第13号 令和6年5月8日(水曜日)
令和六年五月八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 星野 剛士君
理事 上野賢一郎君 理事 高木 啓君
理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君
理事 太 栄志君 理事 森山 浩行君
理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君
青山 周平君 井野 俊郎君
井原 巧君 泉田 裕彦君
大西 英男君 大野敬太郎君
神田 潤一君 小森 卓郎君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
土田 慎君 葉梨 康弘君
鳩山 二郎君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
簗 和生君 山本ともひろ君
逢坂 誠二君 中谷 一馬君
本庄 知史君 山岸 一生君
山崎 誠君 阿部 司君
金村 龍那君 住吉 寛紀君
河西 宏一君 吉田久美子君
塩川 鉄也君 浅野 哲君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(新しい資本主義担当)
(感染症危機管理担当)
(全世代型社会保障改革担当)
(経済財政政策担当) 新藤 義孝君
国務大臣 自見はなこ君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
内閣府副大臣 滝沢 求君
文部科学副大臣 今枝宗一郎君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
内閣府大臣政務官 古賀友一郎君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
内閣府大臣政務官 土田 慎君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 八幡 道典君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 平野 雄介君
政府参考人
(内閣官房健康・医療戦略室次長) 中石 斉孝君
政府参考人
(内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官) 江浪 武志君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 坂本 里和君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 福田 毅君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 笠尾 卓朗君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 森下 泰君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 幸宏君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 渡邊 国佳君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 野崎 英司君
政府参考人
(消費者庁審議官) 植田 広信君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長) 熊木 正人君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 伊藤 学司君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官) 山下 恭徳君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 斎須 朋之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 武藤 憲真君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(環境省大臣官房環境保健部長) 神ノ田昌博君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 児嶋 洋平君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
宮澤 博行君 葉梨 康弘君
五月八日
辞任 補欠選任
青山 周平君 井原 巧君
同日
辞任 補欠選任
井原 巧君 青山 周平君
―――――――――――――
五月七日
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)
公益信託に関する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)
四月二十六日
アイヌ政策見直しに関する請願(神津たけし君紹介)(第一二三八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)
公益信託に関する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○星野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官八幡道典君外二十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本庄知史君。
○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
今日は、官房長官、早朝からありがとうございます。
今日は、ギャンブル等依存症対策、そして安全保障、危機管理を中心に伺っていきたいと思いますが、本題に入る前に、まず、五月三日に発表されました報道の自由度ランキングについて、官房長官に伺いたいと思います。
国際ジャーナリスト組織の国境なき記者団、二〇二四年の報道の自由度ランキングということで、日本は、G7、先進七か国最下位、七十位ということで、昨年から更に二つ順位を下げています。旧民主党政権では、鳩山政権時の二〇一〇年に十一位、総じて世界上位に位置していましたが、二〇一二年、安倍政権以降、大きくこの順位は低下をしていて、岸田政権でもそれは変わっておりません。
この国境なき記者団は、例えば、日本では報道の自由が一般的に尊重されているものの、政治的圧力や男女不平等などで、記者が監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げられていると指摘しています。あるいは、記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらへの差別につながっている、こういう批判もしているわけです。
そこで、岸田内閣のスポークスマンであり、政府広報の責任者である官房長官にお伺いをしたいと思いますが、我が国の報道の自由度がこれほどまでに低い評価を受けているのはなぜだというふうにお考えになりますでしょうか。また、これを改善させるために今後どのような取組をしていくべきだとお考えでしょうか。御答弁をお願いします。
○林国務大臣 今、本庄委員から御指摘がございました報道の自由度ランキングでございますが、これは民間機関である国際NGOが公表しておりまして、具体的な評価手法の詳細まで承知していないため、コメントは差し控えたいと思います。
いずれにいたしましても、この報道の自由を始め、表現の自由、これは、憲法第二十一条で保障された基本的人権の一つでありまして、それとともに、民主主義を担保するものでありまして、これを最大限尊重することは当然のことだ、そういう認識をしております。
政府においても、例えば、政府からの情報発信について、様々な機会を捉えて丁寧に分かりやすく行うよう努めるなど、適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○本庄委員 今のような木鼻答弁を繰り返されているので、こういう七十位という評価につながっているんじゃないかと思いますが、政治的圧力、男女不平等、あるいは記者クラブの制度の問題、こういった具体的な指摘もなされています。
そして、十年来七十位前後という非常に低迷した評価となっているということを、私はもう少し真摯に捉えていただきたいというふうに思います。民主主義国家として、まさに長官おっしゃったように、この報道の自由、最も基本的な価値だというふうに思いますので、是非前向きな取組をお願いをしたいというふうに思います。
さて、その上で、ギャンブル等依存症対策の問題に入りたいと思います。
来週、五月の十四日から、ギャンブル等依存症問題啓発週間が始まります。これは毎年五月十四日から一週間ということで決まっておりますが、今年は、大リーグのドジャースの大谷翔平選手の元通訳水原一平氏による二十四億円超の詐取あるいはスポーツ賭博、こういった事件もありまして、改めてこの問題が注目をされているわけですが、本日は、政府のギャンブル等依存症対策本部長である官房長官を中心に質問させていただきます。
まず、最近の傾向ということで政府の認識を伺いたいと思いますが、公益社団法人のギャンブル依存症問題を考える会の調査によると、ギャンブル等依存症の最近の傾向は、若年化、それからオンラインカジノの蔓延、そして、これらはコロナ禍の影響が大きい、こういった三点を指摘していますが、政府の認識を伺いたいと思います。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
ギャンブル依存症問題を考える会が、委員御指摘のような内容を含む資料を公表されたことについては承知をしております。
政府におきましては、ギャンブル等依存症対策基本法第二十三条におきまして、政府は、三年ごとに、ギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするため必要な調査を行うものとされておりまして、厚生労働省におきまして、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査を実施しているところでございます。
第一回の調査は令和二年度に実施をされておりまして、令和三年八月に調査結果が公表されているところですが、令和五年度に実施された第二回調査につきましては、現在集計を行っているというところでございます。
政府といたしましては、これらの調査の結果に基づきまして、ギャンブル等依存症が疑われる方の実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○本庄委員 これは現在進行形の問題だと思います。特に、若年者については対策が急がれると思うんですね。調査ももちろん大事なんですが、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
その上で、若者のギャンブル等依存症対策という意味では、学校における予防教育、普及啓発が極めて重要だというふうに思います。
そこで、文部科学省に伺いますが、例えば全国の高校や大学で、予防教育、普及啓発を実施している学校というのがどのくらいあるんでしょうか。実施の回数、あるいは実施の時間など、取組の実績を定量的に御説明をいただきたいと思います。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
ギャンブル等依存症につきましては、学習指導要領等に基づきまして、高等学校の保健において、精神疾患の予防と回復について学習する際に、ギャンブル等は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことなどを指導することとしておりまして、全ての教科書において関連する記述がなされているところでございます。
具体的な授業時数等については、学校において、生徒の実態を踏まえて配分されるものでございまして、その詳細については把握をしてございませんけれども、学校におきましては、学習指導要領に従いまして教育課程を編成するということとされておりまして、高等学校の保健は全ての生徒に履修させる必履修科目とされておりますことから、全ての高等学校において、ギャンブル等依存症に関する指導が行われているというふうに考えてございます。
また、大学につきましては、大学設置基準に基づきまして、教育課程の内容については、各大学が主体的に決定し編成するものではございますけれども、文部科学省といたしましては、各大学に対しまして、ギャンブル等依存症に関する啓発等について周知を図っておりまして、大学等において、学生に対するガイダンス等での啓発、注意喚起が行われてございます。
令和五年一月に公表された調査によりますと、ギャンブル等依存症について啓発、情報提供を行っている大学の割合は四三・七%というふうになってございまして、引き続き、大学における普及啓発の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
○本庄委員 必修科目になって学習指導要領にもあるというものの、実態は把握していないというのが今の文科省の答弁ですね、高校について。それから、大学については四三%ということで、半分もやっていないということなんです。これは、若者対策という意味では学校現場での取組が重要ですが、余りにも私はそこが甘いというふうに思います。
その象徴が予算なんですけれども、文部科学省の依存症予防教育推進事業、これは、今年度六百四十四万円ですよ。ちょっとしたサラリーマンの年収ぐらいですよ。これで本当に全国の依存症予防教育推進事業、予算を賄えていると私には到底思えません。しかも、この依存症六百四十四万円というのは、アルコールや薬物も含めての予算です。冗談かと私は最初思いましたが、これが実情です。
私は、今の文科省の現状把握の姿勢も含め、あるいは予算も含め、もっと対応を強化すべきだというふうに思いますが、官房長官、いかがお考えでしょうか。
○林国務大臣 青少年や若い世代にギャンブル等依存症問題への関心と理解、これを深めていただくということは、依存症対策を効果的に進めていく上で大変重要だと考えております。
この依存症予防教育推進事業ですが、保護者や地域住民等に向けた啓発講座を全国各地で行っているものと承知しております。
また、先ほど文科省から答弁がありましたけれども、この予算における事業とは別に、先ほどお話があったように、高等学校の保健で、精神疾患の一つとしてギャンブル等依存症も含めた依存症について取り上げることにしておるほか、大学生等についても、関係省庁と連携して、毎年の啓発週間、先ほど委員からも御紹介いただきました、五月十四日から二十日ということで、啓発用の資料の周知を行っております。
文部科学省において、引き続き、青少年や若い世代への啓発にしっかり取り組んでいくもの、こういうふうに考えております。
○本庄委員 それがしっかり取り組まれているかどうか非常に疑問があるので、私はお伺いしているんですね。
例えば、保健の授業でやっていますとおっしゃいますが、毎年やっているんですかね。三年間で一回やっても、やったといえばやったになりますよね。必修といったって、それは頻度、回数、時間、様々あるわけで、最低限、文科省、実態把握に努めるべきじゃないですか。文科省、いかがですか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
各学校の教育課程の編成につきましては、学習指導要領を踏まえまして、一義的には、教育課程の編成主体であります各学校、そして、各学校を管理する設置者において適切に判断いただくものでございまして、その詳細について国として調査を行うということは考えてございませんけれども、生徒がギャンブル等依存症に関する理解を深めるということは大変重要であると考えてございます。
文部科学省といたしましては、教師向けの指導参考資料でございますとか、生徒向けの啓発資料の周知、そして、都道府県教育委員会等の学校保健の担当者が集まる会議において指導の充実を求めるといったことを通じまして、今後ともギャンブル等依存症の予防に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○本庄委員 文科省はやる気がないということが今の答弁からも分かりますね。ほぼ見ているだけということなんですが、対策本部長として、是非、官房長官、もう少しリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
もう一つの傾向であるオンラインカジノについてもお伺いしていきたいと思います。
まず、そもそも論ですけれども、オンラインカジノあるいはスポーツ賭博は、たとえ海外の事業者が運営しているサイトであったり、あるいは海外のサーバーに置かれているサイトであっても、日本国内でスマホやパソコンを使ってプレーした場合は刑法の賭博罪あるいは常習賭博罪に当たると。これは国会でも何度も答弁をされていますが、案外知られていない事実で、実際、インターネットで検索すると、堂々と、これは合法ですとか出てくるんですね。
でも、これは運営しているどこかの外国において合法ですという意味であって、日本では決して合法じゃないということで、若年者は、実はそんなに、それも分からずにやっている人も私はかなり多いんじゃないかと思うんですね。しかも、今であれば、中学生とか、もっと若い子だって簡単にアクセスできてしまうわけで、そういう意味でも、私は、文科省、もうちょっと本気になってやってもらいたいと思います。
その上で、警察庁に伺いますが、そもそもオンラインカジノについて政府が実態把握できているのかという問題です。
四月十日に公明党の庄子委員が問うたときに、警察庁は、実態把握していませんと堂々と答弁していましたが、同時に、今年度、予算がついたのでこれから調べる、こういう趣旨の答弁もしています。
そこで、警察庁に伺いますが、この実態把握、調査結果はいつ出るんでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
御指摘の調査研究につきましては、その内容等について現在検討中でございますため、現時点で調査結果の公表時期についてお答えすることは難しいですが、調査結果が取りまとめられた段階で速やかに公表することを考えております。
○本庄委員 取りまとめたら公表する、それは当たり前の話であって、それがいつなのかということなんですね。
もうこれは、ここ数年来どんどんどんどん増えている、伸びていると言われ続けているわけで、今年ようやく重い腰を上げて調査が始まったということ自体が驚きなんですが、可及的速やかに結果を出していただきたいと思います。
専門家によれば、国内からアクセスできる違法サイトは数十に上ると。数十なので、十なのか五十なのか百なのか分かりませんが、ある。そして、推定される利用者は二百八十八万人、こういう数字もあるわけですね。ギャンブル依存症の可能性のある人が二百万人、三百万人というふうに言われている中で、この違法オンラインカジノの経験者が三百万人近くいるというのはかなりの割合だというふうに捉えるべきだと思います。警察庁、もう少ししっかりやっていただきたいと思います。
その上で、利用者の摘発は重要なんですが、やはり限界があると思いますね。私は、インターネット上の違法なオンラインカジノやスポーツ賭博のサイトそのものに対する規制や取締りがやはり必要だと思います。国内からのアクセスの遮断だとか、あるいは検索エンジンでヒットさせないというような抜本的な措置を講じるべきだと思います。
