衆議院

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第12号 令和7年4月9日(水曜日)

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令和七年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 市村浩一郎君 理事 田中  健君

      石原 宏高君    井野 俊郎君

      江渡 聡徳君    尾崎 正直君

      勝目  康君    岸 信千世君

      栗原  渉君    田中 良生君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      宮下 一郎君    山際大志郎君

      山口  壯君    山本 大地君

      市來 伴子君    梅谷  守君

      おおたけりえ君    下野 幸助君

      橋本 慧悟君    藤岡たかお君

      馬淵 澄夫君    水沼 秀幸君

      山 登志浩君    伊東 信久君

      三木 圭恵君    石井 智恵君

      西岡 義高君    福田  玄君

      河西 宏一君    山崎 正恭君

      上村 英明君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済再生担当)     赤澤 亮正君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   城内  実君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    伊東 良孝君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   法務副大臣        高村 正大君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   会計検査院事務総局第二局長            岩城 利明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  風早 正毅君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  桝野 龍太君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)

   (内閣府孤独・孤立対策推進室長)         江浪 武志君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室審議官)        河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木啓介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         中  裕伸君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    谷  滋行君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     大村 真一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片平  聡君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  真弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 森田 治男君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        嶺  康晴君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     山本 大地君

  菊池大二郎君     西岡 義高君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 大地君     勝目  康君

  西岡 義高君     福田  玄君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     平沼正二郎君

  福田  玄君     菊池大二郎君

    ―――――――――――――

四月八日

 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案(内閣提出第二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案(内閣提出第二九号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官風早正毅君外二十六名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長岩城利明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。

黄川田委員 自民党の黄川田仁志でございます。

 本日は、国内での外国人に対する交通安全対策を取り上げて質問いたしたいと思います。

 私の地元の選挙区は、川口市の一部が含まれておりまして、中国人、ベトナム人、またトルコ系クルド人などの外国人が多く住んでいる地域でございます。いろいろ、クルド人については全国的なニュースになっておりまして、いろいろな、交通事故、交通違反も含めて多くなっているというところでございます。地元の市議会議員や地域の方々は大変大きな危機感を持っているところであります。

 これは川口市だけの問題ではなくて、インバウンドの外国人観光客や外国人労働者の増加が今後見込まれる中、外国人の交通安全対策、これは非常に大切なことであるというふうに思っております。

 そこで、警察庁にお伺いをします。

 交通統計上、全国的な傾向、外国人による交通事故や交通違反が、感覚だけではなくて、具体的な数字において増えているのかどうなのか、そこを教えていただければと思います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 訪日外国人の増加や外国籍の日本の運転免許保有者の増加などに伴いまして、外国人運転者による交通事故件数や道路交通法及び関係法令の交通違反の検挙件数は近年増加しております。

 外国人運転者による交通事故件数につきましては、令和元年は六千四百八十五件であったものが、六年には七千二百八十六件に増加しておりまして、全事故件数に占める外国人運転者による交通事故件数の割合は、元年の一・八%が、六年には二・七%となっているところでございます。

 また、外国人運転者の交通違反の検挙件数につきましては、令和元年は十万七千八百四十九件であったものが、六年には十二万五千六百四十六件に増加しておりまして、全検挙件数に占める外国人運転者の交通違反の割合は、元年の一・七%が、六年には二・八%となっているところでございます。

黄川田委員 ありがとうございます。

 全国的に見ても、外国人による交通事故や交通違反が増加傾向であるということが統計上も明らかになっているわけでございます。

 これについて、今までどおりの対策では、外国人による交通事故や交通違反が更に増えていくという懸念は拭うことはできません。したがいまして、来年度作成されます第十二次交通安全計画において、外国人の交通安全対策というのは非常に重要な位置づけとなるというふうに私は思っております。

 確かに、第十一次までの基本計画でも外国人に対する交通安全対策の記述は見受けられます。しかし、外国人が増加している現状をしっかりと反映しているとは言えないのではないかと思います。第十二次計画において、外国人に対する交通安全対策を強化するべきでございます。

 現時点で、警察庁が第十二次交通安全基本計画に向けて外国人対策についてどのように考えているのか、教えていただければと思います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、次の第十二次交通安全基本計画におきまして、外国人運転者に対する交通安全対策を充実することが重要であると考えております。

 まず一つは、訪日外国人によるレンタカーの事故が増加しておりまして、現在、警察では、左側通行などの注意しなければならない日本の交通ルールに関するパンフレットを作成し、レンタカー協会と連携して広報啓発を行っているところでございます。こうした訪日外国人に対する広報啓発を一層充実していくことが必要であると考えております。

 次に、二点目といたしまして、外国籍の日本の運転免許保有者が増加していることなどを踏まえまして、在留外国人に対して日本の交通ルールを守るための効果的な交通安全教育を地域社会や関係事業者と連携して推進することが一層重要となっていると認識をしております。これに関連いたしまして、外国免許から日本免許に切り替える、いわゆる外免切替え制度につきまして、現在様々な御指摘をいただいているところであり、制度、運用の両面で検討を行っているところでございます。

 次に、三点目といたしまして、トラック、バス、タクシーといった自動車運送業分野が特定技能制度の対象となり、今後その運用が本格化いたします。また、育成就労制度が導入される、こういうことに伴いまして、外国人運転者に対して事業者などが交通安全教育を推進することが重要となっているところでございます。

 現在、内閣府の下で検討が進められております第十二次交通安全基本計画におきましてこのような点が反映されるよう、外国人に対する交通安全対策の充実方策につきまして、警察庁としても検討を進めてまいりたいと考えております。

黄川田委員 ありがとうございます。

 主に三つ取り上げて方向性を示していただきましたが、まず、私からは、外免切替えについて改めて注文をさせていただきたいと思います。

 外免切替えについて、いろいろな委員会で各先生たちが御指摘されているところではございますが、知識確認が十問しかないということでありまして、これは私は簡単過ぎるというふうに思っております。ですので、この点は改善していただきたいとお願いをしたいと思います。やはり、簡単な知識確認だけで日本の交通ルールを理解できるはずはありませんので、そのことを強く要望したいと思います。

 さらに、外国人の皆様が日本の交通ルールをしっかりと覚えていくためには、外国語による安全講習の受講義務を課すというのも検討していただきたいと思います。

 例えば、静岡県におきましては、日系ブラジル人などの外国人労働者が多いということもありまして、静岡県警が、警官とは別に外国語に対応した指導員を配置して対策を取っているということも聞いております。

 これは各自治体に任せるだけではなく、国の責任において全国的に対策が、対応ができるように検討していただきたいと思います。

 また、外免切替えで手続上問題だと思うのは、観光ビザで滞在するホテルの住所で日本の免許が取得できるということであります。これも早急に改善すべきだと思います。実質住所不定の外国人に運転免許証を交付することになります。これは非常に制度上問題だというふうに思っておりますので、改善をお願いを申し上げます。

 特に言われているのは、中国などのジュネーブ条約に加盟していない国から来た外国人が、日本で短期滞在した際に日本の運転免許証を取得した後、日本の国際免許を取得して、ジュネーブ条約に加盟している国で自動車を運転しているということも聞いております。これは外免切替えの趣旨とは異なるわけでございまして、日本の国際免許を取得するために日本に来ているということになります。

 この点、坂井大臣には特に力を入れて改善に取り組んでいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 先ほど交通局長からも御答弁申し上げましたが、既にこの外免切替え制度につきましては、制度、運用両面において検討を始めているところでございますが、その中身、ポイントにつきましては、今委員が御指摘いただきましたような、短期滞在者がホテル等の滞在場所を住所としている、若しくは知識の問題が簡単過ぎるといった点なども含んでいると承知をいたしておりまして、見直しの余地があると私自身も考えているところでございます。

 また一方で、海外におきましても外免切替え制度と同様の制度がありますので、我が国の制度を見直した場合に、日本人の海外での外免切替えにも影響が生じるおそれがあるということもございますので、考慮する必要があるということでございまして、現在、海外の外免切替え制度について、十五の国、地域を対象に調査を進めているところであって、今後、調査した結果を踏まえ、外免切替え制度の在り方について、制度、運用両面から、スピード感を持って検討は進めてまいりたいと思っております。

 また、委員の御指摘のような、外国人が日本で安全に運転してもらう、運転していただく、こういうためには、当然のことながら交通ルールを理解していただくことが必要であって、運転免許取得後の外国人運転者に対する安全教育の充実というもの、これも次の交通安全基本計画に反映できないか検討するよう警察を指導してまいりたいと思います。

黄川田委員 ありがとうございます。

 次に御指摘したいことは、新たな育成就労制度や特定技能制度で在留し、様々な仕事をする中で、運転にも資する外国人の増加対策であります。

 例えば、第十一次基本計画では、外国人を雇用する使用者等を通じて外国人の講習会等への参加を促進すると明記されております。やはり使用者というのがキーワードだと思っております。この使用者を通じてしっかりと講習の参加を促す等していくべきだというふうに思っております。

 そこで、警察庁に、これまでに全国で使用者等を通じた外国人の講習会の実績はどれだけあるのかと聞いたところでございますが、使用者が主体的に関わった交通安全教育がどれだけあったか分からないということでございました。

 また、特定技能制度の運用に関わる基本指針では、使用者は、地域での外国人との共生社会の実現に寄与するのが責務であると明記されております。交通安全教育を使用者に義務化をしてもよいのではないかというふうに思っております。

 こういうことを踏まえて、第十二次基本計画における大臣の考え方を教えていただければと思います。

坂井国務大臣 特定技能制度の運用が本格化し、また、育成就労制度の施行が令和九年六月までに予定をされているといったところであって、御指摘の事前研修でありますとか使用者による研修といったような場面で、外国人運転者に対する交通安全対策を充実する観点からどのようなアプローチがあるのか、交通安全基本計画の策定に当たって、警察のみならず、関係省庁等と連携して検討するよう警察を指導してまいりたいと思います。

黄川田委員 以上で終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、水沼秀幸君。

水沼委員 市川、船橋からやってまいりました、立憲民主党の水沼秀幸と申します。

 本日も未来志向の議論ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、ギャンブル等依存症対策についてです。

 インターネットの普及を踏まえ、ギャンブル依存症についても、オンラインの環境を想定した対策を講じるべきだと考えます。

 参考として、公営五競技の数字をお話ししますと、中央競馬からモーターボートに至るまで、オンラインによる投票は、全体の投票数の約八割、つまり、大多数を占める行動様式となっております。

 リアルからオンラインに人々の行動が移行した結果、事業者側の新たな取組として、ポイントサービスというものが生まれました。公営競技を例に挙げれば、入口段階では、友達を招待したらポイントを付与するというところで新規参入の敷居を下げて、その後は、年間購入額に応じてポイントを、還元率を向上させることによって、徐々に購入額を増やそうとする仕組みがあるように見受けられます。また、とある競艇場では、高額を賭けた会員が特別観覧席を利用できたり、お中元やお歳暮まで贈られたりするサービスまで出てきている状況です。

 社会通念上妥当な範囲であれば問題はないと思うんですけれども、悪質なポイントサービスによってギャンブル依存を誘発することはあってはならないと考えています。

 いわゆるポイ活に対して対策を講じる必要は明らかですが、残念ながら、現在のギャンブル等依存症対策基本法には、ポイント付与などといった個別のサービスを規制する条項はありません。だからこそ、基本法において、ポイ活などオンライン上で展開されるサービスに関する規制を新たに設けるべきだと考えます。官房長官、御認識をお聞かせください。

林国務大臣 公営競技のインターネット投票等に際して、主催者や販売委託先業者により様々なポイント付与、今委員から御指摘があったようなポイント付与が行われておりまして、ギャンブル等依存症を誘発しかねない、こういう指摘があるということは承知をしておるところでございます。

 お触れになっていただいた基本法には、国等は、広告及び宣伝等の実施の方法について、関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、ギャンブル等依存症の予防等が図られるようなものとなるようにするために必要な施策を講ずるもの、十五条ですが、こういう規定が置かれておるところでございまして、これを踏まえまして、この法律に基づいて基本計画というのを定めておりますが、関係事業者が定める広告宣伝に関する指針に基づき適切に広告宣伝を実施する、こういうふうに定めておりまして、この指針の基本的考え方には、過度に射幸心をあおる内容にならないよう留意すること、それから、ギャンブル等依存症の抑止のため、のめり込みを防止し節度ある購入を促す等の配慮を行うこと、これが明記をされておるところでございます。

 今御指摘があったポイント付与につきましても、こうした考え方の下で適切な対応が行われる、これが重要であると考えておりまして、三月二十一日に基本計画を閣議決定いたしましたが、その後、局長級の幹事会を開催いたしまして、これは議長が副長官でございますが、官房副長官から、ポイント制度について適切に見直すよう、各公営競技所管省庁において関係事業者をしっかり指導することを指示をいたしました。

 所管省庁におきましては、インターネット投票等に係るポイント制度の実態の把握、それから、ポイント制度の適正な運用を広告宣伝に関する指針に明記をするように関係事業者に要請する、そして、過度に射幸心をあおるような行き過ぎたポイント付与等が行われないよう主催者や販売委託先業者を指導すること等々の取組を進めていくこととしておりまして、内閣官房においても取組状況をしっかりとフォローアップしてまいりたいと考えております。

水沼委員 ありがとうございます。

 新しい基本計画に基づいて指示があったということは心強く思います。それでもなお難しい場合は、本当に基本法の規制を新たに設けるべきということも加味いただいて、是非、インターネットの利用を想定したギャンブル依存症対策の推進を我が国の司令塔である官房長官に強くお願い申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

 林官房長官、もしよろしければ、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

大岡委員長 では、林官房長官、御退席いただいて結構です。

水沼委員 では、次は、いわゆる闇バイト対策について伺います。

 今年に入り、十六歳の高校生がミャンマーにて特殊詐欺に加担させられ、保護されるという事案が発生しました。その高校生はなぜ異国の地まで行ってしまったかというと、オンラインゲームの中で会話をしている、そのときにバイトに誘われたと話していたことが明らかになっています。

 最近のオンラインゲームは、ボイスチャット機能で会話をしながら協力して遊ぶタイプが多いですので、仲間意識が芽生えて親密な関係になりやすいのが特徴だとされています。だからこそ、ゲーム内のコミュニケーションツールを悪用した違法行為への誘引に何らかの対策が必要だと考えています。国家公安委員長のお考えをお聞かせください。

坂井国務大臣 御指摘のとおり、先般、高校生が、オンラインゲームで知り合った相手に誘われて、海外に渡航し、犯罪行為に加担させられたという事案が発生しているほか、オンラインゲームで知り合った相手から重要犯罪等の被害に遭う事例も発生しております。

 こうした状況を踏まえ、警察庁では、本年二月、子供が犯罪に巻き込まれるきっかけとなるオンラインゲームに関する注意喚起を発出し、それ以降もこうしたリスクについて継続的に呼びかけを行っております。

 引き続き、オンラインゲームを含めたSNSに起因して子供が被害に遭う犯罪への厳正な取締りを行うとともに、関係省庁とも連携をし、子供や保護者等に広くこうした危険性を周知するよう警察を指導してまいりたいと思います。

水沼委員 ありがとうございます。

 多角的な観点で対策が講じられているということは理解をいたしました。引き続き、若い世代の皆さんが意図せずに犯罪被害に遭うことを防ぐための取組をよろしくお願いいたします。

 次に、仮装身分捜査についてです。

 仮装身分捜査は、昨年末に計画が示され、闇バイトを始めとした近年多発する匿名・流動型犯罪対策として大きな期待が寄せられています。昨年末に私が当委員会にて質問させていただいた際は、実施要領等の準備が整い次第捜査に活用するという旨の説明があったと理解しています。当時から四か月ほど経過いたしました。国家公安委員長、現在の取組状況をお答えください。

坂井国務大臣 警察庁におきましては、本年の一月の二十三日でございましたが、仮装身分捜査実施要領を策定をいたしまして、既に各都道府県警察にその実施を指示したところであります。各都道府県警察において、この実施要領に基づき、既に必要な取組が進められていると承知しております。

