第23号 令和7年5月23日(金曜日)
令和七年五月二十三日(金曜日)午前九時七分開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 市村浩一郎君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 尾崎 正直君
岸 信千世君 栗原 渉君
田中 良生君 西野 太亮君
平井 卓也君 平沼正二郎君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 市來 伴子君
おおたけりえ君 岡田 華子君
下野 幸助君 橋本 慧悟君
藤岡たかお君 馬淵 澄夫君
水沼 秀幸君 山 登志浩君
伊東 信久君 三木 圭恵君
石井 智恵君 菊池大二郎君
河西 宏一君 山崎 正恭君
上村 英明君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 坂井 学君
経済産業副大臣 大串 正樹君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
法務大臣政務官 神田 潤一君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 檜垣 重臣君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 谷 滋行君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(警察庁警備局長) 筒井 洋樹君
政府参考人
(金融庁総合政策局審議官) 尾崎 有君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 礒部 哲郎君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 町田 達也君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 殿木 文明君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
梅谷 守君 岡田 華子君
同日
辞任 補欠選任
岡田 華子君 梅谷 守君
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五月二十二日
日本軍慰安婦問題の解決に関する請願(新垣邦男君紹介)(第一二六四号)
同(大河原まさこ君紹介)(第一二八二号)
同(藤原規眞君紹介)(第一三四三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案(内閣提出第四九号)
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○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁生活安全局長檜垣重臣君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○大岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎正恭君。
○山崎(正)委員 おはようございます。公明党の山崎正恭です。
本日は、質問の機会をいただきまして、それもトップバッターでさせていただきまして、大変にありがとうございます。
貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。
今回の法律に関しては、特定金属くずの買受けを行う営業を営む者に係る措置だと承知しています。特定金属くず買受業を営む者は、特定金属くずの買受けを行おうとするときは、一定の場合を除き、買受けの相手方の本人確認を行うとともに、当該本人確認に係る事項等を作成し、当該記録を一定期間保存しなければならないとあります。
そこで、買受業者に義務づけられる本人確認や取引記録保存の具体的な方法などについて今後ガイドライン等を作られるのか、また、盗品の疑いがある場合の警察への申告義務について業者にどの程度の判断責任を求めるのか、また、申告を行った場合などの責任の所在はどうなるのかについてお伺いいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
取引の相手の本人確認や取引記録の作成、保存に関する具体的方法につきましては、国家公安委員会規則で定めることとしております。
国家公安委員会規則では、どのような資料により本人確認を行うか、どのような項目を記録、保存するかを明確に定めることとしておりますが、その内容につきましては、広報資料等により買受業者に対して分かりやすく周知してまいりたいと考えております。
また、買い受けた特定金属くずが盗品に由来するものである疑いがあると認めた場合の警察官に対する申告義務につきましては、特定金属くず買受業者の自主的な取組を促すものでありまして、盗品かどうかを調査、確認することまで求めるものではございません。
他方で、盗品の疑いがあると認めながら申告を怠るなどの事例を把握した際には、業者への指導や指示処分を実施することにより、是正を図ってまいりたいと考えております。
もとより、盗品と知りながら買い受けるような業者につきましては、刑法の盗品等有償譲受け罪を適用するなど、厳格に取り締まってまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。
分かっていて買い受けたら刑法上の処罰があって、怪しいのにスルーしていたら行政指導というふうなわけだったと思います。また、この辺、判断に迷うとか、くぐれないように、しっかりと適正な、プレッシャーになり過ぎない、しかし、しっかりと効力があるような形で、ガイドライン等、規則等を定めていただけたらと思います。
次に、直近二年間の被害状況を細かく見ると、二年連続で茨城県の被害認知件数が群を抜いてトップ、次いで栃木、群馬、千葉、埼玉と、北関東を中心に関東近郊に被害が集中しているように見えます。都道府県ごと、地方と都市部での金属盗難の発生状況や被害実態に差があると思います。
そこで、盗難特定金属物品の流通経路の実態把握はどの程度進んでいるのか、また、今後の実態調査の計画はあるのか、お伺いします。
さらに、それを踏まえた地域ごとの実情に応じた施策や支援体制をどのように構築するのか、お伺いいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
令和五年一月から令和六年六月までの間の金属盗の検挙事例を分析したところ、盗品の処分先が判明しているもののうち、約九割の事例で、窃取された金属くずが金属くず買受業者に持ち込まれていたことが判明しております。
本法律案が成立した暁には、金属盗の発生状況や検挙状況と併せて、特定金属くず買受業者による本人確認や取引記録の作成等も通じて、盗難特定金属製物品の流通実態も一層把握できるようになると考えられ、それらを基に必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
また、本法律案では、届出をした買受業者に盗難特定金属製物品に関する情報を提供するほか、太陽光発電設備の設置者等に盗難防止に資する情報を周知することとしており、地域ごとの金属盗の発生状況に応じた金属盗防止対策をこれら事業者とも連携して実施してまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 私も、事前にお話を聞いたときに、複数回被害に遭ったところもあって、パトロール等も強化していると。それと、やはり茨城県なんかは、太陽光施設が非常に平地にあって取りやすかったりということもあるんじゃないかというふうなことを聞きました。
それと、十七都道府県で条例が制定されているけれども、県をまたいでいくと、緩い、条例が制定されていないところで売られたりするけれども、被害があったところでカウントされるので、茨城県なんかが非常に被害に遭っているので、そういったことでカウントされていく。そういった県またぎについて、この法律ができることが非常に有効だと。
先ほど答弁にもありましたけれども、それと、この法律が制定されることによって、より実態把握が進み、対策も進化していくというふうなことだと思いますので、しっかりとこの取組が進んで、被害がなくなるような形で進めていただきたいというふうに思います。
次に、直近二年間の金属ケーブル窃盗により検挙された人員を国別で見ていくと、二年連続でカンボジア人が一位、日本人が二位。直近の去年を見ると、一位のカンボジア人が二位の日本人の二倍検挙されています。
そこで、検挙人員でカンボジア人が五〇%を占めることについてどのように分析されているのか、お伺いします。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のとおり、令和六年中における太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の検挙人員百四十七人について、国籍別に見ますと、カンボジア人が七十四人と検挙人員全体の約五〇・三%を占めているところでございます。
検挙人員に占めるカンボジア人の割合が大きい理由については、なかなか一概にお答えすることは困難ではございますけれども、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗を敢行した同国人同士の知人関係などを通じて、犯行手口や盗品の売却先などの情報が伝えられることにより、犯行に関与するようになっているものと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
次に、今回のケーブルの窃盗を見たときに、一つは、この背景にあるのは、いわゆる不法滞在者も多くいるのではないかなというふうに思います。外国人の検挙された犯罪の中には、いるのではないかと思います。不法滞在なので、正規の仕事では稼げずに犯罪に手を染めていく者も少なくないと推察されます。
このような実態を鑑みると、今回の法整備とともに、不法滞在者の摘発と両輪で対処していくことが重要かと考えます。近年増加している果樹や野菜、家畜盗難等、必ずしも外国人によるものとは限りませんが、金属盗の取締りが厳しくなれば、他の収入源を追っていく。モグラたたきのようにならないような対応が必要であると考えます。
そこで、不法滞在者の摘発状況や、今後更に強化していくためにどのような取組を行っていくのか、お伺いします。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
全国の地方出入国在留管理官署では、令和六年中に千三百二十か所で摘発を実施してきたところでございます。
入管庁におきましては、独自に、あるいは関係機関等の協力を得ながら、不法滞在者等の情報の収集、分析を行い、事案に応じて警察等とも連携して調査を進め、不法就労や不法残留等の違反事実が確認された場合には取締りを実施し、法令上の手続を経て退去強制を行っているところでございます。
引き続き、警察等の関係機関と連携を取りつつ、不法滞在者の摘発の強化に努めてまいりたいと思っております。
○坂井国務大臣 先ほど政府参考人からも答弁がありましたが、昨年検挙したカンボジア人七十四人のうち不法滞在が八三・八%と、御指摘のように、不法滞在者に対する対策は大変重要であると考えておりまして、今法務省さんからもありましたが、出入国在留管理庁を始めとする関係省庁が連携をして取組を推進していくことが重要と認識をしております。
警察の立場から申し上げますと、こういった入管当局との情報共有や合同での摘発などを行うなどして、令和六年中には三千百五十九人を不法残留等の罪で検挙したところでございます。
また、より一層こういった取締りを推進するとともに、本法案が可決、成立した場合には、特定金属くず買受業者にも不法滞在者等を認知した場合に通報するよう呼びかけるなどして不法滞在者の摘発の更なる強化につなげていくよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
先ほどもあったように、非常に、八三%という高い確率ということで、やはり背景にそういったことがあると思いますので、先ほども申しましたけれども、この法律の整備とともに、しっかりそういった両面でやっていかないとなかなか難しいと思いますので、そういった連携した取組の充実をお願いしたいと思います。
次に、今回の法案では、ケーブルカッター等の工具のうち、犯行使用のおそれが大きい、正当な理由なき、そういった工具の隠匿携帯の禁止が罰則つきで規定されていますが、これもなかなか、隠し持っていては駄目だということで、じゃ、隠し持っていなかったらいいのかという問題もあって、そういったところの判断はどう行っていくのかというふうなことについて懸念があるわけでございます。
そこで、ケーブルカッター等の工具の隠匿携帯規制に関し、正当な理由の有無の判断基準や、現場での運用上の課題について、どのように行っていくのか、お伺いいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
業務その他正当な理由に該当するか否かにつきましては、個別具体の事案に即して、社会通念に照らして、携帯している理由の正当性を評価し、判断することとなります。
例を挙げますれば、例えば、工事業者の方が工事の業務に使うために持っておられるような、携帯されているような場合は正当な理由に該当するものとは思っております。
その正当な理由に当たるかどうかの判断に当たりましては、指定金属切断工具を携帯している方の職業や携帯している状況等に加えまして、携帯に係る動機、目的、時間的、場所的合理性といった要素を勘案し、総合的に判断することとなると考えております。
本法律案の運用に当たりましては、適正な運用が全国で斉一的に行われるべく、都道府県警察に対しまして、具体的な運用基準を示して、その指導を徹底し、正当な理由があって指定金属切断工具を携帯している方が不当に取り締まられることがないよう万全を期してまいりたいと考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
こんなことはなかなかないでしょうけれども、手の込んでいて、業者のようなふりをしてといいますか、車等も作業着等もということがありますけれども、犯行時間を聞くと、大体八割から九割が夜間に行われているというふうなことも伺っておりますので、夜間に、そういった、持っている可能性が高い場合には検挙していくということだと思います。
そういったところに対しましては、国民の皆様方への情報発信をしっかりしていただくことで余計な混乱というか不安を招かないと思いますので、しっかりと周知もしていただきまして、また、今日、答弁の中にもありました、日頃から警察等が業者等への様々な広報啓発をしていくという形で、日頃からしっかりと業者とのコミュニケーションも取っていただきながら、対策の強化に努めていただきたいと思います。
以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
この法案の根拠、いわゆる立法事実で、太陽光発電に関する検挙の事例というものが数字を含めて挙げられております。特に、二〇二四年は、今もお話がありましたけれども、認知件数七千五十四件、それから、検挙件数八百六十八、検挙人数百四十七人で、内訳は、日本人三十七、外国人百十人ということになっています。
政府参考人にお伺いしたいんですけれども、具体的に、こうした形で検挙された人たちというのは、どういう形態で検挙されたんでしょうか。現行犯だったのか、職務質問みたいな形だったのか、あるいは、車を使っていたようなので、車の検問とかそういうものであったのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
令和六年中における太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の検挙人員百四十七人でございますが、これら被疑者を検挙した端緒、様々なものがありますので、一概にお答えすることは難しいのですけれども、例えばということで申し上げますと、関係者からの供述でございましたり、太陽光発電施設等に設置された防犯カメラの捜査、金属くず買取り業者の事業所付近で発見した不審車両への捜査、交通違反取締りなどを端緒とするものがあると承知しております。
警察としては、引き続き、あらゆる警察活動を通じて、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の取締りを徹底してまいりたいと考えております。
○上村委員 ありがとうございます。
今、山崎委員からもありましたけれども、特に、犯行用具の隠匿携帯に罰則がついている同様な法律が、実は、二〇〇三年の特殊開錠用具の所持の禁止に関する法律、いわゆるピッキング防止法というものがございます。これも、正当な理由があるかどうかということと、それから、隠し持っているかどうかという部分で、この二つの要件が、妥当性をどういうふうに判断するのか。
先ほど質問もありましたけれども、例えば私の手元にある資料では、二〇二四年の四月二十八日、東京都日野市で、新聞を自家用車で配送中に一時停止違反で停車を命じられた男性が、トランクに置いてあった金てこを見つけた警察官に隠匿所持として逮捕されたということがございます。
結果的にはこれは不起訴処分になったんですけれども、こういう意味では、外国人だけの問題ではなくて、日本人が、どういうふうな形で正当な理由あるいは隠し持つということを今回は考えていらっしゃるか。
具体的には、今言ったように、検挙したけれども不起訴処分になったという事例というのは、例えばピッキング防止法の場合は、昨年の件数で構わないので、どういうふうな関係性にあるのか、説明をお願いします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
ピッキング防止法に規定する指定侵入工具の隠匿携帯禁止に違反して、我々だと検挙件数を把握しているわけでございますけれども、その検挙件数につきましては、令和六年は百七件というふうになっております。
○上村委員 では、不起訴かどうかというのは法務省の管轄だと思うんですけれども、法務省はいかがでしょうか。
○吉田政府参考人 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反の罪による起訴件数等については、同法違反の罪全体の件数としては把握しておりますが、指定侵入工具の隠匿携帯といった個別の行為態様ないし罰条ごとの統計は取っていないため、お答えすることは困難でございます。
○上村委員 困難という話なんですけれども、先ほども出ましたように、実は、隠し持っていなければいいという、自分が持っていれば大丈夫という、そういうことの中で、非常に、ある種、捜査あるいは警察官の裁量によるところが大きい部分がこの法律にはあるなというふうに思っています。
先に進みますが、検挙人数で外国人犯罪者のことがありました。先ほど数字はもうおっしゃられたので今回は挙げませんけれども、こうした外国人の不法滞在グループが存在するという報告もあるんですけれども、こうした外国人の裏に日本人の犯罪組織が関与しているというようなことに関しては、警察の方では把握をされていることはありますでしょうか。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗で検挙された事案ということで、警察庁が把握している事例の中には、少ないながらも外国人と日本人で形成された犯行グループというものはございますが、指示役として日本人又は日本人の犯罪組織が介在していたというような事例は把握していないところでございます。