これは、所管は総務省ですけれども、一年ほど前の消費者特で河野大臣からも答弁ありましたけれども、当時の消費者担当大臣ですね、総務省は、このブロッキングの適否あるいはそれに相当する措置、これについて検討している、してきたというふうに承知をしております。一年たっておりますが、その後の検討結果はどういう状況になっておりますか。御答弁をお願いします。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
オンラインカジノやスポーツ賭博のサイトへのブロッキングを行うためには、電気通信事業者がユーザーが閲覧しようとする先を検知をしまして、通信を遮断する必要がございます。これは、憲法第二十一条第二項の規定を受けて電気通信事業法に規定されております通信の秘密の保護、これを侵す行為を行うものというふうに考えられます。
また、ブロッキングにつきましては、ユーザー側の操作で回避できる手段が複数あるなど、その実効性に関する指摘もあるところでございます。
オンラインカジノやスポーツ賭博のサイトへのブロッキングを行うことにつきましては、今申し上げたようなことも踏まえまして、保護される法益と考量し慎重に検討すべき課題であるというふうに考えているところでございます。
一方で、総務省としましても、オンラインカジノやスポーツ賭博に係る問題、これは十分に認識しているところでございます。ブロッキング以外の方策としまして、例えば、通信関係団体によります違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項というものがございますが、この策定を支援するなどの対策、これを従来より講じているところでございます。
具体的に申し上げますと、このモデル条項におきまして、賭博を行うためのサイトの開設のみならず、オンラインカジノの広告の表示やオンラインカジノを紹介するサイトの開設、こういった行為につきましても禁止事項に当たるということで、昨年の六月に整理の上、モデル条項に明記をされたところでございます。
総務省としましては、引き続き、各事業者に対しましてこのモデル条項を踏まえて適切な対応を取るよう促すとともに、警察庁等関係府省庁と連携をしまして、ブロッキング以外の方策も含めて必要な対策、これを検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○本庄委員 一年前と全く同じ答弁なんですね。何も進んでいないですね、総務省。
今、契約のモデル条項ですか、おっしゃいましたけれども、それは国内の事業者、国内のサーバーにしか適用できないんじゃないですか。海外の事業者は対象外だと思います。したがって、本質的な解決策には全くならないというふうに思います。
ブロッキングが憲法違反だということであれば、それに代わる措置についても検討するようにという指示が一年前に出ていたと思うんですね。これはサボタージュしていると私は思います。
官房長官、これはもうちょっと危機感を持って対応していただかないと、完全に放置の状態だというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。
オンラインカジノは、無料版というのがまたありまして、これ自体は違法ではありませんが、そこから巧みに違法な有料版に誘導する、こういう無料サイトも横行しているわけです。しかも、こういう無料サイトは、有名なスポーツ選手が広告塔として用いられているなど、非常に手口も巧妙です。
そこで、無料版オンラインカジノの広告の規制、あるいは有料版への誘導の違法化、こういったことも含めて、法改正あるいは新法、こういった規制の強化をやっていくべきじゃないかと思いますが、是非検討していただきたいと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○林国務大臣 このオンラインカジノですが、今お話のあったような無料サイトも含めて、オンラインカジノに誘引するような広告、これがネット上に様々あるものと承知をしております。
今御指摘があったように、直ちに違法な賭博行為の誘引に当たらないようなものであっても、このオンラインカジノを利用するユーザーを増やそうとするような試み、これは結果的に犯罪者を増やすことにつながると考えております。
そのため、関係省庁におきまして、広告事業者に対してそうした広告が視聴者に与える影響を考慮するよう注意喚起をする、あるいは通信関係団体による違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の策定を支援する、こういう取組を進めているものと承知しております。
まずはこうした取組を進めることにしておりますが、その上で、必要に応じて更なる対策についても検討してまいりたいと考えております。
○本庄委員 その取組が有効に機能していないのでこれだけ蔓延しているんだと思うんですね。是非、官房長官も御自身で検索してみてください。本当にたくさんの、有料、無料、いろいろなものが出てきて、かつそれが合法だということが本当にうたわれているので、何も知らない若い人が接触してしまうと、大丈夫なんだと思うようにうまく作られていますので、その上で、やはり私は、法改正を含む新たな対応が必要だと思います。
時間も限られてきましたので、公営ギャンブルや宝くじの広告規制について伺いたいと思います。
最近、公営ギャンブル、宝くじのテレビCMや広告を見ない日はないというふうに思うんですね。かなり私は過剰な印象を受けています。
公営ギャンブルについては、ギャンブル等依存症対策基本法第十五条及び基本計画に基づいて、全国公営競技施行者連絡協議会が広告宣伝に関する全国的な指針を策定して、そして各公営ギャンブルごとに同様の指針も策定しているというふうになっておりますが、今の広告のかなり野方図な状況を見ていると、この指針というのが機能していない、有名無実化しているんじゃないかというふうに思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○林国務大臣 この公営競技の広告宣伝ですが、ギャンブル等依存症対策基本法第十五条、今御指摘のあった条文ですが、国及び地方公共団体は、関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、予防等が図られるものとなるようにするため必要な施策を講ずるものとする、こういうふうになっております。
この規定も踏まえまして、今お話のありました、公営競技の関係事業者が自主的に広告宣伝指針を策定するということにしておりまして、全国公営競技施行者連絡協議会が策定した全国的な指針に沿って、各事業者において適切な指針の策定、運用が図られているものと承知をしております。
この基本計画に定める施策ですが、PDCAサイクルに基づいて計画的な取組を推進することとしておりまして、広告宣伝に関する取組についても、適時に進捗状況の評価等を行いながら、実効性のあるギャンブル等依存症対策、これを推進してまいりたいと考えております。
○本庄委員 今るる御答弁されましたけれども、私は、その指針というのが要は甘過ぎるというふうに思うんですね。例えば、これは量的な規制はありませんよね。ですから、どれだけ大量にCMを流しても大丈夫だということなんですね、ちょっと極端に言えば。その一点を見ても、私は非常に甘い規制だというふうに思います。
例えば、たばこはかなり厳しいですね。テレビCMあるいは駅での広告は禁止されています。これは、たばこ事業法あるいは施行規則、財務省告示などなどによって規制がかかっているんですが、ギャンブル等依存症の破滅的な結果や青少年への悪影響を踏まえれば、私は、法令に基づくたばこ並みの広告規制あるいは警告表示の義務、こういったことも検討されるべきじゃないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○林国務大臣 第十五条の仕組みは、先ほど申し上げたとおりでございます。現在、全ての公営競技の関係事業者が広告宣伝指針を策定、運用しているところでございまして、広告が射幸心をあおる内容にならないようにするとともに、各種媒体を通じて、券の購入は二十歳になってからとか、適度に楽しむ等の注意喚起標語の表示等によって広く一般に注意喚起を行っております。
いずれにしても、基本計画に定める施策については、先ほど申し上げましたが、PDCAサイクルに基づいて計画的な取組を推進するということにしております。こうした取組について適時に進捗状況の評価等を行って、法の趣旨を踏まえつつ、実効性のあるギャンブル等依存症対策を推進してまいりたいと考えております。
○本庄委員 時間が来たので終わりますが、ちょっと今日の官房長官の御答弁を聞いていても、対策本部長として私は非常に物足りないと思います。
基本法の見直し、基本計画の見直しが、今年、来年とありますね。この一年、非常に私は重要だと思います。今日私が取り上げました、若者、学生への対策、オンラインカジノへの対策、そして広告宣伝の在り方、私はこの三つがポイントになるんじゃないかというふうに思っております。
是非、リーダーシップを持って取り組んでいただきたい。多くの人たちが、あるいはその家族の皆さんが人生を大きく狂わされる、そういうリスクもはらんだものだというふうなことを是非御理解いただいて、取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○星野委員長 次に、上野賢一郎君。
○上野委員 自由民主党の上野賢一郎でございます。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
本日は、現在の経済の状況や、あるいは新しい資本主義等々につきまして、両大臣中心にお話をお伺いをしたいというふうに思います。
まずは賃上げです。
連合の調査、これは四月の十八日に公表された四月十六日現在のものでありますが、今春の春闘での賃上げの状況は、全体として、定昇込みの賃上げで五・二〇%、ベア分で三・五七%、中小企業、これは労組のある中小企業ということですが、定昇込みで四・七五%、ベア分は三・三%ということで、いずれも昨年を一・五%前後上回る大幅な賃上げ、これが着実に進んでいると考えます。
また、大手企業を中心に満額回答が相次いでおりますし、あるいは満額を超える水準での回答というものも散見されるような状況でもございます。労使双方の御努力はもちろんでありますけれども、政府としても、政労使会議などの場での働きかけが一定功を奏しているというふうに考えられるのではないかと思います。
また、診療報酬改定におきましても、医療、介護などの公的な価格に関しまして、一定のベースアップ、これを前提にした制度設計がなされております。さらに、今後は、六月には政権の肝煎りでもある定額減税が予定をされておりますし、その所得押し上げ効果は一・三%程度だというふうに見込まれています。また、三月現在ですが、消費者物価指数は二%台ということで、緩やかな上昇ということになります。
こうしたもろもろの状況を考えますと、好調な賃上げ状況、あるいは減税効果、そうしたものを見据えれば、政府が目標としております物価高を上回る所得の伸び、これを達成し得る状況になりつつあるのではないかと思いますが、新藤大臣の御認識をお伺いをしたいと思います。
○新藤国務大臣 今御指摘、御紹介いただきましたように、賃上げがかつてない勢いでよい数字が出ているということでございまして、大変心強く思っております。
そして、私どもとすれば、今、春闘、いわば組合との、労使交渉を行っている場におけるそうした結果を全国津々浦々に、そして、様々な、中小企業を始めとして各般にそれをいかに浸透させていくか。国全体が、物価高を上回る賃金上昇率、これを確保する。物価が安定的に上がっていくことと、それを上回る賃金の上昇があるということが、これが当たり前といいましょうか、ノルムと呼んでおりますけれども、社会的な、そういう規範、通念とできるようにしたいというふうに思っているわけであります。
それは、取りも直さず、この三十年来、GDPは伸びない、物価も上がらない、賃金も上昇しない、だからどこかでコストをカットする、そして、縮小傾向の経済から、一転して、我々は、人口減少、少子高齢化にあっても成長していける、そういう力強い、民需主導の新しい経済のステージ、これをつくりたいと思っているわけであります。この原点、一番重要なところが、賃上げを構造的なものとして継続的に実現させていくことでございまして、今よい兆しが見えておりますから、これをいかに定着させるかということになります。
賃上げは、今数字が出ておりますけれども、実際に給料に反映されるには少しラグが出てまいります。ですから、六月に、今数字は上がっているけれども実際の給料にまだ反映されていないわけですから、ここのところで可処分所得を上げるためにも、ボーナス月に、所得の厳しい方々には定額の減税を行って可処分所得を増やす。一人四万円ですから、御家族三人、四人であれば、十万から二十万のそういった所得が増えることになります、結果的に。
そういったものを含めて、消費を力強く進めていきたい、このように考えているわけであります。
○上野委員 ありがとうございます。
今大臣から御指摘をいただきましたが、とりわけ中小企業、これは価格転嫁が十分ではないという指摘もございますので、是非、経済産業省とも連携をしていただいて、大企業はおおむねそうしたことはないと思いますが、ティア1、ティア2と下がっていくに従って価格転嫁が十分ではないという指摘もありますので、そうしたことも視野に入れながら、賃上げをしっかり、構造的な賃上げというお話がありましたが、それが定着するように御尽力をいただければというふうに思います。
また、減税の効果につきましても、これは内閣府の方でまずしっかりと分析をしていただいて、その成果につきましても公表していただくようにお願いをしたいというふうに思います。
一方、現下の為替の動向でありますが、円安が進展をしています。一時期は一ドル百六十円を突破するという状況になりました。その後、強力な介入があったのかないのか分かりませんが、若干円高に振れ、現在、百五十四円の後半というような状況かと思います。
アメリカの経済が好調でありますので、利下げの観測というのがやや後退をしておりますので、日米の金利差、これを考慮すれば、今後も一定程度円安は進展をするということが予想されます。当然ながら、過度な円安につきましては、輸入物価、とりわけ原油等の価格などを通じて物価高を招き、先ほどの減税などの政策効果を滅失させるおそれがあると考えます。また、実質賃金につきましても、民間のシンクタンクの推計では、一ドル百六十円程度であれば今年度の下期には実質賃金も対前年度でプラスになるというような推計がありますが、百七十円まで行くと実質賃金もマイナスのままだというような推計がございます。
こうした状況を踏まえれば、為替の変動などを前提にして様々なリスク要因があると思いますが、それに対しての備えといいますか、それについての大臣の認識をお伺いをしたいというふうに思います。
○新藤国務大臣 我が国経済の現状を見ますと、業況判断、企業収益、企業部門は好調である、一方で、GDPの五五%を占める個人消費については、賃金の伸びがいまだに物価上昇に追いついていない、こういう状況がございます。そういう中で、また為替などによって物価高が更に助長されるということになれば、そこはやはりリスクがあるというふうに考えます。
ですから、そういったリスクに様々備えなければならないと思いますし、まず、要因といたしましては、中国経済の先行き懸念などによる海外景気の下振れリスクというものもあると思います。また、中東情勢の不安定化は、原油などの資源価格の変動、こういったものが出てきます。それから、御指摘の為替は、結局、輸入物価の上昇を通じての国内物価を押し上げるリスク、こういったものがあるわけであります。
ですからこそ、先ほど御指摘いただきましたように、賃上げをきちんと徹底、そして浸透させることと、それから、可処分所得を増やすためには必要なところには適切な対処をする、家計の消費を下支えすること、これが重要です。
加えて、何といいましても、賃上げを実現させるためには企業の収益が伸びなければなりません。それには、やはり企業が設備投資をして生産性の向上を図らないと、現状の売上げを更に伸ばすことを図ってもらわなきゃならないわけですから、そういった意味で、投資というのは改めて重要だ、このように思っています。
また、一律の賃金上昇をするだけではなくて、やはり、自分が自らの能力を磨き、また、自ら持つ能力に応じた満足できる賃金を得られる、その意味において、ジョブ型の職務給というものをきちっと入れたい。
それから、やはり労働市場の円滑化。どんどんと需要のあるところに人々が更に入っていけるような、こういう労働市場改革もやらなければいけない。
様々な政策を総動員しながら、日本経済の実体経済の力を強めていくこと、これが私たちの様々なリスクに対抗できる最大の武器である。それは幾つかの分野において総括的に連携させながら、この政策を、経済対策を打っていきたい、このように私たちは考えているわけであります。
○上野委員 ありがとうございます。
大臣おっしゃられたとおり、日本経済にとって非常に重要な時期に差しかかっておりますので、労働市場の問題あるいは投資促進、様々な課題につきまして政策を総動員をして、構造的な賃上げも含め、日本経済が安定的な軌道に乗るように、新藤大臣のリーダーシップを期待をしたいというふうに思います。
続きまして、新しい資本主義について、幾つかお話をお伺いをしたいと思います。
一つは、PFIの関係です。
新たな官民連携というのが、昨年策定をされましたグランドデザインにおきましても非常に大切な観点だとされております。新たな官民連携の推進による社会的課題の解決、これは新しい資本主義の根底にある一つの考え方だと思います。
その上でお伺いをしたいと思いますが、その一つの手法であるPFIにつきまして、今年はPFI法制定二十周年に当たるわけでありますけれども、これまでの取組の全体的な評価、それから今後の方向性につきまして、自見大臣の認識をお伺いをしたいと思います。
○自見国務大臣 お答え申し上げます。
上野筆頭理事におかれましては、日頃からPFIの推進に御尽力いただいておりまして、心から感謝申し上げたいと思います。
PFI法が一九九九年に公布、施行されてから、今年で二十五周年となります。これまで、コンセッション制度の創設など、PFI法の改正を七回行うとともに、アクションプランに基づき、政府全体としてPFIを強力に推進しているところであります。こういった取組の成果もあり、累計の事業件数が二〇二二年度末で千件を超えるなど、着実に広がりを見せてきたと評価をしているところでございます。
今後の取組の方向性は、大きく二点考えてございます。一つ目は、水分野などのインフラにおけます分野横断型や広域型のPFIの推進。また二つ目は、市民生活において身近な公園やスポーツ施設などに加えまして、最近では、多死社会を迎えるに当たり、地方公共団体にとって建て替え等が課題となっている火葬場への活用拡大等でございます。
人口減少に伴う財政の逼迫と併せまして、インフラの老朽化に伴う更新需要の増大が見込まれる中、PFIの活用が今後とも重要であり、積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
○上野委員 ありがとうございます。力強い答弁だと思います。
