これらの規程に基づきまして、まずは博覧会協会において適切に判断されるべきものというふうに認識をしております。

中谷(一)委員 博覧会協会で、当然、判断をしたり、この規程にひっかかるかということの検証が行われるべきだと思っていますけれども、政府として、コンプライアンス規程に違反になる可能性というのは生じることは理論上ないとお考えですか。

茂木政府参考人 まず、この御発言そのものについては、知事の御発言は、公務の場でそういう発言はしないということもおっしゃっているというふうに承知をしております。

 博覧会協会の理事としての発言など公務として行われるもの以外の政治的な発言について、政府として評価をしたり判断するものではないというふうに考えています。

中谷(一)委員 それはおかしな答弁だと思いますね。要するに、政務で行った万博の発言だから協会の役員としては何も問題ないなんという都合のいい言い訳は、やはり世の中には通じないと思いますよ。

 その中でなんですけれども、私が聞いているのは、コンプライアンス違反に抵触する可能性は理論上あり得ますかということを聞いていますので、端的にお答えください。

茂木政府参考人 コンプライアンス規程に違反するかどうかは、あくまでも、コンプライアンス規程に基づいて、博覧会協会において判断をするということでございますので、私がここで当たるかどうかということについて判断をするということではないと思います。

中谷(一)委員 繰り返しますが、判断してくださいなんということは言っておりません、理論上あり得ますかということを聞いています。

茂木政府参考人 コンプライアンス規程に照らして問題があれば、それは問題があるということでございます。

中谷(一)委員 問題があれば問題があるということで。

 ここから副大臣に伺わせていただきますけれども、現にこういったことを提案する権限を有している副会長が、やはり、出禁という発言というのは、私は、いじめを含むハラスメントであったりとか各種差別行為、こういったものに抵触をする可能性があるということを思っておりまして、世界八十億人がアイデアを交換して未来社会を共創するというこのコンセプト、すごく大切なコンセプトだと思いますけれども、こういったものを掲げた万博の協会副会長である吉村知事が特定のメディアや人を出禁にするという発言は、控えめに言っても相当おごり高ぶった発言じゃないかなというふうに思うんですけれども、政府としてはこの発言は適切であると考えていますか。

上月副大臣 お答えいたします。

 御指摘の吉村大阪府知事の発言について、様々な評価があることは承知をいたしております。

 知事は、御発言の後、公務の場ではそういう発言はしないというふうにも発言されていると聞いておりまして、我々は、博覧会協会の理事としての発言など公務として行われるもの以外の政治的な発言については、政府として評価したり判断することはいたすものではございません。

中谷(一)委員 それもおかしな答弁ですね。

 コンプライアンス規程、私の手元にあるんですけれども、ハラスメントや各種差別行為というものをちょっと軽視し過ぎているんじゃないかなと思うんです。例えば、その他に、反社会的勢力との関係だったりとか汚職や贈収賄、こういった話だったら、こういう発言にならないはずなんですよ。だって、政府としては監督する権限を持っているわけですから。

 万博の特措法では、経産大臣が博覧会協会に対して業務の監督上必要な命令をすることができると定められているんですから、政府として判断しないということは、すなわちこれは問題ないし、適切な指導を行わないということですか。

上月副大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおりでありますが、さらに、先ほども御答弁を政府委員から申し上げましたように、倫理規程等につきましては、協会においてまずは御判断をいただくものというふうに考えております。

 政府には、御指摘のとおり、監督権限というものがあるわけでありますけれども、監督権限によって何らか特段の対応をする必要がある状況ではないと考えております。

中谷(一)委員 まずはということでしたが、もっと重たい事案であれば、本来は監督されていたと思います。それはすなわち、政府がハラスメントであったりとか差別というものを私は軽視しているということを言わざるを得ないということを思っているんですけれども、やはりここは適切に監督をしていただいて、謝罪、撤回をしていただいた方がよろしいんじゃないですか。

上月副大臣 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、知事は公務の場ではそういう発言はしないと発言されていると聞いております。

 我々としましては、博覧会協会の理事としての発言など公務として行われるもの以外の政治的な発言については、政府として評価したり判断するものではございません。

中谷(一)委員 私は、経産副大臣が残念ながら全くやる気がないなということを感じてしまいましたので、高市大臣にあえて提言を交えて伺わせていただきたいんですけれども。

 高市大臣は、万博の延期検討などを岸田総理に対して進言をされてこられました。その中で、本件に関しても、総理や担当大臣に、特定のメディアや人、こうしたものが不当な出入りの禁止がされるようなことがないように、閣内で共有をしていただき、進言をしていただけませんか。

高市国務大臣 閣内でと言われましても、先般総理に申し上げましたのは、一人の政治家として政務でアポイントメントを取り、特に被災地復旧というのはもう最優先の課題であるということ、そして、実際に事業者から資材の高騰、資材の不足、人手不足などの話を聞いておりましたので、その懸念がありまして、万博もやるのであればしっかりとしたものにしなければ、これは日本の名誉に関わりますから。それで、例えばドバイ万博のような延期という判断も、あの時点では海外パビリオンがまだ一つ着工したという段階でしたので、考えられるのではないかというお話を、これは個人的にいたしました。

 ですから、ちょっと、所掌を超えて、閣内で他の関係大臣に対して私が物申すということはなかなか難しゅうございます。

中谷(一)委員 残念ながら、現在、政府側で余りこの件に関して真剣に取り組んでいただけないのかなということで、残念な思いを持っています。

 私自身も、万博を行うのであれば、それは適切に行われるべきで、やはりその予算の範囲内でよりよいものをつくっていただきたいという思いを持っていますので、こうした疑義が生じないように、しっかりと管理監督を政府としてもしてほしいという思いの中で皆さんにお伝えをしているつもりです。

 本件に関しては、来週以降もまた決算委員会等の場で触れさせていただきたいと思いますので、この辺りにさせていただきたいと思います。

 経産省関係の方は、ありがとうございました、こちらで御退席ください。

 続きまして、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案などについて伺わせていただきます。

 まず、情報監視審査会の対象とする必要性、重要性についてお話をさせていただきたいと思いますが、高市大臣、この件については、今までも、各所、委員から触れられていらっしゃるというふうに思っているんですけれども、重要経済安保情報を特定秘密と同様に情報監視審査会の対象とすることに不都合はありませんという答弁をされていらっしゃいます。

 その中でなんですけれども、この重要経済安保情報についても、常設の機関である情報監視審査会の対象とする必要性、重要性についてはしっかりと御認識をいただいているということでよろしいですか。

高市国務大臣 本法案の運用状況については、国会に監視をしていただくということは重要であると考えております。そのため、本法案においては、九条一項一号イにおいて、重要経済安保情報の国会への提供について規定をしております。この規定に基づく情報提供により、国会でこの法律案の運用状況について確認いただくことができると認識をしております。

 その受皿につきまして、現在あります常設の情報監視審査会を用いるかどうかについては、これは国会法に関わるところでございますので、国会において御議論いただくことと認識をいたしております。既存の情報監視審査会を活用いただくということについては、政府として不都合があるものではございません。

中谷(一)委員 政府としても不都合はないと思いますし、重要性の御理解をしていただいているという認識を持っています。

 その中で、先日、山岸一生議員の答弁に対して、そういった趣旨の話をされていらっしゃったんですけれども、山岸さんも指摘をしていたんですけれども、重要性を分かっていて意図的に落としたということであれば、これはやはり政府としての姿勢としてはいかがかなと思うんですけれども、そちらについてはいかがですか。

高市国務大臣 先ほど、九条一項一号のイの話をいたしました。ですから、国会に対して、国会に提供をするということ、そして、しっかり確認、監視をしていただくということについては最初から想定をいたしております。

 ただ、昨日も委員会で申し上げたんですが、私自身、国会議員でもあり、そしてまた情報監視審査会でも仕事をさせていただき、また衆議院で議院運営委員長も務めさせていただいた立場で考えますと、やはり、国会法を改正してくれということを政府の方から提示するというのは、ちょっと筋が違うように私は思いました。あくまでもお願いベースでもあり、そしてまた、国会の方でその受皿について御議論いただく、国会法を改正いただくということでしたら、それに従わせていただきます。先ほど申し上げましたとおり、常設の情報監視審査会を用いるかどうかも含めて、国会で御判断いただくべきことだと考えました。

中谷(一)委員 いえ、特定秘密保護法のときは、国会への報告等というのは記載をしていただいていたんです。内容としては入っているわけですね。

 その中でなんですけれども、もちろん、私たち野党からも、この国会法という関係に関して言えば、政府・与党に対してその必要性を伝えさせていただきます。いただきますけれども、やはり高市大臣からも、法案提出の責任者として、政府・与党の中で、この必要性、重要性、情報監視審査会の話も含めてお伝えをいただくとともに、やはり法案提出の責任者として、これはしっかりと記載をしていただいてそもそも出していただかなければならなかったんじゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 私も、特定秘密保護法も読み込んできておりました。特定秘密保護法が公布をされ、翌年に国会法が改正をされ、そして、国会法の改正の施行が先にございまして、その後に特定秘密保護法が施行された、そういう段階を踏んでいることも承知をいたしておりました。

 ただ、これは私の考えなんですが、国会に報告すること、これは法案の中では秘密会という取扱いになっておりますが、国会に御報告をし、監視をしていただくということは前提として法律案に明記されております。

 ただ、現在の情報監視審査会を使っていただくかとか、また別の組織をおつくりになるかとか、これは議長ですとか議院運営委員会ですとか、幅広く国会の先生方の御判断によるものだと思っておりますので、ここは最初から国会法の改正を前提とした書き込み方というのは難しいんじゃないかなと私は判断をいたしました。

中谷(一)委員 高市大臣の御意見としては理解しましたけれども、やはり、私どもとしては、法案提出の責任者である以上、元々国会への報告等に関しては記載をしていただくべきだったと思いますし、それは政府・与党としても、法案提出の責任者としても書き込んでいただくべきだったというふうに思っています。

 そして、私たちも野党として、与党に対して、これはちゃんと国会法のことも審議をさせていただいて、情報監視審査会の中でしっかりと議論をするようにしていきましょうということを提案させていただきますけれども、大臣としてもそういう姿勢をしっかりと見せていただきたいと思うんですが、いかがですか。

高市国務大臣 国会の方で、報告また監視の受皿として既存の情報監視審査会でということでお決めいただけましたら、それは歓迎もいたしますし、精いっぱい説明に努めさせていただきます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 歓迎をしていただけるということでありますので、与党の皆様におかれましても、是非お取り計らいをいただき、前向きに国会等への報告をいただける環境を整えていただきますことを切に切に要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移らさせていただきます。

 次は、本法案において、内閣総理大臣は、行政機関の長から、適性評価の調査を行う際の話なんですけれども、こちら、対象者が重要経済安保情報を漏らすおそれに関する意見を付して、調査の結果を行政機関の長に通知するものとされていますが、適性評価のための調査を一元的に行う権限を持ち、現時点では適性評価を必要とされていない国務大臣、副大臣、政務官などを任命する総理大臣には、適性評価を受けていただくことも本来的にはあり得る議論だというふうに考えるんですけれども、総理大臣が適性評価を受けることに関するメリット、デメリット、これは双方あると思っています。これをどのように考察をされて、なぜ現在は必要ないという判断をされているのか、教えてください。

高市国務大臣 まず、本法案で適性評価の対象外として規定しているのが、行政機関の長や国務大臣など、このほかにも総理補佐官ですとか様々ございますし、政令で定める者も対象になりますけれども、内閣総理大臣も、内閣官房及び内閣府の長となりますので、本法案の第十一条第一項について、適性評価を受けることを要しないものとされております。

 メリット、デメリットという聞かれ方をすると大変難しいんですが、内閣総理大臣自身は、国会議員の中から国会の議決により指名されているということを踏まえても、実質的に、こうした調査を実施したり、必要な考慮をしたりするということは困難であると考えます。

 先進国、主にG7及びオーストラリアの事例をずっと調べたんですけれども、大統領や首相に対して実施されている例はございませんでした。

中谷(一)委員 諸外国の事例は理解をしています。ただ、その上で、理論的に政府としての考察を持っていただきたいという思いから、こうした話を伺わせていただきました。もちろん、国会議員に対して、行政側がこういったセキュリティークリアランスによって膨大な個人情報を取得をするということは、政治的にも非常に大きな意味合いを持ちますし、それはメリット、デメリット両方あるというふうに思っております。

 それは理解をした上でなんですけれども、ただ、そういったことをしっかりと平場で議論をして分かった上で、これが必要か必要じゃないかということを私はEBPMの観点から判断をしていくべきであるということを思っていて、少なくとも、内閣府の中で一元的にセキュリティークリアランスの適性評価を行うという状況がある中においては、やはり、それのまさに一番の責任者である総理がセキュリティークリアランスを受けないことに対してどう考えるのかということは、私は世論からは問われると思います。

 なので、こういったことに関しては、大臣の方からしっかりと説明をしていただきたいということを思っておりますし、そもそも、総理大臣がセキュリティークリアランスを受けていただくことに関して不都合はございますか。

高市国務大臣 法律のたてつけからいいますと、総理大臣も、国務大臣、副大臣、政務官などと同じように、内閣府及び内閣官房の長として、この適性評価の対象外となっております。

 では、なぜそうなったのか、国務大臣や副大臣や政務官、内閣総理大臣も含みますが、セキュリティークリアランスを受ける必要がないということになったのかといいますと、これはもう先般からの繰り返しで恐縮ですが、任命に当たって必要な考慮がされている、重要経済安保情報を取り扱うことを前提に、任命に当たっては必要な考慮がされるであろうということで適性評価の対象外としているということと、それから、この法律案よりも機微度が高い情報を対象とする特定秘密保護法でも同様であるということを踏まえたものでございました。

中谷(一)委員 政務三役の話について、特に副大臣や政務官の話については次の議論でも是非やらせていただきたいと思っているんですけれども、大臣は繰り返し答弁をされていて、要するに、総理大臣がそういったものを考慮して検査しているから大丈夫だという趣旨の話をされているんですけれども、全然大丈夫じゃないんですよね。不祥事がかなり続いていて、法令違反で捕まってしまった副大臣もおりますし、納税の義務を怠っている、そうした方もいらっしゃいました。

 様々不祥事が起こっていて、世の中的には、全然ちゃんと身体検査されていないじゃないかというのが多分常識的な発想だと思っていて、ここに対してももちろん問題があると思っているんですけれども、私は、その評価を行う、セキュリティークリアランスをまさに一元的に管理監督、評価の権限を持っている総理大臣のセキュリティークリアランスはなぜ必要ないんですかということに対して真っ正面から答える必要があるんじゃないかというふうに思っていて、そのことを高市大臣に伺っている、是非教えてほしいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 内閣総理大臣がということでありましたら、他の行政機関の長や国務大臣とも異なっていて、国会議員の中から国会の議決によって指名されているということを踏まえましても、実質的にそうした調査を実施する、また必要な考慮をするというのは困難だと考えております。

 これは、やはり国会の議決によって指名されているということですので、では、指名された後に何らかの調査を行うのかというと、これも指名を無駄にしてしまう話になりますし、指名する前に各党の代表者に対してこういった調査を行うのかといったら、これも少し行き過ぎな気がいたします。様々な調査を行うのかといったら、それも各党各会派全部で合意が得られるものなのかどうなのか、私には皆目見当がつきません。

 ということで、もう本当に同じ御説明で恐縮ですが、内閣総理大臣が国会の議決により指名されているということで困難だと考えております。

中谷(一)委員 私は、大臣のおっしゃっていることは一定理解します。やはり、民意を負託されて選ばれてきた政治家に対するセキュリティークリアランスの在り方というのは、メリット、デメリット、これは当然あると思っています。ただ、こういう議論が国会の場では重要で、なぜなのかということにちゃんと答えていくという姿勢が私は担当大臣には求められているんじゃないかというふうに思っております。

 その上で、まさに内閣総理大臣が適性評価を行う方々を選んでいくというか、行政のトップですから、そういったことを内閣府で一元的に管理されるということは、そのようになってくるわけなんですけれども、審査する人たちのセキュリティークリアランスについてはどのようにお考えになられていますか。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 内閣府において適性評価の調査を担当する職員でございますけれども、当該職員が業務において重要経済安保情報を取り扱う必要があれば適性評価を受ける、そういうことになります。他方で、適性評価のための調査のみを行う場合、重要経済安保情報を取り扱う必要が生じるということは想定しておりません。したがいまして、調査のみを行う職員につきましては、適性評価が必要となるとは考えておりません。

中谷(一)委員 それもセキュリティークリアランスを持っていない方が適正な評価をできるかという議論というのは残るんじゃないかなというふうに思っておりますので、またお話をさせていただきたいと思いますが、時間が思ったより迫ってまいりましたので、次の質問に移らさせていただきます。

 こちら、大臣が様々議論をされている中で、セキュリティークリアランスホルダーが人事上優遇されることというのが他の者に対する不利益な取扱いにならないのかということを私は考えたんですけれども、そちらに関しては、大臣、どのようにお考えになられていますか。

高市国務大臣 適合事業者の従業者の方の適性評価の結果を事業者が重要経済安保情報の保護以外の目的で利用するということは、本法案第十六条二項によって禁止をいたしております。

 すなわち、御本人に有利か不利かを問わず、本来の目的以外の目的で適性評価の結果を用いることが広く禁止の対象となっておりますので、事業者において、従業員の方がクリアランスを取得していることのみをもって人事上優遇することはできません。例えば、従業者に昇進の条件としてクリアランスのみを提示するということは違法であると考えております。

中谷(一)委員 総合的な判断の中で、クリアランスホルダーの方というものの価値が向上してくるということは市場上あり得ると思っているんですね、当然それだけではないにしても。そういったことについては、複合的に考えて、そういった方々が優遇されるということになったときには、まさに他の方に対する不都合というのは生じないというお考えでいいですか。

高市国務大臣 仮にクリアランスを取得しているということによって人事上優遇されるようなことがあった場合、それが特にクリアランスを取得していない、あるいは取得できなかった、ほかの方から見れば不利益取扱いとみなされるのかどうかということについては、まずはその方に対する優遇の具体的な中身、それから個々の企業の事情なども踏まえて精査する必要があると思います。

中谷(一)委員 可能性としてはやはりあり得るものだと思っていて、そういったことも含めて、労使の中でどういうコミュニケーションを取るかということが大事になってくると思いますので、この観点、是非押さえていただければというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 高市大臣、これは浅野哲議員への答弁でありましたが、セキュリティークリアランスホルダーに対して、SNSの安全な利用や海外渡航に関する注意事項を伝えるということをお答えになられておられましたけれども、これは具体的にはどのような内容を想定していて、いつ頃までにその詳細を明確に教えていただけるのか、教えてください。

高市国務大臣 具体的な内容ということでございますが、海外の情報機関などから重要経済安保情報の漏えいの働きかけを事前に防止するという観点から、例えば、掲示板やSNSなど不特定の方が閲覧できる環境で、自らがクリアランス保有者であるということを掲載しない方がいいということをお話しする、また、海外渡航時に不審な動向に接したという場合には所属機関の上司などに相談するということなどが想定されます。ただし、本法案の制度によって私生活上の自由を制限するということにはなりません。

中谷(一)委員 これをいつぐらいまでに、今教えていただいた概要の詳細をお示しいただけますか。要するに、詳細を更に多分お伝えをいただくことになるんですよね。それをいつぐらいまでに、最終的な。

高市国務大臣 本法案をお認めいただきました後に、政令もそうですけれども、運用基準を定めてまいります。これは、有識者の方の御意見も聞いた上で、パブリックコメントにもかけて、閣議決定をするものでございますので、ここで分かりやすく定めてまいります。

中谷(一)委員 分かりました。ありがとうございます。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 中央大学の宮下教授が、アメリカでは認定を受けた人の個人情報を狙ったサイバー攻撃があったケースを例に挙げられていて、認定を受けた人の情報を保護する必要性というのを指摘をされておられますけれども、政府としては、この必要性及び保護のための取組をどのように考えているのか、教えてください。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 適性評価に当たって収集されます個人情報でございますけれども、それが漏えいしたり目的外で利用されたりすることがないように、厳格に管理する必要がございます。委員から御紹介いただきましたように、サイバー攻撃も想定した対策を講じることも必要だと考えております。

 今後、個人情報の管理につきましては、システム上の厳格な管理の方法も含めて、運用基準等で適切なルールを定めてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 時間がそろそろですので、最後の質問をさせていただきます。

 企業のFOCIの観点から個人のセキュリティークリアランスを取得させておく必要があるのではないかということを有識者会議において指摘をされておりまして、CEO等については、CIを自ら取り扱わない場合においても、FOCIの観点から個人セキュリティークリアランスの取得というものが提唱されているわけなんですけれども、親会社、子会社、関連会社、組織クリアランス対象になる場合、こういったものも含めてなんですが、企業として個人のクリアランスの保有すべき範囲や、組織クリアランスの対象とすべき範囲を政府はどのように考えられているのか、教えてください。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のCEO等に対するクリアランスでございますけれども、こういったものは、いわゆる組織的要件ということになります。こちらにつきましては有識者会議でも議論になりまして、最終取りまとめにおきまして、現行制度の運用や主要国の例も参照しつつ、我が国の企業等の実情や特定秘密保護法、外国為替及び外国貿易法、会社法等との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきであるとされたところでございます。

 産業界から先日公表された提言におきましても、日本企業の実情においても留意しつつ、諸外国に通用する制度設計のためにも、官民での議論の継続を期待するとされておりまして、今後、有識者会議の取りまとめ等も踏まえまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。今日もよろしくお願いいたします。

 早速質問に入っていきたいと思いますが、まず、罰則のアンバランスについて、今日も前回に続いて少し取り上げたいと思います。

 お手元にも配付資料を配らせていただいておりますが、一ページを御覧になりながら、お答えをいただきたいと思います。

 防衛、外交、スパイ防止そしてテロ防止などのコンフィデンシャル級情報、ここで言うところの左下の箱ですね、ここの情報漏えいが一年以下の懲役ということに対して、同じコンフィデンシャル級の重要経済安保情報の漏えいが五年以下の拘禁刑ということで、罰則が重くなっています。その理由について改めてお答えください。政府参考人、お願いします。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、厳しい安全保障環境に直面しており、また、国家安全保障の裾野が経済、技術等の分野にまでますます拡大する中、重要な情報を政府部内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要であるという観点から、経済安全保障分野における重要情報、この法案では重要経済安保情報と申しておりますけれども、その管理の強化を図るものでございます。

 このため、漏えい時に安全保障に支障を与えるおそれのある情報、この重要経済安保情報の漏えいに対しては重い罰則を設けることが適当であると考え、他の法令とのバランスも含めて考えながら、五年以下の罰則を措置したということでございます。

 一方、御指摘の防衛、外交、特定有害活動あるいはテロ分野を始めとする各行政機関が保有するコンフィデンシャル級の情報であってこの法案の対象とならないものについては、先ほどお示しいただいた領域でございますけれども、これまでも、それらの情報を持つ各行政機関において、関係する諸法令や諸規定に従いまして厳格な管理が適切になされていると承知しております。

 このため、現時点において、罰則も含めて特段の立法措置を講じる必要を認識していないということで今回は対応していないということでございますが、この点については、今後慎重に検討されるべき課題の一つと認識しております。

本庄委員 重要経済安保情報については、民間人の方々も関わりがあって、活用そして共有もしていくということで罪を重くしている、こういうことだと思うんですが、それでは、トップシークレットそしてシークレット級、このマトリックスで言うところの上段についてお伺いしたいんですけれども、同じトップシークレットやシークレット級でも、重要経済安保情報に該当すれば、これは概念上は存在するということですが、その漏えいは五年以下の拘禁刑ということで、同じ機微度でも、特定秘密であれば十年ということですね。

 この上段のトップシークレットとシークレットについては、防衛、外交、スパイ、テロの方が重くなっている。下のコンフィデンシャル情報については、経済重要安保情報の方が重くなっている。このそごについて御説明をいただきたいと思います。いかがですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 まず、この法案に定める重要経済基盤保護情報に当たる情報であって漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障を与え得る、いわゆるトップシークレット又はシークレット級の情報につきまして、これが特定秘密保護法の別表に該当する場合は特定秘密として保護されますので、罰則も十年ということでございます。

 さらに、この関係行政機関の所掌事務に係る特定秘密保護法別表に掲げる事項に関する情報に該当しない場合というのが今の御指摘ということでございますが、ここで重要経済基盤保護情報に該当する情報は、概念的あるいは理論的には存在することを否定するものではございません。しかし、政府において検討した結果、漏えいした場合に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある重要経済基盤情報であって特定秘密保護法における別表に該当しないものが実際にある又は今後直ちに想定されるということはないとの判断に至った次第でございまして、したがって、本法案においては、トップシークレット又はシークレット級の情報を保護し、又は漏えいを抑止するために特定秘密保護法と同じレベルの罰則や取扱いに関するルールを設けることとはしておりません。

本庄委員 今の後段のお話については後ほどもう少し詰めていきたいと思いますが、なぜ想定されないのかということについてですね。

 ただ、私の今申し上げたトップシークレット級、シークレット級の扱いと、コンフィデンシャル級の扱いが逆転していることについての御説明は、今十分なかったと思います。

 もう一つお伺いします。

 この重要経済安保情報についてですが、機微度の高いトップシークレット、シークレット級でも罰則は五年以下の拘禁刑、そして、機微度の低いコンフィデンシャル級であっても同じ量刑の五年以下ということで、機微度によって刑罰に差がついていないわけですね。同じ五年以下という扱いになっています。この理由について教えてください。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のございました重要経済基盤保護情報につきましては、漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障を与え得る情報であって特定秘密保護法の別表に該当する場合には特定秘密として保護することになりますので、ここは罰則については十年以下ということでございます。

 一方で、先ほど申し上げたことの繰り返しでございますが、特定秘密保護法の別表に該当しない場合には、概念的にはそうしたものがあるというのは承知しておりますけれども、現に今あるあるいはまた今後直ちに想定されるということはないとの判断の下でこのような法案とさせていただいた次第でございます。

本庄委員 今は取りあえず想定されない、存在しないからといって、量刑を同じにしていいという理由には私はならないと思いますよ。概念上対象としている以上は、やはりそれぞれ分けて考えるべきじゃないですか。いかがですか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 これについては、刑事的な罰則に関する適用でございますので、具体的にない、あるいは想定されないという状況の中で御指摘のような対応をすることは適当ではないというふうに考えまして、今回のような法案の罰則とさせていただいた次第でございます。

本庄委員 この点、後でもう一回詰めますが、なぜ想定されないのかということについて、私は想定され得ると思いますのでね。

 大臣、ちょっと今やり取りを聞いていただいて、これはやはり、前回も申し上げましたけれども、シームレスと言いながら凸凹、そして継ぎはぎになっているというふうに私は思います。特に罰則については、上下左右どこを見ても私は整合的じゃないというふうに思います。

 大臣は先週、私との質疑の中で、改めて今後検討する余地はある、こういう御答弁をされました。その認識でよろしいか、再度確認をさせてください。

高市国務大臣 罰則ということを定める場合には、やはりそのような情報が実際にあるとか今後直ちに想定されるということはないという判断、内閣官房で検討した結果でございますので、委員のおっしゃるようなケースが理論上存在することは否定するものではないのですけれども、今回のようなたてつけになりました。