○上村委員 ありがとうございます。
さらに、今日は出入国管理庁の方にも来ていただいているんですけれども、本法案の罰則は、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法とリンクして、この隠匿携帯の罪で拘禁刑を受けた者は、執行猶予を含めて入管法の上陸拒否、退去強制の対象になり、また、出国命令や仮滞在の対象外になるというふうに聞いております。
これは、法的に言うと、衡平性、いわゆるバランスの問題、例えば、私が万引きして懲役二十年になるとか、そういうふうな法のバランスの問題で考えたときに、これは問題があるというふうに考えるのではないかと思っているんですが、この辺に関しては、政府参考人はいかがでしょうか、法務省。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
先ほど御指摘のございました入管法第二十四条第四号の二は、平成十三年の入管法改正におきまして、その当時、外国人による窃盗、強盗事件、犯罪組織構成員による粗暴犯罪等が多発していたため、入管法別表第一の在留資格をもって在留する者に係る退去強制事由として、例えば、刑法上の窃盗、強盗、傷害等の一定の罪で刑の執行猶予の言渡しを受けた場合が定められたものでございます。
本法案第二十二条の罪は、外国人や犯罪組織構成員が関与する金属製物品の窃取の準備行為として犯されるおそれのある罪でございます。そして、適正な出入国在留管理の観点からは、このような罪を犯した者については、執行猶予の言渡しを受けた場合でも引き続き本邦に在留することができるとすることは相当ではなく、入管法第二十四条第四号の二の対象となる犯罪に追加することが必要と考えているところでございます。
○上村委員 その辺の部分ですよね。
退去強制に関する入管法第二十四条の四号リというところには、具体的には、対象者は「無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。」というふうになっているんですけれども、本法の第十五条の罰則規定である第二十二条は「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」という表現になっています。
こうした規定間のある種の矛盾みたいなものを、あるというふうにはお考えになりませんか。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
先ほどお答えさせていただいたとおりでございますが、適正な出入国在留管理の観点からは、そのような罪を犯した者については、執行猶予の言渡しを受けた場合でも引き続き本邦に在留することができるとすることは相当ではなく、入管法二十四条第四号の二の対象となる犯罪に追加することが必要と考えておりまして、御指摘は当たらないものと考えております。
○上村委員 ともかく、基本的なことを申しますと、いわゆる軽犯罪の範囲における法律違反、御存じのように、重篤な犯罪というのは、殺人とか傷害とか放火のようなものが重犯罪に当たるわけですけれども、ある種の窃盗の範囲である違反に対して、日本に生活する外国籍の住民の在留資格を奪うということは人権の侵害であり、また、これは先ほど言いましたように、日本人に対しても捜査権の濫用が起こり得るんではないかというふうに考えられると思います。
特に、外国人の場合は、レーシャルプロファイリングという、大体この人が怪しいんじゃないかという、私なんかも、ひげを生やしていると、何か怪しい日本人として見られることもあるんですけれども、こういう、ある意味での差別を全体的に助長する危惧があるんではないかというふうに考えますが、大臣の御見解をお伺いします。
○坂井国務大臣 指定金属切断工具の隠匿携帯に係る取締りに当たりましては、携帯している者の職業や携帯している状況等に加えて、携帯に係る動機、目的、時間的、場所的合理性といった要素を勘案し、総合的に判断するものであり、人種や国籍等の別を理由として判断するものではありませんが、総合的に判断をするという中におきましては、委員御指摘のように、ここは適切に運用を行っていかなければならないと私も認識をいたしております。
いずれにいたしましても、警察の業務遂行において人種や国籍等への偏見に基づく差別的な取扱いがあってはならず、本法律案の運用に当たっても、適正な運用が全国で斉一的に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○上村委員 ありがとうございます。
立法事実があるということに関しては私も異論はありませんので、様々な取締りは必要かと思いますけれども、やはり、いわゆる取締りが濫用されるということに関しては、難しいとは思うんですが、それをやるというのがやはりプロとしての警察のお仕事だというふうに思いますので、是非、そういうところを強調して、この運用に努めていただきたいというふうに思います。
私の質問はこれで終わりにいたします。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、石原宏高君。
○石原委員 自由民主党の石原宏高でございます。
本日は、盗難特定金属製物品の処分の防止に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、坂井大臣にお伺いしたいと思います。
今回、この法律案が提出された背景には、近年の金属盗の顕著な増加があることは言うまでもありません。その対策には、犯罪者を取り締まるだけでなく、盗品の流通を遮断することで犯罪の発生そのものを抑止する必要があります。
他方、そのために、金属くず買取り業者さん、大多数はきちんと商売を営まれている業者だと思いますが、そんな方々にも新たな負担をお願いすることになります。また、太陽光発電の設置やメンテナンスの業者さん、ひいては正当な目的で必要な工具を所持している方にも影響が及びかねません。そういった点にも配慮が必要だと思います。
そこで、大臣に伺います。
今回の法律案を提出するに至った背景及びその意義、期待される効果についてお答えください。
○坂井国務大臣 昨今、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗を始めとする金属盗が増加をしております。令和六年の金属盗の被害額は約百四十億円であり、窃盗全体の被害額の二割となっています。
この種の事案が発生した場合、盗難自体の被害にとどまらず、太陽光発電施設であれば電力供給ができないことによる経済的損失も生じたりいたしまして、国民経済に大きな影響が及んでいることから、対策は急務であり、今回、特定金属製物品の窃取の防止に資することを目的とした本法案を提出をさせていただいたところでございます。
また、これら窃盗には、不法滞在外国人グループらによって広域的、組織的に敢行されている実態があり、一部の悪質な買取り業者の存在がこれを助長しているなど、治安上の大きな課題となっております。
現在、十七の道府県において、いわゆる金属くず条例が制定されているところでございますが、この条例が制定されていない都府県の金属くず買受業者に盗品が持ち込まれる事例も多く、先ほど県またぎという言葉もありましたけれども、法律による全国的な規制が必要かと思われます。
本法案の意義等については、金属くず買受業に係る措置により、窃盗犯による盗品の換金が困難になること、犯行用具規制により、特定金属製物品が窃取される前の先制的な対処が可能となること、盗難防止情報の周知により、各事業者が効果的な防犯対策を講じることで、特定金属製物品が盗まれにくくなることが挙げられ、これらによって金属盗が大きく減少することを期待しているものでございます。
○石原委員 大臣、ありがとうございました。
二問目ですけれども、警察庁の実務統計によると、令和六年の金属盗のうち五五・五%が金属ケーブル、材質別では五四・一%が銅であるとされています。そのため、今回の対象金属は、早急な対策が必要な銅が法律上規定をされておりますけれども、今後、対象となる金属を銅以外に広げることはあるのでしょうか。また、その際の基準はどのようなものでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案では、昨今の金属盗の被害状況に鑑み、法の規制対象となる特定金属として、法律で銅を明記しつつ、その他の金属につきましては政令で定めることとしております。当面は銅を対象とすることを考えておりますが、今後、銅以外の金属の盗難被害が増加するなどした場合には、政令で当該金属を特定金属として規定してまいりたいと考えております。
この特定金属を定めるに当たりましては、当該金属を使用して製造された物品に係る窃盗の認知件数及び被害額や、当該金属の取引価格の状況などから、盗難を防止する必要性を総合的に考慮して、特定金属として指定するかどうかを判断していくこととなります。
○石原委員 ありがとうございます。
次に、金属くず買取り業者の現状についてお尋ねをいたします。
全国にどのくらいの数の業者がいるのでしょうか。また、その分布、規模など、分かる範囲でお答えください。
また、現在、買取り業者はどのような顧客から金属くずを買い取っているのでしょうか。お伺いしたいと思います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
全国に存在する金属くず買受業者の正確な数は把握できておりませんが、いわゆる金属くず条例が令和五年以前から施行されている十六道府県における営業の許可又は届出の件数の合計につきましては、令和五年末現在で二万二千八百三十四件となっております。この件数などを基にしますと、全国に数万程度の金属くず買受業者が存在しているものと考えております。
また、金属くずの買受けにつきましては、業界団体によりますと、工場から発生する端材などの金属くずにつきましては金属製品メーカーなどから、市中から発生する金属くずにつきましては回収事業者、建築物の解体事業者、車の解体、リサイクル工場、自治体などがその顧客となっているとのことでございます。
○石原委員 ありがとうございます。
実務統計のある太陽光発電施設での金属ケーブル盗難について伺います。
検挙された者のうち外国人の割合はどの程度でしょうか。また、単独犯でしょうか、それともグループ犯でしょうか。グループの場合、どのようなグループなのでしょうか、報道でよく耳にするSNSを通じた仲間集めをしているのでしょうか。また、犯罪を犯した際には、不法滞在だとして、そもそもどのような資格で日本に滞在しているのか、教えてください。
○谷政府参考人 お答えをいたします。
太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗で検挙した外国人についてのお尋ねがございました。
令和六年中における検挙人員は百四十七人となっておりますが、このうち外国人は百十人と、検挙人員全体の約七四・八%を占めております。
次に、これらの被疑者が単独犯かグループ犯か、また犯行グループについてどのようなものかというお尋ねがございました。
こうした太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗は、そのほとんどがグループによって敢行されております。また、御指摘のようなSNS上で不特定多数の者に向けて犯罪実行者を募集して犯行グループを形成するというよりは、むしろ外国人同士の知人関係などを通じて知り合ったメンバーらで犯行グループが形成されていることが多いと見ております。
続きまして、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗で検挙した外国人の在留資格などについてお尋ねがございました。
令和六年中に検挙した外国人百十人のうち不法滞在は八十九人と、外国人全体の約八〇・九%を占めております。不法滞在の在留資格別の内訳については、技能実習が六十人と最も多く、不法滞在全体の約六七・四%、短期滞在が十七人と次いで多く、不法滞在全体の約一九・一%を占めております。
○石原委員 用意した質問が多いので、飛ばします。
次に、本法律により切断工具、ケーブルカッター等を隠匿携帯することが禁止されますが、隠匿携帯とは具体的にどのような場合でしょうか。ケースに入れた工具を車で運んでいたら該当するのでしょうか。先ほどもちょっとお話もありましたが、手に持って歩いている場合等はどうなるのでしょうか。教えてください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
一般的に申しまして、犯罪を企図している者は、犯行を容易にするため、周囲の人間の注意を引かないよう例えば犯行用具を隠して携帯、持ち運びするのが通常であるというふうに考えております。
本法律案の参考としましたいわゆるピッキング防止法におきましても、同様の考えから、人目に触れないように隠して携帯していることの危険性の高さに着目して指定侵入工具の隠匿携帯を禁止しているところでございますが、本法律案におきましても、ケーブルカッターなどの指定金属切断工具につきましては同様の規制を行うこととしたものでございます。
指定金属切断工具の隠匿携帯規制に該当するかどうか、これにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、個別具体の事例に基づいて判断することとなります。一義的には、業務その他正当な理由があるか否かということが問題になりますが、その上で、一般論として、隠してということでございますので、他人の目に触れないようにしているということが重要な要素になってこようかと思っております。
他人の目に触れないようにあえてケーブルカッター等をケースに収納して車に積んでいるような場合は隠匿携帯に該当してくる可能性もあるというふうに考えておりますが、ケーブルカッター等を他人の目に触れるような状態で堂々と携帯しているような場合は、これは隠匿携帯には該当しないものと考えております。
なお、電気工事等に従事する方が業務のためにケーブルカッター等を携帯するような、業務その他正当な理由によって携帯する場合は本規制の対象にはなってはおりませんので、このことにつきましては、関係する業界団体等を通じまして御説明してきたところであり、引き続き丁寧な周知に努めたいと考えております。
○石原委員 この点は、是非丁寧な周知をお願いしたいと思います。
昨今、外国人による組織犯罪が増加していますけれども、SNSで仲間を募って犯罪を繰り返す例も報道等でよく耳にします。今回の金属盗についてはそのような例は少なく、外国人などのコミュニティーなどで仲間を集めて犯罪に参加をしているという説明がありましたけれども、そうすると、そのような外国人コミュニティーに対して犯罪防止の取組を、いろいろと事前に説明をして、させないような努力というのが必要だと思うんですけれども、警察庁、警察で外国人コミュニティーに対して犯罪に加担しないようにどのような取組をされているのか、教えてください。
○谷政府参考人 警察におきましては、在留外国人が多く集住する地域、在留外国人が多く所属する企業や学校といった外国人コミュニティーについて、犯罪組織の浸透の防止などのため、関係行政機関や企業等と協調いたしまして、防犯についての広報啓発活動や通訳人との連携等による巡回連絡、コミュニティーの実情に応じた施策を適切に行うための実態把握の推進、違法行為に対する厳正な取締りなどの取組を実施しているところでございます。
引き続き、各種警察活動を的確に行い、外国人コミュニティーへ犯罪組織が浸透することのないよう取り組んでまいりたいと思います。
○石原委員 残り三分ぐらいになりましたので、最後の質問にしたいと思います。
古物営業法において、一万円以下の取引については本人確認が不要とされています。他方、本法律案では、そのような免除規定は置かれていません。もちろん、銅線なんかを大量に持ち込んで一万円ということにはならないと思うんですが、その理由についてお聞かせください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
古物営業法におきまして、対価の総額が一万円未満である取引をする場合、取引の相手方の氏名等の確認義務を免除しておりますが、これは、古物商の負担軽減を図るために導入されたものでございます。
ただ、同法は、書籍等の盗難実態の多い一部の物品につきましては、法の規制の潜脱防止のため、対価の総額が一万円未満の取引であっても本人確認を行わなければならないこととしているところでございます。
本法案におきましては、一定の金額未満の取引についてその相手方に係る本人確認義務を免除することとすると法の規制を潜脱されるおそれがありますので、取引額による本人確認義務の免除の規定は設けなかったものであります。
一方、本法案におきましては、買受業者の負担を軽減するため、過去に買受けを行った際に本人確認を実施している相手方であって、その方の銀行口座への振り込みによって代金を支払う場合、これにつきましては、取引の相手方に係る本人確認を重ねてすることは不要としているところでございます。
今後、更なる負担軽減措置につきましては、事業者の皆様の御意見も伺いながら、また実態を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○石原委員 残すところ三十秒になりましたので、これで質問を終えます。
○大岡委員長 次に、下野幸助君。
○下野委員 立憲民主党、下野幸助です。
今日は、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案に関しまして質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
まず、坂井国家公安委員長に、本法案の背景事情と趣旨についてお尋ねをしたいというふうに思います。
いろいろ数字の話がこれまで出ておりましたけれども、今、資料を確認しながら背景事情を確認させていただきたいというふうに思います。
資料一、右下に配付資料一と書いてありますけれども、左上の円グラフを御覧いただければというふうに思います。
昨年、令和六年の金属盗の認知件数は二万七百一件ということです。この資料にはつけておりませんけれども、一昨年の令和五年と比べて約四千五百件の増加、令和四年と比べますと一万三百件の増加ということで、認知件数、件数ベースですが、金属ケーブルの被害が五五%を占めているというところでございます。
また、右の円グラフも御覧いただければというふうに思いますが、これは被害額です。昨年、令和六年、金属盗の材質別被害額でございます。約百三十六億円ということですが、その七割以上を銅が占めているというところでございます。その理由は下に書いてあります、銅の単価が高いということで、大体一キログラム当たり千百三十一円、アルミが約百八十五円ですから、かなり銅が高いということで、これで銅が狙われるというところでございます。
ちなみに、私の地元の三重県でも、金属ケーブル窃盗に係る件数が全国でワースト六位ということで、都道府県別で見ましたら、関東圏が非常に多いというところでございます。ちなみに、第一位は茨城県の二千三百七十件ということになっているという状況でございます。
このように、犯罪が拡大し、被害額も増大しているので、その金属の買受業者の規制が必要となってくるというのが背景事情でありますが、こういったことを鑑みまして、坂井大臣に本法案の背景事情、趣旨についてお聞かせ願います。