ただ、私、今、現在、自民党のPFI特命委員会の委員長を仰せつかっておりまして、先般も、ヒアリングをいたしますと、いろいろな課題が見えてきています。二十五周年ということでありますが、一旦立ち止まって検討を深める、そういった点も必要ではないかなというふうに思っております。
例えば、今日お配りをしております資料ですけれども、これは、千葉県内でたくさんの公共施設を集約化をして、それを活用した事例でありますけれども、これにつきましては、事業者の方が様々な自主事業を行ったり、あるいは附帯事業として賃貸住宅であったりスーパーマーケットなども併設をして、一定の利益、十分な収益を上げていただいているということで、非常によい例だというふうに思います。
ただ、一方で、ともすれば、行政コストのカットのみが重視をされて、民間事業者の利益の確保がなおざりにされている、そういったケースも散見されるわけであります。
ヒアリングであれば、例えば、施設を建てて維持管理するだけで工夫する余地がないであったり、箱物系の公共施設と比べて、道路、下水道などの土木系施設は、特に使用料設定、これに裁量の余地がありませんので、収益を上げる余地がない、収益が上がらない、そうした指摘もあります。あるいは給食センター、こうしたものもPFI事業を活用されているケースがありますけれども、別に給食センターで給食の数が増えるわけでもないですし、学生の数が、生徒の数が増えるわけでもない、なかなか事業機会の拡大の余地がないといった声があります。
やはり、PFIの構想段階で、民間の事業機会あるいは利益創出、これに十分に意を用いていかないと、単にコストを削減するだけの手法となってしまうのではないかと思います。
私は、PFIは本来的には三方よしだと考えておりまして、行政の効率化、それから民間の創意工夫と利益の確保、そして住民の享受するサービスの向上、この三つがそろってこそPFIだと考えております。まさに岸田政権、先ほど新藤大臣の答弁にもありましたけれども、コストカット型経済から成長型PFI、成長型の経済への転換ということを明確に志向されておりますので、このPFI事業につきましても、単にコストカットをするのではなくて、三方よしの成長型のPFI、これを目指すべきだというふうに思います。
その中で、やはり、民間の皆さんにも創意工夫の余地があって、そこでしっかりと利益も上げていただく、確保していただく、そうした観点が大事だと思いますが、こういった考え方に対しまして大臣としての御所見をお伺いをしたいと思います。
○自見国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりだと考えてございます。今後のPFIにおきましては、民間事業者が適正な利益を得られるような成長型PFIをより強く展開する必要があると考えてございます。
具体的には、昨今の物価高騰による影響を踏まえまして、民間事業者に支払う契約金額の適正化を図ることや、あるいは、性能発注など民間の創意工夫による工事費等の削減や、収益事業による利益創出を図ることが必要であると考えてございます。
また、上下水道などの公益施設におきましても、分野横断、広域化やDXの実現によりまして、安全性、利便性の担保はもとより、長期間にわたる全体の費用の大幅な効率化が可能となっている事例も現れてございます。
こうした成長型PFIを展開し、行政、住民、そして民間にとって三方よしのPFIを、都度都度現場のお声もしっかりと伺いながら、実現に邁進してまいりたいと考えてございます。
○上野委員 ありがとうございます。
また、大臣、今御指摘をいただいた方向性で是非検討を進めていただいて、三方よし、行政だけが、コストカットができるだけではなくて、やはり全体として成長できるようなPFIを目指していただきたいというふうに思っております。
最後、時間がなくなりましたので、資料におつけをいたしましたが、ドラッグロスの問題につきましてお伺いをしたいというふうに思います。
時間がありませんので簡単に申し上げると、今、日本で、新規モダリティーといいますか、新しい薬の作り方というのが、これからの新薬創出の非常に鍵になっておりますけれども、そうした分野で見ても、現時点では二十五品目、それから将来的に、欧米ではもう承認申請に行っていたり、あるいはフェーズ3に治験が行っていたりするところで、日本では全く開発余地がないのが百二品目あるということでありまして、こうしたドラッグロス、これが深刻化する可能性が非常に高いわけですね。
そうした観点からいいますと、内閣官房におきましても、官房副長官をヘッドにして、この問題に取り組んでいただいております、厚生労働省とも連携をしていただいていると思いますが、ドラッグロスのこうした状況につきましてどのようにお考えか、今後の対策も含め、お示しをいただきたいと思います。
○中石政府参考人 お答えします。
委員御指摘のとおり、ドラッグラグ、ドラッグロスの問題、まさに、グローバルで開発後期段階の新規モダリティーは、その七五%が日本での臨床開発が未着手の状況にあります。
このような課題に対応するため、今お話がありましたように、昨年十二月に、村井内閣官房副長官を座長として立ち上げられた、創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議において、現在議論が進められているところです。
この会議では、シーズの探索から医薬品の開発まで、日本全体で一気通貫した創薬エコシステムの構築を目指しており、その中で、ドラッグラグ、ドラッグロスの問題も重要な課題として対応策を考えています。特に、ドラッグラグ、ドラッグロスの問題につきましては、個々の問題というよりシステム全体であるというふうに考えていまして、より抜本的な制度というものを考えていかないといけないと思っています。
この会議につきましては、夏頃を目途に中間取りまとめを行うことを目指しておりまして、その中で具体的な策を出していきたいと思います。
○上野委員 ありがとうございます。
全体なシステムももちろん大事なんですが、今、直面している患者さんがたくさんいらっしゃるわけですね。具体的な疾病あるいは具体的な薬についてどうするかというのを考えなければ、本来救うことができる命も救えなくなる可能性があるので、全体的なシステム設計はしっかりやっていただきたいと思いますが、個別の具体的なものにつきましても、やはり答えを出していただきたいと思いますので、そのことを要望して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○星野委員長 次に、庄子賢一君。
○庄子委員 公明党の庄子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、新型インフルエンザ等対策政府行動計画について、今日、大臣にお越しをいただいておりますので、まず二つ、大臣に総括的にお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。
感染症法を五類に移行して、今日でちょうど一年ということになりました。専門家も相次いで、ようやく普通の感染症になってきたというコメントを出していただいておりますけれども、長い未知のウイルスとの厳しい戦いも、ようやく一つ、五類移行一年というところをもって次のフェーズに入っていくのかなというふうに私も感想を抱いておりますが、ただ、いまだに重い後遺症に悩んでいる方々がたくさんいらっしゃいますし、そして政府としては、九月末に五万一千床ベッドを確保するという目標を立てておりますが、まだ全体の七割弱にしか至っていないというところもありますので、これからもしっかり気を許さずに取り組んでいかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。
そうした中で、昨年九月に危機管理統括庁が発足をし、明年四月に、新しい専門家組織でもありますJIHSが発足をするということになっている中での今回の政府行動計画の見直しということになるわけでございます。
この政府行動計画というのは、法に基づいて、新型インフルエンザ等による感染症危機が発生した場合に、国民の生命、健康を保護し、国民生活及び社会経済活動に与える影響が最小となるように対策内容を示すということを目的に、二〇一三年、策定をされ、二〇一七年に一度改正をされ、今日に至っているわけであります。
計画が作られてから十年経過をいたしまして、今回、初めての抜本改正ということに至るわけでありますが、この抜本改正に至った理由は、言うまでもなく、今般の新型コロナウイルスの感染症が日本中、世界中に蔓延をした、その対応を進める中で、既存計画の弱点あるいは不備、こうしたことも明らかになったというふうに捉えているからこその抜本改正だろうなというふうに思っております。
そこで、大臣に伺いますけれども、この既存の政府行動計画の基本的な方針あるいは考え方におきまして、新型コロナ感染症の拡大に十分対応ができなかったところ、この課題、これをどのように総括をしていらっしゃるのか。ここを伺うということは、つまり、それが次の政府行動計画の肝になっていくからという文脈でお伺いをさせていただきたいと思います。
○新藤国務大臣 まさに、政府行動計画は二〇一七年に策定して、今回のコロナの蔓延、この感染症の有事には、それを改定するいとまもない中で、本当に全国、関係者の皆様方が必死で活動していただいたわけであります。
今般のこの見直しは、本来、政府の行動を常に準備をして、備えをし、いざというときのために効果的な対策が取れるような、そういう観点から、まさに、今まだコロナが収束していない段階で、御苦労いただいた皆さんにお集まりいただいて、有識者会議、これは昨年九月から十一回議論をしております。
その中で、私どもが主な課題として挙げましたのは、まず、平時の備えの不足。特に、デジタル化の遅れによって関係機関の業務負担が増大したこと。さらに、事態の変化への対応に課題があった。感染拡大が複数にわたって起こることが想定されていなかったために、状況の変化に柔軟かつ機動的に対処ができなかったということ。そしてまた、国民への効果的な情報発信、これに課題があったと思っています。フェイクニュースや誹謗中傷などが生じ、信頼できる情報を迅速に発信することが求められたということが御指摘をいただいております。
そして、これらを含めて、政府といたしましては、平時の備えの整理、拡充、そして、社会経済活動とのバランスを図りながら、感染症危機に対して強くしなやかな社会を構築する、これをテーマにいたしまして、まずは何よりも、実践的な訓練を実施、展開するということ、そして、自治体の優良事例の全国展開や、国と地方、また医療関係においても、国と全国の関係機関との連携、さらには、リアルタイムで情報を提供、共有、分析できるという情報の標準化とDXの推進、さらには、広報の充実と、特にリスクコミュニケーションというものを新たに打ち出しました。
そういったもの、これらを、EBPMに基づいて施策の実施を徹底していく、こういったことを今回の項目の中に入れ込んでいるわけであります。
○庄子委員 大臣から分かりやすく明確な御答弁をいただいたというふうに思っております。まさに二問目の質問につながるお答えが幾つかキーワードで出てまいりました。デジタル、DXというお話、そして、国民への情報の伝達、そこにフェイクがあったというお話も触れていただいたわけですが。
今回の政府行動計画は、十三の領域に分けて、しかもそれを、準備、初動、対応という三期ごとに目標をまた細分化するという非常に細かな行動計画になっておりますが、そこに横串を刺すような五つの共通の視点、これを横断的な視点として入れていただいております。その中にDXがまさに入っていました。
今大臣おっしゃっていただいたように、国と地方、行政と医療機関における情報収集と共有、予防接種のデジタル化、電子カルテの標準化といったことも示されておりまして、私は、これらを否定するつもりはもちろんありませんが、その上で、もう一歩踏み込んで申し上げたいんですけれども、DX化による一番の受益者は誰かというと、それは国民お一人お一人でなければいけないというふうに思っております。とりわけ、何かしら障害をお持ちの、例えば、視力に障害、聴力に障害をお持ちの方々にも、紙や音声への情報アクセスができないそうした方々にも、情報保障としてDXが機能を果たすべきだ、そこまで行かなければ本来のDXではないというふうに思っております。
非常事態、有事においては、今お話しのように、様々な偽情報、臆測による不正確な情報が飛び交うということが、今般のことでも教訓として分かっています。健常者の方だけではなく、全ての国民に正しい情報を分かりやすく迅速に伝え、情報保障を担保するとの目的を次の政府行動計画に盛り込んでいただきたい、そう思いますが、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 委員からも御紹介いただきましたけれども、今回の改定、まずページ数でいうと、約九十ページから二百ページを超えることになります。それから、項目は十三項目とおっしゃっていただきましたが、従来の項目は六項目でございます。
ですから、それらをまさに横断的に連携させていく、そういったことが重要だというふうに思っているわけでございまして、その中で、特に新しい概念として、広報体制というのは常にあるんですけれども、広報に、情報提供するとともに、それを共有する、さらには、リスクコミュニケーションという、あらかじめこういった問題が起きるということをやはり皆さんが共有できるような、そういうことをしたいというようなことを入れさせていただきました。
特に、DXは、まさに国民の利便性の向上、それから必要な方に的確に迅速な対応が取れるような、そのために整備をしたいということでございますけれども、御指摘の、あらゆる国民の皆様方にという意味において、視覚や聴覚等が不自由な方々への適切な配慮、こういったものもしつつ、それらを皆さんが理解しやすい内容や方法での情報提供、共有を行うということは、この行動計画の案の中にも入れ込まさせていただいております。
ですから、そういった中で、今の、情報アクセスの配慮を行う上で、DX対応は非常に役割は大きいと思うんですけれども、更に検討を進めていきたい、このように考えております。
○庄子委員 ありがとうございます。
安全保障、経済安全保障、食料安全保障、いろいろな安全保障が広がっていますが、情報保障、この分野もしっかりと進めていただければというふうに思っております。
大臣はここで結構でございます。ありがとうございました。
その上で、少し具体的に新たに伺ってまいりたいと思いますが、この政府行動計画について、科学技術振興機構の辻真博フェローの調査によりますと、新型コロナウイルスの研究におきまして、日本の研究者が二〇二〇年から二〇二三年四月までに発表した論文数、これは世界十四位ということでございまして、G7で最低だったということが明らかにされています。このような低調さについて、辻フェローはこのように言われています。日本は、コロナ禍前、欧米のように感染症の脅威に直接さらされることがなかったため、感染症の研究者が少なく、研究環境も十分に整備されてはいなかったと分析をしていらっしゃいます。これまでの日本が向き合ってきた感染症対策における、ある種、核心をついた発言かと思っています。
今般の政府行動計画見直しにおきまして、研究者の質と量、これを高める必要性について、政府の見解を伺いたいと思います。
○八幡政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、感染症分野におきましては、平時から研究者などの人材育成や研究開発体制の整備を行うことが大変重要、このように認識しております。
このため、現在検討中の政府行動計画の改定案におきましては、このようないわゆる横断的な視点を重視しておりまして、各分野について大幅な充実を図ろうと考えているところでございます。具体的に申し上げますと、例えばワクチンや治療薬などの分野におきましては、平時からの医療機関や研究機関、製薬企業等とのネットワークの構築、企業等の研究開発への支援、基礎研究、臨床研究等の人材育成を行う旨などを行動計画に記載をしているところでございます。
また、こうした研究開発や人材育成の推進に当たりましては、国立健康危機管理研究機構、JIHSの果たす役割が大変重要であると考えております。具体的には、この改定案には、JIHSが研究開発及び臨床研究等のネットワークのハブの役割を果たすとともに、大学等の関係機関、人材育成を推進する旨につきましても記載を行っているところでございます。
感染症危機に際し、迅速に対応できますように、関係省庁、研究機関等と緊密に連携し、平時からの準備を進めてまいりたいと考えております。
○庄子委員 これまで国際基準から見たら少し遅れがあったんだろうと思いますので、その政府行動計画がしっかりと動いていくように、是非、進行管理を含めてお願いをしたいというふうに思います。
民間企業においてのワクチン、あるいは診断薬、治療薬の研究開発と早期実用化に向けての話でございますが、これは今回の新型コロナの中でも課題となったわけであります。
製薬メーカー等にとって、いわゆる経済合理性に乏しい分野への先行投資というのは難しいわけであります。実際に、一九八〇年代を最後に、国産ワクチンが実用化に至ったケースというのはほとんどないというふうに承知をしています。
この現状を根本的に変えていくための、国としてのこうした問題への向き合い方、政府としての取組について、財政支援ということも含めてお伺いをしたいと思います。
○中石政府参考人 お答えします。
我が国でワクチンの開発が遅れた理由の一つは、御指摘のとおり、一見すると経済合理性が乏しい分野への投資や政策立案が不十分であったことを認識しております。このため、国産ワクチンの開発につきましては、今後の感染症有事に備え、令和三年六月に閣議決定したワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、先進的研究開発戦略センター、SCARDAにおいて国内企業やアカデミアへの戦略的な研究費の配分を行うように取り進めております。
具体的には、令和四年三月に、ワクチン新規モダリティー研究開発事業に資する基金としてSCARDAに約千五百億円を造成しまして、財政的支援を行っているところでおります。こうした結果もありまして、国内では、政府が支援した第一三共株式会社、それからMeijiSeikaファルマ株式会社のメッセンジャーRNAワクチンが、それぞれ昨年八月、十一月に国内製造販売承認をされた実績も出ております。
こうしたことから、引き続き、国産ワクチンの開発にしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○庄子委員 やはり国民の皆様にとっての安心感につながる国産化ということですので、今の御答弁を踏まえてしっかりとお願いをしたいというふうに思っております。
さっき触れましたが、政府行動計画では、十三の領域ごとに、準備期、初動期、対応期というフェーズに分けて計画が出されているわけであります。初動期における治療薬、治療方法の分野において、有効な治療薬開発のための研究開発の支援というものを示した後に、既存治療薬の有効性を検証し、配分、流通を管理するという記述になっております。
これは確認なんですけれども、既存薬、既存治療薬は以前人類が未知のウイルスと戦った武器とも言えるわけで、この過去の武器が使えるかどうかという見極め、これがまず最初にあっていいのではないかなというふうに思っておりまして、この辺の動きについて確認をさせていただきたいと思います。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
