衆議院

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第24号 令和7年5月28日(水曜日)

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令和七年五月二十八日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 市村浩一郎君 理事 田中  健君

      石原 宏高君    井野 俊郎君

      尾崎 正直君    栗原  渉君

      小森 卓郎君    田中 良生君

      土田  慎君    西田 昭二君

      西野 太亮君    丹羽 秀樹君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      広瀬  建君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    山口  壯君

      阿部祐美子君    梅谷  守君

      おおたけりえ君    下野 幸助君

      辻  英之君    橋本 慧悟君

      藤岡たかお君    馬淵 澄夫君

      水沼 秀幸君    山 登志浩君

      伊東 信久君    三木 圭恵君

      石井 智恵君    菊池大二郎君

      大森江里子君    河西 宏一君

      山崎 正恭君    上村 英明君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (サイバー安全保障担当) 平  将明君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   城内  実君

   国務大臣         伊東 良孝君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   法務副大臣        高村 正大君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   農林水産大臣政務官    山本佐知子君

   経済産業大臣政務官    竹内 真二君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   会計検査院事務総局第五局長            長岡 尚志君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          江浪 武志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  木村 公彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           羽白  淳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (内閣府公益法人行政担当室長)          高角 健志君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            徳増 伸二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   森元 良幸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房技術総括審議官)         飯濱  誠君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          嶋田 俊之君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 下仲 宏卓君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     大村 真一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       日向 信和君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       今村 聡子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武藤 憲真君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江澤 正名君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     丹羽 秀樹君

  岸 信千世君     小森 卓郎君

  栗原  渉君     広瀬  建君

  西野 太亮君     西田 昭二君

  市來 伴子君     阿部祐美子君

  山崎 正恭君     大森江里子君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     土田  慎君

  西田 昭二君     西野 太亮君

  丹羽 秀樹君     江渡 聡徳君

  広瀬  建君     栗原  渉君

  阿部祐美子君     辻  英之君

  大森江里子君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     岸 信千世君

  辻  英之君     市來 伴子君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

同月二十八日

 日本軍慰安婦問題の解決に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一四〇四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一五三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五三五号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一五三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五三七号)

 同(田村智子君紹介)(第一五三八号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一五三九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一五四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官江浪武志君外二十八名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長長岡尚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。國場幸之助君。

國場委員 それでは、早速質問に入ります。

 違法オンラインカジノについて、何点かお尋ねをしたいと思います。

 大変に今蔓延をしておりまして、私の地元沖縄県の方でも、中学生らの詐欺グループが検挙されました。内容は、コンサートチケットを販売するという名目で、生成AIを悪用し、不正契約した楽天モバイル回線を使い、ペイペイで送金をさせた疑いとのことですが、だまし取った一千百五十万円をオンラインカジノに使ったという供述があります。違法オンラインカジノをするために詐欺を働いたという一例であります。

 まず、警察庁に質問をしたいと思いますが、警察庁が実施をした令和六年度の違法オンラインカジノの調査の概要と、その内容を踏まえ、今後どのように取組をしていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。

 内容を見ていきますと、若年層を中心に経験者が三百三十七万人、年間賭額が一兆二千四百二十三億円、また、四〇%強が違法性の認識がなく、約六〇%が依存症の自覚があり、借金経験者が四六%、若年層に至っては六割以上という深刻な実態が明らかになっております。

 それらの調査を踏まえた上での警察の取組についてお尋ねをします。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの警察庁委託調査につきましては、議員がおっしゃるとおり、国内におけるオンラインカジノサイトにお金を賭けた経験のある方は推計約三百三十七万人、国内における年間賭け額の推計は約一兆二千四百二十三億円、違法性を認識していなかった人の割合は約四四%、経験者のうち依存症の自覚がある人の割合は約六〇%などの結果が出ております。

 こうしたことを踏まえました警察の取組につきましては、主に三点ございます。

 第一は、オンラインカジノの違法性についての周知徹底であります。

 様々な広報媒体を通じた周知活動をより一層強化しているところでございます。

 第二は、違法なオンラインカジノの運営に関与している者に対する取締りの強化でございます。

 賭け客とオンラインカジノの間の賭け金等のやり取りを仲介する決済代行業者や、オンラインカジノを宣伝することにより獲得したユーザー数に応じて報酬を受け取っているアフィリエイター等に対する厳正な取締りを一層進めてまいりたいと考えております。

 第三は、オンラインカジノサイトに関する情報を提供している方への対策の強化であります。

 オンラインカジノの利用を勧誘するなどしている者に対し、そのような行為を行わないよう働きかけを行っているところでございます。

國場委員 ありがとうございます。

 続きまして、国家公安委員長にお尋ねをします。

 今、超党派で取り組んでいるギャンブル等依存症対策基本法改正案について見解を伺いたいと思います。

 今回の改正案は、九条の中で、インターネット上にオンラインカジノを開設、誘導、広告、運営等をすることは違法であるということと、また、十四条の中で、ただいまの檜垣局長からの答弁にもありますが、やはりオンラインカジノが違法であるということを認識していない方もいらっしゃいます、その周知徹底を明文化をする。この二つで、各党各会派で今取組を展開をしております。

 実務者協議を始め、各党の先生方、また政調の事務局や、警察を始めとする役所や法制局の皆様にも感謝を申し上げますし、また、我が党では尾崎先生や、また大岡委員長にもいろいろな形で御指導いただいております。

 これらの改正案が成立した際には、どのような効果、賭博という犯罪を抑止することにつながると国家公安委員長は御判断するのか、見解を伺いたいと思います。

坂井国務大臣 一般論として申し上げれば、オンラインカジノサイトを開設する、運営する行為や、オンラインカジノサイトに誘導するための広告や書き込み等が違法化され、現在インターネット上に蔓延しているそうした情報がなくなれば、オンラインカジノサイトにアクセスする人の数は減少し、実際にお金を賭けて違法なカジノ行為をする方の数も、未然防止につながるということを考えておりまして、今御指摘の超党派の議連の皆さんが中心になって動いていらっしゃる法案に対して大変期待をしているところでございます。

 また、周知、広報ということでございますが、この周知活動とともに、我々は厳正な取締りも行っているところでありますけれども、最近では、この周知、広報は、民間企業に対しても広く協力を求めております。

 例えば、プロ野球の球場で、大型スクリーンで違法性周知のための警察庁の広報動画を放映していただいたりしているほか、今後、映画館の劇場ロビーで広報動画を放映したり、あとは、フードデリバリー業界の協力を得て、各お店のメニューとか案内と一緒に警察庁のチラシを同封するなどして各種の広報キャンペーンを今お願いをし、準備いただいているところであります。

 こういった動きの中にも、実は、私の同僚議員の御紹介をいただいてこういう動きになっているところもございます。ですので、國場委員を始め、ここにおられる委員の方々におかれましても、オンラインカジノに係る効果的な広報啓発活動に資するというような情報があったりとか、御紹介できるよという話があったりとか、また、知恵があれば、是非とも御紹介いただきたいと思いますし、今、警察では、担当課で懸命に、こういった様々なところにお願いをして、周知、広報の徹底を行っているところでございます。

國場委員 ありがとうございます。

 民間事業者を巻き込んで、オンラインカジノが違法であるということを周知することは、非常に望ましい取組であると思います。

 実際に今議員立法で取組が進んでいるということを受けて、様々な、インターネット上にも、こういった違法オンラインカジノの誘導と申しますか、露出がかなり減ってきている、こういうような指摘もありますので、やはり今の取組というものは大変意義がある、このように感じておりますので、引き続き、国家公安委員長の御指導のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、伊東大臣にお尋ねをします。

 今回の議員立法は、違法オンラインカジノの深刻な実態を踏まえ、今できる緊急避難措置的な取組であります。初めの一歩にしかすぎない、このように私たちは認識をしております。

 例えば、政府は、令和七年三月二十五日、オンラインカジノ違法利用対策を盛り込んだギャンブル等依存症対策推進基本計画を閣議決定し、その中で、賭客のみならず、先ほど国家公安委員長からも答弁がありましたが、様々な収納代行事業者やアフィリエイター等への取締りの強化、また、オンラインカジノの違法性の周知、オンラインカジノサイトへのアクセス対策、オンラインカジノの決済手段対策を示しております。

 今後、取締りや罰則規定の強化、決済手段対策、ブロッキングやフィルタリングや、キュラソー、オランダを始めとする諸外国への、我が国のオンラインカジノが違法であることを踏まえ、特に、日本までアクセスするべきでない等の海外への働きかけ等もあると思います。

 また、そもそも、ギャンブル等依存症対策基本法には、地方公共団体の責務や関係事業者の責務もありますし、また、ギャンブル依存症の方に、いかに公の相談窓口、支援につなげていくのか。地元で、沖縄の方で依存症対策に取り組んでいる沖縄ダルクという組織がありますけれども、その佐藤代表理事からは、特にハームリダクションの対策を強化すべきではないのかとの指摘もありました。このように課題は山積していると思います。

 政府として、関係事業者との連携を含め、課題をどのように認識して整理し、今後どのようなプロセスで取り組んでいくのかを答弁をお願いします。

伊東国務大臣 お答えいたします。

 犯罪の抑止等の観点から、罰則の必要性等の御指摘があることは承知をいたしております。しかしながら、こうした罰則の整備等には様々な論点があることから、委員がおっしゃるとおり、今回は、緊急的に今できることを議員立法として取りまとめいただいたものと承知をいたしております。

 政府としても、まずは、警察庁や総務省において、通信事業者等と連携して、今回整備される規定を着実に実施していくことが重要であると考えております。こうした取組は、ひいてはギャンブル等依存症対策にも資するものと考えております。

 なお、例えば、既に総務省におきまして、オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会が開催されているなど、残された課題につきましても、今後、所管省庁を中心に必要な検討を行うことが重要であると考えております。

國場委員 伊東大臣、ありがとうございました。

 今大臣からも御指摘がありましたけれども、アクセス防止、ブロッキングの部分なんですが、これは総務省の政府参考人にお尋ねをしたいんです。

 この違法オンラインカジノ対策は、我が党でも様々な議論がありましたけれども、やはりブロッキングはできないのか、すべきであるという発言、指摘はたくさんありました。今、総務省の方でも、アクセス、ブロッキングに関する検討会が開催されていると聞きます。しかし、これは、知る権利や表現の自由、憲法二十一条の通信の秘密、また電気通信事業法第四条などを過度に侵害しないのかという法的な課題や、そもそも、ブロッキングというものの技術的な課題も山積しているかと思います。

 今後、総務省の検討会では、いつ結論を出して、どのように具体的な取組に着手をしていくのか、この点について答弁をお願いします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識をしておりまして、総務省といたしましても、アクセス手段の抑止を含め、実効性のある対応が必要であると考えているところでございます。

 御指摘のとおり、サイトブロッキングにつきましては、通信の秘密の侵害に該当すること、また、知る権利の制約になるおそれがあることなど、法的な課題も指摘されているところでございます。

 総務省におきましては、オンラインカジノのサイトへのアクセス抑止の在り方について、本年四月に、有識者会議であるオンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会を立ち上げまして、検討を開始したところでございます。

 この検討会で、本年夏頃をめどに中間的な論点整理を行い、夏以降にはその整理をした各論点について深掘り、検討をして、年内をめどに一定の取りまとめができるよう、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

國場委員 このブロッキングの問題と、もう一つ、金融庁にお尋ねしたいんですが、やはりこれはアフィリエイターと決済事業者に対する取締りというものが非常に大事だと思います。オンラインカジノというものは、余りにも簡単に電子マネーや暗号資産等で賭け金が賭けられる状況にあるというのが問題でありますが、こうした違法賭博の決済機能に対しての政府の取組、取締りの強化というものをどのようにしていくのでしょうか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘がございましたように、警察庁が公表したオンラインカジノに係る委託調査によれば、違法性を認識していなかったと回答した方の割合は約四割に上っておりまして、国民の皆様にその違法性について認識を高めていただくことが課題と考えております。

 こうした観点から、金融庁としても、当庁ホームページでの注意喚起、SNS上での発信などを行うとともに、金融機関に対して、オンラインカジノの違法性に関する利用者への注意喚起などを要請しているところでございます。

 また、資金移動業者や暗号資産交換業者等を含めた金融機関等におきましては、利用規約において、オンラインカジノに係るサービス利用を禁止、オンラインカジノへの送金を確認した場合には厳格に対処する方針である旨を周知する、その上で、送金等の取引形態に着目し、より個別具体的な調査を行うことで、オンラインカジノへの送金など不正利用が疑われる口座を把握し、犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引の届出を行うとともに、口座の利用停止等の措置を講じるといった取組も見られているところであります。

 こうした先進的な取組事例を共有するなどして、金融機関等における対策を一層加速させてまいりたいと考えております。

 加えて、当庁におきましては、違法な送金の抜け穴となっている国境をまたぐ収納代行につきまして、資金決済法の規制を及ぼすため、同法の改正案を国会に提出したところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携して、オンラインカジノへの送金を止めるための取組を進めてまいる所存でございます。

國場委員 是非よろしくお願いします。

 続きまして、外務省にお尋ねをします。

 オランダのキュラソーを始め、違法オンラインカジノにライセンスを与えている国に、我が国はオンラインカジノは違法なんだ、そのようなことをしっかりと伝えていくことが大事だと思います。特に、日本をターゲットにした日本語での発信を止めるように強く要請をしたいと思いますが、具体的な措置についてどのような取組をしていくのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。

 同時に、日本は、二〇三〇年までに外国からの観光客、インバウンド六千万人、十五兆円という目標がありますので、やはり日本国内に来る観光入域者に対しても、違法オンラインカジノは禁止されているんだ、そのことを周知徹底していく課題もあるということも指摘をさせていただきたいと思いますが、外務省からの答弁をお願いします。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 海外のオンラインカジノにつきましては、外務省といたしましても、日本向けサービスを提供するオンラインカジノ運営事業者にライセンスを付与している外国政府などに対して、日本向けサービスを提供しないよう、警察庁等、関係省庁と連携して働きかけを行っているところでございます。今お話のありましたギャンブル等依存症対策基本法の改正案が成立した際には、当該改正法の内容を改めて外国政府等に周知し、こうした働きかけを引き続きしっかりと取り組んでいく所存でございます。

 また、今お話のありました日本に来る外国人という点につきましては、東京にも各国の大使館がございましたので、そういうところとも協力をして対策を講じていきたいというふうに考えております。

國場委員 是非お願いします。

 最後に、カジノ管理委員会に質問をしたいと思います。

 これは将来の課題だと思いますけれども、悪質事業者は闇へ闇へと法の抜け道を探し、当局の目をかいくぐって違法賭博を行う可能性はあります。合法化されている海外のように、ランドカジノだけではなく、管理された形でのオンラインカジノの限定的合理化の道ということを指摘する意見もありますが、この点についてどう考えるのかということの答弁をお願いしたいと思います。

 つまり、内閣府の特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法については、これは物理的な特定の場所、施設、機器による管理されたランドカジノ形態ですが、今後もデジタル社会は間違いなく進展していきますし、現実にオンラインカジノを合法化している国もあります。日本国内で違法な賭博、無許可営業、誘導行為は厳しく取締りをするべきでありますが、ハームリダクションの対応も含め、個人の単純な賭博行為を限定的に合法化し、適切に管理すべきではないのかという意見もありますが、カジノ管理委員会の見解をお願いします。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもカジノ管理委員会というのは、IR整備法により置かれた組織でございます。

 そこで、まず、IR整備法制定当時の検討を振り返らせていただきますと、同法制定に向けた平成二十九年の特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめというものがございまして、その中で、依存症予防等の観点からカジノ施設への厳格な入場管理を行うことから、カジノ事業において実施を認めるカジノ行為は、カジノ施設内で実施されたものに限る、限定すべきであるとされた上で、例えば、カジノ施設外から参加できるオンラインゲームは不可とされているものと承知しております。

 そうしたことを踏まえて制定されましたIR整備法におきましては、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて行うものとするなどの要件を満たしたカジノ行為のみが認められており、いわゆるオンラインカジノは認められていないということでございます。

 したがいまして、IR整備法上、カジノ行為としていわゆるオンラインカジノを実施することはできないということでございます。

 こうしたIR整備法の立法当時の検討、制度のたてつけがございますので、カジノ管理委員会として、いわゆるオンラインカジノをカジノ行為に含めるといったことは考えておりませんし、先行きというお話でございましたが、将来のことを予断を持ってお答えすることは困難ではございますけれども、現時点において、当委員会としては、オンラインカジノをカジノ行為に含めるということは検討しておらず、そのような検討を行う予定も今のところ持っていないということでございます。

國場委員 ありがとうございました。

 今回のギャンブル等依存症基本法改正案はあくまでも第一歩であるということを強調しまして、今後とも、この件についてはしっかりと対応していきたいということを決意を表明し、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 馬淵でございます。

 赤澤大臣、訪米御苦労さまでした。また、精力的に、関税問題、対応、交渉に当たっていただいているということで、心から敬意を表します。

 また、今現在交渉中ということでありますから、内容についてはお尋ねしても一切答弁ができないということも十分承知しておりますので、そこは私も、そのことを直接お聞きをすることはしません。ただ、その上で、我が国における経済状況、あるいは国内産業にこの関税がどのような影響を与えるかなどなど、こうした部分に関して、お答えいただける範囲のことをお尋ねしたいと思っています。

