衆議院

メインへスキップ



第16号 令和6年5月24日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年五月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 上野賢一郎君 理事 高木  啓君

   理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君

   理事 太  栄志君 理事 森山 浩行君

   理事 堀場 幸子君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    畦元 将吾君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      泉田 裕彦君    上田 英俊君

      大岡 敏孝君    大西 英男君

      神田 潤一君    小森 卓郎君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      土田  慎君    中川 貴元君

      平井 卓也君    平口  洋君

      平沼正二郎君    牧島かれん君

      森 由起子君    簗  和生君

      山本 左近君   山本ともひろ君

      吉田 真次君    荒井  優君

      逢坂 誠二君    中谷 一馬君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 勝彦君    阿部  司君

      奥下 剛光君    住吉 寛紀君

      河西 宏一君    吉田久美子君

      塩川 鉄也君    浅野  哲君

      緒方林太郎君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (海洋政策担当)     松村 祥史君

   内閣府副大臣       古賀  篤君

   経済産業副大臣      岩田 和親君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   環境副大臣        滝沢  求君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        宮澤 康一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  魚谷 敏紀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         西村  拓君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           岩城 宏幸君

   政府参考人

   (環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           神谷 洋一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山本 左近君

  泉田 裕彦君     畦元 将吾君

  大野敬太郎君     上田 英俊君

  鈴木 英敬君     大岡 敏孝君

  鳩山 二郎君     吉田 真次君

  平井 卓也君     平口  洋君

  逢坂 誠二君     山岡 達丸君

  本庄 知史君     山田 勝彦君

  山岸 一生君     荒井  優君

  金村 龍那君     奥下 剛光君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     泉田 裕彦君

  上田 英俊君     井原  巧君

  大岡 敏孝君     鈴木 英敬君

  平口  洋君     平井 卓也君

  山本 左近君     青山 周平君

  吉田 真次君     中川 貴元君

  荒井  優君     山岸 一生君

  山岡 達丸君     逢坂 誠二君

  山田 勝彦君     本庄 知史君

  奥下 剛光君     金村 龍那君

  宮本  徹君     塩川 鉄也君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     大野敬太郎君

  中川 貴元君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府総合海洋政策推進事務局長宮澤康一君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 おはようございます。自由民主党の冨樫博之です。

 早速質問に入らせていただきます。

 再エネ海域利用法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 私は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けてしっかり取り組んでいく必要があると考えております。経済産業省が先日開催した基本政策分科会において、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論も始まったと理解をしております。

 再生可能エネルギー電源の中でも、洋上風力については、二〇二〇年、洋上風力産業ビジョンが策定され、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として位置づけられております。そのビジョンでも、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件を形成するといった野心的な目標が掲げられております。

 こうした動きの中で、着床式洋上風力発電事業では、複数の海域において具体的なプロジェクトが進んでいます。例えば、私の地元である秋田には、全国で最多の四つの促進区域があります。県は、更に一区域を追加することを目指して、今年、国に対して情報提供を行いました。そして、港湾法に基づくプロジェクトとして、秋田港、能代港における港湾内洋上風力事業も運転を開始し、既に一年以上が経過をしております。また、国の浮体式洋上風力の実証候補地として、その一つとして秋田県沖が挙がっています。

 まさに、秋田がフロントランナーとして、日本の領海内における洋上風力プロジェクトが進展しております。

 そこで、洋上風力について、国が第六次エネルギー基本計画に掲げた導入目標達成に向けた現在の進捗と、これまでの評価について、経済産業省にお伺いをいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次エネルギー基本計画では、洋上風力発電につきまして、二〇三〇年までに五・七ギガワットを導入する目標を掲げております。

 これまでに、再エネ海域利用法などに基づきまして、約五・一ギガワットの案件を形成しており、このうち、直近で公募いたしました第三ラウンド、まだこれはいつから供給開始が行われるかは決まっておりませんけれども、この区域を除く約四ギガワット分につきましては、二〇三〇年度までに運転を開始する計画となってございます。

 再エネ海域利用法に基づく促進区域につきましては、これまでに年平均一ギガワットを超えるペースで指定してきておりまして、御指摘のとおり、現状、促進区域十区域のうち四区域が秋田県沖、約四ギガワットのうち約五〇%を占めておりまして、秋田県には、我が国の洋上風力の牽引役としてリードいただいているところでございます。

 引き続き、第六次エネルギー基本計画で掲げている目標の達成に向けまして、有望区域などを中心に、漁業者といった関係者の御理解を得つつ、案件形成に取り組んでいきたいと考えております。

冨樫委員 次に、洋上風力は、構成する部品数が数万点と多く、また、事業規模は数千億に及ぶことから、カーボンニュートラルを実現するエネルギー源といった視点のみならず、日本に新たな産業を創出するとともに、地方にとって、地域の再生、雇用創出や地域経済への波及効果も期待されます。まさにグリーントランスフォーメーションを体現するものであります。

 例えば、秋田県男鹿市では、秋田県立男鹿海洋高等学校が日本郵船と連携して、洋上風力事業に必要な人材を育成する拠点を整備し、今年四月に開所したところです。洋上風力発電を進めていく上で、施工から維持管理まで幅広い人材が必要です。この拠点では、こうした産学官が連携して、人材を年間千名以上の規模で訓練をしていくことを目指していることは、地域の将来を考える上で大変喜ばしいことであります。

 そこで、洋上風力に関して、地域経済の発展や、関連する産業基盤形成に向けた国の取組状況を経済産業省にお伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電は、部品点数が数万点と多いということや、御指摘の、設備の維持管理に必要な人材の雇用創出といった観点から地域経済への波及効果が大きいと考えておりまして、経産省としても、国内にしっかりとサプライチェーンを構築することを目的に、これまで、発電機メーカーによるナセル組立て工場であるとか、エンジニアリング企業によるモノパイル製造工場などの建設について、設備投資を支援してきました。

 例えば、第一ラウンド公募の選定事業者は、国が設備投資支援を行った発電機メーカーがナセル組立てに必要な部品の発注を行うため、秋田の県内企業とのマッチングを実施するなど、地元企業の活用に向けた取組も進めております。

 また、再エネ海域利用法に基づく選定事業者は、国、県、市町村に加えて、関係漁業者が参加した法定協議会において、地域や漁業との共生策を実施していく必要がありますが、この点も、例えば秋田県では、第一ラウンド公募の選定事業者が、地元高校生と共同で未利用魚を活用した特産品を開発したり、地元の水産品について同社の販路を活用し販売等をしていくという形で、地元との共生策の実施、地域経済の更なる活性化を行っております。

 また、御指摘のとおり、秋田県では男鹿海洋高校といったところでの人材育成も進んできておりまして、経産省としては、更に地域経済の発展にもつながるように、洋上風力発電を進めていきたいと考えてございます。

冨樫委員 続いて、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、必ず達成していかなければなりません。この観点から、洋上風力の実施海域を排他的経済水域へ拡大する本法案は極めて重要な意義を持つと考えます。

 本法案は、広大な面積を有する我が国のEEZにおける経済活動を後押しする枠組みとなりますが、本法案の我が国海洋政策に与える意義を松村大臣にお尋ねをいたします。

松村国務大臣 冨樫委員御指摘のとおり、洋上風力発電というのは、再生可能エネルギーの主力電源化に向けました切り札であると考えてございます。

 今後、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの案件形成を目指しておりますし、さらには、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のために、領海、内水に加えて、我が国の広大なEEZにおきましても案件形成に取り組んでいくことが必要であると考えてございます。

 また、洋上風力発電は、設備の設置やメンテナンス、作業船建造や港湾機能といった裾野の広いサプライチェーンが形成される一大プロジェクトであると考えております。委員から御指摘いただいた秋田の取組のように、様々な関連海洋産業の活性化や雇用拡大の観点からも、本法案が我が国の海洋政策に与える意義は大変大きなものがあると考えておりますし、まさに秋田のようなトップランナーを、走っていただいている方々を追随する案件を形成せねばならないと考えております。

 こうした認識の下、本法案の成立により、関係省庁としっかりと連携をしつつ、洋上風力発電のEEZ展開に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

冨樫委員 松村大臣、ありがとうございます。

 EEZは、広大で、沿岸とはかなり離れていることから、洋上風力を進める上で様々な課題があると考えます。

 洋上に浮く浮体式洋上風力が台風等の荒天にどう対応できるのか。現在、長崎県五島市沖での実績があると思いますが、その結果を環境省にお尋ねをいたします。

神谷政府参考人 環境省では、長崎県五島市沖で、我が国初となる二メガワット級の浮体式洋上風力発電の実証事業を平成二十二年度から二十七年度にかけて実施し、実用化に結びつけてまいりました。

 この施設は、平成二十八年度に五島市に譲渡された後、平成三十年七月に台風七号の襲来を受けましたが、風速五十二メートル毎秒の暴風に対しても倒壊や漂流することなく、稼働を続けた実績がございます。

 環境省としては、洋上風力の更なる拡大普及に資する観点から、こうした実績や成果を積極的に発信するとともに、浮体式洋上風力発電を活用したエネルギーの地産地消の取組に関する検討支援等を行ってまいります。

冨樫委員 続いて、今回、グリーンイノベーション基金を活用した浮体式洋上風力発電の大規模実証事業を実施する予定と聞いておりますが、国としてどのような課題を解決していきたいと考えて実証しようとするのか。経済産業省に見解をお伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、世界的にも導入の拡大が期待される浮体式洋上風力につきましては、現在、先行する欧州でも一基当たり十メガワットに満たないような風車を用いたプロジェクトが進められている。日本がグローバル市場をリードしていく観点から、グリーンイノベーション基金を活用しまして、一基十メガワットを超える大型風車を用いた大規模実証事業を進めまして、コストを低減し、量産化する技術を確立し、国際標準化で日本がリードしていければと考えてございます。

冨樫委員 本当はもっと突っ込んで聞きたいんですけれども、時間の関係でそれはカットさせていただきます。

 次に、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度に電源構成比率三六%から三八%の再エネを導入するとしておりますが、デジタル社会が加速する中で、我が国でも、データセンターの立地など、電力需要そのものが一段と拡大していきます。さらに、GAFAを例に、クリーン電源を求める動きが加速する中、こうした再エネ電源の需要はますます増大していきます。

 このような観点を踏まえると、再エネ電源の導入に支障が生じぬよう、系統についてもしっかりと整備、増強していくことが重要であります。

 そこで、現在、政府では、北海道と本州を結ぶ海底直流送電網の検討を含め、マスタープランに基づく系統整備を進めているものと理解をしておりますが、このような環境変化を踏まえれば、系統整備について、計画倒れせず、しっかりと実現していくことが重要であると考えます。

 現在の取組状況と今後の見通しについて、経済産業省にお尋ねをいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、洋上風力などの再生可能エネルギーによって発電された電力を全国で活用するためには、送配電網の増強は極めて重要でございまして、広域連系系統のマスタープランを二〇二三年三月に策定、公表しまして、これに基づいて、全国的に系統網の整備を進めていこうとしております。

 特に重要な地域間連系線につきましては、昨年、再エネ特措法や電気事業法も改正いただきまして、着工段階からの再エネ賦課金の交付や、電力広域機関による貸付制度などの資金の調達を円滑化する措置を講じておりまして、計画を着実に進めるための環境を整備しております。

 御指摘の、北海道と本州、東北をまずつなぐ海底直流送電につきましては、本年四月に電力広域機関が概略ルート等を含む基本要件を決定したところでありまして、引き続き、着実な整備に向けた対応を進めていきます。また、地域間連系線と併せて、地内の系統の整備につきましても、費用面や制度面での検討を進めていきたいと考えてございます。

冨樫委員 ほかにも質問は用意してはおりましたけれども、時間ですので、これで終わります。

 いずれにしても、このEEZ、洋上風力を進めていく上で大変大事な法律であります。是非よろしくお願いを申し上げながら、終わりたいと思います。

 松村大臣、頑張ってください。よろしくお願いいたします。

星野委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党の山崎誠でございます。おはようございます。

 今日は、時間をたっぷりいただきましたので、ゆっくりと御質問できるかと思います。

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、質疑に入りたいと思います。

 海ということで、ちょっと、法案の質疑に入る前に一点御確認、お聞きをしたいことがございます。

 今、鹿児島県の十島村口之島沖で、韓国籍のケミカルタンカーが座礁事故を起こしています。四月十六日に発生しておりますけれども、その後も、積荷が海洋に漏れ出るなど、大きな被害になっているようでございます。

 事故の把握状況について、これは国土交通副大臣、お願いできますか。

國場副大臣 四月十六日、韓国船籍ケミカルタンカーから事故の通報があり、海上保安庁では、直ちに巡視船、航空機等を発動し、人命救助活動等に当たりました。

 本件事故を受け、海上保安庁では、事故翌日から、事故状況の共有や今後の対応方針を決定するため、地元自治体や漁業関係者等で構成される連絡調整会議を開催してきたところであります。

 一方、原因者である船舶所有者は、サルベージ会社等と契約し、油の抜取りが終了後に船体を引き出し、安全な海域で他のタンカーに積荷のシクロヘキサンを積み替える予定としておりました。しかしながら、五月十二日、サルベージ会社等から、海象などの影響によりタンクの一部が破損したため、積荷のシクロヘキサンが一部海上に流出したとの連絡を受けたところです。

 その後、五月十六日に、海上荒天により船体が折損したことから、船舶所有者が潜水調査を実施し、今後の対応方針を検討していると報告を受けております。

 引き続き、積荷のシクロヘキサンの抜取りに向けて、船舶所有者等に対して必要な指導を行うなど適切に対応してまいります。

山崎(誠)委員 環境省、環境への影響について、特に積荷のシクロヘキサンのリスク、こういうものはどういうふうに把握をされているか、副大臣、お答えください。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 環境省では、本事案について、海上保安庁からの報告や鹿児島県から収集した情報等を基に、専門家へのヒアリングを実施してまいりました。シクロヘキサンは、生態毒性がありますが、水に溶けず、水よりも軽く、さらに揮発性も高いため、海に流出した場合、海面を浮遊し、急速に揮発することが想定されています。

 これまでの専門家へのヒアリングによりますと、流出したシクロヘキサンに海藻やプランクトン等の生物が濃密に接触した場合は影響が想定される一方で、本事案における積荷の積載量と物質の揮発性を考慮すると影響は限定的との意見を得ているところでございますが、引き続き状況を注視してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 この件、私は、五月の九日にレクを受けました。そのときに、レクをお願いしたんですけれども、私、環境省からは、当初、海上保安庁以上の情報は自分たちは持っていないから説明には行かないと断られました。とんでもないお話だということで、その後お呼びをして、五月の九日の日にレクを受けたんです。そのときに海上保安庁が持ってきたのは一枚のA4のペーパー。簡単なメモ程度のものしか出してもらえませんでした。その後、何度か問合せをしてきましたけれども、いただける情報というのは本当に断片的で、現場の状況が分かる資料が出てきたのは、一昨日そして昨日です。

 私、これは、今御説明ありましたけれども、現在進行形で海洋汚染の可能性も広がっている。今、環境省からもシクロヘキサンについて説明がありました。これだけ大量のシクロヘキサンが海洋に漏れ出すということは、今まで、過去にないことだというふうにも聞いております。このシクロヘキサンは、例えば生体濃縮の影響とかあるいは遺伝子に与える影響だとか、論文などの情報をいただくと、やはり一定の影響があるということも言われています。ですから、私は、重大な関心事として監視をしていただかなきゃいけない。

 私は、現場の方は皆さんよく働いているというふうに聞いているんですけれども、本庁の対応が余りにも、まあ私だったからなのかもしれませんけれども、ずさんで、情報の提供にもその姿勢にも大きな問題があった。この点は、お二人の副大臣をお呼びしたのは、猛省をしていただきたいと思ってお呼びしました。

 お願いなんですが、これは韓国籍の船であります。こういう海洋事故というのは大体海外の船などと絡んでくるわけでありまして、国際的な連携がやはり重要です。特殊な、ケミカルの汚染というものが広がっているので、更なる専門家の派遣などが必要だということでお話を聞いています。是非、この際、外交ルートを活用して、本件についての対応、日本政府として、環境汚染の被害を最小化するように、韓国政府そして船主宛てに要請をいただきたいんですが、副大臣、いかがでしょうか。

國場副大臣 船舶からの油流出事故等が発生した場合には、原因者が必要な防除措置を講じるよう指導を行うとともに、海上保安庁としても、国や地方の関係行政機関や海上災害防止センターなどと連携して、必要な防除措置等を実施していくこととなります。

 今回の事故については、事故翌日から、事故状況の共有や今後の対応方針を決定するため、地元自治体や漁業関係者等で構成される連絡調整会議を開催してきたところであります。

 海上保安庁では、船舶所有者の代理人に対して積荷の抜取り等を速やかに行うよう指導してきたところであり、今後とも、山崎委員の御指摘も含めて指導監督していってまいります。

山崎(誠)委員 やはり、日本政府というか、国として、きちっと領海の自然を守る、環境を守る、人も含めてですよ、これを徹底していただきたいので、是非これは、外交ルートというんですかね、外務省などとも相談して、一定の要請をしていただきたいと思います。まだ分かりません、この先どうなるか。是非お願いしたいと思いますので、繰り返し申し述べさせていただきます。

 それから、環境省なんですけれども、海上保安庁の守備範囲というのは、人への被害あるいは船舶の往来の確保など、そういったところだと思います。そうすると、環境への影響というのはやはり環境省が出ていっていただかないとなりません。海保頼みでは収まらないのであります。