感染症危機時におきまして、既存の治療薬の有効性等を速やかに評価することは重要だと考えております。そこで、今回の行動計画案では、初動期におきまして研究開発に関する記載の後に既存の治療薬の検証等に関する記載がされているのは御指摘のとおりですが、これらは初動期に必要な対応を列記したものでございまして、実際に感染症危機が発生した際には、こうした対応を必要に応じて同時並行で進めるということでございます。
○庄子委員 ありがとうございます。
非常に大事なところですので、まず既存薬をしっかり有効に活用できるように対策を取っていただきたいというふうに思います。
次に、サーベイランスについて伺います。
サーベイランスについては、行動計画の案の中で様々取組が提示をされております。我が党としては、下水サーベイランスに着目をし、党内にPTも立ち上げております。下水はウイルス情報の宝庫というふうにも言われておりまして、ヨーロッパ等では下水疫学という学問として既に確立もされている領域であります。より正確な疫学情報を得るための方法として活用が進んでいるわけであります。アメリカでは約一千二百か所、EUも約一千三百か所の下水処理施設、ここで定期的にサーベイランスが行われています。
本計画案には具体的な下水サーベイランスの記述は見当たっておりませんが、今後この取組についてどのように進めていくか、見解を伺います。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
我が国では、感染症法に基づく患者報告や抗体保有状況の調査、下水からの病原体の検出などにより、重層的な感染症サーベイランス体制を確保して流行状況把握を行っておりまして、下水を用いたサーベイランスは有効であると認識をいたしております。
このサーベイランスは、二〇一三年度から、ポリオウイルスに関して感染症流行予測調査事業の中で実施しているところでございますが、今年度からは、これまで研究として行ってきた新型コロナについて本事業の対象といたしまして、現時点で十二県において実施する予定でございまして、引き続き、実施自治体の拡大に向けて、未実施の自治体に働きかけてまいりたいと考えております。
また、今年度の厚生労働科学研究やAMED研究におきまして、次のパンデミックへの備えとして、下水サーベイランスがほかにどのような病原体で活用可能か研究を行うこととしておりまして、これの研究結果も踏まえて、今後の下水サーベイランスの活用方法を更に検討してまいります。
○庄子委員 私の地元仙台でも、東北大学のラボで定期的にこの下水サーベイランスを行っておりまして、大きなトレンドがこれで分かってまいりますので、是非、事業をお願いしたいというふうに思います。
最後、簡潔に伺います。
今回のこの政府行動計画がかなり膨大な量になっておりまして、今後、都道府県、市町村に計画策定を求めていく際に、私は、マンパワー不足で非常に困っている市町村が果たして対応できるのかということを危惧をしております。政府の計画が、実務を担っていく自治体の過大な負担とならずに、さらに有事の際にしっかり活用されるものであることを求めたいというふうに思っておりますが、どのように対応していらっしゃいますか。お伺いをします。
○八幡政府参考人 お答え申し上げます。
現在、政府におきまして行動計画の改定作業中でございますけれども、この改定の後は、都道府県、市町村におきましてもそれぞれの行動計画を改定していただくことになります。
これらの関連する計画は一体となって機能することが大変重要であると考えておりますので、政府としましては、計画策定の段階から地方自治体と十分に連携しつつ、自治体の策定作業に係る負担をできる限り軽減したいと考えておりまして、担当者の方々に対する説明会の開催、丁寧に解説するほか、コンパクトで分かりやすい資料なども作成し、提供したいと考えています。
統括庁としましては、引き続き、行動計画の改定作業に係る支援を適切に行いますとともに、人員の不足する市町村等におきましても適切な対応が行われますように、平時、有事を通じ、地方公共団体と密に連携して取り組んでまいりたい、このように考えております。
○庄子委員 終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 どうぞよろしくお願いします。逢坂誠二でございます。
まず、菅元総理それから岸田総理が、原子力発電所に関連して、政府として、しっかりとした避難計画がない中で原発の再稼働が実態として進むことはない、あるいはまた、政府として、しっかりとした避難計画がない中で新設原発に核燃料は装荷しない、こういった旨の答弁をこれまで繰り返し行っております。今日は、これについての政府の考え方を確認させていただきたいと思っています。
まず最初に、しっかりとした避難計画であるか否かは誰が判断するのか。内閣府の方にお伺いします。
○滝沢副大臣 お答え申し上げます。
しっかりとした避難計画とは、地域原子力防災協議会において、原子力防災対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることが確認された緊急時対応を指すものと、これまで経産大臣から答弁しているものと承知しております。
内閣府では、原発の立地地域ごとに地域原子力防災協議会を設置し、自治体の避難計画を含む地域の緊急時対応を、原子力規制委員会が策定する原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認しております。さらに、総理を議長とした原子力防災会議にて了承しているところでもございます。
○逢坂委員 了解いたしました。
それでは、次に、国の原子力防災会議で了承された避難計画は、しっかりとした避難計画と政府が認識するのか。改めて、これは今度、経産省にお伺いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま滝沢副大臣から御答弁ありましたように、しっかりとした避難計画とは、地域原子力防災協議会において、地域の避難計画を含む緊急時対応が、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、原子力防災会議で了承したものであると認識いたしております。
したがいまして、国の原子力防災会議で了承された避難計画を含む緊急時対応は、しっかりとした避難計画と認識されることになります。
○逢坂委員 了解いたしました。
それでは、次、原子力防災会議での了承、それから地域原子力防災協議会での確認、これはどのように行われるのか。内閣府にお伺いします。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
まず、原子力防災会議における了承についての御質問でございますが、これは、地域原子力防災協議会において関係する自治体、関係省庁と確認した結果につきまして、全閣僚と原子力規制委員長等で構成され、総理を議長とする原子力防災会議において異議がないことを認めるという形で行っております。
続いて、地域原子力防災会議における緊急時対応計画の確認についての御質問の回答になりますけれども、ここでは、原子力防災に責任を有する関係自治体、関係省庁が、緊急時の対応計画について、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認、共有することを行っております。
以上です。
○逢坂委員 引き続いて内閣府にお伺いします。
現在、原子力防災会議で避難計画が了承されている原発はどこなのでしょうか。お知らせください。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
了承された順番で申し上げますけれども、現在、川内、伊方、高浜、泊、玄海、大飯、女川、美浜、島根の九つの地域につきまして、自治体の避難計画を含む緊急時対応を取りまとめております。
○逢坂委員 引き続きお伺いしますけれども、一旦国の原子力防災会議で了承された避難計画に不備がある、問題点があるというふうに自治体から申出があった場合、了承を取り消すことがあるのかどうか。あるいは、一旦了承された計画に不備があっても、しっかりとした避難計画と国は認識するのかどうか。この点、内閣府、お願いします。
○滝沢副大臣 お答え申し上げます。
関係自治体及び関係省庁が構成員となっている地域原子力防災協議会で、一つ一つ地域の課題を解決しながら、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であると確認された緊急時対応は、その時点において最善のものと考えています。その後も、原子力防災への備えに終わりはないという考えに基づき、自治体の避難計画を含む緊急時対応について、同協議会の下、状況の変化を踏まえながら、定期的に改善、見直しを行っております。
このような取組を行っているものが、自治体から不備があるとして突如として申出が来るようなことはないと考えております。
○逢坂委員 答弁はいいんですけれども。自治体から突如として不備があるという申出があるとは考えていないというような答弁でしたけれども、副大臣、実はやはり不備はあるんですよ。
例えば、泊地域、あそこでは、避難するためにバスが相当台数必要だというふうになっているんですが、それぞれのバス会社に聞くと、防災計画上はバス協会と協定を結んでいてバスが来ることになっている、でも、個別のバス会社にヒアリングすると、そんな、原発の事故のときにバスなんかを出せるという業者は実際いないんですよ。これはやはり計画の不備だというふうに思うんですね。
だから、そういうときに、自治体から、やはり、最初は、協定上はバスが来ると言っていたけれども実際バスが来ない、これは不備だろうということは、突如としてじゃなくて実態としてあるんですね。だから、ここは、答弁はよろしいですけれども、よく認識をしておいていただきたいというふうに思います。一旦でき上がった計画であっても、実は相当問題が多いというふうに思います。
しかし、今の副大臣の答弁からすれば、一旦了承されてしまえば、それはその時点で最善のものだから、それを今後見直していくんだ、了承を取り消すということはないという答弁だというふうに理解をいたしました。
それで、次ですが、避難計画が一旦了承された場合であっても、半径三十キロ圏内の自治体から、避難計画に不備があるから原発の稼働は認めない、こういう申出があった場合、原発稼働の可否に対する政府の考え方はいかがなものでしょうか。経産省、お願いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま滝沢副大臣から御答弁ありましたとおり、地域原子力防災協議会で確認された地域の避難計画を含む緊急時対応は、その時点において最善のものと考えますが、継続的な改善、見直しを行い、実効性を高めていくものというふうに考えております。
その上で、避難計画を含む緊急時対応の策定に向けては、自治体とよくコミュニケーションを取りながら、地域が抱える様々な課題に対応した計画が策定できるよう、関係省庁連携して支援していくものでございます。
そうした中で、先ほど内閣府から御答弁がありましたとおり、自治体から不備があるとして突如として申出が来るようなことはないというふうに考えておりますが、ただ、いずれにしても、地域避難計画を含む緊急時対応については継続的な改善、見直しが行われていくものでありますので、それを支援するのが政府の対応というふうに考えてございます。
○逢坂委員 総理の答弁で、しっかりとした避難計画がない中で原発の再稼働が実態として進むことはない、新設原発に核燃料はそういう場合は装荷しないという答弁をしているわけですが、実際に防災会議で了承された計画であっても、自治体から不備があるというふうに言われても、政府はこの総理の答弁に整合するようなことはしないというふうに私は聞こえるんですね。
だから、一旦了承されてしまえば、どんなに不備があっても、それはもう了承したんだ、しっかりした避難計画なんだというのが政府の態度だと思うんですが、私はそれは相当に問題があるというふうに思っています。今日はこの程度にとどめさせていただきます。
では、次、半径三十キロ圏内の住民以外の滞在者、例えば観光客、これらの方々の避難や屋内退避は、災害対策指針及び防災基本計画上はどのように位置づけられているのか。これは内閣府にお願いします。
○森下政府参考人 お答えいたします。
まず、原子力災害対策指針についてでございますけれども、ここでは、住民以外の一時滞在者につきましても、住民と同様の考え方で避難や屋内退避を実施することということを示されております。
また、防災基本計画における観光客を含む住民以外の滞在者についても、これは、災害対策基本法で居住者、滞在者その他の者を居住者等と定義しているところもありまして、住民と同様に避難や屋内退避の対象となると認識しております。
○逢坂委員 内閣府には、守備範囲外の原災対策指針についても答えていただきまして、ありがとうございました。
そこでなんですが、観光客の避難ですけれども、これは私、簡単なことだとは思えないんですよ。仮に屋内退避するにしても、宿泊している観光客なら宿泊所へ戻るということはあり得るかもしれませんけれども、宿泊観光客以外の方というのは一体どこへ避難すればいいのか。これは相当問題があると思うんです。例えば、私の元々のふるさと、ニセコですけれども、ここは宿泊しない観光客も相当数来ています。だから、その人たちの屋内退避というのは政府はどのように考えているのか。これは、内閣府、お願いします。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
観光客の屋内退避についてでございますけれども、これは各地域の緊急時対応計画におきまして、原子力災害が発生した場合、一時滞在者につきましては、地域住民の避難の指示を出す前の段階、これは警戒事態、敷地施設緊急事態という、ちょっと専門用語になりますけれども、その段階から速やかな帰宅などを要請するという手順にまずしております。
その上で、移動の手段を確保することが困難な観光客の方につきましては、PAZ、五キロ圏内におきましては、自治体等によって手配する移動手段によって指定の避難所等に避難していただく。それから、五キロから三十キロのUPZ圏内におきましては、宿泊施設や近隣の避難所において屋内避難を行っていただく、その上で、避難や一時移転の指示が国から出た場合には、自治体等によって手配する移動手段によって指定する避難所等に避難していただくという手はずとしております。
○逢坂委員 政府の答弁としてはそういうことなんだろうと思うんですが、私、各地域の避難計画を割と丁寧に見させていただきました。そうすると、観光客がどれぐらいいるのかということ、それから、宿泊している観光客は何人か、それ以外の観光客は何人かといったようなことが必ずしも書かれていないものばかりなんですね。だから、想定されていないというふうに思うわけですが、そういう点を見ても、私は、今了承されている避難計画というのは相当に不備が多い、絵に描いた餅だというふうに思うところが相当部分あるということは指摘をさせていただきます。
さて、それで、次です。
政府として、しっかりとした避難計画がない中で原発の再稼働が実態として進むことはない、こういう答弁をされているわけですが、実態としてというのはどのような意味でしょうか。これは経産省ですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
地域の避難計画を含む緊急時対応は、原子力発電所の再稼働の法令上の要件ではないところでございますけれども、それがない中では実際に再稼働が行われていないという実態を意味しているものでございます。
○逢坂委員 法律上の要件ではないんだ、しかし、現実には動かないということだから実態という言葉を使っているという答弁だと理解をいたしました。
それでは、次に、実態として再稼働が進むことはないというのは、どの段階で、誰が判断をするのか。あるいは、核燃料は装荷しない、これについても、どの段階で、誰が、どのように判断をするのか。この点について、経産省、いかがでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電所の再稼働に当たっては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくことが政府の方針であります。
原子力発電所の再稼働については、新規制基準に関する法令上の要求を満たしている限り、事業者が自らの判断により行うことが可能な仕組みとなっておりますが、地域の避難計画を含む緊急時対応がない状態ではそれらは行われていないというのが実態でございます。
建設中の原発への核燃料の装荷につきましても同様の仕組みとなっておりますけれども、こちらも、地域の避難計画を含む緊急時対応がない状態ではそれらは行われていないというのが実態でございます。
○逢坂委員 しっかりとした避難計画がない中で原発の稼働が行われていないのが実態だということでありますけれども、原発を稼働するかしないかの判断というのは、法令上、誰が行うことになっているんでしょうか。改めてお伺いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合に、法令上、事業者が自らの判断で稼働することが可能な仕組みとなっております。
○逢坂委員 そういうことであるならば、しっかりとした避難計画がないことや、実態として稼働が進むことはないというこの政府の考え方、これをどの時期にどのような方法で事業者に伝えるのか。この点はいかがですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
緊急時対応の取りまとめ状況あるいは国会答弁を踏まえて、事業者が適切に判断していくものと考えております。
○逢坂委員 非常に心もとないんですね。国会答弁などを見て、事業者が判断するということなんですが。
しつこいようですけれども、改めて、原発の再稼働が実態として進むことはないという政府の考え方、これを政府としては具体的にどのように担保をするつもりでいるのか。これも、経産省、お願いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
これまでの国会答弁の趣旨も踏まえまして、必要に応じて事業者に伝えてまいります。
○逢坂委員 国会答弁を踏まえて、必要に応じて事業者に伝えるということでありますが、事業者が、そういうふうに伝えられた、国会答弁の中身も伝えられたけれども、事業者が勝手に稼働させるということはないというふうに言えるでしょうか。経産省、お願いします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、原子力発電所は、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合、法令上、事業者が自らの判断で稼働することが可能な仕組みとなってございます。
その上で、緊急時対応の取りまとめ状況や国会答弁を踏まえて、事業者が適切に判断していくものでございまして、御指摘のようなことは行われていないのが実態でございます。
○逢坂委員 政府は、これ以上の答弁はなかなかしてくれないようなんですけれども。今のところは、しっかりとした避難計画がなければ稼働していないのが実態だということでありますけれども、これはお願いですけれども、これからも、しっかりとした避難計画がなければやはり原発は稼働させないんだという政府のしっかりとした考えを明確にしていただきたいというふうに思います。
それで、次ですけれども、現在の原子力災害対策指針ですが、避難時の道路の寸断、屋内退避時の家屋の倒壊などを想定しているのかどうか。これは規制庁にお伺いします。
