第15号 令和6年5月22日(水曜日)
令和六年五月二十二日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 星野 剛士君
理事 上野賢一郎君 理事 高木 啓君
理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君
理事 太 栄志君 理事 森山 浩行君
理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君
青山 周平君 井野 俊郎君
泉田 裕彦君 大西 英男君
大野敬太郎君 加藤 竜祥君
神田 潤一君 黄川田仁志君
小森 卓郎君 杉田 水脈君
鈴木 英敬君 西野 太亮君
鳩山 二郎君 平井 卓也君
平沼正二郎君 牧島かれん君
森 由起子君 簗 和生君
山本ともひろ君 おおつき紅葉君
中谷 一馬君 本庄 知史君
山岸 一生君 山崎 誠君
吉田はるみ君 阿部 司君
金村 龍那君 住吉 寛紀君
河西 宏一君 日下 正喜君
塩川 鉄也君 浅野 哲君
緒方林太郎君 大石あきこ君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策担当) 松村 祥史君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(孤独・孤立対策担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(国際博覧会担当) 自見はなこ君
内閣府副大臣 古賀 篤君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理)
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 茂木 正君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(内閣府孤独・孤立対策推進室長) 江浪 武志君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 宮澤 康一君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 渡邊 国佳君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 早瀬 千善君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(財務省主計局次長) 前田 努君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 悦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 宿本 尚吾君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 西村 拓君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 鑓水 洋君
内閣委員会専門員 尾本 高広君
―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
葉梨 康弘君 森 由起子君
同月二十二日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 黄川田仁志君
土田 慎君 西野 太亮君
簗 和生君 加藤 竜祥君
逢坂 誠二君 おおつき紅葉君
本庄 知史君 吉田はるみ君
吉田久美子君 日下 正喜君
同日
辞任 補欠選任
加藤 竜祥君 簗 和生君
黄川田仁志君 井野 俊郎君
西野 太亮君 土田 慎君
おおつき紅葉君 逢坂 誠二君
吉田はるみ君 本庄 知史君
日下 正喜君 吉田久美子君
―――――――――――――
五月二十一日
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
同月十五日
アイヌ政策見直しに関する請願(渡辺創君紹介)(第一四七七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○星野委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房国際博覧会推進本部事務局事務局長代理、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。
○黄川田委員 内閣委員会におきまして貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の選挙区は埼玉県で、海なし県でございますが、前職では海洋政策の研究者だったこともありまして、国家国民のために海洋政策をライフワークとして議員になってもやっております。そこで、本日は、日本の海洋政策について質問いたしたいと思います。
昨年度、第四期海洋基本計画が策定されまして、向こう五年間の日本の海洋政策の方向性が示されました。それに続きまして、本年の四月二十六日に、総合海洋政策本部で海洋開発等重点戦略が定められました。海洋基本法が制定されまして十七年がたち、また、第一期の海洋基本計画が策定されてから十六年がたちました。この間、海洋開発等重点戦略というものはなかったんですけれども、今回初めてこの海洋開発等重点戦略を立てるということで、海洋政策担当大臣に質問いたしたいと思います。
この海洋開発等重点戦略を定めるに至った背景と、戦略の意義を教えていただきたいと思います。
○松村国務大臣 まず、黄川田委員におかれましては、自由民主党の海洋総合戦略小委員会の事務局長ということで、精力的に御活動いただいておりますことを承知いたしておりますし、今ほど、海洋研究者であったと。承知せずに大変失礼をいたしました。昨年も、取りまとめの上で、海洋開発等重点戦略の策定につながる御提言を谷前大臣の方に御提出をいただきまして、その熱意と御尽力に感謝を申し上げたいと思っております。
さて、我が国は四方を海に囲まれた海洋国家でございます。海洋が有するポテンシャルを最大限に生かし、我が国の国力の向上につなげるべく、海洋環境の保全との調和を図りつつ、海洋の開発利用を進めていくことが極めて重要であると考えております。
こうした認識の下で、第四期海洋基本計画に掲げられました政策の中におきましても、国益の観点から特に重要であって、府省横断で推進すべき重要ミッションに関しまして、目標や工程を明確にし、お示しをし、強力に進めていくため、総合海洋政策本部におきまして海洋開発等重点戦略を先月二十六日に決定をしたところでございます。
具体的に申し上げると、自律型無人探査機の開発・利用の推進、海洋状況把握及び情報の利活用の推進、洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進、特定離島であります南鳥島とその周辺海域の開発の推進、管轄海域保全のための国境離島の状況の把握、北極政策における国際連携の推進などを重要ミッションといたしまして、これらについて戦略を定めたところでございます。
また、海洋開発等重点戦略につきましては、毎年度フォローアップを行いまして、その結果を踏まえて、必要がある場合におきましては、重要ミッションの入替え等を含めた見直しを実施することといたしております。
政府といたしましては、この戦略に基づきまして、関係省庁と連携をいたしまして、海洋立国の実現に向け、必要な取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○黄川田委員 ありがとうございました。
海洋政策担当大臣、松村大臣からは、海洋立国日本をしっかりと推進していくために、この海洋開発等重点戦略をやるんだという力強いお言葉をいただきました。私も、この海洋開発等重点戦略を策定したことに対して、大変重要なことだと思っておりますし、大いに期待しております。
しかしながら、この海洋開発等重点戦略、これは、総合海洋政策本部において、ある意味、任意で決めていただいた。参与会議等があって、この六つのミッションが重要だということでやっていくということは非常にいいことだと思いますが、私は、ここに法的な位置づけがないというところ、これはしっかりと海洋基本計画の中で明確に規定していく必要があるのではないかなというところは思っているところでございます。
この海洋基本法は議員立法でありまして、私が事務局次長を務めております超党派の海洋基本法戦略研究会でもこの課題は共有されておりますので、この場をかりて御報告をさせていただきます。
さて、この海洋開発等重点戦略を進めるに当たって、法的な裏づけがないことから、実施体制がもっともっとしっかりしなければならないというふうに思っております。今まで、内閣府に設置されております海洋事務局、少ない人員の中、一生懸命やっていただいているとは思っておりますが、今後この海洋開発等重点戦略を進めるためには、人員や予算が私は足りていないというふうに思っております。
そこで、内閣府の海洋事務局に質問をいたします。
海洋開発等重点戦略を進めるに当たりまして、事務局の現在の体制と重点戦略関係の予算規模はどのようになっているか、教えてください。
○宮澤政府参考人 お答えを申し上げます。
海洋開発等重点戦略については、総理を本部長とする総合海洋政策本部を司令塔として、その実務を担う内閣府総合海洋政策推進事務局が中心となって進めていくこととしております。
内閣府総合海洋政策推進事務局は、令和六年四月一日時点で、常駐職員四十二名、その他自治体研修員が四名の体制となっております。なお、常駐職員のうち当事務局の定員は、事務局長を含め八名となっております。
予算についてですが、海洋開発等重点戦略を進めるための予算として、令和六年度当初予算及び令和五年度補正予算の合計で約三・七億円となっております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
私は、国益のために強力に海洋開発等重点戦略を進めるためには、先ほども申し上げましたように、人員や予算を増やしていかなければならないというふうに考えております。今、常駐職員は四十二名ということでございますけれども、実際の海洋事務局の定数の職員はたった八名ということでございまして、他省庁からの出向で賄っているというのが現状であります。
しっかりと、この海洋事務局自身の定員を増やして、海洋国家、海洋立国、先ほど大臣が、推進していきたいという話がありましたので、そういう海洋事務局自体の定員数を増やしていくということも大切だと思っておりますし、六つのミッションがありますから、三・七億円程度の予算ではまだまだ足りないというふうに思っておりますので、その辺り、人員、予算を増やしていくようお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
また、定員と予算を増やしていくためには、海洋事務局の所掌事務も新たに追加していかなければならないと思います。
現在の海洋事務局は、言うなれば、お願いベースで各府省に仕事をやってもらっているというような状態でございます。省庁横断的な政策になりますと、所管する省庁が曖昧になってしまうので、海洋事務局がお願いベースで仕事を調整していくということから、もうちょっと、一歩踏み出した形での所掌事務、これを追加してやっていかなければいけないというふうに思っております。
先ほど、松村大臣、この海洋開発等重点戦略は、とりわけ関係府省の協力が必要な政策を取り上げて六つのミッションにしたということでありましたから、しっかりと、お願いベースだけではなく、海洋事務局には、自らの予算を持って仕事を振り分けてほしいと思いますし、また、産業界等に対しては、ミッションの実現に向けて積極的に取り組んでもらうために、施策を創設する必要があると私は思っております。
さて、海洋開発等重点戦略のミッションの一つに、洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進があります。先ほど大臣がお示しいただきました。
そこで、海洋事務局にお聞きいたします。
このミッションと、本日これから趣旨説明のあります再エネ海域利用法改正案とはどのような関係があるのか、教えていただきたいと思います。
○宮澤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進は、海洋開発等重点戦略の六つの重要ミッションの一つとして位置づけられているところでございます。
今後、本改正案を御審議をいただきまして、成立をしました際には、海洋開発等重点戦略に基づき政省令や基本方針の改正等の制度整備を進めるほか、改正法に基づき募集区域の指定や許可手続等の運用面を含めた準備など、施行に向け必要な取組を関係省庁と連携してしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
それでは、EEZ展開、これについてもう少し深掘りをしていきたいというふうに思っております。
排他的経済水域に導入されることとなる風車について、遠浅の欧州と異なりまして、水深が深くなることから、我が国では浮体式の風車の導入が見込まれます。一方、これまでに我が国で設置された浮体式の風車は、沖縄沖での実証事業や長崎五島沖での実証事業の例があります。しかしながら、これらの実証実験の場合は比較的小型の風車でございました。今後、排他的経済水域におきまして大規模なウィンドファームを構築する際には、一基当たり十メガワットを超えるような大型の浮体式風力発電用の風車が必要だというふうに思っております。
そこで、お伺いします。
排他的経済水域におきまして導入が見込まれている浮体式風車の技術確立と、国内のサプライチェーン形成に向けた取組の状況について、経産省、教えていただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘の浮体式洋上風力の導入に向けまして、コストを低減し、量産化する技術を確立した上で、国際標準化をリードすることが極めて重要だと考えてございます。
このため、グリーンイノベーション基金を活用しまして、先行する欧州でもいまだ運転実績のない、御指摘の一基十メガワット超の大型風車と浮体との一体システム、これを低コストに量産する技術を確立することを目的に、大規模実証を実施することといたしております。
さらに、今年三月には、発電事業者十四社で構成する浮体式洋上風力技術研究組合、FLOWRAというものが設立されまして、アカデミアと連携しつつ、発電システム等の確立に向けた調査、研究開発、規格、標準化を進めていくこととしておりまして、経産省としても、関係省庁と連携しながら、こうした取組について強力に支援していくこととしております。
グローバル市場を拡大していく上でも、例えば、米国とは、先月の日米首脳共同声明におきまして、浮体式洋上風力のコスト削減に向けてしっかり連携して取り組むという旨合意いたしておりまして、欧州も含め、諸外国と積極的に連携していくことが重要と考えております。
御指摘のもう一点、サプライチェーンでございますけれども、電力安定供給や洋上風力産業の競争力強化の観点からも、国内にサプライチェーンを構築していくことは肝要と考えておりまして、今年度、GXサプライチェーン構築支援事業として五百四十八億円を措置しておりまして、こうした支援策も通じて、我が国の洋上風力産業を育成していきたいと考えております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
着床式と比べて、この浮体式洋上風力発電、これからでございます。ですので、経産省にはしっかりと今の取組を続けていただいて、国内の産業を育てる、サプライチェーンを構築する、ここにしっかりと努力していただければというふうに思います。
次に、洋上風力発電の導入を支える港湾について御質問いたします。
案件の場所が、今は領海及び内水でありますが、これから排他的経済水域に広げるということでありますが、どっちかにかかわらず、港湾の整備というものがインフラとして非常に必要でございます。
そこで、洋上風力の導入を支えるインフラであります港湾整備について、現在の指定、整備の状況を伺うとともに、今後予想される風車の大型化を見据えた対応について教えていただければと思います。
○西村政府参考人 お答えいたします。
基地港湾につきましては、洋上風力発電の案件形成の状況を踏まえつつ、計画的な指定や整備を進めており、本年四月二十六日に新たに青森港と酒田港の二港を指定し、合計で七港となってございます。今後も、既存ストックを最大限活用しつつ、EEZにおける案件形成の状況などを踏まえ、計画的な整備に取り組んでまいります。
また、委員御指摘のとおり、今後の洋上風力発電設備の大型化に対応していくことは重要な課題であると認識してございます。加えて、EEZへの展開に当たっては、浮体式洋上風力発電設備の浮体などを保管する機能や、大量の設備を短期間に施工するための機能が必要になると認識してございます。
