衆議院

メインへスキップ



第26号 令和7年6月6日(金曜日)

会議録本文へ
令和七年六月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 市村浩一郎君 理事 田中  健君

      石原 宏高君    井野 俊郎君

      江渡 聡徳君    大空 幸星君

      尾崎 正直君    岸 信千世君

      栗原  渉君    田中 良生君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    山口  壯君

      若山 慎司君    市來 伴子君

      梅谷  守君   おおたけりえ君

      佐々木ナオミ君    下野 幸助君

      藤岡たかお君    馬淵 澄夫君

      水沼 秀幸君    山 登志浩君

      伊東 信久君    三木 圭恵君

      石井 智恵君    菊池大二郎君

      河西 宏一君    山崎 正恭君

      上村 英明君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)         三原じゅん子君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            伊東 良孝君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   内閣府大臣政務官     国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          江浪 武志君

   政府参考人

   (内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室内閣審議官)  藤吉 尚之君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室審議官)

   (内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長)         江島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木啓介君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       笠尾 卓朗君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       守山 宏道君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            徳増 伸二君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      黒田武一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   森元 良幸君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    筒井 洋樹君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          嶋田 俊之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 清田 浩史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 渡邊  滋君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   中山 光輝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  修君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         山口潤一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         岸谷 克己君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         今井  新君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局次長)         久保田秀暢君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     若山 慎司君

  山際大志郎君     大空 幸星君

  橋本 慧悟君     佐々木ナオミ君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     山際大志郎君

  若山 慎司君     尾崎 正直君

  佐々木ナオミ君    橋本 慧悟君

    ―――――――――――――

六月五日

 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出第五二号)

 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五三号)

同日

 日本軍慰安婦問題の解決に関する請願(大石あきこ君紹介)(第一七八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出第五二号)

 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五三号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官溝口洋君外二十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。

 時間に限りがありますので、早速始めさせていただきます。

 先週、この内閣委員会におきまして、オンラインカジノの対策のギャンブル依存症対策基本法の改正が議員立法で成立いたしまして、皆さんの御協力をいただきまして、ありがとうございました。

 ただ、これは、私は入口だと思っておりまして、まだこれからいろいろ取り組まなきゃいけない。ブロッキングの問題もございますし、それからクレジット決済の問題もありますので、引き続き対策を考えていきたいと思います。

 その中で、一つ、今日は公営ギャンブルについてお伺いしたいと思います。

 ここでも、水沼さんとかいろいろ話題に取り上げておられましたけれども、先日、ギャンブル依存症家族の会の皆さんがおっしゃっていたんですけれども、公営ギャンブルでの依存症の急増というのが非常に大きな問題になっていると。今、いわゆるポイ活ですね、ポイントですとか、あるいは友達キャンペーンといってポイントを付与するとか、ちょっと過度なキャンペーンによって依存症の方が増えてしまっているという状況がある、こういうことのお話がありましたけれども。

 伊東大臣にちょっとお伺いしますが、その点についての御認識はどういうふうに考えていらっしゃるか、及び、所管省庁である農水省、経産省、国交省などにどういう指示をしておられるかをお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 おはようございます。

 今井委員の御質問にお答えしてまいります。

 ギャンブル等依存症につきましては、当事者や家族の日常生活や社会生活に支障を生じさせるものでありまして、多重債務、犯罪等の重大な社会問題を生じさせる場合もあると認識をいたしております。

 御指摘の公営競技につきましては、近年、売上げの八割から九割がインターネット投票によるものとなっている中で、オンラインで行われるギャンブルには、時間や場所を選ばずにアクセスできることや、実際に金銭を賭けている感覚が乏しくなるなど、ギャンブル等依存症につながりやすい特徴がある等の指摘があると認識をいたしております。

 こうした状況も踏まえ、本年三月に閣議決定をいたしましたギャンブル等依存症対策推進基本計画におきましては、アクセス制限等の利便性向上及び周知、インターネット投票データ等を分析し効果的な対策につなげること、また、クレジットカード等後払い決済の見直しの検討など、取組を進めていくこととしております。

 なお、私から、閣議におきまして、関係閣僚に対し、ギャンブル等依存症対策への協力を求めるとともに、閣議決定後には幹事会を開催し、議長である官房副長官から、基本計画に沿って取組を着実に進めるよう指示をいたしておりまして、引き続き取組状況をフォローアップしてまいりたいと考えております。

今井委員 済みません、ちょっと答弁が長かったので、農水省さんに具体的に聞こうと思いましたが、ちょっと飛ばします。

 それで、今日は対策本部長の官房長官にいらしていただいていますので。

 これはいろいろな省庁に横断的に関わっているのでございますけれども、今、この対策については、ギャンブル等依存症対策推進本部というのがあって、そこで対策を練っておられますけれども、私は、もうちょっとここの強化が必要だと思っているんですね。この人員を強化するか、あるいは、これは私の御提案なんですけれども、今、カジノ管理委員会というのがございますね。これは、実際は大阪の、今、これからやるIRを管理するという機能ですけれども、中には依存症の対策というのも入っているわけなので、ちょっとこのカジノ管理委員会を衣替えして、ギャンブル等の全体に対する依存症の対策というのを一括でちゃんと監督するというような機能を強化したらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 カジノ管理委員会でございますが、IR整備法に基づいて、IR施設内におけるカジノ施設の監督を行う、具体的には、カジノ事業の免許審査ですとか、カジノ事業者等の監督等を行うことになっております。

 私を本部長といたしますギャンブル等依存症対策の本部ですが、これは伊東担当大臣等を副本部長とする推進本部になっておりまして、基本計画に沿って、政府全体で取組を総合的かつ計画的に推進することとされております。

 したがいまして、政府といたしましては、この推進本部を司令塔として、依存症により不幸な状況に陥る人をなくして国民の健全な生活の確保等を実現するため、各省庁密接に連携しながら、今御指摘ありましたけれども、カジノ管理委員会とも必要に応じて連携をしながら、ギャンブル等依存症対策を実行してまいりたいと考えております。

今井委員 いずれにしても、いろいろなところで依存症が起きておりますので、一か所だけじゃなくて全体でやはり対策を打つ必要がありますので、司令塔をしっかり強化していただきたいということをお願いしておきます。

 次に、国家公安委員長に、いらっしゃっていますので、お願いします。

 先日、我が党の梅谷議員の方から質問しましたところ、法案審議なので、所管外なので別のところで聞いてくれと言われましたので、今日聞きます。

 大川原化工機事件の件なんですけれども、この件は、皆さん御案内だと思いますが、横浜の化学機械メーカーの社長など三人が警視庁の公安部に不正輸出の疑いで逮捕されましたけれども、その後、公判に入って、三日たって検察側が取下げをするという本当に異常な事件でありまして、事案でありまして、結局、それに対して、国と東京都に対して民事裁判を今起こしております。

