衆議院

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第14号 令和6年5月10日(金曜日)

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令和六年五月十日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 上野賢一郎君 理事 高木  啓君

   理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君

   理事 太  栄志君 理事 森山 浩行君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      大野敬太郎君    神田 潤一君

      小森 卓郎君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    土田  慎君

      葉梨 康弘君    鳩山 二郎君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      簗  和生君    柳本  顕君

      山本ともひろ君    荒井  優君

      中谷 一馬君    本庄 知史君

      山岸 一生君    山崎  誠君

      阿部  司君    金村 龍那君

      住吉 寛紀君    河西 宏一君

      吉田久美子君    塩川 鉄也君

      浅野  哲君    緒方林太郎君

      大石あきこ君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   馬場  健君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房公益法人行政担当室長)      北川  修君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      黒田武一郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    田原 芳幸君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     本田 太郎君

  土田  慎君     柳本  顕君

  逢坂 誠二君     荒井  優君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     泉田 裕彦君

  柳本  顕君     土田  慎君

  荒井  優君     逢坂 誠二君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)

 公益信託に関する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案及び公益信託に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金村龍那君。

金村委員 おはようございます。

 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の共同会派を代表して、質疑をさせていただきます。

 今回の法改正によって、新たな資金が社会にしっかりと還元される、そして一方で、その資金をもって、困難を抱えている人だったり、そして可能性を感じている人たちにしっかりとその資金が届いていく、そのための法案質疑をさせていただきたいと思います。

 それでは、まず、公益社団法人及び公益財団法人の認定に関する法律案について質問させていただきます。

 非営利法人であっても成長や拡大という観点は重要だと認識しています。公益法人の財務規律を柔軟化することによって資金を有効活用させることも、それが目的だと認識しています。

 中期的収支均衡に見直すことで具体的にどのような事業展開が可能になるのか、見解をお答えください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の収支相償原則については、単年度で黒字が出た場合に短期間での解消を求められ、必ずしも有効でない資金活用を招いている、また、収支の判定において過去の赤字が考慮されないため、黒字が出た場合に過去の赤字を補填するために活用できず、安定した事業継続が難しいといった課題が生じておりました。

 ですので、今回の見直しによって、例えば、公演活動を行う芸術団体が集客の回復によって過去の赤字を穴埋めする、また、一時的に大きな寄附を受けた法人が将来の公益活動の拡充のために計画的に有効活用するといったことなど、法人がより柔軟で中期的な事業展開を行えるようになると考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 いわゆる公益法人の側に選択肢を多く持たせようということが趣旨だと思いますので、その選択肢が、言うなれば自己都合に至らないようにしていくところが重要だと思いますので、その点も併せてお伝えさせていただきます。

 その上で、公益法人の成長や拡大のためのツールとしての積立資金である公益充実資金も、法人の事業展開にとっては重要だと認識しています。他方、資金が活用されずにため込まれるようなことがあってはならないと思います。

 公益充実資金の目的、使途等について、各法人にどのように説明させる予定なのか。お答えください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公益充実資金については、毎事業年度の決算において、必要となる積立総額及びその内訳等の明細を法人自ら公表し、透明性を高め、また、行政庁においてもその確認を行うことで、資金が滞留しないような仕組みにすることを検討しております。

金村委員 資金が滞留しちゃうと、結局、何のための法改正だったのかということだと思うんですね。先ほども申し上げたとおり、公益法人側に多くの選択肢を与えていこうという法案だと私は理解しておりますので、そういう意味ではきちんとチェック機能を果たしていくことが重要なんじゃないかなということと、あと、もう一つは、やはりいかにチャレンジしていくかということだと思うんですね。法案は成立しました、公益法人側に依頼をします、でも、実際には、公益法人側は、チャレンジしなくてもこれまでどおりの活動ができる団体だって幾つかあると思うんですね。だから、そういう意味では、しっかりと促しをしていくところに重きを置いていただきたいと思います。

 もう一つでありますけれども、財務規律である遊休財産規制については、コロナ禍で課題が明らかになったと思います。

 それで、私は、実際、コロナ禍は会社の経営をしていた立場でありましたから、後半は現職議員としてもコロナ禍を経験しましたが、自分が会社を経営していたときの、コロナ禍でいいますと、私は、福祉、障害児支援の事業を経営してきましたので、行政との連携、それから児童への支援、そして家庭支援と、言うなればコロナ禍だからこそできた支援も幾つかありました。

 その上で、公益法人側にとってどのような課題がコロナ禍であったのか、確認をしたいと思います。それで、今回の法改正がどのように応えているのか、その辺りを詳細にお答えいただければと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のコロナ禍では、文化芸術系の団体などから、その事業内容等によっては公益目的事業費一年分以内の余裕財産では不足し、事業の継続性に不安が大きいといった声がありました。

 これを踏まえ、今回の改正では、多種多様な法人が、それぞれの実情に応じて、予見し難い事態が発生した場合においても公益目的事業を継続するために必要な財産を透明性の向上を条件に確保できるということとしております。

金村委員 課題が見つかったからこそ、改正を経て、しっかりと公益法人が挑戦していくように尽力いただきたいと思います。

 加えて、今おっしゃったとおり、安定した経営のために予備財産は必要だと考えておりますが、予備財産として認められる金額の妥当性について、資金が活用されないままため込まれてはいけないと考えるが、どのような見解がおありか。お答えください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正では、予備財産を保有する場合、法人が、公益目的事業の内容などのそれぞれの実情に照らして予備財産を必要とする、その合理的な理由とその額について公表することを義務づけております。その内容に合理性が認められない場合には、公益目的事業継続の必要性を超えた過大な資金のため込みということが生じないよう、行政も監督措置を講じてまいります。

金村委員 とかく日本人が法人を運営すると、リスクを大きく捉え過ぎて、ため込む傾向というのは企業でもよくあることですから、しっかりと資金が回るように設計していただきたいと思います。

 公益法人の活動分野を拝見すると、分野が非常に多岐にわたっています。二十三とか二十八とかは項目があったと思います。世の中でよりよい活動をする法人が、分野にとらわれず公益認定を受けて、税制優遇の下で活動できることは公益法人制度のメリットでもありますが、一方、今回の改革は、そうしたあらゆる分野の法人にとってメリットをもたらす改革になっているのか。お伺いさせてください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改革では、多種多様な公益法人が、その実情に応じた資金の有効活用や機動的な事業展開がしやすくなるよう、財務規律の柔軟化や行政手続の簡素化等を図るものでありまして、活動分野にかかわらず、公益法人全体にメリットをもたらすものであると考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 新しい資本主義のコンセプトの一つである、社会的課題を解決する社会経済システムの構築は、今回の公益法人改正が当たると私は認識しています。公益法人が魅力的な事業展開を行い、それに対し社会からの寄附等の支援を呼び込むことで、公益活動を中心に社会の資金の流れが活性化する、ここが大きなポイントだと思います。

 今回の改正によって、公益法人の活動をどのように変えて、どのように公益法人に対する支援を呼び込んでいくことを狙っているのか。そのポイントについて、大臣の見解をお答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の改正は、財務規律の柔軟化や事業変更に伴う行政手続の簡素化、これにより、制度をより使い勝手よく見直すものでございます。公益法人が、これまで以上に資金を効果的に活用し、社会のニーズに応えた公益活動を積極的に展開していくことにつながると考えております。

 また、行政庁による一元的なプラットフォームにおける情報の公表、そして区分経理による分かりやすい財務情報の開示、こういった取組によりまして公益法人の活動やその成果を見えやすくすることで、国民や企業の皆様からの寄附、これが集まりやすくなり、さらに、公益法人の活動の活性化を通じた社会的課題解決の促進、そこにつながるものと考えております。

金村委員 寄附がポイントなことはよく理解しています。一方で、我々は、寄附の難しさも、多分それぞれ、政治家という中で体感していると思いますので、是非、しっかり寄附文化を醸成することにもつなげていただきたいと思います。

 そして、今回の公益法人ですが、内閣府が所管する法人と都道府県が所管する法人があると思います。実際、内閣府が所管する法人が二千六百に対して、都道府県が七千。やはり、地域に密着した課題をしっかりと解決するというシステムを考慮すれば、都道府県が所管する地方の公益法人が寄附等の資金を集めて活動を行うことがポイントだと認識しています。

 内閣府所管の公益法人と比べて都道府県所管の公益法人は小規模な場合も多いと思いますが、地域の課題に対応して活躍している法人の事例があれば御紹介いただきたいと思います。

 また、公益法人は多岐にわたる分野で活躍されていると思いますが、実際にその活躍が広く社会に認知されていないケースも多いと思います。一月一日に発災した能登半島地震においても公益法人が活躍されていると私は耳にしております。こちらについても事例が何かあれば披露いただきたいと思います。

北川政府参考人 まず、地域で活躍する公益法人の事例といたしまして、例えば、地域住民の健康相談や心のケアを行う保健室や、図書館、学童保育、地域食堂などを設備した地域交流複合施設の開設に取り組むなどの例があります。

 また、能登半島地震におきましての活躍でございますが、災害支援を主な事業とする法人や助成を行う財団やスポーツ団体など、様々な公益法人が、支援物資の運搬や、インフラ復旧や介護支援などの専門人材の派遣、募金活動など、各法人のそれぞれの専門性や組織力を生かした支援を行っております。

金村委員 公益法人自身がいろいろな発信はされていると思うんですけれども、受け手である我々、国民だったり社会というものがそれをどうやって受け止めているかというところもしっかり、そういう意味では、公益法人側に、そこまでコミットして初めて伝わるんだということをしっかりお伝えいただきたいと思います。

 そして、監督、監査のところで質問を一つさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたとおり、私は、これまで十年近く障害児支援の事業を経営してきたんですが、都道府県は、東京と神奈川にまたがっていたんですね。

 実は、東京都の障害児支援の監督、監査の在り方と、一方で、神奈川県、そして、政令市であれば川崎市、横浜市、これは全て違うんですね、微妙に。この微妙なずれが、監督、監査を受けている事業者側にとっては、どちらに合わせていけばいいかというのが非常に、ちょっと分かりづらさがあるんですね。

 一方で、お互いの監督、監査の様子を見ていくと、このゾーンだったらお互いに触れないルートがあるんじゃないかということで、そういう運営の仕方をしていくと、気づけば両方から指摘をいただくようなケースというのがやはり生まれてくるんですね。

 だから、そういう意味では、内閣府だろうが都道府県だろうが、監督、監査に微妙なずれが生じていくと、間違いなく公益法人の側が、混乱を招くと思うんですね。制度が新しくなっていく過程だからこそ、都道府県をまたいでもある程度同じような監督、監査、公益法人の側が、どの都道府県で、新たに一つの都道府県から広域化していくときでも混乱を生じないようにするためには、この辺り、少し確認した方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、現段階においての見解や方針をお答えください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度改正では、公益認定の基準や監督の基本的な考え方等を、ガイドラインを策定いたしまして、より一層明確化します。内閣府及び各都道府県の職員に対してそれを研修する、研修も充実強化してまいります。これらにより、都道府県ごとや各行政の担当者による判断のぶれやばらつきというものをなくしてまいりたいと考えております。

金村委員 ありがとうございます。

 やはり、とにかく現場が混乱しない、それから公益法人側の認識が一致している、それをある程度ガイドラインで方向性を定めた上で、より効率よく公益法人側が活動しやすいように制度設計をしていくということが肝腎だと思いますので、是非これからもしっかりやっていただきたいと思います。

 公益法人のところ、一つ最後に質問させていただきます。

 実は、私の実体験なんですけれども、第二次安倍政権のときに、女性活躍という言葉がしっかりと社会に定着していった時期だったんじゃないかなと認識しています、その中で、女性が働きやすい企業に対して、いわゆるコンテストのような、表彰をされていたんですね。

 私の妻は大和証券に当時勤めておりまして、大和証券が、その女性活躍でしっかりと表彰されることによって、女性の従業員の充実度を高めることと、新卒の女性が、学生が大和証券を選択してもらえるように、女性活躍でコンテストで受賞するための努力を一生懸命して、実際に表彰されて。すると、会社の中が、女性従業員が物すごく働きやすくなったという事例があったんですね。

 本来は、コンテストがなくても、男性、女性、性別に隔たりなく、やりがいや充実度を高めていくのが必要だと思いますが、一方で、公益法人だって企業だって、きっかけを一つのエネルギーにして実際にその充実度を高めていくということはあると思うんですね。

 一方で、今回、新しい資本主義のコンセプトに基づいて公益法人の選択肢を増やすというところは、実際に制度が変わって公益法人側がしっかり活動したとしても、やはり何らかのプロモーションとかがないと社会に定着していかないと思うんですね。新しい資本主義というのは、さすがに、これだけ岸田政権がアナウンスしていますから、そのワードは国民に浸透していますけれども、じゃ、それを通じてどれだけ国民に、新たな資金や資本が届いているのか、流れ込んでいるのかというのは、やはりまた違う角度でプロモーションしていかないといけないと思うんですね。

 そういう意味では、今回の公益法人の改正を受けて、地域で実際に寄附を呼び込んで、公益法人側に選択肢があって、地域の課題が解決するとか、困難を抱えた人たちが少しでもその痛みが和らいでいくとか、そういうことに対するコンテストをしてみるのも一つの選択肢じゃないかなと思うんですが、現段階の見解をお答えください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、公益法人の活躍を国民の皆様に広く知っていただくこと、これは重要だと考えておりまして、公益法人の実際の活動例などについて、SNSによる情報発信やフォーラムの開催等により、しっかりと広報、普及啓発してまいります。

 また、御指摘いただきましたように、コンテストなど民間公益を活性化するための新しいプロモーションの取組ということについても、御指摘を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。

金村委員 本当に、プロモーションというのは物すごく重要で、私は、会社をやっていたときにもずっと思っていたんですけれども、めちゃくちゃいいことをしている人たちというのはたくさんいるけれども、それが伝わっていないから適正な評価を受けない。適正な評価を受けないから、例えば、会社であれば成長、機を逃してしまうとかですね。だから、公益法人にとっても全く同じだと思いますので、是非、プロモーション強化の一環でコンテスト等を検討いただきたいと思います。

 続いて、公益信託について質疑をさせていただきます。

 公益信託について、主務官庁制の廃止と統一された行政庁による認可となることによって想定される審査手続、これはどのように変わるのか。また、審査の時間、できるだけスピード感を持ってやっていただくことが申請者にとっては大きいと思うんですけれども、どのぐらい短縮されるものなのか。お答えください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 公益信託についてでございますが、今回、認可申請の窓口や認可の審査をする部署を一元化するということでございまして、これで、担当窓口を探すことに時間を要したり、審査の運用に現行ばらつきがあるという問題点を改善してまいります。