 今後慎重に検討するという答弁が政府参考人からもございましたけれども、国家公務員法の問題でもございますので、現在でしたら、国家公務員が秘密に当たる情報であって特定秘密ではないものを漏らした場合であったりしても一年以下の懲役ということで、凸凹があるという、罰則に関する凸凹のお話でございました。国家公務員法に係ることでございますので現在は所管外でございますけれども、今後しっかりと注視をしていきたいと思っております。

本庄委員 所管外なのは理解していますが、今回の法案が今までの法令と照らして整合的かどうかという観点からの問題意識ですので、是非受け止めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、政府部内の検証、監視体制についてお話を伺っていきたいと思います。

 これまでも、国会との関係については様々議論があったと思うんですが、私は、政府の中の検証、監視体制については必ずしも十分議論されていないというふうに思っております。

 配付しました資料の二ページを御覧いただきながら質疑をさせていただきたいと思いますが、これは政府の、内閣官房の資料ですけれども、現在の特定秘密保護法の適正な運用を確保するための仕組みということで図示されています。

 ここには、国会との関係では情報監視審査会ということですが、政府の中、行政ということでは、内閣に内閣保全監視委員会が置かれ、そして内閣府には独立公文書管理監、その下の情報保全監察室、さらには、その隣にあります情報保全諮問会議、有識者会議ですね、こういうたてつけになっているわけです。

 これらの政府部内の検証、監視体制について、設置の根拠や所掌事務あるいは権限等について、端的に政府参考人から御説明いただきたいと思います。

岡政府参考人 まず、独立公文書管理監につきましては、特定秘密保護法附則九条を受けて内閣府本府組織令に基づき置かれた機関でございまして、運用基準において、いずれの行政機関にも偏ることなく判断することの重要性を十分に認識して、特定秘密の指定等が同法等に従って行われているかどうかを検証、監察するものとされ、是正を求める権限もございます。

 次に、情報保全諮問会議につきましては、法十八条を受けまして内閣総理大臣決裁に基づき設置された有識者会議で、同条二項に基づく運用基準の策定や変更、同条三項に基づく国会への年次報告の内容に関する意見等を内閣総理大臣に述べるものとされております。

 最後に、内閣保全監視委員会につきましては、運用基準に基づき内閣に設置された担当大臣や次官級職員等から成る会議体でありまして、特定秘密の指定等及び適性評価の実施の適正を確保するための事務の公正かつ能率的な遂行を図るもので、法に定められた総理の権限を補佐するために、各省庁に秘密資料の提出を求めたり、是正を求めたりする権限がございます。

本庄委員 特定秘密保護法の様々な規定に基づいて、あるいは運用基準に基づいて設置をされてきたということですが、大臣に伺いたいと思いますが、これらの政府部内の検証あるいは監視体制が特定秘密保護法施行十年間で果たしてきた役割あるいは課題や問題点、こういったことについてどのように評価をされているか、政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 法の施行からこれまでの間、御指摘いただいた三つの機関によりまして、特定秘密の指定などの適正な運用状況について重層的なチェックを受けてきたと考えます。

 例えば、内閣保全監視委員会におきましては、委員長である特定秘密制度担当大臣から各行政機関に対して指導を行うなど、法第十八条第四項に基づく内閣総理大臣の行政各部への指揮監督を実効あるものとしてまいりました。

 また、独立公文書管理監におきましては、例えば秘密表示の適正な在り方や秘密の特定の方法など、多岐にわたる是正の求めをいただいてきております。これを受けて、各行政機関において直ちに是正するということによって、特定秘密の指定などの運用の適正を確保してきたと認識しております。

 さらに、情報保全諮問会議におきましては、安全保障に関する情報の保護や公文書管理などに関する有識者の方々に委員に御就任をいただき、運用基準の見直しや毎年の国会報告の内容について御意見を頂戴し、それらの内容に反映をしてきたところです。

 他方で、課題や問題点といたしましては、例えば、これは有識者からも御指摘があったのですが、今後、特定秘密文書が仮に増加していくということになりますと、検証や監察の業務について体制の充実を図るということはできないのか、また、人手に頼るのみではなくITツールを活用するなど、一定のデジタル化を検証することはできないのかといったことは挙げられております。それでも、政府部内の検証、監視体制によって、特別秘密保護法の適正な運用に重要な役割が果たされてきたということは認識をしております。

本庄委員 様々な議論があってスタートしたこの制度、そして国会審議の過程を経て設置されたチェック体制ですが、国会の情報監視審査会との両輪で十年間運用してきた。それは一定の役割を果たしてきた。今の大臣のお言葉で言えば、重要な役割を果たしたということですが。

 私は、この様々な仕組みは今回の重要経済安保情報についても適用していくべきだというふうに思うんですが、この点について、法律上の担保がありません。大臣は、今特定秘密保護法が対象としているような機関において重要経済安保情報も見ていくということについてどのようにお考えですか。

高市国務大臣 特定秘密保護法の附則第九条に当たるところの御指摘だと思います。法案審議の際に同様の御指摘があって、議員修正の結果置かれたという経緯は承知をいたしております。

 政府としましては、現在、独立公文書管理監でしたら、内閣府本府組織令に基づいて特定秘密の検証、監察を行っております。ですから、法律の規定を置かずとも、内閣府本府組織令を改正することによって重要経済安保情報の検証、監察を実施することは可能でございます。

本庄委員 組織令を変えればできるということはそのとおりですが、法律上の担保がなければそれは拘束力はないわけで、私は、その意味では、今回の法案についても特定秘密保護法の附則第九条と同じような規定が必要ではないかというふうに考えます。

 確認ですが、そうしますと、大臣、これは二十二日の委員会でも政府参考人が答弁していますが、特定秘密の検証、監察を行っている独立公文書管理監が、本法案の重要経済安保情報についても、その指定や解除が適切になされるかを独立した立場で検証、監察することを想定しているということですが、内閣府組織令を改正して今回の重要経済安保情報を対象にする、そういう方針だという理解でよろしいですか。

高市国務大臣 そのとおりでございます。

本庄委員 そうしますと、あと二つ、情報保全諮問会議そして内閣保全監視委員会、こちらの対象には、なされる方針はありますか。教えてください。

高市国務大臣 この法案の十八条二項は、特定秘密保護法の十八条二項と同様に、内閣総理大臣が統一的な運用基準を定め、又は変更する案を作成するに当たり、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関の保有する情報の公開、公文書等の管理に関し優れた識見を有する者の意見を聞かなければならないと規定しております。この意見を述べる主体として、御指摘の情報保全諮問会議のような有識者の会議体を設けるということを想定しております。

 また、内閣保全監視委員会でございますが、内閣総理大臣が特定秘密の指定、解除等についてチェックする機関としての役割を果たすことに資する組織として設けられた事務次官級の会議でございます。

 本法案におきましても、十八条三項において、内閣総理大臣が各行政機関の長が行う情報指定、解除等についてチェック機能を果たすべく、勧告権を規定しております。

 ですから、内閣保全監視委員会と同様の組織になるのかは未定ですけれども、この機能を支える組織は必要になると考えております。

本庄委員 おっしゃるとおり、内閣府という役所が所管をする法令ということで、たてつけの違いはあると思いますが、やはり同様の機能を今回の重要経済安保情報についても持たせる、そういうことで政府としては対応していただきたいと思いますし、必要な法改正が国会側で必要であれば、それは我々もきちんと提案をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 では、続きまして、公文書管理法上の、極秘、秘そして重要経済安保情報との関係ということでお伺いをしたいと思います。

 配付資料の六ページをまず見ていただきたいんですが、これは、公文書管理法に基づく行政文書の管理に関するガイドラインということで、総理大臣決定です。今回の法案審議でも、トップシークレットだとかシークレットだとかコンフィデンシャルだとか、いろいろな言葉を使っておりますが、これは我が国の文書管理規程上根拠のある言葉ではなくて、一般に使われている用語だと思います。

 今回、我が国の文書管理としては、特定秘密、極秘文書、秘文書、これが秘密文書ということなんですが、特定秘密は今回除かれるわけです。極秘文書と秘文書の中に重要経済安保情報に相当するものがあるのかどうかということがこれから運用基準に基づいて精査されていくと思うんですが、極秘とか秘というカテゴリーと、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルというふうに今政府が御説明されているカテゴリーとの関係がどういうふうになっているのか、あるいはなっていくのかについて、政府参考人から説明をお願いします。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘がございましたとおり、行政文書の管理に関するガイドラインにおいては極秘文書と秘文書というものが定められているわけでございますけれども、このガイドラインの中では、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルといった区分との関係については整理を行っておりません。

 一方、我が国は、情報保護協定を九か国・機関との間で締結をしておりまして、その締約国・機関間で対応する秘密指定のレベルについて整理をしているところでございます。その中では、一般的に、今申し上げました極秘と相手国・機関のトップシークレット級及びシークレット級、秘と相手国・機関のコンフィデンシャル級が対応するものと整理をされていると承知をしております。

本庄委員 それは対外的な仕分ということですね。国内的にはこれからで、トップシークレット、シークレットに該当すれば特定秘密になり得るし、そうじゃなければ特定秘密にはならなくて重要経済安保情報になるわけですから、ここの区分というのはこれからかなり重要な区分になっていくというふうに思います。

 そこで、その仕分はこれからということでしょうが、経済産業省にお伺いしたいんですが、今回の経済安保情報に深く関わる役所だということで、経産省と内閣府が名指しで挙がり、そこが、経済安全保障に関わる秘密文書があるのかないのかという議論がありました。

 そこで伺いますが、経産省が指定している特定秘密、極秘文書、秘文書はそれぞれ何件ありますか。そして、そのうち本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当し得るものは何件ありますか。お答えください。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度末におきまして経済産業省が指定している特定秘密は四件となっております。また、行政文書ファイルとして保有している極秘文書はゼロ件、秘文書は六十四件となっております。

 このうちどのくらいの件数が本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当するかにつきましては、今後の国会審議や本法案成立後に策定されます運用基準などを含めた具体的な制度設計を踏まえまして明らかになっていくものと承知しております。

本庄委員 同じような問いを内閣府にもしましたが、内閣府は、秘密文書は五十九件あると。そして、経済安保に関わる情報については、今経産省が答弁したように、今後の国会審議や運用基準によるので現時点では分からないということなんですね。

 私は、これは正しい答えだと思うんですよ。現時点では、各省が持っている秘密文書の中で、特定秘密はもう確定していますね、でも、それ以外のものについて、これから特定秘密の方に入るのか、あるいは重要経済安保情報に入るのか、これはこれからの精査に基づく判断だと思うんですね。

 そうなんですが、大臣、大臣は、あるいは今、今日も飯田参考人からもありましたが、トップシークレットあるいはシークレット級で特定秘密に該当しない重要経済基盤保護情報は想定されないと明言されているんですね。経産省も内閣府もこれからだと言っていますよ。なぜ想定されないと断言できるんですか。

高市国務大臣 三月二十七日の内閣委員会で、私が御指摘のような答弁をしたということでございます。

 漏えいした場合に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある重要経済基盤保護情報であって特定秘密保護法における別表に該当しないものが実際にある又は今後直ちに想定されるということはない、政府としてそういう判断に至ったということを説明したものでございます。

 これは、経済官庁が経済安全保障上重要と考えている情報の保有の現状に照らして内閣官房において検討した結果、そのような情報が実際にある又は今後直ちに想定されるということはないという判断に至ったということでございます。

本庄委員 もう一回経済産業省に聞きますが、今大臣が答弁しましたけれども、想定されない、経済産業省もそういう理解でいいですか。お答えください。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省におきましては、先ほど申し上げましたとおり、本法案における重要経済安保情報あるいは重要経済基盤保護情報に該当するかにつきましては、今後の国会審議や本法案成立後に策定されます運用基準などを含めた具体的な制度設計を踏まえ明らかとなっていくものと承知しております。

本庄委員 これは答弁が違うんじゃないですか、大臣。

 大臣は、政府として精査した結果、該当するものはないとおっしゃっている。経産省はこれからだと言っていますよ。いかがですか。

高市国務大臣 私が職員に確認をしましたところ、主に本法案の対象となりそうな内閣府及び経済産業省で確認したところ、該当するものはないということで説明を受けております。

本庄委員 普通に発言を理解すれば、二人の言っていることは違うと思いますよ。精査したけれども該当するものはない。これから精査する、今は分からない。どっちなんですか。

 経産省、もう一回答えてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 この議論につきましては、有識者会議で検討をする前後から、政府部内で、特に経済安全保障分野に関わりのある経済官庁と議論を進めてまいりました。その上で、まだ当時は、どのような区分にするのか、あるいはどのような保護をするのかといった議論をする前に、関係省庁が現在、経済安保分野の機微な情報としてどのようなものが想定されるか、あるいは持っているかということについて詳しくお話を聞いたわけでございます。

 その中での経済官庁からの御回答などを私どもの方で今回法案を作成するに当たって更に精査をした結果として、もちろん重要経済基盤保護情報であって特定秘密に該当することになるものはあるかもしれませんけれども、それ以外の、特定秘密の別表に該当しないものについては現時点ではない、あるいは当面想定されないという結論を得て、今回のような法案を提出した次第でございます。

本庄委員 全く答弁になっていないですね。

 もう一回、じゃ、図表を見てください、配付資料一ページ。

 まず、右上の、トップシークレット級、シークレット級に相当する重要経済安保情報、これが、今もないし、近い将来もないし、想定されない、これが大臣の答弁ですね。だけれども、特定秘密に入るものであればあり得るかもしれない、その精査はこれから運用基準の見直しによって行われると。この縦の破線の部分ですね。他方で、上下の、トップシークレット級、シークレット級なのか、コンフィデンシャル級なのか、これもこれから経産省が所有している秘密文書を精査して仕分をしていくわけでしょう。

 ということは、これは上下も左右も、今の段階では確定できないんじゃないですか。これから、トップシークレットに相当する、だけれども特定秘密じゃない重要経済安保情報というものが出てくる可能性はあるし、今の段階で想定されないという結論には論理的になり得ないと私は思うんですけれども、いかがですか、飯田さん。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 私どもの答弁と、それから経済産業省の答弁が違うのではないかという御指摘でございますけれども、私どもの理解といたしましては、経済産業省においても、現時点でそのようなものとして想定しているものが具体的にあるわけではないというふうに認識をしております。

本庄委員 これは明らかに内閣府と経産省の説明が違いますので、明確に政府としての見解を出してください。

 委員長、よろしくお願いします。

星野委員長 理事会で協議いたします。

本庄委員 それでは、残り三分ほどですが、次のテーマに入りたいと思います。

 トップシークレット、シークレット級の重要経済安保情報と特定秘密との関係ということですが、資料の三ページを見ながらということで、ここに様々対比を載せさせていただいているんですけれども。

 高市大臣の御答弁で、今回、秘密保護法の改正は行わないので、特定秘密の範囲が広がることはない、この別表の話ですね、と明言をされた上で、特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できるように、現行の運用基準について、別表に定める範囲で、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかを検討していくと。あくまでも範囲内なんだけれども、明確にする、あるいは補足が必要なら、こういうお話です。

 私は、政府の言っていることが真実、つまり範囲は広がらないという前提に立って確認をしたいと思うんですが、大臣の御答弁は、この経済安全保障分野における特定秘密の線引きをよりクリアにすることで、本来特定秘密に該当し得る情報で今されていないものについて、各行政機関がより判断をしやすくするために、この運用基準について見直しが必要だ、こういうお考えだという理解でよろしいんでしょうか。でないと、範囲が広がってしまうと思うんですね。お答えください。

高市国務大臣 今回は特定秘密保護法の改正は行いませんので、四分野二十三項目の内容が変わったり項目が追加されたりすることは一切ございません。つまり、特定秘密の範囲が拡大するものではないです。

 今委員がおっしゃっていただいたとおり、運用基準の見直しというのは、経済安全保障に関わる重要情報が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関の長がより明確に判断できるようにするために、明確にすべき箇所や補足すべき箇所があれば、法の授権の範囲内で、運用基準の五十七の事項の細目のそれぞれの書きぶりを修正加筆したり、場合によっては新たな項目を追加したりすることを想定しております。

本庄委員 論理的にそうなると思います。

 その上で、最後に確認しますが、これは非常に重要なことなので明確に答えてほしいんですけれども。

 そういうお考え方であれば、このトップシークレットやシークレット級の重要経済基盤保護情報、さっきの図表で言う右上ですね、ここにおける情報であっても、特定秘密保護法や別表の範囲を超えるものが、今想定されないとおっしゃっているけれども、現実にあった場合、あった場合は運用基準の見直しでは対応できない。したがって、今の法令でいけば重要経済安保情報に指定をされるということになると思うんですね。それでもどうしても特定秘密で指定をしたければ法改正が必要になる、こういう結論になると思うんですが、ここについては明確にお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 我が国の安全保障に著しい支障を与えるようなトップシークレット、シークレット級の重要経済基盤保護情報について、特定秘密保護法の別表四分野のいずれにも該当しない情報であれば、そもそも特定秘密としての要件を満たしませんので、運用基準の見直しを行ったとしても、特定秘密として指定できるようにはなりません。

 先ほど来、ちょっと説明が食い違っていると言われておりますが、このような情報が実際に存在することについては、現段階では、内閣官房において調べましたけれども、想定されていないという状況でございます。

本庄委員 保護法にも運用基準にも当然限界があって、その限界を超える場合には、今は想定されないとおっしゃっているけれども、重要経済安保情報に指定されるんだというふうに私は理解をしました。

 以上です。

星野委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 引き続き、重要経済安保情報の法案について質疑をさせていただきます。

 今の本庄委員の質疑にも続くんですが、私が一つ取り上げたかったのが五番になります、ちょっと順番を飛ばして申し訳ないんですけれども。

 原子炉等規制法における守秘義務の問題ということで、ここも秘密をどういうふうに守っていくか。これは、いわゆる特定核燃料物質の防護、核の防護ということでありますから、極めて重要な分野でありまして、今お話があった話とすれば、もし核物質の防護についての情報が漏えいするようなことになると、これは、著しい支障が起きるような、私はトップシークレットに準ずる情報ではないかというふうに認識をしております。

 言うまでもないですけれども、テロの組織などが原発組織を狙って攻撃をすれば大変な大きな被害になるわけでありますから、核の防護の情報というのは、非常に重要な、トップシークレット級の情報であろうということ。これが今は、基本的には、電力事業者という事業者の、民間の情報として有されている。ただ、それだけではありません。原子力規制委員会も審査の過程では情報を共有しているので、民間がただ保有している情報ということではなくて、国が一定、情報を共有している分野ということになっています。

 今、炉規制法あるいは省令の規則でこの防護に関して情報の管理について規定がありますが、どんなふうに規定されているか、御説明いただけますか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

児嶋政府参考人 お答えいたします。

 まず、秘密保持義務の観点からお答えいたします。

 まず、原子炉等規制法では、原子力事業者等やその従業員、国の行政機関、地方公共団体の職員等に対しまして、正当な理由がなく、業務上知ることのできた特定核燃料物質の防護に関する秘密を漏らしてはならないと定めており、違反した者については一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、これを併科する旨が定められております。

 その上で、原子力規制委員会では、原子炉等規制法に基づき、原子力事業者等に対しまして特定核燃料物質の防護を義務づけております。そのような防護措置の一環として、防護区域等に常時立ち入る者や又は特定核燃料物質の防護に関する秘密を知り得る者について、妨害破壊行為等を行うおそれや当該秘密を漏らすおそれがあるかどうかをあらかじめ確認することを求めています。これを我々は個人の信頼性確認制度と申し上げております。

 具体的には、この制度におきましては、確認の対象者について、対象者の履歴、外国との関係、テロリズムその他の犯罪行為を行うおそれがある団体との関係、事理を弁識する能力、特定核燃料物質の防護に関連する犯罪や懲戒の経歴を調査し、確認を行うこととしております。このような、事業者に対象者の面接考査及び適性検査も更に実施させることで、事業者が対象者の信頼性を多角的に判断することが可能となっている制度でございます。

 原子力規制委員会としましては、今後とも、この個人の信頼性確認制度を通じまして、原子力事業者における信頼性の確認を徹底してまいりたいと思っております。

山崎(誠)委員 これは、お話を聞くと、今議論している重要経済安保情報の仕組みとほぼ同じようなことを電力会社が行って、それを規制委員会が管理をしているという仕組みになっているんですね。

 ここでお聞きをしたいんですけれども、特定核燃料物質の防護、この分野について、これは重要経済安保情報に当たって、この法案で、今審議をしている内容に当たる可能性があるかどうか、いかがでしょうか。どなたでも構わないです。

高市国務大臣 指定の対象となるかどうかということでのお尋ねでしたら、重要経済安保情報の定義は、本法案では、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三要件に該当するものと規定しております。

 原子炉等規制法の規制対象である核原料物質等の情報につきましては、政府保有の情報であるという前提で、重要経済基盤保護情報における重要経済基盤の定義の中で、国民の生存に必要不可欠又は広く我が国の国民生活若しくは経済活動が依拠し、若しくは依拠することが見込まれる重要な物資に該当するという可能性は否定されません。また、事業の情報についても、政府保有の情報であるとの前提で、今申し上げたような要件に該当するという可能性は否定されないと考えております。

 重要経済安保情報として指定され得る情報につきましては、先日来申し上げておりますように、有識者に意見を聞いた上で、パブリックコメント、そして閣議決定をして策定する運用基準で、対象情報の一層の明確化に努めてまいります。

山崎(誠)委員 明確な御答弁、ありがとうございます。

 私は、これは極めて高い、トップシークレット級の情報だろうと。そして、これは、今のお話で、今の規制委員会の規制では、一年以下の拘禁刑そして百万円以下の罰金ということなんですね。ある意味、低いんですよ、レベルが。これは、私は、今の制度でいえば、五年以上の拘禁刑あるいは五百万円以下の罰金、そのぐらいのレベルの重要性、こういったものを持たせる必要があるのではないかというふうにも思っております。

 是非、今後の議論の中で、この情報も重要経済安保情報にやはり当たるんだというそういった御判断もいただきたいと思いますし、そういう検討を、これはたまたま炉規制法の話だったんですけれども、そのほかでも周辺の情報の管理という意味ではありそうなので、これはやはり慎重に、よりこの制度が、ほかの制度とも整合が取れた上で運営されるべきだというふうに思いますので、御検討を慎重にお願いをしたいということでお願いを申し上げる次第です。

 質問に戻りまして、立法の目的のところで、前回の参考人の質疑でこういう指摘がありました。コンフィデンシャル級の情報に関する監視について、各国の状況、イギリスやフランスではコンフィデンシャル級の情報に関する監視については廃止をしている、アメリカでも、ISOOが廃止を勧告をして、この動きを受けてコンフィデンシャル級の監視については縮小しているというお話がございました。有識者の日弁連の齋藤弁護士に言わせれば、絶滅しつつあるコンフィデンシャル級に対する対応を今制度化するのはおかしい、情報共有に役立たないのではないか、負担ばかりで、国際案件に参加するのに無関係ということにならないか、こんな極めて厳しい指摘がありました。

 イギリスだとかフランス、アメリカのこうした動きが起きている背景、何でそういうことになっているか、教えていただけますか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

品川政府参考人 お答えいたします。

 他国の制度につきまして政府として責任を持ってお答えする立場ではございませんが、米国では、コンフィデンシャル級の情報を廃止することについて、御指摘のような、組織の一部の機関においてそういった提案があるということは承知をしているところでございます。もっとも、この勧告に従って、米国政府として……(山崎(誠)委員「フランス、イギリスは」と呼ぶ)後ほど申し上げますけれども、そういった方向性を決定したとは承知をしておりません。したがって、米国でコンフィデンシャル級の情報が廃止されるといった状況は承知していないところでございます。

 また、イギリス、フランスにおける見直しにつきましても、いずれも、コンフィデンシャル級情報をシークレット級として保護するなどによりまして、三段階の制度を二段階に見直したものと承知しております。

 いずれにいたしましても、我が国としては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしているところでございまして、安全保障の裾野が経済、技術分野に拡大する中、経済安全保障分野の情報保全強化は重要であると考えておりまして、米国を始めとする多くの国において引き続きトップシークレットからコンフィデンシャルまでの三段階に分けて管理している実情を踏まえますと、本法案は必要なものであると考えております。

山崎(誠)委員 今、三段階でというお話がありましたけれども、イギリスとフランスは基本的には二段階に、コンフィデンシャル級をシークレットに入れて二段階にしたんじゃないんですかね。

 私は、やはり一つの事実として、世界の動きというのは、日本が入り遅れたというのが大きな問題なのかもしれませんけれども、更に先に制度が動いているんじゃないかと。そういったところをちゃんと踏まえた上で、制度を、これからまた時間がかかるわけですよね、運用基準なども作って、パブコメをかけてということでやっていたら、時代にどんどんどんどん遅れて、世界は別な基準で動き出すみたいなことになりかねないと私は非常に危惧をしています。

 結局、産業界からは必要性については訴えられていますけれども、でも、これは世界の動きと整合が取れなかったら使い物にならなくなってしまう、そういうリスクがあるんだということは、大臣、認識はございますか。

高市国務大臣 少なくともアメリカ、ドイツ、カナダ、イタリア、オーストラリアにおいては、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャル級、三段階でございます。イギリスとフランスについては、元々コンフィデンシャル級だったものをシークレットの中に入れたと認識をしております。

 そして、どの国の制度も、これまでも申し上げてきましたとおり、全く同一というわけではございませんが、やはり、それらの国が保全している技術や経済分野の情報についても、日本でしっかりとした保全制度ができたんだなという信頼感の中でお互いに情報を共有していくものでございます。

 特定秘密保護法にしましても、他国の制度と同一ではございませんけれども、それでも、施行されてから今までの間に、相当機微な情報、これまでは触れられなかった情報がスムーズに入ってくる、また共有することができるようになったと聞いておりますので、同レベルの、世界に通用する制度をつくるとともに、やはり運用基準なども含めてしっかりと整備をして、さらに、お認めいただきました場合には、各国に対しても丁寧に説明をしてまいります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 是非ここは、これまでの特定秘密も非常に大変な制度でございますけれども、今回は更に民間の多くの皆さんを巻き込んで、世の中的には、非常にやはり人権問題に関してセンシティブな分野だということで、反対の意見も強く出ています。そういった意味で、これは、やった意義が本当になければ、私は、制度としてこれだけ議論をしていろいろな負担を強いていく意義がないのではないかというのが第一の問題点、指摘であります。

 次に、では、具体的にどのような情報を扱っていくのかということで、これまでの質疑で、例えば、指定されると想定される重要経済安保情報がどのくらいあるかとか、適性評価の対象となる事業者とか評価対象者が何人ぐらいいるのかとか、あるいは、それを管理する内閣府の組織規模などどういうものを想定しているかなど、いろいろな御質問がありました。でも、一切、残念ながら答えがないんですよね。

 もちろん、概数かもしれません。見込みかもしれません。でも、こういう制度をつくればこういうニーズに応えることができるんだ、そういう見込みは、これだけの法案を提出をして議論をするんだから、出していただかなきゃおかしいんじゃないかと私は思うんですよ。どうしてこういう見通しが出せないのか、教えていただけますか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案につきましては、成立後一年以内に施行をするという予定でございまして、その準備期間におきまして、想定されます情報の指定件数ですとかあるいは適性評価の対象となる人数ですとかといったものを見込みを出しまして、適性評価をやる内閣府の組織の体制等々につきまして詰めてまいる所存でございます。

