第22号 令和7年5月21日(水曜日)
令和七年五月二十一日(水曜日)午前九時四分開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 市村浩一郎君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 尾崎 正直君
岸 信千世君 国光あやの君
栗原 渉君 鈴木 貴子君
田中 良生君 西野 太亮君
平井 卓也君 平沼正二郎君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 市來 伴子君
梅谷 守君 おおたけりえ君
下野 幸助君 橋本 慧悟君
藤岡たかお君 馬淵 澄夫君
水沼 秀幸君 山 登志浩君
伊東 信久君 三木 圭恵君
石井 智恵君 菊池大二郎君
河西 宏一君 山崎 正恭君
上村 英明君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 坂井 学君
国務大臣
(共生・共助担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 赤澤 亮正君
内閣府副大臣 辻 清人君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
農林水産副大臣 笹川 博義君
経済産業副大臣 大串 正樹君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
内閣府大臣政務官 加藤 明良君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 齋藤 敦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 桝野 龍太君
政府参考人
(内閣官房アイヌ総合政策室長) 松浦 克巳君
政府参考人
(内閣官房TPP等政府対策本部企画・推進審議官) 田島 浩志君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理) 茂木 正君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中溝 和孝君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長) 桐山 伸夫君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 笠尾 卓朗君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 野村 裕君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 黒瀬 敏文君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 水田 功君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 誠君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松浦 重和君
政府参考人
(スポーツ庁審議官) 橋場 健君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 坂 勝浩君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局研究総務官) 東野 昭浩君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君
内閣委員会専門員 田中 仁君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
石原 宏高君 国光あやの君
山際大志郎君 鈴木 貴子君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 石原 宏高君
鈴木 貴子君 山際大志郎君
―――――――――――――
五月二十日
盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案(内閣提出第四九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案(内閣提出第四九号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官齋藤敦君外二十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。よろしくお願いいたします。
まず、通告をしておらないのですが、江藤農水大臣の発言についてお尋ねをします。
江藤大臣に対しては、総理が更迭をする意向を示したと報じられておりますが、事実でしょうか。
○林国務大臣 本日、江藤大臣から、米価格の高止まりなど農林水産行政の課題が山積する中、自らの発言によりその遂行に悪影響を与えたくないという理由で、職を辞したいとの申出がございました。
総理といたしましては、国民生活を最優先に、農林水産行政の重要課題の解決に停滞があってはならないという観点から、これを了解されたものでございます。本事案につきましては、これまでも総理自身、任命権者として深くおわび申し上げるとされてきたところでございます。
内閣として一層の緊張感を持って政権運営に当たってまいりたい、そういうふうに考えております。
○梅谷委員 農水大臣、江藤大臣御自身から辞任の意向を示されたと言いますが、総理が昨日の段階では、大臣に厳重注意をして、本会議でも、国民におわびをし、価格高騰に答えを出すのが責任というふうに言われていたわけでして、その時点では更迭の意向を示さなかった。この中で急転直下したのは、私は、立憲民主党など野党五党が更迭を首相に求める方針で一致したからこそなんだろうなというふうに受け止めています。
そもそも農水大臣は、農業の担当大臣でありつつ、同時に、国民の食を預かる担当大臣でもあります。政府の対応は、総理御自身、そして政府自体が、現下の国民生活の窮状を、そして国民の食を預かる責任を、江藤大臣と同じく、私は軽く考えているのではないかなと受け止めてなりません。
次の大臣は、食を預かる担当大臣という、この感覚をしっかり持ち合わせていただいている方から担っていただき、現下の価格高騰や食料安全保障などにしっかりと答えの出せる方、結果を出していただくことを強く期待をし、通告に従い質問に入らせていただきます。
まず、日米の関税交渉における米の扱いについて伺います。この点で、石破総理がこの間発言されたことについて確認をさせていただきながら、質問といたします。
五月十一日放送のテレビ番組、「日曜報道 THE PRIME」の中で、米に関し石破総理が、すぐに国内の生産量を増やせないのであれば、輸入を増やすというのも一つの選択肢だと発言をされました。この意味するところは何か、また、関税交渉において米国から米の輸入拡大が選択肢となり得るということを意味するのか、お答えください。
○赤澤国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。
その上で、総理と私の間で、米国の関税措置に関する日米協議の今後の対応について、具体的な検討状況をつまびらかにすることは困難でありますが、農は国の基であり、農業を犠牲にするようなことは考えていない、守るべきものは守り、我が国にとって最大限のメリットを獲得するため、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいくという認識といいますか方針は共有しているところでありまして、そのように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
○梅谷委員 ちょっともう一度確認しますが、米国からの米の輸入拡大が選択肢となり得るのかどうかというのは、はっきりお答えはできないということなんでしょうか、交渉中ということで。お答えください。
○赤澤国務大臣 総理が選択肢というふうにおっしゃったということは、私自身、あえてちょっと解釈申し上げれば、選択肢としてはあり得るけれども、それを選ぶかどうかというのは、政策判断がその後にあるわけでありますので、要は、私自身としては、先ほど申し上げた認識ですね、農は国の基であり、農業を犠牲にするようなことは考えていない、そういう総理との共通認識の下で交渉を進めているということでございます。
○梅谷委員 赤澤大臣、それは私には詭弁に聞こえますね。だって、総理の発言ですよ。総理の発言って重たいんじゃないんですか、私が言うのも僭越ですけれども。一度発した言葉の重み、やはり大変重たいものなのでないかなと。そして、それがゆえに、国民においても、特に農業関係者においても、非常に不安がかき立てられたわけじゃないですか。
にもかかわらず、総理が言ったけれども、今後、それを受ける受けないは、どう受け止めるかは周りのあれだよみたいなような趣旨の話をされて、そして交渉中でお答えできない。でも、お答えできないということは、交渉のテーブルにそれがのっかっているという可能性も示唆するわけじゃないですか。
この点、官房長官にお尋ねしますが、やはり、総理が一度発した言葉の重み、これを踏まえて、農業関係者の不安をかき立てたということをしっかりと解消していただく、そのために、丁寧な説明とともに、長官からも誤解を招かないよう適時適切な補足発信をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今御議論をいただいておりますように、米は我が国の主食でございます。また、自給できる唯一の穀物であります。食料安全保障の観点から重要な産品であります。
今いろいろ御指摘のありましたそれぞれの発言、言葉遣いは異なるという御指摘はございましたが、まさに、今後の協議に当たって農業を犠牲にするとの考え方は取らない、この点で立場に変わりはない、こういうふうに考えております。
今後の協議に当たっても、守るべきものは守り、日米双方にとって利益となる合意を実現するため、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。
○梅谷委員 今、官房長官の方から、農業を犠牲にすることはしないとはっきりお答えをいただきましたが、もう一度確認をさせていただきます。
そうなると、今ほど何度も質問いたしておりますが、米国から米の輸入拡大が選択肢としてなり得ないという理解で間違いないでしょうか。もう一度御答弁をお願いします。
○林国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、言葉遣いは異なるという御指摘もございましたけれども、今後の協議に当たって農業を犠牲にするとの考え方は取らないという点で立場に変わりはない、そういうふうに考えております。
○梅谷委員 ありがとうございます。
そこで、次にお伺いしたいんですが、ウィン・ウィンの関係を築くというふうに総理が御発言をされています。例えば、赤澤大臣に対しても総理が、日米双方がウィン・ウィンになるような形を模索してほしいという指示をしたとの報道がありましたが、四月の二十一日の参院予算委員会でも、日米が相互補完というか、ウィン・ウィンの関係を築きやすいとの御答弁もあります。
そこで、お尋ねしますが、政府の考えるウィン・ウィン、ここには、農業を何か差し出すということは今の御答弁からすればないという理解でよろしいんですね。
○赤澤国務大臣 繰り返し申し上げているように、農業を犠牲にするような交渉はしないということで、政府一丸となって交渉しているということでありますし、また、加えて、一つ追加させていただけば、私は、一回目の訪米の際に、総理のメッセージとして、日米双方の経済が強くなるような包括的な合意を可能な限り早期に実現したいとの考えをトランプ大統領に伝達をしております。その日米双方の経済の中に、当然ながら、農は国の基と言われる農業が含まれており、それを犠牲にするような交渉はしないということは政府の共通認識となっているところでございます。
○梅谷委員 ありがとうございます。少しほっとしました。
その上で、ちょっと一点、念のため確認なんですが、今回の協議に当たって、二〇一九年の日米貿易協定にある継続協議事項、これがアメリカ側からの根拠になるという指摘があるんですが、今行われている関税交渉、これはその継続協議に当たらないという理解でよろしいでしょうか。間違いないでしょうか。
○林(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の日米協議でございますけれども、今回、日米間で行われている協議は、四月七日に行われました日米首脳電話会談におきまして、日米双方において担当閣僚を指名し、協議を行うことになったものでございまして、日米貿易協定の枠組みの中で行われている協議ではございません。
○梅谷委員 日米貿易協定の枠の中で行われているんですか。ということは、アメリカ側の主張として、二〇一九年に発効した今のこの日米貿易協定の継続協議事項に当たるという御答弁だったのでしょうか。確認させてください。
○林(誠)政府参考人 お答え申し上げます。
日米貿易協定の枠組みの中で行われているものではございません。
○梅谷委員 今回の日米交渉、これは、ある意味、アメリカ側から一方的に要求を吹っかけてきたというか、これが私の理解ですし、恐らく国民の多くもそう理解をしていると思いますが、ここにいらっしゃる皆さんもそういう理解なんじゃないんでしょうか。
今確認したように、二〇一九年の貿易交渉の継続協議の扱いでもない。だとすれば、そのような要求から始まる交渉、つまり、向こうからいきなり吹っかけてきたわけですね。そこに向けて、そもそもウィン・ウィンというのが成立するのかというのが、私、気になるところなんですよ。
つまり、トランプ関税を撤回させることは、理不尽な要求を下げさせてゼロに戻すというだけのこと。その見返りに、今、農業は犠牲にはしないというふうに明言していただきましたが、いずれにしても、この見返りに日本側が何かを譲歩する、これはウィン・ウィンではないと私は思いますが、この点、どのように受け止めればいいんでしょうか。お答えください。
○赤澤国務大臣 委員御指摘をいただいているとおりの面があり、私どもとしては、米国の追加の関税措置、これについては遺憾であり、一連の関税措置の見直しを求めるということを強く申し入れ続けているところであります。
その上で、重要な交渉相手国といいますか、世界のGDPの四分の一を占め、日本の輸出の二割を占める米国であります。経済関係を発展させるということは両国にとってメリットがあることでありまして、両国間の貿易の拡大でありますとか、非関税措置とか、経済安全保障面での協力とか、我が国にとってプラスになるような内容も含めて今協議をしているところでありまして、何か一方的に譲るというような協議をしているというものではないということは御理解賜りたいと思います。
○梅谷委員 だから、一方的に譲るということはそれはしないのは当然であって、私が申し上げているのは、そもそも向こうから吹っかけてきて、マイナスから始まって、それを取り戻すということでいえば、ウィン・ウィンには当たらない。もちろん、今冒頭、同じ問題意識だというふうにおっしゃっていただいたので、その点は、それ以上のものを日本がどう得られるかという話になってくるのかもしれませんが、非常にタフな話なんだろうなというふうに受け止めています。
実際、第一次トランプ政権との日米貿易交渉のときも、政府は、国民に対して、害虫対策でアメリカからトウモロコシを買う必要があるなどと突然言い出した前科もあるんですね。
なので、今、農業の話は、それは俎上にはのせないというふうに明言していただきましたが、そういう表現じゃないけれども。でも、そういう話をしていただきましたが。米国との交渉というのは厳しいことは重々理解をしているつもりです。そのお立場にある方だからこそなお、重たい重責の下、頑張っていただいていることには本当に敬意を表する次第ですが。
今後気をつけていただきたいのは、メリットでないものをあたかもメリットだよと、国民をだますようなことだけはしないでいただきたい。この点、約束していただけませんか。
○赤澤国務大臣 御指摘のとおりでありまして、米国には米国の国益はあるんでしょうが、当然のことながら我が国には我が国の国益がございます。それを毀損するような交渉はしないということは心がけているところでございます。
○梅谷委員 あと、せっかくなので、指摘だけでとどめますが、今日、一枚目、お配りした資料なんですけれども、農業も俎上にのせ得るという可能性が残る御答弁だったら、ちょっとこの質問を是非、指摘をさせていただきたいなと思ったんですが。いずれにせよ、MA米の枠内であろうと、アメリカから米を輸入拡大をするといったときに何が起こるかというと、やはり、これはWTOの最恵国待遇、これに抵触するおそれがある、私はこう考えておりまして、その表を、仕組みを、今日、一枚目の資料にまとめさせていただきました。
ここでの御答弁ではそういうふうにお話をいただきましたが、この点のリスク、懸念があるということをゆめゆめ留意をしていただいて、そして、これをやってしまったら、国内からのいろいろな不安の声、不満の声があると同時に、今度は、WTOの上にTPPがあるわけですから、TPPにおいても、これは九章の投資がメインですから、ストレートには最恵国待遇抵触にはTPPにおいては当たりませんけれども、という解釈ですけれども。でも、WTOにおいては私はおそれがあるというふうに思っていますので、諸外国との関係性がより複雑困難になりかねない、このことを強く指摘をさせていただきまして、そしてまた、それに基づく交渉、タフな交渉、粘り強い交渉を是非、赤澤大臣そして官房長官にお願いしたいんですが、この点、官房長官、御見解をお答えいただけないでしょうか。
○林国務大臣 赤澤大臣共々しっかりと交渉してまいりたい、こういうふうに思っておりますが、今後の協議に当たって、梅谷委員からも御指摘がありましたが、言うまでもないことでございますが、他の協定との整合性、影響、これはしっかり考慮しつつ、守るべきものは守る、こういう交渉をやってまいりたいと思っております。
○梅谷委員 是非この点、大事な点でありますし、これはまさに米の部分で大きく影響し得るのかなと思っていますので、よろしくお願いします。
次に、備蓄米放出の課題について質問をさせていただきます。
言うまでもなく、今週、五月十一日までの週の調査で、米の平均小売価格が再び上昇に転じました。
赤澤大臣はもうよろしいですかね、済みません。ありがとうございました。
○大岡委員長 それでは、赤澤大臣、退席していただいて結構です。
○梅谷委員 ありがとうございました。
備蓄米の放出にもかかわらず、昨年の二倍を超える水準から更に米価高騰、上昇が続いています。国民の家計にとって極めて厳しい状態です。
そこで、政府参考人にお尋ねします。
農水省に対する備蓄米の放出だったり価格高騰に対する国民からの問合せというのは、どのくらい今回の件になって増えているんでしょうか。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
米の価格高騰に関しまして、電話対応につきまして全省的に件数をまとめているわけではございませんが、例えば、昨年の米の品薄が生じた八月以降、農林水産省本省の担当部局に対しては一日当たり数十件程度のお問合せをいただいております。最近では、日によってはこれを大きく上回るようなお問合せもあるところでございます。
○梅谷委員 本当に、国民の不安な声が今の形でも表れているのかなというふうに思います。そしてまた、特に、対策を打っているといいながらも、価格がどうしても上がってきている。この状況に対しての国民の目が厳しくなっているということだと受け止めますが、報道では政権の支持率にも影響しております。この問合せ状況が、こういったことからも私は見えてくると受け止めています。
私は、価格高騰を抑えるべく実施中の備蓄米放出の課題、これは大きく分けて二つあると思っています。一つはやはり流通の問題、そしてもう一つは価格、ここにあるというふうに思います。