○坂井国務大臣 今委員が御説明をいただきましたように、昨今この被害が大変大きくなっているところでございまして、ましてや、先ほどもちらっと申し上げましたが、太陽光発電施設であれば、電力供給ができないと、できないことによる二次的な被害というものもかなり大きなものとなっておりまして、大変深刻な状況となっているところでございます。
しかも、窃盗を始めとする金属盗の多くは、不法滞在外国人グループらによって広域的、組織的に行われているということが想定されており、一部、こういった犯行、犯罪グループから、悪質な買取り業者がおりまして、買い取っているというところがまたこれらを助長していると分析をいたしております。
ですので、今委員が御指摘ありましたように、まずは、今回の法律によって、窃盗犯が金属くずの買取り業者に、要は売りづらくなる、売ることを難しくするということや、事前に、犯行を実行する前に、そういった犯行用具を規制をすることでそれを防止する可能性があるということ、そして、盗難防止の情報を周知をすることによって、各事業者同士で効果的な防犯対策などを共有し講じることによって、盗まれにくくすることなどを今回の法律では目指しておりまして、これによって金属盗を大きく減少させるということを期待をしているものでございます。
○下野委員 委員長、ありがとうございます。
御指摘のとおり、実行前に防ぐということ、そして売りづらくするというお話、御答弁をいただきました。
それでは、ちょっと前に進ませていただきたいというふうに思います。
私も、今回の法律につきまして、盗むのをいかに防ぐのかという視点と、盗んだものを売ることをどのように、売りづらくするというお言葉もありましたけれども、この二点から質問をさせていただきたいというふうに思います。
私も、盗む被害、先ほど百三十六億円という被害を受けているということと、マーケット、この売買市場はどんなものなんですかねということを事前に経済産業省にお伺いしたんですけれども、マーケット情報がないということでございます。ただ、実際のところ、百三十六億円の被害があるということ、そして銅については九十七億五千万円程度の被害があるということですので、こういったことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
一番はやはり、ずっとお話が出ている外国人の窃盗についてということでございます。
私も、この資料、裏面の資料二を御覧いただければというふうに思います。これももう話は出ているんですが、改めて数字の確認をさせていただきたいというふうに思います。
二〇二四年に検挙された者の七割は外国人ということ、そして、検挙された外国人のうち不法滞在者の割合は八割に上っているということ、そして、先ほども答弁がありましたけれども、技能実習などで来日後、失踪した外国人らが生活費などを稼ぐために離合集散しながら犯行を繰り返す外国人版トクリュウが犯行に関与しているケースが多いとされております。
そこで、まず、坂井国家公安委員長に、外国人版トクリュウの対策をどのように考えているのか。そして、続けて、検挙に占める割合が高い不法滞在者への対策については神田法務大臣政務官にお伺いをしたいというふうに思います。
○坂井国務大臣 トクリュウと名づけた特徴、その都度犯罪メンバーを募集して流動化するなどの特徴を有するこのトクリュウという犯罪集団、この実態解明と取締りを進めているところでございますが、これは日本人に限らずに、今御指摘のように、外国人が関与するケースもあり、今回御審議いただいている金属盗や集団による大量万引きのほか、特殊詐欺等の犯罪にもこの外国人トクリュウグループが関与している実態が見られるところでございます。
こうしたトクリュウによる犯罪については、実行者を検挙するのみならず、中核である指示者、指示役や首謀者を検挙し、その違法なビジネスモデルを解体させることが重要でありまして、警察では、外国人だけにとどまらず、部門横断的な体制を構築し、全警察の総力を挙げた実態解明、取締りを進めているところであります。
外国人が関与するトクリュウの特徴は、それに加え、コミュニティー、外国人同士のコミュニティーがある、コミュニティー同士で仲間を集めたり情報を共有するということがありますので、こういったコミュニティーを通じるなどして必要な広報啓発に取り組むことも重要であると考えております。
入管当局等とも緊密に連携をして、しっかり対策を進めていくよう警察を指導してまいりたいと思います。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
委員御指摘の不法滞在者対策の一層の推進につきましては、私も大変重要に考えております。
入管庁におきましては、独自に、あるいは関係機関等の協力を得ながら、不法滞在者等の情報の収集、分析を行い、事案に応じまして警察等とも連携して調査を進め、不法就労や不法残留等の違反事実が確認された場合には取締りを実施し、法令上の手続を経て退去強制を行っております。
今後は、委員の御指摘も踏まえて、警察等の関係機関と連携を取りつつ、より一層の不法滞在者の摘発の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○下野委員 両政務の決意表明、ありがとうございました。
坂井委員長から、やはりコミュニティーが大切だということ、この表にもありますように、五割がカンボジア人ということと、先ほど、カンボジア人が何で多いんだという質問もされたケースがありましたけれども、やはりコミュニティーという答弁もありました。こういったところをしっかりと調査もしていただければというふうに思います。
そして、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
ごめんなさい、その前に、銅の価値が高いということでしたけれども、銅の代わりに、素材を銅からアルミ等に変更すると犯罪が減るという可能性が高いというふうに思われます。また、ケーブルを地下に埋設することも犯罪を防ぐ有効な手段と考えられますが、太陽光の設置につきまして防犯対策をどのように考えるのか、また、それに対する支援策を講じる予定はあるのか、お尋ねいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
警察庁におきましては、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の被害状況や防犯対策等について、業界団体や関係省庁を交えた検討会を開催したり、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗被害に関し、都道府県警察から経済産業省を通じて業界団体及び事業者に対して防犯の情報を網羅的に提供できる枠組みを構築し、また、警察庁及び関係省庁支援の下、業界団体において推奨される防犯対策の取りまとめと周知などを行っているところであります。
また、都道府県警察におきましても、関係事業者等に対して、地域ごとの盗難発生状況、アルミケーブルの導入、配線の保護対策、防犯カメラの設置などの盗難防止に資する情報を周知するなどしているところでございます。
本法案におきましても、都道府県警察から金属盗難の被害に遭うおそれが大きい方に対して特定金属製物品の盗難の防止に資する情報を周知することとしているところでございます。
今後も、関係機関とも連携して防犯対策を推進してまいりたいと考えております。
○下野委員 ありがとうございます。積極的な防犯対策、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
済みません、神田政務官は退席していただいても結構です。ありがとうございます。
○大岡委員長 それでは、神田政務官、退席していただいて結構です。
○下野委員 次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。不適格者の排除方法についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
本法律案は、特定金属くず買受業者を届出制とすることとし、買受業者に関する欠格要件等は定められておりません。このため、暴力団や犯罪者集団から支配的な影響を受ける事業者が届出により買受業者となることも可能であります。
この買受業者になるか否かの入口の部分で特定の業者を排除するかどうかについて、まずお伺いをしたいというふうに思います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案につきましては、御指摘のとおり、特定金属くず買受業を営もうとする者に都道府県公安委員会への届出義務を設けたものであります。参入規制により事前に不適格者を排除するというような仕組みにはなってはおりません。
○下野委員 そういうことなんですよね。
そこで、坂井委員長にお尋ねをいたしたいというふうに思います。これはなぜ許可制ではなく届出制にしたのか。その検討状況、経緯につきまして委員長にお尋ねをいたします。
○坂井国務大臣 今回の法案の一番の目的は金属盗を防止、減少させるということでございますが、金属くずの買受けに関して買受けの相手方の本人確認等の措置を講ずることにより、盗んだ金属くずが売れない、換金を困難にするということがそのためには重要であると考えております。
また、警察庁において開催をした金属盗対策に関する検討会、有識者の先生方からいろいろな御意見がありましたが、規制を厳しくし過ぎてしまうとそもそも申請や届出を行わない業者も出てきてしまい、実態が把握できなくなることもあり得るため、実態を的確に把握するためには、まずはハードルを余り高くせず、届出制とするべきと考える、こういう御意見があったり、またほかの御意見では、営業規制については業者への負担との均衡が必要であるところ、届出制であれば許可制と比較して規制の程度が弱く、均衡は十分に取れていると考えるなどの御意見をいただいたところを考慮したものでございまして、このような御意見を考慮した上で、盗品と知りながら買受けを行っているような悪質な買受業者、これは確かに存在はいたしますが、ごく一部であると考えられることから、この業に対して参入の事前規制を行う必要までは認められないことを踏まえて、本法律案では届出制を採用することとしたものでございます。
○下野委員 事情の御説明、ありがとうございます。入口の部分で余りハードルを上げてもということであります。
ただ、今回、先ほど言いましたけれども、被害額が百三十億、百三十六億と上がっている状況でございますので、ここの部分は、是非、スタートは届出制でございますけれども、この状況も見ながら今後の対応を御検討していただきたいというふうに思います。
そして、もう一つの視点に質問させていただきたいと思います。更新制度の要否であります。更新作業があれば、その都度、買受業者としては役所に行かないといけないので不便が感じられるかも分かりませんけれども、認識がされるということでございますが、この点、政府のお考えをお尋ねいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案での届出制につきましては、届出の有効期間は設けておりません。また、特定金属くず買受業を廃止したときには届け出なければならないということとしております。
我々警察としましては、特定金属くず買受業を営む者に対しまして、本法案の規定を遵守するよう必要な指導監督を継続的に行っていくとともに、報告徴収や立入検査なども活用しまして、その実態を把握し、違反があれば必要な行政処分や取締り等を行ってまいりたいと考えております。
○下野委員 今回のやつですと、一回届出をしたら半永久的ということでございますので、これは要望なんですが、免許証と同じような形で、五年に一回程度、犯罪の様子、先ほどの届出制、許可制の話もそうなんですが、様子を見ながら、更新のスパンについても御検討いただければというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
関連しますので、二点質問をさせていただきたいというふうに思います。お金の授受の関係でございます。
盗品が持ち込まれた場合、すぐに現金化されたり口座振り込みをされたりすると犯罪者を利することとなるため、金属製物品の持込み後、例えば三営業日後に振り込みますなど、一定のタイムラグを設けるべきではないかと考えます。また、金属製物品が買受業者に持ち込まれた際に、当該物品が盗品でない旨を確認すべきと考えます。これによって、盗んだ側を牽制し、盗品の流通を難しく、犯罪が抑止できると考えます。具体的には、第九条に規定する取引記録に、どこの解体現場で金属製物品を入手したか分かるよう、名称や住所などの入手経路を記載して明確にすべきと考えます。
さきに述べましたとおり、支払いまでのタイムラグを取ることで、入手経路の妥当性の確認もできるというふうに思います。例えば、どこどこの工事現場から電線ケーブルを持ってきたよと言われて、その工事現場の建物のボリュームと、持ってきた電線くずのボリューム、これは全然違うじゃないか、ちっちゃい工事現場なのに、何でこんな大量な金属くずがあるんだ。こういったことで、入手経路を明確にして、また、タイムラグを取ることで、警察においての捜査時間も確保することにつながるというふうに思います。
支払いまでのタイムラグを設けることについてお伺いをしたいというふうに思います。そこまでで質問させていただきたいと思います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
警察庁において開催しました金属盗対策に関する検討会におきまして、規制の目的と業者全体に課される負担との均衡に留意すべきであるという御意見があったところ、盗品の処分を防止するため、まずは、買受けの相手方の本人確認義務等を導入することとしたものであり、金属くずの買受けに係る決済方法や決済時期までは今回は限定しなかったというものでございます。
また、委員御指摘されました取引記録の作成につきましては、買い受けたものを明確にし、買受業者による確認義務履行の担保とするためのものでございますが、その記録事項につきましては、国家公安委員会規則で、買受けの相手方の氏名など、また、買受けの日付、買受けの金額、買い受けた特定金属くずの種類や量、こういったものを定めることを予定しておりますが、いただいた御意見も踏まえまして、業界の意見等も聞きながら、取引記録の記録事項について引き続き検討してまいりたいと考えております。
○下野委員 今回の法案では、売るときに、その本人は確認はするんですけれども、売り先の取引記録というところ、今検討するということですので、是非前向きに検討していただきたいというふうに思います。
では、次の質問に入らせていただきたいと思います。
本人確認の実効性確保と抜け道の防止についてということで、第七条に定める本人確認についてお尋ねをいたします。
犯罪者に利益を出さないためには本人確認手続が重要になってくるものと考えられます。本法律における本人確認手続は犯罪収益移転防止法と同じレベルというふうに聞いておりますが、マネーロンダリング対策を行う金融機関などと比べると、買受業者が行う本人確認が十分に行えるか疑問があります。
本人確認は、もちろん免許証やマイナンバーカード等ありますけれども、在留カード、そして外国のパスポートも本人確認でオーケーということになっています。例えば、先ほどカンボジア人が犯罪の半分を占めるということですけれども、私なんかはカンボジアのパスポートを見たことはございません。恐らく買受業者さんもほとんど見られたことがないということで、ここら辺の部分についての本人確認の実効性を政府としてどのように考えているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
併せて、もう一つお伺いいたします。
本人確認手続を省略できる場合として、過去に取引をした相手方で、代金の支払いなどを預金又は貯金口座に行う場合と定められております。一度信頼を築いた後に犯罪に手を染めて、口座振り込みをさせることによって簡単に利益を得ようということも想定されますが、このような抜け道をどのように封じようとされているのか、御答弁願います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案におきます本人確認の具体的な方法につきましては、犯罪による収益の移転防止に関する法律などの他法令の規定も参考に、個人番号カード、運転免許証、在留カードを始めとする顔写真つきの本人確認書類の提示を設ける方法などを定めることを想定しているところでございまして、本人確認を確実に実施できる方法について検討し、国家公安委員会規則を定めてまいりたいと考えております。
また、買受業者の方に対しましては、本人確認が適切に実施されるよう、本人確認手段となる身分証明書などにつきまして、真偽判別の着眼点等につきまして周知してまいりたいと考えております。また、買受業者による本人確認義務の履行状況につきましても、報告徴収、立入検査等で確認し、必要な指導監督はしてまいりたいと考えております。
また、二回目以降の取引の場合の本人確認についてでございます。
本法律案で、盗品の処分を防止するために買受けの相手方の本人確認義務を課すこととしておりますが、正当な業取引におきましては、同一の相手から継続的に金属くずを買い受けるということも想定されるところでございます。
先ほど申し上げました有識者検討会におきましても、金属くず買受業者の負担軽減の観点から、例えば、二回目以降に同じ相手方名義の口座への振り込みを行う場合など、盗品が持ち込まれるリスクが低いと考えられる場合には本人確認義務を免除するべきであるとの提言がなされていることも踏まえ、買受業者にとって過度な負担とならないようにするため、一定の買受けについて本人確認を不要としたものでございます。
本法案では、過去に買受けの相手方となったことがある者で、当該買受けに際して本人確認を行っている者からの買受けを行う場合であり、かつ、当該買受けに係る代金の支払いをその者自身の銀行口座への振り込みにより行う場合であれば、重ねて本人確認を行う必要性は低いと考えまして、この二重の基準を満たす場合に限って、業者の負担にも配意して再度の本人確認を不要としたものでございます。
ただ、繰り返しにはなりますけれども、業者による本人確認義務の履行状況についてはしっかりと把握し、必要な指導監督はしてまいりたいと考えております。
○下野委員 最後おっしゃっていただきましたけれども、本人確認の周知、そして買受業者へのアドバイス等、特に、関係する国々のパスポートであったり、そういったことの教育の方も、御支援の方もよろしくお願いしたいというふうに思います。
あと、運用について一つ要望なんですが、高額な現金取引は禁止も検討をしていただければというふうに思います。例えば、ATMでも一日五十万円までというふうになっておりますけれども、多額になってくる現金の授受に関しても、問題になった後、取り返しがつかないということでございますので、現金の取引についても、上限についても御検討いただければというふうに思います。
それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。
悪質業者の取締りということで、先ほどから今回は届出制でいくということなんですが、警察に協力をしない業者も出てくることが想定をされます。このような悪質業者への対応について、この法律によって買受業者が果たすべき義務の履行をどのように確保していくのか、この点について明らかにしていただければと思います。坂井委員長、よろしくお願いいたします。