山崎(誠)委員 一年かけてこれから検討しないとどのぐらいの規模になるか分からないというのは、私は立法事実として余りにも不十分じゃないかというふうに思うんですよ。例えば、十件、二十件扱うのか、千件、二千件扱うのか、全然違ってくると思いますよ。それによって負担が、例えば民間企業にどのぐらいかかるのかも分からない。

 私が心配しているのは、こういう状況の中で制度をつくりました、これだけ大々的に打ち出した、でも、指定したいけれども情報が集まらないと。この制度を動かすために情報の指定を無理に実施するようなことになったら、私は、本末転倒だし、非常に大きな問題になると思うんですよ。高市大臣、いかがですか。

高市国務大臣 情報の指定を無理に行うということは決してございません。法案に定めた要件に該当する以外の情報が重要経済安保情報として指定されるということはございません。

 また、民間の予見性ということ、民間企業の方々の予見性ということはしっかり高めていかなきゃいけないということで、法律案の中にも、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三要件を書いた上で、また、重要経済基盤保護情報として、我が国にとって重要なインフラ、重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義して、その保護に関わる更に四つの情報類型を明示しております。

 民間企業の方々に対してしっかりともっと分かりやすくお示しをしていく、民間事業者だけじゃなくて政府内も、各行政機関でその指定とか解除、これをしっかりと統一基準でやらなきゃいけませんので、そのために、お認めいただいた後に、統一した運用基準を作る、また政令も定めるということにしております。中小企業の皆様に対しても、やはり丁寧に説明をする、また、お認めいただきました後に、政令や統一的な運用基準をきちっと定めていくわけですけれども、その後におきましても、あらゆる機会を捉えまして説明をしていくということでございます。

 あくまでも、全ての企業に係るものではなく、政府と一緒に仕事をするということで、自ら希望し、御一緒に仕事をしてくださる企業の方、そしてしっかりと契約を結んでいただいた企業の方、クリアランスに関しましてはその企業の従業員の方ということで限定されますので、その場合にしっかりと、これが、これが重要経済安保情報ですよということは明示されるということは法定しておりますので、明示をしていくということで、何が重要経済安保情報なのか分からないのに巻き込まれたというようなことは起こり得ない、そういった運用をきっちりとしてまいります。

山崎(誠)委員 これまでも何度も議論がありましたが、国会による監視みたいなお話が抜け落ちてしまっているという指摘、国会の監視です。

 今のようなお話が、もちろん法律上、あるいは大臣のお考えとしてはもちろん成立をしているんですけれども、それをちゃんと担保する仕組みがなければいけないし、今言ったような、想定される情報についてとか対象者だとかについての見通し、立法事実に当たるようなことが説明できないまま動いているということが、私は、異常だし大きな問題だということを改めて申し上げたいんです。

 なので、より、監視だとかチェックがやはりちゃんと見えないと、これはみんな秘密の中で行われる作業ですから、今大臣が言ったようなことが行われるかどうかというのは本当に、ある意味ブラックボックスですよね。そうでなければ秘密が漏えいしてしまうわけだから、非常にやはりここはセンシティブに、この監視制度の、制度をちゃんと法律で作って、それをうまく運用していくということが必要だというふうにも思いますので、指摘をさせていただきます。

 今の関連で、二番なのでありますけれども、重要経済安保情報の指定ということで、具体的な例、これは何度も質疑の中で出てきた資料ですけれども、資料の二にあるこの図は、私は、非常にやはりいろいろな問題をはらんでいるのではないかなというふうに思って見ております。

 すなわち、どんな情報が具体的に指定されるのか、その中身について、例えばサプライチェーンに関する情報というのが類型として上がっていますけれども、どんな情報がサプライチェーン上重要経済安保情報として指定される見込みなのか、余地があるのか、教えていただけますか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報にどのようなものが指定されるかということでございますが、本法案では、まず、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが……(山崎(誠)委員「具体的に教えてください」と呼ぶ)はい。といった三要件に該当するものであると規定しておりまして、例えば、重要経済基盤保護情報に該当し得る情報としましては、我が国にとって重要な物資の安定供給の障害となる外部からの行為の対象となりかねないサプライチェーンの脆弱性に関する情報などが想定されるところでございます。

 今後、有識者の意見を聞いた上で作成いたします運用基準において、対象情報の一層の明確化に努めてまいります。

山崎(誠)委員 これは私、具体的に想像するんですよ。例えば、サプライチェーン、半導体に関する希少材料、原料みたいなものが入手されなきゃ駄目だと。では、そういう情報は誰が持っているかといったら、経産省が持っているわけじゃないと思いますよ。持っているのは、例えば総合商社だとか、いろいろな交渉をしている、材料メーカーだったり、そういうところが結局持っている。それはA社に当たると思うんですよ。その情報を何らか国の施策として共有したいということで、提供をもらって政府がそれを保有することになるということでありまして、そういう情報が幾つか集まってくるんでしょう。

 集まった情報が重要経済安保情報になるというのがこの図の意味だと思うんですけれども、A社が持っている情報と政府が重要経済安保情報に指定する情報というのはどこが違うのか、質的な変化なのか、情報の上での変化なのか、どういう変化があるんですか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 配付資料にございました図に関連しまして、これに沿って御説明をいたします。

 先ほど来申し上げております重要経済安保情報の三要件に該当する場合であって、具体的には、例えば、この図にあるような、A社となっているようなところが、政府に提供となっておりますけれども、このA社のところがより多数になってくる、多数の民間事業者から政府が提供された情報、これを集約をし、また分析するなどして作成した情報を重要経済安保情報として指定することなどが考えられます。

 そして、そのように重要経済安保情報として指定した情報につきまして、これは矢印がB社とC社に伸びておりますけれども、本法案におきましては、民間事業者が重要経済安保情報に指定された情報を保有するに至るのは、適合事業者として認定され、かつ行政機関と秘密保持契約を締結した場合に限られるということでございまして、本法案の罰則等の規範はB社、C社に及ぶものとなることになっております。

山崎(誠)委員 A社は、セキュリティークリアランスは求められないし、自由に、自由にというか、経済活動の中でこの情報を使うことはできるわけですね。この矢印があるように、D社に行ったりE社に行ったり、どんどん広がっていく可能性は大いにあるわけですね。その情報が例えばB社とD社の間で共有されるようなことになって、片やセキュリティークリアランスがかかる、片や自由、自由というか、A社との関係の中で提供された情報ということで、これは競合するようなことにならないですか。

 もちろん、一定の処理はしているかもしれない、分析はしているかもしれないけれども、私は、提供された情報というのは、やはりその元があって、それに基づいて提供されたB社にも一定A社の情報というのは入っているというふうに思うのであります。

 そうしたときに、この関係性、場合によっては、A社とB社が競合関係か何かにあって、A社の情報がB社に行ったことで競争上の不利益を被るようなことが起こり得ないかなと。私はそれが、例えば、A社が、セキュリティークリアランスにかかって情報提供しますよということを知らされて、そういうことについての理解をした上で提供しているのかどうか、その辺り、どうですか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づきますセキュリティークリアランス、適性評価につきましては、行政機関が重要な情報だと認めて指定した情報、そしてそれは、法律の中にも書いてありますけれども、政府が指定した重要経済安保情報だという表示をして、かつ、それを守るということで民間事業者と契約をする、秘密保持契約を結ぶ、そういったケースにおいて、かつ、民間事業者の方も適合事業者として認定されなければいけません。そういった幾つかの手だてを尽くした上で情報を守るというものでございます。

 そこに該当する、本法案に該当する情報についてしっかりと保全をする、その先には罰則もかかってくるというものでございまして、A社が、今申し上げましたような適合事業者の認定もなく、秘密保持契約もなく、あと、持っている情報自体に重要経済安保情報としての表示もなくというような状態でありますれば、本法案の規範がかかってくるものではないというものでございます。

山崎(誠)委員 それは分かっているんですよ。

 では、A社は、セキュリティークリアランスの対象情報になったんだ、自分の提供した情報がなったんだというのは認識するんですか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 この矢印に、提供となっております。A社がある情報を政府のある当局に提供したときに、ここでは一定のコミュニケーションがございますので、そのコミュニケーションいかんになるというふうに考えております。

山崎(誠)委員 はっきり答えてください。

 セキュリティークリアランスにかかった情報をそういう形で提供しますよということについて、それはA社は分かるんですか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 ここの図に限って申しますと、A社が政府側に提供するその経緯ですとか実態に応じまして、あと、当局とA社とのコミュニケーションによるものというふうに考えています。

山崎(誠)委員 はっきり答えてください。

 では、そういう通知をする義務はないんですね、政府はA社に。義務はないんですね。

品川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、具体的な例として、多数の事業者から情報を集めるという話を申し上げました。そういう非常に多数の事業者さんから情報を集めて、集約して分析したものを重要経済安保情報として指定した場合に、その多数の事業者さんそれぞれにこういうふうに指定しましたというふうに通知するということは一般に想定していないところでございます。

山崎(誠)委員 時間になったので終わりますけれども、私は、民間の情報を扱うということは、こういうような、今のは一つの例だと思いますけれども、非常に、グレーの部分とか運用上難しい部分がたくさんあるんじゃないかなと。政府が保有する情報というのは、ほとんど、私は、民間から入手したような情報が多いんだと思いますよ。

星野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

山崎(誠)委員 是非、運用基準も、きちっとそういったところを踏まえて、本当に問題のないように徹底的に議論した上で決めていただきたいということを申し添えて、終わります。

 ありがとうございます。

星野委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 日本でもようやく、経済安全保障分野でのセキュリティークリアランス、この法案が、審議がスタートしたということで、私としては、本当に、二年遅れ、本来なら、少なくとも去年の通常国会で審議しておくべきだったと思っておりますが、いずれにしましても、これでしっかりと我が国の経済、産業を守って、そしてこの国を守っていく、そういった視点から、この審議に本日も臨ませていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 しかし一方、残念ながら今回の、この間の審議を聞いていても、まだまだこの法案の問題点が多いなと。しかも、本当にこれで国民のプライバシーとか人権とかも含めて、まだまだ懸念を持っている方は多いですので、そこはしっかりと、この審議を通して、また国民に対しても説明をしていただきたいと思っておりますし、海外に向かってもしっかりと、これからまた我が国としてどう展開していくのか、そのことが問われていると思っておりますので、大臣始めどうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、今回の本法案を通して、これからの新しい国際枠組みがどう構築されていくのか、そういった視点からお伺いさせていただきたいと思っております。

 といいますのも、もちろん、今、もう言うまでもないですね、国際情勢が大変緊迫している。しかも、米中の軍事的、経済的、何よりも技術をめぐる覇権争いが深刻になっていく中で、我が国にとっては、まさに最大の、唯一の同盟国のアメリカ、そして最大の貿易相手国である中国、そのはざまの中で、私は、ただただアメリカに言われるままにやっていればいいという話じゃないと思っていますし、それで我が国の平和とか繁栄が守られた時代というのはもう終わっていますので、そういった中で、どうバランスを取りながら我が国の国益を最大化していくのか、そういった視点から、この問題というのは戦略性を持って取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っております。

 それでは、まず高市大臣にお伺いしたいと思いますが、このいわゆるセキュリティークリアランス法案が成立すれば、それじゃ、他国との連携だったりとか、同盟国、同志国と言っていると思いますが、国際協力がどのように深まっていくのか、どうなのか。その点に関して、大臣の御見解を教えてください。お願いいたします。

高市国務大臣 政府間での秘密情報のやり取り、また重要情報のやり取りというのは、一般的に、相手国において自国の保護措置に相当する措置が講じられることが前提で行われております。本法案においても、第八条でその旨を規定させていただきました。

 有識者会議の最終取りまとめでは、今回の制度整備を踏まえ、同盟国、同志国との間で新たに必要となる国際的な枠組みについても取組を進めていくべきとされております。既存の国際的な枠組みを踏まえて、各国との連携によって情報保全を適切に実施するための取組についても検討をしていく考えでございます。

 本法案をお認めいただきました暁には、担当大臣として、関係省庁とも連携しながらこうした検討を進めますし、まずは、同盟国、同志国に対しまして、私自身も積極的に新しい法律の内容を説明し、日本の情報保全制度が更に充実したということを発信してまいります。

太委員 大臣、ありがとうございました。内容に関してよく分かりました。

 一方で、今大臣がおっしゃいました新たな枠組みという言葉、この間、委員会の質疑の中でも、新たな枠組みを今回の法案を通して検討しなきゃいけないと、これは有識者会議でもそういうふうにコメントされていますね。

 その新たな枠組み、大臣が今おっしゃったように、海外に向けても大臣自ら説明に上がるということで、それでは、これはどういうふうに、いや、もちろん法案が成立すればという前提かもしれないんですが、私は、もう遅いと思うんですよね。今の時点で、どういった形で、政府として、あるいは大臣として、この新たな枠組みというのを想定していらっしゃるのか。

 あえて、新たな枠組みと書いていると思うんですよ。そこを是非とも教えてください。

高市国務大臣 外交上のやり取りを詳細に申し上げることはできませんが、一昨年夏に大臣に就任して以来、様々な国々、特にG7やオーストラリアの方々とも意見交換を重ねてまいりました。

 ですから、日本が今回、経済安全保障版でセキュリティークリアランス制度を構築しようとしていること、そしてまた、国際的にも通用するものにならなきゃいけませんから、そのための情報収集をしていること、また、いろいろ御協力もいただいてまいりました。

 情報保全制度は国によって多様ですから、適性評価の内容や手法も含めて他国と同一のものとすることが求められるといった性質のものでもございません。その旨も、各国とコミュニケーションを取る中で、私も確認をしてまいりました。

 ですから、この制度を整備した上で、制度全体として、運用面も併せて、他国から、実質的に自国と同等の保護が与えられていると認められるものにする必要があると思っております。

 我が国は、相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報をそれぞれの国内法などに従って保護することを定める情報保護協定を、九か国・機関との間で締結しております。その中で、締約国・機関間で対応する秘密指定のレベルについて整理をし、それぞれの国・機関で秘密情報にアクセスすることが認められた者でなければ相手国から提供された秘密情報にアクセスできないことを定めております。

 しっかりこの辺りも踏まえまして対応をしてまいりたいと存じます。

太委員 大臣、ちょっと分からないですね。今、新たな枠組みは何も見えてこないですよ、残念ながら。

 今、我が国としては九か国と情報保護協定を結んでいるということはもちろん分かっています。これは、特定秘密保護法案ができる前からアメリカ等を含めて進んでいる中で、特定秘密保護法案成立後にまた加速して、今九か国になっていますけれども、今回の法案ができて、それじゃ、どうしていくんですか。この関係を深めていくのか、あるいはまた、こういった国々を増やしていくのか。バイでの関係ですね、我が国との。

 それとも、新たな国際的枠組みというのが、私はもっと、大臣は、先ほどG7と、あるいはオーストラリアのことも含めておっしゃいましたけれども、そこら辺の枠組みということがまだ見えていないということですか。ちょっと悠長過ぎると私は思っていますので、もう一度、大臣、別に外交交渉を教えてほしいとかじゃなくて、もう少し深めて教えていただかないことには、全然これは新たじゃないですよ。お願いいたします。

高市国務大臣 少なくとも、情報保護協定については九か国・機関との間で締結しております。さらに、現在二か国と交渉中である、さらにはウクライナとの関係についても発表済みであるということを承知いたしております。

 これは、締約国・機関間で対応する秘密指定のレベルについて整理して、それぞれの国・機関で秘密情報にアクセスすることが認められた者でなければ相手から提供された秘密情報にアクセスできないことを定めています。

 この情報保護協定の締結は、我が国の政府と相手国政府との間の情報協力を向上させる基盤となるものでございます。こうした基盤整備の必要性、重要性、それから相手国からの要望なども総合的に勘案して締結の要否を決定しているものでございます。

 ですから、先ほど申し上げました、同盟国、同志国との間で新たに必要となる国際的枠組みについても取組を進めていくべきといった有識者会議の取りまとめでも、こうした既存の国際的な枠組みを踏まえて検討すべきとしたものです。

 なお、情報保護協定を結んでおりましたら、国内法が変わりましたら通告する義務がございますので、そういった機会でもしっかりと説明をするチャンスが増えていくと考えております。

太委員 大臣は、既存の国際協定の中からということもおっしゃいましたので、先ほど来繰り返しておりますが、やはり私は、もう少し、いやいや、まだ法案ができていないから急ぎ過ぎだと言われるかもしれないですけれども、国際情勢は待ってくれないですよね。

 というのも、先月、カート・キャンベル、今の国務副長官ですか、来日されました。彼が言ったことは、まさにAUKUS、アメリカ、イギリス、そしてオーストラリアとの安全保障協定と日本が、様々これから協力できることがあるんじゃないかと。それは何かといったら、軍事的に特段、もちろんこれは安全保障協定です、ですけれども、一番何が大事かといったら、まさに、今の法案とも私は関係していると思っておりますが、技術協力ですよね。そういった分野でなら日本は力をもっと発揮できるはずだということ、そういったお話がありました。

 今朝の読売新聞に、いよいよ来週、四月十日、ちょうど一週間後、日米首脳会談が行われる中、AIとかあるいは量子技術とかを含めて、日米、そして更に多国間での協力枠組みを進めていこう、そういったことが議題になっていく、共同声明を出していくという話も出ています。

 まさに、既存の国際秩序、国際枠組みを使うのであれば、私は、このAUKUSは一つの、我が国としてうまく関わっていく、そして今回、セキュリティークリアランスが経済安全保障の分野でも適用されていくことになりますので、そういった意味で、こういった分野でまさにチャンスになってくるんじゃないかということで考えております。

 是非とも、大臣、AUKUSとの関係、これに関して我が国としてどう関わっていくのか。あるいは、もちろん、いろいろなことが進んでいたら、その点、言えないこともあると思いますが、もちろん外務省の話だと思うんですよ。ですけれども、私が先ほどから言っているとおり、先端技術を含めた協力体制ということで、先月アメリカからこういったメッセージも投げられている中で、私は、大臣が一番の役割だと思っていますので、その点に関して御見解をお願いいたします。

高市国務大臣 AUKUSにかかわらず、同盟国、同志国、また友好国、様々な価値観を共有している国々、そしてまた、日本と同じように情報保全制度をしっかりと整備している国、今まだ、ちょっと日本は立ち遅れている部分がありましたので今回の法律案を御提案させていただきましたけれども、同レベルの情報保全制度をしっかりとつくっている国との協力を深めていくというのはとても大事なことだと考えております。

太委員 事前にお伝えしたつもりだったので、もう少し踏み込んで大臣の御見解をお聞きしたかったんですが、いずれにしましても進めていただきたいと思っております。

 ちょっとお伺いしたいのが、本法案が定める適性評価によって、まさに今の国際的な協力体制の中でも関わってくる国際共同研究の円滑な推進、これは実現していくはずだということで今審議が進んでおりますが、それじゃ、この法案のどの規定でそのことが担保されていくのか、そのことに関して、政府参考人の方でも構いませんので教えてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございました国際共同研究でございますが、これが政府間の支えもあって進展する場合を想定いたしますと、それぞれの国において、政府が保有している共同研究を進めるに当たって極めて重要な情報、それが、日本の場合ですと重要経済基盤保護情報に該当するなど三要件を満たしている場合は、これは、日本政府の中におきましては、特に秘匿する必要があるものとして保全の対象になっているわけでございますけれども、これをまずは日本企業と共有しながら経済安全保障の推進に役立つような事業活動に使っていただく、その中に国際共同研究というものも位置づけられるのではないかというふうに思っています。

 その上で、情報交換の枠組みがある国、あるいはその国の企業との間の共同研究ということになりますと、これは、日本政府が保有している情報をも相手国の企業に共有することで共同研究が一層円滑に進むようになるのではないかというふうに思っておりまして、この場合は、相手国の情報保全の制度の下でその情報がしっかりと保全されることを確保していただいた上で、その相手国のクリアランスを得ている企業に対しては、その情報が、日本政府が保有していた国際共同研究を進める上で重要な情報が共有されることになります。

 その逆もございまして、相手国政府が持っている共同研究を進める上で重要な情報、これは、一義的にはまずは自国の企業に共有して進めるわけですけれども、そこで、日本の企業の参画が不可欠だ、あるいは相手国の参画が不可欠だということで日本企業が参画をしていくということになりますと、この法案の枠組みの下で、かつ国際的な枠組みも相まって、国際共同研究が経済安全保障の分野で進展することが期待されるというふうに考えております。

太委員 具体的になかなか規定はされていないけれどもということで、分かりましたが、いずれにしましても、大臣も先ほど、新たに二つの国々との情報保護協定も進んでいくというお話もありましたし、是非とも、この法案の成立をきっかけにして、海外との関係強化ということを進めていただきたいと思います。

 新たな枠組み、私は、やはりここは日本がしっかりとリーダーシップを発揮することだと思っています。特に、この経済安全保障の分野でですね。TPPがありました、アメリカが抜けてCPTPPになりました、あれを主導したのはやはり日本でしたので、私は、そういったことで、アメリカもそこまで日本がやろうとすることに対して邪魔はしないと思いますので、そこはまさに、高市大臣のリーダーシップでできることというのは多いと思います。どうか、我が国の国益を最大化していく、そういった視点から進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 来週日米首脳会談、そして、秋にはアメリカ大統領選挙もあります。政権は替わってもしっかりとしたつながりをつくっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に行きます。

 私は、海外の安全保障に関わっている友人なんかと話していても、ようやくこれで日本もしっかりと前へ進んでいくんだということで、セキュリティークリアランス制度、前広に評価をいただいているんですが、だけれども、彼が言ってくるのは、じゃ、罰則のところはちゃんとなっているのかと。というのも、やはり日本の制度に、まだまだ、いろいろな情報漏えいもあるし、外務省のいろいろな情報の問題もありましたし、そういった意味で、罰則はちゃんとなっているのかということを言われるんですが、その点に関して、どういった状況なのか、そこを教えてください。これまでさんざんこれは議論していますけれども、改めてお願いいたします。

高市国務大臣 本法案の罰則の法定刑は、特定秘密保護法における同種の罪の最高刑が懲役十年であること、一般的な国家公務員法上の秘密漏えいの罪の最高刑が懲役一年であることを踏まえまして、両者とのバランス、行為の悪質性及び結果の重大性の程度を考慮して定めました。

 例えばですが、何段階かございますけれども、業務取扱者による漏えいの罪の法定刑は、本法案では、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしており、罰金刑のみの選択も可能となっております。

 諸外国との関係につきましても、G7及びオーストラリアについては調べてはおります。それぞれどういう罰則があるのかというのは調べてはおりますが、各国の刑事法制が異なるということ、それと量刑の長短だけで比較することができないので、本制度の罰則については、あくまでも特定秘密保護法と国家公務員法の罰則を参照して定めたということです。

太委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣は以前、これはメディアの方で流れていたんですけれども、十年以下、まさに今五年とおっしゃいましたけれども、十年以下の懲役というのはマストだ、要件だということも発言されたと思うんですが、その点はどうなのか。今、五年で納得されているのかどうかを含めてコメントをお願いします。

高市国務大臣 以前そのように申し上げたことは事実でございます。ただ、これは法務省も含めて、ほかの法律の量刑も勘案した上でバランスの取れたものにしなきゃいけないということで、十分に熟慮し、そして役所の皆さんからも説得され、しかしながら最終的には自分で判断をし、五年が適当であると確信をいたしました。

太委員 分かりました。私も、何も長くすればいいという話じゃないと思っておりますので、まずは今大臣がおっしゃったように、我が国としてしっかりと基準を定めている、そこを言い切れれば私は問題ないと思っております。必ずしもこれは国際的なとかという話じゃないと思いますので、是非ともそういった視点から、大臣は先ほど、冒頭もおっしゃっていましたが、御本人から、御自身が海外に対してもしっかり御説明されるということでありますので、その点、引き続きどうかよろしくお願いいたします。

 次に移りたいと思います。

 適性評価のための調査を行う、管理する主体に関して、内閣府の下に一元化していく、調査機能の一元化ということで、私も、この問題、秘密保護法の中ではそれぞれの省庁に分かれていましたよね。それをようやく日本でも一元化されていくということで、防衛関係の方からも、これを何とか一元化して、ポータビリティー性を持たせてほしいということをずっと聞いておりましたので、ようやくいい形になっていくんだなというふうに思っております。

 ここでお伺いしたいのは、これもさんざん議論されてきましたが、一元的な調査をしていく機関の人数に関して教えてください。

高市国務大臣 これまでも答弁があったかと思うんですが、内閣府における一元的に調査をする機関でございますが、現段階では、令和六年度の政府予算案において、一元的な調査を含め、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しているという段階でございます。

 その上で、この調査業務に関する施行後の体制については、法施行までの間に、制度の詳細設計を踏まえて、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数の見込みや適性評価の調査件数の見込みを精査しながら、必要な体制の整備の検討を進めてまいります。

 現時点のイメージといたしましては、まさかアメリカのように三千人級のものをいきなりつくるとかいうことではなく、内閣府として数十人程度の規模からまずスタートすることを想定しておりますけれども、また定数要求などいろいろなことで頑張ってまいりますので、先生方のお力添えをお願いいたします。

太委員 分かりました。私は、何百人規模かと、三桁かなと思っていたんですが、今大臣の御返答だと二桁ということなんですね。(高市国務大臣「控えめに言って」と呼ぶ)控えめに言って。分かりました。

 これからということなんですが、先ほど来お話ししているとおりで、やはり、どういった機関になっていくのか、まだ我々も概要が全く分からないということで、これから、成立後一年以内にということでまた動き出すということなんですが、これもやはり、大臣もしっかりと、ある程度形を見せていくということで、大事だと思っておりますし、海外に向けてということも含めて、アメリカだとDCSA、大臣がおっしゃった三千人規模で、年間、調査で一兆円程度の予算でやっているということで、やはりある程度の人数と規模というのはどうしても必要になってくると思いますので、そこへ向けて早急に進めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。分かりました。

 では、次に移ります。

 先日の参考人質疑のときにもありました。今回の、適正に秘密指定がなされているかどうかのチェック機能をどうしっかりと確保していくのか、そういった視点からお伺いさせていただきたいと思います。

 もちろん、国会において、今後、情監審のことをしっかりと追加していかなきゃいけないと思っておりますし、一方、独立公文書管理監が政府においてはこれを管理していくということでありますが、実際、このチェック体制がどうなっていくのか、十分に担保されているのかどうか、その点、教えてください。

高市国務大臣 まず、国会におきましてのチェックにつきましては、今委員がおっしゃってくださいました国会による監視を受けることを想定いたしております。その受皿に関する具体的な方策については、現在ある常設の情報監視審査会を用いるかどうかも含め、国会において御議論いただけるとありがたく存じます。

 それから、内閣府の独立公文書管理監でございますが、独立した公正な立場から検証、監察などを行っております。重要経済安保情報についても同様の検証、監察を独立公文書管理監が行うことを想定しておりまして、これは今後は内閣府本府組織令の改正によって可能でございますので、これを追加する、独立公文書管理監が今特定秘密をチェックしておりますけれども、重要経済安保情報についてもその任務として追加することを想定しております。

 また、十八条三項に、内閣総理大臣が各行政機関を監督するという趣旨で、重要経済安保情報の指定、解除、適性評価の実施、適合事業者の認定に関して説明要求や勧告等の権限を規定いたしております。というようなことで、本制度の運用については多層的なチェック体制を想定いたしております。