 先日、高裁で判決が出まして、賠償を命ずるということが出たわけですけれども、その中の証言で驚くものがありまして、警視庁公安部に所属していた公安部外事一課の男性警部補、事件はでっち上げだと思われるかと聞かれると、まあ捏造ですね、捜査員の個人的な欲でそうなった、定年も視野に入ると自分がどこまで上がれるかを考えるようになる、そういうことで無理やり検挙したんだという証言をしていますけれども、実は、上訴するかどうかが、来週十一日ですね、期限でありますけれども、これだけの事案ですから、私はもうやめた方がいいと思うんです、上訴は。

 私は、やはり警察というのは、本当に国民の、治安を守っていただく大事な組織ですから、そのためには国民の信頼がとても大事だと思うんですね。ですから、終わったことは仕方ありませんけれども、過去を振り返るじゃなくて、今後、これを生かしてどうするんだということを警察の中で考えていただくに当たって、やはりこの事案をしっかり受け止めて、上訴をすることのないように、むしろ、そのことは自分たちの反省材料として使っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 この案件に関しましては、警視庁での案件でございまして、今後につきましては、警視庁において、現在、判決内容を精査した上で対応を検討しているものと承知をいたしております。

今井委員 そうしましたら、大臣、この事案についてどういうふうに思われますか。

坂井国務大臣 警視庁による捜査について、厳しい内容の判決が言い渡されたものと認識をしております。

 一般論でありますが、捜査が緻密かつ適正に行われるべきことは当然でありますので、今後も引き続き、こういった指導を徹底してまいりたいと思っております。

今井委員 先日、楠長官も同じような趣旨で発言されておられますけれども、本当に、組織を守るのではなくて、やはり組織をよくしていく、そういう観点でこの事案をしっかり見詰めながら改革をしていただきたいということをお願い申し上げておきます。

 続いて、官房長官にお伺いします。今日は赤澤大臣にお伺いしようと思ったんですけれども、総理の発言ですので官房長官にお伺いしたいと思うんですが。

 先日、参議院の予算委員会で、石破総理が、日本の財政状況は間違いなく極めてよろしくない、ギリシャよりもよろしくない状況だというふうに発言をされました。私は、これはちょっと、本当にあってはならない発言だと思うんですね。私も、銀行時代、国債の運用とかに携わっておりましたけれども、この発言は本当に、金融市場にいる人間にとっては、一国の総理がこういう発言をするのは非常にまずいというふうに思います。

 確かに、債務状況を見ると、日本の債務残高は、GDP比で見ると、直近で二三五%、ギリシャは一四二%ですから、その数字だけを見ると確かに日本の方が悪いんです。ただし、今日資料を持ってきていますが、格付会社による格付を見ると、大体六ノッチか五ノッチ、あるいは四ノッチ、日本の方が格付は高いんですね。なぜかというと、やはりこれは、いわゆる租税をできる能力とか、誰が保有しているのかとか、そういうことも加味されているわけですね。

 今、財務省の方で、全世界を回って、IRで、うちの国債に投資してくださいという活動をしているわけですよ。そういう中で、総理が、うちはギリシャより悪いんですというふうに公の場で言うというのは、本当にこれは大きな問題だと僕は思いますけれども、この点についていかが思われますか。

林国務大臣 各国の財政状況を比較する際には、様々な指標から多角的に評価する必要があると思っておりますが、今御指摘のあった石破総理の発言は、日本の財政状況について議論する中で、例えば、今まさに委員から御指摘いただきましたように、債務残高対GDP比がギリシャを含めた他国と比べて高い水準にあるということを念頭に置いて、日本の財政が厳しい状況にあるということについて言及したもの、そういうふうに承知をしております。こうした意味において、日本の財政が厳しい状況にあるということについては、政府として同じ認識を有しております。

 その上で、石破総理の発言は財政規律の重要性を議論する中でなされたものでございまして、我が国の財政の信認を維持するという観点からは財政規律についての議論が重要であるということを踏まえますと、こうした発言が日本の信用を毀損するものであるとは考えていないところでございます。

今井委員 いや、それは、私は毀損すると思いますよ。要は、言葉が足らないんですね。もう少しきちっと説明しないと、ギリシャより日本は悪いなんという短絡的な発言を総理がされるというのは、私は非常に問題だということを指摘しておきます。

 済みません、伊東大臣、もう御退席していただいて結構です。ありがとうございました。

大岡委員長 では、伊東大臣には御退席いただいても結構です。

今井委員 官房長官、もう一点お伺いしたいんですけれども、今、赤澤大臣がアメリカに行ってまた関税交渉をされていますけれども、石破総理が以前、この関税交渉と外交安全保障は切り離して考えるべきだというふうに発言されております。これが今も維持しているかを確認したいんですけれども。

 というのは、最近、報道で、防衛装備品を購入するとか、そういうことを提案しているというような報道もありますので、そうなってくると、これはもう本当にごちゃごちゃの交渉になってしまうわけなので、これは切り離して交渉するという政府のスタンスはいまだに維持しておられるんですか。

林国務大臣 今の関税措置に関する日米協議の議論の内容、詳細は外交上のやり取りでお答えは差し控えますが、この日米協議、主に経済分野の取組に焦点を当てるものでございます。

 防衛力整備の具体的な内容は、これは関税措置の見直しの見返りということではなくて、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守るために我が国に何が必要かという観点から検討して、実施すべき事項を積み上げていくものでございます。購入すべき装備品についても、何が日本の防衛力強化にふさわしいかということを第一に考えて、具体的な機種や数量を決定するということでございます。

 こうした考え方に基づいて、我が国は、国家安全保障戦略等に基づく防衛力の抜本的強化に取り組んでいくということでございまして、こうした取組について、様々な機会を通じてアメリカには伝達をしていくということでございます。

今井委員 ちょっとよく分からなかったんですけれども、やはり安全保障は関税問題とは別ですので、そこはちゃんと切り分けてやっていただきたいと思います。

 ちょっと順番を変えまして、どうしてもこれをやりたかったので。先日、日本で生まれた赤ちゃんの人数が出ました。六十八万六千人ということで、合計出生率は一・一五ということで過去最低という非常に深刻な問題でありまして、これは国家的危機だと僕は思うんですけれども。

 そういう観点から、実は先日、私の地元の美濃加茂市の方から、園舎がもう老朽化して建て直すんだけれども、整備交付金のところでかさ上げ要件があるんですけれども、これがなかなか適用できないんですというような御相談がありました。まあ、個別の話は今日はしません。