○児嶋政府参考人 お答え申し上げます。
原子力災害対策指針は、放射線被曝の防護措置の基本的考え方として、住民等の被曝線量を合理的に達成できる限り低くすると同時に、被曝を直接の要因としない健康等への影響も抑えることが必要であるとその中で示しております。これは、被曝の低減とともに、道路の寸断や家屋の倒壊といった自然災害の被害の影響も勘案すべきという趣旨でございます。
以上です。
○逢坂委員 原子力災害対策指針は、自然災害、複合災害、これも想定しているんだという答弁というふうに受け止めました。
これは通告していないんですけれども、規制庁、今の原子力災害対策指針は、ある一定程度の被曝はあり得るということを前提にしての指針だという理解でよろしいですね。
○児嶋政府参考人 お答え申し上げます。
今の原子力災害対策指針は、被曝を合理的に可能な限り低減するという考え方でございます。
○逢坂委員 被曝を合理的に低減するということは、ある一定程度の被曝はあり得るということが前提になっているというふうに私自身は理解をしていますし、多分、過去にもそういう答弁があったかというふうに思います。
そこで、内閣府にお伺いします。
家屋倒壊の場合、原発から三十キロ圏の具体的な避難方法や避難の在り方、これは自治体の防災計画で対応すべきだというふうに認識している、これでよろしいでしょうか。
○森下政府参考人 お答え申し上げます。
原子力災害対策指針、それから防災基本計画、このいずれも、自然災害と原子力災害の複合災害への対応を想定したものとなっております。
御指摘の、家屋倒壊の場合の原発から三十キロ圏内の避難につきましても、自治体が策定する地域防災計画、避難計画に盛り込まれるものと承知しております。この対応、計画作りは非常に難しい課題と認識しておりますので、内閣府原子力防災といたしましては、自治体の取組を引き続き積極的に支援してまいりたいと思っております。
以上です。
○逢坂委員 今答弁があったとおり、大変難しいんですよ。家屋が倒壊しているのに屋内退避してくれというのは、現実にはこれは無理ですね。道路が寸断されていて移動手段が確保できない、だけれども避難してくれというのは、これはなかなか簡単にはいかないことだというふうに思います。しかし、それへの対応は自治体が基本的に防災計画の中でやるんだという認識、現実にはそうせざるを得ないと私も思っています。
今日、全体の答弁を通して感ずることは、まず一つ、政府として、しっかりとした避難計画がない中で原発の再稼働が実態として進むことはない、この答弁は、私は誠に大事な答弁だと思いますし、非常に当たり前のことだというふうに思います。避難計画がないのに稼働させるなんということはあってはならないというふうに思うわけですね。
一方で、国の防災会議で計画が一旦了承さえされてしまえば、それがその時点で最善の計画であるから、一旦了承さえされてしまえば、稼働するかしないかの要件には具体的には政府はしていないというのは、私は相当問題だと思います。自治体から、実際にこの計画は機能しないんだ、あと、様々調べたけれども無理な計画だと言われても、一回了承されたんだから、それはしっかりとした避難計画であるかのような答弁をしているのは、相当に大きな問題だというふうに思います。
副大臣、原子力防災の担当でありますので、是非、事務方の皆さんはこの程度の答弁にとどまらざるを得ないと思うんですけれども、政治家の立場として、これからもっと踏み込んでこの問題を考えていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○星野委員長 次に、阿部司君。
○阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。
ゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしだったでしょうか。外遊の様子も報じられておりましたけれども、私は、こどもの日に久しぶりに丸一日子供と一緒に遊びまして、今も体中ちょっと筋肉痛なんですけれども。
同時に、地元も回らせていただきました。その中で非常に印象的だったのは、七十代ぐらいの女性から、孫たちの将来はどうなるのか、孫たちが元気に暮らせる社会をつくってほしい、このようなお声を頂戴したことであります。
少子高齢化がいまだかつてないスピードで進む中、社会保障システムも経済の在り方も、このままでは国民の豊かな生活が維持できないことは自明であります。その観点から、本日は、全世代型社会保障改革とスタートアップ育成政策に関する現在地と方向性についてお伺いをしてまいりたいと思います。
まず、先月の四月二日、内閣府が財政の長期推計を公表いたしました。その中で、医療・介護給付費、こちら、対GDP比の予測も試算されておりますが、財政・社会保障の姿として、医療・介護の給付と負担を取り上げた意図について、政府参考人、お伺いいたします。
○林政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、経済、財政、社会保障の長期推計は、本年二月の経済財政諮問会議において、総理から、今後三年程度の政策パッケージを骨太方針に盛り込むこと、その際に、経済、財政、社会保障の持続可能性を確保するための条件を明らかにした上で議論を進めるとの御指示を受けて、議論の素材として内閣府において作成したものです。
社会保障の持続可能性を考えるに当たり、年金については今後財政検証が予定されている中、医療、介護についても経済と一体的に長期の姿を展望する必要があるため、本推計において医療・介護の給付と負担の試算をお示ししたところでございます。
○阿部(司)委員 要は、少子高齢化が進む中、医療、介護の、社会保障改革というのが改革の本丸である、こういう認識でよろしいでしょうか。お願いします。
○林政府参考人 経済、財政、社会保障の持続可能性ということを考えていく上では、年金、医療、介護というのが主たる政府が提供するサービスということになろうかと思いますので、年金だけではなくて、医療、介護についても持続可能性というのが重要になるかと思います。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。医療、介護を社会保障の改革の本丸にして本気で取り組まないと経済、財政の持続可能性を担保できない、そういった趣旨の御答弁であったと理解をいたしました。
次、医療、介護の保険料負担の今後の見通しについてお伺いをしてまいりたいと思います。
お手元の資料を御覧いただけますでしょうか。こちらの試算において、現状投影シナリオ、こちらが現在の経済状況に沿ったものですけれども、このシナリオ、医療の高度化、二%と一%のとき、二〇六〇年度で医療、介護の保険料負担、こちらが幾らになる可能性があるか、お伺いをいたします。
○林政府参考人 お答えいたします。
まず、本推計は、一人当たりの医療・介護費の伸びや公費負担など、一定の想定を置いて機械的に試算したものであるため、個々の計数は幅を持って理解する必要はございますが、その上で、現状投影シナリオにおいて、医療の高度化等その他要因が年率一%の場合、二〇六〇年度における医療、介護の保険料、対GDP比は七・二%と試算されております。
併せて、このシナリオにおいて、医療の高度化等のその他要因が年率二%の場合には、試算ではお示しはしてございませんが、一%と〇%、伸びない場合といったものを出しておりますので、それから概算すると八・八%程度になるものと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
まず、今回、手元にはお配りしていないんですけれども、長期安定シナリオと成長実現シナリオというものもあるということなんですけれども、実質賃金は現時点で二年連続でマイナスということで、現状に即した形で考えた方が私は確実だと思います。
その上で、現状投影シナリオでは、二〇三三年に年五・二%、二〇四〇年度に五・七%、二〇五〇年度に六・四%、二〇六〇年に七・二%に上昇するという試算結果となっています。今の御答弁にもありましたとおりであります。二〇一九年、こちらから二〇四〇年まで、約二十年間で、名目GDPの増加分よりも医療、介護の社会保険料負担の増加分が約一八%、そして、二〇六〇年の約四十年間で五〇%も上回る可能性があると見て取れると思います。
正確な数値を出す上ではより精緻な分析が必要になると思いますけれども、つまり、医療・介護制度改革を行わない限りは、二〇一九年度との比較で、二〇四〇年度までに医療の社会保険料率などを約二割、二〇六〇年度までに約五割引き上げなければならない可能性があるということだと、こちらで見て取れると思います。いわゆる悲観シナリオ、現状維持で行った場合ですけれども。
要は、賃上げが実現したとしても、それ以上に社会保険料負担が増加する場合、家計の手取り収入は減少して、子育てを担う現役世代を含め、国民生活は一層厳しくなるということであります。
手取り収入を増やすには、少なくとも社会保険料負担の伸びを賃金上昇率の範囲内に抑制する必要があると思いますけれども、新藤大臣、いかがでしょうか。
○新藤国務大臣 まず、私たちのこの長期の試算ですけれども、現状維持であればどういうことが起きるか、これを実現することは想定したくないわけであります。何よりも我々は、少子高齢化、人口減少社会、更に今後も加速していきます。そうなると、社会保障や医療、介護、こういうものに対するニーズというのは、これは当然、対象者が増えていくわけですから、必然的に増やさざるを得ないところが出てくる。だけれども、改革できるところを徹底して歳出改革努力をしようと。
その上で、大事なことは、やはり経済を伸ばして、そして国民所得を増やしていく、可処分所得を増やしていく、これが実現できなければ、我々の未来というのは本当に厳しいものになるということで、様々な手段を講じて、歳出の抑制をしていくことは必要ですけれども、しかし、必要なサービスは維持した上で、その上で、できるだけお金のかからないようにする。
そのためには、例えば、健康医療だとか予防医療、こういったものを充実させること、それから様々な、世の中の経済を強くしていく中で、結局、長期安定から成長実現を実現させようと思っているわけなんですけれども、そういった中で、複合的な要素で、我々は、必要なサービスを維持しながら経済を維持していく、こういうことを実現したいと思っています。
○阿部(司)委員 理想としてはそうだと思うんですよ。ただ、今も、賃上げしている、していると言いつつ、実質賃金は二年間連続でマイナスであります。そして、この三十年間も実質賃金は横ばいだったわけであります。
そういった現実がある中で、後にスタートアップの質問もさせていただきたいと思っていますけれども、私ももちろん、成長する日本をつくっていかなければならないと思いますけれども、それが実現される前提でこの制度を維持していくというのは、私は違うと思うんですね。
先ほども触れましたけれども、二〇四〇年には、この現状シナリオでいくと、社会保険料は二〇%アップする、二〇六〇年には五〇%アップする。ここをしっかり直視をしなくてはならないというふうに思います。
ちょっと話を進めたいと思います。
こども未来戦略、こちらが発表されました。こちらの脚注に、「高齢化等に伴い、医療・介護の給付の伸びが保険料の賦課ベースとなる雇用者報酬の伸びを上回っており、このギャップにより、保険料率は上昇している。」、このように書かれております。先ほど触れた現状シナリオの二〇六〇年までの見通しだと、保険料率を大幅に上げざるを得ないということが見て取れるということだと思うんです。
こども未来戦略の脚注の続きに戻りますが、「若者・子育て世帯の手取り所得を増やすためにも、歳出改革と賃上げによりこのギャップを縮小し、保険料率の上昇を最大限抑制する。」との記載があります。
今回の子育て支援金の財源捻出のために歳出改革を頑張っているとおっしゃっておられますけれども、先ほど指摘している内閣府資料の見通しを見ると、これは全く足りないと思うんですよね、二〇四〇年に二〇%、二〇六〇年に五〇%ですから。子ども・子育て支援金、こちらはこの方向性と矛盾しませんか、大臣。
○新藤国務大臣 非常に重要な指摘だと思うんです。
是非共有してもらいたいのは、今後の、二年後、三年後、少なくとも、子育ての加速化プラン、この最中の数字というのは、高い賃上げではなくて、現状の、これまでの賃上げのペース、これを前提にして計算しているんです。ですから、現実的な中で、それでもどうやって歳出改革ができるかということを前提にして、様々な財源の捻出を計算しています。
この二〇四〇年、六〇年というのは長期シナリオです。これは、実際には、二〇三三年まで中期の試算があって、その中期試算を前提にして、ですから、二〇三三年までは新しいことを、長期試算の中では新しい条件を加味しないで、スタート地点を二〇三三年に置いて、長期という形で四〇年、六〇年まで上げているんですよ。ですから、この長期試算というのは、中期試算の中身がよくなればもっと改善していく、幅があるというふうに御理解いただきたいんです。
ですから、あくまでこれは試算なので、現実の目の前の経済運営を、そんな、まだ実現していない数字を前提になんかは、それは簡単にはできません。が、これまでの給与水準だとかそういったものを前提にしながら、今の制度をつくりながら、その先に見据えたものは、これは改善しなければならない、何としても実現する。そうしなければ、社会保障だけでなくて、地方も成り立たなくなりますし、この国の全体が回らなくなる、そういう危機感を持って、我々、だからこそ今、新しい改革をしていくんだということを考えておりますし、それを国民の皆さんにより強く訴えていきたい。その一番大本が構造的な賃上げになる、こういうことでございます。
○阿部(司)委員 構造的な賃上げも大事だと。済みません、後で議事録の方を精査させていただきたいんですが。今の御説明で、この増え続ける社会保険料負担が軽減されるのか、手取りが増えるかというと、これは国民の皆さん、ちょっと納得しづらい気がするんですよね。
子ども・子育て支援金に関しましても、実質負担ゼロとさんざんおっしゃられていますけれども、これは結局、社会保険料のアップですから負担は生じると思うんです。
例えば、賃上げと歳出改革で負担をゼロにするという御答弁を繰り返しされていらっしゃいますけれども、賃上げされない企業もありますよね。全部の会社、全てが賃上げをされるわけではないですから、賃上げをされない会社員の方は負担がアップをする。
そして、問題として指摘をしておきたいのが、若者と高齢者の間でもやはり格差というものが生じます。資産ではなく所得をベースにしておりますから。低所得者向けの軽減措置というのがあると言われておりますけれども、日経新聞の記事だと、例えば、年収五百万円の会社員であれば月約八百円に対して、国民年金のみで生活している七十五歳以上の高齢者の場合は月五十円になる、子育て支援金の話ですけれども。
こうした話なわけで、今、長期にわたって社会保険料を抑制していかなくちゃいけないという文脈の中で、もう既にこの子育て支援金に関しては格差も生じていて、逆に現役世代に負担がかかってしまっている。これは私は矛盾していると思いますよ。
続けます。
こども未来戦略脚注の「保険料率の上昇を最大限抑制する。」、こちらは具体的にどのような意味か、お伺いをしたいと思います。また、何らかの法改正ですとか附帯決議を行って、医療の保険料率の上昇にも上限を定めていくような必要があるのではないかと思うんですけれども、こちら、少子化対策ですとか子供関係の所管のこども家庭庁からお伺いをしたいと思います。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
御指摘の「保険料率の上昇を最大限抑制する。」という文言については、高齢化などにより社会保障給付が増加する中、昨年末に閣議決定された改革工程に沿って最大限の歳出改革を行うことで、社会保険料負担を全体として軽減していくことがまずは重要であることを表していると承知しております。
その上で、医療等の保険料率の、保険料に上限を定めることについては、厚生労働省の所管のため、私からは答弁いたしかねますが、支援金制度について言えば、歳出改革により実質的な社会保険負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を構築することから、支援金の導入によって社会保障負担率が上がることとはならず、こうした考え方については子ども支援法の一部改正法案において法定しているところであります。
ただし、先ほどから御指摘のとおりでありまして、大臣もお答えになりました実質の負担、そして将来を見据えたもの、予想と現実、そういうものはかなりギャップが出てくるわけでありますから、三十年間賃金が上がっていないのは事実でありますし、また、冒頭にゴールデンウィークのお話をされました、六十五歳以上の方が三〇%になっておりまして、負担料が、先ほど、サラリーマンの方は八百円そして高齢者の方は五十円、そういう方は、裾野もいろいろありますけれども、やはり理解していただいて、支援金でございますので、御支援を私からは賜りたい、そんなふうに思っております。
理屈からすると委員のおっしゃるとおりでありますけれども、何とか乗り越えていきたいというのが私どもの方でありますので、御理解を賜りたいと思います。
○阿部(司)委員 工藤副大臣、ありがとうございました。
後半の前半は現役世代の負担をより軽減するために頑張るというような趣旨だったのが、後半の後半は子供支援金の理解を求めるという、ちょっと方向性が変わっちゃったかなと思ったんですけれども。
いずれにせよ、最大限にはまだほど遠いので、こども家庭庁からもしっかりと最大限の改革を推し進めるよう後押しをしていただきたい、このように強く要望させていただきます。
いわゆる全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程、こちらには、「若年人口が急速に減少する二〇三〇年代に入るまでが少子化トレンドを反転させるラストチャンスであり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない。」、また、「社会保障の制度改革やこれを通じた歳出の見直しに取り組むこととする。」とあります。
二〇三〇年代に入るまであと五年と少々なんですけれども、二〇三〇年までに医療、介護の保険料負担を幾らまで抑制する見込みなんですか。大臣、お伺いいたします。
○新藤国務大臣 私たちは、二〇三〇年に入るまでがラストチャンス、これを是非みんなで共有しなきゃならないと思っているわけです。
それは、二〇〇〇年代に生まれた子供たちが百二十万人規模でいらっしゃいます。その人たちが今、二十代、三十代になって、社会の主力になって活躍してくれる。しかし一方で、それ以降、今、足下は七十六万人を切ったわけですから、今後激減していくわけですね。なので、今、一定数の方たちが社会で活躍できる、そういうときに、そのときまでに、少子高齢化、人口減少であっても成長していく経済、これをつくらなければいけない。
だから、先ほど議員はやや懐疑的で、しかも、夢は追うにしても厳しく現実を見ろという御指摘でありましたけれども、これは、GDPも三十年間うちは伸びていませんが、諸外国においては二倍、三倍になっています、株価は十倍を超えています。私たちはそれが全て一倍なんです。ですから、他の国でできている、そして私たちもやればできる構造にあるという中で所得を増やしていく。それは、経済を新しい形にして、今いる私たちでもきちんと成長できる、こういうものをつくっていく。
