第4号 令和6年12月18日(水曜日)
令和六年十二月十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 阿部 司君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 尾崎 正直君
岸 信千世君 栗原 渉君
田中 良生君 西野 太亮君
平井 卓也君 平沼正二郎君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 若山 慎司君
市來 伴子君 梅谷 守君
おおたけりえ君 下野 幸助君
杉村 慎治君 橋本 慧悟君
藤岡たかお君 馬淵 澄夫君
水沼 秀幸君 山 登志浩君
市村浩一郎君 三木 圭恵君
臼木 秀剛君 菊池大二郎君
福田 玄君 河西 宏一君
山崎 正恭君 上村 英明君
塩川 鉄也君 緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(国家公務員制度担当)
(サイバー安全保障担当)
(規制改革担当) 平 将明君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策担当) 坂井 学君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(共生・共助担当)
(共生社会担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(新しい資本主義担当)
(賃金向上担当)
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(科学技術政策担当)
(経済安全保障担当) 城内 実君
国務大臣
(アイヌ施策担当) 伊東 良孝君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
総務副大臣 阿達 雅志君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 小柳 誠二君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 木村 公彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 松下 美帆君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 桝野 龍太君
政府参考人
(内閣官房アイヌ総合政策室長) 松浦 克巳君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 坂本 里和君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岸田里佳子君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官)
(内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 松本 敦司君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 松田 浩樹君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 矢作 修己君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 佐々木啓介君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 木村 聡君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 野村 裕君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 稲熊 克紀君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(内閣府孤独・孤立対策推進室長) 江浪 武志君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 岡田 恵子君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 齊藤 馨君
政府参考人
(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長) 高角 健志君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官) 柿田 恭良君
政府参考人
(内閣府健康・医療戦略推進事務局次長) 仙波 秀志君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 高杉 典弘君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 真渕 博君
政府参考人
(警察庁長官官房技術総括審議官) 堀内 雄人君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 谷 滋行君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(警察庁警備局長) 迫田 裕治君
政府参考人
(警察庁サイバー警察局長) 逢阪 貴士君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 川崎 暁君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 柳瀬 護君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 尾崎 有君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 高橋 宏治君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 杉浦 直紀君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 植松 利夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松浦 重和君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大隈 俊弥君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 修君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
十二月十八日
辞任 補欠選任
山口 壯君 若山 慎司君
馬淵 澄夫君 杉村 慎治君
石井 智恵君 福田 玄君
同日
辞任 補欠選任
若山 慎司君 山口 壯君
杉村 慎治君 馬淵 澄夫君
福田 玄君 臼木 秀剛君
同日
辞任 補欠選任
臼木 秀剛君 石井 智恵君
―――――――――――――
十二月十六日
国連の障害者権利委員会からの総括所見について検討の場を設け、審議の開始を求めることに関する請願(市來伴子君紹介)(第二三〇号)
同(小熊慎司君紹介)(第二三一号)
同(金子恵美君紹介)(第二三二号)
同(八幡愛君紹介)(第二三三号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第二三四号)
同(大石あきこ君紹介)(第二七二号)
同(櫛渕万里君紹介)(第二七三号)
同(田村貴昭君紹介)(第二七四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官小柳誠二君外五十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。
○黄川田委員 自民党の黄川田仁志でございます。
城内大臣と坂井大臣には日頃から大変お世話になっておりまして、本日質疑をするのを楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、経済安全保障の分野について質問をさせていただきます。
日本は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて社会全体で取り組んでおります。その二〇五〇年カーボンニュートラルの目標達成に向けては、グリーン、デジタル等の最先端技術と、産業において蓄電池、半導体、モーター等の部品の生産の拡大が見込まれております。そして、それらを生産するための鉱物資源の需要も拡大していくと予想されます。
残念ながら、我が国は資源が乏しい国でございます。それらを生産する上で必要な重要鉱物について、日本は特定の外国に過度に依存をしているというのが現状でございます。特に中国に大きく依存しているガリウムやレアアース、この現状を私は大変心配しております。
ガリウムについては、昨年の中国による輸出管理強化によりまして日本向けの輸出許可が出ず、一年間での日本向けの総輸出量の約八割から九割減少したということを聞いております。
このような事態に備えるために、二〇二二年に、重要物資の安定的な供給確保に関する制度を含みます経済安全保障推進法を定めました。
日本に限らず、中国がレアメタル等の輸出規制の動きを強める中、日本の産業と、それに関するサプライチェーンの確保のために、経済安全保障大臣として城内大臣はどのように臨んでいく覚悟であるか、答弁をよろしくお願いいたします。
○城内国務大臣 黄川田委員におかれましては、自由民主党の資源確保戦略推進議員連盟の事務局長として、資源の安定供給確保に向けた施策に非常に先頭に立って御尽力いただいていることに対しまして、この場をおかりしまして深く感謝申し上げます。
黄川田委員御指摘のとおり、重要鉱物を始め国民生活や経済活動などに甚大な影響のある物資の安定供給の確保は、我が国にとって極めて重要な課題であることは言うまでもございません。
内閣府といたしましては、令和四年五月に成立しました経済安全保障推進法に基づきまして、特定重要物資として、これまで重要鉱物や半導体、蓄電池などの十二の物資を指定いたしまして、各物資の所管省庁がその安定供給確保に取り組む民間事業者を支援しているところであります。具体的には、これまで百十六件の供給確保計画を認定いたしております。
また、重要物資のサプライチェーンに関するリスクにつきましては不断に点検を実施しており、リスクに応じまして安定供給確保の取組方針を見直しているところであります。例えば、昨年、中国により開始されましたガリウム及びゲルマニウム関連品目等の輸出管理措置を踏まえまして、経済産業省と連携し、これらを支援対象として追加したところでございます。
さらに、一般論として申し上げますと、経済安全保障の取組につきましては、同盟国、同志国との連携が重要であり、例えば、昨年五月のG7広島サミットにおきまして、経済的威圧に対する調整プラットフォーム、この立ち上げを表明し、連携強化の取組を進めているところであります。
引き続き、経済産業省を始め、物質の所管省庁としっかり連携して事業者を支援していくことはもちろんのこと、サプライチェーンに関するリスクの点検については、固定化することなく、不断に見直していくということと同時に、同盟国、同志国との強力な連携を通じて、重要物資の安定供給確保に万全を期してまいる所存であります。
以上です。
○黄川田委員 ありがとうございます。
特定重要物資の安定供給確保に関する制度については、所管の大臣、省庁と連携して取り組んでいくということでありますので、具体な供給の多角化、また鉱山開発等については、所管大臣等にある意味決めたら任せていくということでございます。
ですので、経済産業省にお聞きしたいと思いますが、中国に過度に依存しておりますガリウム等の希少金属の輸出規制については、具体的にどのような対策を行っているか。安全保障に関わることなのでいろいろ話せないこともあるかもしれませんが、なるべく具体性を持ってお話ししていただければと思います。よろしくお願いします。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、産業に不可欠なレアメタルにつきましては、その多くを国外に依存しておりまして、安定供給確保に向けた取組を進めていくことが大変重要だというふうに認識をしております。
具体的には、供給途絶に備えて十分な備蓄量の確保に取り組むことに加えまして、有志国と連携しレアメタルを供給する上流開発プロジェクトの組成を行うなど、供給源の多角化を進めていく考えでございます。
このうち、供給源の多角化を進めるに当たりましては、政府といたしましては、資源外交を通じた同志国や資源国との関係強化に加えまして、今般の補正予算などで計上している出資金や経済安保助成金による日本企業の権益確保、鉱山開発、製錬事業の支援、資源量調査や技術開発を通じた国産海洋資源の開発など、政策を総動員しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
○黄川田委員 ありがとうございます。
なかなか、特定の資源について、これをやっている、あれをやっているということを言うと資源の価格等に影響もあるということで、一般論でお話ししていただいたということで理解しますが、中国は、ガリウムの輸出規制、これを日本だけにとどまらず強化をしているということでございます。具体的には、今月三日、輸出管理法に基づいて、これは中国の輸出管理法ですね、ガリウムやゲルマニウム等の希少金属について、アメリカへの輸出を原則禁止するということを発表しております。
WTOが機能不全を起こしておりますので、過去のレアアースショックのときとは同様とは言えないと思いますが、このような同様な課題に直面しているアメリカと日本も連携して、ガリウム等の希少金属の輸出規制に対する国際的な圧力、世論形成、これをやっていくべきだと思っておりますので、城内大臣、また所管の経済産業省、協力して、検討していただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
また、ガリウムに続きまして、レアアース、これについては、採掘と精製共に、ガリウム以上に中国に依存しているのが現状であります。特に、重希土類の輸入については、中国の依存度は一〇〇%でございます。
二〇一〇年の中国のレアアース輸出規制に対して、日米両国でWTOに提訴しまして、輸出規制は解除となって今に至っておりますが、レアアースのサプライチェーンの脆弱性、これが続いていることは変わりはございません。
レアアースのサプライチェーンの強靱化については、どのような対策を講じようとしているのか、こちらも、経済産業省、説明をよろしくお願いいたします。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
レアアースにつきましては、二〇一〇年のレアアースショックも踏まえまして、中国以外の国、例えば豪州における供給源の確保や、代替材料開発や資源量削減などの取組、また、委員からも言及がございましたとおり、欧米と連携したWTO提訴などを行ってまいりました。こうした取組の結果、二〇一五年に中国は輸出制限措置を撤廃をし、中国からのレアアースの輸入割合は、二〇〇九年の八五%から二〇二〇年には五八%まで低下しているところでございます。
加えまして、直近では、豪州のレアアース事業に追加出資を行い、レアアースの中でも現状ほぼ全量を中国に依存している重希土につきまして、来年度には国内需要の三割程度の供給量を中国外から確保する見通しになってございます。
さらに、G7を始め有志国とは、更なる具体的なプロジェクト形成や共同出資の可能性を検討してございまして、こうした連携も通じて、供給源の多角化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○黄川田委員 ありがとうございます。
レアアースのサプライチェーンの強靱化については、もういろいろ報道で、ネットのニュースでも出ているので、もう少し具体的に言っていただきたいなというふうに思っておりました。
重希土類の分離精製プロジェクトを立ち上げているということでございますけれども、私から申し上げますと、双日とJOGMECが共同で設立しました日豪レアアース株式会社を通じまして、オーストラリアのライナス社のプロジェクトがありまして、こちらでしっかりと鉱山開発をしていくというところであります。また、精製については、これからどういうふうにしていくかということを詰めていくというふうに聞いております。これは大いに進めていただきたいというふうに思っております。
その上で、レアアースについては、外国に頼らずに自国内で開発ができる可能性が大きい鉱物資源だというふうに思っておりまして、私は大変期待をしております。
そして、我が国では、科学的イノベーション創造プログラム、SIPの一つであります海洋安全保障プラットフォームで行われている南鳥島レアアース泥の開発、これが、私は期待していますが、来年はいよいよ、実海域の南鳥島沖のEEZ内で海底六千メートル下にあるレアアース泥を、六千メートルの揚泥管を使って試掘するというふうに聞いております。
そして、日本の周辺の海域でございますが、また残念ながら、中国が、南鳥島EEZに隣接する海域、公海でありますが、海洋開発の動きを見せております。中国の海洋開発の動向に注意しつつ、日本は自国のEEZ内の海洋開発の速度を上げていくべきだ、そのように努力していくべきだというふうに考えておりますが、城内大臣に、このSIP、第三期海洋安全保障プラットフォームへの期待と展望をお答えいただきますようお願いします。
○城内国務大臣 お答えいたします。
黄川田委員におかれましては、自由民主党の海洋総合戦略小委員会における議論を、この分野の第一人者として長年リードされてこられたことを非常にありがたく思っております。
委員御指摘の中国におきます南鳥島沖の公海域におけるマンガン団塊採鉱の事例にも見られますように、海洋資源開発には各国が関心を高めているところであります。
鉱物資源のほぼ全量を海外に依存している我が国にとりまして、重要鉱物の輸入先の多角化と並びまして国際海洋資源の開発を進めることは極めて重要であります。
このため、内閣府では、委員も御指摘のありました戦略的イノベーション創造プログラム、通称SIPにおきまして、南鳥島沖の水深六千メートル海域からのレアアース泥の揚泥という人類未踏の挑戦に取り組んでいるところであります。
また、先ほど委員からもお話ありました、令和七年度、二〇二五年度及び令和九年度、二〇二七年度には、南鳥島沖海域におきまして、六千メートルの揚泥管接続試験と、実際にその揚泥管を用いた揚泥実証試験をそれぞれ予定しており、これらの成果を踏まえまして、令和九年度、二〇二七年度末までにレアアース生産の社会実装プランを取りまとめることといたしております。
なお、今般の令和六年度補正予算におきましても、これらの実施に必要となる無人潜水機関連設備やレアアース泥の製錬に必要な機器の整備など、約二十七億円を計上しているところであります。
我が国の海洋資源開発における有望候補の一つとして、南鳥島沖のレアアース開発には大きく期待しており、内閣府といたしましても、関係省庁ともしっかり連携しつつ、更に精力的に研究開発と技術実証を進めてまいる所存であります。
○黄川田委員 ありがとうございます。
このSIPの取組は、コロナとウクライナの戦争の影響も受けてスケジュールが大分遅れてきたという経緯があります。それもありまして、私は、しっかりと十分な予算と計画を持って、早期に開発していただきたくお願いを申し上げます。
次は、坂井大臣への質問に移らせていただきますが、この国内レアアース泥の資源開発をサポートするために、海洋政策担当大臣は、海洋開発等重点戦略におきまして、特定離島である南鳥島とその周辺海域の開発の推進を行うことになっております。こちらの方も、重要な予算と具体的な計画を準備して、この国内産のレアアースの開発の支援への協力を強力に進めていただきますようよろしくお願いを申し上げます。
そして、この我が国の資源エネルギーの課題を克服するためには、我々はもっと広大な海を利用していかなければなりません。特に、EEZの浮体式洋上風力発電設備をなくして二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は不可能であります。早急に日本のEEZを含む海域利用のための法律や制度の整備をしなければなりません。
そこで、海洋開発等重点戦略の一つに、洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進を定めております。そして強力に推進しようとしております。
しかしながら、さきの通常国会において、再エネ海域利用法が解散に伴いまして廃案となってしまいました。大変残念なことであります。国会も大臣もこの法律の大切さを理解し、法律成立のために熱意を持って取り組んでいただきたいと思っております。
これは次の通常国会において是が非でも通さなければならない法律である、法案であると私は考えておりますが、坂井大臣の決意を述べていただきたいと思います。
○坂井国務大臣 まず、今の直接の御質問のお答えの前に、この南鳥島、特定離島でもございますし、南鳥島とその周辺海域の開発の推進ということを海洋開発等重点戦略において位置づけておりまして、ここは私も大変重要な日本の資源として期待ができると思っておりますので、城内大臣のところで、六千メーターもの深いところから、これが掘れる技術というもの、これを開発してもらうことを期待すると同時に、この展開がしっかりできるように、海洋担当としてもこれはしっかり支援をしてまいりたいということをまずお伝えをしておきたいと思います。
そこで、御質問の再エネ海域利用法の改正案でございますが、御指摘のように、前国会で、衆議院におきまして全会一致で可決ということを聞いております。つまり、全会派が必要だと認識をしている法案だということでございますが、参議院で審議を終えることができずに、今、廃案になっている状況でございます。
他方、政府といたしましては、委員御指摘のように、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの洋上風力発電の案件形成を目指しているところでございます。さらに、二〇五〇年はカーボンニュートラルを実現をするということで動いておりますので、このためには、広大なEEZにおいても案件形成が可能とならなければいけない、非常にこの推進が重要であると認識をしているところでございます。
EEZにおいての利用でございますが、まず、区域の指定でありますとか事業者の選定をすること、環境アセスも実施しなければいけませんし、当然風車そのものも建設をしていかなければなりません。こういったものに大体十年前後を要すると想定がされております。
ですから、この二〇五〇年カーボンニュートラルを実現をするためにも、一刻も早くこの動きを進めていかなければならないという認識でございまして、できるだけ早期の法案成立を目指して、関係省庁とともに取り組んでまいりたいと思っております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
今、坂井大臣がお示しいただきました二〇三〇年と二〇四〇年の案件形成、そのためには、この海域利用推進法、これを早期に成立させなければならないという決意もいただきました。成立しても、それが実際に、発電設備が、設置が整うまでに十年も要さなくちゃいけないということでございますので、大臣は早期と言いますが、もう次の国会にしっかりと提出をし成立をさせるということで、私からお願いをしたいと思います。坂井大臣のリーダーシップを期待しております。
そしてまた、来年は、先ほどお話ししました六千メートル下からの、沖ノ鳥島沖の海底からのレアアースの揚泥、そういうものもございますし、北極船「みらい2」、これが来年進水式がいよいよ行われるということでございます。
この北極政策についても海洋開発等重点戦略で位置づけられておりますので、また、来年は海洋国家日本が非常に注目される年だと言ってもいいと思いますので、海洋政策担当大臣としての坂井大臣、そしてSIPの担当の城内先生、是非お二人の力強い後押しをいただいて、海洋国家日本の矜持を示していただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、國場幸之助君。
○國場委員 おはようございます。國場幸之助です。質問の機会をありがとうございます。
それでは、まず、サイバー安全保障についてお尋ねをしたいと思います。
サイバー攻撃は、我が国に対し、質、量、脅威も被害も増大しております。この分野、大変に日本が遅れておりまして、二年前の十二月十六日に閣議決定された国家安全保障戦略の中にも、サイバー空間、国や重要インフラ等の安全を確保するため、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させると明記されております。最も緊急性があり、また国民の理解も必要とされております。
まず、サイバー安全保障がこの時期に必要であるということの意義、国民への説明をどのように訴えていくのか、このことについての答弁をお願いします。
○小柳政府参考人 お答えを申し上げます。
我が国のサイバー能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題と認識をしております。このような認識の下、令和四年十二月十六日に閣議決定された国家安保戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することとしたところでございます。
本年十一月二十九日にサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議から提言を頂戴したところでございまして、この提言も踏まえまして、可能な限り早期に法案をお示しできるように、検討を更に加速してまいる所存でございます。
○國場委員 国民の中には、自らのメールを見られてしまうのではないのかとか、そういった不安の声もあると聞きます。しかし、これはあくまでも公共の福祉に関する部分、つまり、国家の存亡を懸けた部分や、また国民生活に深刻な影響を与える重要インフラへの攻撃、またその危険性に関わる部分のみこのサイバー安全保障、能動的サイバー防御が必要であるということをしっかりと国民に周知をすることが大事だと思います。
次に、課題についてお尋ねをしたいと思いますが、やはり、これは現行法との整合性というものが極めて重要であります。憲法二十一条、電気通信事業法、また不正アクセス禁止法など、今答弁にもありましたように、有識者の提言も踏まえて、いろんな課題は整理されていると思いますけれども、その内容についてお尋ねをしたいと思います。
○小柳政府参考人 お答えを申し上げます。
憲法第二十一条が保障する通信の秘密を含め、能動的サイバー防御の実現に向けた法案につきましては、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっているところでございます。
有識者会議では、これらの検討事項について御議論いただき、提言では、例えば、通信の秘密であっても、法律により公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受け、通信の秘密を保障する憲法との関係での許容性を具体的に検討するには、まず先に、重大サイバー攻撃対策という目的を達成する観点から、通信情報の利用のあるべき範囲や方式について検討する必要があるといったことや、協力を行う電気通信事業者は、社会の安全に貢献しているとして、肯定的に評価されるべきであり、直面し得る訴訟等のリスク及び通信ネットワーク運営に対する負担について、回避策を十分に検討していくべきといったことが取りまとめられたところでございます。
○國場委員 官民連携、通信情報の活用、アクセス・無害化措置、そういった課題が整理されていると思いますけれども、この重要インフラに連なるサプライチェーンの中小企業の対策強化、こういった民民連携も非常に重要だと考えております。
そこで、アクセス・無害化の部分で関係するかと思いますが、その主体は、まずは警察、必要なときに自衛隊と共同すると、シームレスの連携というものがうたわれているかと思います。
しかし、サイバー攻撃というものは瞬時に攻撃が激化をし、平時、有事の区別もつかない、国境も瞬時に越えてしまう。常時サイバーパトロールという概念が大事だと思いますけれども、これも不正アクセス禁止法や既存の法律の壁もあると思います。また、自衛隊の対応の際に、通常であれば武力攻撃予測事態など事態認定というものがありますが、こういった猶予はないと思われます。
そういった様々な課題がある中で、警察と自衛隊とのシームレスな連携というものについてどのような課題があるのか、このことについて答弁をお願いします。
○小柳政府参考人 お答えを申し上げます。
有識者会議の提言におきましては、アクセス・無害化措置の実施主体について、武力攻撃に至らない状況下における対処となることから、まずは警察が、公共の秩序維持の観点から特に必要がある場合には自衛隊もこれに加わり、共同で実効的に措置を実施できるような制度とすべきとされております。
また、同措置の運用面の留意点として、政府全体としての総合的な判断が求められるとともに、その判断の下で実施主体が措置を講ずることが必要となる場合もあることから、政府においてリーダーシップを発揮するための司令塔の存在が極めて重要となるとの言及があったところでございます。
加えまして、提言では、平時と有事の境がなく、急激なエスカレートが想定されるなどのサイバー攻撃の特性から、武力攻撃に至らない段階から我が国を全方位でシームレスに守るための制度の構築が必要とされておりまして、関係機関の連携強化の観点からは、関係省庁のサイバーセキュリティー部局が物理的に同じ場所で協働できるよう、基盤となるしっかりとしたインフラ、すなわち、建物、スペース、勤務環境、セキュリティー等でございますが、こうしたものの確保を図るべきとの言及もあったところでございます。
今後、こうした提言の内容も踏まえ、検討を更に加速してまいる所存でございます。
○國場委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、内閣委員会は沖縄の基地負担軽減も含まれておりますので、このことについて質問をしたいと思います。
今から二十年前、二〇〇四年の八月の十三日に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落をしました。そのときの防衛庁長官が今の、石破長官でございます。そのとき、規制線が張られて、この事故現場に一週間、日本の警察や消防、自治体の職員等が近づくことができませんでした。ここは日本なのかという問題意識を石破、当時の総裁候補は沖縄での総裁討論会で訴えていて、このことは多くの県民も共感したと思います。
二〇一九年に日米のガイドラインが改定されまして、規制線内への迅速かつ早期の立入り実施が盛り込まれましたが、これは米軍の同意が前提という条件ということは変わっておりません。
そこで、基地負担軽減の本丸である地位協定について伺いたいんですが、ドイツでは三回、韓国では一回、地位協定は改定されております。それにもかかわらず、我が国で一度も改定されていない難しさはそもそもどこにあるのか、我が国の地位協定は他国と比べて不平等性が高いのか、今後、地位協定のあるべき姿をどのように描いていくのか、答弁をお願いします。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定の比較でございますが、地位協定そのものの規定ぶりのみならず、各国における米軍駐留の在り方、実際の運用、安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することが適当とは考えておりません。
例えばでございますが、御指摘のドイツでございますが、NATOの加盟国でございまして、NATOの設立根拠条約たる北大西洋条約は加盟国の間での相互防衛義務を定めております。
これに対し、我が国の場合、日米安全保障条約の下、米国の対日防衛義務に対応する形で米国への施設・区域の提供義務を負っているところでございます。
異なる義務を負う防衛体制の下での接受国と派遣国との関係や米軍基地の在り方を一般化して一律に比較することは難しいものと考えているところでございます。
そして、日米地位協定でございますが、大きな法的枠組みでございまして、政府としては、これまで、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組、これを通じまして一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。
例えばでございますが、起訴前の拘禁移転ですが、一九九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意、これによりまして、凶悪犯罪を犯して拘禁された米軍人等の身柄を起訴前に日本側に移転する途が開かれております。実際に起訴前の拘禁移転が何度も行われております。このように起訴前の拘禁移転が何度も行われているのは、米軍が駐留している国の中では日本だけであると承知しております。
その上ででございますが、日米地位協定の改正につきましては、石破総理自身が、一朝一夕では実現するとは思っておらず、まずは喫緊の外交、安全保障上の課題に取り組む必要がある、党の中で検討するよう指示したと繰り返し述べておられます。総理の指示に基づき、十一月二十八日には、自民党で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会の初回会合が開催され、議論が開始されたものと承知しております。
今後、自民党の方におかれて議論を重ねていくものと承知しておりますが、党における議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力、これを強化するとともに、その強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、対応してまいる所存でございます。
○國場委員 主権国家としてあるべき地位協定の姿というものは、総理自身の熱い思いもありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そしてまた、本質というものは、特に米軍基地が集中する沖縄においては、事件、事故をなくすということでございますので、その点もしっかりと認識いただきまして、政府としての緊張感のある取組をお願いしたいと思います。
次に、沖縄振興についてお尋ねをしたいと思います。
ゲートウェー二〇五〇についてお尋ねをしたいと思います。これは究極の沖縄振興の目玉だと思います。普天間基地が返還をされ、浦添のキャンプ・キンザーが返還をされ、那覇の軍港が返還をされる。これは、東京ドーム二百二十個分の広大な面積が返されて、そこにグランドデザインを描くという、非常に夢のある沖縄の将来ビジョンであると考えています。
今回、一・六億円の予算をつけまして、二年間の調査をするということでありますが、沖縄振興は国家戦略でありますので、政府としてどのように取り組んでいくのか、水野政策統括官の答弁をお願いします。
○水野政府参考人 お答え申し上げます。
先生指摘のとおり、ゲートウェー二〇五〇構想につきましては、地元経済団体が中心になりまして、関係自治体とも連携し、沖縄の玄関口である那覇空港の将来の姿と、今後順次返還が予定されている基地跡地の利用等を一体として構想していく取組と承知してございます。
今年度においては、政府として、沖縄振興特定事業推進費により、その議論のたたき台となるグランドデザインの策定費用等の支援を行っているところでございます。
政府といたしましては、今後とも、この取組が民間主導の下、将来の基地返還跡地の利用等につながっていくことを期待しているほか、将来の沖縄の発展を考えていく上でも非常に大きな意義があると考えてございます。今後の議論の高まりについても注視してまいりたい、このように考えてございます。
以上でございます。
○國場委員 あくまでも民間主導ということでありますけれども、政府もいろいろな調査を今まで沖縄に対してやってきたと思いますので、その衆知を結集してグランドデザインを描いていただきたいと思います。
まず、普天間というものは、海抜が高いところで九十四メートル、非常に米軍は沖縄の地形の中でもいい場所を占拠してまいりました。それが返還されるということで、私としては、やはり海抜の高い地域に総合事務局等の行政機関を集中させて、宜野湾から南北に地下鉄、鉄道を敷設をしていく。特に、南西諸島は今シェルターの課題もありますので、公共シェルターとして活用できるような地下鉄の敷設をお願いしたいと思いますし、また、沖縄の歴史性や土着性、自然風土を生かした、その上で、世界経済の潮流を踏まえた上での産業振興やOISTの研究開発をスタートアップ企業化していく知恵も絞っていただきたいと思いますので、水野政策統括官にはそのリーダーシップもよろしくお願いしたいと思います。
ちょっと順番を変えまして、赤澤大臣に御質問をしたいと思います。済みません。お誕生日おめでとうございます。
赤澤大臣には、最低賃金千五百円、全国平均ということで、これは、従来二〇三〇年の半ばということでありましたけれども、それを二〇二〇年代に早めると。この達成には毎年七・三%の引上げが必要であると認識をしております。
今、物価や、そしてまたエネルギーや、高騰する中において、特に全国の中小企業、小規模事業者、私の地元の沖縄もそうなんですけれども、賃上げしたくてもなかなか苦しい、こういうような声もあります。政府が、私は、期限を決めて経済目標を打ち立てるということは意義があると思っておりまして、それぞれの事業者が様々な経営計画やイノベーションを起こすきっかけにもなり得ると思いますが、余りにも目標が過酷ではないのか、そういうような指摘もあります。
そういう全国の中小企業の事業者の不安に、解消できるように、彼らの顔を思い浮かべながら、本日お誕生日を迎えた赤澤大臣からの御答弁をお願いしたいと思います。
○赤澤国務大臣 私も政治家でありますので、渾身の若づくりでありますが、もう既に六十四歳に今日なったということであります。わざわざ触れていただきまして、誠にありがとうございます。
石破政権では、アベノミクスの成果の下に岸田政権が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させるということで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくことを目指しております。
御案内のとおり、骨太方針などで、最低賃金については、岸田政権が二〇三〇年代半ばに千五百円という目標を掲げ、それを前倒しをするということまでうたっておられました。我々、発展、加速という意味で、二〇三〇年代半ばに千五百円を、期間を半分程度にして、二〇二〇年代に実現するという高い目標を掲げ、これに向けてたゆまぬ努力を続けることとしたところです。
是非、國場委員にも御理解いただきたいのは、國場委員の御地元でも、最低賃金はまだ千円に達していません。四十七都道府県で、実は、昨年というか今年ですか、千円に達したところというのはまだ十六しかありません。三十一県において千円に達していないんです。
これは本当に委員の皆様にも共有いただきたいんですけれども、千円という最低賃金はワーキングプア水準なんですよ、実は。つまり、年収二百万円がワーキングプアです。五十週、週四十時間働き、二千時間働くとすると、その二千時間で割り戻すと、年収二百万円のワーキングプア水準というのは千円なんですよ。それに達していない方というのは、そのワーキングプアの定義からいって、生活保護を受けずに働くという尊い決断をいただいても、今の最低賃金水準のせいで暮らしていけませんという方たちになります。
これは、もう数字を厚労省に聞いていただけば、九百五十二円の最低賃金近傍で働いておられる沖縄の労働者の方が何人いるかは何万人とすぐ出てきますが、その方たちが今そういう状況に置かれているということは是非御認識いただきたく。
更につけ加えれば、二百万円のワーキングプア水準というのは物価上昇が始まる前ですから、今でいったらもうとても暮らしていけないという水準に三十一県の最低賃金近傍で働いておられる方たちは置かれているということがあるので、経営者の皆様に賃上げ原資を稼いでいただくこともとても大事ですけれども、片やに、やはり鳥取県もそうです、沖縄県、先生の御地元もそうです、私、選挙のたびに手を握られて、暮らしていけるようにしてくださいという方たちがおられるんですよ。その声は、我々、やはり無視できませんね。ということがあるので、これを急いでやっていかなきゃいけない。
ただ、経営者の皆様にも元気を出していただかなきゃいけないので、我々、やろうとしていることは、十一月の二十六日に石破政権初回となる政労使の意見交換を開催し、総理から、私を中心に関係閣僚と協力して最低賃金引上げのための対応策を来春までに取りまとめろと言われました。
その中では、今回の経済対策にも相当盛り込んでおりますけれども、賃上げの原資となる、賃上げ原資を稼いでいただく、企業の稼ぐ力を継続的に高めるため、持続的、構造的賃上げに向けた価格転嫁等の取引適正化の推進ですとか、それから、省力化、デジタル化投資の促進、人への投資の促進及び中堅・中小企業の経営基盤の強化、事業承継の支援とか、そして、成長の支援といった生産性を向上させるための支援策、下請法の改正などについて、更に具体化をしていき、少しでも多くの経営者の方たちが、よし、賃上げ原資を稼いだからしっかり賃上げしていくよという気持ちになっていただけるように、石破政権挙げて全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。
○國場委員 赤澤大臣自らの言葉で、本当にありがとうございます。
時間も迫ってきておりますので、ちょっと早口になりますけれども、続きまして、海洋基本計画に位置づけられているシーレーンについてお尋ねをしたいと思います。
私は、国土交通副大臣として、海事局、海上保安庁を担当している際に、横須賀での戦没船員の慰霊祭に参加をする機会がありました。その際に知ったことは、さきの大戦で亡くなった船員の方は約六万人、約七千の船舶が失われており、これは全体の四三%を占めるそうです。当時の海軍の被害が一六%でありましたから、はるかに民間の方が深刻であったということが分かります。
また、海保担当として、ソマリア周辺海域派遣捜査隊の出発式、帰国報告での公務激励をしました。イエメンの今ホーシー派の活動が激化しておりますので、海賊対応任務ということも大変に激化をしておりますけれども、出発の際に感じた期待と不安、また帰国の際の安堵と誇り、様々なことを感じたことであります。
国交省時代もお世話になりました高杉事務局長から答弁をお願いしたいと思います。
○高杉政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘いただきましたとおり、昨年四月に閣議決定されました第四期の海洋基本計画におけます重要な柱の一つといたしまして、総合的な海洋の安全保障が位置づけられておりまして、政府といたしましても、シーレーン確保の重要性につきましては十分に認識しているところでございます。
こうした中、平時の取組の一つといたしまして、昨年の十二月に総合海洋政策本部におきまして決定いたしました、我が国の海洋状況把握、MDA構想におきましても、国際的なネットワークをしっかり強化するといったようなことがうたわれているところでございます。
私どもといたしましては、先生の御指摘も踏まえながら、同盟国、同志国とも連携しつつ、MDAの更なる強化ということを一層推進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○國場委員 続いては、少子化対策、産後ケアについてお尋ねをしたいと思います。