そこで、流通について、まずお尋ねをしたいと思います。
今回、流通の円滑化が打ち出されましたが、今回というのは対策パッケージです。ただ、この間の取組を見ると、備蓄米の放出が開始されて二か月、価格以前に、いまだに備蓄米を店頭で見かけないという声もあるのは重々御存じだと思います。農水大臣が二月、会見で、大体一週間程度で卸業者に、そこから更に数日から一週間で店頭に並ぶと言っておられたんですね。しかし、結果は、それから二か月たっても、いまだ店頭にほとんど届かないのが現状です。農水省としても歯がゆい思いだと思います。
そこでお尋ねします。原因は何で、なぜこれほど読み違えたのか、国民に分かりやすく、かつ、端的な説明をお願いをいたします。農水副大臣、お願いします。
○笹川副大臣 御質問いただきまして、ありがとうございました。
委員から御指摘もございましたが、我々としても、国民の皆さんに、現況の状況については本当に申し訳なく思っております。
現実問題として、入札を行い、同時にまた、卸の方に、全農から卸の方にというトン数を見ても、何か問題があったということは間違いないというふうに思います。
ただ、ここで具体的にというふうになかなか申し上げにくいところもございます。ただ、要因は一つじゃないというふうには思っています。
我々とすると、いずれにいたしましても、しっかりと検証した上で、次につなげてまいりたいというふうに思っています。
○梅谷委員 何か事例は挙げられないんですか。例えば、輸送の問題があった、トラックが足りないとか、あと、パッケージの袋が足りなかったとか、ないしは、よく言われているように、精米力というんですか、精米能力、これがなかなか足りなかったとか、いろいろな要素があると思うんですが、何か、国民に分かりやすい、分かりやすくお願いします。
○笹川副大臣 今委員から御指摘があった精米能力、それから、流通でいえば、やはり運ぶということになると運搬能力、このことについても問題があったことは間違いないというふうに思います。
もちろん、値段においては西高東低というデータが出ているということになりますと、やはり、いわゆる備蓄米の倉庫と言われるものは、委員も御承知だと思いますが、産地に非常に偏っているということもございます。
そういったことは、一つ一つの要因としては、もう御指摘のとおりというふうに思います。
○梅谷委員 冒頭、国民の皆様に対しておわびをしていただいたので、これから対策パッケージも、先週の金曜日には公表されていますから、是非期待をしたいんですけれども、失礼ですけれども、集荷業者とか卸業者を含めて関係者と意見交換して、簡単なシミュレーションをすれば容易に予測できたのではないかなと、ごめんなさい、私は考えておるんですね。ある意味ちょっと厳しい指摘になるかもしれないけれども、恐縮ですけれども、楽観的な予測をして、対策が的を得なかったこの現実、これを大いに反省をしていただきたいと思います。
その上で、この対策パッケージは、これをすれば必ずもう近くには、お茶の間にはお米が届くんだということを確約をしていただきたい、していただかなきゃいけないくらい国民の不安や不満はたまっていると思いますので、この点どうですか、対策パッケージによってこれから国民のお茶の間にはしっかりと届くとお約束いただけませんか、官房長官。
○林国務大臣 今副大臣から御答弁差し上げたとおりの状況でございまして、しっかりとそれぞれの要因を農水省において分析をしていただきまして、一日も早く適正な価格で、お米が買えないとか、ないとか、高いとかという不安がなくなるようにする、このことは大変大事なことであると思っておりまして、徹底して推進をしてまいりたいと思っております。
○梅谷委員 大事という認識だけれども約束はできないというふうに聞こえなくもないので、長官、ここは、しっかりとこの間議論して煮詰めて対策パッケージに取りまとめたのが、これなんじゃないんですか。掲げられませんけれども、これでしょう。だとすれば、やはり、ここから先、政府は、これだけ真剣にやっているんだ、みんな心配しないでくれ、待っていてくれというぐらい言ってもいいんじゃないんですか。官房長官、もう一回お願いします。
○林国務大臣 今御指摘がありましたように、米の価格は依然として高止まりをしておるということで、十六日、先週ですが、米の流通安定化に向けた対策パッケージを策定いたしました。
農林水産省においてこのパッケージを着実に実行する、これが重要だと考えておりまして、それによって、今後、比較的に安価な備蓄米が広く店頭に並んで、多くの消費者の皆様が備蓄米放出の効果を実感できるようにしてまいりたいと考えております。
○梅谷委員 この期に及んで、対策は打ったけれどもどうなるか分からないというんだと、私は国の統治能力そのものが疑われると思いますね。
今回の備蓄米放出、災害時の放出方法とほぼ同じじゃないですか。こうなってくると、政府は、仮に非常時にも、店頭で買えるまで数か月耐えてください、約束できません、こういうふうに言うつもりなんですか。
国民はもう待てません。間もなく米は潤沢に店頭に並ぶと約束されるべきであり、そのために協力を、最大限上げてきたわけですよね。理由のいかんを問わず、政府は結果責任が問われるところまで来ていると私は思っていますので、長官にお尋ねしても同じことをお答えになると思うので、じゃ、副大臣、お話ししたそうなので、是非御答弁をお願いします。
○笹川副大臣 長官の今回の答弁、我々としても重く受け止めております。それから、対策パッケージも発表いたしました。このことを着実に実行に移してまいりたいというふうに思っております。
もう一度、集荷、卸の皆さん方に強く要請をさせていただきたいというふうに思っていますし、今委員から御指摘もございました有事と呼ばれることについて、今回の事象と重ね合わせたときの猛省はしなければならない点は多々あるというふうに思っております。
○梅谷委員 しっかりと取り組んでいくという強い思いは官房長官からも副大臣からもいただきましたので、是非、国民の思いにしっかりと応える形にしていただきたい、このことを強く期待をし、お願いを申し上げ、次は備蓄米の価格についてお伺いします。
まず、政府参考人に伺います。米の価格、特に備蓄米の価格が下がらない原因を集荷業者に求める声があります。これは事実なんでしょうか。集荷業者が備蓄米流通でどの程度の利益を取っているのか、政府の見解を教えてください。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
政府から備蓄米を買い受けた集荷業者、こちらは卸売業者に販売します際に、政府から売渡しを受けた価格に、三月十七日から四月二十七日の実績によりますと、六十キログラム当たり一千百四十六円の経費、利益等を上乗せしているという数字が出てございます。
○梅谷委員 六十キロ当たり一千百四十一円、これは平年の米流通時のマージンと比べても、私はそんなに、むしろ控えめな数字なのではないかなというふうに思います。だから、そういう意味では、利益を取っているのは集荷業者ではないと私は思うんですが。
では、そもそも備蓄米を政府が買い付けた価格、これは令和六年、令和五年、令和四年、それぞれ幾らなんでしょうか。政府参考人、お答えください。
○山口政府参考人 お答えいたします。
それぞれの年産について、手元に資料を持ってきてございませんのであれですけれども、一万数千円台であったというふうに承知してございます。
○梅谷委員 事前のレクでお話をさせていただいたので、当然御用意していただけるものだというふうに私は思いますが、ここは理事会でちょっと。私はレクのときにこのことをお伝えをし、そして数字はあらかじめいただいております。
じゃ、私の方から申し上げます。令和六年は非公表なんですね、非公表。ただ、これは一万千円から一万二千円程度とされます。令和五年産の相対取引価格は一万五千円程度、一万五千三百十三円。農家も特に利益を得ていない。令和四年はちょっとおいておきますが。だから、こう考えると農家も特に利益を得ていないんですね。
他方で、先日の政府の資料では、備蓄米の店頭価格を三千五百円程度としています。では、どこに利益が行っているのか、誰が利益を得ているのか、御説明いただけますか、政府参考人。
○山口政府参考人 価格に関しまして申し上げますと、誰が利益を得ているのかという部分、利益につきましては私ども言及できませんけれども、卸の段階でも経費、利益等が発生しておるというふうに考えておりまして、玄米換算で、三月十七日から四月二十七日の結果によりますと、七千五百九十四円の経費、利益等の上乗せが行われていると承知してございます。
○梅谷委員 そういう意味では、卸業者さんが利益を、比較すると多めに取っているということが今明らかになりました。
これに対して、農水省は三月と四月に要請をされてきましたが、その後も、この高くなっていく、利益を得る数字は上がっているというふうに事前にお伺いをしています。いわば効果が出ていないんですね、要請をしても、三月、四月に。
この点で、ただ、できるだけ高く売るというのは卸業者さんからしたら当然の話です、当たり前です。今後はマージンを公表するとのことですが、ここはそもそも対策を取らなかった国に責任がある、私はこう考えています。この点を間違えてはいけないと指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、卸売業者に過大な利益を得させることは本旨でないということを踏まえ、それは消費者の価格にどうしても転じてしまいますから、この利幅を適正化するよう、国としてきちんと結果を出すことを強く求めますが、官房長官、見解を伺います。
○林国務大臣 今、政府参考人から数字が出ましたけれども、まさに梅谷委員が御指摘があったように、卸の方はほとんど、NPOではないので、株式会社として利潤を追求されておられる、そういうことの御指摘もあったところでございまして。そういう中で、どうやって、市場が価格を形成する中で、ただ、先ほど申し上げましたように、安心した価格で消費者にお届けする、この一見矛盾するようなことをやっていかなきゃいけない、こういうことであろうと思いますので、そういうことを踏まえながら、これまでどうだったかということ等をいろいろ見ながら、農水省の方でしっかりとこの目的のために検討もしてもらいたいというふうに思っております。
○梅谷委員 農水省として、政府として、しっかり検討したい、していきたいとおっしゃっていただきました。
もう一個確認させてください。入札です。国の備蓄米買入れ価格と落札価格の差額が国庫の利益になりますよね。そうですよね。差額が国庫の利益となります。概算でいいので、ここまでの放出量三十一万トンで、国はどれぐらいの差益を得ているのか、政府参考人、お答えください。
○山口政府参考人 各種経費等もかかっております。また、最終的な決算も出ておりませんので、正確なお答えはできません。
○梅谷委員 相当出ていると思いますよ、相当、数百億単位で。私はそう考えています。
つまり、国民が高い米に苦しむ一方で、国がこれだけ利益を得る。官僚の皆さんも一生懸命、徹夜しながら頑張っていただいているんですけれども、やはり政府としては本当にこれでいいのかということを真剣に今考えなきゃいけないときだと思います。もう一歩踏み込んだ判断をすべきだと思います。
この考えの根底にはやはり法律があります。資料二を御覧ください。確かに、備蓄米ですから、国有財産ですから、だから、その処分は会計法二十九条により原則として入札。行革の観点から、随意契約の流れから一般競争入札という流れになって今に至っています。そして、ここの同条には、二十九条四項、五項に、随意契約にできる例外の定めもあるんですね。予決令九十九条に、随意契約によることができる場合も列挙されています、二十五。
単に基本的に競争入札と、行革の観点でずっと昔から続いているその流れを踏襲するだけでなくて、どういった事情だったら随契にできるのかということを、やはり判断して、できるようにして、今回のようなことに対応できるようにすべきだと私は思います。
なので、予決令の改正だったり、また与野党による法改正、これも今検討すべきなんじゃないかなと思いますが、官房長官、いかがですか。
○林国務大臣 今、資料も用意していただきましたが、財政法、会計法、それから特別会計に関する規定、こういうものを行政としては踏まえなきゃならない、それが原則でございます。
入札によるのか随契によるのかというのは、今少し触れていただきましたが、契約の性質、目的等を踏まえて、所管省庁が適切に判断する必要があると考えております。
備蓄米の入札に当たっては、備蓄米の入札状況、それから買戻しの必要性、財政法や会計法との整合性、これもよく踏まえながら、農林水産省において絶えざる改善に向けて丁寧な検討を行う、これが重要であると考えております。
○梅谷委員 丁寧な検討を、言葉だけでなくて、是非、副大臣、やっていただきたいと思います。
最後に、ちょっと時間がないので、一個飛ばして、米の再生二期作についてお尋ねします。
資料三。私、今年の二月二十日に農研機構に視察に行ってきました。世紀の大発見なんですね、これ。稲の切り株、収穫した後に残った切り株、ひこばえから、もう一度穂が出てくるというやつなんです。地上四十センチのところで切って、そのまま水をやったり肥料をまいたりすると、もう一度穂が出る。再生の力を利用して、もう一度収穫できるなんて、誰もが思いつかなかった話なんですね、数千年間、みんな目にしながら。
その意味で、再生二期作、ただ、大発見であるとともに大問題だと、取れ過ぎてしまうから。ということを私たちは忘れてはなりません。しかし、私は、やれるものならやるべきだと考えています。特に今回のこの事象が起きて、これにおいては柔軟な対応がし切れますから、途中での増収が得られますから。
是非、この再生二期作、これを、農研機構の現場の声もしっかり聞いていただいて、一生懸命頑張っていますから、それを政府として全面的に後押しをして、今回のこのようなことに対しても国民目線で柔軟に対応できるような、こういう体制を構築していただきたいと思いますが、お伺いします。
○笹川副大臣 委員の御指摘はよく分かります。私の地元でも二期作の可能性はあると。もちろん気候変動の影響もあると思うし、また、ただ、うちの方は二毛作もやっておりますので。
いずれにしても、委員からの御指摘については、可能性というものは秘めているというふうに思いますので、受け止めます。ありがとうございました。
○梅谷委員 最後に、本当にちょっと、まとめです。ごめんなさい。
一九九九年の食料・農業・農村基本法を初めて策定したときの、座長をされた祖田先生という方がいるんですね。この方が今年お亡くなりになられました。この方のお言葉を最後に伝えさせてください。
いかに日本の農業が大事でも、消費者は安い方に流れるのは仕方のないこと。今は円安もあって外国の米も高く、消費者が日本のおいしい米を求めるため、これも価格高騰の原因になっている。この後、トランプになったら、これは昨年の十二月の時点ですから。この後、トランプになったら日本の農業も農村もむちゃくちゃにされるおそれもある。この後、これを機に高く売ろうとする動きが心配である。農業にとって高く売ることも大事だが、より戻し、反動が恐ろしい。長期的に見たら高くなったり安くなったりするものだが、いざ戦争になったり凶作になったりしたら大変なことになる。こうした変動が起こり得ることを先読みした対応をするとともに、しっかり国民に説明、発信しなければならない。
その意味で、国民に今どういう言葉を伝えていくのか、このことをしっかり踏まえていただいて、これからの対応に期待をしたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、山登志浩君。
○山委員 立憲民主党の山登志浩です。
三十五分間、よろしくお願いいたします。
まず、戦後八十年ということで、林官房長官と議論したいと思います。
去る二月十二日の大臣所信に対する質疑で、「昭和百年」関連施策について私は質問をさせていただきました。その際、私の幼少期の思い出として、御巣鷹の尾根の、JALの事故の話も取り上げさせていただきましたが、関連して、これまで戦後五十年、六十年、七十年と談話が発出されてきたわけですので、今年は八十年ということで、八十年の談話をやはり出すべきではないのか、それを是非総理に進言いただきたいということで質問させていただきました。
その後、当初、石破首相は前向きな姿勢を示されておられましたが、私の立場では残念ながら、戦後八十年の談話は出さないというふうに決めた。報道によれば、党内の保守派に配慮したということもあったようでありますが、これは極めて残念であります。
それに代わって、さきの大戦に至った経緯を検証して、総理のメッセージを発出するという報道がされておりますが、これについても、報道によると、党内の保守派に配慮してということが言われています。
五月七日に、林官房長官は記者会見の中で、戦後八十年に向けたメッセージの在り方に関しては何ら決まっていないと発言をされております。
そこで、お尋ねをいたします。
総理の私的な諮問機関は設置されるのか、あるいはされたのか。また、メッセージが出されるのか、これは政府で議論されているようなことは全く聞いておりませんが、メッセージを出さない、こういうこともあり得るのか。この点についてお尋ねいたします。
○林国務大臣 石破内閣は、これまでの内閣総理大臣談話を含めまして、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおりまして、今後も引き継いでまいります。
今、少し御指摘もありましたが、総理が戦争検証や有識者会議を設ける検討に入った、こういう事実はございません。戦後八十年に向けたメッセージの在り方については何ら決まっていないということでございます。
○山委員 終戦が八月十五日であります。もう三か月ないですし、検証するといったら、これはやはり膨大な資料を精査したり、有識者からヒアリングをしたり、やることはいっぱいなんですけれども、決まっていないということであれば、きちっと総理の御意向を伺うべきじゃないですか。官房長官、いかがですか。
今決まっていないと間に合わないですよ。もう出さないという方針なんでしょうか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、戦後八十年に向けたメッセージの在り方については何ら決まっていないということでございます。出すとか出さないとか、いつだとかいうことも含めて、何ら決まっていないということでございます。
○山委員 決まっていないのであれば、決めるように総理に進言すべきではありませんか。いかがですか。
○林国務大臣 委員会でこういう御指摘があったということは、総理としっかり共有したいと思います。
○山委員 この八十年という節目に談話を出さない、メッセージも出ない、総理の方から何にもメッセージが出てこないということであれば、かえって、日本は平和外交に消極的だ、こういうふうに受け取られかねませんし、国内の世論に対してもやはり私は大きな影響を与えると思いますので、しっかりと対応いただきたいと思います。
その上で、現在、国際情勢、ロシアによるウクライナの侵攻、またイスラエル、ガザ地区での侵攻、国際法を無視した暴挙によって、多くの罪のない市民が犠牲になっています。本当に胸が痛む映像が毎日のようにお茶の間に届いておりますが、世界平和がこういう形で今脅かされている。危機感を抱く国々の中には、徴兵制を導入する動きですとか、新たな核の傘を再構築する動きが見られます。
その一方で、昨年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、被爆者の皆さんの核廃絶への取組が世界的に評価を得ました。
こういう情勢の中で、流れの中で、本来あるべき姿は、やはり首相談話をしっかりと出して、国内外に政府の姿勢を示すことだと私は思います。平和主義の堅持や核兵器廃絶に向けてのメッセージを世界に発信していくことは我が国の国益に大きく資すると考えますが、この点、官房長官の見解をお聞かせください。
○林国務大臣 委員の今おっしゃったことにつきましては、しっかりと総理と共有したいと思いますし、今、私は政府の立場でここにおりますので、そのことの是非について、ここで政府として申し上げるべきではないというふうには考えております。