 また、公益法人と共通の第三者委員会で審査することにいたしますので、法人の公益性判定の蓄積も活用しまして、公益信託についての判断の安定性や効率性の向上も図ってまいりまして、審査期間の短縮も目指してまいりたいと考えます。

金村委員 やはりスピード感が大切だと思いますので、是非御指導いただきたいと思います。

 その上で、公益信託の審査は、先ほどおっしゃっていただいたとおり都道府県単位でも行われるようですが、新しい部署が認可を担当することによって、いわゆる都道府県によってばらつきがある、ここもしっかりと抑えていかなきゃいけないと思うんですけれども、この可能性についてどのようにお考えか。お答えください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたが、公益法人における改正と同様に、公益信託におきましても、認可の基準や監督の基本的な考え方というのを、ガイドラインを策定し、明確化していきます。そして、それを内閣府や各都道府県の職員に対して研修して、浸透してまいります。

 公益法人と公益信託も共通の行政庁が担当するということで、これまでの公益法人に対する監督指導等のノウハウも生かしまして、都道府県ごとや各行政の担当者による判断のぶれやばらつきというのをなくしてまいりたいと考えております。

金村委員 昨日、たまたま宴席で司法書士の皆さんと一緒だったんですけれども、今回の法改正のことを知っている方もいれば、全く知らない方もいたんですね。ああ、そんなことができるんだったらちょっとチャレンジしてみようかななんという声もいただきましたので、やはりここからは周知が非常に重要になってくると思います。

 新たな公益信託というツールを使うことで、委託者は自らの資産を自らが望む公益活動を行う受託者に信託し、受託者は資産を保有する者から寄附による資金を得て公益活動を行うことができる中で、政府としては、この制度をどのように周知そして促進していくのか。ここが多分一番重要になってくると思いますので、大臣のお考えをお答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益信託の認知度向上に向けましては、様々な主体に対して、積極的な周知、広報が必要だと考えております。

 具体的には、公益法人やNPO法人など公益活動の担い手、また金融機関、遺贈、相続等の相談を受ける職業の方々、そして財産の拠出者たる企業や国民の皆様等に対しまして、公益信託の活用事例を紹介するなど積極的な広報を行い、認知度を高めてまいりたいと考えております。

金村委員 これまで信託銀行が担っていたと思いますが、やはり営利の法人であれば、利益が出ないものというのはなかなか促進していくことは難しかったと思うんですね。ただ、今回の法改正によって、関わる人たちの利益というものはしっかりと担保されるというふうにお聞きしておりますので、そういう意味では、その点をしっかりとお伝えいただくと、有意義に、人が増えていくと思いますので、是非とも周知いただきたいと思います。

 ちょっと時間も限られておりますので、少し飛ばさせていただきまして。

 公益信託の活用については多くの可能性があると考えておりますが、一例として、教育無償化を目的とする公益信託を設定して、都道府県や市区町村を受給者として資金を提供することは可能かどうか。お答えください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましても、公益信託は奨学金の助成というのが最も多くなっておりますし、学校の支援等を行う公益信託も現に存在いたしております。このように、一般論としては、教育機会の平等の提供を目的とするために公益信託を活用するということも考えられます。

 新しい公益信託でございますが、これは不特定かつ多数の者の利益を増進することを目的とするものでありまして、それが認められる場合には、都道府県や市町村が受給者に含まれるということはあります。

金村委員 可能性としてそういう選択肢もあり得るのであれば、新たな、ある種の財源と言っていいのかどうか分かりませんが、手法として検討することは可能なんじゃないかなと思っております。

 ちょっと一点だけ。

 今回、公益信託の受託者となる者からのアプローチにより公益信託が設定されていくケースも今後想定される中で、受託者となる者が公益信託としての寄附を募集、勧誘していくこと、ここが過度になっていくと非常に危ういと思うんですね。つまり、猛烈な営業手法によって委託者がそう選択せざるを得なくなることは避けなければならないと思いますので、適宜適切に公益信託も指導していくように検討いただければなと思います。

 時間になりました。私の質問を終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日は、公益法人法改正案、そして新公益信託法案ということで質疑させていただきます。

 冒頭なんですけれども、私、能登半島に行ってまいりました。地震災害の現場でどういう活動が行われているかという話の中で、やはり、今日のテーマでもありますけれども、公益的な活動を誰がどういうふうに担うのかということが私は大きな課題になっているなというふうに認識をしております。

 現場に行きますと、もちろん行政も頑張っていらっしゃいますけれども、民間のボランティア、本当にボランティアの方々が参加をされている。それを支える、例えば医師会のような公益法人の方もいらっしゃる。あるいは、今回取り上げるエコノミークラス症候群の検査の実態なんですけれども、ここでは日本臨床衛生検査技師会の皆さんが本当に手弁当で参加をされていて、こういう方々は社団法人に属しているわけでありますけれども、資金の潤沢さというか、公共性が非常に高くて大事な活動にもかかわらず、こういう方々の活動が、私はしっかりとした枠組みがないのではないかなというふうに見てまいりました。

 特に、今日、エコノミークラス症候群の予防検診の様子をちょっと緊急で取り上げさせていただきたいと思って参りました。

 というのは、この検査なんですけれども、エコノミークラス症候群、お聞きだと思いますけれども、災害時に避難所で、例えば雑魚寝をしていたり、身体の活動が不活性になると、足に血栓ができて、それが肺に血管を通して飛んで肺塞栓症になって、命を落とすような重篤な病気になってしまうということであります。なので、これを未然に防ぐためにエコー検査をずっとやってきているんですね。

 初めのうち、この要請書にもあるんですけれども、能登半島の地震については、一月の発災直後から十八回、先生方が入られて、当初はJMATの活動として予算がついてきたんですけれども、その後、その活動が切れてしまって、予算がなくなり、今、手弁当でこの活動をやらなければいけない、是非これは予算措置をしてほしいということでありました。これは、今お話しした災害関連死を防ぐためにはとても重要な活動なのでありますけれども、そういう制度のはざまで、組織的な活動の枠組みも十分でないし、予算もないというようなことになっています。

 私は、この活動自体は、各災害時に非常に有効に活動いただいていて、重要な活動だと思います。是非、これは、今回のテーマであります公益法人、こういう枠組み、あるいは公益信託とはちょっと離れるかもしれませんけれども、どうやって寄附のお金を集めてきちっとこうした活動を支えていくのかというのは重要な論点ではないかなというふうに思っております。

 それで、ここでお聞きをしたいんですけれども、緊急事態で、エコノミークラス症候群の予防のための検診活動が継続が今難しいという状況になっています。これを何とか継続できるように御対応いただきたいと思いまして、厚労省の参考人、そして政務官にもお越しをいただいているんですけれども、この対応について一言お答えいただけますでしょうか。

塩崎大臣政務官 山崎委員の御質問にお答えいたします。

 私も二月に奥能登に視察に行ってまいりまして、まさにこうした自然災害におきまして、委員御指摘のエコノミークラス症候群の予防、そして早期発見に係る災害関連死の防止、これは非常に重要であるというふうに認識をしております。

 厚生労働省といたしましても、被災自治体に向けて一月一日付で事務連絡を発出をさせていただきまして、エコノミークラス症候群の予防のための周知啓発、これをお願いするとともに、厚労省自身もホームページ等でこうした啓発に取り組んでまいりました。また、議員御指摘のように、被災地において、一部の医療チーム等においてエコノミークラス症候群の早期発見のためにエコー検査、こちらを行っていただいております。

 被災地の限られた医療資源の中でどういった検査を実施すべきかについては、その必要性と実施可能性も含めて、まずは石川県で御検討いただきまして、その結果も踏まえて、厚労省として何ができるか検討してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 検査結果を見ますと、検査した方の八%ぐらいに血栓が見つかるということで、極めて危険な状況が今も続いているということでありましたので、是非ここは前向きに御対応をお願いをしたいということで、石川県もどういう御判断をされるかもあると思うんですけれども、厚労省としても積極的にお取組をいただきたいと思います。

 そして、もう一点でありますけれども、こうした災害医療の体制、今もお話しして、どういうふうに組織的に、あるいは財政的に支えるかというのも大きな問題でありますけれども、本当に災害に対応するには様々な、例えばDMAT、JMATという医療の流れがある中で、今回のエコノミークラス症候群の検査のような、その流れからはちょっと外れるのでありますけれども、災害関連死を防ぐという意味では大事な活動などもあると思います。ほかにもいろいろな活動はあると思うんですけれども、こうした活動をどういうふうに支援していくか。

 今後、私は、このエコー検査については災害対応の一つの大きな流れとして制度化していただきたいと思うのでありますけれども、政務官、お考えをいただけますか、今後について。

塩崎大臣政務官 お答えいたします。

 今回の能登半島地震の対応において、厚労省としましても、今まさに御指摘のありましたDMAT、そしてDHEAT、こうした専門家を派遣するなど、被災者の災害関連死を防ぐための取組を含めて支援を行ってまいりました。まさに委員御指摘のように、災害において特有のこうした健康リスクへの対応ということが必要ということで事務連絡等も出しておりますし、今申し上げた団体以外にも、自治体の職員、保健師、NPOなど様々な主体が、避難所や在宅の被災者等を個別に訪問するなどによって、衛生管理そして健康観察などに取り組んでいると承知をしております。

 また、御案内のように、一部のこうした救護班での応急的な医療につきましては、災害救助法の対象となるものであれば、これは国庫負担の対象となるものでございます。

 こうした対応につきましても、また地元の自治体としっかりと連携をしながら、今回の対応の検証を行った上で、災害関連死の防止のための健康管理の取組の在り方について、引き続き関係省庁と検討してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 まさに、民間の力、民間の資金、ノウハウで、やはり災害時というのは非常に動いているというのが特徴的な分野ではないかと思うんですね。それをどういうふうに公的な組織や財政、予算と結びつけていくかというのが、私は今後の課題として極めて重要だというふうに思います。

 イタリアの例などを見ると、ボランティアというのはみんな有償なわけですよ。事前に組織化されていて、いざというときには、自分は仕事を休んで現場に駆けつけるというのがルール化されて、制度化されているから対応が早いんですね。日本はそういうところがまだまだ私は遅れていると思います。

 そういう意味で、是非、今回の事例は、私、ここは重要なポイントで、毎回毎回、災害でやはり問題、必要になる部分ですので、制度化を御検討いただきたいということでお願いをいたします。

 厚労省の皆さん、ここで終わりですので、お帰りいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、今もこの日本社会が抱える課題というか、これはどうやって解決するのかなという一つの例、災害大国日本の例をお示しできたと思うのでありますけれども、今回の法案の改正に至りまして、この前提として、日本社会が抱える課題、その解決というのがどういうふうに行われるかというのが、言うまでもないんですけれども、やはり大事なポイントかと思います。

 少子化あるいは少子高齢化、地方の過疎化、格差社会、産業の衰退、財政の逼迫など、多くの課題が今、同時並行で日本を襲っている。また、世界的にも、気候変動に対する対応など、社会の構造転換にも迫られています。

 大臣に是非ここはお聞きをしたいんですけれども、日本社会のこうした抱えている課題についてどういう認識でおられるのか、その解決策についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本社会が抱える課題、これは対応すべき社会課題が大変複雑化しております。委員から挙げていただきました少子高齢化の問題、また地域社会の疲弊、環境問題など、本当に多岐にわたり、日々新たな課題が生まれていると認識しております。

 こうした社会課題の解決には、行政や営利企業のみでは限界があり、公益法人など民間の公益活動が大変重要でございます。公益法人制度及び公益信託制度をより使い勝手のよい制度に改めることで、民間公益の活性化を図ることを目指し、しっかりと改革を進めてまいります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 加藤大臣におかれては、山形県の鶴岡出身ということでございまして、地方の事情にも肌身で感じられているというふうに思います。

 民間有識者でつくる人口戦略会議、今話題になっておりますけれども、二〇二四年の四月のレポートでは、消滅可能自治体というのがリストアップされていて、見ましたら、鶴岡市もその一つになっていたのであります。御存じかと思います。

 是非、私は危機感を共有させていただきたいんですけれども、一言いただけますか。

加藤国務大臣 御指摘のとおり、そのレポートによりますと、私の地元の選挙区にあります自治体のうち、一つを除いて全て消滅可能性の自治体というふうになっておりまして、大変危機感を持っております。

 その危機感を基に、しっかりと公益の力、今回の法改正を進めて、民間の力も活用しながら、社会課題に官民合わせて取り組んでいくということを頑張っていきたいと思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私は、ボトムアップなどで、地域がどういうふうな状態で、地域がどういうふうに考えているか、そこから発想していかないと、この後議論する新しい資本主義もやはりつくれないんじゃないかなというふうにすごく思うのであります。

 次、その新しい資本主義なんですけれども、岸田政権では、新しい資本主義という考え方が提唱されて、様々な取組が動き出している。今回の法改正もその新しい流れの一環ということで理解しております。

 新しい資本主義、端的に、現状どういう状況なのか、その実現に向けての進捗などをお聞かせいただければと思います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい資本主義におきましては、気候変動、少子高齢化など、市場だけでは解決できない様々な社会課題に対して、官と民が協働して対応することにより、社会課題解決を成長のエンジンに転換し、成長と分配の好循環を生み出すことを目指しております。

 この際、多様な社会課題を政府のみが主体となって解決することは困難であるため、社会課題解決の担い手として、既存企業に加え、スタートアップやNPO、公益法人など、多様な主体に参画していただくことが必要と考えてございます。

 岸田政権発足後二年半、新しい資本主義の下で、賃上げ、設備投資、スタートアップ、イノベーションを同時に拡大する思い切った手を打ち、時代に沿った新たな官民の連携を粘り強く呼びかけてきたところでございます。その結果、力強い賃上げの流れ、史上最高水準の設備投資、史上最高値圏の株価など、新たな経済ステージに移行することができるチャンスを迎えていると認識しております。

 引き続き、日本社会の抱える課題にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 私は、今の御説明で、先ほど言った社会課題というものがちゃんと捉えられているのかというのは非常に疑問を感じざるを得ません。

 株価が高いのはいいですよ。でも、本当にそうした利益、そうしたメリットが例えば大企業やそうした一部のところに流れて、地方は、さっき言ったような消滅可能性が高いようなことを言われている。これは、私は、根本的に解決するための視点をもっとやはり変えていただかなければいけないんじゃないかなと思います。