これは全国の自治体、もう九割で普及しているんですけれども、利用率が僅か一割と非常に低く、もったいないです。今の現状と課題について、答弁をお願いしたいと思います。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘いただいたとおり、産後ケア事業につきましては、現在、九割弱の千五百四十七市町村で実施されていますが、利用率は一割程度にとどまっております。
今後の課題といたしましては、地域偏在の解消、あるいは困窮世帯への負担軽減等があると思っておりまして、まず、地域偏在の解消につきましては、今年六月の子ども・子育て支援法等改正によりまして、産後ケア事業を地域子ども・子育て支援事業と法律上に位置づけをいたしまして、国、都道府県それぞれの役割を定め、計画的な提供体制の整備を進めていくこととしております。また、都道府県に対する国庫補助、施設整備の補助なども実施をしておるところでございます。
また、困窮世帯への負担軽減につきましては、一般世帯の場合、一日二千五百円の利用料減免支援であるのに対し、非課税世帯につきましては、より手厚く、一日五千円の利用料減免支援を導入しておりまして、希望する全ての方が利用しやすくなるよう、環境整備に取り組んでまいります。
その他、父親支援などもしっかり大事だということで、今年十月に改定いたしましたガイドラインにおいても、その旨記載をしているところでございます。
○國場委員 防災庁についての質問もありましたけれども、河合審議官、済みません、ちょっと時間の都合でできませんが、しっかりと、石破内閣の目玉でございますので、推進をしていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、藤岡たかお君。
○藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。
本日も、まず、地元の栃木県第四区の皆様始め感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。
また、私からも、赤澤大臣、今日はお誕生日おめでとうございます。党派を超えて、先ほどから、おめでとうございます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、まず、三菱UFJ銀行の貸し金庫の窃盗事件への対応ということからお伺いをしていきたいと思っております。
これは本当に国民の皆様の関心も高く、SNS上では、なぜ逮捕されないんだろうかとか、あるいは、おとがめなしなんだろうかとかということも、いろいろな書き込みなども上がっているというところだと思います。
まず、国家公安委員長にお伺いをしたいと思いますけれども、この三菱UFJ銀行の窃盗事件に対する対応状況、そして、金融担当副大臣にも同じようにお聞きしたいと思いますけれども、金融担当副大臣には、被害、また被害に遭われた方の数が増えるのかという可能性も含めて、まず国家公安委員長から御答弁をお願いしたいと思います。
○坂井国務大臣 お尋ねの点に関しましては、三菱UFJ銀行から相談を受けまして、警視庁において必要な捜査を開始しているものと報告を受けており、今後、法と証拠に基づいて適切に対処するものと承知をいたしております。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
顧客からの信頼は、顧客の大切な財産を預かる銀行業を営む上で最も重要なことでありまして、日本を代表する銀行である三菱UFJ銀行においてこうした事案が発生したことは大変遺憾であります。
金融庁としましても、今回の事案を深刻に受け止め、同行に対し、これまで、被害に遭われた方に真摯に対応するよう求めるとともに、事実関係の全容を解明し、それを踏まえた原因究明及び再発防止を講じるよう求めるなど、当局として必要な対応を求めてまいりました。
その上で、十二月十六日、同行に対しまして、銀行法に基づく報告徴求を発出し、被害顧客への対応状況、今回の事案の発生原因分析、今後の再発防止策等について報告を求めております。
引き続き、このような対応を通じまして、被害顧客への対応を含めて、同行による適切な対応が取られるかどうかについてしっかりと確認してまいりたいというふうに考えております。
数が増える可能性があるかという御質問もありましたけれども、まずは、引き続き顧客への確認等を行っていると承知しているところでありますけれども、顧客への適切な対応を行うことが重要であるというふうに考えております。
○藤岡委員 まず、捜査を開始したところということで、明言をいただいたということで、ありがとうございます。本当に、法と証拠に基づいて厳正な対応をお願いしたいということを思っております。
また、今、金融担当副大臣からありましたけれども、やはり顧客対応、これは極めて重要だと思います。多分、恐らく、いろいろな報道でも出ておりますが、最初に銀行に相談をしたら、何か、そんなことはあるはずないみたいな雰囲気のことが出ていて、大変つらい思いをしたというようなことも、報道でも出ているところだと思います。これは、そんなことはなかったみたいなことで多分始まっていたんじゃないかということも推測をされますけれども、顧客対応が極めて重要だと思います。
頭取の会見で、まだ数十人から被害の相談を受けているという話があると思うんですよ。これはやはり、可能性はまだあるんじゃないかと思うんですよね。もう少しそこをきちんと認識していただいて、対応していただいた方がいいと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○瀬戸副大臣 御質問ありがとうございます。
しっかりと顧客対応していく必要があるというふうに考えております。
まずは、引き続き顧客に対してしっかりと確認を取っていくということが重要であると考えておりますので、そういったことについても取り組んでいくようにまた言っていきたいというふうに思っています。
○藤岡委員 まだ被害が拡大するかもしれないと出ておりますので、本当にきちっと対応をお願いしたいと思っております。
それから、本事案を受けまして、立入検査は入ったんでしょうか、あるいは今後入るんでしょうか。副大臣、お願いします。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
金融庁は、三菱UFJフィナンシャル・グループを通年検査の対象としております。銀行グループの適切な業務運営を確保するため、法令遵守体制やリスク管理体制について多角的に検証しているところではあります。
また、個別の検査の詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っています。
いずれにしましても、金融庁として、報告徴求を含め必要な対応を行っているところでもありまして、このような対応を通じまして、同行による適切な対応が取られているかどうかについてしっかり確認してまいりたいと思います。
○藤岡委員 個別のことはなかなか言いづらいというのはよく理解はいたしますけれども、事案が、非常に大きい話でございますので、是非、重大性をよく踏まえて、厳正な対応、私は、速やかに現場、立入検査をするべきだというふうに思いますけれども、本当にきちんと対応をお願いしたいと思います。
まさに今、副大臣からおっしゃっていただいた通年検査、メガバンク、まあメガバンク以外はまた別かもしれませんけれども、銀行などのいわゆる貸し金庫の業務の適切性などについて、これまでは金融機関に対して立入検査などで確認はしていたんでしょうか。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
個別の検査の事例については差し控えさせていただきますが、金融庁としましては、金融機関の業務の健全性かつ適切な運営を確保するため、必要に応じて立入検査を実施することを含めて、いろいろなリスクベースでテーマを選定しまして、検証することとしているところであります。
○藤岡委員 プリンシプル、原則から、ルール、チェックベースへということの、バランスでということでなってきたと思いますけれども、やはりそういう中で、今回、いろいろな個別の事案について、仕組みの問題というところも出てきていると思うんですよね。
例えば、鍵の管理が、封筒に入っていて、何か押印の、判こを同じ人が使えたんじゃないかとか、いわゆる管理体制という面でも問題が出てきているというふうに、私は報道ベースでしかお伺いしておりませんけれども、それが事実であればということでございますが。
こういう管理体制について、やはりちょっと確認できなかったというところは、金融庁としてはどのように、今後再発防止をきちんと図っていく、今後起こらないようにということが極めて重要だと思いますので、そういう視点からはどのように分析されますでしょうか。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
今、三菱UFJ銀行に対しても報告徴求を発出し、対応状況、発生原因分析、今後の再発防止策等に報告を求めておりますので、そういった中でしっかりとまた対応していきたいと考えております。
○藤岡委員 お答えになられていないんですけれども。
これから再発防止を図っていく上で、体制面をきちんと確認できていなかったということであれば、それを今後どういうふうに対処していくのかということをしっかり分析、対応していただくことを強くお願いをしたいと思います。
副大臣、これで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
続きまして、闇バイトをめぐる問題につきまして御質問させていただきたいと思います。
昨日、政府の方も対応策を、また、改めてフォローアップということで示達されたと思います。
この闇バイトをめぐる問題、私の地元でも被害に遭われた方がいらっしゃいますけれども、大変この問題、国民の皆様も、改めて、恐怖なりも当然感じるところでもありますし、関心も高いところだと思います。
まず、坂井国家公安委員長の、この闇バイトをめぐる問題の危機感、また対応状況をお答えをお願いしたいと思います。
○坂井国務大臣 委員御指摘のように、闇バイトによる強盗事件等が相次いで発生しておりまして、国民の皆様にも本当に大きな不安を与えております。極めて憂慮すべき状況にあると認識するとともに、強い危機感を持っております。
このような状況を踏まえて、昨日、御指摘ありましたように、犯罪対策閣僚会議も行われましたけれども、ここで、いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策が取りまとめられ、石破総理から、国民を闇バイトから守るため取組を徹底するよう改めて指示があったところでございます。
これらの犯罪に対しまして、警察では、既に実は実行犯はほとんど検挙いたしておりますが、いわゆる闇バイトによる強盗等、こういった事件を徹底的になくすためには、指示役でありますとか首謀者を検挙する必要があるということでございます。
昨日取りまとめられた緊急対策も踏まえて、装備資機材の高度化や、現行法の範囲内で仮装身分捜査を早期に実施するための取組のほか、関係省庁とも連携し、いわゆる闇バイトを募集する情報をインターネットから削除するための取組を進めること、犯罪に加担しようとする者等への効果的な呼びかけの強化など、一層踏み込んだ対策を迅速かつ的確に進めるよう警察を指導してまいります。
○藤岡委員 是非、本当に、今おっしゃったような指示役の検挙に向けた対応、そして、まさにこの闇バイトの募集のところ、これがきちんと、SNS上でも削除されるとか、そういういろいろなことを、対応を始めお願いをしていきたいと思うんですが、一つちょっと今お伺いをしていきたいと思います。
まず、闇バイトをめぐって、警察庁が、犯罪に加担しようとする者に対する、保護をするよということを動画で訴えかけられていたと思います。これは大変いいことだなというふうに私は思っておりました。
ある意味、指示役なりからいろいろな、闇バイトの、指示役なのか分かりませんけれども、一度関わると、ここから逃げると家族に危害とか、いろいろなところで脅されているというふうな、すごく非情な話がよく出ておりました。したがって、保護をするということをしっかり呼びかけていただいたというのはいいことだと思います。
これは今、二か月になったと思いますが、二か月たって、ちょうど今日で二か月だと思いますが、年代別の、実際に保護をされた方の状況、人数等。また、あるいは闇バイトに絡む強盗事件の検挙の状況。今、実行犯についてはほとんど検挙しているという話がありましたけれども、年代別の検挙の状況についてお答えをお願いしたいと思います。
○坂井国務大臣 本年十月十八日から、警察において、御指摘のとおり、犯罪に加担する可能性がある者に対して、警察に相談に来てくれれば必ず保護をするという呼びかけを担当課長が行った動画を配信を始めております。また、ほぼ軌を一にして、石破総理からも動画でメッセージを出していただいております。
こういった呼びかけを始めて以降、ちょうど二か月ほどでございますが、都道府県警察が保護措置を講じた件数は百五十八件でありまして、現在も日々増加している状況との報告を受けております。
この百五十八件ですが、件数なものですから、その当事者、要は加担しようと思っていた者や、また今度はその御家族とか、そういった方々も含めて保護をするということでございまして、件数が百五十八件で、当事者、いわば加担しようと思っていた者の年代別の割合は、十代が全体の約三割、二十代が約四割、三十代、四十代、五十代がそれぞれ一割ずつとなっているものと報告を受けております。
また、本年八月以降、一都三県において発生した強盗等、これは予備も含めてということでありますが、十九件につきまして、今、十七事件、四十六名の実行犯等を検挙しております。四十六名、検挙時の年代別の割合は、十代が約一割、二十代が約七割、三十代が約二割、四十代は一割未満となっているものと承知をいたしております。
引き続き、指示役や首謀者を早期に検挙し、事件、事案の全容解明を図るとともに、犯罪に加担しようとする者等への効果的な呼びかけは引き続き進めてまいりたい、そのよう警察を指導してまいりたいと思います。
○藤岡委員 御答弁ありがとうございました。
やはり、十代、二十代が改めて多い。特に、保護された数、改めて、二か月たって、今お話をいただきましたけれども、引き続き、三割が十代で、四割が二十代ということで、やはり若年層がこの闇バイトをめぐる問題に巻き込まれているなということが分かります。後ほどこれはまた取り上げさせていただきたいと思います。
まず、指示役のところ、これは是非検挙に向けて、新たな捜査手法というのを、もちろんいろいろな配慮はしつつ、しっかりやっていただきたいというふうに私も思っております。今、仮装身分捜査のところをちょっと確認させていただきたいんですけれども、最高裁判例なども踏まえて、これはちょっと順番が前後しますけれども、仮装身分捜査につきまして、犯罪の実行を働きかけるといった、いわゆるおとり捜査、これとは異なるということでいいんですよね。というのは、実際、既に犯罪が実行の直前まで来ているように思うものですから、そういうことでいいのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
○坂井国務大臣 まさしく委員の認識が正しいと思いますが、いわゆるおとり捜査とは、最高裁の判例によれば、捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して、ないしょにして、犯罪を実行するように働きかけをする、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙する捜査手法と。
一方で、雇われたふり作戦における今回検討している仮装身分捜査は、相手方が既に強盗等の実行に向けた行為を進めているところに実行者を装って応募するものでありますから、犯罪の実行を働きかけているものではありませんので、おとり捜査とは異なるものでございます。
○藤岡委員 ありがとうございます。
それで、いわゆる仮装身分捜査を含む新たな捜査手法というふうに総理も答弁されていたと思いますけれども、その中で、昨日発表されたものですと、仮装身分捜査にある意味限定したような形で発表されていたと思うんです。まさに、仮装身分捜査を含む新たな捜査手法についての検討状況というのはどのような状況なんでしょうか。早期にお願いしたいと思うんですけれども。
○坂井国務大臣 仮装身分捜査そのものは、早期にこれを実施すべく、今準備を進めているところでございますが、それ以外というものに関しましても不断の検討を行うよう、既に警察を指導しております。
また、昨日、犯罪対策閣僚会議で取りまとめられた緊急対策におきましては、SNS事業者における照会対応の強化なども盛り込まれておりますけれども、SNS事業者において照会し、そこから出てくるデータを活用するというのも大変重要でありますし、こういった施策の実現も捜査手法の高度化につながるものでありまして、これも速やかに取組を進めるよう指導してまいりたいと思っております。
○藤岡委員 是非本当に、できる範囲、あらゆる、総動員して検挙につなげていただきたいなということを思います。
その中で、先ほど、十代、二十代が多く巻き込まれるという中で、いわゆる秘匿性の高いアプリ、テレグラムとか、いろいろな秘匿性の高いアプリを通じて、連絡手段に用いられていることが、やはり捜査をなかなか難しくしているというふうな話も出ていると思います。
そして、その中で、秘匿性の高いアプリの利用について、もちろんこれを一律に規制するということは非常に難しい話だというふうに、私もそれは思います。もちろん、人権擁護とか、いろいろなところで利用されているというところもあると思います。
例えば、これは総務副大臣にちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、十八歳未満に限定をして、あくまで十八歳未満に限定をして、秘匿性の高いアプリについての、ある意味、利用を制限するということは考えられないんでしょうか。お伺いをしたいと思います。
○阿達副大臣 委員御指摘の秘匿性の高い通信アプリの問題、これについては、昨日の犯罪対策閣僚会議においても、これに対する対応の在り方を含め、しっかり検討していくと。特に、この闇バイト対策としてどのような取組が有効かという観点から、各省庁とも十分に相談しながら積極的に検討してまいりたいと思います。
一方で、こういうアプリに関しては、いわゆるメッセージングアプリについては、保護者の同意の下で、携帯電話向けに提供されているフィルタリングサービスを利用することにより、青少年の利用が制限されている例もあるというふうに承知をしております。
こういう中で、青少年が闇バイトを通じ犯罪に加担する事案へ関与していかないように、政府全体として取り組むべき重要な課題であるというふうに認識をしております。
○藤岡委員 是非、積極的な検討という話がありましたけれども、本当に、特に若年層が巻き込まれないような対策というのを、やはり政府全体でも早期の取組を強くお願いをしたいというふうに思っております。
それから、今朝の報道でも、これは多分共同通信さんの配信記事で、私の地元の下野新聞に出ていたんですけれども、このいわゆる秘匿性の高いアプリをめぐって、やはり犯罪の温床になっていて、指示役特定の障害になっているという危機感を隠さないと、警察庁がおっしゃっているということなんです。その中で、その幹部は、裁判所の令状手続などが必要になるだろうと断った上で、SNSや秘匿性の高い通信サービスの事業者に対し、捜査機関がアカウント情報を一定程度開示させ、追跡を可能とするトレーサビリティーを確保する必要があると指摘をしていて、闇バイトのビジネスモデルの破壊につながると力を込めたという報道があるんです。
これは参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、いわゆる捜査に当たって、秘匿性の高いアプリ、これは非常に障害になっているということだと思いますけれども、捜査に当たっての課題、あるいは、どのように今後捜査をして指示役の特定につなげていくのかというところについて御見解をお伺いしたいと思います。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
闇バイトによる強盗事件などでは、御指摘のとおり、SNSが実行犯を募集する手段として広く悪用されております。いわゆる指示役や首謀者の検挙には、こうしたSNS上でのやり取りを解明する手段を確保することが重要な課題であるというふうに認識をしております。
こうした状況を受けまして、昨日の犯罪対策閣僚会議において取りまとめられた、いわゆる「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策におきましても、SNS事業者に対して、アカウント開設時の本人確認の厳格化や闇バイト募集投稿等の削除のための取組の要請、また、海外事業者の日本法人窓口の設置の働きかけなど情報提供を迅速化するための環境整備などについて政府として対応していくものとしたところでございます。
警察といたしましては、SNSを利用した犯罪の捜査上の課題に対応するため、関係省庁と連携しつつ、引き続きこうした取組を推進してまいりたいと思っております。
○藤岡委員 この秘匿性の高いアプリに対してどうやって今後対応していくかというのは、さらにまた大きな課題だというふうに思います。
この中で、昨日発表された中で、本人確認等いろいろな一定の対応の方向性が出ていると思いますが、まさに今おっしゃったように、海外のところに拠点を置いているとかという話の中で、これをどうやって、いろいろな枠組みをお願いしていくときに、なかなか連絡がつかないとか、そういう課題もあるというふうには聞いております。
こういう対応の実効性を上げていくために、総務副大臣、どのように今後対応を図っていくでしょうか。
○阿達副大臣 議員御指摘のとおり、こうした秘匿性の高いアプリの運営主体の多くは、グローバルにサービスを提供する海外法人であって、日本に窓口がないケースもあるというふうに承知をしております。
総務省としては、昨日の犯罪対策閣僚会議において決定された緊急対策を踏まえ、通信サービスを所管する立場から、関係省庁と十分に相談をしながら、海外事業者の日本法人窓口の設置の働きかけなど情報提供の迅速化のための環境整備を行ってまいりたいと思います。
○藤岡委員 なかなか連絡がつかない等々いろいろあると思います。その中で、やはり政府一丸となった取組を改めて強くお願いをしたいということを思います。
総務副大臣、これで結構でございます。ありがとうございます。
続きまして、ちょっと時間もあれなので、赤澤大臣、経済の議論の方を先にさせていただきたいというふうに思います。
改めて基本認識を確認をさせていただきたいと思います。
今、政府は、アベノミクスの評価という中で、デフレでない状況をつくり出したということをよくおっしゃると思います。ただ、現状、国民感覚からしますと、非常に、まさに物価高、物価が上昇している、ある意味インフレの状況という中で、物価高対策等々が出てきているというふうに思います。
その中で、私も、昨年、副大臣にお伺いしたときに、緩やかなインフレの状態にあるというふうに答弁をしていただいております。また、日銀の植田総裁も、この二月の国会においても、インフレの状態にあるという認識を示されております。
やはり、こういう経済に対する診断がしっかりしていないと、対策というものが、例えば予算規模をどうするんだとか、いろいろなことを含めて、対策が当然変わってきてしまう。そういう中で、質問主意書を拝見していたら、櫻井議員の質問主意書に対して、インフレなのかという質問に対して、あえて政府としてインフレと言うのを何だか控えているというふうな感じの答弁というのも見受けられました。
改めて赤澤大臣に、経済財政を所管する赤澤大臣に確認をさせていただきたいと思うんですが、今、植田総裁も、インフレの状態であるというふうな認識を示していました。副大臣も、緩やかなインフレの状態にあるという答弁もされておりました。赤澤大臣も、今は同じようにインフレの状態にあるという認識でよろしいでしょうか。
○赤澤国務大臣 冒頭、藤岡委員から誕生日と言っていただき、ありがとうございます。還暦も過ぎているのでちょっと小っ恥ずかしいですけれども、心から感謝を申し上げます。
その上で、経済状況の認識についてということであります。
これは、日銀の総裁も、それから当時の井林副大臣も、おっしゃっていたことは、CPIですかね、物価上昇率、通常、コアとかで見ているのかと思いますけれども、生鮮品を除くもので見て二%を超える状態が年を越えて続いているということをもって、それは物価上昇が続いていますねという現状認識を示されたというふうに理解をします。
ただ、その上で、政府がどこを重視するかというと、我々は、デフレから脱却することを今最優先と考えていまして、それは、物価が継続的に下がる状態から抜け出した上に、ここからがポイントで、もう先生御案内と思いますが、後戻りしない、持続的、安定的に物価が上昇する状況になったと自信を持てれば、それで我々はデフレ脱却ということで、政策のセットをがらっと変えていくことになりますけれども、そうではないんだということがポイントであります。
なので、日銀は、現状認識として、彼らの金融政策は物価の安定に責任を持っていますので、そこの見方でいきますけれども、我々は、それに加えて更に、それを認識した上で、これは後戻りしない状況まで来ているのかと。過去に、もう先生本当に御案内と思いますが、日銀が政策の解除が早過ぎて後戻りしたみたいなことは二回ぐらい繰り返しているわけでありまして、それを絶対やらないように、物価が持続的に下落する状況を脱し、かつ、再びそうした状況に戻る見込みがないことという点を我々も重視しているので、我々が答弁することになると、いや、まだ再びデフレに後戻りしないとまで言えないんですよ、だからデフレ脱却には至っていないんですということを申し上げることになっちゃうということなんだと思います。
そこはどういう判断をしているかというと、更に御質問があればお答えしますが、総合的な物価の基調とか背景にあるものを、指標を見ながらいろいろ総合的に判断していくというのが我々の考え方でございます。
○藤岡委員 何か、どうしてもインフレの状態にあるということを言いたくないのかなというふうに思うんですけれども、実際答弁されていて、きちんと常識的に考えれば、三年間物価上昇率は二%を超えるということだと思いますけれども、普通に考えれば、もうインフレの状態にあるということはきちんと評価した上で、その上でどうするかということがやはり重要だと思うんですよね。
やはり、国民の皆さんからして、いや、デフレという認識はもう、デフレでないという意味ですので、デフレ脱却デフレ脱却。そうすると、もうこれは経済の状況を表す用語に変わっちゃっているというふうに、報道でも東大の吉川先生も指摘をされております。
改めて、そうすると、インフレの状態にあるというふうに答弁されておりましたけれども、これは撤回ということなんでしょうか。
○赤澤国務大臣 繰り返しになりますけれども、日銀は、金融政策を見ておられて、物価の安定にマンデートがあるということなので、そこについて中心に物をおっしゃいますが、我々はあくまで、デフレ脱却を目指している経済政策の担当者、経済財政政策の担当者ということですので、現状において、消費者物価が上昇するなど、日本経済はデフレの状況にはないということは申し上げておりますけれども、ただ、デフレ脱却という観点からいうと、まだまだ本当に厳しい分岐点にあると思っていますので、井林副大臣の当時の答弁とそごがあるとは考えておらず、当時の答弁を撤回するというようなことが必要だというふうには認識はしておりません。
○藤岡委員 どうしてもその言葉を言われたくないということなのかなと思いましたけれども、いずれにしても、きちんとした診断をするということがやはり経済対策は極めて重要だと思いますので、是非、本当に改めて、真っ正面から向き合っていただきたいなということを思います。
今、赤澤大臣がおっしゃっていただきましたけれども、まさにデフレ脱却、当初は四条件という中で、また更にそれが拡大していると思うんですけれども、いわゆる、後戻りしないということがよく言われますけれども、じゃ、後戻りしないというのは、どれぐらいの期間後戻りしないというのを見込んだらデフレ脱却と言えるのか。この後戻りしないという、どのくらいの期間を見込んでいるのかというところについて、赤澤大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○赤澤国務大臣 藤岡委員がよく経済をフォローされているというのが大変分かる御質問だと思います。
それで、四つとおっしゃいましたが、まず、物価の基調ということで、我々は、CPIとGDPデフレーターをいつも追いかけております。それに加えて、四つとおっしゃったのは、GDPギャップとユニット・レーバー・コストだと思います。それ以外にも我々は、賃金上昇でありますとか、企業の価格転嫁の動向、さらには物価上昇の広がりとか、最後に、よく言われるのは、経済学の言葉で期待インフレ率だと思いますが、予想物価上昇率とわざわざ言い換えて政府は言っているみたいです。幾つだったか、ちょっと数は今数え忘れましたが、そういうものをいつも眺めている。
先生御指摘の点は、これは大変ごもっともだと思うのは、過去に、おっしゃった四つ、これが四つともプラスになったことはあります。ただ、最長で三四半期。だから、まだその四つの指標と言われるものがプラスの状態が一年続いたことはないということです。というようなこともあり、しかも、これを言うと、じゃ、一年なんだなと先生から御質問をいただきそうなのであらかじめ申し上げておきますが、一年、四つそろったなというわけじゃなくて、その四つ以外にも、先ほど申し上げた、更に四つかな、全部で幾つあるのかちょっと数えませんでしたが、そういったものを見ながら見ているので。
これは、本当に大事なのは、過去にやはり、ゼロ金利政策の解除を失敗をして、その後すぐに、一年以内に量的緩和に移るとか、もうやり続けてきているので、絶対に失敗できないということで、相当慎重にデフレ脱却については見ていかなきゃいけないと思っています。
○藤岡委員 ありがとうございます。
では、時間が来ましたので終わりにしますが、実質金利も非常に下がっている中で、植田総裁も、インフレの加速という点も、懸念というのを記者会見でもおっしゃっていました。しっかり診断をして、日本の経済の立て直し、是非頑張っていく必要があるということを指摘をして、質疑を終わります。
○大岡委員長 先ほど、藤岡たかお君の質問に対する答弁の訂正を求められておりますので、発言を許します。坂井国家公安委員長。
○坂井国務大臣 済みません。
先ほど、警察が、闇バイトに応募したけれども途中でやめるということで、保護措置を講じた年代別の数字を言いましたが、最後、五十代と言ってしまいましたけれども、五十代以上、全部含めて一割ということでございました。訂正させていただきます。
○藤岡委員 分かりました。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。
本日は、インターネット上の犯罪やリスク等に対する政府の対応強化について伺いたいと思います。
まず、オンラインカジノの対処法について伺います。
オンラインカジノに関する摘発が相次いでいます。十月からだけでも、オンラインカジノの決済事業者またマネロン事業者の逮捕、そして公務員の検挙、摘発事件などが相次いでいます。
一昨年、大臣や関係者に対して対策を要請してきた折、警察庁にはかなり取組を進めていただいておりますが、まずは、この間、どういう対応でオンラインカジノに対処してきたか、現状の取組、また今後の対応について伺います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
警察では、オンラインカジノを含むオンライン上で行われる賭博事犯について、賭客のみならず、決済代行業者やアフィリエイター等、運営に関与する者を検挙するなど、厳正な取締りを推進しているところでございます。
その検挙状況につきましては、令和五年は十三件、百七人、令和六年は、十一月末現在で五十一件、二百五十三人を検挙し、このうち、スマートフォン等からアクセスして賭博を行う無店舗型のものでは、令和五年は五件、三十二人、令和六年は、十一月末現在で四十四件、二百五人となっております。
また、消費者庁と連携して作成したポスターやSNSを活用した広報啓発を行うなど、オンラインカジノの違法性を周知する取組や関係省庁と連携した取組を進めております。
引き続き、厳正な取締りと効果的な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 この数年で検挙が急増しています。特に今年一年は大変に大きな摘発が続いていますが、その中で、警察庁は、今回、オンラインカジノの実態調査を行うとのことでありますけれども、どのような形で行うのか、教えてください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
警察庁では、今後の捜査に活用するため、本年度予算によりオンラインカジノの実態把握のための調査研究を行っているところでございます。
この調査研究では、オンラインカジノサイトの名称や利用規約、運営会社の所在国等について、インターネット調査や文献調査を実施するとともに、利用経験や違法性の知識等について、日本国内に居住する者に対するアンケート調査を実施し、オンラインカジノの利用者数、利用者の年齢層、市場規模といった実態の調査を進めております。
この調査結果を踏まえ、オンライン上で行われる賭博事犯について、厳正かつ戦略的な取締りを推進してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 やっと調査を始めていただけるということなんですけれども、民間の調査によりますと、もう既にオンラインカジノの国内の利用者が三百万人以上を超えている、また、日本の市場は一兆円を超えているとも推定がされています。一兆円といいますと、日本におきます競輪の総売上げに匹敵をする額であります。コロナ禍で増えたと思っていたオンラインカジノがますます増え、そして金額も上がっているというのは大変に大きな問題であると思っています。
警察は、この間、取締りを強化をしてくれてはおりますが、この問題は警察だけではありません。現実問題として、今でも、皆さんも携帯でオンラインカジノと検索すれば、幾らでもそのサイトが次々とヒットしてしまう現状は、何らこの間変わっておりません。
私はこの問題を二年間ずっと委員会で指摘をしてまいりまして、河野太郎大臣時代には、各省を呼んでしっかり対応させる旨の答弁を昨年五月にいただいております。
そこで、各省庁の対応状況を伺いたいと思います。
まず、金融庁です。
警察当局から違法事業者に関する情報提供に係る連携強化と、情報提供があった場合の無登録事業者の警告を行うということでありましたけれども、実際の実績の有無、また件数も含めて教えていただければと思います。
○柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。
金融庁といたしましては、オンラインカジノに関し、無免許、無登録で為替取引を営んでいると疑われる者について、警察庁よりこれまで二件の情報提供をいただいているところでございます。
一般論として申し上げますと、金融庁としてこのような情報提供をいただいた場合、事務ガイドラインに基づき、無免許、無登録で為替取引を営んでいるか、及びその経緯等について実態把握を行い、無免許、無登録で為替取引を行っていることなどが認められた場合には警告書の発出を行うとしておりますけれども、これまで警告書を発出した実績はございません。
しかし、このような警告書の発出を行う場合においても、預金口座の不正利用に関する情報が含まれている場合には、当該口座が開設されている金融機関に情報提供を行っております。金融機関といたしましては、犯罪収益移転防止法に基づく各種義務の履行や、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインに基づくリスク低減措置として、口座凍結、取引停止等を行うこととなります。
金融庁といたしましては、引き続き、警察庁と連携しつつ、適切に対応してまいる所存でございます。
○田中(健)委員 二件あったということですが、警告まではいかないということでありまして、まだ、もっとできることがあるんじゃないかと思っています。
特に、今、無登録事業者の話をしましたけれども、今やオンラインカジノは、先日捕まった方はマネーロンダリングのグループの最高責任者でありまして、まさに、オンラインカジノを使って闇バイトを募り、さらにそれがマネーロンダリングにつながっているということで、今までの、無登録業者を取り締まることも大切なんですけれども、更に事件は複雑化、更に組織化、更に凶悪犯罪化をしています。
そういった意味では、金融庁は、マネーロンダリングに対しては、マネーロンダリング、テロ供与また拡散金融対策の課題と題しまして、対策には力を入れてまいりました。ですので、是非、オンラインカジノをマネーロンダリングという位置づけでもこれから取り組んでいただきたいと思いますし、さらに、オンラインカジノを見ますと、今までは決済事業者だったんですけれども、最近のは堂々と日本国内銀行振り込み対応ということが表立って書かれていまして、そして、まさに安心をさせるかのような誘導がされています。
登録をすれば私でもその口座を確認することができるんですけれども、このようなことを野放しにしてはいけませんし、先ほどの単なる警告ではなくて、日本の銀行の口座が実際にあるということでありますから、何としてもこれを停止をできるような措置を考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
金融機関は、マネーロンダリング等防止の観点から、外部からの情報提供や取引モニタリングを通じまして、預貯金口座が不正に利用されていることを検知した場合には、出入金の停止や口座凍結のリスク低減措置を取っています。
金融庁では、こうした取組をより一層高度化させるべく、本年八月に、預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化を預金取扱金融機関に対し要請したところでもあります。本要請におきましては、不正等の手口に着目し検知能力を強化するとともに、検知した場合には速やかに出入金停止や口座凍結を行うこと等を求めております。
金融庁としましては、御指摘のオンラインカジノに悪用されている口座への対応を含め、本要請を踏まえた金融機関における取組状況を適切にフォローアップしてまいります。
○田中(健)委員 八月に新たな取組を始めたというんですが、是非それを強化していただきたいと思っています。
外部からの情報どころか、誰でも確認できる情報が今野放しにされておりますし、そもそも、海外からは、日本の規制が緩いということで、カモにされているという話も出ています。海外事業者は合法、そして日本は違法ということで、逮捕されるのは日本人、さらには若者、そして、日本の国富がどんどんと海外に、一兆円も毎年取られているとするならば大変な問題でありますし、これは何とかしなきゃというのは国全体の取組であろうかと思っています。
その中で、大変に有効な策としてはブロッキングという考えがあります。
総務省にお聞きしますが、昨年の指摘の中で、このブロッキングを対象とすることの適否を検討する、また、それに相当する措置の検討についてもするということでありましたが、現状の考えをお伝えいただきたいと思います。海外では違法なオンラインカジノ等に対するブロッキングを積極的に行っている国もあるとのことですが、踏まえてお願いいたします。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のブロッキングにつきましては、通信の秘密を侵す行為に当たり、また、問題ない情報まで閲覧できなくなる、いわゆるオーバーブロッキング、これを完全に回避することが困難であるため、国民の知る権利を制約するおそれがあるなど、課題があるところと認識しております。
一方で、オンラインカジノへの対策、これは極めて重要な課題であると認識しておりまして、具体的に、利用者の申込みによるオンラインカジノサイトへのアクセスを制限するサービス、フィルタリングサービスですが、その普及の取組、また、通信関係団体による違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項、この策定を支援し、それに基づく対応を各事業者に求めるなど、できることから対策を講じているところでございます。
また、御指摘の各国の状況につきましては、現在、まさに諸外国の法制度に関する調査研究を行っているところでございますが、先進諸国においても、違法なオンラインカジノサイトへのブロッキングの実施状況は様々であると承知しているところでございます。
総務省といたしましては、オンラインカジノ対策について、諸外国の状況も踏まえつつ、引き続き、関係府省庁と連携し、しっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。
○田中(健)委員 一年半前の答弁と全く変わりません。しっかりと対応する、また、省庁と連携すると。どこと連携するのでしょうか。総務省がまず、しっかりこれができるかできないか、可否も含めて、一年半前に要請があったはずですから、是非、少しでも進んだということを示していただければと思っています。
通信の秘密も分かります。オーバーブロッキングも、その際にも出てきました。では、どのように解決できるのか。できないならば、どのような方法があるのか。例えばフィルタリングという話がありましたが、じゃ、フィルタリングでこのオンラインカジノサイトの規制をしているという事実があるんでしょうか。お答えください。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のフィルタリングサービスですが、こちらは各携帯電話事業者ですとかセキュリティーベンダーなどが提供しているものでございまして、それらのサービスの中でも、オンラインカジノサイト、一部でございますけれども、に対してアクセスの制限をしているというような運用をしているところがあると承知をしております。
また、こちら、フィルタリングについては、利用者の申込みによりアクセスが制限される、そういうサービスでございますので、特に青少年を中心に、その利用率の向上の取組、普及の取組というのが重要であると思っておりまして、そのための取組を行っているところでございます。
○田中(健)委員 まさにフィルタリングは青少年を守るための措置として取り組まれてきましたけれども、今、オンラインカジノを取り締まるようなということ、やっているところがあるようなと言ったんですけれども、どこの会社がやっていらっしゃるんでしょうか。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
具体的に個社の名前を挙げることは、詳細把握、手元にございませんので、できませんが、携帯電話事業者が行っているフィルタリングについてサービスを提供している会社は二社ございます。また、それ以外にも、PCなどに対してフィルタリングサービスを提供している会社は数社ございまして、それらの会社と連携しながら取組を進めていくということが考えられるのではないかというふうに考えているところでございます。
○田中(健)委員 オンラインカジノの日本語版は、専門家によりますと、百十も、今、確認ができるということであります。是非、まず、通報や調査に基づき、日本国内で閲覧できないようにするというのが一番効果的だとも言われていますので、検討を更に進めていただければと思っております。
その中で、今度は経産省に伺います。
経産省には、クレジットカード国際ブランドを通じた海外アクワイアラーまた決済代行業者への取引停止要請又は警告などということが要請されておりましたが、実績なども含めてお伝えください。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
本件については、捜査に関係する事項のため、実績も含め、具体的内容について言及することは差し控えますが、経済産業省としては、警察から提供された違法が疑われるオンラインカジノに関する情報をクレジット会社に共有しているところでございます。