 そこで、まずは、今注目となっているのは米ですね、米の問題です、これについて大臣に伺いたいんです。

 今までは、前大臣のときには、生産者あるいは卸業者の視点に偏っているのではないかというような不満の声が出ていたように語られています。一方で、新たに小泉大臣が就任をされました。急遽、いわゆる消費者の視点に立ったという形で随意契約が進められております。また一方で、よりダイレクトな視点としての政策で、米の輸入拡大、このことも、今日の午前中に行われていた農林水産委員会でも、様々な質疑者が同様のことを大臣にお尋ねされておられました。

 この米高騰は、当然、喫緊に解決しなきゃならない課題なんですが、今日の午前中の委員会で、これは農林水産委員会ですが、我が党の野田代表が小泉大臣に対して、輸入米に関する質問をされました。これについて小泉大臣は、五月二十六日のテレビの出演においても、あらゆる選択肢は否定しない、このようにおっしゃっておられましたが、今日も、あらゆる選択肢を排除しないというメッセージをマーケットに伝えなければならない、このように述べられたわけであります。

 ある意味、含みを持たせているというか、選択肢はあるんだよということをマーケットに伝えるという意思でありますが、一方、赤澤大臣は、米の問題、これについては、会見で、二十七日ですから昨日の会見ですけれども、政府としてのスタンスとして、農業を犠牲にするような交渉はしない、このように会見で述べられておりました。これは石破総理とも同じ見解ということで、そこはそろえられたんだと思いますが、改めて、日米交渉、中身のことではありませんが、この輸入米の取扱いについて、小泉大臣の就任後も政府のスタンスというものは変わってはいないということなんでしょうか。いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 外交交渉中ということであり、馬淵委員からは、先ほどいろいろな御配慮、温かいお言葉をかけていただきまして、誠にありがとうございます。

 米国の関税措置に関する日米協議の今後の対応について、具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えますが、その上で、これまで私が繰り返し申し上げているとおり、農は国の基であり、生産者の皆様が安心して再生産を続けられる、そういう環境をつくっていくことが政府・与党に課せられた極めて重大な仕事であるというふうに認識をしております。

 今後の協議に当たって、農業を犠牲にするような交渉はしないという考えにいささかも変わりはございません。ここは総理とも共通認識でございますので、そのように是非御理解賜ればと思います。農林水産大臣が小泉大臣に替わった後であっても、その点、変わりはないということであります。

 引き続き、守るべきものは守り、我が国にとって最大限のメリットを獲得するため、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいります。

馬淵委員 今日の農水委員会を私も見ていまして、質疑者も、非常にそこは、消費者だけではなく生産者、これも当然ながら守らなければならないという立場から、非常にタッチーな課題だという思いを持って質問をされていたように思います。

 ただ、犠牲にしてはならないというこの言葉というのは非常に重いと思いますし、今後はそうしたバランスを持った取組をしていただける、政府の方針に変更はないということを確認させていただきました。

 その上で、もう一つの大きな目玉が車、自動車です。

 自動車に関しましては、一部の報道で見たんですが、これは、アメリカが課した関税の半分を部品メーカーが請け負う、負担を求めているということが報道でありました。これが仮に事実だったとすれば、当然これは下請いじめ、あるいは優越地位の濫用ということになりかねませんが、これについては、まず経産省、このような事実、これは真偽も含めて、どのような認識を持っておられるか、参考人、お答えいただけますでしょうか。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしまして、全国千か所に相談窓口を設置をいたしまして、プッシュ型で、自動車部品メーカーも含め、直接、地域の中堅・中小企業の声も伺っているところでございますが、これまで委員御指摘の記事にあるような話は聞こえてきていないということでございます。

 自動車メーカーからも、仕入れ先である部品メーカーに対し自動車関税を負担させるといった話は聞いてございませんけれども、先月八日には、武藤経済産業大臣から、自動車メーカーや大手部品メーカーのトップに対しまして、米国による関税措置の影響が中堅・中小メーカーに及ばないよう、取引の適正化を直接要請したところでございます。

 引き続き、我が国の自動車産業への影響を緊張感を持って注視をしてまいります。また、影響を見極めた上で追加的な対応をちゅうちょなく行ってまいりたいと考えてございます。

馬淵委員 いわゆる大手メーカーが力によって下請に対してそのような要請をするということは、これは明らかに地位の濫用になりますし、ひいては、この関税問題ですら我が国が大変な厳しい状況に置かれている中で、国内の中でさえまたあつれきを生じるようなことが絶対にあってはならないと思います。

 その上で、赤澤大臣、やはり、このような下請いじめの発生という可能性、これも十分考慮しながら日米交渉に臨んでいただかなければならないというふうに考えるんですが、大臣、このような状況を、今経産省からは実態にはそういうものはなかったということでありますが、そこを十分配慮しての交渉ということになるかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

赤澤国務大臣 馬淵委員が当然念頭に置いておられるとおり、まず、米国経済自体が世界全体のGDPの四分の一を占め、我が国の輸出の二割を占めております。非常に我が国の経済に影響が大きいという中で、御指摘の自動車業界が一番影響を受けるということであります。

 相互関税について、御案内のとおり、一〇%が最低で、それにどれだけ乗せるかで、日本は七月九日を過ぎたら二四%という話になっていますが、そういう自動車の二五%並みのものが課されるまでは、どう考えても、やはり自動車と鉄鋼、アルミが負担が大きいということになります。そこで、どうやってそれを乗り切るかということを考えながら、自動車業界が非常に苦労を重ねられているということについては理解をいたします。

 ただ、その一方で、まさに今委員御指摘のとおり、しっかり価格転嫁を実現をしながら、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行しようとしている我が国の経済財政運営において、かつてのという言い方が正しいか分かりませんが、のように、下請、今は中小受託企業という言い方をしているようでありますが、その方に、ある意味でコストをしわ寄せをして、元請がその経済の状態をしのいでいこうみたいな考え方だと、またこれは前の経済に戻ってしまいますので、そういうことのないように、是非その辺はしっかりと業界も、現在の経済の置かれている状況、投資と賃上げが牽引する成長型経済への移行、それを念頭に置いて、適切な対応を取っていただきたいというふうに考えております。

馬淵委員 直接の交渉者でいらっしゃいますし、また明日から米国へ渡米されるということも報道で見ておりますので、これ以上お聞きしませんが、当然ながら、アメリカ経済、厳しい環境も当然起き得ると思うんですね。IMFが四月に発表したアメリカのGDPの予測では、〇・九ポイントの下げという予測がありました。

 ざっくり見ましても、実際に今、九十日間の停止期間でありますが、本当にトランプ大統領がそのような関税を実行しようとすれば、GDP比二・五%相当の、いきなりの増税という、米国内にとっては大変なインパクトになるわけでして、それは当然、ひいては日本にも影響を及ぼすということでありますから、引き続き大臣には、国内の経済再生担当大臣として、そして交渉の窓口として極めて重要な役割を担っていただいておりますので、当委員会では交渉の中身が聞けないことは承知しておりますが、その思いを持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、大臣が所管されている部分、これに関してはお尋ねができますので、私は給付の仕組みの話を少しさせていただきたいと思います。

 二月の五日に予算委員会の省庁別審査で、私は大臣にいわゆる給付の問題につきましてお尋ねをさせていただいたところであります。この給付の話をここでも改めてさせていただきたいのは、我が党は物価高対策として三段階の支援策というのを決定いたしました。一つは、超短期対策として一人二万円の現金給付を行うということ、そして、その後は、消費税法の改正をして、来年の四月一日より最長で二年間の食料品の消費税ゼロ税率、さらには、その区切った二年の年限がちょうど過ぎるときには恒久的な給付つき税額控除への移行という、三段階の経済政策というのを打ち出しております。

 政府は、コロナ禍以降、繰り返し現金給付を行ってきました。これは、二月五日に私が質問をさせていただいたところです。重立った給付措置だけでも令和二年度から六回、そして、その事務費の総額は六千三百十六億円にも上ります。昨年十二月に決まった低所得世帯への三万円給付も三百七十四億円の事務手数料が確保されているということを前回の質疑でも確認をいたしました。

 私どもも今考えているのは、超短期の給付は全国民を対象とするということでありますから、現状の給付システムをやはり改良して実施するということを想定しております。

 そこで、改めてこの給付金事業の執行状況、現行ということを確認をしたいと思います。これは政府参考人にお尋ねをいたしますが、昨年十二月、低所得世帯向けの給付金、これは三万円給付並びに子供加算というやつなんですが、これが給付決定、昨年の十二月からですから約半年たちました。現在の給付の執行状況、これについてお答えいただきたいと思います。参考人、お願いします。

羽白政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度補正予算における自治体による低所得世帯向け給付は、累計で、令和六年十二月時点で〇・六%、令和七年一月時点で五・九%、二月時点で三四%、三月時点で七七・九%、四月時点で九五・三%の団体が給付を開始しており、五月末時点で九八・六%、千七百十六団体、六月以降に一〇〇%が給付開始となる予定であります。

馬淵委員 ありがとうございます。

 四月末までの四か月半で九五・三%、そして、今月末で九八・六。六月末ということは、およそ六か月半で一〇〇%ということです。非常に時間がかかっているなという思いでいるんですが、これも端的にお答えいただけますか。全国給付対象人数に占める給付済みの人数の割合、お答えいただけますか。

羽白政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度補正予算の住民非課税世帯への給付及び子供加算については、自治体に対して給付の進捗状況を逐次報告をすることを求めておりませんので承知しておりませんけれども、本年八月までには給付対象者を最終的に確定していただくよう各自治体にお願いをしているところであります。

馬淵委員 つまり、対象者の人数は不明ということでよろしいんですよね、参考人。対象者の人数は不明ということですよね、八月の報告ということですからね。そういうふうに言っていただけば、短く答弁も終わりますよ。

 その上で、つまり人数はちょっと不明なんですが、こうした状況の中で、令和五年の予備費、前回と比べて執行の速度はどの程度上がっているのか。これも端的に、参考人、お答えください。

羽白政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度補正予算における給付の状況につきましては現在取り組んでいるところですけれども、令和五年三月予備費による低所得世帯向け給付が七か月かかったものに対して、約五か月ということで、速いペースで進んでいると認識しております。

馬淵委員 ちゃんと答弁してくださいね。令和五年の給付が七か月ですか、今のお話だと。先ほどの方が速く進んでいるということですよね。イエス・オア・ノーで。

羽白政府参考人 申し訳ございません。令和五年三月予備費による低所得者向け給付よりも、現在の補正予算に基づく給付の方が速く進んでおります。九か月が令和五年三月の予備費のものであります。今回のものが七か月ということであります。

馬淵委員 二か月ほど早くなったということです。

 しかし、大臣、お聞きいただいて、累次積み重ねても、しかもこのスピード感なんですね。結局は七か月、やはり半年以上かかっている状況です。したがって、飛躍的に向上しているという状況じゃないんです。私、このことを非常に問題だということで指摘をしたところでありました。

 そこで、二月五日の予算委員会の省庁別審査では、今やっている今般の三万円給付事業、取り入れているのが、千七百四十一自治体の中で、いわゆるデジタル庁がつくった給付支援サービスというシステム、これを使っているのはどれぐらいかと尋ねたところ、四団体、〇・二%だったんですね。つまり、二月の段階でほとんど使われていなかったんですよ。この状態で手作業で二か月ほど早くはなっているんですけれども、これは遅いと言われても仕方がないと思います。

 改めて、これは今度デジタル庁の方にまた確認ですけれども、自治体の給付支援サービスの利用状況、これは現時点でどのようなものでしょうか。お答えください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 今般の重点支援地方交付金におきまして、デジタル庁が提供しております給付支援サービスを利用している基礎自治体は、五月二十七日時点で、仙台市、福岡市、鹿児島市、板橋区など十九の自治体となっております。また、七月末までに新たに五自治体が利用を開始する予定となっております。

 なお、デジタル庁の提供しているもの以外も、自治体も独自のオンライン申請システムで給付しているものというふうに認識しております。

馬淵委員 現時点でも十九自治体なんですね、これは一%なんですよね。〇・二%から一%ですよ。つまり、ほとんど利用率の向上がない現状なんですね。

 二月五日の段階でも、私がお尋ねしたときには、答弁としては、自治体のシステムの標準化、これをしなきゃいけない、インターフェースをそろえていくので、来年度以降、順次、標準システムに移行した団体から容易になっていくという話でありました。しかし、これは遅々として進んでいないんですね。

 じゃ、根本となっている自治体のシステムの標準化、この進捗状況はどのような状態でしょうか。参考人、お答えください。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年度末の自治体システム標準化の移行期限までに標準準拠システムへ移行できるよう作業は進捗しているというふうに考えております。

 他方で、様々な事情によりまして、標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降とならざるを得ないことが具体化したシステムもございます。今年一月末時点で、システム数ベースでいきまして、移行対象となるシステム数の約一割に当たる二千九百八十九システムが二〇二六年度以降とならざるを得ないというふうに考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 二月の五日時点では、今年度、当時は六年度でしたから、令和七年度で移行するという目標を立てて進めていたんですが、実際には、現状でいうと、今お話がありましたように、何かさらっとおっしゃいましたけれども、要は、今年度中の移行ができない、来年度に先送りしなきゃいけないのが二千九百八十九システム。

 これは何のことかといいますと、千七百四十一自治体の一つの自治体に二十の業務があります。二十の業務をシステム化して、二十システムと呼んでいるんですね。千七百四十一自治体につき、一自治体二十の業務。この一自治体の二十の業務というのは、たくさん、ずらずらとあるんですが、その二十の業務、例えば住民基本台帳だったり固定資産税だったり個人住民税だったり、こういったものは給付に全部関わります。関係ないところもあります。戸籍の付票、印鑑登録、こういったもの、あるいは就学、健康管理、こんなものもあります。全部で二十、項目があるんですね。そして、これが一つずつシステムになっています。これを標準化しなきゃいけない。

 千七百四十一自治体ですから、ざっくり三万四千システムあるわけですよ。そのうちの三千システムがもう令和七年度末までには無理だというのが分かったんですね。これは、現行でいうと、今年度末で八六%の達成率です。この先、多分、進めていくと、更に間に合わないのが増えていく可能性があるわけですが、結局は、迅速に給付を完了するためのシステム完備、これはまだまだ時間がかかるという認識でよろしいでしょうか。デジタル庁、お答えください。

三橋政府参考人 私ども、自治体システムの標準化は、元々二〇二五年度末の移行期限ということで進めてまいっております。現在、各自治体において作業が進捗しているというふうに考えております。

 私どもとしては、引き続き、各自治体の状況を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら、円滑かつ安全な移行に向けまして取組を支援してまいります。

馬淵委員 これは、やはり自治体に強制できないがゆえに、どうしても時間がかかる。今、はっきり言えないのは仕方ないんですね、この先、増えていく可能性があるわけですから。つまり、令和七年度末までに標準準拠システムへの移行というのはまず無理だということですね。令和八年度になっていく。

 赤澤大臣は、私の二月五日の質問のときにもはっきりと、これは自分が所管している業務として責任を持っていかなければならないということをおっしゃっておられました。この標準準拠システムへの移行というものに対して、これも自治体が独自で進めているけれども、なかなか強制できないんだということでおっしゃっていまして、そのときも大臣からの御答弁では、デジタル庁の平大臣や、あるいは都道府県に力をかりるという意味では総務大臣といった同僚の閣僚とともに、ちょっと相談しながら、どういう取組が一番いいかについてはよく検討させていただきますと、二月の五日に御答弁いただいています。

 よく検討している状況、大臣、これは私、通告が十分できていませんが、大臣がおっしゃった言葉ですからお答えいただけるはずです。大臣、お答えいただけますでしょうか。

赤澤国務大臣 おっしゃるとおり、ちょっと通告がなかったので、答えられる範囲で最大限お答えをしたいと思います。

 私自身も、馬淵委員からの問題提起で、大変いろいろ関心を持ってフォローしているところです。

 それで、ちょっとそこに触れさせていただくと、今般、令和六年度補正予算の低所得世帯向け給付事業で給付支援サービスを利用している自治体にサンプル調査を行って見ていただきました。そうしたら、事務費の削減効果が得られた自治体もやはりあるんですね。自治体によってということですけれども、数百万のところもあれば、数千万、とにかく事務費削減効果が出ているということで、一律になかなかお示しすることは、統一的なデータがないので難しいんですけれども、やはり委員御指摘のとおり、給付支援サービスの活用を推進することは重要であるということが改めて事実で裏づけられましたし、確認をしたところであります。

 そんな中で、やはり一日も早くお届けするということが重大な使命でありますので、今後とも、より多くの自治体で給付支援サービスを活用していただけるように、自治体に対する広報や、自治体からの要望、意見を踏まえた機能の改修などを関係省庁と力を合わせてしっかりやっていきたいと思っています。

馬淵委員 これも、内閣府に確認したところ、もう既に、プッシュ型の給付も、これは法令上、事実上可能なのかということで問合せをしたところ、できますということだったんですね。もう既に、このシステムを導入しているところはプッシュ型が可能です。即時にできてしまうんですね。先ほど申し上げたように、七か月もかけて、半年以上かけてようやく九八パーとか、そんな状況じゃなくなるんです。