その中で、必要な社会保険は、また社会保障は維持しなければならない。だから、あとは対応可能な範囲で負担をいただくことになるわけですけれども、負担と給付のバランスも、これも、全世代型社会保障という新しい概念を入れたのは、従来の社会保障は、高齢者は給付を受ける、現役世代は負担のみ。でも、それを、全世代において給付を受けることもあってもいい。だから、社会保障の中に子育てという分野も入れよう、それから働き方改革も入れようという中で、それぞれ給付を受ける枠を広げようと。一方で、高齢者も含めて、その負担能力に応じて、全世代で負担できるものはしていこうという中で、この社会保障を維持しようということを考えているわけであります。
ですから、今、幾らまで抑制する見込みなのかというのは、これはその数字を設定するのではなくて、今現状がありますね、この現状よりも悪化しないようにしながら、皆さんが対応可能な制度というものをつくっていく。歳出改革は、今回の支援金の設計をするに当たっても、また未来戦略の設計をするに当たっても、従来からの歳出改革の実績を踏まえて、そして、これから先の二〇二八年までの間の財源を考えています。
それから、賃上げは、ここのところの、この何年間かの賃上げを、このベースで、前提にしているので、構造的賃上げが完成した後の賃上げで設定しているわけではないわけです。そして、支援金自体は、これまでの保険料負担の中で、歳出改革をした部分で本来ならば軽減されなきゃいけない部分、そこの部分を支援金として充てるという構造ですから、幾らというのは人それぞれで、負担するのは、それぞれの所得に応じて、また家族構成において違ってきますよね。だけれども、概念上、今まで負担した枠の中での、その歳出改革の抑制された効果の中で支援金を出す。
そして、賃上げというのは、今年度、診療報酬改定でエッセンシャルワーカーの賃上げがありました。ですから、この部分をどこで取るかということに関しては、従来からの賃上げのベースの中で、国民総所得が増えるので、その中で、エッセンシャルワーカーの賃上げ分はきちんと中で見込めますということによってトータルとしてバランスを取るという説明をずっとしているわけなので、これを数字でいうとなかなか、五百円、いや、もっと高いんじゃないかとか、それはいろいろなケースがありますから。でも、概念として、やはり全世代で社会保障を維持していくんだ、この切替えをしていこうということを私たちはしっかりと説明していきたい、このように考えているわけです。
○阿部(司)委員 大臣、ありがとうございました。
ほかの国は二倍、三倍、四倍と成長している、だから我々も、一倍だから成長できるんだ、これは非常に私も、二倍、三倍成長する国にしていきたいなと思うわけでありますが、三十年間一倍だったわけですよ。やはり、なぜ一倍だったのかということをしっかり踏まえた上で取り組んでいく必要があると思います。
社会保障の話も、全世代型社会保障で、新しい概念でみんなで負担をしていくというような話をされていらっしゃいましたけれども、これも、ずっと先送りにし続けてきたという中で、今まさに、いわゆる改革工程にも書いてある、不退転ですとかラストチャンスという言葉どおり、強力に推進をしていかないといけないと思うんです。
今の、具体的に数字を申し述べるものではないということをおっしゃっていたんですけれども、もうこれは我が国の浮沈に関わっている問題だと思うんですね。そんな悠長なことを言っている場合ではないと思うんですよ。二〇四〇年には更に二割、二〇六〇年には五割と私申し上げましたけれども、これが何を意味するのか。今の現役世代はただでさえお金がなくて、結婚、出産に前向きになれないんですよ。この現実があります。私は、目標を具体的に設定しないと、見通しは変わらないと思います。
医療、介護の保険料負担抑制の目標値について、もう一度大臣にお伺いいたします。
○新藤国務大臣 目標を設定しないと言っているのではなくて、現状の水準がありますね。この現状の水準を前提にして、負担可能な範囲はどこまでになるのかということ。率の問題もありますし、必要な額というのがあります。必要な額を確保するためには、一つは負担をしていただくことと、それから、そもそも絶対数としての額は、これは所得を伸ばしていくことによって確保される部分もあります。
ですから、これを複合させたものの中から出てくるということで、二〇一九年度の医療、介護の保険料負担、対GDP比が四・八%、これに対して、これを委員は現状維持ケースで御心配いただいているわけですけれども、現状維持ケースでいけば本当に厳しいことになりますが、これは、今までと同じ状態を維持するということになります。三十年間そうだったとおっしゃいます。そのとおりですが、その前はきちんと成長したんです。
ですから、原因を分析をして、そして何をすべきか。これまでの延長ではなくて新しい取組をしていこう。だから、それが全世代型社会保障であるし、新しい資本主義であるし、こども未来戦略であるし、様々なものを今打ち出しているわけです。そしてそれは、一年、二年で始めますけれども、それの延長に、更に次なる施策を組んでいかなきゃいけないという中で考えていこう。
現状維持、今の現状の数字を前提にして、それらから負担可能な範囲を超えないということで社会保障を運営していく、これが我々の考え方だと思います。
○阿部(司)委員 ビジョン、プランを描くのは、私は必要だと思いますよ。ただ、それが絵に描いた餅になってしまっては元も子もないわけであります。ですから、この改革工程にもあるように、不退転の決意を持って取り組んでいただきたいんです。
我が党は、先日、医療維新という改革プランを発表させていただきました。こちらには、医療費の三割負担、高額療養費負担限度額の見直し、医療DX、AIの活用などなど提案をさせていただいておるんですけれども、政府の改革工程の方にも同じものが含まれております。こちらも、「保険料率の上昇を最大限抑制する。」というこども未来戦略の文言にも通じておりますので、必ず、力強く進めて、取り組んでいただけるよう、強く要望申し上げます。
ここまで全世代型社会保障改革の議論をさせていただきましたが、国民に正確に現時点での見通しを把握してもらうことは非常に重要であると思います。
二〇四〇年度、六〇年度などの医療保険料率、例えば健康保険組合、協会けんぽ、国保などなど、こちらの数値をしっかりと精緻に計算を行った上で、政府が公表すべきだと思いますけれども、塩崎政務官、いかがでしょうか。
○塩崎大臣政務官 委員の御質問にお答えいたします。
将来の医療保険料率の推計につきましては、前回、二〇一八年にお示しをしたときには、高齢人口がピークを迎える二〇四〇年頃を見据えて、社会保障給付そして負担の姿を幅広く共有するための議論の素材を提供する、これを目的に実施をさせていただきました。
今後、長期的な視点に立って、どのような社会保障制度を目指していくのかという議論の際には、一定の仮定を置いた将来推計を見ながら検討を進めていくことは重要だと考えておりますが、御指摘の二〇四〇年、二〇六〇年の保険料率の推計については、先ほどからも議論にありますような賃金上昇率などの経済的な前提、また医療費の伸びの前提等に大きく影響を受けるため、単に機械的に計算するだけではなく、こうした前提について、その背景等を含めて十分に考慮した上でお示しする必要があるというふうに考えております。
いずれにしましても、今後とも、議論に資するように、適宜必要な対応をしてまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
塩崎政務官、私と同じ四十代で、お子さんのお弁当を作っている様子もXで拝見しておりまして、私も本当に見習わなくちゃいけないなと思っているんですけれども。さんざん今議論してきた現役世代、次世代の負担に関する問題意識は共有いただいているところだと思います。
今の御答弁で、様々な前提条件も変わってくるし、その都度、適時適切に対応していくというような御答弁だったかと思うんですけれども、平成三十年に発表されたデータというのも、今の、今日皆さんにお配りした推計と比較をしても、随分状況が異なってきているのかなと思っていまして、やはりタイムリーに、しっかり現状認識をして、常に軌道修正をしていくという上でも、このデータを公表する、作成をするということは非常に重要だと思いますので、是非その点、御考慮いただきたいと思います。
もう時間がそろそろ来てしまったんですけれども、政府には本当に、現役世代の負担を減らして、いわゆる社会保障制度も、先ほど来新藤大臣がおっしゃられている、経済の構造改革といいますか、これまでの三十年間の日本経済と全く違うものをつくっていくんだ、これは非常に私も共感、方向性は同じですので、あとは実行だと思うんですね、踏み込みだと思うんです。それは社会保障もそうですし、経済についてもそうです。
済みません、この後スタートアップに関する質問をさせていただこうと思っていたんですけれども、時間が来てしまいましたので入れないと思うんですけれども、このスタートアップも同じく、しっかり諸外国に負けないように進めていくこと、非常に重要だと思いますので、是非、改革の覚悟、これはもう行動そのもの、実行そのものが覚悟の表れになると思うんです。
今の若い人たちは、政治、諦め切っていると思います。もう言っても無駄だな、そういう方がすごく多くて。ただ、ここで、全世代型社会保障改革の改革工程、これは、先ほど触れました維新の医療維新に書いてあるような、医療費の窓口負担を全世代三割にするですとか、高度療養費制度も見直すですとか、まだまだ規制がかかっているオンライン診療ですとかAI、こうしたものを活用するための、診療報酬を改定するですとか、こうした具体的なところに踏み込んで、やりますよと言えば、これはこれまでと、この三十年間と違うなといった目で見てくれると思うんですよ。
ここが私は重要なポイントだと思いますので、いろいろ状況を見ながら不断に検討を重ねていくとか、そういう御答弁じゃなくて、やりますと、いつまでにこれをやります、それが今の政治には足りていないと思うので、是非よろしくお願いします。
時間が来ましたので、こちらで私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
先日、銃刀法の質疑の際に、警察の地域の拠点になります交番の問題について質問をいたしました。
最初に警察庁にお尋ねしますけれども、そのときの警察庁の答弁で、地域警察は、地域の実態を掌握をして、その実態に即し、かつ、住民の意見や要望に応えた活動を行うとともに、市民の日常生活の場において、常に警戒体制を保持し、全ての警察事象に即応する活動を行っている、交番、駐在所はその活動の拠点としての役割を果たしていると述べておりました。
そこで、北海道において、駐在所はあるけれども、警察署、警察署の分庁舎はもちろん交番もない、そういう自治体というのは幾つあるのか、北海道の全市町村に占めるその割合は何%かについてお答えください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
北海道警察によりますと、北海道において、駐在所はあるものの、警察署、警察署分庁舎、交番のない自治体は九十二自治体存在し、全体に占める割合は約五一・四%でございます。
○塩川委員 駐在所はあるけれども交番もないといったところが九十二自治体で、五一・四%、半分以上ということであります。
松村国家公安委員会委員長にお尋ねしますけれども、北海道において半分以上の自治体で二十四時間対応のそういった警察の拠点が存在をしない。交番というのは、警察署が設置されていない自治体とのパイプ役の役割も果たしているといったことを考えたときに、北海道の例でありますけれども、交番の配置が少な過ぎるんじゃないかと率直に思うんですが、大臣の御感想をお聞きします。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○松村国務大臣 今、檜垣局長から答弁がございましたが、北海道の方は九十二の自治体で確かに交番もございません。ただ、そういったところには駐在所が配置してあるわけでございますが、駐在所は、交番と同様に、警察活動の必要な事案への即応や、市民生活の安全と平穏の確保、こういった機能を果たすものでございまして、配置された地域警察官が御指摘のような自治体とのパイプ役の役割も果たしているものと思っております。
交番、駐在所につきましては、都道府県警察におきまして、警察署の管轄区域内で二十四時間対応できるよう、治安情勢及び地域の実情に応じて設置をしているものと承知をいたしております。
○塩川委員 駐在所の地域警察の方、本当にその地域に貢献する活動をされておられると思うんですが、ただ、そうはいっても基本は日勤ですので、そういった点でも、二十四時間対応になると、よその自治体にある警察の拠点から来てもらうということになる。そういう点でも非常に不十分な体制にならざるを得ないんじゃないのかという懸念があるわけであります。
そういった点でも、やはり少なくとも交番はきちっと設置をするとか、二十四時間対応の警察の拠点、交番を始めとした施設の設置について、これは何らかの目安といいますか基準というんですか、必要な人員配置が求められるところでもありますので、そういったことが求められているのではないかと考えますが、委員長のお考えをお聞かせください。
○松村国務大臣 御指摘の点は大変重要な点だろうと思っております。
交番、駐在所につきましては、国家公安委員会の規則におきまして、昼夜の人口、世帯数、面積、行政区画、また、事件又は事故の発生状況、こういった治安情勢に応じまして、都道府県警察が配置するものとしているところでございます。
今後も、治安情勢、地域の実情を踏まえ、適正かつ合理的に交番、駐在所が配置されるよう警察を指導してまいりたい、このように考えております。
○塩川委員 全国的にも、警察署の統廃合ですとか交番統廃合なども進められているところもあると聞きます。そういった点でも、必要なところに必要な拠点を置くといった点で、きちっとした方向性を示すことが必要ではないのか。その点については重ねて申し上げておきます。
次に、生活保護行政についてお尋ねをいたします。
群馬県桐生市において、この間、生活保護受給者に対し、生活保護費を半分しか渡していなかったとか、二千本近い判こを保管して本人の同意なく押印をするなどといった違法行為が重ねられていたことが大問題となりました。しかも、二〇一一年からの十年間で生活保護利用者が半減し、母子世帯は二〇一一年の二十六世帯が二〇二二年には二世帯にまで急減をしているという例もあります。
全国的には、この十年間、生活保護受給者は二百万人以上で高止まりをしているのに、大幅に減少している桐生市の事態は余りにも異常ではないかと考えますが、この点、厚労省からお答えを求めたいと思います。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
支給決定をいたしました生活扶助費につきまして、その全額を支給しないという対応につきましては、生活保護法に規定する生活扶助の実施方法に適合するものではございません。
また、一般論として申し上げますと、福祉事務所で印鑑を保管し、本人の同意なく押印することは適切ではないというふうに考えられるところでございます。
先生御指摘の事案につきましては、現在、群馬県の監査が行われており、桐生市におきましても本年三月に第三者委員会を設置して検証を行っていると承知しておりまして、私どもとしても注視しているところでございます。
○塩川委員 生活保護法に適合しないというか、違法行為ですから、こういったことについて、あってはならないということで、もちろん群馬県の監査や桐生市における第三者委員会における検証、調査、これをしっかりやってもらうと同時に、国としてどうするのかということが問われるところであります。
こういったことが起こっている背景として、生活保護などに関わる福祉部局への警察OBの配置の問題があります。人口十万人の桐生市で、最大四人も警察OBが配置をされておりました。桐生市は、暴力団対策として警察OBを雇い上げて、相談体制の強化を図るとしておりましたが、実際には、暴力団関係者でもない新規の相談者の面接時や生活保護受給者への就労相談の場に警察OBも同席をさせていたということであります。
威圧的な態度によって生活困窮の市民を萎縮させ、生活保護受給に関する権利行使を妨げる事態を生じさせていたのではないのか、こういうことが問われているわけですが、この点について厚労省はどのように聞いていますか。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護の不正受給の防止につきましては、制度に対する国民の信頼を確保する上で重要と考えております。また、必ずしも警察OBであることをもって威圧的な態度を取るとは言えないのではないかと思われます。
その上で、一般論として申し上げますと、生活保護の相談に来られた方を威圧して生活保護を申請させないという、申請権を侵害するような行為を行うことはあってはならないというふうに考えております。
厚生労働省といたしましては、生活保護の申請権の侵害ですとか、あるいは侵害していると疑われる行為は厳に慎むよう、これまでも自治体に対して周知徹底を行ってきたところでございます。自治体において今調査等を行われておりますので、その状況をしっかり注視してまいりたいと考えております。
○塩川委員 自治体の調査を注視していくということなんですけれども、こういった、実際には暴力団関係者でもない新規の相談者の面接や生活保護受給者の就労相談の場に警察OBを同席をさせていた、そのことでまさに申請権の侵害が行われるような事態が生じていたということが問われているわけです。
問題なのは、このような警察OBの配置に対して国が補助金を出していることであります。警察OBの配置費用を含む、警察との連携協力体制強化事業について、桐生市には、昨年度、二百六万円余りが交付をされております。その経費で警察OBが採用されていると承知していますが、それでよろしいですか。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の警察OBの活用に関する事業の趣旨といたしましては、福祉事務所における不当要求への対応強化を図ることでございまして、警察OBの配置を暴力団への対応に限定するものではございませんけれども、各自治体においては、この事業を活用する際には、この趣旨に沿った人員配置を行っていただく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、生活保護を申請させないという申請権の侵害ですとか、侵害していると疑われる行為は厳に慎むよう、これまでも自治体に周知徹底を図ってきたところでございまして、引き続き、適正に制度が運用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川委員 いや、私は、この厚労省の警察との連携協力体制強化事業の補助事業において、桐生市で警察OBを採用しているということでよろしいですかという確認なんですが。
○斎須政府参考人 この警察OBの活用に関する事業で、一名の警察OBを相談員として配置しているというふうに聞いております。
○塩川委員 実際には四人配置されていたときもある。そのうちの一部において、今言った、国の補助事業で警察OBが採用されていた。その中で、新規の相談者の面接や生活保護受給者の就労相談の場に警察OBが配置をされていた。
こういった警察OBの採用について、全国的に何人配置をされているとか、そういったことについては把握をしているんでしょうか。そういった警察OBがどんな業務に従事をしているのか、そういったことについても把握をしているんでしょうか。