 私たち立憲民主党は、行き過ぎた自由主義とか競争社会ではなくて、新しい支え合いの共生社会だというようなことを言っているのでありまして、私は、新しい資本主義の方向性というのは、やはりそうした大きな、日本の課題に根差した構造転換を目指すべきだというふうに思います。

 ここからまたもう一つ、どうしてもお伝えをしたいというか、指摘しなければいけないのは、残念ながら、自民党の皆さん、いまだに金権政治、官僚主導、官邸主導といいますけれども、それにいろいろな声を届けているのはやはり一部の財界や企業、団体の皆さんではないか、そうした声に従って政治あるいは政策を行うというのが、やはり変わっていないのではないかというふうに思います。これでは、今言ったような構造改革、支え合い、助け合い、地域に根差した新しい経済はつくれないのではないかというふうに思うんです。

 この点、大臣、どうお感じですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 私自身の担当しております、この内閣委員会でも担当しております公益の分野ですとか女性活躍、また、こども政策、様々担当させていただいておりますが、どの分野においても当事者の声をしっかりと聞いていくということを大切にしている、特に大事にしていて、それを前面に打ち出している分野を担当させていただいていると自負してございます。

 本当に今、担当大臣として仕事をさせていただいている中で、当事者の方々のお声を聞いていくということがどれだけ大事かということを日々感じさせていただいております。視察先でお声を聞いたりすると、私自身も制度についての考え方が変わったりすることもございますので、これは政党にかかわらず、どの政治家も、当事者の声、また現場の声、こういったものをしっかり重視していくということは本当に大事だと心から思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 すばらしい答弁で、私もその思いは大いに共有をさせていただきます。その姿勢で是非お願いをしたいと思うんです。

 そういう意味で、余りお聞きするのもはばかられるのでありますけれども、今、政治改革が進められている中で、自民党の皆さんの政治改革案の中では、企業、団体からの献金とか寄附とか、そういったものを禁止しようという方向性はなかなか見えてきません。私は、それが一つのメッセージになって、政治は、一部の企業や団体の声だけではなくて、今、加藤大臣がおっしゃるような、本当に多くの現場の皆さんの声に従うんだというメッセージにもなると思うんですね。

 ここは思い切って、こうした企業、団体からの献金や寄附というのは全面禁止、そういう方向性をうたうべきではないか。それは加藤大臣の先ほどの思いと一致するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げた思いは、当然ながら心からの本音でございます。一方で、その声を聞き集めるに当たってのコスト、いわゆる民主主義のコストと言われる部分もございます。様々な負担の在り方というのは、これまで議論の経緯があったものと考えてございます。

 閣内の一人として申し上げれば、政治制度の在り方のみならず、政治家一人一人がしっかりと現場や当事者の方々の声をしっかり聞いていくということをやっていくのがまず何より大事かと、このようにコメントさせていただきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 率直な御意見というか、お考えだったと思います。

 私は、政治のコストという話は、だからこそ、税金から我々は活動費をいただいて、誰にも左右されない、本当に全ての皆さんからの声を聞ける、そういう環境をつくっていただいているんだと思うんですね。それが、逆に言うと、企業や団体からお金をいただくことによってそうした考え方がゆがめられてしまうから、それはやめた方がいいんじゃないですかというのが私からの問いかけでございます。是非、受け止めていただいて、自民党の議論も前進をさせていただければというふうに思います。

 そして、法案の中身にまた戻りますけれども、今回の公益法人、公益信託制度改革の意義、これについて。

 これは、本当に言うまでもないのでありますけれども、これまでも歴史的に制度として運用されてきたわけであります。残念ながら、その活用という意味では低調であったのではないかと。今、民間の力を社会課題解決に生かす手法として、これをもっと活用しなきゃいけないという流れだというふうには理解しています。

 是非、この辺りの、この制度が今まで残念ながら低調であった理由、本改正でどういうふうに活用を進めようとしているのか、この改革の意義についてお聞きをしたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、公益法人制度に関しましては、厳しい財務規律や行政手続の負担により、資金の有効活用や迅速、柔軟な事業展開がしにくい、また、公益信託制度に関しては、主務官庁の裁量による許可、監督制度であり、利用者の皆様にとって不透明で使いにくい、こういった課題があると考えてございます。

 今回の改革によりまして、両制度をより使い勝手のよい制度に改め、公益法人につきましては潜在能力をしっかりと引き出すとともに、公益信託を国民にとっての新たな公益活動の選択肢とすることで、民間公益の活性化を図ることを目指してございます。

山崎(誠)委員 具体的にお聞きをしたいんですけれども、ちょっと一つ飛ばしまして、例えば、公益法人制度とNPO法人制度についてということでお聞きをしたいと思います。

 公益法人制度と類似する制度としてNPO法人の制度があるということでよろしいかと思います。この二つの制度について、どのような違いや特徴があるのか。

 私の感覚としては、NPO法人というのは非常に、比較的身近に感じられて、多く活用されている。私も理事などをやらせていただいたりしていますけれども、社会に浸透しているという実感があります。

 例えばでありますけれども、公益法人の制度をNPO法人の制度に統合していくような、そんな流れとか考え方はないのかどうか。二つの制度に存在意義があるならば、それぞれの制度のメリットやデメリットなどを国民に分かりやすく説明して、それぞれの制度を積極的に活用してもらうようにすべきと思います。

 この点、御説明いただければと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公益法人制度とNPO法人制度でございますが、公益法人の方は、登記で設立される一般社団、財団法人のうちから有識者委員会によります公益性の審査を経て認定される、そういう成り立ちのものであります。一方、NPO法人は、御指摘のとおり、各都道府県の認証によって設立され、さらに、市民の支持度合いなどの基準を満たしましたら認定NPO法人ということになります。

 これは、草の根ボランティア、地域や市民活動に身近なNPO法人、片や、全国的な活動もする公益法人、高い規律を持って、より広範な活動をするような公益法人というもの、それぞれの特徴というのがあります。また、その設立のしやすさや行政の監督の度合いということも、程度の違う両制度が存在しているわけでありまして、これを統合していくということにつきましては、現在、両制度それぞれのニーズに応じて、国民の側でどちらを選ぶか選択できるようになっている特質を見まして、そういうことにそれなりの意義はあると考えております。

 今回の改革で、公益法人の方は、公益性や信頼性を確保していく、そのための基本的な仕組みは維持しつつ、活動しやすくするということで、財務規律の柔軟化等を図ります。公益法人は、社会のニーズに応じて、より柔軟かつ機動的に活動しやすくなることを目指してまいります。

 両制度がそれぞれの特質を生かして伸ばしていけるように、公益法人は規律が厳し過ぎて、ちょっと、一面ではその伸びを萎縮させている面があるのではないかということで、そこを柔軟化して更に伸ばしていこうと考えるものでございます。

山崎(誠)委員 ここは私は基本中の基本の質問だと思っているので、もう少し明確にお答えいただけるものかと思いました。

 では、例えば、公益法人は規律性が重要だというお話をされるのでありますけれども、NPO法人だって、当然、ガバナンスというか、規律は大事ですよ。これはいいかげんに運営されちゃ大変困るわけでありまして、それなりの規律とルールを持って運用していただいて、そして、多くの皆さんが、例えば資金を、あるいは能力を提供する、そういう受皿になっている。それから、NPO法人だって、今、全国で活動しているところはたくさんありますよね。別に、その活動領域は限られているわけではないんですよ。テーマによっては、本当に全国で大活躍をしているNPO法人だってたくさんあります。

 だから、私は今の御説明で、公益法人を選ぶメリットや理由が見えないんですよ。どうしてそれを選ばなきゃいけないのか、選ぶとこんないいことがあるよ、だから選んでくださいというそのメリットが分からないんですけれども、いかがですか。

北川政府参考人 公益法人の方を選ぶメリット、選択するメリットということでございますが、公益法人の方は、財務規律や行政手続において、やはりちょっと厳格なところがあります。しかし、それに応えれば、税制上の措置というのはございまして、例えば利子、配当の非課税ですとか、NPO法人や認定NPO法人と若干の異なる税制上の特徴もあります。そちらの方を選択されるというニーズもあると思っております。

 以上でございます。

山崎(誠)委員 加藤大臣、ちょっと今の御説明では、私は、せっかく制度を改革して、改正して、これを使ってくださいとお示しをしている政府の姿勢としては不十分ではないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、公益法人は、登記で設立される一般社団、財団法人のうちから有識者委員会の公益性の審査を経て認定される一方、NPO法人は、都道府県等の認証により設立をされ、市民の支持度合い等の基準を満たせば認定NPO法人となります。

 今回の制度改革では、公益法人の公益性や信頼性を確保するための基本的な仕組みは維持しつつ、財務規律の柔軟化等により、公益法人が、社会のニーズに応じて、より柔軟かつ機動的に活動しやすくなることを目指しております。

 公益法人の方が、やや、設立に当たってハードルがある分だけ、また監督も基準が少し高かったりする分だけ信頼度が高まるという場合もありまして、それぞれの特徴を生かしながら、公益の分野が活性化していくといいのかなというふうに考えております。

山崎(誠)委員 先ほども改革の意義をお聞きしましたけれども、今まで、なかなかやはり公益法人が伸びていなくて活用が進んでいない、ハードルが高いんだ、いろいろな手続が大変だという中で、今、それを少し緩和をするから、これが使われるかと。それだけでは使われないんじゃないですかね。

 私は、もっとここは、公益法人のメリットはここにあるんだ、だから、こういう団体、こういう組織は公益法人をきちっと目指すべきだし、公益法人になればこういうメリットがある、それを政府がちゃんとお示ししていただかないと、せっかくこの改正をしても変わらないんじゃないかというふうに、すごく今の御答弁を聞いていて思います。是非、ほかの議員からもこの点指摘があると思いますけれども、このままだとちょっと不十分だというふうに思いますので、申し添えさせていただきます。

 残り時間、もう一点は、世界の投資の世界では、今、インパクト投資という、投資を通して社会課題解決を目指すという動きが活発に展開されている。これはまさに、今の新しい資本主義であり、今回の法改正の大きなポイントにも合致をする動きです。

 まさに、こうしたインパクトエコノミーを形成しようとしている、それが世界の大きなダイナミックな動きで、こういう動きこそ日本が主導していくべきではないかなというふうに思うのでありますけれども、こうしたインパクト投資とかインパクトエコノミーという流れと今回改正される公益信託制度というのはどんな関係にあるか、御説明いただけますか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回新たに設ける公益信託制度でございますが、公益信託におきましては、財産が実質的に信託することによって拠出者から手離れしまして、投資の形態によりますような財務リターンはございません。また、公益信託という形は、寄附等に比べれば、信託契約に定められた委託者の思いに沿った事務が忠実に継続されるという公益信託の特質がございます。

 こういった特質を生かしまして、例えば、地元の教育振興や町づくりなどといった公益活動を、公益法人をつくるのではなく、より簡便な方法で実現することが、公益信託によって道が更に広がるものと考えております。

山崎(誠)委員 どうも御説明が納得いかないんですよね。

 確かに投資と信託というのは違うんだというのは分かるんですけれども、私は、大事なのは、だから、世界ではそういう投資の動きがあるのにもかかわらず、なのに、この信託制度を使ってほしいと。使うメリットや、これを使って実現したい社会課題解決というのはどういうものかが見えないんですよ。世界では……

星野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

山崎(誠)委員 いかがでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 投資と信託、公益信託の形態の違いと信託のメリットということでございますが、信託の方は、財産を拠出する者が、手放しますのでリターンはございませんが、例えば拠出者の名前を冠した、誰それさんの奨学基金ですとか、そういった、財産を拠出する方のその思いで、地域を活性化、貢献するという形を継続的に残していくという形も多くございまして、そちらを選考されるニーズもあると考えております。

山崎(誠)委員 ごめんなさい、終わりますが、今本当にいろいろな制度がやはり動いているわけでありまして、世界の動きだとか制度、仕組みがどんどん変わっている中で、わざわざ昔からやっている制度をリニューアルするのであれば、そういう時代の流れにもマッチしたものにしないと意味がないと思いますよ。結局、埋没してしまう。今の御説明だと、今までの制度の継続でしかなくて、中身がどう変わるのか、どう魅力的になるのか、分からないんです。

 以上、私からの訴えでありました。終わります。

星野委員長 次に、泉田裕彦君。

泉田委員 自由民主党の泉田裕彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今ほど様々な質疑がありましたけれども、制度は過去から未来にずっとつながってきているということだと思います。

 かつて、公益法人は、民法によって設立をされまして、各省で所管をいたしておりました。優遇措置を受けるためには、公益法人だけでは駄目で、そこに認定してもらって財政当局の同意を取らなければいけない、こういう時代があったわけであります。現在は、一般社団法人、財団法人と公益法人に分かれて、そして、この公益法人、内閣府が全体を所管するという体制に変わりました。

 各省で所管しているときは、公益性は、自らが所管している行政事務と照らし合わせて判断をするということができたんですけれども、内閣府が所管するということになると、本当に広い分野を所管しないといけないという状況になっています。文化、芸術から公衆衛生、犯罪防止、地球環境保全、国土利用、保全等々、様々な分野。現場で公益増進のために活躍していただいている、活動していただいている皆さんに、まずは敬意を表したいというふうに思います。その上で、一歩でも二歩でも制度をよくしていくということが大事ではないかなということを感じております。

 そして、公益法人ですけれども、税制上の優遇措置を受けることになります。したがって、収支相償原則、いわゆる公益事業の実施に必要な費用を賄う以上の収入を得てはいけないという原則が適用されています。これは本当に、以前、所管している各省から、財政当局の了解を取るというために涙ぐましい努力が必要だったと。それを改善をするというのが今回の改正ということだと思っています。

 また、遊休財産規制というのもあります。具体的な使途が定まっていない財産を持ってはいけない。単年度でバランスを取れというのは、ほとんど事業に足かせをはめるような状況。これを外すというのはまさに喫緊の課題で、すぐやらなければいけないことであるということだと思っています。

 また、公益信託についても、税制上の優遇措置を受けるためには厳格な規制がなされていたわけであります。

 いずれにせよ、公益に合致をするから税金をまける、よって厳格な規制をかけるというような形になっていたんですけれども、これを時代に合わせて直していくということがやはり必要。特に、厳格過ぎる規制が何を及ぼしているかといえば、公益信託について、二〇〇〇年代初頭をピークに減少し続けているというところ、これをやはり是正していくのは喫緊の課題だと思います。

