第10号 令和6年4月12日(金曜日)
令和六年四月十二日(金曜日)午前九時十五分開議
出席委員
委員長 星野 剛士君
理事 上野賢一郎君 理事 高木 啓君
理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君
理事 太 栄志君 理事 森山 浩行君
理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君
青山 周平君 井野 俊郎君
泉田 裕彦君 大西 英男君
大野敬太郎君 勝目 康君
神田 潤一君 小森 卓郎君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
土田 慎君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
宮澤 博行君 簗 和生君
山本 左近君 山本ともひろ君
逢坂 誠二君 中谷 一馬君
本庄 知史君 山岸 一生君
山崎 誠君 阿部 司君
金村 龍那君 住吉 寛紀君
河西 宏一君 吉田久美子君
塩川 鉄也君 浅野 哲君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 松村 祥史君
文部科学副大臣 あべ 俊子君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
内閣府大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(警察庁警備局長) 迫田 裕治君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 舟本 浩君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 長谷川朋弘君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
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委員の異動
四月十二日
辞任 補欠選任
神田 潤一君 勝目 康君
鳩山 二郎君 山本 左近君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 神田 潤一君
山本 左近君 鳩山 二郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
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○星野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、道路交通法の一部を改正する法律案及び自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁交通局長早川智之君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○星野委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。河西宏一君。
○河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。
時間もございませんので、早速、私の方からは道路交通法の一部改正についてお伺いをいたしたいと思います。
まず、これは基本的なことでございますが、人が足でこぐ自転車、これは道交法上何と定義をされているのか、また、念のため、身体障害者の方が使う車椅子はどう整理をされているのか、これは政府参考人の方に見解をいただきたいと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
まず、道路交通法上、自転車は軽車両に該当いたします。自転車の具体的な定義につきましては、道路交通法第二条第十一号の二におきまして「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車」とされ、お尋ねのありました身体障害者用の車椅子、それから三輪車等の小児用の車、高齢者が用いる手押し車といった歩行補助車などにつきましては、道路交通法上、歩行者となることから、自転車からは除かれております。
○河西委員 ありがとうございます。
自転車は軽車両である。なお、車椅子とか今ありました三輪車、手押し車等は、これは歩行者と同等。
ただ、法律上の自転車は軽車両、つまり自転車は車の仲間である、この認識が余り、薄いのではないかということで、そこで、松村国家公安委員長にお伺いをしたいんですが、交通事故被害者の御遺族からは、自転車は車の仲間ではないんじゃないかという感覚が一般的ではないかという御懸念、また、実際事故に遭われて、そうした問題意識を有識者の検討会でもお示しをなさっております。
この点について、政府の課題認識と、また国民の意識変革に向けてどうお取り組みになるのか、御見解をいただきたいと思っております。
○松村国務大臣 言うまでもなく、自転車は、幅広い年齢層が利用される、国民にとって最も身近な乗り物でございます。ただ、自転車乗車中の交通事故が近年増加をいたしておりまして、死亡、重傷事故の約四分の三は自転車側にも何らかの法令違反が認められるなど、自転車をめぐる交通事故情勢は大変厳しい状況にあると認識をいたしております。
一方で、自転車は、車道通行が原則であるにもかかわらず、例外的に歩道通行が認められる場合がある点や、交通違反があっても責任追及が不十分であるという点で、委員御指摘のとおり、自転車は車の仲間ではないという感覚が持たれていることがあると考えられます。
そこで、今回の改正におきまして、自転車の交通ルールの遵守を図るために、自動車と同様、実効性のある責任追及を可能とする交通反則通告制度を導入することとしてございます。また、自転車の交通安全教育につきましては、官民連携の拠点となる体制を構築するなどし、その充実を図ることといたしております。
本日御議論をしていただいておりますが、改正法が成立させていただいた際には、自転車も車の仲間である、こういった認識、意識を持っていただけるよう、諸対策の推進について警察を指導してまいりたい、このように考えております。
○河西委員 公安委員長、御答弁ありがとうございます。本当に大事な点かと思います。
やはり、自転車は、免許もありませんし、また、エンジンをかけるシーンもありません。生活に身近なツールでありますので、どうしても歩行の延長線上というふうに捉えられがちであります。
ただし、今御答弁がありましたとおり、この御遺族の方々の切実なお声も踏まえながら、自転車は車の仲間であるという意識変革、これを促すべく、これまで自動車に適用してきました青切符制度、これを自転車に適用する本法律案であるというふうに理解をしております。
その上で、次に、法務省にお伺いいたしますが、有識者検討会では、青切符については反則金が支払われますが、その一方で、その対象外となる赤切符、これで処理をされた場合、例えば酒気帯び運転などでありますけれども、これまでの検察の運用どおりであれば、ほとんどが起訴猶予となって、一種の逆転現象が起きるのではないか、こういった御懸念が示されているところであります。
そこで伺いますが、こうした指摘を踏まえて、赤切符の対象になるような反社会性また危険性が高い交通違反に対してどのように取り組むのか、見解をいただきたいと思っております。
○吉田政府参考人 一般論として申し上げますと、検察当局においては、個別の事件における犯罪の成否や起訴、不起訴の判断について、個々の事案ごとに法と証拠に基づいて適切に行っているものと承知しておりまして、法改正がされた場合には、その内容や趣旨も踏まえつつ、事案に応じて適切に対応しているものと承知しております。
今般の改正法案により道路交通法が改正された場合には、検察当局としては、先ほど御紹介にあった有識者検討会で指摘された点も含めて、法改正の内容及び趣旨を踏まえて適切に対応していくものと承知しております。
○河西委員 是非、今回の法改正の趣旨を踏まえて、今御答弁いただいたように、適切に、また国民の皆様が納得をいただく、そして意識変革につながるような御対応をお願いをしたいというふうに思っております。
続きまして、一昨日の報道で、渋谷でモペットの取締りが報道になりました。私も、国道の近くに住んでおりますので、最近物すごく多く拝見をいたします。私も最初は、これは自転車の一種なのかと勘違いをしたぐらい、そういう見た目でありますが、いわゆるペダル付原動機付自転車ということです。
これは大臣にお伺いをいたしますが、警察庁の統計によれば、二〇二三年のモペット運転者の違反は三百四十五件、そのうち無免許運転が三分の一の百十一件に及ぶということであります。そもそも、これは原付の一種でありますので、無免許の方に販売できてしまう市場にも一定の課題があるんだろう、こういうふうに思えるわけでありますが、こうした課題に対する政府の御認識、また今後のお取組について御見解をいただきたいと思っております。
○松村国務大臣 いわゆるペダル付原動機付自転車の交通事故が増加をいたしておりまして、また、御指摘のとおり、令和五年中に検挙された交通違反の約三二%が無免許運転でございました。
ペダル付原動機付自転車の運転には運転免許が必要であり、さらに、今回の改正では、原動機を用いずにペダルのみで走行させる行為であっても原動機付自転車などの運転に当たることを明確化することとしてございます。
また、ペダル付原動機付自転車は、道路交通法上、自転車に分類される電動アシスト自転車と外観が似ている場合がありますが、今後、しっかりと指導取締りを行うため、スロットルの有無といった両者の見分け方を周知することとし、また、現在、関係事業者及び関係省庁から構成されるパーソナルモビリティ安全利用官民協議会において、これは警察庁も参加をし、検討が行われているところであり、実効性のある安全対策の実現に向けまして、関係者とともに検討を進めるよう警察を指導してまいりたいと思っております。
○河西委員 ありがとうございます。
今大臣御答弁になりましたとおり、私も子供を乗っけて電動アシスト自転車を使っておりますけれども、やはりこれとの区別がなかなか、実際は、現場においては難しい側面もあるのではないかという有識者の方のお声も事前に私はヒアリングでお伺いをいたしましたし、また、このモペットは、ネット通販で、中国製のものとか、一応、免許がないと買えませんよと書いてはあるんですが、購入自体はできてしまうということで、それで結構、都市部を中心に様々な、そういった違反あるいは事故につながっているということで、是非、官民協働してのお取組をお願いを申し上げたいというふうに思っております。
改めて法務省に、このモペットに関連してお伺いいたします。
今も大臣から御答弁ありましたとおり、今回の道交法の一部改正では、原動機を作動させずにペダルのみで走行させる、要するにペダルのみ走行の場合も、自転車の運転とならず、原動機付自転車の、あるいは自動車の運転に該当をさせるというふうに承知をしております。
そこで、このいわゆるペダルのみ走行、危険運転致死傷罪等を定める自動車運転死傷処罰法上の運転に当たるのかどうなのか、改めてこの場で法務省の御見解を確認をいたしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○吉田政府参考人 一般論として申し上げますと、自動車運転死傷処罰法における運転の意義については、自動車の運転者が自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす行為と解されております。そして、この法律の自動車には道路交通法上の原動機付自転車も含まれることから、お尋ねの、ペダル付原動機付自転車をペダルのみで走行させる場合についても、運転者がその各種装置を操作し、そのコントロール下において動かす行為と言える場合には自動車運転死傷処罰法上の運転に該当すると考えられます。
○河西委員 御答弁ありがとうございます。該当し得るということで、明確に御説明また御答弁をいただきました。
このモペットは、最大で六十キロぐらい出るということで、相当速いものである。当然、人にぶつかれば相当の死傷事故につながるというふうに容易に想像ができるわけでありまして、是非、国民の命と安全を守る適切な法の運用をお願いをいたしたいというふうに思っております。
最後、三分ございますので、一問確認をさせていただきたいと思います。
私は、地元が東京でございまして、東京都に住んでおりまして、自転車をめぐる、生活者として感じる危険、これは度々私自身も感じます。歩いているときもそうですし、車を運転をしているときも非常に、最近自転車レーンも増えていますので、感じるわけであります。この自転車レーンと絡んで、今日は最後一問お伺いしたいと思います。
自転車レーンの導入、これは非常に適切なものだったというふうに思いますけれども、その上で、同じ方向に進む自転車の右側と自動車の側面が接触をする事故が近年増加をしているというふうに伺っております。
そこで、今回の法改正では、両者が十分な間隔、これは一メーターから一・五メーター、軽自動車が一・四八メーター以下ぐらいですので、その一台分前後ということになりますけれども、それが取れない場合に、自動車側は間隔に応じた安全な速度で進行することを義務づけをしております。この安全な速度が何なのかということを聞きたいわけであります。
というのは、車道によっては自動車と自転車が並走できるだけの幅員がない場合もあります。私の近所の、例えば二四六、川越街道なんかもそうであります。そうなりますと、自動車が減速をしながら、安全な速度ということで、減速をしながら自転車を追い抜こうとすれば、いわば幅寄せしているような感じにも受け取られて、自転車側にむしろ恐怖感を与えるケースも想像されます。また、複数車線であれば、右側の第二通行帯、これを後方から走行してくる自動車に追突の危険性が生じる、そういったケースも想像できるわけであります。
こういったケースも想定をしながら、それをまた踏まえながら、本法改正における、自転車との間隔に応じた自動車の安全な速度の考え方は何なのか、また、今例示したケースにおける運転の在り方について、最後、御見解をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
歩道における自転車と歩行者の事故件数が増加傾向にある中、自転車の車道通行の原則の徹底を図るためには、自転車利用者が安全に車道を通行できる環境を整備することが重要であると認識しております。
このため、今回の改正案では、車道における自動車と自転車の接触事故を防止するため、自動車が自転車の側方を通過する際のそれぞれの通行方法に係る規定を整備することといたしております。
御指摘のありました、これら自動車と自転車との間隔や安全な速度の具体的な数値につきましては、自動車と自転車との具体的な走行状況に加えまして、道路状況や交通状況などによって異なってまいります。
御質問のありましたケースにつきましては、具体的な道路状況や交通状況などによることとなりますけれども、この規定の趣旨は、自転車の安全を確保しつつ、自動車と自転車の双方が円滑に車道上を通行することを確保することにあり、自転車に危害を及ぼすような態様でなければ、本規定の趣旨に反するものではないと考えております。
今後、この規定の趣旨や、十分な間隔、間隔に応じた安全な速度といった事項の目安につきましても周知に努めてまいりたいと考えております。
○河西委員 時間が参りました。
これは生活に深く関わる法改正でありますので、国民の皆様の理解と納得、その適切な運用をお願いを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日もよろしくお願いします。
今日は道路交通法改正案など二法案ということでありますが、本題に入る前に、今週火曜日、衆議院本会議で、経済安全保障のセキュリティークリアランス法案が可決をされました。その関連で一問、大臣に御質問したいと思います。
大川原化工機事件という、捜査員による証拠の捏造事件ということで問題になって、今係争中ということですが、大臣は国会で、本件の公訴が取消しになったことは真摯に受け止めている、警察をしっかり指導してまいりたい、こういう答弁をされています。
私は、これはしかるべきタイミングで警察としてしっかり事件の検証をすべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 御指摘の事件につきましては、第一審の判決において警視庁の主張が十分に認められなかったことを踏まえ、上級審の判断を仰ぐこととなったものと承知をいたしております。
委員から冒頭お話がございましたが、この件について私も真摯に受け止めているところでございます。
警視庁においては、国家賠償請求訴訟の上級審での審理に対応する過程におきまして、本件捜査に係る事実関係について更に確認、整理していくものと承知をいたしております。
お尋ねの件については、訴訟の結果も踏まえ、警視庁において適切に対応するものと承知をいたしております。
○本庄委員 係争、訴訟が終わった後にということで、同じようなことが繰り返されないように、是非警察としてしっかり対応していただきたいと思います。
それでは本題の方に入っていきたいと思いますが、まず、自転車等に対する交通反則通告制度、いわゆる青切符の適用について伺います。