○山委員 節目節目の対応というのがやはり極めて大事であります。やはり八月になれば、どうするのかという話が絶対出てきますので、我が国の姿勢、総理がきちっと談話を出す、これが私は基本だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
官房長官、ここで退出いただいて構いません。ありがとうございます。
○大岡委員長 それでは、林官房長官は退席していただいて結構です。
○山委員 続きまして、関連して、歴史認識についてお尋ねをいたします。
昨日、石破首相が沖縄県の玉城知事と面会をされたと伺いました。新聞報道によると、自民党の議員がひめゆりの塔の展示内容を歴史の書換えと発言したことに対しまして、これを自民党総裁として深くおわび申し上げると陳謝されました。先般、沖縄の皆さんに大変申し訳ない発言があったというふうに切り出して、沖縄戦で大勢の方が亡くなったことを指摘し、あのようなことは決して起こらないようにしていかなければならないと述べられたそうであります。至極もっともな発言であり、これは私は評価いたします。
しかしながら、当の御本人は、あくまでも、展示をめぐる事実関係については、事実という前提で今も話をしているというふうに発言をしておりますので、発言自体は撤回をしていない。ひめゆりの塔のことを持ち出して、沖縄の皆さんの心情を傷つけたことは申し訳ないというふうに言っていますが、認識は変わらないわけです、基本的な。
ひめゆりの館長さんは、事実でないことを出して、歴史の書換えとか、めちゃめちゃな教育と発言したことに関して、私は違うと思っている、真正面からお答えいただいていないのではないかというふうに厳しく指摘をし、謝罪、撤回したと言っているが、本質的には撤回していないと批判しているんです。
沖縄県議会も、五月十六日に抗議決議を、御本人と、そして自民党総裁の石破首相に出しております。決議を上げております。
日本軍の作戦による犠牲であることは紛れもない事実である、この本人の発言は、沖縄戦の実相を認識せず、歴史を修正しようとするものである、沖縄の歴史教育や平和教育を非難した根幹部分は謝罪も撤回もしていない、こう厳しく糾弾をしています。そして、最後に、戦没者や戦争体験者を冒涜し、県民の尊厳を踏みにじるこの議員の発言に対して、満身の怒りをもって抗議する、大変厳しい内容となっています。当然のことだと思います。
その上で、本人に謝罪と発言の撤回を求め、自民党に対しましては、党としての歴史への認識を示すこと、また本人に対しての処分を厳格に行うこと、そして再発防止のための党内での教育、こういったことを求めております。
沖縄戦の地上戦について、政府としての認識をお尋ねいたします。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
沖縄は、さきの大戦において、一般住民を巻き込んだ苛烈な地上戦が行われ、二十万人もの多くの貴い命が奪われるなど、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたと認識しております。
政府としては、このような沖縄の歴史をしっかりと心に刻みながら、引き続き、沖縄の基地負担軽減や沖縄の振興に全力で取り組んでいく所存でございます。
○山委員 そもそも、沖縄戦の前にやはり日本軍の兵力が圧倒的に不足をしていて、そうした中で、一般の県民の方が戦争に動員され、駆り出されていった。子供たち、学徒も駆り出された。結果的に、本土決戦を避けるための、遅らせるための捨て石にされた、こういった歴史的な事実というのは動かないわけですし、これまでさんざん教育や研究がされてきて、当事者の方、関係者の方の証言もたくさん得ているわけであります。
私は、こういう一連の話を聞いていて、やはり自分たちが納得できる歴史をつくらないと日本は独立できないんだ、こういったことには非常に不快感、怒りを覚える、このことを改めて表明しておきたいと思います。
関連しまして、この議員は、沖縄の地上戦の歴史認識だけではなく、広島市の平和記念公園の原爆死没者の慰霊碑の碑文についても発言をしています。「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という大変有名な碑文でありますけれども、これについて、誰が誰に言っている言葉なのか、取り方によって全然違う、そこが全く明らかにされないまま云々かんぬんというふうにおっしゃっています。
外務省の参考人、今日来ていただいているので、単刀直入に伺いますが、この碑文について当然認識されていると思いますが、この碑文の主語は誰だというふうに認識されておりますか。
○林(美)政府参考人 御指摘の碑文につきましては、広島市によって作成されたものでございますので、その意味することについては、政府の立場からコメントをすることは行ってきておりません。
その上で、広島市のウェブサイトによりますと、この言葉は、全ての人々が原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争という過ちを再び繰り返さないということを誓う言葉であるというふうに承知しております。
○山委員 政府としてはなかなか言及できないということですけれども、その広島市の認識のとおり、やはり政府も同じ認識であると私は思っておりますし、そうでなければ、私は非常に問題だと思います。
それで、一九七〇年に、当時の広島市長が、今答弁もありましたが、碑文の主語は世界人類であり、人類全体への警告、戒めである、こうした見解を示して五十五年たっているわけでありますが、関連してお尋ねします。
日本被団協がノーベル平和賞を受賞した理由、政府としてはどういう認識でしょうか。
○林(美)政府参考人 昨年のノーベル平和賞の受賞の理由につきましては、ノーベル委員会も述べているとおりでございますけれども、日本被団協が核兵器のない世界の実現を目指して尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて身をもって示したことが評価されたというふうに考えております。
政府といたしましても、核兵器のない世界に向けた道のりが厳しい中、日本被団協がノーベル平和賞という名誉ある賞を受けられたことは、極めて意義深いものだというふうに考えております。
○山委員 核の問題で難しい問題がある中で、極めて意義深い、これは私も全く思いが同じであります。
それで、被爆者の方がやはり被爆体験の証言をずっと積み上げられてきたわけですし、いわゆる原爆の実相を語ってこられたことが評価につながっているわけであります。自分の被爆体験を語ることは、ひょっとしたら差別されるかもしれない、そういう恐れを振り切って、必死な思いで証言をされて、訴えてこられたわけです。
ひめゆりの学徒の方々もやはり同じだと思うんです。最初は、学徒動員され、戦場で体験したことを思い出すだけでもやはり非常につらい思いをするわけです。なかなか証言しづらい。でも、そこを振り切って、ずっと証言して、それを継承しようと頑張ってこられたわけであります。
こうしたものは、しっかりと私たちは胸に刻んでいかなければなりませんし、映像などの物的な証拠など、様々な素材で、戦争で何があったのか、正確に検証していくということは極めて大切であります。
しかし、戦争体験者の証言ほど貴重なものはないと私は思います。そういった意味でも、この「昭和百年」関連施策、今年から来年に向けていろいろ実施されるわけですけれども、そこに明記されている戦争体験等の語り部等の次世代への継承、これは非常に重要なことであるということを指摘しておきます。
沖縄の問題も今日取り上げましたけれども、きちっとやはり政府が姿勢を明らかにしなければなりません。戦争の検証を阻止しようという試みは、やはり自分たちの主張が間違っていると言っているようなものではないか、私はそういうふうに思います。政府がそれに対してやはり弱腰であるということは、全くもって私は情けないことだと。戦後八十年の談話をきちっと発出すべき、このことを強く指摘をし、この質問は終わらせていただきます。
関連しまして、もう一点取り上げます。日韓国交六十周年についてお尋ねしたいと思います。
今年は国交回復六十周年ということで、来月、記念のレセプションも都内のホテルで行われます。
先日、韓国大使館を訪問し、大使と懇談をする機会をいただきました。日韓の関係は、政権がどういう政権であろうとも、後戻りすることなく未来志向で進んでいくんだという大使のお話を聞いて、私もそのとおりだと思いました。
当然、過去をしっかりと直視をするということが大前提ではありますが、六十周年の節目を迎えるに当たって、政府としてどういった対応を検討しておられますか。お尋ねいたします。
○門脇政府参考人 お答え申し上げます。
日本と韓国は、互いに、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国であります。
現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わらず、むしろ、一層高まっていると思います。日韓間では幅広い交流が積み重ねられておりますけれども、同時に、隣国であるがゆえに難しい問題も存在しております。
日韓関係が安定的に前に進むよう、国民間の交流を大切にしながら、両政府間でしっかりと意思疎通をしていきたい、このように考えております。
日韓国交正常化六十周年につきましては、両国国民や両国の未来にとって重要であるという観点から、準備を進めていくことを日韓間で確認しておりまして、特に、日韓関係の未来を担う若者の交流を更に後押ししていくことで一致しております。
外務省としましては、昨年末から、民間団体、地方自治体が主導する日韓交流を六十周年記念事業として認定する取組を行うほか、東京タワー・ライトアップ事業や、御指摘のありました国交正常化六十周年記念レセプション、そして、日韓最大の草の根交流事業である日韓交流おまつりなど、様々な取組を実施しているところでございまして、今後も様々な機会を通じて両国国民の交流を後押ししていく、そのように考えているところでございます。
○山委員 今、円安の問題、物価高で本当に国民の皆さんが大変という中で、なかなか外国へ足を延ばすということも難しいということは承知していますけれども、韓国からたくさん旅行客が来ているんですけれども、インバウンドでありがたいことなんですけれども、日本からのお客さんがまだまだ少ないので、そこを是非何とかということも大使は申しておりましたので、私たちも、そういったことはしっかりと協力をさせていただきたいと思います。
それでは、大きく二点目の質問で、物価高対策に移りたいと思います。
内閣府の景気ウォッチャー調査、街角景気では、現況判断指数の水準が、二〇二二年の二月以来の低さでありました。厚労省の毎月勤労統計調査では、実質賃金は三か月連続のマイナス。総務省の二〇二四年度の家計調査では、家計の消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数が、一九八一年度以来、四十三年ぶりの高水準ということで、こうした公的な統計を取り上げるまでもなく、物価高が家計を圧迫をし、節約志向で切り詰めて、消費支出も減少しているということであります。
その中で、いろいろと物価高対策をやっていただかなければならないわけでありますけれども、まず、物価高対策の重点支援地方交付金についてお尋ねをいたします。
この交付金は、学校給食の食材費の負担増ですとか人件費の負担増などにも使用することができます。この交付金をしっかりとそういうものに充てていただけるよう、更に地方自治体に対して働きかけを強化していく必要があるのではないか、この点について、文科省の参考人にお尋ねしたいと思います。
○日向政府参考人 お答えいたします。
物価高騰が続く現在の状況を踏まえれば、学校給食費等の保護者負担の軽減を図ることは重要と考えております。
文部科学省としましては、昨年十二月に、教育委員会等に対して重点支援地方交付金の積極的な活用を通知しました。また、本日、教育委員会の学校給食担当者向けの会議が開催されますが、この場においても周知することとしております。
今後とも引き続き、教育委員会等を対象とした研修会等、あらゆる機会を通じて、重点支援地方交付金の更なる活用について周知してまいります。
○山委員 学校給食の無償化ということを私たちはずっと訴えていますし、来年度からは無償化の動きが本格化するわけですし、しなければいけないんですけれども、保護者も負担、子育て世帯は大変ですし、自治体にとっても、やはり給食費はなかなか転嫁できない、しづらいという中で自治体も困っているわけですので、是非この交付金を使っていただくよう、政府からも積極的に発信をしていただきたい、このことを申し上げておきます。
続きまして、今後の経済財政政策について、赤澤大臣と議論したいと思います。よろしくお願いします。
まず、トランプ関税ですが、総理は、国難であると発言されています。先ほどの関税措置についての議論も聞いておりましたけれども、今後はどういうふうに展開していくのか、先行きが見えない中で、今、赤澤大臣に頑張っていただいているわけで、大臣が今週またアメリカにお出かけということも承知をしております。
大臣にお尋ねします。
国難ということですけれども、現時点でも国難という認識に変わりはないということでよろしいのか、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 世界のGDPの約四分の一を占め、日本の輸出先の約二割を占めている米国による一連の関税措置は、私どもは遺憾であると見直しを強く求めているわけですが、我が国経済に対して、直接的にも間接的にも多大な影響を及ぼしかねないと考えております。また、一連の関税措置は、輸出産業、関連する中小企業や地域経済、さらには国民生活にも影響を及ぼす可能性がございます。
まず、御案内のとおりですけれども、自動車・自動車部品、鉄鋼、アルミ、分野別関税は深刻でありまして、自動車産業は、我が国の基幹産業であり、裾野は非常に広いということであります。また、鉄鋼、アルミ産業も、多岐にわたる製品の基礎材料を提供していることなど、日本経済の屋台骨となる産業であり、その影響範囲は極めて幅広いと考えております。
さらに、相互関税は、もう既に我が国から米国への輸出品目全般に一〇%が追加的に課税されているほか、適用が一時停止されているとはいえ、今後、一四%の更なる上乗せ関税が課される可能性もあり、そのあり得べき影響を看過することはできないと考えています。
このような状況は、党派の壁を越えて、国を挙げて取り組むべき国難というべき状況であると考えており、現時点においてもその認識に変わりはございません。
○山委員 我が党の野田代表も、党派を超えて、国を挙げてということを表明していますし、国益を守る、先ほども議論がありましたけれども、農業も犠牲にしてはいけないし、国民の暮らしが犠牲になってもいけない。私たちは、最大限、協力すべきことはしてまいります。
次の質問に移りますが、私の問題意識としては、当然、この関税対策も極めて重要ですし、物価対策もしなきゃいけない、ただ、私が気になっているのは、この二つの対策がない交ぜにされているのではないのか。国難という表現、別にこれを否定するものではないですが、物価高に苦しむ国民の消費マインドを余計に冷え込ませてしまっているんじゃないかなというふうにも私は受け止めております。
関税対策と物価対策を完全に切り分けることはなかなか難しいかもしれません。関連する部分、重なっている部分もあるかもしれませんけれども、やはり一定の整理が必要だと思うんですけれども、大臣の見解をお聞かせください。
○赤澤国務大臣 米国の関税措置については、我が国の産業、経済に影響を及ぼしかねないことを踏まえ、政府として、五本柱の米国関税措置を受けた緊急対応パッケージを取りまとめたところです。このパッケージに盛り込まれた施策を実行し、中小企業や輸出企業などのニーズに即した支援を進めてまいります。
また、物価高については、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが物価高対応の基本であり、急務と考えています。その上で、賃上げの効果が出るまでの間の対応も六年度補正予算や七年度予算に盛り込んできており、さらには、物価や国民生活の状況に応じて、備蓄米の売渡し、ガソリン価格の定額引下げ、電気・ガス料金支援などの施策を追加してきております。
政策をない交ぜにすべきではないという委員の問題意識は理解をするものでございますが、米国の関税措置も物価高も、国民の皆様の生活あるいは事業者の生産活動、いずれにも大きな影響を及ぼし得るものであることから、対応策が一部重複するのはちょっとあり得ることかなというふうには考えております。
大切なことは、対応策が重複しているか否かというより、個々の国民の皆様の生活の実情や事業者の状況に応じ、ちゅうちょなく、臨機応変かつ機動的に具体的な対策を取っていくということだと考えます。
政府として、引き続き、米国の関税措置及び物価高が国内産業、経済や家計に与える影響を注視しつつ、万全の対策を期してまいりたいと思います。
○山委員 ちょっと時間も少なくなってまいりましたので、急ぎます。
国難ということで、国民の皆さんの危機感をあおっていると言ったらちょっと失礼かもしれませんけれども、政府としてはメッセージを発して、何とかしなければいけないというふうにやっている。物価対策もしなければいけないんですけれども、結果的に、やはりいろいろと心配事も増えていってなかなか賃上げも進まない、どんどんどんどん物の値段、サービスの値段が上がっていくということで消費が冷え込んでしまっている、こういうのが今の実態であります。
それで、与野党の様々な主張、各議員の様々な主義主張が、この間、戦わされております、出てきております。その一つ一つに私がコメントすることは控えますが、消費税の減税についてちょっと述べさせていただきます。
消費税の減税について、期間を限定、税率を限定的に下げるとはいえ、財源を国債発行で賄うべきであるという主張もございます。しかしながら、トランプ関税の措置を受けて、日銀は政策金利についての判断、これを今慎重に見定めておられると思いますが、金利がこれから上昇していくだろうということは明白であります。金利上昇によって国債費の利払いが重くのしかかってくることも明白ではないでしょうか。
何でもかんでも駄目とは言いませんけれども、新規の国債発行については、私は極めて慎重であるべきではないのかと思いますし、石破首相も、金利がある世界の恐ろしさですとか財政ポピュリズムについて言及をされていますが、大臣の見解をお尋ねいたします。
○赤澤国務大臣 金利のある世界となる中で、経済再生と財政健全化の両立の取組、我が国財政に対する市場の信認を確保していく必要があるということは、委員の御指摘のとおりだと思います。
その上で、どのような政策を講じ、それをどのような財源で賄うかは、その時々の経済状況や講ずる政策の性質等を十分に踏まえる必要がございますが、恒久的な歳出増や歳入減につながる施策については、御指摘のとおり、安易に国債の発行に頼るのではなく、安定的な財源を確保することが重要と考えてございます。
今後とも、経済あっての財政の考え方に立ち、政策運営に万全を期してまいります。その下で、財政状況の改善も含め、力強く持続的に発展する、危機に強靱な経済財政をつくってまいりたいと考えております。
○山委員 済みません、あと一点、時間がないので恐縮ですが、プライマリーバランスの黒字化ということをずっと言っていますが、ずっと達成されていません。このことについての大臣の認識をお尋ねいたします。
○赤澤国務大臣 経済財政運営については、財政健全化の旗を降ろさず、これまでの目標に取り組み、財政健全化の取組を後戻りさせない、あわせて、現行の目標年度を含めた財政健全化目標により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられては、狭められてはならないとの考えの下、取り組んでおります。