 この給付の事務というのは、私は、今これから交渉される赤澤大臣、我が国経済に様々な形で波及をしてきたときに、給付もまた必要になる可能性は否定できません。したがって、来年度、これは今年度中であるはずだけれども来年度に延びそうなんですが、ここは、大臣、円滑な履行とそして推進、大臣がまさに所管される部分なんですから、これは平大臣とも、そして村上総務大臣ともよく検討いただいて、少なくともこのことに対しては明確な責任を持って進めていただくよう、答弁を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 最初に問題の提起をいただいたときから、この問題の重要性は委員と共有しているつもりでございます。今の御質問をいただいたことも含め、今の質疑も踏まえて、私も、ずっと関心をしっかり維持して、ベストを尽くして対応してまいりたいと考えております。

馬淵委員 私どもも、この給付支援サービス、さらには公共サービスメッシュですか、こうした自治体間の情報の連携という仕組みを使って、我々が考えている三段階の政策の実行、これにも十分、このデジタル庁のツールを使って実行可能だと思っています。

 つまり、実装可能なシステムがもうできているのにそれが組み込まれていないという現状をよく我々国会議員が承知をし、認識をした上で、これは与野党関係ないですね、国民のために、即座に実行できるシステムの完遂を是非全力でもって取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、おおたけりえ君。

おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。今日は三テーマ、お伺いしていきたいと思います。

 まず一つ目は、中小企業の価格転嫁に向けた取引慣行、商慣習の改善と、大企業と中小企業との賃金格差の是正について伺ってまいりたいと思っております。

 中小企業の価格転嫁を妨げている取引慣行事例、三十六事例の列挙が、平成二十一年一月二十七日、中小企業に過度の負担となっている取引慣行事例という、中小企業庁の資料にございます。これを改善するためにどのような対策を行っているのか、主な例について伺いたいと思っております。

 また、これらの三十六事例のうちのほとんどが下請法や独占禁止法の違反事例として国より示されているにもかかわらず、いまだ商慣習として残っているものが多々ある状況です。この商慣習の改善に時間がかかり過ぎているのではと感じております。

 政労使の会議の分科会等を開いて議題にしていただくことや、各省庁で商慣習の改善に向けて策定されている業種別ガイドラインの周知のための研修会などを徹底する等、これまでより一歩踏み込んだ更なる取組が必要だと考えますが、お考えを伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のありました資料に記載の事例につきましては、既に、現行の下請法の運用基準や下請振興法に基づく振興基準などにおきまして、考え方でございますとか、違反事例に当たるもの、これらを示しておるところでございます。

 一方で、現状といたしまして、特にサプライチェーンの取引段階が深くなるほど価格転嫁率が低くなることや、型の保管費用を受注企業が負担しているなど、中小企業の負担となる状況はいまだ残っているものと認識しております。

 経済産業省におきましては、取引適正化対策として、業種ごとに望ましい取引事例や現行下請法で問題となり得る事例を示した業種別ガイドラインの策定及び業界団体による自主行動計画の策定といった取組、加えまして、本年一月に石破総理から価格転嫁を阻害する商慣習の一掃について指示があったことを踏まえた、業界団体への業所管省庁からのハイレベルでの取引適正化の要請、さらには、年二回の価格交渉促進月間に基づき、発注企業の価格交渉、転嫁の状況を示した企業リストの公表など、様々な施策を事業所管省庁と連携して講じているところでございます。

 さらに、型取引につきましては、近年、金型等を無償保管させた事業者に対する下請法上の勧告を公正取引委員会が多く実施しております。中小企業庁では、この勧告を受けまして、公正取引委員会と連名で、同様の違反行為が起こることのないよう関係業界団体に要請しており、改善の動きも見られるところと承知しております。

 引き続き、これらの取組を粘り強く継続し、更なる取引適正化を促してまいる所存でございます。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 金型など取締りを強化していただくことと、また、一月ですかね、総理からも商慣習の改善について指示があったということです。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知、これを広げていただいていることは大変大きいことだと思っております。やはり次は各論で、商慣習の改善に真剣に各論で取り組んでいただきたいとお願いして、次に伺います。

 二番目、パートナーシップ構築宣言について、宣言企業が増えているのは大変喜ばしいことで、御努力に感謝をいたします。

 私のところに届いている声の中には、宣言をした翌日に、関連企業二社から価格転嫁の申出があったというものがございました。このように、企業名の公表は他社が価格転嫁の申出をしやすくなるというよい影響があると思っております。

 政府としては、企業名の公表の効果、実際やられてみてどう捉えてみえるのか、伺います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 パートナーシップ構築宣言は、事業者がサプライチェーン全体の共存共栄を図ることを目指し、適切な価格転嫁など望ましい取引慣行を遵守することについて自主的に宣言する取組でございます。現在、約六万八千社が宣言を行っているところでございます。この宣言をしている企業の名称は、全国中小企業振興機関協会が運営するポータルサイトで公表されているところでございます。

 そして、宣言をしている企業は、宣言をしていない企業と比較いたしまして、価格交渉及び価格転嫁への対応が良好であることが昨年九月の中小企業庁の調査から分かっておりまして、政府としてはこの取組の成果が表れているものと考えてございます。

 物価上昇を上回る賃上げの実現、定着に向け、価格転嫁等の取引適正化を進めていくため、更に幅広い事業者に宣言をしていただくよう、これまでの取組を一層強化してまいりたいと思っております。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 この企業名の公表の効果、これを賃上げ税制にも応用できないものでしょうか。賃上げ税制については、五%や七%という高い賃上げ率でこの税制優遇を利用できる例が、やはり大企業に偏っているという課題があるんじゃないかと思っております。このままでは一層大企業と中小企業の賃金格差が拡大してしまうため、対策が必要だと思っております。

 賃上げ税制の制度を利用するのに当たり、チェック欄を作り、取引企業から価格転嫁の合理的な求めがあった場合に同程度の賃金上昇ができるように応じることを宣言させ、先ほど取り上げましたパートナーシップ構築宣言と同様に、税制優遇を受けた企業を公表してはと思います。

 この方法に限らず、ほかにも大企業と中小企業の労働者の賃金格差を埋めていく施策はいろいろあるとは思いますが、今後の日本の所得格差をこれ以上広げないために早急に対策を取る必要があると思っております。

 この賃金上昇局面において、大企業と中小企業の労働者の賃金格差を是正しながら賃金上昇につなげるため、どのようなことを考えていかれるお考えか、伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、冒頭御指摘のありました賃上げ促進税制の利用に関しましては、賃上げ促進税制の適用の要件といたしまして、パートナーシップ構築宣言を掲載している事実を示す必要がございます。このような形で、サプライチェーン全体での共存共栄を目指すということをコミットしていただいた上での御利用となっておることを、まずお答えを申し上げたいと思います。

 その上で、大企業と中小企業の賃上げ格差の是正に関しましては、足下、五月八日に連合が発表した春季労使交渉の第五回集計によれば、全体の賃上げ率は平均五・三二%、中小組合の賃上げ率は平均四・九%となってございまして、昨年同時期と比べ、昨年を上回る高い水準であります。

 一方、大手との格差が引き続き存在しておりまして、多くの中小企業は人手不足や物価高などの課題に直面しており、厳しい経営状況にあるものと認識しております。持続的な賃上げに向けては、労務費を含め適切な価格転嫁を進め、中小・小規模事業者の稼ぐ力を向上させ、賃上げ原資を確保することが必要と認識しております。

 このため、経済産業省といたしましては、サプライチェーン全体で価格転嫁を推進するための下請法、下請振興法の改正、また生産性向上支援の拡充を行ってきております。

 これらに加えまして、ものづくり補助金等においては一定以上の賃上げを要件としていること、IT導入補助金等そのほかの補助金におきましても一定以上の賃上げを加点要素とするなど、賃上げを行いやすい環境整備を進めてきているところでございます。

 さらに、今年度、令和七年度の新たな取組として、地域経済に好循環を生み出していくことができる規模でございます、売上高百億円を超える百億企業を目指す成長意欲の高い中小企業に対して支援を行っております。令和七年度税制改正におきまして、中小企業経営強化税制の拡充、大胆な設備投資を後押しするための中小企業成長加速化補助金の新設を行ったところでありますけれども、いずれの施策におきましても一定以上の賃上げを要件とさせていただいております。

 引き続き、これらの施策を総動員し、中小企業、小規模事業者の稼ぐ力を向上し、そこで働く従業者の皆様に賃上げを実感していただける環境整備に取り組んでまいる所存でございます。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 賃上げについていろいろ取り組んでくださっていること、理解をいたします。

 大手との格差は存在しているという課題意識は共通だと思っておりますので、やはり中小企業が五%、七%、それ以上と、きちんと賃上げできるように、そういった施策も是非とも御検討いただきたいと思っております。

 これまでの議論を踏まえまして、改めて、赤澤大臣、お忙しいところありがとうございます、賃上げについての意気込みをお伺いできたらと思います。よろしくお願いします。

赤澤国務大臣 御質問、誠にありがとうございます。

 実は、私は現行憲法下初の賃金向上担当大臣というのを拝命をしております。大変力を入れて取り組んでいるところでございまして、意気込みということでありますので、お答え申し上げたいと思います。

 賃上げこそがまさに成長戦略の要であるという考え方で、二〇二九年度までの五年間で、日本経済全体で、持続的、安定的な物価上昇の下、実質賃金で年一%程度の上昇を賃上げの新たなノルム、社会通念ということですけれども、として我が国に定着させる、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現するということで、これまでになかった実質賃金で年一%程度の上昇を賃上げの新たなノルムとして我が国に定着させるということを目標として掲げさせていただきます。

 このため、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進五か年計画に基づき、中小企業、小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備に政策資源を総動員してまいりたいと考えております。

 具体的には、官公需を含めた価格転嫁、取引適正化の徹底、それから生産性向上、事業承継、MアンドAの経営基盤の強化、人材の育成と処遇改善等の施策パッケージに、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。

 また、意気込みということなので、もうちょっと触れさせていただきたいのは、最低賃金についても力を入れてやっておりまして、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標の達成に向けた、たゆまぬ努力を継続することとし、官民で最大限の取組を五年間で集中的に実施することもしております。

 その上で、これも新しい取組ですが、各都道府県において中央最低賃金審議会の目安を超える最低賃金の引上げが行われる場合への特別な対応として、政府の補助金における重点的な支援や、交付金等を活用した都道府県における地域の実情に応じた賃上げ支援の十分な後押しにより、生産性向上に取り組み、最低賃金の引上げに対応する中小企業、小規模事業者を大胆に後押ししてまいります。

 そういう意気込みでやってまいりたいと思っております。

おおたけ委員 大臣、ありがとうございます。

 今回取り上げました具体的な商慣習の改善、これは本当に大事だと思っておりますし、やはり大企業を上回る中小企業の賃上げ、これも含めてまた御検討いただけたらとお願いして、終わります。

 次に、二つ目、スクールナースのスタッフ確保について伺ってまいります。

 先日、三月二十九日に、ある一通のファクスがうちの事務所に届きました。

 おおたけりえ様。私は四月から○○高校へ入学する○○です。私は医療的ケアがあり、今後学校生活を送るときに人手が必要です。今日まで両親、学校や医療関係者が探していますが、まだ看護師さんと介助員さんが十分に見つかっていません。このままだと学校生活を送ることができません。学校で楽しく学びたいので、少しでも力をかしてください。よろしくお願いしますという、切実なお手紙が届きました。

 その後、いろいろな方と一生懸命看護師さんを探しまして、今回は何とか看護師さんを見つけることができ、無事学校生活を送れております。

 このことを機に、いろいろ調べてまいりますと、同様にスクールナースの確保に苦労されているケースが多くあることが分かってまいりました。

 他の方の事例では、通常の時期のスクールナースとは別に、校外学習時に付き添ってくれるスクールナースをお願いするモデル事業の実施に当たり、学校から、親が看護師を見つけられた場合のみこの事業の申請ができると説明があったとのことです。保護者ではなかなか看護師を探す人脈がある人は少ないのではと思っております。

 また、看護師が見つかったとしても、看護師の研修体制が十分でないため、新学期の初めから七月までは保護者も同伴が必須であったという事例も伺いました。

 令和三年九月十八日から医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されており、第十条の二で、「学校の設置者は、その設置する学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするため、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、現場はまだまだ理想とする状況には追いついておらず、これからの取組が重要であります。

 認定NPO法人フローレンスが、東京都内在住の障害児、医療的ケア児をお持ちの家族向けに、令和六年十二月から令和七年一月に行ったウェブ調査によりますと、保護者の二四・四%が付添いのために休職、退職されている実態が明らかになっております。

 私の住む愛知県において医療的ケア児の保護者の方に直接行ったヒアリングでは、毎日の送迎はもちろんのこと、保護者が別室に控えて学校側の呼出しに応じてケアを行ったり、保護者が子供のケアを行う保護者ケアの日が月に何日か設定されていること、校外学習に付き添える職員がおらず保護者が同行しなければならないことなどの実態を伺いました。

 文科省より、幼稚園、小中学校、高校等において特別な配慮が必要な児童生徒をサポートするための看護職員等の実態調査結果が公表されております。

 それによりますと、令和五年五月一日現在で、医療的ケア児は一万七百六十四人に対し、医療的ケア看護職員九千六百九十人という状況で、全国的に見ても医療的ケア児に対する看護職員数は足りているとは言えませんが、地域偏在も大きくあります。

 愛知県について、医療的ケア児五百八十二人に対して、看護師二百六十七人、看護師以外の実施者が四十三人であり、大幅に不足していることが分かります。

 また、保護者等による付添いを行っている医療的ケア児の数は全国において五千六百十八人で、全体の五二%の多さです。

 このような中で、自治体側も様々な苦労と工夫をされているようです。

 愛知県豊橋市を始めとした自治体が行っている看護師派遣業者に委託する方法は、学校や保護者の看護師を探す負担も減ることや、一人の医療的ケア児に複数人の看護師でチームで対応できることなど、よいように思いますので、是非広げていただきたいと思っておりますが、年度ごとに看護師が替わってしまう可能性があるという課題もございます。

 大阪府豊中市が行っている市民病院から看護師を派遣する方法もよいと思います。しかし、そもそも市民病院の看護師が定員に満たず、足りていないところが多いという課題もありますし、現在の賃金では、市民病院の看護師を派遣するのに費用が足りないという課題もございます。

 愛知県ナースセンターに伺ったところ、子育て中などの理由から日勤、短時間で看護師として働きたい方もみえますが、医ケア児のサポートは経験がないため、スクールナースに手を挙げることをちゅうちょしている人もいると伺いました。スクールナースとして必要なスキルを研修できる体制を整えてはと考えますが、いかがでしょうか。

 そこで、このようなスクールナースの採用体制の充実についてどのように対応していかれるのか、伺います。

今村政府参考人 お答え申し上げます。

 医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえ、学校において医療的ケア児が安全、安心に医療的ケアを受けられる体制を整備していくためには、医療的ケア看護職員の配置が重要と考えております。

 そのため、文部科学省におきましては、校外学習や登下校時の送迎車両への同乗も含めまして、医療的ケア看護職員の配置に係る補助事業予算を拡充し、令和七年度予算に計上するとともに、訪問看護ステーションの活用など、医療的ケア看護職員の人材確保、定着に関する取組事例を取りまとめ、各自治体へ周知することとしております。

 加えまして、医療的ケア看護職員の定着を支援する観点から、学校で医療的ケア看護職員が勤務するに当たって参考となるマニュアルや参考資料、具体の業務内容や学校で働く意義を紹介する資料等を作成、周知しているほか、医療的ケアの手技に関する研修動画を新たに作成し、各自治体に対し周知することとしております。

 さらに、医療的ケア児の保護者の付添いを軽減するための方策や、各自治体における医療的ケアの実施体制に関するガイドライン策定に向けた調査研究に取り組むこととしております。

 文部科学省といたしましては、これらの取組を通じまして、各学校等で医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえた取組が適切に行われるよう、支援の充実に努めてまいります。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 支援をしてくださっているというのは理解をしているんですけれども、やはり一歩踏み込んで、もう少しきちんと、自治体がちゃんとなっているかということを、やはり、いろいろな部課長会議も含めて、お願いしたいと思っております。

 医療的ケア児に限らず、特別な支援が必要な子供への切れ目のない支援体制については、各自治体において教育、福祉、医療担当部署の連携が不可欠ですが、ケース会議の招集は担当職員に任されているのが現状です。

 今回、ファクスが来た事例のような、中学校から高校進学のタイミングでは、市町村から県に管轄が移動し、法的義務もないため、情報共有が途切れる可能性がございます。各自治体において、支援の内容に応じて専門職など必要な関係機関がそろう会議が確実に招集され、配慮が必要なお子さん自身や家族の意向を反映した環境が整うようにすべきだと考えますが、どのように充実を図っていかれるのか、伺います。

今村政府参考人 お答えいたします。

 障害のある児童生徒に対し適切な支援を行うためには、進学先に支援の内容など必要な情報を引き継ぐことが重要であると考えております。

 そのため、文部科学省におきましては、関係機関間における情報の引継ぎを適切に行うため、平成三十年に学校教育法施行規則を改正し、特別支援学級等に在籍する障害のある児童生徒についても個別の教育支援計画の作成を義務づけるとともに、令和三年には、各教育委員会等に対して、引継ぎ事項に関する項目も含め、個別の教育支援計画の参考様式を示し、各自治体における取組を促しているところです。