 私は、こういったことを考えたら、海上保安庁そして環境省などが連携した、こうした海の事故に対応するマニュアルがあって、こういうことが起きたときにはこういう対応をしようというのが明確になっていなきゃいけない、場合によっては訓練なども行っていただかなきゃいけないと思います。今回の対応を見ていると、そういう様子が全く見えないです。

 環境省、こうした対応をきちっと取る体制はできていますか。マニュアルはできていますか。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画においては、環境省は、海上保安庁などからの情報に基づき、野生動物に及ぼす影響評価を行い、野生動物の保護などの対策の決定に反映することや、環境影響の評価結果を関係機関に提供する役割を担っております。

 環境省としては、今後、こうした事案の発生した場合にも、引き続き緊急時計画に沿って適正な対応をしてまいりたいと考えておりますし、また、海上保安庁ともしっかりと連携を取ってまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 重ねて聞きますけれども、私のところに説明に来なかったんですよ、一番初め。環境省は、この事案についていつ知って、積荷の分析などはいつしたんですか。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 今月の十六日に、海上保安庁から担当部局に対して船体が折損したことの連絡があり、同日に、鹿児島県を通じて情報収集をした結果、口之島周辺にはシクロヘキサンは摘出されていないものの、船体からシクロヘキサンが流出した可能性があるということを把握いたしました。

山崎(誠)委員 事故は……

星野委員長 山崎君、指名されてからやってください。

山崎(誠)委員 分かりました。

 四月十六日ですよ、起きているのは。もうその頃からいろいろな、現場では動いていますよ。そのときには燃料の油は漏れていますよ。そういう状況の中で、今月の十六日になってという話は、余りにも対応が遅いですよ。シクロヘキサンが漏れる前に、どういうものなのか、どういう影響があるのか、それをちゃんと把握しなきゃ話になりません。是非、この対応、今回お願いした外交ルートも含めて、きちっと対応を徹底していただきたい。

 それから、これはこれからも議論しますけれども、海洋の利用をどんどん進めていけば、こういう事故のリスクというのは高くなります。これはしっかりと対応できる、マニュアルを作ったり、体制をつくったり、訓練をしたり、そういったことを省庁の垣根を越えて対応していただきたい、準備をいただきたいということで強く要請をさせていただきます。

 では、この件はこれで終わりますので、國場副大臣は退室いただいて結構です。ありがとうございました。

 それでは、法案の質疑に入ります。

 まず、その前提として、今、洋上風力発電がどういうふうに導入が進んでいるか。そこで課題などはないかということ、経産省にも来ていただいていますので、質問していきます。

 再エネ海域利用法によって入札が、第一ラウンド、第二ラウンドが行われ、今、第三ラウンドということでございます。第二ラウンドの評価、課題についてお尋ねしたいと思います。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 昨年末と今年三月に結果を公表いたしましたいわゆる第二ラウンドの公募につきましては、四海域のうち三海域において、FIP制度における再エネ賦課金の国民負担が見込まれない供給価格、いわゆるゼロプレミアム水準が提示された者が選定をされました。

 今回の、このゼロプレミアム水準に入札した事業者が選定されたということは、今後、国民負担を抑制しつつ、再生可能エネルギーの最大限導入を実現するための重要なモデルケースである、このように考えております。

 ゼロプレミアム水準が入札された背景といたしましては、事業者の選定に当たりまして、国民負担に直結をする供給価格を重視した評価基準を採用されているということ、また、国内に、例えば、自動車産業や半導体産業、データセンターといった、洋上風力発電由来のクリーンな電気に対する長期にわたる旺盛な需要があることが挙げられると考えております。

 第二ラウンド公募の結果につきましては、今後、外部有識者で構成をされる経産省、国交省の合同審議会で議論をした上で、総括をしてまいります。その結果を踏まえて、更なる改善点があれば、公募評価に関するガイドライン等を見直していきたいと考えております。

山崎(誠)委員 私は、専門家の書いている雑誌なんかも読みました。決して、そんなに喜んでいい第二ラウンドではないというのが専門家の評価。事業者からも話を聞きました。

 これは、二ラウンドの様子を見ると、事業者はかなり無理をして、将来性が期待されるその分野に、初期の案件をとにかく取りたいということで動いたのではないか、そういう分析があります。ゼロプレミアムで取る、要するに、上限価格の設定が十分じゃないので、それではもう入札にならない、外部の相対契約で、今副大臣からも説明がありました、契約を取るから何とか事業になるなという見通しでゼロプレミアムを出しているんですよね。

 例えば、イギリスの例、これは驚きました。第四回の低価格のルール設定が影響して、第五回のラウンドでは入札者がゼロということで、みんなボイコットしてしまって、結局、第六ラウンドでは洋上風力の上限価格を六六%引き上げたということなんですよ。

 よくこうした事例も見ていただいて、決して第二ラウンドの結果が全て悪いとは言いません、でも改善点があるんじゃないですか、そういうことです。特に今、インフレ下で、非常に事業のコストがかさんで、事業者の皆さんは本当に苦しんでいます。三〇%、四〇%というコストアップの見通しが出て大変苦しんでいます。そういう中で無理無理これを取っていくということについてのリスクが、本当に今、事業者の間では、どう対応していいかということで悩まれていますよ。

 特に、この入札において、価格のエスカレーションの条項ですか、インフレへの対応の条項というのは日本は取っていない。そして、上限価格も、第三ラウンドでは更に引き下げて十八円ということです。

 これは、日本の業界の皆さんにこうしたことというのはちゃんとヒアリングをして、様々要望が出ていると思うんですけれども、そういった要望に基づいた入札のやり方というのを検討する必要があると思うんですけれども、副大臣、いかがですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 第二ラウンドの公募結果につきましては、委員御指摘のとおり、様々な御指摘があるのは承知しておりますが、一方、我々も、関係する事業者の方々、これは落札した方々を含みますが、そうした方々、あるいは有識者、あるいは御指摘のイギリス政府、イギリスでの事業者からのヒアリングを行っておりまして、そうした形でこうした入札を実施してきております。

 第二ラウンドの公募結果で、ゼロプレミアム水準で応札するという事業者の方々は、評価基準は事前に決められておりまして、そこで高い供給価格点を得ることを目指したということだと認識しておりますし、事業者の方々は、これは簡単なことではありませんが、そのゼロプレミアム水準でも採算性が確保できるように、御指摘のとおり、電気の供給先である需要家との間で相対契約を締結するべく合意書を交わしております。

 我々国による審査では、ファイナンスの専門家を含む第三者委員会におきまして全ての合意書を確認しまして、需要家の信用力に加えて、将来の物価高騰による追加資金調達の可能性、あるいは故障による維持管理に係る費用の増加といったリスクへの対応策、それぞれの事業者がきっちり作ってくださっていますので、それについても審査を行っております。

 事業者によるリスクへの対応策の中には、御指摘の物価高騰等の状況も踏まえまして、需要家との間で、柔軟に価格を引き上げるなどの対策を含むものもございまして、将来、物価高騰に直面した場合でも、直ちに事業継続が困難になるものとは考えておりません。

 御指摘のとおり、イギリスでは様々な制度変更を行っておりますので、こうした点につきましては、引き続き、イギリス政府や事業者からもヒアリングを行って、検討していきたいと思います。

山崎(誠)委員 一定のリスクを取れる事業者、これは大規模な事業ですから元々誰もが手を挙げられる事業ではありませんけれども、サプライチェーンというか、事業をやる、非常に限定された方々のプロジェクトになってしまう。それも、今のようなリスクを抱えて今後本当にやれるのかどうかというのが、私は第二ラウンドの評価の一部だと思いますよ。

 それを、いろいろ検討して次に生かすと言うんだけれども、もう第三ラウンドもスタートしています。これは、本当に時間もかかるプロジェクトですけれども、早くいいプロジェクトをどんどん育てていかなきゃいけないステージに来ているので、そうした検討というのはもう早急にやってもらいたい。

 私は、やはり一定のリスクというものを分散して取るようにして、例えば、サプライヤーにいろいろな迷惑がまたかかってきますよ。事業者自体は大手の資本があってできるかもしれない。でも、どうしたってそれはコストダウンしなきゃいけない。それはサプライヤーの、下請というか、様々なところにしわ寄せが行く。これはよくないですよね。

 私は、産業全体を育てる意味でも、こうしたことを回避するための入札制度の見直しというのは絶対必要だと思います。是非これは、日本に洋上風力産業を根づかせるという視点で、どういう対応が必要か、ルールの再構築をお願いしたいと思います。

 これは副大臣、決意をお聞かせください。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 洋上風力発電を始めといたします再生可能エネルギーにつきましては、やはり、国民の負担を抑制するという点、そしてまた、再生可能エネルギーを最大限導入をしていくということが大きな基本方針でありまして、この二つのバランスをいかに取っていくのかということが重要な点であろう、このように考えているところでございます。

 それを踏まえまして、例えば、今お答えをいたしましたように、現在の様々な比較については、審議会、これは国交省と経産省合同の審議会でございますが、こういったところを踏まえて、きちんと公正、適正な形で決めたルールでもございますし、また、今後の様々な状況に関しましては不断の見直しをしていきたい、このように考えております。

山崎(誠)委員 これはやはり、事業者があって、そしてサプライチェーンを支える皆さんがあっての事業ですから、よくよくその辺りは注意を持って対応してもらいたいと思います。

 では、次の話題に行きます。

 案件形成目標の設定についてということで、まず、全体の風力発電の導入目標についてお聞きをしたいと思います。

 二〇四〇年あるいは二〇五〇年、これからエネルギーミックス、いろいろな議論も七次のエネ基で進んでくると思いますけれども、風力発電の導入目標についてお尋ねします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 政府として、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、再生可能エネルギーを最大限導入というふうに考えておりまして、現状、風力発電につきましては、第六次エネルギー基本計画に基づきまして、二〇三〇年度の導入目標を二十三・八ギガワットといたしております。

 現在、総合エネ調におきましてエネルギー基本計画の改定に向けた議論を開始したところでございまして、御指摘の風力についてもしっかりと検討していきたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 洋上風力の目標は、二〇四〇年、三十から四十五ギガワット達成目標ということでございます。このうちの、今回議論になっているEEZにおける浮体式による案件の見通し、可能性、割合はどのぐらいになるか、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた目標値は、二〇二〇年の段階で官民協議会において策定した洋上風力産業ビジョン、そこで設定されております。この目標の達成に向けて、これまでに、再エネ海域利用法等に基づきまして、二〇三〇年目標の約二分の一に当たる五・一ギガワットの案件を創出しております。(山崎(誠)委員「EEZを聞いているんです」と呼ぶ)

 そして、EEZにつきましては、今回まさに御審議いただいているこの法律案ができ上がったところで、具体的に経済産業省及び環境省が調査をした上で区域を決めていきますので、現時点において、これだという目標値はまだ策定しておりません。

山崎(誠)委員 これは是非、見通しを持ってこうした法案の議論もしたいんですよ。今お話ししていますとおり、これは民間が非常に注目をしていて、皆さん御存じのように、洋上風力の投資となれば、本当に幅広くいろいろな投資をしなきゃいけないし、大変お金のかかる分野であります。だけれども、初期投資をすればそれだけ戻ってくるものも大きくて、日本のGXに与える影響、貢献度も非常に高いと思いますよ。ここは、目標をしっかりと立てていただく重要性は再認識をしていただきたいと思うんですよ。

 日本は海に囲まれていてポテンシャルが高い、そういうようなお話もあるんですけれども、でも、今のお話で、どのぐらい発電を実現しようとしているのかというのが見えないと、これは国の意思としてしっかりと示していく必要があるし、そうすることで数千億円という投資もやろうということになるわけですよ。

 私は是非、こうした目標設定を注意深く、かつ、ある意味大胆に市場形成をやっていっていただきたいと思います。欧州では、例えば海洋空間計画ということで海洋の利用が明確に区分がされていて、比較的大胆というんですかね、風力についての区域設定というのが明確にできているから、だからビジネス界も大きく投資をし、事業が進んでいるということだと思います。

 例えば、今、この事業で必要になるSEP船という船、日本はどういう状況にあって、それは今後どういうふうに整備される予定なのか、お尋ねしたいと思うんですけれども、国交省。

西村政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電設備の建設に当たっては、設備の積出しや組立てに用いられるSEP船などの作業船が必要不可欠でございます。

 SEP船につきましては民間投資の動きが活発化しており、現在、国土交通省が把握しているところでは、洋上風力発電設備の整備に用いられる国内企業が所有するSEP船は五隻あり、今後八隻となる予定でございます。

 その一方で、今後の案件形成の状況によってはSEP船の確保が課題となる可能性があることから、官民連携の上で、必要な作業船等の確保に向けた取組を推進してまいります。

山崎(誠)委員 私もお話を聞きましたけれども、設置しようとしている、これから進んでいこうとしている風車の規模に船が合っているか合っていないかが大きな問題だと。今最大のものは、清水建設さんが持っている一隻。結局、その一隻の確保、スケジュールを押さえることが、一つの風力発電、洋上風力の事業の大きな課題になって、そこがボトルネックとなっているというふうにも聞きます。

 やはりSEP船みたいなものを、それも大型のものを建造する、準備しようとすれば当然大きな投資が要りますし、それがうまくいかないと事業は進みません。そういう意味で、今お話ししたような、事業の規模を早く明確にお示しをしていくということが重要なんだと。難しいのは分かります。いろいろな調査をしなきゃいけないのは分かるけれども、それは全力でスピードアップをしていただきたいというふうに思います。

 そういう前提で、募集区域の指定というのが今回始まります。そして、その募集区域に対して仮の許可を与えていくということになるわけでありますけれども、一つ、洋上風力の一番の課題は、漁業者との調整ということになると思います。そういう意味で、今回、EEZ、排他的経済水域にこのエリアを広げていくことによって、漁業に関してはどんな影響があるのか。

 まずは、この排他的経済水域での漁業の実態について、水産庁、来ていただきましたかね、お答えいただければと思います。

魚谷政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国排他的経済水域では、底引き網漁業、まき網漁業、サンマ棒受け網漁業、イカ釣り漁業、マグロはえ縄漁業などの沖合漁業を中心とした様々な漁船漁業が、漁場の形成に応じて我が国周辺の幅広い水域で操業しております。

 我が国EEZを主な漁場としている沖合漁業は、我が国の漁業生産量の約五割を占めており、我が国の水産物の安定供給にとって重要な漁業となっております。

山崎(誠)委員 お聞きをしますと、大臣許可の漁業だとか、あるいは知事の許可の漁業だとか、そういったものが行われているということで、沿岸とはかなり違うスキームで漁業が行われている。お話を聞くと、要は、魚の移動に沿って漁船団を組んで漁業を行っていくような話になるので、非常に面的に広がって漁業をやるというのが沖合の漁業の特徴だろうというふうに思います。うなずいていただいているので、そういうことだと思うんです。

 そう考えていきますと、なかなかこれは調整が難しいと思うんですよ。ある海域、何年かに一回はそこを通るかもしれない、あるいは、魚のいろいろな、今、地球温暖化によって生息域が変わったりすると、ここは大事な漁場になるかもしれない、そんなことを考えながら区域の指定を調整していかなければいけないということになると思います。

 これはどういうふうに調整をする方針なのか、この募集区域の指定に当たっての考え方、お聞きをしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、漁業との共存共栄は洋上風力発電事業の実施に当たりまして大前提であるということを踏まえまして、関係漁業団体に対して丁寧にコミュニケーションを取っていくことは当然のことだと考えております。

 募集区域の指定に向けまして、経済産業大臣は、あらかじめ当該区域に関する調査を行うこととしておりますが、その調査に当たりましては、水産庁を通じて漁業関係の全国団体などに相談し、関係する漁業団体を確認しながら調査を進めていく必要があると考えております。

 その上で、対象となる漁業団体に対しまして調査内容等について御説明するとともに、同団体からの同意を得た上で調査を進めていくこととなります。

 さらに、募集区域の指定のタイミングでは、一つには、漁業に明白な支障が及ぶとは認められないことを区域指定の要件としておりますし、二つには、募集区域の指定に関して公告縦覧に供するとともに、農林水産省を含む関係行政機関の長と協議することを本法案で法定化しておりまして、こうした仕組みを通じて、漁業との共存共栄を大前提に事業を進めていきたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 これは、どこまでこの募集区域の指定の段階で漁業者と調整されるかというのが非常にポイントだと私は思うんですよ。法定協議会が立ち上がった後で実質的ないろいろな協議が始まるということであると、その段階でいろいろな方々が手を挙げて、うちもそこで操業したことはあるし、そこはやめてくれみたいな話になると、収拾がつかなくなると思うんですよ。

 この募集区域の指定の段階でどこまでそうした調整ができるのか、どこまで調整をしようと考えているのか、その線引きを教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案策定に当たって、関係する漁業の団体の方々、事業者の方々ともかなり丁寧なコミュニケーションを行ってきておりまして、そうした観点から、委員御指摘のとおりの懸念もございますので、先ほど御答弁申し上げたようなプロセスで、まず、この募集区域の指定のタイミングでしっかりと漁業の方々とのコミュニケーションを取るという枠組みを法定しております。

 こうしたプロセスの中で、仮に漁業団体の方々などから、今申し上げたプロセスに応じて様々な御懸念が出てきた場合は、それは政府としてしっかりと受け止めて、次のプロセスに進めていく中で考慮していくという段取りとなっております。

山崎(誠)委員 今のお話の中で、枠組みというのは非常に心配です。枠組みだけつくって、あとは法定協議会に投げるというのじゃ話にならないので。枠組みに何が含まれるか、それは是非明確にしていただきたいというふうにも思います。先に行きますので、また後でも補足説明してください。