○坂井国務大臣 本法案が成立をし施行されれば、特定金属くず買受業を営む者に対して、本法案の規定を遵守するよう必要な指導監督をまずは行ってまいります。それと同時に、報告徴収及び立入検査も活用して実態を把握し、違反があれば、必要な行政処分、取締り等を行ってまいりたいと思います。
また、無届けで営業を行っている者については届出違反の罰則で取り締まることとなりますが、さらに、本法律案では、無届けで営業している事業者が買受けの相手方の本人確認義務等に違反をすれば、指示や営業停止命令を行うことができるため、状況に応じて行政処分も含めて厳正に対処してまいりたいと思います。
もとより、盗品と知りながら買い受けるような業者については、刑法の盗品等有償譲受け罪を適用するなど、厳格に取り締まってまいる所存でございます。
○下野委員 ありがとうございます。無届けなど、厳正にしっかりとした対応をお願いしたいというふうに思います。
もう一点、買受業者が引き取った後は、最終的には製造メーカーに持ち込んで、銅でもアルミでも、金属くずを溶かして再製品化されるものと考えられます。たとえ買受業者が悪質であったとしても、製造メーカーが気づけばそこで一定の歯止めがかけられるというふうに思っております。この点の対策について御答弁願います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のありましたような金属くず買受業者から製造メーカーなどが買い受ける場合でございますが、そういった場合でありましても、特定金属くずに該当するものを金属製造メーカー等が業として買い受けているのであれば、その限りにおいて、本法案に基づく本人確認等の義務が課されることとなります。
○下野委員 ありがとうございます。今回の法案では、最終的に製造するメーカーまで、転売業者も含めて法律でカバーできるということを確認をさせていただきました。
最後に、もう時間が参っていますので、御要望だけさせていただきたいというふうに思います。
指定金属切断工具の購入者への周知ということで、これは隠匿であれば違法ということでございますが、こういう今回の法律が成立いたしましたら、ホームセンター等で、隠匿では駄目ですよというような広報啓発の方をお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、石井智恵君。
○石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。
今回の法案は金属の盗難を防止していくための法案ではありますけれども、それに関連して、新たな課題として、太陽光発電のケーブルの盗難が増えていくことによって太陽光発電事業の保険料が高くなってしまっているという、そういった問題も起きております。事業者の方も、保険料が高くて払えないということから、新設は見送り、そして増設はもうできなくなっているということが起きているわけであります。その結果、保険料が高くなって、そういった状態が続いてしまえば、電力供給というものも賄えなくなってくる。日本の再生可能エネルギーにとっても、これは大きな打撃になっているということであるというふうに思います。
そこで、お配りしております資料一の新聞記事を御覧いただきたいというふうに思います。
盗難被害が急増していることで、太陽光発電事業者が払う保険料が高騰しているというような記事であります。こちらは、電力会社の労働組合、電力総連の方から情報提供していただいたものであります。保険料が高くなっていることについて、事業者に負担が重くのしかかっているということであります。太陽光発電の業界では、パネルを増設するのにも障壁になっているというような記事が書かれております。
保険会社では、被害に遭った太陽光発電事業者への保険金の支払いも年々増えているということでありまして、特に盗難による支払いは二〇一七年度から二〇二二年度にかけて二十倍増えているということでありまして、機関投資家からの資金調達にも影響が出ているということであります。
ここ数年、多くの金属盗難の問題で、太陽光発電はリスクが高い事業となってしまっておりまして、保険料が高騰して、このまま続けば、太陽光発電事業者が事業継続できなくなるかもしれないという深刻な問題へと発展をしております。
現在、日本の再生可能エネルギーの約半分は太陽光のエネルギーで賄っておりますので、太陽光発電が停滞することは電力が足りなくなるということにもつながってくるわけであります。盗難防止という問題だけではなくて、日本のエネルギー政策全体の問題になっているということであります。
次に、裏面の資料二を御覧ください。
こちらは一般社団法人太陽光発電協会がまとめたデータでありますけれども、太陽光発電事業の規模による、一年間で新しく電気が作られる電気の容量についてグラフにしているものであります。オレンジ色は小規模、紫は中規模、また、青色は大規模の電気事業者ということになりまして、二〇一四年をピークに電気が作られる容量が徐々に減ってきております。青色の大規模電気事業者では、二〇二三年から二〇二四年にかけて一気に減ってきております。
全体では、二〇二三年は三・一ギガワットまで落ち込んでおりまして、昨年、二〇二四年十二月までになりますが、一・八ギガワットまで落ち込んでおります。この時期は保険料が高騰している時期とも重なっております。
これは新規での導入が進んでいないということでありまして、この要因として、資源エネルギー庁にお聞きしたところ、大規模な太陽光パネルを設置するための土地がなくなっているというような説明もありましたけれども、私は、もう一つの要因として、保険料が高くなってしまっていて、新規の設備の導入ができなくなっているということを考えております。
こういった実態や現状を政府としてどこまで把握されているでしょうか。資源エネルギー庁にお越しいただいていますので、見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、盗難に起因しまして保険の引受け等に影響が生じていること、また、保険料が高騰していることについて認識してございまして、昨年九月に開催をいたしました経済産業省の審議会におきましても、太陽光発電施設における火災保険契約の現状につきまして、事業者からヒアリングを実施したところでございます。
太陽光発電における盗難事案は、犯罪行為であることはもちろん、今まさに御指摘いただきましたとおり、エネルギー政策にも大変影響を与えかねないという、経済産業省として、再エネ長期安定電源化の観点からも憂慮すべき事態、事案であると認識してございます。
○石井委員 ありがとうございました。
なぜこの数年でここまで新規電力の導入量が大幅に減ってしまっているのか、それはやはり盗難による保険料が高くなっているということも要因だと思いますので、その辺りの分析調査をした方がいいかなというふうに思います。
ケーブルの盗難被害が多くなっていることによって保険料が高くなっている、そのために事業が縮小している、そしてまた事業撤退に追い込まれてしまっている、こういった実態は、早急に詳細に対策を取っていくべきでありますので、その調査、是非お願いしたいと思います。こちらは要望とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、太陽光発電事業のリスク評価についてお伺いいたします。
先ほども述べましたように、保険会社も保険金の支払いが大きく増加していることから、保険会社からも太陽光発電事業者へリスク対策を提案しているケースがあります。
昨年十一月に、東京海上ディーアールでは、太陽光発電設備の盗難リスク評価と対策提案に関するサービスを開始したというふうに発表しております。今回の評価では、二千件以上のリスク評価実績、そして事業者における盗難リスクの評価実績によって得られた経験を活用したというふうにしております。
このサービスは、現地調査を実施した上で、太陽光発電所の立地、環境、設備、その対策の実施状況、そして警備体制を把握をして、盗難リスクに等級をつけて、そして対策実施前後の予想最大損害額を算出をしております。そして、投資効果を考慮して適切な盗難対策を提案をしております。
ただ、こちらは費用がかかってきております。簡易的な評価では二十五万円程度、そしてフルセットのパッケージだと七十五万円程度かかるということであります。
しかしながら、このようにリスク評価を行ってしっかり対策を取っていくことが盗難防止にもなりますし、そして保険料の高騰にも歯止めをかけるというふうになってくると思います。こちらの活用、是非、必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
そこで、資源エネルギー庁にお聞きしますけれども、このような保険会社によるリスク評価について、資源エネルギー庁ではどのように働きかけを行っていますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
太陽光発電の保険に関する問題の解決のために、保険会社におきまして、本法案や発電事業者による盗難防止の取組による盗難リスクの低減状況を正確に把握いただけることが大変重要だと承知をしてございます。
経産省としまして、業界団体がまとめた有効な盗難防止対策や太陽光発電施設の盗難リスクの低減状況を評価するチェックリストの改善等を通じまして、保険に関する問題の解決につながるよう、保険会社に情報提供を行い、丁寧に対話を行っているところでございます。
委員から御指摘いただきましたような保険会社のリスク評価も含めまして、経産省としまして、保険会社と連携をしつつ、効果的、効率的に盗難リスクの低減を図っていくこととしておりまして、こうした取組を進めながら太陽光発電の導入拡大にしっかりつなげてまいりたいと存じます。
○石井委員 ありがとうございます。
今日は金融庁にもお越しいただいております。
この太陽光発電事業の保険料の高騰について、金融庁ではどのような見解か、教えていただけますでしょうか。
○尾崎政府参考人 お答えいたします。
太陽光発電所の損害保険料は、損害保険会社が、事業や設備の規模、保険金の支払い実績等のリスクに応じて設定いたすものでございます。御指摘のとおり、近年、自然災害の影響や盗難の急増等を受けた保険金支払いの増加に伴い、保険料水準も上昇していることは承知しております。
また、こうした中で、損害保険会社によっては、施設の防犯設備が充実している場合には保険料を抑制したり、少額の損害に対する免責を設定したりするなど、損害保険料の上昇を抑えつつ、可能な限り補償を提供するように対応している事例もあると承知しております。
金融庁としては、こうした損害保険会社等の取組を注視しつつ、必要に応じて後押ししてまいりたいと考えております。
○石井委員 ありがとうございました。
盗難が増えていることによって保険料が今非常に高くなってしまっていて、事業が継続できなくなってしまっているという現状があります。金融庁では保険会社の指導もされているということでありますので、是非リスク対策にも協力していただけるように、また、それに便乗して保険料をかなり上げてしまうということも防がないといけないと思いますので、その辺りも是非指導をよろしくお願いいたします。
次に、太陽光発電事業所の保守点検についてお伺いしたいと思います。
今、太陽光パネルを設置しているところで、事業者の管理が行き届かなくなってしまっておりまして、太陽光パネルを設置しているところに草がかなりぼうぼうと生えてしまっているということであります。草が伸びてしまって太陽光パネルに覆いかぶさってしまっているということは、結果的に発電効率も下がってくるということであります。
太陽光発電の保守点検の責任者の管理も、今、ずさんだという問題も起きております。草が伸びてしまって管理がずさんになるということは、もちろん盗難が起きやすくなるというふうなこともありますし、同時に、草が伸びてしまっている、その伸びたものが、枯れ草というか、枯れてしまっていて、それで太陽光発電が損傷して、例えば電圧が上がっていったことによってその枯れ草が燃え広がっている、山火事になる可能性もあるという、非常にリスクも高くなっているということであります。
太陽光発電の管理がずさんなことによって、様々、盗難ももちろんですけれども、火災の要因にもなるということで、かなり保守点検というものが非常に重要だというふうに思います。
そこで、経済産業省に今度お聞きいたします。
現在、保守点検ということで、太陽光発電事業に係る法律には、二〇二三年に法改正をした電気事業法がありますけれども、この法律によって、太陽光発電の保守管理についてどのような対応を取っているのか教えていただけますでしょうか。
○殿木政府参考人 太陽電池発電設備の保安上の対策についてのお尋ねでございますが、委員御指摘のとおり、太陽電池発電設備につきましては、過去に枯れ草に引火する火災事故も発生しておるところでございまして、その設置等に当たりましては、火災のリスクも含めて十分な安全対策を講ずることが必要であると考えているところでございます。
このため、電気事業法におきましては、一定規模以上の太陽電池発電設備の設置者に対しまして、火災や感電のおそれがないよう設備を設置、維持管理することを求める技術基準に適合することを義務づけているところでございます。
加えまして、今月には、新たに火災防止のために講ずべき措置の例として、発火の可能性のある機械器具につきまして、周囲の枯れた草木を除去する、難燃性のシートを敷く、あるいは、砕いた石を敷き詰めることなどの措置を示したところでございまして、このような例などにつきまして、関係業界団体等を通じて周知を行っているところでございます。
経済産業省といたしましては、今後とも、これまで申し述べたことも含めまして、保安規制の着実な執行等に取り組み、太陽電池発電設備の安全確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○石井委員 ありがとうございます。
経済産業省では、今、電気保全という管理について、例えばAIとかドローンを使って遠隔操作をしながら保守メンテナンスなどを行っているということをお聞きしております。こういった開発も併せて是非お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
あと、メンテナンスをできるようにするための、やはり、簡易的にできることであったり、導入しやすいようなことも必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上、これまでの議論を踏まえて大臣にお聞きしたいと思います。
太陽光発電事業を守っていくために、先ほどもこれまで議論をさせていただいたんですけれども、太陽光発電事業者、保険会社、警察、そしてまた各省庁、それぞれ、自治体も含めて、あと地域も含めて、一体となって連携しながら、盗難防止また火災の防止も必要だというふうに思います。そういった連携を通してやっていく必要があると思います。
この法案の中に、第十六条では、盗難防止の周知徹底について書かれておりますけれども、改めて、この質疑を通して、太陽光発電事業も守っていくために各省庁の連携などを図っていく必要があると思いますけれども、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○坂井国務大臣 石井委員の本日の質疑を通じまして、金属盗、特に太陽光発電のケーブルが盗まれることが、治安や、一義的、二義的な経済損失だけではなくて、太陽光発電事業を継続的に進めていくために様々な困難な状況を生んでいる、ひいては、再生可能エネルギーの施策、日本の施策全体にも影響を及ぼすような大きな影響があるんだということを改めて認識をしたところでございまして、金属盗の抑止を図っていくことが重要と認識をしているところでございます。
しかしながら、我々警察は、警察の立場から、防犯対策、そして取締り、検挙といった面でしっかりやっていきたいということを考えているところでございますが、当然のことながら、関係機関との連携を図っていくことは必要だと考えております。
警察庁におきましては、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の被害状況や防犯対策等について、業界団体や関係省庁を交えた検討会の開催、また、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗被害に関し、都道府県警察から経済産業省を通じ、業界団体及び事業者に対して防犯情報を網羅的に提供できる枠組みの構築、それから、警察庁及び関係省庁支援の下、業界団体において推奨される防犯対策の取りまとめと周知等を行っているものと承知しております。
また、各都道府県警察におきましても、関係事業者等に対して、盗難防止に資する情報の周知が行われております。
本法案においても、都道府県警察から関係事業者に対して、特定金属製物品の盗難の防止に資する情報を周知することとしております。
今後も関係機関と連携した防犯対策を推進するよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○石井委員 ありがとうございます。
今回の法案は盗難防止を強化していくということでありまして、もちろん、盗難防止をしていくための徹底した対策というものが必要であります。
同時に、やはり、太陽光発電をやっていらっしゃる方々もリスク対策をしっかりと、自主点検も行っていきながら、両輪でやっていく必要があるなというふうに思っております。そういったいろいろな情報をやはり共有していただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、少し時間がありますので、また資源エネルギー庁にもお伺いしたいと思います。
資源エネルギー庁では、先週の十五日、再生可能エネルギー発電設備の現地調査を行うというふうに発表されております。
今回の議論を踏まえて、是非、事業者の皆さんへのリスク管理の在り方、そしてまた対策の啓蒙、そして地域住民の意見などに耳を傾けていただけたらというふうに思いますし、調査を実施していくということでありますので、その調査を、これまでの議論を踏まえて、盗難防止、リスク対策、こういったことを踏まえながらの現地調査を行っていただきたいと思いますが、現地調査をスタートしていくに当たっての見解をお聞かせいただけたらと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきました再生可能エネルギー発電設備の現地調査につきまして、昨年度から、事業規律違反、また関係法令違反が疑われる不適切案件を洗い出すことを目的に実施しているものでございます。
これまで約千三百件にわたる調査の結果、御指摘のとおり、柵が設置されていない不十分な管理のものや、パネルが下草に覆われているもの等、管理が行き届いていない発電事業者に対して指導を行ったところでございます。
このような指導を通じまして、適切な再生可能エネルギー事業を促すことで、今後の盗難防止にも貢献するものと考えておりまして、引き続き、現地調査をしっかり行ってまいりたいと存じます。
○石井委員 ありがとうございました。
しっかり、盗難防止をしていくための現地調査は非常に重要だと思います。いかに、盗難を防止していくために、どこがリスクがあるのかとか、柵はどういうふうにすればいいかとか、草がぼうぼうになっていないかとか、地域住民とやはり一体となって対策を取っていく必要があると思いますので、是非、この現地調査の結果を生かして盗難防止につなげていく、そしてまた各省庁とも連携を取っていただいて、太陽光発電、日本のエネルギー政策に非常に重要な政策の中で、盗難防止も行っていくということをお願いをしたいと思います。
以上、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、三木圭恵君。