 世界に目を転じますと、社会で成功した人は社会に責任を負うという考え方、ノーブレスオブリージュということで理解されているわけですけれども、例えば、ビジネスで成功した方が引退後に公益事業に従事をするというケースは枚挙にいとまがありません。これは社会の活力を向上させますし、また、公益活動というのは社会全体で極めて重要な役割を果たしているわけであります。

 ナショナルミニマムは、やはり国、自治体がしっかり責任を持つ必要があると思っています。ナショナルミニマムではないけれども、誰でも文化に触れることができるように、社会が高度化していく中で、俺はスポーツをやりたいといったときに、最終的にはメジャーリーグに行けるようになるまで、家庭の経済環境がどうであろうとそれをサポートする仕組みというのを持っているというのは、本当に社会として望ましい。日本の活力や未来を切り開いていくために、この公益法人制度、公益信託制度というのは、活用すべき重要な制度だというふうに思っています。

 そこで、政府参考人にお伺いをしたいと思います。

 公益法人制度における公益の認定、変更手続に現在どの程度期間がかかって使いにくくなっているのか、教えていただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度のデータでございますが、内閣府に公益認定申請のあった四十三件について、申請から処分までに要した期間、それの中央値は約百八十五日、変更につきましては、認定申請があった百九件でございますが、八十日でございました。

 これですが、行政庁による申請法人の財政基盤の確認に時間が要する場合もある、また、法人によって申請書類の記載修正に時間を要する場合もあるということで、長期化するケースも現にあるというふうに見ております。

泉田委員 ありがとうございました。

 中央値でということなんですけれども、長いときには下手をすると年単位ということもあるんだと思います。これはやはり要件が厳格化過ぎるということだと思います。

 次に、続けて政府参考人にお伺いしたいんですが、公益法人制度では、定期的な立入検査、これが必要になっています。この立入検査を受ける場合に法人側はどんな負担を負うことになるのか、教えていただきたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 立入検査でございますが、現在、公益法人全体のガバナンスの向上を促すという目的で、おおむね三年を目途に全ての法人に当たっております、行っておるところでございます。これまで大半の法人が複数回は検査を受けておるということでございます。

 検査を受ける法人におきましては、財務書類ですとか用意すべき書類を的確に用意する必要がございますし、立入検査の職員に対して、ヒアリングなどに対して、もろもろ、事業の適正な執行状況について説明していく必要があるということで、法人さんから見ますと、やはりこのような定期的な立入検査は対応する負担が大きいという声を聞くところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 私も、役所時代に公益法人、所管をいたしておりました。一つの法人で五センチとか十センチぐらいの財務諸表を始め附属書類が出てきて、それを見て決裁をする、検査チームはその書類に基づいて検査に行くということで、これは膨大な負担とエネルギーがかかっているということで、そこまで厳格なものがないといけないのかということも感じていたわけであります。少し改善する必要があるというふうに思っています。

 次に、公益信託財産の残高についてお伺いをしたいと思います。

 これまでの残高及び件数の推移、それから、二〇〇〇年初頭以降減少している原因をどのように認識しているか、お伺いをしたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公益信託財産の残高や件数の推移、減少の原因ということでございますが、残高につきましては、ピーク時期であります二〇〇一年頃には七百三十七億円、これが現在では五百五十億円に減じております。件数におきましても、ピーク時は五百七十二件あったものが、現在では三百八十五件という減少傾向にございます。

 その原因につきましては、やはり、現行の制度は、各省大臣の裁量で許可する主務官庁制ということで、透明性はユーザーから見れば低い仕組みになっておる。また、経済情勢の影響もあろうかと。低金利によって信託財産が取り崩されて、終了するものが増えておるということもあると考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、現行制度では、手続の時間もかかるし、法人側の負担も大きいこと、そして公益信託制度も使い勝手が悪いということで、やはりこれを是正していくということは大変重要なことだろうというふうに思っています。

 特に、経済全体が拡大していく中で、そしてまた社会が高度化していく中で、ナショナルミニマムだけではない、社会全体の活力を上げていく、そしてまた社会的に成功した人が還元をしていくという仕組みというのは、より活用されなければいけないということだと思います。やはり、喫緊、この制度改善というのはやっていくということが日本の未来に大きな影響を与えてくるだろうというふうに感じております。

 そこで、政府を代表して工藤副大臣にお伺いをしたいんですけれども、これまでの公益法人それから公益信託制度、これは、過剰に活動を萎縮させる規制が行われていたり、国民にとって使いにくい制度だったというふうに感じていますが、副大臣、どのように認識をされていらっしゃいますでしょうか。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 既に泉田委員からるる説明があって、それでまた答弁させていただきますが。

 公益法人制度に関しては、厳しい財政規律、行政手続や、行政による監督の負担により、資金の有効活用や迅速、柔軟な事業展開がしにくいといった課題があり、また、公益信託制度に関しては、主務官庁の裁量による許可、監督制度であり、利用者にとって不透明で使いにくいといった課題があると考えております。

 今回の改革は、これらの課題を克服し、両制度をより使い勝手のよいものにすることを目指しております。

 一般的に言いますと、公益法人と言われましてもぴんとこないんですけれども、それをやはり広く広めていく、そして使いやすいものですよということにするのが私どもの仕事と考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 公益法人、公益信託制度、この改革はもっと早く行われてもよかったんじゃないかなという思いもないわけじゃありません。

 これまで手つかずで今日まで来ちゃった理由というのを、政府参考人にお伺いしたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 公益法人制度をめぐる課題は、これまでも確かに指摘されてきたものでございます。それに対して、これまでは運用による改善ということは行ってきましたが、近年のコロナ禍で課題への対応力が乏しいことが顕在化したということ、それに加えて、社会課題を解決するには民間の活力をもっと活用していこうという、新しい資本主義の流れというのも強まってきた。ですので、そのタイミングで、公益法人制度、抜本的な改革を行うこととしたものでございます。

 また、公益信託制度は、公益法人制度と整合的な形にしようという検討はこれまでもなされておったところですが、今回、公益法人制度を大きく変えるということで、ではその形に合わせようということでございまして、公益法人制度と公益信託制度、両者併せまして国民にとって使い勝手のよい制度に抜本的に改めることとしたものでございます。

泉田委員 いずれにいたしましても、ナショナルミニマム、これは国、自治体がしっかり責任を持って対応しなければいけない。それに加えて、高度化、複雑化した社会に対応していくために、少しでも使い勝手のいい公益法人、公益信託制度、これをつくっていってほしいなというふうに強く願うものであります。

 そこで、工藤副大臣にまたお伺いをしたいと思います。

 今回の公益法人、公益信託制度改革によってどのような社会の実現を目指すのか、副大臣の意気込みを聞かせていただきたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 社会的課題の解決には、行政や営利企業のみでは限界があります。民間の公益活動が重要であると考えております。また、少子高齢化、地域社会の疲弊、環境問題など、対応すべき社会的課題は複雑化し、日々新たな課題が生まれております。

 こうした中、今回の改革により、公益法人及び公益信託制度をより使い勝手のよい制度に改めることで、公益法人の潜在能力を引き出すとともに、公益信託を国民にとって新たな公益活動の選択肢とすることで、民間公益の活性化を図ることを目指してまいります。

泉田委員 一歩でも二歩でもすばらしい社会になるように頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。

星野委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 公益法人とは、民による公益を担う中心的な存在として、不特定かつ多数の人々の利益につながる活動を展開することが期待をされ、国民全体でその活動を支援する意味で、認定を受けた公益法人は税制優遇を受けることができ、その名前を独占できることで、その信頼を基に国民も安心をして寄附ができる制度となっていることを承知をしております。

 公益法人制度が導入され十年が経過をし、様々な公益法人が自律的、継続的に民間による公益活動を担っていただいている一方で、機能していない法人や、信頼を損なうような不透明な会計処理など不祥事を起こした法人があったり、制度の土台となる国民の信頼を損ねる事案が散見をされており、そのような不祥事を起こした場合の対処やガバナンスの強化は必要だと思います。

 また、制度上の使い勝手の悪さで、民間の公益機能の本来の能力を発揮し切れていなかったりと、改正すべき点を整理をして、公益法人が時代に即した様々な社会課題の解決を能動的に進めることを後押しする目的で本改正案は提出されたものであると承知をしております。

 まず、この法案、新しい資本主義の実現に向けたグランドデザインから図られた改正案だということでありますけれども、政府が目指す新しい資本主義の実現した社会とはどういうものか、お答えいただければと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 新しい資本主義では、社会的課題の解決に向けた取組を新たな成長のエネルギーと捉え、行政や企業に加え公益法人など民間非営利部門が連携し、社会的課題の解決を通じて国民の持続的な幸福を実現することを目指しております。

 今回の法案では、公益法人や公益信託を使い勝手のよい制度にすることで、社会的課題解決に向けた民間の力を一層引き出し、新しい資本主義の目指す国民の持続的な幸福の実現につなげてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 官と民、そして公益法人が、誰も置き去りにしない社会、分断を生まない社会を目指していく、協働していくことは重要で、その上で、社会課題に取り組む民間の活動を政府がもっと支援をし、その活動の活性化を進めることは新しい資本主義実現の肝であり、本法案の目指すものだと思っております。

 二点お伺いします。

 まず、どのような法改正で公益法人の機動的な活動が進むようにしようとしているのか。また、二つ目、不祥事を防ぐため、政府は、ガバナンス不全で不適切な法人、これをどのように把握をしていくのか。この二点をお伺いします。

北川政府参考人 二点お答え申し上げます。

 まず、機動的な活動の促進でございますが、現在、公益法人が十分に潜在能力を発揮できていないのではないかという現状を踏まえまして、財務規律の柔軟化や行政手続の簡素化により、公益法人が自らの経営判断に基づき、より機動的に活動できるようにすることを目指しております。

 また、二点目、ガバナンス不全の把握でございますが、公益法人の透明性や自律的なガバナンスの向上を図り、社会的な監視機能や法人の自浄機能を高めることとしております。法人内外からの情報提供も有効活用して、ガバナンスの不全など不適切事案の端緒をつかんだ法人に対しては機動的、集中的な監督を行ってまいります。

吉田(久)委員 国民の信頼を失わないような制度をしっかり進めていただきたいと思います。

 ちょっと一問飛ばしまして、話は変わりますけれども、四月二日、台湾地震の、避難所設置の早さ、質の高さに大変驚きました。日本のメディアも、その見事さを連日報道しておりました。

 地震発生後一時間で、市や各支援団体を結ぶLINEグループが立ち上がり、必要な物資の情報交換が始まり、僅か二、三時間で、どの避難所も安全、衛生的、プライバシーが守られた、そして、食事、生活に困らないレベルの避難所が確保できたといいます。この実現の鍵は、日頃の官民連携だということでした。災害時に備えて、平常時から自治体と各種ボランティア団体との官民協力の仕組みができていて、常にコミュニケーションが取れている。テントやベッドはどの団体が用意するのか、子供のケアは日頃から専門に担っている団体が担う等々、役割分担も明確で、支援がかぶらなかった。

 そして、驚いたことに、全ての体育館の避難所は、子供の新学期が始まる前日には閉鎖をされ、学校はふだんどおり子供たちの学びの場に戻った。僅か設置から四日間で閉鎖された避難所もあったということです。被災者の方は、既に一次避難所の体育館等から出られて、数日後には二次避難所に移動し、その後、完成をした仮設に入られる、こういうことだということです。

 正直、システマチックでスピード感あふれる対応能力には圧倒されました。このような防災分野や避難所運営の分野で、我が国も、自治体任せではなく、民間の機能発揮で台湾に負けない体制ができないのかと、じくじたる思いにもなりました。

 今、営利法人の内部留保、利益剰余金が過大になっていると言われております。一九九〇年当時、遊休財産規制の、平均一〇%前後で留保されていた、合計金額百三十兆円程度だったのが、二〇二一年には三七%、五百十六・五兆円、実に四倍に膨れ上がっております。

 一方で、公益法人には過大な蓄積がないようにと規制が厳しく、公益法人の半数が、一年間の事業費という上限規制の三〇%未満の留保であり、先の見通しが立てられない自転車操業を余儀なくされている状況であり、翌年の事業継続のための書類作成に日々追われているようでは、不特定多数の多様な国民を対象とする課題や新しい事業に取り組みづらく、その責任を果たし切れていないと思います。

 先ほどの、台湾における地震の見事なまでの迅速な対応など、官民連携の必要な事業も、そのような日常活動と、いざというときの災害対応の役割を担う事業が、国民や地域住民から常に見える化され、安心してその事業に寄附できる仕組みが整えば、我が国でもこの公益法人制度で実現できるのではないかというふうに思います。毎年の事業費という枠組みにはならないが、災害時等に必要な物資を準備するための寄附金も集まり、全国どこの地域でいつ災害が起きても、迅速かつその地域に適した避難所設置や支援物資調達の仕組みができるのではないか。

 自然災害の激甚化、南海トラフ地震や首都直下地震など、備えなければならない災害対応は、官だけではなく、また営利、非営利を問わず、日頃から取り組むべき、マストな公益事業であると思います。むしろ、それが可能となる法改正にしていただきたいと思います。

 今回の法案で、公益法人の行う公益目的事業と同様の形で、公益信託の行う公益信託事務、この具体的な種類が二十三項目列挙されております。その中に、災害対応等の事業は、探しましたら、三項目めと十一項目めには見られましたけれども、国は、このような取組をする公益法人を育て、また公益信託を可能とするべきではないか、そこに力を入れるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、災害対応等は公益の原点であると考えております。現に、能登半島地震におきましても、公益法人が様々な支援活動や寄附をしているところでございます。

 今回の改正でございますが、公益法人制度も公益信託制度も、より迅速に、柔軟に事業展開が行えるよう、両制度を使い勝手のよいものに改めることで、災害対応等の取組も後押ししてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 今、時代が大きく変わっております。希少なものを私有することや潤沢に消費をすることが求められていた時代から、必要な物やサービスをシェアをする時代へ、資本主義は、今後、必然的に共有型社会、シェアリングエコノミーの台頭する時代に向かうと、文明評論家のジェレミー・リフキン氏は予測をしております。私も、占有から共有の時代になっていることを、若い人たちと話していると強く感じます。別に車は欲しくない、物は必要なときに借りればいい。不要になったものは譲り合うアプリも活用されております。シェアという言葉は既にしっかりと根づいております。