太委員 前回の参考人質疑のときに齋藤弁護士からも発言がありました。やはり腰かけの職員じゃ駄目だと。アメリカが全てじゃないですけれども、例えばCIAからやってきた人が、専門性を持って、また戻っていくんじゃなくて、しっかりとノーリターンルールでやっていくということも今後検討していただきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、尾崎政務官、お越しいただきましてありがとうございました。港湾のターミナルオペレーションシステム、TOSについてお伺いいたします。

 港湾分野は、サイバーセキュリティ基本法における重要インフラとしての対策に加えて、経済安全保障法の対象事業としての対策などが求められ、事業者の負担が増えることが予想されます。政府は、事業者に対してTOSの情報セキュリティーの強化を求めており、事業者負担が増えることは明白です。

 それでは、お伺いしますが、対象となる港湾運送事業者について、TOSを扱う一般港湾運送事業者を想定していると思われますが、何者を指定見込みでしょうか。数を教えてください。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 経済安保法改正法案の、今回の対象となります港湾運送事業者の指定に当たりましては、我が国にとって特に重要な物流拠点となっているコンテナターミナルの機能に支障が生じないようにすることが重要だと考えております。そのため、コンテナ取扱貨物量が多い港湾において、ターミナルオペレーションシステムを使用する一般港湾運送事業者を指定することを想定をいたしているところであります。

 この点、京浜港、名古屋港など、コンテナ取扱貨物量が特に多い港湾において、ターミナルオペレーションシステムを使用する一般港湾運送事業者は約三十者あると承知をしております。これを踏まえまして、事業者の御意見も丁寧に伺いながら、制度の施行に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございます。三十者ということで了解いたしました。

 では、TOSに関わる事業者は、港湾運送事業者のみならず、船会社や港など、様々なケースがあります。TOSの運用や維持管理が業務委託されているケースもあります。子会社や下請、協力会社など、インターネット経由でつながる事業者は十分想定されますが、こうした港湾運送事業者以外でTOSに関わる港湾関係者が、サイバー攻撃が行われるルートとして使われる可能性について、本法案を含めてどのように想定し、対応するお考えなのかを教えてください。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 ターミナルオペレーションシステムがインターネットで多様な事業者とつながっている以上、議員御指摘のとおり、様々な想定に基づく対応が必要であると認識をいたしているところでございます。

 本法案では、一般港湾運送事業につきまして、指定された事業者が他の事業者から重要な設備の導入や維持管理等の委託を行う際に、こうした設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいかどうかについて、国土交通大臣が事前審査を行うこととしているわけでありますが、こういうことに加えまして、その他の制度的措置としまして、まず、港湾運送事業法施行規則を本年二月に改正をいたしております。これによりまして、ターミナルオペレーションシステムの情報セキュリティー対策の確保の状況について、他のシステムからの影響を含めまして国が審査する仕組みを本年三月末より導入をいたしております。

 さらに、官民が連携して対策を推進する体制を構築するべく、本年三月八日に、政府は、サイバーセキュリティ基本法における重要インフラに港湾分野を位置づけたところであります。これによりまして、港湾において、内閣サイバーセキュリティセンターなど関係機関との情報共有体制を構築をし、官と民との間のみならず、重要インフラの他の分野との連携を深めまして、サイバーセキュリティー対策を着実に実施をしているところでございます。

 これらの対策を総合的に講じることで、御指摘の事案に対して重層的に対処してまいりたいと考えております。

太委員 事業者団体からの聞き取りによると、情報セキュリティーの必要性を痛感するものの、業界や事業者にはノウハウがない、相談窓口の設置や研修機会の確保を国に求めたいとの声があります。国から事前に制度説明と理解促進を行い、十分な準備期間が欲しい旨も事業者団体から法案作成前の議論で意見があったと聞いておりますが、本法案の対象港湾運送事業者が情報セキュリティーのノウハウに乏しい場合に、国はどのように対応するのか、教えてください。

尾崎大臣政務官 本法案の対象となりました一般港湾運送事業者が円滑に準備を進めることができますように、内閣府とも連携をいたしまして、事業者への制度周知、広報や相談窓口を通じた個別相談への対応などの支援を行ってまいります。

 また、港湾における情報セキュリティー対策といたしまして、令和五年度補正予算において、我が国の港湾におけるサイバーセキュリティー対策の強化を図るため、港湾運送事業者等を対象とした研修等を行うことといたしているところでございます。

 さらに、本年五月から開始されます既存の十四分野の制度運用において得られた知見や教訓をこの港湾についても生かしていくことで、より充実した支援につなげてまいりたいと考えております。

 いずれにせよ、本法案の施行に向けまして、関係者の御意見を丁寧に伺いながら準備を進めてまいりたい、そのように考えるところでございます。

太委員 それでは、お伺いします。

 TOSのシステム変更に係る負担増しに対する支援に関してお伺いしたいと思います。

 本法案が成立した場合、制度変更に伴うTOSのシステム変更を始め大きな追加負担を事業者に求めることになるため、国からも予算措置を含めて支援すべきと考えますが、政府はどのように対応するのか、この点に関しても教えてください。お願いします。

尾崎大臣政務官 基幹インフラ制度の対象となる事業者につきましては、役務を安定的に提供する義務を履行する必要があり、本法案に基づく勧告、命令を受けて行うシステムの変更は、この役務の安定的な提供を確保するために必要なものでございます。

 このため、本年五月から適用が開始される先行する十四分野において、事業者が行うシステム変更に対して国から財政的な支援は行われないと承知をしているところでございまして、港湾についても同様であろうかと考えるところです。

 一方で、港湾における情報セキュリティー対策としまして、令和五年度補正予算において、我が国の港湾におけるサイバーセキュリティー対策の強化を図るため、港湾運送事業者等を対象とした研修等を行うこととしておりまして、これらはターミナルオペレーションシステムを使用する一般港湾運送事業者にも役立つものと考えております。

 また、本法案の施行に向けた事業者の準備を進めていただくために、内閣府とも連携して、制度周知、広報、相談窓口を通じた個別相談などへの対応など、支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

 先行する十四分野の制度運用において得られた知見や教訓も参考にいたしまして、関係者の御意見を丁寧に伺いながら着実に対応を進めてまいりたい、そのように考えております。

太委員 どうもありがとうございました。

 それでは最後に、この件に関して大臣にお伺いしたいと思います。

 港湾分野については、二年前の経済安全保障推進法の制定時から基幹インフラ制度の対象とすべきだったと、見通しの甘さを指摘する意見がありますが、大臣、御見解を教えてください。

高市国務大臣 見通しの甘さを認めさせていただきます。

 経済安全保障法については、関係省庁と内閣府で検討、調整を行った上で法案を作成して提出した、今回も改正案を提出させていただいているんですが、結果として、二年前、当時の検討が必ずしも十分ではなかったという御指摘を真摯に受け止めさせていただきます。

太委員 どうもありがとうございました。

 これでもう、政務官、大丈夫です。ありがとうございました。

 それでは、我が党の質疑の中で、再度確認して、幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、お伺いしたいのが、民間保有の情報、CUI。この前の参考人質疑の中でも、産業界からやはり一番この期待が高かったんです、このCUIに関して。政府としては、これはどういうふうに今後対応していく、そういった想定になっているのか。その点、教えてください。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘のございましたいわゆる民間保有のCUIと呼ばれるものの中には、企業が保有しております例えば最先端の技術情報、あるいはビジネスに関する情報もございます。

 こういったものは、基本的には、企業においては営業秘密として管理をされておりまして、不正競争防止法の下での営業秘密侵害対策として対応しているところでございますけれども、有識者会議の最終取りまとめでありました議論は、そうした情報の中には、国の視点から、あるいは経済安全保障の視点からも重要であったり機微な情報もあるので、企業にその対応を丸投げするのではなくて、国としても、企業が適切にそういった機微な情報の保全をできるような環境整備を進めるべきではないかという御議論がございました。

 ただ、この具体的な方策につきましては、様々な御議論が産業界の中にもあるというふうに考えております。ガイドラインの作成についても、それに賛成する方、反対する方、産業界、労働界、様々な関係者の方が様々な意見を持っているというふうに承知をしておりまして、これを受けて、有識者会議取りまとめにおいても、ガイドラインの作成の妥当性も含めて引き続き検討していくべきであるということで、今後の検討課題とさせていただいているところでございます。

太委員 どうもありがとうございました。

 是非とも慎重に、ガイドラインの作成を含めて御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、お伺いします。

 この運用に関して、本法案の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければなりません。

 そういった意味で、政府としてどのようにこれは配慮していくのか。その点、コメントをお願いいたします。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま委員御指摘のとおり、この法案の中において、国民の基本的な人権に対する尊重、それから、国民の知る権利に資する取材や報道の自由についても十分な配慮をしなければいけないといったような規定がございます。これは、この法案の中で行います適性評価でありましたり、あるいはそのための調査の実施に当たって、当然のことながら考慮していくべき事項であるというふうに思いますし、知る権利ということに関して申し上げれば、重要経済安保情報の指定、解除に関して、例えば、公になったものであれば、あるいは秘匿する必要がなくなったものであれば、指定を速やかに解除するといったような規定も中に設けております。

 こういったことを今後有識者の御意見を聞いて作成することとなる運用基準の中でも明確にして、運用をしていきたいというふうに考えております。

太委員 どうもありがとうございました。

 それではまた引き続き、この法案審議、是非ともこれは慎重に、十分審議を尽くして、法案成立に向けて御努力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。時間になりました。ありがとうございます。

星野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の堀場幸子です。

 早速入らせていただきたいと思います。

 まず、経済安全保障推進法の改正案についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私、本会議の方でも登壇をさせていただいた質問の中でも、やはり基幹インフラの中に医療とか自治体、行政を加えるべきではないかということを主張させていただいたんですけれども、そのときの総理の答弁が、代替が可能だということで、医療に関しても、ほかの病院に行ったりとか様々なことができるので入っていませんというお答えがありました。

 ただ、港湾の話、さっきから出ていますけれども、そのときも、前の内閣委員会のとき、二年前ですね、代替が可能ということで入らなかったわけですよね。ということは、代替が可能なので大丈夫ですという御答弁にはちょっと心配が残るんじゃないかなというのが私の率直な感想なんです。

 というのは、今、オンライン資格確認システムも始まっていまして、やはり医療のDXはすごいスピードで進んでいると思います。マイナンバーを使った様々なこともこれからどんどん投入されていく中で、やはり基幹インフラの中に医療を加えるべきだと思います。

 例えば、地方においては、代替性というのは私は余り想像ができないんですね。病院がとても遠くて、うちのおじ様が住んでいるところなどは、市の病院はありますけれども、そこから次の病院に行こうと思ったら二時間以上かかりますというような状況の地方というのもたくさんございますので、まず、基幹インフラに医療を加えるべきだということに関して大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 経済安全保障推進法の一部改正により手当てすることとした港湾分野とともに、医療分野についても、大規模サイバー攻撃が発生したことも踏まえまして、私から厚生労働省に検討を要請いたしました。

 ただ、医療に関しましては、厚生労働省から、個々の医療機関については、システム障害が生じても、個別の医療機関の単位にとどまり、また、周辺医療機関との連携により必要な医療提供が可能という説明がございました。そして、官邸で開かれた経済安全保障の本部におきましても、武見大臣から同様の御説明がございました。これらを踏まえまして、今回の法案では基幹インフラ制度の対象としないことといたしました。

 ただ、委員も言ってくださいましたが、全国的なシステムである電子カルテ共有サービスですとか標準型電子カルテシステムなどについては、やはり、DX化はすごいスピードで進んでいますので、厚労省において、今後、医療のDXの取組を進める中で、セキュリティー対策の強化を図りながら、地域医療提供体制への影響も踏まえながら、引き続き精査を行うという方針であると伺っております。

 また、これは、厚生労働省の作業もあることでございますし、具体的にいつまでかは申し上げられないんですが、医療DXのシステムの検討を進める中でこの制度の適用について引き続き精査をしてくださると聞いておりますので、内閣府としては、その精査の状況を踏まえて検討をしていきたいと思います。

堀場委員 是非、この懸念事項について、この委員会で何度もあったと思うんですね、それについて大臣ももちろん承知されていると思いますので、しっかりと医療に関してはやっていただきたい。既に大阪で攻撃を受けていますので、それでも指定されないとなると、ちょっと大丈夫かなという不安というのは、懸念というのは拭えないので、そこの辺り、しっかり大臣にお伝えをさせていただきました。

 もう一点、自治体、行政というものに関しても、経済安全保障推進法の基幹インフラに加えるべきだと思うんですね。やはり今、ガバメントクラウドが、全国的にやっていきましょうとか、さっきも言いましたマイナンバー、マイナポータル、マイナンバーカードといった様々なサービスが共通のものとして地方自治体と一緒にやっていっている、こういう現状の中で、基幹インフラに加えるべきだというふうに考えるんですけれども、大臣の御所見をお願いいたします。

高市国務大臣 行政機関及び自治体ということで、両方お答えしてよろしいですね。(堀場委員「はい」と呼ぶ)

 政府におけるシステム等の調達につきましては、政府機関における情報セキュリティー水準を維持向上させるための統一的な枠組みとして、サイバーセキュリティ戦略本部において、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群を策定しております。この中で、サプライチェーン上のリスクに係る事項を規定して、必要な対策を政府機関等に求めることなどによって対応が図られていると承知しています。ですから、政府におけるシステム調達について、基幹インフラ制度の対象にする段階ではないと考えております。

 地方公共団体につきましてですが、総務省において、地方公共団体が国と平仄を合わせたセキュリティー確保の取組を行えるよう後押しをしているところであります。また、地方公共団体の情報システム調達の在り方について、内閣官房などの関係省庁において、基幹インフラ制度の対象とすることありきではなく、今検討を行っているところだということなので、今回の改正の対象にはなりませんでした。

堀場委員 やはり、刻々と変化しているこのサイバーをめぐる状況がございますので、是非検討をし続けていただきたいなというふうに思います。

 では、セキュリティークリアランス法案の方に行かせていただきたいなと思います。

 先日、ほかの方もされていますけれども、参考人質疑の中で出てきたお話ですね。罪刑法定主義と憲法の関係であったり、知る権利と公共の福祉というものについて、お話をお伺いしたいなというふうに思っています。

 まず、今回の、情報とか秘密というものを知る、これには知る権利というものが憲法で規定されているかと思うんですが、この権利よりも公共の福祉が優先されるという場合があると思うんですね。公共の福祉というものが、やはり国民の安全、安心、こういったものが優先されるときがあるんですが、大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 知る権利の保障は重要でございます。一方で、厳しい安全保障環境の下で国民生活や経済活動を支える基盤を守って、国家及び国民の皆様の安全を守っていくことも重要でございます。ですから、それを損なうような情報漏えいは当然防がなければなりません。ですから、これら両者の調和を図っていくことが必要だと思っております。

 この法案では、情報指定の対象を、二条三、四項及び三条一項により、諸外国と比べてもかなり厳格に絞り込んでおります。二十一条に、「この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。」という規定も置いております。また、二十三条一項に定める重要経済安保情報の不正取得の罪の成立範囲についても、厳格に目的及び手段によって絞り込んでいます。

 ですから、本法案では知る権利と重要情報の保護の調和を図っておりますので、情報の保護が知る権利よりも優先するというようなことにはなっておりません。

堀場委員 ありがとうございます。

 ちょっと一つ飛ばさせていただいて、アメリカのお話を。

 アメリカの大統領令というところでは、このセキュリティークリアランスを規定しているんですけれども、そのとき、前文の部分で、民主主義は知る権利に配慮するものであり、アメリカの進歩というのは自由な情報の流通に懸かっているということが最初から明文化されているということなんですね。

 私自身は、今この法案を見たときに、非常に、情報指定に関するものであったり、様々なところで、政府が運用規定を作って決めますよというところで、これは下手したら恣意的な運用ができてしまうんじゃないかという懸念があります。そういったときに、ちゃんとしっかりと情報を限定するということが必要で、さっき大臣がおっしゃっていた二十一条で様々規定をされているので、二十一条に書いてあるからいいでしょうと言われればそうなんですけれども。

 やはり、一番最初に、私たちは、この法案を作るときに、知る権利にも情報の流通にもしっかりと配慮して秘密を守っていかなきゃいけない、今大臣の答弁のとおりのことを私は書いた方がいい、若しくはしっかりとアナウンスした方がいいというふうに思うんですね。という点において、私は、この法案が余りそういう配慮というか、しっかりとそういうアナウンスがされていないんじゃないかなというふうに思うんですが、この点に関して大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 二十一条については先ほど説明を申し上げましたので割愛をしますが、条文の先か後か、先後によってその趣旨や効果が変わるものではないと思っております。

 今後策定する予定の運用基準においても、知る権利の配慮について盛り込む予定でございます。この法案をお認めいただいて運用していく際には、各行政機関においてこの規定が徹底されるように努めてまいります。

堀場委員 やはり、私たち、令和の時代に生きていて、今非常に国際的な様々な環境というのは、私は本会議でも言いましたけれども、ハイブリッド戦争であったり、今まで考えられなかったようなことが起きている中で、経済安全保障とかセキュリティークリアランスとかという新しい概念を、やはり国民の皆様にしっかりと理解をしていただいて、そして、それが国民の皆様の考え方、新しい概念ですから、感覚として持つことができるようにならなければならないと思うんですね。

 それが、一つ定着をさせるというのは、この間、参考人質疑でもありましたが、そういう社会の醸成をしなければならない、そのためにはこのセキュリティークリアランス法案が第一歩なんだというようなこともありましたけれども、そういった社会的な理解を得るためには、やはり、こういう憲法、知る権利に対してとか、様々なものに対して配慮があるんだということをしっかりと大きな声で説明をしていただきたいなというふうに思っています。

 次に、罪刑法定主義かというところの質問に行きたいと思います。

 罪刑法定主義からすると、秘密の指定について、もう少し具体的な規定が必要ではないかというふうな御指摘がこの間の参考人質疑でありました。情報指定をもう少し限定するような文言というようなものは、この法案の中に盛り込まれているのか。大臣、お願いします。

高市国務大臣 罪刑法定主義というのは、一般に、ある行為を犯罪として処罰するためには、その行為の実行以前に法律でその対象行為が定められ、かつ、科される刑罰の範囲が定められていなければならないとするものだと理解をいたしております。

 この点、本法案によって罰則の対象となる行為は、重要経済安保情報として指定された情報の漏えい及び不正取得行為であるということは、法案の規定上、明確でございます。また、重要経済安保情報である情報を記録している文書などには、重要経済安保情報の表示をすることによって、これを明確にすることとなっております。ですから、これが罪刑法定主義に抵触するようなものではないと考えております。

堀場委員 やはり、セキュリティークリアランスのホルダーと言われる人たちは、自分が何の情報を持っていて、この情報を漏えいしたら罪になるんだということを理解しているので、私たち、ホルダーではない人たちが、彼らがどのような情報を持っているかということにかかわらず、本人自身は理解していますよねということも含めて、この主張は大丈夫だということをおっしゃっているんだというふうに理解をしています。

 今回、もう一度、罰則については午後やらせていただきますけれども、やはり、適性調査等の個人情報というものも非常に重要なポイントになっています。個人情報の流出というものに対しての罰則の規定がないということも、参考人質疑でお話に出たところでございます。

 悪意のある情報の流出が行われた際というのは、どのような罰則になるんですか。また、個人情報保護の観点からの大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 行政機関の職員が適性評価に当たって収集した個人情報を故意に漏えいした場合、これは国家公務員法百条の守秘義務に違反する行為でございますので、同法百九条十二号により、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられると考えられます。

 また、適性評価に当たって収集した個人情報には個人情報保護法に基づく規律も及びましたので、検索可能な形に体系的に構成された個人情報の集合体、要は個人情報ファイルを正当な理由がないのに提供した場合には、より重い二年以下の懲役又は百万円以下の罰金の対象になります。

 適性評価において収集した個人情報を漏えいすることがないように厳格に管理するというのは当然のことでございます。内閣府、それから各行政機関においても必要な保護措置を講じることを徹底してまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 今は、この間の参考人質疑等でやはり配慮しなきゃいけないんじゃないか等々の御指摘があった部分であったり、憲法との関係性、特にバランス、そこについて御質問させていただきました。

 午後からは、もうちょっとクリアランス制度の国際的互換性とか民間保有の情報のこととかさせていただきたいと思っているんですけれども、やはり、この制度で、私たちは、機密情報が流通するというポジティブな解釈というか、ポジティブな受け止めをしています。これで、今まで秘密で教えてもらえなかった情報であったり、一緒に研究ができなかったものが、機微情報を触ることができる、このインフラが整備されることで、もうちょっとたくさんの流通が盛んになる、そしてイノベーションが促進される、そういった法案だと理解しておりますので、午後からもそれについてやらせていただければと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の堀場です。

 午前に引き続きまして、質疑をさせていただきます。

 午後は、クリアランス制度、この制度の国際的互換性について質問をさせていただきたいと思います。

 こういう制度をつくったら、今本当に求められている国際秩序、新しいものをつくっていかなきゃいけないという時代に入っていますので、サプライチェーンとか様々なものも含めて、経済安全保障上の新しい関係性をつくるために、それに寄与するシステムになっていなければならないというのは、もう皆さんが御存じのとおりだと思います。なので、クリアランス制度の国際的互換性、これがなければ、制度をつくっても意味がないといえば意味がないというものになってしまいますので、何度も大臣御答弁されているかと思うんですけれども、再度いろいろとお聞きすることができればなというふうに思っています。

 私が本会議で聞いたときに、総理のお返事としましては、秘密情報の保護の措置、そして信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、そして罰則規定、この三点で国際的互換性というものが確保されているというふうに御答弁をいただいていたんですね。なので、法の整備であったり、この法自体を整備すること、ルールメイキングも含めて、こういうものをつくるということ、そして適性調査というもの、そして罰則規定、この三点が主に国際的互換性の確保に必要な条件なのかなというふうに思っています。

 これに対する大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 今、堀場委員がおっしゃってくださった、秘密情報の保護措置、それから、信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、漏えい時の罰則の三点については、本法案で必要な措置について定めております。

 秘密情報の保護措置につきましては、三条において、重要経済安保情報であることの表示などの措置について、また、五条においては、情報取扱業務従事者の範囲を定めることなどの保護措置について規定を置いております。取扱者の制限につきましては、十一条において、原則として適性評価で認められた者でなければ情報取扱業務を行えない旨を定めています。漏えい時の罰則については、第二十二条において定めております。

 主要国に通用するものとするためには、こうした制度を整備した上で、運用面も併せて考慮した場合、諸外国それぞれが、自国が提供する秘密情報について、日本において実質的に自国と同等の保護が与えられていると認められるものにする必要があると考えられます。

 ですから、本法案が成立しました際には、制度を運用するために必要となる関係政令や運用基準などのルール、それから、その実施体制というものを速やかに整備して、実効的な運用を確保いたします。

 そして、我が国の制度についてもしっかりと諸外国に説明をしてまいります。

堀場委員 経済安全保障の議論のときも今回もそうなんですけれども、やはり、運用基準で全てを決めるというのは一体大丈夫なのかというのが、多くのこういった議論の中にも出てきたのかなというふうに思うんですね。

 今回は、それにかなり情報の制限、範囲を制限するということを、議論をるるさせていただいているので、少しずつ、あとは、経済安全保障のときの運用基準を決めていただいて、物資の指定から結構私はずっと見させていただいていますので、こういうふうにやるんだなというイメージ感はついているところなんですけれども、やはり国民の皆様にはそこら辺はちょっと見えにくいところなのかなというふうに思いますので、政府が恣意的な運用にならないということも含めて、先ほど憲法のお話等々をさせていただいていたところです。

 今回、クリアランス制度の、最初の法の整備、この法案について少しお尋ねをします。

 当然、先ほどから、特定秘密保護法とのシームレスな運用というものについての議論というのはこの委員会を通して非常に多くされていたと思うんですが、ちょっと基本的なことなんですが、特定秘密保護法とのシームレスな運用ということなんですけれども、よく、説明の図をいただくと、二階建ての図になっていまして、上が特定秘密保護法、下が本法となっているという説明をいただくことがあるんですね。

 私は、これを見て、実際は、先ほど本庄委員が示したような、四等分されるような、そのようなイメージなんですけれども、今回、この法案では、防衛、外交、スパイ、テロの四項目のコンフィデンシャル級の情報というのは取り扱うことができるのかどうか、お答えください。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 この法案で対象としておりますのは重要経済安保情報ということでございまして、重要経済基盤保護情報、そして、公になっていない、漏えいした場合に安全保障に支障を与えるおそれがある、これがコンフィデンシャルということで想定しているものでございますが、これに該当すれば当然のことながら指定をしていくということでございますが、そうでなければ、委員既に御指摘のとおりでございますけれども、それらについては今回の法案ではカバーするものではございません。

堀場委員 コンフィデンシャル級のデュアルユースのものが存在していると思うんですけれども、こういうときはどうなるか分かりますか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 重要経済基盤情報につきましては、重要経済基盤を、まず、重要なインフラあるいは重要物資のサプライチェーンと定義した上で、その上で、保護情報については四つの類型を設けているわけでございます。

 技術について、どこに該当し得るかということでございますが、それがもし重要インフラやサプライチェーンを保護するために政府が取る措置ということで秘匿する必要があるということであれば、それに該当いたしますし、あるいは、それが重要インフラ、サプライチェーンを変革するような革新的な技術の場合は、そちらでも該当するかもしれません。あるいは、外国との関係において収集した情報の中に技術に関する情報があれば、それも該当し得るという形で考えております。

堀場委員 というのは、コンフィデンシャル級の情報でデュアルユースだったときに、本法に当てはまっているコンフィデンシャルだった場合は五年という罰則で、先ほども出ていましたけれども、国家公務員法だと一年だということになったりして、かなりバランスが悪いなというのは、この委員会で指摘されているとおりなんだろうなというふうに思っています。なので、運用基準を定めたときに、やはりそれがどちらに入るのか、それは非常に重要なポイントになってくるんだろうと思っているところです。

 なので、特定秘密保護法とのシームレスな運用というところで、複数構造にするという意味において、この法案が成立した後に運用基準を見直すということを何度も答弁されているんですが、具体的にどのような見直しをされる予定か、教えてください。

岡政府参考人 まず、特定秘密保護法では、行政の裁量の幅を狭めるために、法の別表に、防衛、外交などの四分野にわたって類型的に、秘匿の必要性が高いと認められる計二十三の事項を限定列挙して、これが秘密指定の対象となっております。さらに、閣議決定で定めた運用基準におきまして、法定の二十三事項の内容を具体的に示した五十七の事項の細目を定め、これに該当する情報に限り、特定秘密に指定することができるとされております。

 今回は同法の改正は行いませんので、法定の二十三項目の内容の変更や項目の追加は一切ございません。法定事項である情報の秘密の範囲は拡大をいたしません。

 その上で、運用基準の見直しについて申し上げますと、その目的は、昨今の情勢変化を踏まえまして、経済安全保障に関わる重要情報が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関がより的確に判断できるようにすること、そして、両制度を整合的に運用できるようにすることでございます。そのために、明確にすべき箇所や補足すべき箇所がありますれば、法の授権の範囲内で、五十七の事項の細目のそれぞれの書きぶりを改めたり、あるいは、要すれば細目を追加したりすることになります。

 ただ、この検討は、新法の秘密の具体像を定める、新法の運用基準の検討と歩調を合わせて進める必要がございますので、現時点でどのような内容の見直しを想定しているか、改正の要否も含めまして、具体的にお答えすることは難しいのでございますけれども、検討の方針といたしましては以上のとおりでございます。