今回適用となる青切符の対象は、原付バイクと同じ十六歳以上ということになっておりますが、この十六歳という年齢にどういう合理性があるのか、御答弁をいただきたいと思います。バイクはそもそも十六歳以上しか乗れないわけですから、当然対象は十六歳以上となるわけですけれども、自転車は十五歳以下でも乗れるわけで、にもかかわらず十六歳で線を引いている。そのことについての理由、合理性を説明してください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
交通反則通告制度の対象となります自転車運転者は、交通ルールに関する基本的な知識を有し、本制度の手続を理解できる年齢の者を対象とすることが適切であると考えております。先ほど御指摘のありました道路交通法におきましては、これまでも、十六歳以上の者につきまして普通二輪免許や原付免許を取得することができ、これらの者が交通違反があった場合には交通反則通告制度を適用することとしております。
こういうことを踏まえますと、自転車につきましても、十六歳以上の運転者について交通反則通告制度の対象とすることとしたものでございます。
○本庄委員 これは十四歳、十五歳に失礼だと思いますけれども。自転車の交通ルールぐらい理解できますよ。十六歳以上じゃないと理解できないというのは、私はよく分かりません。
それから、赤切符であれば十四歳でも十五歳でも切られちゃうんじゃないですか。つまり、刑事罰は十四歳からかかる、でも、それより軽い行政罰、青切符は十六歳からと。私は、ここはおかしなことになっているんじゃないのかなというふうに、この法案について感じています。これは指摘ということで申し上げておきたいと思います。
それから、次の質問ですが、反則内容に応じまして、青切符の対象となる違反と赤切符の対象となる違反に分かれるわけですけれども、この区分は、どういう基準で、赤と青、区分されるんでしょうか。教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
交通反則通告制度の対象となる自動車等の反則行為につきましては、違反行為のうち、信号無視や指定場所一時不停止などの現認可能、明白かつ定型的なものとされております。一方、酒酔い運転や妨害運転などの反社会性、危険性が高く、簡易迅速な処理になじまないものは反則行為とはされておりません。
こうした考え方に基づきまして、自転車につきましても、自動車と同様に、警察官が現認可能な、明白で定型的な違反行為を自転車の反則行為としております。具体的には、先ほど申し上げました信号無視、一時不停止などといいます自動車等の反則行為とされている違反行為、これらに加えまして、普通自転車の歩道徐行等義務違反といった、自転車に固有の違反行為を新たに反則行為としているところでございます。
他方、自動車等の反則行為とされていない酒酔い運転や妨害運転などにつきましては、自転車につきましても反則行為としておりません。また、自転車に固有の違反行為であって、本制度になじまないと考えられます自転車運転者講習受講命令違反などといった行為につきましても、反則行為とはしておりません。
○本庄委員 私が伺っているところ、青切符が百十二種類、赤切符が二十四種類ということだということですが、是非、何が青で何が赤なのかをきちっと周知していただきたいと思います。
同時に、とはいえ、青切符対象となる違反であっても、即座に全て青切符が切られるわけではもちろんないだろうと思うんですね。そうすると、この青切符の交付が、現場の警察官による恣意的なもので切られたり切られなかったりということがあってはいけないし、自転車の運転者にも予見可能なものでないといけないというふうに思います。警察庁の有識者会議からも、現場において安易かつ恣意的な取締りが行われることがないよう、対象となる反則行為については警察庁において基本的な考え方を提示すべきである、こういう指摘がなされています。
この取締りの運用方針、そしてその周知の方法について、具体的にどのようにこれから取り組まれるのか。これは大臣にお願いしたいと思います。
○松村国務大臣 現在、自転車の交通違反に対する取締りは、自転車の関連する事故の発生状況や地域住民の取締りに関する要望等を踏まえまして、自転車指導啓発重点地区また路線を中心に、悪質性、危険性の高い違反行為について検挙しているものでございます。
具体的には、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や、違反行為により通行車両や歩行者に具体的な危険を生じさせた場合、あるいは交通事故に直結する危険な運転行為をした場合といったときに検挙を行っているところでございます。このような取締りの基本的な考え方は、交通反則通告制度の導入後も引き続き維持することとしております。
今後、改正法の施行までに、まあ、成立ができますれば、御指摘の青切符の運用につきましては、基本的な考え方を改めて整理をいたしまして、真に事故抑止に資する取締りを行うとともに、これを各種広報媒体を活用しまして国民の皆様に丁寧に説明するよう警察を指導してまいります。
○本庄委員 今大臣がおっしゃった基本的な考え方や運用の方針というのは、何か明示されたものはあるんですか。これは大臣か若しくは参考人、分かればお答えください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
有識者の調査検討委員会におきまして、我々警察が今行っている運用の実態を改めて整理をして、報告書の中でも、そういう形での警察の現在の自転車取締りの運用につきまして記載をしているところでございます。
○本庄委員 ほとんどの人は知らないと思うんですね、一般の人は、そういう基準で警察が取り締まっているということについて。私は、これは重要な基準だと思いますので、見える形で、国民や運転手に伝わるような、そういう取組を警察にはしてもらいたいというふうに思います。
続きまして、違反者の本人確認の方法について伺いたいと思います。
その前に、ちょっとマイナンバーカードとの関係について確認したいんですが、昨年の六月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画、この中で、二〇二四年度、つまり、もう今年度ですね、今年度末までの少しでも早い時期に、運転免許証とマイナンバーカードとの一体化を開始するというふうにされています。
もう一年を切りましたが、現在の進捗状況、そして今後のスケジュールはどのようになっていますか。
○松村国務大臣 御指摘のように、令和四年の道路交通法の改正によりまして、マイナンバーカードと運転免許証の一体化に関する規定が整備をされ、公布の日から三年以内に施行されることとされてございます。
これによりまして、運転免許の免許情報が記録された、いわゆる一体化されたマイナンバーカードのみを保有すること、また、一体化されたマイナンバーカードと運転免許証の双方を保有すること、従来の運転免許証のみを保有すること、これのいずれかを本人が選択することが可能となります。
こうした制度の開始に向けまして、現在、警察庁におきましては、運転免許に関する情報を管理するシステムの改修を進めるとともに、都道府県警察におきましても、マイナンバーカードと運転免許証の一体化のために必要な機器の整備、改修を始めとした準備作業を進めているところでございます。
これらの準備作業を鋭意進めまして、デジタル社会の実現に向けた重点計画に定められました令和六年度末までの少しでも早い時期に、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が開始されるよう警察を指導してまいります。
○本庄委員 先行して健康保険証のマイナンバーカードとの一体化が進められておりますが、トラブル続きで、ユーザーからすると大変困った状況になっているわけですが、運転免許証が同じようなことにならないように是非お願いをしたいと思います。
その上で、健康保険証は一本化で今の保険証は廃止、マイナンバーカードのみということですが、免許証はそうしないわけで併存させていくということですが、その理由について、大臣、教えてください。
○松村国務大臣 令和四年の道路交通法の改正においては、委員御指摘のとおり、運転免許証は廃止することとされておりません。
運転免許証を廃止することについては、例えば、運転免許試験に合格した方がマイナンバーカードを保有していない場合にどうするかといった課題がございます。また、運転免許証につきましては、健康保険証や、健康保険証の廃止と併せて導入される資格確認書と異なりまして、顔写真を表示することにより、実際に運転している方が運転資格を有するかをたとえ通信が困難な状況にいても現場で確認する必要がございます。こうした理由で廃止としないという状況で検討しているところでございます。
いずれにいたしましても、今回の運転免許証の取扱いにつきましては、改正法の施行状況といった諸事情を見ながら検討してまいりたいと考えております。
○本庄委員 賢明な御判断だと私も思います。是非、デジタル大臣にも考え直すようにアドバイスしていただきたいと思います。
その上で、今回の法案に関連してですが、自転車の運転者は免許証を持っていないという人も当然多いわけで、しかも、マイナンバーカードを持ち歩いているとも限らない。小銭入れぐらいしか持っていないとか、いろいろなケースが考えられるわけですが、こういう身分証明書を所持しない人に対して青色切符を切るという状況になったときに、本人確認はどういうふうにやるんでしょうか。これは事務方で結構です。よろしくお願いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
基本的には、違反者が保有しております運転免許証あるいはその他の身分証明書というものを活用して、違反者の氏名、住所、生年月日などの本人を特定する事項の確認を行っておりますが、今回の自転車につきましては、御指摘のとおり、運転免許証等がない場合もございますので、そういう場合、身分証明書による違反者の本人確認が困難な場合につきましては、違反者自身の申告に加えまして、違反者や違反者の家族あるいは会社に必要に応じて確認するなどの方法により、違反者の本人の確認を行うこととなります。
○本庄委員 会社にも伝わっちゃうんですね。ちょっと怖い。気をつけないといけないですね。分かりました。
続きまして、携帯電話使用等の禁止のところについて、大臣に伺いたいと思います。
我々も含め、多くの人が、携帯を見ながらの自転車通行に本当に脅威を感じていることは多いと思うんですが、その関連で、今、フードデリバリーサービス、これも自転車で走られているケースが非常に多いわけですが、かなり危険な運転をされているなという印象です。
今回の改正案で、携帯電話使用禁止ということが規則から法律上規定をされるということなんですけれども、フードデリバリーの自転車運転中の方々で特に地図を見ながら走っているような人、非常に危険なので、ここに対するやはり取締り、違反についてしっかり強化していただきたいという声がよく聞かれます。あと、どこの社なのかは分かっても、誰なのかよく分からないんですよね。なので、配達用のバッグに番号を記載するなどしてドライバーを識別するようにすべきじゃないか、こういうような意見もあります。
こういったフードデリバリー事業者の問題について、携帯電話使用等の禁止との関係で、大臣に見解を伺いたいと思います。
○松村国務大臣 今回の改正によりまして、自転車の運転中にスマートフォンの画像を注視することが禁止されました。
今回の改正内容につきましては、広報啓発を行いながら、いわゆるながらスマホの防止に努めるとともに、その違反行為に対して取締りを強化するよう警察を指導してまいりたいと考えておりますし、御指摘のとおり、フードデリバリーの自転車の交通安全対策を推進することは重要な課題であると私も認識をいたしております。
警察におきましては、これまでも、関係事業者に対しまして、交通ルールの周知と遵守について配達員の皆様に指導、教育を実施するよう、関係省庁と連携し、申入れを行っているところでございます。
加えまして、関係事業者から構成される一般社団法人日本フードデリバリーサービス協会におきましても、交通安全ガイドラインが策定されるなど、自主的な取組も進めていただいております。
フードデリバリーの自転車を含め、自転車の交通安全対策に資するためにも、今後とも、広報啓発活動、指導取締り等の諸対策を総合的に推進をするように警察を指導してまいりたいと思っております。
○本庄委員 ありがとうございます。
今回、法律上の禁止事項ということで、更に明確に違反であるということで位置づけられたわけですから、更にしっかりとした安全対策、そして、違反があれば取締りということで、警察にはしっかり対応していただきたいと思います。
続きまして、追い抜き運転の規制のところについてお伺いをしたいと思います。ちょっと酒気帯びは飛ばします。
先ほども質問が少し出ていましたが、今回の改正案では、自動車が自転車の右側を通過する際に、両者の間に十分な間隔がないときは、安全な速度で追い抜かなければいけない、こういうことです。今、安全な速度とは何ですかというやり取りがありましたが、その前提となっている十分な間隔、これもよく分からないんですね。
これについて、警察庁、政府参考人から、具体的に何メートルなのか。一とか一・五とかいう話も聞こえてはくるんですが、よく分かりません。御答弁をお願いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御質問のありました自動車と自転車との十分な間隔、あるいは安全な速度の具体的な数値につきましては、自動車と自転車との具体的な走行状況に加えまして、道路状況や交通状況等によって異なってくるものと考えております。
○本庄委員 ちょっと、それではかなり混乱すると思うんですよね。追い抜く方は安全だと思って追い抜き、でも、それを現認した警察官は、いやいや、十分な間隔はなかったと、容易に想像できるやり取りになるわけですね。これは今回、罰則つきですね、三年以下の懲役、又は五万円以下の罰金。この罰則つきの違反が、今おっしゃったような極めて抽象的で曖昧な基準しかないということでは、私は困ると思うんですね。運転者も混乱するし、じゃ、どのぐらい間を取ればいいのかと。
安全だと思って取ったけれども、警察官は、いや、安全じゃないと言ってきた。こういうことが起きないために、やはりそれなりの明示したもの、そして周知、いろいろ努力は要ると思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○松村国務大臣 歩道における自転車と歩行者事故件数が増加傾向にある中、自転車の車道通行の原則の徹底を図るには、自転車利用客が安全に車道を通行できる環境を整備することは重要であると考えております。
本規定には、車道における自動車等と自転車等の接触事故を防止するため、自動車等が自転車等の側方を通過する際に、それぞれの通行方法を整備するものでございます。
本規定に定める自動車と自転車との間隔や安全な速度については、具体的な走行状況に加え、道路状況や交通状況等により異なることから、具体的な数値は規定しておりません。しかしながら、これを私も見ましたときに、非常に曖昧だ、分かりづらいというようなことを担当部局と話をしたところでございます。
運転者が本規定に従って運転行動を取るためには、具体的な数値のまず目安を示すことが重要であると考えておりまして、改正法の施行に当たっては、これを可能な限り具体的にして周知に努めるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○本庄委員 申しましたとおり、罰則つきですので、これは下手したら罪刑法定主義に触れるんじゃないかというぐらい曖昧な規定だと私は思いますので、是非、分かりやすい目安を、幅のある数字でもいいと思いますし、ケーススタディーでもいいと思いますし、ちょっと、これだと全くイメージもつかめないですね。これだと本当に困るので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
続きまして、道路環境の整備ということで、次のテーマに入りたいと思います。
これは今の続きなんですけれども、自転車側の話として、追い抜かれるときに、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければならない、こういうふうになるわけですが、でも、そう言われても、路上駐車なんかがあると自転車は左端に寄れないわけですね。こういったことを考えると、ますます路上、特に違法な路上駐車対策が重要になってくると思いますが、今後の取組について、これは政府参考人からお答えください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、まず、駐車需要に対応するための取組として、駐車場の整備につきまして、地方自治体などへの働きかけを行っているところでございます。
一方で、御指摘のありましたとおり、違法駐車は、交通渋滞を悪化させ、歩行者や、先ほどの自転車といった車両の通行の妨害となりますことから、地域住民の意見、要望等を踏まえまして、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた取締りを行っているところであります。
また、自転車の円滑な通行の確保といった観点から申し上げますと、警察におきまして普通自転車専用通行帯を設置しておりますが、そうした場合には、原則として駐車禁止規制を行っているところでございます。
引き続き、交通の安全と円滑を図るため、道路管理者を始めとする関係機関と連携いたしまして、総合的な駐車対策を推進してまいりたいと考えております。