 しかし、そもそも、お裾分けの文化、困ったときはお互いさまという、日本には昔からあった文化だと思います。しかしながら、公益信託という制度が思うように使われていないのは、とても残念なことです。

 一九二二年、大正十一年に制定されましたこの公益信託という制度ですけれども、五十年ほど利用をされず、やっと一九七七年、昭和五十二年に第一号が誕生して、奨学金の支給等に主に利用されているようですけれども、信託件数四百件、五百億円程度の規模で、公益法人と比べても、金額でも二桁の差があり、ほとんど機能していない制度、実はほとんど国民に知られていないのではと思われます。

 およそ百年間、公益信託制度の活用がおぼつかなかった原因はどこにあると政府は考えていらっしゃるのか。その上で、何をどう改革していこうとされているのか。お伺いしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 現行の公益信託制度、余り活用されてこなかった原因でございますが、一つには、主務官庁制、裁量による許可、監督制度であって、基準も不統一であったこと、そしてまた二点目、事実上、信託財産は金銭に、また受託者は信託銀行などに限定されておるということ、そして三点目、そもそも制度自体が国民に余り知られていないといったことに原因があると考えております。

 これを踏まえまして、今回は大きく見直しまして、主務官庁制は廃止して、一元的な行政庁が法定の基準に基づきまして認可、監督するなど、透明性が高い、使いやすい制度に改めます。また、信託財産や受託者の範囲を拡大いたします。その上で、国民により広く知ってもらうよう、周知、広報もしっかりやっていきたいと考えております。

吉田(久)委員 先ほどお話もありましたけれども、今回の法改正で、金銭以外のものも信託できるようになると聞いております。具体的に、どのようなものまで信託をできるのか。

 例えば、今全国で空き家が増加をしております。独居や、遺贈する身寄りのない方も、今後もますます増えていくと思われます。例えば持家で、まだまだ使えるけれども、引き継ぐ身寄りもない、取り壊すには相当なお金もかかる、ならば、自分の死後は、家も土地も家財も公益信託して、災害時の公営住宅として活用してもらいたいとか、住んでもらうなら若い人に安価に住宅を提供したい、そういう願いを持っていらっしゃる方も相当数いらっしゃるのではと考えます。

 金銭以外で信託できるものは具体的に何を想定し、どのような活用を考えていらっしゃるのか、お伺いします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 新しい公益信託制度では、金銭以外に不動産や有価証券などを信託財産として活用することができるようにいたします。

 活用事例でございますが、御指摘のようなケース、一つ、相続人がいない高齢者が遺言で、家屋を信託財産として母子家庭や被災者に住居を提供するようなケース、また、相続はしたが使う当てのない土地などを町の防災のために役立てる、そういう形で信託財産とするといった形での活用が考えられるところでございます。

吉田(久)委員 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

星野委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十一分開議

星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太栄志君。

太委員 太栄志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、お疲れさまでした。

 それでは、質疑に移りたいと思います。

 今、世界も日本も大きく変容していく中で、様々な課題を解決していく上で、まさに民間の知恵や活力、また力をしっかりと活用していこう、公共においても、行政や政治だけに頼るのではなくて、新しい公共の在り方を探っていく、そういった視点からも、私は、今回の法案審議は大変重要だというふうに認識をしております。

 また、やはり我が国の政治において、新しい公共を進めることで更に市民参画が進んでいくこと、そういった視点からも、そういった社会づくりにつながっていくと思っておりますので、本日の審議、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、先ほど、我が党の山崎誠議員の質問に関して、ちょっと分かりづらかったです。公益法人とNPO法人の違いは何か、ここの大臣の説明が先ほどちょっと分かりづらかったので、再度この違いに関して明確に教えてください。お願いいたします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 公益法人とNPO法人は、いずれも、法律に定める公益に関して不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを主たる目的とする法人であります。

 公益法人制度は、財務規律など法律に定める公益認定基準に適合することについて、合議制機関の判断を経て行政庁が判断します。認定後も、行政庁が認定基準の適合性について継続的に監督し、信頼性が確保されているところでもあります。民間団体のアンケート調査によりますと、公益法人のメリットとして、公益目的事業に対する非課税などの高い税制優遇等、公益を名のることによる高い社会的信用が挙げられているところでございます。

 一方、NPO法人制度は、法人の自主性、自律性を尊重し、広範な情報公開を通じた市民による選択、監視を前提に、行政庁の関与を極力抑制をしているところであります。また、こうした制度の趣旨に鑑みまして、NPO法人に対する税制上の優遇措置の認定に当たりましては、行政ではなく市民からの支持度合い等に基づいて公益性を判断しているところです。

 このように、両制度の特徴、これを踏まえながら、それぞれの実情、ニーズに合った法人形態を選択できることに意義があると考えております。

太委員 どうもありがとうございました。

 先ほどの大臣の説明だと、NPOは公益性がないんじゃないか、そういうふうに取られかねない説明だったと思うんですが、今ので明確になりました。どちらも公益性、この高い低いというのは関係なく、いずれも公益性に資するというところをしっかり目的にしているということと、よって立つところが行政か市民かという、その違いだということを理解いたしましたので、どうもありがとうございました。

 続きまして、それでは、私の質問に移っていきたいと思います。

 まず最初に大臣にお伺いしたいのが、今回の法改正を行うことになった理由、きっかけ、その点に関して、まず明確に教えてください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先ほどの議論の中でも出てまいりましたが、社会的課題は今大変複雑化をしておりまして、社会的課題の解決には行政や営利の企業のみでは限界があり、民間の公益活動が重要となってきています。今回の改革は、多種多様な社会的課題解決に向けた民間の公益活動、これを活性化するため、両制度を使い勝手よく見直すものでございます。

 改革の効果につきましては、事業の規模を示す公益事業費、また公益活動の担い手の数、国民、企業からの寄附等の額、公益活動が社会に与えた影響などといった指標を活用して、今回の法改正によって民間の公益活動がどのように活性化されたのかの評価をしてまいります。

太委員 大臣、もう一度教えてください、一番大事なポイントだと思っていますので。

 そもそも、今回、法改正をすることになっていった理由、そのきっかけを教えていただけますでしょうか。事前にちゃんと通告しておりますので、お願いいたします。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、社会的課題の解決には、昨今、行政や営利企業のみでは限界があり、民間の公益活動が重要でございます。今回の改革は、多種多様な社会的課題解決に向けた民間の公益活動をより活性化するために、両制度を使い勝手よく見直すものでございます。

太委員 大臣、まさに私が冒頭で言いましたように、民間をしっかりと活用していこう、そこが大事だと思っております。

 ですけれども、私がお伺いさせていただいたのは、そもそもきっかけとしては、二〇二〇年、令和二年の有識者会議にも明確にあるとおりで、最終取りまとめに述べられていることだと思っているんですが、そこでは、度重なる不祥事を受けてガバナンス強化をしていく必要があるんじゃないかということを明確に述べていると思うんですよ。

 大臣、そこをちょっと、これは大切なポイントなのでもう一度確認させていただきたいのですが、このきっかけ、スタート時点を含めて、法改正をする、それは、有識者会議にもあるとおりで、ガバナンスの不全を来している、不祥事が発生し続けたこと、そういったところから、ガバナンスの強化をしていこうということがきっかけだったのか、その認識をちょっと確認させてください。御返答をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 令和二年の有識者会議の後、社会経済情勢の変化を踏まえまして、令和四年に新たに有識者会議を開催し、ガバナンス強化の方向性も包含しつつ、民間公益活動の活性化を図るため、より総合的な観点から今回の制度改革の検討を行ったものでございます。

太委員 大臣、これは私は大事だと思っているので繰り返させていただきたいと思っているんですが、そもそも、度重なる不祥事、これが問題だったということだと思うんですよ。

 今回、法改正において、あるいはこの法案においても、残念ながら、ガバナンス強化というところが少し弱いんじゃないかという疑問を私は持っておりまして、そういった視点から、大臣、今回の一番のきっかけは、やはりガバナンス強化というところがあるということでよろしいですか。もう一度、これは明確にお答えください。お願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 社会情勢、経済情勢の変化の中に、そういった事案を含む様々な懸念等があるというふうに考えております。

太委員 もちろん、社会情勢の変化に合わせて、特に今回はコロナがありました。コロナで経営が厳しくなった法人は多かったはずです。そういったことを受けてだったと思うんですが。

 私は、先ほど言ったように、この法案にはもちろん、大切な法案だと思っているので、しっかり成立させていただきたいと思っておりますが、今回、法案を改正する上で一番大事なポイントは、やはり国民からの信頼を取り戻すこと、不祥事を受けて、そこがないことには、幾ら制度設計をしたとしても、大臣、残念ながら、ガバナンス強化や国民的な信頼がない中で、公益法人を増やしていくことも活動を活発にしていくことも無理だと思うんですよ。

 今回、私はこの質疑をするに当たって役所からのレクも受けましたが、やはりこの点が抜け落ちているし、法案を見ていても、弱いと思っているんですよ。そういった意味で、ここをあえて質問させていただきました。

 大臣、では、ここでお伺いさせていただきたいんですが、今回の度重なる不祥事を受けて、ガバナンス強化をしていく、そこをもう一回強く打ち出していただきたいと思っておりますが、その点、御理解いただけますでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 法人のガバナンスに関して、今回の制度改革では、令和二年有識者会議における、外部理事、監事の導入等の提言は継承しつつ、新たに、分かりやすい財務情報の開示や、行政による事後チェックの強化などの観点も追加して、より総合的な取組で法人のガバナンスの充実を図るものとなっております。

太委員 確かに、外部監査等を含めてしっかり強化していく、これは大事だと思っております。

 しかし、やはり私は、行政の方で同じような、ガバナンスの不備などをしっかりチェックしていく、そういった体制をつくっていくことが大事だと思うんですよ。そこが、やはり今回法案を見ていていても欠けていると思っております。

 これまでの規定の中でも、ちゃんと様々、チェック機能を働かせるということを書いているんですよ。ですけれども、やはり改めて、厳しく行政の方からも監督していくということを明記していくべきではないかと思っているんですが、その点に関して、御回答をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の改革は、外部理事、監事の導入等の法人内部ガバナンスの強化、分かりやすい情報開示の充実と透明性の一層の向上、行政による事後チェックの強化など、総合的な取組によって、法人内外からのガバナンスを充実させ、公益法人に対する国民の信頼を確保しようとするものでございます。

 これによりまして、個々の公益法人においては、その運営に、外部からの目線によるチェック機能、これが強化されまして、例えば、一部の理事等が法人を私物化するような運営ですとか職員によるずさんな経理処理などといった不祥事発生の抑止効果は高まるものと考えております。

太委員 御指摘の点、大事なポイントだと思っております。

 これは、参議院の審議も聞かせていただいておりますし、附帯決議も参議院の中でついたと思うんですが、やはりしっかりと行政の方からも監督権をやっていく、監督していく、そういったところを是非とも大臣も意識していただきたいというように思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これに関して、ガバナンス強化をしていくということに関しては大臣も御認識いただいていると思っておりますので、それに向けての様々な制度設計をされているということで認識しました。

 それでは、具体的にお伺いをしたいんですが、二〇二七年、三年後です、私の地元の横浜市瀬谷区において国際園芸博覧会が開催されます。その運営主体は、公益法人の二〇二七年国際園芸博覧会協会なんですが、それでは、今回の法改正によって、大臣、例えばこういった花博の運営主体のガバナンスがどう強化されていくのか、その点に関して御説明お願いいたします。

北川政府参考人 法案の中身に関することでございますので、ちょっと申し上げたいと思います。

 今回の改革で、ガバナンスの強化の観点からは、法人が毎年度作ります事業報告に、ガバナンスの充実に関してどう取り組んだかということを記載することを必須化しております。公表をするということもございます。

 ということで、御指摘の法人さんにおかれても、透明度を向上させるような取組というのは強化されることになりまして、内外からのチェック機能は向上するものと考えております。

太委員 もう少し具体的に教えていただけるのかと思ったんですが、残念ながらそれじゃ安心できないなというのが正直なところで、今までとどう変わっていくんでしょうか。どう強化されるのか、そこを教えていただけますでしょうか。

 といいますのも、東京オリンピックもそうでした。公益財団法人が、組織委員会ですか、逮捕者も出るような事態になった。今進行中ですが、大阪の万博に関しても予算の上振れが続いている。様々、これから、地元の方も含めて、大丈夫かというところがあるんですが、そこを是非とも、もう少し、どう強化されるかというところを教えてください。お願いいたします。

北川政府参考人 申し上げます。

 今回の法案で、法人におきましては、ガバナンスの向上や透明性の向上に努める責務がある旨、そういう責務がある旨を明定いたしました。

 この責務の一つの具体化の形として、法人が作る事業報告書にガバナンスに取り組んだ事項の記載を義務化することにいたしました。そして、これを公表することを義務化しております。

 また、そういった透明性に係る情報開示の充実を受けまして、行政庁におきましても法人の情報を一元的に公表していくということを推進してまいります。

 こうした取組によりまして、法人による、法人の内外からのガバナンスは強化されるものと考えております。

太委員 大臣からも説明いただけますでしょうか。本当に大丈夫なんでしょうか。というのも、しっかり強化されるかどうか、そこを含めて、加藤大臣、御返答をお願いいたします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の改革は、外部理事、監事の導入等の法人内部ガバナンスの強化、先ほども申し上げましたけれども、分かりやすい情報開示の充実と透明性の一層の向上、行政による事後チェックの強化など、総合的な取組により、法人内外からのガバナンスを充実させ、公益法人に対する国民の信頼を確保しようとするものでございます。

 これによって、個々の公益法人においては、その運営に、外部からの目線によるチェック機能が強化をされます。例えて申し上げますと、一部の理事等が法人を私物化するような運営や職員によるずさんな経理処理といった不祥事発生の抑止効果、これは高まるものと考えております。

太委員 どうもありがとうございました。

 いずれにしましても、この事業がしっかりと成功していくように、私も後押しをしていきたいと思っております。

 それでは、次に移ります。

 冒頭言ったように、民間による公益活動をどう活性化するかということで、それでは、今回の法改正で、具体的にどのように活性化される、例えば法人の数が増えるとか、活躍の場が増えると想定あるいは期待しているのか。その点に関して御回答ください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 繰り返しとなる部分もございますが、今般、社会的課題の解決には行政や営利企業のみでは限界があるということを踏まえると、民間の公益活動が重要であるということを改めて申し上げたいと思います。