 加えまして、各教育委員会等において、進学時などに個別の教育支援計画等が有効に活用される仕組みづくりや、学校と関係機関の連携を促す連携支援コーディネーターの配置など、関係機関間の連携体制の整備に資する経費を補助し、その取組を支援しているところです。

 文部科学省としましては、引き続き、各自治体において障害等のある子供が切れ目なく支援を受けられる体制の整備が適切に行われるよう、支援の充実に努めてまいります。

おおたけ委員 ありがとうございます。是非とも、支援の充実、お願いしたいと思います。

 済みません、赤澤大臣、これで、大臣への質問は終わっておりますので、御退席いただいて大丈夫です。恐れ入ります。ありがとうございます。

大岡委員長 では、赤澤大臣は退席していただいて結構です。

おおたけ委員 次に、障害者差別解消法は、合理的配慮を行うことを現場に求めておりますが、現場もどうしていいのか戸惑うことも多いと伺っております。

 ヒアリングした例では、中学校で階段の昇降機を先生が全く扱ってくれず、階段を上り下りする必要があるタイミングで、保護者がその都度学校に行き、操作をしたという話も伺いました。学校側としては、校内の人手不足と安全性の不安からそのような対応になったと想像はいたしますが、もう少し支援できたのではないかと感じております。

 医療的ケア児に対して、保育所、学校、放課後児童クラブなどで、日頃、当事者の周りで支える関係者がどのような配慮をした対応をしたらよいのか、動画、オンライン研修、相談支援体制などの充実が必要ではと考えますが、どのように取り組まれるのか、伺います。

源河政府参考人 お答えいたします。

 医療的ケア児に対して、日常の生活を支える支援者がどのような配慮や対応をすべきかにつきましては、例えば、令和六年七月に策定いたしました児童発達支援ガイドライン等において、医療的ケア児の障害特性に応じた配慮事項をお示ししているほか、保育所等につきましては、令和六年三月に改定した医ケア児の支援に関するガイドラインにおいて、医ケアを実施する際の留意事項や日常の保育実施に係る留意点をお示ししております。加えて、保育士等キャリアアップ研修の研修分野に障害児保育も盛り込んでおります。

 また、放課後児童クラブにおいても、医ケア児を含む障害のある子供の受入れに際しての考え方、関係機関との連携を求める内容も盛り込んだ放課後児童クラブ運営指針を策定し、自治体や事業所に周知しているところでございます。

 医ケア児に対する支援者による配慮の内容について、先生御指摘のとおり、広く周知を図ることは非常に重要というふうに考えておりまして、自治体担当者向けの会議などの機会を活用し、広く支援に携わる関係者への周知が進むよう、しっかり取り組んでまいります。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 研修もやはり専門職だけでなくて周りの支える方々にまで、どうやって支えていいか分かってくださるような周知をお願いできたらと思っております。

 これらの議論を踏まえまして、障害のある方との共生の観点から、三原大臣のお考えを伺います。

三原国務大臣 ありがとうございます。

 障害のある方が生活の中で感じる社会的障壁、これを取り除くのは社会の責務であるという考えの下で、障害者差別解消法において合理的配慮の提供等を事業者や行政機関等に義務づけております。

 全国の現場において、本法の趣旨が理解されて、合理的配慮の提供等を徹底いただけることが重要と考えておりまして、これは事業所管ごとに担当大臣が対応指針を策定して取組を推進しているところでございます。

 医療的ケア児と関わる教育や障害児支援の現場におきましても合理的配慮の提供等について取り組んでいただいているものと承知しておりますけれども、今委員御指摘のように、サービスを利用する上で御本人ですとか御家族に大きな負担が生じているということ、大変残念に思っております。

 こども家庭庁においても、対応指針の策定、周知に加えて、障害児支援というのはもちろんでありますが、保育や放課後クラブの方でも、医療的ケア児の支援者に対する配慮事項の周知等を継続的に行うということもしているところでありますので、内閣府といたしましても、こども家庭庁や文部科学省、関係省庁との取組などを、フォローをしっかりとしてまいりたいというふうに考えております。

おおたけ委員 ありがとうございます。

 やはり、スクールナースの充実、そして医ケア児に対する社会の認識を変えていくということ、また是非とも取り組んでいただきたいと思っております。

 済みません、政務官、もう一つ用意していたんですけれども、ちょっと時間となりまして、また次回質問させていただきたいと思いますので御容赦ください。

 どうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 今日は、先般の風営法の審議の際に、特に立憲民主党の方々から、売春において買う行為を罰するべきじゃないかという質問をしたところ、法務省の方から、いや、保護法益との関係でという答弁が何回もあって、やり取りを聞いていて、何かえらくかみ合っていないなと思うので、ちょっと自分なりによく調べて今日は来ました。

 調べてみると、売春防止法というのは、日本が国連に加盟するときに、こういうことにしっかり取り組んでいないとまずいですよねということも含めて制定されたという経緯があるやに承知をいたしております。

 まず、これは法務省なのか外務省なのか分かりませんが、売春防止法は、一九四九年、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の国内担保法という位置づけであるという理解でよろしいでしょうか。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 売春防止法は、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の担保法の一つでございます。

緒方委員 そうなんですよね。これぐらい入っていないと、やはり国際社会で国連に加わっていくときに駄目ですよねということで、それも理由の一つとして、もちろん、当時から日本の国内で売春が問題になっていたことはありますが、それも含めて作られたということなんです。

 ただし、この条約においては、売春をする者の勧誘行為を罰するように求めているようにはとても見えないんですね。売春防止法ではこれを罰則にしているわけですが、この条約では売春する人間の勧誘行為を罰していないと思うんです。

 それでいいかということと、その後の人身取引系の国際条約で、売春をする人間の勧誘行為を罰するものはないという理解でよろしいですか、外務省。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員のお話にあったのが売春防止法の五条で規定される行為ということでございますれば、我が国が締結している国際約束の範囲で、そのような行為を禁止する国際約束はないというふうに承知しております。

緒方委員 そうなんですね。つまり、国際社会に入っていくときに、この条約に入るのが必要ですということで、その国内担保法として売春防止法を作った。しかし、国際条約でいろいろ、これこれを罰しなさいというような規定が入るわけですが、別にそんなところに、売春防止法第五条における勧誘行為を罰する行為というのは入っていないんですね。

 なので、ここでずれが生じるわけですよ。そういうものを罰していないから、北欧は北欧モデルとして、いや、そうじゃなくて買う人を罰しましょうというふうにいくし、逆に、日本のように、こういう売春防止法第五条で、売春をする者の勧誘行為が罰せられる、全く逆の方を向いていったわけですよね。国際条約で求められていないことまで、日本でこれは規律しているんですね。

 そうなるときに、私は、では、この保護法益は何だろうと。保護法益、保護法益と何度も法務省は言われたわけですが、それを調べてみると、要するに、社会の風紀を害するということだ、そういう保護法益なんだということに行き着いたんですが、その理解でよろしいでしょうか、法務省。

吉田政府参考人 売春防止法第五条の趣旨ということで申し上げますと、同条に規定する行為は、御指摘のように、社会の風紀を乱し、公衆に迷惑を及ぼすことから処罰対象とされているものと承知しております。

緒方委員 そうなんですよ。つまり、今、迷惑という言葉まで使いましたね。社会の風紀を乱し、迷惑だから罰している、こういうことなんです。

 私は、売春防止法ができたときの法務省刑事局参事官という方が書いた逐条解説、本当に古文書のようでありましたが、それを読んだら何と書いてあったかというと、売春防止法第五条の勧誘行為を禁じる規定について、売春をしようとする者が自らその相手方を勧誘する行為等のうち、社会の風紀を害し、一般市民に迷惑を及ぼすものを取り締まる趣旨であるが、これによって、常習として売春をする悪質な者をかなりの程度まで処罰することができると。

 要するに、この法律は、売春防止法のこの規定というのは、女性の人権とか尊厳とか身体の保護とか、そういうことを目的としていないんです。余り言い方がいいかどうか分かりませんが、立ちんぼをしている人が見栄えが悪い、子供の教育にも悪い、そういうことから罰則を設けているということなんですね。

 そうすると、買う行為を罰するというものとのかみ合わせがむちゃくちゃ悪いわけですよ。だって、売る人の勧誘行為は、単に社会の風紀を害するから罰しているんですというときに、それとセットになる形で、買う行為を罰する行為というのをセットにすることというのは、法論理上、むちゃくちゃ難しいはずなんです。

 人身取引等を担当しておられる大臣として三原大臣にお伺いしたいんですが、もちろん、こういう刑罰法規の担当でないということはよくよく承知をいたしておりますが、何かこの理屈というのは現代性がないように思うんですね。例えば、今、新宿でとか、いろいろなところでそういう売春行為が問題になる。この間の風営法の改正もそうですけれども、そういう方々は社会の迷惑であって悪質だから、だから刑罰をかけなきゃいけないという発想そのものが現代性がないと思うんですね。

 何度も言いますが、直接刑事法制の担当でないということはよく分かっています。しかし、人身取引の問題を内閣府で担当しておられる大臣として、手に持っておられる答弁書はいいですので、本当に国務大臣としての熱い思いを聞かせていただければと思います、三原大臣。

三原国務大臣 答弁書に私の熱い思いを込めてきましたので、お話をさせていただきます。

 まず、長い年月を経る中で、社会経済の情勢ですとか国民の考え方も変化をしていくということなんだと思います。どのような政策や制度も、時代の変遷に応じてこうして不断に議論をしていくということは大変重要であると思って、そういう思いで今委員のお話も拝聴させていただいておりました。

 私も、今委員の御指摘があって、法が制定されるまでの経緯というものもしっかり学ばせていただきました。売春防止法の規定の趣旨などをお答えすることは私は所管外ですけれども、男女共同参画基本計画においても、人間の尊厳を傷つける売買春の根絶に向けて、売買春の被害からの女性の保護などに取り組んでいく必要があるということは認識しておりますし、加えて、同基本計画には、売春防止法の見直しを含めて検討を行うという記載をしておりますので、男女共同参画を担当する大臣として注視をしてまいりたいと思っております。

緒方委員 すばらしい答弁をありがとうございました。

 まさに今言われたとおりなんです。人間の尊厳を傷つけるということ、これが一番の問題なのであって、そこが現在十分に、この法律のほかの部分も含めて、ほかの部分にはそういう保護法益はあるんですけれども、当事者を罰する規定というのはここしかないんですよね。勧誘する行為しかないんですよね。実際に売春している行為自体は禁止されているけれども、罰則がないんです。これはこれでまた別の理由があったんですけれども、なかなか面白いなと思ったんですけれども、余りプライベートに入るべきでないという議論が当時むちゃくちゃあったというのは見ましたが。

 ただ、まさにそういうことであって、立憲民主党の皆様方も、結局、買う行為を罰しろとこの場で百回言っても、保護法益が調整がつきませんと言われるのが関の山なので。これは本当にやろうとすると、保護法益、何を我々はしようとするのか、何を保護しようとしているのかということを根本から見直すことが私は必要だと思いますし、今大臣の答弁にその思いは十分にあったと思います。本当にありがとうございました。今後の活躍を是非期待させていただきたいと思います。

 続きまして、もう一つ、これは公益法人の担当相としてもお伺いをさせていただきたいんですが、最近、日本駆け込み寺、あれの事務局長、理事がコカイン所持で逮捕されました。これは、実際に新宿とかでふらふらしている人に声をかけたりとか、いろいろないい活動をしている組織だと思うんですが、ただ、理事で事務局長がコカイン所持で逮捕されて、何と言ったかというと、報道によると、オーバードーズをするぐらいならコカインの方がいいといって、施設利用者に勧めていたということだそうです。

 私は、これは大問題だと思っていて、当然、公益法人を担当する、所管する内閣府として、もう既に公益認定法の報告要求ぐらい、大臣が呼んで、どうなっているのと聞くぐらいのことはやっていると思ったんですね。もう既にやっているだろうと思ったら、まだやっていないと言っているんですね。

 だって、理事で事務局長がコカイン所持で逮捕されて、公益認定をする組織として、報告要求、その後、勧告とか認定取消しとかいろいろな規定があるんですけれども、その一番の入口のところの規定、何をやっているの、あんた、ちょっと説明に来なさいということすらやっていないというのは、私はこれは問題だと思うんですよね。大臣、いかがでしょう。

三原国務大臣 本件につきましては、現在警察による捜査が進行中でありますので、そういうふうに承知をしておりますし、いずれにしても、悩みを抱える多くの方々に寄り添う事業を行う公益法人において今般のような事件が発生したことは極めて遺憾です。また、国民や企業から寄附などの広い支援を受けている公益法人にとって信頼性の確保は極めて重要であり、速やかに必要な体制を取ってまいりたいというふうに思います。

 まず、事案の広がり、これも注意しつつ、事実関係の把握に努めて、そして、公益認定法上の問題に対して、報告徴収を始めとする必要な監督措置、今委員がおっしゃっていただきました勧告、命令、公益認定取消し等々ございます、これを適切に講じてまいりたいと思っております。

緒方委員 ありがとうございました。

 それでは、ここで三原大臣、大丈夫であります。ありがとうございました。

 続きまして、官民ファンドについてお伺いをしたいと思います。

 最近、会計検査院の方から、「官民ファンドにおける業務運営の状況に関する会計検査の結果について」というものが報告として出されました。

 まず、会計検査院にお伺いしたいと思います。

 簡潔にこの内容を説明いただければと思います。

長岡会計検査院当局者 お答えいたします。

 報告では、検査の結果といたしまして、累積損失の大きい四つの官民ファンド、いわゆるA―FIVE、クールジャパン機構、JOIN、JICTに係る累積損失の解消のための各計画の進捗状況等について検査を行い、このうち、クールジャパン機構及びJOINにつきましては、計画の最終年度の累積損益額が産業投資の資本コストの額を大幅に下回っていたことなどを報告しております。

 そして、会計検査院の所見といたしまして、A―FIVEは累積損失の最小化を、他の三ファンドにつきましては累積損失の解消を目指すことなどを述べておるところでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 これは結構衝撃だったんですけれども、今日、それぞれ四つの組織について累積損失が非常に大きいということで、政務三役にお越しをいただきました。言い訳を聞きたいと思います。

吉井大臣政務官 緒方林太郎委員の御質問にお答えをいたします。

 JOINにつきましては、二〇二三年度決算において、テキサス高速鉄道事業やミャンマー都市開発三事業など複数事業の損失処理の結果、累積損失は約九百五十五億円を計上しております。損失計上した事業は、現地国の情勢やコロナ等、事業環境の悪化の影響等により事業の見通しが不透明になったため、JOINにおいて、監査法人の意見も踏まえ、損失計上したものと承知しております。

 これを受け、JOIN及び国土交通省におきまして、昨年十二月に、投資リスク管理や投資分野の重点化等を含む経営改善策、改善計画を策定いたしました。

 着実な累積損失の解消に向け、引き続きJOINにおいて適切な対応を行っていくよう、国土交通省といたしましてもしっかりと監督してまいります。

 以上であります。

川崎大臣政務官 総務省が所管するJICTについてお答えいたします。

 JICTの累積赤字百二十三億円につきましては、同社が設立された平成二十七年以降、当初の数年間において投資した一部の案件について、地政学リスクの顕在化などの影響により損失を計上したことが主な要因となっております。

 その後、JICTは反省を生かしながらリスク管理の強化などに取り組み、令和五年度には単年度黒字に転じ、また、今後は大型案件の投資回収なども見込まれており、累積赤字の早期解消を見込んでおります。

 総務省としては、会計検査院の検査結果も踏まえ、今後も引き続きJICTの監督を適切に行ってまいります。

竹内大臣政務官 クールジャパン機構についてお答え申し上げます。

 機構の支援対象の基準としましては、政策的意義、そして収益性の確保、波及効果としているところでありますが、累積損失の背景としましては、設立当初は政策的意義を重視し、収益性に課題のある、そうした案件が多くございました。

 このため、二〇一八年以降は、支援対象基準のバランスを追求する投資方針に変更をしましたが、新型コロナの感染拡大、長期化の影響がありまして、二〇二一年度決算では投資計画が未達となりました。

 こうした背景も踏まえまして、二〇二二年十一月には経営改善策というものを打ち出しまして、毎年度の投資計画における目標額を達成することとしております。

 なお、二〇二三年度決算におきましては、本計画の二〇二三年度目標のマイナス約四百六億円に対しまして、実績値が上回る水準とはなっております。

 会計検査院報告での御指摘を真剣に受け止めまして、引き続き、経済産業省といたしましてもしっかりと監督を行ってまいります。

山本大臣政務官 A―FIVEについてお答えいたします。

 御指摘のA―FIVEにつきましては、二〇二三年度末時点で、累積損失額は、新型コロナの影響の長期化等により、百六十二億円となっております。

 現在、A―FIVEでは、本年度末の解散に向けて、様々な手法により売却先の探索を進めております。そして、回収の最大化を図っているところです。

 農林水産省としましても、今回の会計検査院の指摘を踏まえ、引き続き、累積損失の最小化を目指し、適切に監督してまいります。

緒方委員 それでは、官民ファンドについては、官房長官の下で関係閣僚会議を設けているわけでありますが、まず、その前に、先ほど政務官から答弁のあったA―FIVEについては、法律を作ったのは民主党政権であります。その一方で、実施したのは自民党政権。