○本庄委員 関連して国土交通省にお伺いしたいと思いますが、路上駐車以外にも、道路に飛び出している樹木とか、あるいはがたがたの側溝とか、自転車が走行しづらい、そういう障害というのが道路にはたくさんあるわけですが、道路管理者はこういった障害物の除去に、やはりこれからもっと努力していく必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘のあったように、国土交通省といたしましても、自転車通行空間の適切な維持管理が重要であると考えております。
このため、国土交通省においては、警察庁とともに、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを作成し、地方自治体に対する技術的支援を行っているところでありまして、現在、ガイドラインの改定作業を行っております。
その中では、自転車通行空間の機能を継続的に確保するため、植樹帯等を設置した場合は、視認性及び自転車の走行性を妨げることのないよう、定期的な剪定、落ち葉の除去を行うことや、側溝や舗装の間の縦方向の段差、じんかい等の堆積について点検し、必要な措置を行うなど、適切な維持管理に努めることなどとしております。
今後とも、自転車通行空間の整備及び適切な維持管理が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
○本庄委員 今までと同じ、あるいは延長ではちょっと困ると思うんですね。今回、道交法を変えて、十分な間隔を持って追い越さなきゃいけない、場合によっては罰則もついてくるとなると、ますます自転車が左側に寄りやすい状況をつくることが法律上求められてくると思うんですよね。通行者に求められるわけですから。
行政には、警察も、そして国交省も自治体も、もうちょっと真剣に、もうちょっとと言うと失礼ですが、より真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。でないと、この法律を守れないですよね。十分な間隔を持って追い越すということができなくなってきますので、是非よろしくお願いします。
その上で、本来であれば、自転車道とか自転車専用通行帯というものが整備されていると望ましいんですが、なかなか道路事情や予算面でそう簡単にはできないというのも現実だと思います。
そこで、例えば京都市なんかで、先行事例で有名ですけれども、矢羽根、色がついて、矢印とか自転車マークが左側について、これを積極的にやっている自治体が、東京でもありますが、やっています。これは京都なんかではかなり成果が出ていて、自転車の事故はピーク時から八割減っている。これは安全運転教育もセットでやっているという成果ですが、かなり成果が出ているという話もあります。
私は、比較的取り組みやすく、予算も多くかからない手法として非常に有効じゃないかというふうに思いますが、全国的にこの矢羽根を広げていく、普及促進していくということについて、大臣、いかがお考えでしょうか。
○松村国務大臣 委員御指摘のとおり、自転車の通行空間を整備すること、これは重要なことだと思っております。
警察庁におきましては、国土交通省と連携を図りまして、自転車通行空間の設計の考え方や自転車ネットワーク計画の作成手順を示しました、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを策定しているものと承知をいたしております。
御指摘のありました注意喚起するための矢羽根型路面表示の整備も含めまして、このガイドラインに基づきまして、道路管理者と連携をして、更なる自転車通行空間の整備に取り組むよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○本庄委員 是非、積極的な取組をお願いしたいと思いますし、この話をすると必ず警察も国交省も連携、連携と言うんですが、連携すると責任が曖昧になって大体実現しないものですから、どこが責任を負うのかということをしっかり明確にして進めていただきたいというふうに思います。
最後になると思いますが、交通ルールの周知や交通安全教育についてお伺いをしたいというふうに思います。
これは警察庁の調査ですけれども、自転車のルールを守れない理由として最も多い回答は、ルールをよく知らない、これは四〇%なんですね、四割なんですね。あるいは、中高生は、周りの人も守っていないからという回答が二割。こういう警察庁がされた調査もあるということなんですけれども、こうなると、やはりルールの周知そして交通安全教育ということが非常に有効になってくるというふうに思います。
海外を見ますと、例えば、フランスやドイツは、小学校の卒業までに自転車の交通ルールについて筆記試験や実技試験を実施しています。オランダでは、義務教育のカリキュラムに交通ルールの習得が盛り込まれています。
我が国でも、こういった取組を参考に、講習の義務化とか、あるいは必ず年に一回授業で取り上げるとか、こういう取組を、自治体や学校任せじゃなくて、政府としても推進していくべきではないかと思いますが、最後に、大臣、御答弁をお願いします。
○松村国務大臣 御指摘のとおり、アンケート調査では、自転車の交通ルールを守ることができない理由について、ルールをよく知らないからとの回答が四割以上に上っておりまして、自転車の交通ルールについて具体的かつ分かりやすい交通安全教育を充実することは必要不可欠だなと認識をいたしております。特に、小学校、中学校における交通安全教育は、警察のみで行うものではなく、教育関係者と連携して行うことが必要不可欠であると思っております。
人的資源や時間的制約がある中で、若い世代を交通事故から守るための効果的な教育を行うため、どのような形で関係機関と連携し教育を充実していくのか、検討をしっかり進めるように警察を今後指導してまいりたいと考えております。
○本庄委員 連携と検討ではなかなか進まないのかなと思いますが、文科省も含め、しっかり対応していただきたいと思います。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いをいたします。
さて、本法案の問題意識として、自転車が加害者になるケースが増えている、これを防いでいこう、こういうことだと思います。私もその問題意識、前提認識を共有しているんですけれども、同時に思うのが、自転車側が被害者になるケース、当然、こうしたことも防いでいかなければいけないし、自転車利用者を守っていかなければいけない、こういう課題もあるわけなんです。その観点から幾つかまずお伺いしたいと思うんです。
そもそもなんですけれども、今、自転車が関係する事故全体の中で、自転車が加害者になるケースと被害者になるケースというのはそれぞれどれぐらいの割合になっているのか。この関係を教えてもらえますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和五年におきまして、自転車関連事故は七万二千三百三十九件発生しております。うち、自転車が第一当事者となる事故は一万七千六百七件、自転車が第二当事者となる事故は五万四千七百三十二件ございます。
お尋ねの、自転車が被害者となる事故につきましては、第二当事者となる事故ということになりますが、その割合は七五・七%となっております。
○山岸委員 ありがとうございます。
七五%、つまり四分の三が自転車側が被害者になるケースだということなんですよね。ここはきちんと押さえておく必要があるんだろうと思うんです。
そこでなんですけれども、本法案の検討に際して有識者検討会というものを開いていらっしゃいます。この中で、交通事故の御遺族の方からヒアリングをされているんですけれども、こうした御遺族というのが、もちろん今の問題意識は自転車が加害者になるケースのヒアリングが多いんだと思うんですけれども、その中に、自転車が被害者になられたケース、自転車がいわば自動車にはねられて自転車利用者が亡くなった、その御遺族の方というのは、こういったヒアリングの対象には含まれていたのかいなかったのか。教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
有識者検討会におきましては、交通事故の被害者の遺族二名の方からお話を伺いました。うち一名は、交通事故被害者の御遺族の会の方でありました。それからもう一名は、自転車と歩行者の事故で亡くなった歩行者の方の御遺族でございました。
御質問のありました、自動車と自転車の事故で亡くなった自転車の運転者の御遺族の方は、この二名の方には含まれておりません。
○山岸委員 そもそも全体で二名しかいないということも含めて、どうなのかなというふうな思いもいたします。やはり自転車というのは圧倒的に被害者になるケースが多いわけであって、そういった実情というものもきちんと踏まえていただきたかったというふうに思います。私の地元練馬でも、先日、自転車の方が飲酒運転の自動車にはねられて亡くなるケースが、大変痛ましいケースがございまして、やはりこういった事例ということが実際の交通事故全体の中で見た場合には多いんだということは御留意いただきたいというふうに思います。
本法案が成立したときに、こういった自転車利用者の被害者への救済というものがマイナスに働かないだろうかという懸念が一点ありますから、確認をさせていただきたいと思うんです。
どういうことかと申しますと、自転車が加害者になったケースの罰則を強める、規制を強めるというときに、被害者になってしまった場合でも、それが自転車利用者側の落ち度にカウントをされるというふうなことがあり得るんじゃないかということなんです。例えば、自転車の方がスマホを手に持っていました、その方が事故に遭ってけがをしましたというときに、何か、保険金の手続に際して、これはあなたの落ち度ですよねというふうな形で減額されたり、あるいは自賠責が払われないとか、そういうふうなことが起こり得るんじゃないだろうかというふうに思うんです。
これは大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、本改正に伴って、自転車が被害者になった場合に、自転車利用者側の過失がより重く認定されやすくなって、賠償額ですとか、加害者側、つまり自動車側の刑事責任というのが目減りするといいましょうか、そういうふうになってしまうというおそれはないのかどうか。いかがでしょうか。
○松村国務大臣 今回の法改正によりまして、自転車の交通事故防止のため、自動車が自転車の側方を通過する際における安全を確保するための規制といった新たな交通ルールを定めることとしてございます。
交通事故における捜査に当たりましては、加害者と被害者の事故時の走行状況や双方の供述といった捜査を踏まえまして、個別具体の状況に応じて加害者の刑事責任が判断されるものと承知をいたしております。
今回の改正で新たに設けられる交通ルールに、被害者が違反したかどうかについても委員御指摘のように捜査を行うこととなり、加害者側の刑事責任の判断に当たって考慮される要素の一つになりますが、具体的な刑事責任は個別具体の事実に即して判断されるものであると考えております。本改正をもって御指摘のような刑事責任が目減りするというようなことがあるかどうかについては、なかなか一概には申し上げられません。
いずれにいたしましても、適切な刑事責任の判断がなされるよう、適切な捜査を推進するように警察を指導してまいりたいと考えております。
○山岸委員 私、本法案の問題意識は理解しているつもりなんですけれども、やはりそういった中で、前提として、自転車は交通政策全体から見れば弱者の側にある、被害者になりやすい側にあるということ、また、今、国としても自転車の利活用を促進する立場でやっていらっしゃると思いますので、そういったことがおろそかになってはいけないということはきちんと御認識をいただきたいというふうに思います。
続けてのテーマに参ります。携帯電話の使用禁止でございます。
本法案には、先ほど本庄議員も議論しましたけれども、携帯電話の使用等の禁止というのが含まれています。これはちょっと、言葉の語感の話にもなってくるんですけれども、携帯電話使用禁止と言われると、一般的には電話しちゃ駄目だよというふうに思う方もいらっしゃるかなと思うんですけれども、ただ、私、必ずしも本改正の狙いはそこではないというか、そこにとどまらないというふうに思うんですね。
というのが、そもそも、今、携帯関連の事故の中で、電話そのものよりはスマホの画面を見ているということの方が恐らく数としては多いんだろうというふうに思うので、これはまず事実関係をお伺いしたいんですけれども、携帯電話使用中の自転車事故の中で通話に伴うものと画面注視に伴うもの、それぞれ割合というのはどれぐらいなんでしょうか。教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
自転車運転中の携帯電話あるいは先ほどのスマホ、こういったものの通話や画像注視による交通事故は、平成二十六年から令和五年までの十年間でありますが、八百三十六件発生しております。うち、携帯電話等の通話による事故は八十七件で一〇・四%、携帯電話等の画像注視による事故は七百四十九件で八九・六%を占めているということになります。
○山岸委員 もう圧倒的な割合ですよね。九対一で、スマホの画面を見ているということが直接的には事故の数としては圧倒的に多いわけでございまして、大臣、今後、本法案が成立した後に様々広報啓発されると思うんですけれども、そういうときに、携帯禁止というふうに言うと必ずしもメッセージがシンプルに伝わりにくいんじゃないかなというふうに思うんですね。むしろ、先ほど大臣からも御発言があったけれども、ながらスマホ禁止ですよということをはっきりと重点的に打ち出すということが必要ではないかなと思いますけれども、この点の問題意識はいかがでしょうか。
○松村国務大臣 御指摘のとおり、最近の自転車の携帯電話使用による事故を見てみますと、運転中に携帯電話を注視している状態、いわゆるながらスマホの状態による事故が増加をいたしております。このような行為を特に防止する必要があると認識をいたしているところでございます。
今回の改正によりまして、ながらスマホが禁止されることや、このような行為による事故の危険性があることを明確にやはり広報啓発する必要があると考えております。どんな単語がしっかり国民の皆さんに届くのか、いろいろな検討をしながら、目的が達成できるような形の、メッセージ性のある、検討をしてまいりたいと考えております。
○山岸委員 法的用語ですから正確性はもちろん大事なんですけれども、やはり国民に分かりやすい伝え方ということは工夫をいただきたいというふうに思います。
続けて、青切符の導入に関してお尋ねをしてまいります。
先ほど河西委員からも質問があって、検察庁からお答えがありましたけれども、警察の側にお伺いしたいと思うんですけれども、ちょっと一問飛ばさせていただいて。
今、現状の赤切符の制度では、圧倒的に結果的に不起訴処分が多いということで、おとがめなしになっちゃっていますよねということの中で、今回、青切符が導入をされるという話になりますと、恐らく、現在赤切符で処理をしている事案の大半が青切符に移行するということを想定していらっしゃると思うんですけれども、この割合というのを現在の見通しとしてどういうふうに持っていらっしゃるのか。何か数字があればお示し願えますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
まず、酒酔い運転をした者や交通事故を起こした者といったものにつきましては、交通反則通告制度の対象とならないという前提がございます。
その上で、令和五年に検挙いたしました自転車の交通違反を例にいたしますと、検挙件数四万四千二百七件から、酒酔い運転の百一件、あるいは、具体的な違反名の分類ができない七百五十四件を除外いたしますと、交通反則通告制度の対象となり得る検挙件数は四万三千三百五十二件となります。そのほとんどが交通反則通告制度により処理されると仮定いたしますと、その比率は約九八%となります。
○山岸委員 なので、現在の赤切符のほとんどが青切符による処理に移行するということになるわけですね。
そうしますと、先ほど不公平感の議論、逆転現象の議論がありましたけれども、それも重ねてお伺いしていきたいと思うんです。
現状では赤切符の方はほとんど起訴猶予になっている、刑事罰はないという中で、九八%の方が青切符になって反則金制度になると、これは、今、自動車の場合は九八パーから九九パーの方が納付をされているわけですから、皆さんも自転車に関しても同様の納付率を期待されていると思いますので、大半の方がお金を納めるということが想定をされるわけです。
そうしますと、より悪質なものとしてあえて赤切符になった人は結果不起訴になるのに、それよりは軽微な違反で青切符を切った人はほとんど納付することが求められるという逆転現象が起きてしまうわけでありまして、これはもちろん一義的には検察の処理ではあるんですけれども、警察としても、赤切符のその後の処理について、起訴率が上がるような取組ということは必要ではないかなと思うんですね。
具体的には、対象者をきちんと絞り込んでいくということ、またあるいは、起訴を前提とした事件処理を行っていくこと、様々考えられると思うんですけれども、赤切符制度の運用の見直しに関しては今どういうふうなことを検討されていますか。教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