堀場委員 やはり、私たち、これは拡大解釈になってしまうんじゃないかという懸念があったんですよね。でも、やはり、この五十七の細目というのを、角度を変えれば、もしかしたら、言い方を変えた方が民間企業の人たちも分かりやすいかもしれない。今は、防衛とか様々な、かなり専門性の高い一部の方が見てきたものですけれども、今後、デュアルユースであったり様々なものを見ている人たちが見やすい、より分かりやすい細目になっていくために項目が増える可能性がある、それはすごくいいことなんじゃないかなというふうに思っております。

 拡大解釈になっていくというような、法の解釈によって何かが変わってしまうというようなことは避けていただきたいというか、避けられるのであろうというふうな御答弁だと承知をいたしたところでございます。より網目の細かい、より丁寧な説明になるような運用基準の見直しということだというふうに理解をさせていただきました。

 ごめんなさい、ちょっと一つ飛ばさせていただくんですけれども。

 特定秘密保護法とのシームレスな運用というところで、私たち自身は、最初にこの法案を見たときに、特定秘密保護法をやはり改正すればよかったんじゃないのかなと思いました。というのはなぜかというと、そうすると、全体的なコンフィデンシャルができて、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルと、分かりやすい、非常にシンプルな法案になるんじゃないかなというふうに見させていただいていたんですけれども、そうではないというところで今ここにこの法案が出ておりますので。

 この特定秘密保護法とシームレスな運用というところなんですが、この法案には法人に対する罰則規定があって、特定秘密保護法には法人に対する罰則規定がないということに関して、大臣はどのようにお考えか、お知らせください。

高市国務大臣 特定秘密保護法に基づいて特定秘密を適合事業者に提供することができるのは、提供しなければ行政機関の所掌事務が遂行できなくなるような特段の必要がある場合、すなわち、非代替性が認められる場合に限定されております。

 同法制定時に想定された適合事業者というのは、主に防衛装備品などの開発、製造、保守管理などを行う企業でございました。法制定時までにも秘密の保全措置が厳格に実施されてきた実績があって、営利目的による組織ぐるみの秘密漏えいや不正取得行為が発生する可能性が高いとは言えないと考えられたため両罰規定は置かなかったもので、その状況は今も変わっていないと思っております。

 これに対して、新法案におきましては、各行政機関の長が、安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときに、事業者に重要経済安保情報を提供することができるということで、どちらかといえば、活用することも考えた法律案でございます。

 ですから、特定秘密保護法に比べて、事業者が対象情報を取り扱うケースがより広く想定されますので、この重要経済安保情報には企業の情報活動に関連するものも多いということから、それらの違いを踏まえて両罰規定を設けました。

 この両罰規定を置くべきかどうかというのは、行為者本人のみを処罰するだけでは取締りの実効性が確保し難いかどうかについて、立法事実に即して判断されるべきでございます。必要性の乏しい両罰規定を置くということは、刑法の謙抑性の観点からは適当ではない、そこは十分に承知をいたしております。

堀場委員 特定秘密保護法が制定されたときと今の国際状況というのは非常に変化していまして、あとは技術も革新をしていると思っているんですね。だから、デュアルユースのものもたくさん出てきて、そして、それが将来的にはもしかしたら防衛産業の方に活用できるかもしれないというようなものもたくさん出てきています。

 あとは、簡単に言うと、宇宙開発の部分が最終的にどうなっていくのかとか、大臣もよくおっしゃっていますけれども、電磁波のこととか、そういった、身近なところには電子レンジがあってという、様々な身近なところにあるものが脅威になってくるという時代ですし、これがどんどんどんどん進んでいって、その垣根が低くなってくるということが想定されるのであれば、将来的には、この特定秘密保護法というのは時代に合わせて変えていくということはあってもいいんじゃないかなというふうに、私自身、そして我が党としては思っているということをお伝えをさせていただいておきます。

 なので、必要なものなんですけれども、たくさん反対されるよなとかいろいろな思いはあると思うんですけれども、今の、例えば北朝鮮もミサイルを撃ってきますし、それも十年前に考えられないような技術のものを撃ってきているわけですから、そういうふうなことを考えたら、やはり、しっかりと防衛という立場からも変えていかなきゃいけないものは変えていただければなというふうに思っているところでございます。

 次に、適性調査についてお尋ねをさせていただきます。

 適性調査は情報を保全するためのものなんですけれども、アメリカというのは十三要件、日本は七要件というところで、差があっても信頼を得ることができるのかなという根本的な問題、これに対して大臣の御所見をお願いしたいと思います。

 というのは、他党さんも言っていますけれども、ハニートラップとかいろいろなことがありますよね。なので、調査項目の中に、まさか、あなた浮気していますかとか、不倫している相手は何人(なにじん)ですかとか、そういうことを調べることは非常に難しいとは思うんですけれども、やはり、このハニートラップに関してもいろいろ指摘をされているところなので、それを入れろという意味ではなくて、この要件の数が違うという、そもそもその状態で国際的な互換性を保つことができるのかということについて、大臣の御所見をお願いします。

高市国務大臣 委員が御指摘いただきましたとおり、例えば、アメリカでは民事訴訟歴とか、日本では情報取扱非違歴としておりますが、情報通信関係の非違歴ですとか、また、別途、本人や同居人に関するものの中に、社会保障番号とか、ちょっと調査項目も違ってきております。

 この適性評価の調査で収集された情報、これについては、特定秘密保護法では、その運用基準で、情報を自ら漏らすような活動に関わることがないか、情報を漏らすよう働きかけを受けた場合に、これに応じるおそれが高い状況にないかといった視点から、評価対象者の個別具体的な事情を十分に考慮して、総合的に判断しているということでございます。

 この法律案について申し上げましたら、重要経済基盤毀損活動との関係につきまして、情報を自ら漏らすような活動に関わるかどうかといった視点で検討して、また、飲酒についての節度、信用状況を含む経済的な状況について、情報を漏らすような働きかけを受けるような弱みを持っているかといった視点で検討することになります。

 米国の文書で、十三項目について判断基準となるガイドラインを定めておりますが、何のために調査が行われるかという点を示しているということだと考えております。

 情報保全制度は、ほかの国を見ましても、調査項目も含めて国によって多様でございます。制度として完全に同一のものが求められるといった性質じゃなくて、我が国が主体的に適性評価を含む制度を整備した上で、運用面も併せて、諸外国から、実質的に自国と同等の保護が与えられていると認められるものにする必要がございます。

 今後、具体的にどのような形で評価を行っていくのかということについて、運用基準を策定するに当たりまして、特定秘密保護法の例も参照いたしますけれども、この委員会での御議論、御指摘も踏まえながら、しっかりと検討してまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 別に、各国全部同じ、世界共通の仕組みにしてくださいということを言っているわけではなくて、やはり、日本として、この制度が他国に、うちのセキュリティークリアランス制度はすごく完璧だよと胸を張って言えるのかどうかというところなのかなというふうに思っております。完璧は無理だとしても、やはり一歩ずつしっかりと保全についてはやっていかなければならないんだろうなというふうに思っております。

 私は、先ほどから何度も言っているとおり、新しい国際秩序をつくっていかなければ、今のこの世界全体を見回したときには、非常に危険性も高い、国民の安全と安心を守ることができないというふうな観点も持っておりますし、それ以上に、戦前の体制とか、第一次、第二次世界大戦の歴史から考えても、やはりしっかりと協力した体制をより多くの国とつくっていく必要性というものをすごく感じているところです。

 なので、情報連携の水準に関して、アメリカ及び同志国と平素から緊密に連携し、これは総理答弁ですが、情報交換を行っており、その過程で、必要な情報保全措置のレベルの維持強化に努めているということで、国際的に基準になるようにこの法律若しくは様々な運用基準を作っていくというふうに総理は答弁をされているんですが、これだから国際的互換性があるということを答弁いただいたんですが、これというのは、やはり各国と保全協定とかそういったものを対等に結んでいくことができるようなレベルにあるかどうかということについてお答えください。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 政府間での秘密情報のやり取りは、一般論としてでございますけれども、相手国において自国の保護措置と同等の、あるいは相当する措置が取られているかということが前提で行われているわけでございまして、我が国の対応も同じでございますし、この法案もそのようなたてつけになっております。

 その上で、情報保全の制度は、国によって法体系の違いやそれが整備されてきた経緯もございますので多様でございまして、必ずしも、必ず同一のものにしなければいけないということではないというのが国際的な考え方でございます。

 そういう中で、我が国としては、今回の法案も含めまして、国内の制度を整備をし、それをしっかりと運用をして、かつその実績を重ねた上で、諸外国から、日本は実質的に自国と同等の保護が与えられているということについて認められていくことが必要だというふうに思っておりまして、私ども、今回の法案によりまして、そのスタートポイントに立つことができるというふうに考えておりまして、今後、有識者会議のお取りまとめにもございましたとおり、こういった国際的な枠組みについても検討してまいりたいというふうに考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、国際的な、対等な枠組みをつくっていくというものの重要性というのは今非常に求められていると思いますので、この法整備が一助になればいいなというふうに思っております。

 やはり、国際的な観点を見ると、私たちは、先ほどから何回も言っているんですが、機微情報を流通させるインフラをつくるんだというのがこの法案の一つの大きな目的だというふうに、我々、我が党が理解している、我が会派が理解しているというふうに何度も言っているんですが、それをそういうふうに捉えた場合に、国内外の研究者と信頼関係を構築していくことに寄与する体制になっているのかなというのが一つ疑問に思っているところでございます。

 民間企業の研究者、企業に入っていて、かつ契約を結んで情報がもらえる会社にいるセキュリティーホルダーの研究者の方は入っていけるんだろうなというふうには思っているんですが、やはり、様々な場面で、セキュリティーホルダーになっていないと国内外の研究会とかそういうものに入っていけないんだよねということを御指摘を頂戴しているんですが、この制度がしっかりと国内外の研究者との信頼関係構築に寄与できる体制になっているかどうか、教えてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 この法案におきまして、適合事業者の従業員の方に対して適性評価を行って重要経済安保情報を提供するということになるわけでございますけれども、今御指摘のありましたとおり、企業の研究者については一般的に適合事業者の従業員となるということが想定されるわけでございますが、大学に所属される方とか研究機関における方につきましても、必ずしも元々の所属先ということではないのかもしれませんけれども、適合事業者である企業や研究機関等に在籍をされていて、かつ重要経済安保情報を取り扱う必要性があるという方でございましたら、適性評価が実施をされることになります。

 そして、この結果として情報を漏らすおそれがないと認められた場合には、同盟国、同志国との国際共同研究への参画も促進されることが期待できるのではないかというふうに思いますし、従来から大臣から御答弁させていただいているとおり、信頼のあかしとしてのセキュリティークリアランスによりまして、内外の研究者との間の連携、ネットワークも深まって、研究分野においても国際的な連携が深まることを期待しております。

堀場委員 ありがとうございます。

 ということは、やはり、民間が持っている情報というのも非常に重要だと思っております。なので、営業秘密の流出を防ぐための不正競争防止法とか産業スパイとかそういったものの対策、同時に、外為法のみなし輸出等について今後の課題をどのように認識されているかという点と、最後に、CUIの取扱いのルールが必要だと思うんですが、大臣の御所見、二つ併せてお答えをお願いします。

高市国務大臣 それでは、不正競争防止法及び外為法についてでございますけれども、私は、これは、民間の事業者であれ、そしてまた大学などの研究室であれ、不正競争防止法に求められる要件、それが重要な営業秘密や重要な技術情報であるということであったり、非公知性であったり、こういった要件をしっかりと満たしていただくということが重要だと考えております。

 それから、外為法に関しても、これも今非常に世界の変化が激しいものですから、必要に応じて、ちょっとこれは所管外ではございますけれども、必要な見直しというのは、今までも行ってきておりますけれども、行っていくべきだと考えております。

 あと、米国の制度ではCUI、委員がおっしゃっていただいたCUIは、秘密指定に至らないものの適切な管理を要する機微情報でございます。主に民間企業が保有するこうした機微度の情報の取扱いについては、有識者会議でも様々な御意見をいただきました。

 具体的に、最終取りまとめにおきまして、民間事業者等が保有している情報であって国として保全が必要と考えられる情報の取扱いについては、国が一方的に規制を課すことは民間活力を阻害する懸念もあることに留意が必要としつつ、他方で、民間事業者等が自らのために営業秘密をしっかりと管理していくことは、我が国の経済安全保障にも資する面があるとして、政府として、民間事業者等が真に必要な情報保全措置を講じられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要があるという御指摘をいただきました。

 本法案のような政府が保有する情報の保全制度ではなく、先ほど申し上げた不正競争防止法や外為法による保護、管理を含めた検討が必要な課題であると考えております。ただ、有識者会議からの御指摘も踏まえましたので、今後更に検討を進めてまいります。

堀場委員 ありがとうございました。終わります。

星野委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀です。前回に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、事業者のクリアランスについてお尋ねしたいと思います。

 本法案では、第十条で、企業も含めた事業者に対してクリアランスを認めております。そして、第十二条で定められた十年という期間は個人に対する定めであり、事業者のクリアランスは特に期限があるわけではないとのことです。

 クリアランスが与えられる事業者が民間企業だとしますと、上場、非上場を問わず、株主が替わるケースというのは往々にしてあります。事業者が一旦クリアランスを付与されると、その後の事情変更、例えば、その企業が買収されたり、MアンドAにより株主が替わったり、事業承継により経営者等が替わったり、こういった場合は当然に起こり得ることでございます。外国資本による土地買収の事例では、土地を所有していた企業がいつの間にか中国資本になっていたという例もあります。うがった見方かもしれませんが、最初からダミーの会社を使ってクリアランスを取得することも考えられるでしょう。

 このようにクリアランス取得後に状況が変わった場合、どのように対応されるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねに関しまして、施設クリアランス、つまり、適合事業者の認定におけます株主構成ですとか役員構成といった事業者の組織的要件につきましては、有識者会議の最終取りまとめにおきまして、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされていることなどを踏まえまして、適合事業者の認定に係る基準を検討していくこととしております。

 仮にですが、適合事業者の認定の基準の中に株主構成等の組織的要件、これを盛り込んだ場合におきましては、御指摘のような外国企業による買収などは適合事業者の認定に影響を及ぼす要素となり得ます。いずれにせよ、個々のケースごとに個別具体的に判断していくことが想定されるところでございます。

 さらに、適合事業者の認定に関しまして、先ほど期限がないという御指摘がございましたけれども、基本的に、契約、すなわち秘密保持契約を締結するごとにその都度確認をするものと考えておりまして、例えば、既に秘密保持契約を締結済みである適合事業者に重要経済安保情報を提供済みであるような場合におきましては、契約を結んでおります当該行政機関におきまして、その後、契約関係を解消して別の事業者との契約を検討することが適当か、あるいは現在の事業者との契約を継続するのが適当かといった点について、総合的に検討して個別に判断することとなると考えております。

住吉委員 ちょっと一点確認したいんですけれども、この契約というのは期限があるという認識でいいんでしょうか。個別にする契約について。

品川政府参考人 お答えいたします。

 契約の内容によってまいります。

住吉委員 契約によっては無期限になる場合もあり、期限を定める場合もあるということで理解しました。

 いずれにせよ、やはり日本企業というのはある意味狙われているところもありますので、どうやってこれを捕捉していくのか、それはしっかりとやっていただきたいと思います。

 そして、その際、この審査、例えば、契約を変えるとか、いろいろ事項が変わったときに新たに審査していくと思うんですが、その審査は慎重に行う必要がありますが、仮にこの審査期間が長期になる際は、民間企業の自由な株式取引の阻害要因となり、その対象会社の株式価値を毀損する可能性が出てきます。

 売上げ二百億円を超える会社のMアンドAの際、公正取引委員会が独占禁止法の違反がないか審査すると聞いておりますが、一般的に三十日間必要だったりもします。

 適合事業者であるかどうかの審査がざるであれば諸外国から認めてもらえないことが懸念されますが、丁寧な審査を行うとなれば時間がかかってしまいます。この民間の自由な経済活動を阻害しない制度設計をどのように図っていくのか、御所見をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 事業者につきましては、適合性の認定がなされるまでの間は、重要経済安保情報を取り扱う事業について参画又は継続をすることができないというのが本法案の仕組みでございます。

 このため、有識者会議の最終取りまとめにおきます指摘でもございますけれども、適合事業者の認定の基準につきましては、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきと指摘されているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、政府としては、適合事業者の認定につきまして、有識者の意見を聞いて政府統一の運用基準を定めることとしたいと考えております。また、それを事業者に対して分かりやすく説明していくことで、事業者の予見可能性を確保してまいりたいと考えております。

住吉委員 しっかりと審査すること、これは大前提ですが、そういった企業の経済活動を阻害することのないように、しっかりとした制度設計をお願いしたいと思います。

 次に、ファイブアイズに関してお尋ねいたします。

 我が党の堀場議員も、本会議でファイブアイズを目指すべきだという主張をいたしました。私もそのとおりだと思っております。

 ファイブアイズとは、一九四〇年代に米英が対ドイツ戦で緊密な情報協力を行ったことがきっかけとなり、現在では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成される機密情報共有協定です。

 現在、国際情勢が大きく変化しつつあり、中国が重大な脅威となっております。さらに、近年、安全保障そのものがこれまでの陸海空の領域からサイバー、宇宙へ広がっているため、多次元防衛のためには、ファイブアイズのような複数国にまたがる情報通信体制の構築は極めて重要です。

 情報は正確性、迅速性、有用性が問われますが、一国の情報機関の分析では正確性などにも欠ける、こういう場合も少なくありません。そうした場合、情報機関は、友好国の情報機関とその情報を共有することで検証をすることがよく行われます。そういう意味でも、ファイブアイズとの連携で多角的な高度な情報分析が可能となり、日本にとっては大きなメリットとなると考えます。

 二〇二〇年八月の日経新聞のインタビューで、当時の河野防衛大臣は、日本の安全保障に責任を持つ防衛大臣として、東シナ海や南シナ海での中国の活発な活動を非常に懸念しているとして、ファイブアイズとの連携拡大に意欲を示しておりましたが、現在も政府の考え方は当時と同じなのか、御所見をお伺いいたします。

七澤政府参考人 お答えいたします。

 情報分野に関する関係国との具体的な連携の在り方につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えたいと思いますけれども、我が国としましては、米国、英国、豪州を始めとする関係国と平素より緊密に連携し、様々な情報交換等を行ってきているところでございます。

 引き続き、我が国の情報収集、分析能力の充実強化及び情報保全に一層取り組んでまいりたいと考えております。

住吉委員 余りちゃんとした答弁ではなかったんですけれども。

 実際にファイブアイズに加盟するとなると、かなり多くのハードルがあることは承知しております。文献を見ますと、何十個の法案を改正したり、設立しないといけないということで、当然容易ではないというのは認識しております。ただ、様々なハードルがあるにせよ、我が党はファイブアイズを目指すべきだと考えております。その理由として、一つ事例を紹介したいと思います。

 近年、サイバー攻撃の脅威が増しております。そのほとんどがゼロデイ攻撃と言われるものです。

 ゼロデイ攻撃とは、製品提供者が認知していない状況の脆弱性、若しくは脆弱性を解消する修正プログラムを提供する前に行われる攻撃です。正規品の脆弱性が公に知られたり、修正パッチがリリースされた日からまだゼロ日である状態、つまり、その脆弱性がまだ一般に知られていない状態を指します。

 攻撃者は、OS等に潜む脆弱性を探し出して攻撃手法を開発し、ゼロデイ攻撃を仕掛けます。これは、脆弱性情報が公開される前に攻撃を受けるため、企業は攻撃を受けても気づけず、また、被害が広がりやすいのが特徴です。

 さらには、このゼロデイ情報というのは世界中で売買されるとも言われております。アメリカ国立標準技術研究所が運営する、セキュリティー脆弱性情報を集めたデータベースであるNVDがございます。例えば、ある製品にどのようなセキュリティーホールが存在するのか、それを発見した手段がセットで登録されます。このセキュリティーホールの存在については、解決策、パッチが開発された後、公開され、誰でもアクセスできます。しかし、このNVDに格納されている脆弱性情報のうち、パッチが開発されるまでのゼロデイ脆弱性情報に限り、セキュリティークリアランス保有者でないとアクセスできません。

 つまり、どういうことかといいますと、日本の会社が開発したアプリケーションにどんな脆弱性、セキュリティーホールが存在するのか、また、その攻撃方法とともにNVDには登録されることになりますが、このゼロデイ情報は開発者である日本企業には通知されないというような状況です。日本企業の開発者やメンテナンス担当者は知ることができません。

 ファイブアイズを構成する国々はもちろん、ドイツやフランス、韓国にはセキュリティークリアランス制度が存在しており、国家間でセキュリティークリアランスの相互認証をしております。日本企業だけが蚊帳の外に置かれて、情報劣位に甘んじなければならないというような状況になっております。そのため、外国の制度と互換性を持っていく必要があると考えますが、政府の御所見をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本制度を海外に通用する制度とすることが重要であると考えております。そのため、まず、情報保護の観点から、諸外国と同水準のルールを整備した上で、そのルールを実効的に運用をしまして、実績を重ねていくことによって相手国から情報を渡してもよいといった信頼を得ていくことが必要だと考えております。

 したがいまして、累次の答弁にありますように、本法案が成立した暁には、その実施体制を速やかに整備して、制度の実効的な運用を確保するとともに、我が国の制度について諸外国にもきちんと説明してまいりたいと考えております。

住吉委員 是非、諸外国にも通用する制度にしていただきたいと思いますし、ちょっと問題提起としてNVDについても紹介させていただきました。日本維新の会の勉強会の中で、NVDにも是非アクセスできるようにしてほしいと強く要望をいただいておりますので、この点にも留意しながら制度設計をよろしくお願いいたします。

 次に、資格者の情報の意識に関してお尋ねいたします。

 セキュリティークリアランスを取得すれば、当然、重要経済安保情報へアクセスできることになります。

 私の肌感覚なんですが、情報管理に関する認識、これは大企業ではかなり厳格な管理をして、私も幾つかそういった企業を、最先端の技術とかを視察させていただいたときにいろいろ意見交換する中で、情報管理には、特に経営者の方なんかは、コストもかけて非常に注意しているというようなお話、神経をとがらせているというような状況でした。一方で、中小企業、特に中小零細企業なんかは、大企業に比べるとそのような意識が少し低いのかなというふうに感じます。実際に会社訪問をしていても、私が見たところで何の意味もないんですが、設計図が置いてあったり、また、何かいろいろな情報の、ノートに書き込んだ情報が乱雑に置かれていたり、そういうような状況でございます。

 今回のセキュリティークリアランス、これは別に、大企業であろうと中小零細企業であろうと対象になるわけでございます。

 少し話は脱線しますが、日本の農作物が海外に流出してニュースになったケースもありますが、外国人観光客を装い、農家のおじいちゃんに苗をもらって自国に持って帰る、こういう事例もございます。悪意ある相手に対して、口うまく乗せられて、よかれと思って情報を渡してしまうケースも危惧しております。

 そのように、重要な立場に就くクリアランス取得者に対して研修等のフォローはお考えなのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 適性評価を受けた上で重要経済安保情報を取り扱うこととなる者は、一たび漏えいしてしまえば、国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止することが難しくなるほか、同盟国、同志国の信頼を損なうなど、安全保障に支障を及ぼすおそれがある情報の取扱者であるということ、また、自身が重要経済安保情報の漏えいの働きかけを受ける対象となり得るということを十分に認識していただき、その保護のための教育を受けて、規範意識を常に高く保っていただくことが重要です。

 この点について、本法案十条三項四号に、適合事業者と締結する契約の中で定めるべき項目として、従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育を掲げております。適合事業者の判断のための基準においても、特定秘密保護法の施行令と同様に、従業員に対する重要経済安保情報の保護に関する教育などの措置の実施に関する規程を事業者が整備して、適切に情報を保護することができると認められることなどを政令で定めることを想定いたしております。

 また、本法案十八条の規定によりまして、有識者に意見を伺った上で作成する、そしてまた閣議決定する運用基準においても、適合事業者の認定に関する事項の中で、適合事業者の従業者に対する教育の実施についても盛り込むことが考えられます。

 具体的な内容は今後検討していくことになるんですが、既存の情報保全の取組も参考にしながら、情報保全が実効あるものになるように丁寧に検討してまいります。

住吉委員 ありがとうございます。

 悪意のある働きかけの場合を懸念しております。先ほど言ったように、セキュリティーホルダーの中でも、情報に対する意識の高い人から低い人まで扱う可能性があるわけでございます。そういった中で、当然自ら情報を漏らすということは余り考えられないんですが、例えば、相手方に何かしらの、その情報は我々も扱っていいんですとか、そういったケースも考えられる。ひょっとしたら、その情報を狙いに来ているところもあると思います。そういった意味で、こういう場合はどうなのかという、そういった相談窓口等も今後検討が必要なのかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、情報の保管についてお伺いしたいと思います。

 特定秘密保護法と重要経済安保の情報、これはずっと議論がありましたが、少し性質が違うのかなというふうにこれまでのやり取りで感じました。特定秘密保護法の情報というのは、しっかりとこの情報を守っていくという意味合いがあるのかなと。そして、重要経済安保情報、これはもちろん情報を守るということは前提ですが、情報を活用していく、情報を利用しながらそういうインフラを整えていく。そういった違いがあると私は感じたところでございます。

 特定秘密保護法においては、情報というのは、三段式文字盤の鍵を備えた金庫とか鋼鉄製の箱なんかに保管して、保管庫に保管するということで、かなり厳格に情報を管理しております。

 また一方で、先ほど申したように、重要経済安保情報は、情報の流通を図るインフラ整備であるとも考えております。この法案でも同様の保全の方法、やり方を踏襲するのであれば、例えば、北海道のセキュリティークリアランスホルダー、沖縄の方もおりますが、情報を得るためにわざわざ上京する必要があれば、負担はかなり大きいものと考えられます。

 この法案において、情報保全を図りつつ、クリアランスホルダーにとってアクセスしやすい環境を整えていくことは重要だと思いますが、情報保全や閲覧の具体的なイメージについて、政府の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 おっしゃるとおり、情報の機微度も違いますし、本法案の場合は民間に活用していただくということも想定しております。

 この保護措置なんですけれども、本法案を国会でお認めいただいた後に具体的に検討していくんですが、各行政機関が定める特定秘密保護規程においては、特定秘密へのアクセス管理、それから特定秘密が取り扱われる場所への立入り制限、携帯電話などの機器の持込み制限、今委員がおっしゃった金庫など文書の保管設備、また、緊急事態が起きたときにいち早くそれを廃棄できるように裁断機の設備など施設整備、電子計算機の使用の制限などの環境整備を行うこととなっております。どれとどれを残すかということは、これからの検討にはなりますけれども、先行事例の内容も参考にしながら検討を進めます。

 ただ、特定秘密よりも機微度の低い情報を保護の対象にするということ、それから民間事業者に活用していただくということを考えること、それからもう一つは、やはり民間事業者の方に御負担もかかりますので、それをどう支援していくかということも考えます。

 委員の御指摘も参考にしながら、しっかりと配慮もしながら、しかしながら、情報をしっかり保全しなければなりませんので、適切に検討していきたいと思っております。

住吉委員 海外なんかでは、審査を受けた証明としてカードが発行されて、それをパソコンに差して政府クラウドにアクセスして、閲覧可能な情報を使って仕事をしている、そういうのが当たり前というふうに聞いております。デジタルとシステムを連携させた上で、セキュリティークリアランスを取得した人間が情報を扱うことによって初めて意味を成すのではないかなと思っております。