このため、有識者や産業界の御意見を丁寧に拝聴しながら、洋上風力発電設備の技術開発動向などを踏まえつつ、基地港湾の在り方について検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
国交省にも、是非インフラ整備を頑張っていただければと思います。
次に、今度は環境省に質問いたします。
今回の再エネ海域利用法の改正法案では、排他的経済水域への拡大に加えまして、現行法の手続について、環境大臣が海洋環境調査を行うこととし、それに伴い、事業者が行う環境アセスの手続を一部適用除外とする改正が盛り込まれております。
そこで、お伺いします。
促進区域の指定手続の中で、環境大臣が海洋環境調査を行うこととする理由、狙いは何でしょうか。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
領海及び内水を対象とした現行制度におきましては、事業者選定の前に複数の事業者が同一海域で環境影響評価手続を開始しており、地域における混乱や、国、地方自治体における審査負担の増大等の課題が生じてきたところでございます。
また、洋上風力発電事業の環境影響は風車の立地場所等によるところが大きいことを踏まえますと、国が区域を指定する際に、より適切な環境配慮を行うことが重要と考えます。
このため、区域の指定に当たりまして、海洋環境の保全の観点から環境大臣が調査等を行うとともに、環境影響評価法に基づく手続のうち、これに相当するものを適用除外とすることとしたものでございます。
環境保全を図りつつ、洋上風力発電の導入が円滑に進むよう、環境省としてもしっかり取り組んでまいります。
○星野委員長 黄川田仁志君、申合せの時間が過ぎております。
○黄川田委員 はい、分かりました。
環境省も、是非、海洋政策に対する機関として頑張っていただければと思います。
最後に、ちょっと結びを。
この広大な海洋は、再エネ海域利用のみならず、国の発展と国の豊かさに寄与できる大きな可能性を秘めております。漁業や環境に配慮しながら……
○星野委員長 取りまとめてください。
○黄川田委員 はい。
入念に戦略と体制を整備して海洋政策を進めていただきますよう政府にお願いいたしまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○星野委員長 次に、吉田はるみ君。
○吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。
松村委員長、今日は初めての質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。
私が、二〇二三年五月九日、本会議でトー横キッズを取り上げたとき、あのとき本会議場では、トー横キッズ、何だという感じの反応だったんですが、あれから丸一年、この間に、トー横キッズを始め、悪質ホスト問題、これが非常に大きく取り上げられ、松村委員長も、この件、非常に関心を持っていただいているということで、お礼を申し上げたいと思いますが、まだまだ事態は大変なことになっています。
昨日、私も、歌舞伎町にまた再度調査に行ってまいりました。松村委員長、今、円安が非常に厳しいと思うんですけれども、海外の売春、これが非常に大きな問題になっています。今、海外で売春をあっせんする、こうした仲介業者さん、こういったあっせん業者や、そしてホスト、またスカウト、お店を提供する経営者など、海外売春に関連して様々な組織的な動きがあるんですけれども、今、海外売春を勧めたホストあるいはそういった業者の逮捕された事例はまだないんですけれども、今後こういった事例は出てくると思うんですが、委員長、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 御指摘の海外売春については承知をしているところでもございます。
また、これまでも答弁してきておりますとおり、警察におきましては、本年一月、邦人女性を海外で売春婦として稼働するよう勧誘した事実について、売春あっせんグループを職業安定法違反で検挙をしたところでございます。また、本年四月にも、海外への売春をあっせんする別のグループも同法違反で検挙をしたところでございます。
いずれにいたしましても、ホストクラブやその従業員に違法行為がある場合には、これは厳正に取り締まらなければならないものと考えているところでございます。
○吉田(は)委員 力強い、取り締まるべきだというところの御回答をいただき、ありがとうございます。
委員長、そして委員の先生方に、ちょっとこの現状をお知らせしたい。
もう知っていらっしゃるかもしれないんですが、配付資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。
これは、月に八百万円稼げるからということで、ホストに結婚を唆されて、海外に行った、海外で売春した女性の例です。ちょっと読み上げさせていただきます。
西日本出身のマミさん、仮名です、は二〇二三年六月、丈の短いおいらん風の衣装を身にまとって立っていた。下着はティーバックで、足下は高めのヒール。セクシー系コスプレ衣装と違うのは、日の丸マークをつけていたこと。
こういう形で、海外で日本の、言ってみれば、おいらんですとか、そういったものを前面に出して売春させられているということ、これをされた女性の胸の痛み、そして、このような状態になっていることに私も非常に胸を痛めています。
これは特殊な話ではないんですよ。今、本当に普通の学生がこういった悪質なホストの被害になっています。委員長、今五月ですけれども、七月になると、大学は夏休みに入ります。夏休みに入ると、リゾートバイトという形で、今もう既に募集が始まっているんです、海外売春の。是非そのサイトも見ていただきたいと思うんですが、リゾートバイト、パパ活、こういうような何だか軽い言葉で売春に手を染めてしまう、売春に向かわざるを得ない女性が多いということを指摘させていただきたいと思います。
ちょっとこれは通告にはないんですが、委員長、もし御感想があったらお伺いしたいんですけれども、今、このリゾートバイト、海外売春に関して、アメリカの入国の際に、日本人女性が一人で旅行すると入国拒否される場合がある。なぜかというと、一人で来る女性は、もしかして売春に来たんじゃないか、そういう疑いを持たれている。ちょうど七月といったら、留学に行く学生も多い時期です。これはちょっと、私も一人の女性としてつらいです。華美な服装をしている、あるいは露出の多いお洋服を着ていると止められるという事例があるそうなんですね。
これは私、国の問題であり、外交の問題であり、非常に深刻だと思うんですが、委員長、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 御指摘の入国拒否につきましては、国会でも議論がございましたし、承知をいたしておるところでございます。警察庁内でも情報は共有しているところでございます。
○吉田(は)委員 是非これは、一部の女性の話ではなく、やはり国の課題として考えていただきたいというふうに思います。
海外売春は、さっきのように、リゾートバイトだとかパパ活だとか、軽い言葉で言われますが、海外に行けば、薬物をやられるかもしれない、暴力もある、そして、犯罪に巻き込まれる、命の危険があります。本当に、海外売春は人身売買なんです。令和の人身売買なんです。
これを日本が国として何も対処しない、あるいはスルーしてしまうということになれば、これは私は本当に恥ずかしいことだと思います。是非これは真剣に捉えていただきたい。だまされた女性が悪いとか、そういうふうにおっしゃる方もいると思いますが、もうその問題を超えています、これは。是非ここは真剣に取っていただきたいというふうに思います。
さすがに警察庁の方も今頑張っていらっしゃるなというのが、ちょうど先週、初めて、ホストの営業許可の取消しというところまで踏み込まれました。さすがに皆さん、弱きを助け、悪いやつは捕まえるという、やはり正義の味方である、国民の味方であるのが警察だと思うんですけれども、是非これを一つのきっかけに、こういうところを取り締まっていただきたいなと思うんです。
こういった組織的な犯罪である場合、これは男女の恋愛では片づけられないと思うんですが、売春のあっせんに関与している場合は、ホストもさることながら、こういった店舗も取締りの対象になる、グループに対しても、その店舗に対しても責任がある可能性があるということで、委員長、よろしいでしょうか。
○松村国務大臣 警察におきましては、これまでも、全国の都道府県警察におきまして、悪質なホストの違法行為については取締りを重ねているところでございます。
こうした違法行為はホストクラブの営業に関して行われる場合が多いことから、そのようなホストクラブに対し、風営適正化法、いわゆる風営法に基づく営業の取消しや、また停止といった行政処分を行っているところでございます。直近におきましては、先月、警視庁において、ホストクラブの従業員が売掛金の返済のために女性を性風俗店にあっせんした事件を、そのホストクラブの営業許可の取消しを行ったところでもございます。
悪質なホストやホストクラブに対しましては、引き続きこうした厳正な対処をしてまいります。
○吉田(は)委員 委員長、ありがとうございます。
悪質なホストに対しては厳正な処分をということで、本当にその言葉でどれだけの女性が救われるかと思います。ありがとうございます。
そして、質問の三番に参ります。
今まで、多分、委員の先生の中には、悪質ホストの被害に遭うのは本当に一部の方、あるいは、まあ、私は絶対大丈夫よねという思いがあるのではないかと思うんですが、実際、私はその被害に遭われた親御さんのお話を何件も伺いました。本当に普通の大学生なんですよ。バイト先で声をかけられて、初回無料だから一回行ってみない、軽い気持ちです。
委員長、ここはやはりコロナ禍の影響もあると思うんです。この二、三年、本当に人との会話やコミュニケーションがないときに、やはり、誰かとつながったり話したり、そういう温かみを感じることがなかなか少なかった世代の人にとってみると、じゃ、初回千円、無料で、韓流みたいな格好いいホストがいるところでちょっと話をしてみるのもいいかな、本当に気軽な形で入口を入ってしまいます。
でも、入ったらもう終わりというか、たくさんの売掛金をかけられていくというところなんですが、その売掛金も尋常じゃないです。一千万円、こういう売掛金が、だって、シャンパンタワーは三百万円ですからね。自分のホストさんの誕生日のときに、自分を愛しているなら、シャンパンタワー、三百万円入れてくれみたいな、本当にそういうことが実際に起きるわけです。
大学生、学費も生活も親や保護者に面倒を見てもらっている人にとって、一千万円という借金、どうですか。今、東京でも千二百円のバイト代をもらえるところというのは少ないと思うんですけれども、千二百円のバイト代で、一日八時間、週五日で四週、一か月働いて、約二十万円です。一年働いて、そこからいろいろな税金を引かれて、大体二百万円です。一生懸命毎月働いて、一年間で二百万円。年収の五倍です。
委員の先生も考えてみてください。もし年収の五倍の借金を背負わされたら、どう思いますか。五年間必死に働いてもこの金を返せるかどうか、その間の自分の生活費のこともある、どうしようと。女性だったら思いますよ。売春、犯罪、それでお金を得るか、自殺、こういう道しかなくなってしまうんです。そんな大きな売掛金をかけられること、これは当然ながら困惑します。
法務省に伺います。
このように、経済的に支払い能力のない方が法外な借金を背負わされたとき、これは私は、まさに困惑売春、売春防止法の七条一項、人を欺き、若しくは困惑させて売春をさせる行為、これに該当するのではないかと思いますが、見解をお願いします。
○吉田政府参考人 犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、売春防止法第七条第一項においては、人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春させた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処するとされております。
ここに言う、人を困惑させてとは、一般に、暴行、脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え又は自由意思を拘束することによって精神的に自由な判断ができないようにすることをいうと解されているものと承知しておりまして、これに該当するかどうかを個別の事案ごとに具体的な証拠関係に照らして判断していくものと考えております。
○吉田(は)委員 精神的、心理的困惑、これも暴力の中に含まれるということでよろしいですね。
○吉田政府参考人 先ほど申し上げましたように、売春防止法第七条第一項では、人を欺き、若しくは困惑させてとございまして、この困惑させての意味として、先ほど申し上げたのは、暴行、脅迫に至らない程度の心理的威圧を加えるなどして精神的に自由な判断ができないようにすることをいうということでございます。
○吉田(は)委員 暴力に至らないまでも、精神的、心理的な困惑を生じさせることということで、これは私は十分に含まれる内容だというふうに理解をいたしました。
同じこの七条の中には、済みません、私、条項を持ってきたつもりが、ちょっと今手元に見当たらないんですが、未遂も含むとあります。つまり、売春まで至らせなくても、そういった、困惑させる、そして売春に向かわせた、これだけでこの罪は成立しますね。
○吉田政府参考人 今御指摘ございましたように、売春防止法の第七条第三項では未遂罪を罰するというふうになっておりますので、最終的に売春に至らなくても処罰はなされ得るということでございます。
この未遂犯が成立するかどうかについては、裁判例上も幾つかの考え方がございますけれども、一般的な考え方としては、結果を発生させる具体的な危険が生じたかどうかということで考えられている場合が多いものと考えておりまして、具体的な行為がなされたときに売春という結果に至るかどうか、その危険性を証拠関係に照らして判断するということになろうかと思います。
一概にお答えするのは難しいということは御了解いただければと思います。
○吉田(は)委員 もちろん、一般例として今お答えいただいたと思います。
実際、実はそれに当てはまるのが、質問の一番最後の方にも書いたんですけれども、ちょっと、こういう国会の場で言うのもはばかられるような言葉ですけれども、男女の性行為を撮影しておいて、これを見せて、言うことを聞かなかったらこれをばらまくぞということをするホストが多いんです。これは私、伺ったら、誰でもやっていると。証拠を撮っておいて、証拠というか、使える材料を撮っておいて、女性がお金を払わなくなったらそれを見せて脅すということも普通だというふうに私は伺っています。
これは脅迫罪に当たるのではないかと思うんですが、法務省、ちょっと見解をお願いします。
○吉田政府参考人 犯罪の成否については、収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、脅迫といいますと、一般的には、人を畏怖させるに足りる害悪を告知することというふうに解されていると思います。
したがいまして、具体的な証拠関係に照らして、そのように言えるかどうかということを判断していくことになるものと考えております。
○吉田(は)委員 当然ながら、女性にとって、そんな、性行為のものを拡散させられるなんというのは大きな大きな精神的な畏怖を伴うものであると思います。
こういった一連の悪質ホスト、長い間議論されてきましたが、なかなかなくならない。その根本原因は何かといったら、やはり、高額な、違法とも言えるような売掛金をかけられるということになると私は思います。
この高額な、先ほども申し上げましたように、年収の五倍以上とか、当然払えないような額の借金をつくってしまう、ここを、元を断たなければ、幾ら女性を保護しても、幾らホストやお店にそういった注意喚起をしても、私は難しいなと思っていまして、実は、私たち立憲民主党は、明日、議員立法を登録をし、今国会に議員立法である悪質ホスト防止法案を提出し、成立を目指しています。支払い能力をはるかに超える高額の売掛金を規制するという内容の議員立法です。これを是非成立させていきたいというふうに思うんです。
松村委員長、ここまで話をしてきて、もしかしてスタートのときと今と何か変わったことがあればうれしいなと思うんですけれども。実は、今日、この後、三時半から、武見厚労大臣が悪質ホスト被害者やその保護者の方々に御面会してお話を伺うということになっています。売春に関連する方々の梅毒というのも増えているということもございますし、たくさんの問題があるんですけれども、やはりこれは公安の大変重要な課題でもあると思います。松村委員長、是非、被害者支援団体の皆様また当事者の皆様のお話を聞いていただけないかとお願い申し上げたいと思います。
昨日も、私も久しぶりに歌舞伎町へ行ってきましたけれども、十七歳の女の子が、妊娠して、行き場所がなくて、シェルターに駆け込んでいるんですよ。体ががりがりになっている中、どうしようもない状態で女の子たちが町に放り出されている。こんな日本でいいわけがないと思うんです。