また、警察と連名で、クレジット会社に対して、会員に対する注意喚起を行うとともに、国際ブランドにはオンラインカジノ運営事業者の情報把握に努めることなどを要請してきているところでございます。
引き続き、関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 違法が疑われるオンラインカジノなんですけれども、日本では違法ですから、そこを是非もう少ししっかりと認識していただかないと、今の発言ですと違法じゃないというふうに捉えられてしまう方もいるかと思いますので、お願いしたいと思います。
このように、本件は実に多様な省庁にまたがる問題だと認識をしております。是非、司令塔としての役割を、内閣に一元的な連携組織をつくったりということでの取組を官房長官を先頭に進めていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。
○林国務大臣 今委員の御質疑の中で、非常に多様な形態、また、いろいろなことを考えていかなきゃいけない、アクセスですとか決済手段、さらには依存症等もございますし、こうした、警察のみにかかわらず、警察が取締りをすればそれでおしまいということではないというのを非常に分かりやすく御質疑をいただいたと思っております。
九月に、私が指示をいたしまして、内閣官房において関係省庁の連絡会議を立ち上げました。今御指摘があったように、各省庁、やはり、連携して、情報を共有しながら、取組を進める必要があるということでさせていただいたところでございます。
この調整の下で、金融庁、経済産業省、警察庁が連携して、オンラインカジノへの送金とか、オンラインカジノでのクレジットカード決済のこういうことを抑止するために、事業者等に対する注意喚起、要請等しております。また、文科と警察が連携しまして、学校における、こういうものは違法ですよというようなことを周知、教育、こういうことを要請する、こういうことはさせていただいておりますが、今いろいろな御指摘をいただきましたので、この関係省庁連絡会議を司令塔としまして、更に緊密に連携させて実効的な対策を進めていきたいと思っております。
○田中(健)委員 昨日、犯罪対策閣僚会議がありまして、ここでは、闇バイト、先ほど御質問もありましたけれども、その議論がされました。その中で、違法な募集情報の明確化が示されました。今まで、闇バイトは、SNSにおいては、有害情報ということで、違法情報ではないということで削除がなかなかできないということでしたが、これを明確にするということで、今度はしっかりとSNS事業者が削除できるということです。
今回のオンラインカジノも、実は、きっかけはSNSが多いと言われています。ですから、今回はあくまで闇バイトでありましたけれども、是非、この情報も違法ということを明確にしていただきまして、この適法を、オンラインカジノにも運用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
オンラインカジノにつきましては、国内から海外のサーバーに賭けること自体は、国内で賭博行為が行われておりますので賭博罪に該当するということになります。ただ、海外にサーバーがあり、適法に運営されていることとなっているオンラインカジノにつきましては、それが直ちに違法であるかというところは、違法とは評価できないところでございます。そういったSNS上の広告や紹介動画サイトといったネット上の情報そのものを違法なものと位置づけるためには、その根拠、また賭博罪との整理等、慎重な検討を要するものと考えております。
いずれにせよ、警察におきましては、オンラインカジノに係るアフィリエイターの検挙等に取り組んでいるほか、オンラインカジノに関する投稿への警察庁公式アカウントからのリプライによる注意喚起や、SNSを活用したターゲット広告による違法性の周知に係る広報、プラットフォーマーへの働きかけ等、国内からオンラインカジノで賭博を行うことが違法であることを明示する取組に努めているところであり、今後とも厳正な取締りと広報啓発に取り組んでまいります。
○田中(健)委員 是非、違法ということをどのようにして証明できるか、検討していただきたいと思います。今のままですと、SNS上にオンラインカジノが次々と広告で上がってきてしまい、若者がそれに大きな影響を受けますので、お願いしたいと思います。
最後に、ティックトック規制について伺います。
アメリカで進んでいるティックトックの規制、一月には新法ができる。また、今日の新聞では、EUも、昨日これについての調査が始まったということであります。そして、これについて、官房長官、国として、大変大きな課題があると思っておりますので、最後に、この取組について日本としての考えを伺います。
○林国務大臣 委員からは何度か御指摘をいただいているものと聞いておりますが、現時点におきましては、特定の企業やサービスの一般利用の禁止といった制限、これを行うことは考えておらないところでございます。
一般論になりますが、特定の企業の製品、サービスの排除ありきではなくて、SNS等の利用に際しては、セキュリティー、プライバシーの確保、これが重要であると認識をしております。このため、総務省を始めとして担当省庁において、より一層周知啓発を図るなど、今後も適切に対応していくことが重要である、そういうふうに考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございました。終わります。
○大岡委員長 次に、下野幸助君。
○下野委員 三重二区で今回初当選をさせていただきました、立憲民主党の下野幸助です。
私は、生まれも育ちも選挙区内、三重県鈴鹿市であります。私は、父は地元で電気工事業を経営しており、今回、中小企業、地元を始め多くの皆様に御意見をいただきました。そんな思いを受け止めながら、今回初めて内閣委員会で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず、最低賃金千五百円の実現の時期と手段について、赤澤賃金向上担当大臣に質問させていただきます。
岸田内閣において、二〇三〇年代半ばに最低賃金千五百円達成の目標を掲げ、全国加重平均で、今年は、前年比五十一円アップの千五十五円を達成いたしました。
そのような中で、石破政権は、二〇二〇年代での最低賃金千五百円達成ということで、達成時期の前倒しを掲げております。
そこで、この前倒しをした理由についてお尋ねをいたします。
○赤澤国務大臣 まず、石破政権では、アベノミクスの成果の上に、それを踏まえて、岸田政権が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくことを目指しています。
岸田政権の経済政策を引き継いで発展、加速するという考え方で、骨太方針では、岸田政権当時、二〇三〇年代半ばに千五百円と言っていたものを、前倒しするというところまで骨太方針に書きました、具体的にどこまで前倒しをするか書いていなかったものを、石破政権では、発展、加速ということで、二〇二〇年代。
最低賃金について言うと、何でそんなに急ぐんだという御趣旨もきっとあると思いますけれども、それについてお答えしておくと、今年度の最も低い最低賃金は九百五十一円です。ちなみに、先生の御地元三重県は、とうに千円を超えていまして、千二十三円だったかな。ただ、四十七都道府県のうち、千円を超えているのは現時点において三十一県しかありません。千円を超えていないということは、実は、物価が上昇する前のワーキングプア水準二百万円にも達していないということなんですね。
ということなので、フルタイム労働者が年間二千時間働くとした場合、最低の賃金は今、九百五十一円ですけれども、百九十万円です。働いても暮らしていけない、そういう賃金水準に三十一県の最低賃金近傍で働いている方たちは置かれているわけで、これはやはり政治として看過できないということで、経営者の皆様をしっかり応援して賃上げ原資を稼いでいただく、そういう取組は最大限やりますけれども、あわせて、生活保護を受けずに働くという尊い決断をした国民の方が暮らしていけない状態にあることは、これは念頭に置いてやっていかないといけませんので。
端的に言えば、そっちの方の要請だけからいえば、二〇二〇年代に千五百円といっても、それでもまだ、ちょっと本当にペース的に大丈夫かというようなところだと思います。
最低賃金近傍で働く方は全国に六百六十万人おられて、労働者全体に占める割合は一五%です。こうした方々からの、現に私が選挙区で実際に選挙のときに手を握って言われることですけれども、暮らしていけるようにしてくださいとの悲痛な声をお聞きしているわけで、こういう状況は看過できないということです。
そんな中で、実際、岸田政権の政策を引き継いで発展、加速させるという意味で前倒しをさせていただいたということになります。
○下野委員 アベノミクスからの発展、加速ということでありました。
先ほど、大臣、あれは、十七県ですよね、超えているのは。そして……(赤澤国務大臣「十六県です。十六と三十一です」と呼ぶ)はい。十六と三十一で、十六県しか超えていないということで理解をしました。
ただ、この千五百円は私は極めてチャレンジングな数字だと思いますし、そのハードルを多くの国内の中小企業が越えられるのかどうか、大変危惧をしているところでございます。既に多くの中小企業、今、大変経営事情は厳しいと聞いています。コロナ禍で借りた例えば融資の残高、私の地元三重県では、三重県中小企業融資制度、新型コロナウイルス感染症関連というもの。まあ全国にあると思うんですが、融資件数約二万件、融資額三千二百二十億円、一件当たり千六百億円借りているというのは、これが平均での状況でございます。
また、東京商工リサーチが九日発表した一月―十一月の全国の倒産件数、九千百六十四件。既に前年の一年間の倒産件数八千六百九十件を上回っており、大変中小企業の倒産件数も増えており、十一年ぶりに一万件を超える可能性が高まっているという状況でございます。原因として挙げられるのが、コストの上昇分を価格転嫁できずに、中小企業、大変厳しい状況、あるいは人手不足の人件費高騰、こういったことで倒産が余儀なくされているという要因も出ております。
ただ、中小企業が大事なのは、何回も繰り返しますけれども、日本の企業数でいうと九九%が中小企業で、雇用は七割が中小企業でございます。日本を支える従業員、七割が中小企業ということでございます。
ちょっとここで資料を御覧いただきたいというふうに思いますけれども、最低賃金のグラフをお示しした資料をお配りをさせていただいております。
二〇〇八年度からの最低賃金全国加重平均をお示ししたものです。端的に言いますと、二〇一五年が、これは数字が入っていませんけれども、七百九十八円で、これまでの十年間の年間平均上昇率三・一%だったんですね。そして、ここからの五年間を、急激に傾きが上がって、七・三%平均でいこうと。額にすると、毎年八十九円を五年連続上げていかないと到達できないというのが千五百円の部分でございます。
こういったことで、大変厳しいこの七・三%、八十九円五年連続、この手段、どのようにするのか。大臣、端的にお答え願います。
○赤澤国務大臣 先ほど下野委員から御指摘いただいたとおりで、私、千円を超えているところが三十一と言ったかもしれませんが、千円を超えているのは十六道府県ですね。三十一県がまだ超えていないということで、そこは本当にワーキングプア水準だということを申し上げたところであります。
それに加えて、今、委員の御指摘は本当に重要でありまして、例のコロナのときのゼロゼロ融資の返済とか、ああいうものが始まっていますので、大変厳しい経営状況に置かれている中小企業が数多くあることも理解をしています。
ただ、その上で、先ほど申し上げたように、暮らしていけるようにしてくださいという国民の声にも応えてあげていくことは非常に重要だと思います。
この目標に向けた第一歩として、先日、石破政権で、十一月二十六日の火曜日に初回となる政労使の意見交換を開催し、総理から私に、私を中心に、関係閣僚と協力して、最低賃金を引き上げていくための対応策を来春までに取りまとめるよう指示をいただいています。
その中でやるべきことは、本当に、委員からも御指摘があったことだと思いますが、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を継続的に高めるために、持続的、構造的賃上げに向けた価格転嫁等の取引適正化の推進ですね。まだまだ価格転嫁については十分できていると思えませんので、そこが飛躍的に価格転嫁ができるような状況をつくっていく。それから、省力化、デジタル化投資といった効率化。さらには、稼ぐ力を増やすという意味で人への投資、リスキリングとかも含めて。さらには、中堅・中小企業の経営基盤の強化、成長の支援といった中には、事業承継とかMアンドAとか、そういうことの支援も含まれると思います。
ありとあらゆる意味で生産性を向上させるための支援策をやり、さらには下請法の改正なども行いながら、企業が稼ぐ力を少しでも上げて、賃上げ原資をしっかり稼いでいただいて、賃上げにつなげていただけるように、そのことが、総理から御指示のありました、最低賃金を引き上げていくための来春までに取りまとめる対応策の中に入り込んで、実施したことでいい結果が出ていくように全力を挙げていきたいというふうに思っております。
○下野委員 いろいろ大臣、やっていらっしゃるということと、取りまとめをやっていただいているというのは敬意を表するんですが、地方に下りてくる部分が大分遅れるんですよね。年度初め、五月、新しい政策の部分ですよね。一方で、最低賃金はもう六月、七月、まあ夏ぐらいには大体骨子案が出てくるというのが通例でございまして。
何が言いたいかというと、年度初めに出てくる政策、あるいはまた十月に最賃が、夏ぐらいに決まってくる、このスパンが短いわけですよ。さらには、そういった状況の中で、なかなか中小企業の皆さんが一つ一つの助成金であったり支援策であったり、活用するのが難しいタイトなスケジュールとなっているのが現状なんです。
もう一つ、資料二をつけさせていただいたのは、賃上げ促進税制をと書いてある資料なんですけれども、非常に、私、地域を歩いてこれを持って回ると、見にくいし、字がちっちゃいし、結局、どうやって使えるのかというのはQRコードを見てくださいで終わっているんですよ。
ですので、税額控除だというのはいいんだけれども、最後に、やはり、家族経営とかたくさんの中小企業、まあ数人でやっているところもたくさんですから、どうやって使えるのかというのを、もうちょっと文字を大きくしていただいて是非とも告知をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、大臣から十一月二十六日の政労使の意見交換のお話も出てきました。私もその議事録を読ませていただきました。ほとんどの方々が、御意見が、拙速ではないかとか、このハードル、厳しいじゃないかという御意見があったと思います。
私、二点要望しておきたいのが、一つは、先ほど大臣もおっしゃられた価格転嫁に関することです。
これは、政府がしっかりと各地方自治体ともリーダーシップを発揮していただいて、社会全体で環境整備をしていかなければならないということが極めて重要です。やはり、中小企業は立場が弱いですから、そういった部分でしっかりと政府、地方自治体がリーダーシップを発揮できるような体制づくりをお願いをしたいというふうに思っております。
さらには、税の優遇制度ですよね。昨年度までと同じペースでやっていたら、八十九円五年連続は難しいです。これは間違いなく難しいですから、名前が変わってちょっとバージョンアップはいいんだけれども、八十九円五年連続を目指すというのであれば、支援もそれなりにしていただかないと難しいと思いますので、ここは強力にお願いしたいと思っています。
そしてもう一点は、最賃の議論をする場なんですが、厚労省の審議会でおおむね大体議論されているというふうに聞いておりますけれども、ちょっと視野を広げて、海外のイギリスやドイツ、フランスを聞いてみますと、労使間の調整はもちろんのことなんですけれども、経済分野の協力導入、このヒアリング、これはちゃんとしっかりとしているという、エビデンスに基づいた協議をもっとしっかりとしていくべきだと思いますので、こういったことをしっかりとお願いをさせていただいて、この質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、悪質ホストクラブの対策について坂井国家公安委員長にお尋ねいたします。
私たち立憲民主党は、昨年十一月から悪質ホスト対策について国会質問をし、今年六月には悪質ホストクラブ被害防止法案を国会に提出し、警察庁も懸命に取締りに取り組んでこられました。現場の警察官、職員の皆様には、心から敬意を表したいと思います。
しかしながら、残念ではございますが、若い女性が高額な借金を背負わされ、悪質な取立てや、売春や、性風俗勤務へのあっせんという組織的、悪質な被害が増え続け、借金返済のために歌舞伎町での路上売春や海外売春を強いられる被害も増えております。
警察庁も、対策検討会を設置するなど対策を検討しておられ、先週、石破総理が風俗営業法の改正の取りまとめを指示されました。
深刻な被害が急増し、一刻も早く法改正をする必要があると思います。私たちも全力で、スピーディーな法案の成立に協力をいたしますので、来年の通常国会で風営法改正案を提出するべきだと思いますが、その点について、坂井国家公安委員長の思いをお聞かせいただきたいと思います。
○坂井国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、この問題、抜本的に解決を目指して今取り組んでいるところでございます。
私も、十月の二十四日に歌舞伎町の現地視察をさせていただきましたけれども、一つのビジネスのひな形みたいなのができておりまして、これを抜本的に、ある種、潰していかないと、問題がなくなっていかないということかと思います。
前委員長の時代でありますが、御指摘の悪質ホストクラブ対策検討会が設置をされて、そこでは、抜本的にこういったものを取り締まり、なくしていくための対策を考えてくれということでお願いをしておりまして、鋭意精力的に活動していただいておりますが、二か月弱ほど前になりますけれども、私も、年内に何とか取りまとめをお願いをしたいということで、山田座長にもお願いをしたところでございまして、今週中にも報告書が公表される予定というところまでやってまいりました。
御党からの指摘もそうでありますし、またこの検討会の報告書もしかりでございまして、こういったものをしっかり検討し、反映をさせていきながら、石破総理からも、この風営適正化法改正案、次期通常国会へ提出に向けて急げということの具体的な指示もございましたので、これに向けて、今、法案の準備を進めるよう警察を指導しているところでございますが、委員が今お話しされたように、次期通常国会でも、速やかにこの法案が通るように御協力いただけるということでもございましたので、大変ここは期待をさせていただいて、またお待ちをしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○下野委員 委員長、前向きな答弁をしていただきまして、ありがとうございました。
もちろん、立憲民主党も全力で応援をさせていただきたいと思いますし、こういった事案はいち早く未然に防止をしなければならないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
警察の災害対処能力の向上について、坂井国家委員長に続けて御質問いたします。
令和六年能登半島地震等の教訓を踏まえた警察の災害対処能力の向上に全力で取り組み、国民の信頼と協力に応えてまいりますと述べられました。
私の地元三重県を始め、近畿、東海エリアは、南海トラフ巨大地震が発生した場合、甚大な被害が予測されている地域であり、定期的に合同訓練も実施しておりますが、そこで、能登半島地震の教訓とは何かということをお伺いできればというふうに思います。
○坂井国務大臣 日本は、残念ながら、毎年様々な災害を受けるこの近年でございますので、能登半島地震の経験もしっかり振り返り、課題を抽出した上で、次回のこういった災害に備えるということが必要であり、その取組を進めているところでございます。
課題は何かということでございますが、今回の補正予算とも絡む話でございますけれども、例えば、半島という地理的制約の中、道路が寸断されたこと等により部隊展開が容易でなかったということの反省がございまして、その初動の部隊展開の更なる迅速化のために、悪路走行が可能な、大型資機材を積載可能なバン型の四輪駆動車、これが必要だ、こういうことで、これも準備をさせていただいております。
また、ヘリなどで資機材を運ぶ際に、できるだけ小型で強力な、最新型のものでなければ数と量が積めないということも実感をいたしておりましたので、これも、今回の補正におきまして、小型化できるものは小型化し、多くの資機材が積めるように準備をしたいと思っております。
また、治安の面から、防犯カメラを、今回、能登半島でも千台以上設置をいたしたところでございますけれども、この防犯カメラが大変結果として評価できるものとなってまいりましたので、これからは、事前に防犯カメラの設置をメニューに入れて、これが計画的に行えるような体制づくり、また、カメラと同時に、カメラを積んだドローン、警戒用ドローンの整備などというものも進めているところでございます。
あと、大きな課題が、SNS、この誤情報でございまして、こういったものも、SNS事業者に対して削除の要請等を行う、また、これを削除できるような仕組みをつくるとともに、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき厳正に対処しよう、このようなことを今回の能登半島地震の反省を踏まえて今取り組んでいるところでございます。
○下野委員 多岐にわたって対策の改善が進められているということで、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
要望といたしましては、先ほど、一点だけ、防犯カメラの件でございます。災害もそうですし、災害時に盗難等もあるということでありますので、日々の防犯対策といたしましても、引き続き、防犯カメラの事前整備は強力に進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
もう時間になりましたので、四点目は割愛をさせていただきますけれども、子供の被害、犯罪も増えております。先般では、北九州市でも本当に痛ましい事件もございました。こういったことも含めて、見守り、あるいは子ども一一〇番の減少対策、こういったことも、警察庁の対応を引き続きよろしくお願いを申し上げまして、質問を終了とさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、菊池大二郎君。
○菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。
能登半島地震から早くも一年が経過しようとしております。私の地元山形県でも、今年七月二十五日に記録的な大雨が発生し、過去最大規模、被害総額一千億円を超える豪雨被害に見舞われました。石川でも山形も厳しい冬を迎えております。こうした被災地の視点に立って、まずは、先ほど下野委員からもありましたけれども、災害対策についてお伺いをしたいと思います。
この度の山形県における七月豪雨に際して、救助に向かわれた二名の若手警察官の尊い命が奪われました。堤防が決壊し、氾濫原に増水した河川が流れ込み、パトカーごと流されてしまったという非常に痛ましい事故でありましたけれども、最後の最後まで県民の安全確保のために職務を遂行されたお二方のみたまに対して、改めて心からの御冥福をお祈り申し上げる次第です。
地元で、御遺族様、そして地元関係者の方からお話をお伺いする機会がありましたけれども、本当に胸が締めつけられる思いであります。二度とこうした悲惨な事故が起きないように、水難救助における教訓を胸に刻んで、対策を講じていくことが重要であります。
ここで私なりに今回の事故に至った要因、問題意識を整理してみますと、そもそも、若手の警察官のみで救助要請に対応せざるを得なかったこと、必要な資機材の配備はどうであったか、また、緊急時における情報共有や行動指針はどうであったのかということ、加えて、消防を始めとした関係団体との連携はどうであったか、平時における訓練の重要性や水害が想定される場所や地形等の事前の把握の必要性などが挙げられるかと思います。
こうした点を総括して、二度とこうした悲惨な事故が発生しないようにするために、再発防止策を講じていくことが極めて不可欠と言えますが、まずは、坂井国家公安委員長に、改めて今回の事故に対する受け止めと、今後の災害対策にかける決意をお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 本年七月二十五日からの大雨に伴う災害警備活動に際し、山形県警察新庄警察署の警察官二名が殉職したことは、国家公安委員会委員長として大変心が痛むものでございますし、先日、殉職者慰霊祭がございましたけれども、御遺族の方もそこにおいでをいただいておりまして、一言お声をかけさせていただきましたけれども、改めてお亡くなりになられた二名の警察官の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
これまでも、災害対応に際しましては警察職員の安全確保に努めてきたところでございますが、しかし、こういう案件も出てきました。今回の事案を振り返り、教訓をしっかり踏まえ、警察において、装備資機材の充実強化や実戦的な災害対処訓練の実施に生かしてまいりまして、災害警備活動に従事する警察職員の安全確保が図られますよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○菊池委員 先ほど、私なりの問題意識や事故の要因を挙げさせていただきましたけれども、今回の事故現場となった流域は、そもそも県の洪水浸水想定区域に指定されておりません。そしてまた、市のハザードマップにも反映されていなかったところであります。
先ほど、下野委員の御答弁でも委員長からありましたけれども、現場、発災後、私も地域を回っておりましたけれども、道路もかなり寸断されておりました。救助活動も、想定外のルートで対応を余儀なくされることも当然にあります。記録的な大雨においては、想定外の地域で想定外の対応が求められることを想定していくという必要があるわけであります。
先ほど資機材の配備という話もありましたけれども、ライフジャケット等の器材、いわゆる物の配備も重要であります。一方で、警察官自らの安全確保あってこその災害警備という視点を強固にしながら、情報共有や指示統制を含めた人の訓練や、平時から関係団体との連携、こちらもいわゆる人の連携でありますけれども、こういった部分が非常に重要であると考えますが、具体的な再発防止策についてお伺いをしたいと思います。
○迫田政府参考人 今回の事案を踏まえまして、山形県警察におきましては、警察庁指定の広域技能指導官の指導を受けながら、豪雨災害を想定した災害対処訓練を実施しております。自治体と連携して、災害時に浸水などの危険がある箇所につきましても、山形県警におきまして、改めて点検、共有を行うなどの取組を推進しているところでございます。
また、警察庁におきましてですけれども、全国警察にライフジャケットを整備するために必要な経費を令和六年度補正予算に盛り込んでおります。さらに、全国警察に対しまして、委員御指摘ありましたけれども、警察署の幹部から、実際に災害現場に臨場する署員に対しまして、災害警備活動中の安全確保に資する具体的な指示をすることですとか、あるいは教養訓練をしっかり実施することなどについて指示をしているところでございます。
引き続き、警察庁及び各都道府県警察におきまして、こうした取組を行うことで、災害警備活動に従事する警察職員の安全確保に万全を期してまいる所存でございます。
○菊池委員 是非、再発防止に徹底して力を注いでいただければというふうに思います。
続いて、官民連携による災害対応力の強化に向けた取組について質問いたします。
私自身、繰り返しになりますけれども、山形の豪雨災害、現場に入って感じることは、人口が流出している地方は人的資源に限りがあるということ、一方で、行政が手当てをしなければいけない自治体の面積が変わるわけでもありません、そのボリュームはむしろ大きくなっており、行政だけ、地元だけの対応には限界があるということ、そして、被災地におけるニーズは時間の流れに沿って変わるということであります。
こうした点を鑑みれば、ハード面の整備ももちろん重要でありますけれども、官民連携による人的な被災地、被災者支援体制をどう構築していくかということも重要であり、被災直後から復旧そして復興に向かうまで、いかに切れ目のない支援を実現できるかが問われており、こちらも災害から学ぶ教訓の一つであります。
この点、災害支援に係るNPO団体の皆様との意見交換から見えてくるものは、緊急期から復旧期に入るまでは、人、金、物も集まりやすいが、復旧期や復興期においては活動を支える資金が不足しがちであるということ、災害時におけるノウハウを有する関係団体と行政との平時からの連携が不十分であり、こちらも地域差があるということ。いわゆるJVOADによれば、災害支援コーディネーションを担う都道府県域の災害中間支援組織が存在するのは、四十七都道府県のうち半分の二十三。能登半島地震の石川、そして豪雨災害のあった山形にもございません。こういった中長期的な活動を支える資金支援の仕組みづくりも併せて必要であると思います。
以上を踏まえ、行政による公助はもちろんのこと、災害時にはとりわけ専門的な技能を持つNPO等の民間団体の方々による支援が不可欠であります。
一方で、発災時にこうした民間団体への支援活動が円滑に行われるためには、平時から、行政の補完ではなく、独自の価値を持つパートナーとして、情報共有、協議の場に参画し、被災直後から復旧復興期に至るまで官民連携による支援体制を構築していくことが重要であると考えますが、今後政府としてどのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。
○河合政府参考人 お答えします。
委員御指摘のとおり、近年の災害では、NPO等の民間団体が発災時に重機を用いた活動や避難所の運営支援を行うなど、被災者支援において重要な役割を担うようになっております。
これらの活動が円滑に行われるためには、NPO、ボランティア団体等の活動支援や調整を行う災害中間支援組織の育成が重要であると考えております。委員から今、全国四十七の半分、二十三と御指摘ありましたが、この災害中間支援組織を全国の都道府県に是非設置していただこうということで、内閣府では、それらの組織の設置、それから既にある組織についても機能強化が図られるように、モデル事業を実施しているところでございます。
また、平時からの連携体制の構築に向けた活動団体登録制度を新たに創設するということや、支援活動を業務委託契約へ迅速に移行することなどについて災害時応援手順のマニュアル化を図るなど、災害時により円滑かつ効果的な官民連携が行われるよう必要な検討を行っております。
行政、ボランティア、NPO等の多様な主体による被災者支援活動が円滑に行われるよう、平時からの環境整備に努めてまいります。
答弁は以上です。
○菊池委員 是非、全国的にそういった災害時における円滑な官民連携による支援体制を構築していただくように、御尽力をお願いしたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
今年は、偽造防止に画期的な世界初の3Dホログラム技術が採用された新貨幣が発行された年であります。
コロナ禍を経て、一方でキャッシュレス化が一層進展しまして、現物の貨幣を手にする機会も減っておりますし、物価やエネルギー価格の高騰により生計費が圧迫されるなど現状に対する生活不安のみならず、若年中堅層における老後への不安等も相まって、資産運用への機運が高まっているとも言えます。
そうした中、金にまつわる事件、特殊詐欺や投資詐欺の事件も顕著となっており、先ほど我が会派の田中委員からもオンラインカジノの話がありましたけれども、こうした時代背景を踏まえれば、金融に対する知見を高めていくことの重要性は、年齢にかかわらず重要性を増しているものと思料いたします。
現に、金融広報中央委員会による二〇二二年の調べによります金融リテラシー調査によれば、金融経済教育を受けたと認識している方は七%にすぎません。
この点、中立公正な教育を官民一体で国全体に推進する必要性から、今年四月に金融経済教育推進機構、いわゆるJ―FLECが設立され、講師派遣等による金融経済教育等の提供を行っておりますけれども、設立されて以降の活動実績、進捗はいかがでしょうか。
また、同機構が認定するアドバイザーを始め、都道府県や関係機関が連携しながらそれぞれの地域で活動しているものと考えますが、認定アドバイザーの登録数等にもおのずと地域差が生ずるものと推察をしております。こうした地域格差が教育の差につながらないようにしていくことも重要と考えますが、今後の取組や考え方についてお伺いいたします。
○川崎政府参考人 お答え申し上げます。
金融経済教育につきましては、本年四月に設立され、八月から業務が本格稼働いたしました金融経済教育推進機構、J―FLECにおきまして、学生、社会人、高齢者等の幅広い層に対して、ライフステージに応じたニーズや金融リテラシーの程度を踏まえつつ、家計管理、投資に関する知識、投資詐欺被害防止といった金融トラブルに関する内容も含めまして、幅広く金融経済教育に取り組んでおるところでございます。
具体的に申しますと、全国各地で社会人や企業経営者、教員の方々等を対象にイベント、セミナーを開催いたしておりまして、これは既に大銀行や証券会社、地方銀行の皆様方と共催をさせていただきましたり、あるいは県の金融広報委員会との共催をするような形で開催をさせていただいております。
それから、小学生低学年用からシニア層まで幅広い様々な年齢層に向けた講義資料を、八月十四日にJ―FLECのホームページ上で公表をさせていただいたりしております。
その他、全国の学校や企業等に講師派遣を行う出前授業や、あるいは認定アドバイザーによる個別相談の展開ということといった様々な取組を進めておるところでございます。
委員御指摘の、金融経済教育を受けたと認識している人の割合というものにつきましては、御指摘のとおり、二〇二二年での調査におきまして七・一%でございましたけれども、政府目標といたしまして、令和十年度末を目途に米国並みの二〇%とすることを掲げて今取り組んでいるところでございます。
それから、委員から御指摘のありましたJ―FLECのアドバイザーの点につきましてでありますが、現在、その数は、この十二月九日の現在で千名を超えたところになってございます。しかしながら、委員御指摘のとおり、まさにその数には地域差があると認識をしておりまして、特に、大都市と地方との金融経済教育の浸透にギャップがあるという指摘があることは私どもとしても非常に強く認識をしているところでございます。
このため、国全体の金融リテラシー向上のためには、全国で幅広く金融経済教育の担い手を確保することがとても大事なことだというふうに思っておりまして、認定アドバイザーにつきましては、アドバイザーが少ない地域にあっても、他県からの広域の派遣やオンラインによる講師派遣を活用して出前授業を行う、あるいは、地域金融機関とも協力しながら、当該地域での認定アドバイザーになっていただけるようその人材の確保に努めているところであります。
さらに、金融庁といたしましても、地方における更なる周知、浸透に向けた具体策といたしまして、地方における金融経済イベントの更なる実施を行うことを今まさに検討を進めているというところであります。
引き続き、J―FLECを中心に、官民それから国、地方と連携を取りながら、国民の金融リテラシーの向上に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
○菊池委員 時間に限りがございますので、最後、城内大臣にお伺いをしたいと思います。健康・医療戦略における研究開発支援についてでございます。
コロナ禍において、一つの教訓というのは、ワクチンや治療薬の開発、提供で我が国は非常に後れを取って、他国の製薬会社に依存せざるを得ず、いわば翻弄された苦い経験がございます。
こうした状況にありながら、来年度からの健康・医療戦略(案)によれば、感染症研究基盤の強化充実、ワクチン、診療薬、治療薬の研究支援の推進、ワクチンの開発、製造等に係る体制の整備ということがうたわれておりますが、これまでの我が国のいわゆるこういった分野に対する研究負担割合を見ても、決して誇れるものではないというふうに思料しております。次なる感染症有事に備えた基礎研究から実用化に向けての取組が非常に重要であると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
そしてまた、実用化に向けた基礎研究のみが重要というわけではございません。健康・医療分野における我が国の優位性を獲得していくためには、基礎研究への支援の裾野を広げていくこと、いわゆる基礎研究を積み重ねていくことや、多様な研究者が自由に研究できる仕組みをつくっていくことが、研究開発人材の確保、定着につながるものと考えますが、この点、どのようにお考えでしょうか。お伺いします。
○城内国務大臣 菊池委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症への対応におきまして、我が国の研究開発力の低下や、成果を社会実装につなげるスピードが課題として大きく認識されたところであります。
こうした中、研究開発シーズが実用化に至るためには、やはり研究者や事業者に対する連続的な支援を行うとともに、開発目的を見据えたプロジェクトを通じて、戦略的に、個別ばらばらじゃなくてしっかり戦略的に研究開発を推進する必要があります。
現在、来年度から始まります第三期の健康・医療戦略の案文をお示ししているところでありますが、第三期期間中におきましては、そうした実用化を加速する観点から、日本医療研究開発機構、すなわちAMEDのプロジェクトを再編する予定であります。また、これに加えまして、AMEDに配分される調整費の柔軟な活用により、各省事業間の連携を強化し、一層切れ目のない支援を行うとともに、AMEDによる事業の検討段階からの出口志向の研究開発マネジメントを強化し、大学等が持つ有望なシーズの企業への引渡し、これを加速することを予定しております。
また、研究開発力の強化は第三期におきましても重要な課題でありまして、研究開発シーズの絶え間ない創出を目指し、研究者が研究時間をしっかり確保できるよう、医療DXやAI利用による大学病院の医師の方々の業務効率化を始めとする研究環境の整備等の取組を進めることといたしております。こうした取組を通じまして、研究開発力をより一層強化していきたいと考えております。
いずれにしましても、多様な研究成果を生み出し、そうした成果が速やかに国民の皆様に届くよう、第三期健康・医療戦略の検討に引き続き取り組んでまいりたいと思います。菊池委員におかれましては、健康・医療戦略の研究開発支援の応援団として、引き続きよろしくお願いいたします。
○菊池委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、おおたけりえ君。
○おおたけ委員 立憲民主党のおおたけりえでございます。
今日は初質問させていただきます。先ほど総務委員会で初質問。初質問、二回目でございますが、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
本日は、さきの大臣所信表明で、赤澤大臣から、物価上昇を上回る賃金上昇を普及、定着させるため、価格転嫁等の取引適正化に言及されておりましたので、中小企業の賃上げに向けた取組について取り上げさせていただきたいと思っております。
昨今の物価上昇により、私たちの可処分所得がどんどん目減りしていることを日々実感をいたしております。スーパーで食材を購入する際、これまでと同様に購入したつもりであっても月の食費がどんどん増えていたり、外食に行きたくても、ランチは値上げされ、数百円では食べられない状況であったりで、節約に心がけている御家庭が増えているように感じますので、賃金上昇に向けてしっかり取り組んでいかなければならないと認識をいたしております。
ここで、賃上げに必要な要素であります価格転嫁の取組について、現場で起こっている事例を少し御紹介をさせていただきます。
あるA社では、最低賃金レベルの賃上げしかできなかったことが引き金でどんどん社員が辞めてしまっており、経営が立ち行かなくなっている状況です。あるB社では、賃上げができないために、正社員を雇わず、パートタイム雇用などに転換して乗り切ろうとしています。しかし、これでは、技能の減少や人材育成がしにくい状況となり、企業の発展に支障が出てまいります。あるC社では、商品の値上げをしたら、ほかのメーカーの同様の製品よりも高くなってしまったので売れなくなり、結局値下げせざるを得なくなり、賃上げができなくなってしまいました。他の同様製品も値上げしてくれないと、このような状況が起こります。
増収増益を発表している企業では、上手に価格転嫁に取り組んでおられます。オンリーワンの物づくりをしているなど、コストを価格転嫁しても客離れが起きにくい価格決定力のある企業は取り組みやすいですが、取引先との板挟みになっている中小企業、小規模事業者では、生産性の向上を常に求められており、製品への価格転嫁を提案すると次から取引をしてもらえないのではないかという不安から、価格転嫁できていない例が散見されます。また、農業者についても、市場で価格が決定され、同様のことが言えると思います。
企業情報データベースを保有する帝国データバンクは、価格転嫁できず倒産してしまう企業も出てきていることから、人手不足で採用意向があっても、賃上げできずに大企業に条件で負ける場合が多く、中小企業の価格転嫁を支援する制度の強化が必要だと指摘をされております。
このまま中小企業、小規模事業者の価格転嫁を促さずにいますと、賃金格差がどんどん開いていくこととなり、行く行く社会的に更なる大きな問題となっていきます。
現在、国では、適正な取引を推進し、中小企業、小規模事業者の賃上げと稼ぐ力を高めるため、賃上げ税制の拡充、公正取引委員会の監視、取締り強化、下請法による規制、賃上げの原資になる公定価格の引上げなどを行い、価格交渉の推進を後押しするよう取り組んでおられます。
これらの取組の中でも、令和五年十一月二十九日に発表された労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針は、発注者として取るべき行動や受注者として求められる行動、双方に求められる行動が示されており、大変有意義な指針であると考えております。この指針の内容について、企業にしっかり理解していただくことが必要だと考えますが、まだまだ知られていないのが現状でございます。
そこで、労務費の適正な価格転嫁のための価格交渉に関する指針、この周知がまだまだ足りないと思いますが、どのように取り組まれるのか、伺います。
○真渕政府参考人 お答え申し上げます。
公正取引委員会が今月十六日に公表しました令和六年の特別調査の結果によりますと、御指摘のございました指針の認知度につきまして、四八・八%と、全体として半数程度にとどまっているのが現状でございます。その一方で、この指針を知っている者の方が知らない者よりも取引価格の転嫁をより行えているということも確認されたところでございます。
このように、適切な価格転嫁の実現のためには、この指針の周知が極めて重要であるというふうに考えております。
そのため、公正取引委員会におきましては、これまで、内閣官房、中小企業庁との共催で、全国八ブロックで、指針の内容、活用方法に関する企業向けの説明会を実施してきたほか、中小企業向けのプッシュ型広報、広聴企画の実施や、啓発動画の作成、テレビ、ラジオCMでの広告など、指針の周知を進めてきたところでございます。また、本年十一月から今月にかけましては、政府広報と連携した動画広告といたしまして、電車ですとかタクシーなどの交通広告のほか、ウェブ広告などでの周知も実施いたしました。
