衆議院

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第3号 令和6年12月12日(木曜日)

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令和六年十二月十二日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 阿部  司君 理事 田中  健君

      石原 宏高君    井野 俊郎君

      江渡 聡徳君    尾崎 正直君

      勝目  康君    岸 信千世君

      国定 勇人君    栗原  渉君

      田所 嘉徳君    田中 和徳君

      田中 良生君    土田  慎君

      西野 太亮君    丹羽 秀樹君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      松本  尚君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    山口  壯君

      吉田 真次君    市來 伴子君

      梅谷  守君   おおたけりえ君

      小山 千帆君    下野 幸助君

      橋本 慧悟君    藤岡たかお君

      馬淵 澄夫君    水沼 秀幸君

      山 登志浩君    市村浩一郎君

      三木 圭恵君    石井 智恵君

      菊池大二郎君    河西 宏一君

      庄子 賢一君    上村 英明君

      塩川 鉄也君    堀川あきこ君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  平  将明君

   内閣官房副長官      橘 慶一郎君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   内閣府副大臣       穂坂  泰君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      川本 裕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  風早 正毅君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      山口 最丈君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       松本 敦司君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           役田  平君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          荻野  剛君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松田 浩樹君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦上健一朗君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     田所 嘉徳君

  江渡 聡徳君     丹羽 秀樹君

  尾崎 正直君     勝目  康君

  西野 太亮君     松本  尚君

  平沼正二郎君     吉田 真次君

  山際大志郎君     田中 和徳君

  おおたけりえ君    小山 千帆君

  山崎 正恭君     庄子 賢一君

  塩川 鉄也君     堀川あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     国定 勇人君

  田所 嘉徳君     井野 俊郎君

  田中 和徳君     山際大志郎君

  丹羽 秀樹君     土田  慎君

  松本  尚君     西野 太亮君

  吉田 真次君     平沼正二郎君

  小山 千帆君     おおたけりえ君

  庄子 賢一君     山崎 正恭君

  堀川あきこ君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     尾崎 正直君

  土田  慎君     江渡 聡徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤岡たかお君。

藤岡委員 イチゴ王国、栃木県第四区から参りました、立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 まず冒頭に、地元栃木県第四区の皆様に心から感謝をし、また、質問の機会を与えていただきました先輩、また関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 平大臣、予算委員会から休みなくお疲れさまでございます。また、川本総裁、大岡委員長始め、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、結論について何かとやかく言うつもりはないんですけれども、総理大臣や閣僚の給与に関わる対応についてちょっと質問させていただきます。

 昨年、立憲民主党、私たちの提案で、そのときに、総理、閣僚などの給与については、本則を改定して附則である意味据え置くというふうな提案をさせていただいたところでございますが、当時否決をされまして、当時は河野大臣から、総理や国務大臣のみを据え置くことは、他の官職とのバランスを欠くこととなり、公務員全体の給与の体系を崩すことにもなりかねませんという答弁をされて、否決をされたわけでございますが、今回、この措置と、まさに私たちの提案と同じような対応ということでございますが、答弁の整合性について、平大臣に確認させていただきたいと思います。

平国務大臣 昨年の議論を私はこの内閣委員会の委員として聞いていました。ああ、そのとおりだなと思いましたので、私が公務員制度改革の担当大臣になって、元々役所から出てきた案は昨年と同じ案でありましたが、一旦引き上げて返納するのではなくて、そもそも据え置くべきだという、判断を変えました。その上で、様々な手続を経て今回のこのような改革になったことを申し上げたいと思います。

藤岡委員 本当に、自分の言葉で、大変僭越ですが、政治決断をされたということの御答弁については評価をさせていただきたいなということを思っております。ありがとうございます。(発言する者あり)一方で、今、政治判断、おっしゃるところももちろんあります。

 続けていきたいと思うんですけれども、私たちの提案の中から、今回、一つやはり違うものがあります。

 それは、いわゆる大阪・関西万博の政府代表の給与の取扱いということが一点違うわけでございますが、この大阪・関西万博の政府代表の給与につきましては、昨日外務省から資料をいただくと、改正後は、事務次官とまさに同じ約二千四百九万円の給与に上がり、約三十六万円強のアップということでありますけれども、やはり、なかなか、この万博をめぐる状況、建設費の高騰やあるいはチケットの売行きが厳しいのではないか等々、いろいろな御指摘があると思います。ある意味、もはやここに至っては、逆に成功に導くために一つの覚悟を示すというふうな対応もあってもいいのではないかなというふうに思うんですけれども。

 これはちょっと経産省の浦上審議官に確認をさせていただきたいんですが、今、万博の博覧会協会のホームページによれば、チケットの販売、現在、約七百四十万五千百三十四枚だと。当初、元々、二千三百万枚を目標にされて、それで千四百万枚の前売りの目標だということでありますけれども、七百四十万というのは、大分、当時の愛知万博等と比較しても非常に厳しい状況であるなということが一目瞭然だと思うんですけれども、現在、この一般販売なども含めて、チケットの売行き状況というのはどのような状況なんでしょうか。

浦上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大阪・関西万博のチケット販売でございますけれども、今、十二月四日現在、博覧会協会調べということでございますが、約七百四十万枚ということになっております。

 現在販売されている券種は様々な種類がございまして、その中で、例えば開幕から四月の間だけ一回入場可能な開幕券とか、あるいは開幕から開催期間の前期にのみ入場できる前期券といったものがいろいろございまして、こうした券種ごとに申し上げれば、開幕券が大体七万八千枚、それから前期券が約十二万枚、それ以外の一日券が約六百九十六万枚ということになってございます。

藤岡委員 一般販売ということは、今どのぐらい。

浦上政府参考人 失礼いたしました。

 議員の御関心、チケットの販売先に応じて、企業向けなのか一般向けなのか、こういった属性ごとに区分けをした数字ということで御関心を持たれているというふうに承知をしておりますけれども、これ、ちょっと、なかなか難しいのは、例えばウェブ販売で売れたものというものについても、一般向け販売なのか、それとも企業向けの販売なのかといったことが、若干判別し難いようなものも混在をしてございます。

 したがって、販売先の属性ごとに厳密な数字というのはなかなか出せないということで、博覧会協会においても整理してまだお示しできていないところでございまして、我々の手元にも正確な数字というものは存在していないということで御理解いただければと思います。

藤岡委員 まさにざっくりとした数字でいいので、お答えいただけないでしょうか。

浦上政府参考人 そういう意味では、正確な数字はないということと、いろいろな整理学が必要だということを前提に申し上げて、一応博覧会協会で実際に販売を担当している担当者の肌感覚ということで申し上げれば、七百四十万枚のうち、多くの部分は企業による大口で購入されたものだというふうに考えられるということでございます。

藤岡委員 今御答弁にありましたように、是非最初からお答えいただきたいと思うんですけれども、何か隠しているかのような印象というのは私はよくないと思うんですね。むしろ逆に、成功に導くために、堂々と、きちんと答弁を最初からお願いをしたいなということは思うんですけれども。

 その中で、やはり、平大臣、大変厳しい状況の中で、給与アップ、別法による措置になりますので、わざわざ別法による措置で積極的に上げるかのような対応というのは、私は妥当なのかどうか大変疑問に思うんですけれども、平大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

平国務大臣 先ほどの内閣総理大臣や国務大臣は選挙で選ばれているということもあり、現下の諸情勢を鑑みて、国民から幅広い理解を得ることが重要だという観点から、据え置くということを申し上げたわけでありますが、その他の官職の給与については、まさにその職務と責任に応じて定まるものでありますので、この件につきましては、特別、先ほど、政治家と同じような対応をする必要はない、そのように考えております。

藤岡委員 これは残念な答弁ですね。政治決断をここについても是非していただきたかったと思いますし、ある意味、これは国民の皆さんから、このような今の厳しい状況の中で、ふざけるなという声が上がってもしようがないのではないかなということは指摘をさせていただきたいということを思います。

 次に、資料を配付させていただいておりますが、地域手当のことにちょっと触れさせていただきたいということを思っております。

 今回の人事院勧告などを受けて、地域手当の見直しについては非常に大きな課題というか大きな問題を含んでいるというふうに私は思っております。

 支給割合、東京都特別区については引き続き二〇%のままということでありまして、その中で、赤文字のところはいわゆる引下げになっている地域、配付している資料ですね。例えば、今まで一五%だったさいたま市、千葉市、名古屋市は一二%に下がる。そして、私の地元の栃木県においても、例えば下野市、地元でございますが、これは四%に下がるというふうなことがあったり等々、今の流れの、東京一極集中の是正とか、いろいろな流れの中で、こういうふうに、逆行するというふうにしか見えない地域手当の見直しというのは私は大変大きな問題を持っていると思うんですけれども。

 人事院の政府参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、まず、上がるところ、下がるけれども地域手当が残るところ、あるいは下がるけれども地域手当が残らないところ、自治体で言うと、数を、事実関係をちょっと教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 一般職の国家公務員が在勤しております地域について、今般の地域手当の見直しによりまして、支給割合が引上げとなる地域が二百五十九、支給割合が引下げとなるものの引き続き地域手当の支給対象となる地域が百十五、支給対象から外れる地域が十九となっております。

藤岡委員 地域手当、上がるところは、例えば各市町で、県全体が入ったことによって上がるようなところも、それはそれで別にいいんですけれども、そこの効果があるのでちょっと上振れをするわけだと私は思っておりますが、百三十四は下がってしまうということで、自治体別に、非常に大きな賃上げという流れの中で、地域手当の支給割合が下がってしまう。しかも、東京都特別区は二〇%ですから、格差が拡大するということになってしまうと思うんですね。

 やはり、地方創生担当大臣に改めてお伺いしたいと思うんですけれども、これは逆行するんではないんでしょうか。どうでしょうか。

鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。

 今般の人事院勧告においては、地域手当について、最新のデータを用いて地域の民間賃金の状況を反映させるよう、支給地域や支給割合などの見直しが勧告されたものと承知をいたしております。

 また、地方創生の観点から申し上げれば、民間賃金を含め、地域の所得水準を向上させることが重要であると考えております。関係省庁と連携しながら所得水準の向上を図るとともに、給与法を所管する内閣人事局とも連携してまいりたいと思っております。(発言する者あり)

藤岡委員 今声が上がりましたけれども、向上になっていないんじゃないか、まさにそうなんですけれども、格差拡大してしまっているんですよね。これはやはり鳩山副大臣からもきちんと政府に対して働きかけていただかないと、全く逆行してしまうと思うんですよね。

 また後ほどお伺いしたいと思いますけれども、これは公定価格などにも当然、釈迦に説法ですけれども影響するということで、例えば、この地域手当の支給割合が保育士さんなどの給与などにも影響してくるということで、そうすると、例えば、私の地元から、今回、通勤手当が上がっているということで、新幹線通勤が可能になった。じゃ、栃木県から東京に通う。でも、地元で、いや、保育士さんが人材流出をしちゃった、いや、近くの、近隣の自治体や東京に、やはりどうしても給与が高いところに行っちゃうということになってしまうと、結局やはり、じゃ、東京に引っ越すかなんということになってしまうと、これだと全く本末転倒といいますか、ということになると思うんですよね。

 辻副大臣にお伺いをしたいんですけれども、いわゆる公定価格の地域区分の在り方、今後は、手当の変更に伴うことでございますが、どういうふうに変更されていくのか。私はこれはきちんと人材流出が起こらないような視点を持って対応していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

辻副大臣 藤岡委員御存じのとおり、保育は市区町村に実施義務が課されていて、民間施設においても公立施設と同水準の保育を提供できるように、公定価格の地域区分、それについては、公務員の地域手当における地域区分に準拠することを基本としながら、ほかの社会保障分野の制度との整合性を踏まえて改正してきていますので、今回、委員の御指摘、今年の八月に示された人事院勧告を踏まえると、都道府県単位に広域化することで、県内の隣接する市町村で不均衡の解消が図られる一方で、一部では県外の隣接する市町村との差が現行よりも拡大することを踏まえて、自治体を始めとする、委員の今の御指摘も踏まえ、意見を伺って、ほかの社会保障分野の動向も注視しながら、引き続きちょっと丁寧に議論を進めてまいりますので、よろしくお願いします。

藤岡委員 本当に是非極めて前向きに対応をお願いしたいなということを思います。

 川本総裁にお伺いしたいと思いますけれども、今、入っていないのではないかと思うんですけれども、当然、地域手当の支給割合の決め方について、東京一極集中の是正とか地方創生とか、そういう視点というのは一切入っていないんでしょうか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 国家公務員の地域手当は、特に民間賃金の低い地域を中心に、国家公務員の給与が高いのではないか等の議論を受けて、全国一律に適用される俸給表の水準を引き下げた上で、民間賃金の水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整するための手当として設けられたものなんです。そのために、地域手当については、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させるという観点から見直しを行っております。

 一方、地域手当については、最大で二〇%という支給割合の差が過大ではないかという問題意識もございますので、御指摘もございます、今後、支給割合の差の在り方について検討してまいります。

藤岡委員 今、地域手当の支給割合の差の在り方について検討してくださるということでございましたが、平大臣にもお伺いしたいんですけれども、この地域手当の改定の方向性、やはり東京一極集中の是正、地方創生と逆行するというところがあると思いますので、平大臣においても問題意識を持って御対応をお願いしたいと思うんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

平国務大臣 質問通告をいただいていませんが、今、川本総裁が言った理屈で人事院勧告が行われている。

 一方で、社会変化というのもあると思いますので、そういったものを踏まえて、これからフォワードルッキングでどういうふうにしていくかといったところは、議論の必要があると思います。

 一方で、人事院は大変独立性が高いものですから、そういった社会変化や国家の政策を踏まえたどういう対応ができるかというのは、今後、人事院の皆さんと議論をしていきたいと思っております。

藤岡委員 一応通告はさせていただいておりましたが、済みません。

 では、鳩山副大臣にも、さっき、ちょっと何か大変気迫が足りないように僭越ながら感じたので、地域手当の支給割合や、また公定価格の地域区分の見直しについて、地方創生を所管する副大臣としてしっかり頑張っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山副大臣 委員の問題意識は私自身も共有をさせていただいております、個人的には。

 私自身も久留米市というところの選出でありますし、地域手当がない地域でありますが、私は、この神聖な委員会の場で、地方創生担当の副大臣として立っておりますので、私の立場から申し上げると先ほどと同じような答弁になってしまいますが、地方創生の観点から申し上げれば、民間賃金を含め、地域の所得水準を向上させることが重要だと考えておりますので、関係省庁とも連携をしながら、内閣人事局とも連携してまいりたいと思っております。

藤岡委員 今のは残念ですね。政治家としてもう少し踏み込んで、気迫を見せていただきたいなということを思いましたので、ちょっと残念ですが、是非お願いしたいということを思います。

 それで、川本総裁にお伺いしたいんですけれども、先ほど、まさに地域手当の支給割合の差の在り方の検討をしてくださる。またあるいは、勧告の、報告書の中にも、今後、今までは十年で見直しをしたと思うんですよ、これを短期間でというふうなことが書かれていると思うんですけれども、この短期間って、今後、どれぐらいの期間を想定して見直しをしていっていただけるのか。

 できれば、当然、格差拡大しないようにしていただきたいんですけれども、また、拡大するように見直しても意味ないですから、想定する期間だとか、今後のまさに検討の方向性につきまして、総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 地域手当の支給割合の差の在り方について、現時点で具体的な方向性が決まっているわけではないんですけれども、民間賃金の状況や人事配置の円滑化の観点を踏まえつつ、検討してまいります。

 見直し期間でございますけれども、これまで、委員御指摘のとおり、十年ごとに見直すとしていましたけれども、今後はより短い期間で見直しを行っていきます。

 具体的な時期については、今般の見直しが完成するまでに四年かかります。ですので、それを踏まえまして、今後検討してまいりたいと思っております。

藤岡委員 四年、経過措置やいろいろなことを含めてだと思うんですけれども、ちょっと格差の広がり方が大きいところもありますし、やはりこの差が、二〇と、ある意味、四あるいはゼロ等、これはかなり大きいと思いますので、やはりもう少し速いペースでの見直しというふうな問題意識を持って御対応をお願いしたいと思うんですけれども、総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

川本政府特別補佐人 いろいろな方に御意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと思います。

藤岡委員 是非本当に前向きにお願いをしたいということを思います。

 次に、今回、人事院勧告を受けて、これまで、国家公務員の給与という面で、例えば高校を卒業されてすぐ就職をされて国家公務員になられる方、こうした国家公務員の方の中において、もう皆さん御存じのとおり、国家公務員は最低賃金法の適用というのはないわけでございますけれども、最低賃金割れをしているという国家公務員がいらっしゃる、そういう指摘もあったところだと思います。