 まだまだ将来的なことかもしれませんが、政府クラウドを整備して、例えばマイナンバーとかでカードを用いるやり方、これも一案だと思いますけれども、答弁は同じなのかもしれないですけれども、これについてはどのように、こういうやり方も考えているのか。

高市国務大臣 マイナンバーカードを使うかどうかはともかく、マイナンバーカードは、非常にセキュリティーには高度な技術を用いて十分に配慮をしたものになっております。

 ただ、もう一つ私が考えているのは、海外に行ったときにも何か通用するような証明でなければならないんじゃないかなと思いながら、今職員の皆さんと、この法案をお認めいただいた後の検討になりますけれども、そういう方法はないかなといろいろなことを考えております。

 USBシンクライアントのような、いろいろな方法で、例えば、今官僚の方も、家でどうしても仕事をしなきゃいけないというときにはいろいろ工夫をしておりますけれども、何といってもこれは保全をしなければならない重要経済安保情報でございますので、セキュリティーをきっちりと確保できるか、サイバーアタックなどの可能性も勘案しながら、そのやり方というのを考えていかなきゃいけないものだと思っております。

 御意見は参考にしながら、検討していきます。

住吉委員 保全と流通、これは非常にバランスが難しいと思います。技術が進歩していくことによって、時代時代でその在り方も変わっていくと思いますので、今後、利用者にとっても使いやすい、そしてしっかりとセキュリティーも守られている、情報を保全する、そういうやり方を臨機応変にしていただければと思っております。

 ちょっと時間もないので最後になるかもしれないんですが、情報指定に関してお尋ねいたします。

 シームレスに運用していくということなんですが、これまでの答弁を聞いていると、非常に情報の指定が曖昧な気がしております。前回も質問しましたが、エアポケットがあるのではないか。これは、理論上存在するけれども想定はしていないとのことでしたが、また、時代に応じて、このときは特定秘密だけれどもこのときは重要経済安保情報に該当するというような、情報の移動、網かけの、根拠の法律が変わってくるケースもあると思います。

 特定秘密保護法と本法案のシームレスな運用をうたっておりますが、このように分かりにくい基準では、シームレスな運用ということが果たして可能なのでしょうか。ここが曖昧であれば恣意的な運用を許してしまいますので、改めて確認させていただきます。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案における重要経済安保情報につきましては、重要経済基盤保護情報に該当する等の三要件を満たすものとして行政機関の長が指定した情報でございますが、特定秘密に該当する情報につきましては重要経済安保情報の対象から除外されると法文上明記をしているところでございます。

 一方、特定秘密につきましては、特定秘密保護法の別表に掲げる事項に関する情報である等の三要件に該当するものでございまして、これも行政機関の長が指定した情報となります。

 重要経済安保情報と特定秘密の指定要件は、それぞれ法律上明確に定義されていると考えております。さらに、今後、両者共に運用基準の作成又は見直しの検討を行うこととしておりまして、これらに基づきまして各行政機関が要件該当性を適切に判断できるようにしたいと考えております。

住吉委員 終わります。ありがとうございます。

星野委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の青柳仁士です。

 今回のセキュリティークリアランスに関しては、我が党としては前回の経済安全保障推進法のときから必要性を訴えてきておりまして、今回、この法案を提出するに至った立法事実として、政府の方で、経済安全保障推進法の附帯決議と、そして民間からの要請というようなことが言われておりますが、我が党としては、それに加えて、今の日本、スパイ天国と言われるような状態で、各国の諜報活動が非常にしやすい状況になってしまっていることであるとか、あるいは、日本のセキュリティークリアランスが弱い、脆弱であるという状況の中で、各国、同盟国、同志国からの情報共有がなされにくい、こういう問題も早急に解決しなければならない、こういう観点から、当初よりこのセキュリティークリアランスに関しては推進の方針で進めてきたというところであります。

 また、冒頭の予算委員会でも、今国会でもその旨申し上げてきたところでありますが、その過程で、政府・与党とも様々協議をさせていただいて、その中で、我々と考え方を一にする部分、様々な法案修正を含め依頼をしてきたところですけれども、一方で、当初から問題意識として持っていながら、かつ、いまだにしっかり示されていない点というところが一つ大きな問題として残っておりまして、その点についてお伺いさせていただきたいと思っております。

 それは、オーバークラシフィケーションという問題です。

 我が党は、私も今、国際局長というのを務めておりますが、様々な国と、いろいろな日本の政策について、国際的なスタンダードに合ったものであるか、あるいは各国の状況を踏まえたものであるか、こういったことを議論してきております。

 その中で、このセキュリティークリアランスに関して、時々、あたかもアメリカの事例が成功事例であるかのように言う方がいるんですけれども、割とアメリカの、本当に詳しい専門家の方々は、失敗であるというふうに認識を持たれている方が多いです。四百万人の方々にセキュリティークリアランスが付与されてしまっている。それがどんどんどんどん拡大していっていると。さらには、本来指定されるべきでない情報がどんどん指定されてしまって、拡大していて、それがなかなか制御しづらい状況になってきている、こういう問題が指摘されております。

 そこで、まず率直にお伺いしたいんですけれども、こうしたオーバークラシフィケーション、今の法律がこのまま通ると、これが日本でも発生する可能性が極めて高いと認識しているわけですけれども、これを防止する方策について、どのように考えておりますか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

高市国務大臣 委員の御指摘の話は、私もアメリカの方から聞きました。また、この調査について実務の責任者として活躍していた方からもいろいろと伺ったことでございます。

 今回の法案で重要経済安保情報として指定するのは、重要経済基盤保護情報であって、公になっておらず、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件に該当する場合であります。だから、これら三要件に該当しない限り、指定することはできません。ですから、指定すべきでない状況が指定されることがあってはならないと考えております。また、適性評価の対象となる方につきましても、その従事する業務において重要経済安保情報を取り扱う見込みがあり、かつ、適性評価を受けることについて同意された方に限られます。

 ですから、これらの情報の指定及び解除、そして適性評価の実施については、有識者の御意見を聞いた上で案を作成して、さらに、閣議決定によって定める統一的な運用基準に沿って、行政機関の長において適正な事務が行われるというように努めなければなりません。

 その上で、制度を所管する内閣府におきまして、それが運用基準に従って適正に行われているかどうかをチェックし、必要があれば内閣総理大臣が勧告などを行うことにもしております。これは法律案に書かせていただいております。

 加えて、独立公文書管理監が、本法案の重要経済安保情報についても、指定や解除が適切になされているかを検証、監察することを想定いたしております。

 ですから、複層的なチェック機能を通じて、各行政機関の長によって適切な数の情報指定そして適性評価が行われるようにしてまいります。

青柳(仁)委員 今の御答弁の中には、幾つも質問したい点があるんですけれども、一つ、最後におっしゃった点だけまずお伺いしたいんですが、適切な数という、数のことをおっしゃいました。

 今問題にしているのは二つあります。一つは、重要経済安保情報としての総量ですね。どういった情報がどのぐらいの数、指定されるのか。それから、セキュリティークリアランスの資格保有者の数。これは、アメリカでいえば四百万人なわけですけれども、こういったことの数の想定というのは現状どのようになっていますか。

高市国務大臣 実は、なかなかお答えしにくいことではあるのですが、重要経済安保情報の要件を満たすことになる情報は、現在の運用の下では、行政文書管理ガイドラインの秘密文書として管理されていると想定されます。

 最近調査しました結果、経済安全保障政策に関する施策を行っている内閣府と経済産業省において、現時点で秘密文書を含む行政文書ファイルというのは、それぞれ五十九件と六十四件でありました。これらの数字は、例えば一つの行政文書ファイルには、ファイルごとに異なる件数の秘密文書が含まれる。また、秘密文書の数そのものが、それが含む秘密情報の件数ではないということ。これらが全て直ちに重要経済安保情報の指定要件を満たすわけではないということ。あと、二府省、今申し上げました内閣府、経済産業省以外の経済安全保障政策を行っている省庁、例えば総務省ですとか国土交通省などが保有する情報も指定される可能性があるということ。その情報ごとに民間事業者に提供する判断が異なる可能性があることには留意しなければなりません。

 これ以上の数字をお示しするということは、今申し上げた留意事項に関して相当大胆な仮定を置かなければなりませんので、現時点でこうだと想定される指定件数や適性評価の対象者の人数を正確にお示しするということが困難であることは御理解くださいませ。

青柳(仁)委員 秘密文書のファイル数ということで、一定の数字を、まだまだ全然不十分ですけれども、お示しいただいたことに関しては評価させていただきたいと思うんです。

 ただ、一方で、私の問題意識は、要するに、先ほど来から、基準を示します、その基準に関して何重ものしっかりしたチェックをしていくからオーバークラシフィケーションは起きないのである、こういうロジックなんですけれども、ただ、実際にはその基準も変わり得るわけですし、それから、チェック体制というのは、そもそも、例えば、どれぐらいの体制が必要かというのは、どれぐらいの情報の量があって、どれぐらいのセキュリティークリアランスの資格保有者の数になるかによって全く違うものになると思うんですね。

 つまり、適性評価であるとか資格付与を行う組織の在り方、人数、専門性、予算、年間調査可能件数とか、こういう人数というのは、そもそもの情報の総量であるとか、どれぐらいの、例えば、一万人の人にセキュリティークリアランスを付与するための組織と四百万人の人に付与するための組織では、全然その体制も人数も予算も違ってくるし、そこの想定がないと、そもそも、さっきおっしゃっていた、適正な管理を行うんですという、その前提となる組織のありようというのが決められないと思うんですね。

 そうすると、この法案では、オーバークラシフィケーションが止められるという先ほどの説明にはならないと思うんですけれども、その点いかがですか。

高市国務大臣 まず、適正に必要な情報が指定されているかどうかということは、内閣府の方でももちろん目配りをしてまいりますし、それから、内閣総理大臣もチェックをする。その上で、勧告をし、また、その結果をちゃんと報告させるというようなチェック体制というのはつくっております。

 この法律案をお認めいただいてからになりますけれども、内閣府では、適性評価のための調査のほかに、法制度を所管する立場から、先ほど来申し上げております政府統一的な運用の確保を担当しなければなりません。

 そこで、必要な人数ということになるんですが、令和六年度の政府予算案においては、内閣府として、一元的な調査を含めて、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しております。十分じゃないというお顔をされているのは分かります。

 その上で、調査業務に関する施行後の体制に関しては、法施行までの間に、制度の詳細設計を踏まえて、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数の見込みや適性評価の調査件数の見込みなどをしっかり精査します。人数、予算規模、専門性も含まれます。その上で、必要な体制の整備の検討は進めてまいりたいと思います。

 先ほども申し上げましたが、また定数要求などいろいろ、先生方のお力添え、よろしくお願いいたします。

青柳(仁)委員 今、もろもろお答えいただいたんですけれども、私の申し上げている趣旨は、本来であれば、法案の提出の前にある程度そういった見込みを出す必要があるのではないかという点であります。

 いろいろな、様々なチェック機関、機能はつくりましたとおっしゃっていました。それは当然必要だと思います。ただ、先ほど二十人、準備のために必要とおっしゃっていましたが、この二十人が多いのか少ないのかも、やはり総量が分からないと評価できませんよね。例えば、いや、重要経済安保情報というのは実は十件しかないんですということだってあり得るわけじゃないですか、総量が分からないわけですから。そうしたら、十件に対して二十人はどう考えても多いですよね。でも、これが一万とか五万とか十万とか、何だったら、それは二十人だったら少ないですねということになります。

 だから、やはり想定をするのであれば、これは法案の提出の前にきちんとそういう点を明らかにすべきだと。これは随分前から申し上げていたことですので、ここはしっかりと主張させていただきたいというふうに思います。

 それから、チェック体制とか運用の体制のこともそうなんですが、先ほど大臣御答弁いただいた中で、明確な基準に基づいて行いますという話がまず前提としてありました。ただ、この運用基準も変わり得るということですよね。

 これまで、この委員会でいろいろな議論がありました。私も議事録を通じていろいろ見させていただきましたが、例えば、重要経済安保情報のトップシークレット、シークレットのカテゴリーというのは、今までの議論ですと、基本的には特定秘密保護法の運用基準の解釈を変えるという形でフォローする形になっているわけですよね。特定秘密保護法の成立時にはそこは入っていなかったわけです、少なくとも。

 ということは、その後の時代の変化によって、今ハイブリッド戦争だとかいろいろなことがある中で、ここもやはり運用基準を変える必要がある、あるいはその解釈を変える必要があるということで、その法案成立時には特定秘密とみなされていなかったものが、今ここではみなされるようになった。つまり、広がったということですね、総量で見たときには。ということは、今後も、時代の変化に沿って、今想定していない情報、経済安保情報というものが広がる可能性があると思うんですけれども、この点はいかがですか。広がる可能性がありますよねというのをお伺いしたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法にせよ、この重要経済安保保護活用法案にせよ、それが指定いたします特定秘密あるいは重要経済安保情報につきましては、それぞれ要件を定めております。また、その前提となる特定秘密保護法の別表に掲げる事項、あるいは重要経済安保情報の重要経済基盤保護情報、これについても具体的に法定をし、それから、今後運用基準で細目を定めていくわけでございます。

 先生の御指摘は、基本的には、その細目の部分について、時代の変化に応じて運用の見直しをするのではないかという御指摘であるというふうに思っております。私どもとしては、法律で授権された範囲で運用をしていくということでございますので、その点については、特定秘密や、あるいは重要経済安保情報がみだりに拡大するというものではないというふうに思っております。

 ただ、世の中の情勢の変化によって、結果として、指定されるものあるいは重要性が増したものが増えてきたことによって指定の件数が増える部分もあろうかと思いますし、場合によっては、秘匿の必要性が減じて、これまで指定されていたもの、別表に掲げる事項には該当するものであっても秘匿の必要性がなくなったり、あるいは公になったということで件数が減じるような、そういうこともあるのだというふうに考えております。

青柳(仁)委員 今回の経済安保、セキュリティークリアランスの法案では、これから運用基準というか別表を定めていくので、そのことについて、その可能性、更にそれが変わる可能性というところは、曖昧ではあるものの、ただ、今御答弁をいただいたとおり、運用基準自体が変わっていくことももちろんあり得るし、それから、その解釈が変わることもあり得るわけです。これはあり得るんですよ。だって、なぜなら、特定秘密保護法の方でもうそうなっているんだから、これもそうなるんです。

 だから、そうすると、先ほど来から申し上げているとおり、運用基準が変わる、解釈が変わることによって、扱わなきゃいけない情報の総量が増えていく可能性というのがあるわけです、実際に。また、それをチェックするというんですけれども、その総量が分からない中で、今用意した、では、二十人だとか、あるいは今回立ち上げる人数、予算というのは十分であるか、これは分からないわけです。そうすると、当然これは、オーバークラシフィケーションの、アメリカと同じような問題が起きる可能性が高いと思うんです。

 ですから、ここは、この法案の中身、修正も含めて考えつつ、運用の面でもしっかりと考えていただかなきゃいけないと思います。また、それを一つ防止する手段というのは、やはり外形的に、ある程度ここまでしか広げないという枠をつくっていくことだと思うんです。例えば、四百万人だったら四百万人、三億人の国で四百万人ですから、一億人の国だったらその三分の一ですか、分かりませんが、百万人までですとか、百万人は多い、分かりませんけれども、その数字を、これ以上は増やさないとか、これぐらいのめどを持つ、これが非常に重要だと思うんです。

 ですので、やはりそれは法案を立ててからいろいろなことを決めるではなくて、法案を作るときに、それはしっかりと軸として持つべきだというふうに考えております。

 それから、もう一つ歯止めがあるのは、やはりこれも、今まで委員からも幾つか指摘がありましたが、国会の監視の下に置くということ、それから第三者の監視の下に置くということ、政府だけで決めていかない、現場の運用だけで決めていかないという仕組みをしっかり組み込むことだと考えております。

 この点についてもお伺いしたいんですけれども、運用基準の改定を第三者の目にさらしていく、国会及び有識者などの第三者の目にさらして、そこで歯止めをかけていく。内容に関してもそうですし、総量に関してもそうですし、こういう仕組みについて必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これは、運用基準にしましても、政令にしましてもそうですが、特に運用基準、かなり詳しいものになっていくと思います。これは、有識者の方の御意見も聞いた上で、パブリックコメントもかけて、そして閣議決定をする、たくさんの方の目に触れるものになると思います。

青柳(仁)委員 今も御指摘申し上げたとおり、ちょっとこのままでは、あるいはオーバークラシフィケーションの可能性というのは出てくると思います。

 アメリカの方々とお話をしていると、やはり今、もう手に負えない状態になっていると。だから、もうコントロールできない、制御できない状態になっちゃっていると言う方が多いですから、そういう状態になる前に、きちんと制御可能な状態で、しっかりとした秘密情報、機密情報の流通のインフラというか仕組みを、質の高いものを是非つくり上げていただきたいと思っております。それが冒頭申し上げた私の立法事実にかなうものだというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、今日は余り持ち時間がないので、最後にもう一点お伺いしたいんですが、政務三役が適性評価の例外になっているということについて、これはやはり非常に疑問なわけです。

 いろいろ御答弁を見てみますと、それは総理が決めているから大丈夫なんだ、その過程において必要な検討はなされているはずであるというようなことをおっしゃるんですけれども、実際には、ここに、ちょっとこれはあれなんですけれども、今まで、岸田内閣発足後に、政務三役は、四人大臣が辞任しておりまして、二人副大臣が辞任していて、三人大臣政務官が辞任しています。

 その理由はというと、例えば、秋葉大臣とか寺田大臣は、収支報告書とか政治団体の脱税とか、そういったものの疑義ですね。それから、山際大臣に関しては統一教会との関係でした。それから、神田財務副大臣、これも税金の滞納。柿沢副大臣は公職選挙法違反。それから、秋本外務政務官は受託収賄。さらに、山田文科大臣政務官は女性問題ということで。

 要は、何が言いたいかというと、やはり国会の予算委員会で追及されやすいのは、政治資金絡み、あるいはこういう脱税絡みというか、であるからこういう人たちが、本来やってはならないことをやっていたことが明るみに出ちゃったわけなんですけれども、では、例えば、懸念される他国との秘密の関係を持つ方々がいた、まさに統一教会なんかではそういうことも言われたわけですけれども、そういう方々が政務三役に入ってしまう可能性というのは、今までの実績を見るとそれなりに高いような気がするんです。

 その場合、この方々がセキュリティークリアランスなしで国家の機密情報を扱うというのは、総理が任命しているんだから大丈夫だという理屈は分かるんですけれども、でも、この制度というのは国民のためにやるんですよね。国民の生命財産を守るためのこういう機密情報流通のインフラをつくるんですよね、制度をつくるんですよね。

 そういった観点から見たら、やはりこれは不適切なのではないかと思うんですけれども、この点について、改めて見解をお願いいたします。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 この法案が、安全保障、経済安全保障の視点から重要な情報をしっかりと保全をし、また活用する制度であるというのは、今委員からの御指摘のあったとおりでございます。

 その上で、政務三役につきましては、先ほど御指摘のあったとおりでございますけれども、任命に当たりまして内閣総理大臣によって必要な考慮がなされることから適性評価の対象外としてきているところでございますし、これは機微度の高い情報を対象としている特定秘密保護法でも同様でございます。

 なお、諸外国におきましても閣僚などの扱いは国によって様々でございまして、G7の中でも、現在把握している限りにおきましては、英国、フランス、ドイツなどは、閣僚について適性評価に類する制度の対象外としていると承知をしております。

 なお、政務三役など適性評価を要しない方についても、重要経済安保情報を漏えいした場合、これは業務として知り得た情報でございますので、行政機関の職員あるいは適合事業者の従業員の方と同じく、最大五年の拘禁刑などの罰則の対象となるところでございます。

青柳(仁)委員 ほかの国がどうであるとかいうことでいうと、例えばアメリカは、大統領と副大統領しか例外じゃないわけですから、いわゆる大臣に相当する人たちはみんなセキュリティークリアランスを受けなきゃいけないわけですよね。

 だから、どの国を指標にするかというのは、比べる国によって違ってくるわけですから、我が国の国民の生命と財産を守るに当たってどうかという観点でやはり考えなきゃいけなくて、そのときに、今までずっと御答弁いただいている、今の答弁、ほかの、今までもお答えいただいていた内容だと思いますが、それはやはり外形的な、単なる法的な面だと思うんですよね。

 これは、大臣がそういう人でなければならないとかそういうことじゃなくて、今、戦争のリアルというのはそんなものじゃないですよね。そういうことを通り抜けて、きちんと技術的にそれが防止可能かどうか、こういう観点で考えていかないと全体の制度が骨抜きになると思いますので、今後、法案成立後に、成立というか、法案がもし成立した暁には、しっかりとその点を詰めていっていただきたいと思います。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、最初に適性評価の調査について質問をいたします。

 高市大臣にお尋ねしますが、今回の法案では秘密保護法と同様に適性評価を行うことになりますが、今回の法案における適性評価に当たっては、秘密保護法で作られている運用基準、これに倣って作るものなのかどうか、その点についてお答えください。

高市国務大臣 本法案に基づく適性評価につきましては、第十二条から第十六条において、その実施に関する手続を定めております。十八条において、その実施について統一的な運用を図るための運用基準を有識者の意見を聞いて作成し、閣議決定することとしております。

 委員お尋ねの運用基準を作成するに当たってでございますが、先行制度である特定秘密保護法の運用基準を参照しながら、この法案が重要経済安保情報を我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者に提供し共有する制度であることに鑑み、有識者会議最終取りまとめでも指摘されておりますとおり、民間事業者に分かりやすいものとなるように検討してまいりたいと思っております。

塩川委員 特定秘密の運用基準を参照しながらという話でございます。

 そこで、現行の特定秘密保護法での運用基準に即して、それを踏まえて今回の法案ではどういうふうに考えるかということでお尋ねしたいと思うんです。

 運用基準に基づく適性評価の調査方法について、特定秘密において本人が提出をするという質問票は三十ページにも及ぶわけですけれども、こういった質問票については大体同様のものをこの法案でも求める考えということでよろしいでしょうか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問がありました質問票と申しますのは、適性評価のための調査において、重要経済基盤毀損活動を始めとする七項目の調査事項があるわけですけれども、それらについて、その調査事項を確認するために更に少し細目を設けまして質問を構成しているところでございまして、この質問票につきましても、特定秘密保護法と同様に、運用基準の中でどのようなものにするのかについて、有識者の意見をお聞きしながら、明確なものを今後策定していきたいというふうに考えております。

塩川委員 この質問票においては、調査対象者の方への質問として、海外渡航歴についてはどのようなことを記入するようになっているんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の例を申しますと、質問票には、職務上の出張を除き、過去十年以内に海外に居住又は渡航したことがある場合には、その国や都市の名称、期間、目的を記載することを求めているものと承知をしております。

 本法案におきましても、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項として、特定秘密保護法の例も参照しながら、質問票の中で確認する事項について運用基準の中で明確にすることを想定しております。

塩川委員 過去十年の海外渡航歴を記載するというのを求めているということでよろしいですか。

飯田政府参考人 今お答えしたとおり、過去十年ということでございます。

塩川委員 精神疾患についてはどのようなことを記入するんでしょうか。

飯田政府参考人 精神疾患につきましても、先ほど申し上げた調査項目七つの項目の一つでございまして、それらについて、具体的な病名、ちょっと今手元にございませんけれども、具体的な病名も例示をしながら、場合によっては医療機関に確認をしていただいて記載を求めるということになっております。

塩川委員 質問票を見ますと、過去十年以内に、統合失調症、躁うつ病、薬物依存症、アルコール依存症その他の精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがありますかと。こういう質問項目ということでよろしいでしょうか。

飯田政府参考人 今手元にございますので申し上げますと、精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがあるか記載しますが、治療又はカウンセリングを受けたことがあるとの事実だけをもって、特定秘密を漏らすおそれがないと認められないと直ちに判断されることはありません、必要な場合には、医療機関に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうかを判断いたしますといったような記述もございます。

塩川委員 適性評価の実施について対象者に告知を行う告知書にも、必要な場合には、医療機関等に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうか判断されますとありますが、これはそのとおりでよろしいですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のございました告知書と申しますのは、適性評価を実施するに当たって、まず、今御指摘のあったような事項も含めて、適性評価がどのように行われるかということを評価の対象者の方に告知をして、その上で、その内容について十分御理解をいただいた上で適性評価の実施についての同意書などをいただきます。その上で、同意いただいた方につきましては、先ほど質問がございました質問票への記入をお願いをする、そういう流れになっております。

塩川委員 その告知書には先ほど申し上げたことが書かれているわけであります。

 質問票においては、信用状態その他の経済的な状況に関して、どのような質問を行っているでしょうか。

飯田政府参考人 質問票におきまして、信用状態その他の経済状況としては複数の項目がございます。

 まず第一に、借入れの状況ということでございまして、住宅、車両又は耐久消費財の購入を目的としたもの、教育のためのもの、クレジットカードを使用した商品等の購入に伴うもののほか、それ以外の項目としては、過去十年以内に国税等を滞納している又は滞納したことがありますかといったような事項でありましたり、あるいは、過去十年以内に自己破産をしたことがありますか、あるいは、過去十年以内に支払いの不備等の問題によってクレジットカードの使用を停止されたことがありますか、あるいは、過去十年以内に民事執行手続を受けたことがありますか、あるいは、過去十年以内に賃金、給付金、資産を差し押さえられたことがありますか、こういったような事項が明記をされているところでございます。

塩川委員 かなり詳細に質問項目が及んでいるわけであります。

 若干省略されましたが、国税だけではなくて社会保険料や家賃の滞納状況も質問項目にあるということですね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたとおり、過去十年以内に国税や保険料、家賃等の支払いが滞納しているかどうかという記載事項もございます。

塩川委員 これは、対象者に対する質問票と同時に、上司等による、その周辺の方々に対しての調査も行うということで、上司等による調査票を出してもらうとなっているわけですけれども、この上司等による調査票にはどのような調査項目があるんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法における、上司等に対して提出を求める調査票ということでございますけれども、先ほど申し上げました七つの調査事項のそれぞれについて、例えば、特定有害活動及びテロリズムとの関係につきましては、評価対象者が特定有害活動やテロリズムを行ったこと、又はこうした活動を支援したことが認められますかという事項が記載がございまして、これに対して該当すると認められる場合はチェックをつけていただく、そしてその内容を御存じであれば記載していただくという形の調査票になっております。

塩川委員 対象者の周囲の方、上司などがその素行についてチェックをするということが調査票の中身となっているということであります。

 こういった調査の内容に調査機関の側で疑問が生じた場合には、何を行うことになっているんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 特定秘密保護法では、質問票や調査票に記載された事項について疑問点が生じたときは、必要に応じまして、これは特定秘密保護法の規定に基づく権限ということでございますけれども、適性評価を実施している行政機関が評価対象者の上司等に対して質問を行ったり、現在又は過去の勤務先に人事に係る情報の報告を求めたり、あるいは評価対象者本人の方との面接を行ったり、公務所又は公私の団体に対して照会を行うことを必要に応じ行うとされております。

塩川委員 疑問が生じた場合に調査機関が必要に応じて行うこととして、本人に対する面接、あるいはその上司や同僚その他知人への質問を行う、そういうのとともに、現在の所属企業だけではなくて過去に働いていた会社も含めて人事管理情報の報告を求めるということも今答弁であったところです。あわせて、公務所、公私の団体への照会ということです。