 今回の改革によって、多種多様な社会的課題解決に向けた民間の公益活動を活性化するため、両制度を使い勝手よく見直してまいりますが、具体的な改革の効果につきましては、事業の規模を示す公益事業費ですとか、公益活動の担い手の数、あるいは国民、企業からの寄附等の額、公益活動が社会に与えた影響などといった指標を活用し、民間の公益活動がどのように活性されたのかを評価をしていくことを考えております。

太委員 それでは、具体的に想定とかというのはないということなんですよね。

 もちろん、なかなかこれは、あっても出せないのかもしれないんですが、いずれにしろ、相当今、公益法人の数というのは少ないというのが現実だと思っていますし、過去十五年間でも、一般の社団、財団法人は三・七倍に増える中で、公益法人は僅か七%しか増えていない。本当に大きな差が開いている中で、これは相当いろいろな工夫もしていかなきゃいけないと思いますし、目標もしっかりと想定して本来やっていくべきだと思うんです。

 それでは、大臣、先ほども少し触れられました、事後的な評価に関しても、どのようにやっていく、どのように進めていくのか。もちろん、社会情勢もいろいろと変わってくると思います。そういった中で、しっかりと事後評価というのは、今後活性化させる上で大事だと思うんですが、その点に関して御回答ください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 改革の成果につきましては、例えば、事業の規模を示す公益事業費、公益活動の担い手の数、国民、企業からの寄附等の額、公益活動が社会に与える影響といった指標で測ることが考えられます。

 今後、内閣府として、関係者、有識者の声もお聞きしつつ、社会的課題解決に取り組む民間主体の数や活動量などを総合的に勘案して、具体的な目標を設定してまいります。

太委員 是非とも具体的な目標を設定して進んでいただきたい。大臣のリーダーシップで、大変重要な要素だと思いますので、進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次に移ります。

 公益法人、公益信託の活用の前提として、そもそも、こういった制度があるということを国民に認知してもらう必要があると思います。特に、公益信託の存在については、公益法人に比べても認知度が低いのではないかと思っておりますが、政府として、今回のこの制度改正の内容の周知に加えて、そもそも、公益法人、信託という制度自体の認知向上に向けてどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。御認識と対策を教えてください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益法人、公益信託制度をより御活用いただくためには、使い勝手のよい制度を準備するのみならず、制度について広く知っていただくことが、委員御指摘のとおり必要だと考えてございます。

 新たな公益法人、公益信託制度や、公益法人の活動例、公益信託の活用例等について、法人や経済界等との対話の推進、また、フォーラムの開催、さらにはSNSによる情報発信等によって積極的に広報、普及啓発をし、社会全体の関心を高めてまいります。

太委員 是非とも大臣、先頭に立って進めていただきたい。広報活動、よろしくお願いいたします。

 次に、今回の法改正によって、公益法人には、原則として、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の区分経理が義務づけられることとなります。

 有識者会議の最終報告においては、「所要の経過措置を設けるとともに、行政は必要な支援策も検討する。また、小規模法人等における区分経理の負担を軽減する方策について検討する。」とされていますが、それでは、具体的などういった支援策があるかということもお伺いしたいんですが、その前に、政府はどのような現場の声を把握しているのかというところをまず教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度改革、これまでの検討におきまして、制度の運用実態や法人の現場の声につきましては、制度改革の検討を行いました有識者会議でのヒアリングですとか、公益法人や都道府県との対話、さらに、公益法人制度に関する相談会等を通じてこれまで把握してきたものでございます。

 また、今回、制度改革を推進しておりますが、これまで以上に公益法人や経済界等々との対話をより推進し、幅広く国民の意見を把握して、制度や運用の在り方を不断に今後とも見直してまいりたいと考えております。

太委員 具体的にどういった声があるのかというのを教えていただきたいと思ったんですが、そこはちょっと分からなかったですね。ちょっと教えていただきたいと思っています。

 というのも、小規模事業所など、本当にこれから大変になっていく中で、政府は、内閣府令等で詳細を定めるに当たって、やはりそういった声をしっかりと反映していただきたいということで、そこはどういった声があるのか、それと、更にどのような支援策を考えているのか、その点、併せて教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 制度改革の検討におきまして、多種多様な公益法人の皆様の声をお聞きしてまいりましたが、その一例として、今回、透明性を向上させるという一環で区分経理を推進していく、これは、特に小規模の公益法人にとっては、財務諸表の切替えなどは事務負担が非常に強いものであって、サポートをお願いしたいという具体の声を聞いてまいりました。

 このように、区分経理の義務づけというところは特に小規模法人において事務負担が重くなることに鑑みまして措置を講じておりますのが、まず、収益事業を行っていない法人については、区分経理の適用を除外します。区分経理への切替えについては、三年程度の猶予期間、経過期間を設けます。また、さらに、行政からの支援として、マニュアルの整備や相談会の充実等の支援策を講じまして、小規模法人の負担軽減を図ってまいります。

太委員 是非とも支援策の方を強化して進めていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 それでは、次に、ちょっと順番が変わりまして、時間がなくなってまいりました、寄附文化の醸成に関してお伺いしたいと思います。

 公益法人や公益信託を始めとする公益活動を支える上で、やはり寄附の存在は大きいと思います。しかし、残念ながら、我が国は他国に比べて寄附が余り活発でないと言われております。イギリスの調査だと、調査対象国百十九か国中百三番目ということで、大変、極めて低い状況だと。

 そういった中で、日本人の寄附意識を阻害する要因はどういったところにあると認識しているのかということと、また、寄附を行う者にとってどのようなメリットがあると考えているのか、税制上の優遇といったものも含めて教えてください。お願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、寄附に対する意識についてでありますけれども、アンケート調査によりますと、経済的な理由を除き、寄附の意識が低い要因につきましては、寄附先となる法人の信頼度に欠けること、寄附した資金が実際に役立っていると思えないこと、情報開示が十分でないこと等が考えられます。

 また、寄附文化の醸成に向けましては、寄附をしたくなるような公益活動が増えること、その活動成果が広く知られること、寄附の使い道や公益活動主体の信頼性など、寄附しようとする方の目線に立った情報開示を充実させること、さらには、税制上の優遇措置が十分に広く知られることなどが重要であると考えており、積極的な情報提供や広報活動に取り組んでまいります。

太委員 是非とも寄附しやすい環境整備を含めて、制度設計をよろしくお願いします。

 あと、内閣府の調査で、公益法人の四五%が寄附金収入が必要だというふうに言っているということでもありますので、是非とも進めていただきたいと思っております。

 それでは、次に、公益信託の信託財産の拡大に関して。

 今回の改正で、信託財産が不動産などにも拡大されることになります。具体的な想定として、政府は参議院の内閣委員会での答弁においても、高齢者が、相続人がいない家屋を信託財産として安価で住居を提供するとか、歴史的な建造物などを信託財産として拠出して保護するとしていますが、不動産を公益信託の信託財産とする意義について、政府のお考えを教えてください。

北川政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行の制度では、事実上、信託財産は金銭に限られておる。まさに、相続人のいない高齢者ですとか、土地や不動産を相続して使う当てのない人ですとか、そういった方々から土地や建物を信託財産として拠出したいというニーズはあったものの、現行制度では、それは一旦金銭に換価してからでないと公益信託とすることができないという問題点が指摘されておりました。

 これを踏まえまして、新しい公益信託では、金銭以外に不動産も信託財産とすることができるようにいたしまして、御指摘いただきましたように、高齢者が、相続人がいない家屋を信託財産として母子家庭に安価で住居を提供する、歴史的建造物の保護を公益信託を活用して行うといった、今なかなか応じられないニーズに応えていく改革をなそうとしているところでございます。

太委員 どうもありがとうございました。

 いずれにしましても、冒頭でも言いました、是非とも、今回の法改正、国民の信頼を回復するということが一番大事だと思っておりますので、ガバナンス強化をしっかり見据えた取組をよろしくお願いいたしまして、私の質疑を終わります。

 どうもありがとうございました。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公益法人法、公益信託法について質問をいたします。

 行政庁による監督について、まずお尋ねをいたします。

 内閣府が監督をする公益法人は現在幾つか、また、検査に当たる職員数は何人なのか、この点についてお答えください。

北川政府参考人 事実関係でございますので、私からお答え申し上げます。

 内閣府では、令和六年五月一日現在、二千六百五十五法人の公益法人を所管しております。また、立入検査に当たる職員は、これは公益認定の審査業務等を兼務はしておりますが、令和六年四月一日現在で六十三人となっております。

塩川委員 立入検査に従事する職員は、兼務ではありますけれども六十三人。これは二千六百五十五の法人との関係で立入検査を行うということになります。

 そこで、現行の立入検査の考え方について、政府として示しているものがあると聞いております。都道府県に対しても同様なことについて対応方を求めるといった趣旨についての案内もされているということですが、現行の立入検査の考え方について説明をしてもらえますか。

北川政府参考人 申し上げます。

 現行の立入検査は、公益法人全体のガバナンス向上を促す観点から、おおむね三年を目途に全ての法人に対して行っております。

塩川委員 おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査が一巡するスケジュールで実施する、こういったことが考え方の文書では書かれているということでよろしいですか。

北川政府参考人 委員おっしゃるとおりでございます。

塩川委員 ガバナンスの向上を促すということで、全ての法人に立入検査を行うんだ、それは三年に一回のローテーションでということなんですけれども、このように、三年に一回、全ての法人に対して立入検査を行う、そうする理由、趣旨は何なのかについてお答えいただけますか。

北川政府参考人 現行の公益法人制度は、二〇〇六年に、旧民法に基づく制度から、新しく、公益認定基準や認定委員会という枠組みの下の新しい制度として発足いたしました。

 ですので、新しい制度の周知徹底、定着を全法人に対して促していくという観点から、おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査を行っておるものでございます。

塩川委員 新しい制度の周知徹底という趣旨で、三年に一回、全ての法人に対する立入検査と。あわせて、この間、過去、公益法人の不祥事が多数発生したことを踏まえれば、三年に一回、全法人への立入検査を行うということは重要な活動だと思います。

 そこで、この間の委員会での政府答弁では、今後について、行政の事後チェックは今よりも実効的な強化を図っていくということですけれども、今後どのようなことを対応するのか。この点、説明してください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の制度改革では、公益法人の透明性やガバナンスを向上させるとともに、行政もしっかり事後チェックをしていく、こういうふうに総合的に取り組んでいこうとするものでございます。

 行政の事後チェックについて、具体的には、これまで、申し上げたとおり、一律的に、定期的な立入検査ということを重視しておりましたが、今後は、より重点化を図りまして、透明性の向上を前提として、内外からの通報を活用しまして、不適切事案の端緒をつかんだ法人に対しては、より機動的、集中的に立入検査等を行い、勧告、命令、認定取消しなどの監督措置を不適切な法人には果断に実施してまいるという、めり張りづけを強化していく考えでございます。

塩川委員 透明性、ガバナンスの強化を法人の方に求めるということは、当然、今回の措置としてもあるわけですし、それに併せて行政の事後チェックも行うということですけれども、その際に、これまでの一律の事後チェックはもうやらないんだ、重点化を図るということで、不適正事案の端緒をつかんだ法人に対して機動的、集中的な立入検査を行うという説明なんですけれども、ということは、今行っている三年に一回という立入検査は今後は行わないということでしょうか。

北川政府参考人 立入検査も、めり張りづけを強化していく方向で考えておりますが、これまでやってきたような定期的な立入検査も、それなりに公益法人の全体の底上げには有効でありますので、これをやめるということはございません。ただ、注力する割合というのを、少しめり張りを強化していった方がいいと考えております。やめるわけではございません。

塩川委員 現行、内閣府が出している立入検査の考え方の文書では、先ほど確認したように、おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査が一巡するスケジュールで実施する、全ての法人に三年に一度の立入検査を行うということを掲げているわけですよ。

 これは引き続きやるということでよろしいですか。

北川政府参考人 機械的に三年に一巡するという、その頻度につきましては、重点化の方向で考えたいと思いますが、その重点化の考え方としましては、各法人において、不適切事案の発生するリスクに応じて、頻度や検査の内容にめり張りを立てて立入検査を実施していくことを考えております。

 定期的な検査というのをゼロに、廃止するというわけではございません。めり張りをつけていくという考えでございます。

塩川委員 定期的な検査をなくすわけじゃない、めり張りをつけるというんですけれども、それは、三年に一回を、四年に一回とか五年に一回とかにするという趣旨なんですか。

星野委員長 北川室長、明確に御答弁ください。

北川政府参考人 申し訳ございません。

 お答え申し上げます。

 三年を、五年なのか六年なのか七年なのかというところは、私ども、認定委員会においてもまだ明確に定められてはおりませんが、頻度というのは再検討してまいる考えでございます。

塩川委員 三年に一回について、それが頻度が下がる、五年か七年かみたいな話をするんですけれども。

 でも、先ほど答弁の中で、元々、三年に一回の立入検査というのは、新しい制度の周知徹底のためということをおっしゃっているわけですよ。今回、法改正するわけです。新しい制度を行うんですから、だったら、今回の法改正を踏まえた新しい制度の周知徹底を図るという点で、従来どおり三年に一回の頻度でやるので構わないんじゃないかと思うんですが。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改革による新しい制度を周知徹底、定着させていくための普及啓発活動や、法人に対する支援ということは、立入検査とは別の形で支援策は講じていって、普及啓発を図っていこうと考えております。

塩川委員 立入検査そのものは書類が大変だというのは、泉田さんなんかの質問にもちょっと紹介されていましたけれども、そうはいっても、やはり法人に対してしっかりとガバナンスを発揮してもらいたい。本当に国民にとっての公益を果たせるような、そういった対応を行う上で必要な監督を行うことというのが求められているわけですから、そういう点でも、三年に一回の頻度というのは、その中身についていろいろ検討するとしてみても、全法人に対しての働きかけという機会はあってしかるべきではないかな。それが七年に一回とかになると、今回の趣旨でさえ十分徹底されるのかということを考えざるを得ません。

 現場でやり取りする中で周知徹底を図るという方が、よりリアルでというふうに思うわけですが、その点が非常に、法人側のガバナンスの強化、透明性の向上を図ってもらうんだということで、何か監督体制が後退するような印象にしか取れないんですけれども、そうは思いませんか。

北川政府参考人 今回の制度改革では、行政による事後チェックもしっかりやっていく、強化していくという方向性がございますので、実効的な監督の体制というのが後退するものとは考えておりません。