 具体個別な話は捜査の進捗を明らかにすることになりますので差し控えますが、本捜査手法の適正かつ効果的な活用を図って、実行指示役、首謀者の検挙に向けた取組を進めるよう警察を指導してまいります。

水沼委員 ありがとうございます。

 各地で具体的に取組が進んでいるということで、安心をいたしました。引き続き、トクリュウ対策に対する大きな抑止力に育てていきたいとお願い申し上げ、実施要領の細かい規定に関する質問に入ろうとます。

 坂井委員長は、もしよろしければ、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

大岡委員長 では、坂井国家公安委員長は御退席いただいて結構です。

水沼委員 では、ここから参考人の方に二つ、規定の確認をさせていただきます。

 まず一つ目は、要領の六条目、仮装身分捜査の実施項目に関してです。

 ここでは、「仮装身分捜査は、」「他の方法では犯人を検挙し、犯行を抑止することが困難と認められる場合に、相当と認められる限度において実施すること。」というふうに規定されています。

 この「他の方法では犯人を検挙し、犯行を抑止することが困難と認められる場合」という記載の判断基準を具体的に示していただければと思います。

谷政府参考人 お答えをいたします。

 インターネット等を通じて実行者を募集する強盗、窃盗、詐欺等の犯罪の捜査におきましては、その募集を行っている者、これを特定することが大変重要でございますけれども、匿名性の高い通信アプリが用いられているなどのために通常の捜査手段によってはこの募集者の特定が容易ではなく、実際に募集者に接触してみなければ犯罪についての情報を得ることが困難である場合がございます。

 このため、警察におきましては、捜査員がその身分を秘して募集に応じて検挙につなげる雇われたふり作戦を実施しておりますけれども、その応募に対して、犯人側から、本人確認と称して身分証明書等の画像を求められることが多い現状にございます。

 実施要領では、このように架空の身分証明書等の画像を利用して応募をしなければ犯人への接触が困難な場合を想定して仮装身分捜査を実施するように定めているところでございます。

水沼委員 ありがとうございます。

 本人確認用の資料として身分証が求められた場合であるということが理解できました。

 続いて、要領九条目、職員の安全確保に関しての質問となります。

 ここでは、「捜査の実施に当たっては、犯人に接触する捜査員その他の従事する職員の安全確保に万全を期すること。」と規定されています。

 やはり、トクリュウグループの人間と対面で接触をするときが最大の危険が伴うと考えています。例えば、まだ強盗などの具体的な指示がなく、逮捕に踏み切れない、そういった中、身分証の写真と実際の顔が異なることを理由に捜査を疑われ、その場で車などで連れ去られるという事態も最悪想定され得るかと思います。

 対面接触をした際の救援体制についてお聞かせください。

谷政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、仮装身分捜査の実施に当たっては、犯人に接触する捜査員その他の従事する職員の安全確保に万全を期することは極めて重要であると考えております。

 具体的な安全確保措置、これを明らかにいたしますと、犯人側にそれを踏まえた対応を許すことになりますので、詳細な御説明は差し控えますけれども、例えば、通信アプリ上のやり取りなどを踏まえて、捜査員の安全を確保しながら捜査を継続することができないと判断される場合には、仮装身分捜査実施主任官、捜査員などの判断により捜査を打ち切ることとしております。安全確保に必要な体制や配置の確保、必要な資機材、これを装備するなどして、捜査員の安全確保には万全を期することとしております。

 捜査員の安全確保は極めて重要でございますので、警察庁としても、この点に留意して、しっかりと都道府県警察を指導してまいりたいと思っております。

水沼委員 ありがとうございます。

 今局長からも極めて大切だという安全確保に関してのお話があったことは、本当に心強く思います。現場で体を張って懸命に捜査に従事する職員の皆様の安心、安全の確保、そして安心して働ける環境の整備を引き続きお願いしたいと思います。

 次に、トクリュウ型犯罪への抑止力強化という観点で、参考人の方に伺います。

 仮装身分捜査は、都度必要な実行犯役を募るということを防ぐ、いわばフローに関する抑止力だというふうに認識しています。それに加えて、大切なのはストックの対策、つまり、お金をためる場所である預金口座への対策があれば、より一層このトクリュウ型犯罪の抑止力になると考えています。

 だからこそ、架空名義口座を捜査に活用することが有効だと考えておりますが、お考えをお聞かせください。

谷政府参考人 お答えをいたします。

 匿名・流動型犯罪グループは、SNSなどを用いて他人から買い取った多数の口座を悪用して、特殊詐欺等の被害金の送金先に用いたり、その後も次々と資金を移転させるなどして巧妙にマネーロンダリングを行っている実態があり、暗号資産に交換されて海外に流出し、その追跡や回復が困難なケースも多いと承知しております。

 御指摘の架空名義口座を利用した捜査につきましては、これを実施することができれば、例えば警察が管理する架空名義口座を犯人側の手に渡らせ利用させることにより、被害金の回収や資金の流れの追跡が可能となるなどの効果があるものと考えております。

 警察庁としては、過去最悪となっている特殊詐欺等の情勢を踏まえまして、新たな捜査手法について不断の検討を進める必要があると考えておりますところ、御指摘の架空名義口座を利用した捜査の実施の可能性についても、関係省庁や関係事業者とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

水沼委員 ありがとうございます。

 対策を検討しているというところだと思うんですけれども、やはり実行力ですとか犯罪への牽制力というところでは、もう少し具体的なお話というか、例えば、架空名義口座、今、導入を検討しているということなんですけれども、全くしていない状態がゼロで、今すぐやるぞという状態が十だとしたら、グラデーションってあると思います、今、大体どれぐらいの強さ、強度、抑止力、架空名義口座として考えているか。済みません、ここは本当に大切なので、もう一回聞かせてください。

谷政府参考人 お答えをいたします。

 架空名義口座を利用する捜査、これが実施できれば一定の効果が期待できるということは私どもも認識しております。架空名義口座を利用した捜査の具体的な方法ですとか関連する法令について、関係省庁ですとか関係事業者とも連携して、これからしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

水沼委員 ありがとうございます。済みません、質問の通告をしていなかったので、やはりなかなか踏み込んだ回答は難しいと思うんですが、是非、坂井国家公安委員長とも共有して、引き続き、あらゆる手段を駆使して国民の皆様の安全を守る活動をしていただければと思います。

 それでは、また次のテーマに移ってまいります。

 続きましては、若者の孤独・孤立対策についてです。三原大臣、ありがとうございます、御出席いただきまして。

 昨年、残念ながら、小中高生の自殺数が過去最多を更新してしまいました。子供の、そして若者の孤独、孤立、そして社会的孤立に関わる問題は相当に深刻なレベルにあると推察します。

 だからこそ、支援の要請を受けて対処するのではなく、ケアする側が自ら働きかけるアウトリーチ型の孤独・孤立対策が若年層の方には特に求められていると考えます。現状を踏まえた取組を、三原大臣、お答えください。

三原国務大臣 孤独、孤立の問題につきましては、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものであり、とりわけ発達段階にある子供の声を拾い上げていくことは大変重要であると認識しております。

 このため、内閣府では、誰にも相談できず、いわゆる孤独、孤立の状況で悩んでいる子供向けに相談窓口を紹介するウェブページを作成して運営しているところでございます。また、子供向けの居場所に関する先駆的な取組を行うNPO等の支援、こうしたことも行っているところでございます。

 引き続き、子供を始めとして、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会の実現、これを目指して、官民連携プラットフォームなどを通じて、関係省庁やNPO等の関係機関と緊密に連携しながら、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

水沼委員 ありがとうございます。孤独・孤立担当として全方位で支援をしていらっしゃると思うんですけれども、今の御答弁だと、若年層に特化した支援という観点ではまだまだ取組の余地があるのではないかというふうに理解しました。

 そこで、休眠預金を活用しようというのが次の質問となります。お配りさせていただいた資料を御確認ください。まず、一ですね。御確認ください。

 こちらは、現在、国として、十年以上入出金のない預金である休眠預金を活用して、民間公益活動の支援をしています。

 民間公益活動の定義というのは、配付した資料に書いてあるように三つありまして、一つ目が、なかなか国や地方公共団体では対応することが難しい社会の諸課題の解決を図ることを目的として、三つ、子供及び若者の支援に係る活動、日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動、三つ目が、地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動、このような三つに絞られています。

 だからこそ、本制度は、さきの取組、今、孤独・孤立対策をやっていらっしゃると思うんですけれども、この取組を補完し、若年層の孤独や孤立問題におけるピンポイントでの対策に非常に有効な手段であると考えています。

 しかし、裏面を御覧ください。資料二を御覧ください。

 休眠預金は、発生額が、一九年から二三年、書いてあるんですけれども、この発生額から支払い額、この支払い額というのは返還請求のあった額になります、返還請求のあった支払い額を差し引いても、毎年一千億以上の余剰が生じています。

 他方、このお金を差配する日本民間公益活動連携機構、JANPIAというんですけれども、からNPO法人などへ渡る助成金は、これは右側なんですけれども、各年度を見ても、通常枠、緊急枠、どちらを足し合わせても百億円にも満たない額にとどまっています。

 もちろん、国民の皆様の貴重な財産を原資としていますので、助成額だけを増やして事業者のモラルハザードを起こすべきではありません。しかし、私が持っている資料ですとかによりますと、休眠預金の預金者の内訳というと、一口座当たり、実は一万円以下が約九割を占めているんですね。なので、ほぼほぼ一万円以下の眠った預金が集まって今のこの額になっているということです。いずれにしても、その預金がないと家庭での暮らしが立ち行かないという額が残っているとはなかなか考えづらいのではないかなというふうに思っています。

 なので、だからこそ、これだけ原資があるという中で、困っている子供たちがいて、それを何とかしたい、でもお金がないと考えている社会起業家の卵とでもいうべき方々は、インパクト投資かいわいの皆様のお話を最近よく聞いているんですけれども、そういった皆さんのお話を聞いても、やはり多くいるような印象を受けています。

 私自身も、地元のNPO法人の理事として、民間図書館をつくるという活動を通して全ての人たちの居場所づくりに取り組んでまいりました。その経験を基に、地元の皆さんの話を聞いても、やはり休眠預金、自分が十年以上取引記録のない一万円以下の預金を活用して、子供とか若者とか社会的困難の人たちが立ち直れるような、最悪のケースとしての自殺を防げるような取組ができるんであったら、それは是非、もっともっと有効活用していいんじゃないかというような御意見も地元ではたくさん聞いています。

 だからこそ、毎年の助成額の更なる拡大と、そもそも本制度、大変すばらしい制度だと思っています、本制度の周知徹底による民間公益活動人材の裾野を広げる、そういった活動に一層取り組むべきだと考えています。

 大臣の御見解をお聞かせください。

三原国務大臣 休眠預金等活用制度は、国民の皆様の預金から生じた休眠預金を活用して民間の団体が行う共助の活動を支援するために創設された制度であり、民間の団体の創意工夫が十分に発揮されるように、民間の発意を尊重しながら運用しているところでございます。

 今委員おっしゃいました休眠預金制度につきましては、二〇一九年度の運用開始以来、約千三百五十の事業に活用されてまいりましたが、そのうち、孤独、孤立や社会的差別の解消に向けた支援に該当するもの、複数分野に該当するもの含めて、約五百四十事業あるところでございます。特に、議員の御指摘の自殺対策につながる事業といたしましては、自殺防止に取り組む相談員の養成ですとか、子供、若者に対するLINE相談、シェルターの提供等のアウトリーチ型の支援等で活用されています。

 子供たちが信頼できる大人に安心して悩みを打ち明けられる、そういう環境をつくるためには、やはり行政だけではなくて、こうした民間団体の活動というのは大変重要であるということは、委員と同じ問題意識を持っております。

 今後も、子供、若者のこうした孤独、孤立の解消を始めとする様々な、今おっしゃった社会課題の解決に向けた民間団体の活動、こうしたものに休眠預金が積極的そしてまた適切に活用されるように、新たに創設されました活動支援団体による人材ですとか情報面での支援、こうしたもの、そして制度の周知広報、事例の発信等にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

水沼委員 ありがとうございます。課題認識は一致していると思います。

 私の先ほどの問いのところ、一つ目としては、助成額の更なる拡大というところについてのお考えということをお伺いします。

 ここはちょっと細かい規定なので参考人の方でも構わないんですけれども、今、助成額の中期目標としては、二〇二三年度から二〇二七年度の五年間で三百億円を目安とするというふうに書いているんですけれども、やはり毎年一千億円以上積み上がっている中で、支援を必要とする子供たちがいる中だと、もっともっと活用、もちろん裾野を拡大をした上で、質を担保した上でですけれども、もっともっとこの助成額を増やす余地があるんじゃないかと思うんです。

 この助成額の目標はあくまで三百億、目安なので、やはり申請がもっともっとあれば、そこは四百億とか五百億ですとか、必要に応じて積み上がっていくという認識でよろしいでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、三百億を超えても積極的に活用していくべきではないかという御質問でございました。この三百億でございますけれども、この中間目標というのは二〇二三年に策定をしたものでございますけれども、それまでの助成額の推移を踏まえて年間一〇%程度伸びていくというふうに想定をしまして、二〇二三年度からの五年間でトータル三百億円程度というふうに想定したものでございます。

 御質問の中でもございましたけれども、やはり、質の担保と、それから量についてもしっかりと支援していく、この両方を確保することが必要だというふうに考えてございまして、適切に休眠預金が活用されるように、例えば、公募したときには、審査基準が幾つかございますけれども、事業の妥当性、それから、ちゃんと体制が取れているかといったような実行可能性ですとか、あと、重要なお金ですので、ガバナンスとかコンプライアンスなどの、そういった体制がちゃんと取られているのかといったことについてしっかり選定基準を定めて、かつ、外部有識者によって審査委員会をつくっておりまして、そこで審査をして選定を行うといったことになっています。

 それで、済みません、その選定基準が満たされなければ不採択になるわけですけれども、不採択の場合も含めてその理由をしっかりと示して、次につながるような丁寧なコミュニケーションも図っているところでございまして、そういった団体が少しでも増えていくように、しっかりと我々としてもサポートをしていきたいというふうに考えてございます。

水沼委員 ありがとうございます。

 様々な懸念点はあるのかもしれませんが、現実問題として若者の孤独、孤立問題は存在していて、そのことを理由の一つとして自殺者が過去最多になったという、最悪の結果になってしまったという大きな社会課題が発生していることも事実です。

 是非、本制度の活用が、誰一人取り残さない持続可能な社会づくり、若者の孤独・孤立対策の触媒になるよう御尽力いただければとお願いを申し上げて、時間となりましたので、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、市來伴子君。

市來委員 立憲民主党の市來伴子です。よろしくお願いいたします。

 本日、私からは、AIで生成されたポルノ、ディープフェイクポルノについて伺います。

 今、AI生成技術の進展に伴いまして、いわゆるディープフェイクポルノが問題となっております。AIを使って実在する人物の顔部分をすり替えて性的な画像や動画を作成したり、写真などの体の部分を裸に加工したりと、偽の性的な画像、動画のことを指します。

 AI技術は年々進化しておりまして、このディープフェイクポルノは短時間で大量に作ることができるようになっており、さらに、本物と見分けがつかないほど精巧になっているということでございます。一たびディープフェイクポルノがネット上で拡散すれば、本物と誤解されるおそれがありまして、深刻な被害を受けます。SNSの普及で一般の方の画像もネット上から簡単に入手できるようになっておりまして、芸能人だけでなく身近な人もターゲットにされやすくなっております。

 被害が拡大しているとの報道が出ておりますが、林官房長官はこの問題についてどのように考えるか、御見解を伺います。

林国務大臣 生成AIを使ったいわゆるディープフェイクポルノがネット上に拡散される事例が増えている、今委員からも御指摘がありましたが、こういう指摘がされているということは承知をしておるところでございます。