 漁業者との調整もあるんですけれども、もう一つ気になっているのが、希望海域、事業者が手を挙げたときに、その募集区域内で、例えば複数の事業者が仮の許可を与えられるということがあると思うんですが、その領域がオーバーラップするようなことが起きたときはどういうふうに調整するんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、複数の事業者から重複する区域について仮の地位の付与に係る申請があった場合には、申請した事業者の中で最も長期的、安定的かつ効率的に発電事業を実施できると見込まれる者に対して仮の地位を付与することを処分基準としてこの法案に規定しております。

 この具体的な基準につきましては、更に学識者等の第三者により構成される審議会において議論を深めていただきたいと考えておりますが、現時点におきましては、現行の領海内の制度では、価格に加えまして事業実現の可能性についてしっかりと評価をしていくという形になっておりますので、この制度を踏まえた取組を考えていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 重なったときにどう調整するのかと聞いているんですけれども、じゃ、重なったときは、どちらか一方を今の評価基準で評価をして、一部重なっていても、もう片方のは駄目だというふうに評価するんですね。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案では、重複する場合には最も適切な者というふうに法定いたしておりまして、そういった意味では、重複する海域については一者に対して仮の地位を付与するということを想定しております。

山崎(誠)委員 ということは、残りの部分だけ事業者はやりなさいということで、区域の募集のやり方をその事業者は変えなきゃいけないということですかね。今うなずいていただいたので、まあ、そういうことなのかもしれません。

 これは、私はいろいろな調整があると思いますよ。A社、B社、どういうふうに領域がかぶるか分からない、それはある種取り合いになってくるでしょう。そういったときに、私は、調整にはガイドラインのようなものがしっかりあって、やはり、評価をするのは法律でも決まっているので、もちろん評価はするんでしょうけれども、例えば、領域が重ならないで、別々な事業者がそれぞれ事業を取ることは当然あるわけですよね、一定のその基準に達していれば。そうなったときに、重なったからその領域については事業が片方に一方的に割り振られるというのはどうかなというふうにも思います。ここは、調整の方法というのは是非検討いただきたいと思います。

 次の法定協議会の件なんですけれども、ここで、国の役割、経産大臣だとか、国交大臣あるいは農水大臣というのが名前としては出てくるんですけれども、どういう役割を担うのか、どういう調整の役割、責任を担うのか、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の法定協議会でございますが、本法案におきまして、国が法定協議会を組織するということを規定しておりまして、国は、法定協議会の主催者として、仮の地位を付与した事業者に、例えば漁業者を始めとする関係者との調整を任せるのではなくて、中立的な立場から必要な調整を主導していくということを考えてございます。

山崎(誠)委員 これは、やはり難しい調整がここで行われるということだと思います。先ほども、募集区域の中での調整というのは、細かな漁業者との調整には私はならないのではないかと。ここでの調整が極めて大事だということだと思うんです。

 ここで御指摘したいのは、じゃ、経産省はその体制はできていますかということです。風力政策室の職員というのは何人いますか。

井上政府参考人 風力室でございますけれども、現在、合計十三名の職員が所属しております。

山崎(誠)委員 これから、EEZにも広がり、今までやっている沿岸の事業も広がり、皆さん、もう本当に必死にやっていただいているのは分かっています。だけれども、この体制では、今答弁があったような、国が主導してこういったプロジェクトの協議会をコントロールすることなんかできないですよ。どう考えても無理だと思います。だって、一人しかいない、二人しかいないで、どうやってこの協議会の進行、取りまとめを国が責任を持ってやるんですか。

 事業者が心配しているのは、結局、この法定協議会の事業者の皆さんの責任が重くて、取りまとめに自分たちが取り組まなきゃいけない、でも、うまく調整できるかどうか分からないと不安なんですよ。

 これは是非、副大臣にお越しいただいているから、この現状は、私はすごく問題だと思います。事業がこれからどんどんどんどん増えていく、十、二十動くときに、十三人じゃとてもやっていけないですよ。専門家も育てないと、合意形成のプロフェッショナル、この風力発電についての知見を持った方が対応しないと、とてもとても無理です。

 そういった意味での、この組織の強化に全力を挙げて、五十人、百人体制が必要だと思いますよ。副大臣、いかがですか。

岩田副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、本改正法案が可決をし、施行されますと、この洋上風力の実施海域がEEZへと拡大することになります。これによりまして、例えば、風況や海底地盤等の調査や、法定協議会への対応、そしてまた、仮の地位の付与や、また許可の業務など、こういったものが追加をされて、国が果たすべき役割も拡大をしてまいるところでございます。

 こうした役割をしっかりと果たしていくために、経産省といたしましても、外部人材の活用に加えて、関係省庁や、また風況、海底地盤等の調査を担うJOGMECとの連携強化なども視野に入れて、推進体制の強化について不断に検討してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 時間がなくなってしまいましたので、たくさん質問を環境省にもしたかったんですけれども、済みません、次回にさせていただきます。

 最後の一つは、EEZではない沖合海域の案件形成というのが、これも私は非常に重要な視点だと思うんです。領海内ですけれどもEEZに接する沖合、こういった領域のプロジェクトというのをどういうふうに進めていくのか。この辺りの考え方はまとまっていますでしょうか、どうでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、洋上風力の案件形成目標の達成に向けましては、その海域が領海内かEEZかにかかわらず、風力の適地への案件形成をしっかり進めていくことが重要だと考えてございます。

 このため、本法案が成立した後には、領海内とEEZの案件形成を並行して進めていくという形になっており、EEZにつきましてはこの法案に基づいて進めていきますし、領海内につきましては、既に仕上がっている制度がございますので、この制度をしっかり活用しながら合意形成を図って、案件形成を進めていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 再エネ海域利用法は、基本的に自治体から手挙げじゃなかったでしょうかね。そうなると、本当に、沖合というのは、そういう意味だと、自治体の領域よりももっと、国や、上位の影響の方が大きいと思うんですよ。

 だから、この領域というのは非常にグレーの領域なので、すっぱりと分けて、その対応の法律も全然違うというのは、私は不合理があると思います。ここは是非、幅広で柔軟な対応、事業者が事業をしやすい環境づくりに是非取り組んでいただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございます。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 再エネ海域利用法について質問をいたします。

 海の憲法とも呼ばれる国連海洋法条約は、海洋生物資源の保存並びに海洋環境の研究、保護及び保全の促進を目標に掲げ、いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有すると宣言をしております。領海か排他的経済水域かを問わず、海洋環境を保護することが国家の義務であることを確認したものであります。

 そこでお尋ねしますが、従来の事業者の環境アセスと、今回の法改正に伴う環境省によるアセスの一部の肩代わりとの違いは何なのか。環境省が調査方法書を作成し現地調査を行うということですが、環境保全の観点から、これまでと比べてどのような改善が図られるのか、この点についてお答えください。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきまして、洋上風力発電事業に係る区域の指定に当たって、海洋環境の保全の観点から、環境大臣が調査等を行うとともに、事業者が行う環境影響評価法に基づく手続のうち、これに相当するものを適用除外とすることとしております。

 洋上風力発電による環境影響は風車の立地場所によるところが大きいということで、国が区域を指定する際に適切に環境に配慮した場所を選定することが重要である、このことから、事前の環境調査規定を設けることによりましてこれが可能となるということでございます。

塩川委員 洋上風力発電の導入が進んでいるオランダ、デンマークでは、海域選定プロセスや環境アセスにおいて国が主体的な役割を果たす仕組みとなっていると聞いておりますが、どのような仕組みなのかについて説明をしてください。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電の実績が多いデンマークそれからオランダでは、初期段階から政府が主導的に関与する、いわゆるセントラル方式が導入されております。政府によって、事業実施区域の選定や、区域選定に当たっての主な環境影響の評価が行われていると承知をしております。

 本法案においては、こうした諸外国の状況も参考に、区域指定前に国が海洋環境調査を実施するということとしております。

塩川委員 欧州諸国も、国が調査を行う仕組みをつくり、知見を蓄積してきたということですので、日本においても、そういった知見の蓄積を国が行うということで、蓄積をしていく、そのことが可能となるということでよろしいですか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 環境省自らが調査を行っていくということで、国外の例を倣いながらということで、事業での環境影響に係る知見を集積していくということによって、その知見を活用し、事業全体における環境負荷の低減、あるいは今後の事業に係る地域の理解の促進を図っていく、そういうことに活用できるというふうに考えてございます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

塩川委員 洋上風力発電環境アセス技術ガイドに対するパブコメへの回答を見ますと、環境への影響について、海底の送電ケーブルにより生じる電磁界の影響ですとか、コウモリ、鳥類、魚類その他遊泳動物への影響、個体群に対する累積的影響及び広域的影響について、科学的知見が少ないことから、引き続き知見の収集に取り組むとしております。

 これまでの科学的知見がない中で、環境省は、洋上風力発電による環境への影響を調査、把握をし、環境を保全する役割というのを果たしていけるのか、この点についてお答えください。

堀上政府参考人 委員御指摘のとおり、洋上風力発電につきまして、科学的知見が乏しいというところはございます。これは、陸上風力発電事業に比べて稼働実績が少ないということなどで、現時点では、実際の環境影響に係る科学的知見が十分には蓄積されていないという状況にございます。区域の指定に際して環境省が行う調査等を通じて、この知見の集積を図ることが重要と考えてございます。

 その上で、国と事業者の適切な役割分担の下に行う運転開始後のモニタリングにおきまして、実際の環境影響に関する情報を収集し、後続のその他の事業における環境影響の適切な予測、評価、あるいは効果的な環境配慮の確保につなげてまいりたいと考えてございます。

 なお、モニタリングの結果、仮に重大な環境影響が確認された場合には、事業者において追加的な環境保全措置を検討することが必要ということで考えております。

 このような取組を通じて、洋上風力発電事業に係る環境配慮を確保してまいりたいと考えてございます。

塩川委員 モニタリングの話も出ました。モニタリングの結果において問題があれば、追加的な措置を求めていくということであります。

 生物多様性国家戦略では、施策の実施に当たっては、長期的な視点に立ち、生物多様性が持つ複雑性、不確実性等を踏まえ、科学的な知識と予防的、順応的な取組が重要としております。この内容がどのような内容なのかについて御説明ください。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 生物多様性国家戦略におきまして、どのような内容で書かれているかということでございます。

 これにつきましては、科学的な認識と予防的、順応的な取組というのを、戦略の実施に向けた基本的な考え方の一つとして国家戦略の中で位置づけてございます。

 この国家戦略の中において、予防的な取組につきましては、不確実性を伴うことをもって対策等を先送りするのではなく、科学的知見の充実に努めつつ、予防的な対策を講じるという考え方を記載をしております。

 また、順応的な取組につきましては、新たに集積した科学的知見や、施策の実施状況のモニタリング結果に基づいて、必要な施策の追加、変更や施策の中止等の見直しを継続して行っていくという考え方、これを記載しているというところでございます。

塩川委員 予防的な取組方法また順応的な取組方法、この点についてが指摘をされているということであります。

 パブコメへの政府の回答では、モニタリング等を通じて知見を収集していくと述べているわけですが、先ほど述べたような考え方、取組方法に基づいて、パブコメで指摘があった多様な生物への影響について、モニタリングを実施していくことになるんでしょうか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、環境影響評価におきましては、モニタリングにつきましては、環境影響評価の結果、その事業がどのようになっていくのか、そこをモニタリングするということですので、予測、評価の中で実際に評価している内容についてモニタリングをする、その中には生物のことについても含まれていくというふうに考えてございます。

塩川委員 具体的なモニタリングの対象ですとか、そういったことについての考え方などはあるんでしょうか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力は、知見がこれまで余りないということを申し上げました。そういう意味で、今後、モニタリングの内容については、環境省が、海外の先行事例を含めた最新の科学的知見を収集しながら、関係省庁と共同してガイドラインを作成することとしております。これに沿った形でモニタリングを実施していくということにしております。

塩川委員 その際に、どのような生物種を対象、念頭としているのかについて示してもらえますか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 一般的なことになりますけれども、特に領海については、渡り鳥あるいは海鳥について、洋上では特に重要な種類となると思います。また、海生生物の中にも貴重な種類というものもございます。そういったものを調査、評価する中で、モニタリングが必要なものが出てくるということでございます。

 また、EEZにおきましても、特に鳥、渡り鳥あるいは海鳥というものが重要な種類になっていきますので、そこについては、調査、予測、評価の中で出てきたことについてまたモニタリングをしていくということになろうかと思います。

塩川委員 EEZなどにおいても、渡り鳥、海鳥、鳥類だけではなくて、海洋生物もやはり視野に入れてということが求められると思うんですが、その点はどうでしょうか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

堀上政府参考人 先ほど来お話をしておりますけれども、EEZにおきましては、まだ知見が十分でないということでございます。この辺り、海外の知見も収集しながらになりますけれども、特に今懸念されておりますのは海鳥、渡り鳥ということでありまして、海生生物の中で特に重要な種類がいるかどうか、今後の情報収集の中で整理をしていくことになるかと思います。

塩川委員 知見がないというEEZにおける募集区域においては環境省が文献調査を行うということですけれども、こういった知見がないものについては、文献調査にとどまらず、新たな調査も行うということでよろしいんでしょうか。

堀上政府参考人 特に海鳥について懸念をしているところでございますが、知見がない中でどうしていくかということでございます。

 これにつきましては、今年度、予算事業において、レーダーによる鳥類調査の技術的手法の実証等を行っていくということにしております。そういった中で知見を収集して、今後に活用していきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 レーダーによる鳥類調査の話がありましたが、環境省の予算事業は、環境調査の実施として挙げられているのは、航空機を用いた海域調査やレーダーによる鳥類調査などに限られており、予算額も約七億円の内数ということでは余りにも少な過ぎるのではないのかと思いますが、そうは思いませんか。

堀上政府参考人 今年度の予算ということで、今委員御指摘のとおりでございます。

 本法案が成立し施行された際には、環境省が、海洋環境保全の観点から、さらに、鳥類のほかも含めて幅広い項目について調査を実施することになりますけれども、実際に調査を行う対象海域の特性に応じて適切な調査手法を検討の上、それに必要な体制、予算をしっかり確保できるように努めていきたいと考えてございます。

塩川委員 必要な体制、予算の確保に努めていただきたいということです。

 EEZの募集区域の検討に当たっては、経産省が区域候補の検討を行う段階から環境省が関与する仕組みとすべきではないかと考えますが、その点はどうでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきまして、募集区域を指定しようとするとき、候補海域におきまして、経産大臣は風況や海底地盤等に関する調査を行いますが、環境大臣が海洋環境に関する調査を行うこととしておりまして、環境省が当初から関与する仕組みを法定化しております。

 この中で、洋上風力の案件形成を迅速に進めていくためには、両省の連携の下で、それぞれの調査を円滑に行うことが重要となります。

 このため、募集区域の候補について検討する段階から密に情報交換を行うなど、引き続き、環境省を始めとする関係省庁と密接に連携してまいりたいと考えてございます。

塩川委員 そうしますと、環境省の環境保全の調査を踏まえて、経産省の事業可能性調査に基づく区域指定を変更するというのはあり得るということでよろしいですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 そうした可能性も排除されないと考えております。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 自民党の秋本真利衆議院議員の贈収賄事件もあったように、洋上風力発電は投資の規模も大きい、企業の利益追求が前面に出て、開発が優先をされ、環境保全が軽視される懸念もあります。環境や生物多様性への影響がある場合には、科学的な認識と予防的、順応的な取組の考え方に基づき、事業を見直すということでよろしいでしょうか。

松村国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、環境省が事前に海洋環境調査を実施することによりまして、あらかじめ適切な環境配慮をした上で促進区域等を指定することといたしております。

 また、事業者におきましても、環境影響評価法に基づきまして、具体的な事業計画について環境影響評価を行い、それに対して環境大臣も必要な意見を述べることで、最大限予防的な対策を講じていくこととしておるところでございます。

 その上で、洋上風力発電事業におきましては、環境影響に関する知見が御指摘のように十分集積されているとは言えないため、実際の環境影響をモニタリングをいたしまして、重大な環境影響が判明した場合においては、事業者が、順応的な取組の考え方に基づきまして、追加的な環境保全措置を検討することが重要であると思っております。

 これらの取組を通じまして、洋上風力発電事業の環境影響に関する知見を集積するとともに、事業における適正な環境配慮を確保してまいりたいと考えております。

塩川委員 是非、順応的な取組ということで、追加的な措置を行っていく、環境保全のために万全を期すという取組につながるような対応を求めるものであります。

 募集区域に係る、協議会に参加をする漁業関係者の範囲はどのように決めるんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 法定協議会の構成員となる具体的な漁業関係団体等につきましては、当該協議会の設置前までに、水産庁への確認を踏まえて、しっかりと特定していきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 水産庁と相談しながらということです。

 全国組織の漁業関係団体にお話をお聞きしたところ、区域指定や事業計画について、関係する都道府県に対する情報提供を徹底してほしい、EEZ内では幅広い都道府県から漁師が来て漁を行っている、例えば千葉沖の海であっても青森から漁に来るなどということがある、沖合での漁は大臣許可となっているので、関係する県の範囲については水産庁が把握しているはずということでした。

 このような関係する都道府県に対する情報提供はどのように行っていくんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 漁業との共生は大前提だと考えておりまして、経産大臣が募集区域の指定に向けてあらかじめ区域の状況を調査する、その調査に際しては、水産庁を通じまして、関係する都道府県の水産部局でありますとか漁業関係の全国団体にもアプローチし相談しつつ進めていくということとしておりまして、こうしたプロセスなどを通じて必要な情報を的確に提供していきたいというふうに考えております。