○斎須政府参考人 この事業につきましては、警察OBの相談員としての配置のほかに、様々な、警察と福祉事務所の連携等に関する事業内容がございまして、この実施自治体は全国で二百二十六ございますが、警察OBが雇用されている状況については把握はしておりません。
○塩川委員 生活保護の相談員に求められる役割と警察官に求められる役割は違います。生活保護行政を取り扱う福祉事務所の職員は、生存権を保障する業務として、一定水準以上の社会福祉に関する学識と経験が求められているわけであります。
昨年の、令和六年度の概算要求の際には、厚労省として、警察OBの配置費用を含む、生活保護適正運営体制強化事業というのを設けて、従来の二十四億円から二十八億円への増額を要求しておりました。実際には当初予算には反映をされておりませんでしたが、厚労省として、このような警察OBの配置を増やそうとしているということなんでしょうか。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の事業は、福祉事務所における不当要求への対応強化を図るため、自治体の取組に対して補助を行うものでございまして、自治体におけるニーズに応じまして、警察OBの配置のほか、警察との連絡会議の開催ですとか、福祉事務所職員への研修といった内容も含んでおります。また、不正受給防止等に資する、収入・資産申告書の徴収等に関する業務に従事する職員の雇い上げ等の補助経費も併せて予算要求したものでございます。
いずれにいたしましても、不当要求に対して、各自治体の実情に応じて対応していただけるよう、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 不当要求でもないような新規の相談者の場に、こういった警察OBを配置をするというのは極めて不適当で、こういった在り方をやるべきではない。警察OBの増員ではなくて、増やすべきはケースワーカーだということを申し上げて、質問を終わります。
○星野委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。十五分ですね。
まず、土田政務官に、今日なぜここに通告が出ているかということについてはよく御存じだろうと思います。今日は質問を当てませんので、なぜ今日通告が当たったかということについて思いを致して、そして、これからの内閣府政務官としての活動をしっかりと頑張っていただくことを心より御祈念申し上げたいというふうに思います。
それでは、質疑に移っていきたいと思います。
NPO法人について質問をいたします。
まず、加藤大臣にすごく一般的なことをお伺いするんですが、NPO法人というものについて、非常に広い概念だと思うんですけれども、そもそもどういうものなのか。例えば、今週金曜日に質疑する公益法人との違いとか、NPO法人と公益法人というのはいかなる意味において違うのかということについて、大臣、どうお考えでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
まず、NPO法人とは、ボランティア活動を始めとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的として、NPO法により法人格を付与された団体でございます。
聞かれてはおりませんけれども、現状、NPO法人の数としましては、現在、認証法人数は約五万法人、税制上の優遇措置を受けることのできる認定・特例認定法人数が約千三百法人となってございます。
○緒方委員 公益法人との違いについて聞いたつもりだったんですけれども、まあいいです。しっかり、加藤大臣、勉強してください。
このNPO法人、先般、去年だったと思いますが、おととしだったかな、マネーロンダリングの対応をするFATFのところで、NPO法人のところだけ、NC、ノンコンプライアントがつけられているんですね。
私、これは本当に問題だと思っておりまして、まず、内閣府の方にお伺いしたい。なぜFATFでノンコンプライアントをつけられたんでしょうか。内閣府。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
NPO法人につきましては、二〇二一年八月のFATFによる第四次対日相互審査報告書におきまして厳しい評価を受けましたということでございます。このNPO法人というのは、いわゆるNPO法人のみならず、FATFの方においては、公益法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人の六法人が該当しているものでございます。
それで、なぜということでございますけれども、受けましたのは、リスクベースアプローチによるモニタリング、これを実施していることが必要であるということで、ここの部分をしっかり対応すべきということで厳しい評価を受けたというふうに認識しております。
○緒方委員 そうなんですね。FATFでノンコンプライアントをつけられたNPO法人というのは、必ずしも今ここで言う内閣府所管のNPOだけではなくて、宗教法人とか様々なものが含まれるんですが、やはりこういうことについて、いろいろな判断基準がある中で、これだけ駄目と言われたわけですよね。
これは一般的な大臣の決意で結構でありますが、こういうところで、マネーロンダリングのところで二度とノンコンプライアントをつけられることがないように、大臣としてしっかりやっていきたいという決意を伺いたいと思います。加藤大臣。
○加藤国務大臣 ありがとうございます。
委員御指摘の点は大変重要だと思っております。国際的な信用にも関わることでございますので、このノンコンプライアントというところがしっかりと格上げになるように、私自身、大臣として旗を振って推進してまいりたいと思います。
○緒方委員 そういう中、私は問題が多いんじゃないかなと思っているのが、休眠のNPO、実質活動がないNPOですね。
二〇一九年に内閣府の方で調査をいたしておりまして、五年前でちょっと古いんですけれども、事業報告書を提出していないNPOは全体の一六%に当たる八千六十四団体、報告書等は出ているんだけれども活動実態が不明のものが別途三千六百七十六団体。しかも、これは全ての都道府県、政令指定都市からの回答ではないので、実態はもっと多かったはずだと思います。
現在活動していない、広義で休眠のNPO法人の数字はどれぐらいだというふうに把握しておられますでしょうか。内閣府。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
休眠状態のNPO法人につきまして、内閣府が昨年の七月に全国の所轄庁に対して行いましたアンケート調査によりますと、三年以上事業報告書が未提出というNPO法人、これにつきましては、有効回答のありました四万八千三百十九法人のうち千百三十四法人、全体の約二・三%ということで承知いたしております。
○緒方委員 それは、三年出していないとか、そもそも単年度だけ出していないとか、その差があると思いますけれども、もう少し詳細に説明いただければと思います。内閣府。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
三年以上事業報告書が未提出ということになりますと、所轄庁において設立の認証の取消しという手続ができるということになっておりますので、三年以上という対象に絞って今お答え申し上げたということでございます。
○緒方委員 二〇一九年に調査したときは、そうではなくて、そもそも単年度で出ていないところも調査していたので、さっき私が言った、八千六十四というふうに申し上げたわけですが、それは現在、二〇一九年からアップデートされたものはないという理解でよろしいですか。内閣府。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のものにつきましては持ち合わせてございません。
○緒方委員 この後の質疑でもやる予定だったんですけれども、三年以上のところでそういう数字だったということなんですが、これはもう既に事件になったものもあるんですけれども、反社会勢力が事実上乗っ取ってしまったNPOとか、あと、過去に事例があったんですけれども、気がついてみたら違法風俗をやっていたNPOとか、そういうケースがあるんですね。
しかしながら、先ほど話がありましたとおり、改善命令に従わないときとか事業報告書を三年以上未提出だった場合には認証を取り消すことができるというふうになっておりますが、これは逆に言うと、活動せず、そして収支がゼロでも、事業報告書さえ出せば休眠でも手が出せないということじゃないですかね。問題ではありませんか。内閣府。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
NPO法のそもそもの考え方でございますけれども、情報公開を通じまして広く市民の監視の下に置くことによって、市民による緩やかな監督、あるいはそれに基づくNPO法人の自浄作用による是正がなされることを前提としているということから、このような対応をさせていただいているということでございます。
○緒方委員 答えになっていなくてですね。
事実上休眠であっても、休眠でほとんど何の活動もなかったとしても、事業報告書だけ出していれば公権力が何らの対応ができないと。そうやってほったらかされたNPOがあるときに、先ほど言ったように、例えば、反社会勢力が乗っ取るとか、更に言うと、気がついてみたら違法な風俗をやっていたとか、そういうことになると思うので、これは問題だというふうに思いませんかという質問をしているんです。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
NPO法は、先ほど申し上げたとおり、市民の監視下に置くということを理念として持っております。一方、公益法人については役所が監督するということが前面に出てくるわけでありますけれども、基本的なその制度の成り立ちが違うということで理解をしております。
それから、法人の解散ということになりますと、非常に大きな不利益処分ということになります。これにつきましては、法律において、先ほど申し上げた、三年以上にわたって事業報告書の提出を行わないときには認証を取り消すことができるというふうに規定しておりますので、単年度のものについて役所が監督するということについては現在は想定していないということでございます。
○緒方委員 さっきから審議官と答弁がかみ合っていないんですけれども。
一部自治体では、こういった問題のある団体に過料を科すことで、事実上自主解散を促して休眠NPOに対応するとかやっているんですが、これとて結構手間がかかるんですね。
これは加藤大臣にお伺いしたいと思いますけれども、簡易に解散させる仕組みを私は設けるべきじゃないかと思うんですね。変な団体が巣くったりしないように、簡易に解散させる。
しかもこれは、所管をするのが都道府県であったり政令指定都市だったりするんですね。大きいところはまだそれでもいいかもしれないけれども、小さな県とかそんなに規模が大きくない政令指定都市とかになってくると、そんなに人が多く割けないということもあったりするので、怪しげなNPOを生み出さないためにも、簡易に解散させる仕組みをつくるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
委員の問題意識については共有をさせていただきますが、休眠状態のNPO法人の解散手続の実務につきましては、内閣府として、適宜情報収集を行い、毎年開催している所管庁との意見交換等の場を活用して情報の共有を図るなど、適切な運用に努めてまいります。
○緒方委員 そういう情報共有は分かるんですけれども、これは法定事項なので、制度自身に問題があるのではないかと私は思うんですね。なので、制度の見直しをしてはいかがですかということを聞いております。大臣。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
委員の問題意識は共有すると申し上げました。
本来であれば、市民の中で信用を得ながら、市民の監視の下で公益に資することをやってくださっているNPO法人、本当にいいところもいっぱいありますので、そういった方々の信頼までも失墜させるような状況があってはよくないというふうに思う一方で、先ほど申し上げた、市民の皆さんが参画しやすいということのために、緩やかな監督であるとか、また自浄作用による是正を前提とするとか、そういう要請もございます。
そこのバランスをしっかり取りながら、どのような解散手続の在り方が適切かというのは、状況を見ながら私自身も注目をしてまいりたいと思いますが、引き続き、内閣府としては、毎年開催している所轄庁との意見交換等の場を活用して、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○緒方委員 これは、NPO法というのは議法ですので、実際、議員立法で動かしていかなきゃいけないというのがあるというのはよく分かっております。皆さん方、今言った問題意識、是非共有いただければと思います。
最後に、短いですが、成果連動型民間委託契約方式、PFSについてお伺いをいたしたいと思います。
これは私、すごくいい取組だと思うんですけれども、広がらないんですね。大臣、なぜこれは広がらないんだと思いますか。加藤大臣。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
制度としては大変御評価をいただきまして、ありがとうございます。
広がらない事情の一つとしては、地方公共団体の職員の皆さんが取り組む上で様々な、低くないハードルがあるというふうに考えてございます。
例えば、運用していくに当たって成果指標を作ったりするわけですが、その成果指標をどのように設定するかですとか、また、成果に連動した支払いの金額と固定のバランスをどのようにセットするかですとか、運用していくに当たって職員の皆さんにとっての負担が結構高いので、なかなか普及が進んでいないというところもあろうかと考えておりまして、であるからこそ、PFSの普及促進に向けて、啓発活動ですとか専門家派遣ですとか案件形成支援、こういったことを内閣府としてしっかりやっていきたいと考えております。
○緒方委員 これで終わりたいと思いますが、これは要するに、成果を出そうとすると、成果を出すために頑張ると、短期的に負担が増えるんですね。仕事も増えるんですね。お役所仕事の人たちからすると、やりたくないんですよ。なので、これは首長がやる気にならないと、絶対進んでいかないと思うんですね。地方六団体とかに営業されてはどうかと思いますので、そのことを一言申し上げて、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
私からは、まず、水俣病の被害者団体との懇談の場での政府対応問題について伺わせていただきたいと思います。
本件は、水俣病の被害者団体と伊藤信太郎環境大臣を始めとした環境省との懇談の場で、被害者団体側の発言の途中に環境省側がマイクの音を切ったことが大きな問題となっています。
そこで、まず伺いますけれども、マイクの音量を切って発言を遮るという指示は一体誰が行ったんでしょうか。
○神ノ田政府参考人 まずもって、この度、発言の途中でマイクを切るという不適切な対応により、関係団体の皆様方に不快な思いをさせてしまったということ、大変申し訳なく、深く反省をしております。伊藤環境大臣の御指示によりまして、本日、担当室長を現地に派遣をし、直接謝罪を申し上げたいと思っているところでございます。
その上で、事実関係、経緯について説明をさせていただきたいと存じます。
毎年五月一日の水俣病犠牲者慰霊式に合わせて実施しております環境大臣と関係団体との懇談においては、これまでも、各団体の発言時間に大きな格差を生じたり、また、大臣から回答をする時間を十分に確保することができなかったりといったような進行管理上の問題が生じておりました。このため、従前より、マイクの音量を切るという対応も含めまして、環境省の事務方において、様々な事態を想定して対応例を準備してきたところでございます。
今回の懇談におきましては、時間が限られている中、全ての団体に御発言をいただいた上で大臣から回答する時間を確保できるようにするため、各団体には、持ち時間の中で御発言いただくよう事前にお願いをしておりました。また、時間を超過した二名の方については、司会から話をまとめていただくようお願いした上で、次の方にマイクをお渡しいただくよう促すため、マイクの音量を切るという対応が取られております。この対応は、従前より準備していた対応例に倣い、事務方の判断で行ったものでありまして、大臣の指示を受けたものではございません。
なお、報道されている方につきましては、他の団体の持ち時間も合わせて約七分間かけて御発言いただいておりまして、その内容については、大臣は全て受け止めているところでございます。
○中谷(一)委員 大臣の指示じゃないということなんですけれども、事務方の誰が指示を出したんですか。
○神ノ田政府参考人 先ほど御答弁差し上げたとおり、ロジ的な対応については、代々、こういう事態になったらこういう対応をするというようなことが引き継がれてきたような経緯がございまして、マイクの音量を切るというような対応も、今回初めてそれが入ったということではなくて、そういう対応も想定されていたと。ただ、発動されたということは今回が初めてということでございます。
○中谷(一)委員 誰の指示でこのオペレーションをつくったんですか。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
こちらは長い経緯がございまして、今となってはちょっと、確認する作業はしたんですけれども、どの時点でそういった対応が組み込まれることになったかという経緯については確認できておりません。
○中谷(一)委員 通告して、参考人が詳細を答えられるというので、参考人に答弁していただいているんですよ。その答弁だったら官房長官でもいいじゃないですか。
要するに、指示している人も分からない、現場で勝手に判断したということを今おっしゃられているということで、理解としてはよろしいですか。
○神ノ田政府参考人 懇談会の場で、特定の人が指示を出して切ったということではなくて、ロジ対応についてそれぞれ役割分担をする中で、そのような対応が取られたと。包括的にそういう対応も認めていたという意味では、我々事務方の責任だというふうに受け止めておりますけれども、現場ではそういう対応だったということでございます。
○中谷(一)委員 長官、これは最低なオペレーションだと思いますよ。八つの団体、仮に一団体三分話を聞いたって二十四分、初めから話を聞く気が全くない組立てになっているわけですよ。要するに、一団体三分しゃべったら、音量を切ってシャットダウンする。話を伺える重要な機会と伊藤大臣はおっしゃっていたんですけれども、そうじゃないんですよ。言っている額面とやっていることが全く違う、そういった設定になっているわけです。
その中で、水俣病の被害者が切実な思いを訴えている中で、話が途中でも三分たったらマイクの音を切り、音声を出ないようにして発言を遮るという行動は、まさに岸田政権の聞く力のなさを体現する大変残念な出来事だったと思いますが、これが岸田総理の言う聞く力で、公式的な対話の姿勢なんでしょうか。形式的なルーティンワークと錯覚しているから、こんな失礼極まりない対応をしてしまっているんじゃないですか。長官。
○林国務大臣 水俣病対策を推進するに当たりまして、様々な関係者の御意見を丁寧にお聞きするということは重要であると考えております。