 私は、今回の人事院勧告は、これを十分考慮して、これによって最低賃金割れの国家公務員というのはゼロになるというふうには思っているんですけれども、今回の対応でそうなったということでよいかどうか、川本総裁に確認したいと思います。

川本政府特別補佐人 本年の俸給表の改定は、初任給や若年層に特に重点を置いて大幅に引き上げまして、加えて、給与制度のアップデートによって、地域手当の級地区分の設定を都道府県単位に大くくりすることとして、令和七年の四月以降は全国全ての地域において最低賃金を上回る水準が確保されることになります。

藤岡委員 最低賃金割れゼロということでよろしいですね。

川本政府特別補佐人 令和七年四月以降はそうなります。

藤岡委員 是非、最低賃金割れということが起きないようなことだけは、これからもしっかり留意して御対応をお願いしたいということを思います。

 続きまして、人事院勧告などを受けまして、給与、若年層の、若手の公務員の方の賃上げというのは当然必要だと思いますし、これは当然やっていかなくてはいけないと。

 ただ一方で、同時に、そうしたウェートを置くのは当然である一方で、三十代後半から四十代後半の世代、ちょうど私とも同じ世代になるわけでございますが、いわゆる就職氷河期に重なっているような世代の、中堅ですかね、方たちの給与が、若干、若干というかもう少しですか、やはり、しわ寄せといいますか、物価高に対してちょっと影響を受けているというか、取り残されがちではないかなというふうな指摘もあるところだと思います。

 この意味で、ある意味、就職氷河期世代、三十代後半ぐらいから四十代後半ぐらいまでといいましょうか、ちょっとずれていたらあれですけれども、最近の令和四年から六年までということでもいいですけれども、物価を上回る賃上げというのがきちんと行われているのか、あるいは、就職氷河期世代が取り残されているということがないのかどうかという点について、川本総裁にお伺いをしたいと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 就いている職種にも職位にもよりますが、三十歳代後半から四十歳代の職員層については、いわゆるベアやボーナスの引上げによる年間給与の改定率が、残念ながら物価の上昇率を下回る状況が見られます。民間においても、三十代後半から四十歳代の中堅層の改定率は、若年層と比較して低くなる傾向にあります。

 本年の給与勧告においては、公務における人材確保が極めて厳しい状況にあることも踏まえ、民間の初任給上げも考慮いたしまして、若年層に重点を置いた改定を行っておりますけれども、中間層以上の職員についても、職務に応じた給与がきちんと確保されるよう、必要な改善を図ってまいります。

藤岡委員 今御答弁の中で、国家公務員の方は、物価を上回ることはなかなか今まだそうなっていないんだと。一方で、民間の方は、物価等の云々と比較ではなくて、若年層に比べると低くなっているというふうな言い回しだったと思うんですけれども、そういう言い回しからすると、若干民間の方がやはり上がっているのかなというふうに当然思うんですけれども。

 これはやはり、就職氷河期世代が取り残されないように、また、更に問題意識を持ってやってくださるということでございますが、是非人事院勧告の中でもきちっと御対応をお願いしたいと思いますが、最後にちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

川本政府特別補佐人 よく検討してまいりたいと思います。

藤岡委員 よろしくお願いします。

 では、質疑、ありがとうございました。

大岡委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 初めに、今回の人事院勧告と給与水準の在り方について質問をさせていただきたいと思います。

 今般の人事院勧告では、初任給に重点を置いた引上げが行われることとなりました。若手公務員の処遇改善、こちらは人材確保の観点からも非常に重要な取組だと思っております。一方で、管理職の給与水準、こちらは民間の市場水準を下回る傾向にあると聞いております。

 私も、機会があるごとに、若手の官僚の皆さんと交流をさせていただいておるんですけれども、三十代、四十代になって、民間企業への転職を考えている、よりよい給料をいただける、こんなお声をよく聞くわけです。

 このような処遇体系では、二十代は公務員として勤務するものの、経験を蓄積して、働き盛りの三十代以降で官僚離れをより一層加速させてしまう一因にもなりかねないとも思うんですけれども、人事院総裁の御意見をお聞かせいただければと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 公務員給与については、民間準拠により全体水準を決定した上で、民間の動向や公務組織の実情を踏まえながら、適切な部内の配分を検討して改定を行っています。

 近年は、人材確保が極めて厳しい状況にあることも踏まえ、若年層に重点を置いた引上げを行っていて、結果として管理職の改定率は低くなっています。

 一方、管理職は、当然のことのように組織のマネジメントにおいて重い役割を担っていて、そうした職責に応じた適切な給与水準を確保することが重要だと考えています。

 本年勧告を行った給与制度アップデートにおいては、本府省課室長級の職員において、役割の重さに見合った処遇とするために俸給体系の抜本的な見直しを行いまして、上位の級に昇格することで大きく給与が上昇する仕組みといたしました。あわせて、管理職員が平日深夜などに勤務した場合に支給される手当の支給対象時間帯も拡大して、全体として本府省課室長級の職員のふさわしい処遇が確保できる給与制度への転換を図っています。

 人事院の人事行政諮問会議における御議論も踏まえながら、職務に応じた魅力的な給与体系となるよう、引き続き取り組んでまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 各職員層にとって魅力的な給与体系を実現していくという趣旨の御答弁をいただいたと思います。

 が、しかし、現実にはまだまだ問題が、課題が存在すると思っております。そこで、公務員給与制度の課題について何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 総合職の職員について、職務、すなわち職制上の段階と、給与、すなわち職務の級との間に不整合が生じているケースがあると認識しております。一例を申し上げますと、課長補佐に昇任しても給与は係長級のままというケースが横行していると聞いております。これは一例にすぎないんですけれども、このようなねじれも先ほどの議論の中での官僚離れの一因になっているのではないかと思います。

 この実態について御説明をいただくとともに、人事院としての評価、そしてあるべき姿について、人事院総裁に御認識をお伺いしたいと思います。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 国家公務員の級については、職員の就いているポストの職務に応じて職務の級を決定することとされていますが、現行制度においては、各府省の業務遂行や人事管理の必要性に応じた柔軟な運用が可能になっています。ただ、一部、職務と実際に受けている職務の級が一致しないというケースがあることは承知しています。

 委員御指摘の官僚離れへの対応については、人事院としても従来より喫緊の課題と認識しています。優秀な人材を確保するためにも、職務に応じた職務の級となることが重要であると考えておりまして、必要な対応策について早急に検討を進めてまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 実態として認識をされておられて、これから対策を講じていくということでした。

 この点について、平大臣にもお伺いをしてまいりたいと思います。

 ただいま議論した職務と給与の不整合の実態、こちらは、本年六月に閣議決定をされました骨太の方針二〇二四において掲げられた「同一労働同一賃金の遵守の徹底等を通じて、適正な労働環境を確保する。」という政府方針に反するのではないか、こうした意見なんですけれども、政府は自ら同一労働同一賃金の原則に反する実態を放置していることにはなりませんか。御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 阿部委員指摘の、優秀な公務員が民間に転職をしてしまうという問題もありますし、今、採用においても競り負けてしまうという現状がありますので、その辺は柔軟に改革をしていく必要があると思います。

 今御指摘の点に関しましては、私も、その職務と給与が不整合だという問題についてはかなり問題だというふうに認識をしております。

 一方で、公務員の給与は、人事院勧告とかもありますので、よく人事院と連携をして、我々の公務員制度部局と連携をしながら解消していきたいと思いますし、また、人事院においても、この問題について、今対応策について検討されていると言われていましたので、連絡を密にしながら対応してまいりたいと考えます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 ただいま、そういった問題を認識しているとの御答弁をいただきました。

 そこで、具体的な改革の方向性について、人事院総裁にお伺いをしてまいりたいと思います。

 このような実態の原因となっているのが、在級期間と級別定数の二つの制度であります。各府省における人材の効果的な活用、そして適切な処遇の実現のため、より機動的な運用ですとか拡張の余地というものがあるのではないかと思います。

 在級期間については、人事行政諮問会議の中間報告、こちらを踏まえて見直すと伺っておるところですけれども、級別定数についても両輪で改革を進めなければ、現場の職員の皆さんの失望感がどんどん広がっていく一方なのではないかと思います。

 特に、地方支分部局などに職員を多く抱える官庁では、級別定数の上限によって、在級期間を満たしても上位の級に昇格できないケースも多いと聞いております。一方で、そうした事情のない官庁では、級別定数に余裕があるから在級期間最短での昇格が可能となって、不整合もさほど生じていないと承知をしております。

 このように、組織にとって大きな格差が生じている現状を踏まえ、両制度の具体的な検討状況と今後の方向性について、人事院総裁、お願いいたします。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がありました職務と給与の不整合に関しては、人事行政諮問会議において、在級期間という要件、すなわち、職員を昇格させる際に昇格前の級に一定期間在職することを求める要件でございますけれども、それも大きな要因であるとの御指摘を受けています。現在、関係者の意見を聴取しつつ、在級期間に関わる制度、運用の見直しについて検討を進めているところでございます。

 級別定数についても、在級期間に関わる制度、運用の見直しの方向性を踏まえまして、人材の効果的な活用や適切な処遇の実現に資するよう、関係省庁と検討してまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 今、在級期間の見直しを優先的に進めて、それから級別定数の在り方について、こちらも検討を進めていくという御答弁だったかと思いますけれども、これはスピード感を持って是非対応いただきたいと思います。是非ともよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 人勧の質疑を行います。官民比較の企業規模問題について質問をいたします。

 今年八月の人事院勧告は、民間給与との較差が二・七六%あるとして引上げ改定となっておりますが、国家公務員の二〇二五年一月の平均昇給率は何%か、人事院にお尋ねします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年、令和七年の一月の昇給率は〇・八九%でございます。

塩川委員 今お答えがありましたように、人事院勧告による引上げ二・七六%に定期昇給分〇・八九%を加えても、三・六五%であります。一方、厚労省が公表しております今年の春闘における主要企業、大企業の賃金上昇率は、定期昇給分も含めて五・三三%となっております。

 この三・六五%と五・三三%となっている、こういう差が生じているのはなぜなのか。人事院が官民比較の対象とする企業規模を従業員五十人以上としていることがその背景、理由になっているのではありませんか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 人事院が勧告に際して行っている職種別民間給与実態調査は、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所を対象に行っておりまして、調査対象となる企業の範囲などが厚生労働省の調査とは異なっておりますので、こうした違いが賃金上昇率の違いにつながっていると考えております。

塩川委員 企業規模の比較対象が五十人以上となっている。

 そういった点で、今回、人事院は、今年の公務員人事管理の報告の中で、人事行政諮問会議、人事院参与会、公務員問題懇話会などにおいて、人材確保が危機的となっている大きな要因として比較対象企業の規模が挙げられ、その引上げの必要性が強く指摘をされている、適切な報酬水準の設定に向け、比較対象となる企業規模について検討を進めるとしております。

 どのような問題意識でこのようなことを記載をされたのか、今後何を行っていくのか、この点について御説明ください。

川本政府特別補佐人 官民給与の比較を行う際の企業規模については様々な御議論がありますけれども、国家公務員の人材確保が危機的な状況にある中で、人材確保の要請も考慮した民間企業従業員の給与の把握の在り方が重要な検討課題になっていると考えています。

 この点、人事院で行っている人事行政諮問会議や参与会、公務員問題懇話会等においては、国の公務の規模などの観点から、より規模が大きい企業のみと比較するべきとの御議論や、民間企業等との人材確保における競合がある中で、公務に有為な人材を計画的かつ安定的に確保、維持する必要があり、そのような観点を踏まえた適正な給与水準を確保することが重要との御指摘をいただいております。

 こうした御指摘も踏まえまして、今後、官民給与の比較対象となる企業規模の在り方について検討を進めていきたいと考えております。

塩川委員 人材確保が危機的な状況だ、そういった点で、賃上げをしっかり行うためには今の企業規模の比較だと駄目なんだ、五十人以上については引き上げる、こういう方向で検討するということでよろしいですか。

川本政府特別補佐人 企業規模について検討を進めていくということでございます。

塩川委員 企業規模を引き上げる方向で検討するということですね。

川本政府特別補佐人 出ている御議論はそういうことですので、その検討をしていくということでございます。

塩川委員 先ほども紹介されましたけれども、人事行政諮問会議の委員の発言の中でも、公務員の給料が安いというのは誰に聞いても異論を唱える人はいない、これだけ全国区で仕事をしながら、責任も年々重くなりながら、比較対象は五十人規模の企業である、これには驚いた、必ず引き上げるべきだと。公務員問題懇話会の出席者も、もっと大きな企業と比較するなど、企業規模を見直すべきではないのかと。そういう点で、引上げの方向で見直すというのは当然のことだと思います。

 でも、そもそも何で引き下げたのかという問題があるんですよ。二〇〇六年に、それまで百人以上だった企業規模を五十人以上に拡大した、これが間違いだったということじゃありませんか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 国家公務員の給与については、社会的な理解、関係各方面の御理解が得られるものであることが大変に重要です。このような要請の下、人事院は、その時々の経済雇用情勢等を反映して決定される民間企業従業員の給与水準と国家公務員の給与水準を均衡させることを基本として勧告を行ってきています。

 比較対象企業の規模を五十人以上に拡大した際は、その当時の社会経済情勢を踏まえまして、社会的な理解、関係各方面の理解が得られるよう見直しを行ったと認識しております。

 今後とも、社会的な理解、関係各方面の御理解、公務に必要な人材の確保という観点を踏まえまして、適切に対応していきたいと考えております。

塩川委員 当時の社会経済情勢、社会的な理解というお話をされましたけれども、当時は、公務員バッシングなんですよ。とにかく公務員をたたくということが、やはり大きく強調されたときであって、そういう中で、自民党など政府からも、繰り返して公務員の人件費削減政策を要求をし、官民比較の企業規模を拡大するよう三回も閣議決定を行って、人事院に圧力をかけたわけです。

 二〇〇五年十一月の閣議決定の行政改革の重要方針では、総人件費を大胆に削減するとまで言ったわけで、そのための具体策の一つとして挙げられたのが比較対象企業の規模拡大であります。こういったことに同調したのが人事院で、まさに人事院の独立性が問われる大問題だった。

 そういう点でも、こういった公務員の総人件費抑制方針、平大臣、もうきっぱりと撤回をすべきではありませんか。

平国務大臣 塩川委員の問題意識は共有をしたいと思います。

 どの部分を共有するかというと、民間企業は賃金がどんどん上がっているし、やはり大企業と中小企業でギャップがあるわけで、そういった中で、本来採れる、今まで採れていた有為な人材が公務員として採れない状況になっている。なので、賃金をしっかり上げていくべきだというふうに私も思います。

 そんな中で、役割分担を人事院としておりますので、人事院とよく議論をしながら、一方で、人事院勧告制度はしっかりと尊重しながらということになるというふうに思います。

 今のお尋ねは、総人件費の抑制の方針は撤回すべきではないかということでありますが、私の認識は、これからどんどん人手不足が加速をしていく中で、給料をそれなりに上げても、人は、数は採れないという社会が出てくるんだろう。その解決の手段として、デジタルガバメントとかAIを実装して、行政のサービスを落とすことなく、比較的少ない人数でも回せるようにしていくということが解決だと思っていて、総人件費は抑制されているけれども一人一人の給料は上がる、そういう政府を目指していきたいと思っております。

塩川委員 比較対象企業規模の大幅な引上げを強く求めて、質問を終わります。

大岡委員長 次に、石井智恵君。

石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。

 本日の質疑、何とぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、政府の民間人材の国家公務員への採用の取組について質問をいたします。

 今回の人事院勧告では、優秀な人材の確保に取り組むとありますが、今後は、民間で培った人脈や経験を生かして国家公務員として働いてみたいとする方への採用を更に進めていくべきと考えております。既に政府では官民人事交流を行っていますが、各省庁においてはまだ偏りがあるように思います。

 例えば、令和五年十月一日に内閣官房内閣人事局が公表しております各省庁における民間から国への職員受入れ状況の総数を見ますと、国土交通省では千三百六人、金融庁で四百四十九人、デジタル庁は五百六人と多いですが、一方、防衛省は三十三人、警察庁は十三人、こども家庭庁は四十九人と、ほかの省庁に比べて少なく、差が見られます。また、出身民間企業の企業名を見てみましても、大手企業出身の方が多く見られます。

 特に、防衛省また警察庁においては、サイバーテロへの対策については、より高度な技術、経験を持ち、そして国際情勢にも精通をしている優秀な人材の人事交流、また民間からの採用をすることについては、国家の安全保障の観点からも必要不可欠と思います。先日、防衛省のヒアリングを行った際にも、民間からの採用は今後の課題となっているということをお聞きいたしました。