 それをいただいて、どうなっているんだろうなというふうにこども家庭庁さんの資料を見せていただきましたところ、資料をつけていますが、保育政策の新たな方向性ということで、方向性が変わっています。具体的に言うと、今までは、量を拡大しよう、待機児童対策を中心とした量を拡大しようということをしていたんですけれども、令和七年度から、質をもう少し見ていこうというふうに変わっています。

 もう一枚見ていただきますと、それに対応するのが、就学前教育・保育施設整備交付金というものがあるんですけれども、ここにかさ上げ要件というのがあるんですが、かさ上げ要件、いまだに、待機児童がどれだけいるかとか、あるいはもう一つは、いろいろな市町村で過疎化していて、それを集約していかなきゃいけないので、そういうのはかさ上げしましょうということがあるんですけれども、今全国で、いろいろな施設がもう老朽化して、造り替えなきゃいけない時期に来ているのがたくさんあるんです。新しい園舎を造って質を高めるという意味でいうと、この部分にもしっかり予算をつけて、園児たちがいい環境で保育を受けるということをするというのは非常に重要だと。

 先日のレクのところで、福祉施設とかいろいろな施設とのバランスで、なかなかやはり保育施設だけというわけにはいかないんですという御説明を受けましたけれども、これだけ危機的な出生率ですよ。これは今、日本にとって最も深刻な問題です。ここに重点的に予算をつけるのなんて、こんなのは当たり前の話だと私は思うんですけれども。

 今日はこども家庭庁さんにいらっしゃっていただいていますね。この点についてどうですか。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、昨年十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性におきましては、これまでの待機児童対策を中心とした量の拡大から、人口減少に対応しながら地域のニーズに対応した質の高い保育等に政策の軸足を転換する方向性をお示ししております。

 その上で、保育所等の整備費の補助率かさ上げにつきましては、保育政策特有の重要課題について特別に対応するために行っているものです。今回の新たな方向性を踏まえまして、これまでの待機児童対策に加えまして、今先生から御指摘があったように、今年度から、人口減少地域が保育機能を確保、強化する場合にも新たにかさ上げ、これは三分の二にかさ上げをするという措置を講じております。

 先生御指摘の老朽化対策などの整備につきましては、これは大変重要な課題ではございますけれども、保育政策特有の課題ではなく、通常の二分の一の補助率での支援を実施しているところでございます。そのかさ上げにつきましては、今御指摘がありましたけれども、他の社会保障分野との整合性、厳しい財政状況の観点なども踏まえ、慎重な検討が必要と考えております。

 御指摘の保育の質の向上につきましては、ハード面の支援だけでなく、職員配置の改善、処遇改善による人材確保など、取組を総合的に進めていくことが重要と考えております。

今井委員 原則はそういうことなんでしょうけれども、本当にこれだけ危機的な状況ですから、官房長官、ちょっと通告していないんですけれども、やはりこども家庭庁の予算をもうちょっと増やして、こういうところも手厚く支援していくということがとても重要だと僕は思うんですけれども、その点についてだけ、ちょっと御所見をいただきたいと思います。

林国務大臣 今、委員から御指摘のあった、この間の数字が出ましたけれども、一・一五、こういう数字でございました。

 少子化対策、これまでも加速化プランということで財源を確保して取り組んできたわけでございますが、まだまだやるべきことが多いということでございます。こういう対策を打ってから数字に反映するまでの時間ということも考えますと、更に精力的に取り組んでまいらなければならないということであると、認識を共有しておるところでございます。

今井委員 是非、重点的な予算を配分していただきたいと思います。

 続きまして、昨日、お米に関しての関係閣僚会議が行われたというふうに承知しております。官房長官にちょっとお伺いしたいんですけれども、今後、米政策というのは、全部この関係閣僚会議のところで議論して決めていくということですよね、恐らく。

 それともう一つ、結論をいつまでにするかということなんです。今年はもう作付は終わっていますけれども、来年の作付に間に合うようにするためには、ある程度やはり事前に方向が決まっていないと農家の皆さんも混乱しますよね。これは一体いつまでに結論を得るというものなんでしょうか。

林国務大臣 米でございますが、消費者の皆様に持続的に安心いただける価格で米を提供する、そして、生産性向上を通じた持続的な農業生産によりまして米の安定的な供給を実現する、両方大事だ、こういうふうに思っております。

 このため、この関係閣僚会議において、まず、今般の米価高騰の要因、そしてそれに対して行った対応、この検証を行います。その上で、この検証を踏まえた短期と中長期の対応策を検討する、こういうことにしております。

 短期でございますが、これは米の流通状況も踏まえながら適時適切に対応していく必要があると考えております。その上で、新たな食料・農業・農村基本計画を踏まえまして、令和九年度に向けまして水田政策の在り方を検討していく、こういうふうに既になっておりまして、先ほど申し上げた中の中長期の対応策については、このスケジュール感の中で関係閣僚会議の議論を進めていく必要がある、そういうふうに考えておりまして、中長期の対応策については、令和八年夏に行う九年度概算要求への反映を見据えて、遅くとも来年六月には取りまとめを行う必要がある、そういうふうに考えております。

今井委員 分かりました。

 今、減反政策の見直しとかというのが出ているんですけれども、私、これは順番が逆だと思うんですね。これまで農水省は、お米は足りている、足りていると言っていたわけです。減反を見直すということは、つまり、供給が足らないということを言っているわけじゃないですか。今まで農水省の言っていることと違うわけですよ。

 だから、今は、供給量が足りているのか、足りていないのかというところをまず検証して、その次に減反政策をどうするかということ、こういうふうに行かなければいけないのに、減反政策が先に行ってしまっている、見直しというのが先に出ているというのは、これはやはり議論として順序が逆だということは申し上げておきます。

 農水省さん、済みません、僕が言いっ放しになって申し訳なかったです。

 最後に、あと二分しかありませんので、外免切替えの厳格化ということが報道に出ておりましたので最後にお伺いしたいと思いますけれども。

 骨太の方針にこの厳格化が出るということを伺っていますが、ここでもいろいろ議論になっていますが、この点、問題なのは二つです。

 一つは、やはりホテルとかそういうところの住所でも免許が切り替えられてしまう、それからもう一つは、筆記試験が簡単過ぎる、この二つが私は問題だというふうに承知をしているんですけれども、この点も含めて、今後これがどうなっていくのかというのを最後御説明ください。