自転車に交通反則通告制度を導入した場合、先ほど申し上げましたとおり、そのほとんどが交通反則通告制度により処理されることとなるものと考えられ、赤切符が適用される事件は減少することが予想されます。
赤切符により警察が送致した事件、これにつきましては、刑事手続においてどのように処遇されるかは検察又は裁判所の判断によるところとなりますが、警察におきましては、個別具体の事案に応じて厳正かつ適切な判断が行われるよう、関連証拠を収集するなど必要な捜査を行ってまいりたいと考えております。
○山岸委員 今のは一般論の御答弁、一般論のお話なので、もうちょっと中身をお聞きしたいんですね。
つまり、現状の自転車関連の赤切符というのはほとんど起訴されない、不起訴になるという前提で、多分、恐らく現場もお忙しいと思うので、ある意味、機械的な処理であったり定型的な処理をされているというふうに思うんですね。それをこれから、より悪質なものに絞り込んで、不公平感、逆転現象が生じないように処理していくためには、赤切符の運用の見直しということが必要じゃないかということをお聞きをしているわけなんですね。
現状のマニュアルがあればそれを見直すとか、何らかの具体的なアクションが必要ではないかというのが私の問題意識なので、もう少し細かいところを教えてもらえますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
今回、交通反則通告制度が自転車に導入されますと、これまでも答弁いたしましたとおり、定型的あるいは明白な違反行為というものにつきましては、いわゆる青切符によって処理をされます。
逆に申しますと、赤切符として処理するものにつきましては、例えばですけれども酒酔い運転とか酒気帯び運転という、違反の態様として、罪質として悪質性あるいは危険性が高いといった違反行為が赤切符の対象となります。
したがいまして、我々としては、こうした赤切符の対象の行為に関して、より捜査を行い、これを可能な限り厳正な対処がされるよう努めていきたいと考えております。
○山岸委員 是非、逆転現象が生じないように、ここは留意いただきたいというふうに思います。
最後のテーマでございます。自転車運転者講習制度に関してお伺いいたします。これは本改正そのものとは直接関係ありませんけれども、影響があるんだろうと思われるテーマです。
十年前になりますか、自転車運転者講習制度が導入されまして、やはり、こういった自転車関連のルールが変わる大きなタイミングですから、こういった制度も見直していく、検証していくいいタイミングではないかなと思って、質問させていただきます。
現在、この講習制度は、受講されている方は年間五百人ぐらいとお聞きをしておりますけれども、今改正によって自転車の違反が積極的により摘発をされるというふうになりますと、この講習の対象者も恐らく増えるのではないかなと想定をされるわけなんです。
政府参考人にお伺いしますけれども、この講習制度の近年の受講者数と、本改正によってどれぐらい増えると見込んでいらっしゃるのか、見通しをお伺いいたします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
自転車運転者講習、この制度の運用が開始されました平成二十七年六月から令和五年十二月までで延べ三千四十七人が受講をしております。令和二年以降の年間の受講者数は五百人台で推移しておりましたが、令和五年は六百三十一人と増加しております。
今後の受講者の増加数の見通しにつきましては、なかなか申し上げることは難しい点もありますが、警察官の街頭活動の強化などによって一定程度増加する可能性があるものと考えております。
○山岸委員 数は分からないけれども増えるということなので、増えることが見込まれるのであれば、この機会に運用を、何か課題があれば見直す必要があるんじゃないかなと思って、御提案をさせていただきます。
というのが、現在の年間五百人というのは中途半端に少ない数だと思うんですよね。一都道府県平均で年間十人ということですよね。だから、所轄の警察署から見れば年に一人いるかいないかという事案なわけです。その人について、呼び出して、日程調整をして、準備をして、三時間の講習を受ける、こういう仕組みになっています。
だから、運転免許の更新みたいに免許センターでまとめて流れ作業とは全く質が違うタイプの講習で、いわば半日がかりのマンツーマン指導ということになりますので、恐らく、警察現場は結構これは負担が大きいんじゃないかなと。私、かつて新聞記者としていわゆるサツ回りもさせてもらいましたけれども、非常に人数が少ない中で回している地域の所轄からすれば御負担も多いんじゃないかなと。それでありながら、一方で、手数料が六千円。運転免許の更新は三千円ですから、何となく事務負担に見合っていないようにも見受けるわけなんですね。
そこで、最後、これは提案でございますけれども、この講習制度に関して、受講料の増額であるとかあるいは集団での受講等、運用の見直しということをこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。お願いいたします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘ありましたとおり、自転車運転者講習は、現在、講師一人に対し原則として受講者三人程度を対象に行うこととしており、一回の講習時間は三時間となっております。講習におきましては、自転車の交通ルールの理解度のチェック、あるいは事故時の自転車運転者の責任、受講者が起こしやすい事故場面の危険予測、討議などを行っている状況です。
この運用方法につきましては、当面の間は現在の運用を継続することとしておりますが、交通反則通告制度の実施状況を見ながら、必要に応じてその運用を見直すこととしたいと考えております。
○山岸委員 時間ですから終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、太栄志君。
○太委員 おはようございます。太栄志でございます。
私は、国会議員として、国の安全保障、国の安全、国家の安全保障ということを一番のテーマとして取り組んでおりますが、一方で、国会議員として最初の質問は、地元で一番声が多かった子供の交通安全の確保、まさに危険通学路の問題をテーマに取り上げました。
本日は、まさに国としてしっかりと交通安全を確保していく、そういった視点から、この道交法の改正について質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回の法改正、先ほど来お話がありますように、自転車の事故が増え続けている、そういった背景があるということなんですが、長年減少傾向にあった自転車関連事故件数が二〇二一年度以降増加傾向にあり、自転車が関係する事故の全交通事故に占める構成比も一七年以降増加傾向にあるということであります。
それでは、ここで、そもそもお伺いしたいんですが、こういった現状の原因について、どのように政府として認識されているのか、その点に関して、松村大臣、御見解をお聞かせください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
現在、御指摘のとおり、全体の交通事故件数が減少傾向にある中、自転車が関連する交通事故は令和三年に増加に転じております。また、全ての交通事故件数に占める自転車関連事故件数の割合や自転車対歩行者の事故件数が増加傾向にあります。さらに、自転車乗用中の死亡、重傷事故件数のうち約四分の三には自転車側にも何らかの法令違反が認められるなど、自転車をめぐる交通事故情勢は厳しい状況にございます。
その原因につきましては様々なことが考えられますが、一つ大きなこととして、自転車の交通安全ルール、マナー、こういうものが自転車の運転者にまだまだ周知徹底がなされていないという点があると考えております。
○太委員 自転車にルールやマナーが、周知徹底がなされていないということが事故の原因だということなんですが、それでは、今回の制度導入でどういうふうに、じゃ、実際に自転車の事故は減少していくというふうに、そういった想定はできておりますか。そこを、できれば大臣、お答えください。
○松村国務大臣 御指摘のような観点から、有識者検討会におきましては、自転車に関するより効果的な交通安全教育の在り方についても検討が行われておりまして、交通反則通告制度の運用開始までに、交通安全教育に関する官民連携の拠点となる体制を構築し、交通安全教育に係るガイドライン等を作成すること、また、これまで警察が行ってきた交通安全教育を学術的な観点から検証し、その内容を充実、深化させること、こういった点が報告書において示されております。
これらを踏まえまして、警察庁においては、今後、地方自治体も構成員とする官民連携協議会を設置をいたしまして、自転車利用者に対する効果的な交通安全教育の在り方について検討を行い、ライフステージに応じました自転車の交通安全教育に係るガイドライン等を作成をいたしまして、事故の防止に努めてまいりたいと考えております。
○太委員 大臣に今御説明いただきましたが、私が一番問いたかったのは、まさに今回の青切符、交通反則通告制度導入によってどういうふうに減少していくのか、そこが一番聞きたかったんですが、ちょっと見えてこなかったです。
今大臣がおっしゃったこと、まさに教育を含めて、ガイドライン等の作成を含めて官民連携でというお話、この点はまた細かく伺っていきたいと思っておりますが、そもそも、今回、どうしてこのタイミングで交通反則通告制度を導入していくのか、もう一度、この点、大臣、お答えいただけますでしょうか。お願いします。通告しております。
○松村国務大臣 まず、今回の改正につきましては、交通事故につきましては減少傾向にございますが、自転車と歩行者、こういった事故が増加をいたしている、こういう交通状況に鑑み、法改正に至ったところでございます。
その中で、通告制度を導入していくわけでございますが、自転車の交通違反を検挙した場合には、全て刑事手続によることとされております。このため、自動車に交通反則通告制度が適用されていることと比較をいたしまして、刑法犯と同様に措置等を要し、負担となっているところでございます。また、多くの場合は措置後に起訴されず、実態として違反者に対する責任追及が不十分である、こうした指摘がございます。
このようなことから、今般、事務処理の合理化を図るとともに、実効性のある制裁を科すため、自動車と同様に自転車にも交通反則通告制度を適用するものとしたものでございます。
自転車を交通反則通告制度の対象とすることによりまして、違反処理手続の合理化が図られ、より多くの人的資源を指導警告の充実化に充てることができますし、また、反則行為につきましては交通反則通告制度による簡易迅速な処理を、また、反則行為でない悪質、危険な違反行為については刑事手続による事案の実情に即した処理をそれぞれ行う、こうしたことが期待をされますし、良好な自転車交通秩序の実現に資するものと認識をいたしております。
○太委員 大臣、ありがとうございました。
今回、どうしてこの制度を導入していくかというところ、是非とも、先ほど御説明あったように、しっかりと国民に周知徹底していくことだと思っておりますので、それへ向けて引き続き御尽力いただきたいと、お願いいたします。
次に行きます。
今大臣から御説明ありましたように、今回の交通反則通告制度導入によって、現場の警察官にとって様々簡素化されていくことが期待されるということは分かりました。
しかし、一方、自転車の交通違反取締りが易しくなっていきますが、必ずしも交通事故防止に必要のないと思われる、そういった取締りが行われることがやはり懸念されているというふうに認識をしております。そして、いかにして、交通事故防止の観点から実効性のある取締りを運用していくべきだと思っております。
そこで、これはレクでも私は確認させていただきましたが、まず、自転車への交通反則通告制度の導入、適用に当たっては、いわゆるネズミ取りみたいなことは行わないということで認識をしております。一方、危険な箇所の取締りを行うんですね。明示というのが大変重要であって、私は、標識を設置したり、事故の軽減に資することが必要だと思っておりますが、取締りの場所、時間帯などを考慮した重点的な指導取締りの必要性についてどのように認識しているのか、その点に関して御答弁ください、教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
現在、自転車の交通違反に対する取締りは、自転車関連事故の発生状況や地域住民の取締りに関する要望などを踏まえまして、自転車指導啓発重点地区・路線というものを選定いたしまして、これを中心に、悪質性、危険性の高い違反行為について検挙を行っているところでございます。これら自転車指導啓発重点地区・路線につきましては、都道府県警察のウェブサイトなどにおきまして公表しているところでございます。
今申し上げましたこうした取締りの基本的な考え方、あるいは自転車指導啓発重点地区を中心とした取締りというものは、交通反則通告制度の導入後、引き続き維持することとしております。
○太委員 ありがとうございます。
今、ホームページを含めて、そういった場所をしっかりと示していくということなんですが、やはりしっかりと明示することが大事だと思っておりまして、なかなか、誰もがホームページを見てとか、分かるわけではありませんので、あえて私、先ほど、標識を設けるなり、本当に分かりやすく、もちろんお金をかけずに、そういった工夫も是非ともしていただきたいということを御検討いただきたいと思っております。
それと関連しまして、今回の取締りの重点箇所に関して、児童の通学路を加える意向はあるのかどうかという点を教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
自転車指導啓発重点地区・路線に通学路を加えることについてでありますけれども、それぞれの通学路におきます自転車の交通ルールの遵守状況あるいは地域の方々の意見、要望などを踏まえまして、都道府県警察におきまして自転車指導啓発重点地区・路線の見直しを行うことにつきましても指導してまいりたいと考えております。
○太委員 ありがとうございます。
是非とも、この通学路というのも検討いただきたいと思っています。
ここで教えていただきたいのが、通学あるいは下校中の子供たちが自転車によってどれだけ事故に遭っているか。これは、警察庁として実態を把握しているのかどうか、そのデータを教えていただきたいのと、今回の法改正によって子供の自転車による事故が減っていくのかどうか、その点も併せて教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
登下校中のために歩行していた小学生と自転車との交通事故は、令和五年中でありますが、百二十一件発生をしております。
それから、今回の改正によって子供のこうした事故が減るかというお尋ねでありますが、今回の法改正というものにつきましては、その内容は、自転車の酒気帯び運転及び携帯電話使用等に関する罰則規定の整備、あるいは、自動車等が自転車などの側方を通過する際の規定の整備、それから、議員御指摘のありました、自転車に対する交通反則通告制度の適用に関する規定の整備、こうしたことの内容でありまして、まさに自転車の交通事故防止のための所要の規定の整備を行うものであります。
本改正とともに、今後、自転車の交通安全教育の充実を図り、これら総合的な取組を進めまして、子供が被害者となります事故を含めまして、自転車の交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。
○太委員 どうもありがとうございました。
次へ移りたいと思います。
昨今、フードデリバリーの自転車配達員が町を駆け巡っています。大変便利な反面、自転車配達員の危険な飛び出しや信号無視などを見かけることが多くある。自転車にナンバープレートがない中で、事故を起こしても逃げ通せると考える配達員もいると考えられる。
そういった中で、自転車配達員による事故抑制や当て逃げ防止のために、配達員が背負うバッグや車両などに配達員の識別を可能にする、こういった番号表示などを追加すべきだと思いますが、その点に関して御見解を教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和五年中のフードデリバリーを含みます自転車業務中の交通事故は千百三十八件発生しておりまして、前年と比べ七・八%減少しておりますが、フードデリバリーの自転車の交通ルール、マナーの遵守やその取締りを求める意見があるものと承知をしております。
警察庁におきましては、これまでも、関係団体に対しまして、交通ルールの周知と遵守、交通事故防止のための具体的な注意喚起などにつきまして、あらゆる機会を捉えて配達員に指導、教育を実施するよう、関係省庁と連携いたしまして、申入れを行っております。
また、関係事業者で構成されます一般社団法人日本フードデリバリーサービス協会が設立され、同協会におきまして、交通安全ガイドラインが策定されるなど、自主的な取組も進められているところでございます。
御指摘の事業者ごとの識別番号を運転者に表示することなどにつきましては、自主的な取組を行っている関係団体においてまずは検討されるものであると考えております。
警察におきましては、フードデリバリーの自転車を含めまして、自転車の交通安全対策を推進するため、今後とも、広報啓発活動や指導取締りなどの諸対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
○太委員 ありがとうございます。