 国家公務員への民間からの採用については、今後、より幅広い分野での人材確保が必要であると思いますが、平大臣のお考えをお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。

平国務大臣 御質問ありがとうございます。

 私が見ているデジタル庁は、今御指摘ありましたけれども、千人職員がいて、五百人が霞が関、五百人が民間出身ということで、半々になっています。そのうち四分の一がリモートワークという、霞が関の中では最先端を行っているんだろうというふうに思います。その上で、そういった取組を、公務員制度改革の担当大臣としてできるだけ横展開をしていきたいと思っています。

 また、サイバー安全保障の担当大臣でもありますが、ここは、いわゆる特定秘密とか国家秘密が関わってまいりますので、優秀だからといってそれに携わることができるかというと、そういうわけではありません。そういった中で、先般、セキュリティークリアランスの法律もできましたので、こういったものを活用しながら、そういった人材にも御協力をいただくということになると思います。

 最後に残っている問題は、特にデジタル人材とか金融人材とかサイバーセキュリティーの人材は、元々給料が高いものですから、これが公務員の給与制度に当てはまらない。我々、今、今回の総理の給料は上げないことを決めましたけれども、ここがキャップがはまっているものですから、それ以上の給料が高い人の採りようがないといった問題をどう考えるかというのは、また是非与野党で議論をさせていただければと思います。

石井委員 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。

 次に、働き続けられる環境づくりについて質問をいたします。

 国家公務員の皆さんが、これまでの経験を生かして、磨いた能力を最大限に発揮できるように、中途採用の職員や非正規雇用の方も含めて、働き続けられることができる環境づくりが今後更に必要と考えております。

 人事院総裁には、この誰もがキャリアを諦めることなく働き続けられる環境づくりについてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 ライフスタイルや働き方に対する価値観が多様化する現在においては、多様な人材を生かし、その能力を最大限に発揮できる勤務環境の整備が求められていると認識しています。

 このことから、育児、介護など様々な事情を有する職員誰もが、個性や能力を十分に発揮して、仕事と生活を両立しながら働き続けられる公務職場を実現することは、大変重要な課題と考えております。

 人事院では、このような観点から、これまでも、育児休業制度や介護休暇制度などの仕事と生活の両立支援、フレックスタイムやテレワークなどの個々の職員の事情を尊重した柔軟な働き方、心の健康相談の拡充などの職員の健康確保について取組を推進してまいりました。本年の勧告時においても、育児休業法の改正について意見の申出をしたほか、仕事と生活の両立等に関する各種の取組をお示ししております。

 今後も、職員がやりがいを持って生き生きと働き続けることができる環境をつくるために、関連する制度が各職場において活用されるようにするなど、必要な取組を推進してまいります。

石井委員 ありがとうございます。

 私は、看護師として病院で長年勤務をしておりました。その中で、疾病を持ちながら働いている方も見てまいりました。今は、がんの治療をしながら働いている方も多くいらっしゃいます。また、不妊治療をしながら働いている方も増えてまいりました。皆さん、仕事は辞めたくないけれども、やはり治療を続けていくに当たって職場に迷惑がかかるかもしれないと、仕事を辞めてしまわれる方もおられました。

 このように、職場において、疾病を抱えた労働者が治療と仕事との両立の対応が必要となる場面が、今後更に増えてくると予想をされます。これは、国家公務員の皆さんの職場でも、また民間の職場でも同じであります。

 職員のウェルビーイングの実現、個々のキャリア、スキルの最大活用で組織パフォーマンスの最大化を図るためにも、治療と仕事の両立という新たな働き方の更なる検討を進めていく必要があると思いますが、人事院の御意見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 公務におきましても、病気を抱える職員が治療と仕事を両立させ、働き続けられる環境づくりを進めていくことが重要であると考えております。

 職員の治療と仕事の両立を支援するため、人事院では、令和六年三月、本年三月に、国家公務員のがんの治療と仕事の両立支援ハンドブックですとか、がんの治療と仕事の両立支援に関する講演動画を作成し、人事院のホームページに掲載するとともに、各府省に対して周知を行っています。

 また、本年十月には、各府省等に送付する機関誌で人事院月報というものがあるんですが、こちらで、がんのみならず、脳卒中、心筋梗塞といった循環器の疾患ですとか、糖尿病などの対策にも役立つよう、有識者による治療と仕事の両立をテーマとした記事を掲載し、ホームページにも載せています。

 さらに、毎年、国家公務員健康週間を設けて健康施策を推進しているところでございますが、今年度の健康週間におきましては、治療を受けながら働く職員を支援するための担当者の知識向上を重点事項に位置づけまして、各府省に取組を促しております。

 人事院としましては、職員に治療と仕事の両立について理解を深めていただくため、引き続きこうした取組を続けていきたいと考えております。

石井委員 前向きで詳細な答弁を誠にありがとうございました。

 私、仕事と生活の両立支援において、民間主導ではなくて、官主導で行っていくことの必要性も考えております。

 その理由として、男性の育児休業の取得率を見ていましても、令和四年度の人事院の調査によりますと、国家公務員の一般男性の育児休業取得率は七割を超え、過去最高でありました。一方、企業で働いている男性の育児休業の取得率を見ていますと、厚生労働省イクメンプロジェクトが公表しております令和五年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査においては、企業における男性の育休等取得率は四六・二%でありました。

 少子化の対策の課題として男性の育児参加が叫ばれている中で、男性の公務員の皆さんが率先して育児参加をし、仕事と生活の両立を先導していると思います。それを生かして、更に、介護と仕事、また治療と仕事の両立支援について官主導で進めていくこともできるのではないかと考えておりますが、人事院の御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

荻野政府参考人 働き続けられる環境づくりを始めとしまして、職員のウェルビーイングの土台となる職場環境整備を通じた職員の健康増進は、公務職場の魅力向上の観点からも、極めて重要な課題だというふうに認識しております。

 民間企業におきましても、様々な取組が進んでおります。健康増進につきましても、積極的な取組を行う企業が増加しているというふうに認識しております。公務におきましても、民間の動向も踏まえながら、時代に合った適切な支援体制が整備されるように、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。

石井委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで質疑を終わりとします。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明と申します。今日はよろしくお願いいたします。

 まず、皆さん、ほかの先生方が細かい点に関してはかなりいろいろ質問されたので、ちょっと大きな枠でお話をしたいと思います。

 今回、人事院の勧告は、読ませていただいて、もちろん給与の面というのは非常に大事な面であるということは我々も否定しないんですけれども、同時に、様々な、例えばハラスメントに対する対応であるとか、いわゆる職場がちゃんとした職場であるということに関する提案も幾つも書かれていたというふうに思っています。

 そういう意味で、人材の確保が急務であるという一方、そうしたことを踏まえたことが書かれた原因というのを人事院総裁の方からちょっとコメントをいただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国家公務員の人材確保は非常に難しい状況にありまして、その要因といたしまして、長時間労働とか、人材獲得で競合する民間企業との給与の水準などの違いがあります。また、こうした要因に加えまして、国家公務員については、採用年次に重きを置いた昇進管理や職能的な報酬体系による人事管理が広く行われていて、若手にとって魅力的な選択肢として映らなくなっていると分析しています。

 人事院としては、こうした要因分析を踏まえまして、国家公務員の人材確保の状況を改善させるために、給与制度の包括的見直しのみならず、採用試験制度の改革、それから職員の成長支援、両立支援制度の拡充、超過勤務の縮減など、施策を包括的なパッケージで進めています。

 引き続き、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。

上村委員 ありがとうございます。

 包括的なアプローチをしたいということに関しては期待をしているところでありますけれども、若い人たちがやはり公務員という職に魅力を感じなくなってきているという部分の根深いところというものをどういうふうに考えるかということをちょっと今日はお話をしたいと思うんです。

 皆さん、ある意味では御存じのように、日本型の組織というものがなかなか、風通しがよくないという表現をかつては使いました。これは、川本総裁自体が海外で職業経験をされておりますので、多分、日本型の組織に対するある種の納得のいかないものを踏まえて移られたのではないかなというふうに思います。

 その中で、私たちが考えていますのは、例えば、組織が民主的であるかどうか、つまり、様々な異論とか異議を申し立てたときに、それが公平に扱ってもらえるのかとか、それから、ハラスメントのことに関してはしっかり書かれていますけれども、同時に、これは救済が実際にどう行われているのかというデータまで含まないと、なかなか説得ある表現になっていかないんではないかというふうに思っています。

 そうした意味で、私のやってきた分野では、ヒューマン・ライツ・ベースド・アプローチのような言い方があるんですけれども、包括的に物を考える際に、いわゆる国際的な水準における人権基準が、公務員が守られているんだということをアピールしていくような形の改革というものがあったらどうかなというふうなことを思いました。

 特に、総裁は女性ですので御経験があると思うんですけれども、例えば、ジェンダーであればガラスの天井があるとか、それから、多分若い女性を、優秀な若い女性を採用したいと思うときに、例えば、いわゆる選択的夫婦別姓のような問題についての、ある種の立場を表明されなくていいのかなということもあります。先ほどあったように、人事院は政府から独立した機関なので、独立した見解を持たれても決して不思議ではないなというのが私の見解であります。

 さらに、もっと、別姓まで行かなくても、パートナーシップ契約とか、今いろいろな婚姻の形態があって、それを踏まえてこの組織はやっていくんだということを表明されれば、こうしたいわゆる公務員組織が民間のモデルになり、更に様々な日本の国内にある組織のモデルになるという意味では、こうした包括的な人権アプローチみたいなものをもう少し前向きに取り上げていただいたらいかがなものかなというふうに思っています。

 総裁としては、海外で仕事をされたことで感じられたことって何かありますか。ちょっと、これは通告にはないんですけれども。

川本政府特別補佐人 日本の特徴という御質問だと思うんですけれども、それぞれの国にそれぞれの課題があり、日本にも課題があるというふうに考えています。

 日本の場合、無謬性が強い側面があって、是正に時間がかかってしまう事例が過去あったようにも感じています。

 あと、アンコンシャスバイアス、無意識のバイアスのようなものは、既にかなり啓発が進んでいますけれども、ここにおいては更に進める必要がある場面もあるかというふうに感じています。

上村委員 ありがとうございます。

 今おっしゃった、アンコンシャスバイアスの話も出ましたので、そうした問題について、これはもうちょっと分かりやすく言うと、マジョリティーがどれだけ特権を持っているかということを研修で学ぶというふうなことも重要なことなんですけれども、こうしたことを踏まえて、公務員になる方にもいろいろなアイデンティティーを持った方がいらっしゃいます。そうした方たちもいる、あるいは障害者の方もいる、あるいはLGBTQの方もいるという、そうした魅力ある組織としての公務員組織の実現に向けて努力をしていただければ大変ありがたいなというふうに思っています。

 今日はどうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官風早正毅君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沼正二郎君。

平沼委員 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。自由民主党の平沼正二郎でございます。

 一年二か月ほど政務官を務めておりましたので久々の質問となりまして、少々拙い部分があったら大変失礼いたしますけれども、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきたいと思います。

 さて、今回の一般職、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる給与法の改正でございますけれども、月例給を平均一万一千百八十三円、二・七六%アップ、特別給、ボーナスを〇・一か月分引き上げるとの人事院の勧告に基づくものでありまして、この引上げ率の二・七六%というのは、公務と民間、約四十七万人の四月分の給与を調査して比較した結果のデータでございまして、これがまさに官民較差の数値でありまして、一九九二年の二・八七%以来の官民較差の大きさと今現在なっているわけでございます。

 今回の改定は、まさにその分の較差を解消するというものでありますけれども、皆さんも実感しているとは思いますけれども、現在、エネルギー費の高騰であったり、資材価格高騰などにより、コストプッシュ型のインフレが加速をしている状況であります。

 昨日、日銀が発表した十一月の企業物価指数、速報値においては前年同月比で三・七%上昇しておりまして、二三年七月以来の高い伸び率となったとの報道も出ておるわけでございます。これは主に米の価格高騰が要因ともされておりまして、家計を圧迫している実情というのが今現在あるわけでございます。

 ちなみに、私も、土日にスーパーに買物に行ったり、料理を作ったりということもするんですけれども、やはり実感するのは、子供のチョコレートが上がっていたり、油の値段が上がっていたりというのが実際に今スーパーでありまして、実際には、今、十一月の食品関係の値上げは二百八十二品目ありまして、年間を通してだと、今年度は一万二千四百五十八品目ほどあるということでございまして、さらに、これは来年、今年よりも高い水準で値上げが、値上げラッシュですね、が続くとの見通しも出ているわけでございます。

 さて、今回の補正予算もそうなんですけれども、政府は、物価高を上回る賃上げの実現のために、様々な政策を展開しておるわけでございます。例えば、価格転嫁の対策であったり、賃上げ税制、そして非正規雇用の正規雇用化、こういったことを展開しておって、おかげで二〇二四年の春闘では五・三三%の歴史的な賃上げが今実現して、二五年春闘でも五%に迫る高い賃上げが実現できるのではないかというような見込みも出ているわけでございます。

 そのような中、民間の賃上げを実行して結果が出ている、こういった状況に官の皆さんもやはり給与の水準をしっかり合わせていくというのは、私は当然のことであると思いますし、日本全体で物価高を克服して、消費を拡大して、そしてその消費が企業の成長と投資につながって、そしてそれが更なる賃上げにつながっていく、そして経済成長が形作られていく、それをもって、今目指しているデフレからの完全脱却というのをやはり実現をしていかなければならないわけであります。

 今、その転換期の非常に重要な局面であると思っておりますし、消費を支えているのは官も民も同様なわけでございまして、本法案をしっかりと通していくことが経済成長の一部に資するものであると私は考えております。

 では、実態の把握をさせていただきたいんですけれども、今回の法改正によって、一般職の職員として対象となる職員の数が、大まかでもいいので分かれば教えていただけますでしょうか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律改正で対象となる一般職の職員でございますけれども、内閣人事局が取りまとめてございます一般職国家公務員在職状況統計表によりますと、令和六年七月一日時点において、常勤職員として在職している一般職の職員の人数は二十七万八百七十四人でございます。

平沼委員 約二十七万人ということでございますけれども、例えば、大企業の従業員数の平均が六千人みたいなデータが出ているわけでございまして、そうすると、大企業の大体約四十五社分、中堅企業だと、これはちょっと従業員数の開きがありますけれども、百から千人ぐらいと言われているので間を取って五百人規模とすると、約五百四十社分ぐらいのインパクトがあるということになるので、これは決してこの日本において小さい数字ではないなと考えております。

 今回は官民較差の解消ということでありますけれども、給与較差が広がると、人員の確保という観点からも、民間との較差が広がってしまうと、やはり職員の採用にも非常に今後支障を来す可能性がある、これは容易に予想できることであります。

 本委員会もそうですけれども、国家運営というものに鑑みますと、実務運営をしっかりと支えていただいているのはやはり国家公務員の皆様でございまして、そして、我々国会議員は、国民の声を代弁して、その声を国家公務員の皆さんに届け、共によりよい日本を形作っていかなければならないわけでございます。そのためには、繰り返しになりますけれども、民間同様に、やはり人材の確保というのは非常に重要なファクターとなるわけでございます。

 一方で、これは報道などでも聞かれるのですが、やはり国家公務員のなり手不足の問題であります。実際に東大生の志望者数が年々減少している等の様々なデータがあるようでございますけれども、実際には今どうなっているのかなどのデータがあれば、現状の実情を教えていただけますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員のなり手不足でございますけれども、大半を占めます国家公務員の採用試験の申込者数で申し上げますと、どの試験も近年減少傾向が続いてございます。特に今年度は、一般職の試験の技術系区分につきましては合格者数が採用定数を下回った、そういう厳しい状況にございます。

 人材確保は極めて重要な課題と認識してございまして、働き方改革であるとか人材確保、処遇もございますけれども、そちらの取組を進めてまいりたいと考えております。

平沼委員 ありがとうございます。

 御案内いただいたのは国家公務員の採用試験の申込者の実態であったわけでございますけれども、年々減少傾向であるということでございました。

 ちなみに、私、冒頭に、前内閣において政務官を務めさせていただいたと申し上げましたけれども、私は内閣府の政務官でございまして、そのときに防災担当の政務官でございました。一月一日に発生をいたしました能登半島地震において、現地対応を含めてさせていただきました。元日から急遽官邸に赴いて、その後は石川県庁の現地対策本部に入って、副大臣とともに現場の指揮対応に当たらせていただきましたけれども、この対策本部においては、ピーク時には三百名ほどの、本省の、各省の皆さん方が集まって、ミニ霞が関と言われるようなものを形作って現地対応に当たったり、実際の被災地の現場にリエゾンが赴いたわけでございますけれども、これはピーク時は約五百名ほど行った、こういったデータもあったわけでございまして、それこそ、発災後しばらくは、本当に寝食もままならない環境の中において、災害対応に必死に本当に現場の皆さんは当たっていただいたわけであります。