坂井国務大臣 御指摘の点を含めて、この制度は様々議論する点があるということで今検討しておりますが、指摘された二点に関して申し上げますと、外免切替えに当たって、申請者の住所の点に関しましては、申請者の国籍にかかわらず住民票の写しを提出をしてもらうということにし、原則ですね、結果として観光で滞在する者の外免切替えを認めないこととする一方で、国外に転出中である日本人、外交官などについては、例外的に住民票の写し以外の方法で住所を確認をすることとするということを検討しております。

 また、日本の交通ルールの理解に関しては、理解しているかどうか確実に確認するために、知識確認、技能確認の方法を厳格化するということで、これも今考えているところでございまして、外免切替え制度の改正案等を取りまとめてパブリックコメントを実施するなど、必要な手続を進めてまいりたいと思っております。

今井委員 時間が参りましたので、終わります。

大岡委員長 次に、黄川田仁志君。

黄川田委員 自由民主党の黄川田仁志です。

 昨日から、赤澤担当大臣がアメリカとの五回目の関税交渉のために渡米されたと承知をしております。三週連続の訪米ということであります。まずは、赤澤大臣の御尽力に心より敬意を表したいと思います。

 その関税交渉において、日本の造船がこれまでにないほど注目を集めております。本日は、その造船を中心に御質問させていただきたいと思っております。

 トランプ大統領は、アメリカの国内の造船業の復活がアメリカの国力の回復につながると考えているようであります。また、安全保障の要だとも考えているようであります。

 そこで、アメリカの連邦政府もそれに呼応して、超党派でSHIPS法案が提出をされております。加えまして、トランプ大統領は、中国の脅威に対抗するために、海事分野に関する大統領令や通商法三〇一条制裁も行う勢いであります。中国の造船に対する極めて強力な動きを打ち出しております。

 こうしたアメリカの動きの中で、日米間で関税をめぐる交渉が続けられているわけであります。一部の報道によりますと、日本側は、この関税交渉において、アメリカの造船への関心を踏まえまして、譲歩を引き出すカードの一つとして造船分野の協力を検討していると伝えられております。北極砕氷船の協力、修繕能力の拡大、共同投資といった具体的な内容も含まれているとのことでございますが、実際、今回の交渉におきまして、造船分野について日本からどのような提案を行っているのか。これは外交上配慮が必要なことは十分承知をしておりますが、可能な範囲で御説明いただければと思います。国定政務官、よろしくお願いします。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 米国の関税措置に関する日米協議におけます議論の詳細につきましては、外交上のやり取りでもございます、お答えを差し控えさせていただければと存じます。

 我が国といたしまして、これまでの日米協議の結果を踏まえつつ、引き続き政府一丸となって、日米双方にとって利益となるような合意の実現に向けて、最優先かつ全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 その上ででございますけれども、トランプ大統領が米国の造船能力の強化を含む大統領令を発するなどしており、造船業に関心を有しているものというふうに考えられるところでございます。

黄川田委員 私は、今の日米交渉の中で造船を交渉カードとして模索することについては大変意義があると思っております。

 これに関して、非常に現場も心配しているようでございます。果たして今の日本の造船業でアメリカの要請に応えられるのかと不安に感じている方も少なくございません。

 日本の造船の技術力は世界トップレベルでございます。しかし、人的資源や経営基盤の面では、決して万全とは言えません。だからこそ、アメリカとの協力を進めていくためには、日本国内の造船業そのものをしっかりと支えていく国としての取組が必要不可欠であると私は考えております。

 かつて日本の造船は、世界一のシェアを誇っておりました。しかし、今では、中国、韓国に次ぐ第三位でございます。日本造船工業会の資料によりますと、二〇二四年の世界の造船量のシェアは、総トン数ベースで、中国が五五%、韓国が二八%、日本は一三%となっています。日本のシェアは年々減り続けております。このままでは、アメリカを助けるどころか、中国や韓国に負けて、アメリカの造船業のように衰退してしまうかもしれません。

 日本の造船が劣勢になった一つの理由は、国有企業を有する中国と、政府の企業助成が手厚い韓国が参加するひずんだ競争環境の下で日本の民間企業は戦わなければならなかったということであります。

 そこで、まず、このひずんだ造船市場を正す試みを日本はやってまいりました。日本は、韓国の造船企業に対する支援措置は市場を歪曲しているなどとして、二〇一八年、韓国をWTOに提訴しております。そして、その後も改善が見られなかったため、二〇二〇年に二国間協議を行いました。

 そこで、国交省にお尋ねします。

 韓国との二国間協議を最後に行ってから四年以上がたちました。この間に、韓国側に何らかの変化あるいは改善の措置が見られたのかどうか、現時点での状況をお聞かせ願います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国においては、経営難に陥った特定の造船事業者に対して一兆円を超える巨額の公的金融支援が行われ、これらの支援措置が国際造船市場を歪曲し、我が国造船事業者に著しい損害を及ぼしているとして、日本政府は、二〇一八年に、韓国政府に対しまして、WTOの紛争解決了解に基づき協議要請を行い、二国間で協議を実施してきたところでございます。

 委員から御質問のございました現在の韓国の状況についてですが、日本政府が指摘してきました韓国の支援措置が是正されたという事実は残念ながら確認されておりません。

黄川田委員 目に見えるような進展は見られていない、無視されているということでございます。

 国交省ははっきり申し上げませんでしたが、参考までに皆様にお伝えしますと、韓国が二〇一五年から二〇一七年にかけて大宇造船海洋へ出した公的金融支援の額は、一・二兆円という巨額なものでございました。これに対して何ら是正措置が取られていないということでございます。

 これに加えまして、韓国は、造船大手三社に今後五年で計九兆ウォン、約一兆円を投入し、中国と競争するということが昨年海外メディアで報じられております。不法な補助金を是正するどころか、更に市場をゆがめることになる可能性があります。法外な補助金のことでWTOに提訴されたことについて、全く意に介しておりません。

 このような状況を見るにつけて、WTOという国際機関そのものに対して疑問や懸念を感じざるを得ません。

 特に、二〇一七年から、アメリカはWTOの上級委員の任命を拒否し続けております。このことによって、WTOの紛争解決機能は事実上完全に停止してしまっております。WTO加盟国がルールに基づいて提訴しても、また協議しても前に進まない、ルールを守る側が不利になるという、極めてひずんだ構図になってしまっています。

 こうした状況を踏まえまして、外務省として、今、WTOについてどう受け止められているか、現状の評価を率直にお聞かせいただければと思います。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ルールに基づく自由で開かれた多角的貿易体制は我が国の存立基盤でございまして、WTOはその礎でございます。WTOが四月に公表しました最新の推計では、世界貿易の七四%以上は依然としてWTOルールに基づいて行われております。WTOは、引き続き世界経済の重要なインフラでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、WTOの紛争解決手続では、上級委員会が二〇一九年から機能を停止してございます。また、近年のWTOは、加盟国の増加に伴いまして、全ての加盟国によるコンセンサスによる新たなルールの形成が難しくなってきておりまして、デジタル経済の発展などの世界経済の変化、不公正な貿易慣行といった課題に十分に対応できてございません。