○三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。
今日も内閣委員会で質疑をする機会をいただき、ありがとうございます。
昨今、発電施設の銅線ケーブルなどを窃盗して売りさばくという犯罪が横行しているわけでございますが、発電施設の銅線の修復や人感センサー付高性能カメラの導入等に加えて、復旧まで発電による売電収入も得られずに窮地に立たされるケースがあるというふうに聞いているんですけれども、この盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案を提出されるに当たり、事の背景と、坂井大臣のこの法案にかける意気込みをお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 昨今、今までの質疑にもございましたが、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗を始めとする金属盗が増加をいたしております。そして、今委員からも御指摘ありましたが、それによる経済的な損失も生じているところでございまして、まず、国民経済に大きな影響が及んでいる、同時に、治安に対しても、治安上も大きな課題となっている問題でございます。
ですから、今回、この金属盗の買受けを困難、要は、しづらくするというような法律、今回の法案を提出をさせていただくわけでありますが、それによって、この金属盗の抑止及び検挙を一層推進するようしたいと考えているところでございます。
これは三点、先ほどから申し上げておりますが、盗品の換金を困難にすること、それから犯行用具を規制をすること、そして盗難防止情報の周知によって防犯対策を進展させること、この三つを大きな柱として考えております。
○三木委員 今大臣がおっしゃったとおり、様々なところで被害を被っている経営者の方々がいらっしゃると思うんですね。
例えば、群馬県の万座温泉のスキー場で盗難被害があって、リフト五本のうち四本が運休したり、十四の滑走コースも二コースに限定するなどの被害が出ています。中腹にあるリフト駅舎やレストハウスのケーブル類、リフト整備に使う工具や水道の蛇口などが盗まれて、リフト運行に必要な高圧受変電設備や分電盤は壊され、建物の壁も破られて内部ケーブルが盗まれていた、こういったスキー場にも被害が出ている。
また、発電で売電をしている人などは、発電量がゼロになって初めて被害が分かったという方が多いと思うんですけれども、盗まれた銅線の修復にかかった費用が、約八百四十メートルが盗まれていたというところでは約九百万円、人感センサーつきの高性能カメラを入れて、防犯カメラの台数を増やして、発電施設の入口には車止めの柱も設置した、こうした防犯対策の費用はさらに六百万円に上った、復旧までは売電収入も得られず、約二千万円の見込みが吹き飛んだ、発電施設を造る際に借りた月々の資金の返済は貯金を切り崩して賄ったという、こういう新聞記事がございますので、是非とも、警察を挙げて、こういった被害が少なくなるようにお願いをしたいと思います。
次に、第十条において、「特定金属くず買受業を営む者は、取引の態様その他の事実に照らして、買受けに係る特定金属くずが盗難特定金属製物品に由来するものである疑いがあると認めたときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」としておりますけれども、買取り業者が、盗品と分かっていたとしても、盗品とは分からなかったとしらを切ればどうなるのか、お答えください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案では、特定金属くず買受業者に対して、その買い受けた特定金属くずが盗品に由来するものである疑いがある場合に、このことを警察官に申告することを義務づけておりますが、これは、特定金属くず買受業者の自主的な取組を促すものであり、盗品かどうかを調査、確認することまで求めているものではございません。
他方で、盗品の疑いがあると認めながら申告を怠るなどの事例を把握した際には、業者への指導や指示処分を実施することにより是正を図ってまいりたいと考えております。
もとより、盗品と知りながら買い受けるような業者につきましては、刑法の盗品等有償譲受け罪を適用するなど、厳格に取り締まってまいりたいと考えております。
○三木委員 そこの義務づけは、まだはっきりと、そういったところまではできないというところだと思うんです。
こちらの方は朝日新聞の記事なんですが、二〇二五年の三月十八日に、兵庫県警が逮捕しているんですけれども、被害総額一億円以上と見られる窃盗の金属くずですね。盗んだ方は、住所不定の無職のホアン・バン・ダオ容疑者らベトナム国籍の男四人。捜査関係者によると、四人は、昨年六月から十月、兵庫県や福岡、神奈川など六県の金属買取り業者の敷地などに侵入して、銅線など五千七百万円相当を盗んだ疑いがあると。
こういったときに、買受業者の方は、社長夫妻を先ほどおっしゃっていた盗品等有償譲受けの疑いで逮捕したんですけれども、この夫妻は、盗まれたものだと知らなかった、そういうことを否認しているというふうに新聞記事には出ております。こういったこともあると私は思いますので、分かっていても買ってしまう、そういったことが多々出てくるんじゃないかという危惧を抱いております。
それで、盗品とは分からなかったということを経営者が言っていたとしても、例えば、経営者がその買取りの場所にいなくて従業員が買取りをした、経営者の方は、従業員が買取りをしたから盗品だと分からなかったというふうになると、従業員だけが逮捕されてしまうというようなケースがあると思うんですけれども、これはどのように対応をしていくのか、お伺いをいたします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
通常、金属くず買受業者の業として行っているものであれば、従業員が行った行為につきましても、その監督責任等が経営者の方にもあろうかと思います。
ただ、どのような範囲で検挙できるか、法に触れることをしているのかというのは、個別具体の事案で判断するものだと思いますので、必ずしも、従業員が買取りをしたから、じゃ、それが経営者に責任があるのかどうかというのは、まさに実際の事実の下に判断していくことかと思いますし、先ほど委員がおっしゃいましたように、盗品であることを知りながら有償で譲り受けていれば、それは刑法に該当しますので、厳しく取締りを行ってまいりたいと考えております。
○三木委員 こういった場合は情況証拠を積み上げていくしか方法がないというふうに思うんです。
一例を挙げますと、盗品と知りながら銅線ケーブルを買い取ったとして、警視庁は、金属買取り業者、祥瑞、栃木県の業者さんです、代表で中国籍の佐藤強容疑者を逮捕したというふうに書いてあるんです。
最初は、この経営者は、知らないところで従業員が買取りをしていたからというふうに否認をしていたわけですけれども、なぜこれが経営者が逮捕されたのかというと、別の案件で、その会社の従業員、これも中国籍の方なんですけれども、その前にも同じようにタイ人の窃盗グループから盗品と知りながら銅線ケーブルを買い取っていたという事例があって、情況証拠を積み上げていったら、いろいろなところから聞き取りをして、実は経営者と売っていた人がそういう会話をしていたということが分かって、経営者が逮捕されたというふうな新聞記事がございます。
この新聞記事で、私はやはりここが問題だなと思ったのは、盗品の金属の買取りで経営者が逮捕されるのは異例というふうになっているんですね。やはり、従業員だけが罪を着せられて、経営者の方は何も逮捕されないというケースの方が圧倒的に多いのではないかと思うんです。これはやはりトカゲの尻尾切りというふうになりますので、是非こういったことも対応できるような対策というものを取っていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
経営者までが検挙されるのは異例だということではございますけれども、あらゆる犯罪におきまして、どのような事実があるかというのを、証拠を積み上げて誰が被疑者であるかを特定しまして逮捕することになろうかと思います。
当初は知らなかったというような話でございますけれども、犯行、犯罪を犯した者が最初から素直に認める方ばかりではありませんので、否認しているところを、我々はいろいろな捜査によりまして証拠を集めて、否認はしていても実際は知っていたかどうかというのを確認していくこととなるかと思います。
また、犯罪捜査にかかわらず、今回、この法律案ができましたら、申告義務、これはあくまで自主的な取組を促すというものではございますけれども、我々の方からもその趣旨をしっかりと業者の方には説明して、協力を求めていきたいと考えております。
○三木委員 善意の業者ばかりではないということで、こういった新しい法律もできて、きっちりとそういった、義務ではないけれども申告をしてくださいということを、買取り業者の方にも是非とも警察庁の方からもしっかりと周知をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
次に、有識者検討会でも、買受業者は届出制になりますけれども、業者として届出をせずに盗品を買い取る業者が活動する可能性というものを懸念をしていますけれども、届出せずに、アンダーグラウンドで、アングラで金属くずを買い取るというような業者に対してはどのように対応していくのか、お伺いします。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法律案では、買受業者に届出制をしいておりますが、無届け営業につきましては六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金という罰則が設けられておりますので、無届けに関してはこの罰則を活用して取り締まっていくこととなります。
さらに、本法律案において規定する買受けの相手方の本人確認義務等につきましては、届出の有無にかかわらず、特定金属くずの買受業を営む者全体に課されるものでございますので、無届けで営業している事業者がこれらの義務に違反すれば、公安委員会は指示や営業停止命令を行うこともできることとなっております。
もとより、盗品と知りながら買い受けるような業者につきましては、刑法の盗品等有償譲受け罪を適用するなど、厳格に取り締まってまいる所存でございます。
また、届出をしている事業者につきましては、その名称や届出番号等を公衆の見やすい場所などに表示することとしており、外形的に届出の有無を判別できるようにすることで無届けの事業者を市場から排除することを目指しております。
警察では、平素から管内の実態把握を進め、無届けで特定金属くず買受業を営む者につきましては、厳正に取り締まってまいりたいと考えております。
○三木委員 いろいろと対応をしていくということで、届出がない業者がそういった買取りをしないようにということで、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、売買の形態についてお伺いいたします。
これはイギリスの法律なんですけれども、二〇一三年にイギリスでは金属くず取引業法の制定というものをしております。この中で、金属くず取引業免許制度と、営業規範及び補則を定めております。その営業規範の第十条から第十五条において、金属くず取引業者に対し、免許証の謄本を事業所に提示する義務と、金属くずの取引及び処分に関する詳細かつ正確な記録を保存する義務並びにその売主の身元を確認する義務を課しています。ここら辺は日本と同じだと思うんですけれども。その上、なお、二〇一二年の一九六四年法改正により、業者による金属くずの現金買取りが原則禁止をされております。二〇一三年には事実上これを引き継ぐ罰則が設けられたとあります。
そこで、やはり現金で買取りをしておりますと、犯人の足取りも追いにくくなりますし、売手の銀行口座を把握していくということは犯罪の防止にもなりますので、是非取り入れていただきたいと思いますけれども、日本でも身元確認をよりしっかりと行う目的により、現金買取りは原則禁止としてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 業界団体によれば、金属価格の高騰によって一回当たりの取引金額が高額となってきている、金属くずの買受けにおいて、現金取引はそれもあって少なくなってきているということではありますが、引き続き、現金で取引されている例は当然あるということであります。
警察庁において開催をいたしました金属盗対策に関する検討会において、規制の目的と業者全体に課される負担との均衡に留意すべきであるとの御意見があったところであり、盗品の処分を防止するため、まずは、買受けの相手方の本人確認義務等を導入することとしたものであります。
私どもとしては、この義務を導入することによって、当初の目的がかなり達成できるのではないかと想定をしているということでございまして、今回は金属くずの買受けに係る決済方法までは限定しなかったところでございますが、本法案施行後の情勢等々は注視をして見てまいりたいと思っております。
○三木委員 いきなり全部の現金取引を禁止するというのは非常に難しいことかもしれませんけれども、大体多額の、百万円以上であるとか、そういった金額だったらもう銀行取引にするとかというのは、私は有効な手段だと思います。
この法案の中にも、本人確認というのは、以前の業者で銀行取引をしているところは本人確認もしなくてもいいですというふうになっているぐらい、やはり銀行口座というのはしっかりとした身元を証明するようなものにもなり得ると思いますので、是非こういったことも検討をしていただきたいというふうに、これは要望をしておきますのでよろしくお願いをいたします。
次に、窃盗に遭ったケーブルというのは銅からアルミの方に代替されていくという方向で今進んでいると思います。アルミの方が軽量であるし、使い勝手がいいし、銅よりアルミの方が値段が安いから、発電業者の方もこちらの方がいいというふうに思っていると思うんですけれども、今後、アルミの買取り価格というのが上昇する可能性というのもある。
こちらにも、新聞記事ばかり引用させていただいておりますけれども、丸紅軽金属部地金課の赤坂英佑課長は、足下の価格水準であればアルミシフトが進みやすいと。でも、丸紅が調査したところによると、世界のアルミ需要が前年比二・六%伸びている。電力関連のアルミ使用量は世界で五%増と見込まれております。純度の観点から、何か電線関連にはリサイクルしたアルミの使用は適さないみたいで、新地金への需要増を通じて中長期的にアルミの価格の上昇圧力につながりそうだというふうに言われております。
そこで、今は銅を特定金属の指定にしておりますけれども、今後、アルミの買取り価格が上昇する可能性も十分あると思いますが、特定金属の指定は増える方向にあると考えてよいのでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法案では、銅以外の特定金属につきましては政令で定めることとしております。銅以外の金属につきましては、盗難被害が増加するなどした場合には、それを特定金属として規定することを検討してまいりたいと考えております。
○三木委員 いろいろな可能性を今から見ていく必要というのがあるのかなというふうに思いますので、そこら辺は柔軟に対応していただけたらなというふうに思います。
それで、もう何人か質問されていると思うんですけれども、ケーブルカッターとかですね。十五条、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定金属切断工具を隠して携帯してはならない。」というふうに言われていますが、ケーブルカッター等を隠し持っているという状態はどのような状態を指すのか、お答えください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法律案では、指定金属切断工具を業務その他正当な理由がないのに隠して携帯することを禁止しております。このうち、隠してということにつきましては、他人が通常の方法で観察した場合にその視野に入ってこないような状態に置くこと、つまり、普通では人の目に触れにくいようにするということでございますので、外形的によく分からないような形で携帯をしていれば、それは隠してということに評価される場合があると考えております。
○三木委員 隠し持っているという、いわば警察側の恣意的な見方により強引な取調べや捜査に発展してしまうのではないかという懸念もございますので、そういったところを十分に留意されて取締り等を行っていただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
次に、ちょっと時間がなくなってきましたので、一つ飛ばさせていただきまして、外免切替えについてお伺いしたいと思います。
身分証明書というものをして本人確認ということをするというふうになっていますけれども、今回の金属盗の買受業者の場合は、外国人の場合は免許証プラスビザとかパスポートとかをもって本人確認をするということなんですが、外免切替えについて、私も予算委員会の方で質問させていただきました。
制度と運用が変わるというふうに昨日報道もございましたが、どのように変わるのか、ちょっとお答えいただけますか。
○坂井国務大臣 委員からも御質問をいただいて、そのときには、改善の余地があるということで、検討を進めたいということを申し上げたと思います。
今は、その検討の方向性ですが、我が国の外免切替え制度を見直した場合に、相互主義的な観点から、日本人の外国での外免切替えにも影響が生じるおそれがある。外国の外免切替え制度等の調査を進めて、その結果も踏まえて、申請者の住所を確認する方法、交通ルール等の知識、技能の確認方法等について見直しを進めているところでございます。
今申し上げられる範囲で申し上げますと、具体的には、外免切替えに当たって申請者の住所を確認するために提出を求める書類につきましては、申請者の国籍にかかわらず住民票の写しとすることを原則としたいと考えております。こうなりますと、観光で滞在する者の外免切替えを認めないという形になります。一方で、国外に転出中の日本人、また外交官などについては、例外的に住民票の写し以外の方法で住所を確認することを今考えております。
このように、まず住所確認の手続を厳格化すること、そして、日本の交通ルールを十分理解しているか確実に確認するために、知識確認、技能確認、この方法を厳格化することが必要ではないかと考えております。
今申し上げるのはここまででありますが、今後速やかに外免切替え制度の改正案等を取りまとめて、パブリックコメントを実施するなど、必要な手続を進めてまいりたいと思います。
○三木委員 今御答弁いただけるのはそこまでということでございますので、私の方からちょっと大臣の方に要望といいますか、答えられるところがあれば答えていただきたいんですけれども。
筆記試験は十問中七問正解で通過することができて、余りにも簡易だということで、どのように変わるのかというのは注目されるところだと思うんですけれども、日本人が普通に免許を取る場合は、九十五問あって、その九〇%の正解が合格ラインとなっていますので、非常に、十問中七問でイラストがメインの筆記試験というのはやはり簡単過ぎるので、この筆記試験を日本人と同等とするべきではないかという私の要望でございますが、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 日本の交通ルールを十分に理解をしているか確実に確認するために、知識確認の方法を厳格化することを考えておりますので、どういう量になるかといったことは今検討中でございますが、委員の問題意識は、その方向で検討させていただいているということでございます。