こうした中、本年一月の内閣府の試算では、二〇二五年度のプライマリーバランスは黒字化しない見込みが示されたものの、二〇〇一年度にプライマリーバランスの目標を掲げて以降、最も赤字幅が縮小する見通しとなっており、これまでの経済財政運営の成果もあって、着実に財政状況は改善してきております。
他方、足下では、米国の通商政策による景気の不透明感や物価上昇の継続が見られており、こうした経済の状況やその財政への影響については十分に注視してまいりたいと考えております。
いずれにせよ、経済再生と財政健全化の両立の重要性は十分に認識しておりまして、引き続き、経済あっての財政という考えの下で経済運営に万全を期すとともに、歳出歳入両面の改革を継続をし、早期のプライマリーバランス黒字化の実現を目指してまいります。
○山委員 財源、財政、ここをやはりしっかりと私もこれから見ていきたいと思います。
最後に、万博について、大変恐縮ですけれども、端的にお願いします。
熱中症対策の取組や準備状況をお尋ねいたします。
○加藤大臣政務官 お答えいたします。
御指摘の大阪・関西万博の会場での熱中症対策につきましては、博覧会協会におきまして、会場内でのウォーターサーバーやミストシャワー、パラソルの設置、休憩所としてのEVバスの活用、また、東ゲート広場前での四十台のスポットクーラーの設置といったハード面での対策に加え、ホームページなどでの熱中症の予防に対する情報の発信、さらには、来場者に対する水分、塩分の補給の呼びかけといったソフト面の対策も併せて講じているところでございます。
随時改善を進め、継続をしてまいる所存でございます。
○山委員 終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、伊東信久君。
○伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。
さて、我が国というのは、行政も経済も、東京圏、それも都市部を中心に極めて限られた範囲に集中しておりまして、平時には効率的だ、効率性をもたらしているんですけれども、一たび災害時に機能が麻痺すれば国全体が深刻な機能不全になるというのは、恐らく与野党を超えて皆さんも共通認識ではないかなと思います。
この問題意識の下に、今年の一月二十九日に、大阪府の吉村知事と大阪市の横山市長が連名で、赤澤防災庁設置準備担当大臣に対して首都機能バックアップに対する要望書を提出しました。内容としては、まず一つ目に、防災庁の役割として、中枢管理機能のバックアップ体制、これを明確に位置づけ、二つ目として、災害対策の司令塔たる防災庁自身がバックアップ拠点を有する、その拠点を大阪・関西に設置する、この三点になっております。
特に注目される点なんですけれども、内閣府が公表しています、富士山が噴火時、こういう場合の広域の降灰のシミュレーションでは、都市部では最大十センチ火山灰で覆われ、電力、道路、鉄道、航空、通信インフラが著しく機能不全になると指摘されておりまして、この場合、代替拠点について立川広域防災基地までとしていますけれども、これは首都直下型地震の政府の業務継続計画なんですけれども、この立川地域も火山灰の影響圏にありまして、同様に機能停止のリスクがございます。
こういった議論といいますのはもう既にされておりまして、今年の四月十一日の参議院での委員会で、本日お越しの西野政務官も、総理官邸や防衛省に一定の機能を確保する一方で、バックアップ体制の全体像については現在アドバイザー会議等で検討中とおっしゃっていただきました。所管の委員会が違うので今日は政務官にお越しいただいたんですけれども、赤澤大臣も、防災庁の拠点の在り方や被災時のバックアップについて、地方からの意見を受け止めつつ、効果的、効率的な体制の在り方を検討すると述べられています。
本当に、天災だけじゃなくて、いわゆるテロとかの心配もありますし、複合に同時に脅威が発生することも予想されます。このような観点から、首都圏外、特に大規模インフラや行政機能が集中、集積して、既に広域防災の拠点が整備されている関西地方、大阪に防災庁の代替拠点を設けていくことは極めて合理的な危機管理だと思うんですけれども、政府として、自然災害と地政学的脅威への遭遇に備えた形で、東京圏と同時に機能不全に陥らない地域における代替の拠点設置の必要性についてどのように認識しておられますでしょうか。西野政務官にお尋ねします。
○西野大臣政務官 まず、伊東委員始め維新の会の皆様方には、災害時の政府のバックアップ機能、代替機能について熱心に御議論いただき、御提案いただいておりますことを、まず敬意を申し上げたいと思います。
その上で、委員御指摘のとおり、災害が起こったときにも政府の機能を維持するということは非常に重要なことだというふうに認識しております。先ほど少し委員からも御指摘、言及があったかと思いますけれども、そのため、政府BCPを策定しておりまして、例えば緊急災害対策本部については、官邸が使えなかった場合に、内閣府、防衛省、立川広域防災基地を活用するということを定めさせていただいております。
防災庁についても今委員言及していただきましたけれども、アドバイザー会議を継続的に開催しておりまして、そこでそういった点についても議論させていただいているところです。
○伊東(信)委員 先ほど御紹介しました要望書に関しては資料一に添付しておりまして、今政務官にお答えいただきましたBCPについては資料二のところなんですけれども、この政府のBCPにおきまして、大規模地震等によって東京圏の行政中枢機能が失われる事態に備えて、地方支分部局等が集積する都市において、職員の移動手段、既存の庁舎、設備及び資機材の活用等具体的オペレーションを検討することが記載されているんですね。
資料二の赤枠で囲った部分を見ていただきたいんですけれども、これを見ますと、さいたま新都心等の東京圏内の地区のほかに、大規模地震に係る現地対策本部の設置予定箇所としまして幾つかの都市が具体的に挙げられています。まず札幌市、そして仙台市、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市等というところで、先ほど御紹介しました大阪市も入っているわけなんです。
改めて、一月二十九日に内閣府に要望書の方を提出させていただいたんですけれども、今、防災庁が具体化しております。この災害に対しての所管、大臣としての所管が違うということで、赤澤大臣ではなくて西野政務官にしっかりとお聞きしたいんですけれども。
防災庁の設置が具体化する中では、その機能を補完する地方拠点も並行して整備しなければ、平時、非常時を問わず災害対応体制の一体性が確保されないと思っておりまして、その辺りは、ただいま進行中ではありまして、進行中ゆえに、なかなか具体化していないから述べられないところもあるとは思いますけれども、先ほどの政務官の答弁では共通の認識であると思います。
政府が現在策定中の防災庁の制度設計において、事業継続計画に基づく代替拠点の具体化、先ほど幾つかの都市の中に大阪市もあるということをお話ししましたけれども、大阪市のような地方中枢都市への機能移転、分散を含めた議論ということ自体は進んでおられるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○西野大臣政務官 ありがとうございます。
今委員御指摘のとおり、現在定めております政府業務継続計画、政府BCPにおきましては、今委員が御指摘いただきましたけれども、各府省等の地方支部局が集積する大都市等の既存の庁舎、設備及び資材等の活用、宿泊施設等の確保等に係る具体的なオペレーションについても検討するというふうに書かれておりまして、今まさにそれを進めているところでございます。
防災庁につきましても、こういった観点を踏まえながら検討していきたいというふうに考えています。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
検討していただけるということで、検討していない若しくは議論が進んでいないのであれば、BCPに関しての整合性をどのように確保されますかというところをお聞きしようかなと思っていたんですけれども、議論をする、検討するということでしょう。お願いしたいとは思うんですけれども。
その場合に、もう一つやはり大事なのは、代替拠点を検討するということ、代替拠点を検討するという前提で質問をするんですけれども、そして、そうじゃないとしても、その議論はおいておいたとしても、やはり地方との共同体制というのは必要なことだと思います。
先日、防災庁設置準備アドバイザー会議というのがございまして、その中にもやはり地方自治体との関係強化、地方レベルでの防災体制の整備、強化が重要な論点として取り上げられました。やはり現場の指導体制というのも非常に大事だと思います。
日本の国、広大な土地かというとそうではない部分もあるんですけれども、東京から各地方に、いざ何か災害が起こったときに、そのアクセスという意味では、何か災害が起こったときは、やはり日本の国は遠いところもあったり広いなと感じるところもあるんですね。
私自身、大阪なんですけれども、小学校から大学卒業までは神戸市にいまして、平成七年の年に阪神・淡路大震災を体験しています。同時に、本当にまさにそのときに、勤める病院の関係で大阪に替わっておりましたけれども、やはり実家自体は倒壊しております。
いわゆる防災庁の全ての機能を東京に集中させるのではなく、地方拠点を常設して、平時から地方自治体と共同訓練のシステム連携を行うことが必要ではないかというところなんです。東日本大震災が二〇一一年に起こって、こういった意識も更に高まってきたわけなんですけれども、その前にも、過去、阪神・淡路大震災、そういった経験が関西圏にはございまして、府市合同の防災体制、国等の出先機関の集積という観点で、資料三を見ていただきたいわけなんですけれども。
資料三に、大阪だけでなく、関西圏に、ほぼ、バックアップ拠点を構築する政府機関がありまして、大阪二十一か所、京都四、神戸七等、これで結構な数の国の出先機関等をカバーしておると思います。地方拠点として、資源、知見、人材というのが集積されておるので、防災庁の西日本拠点としては、仮に大阪であれば近隣の京都、神戸とも連携が組めますし、西日本の拠点としては最適な環境ではないかなと思います。災害時のトップダウン指令の機能強化に加えて、地方自治体とのボトムアップ型の連携を実現する上でも有効だと思うんです。
ここでお尋ねしたいのは、地方にバックアップ機能を備えた常設型の防災庁の拠点を置く、この意義というのはやはりあると思うんですけれども、そこの意義に関して、西野政務官、どのように認識されておられますでしょうか。
○西野大臣政務官 ありがとうございます。
今の御質問の前に、いろいろな重要な点を御指摘していただいたと思います。
災害が起こった場合に、やはりインフラが途絶えてしまって必ずしも遠いところからはアクセスができないという場合があると思いますので、例えば高知で災害が起こった場合に、近くからアクセスして応援できる体制、ある程度の広域で連携をしていく、そのために人材を確保する、さらには機能を維持するということを準備するということも重要だと思います。
そして、二つ目の御指摘いただいた点ですけれども、財務省も地方支部局がありますし、いろいろな省庁が支部局を持っています。そういった観点から、防災庁についても、支部局を置くべきかどうか、そういった観点も含めながらアドバイザー会議で議論していただいているということでございます。
そしてまた、最後の御指摘、大阪についてでございますけれども、おっしゃるとおり、大阪にたくさんの機能があります。ですので、重要な候補の一つだというふうに考えておりますけれども、一方で、本当にたくさんの御要望を各県からいただいているところでございますので、そういった御意見、御提案を踏まえながら、そういった点についてもしっかり議論していきたいというふうに思います。
○伊東(信)委員 本当に、東京、本庁主導の一極体制ではなくて、地域とともに多極型、連携型の災害対応体制の構築についてやはり設計方針に位置づけるべきだ、このように思っております。
関西圏も、南海トラフに備えて今本当にいろいろなシミュレーションであったり備えをやっております。関東圏も、災害というのは、直下型地震も含めて、完全なる予測というのは極めて困難だと認識しておりますので、先ほどの富士山の話もそうなんですけれども、本当に首都に何かあった場合、そこに防災庁なりそういった拠点があったとした場合、そこ自体も機能不全に陥ってしまうと、本当に日本全体に関わることだと思うんです。
この多極型、連携型の災害対応体制の構築について、今後やはり設計方針に位置づけるべきだと思うんですけれども、かなり質問自体もかぶっておりますけれども、改めて、どのように認識されていますか。
○西野大臣政務官 済みません、私がちょっと早とちりしてしゃべったのかもしれませんけれども。
繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり、災害が起きた場合にアクセスしにくい地域も出てこようかと思いますので、そういった場合に、近隣自治体で連携しながら災害を乗り越えていくということが重要だというふうに思いますので、そういったことを平時から準備しておく、人材の面もそうです、機能をどう確保するかという面もそうです、そういったことも含めて、今アドバイザー会議で検討させていただいているということでございます。
○伊東(信)委員 令和八年度中の防災庁の設置に向けて、今後、制度の立案や予算措置で関係省庁間の調整というのが段階的に進むであろうと見込まれておりますけれども、その初動としまして極めて重要だと思いますのが、来月作成予定の骨太方針二〇二五、これの骨太に対する明記であると考えております。
骨太方針自体、やはり予算編成、法制度設計の道筋を方向づける基本文書でありまして、防災庁の創設を国家の優先課題として明確に位置づける、そういったことが求められると思います。加えて、防災庁本体の創設にとどまらず、そのバックアップ体制、特に先ほどから申し述べております代替拠点の検討、整備についても、やはり同様に骨太方針に記載していただいて、国としての意思と方向性を明確にすべきではないかと思います。
本当に、現段階の答弁において、これは悪いと言っているわけじゃないんですよ。様々な御意見を踏まえて検討する、こういった表現にとどまってしまうかもしれませんし、そうなんでしょうけれども、被災時における行政機能の継続性を確保するためには、やはり、具体的な地理的分散や代替手段の制度化を伴う、そういったデザイン、設計が必要だと思っております、不可欠だと思っています。
このような視点からお伺いしたいんですけれども、防災庁の本体設置に加えて、そのバックアップ体制や地方拠点の整備方針について来月の骨太方針にどのように位置づけをお考えでしょうか。政務官にお尋ねいたします。
○西野大臣政務官 委員御指摘のとおり、骨太の方針についてはこれからというところでございますので、現段階でお答えできることはありませんけれども、何といっても、防災庁設置というのは石破政権の公約の一つでございますので、何とか骨太の方針に少しでもいろいろな方針を盛り込めることができるように頑張っていきたいと思います。
○伊東(信)委員 政務官から、何とか設けていくように検討しますということを言っていただいたのは非常にありがたいお話ではございます。
更に求めるなよという話もあるんですけれども、やはり、単に制度を設けるだけでなくて、であれば、もうそこまでやっていただけるのであれば、予算であったり人員配置であったり、設置、整備を含めた一体的な政策設計が求められると思うんですけれども、政府の現時点の基本的な方針は述べていただきましたけれども、例えば検討のスケジュール、そういうのはございますでしょうか。具体的にもしあればお伺いいたします。
○西野大臣政務官 ありがとうございます。
スケジュール、骨太の方針につきましては、例年同様、六月中ということで今政府として検討を進めているところだと思います。
防災庁設置準備につきましては、八年度中に防災庁を設置するということは決めておりますけれども、それに向けて、アドバイザー会議において、一定の御提言といいますか意見書を今年の夏をめどに赤澤大臣あるいは石破総理向けに提出するということで、そういったスケジュール感で動いているところでございます。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
本当に、特に石破政権、いろいろ御批判もありますし、私は政権与党じゃないので、石破政権をカバーするとかそういう意味で言うわけじゃないんですけれども、でも、やはり石破総理が総理になる前から地方創生ということはずっと述べていただいておりまして、今回、防災庁の機能分散とか、このお話というのは本当に肝になると思いますし、石破総理もこのことを歴代の総理の中でも熱心にやられているとお伺いをしておりますし、西野政務官にも、それをしっかりと赤澤大臣とともにバックアップしていただけたらと思います。
資料の四、最後に入れていますけれども、これは大阪のことなんですけれども、いわゆる副首都大阪構想の理念で、これが政府のBCP、各省庁等の地方支分部局が集積する都市における具体的オペレーションの検討と合致しておると思いまして、政府自体が目指す中枢管理機能の分散、多重化の先例になると思います。
今こそ、恐らく時間的にもこの質問が最後になるんじゃないかなと思うんですけれども、危機時にこそ、国家の統治機能は真価が問われると思うんですね。やはり政権の担われる役割というのはそこだと思うんです。今から、平時の備えとして、今私が申し上げた制度設計、検討されておりますし、スケジュール感もあるんですけれども、そういった制度設計も急ぐべきではないかなと思うんですけれども、今日の質問の最後も含めて、それ以外に西野政務官の思いも含めて、最後にお尋ねいたします。
○西野大臣政務官 委員におかれましては、いろいろな御提言、御提案をいただきまして、本当にありがたい思いでいっぱいでございます。
防災庁を設置する理由はたくさんいろいろありますけれども、これまで内閣府防災、一生懸命頑張ってきましたが、やはり人員もそして予算面でも十分でなかったという反省がございますので、そういった予算面、そして人員面を含めて、さらにはバックアップ機能を含めて、しっかり対応していきたいというふうに思います。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
代替のお話ではやはり共通の概念があって、その中で、大阪に設置するよ、骨太に載っけるよと明確にはなかなかお答えにくいとは思うんですけれども、本当にこの議論というのはもう既にされておりまして、先ほど、西野政務官が委員会で答弁していただいたのも今年の四月十一日でございます。そのときに今井政務官も、首都直下型地震を念頭に、政府の業務継続のために既存施設の活用を含めた検討を進めていると述べていただきましたし、四月二十五日の参議院本会議で、我が党の嘉田由紀子議員の質問に対して、先ほど述べた赤澤大臣の、防災庁の拠点の在り方や非常時のバックアップに対して、地方の意見を受け止めつつ、効果的、効率的な体制の在り方を検討すると答弁されております。
恐らく共通認識はあると思いますし、本当に、平時だけじゃなくて災害時の国民の安全、安心のために今後議論を重ねていくことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○大岡委員長 次に、尾崎正直君。
○尾崎委員 高知二区の尾崎正直でございます。
本日は、サイバーセキュリティーについてお伺いをさせていただきたい、そのように思います。
まず第一に、サイバー対処能力強化法案でありますが、本当に与野党の活発な議論を経て成立をいたしました。これによりまして、いわゆる官民の情報共有、さらに通信情報の利用、さらにアクセス・無害化措置が可能となったということでございます。我が国の政府、重要インフラのサイバーセキュリティーを守ることは、国民の生活、命に直結するような重要課題であります。しっかりとした対策、執行体制をつくり上げていっていただきたい、そのように思うところです。