松村委員長、是非、被害者の方々そして被害者支援団体の方々のお話も聞いていただきたい。百聞は一見にしかず。現地に行って見ていただく。そして、実際、私たちには分からないようなことも支援者そして被害者の方々がお話しくださると思うんですが、是非御検討いただけないでしょうか。
○松村国務大臣 まず、先ほど答弁で、警視庁が検挙した月を先月と申しましたが、直近では先週でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
その上で、団体の方々や女性の方々から、警察庁の担当部局がこれまでも、委員からも御指摘をいただいて御同行させていただき、いろいろなお話を聞いていると私も報告を受けているところでもございます。
具体的には、お話がありました、初回が無料になるであるとか、あるいは、ホストクラブの背景には悪質なグループがいるのではないかというようなお話であったり、また、女性の皆様方からは、海外に、稼げるから、こう言われているであるとか、また、現地では旅費等は自腹であった、また、大変、命の危険さえ感じた、こういったお話を、ヒアリングを全て報告を受けておりまして、既に問題意識は議員と共有をさせていただきまして、その上で、今、警察も、ありとあらゆる法令を駆使をいたしまして、取締りを厳正に行っているところでもございます。
団体の皆様との会合につきましては、それぞれ、女性の方や、また各種団体、支援の団体、多数ございますので、そういった公平性の観点からも、時間の制約もございまして、なかなか公平にということにはまいりませんけれども、そういったことは御理解をいただければと思います。
しっかりと担当部局からも報告を受けており、そのことに対する厳正な取締りの強化、このことに何も変わりはございません。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
委員長も、限られた時間の中でということで、本当にそれは大変だと思います。警視庁も、公安も、この間本当に努力をされていらっしゃること、敬意を表したいと思います。
その上で、やはり公平性という点で難しいというのは理解するんですけれども、聞いてほしいと手を挙げているような支援団体さんがいらっしゃったら、是非検討していただきたいと思います。なぜなら、まだ委員長に届いていない声がありますよということで手を挙げられる支援団体の方もいらっしゃると思いますので、是非検討をお願いしたいというふうに思います。
最後に、私、これが国際問題化していくことの危険性を指摘させていただきたいと思います。
先ほど、海外売春の話もありました。これは一部の話ではなくなっている点、アメリカ、オーストラリア、そして今、シンガポール、マカオ、こういうところで実際にもう被害が起きています。
明日二十三日、日本時間で午後一時に、アメリカのCNNで、こうした悪質ホストの被害者支援をしている青母連の代表である玄さんがライブインタビューを受けます。日本はこういった海外売春や悪質ホストに対してどういう対応をしているのか、海外から目を向けられていると。これは私は、一つの発端となり、やはり、人権の観点からもこのままじゃいけないなというふうに思っているんです。
松村委員長、重ねまして恐縮でございますけれども、こういった、本当に頑張っていらっしゃる警視庁の皆様、公安の皆様、本当に敬意を表します。いま一歩の御支援、そして、実際に現場に赴いたり、支援団体のお話を聞いたり、私たちはしっかり対応していくよというところを、最後、前向きな御答弁をいただけないでしょうか。
○松村国務大臣 この問題、御質問を受ける中で、大変、問題意識は共有いたしておりますし、こうした悪質ホストクラブやホストの違法行為については、私も個人的には断じて許すことができない、こういう思いでもおります。
そういう意味でも、警察庁におきましても、同じ思いで、今、ありとあらゆる法案を駆使してこういったものへの対処を行っているところでございます。さらに、情報をいただきながら、また、我々もしっかりと調査をしながら、法と証拠に基づき強力に推進してまいりたいと考えております。
○吉田(は)委員 松村委員長の、本当にきりっと覚悟を持った御答弁、ありがとうございます。
私が思うのは、悪いことをしている人がどこかで高笑いをしているような、そんな理不尽はやはりあってはならないと思うんです。
昨日、ちょっと税務関係の方と会っているときにも、そういえば、歌舞伎町でちゃんと納税しているのかね、一億円プレーヤーとか何千万プレーヤーと出ていて、あれはちゃんと納税してくれているのかしら、脱税の可能性があるんじゃないのなんて話もしました。
こういう観点からも、やはり、それはないよということは、みんなで力を合わせて私たちは対処をしていく必要があると思いますので、是非、弱い立場にある方や被害者が泣き寝入りしなければいけない、そんな社会ではなくて、きちんと法で守られている、そして、警察は国民のために、被害者のためにあるんだというところを国民の皆様にお示しできるような行動を御期待いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○星野委員長 次に、金村龍那君。
○金村委員 日本維新の会、金村龍那でございます。
教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、質問をさせていただきます。
私も、今は一期目なんですが、この二年半で、多分二十回、三十回と質疑に立たせていただいております。野党ならではだと思います。その中で、これだけ多くの子供たちに質疑を聞いていただける機会は初めてでして、今日、ちょっと質疑がうまくいかなかったら、緊張感が上回ってしまったという、あっ、帰ってしまいますね。じゃ、もう緊張感なくできそうですので、楽しく質疑したいと思います。残念でした。
今日は、孤独・孤立対策を中心に質疑をさせていただきます。
これも図らずも、先ほど吉田委員が質疑しておりました根っこは、個人が抱える孤独や孤立、そこからそれをどう満たしていくのか、その満たし方が、社会の通念上でいえば少しいびつになっていることが悪質ホストにつながっているんじゃないかなと思いますので、立憲と維新のコラボレーションということで、頑張っていきたいと思います。
まず、孤独、孤立の背景をしっかり共有したいと思います。
そもそも、一人でいることが孤独や孤立という定義が置かれるわけではありません。自ら進んでその環境に身を置いている人もいますし、若しくは、家族や友人そして職場、様々な環境で人に支えられながらも孤独や孤立にさいなまれている人もいる。
まず、どうして令和三年に孤独や孤立対策が必要になってきたか、その背景を共有させてください。
そもそも、社会構造の変化が大きかったと私は認識しています。会社、地域そして家族とのつながり、ここが、やはりバブル崩壊以降、とりわけこの二十年ぐらいで大きく変化をしてきた。その中で、更にコロナ禍が追い打ちをかけていった。さらには、私は、地域社会においては、高齢者の単身世帯、これもやはり大きな問題になっていると認識しています。
今回、この孤独、孤立が深刻化した背景を私はそのように感じておりますが、政府の認識をお答えいただきたいと思います。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におけます孤独、孤立の背景でございますけれども、議員から御指摘もございましたとおり、人口減少、少子高齢化、核家族化、未婚化、晩婚化が進展いたしまして、職場、家庭、地域におけます人と人とのつながりや人間関係、この希薄化といった社会構造の変化によりまして、人々が生きづらさや孤独、孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきたことなどがあるというふうに認識をしてございます。
加えまして、二〇二〇年以降のコロナ禍の影響によりまして、孤独、孤立の問題が顕在化、深刻化したというところでございます。
今後におきましては、単身世帯や単身高齢世帯の増加が見込まれる中で、孤独、孤立の問題の更なる深刻化が懸念されておりまして、こういった背景の下、孤独・孤立対策をしっかりと推進するべく取り組んでいるところでございます。
○金村委員 孤立や孤独に陥って、その方を社会が発見をして、そこにアプローチをしていくというのは、簡単そうで難しいですよね。そんなに簡単にその状況が、アラートが色で分かるようになっていれば簡単なんですが、そうやすやすと見つけられるものではないと認識しています。
なので、一番肝腎なのは、孤独や孤立に陥らないためにどういうアプローチが必要なのか、予防的なアプローチが必要だと思うんですね。
加えて、私は、この孤独や孤立は、その人自身がきちんと、例えば人生を歩む上で、どういう人生を歩めば、孤独や孤立のような、少し寂しい気分になったり不安になったりということを防いでいけるのかということを個人がしっかり認識する時代に入ってきたんじゃないか。つまり、社会がいつでも助けてくれるというのはセーフティーネットとしては必要なんですけれども、個人の人生の哲学として、やはり、自助、共助、公助というものを、しっかりバランスの取れた認識が必要だと認識しています。
実際、今、政府の方で、令和四年度ですけれども、分科会が三つ開かれていて、声を上げやすい、声をかけやすい社会に向けた取組とか、きめ細やかな支援や地域における包括的支援に向けた国、地方、民間、NPO等の役割の在り方、分科会三が、相談支援に係る実務的な相互連携の在り方。いろいろな議論をされていると思うんですけれども、予防的なアプローチについての見解、お答えいただけますか。
○江浪政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど、孤独、孤立化が深刻化した背景ということについて御説明を申し上げましたけれども、社会的な背景が非常に大きいものがあるという観点で孤独・孤立対策を進めてございまして、孤独・孤立対策におきましては、孤独、孤立の問題やそれから生じ得る更なる問題に至らないようにする予防の観点、すなわち孤独、孤立を生まない社会をどのようにつくるのかということが重要だということで進めております。それとともに、孤独、孤立に悩む状態に至っても可能な限り速やかに当事者の望む状態に戻れるように取り組むことが重要であるというふうに考えてございます。
このため、政府といたしましては、今年の四月に施行されました孤独・孤立対策推進法に基づきまして、孤独、孤立の予防の観点から、人と人とのつながりをそれぞれの選択の下で緩やかに築けるような社会環境づくりといたしまして、居場所の確保など、また、孤独、孤立の当事者や家族などが支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気づきや対処をできるための環境整備を推進しているところでございます。
○金村委員 人と人との緩やかなつながりというのは本当にポイントだと認識しています。ただしかし、緩やかな人と人とのつながりが非常に困難になってきている現実というのもしっかり見なければなりません。
例えば、私、地元は川崎ですけれども、地域を回っていると、昔だと、インターホンを押すと大体出てきてくれたんですけれども、今はインターホン越しでお話しすることが大半ですね。
一方で、自治会とか町内会とかを見てみると、例えば、これはある地域ですけれども、四百五十世帯のうち、町会に加入しているのが二百八十世帯、つまり、三分の一はもう町会に入会することすら従前の段階で拒否してしまう。これでは地域のつながりが希薄化していく。残されて、地域活動や町会、一生懸命努力されている方の大半は、やはり高齢化、つまり年齢が上になってきている。例えば、多分十年で相当大きな開きがあると思うんですけれども、民生委員も当然高齢化で、そしてなり手不足。
やはり、既存の、いわゆる地域社会を守ってきた、そういったボランティアベースでは、今後、これまでの社会とこれからの社会では、どうしてもうまくつなぎ合わせができないという状況がある程度全体で共有できているんじゃないかなと思います。
一方で、孤独、孤立に対して大幅に予算をかけて、そういう人たちをしっかりと困難から回復させようというのも相当な議論が必要になってくる。
一方で、例えば、高齢者に限らず、日本人の文化としてあると思うんですけれども、いわゆる家の敷居をまたいでまでとやかく言われたくない、家の敷居をまたいで、家庭の中で支援を受けることに対して相当抵抗感を持っている人が多いんじゃないかなと。これは、先日、加藤大臣にも、産前産後のケアとかで質疑をさせていただいたときも同様の趣旨をお話しさせていただきました。
そんな中で、孤独・孤立対策にある、いわゆる見守り体制を通して、当事者である孤独、孤立を抱えている人たちがどのようにこの見守り体制で和らいでいくのか、その見解についてお答えください。
○江浪政府参考人 お答えを申し上げます。
委員も御指摘のとおり、これまでも、民生委員、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどを含めまして、様々な関係者がチームとなって日常的に見守り、また本人の意思や状況を継続的に把握し、必要なときに適切な支援につなげていく取組が行われてきておりまして、そういった取組が孤独・孤立対策にもつながってきているものというふうに承知をしております。
一方で、多様な形がある孤独、孤立の問題に対応する上では、行政機関や支援機関だけでは対応が困難な実態がございまして、更なる連携が必要だということでございます。他方で、例えば、NPOなどの活動が地域では活発化しているということもございますので、こういった背景の下、住民に身近な地方自治体におきまして、官、民、NPOなどの多様な関係者の連携、協働の下で、地域の実情に応じて孤独・孤立対策の施策を講じていくことが重要であろうというふうに考えてございます。
こうしたことから、今年の四月に施行されました孤独・孤立対策推進法におきまして、地域自治体において官民連携の基盤となるプラットフォームを構築いただくことを努力義務として定めているところでございます。
この官民連携の基盤を通じまして、地域における居場所づくりや見守りなどを実施する主体同士の間で顔の見える関係が築かれるということで、地域における様々なライフステージや属性の方がいずれも取り残されることのない地域づくりにつながりまして、結果、孤独、孤立の問題の予防にも資するものというふうに考えているところでございます。
○金村委員 官民連携は非常に大切だと思います。いわゆる行政がどこまで把握ができるのかということも含めて、やはり、NPOのようなボランティア、ボランティアというか、NPOのような団体を通して地域事情を把握していく。
あとは、例えば、子育て中の親御さんを自宅からそういった集会に招いていくときに非常に有効だなと私が一つ感じているのは、中学生とか小学生が未就学児に向けていわゆる幼児教室みたいなものを提供すると、親は参加しやすいんですね。実際、川崎で今チャレンジしていることなんですけれども、中学生や小学生がそういう団体に登録をして、幼児に対して風船を作ったりお絵描きしたりとか、そういうことをやると、子育て中のお母さんが一歩外に出やすい環境が生まれてくる。
やはり知恵や工夫というのも地域で生まれてくると思いますので、是非後押しをいただきたいと思います。
その上で、孤独、孤立を考えたときに、どこまでが制度設計に含まれていくのかということが、私は一番肝腎要だと感じています。それは、実際に孤独や孤立を感じてしまった人たち、そういう人たちがどうやってその状況から脱していくのかということも必要な支援であり、孤独・孤立対策というのはそれがまさに一番の柱になっていると思います。ですが、本来は、やはり孤独死というところまで私は孤独・孤立対策に含めるべきだと感じています。
その上で、加藤大臣にお伺いします。
現状の孤独・孤立対策は、先ほど申し上げたとおり、予防、それから実際になってしまった人、さらには相談支援の場所とか、そういった柱があるんですけれども、私は、孤独死まで含めて制度設計することが孤独・孤立対策だと認識しておりますが、大臣の見解をお願いいたします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
高齢化の進展や核家族化等に伴い、高齢者の単独世帯が増加をしてきており、身寄りのない方々の死後に生じる事務のみならず、医療機関への入退院や施設への入退所などのライフイベントにおける意思決定支援等のニーズもあると承知をしてございます。
このような中、高齢者等に対して、身元保証や日常生活支援、さらには、死亡の確認や御指摘の孤独死の際の葬儀に関する事務など死後の事務等を契約に基づいて行う事業者が増加しているものと承知をしてございます。適正な事業運営の確保ですとか、利用者が安心して利用できる環境、こういったことを整備していくことも必要だと考えております。
現在、関係省庁が連携して、身元保証や日常生活支援、また死後事務等を契約に基づいて行う事業者に関する高齢者等終身サポート事業者ガイドライン、この策定に向け取り組んでいるところでございます。
孤独、孤立の問題の背景にある単身世帯の増加など社会構造の変化をしっかりと踏まえながら、こうした取組も含め、引き続き、関係省庁と連携しながら、政府一体となって孤独・孤立対策を推進してまいります。