塩川委員 最後に、大臣にお尋ねいたします。

 現行法に基づく促進区域での洋上風力は、海岸のすぐ近くに計画される事例が多いわけであります。こうした計画に対して、北海道や東北地方を始め各地で、地域住民の方から、健康被害や景観問題などを引き起こすとして反対運動も起きております。

 現行法では、促進区域の指定に関する合意形成の場である法定協議会に住民の参加が保障されておらず、地域住民の合意がないままに計画が進められている実態があります。例えば、署名運動を行う団体の代表の方から意見を聞くとか、署名の内容について協議会で議論をするといった、住民の声を反映をする、そういった改善策を図るべきではないのかと考えますが、大臣、お答えください。

松村国務大臣 現行法におきましては、法定協議会の構成員といたしまして都道府県知事及び市町村長が規定をされておりまして、それぞれ、地域を代表して協議会において御発言いただいているものと承知をいたしております。また、その際、地域の中でどのように意見集約を行うかは、地方自治体の観点から、自治体の運営に委ねられていると考えております。

 その上で、地域代表である知事及び市町村長の意見も含めまして、協議会で協議が調った事項につきましては、協議会意見取りまとめという文書を作成をいたしまして、公募に参加する事業者はこの内容を踏まえた事業計画を作成することが求められているところでございます。

 また、地域によりましては、法定協議会のみならず、自治体が任意の検討会等を開催をしていただきまして、地域住民の方々の御意見をしっかりとお聞きし、拾い上げ、その御意見を踏まえまして協議会において発言することで、地域住民の意見を取りまとめに反映させている例もございます。例えば、秋田市におきましては秋田市の方が主催をしていただいておりますし、山形県においては山形県が主催をなさいまして、研究・検討会議、こうしたものが開かれております。

 こうした例も参考にいたしまして、各自治体と緊密に連携しつつ、協議会の進め方について改善を図ってまいりたいと考えております。

塩川委員 制度的に地域住民の声がきちっと反映される仕組みが担保されていない、自治体独自でやっていますけれども、それの様々な問題点も指摘をされているところでありますので、地域住民の声をしっかりと反映をする、そういった計画、運営の在り方を整えていく、このことを強く求めて、質問を終わります。

星野委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸でございます。

 本日は、内閣委員会で質疑の時間をいただきました。委員長そして理事の皆様、委員の皆様に感謝申し上げながら、本日は、洋上風力発電の利用可能な海域をEEZ、排他的経済水域に広げていくということを含む法整備ということでございますので、私自身、今北海道で活動させていただいている身として、地域としても非常に関心を高く持たせていただいていることで、今日は質疑に立たせていただきたいと思っております。

 排他的経済水域まで洋上風力の設置が可能になると、理論上は、利用可能な海域は十倍にもなるんじゃないかと言われています。今日は皆様のお手元に、NEDOが発表している資料も今お渡ししておりますけれども、日本の周辺の風況のマップになりますが、これは、風速、オレンジが八メートル以上、赤が八・五以上ということです。ピンク、薄いピンクになってくると九、十というふうに平均風速が上がってくると言われていますけれども、洋上風力はいわゆる風速の三乗の効率ということで、風速が二倍になれば八倍の電源を生むという、そうした風速による電源にもなります。

 お配りしている資料によっても、北海道の特に南側、太平洋側、一番飛び出している部分は襟裳岬で、風が非常に強いことでもよく知られています。こちらは、陸上の風力も設置、もちろん住民の方との合意形成の下で進められているわけでありますけれども、海に出ましても、風速が九メートル、十メートルということが非常に近いエリアですし、その東西に、日高はもちろんですが、胆振地域、そして十勝地域も含めて、そうした場所が大きく広がっているというマップであります。私の立場からすれば、全国で最も有望な地域の一つじゃないかということを強く感じるわけであります。

 これまで、洋上風力の法に基づく場所の選定は、沿岸の自治体の基本的な推薦といいますか、そうしたことに基づいて場所を決定していくわけでありますけれども、排他的経済水域、EEZも設置していくということになりますと、政府が直接、自然条件、様々な環境を加味して、場所を調査して、最終的に選定していくということになろうかと思っております。

 今日は、資源エネルギー庁から井上部長もお越しいただいております。

 まず伺いたいんですけれども、地図も今お配りさせていただいておりますけれども、排他的経済水域の洋上風力の設置、北海道、私はすごく期待できるんじゃないかということをお伝えしましたけれども、政府の御見解をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案が成立した暁には、委員御指摘のとおり、募集区域を、経産大臣や環境大臣の調査を踏まえて、関係省庁協議の上で指定していくというプロセスが進んでまいります。

 現時点では、EEZにおける海底地盤等の調査をまだ実施しておりませんので、その段階での見解ということになってしまいます。

 一方で、北海道沖の領海内につきましては、これまで、再エネ海域法に基づく五つの有望区域に加えまして、二つの準備区域も存在しております。また、石狩湾新港における洋上風力発電については既に運転を開始しているなど、風況の優れた海域が多く存在する海域として北海道を認識しているところでございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 このマップからも明らかでありますし、今の答弁でも、おっしゃっていただきましたけれども、風況においては非常に有望じゃないかという場所であるというお話をいただきました。

 今、調査はこれからしっかり海底の中もしていくという話でありますけれども、政府目標は、二〇四〇年に三千万から四千五百万キロワットの電力量に相当する建設の着手に入るということになっております。大型の発電所が百五十万とか、そういうことに換算すれば二十基、三十基にも相当する規模ですから、相当な大きさになるわけであります。

 それは、EEZも含めて建設に着手していかなければ実現していかないということになれば、逆算すれば、二〇三〇年前後には海域を決めてやっていかないことには進んでいかないんじゃないかと思っております。今、二〇二四年でありますから、今回、法整備されて、これから調査する場所もたくさんあるんだと思いますけれども、非常に大きな可能性を秘めていますので、やはり、きちんとした調査をしっかり迅速に的確に進めていただきたいということを思うわけであります。

 他方で、もう一個伺いたいのでありますけれども、北海道の周辺は、EEZということも含めて、多くの漁業者の皆様がいらっしゃるわけであります。太平洋側においても、今申し上げました胆振、日高という場所があって、そうした漁業者に十分な配慮をなされながら進んでいかなきゃいけないということを思っております。特に、北海道は、今、気候の変更、海域の変化で、過去にない赤潮があったり、あるいは、襟裳であれば、アザラシという、多くの人が、観光地のスポットとしてはすごく期待もあるんですけれども、他方で、網の中にある魚を全て食べてしまったりとか多くの被害があって、自然と大きく闘いながら漁業をされておられる皆様がたくさんいるという状況でもありますけれども、漁業者への配慮、対応についても御答弁いただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電は、長期にわたって実施していく事業でございますから、御指摘のとおり、漁業者を始めとする関係者との共存共栄は不可欠だと考えております。

 現行法に基づきます領海内における洋上風力事業でも、漁業者を中心とする関係者の方々に法定協議会に参加いただき、将来選定される発電事業者が遵守すべき注意事項であるとか漁業振興策などについて議論し、整理しております。こうした取組のほかにも、経産省の職員が自治体職員とともに、関係漁業組合を訪問するなどして、直接お話を伺うといった取組を進めております。

 排他的経済水域で洋上風力を実施する場合も、こうした漁業との共存共栄をしっかりと図っていくべく、水産庁とも緊密に連携しながら、丁寧に進めていきたいと考えております。

山岡委員 今、丁寧にというお話がありました。世界的な脱炭素の潮流の中で、日本においては洋上風力は極めて重要なツールといいますか、洋上風力なしにはそうしたことに対応していかないと思いますけれども、しかし、当然、進めていくためには、生業としてこれまで漁業を営まれておられる方々に配慮なしには進むことはあり得ないと思っておりますので、この点は私も、また委員会の質疑を含めて、今後の様々な進捗を見て、いろいろ気づくことを指摘していきたいと思っております。

 その上で、今、北海道は洋上風力の産業についても様々努力をしようと進んでおりますので、そのことについても質疑をさせていただきたいと思います。

 皆様にお配りした地図、一番南でとがっている部分が襟裳なんですけれども、そこの西側にある、もう一つとがっている部分が北海道室蘭市という場所があるエリアなんです。この町は、鉄の町とも呼ばれていますけれども、天然の良港といいまして、昔から、港の環境が非常にいいということで、重い船も、鉄鋼船とかも入れる、そうした深さがあることから、本当に、物づくりの産業とともに港が誕生してきた。もちろん漁業者の方もいられますので、物づくりの産業と漁業の方と共生しながら発展してきた、そうした地域でもあるわけであります。

 時代の物づくりの変化の中で、地方都市でもありますから、いろいろな努力の中で、洋上風力が世界的にも必要となるということになれば、やはり、これは地方都市といえども、今までの物づくり産業の力を生かして取り組んでいきたいということで、この間、ずっとそうした様々な取組をしているところであります。

 室蘭港では、民間事業者と連携して、EEZで最も期待される、いわゆる浮体式の洋上風力の技術開発、着床式は、本土に近いところであれば、地面に直接、海底につける、そうした洋上風力ですが、もうちょっと離れると浮体式ということで、浮かした上に洋上風力をつけるというこの技術、日本の造船技術等も応用しながら、これは日本がかなり技術でもリードできる可能性があるんだろうということを思っております。

 この浮体式の洋上風力も、鉄鋼のみならず、どこでも手に入るコンクリートを使った、もっと生産が進むような形での洋上風力の基盤がつくれないかという研究もこの室蘭港で進められていますし、洋上風力の建設に欠かせない世界最大級の自航船のSEP船ですが、室蘭港は母港として利用するんだという協定も結ばれていまして、また、地域の中では、これも別の民間企業でありますけれども、洋上風力等の橋梁や鉄鋼、部材という様々整備に必要な資材を生産する工場も進めているということで、本当に多くの産業を集積しています。

 今日、国交省さんにもお越しいただいていますので、これは政府にも見解を伺いたいんですけれども、洋上風力において、室蘭港の役割、どんな期待が持てるか、御答弁いただきたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 室蘭港には、委員御指摘の、コンクリートを活用した浮体式洋上風力基盤の開発拠点や、洋上風力関連部材の製作工場が立地しているなど、洋上風力発電関連企業が多数進出していると承知しております。また、室蘭港は、洋上風力発電設備の施工に用いるSEP船の母港ともなってございます。このほかにも、室蘭港には、鉄鋼産業、エネルギー産業、機械製造業、建設業など多様な産業が集積しているといった特徴があると認識してございます。

 国土交通省といたしましては、室蘭港が、その特性を生かし、EEZへ洋上風力が拡大するタイミングを捉えて、洋上風力関連産業を始めとする地域経済の発展に貢献することを期待しております。

山岡委員 国交省からも、今、時代の潮流の中で、洋上風力への期待も述べていただきました。

 大臣にお伺いしたいと思います。

 大臣も全国様々な事例を御存じのことだと思っておりますけれども、地方都市は今本当に厳しい中でも、多くの世界の流れの中で自分たちの役割を見つけようと頑張っているというところでありまして、室蘭は、そうした中で、先ほど申し上げました北海道の周辺が、特に南側が洋上風力、風力の適地であるということも含めて、本当に大きな努力を、リスクもしょいながらといいますか、先々、なかなか変化が激しい世界ではありますけれども、その中で取組をしております。

 そうした地方の取組、特に室蘭の部分に大臣も是非御関心を寄せていただいて、そしていろいろな形で御支援も賜りたいというのが私の気持ちでもありますけれども、大臣、御見解をいただければと思います。

松村国務大臣 今、国交省の答弁も含めまして、室蘭のポテンシャルの高さを改めて感じているところでもあります。

 今回の洋上風力発電のEEZ拡大を契機といたしまして、御指摘のように、室蘭港のような地域経済に根差した取組を進めていくことは重要であると考えておりますし、その要素を室蘭はお持ちなのかなと改めて思っております。今回、発電設備であるとか部品等の地場産業への波及により、地元経済の活性化や雇用の創出、こういったものに貢献できるものだと考えておりますし、大いに期待をしているところでもございます。

 引き続き、導入の拡大と併せて、地場産業、雇用拡大の好循環が図られるよう、こうした取組をしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。大臣から大変心強くお話をいただきました。

 本当に、この中で、雇用も含めて人の確保も大変な課題でありますけれども、それも大臣も御存じのとおりでありますけれども、しかし、本当に世界の潮流の中で未来を見据えてやっていく、そういう地域でもありますので、様々な地域が地域の特性を生かして取組をされていると思いますけれども、こうした産業の方も、是非、また、いろいろな発展を進めていくために私も議論していきたいと思いますので、様々アドバイスをいただければと思っております。

 国内調達率という言葉がございますが、いわゆる洋上風力も、できるだけ国内の生産拠点からいろいろ部品を造っていこうという産業界の目標としては、金額ベースで六〇%以上、部品の調達をやっていこうという取組もございます。

 洋上で安定的な稼働をしていく、トラブルがあったときに即応性が高く、部品の調達もするには、近いところからの調達が必要になってくるんだろうと思っております。そうしますと、国内というのが非常に重要だということであります。

 北海道の日本海側でありますけれども、この間、石狩港という、港湾の中の洋上風力でありますけれども、そうした場所がありまして、そこは私も視察をさせていただきましたが、一月一日から始まっている洋上風力のこの場所も、六〇%、既に達成しているんだというお話でございました。

 そうしますと、産業界目標は六〇%ということなんですけれども、六〇%と言わずにといいますか、これは資源エネルギー庁の井上部長にまた伺いますが、やはり更に高いレベルの国内調達率も目指していくべきだということを思いますけれども、今、お考えを伺えますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、国内に洋上風力に関連するサプライチェーンを構築していくということは、電力の安定供給に貢献するだけではなくて、我が国の産業競争力強化あるいは地域経済への波及といった観点からも極めて重要だと考えております。

 このため、経産省としても、現行の領海内のプロジェクトでは、事業者の策定するサプライチェーン形成計画、これを重点的に評価していますし、国内におけるサプライチェーン形成に向けまして、今年度から、GXサプライチェーン構築支援事業、五百四十八億円を措置しております。

 こうした取組をしっかりと活用しながら、国内でのサプライチェーンの形成というものを構築し、六〇%という目標にとらわれることなく、しっかりと進めていきたいと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 一〇〇%というのはなかなか簡単ではないといいますか、現実的ではないのかもしれませんけれども、できるだけ、電源の安定的な運用という意味でいえば、近いところからの部品の調達、メンテナンスの対応を含めて、そうした視点から是非進めていただきたいと思っております。

 今、国内のソーラーパネルにおいては、既に海外の製品に競争力が、もう勝てないといいますか、そうした状況になっているという中で、今後、新たに出てくるペロブスカイトという新しい太陽電池、こういう在り方については、これは実は、北海道の苫小牧という場所でまた実証実験も行っていただいているところでありますけれども、これは日本の技術として非常に有望でありますし、世界にやはりこれを輸出していくということも可能なんじゃないかということを思っております。

 今日は洋上風力に関する質問なので、再び伺いますけれども、今、調達率六〇%にとらわれずということもありましたけれども、本来であれば、やはり、産業として育成して海外の中の洋上風力でも使われていく、つまり日本の技術力が輸出されていく、そこを目指さなきゃいけないということを思いますけれども、そこの点について資源エネルギー庁としてどうお考えか、今、伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のペロブスカイトも、国際展開をしっかりとにらんでということだと思いますし、この浮体式洋上風力も同様にと考えております。

 日本と類似の気象あるいは海象条件を有するアジア等への展開は有益だと考えておりまして、まず、グリーンイノベーション基金で、先行する欧州でもいまだ運転実績がない大型風車と浮体との一体システム、これを低コストに量産化する技術の開発、大規模実証を進めていくことといたしております。

 また、この三月には、日本の発電事業者十四社で、浮体式洋上風力技術研究組合、FLOWRAというものを設立されました。アカデミアと連携しながら、発電システム等の調査、研究開発、規格、標準化を進めていくこととしておりまして、我々政府としてもしっかりと後押ししていきたいと思います。

 こうした取組は実は海外からも注目されておりまして、先月の日米首脳共同声明におきましても、アメリカ政府から、是非、日本と浮体式洋上風力で連携していきたいという強いラブコールを受けているところでございます。

 こうした点も踏まえながら、我が国の洋上風力産業の国際競争力を強化、国際展開を図っていきたいと考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 今、資源エネルギー庁の井上部長からも本当に心強く御答弁いただきましたけれども、私としては、この室蘭という場所が、もちろん近い場所であるということもあって、洋上風力に力も入れ、産業も集積してということでありますけれども、その技術がやはり地方都市から世界への輸出につながっていく、部材の輸出につながっていくということが、本当の意味での経済政策としての洋上風力の意義だと思っております。

 今日は今時間が来てしまったので、大臣にもまた機会を持っていろいろ質疑もしたいと思っておりますが、洋上風力は、今、FIT、FIPという、いわゆる国民負担による再エネの推進によらない、国民負担をしない形での広がりもあるぐらい、いろいろな企業から引き合いがあるということも言われている、本当に可能性が大変大きい分野だと思っておりますので、機会を見てまたこの点も伺いたいと思っております。

 大変短い時間ではありましたけれども、今、非常に多くの御答弁をいただいて、感謝申し上げながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会そして教育無償化を実現する会の会派を代表して、本日質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 私たち、この内閣委員会で、本当に何度も何度も、一般質疑でもそうですし、今回でいえばセキュリティークリアランスということで、かなり経済安全保障の議論を、私、当選してからこの内閣委員会で非常にずっとやらせていただいてきました。