 調査内容に疑問が生じた場合に、上司等への質問、また、現在及び過去の所属企業に対して人事管理情報の報告、本人に対する面接、それでも疑問が解消されない場合に公務所、公私の団体への照会ということですけれども、この公務所、公私の団体への照会には警察や医療機関、金融機関への照会も入るんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法では、公務所や公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めたりするわけでございますが、これについては、先ほど申し上げました告知書で本人にあらかじめ知らせて、書面により同意を得ることとしております。当該告知書には、照会先として医療機関と信用情報機関を例示していると承知をしております。

 また、今御質問に警察とあったかと思いますが、警察に対する照会も公務所ということで実施することはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかは調査に支障を及ぼすおそれがあるというふうに聞いておりまして、私としてのお答えは差し控えるべきものと承知をしております。

塩川委員 こういった公務所、公私の団体への照会を行う際に、そのことは本人に通知はされるんでしょうか。

飯田政府参考人 私は特定秘密保護法の担当ではございませんので、詳細については承知をしておりませんけれども、告知書において公務所照会を行うということはお知らせした上で、本人の同意をいただいているというふうに認識しております。

 個々のケース、あるいはそれぞれのときに実際に御本人に通知をしているかどうかということについては、申し訳ございません、承知をしておりません。

塩川委員 そこは事前にお願いしていて、秘密保護法の担当が答えるのか、今回の法案の担当の方が答えるのか、それはそちらの判断でということで答弁者で指定されたわけですから。

 この点、ちょっと、本人に知らせるのかどうかというのは、事前にもお伝えしている項目ですけれども、はっきり答えてもらえますか。

飯田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、照会の実施に当たってどこの公務所に照会をするかということについては、一つ一つお伝えすることについて、これはケース・バイ・ケースで判断をしているものというふうに認識をしております。

 それから、先ほど、実際に照会をするかどうか、何を照会しているかは、調査に支障を及ぼすおそれがあるケースもあるというふうに認識をしておりますので、それら全てについて御本人に通知を必ずしもするものではないというふうに認識をしております。

塩川委員 今、曖昧ですけれども、ケース・バイ・ケースといっても、本当に伝えることになっているのかどうか、そこはちょっと改めて返事が欲しいと思います。

 それから、警察などについては何を照会しているのかも含めて明らかにできない、お答えを差し控えたいということですから、そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような際に、そういったことについては、本人はそういう問合せがあったということは何も分からないということなんでしょうか。

飯田政府参考人 公務所を、行った場合について、本人に通知をしなければ本人は御存じないものというふうに思います。

塩川委員 もう一回ちょっと答えてほしいんですが、本人に通知をしなくてもよいと。

飯田政府参考人 公務所への照会についてはケース・バイ・ケースであろうというふうに申し上げました。その上で、本人にその旨を通知をしなかったということであれば、本人としては御存じないものというふうに認識しております。

塩川委員 自分が知らないところでいろいろ照会、調査も行われるということになるわけであります。

 そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような場合に、警察や公安調査庁側に照会の記録というのは残ったままなのか、削除をされるのか、この点はどうでしょうか。

飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定秘密保護法におきまして、警察や、今公安調査庁とおっしゃいましたでしょうか、に対する照会が実施されることはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかにつきましては、お答えを差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、行政機関でございますので、照会を受けた行政機関側に照会が記録されるということはあろうかというふうに思っております。

塩川委員 そういう点では、調査の中身が記録をされるということであります。

 それから、秘密保護法においては、適性評価の当事者には誓約書を書いてもらうことになります。その誓約書の中には、事情の変更があった場合に、どのような事情変更があったかを申告することが書かれておりますが、今回の法案でも同様の措置を取るということでよろしいでしょうか。

飯田政府参考人 特定秘密保護法におきましては、誓約書を適性評価の対象者の方に書いていただいているわけでございますが、その誓約書の中に、特定秘密保護法の運用基準を引用いたしまして、運用基準の中に掲げる事情について変更があった場合には申告をするといったようなことが書かれているというふうに認識をしております。

 今回の法案におきましても、こうした誓約書をいただくことも想定されるわけでございますけれども、今後、有識者の意見をお聞きしながら、その内容、手続について明確にし、それを運用基準として作成してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 三十ページに及ぶ質問票で、書いた後、事情の変更がありました、そういうことについては報告してくださいと誓約書にあります。そうした場合に、事情の変更があった場合には調査をやり直すということになるんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価を受けられて、特定秘密を漏らすおそれがないと認められた方について、事情変更があったために自己申告があった場合の対応でございますけれども、その対応は、基本的には、まさに事情変更の内容に応じて行政機関において判断されるものというふうに認識しております。

塩川委員 いわば政府による継続的な監視という仕組みになっております。

 それから、対象者、従業者の方が所属する適合事業者において、適合事業者が対象者に対する疑いを生じさせる事情があると認めたときは速やかに政府に報告するということになっているのではありませんか。

飯田政府参考人 特定秘密保護法の運用基準におきましては、適合事業者は、従業者について、特定秘密を漏えいするおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があると認めた場合には、速やかにこれを契約先の行政機関における当該特定秘密に係る特定秘密管理者に報告することと定めているところでございます。

塩川委員 そうなりますと、その対象者、従業者の方がホルダーとなったような場合であれば、上司から継続的にチェックをされる、上司から継続的にいわば監視をされる、こういうことになるのではありませんか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適合事業者に事情変更があった場合に報告するということは、これは通常の事業の運営あるいは人事の管理の中で知り得た場合にお願いをしているということでございまして、適性評価を受けられて、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められて、特定秘密の取扱いの業務に従事している方を常時監視するといったようなことを上司の方々あるいは適合事業者に要請するものでも、あるいは義務づけるものでもございません。

塩川委員 疑いを生じさせる事情があると認めたときには、人事で知り得た場合等といいますけれども、そういった疑いを生じさせる事情があるということについては、これは、でも、継続的にチェックをするということにはなるんですよね。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 どのような事情変更について報告を求めているかということの例示でございますが、例えば、罪を犯して検挙されたこと、懲戒処分の対象となる行為をしたこと、情報の取扱いに関する規則に違反したこと、違法な薬物の所持、使用など薬物の違法又は不適切な取扱いを行ったこと、こういったことの事情変更でございますので、常時監視を要請するようなものではございません。

塩川委員 こういった調査票の項目に沿って、疑いが生じる事情があった場合についてはそれをチェックするということですから、それは五年、十年というスパンで継続的にチェックを行うという仕組みにはなるわけであります。いわば二重三重に調査がかけられる仕組みになっております。

 有識者会議最終取りまとめには、信頼性が確認された後又は信頼性の確認手続中に本人側の事情変更があった場合に、信頼性の確認、評価を行う各行政機関や調査機関がこれをタイムリーに把握できるよう、本人からの自己申告の仕組みを確保するとともに、信頼性が確認された後に各行政機関と本人とのコミュニケーション等により継続的に状況を把握する仕組みについても検討していくべきとありますけれども、これはどのような仕組みをつくるということなんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価のための調査というのは、まさに適性評価調査の時点でのみ行われるものである一方で、これが特定秘密の場合であれば五年、あるいは今回の重要経済安保情報の場合であれば十年という期間を設定していることでございまして、有識者会議の取りまとめは、その間に事情変更があって、今回のケースでいえば重要経済安保情報、あるいは委員の方々には特定秘密についても念頭にあったかと思いますけれども、そこで、情報漏えいのおそれがないとは認められない状況になる状況というのは情報保全制度の趣旨に照らして適当ではございませんので、今委員から御指摘のあったような指摘をいただいたところです。

 具体的な仕組みについてでございますけれども、適性評価の実施後に先ほど申し上げたような事情変更があった場合には、評価を行った行政機関の長に、もちろん事前の同意を求めるわけでございますけれども、自己申告することを誓約書で求めること、あるいは、先ほどの上司の方の対応として、行政機関の職員や適合事業者の従業員について一定の事情変更があったことを知った場合には、評価を行った行政機関の長に対する報告を求めることなどを想定しております。

 いずれにいたしましても、今後、有識者の意見を聞いて検討を行います運用基準において、この重要経済安保情報の適性評価の実施を含めた運用について検討する中で、しっかりと内容について検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 十年間継続的に状況を把握する仕組みということですから、十年間継続的に調査、監視をするという仕組みをつくるという話であります。

 大臣にお尋ねします。

 適性評価は本人の同意が前提ということですけれども、働く労働者の側は調査を拒否すれば不利益を受けるおそれがあり、事実上の強制となるのではないのか、このような懸念があります。不利益取扱いに対する規制策はあるんでしょうか。また、個人情報の目的外利用を禁止する実効性ある対策はあるのか、罰則を設けるなど、どういう対応を考えているのか。お答えください。

高市国務大臣 企業において、もしも上司の方が適性評価を受けることを求めた場合におきましても、それに同意しないことが許されるような状況が実質的に確保されるということが重要だと考えております。

 そのためには、適性評価を受けることに同意しなかった事実の目的外使用を禁止する十六条二項の実効性を担保するということが重要です。禁止の趣旨を事業者及び本人の双方に十分説明して理解を得るということとともに、行政機関が十二条三項による同意の確認をする際に、同意は任意であるということを説明して、さらに、強要などを受けていないかを確認するということを考えております。

 さらに、同意をしなかった方が、その後、これを理由として不利益な措置を受けることがないよう、今後策定する運用基準などにおきまして具体的な禁止事項を明示すること、禁止の遵守を契約などでも求めること、本人が不利益取扱いを受けたと考えた場合に相談できる窓口を設けることなどの措置を検討していく予定でございます。

 これらを通じて、事実上の強制ということにならないようにしてまいります。

塩川委員 不利益取扱いとならないように契約等で担保するという話ですけれども、この件についての罰則というのはないんですよね。

高市国務大臣 不利益取扱いの禁止の規定の違反に罰則というものは法定しておりませんけれども、この実効性を担保するために、先ほど申し上げましたように、運用基準で不利益な取扱いを明示すること、禁止規定の遵守を行政機関と適合事業者との契約などでも求めるといった措置を取ることを考えております。

 以上でございます。

塩川委員 実効性ある対策を取れる保証を認めることはできません。

 冒頭の質疑の中で旅行先などについても調査対象となっておりますけれども、このような旅行先や交友関係なども調査対象となっているということで、そういった調査において、やはり私生活に制約を受けることになるのではないのかという懸念があるんですが、その点についてはどうですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 御質問は適性評価を受けた後の対応だというふうに認識をしておりますけれども、適性評価を受けて重要経済安保情報あるいは特定秘密、そういったものを取り扱うこととなった方に対して海外渡航等に関しての注意喚起をするということはあり得るわけですけれども、この法案の制度の下で、今御指摘のあった、例えば旅行先を制限するといったような私生活上の自由を制限することはございません。

塩川委員 こういった個人情報が収集、集積していくわけですけれども、大臣にお尋ねします。こういった収集された大量の機微な個人情報については、削除のルールというのはあるんでしょうか。個人情報が政府にたまり続けていくことになりはしないのか懸念があるんですが、その点はいかがですか。

高市国務大臣 適性評価のために収集した個人情報につきましては、後に事情変更の自己申告などがあった際に再評価を実施すべきかどうか判断する際に用いたり、他の行政機関による適性評価に供される可能性がありますので、適性評価の実施後十年間は保存しておくことが必要だと考えております。これは、調査を受けられる側の負担軽減にもつながることであると思っております。

 ただ、機微な個人情報でもありますので、いたずらに長期にわたって保管することは適当ではございません。先ほど申し上げた一般的な保存期間十年のほかに、適性評価への不同意に関する情報の保存期間など、十年よりも短い保存期間が設定できるケースについても、運用基準などで適切なルールを定めることを予定いたしております。

 ですから、収集した機微な個人情報を制度の趣旨から見て不必要に長い期間保有するようなことは考えておらず、御指摘のような懸念は生じないと思っております。

塩川委員 保存期間十年ということですけれども。

 収集された個人情報が例えば公文書管理法上の公文書として取り扱われる、そういった扱いでの管理基準、廃棄のルールもあると思うんですけれども、ただ、個別の情報が例えば収集、集約されることによって、文書という形ではなくてエクセルのデータとかに転換をしていくといった先、例えば警察などにそういう情報が収集されるような場合においても、それは削除されるんでしょうか。

飯田政府参考人 まず、適性評価を行いました行政機関における文書の保存につきましては、先ほど大臣から答弁申し上げたとおり、基本は十年ということでございますけれども、個別、個々のケースについて運用基準の中で明確にしていくことを想定しております。

 もう一つは、先ほどの御質問と関連して、公務所照会などを行った場合の文書なり情報の取扱いというふうに受け止めておりますけれども、そういった情報につきましても、もし情報が記録されているということでございましたら、これは当然のことながら、公文書管理法や個人情報保護法などに基づいて適切に廃棄されるものというふうに考えております。

塩川委員 本人も分からないところで情報が渡される、照会もされる、それが実際どうなっているかもよく分からないというときに、一般論的に公文書管理法や情報公開法と言われても納得いくものではありません。調査項目が多岐にわたるという点では、プライバシーの侵害、人権の重大な侵害ということが起こり得るということを強く危惧するものであります。

 こういった経済安保に関わっては、大川原化工機の事件がありました。経済安保の名の下に、長期勾留された相談役が亡くなるなど、人権じゅうりんの違法捜査が行われたわけであります。

 こういった、検察が公訴取消しをした冤罪事件を政府は反省しているんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の事案については承知をしておりますけれども、刑事事件の捜査あるいは公判の在り方については所管外でございますし、あるいは現在も訴訟が係属中ということでございますので、お答えは控えさせていただきます。

塩川委員 検察が公訴取消しをした事件なんですよ。立件しても維持できないということで自ら取り下げるといった案件について、そのことについて政府としての反省の言葉がないんですよ。これはやはり、国民の皆さん、特に当事者の大川原化工機の関係者の皆さんにとってはとても納得のいくものではない、こういう不信感が大きくなるのは当然じゃないでしょうか。

 大臣、その点についてはどのように受け止めておられますか。

高市国務大臣 当該事件において、お亡くなりになった方がいらっしゃいます。適切な治療が受けられなかったという、御遺族の悔しい、そして悲しいお声も伺っております。

 しかしながら、捜査の在り方そしてまた司法案件そのものは所管ではございませんので、また係争中のものでございますので、私の立場からこれについて申し上げることは控えさせていただきます。

塩川委員 政府としての反省もないまま、経済分野全般への秘密指定の体制拡大が更に同じような事件を引き起こすんじゃないのか、こういう強い危惧を覚えるんですが、その点についてはいかがですか。

高市国務大臣 今回の法案におきましては、何が重要経済安保情報であるのか、その要件をしっかりと法律案に書き込んでおります。これは、諸外国の例と比べましても、今回の法律案に書き込んである様々な要件というのは詳しいものでございます。

 それから、もう一つは、ちゃんとそれが重要経済安保情報であるということが表示される、これは絶対の条件でございます。

 そして、しかも、自らその情報を取り扱うということについて希望された適合事業者の方と契約を結んだ上で、その適合事業者の従業者の方で、御本人の同意を得た上で調査を行って、この情報を取り扱っていただくということでございます。

 だから、何が重要経済安保情報なのか全く分からないとか、判断がつかないとか、御本人がそれを理解しないまま取り扱うというようなことが起こるようなものではございません。

 また、外為法の方は所管外でございますけれども、明確な法律案だと思っております。

塩川委員 重要インフラ、サプライチェーン、大きく広がるわけですから、そういう懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 本日、この委員会の中でも、重要経済安保情報の定義について、その範囲についていろいろ議論がございました。私も一問目はこの問題を取り上げていきたいと思います。

 本日、大臣の答弁にもございましたけれども、重要経済安保情報の条件としては大きく三つある。公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるために、特に秘匿することが必要であるものということで、三要件というふうにこれまでも答弁がありました。

 一問目は、私もこれで本当に十分なのかということを常々考えながらこの質疑準備をしてきたんですけれども、本日まず伺いたいのは、重要経済基盤を守るための情報という意味では、我が国の基盤を守るということも必要なんですが、やはり我が国の中には他国の重要経済基盤に関する情報が存在する場合も十分に考え得ると思うんですね。例えば、民間企業が外国の給電システムを提供していたり、そういった場合も考えられると思うんですね。サイバーセキュリティーの対策を我が国の企業がそこに関わっていたりする場合、こういったこともあると思うんです。

 例えば、他国の重要基盤の脆弱性に関する情報など、ほかの国の重要経済基盤に関する情報、これは重要経済安保情報には含まれ得るのでしょうか。今までの議論の経過を聞いていると、これは含まれないというふうに考えてしまうんですけれども、私はそれで本当に十分なのかという考えを持った上での質問になりますので、答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 外国の重要な経済的基盤に関する情報につきましては、例えばそれが、我が国の重要インフラや重要物資のサプライチェーンの保護のための我が国政府としての措置に関連して外国政府などから収集した情報であれば、重要経済基盤保護情報に該当します。その情報が公になっておらず、特に秘匿する必要があれば、重要経済安保情報に指定し得るということでございます。

 例えば、他国の重要インフラに対するサイバー攻撃、サイバー脅威情報であったとしても、我が国の重要インフラの保護のためにも有用な情報である場合もございます。また、我が国を含む国際的なサプライチェーンの脆弱性に関する同盟国、同志国からの情報も、その脆弱性解消のための我が国の措置に関連して重要な情報である場合があり得ると認識しております。

 よって、本法案二条三項の規定から明らかなように、本法案における重要経済基盤は、我が国の国民生活や経済活動を支える重要インフラや重要物資のサプライチェーンでございますので、委員がおっしゃるようなケース、今私が答弁申し上げたようなケースでは当たり得るということでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 やはり、この第二条の条文を見ると、一般的に受ける印象としては、我が国の重要インフラ、我が国に存在する重要インフラ、あるいは我が国が関わっているサプライチェーンの脆弱性に関する情報、これに関する情報を守ろうとしている法案というのが一般的な解釈としてはあり得るのかと思うんですが、ただ、やはり、この制度を整備することによって、国家間のそういった重要情報のやり取りを加速させるというのがこの法案の目的の一つでもあると思うんですね。

 ですので、我が国の基盤を守るための情報のみならず、今大臣にも答弁いただきましたが、我が国を守りつつ他国を守ることにもなる、同盟国、同志国を守ることにもなる情報についても同等にしっかりと管理をしていかなければ、ほかの国から見たときに、我が国に対する信頼性というのが毀損されかねないというふうに感じておりますので、この点、国際社会の中で我々が情報管理をしっかりとしていく、自分の国を守るための情報だけではなくて、国際連帯の中で、他国、同志国、同盟国を守るための情報も含めてしっかりと情報管理をしていく、こういった運用にしていかなければいけないというふうに感じておりますので、その点は是非、今後の運用方針の議論の中では取り上げていただければというふうに思います。

 では、二問目に移りたいと思います。今回指定された重要経済安保情報の提供に関してです。

 これは、これまでも、契約を交わした適合事業者への政府からのプッシュ型提供というものが想定されているように思うんですけれども、事業者側から政府に対して何らかの情報提供依頼がある場合に、それに応えられるような制度になっているのかどうか、この点について答弁を求めたいと思います。

品川政府参考人 お答えいたします。

 当委員会におけます大臣からの答弁にもございましたように、重要経済安保情報として指定された情報は当然に公にされることはないということでございまして、事業者にとっては、まずは行政機関側から重要経済安保情報を提供したいとの打診を待つことにはなります。

 他方、適合事業者への情報の提供につきましては、重要経済安保情報を提供する前提となります契約関係に入る前に、当該行政機関と民間事業者とのやり取りの過程におきまして、提供される可能性がある重要経済安保情報の概略、当該情報の活用方法等につきまして可能な範囲でお伝えするなど、官民の意思疎通を進めて、民の側も情報提供に同意した上で秘密保持契約の締結に至ることになると考えておりまして、そのため、事業者が望まないような情報提供がなされるといったことはないというふうに考えております。

浅野委員 そうなりますと、やはり、行政側からこの適合事業者に提供をするというふうに、行政側がその判断をしなければいけない、働きかけなければいけないというふうに思うんですけれども、そこで懸念されるのは、公正な競争環境というのが毀損されないかどうかという点であります。

 国内のそれぞれの企業体による研究開発、これはやはり様々な解決すべき課題があって、それを解決するために研究開発、技術開発を行うことによって我が国の経済全体、技術が向上するということですので、ある特定の事業者に集中して様々な情報が与えられることによって公正な競争環境が毀損されないかというのは一つ懸念事項としてあります。

 そこで、ちょっと更問いで恐縮なんですが、海外においても、重要経済安保情報、いわゆるクラシファイドインフォメーションの事業者への提供というのは、あくまでもプッシュ型が前提なのか、それとも適合事業者側からの求めに応じる仕組みもあるのか、この点について分かる範囲で教えていただきたいと思います。

品川政府参考人 お答えいたします。

 まず、競争環境の関係でございますけれども、本法案につきましては、あくまでも政府が保有する情報に対する保全制度でございまして、行政機関の長が重要経済安保情報を利用させる必要があると認めた事業者と契約を締結するに当たり、あらかじめ契約に適した相手かどうかを確認するというのが事業者の適合性の確認でございまして、あくまで安全保障の観点から事業者の確認を行うものでございます。

 脆弱性解消等の安全保障の確保に資する活動を同一事業分野で行うという意味で競合している事業者につきましては、政令で定める適合基準を満たすかどうかにより判断することとなりますため、これが競争環境を直接に阻害するものとは考えていないところでございます。

浅野委員 海外についての事例がよく分かりませんでしたけれども。

 やはり、運用に当たっては、安全保障ということなので、自由経済の公正な競争環境にも十分に留意をした上で、そういった運用はしていただきたいということは意見として申し上げたいと思います。

 次の質問です。次は、適性評価の例外について伺いたいと思います。

 先ほども取り上げられておりましたが、行政機関の長や国務大臣、副大臣、大臣政務官等の役職については、適性評価を受けなくても重要経済安保情報を取り扱うことができるとされております。先日の本会議でも、国務大臣などは重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提であり、総理が任命を行うに当たり必要な考慮がなされるとの考えに基づいているという答弁がありました。

 では、この必要な考慮が何なのかということを、先日、委員会の中で他の委員の方が聞いていましたけれども、官房副長官の答弁は少し曖昧なものだったというふうに記憶をしております。

 同じ質問をしても同じ答弁だと思いますので、ちょっと聞き方を変えますが。大臣に是非伺いたいんですけれども、大臣が大臣に任用された後、重要情報を扱うことが当然の前提ということですので、情報の取扱いや情報漏えいを防ぐための何らかの研修や教育やそういったことを受けられたのか、大臣自身の御経験について教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 今の内閣府の特命担当大臣ということでございましたら、一昨年の八月十日に就任して、ほどなく、直後だったんですけれども、事務方から特定秘密の保護に関する業務説明がしっかりとなされました。いわゆる職務遂行に必要となる関連の知識も得ました。また、総務大臣をしておりましたときは、特定秘密を指定しなければなりません。そういう意味でも、割と早い時期に十分な説明を受けたと考えております。

 加えて、割と怖がりなものですから、対外厳秘と書いた紙とか機密性三とか書いた紙を持って説明に来られたときには、回収していってもらっております。手元には残さないようにはいたしております。

浅野委員 ありがとうございます。

 高市大臣のように、そういった対策をして、ちゃんとペーパーも漏えいしないように持ち帰ってもらうとか、そういった情報漏えい意識を高く持っている方については心配ないと思うんですけれども、やはり、多くの委員が今日も指摘をしておりますように、過去、政務三役に就いている方たちが様々な問題を起こして辞任をされたりしているという状況を考えれば、必要な考慮をするというだけではなくて、しっかりと、こういうふうに対策をしますというのを政府側から明確に答弁をいただきたいと思うんです。

 こういった情報管理について、今、高市大臣の事例をお伺いしたんですけれども、これは参考人で結構なんですが、必要な考慮、どんな考慮をしているか具体的には答弁をしていただけませんでしたけれども、こうした情報漏えいを防ぐための対策というのは、一般的にやることがもうルールとして決まっているのかどうか。その点、分かる範囲で参考人に伺いたいと思います。

岡政府参考人 お答えします。

 まず、特定秘密保護法の施行令第十一条一項第二号によりまして、各行政機関の長は、職員に対する特定秘密の保護に関する教育の実施に関する規程を定めるものとされております。各省庁において定める当該規程に基づきまして、特定秘密を取り扱う者に対し、情報の取扱いの要領であるとか、漏えいを防ぐために遵守すべき事項などについて必要な教育がなされております。

 各省庁の規程上、この教育は特定秘密の取扱いに当たって適性評価を要しないとされている行政機関の長や政務三役は排除されておらず、多くの省庁は、確認的にこれらの者が対象である旨の規程も設けております。すなわち、これらの規程に基づきまして、これらの役職にある者に対しても同じく必要な教育がなされているというふうに理解しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 続いては、これに関連して、第十一条の七では、適性評価を受けずに重要経済安保情報を取り扱える者として政令で定める者というのが存在するというふうに規定がされておりますが、この政令で定める者とはどのような者を想定しているのか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 政令で定める者といたしましては、特定秘密保護法の例を踏まえまして、合議制の機関を構成する職であって、就任について国会の両院の同意又は都道府県議会の同意によることを必要とするもののうち、重要経済安保情報の取扱いの業務を行う見込みが高いと考えられる者を規定することを想定しております。

 具体的には、国家公安委員会の委員、原子力規制委員会の委員長及び委員、都道府県公安委員会委員などを規定することが想定されます。

浅野委員 ありがとうございました。

 更問いで恐縮ですけれども、今、合議制、合議体の関係者という具体的な例も挙げていただきましたが、昨今、政府の審議会に出席している委員についても様々な報道がなされました。

 内閣府の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの構成員が使用した資料に中国国営企業のロゴが入っていて、これが様々な疑念を生みました。この問題、まだ十分に議論が尽くされたとは思っておりませんけれども、三月二十七日時点で公表された資料で、その当該委員がメンバーから削除されているということが分かっております。

 私、誤解してはいけないのは、我々が他国から学べることというのはたくさんあると思うんですね。なので、他国と関わりを持つことがけしからぬ、そういうふうに申し上げるつもりはないんですけれども、今回の事案では、構成員の信頼性を政府が説明することもなく、その構成員を除外することで事態の収拾を図った点が問題なのではないかなというふうに思っております。

 本来であれば、構成員の信頼性評価を事前に行って、提出された資料についても注意深く見ていれば、今回のような事態は防げたはずですので、やはり、政府の審議会に出席する委員についても、外国や海外企業との関係性を含む情報の取扱いに関する信頼性評価、これを行うべきではないかと思うんですけれども、こちらについて答弁を求めたいと思います。

品川政府参考人 お答えいたします。

 経済安保にかかわらず、一般論としてでございますが、有識者会議などの委員選定に際しましては、事務局たる各省庁において適切に判断が行われるものであるというふうに承知をしております。

浅野委員 その事務局単位で適切な判断をした結果、今、こういった事態を生み出しているので、今後、重要な政策議論、政府内で日常的に行われていると思うんですけれども、ここに関わる委員の方々、構成員の方々というのは、国の政策構築に直接的に影響を与える極めて重要な立場にある方々だと思いますので、そういった方々についても、これまで以上にしっかりと信頼性評価、また、情報の取扱いについては、セキュリティークリアランスの議論とは別にしても、これまで以上の情報管理意識というのを政府内でも持っていただきたいと思います。