○金村委員 なぜ私は孤独死まで含めた対策が必要なのかと申し上げていると、例えば、これは私の友人の司法書士の話なんですけれども、オーナーさんから、賃料の滞納があったから、いわゆる裁判というか、通知を出したいということで相談を受けて、実際にそこの家に入ったら孤独死をしていたと。そうすると、当然、オーナー側からすれば、いわゆる事故物件という扱いになる。一方で、自宅を訪ねてみたら、もぬけの殻だった。あれ、どこに行ったんだろうといって、徘徊しているのか、それともどこかで亡くなっているのか、それとも施設にいるのか、そういったことも全然分からないんですね。
これが、その人の肌感覚ですけれども、やはり、一年間で二百件ぐらいあるうち、孤独死や高齢者の案件が四倍ぐらいに増えていると。四割ぐらいが大体そういう案件だそうです。
だから、孤独死や、日本は単一の宗教がありませんので、統一された死生観とか我々が持っているわけではありませんけれども、どういう死を迎えるのか、そこまでしっかりと含めて対策をしていくこと。極端な言い方をすると、亡くなって、身元が分からないから、御遺体がいわゆる葬儀屋だったり行政の下で冷凍保存されてしまっている。今、東京だけでも何千、何万という御遺体がその状況にある。これはやはり、亡くなった方にとっても、そして行き着かない御家族にとっても非常に負担になっていると思うんですね。
そういう意味では、いわゆる孤独死まで含めた制度設計をしたときに、単身の高齢者に対して、アラートですね、例えば、その人が亡くなったり、若しくはもぬけの殻になったときに、誰に連絡するかということがしっかりつながっていないと、実際にはそういう状況が生まれてしまうわけですね。
ここの課題というのはどういう認識ですか。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
身寄りがない方に関します意思決定支援等のニーズに応えるものとして、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの策定に向けて取り組んでおるということでございますけれども、単身高齢世帯の増加が見込まれ、孤独、孤立の問題の進行が懸念される中で、一部の自治体におきましては、身寄りのない高齢者の方の死後の問題等に関する支援といたしまして、緊急連絡先などの登録を受け付ける先進的な取組もあるというふうに承知をしております。
そういった取組が行われている例があるわけではございますけれども、他方で、故人が亡くなった際に連絡する方をリスト化するということを対策として実施していくということに関しましては、例えば個人情報の問題など様々な課題があるというふうに考えてございまして、慎重に検討すべきものというふうに考えてございます。
○金村委員 確かに、個人情報保護法の観点というのは必要だと思うんですけれども、ここまで社会で負担、事前にルールがあれば、制度化していればそのコストは避けられたにもかかわらず手をこまねいてしまうというのは非常に、私個人はもったいないと思いますので、是非、単身高齢者、身寄りがないと思われる方と行政がしっかりとつながって、実際に事が起きたときに誰にどういう連絡をすればいいのかというところまで結びつけていただきたいと思います。
その上で、先ほど、家族の了解が得られず、御遺体が冷凍保存されてしまっているということに少し触れさせていただきましたが、いよいよそういった方については葬儀をルール化すべきじゃないかなと思うんですが、厚労省の見解をお願いします。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、御遺体の引取り手がない場合についてでございますけれども、現行制度では、身元が分からない場合は行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、身元が分かっているけれども埋葬又は火葬を行う方がいないとき又は判明しないときは墓地埋葬法に基づき、市町村等が埋葬又は火葬を実施するということにされています。
その際、市町村等におきましては御遺体の身元や親族等の有無について確認する必要がまずございますけれども、こうした確認の実施ですとか、その間における御遺体の取扱いにつきまして実態を把握するため、厚生労働省といたしまして、本年度、令和六年度、行旅病人及行旅死亡人取扱法、墓地埋葬法等に基づく火葬等関連事務を行った場合等の遺体の取扱いの実態や課題に関する調査研究事業を実施することとしております。
厚生労働省といたしましては、引取り手がない御遺体が安らかに弔われるような環境づくりが行われることは重要と考えておりまして、今後の対応の在り方について、今年度実施する実態調査の結果なども踏まえて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○金村委員 当然、火葬するにも費用はかかりますし、それをどういう負担をしていくのかということも含めてやはり制度化、ルール化していくことが望ましいと思いますので、調査研究の結果を待ちたいと思います。
私は、今回、この孤独、孤立を改めて学んだ中で、今まで質疑させていただきました単身高齢者を中心としたいわゆるお年寄りの皆さん、一方で現役世代、加えて、子育てとか、それから職を失ったとか、環境の変化によって孤独、孤立を感じてしまう人、様々いるということが理解できました。
その上で、政府が発表している資料によると、男性であれば三十代から四十代が最も孤独、孤立を感じている。女性は二十代が最も孤独を感じている。一方で、いわゆる孤独を感じている人たちの属性、そこでいうと、特徴的なのが、心身の健康状態がよくないと答える方が四人に一人ぐらい、それから、相談相手の有無、頼れる人の有無、これも四人に一人ぐらいがいないと答えている。
つまり、環境によって、とりわけ現役世代の中で環境要因によって孤独や孤立を感じやすい傾向が明らかだと思うんですけれども、いわゆる現役世代に対する支援というのはどういう取組をしているのか、教えてください。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、令和五年の孤独・孤立の実態調査に関する全国調査では、孤独感がしばしばある、常にあると回答された人の割合は、三十歳代や二十歳代の若い世代で高かったというところでございます。これらの世代の日常生活におけます不安や悩みの内容につきまして、調査結果を見ますと、御指摘のような健康の課題に加えまして、収入や資産、老後の生活設計でありますとか、結婚、子育てなど生活上の問題など、非常に幅広い、様々な不安や悩みが挙げられているというところでございます。
こうした幅広く様々な不安や悩みに対しましては、一人一人の多様な事情やニーズなどの状況に合わせてきめ細やかな相談を受けられるようにして支援につなげていくということが必要というふうに考えてございます。
このため、孤独・孤立対策に関する支援制度や相談先を一元化して情報発信するウェブサイトを作成いたしまして、自動応答システム、チャットボットによりまして、悩みに応じた支援制度や相談先を案内するなどの相談支援を行っているところでございます。
さらに、若い世代を含めまして、孤独、孤立を抱える人々が支援を求める声を上げやすく、周囲の人が声をかけやすい社会となるような取組が必要というふうに考えてございまして、情報発信、広報、普及啓発などの環境整備の取組を引き続き進めてまいりたいと考えてございます。
○金村委員 孤独、孤立の支援の一つとして、私はヨーロッパの例を一つ挙げたいんです。
ヨーロッパは、音楽療法という手段が割とポピュラーでして、これは、音楽療法に音楽療法士を訪ねていってセッションをして心を回復させるというものではなくて、いわゆる日本で言うカフェとか喫茶店のような営業スタイルの中に音楽療法が繰り込まれているんですね。だから、利用者からすると、お茶を飲みに行ったり友人とお話しに行った先で音楽療法が提供されて、心がある種リラックスできて、またしっかりと頑張ることができると。
つまり、相談支援の部分につながってくるんですけれども、余りにも日本というのは敷居が高いんですね。いかにも何か困った人が訪ねる先になってしまっているので、身近なところに、いかにハードルを低くそこを設定していくかが利用者の心の負担を下げていくので、こういったケースも是非検討いただきたいなと思います。
一方で、孤独、孤立というのはやはり不安を感じたときに一番表出するんじゃないかなと思うと、現役世代であれば、やはり就労だと思うんですね。
いわゆる各世代間、いろいろな課題はありますけれども、今大きく日本で言われているところだと、やはり就職氷河期世代。これは団塊ジュニアと言ってもいいのかもしれませんが、少子化も実際にはこの世代からスタートしている。やはり、雇用が不安定だと結婚、出産、育児に踏み切れず、そして、その結果、出生数も下がっていく。昨年一年間で七十三とか七十四万人ということで、人口減少そのものは先進国にとって仕方のない選択だと思いますけれども、急速に進むところにしっかり手当てをしていかなければならないと思います。
その上で、孤独・孤立対策だけではないと思いますが、実際に今政府が、いわゆる就職氷河期世代に対する支援、取組について教えてください。
○原口政府参考人 お答えいたします。
いわゆる就職氷河期世代の方々でございますけれども、バブル崩壊後の雇用環境が非常に厳しい時期に就職活動を行った世代でございまして、不本意ながら非正規で働いている方、引きこもり状態にある方など、現在も様々な面で厳しい状況に置かれているという方々がいらっしゃると認識してございます。
こうした中で、政府といたしましては、骨太二〇一九に盛り込まれました就職氷河期世代支援プログラムの下で集中的な支援を行ってございまして、厚生労働省といたしましては、不安定な就労状況にある方々に対しましては、ハローワークの専門窓口における担当者制によりますきめ細かな就職支援などを実施している、また、就職氷河期世代の方々も含めまして非正規労働者の方々に対しましては、正社員化を図る、キャリアアップや新たな採用を行った企業に対しまして助成を行っているという状況でございます。
さらに、長期にわたり無業にある方につきましては、地域若者サポートステーションにおきまして職業的自立に向けた就職支援に取り組んでいるところでございます。
加えまして、引きこもり状態の方々に対しましては、社会参加に向けた支援を必要とする方々に対し、市町村における相談窓口の設置ですとか、社会とのつながりを回復するための居場所づくりの支援などの取組を進めているところでございます。
今後とも、就職氷河期世代の方々の置かれました状況やニーズを踏まえまして、こうした取組を着実に進めることにより、一人でも多くの方々の安定就労ですとか社会参画の実現を図れるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
○金村委員 就職氷河期世代といえば四十代後半から五十代ということで、私も現在四十五歳、この年齢の段階から、これだけ今日本に課題が多い中で、社会の主役に突然世代として躍り出ることはなかなか難しいと思うんですね。それは、世代間にあるひずみや偏り、仕方のないことだと思うんです。
でも、そういう意味では、若い世代にしっかりとつないでいける、その役割を、我々世代が、我々というか就職氷河期も含めた四十代、五十代が、つなぐ世代としてしっかりと価値を発揮していくためには、やはり困難を抱えてしまったり、なかなかうまく人生を歩めていない人たちをしっかりとバックアップしていくことも必要だと思いますので、引き続き支援をお願いしたいと思います。
その上で、私は、この孤独、孤立と切っても切れない関係だと思っているのが境界知能です。
私は、文科委員会にも所属して、境界知能のことを質疑させていただきましたが、大臣、境界知能というのはお聞きになったことはありますか。
○加藤国務大臣 はい、ございます。
○金村委員 この境界知能というのは、IQでいうところの七〇から八四、その上が、八五から一一五が平均的、一一六以上がいわゆるIQが高い人、それから、六九以下が知的障害と呼ばれているんですね。つまり、境界知能という名称ではなくて、平均的なものと知的障害の間にある境界に存在している帯域というんですけれども、この境界知能の帯域にある皆さんというのは、認知力はあるんですね。つまり、自分が相手と違うということは理解できるわけですね。
ですが、IQが低いゆえにできないこともある。有名な著書で、ケーキの切れない少年とか、つまり、丸いホールのケーキを見て何等分で切ってくださいと言っても、切り方が分からないんですね。だから、そういうように特定のことができない。それから、社会性、なかなか、多くの人と交わって自分の言葉でいろいろなことを伝えていくことが不得手だったり、いろいろな課題があるんですね。
認知力があるからこそ人との違いを理解しているので、どうしてもその違いにさいなまれて、二次障害、うつとか適応障害になりやすく、引きこもりとか不登校とか、そういう事象も起きやすいんですね。
とりわけ境界知能の方が抱えやすいのが、労働の困難性ですね。つまり、働く環境に適性がなければ働き続けることが困難で、離職、転職を繰り返す。
そういう意味では、孤独や孤立に陥りやすい条件が非常に整っているんですね。ただ、IQを中心とした支援や教育の在り方というのは日本にはそこまで発達されていませんので、そういう意味では、境界知能の皆さんに対する特別な支援というものが今の日本には存在していないんですね。
大臣にお伺いさせていただきます。
今私がお伝えしたとおり、境界知能の帯域にある皆さんの特性として、僕は孤独や孤立に陥りやすいと考えているんですが、大臣の見解を教えてください。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
境界知能にある方々が、日常生活や勉強、仕事、人間関係などで困難を抱え、生きづらさを感じているという御指摘があることについては承知をしてございます。
その上で、一般論を申し上げますと、政府で実施をしてございます孤独・孤立の実態把握に関する全国調査、こちらにおきましては、現在の孤独感のほか、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事についても調査を行っているところです。その調査結果によりますれば、孤独感を感じる頻度が高い方は、孤独感に影響を与えたと思う出来事として、失業、休職、離職、退職や人間関係による重大なトラブル、こういったことを挙げる方が多くございまして、こうした出来事を経験する機会が多い方は孤独、孤立の状態に陥りやすい可能性があるものと考えてございます。
境界知能にある方が孤独、孤立に陥りやすいとそのまま直接言えるかどうかはさておきつつ、生きづらさを抱えておられる方も含めて、当事者等が支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気づきや対処をできるようにするための情報発信ですとか、広報、普及啓発等の環境整備、こういったことを推進していくことが肝要かなというふうに考えてございます。
○金村委員 境界知能にある帯域の皆さんというのは、日本全国で一三%と言われています、一千五百万人ぐらいですね。昔と今で境界知能のパーセンテージが広がっているというエビデンスは、私は見たことないんですね。つまり、昭和、平成、令和と、いつの時代でも大体一〇%前後は一般的に境界知能の帯域の皆さんはいて、そういう人たちが職にあぶれず、そして自分たちが過ごしやすい環境に基づいて人生を全うしてきた時代というのは、こういう問題が表出しないわけですね。
だから、私は、平成のどこかのタイミングで、一般的に日本国民は、大学を出て、ある種の知的労働に就いてというのが一般のルート、そして美徳になっていったんじゃないかなと認識しています。本来は、その人に合った働き方、適性のある職というものがあるはずで、そういう意味では、昭和の時代は、大量生産、大量消費のときは、工場労働とか単純労務とか、それから、いわゆる職人と呼ばれる、三Kと呼ばれている現場仕事とか、それからエッセンシャルワーカーとか、必ずしも境界知能にある帯域の人たちでも働き続けることが容易だった時代、それから職種というのがあったはずなんですね。
そういう意味では、私は、一千五百万人とも言われる境界知能の皆さんが新たな適性のある職を見つけてしっかりと働いていくことが、日本の産業における働き手不足、そして、こういった孤独や孤立にある種陥りやすい人たちが生きづらさから転換していくきっかけだと思うんですね。
そういう意味では、しっかりとこの境界知能という帯域を日本全体が専門性を持って支援していくことで、日本の底上げにつなげていただきたいと思います。
私の質問を終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
私は、今日は、視覚障害者の方の道路交通安全対策、特に交差点の交通安全対策について、松村国家公安委員会委員長にお尋ねをいたします。
道路交通法の第七条は、道路を通行する歩行者等に対して、信号機の信号に従う義務を課しております。違反をすれば罰則を科すものとなっております。