今回のこの調査結果も踏まえまして、引き続き、事業所管省庁とも連携しまして、やはり地方への浸透が大事ですので、地方版政労使会議の機会なども活用しながら、指針の更なる周知と指針に基づく取組の徹底に取り組んでまいりたいと考えております。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
四八・八%が知っているということで、私は愛知県が選挙区なんですけれども、なかなかそこまで浸透していないのではないかなんて思ってしまうところなんですが、電車の中づりなどで、新聞広告も入っていますし、頑張って取り組まれているのは本当にありがたいと思っております。是非多くの方々に知っていただけるようにお願いしたいと思います。
次に、中小企業、小規模事業者の価格転嫁を促す取組の一つとして、二〇二〇年五月に創設されましたパートナーシップ構築宣言、これは、事業者がサプライチェーン全体の付加価値向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指して宣言を行うものでありますが、これを行う企業を増やすことが重要であると考えております。
そこで、パートナーシップ構築宣言を行う企業を増やすためどう取り組まれるのか、伺います。
○木村(聡)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ございましたパートナーシップ構築宣言でございますけれども、これは、事業者が、直接の取引先を含め、サプライチェーンに関わる全ての事業者と共存共栄を図ることを目指しまして、適切な価格転嫁など望ましい取引慣行を遵守することにつきまして自主的に宣言をする取組でございます。
宣言を行います事業者数の拡大に向けましては、これまで、内閣府及び中小企業庁が中心となりまして、業界団体を通じた宣言の働きかけ、これを行いますとともに、シンポジウムの開催、あるいは優良事例の表彰を行う、さらには、関係省庁が所管いたします各種補助事業等における優遇措置を講ずるなどの様々な取組を行ってきたところでございます。
こうした取組の結果、多くの事業者の方々の御理解をいただきまして、宣言をいたしました事業者は、二〇二四年十二月十三日時点で五万七千社を超えまして、二〇二三年の十二月末時点の三万八千社から約一年間で二万社程度増加しているところでございます。
政府といたしましては、物価上昇を上回る賃上げの実現、定着に向けまして、価格転嫁等の取引適正化を進めていきますために、更に幅広い事業者に宣言をしていただくよう、これまでの取組を一層強化してまいりたい、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
更に取り組んでくださるということは心強いと思います。
次に、必要な情報の提供について伺います。
先ほど取り上げました労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉に関する指針の中で、説明、資料を求める場合は公表資料とすることという文言があります。
これは、これまでの価格転嫁の交渉をしづらい原因となっていた、自分の会社の内部資料を公開することへの懸念をしなくて済む、重要な改善点であると認識しています。しかし、この指針の意味や、どう使えばいいのか、そして公表資料はどれを使ってよいのかなど、日々の業務に追われている中小企業の経営者や担当者にとってはなかなかハードルの高いものだと思います。
例えば、中小企業庁が発表している中小企業・小規模事業者の価格交渉ハンドブックでは、労務費の価格転嫁交渉には、一、都道府県別の最低賃金やその上昇率、二、春季労使交渉の妥結額やその上昇率、三、公共工事設計労務単価、四、一般貨物自動車輸送業に係る標準的な運賃、五、賃金指数、六、消費者物価指数、エネルギーコストについては、一、燃料価格、二、電力料金、原材料コストについては、一、非鉄金属・金属相場等の調査、二、木材価格、三、農林水産品、四、食品価格等の公表資料を使えるというように示されております。
このような公表資料の情報を中小企業等の担当者が簡単に入手できるようにしていかなければなりません。また、価格交渉を行うために準備しておくとよい資料や、交渉を行う上で押さえておくとよいポイントなど、共有しておくことも大事だと思います。
そこで、適正な価格転嫁が進むよう、企業が価格交渉で使用する公表資料や価格転嫁の好事例紹介など、価格交渉担当者に伝わるようにどのような形で情報提供をしていかれるのか、伺います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
中小企業庁では、価格交渉を行おうとする中小企業を後押しするため、各般の参考となる情報の提供を行っております。
今委員に御紹介いただきました価格転嫁のハンドブックを始めとするリーフレットや手引の作成、これには交渉に役立つ情報や好事例を掲載させていただいております。
また、そこで用いる材料となるデータにつきましては、中小企業庁ホームページにおきまして、例えば、先ほどありました労務費の価格転嫁の指針で示された、交渉の根拠資料の一つである春季労使交渉での賃上げの妥結額や上昇率等、有益な情報を誰でも御覧いただけるように掲示しておるところでございます。
さらに、オンラインで誰でもいつでも参加可能な価格交渉に関する講習会の開催や、全国のよろず支援拠点へ価格転嫁に関する相談窓口の設置なども講じておりまして、必要な情報を必要な形で御利用いただけるように努めてまいる所存でございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
ホームページへ行けば見れるという状況なんですけれども、それが皆さんの手元に届くというのはなかなか難しいことだなというふうに感じております。是非ともまたお力添えいただきたいと思います。
次に、伴走型相談支援について伺います。
価格交渉を成功させるためには、専門家等による相談支援が大変有効であると思っております。
我が愛知県内でも、公益財団法人あいち産業振興機構を実施機関として名古屋や豊橋に設置されております愛知県よろず支援拠点では、令和五年七月から価格転嫁サポート窓口を開設してみえます。価格交渉前の心構えや事前準備など必要な助言をされておりまして、相談者からは、価格交渉をするきっかけをつくってもらえた、交渉前の準備の仕方が分からなかったが丁寧に教えてもらえた、交渉のための原価計算等の資料作りを手伝ってもらえたとの声が寄せられているそうです。
名古屋商工会議所でも、価格転嫁サポート個別相談室を設置され、価格交渉に関する基礎的な知識や原価計算の習得支援を通じた、下請中小企業の価格交渉、価格転嫁の相談支援を行っていると伺っております。
しかし、中小企業、小規模事業者の多さを考えますと、まだまだ広げていく必要があります。中小企業までこの取組を広げるためには、相談支援の充実が重要だと考えております。商工会議所、商工会など、価格転嫁の相談支援ができる指導員の養成や、企業の発注担当者、受注担当者に必要性を理解していただくためのセミナーの開催など、価格転嫁の取組を後押しする体制を充実し、価格転嫁への機運を高めていく取組をどう行っていかれるお考えか、伺います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
商工会、商工会議所は、今委員からのお話もございましたが、やはり地域の身近な支援機関でございまして、中小企業の皆様から、一般的な経営相談から様々な中小企業庁の施策の活用まで、広く相談をお受けしておるところでございます。
中でも、価格転嫁に関する相談につきましては、委員からも御紹介いただきました、よろず支援拠点の価格転嫁サポート窓口、これは、原価計算の支援までしっかり行うところとして、非常に専門的なものとして御活用いただいております。その手前の御相談といたしましても、これも委員から御紹介いただきました、商工会、商工会議所において価格転嫁の御相談の窓口を設けて、様々な御相談をお受けしているところでございます。
この御相談をお受けする側の経営指導員におきまして、やはり価格転嫁に関する知識というのは非常に重要でございます。先ほどもございました、この一年の間にも、労務費の価格転嫁の指針の策定、公表といった動き、また、これらも踏まえた下請振興法に基づく振興基準の改正なども行われておりまして、これらの動きをしっかり把握して、御相談に来られる中小企業の皆様にしっかりお伝えする必要があると思います。
そのため、商工会、商工会議所への、先ほどの価格交渉ハンドブック、これは当然お持ちいただくとともに、価格交渉セミナーの受講なども促しておりまして、経営指導員の知識、能力を更にアップデートをしていく取組を継続してまいりたいと存じます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
では、これらの質疑を踏まえまして、特に中小企業の労務費の価格転嫁を推進した、物価上昇を上回る賃上げに向けて、今後どのように推進していかれるのか。この度、石破内閣で初めて創設されました賃金向上担当の大臣として、赤澤大臣のお考えを伺います。
○赤澤国務大臣 おおたけ委員におかれましては、今日、初質問で、いきなり二つというのは大変だと思いますが、本当によく準備をされて、心から敬意を払います。また、事務方に大体全部答えを確認してから大臣に決意を問うというのは、本当にベテランの先生方が好まれる質問の仕方なので、正直、伺っていて舌を巻くという感じがございました。
あと、本当は決意だけ言えばいいというぐらい、いろいろ聞き出していただいておりますが、手短にちょっとお話をさせていただこうと思います。
家計を温めるためにも、物価上昇を上回る賃金上昇を実現していくことは本当に大目標でありまして、先般、十一月二十六日の政労使の意見交換で、総理から、今年の勢いで来年も大幅な賃上げを頼むということをお願いをしたところであります、春闘においてですね。そして、私宛てには、最低賃金を引き上げていくための対応策を来春までにしっかり策定するようにという御指示です。
中小企業を始めとした事業者の皆様が確かにもうかり、賃上げ原資が得られないとスムーズになかなか賃上げはいきませんので、御指摘のあった価格転嫁でありますとか、省力化、デジタル化投資、しっかりやっていきたいと思っています。
また、これも御指摘のあった指針について、本年末までに所管省庁が業界団体と連携して調査を実施をしておりまして、結果を踏まえて、しっかり価格転嫁できるように、各業の所管省庁から指針に沿った改善策の周知徹底を行うことにしています。
また、昨日成立した補正予算でうたわれております賃上げのための環境整備ということで、価格転嫁などの取引適正化の推進ですとか、省力化、デジタル化投資の促進、人への投資の促進、中堅・中小企業の経営基盤の強化、成長の支援といった、生産性を向上させるための支援策を盛り込んでおります。
我が国経済が、これまでのコストカット型経済から脱却をし、デフレに後戻りをせず、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかどうかのまさに今が分岐点というふうに思っておりますので、あらゆる施策を総動員し、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、豊かさを実感できる成長型経済への移行を確実なものにしてまいりたいというのが、私の決意といいますか、覚悟でございます。
○おおたけ委員 ありがとうございました。
心強い御答弁でございました。
次に、男女共同参画に関連して伺ってまいりたいと思います。
先日の三原大臣の所信表明で、男女間賃金格差の是正に言及をされておりました。
男女共同参画局のホームページの資料によりますと、男女間賃金格差を国際比較いたしますと、男性のフルタイム労働者の賃金の中央値を一〇〇とした場合の女性のフルタイム労働者の賃金の中央値は、OECD諸国の平均値が八八・四でありますが、我が国は七七・五であり、我が国の男女賃金格差は国際的に見て大きい状況にあることが分かります。
男女賃金格差解消に向けて、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースにおいて男女の賃金の差異に関する取組を各企業に公表していただくなど、取組を進めておられますが、まだまだ一部の企業にすぎません。今後、中小企業等も含めて広げていくためにどう取り組まれるのか、伺います。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
男女の賃金の差異は長期的には縮小傾向にあるものの、委員御指摘のとおり、国際的に見ると依然として差が大きく、その是正は重要な課題と考えております。
このため、厚生労働省では、令和四年七月に、女性活躍推進法に基づきまして、従業員数三百一人以上の企業を対象に、男女の賃金の差異に関する情報公表を義務づけたところでございます。対象となる企業が適切に公表するよう履行確保の徹底を図るとともに、女性活躍推進企業データベースの説明欄の活用などによりまして、賃金差異の要因の分析やそれを踏まえた取組を進めることを促しているところでございます。
さらに、今月十六日に開催されました労働政策審議会雇用環境・均等分科会におきまして、男女の賃金の差異に関する情報公表義務の対象を従業員数百一人以上の企業に拡大することとする取りまとめ案をお示しし、御議論いただいたところでございます。引き続き、同分科会におきまして取りまとめに向けて御議論をいただき、その内容も踏まえて必要な取組について検討してまいります。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
私の周りでも、特に小さい企業における不平等感に不満の声が届いております。賃金差の状況は女性のライフスタイルによっても違います。まず、しっかりと実態を調査することが大事であり、現状を見える化していただきたいと要望をいたします。
先ほどの御答弁の状況を踏まえまして、担当大臣として男女賃金格差の解消に向けてどのように取り組んでいかれるお考えか、三原大臣に伺います。
○三原国務大臣 男女間の賃金格差の是正につきましては、これは女性の所得向上や経済的自立の観点からも極めて重要な課題であると認識しております。
女性の活躍を後押しするために、男女間賃金差異の公表、分析の一層の推進、公表情報の一覧性等を確保したデータベースや見える化サイトの更なる活用促進、企業における女性の育成、登用の強化等を通じて企業等の取組を推進するとともに、女性のキャリア形成の障壁となっている性別役割分担意識や無意識の思い込みを変えていくための啓発などを進めてまいります。
また、女性活躍推進法が令和七年度末に期限を迎えることを踏まえ、関係省庁等において延長及び改正に向けた議論を進めているところでございます。
政府一丸となって、男女間の賃金格差の是正を始めとした女性活躍の推進に向けた取組、しっかりと前に進めてまいります。
○おおたけ委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市來伴子君。
○市來委員 立憲民主党・無所属の市來伴子と申します。
埼玉八区で初当選をさせていただきまして、内閣委員会では初めての質問でございます。せっかく内閣委員会に所属させていただいて、林官房長官に質問ができるということですので、石破内閣の総括的な質問から入らせていただきたいなと思います。
先日、石破首相の所信表明を聞きまして、石橋湛山さんの言葉に触れられました。非常に新鮮な所信表明だなと思ったんですが、一方で、残念だったことがあります。それは、二十一ページある中で、子育てのワードは二つだけでした。そして、保育、介護はゼロでした。首相肝煎りの地方創生においても、子育てや高齢者施策、こういった視点がありませんでした。総選挙が終わった後の所信表明ですから、そういう生活者の視点がすっぽりと抜け落ちているということに、大変残念に思いましたし、不安になりました。
さきの総選挙で私が聞いた声は、今まさにこの物価高で、政治を必要としているのは、子育て世帯や、そして高齢者の方々でした。若い人たちの投票行動の変化は、将来への不安の表れにも見えます。
石破内閣にはそういった一人一人の生活者に向き合った政策を前面に出していただきたいと思いますが、官房長官は石破首相の所信表明をどう聞かれたでしょうか。
○林国務大臣 初質問に御指名をいただいて、大変光栄に存じております。
所信表明をどう聞いたかということでございましたが、当然あの場で初めて聞いたわけではございませんで、いろいろなところで意見をすり合わせながらやっておりますので、そういう立場も含めて、この所信表明演説についてでございますが、選挙で示された国民の皆様の声を踏まえて、自公の連立を基盤に、ただ、他党にも丁寧に意見を聞いて、可能な限り幅広い合意形成が図られるように、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全、これを守るべく取り組んでいく、この基本方針を丁寧に示されたというふうに感じております。
この演説、特に所信表明は、臨時国会でございますが、今度は、通常国会になると施政方針演説ということになります。特に、臨時国会であるということもございまして、性質的に、政策課題の全て、詳細に、全部網羅的に書くということが難しい中で、外交、安全保障、治安、防災、人口減少の中にあっても日本全体の活力を取り戻す、こうした三つの重要政策課題というものを掲げまして、これの対応を中心として書いたものでございますが、子育てそれから高齢者施策含めて大きな方向性を示させていただいた、こういうふうに考えております。
子育て支援、これも、児童手当の拡大、こども誰でも通園制度を創設したり、こども未来戦略の加速化プランに盛り込まれた施策、保育士の人材確保、処遇改善、こうしたものを昨年十月に、こども大綱を閣議決定しておりますので、しっかり取組を進めているということは申し上げておきたいと思います。
介護についても、介護予防の一層の推進や介護現場の生産性の向上には力を入れておりますし、人材の確保にも取り組んでございます。
まさに、そうしたことをやりながら、演説は、先ほど申し上げたような状況もあるということも御承知いただければと思います。
○市來委員 石破首相は、総裁選のときには、選択的夫婦別姓の問題や日米地位協定改定などを打ち出されておりました。しかし、総裁になられて、やや石破イズムが出せていないのかなと思います。
これから石破内閣のカラーを出していただきたいと思いますが、官房長官はどのように石破内閣を支えるのか、伺います。
○林国務大臣 まずは、しっかり官房長官として支えてまいりたいと思っております。
私は、政府の中で女房役と呼ばれておりますが、党では、石破総理は総理であるとともに総裁であって、党の役職と政府の役職を両方やっておるというのは、実は総理・総裁だけでございまして、政府として、私がお支えを、女房役と呼ばれてやっておりますが、党においては、最高顧問、副総裁、そして幹事長、こういう方がお支えする、ここをどうチームとして一体感を持ってやっていくか、これが大事であるというふうに思っております。
そうした中で、総理がよく、石破カラー、何か薄まっちゃっているよねと言われてお答えしているのは、総裁選挙で唱えた、訴えられたこと、これが、このことを訴えていた人が総裁選で勝ったわけですから、これをしっかり党で、そのままやりますという前に、党で議論をして、党の政策として固めていく、そういうプロセスは必要であろうということは総理がおっしゃっているとおりでございまして、その議論の中で、より国民の皆様に見ていただき、意見をいただきながらコンセンサスをつくっていく、このプロセスが大事であろうというふうに思っております。
日米地位協定についても、自民党に、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会ということで、そこでしっかり議論をしてくれということで、既にこの初回会合は開催をされておるようでございますので、我々は政府の立場でございますが、党、政府、両方でしっかりお支えしてまいりたいと思っております。
○市來委員 今回の総選挙は、十月九日解散、十月十五日公示でございました。公示日まで六日しかありませんでした。参考までに、小選挙区制度導入以降の衆議院解散から公示日までの日数を出しておりますが、今回の選挙では余りにもタイトなスケジュールであったと思います。各自治体が御苦労されたと思います。私の地元の自治体も、自治体の職員の皆さんが徹夜で頑張っていただいたということです。
今日は総務省の方にも来ていただいておりますが、公営掲示板、印刷物、通常料金より割増し料金を支払ったという自治体もあるかと思います。選挙に係るコストについてどのような認識でいるのか、また、今後、各自治体に対しこういった調査をするのか、伺います。
○古川大臣政務官 国政選挙の執行経費については、選挙執行経費基準法において経費の基準額が定められており、各地方公共団体において必要となる経費を国庫で負担することとしております。
その上で、今回の衆議院議員総選挙において各地方公共団体が要した経費については、現在、執行経費基準法に基づく算定資料の報告を求めているところです。また、委員御指摘の割増し料金や、昨今の資材単価の高騰等、特別の事情によって基準額では執行することができないものについては、調整費による追加交付がされることとなっております。
総務省としては、選挙は民主主義の根幹をなすものであり、地方公共団体の財政的不安を除き、選挙事務の円滑な執行の確保を目的とした法の趣旨を踏まえ、万全な措置をしてまいりたいと考えております。
○市來委員 私の地元の埼玉県では、ある自治体は、公示までに投票所入場券が各御家庭に届きました。しかし一方、私の選挙区では、十月二十三日、二十四日、投票日の三日前、四日前に、ようやく投票所入場券が届いたということです。これにより、投票所入場券が来ていないので期日前投票には行けないと思う方がおられて、実際に投票に行かれなかった方が少なからずいます。
投票所入場券が届く日の違いで期日前投票の投票率に影響があったと思いますが、こういう、自治体によって、投票環境の平等性の確保について見解を伺います。
○古川大臣政務官 投票所入場券は、投票時における選挙人の整理、確認等の迅速化のほか、投票所の場所の周知等に効果があると考えられているものであり、市町村の選挙管理委員会は、特別の事情がない限り、選挙の期日の公示の日以後できるだけ速やかに投票所入場券を交付するように努めなければならないとされております。
その上で、投票所入場券を持参しなくても、身分証明書の提示や、氏名、住所等を確認するなど、本人確認を行うことにより投票は可能であり、各選挙管理委員会においてその旨の周知を行ったものと承知しております。
なお、投票率は様々な事情が総合的に影響するため、投票所入場券の発送状況の影響等について一概に申し上げることは難しいところでありますが、投票者数に占める期日前投票者数の割合については三七・四六%となっており、前回の総選挙より二・五二ポイント増加したところです。
○市來委員 その増加はまた違う要因だと思いますから、やはり解散から公示日までが余りに短いとこういうことが起こるんだと思います。もちろん解散権は首相の専権事項と思いますけれども、自治体職員が疲弊しない、そして、こういった不平等が起こらないことを求めていきたいと思います。
次に移ります。
石破首相は、企業・団体献金について、憲法二十一条に抵触すると予算委員会で述べられて、その後、参議院の方で、違反するとまでは申しませんと答弁が変わりました。
林官房長官はこの点についてどのようにお考えですか。
○林国務大臣 総務省からお示ししておりますように、企業、団体が政治活動に関する寄附を行うことは政治活動の自由の一部でございまして、これを禁止することが、いかなる状況においても憲法第二十一条に照らして許されないということではないというふうに考えておりますが、公共の福祉の観点からの必要やむを得ない制約であるか、その必要性や合理性については慎重に検討する必要があると考えております。
いずれにいたしましても、企業・団体献金の在り方、これはもうまさに各党各会派において御議論いただくべきものであると承知をしております。
○市來委員 憲法二十一条においては、まさにこの裏金問題については、知る権利が失われている状態だと思います。まさに今、政倫審も行われておりますけれども、企業・団体献金が公共の福祉のためにということであれば全て開示する必要があると思いますし、立憲民主党は企業・団体献金の禁止を求めていることを改めて申し上げておきたいと思います。
次に移りますが、選択的夫婦別姓について伺います。
三原大臣は選択的夫婦別姓の制度の導入についてはどのようにお考えか、伺います。
○三原国務大臣 選択的夫婦別氏制度につきましては、国民の皆様の間に様々な立場からの御意見があり、制度の導入につきましては、より幅広い国民の皆様の理解を得る必要があると考えております。
また、旧姓を通称使用するに当たり、様々な手続における負担のほか、海外での仕事と生活への支障など、不便や不利益を感じておられる方がいらっしゃること、私も承知しております。
このため、これまでに各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討するとともに、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について国民の皆様の理解が深まるよう取り組んでまいりたいと思います。
例えば、選択的夫婦別氏制度は、同氏を称することを否定するものでも別氏を強制するものでもなく、あくまでも選択肢を増やすものであることや、婚姻によって旧姓を使えなくなる方の不便や不都合の具体例も含め、分かりやすい情報提供や関連データの提示などの取組を通じて、この議論を後押ししてまいりたいと思っております。
○市來委員 議論を後押ししていきたいと言われておりますけれども、これはちょっと通告にないんですが、三原大臣は選択的夫婦別姓が導入されたとしたらどうされますか。
○三原国務大臣 個人の立場では答弁は差し控えさせていただきたいと思います。済みません。
○市來委員 国民世論の六二%、そして経団連など経済界からも要望がありますので、是非三原大臣には頑張っていただきたいと思います。
次に移ります。
今年三月に犯罪被害者給付金の不支給取消しを求めた裁判がございました。この判決について説明してください。また、それを受け、政府としてどのような検討を行っているか、伺います。
○三原国務大臣 御指摘の犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件に係る本年三月二十六日の最高裁判決におきまして、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律で給付金の支給対象の遺族として定められている「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に同性パートナーも含まれ得るとの解釈が示されました。
同判決では、犯罪被害者等給付金の支給制度の目的と、同法で支給対象の遺族の範囲を定めた規定の趣旨に照らし、犯罪被害者と同性の者であることのみをもって支給対象に該当しないとすることは相当でないと判示されたと承知しております。
現在、政府におきましては、各法令が定める制度における同性パートナーの取扱いについて、各制度の趣旨、目的等を踏まえて検討を行っており、年内を目途に、その方向性について、各府省庁から報告を行うよう求めているところでございます。
○市來委員 同性パートナーの方が、事実婚と同等の社会保障の適用ができるかどうか、これが焦点となっています。こういった議論が進むときに、うそをついて社会保障を受給するのではないか、こういう偏見の声があるんです。そういった偏見は差別を助長するものであって、政府はそういった偏見に基づく発想には立たないと思いますが、官房長官の御意見を伺います。
○林国務大臣 経緯について、今、三原大臣から御答弁させていただいたとおりでございます。
当然のことでございますが、これから各法令の所管府省庁が、各制度の趣旨、目的等を踏まえて検討を行っていくわけですが、その際に、今委員がおっしゃったように、偏見によって判断されること、これはあってはならないことでありまして、そういうふうにしっかりやってまいりたいと思っております。
○市來委員 例えば、年収百万円の方と年収一千万円の方が同性パートナーとなって、世帯を一緒にしたと仮定します。現段階では、この百万円の方は社会保険の扶養に入れずに、そして国民健康保険に加入せざるを得ません。ほかの制度においても社会保障が適用されないことによる不利益な状況がございます。
こういった状況を変えていただきたいですが、どのように行いますか。
○三原国務大臣 社会保障に係る各種法令を始め、各法令における同性パートナーの取扱いにつきましては、各府省庁において、制度の趣旨、目的等を踏まえてそれぞれ検討しているところでございます。
繰り返しになりますが、現在、年内を目途に検討の方向性について報告を行うよう求めているところでありますので、検討をしっかり進めたいと思います。
○市來委員 事実婚と同等の社会保障を認めていただきたいと思います。
個別に検討したら、受けられないサービスがある、あるいは、負担は強いるけれども給付はしないという状況にならないように、平等な社会保障の適用をお願いしたいと思います。
不平等な制度の改善に向け、官房長官にはリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、最後にお伺いをいたします。
○林国務大臣 各府省にまたがることでございまして、私も逐一報告を受けておるところでございますので、先ほど委員が御指摘のあったような偏見に基づくことを含めて、しっかり対応できるようにやってまいりたいと思っております。
○市來委員 終わります。
○大岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○大岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房公益法人行政担当室長高角健志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 質疑を続行いたします。橋本慧悟君。
○橋本(慧)委員 初めまして。兵庫九区から参りました橋本慧悟と申します。立憲民主党・無所属の橋本慧悟でございます。
まずは、選挙区の皆さん、明石市、そして淡路島の皆様に押し上げていただきましてこの場に立てること、そしてこういった機会をいただけることに、諸先輩方含めて、本当に皆様に感謝を申し上げます。
早速質問に入らせていただきます。
まずは、男女共同参画の推進についてです。
男女共同参画を進めるに当たって、結婚の有無やお子さんの有無にかかわらず、全ての人が活躍して参画できる社会を目指すというのは当然のことだと思います。が、決して軽視してはいけないのは、私は、子供たちの存在だと考えています。男女共同参画が進んだはいいが、監護を受けるべき子供たちの生活や権利も同等に大切にされるべきだと考えています。
私が幼い頃は、三世代の同居をしまして、共働きの両親に代わって、保育園の送迎や学校終わりの放課後の面倒は祖父母に見てもらっていたという記憶が鮮明にございます。三世代同居については、昭和六十一年は一五・三%でしたが、令和五年は三・八%ということでかなり少なくなっておりますし、今やもう共働きとか核家族は当たり前かなと思います。
男女共同参画や女性活躍というのを推進しますと、家庭においては、子供たちの視点ですね、僕たち、私たちを見てくれる、監護してくれる大人が家庭の中で減ってしまうんじゃないかというような、子供の視点で不安に感じることもあるのかなと思います。
男女共同参画推進における子供たちをどう適切に監護して健やかな成長を促すかという視点を含めて、是非大臣のお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○三原国務大臣 女性も男性も、働きたい人全てが、仕事と子育て等を含む生活との二者択一を迫られることなく働き続け、そして、職業能力開発やキャリア形成の機会を得ながら、その能力を十分に発揮することが重要だと思います。
また、育児等のライフイベントとキャリア形成の両立を困難にしている要因として、育児等による時間的制約や長時間労働というのも挙げられて、改善は急務だと思っております。
このため、政府におきまして、長時間労働の是正、短時間勤務制度の活用の促進、時間単位の年次有給休暇制度の導入促進などの取組を進めているところであります。
また、昨年十二月に策定されましたこども大綱においても、子育て当事者が、過度な使命感や負担を抱くことなく、健康で、自己肯定感とゆとりを持って、子供に向き合えるようにすることが、子供、若者の健やかな成長のために重要であるとした上で、共働き、共育てを推進することとしており、こどもまんなか社会の実現に向けても、こうした取組は重要だと考えております。
引き続き、子供施策との連携を図りつつ、男女問わず育児等のライフイベントとキャリア形成の両立が図られるよう、その支援のための取組、しっかりと前に進めてまいります。
○橋本(慧)委員 是非とも力強く進めていただきたいと思います。
その中で、先ほど大臣も御言及されていましたが、育児休業とか、その点について男性の参画を更に深めるというのも私は本当に大切だと考えています。男女共同参画や、とりわけ女性活躍を推進することは、夫婦家庭を想定した場合ですが、夫である男性の家事、育児参加の促進や働き方改革も本当に重要だと考えています。
私自身も四人子供がいるのですが、第一子、第二子のときには育休は取れなかったですね。第三子、第四子のときになって育児休業を、やはり職場の雰囲気としても、制度の改変もあって取得した身なんですけれども、それでも、やはり期間としては一か月も取れなかった。取ろうと思えば取れたんですが、なかなか取るに至らなかったです。
今となっては、半年や一年間取得すればよかったなとも思うんですけれども、手取りが減る心配であったりとか、同僚の業務負担がどうしても増えてしまうから申し訳ないというような思いは、心理的にも取りにくい状況でした。
国の計画でも、先ほどおっしゃったように、共働き、共育てを推進されて、二〇二五年までに五〇%、三〇年までには八〇%と、男性の育児休業の取得率を上げると御計画されておりますが、現状は三一%にとどまっていると認識しています。
諸外国を見れば、例えば、フランスでは、父親の育児休業の義務化の仕組みがあったり、スウェーデンでは、両親が四百八十日間の育児休業を取れて、そのうち、例えば九十日間はそれぞれの親が取得できるというような制度が整備されておりまして、実効性がかなり高いと考えています。
そういった海外の先進事例などもしっかりと取り入れていただいて、更に日本におけるこの計画の推進の実効性を上げるために、そんな展開が必要だと考えるんですけれども、是非とも大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○三原国務大臣 男性におきましては、家事、育児、介護といったいわゆる無償労働に費やす時間が短く、女性が家事、育児、介護に費やす時間が多くなり、女性に負担の偏りが生じております。これによって女性が働く場で活躍することが困難になる場合が多いと考えられ、女性活躍の観点からも、男性の家事、育児への参画を促進することは極めて重要です。
共働き、共育てを定着させていくための第一歩が男性育休の取得促進であり、男性育休は当たり前になる社会の実現に向けて、制度面と給付面からの対応を強化していきたいと思っております。
引き続き、関係省庁の連携の下、男性の育児休業の取得促進に向けた取組、しっかり前に進めてまいりたいと思います。
○橋本(慧)委員 是非ともよろしくお願いします。
やはり地方公共団体での取得率と民間での取得率には大分差があると思いますし、実際に、男女共同参画白書令和六年度版におきましても、かなりそれは差があるということで、民間企業については一七・一三%、国家公務員一般職は七二・五%が取っているということですので、是非とも、民間で更に取得しやすくなるようなインセンティブといいますか、しっかり実効力を、働きかけていただきたいなと要望して、次の質問に移らせていただきます。
次は、保育政策ともしっかりと連携をした男女共同参画推進の施策をしていただきたいという論点です。
少子化であっても、共働きが増えて保育ニーズは高まって、待機児童は都市部を中心に減らないのが現状でございます。保育の現場では、人手不足も進行して、離職率も高く、令和五年の賃金構造基本統計調査によりますと、平均賃金も、全産業平均では三十四万六千七百円に対して、保育士は二十七万一千四百円である、その差は七万五千三百円と、更なる早急な待遇改善が必要だと考えています。処遇改善加算等も進めていただいておりますが、更なる引上げ等々を含めて抜本的な対策が急務だと考えています。
保育従事者の待遇とか就労環境を向上させていって、子供たちを守る保育の質と量の向上というのは、男女共同参画を推進するに当たっても、これは本当に確実に必要な視点だと私は考えています。
どのように子供たちの安全と健康を守って、さらに、現場で働く保育従事者のこともしっかりと支援をしていくのか。これは、男女共同参画、女性活躍も含めて進めていくには非常に大切な視点だと考えますので、担当大臣としてのお考えを是非お聞かせください。
○三原国務大臣 我が国の女性活躍、男女共同参画を阻む障壁の一つとして、女性に家事、育児、介護の負担が偏っているということがございます。
育児の支援基盤を充実させることは、男女が共に子育てを行い、仕事にも邁進できるようになることにつながるものであり、女性活躍、男女共同参画を推進する上で大変重要であります。その意味でも、保育士の処遇改善、これは大変重要な課題であると認識をしております。
今般の補正予算におきまして、保育士の大幅な処遇改善を盛り込んだところであります。今後、この措置が迅速かつ確実に事業主から保育士に行き渡るように、実績報告を求めるとともに、保育所等の給与状況を明らかにするなど、経営情報の見える化についても進めてまいりたいと思っております。
○橋本(慧)委員 是非ともおっしゃったとおり進めていただいて、報告も、しっかり透明性を高めた政策の推進をお願いしたいと思います。
では、続きまして、孤独・孤立対策の推進と共生社会の実現についてという観点でお聞きします。
NPO法人の全国こども食堂支援センター・むすびえさんが、今月の十一日、先週発表した集計では、子供食堂が全国で一万か所を超える、突破して、公立の中学校や義務教育学校の数よりも多いという状況になってまいりました。これはかなり異常なことだとも考えています。
子供の貧困や孤立、孤独も本当に深刻な状況で、私も現場を回らせてもらっていて、本当に厳しい状況であると痛感しております。また、独り暮らしの高齢者も集まれるような食堂も多くて、それは、子供食堂からみんな食堂として、みんなが集えるような、そして、地域福祉の拠点になる、いろいろな問題についても早期発見ができるというような、そんな貴重な役割も果たしているんですね。
とにかく、食堂に限らず、誰にとっても、特に、声を上げられないような小さなお子さんや、独り暮らしの高齢者等にとって、居場所づくりというのが本当に重要だと地域の現場で感じておりますので、こういった現状について、大臣の思い、改善への決意というのを是非お聞かせいただきたいと思います。
○三原国務大臣 社会構造の変化により、家族や地域、職場などにおける人と人とのつながりの希薄化が指摘される中で、日常の様々な分野における緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりが孤独、孤立の予防の観点からも重要だと思っております。
こうした認識の下、本年六月に策定しました孤独・孤立対策重点計画においては、対策の基本方針として、見守り、交流の場や居場所を確保し、人と人とのつながりを実感できる地域づくりを行う、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動をきめ細かく支援し、官、民、NPO等の連携を強化することとしております。
重点計画の着実な実行を通じて、孤独、孤立の問題を抱える当事者等が、相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で、人と人とのつながりというものを実感できる社会、こうしたものをしっかり目指してまいりたいと思っております。
○橋本(慧)委員 是非とも大臣の口から、もっと決意というか思いを聞きたいなと思っての質問を作らせていただいたつもりだったんですけれども、実際、大臣も、過去、御経験の中でいろいろ、子供食堂であったりとか、胸にオレンジリボンも光っておりますし、やはり、子供も取り残さない、子供の貧困や虐待からしっかり守るんだというメッセージを強く発信されていると私は感じているんです。
そういう観点から、社会で今取り残されているような、なかなか声を上げたくても上げられない方々に対してのメッセージを、是非とも孤立対策、孤独対策と含めて、一言いただきたいなと思うんですが、よろしいでしょうか。
○三原国務大臣 私も、以前も副大臣として孤独、孤立ということにも関わってまいりました。そういう長い取組の中で、本当に、居場所づくり、今子供食堂と言いましたけれども、もう地域食堂という形で、いろいろなところで居場所をつくっていくということ、そしてまた、そこに通うことによって自分の役割というものがだんだんできてきて、皆さんに必要とされる立場になるということ、こうしたことが非常に重要なんだというふうにも思っておりますので、そうした居場所づくりも含め、様々なことをしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○橋本(慧)委員 ありがとうございます。
そういったお考えをお聞きできて、私も非常に心強く思いましたし、本当におっしゃるとおりで、現場に入れば入るほど分かってくるものがあるなと、私自身も勉強中でありますが、本当に共に涙を流すような体験もしておりますので、是非そういった大臣のメッセージをもっとこれからも強く出していただきたいなと思いますし、省庁横断的にも、こういった分野、取組を進めていただければなと思います。是非ともよろしくお願いします。
それに関連するんですが、ボランティアの重要性についても、やはり共生社会を実現して、孤立・孤独対策のためにも非常に重要だと思っているんですね。地域では、独り暮らしの高齢者が心配だから何とかしてあげたい、そして気軽に集まれる場を提供したい、そこに連れ出してあげたいんだというような思いを持つ方とか、実際にボランティアとしてすごく精力的に動かれている方がたくさんいらっしゃいます。困っている人たちの何か支援をしたい、力になりたいという方々の善意をもっと国を挙げて支援をすることが、支援をされる側、そして、する側にとっても非常に重要だと考えます。
共生する社会のためにも、これは是非とも大切な視点だと思っていますので、地域のリソースもうまく活用をして、孤独・孤立対策と進みまして、地域と社会、このつながりができますと、やはり将来の介護とか福祉に係るコストも下げられるというような有識者の御指摘もございますので、そういった、孤独・孤立対策、共生社会実現のための、ボランティアさんをもっと有効的に、善意を持った方々を支えていくんだというような決意とか思いを是非とも届けていただきたいと思います。
○三原国務大臣 孤独・孤立対策を推進していく上で、ボランティアの方々の活動、それをやりやすくしていく環境をつくるということが私たちはとても必要なんだというふうに思っております。
本年四月に施行されました孤独・孤立対策推進法において、地方公共団体による関係者の連携、協働の促進の規定を盛り込んで、NPO等やボランティアを含む関係者等が互いの活動を共有し、地域内の課題について議論をするなど、連携基盤の構築を推進するということとなっております。