 私、実は、参議院時代に児童買春禁止法というものの提案者になって、一回目携わったんですが、そのときから児童ポルノというのは課題の一つであったわけでございますが、生成AIを用いたいわゆる今のディープフェイクポルノは、態様によっては、例えば顔画像を無断で使われるなどした方、顔を使われた方、こういう方の心身に長期にわたって有害な影響を及ぼし得る、そういうものであると考えております。

 被害に遭われた方の立場に立って対応するということ、これがこうした問題については大変重要である、そういうふうに認識をしております。

市來委員 今日は法務省副大臣に来ていただいておりますので、お伺いをいたします。

 子供たちのディープフェイクポルノの問題です。

 卒業アルバムやSNSの写真など、実在する子供の写真を使って性的画像や動画を生成し、販売するなどの被害がございます。これは深刻な問題でございまして、同じクラスの子供が被害者になる一方、同じクラスの子供が加害者にもなり得ます。また、こういった子供のポルノを大量に作成し、ネット上で販売して利益を得ようとする悪質な者もいます。

 そこで、法務省に確認いたしますが、AIで生成された性的画像や動画は児童ポルノ法上の児童ポルノに該当し得るのか、お答えください。

高村副大臣 お答えいたします。

 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、この点についての直接のお答えは控えたいと思いますが、一方で、あくまで一般論として申し上げますと、いわゆる児童ポルノ法二条三項の児童ポルノについては、最高裁判所の決定によれば、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他のものであって、同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい、実在しない児童を描写したものは含まないと解するべきであるとされていると承知をしております。

 その上で、お尋ねのAIで生成された性的画像や動画について、具体的な証拠関係に照らし、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他のものであって、児童ポルノ法二条三項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものと認められるのであれば、児童ポルノに該当すると考え得ることができると思います。

市來委員 副大臣、済みません、もう一度お答えいただければと思うんですが、個別ケースで判断されるというのはもちろんそのとおりだというふうに思うんですが、実在する児童の画像を使った生成AIポルノ、AI生成ポルノで認められれば、これは児童ポルノ法上の児童ポルノに該当する、このことをお答えください。

高村副大臣 お答えいたします。

 犯罪の成否は、繰り返しになりますけれども、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でありますが、あくまで一般論となりますが、いわゆる児童ポルノ法二条三項の児童ポルノについては、最高裁判所の決定によれば、写真、電磁的記録に係る媒体その他のものであって、同項各号のいずれに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい、実在しない児童を描写した場合は含まないと解するべきであります。

 お尋ねの実在する児童の画像を基に生成された性的画像や動画について、具体的に想定されているものが必ずしも明らかではございませんが、具体的な証拠に照らし、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他のものであって、いわゆる児童ポルノ法第二条三項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものと認められるのであれば、児童ポルノに該当し得ると考えられます。

市來委員 ありがとうございます。

 該当し得るということですけれども、じゃ、ちょっと聞き方を変えますね。

 児童ポルノの定義としまして、描写されている児童が実際に実在する、あるいは実在したという基準が存在しますよね。この要件に該当すれば、この生成AIポルノも児童ポルノ法上の児童ポルノということでよろしいですか。結局、実際に実在した児童ということで認められればオーケーですか。

吉田政府参考人 お尋ねは、対象となる児童が実在しているかどうか、そこに問題意識があるものと理解いたしました。

 今、副大臣からも御答弁申し上げたとおり、児童ポルノ法の二条三項各号というところに、どういう児童の姿態であれば児童ポルノと言えるのかということが規定されておりまして、そこで言う児童については、実在するものである必要があるというふうに解されております。

 具体的な証拠関係によりますけれども、個別の事案ごとに見たときに、問題となっているその児童の姿態というのが実在する児童の姿態だと言えるということであれば、御指摘のように児童ポルノに該当し得るというふうに考えております。

市來委員 ありがとうございます。

 今の答弁は、非常に重要な答弁だと思います。実在する児童の画像が使われた生成AIポルノということが認められれば、これは児童ポルノ法上の児童ポルノと定義をされるということですね。

 もう一度確認します。政府参考人、もう一度お願いします。

吉田政府参考人 いわゆるディープフェイクポルノの場合に、どういう形で画像を組み合わせるかというのは様々あろうかと思いますけれども、事案ごとに、問題となっている児童とされるものの姿態の画像を見たときに、実在する児童の姿態であるというふうになりますと、もちろん児童ポルノ法の二条三項各号に当たるかという問題は残りますけれども、先ほど申し上げたように、児童ポルノに該当し得るというふうに考えております。

市來委員 今の答弁は、今実際に被害に遭われている方々の希望になると思います。

 この児童ポルノ法上において、ほかの質問をしますけれども、児童ポルノ法上はどういった行為が処罰対象になりますか。製造、所持、輸入、輸出等々書かれております。また、輸入、輸出、提供という言葉もありますが、海外のサイト上で売買される行為も処罰対象になるのか、確認します。

吉田政府参考人 いわゆる児童ポルノ法七条によりますと、次のような行為、すなわち、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持すること、児童ポルノを提供すること、それから、提供目的で児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出することなどが処罰対象とされております。

 その上で、今お尋ねのありました海外サイト上の売買についてでございますけれども、国内犯として処罰されるかということに関して申し上げますと、一般的な考え方としては、犯罪を構成する事実の一部が日本国内にあれば国内犯として処罰できるというふうに考えられております。したがいまして、輸出、輸入あるいは提供という行為に当たる具体的な事実の一部が日本国内にあれば国内犯として処罰することが可能であるというふうに一般的には考えられているところでございます。

市來委員 ありがとうございます。

 今、この問題を取り上げた「クローズアップ現代」によりますと、AIによるポルノ加工を請け負うサイトやアプリが存在しまして、その数、確認できただけで五十以上あるということでございます。実際のインタビューでは、小学校六年生の頃からこのAIアプリを使ってAI生成をしていたという高校生や、そして、子供が簡単に加害者になるような、アクセスしやすいアプリ、サイトがあるということでございます。

 これは児童ポルノになり得るということですから、なり得ない場合の事例、また、今後のAI技術の発展によっては、児童ポルノ法にしっかりと定義づけを行うことも必要かもしれません。児童ポルノ法は議員立法ですから、国会内で議員間においても議論が必要だというふうに思います。

 ディープフェイクポルノについては、先日、私はこども家庭庁で取り上げさせていただいて、その後、多くの方から御意見をいただきました。今、児童ポルノ法の点を突きましたけれども、ディープフェイクポルノは子供だけでなく大人も被害に遭うじゃないか、そしてまた、成人の女性だけでなく男性も被害者になり得る、また、成人への対策はどうするのかといった御意見をたくさんいただきました。新法を作り、規制しようとして動いているイギリスなどの国もありますけれども、日本においても、この点、新法が必要ではないかと考えております。

 AI技術の進展に伴い新しい課題が生まれているわけですけれども、提出されたAI新法もこれから議論されるわけですが、こういった新しい課題について城内担当大臣に伺いたいと思います。

城内国務大臣 お答えいたします。

 本年二月に公表いたしましたAI戦略会議及びAI制度研究会の中間取りまとめにおきましては、AIがもたらし得るリスクに対しまして、その基本的な考え方として、既存の法令が存在する領域においては、まずはその枠組みを活用し対応するべきとされているところでございます。

 このため、確かに海外ではディープフェイク画像の流通等が規制されている国もございますが、我が国においては、生成AIを悪用したディープフェイクポルノを含めた新たな課題への対応につきましては、まずは個別の事案ごとに、刑法やいわゆる児童ポルノ禁止法等の既存の法令にのっとり適正に対処されていくべきものと考えてございます。

 その上で、今般提出させていただきましたAI法案におきましては、内閣総理大臣を本部長とし、全国務大臣を構成員といたしますAI戦略本部を設置するなど、AI政策の司令塔機能を強化することとなっております。加えて、AI戦略本部の事務局である内閣府が、AIに関する情報収集や調査、情報提供等を実施することとなっております。

 こうした仕組みによりまして、AIに関する様々な課題に対して、内閣府が司令塔機能を発揮し、全ての関係省庁との間で緊密な情報共有、調整を行いながら、政府全体として一層迅速にこうした課題への対応をしっかり図っていくことが可能になるというふうに考えております。

 以上です。

市來委員 ネット上をパトロールして、違法性の高い性的な画像や動画を通報するという活動をされているひいらぎネットという活動団体がありまして、永守すみれさんにお話を伺いました。様々な事例を御紹介いただきまして、警察に相談しても法的な根拠がないとして取り上げてもらえなかったという事例や、仮に名誉毀損が認められても被害の原因である画像や動画は必ずしも削除できるとは限らない、そしてまた、海外のサーバーでは発信者情報の開示を進められないので具体的な捜査はできないと言われた、また、民事で開示請求して加害者を特定するのに時間がかかるなどなど、被害者側が非常に多くの労力をかけなければ、いろいろな解決、そして情報の開示ができないといった事態になっております。

 そもそも、ディープフェイクポルノを作成、所持、視聴する場合の直接的な規制がない状況でございます。これは被害者にとってはとても精神的につらいものです。被害が拡大し続ける状況を止めることができません。早急な対応を行ってほしいですが、最後に官房長官に伺います。

林国務大臣 委員から大変重要な御指摘があったと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、この元々の法律、平成十一年なんですが、そのとき私は提出者で、そのときの議論は、まだ、児童ポルノの単純所持はどうしようかという議論を与野党PTでやりまして、なかなかこの取締りができないので、違法というふうに書きました、書きましたけれども、罰則はなかなかかけにくいということで、それがスタートであったんですが、その後、今は当然罰則がかかっておりますし、かなりその時々の状況に応じて対応を強めてきておりますので、まさに法律の修正について先ほど言及されたということは非常に大事なことであろうか、こういうふうに思っております。

 今、法務省当局と城内大臣からも御答弁があったとおりでございますが、こども家庭庁においても、さっき触れていただきましたように、有識者そして関係省庁によるワーキンググループを開催しまして、インターネットの利用をめぐる青少年の保護に関して課題と論点の整理を行っておりまして、その中に生成AI等を用いたいわゆる児童ポルノに関する意見もある、こういうふうに承知しておりますので、丁寧な議論をしたい、こういうふうに思っておりますが、冒頭申し上げましたように、被害に遭われた方の立場に立ってしっかり対応していくということが非常に大事である、そういうふうに認識しております。

市來委員 是非、被害に遭われている方が今まだまだいらっしゃいます、そしてまた拡大し続けておりますので、丁寧な対応、そして迅速な対応をお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。防災庁の設立についてでございます。

 防災庁の設立、国民の関心が非常に高い問題でございますけれども、私の選挙区においては、ふじみ野市元福岡地域というところで二〇一七年、二〇一九年に水害がありました。床下、床上浸水の被害があり、ゲリラ豪雨のたびに、また浸水するのではないかと地元住民の方は不安を抱えておられます。度重なる台風や水害、地震や津波、また昨今では山火事等も発生しておりますが、あらゆる災害に備えるために防災の重要性は高まっております。防災庁設立に向けた国の取組について伺いたいと思います。

 また、防災庁の設立は石破内閣の主要政策の一つだと思いますが、防災庁の意義について官房長官に伺います。

林国務大臣 我が国は世界有数の災害発生国でございまして、南海トラフ地震、また首都直下地震などの大規模自然災害の発生が懸念をされております我が国におきまして、災害から国民の生命、身体、財産を守り抜くことは国家の使命でございます。

 このため、平時から万全の備えを行う本気の事前防災に取り組みまして、平時、発災時の政府の災害対応の司令塔としての機能を担う組織が必要であると考えておりまして、令和八年度中に内閣府防災担当を発展的に改組し、防災庁を設置するべく準備を進めておるところでございます。

 この防災庁の設置によりまして、人命、人権最優先の防災立国を構築をいたしまして、我が国を世界一の防災大国にするべく取り組んでまいりたいと考えております。

市來委員 法務副大臣、もしよろしければ御退室していただいても構いません。済みません、ありがとうございます。

大岡委員長 では、高村法務副大臣は御退席いただいて結構でございます。

市來委員 令和八年に防災庁が設立予定ということでして、今年度予算にも計上されておりますけれども、どういう状況なのか。また、設立に当たって、スケジュールをお聞きいたします。

河合政府参考人 お答えいたします。

 令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁については、強化すべき防災施策の方向性等について、防災分野の専門家の方々から様々な御意見をいただくため、今年の一月に防災庁設置準備アドバイザー会議を立ち上げまして、これまでに四回の会議を開催しております。

 アドバイザー会議における議論は夏頃の取りまとめを予定しておりまして、引き続きスピード感を持って検討を進めてまいります。

 以上です。

市來委員 ありがとうございます。

 防災については地元の方からたくさんのお声をいただいているんですが、例えば、こういった水害の問題ですと、河川は都道府県を越えて流れているわけでございます。そして、防災の河川の計画も、これは国交省になると思うんですが、対策をされておりますが、やはり自治体間の連携、そしてまた自治体の財政力によって防災の質と量が、格差があることはあってはならないというふうに思います。特に、財政力がある東京に集中するような、防災についても東京一極集中が生まれるような状況にならないようにしていただきたいと思います。

 防災庁の役割は、恐らく各省庁をまたぐ司令塔の役割になってくるかと思いますし、それを期待したいというふうに思いますが、是非そういった位置づけで考えていただきたいと思いますが、最後に御見解をお伺いいたします。

西野大臣政務官 委員の御指摘のとおりだと思います。

 石破総理のお言葉をかりれば、地理的条件、さらには財政的な条件の違いによって被災者の方々を苦難の中に置き続けるということがあってはならないというふうに石破総理も何度も申しているとおりでございます。

 そのため、内閣府防災では、これまでも、できることからしっかり取り組んでいかなくてはいけないというふうに思っておりまして、例えば、新地方創生交付金等によって備蓄体制の改善に取り組んでおりますし、また、今年度からは、都道府県とのカウンターパートとなります地域防災力強化担当を置きまして、自治体と連携して地域の防災体制を強化することとしております。

 さらには、防災庁の設置に当たりましても、委員御指摘のとおり、自治体間の防災対策の格差が生じないように、防災庁を中核として、関係省庁や自治体が一体となった防災対策を一層効率的、効果的に実施するための組織づくりを心がけていきたいと思います。

市來委員 しっかり対応していただきますようにお願いいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久でございます。

 冒頭、まず最初に、トランプ関税の対応に関連しまして御質問させていただきたいと思うんです。

 政府はトランプ関税について様々なレベルで見直しを申し入れてきたということなんですけれども、残念ながらその事前交渉が成果を上げた形跡が今のところ見られていないわけなんです。

 国内での、まずは経済対策、そして外交の、国外での対応が必要となっていくんですけれども、まずは、経産省が三日、米国関税対策本部を立ち上げるとともに、全国に千か所の特別相談窓口を設ける、これは資料一に示しておりますけれども、国内での企業の支援策を進めておるわけです。

 トランプ政権による相互関税の導入をめぐって、アメリカ側との交渉を担う担当閣僚に赤澤経済再生担当大臣、御指名を受けられたみたいなので、まずは、現時点における国内での対応や進捗や今後の方向性について、どのように臨まれるか、お答えください。

赤澤国務大臣 今般の関税措置は、国内産業にも広範囲に影響が及ぶ可能性がございます、委員の御指摘のとおりで。これをしっかりと精査をし、国内の産業や雇用を守るために必要となる支援に万全を期すことが極めて重要であると考えております。この点、委員御指摘のとおり、昨日開催されました米国の関税措置に関する総合対策本部などにおいて総理からも指示が出て、取り組んでいるところということであります。

 まずは、短期の支援策として、これも委員御指摘のとおりですが、経産省において、全国約千か所の特別相談窓口の設置、九つある地方経産局はもちろんのこと、商工会議所とか日本公庫の出先とかそういったところに特別相談窓口を設置させていただいています。また、二番目に、資金繰りや資金調達への支援、そして三番目に、中堅・中小企業の事業強化のための支援を既に開始をしております。