しかし、視覚障害者の方は、信号機の信号を視覚情報としては認識できませんので、そのままの信号に従うことは困難であります。視覚障害者の方が信号機の信号を認識できるように必要な設備を整備することは、道路交通管理者が直ちに行うべき仕事ではないのか。この点についてお答えください。
○松村国務大臣 委員御指摘のように、視覚障害者の方々は信号機の信号を認識することができないと認識をいたしておりまして、こうした方々が道路を安全かつ円滑に横断できるように交通安全施設を整備することは大変重要であり、警察として不断に取り組むべき課題であると認識をいたしております。
具体的には、先生も聞かれたことがあるかと思いますが、ピヨピヨ、カッコー、こういった音により、信号が青であることをお知らせする音響信号機や、横断歩道に点字誘導ブロックをつけまして横断歩道であることを分かりやすくしたところのエスコートゾーンなどの整備を推進をしているところでございます。
引き続き、視覚障害者の方々の道路横断の際の安全と円滑を確保するため、その御要望も踏まえまして、交通安全施設の整備を推進するよう警察を指導してまいりたいと考えております。
〔委員長退席、中山委員長代理着席〕
○塩川委員 視覚障害者の方の交差点の安全対策も不断に取り組むということを強調されました。
具体策として、ピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンのお話がありましたけれども、配付資料でも紹介をしているところであります。
視覚障害者の方にとって必要な情報というのは、横断歩道の場所が分かること、信号機の信号が青か、これが音のシグナルとして分かるということ、また、渡るべき横断歩道の方向が分かるということが必要であります。
そのときに、視覚障害者の団体の方の強い御要望は、最もこれらの情報の提供が可能な設備である、音響機能を持った視覚障害者用付加装置、今お話があった、いわゆるピヨピヨ、カッコーと、横断歩道における点字ブロックに当たるエスコートゾーンの普及であります。
配付資料の左側がピヨピヨ、カッコーですが、この図でいうと、SPの二というのが手前の信号でカッコーと鳴って、横断歩道の向こう側においてはカカッコーと鳴く。カッコー、カカッコー、カッコー、カカッコーということですし、SPの三とSPの四でいえば、ピヨと、向こう側でピヨピヨと鳴る。そうしますと、こちらでピヨで向こうでピヨピヨですから、横断歩道の方角、渡る方向が明らかになる。こういうことが行われているのがピヨピヨ、カッコーであります。
あわせて、エスコートゾーンは、横断歩道上に設置をする点字ブロック状の突起ということで、こういったことによって、皆さん、位置を把握をされ、横断歩道を利用されるということになります。
ですから、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンを組み合わせれば、横断歩道の場所が分かり、信号機の信号が青かどうかも分かり、渡るべき横断歩道の方向が分かる。こういったことについて是非大きく進めることが必要だと思います。
その際に、結構、主道路の方を横切るときにカッコーで、従道路を横切るときにはピヨピヨとかとあるんですが、ただ、全国では、都道府県警によって違いがあって、東西と南北だったりというのもあって、若干、不統一があるんですね。それぞれの県の中では統一はされているんでしょうけれども、遠くに移動されるような場合などは、違うなと思うようなこともあるので、その辺の工夫、改善も必要だということを申し上げておきたいと思います。
そこで、全国の信号機数と視覚障害者用の付加装置、このピヨピヨ、カッコー、エスコートゾーンの設置数は幾つなのか、また、全国の信号機数に対するそれぞれの割合は何%か、お答えください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和四年度末現在で、全国に約二十万七千基の信号機がございます。このうち、約二万一千基にピヨピヨ、カッコーといった音が出る視覚障害者用付加装置が整備されております。また、全国に約三千か所のエスコートゾーンが整備されております。これらを全国の信号機数約二十万七千基で割りますと、その占める割合は、視覚障害者用付加装置は約一〇・二%、エスコートゾーンは約一・五%となります。
○塩川委員 ピヨピヨ、カッコーは一〇・二%、エスコートゾーンは僅か一・五%です。これは余りにも少な過ぎるんじゃないでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、バリアフリー法に基づきまして、あるいはそれ以前から、こうした視覚障害者用付加装置あるいはエスコートゾーンの整備を進めているところでおります。まだまだ足らないところはございますが、その整備に努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 まだまだ少ないから整備に努めていきたいと言うんですけれども、予算がどうかということなんですよ。全体はまだまだ余りにも少な過ぎるということがありますけれども、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンの整備の事業費というのは増えているんでしょうか。過去五年間ぐらいの増減について示してください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
視覚障害者用付加装置とエスコートゾーンの整備に関しましては、国費により五割の補助を行っております。
その補助金の予算額につきましては、各年度、増減はありますが、最近では約三億円から四億八千万円の間で推移をしております。例えばでありますが、令和元年度は、視覚障害者用付加装置は約三億三千万円、エスコートゾーンは約五千万円の計約三億八千万円、これは補助金の額でありますが、それから令和五年度は、視覚障害者用付加装置は約二億五千万円、エスコートゾーンは約二億三千万円の計約四億八千万円、それから令和六年度でありますが、視覚障害者用付加装置は約一億七千万円、エスコートゾーンは約一億四千万円の計約三億円となっているところでございます。
○塩川委員 配付資料の三枚目に、予算の推移で、各年度の当初予算額を出してあります。
これで見てもらえば分かるように、ピヨピヨ、カッコーは、この五、六年で六・六億が三・三億に半分に減り、エスコートゾーンは、二三年度に向けては増えているんですけれども、二四年度、今年度の予算はまた大きく落ち込んでいるんですよね。
全体の普及が少ないにもかかわらず予算を減らすというのは、全く逆方向だと思うんですよ。こんなことでいいんですか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
予算の関係でありますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、補助金の予算額というのは年によって変動がございます。ただ、令和三年度から五年計画で、いわゆるエスコートゾーン、あるいは視覚障害者用付加装置の整備を行っておりまして、その計画目標というものを我々は持っているところでございます。それを達成するように努力していきたいと考えております。
〔中山委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川委員 予算が増えるどころか現状だと減っているという点について、抜本的な引上げこそ求められていると思います。
松村委員長にお尋ねしますけれども、本当に、視覚障害者の方にとってみれば命に関わる情報なわけです。視覚によって情報が得られない、音を頼りにされている方々に、その音がないような状況で横断歩道を渡れというのは、本当に危険な状態にさらすことにもなりかねないといった点でも、必要な設備を設置をする。
その点でも、一番求められているピヨピヨ、カッコーやエスコートゾーン、この抜本的な、設置を引き上げていく目標、そしてその財政措置、これこそ必要ではないかと思うんですが、委員長、お答えください。
○松村国務大臣 塩川委員におかれましては、この問題については数年前も御指摘をいただいて、山本国家公安委員長とのやり取りも、私、見させていただきましたが、しっかりとした目標を持って、その上で財源措置をやれというような御指摘があったかと思います。
現在、そのことも踏まえまして、バリアフリー法の、基本法に基づきまして、私どもも、令和七年度末までに、音響信号機とエスコートゾーンを特に必要な箇所に一〇〇%整備することを目標に取組を進めているところでございます。まずは、この目標の達成に向けて取り組んでいくよう警察を指導してまいりたいと考えておりますし、具体的には、これまで、早川局長からも答弁がございましたが、令和三年度から始めました五か年の計画で、今二年が終了して、令和五年については今集計中でございますが、令和四年度末時点で、視覚障害者用の付加装置とエスコートゾーンの両者の整備を終えたのは五五・八%でございます。
視覚障害者の方々の安全を確保することは重要であることは言うまでもございません。目標を達成するため、必要な予算を確保し、事業を推進していくように警察を指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 今お話しになったのは、バリアフリー法の基本方針に基づく、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路のうちの、特に必要であると認められる部分についての計画であります。そういう意味では、非常に限られた範囲の中での達成状況で、二つ一緒にやっているのは半分ぐらいということですから、元々分母が小さいわけですよね。
ですから、その選定箇所をやはり大きく増やしてもらうということがそもそも必要で、そういう点でも、この選定場所の基準に、視覚障害者からの要望や交通状況等を勘案して特に必要と認められる横断箇所については、信号機に音響機能を付加し、横断歩道にエスコートゾーンを設置するとしているので、視覚障害者からの要望があればこの選定箇所を更に増やす、こういうことをはっきりと示していただきたいと思うんですが、警察庁、いかがですか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘の、視覚障害者からの要望を考慮する場所というのは、バリアフリー法の中で、いわゆる音響式の信号やエスコートゾーンを整備をするというものでありまして、そういうことに関して、当然、その要望を踏まえて我々も必要箇所の検討を行っていきたいと考えていますし、バリアフリー法以外の場所につきましても、視覚障害者の方々の御意見、御要望を踏まえて、設置については検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 是非、視覚障害者の方の要望を踏まえた対策を求めたいと思います。
それと、このピヨピヨ、カッコーにつきましても、夜間、早朝、音を切るということなんかも現にありまして、そのために横断の視覚障害者の方が亡くなられるという事故もこの間も続いております。そういう点でも、本当に音がまさに命に関わる情報なんだ、こういう観点で、こういった時間制限などについても、地域の住民の方々との話合い、同意も踏まえてですけれども、より工夫する措置によって、単純に音を切るということを行わない、こういう対策を是非とも工夫していただきたい。
いろいろな知恵はありますので、その対策を是非求めたいということを一言委員長にお願いして、終わりたいと思います。
○松村国務大臣 御指摘も受け止めまして、しっかりと警察を指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 終わります。
○星野委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、大きく二つのテーマ、官公庁が発注する案件の価格転嫁の問題と、あとは、男女共同参画について通告をさせていただきました。加藤大臣がいらっしゃっていますので、ちょっと順番を変更して、男女共同参画について冒頭質問した後、価格転嫁の方に入っていきたいと思っております。
まず、先日の内閣委員会でも、家庭における男女の家事時間の格差が非常に大きくなっているという問題、グラフも交えて指摘をさせていただきました。その際、大臣の見解も伺ったわけですけれども、それ以降いろいろ調べてみると、男性の家庭参画時間が長いほど第二子以降を出産する割合が高くなるという統計的なデータもありますし、女性の社会進出のことを考えても、やはり、男性の家事時間の確保というのは非常に重要なテーマではないかなというふうに思っております。
そのためにも、特に勤務間インターバル制度の導入というのは有効性があるというふうに考えておるんですが、厚労省では、令和三年七月三十日、過労死等の防止のための対策に関する大綱におきまして、勤務間インターバル制度について、労働者三十人以上の企業を対象に、勤務間インターバル制度の周知や導入の数値目標を定めております。
具体的に申し上げれば、二〇二五年、令和七年までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業の割合を五%未満まで、周知をしていくこと、また同様に、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合を一五%以上まで持っていくこと等の目標を掲げております。
まず、厚労省に伺います。
これらの目標に対して、二〇二五年、来年になりますけれども、現状どのような状況になっているのか、教えてください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、勤務間インターバル制度の政府目標につきましては、過労死等の防止のための対策に関する大綱におきまして、令和七年までに、労働者数三十人以上の企業のうち、制度を知らなかった企業割合を五%未満とする、また、制度を導入している企業割合を一五%以上とするという二つが定められてございます。
これらの目標に対する状況でございますが、制度を知らなかった企業割合につきましては、平成三十年に二六・六%だったが、令和五年一月現在で一九・二%に、制度の導入率につきましては、平成三十年に一・八%だったが、令和五年一月現在で六・〇%となっておりまして、政府目標とは乖離があるものの、改善している状況でございます。
○浅野委員 ありがとうございました。
令和五年度の直近の数字で、知らないと答える企業の割合が一九・二%、導入済みの企業の割合が六%ということで、これらをそれぞれ、五%未満に減らしつつ、導入企業を一五%、今の倍以上に増やしていくということでありますから、目標そのものは、理想的には、全ての企業がその制度を知り、また、一五%と言わずに、更に多くの企業が導入をしてもらいたいと思うんですが、現状の目標に対してもまだまだ少し厳しい状況なのかなというふうに感じております。
一方で、連合が、少し前になりますが、二〇一九年六月、平成三十一年でしょうか、六月調査によれば、勤務間インターバル制度を導入済みの加盟組合は全体の三四・四%、今年の二〇二四春闘においても、二百二十九の組合が勤務間インターバル制度に関する取組を行い、六十四の職場で回答や妥結に至ったという報告を受けております。
先ほどの政府の目標達成に向けて、先ほど乖離が大きいというふうにおっしゃっておりましたけれども、あと一年間、どのように取り組んでいくのか、厚労省に伺います。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
勤務間インターバル制度は、働く人の健康の維持向上やワーク・ライフ・バランスの実現につながるものとして重要であると考えてございます。
このため、厚生労働省といたしましては、勤務間インターバル制度の導入促進に向け、従来から、機運醸成のためのシンポジウムの開催、導入企業の取組事例の収集、周知、導入する際に参考となる導入・運用マニュアルの作成、周知、勤務間インターバル制度導入支援のための動画コンテンツの作成、配信などを実施しているところでございますが、さらに、今年度からは、産業医等に対する研修におきまして、勤務間インターバル制度の内容、効果を周知することとしてございます。
また、中小企業の方々に対しましては、全国四十七都道府県に設置されております働き方改革推進支援センターにおきまして、専門家による勤務間インターバル制度の導入に関する相談対応や、勤務間インターバルを導入する中小企業事業主に対しまして、例えば、勤務間インターバル制度導入に伴う勤怠管理システムなどの機器の導入費用の助成などの支援を行っているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じまして、各企業におけます勤務間インターバル制度の普及促進に努めてまいりたいと考えてございます。