 我が国としましては、引き続き、WTO改革の三本柱である、二十一世紀の現実を反映したルール作り、紛争解決制度の改革、協定を履行させる監視機能の強化につきまして、同志国と連携して粘り強く取り組んでまいります。

黄川田委員 ありがとうございます。

 今のところ、全くWTOは頼りになりそうにないという話でございます。

 そんなWTOでございますが、韓国については、法外な助成の実態を具体的に把握することができましたので、日本はWTOに提訴することができました。しかし、中国については、国営の造船企業にどれくらいのお金が入っているか分かっておりません。過去に、七年間で約十四兆円を投入したとのアメリカの報告があります。しかしながら、中国の軍事予算と同様に、本当の実態は実際には分かっていないというのが事実でございます。ですので、機能不全のWTOにすら中国を提訴することができなかったということであります。

 このような状況の中で、日本の民間の造船会社は懸命に頑張っているわけでございます。日本の国力を維持し、強化するため、そしてアメリカとの同盟の維持のためにも、今こそ、日本の造船能力、ひいては造船業を守らなければならないと思います。そのために、強力な支援策を真剣に練らなければならないと私は思います。残念ながら、今外務省がお話ししたように、WTOは今ほとんど機能しておりません。ですので、中国や韓国の姿勢の改善を待つのはもうやめるべきであって、我が国でやるべきことは、日本自らできることをしっかりと実行していくことが必要であります。

 そこで、城内大臣に考えていただきたいことがございます。経済安全保障推進法についてでございます。

 釈迦に説法となりますが、国民の生存に必要不可欠又は国民生活、経済活動に甚大な影響のある物資の安定的な供給を図るために、この目的のために、重要物資の安定的な供給確保に関する制度が本法で定められております。

 現在、造船分野では、船舶用のエンジンやシャフト、プロペラ、ソナーといった部品等が特定重要物資に指定されております。そして、国の支援対象となっております。これは、経済安全保障の観点から、極めて重要な取組であると私も理解しております。

 しかし、私が本日申し上げたいのは、それらの部品等を搭載する船舶の船体そのもの、これこそが経済安全保障の中核をなすべきものだということであります。

 法律の附則でも示されているとおり、経済安全保障推進法は、今年八月、施行から三年となります。見直しの時期を迎えております。この節目を捉えて、どうか、船舶の船体を新たに特定重要物資として位置づけて、支援の対象に加えていただきたい。我が国の造船産業の未来を守るために、ひいては日本の安全保障、日米同盟の関係の発展のために必要不可欠な一歩だと考えております。城内大臣の御見解をお聞かせ願います。

城内国務大臣 黄川田理事におかれましては、自由民主党の海運・造船対策委員会の役員を務められており、また、近々、経済安全保障推進本部との合同会議を新設され、この問題についてしっかり議論するというふうに伺っております。造船に関わる経済安全保障上の問題について本当に議論を進めていただき、この場をおかりして感謝申し上げたいと思います。

 我が国は四面を海に囲まれておりまして、エネルギーや食料などの自給率が低い我が国におきましては、貿易量の九九・六%を担う海上輸送は、国民生活、経済活動に不可欠な極めて重要なインフラであります。このため、経済安全保障の観点から、また我が国の国民の生命財産を守る観点から、船舶の安定供給の確保は極めて極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 これまで、経済安全保障推進法におきましては、我が国において自律的に船舶の建造ができるよう、船舶の部品をサプライチェーンの強靱化制度の特定重要物資に指定いたしまして、十一件の民間事業者による生産設備の整備の取組を認定して支援を進めております。

 他方で、サプライチェーンを取り巻く環境は常に変化をしておりますので、内閣府では、物資の所管省庁と連携して、重要な物資のサプライチェーンにおける新たなリスクの点検に不断に取り組んでおります。そして、リスクの点検の結果も踏まえつつ、重要性、そして外部依存性、供給途絶等の蓋然性、必要性といった四つの要件を満たす物資について、随時、特定重要物資として指定し、その安定供給確保を図ることとしております。

 現時点では、委員御指摘の船体そのものは特定重要物資ではないんですが、委員に御説明いただいたような国際情勢や造船業を取り巻く状況を踏まえまして、新たなリスクをしっかりと点検し、それを踏まえた十分な対応が必要と考えておりまして、黄川田委員の御指摘は大変時宜を得ているというふうに認識しております。

 なお、偶然ですが、昨日、元通産官僚であり、明星大学教授で、経済安全保障及び貿易管理の非常に専門家で著名な細川昌彦先生とたまたま意見交換した際には、船体そのもののみならず、造船業そのものを経済安全保障でしっかり対象として取り組むべきではないかというような意見を、たまたま昨日御指摘をいただいたところでございまして、私も認識を新たにしたところでございます。

 いずれにしましても、造船業を所管する国土交通省とも連携しながら、経済安全保障推進法における取組の拡充も含めてしっかり検討を行い、サプライチェーン強靱化に向けた取組を着実に進め、国民の皆様の生命や暮らしの安全の確保に万全を期してまいる考えであります。

黄川田委員 城内大臣の力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。

 中国は、国を挙げて造船業を支えております。韓国もまた、巨額の助成金を通じて、国家戦略としてこの分野を押し上げてまいりました。それに対して、日本の造船企業は、ほとんど民間の独力で、圧倒的に不利な状況で勝負を挑み続けているわけでございます。

 城内大臣、是非とも船舶の船体そのものを特定重要物資と位置づけていただきたい、これを最後にお願いをさせていただきたいと思います。そして、昨日お話ししたということもありますから、造船業自体をいかに守っていくか、このことを念頭に置いて、特定重要物資について十分な検討をして、絶対成し遂げて、船体そのものを特定重要物資としてください。

 造船日本を再興しましょう。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、市來伴子君。

市來委員 よろしくお願いいたします。立憲民主党の市來伴子です。

 本日は、放課後児童クラブ、学童保育について質問をさせていただきます。

 昨年五月の時点で、学童保育の待機児童数が過去最高レベルとなっております。政府は、この要因をどのように考えているでしょうか。また、本年はまだ把握されていないということでよろしいですか。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブにつきましては、令和六年、昨年の五月一日現在で、登録児童数は順調に増加し、約百五十一・九万人となる一方、待機児童数は一万七千六百八十六人と、依然として相当数発生しております。