その中で、新たな法律では、官民連携強化の観点から、基幹インフラ事業者に特定重要電子計算機の届出とインシデント報告等を義務づけているところであります。官民の情報共有がうまくいくことが一番大事でありまして、これによってどこが問題なのかの目星をつけ、そして、それによって通信情報の利用をして、どこが一番、害の元であるかということを確定し、アクセス・無害化措置を取るという流れで来るわけですから、一番最初の情報共有が非常に円滑に行われることが大事です。
しかしながら、民間の事業者の方からは、情報提供の負担というのが大変重いものになるんじゃないかということを懸念する声も聞かれるところであります。政府として、企業側の負担軽減ということにも十分配慮していただく必要があります。政府側の窓口の一本化、フォーマットの統一、更に言えば、報告対象の明確化が必要だと考えるところです。
この報告対象については、法案では、インシデント情報に加えて、その原因となり得る事象も報告すべしというふうになっておるわけですね。けれども、なり得るということになると、対象が無限に広くなってしまって、結果として非常に負担が重くなり、それがために情報提供をためらうとかということになってしまってもいけないのでありまして、是非そこをクリアにすることが大事かと思います。
政府のお考えをお伺いします。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、サイバー攻撃が発生した場合における被害組織の負担軽減と政府の対応迅速化は極めて重要であり、昨年開催いたしました有識者会議からも、インシデント報告の一元化、報告様式の統一化や報告基準、報告対象の明確化を進めることが必要である旨の提言をいただいたところでございます。
政府といたしましては、サイバー対処能力強化法におけるインシデント報告に限らず、個人情報保護法に基づく個人データの漏えい等に係る報告や警察への相談、これらにつきましても、事業者からのニーズを踏まえまして、順次、様式の統一、報告窓口の一元化を進めてまいりたいと考えてございまして、これまでの国会での御審議も踏まえまして、既に関係省庁との調整も開始しているところでございます。
また、サイバー対処能力強化法におけるインシデント報告対象につきましても、報告基準を明確化し、事業者が不必要に迷わないようにすることが必要であるというふうに認識しております。
いずれにしましても、サイバー対処能力強化法を始め、サイバーセキュリティーに関する取組の実効性を確保するためにも、専門家や事業者などの意見を丁寧に伺いながら、丁寧な制度設計を進めてまいりたいと考えてございます。
○尾崎委員 繰り返して、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、この一連の措置については個人情報保護委員会も含める、そういう理解でよろしいですか。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の個人情報保護法に基づく個人データの漏えい等に係る報告につきましても、本取組の対象にしたいというふうに考えてございます。
個人情報保護委員会とも既に調整を開始しておりまして、今後、具体的な一元化の在り方について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○尾崎委員 個人情報の保護というのは非常に重要なことでありますけれども、ちょっと一部に、やはり、漏えいしたのではないかということについて報告の徴求を求められるとか、非常に負担が大きいという声もあります。是非よくバランスを取っていただいて、負担軽減ということにも配慮していただきたいということであります。
他方で、やはり民間の皆様にとっても、情報提供をするインセンティブというのを持ってもらうことは非常に大事だと思います。政府側からも非常に有益な情報を提供することによってそのようなインセンティブを持ってもらう、そのことも大事だろうと思います。
どのような制度設計がいいかということについて、先ほどもちらりとお話がございましたけれども、是非、情報提供の在り方について官民での対話の機会を積極的に設けていただきたい、そう思いますが、いかがでございましょうか。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、官民連携の強化に向けては、事業者における迅速な対応に資する情報を政府から適切なタイミングで提供することが重要というふうに考えてございます。
この点、これまでの内閣サイバーセキュリティセンターに対しましては、民間事業者に対する情報提供を求める一方で、十分なフィードバックが行われてこなかったとの御批判もあるというふうに承知しております。こうした反省を踏まえまして、昨年開催した有識者会議では、産業界をサイバー安全保障の顧客として位置づけることが重要と提言をいただいたところでございます。
政府といたしましては、例えば、民間事業者においてどのような情報にニーズがあるかといった点について、専門家や事業者などの意見を丁寧に伺っていきたいというふうに考えてございます。その上で、民間事業者に積極的にフィードバックを行い、情報提供を行うことにメリットを感じていただく好循環を生んでいけるよう、今後の制度運用に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○尾崎委員 ありがとうございました。
是非この能動的サイバー防御、まずは意見交換を、情報交換を能動的に行っていただきたい、そして、そのようなよき関係をつくり上げていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
続いては、いわゆる社会全体のサイバーセキュリティーの確保という観点からお話をさせていただきたいと思います。
まず、DDoS攻撃、この踏み台にされることの多いのはIoT製品であります。このセキュリティーを確保するということが極めて重要でありますが、政府は、二〇二五年三月に、セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度、いわゆるJC―STAR、こちらをスタートいたしました。この普及を急いでいくということが非常に大事だろうと思います。
是非、同制度における適合ラベルの取得というもの、例えばこういうことを政府機関等の政府調達において要件化すべきではないかと思いますが、お考えをお伺いします。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのセキュリティ要件適合評価及びラベリング制度、いわゆるJC―STARというものが今年三月に運用が開始されているというふうに承知してございます。
同制度の運用開始を踏まえまして、いわゆる政府統一基準群の一つである政府機関等の対策基準策定のためのガイドラインの次期の改定におきまして、IoT機器等の政府機関等における調達に当たって同制度を選定基準に含めるよう、具体的な検討をしているところでございます。
引き続き、同制度を所管する経済産業省とも連携しつつ、適切に対応を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○尾崎委員 ありがとうございます。
そして、続いて、中小企業、なかんずく、いわゆるサプライチェーンに連なっていく、そういう中小企業の皆様方のサイバーセキュリティー、これを確保することも非常に重要だろうと思います。
実際、大企業に対するサイバー攻撃についても、元々は、発端は中小企業から入ってきている、そういう事例も多々見られるわけでありまして、中小企業のいわゆるサイバーセキュリティーのレベルを上げていく、これは非常に大事なことだろう、そういうふうに思います。
そういう中で、大多数の攻撃というのは、非常に単純な攻撃だと言われています。ですから、まずは経営者の意識改革を徹底して、例えば、認証機能の強化を図る、多段階で認証を行うようにするとか、さらに、ソフトウェアの適切な更新を行うとか、そういった当たり前の対策を徹底することが大事だろう、そういうふうに思うわけでありますが、加えて、やはりしっかりとしたツールを導入することも大事なんだろうと思います。
一連の対策ツールを具備して、緊急時の駆けつけ機能も持ったものとして、サイバーセキュリティお助け隊サービス、こういうものも提供してこられたわけでありまして、これは非常に有効な制度だと言われています。ただ、いまだに利用実績は七千件程度にとどまるということでございまして、この普及についてより徹底していく必要があると思うわけでありますけれども、こちらについて、政府のお考えをお伺いしたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、中小企業のサイバーセキュリティー対策は、サプライチェーンを守るという観点からも非常に重要でございまして、経済産業省では、中小企業向けのセキュリティーガイドラインを策定して示し、各種補助金の申請の要件などに、セキュリティー対策に取り組むことを中小企業自らが自己宣言するセキュリティーアクションというものを位置づけることで、自らの取組を促すということをやってきております。
さらに、委員から御指摘いただきました、異常監視、またサイバー攻撃を受けた際の初動対応、さらに保険、こういったものの必要なサービスを安価でワンパッケージにまとめたサイバーセキュリティお助け隊サービス、こちらの普及に取り組んでいます。
御指摘いただきましたとおり、これをどう普及させていくかというのが大きい課題でございまして、二〇二二年以降は、IT導入補助金において、中小企業がこのサービスを導入する際の費用に対する支援も行っております。
さらに、昨年度からは、特に、リソースが限られている小規模事業者に重点的な支援を行いたいということで、補助率を二分の一から三分の二に引き上げるなど、こういった要件の見直しも実施したところです。
サイバーセキュリティお助け隊サービス、これを進めるべきというのは政府内でも広く認識をされておりまして、今年二月からのサイバーセキュリティ月間においては、関係省庁、支援機関とも連携しながら、政府広報でも普及を実施したということでございます。
今後も、引き続き産業界、関係省庁と連携しつつ、サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアム、こちらを通じて中小企業団体への啓発も強化して、中小企業にとって、よりよい形で普及し、そして使いやすいサービスになるようにしていきたいというふうに考えております。
○尾崎委員 非常に有用なツールだと思いますので、ただ、ちょっと普及の度合いが、桁が二つぐらい多分違うんだと思います、是非頑張っていただきたい、そういうふうに思います。
そして、あわせまして、各中小企業の対策状況を見える化するということも非常に重要だろうと思います。見える化するということになってくると、それによって、対策が進んでいるところとの取引を行っていこうというインセンティブも発生するわけでありまして、ゆえに、企業さんの方も一生懸命対策を取ろうとするということになるでしょうし、また、異なる取引先からそれぞればらばらな要求をされるということも防ぐことができるということになるだろうというふうに思います。
そういう意味において、政府で、今、サプライチェーン企業のセキュリティー対策評価制度というもの、いわゆる見える化するための評価制度の導入について制度設計などを行われていると思いますが、この早期の運用開始といいますか、これが非常に大事かと思います。お考えをお伺いしたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、サイバーセキュリティーの取組については、異なる取引先から異なる対策を求められるですとか、あと、外部からそれぞれの企業の対策状況がどうなっているか判断が難しいという課題があるというふうに承知しています。
こうした中で、特にサイバーセキュリティーの取組が進んでいる産業分野というのは実はございまして、そこの分野では、そろそろ各企業の取組状況を可視化するなどの必要性があるんじゃないかという指摘をする声も出てきています。
こうした状況を踏まえまして、経済産業省では、内閣サイバーセキュリティセンターと連携しまして、サプライチェーンにおける重要性を踏まえた上で満たすべき各企業の対策を提示して、対策状況をいろいろ評価する、可視化して確認することができる仕組みの検討を進めてきておりました。
先月、四月ですね、可視化に関する制度の概要を整理した中間取りまとめを公表したところでございまして、これは、今先行している、先ほどちょっと御紹介させていただきましたセキュリティーアクションというのが、一つ星、二つ星というのがあるので、これを星五段階で対策を組むということを考えております。
今年度は、この事業の評価スキームの具体化を図るとともに、どうやって広めてもらうのか、使ってもらうのか、さらに、五段階目まで含めてどういう制度にしていくのかを検討して、来年度中の制度開始を目指したいというふうに考えております。
○尾崎委員 非常に有効なツールになろうかと思います。インセンティブづけをするという意味において非常に有効なツールになると思いますので、よき制度設計とともに、早期の導入をお願いしたい、そういうふうに思います。
その上で、一つやはり大きな問題が今、日本にはあると思われますのは、サイバーセキュリティー対策、一連の対策のいわゆる海外依存度の高さということであります。サイバーセキュリティー対策を急げば急ぐほど、いわゆる海外の製品、サービスに依存する度合いというのが高まっていく、結果としてデジタル赤字が拡大していく。もっと言うと、過度な依存は安全保障上の課題ともなり得るという状況かと思います。
残念ながら、日本では、サイバーセキュリティーに関するデータを収集し、分析し、それを製品、サービスの開発につなげるという一連のエコシステムが十分育っていないと言われているところでありまして、サイバーセキュリティーに係る一連のデータとかそういうものについても、むしろ、日本で生じた事象についてのデータであるにもかかわらず、海外からお金を払って購入しているとか、そういうことも行われていると言われています。そういう点において、いかにしてサイバーセキュリティー対策の自律性を我が国において確保するかということが非常に急務かと思います。
ただ、これはなかなか一朝一夕にいくことではないだろうと思います。でありますので、まず、官においてしっかりとデータ収集をし、分析をし、その官においてつくったエコシステムを民のエコシステムづくりにつなげていく、そういう対策も必要になってくるんじゃないかと思います。
まず手始めに、NICTが総務省などに設置しております国産検知ソフト、いわゆるCYXROSSセンサー、こちらについて、対象を全省庁に拡大して、政府におけるデータ収集力を抜本強化するとともに、そのデータの分析結果を民間に提供するなどを通して、民間におけるエコシステムの育成ということにつなげていってはどうか、そういうふうにも思うわけですが、お考えをお伺いしたいと思います。
○中溝政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国におけるサイバーセキュリティー対策は海外由来の製品に依存しているため、サイバー安全保障の観点から、国内でセキュリティー製品の創出を行い、サイバー攻撃に対応できる体制を整備することは重要な課題であるというふうに考えてございます。
このため、これまで総務省におきまして、いわゆるCYXROSSセンサーを政府端末に導入してサイバーセキュリティー情報を収集し、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTの能力を活用して分析する実証実験というものが行われてきており、また、利用組織のニーズも踏まえながら、関係省庁とも連携し、情報収集対象の拡大を図ってきたところというふうに承知してございます。
政府としましては、サイバー対処能力強化法等の施行なども踏まえつつ、今後は全省庁に拡大すべく取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。さらに、こうして得られた情報を必要に応じて民間事業者等にも共有するなど、各種施策に活用し、我が国のサイバーセキュリティーの強化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○尾崎委員 全省庁に拡大してというのはとてもいいことだと思います。是非そこからまずスタートをしていっていただければと思います。
更に言えば、こうしたデータとその分析結果の蓄積を生かして、政府機関等が我が国のスタートアップの製品、サービスというものを試行的に活用する、そして、製品の評価をした上で、それを当該企業にフィードバックする、そういう取組をすることも、先ほど申し上げた一連のエコシステム形成において非常に有効かと思いますが、副大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
○大串副大臣 我が国のセキュリティー製品のユーザーは利用実績があることなどを求める傾向があることから、国内で流通するセキュリティー製品は実績のある海外製が中心であり、国内のスタートアップ等の事業者にとって、販路開拓や事業拡大が難しいという課題がございます。
こうした状況を打破して、様々な攻撃に対する対処能力を高める観点からも、経済産業省では、国内で有望なセキュリティー製品やサービスが創出されるための検討を進めて、必要な政策対応を今年三月に取りまとめたところでございます。
その中の一つとして、最大の課題の一つでありますが、実績に対応するため、IPAを始めとする政府機関等において有望なセキュリティー製品、サービスを試行的に活用するといった取組を進めることで、スタートアップの実績づくりの促進といった施策を盛り込んでおります。
先ほどNISCから答弁のあったような政府におけるデータ収集力、分析力の強化に向けた取組とも連携しながら、有望なセキュリティー製品、サービスの発掘を進めていきたいと考えております。
今後、そのほかの施策も含めて、関係省庁や産業界とも連携して具体化を進めながら、我が国サイバーセキュリティー産業の振興に向けた取組を強力に推進してまいりたいと考えております。
○尾崎委員 どうもありがとうございます。
サイバーセキュリティー対策を強化するということは急務であります。ということは、すなわち、またあわせて、サイバーセキュリティー対策の自律性を我が国で確保するということも非常に急務ということかと思います。政府においても、是非思い切ったスピード感でもって、規模でもって対策を進めていただきたいと思います。
最後でありますが、いわゆる量子技術の進展に伴いまして、現在広く使われている暗号も容易に解読される時代が来ると言われております。我が国も着実に準備を進めなければなりません。官民の耐量子計算機暗号への移行に関するロードマップ作りというのが求められてきたところでありますが、これを是非急がなければならないと思います。
政府において、早急に司令塔を明確にした上で、関係省庁による検討の会議体を立ち上げるなどすべきだと考えるところでありますが、お考えをお伺いします。
○中溝政府参考人 お答えいたします。
議員の御指摘のとおり、量子計算機技術の開発、進展に伴いまして、現在利用されている一部の暗号方式の安全性の低下が懸念されていることから、政府としましても、サイバーセキュリティー確保のための耐量子計算機暗号、いわゆるPQCへの移行に向けた検討は重要であるというふうに認識してございます。
PQCへの移行に向けた検討に当たりましては、諸外国の移行スケジュールや、暗号技術検討会及び関連委員会、いわゆるCRYPTRECにおける検討状況を踏まえる必要があるほか、移行に係る課題も、技術的な課題のみならず、安全保障や産業政策など、多岐にわたっているところでございます。
したがいまして、こうした多岐にわたる課題に適切に対応するため、広く関係省庁と連携し、速やかに検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○尾崎委員 こちらも急ぐ課題かと思います。是非着実に対策を進めていただきたいと思います。