○浅野委員 過去に、新藤大臣とも、この普及に向けて議論をさせていただいたことがあるんですが、政府の方で企業支援のために用意をしている支援施策の中には、勤務間インターバル制度を導入するためには、各事業所における業務の棚卸し、しっかりと、どういう業務をどう整理すれば従業員を早く帰すことができるのか、こういった分析も欠かせない作業になっております。ここにノウハウを持ったアドバイスができるような方々を派遣する、そのときの費用を政府が支援できるんじゃないか、こういったやり取りも過去させていただきましたので、こういった、既存制度で使える制度を企業の皆様には分かりやすく周知、利用を促進していただきたいと思います。
加藤大臣に、この状況を踏まえて、一問お聞きしたいと思います。
大臣は、男女共同参画推進の担当大臣ということであります。冒頭申し上げたように、男性の家庭参画時間の確保というのは重要なテーマの一つであると私は考えておりますが、現状はまだまだ道半ばということが理解していただけたかと思います。
男女共同参画という観点から、男性の家庭参画時間を増やすためにはどうすればいいのか、今厚労省の取組を説明いただきましたが、男女共同参画担当大臣として、大臣のお立場からも見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
長時間労働や転勤等を当然視する日本型雇用慣行や、男性は仕事、女性は家庭というような固定的な性別役割分担意識を背景に、家事、育児、介護等の無償労働時間の多くを女性が担っている実態というものがございます。男性の無償労働時間が短いことによって女性が働く場において活躍することが困難になる場合が多いと考えられ、女性活躍、男女共同参画の観点から、男性の家事、育児への参画を促進することは重要であると考えてございます。
昨年六月に策定をいたしました女性版骨太の方針二〇二三におきましては、男女が共にライフイベントとキャリア形成を両立できる環境づくりに取り組むこととしてございまして、政府として、長時間労働の是正や委員御指摘の勤務間インターバル制度の導入支援等に取り組んでいるところでございます。
男性が家事、育児へ参画する時間の確保に向けて、引き続き、政府を挙げて長時間労働の削減などに取り組んでまいります。
○浅野委員 ありがとうございました。
では、このテーマはここまでとなります。大臣、お忙しいと思いますので、御退席いただいて結構でございます。
それでは、続きまして、官公庁等が発注する案件の価格転嫁について、今日は、古谷公正取引委員会委員長にお越しをいただきました。よろしくお願いいたします。
官公庁等の発注案件における価格転嫁については、例えば、国交省が発注する公共工事においては、四月十七日の内閣委員会で、令和四年度にスライド条項が適用された件数が九百三十九件だったなど、そういった過去の事実確認をさせていただきました。
一方、公共工事以外については、本年四月十九日に閣議決定をされました、官公需法及び中小企業者に関する国等の契約の基本方針の中で、労務費も含め、受注者から契約金額変更の申出があった場合に迅速に協議する旨等が盛り込まれました。本日の資料一の方には、昨年度の方針から、かなり肉づけをされた本年度の方針の部分を記載しておりますが、今回の改定については大変ありがたいことだというふうに思っておりまして、評価をしております。
本日は、契約期間が複数年にわたる情報システム開発を例に取り上げていきたいと思います。
情報システムの開発については、現在、自治体情報システムの標準化、共通化も進められており、国や自治体行政のデジタル化に向けて、今後も、年度を越えた契約案件の増加が見込まれております。
そこで、まず、中小企業庁に伺いますが、官公庁等の発注案件の中で、契約期間が複数年にわたる情報システム開発等について、これまでどの程度の発注が行われ、その中で、実際に価格変更、契約変更が行われた事例は何件程度あるのか、お答えください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
中小企業庁が先月実施いたしました官公需に関する契約についての調査によれば、国の各機関が令和元年四月一日から令和六年四月十六日までに締結した契約のうち、契約期間が複数年度にわたる情報システムに関する契約の件数は二千九百九十三件でございました。
そのうち、令和六年四月十六日までに、原材料費、エネルギー費、労務費のいずれかの高騰を理由に、契約期間中に契約金額について変更契約を締結した契約の件数は二件でございます。
○浅野委員 過去五年間、二千九百九十三件の契約があり、うち二件のみが価格変更が行われたということで、昨今、価格転嫁というのが非常に大きく取り上げられる中で、このような数字を聞きますと、本年度以降、もっとこの価格転嫁というものを意識した取組をお願いしたいところであります。
そこで、次の質問に移っていきたいと思うんですが、こうした現状を改善するために、昨年十一月二十九日には、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針が発表されました。この中で、発注者として取るべき行動、あるいは求められる行動というものが記載されておりまして、本日の資料二の方にその内容を示しております。
いずれを読んでみましても、大変重要なことが書かれているというよりも、民民の契約あるいは官民の契約の中で、こうした行動は本来しっかり取られておくべき行動だったのではないかと思う部分も多数あるんですが、大変重要なものだというふうに思っております。
一方、この指針を読んでいきますと、民民の契約を前提にいろいろ文章が書かれているようにも思います。例えば、経営者が意識すべきことですとか。民間企業であれば経営者という表現でいいんですが、官公庁の場合は経営者という表現が適切かどうか分かりません。
そこで、まず、公正取引委員長に伺います。
労務費の適切な転嫁のための価格交渉に対する指針の中で、発注者という言葉が使われておりますが、この発注者には自治体等も含めて官公庁等も含まれるかどうか。また、価格転嫁は中小企業だけの問題ではありません。大企業や中堅企業など、中小企業以外に関わる官公庁等の発注案件も、この指針の対象となるのかどうか。この点、お答えください。
○古谷政府特別補佐人 お答えいたします。
労務費の適切な価格転嫁を通じまして中小企業の賃上げの原資を確保することが極めて重要であると認識しております。こうした認識の下に、昨年十一月に労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表し、現在、その周知に努めているところでございます。
本指針は、御指摘がありましたように、継続的に行われる事業者間の取引を念頭には置いておりますけれども、複数年契約で行われております官公庁の入札においても、その趣旨は妥当するものと考えております。また、発注者側、受注者側のいずれも、業種ですとか規模で限定しているものではございませんで、大企業等の官公需についても、指針の趣旨は妥当するものであるというふうに考えております。
○浅野委員 明確な御答弁ありがとうございました。
先ほど少し触れましたが、本日の資料二の方には、発注者として取るべき行動、求められる行動というのを記載しております。
例えば、経営トップがというふうに書かれているんですが、価格転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定することであったり、経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すことといったようなことも書かれています。また、受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて一年に一回や半年に一回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること等が書かれているんですね。それ以外にもたくさん、発注者側のみならず、受注者側にとっても非常に有益な行動指針というものが示されていると思います。
是非これを、公正取引委員会、あるいは中小企業庁もそうですし、新しい資本主義実現事務局の皆様にも、より多くの事業者あるいは自治体等に周知していただきたいと思っておりますが、まずは、自治体への周知状況を確認したいと思います。
総務省に今日は来ていただいておりますが、今取り上げさせていただきましたこの指針、各省庁に伝達されているというふうに聞いておりますが、地方自治体まで確実に周知して、行動に移してもらう必要があると思っております。現状、どの程度周知をしているのか、お答えください。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
昨年十一月に取りまとめられました労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を踏まえまして、総務省におきましては、地方公共団体の発注について、労務費の適切な価格転嫁が図られるよう、各地方公共団体に対して通知を発出し、本指針を踏まえた対応を要請したところでございます。また、本年一月には、全国の都道府県財政課長、市町村担当課長を対象とした会議におきまして、本指針の説明を行っております。
引き続き、様々な機会を捉えまして、本指針を踏まえた適切な対応について周知を図ってまいります。
○浅野委員 ありがとうございます。
ちなみに、今御答弁の中で触れていただきました通知ですけれども、本年の一月十二日に発出がされたということ、その文書を私も見せていただきました。
この通知文の中には、先ほど取り上げさせていただいた指針においては、特に情報サービス業や技術サービス業に係る地方公共団体の発注について、労務費を価格転嫁できていないことが明らかになっているというような言及があります。これらを踏まえて、情報サービス、技術サービス等に係る発注を担当する部局や商工担当部局と必要な連携を図りながら、本指針を踏まえ対応することにより、労務費の適切な価格転嫁を図るようお願いします、こんな文章が書かれております。
これは非常に、現状を踏まえた上で妥当な通知内容かと思いますので、引き続き、この通知がしっかりと各行政、役所であったり地方公共団体の中で実践されるように、しっかり私も見させていただきたいと思っております。
ただ、一つだけ確認をしたいことは、こうした情報サービス業あるいは技術サービス業というのは、先ほど答弁の中にもありましたように、受注する時点では競争入札なんですね。ですので、そのとき提示した価格が最も安く、そして内容が妥当なものが受注できるわけですけれども、その後、労務費あるいは原材料費の高騰によって価格の見直しを求めるというのは、競争入札をした後の価格の変更ということですから、やや発注者側としても受け入れ難いものがあるし、受注した側としてもどれだけ求められるのかというのがよく分からないところでもあります。
競争入札であっても価格転嫁を目的とした契約変更が制度上可能であるかどうか、この点、しっかりと今日確認させていただきたいと思っております。財務省に今日は来ていただいておりますので、御答弁をお願いいたします。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
会計法令上、国の契約の契約変更につきまして特段の規定は存在しておりませんが、契約変更を認めずに契約を解除し、再度別の業者と契約をすれば、国にとって契約変更を認めた場合よりも著しく不利な結果となる場合など、やむを得ない理由等がある場合には、契約変更は可能であるというふうに解されてございます。
今先生御指摘のございました令和六年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針におきましては、このような制度の解釈を踏まえまして、労務費等の実勢価格に変化が生じた場合には、契約変更の必要性を検討し、契約変更の実施も含め、適切に対応することなど、価格転嫁を円滑に行う取組を促しているものと承知をしてございます。
○浅野委員 ありがとうございます。
今日最後の質問になりますが、また、情報システムの政府調達に関しては、過去にも、契約方式について、請負契約がこれまでは多く行われていたんですが、最近では、アジャイル型開発といって、例えば機能単位で短時間の開発と実装を繰り返して少しずつ少しずつシステムをつくり上げていくというような開発手法が多く取り入れられています。
この場合、請負契約で、最終形態がどうなるか分からない時点で一気に契約をしてしまうと様々なリスクをはらんでしまいますので、準委任契約の形で契約をすべきではないか、こんな指摘をさせていただきましたが、現在、アジャイル型開発が採用された案件の状況、今の私の、請負契約か準委任契約かという問題も含めた現状の課題について、最後、デジタル庁にお伺いをしたいと思います。
○早瀬政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル庁では、情報システム調達改革の一つの方策として、御指摘のとおり、アジャイル開発の採用について知見の蓄積を試みているところでございます。
御指摘のフォローアップにおいて、令和五年度にアジャイル方式を採用した情報システム開発の事例を紹介させていただいております。この事例は、全体としては請負契約により事業の完成を確保しつつ、開発過程において短期間での継続的な改善を繰り返した方がよい部分はアジャイル開発を採用し、その受注者に完成義務ではなく善管注意義務を課し、準委任契約の性質を併せ持ったものでございます。
アジャイル開発を採用した結果、開発と改善のサイクルを短縮化することにより、ユーザーの満足度が高い情報システムの開発が可能となった一方で、発注者による事業のマネジメントの難易度が比較的高いことや、官公庁でのアジャイル開発の実績が少なく、発注者、受注者双方の知見、体制が十分ではないこと等の課題が見受けられました。
いまだアジャイル開発を採用した事例の蓄積が十分とは言えないため、デジタル庁では、引き続き、事例の把握に努め、アジャイル開発の長所や留意すべき点等をまとめる等により、アジャイル開発の活用を含め、適切な開発手法が選択されるように取り組んでまいりたいと存じております。
○浅野委員 終わります。ありがとうございました。
○星野委員長 次に、山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いいたします。
今日は、飲酒運転による交通事故、それに対する危険運転致死傷罪の現状と課題ということをお伺いしていきたいと思います。
まず、一つ痛ましい事例を御紹介するところから始めたいと思います。お手元に資料をお配りをしておりますけれども、一でございます。
二〇二二年十月、東京都練馬区において、当時三十六歳の男性が自転車に乗っているときに、飲酒運転でスピードオーバーの車にはねられて亡くなったという事故がございました。犯人側は、飲酒運転のみならず、実は事故の後に、同乗者が自分が運転していましたというふうに偽って捜査を攪乱をするという非常に悪質な案件でございまして、本日も御遺族が傍聴にお見えでございますけれども、御遺族の処罰感情も大変強い案件でございました。
記事にも書いてあるとおり、下の方の読売新聞に載っていますけれども、見出しにもあるとおり、危険運転致死の容疑で当初逮捕をされたわけでございます。当然、御遺族や関係者も危険運転致死罪での立件を期待しておったわけですけれども、ところが、実際、起訴をされたときには自動車運転過失致死にとどまったわけでございます。せっかく危険運転罪という武器があるにもかかわらず使われなかったということであって、これは御遺族の感じた無念さ、理不尽さは察するに余りがあるわけでございます。
私もこれをきっかけに調べてみまして、やはり今、危険運転致死傷罪が曲がり角にあるといいましょうか、いろいろな課題を抱えているなということが見えてまいりまして、今日はこの問題をお伺いしていきたいというふうに思います。
まず、法務省の方に基本的な認識をお尋ねしたいと思うんですけれども、今、資料の二でもおつけしていますけれども、報道でこう出ています、「危険運転適用 高いハードル」。こうしたこともかねて報道されている中で、危険運転致死傷罪が、適用に際して非常にハードルが高過ぎるんじゃないか、狭き門なのではないか、運用が限定的に過ぎるのではないか、こうした指摘がされているということに対して、まず、法務省はどういう認識をお持ちなのか。基本的な見解を教えてください。
○吉田政府参考人 あくまで一般論として申し上げますけれども、検察当局においては、悪質、重大な交通事犯等に対して、危険運転致死傷罪の適用も視野に入れて捜査に臨み、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、その事案の内容や諸情状を考慮して起訴、不起訴を判断し、起訴する場合には、その事案の特質を捉えて、犯情を最も的確に反映できるような訴因、犯罪事実を選択、構成しているものと承知しております。
○山岸委員 今、犯罪の中身を的確に反映できるようにやっていますという御答弁があったんだけれども、本当にそれが的確になっているのかという点が議題なわけでございます。