 今、日本は非常に災害も大きくなっている中において、こういう非常時の対応というのも国家公務員の皆さん方にはあるわけでございます。国家公務員の役割、この災害大国日本においては、やはり今まで以上にその役割の重要性が私は増しているなと実感をしております。それゆえに、やはり人材の確保というのは非常に、この国家的な危機に対しても重要であると思っておりますし、やはりここは人材確保に今後しっかりと努めてまいらなければなりません。

 そして、今回、給与面もそうかもしれませんけれども、やはり働き方の環境改善というのも同時に重要なわけでございまして、よく、ブラック霞が関とか、霞が関は人生の墓場であるみたいな、霞が関の中央官庁は悲惨な職場であるとやゆをされているような実情もあるように伺っております。昨今、実態を、民間は、これは働き方改革の推進ということで労働基準法が見直されて、労働基準法が厳しくチェックをして是正勧告をしたりということがあるんですけれども、これはやはり霞が関には適用されないという状態もあります。

 一方、志高く働いている方が激務によってリタイアしてしまうというのは本当に不幸なことでありますし、激務の理由は様々あると思うんですけれども、その中でやはりよく指摘されているのが官僚の皆様の国会の対応の業務であります。官僚の方の仕事のメインはやはり政策の企画立案だと思いますけれども、相変わらず国会答弁の作成や調整作業に追われて、知的業務に割く時間が圧迫をされているのではないかという指摘もございます。この問題は、我々国会議員全員がやはり認知して、しっかりと取り組んでいかないといけない課題だと思っております。

 そこで、お伺いいたしますけれども、国会審議における質問通告などの現状把握などのデータはありますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 内閣人事局では、国会業務に関するデータ集計ということで、各府省になされた質問通告の状況であるとか、それから国会対応、どれぐらい時間がかかったかといった状況を調査してございます。

 本年の通常国会の予算委員会開催期間、二月五日から三月三十一日において調べてみますと、質問通告につきましては、委員会開催日の前々日までの通告というのは半分の約五〇%、前日十八時までの通告は約四三%、前日の十八時以降の通告は約七%となってございました。

 一方、政府の答弁作成作業の状況を見ますと、最後の質問が判明して答弁作成の着手が可能となった時刻の平均というのは十八時十八分、全ての答弁作成が完了した時刻の平均というのは二十四時四十八分ということで、答弁作成に六時間半を要しているということでございました。

平沼委員 これは、委員会開催決定のタイミングもいろいろあるかとは思うんですけれども、終了したのが二十四時四十八分ということで、日付を超えているということでありますので、いろいろ本当にあるわけでございます。いろいろ含めてあるとは思うんですけれども、私は、含めて、やはりこの問題は改めて国会議員が認識して改善に取り組む必要があると思っております。私の今回の質問は、先週の金曜日に提出して月曜日にはレクを終えておりますので、こういったことで、皆さんもしっかりと、皆さん、志を同じくして取り組んでいただければなと思っております。

 また、オンラインなんかのレクの活用というのがまだまだ、レクのときにいただいたデータではまだ低いというところもありますので、対面でなくてはならない場合ももちろんあるでしょうけれども、オンラインで済ませる場合はしっかりとそういったことも活用していくということも広く周知をできればなと思っております。

 また、今回の法改正は、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案も入っております。こちらは、私も二人子供がおりますけれども、やはり急な熱や病気で急遽病院に行かないといけないということも多々ありましたし、やはりこれがしっかりと拡充されていって、より取りやすい環境をつくっていくというのは非常に重要なことであると思っております。こういった文化醸成にもしっかりと各省取り組んでいただければなと思います。

 最後の質問になりますけれども、ちょっと趣旨が変わるかもしれませんけれども、これは広く国民の皆さんにもちょっと知っていただきたいなと思っておりまして、今回の法改正では、内閣総理大臣等の月例給及び特別給は当分の間据え置く措置とされておりますけれども、この措置は当然だろうなと思っております。

 一方、大臣、副大臣、政務官などには特別職職員の俸給等、端的に言うと役職手当みたいなものが支給されておりまして、これは現状、一部返納しているということがありますけれども、この詳細を改めて教えていただけますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 給与の返納についてお尋ねでございますけれども、議員歳費と特別職の職員の給与の差額といったところ、そのところについて返納が可能ということでございます。

 現在まで、東日本大震災のときに法律で削減措置を行ってございましたけれども、それを受けまして、内閣総理大臣につきましては三〇%、国務大臣及び副大臣等にあっては二〇%、それから大臣政務官にあっては一〇%というのが、ずっと返納ということを行われてきたところでございます。

 これに加えまして、令和五年改正によりまして、給与引上げ分につきましても返納を継続している、これは現内閣においても継続しているところでございます。この扱いにつきましては引き続きやるということで、この前の給与関係閣僚会議で確認してございます。

平沼委員 これ自体は全く私は否定する気もありませんし、しっかりとこれを継続させていく必要もあるのかと思っておりますけれども、やはり、こういったものをしっかり取り組んでいるということもしっかり知っていただくというのも非常に重要なことであると思っておりますし、今回の給与法改定によって、少しでも国家公務員のなり手と職場環境の改善につながればと思いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 内閣委員会は初めてですので、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

 まず、質問通告についてなんですが、三番の、内閣総理大臣、国務大臣の給与について、これなんですが、先ほど我が党の藤岡委員から、大臣御本人の御決断、御英断があったという御答弁をいただきましたので、これは今日はなしにさせていただきたいと思います。その上で、その御答弁のように是非前向きな御答弁をお願いしたいと思いますし、私は基本的に大臣からの御答弁を全てお願いしたいなという質問を用意していますので、よろしくお願いいたします。

 まず、冒頭、給与法の取扱いについてお尋ねをしたいと思います。

 この法案は、今年、提出は十二月九日、昨年は十月二十日、例年十月でありますよね。この審議日程がかなりかつかつになっているのは、政府・与党の都合によって提出が大幅に遅れたことにあるわけでして、これで、給与法が提出、そして、これからですけれども、成立が遅れることによって、既に御案内ですけれども、十二月の地方議会には間に合わないなどの影響が出ているわけなんです。

 これは例年ですから、例年の給与法の日程を踏まえれば、そもそも、衆議院解散前、十月上旬には提出をし、そして成立を図るべきだったというふうに私は思います。

 そこで、お尋ねしますが、なぜ衆議院解散前に行わずにこの日程になったのかについて御説明を求めますし、あわせて、全国の公務員やまた自治体に迷惑をかけ、また、本委員会においても異例の対応を迫られたことについて政府に反省を求めますが、御答弁よろしくお願いいたします。

平国務大臣 まず、令和六年人事院勧告が約三十年ぶりの大幅な引上げ率二・七六%ということもあり、これに伴う給与改定所要額が三千億円超えと見込まれたこと等から、改正給与法案の検討は補正予算案の検討と並行して行う必要があったということがまずあります。

 一方で、今御指摘のあった十二月期のボーナスについても、間に合わなかったというのは現実でありますので、これについては大変申し訳ないというふうに思っております。

 また、地方議会への関係でありますが、これについても、地方公共団体の声に配慮をして、給与関係閣僚会議の取扱方針は十一月二十九日に方針を決定をして、改正給与法案とは切り離して前倒しで閣議決定する措置を講じたところでございます。

 また、国会全体の日程とか、それについては、ちょっと私自身が、公務員制度担当大臣としてお答えする立場にございません。

梅谷委員 今ほど、大臣から申し訳ないといった、反省という御答弁をいただきました。

 これは、急転直下の解散、すなわち政権の自己都合によって、ややもすると、全国一般職の国家公務員三十万人、また、地方議会を含めて地方自治体、大きな影響を受けます。立法府の審議日程もこうして縛られました。だけでなく、公務員給与を参考にする民間もいるわけでして、この影響というのはこれだけにとどまりません。ですので、改めてですが、今後こうした影響に十分御留意していただく対応を求めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、本題に移らせていただきます。

 まず、お尋ねをしたいんですが、私はこの質問に臨むに当たって、賃金を改善する、そして定員の確保を求めていきたい、このスタンスで質問させていただくんですが、他方で、総人件費を抑制すべきだとか、また、総定員数を削減すべきだといった声もあるのも現実です。

 そこで、お尋ねしますが、総人件費抑制だったり、また総定員数減、これに対しての政府としての対応、取組についてお尋ねをします。

平国務大臣 今委員から、まず、必要な人員は確保すべきだというお立場だと。さらに、賃金も上げるべきだというお立場だと思います。

 一方で、総定員は削るべきだということだと思うんですが、これはちょっと、一見矛盾しているように見えますが、私はこれは可能だと思っていて、給与水準を上げるべきだと思います。賃金は三年連続で数十年ぶりの賃上げになっていますから、民間と、人を採る求人のところ、リクルートのところで今負けてしまっているという現状があります。これに対しては、いわゆる人事院の勧告とかもありますので、政府の仕組みの中でしっかり賃金を上げていくべきだと思います。

 一方で、定員についても、例えばパンデミックであるとかサイバーセキュリティーであるとか、いろいろな行政需要が出てきますので、一律、いつまでに右肩下がりで下げろとか維持しろというのは難しいと思います。

 一方で、さっき塩川先生からも御質問ありましたが、国家としては、国家公務員の総人件費に関する基本方針ということで、全体は抑制をしていくという方針は堅持をしています。

 今後どういうことになっていくかというと、給料を上げたとしても、全てのところで人材不足、人手不足が起きますので、全ての業界、分野で人が採れないという現状になります。なので、そこにデジタルガバメントとかガバメントクラウドとかAIとかを入れて、人は少なくなっても行政のサービスをしっかり維持する、さらには、ワン・トゥー・ワンのサービスを実現することによって満足度は上げていく。結果、何が起きるかというと、一人一人の満足度は上がる、総人件費は増えない、もしかしたら、結果、減るかもしれません、一人一人の給料は上がっていくという形の政府を実現していきたいと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 さすがデジタルに精通される大臣ということで、熱のこもった答弁、ありがとうございました。また、極めて前向きな、一見矛盾する要素すら乗り越えていきたいという決意、覚悟をいただきましたので、よろしくお願いをいたします。

 次に、国家公務員の定員と実員についてお尋ねをします。

 資料を御覧ください。資料一ですね。事前に内閣人事局からいただいた資料です。

 一般職の国家公務員、定員は全体で約三十万人ほどですが、実員はこれより二万人ほど少ないです。ただ、統計が違うので、実際の欠員は一万人ほどです。単年度でなく、常にそれくらい定員より実員が少ない状況です。国家公務員の定員は、定員合理化計画によってどんどんどんどん、以来、下げられていますが、実員は更にこれだけ数が足りない状況が続いています。

 そこで、お尋ねしますが、なぜ定員すら埋まらないのか、その原因をお尋ねをします。

平国務大臣 いろいろな原因があると思いますが、やはり、給与面において、民間事業者は三年連続で賃上げが上がっていく、それも、ここ数十年ない水準で賃上げが実現をされている。更に言うと、公務員の働く環境に関して、やはり、厳しいとか長時間だという、そういった印象を持つ学生さんも多い。更に言うと、全体的な人手不足の中で、今役所にいる人間も民間に転出をするといったことが増えてきているんだろうというふうに思います。

 解決策としては、人事院としっかり連携をしながら、民間に負けない賃上げを実現をしていくということと働く環境を整えていくということが必要だろうと思っています。

梅谷委員 今、大臣の方からるる原因についてお考えをいただきましたが、これは各省庁で、形式的にはそこからの判断になると思いますけれども、ただ、これは一つや二つの省庁だけじゃなくて全体的にこの傾向が続いているんですね。ですので、私としては、政府として、どの役所も人手が足りないのになぜ定員が埋まらないのか、これをやはりきちんと分析しないといけないのかなというふうに考えております。

 この点、分析をもうちょっと踏み込んですべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

平国務大臣 まずは、賃金は、人事院勧告制度というものがございますので、国家公務員の適正な処遇の確保と、一方で国民の理解をしっかり得なければいけないというところで、しっかり連携をしながら、民間に負けない賃上げをしていくということだと思いますし、働き方も、今、我々の公務員制度の部局で、かなり民間を参考にして柔軟な働き方などを取り入れるべく議論をし、実際に実装されているところであります。

 また、私が見ているデジタル庁も、千人の中で五百人が官僚、五百人は民間出身、四分の一がリモートワーク。しかも、オールハンズミーティングといって、全部の職員を集めて、これはリモートも入れてですけれども、芝生、人工芝の上でオールハンズミーティングをやったり、この間、私、大臣になって一か月たったら、人事からアンケートが来たんですね。デジタル庁に来て一か月になりますけれども、何か不安はありませんかとか、残業は増えていませんかとかいうのがありましたけれども、ああいうような、私のイメージに今までなかった丁寧な人事の方のフォローアップも今行われているところでありますので、こういうのを全体的に民間の水準に合わせていくことがやはり重要だろうと思っています。

梅谷委員 是非、大臣が今おっしゃった熱意ある取組、意欲、これが社会実装され、更に取り組まれて進むことを期待しますが、現実的には、やはり定員と実数がずっと埋まらないわけなんですね。全く届いていない。

 このため、国家公務員の職場では、課に定員があっても実員がおらず空席、あるいは、実員がついていても併任で、実際にはその職場に職員はいない、こういうことも生じていると耳にします。

 特に、併任の場合、一人の職員で二ポスト、三ポスト、この分の業務を担う。例えば、ある係長ポストと別の係長ポストを併任されている場合、ただでさえ忙しい係長の仕事を一人で二人分、三人分の仕事をしなきゃならない。それでも給料は、二人分、二倍、三倍出るわけでなく一人分だけ。また、片方の係長ポストにはほとんどいないことを分かった前提で併任を命ずることもあるということも聞きます。こうなると、その係長ポストの仕事は他の職員が肩代わりしなければならず、ほかの職員にしわ寄せが行く状態が日常的に発生することになります。

 人事の現場のやりくり、工夫だということは理解しますし、業務上の知見を共有するため、形式上かけているだけの併任もあるかもしれません。ですが、一人の職員に併任をかけて複数の職務を行わせることは、併任を命じられた当人だけでなく、周囲の職員にも過大な負担をかけることになりかねません。必要があればきちんと一つのポストに一人の職員をつけることが原則であり、このような併任はなるべく控えるべきと考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

平国務大臣 先ほどの定員と実員をどうやって埋めるんだという梅谷委員からの、私、答弁させていただきましたけれども、全然委員は納得されていないようなので追加的に申し上げたいと思いますが、定員と実員の差を埋めるのは賃金とか処遇の改善が必要だと思います。ただ、これは、将来を見ると、労働供給力が指数関数的には落ちていくので、定員と実員を埋めるというアナログのやり方だけでは埋まらないと思うんですね。

 なので、そうなると何が起きてくるかというと、定員ではなくて実員でもちゃんとランニングできる、役所が回せる、サービスの質を落とさないために何をするかということも一つ走らせる必要があると思っていて、この間、デジタル庁でAIアイデア・ハッカソンというのをやって、行政マンの悩み事をAIエンジニアに相談をして、その場でAIエンジニアがプロトタイプを作るというイベントをやったんです。デジ庁は結構デジタルの関係の調達をやっているんですが、調達仕様書を書くというのは物すごく大変なんですね。でも、それをAIに読ませて下書きをさせるとか、あと、役所というのは審査業務が物すごく多いんですけれども、その審査業務のサポートをAIにやらせると圧倒的に効率がよくなるんです。

 そうすると、そもそも定員自体が、これはアナログを前提にしていた定員がそこまで要るのかという話にもなるので、テクノロジーで定員と実員の差を埋めていくというのも一つのやり方だと思います。それがまず一つ。

 それと、併任の件でありますが、実は私の部下は大変併任が多くて、それは何かというと、元々持っている業務にデジタルの横串を入れるために併任をしているという場合もありますので、これはいい併任だというふうに思っています。

 一方で、委員が指摘されたように、なんちゃって併任みたいな、とにかくみんな併任をかけて、一応、表面上だけちゃんとやっているように見せるというのは問題だというふうに思っております。

 各府省庁において、人事院規則に基づいて、併任によって当該職員の職務遂行に著しい支障がないと認められる場合にのみ併任は行われているということになっていますが、今委員の御指摘はそうなっていないという御指摘なので、是非また具体的な事例などを教えていただければ、こちらの方でも確認をしたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 具体的な話をということですが、実はこの質問に当たって、こうした併任が正確に、また、どういう状況であるのかというのを内閣府に伺ったんですね。ただ、これは、数字はもとより出ませんでした。人事課の方には努力いただいたんですが、急な委員会でしたので、これは数字が間に合わないのも無理がないと思います。