 加えて、経済産業省の副大臣や政務官が自動車産業が集積する地域を訪問の上、中小サプライヤーを含めた現場の声を伺っているところです。私ども、それをプッシュ型の影響把握と呼んでおりますけれども、それに取り組みながら我が国産業への影響の把握を速やかに行い、それらの状況も踏まえて追加の今後の対応を検討していくこととしております。

伊東(信)委員 いたずらに騒ぎ立てたりとかするのもどうかなとは思うんですけれども、それでもやはり、国内で不安が起こっているのは事実です。

 しっかりと、ここから始まって、ここからの対応がやはり求められるわけですけれども、その上でやはり検証というのも必要で、確かに、トランプ大統領が打ち出す政策、予測不能といえばそうなんでしょうけれども、様々なオプションで検討していくべきだったのではないかなとは思うんです。

 本当に、トランプ関税に関して想定外という声が出るのは、じゃ、逆にすると想定が甘かったという指摘もあるのも、それは仕方がないことです。ただ、同盟国である米国からの経済的威圧とも言えるトランプ関税について、やはりリスク分析するための情報収集のアプローチも行ってきたと思うんですけれども、それについて、まず、政府参考人でよろしいので、お答えください。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 トランプ大統領就任後、米国政府が立て続けに関税措置に関する様々な発表を行ってきております。

 政府においては、関係省庁それから在外公館を通じ、トランプ政権の考え方や動向について情報収集を行うとともに、様々なレベルで我が国の懸念を説明し、一方的な関税措置を取るべきでないことを申し入れてまいりました。それにもかかわらず、今般、アメリカ政府が関税措置を発動したことは極めて遺憾でございまして、WTO協定それから日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているところでございます。

 今般の措置を始め米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済、多角的貿易体制全般に大きな影響を及ぼしかねない事態だと考えております。

 岩屋外務大臣からも、これまで、二月にミュンヘン、三月にシャルルボワ、先週はブリュッセルにおきまして、ルビオ国務長官に対して、米国の関税措置に関して、措置の見直しを強く申し入れてきたところでございます。さらに、武藤経産大臣からラトニック商務長官等に対しても、訪米や電話会談の機会に同様の申入れを行ってきているところでございます。

 また、七日に行われました日米首脳電話会談におきましては、石破総理から、日本が五年連続で最大の対米投資国であると述べつつ、米国の関税措置により日本の企業の投資余力が減退することを強く懸念するという考え方をお伝えした上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきであるということを述べました。その上で、措置の見直しも求めました。両首脳は、引き続き率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認しております。今回の首脳間のやり取りを踏まえまして、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくこととなっております。

 我が国としては、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析しつつ、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 今の御答弁を聞く限りというか聞く中で、やはり、それにもかかわらずという御答弁もあったし、実はずっと交渉を続けていたんだという話です。だから、つまりは、想定外というよりも、交渉しているんだけれども、それを聞き入れてくれなかったというような御答弁にも聞こえるんですね。

 じゃ、本当にここからどうするかということなんですけれども、トランプ関税に対して、今度は国外というか、トランプ政権に対してなんですね。だから、EUとか各国、地域と協力しながら対抗策を練っていくべきだという指摘もあるんですけれども、やはりトランプ政権は一対一の交渉を好むことから、直接的に、ダイレクトにというところもあります。

 では、政府は、トランプ政権との協議について、簡単ではないと思うんですけれども、どのようなアプローチで臨まれるか、どのような取引カードを持っていくか。ディールと言っていますけれども、今後の交渉材料についてどのようなことを検討しているか。赤澤大臣、お願いいたします。

赤澤国務大臣 米国の関税措置をめぐっては、今まさに委員やり取りされたように、我が国からこれまで様々なレベルで我が国の懸念を説明してきています。

 一方的な関税措置を取るべきでない旨などを申し入れてきたにもかかわらず米国政府が措置を発動したことは、繰り返しになりますけれども、極めて遺憾であると我々は思っています。

 我が国としては、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析しつつ、米国に対して措置の見直しを強く求めていくということに変わりはありません。

 七日に行われた日米首脳会談においても、石破総理から、日本が五年連続で最大の対米投資国であるということを述べつつ、米国の関税措置により日本企業の投資余力が減退すること、これを強く懸念するとの考えを伝えた上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益、ウィン・ウィンになるように幅広い協力の在り方を追求すべきである旨述べ、措置の見直しを求めています。その場で両首脳が引き続き率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認し、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくこととなりました。これを受け、今般、日本側の担当閣僚として私が指名されたものであります。

 今後、対米協議の担当閣僚として、関係閣僚会議も開き、全閣僚がメンバーになり、フルに連携できる体制をつくりました。その中で、何が我が国の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかといったことを考え抜いて、最優先で全力で取り組んでまいりたいと思っています。

伊東(信)委員 そうなんですよね。だから、米中にあるような報復合戦になるのも意味のあることではないと考えますし、かといって、今すぐに、こういったスペシャルな技とかミラクルな方法があるとは、ないとは思うんですけれども、ここは本当に国難ですから、真剣に与野党を超えて検討、対応する必要があるので、立法府としても協力するので、しっかりとした、具体的な、本当に国民が安心するような、先ほどの国内の話を聞くと、コロナ禍のこともやはり思い出されてきたわけですけれども、本当にそれ以上の国難でありますので、しっかりとよろしくお願いします。

 次に、二つ目のテーマである経済安全保障政策に関してお聞きしたいんです。

 昨年五月に成立したセキュリティークリアランス制度の運用が来月の十六日に始まります。経済活動の担い手は民間事業者になるわけなんですけれども、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、信頼できる民間事業者にその情報を共有することで、ビジネスチャンスも広がり、日本の発展に寄与することが期待されるところなんですけれども。

 この制度を着実に実施するためになんですけれども、法の施行まであと一か月と一週間に迫っているので、経済安全保障を始め、内閣の役割が増加する一方、財政の制約もある中で、これを両立させるためには、例えばAIなどの技術の活用を含めて、民間事業者の不安を払拭できるような十分な体制を整備できているのか、政府の体制整備の進捗状況について、政府参考人からお答えください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 本年五月に施行を予定しております重要経済安保情報保護活用法におきましては、重要経済安保情報の取扱いが見込まれる行政機関の職員や適合事業者の従業者について、行政機関による適性評価を実施することとしてございます。

 適性評価に当たって必要となる調査につきましては、原則的に内閣府に一元化するということにしてございまして、内閣府としては、そのために必要な体制は既に整備をしているところでございます。

 また、内閣府に調査を依頼することなく、各行政機関自ら調査を行う場合もございますが、各行政機関において必要な体制を整備いただいているものと承知をしてございます。

 本制度を所管する内閣府といたしましては、法の円滑な施行に向けまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 件数も、数千人程度で、数万人単位にはならないという答弁もかつてありましたが、それでも、適性評価に時間がかかり事業が遅れては意味がないというところで不安視する声もあるので、本当に、調査することが目的ではなくて、情報を守るというところですので、しっかりとお願いしたいということで。

 次、では、基幹インフラの制度の対象に関してちょっとお聞きしたいんです。

 サイバー攻撃の法案のときにも、能動的サイバー防御のときにも触れましたけれども、昨年、大阪の大きな病院の、医療機関を狙ったサイバー攻撃によって電子カルテが閲覧不能になって、長いところでは復旧に二か月かかりました。患者の個人情報も流出したりしたわけなんですけれども。

 医療分野を基幹インフラ制度の対象分野にするというところで、医療の追加というのが見送られたわけなんですね。その後の検討会、資料二にもありますけれども、医療DXシステムの開発、運用の主体となる社会保険診療報酬支払基金を対象に検討を進め、本年夏までに結論を得るということなんですけれども、医療業界には、基幹インフラの指定で事業負担が増えるという懸念もあるという声もあります。

 政府内での調整も簡単ではないとは思うんですけれども、厚生労働省の協議内容も含め、医療分野の追加におけるこの検討の進捗状況について、これは内閣府にお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 基幹インフラ制度に医療分野を追加することにつきましては、御指摘のとおり、近年、医療機関がサイバー攻撃を受けているところ、医療DXの推進やそれに伴う医療機関のシステム環境の変化が見込まれていることなどから、昨年、令和六年十二月の経済安全保障法制に関する有識者会議での議論を踏まえまして、本年、今年の夏までに結論を得るということにしてございます。

 具体的に申し上げますと、個別の医療機関や、今後、医療DXに関するシステムの開発、運用の母体となる社会保険診療報酬支払基金のそれぞれについて検討を進めているところでございまして、引き続き、厚生労働省としっかり連携して、着実に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

伊東(信)委員 大阪の事例でも、本来は電子カルテとかのサーバーもイントラネットになっていまして、内部だけで、外部にはつながないという前提になっていても、それでも攻撃をされたという事例もあります。

 例えば銀行とかだったら各支店がございましょうから、基幹インフラという意味では、医療とそういった金融機関とは違うという御指摘も分かります。ただ、本当に、大きな病院がやられて、自治体全ての医療全体がやられるというわけではないという指摘も分かるんですけれども、先ほどは医療DXの話もされましたし、地域医療連携というところで、今後、本当に検討に値すると思いますので、しっかりとよろしくお願いいたします。

 この分野に関してもう一つお聞きしたいのは、令和四年のときに、私が他の委員会で医薬品のサプライチェーンに関して質問をさせていただいたんですけれども、いわゆる医薬品、今、薬が足りないという問題も、医療機関の中でも問題になっているわけなんですけれども、例えばいわゆる抗菌性物質製剤、抗生剤に関してなんですけれども、これは、令和六年十二月二十三日の時点で二件の供給確保計画が認定されて、一定のめどが立ったということです。

 抗生物質といっても、一つの菌に対して一つあるわけじゃなくて、本当にたくさんの種類があって、菌もどんどんどんどん姿を変えていったり、耐性菌を作っていったり、本当に日々、抗菌剤に対しても検討しなければいけないんですけれども、そもそもの原材料がなければ問題にならないということになります。

 ちょっとテクニカルな話になりますけれども、例えばインフルエンザの治療薬であるタミフルとかの原材料は、シキミ酸という原材料があって、そのシキミ酸はトウシキミという植物からです。それが中国からの輸入に頼っていれば、そこからの供給がストップになれば、インフルエンザの治療薬が日本では足らなくなってしまうという指摘もあります。

 そういったことも含め、供給源の複数ソース化やリスク管理マニュアルなどを進めていることですけれども、この取組の進捗状況はどうなっているのか。また、市場の活性化を促す制度など、抗菌薬の事例からで構わないんですけれども、これを確保する必要性に関する認識について、これは厚生労働省からお答えください。

森政府参考人 医薬品のサプライチェーンの関係でございます。大変重要な御指摘だというふうに私ども考えております。

 経済安全保障推進法においては、サプライチェーンの強靱化を通じて安定供給を確保する必要がある物質を特定重要物資として指定しているところでございます。

 医薬品に関しては、ベータラクタム系抗菌薬を指定し、原薬の国内製造を推進することとしているところでございます。これに基づきまして、抗菌薬原薬国産化支援基金を造成し、原薬の製造企業の負担が大きい設備投資に対する助成を行っているところでございます。

 また、その他の医薬品についても、原薬や原材料の供給源の多様化に取り組む企業の支援、先ほど少し御指摘がありましたが、例えば供給国が一か国しかないような場合については複数ルートを確保するような取組ですとか、それから供給リスクを各企業が分析していただいて対応していただくための管理マニュアルの整備といったことを進めているところでございます。

 国際情勢、社会経済構造の変化に伴って重要物資を取り巻く環境も大きく変化しておりますので、こうした状況に対応できるように、日々、サプライチェーンの現状と供給途絶のリスクについても不断に点検、把握していただいているところでございます。

伊東(信)委員 御存じやと思いますけれども、ベータラクタムだけじゃなくて、セフェム、マクロライド、ニューキノロン、本当にいろいろな種類もありますし、どの優先順位とかいうのもありますけれども、一つのルートじゃなくて、たくさんのルートを更に確保していただくことと、本当に簡単ではないと思いますけれども、国内での生産の方の検討も、これは技術者との話になると思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 時間ももう差し迫ってきましたので、最後、四日後に控えました関西万博のお話をさせていただきたいと思います。

 四日後なんですけれども、パビリオンの完成も含めて、間に合わないのではないかという懸念はいまだにあります。先日テストランも行われたところですけれども、テストランから得られた教訓も含めて、準備状況について、まずこれは政府参考人、お答えください。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、各国のパビリオンの状況、御心配をおかけしておりますが、今、極めてタイトなスケジュールではございますけれども、開幕に間に合わせるべく最後の調整をしているところでございます。テストランに先生の御地元の方もたくさん行かれていると思いますけれども、多くの方から、現場を見るとかなりできているなという声も伺っております。

 それで、建築の状況をもう少し具体的に申し上げますと、海外パビリオン、百五十八か国のうち九十四か国は共同館ということになります。これについては全て建物も完成していまして、一部まだ展示の調整をしているところでございますが、そういう状況です。

 それから、単独館は全部で六十四か国ということになります。この六十四か国のうち五十三か国はもう既に建物は完成済みで、十か国も既に検査済みの証明書を交付待ちということでございます。検査を受けていない国が今一か国ということでございまして、こちらはちょっと、最後、スケジュールをしっかりと踏んでいきたいと思いますが、多くの国は、今、内装の最終段階、展示の最終段階というところになっております。

 各国の展示の状況も我々しっかりと把握をしまして、開幕に間に合うよう、全てのパビリオンの支援をしていきたいと思っております。

伊東(信)委員 じゃ、ほぼですね、ほぼ完成ということで。本当にこれはしっかりやってくださいというか、ほんまにお願いします。

 とはいえども、大阪は本当に外国人の観光客の方が増えておりまして、なかなか宿泊施設も確保しづらい状況になっておりますけれども。大阪だけじゃなくて、我が国にとっての多くの経済効果が見込まれる試算、これが公表されています、資料四にありますように。

 本当にこの試算の見込みに沿って経済効果があるのか、更にそれ以上の経済効果があるのか。伊東大臣に、この経済波及効果、並びに、また、ここからの機運醸成の取組に対する評価についてお伺いいたします。

伊東国務大臣 伊東委員には、御地元として大変応援していただいておりまして、感謝を申し上げる次第であります。

 ただいまお話にございましたけれども、経済波及効果につきましては、建設費用や来場者消費などを基に産業関連表を用いて試算をしたところでありますが、全国で約二・九兆円になると見込んでいるところであります。

 これに加えまして、海外からの訪日外国人三百五十万人を含む二千八百二十万人の来場を見込んでいるものでありますけれども、これまでに例のない規模の人流が生まれることなどから、地域の魅力や地域の未来ビジョンを世界に発信し、地方創生を加速させる絶好の機会となっているところであります。

 開幕まであと四日というところでございまして、更に機運の醸成を高めながら、前売りチケットの販売につきましては、御心配いただいておりましたけれども、一千万枚を超える見込みとなり、直近一週間でも約二十万枚の販売増となっておりまして、販売ペースが加速しているところであります。

 最後まで頑張って進んでいきたいと思います。

伊東(信)委員 最後に大臣の意気込みをお聞きしようと思ったんですけれども、最後に、頑張ってまいりますとおっしゃっていただいたので、この意気込みと代えさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

大岡委員長 次に、石井智恵君。

石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。

 まず初めに、日本における女性の政治参画についてお伺いいたします。

 私の経験からお話をさせていただきますと、私が政治家を志したのは、十二年前、シングルマザー支援など女性支援活動を行っているときに、あなたがやっている女性支援活動が進まないのは女性の政治家が少ないからなのよというふうに言われたことがきっかけで、当事者の声を届けたいと思って政治家を志しました。