今般、水俣病の関係団体の皆様との懇談という重要な機会において、先ほど環境省からも答弁したような対応、これは関係者の方々を不快なお気持ちにさせる不適切な対応だったと考えております。
○中谷(一)委員 不適切な対応だったということなんですけれども、私は、事務方の対応はもちろん不適切だったと思うんですが、伊藤信太郎環境大臣の本件での現場の対応、これも最低だったと思っています。マイクを切ったことを認識しておりません、意図的かどうかは知らないなどと発言をされているわけなんですけれども、しかしながら、会場からは、認識できましたよね、みんな言っていましたよ、聞いてやれな、大臣と怒号が飛び交っているわけです。
そうした中で、伊藤大臣から水俣病対策の担当室長へ被害者側に謝罪するように指示をしたということなんですけれども、この大臣、私はどれだけピントがずれているんだろうなということを思いました。むしろ謝罪するのは、環境省のトップとして現場にいながら、水俣病の苦悩を訴える被害者の話をちゃんと聞く、人が話している途中にマイクの音量は切らないという、当たり前かつ適切な指示を行うことをしなかった伊藤大臣ではありませんか。
林長官、内閣の事務を統括する者として、自分は認識していないし、知らないと発言している伊藤大臣に対して、責任者としてしっかりと水俣病被害者たちへの謝罪をするように指導をしていただけませんか。
○林国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、関係団体の皆様の御意見を伺う重要な機会における環境省の事務方の対応は不適切なものであったと考えております。
その上で、懇談会の現場の状況の詳細についてのお尋ねが元になっているということでございますので、環境省の政府参考人から答弁を申し上げさせていただきたいと思います。(中谷(一)委員「いやいや、大臣、だって、官房長官の指導をしてくださいと言っているんですよ、僕」と呼ぶ)
○神ノ田政府参考人 現場での状況に関するお尋ねでございますので、事実関係について……(中谷(一)委員「いや、さっき説明を受けたから。官房長官に指導してくださいと」と呼ぶ)
○星野委員長 直接やらないでください。今、答弁します。
○神ノ田政府参考人 事実関係をまず御説明差し上げたいと思っていまして、伊藤環境大臣は、懇談会の全体を通して各団体からの発言に熱心に耳を傾け、また、自らメモを取られておりました。私も、大臣のすぐ隣に座っていたんですが、各団体の発言は全て聞こえておりまして、マイクが切れたことに気づくことはできなかったという状況でした。大臣も同様の認識でありまして、懇談会及び記者会見の場では、その時点の大臣の認識を正直に発言されたものと受け止めております。
○中谷(一)委員 答弁していませんからね、今、全然、私の聞いたことに。
それで、怒号が飛び交っているので大臣は気づかなかったとおっしゃっているわけなんですけれども、それじゃ余りにも被害者の方々に対して私は申し訳が立たないと思うんですよ。
なので、自分は認識していないし、知らないと発言をしている伊藤大臣から正式に謝罪をし、しっかりと被害者の皆さんに寄り添った対応をしていただくように指導していただけませんかと官房長官に伺っているんです。
○林国務大臣 この委員の御認識というのが、恐らく、私も拝見をしておりますが、報道で映像が流れておりましたので、それを御覧になってということだろうというふうに思いますが、私もそうですが、その現場にいなかったものですから、現場にいた環境省の者にどういう状況であったかということをまず答弁をしていただいたところでございます。
先ほども申し上げたとおり、関係団体の皆様の御意見を伺うという重要な機会における今般の環境省の対応、これは本当に、関係者の方々を不快な気持ちにさせる不適切なものであったというふうに考えております。
本日午後に、環境省の管理職が懇談会で御発言を遮ってしまった方々を御訪問しておわびする予定だと聞いております。不適切な対応に関する事実関係を真摯に御説明し、謝罪を申し上げるようにいたしたいというふうに思っております。
大臣に対して、どういうふうにお話をお聞きして、どういう対応をしていただくのかというのは、その上で考えたいと思います。
○中谷(一)委員 官房長官、それは指導をしていただけないということですか。私は指導していただいた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず、管理職が御訪問しておわびする予定にしております。その上で、不適切な対応に関する事実関係を真摯に御説明して、謝罪を申し上げるようにいたしたい、こういうことでございます。その上で、その後どういう対応をするかというのはそのことを踏まえて検討したいというふうに申し上げておりますので、今の時点で、委員がおっしゃったようなことに対して、するとかしないとかということをここで申し上げているわけではございません。
○中谷(一)委員 報道が既に出ていまして、今日の夕方、現地に行って伊藤大臣が直接謝罪されるということなんですけれども、これは事務方に確認をさせていただきますが、報道のとおり、直接現地に行って被害者側にしっかりと謝罪をされるんですね、大臣が。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
現在、そういった可能性も含めて、現地と調整中という段階でございます。
○中谷(一)委員 いや、関係者はもう話したと報じられていますよ。今日十二時から記者会見をするのに、ここでは教えてもらえないんですか。国会をなめているんですか。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
しっかりと調整が済んだ上で、また、しかるべき立場の大臣からそういったことをお話しいただくということでございますので、この場で、私の立場でお答えすることは難しいという状況でございます。
○中谷(一)委員 では、官房長官は把握されていらっしゃいますか、本件は。
○林国務大臣 御質問は、大臣が会見をされるということについて……(中谷(一)委員「謝罪に行かれるそうです」と呼ぶ)その後、謝罪に行かれるということについて。
先ほど申し上げましたように、まず、環境省において、管理職が御発言を遮られた方々を訪問して真摯に謝罪をする方針でありまして、更なる対応については、御指摘の点も含めて、環境省の方で現在検討中であるというふうに承知をしております。
○中谷(一)委員 既に報じられている状況にも真摯に向き合わない姿勢は、私は水俣病の被害者の方々に本当に失礼なことだと思いますよ。
水俣病の被害者の方々が、奥様がお亡くなりになったときの話を切実にされていたときに、マイクの音量を切って、そのまま知らないなどと言って逃げるように帰る大臣、私はこの大臣に環境省を背負うような資質があるとは思えませんよ。去年の四月に痛いよ痛いよと言いながら妻が死んでいきましたと声を震わせながら発言されているときにマイクの音量を切るなどという非人道的な行為は、人間の常識としては考えられない行動だと思います。政府には人情はないんですか。
今、官房長官の答弁も、環境省が環境省がと他人事のように繰り返されていますけれども、私は非常に違和感があります。むしろ、官房長官、林長官は、内閣総理大臣の臨時代理の第一順位として、まさに政府を代表する立場のお一人なわけです。長官自ら、むしろ、水俣病の被害者に対してしっかりとこの場で謝罪をしていただいてもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、本日午後に、環境省の管理職が直接御訪問して、事実関係を御説明の上、謝罪を申し上げる予定というふうに聞いております。
まずは、今回の不適切な対応について真摯に謝罪をした上で、環境省において水俣病対策を推進するに当たって関係団体の皆様始め関係者の御意見を丁寧にお伺いすること、これを改めて徹底していく方針でございます。
○中谷(一)委員 今この中継を見ている方、ここにいらっしゃる議員の皆さんもそうだと思いますけれども、グーグルやヤフーで検索をかけていただければ、大臣が午後謝罪に行きますとすぐに出てきます。そんな状態であるにもかかわらず、今、環境省も政府も、全く私たちの意見に向き合おうとされません。
私は、水俣病の被害者の方々がこれでは本当に報われないなというふうに思いますし、政府として、ここで、大臣が午後謝罪をしに行く、申し訳なかった、官房長官としてもそう思っているとしっかりと言っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 環境大臣が行かれるかどうかというのは、先ほど環境省からありましたように、今調整中であるということでございます。報道は、私も今委員から御指摘があったので確認したいと思います。
先ほどから、冒頭から申し上げておりますように、非常に不適切なことであったという認識でございますので、管理職が今の予定としては真摯に謝罪をする方針ということでございますが、政府としても、私からもおわびを申し上げたいというふうに思います。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。御対応いただきました。官房長官から謝罪をいただき、やはり、水俣病に苦しんでいる方々に対する対応は、与野党を超えてしっかりと、苦しみ続ける全ての皆さんに寄り添い続けて、一日も早く救済できるということが必要だと思いますので、政府の皆様方にもしっかりと、今後も姿勢を正していただき、取組を進めていただくことを要望させていただきます。
続きまして、偽広告に関する諸課題について伺わせていただきます。
まず、出どころが明確にできる偽広告についてということで伺わせていただきたいんですけれども、本日も偽広告に関連してたくさんの資料を準備してまいりました。なんですけれども、森山浩行野党筆頭からも様々理事会で申入れを行っていただきましたが、残念ながら、出所不明という理由で配付をすることを認めてもらえず、却下をされた資料が幾つかあります。
ただ、与党から偽広告に関連する資料を却下されたのは今回が初めてのことではありません。今からちょうど半年前の二〇二三年十一月八日の内閣委員会でも、イエール大学の成田悠輔氏本人から私が許可を得た偽広告に関する資料を配付しようとしたところ、当時与党筆頭理事を務められていた坂本哲志大臣など与党理事が疑義を呈し、最終的には星野剛士委員長の決裁で継続協議とされて、配付が認められませんでした。
当時の青柳陽一郎野党筆頭理事からは、詐欺被害を防止する目的で偽広告がどういうものか啓発する目的があるので、中谷一馬委員から配付したい希望がある旨を再三お伝えをいただきましたが、出所が不明、国会で取り上げられると偽情報が拡散されるおそれがあるなど、時代の情勢から考えれば恐ろしくピントのずれた理由を与党理事が提唱され、委員長は却下をされました。
そこで、星野委員長に確認をさせていただきますが、偽広告の出所というのはどのように明確にするんでしょうか。また、偽広告と大きく表示した注意喚起の資料を啓発目的で配付することが、なぜ偽情報の拡散につながるんでしょうか。決裁された星野委員長の見解を明確にお示しください。
○星野委員長 理事会で調いませんでしたので、却下させていただきました。
○中谷(一)委員 偽広告の注意喚起を邪魔した与党自民党が最近になって偽広告の対策をやっている風な発信を強めていることに、私は強い違和感と嫌悪感を覚えています。
当時の質問はメディアでも大きく取り上げていただきましたので、もし半年前に、この成田悠輔氏本人から許可を得た偽広告の注意喚起資料に関して配付の許可をしていただけたならば、何億円もの被害を出した成田悠輔氏の成り済ましアカウントによる詐欺被害、これは甚大になる前に防止できた可能性があったんじゃないですか。大手の新聞社のニュースサイトのように作られた詐欺サイトの存在を知らせて、抑止することができたと思いますよ。
星野委員長、時代の変化と情勢に対応できていない今の委員会運営では、偽広告対策を始めとした、AI、SNSのトラブルに関する対応は常に後手後手となってしまいますので、現状起こっている問題を直視していただき、運営をしっかりと見直していただけませんか。
○星野委員長 理事会で調いませんでしたので、許可をしませんでした。
以上です。
○中谷(一)委員 更に理事会で協議していただけませんか。(発言する者あり)
委員長、だから、資料の配付は継続協議してくださっているんですよね、今。更に協議を重ねていただけませんか。
○星野委員長 場内協議になっています。
○中谷(一)委員 しっかり対応していただきますようにお願いします。
松村委員長に来ていただいていますので伺わせていただきたいと思いますけれども、昨年、二〇二三年の一月から十二月、上野さん、ちょっとやじをやめてもらっていいですか、二〇二三年一月から十二月までのSNS型投資詐欺及びロマンス詐欺の認知件数は三千八百四十六件、被害額は四百五十五億二千万円とのことで、被害が甚大になっています。
こうした状況を踏まえて、今年、二〇二四年一月から四月までの認知件数と被害額などの被害発生状況と前年同月比の状況について当局に確認したところ、一月から三月までの被害状況を公表する予定でありますが、まだ集計できていないとのことでありました。
そこで、松村国家公安委員長に伺いますけれども、詐欺状況がどうなっているのか、行っている対応が効果を発揮しているのかなどを確認する意味でも必要な情報だと思いますので、可及的速やかにこうした情報を取りまとめて公表をしていただけませんか。
○松村国務大臣 重要な御指摘だと認識をいたしております。
まず、SNSを使いました非対面型の投資詐欺やロマンス詐欺について、被害状況を公表するに至った経緯について申し上げますと、令和五年におきまして、犯罪統計上、詐欺全体の被害額が前年よりも大幅に増加している状況が見られました。この点、SNSを使った非対面型の投資詐欺やロマンス詐欺の被害の増加が詐欺全体の被害の増加の一因であることがうかがわれましたので、警察庁において、令和五年中におけるこれらの詐欺の被害発生状況について初めて調査を実施をさせまして、本年三月に結果を公表したところでございます。
現在、御指摘の点は取りまとめ中でございまして、早急に取りまとめを行いまして公表してまいりたいと思っております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。しっかりと対応いただきますようお願いします。
そして、これは官房長官に伺いますけれども、平井元デジタル大臣が、メタに対して、しばらくの間、広告を停止することも検討してほしいと要請をされているんですけれども、政府からも、同様に、広告の停止に関して働きかけを行う予定はありますか。
○林国務大臣 委員御指摘の平井卓也議員の御発言ですが、自民党のデジタル社会推進本部長のお立場でなされたものと承知をしておりまして、政府として、議員と個別プラットフォーム事業者の間のやり取りの詳細は承知をしていないところでございます。
自民党の著名人にせ広告・なりすまし等問題対策ワーキングチームにおける御発言でございまして、政府として、個別のプラットフォーム事業者との間でのやり取りをお答えする立場にはありませんが、その上で、同ワーキングチームの事務局から総務省が聞いたところ、メタ社からの返答は確認できていないということであったようでございます。
政府として、引き続き、先ほど申し上げた取組を進めるとともに、総務省の有識者会議での議論、検討も踏まえつつ、必要な対策に取り組んでまいりたいと思っております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
偽広告に関してまだまだ聞きたいことがあったんですが、時間が参りましたので、また後の質問で行わせていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
――――◇―――――
○星野委員長 次に、内閣提出、参議院送付、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案及び公益信託に関する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤国務大臣。
―――――――――――――
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案
公益信託に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○加藤国務大臣 ただいま議題となりました公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案及び公益信託に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、我が国社会において、社会的課題の解決に向けた民間の取組がますます重要となる中、民間による公益活動の主たる担い手である公益法人が、社会の変化に柔軟、迅速に対応し、より効果的な公益活動を展開していくことができるよう、公益法人制度について、事業の適正な実施を確保し、より国民からの信頼を得つつ、法人の自主的、自律的な経営判断がより尊重される仕組みへと見直しを行うものです。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、公益目的事業の収入及び費用について中期的期間で収支の均衡を図る趣旨を明確化するなど、財務規律の柔軟化、合理化を図ることとしております。
第二に、収益事業等の内容の変更については行政庁の認定を要せず届出で足りることとし、行政手続の簡素化を図ることとしております。
第三に、外部理事、外部監事の導入など公益法人のガバナンスの充実を図るとともに、行政庁において公益法人の財産目録等を公表するなど透明性の向上を図るための措置を定めることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
引き続きまして、公益信託に関する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、我が国社会において、社会的課題の解決に向けた民間の取組がますます重要となる中、企業や国民が公益活動を展開していく手段として公益信託を広く活用することができるよう、公益信託の許可及び監督を主務官庁の裁量により行う現行制度を抜本的に見直し、公益信託の認可及び監督を公益法人制度と共通の枠組みで行う制度を創設するものです。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、公益信託の認可及び監督について、公益法人制度と同様に、内閣総理大臣又は都道府県知事が一元的な行政庁として、公益認定等委員会又は都道府県に置かれた合議制の機関の意見に基づいて行うこととしております。
第二に、公益信託について、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じないものとするとともに、信託としての特殊性を考慮した上で、公益法人制度と整合するよう、公益信託の認可の基準、公益信託事務に係る財務規律、財産目録等の備置き及び閲覧等の規定を定めることとしております。
このほか、現行の公益信託の移行措置など所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、これら法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○星野委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会