内閣府としても、官、民、NPO等の連携基盤となる地方版官民連携プラットフォーム、こうしたものを立ち上げて、市区町村への伴走支援ですとか好事例の横展開、そうしたものを自治体できめ細かく取り組んでいるところを支援してまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、顔の見える関係、こうしたものを築くことが私は大変重要だというふうに思っております。各地域において、そしてまた担い手となる方々がどんどん増えていくこと、そうしたことも、地域の様々なライフステージや属性の方がいずれも取り残されることのないように地域づくりというものをつなげてまいりたいと思っています。
○橋本(慧)委員 是非ともよろしくお願いします。
その重点計画においても、居場所確保、アウトリーチ型支援とか、様々な施策、方針を出されておりますので、是非、地方自治体がしっかりと更に踏み込んだ支援をできるように、国としては、財政支援も含めて、しっかりとバックアップ、人員体制も含めてやっていただきたいと申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
平大臣、済みません、大変長らくお待たせいたしました。申し訳ございません。平大臣にお聞きしたいと思います。
まず、規制改革について。
私も、若手の経営者の方、上場企業の社長等と意見交換を何度かしておるんですけれども、これはその場で聞いたあくまで一例の意見ではありますが、その御意見を紹介しますと、海外からの日本への参入に対しては規制が緩い、国内の規制が間に合っていない分野への参入をどんどん許しているといった懸念とともに、国内のスタートアップや成長企業の事業拡大、成長に対しての国内の規制が厳しく、海外よりも負荷がかかっているんだというような、ビジネスチャンスや企業の急成長の機会を逃しているという指摘や御意見があります。
国内企業の加速度的な更なる成長を促していく必要があるというのは大臣も同じところかなと思うんですけれども、是非とも大臣の御認識と対策、未来への展望をお聞かせください。
○平国務大臣 御質問ありがとうございます。
海外企業の方が規制が緩いんじゃないかという御指摘は当たらないかと思いますが。
日本の事業者はやはりコンプライアンスの意識が強くて、さらに、大陸法ということもあり、規制に当たって、ポジティブリストで、やっていいと書いていないとなかなか踏み出せないところがあります。一方で、英米のスタートアップは、英米法なので、ネガティブリストみたいな、やっちゃいけないと言ったらやらないんですけれども、書いていないとそこを踏み込んでいく、そういった体質とか、あとは、日本企業のガバナンスの問題なんかがあるんじゃないかなと思います。
一方で、今、スタートアップは五か年計画の真っ最中で、かなりこれは充実したメニューがそろっていますし、是非スタートアップの皆さんには、一番大事なのは、新しいサービスをつくって、それを社会実装するときに規制がついてこないというのが一番の日本の問題だと思いますので、私、規制改革担当大臣として、イノベーションとレギュレーションの平仄を合わせるというのは極めて重要だと思っていますので、何か画期的なビジネスアイデアがあれば、早めに御相談いただければと思います。
○橋本(慧)委員 かしこまりました。是非とも更なる推進を期待を申し上げます。
平大臣に、国務大臣として、ちょっと企業・団体献金とかそういったものの考え方について是非ともお聞きしたいと考えています。
いろいろな、週刊誌報道とかメディアの報道でも、大臣については、いろいろな企業からの巨額献金があったりとか、ちょっと怪しいお金みたいなことが、それが事実かどうかは別にして、報じられていることについては、国民は広く疑念を抱いていることもあると思います。
一つ例を挙げると、例えば、コロナ禍で広まったCOCOAというアプリがあったと思うんですけれども、こちらの保守開発を担った企業で、政府からの受注金額というのがトータル三億九千万円にも上るといった会社があると思うんですが、この企業は、令和三年の六月に十二万円を平大臣の政治団体に寄附。そして、その後に衆議院選挙が行われた。令和四年六月に寄附をした。その一か月後には参議院選挙が行われた。非常に選挙と近いタイミングで平大臣に対してそういった寄附が行われる。
このとき、当時平大臣は内閣府の副大臣としてそのアプリの仕様決定にも関わっていると思うんですけれども、それが事実かどうかということと、この件について、密接な関係があるような企業から献金を受けるということについて御見解をお聞かせください。
○平国務大臣 御質問ありがとうございます。
私は献金を広くいただいています、企業献金については。期待をいただいているものとポジティブに受け止めております。
その接触確認アプリの件でありますが、まずは、ストラクチャーというか構造は私がつくりましたけれども、調達は国交省なので、全く触っていません。更に言うと、ここはセカンドレイヤーなんですね。再委託先なので名前も出てきていません。なので、この会社が関わっていることも知りませんし、この会社からこの件で何か相談を受けたか頼まれたという事実もないです。ですから、通常の献金としていただいているということになるんだろうというふうに思っております。
○橋本(慧)委員 知らないというふうにおっしゃいましたけれども、やはり誰よりもデジタルに詳しい方……(平国務大臣「ちょっと訂正」と呼ぶ)
○大岡委員長 次の発言で訂正してもらっていいですか、橋本先生の発言の後で。
○橋本(慧)委員 ちょっと知らなかったというようなお話もあるんですけれども、そういった立場にある方が、自らに御献金をされているようなところを知らないというようなことで片づけるというのは、やはり一般の国民の目から見たらかなり疑問を持つところですし、今まさに政治と金の問題で、本当に政治への信頼が大変失墜していると改めて強く感じていますので、本当に、生意気を申すようですが、襟を正していただきたいというような声をたくさんいただいていますので、是非ともその観点でお願いしたいと思います。
○平国務大臣 済みません、先ほど、国交省と言いましたけれども、厚労省の間違いであります。
私は、献金をいただく企業に対して何か便益を図るようなことはありません。自由と民主主義を守るために私を応援していただきたいということを申し上げて、献金をいただいております。
○橋本(慧)委員 しかるべき立場にあられる方ですから、午前中の質問でも出ていたように、かなり、四割も支部で企業・団体献金に収入のうちを頼っているという話もあったと思いますが、しっかりと、国民は見ていると思いますので、是非とも改善に向けてよろしくお願いします。
質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、水沼秀幸君。
○水沼委員 船橋、市川からやってまいりました、立憲民主党、水沼秀幸と申します。
まずは、地元で押し上げていただいた皆様の思いを胸に、しっかりとこのお預かりした議席、日本の将来のために資するように有効に活用してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
そして、本日、これが私にとって初の委員会質問となりますので、よろしくお願いします。
まずは冒頭、赤澤大臣、今日六十四歳のお誕生日ということで、おめでとうございます。
赤澤大臣が生まれた三十年後、一九九〇年に私は生まれました。元号でいうと平成二年です。皆さん、突然ですが、今この日本には平成生まれが大体何人ぐらいいるか御存じでしょうか。実は三千万人以上います。この国の四人に一人、二五%以上いる世代の代表が、この国のルールを決める国会の場には僅か二%にも満たない人数しかいない。その中においても、子供を育てている平成生まれの国会議員というものは、私が今回議席をお預かりするまで、今まで一人もおりませんでした。
このような現状認識に立った上で、私は、平成生まれの当事者として未来志向の議論ができればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
まずは、赤澤大臣、財政健全化についてです。
今回成立した補正予算、十三・九兆円でございました。この規模がどれぐらいの規模かというと、リーマン・ショックや東日本大震災、非常に大きな規模となっております。その内訳、六・七兆円、約半分は国債、政府の借金で成り立っています。市中消化が二・四兆円だとしても、多くを国債に依存している、こういった状況が続いています。
赤澤大臣は所信で、経済あっての財政だというふうに申しておられましたが、財政の信頼なかりせば経済も大変なことになってしまう、このようなことを危惧しております。このまま野方図な財政の放出、放漫体制が続けば、イギリスで二〇二二年に起こったトラス・ショックのような、経済の安定性が損なわれるような事態が起きてしまうのではないかと危惧しています。
そのような観点で、今回、十三・九兆円、大きな補正予算を積みました。その中で、所信の中でも大臣は財政状況の改善を掲げております。この二つの両立についてどう考えているのか、まずお聞かせください。
○赤澤国務大臣 水沼委員の、本当に若さあふれる質問で、本当に心していろいろお答えしたいと思いますし、あと、冒頭、還暦を過ぎていて恥ずかしいのですが、誕生日についてもお祝いを言っていただきまして、誠にありがとうございました。
それで、我が国経済、長きにわたったデフレマインドがかなりこびりついているところがあって、それを払拭し、成長型経済に移行できるかどうかの分岐点であります。この移行を確実なものにしたいという思いから、先生まさに、委員御指摘のとおり、経済あっての財政との考え方の下、今般、経済対策と、その裏づけとなる補正予算を取りまとめました。
中身をもう委員にはよく見ていただいていると思いますが、やはり足下の、賃金を上げていこうという予算だけでなくて、例えば、地方創生であれば、全国津々浦々の賃上げあるいは所得の増加を実現しようという予算、さらには、投資立国とか資産運用立国ということでいうと、ここに相当力を入れていますけれども、将来の我が国の国富といいますか、賃金、所得を上げていこうというような予算も入れ込んだものになっていまして、そこもしっかりやっていかないと、将来稼ぎが増えていかないと、持続性あるいは安定性というようなもののない状態、賃上げをしっかりやっていけないということになるので、そういうことで予算編成をしたところであります。
昨日、国会での審議を経て、補正予算は成立いたしましたが、国民の皆様への支援を一刻も早くお届けすべく、できる限り早期の執行を目指しております。
その上で、二〇二五年度のPB、プライマリーバランスの見通しについては、今般の補正予算の内容の精査に加えて、来年度の税収の動向あるいは当初予算編成も影響しますので、現時点ではなかなか具体的に申し上げられませんが、もう繰り返しになりますが、委員御指摘のとおり、経済あっての財政だけれども、財政も当然ないわけじゃないのでありますので、しっかり経済成長そして財政規律といったものを両方念頭に置きながらバランスを取っていく、骨太方針二〇二四に基づき、財政健全化の旗を降ろすことなく、来年度の予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。
まさにこのプライマリーバランス、今回、今年、内閣府が夏に、〇・八兆円、八千億円黒字化をすると、二〇二五年、そういった状況があったんですけれども、これだけ多くの補正予算は想定していなかったと思いますので、御高承のとおり、やはり執行が来年度にずれると、その分プライマリーバランスはマイナスに働くと思いますので、この骨太の方針にも記載されておりましたプライマリーバランスの黒字化、これは、二十一世紀になってからずっと掲げて、未達成の状況であります。是非、達成に向けた御努力、積み上げていただければと思います。
続きまして、税収についてのお話をさせていただきます。自民、公明そして国民の三党間で合意されたいわゆるガソリンの暫定税率の廃止に関してです。
これは具体的な時期を明言していないと思いますけれども、やはり廃止をしたら税収が減ると思います。幾らぐらい税収が減るのか、参考人の方でいいのでお答えください。
○植松政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの点につきましては、仮に揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税の当分の間税率を廃止した場合、一年間で、国は約一兆円、地方は約〇・五兆円の減収となりまして、合計約一・五兆円の減収になると見込まれるところでございます。
○水沼委員 ありがとうございます。
一・五兆円税収が減るということなので、どこかで帳尻を合わせなければいけない。そうなったときに、じゃ、どこを削減するかというと、今出しているガソリンの補助金が想定されると思います。
ガソリン補助金、来年一月でちょうど三年になります。今までの累計の支出額、これは補助金の中の部分を含めまして、累計七兆円を超えています。この七兆円、じゃ、月に幾らというふうに考えると、約二千億円です。今申し上げたような形で、暫定税率を廃止すると一・五兆円税収が減る、その一方、ガソリンの補助金措置をやめれば、年間二・四兆円財源が浮くことになります。
この数字だけ見ると、すぐにでも補助金ではなく暫定税率を廃止した方が財政上にとっても非常によろしいかと思うんですけれども、財政状況の改善を進めるとおっしゃっていただいた大臣の御見解を伺いたく、よろしくお願いします。
○赤澤国務大臣 まず、私は今、政府におりますので、税については、党の税調の御議論もあり、加えて、今、野党の皆様とも税調会長同士で話をするとか、そういうこともいただいておりますので、なかなか政府の立場で確定的なことは申し上げられないということは申し上げた上で、お話を伺っておりました。
そういう意味で、実際、補助金でやるか税でやるかということについては、いろいろ政策的な選択の余地があり得るものだと思っておりますし、税の場合、委員御案内のとおり、当分の間と言いながらずっとやっているじゃないか、こういう話になるんですけれども、制度の仕組み方次第では安定的に税収としてカウントできるようなつくり方もあれば、補助金の場合は毎年、予算単年度主義ですので、一年一年必要なものをということであります。
そういう意味で、ここしばらくの間は物価上昇に大変企業も個人も苦しんでおられる状態なので、その痛みはしっかり止めながら、新しい成長段階に経済を移すために全力でやってきておりますが、これも、痛みがある間ということでやっているので、ずっとやろうということではありませんので、その辺も含めて政策を選択していくという中で、最適と思われるものを、野党の皆様の御意見もいただきながら選んでいきたいというふうに思っております。
○水沼委員 ありがとうございます。是非、合理的な選択を重ねていただければと思います。
続きまして、増大が予想される利払い費についてお伺いします。
異次元の金融緩和から十年以上が経過し、結果として、次世代に残されたのは巨額の国債残高だというふうな状況になっています。財務省の四月の試算によれば、これから想定される金利が一%上昇した場合、二〇三三年度では利払い費の増加が八・七兆円あるというふうに伺っています。しかも、今や日本は金利のある世界に突入しています。
こういった状況下で、利払い費の増大を迎えながらどのように財政健全化を果たしていくお考えなのか、お聞かせください。
○赤澤国務大臣 今、大変慎重に委員が御議論されたとおりで、利払い費といいますか、金利が上がったらいきなり我々の国債の残高全体にかかるような話ではありませんので、そうやって、一年当たりにどれぐらい増えるかを精密に議論されることは大事なことだと思っています。
その上で、金利の影響というのはもちろんあります。財政について、金利上昇の影響のみ考慮すれば、利払い費の増加を通じて政策的経費が圧迫され、財政の硬直化が進むおそれがある、まさに委員が御懸念されていることだと思います。
ただ、大事なことは、金利の影響のみを考えるのではなくて、一方で、税収増をもたらす経済成長とのバランスの中で見ていくということです。だから、そこがなかなかうまくいかないと、ちょっと我々としても、政策をつくっている者として責任を感じますが。
我が国経済は、長きにわたったデフレマインドを払拭して成長型経済に移行できるかのまさに分岐点でありまして、こうした局面において、最低賃金の引上げとか、あるいは円滑かつ迅速な価格転嫁、さらには省力化、デジタル化投資の促進等に取り組んで、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものにしたい、まかり間違ってもデフレにもう一回戻るようなことはあってはならぬと思っています。
同時に、骨太方針二〇二四に基づいて、歳出改革努力を継続することで、めり張りの利いた予算編成を行っていきたいと思っていまして、財政の持続可能性への信認が失われることのないように、経済あっての財政との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済、財政をつくっていきたいと思っております。
○水沼委員 ありがとうございます。
財政健全化ですとか、その構成要素であるワイズスペンディングですとか利払い費への対応というのは、今政策決定に参加することができない将来世代に対する責任にほかならないと思いますので、ここは与野党問わず、しっかり真剣に考えていきたいということを申し上げまして、次のテーマに移ろうと思います。
赤澤大臣はここで、よろしければ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
続きまして、いわゆる闇バイト問題についてお話をさせていただければと思います。
今年八月以降、首都圏を中心に相次いで強盗事件が多発しております。私の地元船橋、市川でも四件、非常に多くの事件が発生していて、これは本当に、全国的に見ても非常に大きな社会問題であるというふうに認識しております。政府におかれましても、犯罪対策閣僚会議で闇バイトについても緊急フォローアップをしている、昨日も会議を開かれたということをお伝えいただいております。
そこで、お伺いしたいところがございます。
闇バイトの問題というのは、警察庁さんだけの問題ではなく、ほかの省庁も一丸となって取り組んでいくべき課題だと認識しています。官房長官には更なるリーダーシップを取っていただき、誰一人取り残さない社会の実現に向け、特に若者への、犯罪への加担をどのように減らしていくかということも申し上げていただければと思います。
官房長官のお考えをまずはお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○林国務大臣 まず、私は今日誕生日ではございませんけれども、委員の初質問にこうしてお答えすることができて大変光栄に存じております。実は私も初当選が三十四歳でございましたので、随分年を取ったものだなと思っておりますが。
今委員から御指摘がありましたように、闇バイト、SNSというのが大きいんだろうと思いますけれども、こういったものを使って募集をして、裏で糸を引いている人は誰だかよく分からないね、こういうようなことでございまして、我々の犯罪対策閣僚会議、今触れていただきましたけれども、「闇バイト」による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策を取りまとめました。
まさにおっしゃったとおりで、警察が取り締まる、当然のことですが、それだけではなくて、例えば、SNS等における募集情報、これをどうやって削除していくのか、こうした問題がないとなかなか全体的な解決につながっていかないということでございます。
この点、緊急対策におきまして、まず、厚生労働省、職業安定法を持っておりますが、求人者の氏名、住所等の表示を求めて、その記載がないものについては違法であるという旨明確化する。それから、総務省ですが、違法情報ガイドラインを策定しまして、求人者の氏名等の表示がないものについては違法である、これを盛り込む。こうしたことでSNS事業者による闇バイト募集情報の削除、これが進められることというふうになっております。
まさに、治安を確保して、国民の安全、安心な暮らしを守り抜くため、この会議による総合調整をしっかりやって、各省がしっかりこうした形で連携して、政府一丸となってこの対策に盛り込まれた施策を推進してまいりたいと思っております。
○水沼委員 ありがとうございます。
一連の事件の実行犯というのは、皆さん御存じのとおり、X、旧ツイッターなどのSNSを通じて、高額報酬といった文言で募集をされているところでありますが、闇バイトの実行役というのはもう捨て駒にすぎず、その多くは、二十代、三十代の若者が占めています。
二〇二三年に特殊詐欺で摘発をされた容疑者二千四百人のうち、八五%は主に十代、二十代、三十代の若者が占めておりました。その中でも、不登校やネグレクト経験者若しくはギャンブル依存症の方など、社会から孤立している若者の闇バイトの応募率が高いとヒアリング等で感じています。
これらの状況を鑑みると、闇バイトの募集を始めとする匿名・流動型犯罪は、若者の社会からの孤立そして孤独が顕在化していることが多発化の一因であると認識しておりますが、政府も同じ見解であるか、担当の共生・共助担当大臣にお伺いしたくございます。お願いします。
○三原国務大臣 若者がいわゆる闇バイトに加担してしまう、その理由には、経済的困窮というものを始め、様々なものがあると考えられますけれども、その背景の一つとして、委員おっしゃるように、やはり孤独、孤立という問題があるという指摘、これは承知をしております。
そして、二十代、三十代が多いということでありますが、私ども内閣府の方で実施しました実態調査におきましても、孤独感がしばしばある、常にあると回答した人の割合が、ほかの年代に比べて、二十代、三十代で高いということも分かっております。こうした調査結果も踏まえて、若者を対象とした孤独・孤立対策、しっかりと取り組むことが重要だと思っております。
先ほど橋本委員からもお話ありました、やはり若者の居場所づくりですとか、そうした先駆者的なNPOの方々の政策を横展開していくとか、様々な形でしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○水沼委員 ありがとうございます。認識が一致しておりまして、安心しました。
そこでなんですけれども、であるならば、なぜ、政府が孤独・孤立対策を重要施策であると認識しているにもかかわらず、今回の石破内閣では孤独・孤立担当大臣を任命していないのか。これは、対外的に見たら、政府内において孤独・孤立対策を、後退する、余り考えていないというふうに見えてしまうことを懸念しております。
この部分のお考えについて、官房長官、お聞かせいただければと思います。
○林国務大臣 今まさに三原大臣から御答弁いただいて、委員とも認識は一致をさせていただいたところだとお伺いしましたが、この孤独・孤立対策でございますけれども、組閣時に、石破総理から三原大臣に対しまして、社会的不安に寄り添い、深刻化する社会的な孤独、孤立の問題について総合的な対策を推進するという指示、指示書というのがございますが、そこにしっかりと明記をして、それでもって三原大臣が今担当大臣として取り組んでいるというところでございます。
三原大臣にはしっかりとリーダーシップを発揮していただいて、四月に施行されました孤独・孤立対策推進法、六月に決定した重点計画、こうしたものに沿って、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。是非、孤独、孤立にも向き合っていただければと思います。
官房長官、もしよろしければここで御退席いただいて結構でございます。
続きまして、技術論の部分についてお話をさせていただきます。
今回の闇バイト、募集形態というのは、いわゆる秘匿性の高いアプリ、テレグラムですとかシグナルですとか、そういったアプリに基づいて実行犯役が指示を受けているという現状があります。
このような状況でいうと、このアプリは、いわゆるエンド・ツー・エンド暗号化と呼ばれる強固なプライバシー保護技術を導入しており、これはどれぐらい強固かというと、プラットフォーマーやプロバイダーの方々であっても、なかなか当事者間のメッセージを解析することが難しい、これぐらいのレベルだと認識しております。
ですが、このトクリュウ型の犯罪については、犯行の指示役と実行役のやり取りが明らかになることによって、首謀者の摘発、犯罪の根本的な解決につながると考えています。だからこそ、この秘匿性の高いアプリの解析対策が重要であると考えますが、政府の見解はいかがか。また、今回の補正予算の中で購入される資機材はアプリ内の情報解析にも役立つのかどうか。参考人の方でよろしいのでお答えいただければと思います。
簡潔によろしくお願いします。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
闇バイトによる強盗事件などでは、御指摘のとおり、秘匿性の高い通信アプリが犯行グループの連絡手段として悪用されてございます。
警察におきましては、これまでも情報技術解析の高度化に努めてまいりましたが、令和六年度補正予算におきまして、スマートフォン端末の解析を円滑化するための資機材、被疑者間の関係性の分析の高度化、可視化を図るための資機材の整備に係る予算を計上してございます。これら資機材を利用した解析や分析の結果を捜査に活用することにより、首謀者の検挙を含めた事件の早期解決を目指す所存でございます。
アプリ内のそうした高度に秘匿化されたデータが復号できるかどうかということに関しましては、これは犯人側に対策を講じられてしまうということがございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○水沼委員 ありがとうございます。ここの部分、非常に重要な部分だと思いますので、データ解析技術の進捗を期待しております。
では、続きまして、闇バイトを防ぐ対策の一つに、捜査手法の強化というものが挙げられます。これは、従前メディア等でも報じられている仮装身分捜査についてなんですけれども、ここを早期に実施するということで、石破総理も昨日の会議で発言があります。
本当に、運用ガイドラインにのっとって、いち早く導入していただければと思うんですけれども、その導入の中において、潜入捜査というふうになると思いますので、相手の懐に入り込む以上、捜査員に危険が及ぶ可能性が高まることが懸念されていると思います。
捜査員の安全確保策について検討していることがあれば、政府参考人の方でいいので、御答弁を簡潔にいただければと思います。
○谷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の仮装身分捜査でございます。
このやり方について現在検討しているところでございますが、雇われたふりをして犯行グループと接触をする場合もあり得るものと考えておりまして、この際には、御指摘のとおり、捜査員の安全の確保ということは大変重要だと考えております。
捜査員の安全が確保されるようなオペレーションをしっかりと検討して実施してまいりたいと考えております。
○水沼委員 ありがとうございます。
事件は現場で起きているものだというふうに理解しておりますので、是非、現場の捜査員の皆さんの心理的安全性と士気が高まるようなガイドラインを作成いただければと思います。
本当に、仮装身分捜査は、非常に牽制力も高い、非常に有効な手段だと思います。様々な方法を駆使して、しっかりと、ベテラン世代の皆様が安心できるように、この安全を脅かす闇バイト撲滅に向けて、若者にも寄り添いながら、今後精力的に活動していく、この決意を申し上げまして、お時間がそろそろ迫ってまいりましたので、私の質疑を終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、阿部司君。
○阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。よろしくお願いします。
令和七年度の沖縄振興予算について、まず冒頭、質問させていただきます。
インド太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、沖縄の地政学的重要性は今後ますます高まっていくものと思います。そうした中で、内閣府の概算要求額が二千八百二十億円と、四年連続で三千億円を下回る水準にとどまっていることを大変憂慮しております。特に、沖縄振興一括交付金、とりわけハード交付金の減少は事業効果の発現に遅れを生じさせており、地域の発展に深刻な影響を及ぼしかねません。
沖縄県は我が国の安全保障上重要な米軍基地が集中し、地域住民が大きな負担を担っております。今こそ国として沖縄により一層寄り添うべきときであるにもかかわらず、なぜ三千億円に届かない概算要求となったのか、今井政務官にお伺いをしたいと思います。
また、政務官におかれましては、沖縄出身の国会議員として、地元の声を最もよく理解されているお立場にあると思います。今後の予算編成過程におきまして、事項要求している防災・減災、国土強靱化対策、水道施設の緊急整備に必要な経費も含め、三千億円台の総額確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか、意気込みもお伺いいたします。
○今井大臣政務官 令和七年度沖縄振興予算概算要求については、各事業の所要額を積み上げて、総額二千八百二十億円を要求しており、現在、財政当局と最終調整を行っているところです。
また、令和六年度補正予算においては、防災・減災、国土強靱化対策や水道施設の老朽化対策等を支援するための所要額を計上したところです。その内容といたしましては、公共事業費等関係費約百七十八億円、そして沖縄振興公共投資交付金、これはハード交付金と言われますが、約六十二億円などございます。こうした措置と併せて、引き続き、予算編成過程において必要な調整を行ってまいります。
以上です。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
基地負担を抱える沖縄の振興というのは、国として決して軽視してはならないと思います。政務官におかれましても、御出身の国会議員として、より一層沖縄に寄り添った予算の確保に向けて御尽力いただけますようお願いを申し上げます。
それでは、こちらで御退席いただいて結構でございます。
次に、男女共同参画と共学化の関連性について質問をさせていただきます。
私、埼玉県の春日部高等学校というところの出身でして、公立なんですが男子校なんですね。伝統ある男子校として非常に多くの人材を輩出してきた母校なんですけれども、現在、県内で共学化の波にさらされております。
本年八月二十二日、埼玉県教育委員会で、男女別学校の主体的な共学化推進を掲げる報告書を公表されました。これは、昨年八月に県の男女共同参画苦情処理委員から出された、十二校の早期共学化を求める勧告を受けてのものとなります。
しかし、男女共同参画苦情処理委員という一部の部署からの勧告によって、長年の伝統を持つ学校の在り方を一律に変更しようということはいかがなものかと非常に懸念をしております。そもそも、共学化を男女共同参画の課題として捉えること自体が理念の根本的な誤解なのではないか、このように考えております。むしろ、教育の多様性を否定することこそが、男女共同参画の理念に反するのではないかなと思っております。
男女共同参画社会基本法についてお伺いしたいのですけれども、男女別学という教育形態を排除するものでないという理解でよいかどうか、内閣府政府参考人にお伺いいたします。
○大岡委員長 その前に、今井政務官、退席していただいて結構です。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
男女共同参画社会基本法第四条が定めます社会における制度、慣行は、社会におけるあらゆる制度、慣行が含まれるものと承知しております。
このため、個別の制度が活動の選択に中立的でない影響を及ぼすかどうかは、男女の社会における活動の実態や各種制度等の目的、適用関係等を踏まえ、個別の制度、慣行について、男女の活動に対する影響の有無、影響の程度、対象となる制度、慣行の目的や効果等を考慮して検討すべきものであると考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
こちらは、もう一度、確認ですけれども、男女共同参画社会基本法は男女別学を排除するものではないという認識でよろしいでしょうか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
男女の共学、別学につきましては、今御説明したような解釈に応じまして、地域の実情や学校の特色に応じて設置者が適切に判断すべきものと理解しております。
○阿部(司)委員 ちょっと回りくどい言い方だったんですけれども、排除しないということでよろしいかと思います。
続いて、男女共同参画基本計画についても、同様に、男女別学という教育形態を排除するものではないという理解でよいか、重ねて参考人にお伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
男女共同参画基本計画におきましては、男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育、学習の充実としまして、教育基本法が掲げる男女の平等を重んずる態度を養うという目標が示された上で、学校教育と社会教育において男女平等の理念を推進する教育、学習の一層の充実を図るとされておりますけれども、男女別学について直接言及した記述はないと認識しております。
○阿部(司)委員 もう一度、イエスかノーでお答えいただきたいんですけれども、基本計画においても男女別学を否定するものではないということでよろしいでしょうか。イエスかノーでお答えください。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、男女共同参画基本計画には、男女別学について直接言及した記述はないと認識しております。
○阿部(司)委員 その上で、文科省にお伺いいたします。
NHKの街頭インタビューでは、自分の子供には、将来、男子校、女子校、共学と選べる環境があってほしいという声も聞かれました。
教育機会の多様性確保の観点から、一定数の男女別学校が存在することは、むしろ、生徒や保護者の教育選択の幅を広げることにつながると考えますが、御見解をお伺いいたします。
○日向政府参考人 お答えいたします。
文部科学省としては、教育分野を含む様々な分野において男女共同参画を実現していくことは極めて重要であると考えておりますが、このことは、男女共学又は男女別学のいずれかを一律に肯定若しくは否定するものではないと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
最後に、大臣にお伺いをいたします。
埼玉県など一部自治体において、男女別学の公立学校の共学化が検討されているということを申し上げましたけれども、男女共同参画社会の実現と教育における男女別学の存在は本質的に異なる議論であると思います。県教育委員会も、多様なニーズがあるとして、丁寧な意見把握の必要性を認めています。
むしろ、教育の選択肢として男女別学を残すこと、これは、多様な価値観を認める男女共同参画社会の基本理念にも合致すると思うんですけれども、大臣、保守政治家として、教育の多様性を守るお立場からどのようにお考えでしょうか。お伺いします。
○三原国務大臣 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として行われなければなりません。
この観点から、男女に対し、性別に関わりなく学校における教育を受ける機会を均等に付与するとともに、教育の内容、水準等が男女で同等であることを確保する必要はありますが、このことは、全ての学校における男女の共学を一律に強制するものではありません。
したがいまして、男女別学は直ちに否定されるものではなく、個々の学校において、共学とするか、あるいは別学とするかにおいて、そこにつきましては、地域の実情、住民の意向、あるいは学校の特色、そうしたものに応じて設置者が適切に判断すべきものだと思います。
○阿部(司)委員 大臣、力強い御答弁、本当にありがとうございます。
私の母校である春日部高校も含め、それぞれの学校には固有の歴史と伝統があります。非常に心強く感じました。画一的に全ての学校を共学にする方向性に議論が向かうことには強い違和感があります。共学、別学の議論は慎重に検討されるべきということを強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次に、AV新法の施行後の状況と見直しについて質問させていただきます。
まず、本年、香港で日本人女性が売春の容疑で逮捕された事案について、この中に職業AV出演者が含まれているとの報道がありますが、警察庁としてこの事実を認識されていらっしゃいますでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の香港での事案につきましては、そのように承知しております。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
この事案は、まさに、AV新法施行後の深刻な状況を示す象徴的な出来事ではないかと思います。
そこで、内閣府にお伺いをいたします。
AV新法の施行によって、国内のAV産業において、これまでのような形での従事が制限されている実態があると認識をしておりますが、政府はこの点を把握されていらっしゃいますでしょうか。お伺いします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
AV出演被害防止・救済法においては、性行為映像制作物への出演に係る被害の発生や拡大の防止等を図る観点から、出演契約の締結や履行等に関する特則等を定めておりまして、例えば、出演契約は性行為映像制作物ごとに締結しなければならないこと、性行為映像制作物の撮影について、出演契約書等の交付等を受けた日から一か月を経過した後でなければ行ってはならないことなどが規定されております。
本法施行後は、このような規定に基づき、ルールにのっとって性行為映像制作物が制作されているものと承知をしております。
○阿部(司)委員 現場の実態というのは、今御答弁いただきましたけれども、政府の認識以上に深刻だと思います。
AV新法の施行によって、いわゆる一か月、四か月規制などによって、多くの女優そして事業者の方が事実上の廃業に追い込まれております。そして、より懸念すべきは、国内の出演機会が制限される中、一部の女優が違法な海外での活動に流れてしまっているという実態です。中には、海外に渡航後、消息不明になったという深刻な事例も報告されております。禁酒法のように、規制がかえって問題をアングラ化させて、より危険な状況を生み出しているということも言えるのではないかなと思います。冒頭の香港での逮捕事案はまさにその典型例だと思います。この状況は、本来女性の権利を守るべき法律が、皮肉にも、女性たちをかえって危険な状況に追いやっているとも言えます。
こうした事態は意図せざる法律の副作用とも言えると思いますけれども、政府としてこの事態をどのように認識して、またどのような対策を講じていくべきか、大臣の御見解をお伺いいたします。
○三原国務大臣 一部の方々が違法な海外での活動に流れているとの指摘がございましたけれども、まず、海外での売春のあっせんを行うことや、国内外問わず、遵法意識に乏しい活動を行うことは許されるものではないということを前提として申し上げたいと思います。
また、御指摘があった個別の事案につきまして申し上げることはいたしませんけれども、一般論として、仮に、規制が新設される中で、離職した者の一部において、後に違法行為を行う者があったとしても、その違法行為の原因を規制に求めるというのはなかなか難しいのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、違法な活動に対しましては、各種の関係法令の適用により、厳正な取締りも含めて、各関係省庁連携して対処していく必要があると思っております。
○阿部(司)委員 今の御答弁ですと、いわゆる因果関係に飛躍があるのではないかというニュアンスのように感じられたんですけれども、これは因果関係をしっかり調べていただきたいと思います。私はあると思います。正直言って、ちょっと悠長な認識かなと思っていまして、しっかり対処していく必要があると思います。
AV新法の附則の第四条におきましては、施行後二年以内を目途として必要な措置を講ずるとされております。海外での違法行為への従事という新たな問題が今実際に顕在化をしておるわけですから、単に産業を潰すのではなくて、女性の権利保護そして表現の自由の両立という観点からも早急な法改正が必要ではないかと思いますけれども、大臣、御見解をお伺いいたします。
○三原国務大臣 委員もよく御承知だと思うんですが、AV出演被害防止・救済法は、性行為映像制作物の制作公表により出演者の心身や私生活に将来にわたって取り返しのつかない重大な被害が生じることなどに鑑みて、その防止と被害者の救済のために制定された法律であるとの認識がまず重要であるかと思います。
政府といたしましては、このような法律の趣旨も十分踏まえて、広報啓発を継続的に実施するとともに、相談窓口である性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおける相談支援の充実や、厳正な取締り等に取り組んできたところでございます。
委員御指摘の改正に係る議論については、本法が議員立法により制定されたという経緯などに鑑みて、これは国会における御議論を注視してまいりたいというふうに思っております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
もちろん、女性の権利をしっかり、被害女性を守っていく法律であるということは重々承知をしております。ただ、逆効果、副作用が生まれてきてしまっている、この点、しっかりと御認識をいただきたいんです。
立法府に委ねるという御答弁でしたけれども、所管されているのは大臣のセクションですから、AV新法が及ぼした影響ですとかこの状況というものをしっかりと御認識いただいて、対処いただきたいと思います。
その上で、大臣、このAV新法は、当事者の女優さんを含めて、当事者のヒアリングがなく作られてしまった法律なんです。職業に貴賤はありませんから、昔と違って、やりたい、やりたくてやっている方ばかりなんですね。なので、業界の当事者を中心にしっかり改正していく必要があると思うんです。
今日の御答弁をお伺いしていますと、実態について余り御存じないんじゃないかなと思いまして、もしよろしければ、内閣府の男女共同参画局は被害者支援に特化して仕事をされておるんですけれども、AV女優として真摯に働きたいと思っていらっしゃる方々の意見を聞けるのは私たち政治家だけしかいないと思うんです。なので、私からもおつなぎいたしますので、まずは当事者である女優の皆さんですとか当事者団体の皆さんと対話をしていただくこと、これは通告にないんですけれども、是非お話をしていただけませんでしょうか。
○三原国務大臣 是非、お話は聞かせていただきたいと思います。
○阿部(司)委員 ありがとうございます。
是非、追って御連絡を差し上げたいと思います。
我が党は、この課題に対する具体的な解決策として、既に国民民主党と共同で改正案を提出しております。引き続き、実効性のある、女性保護と健全な産業の在り方の両立に向けて取り組んでまいりたいと思います。
続きまして、風営法改正の検討について質問をさせていただきたいと思います。
近年、悪質なホストクラブによる被害が社会問題となっております。先日、自民党の性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟から、事業者の皆さんに罰則強化を求める緊急提言が提出されました。女性客に高額な売掛金を負わせて、その返済を迫って違法な行為を強要するなど、深刻な被害が発生している状況に対して、早急な対策が必要であることは論をまたないと思います。
しかし、疑似的な恋愛感情を背景とした高額な売掛金の蓄積ですとか違法な支払い要求といった問題は、ホストクラブに限らず、ほかの風俗営業でも発生し得る構造的な問題であると認識をしております。また、特定の業態のみを規制強化の対象とした場合、悪質な営業者が規制の緩いほかの業態へと転換をして、同種の行為を繰り返すことも容易に想像がつくかなと思います。そもそも、風営法の目的に照らせば、接客を行う従業員の性別によって規制に差異を設けることには、私、疑問を感じざるを得ません。