 続いて、資格のポータビリティーについて伺っていきたいと思います。

 有識者会議の取りまとめでは、クリアランス資格のポータビリティーも確保すべきというふうに指摘がなされていました。クリアランス資格者が、適性評価を受けた際に従事していた適合事業者とは別の適合事業者に転職をした場合、こういったことも今後起こり得ると思うんですけれども、適性評価を受けたという資格は有効なんでしょうか、教えていただきたいと思います。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、適合事業者の従業者の適性評価につきまして、従業者が転職したとしても、当該適合事業者の契約先の行政機関が同一である場合には、原則として十年間は適性評価を受け直すことを要しないこととしております。なお、契約先の行政機関が変更となった場合でも、原則として十年間は改めて調査を行うことなく、新たな行政機関の適性評価を受けることができることとしております。

 ただし、個別具体的な状況に応じまして、その十年の間であっても、改めて適性評価を受けることが必要となる場合がございます。

 例えば、重要経済安保情報を漏らすおそれがないことについて疑いを生じさせる事情がある、そういった場合につきましては、改めて適性評価を受ける必要がございます。なお、この場合には、適性評価調査を改めて行う必要がございます。

 また、従前と異なる行政機関と契約した適合事業者の従業者として重要経済安保情報の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれる場合も、改めて適性評価を受ける必要がある。このような場合には、改めて調査を行うことなく、適性評価を受けることができるというふうになっております。

 一方、従前と同一行政機関と契約した適合事業者の従業者として重要経済安保情報の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれる場合であって、過去の適性評価の時点から、引き続き重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認められる場合は、適性評価を改めて受ける必要はございません。

 いずれにいたしましても、個別具体の状況に応じて、本法案の制度に基づいて判断をしていくことになります。詳細につきましては、今後作成することとなる運用基準により、具体的に分かりやすく説明ができるようにしてまいりたいと考えております。

浅野委員 非常に細かな説明をいただいて、ありがとうございます。

 次の質問は、今そういった所属する会社が替わった場合、じゃ、どうやってそのプロセスを開始するのかというところなんです。

 本人が自分はクリアランスホルダーだということを証明するような書類を出すことができたりするのか、若しくは、転職先の適合事業者が、その当事者のクリアランス資格の有無を事業者が調べる仕組みをつくるのか。どういった仕組みになっているのか、その点、教えてください。

品川政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者であることを対外的に示すことは、情報保全の観点から慎重であるべきと考えております。

 本法案におきましては、適性評価を受けた者がその結果を自ら対外的に示すことを禁止することまではしておりませんが、従業員の適性評価の結果の通知を受ける事業者が、重要経済安保情報の保護以外の目的のためにこの通知の内容を利用、提供することは禁止をしておりまして、企業が営業目的などで第三者に示すことはできないという仕組みでございます。

 また、行政機関も、本法案で定められた手続によらずに、第三者から適性評価認定者であるか否か照会を受けても、これをその照会者に、こうで、こうこうこうですというふうにお答えする、確認することはできないような仕組みになっております。

浅野委員 ということは、つまり、もし転職先の適合事業者でその業務に従事しようとする場合、事業者側がその転職した人物をもう一度リストアップをして、既定のプロセスですね、本人同意を得た上で、審査をする行政官庁にその情報を渡して、行政側で審査をする過程でこの人は実は取っていたということが分かる、そんな仕組みになるということなんでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のようなケースも含めまして、今回の一元化、内閣府で調査を一元化することとしておりまして、そのような流れの中で、効率的に迅速に調査の結果を評価を行う行政機関にお伝えをし、その従業者の方の利便性を図ってまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 行政の中ではそういった効率化を図るのはいいと思うんですけれども、例えば、資格を持っている人物、あるいはその人物を受け入れた適合事業者が、じゃ、どのように、現場レベルでどういった手続をすればいいのか、効率的な手続にできるのかといったことについては、ちょっとこのやり取りではよく見えてこない部分もありますが、是非、今後、具体的な運用の中で、効率的に現場でも運用ができるように御配慮をいただきたいというふうに思います。

 最後の質問になるかもしれませんが、諸外国は、適性評価を受けた人材が、それを基にヘッドハントされたりですとか、あるいは自分から転職をして、どんどんどんどんほかの企業、処遇のいい企業に移っていくみたいなことも起こっているそうであります。

 今回、これから日本でこういった制度が始まるに当たりまして、人材の海外流出リスクというものに対してどのように政府が今考えているのか、最後にこの質問を聞きたいと思います。

品川政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねがございましたように、諸外国においては、クリアランスを保有していることで、処遇面も含めて社会での活躍の幅が広がると認識されていると承知しておりまして、今後、諸外国でのこうした認識も踏まえて、情報保全の重要性に対する理解が広く醸成されるよう説明を尽くしてまいりたいとともに、経済安全保障の観点から、技術的優位性を確保していくためにも、高度人材の海外流出への対応はもとより、日本に人が集まってくるような環境整備についても重要であるというふうに考えております。

 本法案につきましては、あくまで政府が保有する情報に対する保全制度であり、適性評価を受けた者に対して転職等の職業選択の自由を制限するものではございませんが、また、高度人材を始めとした民間事業者が既にお持ちの技術情報を対象とするものでもございませんが、重要経済安保情報として取り扱った情報についての守秘義務につきましては、転職後も継続し、その漏えい行為は罰則の対象になるものでございます。

 今後、お尋ねの件に関しましては、外為法ですとか不競法による情報流出防止とともに、高度な人材が心置きなく研究開発等の業務に没頭できるような魅力的な研究環境や処遇等についての対応が必要になってくるものと考えております。

浅野委員 終わります。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 十分、よろしくお願いいたします。

 まず、適性評価についてお伺いしたいと思います。

 現在の第二次岸田内閣第二改造内閣において、当初任命された政務三役の方々は、いずれもこのセキュリティークリアランスの観点から問題のない人物だけだったというふうに思われますでしょうか。高市大臣。

高市国務大臣 これは総理の任命権のことでございますので、私の立場からはお答えを差し控えさせていただきます。総理大臣の任命権でございます。

緒方委員 高市大臣として、それを、何か確認したりとか、セキュリティークリアランスから問題ないということを高市大臣の口からは言えないということでよろしいですね。大臣。

高市国務大臣 政務三役については、これは法案第十一条第一項の各号に掲げる者についてはということですが、これはセキュリティークリアランス、適性評価の対象外でございます。

緒方委員 だから、セキュリティークリアランスの対象外なんですけれども、任命するときにそれをきちっとチェックしているというふうに大臣が言われるから、じゃ、当初任命された方々は問題ない方々でしたかというふうに聞いています。大臣。

高市国務大臣 任命に当たり、内閣総理大臣によって必要な考慮がなされることから適性評価の対象外としているところであります。この点については、この法案よりも機微度が高い情報を対象としている特定秘密保護法でも同様の取扱いとしております。

 前回と同じお答えで済みません。

緒方委員 何が言いたいかというのは何となくよく分かったような気もしますが、それでは、質問を移したいと思います。

 非公知性についてお伺いしたいと思います。

 公に知られていないということが、この法制度だけじゃなくて、様々な法制度に出てくるんですが、どの程度のものを指しているのか。参考人質疑で、三宅参考人からは、今は大体インターネットで、一見してばあっと出てくるかどうかといったような感じが大体公知性の条件であるようなことを言っておられましたが、その理解を共有しておられますでしょうか。参考人。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の非公知性でございますけれども、こちらの判断につきましては、特定秘密保護法と同様に、現に不特定多数の者に知られているか否かにより判断するものと考えておるところでございます。

 この非公知性が失われますのは、重要経済安保情報と同一性を有する情報が出版物やインターネットなどに掲示されたのを確認した場合や、外国政府等を含む第三者に公表された場合など、様々なケースが考えられますが、個別具体的に判断されるものと考えております。

緒方委員 違法な手段とか、不法行為とか、さらには出所不明なルートで公にされたものでも公知となることがあり得るというふうに思われますか。

彦谷政府参考人 ただいまお答えいたしましたとおり、非公知性は、現に不特定多数の者に知られているか否かにより判断するということでございます。

緒方委員 いや、それを何で私が聞いているかというと、よく、出所不明だから確認できないとか、そういうふうに言うので、その出所がどこであるかとか、出所の手段がどうであるかとかいうことは、その現に知られているということの条件の中でどう処理されるんですかということを聞いています。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報として指定しているものと実質的に同じ情報が不特定多数の者に知られ、公になったと確認されれば、情報の出所や公開経緯に関わりなく、当該情報の非公知性が失われたものとして指定を解除する、そういうことでございます。

緒方委員 それで、最後に誰が公に知られているというふうに認定するのかということがあると思うんですね。公知になったというのは、何をもって公知になったかと。公に知られているということを認定するときというのは、恐らくそれは、その情報が正しいということを証明する真正性とかなり近いところまで来ると思うんですね。

 この公に知られていることを証明する責任、挙証責任は、情報を持っている側、というか、これは公知だと主張するのはどちら側なのか。一般国民なのか、役所側なのか、どちらに挙証責任があるというふうに思われますか。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 御質問は、重要経済安保情報としての指定の違法性、有効性に疑義を呈するようなケースを想定されているのかと思われますけれども、刑事裁判におきましては、立証責任は検察官が負っており、検察官において情報指定の違法性を立証するということになります。

緒方委員 裁判に行けばそうなんですけれども、一般的に、これは公に知られているじゃないかと、例えば我々が言ったときも、よく言われるのが、いや、それは出所不明ですからとか何だとか役所側に言われることがあるわけですよね。

 誰が公に知られていることを、一般国民と行政が対峙するときに、どちらがその挙証責任を負うかということを聞いております。審議官。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報の指定それから解除のときに、解除の際に、公知であるから解除するという判断をする場合でございましたら、それは情報を指定した行政機関の長ということになります。

緒方委員 よく分からないですけれども、もう私は時間がないので、質疑を移したいと思います。

 今回の法律において、今回の法律を作ったことの反射的効果として、特定秘密の中に経済安保情報が含まれるということになっているわけですが、それは何を意味しているかというと、特定秘密保護法における国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報の中には経済安保情報が当然に入るというふうに解釈し、今回、切り出して説明をしているということだろうと思うんですけれども、本当にこれは、誰が見ても明確な状態だというふうに思われますでしょうか。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 これは、特定秘密保護法、それから重要経済安保情報につきましても同様でございますけれども、情報の管理をきちっとやるということの中で、特定秘密であるのか重要経済安保情報であるのか、しっかりとその情報であることを明確にするという形になっております。

緒方委員 全然言っていることと、答弁が違うんですよ。

 特定秘密に経済安保情報が含まれるということは、国民から見て当然明確に理解できるようになっているというふうに思いますかということを聞いているんです。審議官。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 重要経済安保情報の指定要件の話かと思います。

 こちらにつきましては、罪刑法定主義とは別の次元でございますけれども、こちらの指定対象となりますのは、三つの要件を明確に法律で規定しているところでございまして、さらに、その三つの要件、今後作成する運用基準等においても明確化を図ってまいりたいと考えております。

緒方委員 いや、特定秘密の中に経済安保情報が含まれるとあなた方が説明しているから、明確性の原則との関係で聞いているんですけれども、それは、この法律ができる前から、特定秘密保護法の時代からこれは明確であったというふうに思いますかというふうに聞いているんです。審議官。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定秘密、別表に掲げる事項に該当するかというところがまず出発点でございます。その内容につきましては、特定秘密保護法の別表と運用基準で細目を定めておりまして、その中には、例えば、外国との輸出入の制限であるとか、資本関係の制限といったような規定もございます。

 こういったものは広い意味で経済安全保障に関わることでございますので、現に指定されているかどうかは別として、別表そして細目を見る限りにおいて経済安保に関する情報が入っていることは明確ではないかと思います。

緒方委員 本当に経済安保情報が特定秘密に含まれるということがそんなに明確ですかね。本当に誰が見ても明確ですかね。それは自信を持って言えますか。審議官。

星野委員長 彦谷準備室次長、申合せの時間が過ぎておりますので、手短に。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、経済安保情報の指定要件、こちらについてはできるだけ明確にするということで、今後図っていくというところでございます。

 それから、罪刑法定主義という観点から、実際に刑に直面する可能性のある方、そちらの方という観点から申し上げますと、一般的に、ある行為を犯罪として処罰するためには、その行為が法律で明確になっているということが必要であるということかと思っております。

 そういう観点におきましては、特定秘密については特定秘密という形で明確に記載がされているもの、重要経済安保情報は重要経済安保情報として明確に記載がされているものとなりますので、そういう観点からは明確であろうと考えております。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 セキュリティークリアランス法案について。

 高市大臣、与党自民党の裏金問題が解決していない中で、高市大臣はなぜこの法案を審議するんですか。

高市国務大臣 この法律案が、国民の皆様の安全を守るためにも、そしてまた今後の日本経済の発展のためにも、また国際協力を深めていくためにも、重要な法律案だと考えるからでございます。

大石委員 この法案は、既に導入されている特定秘密保護法との一体運用によって、安全保障に係る国家機密を経済安全保障の分野に拡大し、大幅に民間に拡大、活用させていくというものです。

 この法案の安全保障とは、実質的には米中対立の中でアメリカ側の安全保障戦略に日本が組み込まれるものであり、具体的には軍事的、経済的な対中包囲網のことです。この法案は、まさに、時の政権が国民に何を秘密にするのか、これを決める重大な法案なんです。

 裏金をやっていた派閥の全容解明がないですとか、統一教会との関わりの解明がないですとか、その自民党、与党の政権が国民に秘密をつくっていいですかともし国民に聞けば、それでいいよと言う人はいません。密室でこのようにやっているから、このようなことが粛々と進んでしまうんです。

 そもそも、この特定秘密保護法は、二〇一三年、十年前に国会で大騒ぎになって、それで強行採決されて成立した法律なんですけれども、これを今回、曖昧にも拡大をしていく法案なのに、こんなに静かに、せいぜいちょっとした修正協議で進めていくとか、こういう流れ自体が非常におかしい。

 先日の参考人質疑のときに、情報公開の行政実務も長年されている専門家もおっしゃっていましたが、そもそも政府の情報というのは原則公開です。原則公開なんですけれども、この法案はそれとは逆の発想で作られて審議されています。

 高市大臣に伺います。

 今回のセキュリティークリアランス法案については、海外の政府との秘密情報のやり取りが非常に重視されていますが、この法案の完成に至るまで、どの国と、いつから、どのくらいの回数の打合せが行われましたか。

高市国務大臣 一義的には、我が国の行政機関が持つ情報の保全、これを目指すものでございます。そしてまた、日本の企業の国際共同開発などへの参加などのチャンスも広げるものでございます。

 海外政府との打合せということになりますと、これは政府間のやり取りでございますので、詳細にお答えすることは差し控えさせていただきますが、私自身は、一昨年八月に就任して以来、あらゆる機会を捉えて、各国の政府関係者また各国の代表的なシンクタンクの方も含めて情報交換をしてまいりました。それは、相手の情報を集めるため、制度の詳細を知るためでございます。

大石委員 この質問は質問通告していますので、具体的に、どの国と、いつから、どのくらいの回数の打合せという質問でしたので、具体的な数字でお答えできる内容なのに、そのようにおっしゃらないというのがおかしいんですね。

 例えば、過去の答弁の方がまだましだったんですけれども、過去の答弁でいうと、こんな質問がありました。アメリカ財界からの年次改革要望書の要求に含まれていた郵政民営化法案のことで、二〇〇五年の郵政民営化法案の審議では、政府の郵政民営化準備室とアメリカ政府、関係者との協議が、二〇〇四年四月以降、十八回行われ、うち五回はアメリカの保険業界関係者との協議であったと国会質疑で答弁しています。この程度のことを明らかにできずに、ちゃんと審査したとは言えないんです。ほかに、私の質疑だけではありませんけれども、外交、その二文字さえあれば伏せられるような空気になってしまっているのは異常です。

 この法案そのものが、ちゃんとした審査がまず不可能なんですね。懲役五年の重い罰則が絡む法案を、適用範囲の詳しくは法案成立後に政府が運用基準で決めていきます、それから、労働者の身元調査という、重大な人権侵害に関わるものですけれども、この詳細は法案成立後にちゃんと閣議決定で決めていきます、国会監視の仕組みがないと指摘されて、いや、それは知っていたけれども国会で議論してくださいねとか、本日も、国民の知る権利、どうするんですかに、成立後ちゃんとやりますですとか。又は、政権の身内には甘い制度だということも明らかです。

 これは、だから、法案の審査でも何でもなくて、単に、経済安保の秘密絡みにつきましてはざっくりと岸田政権に丸投げでよろしいですかと聞かれているのと変わらないんですよ。だから、本来、ここで審議を差戻しにするべきなんです。ちょっとした修正協議とか修正ぐらいで皆さんも成立させるんでしょうか。それでいいわけがないんです。

 改めて、この法案は、既に導入されている特定秘密保護法との一体運用によって、安全保障に係る国家秘密を経済安全保障の分野に拡大し、重要経済安保情報を大幅に民間に拡大、活用させていくというものです。

 確かに、外国政府からの経済的威圧、介入、またスパイ行為などに対して国民の安全を守るというのは、これは響きはいいんですけれども、この法案が通ったからといって国民の安全は守れません。というのも、アメリカ政府からの介入に対しては、全然見えない、透明な状態、ノーカウントにされていまして、ただ、結果として国民の実害となっているんですね。

 過去でいうと、例えば以下のものです。パネル、資料を御覧ください。

 米国、アメリカの要請として報道されてきた事象の例です。

 一番、日米半導体協定。日本は半導体を、中国を除いて、ちゃんと獲得していく、それに仲間外れにされたら駄目なんだと今必死ですけれども、一九八六年にアメリカの要請で日米半導体協定、日本の半導体政策の失われた十年だと言われています。

 次、普天間飛行場の辺野古移設。これは、二十五年たっても普天間が返還されずに、米軍基地、辺野古の新基地建設になっているんですね。

 郵政民営化。これも、日本の郵便局、郵政のことじゃないのかと。そうではなくて、アメリカの年次改革要望書に記載されています。外資系保険会社に郵貯資金を開放して、サービスは低下しました。

 オスプレイ爆買い。制御できずに墜落。日本は世界で唯一の輸入国です。

 集団的自衛権の行使容認。二〇一五年に成立しました。アメリカの戦争に日本が巻き込まれるおそれが増える。この法案も大いに関係があります。

 それから、最近、紅こうじ成分のサプリメントということで、機能性食品というのが大きなニュースに、事件になっているんですけれども、これも関係がないわけではなくて、これも年次改革要望書におけるアメリカの規制緩和項目でありまして、ほぼアメリカの制度と似たようにつくっていますけれども、日本においてはアメリカの制度の報告義務さえないということが問題になろうとしています。

 そして、この法案自体も、アメリカの中国に対抗する政策、対中政策の変更を受けて、アメリカの強いプッシュで日本で推し進めさせられてきたものの一つです。

 よって、先ほどの資料に書いてある実害のように、ほとんどの国民の知らないうちに、アメリカの言うとおりにして、国民がひどい目に遭わされる可能性が高いのではないかと。

 特にやばいのが、この法案がファイブアイズに参加するステップとされている点です。

 ファイブアイズとは何か。資料です。

 この委員会でも、たくさんファイブアイズについて言及されてきました。ファイブアイズとは、五つの目を意味するファイブアイズ、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五か国だけが共有する秘密情報ネットワークです。

 このファイブアイズについては、一九五〇年代には存在していましたが、二〇一〇年くらいまで存在自体が秘匿されていました、隠されていた。二〇一三年には、エドワード・スノーデンという、アメリカの国家安全保障局、NSAの職員、つまり諜報組織の職員が情報を公益目的で暴露したことが話題になりました。

 このファイブアイズ、電話やネット上のほとんどあらゆる活動を完全に記録、保存できる大量監視システムが開発、配備されているという内容でした。

 ここで伺います。

 高市大臣、この法案はファイブアイズに入るための必要条件となるという認識でよろしいですか。

高市国務大臣 全くファイブアイズとは関係がございません。

大石委員 では、この法案の狙いかどうかはさておき、政治家である高市さんは、ファイブアイズに入るべきだ、そのように考えられますか。

高市国務大臣 それは日本国政府として判断をされるべき問題だと思います。私個人がどうすべきだというような話ではないと思います。

 少なくとも、この法律案とは全く無関係でございます。

大石委員 財務副大臣の辻清人副大臣の御見解もお聞きしておきます。

 御自身でファイブアイズ入りを目指すべきだと公言されていますけれども、その見解でよろしいですね。

辻副大臣 済みません、外務副大臣の辻でございます。(大石委員「失礼しました」と呼ぶ)

 大石議員の質問にお答えします。

 我が国を取り巻く国際情勢は一層厳しさを増していますが、政府全体の情報収集、分析能力の向上を図ることは不可欠ですが、委員申し上げた、アメリカやイギリスを始めとする関係国と平素から緊密に連携して情報交換等を行うこと、そういったことは重要でございますが、事柄の性質上、お答えを差し控えますが、ファイブアイズ五か国との関係の強化についても引き続き取り組んでまいりたいと思います。

大石委員 ちょっと、イエスかノーかでは今答えられないということでよろしいですか。ファイブアイズ入りを目指すべきと公言されているので。

辻副大臣 政府の一員として、ファイブアイズ五か国との関係の強化についても引き続き取り組んでまいりたいと思っています。

大石委員 セキュリティークリアランスは、二〇二二年末に政府が閣議決定した安保三文書の一つ、国家安全保障戦略に記載された内容の一部で、また、この戦略に基づき、防衛費倍増、武器輸出規制緩和、敵基地攻撃能力の保有などが進められています。本法は、安全保障戦略の一環で、その中の同盟国、同志国の情報共有の仕組みです。

 これまでの、この委員会で、この法案での質疑、参考人質疑の中でも、ファイブアイズ入りのためにこのセキュリティー法が必須なのだと、この法案を推進する委員や有識者の方も強調されていました。

 この委員会全体を通じても、ファイブアイズに入りたい、むっちゃ入りたいという異常な熱気というのは感じております。が、アメリカに日本……(発言する者あり)でも、それはそういう質問をした方もそうですし、ホームページでは公言されていたりですとか、笑っておられるけれども、自民党も、ファイブアイズ入りを見据えて体制を強化すると二〇二〇年に提言されていますので、入りたいわけじゃないですか。書いてあるんですよ。公言されているんですよね。

 質問しませんけれども、でも、そういう方々にお聞きしたいけれども、アメリカに日本が諜報されていたというこの事実とどう向き合われるのか、非常に疑問です。

 ウィキリークスという情報サイトで、二〇一五年、アメリカの国家安全保障局の大規模盗聴事件、ターゲット・トーキョーの文書をリークし、アメリカに日本が諜報されていたことを暴露しています。NSAが、少なくとも第一次安倍政権時から、次に述べるような部署に盗聴していたと。内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門など計三十五回線の電話を盗聴していたということが判明しました。これは日本経済新聞でも報道をされていますし、国会質疑にもなったんですね。

 高市大臣に伺いたいんですけれども、この事件、ターゲット・トーキョー、つまり、日本がアメリカに諜報されていたということについては事実でよろしいですか。

高市国務大臣 それは、申し訳ないですが所管外でございます。私は情報機関を持っておりません。

大石委員 二〇一五年に国会でそのような質問があって、安倍総理は、仮に事実だとしたら遺憾だというふうに答弁しています。仮に事実というか、それは事実確認しているんですかね。アメリカにこそ、しっかり対等に抗議して対処しないといけないですよね。この時点で、私はアメリカの怖さを非常に感じているんですけれどもね。

 でも、アメリカだけではなく、この国も同じことを公然とやるということになるんです。ファイブアイズに入ったら、日本もアメリカのCIAのようなスパイ組織を国内に公然とつくり出すことが求められます。産経新聞の社説でもそのように書いてあります。既にいろいろな国々で、ファイブアイズの国々で国民監視はなされていまして、ファイブアイズの国々が、国民監視に関する国内の規制を回避するために、互いの国民を監視し、収集した情報を共有しているという指摘があります。

 高市大臣、日本はファイブアイズには入っていないんですけれども連携していると言われていまして、既にそれらの国々から、国内の、日本の国民監視の情報共有はしてもらっていますか。

高市国務大臣 ファイブアイズ、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドとはそれぞれ外交関係もあり、また、貿易など様々な分野で連携をいたしておりますが、日本はファイブアイズには入っていないし、今の日本の状況で入れるわけもないし、全く、情報提供ですとか、国民同士の、要はチクり合いということですか、情報提供を政府に対してする、そのような事実があるとは承知をいたしておりません。

大石委員 ファイブアイズが、自国以外のそれぞれの国から国民監視の情報共有をしてもらっていないということですか。(高市国務大臣「分かりません」と呼ぶ)

星野委員長 済みません、申し上げます。明確にしていただいて。

大石委員 分かりました。

 ファイブアイズの国々が、国民監視に関する国内の規制を回避するために、互いの国民を監視し、収集した情報を共有しているという指摘が、報道があるんですけれども、その報道を基にして、このようなことは駄目なんだ、だから、ファイブアイズ入りしたときに、これは、日本国内の国民監視が今国内の法律でできないことを飛び越えて、他国から、ファイブアイズのほかの国から国民監視情報をもらうということが懸念されるということを私は申し上げております。

 まず、ファイブアイズという国々の中で国民監視情報を情報共有し合っているということは御存じですか。

高市国務大臣 私は知りません。

 そして、本法案とは関係がございません。本法案は、あくまでも、重要経済安保情報、それをしっかりと、それが明記されたものの取扱いに関する法律案でございます。

大石委員 本当にファイブアイズに関係がこの法案がないのであれば、有識者を参考人で呼んできたときに、ファイブアイズに入るためにセキュリティークリアランス法案が大きな要件になっているんだと、有識者会議にも入られているような方がお答えになっているんですけれども、それは大きな誤解だ、違うんだということを強調される必要があると思うんですよ。

 というのも、ファイブアイズに入りたいと委員会自体もすごく盛り上がっているので、違うんだ、この法案は全く関係がないんだ、そのパズルのピースではないんだということを明確におっしゃっていただきたい。そうしないと、そういう委員会になっているじゃないですか。

高市国務大臣 この委員会の冒頭から、委員は、例えばアメリカに強要されて日本がこういうことをやってきたというような資料も配られてのお話でございますが、この法律案は、自民党ももちろんでございますが、野党各党も含めて、何年も前から、経済安全保障の強化、そしてセキュリティークリアランス制度の創設、経済安全保障版のクリアランス制度の創設の必要性、そんなことを多くの議員が真剣に考えて議論をしてこられた、そしてたくさんの経済団体からも御要望があった、企業からも御要望があった、連合のお話もしっかりと伺った、その必要性の上に立って構築をしてきて、立案をして、御提案しているものでございます。

 ファイブアイズとは関係ないし、アメリカからも何にも頼まれておりません。

大石委員 いろいろおっしゃいますけれども、明らかに、ファイブアイズに入る少なくとも要件にはなっているじゃないですか。

 時間がないということですが、スパイ組織を公然化するような、そのような仲間に入るということは、日本が戦後の……

星野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

大石委員 まとめますね。

 平和憲法によって辛うじて国際紛争に巻き込まれることを回避してきた、この国の在り方を変えることになります。絶対駄目です。

 終わります。

星野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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