ちょっと、客観的な数、数値の整理からしていきたいと思うんですけれども、警察庁の方では、飲酒運転、飲酒人身事故ですね、この統計をお持ちだと思います。調べてもらうようにお聞きしていますので、内訳を聞きたいと思うんですけれども、全体の件数、飲酒運転による人身事故全体の件数と、その中で危険運転致死傷罪が適用された件数というのは大体どれぐらいになっているのか。この点、参考人、お願いいたします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
飲酒運転による交通人身事故は、令和五年中、二千三百四十六件発生しております。一方で、飲酒運転をして自動車運転死傷処罰法の危険運転致死傷罪が適用された令和五年中の件数でありますが、第二条の適用が百九十二件、第三条の適用が百九十八件で、合計三百九十件でございました。
○山岸委員 二千三百四十六のうちの三百九十件、一割少しという数字でございます。これは、たしか、私の理解では、逮捕若しくは起訴あるいは送検、いずれかの段階で危険運転で処理されていればカウントされるというふうに聞いていますので、先ほど冒頭紹介した練馬のケースのように、逮捕のときは危険運転だったけれども実際起訴されたのは通常の自動車運転致死であっても、こちらの場合、カウントされますから、恐らく実際に危険運転で起訴されたケースというのはもっとはるかに少なくなるわけでございまして、一割、あるいは一割を切るぐらいの数字だというふうに理解をしております。
飲酒運転で人を亡くならせる、死なせる、あるいはけがをさせる、これは大変悪質なわけなんだけれども、そのほとんどは一般の自動車運転過失致死傷罪で処理をされているということになるわけでございます。
私、これは結果としてどういうことが起きているかというと、犯行の悪質さに比べて量刑が軽過ぎる、刑罰が軽過ぎるということが起きているんじゃないかということなんですね。
なぜかというと、危険運転致死傷罪、これは、法定刑の上限は二十年でございます。一方で、自動車運転過失致死罪、こちらの法定刑の上限は七年ですから、三倍近い開きがあるわけです。実際の判決ということになりますと、これも、危険運転の場合で、大体、多いのが七年とか、重くて十年、こういうところだと思います。一方、自動車運転過失致死の場合は、一年半とか二年とか、長くても三年。これぐらいの幅が、差が広がってしまっているわけであって、この真ん中の四年、五年、六年、こういったところの量刑というのが、私も調べたんですけれども、なかなか見当たりづらいなというふうに思いまして、いわば量刑の谷間が生じてしまっているというふうに思うわけなんでございますね。
こうした課題というのはかねてから指摘をされてきたところでございまして、当委員会でも何度か議論がありました。当委員会での議論は、スピードオーバーの方の議論が主で、なかなか、酒気帯びの方は、アルコールの方は余り議論されていませんでしたけれども、全体としての危険運転致死傷罪の在り方に関して見直すべきなんじゃないかというふうな機運がずっとあって、法務省さんの方でも、失礼ながら、重い腰を上げつつあるというふうに伺っているところでございます。
そこで、法務省参考人にお伺いしたいのでございますけれども、今年の春から開始をされたと聞いております危険運転致死傷罪の見直しの議論の現状に関して教えてもらえますか。
○吉田政府参考人 危険運転致死傷罪を含めて、自動車運転による死傷事犯に係る罰則について様々な指摘がなされていることは承知しております。
そうしたことを踏まえて、今御指摘がありましたように、法務省におきましては、現在、検討会を開催しているところでございます。これは、刑事法研究者のほか、実務家や交通事故被害者遺族の方に委員として御参加いただいておりまして、令和六年二月の第一回会議以降、これまでに四回の会議が開催されております。
この検討会では、交通事故被害者遺族の方々のヒアリング等を実施した上で、自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する論点の整理が行われまして、現在、危険運転致死傷罪の構成要件の見直し等の論点について、一巡目の議論がなされているところでございます。この中には、先ほど来御指摘がありましたような、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で運転をして人の死傷結果を生じさせた類型についての議論も行われているところでございます。
○山岸委員 関連して、この検討会ですけれども、スケジュール感というのは見えているんでしょうか。いつ頃までに成案を得て、いつ頃までに法改正をするなら行っていく、こういったスケジュール感に関してはいかがでしょうか。
○吉田政府参考人 先ほど申し上げました検討会には、有識者の方々に御参加いただいて御議論をお願いしているということもございますし、また、論点がそれなりに数がございまして、様々な観点から御議論いただくという必要もございます。
そうしたことで、今後のスケジュール等については、今後の議論の状況等によるということでございまして、確たることを申し上げることは難しいということは御理解いただきたいと思うんですけれども、いずれにしても、法務省としても、悪質、危険な運転行為による死傷事犯への対応は喫緊の課題であるというふうに考えておりまして、できる限り力を尽くしてまいりたいと考えております。
○山岸委員 喫緊の課題なんだけれども、めどはないということではちょっと困るなと思います。そこはやはり、悠長ではなくスピード感を持って取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
その上で、じゃ、具体的なアプローチとしてどういう方法があるんだろうかということで、私は二つの主な方法があるのかなと思っております。
お手元資料の三で、今御紹介があった検討会の論点表というものをお配りしていますけれども、ここにも書いてあるわけなんですけれども、一つは、私は、酒気帯び運転そのものの罰則を引き上げる、お酒を飲んで運転したら、それ自体が傷害罪と同じぐらいだ、それだけ重いことなんだというふうに上げていくというものが一つ、もう一つが、今申し上げた、先ほどの刑罰の谷間、量刑の谷間を埋めていくような新しい犯罪類型をつくるという二つの大きな道があるんだろうと思っていまして、それぞれ検討課題ではあるんだろうと思います。
そこで、これは大臣にお伺いしていましたか、まず、酒気帯び運転の罰則を一律に引き上げていくということについて、これは警察庁、これは所管が分かれるんですよね、こちらは道交法なので警察庁の所管になりますので、この点に関して、松村大臣、いかがでしょうか。
○松村国務大臣 お答え申し上げます。
道路交通法の飲酒運転の罰則につきましては、飲酒運転による交通事故情勢等を踏まえまして、逐次引上げが行われているところでございます。平成十九年九月に施行されました改正によりまして、いわゆる酒酔い運転につきましては五年以下の懲役又は百万円以下の罰金、いわゆる酒気帯び運転につきましては三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となっております。
警察におきましては、飲酒運転による交通事故防止のため、飲酒運転の危険性について広報啓発や指導取締りを推進をいたしておりまして、飲酒運転による交通事故件数は、平成十八年には一万一千六百二十七件ございましたものが、令和五年には二千三百四十六件となっております。
飲酒運転の抑止を図るためには、お尋ねの、一律の罰則の引上げという方策もございますが、まずは広報啓発や飲酒運転に対する指導取締りを徹底してやっていくことが重要であると考えておりまして、飲酒運転抑止のための取組を更に強化をしてまいりたいと考えております。
○山岸委員 ちょっとこちらは、大臣、若干難しいのかなというふうな御答弁だと理解をいたしました。私もハードルは高いのかなというふうに思っております。
ただ、私、この間、弁護士さんや当事者の方のお話をお聞きして耳に残っている言葉として、飲酒運転は殺人と同じだ、こういうふうな言葉を言われまして、本当に心に残っております。やはり、お酒を飲んで運転しちゃったという、過失ではなくて、これは、あえてお酒を飲んで運転という行為を選択したという、非常に重い故意犯であるということをきちんと位置づけていく必要はあるんだろうと思います。
そこで、もう一つのアプローチとして、二つ目のあれなんですけれども、今の危険運転致死傷と自動車運転過失致死傷、この間に新しい犯罪類型を設ける。例えば、飲酒運転致死傷罪、仮名ですけれども、こういったふうな、今でいうところの法の三条と五条の中間類型を設ける、こういった方法について法務省としてはどうお考えでしょうか。教えてください。
○吉田政府参考人 現在、法務省で開催しております検討会においては、過失運転致死傷罪よりも重く危険運転致死傷罪よりも軽い処罰規定の新設も論点の一つとされております。したがいまして、御指摘の点についても、今後、この検討会において議論の対象となり得るものと考えております。
法務当局としては、検討会に検討をお願いしている立場でございますので、その是非について現段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、法務当局としては、まずはその議論の状況を注視して、充実した議論がなされるように、事務当局としてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○山岸委員 論点の一つにとどまるということなのか。選択肢の一つというふうに考えてもいいんでしょうか。論点というと、何か非常に、議論してもまとまらなかったということもあり得るわけであって、選択肢の一つというふうに理解してよろしいですか。
○吉田政府参考人 先ほど申し上げた検討会においては、悪質、危険な運転行為、それによる死傷事犯にどのように対処していくべきかということを様々な観点から議論しております。その中には、アルコールの問題もございますし、また高速度の問題もございます。それ以外のものも含まれておりまして、そうしたことを一つ一つ議論していって、法改正すべきものがあれば、どういう方向が考えられるのかということを御議論いただくということでございます。
そういう意味で、現段階で、御指摘のような方向性が否定されているわけではもちろんございませんで、それがあり得るのかどうか、もし考えるとするとどういう問題点があるのかということを御議論いただく、そういう状況にございます。
○山岸委員 なかなか煮え切らない御答弁ではありますけれども、しっかり議論を進めていただきたいと思います。そして、結果を出していただきたいというふうに思います。
この危険運転致死傷罪、法律ができたのは二〇〇一年でございまして、もう二十三年もたちます。この間、やはり、飲酒運転に関する社会の考え方、あるいは国民、市民常識というものはかなり変わってきていると思います。私も二十年前は地方で新聞記者をやっていましたけれども、当時は、地方都市では比較的、飲酒運転というのはまだ根強いものがあったりしたわけでございますけれども、やはりそれは明らかに変わってきているわけでありまして、飲酒運転による事故について、国民感情の変化に見合った新しい法整備が必要ではないかということを指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、もう一点の論点なんですけれども、適正に処罰をしていくためには、法制度も大事なんですけれども、捜査現場がまずきちんと機能しているということは当然大前提なわけでございます。
冒頭御紹介した練馬の事例に戻りますけれども、初動の段階で、御指摘したように、同乗者が自分が運転していましたというふうに主張をして、お互いが自分が運転していましたと言い出したものですから、捜査を非常に攪乱をしたわけなんでございます。結果として、身柄を確保できずに、身柄を取れずに、二人とも家に帰してしまった。これが後々まで、口裏合わせ等、響いてしまった面があるというふうに指摘をされております。
そこで、事案を離れて一般論としてお伺いしますけれども、警察において、飲酒死亡事故における警察の初動対応、初期対応、どういうふうに運用しているのか。一般的に、逮捕するか逮捕しないかというのをどういうふうに決めているのか。どんな基準で運用しているのか。この点を、参考人、教えてもらえますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
一般論という形になりますが、被疑者を逮捕するか否かは、罪を犯したことを疑うに足る逮捕の理由、これに加えまして、逮捕の必要性について個別具体の事案に即して判断することとなります。
また、その逮捕の必要性につきましては、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれのほか、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重、態様その他諸般の事情を総合的に考慮することとなります。
御指摘の飲酒死亡事故につきましても、まず捜査により被疑者を明らかにする、これを行うとともに、個別の事案ごとに、今申し上げましたような事情を考慮し、その逮捕の必要性を判断することとなります。
○山岸委員 当然、被疑者を明らかにして逮捕をする、当たり前でございますね。誤認逮捕はあってはならないわけですから、これは当然なわけです。
一方で、じゃ、真犯人を隠せば、真犯人を偽れば逮捕されないということになってしまうと、これは犯人の逃げ得を許してしまうわけでございます。特に、運転者が、あるいは運転者と同乗者が互いをかばい合って真の運転者が分からない、こういうふうな場合に、犯人性が認められないから、断定できないからといって、どっちも逮捕をしない、どちらも家に帰してしまう、こういう対応というのが一般的に警察現場では広く行われているということなのでしょうか。
大臣、こういうことであれば非常に私は逃げ得になってしまうと思うんですけれども、現状と課題認識をお持ちであればお伺いしたいと思います。
○松村国務大臣 一般論として早川局長から答弁がございましたが、逮捕につきましては、被疑者の処遇や犯罪の態様その他諸般の事情に照らしまして、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれなどの逮捕の必要性を踏まえて検討することといたしております。
例えば、御指摘のような、運転者と同乗者がかばい合っており、真の運転者が分からない場合には、関係者の供述の精査やドライブレコーダーといった客観的証拠を踏まえまして運転者を特定する必要があり、捜査の状況によって、現場での逮捕ではなく逮捕状による捜査を行う場合もあると承知をいたしております。
飲酒死亡事故という重大事故におきましては、個別の事案ごとに適切な対応を取ることによりまして、真相をしっかりと解明をして、悪質性に応じた罪名を適用するよう、引き続き、交通事件捜査の捜査力の向上を図るように警察を指導してまいりたいと思っております。
○山岸委員 大臣、踏み込んだ御答弁、ありがとうございます。供述であるとかドラレコとかを踏まえて、逮捕状による逮捕もあり得ると。それがスピード感を持って出されるかどうかということが非常に大事なんだろうなというふうに思います。
もちろん、私は、警察現場は限られた人員の中で本当に頑張ってもらっている、このことには常に感謝を申し上げているわけなんですけれども、やはり初動における対応というのは非常に大事でございまして、被疑者の言い逃れにだまされることがあってはならないと思います。
この間、指摘をしてきたように、法制度の必要な改正という議論とそして現場における適正捜査、この車の両輪によって、飲酒運転による被害者も加害者もつくらない、そのための社会全体の取組の必要性を強調しておきたいと思います。
このテーマは以上でございますので、警察庁関係の皆さんと大臣、結構でございます。法務省も大丈夫です。ありがとうございます。
残りの時間で、自見大臣、お待たせしました、大阪・関西万博の警備に関して少し議論させていただきます。ちょっと時間が限られていますので、質問を飛ばさせていただきます。
資料の四でお配りをしておりますけれども、この間、万博の警備は国費でやります、二百億円程度国が出しますという話で進んできて、実際の契約が幾つか結ばれているわけなんですけれども。
私はこれを見ておやっと思ったのでございますが、資料の四の上の方で、「ゲート警備実施業務(概算契約)」と書いてあります、五十九億五千万円で落札しているんですけれども、参考人、これは、概算契約ということは、最終的な金額が当初の予定を上回るということがあり得る、そういう趣旨の契約であると理解していいんでしょうか。いかがですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
会場内の警備については、昨年、博覧会協会が公募を行いまして、契約を締結済みでございます。
このうち、特に、今御指摘ありました来場ゲートでのセキュリティーチェックを行うゲート警備でございますけれども、これは日ごとの来場者数によって必要な体制が変動しますので、博覧会協会は、実績に応じて支払い金額が変わり得る概算契約の形で事業者と契約の締結をしているところでございます。