法改正の検討に当たっては、業態を限定せずに包括的な対策を講じる必要があると考えますけれども、警察庁の御見解をお伺いしたいと思います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の点につきましては、警察庁で開催しました有識者による悪質ホストクラブ対策検討会の議論の中でも、有識者委員の方々から、規制対象をホストクラブに限定することは困難と考えられることから、悪質ホストクラブ特有の悪質な行為や、他の業態であってもおよそ認められないような悪質な行為を規制すべき、営業に関する悪質な行為については被害者の性別にかかわらず規制すべきなどの御意見があったところでございます。
今週中にも公表予定の有識者検討会の報告書の内容をしっかりと踏まえながら、風営適正化法改正案の準備を進めてまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
有識者検討会の提言を受けるということで、包括的な対策の御検討をお約束いただいたと理解をいたしました。
様々な背景から居場所を失って繁華街に集まる若者たちが、悪質な客引きなどを通じて違法な風俗営業に流れていく、この状況は非常に深刻だと思います。この観点からも包括的な対策が求められますが、その上で、国家公安委員長にお伺いいたします。
風営法改正の検討に当たっては、立法事実の精査が極めて重要であると考えます。確かに悪質ホストクラブの被害は深刻な問題ではあるんですけれども、単に対症療法的な対策を講じるのみでは本質的な解決には至らないと思います。
例えば、先ほど来様々な委員が御質問されていますけれども、繁華街のトクリュウ型の犯罪グループに対する新たな捜査手法の確立ですとか、あとは、SNSを介した勧誘、あっせん行為の対策強化を進めるとともに、悪質業者による脱法的な行為の実態も踏まえて、風俗営業の構造的な問題に踏み込んだ抜本的な対策、こちらが必要かと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
○坂井国務大臣 今委員が御指摘をされたとおりだと思っておりまして、その点に関しては今検討しておりますけれども、風営適正化法改正に当たっても、抜本的な解決につながるような中身にしてまいりたいと思っております。
元々、今、先ほど事務方からもありましたけれども、この問題の検討会を有識者の方々にお願いをしておりますが、そのときにも、抜本的に解決をする知恵をいただきたいということでお願いをして議論をしていただいているところでございます。ですから、警察の事件捜査等を通じた実態把握に加えて、社交飲食業の業界団体理事の方に有識者検討会の有識者の一人となっていただいたり、また、被害者の支援団体等からもヒアリングなどを行ってきたところでございます。
また、悪質ホストクラブの背後には御指摘のようにトクリュウグループの存在がうかがわれる事実もあることから、有識者検討会では、こうした実態を踏まえた構造的な問題、まさしく委員がおっしゃるように、ここに踏み込んだ議論がなされたものと承知しておりまして、これが今週中にも報告書が公表される予定でございます。
是非とも、それをまた見ていただいていろいろなお知恵をいただきたいと思っておりますが、石破総理からも次の通常国会への提出に向けて作業を加速するように指示がございましたので、しっかり準備を進めるよう警察を指導してまいりたいと思います。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
是非、実効性のある対策を講じていただけますようお願いいたします。
それでは、両大臣、御退席いただいて結構でございます。
○大岡委員長 では、両大臣、御退席ください。
○阿部(司)委員 最後になりますが、審議会等における外国企業の関与について質問させていただきます。
本年三月、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの構成員であった自然エネルギー財団事業局長の大林ミカ氏が提出した資料に、中国国営企業のロゴが使用されていた問題が発覚いたしました。こちらは私も内閣委員会の質疑で質問させていただいたんですけれども、このタスクフォースはエネルギー基本計画にも影響を及ぼす重要な会議体でありますが、国家の根幹の部分に関わる分野において中国その他の外国の国営企業の影響が及んでいた可能性があることは、非常に安全保障上の問題でもあると思います。
この問題について、岸田総理からは、しっかり調べて厳正な対応を講ずるという御答弁もいただいたんですけれども、この調査でどのような事実関係が判明して、どんな対応が取られたのか、政府参考人にお伺いいたします。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの中国国営企業のロゴ使用問題につきましては、ロゴが入った資料の提出がなされた再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース、この事務局であります規制改革推進室から独立した立場から、私ども内閣府大臣官房において、弁護士等の参加も得て調査を実施し、その結果を本年六月三日に公表させていただきました。
本調査におきましては、資料提出を行った構成員及び当該構成員が所属する公益財団法人のいずれも、中国政府等から不当な影響力を行使され得る関係性を有していた事実、これは確認されませんでした。一方で、法令により付与された所掌事務と権限に基づき政策の調査審議や意見具申等を行う審議会とは異なりまして、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談の場として性格づけられるべき当該タスクフォースにおきまして、審議会である規制改革推進会議と同様の運営が行われた事実などが確認されたものと承知しております。
本調査結果も踏まえつつ、同タスクフォースについては、既に一定の成果を上げたため廃止し、その議論は規制改革推進会議に引き継ぐことといたしました。
また、これと併せまして、政府全体として適切な対応が図られますよう、有識者等の構成や、外国勢力等の不当な影響の防止、行政運営上の会合の運営、これら三点について、六月十日付で各府省庁の大臣官房長等による申合せを行いまして、改めて政府部内における対応方針について周知徹底を図ったところでございます。
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
こちら、一問ちょっと飛ばさせていただきまして、最後の質問に行きたいと思います。
この問題で、エネルギー政策という重要なインフラ分野における外国企業の関与の疑惑という、非常に経済安全保障上の課題も浮き彫りになったわけですけれども、今般、経済安全保障推進法が全面施行されて、基幹インフラの安全性確保に向けた取組が本格化する中、大臣にお伺いしたいと思います。
再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースは、一定の成果を上げたとして廃止されたものと承知をしておりますけれども、今後、エネルギー政策など、安全保障上の基幹インフラにも該当する分野の会議体における有識者の選定について、外国企業との関係性のチェックを含め、どのような基準や対応指針を整備していくのか、御見解をお伺いいたします。
○城内国務大臣 お答えいたします。
経済安全保障に関連する分野に限らず、政府の政策決定プロセスにおきましては、外国政府や外国企業など、外国勢力の不当な影響が及ぶことは絶対にあってはならないことであることは言うまでもございません。
国益上の観点から、また経済安全保障上の観点から、本件について高い御関心を持っておられる阿部委員の御見識に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
どのような対応かという御質問ですけれども、本年五月に成立した重要経済安保情報保護活用法のこの内閣委員会の審議におきまして、附帯決議をいただいたところでありまして、その中では、政府の決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことがないよう留意することとされておりますし、先ほど政府参考人の松田内閣府官房長も御答弁ありましたけれども、本年六月には各府省庁の大臣官房長等による申合せが行われており、政府全体で徹底していくこととなっております。
さらに、お尋ねの、経済安全保障推進法に規定されている基幹インフラ分野の会議体につきましては、各基幹インフラを所管する各省庁において様々な会議体がございます。この申合せを踏まえまして、所管の大臣等が、審議会等の委員の任命において、委員に代表される意見、学識や経験等が公正かつ均衡の取れたものとなるよう留意するとともに、有識者の選定理由を適切に説明できることが求められております。
いずれにしましても、しっかりと問題意識を持って、各関係省庁とも十二分に連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 非常に重要な問題ですので、慎重かつ適切な運用をしていただきますよう要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。今日はよろしくお願いいたします。
先ほどから、今日は初めてという方がいらっしゃるんですが、私も、二〇〇三年、初当選した直後は内閣委員会でございまして、大変懐かしく思っているところでございます。
内閣委員会、当時は、警察と皇室という感じで、余り開かれない。それで、大ベテランばっかりですね、総理経験者とか。皆さん質問しないものですから、新人の私がほぼ質問時間をいただいてやっておりました。そのときに何をやっていたかというのが今日のテーマの一つなんです。まさにNPOの話をしていたんです。
NPOというのは何かというと、非営利組織ということなんですけれども、私は、これは、市場セクターそして行政セクターと並ぶ、非営利セクターというものは社会の三本柱の一つだ、社会システムとして共助のセクターを打ち立てなくちゃいけない、こういう思いでNPOの話をしておりました、内閣委員会を通じて。だから、そのための制度をつくらなくちゃいけない。
当時は、NPO、私にとっては民の公なんですね。民間の知恵とか迅速性とか柔軟性を持って公のサービスを提供する主体がNPOなんです。NPOセクターなんです。ですから、そういうものとして私はNPOの制度を打ち立てなくちゃいけないと。
当時はどうだったかというと、国家公益独占主義なんですね。この国は税金を使って公のことをやるんだということなんです。その根拠法が民法の三十四条であったんです。これを削除しなければならないということを、この内閣委員会を通じてしつこくしつこく毎回毎回やっていました。当時、野党でしたけれども、二期目のときに、二期目になってもしつこくしつこく内閣委員会でやっていたものですから、当時の財務省の方がいらっしゃって、もう質問をやめてほしい、答弁が大変なんだ、大臣の皆さんが困っている、だからちゃんとやる、確かにあなたの言うとおりだ、あなたの言うような社会にしなくちゃいけないということで、税の優遇措置も含めた新しい制度をつくりますということで、新しい制度ができたのが一般法人制度であり、新しい公益法人制度なんですね。
公益法人制度は、昔はまさに天下り先だったわけです。民法三十四条は何と書いてあったかというと、この国で法人格を取って公益活動をしたいならば、主務官庁というお上の許可を得なさいと書いてあったんですね。書いてあったんです、民法三十四条には。すなわち、この国では、許可は、基本的に禁止ですから、原則禁止で、主務官庁が認めたらオーケーというのがいわゆる許可ですよね。だから、この国で公益活動を法人格を取ってやろうとしたら、主務官庁というお上の許可を得なければできませんというのが民法三十四条の世界だったんです。
これではいけないということで、民法三十四条を削除した上で、今は削除されました、削除した上で、新しい公益法人制度といいますか、いわゆる非営利法人制度をつくらなくちゃいけない、こういうことで、実は二〇〇八年にでき上がったということであります。
ということで、今日、皆さんのお手元にも資料をお配りさせていただいているんです。
そうなってきますと、今日、なぜこの質問をしているかといいますと、三原大臣にはなるべく立っていただかないようにしますので、三原大臣のいわゆる所信表明の中で、いわゆるNPO法人という言葉遣いと、NPOという言葉遣いと、公益法人という言葉遣いというのが入っているんですね。じゃ、このときに概念整理はどうなっているのかということなんですね。
多分、この間、三原大臣がおっしゃったNPO法人というのは、恐らく特定非営利活動促進法による特定非営利活動法人のことをおっしゃっているはずなんですね。しかし、これをNPO法人と呼ぶと、じゃ、一体、一般法人制度ができた後の一般法人は何なのかとなっているわけですね。
実際に世間では、NPO法人は、特定非営利活動法人をNPO法人といって、一般法人をNPOと思っている人はまだ少ないと思います。でも、違うんです。概念は、今お手元に資料を渡しているように、一般法人こそがNPOなんです。NPO法人と呼ぶならば、一般法人こそがNPO法人なんですね。今日は法務省は来ていらっしゃらないけれども、当時、法務省がいわゆる一般法人の所轄ですけれども、法務省は当時、新しい非営利法人制度ということでこの話をしていたんです。まさにNPOですよ。
だから、これから是非とも、内閣府はまだNPO法人という言葉を使い続けておられるケースがよく見られるんですが、ほかの省庁では、私は徹底的にNPO法人潰しをしてきまして、もう違う、一般法人がNPO法人であるということでずっと言ってきて、ほかのところはちゃんと、分かりましたといってやってくれているんですね。ところが、内閣府はまだNPO法人という言葉を特活法人に、私は特活法人と呼んでいますが、特活法人に使い続けていらっしゃるので、こうなると概念が非常に分からなくなる。
だから、是非とも正しい概念に基づいてこれから用語を使っていただきたいというのが、今日私が三原大臣にお願いをしたい第一点。第一点というか、これ一点をお願いしたいという思いで大臣に今日お越しいただいて、立つのも大変だと思いますけれども、是非ともお答えいただければと思います。
○三原国務大臣 御指摘の、私が発言しましたNPO法人という言葉ですが、御認識のとおり、特定非営利活動法人の意味で発言したものでございます。
先ほど委員からNPOの概念という御説明をいただきました。
委員御指摘のとおり、特定非営利活動法人は、NPOの類型の一つであることは十分認識はしております。他方で、特定非営利活動促進法、平成十年に議員立法により成立いたしましたけれども、この法律の制定当時より、NPO法やNPO法人という言葉が使われてきており、国民の間でもある程度一般的になっていると認識しております。
政府といたしましては、国民にとってより分かりやすい表現を使わなければならないというふうに考えております。今後は、NPO法人という言葉を使う場合、NPOとはNPO法人のみを指すものではないとの委員の御指摘に留意しながら、引き続き、特定非営利活動法人ということを行う、特定非営利活動の促進を図ってまいりたいと考えております。
ありがとうございます。
○市村委員 そうなんです。最初にこの特定非営利活動促進法ができたものですから、当時、NPO法人と呼ばれていました。それは、新しい一般法人ができるまでは仕方なかったんです。それしかなかったんです。しかし、民法の三十四条を、つまり、この国は、公益法人の概念はあっても、いわゆるNPOの概念がなかったんですね。公益法人だけがあって、本当はその外縁にあるべき、それを包み込むべき非営利法人の制度がなかったんです、民法三十四条のために。だから、民法三十四条を削除して、三十三条にいわゆる一般的な法人を定めたんですよね。民法を改正したんです。それで、今こうなっているという状況であります。
だから、そのとき、一般法人ができたときには、特定非営利活動法人は一般法人に組み入れればいいというふうに私は主張していたんですね。そんなに難しい法律にはなりません。だから、本当はこれもやってほしいんです。やるべきなんです、本当は。
だって、元々は、特定非営利活動促進法ができたときは、いわゆる登記でやれと言っていたんですね。登記でいわゆる非営利法人格を取るべきだと。ところが、認証なんです、この特活法人は。だから、中途半端だったんですよね。それで、一般法人ができて、これは登記です、その中でより公益性が高いと思われるものが公益認定等委員会で公益認定を受けた上で公益法人になる、そういう仕組みになっているわけでありますから、一般法人ができた段階では、NPO法人というのはこの一般法人のことを指すんだということを、そういうふうな認識を是非とも政府も、今日は官房長官も各大臣もいらっしゃっていますので、広めていただきたいというのがお願いでございます。
官房長官、手を挙げていただいたので、是非ともお願いします。
○林国務大臣 委員のお話を本当に懐かしく拝聴しておりまして、実は、内閣府の副大臣のときに、今おっしゃっていただいた改革を直接担当しておりました。公益法人が、これは行革の観点からいいますと、行政委託型が大変増えて、そういう指摘もあったところでございましたので、税制の優遇を切り離して、一般と公益というふうに分けたということをやったという記憶がございます。
そのときに、今まさに先生がおっしゃっていただいたように、じゃ、特活ですね、NPOも、これが分かれたのなら、こことかなり近い概念になるのではないかという概念はたしかあったと思いますが、私のうろ覚えの記憶ですと、もう特活の方がかなりいろいろ広がっていて、これをまたこっちに入れるというイメージがどうなのか、こういうような議論もした記憶がございますが、あれからもう大分時間もたっておりますので、委員の御指摘も踏まえながら、横断的にしっかり検討してまいりたいと思っております。
○市村委員 官房長官、ありがとうございます。
それでは次に、サイバーセキュリティーという用語について、今度またこれは用語なんですが、平大臣と少しお話をさせていただきたいと思います。
私、まず、経産委員会、予算委員会等で言い続けていることが一つあります。サイバーセキュリティーという言葉は正しくないというか、サイバーセキュリティーで議論しても駄目だということなんですね。サイバーセキュリティーというのは、サイバー空間は、世界の常識ではノートラスト、ゼロトラストなんです。だから、サイバー空間を守るという議論をしても、守り切れないというのが常識なんですね。
ですから、じゃ、一体サイバーセキュリティーという用語で何を守ろうとしていたのかというと、これは言うまでもなく情報なんですね。外交機密や産業機密、あとは防衛機密とか等々、守るべき情報は何なのかを定めた上で守る、それを守り切るというのがやはり情報セキュリティーでありますから。それで、その情報が、今はインターネット等、サイバー空間を通じてやり取りされることが多い。だから、サイバー空間でそういうのがいろいろ取られているので、取られるだけならまだいいんですけれども、成り済ましされたり、改ざんされたり、これが一番問題なんですね。
だから、そういうときに、サイバーセキュリティーという観点ではなくて、もう一回原点に戻って、情報セキュリティーというところの中のうちのサイバー空間をどう守るか。最近は、能動的サイバー防御という言葉が出ています。私はこれでいいと思うんです。ただ、サイバーセキュリティーで守り切ろうなんといっても、そもそも守り切れないものを守るという発想で、そこでもう行き詰まっているんですね。だから、情報セキュリティーということに、もう一回原点に戻した上で、じゃ、守るべき情報は何か、それをしっかりと議論して確定させた上で、その情報は守り切るということが必要だと思います。
じゃ、守り切るときに何が必要なのかということなんですね。私は、そこで完全暗号です。今も暗号は使われていますが、残念ながら、今の暗号は公開鍵方式という形で鍵まで一緒に送るものだから、それまで取られちゃったら、幾ら暗号をかけたものでも、箱でも、鍵をかけても、鍵まで取られちゃったらそれは開けられちゃうんですよね。これは単純な話なんですよ。取られちゃうんです、こっちも。
だから、そうじゃない、鍵をかける、この鍵が絶対開かないようにしなくちゃいけないんですよね。そういう工夫があるんです。それを実装している人がいるんです。日本人なんです、MITに行っていらっしゃった方ですけれどもね。あるとおっしゃっているので、私は経産委員会でも、じゃ、あるんだったら、それをちゃんと、それを本物かどうか判断できないから、早く政府で判断してほしいと言っているわけです。
それで、CRYPTRECというところを紹介していただいたんですが、CRYPTRECさんはどうしても学術的なところなものですから、なかなか、この完全暗号なるものは公開で話をするべきことでもないわけですよね。だから、私はずっと実は官房でやってほしいと言っているんですが、官房の方も、いや、ちょっとそれは違うんですねということで、やはりCRYPTRECさんでとかいう話なんですが、まずちょっと先に、後で官房長官からも御見解をいただきますが、平大臣、どうですか、サイバーセキュリティーという言葉は私は変えた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。
○平国務大臣 ありがとうございます、御質問いただきまして。
まずは、委員御承知のとおり、昔は、DDoS攻撃みたいな、ウェブサイトに大量にデータを送ってホームページが動かなくなるというところから、今は、いわゆる、侵入してデータを暗号化して、それを復元するために暗号資産をよこせみたいな身の代金型になったり、まさにデータはおっしゃるとおりだと思いますが、最近の一番新しいのは、今度は、制御系のサーバーに入ってきて乗っ取っていろいろな悪さをするということがありますので、データも大事なんですけれども、サイバー空間全部は守れると思いませんが、その侵入経路も含めて守るということも必要だろうというふうに思っています。
○市村委員 まさに私は、データというより情報と申し上げています。情報です。情報は英語で四つあるというふうに言われていますからね。ファクト、データ、インフォメーション、そしてインテリジェンスと四つに分かれます、英語で言うと。だから、データだけじゃないんです。まさに情報を守らなくちゃいけないんですね。だから、そういうときには、やはり守るべき情報を完全暗号で箱に、箱に入れるという表現が正しいのかどうか知りません、ちゃんと鍵をかけて、暗号で鍵をかけて、それで、その鍵が開けられる人しか開けられないようにしておかなきゃいかぬわけです。
ですから、そのためには、完全暗号というものがある、もう実装されているという主張をしている人がいらっしゃるので、日本で。だから、是非とも、この方の意見をしっかりと、CRYPTRECさんでは難しいらしいので、内閣官房にそうした機関をつくってやっていただきたいと思っているんですが、官房長官の見解をいただく前に、警察も非常にサイバー攻撃で苦しんでいる、捜査して一番大変なのは警察でありまして、激励の意味で国家公安委員長に一言いただきたいと思いますが、頑張ってほしいという思いですので、ちょっと一言ください。
○坂井国務大臣 まず、暗号技術そのものは情報セキュリティーを確保する上で重要であると承知をいたしております。
そして、警察においては、電子政府推奨暗号リストというものに載っている技術を使って安全な利用に努めているところでございますので、完全暗号という、委員が御指摘をする技術があるということは今御指摘をいただいておりますので、認識はする一方で、是非ともこれをリストに載せていただいて適切なものとして使えるようになればと、今、私個人は思っております。
○市村委員 まさにそのリストに載せるためにCRYPTRECなんですが、CRYPTRECではなかなか私は難しいと思います。いろいろ、制度的にもCRYPTRECでは難しい。
今度、NISCがそういうサイバーの安全保障を担うみたいなことになるというふうに聞いておりますが、NISCさんとも話をしていますけれども、私、だから官房長官、これは国家の根幹に関わる話だと思いますので、是非とも官房長官のところで取りまとめをやっていただくことはできないでしょうか。どうでしょうか。
○林国務大臣 先ほど委員がおっしゃった方のお話というのは、実は自民党におったときに一度お伺いしたことがございます。私も昔から存じ上げている方だと多分思っておりますが、そのときも、完全暗号であるという御説明なんですが、私は素人ですから、じゃ、どなたか専門家に聞いてみないと、こういう印象を持ったことを覚えております。
今まさにおっしゃっていただいたように、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準というのがございまして、先ほど出していただいたCRYPTRECによる安全性及び実装性能の確認結果、これを踏まえた上で、まさにこれは非常に専門的なものですから、ここで専門的に確認をしていただいた上で、先ほどの電子政府推奨暗号リストに載る、こういう仕組みになっております。
恐らく、じゃ、私が直接聞いて、いいじゃないかというだけのものは持っておりませんし、結局、そこにまた戻ってしまうのではないのかなと思っておりましたら、質問いただいたので過去の議事録を見ましたらお話をしていただいているということで、この完全暗号と呼ばれる技術についても更なる検討をするために、技術評価に実績のある専門家によって内容を確認された論文等、実態を正確に把握するための客観的な資料の提示等をしていただければ更に検討が進むんじゃないか、こういうふうに思っております。
両大臣からあったように、これは大事なことでございますので、そういう考えでやってまいりたいと思います。
○市村委員 ありがとうございます。
じゃ、最後に、もう一個、もう一テーマやらせてください。これも私、もうずっと予算委員会等でもやらせていただいているんですが、いわゆる子供の連れ去りです。
私は、誘拐、実子誘拐という表現を使わせていただいていますが、これは大変深刻です。確かに、本当に、DVとか、ドメスティック・バイオレンスとか、そして児童虐待に遭っているケースならば、それは当然、しっかりと戒めなくちゃいけないわけでありますけれども、それを偽装する、でっち上げて子供を連れ去る、これは誘拐と言ってもいいと思いますが、刑法犯です。
そういうことをされると、された方は大変心を病むわけです。突然いなくなるわけですから、何があったんだろうと思うわけです。そして、いなくなって、そして裁判所に行っても、どこに行っても、役所に行っても、何も、あなたがDVで、夫なんだ、あなたがDV、妻のケースもありますから、ということで、話を聞いてもらえない、子供に会わせてもらえない。そして、心を病んで、しまいには、実は自殺をしているケースが大変多いんですね。これはずっと指摘してきました、予算委員会でも。
それで、今回、残念なことに、十一月にもまた犠牲者が出てしまっています、自殺者が出ています。参議院の方でも嘉田参議院議員がこれをかなり話をされていますが、この実態を、また改めて今日おられる四大臣の皆さんには是非とも御理解いただいて、こういうことから犠牲者が更に出ないように。
それで、是非ともお願いしたいのは、今日は、検察から、法務省いらっしゃっていただいていますが、今、警察は結構頑張ってくれているんです。ただ、ちょっと温度差があります。今回、十一月に自殺されたケースは、警察も実は余り話をちゃんと聞いてくれていなかったようなケースなんですね。ただ、警察は頑張ってくれていて、結構、受理して送検しています。ところが、送検した後に検察に行って、起訴案件がまだ一件もないんです。
私は是非とも、別に何が何でも起訴しろということをお願いしているのではなくて、きちっと判断をしていただいて起訴をしていただきたいと思っていますが、今日、政府参考人からいただきたいと思います。
○吉田(雅)政府参考人 個別事件の処理について法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、刑法二百二十四条の未成年者略取誘拐罪は、未成年者を略取し、又は誘拐した場合、すなわち、暴行若しくは脅迫あるいは欺罔若しくは誘惑を手段として、未成年者をその保護されている状態から引き離して自己又は第三者の事実的支配下の下に置いた場合に成立するものとされております。
最高裁判所の判例においては、親権者による行為であっても刑法二百二十四条の構成要件に該当し得るとされておりまして、行為者が親権者であることなどは行為の違法性が阻却されるか否かの判断において考慮されるべき事情であるとされているものと承知しております。
○市村委員 ありがとうございました。
是非とも、検察の方で起訴、そして裁判できちっとこれが判断されるような状況になってほしいと思っています。
最後に申し上げますが、皆さん、自分で想像してください。本当に突然、子供がいなくなる、ある日突然、忽然と配偶者とともに消える、何が起こったか分からない、そして、本当は連れ去られた、誘拐された被害者なのに、いつの間にか、DV夫だ、DV妻だということで、児童虐待妻だ、児童虐待夫だということで、被害者なのに加害者にされるという立場に追い込まれるわけですね。それで、子供に会えなくなる。こういう悲惨な、むごいことはもう二度と起こしちゃいけないと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 ありがとうございます。れいわ新選組の上村英明と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、女性の社会参加についての国際関係についてお伺いしたいと思いますけれども、今年の十月に、女性差別撤廃委員会、我々はCEDAWと呼んでいますけれども、八年ぶり、第九回目の対日審査が行われ、これがかなり注目を集めたというふうに思っています。
これからもいろいろな、多分国会での議論があると思うんですけれども、それについて、十一月一日の定例記者会見で三原担当大臣が、これまで各方面から指摘されている不便や不都合の対応などは検討したいというふうに御発言をされていますので、その辺の御真意のことを簡単にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○三原国務大臣 まず、十月二十九日の、国連の女子差別撤廃委員会から、我が国の女子差別撤廃条約の実施状況に対する最終見解が公表されたということでございます。
我が国は女子差別撤廃条約上の義務の誠実な履行を重視しておりまして、本年十月の審査においても、政府代表団から各分野の状況を適切に説明するとともに、委員からの質問に対し誠意を持って回答したというふうに承知しております。
結果として示された勧告を含む最終見解につきましては、その内容を十分に検討し、関係省庁において適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
○上村委員 ありがとうございます。
今御発言があったのは、多分、担当官庁は外務省だと思うんですが、外務省の方で、何かこの審査に関して、こんな感じだったという状況説明があれば簡単にお願いしたいと思います。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
人権諸条約の対日審査におきましては、各委員会から出される勧告について、関係省庁においてその内容を十分に検討し、必要に応じ適切に対応しているところでございます。
政府審査のプロセスを通じまして、各委員会に対し、我が国の考え方、取組を丁寧かつ真摯に説明しているところでございます。
○上村委員 ありがとうございます。まあ、多分そういうふうな御回答になるなというふうには思ったんですけれども。
もう一点つけ加えてお話をしていただきたいなと思うのは、内閣府のホームページを見ますと、世界経済フォーラムが算出しているジェンダーギャップ指数、GGIというのが今年の分も出ておりまして、百四十六か国中、日本は百十六番目という数値になっているんですけれども、これに関しては、三原大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○三原国務大臣 本年六月に世界経済フォーラムが公表した二〇二四年のジェンダーギャップ指数におきましては、日本は、昨年と比べてスコア、順位共に改善が見られましたが、依然として謙虚に受け止める必要があるというふうに考えております。
特に課題と考えられるのが、政治分野と経済分野につきましてです。女性が政治に参画する際の障壁について、今、より実態に即した把握ができるように調査を行っております。その結果に基づいて周知啓発を行いたいと思います。また、企業における女性役員、管理職の登用目標の達成に向けても、行動計画の策定を促して、女性登用に向けた人材育成ということを加速させる取組、頑張ってまいりたいと思っております。
○上村委員 どうもありがとうございます。
今、ジェンダーギャップ指数とそれから国連の女性差別撤廃委員会の二つの対日審査、ある意味では評価についてのお話を伺ったんですけれども、国際的な観点から見た日本の評価というのは実はかなりつながっているというふうに思っています。
具体的にはどういうことかといいますと、今回のCEDAWの対日審査の中には、喫緊に、二年以内に重要な課題に関して報告をすることというのが四項目挙がっています。
その二番目にあるのが、今の女性の政治参加が低いという項目で、それに対してCEDAWの勧告は何というふうな言い方をしているかというと、選挙に出るときの供託金が高いんじゃないかという。これは別に女性だけではないんですけれども、こうした問題が女性の政治参加をやはり阻害しているのではないかということがありますし、この問題が、ジェンダーギャップ指数のポイントが低くなるという、日本のこうした分野には女性の進出が相変わらず見られないということにつながっているというふうに思っています。
そういう意味でいけば、こういうふうな国際的な視点から日本がどう見られているかということがつながっているという問題についての御認識を政府に持っていただければというふうに思います。
ついでに、この対日審査の中の先ほどの四項目に関しては、二年以内にということが書かれているんですけれども、一番目は何かというと、これは先ほど市來委員からも御質問がありましたけれども、選択的夫婦別姓の問題についての勧告が出ております。
これに関しては、御存じのように、四回目の同じような勧告ということになっていまして、先ほど三原大臣は、それから外務省の方も、真摯に対応しているんだというふうなことはおっしゃっていますけれども、なかなかそれが受け入れられていないなということも踏まえながら、この選択的夫婦別姓に関しては、三原大臣自体がやはり女性なので、この辺に関しては個人的にどういうふうにお考えかというのを少しお伺いできればと思います。
○三原国務大臣 選択的夫婦別氏制度につきましては、国民の皆様の間に様々な議論、様々な立場からの御意見があり、制度の導入につきましては、より幅広い国民の皆様の理解を得る必要があると考えております。
また、議員御指摘のとおり、旧姓通称使用するに当たって、様々な手続における負担のほか、海外での仕事ですとか生活への支障、こうしたことで不便や不利益を感じておられる方がいらっしゃること、私もそれは承知をしております。
このため、これまでに各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討するとともに、この夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について、国民の皆様の理解が深まるように取り組んでまいりたいと思います。
例えば、選択的夫婦別氏制度とは、同氏を称することを否定するものでも別氏を強制するものでもなく、あくまでも選択肢を増やすものであること、そして、婚姻によって旧姓を使えなくなる方の不便ですとか不都合の具体例、こうしたことも含めて、もっと国民の皆様に分かりやすい情報提供そして関連データの提示などの取組を通じて私は議論を後押ししてまいりたいと思っております。
○上村委員 御答弁ありがとうございます。
今、大臣に個人的な見解もお話を伺ったので、ちょっと私の個人的な経験をお話ししたいと思うんですが、実は、私は婚姻したときにパートナーの氏の戸籍に入りました。多分、いろいろな男性の方がいらっしゃると思いますけれども、戸籍を結婚のときに変えられた方ってどれぐらいいらっしゃいますか。いらっしゃらないですよね。
私は、やはり変えたとき、今おっしゃったように、本当に大変でした。免許証を変える、保険証を変える、銀行口座の名前を変える、それから、何か証明書を持っていればその証明書も変えなくちゃいけない。様々なことがあり、私はそのとき大学の教員でしたから、通名で授業を組む、ただ、お給料は実名でもらうという、そういうことをやりました。
それから、多分、三原大臣が担当されている女性の働き方ということでいけば、名前を変えるというのは、それまでに積み上げてきたいろいろなものががらっと変わることなんです。だから、物すごいストレスを感じますし、不便を感じまして、やはり私は男性でしたから、こういうことに男性がやはり向き合ってこなかったんだなということをそのとき非常に感じました。
今おっしゃったように、国民の議論を尽くすというのは、その状況でやれば、男性の普通の方たちというのは、この氏を変えるということに、経験もないし、考えたこともないし、そういうふうな、ある種、この前の委員会のときにアンコンシャスバイアスという話がありましたけれども、目に見えない偏見を皆さんが持たれている中で、どうやって国民の意見でそれをまとめていくのかというのは、私個人は物すごく違和感を持っております。
その意味でいけば、今回、公明党の代表の方が、今日のネットの関係の記事では、やはりもう意見を聞く段階ではなくて、いろいろな方が、これは、先ほど大臣おっしゃったように、選択的なのでそのままでやりたいという方はそれで構わないわけですよね、ということも踏まえて、もうやはりやるときだというふうなことを書かれておりまして、そういう意味でいけば、国会、内閣がこの問題についていま一歩、近々にこの問題で解決を見るようなところに歩を進めていただければ大変ありがたいなというふうに思って、今までのお話をさせていただきました。
それから、もう一点。
今日は官房長官も来られていますので、このCEDAWの勧告の中で出てきた一点について官房長官の御意見も伺いたいなというふうに思うんですが、これは、そうした様々な人権の課題があったときに、国際社会では国内人権機関というのを設置するということがかなりある意味では当たり前の状況になっています。
今、日本では、法務省に人権擁護局がある。あるいは、裁判で訴えたらどうですかということがありますけれども、様々な人権の侵犯の課題ができたときに、それを裁判に訴えられる人というのは実はそうたくさんいるわけではありません。お金もかかります、専門家も雇わなくちゃいけない、時間もかかります。そういう中で、自分たちがどんなふうに人権侵害の被害者であるかということをもっと簡単に扱っていこうというのが国内人権機関の役割であります。
ただし、条件がありまして、パリ原則というのがあるんですけれども、その中でいけば、政府から独立した政府機関、これがなかなか日本では理解されないなというのが私の正直なところなんですけれども、いわゆる日本学術会議のような、政府の機関ではあるけれども政府から独立した第三者機関としての国内人権機関をつくるという提案は昔からされております。
実は、民主党政権のときに、二〇一二年には国会にそうした提出があったんですが、これはそのとき条件が合わずに流れてしまいました。せっかく今回も、CEDAWの勧告の重要なパートとして、国内人権機関を日本はつくったらどうかという、つまり、実際のこの基準に沿ったときに、それを担保する機関というものを国内でつくったらどうかという提案がありますので、林官房長官の御意見を伺えればというふうに思っています。よろしくお願いします。
○林国務大臣 国内人権機関の設置でございますが、人権救済制度の在り方につきまして、これまでなされてきた議論の状況を踏まえまして、法務省において不断に検討していると承知しております。
今、ちょっと委員がお触れになりましたように、実は法案が、平成十三年の人権擁護推進審議会の答申を受けて、平成十四年に人権擁護法案、それから平成二十四年には人権委員会設置法案、それぞれ国会に提出をいたしましたけれども、いずれも衆議院の解散によって廃案となった、こういうことでございます。
そのときに、反対意見としては、人権委員会の独立性が高く、その権限が巨大過ぎるとか、人権侵害の範囲が曖昧とか、たしか私もそういう、若手の議員の頃に議論に参加して聞いておったような記憶もございます。
したがって、そうした議論の状況も踏まえて、法務省において不断に検討しているということでございます。もちろん、女性の人権問題に関しましては、配偶者暴力防止法それから女性支援新法、個別法が制定をされております。
いずれにしても、差別のない社会の実現のために、まずはこれらの法律に基づきまして、きめ細やかに人権救済を推進していきたいと思っております。
○上村委員 ありがとうございます。
これは、日弁連という弁護士さんたちの協会がありまして、そちらの提言によれば、もしそういうのをつくるのであれば、やはり内閣府が責任を持ってそうした機関の設置に関わってほしいという意見もありまして、私もそうだというふうに思っています。
ですから、そうしたものを、法務省だけではなくて、内閣府の方でも目くばせをしながら、本当に国民のためになる人権救済機関というものを考えていただければと思います。
もう一点が、ちょっとここも確認をしておきたいなと思ったんですけれども、二〇一三年の閣議決定の中で、今回のような、国連では幾つかの対日審査をやって、救済のための勧告を出す機関がございます。三原大臣の管轄でいけば、子どもの権利委員会とかそうしたものも、時機を見定めて、各国の人権状況を審査し、それに対する勧告を出していく。二〇一三年に出た勧告に対して、このとき、国際機関等のこうした勧告は法的拘束力はないとか、法的拘束力がないので義務ではないんだというふうなことを閣議決定されたということがございまして、どうもその辺りからそうした意見が独り歩きしているような感覚はあるので、これについては、官房長官、いかがでしょうか。
○林国務大臣 まさに人権諸条約対日審査において各委員会から出される勧告については、関係省庁においてその内容を十分に検討して、必要に応じて適切に対応しているところでございます。
法的拘束力がない、それは事実でございますから書いてあるんですが、だからといって対応しないという意味ではまるでないわけでございまして、そして、政府審査のプロセス等をやっているときにも、各委員会に対しては、我が国の考え方、取組、丁寧かつ真摯に説明をその都度都度しておるところでございまして、これからもそういう対応をしっかりやっていきたいと思っております。
○上村委員 ありがとうございます。
国連というのは、実は安全保障理事会というのが力を持ってある種物をつくっていくところなんですけれども、人権の機関というのは対話の積み重ねということを重要に考えています。
二〇〇六年に国連改革があったときにちょっと危なかったんですけれども、アメリカはちょうどブッシュ・ジュニアの政権のときで、そのとき、安全保障理事会の下に人権理事会を置くということを提案いたしました。どういうことかというと、安全保障理事会の五つの常任理事国が自動的に人権理事会の理事国になるという提案でありまして、これが行われると危ないなということで、北欧の諸国とか様々な国際NGOの人たちを含めて反対をして今のような形になったんです。
これは何かというと、どんなに難しくても話合いを重ねていこうというのが人権の基本的な考え方、ある意味では理念ということを言っていいと思うんですけれども、そういう中で、今大臣もおっしゃられたし外務省の方もおっしゃられたように、情報交換かつ意見交換がこのプロセスの中では何回も何回も行われます。それを踏まえた上で、四回同じ勧告が出るというのは何かということをやはりお考えになるのが政府のとても大事なところかなというふうに思います。