是非とも、更なる対策を検討していただきたいとお願いいたします。
次に、バスと自転車の事故に関してお伺いいたします。
自転車が急な車線変更や蛇行運転などをすると、自転車を急ブレーキや急ハンドルで回避せざるを得ません。ところが、自転車などの危険運転による急ブレーキなどにより、バス車内では乗客の転倒事故が発生することがありますが、このような場合、運転手は道交法の第七十条の安全運転の義務違反となるおそれがあります。
このような急ブレーキは、事故を回避するためにやむを得ないもので、危機回避のためにやむを得ない場合に限り、安全運転義務違反の適用外とすべきと考えますが、御見解をお願いいたします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
安全運転義務違反の規定に関するお尋ねでありますが、車両の運転者がハンドル、ブレーキなどを操作し、道路や交通状況などに応じまして安全に運転することを求めます安全運転の義務についての規定は、交通安全の確保のために必要な規定であることを御理解いただきたいと思います。
その上で申し上げますと、バスの乗客の転倒事故につきましては、御指摘のように、周囲の、例えばですが自動車、自転車の影響によるものなど、様々なケースがあるものと承知をしております。
バスの乗客の転倒事故が起こった際のこうした安全運転義務違反などの捜査に当たりましては、そうした周囲の車両が不意に停止をしたり、乗客の不用意な行動に起因したりするものでないかなど捜査を行いまして、個別具体の事実に即した慎重な判断を行ってまいりたいと考えております。
○太委員 最後にお伺いしたいのですが、大臣も冒頭お話しされました有識者検討会でも官民協議会の構築というのが指摘をされていたと思うんですが、どういった形で、交通安全教育を進めていく上で、この官民協議会がいつ頃までに、どういった時間軸でやっていくのか、具体的な道筋も含めてお話しください。最後にお願いします。
○松村国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたが、これは御指摘のような観点から、有識者検討会においては、効果的な安全教育の在り方についても検討が行われておりまして、交通反則通告制度の運用開始までに、交通安全教育に関する官民連携の拠点となる体制を構築し、交通安全教育に係るガイドラインも策定すること、また、これまでに警察が行ってきた交通安全教育を学術的な観点から検証し、その内容を充実、深化させること、こうした報告書が示されております。
警察庁におきましても、今後、地方自治体等も構成員とする官民連携協議会を設置をいたしまして、効果的な交通安全教育の在り方について検討を行ってまいりたいと思っているところでございます。
スケジュールにつきましては、法の成立後、しっかりと、やはり一つでも事故を減らせるような体制の構築、また、安全教育について更に検討を進めてまいりたいと考えております。
○太委員 大臣、ありがとうございました。
御指摘もありましたように、地方自治体の関係者もということでお話しいただきましたが、まさにそういった地域の声、特に交通安全対策の進んでいる、そういった方たちも入れた形で是非とも進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上になります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、阿部司君。
○阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。よろしくお願いします。
私、二人子供がおりまして、上の子が三歳、下の子がゼロ歳でして、先日、上の子が幼稚園に入園をいたしました。とにかく元気で走り回っているんですよね。入園式でも走り回って、何か園庭の方とかに行っちゃって、コントロールがかなり難しい子なんですけれども。
それで、日々感じておりますのが、車ですとか自転車とぶつからないかどうか冷や冷やしているわけであります。私、地元は東京都の北区なんですが、とにかく自転車が結構走っていまして、特に電動機つきの自転車が猛スピードでびゅうっと来たりして、ぶつからないようにこっちの方に抱き寄せたりとか、非常に危ないなと日々感じておるところなんですが。地元では、やはり子育て世代のお母さんですとかお年寄りの方からも、本当に危ないからちょっと何とかしてくれというお声を度々いただいております。また、昨今、痛ましい交通事故、こちらが後を絶たないと思います。
今般の道交法改正では、特に自転車関係の事故をいかに防いでいくか、こちらが主眼に置かれたものと承知をしておりますけれども、まず、考え方として、違反を取り締まっていくこと、こちらは非常に重要なことであることは承知をしておるんですけれども、そもそも、交通事故自体がいかに起こらない社会をつくっていくか、できるのか、そんな観点で質問をしてまいりたいと思います。
まず最初に、本道路交通法改正の立法事実及び期待される効果についてお伺いをしたいと思います。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○早川政府参考人 お答えいたします。
国民の意識、ライフスタイルや交通活動の変化に伴いまして、自転車利用のニーズが高まっている状況にございます。
一方で、近年、交通事故件数が減少傾向にある中、自転車が関連する交通事故は令和三年に増加に転じております。また、全ての交通事故件数に占める自転車関連事故件数の割合や自転車と歩行者の事故件数は増加傾向にございます。さらに、自転車乗用中の死亡、重傷事故件数のうち約四分の三には自転車側にも何らかの交通法令違反が認められるなど、自転車をめぐる交通事故情勢は厳しい状況にございます。
こうした状況を踏まえまして、今回の法改正では、これまで御議論いただいております交通反則制度の自転車に対する適用に関する規定の整備などといった、主として自転車の交通事故防止のための所要の規定の整備を行うものでございます。
本改正とともに、今後、自転車の交通安全教育の充実を図りまして、総合的な取組を進め、自転車の交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
事故は減ってきているものの、自転車関連の交通事故は増えてきていると。その事故防止というのが課題だと承知をしております。私、地元の北区でも、交通事故の半分が自転車関連のものだと聞いております。非常に事故が多発しておりまして、この法律、今後の取組というのは非常に重要になってくるかと思います。
もう少し具体的にこの状況について確認をさせていただきたいんですが、今触れていただきました自転車の利用者の交通事故、自転車乗用中の死亡事故、重傷事故における法令違反、データに触れていただいたんですけれども、直近一年間の事故の死者、重傷者数の年齢別の構成、こちらをお伺いできればと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和五年中の自転車関連事故の死者数は三百四十四人でありました。年齢層別では、七十歳から七十四歳が五十一人、一四・八%を占め、最も多く、他の年齢層の高齢者についても死者数が多くなっている状況であります。
また、重傷者数につきましては、令和五年中、七千百十九人でありまして、年齢層別では、十五歳から十九歳が七百二十七人、一〇・二%と最も多くなっておりますが、次いで七十五歳から七十九歳の六百七十八人、比率にして九・五%となっておりまして、重傷者につきましても、十五歳から十九歳の年齢層以外では高齢者が多くなっているという状況にございます。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
お年寄りが多い、そして若年層、子供たちも事故が多いとのことでした。
私は、子供そして若い方々への交通安全教育の強化、こちらが非常に効果的なのかなと思っております。一旦、若いときに、子供の頃にしっかり交通ルール、安全について学べば、その後、現役世代、働き手になった後も、お年寄りになった後も、それがしっかり身について、そもそもの交通事故の数というのも減ってくるのかなと思っておりますが、小学校、中学校、高校における交通安全教育の現状そして課題認識についてお伺いをしたいと思います。また、こちらは、やっただけでなくて、どんな効果があったのか等々、総括も行っているのか。こちらは、警察庁政府参考人、そして文科省の政府参考人、それぞれお願い申し上げます。
○早川政府参考人 お答えいたします。
交通安全教育が効果的かつ適切に行われるため、交通安全教育指針が定められておりまして、各種シミュレーターなどを活用した参加、体験、実践型の教育手法を取り入れ、対象に応じました内容の教育を、警察と学校を始めとする関係機関等が連携し行っているところでございます。しかしながら、その現状を見ますと、幼児や小学生と比較いたしまして中学生や高校生に対する交通安全教育の実施回数が少ないなどの状況も見られるところでございます。
交通安全教育は、警察のみで行うものではなく、関係者が連携して行うことが重要であると認識しております。人的資源あるいは時間的制約がある中で、若い世代を交通事故から守るための効果的な教育を行うため、どのような形で関係機関と連携し教育を充実していくのか、検討を進めてまいりたいと考えております。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
学校における交通安全教育につきましては、年間を通して、学習指導要領や各学校において作成をいたします学校安全計画に基づいて、地域や学校の実情に応じた取組が行われているところでございます。例えば、中学校二年生の保健体育科では、交通事故等によるけがを防止するために、危険の予測やその回避の方法を考えさせる指導が行われておりますほか、警察と連携して、体験的な活動を含む交通安全教室などが実施をされているところでございます。
文部科学省といたしましては、各学校においてこうした交通安全教育が適切に行われますよう、学校保健安全法に基づく学校安全の推進に関する計画を五年ごとに策定をしているところでございますが、令和四年度からの第三次学校安全の推進に関する計画を策定する際に、今委員御指摘の総括的なことを指摘をいただいております。これまでの各学校における取組などを踏まえますと、各学校の様々な計画、マニュアルがあるんですけれども、これが必ずしも実効的な取組に結びついていないことですとか、あるいは、地域、学校設置者、学校、教職員の取組内容や意識に差があること、児童生徒の通学時に発生する事件、事故など、学校の努力だけではなかなか防止しにくい事案も発生していることなどが課題として挙げられております。
このため、第三次の計画におきましては、各学校の計画の実効性を高めるためにPDCAサイクルをきちんと確立をするとか、校長、教職員の研修などを充実する、あるいは、家庭、地域、関係機関としっかり連携、協働するといったようなことを盛り込んでいるところでございます。
引き続き、警察庁など関係機関とも連携をしながら、各学校の取組を促し、交通安全教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
特に文科省さんからは、しっかり総括も行って充実させていくという前向きな御答弁をいただいたと承知をいたしました。
やはり、この件に限らず、私、様々質疑させていただいた中で、いわゆる総括ですとか効果測定は政府の取組の中で非常に足りない部分なのかなと思っております。予算の消化が目的化して、やりっ放しになっている例というのが非常に多い。なので、少子化対策も地方創生もそうなんですけれども、やった後どうだったのか、そして次につなげていくこと、この取組を是非充実させていただきたいと思います。
今、もろもろ取組をしていただいていて、有識者会議でも今後の交通安全教育に関して御意見が出ております。既存の教育プログラムの充実、深化、自転車安全教育認定制度の構築、官民連携の拠点となる体制の構築などなど、こうした指摘があるわけですけれども、この指摘を踏まえた上で今後具体的にどのように交通安全教育の強化に取り組んでいくのか、警察庁にお伺いをしたいと思います。また、文科省の連携上の課題についても触れていただければと思います。お願いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
自転車の交通安全教育、その現状あるいは課題につきまして、有識者検討会において御議論をいただきました。その中では、効果的な取組を行っている民間事業者などとの連携を強化する必要がある、運転免許が必要な自動車と異なり、現在、その他に関しては、自転車に関しては体系的な教育を受ける仕組みがない、あるいは、現在の教育は実施主体によって内容や方法に差があるなどの御意見がございました。
これを受けまして、有識者検討会の報告書では、これらの点について、自転車の交通安全教育に関する官民連携の拠点となる体制を構築するなどし、その充実を図るといったことが提言をされました。
これを踏まえまして、警察庁におきましては、今後、官民連携協議会を設置をして、自転車利用者に対する効果的な交通安全教育の在り方につきまして検討を進め、ライフステージに応じた自転車の交通安全教育のガイドラインなどを策定することとしたいと考えております。ガイドラインでは、若い世代を交通事故から守るため、効果的な交通安全教育の内容や手法についても検討することとしておりまして、文部科学省を始めとする関係機関、団体と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
今の交通安全教育に関連して質問してまいりたいんですけれども、行動経済学の知見を生かして行動変容につなげるアプローチであるナッジ、こちらは、いろいろな、海外でもやられていますけれども、この取組についてお伺いをしてまいりたいと思います。
先日、NTTデータ経営研究所と京都市が公民連携の課題解決推進事業「KYOTO CITY OPEN LABO」というものを実施しまして、いわゆるナッジ活用の看板で違法停車時間が九割減ったと聞いております。これは、いわゆる道路のところに看板を立てて、窓をつけて、この窓から見えるタクシーは違法駐車ですというような、そういった表示をさせるものだったんです。
あと、NHKで少年少女発明クラブというものがありまして、子供たちの発案で、事故が多発している交差点に一時停止の注意を促すスピーカーを設置したところ、一時停車率というのが二%から一二・五%にアップしたというふうにも聞いております。これは、止まったら、交差点のところで、止まってくれてありがとうございますという声が流れるような仕組みだったそうなんです。
このような形で、ナッジの活用は非常に有効かなと思っておるんですけれども、この現状認識と今後の方針についてお伺いしたいと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のありましたとおり、関係者の行動の変化を促す工夫が行われ、京都市におきましては、違法な路上駐車の状況が改善されたことや、静岡市におきまして、交差点における自転車の一時停止を促す取組が行われ、一定の成果が見られたということを承知をしております。交通違反や交通事故の防止のため、民間の方々が積極的に取り組むこうした取組は意義のあることであると考えております。また、こうした取組によって違法な路上駐車が改善されたこと、こういったことにつきまして関係者が情報を共有するといったことが重要であると考えております。
自転車の交通安全教育につきましては、先ほど申し上げましたが、今後、官民連携協議会を設置し、より効果的な内容、手法について検討していくこととしておりますが、御指摘のような取組例、こういったことも参考にしながら、幅広い観点から検討してまいりたいと考えております。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(司)委員 しっかり京都市とも連携していただいて、ナッジの取組導入に向けて前向きにやっていくということですので、是非よろしくお願いします。
ナッジもそうなんですけれども、交通事故のない社会をつくっていくということを踏まえまして、今日は文科副大臣にもお越しをいただいております。
先ほど、いわゆる官民連携協議会、こちらの方にも文科省さんにも御参加いただいて、これから交通安全教育をしっかり強化していかれると思いますが、こちらの決意について、是非、副大臣、お願いします。
○あべ副大臣 阿部委員にお答えさせていただきます。
子供たちが交通安全上のルール、マナーを正しく理解して行動するとともに、危険を回避していくための能力を早い時期に身につけることができるよう、学校における交通安全教育の充実は大変重要だというふうに思っているところでございます。
文部科学省といたしましても、これまでも、各学校において交通安全教育が効果的に行われるよう、各学校における実践事例の普及を図ることと併せまして、教職員を対象とした指導者の養成のための研修会の支援、また、学校と警察が連携した交通安全教室の推進などの取組を進めてきたところでございます。
これからも、警察庁を中心といたしまして、交通安全教育のための官民による連携体制が更に強化をされまして、より効果的な交通安全教育の手法が開発されることになると認識しているところでございまして、文部科学省といたしましても、警察などの関係機関との連携を更に深めることを通じまして、交通安全教育のより一層の充実に努めてまいります。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