 今回、洋上の風力発電というものが非常に重要なものだというふうには重々承知しているんですけれども、経済安全保障の観点からどのような状態にあるのかなということを少し質問させていただきたいなというふうに思っています。

 そもそも、海洋資源の開発、海の方とか、海上開発ビジネスというものが、経済安全保障上、非常に重要だと私自身は考えているんですが、大臣の御所見をまずお願いいたします。

松村国務大臣 まず、広大な管轄海域を有する我が国にとりましては、海洋資源の開発でありますとか、また海上開発ビジネスの推進は、他国に過度に依存せず、我が国の経済社会活動を維持強化していく観点から、経済安全保障上、大変重要であると考えております。

 このため、本年四月に決定をいたしました海洋開発等重点戦略におきまして、安全保障・経済安全保障を強化する分野、あるいは、市場の飛躍的な成長が期待される分野、脱炭素等の社会課題の解決に資する分野、こうした分野を対象に重要ミッションを定めたところでもございます。

 洋上風力につきましては、脱炭素に資するのみならず、我が国で生産可能なエネルギー源でもございますし、経済安全保障上も重要でございます。この両面から、洋上風力発電のEEZ展開を重点戦略の重要ミッションの一つとして位置づけているところでもございます。

 私といたしましても、経済安全保障上の面でも重要な施策として認識をしておりますし、洋上風力発電のEEZ展開にしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、ウクライナの状態、ウクライナとロシアのことによって、私たちはエネルギーが、資源がないということに対して非常に危機感を身近に覚えた、そこから議論がスタート、加速化した部分もあるのかなというふうに私自身は思っています。だから、エネルギーの自給率を上げていくという非常に重要な政策であるというふうに認識をしているところでございます。

 エネルギーの自給率を上げる、つまり、できるだけ国産化する、若しくは同盟国、同志国の皆さんとの関係性の中でやっていくというのが経済安全保障の考え方のベースにあるというふうに理解をしているんですけれども、そもそも、この前にありました現行の制度であります、今の領海でやられている法律の中で、選定業者を決めていくための基準というものがあると思うんですが、「当該公募占用計画を提出した者が不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」というふうに規定をされているかというふうに思うんですけれども、ここは結構大事かなと思っているんです。

 これについて、国交省さん、お願いいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 「当該公募占用計画を提出した者が不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」という基準につきましては、具体的には、事業者を公募する際の公募占用指針におきまして、公募参加資格の欠格事由として、例えば、再エネ海域利用法などの規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から二年を経過しない者、あるいは国土交通省などから指名停止措置を受けている者、あるいは暴力団又は暴力団員が実質的に経営に関与していると認められる者といったことなどを示しておりまして、これらに該当しないか審査を行っているものでございます。

堀場委員 ごめんなさい、その際に、運用の中ででもいいんですけれども、誰がどんなような状態なのか、例えばその会社自体に海外の資本が入っているとか、そういったことはお調べになられているんですか。

西村政府参考人 海外資本要件とかはございませんので。

堀場委員 ありがとうございます。

 では、今度、経済安全保障の議論の中でも結構私自身がやらせていただいていました、サプライチェーンの調査についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 サプライチェーンの調査というのは末端までしっかり確認できる体制が構築できているのかどうか、教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現状、再エネ海域利用法に基づき発電事業者を選定する際は、事業者の策定するサプライチェーン形成計画について重点的に評価しております。具体的には、故障時の運転停止時間に与える影響が大きい部品等につきまして、その製造、保管拠点を確認するとともに、代替調達先についても確認した上で評価をしております。EEZへ展開していく上でも、このような考え方は重要でありまして、同様の確認をしっかり行った上で、事業者に対する発電設備の設置許可を与えることを想定しております。

 このような選定事業者の評価方法に加えまして、我が国においては、洋上風力に関する設備投資を加速していく必要がありますので、国内事業者による設備投資、サプライチェーン、これを後押しするGXサプライチェーン構築支援事業によって投資を強力に進めていきたい。

 こういう取組によって、国内に強靱なサプライチェーンの形成を実現していきたいと考えております。

堀場委員 これから国内の事業者に、先ほど室蘭の話もありましたけれども、そういうところにお願いをしていって、サプライチェーンをしっかりとチェックしていくということは可能だと思うんですが、やはりサプライチェーンというのはなかなかチェックがしづらいというのが現状だと思っています。二年前の経済安全保障の議論のときも、サプライチェーンを最後まで調べるというのは非常に困難だということを我々は主張させていただいておりましたし、そこで罰則規定という話をさんざんしていたんですけれども、それぐらいやはり調査は難しいんじゃないかなというふうに思っています。

 ですので、やはり、ほかの、この風力発電以外のところでのサプライチェーンの調査というものを経済産業省さんなり国交省さんなりがお持ちだと思うので、そういったノウハウを使って、できるだけクリアにサプライチェーンの調査ができるような、そんな仕組みを是非つくっていただきたいなというふうに思っています。これは要望です。なので、サプライチェーンの末端まで調べる困難さというのはよくよく承知した上で、でも、やはりいざというときのためには是非やっていただきたいなと思っております。

 では、次に、公募の占用計画に記載されております、情報管理体制というものをつくってくださいねということをこの法律ではやっていると思うんですが、そもそも、それをつくっていただいたときのチェックというのはどのようにするのか。ちゃんと管理できているのかということをどうやってチェックするのかという質問です。また、目的外利用をしたときというのは、しちゃ駄目ですよという規定はあるんですが、そのときペナルティーとかというのは何かあるのか。そういった点について教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度の方では、発電事業者の選定プロセスにおきまして、公募に参加する事業者に対して、法に基づく公募占用指針に基づきまして、情報管理体制に関する書面の提出を求めて、必要に応じてヒアリングによるチェックを行っております。

 提出された情報管理体制につきましては、経産省及び国交省におきまして、第三者委員による意見も踏まえて確認するプロセスになっております。具体的には、事業者が取得する海洋現象や海底地盤等に関する情報、データ、これにつきまして、一つには、アクセス可能な主体について、必要と認められる範囲に限定されているかどうか、それから二つには、情報漏えいを防ぐ措置がしっかり講じられているかどうか、こういった点を確認し、懸念がある場合には、事業者に対して体制変更等の是正を指示しております。ペナルティーですけれども、仮にその指示を踏まえた対応がなされない場合は、当該事業者は選定されないということになっております。

 加えまして、事業実施期間中でございますけれども、法に基づきまして、事業者は、情報管理体制を含む計画の履行状況、これを国へ定期報告する必要がございます。また、必要があれば、経産、国交両省による事業者への立入検査も行うこととなります。仮に、こちらもペナルティーですが、不適切な情報管理が発覚した場合には、同法に基づきまして、当該事業者の計画に係る認定を取り消し、事業の継続は不可能となる仕組みになっております。

 今般の法改正におきまして、排他的経済水域のみならず領海内につきましても、公募に参加する事業者の、国へ提出する計画そして国の選定基準の一つとして、改めて明確に情報管理体制を位置づけるということとしておりまして、こうした制度を厳格に執行していきたいと考えてございます。

堀場委員 後半でやりますけれども、やはり、海底の情報若しくは海の中の情報というのは、結構、機微度が高いんじゃないかなというふうに思っているんですね。特に防衛上の情報ということも含めて、非常に機微の高い情報が共有されるということは、私たち、セキュリティークリアランスのときにさんざんやらせていただいていたんですけれども、これはセキュリティークリアランスの対象になるのかどうかということについて、お願いします。

井上政府参考人 洋上風力の推進に当たって、御指摘のようなデータのしっかりとした管理は極めて重要だと考えております。

 今申し上げたような取組を進めてきておりますけれども、今般成立いたしましたセキュリティークリアランスとの関係、申し訳ございません、通告いただいていなかったこともありまして、現在用意ができておりませんが、しっかり再確認して、御答弁申し上げられるようにしたいと思います。

堀場委員 ごめんなさい、通告の中ではなかったんですけれども、レクの中でさんざんこの話をしていたので、ちょっと大丈夫かなと思ってしまったんですけれども。

 機微情報をやはり適切に管理をしてやっていく。そして、今回のEEZ、この法案では、政府の調査があって、それで、その調査結果に基づいて区域が指定されて、それで業者さんが仮に選定されていく、そういうプロセスをやっていくという、今までの領海でやられていたプロセスと違うスタイルでやっていくと思うんですね。

 なので、EEZの、海の中の機微情報を企業が持つということの可能性があるということをやはり重要視していただきたいと思いますし、レクの中では、セキュリティークリアランス等々のことも非常に検討していくというお話はあったと私は思っていますので、対象になるんじゃないかなというふうに私自身は思っていますけれども、それぐらい、やはり機微情報が含まれる可能性があるんだということも併せてお話をさせていただきたいなというふうに思っています。

 では、第三十二条第一項の方なんですけれども、さっき言っていました募集区域、これを指定する方法について教えてください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 募集区域の指定に当たりましては、その候補となる海域について、経済産業大臣が風況や海底地盤等の自然条件に係る調査を行うとともに、環境大臣が海洋環境に関する調査を実施することとしております。

 経済産業大臣は、これら調査結果に基づきまして、洋上風力の実施に適した海域について、防衛省や農林水産省などの関係行政機関の長への協議を経て、募集区域として指定することとなります。

 自然条件に係る調査につきましては、現在、領海内において実施している調査と同様、公的機関でありますJOGMEC、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が実施し、その調査結果についても同機構が一元的に取得、管理することを想定しております。

 さらに、当該情報につきましては、委員の御指摘もございますが、提供先の事業者について、国内法人に限定するとともに、目的外使用や第三者提供を禁止する、また、データを暗号化するとともに、アクセス権管理を行うなど必要なセキュリティー管理を行うこととしております。仮に、こうした措置に対して提供先の事業者が違反した場合、当該事業者による公募等への参加は無効になります。また、今後の公募等への参加資格につきましても停止することを検討したいというふうに考えてございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 なかなか、募集区域を決めるだけでも、非常に重要な情報を政府の方で精査をしていただいて、それで区域が決められていく、特に防衛、そして水産、この二つは非常に重要なポイントとなってエリアが決められていくというふうに承知をしているところでございます。

 先ほど少し御説明をくださったんですけれども、環境省さんに、環境大臣による海洋環境調査の内容についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、洋上風力発電事業に係る区域の指定に当たって、海洋環境の保全の観点からの調査を環境大臣が行うこととしております。

 領海とEEZ、二つあるんですけれども、まず、領海における海洋環境等調査におきましては、調査項目、調査手法を定めた調査方法書を作成した上で、鳥類、海生生物、景観などへの影響に関する現地調査を行います。

 また、EEZにおける海洋環境調査におきましては、海鳥の生息状況等について文献情報等を広く収集して分析、整理するとともに、EEZについて、こういったデータが十分に整備されていないという状況も踏まえて、環境省が別途、航空機による海鳥の生息状況調査を実施して、当該データを整備する予定ということにしてございます。

堀場委員 海鳥、そして渡り鳥、非常に重要な鳥の生息のエリアですから、海だけじゃなくて、その上の領空の部分もしっかりと見ていただいて、鳥たちが風車にアタックして亡くなっていくようなことがないように、設置の区域というものをしっかりとチェックしていただければなというふうに思っております。

 では、また少し変わりまして、第三十三条一項で規定されております仮の地位の付与というものが今回あると思うんですが、これの条件についてお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、仮の地位の付与を受けることを希望する事業者に対しまして、洋上風力発電設備を設置する区域、あるいは実施時期、出力、供給価格などを記載した計画案を提出いただくこととしております。

 事業者から提出いただいた計画案につきましては、経済産業省と国土交通省が確認を行うこととしておりますが、経産省としては、その所掌を踏まえまして、発電事業の長期的、安定的かつ効率的な実施が可能な計画案となっているかどうかといった観点から、主に、一つには、供給価格が国が設定する上限額以下であること、二つには、洋上風力発電設備を設置するために必要な財務基盤を有している事業者であること、三つ目は、風車を中心とした技術的基準を満たす計画となっているかどうか、安全性も含めて、そして四つ目には、過去に本法律に違反したことがないかなどの欠格事由に該当しないことについて確認することといたしております。

西村政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、その所掌を踏まえ、港湾の適正な利用や、洋上風力発電設備の周辺を航行する船舶の安全確保の観点から、主に、事業者が洋上風力発電設備を設置するために必要な技術的能力を有していること、また、風車の支持構造物を中心とする設備及び維持管理の方法が技術的基準を満たす計画となっていること、また、事業者が指名停止措置等の欠格事由に該当しないこと、こうしたことについて確認することとしてございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 経済産業省さんと国交省さんがそれぞれ違う項目で様々チェックをしていただいて、仮の地位というものが付与される。特に、経済産業省さんがおっしゃっておりました、チェックをするときに、買収されたら困るんですよね、だから、財政状況というのは非常に重要で、せっかく仮の地位を得ていただいて、大きなお金を使ってここでやることについて事業を展開するための準備をされているにもかかわらず、いや、ちょっと財政難が、買収されましたとか、そういうふうになってきて、またそれが海外資本でしたとかとなってくると、やはり非常にもったいないと思っておりますので。

 この仮の地位を付与する段階で非常に厳しくチェックをしていただいて、そして、やっていただける事業者さんはかなりいらっしゃると思いますので、そこのところでやはり、情報漏えいであったり、様々なものを経済安全保障の観点から組み立てるという、一つのキーポイントになっていると思っておりますので、是非その辺りもしっかりとチェックしていただければなというふうに思っております。

 海の航行をするときに、やはりほかの国に、ここに風車がありますよということを恐らくお知らせするための何かしらの目印をつけていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういった航行の安全面に関しては、国土交通省さん、しっかりとチェックをしていただいて、ほかの国から見ても、ここで風力発電をやっているんだなということが、それは主権的地位の意思表示でもあると思っていますので、是非しっかりとチェックをしていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 さて、もう一度、国土交通省さんにお尋ねしたいんですが、今度は海の下のことです。

 海底ケーブルの敷設ルートの選定ということで、それは、発電したらその発電したものを陸まで運ばないといけないんですが、恐らく電線をやるわけはないと思うんですね。当然、海底のケーブルを敷設していくということになると思うんですが、その敷設ルートの選定について必要な措置は何か検討されているか、お願いいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 海底送電ケーブルは、EEZから陸上部までを接続する必要があるため、そのルートの選定に当たっては、漁業関係者、既設のケーブル敷設事業者などの、地元関係者や関係機関との丁寧な調整が必要になります。

 このため、海底送電ケーブルを敷設する区域につきましては、仮の地位の付与を希望する事業者が提出する計画案に記載することを求め、経済産業大臣及び国土交通大臣が設置する法定協議会の場におきまして利害関係者などとの調整を図るとともに、必要に応じてその区域の変更をすることを可能としてございます。

 国土交通省といたしましては、事業者による敷設ルートの選定に際しまして、関係省庁と連携の上、適切な調整が図られるよう対応してまいります。

堀場委員 ありがとうございます。

 これは結構難しいなと思っているのは、陸まで、港湾まで埋めることになると思うんですね。そうすると工事が発生していて、その工事期間中の環境的な影響、そして漁業に対する影響、この二つが大きいんだとは思うんですけれども、一方で、防衛上の、レーダーであったり、様々な情報が海底の中は巡っておりますので、そういったものも含めて、このルートというのは決めるのは結構難しいんじゃないかなというふうに思っていますし、変更になったということは、あっ、ここに何かあるんだなと、様々な情報がまた出てきますので。

 やはり、こういったこと一つ一つが、私どもこの内閣委員会の皆様と一緒に議論してきた経済安全保障の議論、そして機微情報をどのようにしていくのかということ、一つ一つの実例になってくるんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非、経済安全保障の観点を、よく御存じだと思うんですが、この場をかりて更に強くお求めさせていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 では、次に、EEZの中で再エネをやっていただくのは非常にいいんですが、そもそもこの法律というのは、海洋基本計画とか、様々なところで重要政策としてうたわれているというふうに承知をしているところでございます。

 今、日本の周りの海の状況を見ると、非常に厳しい環境下にあると思っています。安全保障上も厳しい。この状況の中で、我々日本というのは、やはり海洋国家というものを念頭に置いて施策が進められていくんだろうというふうに思っているところでございます。

 その中で、今非常に重要なのは、海洋とか海底調査、こういったものがやはりほかの国に比べて余り進んでいないんじゃないかなという現状ではないかというふうに思っています。

 その現状について、大臣の御所見をお願いいたします。

松村国務大臣 経済安全保障や自然災害などの諸課題に対処をするために、海洋調査を通じまして、海底や海洋の状況を正確に把握をし、適切な対応につなげていくことは極めて重要なことであると考えております。

 このため、昨年十二月にMDA構想を策定をいたしまして、海洋状況把握の今後の取組の方向性と具体的に実施すべき施策を定めたところでございます。

 これを踏まえまして、政府といたしましては、情報収集体制の強化に取り組むこととしておりまして、例えば、自律型無人探査機、AUV等の海洋ロボットによりまして、海底の火山活動や海底資源の調査等を推進していくことといたしております。

 また、メタンハイドレートなどの海底資源につきましても、経済産業省が本年三月に海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を策定をし、調査、開発を強力に推進していくこととしたところでございます。