以上でもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、河西宏一君。
○河西委員 公明党の河西宏一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、余りなじみのない方もいらっしゃるかもしれませんが、若者が主体となって活動をするいわゆる若者団体、この活動促進について取り上げさせていただきたいと思っております。辻副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
これは欧州等では一般的な団体となっておりまして、こういった欧州の国々では、若者の投票率が非常に高い、七〇パー、八〇パー。ですので、シルバー民主主義などという言葉とは無縁の国が多数あります。スウェーデンとか、後で御紹介しますが。そうした中で中核になっているのがこの若者団体ということでありますが、我が国においては、活動を継続することすらなかなか難しいという状況があるわけであります。
その上で、ちょっと基本的なところから入りますけれども、一昨年閣議決定をされましたこども大綱、ここには、子供、若者が、いわゆる支援や保護の対象としてではなく、権利の主体として明確に位置づけられました。この意義は極めて重要だというふうに思っております。
具体的には、こども基本法の基本理念にもうたわれておりますけれども、全ての子供、若者が権利の主体として意見を表明して、また、社会活動に参画をして、その機会が確保される。
これは我が党も強く主張してこのこども基本法ができたわけでありますが、そうした中で、若者が自己決定を行い、社会に影響力を与えていく。そうした中で、日本では低いと言われている、例えば自己肯定感、こういったものも高まっていくということが指摘をされております。こうした中で、こどもまんなか社会の構築が我が国に求められているんだろうというふうに捉えております。
まず、政府参考人に政府の基本姿勢をお伺いしますが、子供、若者を権利の主体として明確に位置づけたことによって、行政による子供、若者政策をどう変化をさせていこうとしていくのか、見解をお伺いいたします。
○水田政府参考人 お答えいたします。
令和五年十二月に閣議決定したこども大綱におきましては、子供、若者は、未来を担う存在であるとともに、今を生きる存在であり、保護者や社会の支えを受けながら、自立した個人として自立を確立していく、意見表明、参画と自己選択、自己決定、自己実現の主体であり、生まれながらに権利の主体であると規定しております。その上で、政府は、子供、若者の今とこれからにとっての最善の利益を図るとともに、子供、若者の意見形成を支援し、子供、若者の意見を尊重することとしております。
こうした考え方の下、こども家庭庁発足以降、政府として子供、若者の意見表明、社会参画に積極的に取り組んでおります。政府として子供、若者の声を積極的に聞くことにより、子供、若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、子供、若者政策がより実効性のあるものになっていくものと考えております。
○河西委員 ありがとうございます。
意見表明、社会参画ということで、改めてありました。ですので、子供とか若者にとって、自分たちの声が届き、社会に参画することでしっかり政治も動いている、そういう成功体験の積み上げがないと、将来不安というものもなかなか払拭されていかないんだろう、こういうふうに思っているわけであります。
政府におかれては、我が党の度重なる要望も踏まえまして、令和五年度の補正予算において、若者が主体となって活動する国内外の若者団体、これに関する調査研究事業、〇・一億円を拠出して行っていただきました。その結果がこの三月に公表されたところであります。
そこで、副大臣にお伺いをいたしますけれども、今回の調査研究事業を通じて、政府は、若者団体が、子供、若者による意見表明や社会参画の機会確保、先ほど来あるこどもまんなか社会の構築に向けてどういった役割を果たし得るのか、また、その重要性についてどのように認識するに至ったのか、見解をお伺いいたします。
○辻副大臣 こどもまんなか社会の実現のためには、河西委員御指摘のように、一昨年の閣議決定以降、主体として子供、若者による意見表明や社会参画の機会を確保するなど、子供、若者自身も関わりながら、共に政策を進めていくことが重要だと考えています。
御党にも御指導いただきながら、昨年、この類いの調査研究では若者に対しては初めてだと我々は考えていますが、若者が主体となって活動する団体に関する調査研究を行いまして、そこの調査を通じて、NPO、青少年団体、大学等のサークル、ユースカウンシルなど、要は、学業、家庭、仕事以外の、全ての若者がいる居場所という想定をしながら、多様な形態の団体が、若者たちにとって、自身の居場所や自己実現の場、社会参画や社会的影響力を発揮する場として機能していることを把握することができました。
こうした点を踏まえて、これらの団体は、こどもまんなか社会づくりの具体的な実践の場の一つであり、若者自らこどもまんなか社会づくりに関わる場という重要な役割を担っているものと承知しております。
○河西委員 御答弁ありがとうございます。
今、副大臣の方から、政府として、子供、若者自身も関わりながら、共に政策を進めていく、これが重要である、また、若者団体はこどもまんなか社会の実現に向けての重要な役割を担っている、この御答弁は非常に大事だったと思いますし、これは、こども基本法、こ家庁設置、そして今般の調査研究の前までは、なかなかこういう認識というのは政府から出てこなかったのかなというふうに思っております。
そういった若者団体でありますけれども、これは十八歳選挙権の導入あたりから結構たくさんできたんですが、どんどんなくなっていきました、正直。例えば、ほとんどボランティアでやっているような団体も多いものですから、その中心者が大学を卒業するとなくなっていってしまうという、よくあるような状況があるわけであります。
他方で、欧州の方はバックヤードの人件費まで国が面倒を見ているというような事例もありますから、継続的にエコシステムとして続いているということであります。
そこで、今回の調査研究についてお伺いをしていきたいと思います。
これは政府参考人にお伺いしますが、今回の調査研究において、国内の若者団体から、活動を継続する上で課題として最も多く挙げられたもの、これは何であったのか、お伺いをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
調査研究において実施しました、若者が主体となって活動する団体への簡易アンケートの結果におきまして、活動を継続する上での課題として最も多く挙げられていたのは活動資金の不足でございまして、そのほかにも、構成員が維持できない、団体、活動内容が知られていない、行政とのネットワークの不足等が多く挙げられたと承知しております。
○河西委員 活動資金の不足が最も多く挙げられたということでありました。また、先ほど御紹介したような、なかなか、構成員の確保であったりとか、活動が維持できないということであります。これだけ公益に資する団体でありながらこういう状況にある、これを放置することはやはり私はあってはならないというふうに思っております。
ちょっと重ねて参考人の方にお伺いしますが、先ほどの活動資金の不足、課題として最も多く挙げられたということでありますけれども、国内の若者団体の予算の使途として重立ったものは何であったのか。また、こども家庭庁として、これまで若者団体の活動資金を支えるために何らかの施策を講じてきたのか。この点についてお伺いをしたいというふうに思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げました若者が主体となって活動する団体への簡易アンケート結果におきましては、予算の主な使途としては、人件費と事業費が最も多かったと承知しております。
また、若者団体の活動資金を支えるための施策につきましては、現時点で、若者が主体となって活動する団体であることを理由に、その団体の活動資金を直接提供する施策というものは行っておりません。
○河西委員 そうなんです。行っていないということなんです。
例えば、各党の皆さん、青年局の方なんかは行かれたことがあると思いますが、民主主義ユースフェスティバルとかがあるんですけれども、これは非常に公平性、不偏不党でやっているんですが、これもほぼ赤字でやっている。それでも、政治のリテラシーを上げていきたいということでやられているわけであります。
副大臣に、この次にお伺いいたしますけれども、今回の調査では、スウェーデンでありますとかベルギーのフランドル地方、こういった欧州での助成事業について研究が行われたというふうに思っております。
その内容を拝見いたしましたが、スウェーデンの場合は、二〇二三年の実績ベースで、一定の条件を満たした、それでも百十の若者団体に総額何と約四十億円が拠出をされている。ですので、一団体当たり数千万円ぐらい出ているわけであります。これは隔世の感があります。この若者団体は、十代、二十代が六、七割参加をしている、国としてですね。ですので、スウェーデンは、御案内のとおり、投票率が八〇%を超えている。四十代半ばなんかは九〇%近い。シルバー民主主義とは無縁、こういうことになるわけであります。
私は、子供、若者政策は普遍性が高い分野だというふうに思っております。ですので、若者団体が果たし得る役割、あるいは課題については、これは欧州であろうが日本であろうが大差はないんだろうというふうに思っております。
こうした点を踏まえて、政府として、私は、財政的な課題も含めて、若者団体の継続的な活動、これは非常に公益性が高いものがありますので、是非必要な支援を行ってもらいたいというふうに思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。
○辻副大臣 確かに、委員御指摘のとおり、スウェーデンやベルギーにおいて、規模や活動実績等の要件を満たす団体に対して、計画策定や予算申請といった一連のプロセスを課した上で助成が行われているということは、今回の調査研究事業を通じて承知していますというか、把握できました。
一方で、先ほどの御答弁のとおり、また委員御自身も御指摘のように、若者が主体となって活動する団体にとっての我が国においての課題は、活動資金の不足だけでなく、構成員の維持や継続性、そういった団体、活動内容の知名度の低さなど、多岐にわたっている状況でございます。
こども家庭庁では、今年度、こうした若者団体の抱える課題の解決に資するよう、セミナーを始めとする情報共有等の取組を行ってまいります。様々な若者団体と密にコミュニケーションを取りながら、更なる課題、現状の把握に努めつつ、若者団体が継続的、安定的に活動できるよう取り組んでまいりたいと思います。
○河西委員 辻副大臣、御答弁ありがとうございました。
今、辻副大臣から、若者団体が安定的に、また継続的に活動できるように取り組んでいくと。あと、資金調達など様々な課題解決に資するように、情報提供等の、等とありましたけれども、こういった取組を行っていくということであります。
ちょっと最後、更問いになりますけれども、この情報提供は既に今年度の事業として行われていくというふうに承知をしております。ただ、現場からは、情報提供だけでは心もとないというか、若者団体の皆さんでありますので、横の連携というのは結構やっているわけであります。
今回の質疑で確認をしたように、若者団体の役割の重要性、また活動資金の不足という課題も明らかになっているわけでありまして、来年度に向けましては、これから様々な調査研究を行っていくと思いますけれども、活動資金をどう支えていくのか。情報提供にとどまらず、必要な、また踏み込んだ方策も是非検討して、行っていただきたいと思うんです。
辻副大臣は海外の御経験も非常に豊富でありますので、副大臣御自身の思い、見解も含めて、最後に御答弁をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○辻副大臣 今回、この類いの調査を初めて行って分かったことは、やはり我が国の若者は極めて活動範囲が広いということと、そういった若者の状況を把握するためには、まだまだこれからも、今回の調査結果のみならず、現場の声を聞きながら、本当に、活動資金のお話もございましたが、継続をするためにどういったことが必要なのか、我々も実際に自ら現場感覚を持って若者と対話をしなければいけないということは意識をしました。
なので、是非立法府の御意見も聞きながら、一層、若者にとって、子供にとって有益な活動を支えられるように、我々も来年度に向けて頑張っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
○河西委員 副大臣、最後、思いも含めて、前向きな御答弁をありがとうございました。
私は、今の御答弁で非常によかったなと思うのは、現場に伺うというふうにおっしゃっていただきました。私は、この間、こ家庁の方とレクでやっていて、現場、例えば先ほどの民主主義ユースフェスへ行かれたことはありますかと聞いたら、ないと言うんですね。これは是非現場を見ていただきたいと思います。そこでどれだけ彼らが真っすぐな思いで、公平性を持ってやっているのかということを見ていただければ、これはきちっとやっていかなきゃいけないと。
最近、SNSなどで、やはり若い方の情報リテラシー、政治リテラシー、様々な課題があると思っております。こういったところに様々な役割を果たし得る若者団体であると思いますので、今後とも我が党としても全力で取り組んでまいりたいと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
今日は、伊東大臣が大阪に御出張だというふうにお伺いしましたので、鳩山副大臣、よろしくお願いいたします。
今日は、樺太アイヌの遺骨の問題を継続してやりたいと思います。
前回お尋ねしたことの継続なんですけれども、二〇二三年五月に、北海道アイヌ協会、それから日本政府とともに、エンチウ協会の代表がオーストラリアにあるビクトリア博物館を訪れて、四体のアイヌ遺骨の返還を受けましたが、この経緯に関して、政府参考人に少し詳しくお話を伺いたいと思います。
○松浦(克)政府参考人 お答えいたします。
樺太アイヌ遺骨についてですけれども、日本からオーストラリアに移された件につきましては、ビクトリア博物館の依頼に応じまして、当時の東京帝国大学から寄贈したものというふうに伺っています。
いずれにしても、樺太アイヌ遺骨につきましては、大学が関与したという経緯、また、現在の手続について文部科学省が進めておりますので、詳しくは文部科学省にお尋ねいただければと思います。
○上村委員 ありがとうございます。
今、簡単なお話を伺ったんですけれども、海外のアイヌ遺骨の返還というのは、今まで三例ありました。
二〇一七年の七月には、ドイツのベルリン人類学・民族学・先史学協会というところから一体の返還が実現しました。
第二例目がこのオーストラリアからの返還でしたが、メルボルンのビクトリア博物館の三体、それからキャンベラのオーストラリア国立博物館の一体の計四体がこのとき返還されました。このうちの一体が樺太アイヌの遺骨であったということであります。
さらに、三例目が、最近、二〇二五年の四月に、英国のスコットランドにありますエディンバラ大学からアイヌ遺骨三体の返還が実現しています。
こうした植民地主義の下で盗掘された遺骨の返還、これは遺骨だけではなくて、遺品とか、それから文化財を含めて、返還が世界中で進んでいて、アイヌ民族の問題に関しても例外ではないということがあります。
今、アイヌ総合政策室の方からもお話があったんですけれども、日本でも、二〇一九年に文部科学省が制定し、二〇二一年に一部改正された出土地域が明らかなアイヌ遺骨の返還手続に関する要項などがあります。これはどういうものであるかということを、文部科学省、よろしくお願いします。
○松浦(重)政府参考人 お答えいたします。
アイヌの遺骨の返還につきましては、尊厳ある慰霊を実現するために、アイヌの方々の御意見も伺いながら、アイヌ政策推進会議等において議論を重ね、御遺骨の返還、集約に当たっての手続の在り方、あるいは、返還に向けて、まず、御遺骨等の慰霊、埋葬等を行う上での適切な者であるか、慰霊、埋葬等を行う慰霊施設、納骨堂、墓地等が確保されているか、あるいは慰霊、埋葬等の後に御遺骨を継続的に適切に維持管理できるか、こういった要件を確認して返還をしていく、こういった手続を定めたものであります。
○上村委員 今皆さんお聞きのとおりの手続があるんですけれども、樺太アイヌの御遺骨は、今、北海道大学に安置されています。
これは、先ほど話があった返還式への参加のときには、二〇二三年二月に文科省から樺太にゆかりのある団体としてエンチウ協会が認められて同行したんですけれども、その後、返還された遺骨の管理をする認定団体とは認められていないということがあって、遺骨は、現在、国の機関である北海道大学に移管されています。
先ほどアイヌ総合政策室から、実は、この遺骨をオーストラリアに持っていったのは、東京大学の先生が持っていったんですけれども、東京大学が遺骨の責任ある保管をしないということがどうもあったらしくて、北海道大学が、今、国の機関として預かっているということなのですが、エンチウ協会が遺骨を管理する団体として認められない理由というのは、文部科学省、どういう理由なんでしょうか。
○松浦(重)政府参考人 お答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、樺太由来の御遺骨を含むアイヌの遺骨の返還につきましては、先ほど御説明したガイドラインに基づいて、現在、文部科学省が設置する第三者委員会において確認をしている、エンチウ協会が返還団体として認められないという意味ではなくて、まさに返還に向けて、どういうプロセスがちゃんと踏めるかということを確認している段階ですので、現在、まさに文科省の第三者委員会が確認をしているという状況です。
エンチウ遺族会の方々とはこれまでも意見交換をさせていただいておりますが、具体的な意見交換の内容につきましては、御遺骨の関係者等の個々人に関わることが明らかになる可能性があることから、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきます。
○上村委員 ありがとうございます。
検討が始まってかなりたっているというふうに思うんですけれども、今のお答えで、多分エンチウ協会あるいは遺族会の方はどうも満足されていないというふうに私は聞いています。
ここにいらっしゃる皆さんは、前回の質疑があったので御理解いただけると思うんですけれども、祭祀継承者かどうかという認定をするときに、実は、樺太にあった戸籍は日本に残っていない場合が多いんです。なぜかというと、ソ連が入ってきて、いわゆる終戦のどさくさの中で、樺太戸籍は消滅したということがございます。
今、樺太からの戸籍は、後でお尋ねしますけれども、外務省が管轄している。これは、持ち帰れたものは持ち帰ったんですけれども、持ち帰れないものがあったというのは当然のことであります。
それから、埋葬地が特定できるかできないかという議論も、これは前回お話ししましたように、樺太アイヌは、何回も日本とロシアの間で強制移住をさせられているわけです。そういう人たちに対して、一方的な政府のガイドラインだけでこれをやろうと思えば、当然、矛盾が出てくるのは当たり前ということを踏まえて、こうしたことがきちんと対応されていないのではないかなというふうに、残念ながら思わざるを得ないということがあります。
この問題はちょっと別の機会に譲るとして、外務省もいらしていますので。
NHKの報道によると、これは小さい写真なので申し訳ありませんけれども、五月の十三日に、NHKの報道なんですけれども、北海道の鈴木直道知事らが石破首相を訪れまして、北方領土における墓参の再開を要請し、首相は、これは人道問題なので、ロシア政府に働きかけると述べたというふうに伝えられております。鳩山副大臣も同席されたというので、写真が、一緒に写っているんですけれども。