 ただ、私、ここで思うのが、省庁自身も大臣も、どれぐらいの職員に併任がかかっているのか、正確に、また、それがどういう状況なのか、とても前向きな御答弁をいただきましたが、それでも、根拠としてもっと明確にする必要があるのかなと思います。正確に把握され切れていないなという印象を受けました。

 そこで、実員はおろか、定員で抱えられる量も超えて仕事を増やして、それに対応するために今どれくらいほかの役所から人を採っているかとか、省内だけじゃなく、省を飛び越えて、役所を飛び越えての併任もあるわけですから。そういったことについて、職員にどれぐらい負担をかけているか、こういったことを具体的に把握をして、併任発令をどんどん出して他省庁から人を集めていくという、これも大事なんですけれども、先ほど横串を刺すという、知見を共有するというのも大事ですが、これについてはやはり一度お調べいただく必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。

平国務大臣 今委員から御指摘いただきましたので、今の併任の状況がどうなっているのかについては、私の、公務員制度のところが担当かどうか分かりませんけれども、それも確認した上で、少しその状況を、公務員に過度な負担をかけない形で調べたいと思います。

梅谷委員 そうですね。皆さんにできるだけ過度な負担はかけていただきたくないですが。

 例えば、これも釈迦に説法ですけれども、内閣府や内閣官房には、つい先日できた防災局設置準備室とか、また、能動的サイバー防御準備室、これは具体化するのは来年ですかね、内閣官房の副長官補の下に四十近い室だの事務局がもう既に存在しています。しかも、今後何かあるたびにまた新たな何とか室というのが設けられてもおかしくないわけで、そのたびに各省庁が人を出すことを求められます。

 部署は、一回つくると、それを廃止することは難しいと思います。また、その在り方としては、内閣府の生い立ちから、出向の方が非常に多いというふうに思うし、その出向の座布団は省庁にある。財源はその省庁が出して、業務は内閣府で行わなきゃいけないという形になっておりますので、そこら辺の整理も是非意識していただいて、御検討のほどをよろしくお願いしたいと思います。

 次に、中途退職、中途採用についてお尋ねをします。

 資料の二を御覧ください。裏面ですね。

 これは、先ほど定員が埋まらない理由の、ちょっとかみ合うか分からなくなってきたんですが、先ほどは、大臣は、定員と実数の差は、これからデジタルなりいろいろな、あらゆる知見、努力で埋められる、埋めていきたいとおっしゃったので、ちょっとかみ合わない部分が出るかもしれませんが、でも、それでも、私は、今回、若手を中心に待遇改善が図られるような内容になっていますけれども、やはり中途採用は確保し切れていない。ここに対しての、若手のみならず全体的な待遇改善、処遇改善というのは私は必要だなというふうに思っています。

 例えば、これが続くと、結局、国家公務員が、これを見ていただくとお分かりのとおり、要は、退職者数に選考採用者数が追いつかない、これがずっとまた続いているんですよね。最近は、直近数年間、中途採用数は増えていますが、これは、退職者の補填も入っていますが、主に障害者の方の法定雇用への対応、就職氷河世代対策などがこのタイミングで盛り込まれたということから生まれています。

 中途退職が増える一方で採用数が追いつかないというのは、すなわち、国家公務員が他の職業と比べて魅力が少ない、選ばれない職業になっている表れの一つだと私は思っています。特に、先ほど申し上げた、併任がかかるような優秀な、優秀だが負担の大きい職員はヘッドハンティングの的になります。このままだと、ずるずると組織から人が減って、残る職員の負担が高まる、こんな悪循環になるのではないかなと。

 先ほど大臣がおっしゃったように、いろいろなあらゆる工夫で、最先端技術を使えばそうならないよという考えももちろんありますが、こういったことも懸念として私はあると思っていますが、これをどう改善しようというか、同じような答弁になると思うのでこれは御答弁は求めませんが、是非そういう、悪循環にならないようにお願いをしたいと思います。

 そして次に、改めて待遇なんですが、中堅以上の職員の待遇。

 若手職員が順当に昇格して企画官、室長クラスになると、手取りが激減します。その理由は、管理職になると残業手当がつかないからですね。課長補佐クラスだと、一日三時間、月六十時間くらいの超勤は現状普通にあると聞いています。昇格した途端、だからこそ、管理職手当を考慮しても、月十万円超、年間百万円以上手取りが急減する。残業代がきちんと支払われるように最近はなりましたけれども、この落差は非常に大きくなっています。この年収の落ち込みは、次に課長に昇格するため、五年以上も回復しない。

 そこで、お尋ねしますが、今、年収の壁が話題になっていますが、ここには公務員給与版年収の崖ともいうべきものがあります。是正すべきだと思いませんか、大臣。

平国務大臣 私ぐらいの世代より上は、少しでも、課長より部長、部長より役員みたいなものがインセンティブになっていたことが多かったと思いますが、今はそういうことでもなくて、やりがいとか自分の関心とか、そういったところがあると思いますし、また、さらには給与面だということだと思います。

 今御指摘になった、管理職になると残業代がつかなくなって手取りが減るというのは、いわゆる役所のみならず、民間でもよくある話だというふうに思っています。そんな中で、管理職の職員については、超過勤務手当が支給されないので、逆に、職責に応じた管理職の手当が支給をされているということになっています。

 今回の改正案でも、人事院勧告を踏まえ、例えば本府省課室長級については、職務の上がっていく階段のところの、給与の重なる部分を解消して、必ず一段上がったら一段給与が上がるというような給与体系の改定とか、あとは昇給時の俸給の大幅な拡大、これは最大五万円なので十何万円から見たら少ないんですが、を図るなどの給与制度の見直しを今盛り込んでいるところであります。

 今御指摘のところは、それでは解決し切れないという御指摘だと思いますので、今後とも、人事院勧告を尊重するという基本姿勢に立ちながらも、よく議論をしていきたいというふうに思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 人事院勧告に準拠して、また民間準拠に基づいてと。民間でもこのようなやり方は行われているということは、私ももちろん理解しています。ただ、民間でも往々にあるからいい、我慢してねという問題で済むのかなという問題意識から、今回、質問をさせていただいております。

 先ほど、五万ほど、また、段階を踏んで、一段必ず併せて上乗せされるという話はもちろん分かっております。ただ、それだけでは足りないのかなという思いがあるので。課長補佐から昇格して室長クラスになる辺りは、官僚の生涯キャリアで最も働き盛りの時期だと私は受け止めています。役所でも最も頑張りを求められる時期でもあり、その頑張っている時期に、給与が、これから少し緩やかになるという話ですけれども、がくっと減ることが、どれほど士気が下がるのかなと。

 この年齢は、民間からの誘いの声も、先ほどヘッドハンティングというお話もさせていただきましたが、そういう声もかなり、最もかかりやすい時期にあるのでないかなというふうに私は考えておりまして、民間も特に人材難ですから、民間準拠などと言い過ぎて、もちろん根拠は大事なんですよ、といって、改善しなければ、実務の中心になっている職員からどんどんどんどん、この時世、引き抜かれかねないという懸念も私は考えているものですから、先ほど検討していきたいというような趣旨の御答弁をいただきましたので、是非、この点、前向きに御検討をいただければと思います。

 次に、再任用のボーナスについてお尋ねをします。

 各省とも、人が足りない中、職場における再任用職員の重要性が高まっています。今回盛り込まれた地域手当の支給などは、再任用の活用の拡大を踏まえたものと受け止めています。ですが、この中で、期末・勤勉手当については、支給はされているものの、正規職員四・六月のおよそ半分の支給割合、二分の一。理由については、あらかじめ事務方に確認をさせていただいたところ、制度導入当初、民間の状況に準じたと話をいただきました。ですが、再任用職員の活用状況は当時と違います。それはもう大臣もよく御認識だと思います。当初は限定的な活用という想定でしたが、今日に至ってはもうほとんど同じ、事実上の正規職員と変わらない勤務を求められて、活用されています。

 臨時職員について。臨時職員については、先年、同様の仕事をしているのだから常勤並みにということになりました。制度が変更されました。

 そこで、大臣にお尋ねをしますが、再任用職員の期末・勤勉手当だけ正規と比べ低く放置することにはもはや妥当性がないと思いますが、改善の意思を含めて御答弁いただけますでしょうか。

平国務大臣 これも委員御承知のとおり、まさに人事院勧告に基づいてやっているわけであります。それで、世の中全体がもう変わっている、若しくは大宗が変わっているということであれば、人事院がその辺を反映してまた我々に勧告をしてくるという制度になっていますので、人事院の検討状況をよく注視をしていきたいと思います。

梅谷委員 もちろん前提としてはそうですが、私はやはり、人材の確保、またそれによるモチベーションなど、戦略的に内閣府が検討してもいい話だというふうに思っていますので、やれ民間準拠だ、やれ人事院勧告だと言って悠長に検討しているうちに再任用の方は辞めてしまう可能性ももちろんあるわけですので、是非急いで是正をしていただきたいというふうに思います。

平国務大臣 先ほどの、まさに給料の手取りが減って、そこでヘッドハンティングの声がかかるとか、いろいろな事例があって、私も二十年国会議員をやっていて、一緒にやった職員が、もう一回一緒にやりたいと思ったら、もうコンサルティング会社に転職が決まりましたという話なども実際に聞いています。非常に残念な思いをしていますので、どこでどういうふうに引き抜かれるのかも含めて、悠長に構えるのではなくて、いい人材はちゃんと囲い込めるように、また最大限、年齢も含めていろいろな人材を使えるようにというのは、私の公務員制度の担当している部局でしっかり検討していきたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきました。是非、期待をさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、いわゆる国民の生の声をどのように受けるかという体制についてお尋ねをしたいと思います。

 今月四日から十日までは、大臣、何の週間か御存じですか。人事院のハラスメント防止週間、今月の四日から十日まで。

 これに関連しますけれども、最近議論になっているいわゆる百三万円の壁について、財務省の対応についてネットを中心にいろいろな声が殺到しているというのは、私も報道等で目にしていますし、大臣ももちろん御認識だと思います。これを考えるに当たっては、いかなる形であっても、政府に対して意見を述べることは国民の当然の権利です。そのことをハラスメントとして問題視することはできません。ただ、コロナ対応のときに厚労省が電話対応に追われて業務に支障が生じたように、一たび炎上、ややもすると炎上するような事案が起きると、関連する部署に電話が殺到して職員に多大な負担がかかることも避けられません。

 私は、国民からの意見や苦情、苦情というか声ですね、生の声、様々な生の声が集中した場合に、原局に直接電話がつながってしまう今の役所のシステムが一つ課題なのではないかなというふうに考えています。例えば、民間であれば、お客様対応部門を置いて、業務中の内部部局に声が直接入る仕組みになっていません。

 なので、組織としてはいかなるものでも国民の声はきちんと受けつつも、個々の職員の過度な負担となることを避けて、業務に支障が生じないようにするために、いわゆるカスタマーセンターのようなものを各省庁に新設することを御検討されてみてはいかがかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

平国務大臣 SNSなどを通じて、非常に激しい言葉で人を罵倒するのを見て、また自分がすっきりするみたいな現象が拡大再生産をされるという今状況にありますので、一旦目をつけられたらそこにクレームが殺到したり、何というんですか、凸電というんですか、そういうのをかけようと呼びかけていたり、そういうことがありますので、それに対して職員を守るというのは必要だと思います。国民の声、国民の皆さんの声は真摯に受け止めなければいけませんが、担当部局や特定の職員に過度にそれが集まる、また、それがいわゆるクレームの範囲を更に超えたものであれば、それは対応する必要があると思います。

 ちなみに、生成AIとかを使うとそれなりにコールセンターの対応はできますが、これはかなりここで議論をして決めなければいけないと思いますけれども、対応の方法はいろいろあるので、特に、やる気のある職員がそれでやる気をなくしてしまってもいけませんので、各省庁、様々な取組もしていると聞いていますので、いろいろな各省庁の取組を参考に対応を考えていきたいと思います。

梅谷委員 各省庁としてどのような取組も大事ですけれども、やはり、これは内閣府として、全体を統括、総合調整する任務、役目を担う庁として、いろいろな声をいただきながら、じゃ、どういうふうにやるのがいいのかということは早急に御検討されるべきだと思います。

 新しい組織を新設するというのは、非常に難しい、そう簡単ではないというふうに私も思いますけれども、国民の真摯なお声は、様々なお声はしっかりと受け止めつつ、また、その中にはいい話がもちろんたくさんあるわけですから、ためになる話、ただ、他方で、職員の方々に過度な負担になるようなことだけは是非避けていただきたいので、よろしくお願いします。

 時間が来ましたので最後に改めて申し上げますが、国家公務員に求められる働きに対して、私は報酬が見合っていないというふうに思っています。先ほど来の民間準拠は分かりますけれども、それで必要な人材の質と量を確保できないのであれば、本末転倒だというふうに私は思っています。是非、若手に限らず全体的な待遇の改善、これを図っていただきたい。

 また、政府は、いわゆる現場の声ですね、平大臣のこの間の御答弁を伺うに、しっかり現場にとことん向き合っていただいているなというのは私自身感じさせていただいたので期待をしますが、是非、職員の負担に政府はもっと目を向けていただき、各省庁にも目を配っていただいて、よく挙げられる国会対応の、先ほど質問がありましたが、改善もそうですが、どうすれば過大な負担を軽くできるのか、より真剣に考えていただきたいですし、最後は、私は、人を増やす、その決断も必要だと申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 初めに、特別職の国家公務員の給与改定について質問をさせていただきたいと思います。

 今般の給与改定では、一般職の国家公務員の給与改定に準じて特別職の給与も自動的に引き上げられることとなっております。

 我が党は、これまでも、行政改革や議員定数の削減など、政治家自らが身を切る改革を訴えてまいりました。そんな中、政治的任用である政務三役の給与を一般職の改定に合わせて機械的に引き上げていく仕組みというのは、到底国民の理解は得られないと考えております。

 そこで、お伺いをいたします。

 国会議員や各省庁の大臣、副大臣、政務官といった高度に政治的な判断の下で任用される特別職について、なぜ一般職に準じて自動的に引き上げる仕組みとなっているのか、その理由と必要性について、大臣の御見解をお伺いいたします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 特別職の国家公務員の給与でございますけれども、それぞれの官職の職務と責任に応じて定めるということを原則としてございます。

 この場合において、特別職の国家公務員の官職の相互のバランス、それから一般職の国家公務員の官職も含めたバランスというのを図るという必要がございまして、従来、一般職の国家公務員、特に指定職職員の給与、これの改定に準じて改定をしているところでございます。

阿部(司)委員 これは単なる慣行にすぎないと思うんですよね。合理的な根拠があるとは思えないんです。

 一方で、今般、内閣総理大臣等の月例給及び特別給について、現下の諸情勢に鑑み、当分の間、据え置くとの判断がなされました。平大臣の御判断ということで、ありがとうございました。私も、昨年反対討論とかでさんざん言わせていただいたので、聞き入れていただけてうれしいなと思っておるんですけれども、この理由、先ほども述べられておりましたけれども、もうちょっと詳細というか、現下の諸情勢、これを具体的に、今どのような状況を想定されているのか。また、当分の間、こちらも、期間についてどのような見通しをお持ちなのか。大臣、お願いします。

平国務大臣 まずは、昨年の内閣委員会の議論を聞いて、一旦上げて返納するっておかしいよなと私も思いましたので、その後、賛成をした後にそういう疑問も感じたので、それはもう据え置いた方がいいだろうという、まあ、分かりやすいというふうに思います。皆さんも多分、そういうことになると手続もかなりこれは煩雑でありますので、据置きをさせていただきました。

 様々な諸情勢というのは、三年連続で数十年ぶりの賃上げが実現している反面、物価も高騰していて、実質賃金も、前回ちょこっと頭が出たと思ったら、またぶくぶくといって、今また、ちょうどプラマイ・ゼロぐらいのところにあるというふうに思います。なので、実質賃金が安定的に上がっていくような状況も見通せない中、やはり国民の皆さんは、かなり実感として、手取りが減っているというか厳しい、生活が厳しいという感覚をお持ちになられているんだろうなというふうに思っています。そういうことを勘案してというのが一つのというか、大きな理由であります。

 当面の間というのは、まず、今度、次に判断するのは来年の今頃だと思います。来年の今頃に、いわゆる公務員制度担当大臣、どなたがやられているか分かりませんが、人事院勧告が来て、一般職、特別職の議論をするときにどう判断をするのかということだろうというふうに思っています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 しっかり国民感覚に寄り添った御決断だったなと思っております。