 引き続き、MDA構想を基にいたしまして、海洋、海底の調査をしっかりと進め、諸課題解決につなげてまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 このMDAは、やはり今、結構、結構というかかなり重要度が高くて、包括的に海の中を調査をしていこうということだと私は理解をしているんですが、海洋状況の把握というのは歴史的に見ても結構大変な作業でありまして、最先端の技術がこれだけ発達したからこそできる研究であったり調査というものがあるんだろうなというふうに思っています。

 当然ながら、AIを活用して様々な情報分析、海のビッグデータをどういうふうに処理していくのかということもあると思いますし、先ほど大臣がおっしゃっていた、AUVなどの海洋ロボットを使って、無人のロボットを使って、深いところに人が潜って調べなくてもできるような調査、こういったことも非常に注目をしていかなければならないなというふうに思っています。

 なので、経済安全保障だけじゃなくて普通の安全保障のことに対しても非常に重要ですけれども、先ほどから何度も言っている経済安全保障の観点からいうと、やはり、海洋由来のエネルギーとか鉱物資源とか、そういったものについてが非常に重要なんだろうなというふうに思ってはいるんですけれども、海底資源に対する調査の現状について教えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 日本周辺海域に存在が確認されているメタンハイドレートや海底熱水鉱床などは、商業化がなされれば、国際情勢や地政学リスクに左右されない貴重な国産資源であります。

 こうした海洋資源の調査については、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、海洋基本計画及びその内容を中長期的なロードマップとして更に具体化させた海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づいて、商業化を見据えた生産技術の開発などと併せて、計画的に取り組んでいるところでございます。

 例えば、メタンハイドレートについては、過去に実施した海洋調査を通じて、主に、太平洋側では、海底面下数百メートルの砂質の層内に砂と混じり合った状態で存在する砂層型というものがございます。また、日本海側では、海底面及び比較的浅い深度の泥層内に塊状態になって存在します表層型と呼ばれる、二つのタイプのメタンハイドレートの存在が確認されておりまして、いずれについても、二〇三〇年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して、技術開発などを推進してございます。

 このほか、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラストなどについても、資源量調査を行うとともに、生産技術の開発を進めているところでございます。

 経産省といたしましては、先ほどの計画に基づいて、官民で連携を深めて、様々な海洋資源の調査、また開発利用の実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。

堀場委員 ごめんなさい、ちょっと聞き損じたんですけれども、二〇三〇年に開発が始まるように計画をされている、つまり、二〇三〇年にはメタンハイドレート、日本海か太平洋か分からないですが、どちらかにおいて商用化を進めるものが見えているということでよかったですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっとそこは、若干長い表現で恐縮なんですけれども、二〇三〇年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指してということですので、二〇三〇年度に何か商業ベースでプロジェクトが始まるということではなくて、それを目指した民間企業ベースのプロジェクトが動き始める。今はほとんど国の一〇〇%補助でやっているんですけれども、民ベースでやっていこうというプロジェクトが二〇三〇年度までには動き始めるということが目標でございます。

堀場委員 済みません、ありがとうございます。

 この間、部会でちょっと、ほかの部会だったんですけれども、ちょうどこの話になったときに、ほかの議員の方から、メタンハイドレートは非常に重要で、ずっとやってきているにもかかわらず、どこまで進んでいるんだという議論をたまたましておりましたので、今回、具体例としてメタンハイドレートということでお願いをしていたんですけれども。

 やはりなかなか、海底の状況というのは分かったとて、商業化していくのに非常に時間がかかります。それは海の中から取ってくるということは非常に大変ですけれども、ほかの国はやはり調査を進め、様々な鉱物を自国の資源として取っていくということをやっておりますし、先ほどおっしゃっていたとおり、国際情勢とか地政学上のリスクに左右されないということは非常に重要で、そして今、これだけ国際関係が複雑化、非常に緊迫化している中で、私たちの国で鉱物を始めとする様々な資源を自分のところで取っていくということは非常に喫緊の課題として捉えておりますので、ゆっくりされているとは全然思わないんですけれども、やはり加速化の必要性というのはあるんじゃないかなというふうに思っています。

 石油とか天然ガスもそうですけれども、コバルトリッチクラストとかマンガンとか、さっき出たレアアースなども、まあ、レアアースはほかのものよりも少し前に進んでいるような気もするんですけれども、そういった様々なものを使って我々の生活というのは維持をされているんだなというふうに思っております。これも一つ非常に重要な観点でございますので、これを是非進めていきたいというか、本当に早く、できるだけ早くやっていただけるような、そんな体制になっていくといいなというふうに思っているところでございます。

 そういった様々なものを必要としているというのは、やはり持続可能な海洋ということだと思うんですけれども、再生可能エネルギー、今回、この法案もそうですが、一つは安全保障的なもの、そしてもう一つは持続可能なものということだと思うんですが、この持続可能な海洋というのはどのようなことを指しているのか、教えてください。

宮澤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に閣議決定されました第四期海洋基本計画において、持続可能な海洋の構築とは、「脱炭素社会の実現に向けて取り組み、その取組を海洋産業の成長につなげるとともに、国際的な取組を通じて我が国の海洋環境の保全・再生・維持と海洋の持続的な利用・開発を図っていく」、こういう意味で用いられてございます。

 そのための特に重要な施策の一つが、まさに洋上風力発電の排他的経済水域、EEZへの拡大に向けた法整備でありまして、本法案は、持続可能な海洋の構築の観点からも大変意義の大きいものであると認識しているところでございます。

堀場委員 私、文部科学委員会にも所属をしているんですけれども、子供たちの学校で今、SDGs、非常に積極的に、様々なところで、勉強の中で取り組んでいると思っています。ということは、子供たちは持続可能なエネルギーとか持続可能な何とかということに対して非常に見識を持っているんですね。私たちが子供の頃はなかったような、そのような感覚を今の子供たちは持っているし、そういう子供たちが大人になってきたときにやはり持続可能な社会をつくっておきたいというふうに私自身はすごく思っておりますので、この風力発電というものが、洋上の持続可能なエネルギーをつくるという一つの大きな柱になっているというふうに理解をしていますし、第四期の海洋計画の中での位置づけも非常に大きなもの、これがこの法律だというふうに思っています。

 一方で、持続可能だというところで、やはり海の景観ということも非常に重要で、ここにも書かれていると思うんですけれども、里海とかそういったものだと思うんですけれども、私も京都が実家というか家が京都ですけれども、北部の方に行くと、やはり、鳥取の方から続く京丹後の美しい海もあれば、舞鶴の方の深い海もあるし、そして若狭の方も見られるというところで、海の景観というものが皆さんの生活と非常に密接にリンクをしているということ、景観にも非常に重要な役割をしているということ、そして文化としても非常に重要度が高いものだというふうに私自身は日々感じているところでございます。

 やはり、持続可能な海洋といったときに、エネルギーをつくるということのみならず、そこで魚がすんでいて、その自然の環境を維持しながら、そしてその景観もあって、そういう私たちの文化の礎となるような原風景も是非残すような、そんな政策にしていただけると非常にありがたいなと。未来に残る海というものを、是非、持続可能なというところには含めていただいて、そしてその点をより強く出していただきたいなというふうに思っているところです。

 なので、EEZ、ちょっと離れたところで風力発電をやっているというのは、それは非常にいいんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 でも、やはりここで海洋政策というのは改革しないといけないんだというのが、今のこの第四期の海洋基本計画だというふうに思っているんです。変革が必要だということを、オーシャントランスフォーメーション、OXというふうに表現をしているかと思うんですが、この推進について大臣の御所見をお願いします。

松村国務大臣 委員御指摘のように、我が国はまさに今、海洋政策の大きな変革を迎えていると思っておりますし、オーシャントランスフォーメーションを成し遂げるべき時期にあると考えております。

 そのため、一つの方策として、今般、海洋開発等重点戦略を定めましたし、国益の観点から特に重要であり府省横断で強力に推進すべき施策に関して、具体的に目標また工程を定めまして取組を強力に進めていくこととしたところでございます。

 我が国は、世界第六位の広さの管轄海域を有する海洋大国でございます。海洋の有するポテンシャルを最大限に活用いたしまして、総合的な海洋の安全保障及び持続可能な海洋の構築を通じ、海洋立国を実現することが重要であると考えております。

堀場委員 やはり、何度も言っていますけれども、今の海の状況を見回してみると、非常に安全保障上の懸念というものは高まっているというふうに思っています。特に最近は、違法操業もそうですけれども、ブイがあったりとか、そのブイを取らなきゃいけないとか様々あります。そして、海上保安庁さんと海上自衛隊さんがやはりもっともっと協力をして海の安全を守っていく、そういった方向性もよくよく承知をしているところでございます。

 ですので、やはり安全保障というところも非常に重要ですし、先ほどから何度も言っている経済安全保障という点からも非常に重要ですし、持続可能なものをつくっていく、そして未来に残していくということも非常に重要ですし、様々な観点から今本当に変革期にあるんだなということをこの法案を通して考えているところでございます。

 我々はやはり海に囲まれて生活をしておりますので、今、毎日海を見ているわけではないかもしれないですけれども、しっかりと海に囲まれている島国なんだということが、我々の、日本人なんだと思いますので、そのエリアに住んでいるということが、地政学上非常に意味のあるものに変えていくということが非常に重要だと思っています。

 やはり、この法案は、さっき少し御答弁がありましたけれども、第四期の海洋計画の中で本当に重要な位置づけをされていると思うんですね。ですので、もう一度、第四期海洋基本計画とこの法案の関係性について、お答えをお願いしたいと思います。

宮澤政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電につきましては、第四期海洋基本計画において、持続可能な海洋の構築、これに向けて、排他的経済水域への拡大を実現するため、国連海洋法条約等との整合性を整理した上で、法整備を始めとする環境整備を進めるとされたところでございます。

 特に国連海洋法条約等との整合性につきましては、内閣府において、国際法等の専門家や関係省庁とともに、排他的経済水域における洋上風力発電の実施に係る国際法上の諸課題に関する検討会を開催しまして、二〇二三年一月に結果を取りまとめたところでございます。

 これらを踏まえ、関係省庁とともに法案の具体化に向けた検討を進め、本年三月に法案が閣議決定をされ、国会に提出をされまして、本日御審議をいただいているところでございます。

堀場委員 では、最後になるんですけれども、ちょっと時間がないので一問飛ばさせていただいて、最後、大臣にお尋ねをさせていただきたいなというふうに思っているんです。

 これだけ大きなことをやっていく、そしてこれから大きな、ビッグデータになっていくだろう、そういった様々なこともあるでしょうし、何度もしつこく言っているんですけれども、経済安全保障の観点もあるでしょうということで、これをもっと、もう少し総括的に見ていくということで、昨日自民党さんの方で質疑もありましたけれども、この組織というものが今の大きさでいいのかなというのは非常に思っているんですね。

 昨日お答えいただいたところだと、四十人ぐらいで、予算としても、令和六年と令和五年の補正予算を足しても三・七億ということで、やはりもう少しきっちりと、省庁横断で、リーダーシップを取ってやっていくという必要性について感じているところでございます。

 やはりこれをしっかりと取りまとめていただいてやっていただきたいという思いもあるので、是非、最後に大臣の、海洋政策の実現に向けて、この機能強化というものの必要性についてお願いします。

松村国務大臣 エールを送っていただいてありがとうございます。現在、少数ではございますが、精鋭で取り組ませていただいているところでございます。

 先ほども申し上げましたが、重点戦略に基づく取組を強力にやはり進めていくためには、海洋立国実現をやっていくためには、総合海洋政策本部長でございます総理を司令塔といたしまして、関係省庁が連携をして施策を実行していくことが何より重要であり、必要であると考えております。そのためにも、総合海洋政策本部と、その実務を担う事務局の機能強化は重要であると私も認識をいたしております。

 具体的な方策については、今後、政府内でよく検討してまいりたいと考えておりますし、担当いたします私といたしましても、海洋立国の実現に向けて更に努力をしてまいりたい、このように考えております。

堀場委員 我々の会派も一生懸命取り組んでまいりますので、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。

 他の委員会との関係で質疑の順序を御配慮いただきまして、感謝申し上げます。

 我が国の年平均気温は百年当たり一・三五度の割合で上昇しているということでございまして、今日も、五月の下旬ですが、やはり暑いなというふうに感じている一人でございます。

 こうした気候変動に対応した脱炭素社会の実現、これは我が党としても非常に重視をしてきた分野でございまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、洋上風力発電の推進に当たりまして従来の領海及び内水に限ってきた設置をEEZに拡大をする本法律案、非常に大事だというふうに感じております。

 まず、経産省に伺ってまいります。

 政府は、この海洋再生可能エネルギーの案件形成のKPI、多分これまでも出ていると思いますが、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万キロワットから四千五百万キロワットということで、これはかなり幅を持たせた目標の掲げ方になっているんですが、その狙いをお伺いしたいとともに、風車設置海域の拡大に伴いまして、当然これは深度が大きくなって、いわゆる着床式から浮体式中心ということで認識をしておりますけれども、様々、技術的また産業的な課題もあるということで、今後、浮体式に関する目標、これも定めて取組を加速させるべきであるというふうに考えますけれども、見解をいただきたいと思っております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇二〇年に官民協議会で策定し、公表しました洋上風力産業ビジョンにおきまして、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件形成目標を掲げている。この目標値は、今となりましては、秋田港や能代港、石狩湾新港といった港湾における商用プロジェクトが稼働しているものの、二〇二〇年当時は実証機を除いて稼働している洋上風力発電が国内に存在しなかったという状況の中で、二十年先を見据え、洋上風力といった先進的な分野を中心に、今後の技術の進展、量産化に伴うコストの低減、こうした可能性も考慮に入れまして、野心高く、幅を持たせて設定されたものというふうに考えております。

 このように、国が目標を策定し、提示することは、御指摘のとおり、洋上風力関連産業における国内投資促進に寄与するものと考えております。このため、世界的にも導入の加速が見込まれ、水深の深い海域が多い我が国のEEZにおきましても導入が期待される浮体式洋上風力、これに特化した目標について検討してまいりたいと考えております。

河西委員 是非、検討と取組の加速をお願いしたいと思います。

 この浮体式の開発、これは、御案内のとおり、先行する欧州でさえ、いまだ量産化とメンテナンス技術は確立をされていないわけであります。その中において、我が国の強みである造船技術、こういったものを生かして、国内調達によるサプライチェーンの確立、これも経済安保上も極めて重要というふうに思っております。

 ただ、主な課題の一つにコストがあるということで、敷設工事の複雑化、高度化、また敷設後の運用、維持管理、これは着床式でさえコスト全体の三六%を占めるということでありますので、こうした費用がコストを押し上げるというふうに想定をされるわけであります。

 また、今日触れたいのは、そもそも我が国は、EEZの面積は世界第六位なんですが、これが体積になりますと世界第四位になります。まさに深海大国ということで、深さによるコスト増はいわば宿命的なんだろうというふうに思っているわけであります。

 逆に、この深海大国日本で浮体式を商用化できれば、今後、世界の洋上風力発電、これは二〇四〇年に五百六十二ギガワット、二〇一八年比で約二十四倍まで拡大をするということで、こうした市場予測に対して、同様の海洋環境にあるアジアの島嶼国を始め、我が国からの海洋市場進出の可能性が広がりますし、スケールメリットによるコスト低減というものも当然期待ができるわけであります。

 大きな話になりますが、こうした世界の潮流、また我が国の現在地を踏まえまして、この洋上風力発電の分野で我が国が勝ち筋を見出す戦略、これを政府はどう描いているのか、見解をいただきたいと思っております。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の発電事業者やメーカーといった事業者が、国内のみならず国外におけるプロジェクトにも参画していく、そういうことができるように、洋上風力産業の競争力を強化していくことが極めて重要だと考えております。

 この観点から、一つには、先ほど御指摘ありました、目標値を掲げ、国内に安定的に海域を創出していくとともに、二つには、浮体式洋上風力につきまして、低コスト化、量産化技術をいち早く確立するとともに、米国や欧州といった有志国とも連携しながら、アジアを中心とするグローバル市場の拡大に向けまして、我が国がその強みを生かした国際標準化をリードしていくということが非常に重要だと考えております。

 こうした取組を進めながら、国内の産業基盤を強固にするために、サプライチェーンの構築あるいは未来に向けた人材育成を加速していくということが重要だと考えております。

 このため、現在御審議いただいておりますこの法案、大変重要でございますし、この法案ができましたら、それを踏まえて、浮体式洋上風力に特化した目標も具体的に検討できるというふうに考えております。

 さらに、御指摘いただいたグリーンイノベーション基金での技術開発、実証、あるいはGXサプライチェーン補助金による設備投資支援、こうしたものを総合的に実行しながら、海外に向けても我が国事業者が展開していけるような国際競争力の強化を図ってまいりたいと考えております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

河西委員 今御答弁あった標準化について少しお伺いしたいと思います。

 いわゆるデジタル敗戦にも象徴されるわけでありますが、技術が優秀でも、標準化、またルール形成を主導し切れなかった反省が我が国にはあります。今、この洋上風力発電も、各国、各メーカー、しのぎを削って量産化を目指しているということの中において、やはり我が国としても、コアコンピタンス技術は特許で守る、そして、標準技術また汎用技術はクロスライセンスで量産化を加速をさせていく、こういった、攻守を織り交ぜたしたたかな知財戦略、あと、先ほどもお触れがありましたけれども、経済安保の観点から、官民で同盟国また同志国との緊密な連携、こういった立体的な政府の陣頭指揮が非常に大事だというふうに思っております。