子供たちに交通安全教育を施していく、その現場というのは学校がメインとなります。ですので、子供たちの命を守るためにも、是非ともよろしくお願いします。
次に、自転車の走行スペースについてお伺いをしてまいりたいと思います。
二年前の小型原付、電動キックボードの道交法改正の審議の際にも質問をさせていただいたんですけれども、自転車、電動キックボード専用のスペースの整備、こちらが事故防止の上でも重要だと思います。先ほどもほかの委員から指摘がありましたけれども、現在の自転車専用レーン、スペースの整備状況の進捗について、国交省政府参考人、お伺いしたいと思います。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
自転車通行空間につきましては、自動車の速度や交通量を踏まえて、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根型路面表示による車道混在型といった形態により整備を進めておりまして、平成二十八年度末に千二百四十七キロメートルであった整備延長は、令和二年度末には三千五百九十九キロメートル、令和四年度末には五千九百十七キロメートルと、着実に増加しているところでございます。
また、今後、自転車通行空間の整備を一層推進していくためには、まずは、市区町村が自転車ネットワークを含む自転車活用推進計画を策定していくことが重要であると考えておりまして、令和五年度末時点では百九十二市区町村であった計画の策定数を、令和七年度末には四百市区町村に増加させることを目標としております。
今後とも、市区町村に対してこうした自転車活用推進計画の策定を働きかけるとともに、防災・安全交付金による支援等を行いながら、自転車通行空間の整備を促進してまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
順調に進捗をしているようで何よりだと思います。なんですけれども、私も自転車に乗っておりまして、自転車専用のスペースを走っていますと、すごく狭いところとかがあるんですよね。結構危険な場所もあるので、そういったところも是非御留意をいただきたいと思います。
次に、交通事故防止のためのデータ活用についてお伺いをしてまいりたいと思います。
警察庁が、都道府県別の交通事故情報を一元化してオープンデータ化していると聞いております。二〇二二年に、小林伸行横須賀市議会議員という方がいらっしゃいまして、この方は、この元データを活用して交通事故多発地帯をウェブ上で調べられるツールを提供しまして、マニフェスト大賞というものが開催されておるんですが、こちらでグッドアイデア賞というものを受賞されています。
警察庁におきましても、全国の警察署そして関係者間でこのようなデータを活用できるよう、BIツール、こちらの構築そして提供をしっかり進めていくべきだと思いますけれども、警察庁政府参考人、いかがでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
警察庁におきましても、交通事故情報のオープンデータを基に、緯度、経度情報を利用いたしまして事故発生地点を地図上に表示する交通事故多発地点解析ツールといったものを開発をいたしまして、令和四年六月に都道府県警察に配付をしているところでございます。
このツールを活用いたしまして、警察署におきましても、交通事故多発地点の分析とこれに基づく安全対策に活用しているものと承知をしております。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
ツールの方を警察署では展開をされているということでしたけれども、こちら、いわゆる自治体の関係者ですとか、また一般の国民が活用できるような形でツール提供をお願いできないでしょうか。もう一度お願いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
開発いたしました解析ツールというものが、どういう状況で開発したのか、ちょっと確認する必要がありますが、御指摘も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
先ほど御紹介した小林議員なんですけれども、十五万円の研修を受けただけで、ほぼ無料で先ほど申し上げたBIツールを作成したと聞いております。
今、既存の警察で使っているBIツールの提供もそうなんですけれども、いろいろな交通情報のデータというのがあると思うので、デジタル人材の育成ですとか研修というものも充実させて安価に作っていく、こうした取組を進めていったら非常によいのではないかなと思いますので、是非御検討をお願いします。
あと、一般的なデジタルの活用というような話になりますが、今、皆さん御案内のとおり、センサーで取得したような情報をAIで解析をして自動車を制御するような安全運転技術ですとか、危険が迫ると歩行者にスマホで通知するような技術というものも非常に進んできていると聞いております。
また、国交省が、交通ビッグデータを活用して、これを提供して、自治体側の方でそのデータを活用して、通学路の危険地帯を特定して、そこにハンプという、いわゆる道路の、車が走行するときにちょっとスピードを落とすようなものがありますけれども、これを設置するですとか、住民の合意形成に利用するような事例、これはさいたま市で行われたそうなんですけれども、こうしたデジタル技術ですとかデータの活用を更に加速させていく必要があると思います。
是非、交通事故が起こらない社会実現のために、国交省などとも連携して頑張っていただきたいと思いますし、また、ここにおられる議員各位の皆様とも協力して後押しをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、電動キックボード関連の質問に参りたいと思います。
二年前、内閣委員の皆様と電動キックボードの試乗会を行ったことを覚えていらっしゃいますでしょうか。こちらで私、試乗した様子を動画で撮りまして、いわゆるツイッター、Xに投稿しましたところ、こちらが大炎上しまして、今もくすぶり続けておるんですけれども、一千万インプレッション以上行っているんですよね。どんな声が上がっているかというと、こんな危険な乗り物を規制緩和してどういうことだ、国会議員は、こんな、何もない、車も走っていない、標識もないところで走って、何にも分かっていない、こんなお声をいただいたわけです。
新しいことに挑戦していくことは非常に大事で、我々維新も改革政党でありますので、どんどんチャレンジしていくことは大事なんですけれども、安全第一であります。
なので、その観点で現況をお伺いしてまいりたいんですけれども、令和五年の七月一日から電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されましたけれども、法施行後の事故、違反、取締りなどに関する現状及び警察庁の評価をお伺いをしたいと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
特定小型原動機付自転車、これに関連いたします交通事故は、昨年の七月から本年一月末までの七か月間で百一件発生しております。月別の交通事故の発生件数はほぼ横ばいで推移している状況でございます。死亡事故は発生しておりません。また、同期間中、特定小型原動機付自転車の交通違反の検挙件数は計九千四十八件でありました。検挙された交通違反の約半数に歩道通行などの通行区分違反が見られ、次いで信号無視が約四割を占め、基本的な交通ルールの周知徹底を図っていくことが特に重要であると考えております。
道路交通法では、特定小型原動機付自転車の販売事業者あるいはシェアリング事業者は、購入者や利用者に対し交通安全教育を行うこととされておりまして、これが十分に行われるよう、警察としても働きかけを続けてまいりたいと考えております。
また、警察におきましても、引き続き、特定小型原動機付自転車の交通ルールの周知啓発を強化するとともに、悪質、危険な違反行為に重点を置いた取締りを推進していく、これが重要であると考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
違反が多い、ただ、幸いにもまだ死亡者は出ていないということで、こちらは安心をいたしました。
一方、海外に目を向けてみますと、フランス、デンマーク、フィンランドなどヨーロッパ諸国では、電動キックボードの利用を規制する動きが出てきております。こちらは、逆に規制緩和をした立場から海外諸国の動きをどのように評価されているのか、警察庁、お伺いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
海外における全ての動向を把握しているわけではございませんが、御指摘のとおり、いわゆる電動キックボードにつきまして、運転可能年齢の引上げ、あるいは駐車規制などの制度の見直し、こういうことを行っている国、地域があるものと承知をしております。これらの国、地域におきましては、それぞれの地域におきます交通事故情勢や利用者のルールの遵守状況を背景として制度の見直しがなされたものと承知をしております。
○阿部(司)委員 海外の動向は確認をしている、ただ、我が国としては、先ほど触れていただいたように、しっかり、事故の状況を踏まえながら、取締り強化、あとは教育の方を強化していく、こういう方針であることを理解いたしました。
自転車はヘルメットの着用が努力義務化されましたけれども、電動キックボード、いわゆる特定小型原動機付自転車のヘルメット着用は義務化されておりませんが、こちらの理由について、警察庁、お伺いしたいと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
特定小型原動機付自転車、これは、その大きさ、性能上の最高速度といったことが自転車と同程度であることから、乗車用ヘルメットの着用につきましても自転車と同様に取り扱うこととしております。昨年四月以降、全ての自転車乗用者に対しまして乗車用ヘルメットの着用の努力義務ということが道路交通法で規定をされておりまして、昨年七月から施行されました特定小型原動機付自転車につきましても、全ての運転者に対して乗車用ヘルメットの着用の努力義務を課しているということになっております。
一方で、その着用を、いわゆる罰則があります義務化をするかどうかということにつきましては、交通事故の発生状況等を踏まえながら検討する必要がございまして、まずは自転車の努力義務として着用する、こういったことの促進を図ってまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 まずは努力義務の範囲でしっかり促進していくといったことで承知をいたしました。
電動キックボードは賛否両論あるんですけれども、いろいろなメリットもあると思うんですね。
こちらは国交省さんの方にお伺いをしてまいりたいんですけれども、電動キックボードは二〇一九年時点で、これは経産省さんからデータをいただいたんですが、一万八千台から二万台ほど出回っているであろうと。昨今も、私、地元の北区ですとか板橋区でも以前はなかったレンタルのポートを見かけるようになりまして、徐々に普及をしてきているのかなと感じております。
その中で、電動キックボードの普及で地域交通にどのような効果が期待されるのか、改めて、現時点のお考えについて、国交省政府参考人、お伺いいたします。
○舟本政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、ICTやAIといった新技術を最大限活用して、公共交通やそれ以外の移動サービスを組み合わせて一つのサービスとして提供するMaaSを推進しているところでございます。
電動キックボードにつきましては、昨年七月に施行されました道路交通法の一部改正法によりまして新たに特定小型原動機付自転車の車両区分が設けられたと承知しておりますけれども、そういった電動キックボードを含めましたマイクロモビリティーにつきましては、地域内の交通の一部を担うものといたしまして、駅やバス停等からの短距離の移動手段として活用が期待できるものでございます。
こういうものといたしまして、私どもとしましては、先ほど申し上げましたMaaSとして、他の様々な移動サービスと組み合わせることによりまして、全体として国民の移動環境の充実に寄与するものと考えておるところでございます。
国土交通省におきましては、今申しましたMaaSを構成する移動手段を充実するという観点から、令和三年度から、電動キックボード等のマイクロモビリティーや自転車に係るシェアリングサービスの導入支援を行っているところでございます。
引き続き、関係省庁とも連携をしながら、MaaSの普及を促進し、移動しやすい環境を整備してまいりたいと考えておるところでございます。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
国民にとっても、移動手段の充実という観点で非常に有意義なものであるという趣旨の御答弁だったかと思います。
最後に、大臣にお伺いしたいと思いますが、電動キックボードは非常に便利なものでありますけれども、そもそも安全第一であります。その観点から、電動キックボード関連の交通事故を防止するために特にどのような取組に力を入れていくのか、そして取組にかける意気込みを是非いただければと思います。
○松村国務大臣 まず、御指摘の電動キックボードにつきましては、一般原動機付自転車などとして、従来どおり、歩道は通行できず、運転免許を受けなければ運転ができないもの、これと、先般の改正道路交通法によりまして、特定小型原動機付自転車として、自転車と同様の交通ルールが適用され、運転免許を要さずに運転することができるもの、この二つの類型が存在しております。委員は御存じのことだと思いますが、私も、実際どれがどれかというのが最初は分かりませんでしたので、こういった分類があるんだということを改めて認識をしたところでございます。
このうち、特定小型原動機付自転車に関する道路交通法の改正は昨年七月から施行されたところでございますので、運転者が交通ルールを理解をして遵守するよう、まずは関係事業者による交通安全教育の取組を強化してまいりたいと考えておりますし、加えて、警察におきまして交通違反に対する指導取締りを強化し、交通ルールの周知と定着を図ることが重要であると思っております。
また、一般原動機付自転車などに分類される電動キックボードの交通違反に対する取締りの強化につきましても、交通事故の防止のために重要であると認識しておりますので、いずれにしても、今後とも、いわゆる電動キックボードに関する交通事故情勢、これをまず的確に状況を把握し、その上で分析をし、状況に応じた適切な対応ができるように検討してまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 是非よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
道路交通法改正案について質問をいたします。
この間、自転車関連事故は増加傾向にあるということで、全交通事故に占める割合も増加をし、二〇二二年では二三・三%に高まっています。ただ、二〇〇四年以降減少傾向にあったものが、二〇二〇年の六万七千六百七十三件を境に増加に転じ、二〇二三年は七万二千三百三十九件へと増えております。三年間で四千六百六十六件増加をしているんですが、この間、増加をしている理由は何なのかについて御説明をいただきたい。
○早川政府参考人 お答えいたします。
全国における、令和二年、二〇二〇年でありますが、これと令和五年、二〇二三年の自転車関連事故の発生状況を比較いたしますと、自転車単独の事故の増加が目立っているほか、通勤や通学、貨物の際の事故が比較的増加をしている状況にございます。
このように自転車関連事故が増加しているのは、平成二十八年、二〇一六年になりますが、自転車活用推進法の制定以降、自転車活用推進に向けた取組が進められていることや、国民のライフスタイルや交通活動の変化により、自転車利用のニーズが高まっている、こういったことが要因として挙げられるものと考えております。
○塩川委員 自転車単独の話とか、通勤通学の話とかありましたけれども、それだけだと理由もよく分からないわけで、ニーズが高まっているというんですが、自転車の台数そのものは減ってきているんですよね、全体としては。ですから、そういった点でもちょっと理由がよく分からないというのが現状であります。
こういった増加をしている自転車関連事故でも、東京都の増加が顕著で、この同じ三年間で、全国が四千六百六十六件の増加なんですが、東京都が四千百十七件ということで、全国の事故増加の大宗が東京都となっておりますが、これはなぜなんでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、令和五年中の全国における自転車関連事故は令和二年と比べまして四千六百六十六件増加をしているところ、そのうち、御指摘のとおり、四千百十七件が東京都内における増加となっております。
東京における令和二年と令和五年の自転車関連事故の発生状況を東京以外の地域と比較いたしますと、東京では単独での事故あるいは貨物の際の事故が大きく増加している、これに対しまして、東京以外の地域では減少している、こういう特徴が見られるところでございます。