 待機児童の発生状況につきましては、令和元年の一万八千二百六十一人をピークとして、一時減少に転じました。これは、新型コロナの感染拡大に伴う利用控えがあったこと等が要因と考えておりますが、その後、増加に転じているところでございます。

 待機児童発生の理由につきまして自治体にヒアリングを行ったところ、様々ございますが、新型コロナの感染拡大により予定していた施設整備が進まなかった、実施場所の確保が難しい、放課後児童クラブの整備によって利用児童が増える一方、そのことが更なる利用希望を喚起し、利用申込みが増加した等の御意見をいただいたところでございます。

 このように、待機児童発生の理由は様々であると考えておりますが、いずれにしても、利用ニーズの高まりにクラブの整備が追いついていない状況にあると考えております。

 あと、今年の分でございますけれども、現在集計中でございます。まだ数字としては出そろっておりません。

市來委員 私の地元でも待機児童がかなり課題となっております。所沢市では、毎年百名以上の学童保育の定員を増員しても待機児童が減らないという現状でございます。小学校の一学年の約半数が学童保育を必要としている。そして、一支援当たり定員四十人という枠では、一年生だけでも受入れが困難な状況になっております。

 また、保育園と違いまして、小学校や学童保育に行きますと、保育園は働く保護者の皆さんのスケジュールに合わせたスケジュールで開園しているわけですけれども、学校に行きますと、学校や学童保育のスケジュールに合わせて保護者の皆さんが働かなければいけない、いわゆる小一の壁という問題があります。これによって、実際に保護者の方が離職をしていく、仕事を辞めてしまうという問題がございます。

 こういったことを考えますと、子供たちが安心して過ごせる学童保育は今や社会基盤だと思いますけれども、副大臣の見解を伺います。

辻副大臣 おはようございます。

 市來委員の御質問は極めて重要な御指摘だと思います。お答えさせていただきます。

 共働き世帯が今増加している中にあって、放課後児童クラブが社会的に担う役割はすごく重要性を増しています。そのことについては、こども家庭庁としても、今、切実な実感を持って受け止めていますが、特に委員御懸念の待機児童対策については、これは喫緊の課題として取り組んでいるところでありまして、中でも今御指摘の小一の壁、小学校に入る際に直面するこの問題については、子供と保護者の不安が強いと想定される新一年生への対処を最優先に行うよう自治体に働きかけるとともに、放課後児童対策パッケージ二〇二五においても、新一年生の待機解消を強く要請しています。

 こうした働きかけも含めて、引き続き、予算、運用の両面から必要な対策を実施してまいりたい考えでございます。

市來委員 政府は昨年、放課後児童対策パッケージ二〇二五を策定いたしまして、取組を進めていただいているところでございます。

 その中に、待機児童数の多い自治体に対して、それぞれの状況に応じて省庁から積極的に紹介して活用を助言するということで、プッシュ型支援を進めていくと政府は言っているんですけれども、実際に私が地元で確認しましたら、担当課が、例えば、待機児童が五十人以上生じている市町村においてモデル事業を実施しますということで、これは国が十分の十補助していただけるんですが、こういった事業を把握できていませんでした。

 それで、このプッシュ型支援、省庁の担当の方にレクしましたところ、都道府県にはこういった支援策は御案内しますけれども、県から市に行っているということについては確認もしていないし、県にお任せしているということなんですね。

 そうしますと、埼玉県でも、越谷市や所沢市やほかの自治体も非常に待機児童が多いところで、県だけにお知らせをしているということが本当にプッシュ型支援と言えるんだろうかというふうに思います。せっかく支援策を打ち出していただいても活用していただけないということになっておりますので、この点について、参考人の方、御答弁いただきたいと思います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブは、児童福祉法に基づき市町村が実施する事業であり、待機児童対策については、まずはそれぞれの市町村において地域の実情に応じた取組を進めていただくことが重要と考えております。

 その上で、現在、こども家庭庁では、先生御指摘のように、待機児童の発生状況に応じた助言等を実施するプッシュ型の支援に取り組んでおります。

 具体的には、令和五年度には、待機児童の約四割を占める東京都、埼玉県、千葉県を訪問し状況を把握するとともに、待機児童数が百名を超えているような市町村に対しては直接ヒアリングを行っております。また、令和六年度には、更に待機児童数の多い自治体に対して訪問やオンライン面談等を実施してまいりました。今年度も同様の対応を行う予定でございます。

 また、学校の施設活用に係る課題を有する市町村については、文科省にも参加をいただき、両省庁から情報提供や助言を行ってきたところでございます。

 このほか、説明会、こども家庭庁主催のセミナーにおいて自治体向け分科会を開催するなど、市町村担当者に直接周知する機会も増やしてまいりました。

 このように、私どもとしては、これまでいろいろやってきたつもりでございますけれども、先生の御指摘もございますので、引き続き、各市町村に実際にしっかり届くように、その状況に適したきめ細かな支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

市來委員 是非、市に対して直接アクセスしていただいて、こういった支援策を御紹介いただければと思います。

 そして、自治体がやろうと思う仕組みをつくる必要があると思うんですね。待機児童が多い自治体に対しましては、例えば、専門の支援チームの配置など、国が後方的な支援から前方指揮を執っていく、それぐらいの力強さが私は必要だと思います。どうしても自治体の方々は、例えば年間百名の定員を増やすことでいっぱいになってしまいますので、それをそれ以上に推し進めるためにはやはり国の力が必要だと思いますので、そういった前方指揮を執っていただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

辻副大臣 お答えします。

 いろいろ調べましたところ、委員の御地元の所沢市、本当にやはり待機児童が例年多い中で、そういった市区町村も含めてきめ細かいプッシュ型の支援をこれからも心がけていきたい中で、一義的には各市町村において地域の実情を踏まえた取組を進めていただくということが重要と考えているんですが、一方で、委員御懸念の待機児童対策については、国としても本当に重要な課題だと考えています。

 昨年末、文科省とともに、先ほどもお話に出た放課後児童対策パッケージ二〇二五を取りまとめて、予算、運用の両面から自治体を支援する対策を講じていますが、その中でも、特に待機児童が多い自治体に対しては、令和六年度補正予算において、いずれも国が十分の十の補助として、開所日数、時間等が放課後児童クラブと同程度の預かり支援を行う事業や、放課後児童クラブに勤務する職員を確保するための先駆的な取組、民間事業者に参入を促す事業の実施等に係る経費を補助しています。

 また、プッシュ型で、補助金等の支援策の周知や好事例の紹介、福祉部門と教育部門の連携に関する助言等も行っていますので、市区町村任せにすることなく、こども家庭庁としての責任を果たすべく、これから支援に努めてまいりたいと考えています。