 当時、病院に勤務しておりましたが、それまで政治家の方に会ったことも話をしたことも一度もなかったですし、また、親戚、家族に政治家はおりません。私自身、パートで働いていたシングルマザーで、資金もない、組織もない、知名度もない環境でありまして、そんな私が選挙に立候補したいと家族に言いましたら、親戚、家族から大反対をされました。それでも立候補すると決めて、カンパを集めて、ボランティアによって選挙を行って、何度も落選をしながら、県議会議員に初めて当選をいたしました。

 今は、親戚、家族もみんな応援をしてくれておりますが、諦めずに続けてよかったとは思っておりますけれども、やはり国会議員になるまでは十年かかりました。

 長い道のりがかかってきたわけでありますが、私のように地盤、看板、かばんのない人が選挙に立候補するとなりますと、周囲に理解をされない。大変だからやめておけ、あなたには無理、親戚、家族に迷惑がかかるなど、反対される方がいまだ多くおります。また、周りには選挙に関わったことがある人は一人もいないため、協力してくれる人を探すだけでも精いっぱいという方も多くいます。このような状況の中で立候補することは非常にハードルが高いです。

 また、議員活動と子育ての両立が困難であることや、女性の議員への嫌がらせ、またセクハラの問題が解消されていないことも女性の政治参加を妨げる要因になっていると考えています。

 また、選挙においては現職有利ということもありまして、元々地域の選挙区に男性の現職が多いこともあって、結果的に女性が少なくなってしまいます。また、現職を辞めるときに自分の後任ということで声をかけていくのも、男性政治家から自分の知り合いの男性に声をかけることが多く、女性に声をかける割合が少ないということもあるのではないでしょうか。

 女性の政治参画が日本は遅れているというのは、既に国民の共通の認識であります。国民の中には、女性の議員が増えるべきと考える人も多くいる一方で、手を挙げて立候補する人自体がまずは少ない。そして、社会の中では、何となく女性がいた方がいいのではという意識であって、なぜ女性が必要なのか、そして女性議員が増えると社会がどうよくなるのかという議論は進んでおりません。

 例えば、女性議員が増えるとどうなるのか。地元で意見交換を行ったときには、幅広いニーズに対応ができるようになる、また、子育て、教育、福祉、公衆衛生、環境政策などがより充実する、また、性犯罪や暴力への対策なども進むという意見も挙げられておりました。

 このように、女性議員が増えることで社会課題が解決する、社会がよくなるという認識を国民がもっと持っていただけないかというふうに思っております。

 女性の政治参画が進むことでどのような社会変革が生まれていくのか、三原大臣の御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

三原国務大臣 委員の御苦労を聞きながら、問題意識を共有しているというふうに感じたところでございます。

 政治分野における男女共同参画の推進、これは政治に多様な民意を反映させるという観点から極めて重要だと考えております。

 令和二年度に地方議員を対象に内閣府が実施した調査では、女性議員の存在によって、政策立案等への女性の視点の反映や、政治、議会への女性の住民からの関心の高まりといったいい変化がもたらされたとの回答がありました。本当にそうだと思います。

 例えば、防災、減災、こうしたことの取組ですとか、不妊治療への補助やDV対策、性犯罪等への対策、こうした、まさに女性の経験に基づいた視点を政策立案に反映できるという意味で、私も極めて重要だというふうに考えております。

石井委員 力強い御答弁、本当にありがとうございました。共に頑張っていきたいと思っております。

 そもそも女性の政治家が少なくて、女性同士で声をかけ合う機会が非常に少ないという中で、積極的に擁立を促したり、また、自発的な行動に結びついていくようにしていくには、男性と女性の割合を定めたクオータ制の導入が必要だというふうに考えております。

 政治の分野におけるクオータ制では、男性、女性の割合をどうするかについては、憲法又は法律によって議席の比率を決めていく議席割当制、立候補者の割合を定めていく法的候補者クオータ制、そして、政党による自発的なクオータ制の三種類があります。

 海外では法的候補者クオータ制が一番多いようでありますけれども、日本においても政党ごとに女性の立候補者の目標を設定しておりますが、さらに、日本で導入する際は、女性議員の擁立の割合が低い政党には政党交付金を減らす措置も検討されているというふうに聞いております。

 日本でクオータ制の導入は、各政党において議論を進めていかなければならない課題でありますが、女性の政治参画が進まない中で、このクオータ制度について三原大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いします。

三原国務大臣 議席の一定数や女性候補者の比率に関する義務づけを行うクオータ制の導入、これにつきましては、憲法上の基本原則との関係などの課題も指摘されておりまして、選挙制度の根幹に関わることであることから、各党各会派において更に議論が必要であるというふうに考えております。

 内閣府としても、各政党の取組の見える化ですとか、クオータ制などの諸外国の取組事例、これを各政党各会派に情報提供することなどの取組を通じて、引き続き、各党各会派における議論の後押しをしてまいりたいと考えております。

石井委員 ありがとうございます。是非その後押しをお願いしたいと思います。

 韓国では、比例代表制の候補者名簿の五〇%は、奇数を女性というふうに割当てをしているということでありまして、やはり日本も、様々なやり方があると思いますが、是非このクオータ制度の導入、力強く私も進めてまいりたいと思いますので、後押しをよろしくお願いいたします。

 次に、ハラスメント対策についてお伺いをいたします。

 先ほど、女性の政治参加が進まない理由としてハラスメントがあるというふうに述べましたが、内閣府男女共同参画局が実施しました、男女の地方議員の、女性政治参画への障壁等に関する調査報告書では、議員活動や選挙期間中に、有権者や支援者、議員等からハラスメントを受けたという質問に対して、男性は三二・五%、女性は五七・六%がいずれかのハラスメント行為を受けたと回答しております。

 また、私の地元愛媛県では、超党派による女性議員ネットワークという組織がありまして、四十一名が入会をしています。そこでのアンケートでは七〇・六%がハラスメントを受けたというふうに回答をしておりました。これは非常に重大な問題であるというふうに思っております。

 政治分野におけるハラスメント防止の取組は、政治分野の男女共同参画を進めていく上でも喫緊の課題であります。令和三年六月に、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる改正候補者男女均等法が公布、施行され、セクハラ、マタハラ等への対策が明記されましたが、この改正案が施行された後、果たして改善されたのかどうか、現在の状況を教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、令和二年度に内閣府で実施した調査では、議員活動等でハラスメントを受けたと回答した地方議員の割合は回答者全体の四二・三%、特に女性に限れば五七・六%という結果が出ております。

 内閣府では、こうした調査結果などを踏まえまして、まず、令和四年に各議会等において研修に活用できる動画の教材を作成、公表し、活用いただいているところでございます。

 また、令和五年度には、ハラスメント防止条例の制定や議員等も活用できる相談窓口の設置など、地方議会等における先進的な取組事例を取りまとめまして公表いたしまして、横展開を図っているところでございます。

 現在、内閣府におきましては、今御指摘のセクシュアルハラスメントを含めまして、女性が政治に参画するに当たっての障壁についてより詳細な調査を実施しているところでございまして、今後、調査の分析結果を踏まえまして、更にどのような取組を行っていくべきか検討してまいります。

石井委員 ありがとうございました。

 内閣府で、ハラスメント防止研修を実施する際の教材の動画、私も拝見させていただいて、非常に分かりやすくて具体的な例が挙げられていまして、とてもよい取組ではないかと思いました。

 先ほど御紹介しましたえひめ女性議員ネットワークでは、自治体によるハラスメント防止の条例制定を推進をしております。各市町村においてハラスメント防止のための条例を制定する議会も増えておりますが、地方において条例制定や規定の整備状況、また研修、相談窓口の設置というのはどのように今改善されているのかということについて詳細に教えていただけますでしょうか。

岡田政府参考人 内閣府男女共同参画局では、毎年、全国の地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況を把握し、取りまとめた結果を情報提供してございます。

 その中では、いろいろな項目がございますけれども、地方議会における両立支援等に係る取組、それを都道府県また政令指定都市、市区町村議会について調査しておりますけれども、その中でどのような項目を調査しているかと申しますと、今委員おっしゃいました、規定類を整備しているかでありますとか、相談窓口を整備しているかどうかですとか、研修をやっているかどうかということも調査しておりまして、それを皆様方に見えるように、私どもの内閣府男女局のホームページで公開しているところでございます。

 また、先ほど申し上げました好事例などにつきましても、横展開できるように公表しているところでございます。

石井委員 ありがとうございました。

 フランスでは、二〇一八年には議員間のセクハラを防止するために厳しい規制が導入されておりまして、議会でのハラスメントが発覚した場合は即時処分が下されるという仕組みもあります。また、スウェーデンでは、議員向けのハラスメント防止研修は義務化をされていたり、アメリカでは、多くの州議会がセクハラの報告制度を導入して、被害者が訴えられるような体制を整えております。

 日本では、先ほどの条例制定の中では、議員のセクハラが発覚した場合は議員の名前を公表又は指導、助言、注意、そのほか必要な措置を講ずるという条例もありますが、やはり問題が明らかになった場合は厳しい処置を下す強い措置が必要だというふうに思っております。

 いずれにしましても、男女共同参画社会の実現を図っていくためには、社会全体でハラスメントは決していけないという強い倫理観を持って行動を取らなければならないというふうに思います。

 現在、第六次男女共同参画基本計画策定に向けて、女性の政治参画またハラスメント対策を策定していると思いますが、女性の政治参画においては、是非、女性の比率を五〇%にしていく、また、目標をより高く掲げていくことが必要だというふうに私は思っております。また、ハラスメントの防止についても是非強化をしていただきたいというふうに思いますが、三原大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

三原国務大臣 先ほど申し上げました障壁調査につきまして、議員になられた方の調査だけではなくて、立候補したけれども当選されなかった方への調査も行うということで、より詳細に調査をしていきたいというふうに今考えているところでございます。

 そして、政府において、男女共同参画ということでありますけれども、第六次男女共同参画基本計画の策定に向けて今検討を開始したところでございます。政治分野への女性の参画、これはいまだ不十分であり、関係機関が連携し、なお一層の取組を行うべき現状にあるということは認識しておりますが、この第六次基本計画につきましては、現行計画の進捗状況等も踏まえつつ、今、有識者による議論を経て、そしてまた、男女共同参画会議の意見を聞き、閣議決定することとなるため、現時点で一定の方向性をお示しできる段階にありませんけれども、二〇三〇年を目指してどのような取組を行うべきかということを、今、委員の問題意識も含めて、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

石井委員 ありがとうございました。

 市町村議会の中では、やはり女性の議員が一人しかいないというところもありまして、なかなか声を上げられないといった方も、たくさん私もお聞きしました。是非、この問題、一緒に取り組ませていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、孤独・孤立対策について質問をいたします。

 私自身、介護現場で看護師をしておりまして、訪問介護を経験したことがありますが、やはり、独り暮らしの高齢者が増えるに伴って孤独死が増えているということを大変深刻な問題として捉えております。また、就職氷河期世代の問題では、正規社員になれずにアルバイトやフリーターで生活していた方が、親世代の年金を頼って生活をし、その親が亡くなったことでたちまち孤立をして、ワーキングプアとなり、生活に困窮するという実態も明らかになっております。特に、現役世代の孤独死というものも非常に問題となっているというふうに思います。

 国では、昨年、令和六年の四月、孤独・孤立対策推進法が施行されまして、五月には、孤独・孤立対策強化月間において、集中的な広報、啓蒙活動、相談窓口設置というふうに行われております。実施から一年たっておりますが、実施後の分析や今後の取組について、どのように生かしていかれるのか、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。

江浪政府参考人 委員御指摘のとおり、孤独・孤立対策に関しましては、昨年、孤独・孤立対策推進法が施行になりまして、その取組を、各自治体の取組を含めて、しっかり進めているところでございます。

 孤独、孤立の問題は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るというものでございますので、広く国民一般の関心を高めて、積極的に啓発活動に取り組むということが非常に重要だというふうに考えております。

 そういった意味で、孤独・孤立対策強化月間というものを行いまして、孤独、孤立問題に関する理解の増進でありますとか、その対策に向けた社会的機運の醸成を図ってきたということでございます。

 他方で、より利用者に寄り添った居場所づくりとか相談の在り方に向けて、これは引き続き工夫をする必要があるというふうに考えてございますので、孤独・孤立対策に悩む人を誰一人取り残さない社会の実現を目指して、NPOなどの関係機関と緊密に連携しながら対策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

石井委員 ありがとうございます。

 この孤独・孤立対策推進法によって、地方における孤独・孤立対策として官民連携プラットフォームが整備されるというふうにありますが、現在の進捗状況についてもお伺いできますでしょうか。

江浪政府参考人 委員御指摘のとおり、孤独・孤立対策の推進に当たりまして、官民連携による取組が重要ということでございまして、政府として、地域版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームや孤独・孤立対策地域協議会の設置といった基盤整備を進めているというところでございます。

 この施行状況を調べるために、令和七年四月時点におけるアンケート調査を自治体に対して行いましたところ、プラットフォームを設置済み、設置予定と回答があった自治体は百五十二、地域協議会を設置済み、設置予定と回答があった自治体は六十四ということでございました。

 今後、アンケート結果につきましてより丁寧に見ていく必要がございますが、プラットフォームなどの設置数だけではなくて、地域において、官民の水平的連携による孤独・孤立対策の連携基盤というものが実質的に構築されているかどうかという観点も重要というふうに考えてございます。

 引き続き、内閣府といたしましては、地方公共団体の伴走支援とか、好事例の横展開というものを通じまして地方公共団体での取組をきめ細かく支援するということとしておりまして、各地域において官民連携による取組が推進されるよう、国としてしっかりと後押しをしていきたいと考えてございます。

石井委員 ありがとうございました。

 私は一人親で、医療の現場でも働いたり、また介護の現場でも働いてまいりましたが、やはり、今社会問題と言われている貧困や依存症、また犯罪とか自殺といった問題は、そもそもこの孤独、孤立から始まっているというふうに強く思っているんですね。本当に、孤独によって人が行き詰まってしまって、そこから依存症になったり自殺されたり、そういったことにつながってくるんだなというふうに思っています。ですから、この孤独・孤立対策というのは、日本にとってもう本当に大きな課題だというふうに思っています。

 今、国でも、メタバースとか、いろいろそういった対策で、ネット上でSNSで相談窓口をやっているんですけれども、やはり人と人とがつながり合うということが何よりも大事なんじゃないかなというふうに思っています。

 今、国の方でも、つながりサポーターの養成講座とかいろいろされていると思いますけれども、やはり国民の一人一人が、この社会問題を解決していくために、いろいろな人たちがいて、いろいろな問題を持っているんだということを皆さんが知って、そして支え合える社会というのをつくっていく必要があると思うんですが、三原大臣は、この孤独・孤立対策の重要性や意義というものについてどのようにお考えでいるのか、最後に御質問したいと思います。よろしくお願いします。

大岡委員長 石井先生、申合せの時間が過ぎておりますので、できれば要望に切り替えていただければありがたいと思います。

石井委員 失礼しました。

 是非、要望にさせていただきたいと思います、何とぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、違法オンラインカジノ対策についてお伺いします。

 我が国では、多くの人が競馬などの公営競技やパチンコ等を楽しんでいます。近年は、本当にネット中継の普及がすごくて、私も、地元高知の高知競馬なんかも、非常に厳しい状況から、このネット中継等にも助けられて、近年はもうずっと史上最高益ということで、非常に競馬自体は盛り上がっておりますが、その反面、逆に、ギャンブルに過度に依存すると、本人及びその家族の日常生活や社会生活に影響を与える、多重債務や犯罪などの社会問題を引き起こす場合もあります。実際にそういった御相談を現場で受けることもあります。

 平成二十八年十二月にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が設立され、行政機関が連携して対応策を実施し、平成三十年七月にギャンブル等依存症対策基本法が成立し、同年十月に施行されました。

 これを受けて、平成三十一年四月十九日に初めて基本法に基づく基本計画が策定され、これにより、ギャンブル等依存症対策は、新たな法的枠組みの下で、従前にも増して強力に進められることになりました。