 一方で、先ほど申し上げました、いわゆる一般職が上がったら自動的に特別職も上がるという仕組み自体、私は抜本的に変えていくべきなのかなと思っております。

 改めてお伺いいたします。

 特別職給与法が適用される職員、とりわけ政治家の給与決定方法について、国民の理解と納得を得られる透明性の高い仕組みが必要だと思いますが、こちら、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

 もう一つ、あわせて、国会議員の歳費、こちらについても、我が党が主張している身を切る改革の観点からも、抜本的な見直しが必要と思っております。国会の中で議論するべきことだという御答弁かもしれないんですけれども、歳費の在り方、見直し方についても一言いただけますと幸いです。

平国務大臣 特別職の給与を含め、国家公務員の給与の改定については、内閣官房長官が主宰をする給与関係閣僚会議で協議した上で方針を決定し、その後、閣議決定をして、法案を提出をし、国会の御審議を仰いでいるところであります。また、給与関係閣僚会議の議事については、透明性を担保するため、議事の要旨を内閣官房のウェブサイトにおいて公表をさせていただいております。

 また、国会議員の月給、歳費月額や期末手当の取扱いについては、これは、今おっしゃられましたけれども、政府の立場からああしろこうしろという話ではありませんので、我々のこういった諸々の判断も参考にされながら、皆さんでお決めいただければと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 給与の会議の議事録は公開されているということだったんですけれども、公開されていると思うんですけれども、多分昨年の質疑の中でも指摘させていただいたんですが、一部公開されていないものもあったので、それはしっかり、全て公開するようにお願いを申し上げます。

 国民の目線に立ったこうした特別職の給与の在り方というのは、必要だということは大臣も御認識されていると思うんですけれども、我が党も引き続きこの問題については取り組んでまいりたいと思います。

 次に、人材の多様化について質問をさせていただきたいと思います。

 昨今、政策課題は非常に複雑化しておるかと思います。民間企業で総合職として高度な実務経験を積んできた方々、デジタル庁とかまさにそうなのかもしれないですけれども、行政にとって大変貴重な財産となり得るものだと思います。

 しかし、現在、官民人事交流における交流採用、こちらにおいては、一般職採用職員の勤続年数に比定して待遇を決定していると承知をしております。例えば、弁護士等については特定任期付職員としての採用によって柔軟な処遇が可能になっておりますけれども、交流採用ではそのような運用がされておりません。

 現下の情勢におきまして、交流採用についても、総合職並みの処遇ですとか特定任期付職員並みの柔軟な運用を可能とすることでより幅広い人材交流を実現すべきと思いますけれども、大臣、御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 今の御指摘は、私もそう思います。

 それで、どれだけ仕事ができるか、能力があるかという民間における評価に基づいてすべきだと思いますが、現状はそうなっていないということだと思います。今、勤続年数に比定して待遇を決めている、このギャップは、結構いろいろなところに問題を生じているというふうに思います。先ほど、ポストが上がっても給料がついていかないという問題も、この勤続年数に係るところだと思います。

 ちなみに、私の大臣政務秘書官は、大学を卒業して今二年目の人間がやっていますが、非常に能力が高いんですが、とにかくまだ勤続年数が短いということで、低く給与を抑えられているということもあります。

 ただ一方で、これは人事院との関係もありますので、人事院とよく議論をしたいと思います。やはり民間での評価をそのまま役所でも採用できるというふうにしないと、結局、今、雇用の流動化をしていく中で、ここだけ離れ小島でちょっと独特なルールがあると、その循環から役所が取り残されてしまうということもあると思いますので、人事院と議論したいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 人事院としっかり議論していただけるということで、期待をしております。

 今の硬直的な運用を続ければ、結局、余り人材活用という取組が進んでいきませんので、是非、真に必要な人材を確保していくための取組を進めていただきたいと思っております。

 今、人材流動化の話が大臣からもありましたけれども、一度退職した職員が国家公務員として復帰をしていく、こういう人材交流、私も、昨年、一昨年と同じような話はさせていただいておりますけれども、やはり必要だと思います。

 内閣人事局でもその意識がしっかりあって、退職の際に、復帰を促す窓口を設置していると伺っております。この復帰を促す窓口、現在の登録人数、こちらを教えていただきたいというのと、退職者に占める登録者の割合を測定しているのかどうか、また、退職者に占める割合の目標値を定めるべきではないかと思うんですけれども、こちら、大臣の御見解をお伺いいたします。

平国務大臣 今、三問いただいて、済みません、通告でレクを受けたのは二問なので、とりあえず二問答えさせていただきます。

 内閣人事局の、国家公務員のOB、OGの復帰を促すため、連絡窓口を設置をしています。登録者に対しては、各省庁の中途採用情報を提供しており、現在六十八名の登録をいただいているところでございます。

 あと、KPIだと思うんですが、退職事由は様々であることから、目標を設定し、登録を促すことは適当でないと考えています。

 今後、更なる登録者が増えるよう、各省庁と連携をして、窓口の積極的な周知に取り組んでまいりたいというのが一応用意された答弁なんですが、KPIについては、それぞれ事情が違うにしても、事情ごとにKPIは設定できると思いますので、考えたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 これはいい取組だと思うんですよね。ただ、六十八名、もっと登録していただけるんじゃないかなと思っています。

 ですから、今、KPIを御検討いただけるという非常にいい御答弁をいただきましたので、これは設定していただいて、達成するための取組というのをしっかり進めて、もっともっと出戻りの方にも御活躍いただけるような環境を用意していくことが非常に重要なんじゃないかなと思います。(平国務大臣「ちょっと追加的にいいですか」と呼ぶ)

大岡委員長 発言が終わるまで待ってください。

阿部(司)委員 では、この件について、大臣、どうぞ。

平国務大臣 まず、雇用環境が激変したという認識を内閣人事局も人事院も持たなければいけないと思っていて、一つのところに一生勤め上げるのではなくて、役所にいたけれども民間に行った、民間に行ってからまた役所に来たという、いわゆるリボルビングドア、そういう環境の中でどう全体の人事の制度をつくっていくか、さっき言った窓口を機能させるかだというふうに思います。

 今、人事院は、川本院長の下でかなり先進的な意識を持って調査研究をされていると思いますので、我々も一緒に人事院と検討したいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 まさに、リボルビングドアですとか、霞が関の働き方、人事制度そのものを抜本改革していくべきではないかという質問をさせていただく予定でした。

 おっしゃるとおり、私、これもいわゆるジョブ型雇用に、社会全体で進めていくんだったら、霞が関でまずやっていくべきなんじゃないのかというような話も昨年させていただいたんですけれども、この抜本改革、平大臣、かなり改革を進めていくスピリッツの強い平大臣ですから、是非この方向性、改めて力強いコメントをいただけますでしょうか。

平国務大臣 ジョブ型の御提案もそうなんですが、霞が関だけ違うルールだと、人材の円というかエコシステムに入れなくなるので、それはちゃんと、やはり外と同じルールで組織を動かす。その上で、リボルビングドアのように、入ったり出たり、民間から来たり。デジ庁もそうなんですけれども、一度デジ庁に来たらそれで終わりじゃなくて、デジ庁で経験すると更に民間で給料が上がるとか、そういうエコシステムをつくらなければいけないと思いますので、エコシステムをよく俯瞰しながら、霞が関の人事の制度を設計していきたいと思います。

阿部(司)委員 終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず冒頭、先ほども人事院勧告のところで御議論あったところなんですが、私も現場の声を様々いただいてまいりましたので、少し取り上げさせていただきたいと思っております。

 人事院勧告の地域手当、これに関連して、子ども・子育て支援制度の現物給付、子どものための教育・保育給付の公定価格、これについてお伺いをしたいというふうに思っております。こども家庭庁さん、来ていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 保育園の運営費の主たる財源がこの公定価格で決まるわけでありますけれども、そこに、御案内のとおり、区市町村ごとの地域区分が存在をして、ゼロも含めますと八段階あるということであります。

 この地域区分は、私は東京の比例でありますので都内で申しますと、特別区部は一律百分の二十で、これに対して、多摩地域の市町村部は百分の三から十六の六段階に分かれている。ここは六段階ぐらい分かれていてしかるべきなのかなと思うんですが、中には、物価がほぼ同じ水準の隣接する基礎自治体で、百分の三と百分の十五が隣り合っているというところがあるわけなんです。

 これは何が起きるかというと、まず、この差についてお聞きしますけれども、定員百人の認可保育園で試算をいたしますと、公定価格による年間収入が、これは年齢、階層ごとの人数によっていろいろな試算があり得るんですが、七百万円ぐらい差が開くよ、こういう試算もあるわけであります。

 まず、なぜこのような開きが隣接自治体であっても発生をするのか、こども家庭庁さんに見解をいただきたいと思っております。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 保育につきましては、児童福祉法等に基づきまして市町村に実施義務が課されており、公立施設で自ら実施するか、あるいは民間施設に委託をすることによりその責務を果たすこととされております。このため、民間施設においても公立施設と同水準の保育が提供できるように、保育の公定価格につきましては、公務員の給与水準に準拠するということとされております。

 また、公定価格におきましては、地域の賃金水準を反映するために地域区分を設定しておりますが、この地域区分につきましても、公務員の地域手当に準拠することを基本として設定をしております。先生御指摘の隣接地域での開きが生じるという現象も、ここに背景がございます。

 ただし、隣接する市町村の地域区分の差につきましては、これまでも、ほかの社会保障制度の取扱いも踏まえながら、累次の補正ルールも導入しておりまして、一定程度の補正は行っているところでございます。

河西委員 これは、経済指標とかというよりも、そこの地域に事業所のある、ここが基準になっているんですよ。だから、そこに通ってきている方々は別のところにお住まいになっている、そこの賃金で決まっていくので、いろいろ差が出てくるということであります。こういった実情を私もいろいろ伺っていながら、最近、壁とか崖とかという言葉がはやっていますけれども、地域区分の崖なのかなというふうにも思っております。

 今日は、辻副大臣、ありがとうございます。

 例えば、隣接の基礎自治体の双方に同一の民間事業者が保育園を構えるケースが当然あります。そうなりますと、三のところと十五のところで当然補助金の収入が変わりますので、処遇の差は事業者が持ち出しして穴埋めをしている。ですので、処遇の改善とか人材の確保にはかなりの大きな影響、コストを及ぼしてきたということであります。

 こうした課題認識から、もうずっとこれはいろいろなところから声があったかと思いますけれども、この地域区分、この崖を平準化をいたしまして解消すべしということで、私もお話をしてまいりました。

 今般、そうした中で、人事院から、この地域区分が準拠する、先ほどあった公務員の地域手当、これを区市町村単位から都道府県単位にしていくということでありますが、その上で、これを踏まえて、こども家庭庁さんとしても対応を検討されていくというふうに伺っております。

 今後の対応、また、都内の地域区分についてはどのような構成になるのか、現状の見解をいただきたいと思っております。

辻副大臣 ありがとうございます。

 河西委員の御指摘のとおり、実際、これから、本年の八月に示された令和六年の人事院勧告を踏まえて、保育の地域区分、対応については都道府県単位に広域化することになります。こうすることで、隣接する市町村との不均衡の解消が図られる一方で、一部、実際、県外の隣接する市町村との差が現行よりも拡大するんじゃないか、そういう懸念もございまして、先ほど審議官からも答弁されましたが。

 東京においては、区分が何個かあったのが、二十三区とそれ以外で二つに整理されるんですが、実際のところ、そういった地域区分をそのまま当てはめた場合、どういうところで、実際、保育の人材を確保するのが難しくなるんじゃないかとか、そういう懸念も実は寄せられておりますので、こうした点も踏まえて、これから関係省庁と連携を図って、河西委員の御指摘も踏まえて、実施をする時期も含めてこれから丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。

河西委員 様々、これは全体最適はなかなか当然難しい話かと思いますけれども、よく現場のお声に耳を傾けていただきながら、今後の対応に御期待を申し上げたいと思います。

 辻副大臣は以上でございますので、もしよろしければ退席していただいても結構でございます。

 続きまして、平大臣、よろしくお願いいたします。

 給与法と育休法の関係をお伺いいたします。

 今般の国家公務員の給与法、育休法でありますが、元となっておりますのは本年の五月の育児・介護休業法の改正でありますけれども、ここにおいては、民間事業者を対象に、子が三歳になるまでの時期に、親である従業員に対して個別の意向聴取と配慮、これが事業者に義務づけられたということであります。これは努力義務でなくて義務づけですので結構強い、そういった規定になっております。

 具体的には、個別の意向聴取というのは何ぞやということなんですが、これを御紹介申し上げますと、子や家庭の状況によって両立が困難となる場合もあるので、労働者の離職を防ぐ観点から、その意向、勤務時間帯であるとか、勤務地とか、両立支援制度の利用期間の希望、これを確認をする。この意向に対する配慮というのは、意向の確認の後、会社の状況に応じて、事業主はその意向に配慮をして様々措置をしなければいけないということであります。

 他方で、今回の、国家公務員に係る今般の法改正については、この個別の意向聴取と配慮というのは法の中の規定にはありません。その上でしかるべき対応をしていくというふうに思っております。

 これをなぜ私がお伺いするかというと、この個別の意向聴取と配慮というのは様々なステージで大事だというふうに思っておりまして、国家公務員の皆さんも、キャリアの形成と共育ても含めて様々両立をされている、あるいは介護との両立もあろうかと思います。

 そうした中で、例えば、子供が低出生体重児でお生まれになった場合に、これは早産となるために、産前産後休暇の産前の部分は必然的に短くなります、早く生まれますので。そうなりますと、本当は産後の方にくっつけたいという思いが出てくるんですが、あくまで母体の健康ということが目的なので、これをくっつけることはできないという厚労省の見解があります。

 ですので、こういう個別の様々な意向聴取と配慮というのが大事になってきて、例えば子の看護休暇とかをきちっと取れるようにという措置が、そういうふうな形で大事なんだろうな、大切なプロセスなんだろうというふうに思っております。

 そこで、平大臣に、育介法の方では義務化されたこの意向聴取と配慮でありますけれども、政府、各府省庁においては今後どういった考え方に基づいて対応されるのか、確認をさせていただきたいと思っております。

平国務大臣 先般、民間の育児・介護休業法の改正により、育児については、育児休業時に加え、両立支援に関する意向確認が義務づけられたところです。

 国家公務員については、人事院規則において育児休業に係る意向聴取が義務づけられているところでありますが、民間の育児・介護休業法において新たに措置された両立支援に関する意向聴取についても、人事院規則に規定されることにより措置されるものと承知をしております。

 要は、規則で措置します。

河西委員 これなどは多分、民間の労働者の方と国家公務員というそもそもの在り方によってそのような違いがあるのかなというふうに理解をしておりますけれども、人事院規則の方できちっと対応していただくということでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、男性の育児休業、この取得率に関連してお伺いをしたいというふうに思っております。

 これは、次世代育成対策支援法の方では、民間の方では、先ほどの取得率でありますとか、あるいは時間外、あるいは休日の労働時間、これに関して調査をして、PDCAサイクルを回していくということで、また、そういったことを都道府県の労働局に提出をし、公表をし、さらには、一定の基準が満たされれば、くるみん認定ということであります。

 各省庁においても、これは、こども家庭庁さんも軸になってPDCAサイクルを回していくということで以前御説明をいただいておりますけれども、様々な課題を抽出して前に進めていただきたいなと思っております。

 例えば、今年一月十九日の、内閣人事局が発表いたしました男性の国家公務員の育児休業の新規取得率なんですが、皆さん目標は達成されているんですけれども、各省庁間でやや差があるなというふうにお見受けいたしました。

 この一月十九日は令和四年度の統計が載っておりますけれども、例えばこの取得率、文科省さんとか外務省さんは三、四割ぐらいで、財務省さんとか公取は八割、九割ということで、これは当然、長い時間で見ていけばいろいろ変化はしていくものだと思うんですけれども、やはり、なるべく差が少ない方がいいのかなと。本来ここの省庁に行きたいんだけれども、ちょっとこの数値が低いからというようなことはない方がいいんだろうなというふうに、憂いなく志望できる環境づくりが大事だというふうに思っております。

 この育児休業の新規取得率平準化に向けて今後更に取り組んでいただいてはどうか、このように思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思っております。

平国務大臣 特別職も含めた国家公務員の男性職員の育児休業取得率については、二〇二二年度において四三・九%になっているが、今御指摘のとおり、省庁ごとに見ると、九割を超えている省庁もあれば、一方で平均に満たない省庁もあるところであります。

 こども未来戦略において、一般職の男性国家公務員について、一週間以上の育児休暇取得率を来年までに八五%に引き上げるとしているところであり、内閣人事局からフォローアップを行う等により、各省庁がこれらの目標が達成されるように促してまいりたいというのが用意をされています。

 その上で、やはり役所によって大分ばらつきがあるので、ばらつきがある理由が、原因があるんだろうというふうに思いますので、特に低い役所には特別に分析をして対応していきたいと思います。