塩川委員 ちょっと問題がありそうなところはきちっと見るというのは当たり前の話であって、そういうところに必要な人手を図るということと同時に、全法人に対して、貴重なアドバイスの機会という点も含めたこういう立入検査というのはあってもいいのではないかという思いでおります。

 いずれにせよ、今後、こういう法改正、制度改正によって公益法人の数が増える、また公益信託の数も増えるということが見込まれているわけであります。必要な監督体制を図るということについては、そのためのマンパワーの確保も必要ではないのか。

 そこで、加藤大臣にお尋ねいたしますが、今後、公益信託も新たに担当することになります。そういう意味では、公益法人、公益信託を所管をする、そういう部局の体制において職員の増員も必要ではないのかと考えますが、大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、公益法人、公益信託の信頼性を確保する上で、行政庁が実効的な監督を行うことは不可欠であります。

 内閣府におきましては、公益法人と公益信託に係る業務が一元化されることに伴う合理化や、DXの推進等による事務の効率化、こういったものを図りつつ、必要な体制整備が行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。

塩川委員 その必要な体制整備がどういうものかをお聞きしたいんですが。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、公益法人と公益信託に係る業務が一元化されることに伴う合理化、一元化していくことによって合理化をしていくということでありますし、また、DXをしっかり推進をしていくことで事務の効率化、これを図ってまいります。

 そういった合理化や効率化をまず図っていくことで、しっかりとした体制の整備が行われるように取り組んでいきたいと考えております。

塩川委員 二〇二三年の骨太方針の文章では、「公益社団・財団法人制度を改革するため、」「関連法案の提出とともに体制面を含め所要の環境整備を図る。」とあるんですよ。

 今の話だと、合理化、効率化の話ばかりなんですよね。体制面での環境整備という場合に、必要に応じてやはり増員を図るということだってあり得るわけですけれども、そういうことは行わないということなんでしょうか。

北川政府参考人 大臣も申しましたが、合理化一辺倒というわけではなくて、やはり今回の制度改革で行政需要が増大する要素もございます。新しい公益信託に係る行政、監督の体制、人員というのは必要となってきます。それを、私どもも、組織の自己努力によって合理化で圧縮できる分には努めつつも、どうしても必要な増員というものがあれば、これは政府部内で調整して、しかるべく要求して調整してまいりたいと考えております。

塩川委員 必要な要求があれば増員を図るということを政府内で検討していきたいと。大臣もそれでよろしいですよね。

加藤国務大臣 むしろ応援をいただいているというふうに受け止めております。

 合理化、効率化をしっかり図った上で、どうしてもやはり必要ということになりましたら、要求をしていきたいと考えております。

塩川委員 あわせて、行政庁として、国だけではなくて、都道府県、自治体の方もあります。こういった自治体の方においても、当然、行政需要が増大するということが見込まれるわけですので、大臣に重ねてお尋ねしますが、国の体制強化を図るとともに、自治体の体制強化のための地方財政措置を行う、こういうことを是非とも財政当局等に求めていくことが必要ではないかと思いますが、この点、どうでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益法人、公益信託の信頼性を確保する上で、国、地方を通じて実効的な監督を行うことは不可欠であります。

 地方公共団体におきましても、同じく、公益法人と公益信託業務が一元化されることに伴う合理化、また、DX推進等による事務の効率化を図りつつ、必要な体制の整備を進める必要があると考えております。

 内閣府として、地方公共団体の取組をしっかりと支援していきたい、このように考えております。

塩川委員 是非、財政需要に見合う必要な地方財政措置を図る、こういう点で取り組んでいただきたいと思っております。

 重ねて加藤大臣にお尋ねしますが、公益信託について、今般の制度の見直しで信託財産や受託者の範囲を拡大することで、公益法人やNPO法人が美術品や歴史的建造物の維持管理を行うなど、多様な公益信託が生まれることを想定していると大臣は答弁をされております。

 法務省の法制審信託法部会の議論で、想定される信託事務の具体例として、美術館の運営や留学生向け学生寮の運営が挙げられておりますが、このような財産を信託する委託者は誰を想定しているのか。この点についてお答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 想定をされる委託者の例としましては、具体的には、美術品の収集家が、自分の死後も美術品が散逸しないよう、ノウハウを擁する人を受託者として一般に展示する公益信託を設定するですとか、相続人がおらず、自分では活用することができないアパートを持つ高齢者が、不動産会社を受託者として学生寮として活用する公益信託を設定する、こういった例が考えられます。

塩川委員 不動産を公益信託できるようにするということで、今言ったような、美術品の収集家の方がそれを今後も活用できるような仕組みにならないか、また、高齢者の相続人のいない方における信託財産としての住居の提供、活用の仕方とか、こういうことが想定をされるということであります。

 そこで、最後に、公益信託において、様々な税の優遇措置も行われることになっております。公益信託において、受託者や信託管理人の報酬が不当に高額なものとならないような支払い基準というのを定めるべきではないのかと考えますが、大臣からお答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益信託に係る報酬が、当該公益信託の経理の状況その他の公益事務の内容等を考慮して、不当に高額なものとならないための支払い基準を定めているかを、行政庁において判断をいたします。信託報酬が不当に高額かは、信託事務の種類や内容、受託者の職務の内容、それから当該信託の規模などの事情を考慮していく必要がございます。

 今後、公益法人の報酬規制も参考にしつつ、具体的な基準の内容は、ガイドラインなどでできる限り明確化をしてまいります。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入りたいと思うんですけれども、今回、公益法人は潜在力をもっと発揮しなければいけないという課題意識が、この法律改正の出発点にあるというふうに認識をしております。

 現在、公益法人の登録数は九千六百七十二法人、公益目的事業の費用総額は合計五兆八千八百十一億円、これだけの規模であります。この現状を見て政府の資料等を読み込みますと、また政府の説明を受けますと、もっと公益法人には、社会を支えるあるいは変えるための潜在力を有している、この潜在力の発揮が重要なので今回の法改正を行うということだと理解しているんですが、まず大臣に伺いたいのは、この法律改正によって、例えば公益法人の数や公益目的事業費用の額の規模について、どの程度の変化を政府が期待若しくは見積もっているのか、伺いたいと思います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 近年の傾向として、公益法人数につきましてはほぼ横ばいで推移しており、公益目的事業費につきましては増加傾向にございます。

 具体的な見積り等は出しておりませんけれども、今回の改革におきましては、公益法人制度をより使い勝手よく見直すことで民間公益を活性化することを目指すものでありますので、公益法人数や公益活動に携わる人員の増加、寄附等の収入の増加、公益目的事業の質の向上、規模の拡大、こういったものを期待してございます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

浅野委員 基本的に私も同じ問題意識を持っておりますし、この法律が見ている方向性については異を唱えるものではないんですけれども、今大臣も答弁の中でおっしゃいましたが、質の向上であったりあるいは事業規模の拡大など、これを行うためには、今日各委員の先生方が議論してきた、厳格な審査、チェック体制というのは大事なんですけれども、しっかりこれから多くの国民の皆様に公益事業に参加をしていただく環境整備もまた大事だと思っています。

 そこで、二問目に伺いたいのは、元々、公益事業、事業類型としては十七類型が既に設置されておりますけれども、例えば、就労支援ですとか公衆衛生の向上、児童の健全な育成とか、あるいは犯罪防止、こういった事業目的を持つ公益事業があるわけですが、今述べたような事業というのは、元々、例えば行政において行っている分野とも重なる点が多いと思うんですね。これは行政がやることなのか、それとも公益事業としてできるものなのか、そこの境目が曖昧であることが公益事業が伸び悩んでいる一つの原因ではないかというふうに感じております。

 そこで伺いたいのは、今述べたような事業に、本来自治体等が主体的に行っている分野について、公益法人との役割分担をどのように政府が認識をしているのか、また、今後、公益事業と公共事業の相補性をどのように高めていくのか、伺いたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 法令に基づく公平公正で均質な対応が求められる行政、これに対し、公益法人は、個別のニーズや事情に応じた、きめ細かく柔軟な対応が可能でありまして、行政と公益法人が今申し上げたようなそれぞれの特性を生かしつつ、相互に連携して社会的課題の解決に取り組むことが重要である、このように考えてございます。

 また、委員御指摘の相補性を高める取組、これにつきましては、今回の改革によって、多種多様な社会的課題の解決に向けて、公益法人と行政が互いに補完し合いつつ、連携協力して取り組んでいけるようにすることが大切だと考えております。

 公益法人行政におきましても、法人、経済界等との対話を推進し、公益法人の取組を後押ししてまいります。

浅野委員 相補性を補うために公益法人と行政との連携を強化する必要がある、それはおっしゃるとおりだと思いますし、最後におっしゃっていた経済界等との対話を推進していくというのも、それも必要かと思うんですが、もう少し更問いで、これは参考人でも結構なんですが、では、この対話をどうやって、どういう仕組みで推進していくのか、ここが大事なポイントなのではないかなというふうに思いますので、政府の答弁を求めたいと思います。

北川政府参考人 対話の仕組みでございますが、官民の連携協力による社会的課題解決を民の側から後押しする方策として、例えば、行政との連携による社会的課題解決を活性化させるような具体的な事例、これを収集しまして、公益法人の活動の好事例として積極的に公表していくということも一環として考えられます。

浅野委員 好事例の横展開というのは様々な行政施策で既に取組がされておりますし、是非それはやっていただきたいんですが、私がいろいろな方々の意見を聞く中で持っている課題意識としては、好事例を横展開して、書面上でその知識を吸収するというのは当然必要なんですけれども、では、自分たちが活動している地域で、どういった人たちがそういった対話活動をしているとか、自分たちの足下の地域での情報が少ないというのが目の前の課題としてありますので、そこは是非、自治体と政府が連携をしていただいて、自治体側から、そうした公益法人に対するプッシュ型の情報提供ですとか、あるいは機会の提供みたいなものまで踏み込んで、しっかりと今後の取組方針というのを定めていただきたいというふうに思います。

 次の質問です。

 具体的な法案の中身に入っていきたいと思いますが、本改正案では、公益法人の保有する遊休財産を使途不特定財産へ名称変更するという変更点であったり、災害等の不測事態に備えるための公益目的事業継続予備財産というものを保有制限額の算定対象から除外するということが改正内容に含まれておりますが、これらの理由について少し詳しく説明をいただきたいと思います。

 具体的には、名称変更の理由と、公益目的事業継続予備財産の要件について、具体的な例示とともに答弁を求めます。

北川政府参考人 申し上げます。

 まず、名称変更の理由でございますが、使途が定まっていない財産について、事業継続のために必要な余裕財産も含めて一律に遊休財産と呼ぶことは不適切ではないかという声もありました。これを踏まえまして、その性格をより端的に表す使途不特定財産に名称変更することといたしました。

 二点目、公益目的事業継続予備財産の要件につきましては、法人が想定する不測の事態や、その事態において必要となる額が合理的なものとなっているかどうか等を判断していく観点から、法人のニーズや多種多様な業務運営の実態を踏まえつつ検討してまいります。

浅野委員 後段の公益目的事業継続予備財産の要件については、必要性、合理性を踏まえて検討していくという答弁だったんですけれども、これは今後、ガイドライン等で、あるいは政令等で明文化されるという理解でいいのか。その点、確認させてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のおっしゃるとおり、公益の予備財産の具体的な要件については、今後、詳細な検討をしまして、内閣府令やガイドラインで明記し、公表していく考えでございます。

浅野委員 よろしくお願いいたします。

 次の質問です。

 今回、事前に行われた有識者会議の中では、これまでの公益法人で発生した様々な不適切事案がレビューをされて、その結果、財政規律の厳格化ですとか外部役員の導入といった改善点が図られております。外部役員の導入といって、これまでいわゆる第三者だった人間が公益法人の運営に関わることで客観性を持たせ、なおかつガバナンスを利かせようというその狙いは分かるんですけれども、実際、これまでの不適切事案を振り返っていくと、特定の限られた役員だけで意思決定をして、ほかの役員が全くシャットアウトされている環境で不適切な行為が取られたりだとか、結局、外部役員が役員の輪の中にしっかり入って意見を主張できる環境を整えないと、ただその椅子に座っていますだけでは十分な役割が発揮できないと懸念をしております。

 ですので、外部役員の導入というのは、つまりは、その外部役員が役員会の中でしっかりと監督的発言を、権利を行使できる、そういった環境整備まで含めて導入と言っているのかどうか。その点を伺いたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 導入と申しておりますのは、法律上は明確に義務づけいたします。ただ、御指摘のとおり、それが実効性を持って有効に機能していくことも大変重要であると認識しておりまして、外部理事や監事に求められる役割というのを明確にお示しいたしまして、法人役員に対する研修や相談会、優良な事例の発信などを通じて、実効性ある外部理事、監事の導入を進めていきたいと考えます。

浅野委員 あともう一点。

 役員以外に、公益法人を運営するには、役員がいて、その役員の提案をちゃんと審議する評議員というのがいるわけですけれども、かなり多くの法人で評議員の確保に苦労しているという声も聞かれます。

 外部役員を導入しても、役員の提案に対してしっかりと声を上げる、チェック機能を働かせる評議員の確保ができなければ、実質的なガバナンスというのは難しくなると懸念をしておりますが、この評議員の確保策、これについても何らかの支援を検討いただきたいと思っているんですが、政府の見解を教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、評議員会による役員への牽制機能の実効性を向上させること、これは大変重要であると考えておりまして、今回の法改正で、公益法人のガバナンスを含めた運営体制の充実を図る取組について国が支援を行う旨を法律上に明記いたしました。

 今後、法人役員等に対する研修や相談会、好事例の発信等、人材の裾野の拡大に向けた支援等に、民間の関係団体とも連携しつつ、取り組んでまいります。

浅野委員 最後の質問です。大臣に伺いたいと思います。

 先ほど太委員も寄附文化について質問されておりましたが、私も同様に、やはり日本の寄附文化が世界的にも低い水準にあるということを懸念しております。今日の配付資料を見ますと、災害が起こったら寄附額というのは上がるんですね。なので、何に寄附すればいいかがはっきりすれば、日本国に住む皆さんは寄附をするんです。

 ですので、公益法人の半分が寄附を受けていないという現状も考えれば、これからどのように寄附文化を醸成していくのか、私はマッチング機能なんかをしっかり整備すべきだと思うんですが、大臣の見解を最後に伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 民間の非営利部門の活動が国民の皆様や企業から寄附によって広く支えられていくよう、寄附文化の醸成は重要な課題であると考えております。そのためには、寄附をしたくなるような公益活動が増えること、またその活動成果、これが広く知られること、寄附の使い道や活動主体の信頼性について情報開示がなされていることなどが重要であると考えております。