○塩川委員 東京都における交通事故について、そもそも、全交通事故に占める自転車関連事故の割合というのは東京は高いと思うんですけれども、五割ぐらいと承知しているんですけれども、ちょっとその数字を教えていただきたいのと、さっき、単独と貨物が多いと言うんですけれども、何でそういうのが多くなってきているのかという理由について、もう一歩踏み込んで教えてもらえませんか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
失礼いたしました。先ほど、私、貨物と申し上げましたが、買物の誤りでございました。(塩川委員「その前のところも」と呼ぶ)はい。訂正させていただきたいと思います。
それから、御質問のありました東京都における全交通事故に占める自転車関連事故の割合につきましては、過去三年間を見ますと、令和三年、二〇二一年は四三・六%、令和四年、二〇二二年は四六・〇%、令和五年、二〇二三年は四六・三%、こういう数字となっております。
それから、東京都における自転車関連事故の増加の背景につきましては、なかなか具体的な理由を申し上げることは、様々な理由が考えられますが、少し難しいことでありますけれども、その背景として、一つは、シェアリング自転車の普及、あるいは新型コロナウイルス感染症の影響による人々のライフスタイルや活動の変化、こういう変化も影響しているのではないかと考えているところでございます。
○塩川委員 是非、その辺の分析をしっかりやっていただきたいと思うんですよ。特に、東京で事故件数が非常に増加をしているといった背景に、そもそも自転車事故の割合が半分ということがあるでしょう。そういった際に、シェアリング自転車の普及ですとか、この点での東京都における自転車事故の分析が必要だということを申し上げておきます。
また、自転車台数全体は減少傾向にあるんですが、その中で増加をしているのが電動アシスト自転車であります。この電動アシスト自転車の販売台数の推移がどうなっているのか、経産省からお答えいただきたいんですが、二〇〇七年から五年刻みで二〇二二年まで、どのぐらいの台数でしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
電動アシスト自転車の販売台数の推移でございますけれども、経済産業省の生産動態統計の工場出荷台数ベースで見ますと、二〇〇一年以降増加傾向にありまして、二〇〇七年で見れば約二十五万台、二〇一二年では約三十九万台、二〇一七年には約六十二万台、二〇二二年には約七十九万台となっております。
○塩川委員 国内における出荷台数、それを販売台数ということでカウントしているということですけれども、電動アシスト自転車について、二〇〇七年以降五年刻みでいうと、二十五万、三十九万、六十二万、七十九万と大幅に増えております。電動アシスト自転車の国内年間販売台数は、この十五年間で三倍に拡大をしております。
その増加の理由は何なのか、分かりますか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
電動アシスト自転車が増加している理由としては、例えば、電動アシスト自転車が市場に登場してから三十年余りが経過いたしまして、消費者においてその利便性が認知され、浸透してきたこと、加えまして、電動アシスト自転車のバッテリーの性能向上など、自転車メーカーにおける製品開発の努力が進められてきたことなどが増加の背景にあると考えております。
○塩川委員 そうはいっても、値段が八万円とか十万円ぐらいとかの、かなり金額も大きいので、そういった点でのニーズがどういうふうになっているのかということについては、今の話からよく酌み取ることができませんでした。
経産省は、都市部では、子育て世代の利用だけでなく、シェアサイクル、宅配業務用など様々な電動アシスト車が見られるようになってきたとあります。そういったニーズもあるということで、子育て世代の利用だけじゃなくて、シェアサイクルや宅配業務用といった用途の広がりが背景にあるのではないかと考えられます。
次に、電動アシスト自転車の交通事故件数の推移について、この十年近くについて、二〇一四年以降、二〇一七、二〇二〇、二〇二三年で、その数字をお答えいただけますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
電動アシスト自転車が関連する交通事故件数でありますが、平成二十六年、二〇一四年は千三百十九件、平成二十九年、二〇一七年は千九百八十八件、令和二年、二〇二〇年は二千六百四十二件、昨年は五千七百十二件、こういう状況になっております。
○塩川委員 この十年近くで四倍以上に増加をしております。この三年間でも二倍以上に増えているわけであります。
ただし、子供を乗せた自転車事故が増えているわけじゃないんですね。電動アシスト車に限定した調査はないんですけれども、子供を乗せた自転車の事故件数は、二〇一四年が八百六十二件、二〇一七年が七百四十三件、二〇二〇年が四百九十四件、二〇二三年五百二十八件ということです。
では、何で増えているのかというところなんですが、電動アシスト自転車は、車両が重く、転倒がしやすい、低速だと不安定である一方、加速が強く、スピードが出やすい機能となっています。
こういった電動アシスト自転車の増加というのが自転車関連事故の増加にも影響を与えていないのかどうか、その点についてはどうでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
電動アシスト自転車を除く自転車が関連する交通事故件数、これは、令和五年中は六万六千九百七十二件発生しておりまして、令和二年と比べますと、千七百六十八件、二・七%の増加となっております。一方、電動アシスト自転車が関連する交通事故件数は、令和五年中と令和二年中を比較いたしますと、一一六・二%の増加となっております。
このように、電動アシスト自転車の関連事故の増加が一般の自転車の増加と比べまして顕著となっておりますが、その背景には、先ほど御指摘ありました、電動アシスト自転車の普及が一つはあるものと推測をしているところでございます。
○塩川委員 松村委員長にお尋ねします。
この間、自転車の事故が増えてきているといった点についての、やはり東京都で大きく増えているといったような特徴、あるいは電動アシスト車に関わるような、そういう点での事故の増加の特徴、こういうことを踏まえて、近年増加傾向にある自転車関連事故の詳細について是非とも分析をしていただきたいと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
○松村国務大臣 やはり、事故の分析、それから、それに対する対応というのは重要であろうと思っております。
警察におきましては、年間の交通事故統計が取りまとめられた時期や、春と秋の交通安全運動実施時期など、機会を捉えまして交通事故分析を行っているところでございます。
自転車が関連する事故についても、御指摘のとおり、近年増加傾向にございますし、分析の一例を申し上げると、自転車乗車中の死者については、約半分が頭部を損傷しているにもかかわらず、頭部を損傷した死者のヘルメットの着用率は僅か八%にとどまっていることや、自転車と歩行者の事故で歩行者が死亡したり重傷を負ったケースにつきましても、約四割が歩道において発生しておりまして、自転車の運転者は二十五歳未満、歩行者は六十五歳以上が半数を占める、こういったことが分析結果として出ているところでもあります。
今後も、こうした悲惨な事故を一件でも減らすため、御指摘のような情報収集、分析、対応、こういったものを考えまして、発生状況を多角的に分析をいたしまして、その結果を踏まえまして、指導取締りや交通安全教育、交通環境の整備を推進するように生かしてまいりたいと考えております。
○塩川委員 是非、しっかりとした詳細分析を踏まえた、効果的な対策に生かす、そういう取組を求めたいと思います。
同時に、自転車利用に関する規制の強化だけではなくて、劣悪な道路環境の抜本的な整備環境が必要であります。やはり、幹線道路では構造物で分離した自転車道の確保をすることや、生活道路では自動車の通行抑制また速度制限などを進めることが必要だと思います。
この点について、松村委員長と国交省から答弁を求めたいと思います。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
自転車通行空間の整備に当たりましては、自動車の速度や交通量を踏まえて、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根型路面表示による車道混在型といった形態により整備を進めております。
一方で、用地買収を行って自転車道や自転車専用通行帯を整備していくには時間がかかることから、限られた道路空間の中で、中央分離帯や車線などを縮小して自転車道や自転車専用通行帯の空間を生み出す、道路空間の再配分の考え方などを盛り込むべく、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインの改定作業を今警察庁とともに行っているところでありまして、引き続き、自転車通行空間の整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○松村国務大臣 今国交省からも御答弁ございましたが、自転車道路の整備については、警察におきましても自転車の通行空間の確保を推進をしているところでございます。
御指摘の、生活道路の安全対策につきましては、歩行者や自転車の安全を確保するため、こうした道路におきまして、車両速度を抑制したり通過交通の排除を図ったりすることが大変重要であると認識をいたしておりまして、現在、警察におきましては、そうした生活道路におきまして、区域を定めて時速三十キロメートルの最高速度規制を行うゾーン30や、速度規制と道路管理者が設置する物理的デバイスとを組み合わせましたゾーン30プラス、こういったものの整備を推進しているところでございます。
引き続き、関係機関としっかり連携を図りつつ、歩行者や自転車の安全の確保に努めるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 ゾーン30、ゾーン30プラスの話がありました。こういった形での自動車の交通抑制を含めて……
○星野委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。
○塩川委員 安全対策に万全を期すという取組を強化していくことを求めて、質問を終わります。
○星野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
本日は、十一分間、どうぞよろしくお願いいたします。
今、塩川委員の質疑の最後、自転車通行空間の整備について質問がありました。本日、様々な委員の皆様が同様な問題意識で質疑をされておりましたので、ちょっと質疑の順番を変えて、私もこの件から入りたいと思っております。
通勤者向け、あるいは地域生活の中でも、やはり、利便性を高めるための次世代モビリティーとして、今日も度々登場しております電動キックボードや電動アシスト自転車等の新しいモビリティーの導入を図る取組が今、全国の自治体で進められていると承知をしております。
自転車などが安全に走れる道路環境を準備することが求められていて、今日議論がありましたような矢羽根型の道路表示であったり、自転車専用レーンの整備というものが過年度進められてきているということでありました。
私の通告していた内容は、現状の取組状況についてまずは伺いたいということでしたが、これまでの質疑の中で、総延長距離が約五千五百キロ近くまで延びていることであったり、あるいは、今後計画する自治体の数も、令和七年度、八年度に向けて四百自治体まで増やしていくというような答弁も先ほどありましたので、ここについては承知をしたところです。
せっかくですので、もう少し具体的に伺いたいと思っているのですが、先ほどの塩川委員の質問に対する答弁でもありました、実際に、道路であればどこでも矢羽根型の道路表示を設けたり自転車専用レーンを設けたりすることができるわけではなく、先ほどの答弁を聞いておりますと、やはり、自転車利用空間を確保するための中央分離帯の再設計であるとか、道路の幅の確保のような準備作業が必要だということでした。
それは是非進めていただきたいと思うんですが、じゃ、計画を立てようとしている自治体側でそれを実現しようとしたときに、道路の施工であったり、あるいは道路の使途変更の手続のようなものも必要になるのか。これは通告を超えた内容になりますので参考人で結構ですけれども、自治体側でどのような準備、設置に向けた作業が必要なのかといったことについて答弁願えたらと思います。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
自転車通行空間の整備につきましては、これまでお答えをしてまいりました。そういった整備に当たりましては、物理的な整備ということにつきましては、防災・安全交付金によって支援をしておりますが、それ以外にも、いわゆる技術的な支援という形で、こちら、先ほども答弁ありましたけれども、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを作成しておりまして、そういった中で、いろいろな細かい、現場で、設計をしたりですとか、実務担当者はいろいろ御苦労があると思いますので、そういったことに応えられるような支援を行っているところでございます。
個別に具体的な使途変更とかどうかということにつきましては、詳細を間違って答弁するわけにはいきませんので、また詳しく調べました上で御回答をさせていただきたいと思います。
○浅野委員 ありがとうございました。
是非、自治体側でどのような手続が必要かということについては、後ほどで構いませんので教えていただきたいと思います。
では、一問目の質問に戻りたいと思います。
今回の道交法改正によりまして、百十二の反則行為が青切符の対象となるというふうに聞いております。これは、運転免許証を持っていない子供、未成年者も含めた自転車利用者も対象になりますので、十分な周知、教育を行う必要があると考えておりますが、どのような方法を取るのか伺いたいと思っています。
私の問題意識としては、やはり、高校生や会社員の通勤中、通学中の事故が多い、また、年齢別に見ても、十代が男女共に多く、女性に関してはどの年代も多いというようなデータがございます。学生や主婦、高齢者など、それぞれの人に効果的に伝えるという工夫が必要だと思うんですけれども、どうするのか伺います。
また、対象者が大変多くおりますので、周知まで相当の時間を要すると思いますが、先ほどもありました、いきなり取り締まって青切符というわけにはいかないと思うので、どういった考え方で取締りをこれからしていくのか、大臣の答弁を求めたいと思います。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
今回の改正におきまして、自転車を交通反則通告制度の対象とする趣旨につきましては、自転車の交通ルールの遵守を促しまして、交通事故防止を図ることにございます。
したがって、自転車利用者に対する交通ルールに関する安全教育あるいは広報啓発を充実することは重要なことだと認識をいたしておりまして、現在、警察庁におきましては、有識者検討会において提言されております効果的な交通安全教育の在り方について検討を進めているところでございます。これは、委員御指摘のように、ライフステージに応じた交通安全教育に係るガイドラインを策定するほか、効果的な広報啓発を行うこととしておりまして、これらの取組を通じまして安全教育の充実を図ってまいりたいと考えておりますし、やはり丁寧な広報啓発を行うようにしてまいりたいと考えております。
また、現在、交通違反に対する取締りは、自転車関連の事故の発生状況や地域住民の取締りに関する御要望、こういったものを踏まえまして、自転車指導啓発重点地区やその路線を中心にいたしまして、悪質性、危険性の高い違反行為について検挙措置を取っているものと承知をいたしております。
このような考え方の下で、今後、法改正の施行までに取締りの考え方を改めて整理をする必要がございますし、真に事故の抑止に資する取締りを行うことが極めて重要であると考えますし、取締りの考え方については、その内容を国民の皆様方に丁寧に説明するよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○浅野委員 是非、取締りによってルールを守らせる、いわゆるあめとむちのむちだけでなく、ルールを守ってしっかり自転車あるいは電動アシストつきの自転車等を利用すれば安全で快適に速く移動できるんだ、そういった利点もしっかりと市民の皆さんに伝えながら、安全な交通環境を実現していただきたいと思います。
続いて、通告三問目に入りたいと思います。
こちら、今日、最初、河西委員の方も取り上げておられましたが、現在販売されている電動アシスト自転車について、道路交通法施行規則では、搭乗者がペダルをこがないと走行しない構造であること、アシスト比率が、人の力と電気の力の差が最大で一対二の比率に収まっていること、あるいは、時速二十四キロまではアシストして、それを超えた速度になるとアシスト機能を停止することなどが定められているんですけれども、昨年、国民生活センターの調査によれば、売られている十種類の電動アシスト自転車と言われているもののうち九種類がこの規定から逸脱をしていた。つまり、時速二十四キロを超えてもアシスト機能が働くような製品だったということが分かりました。
そもそも、これは法令違反なのではないかと思うんです。やはり対策をすべきだと思っておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。