そういうことでいけば、いわゆる北方領土の墓参のことが人道問題であるとすれば、樺太アイヌの遺骨の樺太における再埋葬というのも、これは人道問題ではないかなというふうに思います。しかも、樺太アイヌの方たちも今は日本の国籍を持っていらっしゃるわけですから、そういう意味で、こうした問題は、外務省としてもロシア政府に働きかけるべき問題ではないかと思うんですけれども、外務省の現状の状況とか御認識をお伺いできればと思います。
○田口政府参考人 御答弁を申し上げます。
これまでも、政府として、アイヌについては様々な取組を進めてきたというふうに承知しております。また、外務省といたしましても、以前に当時の上川外務大臣が御答弁させていただきましたとおり、今後もアイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けた必要な取組が行われるべき、このように考えてございます。
その上で、樺太アイヌの遺骨、御指摘がありましたけれども、状況については先ほど文部科学省の方から答弁があったとおりというふうに承知しておりまして、外務省といたしましても、必要に応じて、関係省庁とも真摯な協議を行っていきたい、このように考えております。
○上村委員 かなり抽象的な話だったんですけれども、ロシア政府とこういう問題については交渉はされていないということなんでしょうか。
○田口政府参考人 御答弁を申し上げます。
具体的に、御指摘のあったような埋葬に関する具体的なプログラムがあるというようなことは承知しておりません。
○上村委員 では、是非できたらお願いしたいんですけれども、北方領土に墓参に行くということは、ロシアの行政管轄でいけばサハリン州なんです。サハリン州の行政管区というのは、樺太と北方領土を両方とも管轄している部局なわけですから、こうしたことを石破総理もおっしゃっているのであれば、外務省も積極的に、樺太の遺骨の返還の問題も交渉のテーブルにのせていただければというふうに思います。
時間がもう少ししかありませんので、最後の点なんですけれども、実は、アイヌ施策推進法という二〇一九年に法律ができまして、一応、五年目にいろいろと見直しをやるということが書かれております。
二〇二四年にこうした動きが始まったと思うんですけれども、二〇二五年にもこうした見直しの事業というのはいろいろ進捗しているというふうに聞いているんですけれども、アイヌ総合政策室の方は、今年はどういうことをいつ頃にやるかというのを、分かる範囲でお答えいただければと思います。
○松浦(克)政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘されましたように、アイヌ施策推進法附則第九条におきまして、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものと規定されております。
五年を経過するときというのは、昨年の五月でございます。それを踏まえまして、令和六年、昨年の秋以降に、アイヌ施策推進法の施行状況についてアイヌの方々等に説明した上で、その御意見等を広く伺う意見交換会を開催してきたところでございます。
今後も、引き続き同意見交換会を開催するとともに、アイヌ施策推進法の施行の状況や今後講ずる措置についての検討を政府部内で行いまして、その後、この検討結果をまずはアイヌ政策推進会議に報告することを予定しているところでございます。
○上村委員 具体的に、いつ頃にどこでやるとかというプランはあるんですか。
○松浦(克)政府参考人 お答え申し上げます。
意見交換会はまだ続いているところでございますので、今後、その意見交換会の意見を踏まえまして、推進会議を開催したいと思います。
具体的な日程等については、まだ未定でございます。
○上村委員 ありがとうございます。
最後になりましたので、鳩山副大臣にお伺いしたいんです。
北方領土の墓参の件に関しては、皆さんよく、よくでもないですけれども、知られているところだと思うんですけれども、この樺太アイヌの課題、特に遺骨の返還とかの問題も重要な問題だと思いますので、文部科学省が審議はしているけれども、なかなか前に進まないとかということに対して、アイヌ施策担当の副大臣として、こうしたことに対していろいろとお力添えをいただきたいなと思うんですが、鳩山大臣の御見解をちょっとお伺いしたいと思います。
○鳩山副大臣 御質問ありがとうございます。御質問にお答えをいたします。
上村委員のお尋ねの件の詳細については、先ほど内閣官房、文部科学省及び外務省の政府参考人から答弁したとおりであります。
いずれにいたしましても、私としては、アイヌ施策推進法に基づき、アイヌの方々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現に向けて、引き続き、関係省庁と連携しながら、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
御遺骨の返還については、アイヌの方々による尊厳ある慰霊の実現に向け、引き続き、ガイドラインに基づき、返還等の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
○上村委員 アイヌの方々が誇りを持って住む社会というのは、非常に厳しいプロセスを経ないといけないということもあります。是非皆さんの御努力が前に進むことを祈って、私の質問をこれで終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
先週に続きまして、生活道路の交通安全対策についてお尋ねをいたします。
三原大臣に質問いたします。
交通安全白書では、生活道路における人優先の安全、安心な徒歩空間の整備を掲げております。生活道路の交通環境の整備に当たっては、生活道路を利用する地域住民の参加が欠かせません。地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策を推進することが求められているのではないのか、この点についてお答えください。
○三原国務大臣 生活道路の交通環境の整備に当たりましては、地域住民が主体的に参加することが極めて重要であると認識しております。
現行の第十一次交通安全基本計画におきましても、生活道路における各種対策を実施していく上では、対策着手段階からの一貫した住民の関わりが重要であるというふうにされております。
なお、内閣府におきましては、令和八年度から開始いたします第十二次交通安全基本計画の策定作業、これを進めているところでありまして、こちらにおきましても、委員御指摘の地域住民の参加の観点、こうしたものも十分考慮してまいりたいと考えております。
○塩川委員 交通安全基本計画の策定の内容についても触れていただきました。地域住民の主体的な参加が欠かせないということであります。
国交省にお聞きします。ゾーン30プラスの取組の推進に向けた国交省の支援策について確認します。
国交省は、生活道路への物理的デバイス設置における合意形成のための参考資料を作成しております。物理的デバイスの設置に当たって地域の方々と合意形成がうまくいかないという声があることを踏まえ、生活道路の交通安全対策を円滑に進めた全国の九つの地域の合意形成事例を紹介しております。
その一つに、船橋市の習志野台八丁目町会の例が紹介されております。私も先日伺ってまいりました。この習志野台八丁目町会の取組の特徴は何なのかについて御説明ください。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただきました船橋市の習志野台八丁目町会の取組につきましては、大型商業施設の建設を契機といたしまして、懸念される生活道路への通過交通の流入等を防ぐため、狭窄、イメージハンプなどの交通安全対策を実施した事例でございます。
この事例の特徴といたしましては、地域住民から成る地元町会が中心となりまして有識者への相談を行い、また、住民の方々自身が町歩き点検等を行うといったことを行いました。これら住民が主導となって合意形成を図ったという点が特徴だと認識しております。
○塩川委員 この習志野台八丁目町会の役員の方の話を伺いました。大型店の出店を機に生活道路の交通安全対策を進めようと、町会として、住民アンケートや、またヒヤリ・ハット調査なども行ってきたということで、船橋市や警察、専門家と連携して、住民合意の努力と対策の具体化に取り組んできたとお聞きしました。
今答弁でもありましたけれども、たまたますぐそばに日大の理工学部がありまして、そこに交通システム工学科というのが置かれていて、その大学の方に直接町会として連絡を取ってお願いしたところ、専門家の方の協力を得ることができたということでありました。交通量の調査や分析、対策案の提示など、貴重なアドバイスを受けたということであります。
国交省にお聞きしますが、国として、このような道路管理者や住民に対し、専門家の紹介、あっせん、これをきちっと行っていく必要があるのではないのか、この点についてお答えください。
○佐々木政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、有識者の方々の御意見を聞きながら進めることというのは非常に重要だと考えております。
国土交通省といたしましては、ゾーン30プラスの技術的支援の一つとしまして、地方公共団体を通じて有識者派遣の要請があった場合には、的確な課題把握や対策メニューの技術的相談ができるように、有識者の紹介やあっせんを実施しております。
○塩川委員 ですから、自治会や町会など住民の皆さんの方から、自治体、市役所などを通じて国交省に要望すれば、専門家を紹介してもらう、こういう仕組みということで受け止めました。
そんな際に、国交省の技術支援の一つとして、ETC二・〇によるビッグデータの分析結果の提供とあるわけですけれども、どのようなデータをどのように提供することを具体的に行っているのか、この点について御説明ください。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたとおり、ETC二・〇のデータを活用して、加工したデータを御提供させていただいております。
ETC二・〇のデータといたしまして、自動車の走行速度、加速度、あるいは走行経路などが分かります。こうしたものを加工することによりまして、地域内の速度超過割合、車の走った走行台数の中でどれだけ速度超過をしたのかという割合、あるいは急ブレーキ回数を多く用いた箇所、そして抜け道利用などの潜在的な危険がある箇所、こうしたものを整理、抽出したものを御提供させていただいております。
○塩川委員 住民の皆さんが実感をしている、この辺は危ない通りだなといったことをデータで確認をしながら分析を行っていく、それを踏まえて具体的な対策につなげていくという点でも、技術支援の一つとしてのこのようなビッグデータの活用は重要なことだと思っております。
国交省として、このような技術支援については、その他に、物理的デバイスの整備に関する技術情報の提供ですとか、ハンプにつきましても貸出しをするような、こういう仕組みなどもあるということですので、こういう支援策がきちっと地に足が着いた形で進められていくことを求めていきたいと思います。
次に、国交省の財政支援について伺いますが、ゾーン30プラスに係る財政支援として、交通安全対策補助制度(地区内連携)ということで紹介をされておりますけれども、この制度というのはどのような補助制度になるんでしょうか。
○佐々木政府参考人 生活道路の交通安全対策は、地域の合意形成に基づきまして進めることが大変重要であると私どもとしても認識しております。
交通安全対策補助制度の地域内連携につきましては、生活道路の面的な対策を計画的かつ集中的に実施できるよう、一定の区域において、関係住民の代表者、関係行政機関、これらの方々の合意に基づき実施される交通安全対策に対して財政的な支援を行うものです。
具体的には、速度低下や流入抑制を促すためのハンプや防護柵の設置などの対策について、国が地方公共団体に対しまして補助を行っておるところでございます。
○塩川委員 このような交通安全対策補助制度、地区内連携についてですけれども、この制度については、ゾーン30プラスはもちろん、ゾーン30の場合でも、それにも入っていない、指定となっていない地域においても、要件に合えば財政支援の対象となるということでよろしいでしょうか。
○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、この補助金につきましては、ゾーン30の指定にかかわらず、地域の合意形成に基づく面的な対策を実施するなどの補助要件に合致していれば補助の対象となります。
○塩川委員 それで、令和五年度から始まっているこの補助制度なんですけれども、ちょっと時間の関係で予算措置状況については割愛しますけれども、私がこの間お話を聞いてきたさいたま市ですとか船橋市の場合には、生活道路の交通安全対策として防災・安全交付金を使っている例が多いんです。
このような交通安全対策補助制度の地区内連携と防災・安全交付金の制度との違いは何なのか、その点について説明いただけますか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御説明をさせていただきました交通安全対策補助制度、地区内連携につきましては、関係者間の合意に基づきまして面的な交通安全対策を実施する個別地区に対しまして支援するというものでございます。
これに対しまして、防災・安全交付金は、交通安全対策を含めて、各地域の課題に応じて地方公共団体が柔軟に活用することができる自由度の高い支援制度になっております。交付金の配分に当たりましては、通学路交通安全プログラムに基づくものや、未就学児が日常的に集団で移動する経路、必ずしも面的に限らず、一定の経路などについて行う交通安全対策に対しまして機動的に支援をすることができるものとなっております。
国土交通省といたしましては、今後とも、この防災・安全交付金や個別補助制度も活用しまして、地域の御要望に応じて必要な支援を行ってまいります。
○塩川委員 防災・安全交付金について、課題に応じて、自由度の高い、そういった活用が可能だという話で、それはそれとして結構なんですけれども、交通安全対策補助制度の地区内連携について、使い勝手が悪いというようなことでは困るので、そういった点での工夫や措置や、該当の道路管理者の自治体に対してのアドバイスとかが必要なのではないかと思うんですが、利用促進に当たって必要な対策を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
この補助金の活用の要件になっておりますのが、地域内の合意形成となっております。この合意に基づいて計画を作っていただくというところがやはり一つ大きなネックになっておるところもございますので、先ほど来お答えもさせていただいておりますが、有識者の紹介ですとか、あるいは、ハンプを設けるといっても、ハンプにも、騒音が出るといったような、住民の方々でも御意見は様々ありますので、試しに使っていただけるようなものを導入して、試行という形でやっていただくなど、合意形成を支援するように、私どもとしても、地域の方々の御意見を聞きながら、必要な、柔らかい、ソフトの対策になりますけれども、そういう配慮、支援をさせていただきたいと思っております。
○塩川委員 今、ハンプの話がありました。道路に高まりをすることによって速度抑制を図る。国交省のハンプの高さの基準は十センチというふうに承知しております。しかし、習志野台八丁目町内会でハンプを設置をした、船橋市として実施したわけですけれども、そのハンプの高さは、住民要望に基づいて八センチにしているということなんですね。
ですから、国交省が一般に示している基準とは違うそういった高さにしているわけですけれども、こういった場合もこれらの事業の補助対象となるということで、どうなのか、お答えください。
○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、国土交通省が定めた技術基準では、ハンプの高さは十センチを標準としております。
ただし、先ほど来申し上げておりますが、地域の交通対策を進める上では皆さん方の御意見は非常に重要でございますので、ハンプが高いと、どうしても騒音が出るとか日常走行が不快になるといったような問題もございます。
こうしたこともありますので、地域の方々の理解を得るために、必ずしも十センチじゃなくても交通安全対策補助の地区内連携の補助対象とさせていただいております。
○塩川委員 最後に、三原大臣にお尋ねします。
やはり国のレベルにおきましても、国交省や警察庁や内閣府が連携して取り組んでいく、その基本に、冒頭お答えいただきましたように、住民の意思を尊重していく、住民の理解、合意を取組の要にしていくということが重要だ。
そういう点でも、現場において、道路管理者の方や警察や、何よりも地元住民の方、こういった方々の意向を踏まえた、そういう住民合意につながるような技術的、財政的な支援が必要ではないかと思いますが、その点についてお答えいただければと思います。
○三原国務大臣 ゾーン30プラスを含む交通安全対策につきましては、国土交通省におきまして、今委員御質問がありましたように、住民合意につながるようなデータの分析結果の提供ですとかハンプの貸出しなど、そうした技術支援、そしてまた、住民等との合意に基づく交通安全対策補助といった財政支援などが行われているものと承知をしております。
内閣府におきましても、こうした支援が十分に行われるように、国土交通省に、関係省庁に対してしっかりと働きかけをしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策が前に進めるように取組をお願いし、質問を終わります。
○大岡委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
最後の質問となります。よろしくお願いいたします。
本日は、違法なスポーツベッティングについてと、また富士登山による救助要請の増加の問題について伺いたいと思います。
去る五月十五日に、民間団体であるスポーツエコシステム推進協議会が違法なスポーツベッティングの国内市場規模というのを公表いたしました。その金額は、約六・五兆円に上るといいます。一月に警察庁が発表したオンラインカジノの推計値は一兆二千億円、これも大変私たちも衝撃を受けましたが、その五倍を上回る数字でありまして、極めて、本当かなと思うぐらいに驚きの数字であり、深刻な事態だと思っています。
警察庁に伺いますが、推計の方法が異なるとはいえ、ここまで大きな数字の乖離が出たことに関して、その原因を伺いたいと思いますし、いずれの数字が実態に近いと考えているかをお聞きします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの警察庁委託調査につきましては、スポーツベッティングを含むオンラインカジノの実態を把握するための調査研究を行ったものであり、年間賭け額の総額につきましては、アンケート調査において一か月当たりの平均賭け額について質問した結果に基づいて推計したものでございます。
他方、お尋ねの民間団体が実施したスポーツベッティングに係る調査につきましては、その調査自体は承知しておりますけれども、その調査方法等については承知しておらず、その評価についてコメントする立場にはないものでございます。
ただ、我々としましても、オンライン上で行われる賭博が蔓延している状況を深刻に受け止めておりまして、違法性について周知を図るとともに、厳正な取締りを推進しているところでございます。
○田中(健)委員 是非聞いてください。集計方法、また推計方法も、私も聞いてきましたけれども、しっかりと説明してもらえますので。警察庁、この数字は知らないというか、関係ないというふうに言ってしまうのは、余りに私は無責任だと思います。