 今回の改革では、行政庁による一元的なプラットフォームにおける情報の公表、区分経理による分かりやすい財務情報の開示などを推進することとしており、寄附のために重要な情報を国民の皆様が容易に把握、活用できるように今後も努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いを申し上げます。

 まずもって、質疑時間に御配慮いただきました立憲民主党そして日本維新の会に御礼を申し上げたいと思います。

 今日、せっかくこういう機会でありますので、私がかねてから問題を持っております公益財団法人日本相撲協会についてお伺いさせていただきたいと思います。

 大正時代に陛下から賜杯を賜った際に、一興業団体に出すわけにはいかないという議論があり、なので、この団体は公益財団法人になった、当時の旧財団法人になったというふうに時々言われるんですね。実際の経緯、いかがだったでございますでしょうか。黒田次長。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの天皇賜杯につきましては、公益財団法人日本相撲協会の前身であります団体が、大正十四年に下賜された賜金で制作したものと聞いております。

 なお、大正十四年十二月の財団法人大日本相撲協会の認可につきましては、当時の宮内省が行ったものではございませんので、その経緯につきまして、宮内庁としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

緒方委員 ありがとうございました。

 この公益財団法人日本相撲協会が旧財団法人から新公益法人へ移行する際に一番大きかったテーマというのは何かというと、公益法人の重要な構成員である親方になる権利が数千万円から億単位で取引をされているということがおかしいのではないかという指摘が実際ございました。

 現在、年寄名跡規程第十三条においては、名跡のやり取りで金銭の授受が禁じられている一方、第十四条においては、自己申告すれば前親方と新親方の間での取引が認められるようになっています。直接の金銭の授受でなければ、年寄名跡規程第十四条に基づく自己申告をする限り、金銭の授受が生じることは問題ないというふうにお考えでしょうか。北川室長。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本相撲協会の定款におきましては、何人に対しても、年寄名跡の襲名に係る金銭の授受等を禁じており、いかなる名目であっても、また直接、間接かを問わず、年寄名跡の襲名及びその推薦に関し金銭等の授受があれば、定款への違反が問題になると考えます。

 相撲協会の年寄名跡に関する規程において、自己申告された取引内容につきましては、協会の危機管理委員会が内容を検討し、年寄名跡の襲名に係る金銭の授受等が確認された場合は懲戒解雇するとされていることから、自己申告すれば問題ないということにはならないものと考えております。

緒方委員 結構踏み込んだ答弁だったなというふうに思うんですが。

 実際には、親方株の取引をする際に、ここは金銭の授受がございません、これは規定に書いてあるとおりですと。しかしながら、その後ろにある規定で、別途の取引が認められているということで、ここで顧問料とか指導料という形でまた数千万や億単位の取引が行われているのではないかと言われているわけです。

 先ほど室長は間接であっても駄目だというふうに言われましたけれども、こういう取引は、親方株の取引と絡む限りにおいては一切駄目だということを明言されたというふうに理解いたしましたが、それでよろしゅうございますでしょうか。局長。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、いかなる名目であっても、年寄名跡の襲名及びその推薦に関し金銭等の授受があれば、当該規定への違反が問題になるものと考えます。

緒方委員 その一方、これは実は当時すごく問題になったんですけれども、年寄株について、協会が管理するということになっているんですけれども、実際には、前の親方からの推薦が、この人がいいですよと推薦することが、できる規定として存在をしているんですね。事実上、協会管理というのは無実化しているんじゃないかと思うんですね。

 これは私物化しているような感じを受けるんですけれども、現状は問題ないというふうに理解しておられますでしょうか。室長。

北川政府参考人 先ほどは規定の解釈に関する当方の考え方を申し述べました。

 では、実際において事実関係がどうなっているかというのは、現時点では、確たる情報というのは、そういう事実があるという情報は把握しておりません。予断を持って判断することがないよう、まずは事実関係の把握に努めてまいりたいと思います。

緒方委員 ちょっとしつこいですけれども、先ほどの答弁との関係でもう一回お伺いさせていただきたいんですが、直接か間接かにかかわらず、また名称のいかんにかかわらず、年寄株の移転に関連して金銭が関わるのは公益法人の在り方として問題があるというふうに答弁されたと思いますが、もう一度確認させていただきたいと思います。北川室長。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 相撲協会の定款四十七条第四項は、何人に対しても、年寄名跡の襲名に係る金銭の授受等を禁じておりまして、いかなる名目であっても、年寄名跡の襲名及びその推薦に関し金銭等の授受があれば、当該規定への違反が問題になると考えます。

緒方委員 それでは、少し財務省にお伺いいたしたいと思いますが、年寄株の譲渡に際して、実際に金銭の授受は禁じられているんですが、その下に書いてある規定で、自己申告すれば取引を行うことが可能となっていて、そこで指導料とか顧問料といった取引が行われているということなんですが、これは所得税の課税対象ということでよろしいですね。財務省。

田原政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、年寄名跡の襲名に際しまして金銭の授受が行われたことにより経済的利益が生じる場合には、原則として所得税の課税対象になると考えております。

緒方委員 続きまして、年寄株の移転について、私は、元々の金銭の授受が駄目だというのと、その下に、自己申告する取引があればオーケーだという、それが並んでいるのが極めて奇妙に見えるんですけれども、一般的に室長はそれは駄目だということを言われましたが、これは多分セットじゃないかなと思っているんですね。

 その金銭の授受の資金の調達をするために、いわゆる無気力相撲が行われているのではないかというふうに言われています。財源を確保するための手法として、これが行われているのではないかと言われています。

 この無気力相撲というのは、公益法人法第五条二に定める公益目的事業を行うのに必要な技術的能力を有していない証左ではないかというふうに思うわけでありますが、室長、いかがお考えでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本相撲協会について、仮に年寄名跡に係る金銭等の授受や、それが無気力相撲につながっていると疑われるような事実が、実態があるとすれば、それは金銭等の授受を禁止する定款の規定や、また、さらには相撲文化の普及振興という法人の目的にも反するものとして、公益目的事業を行うのに必要な技術的能力を有しないおそれがあるものと考えます。

緒方委員 なるほど。ありがとうございます。答弁としては結構踏み込んだなという感じを受けました。

 最後、法律に関するところで一つお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 今回、遊休財産の話が出てきていますが、公益法人の中には、今回少し規制が緩くなりますが、百億円を超える遊休財産を持っているところがあるんですよね。しかも、その中には、こういう事業性の極めて高いことをやっている団体も非常に多いです。そういった団体に対して、先ほど山崎議員や太議員の質問にもありましたけれども、公益法人というのは無税の措置が取られていて、かつ、その団体に対して寄附をすると税控除まであるわけですね。

 本当に、こういう事業性の高い団体とか、遊休財産、遊休資産が百億、二百億といくような団体にまで公益法人として認める必要があるのかなということについて、私は甚だ疑問を持つわけでありますが、これは最後、大臣に答弁を求めたいと思います。加藤大臣。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益法人がそれぞれの規模や実情に応じて安定した法人運営を継続するためには、一定程度自由に使用、処分できる財産を確保する必要があることから、公益目的事業費一年分以内という基準を設けております。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 今回の法案について、内容自体には大きな問題がないため、賛成の立場です。

 その上で、本法案は、新しい資本主義の目指す公益法人改革とし、民間も公的役割を担う社会の実現が目的とされている点についてお伺いいたします。

 まず、この言葉は、まるで今まで民間が公的役割を果たしていなかったかのように読める欠点はあるものの、考え方は分かります。しかし、なぜそれが新しい資本主義につながるのか、理解ができないんですね。

 そもそも、新しい資本主義とはどういうことを指すのか。政府の説明では、官民が連携し、成長と分配の好循環ということらしいですが、それは、実現すればいいですが、あくまで経済の話です。この法案が目指す民間の公的役割というのは、新しい資本主義というよりも、新しい民主主義あるいは新しい公共というところに分類されるべきではないかと思うんです。

 今から十四年前、二〇一〇年に発表された「新しい公共」宣言というのがありました。政府に円卓会議というのが設置され、そこには、ホームレスの自立を目指すビッグイシューの日本代表の方もメンバーだったんですね。当時、党の立場から、私も政策議論に加わっていました。その宣言にはこうあります。「人々の支え合いと活気のある社会。」「さまざまな当事者の自発的な協働の場が「新しい公共」である。」こう定義されています。

 政策の中心は寄附税制の拡充でした。特に、阪神・淡路大震災以降、ボランティア組織を支えるためにできたNPO法を、更に市民の自由な社会貢献活動を支えるものにすることが目的です。一般の人がある認定NPOに寄附をすれば、寄附を受けた団体には活動資金が増え、支援を必要としている人々や対象が救われる、寄附をした人にとっては税額控除の幅が広がることで、いわば国民が税金の使い道を決めることができる、こうした概念です。

 これは公益法人も同じです。政府だけでは解決できない社会的課題を、幅広い当事者が補完し合いながら、協働して解決に当たる、そのための新たな公の枠組みを提供するものです。

 当時は鳩山内閣ですが、実は、その前の麻生内閣でも、社会的責任に関する円卓会議が発足しているんですね。少なくとも当時は、政党の垣根を越えて問題意識が共有されておりました。つまり、公益のために民間が役割を果たせという上から目線ではなくて、もっと市民や民間を支える仕組みが必要であるという考え方です。

 「新しい公共」宣言でも、これは、古くから日本の地域や民間の中にあったけれども、今や失われつつある公共、これを現代風にふさわしい形で再編集し、人や地域のきずなをつくり直すことにほかならないとしています。保守の方こそ、新しい公共を前に進めていくべきだと思います。決して経済の話ではありません。

 しかし、二〇一二年、自民党政権に戻った後、この新しい公共の政策は廃止をされてしまいました。考え方はすっかり忘れ去られていますが、一方、寄附税制拡充のための財政的な仕組みは残っています。

 大臣にお伺いします。

 今、当時の改革による公益性の現状はいかがですか。簡潔にお答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 民主党政権下における新しい公共とは、全ての人々に居場所と出番があり、様々な主体が積極的に公に参画する社会づくりのことであり、特にNPOが重要な担い手と位置づけられていると承知をしております。

 NPO法人の活動促進に向けた政府の取組につきましては、平成二十二年の「新しい公共」推進会議からの提案等を受けまして、平成二十三年度税制改正及びNPO法改正が行われたと承知をしております。

 その後の内閣の取組として、平成二十五年に、受け継ぐような形、概念を受け継いでいると私は認識しておりますが、共助社会づくり懇談会、平成二十六年に共助社会づくり推進のための関係府省連絡会議を開催し、活力ある共助社会づくりを推進するために取り組むべき施策等を取りまとめ、関係府省による取組が進められているところでございます。

櫛渕委員 大臣からは具体的な数字はなかったんですけれども、その改革以降、画期的にNPOの数は増えているんですね。民間、つまり国民の参加による公益性の広がりはNPO法が中心であったこと、また、数が増えていることを今の御答弁に補足をさせていただきたいと思います。

 しかし、大事なことは、NPOの数ではなくて、どれだけ国民のために公益性が広がったか、どれだけ寄附を通じて社会参画する国民が増えたかということだと思います。

 実は、調べますと、二〇二一年の段階で、寄附経験のある人はまだ三分の一、しかも、コロナ前の二〇一九年と比べると減っているのが現状です。日本の寄附市場は、総額で見てもアメリカの約三十分の一、GDP比でも約六分の一でしかありません。総額は伸びていますが、その半分以上はふるさと納税なんです。NPOはそれほど恩恵を受けておりません。

 災害も多発し、生活困窮者などを支えるNPOによる民間の共助も、寄附者の減少でもう限界だ、こうした声を多く聞きます。能登半島地震の支援にボランティアが足りないという報道がありますけれども、圧倒的に足りないのは政府の災害支援であり、現場で支援を続ける災害NPOへの支援です。

 大臣、最後にお聞きいたします。

 NPO、公益法人など、日本の寄附を増やす方策について、先ほど概念的なお話がありましたけれども、具体的な新たな枠組みを検討されているかどうか、端的にお答えください。なければないで結構です。いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 省庁横断、官民連携での検討等につきましては、NPO関係者との意見交換の場などを活用して丁寧に意見をお伺いをするとともに、必要に応じて、非営利法人制度を所管する関係府省ともしっかり連携をしながら、我が国における寄附文化、公益活動の活性化、これを行っていきたいと考えております。

櫛渕委員 まとめますが、今のお答えは、検討されていない、具体的にはまだ存在していないというふうに受け取りました。

星野委員長 申合せの時間が過ぎております。

櫛渕委員 はい。

 公益を広げるためには、新しい資本主義ではなく、新しい民主主義が必要ということを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございます。

星野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、参議院送付、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、参議院送付、公益信託に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、冨樫博之君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。太栄志君。

太委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案及び公益信託に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、両法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 公益法人制度及び公益信託制度を中心とした民間による公益活動の一層の活性化のため、両法の趣旨、新たな税制措置の内容等について、関係者を始め広く国民に対し周知徹底を図るとともに、社会経済情勢の変化等を踏まえ、両法施行後五年を目途としてそれぞれ必要な見直しを行うこと。

 二 過去に公益法人の不祥事が相次いだことに鑑み、不適切な事案に対する行政庁による監督等を厳格に行うとともに、公益信託に対する監督等についても公益法人と共通の行政庁が担う制度と改めることを踏まえ、両制度に係る監督等が透明性を確保しつつ迅速かつ的確に実施されるよう、国の体制強化を図るとともに、自治体の体制強化のための必要な支援を行うこと。

 三 公益法人の財務規律に係る判定、公益信託の認可等について、全国を通じて統一的かつ透明性の高いものとするために、都道府県に対して情報提供等を行うなど必要な措置を講ずること。

 四 公益法人における財務情報の開示、自律的なガバナンスの充実等に係る措置の実施に伴う事務手続や人材確保等について、小規模の公益法人等に対し必要な支援に努めること。

 五 改正後の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に基づく内閣府令等の策定に当たっては、公益法人の関係者を含め広く国民から意見を聴取し、運営実態等を十分踏まえること。

 六 既存の公益信託の新たな制度への円滑な移行が図られるよう、公益信託の関係者の意向や運営実態等を十分踏まえ、適切な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。加藤国務大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

星野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

星野委員長 次回は、来る二十二日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時七分散会


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