 基本法では、ギャンブル等依存症の状況変化や実態調査の結果に基づいて、少なくとも三年ごとに基本計画を検討し、必要に応じて変更することが定められており、今般、令和四年三月に基本計画を変更してから約三年が経過したことから、基本計画を変更し、今後、政府においては、地方公共団体や関係機関、団体、事業者等と密接に連携を図りつつ、必要な取組を徹底的かつ包括的に講じていくとしています。

 そこで、前回基本計画が見直された令和四年から今回の見直しまでの三年間におけるギャンブル依存症対策の成果と課題についてお伺いします。

伊東国務大臣 山崎委員の御質問にお答えをしてまいります。

 ギャンブル等依存症対策につきましては、委員御指摘のとおり、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、これまで政府全体で総合的かつ計画的に取組を推進してきたところであります。

 その結果、具体的には、各関係事業者におきまして広告宣伝指針を策定して運用を開始し、公営競技場等に設置されましたATMの完全撤去、全都道府県、政令市で相談拠点の設置完了等の成果があったと考えているところであります。

 以上でございます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 つい先日、オンラインカジノで賭け事をした疑いがあるとして、警視庁は有名タレント六名を書類送検しました。

 警察庁が行った調査では、過去にオンラインカジノを利用したことがあるといういわゆる経験者が約三百三十七万人に上るという推計結果であり、オンラインカジノの推計利用者は約百九十六万七千人としており、今や大きな社会問題となっています。

 二月に有名なプロ野球選手が海外のオンラインカジノを利用していたとして活動自粛となった件に関しても、本人にオンラインカジノが違法だとの認識がなかったが、今回の警察庁の調査でも、全体の約四三・五%の人が違法性を認識していなかったことが分かっています。インターネット上で余りにも堂々と広告が掲載されている等がそういった認識を生んでいるとの指摘がされており、早急な国レベルの対応が求められています。

 そこで、今回、先ほどの質問でも触れました、政府として三月二十一日に閣議決定した新たなギャンブル等依存症対策推進基本計画の中にその対策が盛り込まれたと承知していますが、この違法オンラインカジノへの対策について、具体的にどのようなことが盛り込まれたのかをお伺いいたします。

伊東国務大臣 ギャンブル等依存症につきましては、当事者や家族の日常生活や社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせる場合もあると認識をいたしております。

 また、お話にありましたとおり、オンラインカジノにつきましても、近年、サイトへのアクセス数の増加とこれに伴う依存症の問題が強く指摘されていることは承知をしているところでございます。

 ちなみに、警察庁から発表になっておりますけれども、国内におけるオンラインカジノサイトの経験者の推計は三百三十七万人、国内における年間賭博の推計額、金額にして約一兆二千四百二十三億円になっているところでもあります。

 これを受けまして、今委員御指摘の三月二十一日閣議決定をいたしました新たなギャンブル等依存症対策推進基本計画におきましては、一つの節を新たに設け、警察による取締りの強化に加え、SNSなどを活用したオンラインカジノの違法性の周知、フィルタリングの導入等によるアクセス対策等に取り組むこととしているところであります。

 今後も各省庁と密に連携をしながら、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 次に、子供たちが誤って違法オンラインギャンブル等ウェブサイトにアクセスしないような方策が必要と考えます。十八歳未満の青少年への対策としては、平成三十年に青少年インターネット環境整備法が改正され、フィルタリング措置が強化されていますが、今般のオンラインカジノに関して難しいのは、いわゆる違法情報なのか有害情報なのかというのが非常に曖昧でありまして、フィルタリングがすり抜けられてしまうというふうなことが言われております。やはり今般のオンラインカジノに関する状況を勘案すると、もっと強力な、ブロッキング等をしてもらいたいというふうな保護者の声も聞かれます。

 そこで、ブロッキングなどは非常に法的に難しいことがあるというのはもう承知しておりますけれども、諸外国の取組状況等を踏まえて、早急に青少年に対するオンラインカジノ対策、特に未成年に関するオンラインカジノ対策を強化すべきだと考えますが、今後の取組についてお伺いします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識をしておりまして、総務省としても実効性のある対応が必要であると考えております。

 サイトブロッキングでございますが、通信の秘密の侵害に該当すること、また、国民の知る権利の制約になるおそれがあることなど、もろもろ指摘があるものと承知をしているところでございます。

 総務省といたしましては、オンラインカジノサイトにつきまして、ブロッキングを含むアクセス抑止の在り方について早急に検討の場を設け、御指摘の諸外国の取組状況などの調査も踏まえまして、事業者を始めとする関係者の意見を聴取して、法的課題、技術的な課題、論点を整理しながらしっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。

山崎(正)委員 有害ポルノとかは特別な例になっていると思いますけれども、非常に被害が大きくなってきた場合には、なってからじゃ遅いと思うので、そこのところも本当に、諸外国を含めて考えていただけたらと思います。

 次に、基本計画には、予防教育、普及啓発として、学校教育における指導の充実、金融経済教育における啓発が盛り込まれていますが、発達段階に応じた情報の取捨選択能力などインターネットの活用能力を向上し、違法オンラインカジノの入口となるインターネット広告等への警戒心などを習得していくことが極めて重要であると考えますが、学校教育における取組はどのようになっているのか、お伺いします。

日向政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル技術が進展し、誰もがインターネットにアクセスできる環境が整う中、犯罪被害を含む危険の回避など、情報を正しく安全に利用できるよう、情報モラル教育を一層充実させる必要があると考えております。

 このため、文部科学省では、学習指導要領等に基づき、小学校段階から、情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動を行うよう、全ての学校現場に求めています。また、各学校の取組を支援するため、例えば文部科学省情報モラル教育ポータルサイトにおいて、ネット詐欺や、情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる動画教材を提供しております。さらに、警察庁等の関係機関と連携し、オンラインカジノの違法性に関する広報啓発資料の活用について、各教育委員会等を通じて学校に周知をしております。

 今後とも、関係省庁との連携を一層強化し、情報モラル教育の更なる充実に努めてまいります。

山崎(正)委員 この点に関しては、私も元教育現場にいましたので、今は特にオンラインカジノに特化して重点的にやる必要が非常にあるというふうに思います。一般的なネットじゃなくて、今まさにオンラインカジノが非常に子供たちの手元にありますので、しっかりやっていくことが大事です。

 例えば、今しっかりやることで、後々はそれが当たり前になってきます。全然次元が違いますけれども、例えば、アレルギーによってアナフィラキシーショックを受けたときにエピペンを打って対応するというとき、最初、僕も現場にいたときに、そんな怖いことはできないと思って非常におじたんです、おじたというか、あれだったんですけれども、もうそれは今では当たり前になって、皆さんが打てるようになっています。

 だから、やはり今きっちりオンラインカジノをやっていくことによって、学校がそれは当たり前になって、子供たちのそういった防衛能力を上げていくというのは今まさに重要だと思いますので、是非、特化して力を入れていくべきだと思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。

 次に、内閣府防災が中心となって進めている防災庁の設置についてお伺いします。

 今年の一月に、世界有数の災害大国である我が国において、人命、人権優先の防災立国を早急に実現し、防災業務の企画立案機能を飛躍的に高め、平時から不断に万全の備えを行う本気の事前防災に徹底的に取り組むとともに、災害発生時の司令塔機能を抜本的に強化するための令和八年度中の防災庁の設置に向けた防災庁設置準備アドバイザー会議が立ち上げられました。その中で、「政府として強化すべき防災施策の方向性と、そのために必要な組織体制の在り方について議論する。」とあります。

 この組織体制ですけれども、事前防災については、本気の事前防災に徹底的に取り組むという中で、予防対策や発災後の緊急対策については防災庁がしっかりやっていくのではないかと思います。それとともに、その後の復興については、東日本大震災からの復興事業を一元的に執行、対応している復興庁に様々なノウハウが蓄積されておりまして、復興庁の役割が重要であると思います。

 今回の防災庁の設置に対しては、事前防災から発災時そして復興までの一気通貫の一体的な取組が重要であると考えますが、やや現場レベルでは、防災庁と復興庁が縦割りになって機能しないような形にはしてもらいたくないというふうな希望の声があります。

 そこで、今まで東日本大震災の復興に取り組んできた復興庁との機能融合により、発災前から復興までを一体的に担う機能を防災庁に整えてもらいたいと考えますが、認識をお伺いいたします。

河合政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の令和八年度中の設置に向けて準備を進めております防災庁は、事前防災、応急対策のみならず、復旧復興という段階まで、政府の一連の災害対応の司令塔として、専任の大臣を置いて十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた組織とすることを想定しております。

 世界有数の災害発生国である我が国は、これまで数々の大規模災害を経験しており、こうした経験、知見を継承し、次なる災害対応に生かしていく必要があると考えております。

 防災庁の組織づくりに当たっても、復興庁に蓄積されている知見を生かしながら、具体的な組織の在り方について検討を進めてまいります。

山崎(正)委員 済みません、時間の関係で一問飛ばさせてもらって、その次の質問に行きたいと思います。

 次に、大震災の発災直後の情報連携についてお伺いします。

 大規模な災害、地震等が発生した場合の情報連携については、国と県と市町村でそれぞれ把握しなければならない情報が微妙に違っていると思います。国は、被災人数であったり、死者、負傷者、国道の状況、高速道路の状況、インフラの状況等をしっかりと把握しておくことが重要であると思います。県も大体それと同じような状況であると思いますけれども、県道の状況であるとか、そういったものが加わってくるのかと思いますが、やはり何といっても一番大変なのは、基礎自治体の市町村であると思います。最前線の細かい状況、どこの道路が壊れていて、どこが被害が甚大なのか、どこにどういった支援を派遣しなければならないのか、優先すべき対応等も含めて最も大変なのがこの基礎自治体と思います。

 ただ、労力が一番少ない自治体が、そういった現場に実際に足を運んでやっていく中で、ただし、国も県も必要な情報を早く上げていかなきゃならないということで、情報の集約といいますか、上げるのが非常に労力だというふうな声が現場からたくさん聞かれるところでございます。

 自治体ごとにシステムも違う中で、今、国の方もすごく努力してくださって、統一フォーマットにして、上げやすいようなものにして、上げてもらおうとやっているみたいなんですけれども、実際は、その統一されたフォーマットに打つのもそういったときには大変だろうということが言われています。

 そこで、情報の最前線となる基礎自治体の負担の大きさや情報集約の不効率さの課題についての指摘がある中、発災直後、人命を守るために、現場のより詳細な情報を確保するために奔走する基礎自治体の情報を、できるだけ負担のない形で、例えば、都道府県や国が自治体のシステムから、いわゆる数とか必要な情報を自動的に集約できるシステムづくり等があれば非常に自治体の負担が違うと思うんですけれども、防災庁の設置に向けてそういった取組を是非進めていっていただけたらと思いますが、その点につきまして、現在どういうふうな状況になっているのか、またその点についての認識をお伺いいたします。

河合政府参考人 お答えいたします。

 防災庁設置は令和八年度に向けてですが、今、内閣府防災の方でも、昨年度、令和六年の四月から新総合防災情報システムというものを運用開始したところでございます。これは、新とつきまして、旧のシステムもあったんですけれども、その旧のシステムは実は国だけのシステムでして、自治体はつながっていなかった。これを自治体とまずつなげさせていただく。

 今、順次各県との連携を進めておるところですけれども、あと、使いやすさ、操作性の向上だとか画面のレイアウトをよくしたりとか、そういったことをさせていただくのと、まさに委員御指摘の、これを全部入力しないとできないというのではもう大変な、それだけでもう機能しませんので、なるべく、自治体もそうですし、国の情報もそうですし、自動連携ということで、それぞれの母体の方で入力していただければ、それが自動的に国の方につながる、それからまた、国で集約したものを各自治体にも共有ができるというような形の、そういうシステムで、なるべく二重入力を回避するという、地方自治体の事務負担の軽減に資する、そういうシステムを、今ちょうど運用を開始したところでございます。

 それに加えて、しっかりとマニュアルを作ったり、訓練のプログラムというのも我々の方で用意して、自治体の方々にも周知をしているところでございます。

 防災庁の設置に向けた前でも、今の段階でもそういった形で取組を進めているところでございます。

 以上です。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 二重入力を防ぐ、そういったシステムをつくってくださっているということで、非常に現場の方も喜ぶと思います。

 済みません、お時間が来ましたので、残りの質問についてはまたの機会に質問させていただきます。

 今日はありがとうございました。以上で終わります。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 久しぶりに自分の大事な問題で質問できるので、さくさくと行ってみたいと思います。

 今日のテーマは、アイヌ民族の団体のサケの捕獲権の訴訟についてということで、まず伊東大臣にお尋ねしたいんです。

 ラポロアイヌネイション、旧浦幌アイヌ協会という団体があるんですが、二〇二〇年九月にアイヌ民族の伝統的なサケ捕獲権を札幌地裁に提訴いたしました。この裁判は、二〇二四年の四月に原告敗訴となりましたが、現在、札幌高裁で上告されて、今審議が進んでいるところです。

 裁判に関しては具体的なコメント云々を求めているわけではないんですけれども、アイヌ施策担当大臣、そのほか釧路市の市議会議員とか釧路市長も歴任された経験者として、伊東大臣に、この訴訟に関してどういうお気持ちがあるのか、あるいはどう認識されているのかをお伺いできればと思います。

伊東国務大臣 アイヌ民族の皆さんとは長い長いおつき合いもありますし、今でも個人的にも深いおつき合いをしている方はたくさんいらっしゃるところであります。ただ、それとこれとはまたちょっと別なお話になってしまうので申し訳ありませんが。

 御指摘の、今お話がありました訴訟につきましては、昨年四月十八日に札幌地方裁判所におきまして原告側の請求を棄却する判決が出され、現在、札幌高等裁判所で係争中であると承知をいたしております。

 現在係争中の事案であることから、当該事業につきましての私の見解につきましては差し控えさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

上村委員 係争中の問題に関しては難しいかなと思っていたんですけれども、伊東大臣、釧路で、釧路は大きなアイヌのコミュニティーもありますので、いろいろな御関係があったということを伺わせていただきまして、大変ありがとうございました。

 では、次の質問に移ります。

 こうしたプロセスの中で重要なポイントは何かというと、アイヌ民族が、我が国の統治が及ぶ前から北海道に居住していたという認識がございます。この認識は、一九九七年三月の二風谷ダム判決という、札幌地裁ですけれども、裁判所の判決文の中に出てきますし、二〇〇九年七月にはアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告書にも出てきます。これは、その前年の二〇〇八年に内閣官房長官の下にこの懇談会が設置されたことによる報告書なんですけれども。そして更に、この二〇二四年四月の札幌地裁判決そのものでも、この文言は言及されています。

 具体的にはどういう表現を使っているかというと、「アイヌの人々は、独自の文化を持ち、他からの支配・制約などを受けない自律的な集団として我が国の統治が及ぶ前から日本列島北部周辺、とりわけ北海道に居住していた。」ということを書かれています。

 ここで政府にお尋ねしたいんですけれども、我が国の統治が及ぶ前というのはいつだというふうに認識されているでしょうか。政府参考人、よろしくお願いします。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この記載につきましては、平成二十一年七月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書で記述されているものでございます。政府として、我が国の統治が及ぶ前がいつ頃であるかという質問でございますけれども、この点に関して、政府として認識を示したことはないというふうに承知しております。

上村委員 ありがとうございます。

 認識もそうですし、多分国会で余り議論をしたこともないなというふうに思っているんですけれども、一つの考え方を、もし間違っていれば御指摘いただきたいんですけれども、あり得るとすれば、一八六九年七月から八月がこの時期に当たります。

 御存じのように、明治政府は一八六八年から始まったように取られているんですけれども、実はその後すぐ戊辰戦争が始まったので、実は幕府の方を欧米列強は交戦団体として認識しておりました。ですから、交戦団体があるうちは、明治政府は正統政府ではなかったわけです。これが終結したのが一八六九年六月で、その後に国家建設が始まるということになります。