河西委員 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 済みません、大臣、私、余りデジタル関係の質問がないんですけれども、ちょっと子育て関係にわたりますが、是非よろしくお願いいたします。

 最後、一点だけ、時間も終わりに近づいてまいりましたので、お伺いいたします。

 私、最近、高齢者の活躍の推進のPTを党内につくって取り組んでいるんですが、国家公務員の皆さんの定年後のキャリアも非常に大事だなと思っております。当然、天下り云々とか、それは厳に慎むというのは、そういう話はあるんですけれども、他方で、もう今人手不足でありますし、先ほども、デジタルの活用でなるべく実数でもやっていけるような体質改善という話もございました。

 その上で、もっと世の中、世間、地域に視点を広げていきまして、公益に明るい国家公務員の方々、その専門分野に対しては非常な卓越した専門的知見を持っている方々が、退職後、地域とか、場合によっては人手不足の介護とか子育ての現場で活躍をされていくことというのはすごく大事なんじゃないか、また、そういう現場も私は見てまいりました。

 ただ、お話を伺うと、きっかけがないとなかなか行けないと言うんですね。もう馬車馬のように働いて、いざ地域に放り出されて、何をやっていいか分からないと。これは非常にもったいないなというふうに思っております。

 本当に、国家の宝の国家公務員の皆さんでありますので、こういった方々の退職後のキャリア、この活躍の場を広げるような、研修でありますとか取組、地域の参画へ促す、こうしたことを更に取り組んでいただきたいと思いますけれども、最後、御答弁いただきたいと思っております。

平国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 公務員の皆さん、能力も高いですし、コンプライアンスとか法律の知識もありますし、また地域で是非活躍をしていただきたいと思います。

 政府としても、例えば、人事院で生涯設計セミナーをやっていたり、内閣府官民人材交流センターで再就職準備セミナーなどもやっているところでありますが、委員の問題意識を踏まえて、どういうことをやっているのか、何が足りないのかをしっかり調べて取り組んでいきたいと思います。

河西委員 ありがとうございました。

 今日は様々、子育て関係あるいは退職後ということで、本当に、国家公務員の皆様お一人お一人も、どこまでいっても一人の人間であると思いますし、また、我々政治家もそういった心持ちでしっかり向き合いながら、この政策の推進にしっかり取り組んでいきたいこと、決意を申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 一般職給与法について今日は質問いたします。

 この八月に出された人事院勧告どおりに月例給や特別給を引き上げるものであります。通勤手当の上限引上げや定年前再任用短時間勤務職員への住居手当の支給など、長年要求してきたものが盛り込まれていると承知をしております。

 ただし、地域手当や寒冷地手当の見直し、配偶者扶養手当廃止といった不利益変更や、引上げ額が春闘に大きく劣る水準であること、とりわけ中高年層では、引上げが抑制される中で、手当見直しにより賃下げとなるケースも生じるなどの問題があります。見直しが必要であります。

 今日は、地域手当についてお尋ねをいたします。

 本案には、地域手当の級地区分を現行の七区分から五区分にする内容が盛り込まれております。

 人事院は、規則を改正し、現在は市町村ごとである級地区分を原則都道府県ごとに大くくり化するとしております。

 人事院にお尋ねいたします。

 地域手当の級地区分見直しによって引下げとなる職員がおります。支給減となる職員数、規模の試算を示していただきたい。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地域手当の今回の見直しによりまして支給割合が引下げとなる地域に在勤している職員数は、令和六年の国家公務員給与等実態調査によりますと、約六万二千人となっております。

 これらの職員について、在勤する地域や地域手当の算定基礎となります俸給月額等が変わらないという仮定の下で支給地域や支給割合の見直しによって生じる地域手当の月額の減少は、総額で約五億円となっております。

塩川委員 六万二千人に引下げとなる大きな影響を及ぼすものであります。月額合計のマイナスということですけれども、支給割合の引上げがあったとしても、差引きでマイナスとなるという点での深刻な問題があるわけで、このようなマイナスが大きいことについて、今回の見直しは不利益変更だと言わざるを得ません。

 更に問題なのは、この級地区分の大くくり化によって、東京都や大阪府に隣接する埼玉県や奈良県などの市町村では軒並み級地が下がり、一層大都市との格差が拡大をしていることであります。

 資料をお配りいたしました。埼玉県が作成をいたしました、今後の保育の公定価格における地域区分見直しへの対応というポンチ絵であります。

 埼玉県では、六十三の市町村のうち、二十五の市町が引下げとなります。東京二十三区と隣接をする川口市や戸田市などでは、格差が一四%から一六%に拡大をすることになる。

 総裁にお尋ねしますけれども、級地区分見直しによって東京都と埼玉県の間の格差が拡大することを埼玉県も厳しく指摘をし、批判をしておりますけれども、この点についてはどのように受け止めておられますか。

川本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 今回の地域手当の見直しは、市町村単位で支給地域を定めていることに伴って隣接する市町村との間で不均衡が生じていたことの解消に向けて、原則として都道府県単位に広域化をすることといたしました。今般の措置によりまして、細かく地域手当の差が生じる現状が改善されていくものと考えております。

 なお、地域手当の支給割合の差の在り方については、最大で二〇%という支給割合の差が過大ではないかという問題意識も踏まえ、今後とも検討してまいります。

塩川委員 いや、埼玉県のこういった現状についての指摘、見直しを求める、この点については、総裁としてはどういうふうに受け止めておられますか。

川本政府特別補佐人 今般の措置は、国家公務員の給与制度としての取組であります。級地区分の設定に当たっては、どこかで線を引かなければならないということで、やむを得ないということだと思っております。

塩川委員 いや、要するに、埼玉と東京と、生活圏は一緒なわけですよ。荒川とか柳瀬川とかが流れて、そこの境だけの話であって、それで大きな、こういった地域手当の影響というのは、国家公務員だけではなくて、これが波及をする、保育を含めた社会保障関係の皆さんの様々な賃金にも影響してくる大問題でありますので、こういった、東京と埼玉の、生活圏が一緒のようなところに、更に地域手当の格差を広げるようなことでいいのか。その点についてはどうなんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、国家公務員の給与制度としてこの地域手当の見直しを行ったところでございます。国家公務員の給与制度でございますので、全国でやはり統一的に適用できるような基準に基づいて対応する必要があるというふうに考えております。

 今、東京都と埼玉県の例について御指摘いただいたところでございますけれども、全国的に見た場合に、先ほど総裁の御答弁にもございましたとおり、国家公務員の給与制度として見たときに、細かく地域手当の差が生じるという現状については改善されていくというふうに認識しているところでございます。

塩川委員 だから、東京と埼玉の関係ではどうですか。開いているのはおかしいと思いませんか。

佐々木政府参考人 今回、都道府県単位ということにいたしましたので、従前でございましたら、市町村単位でございましたので隣の市町村というところになりますけれども、都道府県単位ということにしたことに伴いまして、今度は都道府県同士の間のところで差が生じるというところについての議論が生じているということは認識しているところでございます。

 ただ、あくまでこれは国家公務員の制度ということでございますので、これに基づいていろいろ参照している制度があるというところでいろいろな議論が起こるところもございますけれども、国家公務員の給与制度としては、こういう形で今回、改善の方向で歩みを進めさせていただいたところでございます。

塩川委員 六万二千が不利益変更を受けるんですから、それ自身が改善なんて言えないわけですよ。そういった点でも見直す必要がありますし、それが様々な、保育や介護などの分野にも波及をしていくという大問題であるわけです。

 ですから、埼玉県も言っているのは、この左側、現行のものについては、埼玉県六%の地域に対して東京二十三区が二〇%の地域がある、それは年間で、九十人定員の保育所では九百七十二万円の差が出るんです。それに対して、今回、更に広がる。東京二十三区は二〇%、変わりませんけれども、埼玉県の都県境のところは四%の地域がたくさん、引き下げられて増えている。そのために、年間千百十一万円の差、百三十九万円も拡大をするという問題になっているわけであります。

 ですから、是非、総裁、こういう現状があるというのはよくよく受け止めていただきたいんですけれども、このように大きな差が生まれるということが事業者の皆さんに大変大きなおもしとなっている。

 東京都に近い埼玉県内のある保育所の園長さんにお話を伺ったところ、本当に保育士が集まらない、大学訪問や求人サイト、ハローワーク、地域へのチラシ配布など、あらゆる機会を使って募集をかけているけれども集まらない、今年も大学訪問や合同就職説明会に参加したが、十一月時点で反応はゼロ、一時保育を休止をし、ゼロ歳児の受入れを減らして保育士不足を調整しているという悲鳴のような声であります。地域の保育が維持できない事態が今ですら起きている。こういう事態が更に悪化することになるということであります。

 私は、こういう実態を放置するわけにはいかないということですので、こういう現場で困っている声にしっかりと応えることこそ、本来、級地区分の問題、地域手当の問題を示している人事院の問われている問題でありますし、見直しをしっかりと行うと同時に、大臣も、こういう現状は極めて深刻だということを受け止めて、地域手当について抜本的見直しをする、そういうことを強く今後行っていく、そのことが求められていると思いますが、大臣としてのお考えをお聞かせください。

平国務大臣 一義的には人事院が判断することだと思いますが、よくEBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングといいますけれども、今言ったエピソードも結構重要だろうというふうに思います。そういったところも含めて、今後どういう影響があるのかも、よく我々イマジネーションを働かせて議論する必要があると思います。

塩川委員 これはまた機会を改めてやろうと思いますけれども、地方の低賃金構造を固定化するという問題も出てくるわけで、地域間格差を拡大させる地域手当を廃止をして、全世代を対象とする、そういった俸給の引上げこそ行うべきだということを申し上げて、質問を終わります。

大岡委員長 次に、菊池大二郎君。

菊池委員 国民民主党の菊池大二郎でございます。

 私は、山形県が選挙区、地元になります。先週、地元の方に帰りましたら、一夜にして一面銀世界ということで、いよいよ厳しい冬がやってまいったなというところを痛感しております。

 雪に関して言うと、今回、給与法の関係で寒冷地手当というところも項目として挙がっておりますけれども、昭和四年に雪害がこの国会で初めて議論をされました。その機運となったのが、実は、私、山形県と申し上げましたけれども、山形県村山市、本当に同郷の衆議院議員で松岡俊三代議士という方がいらっしゃいまして、その松岡先生が雪国の窮状をこの国会で訴えて、そして昭和四年で雪害の話をされ、翌五年から雪害というものが法的に認められて、それ以降、こういった寒冷地手当に関する法案だったりとか、そしてまた災害基本法に雪害が認定される。

 そういったことで、地方山形、そして雪国の窮状を、私もしっかり、地域目線、地方目線で、地域手当に関してまず質問していきたいなというふうに思っております。

 人事院勧告に基づく地域手当の在り方について、地域手当の算定につきましては、物価等を考慮することも重要な要素の一つと理解をしておりますが、事実上は民間の賃金水準のみを基礎としていると思料されます。現下の物価等の高騰を鑑みれば、それぞれの地方、地域の生活実態、生計費の実情に寄り添った対応も必要であると考えます。

 この点、消費者物価地域差指数、いわゆる物価水準によれば、全国一位は東京都、二位は神奈川県、四位が千葉県、この辺は納得するところでありますけれども、賃金水準が低く地域手当が支給されない、これまでの現行の改正の前、これまでも地元の山形県というのは非支給地域でありましたけれども、同様に地域手当が支給されない北海道も三位、そしてまた、ほかの島根、高知、宮城、岩手を始めとして、今回の勧告及び改正において地域手当が支給されない都道府県の上位の多くが物価水準の高いと思われる自治体であります。これから推察されるのは、賃金が低いからといって物価や生計費の負担も軽いというわけではないんだろうということでございます。

 また、今回の級地区分を七区分から五区分に大くくり化することにより、地域ごとの民間賃金水準がきめ細かく反映されず、低賃金構造が固定化されるのではないかという懸念、加えて、自治体においても、支給率が引き下げられる自治体にとっては一方的な賃下げとも言え、賃上げマインドを減退させてしまうのではないかという心配もあります。

 以上の点につき、どのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の地域手当は、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員の給与が高いのではないか等の議論があったことを受けまして、全国一律に適用される俸給表の水準を引き下げた上で、民間賃金の水準が高い地域の国家公務員の給与水準を調整するための手当として設けられたものでございます。このため、地域手当につきましては、これまで、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させる観点から見直しを行っております。

 今般の見直しでは、市町村単位で支給地域を定めていることに伴いまして、隣接する市町村との関係で不均衡が生じているということの解消に向けまして、原則として都道府県を単位として大くくり化を行ったところでございます。

 一方、国家公務員給与全体として見た場合に、毎年、官民の給与を調査いたしまして、精密な比較を行った上で、本年のように必要な改定を行っているところでございます。

 本年の官民較差に基づく勧告におきましては、俸給表は全ての職員について一・一%以上引き上げる改定としておりまして、令和七年度に地域手当が引き下げられる地域におきましても、同年度の引下げ幅は一%でございますので、引下げ幅を超える俸給の引上げがなされているという状況でございます。

 さらに、期末・勤勉手当の支給月数につきまして〇・〇五月分ずつ引き上げておりまして、各職員の勤務成績に応じた昇給等も行われることを踏まえますと、地域手当が引下げとなる地域も含めて、給与全体の水準が引上げになるというふうに考えております。

菊池委員 先ほど来、いろいろとこの地域手当の議論もあったかと思います。そしてまた、冒頭、松岡先生の遺徳をしのんでというか、そういった視点も御紹介しましたけれども、やはり、民間の賃金水準だけではなくて公正公平な視点をいかに担保していくか、そしてまた、雪国も含めて、エネルギー価格の高騰、物価高に非常に苦しんでおります、そういった視点をしっかり重要視していかなければいけないんだろうというふうに思います。

 この点、十年ごとの見直しの期間を短縮するというようなお考えも出されておりますけれども、こうした現状の物価等への配慮、地域の実情や特殊性を反映できるような期間設定、そういった生計費負担を軽減する視点での柔軟な対応が求められると思いますが、今後の考え方についてお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域手当につきましては、これまでは十年ごとに見直しを行ってまいりましたけれども、この見直し期間が長過ぎるのではないかとの御意見があったことも踏まえまして、今後はより短い期間で見直しを行っていくこととしておるところでございます。

 見直しに当たりましては、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させる必要があると考えております。

 また、最大で二〇%という支給割合の差が過大ではないかという問題意識も踏まえ、今後、支給割合の差の在り方について検討してまいります。

菊池委員 先ほど河西委員の方からも公定価格のお話がありましたけれども、次に、こども家庭庁さんの方にお伺いをしたいと思います。

 やはり、保育、医療、介護、いわゆるエッセンシャルワーカーの人材流出が加速してしまう、地方から首都圏、東京に隣接する首都圏からまた東京一極集中を加速させてしまうのではないかという懸念、そういった意味で、現行の地域手当の支給率等に基づいて公定価格が決定される仕組みへの対応が不可欠であると考えますが、今後の対応についてお伺いいたします。

竹林政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、保育につきましては市町村に実施義務が課されており、民間施設においても公立施設と同水準の保育が提供できるように、保育の公定価格につきましては公務員の給与水準に準拠するということとされております。

 公定価格の地域区分につきましても、公務員の地域手当における地域区分に準拠することを基本としながら、ほかの社会保障分野の制度との整合性も踏まえて、これまで一部ルールを作って設定をしてきております。

 本年八月に示されました令和六年の人事院勧告を踏まえて、保育の地域区分の対応につきましてでございますが、仮に、人事院勧告で示された内容をそのまま当てはめるといたしますと、都道府県単位に広域化することで、県内の隣接する市町村との不均衡の解消が図られる一方で、先生も御指摘いただいたように、一部では、例えば県外の、県を越える隣接する市町村との差が現行よりも拡大する、このようなことも生じることになります。

 こうしたことも踏まえつつ、今日いただいた様々な御意見、あるいは自治体を始めとする関係者の御意見も伺いながら、あるいはほかの社会保障分野の動向も見ながら、実施の時期も含めて、引き続き丁寧に議論を進めてまいりたいというふうに考えております。

菊池委員 最後の質問を平大臣にお願いしたいと思います。

 先ほどるる、いろいろと同様のお話があります。冒頭、雪害の話もしました。私の選挙区山形そして東北、雪国でありますけれども、昨今は毎年のように水害が起きております。私も現場に入っておりますけれども、いわゆる技術系の職員、これまで行政経験をしっかり積んで、これからいかに持続可能な職員体制を、国であり地方であり、しっかり構築していくかということが非常に重要であるという認識でおります。