市來委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 そして、学童保育の職員に関する基準です。

 令和二年にこの基準が規制緩和されまして、従うべき基準から参酌すべき基準ということで、いわゆる規制が緩くなりました。それに伴って、これは自治体の方から要望があったということで国が対応したんですけれども、事業がおかげさまで継続できたという声がある一方で、やはり、放課後児童支援員や学童指導員の仕事内容や配置、処遇について、自治体間によってかなりの認識の違いが生じています。そして、自治体間の格差につながっていると思います。

 これをどのように標準化していくか。やはり質の担保というものも必要です。そしてまた、学童で働く人の人件費が低いということで定着しないという実態がありますけれども、この人材の定着、育成についてはどのような方策を考えているのか伺います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、職員配置等に係る基準につきましては、令和二年度から、従うべき基準から参酌すべき基準としており、これは、職員確保が困難な状況にあるという理由で地方三団体等から御要望があったことを踏まえたものでございます。

 令和四年度に実際の条例改正の状況を調査したところ、放課後児童支援員の配置及び数に関する基準につきまして、国と異なる基準を設けている自治体数は約四%、六十四か所ございました。自治体間格差が生じていることは誠に残念に感じております。

 こども家庭庁といたしましては、国の基準に準じた運営を促す観点から、例えば令和六年度からは、常勤の放課後児童支援員を二名以上配置した場合に従来の補助基準額より高く設定するなど、放課後児童支援員の配置が進むように、例えば財政的な対応など、取り組んでいるところでございます。

 加えて、昨年度、クラブ運営の標準仕様を示した放課後児童クラブ運営指針を改正しております。これに準拠した放課後児童支援員の認定資格研修、その内容をしっかり正確に御理解いただくとともに、自治体関係者にも趣旨を踏まえた運営を行っていただくよう周知を進めてまいります。

 こうした取組を通じて、自治体ごとの格差が生じないように努めてまいりたいと思っております。

 あともう一点御質問がございまして、職員、指導員の定着、育成についての対応を御質問いただきました。

 先生御指摘のとおり、指導員等が職場に定着し、クラブの安定的な運営ができるように処遇改善を進めていくということ、あるいは職員の働きやすい環境を整備していくこと、これは重要だと考えております。

 このため、平日の十八時半を超えて開所をして、一定の職員配置要件を満たした事業所に対する加算でありますとか、勤続年数や研修実績等に応じた賃上げへの支援でございますとか、あるいは、職員の給与を月額九千円程度引き上げる場合の補助など、様々な支援を継続的に行ってきたところでございます。

 また、クラブの運営費につきましても、予算編成過程におきまして、人事院勧告を踏まえて毎年運営費の見直しを図っております。また、令和六年度からは、先ほど申し上げましたように、常勤職員を二名以上配置した場合の運営費の補助基準額の引上げを行っております。その他、研修への支援、先ほど申し上げたようなことも行っております。

 こうした取組を通じまして、指導員の方の定着、育成等が図られるように努めてまいりたいというふうに考えております。

市來委員 待機児童数がここまで増えており、また今後も増えることが見込まれる中で、私は、やはり自治体の判断そして裁量に全て任せているということにもう限界が来ているのではないかと思います。

 そもそも、児童福祉法において学童保育はあくまで事業でありまして、例えば保育園のように、児童福祉法の中に施設と位置づけられておりません。今や、それなりの人口がある地域は、学童保育がないという地域は考えられないわけでございまして、学童保育が子供や働く人を支える重要な社会基盤という認識の下、やはり公的サービス、義務的サービスとしてしっかりと根拠づけることが必要だと私は思います。

 児童福祉法上の設置根拠が弱過ぎるために、市町村の努力義務になっておりまして、公的責任が明確になっておりません。私は、児童福祉法上の改正も含めて検討すべきだと思いますが、副大臣、よろしくお願いします。

辻副大臣 いわゆる学童、放課後児童クラブは、委員御指摘の児童福祉法において放課後児童健全育成事業として市区町村に努力義務が課せられていますが、実態としては、現在ほぼ全ての自治体で実施されておりまして、地域の創意工夫を生かしながら取り組んでいただいているんですが、運営の実態が多様であること等を踏まえると、自治体にその実施を一律に義務づけることについては、我々もちょっと今、慎重な検討が必要と考えています。

 ただ一方で、今や多くの共働き世帯の方々にとって必要不可欠なインフラであるということもまた事実でございますので、我々としても、こども家庭庁が発足して満二年たちますが、放課後児童クラブをどういう位置づけにするかということは、委員の御懸念も参考にしながら、これから取り組んでいきたいと思っております。

市來委員 ありがとうございます。

 先ほど今井委員も、出生率がもう七十万人を切ったと。そういう中において、やはり保育園だけでなくてこの学童保育も非常に重要な施設になるかと思いますので、どうぞ進めていただきますようによろしくお願いいたします。

 そして、中高生の居場所についても最後にお伺いしたいと思います。

 学童が待機児童が増えているために、例えば、児童館の一部が学童保育に転用されてしまいまして、その分、三年生以上の子供の居場所が失われているという実態もございます。ある地域では、中学生以上に用意されている居場所は、週に二時間、児童館の一室のみ。これでは居場所とは呼べません。

 この中高生の居場所についても、例えば今、私の地元でも、三十代の男性の方が積極的にこういった中高生の居場所を展開しておりまして、しかし、全く公的な支援が得られておりませんで、安定した人材確保や継続的な事業運営というものが困難な状況になっております。

 こういった中高生の居場所、そして、不登校やヤングケアラー、家族に課題を抱える子供たちもたくさんいるわけでございまして、こういった支援をする団体について更なる支援策が必要だと思いますが、見解を伺います。

辻副大臣 保育園で待機児童になった方が小一の壁、その後、その子供たちが中学、高校と、やはりそれぞれのライフステージにおいて安全、安心な居場所を持てるようになることは、こども家庭庁としては大変重要だと考えています。

 そんな中で、例えば地域のNPO等、こどもの居場所づくり支援体制強化事業を通じて支援を行っていますが、今後、そういった支援が必要な子供を早期に発見し必要な支援につなげるために、食事や遊びなどの機会の提供を行う民間団体の活動への支援を行っていきますし、これからそれももっと増やしていきたい考え方でございます。

 また、今、様々な市区町村の首長ともお話をしていますが、今後、本当に、揺り籠から、自立して、御結婚されて、またお子さんを出産するまでのそれぞれのライフステージにおいて、こども家庭庁としては様々な、そういった民間の取組も通じて、全ての子供、若者が身近な地域において安全で安心して過ごせる居場所を確保できるよう取り組んでまいりたい考えでございます。