これは何かというと、説明が相手に届いていないということです。相手にとって、分かりやすい、あるいは理解のできる文脈で今の日本の状況がきちんと説明されていない。これはある意味では外交の失敗です。
そうしたことを踏まえて、今後とも、先ほど言いましたように、対話というのはなかなか難しいんですけれども、武力を使わないということが対話を重ねることです。そういう意味で、若干聞き苦しい語呂とか、こちらはこんな説明をしたけれども何で分かってもらえないのというところを、委員会の委員の皆さんと日本政府が真摯に向き合うということを今まで以上にやっていただきたいなというのを今回のCEDAWの対日勧告を読んで考えているところです。どうぞよろしく御検討をお願いしたいというふうに思っています。
では、お二人には、ありがとうございましたということになるんですけれども、次の問題はアイヌ民族に関することについて。
○大岡委員長 では、官房長官、退席してください。
○上村委員 ありがとうございます。
では、伊東アイヌ施策担当大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の、実はCEDAWの総括所見の中にアイヌ女性という項目がございます。これは、マイノリティー女性なので、在日コリアンの女性とか、そうした人たちが自分たちの生活に影響を与える意思決定システムに参画するように政府は努力しなくちゃいけないという規定が書かれました。
これに関して、伊東大臣はどういうふうにお考えかというのをお話を伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 上村先生の御質問にお答えしてまいります。
女子差別撤廃委員会の最終見解についての政府の所感は、三原大臣が先ほど御答弁されたとおりでありますが、最終見解におきまして、委員会は、締約国に対し、アイヌ女性、部落女性、在日韓国・朝鮮人女性、障害のある女性、LBTI、レズビアンでありますね、そして移民女性に対する交差する形態の差別を撤廃する努力を強化し、雇用、健康、公的活動への参画への平等なアクセスを確保するよう勧告する等の記載がなされると承知をしているところであります。
いずれにいたしましても、アイヌ施策推進法に規定されておりますとおり、アイヌの方々に対して、アイヌであることを理由として、差別することはあってはならないと考えており、アイヌの方々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現に向けて力を尽くしてまいりたいと考えております。
○上村委員 ありがとうございます。
今日は少し手の挙がり方がスムーズになったので、自分でうれしく思います。ありがとうございます。
今大臣の方からお話があったんですけれども、今現実にはどういうふうになっているかというと、例えば、アイヌ民族に対するヘイトスピーチの問題というのは、これは今まで以上に、ある意味では、ウポポイという機関が二〇二〇年にできたんですけれども、それに対して、ウポポイに行ってアイヌの伝統や文化を学んでほしいというのが政府のある種の目的なんですけれども、残念ながら、その前の段階で、誰もよく知らないよという感じなので、ウポポイで何をやっているのとか何であんなお金を使っているのみたいなことがヘイトスピーチになり、そこで働いている皆さん、それから周りのアイヌの方たち。
差別を受けると、女性に一番被害が行くんです。女性に一番被害が及ぶようなことがあり、そういう意味では、今大臣がおっしゃったような方向で、より強い政策を取っていただきたいなというふうに思います。
それからもう一点、今日は遺骨返還の問題についてお話を伺いたいんですけれども、皆さんにお配りさせていただいた資料がございます。
左側の写真は何かというと、当時、北大の医学部の教員の児玉作左衛門先生という方がいらっしゃいまして、彼の研究室にあるアイヌ遺骨の写真です。彼はアイヌ遺骨を調査のため、研究のためというふうに集められたんですが、御覧になったら分かるように、もうコレクションなんです。これは児玉コレクションということで、ずっと頭蓋骨が並んでいますし、手前にはお墓の中にあった副葬品が全部収められている。
こうしたものをアイヌ民族が返還してほしいということで動きができまして、右側は、これは文部科学省がお作りになった、これはもうちょっと前の段階で、日本の大学とかに保管されているアイヌの遺骨の数が、左側に、個体として特定できた遺骨というのは、一人分というのが分かった遺骨の数です。実は、分からないのが何かというと、右側にある、個体ごとに特定できなかった遺骨というのは、もう足の骨、腕の骨なんかを全部一緒くたに集めて段ボールの中に入れているとか、そういう状況でアイヌ遺骨が取り扱われてきた。
それをもう一回土に戻したいというのがアイヌ民族の長年の希望でありまして、これを踏まえて、文部科学省では様々なこともありますし、今、アイヌ民族自身が、先週の十二月十四日には札幌で、学問の責任を問うという大きなシンポジウムが開かれ、日本人類学会、日本文化人類学会、日本考古学会という三つの学会と北海道アイヌ協会の方たちの話合いが持たれたということがございます。
この辺の認識について、政府参考人の方で御意見いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○松浦(重)政府参考人 お答えいたします。
委員の御質問は、アイヌの遺骨の返還の進捗についての現状認識、そういったことというふうに理解しております。
まず、大学が保管しておりますアイヌの御遺骨につきましては、内閣官房に設置されたアイヌ政策推進会議等における議論を踏まえまして、国が定めたガイドラインに基づき、アイヌの方々への返還を進めております。
これまで返還申請があり、返還の相手方を確認できた御遺骨につきましては返還を行い、申請のなかった御遺骨や出土地域が不明な御遺骨につきましては、ウポポイの慰霊施設に集約をし、アイヌの方々による尊厳ある慰霊の実現を図るとともに、アイヌの方々による受入れ体制が整うまでの間、適切に保管されている、こういうふうに認識しております。
○上村委員 ありがとうございます。
今、文部科学省の方がおっしゃられたとおりなんですけれども、アイヌ民族の方たちが札幌でそういうイベントを開かなくちゃいけなかった背景は何かというと、御覧になったら分かるように、これは盗掘なんです。今、我々が誰かの墓を勝手に掘って遺骨を持ち出したら、これは犯罪です。犯罪なんです。
実は、幕末のときには、イギリス人が持ち出したアイヌの遺骨を、当時の江戸幕府がちゃんとした対応をしています。これは日本の法律に照らしても違法だということで、イギリスの領事館の人を呼んで、それを裁判にかける。なかなか裁判にかからなかったので、すごい工夫をされて、と同時に、ロシアやドイツの公使を一緒に呼んで、イギリスの領事館が勝手なことを言えないように工夫をした後で、遺骨の返還というのを実現しました。
そういう意味でいけば、むしろ今の時代の方が、こうした、盗掘によって集められて、あるいは雑多に保管されている問題に責任を負わなくちゃいけないのは、実は国立大学であったり、こうした研究者の機関なんですけれども、現実には何かというと、研究者が責任を持って、自分たちはこんなことをしたのでここを返したいけれどもどうでしょうかという話をしているんじゃなくて、希望があったら返しますからどうぞ手を挙げてくださいみたいな、力関係が逆転しているということになり、さらに、その手続が内閣府の難しい申請書になり、さらに、その申請書を受けるかどうかと一年ぐらい審査期間があるとかという中で、何で自分たちが経験したことがこんな制度で落とし込まれているのか。
これは、二〇一八年にこのガイドラインが文部科学省の中ででき上がっているんですけれども、それに対する、六年たって、この問題をどういうふうに改善すればいいのか、できるのかということを政府の方ではどういうふうにお考えかというのをちょっと御意見、伺えればと思います。
○松浦(重)政府参考人 国のガイドラインにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、内閣官房に設置されましたアイヌ政策推進会議等において議論を重ねて、返還、集約に当たっての考え方に基づいて策定されたというふうに承知しております。
大学が保管していたアイヌの遺骨の地域返還に関しては、アイヌ政策推進会議等で議論を重ねておりますが、御遺骨の返還、集約に当たっては、アイヌの方々の意向を最大限尊重する。出土地域不明であったり、あるいはアイヌの意向等も様々ありますので、そういったところをきちんと御意見を集約をしてガイドラインが作られたというふうに承知しておりますので、文科省としては、大学に保管しています御遺骨につきましては、こういった議論を重ねて作ったガイドラインに基づいて適切に対応したいというふうに考えております。
○上村委員 ありがとうございます。
もう時間がないので、最後のところは行けないんですけれども、海外においては、やはり、御存じのように、例えば、大英博物館にある文化財を返還するということの流れというのも今の時代は生じています。それがどういう経緯で、どうしてそこにあるのか。海外でも、オーストラリア、ドイツからアイヌ遺骨の返還というのも実現しています。
そういう中で、日本でなかなか遺骨返還が実現しない理由をこれからまた皆さんにお話をしたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
今日はどうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、この内閣委員会の所掌を所管する七大臣においでいただきました。いわゆる政治と金の問題についての政治姿勢についてお尋ねをいたします。
まず、国務大臣、副大臣及び大臣政務規範、いわゆる大臣規範についてお尋ねをいたします。
この大臣規範は、二〇〇一年に閣議決定したもので、組閣のたびに政務三役で確認をされてきているものであります。第二次石破内閣も確認をしております。
この大臣規範には、「パーティーの開催自粛」とありますけれども、どういう内容か、なぜこのような規範を決めたのか、この点について林官房長官からお答えを求めます。
○林国務大臣 この大臣等規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められたものでありまして、その中で、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」と規定をしておるところでございます。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保するという点、また、そういう上で、大規模パーティーについては自粛をするとなっているわけであります。ポイントは、国民の疑惑を招かないようにということであります。
政治資金規正法では、政治資金パーティーの中でも収入が一千万円以上のものを特定パーティーとし、その名称、開催年月日、開催場所、対価に係る収入の金額、対価の支払いをした者の数を記載することとなっております。
総務省にお尋ねをいたします。
この七人の大臣の方のパーティー収入がどうなっているか、直近の二〇二三年において、この七大臣につきまして、国会議員関係政治団体の政治資金パーティー収入の合計金額は幾らか、そのうち特定パーティーは何回開かれ、幾らだったのか、このことについて説明してください。
○笠置政府参考人 通告がございましたので、林官房長官、城内大臣、三原大臣、坂井大臣、赤澤大臣、平大臣及び伊東内閣府特命担当大臣の国会議員関係政治団体の令和五年分収支報告書を確認をいたしたところでございます。
まず、林官房長官でございますが、パーティー収入総額は一億四百十三万二千円、特定パーティーとして報告があったものは五件。
城内大臣につきましては、パーティー収入総額は五千五百四十六万三十円、特定パーティーとして報告があったものは三件。
三原大臣につきましては、パーティー収入総額は二千六百十三万円、特定パーティーとして報告があったものは一件。
坂井大臣につきましては、パーティー収入総額は二千四百五十万円、特定パーティーとして報告があったものは一件。
赤澤大臣につきましては、パーティー収入総額は二千百四十九万九千百七十五円、特定パーティーとして報告があったものは二件。
平大臣につきましては、パーティー収入総額は一千百十四万円、特定パーティーとして報告があったものは、なし。
伊東内閣府特命担当大臣につきましては、パーティー収入総額は一千四百二十三万五千円、特定パーティーとして報告があったものは一件との記載がそれぞれされているということでございます。
○塩川委員 それぞれ大きな金額があり、特定パーティーを何回も行っているということもそこから見て取れるところであります。
この収支報告書の数字で、分かれば教えてほしいのは、赤澤大臣なんですけれども、この赤沢りょうせい後援会のところで、いわゆる機関紙誌の発行その他の事業による収入、つまり政治資金パーティーのところですけれども、令和五年の八月十二日付の赤沢りょうせい君を励ます会の金額が八百六十一万九千九百四十五円になっているんですが、これが特定パーティーの欄にも記載されていまして、そちらには八百五十五万九千九百四十五円と、六万円ですが差があるんですけれども、これは何なんでしょうか。
○赤澤国務大臣 そこの点について御通告いただいていませんでしたので、私自身も今伺って、ちょっと不思議に思いますので、確認をしてお答えするようにしたいと思います。
○塩川委員 ちょっと記載が間違っているのではないのかと。(赤澤国務大臣「何か私もそんな気がしないでもないです、まあちょっと調べます」と呼ぶ)その点確認をしていただいて。
何よりも、こういった収支報告書そのものが、公開をすることによって、政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くという立場ですので、正確性が何より求められているという点について、是非確認をいただき、その内容について御連絡いただけないでしょうか。当委員会でも報告する機会があればしたいと思っております。
それで、その上でお尋ねしたいのが、まさに一千万円以上の特定パーティー、大規模なパーティーを複数回行っている方もいらっしゃいます。そういう点でいいますと、この座っている順番でと思いますが、七人の方に順番に、今後、大臣規範にのっとって大規模なパーティーの開催を自粛をするということを確約いただけますか。
○三原国務大臣 私の政治資金パーティーの開催につきましては、大臣規範等の趣旨を踏まえて適切に判断させていただきます。
○赤澤国務大臣 私も、三原大臣と同様で、私の政治資金パーティーの開催については、大臣等規範の趣旨も踏まえて適切に判断させていただきたいと思います。
○坂井国務大臣 私の政治資金パーティーの開催につきましては、大臣等規範の趣旨も踏まえて適切に判断をしてまいります。
○平国務大臣 私は大規模なパーティーを開いたことがありませんが、来年私は二十周年になるので大きなパーティーをと思いましたが、当然、大臣在任中は規範にのっとり行動をしたいと思います。
○城内国務大臣 私の政治資金パーティーの開催につきましては、大臣等規範の趣旨もしっかりと踏まえて今後適切に判断していく考えであります。
○伊東国務大臣 私の政治資金パーティーの開催につきましては、大臣等規範の趣旨も踏まえまして適切に判断をしてまいりたいと考えております。
○林国務大臣 私の政治資金パーティーの開催につきましては、大臣等規範の趣旨も踏まえて適切に判断してまいります。
○塩川委員 適切に判断ということですけれども、それが、特定パーティーのような大規模、一千万円以上のパーティーを本当にやらなかったのかというのは、皆さんの大臣の任期の最後のときにでも、質疑の機会があれば、是非とも改めて確認、ただしたいと思っております。
その上で、林官房長官なんですけれども、非常に金額が大きい。そもそも、パーティーでの収入が一億四百十三万二千円、特定パーティーは五回ということですけれども、昨年、二〇二三年におきましては、林官房長官は大臣の任にありました。二〇二三年の九月十三日までが外務大臣であり、十二月十四日以降は官房長官の任に就いております。このような、大臣の任に当たった時期、その間に三回、一月と四月と七月ですけれども、一千万円を超える特定パーティーを開いております。
大規模なパーティー開催は自粛するという大臣規範に反しているのではありませんか。
○林国務大臣 大臣等規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、自ら律すべき規範として定められたものでございます。
この大臣等規範に書いております、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なもの」に当たるか否かにつきましては、大臣等規範の趣旨を踏まえて各国務大臣等が適切に判断すべきものと考えております。
私が開催したもの、これは大臣就任前から続けてきた勉強会等でございまして、国民の疑念を招くようなものではなく、大臣等規範に抵触するものではない、そういうふうに考えております。
○塩川委員 そうはいっても、やはりポイントは、国民の疑惑を招くことがないようにするということであります。大臣の任に当たるときに一千万円を超えるようなパーティーを三回も繰り返している、こういうことについては国民の疑惑を招くのではありませんか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、大臣就任前から、したがって、大臣等の、政府におらないときも同じように続けてきた勉強会等でございますので、国民の疑念を招くようなものではない、大臣等規範に抵触するものでない、そういうふうに考えております。
○塩川委員 一千万円を超えるようなパーティー収入、その大半が企業、団体が購入するものというのは、例えば、稲田朋美議員が、予定をしていたパーティーを中止にして購入者に返金をした、その返金額を見ると、企業、団体の割合が八割だったというのが端的に示されていることだと思います。
特定の企業や団体からの多額のパーティー券購入というのが国民から疑惑を招くことになる、こういうことはこの間の裏金問題でも問われているところであって、そういう点でも、一千万円を超えるような大規模なパーティーについては、これは自粛をするというのは、大臣が行うべき最低限の責務ではないのかということを申し上げておきます。
改めて、官房長官、いかがですか。
○林国務大臣 御指摘はしっかり受け止めたいと思いますが、私の考えは先ほど申し上げたとおりでございます。
大臣等規範においては、自粛すべきパーティーについては特に定められた基準はなく、同規範の趣旨を踏まえて各国務大臣等が適切に判断すべきもの、そういうふうに考えております。
○塩川委員 まさに国民の声を受け止めて行うべきものであるといった点でも、国民の疑惑を招くような大規模なパーティーは自粛をするというのが最低限の責務だということを重ねて申し上げておきます。
もう一問皆さんにお尋ねするのが、パーティー開催に限らず、国民に疑惑を持たれないように、特に、所管する業界団体などから政治献金を受け取らない、所管する業界団体などからは政治献金を受け取らないということは確約できるでしょうか。
○三原国務大臣 政治献金については、これまでも関係法令等にのっとり適切に対応してきたところであり、今後とも引き続き適切に対応してまいります。
○赤澤国務大臣 御指摘の大臣等規範、これは、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められているものでありまして、こういうものも踏まえて、いずれにせよ、政治資金パーティーや政治献金については、これまでも関係法令等にのっとり適切に対応してきたところでございまして、今後とも引き続き適切に対応してまいりたいと思います。
○坂井国務大臣 これまでも関係法令等にのっとって、政治献金につきましては、適切に対応してまいりましたが、今後とも引き続き適切に対応してまいります。
○平国務大臣 政治献金につきましては、これまでも関係法令にのっとり適切に対応してきたところでありますので、今後とも引き続き適切に対応してまいります。
○城内国務大臣 私につきましては、政治献金につきましては、急遽、ちょっと時間が短かったんですが、チェックをいたしました。その結果、関係法令等にのっとり適切に対応してきたということが確認できました。今後とも引き続き適切に対応していく考えであります。
以上です。
○伊東国務大臣 政治資金パーティーや政治献金につきましては、これまでも関係法令にのっとり適切に対応してきたところであり、今後とも引き続きしっかりと適切に対応してまいります。
○林国務大臣 政治献金につきましては、これまでも関係法令等にのっとって適切に対応してきたところでございまして、今後とも引き続き適切に対応してまいります。
○塩川委員 関係法令に基づきという話が続きましたが、城内大臣のように改めてチェックされたという点は大事な点だと思いますけれども、それが実際どうかということは改めて検証が必要だと思いますし、関係法令に違反しているかどうかではなくて、やはり国民の目から、疑惑を招かないようにするということが大臣として一番求められていることであって、その立場でどう取り組んでいくのか、今後が問われるところでありますので、是非、通常国会の最後ぐらいにでも改めて御質問する機会があればと思っております。
政治資金規正法は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、収支の公開を義務づけ、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的としております。
こういった民主政治の健全な発達を軽んじるようなことが決してあってはならないということを申し上げ、また、個別の案件については別な機会でお尋ねをしたいと思います。
それでは、この後の質問に関わる平大臣以外の方はここで御退席いただいて結構です。
○大岡委員長 では、平大臣以外の方は御退席いただいて結構です。
○塩川委員 それでは、平大臣に、この前の内閣委員会でお尋ねをしました、地域手当に係る賃金の地域間格差の問題についてお尋ねをいたします。
石破内閣が十一月に閣議決定した総合経済対策では、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるなど、地域間格差の是正を図るとしております。
そこで、国家公務員の地域手当の問題であります。
国家公務員の給与が地域に与える影響は大変大きなものがあります。
私が二〇二二年に人勧が影響を及ぼす労働者数を質問した際に、人事院は、地方公務員や独立行政法人など約三百七十万人、社会福祉関係四十三万人、教育関係の幼稚園や認定こども園約二十三万人、民間病院百三十六万人、合計約五百七十万という数字を出しました。ほかにも、私立学校や保育士などにも影響を与えるものです。研究者の試算では、人事院勧告は約九百万人の賃金に影響を与えると言われております。民間企業の中にも、それぞれの地方の公務員給与を参考にしているところも当然あります。
平大臣にお尋ねしますが、このように、賃金、給与に対して人勧の影響力は極めて大きいのではないのか、この点についてお尋ねします。
○平国務大臣 お答え申し上げます。
地域手当導入を機に、最低賃金の地域間格差が拡大しているのではないかというお尋ねだと思います。
地域手当は、各地域における民間賃金水準をその地域に勤務する国家公務員の給与へ的確に反映させる趣旨のものであり、本年の人事院勧告で示された地域手当の見直しは、その趣旨を踏まえたものであると認識をしています。
一方で、地域別最低賃金は、所管外ではありますが、地域における労働者の生計費や賃金、通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定められなければならないものとされており、地域手当とはその趣旨、目的や、決定方法を異にするものであると認識をしています。
○塩川委員 人勧が民間も含めて多くの労働者に影響を及ぼすものとなる、その点についての認識はいかがでしょうか。
○平国務大臣 人事院は、その専門性と、あと、様々な地域経済の状況、民間企業の動向などを踏まえた上で勧告を出していますので、ほかの賃金決定においてはそれなりの影響があるだろうとは思います。
○塩川委員 影響を及ぼすということであります。
それで、資料を配付いたしました。これは最低賃金の最高額と最低額の推移でありますけれども、最高額は当然東京ですけれども、低い方は、各地方それぞれ、その都度別な県だったりしているところであります。
二〇〇六年のときに百九円だった差が、二〇一〇年には百七十九円、二〇一三年に二百五円と、ぐっと開いてきております。この二〇〇六年に地域手当がスタートをしているということで、地域手当の導入が地域間格差を拡大させたんじゃないのかと。先ほどもちょっとお答えいただきましたけれども、改めて、このグラフなども見ていただいて、いかがですか。
○平国務大臣 このグラフを拝見する限り、開いているということと、地域手当が開始した時期と、起点にして見れば、こういった定量的な分析ができるんだろうと思いますけれども、実際の相関関係というか、まあ、相関関係じゃないですね、実際いろいろな要因がありますので、一概にそれが原因ということも言い切れないと思います。
○塩川委員 ただ、やはり、地方と、この最低と最高の差が開いているという問題について、それはなぜなんだということについてきちんと分析する必要がありますし、冒頭言いましたように、総合経済対策では地域間格差の是正を図ると言っているわけですから、そういった地域間格差を拡大をする要因としてこのような地域手当があるのではないのか、こういうことも念頭に、しっかりとした調査分析を行うことは必要だと思いませんか。
○平国務大臣 一方で、地域経済を活性化させて地域賃金、地域での賃金を上げていくというのは極めて重要で、所管ではありませんが、地方創生二・〇でもそういう取組が行われていくんだろうと思います。
さらに、人事院勧告も、今まで賃金が上がらなかった世界から、インフレ経済にもなりつつあり、三年連続で大幅な賃上げが民間で実施されていることを考えれば、独立機関でありますので余り踏み込んだ発言はできませんが、私は、そういった諸事情も考えて、地域手当のみならず、フォワードルッキングで分析をし、勧告をしていく必要が出てくるかもしれない、そういう問題認識は持っております。
○塩川委員 こういった地域手当が地域間格差を、拡大を固定化をしてきたのではないのか、こういった観点での分析は必要だと。是非、人事院にも声をかけてもらってということを含めて、対応を求めたいと思います。
このグラフの最後のところにある二〇二四年でも、最高と最低の差が二百十二円というのが、格差としては一八・二%ということで、この点で地域手当の二〇%と符合しているというのは偶然ではないのではないのか、こういったことも指摘をしたいと思いますし、公務員の地域手当が民間の賃金も押し下げる、そういう役割も果たしていた、こういったことについてもしっかりと見ておくことが必要ではないかということです。
そもそも、地域手当の導入というのが、公務員の人件費削減を目的に行われてきたという経緯があります。俸給表水準を平均四・八%程度引き下げて、都市部には手当を上乗せするというもので、地方で働く国家公務員や地方公務員に重いコストカットを押しつけてきたものであります。
松本剛明前総務大臣は、今年九月の記者会見で、地域手当というのは、当時、コストカット最優先みたいな感じの時期につくられた仕組みだと思っておりますと述べております。平大臣も同様の認識でしょうか。
○平国務大臣 人事院勧告は、公務員の労働基本権が制約されている関係から、代償措置として行われている、そういった中で、国家公務員の適正な処遇の確保と同時に国民の理解を得る妥当な手法だということで定着をしているものであります。
地域手当は、特に民間賃金の低い地域を中心に公務員の給与が高いのではないか等の議論があった中で、各地における民間賃金水準をその地域に勤務する国家公務員の給与へ的確に反映させるために導入をされたものと認識をしています。
○塩川委員 地域間格差をそういう形で公務員について固定化をしたということが、結果として民間にも反映をした、それが地域間格差を拡大する悪循環につながっているんじゃないのか、こういったことも含めてしっかりと見ておくことが必要であろうと思っております。
そういう点でも、コストカットというのが背景にあったというのはやはり真摯に受け止めて、今、本当に賃上げを行わなければならないときに、こういった総人件費抑制方針そのものを転換することが必要だということを申し上げておきます。
このような地方では、地域手当に引っ張られて自治体職員の賃金も民間の賃金も低く抑え込まれた、その結果、都市部への人材流出が加速し、公務員や保育などの人材確保が難しくなっている、こういった点についても、真摯にその問題を受け止めて、対応が求められていると思います。
その上で、保育士の問題を先日に続いてお尋ねをいたします。
この間、私の地元の埼玉県だけではなくて、千葉県、神奈川県、奈良県、和歌山県、佐賀県が、六県合同で国に対し、保育士給与の地域格差改善を求める要望書を出しております。週明けにもまた出されるということも聞いております。地域手当の支給率に基づいて公定価格に差を設ける仕組みを廃止していただきたいというのがこのような地方の声であります。
こども家庭庁にお尋ねをいたします。
地域手当の支給率に基づいて公定価格に差を設ける仕組みは廃止してほしいという声にどう応えるのか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
保育につきましては、市町村に実施義務が課されており、民間施設においても公立施設と同水準の保育が提供できるように、その公定価格の地域区分につきましては、公務員の地域手当における地域区分に準拠することを基本としながら、ほかの社会保障分野の制度との整合性を踏まえて改正をしてきているところでございます。
本年八月に示された令和六年の人事院勧告の内容をそのまま仮に当てはめた場合には、都道府県単位に広域化することで、県内の隣接する市町村との不均衡の解消が図られる、そういう面もある一方で、先生御指摘のとおり、県外の隣接する市町村との差が現行よりも拡大することとなる、こういったことについて御懸念の声を私たちのところにもたくさんいただいているところでございます。
こうしたことも踏まえつつ、自治体を始めとする関係者の意見を伺い、ほかの社会保障分野の動向なども注視をしながら、引き続き丁寧に議論を進めていきたい、検討していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 これまでの答弁の中で、実施の時期も含めて引き続き丁寧に議論を進めていくということですけれども、この実施の時期というのは、何か定めるものはあるんですか。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
公務員の人件費の制度と、保育の制度あるいは介護保険などほかの社会保障分野もございますけれども、完全に同じ制度ではありませんので、実施時期についても完全に一致させなきゃいけないというものではなくて、過去もそういう、公務員の人事院勧告が出てから必要な補正措置などを行って、関係者の合意を取りつつ実施に移してきたところでございます。
今回につきましても、様々な御懸念が寄せられているところでございますので、令和七年度の実施にこだわらず、時間をかけてじっくり丁寧に検討してまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 自治体から出されている、地域手当の支給率に基づいて公定価格に差を設ける仕組みを廃止していただきたいというのを正面から受け止めた改善策を求めて、質問を終わります。
○大岡委員長 次に、山登志浩君。
○山委員 立憲民主党・無所属の山登志浩でございます。
この度の総選挙で、富山一区から立候補し、初当選をさせていただきました。私は、働く仲間の皆様の声を国政にお届けするとともに、困っている皆様にとことん寄り添い、人に優しい政治を目指していくことをまずもってお約束をさせていただきます。
今日は、男女共同参画、そして共生社会に関わって、三原国務大臣に二点質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
早速でありますが、今日、資料を今配付させていただいております。両面印刷で、資料二の方を御覧ください。
私の地元の富山県が、生活環境文化部県民生活課が二〇二一年の九月に作成をしたポスターであります。表題に「その性別欄、必要ですか?」ということで、まず一点目の質問は、性的マイノリティーに配慮したジェンダー統計の重要性についてということでお尋ねをさせていただきます。こちらにも書いてありますけれども、性的少数者、特にトランスジェンダーですね、戸籍上の性と性自認、心の性が合わない方々へ配慮が必要ではないかというポスターであります。
例えば、官民問わず、各種申請書ですとか申込書、問合せのフォーム、履歴書、入学の願書など、性別欄が設けられておりました。特に悪意はないんでしょうけれども、昔から何となく性別欄があって、チェックを入れていた、記入させていたということですが、これはトランスジェンダーの方にとって、こちらのポスターにも書いてありますが、どう記入していいのか悩む、常日頃、自分は男であるのか女であるのか、こういう記入欄を見て意識させられている、せざるを得ないということでありますとか、名前から分かる性別や見た目の性別と記入した性別が異なると、何度も確認されることや、不利な扱いをされないか不安というふうにあります。
先ほど選択的夫婦別姓のお話がございましたが、トランスジェンダーの方については、氏と名前、名前の部分については基本的には通称使用というのはされていないと思いますし、できないだろうと思いますので、こういう問題が起こるわけであります。ですから、こうした皆さんに寄り添うために、性別欄の在り方が見直しをされ、一部廃止をされるといったことも聞き及んでおります。
ところが、こういう見直し、改善を図るのは結構なことなんですけれども、官民問わず、性別の情報の取得の是非、こういう記入欄を設けようかどうかということ、あるいは、記入欄を設ける場合でも、どういう選択肢を設けるのか、男、女、その他という場合もありますし、あるいは、括弧で具体的に記入してくださいという場合もございます。
これについても、その他というふうにくくられるのが非常に苦痛だというふうにおっしゃるトランスジェンダー、当事者の方もいらっしゃるわけで、非常に難しい問題であるということで、どういう設問を設定したらいいのか分からないということで迷いが生じていると指摘をされています。迷ったら、私もそうですけれども、やめておこうというふうに考える場合が多いんじゃないかなと。もしも何か御迷惑をかけたり批判をされたりしたらいけないので遠慮しよう、こういう話が今問題になっているわけであります。
そこで、内閣府の男女共同参画会議の下に、ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループが開催をされました。これがおととしの話でありまして、性別欄の基本的な考え方についてというペーパーが、おととしの九月、作られて公表されているというわけであります。その考え方のペーパーは、読みますと、今日の質疑にもありましたけれども、やはり、男女間の格差が依然として大きい現状を踏まえて、その解消に向けての政策を実施するに当たり、男女別のデータを確実に取得することの重要性が明記をされております。
今日の質疑にもありましたが、男女別のデータの代表例、最たるものがやはり賃金格差でありまして、女性の活躍についての総合指標と言えるのではないでしょうか。女性活躍推進法の省令が改正をされて、従業員が三百一人以上の企業、これは官公庁も含みますが、男女の賃金の差異、違いの把握と公表が今義務づけられています。
ジェンダー統計。ジェンダー統計、ジェンダー統計と言っていますけれども、これは日本語的に分かりやすく置き換えて言えば、男女が置かれている状況を客観的に把握するための統計というふうにも言っておりますけれども、この統計の重要さを踏まえると、一旦調査の設問から性別の質問をなくしてしまうと、やはり復活させるのは難しいんじゃないのか、また、差別を可視化する、見つけることができなくなり、放置される懸念もございます。
具体的には、数年前に、東京医科大学の入試で女子の受験生が不利な取扱いをされていたということが明らかになりましたが、こういうデータが調査がされなくなると、こうした差別事案というのも発覚をしなかったわけですので、やはり、統計というのは極めて重要ですし、我が国の政策をつくるに当たっての一つの礎でもあると私は考えております。
そこで、まず一点目、お尋ねをさせていただきます。
女性活躍法に基づく現状把握や公表に関連しまして、社会生活上の性別ですとか、雇用を管理する立場での性別、あるいは職場で働いている性別、実際の性別などの情報を取得することは全く問題がないというふうに私は解しておりますけれども、そういう認識でよろしいのか、政府の参考人にお尋ねをいたします。
〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御言及のありました女性活躍推進法でございますけれども、こちらは女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進するということを目的としております。事業主は、女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供、雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備などを実施するよう努めなければならないとされております。
その上で、国及び地方公共団体、民間企業等といった事業主においては、各職場における女性の活躍状況を把握し、課題について分析した上で、達成すべき目標などを定めた事業主行動計画を策定するとともに、女性の職業選択に資するよう、女性の活躍に関する情報の公表を行うこととされております。
そのため、女性活躍推進法の円滑かつ実効性のある施行に当たりましては、例えば、採用者や管理職に占める女性の割合、男女の継続勤務年数の差異などの性別に即したデータの収集により、実態や取り組むべき課題を明らかにすることが重要であると考えております。
○山委員 先ほどの答弁と何か似通っている部分がありますけれども、やはり、男女別の統計なくしてはきちっと問題がつかめないわけですので、きちっとデータは取る必要があるし、取らなければいけないと私は思います。
そうした認識の下で、次、お尋ねをしますけれども、やはり、現状把握をするに当たって、当然、回答者の方に正確に回答していただかなければならないわけで、説明責任が生じます。
今日お配りした資料の裏側、資料一の方を御覧いただきますと、性別情報の取得について検討する際のフローチャートということで、本当に性別欄が必要なんですか、どうですかということを簡易的にチェックできるようなチャートになっております。どの時点の何の性別を尋ねているのかを明らかにして回答者の立場に立った性別欄を検討すること、性別欄の設問の必要性や個人情報の適切な取扱いを確保するということを回答者の方に説明するということは、正確な情報を得ることにつながり、法の趣旨を浸透させる意味合いにおいて極めて大切であると考えますが、この点、どう認識されますか。お尋ねいたします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、今、先ほど委員のお話にありました女性活躍推進法でありますけれども、法の対象となる事業主に対して、法律に基づいて取り組んでいただく必要があることについては、その趣旨や必要性を丁寧に説明する必要があると考えております。
また、性別に即した情報を収集、公表する場合に、必ずしも性別を答えたくないという方がいらっしゃることなどへの配慮も必要でありまして、この法律の施行に当たっては、こうしたことについても十分留意してまいりたいと考えております。
○山委員 その上で、次の質問を伺いますけれども、おととしの九月に示されたワーキンググループの基本的な考え方でありますけれども、結論としては、性別欄の在り方について、各省庁、中央省庁、地方公共団体も含めて、それぞれのジェンダー統計の在り方を検討し、改善を目指した取組を求めておりますし、また、そうした取組ができるような体制整備についても言及をしていますが、具体的にこの基本的な考え方が示された後どんな取組がされているのか、あるいはされていないのか、ここを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘のありました、ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループでありますけれども、性別欄をめぐる様々な動きを受けまして、ジェンダー統計における多様な性への配慮について状況を把握し課題を検討することを目的に、専門家の方、当事者団体の方、地方公共団体の方、また民間企業の方から構成されるワーキンググループを開催したところでございます。
そして、委員御指摘のとおり、令和四年の九月に基本的な考え方というものが公表されてございます。ここでは、構成員の方から、そのワーキングの中でもいろいろな資料の御紹介がありました。先行する諸外国の統計調査ですとか、国内の調査、地方公共団体、民間の取組例が提示、紹介されまして、その参考資料としてつけておりますので、私どもとしましては、男女別データを取得すべきか否かにつきましてですとか、取得する場合の選択肢の考え方について、認識していなかったり迷いが生じている行政機関や民間企業、団体の参考としていただきたい。そして、統計というのはそれぞれ目的がございますので、その統計の目的に照らして最善の選択肢などを提示できるように取組を進めていただいているものと承知をしております。
先ほど委員から御指摘のあった、例を把握していないのかということでありますけれども、網羅的な把握は予定してございませんけれども、第五次の男女共同参画基本計画に基づきまして、各種統計における男女別データの有無などの状況を把握するために、昨年度からその状況調査を実施して結果を公表しているところでございます。
○山委員 今の御答弁では、内閣府として責任を持って、全省庁あるいは地方公共団体、民間、主な事業者を含めて、把握はされていないような答弁に私は聞こえました。これはやはり内閣府が主導してしっかりと把握をすべきであります。
そこで、三原大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、今、こうした話の流れを受けまして、性的マイノリティーの皆さんの人権保障でありますとか、ジェンダー統計の維持そして充実、また男女共同参画の推進という観点から、両者は相入れないわけじゃなくて、むしろ両立しますし、両立させなきゃいけない、可能だと私は思うんですけれども、ジェンダー統計における性別欄についてしっかりと政府として検討を早急に進めていくべきではないか、そうした思いで私は質問していますので、大臣の決意をお尋ねしたいと思います。
○三原国務大臣 男女共同参画を確実に推進していくためには、男女別データを確実に取得し、女性が社会においてどのような状況にあるかをしっかりと把握、分析することが重要であると考えております。
他方、性的マイノリティーの当事者の中には、各種調査における性別欄の回答に当たっては様々な困難を抱える方がいらっしゃることも承知しており、こうした方々への配慮というのは大変重要であるというふうに認識しております。
内閣府におきましては、昨年度から、各種統計における男女別データの有無等の状況を把握するため、ジェンダー統計整備状況調査を実施し、男女別データの把握の状況について結果を公表しており、あわせて、性的マイノリティーの当事者を対象とする調査について留意すべき事項等の調査研究をしているところであります。
こうした調査や研究の成果物、こうしたものの周知というものを通じて、各府省の各種調査における適切な男女別データの把握、これを推進するとともに、性的マイノリティーの当事者への配慮も促してまいりたいと思います。