 ちなみに、今あった四つ、ほとんど、安倍さんが政権に戻ってから大体つくっているものなんですね。

 そのうちの一つがA―FIVEであって、そのA―FIVEが、二〇一三年からスタートして、一八年ぐらいでもう既に一回、会計検査院から、駄目ですよというふうに言われているんですね。けれども、そのうちの三年程度は林農林水産大臣の時代でありまして、まず、これをどう思われるでしょうか、大臣。

林国務大臣 今御指摘いただいたように、このA―FIVEは、二〇一二年の政権交代前に、機構が支援を行うに当たって従うべき基準が策定をされておりまして、機構の発起人から事業計画や定款等が提出されて、その設立が認可されております。そこで政権交代が、替わりまして、私のときに、二〇一三年一月、同機構が設立されております。

 私は、一二年の十二月二十六日から一四年の九月までと、二〇一五年の二月から十月まで農林水産大臣を務めておりましたが、一四年度決算には赤字が十億に達しております。二〇一五年度決算以降には減損処理も行っておりまして、お尋ねの会計検査院の報告では、二〇一六年度末時点で四十五億の累損が発生したということでございますので、こうした事態に至ったことは、設立当時の農林水産大臣として重く受け止めなければならない、そういうふうに考えております。

緒方委員 ここからは官房長官として是非お伺いをさせていただければと思うんですが、そもそも官民ファンドという手法が有効なのかという問題というのがあると思うんですね。これは、実は大半がうまくいっていないんですが、全体で見ると、出資した額に対して戻ってきているものが高い、成功しているものがあるんです。

 それは何かというと、官民ファンド全体で見ると、産業革新投資機構でルネサスに出資したものの戻りが一兆三千億円あって、これが出てくるので、全体で見ると実はプラスになっているんですね。けれども、それ以外のところは結構ひどい、どんどんどんどん、二〇一八年のときの会計検査から見ても悪くなっているんですね。

 そうすると、有効なのかということと、有効であったとしても、ルール決めはもう少し厳しくやるべきではないかと思いますが、最後、官房長官の答弁を求めたいと思います。

林国務大臣 今お話しいただきましたように、十五ファンドがございまして、全体でありますと、今の御説明もありましたが、累積黒字が増加傾向でございますが、八つ、累積損失を抱えるファンドがありますが、その合計は、八つのファンドについて見ると損失が増えている、こういうふうに認識をしております。

 累積損失の一因としては、投資をしてから投資回収までにタイムラグがあるというのは一般的にそうなんですが、ただ、JOINのように、複数事業を損失処理しなきゃいけなくなった、こういうものもありますので、やはり累損の解消に向けた取組はしっかりと進めていく必要があるというふうに思っておりまして、閣僚会議で、工程表で示されている方針を踏まえて、累積損益の状況を共有して、定期的に検証を行うということにしております。

 今年一月に会議を行いましたが、JOINを含めて累積損失が発生しているファンド、これを監督している大臣に、官民ファンドの経営改善に更に一層取り組むように指示をしておりまして、こうした取組を通じて累損解消を図ってまいりたいと思っております。

緒方委員 終わります。

大岡委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。本日もよろしくお願いを申し上げます。

 まず、城内大臣、今日はありがとうございます。先日のAI法の質疑のときに、私は国産AIを作るべきだということで申し上げたところ、城内大臣からは強い賛同をいただいたというふうに認識をいたしております。そうなりまして、AI法が通ったというか、参議院の方はどうなったのか確認していませんが、通るということだと思います。

 それで、国産AIを作るに当たりましては、何といっても、やはり予算をつけていかなくちゃいけないだろう、こう思います。

 令和七年度では、関係予算は千九百六十九億円ということでございますが、桁が一つ違うのではないかというふうに思っておりますし、経産省の方は、二〇三〇年までに十兆円ということも計画、そういう話もあるようでありますが、今後、どういう予算をつけていくかということに関しましてお答えいただきたいと思います。

城内国務大臣 お答えします。

 市村委員におかれましては、先般の内閣委員会でのAI法の質問に続いて今日も御質問いただきまして、ありがとうございます。

 また、AI法につきましては、本日、参議院本会議にてお認めいただきました。身を引き締めてしっかり取り組んでまいりますことを今日この場でお誓い申し上げます。

 さて、御質問いただいた点につきましては、AIは、言うまでもなく、国民生活や経済社会に密接に関係することでありますので、当然、外国語だけではなく日本語で、しかも、日本の文化や日本の商習慣を正確に、さらには、日本や日本人の情緒も含めてしっかり回答できるAI、これが、やはり私自身、市村委員と同じ認識で、極めて重要だと思っております。

 また、産業競争力や経済安全保障の観点から、国産のAI、これを開発することも極めて重要であります。現在のところ、大規模言語モデルの開発におきましては外国企業が先行している状況でありますけれども、国内でも、小規模なモデルで高性能なAIを開発する取組が進められており、こうした国産AIの研究開発を積極的に推進していきたいと考えております。

 予算の件ですけれども、令和七年度当初予算における政府のAI関係予算は合計一千九百六十九億円でありますが、令和六年度当初予算と比べますと、その金額は約一・七倍と増加しております。

 内閣府といたしましては、こうした予算を積極的に活用しつつ、今後は、本日成立したAI法、これに基づきまして、日本や日本人の情緒も持った国産AIの開発を含めて、AI関係施策を政府一丸となって更に強力に推進していく考えであります。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、必要な予算の確保にしっかり努めてまいる考えであります。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

市村委員 AIは、日進月歩というところであります。年度をまたがないと、なかなか予算というのはつくれないんですけれども、やはり日進月歩ということを考えていただいて、しっかりと予算をつけて推進をしていただきたいと思います。

 ITでは遅れに遅れている、三周遅れどころじゃない、何周遅れか分からないぐらい遅れている中で、先日のAI法の質疑でも、AIはまだ何とか間に合うかもしれないという話もあったと思いますので、よろしくお願いします。

 今後、AIは国産AIになってきて、この間のAIのときにちょっと私は申し上げるのを忘れていたんですが、これからは、非常にAIも個別化するのも面白いという状況になってくる。つまり、例えば、城内大臣テイストのAIとか平大臣テイストのAIとか、多分、そういうものも考えられるようになってきます。だから、しっかりとそういうところも日本が主導できるような状況をつくっていただければと思います。

 そこで、関連して、先日、自民党の尾崎委員が耐量子時代における暗号技術の話をしていただきましたので、私も、ずっとほかの委員会でもこの暗号技術について大分話をしてきました。平大臣とは、サイバーセキュリティーのときもかなりそれを出していただきました。耐量子時代における暗号技術、私は、完全暗号というものがある、それをしっかりと生かしていくべきだ、もう実装化しているということもありますから、生かすべきだというふうに思っています。

 改めまして、平大臣、いよいよAI法もできて、AIも日進月歩で動いています。AIこそ、まさにサイバー空間を使って情報をやり取りをするんですね。この情報が盗まれたり、改ざんされたり、成り済ましに遭ったりとかされると、大変なことになってまいります。AIをそのような悪い思いを持った人間が操るということになっては、これはとても困ります。ですので、まさにサイバーセキュリティーは重要であります。

 そのサイバーセキュリティーも、あくまでもこれは情報セキュリティーの一分野というところで、情報をどうやったら守り切るかという観点でやはり私は暗号が必要であり、そして、さらに、それが、今、量子時代となります、量子コンピューター、量子AI。そうすると、今のコンピューターでは解けないけれども、量子だったら、いつも申し上げておりますが、通常、今のコンピューターだったら、例えば「富岳」、日本で最速のスーパーコンピューターですら何兆年とかかる計算を僅か〇・〇〇何秒とかで解いてしまうという状況になってきていますので、しっかりとした暗号技術、耐量子の時代の暗号技術というのが大切だと思いますが、改めて平大臣から御答弁いただきたいと思います。

平国務大臣 ありがとうございます。

 まさに耐量子計算機暗号、いわゆるPQCは重要だという認識をしております。

 今回、サイバー対処能力強化法及び同整備法が成立をしましたので、サイバーセキュリティ戦略本部が拡充をされます。さらに、それに伴って、いわゆる拡大NISC、今はまだ仮称ですけれども、国家サイバー統括室とか、そういう機能強化がされます。

 なので、重要インフラを守る上で、量子技術が当たり前になって、秘密鍵が無力化をされる世界においては、しっかりと内閣官房がこれに対するディフェンスをしていかなければいけない、そのように思っております。今後、法律の成立に伴って、そのケーパビリティーのまさに構築と体制の強化を図っていきたいと思います。

 先生は完全暗号推しというのは、完全に私は認識をしておりますが、こちらについては、先生がよく御承知のCRYPTRECなどで評価をいただければと思います。

市村委員 また是非ともお願いします。

 特に、今、拡大NISCとおっしゃいましたが、やはりNISCさんが、元々情報セキュリティーの担当部署が今回サイバーセキュリティーということになっています。元々情報セキュリティーと、真っ当な、あるべき姿で話をされてきたNISCさんが今回サイバーセキュリティーの担当ということでもあります。だから、しっかりとそこで耐量子時代の暗号技術についても御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 両大臣は、ここでお引き取りいただいて結構でございます。感謝申し上げます。

 続きまして、まさに年金法改正というのが今議論されているところでございますが、ちょっとこれまでの年金制度において、非常に、私も話をお伺いして、そうだな、それは確かにひどい話だなと思っていることが一点あります。それについてお話をさせていただきたいと思います。

 要するに、今、三号被保険者の話もされていまして、今回の改正では、そこはまだ制度としては残る、五年後に向けてまたしっかりと議論をするということになっていると思いますが、今、三号被保険者、すなわち、厚生年金とかの、配偶者の方は、いわゆる基礎年金部分に関しては、その保険料を負担しなくても基礎年金が出るというところになっているということでございまして、この場合の遺族厚生年金の話をさせていただきたいんですね。

 今の三号被保険者の遺族年金というのは非常に分かりやすいんです、単純なんです。配偶者が亡くなられますと、亡くなられた方の四分の三を、自分の基礎年金、今は約七万円ぐらいだと思いますが、プラス、今の基礎年金の分の七万円に、亡くなられた配偶者の四分の三の厚生年金が遺族年金として払われる。大変分かりやすいですね、これは。

 ところが、共働きだった方、すなわち、お互い働いていて、年金の保険料も納めてきた方たちの御夫妻の一方が亡くなった場合というのは非常に計算がややこしくなるわけでありまして、これはややこしいので、ここで説明しませんが、結果として、私に来ているお話は、自分は共働きで働いて、しかも子供も二人育ててきて、要するに、主婦と言われる方、すなわち三号被保険者の方と同じようなこともちゃんとやってきた上で、働いて、しかも保険料も納めてきましたと。そして、この場合は御主人さんが亡くなられて、御主人さんの四分の三を遺族年金として受け取れるかと思っていたら、そうではないということなんですね。

 非常にややこしい計算ですが、結果としてどうなるかというと、つまり、主婦であった方が受け取る年金額と、主婦のやる子育てやいろいろ家事もやってきて、さらに働いて、しかも税金も納め、社会保険料も納めてきた私の年金がほぼ同じだということになっているんです、今の制度だと。ということなんですね。

 すなわち、非常にこの方からすると、何でとなるわけですね。自分は主婦のこともやってきて、家事もやってきて、子育てもやってきて、働いて、税金も納め、保険料も納めた。年金は、基礎年金の部分ですけれども、納めていないという方と自分と、周りの、一緒に団地に住んでおられますので、いろいろ聞いて回っておられたみたいですね、幾らもらっているの、年金は幾らと聞いたら、ほぼ同じだというんですね。これはいかなるものかということでありまして、実際、今はそういう制度になっちゃっているんです、細かい計算式はここで説明しませんが。

 さて、今日は厚生労働副大臣にお越しいただいていますが、これはいかがしたらよろしいでしょうか、この現状について。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 現場の方からの声ということで御質問いただきました。

 まず、不公平というお話もございましたが、自ら納めた保険料に基づく老齢厚生年金と、夫の納付した保険料に基づく遺族厚生年金の金額が結果として近い金額になることはあったとしましても、給付設計が異なることから、必ずしも不合理ではないということを御理解いただきたいと思っております。

 その上で、何らかの対応はできないかという御質問もいただいております。

 年金制度では、死亡、老齢など複数の保険事故が発生し、二種類以上の年金の受給権が発生した場合であっても、必要な所得保障は変わらないため、原則としていずれか一方のみを支給し、もう一方は支給を停止するといった併給調整を行っております。

 そのため、例えば、老齢厚生年金に加えまして更に遺族厚生年金を支給することにつきましては、現行の仕組みでは困難であると考えておりまして、御理解をいただきたいと思います。

市村委員 そこが理解できないから、大分私のところにも言ってこられています。

 ですので、例えば、年金制度でそれを手当てできないのであれば、でも、今、実はどんどん共働き世帯が増えてきています、結局、今ここで改正しておかないと、将来、同じ思いをする方がたくさんいることになるということは、是非ともお若い皆さん、今後年金を受け取る皆さんには、何で私は働いてきて、税金も納めて、保険料も納めているのに同じというふうになりますので、そこの思いはしっかり受け止めていただきまして、年金制度でこれを補填できなくても、何らか対応を私はしていくべきだと思いますので、厚生労働大臣、どうぞまた御検討いただきたいと思うところであります。よろしくお願いします。

 ちょっと時間がないので、次に行きます。

 副大臣、もしよかったら、もう大丈夫です。

黄川田委員長代理 どうぞ、御退席ください。

市村委員 先日、この内閣委員会でも、実子誘拐ビジネスとも言える実態のことについてお話をしました。そのときに、支援措置のことについてもお話をさせていただいておったんです。

 かつて支援措置は、連れ去って逃げた、私からすればいわゆる実子を誘拐した方、私はそっちは加害者と呼ぶべきだと思いますが、実子を誘拐した方が自分の居場所を知られたくないから、自治体の窓口に行って支援措置を求めるわけです。そして、相手方に自分の居場所を知らせないでほしいとおっしゃるんですね、要請するわけです。要請して、それが認められると、かつては加害者というふうになっていたんですね。その一方的な話だけで加害者扱いをされる。

 しかし、それは、私も大分総務委員会とかでやらせていただきまして、さすがに一方的な話だけで加害者となるのはひどい話だということで、今は相手方になっています。ただ、加害者時代の名残がまだ裁判所では残っている、私はそういうふうに思います。そういうふうに御指摘をいろいろな方からいただきます。

 すなわち、家庭裁判所で、その後、連れ去った方、若しくは連れ去られた方も、家庭裁判所に離婚訴訟を起こしたりとかするわけでありますが、大体、連れ去った方がそういった調停を起こしたり離婚訴訟を起こしたりするんでしょうけれども、そのときに、裁判官からすると、支援措置を受けているということは、かつては加害者だったわけですね、イコール加害者なわけです。あなたは加害者でしょうと。DV等支援措置は、DV若しくはストーカーとかその他という話でなってきますから、そういうことが残っておりまして、今、総務省さんは改めていただいたんですけれども、結局、裁判の場ではまだ加害者扱いをされているというふうになっています。これは大変ゆゆしき問題だと思うんです。

 今日は法務副大臣にお越しいただいていますが、こういう実態があるのは御存じでいらっしゃいますか。

高村副大臣 そのような御意見があるということは存じ上げております。

市村委員 そうなっていると、結局、申し立てられた方、私からすればいわゆる実子を誘拐した方が、加害者である人が何かそういう調停とかを起こすと、その相手方は被告人となり、しかも、その被告人は、支援措置では元加害者ということになっていますので、極めて不利な扱いをされるという実態が裁判の場であります。

 今度は共同親権になりました。共同親権になって、これから変わっていくとは信じていますけれども、しかし、離婚する前は共同親権なんですね。

 だから、今日は辻大臣にいらっしゃっていただいていますが、結局、共同親権になる前というのは単独親権だったので、一人親という言葉もあったのかもしれませんけれども、でも、これから共同親権になってくると、実は、一人親というのはないんですね。親がどういう立場にあろうと、別居していようと、ひょっとしたら、親御さんがどちらかが亡くなられようと、両方とも亡くなられようと、親は親なんですね。だから、一人親という話で、実は、そういうふうに言われることで、連れ去られた方の方で、傷ついている方も結構いるんですね。

 これは、なかなか子供に会わせてもらえないんです。面会交流とか親子交流というのを申し立てた場合、今、大体年間一万二千件らしいんですけれども、ほとんど会えない。しかし、離婚する前は共同親権なんだから、自分の子供に会うことをなぜに裁判所に認めてもらわないといけないのかということになってくると、すなわち、そこに支援措置があって、要するに、あなたはDVとかストーカーとか児童虐待とかの加害者なんです、こういうふうなことを前提にされて、結局、駄目ですということになるんですね。