○三木委員 もう一点お伺いしたいと思います。
難民申請中、仮放免中でも外免切替えができたというふうに聞いております。電気料金の領収証等でできたというふうになっております。今後はそれができなくなるというふうに認識してよろしいのでしょうか。
それともう一点、ホテル等の住所で外免切替えをしてきた免許証は、今まで発行した分はどのように対応するのか、教えてください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
仮放免中等の問題でありますが、これは住所確認の厳格化をする中で検討していきたいと思っております。
それからもう一点、発行済みの問題につきましても、これは住所を確認する方法の中で、どういう対応が可能かということに関して現在検討しているところでございます。
○三木委員 質問時間が来たので終わりますけれども、やはり日本人が被害に遭わないように、交通ルールがちゃんと守れるような切替え、免許にしていただきたいと思いますので、厳しく厳格化の方をよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、藤岡たかお君。
○藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。
本日も、まず、地元栃木県第四区の皆様、そして質問の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきます。
まず最初に、太陽光、盗難の話、栃木県も物すごく多いんですけれども、その前に一点だけ確認させてください。
五月二十二日の産経新聞の報道、またロイター通信の報道の関係でございます。アメリカでの話でございますが、中国製の太陽光発電システムをめぐっては、これは産経の記事をそのまま読み上げますけれども、複数製品から仕様書に記載のない不審な通信機器が見つかったとロイターが報じた。遠隔操作で送電網に不具合を生じさせ広域停電を引き起こすおそれもあるという。安保上の懸念は極めて大きく、日本政府は国内で流通するパネルを含む中国製品で同じような事案がないか確認を進めているというふうに記事が出ておりました。
中国製のパネルというのは、報道でも八割が中国製だということでございますけれども、これは日本の中でですね。
これは大串副大臣に確認をしたいんですけれども、この報道のように、確認をしているんでしょうか。
○大串副大臣 当該報道については承知をしております。現段階ではまだ事実関係の確度がちょっと不透明なところもございますが、有志国との問題意識を共有しながら、これは厳格に対応してまいりたいというふうに考えております。
その上で、電力の安定供給を確保する観点からも、太陽光発電のサイバーセキュリティー確保というのは極めて重要であると我々も認識をしております。
そのため、太陽光発電設備を系統につなぐ際には、各一般送配電事業者において、系統連系技術要件、これに基づきまして、サイバーセキュリティー上の観点を含めた安全性の確認を行っているところでもございます。特に、五十キロワット以上の太陽光発電設備については、電気事業法において、不正アクセスからの防護措置を講ずることなどを求めているところでもございます。
その上で、一般論といたしまして、太陽光発電の出力変動を含む電力需給については、日本全体で安定供給を確保する仕組みを構築しておりまして、仮に電力需給が逼迫した場合には、広域的な電力融通や火力発電所の増出力運転などの対策を講じていくことになろうかと思います。
○藤岡委員 今、声が上がりました。事実関係を、まあ、厳格に対応というまず方向性をおっしゃってくれることは、そこはそこでいいと思うんですけれども、事実関係はもちろんあるんですけれども、確認をされているかということでございまして、これは、例えば電事法など関係法令などに基づいて報告などを求めているとか、確認はされているんでしょうか。(発言する者あり)
○大岡委員長 一旦速記を止めてください。
〔速記中止〕
○大岡委員長 速記を起こしてください。
大串経済産業副大臣。
○大串副大臣 失礼いたしました。
現時点では確たる情報が得られておりませんので、まずは、問題意識を共有しながら、情報共有をしながら、厳格に対応してまいりたいというふうに考えております。
○藤岡委員 調査していないと。調査はした方がいいんじゃないでしょうか。副大臣。
○殿木政府参考人 ただいまの委員のお尋ねにつきましては、経済産業省としては、業界から情報収集を行うとともに、必要に応じて太陽光発電設備への立入検査等を通じて確認、指導等に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○藤岡委員 本当にスピーディーに調査、確認を行った方がいいのではないかということを強く申し上げておきたいということを思います。
その次に、では、坂井国家公安委員長に確認したいのでございますが、これが事実であれば、あくまで事実であればですけれども、本当に、テロを起こす疑いとか、いろいろなことも考えられるんですけれども。あくまで事実とすればですよ。だから、これは警察としても厳正に対処をしていく必要があると思うんですけれども、坂井国家公安委員長の見解をお伺いします。
○坂井国務大臣 警察といたしましては、平素から、こうした動向に関する情報収集、分析に努めておりますが、引き続き、我が国の国益が損なわれることがないよう、情報収集、分析に努めて、違法行為に対しては法と証拠に基づいて厳正に対処するよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○藤岡委員 本当に、こうした報道について、事実関係を早急に精査をし、また、本当に調査、確認等を行っていただく必要があるのではないかなということは申し上げておきたいということを思います。あくまでも確認をした上で。
その上で、では、本法案に関しての質疑をさせていただきたいと思います。
私の地元の栃木県でも、先ほど来質疑で御紹介もありましたけれども、茨城、栃木、群馬と、栃木県が全国で二番目に、いわゆる太陽光発電の施設から窃盗が多いということでございます。
済みません、大串副大臣、御退席いただいて結構です。失礼しました。ありがとうございました。
○大岡委員長 では、大串副大臣、退席していただいて結構です。
○藤岡委員 その中で、例えば、極端な話、栃木県で、令和六年、千二百二十五件の被害認知、あくまで太陽光発電施設からのということで限定でございますけれども、金属ケーブル窃盗が千二百二十五件。ちなみに、例えば栃木県第四区だけになると二百五十四件の被害認知で、ある意味、そこら中で起こっているような状態でございまして、大変地元でも苦慮しているという形でございます。
その中で、やはり不法滞在者の、先ほど来出ていると思いますけれども、その犯罪というのが多いということでございますが、令和六年の検挙人員の合計人数に占める外国籍の人数のうち、不法滞在者が占める割合というのを改めて確認させてください。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の令和六年の検挙人員は百四十七人となっており、そのうち外国人が百十人で、検挙人員全体の約七割を占めております。
この百十人のうち不法滞在である者が八十九人と、約八割を占めているところでございます。
○藤岡委員 その上で、近年で最も少なかった平成二十六年の不法滞在者の人数と、令和七年一月一日の不法滞在者の人数について、法務省、教えてください。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
令和七年一月一日現在の我が国における不法残留者数は七万四千八百六十三人でございまして、国籍、地域別では、ベトナムが一万四千二百九十六人、タイが一万一千三百三十七人、韓国が一万六百人の順で多くなってございます。
次に、平成二十六年一月一日時点における不法残留者数は五万九千六十一人で、国籍、地域別では、韓国が一万四千二百三十三人、中国が八千二百五十七人、フィリピンが五千百十七人の順で多くなってございます。
平成二十六年一月一日時点から令和七年一月一日現在まで、不法残留者数は一万五千八百二人増加し、増加率は約二七%となっております。
○藤岡委員 ありがとうございます。
特に今回はカンボジアの御出身の不法滞在も多く、そこでの犯罪が多いということでもございますが、改めて、先ほど来出ていると思うんですけれども、ちょっと私も確認させていただきたいんですが、買受業者による外国籍の方の本人確認というのは、免許証があれば足りるということになってしまうんでしょうか。国家公安委員長に確認したいと思います。
○坂井国務大臣 本法案に係る本人確認の具体的な方法につきましては、国家公安委員会規則で定めることとしております。
犯罪による収益の移転防止に関する法律等の他法令の規定も参考に、マイナンバーカード、運転免許証、在留カードを始めとする顔写真つきの本人確認書類の提示を受ける方法等を定めることを想定をいたしております。外国人に限らず、日本人も含めて、本人確認を確実に実施できる方法について検討し、国家公安委員会規則を定めてまいりたいと考えております。
ですので、今の状況で申し上げると、運転免許証で確認は足りるということでございます。
○藤岡委員 私、それはちょっと大変な課題があると思うんですよ、運転免許証だけでというのがですね。
不法滞在が多いという立法事実があるわけですよね。参考人にお伺いしたいんですけれども、外国籍の方が所有する運転免許証というのは、在留期間は明示されているんでしょうか。また、有効期間は在留期間に限定されているんでしょうか。警察庁、お伺いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
外国人の在留期間につきましては、運転免許証の記載事項とはされておりません。
また、運転免許証の有効期間につきましては、優良運転者、一般運転者といった区分によって有効期間が定められているところでございます。
○藤岡委員 したがって、有効期間は、在留期間を当然超えてなっていることも多いということでいいですよね。警察庁、お伺いします。
○早川政府参考人 お答えいたします。
運転免許証の有効期間につきましては、在留期間にかかわらず、優良運転者などの区分によって定められているところでございます。
○藤岡委員 そうすると、不法滞在していても、結局、別に無免許にもならないですし、その観点から問題にもならないということで、これはやはり、不法滞在天国になってしまう懸念をはらんでいると思うんですよね。
ちなみに、健康保険証は、厚労省、どうですか。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
国民健康保険におきましては、適正な在留資格を有し、住所を有している外国人につきましては、原則として適用対象としてございます。
在留期間の経過後は、被保険者資格は喪失することになります。そのため、資格確認書等においても、基本的に、在留期間に合わせた有効期限を記載するという運用が行われているものと承知しております。
○藤岡委員 健康保険証はちゃんと在留期間に合わせているわけですよね。運転免許証については、在留期間に関係なく三年、五年とかということになってしまうというふうなことだと思うんですね。
いろいろ、国際免許とかの関連もあるかもしれません。ただ、少なくとも、身分証明書として本人確認に用いられている現状を考えたときに、本当は、免許証だけだと不法滞在かどうかも分からない、そこで本来であれば分かるかもしれないということもあると思うんですよね。
今、外免切替えの話等でいろいろな議論が出ていると思います。これは坂井国家公安委員長にお伺いしたいんですが、外国籍の方の運転免許証は、在留期間にその有効期間を限定する、あるいは、在留期間を外国籍の方の免許証にきちんと記載をするということがやはり必要なのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 運転免許証には、免許を有している者の氏名、住所、生年月日、免許の種類、免許証の有効期間といった、免許を保有しているか否かを確認するために必要な事項が記載をされております。
御指摘の外国人の在留期間につきましては、運転免許を保有するか否かとは直接関係するものではなく、在留期間についても、運転免許証の発行後に変わり得るものであることから、これを運転免許証の有効期間とすることについては適切でないと現在考えております。
なお、運転免許証を確認した際に、その保有者である外国人が不法滞在である疑いがある場合には、別途警察として必要な確認を行うことは当然であります。
今御指摘がありましたけれども、国民健康保険の話は、これは加入の要件となっているわけでございますので、運転の資格を確認するための運転免許証とでは書面の趣旨、目的が異なることから、一概に比較することは困難だろうと考えております。
○藤岡委員 そうしますと、不法滞在の方でも、在留期間を超えていても、別に、免許証、車を運転しても、不法滞在以外は何の問題もないということになってしまうんでしょうか。確認します。
○早川政府参考人 お答えいたします。
運転という観点では、有効な運転免許証を保有しておれば、いわゆる無免許運転ということには該当はいたしません。ただし、御指摘のとおり、不法滞在であれば、そういう関係法令に基づいて、警察としては必要な検挙を行っていくということになるところでございます。
○藤岡委員 大いに疑問ですね。不法滞在で、運転は全然オーケーなんだと。そうしたら、やはり不法滞在天国になってしまうという懸念があるということは指摘をしたいなということは思います。もうちょっとよく検討していただきたいということは、強く申し上げておきたいと思います。
そうすると、今回、本法案で、運転免許証だけで足りるとするのであれば、不法滞在かどうかというのは、確認をほとんどできないことになるんですけれども、これは坂井国家公安委員長に確認したいんですけれども、あくまで今回の本人確認、不法滞在であることの確認は求めないということですか。
○坂井国務大臣 この委員会の本日の質疑でも出てきた話で、私も御答弁させてもらった話でありますが、検討会等におきましても、いわば有効性と、それから業者の皆様方の負担といったものもバランスを取るべきだということなども御意見があり、こういったことも勘案をして、今回法律を作って提出をさせていただいておりまして、今回の法律の目的は、特定金属製物品の窃取の防止に資することを目的とするということで法律を作っておりますので、いわば、特定金属製物品の窃取を防止、ここに役立つ、ここに効果があるということを目的とする、そのためには、その人の名前がはっきり分かるということで、私どもはかなりな抑止効果があると考えております。
ですから、先ほど三木委員の御質問にもお答えしたかと思いますが、この法案が成立し、実際にそれが施行される中で、その後の状況については注視をしてまいりたいとは思っております。
○藤岡委員 そんなに負担じゃないと思うんですよね、これは別に。
改めて確認しますけれども、まず、法技術的に、本法案における本人確認において、外国籍の方に在留カード、これは後から確認しますけれども、在留カードの提示を義務づけることは可能ですか、国家公安委員長。
○坂井国務大臣 本人確認の具体的な方法として、国家公安委員会規則において、外国籍の方に対し在留カードの提示を義務づける、こういう旨を規定することは、法技術上は可能であると考えます。
○藤岡委員 なので、在留カードを提示してもらえば本当はいいんですよ。
在留カードというのは、そもそも、外国籍の方は携帯義務があるはずなんですね。短期滞在者は上陸許可証が貼り付けられたパスポートの携帯義務があるんですよ。元々持っているんですよ。だから、普通に出してもらえばいいだけなんです。何の負担でもないんです、これははっきり言って。
外務省はそれでいいですよね。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
委員御認識のとおり、我が国に在留する外国人は、入管法第二十三条に基づいて、在留カードの交付を受けた中長期在留者には在留カードの携帯義務があります。また、短期滞在の上陸許可を受けるなど在留カードの交付を受けていない方には旅券の携帯義務がございます。
○藤岡委員 そういうことなんですよね。持っているんですよ、それを出してもらえばいいだけで。しかも、不法滞在者の方がこれだけ犯罪が多いという立法事実があるという中で、普通にこれは法技術上も提示を義務づけることが可能だというふうに坂井国家公安委員長からも御答弁いただきました。
確かに法案上は、これは本当は私は不法滞在であるか確認する義務を書いておけばよかったと思いますけれども、書いていないにしても、法技術上はできる話でございますから、坂井国家公安委員長、これは負担ではないと私は思うので、持っているので、是非きちんと在留カードの提示を義務づけませんか。いかがですか。
○坂井国務大臣 この議論は、やはり実際にこの法律を施行してその状況を確認をしてみるということが私は大事だと思っておりまして、買受けの業者さんにしてみますと、目の前におられる方が外国人かどうかの判断というのは、これは今極めて難しいものがございます。ですから、業者さんに、外国人なのかどうかを判断をし、外国人であれば在留カード。悪さをする人は、在留カードを出してくれと言って、私は外国人ですと在留カードは出しませんから。私は日本人ですと言って、当然免許証を出してくるわけでございますので。
そういう中で、確認を義務づけることが買受業者の方々の負担になる一方でどこまで効果があるかということもあって、取りあえずは今回はこういった形で進めていこうということでございますが、先ほどから申し上げているとおり、実際に施行した後の状況は十二分に注視をしてまいりたいと思っております。
○藤岡委員 まさに本当にその点は確かにおっしゃるところでございまして、その点もよく踏まえて、今後、注視しながらよく検討をしていただきたいなということを思います。そのことは申し上げておきたいなと思います。
いずれにしても、不法滞在が確認できる局面で、いわゆる本人確認をするということがいろいろな局面であるわけですよね、銀行口座を作るときだとか。いずれにしても、いろいろなところで外国籍の方に求めることがあるわけでございますよね。そのときに、本来、在留カードを提示してもらえればそれでいいという局面も多いはずなんですよ。それで不法滞在かどうかということが一個捉えられるということだと思っているんです。
私は、だから、その意味で、不法滞在、これは例えば、ちょっと話はあれなんですけれども、犯罪収益移転防止法というところでも、いろいろな局面で本人確認があるわけなんですよね。そのときに、不法滞在か否かを確認できるということもいろいろなことを工夫でできると思うんですけれども、今、この枠組みはどうなっているでしょうか。お願いします。
○坂井国務大臣 犯罪収益移転防止法は、特定事業者に対して、顧客等との間で一定の取引を行うに際して、取引時に確認等を行うことを義務づけているものであります。
この点、自然人である顧客等に対して一律に確認を必須としている事項は、氏名、住所、生年月日、取引を行う目的及び職業としているところでございます。
同法は、取引時確認等を的確に行うための措置として、リスクに応じた必要な情報の収集等についても求めております。こうしたリスクに応じた情報収集の一環として、在留外国人の在留期間を確認している取引もあり、例えば、在留外国人が預貯金口座を開設する場合には、金融庁のガイドラインにおいて在留期間の確認等の措置を求めているものと承知をしております。