 その意味で、四月の岸田総理の訪米におきまして、GXに係る日米閣僚級対話が発表されました。また、共同声明には、日本が米国のフローティング・オフショア・ウィンド・ショット、浮体式をテーマとする国際会議、その最初の国際的な協力者として加わる、こういったことが明記をされたこと、極めて重要だという認識をしております。

 やはり、今後の日米連携、これは大事なんですが、その上で、我が国の国益をどう拡大をしていくのか、特にこの浮体式洋上風力発電に関する標準化についてどういった狙いで取り組むのか、改めてお伺いをしたいというふうに思っております。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、今年四月、日米首脳共同声明におきまして、浮体式洋上風力のコスト低減に向けて両国が共同して取り組む旨合意しました。この点、我が国には、浮体製造に欠かせない高い造船技術、あるいは量産化に必要な自動化に関する技術、こういったものが強みとしてございます。一方で、米国には、例えば、国立研究機関を中心に、風車に係る解析モデル等の知見が蓄積されているといったような強みも持っております。

 こうした点を踏まえつつ、両国にとってウィン・ウィンの関係を築き、我が国の関連産業がグローバルに市場を拡大していくという観点から、御指摘の国際標準化は極めて重要だと考えておりまして、本年三月に我が国発電事業者十四社により設立されました浮体式洋上風力技術研究組合、FLOWRA、ここでは、調査研究に加えて国際標準化に向けた取組を進めていくと。

 現状の着床式の洋上風力では、残念ながら我が国の企業は、特に風車については撤退してしまった経緯があるわけですが、浮体式で新たな風車と浮体の一体システムを構築していくことになりますので、これをある種一つの時代の変わり目として戦略的に捉えて、国際標準化をしっかりリードしていければというふうに考えております。

河西委員 是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、大臣にお伺いをしたいと思います。

 日本が挑むこの三十年に及ぶ浮体式の長期敷設ということ、これは世界初の試みというふうに伺っております。その中で、浮体式特有のダイナミックケーブルというものがありますけれども、この運用、維持管理を行う水中ドローン、これも非常に低コスト化が大事でありますし、現在はケーブルつきのROVというのが想定されているんですけれども、今後、先ほどもありましたが、ワイヤレスで全自動化されたAUVの開発も目指されるというふうに伺っております。このAUVの実用化に向けた最大の技術的ハードルは、水中の音響通信ということで伺っております。

 実は、この音響通信技術、我が国が世界一を誇るということで、先日、JAMSTECさんにお伺いいたしました。つまり、物理的な話ですけれども、音響通信というのは通信距離が長くなるにつれて通信速度が落ちるという特性がありまして、この距離と速度の指標で見ると、JAMSTECが開発した「しんかい六五〇〇」、これが搭載した高速音響通信装置は、海外メーカーと比べて何と十倍以上という圧倒的なスペックを誇るということであります。まさに、こうしたコアコンピタンスを生かしながら、低コスト化、先ほどいただいた標準化、これを進めてこそ我が国の勝ち筋を見出せると考えるわけでありますけれども、今後、特に運用、維持管理技術をどう我が国として確立させようとしているのか、海洋政策を御所管される松村大臣に御見解をいただきたいと思っております。

松村国務大臣 沖合にあります浮体式の洋上風力発電の効率的な運用や維持管理、こういったものにおきましては、省人化技術の導入が重要でありますし、人間に代わって、全自動の水中ロボットである自律型無人探査機、いわゆるAUVが水中設備の点検を行うことが期待をされております。

 私も参加をさせていただきましたけれども、官民プラットフォームでの議論を基に、AUVの社会実装に向けた戦略を昨年十二月に策定をいたしました。

 この戦略の中で、到達距離、通信速度とともに、大幅に、委員から御指摘をいただいた音響通信技術など、我が国の強みを生かしつつ、海洋のあらゆる場面でAUVが活躍する将来ビジョンを示したところでございます。

 内閣府では、現在、洋上風力発電等の様々な場面でAUVを実際に利用する事業に取り組んでいるところでございます。

 洋上風力発電のEEZ展開という需要拡大の好機を捉えまして、二〇三〇年までに我が国のAUV産業を育成してまいりたいと考えております。

河西委員 大臣、御答弁ありがとうございました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 最後一問、中企庁にお伺いしたいと思います。

 これまで様々、洋上風力発電、いろいろな事業があったわけでありますけれども、地元への恩恵がまだちょっと少ないのではないかというお声も一部伺っているわけであります。

 やはり、持続可能性の確保という意味においては、冒頭申し上げました脱炭素という観点のみならず、少子化、人口減少への対応、また東京一極集中の是正という観点からも、基地港湾の立地地域を始めといたしまして、地元地域に新たな事業や雇用、いわゆる足の長い付加価値をもたらすことも大変重要であるというふうに思っております。

 既にこうした観点で浮体式の事業の公募をされていることは承知をしているんですが、その上で、例えば、ベンダー企業として参入機会をうかがう地元中小企業が、高い技術力はあっても経営的課題を抱えている、こういったことで二の足を踏むようなことがあっては非常にもったいないというふうに考えるわけでありまして、その意味では、中小企業庁には、コロナ禍も含めて様々、これまで経営改善また経営支援のスキームを積み重ねていただいております。こうしたことを生かしていただきたいと思っております。

 そこで、今後、国が募集区域の指定をするわけでありますけれども、設置許可が見通せる段階に至った際には、中小企業庁から、地元地域の経済団体などを通じて、各種支援事業の活用、これも呼びかけて促すことも有効ではないかというふうに考えるわけでありますけれども、中小企業庁の見解をいただきたいと思っております。

松浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の、地域の中小企業が洋上風力発電事業等のように大規模な事業に参入され、稼ぐ力を高めていくことは非常に重要であると認識しております。

 他方、またこれも委員御指摘のように、高い技術力を有する中小企業が、御自身の経営戦略や、あるいは資金繰りなどの経営課題を抱えておられ、それによって大規模事業への参入に二の足を踏んでおられる、こういう状況もあるものと承知しております。

 その上でですが、私ども中小企業庁といたしましては、各地域の中小企業が大規模事業への参入に挑戦できるよう、中小機構の専門家による伴走支援や、あるいはよろず支援拠点における相談対応などを通じまして、経営課題の解決や、御自身の自己変革を促したり、あるいは自走化していくための支援をきめ細かく行うなど、日頃から中小企業の皆様に対してサポートを行ってまいっているところであります。

 その上で、委員御指摘のように、地域の経済団体などを通じまして、各種の支援事業の活用を引き続き促してまいりたいと思います。

河西委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、早速質問に入ります。

 今回の海洋再エネ海域利用促進法改正案の中には、これまで各事業者が行っていた事前の環境アセスの調査を今後は政府が行うといった改正内容も含まれております。

 現在の洋上風力発電では、様々な気象、海象条件、自然環境の変化などにより、事業者からは稼働率の引上げに苦労しているという話を伺っております。国による先ほどの先行調査の際には、こうした事業者にとって事業予見性を向上させるための配慮をお願いしたいというふうに思います。

 今回、具体的にはどのような調査を政府が行うのか、また、調査結果は事業者に対して全容を提供するのかどうか、お答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 複数の事業者が同一の海域において風況等の自然条件に関する調査を行うことは効率的ではなく、また、その後、発電事業者として選定されない可能性があることも踏まえますと、自然条件に関する調査は事業者の大きな負担になるというふうに私どもも認識しております。

 このため、こうした負担の軽減であるとか、御指摘のとおり、事業者の予見可能性の向上を図っていく観点から、二〇二三年度から、国が主導的に自然条件に関する調査を進めるセントラル方式というものを、公的機関であるJOGMECが、国内六地域を対象に、具体的には風況や海底地盤等に関しまして調査を実施しております。

 国が、JOGMECが調査した海域を対象として発電事業者を公募する際には、公募に参加する事業者に対しまして、その調査結果を情報管理に係る条件等を付した上でしっかりと提供する方針でございまして、こうした取組を進めていければというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 JOGMECによるセントラル調査というものを行っているということで、ちょっと更問いで確認だけさせていただきたいんですが、今、六海域について調査を行っているということなんですけれども、この六という数字は、今後、洋上風力の適地が増えたりだとか、あるいは事業者の選考状況に応じて順次増えていくこともあり得るものなんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでして、これから状況を踏まえて拡大していくものだというふうに考えてございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 事業者にとっても重要な情報源となる調査になろうかと思いますので、情報提供は是非、丁寧かつ透明性を持って行っていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 少し前のデータになるんですが、令和三年八月に行われた経済産業省の発電コスト検証ワーキンググループの資料によりますと、陸上風力の発電コストは、現状、キロワットアワー当たり十九・八円、洋上風力の場合は三十・三円ということで、少し差がある状況であります。特に、基礎工事や電力ケーブルの敷設、維持管理費はコストを押し上げる大きな要因とされています。洋上風力発電を維持するためには、電源線の整備や保守、メンテナンスサービスも必要になります。こうしたことを考えれば、今後の発電コスト、洋上風力発電について、どのような見通しなのか。

 さらに、洋上風力発電を普及拡大させていくためにはどのような方策を政府が考えているのか、お答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電のコストにつきまして、二〇二〇年に策定した洋上風力産業ビジョンにおきましては、産業界として、二〇三〇年から二〇三五年までに着床式の洋上風力の発電コストを八から九円キロワットアワーに下げていくという目標を掲げております。

 再エネ海域利用法に基づくプロジェクトにつきましては、我が国の国内ですが、最速でも二〇二六年の運転開始を予定しているため、同法に基づく大規模な洋上風力発電についていまだ稼働に至った案件は存在しませんけれども、世界に目を転じてみますと、民間の調査によれば、二〇一四年に約三十円キロワットアワーであった洋上風力の発電コストは、二〇二三年に約十円キロワットアワーまで低下しているとの分析もございます。

 今後、コストを低減し、導入を拡大していくためには、御指摘のとおり様々な取組をしていく必要がありますが、ブレード等の部品の輸送コスト、これは海外から持ってくると大変コストもかかりますので、国内でのサプライチェーンをつくっていくということは、こうしたコスト低減の観点からも極めて重要だと考えておりまして、浮体式洋上風力について、低コストに量産化する技術を確立し、国際標準化も進めていきながら、国内でのサプライチェーン強化を、GXサプライチェーン構築支援事業あるいはグリーンイノベーション基金を使ってしっかりと進めていきたい、かように考えてございます。

浅野委員 先ほどの質疑の中でも、洋上風力発電のハードウェアの生産、過去、国内で行われていたこともあったんですが、事業採算性の観点から一度撤退するという判断をした企業も増えてきております。今、もう一度、輸送費が高いので国内生産化をということで発言がありましたけれども、それ自体は大変重要な取組だと思うんですけれども、経済界は過去一度撤退という選択をしていることからも、相当なハードルの高さというものはあるというふうに思いますし、様々な事業を駆使してそれを推進するということなんですが、是非そこは産業界の声をよく聞いていただいて、この支援策の在り方についても十分な検討をお願いしたいと思います。

 続いての質問です。

 改正港湾法の施行によって、海洋再生可能エネルギーの発電設備等取扱埠頭を有する港湾を基地港湾と指定して、発電事業者に長期間貸し付ける制度が導入されています。この制度の下で、現在は七つの港湾が指定されているということで、茨城県の鹿島港や、北九州港、能代港、秋田港、新潟港、酒田港、青森港、この七つが指定されております。

 これらの港湾の地元からは、やはり、今後の地域雇用、地域経済に対する大きな期待が寄せられている一方で、まだ整備が済んでいないので動き出してはいないものの、稼働率がしっかり確保できるのか、言い方を変えれば、地元の仕事量がしっかり確保されていくのかどうか、その予見性については不安の声が散見されている状況にあると私は思っております。

 この稼働率を確保していくための方針、方策について御答弁をお願いいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電設備の設置、維持管理及び撤去に利用される基地港湾につきましては、洋上風力発電の案件形成の状況を踏まえつつ、委員御指摘のとおり、これまで七港を指定いたしまして、計画的な整備を進めているところでございます。

 このうち、唯一整備が完了している秋田港につきましては、既に秋田港内及び能代港内における洋上風力発電設備の設置工事に利用されているところでございます。

 また、現在整備中の六港につきましても、事業者選定済み又は事業者公募中の一般海域の案件における利用が見込まれているところでございます。

 今後も、EEZを含め、案件形成の進展が見込まれるところでございまして、指定済みの基地港湾の最大限の活用を図り、地域における雇用の確保や地域経済の活性化にも貢献してまいりたいと考えております。

浅野委員 是非お願いしたいと思います。

 少し現場の声をお届けさせていただきますと、これは、先日レクを受けた際には、そんなことは余り聞いていないということだったんですが、やはり港湾の稼働率を左右するのは、輸送効率を考えたときに、どうしても設置場所と近い港湾が選ばれて、そこで作業されがちなんですけれども、今後、港湾の拠点と実際に設置工事が行われている現場の状況から、稼働率が低くなる港湾があるんじゃないかという不安の声がありました。

 その要因の一つに、輸送のために使われるSEP船と呼ばれる専用船、船舶があるんですけれども、こちらの台数が今、聞いたところによると、国内には五台程度しかないということなんですね、いずれも建設会社が保有をしているものなんですが。港湾と現場はある、そこをつなぐ輸送手段というのが非常に限られているというような認識も現場にはあるようでありますので、こうした輸送手段の十分な確保という部分にも目を向けて、必要な支援策を今後検討していただければというふうに思います。

 では、続いての質問です。

 少し専門的な、細かな分野に入っていきますけれども、安全水域の設定について伺っていきたいと思います。

 安全水域法によりますと、我が国は、EEZ上の洋上風力発電設備の周囲半径五百メートルに安全水域を設定することができるとされています。この安全水域の中には無断で入ることができないですとか、もし侵入した場合には罰則が適用されるとか、そういった厳しいルールがあるんですけれども、その分、水域を設定したときには、他国に対してもしっかりその旨を通知をしなければいけないという決まりがあるようであります。

 問題は、これから国内の多くの地域で同時期に洋上風力発電設備が設置、運用を開始するということで、海上を運航する事業者、他国も含めて、しっかりその情報を正確に伝えていかなければいけないとも思います。

 国内外問わず、この通報なんですが、どのように行うのか。一定期間でまとめてしっかり通報していくのか、それとも、都度、一つ一つ設定するたびに通報するのか。そうなりますと、やはり、今後、洋上風力発電の設備が全体で数千本単位になるというふうにも聞いておりますので、その効率性やあるいは情報の正確性が損なわれる懸念もあります。

 この点、どうやるのか教えていただけますでしょうか。

岩城政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、安全水域を設定する際に求められます適当な通報といたしまして、安全水域法第四条第一項の規定によりまして、国土交通大臣は、安全水域を設定したときには、遅滞なく、その位置及び範囲を告示しなければならないこととされておりまして、設定の都度これを行うこととなります。

 なお、一般に、安全水域の設定を含めまして、船舶航行の安全のために必要な事項につきましては、水路通報を含みます水路図誌等への記載によりまして航行者に対して周知されるものというふうに承知しております。

浅野委員 時間の関係で、最後の質問に入りたいと思います。

 安全水域を航行する全ての船舶は、無断で侵入してはいけないという決まりがあるようであります。今言ったように、都度通知をするということなんですが、この安全水域に入ったかどうか、侵入があったかどうかを今後どのように把握していくのか。何しろ対象設備が大変多くなる見通しですので、この方法についてもしっかりと方針を決めておくべきだと思います。その点、最後に伺って、終わりたいと思います。

岩城政府参考人 委員御指摘の安全水域の監視につきましては、一義的には安全水域に係る海洋構築物等の設置者において自主的に行われるものであると考えております。

 国土交通省といたしましても、この安全水域への入域に対しましては、設置者や関係機関ともしっかりと連携をいたしまして、海洋構築物等の安全、そして船舶航行の安全を図るため、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 早速質疑に入りたいと思います。

 今回、EEZに関わる質疑でございますが、どこがEEZかということについて、実は、日本が主張しているもの、例えば、この日本の主張がアメリカにすら共有されていないんですね。

 なぜこれが共有されていないかというと、EEZを測るベースとなる基線について、日本とアメリカとの間では見解の違いが生じます。例えばですが、九州南部、鹿児島県の甑島とか、ああいうところからスタートして、五島列島、壱岐、そして、我が福岡県の世界遺産、沖ノ島から萩の沖のところにある見島まで、全部、直線基線でばっと引いているんですけれども、ここを全部、アメリカは低潮高地をベースにして基線を引くべきだというふうに言っております。

 まず、外務省にお伺いしたいと思います。このアメリカの主張についてどう思われますでしょうか。

宮澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、我が国の直線基線に関する米国の主張につきましては承知をしているところでございます。

 我が国としましては、米国の立場にかかわらず、我が国の直線基線は、国連海洋法条約第七条に従いまして、領海及び接続水域に関する法律第二条第二項に基づき、政令で定めているところでございます。

 このように、我が国は国際法の定めるところに従って直線基線を引いておるところでございまして、何ら問題はないと考えているところでございます。

緒方委員 私はそれでいいと思うんですけれども、ただ、アメリカは、よく皆さん方も聞いたことはあると思いますが、航行の自由作戦ということで、自己の解釈に基づく基線をベースにした領海の考え方とかEEZの考え方とかをしていて、自国の考え方に基づく場所で、そういう基線から引いたところで、公海に当たる部分で軍事活動を行うんですね。これは過去に何回も行われております。先般、たしか対馬のところで米軍が軍事行動を行ったことが問題になったと思いますが、これらの軍事活動に対する見解をお伺いしたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 米国防省が発表いたしました二〇二三年会計年度の航行の自由報告書に、対馬付近で行動を実施したという記述があることは承知してございます。