 だけれども、実際に保護命令が出ているのは千二百件なんですね。面会交流は年間一万二千。ですから、つまり、連れ去られた方としては、子供に会わせろということを、会わせてほしいというのを、会いに行くと、いろいろ飛んでいますが、会いに行くと、これはまたいろいろ問題を起こすことになるわけですね。

 連れ去った方がどうかというと、この間も私はこの場でも申し上げましたが、いわゆる弁護士の置き手紙というか、御通知、受任通知とか受任の御連絡とか、いろいろな言い方がありますけれども、弁護士が置いていくんですね。

 ここに何と書いてあるかというと、万が一、貴殿が本件に関し、その親族を含むに御連絡など、御訪問を含む、をされたときは、不本意ながら、貴殿に対し、別途の法的措置を取ることを検討することになりますので、御留意いただきたいと思います、よろしくお願い申し上げます、これは一例ですけれども、私は脅迫文だと思いますよ。だって、自分の子供を連れ去られた人間に、被害者に、今後、あなたは子供に会いに行ったら、別途、法的措置を取りますからねというふうにするというのは、これはもう脅迫文だと思いますね。

 お尋ねしたいんですが、これは子供に会いに行ったら駄目なんでしょうか。どうでしょうか、お答えいただけたらと思いますが。子供に会いに行くと、またストーカーとかになっちゃうんでしょうか。もし政府参考人でよければ、お答えいただければと思います。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねのような弁護士の置き手紙のような行為でございますが、それが特定の犯罪に該当しているか否かにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係に即して判断されるべきものであると認識をしております。

 そのため、個別の事案を念頭に置きまして、これが特定の犯罪等に該当するか否かを法務省としてお答えすることは適当ではなく、お答えは差し控えさせていただきます。

市村委員 ありがとうございます。

 先日も警察の方からも、個別具体的なということではありましたが、ただ、こういうものが置いてあったからといって即座にそれを、例えば会いに行ったりとかをすることは、警察としてそれをいい悪いと判断することはないというふうに私はこの間警察からあったというふうに思います。

 だから、仮にもし会いに行った場合、結局、連れ去った方からこんなものを置かれて、子供に会いに行くのは当たり前じゃないですか、会いに行ったら、そういうストーカー的な傾向を持った人だということで、これまた裁判の場で不利な扱いをされるというんですね。結局、加害者になっていますから、ほら、こういう人なんですよということで不利な扱いをされるということになります。これは大変ひどいと私は思いますし、是非とも裁判の場ではこういうのは改めてもらいたいと思います。

 辻大臣は、今日はこども家庭庁としていらっしゃっていただいていますので、今度は子供の立場に立って考えて、例えば一人親というようなときに、私はこの呼び名は適切ではないと思うんですが、辻副大臣、いかがでございますか。

辻副大臣 ありがとうございます。

 市村先生御指摘のとおり、離婚後も引き続き父母双方が適切な形で子供の養育に関わることは、子供自身の利益を確保する上で重要と考えておりますし、こども家庭庁にも様々な意見が寄せられておりますが、一方で、母又は父が実態として単独で子育てと生計の担い手という二重の役割を負う場合には、育児の不安やストレス、不安定な雇用や収入の低さといった様々な困難に直面しやすいこともまた事実です。

 このため、日常生活において子供の衣食住の面倒などを一人で見ている家庭に対しては、その実態に照らして、一人親家庭として、生活、子育て、就業など、多面的な支援策を講じています。

 こども家庭庁としては、まずはこうした支援策を必要とする方に知っていただくことが重要という観点からも、新たな言葉を作るのではなく、広く言葉の意味が理解されている一人親家庭への支援という表現を用い続けることが適当と考えております。

市村委員 その言葉遣いで傷ついている方もいらっしゃるということでございます。

 時間が来ましたのでここで終了いたしますが、またよろしくお願いいたします。

 今日は、ありがとうございました。

大岡委員長 次に、菊池大二郎君。

菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 先日、五月二十一日、北海道、東北六県の警察本部と警察庁を結ぶネットワークに障害が発生し、運転免許センター等で運転免許証の発行ができなくなるなどのトラブルが発生しました。私の地元山形県においても百名程度の影響が出たということでありますけれども、実際に、わざわざ休みを取って遠方から来られた方も多く、個人差もありますけれども、影響の度合いも決して小さいものではなかったと思われます。

 そこで、本事案の原因等を含めた概要及び影響が生じた方々への対応について、まずはお伺いしたいと思います。

飯濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事案につきましては、五月二十日深夜、道路工事の影響により、運転免許証の交付事務に利用しております警察庁と北海道及び東北の七道県警察を結ぶ警察の内部ネットワーク回線において障害が発生したものでございます。

 このネットワーク回線の障害の影響によりまして、北海道及び東北の七道県警察におきまして、五月二十一日、執務時間開始時より運転免許証の交付事務に支障が生じましたが、同日午後零時三十分頃に復旧が確認されたものでございます。

早川政府参考人 免許関係手続への影響と来場者への対応についてお答えいたします。

 更新などによります運転免許証の交付に当たっては、警察共通基盤上の運転者管理システムに照会を行ったり、更新後のデータを登録したりする必要がございます。

 今回の障害によりまして、免許証の作成、交付ができなくなったことから、七道県の運転免許センター等では、来場者に対して後日の来場をお願いする、システム障害の復旧までお待ちいただくといったことを説明し、対応いたしました。また、免許証の更新期限が切迫している方に対しては、写真撮影、更新時講習といったシステムを使用せずにできる手続を行うとともに、引き続き運転できるよう免許証の裏面に更新手続中である旨を記載し、新たな免許証については後日交付する措置を講じたところでございます。

菊池委員 猶予も含めて丁寧な対応をお願いしたいというふうに思いますが、平たくこの障害の原因を言うと、たまたま工事をしている地域、地区、場所があって、そこでネットワークに寸断というか障害が起きてしまったということで、これでネットワークがたまたま寸断されて、警察の機能が停滞するということのリスクというか問題というのは、非常に私は大きいなというふうに思っております。代替性、迂回のネットワークをどう構築するかというのは、非常に重要な視点だろうというふうに思います。

 これは、昨年の四月にも、概要は違うんですけれども、十九都府県警で、警察庁が管理する共通基盤に障害が生じて、今回の事例と同様に、運転免許証の発行にトラブルが生じるという事案がありました。こちらの概要と、これまで再発防止策をどのように講じられてきたのか、改めて整理をさせてください。

飯濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの障害につきましては、令和六年四月一日午前中、複数の都府県におきまして運転免許証の交付事務に遅延が生じましたが、同日午前のうちに復旧したものと承知をしております。原因につきましては、警察庁が管理するシステムが利用いたします警察の内部ネットワークにおける負荷の集中でございました。

 再発防止策といたしまして、プログラムの見直しによる通信量の抑制と分散を図っております。また、ネットワークの監視を常時行い、未然防止に努めるとともに、異常が発生した際には即時の対応が可能となる体制を確保しているところでございます。

菊池委員 結果としては、免許センターにおける障害が生じたという結びは一緒なんですけれども、原因は全く異なりまして、今回の障害は、物理的なネットワークに損傷が、寸断がされたという事例で、昨年の事例は、いわゆる警察共通基盤と言われる一つのクラウドの中に、様々、広域的な連携を視野に、各都道府県の情報を共有する、順次共有をしていったと。なので、十九都府県とありますけれども、この十九都府県で済んだ、ある意味。四十七都道府県、まだ共通基盤に入る前だったということで。

 事案は異なるんですけれども、いかに、やはり国民の安全、安心に資するシステム、通信基盤を構築していくかということが非常に重要になると思います。

 そこで、先ほど代替性という話もさせていただきましたけれども、物理的なネットワーク及び共通基盤と言われる通信システムの強靱化に向けて、その取組と考え方についてお伺いしたいと思います。

飯濱政府参考人 お答えいたします。

 警察共通基盤への情報システムの集約化につきましては、組織全体の情報システムの有効性の向上、重複する機能の排除及び取り扱うデータの効果的な活用の推進を図る観点から、極めて重要であると考えております。

 他方、集約化に伴うサイバーセキュリティー対策につきましては、警察の内部ネットワークのインターネット等からの分離、情報セキュリティーインシデントに迅速かつ組織的に対処するための体制の構築等を行っております。

 警察の内部ネットワークの回線につきましては、現在、冗長化による耐災害性、耐障害性の強化といった高度化更新のための経費が措置されており、令和七年度中に更新を完了する予定であるところでございます。

 引き続き、サイバーセキュリティー対策を徹底し、警察共通基盤への情報システムの集約化を推進してまいりたいと考えております。

菊池委員 済みません、もう一度確認させていただきたいんですけれども、令和七年度中に迂回ネットワークを構築をして、こういった再発防止を図っていくという内容でよろしかったでしょうか。

飯濱政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおりでございます。

菊池委員 最後、坂井大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 今、物理的なネットワークの強靱化、代替性をしっかり確保していくというような御答弁もありました。一方で、これに加えて、犯罪が特殊化、広域化していく中で、都道府県警の垣根を越えた情報共有を図って、各警察組織の事務負担やコストを抑制していく上でも、情報通信システムの更なる拡充は重要であると思います。

 一方で、つながるものが増えれば増えるほど、障害が発生した場合のリスクも高くなっていくということも危惧されます。先日、能動的サイバー防御の話もありましたけれども、サイバーセキュリティー対策もしっかり実施していく必要があるというところで、今後の情報通信基盤強化に対する大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 御指摘のように、警察庁や各県警、道警等がそれぞれ整備したシステムが一元化するということによって、合理化、高度化するということは間違いがなく、それは改めて、目指しているということを表明させていただきますが、同時に、集まったからこそ、そこが駄目になったときのダメージが大きいということの御指摘だと思います。

 御指摘いただきましたように、どこか一か所が潰れたからといって全てが使えなくなるということではなくて、まずは物理的なリダンダンシーを確保すること、そして同時に、今も御指摘もあったようなサイバーセキュリティー対策といったものもしっかり徹底させることによって、合理化し、集め、そして便利にする、そして便利になったら、そこがダウンをしないような取組をしっかりやっていくということで警察庁を指導してまいりたいと思います。

菊池委員 ありがとうございます。持続可能なシステムの構築を、不断の見直しを進めていただければと思います。

 続いて、警察官の人材確保、育成について質問していきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、能動的サイバー防御の審議もありました、AIの審議もありました。そしてまた、先般でいえば、悪質ホストクラブ、そしてまた金属窃盗に係る外国人の犯罪の増加ということもこの委員会で審議になったわけでありますけれども、あと、トクリュウ、匿名・流動型犯罪の話もありました。

 これだけ警察の機能強化が叫ばれる中で、では、それを支える人材はどうなんだというところを一度整理をさせてください。

 警察官の採用状況や推移、傾向について、これは受験者数、採用倍率、辞退率等の状況についてお伺いしたいと思います。

森元政府参考人 お答えします。

 過去十年間の警察官採用試験の受験者数を見ますと、平成二十六年度は全国で約十万人であったのに対し、令和五年度は約五万人と大きく減少しております。

 受験者数を合格者数で割った競争倍率でございますが、平成二十六年度は約六・二倍であったのに対し、令和五年度は約四・四倍と、こちらも減少をしております。令和五年度における大卒、高卒別の競争倍率は、大卒が約四・〇倍、高卒が約四・八倍でございました。

 また、最終合格後の辞退者数を最終合格者数で割った辞退率でございますが、平成二十六年度は約二五%であったのに対し、令和五年度は約三三%と増加をしておるところです。

菊池委員 私は、大変驚きの数字だなと思っております。この十年間で受験者数が十万人から約五万人と半分に減っている。そしてまた、採用倍率ももちろん減っている中で、辞退率、辞退者数ですね、分母が減っている中で、更にやめていっている方がいらっしゃる。これが、恐らくここ五年ぐらい、平均で見ても三割を超えるというような数字になっているんだろうというふうに思います。そしてまた、警察庁が出している通達内容を見ると、辞退者の中では特に大卒区分者や成績上位者の割合が高い状況が見られるというような考察もされているようです。

 そこで、今度はちょっと年代を特定してお伺いしたいと思います。

 若年警察官、とりわけ三十歳未満の離職状況はどうなっておりますでしょうか。

森元政府参考人 お答えします。

 令和五年度中の自己都合等による退職者数を令和五年四月一日時点の警察官の現在員で割った離職率で見てみますと、全体では約二・一%でございましたが、年代別で、三十歳未満については約三・八%と、全体と比べて高い状況にございます。

 ちなみに、令和五年度の三十歳未満の男女別の離職率を更に見ますと、男性が約三・五%、女性が約四・九%でありまして、女性職員の離職率の方が高いという状況でございました。

菊池委員 ありがとうございます。私も事前にちょっと調べてみると、三十代が〇・八%の離職率、四十代が〇・四%ということでありますから、いかに三十歳未満が高い数字かということが分かるかと思います。

 次に、警察学校の離職状況について、初任科生と言われる方々の状況をお伺いしたいと思います。

 大卒は短期課程ということで六か月、大卒以外は長期課程、十か月で実務や法律を学ぶということで。「教場」というドラマ、御覧になった方がいらっしゃるかもしれません。原作者は山形出身の方でありまして、この「教場」で、有名な方が主役を務められて、過酷な環境下における様々な人間模様に触れる機会になった方も少なくないと思いますけれども。

 一部報道によると、千葉県警警察学校において、昨年四月に入校した、長期課程、これは高卒ですかね、の初任科生百五十二人のうち、実際に卒業されたのは九十七人。一方で、短期課程そして一般職員の方はほとんど卒業に至ったということでありますけれども。さらに、昨年一月においても、長期課程百六十七人のうち卒業は百九名にとどまって、三分の一近くが途中で辞退をしているという状況があります。

 ここで、退職理由の約六三%が組織になじめない、組織と学生の間の採用前と採用後のミスマッチが一つの要因だと警察の方でも分析されているようでありますけれども、例えば、警察学校に入ってからの生活のルール、髪型とか、今、若い方はスマホを常に持っているというところもあります、こういったスマホの持込みであったり使用状況、住環境の改善、こちらは個室化などの改善も必要かもしれません。

 この生活部分での考え方や、採用前から警察学校を体感できるような仕組み、取組など、採用活動とリンクするような展開を実施していくことも重要と考えますが、各都道府県警察学校の取組内容や警察庁としての考え方についてお伺いしたいと思います。

森元政府参考人 優秀な人材を組織に定着させ、育成していくため、例えば、採用予定者の入校前の不安を払拭するための取組、入校中の初任科生のサポート体制の確立といった取組のほか、警察学校の規律やルールなどについても必要に応じて見直しを行っているところでございます。

 例えば、入校前の採用予定者を集めまして、模擬授業を行ったり若手警察官と座談会を行ってミスマッチを解消しようという取組でありますとか、初任科生に対しましては、保健師あるいは心理専門士、心理専門家などによる相談窓口を設けたり、先輩警察官が支援員になって初任科生を支援するといった取組もございます。また、髪型やスマホの使用などについてのルールにつきましても、見直し、緩和などの取組を実施しているところでございます。

 引き続き、若年層の働き方に対する考え方の変化などにも留意しながら、警察学校における研修や訓練が適切に行われるように努めてまいりたいと考えております。

菊池委員 警察官、人材を確保しなければいけないという命題がある一方で、しっかり警察官の質を担保していかなければいけないというところも非常に難しい課題だなというふうに思っております。

 先ほど警察官の採用状況で触れた際に、いわゆる警察官Aという試験に該当するような大卒の方々がやめられている傾向が全体としてあるのではないかという一方で、警察学校においては、ひょっとしたら、警察官Bに該当する高卒の方が、一部、学校によってはおやめになっている方がいらっしゃるのかなという、その局面で、非常にこの傾向が複雑化しているというか様々な顔を持っているというところも一つずつ検証していく必要があるんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、警察機能の強化が叫ばれる中で、充足率が極めて厳しい状況であるということが明らかになりました。警察機能が高度化、業務が多岐に及ぶ中で、いかに人材を確保していくかという中で、今までどおりの考え方では駄目だということだけは一つ言えるのではなかろうかというふうに思います。

 採用試験の見直し、そしてまた採用方法の多様化、これはいわゆる中途採用も含めてですね、そういった、どのカテゴリーにフォーカスしていくかという視野も広くしていかなきゃいけないと思います。そしてまた、職場環境の改善はもとより、広報活動の強化、これは先日の審議で緒方委員も各都道府県警察本部のホームページに触れられておりましたけれども、広報活動もどうするんだというところをしっかりしていかなきゃいけないと思います。

 気概ある優秀な人材をいかに確保し、育成していくかが問われていると思いますが、今後の戦略について、最後、大臣にお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 私も、警察の、国家公安委員長の職に就いて、いろいろと採用の現状を聞かせていただいたときに、大変な危機感を持った一人でございます。

 ですから、そのときに、どんなことをやっているんだというお話も聞かせていただきました。公務員試験対策が不要な、SPI試験というのがあるそうで、これを導入するといったような採用試験の改善であるとか、経験者の採用の導入等々、採用方法も多様化するとか、あと、SNSも効果的に活用し、広く若年層に対し積極的に警察官の魅力を発信する広報活動の強化をやっています、こういうことでございましたが、やはりおっしゃるように、若い方々は、働く環境がしっかりしていて、同時にやりがい、そして将来の希望をそこに見出せないと、今、離職をする方も多いということでございますので、今申し上げたような取組をこの後進めながら、それぞれの取組に工夫をして、深みと広さを是非持ってもらいたい、こう思っているところでございます。