○藤岡委員 そういうふうにいろいろなリスクベースで、先ほどおっしゃったように、この方が日本人か外国人か、いろいろなことがあると思います、そこのところは確かに難しいところでございますが、いずれにしても確認をしているというところがある。
そもそも、だからこそ、免許証に在留期間などが有効期間で定められていれば、そういうふうな本人確認のところで分かる。だから、こういう在留期間をきちんとはっきりさせておく。免許証においても、もちろん、そういうこともそうだし、あるいは本人確認の局面で在留カードの提示を求める、そういうふうなことをきちんとやることが、やはり私は不法滞在対策という面ではしっかりした対応になるのではないかなということを思うんですね。
したがって、外国籍の方の本人確認においては、現行の免許証だけでは、今の免許証では足りないんじゃないかと。免許証をちゃんと、きちんと表示をする、あるいは在留カードの提示を求める、そういうことをきちんと必須としてやはりやっていくべきなんじゃないでしょうか。坂井国家公安委員長の見解をお伺いします。
○坂井国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますが、委員の御意見は御意見として承りますし、当然そういった視野も入れてこの法案を施行させていただいて、その中で、実際にどこまで効果があるのかということも含めて、そしてまた、どこまでの負担なのか、これは買受業者の皆様方には様々、これが盗品だと思えば通報していただくような協力もお願いをしているところでございますので、そういった業界の皆様方とのコミュニケーションもありますから、そういったものも含めて、実際にどこまでの負担になるのかといったことも実感をしていただく中で、そういったことはその先考えていきたいと思っております。
○藤岡委員 法務省政務官の神田政務官、いらっしゃっていただいております。
改めて、この不法滞在対策というときに、いろいろなところでちゃんと不法滞在、正規滞在の人の共生というのはそれは当然ですよ、あくまで私が問題にしているのは、不法滞在のことを問題にしているところでございますから。不法滞在をちゃんと撲滅していくということを考えたときに、改めていろいろな本人確認、今回の法律でもそうです、しっかりした、外国籍の方の免許証のこともそう、見直しもそう、それから、在留カードの提示を求める、実際、銀行口座のときには、神田政務官も詳しいと思いますけれども、求めているときがあるわけですから。実際にそういうことをやっている、運用でも。
だから、きちんと不法滞在の対策として、こうした在留カードの提示や、しっかりした免許証にしてもらうとか、こういうことをやっていくべきじゃないでしょうか。政務官、いかがですか。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
私も、委員御指摘の不法滞在者対策の一層の推進につきましては非常に重要な課題というふうに考えております。
入管庁におきましては、独自に、あるいは関係機関等の協力を得ながら不法滞在者等の情報の収集、分析を行い、事案に応じて警察等とも連携して調査を進めまして、不法就労や不法残留等の違反事実が確認された場合には取締りを実施し、法令上の手続を経て退去強制を行っているところです。
今後につきましては、委員の御指摘も踏まえまして、関係機関等と連携を取りつつ、これまで以上に不法滞在者等の縮減に取り組んでまいりたいと考えております。
○藤岡委員 済みません、厚労省の参考人の方は御退席いただいて結構でございます。大変失礼しました。ありがとうございました。
○大岡委員長 では、榊原さん、退席していただいて結構です。
○藤岡委員 いずれにしても、今、御指摘も踏まえいろいろなこともということで、きちんと不法滞在対策を。私が申し上げたいのは、いろいろな局面の本人確認があります、そのときにしっかりと捉え切れるようにした方がいいんじゃないですかということを強く申し上げておきたいということを思います。
その次に、そもそも、金属盗においてカンボジアなどの出身者が多いということで、入国時やビザ発給時の審査において、これは警察庁さんから情報提供してくれているとは聞いておりますけれども、具体的にどういうふうに対応を強化しているんでしょうか。外務省と、法務省政務官にお伺いしたいと思います。
○町田政府参考人 外務省では、これまでも治安、テロ対策等の観点から、好ましからざる外国人の入国を防止するため、警察庁、入管庁とともに緊密に連携しつつ、査証審査に当たっては、訪日の目的や活動等を含め、厳格な確認を行ってきているところでございます。その上で、訪日目的等につき疑いがある場合には、必要に応じて追加的な調査を行うほか、その結果によっては査証発給を拒否することもございます。
委員御指摘の事案も踏まえつつ、今後とも査証審査の厳格な実施に努めてまいりたいと考えております。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
出入国在留管理庁としましても、警視庁からは、不法滞在の、委員御指摘のカンボジア人による金属盗の検挙事例などを含めまして、来日外国人犯罪に係る統計や検挙事例等の情報の共有を受けております。
また、上陸審査に際しましても、上陸申請を行う外国人の情報と入管法上の上陸拒否事由に該当する者等を登載した出入国審査リスト、これはいわゆるブラックリストになりますが、これとの照合をしたり、あるいは上陸審査時に提供を義務づけております個人識別情報、これは指紋や顔写真になりますけれども、これと過去に退去強制された者など当庁が保有している情報との照合を行うなど、各種情報を活用しまして慎重に審査を行っております。
加えまして、乗客の予約記録、PNR、パッセンジャー・ネーム・レコードなどの情報分析や不法在留の発生状況なども鑑みまして、不法在留を企図するおそれのある旅客を絞り込みまして、入国目的や各在留資格該当性等を慎重に確認するなど、厳格な水際対策を実施しているところでございます。
○藤岡委員 あくまでも、よく政府部内で連携していただいて、情報提供もしっかりして、その上できちんと、非常に犯罪が多いという傾向があったりするのであれば、それに合わせた対応をしっかりお願いをしたいということを思っております。
外務省の参考人の方、結構でございます。
国家公安委員長にお伺いをしたいと思いますけれども、外免切替えの件で、先ほど来も議論が出ていると思うんですけれども、外免切替えの話で、今、見直して、先ほども言える範囲で坂井国家公安委員長もおっしゃったと思いますけれども、ただ、この試験がいわゆる簡単過ぎるとかいろいろなこともあって。これはいつ頃見直しをちゃんとできるんですかね。それまでの間、ひき逃げ事故や逆走や、いろいろなことが起きていますけれども、これは止めなくていいんですかね。坂井国家公安委員長の見解をお伺いします。
○大岡委員長 その前に、答弁訂正があるようですので、神田法務大臣政務官。
○神田大臣政務官 失礼いたしました。
先ほどの私からの答弁におきまして、警察庁と申し上げるところを、警視庁と申し上げたところがございました。訂正いたします。
また、不法残留の発生状況と申し上げるところを、不法在留と申し上げたようでございます。失礼いたします。訂正させていただきます。
○坂井国務大臣 外免切替え制度は、道路交通法に基づいて運用している制度でございます。制度の運用を停止するのではなく、制度運用の改善を早急に行うことが重要と認識をしております。
また、海外におきましても外免切替え制度と同様の制度があり、日本人も利用しているということでございますので、日本が停止することにより、日本人の海外での外免切替えの利用にも影響が生じるおそれがあることなども考慮する必要があると考えております。
○藤岡委員 時間が来ましたので終わります。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
金属窃盗防止法案について質問をいたします。
多発する金属窃盗事件に対し、その防止策としての本法案ということであります。
金属窃盗全体の被害の実態についてまず確認したいと思います。二〇二〇年から二〇二四年の件数の推移と比較、被害額の規模についてどうなっているのか、また、品目別、材質別の件数についても明らかにしていただきたいと思います。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
金属盗の認知件数につきましては、二〇二〇年は五千四百七十八件であったのに対し、二〇二四年は二万七百一件と約四倍に増加しております。また、金属盗の被害額につきましては、二〇二〇年は約二十五億円であったのに対し、二〇二四年は約百四十億円と約六倍に増加しているところでございます。
二〇二四年の金属盗に係る品目別の被害状況につきましては、金属ケーブルが八千九百十六件と最も多く、次いでグレーチングが千六百九十八件、金属管が九百二十八件となっております。
二〇二四年の金属盗に係る材質別の被害状況ですが、銅が一万一千百九十一件と最も多く、次いで鉄が三千五百三件、しんちゅうが千百四十七件となっております。
○塩川委員 この四年間で認知件数が四倍、被害額は六倍ということでありますし、品目別では金属ケーブルの件数が過半を占め、また、材質別では銅がやはり過半を占めていると。そういう点でも、太陽光発電のケーブルの盗難というのは非常に大きいというのがこういうところにも表れていると思います。
私がお話を伺った方でも、栃木県の那須町で太陽光発電所を設置をした事業者の方がいらっしゃいます。三月の二十九日に突然発電が止まったというような通知があって、何だろうと思ったら、ケーブル盗難の被害を受けていたということでありました。
やはり、盗難被害による損害とともに、売電収入が入らないといった点での減収というのは非常に大きいということを訴えておられました。損害保険に入っていて、ケーブルの盗難については保険がかかったんだけれども、売電収入についての保険まで手当てしていなかったので、その分はもろに減収にかぶってくると。今、損保の保険料率も上がっているというので、次の契約時にはどうなるのかと強く心配の声を上げておられるということを、改めて今日の審議を通じても非常に重大な点だなと受け止めていたところであります。
そこで、保険の問題についてまずお聞きしたいんですけれども、太陽光発電の事業者にとって、盗難の増加の被害が深刻であります。警察庁の検討会においても、この盗難の被害が保険の対象外となり、結果として、銀行から融資を受けられず、事業が継続できないなどの影響について指摘がありました。
経産省にお尋ねしますが、このような太陽光発電のケーブルの盗難という事態が頻発をしている、こういう状況について、このことは再生可能エネルギー推進への大きな悪影響になるのではないのかと思いますが、その点についての認識を伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーは、地域との共生と国民負担の抑制を前提に最大限導入していくということが政府の基本方針となってございます。今後、更なる再エネの導入拡大が必要な中で、委員から御指摘がありましたとおり、太陽光発電に関して、盗難に起因しまして、保険会社において保険の引受け等に影響が生じているケースがあると認識しております。太陽光発電における盗難事案の多発は、犯罪行為であることはもちろん、再エネの長期安定電源化の観点からも大変憂慮すべき事態であると認識してございます。
こうした事態に対して、経産省としても、警察庁そして都道府県警と連携をいたしまして対応すべきものと考えており、再エネ発電事業者に盗難事案の情報を広域的に提供するとともに、保険会社とも連携しながら、業界団体が取りまとめた防犯対策を横展開し、効果的、効率的に盗難リスクの低減を図っていくこととしているところでございます。
本法案の成立により、盗難が減少し、保険会社による保険引受け等が再開されることを期待しております。
引き続き、警察庁と連携をいたしまして、盗難事案の発生に適切に対応するとともに、太陽光の導入拡大にしっかりつなげてまいりたいと存じます。
○塩川委員 長期安定電源化にとって憂慮すべき事態ということで、資源エネルギー庁としても、昨年十二月には、保険の在り方の検討のために、被害実態を聞くアンケートも行っていると承知をしております。
やはり、保険の対象外となるようなことも深刻な事態ですし、保険料率が大きく上がるということも、このような再生可能エネルギーの普及にとっての一つの大きな支障、障害にもなりかねないといった点について、今若干のお話があったんですけれども、より踏み込んだ対応策が必要なんじゃないのか。こういった支援策についてどのように考えるのか、この点についてお答えください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、エネルギー政策、とりわけ再生可能エネルギーの推進にも大変影響を与えるということでございまして、盗難事案の発生に対しては、再エネ発電事業者に盗難事案の情報提供等を行っているところでございますが、引き続き、事業者団体と連携しまして、とりわけ小規模事業者に対しても情報が行き届くようにしっかりと配慮してまいりたいと存じます。
その上で、太陽光発電事業に対しては、引き続き、事業の規模また形態に応じてFIT、FIP制度に基づく支援を講じていくこととしております。
さらに、太陽光発電事業に限らず、とりわけ小規模事業者支援をする観点からは、各地の商工会、商工会議所やよろず支援拠点などを通じた相談対応、また、日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援などを通じ、きめ細かく支援を行ってまいりたいと存じます。
○塩川委員 事業者、特に小規模事業者についての話がありました。もちろんメガソーラーの被害もあるわけですけれども、やはりこういった再生可能エネルギーに当たっては、市民参加型の太陽光発電などの取組も進んでいるところであります。そういった方々にとって、こういった盗難被害というのは非常に重くのしかかる。私が紹介しました方もそういった市民参加型の太陽光発電所の運営をされておられる方でもありまして、再生可能エネルギーの普及に障害となるようなものを取り除いていく、こういうことが必要だ。
その点で、警察庁にお尋ねしますけれども、今回の太陽光発電に係る盗難事件について、規模別でのデータというのはないのか。そういう意味では、メガソーラーと中規模、小規模、こういった形で整理をして、その被害の特徴などを明らかにしていく、こういうことが必要ではないのかなと思うんですが、その点について、警察庁はいかがでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほど、答弁の際にちょっと数字を誤った部分がございまして、訂正させていただきます。
二〇二四年の金属盗に係る品目別の被害状況で、金属ケーブルにつきまして八千九百十六件と申し上げましたが、正確には一万一千四百八十六件でございました。訂正させていただきます。誠に済みませんでした。
今の御質問のところでございますが、太陽光発電施設におけます金属盗の規模別の被害状況、これについては、警察庁では正確には把握できておりません。ただ、警察庁で開催しました金属盗対策に関する検討会においてヒアリングを実施した太陽光発電施設に係る業界団体の方々が実施したアンケートによれば、低圧事業者、高圧事業者、特別高圧事業者のうち、被害件数が多いのはやはり高圧事業者であり、また特別高圧事業者については被害額が非常に多額に上っているということでございました。
○塩川委員 是非、実態を正確に把握をして、それにかみ合った対策、支援策というのを講じていただきたい。特に、小規模事業者の施策の推進につながるような、そういう取組を強く求めたいと思います。
次に、特定金属切断工具の隠匿携帯の禁止に関してお尋ねします。
犯行に使われる工具に対する規制もあるということで、本案は十五条で、ボルトクリッパーやケーブルカッターなどの工具を隠匿して携帯することを禁止とし、また違反した場合、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に科すとしています。
この隠匿して携帯とはどのようなことなのか。例えば、車のトランクに入れてあるとか、あるいは工具箱に入れて運ぶといったことも含まれるんでしょうか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
指定金属切断工具の隠匿携帯規制に該当するかどうかにつきましては、個別具体の事例に基づいて判断していくこととなりますが、携帯している方の職業や携帯している状況、携帯に係る動機、目的、時間的、場所的合理性といった要素のほか、そういった要素を勘案いたしまして、正当な理由の有無、隠していると認められるかどうかを総合的に判断することとなります。
その上で、一般論として申し上げますれば、御指摘のような事例につきましても隠匿携帯に該当し得るものがあると考えております。
○塩川委員 ですから、トランクに入っていました、それが隠匿という形になる。あるいは、工具箱に入れている、普通でしょうけれども、それも隠匿携帯、外形的にはそうなると。もちろん、様々な案件を総合的に勘案しての正当な理由かどうかというところでしょうけれども。
こういった工具というのは、事業をやっている方はもちろん、一般の家庭でも、例えばDIYをやっているような方々、日曜大工などの際にも使う可能性もあります。農家の方でお持ちの方なんかもあるわけであります。そういったものを携帯するだけで罰則に問えるという、そういう権限を警察に与えることで、それが濫用されることによる人権侵害の懸念も生じるところであります。
坂井国家公安委員長にお尋ねをいたしますけれども、指定金属切断工具について、何を政令で指定をするのか、また、取締りに当たって、立法時の意図に反して、解釈の拡張とならないような濫用防止の措置をどのように行っていくのか、この点についてお答えください。
○坂井国務大臣 一般家庭における工具の使用実態、盗難の多い金属製物品の特徴、犯行用具の使用実態等を考慮をし、金属ケーブル窃盗に用いられることが多い、高い切断能力を有するケーブルカッター及びボルトクリッパーを指定金属切断工具として政令で指定することを現在検討しております。
具体的にどのようなものかということでございますが、警察庁において開催された検討会で、工具メーカーの業界団体によって、盗難実態の多い外径二センチメートルを超えるケーブルを切断するには、ケーブルカッターであれば四百五十ミリメートル以上の全長、ボルトクリッパーであれば七百五十ミリメートル以上の全長か、又は電動、油圧等の特殊な機構を備えていることが必要だ、ボルトクリッパーもケーブルカッターも、基本的には一般家庭用の道具ではなく、一般の方が持ち歩くことはまずないと考えられ、その流通量も、一般的な工具であるニッパーと比較するとかなり少ないという見解が示されたこと等を踏まえ、こうした一定以上の長さか特殊な機構を備えるケーブルカッター及びボルトクリッパーを指定していくことを検討しております。
そして、本法律案の運用に当たっては、濫用という御指摘がありましたが、そういったことが起きないように、適正な運用が全国で斉一的に行われるべく、都道府県警に対して、具体的な運用基準を示して、その基準を徹底し、不適切な運用の防止に万全を期すよう指導してまいりたいと思います。