 この年の七月に統治機構としての開拓使が設置されたというのは北海道であれば当たり前のことですけれども、さらに、その次の月の八月十五日、これも、北海道にいると北海道の重要な記念日として認識されることが多いと思うんですけれども、この八月十五日に太政官布告が出まして、蝦夷地を北海道に改称するということをやります。

 これは何かというと、蝦夷地というのは、これは実は北海道のホームページにも今載っかっているんですけれども、北海道の経歴というところを見ますと、異民族が住む土地が蝦夷地です。これを北海道に読み替えるということなんですけれども、この北海道は何かというと、これは、律令制度のときにできた五畿七道という日本の地方行政区分があったんですけれども、御存じのように、七道というのは、東海道、それから北陸道、今でも新幹線の名前なんかに出てくるのは、日本のかなり古い時代からの、ある種の地域行政制度だったんですけれども、これに足して八道目として北海道を新設する。つまり、この段階が、日本の行政制度の中に実はこの土地が組み込まれたことになります。

 同時に、この日に十一国八十六郡の国郡制が実施されます。今でも胆振国とかいろいろな言い方をするんですけれども、そうしたものが組み込まれたのがこの一八六九年八月でありまして、このとき初めて、日本の国内統治機構が北海道に適用されたんです。それまでは鎖国でしたから、日本の国内というのは鎖国の範囲内です。ですから、北海道、蝦夷地というのは日本の国内ではなかったというふうに考えてもいいのではないかなと思います。

 そうしたことを踏まえて、一八六九年以前には、札幌地裁判決が述べるように、アイヌ民族の慣習法が存在したというふうに思うんですけれども、その後、そうした慣習法を日本政府が公式に否定したということがあるのでしょうか。まず、政府参考人、いかがでしょうか。

松浦政府参考人 今先生の御指摘ございましたアイヌに関する慣習法についてでございますけれども、いずれにしても、この慣習法につきまして、定義や内容が非常に不明確なため、内閣官房としてお答えすることは困難であります。

 なお、一般論として申し上げれば、慣習につきましては、法の適用に関する通則法及び民法に規定があると承知しておりまして、当該法律の解釈については、所管であります法務省にお尋ねいただければと思います。

上村委員 そういうお答えだろうというふうに思ったんですけれども、伊東大臣にお話を伺う前に、今の話についてもちょっと言及しておきたいんです。

 実は、二〇二四年四月の札幌地裁判決は、アイヌ民族の慣習法があるということは認めているんです。認めています。ただし、現在の現行法である水産資源保護法などのような一般法に比べれば、慣習法はやはり下位にあるということを判決の中で述べています。

 これは、例えば日本にも慣習法、先ほど通則法という話が出ましたけれども、日本の農山村において入会権がある、それから商慣習、これは取引をやっていると慣習的にやる部分もいっぱいあるんですね。そうしたものには慣習法を適用するということがあるんですけれども、その場合の慣習法は、日本政府の統治の下での慣習法という位置づけです。であれば、日本政府の統治が及ばなかった時代の慣習法であれば、これは特段に配慮されることが必要だというふうに思っています。

 残念ながら、日本ではなかなかこうした論理がきちんと整理されないためにこうした問題が起こるんですけれども、北海道は、今、入植者植民地というふうに分析をされることが多いんですけれども、カナダやオーストラリアでは、こうした宗主国の統治が行われる以前に存在した慣習法の固有性を確認して、先住民族の権利というものが前に進んでいるわけです。

 そういうことを考えると、残念ながら、こうした残念なことが日本でまかり通っている理由というのは、日本政府が重要な人権課題に歴史認識を示していないからだというふうに私は考えています。そういう意味で、こうした問題について、今の話を、やり取りを聞かれて、伊東大臣に御感想をいただければというふうに思います。

伊東国務大臣 大変に高尚なお話でございまして、そしてまた歴史的にも、過去のいきさつからいきましても難しいお話でありまして、私も半分も理解できなかったかなと今思いながらいたところであります。

 ただ、一八〇〇年以前、松前藩が北海道は統治しておりまして、その下で本州の豪商が、毛皮、魚等々を、アイヌを使って、買取りをし、商売をして、莫大な富を築いていたというのは聞いているところでありまして、その中で相当アイヌ民族も虐げられたというお話も聞いておりまして、どちらかといいますと、私も心情的には、そのアイヌの皆さんのお気持ちとか当時の生活というものが分かるような気がしておりまして、そんなのが今アイヌ協会の皆さんとのおつき合いの中で親しく深くおつき合いできる根本かな、こう思っているところであります。

 これからもまた、よろしく御指導のほどお願いいたします。

上村委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられたことはすごく大事なことなんですけれども、松前藩は松前藩領の中では統治権を持っていました。例えば人別帳というのがちゃんとあって、これは江戸時代の国内制度、ただし、松前藩領を出れば統治機構はなかった。つまり、どんなに商人が北海道沿岸で活動しても、その人たちは冬になると帰ってきちゃうんです。国内の統治制度というのはそこにはありません。そういうことのきちんとした権利関係を考えないと、アイヌ民族が、伝統的な漁業権があって、それが必要だという訴えをやっても皆さんの理解に及ばないという現状があるということなので、今後ともこうした質問を続けていきたいというふうに思います。

 また今後ともよろしくお願いいたします。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 発がん性が指摘をされる化学物質である有機化合物、PFASの汚染が全国で問題となっております。

 栃木県の下野市では、上水に地下水を使用しておりますが、二か所の井戸で国の暫定目標値を超えるPFASが検出をされました。市は、臨時給水所の開設や新たな井戸の掘削などの対応に追われております。

 先日、現地を訪問し、お話を伺ってまいりました。臨時給水所には、一週間に二回来ているという男性の方がいらっしゃいまして、二リットルのペットボトル十二本を抱えて給水に来ておられました。いつまでこんなことが続くのか、汚染源はどうなっているのかということを訴えておられました。

 また、付近の女性の方は、浄水器を買った人が近所でもたくさんいる、うちのは七万円くらいだった、市の補助があるけれども一万円ということでもあり、また、定期的にフィルター交換をしなければいけませんので、それに年間一万数千円かかると言われているという話をしておられました。

 大変な御苦労もある状況でありますし、下野市では畑に農業用の井戸を使用する、農作物への影響も懸念されているということも伺っているところです。

 そこで、国交省にお尋ねしますけれども、上水に使用している地下水がPFASに汚染された下野市は、水道水に関する対策への財政支援を要望しております。新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備、また水質検査、市民が購入する浄水器への補助及び臨時給水所設置に要する経費等の支援を国として行うことを考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道施設の整備や水質検査等を含め、水道事業の経営に要する経費については水道料金収入により賄うことが原則ではございます。

 その上で、施設整備に係る支援として、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件や給水人口に関する要件を満たす水道事業者等に対しまして、御指摘の新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備への財政支援を行うことができることとなっております。

塩川委員 下野市の場合には、それが要件としては整っているということなんでしょうか。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 浄化施設については、給水人口の要件を満たしていないものと承知しております。

 現在、環境省において、水道水中のPFAS及びPFOAの水道水質基準への引上げなどについてパブリックコメントを行ったところであり、今春を目途に方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月一日に施行する予定と聞いております。

 国土交通省としましては、このようなPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

塩川委員 そのようなパブコメを踏まえた対応として、その給水人口の要件などを変更するということがあるということなんでしょうか。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

塩川委員 下野市は、やはりこういったPFASの汚染の問題、市民の皆さんから不安の声もあるということで、高度浄化施設を含めて対策を検討中と伺っております。

 補助メニューの話、給水人口の要件に届いていないという、対象とならない要件となっているということですけれども、この給水人口の要件というのは五万人とお聞きしています。下野市の給水人口というのは五万七千九百二十四人ということで、そういう意味では、それで要件から外れてしまうということで、被害を被っている住民の皆さんに結局水道料金という形で負担を転嫁をするというのはおかしいんじゃないのかという点でも、財政力が決して大きいとは言えない自治体に対して、要件緩和をしっかりと踏み込んで考えるべきではないのか。その点についてもう一度。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道事業の経営に要する経費については水道料金で賄うことが原則でございますが、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業等を対象に財政支援を行っているところでございます。

 このため、資本単価要件や給水人口要件というものを設けているところではございますけれども、いずれにいたしましても、国土交通省としましては、PFASに関する状況も踏まえつつ、必要な対応の検討を進めてまいります。

塩川委員 PFASというこれまでにない要件との関係でも、それに見合ったような支援策、国の財政措置を行う、このことを強く求めておくものであります。希望する市民の方への血液検査に対する財政支援を行うことなども必要なことだと思っております。

 その上で、やはり、汚染源を特定をし、原因者負担を求めていく、この立場が求められていると思います。

 そこで、下野市で暫定目標値を超える地下水が検出された二か所の水源というのは、下野市の北部に当たり、その北側には陸上自衛隊の宇都宮駐屯地があります。その宇都宮駐屯地内の井戸水からも暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。

 油火災の消火のためにPFAS含有の泡消火薬剤を使用してきた。消火訓練なども恒常的に行われてきているわけであります。そういった点で、汚染源としての疑いもあるということで、防衛省の方にお尋ねしますが、防衛省・自衛隊施設における飲用に供している自己水源の水道施設についてPFOS等の水質検査を行ったと承知をしておりますが、その結果について、自治体に報告した事例に関連してお尋ねします。

 自治体に報告した自衛隊の施設の名称と、そこで検出をされたPFOS、PFOAの調査結果のデータ、この二点について、それぞれお答えいただけますか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としましては、今議員から御指摘ありましたように、隊員等の飲料水の安全確保の観点から、全国の自衛隊施設のうち、隊員の飲用に供する自衛隊施設内の水源を対象としまして、PFOS及びPFOAの調査を今年三月まで実施をいたしました。

 その結果、全国で合計十施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS及びPFOAが検出されておりまして、これらの施設におきましては、井戸の運用を停止し、給水口に浄水器を設置するなど、対策を講じてございます。

 また、この調査の結果につきましては、関係自治体及び国土交通省へ情報提供を行っております。

 これらの水源につきましては、自衛隊施設内で使用する専用水道の独自水源でございまして、部外飲用水への供給をしているものではございません。

 具体的な駐屯地名というお尋ねだったと思いますけれども、陸上自衛隊の小平、東立川、伊丹、大久保、宇都宮、航空自衛隊の岐阜、芦屋、府中、山田分屯基地それから新田原、以上十か所でございます。(塩川委員「PFASの数値を。大きい値でいいです」と呼ぶ)数値、失礼しました。

 五十三ナノグラムから、一番大きなもので二千八百ナノグラムでございます。(塩川委員「いや、個別の十の駐屯地ごとに」と呼ぶ)はい。

 まず、岐阜基地におきましては、最大の検出値が八十六ナノグラム、小平におきましては二百六十ナノグラム、東立川におきましては三百四十三ナノグラム、伊丹におきまして五十三ナノグラム、山田分屯基地におきまして五十八ナノグラム、芦屋基地におきまして二千八百ナノグラム、府中基地におきまして二百四十五ナノグラム、新田原基地におきまして五百六十ナノグラム、大久保駐屯地におきまして六十四ナノグラム、宇都宮駐屯地におきまして百十二ナノグラムでございます。

塩川委員 十の自衛隊施設で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。

 このように、多数の自衛隊施設でPFASが検出をされております。これ以外にも、海上自衛隊の下総航空基地などにおいても、基地内の排水口の三地点で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。浜松基地周辺でも暫定目標値を超えるPFASの検出の事例なども紹介はされているところであります。こういった、全国の自衛隊の施設においてPFASが検出をされるような状況がある。

 あわせて、宇都宮駐屯地の北側には北宇都宮駐屯地もあるんですけれども、この北宇都宮駐屯地内にも専用水道があると承知をしておりますが、これのPFASの検査実績というのはあるんでしょうか。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のありました北宇都宮駐屯地の専用水道につきましては、駐屯地の水量の全量を水道用水供給事業から受水をしているために、PFOS及びPFOAの検査をした実績はございません。

 以上です。

塩川委員 専用水道としてはあるけれども、それを実際に使用していない、そういうことで調査をしていないということですか。

茂籠政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

塩川委員 環境省、国交省の方で、専用水道について、独自水源を持っているようなところについての調査を呼びかけたわけですけれども、自衛隊施設の中でも調べたところもあるんだけれども、実際にそういった専用水道があっても、今は使っていないからということで調査をしていないと。でも、実際にどれだけの汚染が広がっているかということを改めて明らかにする上でも、しっかりとしたPFASの検査を行う必要があると思っております。

 宇都宮駐屯地では、過去、PFAS含有の泡消火薬剤を使用してきたわけであります。宇都宮駐屯地に接する下野市北部で高濃度のPFAS汚染があることを指摘をしましたが、宇都宮駐屯地が所在をする宇都宮市内においても、周辺の十か所以上から暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。宇都宮市として独自に調査を行った結果がその大半を占めております。

 その汚染されている地域の北側には北宇都宮駐屯地もあるわけで、こういった、宇都宮駐屯地また北宇都宮駐屯地が汚染源ではないのかという疑いがあるわけですけれども、こういうことについて、防衛省としてはしかるべく確認をすべきではありませんか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS等につきましては、これまでも様々な用途に日本国内において使用されてきたものと承知をしておりまして、現時点におきまして、PFOS等の検出と自衛隊との因果関係について確たることを申し上げることは困難だと考えております。

 その上で、宇都宮駐屯地及び北宇都宮駐屯地におきまして、PFOSを含む泡消火剤につきましては、化審法に基づく規制対象となりました平成二十二年四月以降、消火訓練や実火災での使用はなく、部外への流出事案もないことを確認しております。

 また、令和二年度末までに、保有していたPFOS含有の泡消火剤につきましては処分しておりまして、現在は保有をしていないという状況でございます。

 また、PFOAを含むものにつきましても、規制対象になった以降は使用がなくて、部外への流出等は確認されておりません。また、現時点で保有はないという状況でございます。

塩川委員 最後に大臣に伺います。

 今言ったように、規制、禁止前にどう使ったのかを明らかにすべきなのに、その点についてのまともな調査をしないというのでは、市民の不安を解消することができません。

 そもそも、こういったPFAS類についての認識、体内にも、環境中にも長期にわたって残り続けるものですし、その点で、食品安全委員会がPFAS摂取量の規制値を定めましたけれども、米欧の基準に比べても、数十倍から数百倍の緩い値となっています。これでは国民の安心、安全を確保することができないのではないのか。それを大本から正していくことが必要だと思うんですが、大臣の認識を伺います。

伊東国務大臣 有機フッ素化合物、PFASにつきましては、内閣府食品安全委員会におきまして、昨年六月にリスク評価報告書が取りまとめられたところであります。

 評価に当たりましては、耐容一日摂取量について、諸外国において数値が低いものから高いものまである中で、特に欧米において用いた科学的知見も含めて、最新の科学的知見を専門家が一つ一つ丁寧に精査をいたしました。その上で、それらの科学的根拠が何を意味するのか、それだけの重みがあるのかなどを総合的に判断して、耐容一日摂取量を設定したところであります。

 報告書では、まず、この耐容一日摂取量を踏まえた対応を速やかに取るとともに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を進めることの必要性につきましても強調されておりまして、現在リスク管理機関におきまして検討中のリスク管理措置が速やかに講じられることが何よりも重要である、このように考えております。

 以上であります。

塩川委員 規制値を定める論文の選定について非常に疑問があるという声もあるところであります。抜本的な規制策の強化を求めて、質問を終わります。

大岡委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後二十分、よろしくお願いいたします。

 伊東大臣、御快癒おめでとうございます。

 今日は、公文書管理法についてお伺いしたいと思います。

 私、三月三日、予算委員会で、この件について石破総理に質問をいたしております。

 石破総理は、行政文書が適切に管理されているということが行われないと民主主義が成り立ちません、どのように意思が決定されたか分かりませんということになりますと有権者は何で判断していいか分かりません、そして、これは個人メモなので行政文書ではないみたいなことを言う人がいるわけですが、そういうような恣意的な解釈がなされてはなりません、また、意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の供覧に供されるとするならば、それはもう公文書ということでございます、また、意思決定がなされるときに供せられた資料というものは、ことごとくというか、すべからくというべきか、民主主義の主権者である国民に常にアクセスが保障されなければならないものだと考えております、最後に、それぞれの行政機関において意思決定がどのようになされたかということをきちんと記録に残すのは民主主義の根幹だという意識を徹底させるために私どもは行動してまいりますと、それぞれ答弁しておられます。