 先ほど大臣の方からも、定員ベースではなくて、実員でいかに行政サービスを停滞させないようにするかと。非常に私も同感であります。力を継続して蓄えてきた中堅職員の離職をいかに防いでいくか。先ほど来、中途採用の話の方が強い印象も受けておりますけれども、いかにこの離職を防いでいくかというのも、いわゆる費用対効果の面でも非常に重要なんだろうというふうに思います。

 給与カーブは徐々に緩やかになっていくわけでありますけれども、給与上昇率の改善等によって、持続可能性のある給与体系を構築し、職場への定着や、より将来設計に期待を持てるような環境整備に資する施策の展開が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

平国務大臣 先ほど、いろいろなテクノロジーを使って実員ベースで回せるようにという話をしましたが、これは霞が関の政策立案部門はすごく効果があるんですけれども、やはり現場は、それほどロボットが進化するわけではないので、ある一定以上の配置が必要で、その人たちが、現場以外の仕事ですよね、報告とか、そういうところはAIが入ってきて負担減になるんだろうというふうに思いますが、一定の人は確実に必要です。

 それに対応するためには、やはり、しっかりと賃上げをするということと労働環境を整備をするということ、さらには、霞が関で今、メンター制度なんかも入っていますので、民間の取組をよく参考にして、途中で辞めていかないような、そういったフォローができるような体制を考えてまいりたいと思います。

菊池委員 質問を終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 ありがとうございます。

 まず、今回三つ法律があるわけですけれども、三番目の育児休業に関する法律は大変高く評価しております。

 どうしてかといいますと、これは皆さん御存じだと思うんですけれども、育児時間、これは無給ではありますけれども、育児時間の選択肢が拡大したということがございます。

 それから、二番目に、育児時間の対象を非常勤公務員にまで拡大するということがありまして、さらに、対象期間が三歳児までだったのが小学校に入るまでということで改善されているということがあって、大変期待しておりますが、ここで出てきた非常勤公務員の問題について、どういうふうに捉えられているかということに関して質問したいと思います。

 総務省の方、いらっしゃいますよね。よろしくお願いします。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 複雑化、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加えて、非常勤の地方公務員も地方行政の重要な担い手となっていると認識をいたしております。

 会計年度任用職員制度は、臨時、非常勤職員の任用及び処遇を適正化するために導入されたものでありますので、各自治体において適正に運用されることが特に重要でございます。

 このため、会計年度任用職員の処遇の確保は重要でありますので、給与改定について、改定の実施時期を含めて、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することが基本である旨助言をいたしておりますし、また、勤勉手当の支給を可能とする法改正を行うなど、適正な処遇の確保、改善に取り組んできたところでございます。

 今後とも、毎年度行っております会計年度任用職員制度の施行状況調査というのを行っておりますが、この結果なども踏まえまして、制度の適正な運用が図られるよう助言を行ってまいりたいと思います。

上村委員 どうもありがとうございます。

 今おっしゃったように、この非常勤の公務員、非正規の公務員の制度というのは、ある意味では非常にプラスの面を持っているというふうに考えているんですけれども、総務省が今おっしゃったようないろいろな実態調査の中で、これが、ある種悪い面で使われると、逆にコストカットあるいは人材のカットに悪用される場合が多い。これがいわゆる官製のワーキングプアの問題というふうに捉えられ、私のところにもいろいろな報告が上がっております。

 この辺についての更なる実態調査とか指導、もちろん、具体的にやるのは自治体が多いというふうに思うんですけれども、これは、何というんでしょうね、流通なんかでもサプライチェーンというのがあって、やはりそれは国が関わっている制度の流れの中にありますので、是非、総務省あるいは内閣府としてもこの問題に関わっていただきたいなというふうに思います。

 もう一点、時間がないのでお尋ねしたいんですけれども、この内閣委員会はアイヌ民族の施策についても取り扱うということになっておりまして、実は、アイヌ民族の非正規公務員のことが北海道の中でも更に問題になっているんです。この辺についての御認識というのはございますでしょうか。アイヌ総合政策室の方、よろしくお願いします。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘のありましたアイヌ関係の非正規公務員でございます。具体的には、アイヌの生活相談員でありますとか、あと、ウポポイの職員のことを示されているのではないかと思いますけれども、それぞれ担当省庁がございまして、それぞれの予算の状況や、また各職員の職務内容等を踏まえて非正規雇用職員として雇用している場合もあると内閣官房としては承知しております。

 いずれにいたしましても、議員から御指摘いただきました問題意識については、それぞれの担当省庁と内閣官房の方で共有していきたいと思っております。

上村委員 ありがとうございます。

 今の御回答も、ちょっと私にとっては不十分なところもあるんですが、是非よろしくお願いしたいと思います。

 これは、政府だけではなくて、北海道自体も調査をやっておりまして、一番新しい調査が、アイヌ生活実態調査、二〇二三年の報告書が出ております。この中で、アイヌの生活保護率は、二〇一七年、前のときの生活保護率が三六・一パーミル、これは千分の一という数字を使うんですけれども、それが、二〇二三年の段階では四一・〇というふうに拡大をしています。つまり、逆に言えば生活が苦しくなっているということでありますし、年間所得で百万円以下のアイヌの世帯が、その前の段階の資料では五・二%だったものが、五・八%に拡大をしている。

 そういう中で、アイヌの雇用の確保あるいは生活の安定というのがやはりアイヌ施策のすごく大事な部分だというふうに思っておりまして、これを実現するために、そうした、少なくともできる範囲の問題で、雇用の安定あるいは任期つきのポストがうまくアイヌ民族のために運用されるように、是非御配慮をいただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 もうちょっとありますか。何かありますか。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の北海道がやられた調査については我々も認識しておりまして、こういった実態を踏まえまして、アイヌ施策推進法というものがございます。この施策推進法の中には、アイヌ政策交付金など、様々な政策ツールがございますので、そういったものを活用しながら、アイヌ民族の皆様のために活用していきたいと思っております。

上村委員 ありがとうございます。

 ここで話すべきでもないかもしれませんが、アイヌ民族で国会議員になられたのは、萱野茂さんという方がかつていらっしゃいました。それ以来、アイヌ民族でこの場に立たれた方というのは誰もいらっしゃらないという状況の中で、先々週、息子さんの萱野志朗さんといろいろとお話をしてきて、私はずっとアイヌ民族の問題をやってきたものですから、是非、上村さん、代弁できるところはよろしくという話を伺ってきております。

 なかなか北海道は遠い地域でもありますし、先ほどの、やはり、なかなか生活環境が厳しい中で、長年の差別があって、例えば、アイヌの農家の農地面積というのは、今三・六ヘクタールなんですけれども、北海道の日本人の農家の平均の農地面積は三十・二ヘクタールあります。全体で大体八倍ぐらいの土地を日本人の農家の方は持っていらっしゃる。なぜかというと、北海道開拓があったときに、アイヌに与えた土地は少なかったからです。そうしたものが今の貧困の状況につながっているということを御配慮の上、アイヌ政策というものをうまく展開していただければと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後十分、よろしくお願いいたします。

 まず、感想めいたものからスタートさせていただきますが、地域手当の見直し、広域化なんですけれども、これ、実はすごく私、思いがありまして、学校の先生の給与を、以前県が支払っていたのを、地方分権で政令指定都市に移すということを行ったんですね。

 このときに、地域手当で、私の地元、福岡県北九州市、結構痛い目に遭いまして、県の地域手当よりも政令指定都市の中で低いところというのが全国に二つだけありまして、大阪府の堺市と、そして福岡県北九州市。何が起こったかというと、地方分権をしたら、地域手当が下がって給与が減ったということがあって、今回、こういった形で広域化が行われるということ、何か当時の、平成二十八年ぐらいだったと思いますが、ちょっと隔世の感があるなと思って今回の法改正を拝見いたしました。

 それでは、質疑に移っていきたいと思います。

 今回、俸給表の見直しが行われます。これは何かというと、級ごとの重複ができるだけ生じにくくするように、ただ、若い方については比較的まだ重複があるんだけれども、八級以上になると、完全に、八級、九級、十級というふうになっていくということなんですが、私はいいと思うんです。級と職階がしっかりと一対一でつながってくるということ、とてもいいと思うんですが、ただ、これをやるのであれば、もう一つ、実際の人事管理のところで少し考えた方がいいかなと思うことがあります。

 中央官庁の特に1種採用職員、同時採用同時昇進というのが不文律になっているんですね、同時採用同時昇進。そうすることによって、人事管理として、できるだけ馬車馬のように働かせるというのが効果としてあったと思うんですけれども、これが、ワーク・ライフ・バランスを害したりとか、場合によっては、有能でない人間でも少なくとも職階が上がっていくというような効果があったんですが、今回、こういった形で級と職階がしっかりと少しずつ分かれていくようになっていくというときは、この同時採用同時昇進の仕組みを見直していくことも必要なのではないかというふうに思いますが、平大臣、いかがでしょう。

平国務大臣 役所の人事の現場は本当に私は分からないので、緒方さんは詳しいと思うんですが。ただ、私の感覚だけ申し上げると、異常だなと思います。

緒方委員 そうなんです。私は外務省でしたけれども、平成六年入省なんですが、霞が関の方々、皆さん、自己紹介して、その次に聞くのは何かというと、ところで平成何年と大体聞くんですよね。この仕組みと、今回、この方向性、級と職責が見合うようにするというのは余り整合的でないわけでありまして、各役所、こういった公務員管理の姿を、平大臣は全体を統括しておられるので、それぞれの省庁の管理だと思いますけれども、こういうことも見直していくことが必要なのではないかと私は何回もこの場で言っているんですけれども、同時昇進の仕組みというのを見直す方向でやっていくべきではないかと思うことを述べさせていただきたいと思います。

 続きまして、私の出身母体であります外務省におきます、特に在外公館におけるパワハラ体質についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 在外公館というのは、私も勤務経験がありますけれども、閉鎖空間なんですね。閉鎖空間というのは大体パワハラが生じやすいということで、私も幾つも事例を知っているわけでありますが、本当に、時折外務省幹部の方と話していると、時々、パワハラをした公館長を守る側に回っているように見えることすらあるわけでありまして。

 外務省、今日、尊敬する先輩であります大鶴官房長が来ておられます。大使会議等で、パワハラをやった公館長には厳正に対処するということを伝え、実際に厳正に対処すべきではないかと思いますが、官房長。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 私、今みっちり引継ぎを受けておるところでございますけれども、外務省では、本省、在外公館を問わずパワハラはあってはならないということで、累次この場でも先生から御指摘を受けているというふうに承知しておりますが、従来御説明申し上げております本省、在外公館への窓口設置ですとか幹部への研修強化などに加えまして、毎月、全省員に対する回章、様々な研修プログラム、さらには、委員から御指摘ございました大使会議などの場も通じまして、具体的なパワハラ事例も含めて、ハラスメント防止に対する定期的な注意喚起、意識向上等の取組を行っておりますほか、事務次官からも直接、全省員に対してハラスメント撲滅の呼びかけを行うなどの取組を行っております。

緒方委員 毎回、この質疑があるたびに言っていることなので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、公務員管理の中で重要なのは、仕事が増えないようにすること、行政の肥大化を防いでいくこと、これはとても重要だと思うんですね。

 行政学にパーキンソンの法則というものがあります。これは何かというと、大英帝国の植民地省は、帝国が縮小していたにもかかわらず、職員の数が増えていったんですね。これを見て、なすべき仕事に関係なく官僚機構というのは増大をしていくという、その指摘をしたのがパーキンソンの法則です。

 平大臣に感想だけお伺いしたいと思います。日本の行政機構にそういう傾向はあると思いませんか。

平国務大臣 どんどん自己増殖をしていくという本能みたいなものはあるんだろうと思います。

緒方委員 そういう中、特に私がいつも言っているんですが、内閣官房と内閣府の重複、肥大化というのはもう見ていてひどいんですね。ひどいです。どんどん大きくなっていく。

 実は、二〇一五年に内閣官房・内閣府スリム化法というものを、有村大臣のときだったと思いますが、やったんですが、その後も、スリム化法をやったにもかかわらず、どんどんどんどん膨らんでいっているんですね。今回また、防災庁ですか、できていく。庁だけでも、その後増えただけで、こども家庭庁とか感染症対策とか、もういろいろなものが膨れ上がっていっている。(平国務大臣「デジタル庁」と呼ぶ)デジタル庁ですね。

 スタッフ制を取っていることが多いんですけれども、むしろ最近、私が見ていると、スタッフ制をやっているところが、これは機動的に対応するということでスタッフ制なんですけれども、一個一個の、参事官とかおられるところがむしろタコつぼ化して、内閣官房、内閣府というのは結構タコつぼな組織だなというふうに思うことがある。そして、それぞれが連携することなく結構似たようなことをやっているというケースは、結構多いと思います。

 どこにも機動性のない組織が増えているんですが、本日、平さんは、本当は行革担当相でもありますが、今日はその立場でおられないということで、穂坂副大臣にお越しをいただきました。私は、この二〇一五年の内閣官房・内閣府スリム化法の、それこそ二・〇ですね、バージョンアップをした上で、ちょっとこの内閣官房、内閣府の在り方を見直すべきではないかと思いますが、副大臣。

穂坂副大臣 ありがとうございます。

 御指摘は非常に重要なことだというふうに思っています。

 今までも、内閣官房、内閣府においては、個別業務の精査、そして密接に関連する部局の業務等を一体化するなど、効率的なものは行ってまいりました。また、一定の役割を終えた組織の統廃合、これも必要な対応を行ってきたところであります。

 また、今おっしゃられた肥大化、これを防ぐためにも、平成二十七年一月の閣議決定において、新たな業務を法律によって追加する場合には、原則として内閣官房、内閣府において当該業務を行う期限を設ける、このようなことも行ってきたところであります。

 今おっしゃられた御指摘もありますけれども、引き続き、その事務を不断に見直していくこと、これが必要だと思っています。

緒方委員 人数もいろいろな形で増えていっている。結構厄介なのが実は議員立法でありまして、議員立法で所掌が増えて拡大していく。これだけはもう行政側ではどうしようもないということで増えたりしているんですが、本当に人数が増えていっていて、自民党の皆さんに是非考えていただきたい。なぜ、おたくの政党に内閣担当の政調の部会が、一と二があるんですか。こういうことですよ。かつてなかったじゃないですか。

 そして、この内閣委員会があって、そして地・こ・デジ、要するにあれは第二内閣委員会ですよ。肥大化しているんです。これを是非考えていただきたいし、これを言うと、大体、自民党で内閣府の政務三役を経験した方から、後でこっそりと、いや、実は私もそう思うんですと言われることが物すごく多いです。

 今日、その立場で来られているわけではないということは分かりますけれども、大臣、一言いただければと思います。

平国務大臣 ちょっと緒方先生の問題意識と合わないかもしれませんが、社会が多様化していくので、行政の役割は私は増えていくと思います。

 一方で、財政の制約があるので、それを両立するのがデジタルとかAIだと思っているので、引き続き議論させてください。

緒方委員 終わります。

大岡委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 会派を代表して、給与法二法案に反対し、育休法案に賛成の立場から討論をいたしたいと思います。

 まず、一般職給与法改正法案については、その最大の目的は、危機的な状況にある国家公務員の若手人材の確保にあると考えます。そのためには、先ほどもお話ししました包括的な対応が必要という立場であり、むしろ、今回のような業績主義や能力主義を残したままの、あるいは人権の尊重とか民主的な組織運営を行う視点が不十分なままでの提案には問題があるというふうに考えています。

 また、人権保障や労働環境の改善を棚上げにしながら、初任給の引上げ等の金銭誘導により優秀な若者を集めようという試みの結果、中高齢職員の引上げ率が抑制されるという構図は、法案の中で、格差や年齢差別、高齢者の差別は、今ではもう、一つの差別事案になっています。

 そして、一般職公務員の給与等を引き上げること自体に関してはもちろん賛成ですが、昨年来の我が会派の主張ですが、官民格差を埋めることを目的とする人事院勧告を実現するためには、そもそも民間の賃上げ上昇が物価高に追いついていないという問題を真摯に考える必要があるというふうに思っています。

 さらに、こうした人事院勧告制度を改め、同時に、公務員の基本的労働権を回復する抜本的な改革を求めたいというふうに思って、反対という立場を取らせていただきます。

 次に、特別職の問題に関しては、れいわ新選組として所得向上の対象外とすべきと考える点で、据置きに関しては評価しますが、この改正案の中では、我が党が反対しております特別職の国家公務員、例えば大阪万博の政府代表であるとか、それからカジノの管理委員会の委員長というポジションが含まれていますので、残念ながらこれに賛成はできないという立場であります。

 最後に、育休法の改正に関しては、先ほど申しましたように大変評価をしているということで、賛成をしたいというふうに思います。

 以上です。

大岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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