○塩川委員 そういう意味では、政令で更に追加することもあり得るということもありますので、この政令への指定についての必要最小限のものを定めていくという立場と、恣意的な運用にならないという点についての厳しく徹底をいただきたい、このことを求めて、質問を終わります。
○大岡委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後十五分、よろしくお願いいたします。
まず、この法律と、環境省所管の不適正なスクラップヤードとの関係についてお伺いしたいと思います。
平成二十九年に廃棄物処理法が改正されて、廃棄物でない有価物であっても、有害使用済みの機器については規制の対象になりましたということなんですが、その有価物の中で、再生資源物については規制がありません。そして、ヤードについても規制がないんですね。その結果として、廃鉛蓄電池、鉛ですね、あれの蓄電池が環境問題を引き起こしている。
このヤードというのは、皆さんちょっとイメージが湧かないかもしれませんが、町中にありませんかね、どう見ても何の許可も取っておらず、何でも引き受けますみたいな広告があって、突然、町の一角の空き地にぼんとそういうのができて、廃品何でも受け入れますと書いてあるような、あれです。
余り特定の国籍の方を悪く言いたくないんですが、私の地元では、何か、廃品を受け入れますと書いてある字が、余り日本人が書く漢字ではないなと思うことが多かったりするというのが実はございます。
地元のリサイクル業者と話をしていると、金属スクラップについても、無許可ヤードの方が高く買ってくれるのでそちらに持っていかれるというケースがあるというふうに聞いています。
昨年度来、ずっと環境省ではこの件を検討してきたと思います。昨年度、今年の三月三十一日に報告書が出たと思います。説明いただければと思います。環境省。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ヤードにおける雑品スクラップの不適正な保管等に起因する生活環境の保全上の支障事例に対応するため、平成二十九年の廃棄物処理法の改正により、廃棄物に該当しない家電等の保管又は処分を業として行う場合の届出制度が創設され、規制強化を図ったところでございます。
しかしながら、制度導入後、昨年六月の、昨年の令和六年に環境省が自治体に対して行った実態調査の結果、ただいま御指摘がありましたようなところで、本制度の対象外である金属スクラップ等を保管、処理するヤードにおいて、騒音や悪臭、公共用水域や土壌の汚染、火災といった様々な生活環境保全上の支障が発生している事例が明らかとなっております。
こうした実態を踏まえまして、環境省におきましては、こうした不適正なヤードに対する規制の在り方について、現在、制度的対応の検討を進めさせていただいているところでございます。
○緒方委員 そうなんですね。
その話が進んでいることは、私、かねてから知っておりまして、よく地元で、本当に、不正スクラップヤードを見て、何だこれはとずっと思っていたことがあるので、是非頑張ってもらいたいと思うんです。
この法律とスクラップヤードに対する対応というのは、もちろん射程とするものが違うというのはそれは違うんですけれども、少なくとも金属スクラップの部分については重なる部分がまあまああるわけですよね。よく分からない、何の資格を持っているか分からない雑品屋さんのところに金属スクラップを持ち込んで高く買ってもらってというその不透明さというのと、この金属泥棒の話というのは、違うんですけれども結構近いところにあると思うんです。
実際に環境省の報告書にも、「不適正なヤードは金属盗や不法就労、脱税、労働安全衛生関係等の多岐に渡る問題をはらんでいるため、関係省庁と情報共有を密に行い、連携を図っていかなければならない。」というふうに書いてあります。
どうしても思うのが、警察庁と環境省で、この件、事前に調整をして、何か一つの仕組みとして進めることができなかったのかなと思うんですよね。警察庁、いかがですか。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
本法律案は、盗品である金属くずの処分を防止することで金属盗の防止を図ろうとするものであり、一定の金属くずの買受けを行う営業そのものに関して措置を講じようというものであります。
一方、廃棄物処理法は、生活環境保全上の支障を防止することを目的とされており、本法律案とは規制の趣旨、目的が異なるものとなっております。
そのため、本法律案と廃棄物処理法とでは、それぞれ必要な規制の内容や範囲等も異なってくるものと認識しております。
本法律案の検討に当たりましては、警察庁で開催した金属盗対策に関する検討会には、環境省からヤードの現状等について発表していただくとともに、オブザーバーとして御参加いただいたところでございます。また、環境省で開催したヤード環境対策検討会にも、警察庁もオブザーバーとして参加させていただき、両省庁で密に連携をしてきたところでございます。
引き続き、環境省等の関係省庁と連携しながら、金属盗の防止対策を進めてまいりたいと考えております。
○緒方委員 私、いつも言うんですけれども、連携を図っていくというのは、それは当たり前なんですよ、行政機関ですから。常に行政機関は連携しなきゃいけないんです。
いつも、縦割りを指摘すると、相互に密に連携をしながら頑張りますと。当たり前だろう、そんなものはというふうに思うわけであって、本当にこれは事前に調整できなかったのかなと。一つの仕組みとして、環境省の方が少し、検討が今年度に入ってきているので、いち早くこれをやりたかったということはあるんだろうと思いますが。
これで何が気になるかというと、対応するのは、広い意味でのスクラップの業者さんなわけですよ。今回上がってきている法律に対応するのもスクラップの業者さんだし、そして、環境省が、これから恐らく罰則入りでスクラップヤードの規制等々について制度をつくっていくわけですよね。そうすると、そちらも、対応するのはやはり同じなんです。同じ人が多分対応しなきゃいけなくて、金属スクラップということでいうと、今回の法律と、そして今後環境省が作る法律で、規制が二個増えるということになるわけですよね。
更に言うと、それぞれ許可行政庁が異なるわけですよ。廃棄物行政においては、県知事が見るところがあったり、政令指定都市、中核市が見る部分があったり、そして、今回、これは県公安委ですから、県の公安委員会と。どんどんどんどん、何というんですかね、書類を持って、届出のものと許可のものとありますけれども、それぞれ、持っていくところがたくさん分かれちゃうわけですよね。しかも、ヤードとか金属くずについてはそれぞれ自治体の固有の条例がありますので、それぞれ対応が分かれる。私のように、県庁所在地でない政令指定都市に住んでいると、これが結構な負担であるというのはしみじみとよく分かるわけですよね。
これは警察庁に、そして環境省もだと思いますけれども、何らかの形でワンストップサービスのようなものをやっていかないと、どんどんどんどん、だって、今回これで二個増えていくわけですから、お手続だけで大変だということになると思うんですよね。ワンストップサービスの可能性について、いかが思われますでしょうか。警察庁。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
繰り返しにはなりますけれども、それぞれの法目的が異なっておりますので、規制の範囲、趣旨等が異なってまいります。そのため、いろいろな手続におきましても、必要とされるものがいろいろ異なってくることもあろうかと思っております。
ただ、いろいろな面からの規制が同じ業者にかかるというのは委員御指摘のとおりでございますので、我々としても、運用に当たりましては、できるだけ業者の負担が軽減するような方法を検討してまいりたいと考えております。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案による規制対象事業者と、現在環境省で検討を進めております不適正ヤード規制の対象事業者が重複する場合があるということにつきましては、ただいま御指摘いただいたとおりであると考えております。そうした場合につきましては、適正に事業を行う事業者の方の負担にも十分に配慮していくこと、これが重要であろうと私どもとしても思っております。
現在、具体的な規制内容については環境省において検討を進めているところでございますけれども、事業者の負担にもしっかり配慮しながら、今回の法案の内容もしっかりと念頭に置いた上で、どういった規制の在り方がいいのか、それについてはしっかり検討を進めてまいりたいと考えております。
また、先ほど私の答弁で、令和六年に環境省が自治体に対して行った実態調査と申し上げる前に、昨年六月と申し上げたところがありますが、それは、昨年の令和六年と言おうとしたところの言い間違いでございますので、念のため訂正させていただきます。恐縮です。
○緒方委員 大臣、今聞かれたと思いますけれども、もうむちゃくちゃ縦割りを持ち込んでいるわけですよ。これが地方自治体に落ちていったら、県の公安委員会と環境担当の部局ですよ。ほっておいたら絶対連携しない人たちなんですよ。絶対連携しないです。県の公安委員会とリサイクルの部局、協力するわけないじゃないですかという感じですよ。
そうすると、ここからは大臣の、国務大臣として是非お伺いしたいと思います。
連携するのは当たり前なんですよ。ただ、もう少し負担軽減のために何か追加的な調整メカニズムを入れることが私は必要なんじゃないかと思います。検討するぐらいは言っていただけませんか。大臣。
○坂井国務大臣 大変、ある意味大事な視点かと思って聞いております。
ただ、普通に見れば、法の目的も違う、そして対象にするものも違うというものの中で、ただただ事業者が一緒というだけで、それでは役所の業務が一緒にできるかというと、そこはやはり一概には言えないというところがございますが、せっかくの委員の御指摘でもございますし、また、これがある意味新たな取組の在り方になっていく可能性もなきにしもあらずということでございますので、実際に環境省さんも、スタートは違う形でスタートをさせていただきながら、今委員が御指摘をいただいたことを念頭に置いた検討はしていただくように指導してまいりたいと思います。
○緒方委員 ありがとうございました。
もう一つ、第十六条に情報周知ということが書かれているんですが、法律には、警視総監、道府県警察本部長、方面本部長そして警察署長に情報周知の努力義務がかかっているんですね。けれども、金属泥棒なんていうのは、アメーバみたいなものでして、別に、県境をまたいでどんどんどんどんいろいろなところに行っちゃうわけですよ。そうすると、一つの道府県の中にとどまった情報提供というのは、余り意味を成さないんだと思います。
ただ、私、今日ここに来る前、もう一度都道府県の警察のサイトを見たんですけれども、大体、総じて警察のサイトというのは不親切にできていることが多くて、横の、隣県の警察本部との連携をつゆほどにも感じさせないサイトばかりなんですよね。
単に各警察本部のサイトに情報を載せるだけでは駄目で、見やすさとか、広域で何が起きているかとか、そういうことが分かりやすく、事業者も、例えば先ほど藤岡議員は栃木で栃木でと言われていましたが、じゃ、例えば、茨城で何が起きています、群馬で何が起きています、千葉で何が起きていますみたいな話というのは、とても重要だと思うんですよね。
そういう、分かりやすさと、必要としている情報への到達しやすさというのは、単にそれぞれの県警本部等々で情報周知をするのみならず、もう一工夫必要なのではないかというふうに思いますが。警察庁。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、県警のホームページが余りいいものではないというのは、反省しなければならないところかと考えております。
情報発信につきまして、都道府県警察、警視総監、本部長、警察署長と書いてございますけれども、それぞれの管轄責任もございますし、情報の発信につきましては、やはり地域密着のもので発信するという必要もございます。
また、広域的な対応につきましては、ホームページ上では余り出ていないかもしれませんけれども、それぞれ隣接県でやはり情報交換しながら同時に広報するというようなこともやっておりますし、我々警察庁でも全国の状況は把握しますので、それを基に、関係するところで使えるような情報を、発信できるような情報をまた提供して、効果的な広報、情報発信をしていきたいと考えております。
○緒方委員 最後に一問だけ。
この法律では基本的には銅を想定しているんですけれども、これから電炉が広がっていきます。私、地元に製鉄所がありますので、電炉になると、金属スクラップへの需要がばっと上がってくるんですね。そうすると、鉄を本法の対象に入れる可能性が結構急速に上がってくるんじゃないかという思いを持ったりするんですね。
今すぐ入れてくれということじゃないですが、この手の法律の運用で、じいっと事態の運用を見守っていると、被害がむちゃむちゃ出た後に、入れることにしましたということになりがちなので、早急な政令の改正等々は常に注意を払いながらやっていただきたいと思います。警察庁。
○檜垣政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、政令において、特定金属、対象となるものは追加できることとなっております。
御指摘の鉄等につきましても、犯罪の発生状況だけではなく、業界の方の御意見も聞きながら、必要な対応を迅速にできるようにしてまいりたいと考えております。
○緒方委員 終わります。
○大岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○大岡委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
私は、盗難特定金属製物品処分防止法案について、会派を代表して、あえて反対の立場から討論いたします。
銅線ケーブル等を盗難する行為が犯罪であり、既存の法律では十分に対応や規制ができないこと、特に、太陽光発電施設のケーブルが切断、盗難されれば、一定期間発電が停止するため、社会に与える影響が大きいこと、金属買取り業者は五万から十万件あるとも推測されており、盗品の処分が容易であることなどの状況を考えれば、特定金属製品盗難防止のための規制強化は確かに急務であり、今法案がそうした目的や対策のために提案されている背景については十分理解します。
しかしながら、指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止を定めた法案第十五条の、業務その他正当な理由による場合を除いては隠して携帯してはならないという規定は、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律、いわゆるピッキング防止法の第四条と同じです。こうした規定は大変曖昧であり、犯罪となるかどうかは現場の警察官の判断、別の言い方をすれば、さじ加減次第であるとこれまでにも批判されています。
例えば、最近では、昨年四月に東京都日野市で、新聞配送中の男性が金てこの隠匿所持で逮捕されたものの不起訴になった事例は不当逮捕だったと報道されています。この第十五条の規定は、市民に対する過度な捜査や、こうした不当逮捕につながりかねず、同様の規定を持つピッキング防止法等の規定とともに見直すべきです。
さらに、この第十五条や、その罰則である第二十二条の規定に伴い、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法の一部改正が今法案に含まれていることは重要です。金属窃盗という、本来軽犯罪である法違反でも、日本で生活基盤を築いて暮らしている外国籍住民の在留資格取消しや強制退去などを可能にすることは、全ての外国籍住民に不安を与え、かつ、その立場を不安定にするものであり、よって、このような入管法の一部改正の規定も見直すべきだと考えます。
以上のような、見直すべき重要な人権規定が少なからず含まれていることから、今法案には賛成できないことを表明し、れいわ新選組を代表して、反対討論といたします。
○大岡委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○大岡委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○大岡委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、國場幸之助君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。下野幸助君。
○下野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 特定金属くず買受業について、買受業者の実態の把握に努めるとともに、本法の運用状況を踏まえ、現金取引の禁止、取引時の本人確認及び記録保存の一層の厳格化を始めとする、買受業者に対する規制的措置の在り方を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
二 太陽光発電施設における金属ケーブルの窃盗を始めとする金属盗の発生状況、手口及び有効な防止策について、不断の情報収集及び分析を行い、関係事業者等と警察とで広域的に共有するための官民情報プラットフォームを、関係業界と連携して速やかに構築し、運用するとともに、関係事業者等に対し、盗難防止に資する情報を積極的に周知すること。
三 盗難特定金属製物品の処分を防止するため、AI等のデジタル技術等の最先端技術等を活用した対策について、その技術開発の支援も含めた在り方を将来的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
四 監視カメラやセンサーライトの設置、転売防止のためのマーキング等の自主防犯対策を講ずる事業者等に対する支援措置を講ずる都道府県に対して、必要な助言、支援等を行うこと。
五 太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗について、不法滞在外国人グループ等が犯行に及んでいる実態が認められることに鑑み、組織的に金属盗を敢行する犯罪について、実行犯の募集や盗難特定金属製物品の流通経路等の実態を解明するとともに、効果的な取締り等の対策を講ずること。また、留学生や外国人コミュニティ等の協力を得るなどして、外国語によるインターネット上の違法・有害情報に対し適切に対応するとともに、犯罪防止に資する情報発信を外国語を用いて積極的に行うこと。あわせて、取締りを通じて外国人差別の風潮を助長することとならないよう十分留意すること。
六 買受け時の本人確認を始めとする手続の煩わしさにより、適法な特定金属くず買受業者の利用が避けられる事態とならないよう、本法の措置の内容及びその必要性について、国民や事業者の十分な理解を得られるよう周知啓発を行うこと。
七 指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止規定の運用に当たっては、人権を不当に侵害することのないようにすること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂井国家公安委員会委員長。
○坂井国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○大岡委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○大岡委員長 次回は、来る二十八日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十七分散会