○松村国務大臣 いわゆるペダル付原動機付自転車については、実際には原動機付自転車であるにもかかわらず、電動アシスト自転車、フル電動自転車などと称して販売されている状況が見受けられます。
一般の自転車については、国家公安委員会の型式認定を受けておりますTSマークを表示することができるようにしておりまして、これにより、車両の購入者が道路交通法に適合する電動アシスト自転車に該当する車種を容易に判断できるようにしているところでございます。
また、本年四月から、警察庁のウェブサイトにおきまして、型式認定を受けた電動アシスト自転車の一覧を公表しておりまして、購入しようとする方の車両の選定に参考になるようにやっているところでございます。
一方で、ペダル付原動機付自転車は、自転車に該当せず、運転免許が必要であることが十分に周知されずに販売されている実情にございます。販売時に購入者に運転免許を要することなどの交通ルールを十分に理解させることが重要であると考えておりますので、このため、販売時における安全対策につきまして、現在、関係事業者及び関係省庁から構成させていただいておりますパーソナルモビリティ安全利用官民協議会、これにおきまして、警察庁も参加をいたしまして、検討が行われているところでございます。
実効性のある安全対策の実現に向けまして、関係者とともに検討を進めるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○浅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
道路交通法改正、松村大臣、よろしくお願いいたします。
電動キックボードについて御質問させていただきたいと思います。
二年前の審議にも私は臨みまして、せっかく法律の審議に臨んだ者として、私、買いました。それで、乗っています。そして、登録は地元北九州市で一番乗りでした。
ちなみに、乗っていると非常に、知名度もそこそこ上がってきているので、私が乗っていると、緒方が何か乗っているなというので、話題づくりにはいいと思いますので、これは公職選挙法上の車両に当たらないので、皆様も使われてはいかがでしょうかということなんですが。
これは、歩道が時速六キロ、そして公道は時速二十キロまで可能だということなんですが、歩道で走っていると、子供のキックボードに追い抜かれていきます。早歩きしている人にも抜いていかれます。もうはっきり言って、歩道でやっているとむなしくなるので、公道に出るんですよね。公道に出ないと、もうどう考えても、何かちんたらちんたら行っている感じにしかならないというのが、これが実態です。
ただ、公道に出ると、どうしても白線の外側で走行することを求められます。そうすると、路肩とアスファルトの間の僅かな数センチの段差のところとかにタイヤがはまりそうな危険性を感じます。電動キックボードは特にタイヤが小さいので、はまるときは簡単にこけそうな感じがするんですよね。さらには、雨なんか降ろうものなら絶対こける、そう思うんです、自分の経験として。
そして、もう一つ、ここは結構重要なんですけれども、廉価の、安い電動キックボードというのは、サスペンションが利かないんです。なので、衝撃がそのままがんと来るらしいです。私は、買うときに、安いやつにしようよと業者の方に言ったら、絶対やめてください、安いやつはサスペンションが利かないので危ないですということを言われました。
そして、更に経験者として語ると、最近、東京では繁華街でもこれを使っている方がおられて、東京の繁華街、それこそ赤坂の町とかで、二十キロで走ってくる電動キックボード、本当にこれは危ないです。私も、赤坂の町で、やってくる電動キックボードに冷やりが実際ありました。
今、いろいろな課題を申し上げましたが、先ほど政府参考人から、亡くなった方はいないということでありましたが、私は、むしろ亡くなった方がいない方が不思議なぐらい、いろいろなところにヒヤリ・ハット、そして危険性がたくさんあります。
一定程度時間がたったところで、それまでの経験をしっかりと踏まえて、そして、法制度の在り方をもう一度見直すことをすべきではないかと、ユーザーとして本当に心から思います。大臣の答弁を求めたいと思います。
○松村国務大臣 実体験に基づく御意見ということで、大変興味深く聞かせていただきましたが、この法につきましては、昨年施行されたばかりでございますので、いろいろな御質問もございました。
しっかりと状況を把握しながら、今のような御指摘を踏まえ、本当に、死亡事故であるとかいろいろな重傷な事故が起こることがないように検討してまいりたいと考えております。
○緒方委員 これは本当に、二年前の道交法改正のときも、先ほど阿部司議員の方からもありましたが、当時から、急速過ぎるのではないかという指摘が結構あったんですね。何で一っ飛びにこんなに解禁するんだろうと。その背景で何があったのかは、私には分かりません。規制改革の枠組みだったのか何なのか分からないですが。
これもユーザーとして言うと、例えば私の事務所からどこかに行くというときに、正直、ルートを自分で頭の中で想像して、危なくないところのルートで行こうというふうに思って、そしてその場所に行くようにしないと、最短距離で行こうものなら物すごく危ないからねというのを感じながらやっているというのが、これが実態です。どこでも通っていいというふうにはとても思えないです。それぐらいの危険性があるし、自分自身がそれを感じている。
なので、もう一回言いますけれども、近くの、例えばここで街頭活動するからそこまで電動キックボードで行こうというときに、ちょっとこの道は避けよう、遠回りして行こう、あそこはちょっと、道路が狭いもんねと。道路が狭いところで乗る気にならないんです。
なので、そういったことも踏まえて、将来的に、今じゃなくて結構です、けれども、ある程度時がたったタイミングで、それまでの経験を踏まえて、必ず法改正してくれと言うつもりもないですけれども、そういう在り方を含めて検討するということをお約束いただければと思います。大臣。
○松村国務大臣 先ほども申し上げましたが、施行後すぐでもございますし、しっかりと状況を見ながら、大変な事故につながるような状況があるのかないのか、それも踏まえまして、やはり注視しながら分析、検討してまいりたいと考えております。
○緒方委員 なかなかそれ以上言っていただけないと思うんですが、これは本当に、先ほど言ったように、大事故とか人が亡くなっていないということがもう本当に不思議なぐらいであります、実際のところ。特に雨のときとかは、もう本当に危ないんだろうなという感じがいたします。
それでは、質問を移したいと思います。
次に、飲酒運転についてであります。
一般質疑でも一度警察庁の方にお話しさせていただきましたが、交通事故の被害者の方々とお話をしていると、どうしてもアルコールの検知をする検知管に対する、その精度に対する信頼性の疑義が拭えていないんですね。寒い場所では正確な数値が出ないとか、あと、実際の管の境界が読み取りにくいとか、そういう問題があります。本当にこれは信頼性が足るものだというふうに思われますでしょうか。警察庁。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘は、北川式飲酒検知器、これのことを指しているものと思いますけれども、確かに、低温時にはなかなか測定が難しい場合があるということもございまして、低温時には、正確な測定を行うため、パトカーの車内などで測定を行う、こういう留意をしているところであります。それから、検知器の、実際に検知した場合の検知管の読み方ですけれども、これも実際の、こういう形で読むということを教養をしておりまして、御懸念は当たらないと考えております。
○緒方委員 ちょっと参考までにお伺いしたいんですが、この北川式検知管の指示値は、被験者の不利にならないよう真のアルコール濃度よりも二割ぐらいは低くなるように設定されているというふうに聞いておりますが、それはそのような理解でよろしゅうございますでしょうか。局長。
○早川政府参考人 お答えいたします。
その二割という具体的な数値に関しては承知をしておりませんが、この北川式飲酒検知器というものは、これまで長年使用してきたものでありまして、飲酒検知の際に使ってきた飲酒検知器でありまして、その信頼性はあるものと考えております。
○緒方委員 実際のところ、すごく検知管の、数値が曖昧だとか、そういった話があって、できるだけ複数の手法を使うように推奨してはどうかと思うんですね。特に、本人同意が得られるのであれば、採血とか、そういうことについても制度として取り入れることを考えてはどうかと思うんですけれども、局長、いかがでしょう。
○早川政府参考人 お答えいたします。
まず、例えば交通事故が発生した場合の警察の対応でありますが、その際には、警察官が現場に臨場いたしまして、飲酒運転の疑いがあるとき、こういうときには、できるだけ早期に現場においてその検査を実施するということとしております。北川式飲酒検知器は比較的安価でありまして、持ち運びも容易であるため、多くのパトカー等に配備をされているという現状にあります。
それから、警察におきましては、より低温での使用が可能な機械式の呼気中のアルコール測定器、こういったものを導入しておりまして、これら測定器につきましても、交通部門の事故処理車等に配備をしているという状況であります。
それから、御指摘の血中アルコール濃度の測定ということであると思いますが、これに関しましては、基本、裁判官が発付する鑑定処分許可状等の令状を得て、医師により血液を採取する必要があるという状況になっておりまして、これを使う場合というのは、飲酒検知を拒否した場合や交通事故の当事者が重傷で応じられない場合などに用いているところでございます。
交通事故発生時の飲酒検知に当たりましては、申し上げましたとおり、現場においてできるだけ早期に行うことが重要であると考えておりまして、申し上げました複数の検知手法を状況に応じ効果的に用いてまいりたい、そのように考えているところでございます。
○緒方委員 終わります。
○星野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
道交法改正について。
今回の改正案では、最近誰もが見かけたことがある、自転車で、スマホのながら見をしている自転車に乗る人、そういった方とぶつかって、歩行者が亡くなってしまうという事故も起きています。自転車は、道路上で、交通上、歩行者に対しては相対的に強者ですので、これを何らか取り締まっていこうというのが今回の改正点と。自転車のスマートフォンのながら見運転、これを赤切符と呼ばれる刑罰対象に今回追加しつつ、刑罰の手前のペナルティー、青切符、反則金を払う反則行為にも追加するというものです。
同時に、ほかにも、元々自転車の運転に適用されてきた赤切符の刑罰、例が百十種類ぐらいあるという、信号無視とか、そういうものに関しても、その手前の青切符というペナルティーを作って、取締りのハードルを下げて、取締りを逆に強化しようという改正でもあります。
こういった、歩行者、相対的に交通の弱者である歩行者を守るための法規制には、本日、委員の指摘で、ちょっと分析が足りないんじゃないか、その対策効果の具体的見積りがないんじゃないか、そういった指摘もあって、課題はあるとしても、ある程度の合理性があると考えています。
しかし、非常に残念なのは、この法案は、国民に、法律を守りや、ルールを守りやというものなんですけれども、法を守らない、裏金をつくった自民党は、政権与党としてこの法案を成立させるということは、これは現場の警察官にとっても迷惑極まりないことです。
この法律が成立し、現場でこうなるわけですよね。現場で……(発言する者あり)大西さんって前の委員長ですよね。何で何回も何回もやじを言って。委員長の面汚しじゃないんですか。
○星野委員長 質問を続けてください。場内静かにしてください。(発言する者あり)
○大石委員 杉田水脈さんですよね。杉田水脈さん、裏金議員じゃないですか。何でやじっているんですか。国民の信頼が低下しているということを言っているんです。
○星野委員長 質問をしてください。続けてください。
○大石委員 現場で何が起きるかということを言っているんです。この法案が成立して、信号無視や、危ない運転者だ、だから青切符や、反則金やでと警察官が言っていることに対して、現場で、国民が、何でやねん、何で裏金議員はおとがめなしなんや、何でわしらだけペナルティー、反則金払わなあかんのやとなるということなんです。だから、自民党はさっさと解党してください。
大臣に伺いますが、本日、委員の質問でも、なぜこの法案はこのタイミング、このタイミングで法案を通すのはなぜですかという、法案が出たのはなぜですかと質問があって、大臣は直接それは答えておられないんですけれども、なぜこの裏金問題が解決していない中で、このタイミングで、国民にルールを守りや、もっと守りやという法案を通すということに対して気まずさを感じておられますか。質問です。
○松村国務大臣 通告のない御質問でございましたので。
私どもは、本日の審議の中で申し上げていますとおり、交通事故は減少傾向にございます。しかしながら、残念なことに、自転車や歩行者、こうした事故は増える状況にございます。したがいまして、国民の命を守る、また治安を守る、こうした意味で、しっかりとした分析を行った上で、こうしたものへの対応をやっていく必要がある。したがいまして、こういう法案を提出させていただいたところでございます。
○大石委員 法案の必要性は分かるんですけれども、気まずさぐらいは感じていただきたいんです。本日も自民党の方で、共同親権の法案も本日通ろうとしているんですけれども、こういったことも厚かましいにもほどがあります。
さて、この法案、改正法案について、警察庁政府参考人に伺います。
今回、青切符が拡大される運転、自転車を想定している運転ですけれども、これは車椅子、電動車椅子は含まれないと警察庁担当部署から伺っています。そもそも車椅子、電動車椅子は歩行者扱いであり、運転に当たらないと認識しておりますが、それでよろしいですね。
○早川政府参考人 お答えいたします。
車椅子や車体の大きさなどの基準を満たす電動車椅子を通行させている者、こういった方は道路交通法上、歩行者となりまして、これら車椅子などを通行させることは運転には当たらないということとなっております。
○大石委員 時間が来たので終わります。
○星野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○星野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、道路交通法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○星野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○星野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、冨樫博之君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。太栄志君。
○太委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 自転車への交通反則通告制度の適用に当たっては、通勤通学時間帯など自転車関連事故の発生が多い時間帯において、悪質性や危険性の高い違反行為に対し重点的に指導取締りを行うなど、真に事故抑止に資する対策を進めるとともに、恣意的な適用がなされているとの疑念を抱かれないよう、反則行為及びその適用基準を明確化し、十分な周知を行うこと。
二 自転車の交通安全教育について、官民連携の強化を図るとともに民間事業者による自転車交通安全教育の質の向上に向けた施策を着実に実施し、ライフステージに応じた交通安全教育の充実を図ること。
三 自転車専用通行帯や自転車道の整備を計画的に進め、自転車の通行空間の確保に努めること。また、道路脇の樹木の剪(せん)定や路上駐車の取締りの徹底など、自転車が道路の左側端を安全で快適に走行できる環境を整備すること。
四 AIやセンサー等の最先端技術を活用した安全運転技術の開発を支援し交通安全対策の更なる推進を図ること。
五 デジタル技術を活用し、EBPMに必要なデータ収集や調査を行い、より安全性の高い交通政策を推進すること。
六 狭隘(あい)道路において車両と自転車との間に十分な間隔を確保できない場合についても、自転車の安全が確保できるよう必要な対策を検討すること。
七 近年増加傾向にある自転車関連事故について、詳細な要因分析を行い、今後の対策に生かすこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○星野委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松村国家公安委員会委員長。
○松村国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○星野委員長 次に、内閣提出、自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○星野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○星野委員長 次回は、来る十七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会