 これは、政府全体としてこういう認識だというふうに私は理解しておりますが、伊東大臣の見解を求めたいと思います。

伊東国務大臣 緒方先生には日頃から本当にお世話になり、ありがとうございます。

 ただいまお示しいただきました行政文書の定義につきましては、公文書管理法におきまして、一つ、まず、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、二つ目として、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、また、さらに三番目として、当該行政機関が保有しているものということを定めているところであります。

 ある文書が行政文書に該当するかどうかは、この定義に照らしまして、個別の業務と文書に責任を有する各行政機関において適切に判断すべきものである、このように考えているところであります。

緒方委員 そんなことは一言も聞いていないです。

 今、私、石破総理の答弁を全部読み上げました。これが政府の見解ということでよろしいですねということを確認までに聞いているんです。はいかイエスでお答えください。大臣。

伊東国務大臣 基本的には、総理の言うとおりであろうと思います。

 ただ、例外はあるのかなというのは、聞いていて感じていたところでもあります。

緒方委員 今、私、幾つか読み上げました。これは全部総理答弁です。例外があるんじゃないかというふうに言われましたが、いや、それは多分、答弁として通用しないと思います。

 もう一度お伺いします。石破総理の言ったとおりでよろしいですね。大臣。

伊東国務大臣 はい。それでは、よろしいかと思います。

緒方委員 実は、石破総理の答弁、結構、これまでの政府見解からするとかなり踏み込んでいるんですが、今、大臣から裏打ちをいただいたということで、これを前提に話を進めたいと思います。

 続きまして、会計検査院の検査不能の事案について取り上げさせていただきたいと思います。

 GoToトラベル、そしてコロナワクチン、いずれも、会計検査院の報告で、算定根拠のデータがなかったことをもって検査不能となっている事案がございました。まず、会計検査院に見解を伺いたいと思います。

岩城会計検査院当局者 お答えいたします。

 委員お尋ねの会計検査院の検査の結果でございますが、令和七年一月の、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う旅行振興策の実施状況等についての検査の結果の報告では、観光庁は都道府県に通知した交付限度額の算定方法や算定要素に係る資料を保存していないとしており、交付限度額の妥当性を事後的に検証することができなかったこと、また、令和五年三月の、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等についての検査の状況の報告では、厚生労働省が計八億八千二百万回分のワクチンを確保することにしたことについて、同省が確保に当たり作成していた資料には算定根拠が十分に記載されておらず、それ以上の説明は得られなかったことなどを御報告しております。

緒方委員 びっくりした方が多いと思いますが、これは公文書管理法第四条の文書作成義務に違反していると思います。

 そして、先ほど石破総理の答弁の中にもありました、幾つかあったんですが、それぞれの行政機関において意思決定がどのようになされたかということをきちんと記録に残すのは民主主義の根幹だという意識を徹底させると石破総理は言っているんですね。

 それぞれ、今日、政務三役にお越しいただいております。国土交通政務官、そして厚生労働政務官、それぞれ、言い訳と反省の弁を求めたいと思います。

吉井大臣政務官 緒方委員の御質問にお答えいたします。

 県民割支援、全国旅行支援に係る各都道府県への交付限度額については、延べ宿泊者数等に基づき予算額を按分した上で、都市部と地方部の格差を縮小すること等の観点から補正を行って算出したものであります。

 他方、交付限度額の決定に当たっては、観光庁内での決裁により手続を経ておりますが、そのような算定方法が詳細にたどることができる資料を作成、保存していなかったため、会計検査院からは、予算執行に関する重要な資料を適切に保存し、予算執行における交付限度額の妥当性について的確な資料に基づき十分に説明することができるようにすることとの所見が示されたところであります。

 算定方法を詳細にたどることができる資料を作成、保存していなかったことは、文書管理の趣旨に照らして十分とは言えなかったと考えており、今後、同様の施策を実施する場合には、今般の所見内容も踏まえて、適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、会計検査院の実地検査においても必要な資料を提供させていただいたところではありますが、その説明の中で、やはり、資料にある情報の詳細や数字の計算方法等を一部口頭で補って説明をさせていただいていた部分があったということでございます。

 会計検査院の御指摘は、口頭で説明した内容についても今後は資料として作成、保存をし、事後的に客観的に妥当性を検証できるようにすべきという指摘と認識をしております。

 厚生労働省としては、ワクチンの購入数量について、これまで国会審議等の際にもその考え方を資料では作成、提出をしてきたところではございますけれども、会計検査院からの御指摘も真摯に踏まえながら、引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。

緒方委員 皆さん、今、聞かれましたか。口頭で説明したと言っているんですよ、算定根拠を。そんな重要なものを、厚生労働省は、他の事案も含めて口頭で、何か、例えば医療でも何でもいいですよ、そういったものについて口頭で説明すると。つまりそれは、将来、なぜそういうふうに決まったのかということについて検証できないということですよ。

 そういうことはやらせないということを政務官の口から、もう一言お伺いしたいと思います。政務官。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 口頭のみで行っていたということではなくて、口頭でも行っていた、資料でも提出をしていた、だけれども、その資料が不十分であったということでありますので、今後はその資料をしっかりと適切に対応してまいりたいということでございます。

緒方委員 続きまして、同じく厚生労働省なんですが、皆さん方、厚生労働の方は非常に関心が高いと思いますが、令和七年度薬価改定の三大臣合意について、ある報道機関が情報開示請求をしたところ、議事録としての記録がなかったというふうに言われております。この決定に至った議論の、直前の二日間の過程に関する記録もなかったと。

 これは、公文書管理法上非常に問題だと思うんですよね。今回、薬価改定するときにこういうやり取りをして決まったんだということが検証できないということです。しかも、厚生労働省は、その某報道機関の取材に対して、議論に用いたのは個人的なメモが中心だったと説明をしたそうであります。

 先ほど、石破総理は、これまで個人メモなので行政文書ではないみたいなことを言う人がいるわけですが、そういう恣意的な解釈がなされてはなりませんというふうに言っております。

 非常に問題が多い事案ではないかと思いますし、特に、薬の業界の中でも問題じゃないかというふうに言われております。

 同じく、言い訳と反省の弁を求めたいと思います。厚生労働省。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、厚生労働省におきましては、行政文書の作成に関して、公文書管理法の第四条に基づいて厚生労働省行政文書管理規則第十条を定めているところではございます。この規則では、経緯を含めた意思決定に至る過程並びに厚労省の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除いて、文書を作成しなければならないとされているところでございます。このため、経緯も含めた意思決定に至る過程等の跡づけができるように行政文書の作成を行う必要があるというふうに考えてございます。

 また、御指摘のお話でありますけれども、では、行政文書の作成、公表とは何かということにつながるかもしれませんけれども、それにつきましては、今、薬価のお話でございましたけれども、中医協において議論を行った際の資料であったり、あるいは議事録、こうしたものは厚労省のホームページでも公表しているということでございまして、これが行政文書の作成、公表ということに当たるんだろうと考えております。

緒方委員 意思決定に至った全ての議事録が残されているというふうに答弁されたんでしょうか。政務官。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 意思決定に至る全ての文書が残っていたという認識で私は今答弁はしておりません。

緒方委員 つまり、最後、三大臣合意がされる前の二日間のところは何の議事録も残っていないということですが、そういうものは残っていないということをお認めになるということでよろしいですね。政務官。

吉田大臣政務官 そういうものが残っていないかを認めるというところではないというふうには思っておりますけれども、経緯も含めたそうした意思決定に係る過程、それについては、様々な文書も作成をしておりますし、結論としては、そういうものを公表しているということであるというふうに認識をしております。

緒方委員 もう一回お伺いします。

 意思決定に至る全てのやり取り、全てというか、一番重要なところですよね、重要なところのやり取りについては、議事録が残っていないというふうに言っているんですね。それはそれでよろしいですね。政務官。

吉田大臣政務官 済みません。中医協の議論を基にこれは公表しておりますので、そうした形で厚労省としては行政文書の管理をしているというところでございます。

緒方委員 いや、そういうことを聞いているんじゃないんです。最後の大詰めのところの、大詰めのところの記録が残っていないと言うんですが、それは、そういうことです、記録を作成していないということでよろしいんですよねと聞いているんです。政務官。

 止めてください。ちょっと、止めてください。

大岡委員長 では、一旦速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大岡委員長 速記を起こしてください。

 吉田政務官。

吉田大臣政務官 申し訳ございませんでした。

 厚労省としては、行政文書の管理におきましては公文書管理法等に基づき適切に行っているところではございますが、今ほど緒方先生から御指摘をいただいた三大臣合意の件につきましては、これは、閣僚同士でのやり取りを行政文書として作成をしなければいけないというような明確な規定はないということでございますので、合意文書としてそれは公開をしているということであります。

緒方委員 すごいですね。最後、一番、閣僚が議論するところが意思決定をするのに最も重要なポイントなんですが、その記録については作成していないし、それは必要ないというふうに言われたんでしょうか。政務官。

吉田大臣政務官 必要はないということを申し上げたわけではなく、明示的な規定がないというふうに申し上げたところでございます。

緒方委員 これは恐らく厚生労働の方がこの後多分みっちりやられると思いますので、これ以上追わないことにしたいと思いますが、ただ、大臣同士でやり取りしたところが、残さなきゃいけない規定が存在しないというふうに言い切るというのは、私、これはすごいことだなと思いました。

 石破総理が言われたように、意思決定がなされるときに、どうなされたかということをきちんと記録に残すのは民主主義の根幹だ、そして、その意識を徹底させるんだとまで言っているにもかかわらず、大臣同士でやり取りするところについて、残さなきゃいけないという規定が存在しないというのは、すごかったなと今思いました。

 続きまして、公文書管理法のガイドラインについてお伺いをいたしたいと思います。

 これは必ず、ガイドラインを議論するときに、組織共用性、組織的に用いるという表現があります。この組織的に用いるというのは、石破総理の言ったとおり、意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の供覧に供されるのであれば、それはもう公文書であるというふうに石破総理は言われているわけですが、まさに組織的に用いるというのはこういう理解でよろしいでしょうか。笹川室長。

笹川政府参考人 緒方先生、いつもお世話になっております。答弁させていただきます。

 公文書管理法の組織共用性についての質問でございます。

 公文書管理法、まず、冒頭大臣から答弁させていただきましたとおり、三つの要件に従って行政文書該当性を判断しております。もちろん、恣意的に判断されちゃいけない、そこもおっしゃるとおりだと思います。

 メールをやり取りすれば、それで行政文書か組織共用かということについては、やはり御指摘のような場合も含めて、個々の文書が該当するかどうか、定義に基づいて、作成、取得の状況ですとか、利用の状況、保存、廃棄の状況、総合的に判断して実質的に判断する必要があるというふうに考えております。

緒方委員 多分、室長、読んでいる答弁書がちょっと何かずれているんです。私が聞いたのは、組織的に用いるというのは、石破総理の言ったとおり、意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の供覧に供されるとするならば、それは公文書である、まさにこれは組織共用性の話をかみ砕いて説明しているわけですが、この組織共用性というのは石破総理の言ったような理解でよろしいですよねということを確認的に聞いています。室長。

笹川政府参考人 先ほど、冒頭、伊東大臣も微妙に、例外云々とおっしゃいましたけれども、やはり具体的な状況に応じて判断するということになろうかと思います。メールを相手に送って、二人が持っていたということのみをもってということではなく、緒方先生がおっしゃいましたとおり、様々な状況を総合的に勘案して、最終的にはそれぞれの行政機関で判断するということだと思います。

緒方委員 いや、これまでが、そういう総合的に判断する必要があるというのがガイドラインに書かれていて、ただ、私が予算委員会で石破総理に聞いたら、もう一回繰り返します、意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の供覧に供されるとするならば、それはもう公文書であるとはっきり言っていて、あっ、踏み込んだなと思ったんですね、石破総理が、解釈としても。私はそれが妥当だと思います。

 なので、組織共用性というのはそういうことでよろしいですよねということを聞いています。総理の答弁を否定しちゃ駄目ですよ。笹川室長。

笹川政府参考人 否定しているわけじゃないのですけれども。

 若干繰り返しになって申し訳ございませんけれども、組織的に用いているかどうかという判断は、結局、その文書自体が職務上作られたものかとか、組織的に保有しているか等も踏まえて勘案するということになりますので、一概にはというかな、直ちにそうだというふうには言い切れないかなというふうに思います。否定しているということではございません。

緒方委員 総理は、結構明確に答えているんですね。もう一度言います。

 意思決定がなされるのに必要であった文書であり、複数の供覧に供されるとするならば、それはもう公文書であるというふうに総理が言っています。そして、公文書管理法には組織共用性ということがあるんですが、先ほど大臣は、石破総理の答弁、そのとおりですというふうに言われました。

 組織的に用いるというのは、これは複数の供覧に供されるのであれば、それはもう公文書である、つまり組織共用性があるということだと思いますが、それはその理解でよろしいですね。大臣。

伊東国務大臣 その理解でいいかと思います。

緒方委員 室長よりも、よりクリアでありました。

 これは多分最後の質問になると思いますが、職務上作成し、又は取得した文書についてということなんですけれども、これは何が問題になるかというと、総理大臣官邸で、総理大臣や補佐官、秘書官、参事官、そういった方々に各省から説明に行く、そして、そこで資料を提供して、場合によっちゃ記録などもあるんだと思いますが、これらの文書、不存在になっていることが物すごく多いんですね。これは、どの役所が作成し、取得して、そして保存しなきゃいけないのかということについて、極めて今、実行上、分からなくなっているんですね。

 今日、風早審議官、来ておられますので、総理、総理補佐官、秘書官、参事官、これらの方々にブリーフするときに使った資料やその記録の扱いについて答弁をいただければと思います。

風早政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣等が各行政機関から説明や報告を受けた際、用いられた資料のうち、行政文書に該当するものについては、公文書管理法等の規定に基づき、官邸での説明等を行った各行政機関の責任において適正に管理すべきものと認識してございます。

緒方委員 もう終わりましたね。次の一般質問で続きをやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。城内国務大臣。

    ―――――――――――――

 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

城内国務大臣 ただいま議題となりました人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容の概要を御説明いたします。

 人工知能関連技術は、その適正かつ効果的な活用によって行政事務及び民間の事業活動の著しい効率化及び高度化並びに新産業の創出をもたらすものとして経済社会の発展の基盤となる技術であるとともに、安全保障の観点からも重要な技術です。近年、人工知能関連技術をめぐる国際的な競争が激化する中、我が国において、人工知能関連技術の研究開発を行う能力を保持するとともに、関連産業の国際競争力を向上させるための取組が不可欠となっております。

 この法律案は、このような背景を踏まえ、人工知能戦略本部を内閣に設置するとともに、政府が人工知能基本計画を定め、これを推進するなどの所要の措置を講ずることにより、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進について、基本理念及び国の責務等を定めております。

 第二に、基本的施策として、研究開発の推進、施設及び設備等の整備及び共用の促進、人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性の確保、人材の確保、教育の振興、情報収集及び調査研究等の実施、国際協力の推進等を規定しております。

 第三に、政府は、基本理念にのっとり、基本的施策を踏まえ、人工知能基本計画を定めるものとしております。

 第四に、人工知能基本計画の推進体制として、内閣に人工知能戦略本部を設置することとし、内閣総理大臣を本部長とするなど組織、所掌事務等を規定しております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことを切にお願い申し上げます。

大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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