○山委員 正直、分かるような分からないような御答弁だったと思うんですが、僭越ながら。
私が申し上げたいのは、更に一歩踏み込んで、きちっと政府として性別欄の在り方についてのガイドラインを策定すべきではないのかと。中途半端なと言ったら失礼かもしれないですけれども、このフローチャートでは私は不十分だと思います。きちっとしたものを出して、各省庁、民間、地方公共団体を含めて、やりなさいというふうに主導していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○三原国務大臣 これまでも、有識者からのヒアリングに加えて、既存の各種取組や様々な調査研究の成果に関する情報収集を行うなどして、計画策定に向けて必要となる知見の収集、こういうことにしっかりと取り組んでまいりました。必要な学術研究も進めて、こういう性的マイノリティーの方はもとより、マジョリティーの方も含めた多様な声を丁寧に伺いながら、基本計画等の策定に向けてしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○山委員 やはり、改めてガイドラインを作成することで、それが推進力になると思うんです。
さらに、私、申し上げますと、これは是非お願いしたいんですが、いろいろな御意見はあるかもしれませんけれども、今後のジェンダー統計については、SOGI、性的指向、性自認を含んだ形で進めていくことが大切だと思います。
先ほどの御答弁にもありましたが、諸外国あるいは地方自治体等の先進事例を参考にしつつ、LGBTQの皆さんが抱える困難や不利益を可視化することにもつながってまいりますし、人権を保障するという観点も含めて、それのみならず、実態をより正しく把握するというデータの品質の観点からも必要だというふうに思っていますし、ワーキンググループの基本的な考え方の最後の段落には、「多様な性などの多様な属性の人々を、統計や政策において社会の構成員として見過ごさないよう取り組むことは重要である。」というふうに書いてありますので、まさにそれを実践していただきたいわけですけれども、是非、この点について御答弁いただけませんでしょうか。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
ジェンダーに関するワーキンググループでは、様々な御意見を頂戴いたしました。委員が今日資料としてお見せくださいましたフローチャートにつきましても、このワーキンググループの中で、こういったことをお示しすることによって、地方公共団体を含む行政機関が性別欄の要否について検討する際の参考にできるのではないかという御議論を経て、まとめさせていただいたものでございます。
先ほど少し申し上げましたけれども、統計の目的は様々でございます。その目的に照らして、何が、どのようなものが必要なのかということをそれぞれの機関で御検討いただくということを期待しておりまして、このワーキンググループのフローチャートを是非参考にしていただけるように、私どももしっかり周知啓発などをさせていただきたいと存じます。
○山委員 済みません、再三申し上げますけれども、ワーキンググループの報告書の中の参考資料になっているんです、参考資料にとどまっているんですよ。それだけではやはり弱いんですよ。内閣府、三原大臣に主導していただいて、ジェンダー統計をきちっとしたものを取っていただく、それは、男女とかそういう二項区分じゃなく、LGBTQの方も含めて、様々な、この世の中に生きる皆さんにとっても非常に役立つものになるわけですので、しっかりとジェンダー統計の重要性というものを御認識いただきたいなというふうに思っております。
共生社会、まさに我が国は、世界の各国と歩調も合わせてこれを目指さなきゃいけないし、目指すべきだと思いますので、私はこのことを強く強調しておきたいと思います。
時間も限られておりますので、もう一点、金融機関における代読、代筆サービスについて簡単にお尋ねをいたします。
○黄川田委員長代理 時間が参っておりますので。
○山委員 はい。
代読、代筆サービスというのは、高齢者の方、障害者の方にとって必要です。金融機関でそうした支援が十分に行われていないのではないかという当事者の方からの御指摘もありますので、金融庁の監督指針などをしっかりと改正するなどして効力を持たせて、実効性のあるような取組をお願いしたいと思いますが、時間が来ておりますので、簡単に答弁をお願いできませんか。
○黄川田委員長代理 時間が参りましたので、終わりにしてください。
○山委員 はい、済みません。
○黄川田委員長代理 次に、山崎正恭君。
○山崎(正)委員 それでは、山委員に続きまして、公明党の山崎正恭です。
本日は、内閣委員として初めての質問になります。機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、本年一月一日に発生した能登半島地震を受けて、避難所における生活環境の改善の重要性が更に高まってまいりました。そこで、今回の経済対策において、避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組を新しい地方創生交付金の活用により支援する枠組みを創造するとのことで、その枠組みについて検討されてきたと思いますが、どのような制度となるのか、制度概要をお伺いします。
○河合政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の新地方創生交付金、その中に型が、今回新たに設けまして、地域防災緊急整備型という型を設けようとしておりますが、こちらにおいては、安心、安全で心豊かに暮らせる持続可能な地域経済社会をつくるため、トイレ、キッチン、ベッド、風呂の迅速な提供など、避難所の生活環境の抜本的な改善を始め、災害にも対応できる魅力的な地域づくりを目指す地方公共団体の先進的な取組を交付金により緊急的に支援することとしております。
本交付金により購入する資機材については、災害への備えとなるとともに、平時から地域イベント等で活用するなど、地方創生にも資するものになるよう、運用に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
要は、地方創生ということで、災害時だけではなく、ふだん使いしていく、ただの備蓄ではなく、日頃の避難訓練等でも活用し、住民の皆さんの防災意識の向上を目指していくということですね。
実は私も、地元で小学校の子供たちと、夏休みに何がしたいかという企画がありまして、そこで聞いたところ、子供たちからキャンプがしたいという声が上がりました。そこで、私は地元が、高知県高知市の坂本竜馬の銅像があることで有名な桂浜に住んでいるんですけれども、目の前には太平洋が広がっておりまして、南海トラフ巨大地震が発生したときには津波被害が想定される地域でありますので、せっかくキャンプをやるのなら、防災学習も兼ねた防災キャンプにしようということで、段ボールベッドを作って、そこで寝て、非常食を食べたり、炊き出し体験を行ったりという内容で実施しました。
今回、パーティションやトイレカーなんかも対象になるということですけれども、例えば、そういった防災キャンプ等の機会を通じて、ふだんから使用していることで災害時の環境への順応も全然違うと思いますし、更により実践的な避難訓練になるというふうに思います。
次に、私も、本年五月に、能登半島地震で大きな被害を受けました奥能登地方を中心とした六市町に行ってまいりました。その中で、多くの方から聞かれた声が、国のプッシュ型の支援や全国からの官民問わずの支援により、かなり早い段階から飲み水については必要数が十分確保されていたという声であり、そのこととは対照的、真逆に、とにかく生活用水に困ったという声が圧倒的に大きかった声であります。
そこで、公明党も今まで何度も訴えてまいりました避難所におけるTKB、トイレ、キッチン、ベッドについては、避難所の環境整備に非常に重要で必要不可欠でありますが、今回の能登半島地震の避難生活の状況からも、生活用水をどのように確保するかということも大きな課題であります。
そのことにつきまして、今回の能登半島地震において、実際に七尾市の避難所では、プールの水を非常用生活用水浄化装置を使って生活用水に変えて、洗濯に利用したり、トイレや生活場面での手洗い等に使い、そして、その水を給湯器を使って温水シャワーとして利用されたという支援の実践例もお聞きしました。これが非常に喜ばれ、特に衛生面、手が洗えるということと、温かい温水シャワーを利用できたことを皆さんが喜ばれたと伺っています。先ほど言いましたように、このとき、避難所には飲み水は既に体育館に山のように積まれていましたので、給水車はプールに水を補充すればよいだけとなり、皆さんが並んで長時間生活用水をタンクに入れるという時間が短縮され、給水車の稼働の効率もアップしたと伺っています。
そこで、避難所における生活用水について、例えば、近隣に井戸があり、そこから確保できるという地域などはそれでよいが、そのような水がめがない避難所などでは、浄水装置等を使って確保するしかないと思いますが、今回の新地方創生交付金に関して、浄水装置や水循環装置なども対象になるのか、お伺いします。
○河合政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、能登半島地震におきましても、水循環シャワーなどの新技術が有効に活用されたところでございます。こうした新技術の活用の観点も踏まえまして、水循環シャワー等の生活用水を供給するための資機材につきましても、新地方創生交付金で支援可能としております。
以上です。
○山崎(正)委員 避難所生活において非常に重要な生活用水をつくり出すことができる浄水装置や水循環装置が今回の新地方創生交付金の対象になるということの各自治体への周知の徹底を強く要望いたします。よろしくお願いいたします。
次に、先日の石破総理の所信表明演説に対する代表質問において、我が党の斉藤代表から、災害時に避難所となる体育館へのエアコン設置の推進の要望を通して、この推進については、地方公共団体へのアウトリーチや一本化された相談体制の整備、地方公共団体に配慮した柔軟な運用等の取組が必要であるとの質問に対して、総理からは、防災庁の設置に向けた準備も着実に進めつつ、関係省庁が緊密に連携し、縦割りを排除し、避難所の環境改善を始めとする防災対策を強力に進めてまいりますとの答弁がありました。
そこで、今、政府では、避難所の環境整備を始めいろいろな支援メニューを準備していますが、これを活用する自治体側から見ると、いろいろな省庁に問合せをかけなければならないケースや、財政状況等でなかなか整備が進まない地域などもある中で、総理の掲げる本気の事前防災を着実に進めていくには、場合によっては政府がアウトリーチで支援していく必要もあるのではないか。そういった意味で、地方公共団体へのアウトリーチの対応や一本化された相談体制などの機能を持たせた組織が必要であると考えますが、所見をお伺いします。
○鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。
世界有数の災害発生国である我が国において、各地方公共団体の災害対応力を強化するためには、ワンストップでの相談窓口を設けるなど、国が適切に支援していくことは重要と考えております。
令和八年度中防災庁の設置を見据える中で、内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面において抜本的に強化していくこととしており、その中で、地方公共団体の防災力強化に向けた国の支援の体制整備についてもしっかりと検討してまいりたいと思っております。
〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
総理が掲げられています防災庁の設置にはそういった機能をもちろん持たせていくのだと思いますが、災害はいつ起こるか分かりませんので、それまでの間に是非、防災庁設置準備室等が各省庁と連携して進めていただきたいと思います。
次に、環太平洋連携協定、TPPについてお伺いします。
日本やオーストラリアなど十一か国が加盟するTPPに、先日、十二月十五日にイギリスが加入しました。二〇一八年のTPP発効後初めての新規加盟国であります。
これに先立って、先月の二十八日に、協定の運営等に関する最高意思決定機関であるTPP委員会がカナダのバンクーバーで開催され、日本からは瀬戸副大臣が参加され、議長国のカナダやイギリスの担当閣僚等と二国間会談を実施し、先進的でハイスタンダードなCPTPPの果たす役割の重要性や新規加入要請エコノミーへの対応等、活発な意見交換が行われたと伺っております。瀬戸副大臣、お疲れさまでした。
そこで、まず、今回、初の新規加盟国としてイギリスが加入した、これに対して、日本政府はどのように捉えていて、どのように対応していくのか、また、TPPを結成した意義等も含めて、この際、改めて瀬戸副大臣にお伺いします。
○瀬戸副大臣 御質問ありがとうございます。
十二月十五日にCPTPPへの英国の加入議定書が発効いたしました。
CPTPPは、幅広い分野をカバーした高い水準の新たな共通ルールを維持し、世界に広めていく意義を有しております。英国の加入は、こうしたCPTPPの意義がアジア太平洋地域を超えて更に拡大していく非常に意義深いものだというふうに考えております。
さらに、英国は、我が国にとってもグローバルな戦略的パートナーであるとともに、重要な貿易・投資相手国でもあります。英国の加入を歓迎するところであります。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。
先ほどお話もありました、イギリスの加入によりまして、やはりヨーロッパの方にも広がっていった、その新しいモデルになるということとともに、イギリスの加入によりまして、TPP参加国の国内総生産、GDP計二千二百兆円規模となり、世界の約一二%から約一五%に上昇し、日本の輸出に係る関税撤廃の対象も、日英二か国の経済連携協定、EPAから拡大し、精米やパック御飯なども加わるなど、新たな輸出促進が期待されています。
また、今回行われたTPP委員会では、コスタリカの加入作業部会設置に関する決定が採択され、コスタリカの加入手続が開始されることになりました。また、十二か国で閣僚共同声明、バンクーバー声明が出され、経済的威圧に対応する手段であることも含め、ルールに基づく貿易システムの堅持という共通のコミットメントも再確認も行われたと伺っており、今後の更なる拡大、体制の充実に向けた着実な進捗が行われていると思います。
その一方で、アメリカでは、TPP離脱を決めたトランプ前大統領が来年一月より返り咲くことが決定しています。また、トランプ氏の大統領選挙の公約を見ると、全ての国との輸入製品に一〇から二〇%、国境を接するメキシコやカナダには二五%、中国には六〇%の関税を課すとあります。TPP離脱後に発効した、日、米、豪、インド太平洋経済枠組み、IPEFにも後ろ向きな姿勢を示すなど、より一層アメリカ・ファーストの色合いも強くなってくることが想定されます。
そこで、そういった動きの中で、自由貿易への風当たりが世界中に強まってくることが予想される中、ただ単に加盟国を増やせばいいということではないと思いますが、我が国においてはどのような方針でTPPの持つ意義を高めるための取組を進めていくのか、瀬戸副大臣にお伺いします。
○瀬戸副大臣 お答えさせていただきます。
CPTPPは、幅広い分野をカバーした高い水準の新たな共通ルールを維持する、世界にこれを広めていく意義を有しているというふうに日本としても考えております。
新規加入への対応につきましては、オークランド三原則というのがありまして、すなわち、協定の高い水準を満たす用意があること、二番目に、貿易に関するコミットメントを遵守する行動を示してきていること、及びCPTPP締約国のコンセンサスがあること、こういった三つを満たすことができるエコノミーの加入に対してCPTPPが開かれていることを、CPTPP参加国の閣僚間で確認しているところであります。CPTPPは、この新規加入に係るオークランド三原則を踏まえつつ、生きた協定として拡大し続けていくことが重要であると考えています。
先月私が参加しましたカナダのバンクーバーで開催された閣僚級のTPP委員会では、コスタリカの加入手続を開始することが決定されたところであります。現在、コスタリカに加えて六つの加入要請が提出されております。これらの扱いにつきましては、ほかの参加国ともよく相談する必要がありますが、我が国としましては、さきに述べたオークランド三原則も踏まえ、戦略的観点や国民の理解も踏まえながら対応していく考えであります。
また、協定の高い水準を維持するため、協定の一般的な見直しについても議論を主導していく考えであります。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
先ほど言いましたように、トランプ大統領の再登板によりまして、よりその意義が重要になってくると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、こども誰でも通園制度についてお伺いします。
二〇二三年のこども未来戦略方針の中で打ち出され、本年、令和六年六月に成立した子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律により、こども誰でも通園制度が創設されました。二〇二六年の本格実施に向けて、現在、試行的事業が行われていると承知しています。
要は、保育所や認定こども園等に入園していない子供さんを、親が働いていなくても一定時間預けることができる制度でありますが、非常に期待されている重要な制度でありますが、保育士さん始め保育現場の職員の皆さん方からは、この制度に関する不安な声が多くございます。
済みません、ここで通告と順番を入れ替えます。
まず、こども誰でも通園制度について、現場の保育士さんの方と話すときに真っ先に言われるのが、今もう既に、入園していない子供さんを一時的に保育所や認定こども園等で預かってくれる一時預かり保育、正式には一時預かり保育事業というらしいですが、それがあるのにどうしてまた新たにこども誰でも通園制度をつくる必要があるのですかと聞かれるのです。
まず初めに、このこども誰でも通園制度と従来の一時預かり事業との違いは何なのか、お伺いします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度と一時預かり事業につきましては、主に目的、定義面の違い、それから給付と事業といった制度的なたてつけの違いがあるところでございます。
具体的には、目的、定義面につきましては、一時預かり事業は、あくまで保護者の立場からの必要性、レスパイト等の必要性に対応するものであるのに対しまして、こども誰でも通園制度は、子供を中心に考え、子供の成長の観点から、全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な生育環境を整備することを目的としている点が異なります。
また、制度的なたてつけにつきましては、一時預かり事業は事業である、自治体の創意工夫でやれる事業であるという一方で、こども誰でも通園制度につきましては、令和八年度より給付の制度となることから、まず一定の権利性が生じること、そして全国どの自治体でも共通で実施することになること、こういった点が異なります。
こうした制度の違いにつきまして、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
要は、一時預かり事業は、先ほどあったように、家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児等を一時的に預かる親支援の制度であり、親から目線である、こども誰でも通園制度は、子供たちの世界を広げていく、よりよい養育環境を子供たちに提供していくという子供目線、子供支援ということの違いということの確認でよろしいということでしょうか。
次に、こども誰でも通園制度の対象年齢と利用可能時間についてお聞きしたいと思います。
なぜそういうことをお聞きしたいかといいますと、実は私、今現在、衆議院議員として二期目の議員なんですけれども、前職は県議会議員を少しやっておりまして、その前は中学校の教員を二十四年間やっていたんですけれども、中学校の教員を退職して県議になる前の少しの期間、地元の保育園に、毎日午前中、ボランティアでお手伝いに行っていました。
そのときに、学校との違いで驚いたことがたくさんあったのですが、その中でも最大級の違いというか、今でも忘れられないのが、ある新しい子供さんが一歳で入園してこられました。もちろん、親御さんと一緒に、一週間ぐらいだったと思うんですけれども、慣らし保育といいまして、最初はお母さんも保育園にいて、だんだん上手に距離を取って離れていくんですけれども、その慣らし保育が終わりまして、単独登園になった途端に物すごく泣くんです。それも、しくしく泣くといったレベルではなく、保育園中に響き渡るような大声で泣く。そして、一番すごいのは、私は、一時間ぐらい、どんなに長くても二時間ぐらいで泣きやむと思っていたんですが、何と夕方まで延々と泣くんです。ずっとその音を聞いているとちょっとおかしくなるぐらいというか、それぐらいに感じたんですけれども、それがまた二週間ぐらい続きました。保育士さんに聞くと、これぐらいの長期間の子供さんはまれだとのことでしたが、そのことに粘り強く対応される、保育される保育士さんの皆様方に感服しました。
何が言いたいかというと、それだけ新規の子供さんは大変だということです。細心の注意を払って、あらゆる手段とノウハウで保育園に順応させるように頑張られています。その大変さを体感しているがゆえに、このこども誰でも通園制度のことを初めて私が知ったときには、いつでも誰でも来る子供たちを、一体何歳の子供さんから受け入れるのか、そして、どのぐらいの回数を受け入れるのかということが頭に真っ先に浮かんだわけです。
今回のこども誰でも通園制度については、対象年齢は零歳六か月からとなっていますが、この年齢に設定した理由と、利用可能時間を月十時間にした理由をお伺いします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度につきましては、先ほど先生からも御指摘があったとおり、今試行事業をやっておりますが、七年度から制度化、そして八年度からは給付として本格実施をする、そこに向けまして、本年六月から検討会を立ち上げ、自治体の方々等にも御参画いただきまして、制度の詳細について議論を重ねてきております。現在の試行的事業の状況や検討会での議論を踏まえ、本年十月三十日の第三回検討会におきまして、七年度の対応の方向性の案をお示ししたところでございます。
その中で、先生御指摘の、対象となる子供の年齢につきましては、ゼロ歳六か月までの期間につきましては伴走型相談支援などほかの支援策が実施されていること、そして安全配慮上の懸念、こういったことを踏まえましてゼロ歳六か月以降、そして、法律でも満三歳未満となっておりますので満三歳未満とする方針を示しているところでございます。
また、利用可能時間につきましては、現在の試行的事業におきまして子供一人当たり月十時間を上限としておりますが、七年度につきましても、全国的な提供体制の確保状況に大きな変更がないことや保育人材の確保が課題となっていること、こういった現状を踏まえまして、子供一人当たり月十時間を補助基準額上の上限とする方針を示しているところでございます。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
六か月までは様々な伴走の支援もあるということで、私は正直、これぐらいの、せめて六か月からで十時間ぐらいでやはりいいなと思いましたので、しっかり実施をしていく中でまた様々考えていただけたらと思います。
次に、これも保育士の皆様からの大きな声なんですが、いきなり飛び込みで全く知らない子供さんが次から次へと誰でも通園制度で保育園に入ってくるのではなく、園を指定し、できれば曜日や時間も固定をしてほしい、無理なら、不定期でもせめて登録制で、子供さんの情報、特に短時間といえども大切な子供さんの命を預かる仕事なので、健康に関する情報などはしっかり把握しておきたいという強い要望の声があります。
そこで、現場の保育士さんからは、事前に園や曜日や時間を固定する定額利用がいいとの声が多いが、そうではない、本当の飛び込みもいける自由利用を可とした理由についてお伺いいたします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
現在実施しております試行的事業におきましては、定期的な利用方式と定期的でない柔軟な利用方式、今先生御指摘の自由利用方式を組み合わせて実施することを可能としております。
定期的な利用方式は、先生御指摘のとおり、利用する園や曜日、時間を固定して実施する方法ですが、子供にとっては慣れた職員と継続的な関わりを持つことができ、育ちをフォローできる、こういったよさがあると考えております。
一方、定期的でない柔軟な利用方式につきましては、これは利用する園や曜日、時間を固定せず柔軟に利用するものでございますけれども、様々な事業所を利用することで多くの保育士や多くの子供と触れ合うことができるということや、あるいは子供に合う事業所を見つけるまでの利用、それから、次の弟さん、妹さんのために里帰り出産をされた際に、地元でお兄さん、お姉さんが利用できる、こういった活用をするようなことも考えられます。
令和七年度における利用方式につきましては、現在の試行的事業の実施状況や検討会での議論も踏まえまして、子供や保護者共にニーズは様々であることから、自治体や事業者において、定期的な利用方式とそれから定期的でない柔軟な利用方式を選択したり組み合わせて実施することを可能とする方針としておるところでございます。
○山崎(正)委員 まあ、親御さんからしたら、いろいろな保育園、認定こども園を見てみたいというニーズもあると思いますので、一定理解はできます。
ただ、実施方法の中の、一般型の在園児合同型でいうと、ふだん保育園にいる園児と合同で預かると思うのですが、先ほど言ったように、新しい子の受入れというのは相当神経を使って、細心の注意で受け入れて、少しでも早く、子供にとって安心、安全な環境をつくって、穏やかに保育園で生活してもらおう、それに保育士さんはまず腐心されます。そして、その次の段階としては、学校も同じなので私も経験がありますけれども、新しい転校生が来たら、その子に安心してもらうとともに、早く新しい学校になじんでもらうとともに、元々いた子供たちといかに仲よく生活できるような環境づくりができるか、そういったところに取り組むわけであります。そのときに、元々いる子供たちの中にも新しい友達と仲よくなるのが苦手な子供さんたちもいますので、細心の注意を払って丁寧に学級の雰囲気をつくり上げていきます。
誰でも通園制度は、見方を変えれば、先ほど言った自由利用の場合は、毎日新しい転校生が来ているのと同じ状況にもなりますので、保育士さんの力量も相当必要ですし、負担も大きいというのは容易に想像ができるわけです。
そこで、子供の世界を広げるための制度だとは思いますが、保育側の力量もいるし、労力も非常にかかります。この制度を事業者側が前向きに取り組んでいこうと思うには、補助基準の単価、現在子供一人当たり八百五十円の引上げが不可欠であると思いますが、認識をお伺いいたします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
現在の検討会におきましても、先生の御指摘と同じような御意見をたくさんいただいております。
先ほど申し上げた十月三十日に行われました第三回の検討会におきまして、令和七年度の補助単価につきましては、まず、年齢ごとに、ゼロ歳児、一歳児、二歳児、関わり方に特徴や留意点があることを踏まえ、利用する子供の年齢に応じた一時間当たりの補助単価を設定すること、あるいは、医療的ケア児や障害児等の受入れに係る加算措置は引き続き実施することなどの方向性をお示ししているところでございます。
必要な保育人材を確保し、しっかりと運営できるものとなるように、現在、予算編成過程において最終的な検討を行っているところでございます。引き続き、七年度からの円滑な施行に向けまして取組を進めてまいります。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
最後になりますけれども、今回、再来年度から全国の全自治体でやると聞いて、正直驚きました。今、実は、似たようなことで中学校の部活動の地域移行が、移行していますけれども、なかなか大変で、現場からの反発等もあって進まない中で、えらいスムーズだなと思ったんですけれども、恐らく、まだなかなか現場の保育士の先生方に制度自体が知らされていないんじゃないかなというふうに思います。
私が知っている方から受ける代表的な声を今日ここで紹介させていただいたんですけれども、そういった不安を一つ一つ払拭していきながら、子供にとっても、また、今、地方なんかでいうと子供がいなくて保育園の存続が厳しいので、事業者側にとっても新しい子供たちが来てメリットがあるような、そういう双方にとっていいような、しっかりとした事業、政策になっていくようにお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後二十分、よろしくお願いを申し上げます。
まず、国家公安委員長、よろしくお願いいたします。
福岡県北九州市小倉南区での中学生殺傷事件についてお伺いをいたしたいと思います。
この殺傷事件、本当に許せないという思いでいっぱいなんですが、まだ犯人は逮捕されておりませんけれども、犯人逮捕に向けた大臣の決意、そして本件についての認識についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。大臣。
○坂井国務大臣 お尋ねの事件は、十二月十四日、福岡県北九州市所在の飲食店内において、中学三年生の男女二名が何者かに刃物で刺され、女子生徒が亡くなられるとともに、男子生徒が重傷を負ったものと承知をいたしております。
誠に痛ましく、残忍な事件であり、亡くなられた被害者の御冥福をお祈りし、御遺族にお悔やみ申し上げますとともに、重傷を負われた被害者にもお見舞いを申し上げたいと思います。
福岡県警察におきましては、捜査本部を設置の上、被疑者の早期検挙と事件の全容解明に向けて鋭意捜査を進めると同時に、学校や自治体と連携をして、登下校時間帯を始めとした警戒活動を実施しております。
被疑者の早期検挙に向けて鋭意全力を尽くします。
○緒方委員 この件は、まだ現時点で犯人は逮捕されていないんですが、被害者とは面識のない人物ではないかとも言われています。こういった、ローンウルフ型で、社会的に失うものがないために犯罪を起こす人物、今回がそうかどうかというのは分からないですけれども、一般論としてお伺いさせていただきたいと思いますが、そういった方々に対する対応について、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 今御指摘がありました、今後刑罰を恐れずに犯罪を敢行するような者による事件が増加する可能性につきましては、委員も御指摘のとおり、現在捜査中の事件の被疑者像に関わることでもあるため、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、一般論でいいということでございましたので申し上げますと、こういった犯罪から国民を守るためには、検挙をしっかりすることと同時に抑止ということで、両輪を進めていく必要があると考えております。
具体的には、犯罪が発生した場合に、徹底した捜査によって被疑者を早期に検挙する実績をつくり、しっかり検挙するんだというのをアピールするとともに、犯罪抑止のため、地域社会や関係機関、団体等との連携の下、安全、安心な町づくりを推進していくことが重要であると認識しております。
○緒方委員 早期の犯人逮捕に向けて、警察の皆様方の御尽力に期待をいたしたいというふうに思います。
続きまして、先般、通常国会の視察で千葉県柏市の科学警察研究所にお伺いをいたしまして、その際に、検視の在り方について私は非常に強く関心を抱きました。
六月末には、NHKスペシャルで「法医学者たちの告白」という番組がありまして、それを見ました。その際に問題提起されていたのが、死因究明について、人員の不足ということ、そして警察からの独立性という問題をその番組の中で提起されていたんですね。独立性については、諸外国に比べても、日本の現状が特殊との指摘もあります。
この人員の十分さ、そして独立性、それぞれについて警察庁の認識をお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 我が国では、警察は、刑事訴訟法やいわゆる死因・身元調査法などを根拠に、警察が取り扱う死体につきましては、警察が検視や死体調査を行っているところであります。
検視や死体調査に当たっては、医師立会いの下で行うこととされているほか、医学的な死因の判断につきましては、警察医や大学の法医学教室等、いわば警察から独立した人が、そういった者が、若しくは機関が検案や解剖等を実施しているものと承知をいたしております。
死因究明が専門的、科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に行われるべきことは当然でありまして、今後とも、死体の取扱いに当たり、こうした、いわば中立であり、独立した専門家機関との連携を適切に取られるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○緒方委員 それでは、質問を移していきたいと思います。
大臣、何か訂正がありますか。(坂井国務大臣「読み間違いが一つございました。済みません」と呼ぶ)どうぞ。
○坂井国務大臣 警察医と言ったそうですが、検案医の間違いでございました。申し訳ありません。
○緒方委員 質問を移したいと思います。
次は、シートベルトとチャイルドシートの関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今年八月、福岡県福岡市早良区において起こった事故では、亡くなった七歳児の腹部に強くシートベルトが圧迫されたとのことでありました。しかしながら、現行法上は、チャイルドシートが求められるのは六歳未満であります。六歳未満です。一方で、通常のシートベルト、我々がつけるやつですね、あれはどれぐらいの身長からが適正かというと、身長百四十センチ以上の方が大体適当であると。身長百四十センチというのは、おおむね年齢にすると九歳から十歳ぐらいであります。
つまり、現状、六歳未満の方はチャイルドシートが義務化されている。じゃ、それ以外の人はシートベルトでいいのかというと、六歳、七歳、八歳という方々についてはシートベルトを、体に合わないシートベルトでもいいのだという誤解を、誤解なのかどうかも分かりませんが、社会的に与え、それが今回の事故、七歳児が体に合わないシートベルトをつけて腹部に強く食い込んで、そして亡くなったという事案と密接に関係しているのではないかというふうに思うわけですね。
今回の事故の背景に制度的な課題があったのではないかというふうに思うわけですが、これは事務方でも結構でありますが、御答弁いただければと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、道路交通法におきましては、六歳未満の幼児につきましてはチャイルドシートを使用することとする一方、六歳以上の者についてはシートベルトを着用することとしております。
しかしながら、六歳以上の者でありましても、身長等の体格の事情によりシートベルトを適切に使用できない子供につきましては、関係規定により、シートベルトの着用義務の対象から除外されているところであります。
これまでも、警察におきましては、シートベルトを適切に着用することができない六歳以上の子供につきましてチャイルドシートを使用するよう呼びかけているところであります。
また、交通事故の被害を軽減するため、シートベルトやチャイルドシートを子供の成長に合わせて適切に使用することが重要であると認識しておりまして、六歳以上の児童につきましてチャイルドシートを使用することが必要な場合があることにつきまして、今後、広報啓発を強化してまいりたいと考えております。
○緒方委員 いや、呼びかけとか広報啓発の問題ではないように思うんですね。
今、いろいろ細かい規定を言われましたけれども、世間で流布しているのは、チャイルドシートをつけなくてはいけないのは六歳未満であるというふうに世間で言われている中、個別具体的な事例によってはチャイルドシートをつけなきゃいけないというふうになっているんだと言われましたけれども、その認識、絶対に社会に広まっていないですよね。
そういう中、私は、これは法改正も含めて検討すべきではないかというふうに思いますが、大臣の答弁を求めたいと思います。
○坂井国務大臣 本年十月に、関係省庁や民間団体から構成されるシートベルト・チャイルドシート着用推進協議会が開催をされまして、チャイルドシートの使用について、先ほど局長が申し上げたような中身を、申合せがなされております。
委員も今御指摘されたように、年齢によるチャイルドシートの着用義務対象の切り分けは、実際に制度を改正するとなると法改正を要するものでございますので、まずは、今現状を少しでも改善をするために、この協議会の決定を踏まえ、関係省庁、団体と連携をして、六歳以上の児童についてもチャイルドシートを使用することが必要な場合があるということについて広報啓発を強化するということは必要だと思うので、これは指導してまいりたいと思います。
その上で、六歳以上の児童のチャイルドシートの使用状況でありますとか現状でありますとか、こういったことを踏まえつつ制度的な検討を鋭意進めるように、私の方から警察を指導してまいりたいと思っております。
○緒方委員 もう一回、確認でありますが、今、少し踏み込んで答弁されました。制度的な見直しを含めてということでありましたが、先ほど法改正と言いましたが、法改正の可能性も含めて検討を促す、そういう理解でよろしゅうございますでしょうか。大臣。
○坂井国務大臣 とにかく、現状を踏まえつつ検討させていただくということでございまして、検討は鋭意進めるよう指導してまいります。その結果、法改正につながるかつながらないかというのは、その後またしっかり、そこの上で検討して判断をしていくということでございます。
○緒方委員 もう一声と言いたいところでありますが、多分それ以上はなかなか出てこないと思うので。
ただ、やはり、法定されているところというのが世間で一番認識されるところで、六歳未満のところでチャイルドシート、そして六、七、八、百四十センチを超えたぐらいのところでシートベルトが体に合うようになるということで、確かに、事前に警察庁そして国土交通省から話を聞いてみると、これを本当にがらっと見直そうとすると、車の作り方とか車の仕様とか、そういうものの見直しも必要になって、追加的なコストが相当出るのではないかというような話もあったので、すぐにばっと全部変えられるかというと、なかなか難しいというところがあると思うんですけれども、これは制度的な見直しをという話でありましたので、真摯に、大臣の指導の下、頑張っていただくよう、もう一度お願いさせていただきたいと思います。大臣。
○坂井国務大臣 いろいろ、委員もよく御承知の様々な事情がございますので、ここではこうだと申し上げるわけにはいきませんが、私も委員の言うことはもっともだと思ったので、ここまでお話をしているということは、御理解をいただければと思います。結果どうなるかは、これは検討の上ということでございますので。
以上でございます。
○緒方委員 大臣、ありがとうございます。
私、実は答弁を聞いて、恐らく大臣の思いが反映されているんだろうなというふうに、最初の答弁を聞いたときに思いました。大臣のこれからの御指導ぶりを是非期待をいたしたいと思います。
続きまして、国家公安委員長から離れまして、海洋政策担当相として大臣にお伺いをいたしたいと思います。
洋上再エネ法で、洋上再エネをやるエリアを一般海域に広げていくという、その取組、今どんどんどんどん進んでいっているわけですが、我が地元であります福岡県響灘の件も含めて、かなり全国で動きが停滞しているように見えるんですね。
私の地元でも、準備区域、有望区域、そして促進区域と上がっていって、洋上再エネのエリアを拡大していくんですけれども、うちの地元でいうと、令和三年九月に準備区域になってから、もう三年以上音沙汰がないという状況であります。理由の一つとしては、やはり漁業関係者や内航海運の関係者との地元調整がかなり大変なのではないかというふうに見えます。
一方、欧州では、この手の地域調整が、これは国が全部やっているんですね。例えばですけれども、イギリスなんというのは多分慣れているはずなんです。北海油田を開発するときにそういう似たようなオペレーションをやっているので、こういうことに対して知見があるということで国がやっているんだと思います。
洋上再エネを推進する観点からも、地元調整にもっと国が乗り出していくことができるように法改正をすべきではないかと思います。これは、答弁は、私の福岡県立東筑高校五期先輩であります高杉局長に求めたいと思います。局長。
○高杉政府参考人 再エネ海域利用法に基づきます海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に当たりましては、国、関係地方公共団体、事業者、その他の関係者の密接な連携の下に行われることが極めて重要でありまして、このことは法の基本理念にも明確に規定されているところでございます。
特に、案件形成に当たりましては、国及び地方公共団体の適切な役割分担の下で、それぞれが主体的に進めていくことが必要であると考えてございます。
このため、国におきましては、法の規定に基づきまして、基本方針の策定、風況や海底地盤の調査、漁業や環境、防衛などの観点による関係大臣間での協議、関係都道府県と共同での協議会の設置、運営、区域の指定などを実施してきているところでございます。
一方、地方公共団体におかれましては、候補地に関する国への情報の提供、あるいは国とともに協議会を設置、運営するほか、先生の御指摘もありましたが、海域の先行利用者でございます漁業者を始めとする地域の関係者の協調に向けた調整などを行っていただいているところでございます。
こうした国、地方公共団体の主導的な関与と適切な役割分担の結果といたしまして、現在までに十件の促進区域が指定されるという形になっているところは、委員も御承知のところかと思います。
一方で、御指摘のありましたとおり、それぞれの地域における事情などによりまして、地域の理解に差が生じているということも事実でございます。
このため、国といたしましても、引き続き、地方公共団体とともに、現地に赴きまして、関係者との意見交換を実施するとともに、専門家による説明会を開催するなど、洋上風力の案件形成に向けて取組を今後も進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○緒方委員 大臣からもう一言。
今、やはり動いていない理由の一つとして、地域調整に苦労しているということがございます。国としてしっかりとこれまで以上に乗り出していくのであるという、その意気込みをお伺いできればと思います。大臣。
○坂井国務大臣 今事務方から説明があったように、再エネ海域利用法に基づく発電事業でありますが、国と地方公共団体、それからまた事業者等々、それぞれ役割分担をしながら案件を進めて具体化をしているところでございます。
今、地方公共団体のところで十二分に動いていないぞという指摘であったかと思います。
やはり、私は個人的にも、国や地方公共団体それぞれの今ある役割分担というのは必要かと思いますが、ただ、その役割分担を主体的には地方公共団体に負ってもらいつつも、そこでなかなかうまくいかない点があるわけでありますから、そこをどうやって越えるかというのは、国もしっかり支援、後押しをして、そして、結果として案件を進めていくようにしていくべきだと思います。
○緒方委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会