 特に、警察署でありますとか、あとは官舎とか、そういった環境整備も必要でありますし、働き方に関しても、もう一回やはりしっかり見直していく必要があると思っております。そして同時に、若い時代に警察官が実際にどんな仕事をやって、その中でどんな感動というか、やりがいを感じているのかといったようなことを分かりやすくお伝えをすることによって、そこに若い人たちの希望を持ってもらう、こういう仕事をやってみたいという思いを持ってもらうということを、今後、申し上げたように、また推進をしていきたい、こう思っております。

 本当に、前例にとらわれず、採用情勢を的確に把握、分析した上で、実際に具体的な施策を講じていくよう警察を指導してまいりたいと思います。

菊池委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

大岡委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 本日、國場委員の方からもありましたように、今日はオンラインカジノの問題について御質問したいと思います。

 オンラインカジノの問題については、我が党としましても、いち早く党内にプロジェクトチームを立ち上げ、この問題に取り組み、二〇二四年の七月に、政府に対しまして、十項目に及ぶオンラインカジノ対策強化の提言を提出しました。

 その項目の中で、実態調査の実施や関係省庁連絡会議の設置等、既に行われているものもありますが、その他の項目の進捗状況も含めて、本日は質疑を行いたいと思います。

 最初に、國場委員からもありました今の実態でありますけれども、警察庁が委託した調査を実施してくれましたので、これにより、かなり実態が見えてきたところがあります。

 今日ありましたように、現在のオンラインカジノの推定利用者は百九十六万と言われていますので、約二百万人。過去にやったことがある人は三百三十六万人で、サイトにアクセスした人のうち、お金を賭けた人の割合が七五%なので、アクセスすると四分の三は賭けてしまうというふうな、ここも深刻な状況があるわけであります。そして、一年間における一人当たりの賭け額が六十三万円。国内における年間賭け金の総額は、紹介があったように、一兆二千四百二十三億円です。

 特に重要なのが、オンラインカジノの経験者のうち、約四三・五%が違法であるとの認識がなく、また、六〇%が依存症の自覚があることなどが挙げられています。要は、四三・五%が違法であると知らないという入口の問題と、一旦はまってしまうと、六割の人が、依存症と分かっているのにやめられない、こういったところが非常に重要なポイントだというふうに思います。

 そこで、公明党は、先ほど申しました提言において、オンラインカジノの違法性を広く社会に周知徹底するため、ポスター、チラシなどに加え、テレビCMやSNSの活用等、多角的手法で広報の強化を図ることをお願いしてきましたが、オンラインカジノの違法性、リスクについて、若年層や一般市民に正確に伝えるための広報啓発活動の具体的な内容や今後の強化策についてお伺いいたします。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、オンライン上で行われる賭博事犯につきまして厳正な取締りを推進しているところであり、事件検挙を通じて違法性の周知を図っているところでございます。

 また、消費者庁等とも連携し、動画やポスターによりオンラインカジノの違法性を周知する取組を継続しているほか、令和六年七月以降、SNS上で、オンラインカジノに関する投稿への警察庁アカウントからのリプライによる注意喚起や、ターゲット広告を実施しているところでございます。

 また、警察庁から協力を呼びかけたプラットフォーマーの自主的な取組として、オンラインカジノに関連するワードの検索時に、警察庁ウェブサイトをリンク先とする、オンラインカジノが違法である旨の注意喚起が表示される取組も行われているところでございます。

 さらに、最近では、広報につきまして、警察庁から各民間企業に対し広く協力を求めているところであり、例えば、野球場の大型モニターで違法性周知のための警察庁の広報動画を放映していただいているほか、今後、映画館の劇場ロビーで広報動画を放映していただいたり、フードデリバリー業界の協力を得て、宅配フードに違法性周知のための警察庁のチラシを同封したりするなど、各種の広報キャンペーンを準備していただいているところでございます。

 今後も、様々な民間業界、団体の御協力も得ながら、引き続き、戦略的かつ効果的な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 検挙をするということも大事で、プロ野球選手とか様々な告発があって、それが確かに広く周知されたこともありますけれども、大事なのは、検挙される前にそれを知って、そうならないということですので。

 今、たくさん出てきました。実は、今日、この質問を考えて、最後に原稿をチェックしていると、お昼に私の秘書さんのところに、秘書さんが使っている銀行からいきなり、オンラインカジノを利用した賭博は犯罪ですといって、政府広報ページ、警察庁ホームページというのが来てびっくりしました。これが一日前だったら、今日、皆さんに配付で配りたかったんですけれども、提示できないんですけれども、よく分かりました。

 様々なところでこういった取組をやってくださっているということを実感したし、受け取った方もかなりのインパクトがありましたので、やはりこういったインパクトを、例えば、大事な人生を棒に振ってしまうんだよといった強烈なインパクトのあるポスターなどで、今、しっかりとこれを発信していただきたいと思います。

 次に、オンラインカジノに特化した予防教育の必要性について御質問します。

 警察庁の調査によると、オンラインカジノを始めたきっかけは、どの年代も、カジノやオンラインカジノに興味があったが一番ですが、ギャンブル依存症問題を考える会などの調査によると、友人に誘われてが断トツの一位であり、警察庁の調査でも、ほぼ全ての世代で、友人に誘われてが二五%を超えています。

 先ほど指摘した、多くの若者が何が違法か分からないと感じていることと併せて、私は四月九日の本委員会で、オンラインカジノに特化した予防教育を行うべきと指摘をしましたが、改めて、若年層を救っていくためにも、今後の教育や啓発の方法について更なる検討を進めるべきだと考えますが、見解をお伺いします。

日向政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノについては、若年層における利用及び経験が顕著であり、かつ違法性の認識が薄いと認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、警察庁等の関係省庁が作成したオンラインカジノの違法性に関する広報啓発資料の活用について、今月、五月二十日に開催されました全国の学校保健担当者が集まる会議において周知を図ったところです。

 ギャンブル等依存症については、学習指導要領に基づき、高等学校の保健において、精神疾患の予防と回復について学習する際に、ギャンブル等は習慣化すると危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことなどを指導することとしておりますが、現状を踏まえ、今年度、オンラインカジノを含めたギャンブル等依存症に係る資料について、日本学校保健会と協力した上で作成し、指導の充実に取り組んでまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 先ほど全国の保健担当の会でやったということですけれども、くどいようですけれども、さらっと日本の全ての子供たちに違法であるというポスターを配ったとか、そういうレベルではなくて、この後質問しますが、クレジットカード等なんかも利用して、闇バイト等との関係も含めて、人生を棒に振るようなことになるといったことをしっかり特設の授業で伝えるレベルの今状況だというふうに思っております。

 もちろん、教員不足で今現場が大変だという中での実施になりますので、例えば動画などを文科省さんが作って、教員の負担の少ない形。しかし、いいものを作ってそれを使うということになると、全国統一レベルの質の高い教育につながると思いますので、何とぞ踏み込んでいただいて、前回も言いましたけれども、全ての子供たちにしっかりとさせていけるように。

 やはり友達が誘ったということが多いということは、かなり広くかけていかないと、友人同士もしっかり知っておかないとということがあると思いますので、是非国を挙げての取組にしていただきたいと思いますので、更に強く強く要請したいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、若年層や未成年者がオンラインカジノにアクセスするリスクが高まる中、公営競技について、低年齢化を懸念する声もあります。

 十年前から見ると、どの公営競技も軒並み売上げが倍増しています。今、大体、競馬で年間四兆四千四百二十二億円、十年前の一・五倍、競艇が二兆五千二百二十七億円、二・五倍、競輪が二・二倍、オートレースが一・八倍というふうな状況になっております。

 ギャンブル依存症問題を考える会の調査では、十代でギャンブルを始めた人が百人、全体の五二・三%に上りました。また、相談に関しては大学生が急増しているとのことで、余り収入が多くない若者をターゲットにしないでほしいという切実な声も届いています。

 そこで、もちろん、公営競技であっても未成年の投票は法律で禁止されており、現状、ギャンブル等依存症対策推進基本計画において、広告などの自主的な指針を策定するなど、対策をされているのは承知しておりますが、特に若年層に対しての対策についてはどのような取組を現在しているのか、改めてお伺いします。

伊東国務大臣 山崎委員の御質問にお答えしてまいります。

 ギャンブル等依存症は、当事者や家族の日常生活や社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、犯罪等の重大な社会問題を生じさせる場合もある、このように認識をいたしております。

 近年、公営競技を始めギャンブルのオンライン化に伴い、医療、相談現場におきましても、若年者から相談が増加しているとの指摘もあるわけであります。

 そのため、先日、三月二十一日に閣議決定をいたしましたギャンブル等依存症対策推進基本計画におきましては、動画を中心に、SNS等インターネットを活用する等、普及啓発を強化し、地域において教育委員会等との連携を強化するなど、若年者対策を強化することといたしました。

 政府といたしましては、引き続き、若年者も含め、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、基本計画に基づく取組を、各省庁が密に連携を取り、着実に実行してまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 大臣、ありがとうございました。是非若者の皆さんを守ってほしいと思います。

 次に、先ほど述べたように、どの公営ギャンブルも軒並み売上げが倍増する中、それに合わせたギャンブル依存症対策は強化されているのか、売上げが増加した分、依存症対策費は増えているのか、困難事例に対してどんな手当てをしてくれるのか、このままどんどん増えていくのか、ストップ機能が働いていないように思うなどの声も上がっております。

 我々公明党も、公営競技やオンラインカジノを始めとするギャンブル依存症に対し、相談拠点の整備や専門治療機関の拡充について、特に地方の取組を一層強化するよう提言いたしました。

 そこで、ギャンブル依存症やオンラインカジノ被害に関する相談拠点の整備や専門治療機関の拡充について、地方の取組を一層強化すること等が重要と考えるが、相談体制の整備状況及び若年層がアクセスしやすい相談手段の拡充、さらには、専門治療機関の現状についてお伺いいたします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症の方が地域で必要な医療であるとか相談支援、こういったものを受けられるように、今、都道府県の方で、専門医療機関の選定でございますとか、依存症相談員を配置した相談拠点機関の設置を進めてもらっているところでございます。

 昨年の九月末時点で、こういった相談拠点あるいは専門医療機関がどの程度あるかなんですが、相談拠点は六十七自治体、全ての都道府県、政令指定都市で設置をされております。一方で、専門医療機関の方は五十八自治体で、一部の都道府県、政令市ではまだ設置が済んでいないという状況でございます。このため、各自治体に対し、相談拠点でございますとか専門医療機関の追加の設置、あるいは未設置のところは新たな選定、こういったものを依頼したところでございます。

 また、若年層がアクセスしやすい相談手段ということで、SNSの活用などを行いながら、効果的な相談体制の構築も併せて進めてもらいたいということを各自治体に提示をしているところでございます。

 厚労省といたしましては、ギャンブル等依存症の方が必要な相談あるいは治療といったものにつながることができるような体制、こちらの整備が進むように、引き続き、自治体と力を合わせて取組を進めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 最後に、済みません、一問飛ばしまして、ギャンブル等依存症を考える調査においては、のめり込みやすい原因は何だと思いますかの質問に、クレジットカードで入金できた、キャリア決済、電子マネー、ポイントなどが使えたということがありました。

 そこで、クレジットカード支払いによる被害の拡大が指摘されている中、クレジットカード国際ブランドを通じた海外アクワイアラーへの取引停止要請等、決済段階での対応を強化することも重要だと考えますが、政府の認識をお伺いします。

江澤政府参考人 お答えします。

 経済産業省では、クレジットカードの国際ブランドに対しまして、オンラインカジノの運営事業者の情報把握に努めるとともに、当該情報を把握した場合にはクレジットカード決済網から排除するように要請しているところでございます。

 今後は、クレジットカードの国際ブランドの取組に資するように、警察からオンラインカジノに関する情報提供を受けた場合、これをクレジットカードの国際ブランドに対して提供しまして、対応を求めてまいりたいと考えています。

 引き続き、警察等、関係省庁とも連携しながら、取組を進めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 現在、自民党、立憲民主党さんの皆さんとともに、様々、早くこういったことがということで、皆様方にも御協力をいただいているところです。しっかりと対策ができて、若者を始め国民の皆さんを守れるように、これからも頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、大変にありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 最初は警察庁の調査についてお話を伺いたいと思ったんですが、最初に國場委員の方から言及がありましたし、今後どう展開していくのかが大事だという國場委員の問題意識には、私も大変同感をしております。

 その意味で、次のポイントに移りたいんですけれども、こうした調査が出てくる背景といいますか、ギャンブル等依存症対策基本法ができたのが二〇一八年のことで、既にもう七年間になっているんですけれども、いろいろとこの問題に取り組んでいる方からのお話をお伺いしますと、むしろ深刻化しているのではないかというふうなことをお伺いします。

 この七年間に、政府としては基本的にはどういうことを取り組んでこられたかということをお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 ギャンブル等依存症対策につきましては、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、これまで政府全体で総合的かつ計画的に取組を推進してきたところであります。

 その結果、具体的には、各関係事業者において広告宣伝指針を策定して運用を開始し、公営競技場等に設置されたATMの完全撤去を図り、全都道府県、政令市で相談拠点の設置完了等の成果があった、このように考えております。

 しかしながら、公営競技の売上げの八、九割がインターネット投票によるものとなっている中で、オンラインで行われるギャンブルには、時間や場所を選ばずにアクセスできることや、実際に金銭を賭けている感覚が乏しくなるなど、ギャンブル等依存症につながりやすい特徴があります。

 若年化が進んでいる等の指摘があり、先日閣議で決定をいたしましたギャンブル等依存症対策推進基本計画において、その対策を強化することといたしているところであります。

上村委員 ありがとうございました。

 今のお話にあったように、各省庁がそれぞれ、ギャンブルというのはいろいろな分野に分かれているものですから、その統合を内閣府でやっていらっしゃると思うんですけれども、ある意味では、その中で、関係者の自主的な取組を尊重する形で行われてきたのではないかなと思います。

 五月九日の厚生労働委員会で我が党の高井崇志議員から、予算はどうなったのかという質問があったんですけれども、この七年間で八・一億円から八・四億円と三千万円増えたけれども、僅かな額であるという指摘と回答がありました。

 こうした予算のほとんどというのは、今大臣がおっしゃられたんですけれども、広報であるとかそうしたものに使われたというふうに考えてよろしいでしょうか。

江浪政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房ギャンブル依存症対策推進室におきまして、関係省庁におけるギャンブル依存症対策の予算を取りまとめております。

 その予算に関しましては、広報でありますとか普及啓発、また、現場で医療提供体制を整備するために関係者が連携するための費用など、そういったものを整備したものということでございます。

上村委員 ありがとうございます。

 そういう現状、七年前から今日までという対策があった中で、今回改めて更に進めなくちゃいけないという意思が皆さんここに結集しているんだと思うんですけれども、今回、少し勉強してみて、何が現在のギャンブル依存症のキーワードかというと、やはりオンラインではないかなというふうなことを考えます。

 二〇一八年の段階からコロナの時代を経て、ある意味では、コロナの時代というのは、我々の社会にオンラインが当たり前の状況を生み出したということであります。

 先ほどもありましたけれども、公営ギャンブルもオンラインで購入が可能になったことで、若者をターゲットにした広告も出れば、あるいはポイント制みたいなものを利用して、そうしたものに参加しやすくなった。その意味で、例えば競馬とか競輪の公営ギャンブルの売上げは伸びておりますし、また、依存症の若年化というのも深刻になっているというふうに聞いております。

 むしろ、さらにその裾野をちょっと考えておいた方がいいかなということもありまして、今日はちょっとお話を組み立てていきたいと思います。

 実は、オンラインカジノの問題があるんですけれども、私個人が経験したことからいうと、課金するオンラインゲームというのは問題じゃないかなみたいなことを思います。私は割と平和主義なんですけれども、何か勝負に負けるとむかっとするところがあって、課金とかいうと、どんどんはまっちゃった時期があります。

 これは私個人の経験ではなくて、実は消費者庁が統計を取っていらっしゃるんですけれども、この中に、オンラインゲームに関して消費者庁の相談窓口にどれくらいの件数が寄せられたかというと、二〇二一年、七千二百七十六件なんですけれども、そのうちの半分以上、四千四百件以上が二十代未満の方たちであります。オンラインゲームでトラブルにはまってしまった、そして相談窓口に来られた二十代未満の方たちの実に五・五%が百万円以上の負債を背負ってしまった。つまり、これはカジノでも何でもないんですけれども、オンラインゲームの中にどんどんはまっていくことによって、こういう世界の中に入っていってしまう。

 私は大人だったので、これはやばいなと思って、課金をあるところでやめたんですけれども、本当に、これが若年層であれば、ある種、どんどんどんどんはまってしまうということがあるのではないかなというふうに思います。

 そういう意味での、ある種、こうしたオンラインの世界が、様々な課金のシステム、さっきクレジットカードもありましたけれども、そしてそれにギャンブルが結びつくという、かなり総体的な社会的状況がつくられているというふうに考えて対策を本当に真剣にやっていかないと、大変なことになっていくというふうに思います。