○山岸委員 ですから、来場者が増える、なかなか想像は難しいですけれども、非常に人気が出て増えるということの中で、予算が増えたり、あるいは、例えばですけれども、いざやってみたら、エックス線の手間が非常にかかって、列が延びちゃったものだから、これは増やさなきゃねとかいうふうなことでもって費用が増えることがあり得るという話なわけですね。
そうしますと、大臣、国が負担する警備費、二百億円程度と言っていますけれども、これも、全体、増える可能性がある、上振れする可能性があるということになるんじゃありませんか。いかがですか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
まず、警備費の全体構成からでございますが、全体は四つのパーツになってございまして、ゲートの警備、これが、さっき御説明ありましたとおり、概算契約でございます。それ以外に三つございまして、会場警備、イベント警備、それから施設整備で、これは固定ということ。こういう四つの大きい枠組みの中の一つが概算契約で、それがゲート警備だ、こういうまず構成になってございます。
その警備については、先ほども答弁ありましたけれども、日ごとに来場者が違う、変動があり得るというところから概算ということになってございますが、今言った四つを全体ひっくるめまして、会場内の安全確保に万全を期するための費用、そういうふうな名前で呼んでおりますが、それが約百九十九億円でございまして、博覧会協会とそして経産省が締結した委託契約の再契約委託になってございます。経産省と博覧会協会との契約は、概算契約ではございませんで、金額が確定した契約である、こういう構造になってございます。
また、この約百九十九億円につきましては、万博会期中に来場を見込んでいる二千八百二十万人をある程度上回った場合にも対応できる金額となってございますので、予算の上振れというものは想定していないということでございます。
また、会場内の安全確保に係る警備費用も含めまして、国費によります、博覧会協会に補助、委託した事業に関わる費用でございますが、博覧会協会を管理そして監督する経産省が設置をいたしました有識者会議におきまして、その適正性を継続的にモニタリングしていくこととされてございます。
こういった取組と連携しながら、政府としてしっかりと執行の管理をしてまいりたいと思ってございます。
○山岸委員 大臣、確認をお願いします。
そうしますと、仮に警備事業そのものの費用が膨らんでも、国が負担する金額はもう増えませんということでよろしいですか。
○自見国務大臣 その理解で大丈夫でございます。
○山岸委員 是非徹底をお願いしたいと思いますけれども。では、増えてしまった場合には大阪の皆さんの負担になるのかなというのは非常に心配なところでございます。
残り時間、最後、一問だと思いますけれども、万博の準備会場で起きましたガス爆発の事故に関してお尋ねしたいと思います。資料五でございます。
報道によりますと、まず、爆発の消防への通報が四時間半後、そこから消防局の方が現着したのが更に一時間後であるということでございますね。通報まで四時間半、実際に来るまで更に一時間、夢洲というのは本当に遠いんだなと思うわけなんでございますけれども。
本当に、万博の期間中にこんなことがあってはならないわけでございまして、どうも、博覧会協会、万博協会の方は、このときの対応は問題ないとおっしゃっているそうなんでございますけれども。
大臣、こんな対応で本当に来場者の皆さんの安全を確保できるのか、安全な開催ができるのか、大変疑問がありますけれども、この一連の対応が適切であったかどうか、大臣の見解をお伺いします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
施工事業者におきまして、爆発事故が発生しました後に速やかに労働基準監督署に事故の連絡を行っておりましたが、御指摘のように、消防への連絡につきましては、火災が起きていなかったという認識から、あと、また負傷者もいなかったということから、結果的に通報が遅れた、事実、遅れたというふうに聞いてございます。
今後、同様の事象が起きた際にも、労働基準監督署、これは労災の観点からということでありますが、と同様に、消防へも速やかに通報するように博覧会協会から施工事業者への指導をしているところでございますので、記事にありますことは私どもの知り得る事実ではございません。私どもといたしましては、指導してございます。
また、委員御指摘のとおりでありますが、労働者そして来場者双方の安全の確保が第一でございまして、今回の事故の原因追求及び再発防止策の策定に当たりましては、再発防止策を徹底してもらうために、外部の専門家にも確認していただきますように、私の方から経産省と博覧会協会にも指示を行いました。また、再発防止策が事業者間で実際のミーティング等でちゃんと周知をされるということも含めまして、徹底した指示ということを行ってございます。
また、文科省にも速やかに説明に伺ってございまして、今現在、教育委員会等からのお問合せはないということではございますが、引き続き、多くの方が安心して万博会場に足を運んでいただけるように、私の立場からも、しっかりと安全の確保については取り組んでまいりたいと思ってございます。
○山岸委員 安全確保の徹底をお願いします。
終わります。
○星野委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組の大石あきこです。
先ほども山岸さんの質問にもありましたけれども、三月二十八日、もうおよそ二か月前となりますが、大阪万博の会場内でのメタンガス爆発について。もう二か月前になっていますけれども、数日前からマスコミから一斉報道がありまして、話題になっているところです。
先ほど自見大臣の認識をちゃんとお伺いできてよかったので、もう時系列といいますか、時間の事実だけ今から伺いますね。
自見大臣にお伺いしたいのは、この三月二十八日、メタンガス爆発が起きた当日に、自見大臣に何らか万博協会を通じて報告があったと認識しておりますが、それは何時でしたか。教えてください。
○自見国務大臣 三月二十八日に発生をいたしましたガス爆発事故、十時五十五分頃ということでございますが、につきましては、当日の夜になりますが、経済産業省より一報を受けた私の秘書官から私が報告を受け、私は、人的被害がないことを確認したところでございます。
数字についてということでございましたけれども、博覧会協会から経産省への事故の報告があったのは同日の十八時二十七分でございまして、私への報告というのは二十一時三十六分ということでございます。
私は、翌日でありますけれども、当日、当然ながら、バッドニュースほど早く大臣に上げるようにと日頃から申し上げておりますので、速やかに報告がなかったことは厳しく注意をしてございます。
○大石委員 明確な御回答、ありがとうございました。
万博協会がちゃんと情報を出していませんよということを本日申し上げたいので、是非聞いておいてほしいんですね。
先ほどの質疑でもありましたけれども、万博協会の説明では、このパネルなんですけれども、左側が消防署の火災時系列の記録なんです。これは元々、全然万博協会が情報を出さないので、大阪市民の方が情報公開請求をして、消防の記録からしておかしいやないかという話になって、ようやく五月十九日に朝日新聞が報道した、それをパネル掲載しているものですけれども、先ほど、四時間半何をやっていたんやというお話ですね。
この記録、資料二の消防署の記録の方を見ていただいたらそうなんですけれども、十時五十五分にメタンガスの爆発が発生して、十五時半、四時間半後に消防署に電話連絡があった。この四時間半何をやっていたんやという話が問題になっているわけで、工事業者にはしっかり指導しているんだと自見大臣もおっしゃっていて、万博協会もこの工事業者に指導していると言っているんですけれども。
ただ、この資料をよく見ていただきたいんですけれども、十時五十五分の五分後、十一時に、これは工事業者ですね、この工事の施主は万博協会、工事を請け負っているのが鹿島建設・飛鳥建設共同企業体という、JVなんですけれども、それの鹿島側が請け負った工事部分なんですけれども、鹿島が、工事業者が、爆発発生五分後の十一時に爆発が起きたことを関係先に連絡したと書いているんですよね。これは万博協会なんですね。ということ自体が発覚したのが昨日です。万博協会は、自分でそれは言ってこなかったんです。万博協会に、五分後に工事業者が施主に通報していますので。だから、四時間半何をやっていたんやと万博協会が言えるものではなくて、万博協会は何をやっていたんやという問題ですよね。
これは、四時間半何をやっていたかは、昨日出てきたのでまだ分かっていません。なので、大臣には今、回答は求めませんが、四時間半万博協会は何をやっていた、だって、下手したら、電話連絡するなと言っていた可能性もありますので、万博協会が四時間半何をやっていたか、これから明らかになると思いますし、私も調べを進めていきます。
万博協会がまだ出していないものを二点言っておきます。
唯一公開されている写真、これだけなんですよ。爆発事故は百平米なので、十掛ける十メートルなのでかなり大きいのに、見切れている写真一枚だけ。市民の方も出せ出せと言っているのにまだ出していないので、自見大臣から、さっさと出してください、見切れていますので。それが一点。
あと、消防署の事故記録。ここは下が続いているんです。そこで、朝日新聞も報じていますが、床が破損したと万博協会は言っているんですけれども、床と天井が破損していると消防署は記録しています。それも万博協会は認めていなかったんですけれども、本日、正式に認めたみたいですね。万博協会が認めたんですということを大阪府市が地方議員に紹介しています。
それと同時に、先ほど、工事業者の鹿島も、天井と認識していたんやけれどもちょっと報告違いやったみたいやみたいなことを取材に、私の調査ですけれども、回答があって、まだちょっと、先ほどのことなのでまとめられていませんけれども、床だけじゃなく天井にもあっていたのに、本日認めているという状況ですので。先ほど、何時に報告があったということで、うんうんとおっしゃっているので、大臣、もっとこの万博協会、やばいので、隠し過ぎているので、ちゃんと調べて、すぐに出してください。
これは、調べをしたら、もう万博、中止せざるを得ないですよ。そもそもこんな万博協会、事故を隠してやっておりますので、この万博は中止せざるを得ない。
そして、このような状況のままで進行しているのが子供たちの遠足です。
遠足は文科省の所管だからという省庁への問合せの結果だったので伺いませんけれども、大阪を中心に、今、学校現場は大混乱しているんですね。といいますのも、この五月末、こんなことが起きたのに放置して、五月後半になってやっとマスコミにばれて、いろいろ万博協会も、今日の段階でも新たに認め出したりとかしている中で、粛々と、五月末を締切りとして、子供たちに、遠足を申し込めというのを大阪府が続けているんですよ。これもやはり万博担当大臣の責任で、これは中止や、一回止めなあかんと言っていただきたいんですよね。
というのも、遠足も結構むちゃくちゃなんですね、とにかく全てがむちゃくちゃなんですが、大阪府だけではないです。これは大阪府以外、近畿の他府県でも同じ動きがあるんですけれども、大阪府が出している資料では、大阪府は小中高と無料招待事業で進めている。無料なんや、これは税金ですけれども、税金でもう無料チケットを買うたんやと。
これは、引率の先生も入れて約九十五万人いらっしゃいますので、来年の四月から七月に一日一・四万人入場するという、かなりむちゃな事業を計画していて、それを各学校に、まだパビリオンのことも決まっていないし、休憩所がここですね、この絵の、今回の爆発、これは三百五十億円の木の枠ですね、その隣のブースの、グリーンワールドというブースのこの赤いところ、火災発生しているところ、ここ、トイレ棟が爆発したんですけれども、このエリアで休憩所があって、ここが子供たちの休憩所やという話で、早う、五月末までに申し込めやと大阪府が言っていて、そんな、無理やろと、無理に決まっているじゃないですか。でも、もう無料でチケットを買うたで、五月末までに申し込めと。
これは物すごく問題があって、遠足というのは、何か面白いところへ連れて行ったるからと適当なおっさんが言っているとかそういう話ではなくて、遠足にはちゃんと目当て、獲得目標があるんですよ、子供たちに何を学んでもらうか。ここは一切分からないんですよね。パビリオンも希望を出せないんですよ。イスラエルの館に行かされるのか何か、出せない、勝手に万博協会が割り振るということになっていて。だから、子供たちに何を学ばせていいのかさっぱり不明な中、申し込まなければいけないということに、学校の先生が頭を悩ませているんですよ。忙しい学校の先生や校長先生に、そんなことで頭を悩まさせないでください。
私としては、万博は中止するしかないんですね。そもそも、ここまでむちゃくちゃになってしまった万博協会が、このように工事業者にまで口裏を合わさせて、いろいろ隠しているという、この万博というのがここまでむちゃくちゃな背景には、やはり夢洲開発が間違っているという問題があるんです。
この夢洲開発というのは、松井一郎元市長がカジノを誘致させるというために夢洲開発を決めています。カジノ誘致に当たり、万博も呼び込むことで、国のお金、それは国民のリソースですよね、それをこの夢洲開発にぶっ込むことができるから、だから二〇二五年にカジノと万博を同時開催やと決めて進めてきた。
だから、これが根本のスタートなので、ここが根本から間違っているので、結局、蓋を開けてみたら、これはごみの処分場ですから、メタンガスは向こう数十年発生します。これは赤旗の調べですけれども、今、一日一・五トンが発生すると言われています。だから、ずっとメタンガスがこの場所でも出るし、ほかでも出るんですね。むちゃくちゃな場所なんです。もうそもそも中止するしかないんです。
これから更に万博協会の情報隠しが、注目されていますから、明らかになると思いますし、私も力を尽くしていきますけれども、やはり根本は万博中止しかない、これを申し上げて、終わります。
――――◇―――――
○星野委員長 次に、内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。松村国務大臣。
―――――――――――――
海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○松村国務大臣 ただいま議題となりました海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、領海及び内水における海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に加え、我が国の排他的経済水域における海洋再生可能エネルギー源の適正な利用を図るため、海洋再生可能エネルギー発電設備の設置の許可に係る規定等を設ける必要があります。
また、海洋環境等の保全に配慮した海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定等を行うため、環境大臣による海洋環境等に関する調査等の実施に係る規定等を設ける必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、経済産業大臣は、我が国の排他的経済水域のうち、自然的条件が適当である等の指定の基準に適合する相当の面積の区域について、関係行政機関の長との協議等を行い、海洋再生可能エネルギー発電設備設置募集区域として指定することができることとしております。
第二に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備設置募集区域において海洋再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする者に対し、仮の地位を付与する処分をすることができることとするとともに、仮の地位の付与を受けた者や利害関係者等を構成員とする協議会を組織するものとしております。また、両大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備設置計画等が協議会において協議が調った事項と整合的であること等の許可の基準に適合すると認める場合に限り、海洋再生可能エネルギー発電設備の設置を許可することができることとしております。
第三に、海洋環境等の保全に配慮した海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定等を行うため、環境大臣は、海洋環境等に関する調査等を行うこととし、これに伴い、環境影響評価法の相当する手続を適用しないこととしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ、慎重審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いを申し上げます。
○星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十分散会