 その上で、日米間では常日頃から緊密に意思疎通を行っておりますけれども、やり取りの詳細について述べることは差し控えさせていただきます。

緒方委員 自国の領海に当たるところでの軍事活動なんですけれども、問題があるというふうには思われないということでしょうか。外務省。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間では常日頃から緊密に意思疎通を行っておりまして、この報告書についても意思疎通を行ってございます。基線の問題に関しましても、やり取りはいたしております。

 その上で申し上げれば、我が国の直線基線は国連海洋法条約第七条に従って定めたものであり、何ら問題はないというふうに、このように考えておりまして、また、米国とのやり取りの逐一について御説明申し上げることはこの場では差し控えさせていただきます。

緒方委員 ありがとうございました。

 これは米国なので恐らくそういう答弁になると思うんですけれども、思い直してみると、冷戦時代、アメリカとソ連との間では、できるだけ自由な海域を確保するということで、この点については実は米ソ間での意見の一致があったんですよね。つまり、アメリカが軍事活動をするときというのは、同盟国でもあり、いろいろなやり取りをしているから問題がないということになるんだと思いますが、場合によっては、同じように自由な海域を広く取りたいという国が、例えばロシアとか、そういう国が同じように軍事活動をするときというのは今のような答弁にならないわけでありまして、外務省同期であります宮本参事官の答弁でありますのでそのまま受け止めたいと思いますけれども、この件、そう簡単ではないのであるということを述べさせていただきまして、次の質問に移りたいというふうに思います。

 続きまして、同じく、離島における風力発電、沖ノ鳥島について問題提起させていただきたいと思います。

 沖ノ鳥島は国連海洋法条約第百二十一条における島だと私も確信をいたしておりますが、日本の活動をしっかりとした形で確保していくということが重要で、これは提案なんですけれども、例えば、沖ノ鳥島で、採算性を度外視してでも、採算性を度外視してでも風力発電をやってはどうかなというふうに思うわけですね。

 沖ノ鳥島というのは、英語表現で言いますと、パレセベラというんですけれども、これはスペイン語でありまして、帆のように見えるという表現なんですね。沖ノ鳥島というのはそういう表現なんです。つまり、多分、遠くから見た人が何となく帆のように見えたんだと思います。風が強かったということもあるのかもしれません。

 そういうことを考えると、もちろん私は、国連海洋法条約で、人工物を建てても主権的権利が増すというわけではないということをよく分かっているんですけれども、日本のしっかりとした領土であるということを示す観点から、ちょっと夢物語のように聞こえるかもしれませんけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。松村大臣。

松村国務大臣 沖ノ鳥島については、前回も御質問をいただいたと覚えておりますけれども、間違いなく国連海洋法条約上の島でございます。沖ノ鳥島は、領海やEEZの外縁を根拠づける我が国の国境離島として、適切な保全管理が極めて重要なことから、国による管理等に取り組んでいるところでもございます。

 委員御指摘の、沖ノ鳥島周辺における洋上風力発電事業、採算度外視してでもという御提案でございますが、島外の電力の需要地から遠いという問題であるとか、非常に事業性の観点からは困難であるかなと思っております。ただ、思いは一緒でございまして、現在、沖ノ鳥島では、現地に気象、海象観測機器を設置をいたしまして、我が国の領土として日々観測を実施をしているところでございます。

 引き続き、我が国の領土としてどのような利用ができるのか、検討をしてまいりたいと思っております。

緒方委員 大臣の思いをそのまましっかりと受け止めたいと思います。

 続きまして、我が地元、福岡県北九州市におけます響灘洋上ウィンドファームについてお伺いしたいと思います。

 先ほどから何回か北九州市の話が出ていたようでありますが、現在、北九州市沖の港湾区域で我が町が洋上ウィンドファームを実施しているんですが、それの外のところ、一般海域に当たるところでありますが、ここで更に洋上発電を行う潜在的な可能性について、政府としてどう見ているのか、御答弁いただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在施工が進んでおります響灘洋上風力ウィンドファーム、御指摘のところは、二〇二五年に運転開始に至った場合、その時点におきまして、我が国における洋上風力発電の中でも最大規模のものとなる見込みであるということで、我々としてもしっかり注視しているところでございます。

 また、御質問の福岡県響灘沖の案件につきましては、現在、いわゆる準備区域として整理しているところでございます。

 同海域につきまして、漁業関係者などとの調整状況の詳細についてはこの場では差し控えたいと思いますけれども、経済産業省としては、本海域が次の段階である有望区域として整理できるか、関係省庁や自治体とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

緒方委員 同じく大学でゼミが一緒でありました井上部長と、こういった形で三十年の時を超えてやり取りをすることができること、本当に光栄でございます。ありがとうございました。

 一般海域に広げると仮定するときに、ここは、実は、航空自衛隊芦屋基地のエリアとリアルにぶつかるんですね。現時点でまだ準備区域ということで、こういった洋上風力がまだリアルに俎上にのっているわけではないわけでありますが、先般、陸上自衛隊のエリアと洋上風力の関係整理については法的な整理がなされたということでありますが、今後、陸上でやったということは、次、洋上の話があるよねということでありまして、そういう広げたときの航空自衛隊との関係について、現時点でいかがお考えでありますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 海の方では再エネ海域利用法が既にございまして、こちらでは、促進区域の指定に当たって、委員御指摘のとおり、自衛隊の航空機の訓練空域であるとか防衛レーダー、こうしたものを漁業や航路等への影響に合わせて十分に考慮するため、防衛省を含む関係行政機関に対して協議を行った上で指定するという仕組みになっております。

 自治体から経産省に対して海域に関する情報提供がなされた時点で、防衛省等に対して事前協議を行っておりまして、その結果、支障ありと判断された場合には、影響が生じないよう当該海域を調整するなど、関係省庁と緊密に連携して取り組んでおりまして、これからもそうした方針でしっかりやっていきたいと考えております。

緒方委員 最後の質問にさせていただきたいと思います。

 EEZで風力発電をやるとき、先ほど、直線基線を引いているということがあるので、実は、例えば我が福岡県から基線のところまでだけでも四十キロぐらいあるんですね。一番遠いところは四十五キロぐらいあるんじゃないかと思います。そこから領海を、二十二、三キロだと思いますが、引いた上で、そこからEEZということになるので、沖から七十キロぐらいのところが実はEEZになるわけでありまして、そうすると、設置するのも、そして廃棄するときのコストというのがかなり膨大なものになるということがあるんじゃないかと思います。

 昨今、インフレや金利上昇等の要因によって、欧州では風力発電事業の破綻が相次ぎました。このような事態に備えるために、あらかじめ廃棄のための費用をちゃんと積んでおくことが将来的な対応として必要なのではないかと。やりはしたけれども、うまくいきませんでした、七十キロ先のところに今誰も管理していない風力の風車が放置されていますということがないように、いわゆるリサイクルコストのようなものだと思いますけれども、そういうものを整備すべきではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。

西村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の撤去費用につきましては、現在、一般海域において事業者を選定する際に、撤去の方法や撤去費用を含む収支計画を審査及び評価し、事業廃止後に撤去可能な事業者であることを確認しております。また、事業者が経営破綻した場合に備え、撤去費用の積立てを証明する書類の提出又は政府宛ての金融機関保証状の差し入れといった、撤去費用の確保方法を公募占用計画に記載させているところでございます。

 EEZにおきましても、同様に、設置許可に当たって、事業廃止後に洋上風力発電設備が確実に撤去されるよう、制度を適切に運用してまいりたいと考えてございます。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 れいわ新選組は、党の公約としてグリーンニューディール政策というのを掲げて、脱原発を柱にし、二〇五〇年までに再生可能エネルギー一〇〇%の社会を、そして二〇三〇年までに石炭火力を全廃することを目指しています。積極財政による再エネ、省エネ投資によって、産業の国内回帰とそして新たな雇用の拡大、経済成長を着実に進める、こうした政策なんですね。

 このような観点から、今法案については評価をする立場でありますが、気になる点が幾つかありますので、それらについて質問をいたします。

 まず先に確認をしたいのが、松村大臣、通告はしていませんが、洋上風力を進めるに当たって、電源立地対策交付金の対象に風力発電を加えるというのを所管大臣である経産大臣と協議すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

松村国務大臣 通告がございませんでしたので、ちょっとコメントは控えさせていただきたいと思います。

櫛渕委員 是非御検討をお願いしたいと思います。

 例えば、令和六年度予算では七百六十億円が計上されており、原発立地自治体には、稼働するしないにかかわらず、これだけ準備されています。この交付金は、一千キロワット以上の水力発電についても対象とされている一方で、再エネは主力電源として最大限導入と言われているにもかかわらず、立地自治体には一円もありません。風力発電を始め再生可能エネルギーも同様に対象として、地域の生活そして人々に、しっかりと、地域社会、コミュニティーが支えられるようにお願いをしていきたいと思います。

 さて、この法案では環境アセスメントの手続が変更になります。事業者が決まる前に環境省が調査を行って、その結果を基に、領海内では促進区域の指定、EEZでは候補海域が指定される仕組みとなっています。

 しかし、この仕組みについて、中央環境審議会の一次答申で気になることが書かれているんですね。長いので要約します。資料一を御覧ください。文献調査の情報や環境データは限定的、これから集めるというんですね。大丈夫なんでしょうか。

 環境大臣政務官、中環審のこの指摘について、どのように対応をお考えでしょうか。また、EEZは、天候や海流、あるいは魚や鳥の行動について、日本だけでなく他の国とも協力してやらなければならないと考えますが、EEZの環境評価のやり方、これは国際的な取決めや他国とのやり取りはありますか。簡潔にお願いします。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 本法案では、洋上風力発電事業に係る区域の指定に当たって、海洋環境の保全の観点から、環境大臣が調査を行うこととなっております。

 御指摘のEEZにおける海洋環境調査では、環境省が、有識者などの協力を得つつ、海鳥の生息状況等について広く文献調査などを分析、整理をし、環境保全の観点から開発を避けるべき区域の有無を取りまとめることとなっております。

 加えまして、EEZについては、こうした文献情報に相当する環境データが十分に整備されていないため、環境省が航空機による海鳥の生息状況調査を実施をいたしまして、当該データをあらかじめ整備をする予定となっております。

 もう一点だけよろしいでしょうか。

 法案が成立をいたしまして施行された際には、環境省が適切な調査などを実施することができるよう、必要な予算、体制をしっかり確保してまいりたいと考えております。

櫛渕委員 予算はしっかりとつけていただくのが必要と思うんですが、やはり、この指摘に対して、環境省だけではなくて、例えば、国立環境研究所や環境専門家、そしてNGOなどが参画する形の第三者機関、ここが環境調査を行って、候補海域を指定していくというプロセスが重要であると思うんですね。

 また、日本は、アメリカ、ロシア、中国、オーストラリアと、それぞれ、渡り鳥等保護条約そして協定を締結していますよね。韓国とも保護協力会議などを行っています。領域の外のEEZだからといって、何でも自由でいいというわけではないんですよ。むしろ、国際基準にのっとった生物多様性の保全であるとか、あるいは二国間条約に従った環境評価というものが重要であり、そのような仕組みとなることを強く求めます。

 次に、資料二を御覧ください。EEZの境界未画定地域についてであります。

 おととしの八月五日、当時の松野官房長官の記者会見での発言からしますと、今回の法改正によって、EEZが未画定の海域であっても、中間線から日本側に寄っていれば、国が候補海域を設定して、そこに風力発電施設を建てることができるように思えます。一方、外務省のホームページからすると、EEZの境界が決まっていないのだから、中国の資源の開発は中間線より向こうでも駄目ということですよね。

 これは、普通に考えれば、決まっていないところについては、日本の開発も中間線よりこちらでは駄目となるはずです。

 松村大臣に確認します。EEZの境界が未画定な区域を候補海域として指定できるんでしょうか、できないんでしょうか。お答えください。

松村国務大臣 本法案におきましては、我が国のEEZにおける募集区域については、まず、経済産業大臣が風況や海底地盤等の自然条件に関する調査を行うとともに、環境大臣が海洋環境に関する調査を実施することとなっております。

 その後、経済産業大臣が、これらの調査結果を踏まえ、事業性が得られる風速であるか、海洋環境の保全に支障を及ぼすおそれが少ないと見込まれるか、漁業に明白な支障を及ぼすことはないか、こういった基準を確認するとともに、関係行政機関の長への協議を行い、指定することとなっております。その際に、募集区域の指定に関する関係行政機関の長との協議におきまして、支障を及ぼすおそれがあると回答があった場合は、当該区域については募集区域として指定しないものと承知をいたしております。

 なお、一般論として申し上げれば、我が国における電力の需要地から遠く離れた海域で洋上風力発電事業を実施することは事業性が低く、基本的には、我が国領海の近辺のEEZで発電事業が実施される可能性が高いと考えております。

櫛渕委員 御答弁ありがとうございます。

 重要な確認だと思うんですね。

 政府は、防衛費を五年で四十三兆円も増やし、国民には防衛増税を課しているほど、東アジアの安全保障の環境は緊張が高まっているというふうに説明しているわけです。そうでありながら、周辺国との紛争になりかねない要因をつくることがあるようでは絶対に許されないと思っています。

 経済性から見て、洋上風力発電がそのような海域に建設されることはないと御答弁いただきましたので、後世からの検証に堪えられるよう、政府では、この点、是非とも明確に受け継いでいただきたいと思います。

 こうしたEEZでの環境アセスメントについても、境界の未画定区域での開発についても、日本がEEZを含めた周辺の海域をどのように利用していくかという大きな計画がなく、いわば目先の場当たり的な対応が行われていること自体が問題であると考えます。

 資料三、この地図を御覧ください。海に面している国のほとんどは海洋空間計画を策定しているんですね。

 資料四、そして、海洋空間計画と洋上風力発電の関係については、この図を見ていただくとよく理解できると思います。

 他の国では、海洋空間計画でまずゾーニングが行われ、その後で洋上風力発電の海域指定や調査へ進むというプロセスが一般的です。

 重要なのは、このゾーニング作戦のプロセスで、利害関係者である漁業者や市民、専門家を巻き込んだ徹底的な議論が何年もかけて行われ、イギリスやドイツでは幅広い市民参加が制度化されているという点です。デンマークでは、草の根の段階で、草案のときから、作成段階からワークショップの開催、さらにその修正まで四年をかけてつくられたり、プロセス全体を通じて五年から十年程度の期間と、三菱総合研究所もレポートしています。日本風力発電協会も、関連省庁や漁業者と時間をかけて対話を行い、国家的な海洋空間計画を策定することが、結果的に洋上風力導入の拡大とコスト低減の近道であると提言しています。つまり、重要なのは丁寧な合意プロセスであるということです。

 最後に、大臣にお伺いいたします。

 海洋空間計画そのものを早急に策定する、お約束いただけませんか。

松村国務大臣 海洋空間計画につきましては、欧州諸国を始めといたします諸外国、例えば、ベルギーであるとか、デンマークであるとか、イギリス、こういったところは、海洋空間計画を定め、利用目的ごとに特定の海域を設定している国もあるものと承知をいたしております。

 他方、我が国の海洋は、広大で、かつ、従来より漁業、海運等の様々な用途で盛んに利用されてきたところでございます。こうした我が国の現状を踏まえれば、広大な海域全体について包括的に海洋空間計画を定めるのではなく、国が洋上風力発電を実施するための区域を順次指定する仕組みとする方が、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のため、迅速な案件形成に資するものであると考えております。

星野委員長 櫛渕万里君、時間が過ぎております。おまとめください。

櫛渕委員 はい、数秒でまとめます。

 今おっしゃいましたけれども、ユネスコのガイドラインなんですね、これは。ですので、日本独自というのは、国際上、やはり国際基準で認められない状況になってきます。一部の人たちだけの利害で決められないよう、既に指摘がされておりますので……

星野委員長 済みません、おまとめください。

櫛渕委員 是非、海洋空間計画の策定、御検討をお願いいたします。

 終わります。

星野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

星野委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、冨樫博之君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。太栄志君。

太委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 国際基準に則った生物多様性の保全を重視し、利害関係者の意見を反映させるため、海外で導入事例のある海洋空間計画の実態を把握し、関係府省庁や環境専門家等との連携のもと、我が国の実情を踏まえつつ、我が国独自の海洋空間計画の手法を早急に確立すること。

 二 環境に十分に配慮した洋上風力発電事業を推進するため、事業者の協力を得ながら、環境影響評価図書の常時公開や事業開始後の適切なモニタリングの実施とその情報公開に向けた制度の見直しを検討すること。

 三 公募占用計画等に記載される、事業者が海洋再生可能エネルギー発電設備設置や維持管理を通じて取得する情報について、目的外に利用することがないよう、事業者の情報管理体制について関係府省庁が適宜チェックすること。

 四 事業者が洋上風力のサプライチェーン調査を行うことができるよう、他事例等を参考に、助言をする等のサポート体制を構築すること。

 五 海洋環境等の保全の観点から環境省が行う調査が十分なものとなるよう、必要な予算と人員体制を確保すること。

 六 募集区域の検討・指定や洋上風力発電の計画に関する情報が、その海域で漁を行う漁業関係者に速やかに伝わるよう、都道府県に対する情報提供を徹底すること。

 七 促進区域の検討・指定に対し、各地で地域住民による反対運動が起きていることに鑑み、促進区域の検討は、住民への情報提供を十分に行うとともに、住民の理解を得られるよう基礎自治体と緊密に連携し、進めることを徹底すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

星野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

星野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松村国務大臣。

松村国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

星野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

星野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.