 今回、ギャンブル等依存症対策基本法の改正が検討されているということで、現在の改正のポイントについて、簡単にお答えいただければと思います。

江浪政府参考人 ギャンブル依存症基本法の改正に関しましては議員立法において検討されているところでございまして、政府からの答弁については差し控えさせていただきたいと考えております。

上村委員 ありがとうございます。

 どうも私の聞いているところだと、オンラインカジノサイトの違法化とか、それからカジノサイトへの誘導の違法化ということがポイントで、特に二番目が、多分、今回の重要なポイントではないかなというふうにお伺いしております。

 これはプロバイダーなどに削除の要請が可能ということをお聞きしまして、大事だなと思っているんですけれども、ただし、残念ながら、この討議されている改正案には罰則はないと聞いています。ある意味では、違法だけれども、頑張ってやりましょうみたいなことがあって、下手をすると実効性がないんじゃないのみたいな言われ方もするのではないかなと思うんです。

 いわゆる賭博は刑法百八十五条、常習賭博の場合は百八十六条で犯罪になっています。

 一般論で結構なんですが、オンラインカジノサイトの開設あるいは誘導、誘導は、多分、賭博幇助みたいな言い方になると思うんですけれども、現行の刑法で処罰というのは将来的に可能かどうか、ちょっと意見をお願いいたします。

吉田政府参考人 犯罪の成否は、収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、法務当局としてはお答えを差し控えさせていただきますが、あくまで一般論として申し上げますと、先ほど御指摘がありましたように、刑法第百八十五条に賭博罪というものが規定されておりまして、これは賭博をした場合というふうに規定されております。また、刑法百八十六条一項の常習賭博罪は、常習として賭博をした場合、さらに、同条二項の賭博開張図利罪は、賭博場を開張し、利益を図った場合にそれぞれ成立し得るものと承知しております。また、刑法六十二条の幇助犯は、正犯を幇助した場合に成立し得るものと承知しておりまして、御指摘のような行為がただいま申し上げた各条項に該当する場合には、それぞれの罪や幇助犯が成立し得ると考えられるところでございます。

上村委員 ありがとうございます。

 賭博幇助ですと、一般的な賭博の大体二分の一ぐらいの刑罰が科せられるというふうに聞いていますが、それでよろしいですか。

吉田政府参考人 正犯を幇助した者、すなわち従犯の刑は、正犯の刑を減軽するとされておりまして、有期の懲役を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずるとされております。

 刑法百八十六条一項の常習賭博罪の法定刑は三年以下の懲役でございますので、常習賭博の幇助については一年六月以下の懲役の範囲内で処断されることとなります。

上村委員 ありがとうございます。

 こうしたことともつながりながら、将来的な処罰の問題というのも御検討いただければというふうに思います。

 もう一点、総務省の方にも来ていただいていると思いますので、先ほども若干出ましたけれども、ブロッキングなどの規制について、どのような時間管理あるいは日程で物事が進んでいるかどうかの説明をお願いいたします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁させていただきましたとおり、オンラインカジノのサイトへのアクセス抑止の在り方について、私ども総務省におきまして、本年四月に、有識者会議であるオンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会を立ち上げまして、検討を開始したところでございます。

 この検討会で、本年夏頃をめどに中間的な論点整理を行いまして、夏以降にその整理した各論点について深掘り、検討をして、年内をめどに一定の取りまとめができるよう、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

上村委員 ありがとうございます。

 夏頃までに中間報告が出て、年内に結果を出したいということですので、是非、その辺はスピード感を持ってお願いをしたいと思います。

 最後に、ちょっとこれは何か変化球みたいなんですけれども、大阪で万博が予定されており、その後、IR、いわゆる公認カジノがそこで開かれるという可能性があるんですけれども、この大阪のIRがオンラインギャンブルになる可能性というのは将来的にあるかどうか、ちょっと確認をしておきたいと思います。カジノ管理委員会の方、よろしくお願いします。

嶋田政府参考人 個別の事柄、まだ大阪の事業者の方から免許申請がなされているわけではございませんので、一般論としてお答えさせていただきます。

 まず、オンラインカジノ云々という話でございますが、IR整備法制定に向けた平成二十九年の特定複合観光施設区域整備推進計画の取りまとめというところにおきまして、依存症予防等の観点からカジノ施設への厳格な入場管理を行うことから、カジノ事業において実施を認めるカジノ行為は、カジノ施設内で実施されるものに限定すべきであるとされた上で、例えば、カジノ施設外から参加できるオンラインゲームは不可とされているものと承知しております。

 こうした検討を経て制定されたIR整備法におきましては、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて行うものとするなどの要件を満たしたカジノ行為のみが認められており、いわゆるオンラインカジノは認められていないということでございます。

 したがって、IR整備法上、カジノ行為としていわゆるオンラインカジノを実施することはできないということでございます。

上村委員 確認をいただきまして、ありがとうございます。

 だんだん経営が危なくなってくると、オンラインにしたいなみたいなこともあって、海外のオンラインカジノは駄目といっておきながら、国内でオンラインでカジノをやっているとかというと、大きな矛盾になってしまうということもあります。

 それから、さっき言いましたように、どんどんこうした問題の裾野が広がっていますので、坂井大臣、それから伊東大臣、この問題に関しては、是非、法案が通過の後には、政府の方でもしっかり対応をお願いしたいと思います。

 私の質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 オンラインカジノについて質問いたします。

 警察庁が委託した調査によると、国内でオンラインカジノを現に利用している人は推計約百九十六万人で人口の二%、利用した経験がある人は約三百三十七万人で人口の三・五%、年間の賭け金額は一兆二千四百億円に上るとされております。

 一方、NTTドコモやメディア企業など百十五社でつくる一般社団法人スポーツエコシステム推進協議会による調査結果は更に膨大で、こちらはスポーツ賭博に限定をした調査ですが、国内居住者が海外のウェブサイト経由で違法に行ったスポーツ賭博の賭け金は推計年間六兆五千億円にも上るとされております。刑法で禁止されたギャンブルがこれだけ蔓延しているのは、まさに異常であります。

 国内における違法オンラインカジノの利用はコロナ禍以降に急増しております。二〇二一年に出されたデジタル分析支援会社、シミラーウェブジャパンの調査によると、日本からのオンラインカジノへのアクセス数は、二〇一八年は月間約七十万回なのに対し、二〇二一年は月間約八千三百万回と、百倍以上に上昇しております。このアクセス数は、米国、ドイツに次いで世界第三位の規模だということであります。

 伊東大臣にお尋ねいたします。二〇二一年時点でこうした深刻な蔓延状態が明らかになっていたにもかかわらず、これに対する対策を怠り、野方図な状態を放置してきた政府の責任は極めて重大ではありませんか。

伊東国務大臣 塩川委員の御質問にお答えしてまいります。

 政府におきましては、平成三十年のギャンブル等依存症対策基本法案に対する附帯決議を受けまして平成三十一年に閣議決定した基本計画におきまして、違法に行われるギャンブル等の取締りの強化、これを盛り込み、警察庁による取締りを進めてきたところであります。

 具体的には、この間、違法なギャンブル等については、賭客だけではなく決済事業者やアフィリエイターを検挙するなど取締りを強化してきており、その結果、オンライン上で行われる賭博事犯の検挙人員は、令和四年で五十九名、令和五年百七名、令和六年二百七十九名と増加してきているところであります。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、近年、サイトへのアクセス数の増加とこれに伴う依存症の問題が強く指摘されていることから、三月二十一日でありますけれども閣議決定をいたしましたギャンブル等依存症対策推進基本計画におきまして、一つの節を新たに設け、警察による取締りの強化に加え、SNSなどを活用したオンラインカジノの違法性の周知、またフィルタリングの導入等によるアクセス対策を盛り込み、対策を強化することとしております。

 政府としては、引き続き、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、基本計画に基づく取組を、各省庁が密に連携しながら、着実に実行してまいりたいと考えております。

塩川委員 そういう対策が不十分だったということであります。

 ギャンブル依存症問題を考える会によるアンケート結果では、オンラインカジノを始めてから借金をするまでの期間は、一週間以内は約三〇%、一か月以内で六三%もの人が借金をするほどのめり込んでおります。半年以内で見ると約八五%もの人が借金を背負っております。

 ギャンブル依存症は、生活を破綻させ、本人だけでなく家族や友人など周りの人生も狂わせてしまう極めて深刻な問題であります。

 二〇二二年六月の衆議院予算委員会で、当時の岸田総理は、オンラインカジノは違法だと答弁しました。しかし、その後も市民の間にはオンラインカジノが違法だとの認識は広がっておりません。警察庁の調査では、違法性を認識していないと答えたのは、経験者の三九・八%、未経験者の四三・八%でした。年代別で見ると、特に若い世代での認識率が低く、最も低かった二十代では約半数が違法だと認識しておりませんでした。オンラインカジノの危険性や違法性について、政府による周知、広報が不足しているのではないか。

 内閣官房と警察庁に聞きます。直近五年間のオンラインカジノの危険性や違法性に関する広報、また、ギャンブル依存症対策の広報に関する予算はどうなっておりますか。

江浪政府参考人 内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局におきましては、ギャンブル等依存症対策についての国民の関心と理解を増進するため、ポスターや動画などを活用した情報発信を行っております。

 そのための予算といたしまして、令和三年度は千二百五万円、令和四年度は千四百七十五万円、令和五年度は千三百三十八万円、令和六年度は千百四十二万円、令和七年度は千三百六十六万円を計上しております。

 今後も、ギャンブル等依存症対策がより一層実効性のあるものとなるよう、関係省庁と連携して、必要な予算の確保や効果的な実施に力を尽くしてまいりたいと考えております。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 オンライン上で行われる賭博の違法性の周知、広報に係ります警察庁の予算につきましては、令和六年度以降計上しておりまして、令和六年度当初予算及び令和七年度当初予算共に、オンラインカジノの違法性に関する広報啓発の業務委託費として約九百九十六万円を計上しているところでございます。

塩川委員 内閣官房でも一千万円台ですし、警察庁は昨年度からというので一千万円に届かないという点での、極めて少ない金額と言わざるを得ません。

 オンラインカジノは、スマホ一つで利用できてしまう、よく言われるように、ポケットの中にカジノがあると言われるような、誰でも依存症になって人生を狂わせてしまう、そういうおそれがあります。

 対策として、違法だということを強調するだけではなくて、依存症は医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるということを広く市民の方に知ってもらうことも重要であります。厚生労働省でも、依存症対策の相談支援や普及啓発に取り組む民間団体への支援の予算も、厚労省では五千万円と聞いております。

 大臣に伺いますが、依存症対策の観点から、このような周知啓発、広報、相談支援の予算を抜本的に増やす必要があるのではありませんか。

伊東国務大臣 閣議決定以降、政府方針あるいは基本計画の中で、その予算の増額等については意を用いているところであります。

塩川委員 被害の実態に対応した対策を強く求めておくものであります。

 違法なオンラインギャンブルの入口となっているのが、ブログやSNS、動画配信サイトなどでの広告宣伝であります。現在でも、オンラインカジノと検索をすると、違法オンラインギャンブルを紹介するアフィリエイトブログが多数ヒットするわけです。こうしたブログでは、オンラインギャンブルの違法性はグレーだなどと紹介をされているところです。

 警察庁にお聞きしますが、違法なオンラインギャンブルをブログや動画サイトで宣伝する行為に対して、賭博罪を適用して取り締まっているんでしょうか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 警察では、令和六年九月、海外のオンラインカジノを紹介する動画をインターネット上の動画配信サイトに投稿の上、配信し、視聴者を賭博に勧誘したアフィリエイターを常習賭博の幇助で検挙するなど、厳正な取締りを推進しているところでございます。

 引き続き、オンライン上で行われる賭博事犯につきましては、賭客のみならず、アフィリエイターや決済代行業者等、運営に関与する者を検挙するなど、厳正な取締りを推進してまいる所存でございます。

塩川委員 取締りに力を入れているということでありますが、現にアフィリエイトブログが検索の上位にヒットしてくるような状況というのは現状もあるわけで、実態に追いついていない、こういう点での対策の強化も求められていると思います。

 警察庁の調査では、調査対象の日本語で利用可能な四十サイトのうち、日本からの利用禁止を明示していないサイトは三十八サイトと圧倒的多数となっています。

 こうした事業者に対し、日本国内からオンラインギャンブルを行うことは違法だ、利用禁止を明示せよ、こういった要請は行っているんでしょうか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 海外のオンラインカジノサイトにつきましては、当該国においてライセンスを得るなどして適法に営まれているものであっても、日本国内からこれに接続して賭博を行うことは犯罪となります。日本語で対応しているなど、我が国の国民を主たるターゲットとしているようなオンラインカジノサイトは悪質であると認識しております。

 この点、日本向けのサービスを提供するオンラインカジノ運営事業者にライセンスを付与している外国政府等に対して、日本向けのサービスを提供しないこと、また、おっしゃられましたように、例えば、日本から賭けると賭博となりますというようなことを明示するよう、外務省と連携の上、外交チャンネルで働きかけを行っているところでございます。

 これからも、時宜を捉えて、外務省等と連携して、外国政府等にしっかりと働きかけを行ってまいりたいと考えております。

塩川委員 現行でできる対策も最大限行うよう求めていきたいと思います。

 ギャンブルにのめり込む入口となる、公営ギャンブルのオンライン化も問題であります。

 今年の三月に閣議決定されたギャンブル等依存症対策推進基本計画でも述べられているとおり、今や競馬、競輪、競艇、オートレースの八割から九割がオンラインによる購入であります。オンラインギャンブルは、スマホを使っていつでもどこでも利用可能であるため、のめり込みやすい、賭け金が大きくなる、借金総額が大きくなるなど、危険性が高いものであります。

 依存症の専門家は、オンライン化について、ギャンブルの最も強いリスク因子の一つと指摘をしています。ギャンブル依存症問題を考える会の方も、会への相談件数が一九年から二三年の五年間で、競馬、競輪、競艇、オートレース、いずれも右肩上がりとなっていることを示し、公営ギャンブルのオンライン化の危険性について警鐘を鳴らしておられます。

 大臣にお尋ねします。このような公営ギャンブルのオンライン化は、依存症の危険を高めるとともに、オンラインカジノ利用の入口にもなるものであり、規制が必要ではありませんか。

伊東国務大臣 御指摘のとおり、公営競技の売上げの八、九割がインターネット投票によるものとなっている中で、オンラインで行われるギャンブルには、時間や場所を選ばずにアクセスできることや、あるいは、実際に金銭を賭けている感覚が乏しくなるなど、ギャンブル等依存症につながりやすい特徴があることは事実であります。

 若年化が進んでいる等の指摘は先ほどからもあるわけでありますけれども、こうした状況も踏まえまして、先日、三月二十一日でありますけれども閣議決定をいたしましたギャンブル等依存症対策推進基本計画におきましては、アクセス制限等の利便性向上及び周知、また、インターネット投票データ等を分析し効果的な対策につなげること、また、クレジットカード等の後払いの決済の見直しなどを検討しているところでありまして、ギャンブルのオンライン化への対応を強化することとしております。

 政府としては、引き続き、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、基本計画に基づく取組を、各省庁が密に連携しながら、着実に実行してまいりたいと考えております。

塩川委員 対策を行っているというお話ですが、ギャンブル依存症問題を考える会のお話では、相談件数の割合というのが、一九年と二三年を比べると、競馬は二二%から四〇%に、競艇が五%から二八%に、競輪が三%から一八%と大幅に上昇しているわけで、依存症の危険性が大きく高まっているのは明らかであります。更なる対策が必要であります。

 このようなギャンブル依存症問題を考える会の方のお話を聞いて、今、自殺についての相談も非常に増えているということをおっしゃっておられました。かつては多重債務の問題だったのが、今はオンラインのギャンブル等によっての自殺者が増えているということについて、このようなギャンブルが持つ負の影響についてしっかりと政府が把握、調査をして実態を明らかにする。そのことを求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、参議院送付、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。坂井国務大臣。

    ―――――――――――――

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂井国務大臣 ただいま議題となりました海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、領海及び内水における海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に加え、我が国の排他的経済水域における海洋再生可能エネルギー源の適正な利用を図るため、海洋再生可能エネルギー発電設備の設置の許可に係る規定等を設ける必要があります。

 また、海洋環境等の保全に配慮した海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定等を行うため、環境大臣による海洋環境等に関する調査等の実施に係る規定等を設ける必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、経済産業大臣は、我が国の排他的経済水域のうち、自然的条件が適当である等の指定の基準に適合する相当の面積の区域について、関係行政機関の長との協議等を行い、海洋再生可能エネルギー発電設備設置募集区域として指定することができることとしております。

 第二に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備設置募集区域において海洋再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする者に対し、仮の地位を付与する処分をすることができることとするとともに、仮の地位の付与を受けた者や利害関係者等を構成員とする協議会を組織するものとしております。また、両大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備設置計画等が協議会において協議が調った事項と整合的であること等の許可の基準に適合すると認める場合に限り、海洋再生可能エネルギー発電設備の設置を許可することができることとしております。

 第三に、海洋環境等の保全に配慮した海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定等を行うため、環境大臣は、海洋環境等に関する調査等を行うこととし、これに伴い、環境影響評価法の相当する手続を適用しないこととしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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