別にどちらの数字が正しいと言いたいわけではありませんで、もちろん、今説明ありましたように、警察庁の委託調査はアンケート調査に基づくものですから、サンプル数も少ないですし、また、どうしても回答にバイアスがかかります。百万円やっている人も十万円とか、毎日やっている人も週一回と言いたくなるようなアンケートでありますから。ですから、やはり、今回の調査は、海外のデータプロバイダーから、世界に流通している客観的データに基づいて、それこそIPアドレスを追って、日本と海外のそのアドレスを全て集計して今回出したということでありますから、かなり客観的で正しいデータだと私は思っていますから、どちらがいいではなくて、それだけ大きな規模になっているという認識は是非持っていただきたいと思っています。
その上で、日本の国内スポーツも海外の違法サービスのターゲットになっているということが明確になっています。純粋に、オンラインカジノのときの議論と同じ、国富の流出であります。
スポーツ庁はこれまで、こういったスポーツベッティングが国内のスポーツをターゲットにしていたのかをきちんと把握ができていたのか、また、把握をしていたならばどういった対策を講じてきたのかを伺います。
○金城大臣政務官 お答えいたします。
日本国内のスポーツが海外の違法なオンライン賭博サイトにおいて賭けの対象になっていることは承知をしているところでございます。
国内においては、いわゆるスポーツベッティングも含め、オンラインで行える賭博を日本から利用することは犯罪とされており、これを契機として八百長などの不正行為が行われることもあってはならないと考えているところでございます。
文部科学省としましては、スポーツ団体が適切な組織運営を行うための原則、規範として、スポーツ団体ガバナンスコードの策定、周知をし、スポーツ団体に対してコンプライアンス意識の徹底やガバナンスの確保を求めてきたところでございます。
引き続き、スポーツにおいて違法行為や不正行為が行われないよう、関係省庁とも連携し、公正なスポーツ環境の確保に取り組んでまいります。
○田中(健)委員 日本でスポーツをやっている人が悪いわけではないんですね。日本でスポーツをやっていることを海外のサイトで賭けの対象にして、それに日本人が賭けているということでありますから、文科省がもちろん分かっていたと言うならば、スポーツ団体にガバナンスコードではなく、このそもそもの在り方についてしっかりと対策を取る必要があると思っています。
今日、官房長官にお越しをいただいておりますのでお聞きしますが、この国富の流出は、今まで言ってきました、いわゆるスロットとかルーレットとかトランプのようなカジノではなく、スポーツにおいてもこれだけ大きな被害が及んでいる、六・五兆円という規模であります。月に直せば五千四百億円、一日百八十億円と、ちょっと本当に信じられないような額でありますけれども、これをどのように考えられているかということです。
先日、NHKでも、依存症の観点から、日本の若者が何の規制もない違法な海外サイトに狙い撃ちされているということが報じられていましたし、昨日までちょうど、ギャンブル等依存症問題の啓発週間でもありました。政府には、この問題、私も、ほかの委員もですけれども、再三再四この対策をお願いをしておりましたが、やはり対応がなかなか進まず、遅く、この巨大な闇市場が日本をまさに食い物にしているかのような現状かと思っています。
改めて、これはなかなか文科省だけとか警察庁だけというわけにはいきませんので、政府全体としてこのような事態にどう対処していくのか、危機感を持って取り組んでいただきたいと思いますが、お考えを伺います。
○林国務大臣 まず申し上げさせていただきたいのは、このスポーツベッティングを含むオンライン上で行われる賭博、これは、海外において適法に運営されているものであったとしても、日本国内からこれを利用するということは犯罪である、このことを重ねて強調させていただきたいと思います。
先般、警察庁において公表した調査でも、オンライン上で行われる賭博が蔓延している状況が明らかとなっておりまして、こうした状況を深刻に受け止めるとともに、その対策は重要な課題である、こう認識しております。
政府といたしまして、オンライン上で行われる賭博への対策として、犯罪グループの関与、こういったものを見据えた取締りの強化、これに加えまして、関係省庁連携して、やはり今、先生からお話がありましたように、若年者の利用が多い、こういうことも踏まえて、SNSを活用した違法性の周知、それからアクセスの抑止対策、そして決済事業者に対する要請、こういったものを推進してきておりますが、スポーツベッティング、これもオンラインカジノと同じであり、日本から利用すれば犯罪となりますということを改めてしっかりと周知してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
是非、政府全体となってこの問題を取り組んでいただきたいと思っています。
さらに、スポーツに関連して質問します。
この不正監視に関しては、国内での官民連携した体制の整備が一刻も早く必要だと感じていますが、政府内では、これについては、どこの省庁が対応に当たって取組を進めていくのか伺います。
○橋場政府参考人 お答えいたします。
スポーツ庁としましては、選手等が違法賭博や八百長などの不正行為に関わることがないよう、先ほど政務官からも答弁いたしましたが、スポーツ団体ガバナンスコードを通じて、各スポーツ団体におけるコンプライアンス教育やガバナンスの強化を求め、コンプライアンス意識の徹底やインテグリティーの確保に取り組んでおります。
また、スポーツにおける不正操作への対応等については、現在、国会議員やスポーツ団体関係者、学識経験者により構成される一般社団法人日本スポーツ政策推進機構を中心に研究会が開始されたところであり、こうした議論を踏まえつつ、スポーツ庁として必要な論点整理を行う方針です。
今後、関係省庁連絡会議等を通じて、関係省庁と連携して政府一体となって取り組む中で、スポーツ振興の担当省庁として、公正なスポーツ環境の確保にしっかりと役割を果たしてまいりたいと考えています。
○田中(健)委員 スポーツ庁が音頭を取ってこの対策に取り組んでいくということですが、今回の民間が出したレポートを見ますと、日本からアクセス可能な複数の海外スポーツベッティングサイトでは、日本の野球、サッカー、バスケットボール、テニス、ゴルフ等の主要なプロスポーツの試合のみならず、大相撲や高校野球の試合も賭けの対象になっていたとのことであります。大変な問題でありますし、さらに、プロスポーツにおいては、著作権や、また肖像権やパブリシティーの問題、そういった重大な権利侵害にもつながっているということであります。
そういった意味で、海外では、同様に権利侵害の問題が大変課題となっておりまして、欧州を中心に、マコリン条約というものをそれぞれが締結をして、特に八百長防止や選手保護について取り組んでいるということであります。
昨今では、プロ野球を始めとしたプロスポーツ選手のオンラインカジノ利用も問題となっておりまして、スポーツの不正につながりかねない危険な状況であります。日本もこのマコリン条約に一刻も早く加盟をして、不正防止の取組というのを開始すべきだと思いますが、政府の見解を伺います。
○金城大臣政務官 お答えいたします。
マコリン条約は、スポーツ競技における八百長などの不正操作を防止することを狙いとしており、その趣旨や目的は、我が国が目指すところと相違はないと考えております。
一方で、刑事的制裁などについて国内法制との関係などの整理も必要であり、当事者となり得るスポーツ関係者の意見も踏まえて対応する必要があると考えているところでございます。
スポーツ関係者による研究会も立ち上げられたところでありまして、その議論も踏まえながら、論点を整理し、関係省庁と連携しながら、スポーツにおける不正行為の防止に取り組んでまいります。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
このマコリン条約をそれぞれが締結をしますと、ナショナルプラットフォームと呼ばれる、情報集約や、また連携組織、これを各国がつくって、そしてその各国が更にナショナルプラットフォームネットワークを今つくっているということもお聞きをしています。是非、このマコリン条約というものに政府も積極的に、締結に向けて動いていただければと思っています。
最後となりますけれども、先ほど官房長官からは大変危機感を持ってやっていただくということをお聞きをしましたが、さらに、この調査のレポートの中では、今回の調査は、海外において事業を行うことを認められた事業者が運営するサイトに限定して調べた、もっと言えば、ライセンスを取得していない事業者が運営するサイトもまだまだ世界中にある、それまでも含めたら六・五兆円どころじゃないかもしれないと、大変に怖いというか、本当に恐ろしい、最後、こうレポートにも書かれておりました。
これらを踏まえて、スポーツ界についてはスポーツ庁が取り組んでいただけるということですが、今言った民間企業や、また政府の組織、それぞれが役割を果たさなければ、日本の健全なスポーツに大きな支障が出てしまうと思っていますので、条約の締結、今言っていただきましたけれども、国内組織をしっかりと整備することに対して、政府全体として改めて後押しをしていただきたいと思いますが、官房長官の御意見をお聞きします。
○林国務大臣 委員から六・五兆円というお話がございましたので、一人頭六万円ちょっとということなのかなと思って聞いておりましたが、これが、認められた人たちの統計だ、こういうお話でございましたので、やはりまず犯罪であるということ、犯罪がまかり通ってはならないということに加えて、今お話のあったような、我が国から資金が流出するということ、これも大きな問題であると認識をしております。
マコリン条約については政務官から御答弁さしあげたとおりでございますが、このスポーツベッティングを含むオンラインで行われる賭博、これについてはそもそも違法である、ちょっとしつこいようですが、それを言わせていただいた上で、資金流出の問題、そしてスポーツの不正の誘発、こういうこともあるというふうに認識をしておりましたので、昨年九月に関係省庁連絡会議を立ち上げましたが、そこを通じまして、スポーツ庁、内閣官房、警察庁始め関係省庁が連携して、政府一体となって対策に取り組んでいきたいと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
今、超党派でオンラインカジノ対策の議員立法も提出をするということで、皆さんが汗をかいているところでありますので、力を合わせてこの撲滅につなげていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
官房長官、ありがとうございました。こちらで退席していただいて結構でございます。
○大岡委員長 官房長官、御退席いただいて結構です。
○田中(健)委員 引き続きまして、がらっと変わりますが、富士山登山による救助要請の増加について伺いたいと思います。
近年、閉山中にもかかわらず富士山登山を行い、遭難するケースが後を絶ちません。中には同一人物が短期間で二回も行ってそれぞれ救助されるといった事例も発生しています。こうした救助には膨大なコストがかかっておりまして、さらに、現場で活動する救助隊員の命も危険にさらされています。
現行の消防組織法では、救助活動は基本的に無償とされていますが、閉山期における無謀な登山や明らかに自己責任が問われる行為まで無償で対応すべきなのかといった、国民の理解を今得られる状況ではなくなっているんじゃないかと感じています。
閉山期間中の登山で遭難した場合には、明確に自己責任として救助費用を原則自己負担とする制度を設けるべきではないかと考えますが、お伺いいたします。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
消防組織法第八条におきまして、市町村の消防に要する費用につきましては当該市町村がこれを負担しなければならない旨を規定しております。これは、消防や救助など消防の任務として市町村の活動に要した費用について経費負担の原則を規定したものでございます。
その上で、山岳遭難に係る救助費用を原則自己負担とすることにつきましては、山岳遭難以外の救助活動の場合との均衡、救助活動を行う他の機関との関係、有料か無料かの線引きをどうするか、実際に救助を必要とする方が救助要請をちゅうちょしてしまう可能性があることなど、多くの課題があるものと認識をいたしております。
○田中(健)委員 もちろん多くの課題はあるんですけれども、課題があっても、どうしたらいいかというのを是非考えていただきたいと思っています。
閉山期の富士山の登山というのは、法的に明確じゃないんですね。禁止でもないですし。そして、五合目に、駄目だと書いてはあるんですけれども、しかしながら、それが法的には明記されていないということで、やはり禁止するなら違反者には明確なペナルティー、罰則をかけるべきだと思いますし、あくまで冒険であるという登山の理念を尊重して、登山を認めるならあくまで自己責任、しかしレスキューは自己負担、そういった考えを私は明確にした方がいいと思っています。
その上で、夏季以外の登山を全面的に禁止するというのはなかなか難しいので、無許可登山を原則禁止する。つまり、許可制の登山制度というものも導入をして、国立公園法や観光立国推進の観点から、整合的な法整備をこれから進めていく必要があるんじゃないかと考えますが、政府としての考えをお伺いします。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
富士山などの国立公園における登山利用の在り方につきましては、我が国の国立公園において、国以外の者が管理、所有する土地が多く含まれており、登山道の管理者、土地所有者や関係行政機関などの合意形成の下で、公園の利用実態や地理的条件などの実情を踏まえて検討する必要があるところであります。
こうしたことを踏まえまして、富士山におきましても、様々な関係者が参画する富士山における適正利用推進協議会が設置されており、この協議会の議論を踏まえて、夏山期間以外における登山については、登山道の管理者である静岡県と山梨県がそれぞれ通行止めを行っているものと承知しています。
環境省としても、引き続き、協議会への参画などを通じ、適切に対応していく所存であります。
○田中(健)委員 おっしゃってもらったように、日本の山々は、それぞれ権利関係も違いますので、厳密なルールというのは全てに適用は難しいと思いますが、富士山というのは外国人がこれから殺到する時期を迎えます。そして、今回の二回救助された方も中国人であったということで、なかなか私たちの感覚、性善説が通じない状況でありますから、やはり富士山というのは国際基準に合わせていく必要があるんじゃないかと思っています。
つまり、アメリカでは、登山には事前許可が必要でありますし、無許可登山は即時摘発の対象となります。さらに、登山保険への加入が義務化されておりますし、外国人観光客への保険加入確認などもされています。
こういったことの制度化というのは検討がされているのかを伺いたいと思いますし、また、富士山は、国際的な管理基準に基づいた登山ルールを整備する必要があると考えますので、環境省のみならず、観光庁も含めた政府の一体的な取組を要望いたしますが、いかがでしょうか。
○長崎政府参考人 お答え申し上げます。
富士山を始めとする山岳地域は、我が国の魅力的な観光資源でございまして、世界的にも注目が高まっております。アドベンチャーツーリズムの舞台としても注目され、多くの訪日外国人旅行者の人気を得ているというのは御承知のとおりでございます。
一方、山小屋に泊まらず夜通しで一気に山頂を目指すいわゆる弾丸登山でありますとか、閉山中の登山道への不法侵入、こういった問題も生じているというのは観光庁も承知しております。
こうした中、地元におきましては、これまで、例えば、山梨県側におきましては、入場規制、入山料の徴収、さらには、安全誘導員、巡回指導員の配置でありますとか、静岡県側におきましては、登山ルールの必修学習、さらに、事前登録、安全誘導員の配置等々の対策が講じられ、観光庁としても必要な財政支援というのを行っております。また、本年からは静岡県側でも入山料が徴収されることになるなど、更なる対策というのが講じられる予定というふうに承知しております。
委員御指摘の国際的な管理基準というのがあるというふうには観光庁は承知しておりませんけれども、いずれにしましても、登山に関するルール化、制度化につきましては、これまでの従来の取組、これを踏まえながら、地元の関係者におきましても協議が引き続きなされているところでございまして、こういった結果を踏まえて、我々として、環境省を始め関係省庁と連携しながら、必要な支援の在り方というのを検討してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
地元の富士宮の市長や、また静岡県知事からも、この問題は国と連携して取り組んでいきたいというお話がありましたので、是非力を合わせてこの課題に取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
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○大岡委員長 次に、内閣提出、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。坂井国家公安委員会委員長。
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盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○坂井国務大臣 ただいま議題となりました盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、特定金属製物品の窃取を防止するためには盗難特定金属製物品の処分を防止することが重要であることに鑑み、特定金属くず買受業について買受けの相手方の氏名等の確認を義務づける等の措置を講ずるとともに、併せて指定金属切断工具を隠して携帯する行為を禁止すること等をその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、盗難特定金属製物品の処分の防止のための特定金属くず買受業に係る措置であります。
その一は、特定金属くず買受業を営もうとする者は、営業所ごとに、氏名、住所等を当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出なければならないこととするものであります。
その二は、特定金属くず買受業を営む者は、特定金属くずの買受けを行おうとするときは、一定の場合を除き、買受けの相手方の本人確認を行うとともに、当該本人確認に係る事項等に関する記録を作成し、当該記録を一定期間保存しなければならないこととするものであります。
その三は、特定金属くず買受業を営む者は、特定金属くずの買受けを行った場合には、当該買受けの内容等の記録を作成し、当該記録を一定期間保存しなければならないこととするものであります。
その四は、特定金属くず買受業を営む者は、買受けに係る特定金属くずが盗難特定金属製物品に由来するものである疑いがあると認めたときは、警察官にその旨を申告しなければならないこととするものであります。
第二は、指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止であります。これは、何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定金属切断工具を隠して携帯してはならないこととするものであります。
第三は、特定金属製物品の盗難の防止に資する情報の周知であります。これは、都道府県警察の本部長等は、特定金属製物品の盗難の防止に資する情報を、太陽光発電設備を設置する者等に周知するよう努めなければならないこととするものであります。
なお、この法律の施行日は、盗難特定金属製物品の処分の防止のための特定金属くず買受業に係る措置については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止及び特定金属製物品の盗難の防止に資する情報の周知については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会