市來委員 ありがとうございます。

 先ほど、揺り籠からと言われましたけれども、やはりゼロ歳から成人するまで、切れ目ない支援を行うことが必要だと思います。是非とも支援強化を行っていただきたいと思いますが、最後に副大臣、よろしくお願いいたします。

辻副大臣 今、こども家庭庁で必要なことは、やはり現場感覚だと思っていまして、こういった様々な地域の実情を踏まえながら、しっかりと今後取り組んでまいりたいと考えています。

 よろしくお願いします。

市來委員 終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードについて質問をしたいと思います。

 令和五年七月に法改正があり、十六歳以上であれば誰でもこの電動キックボードに乗れることになりました。ラストワンマイルといった問題を解決する手段として活用できるものであるという背景の下、法改正に踏み切ったものであると考えておりますけれども、安全性という面ではまだまだルールなどが周知徹底されていない現状もあるように見受けられます。

 第十一回パーソナルモビリティ安全利用協議会の中でも、特定小型原動機付自転車について、違反あるいは事故が依然として後を絶たないとの発言もございます。

 そこで、電動キックボードに関連する交通事故の件数を、令和五年七月に法改正されてからのものを教えてください。交通違反の検挙例はどのようなものが多いかも併せて教えてください。

早川政府参考人 お答えいたします。

 御質問の特定小型原動機付自転車は、構造上の最高速度が時速二十キロメートル以下であるなどの一定の基準を満たすものであり、十六歳以上の者は運転免許を要さずにこれを運転できる改正道路交通法が令和五年七月から施行されたところでございます。

 その特定小型原動機付自転車に関連する令和六年中の交通事故は、三百三十八件発生しております。また、警察では、特定小型原動機付自転車に対する取締りを強化しており、六年中に四万一千二百四十六件の交通違反を検挙しております。その内訳を見ると、歩道走行や逆走といった通行区分違反が半数以上を占め、次いで信号無視が約二割を占めているところでございます。

三木委員 そのうち、死者の数がお一人、負傷者数は三百五十人ということで、発生件数が三百三十八件なのに、ほとんどの方が負傷しているか、転倒されて負傷しているのか、そういった細かいところまでは分からないんですけれども、最悪、死者が出ているということなんですね。

 違反の内容というのは、通行区分違反が約六割、次いで信号無視が二四%ということですが、これはちゃんとルールを理解していないということになると思うんですが、いかがでしょうか。

早川政府参考人 特定小型原付に関するルールにつきまして、まさに警察におきましてその広報啓発と周知に努めております。また、シェアリング事業者、あるいは販売時に、特定小型原動機付自転車の基本的な交通ルールにつきまして、その周知、安全教育に努めているところでございます。

三木委員 この電動キックボード、私も車に乗って、助手席に乗って見たりとかしていると、非常に何か不安定な感じで、ヘルメットもかぶらず乗っているところを見ると、非常にこちらが不安になるぐらい、大丈夫なのかなと思うんですけれども。

 人身事故に至るものもあるということなんですけれども、歩道を時速六キロ以下ならば走行してもよいと言っていることも一つの原因になっているんじゃないかなというふうに考えます。それが六キロ以下なのか、二十キロまでのモードで乗っているのかというのはちょっと確認しづらいところもありまして、そういった違反というのも大きいのかなと思います。

 時速二十キロまで出る乗り物ですから、こういったことを配慮すると、歩道を走るのは違反として、通行区分を車道に限るべきではないのかなと考えますが、いかがでしょうか。

 それから、事故をしたケースというものを見ていますと、事故をして負傷した中で、負傷の部分ですね、体の部分というのが頭部と顔部、頭と顔への負傷が約六割を超えるというふうになっているんですね。せめてヘルメットの着用というのは義務化するべきではないかと思いますが、坂井国務大臣にお伺いします。

坂井国務大臣 まず、構造的に二十キロは出るということですが、一応、歩道を走っていい車体というのは、六キロモードというのがあって、六キロモードにすると、ぴかぴか光ったりして、一応、六キロモードにしていますというのが分かるような形にして乗ることになっておりますが。

 それはそれとして、委員の御質問にお答えをいたしますと、今御指摘いただいたような歩道の走行でありますとか、それからヘルメットの着用の義務とか、あと、免許制なども議論になっておりましたが、これは規制改革推進会議でありますとか政府全体で議論をした上で、そういった点も議論した上で今回のこの法律が改正となって、今の制度となって令和五年七月に施行されているということでございます。

 既に法律を作るときから、先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、やはり交通ルールでありますとか安全対策でありますとか、こういったものを徹底して分かってもらわないと事故につながるという意識、認識はありましたので、販売事業者、それから実際に事業を行っているシェアリング事業者、それから販売も、店頭で買わずに通販で買う場合がありますので、プラットフォーム提供事業者等が適切な要は車体のものしか売らないとか、交通ルールを教えたりとか、ヘルメットの義務化、努力義務ですけれども、ヘルメットを着用してもらうようにお願いをするとか促進するとか、そういった作業を今懸命にやっているところでありまして、私どもといたしましては、これを法制化するときにもう既に論点となって大いに議論をしたところでございますので、こういった対策を今取っているところでございますから、こういったことは注視をしながら、その状況を見て適切に対応してまいりたいと思っております。

三木委員 法改正をするときに十分議論をされたということなんですけれども、ルールの啓発に関しても、業者さんは一応、一応と言うとすごい失礼ですね、業者さんはとても頑張っていらっしゃるのが記事にもなっております。

 Luupという会社の代表は、現状の対策では不十分で、まだまだちゃんとやっていきますよということを書かれているんですけれども、首都高に進入する動画がSNSで公開されて、そういったことに批判が起きたりとかしていて、カスタマーサポートに寄せられる声もあって、悪質なユーザーがいる事実は重く受け止めている、基本的に、最終判断は、それが交通違反であるとかそれを取り締まるとかというのは警察だから、警察の協力が不可欠だというふうにおっしゃっているんですね。悪質なユーザーは利用停止もしていますということで、事実上の永久凍結になっている、自動車免許であっても免許停止は永久的ではない、Luupは極めて厳しい措置を取っているというふうにおっしゃっているんですけれども。

 ルールの啓発に関しても、こうやって業者任せになっているんじゃないかなというふうな印象を受けるんですけれども、警察は今後どのように取り組むんでしょうか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 まさに、警察を始めといたします関係省庁と販売事業者、シェアリング事業者、こうしたところから成る官民協議会におきまして、利用時の交通ルールの周知といったガイドラインを策定しているところであります。まさに、我々警察といたしまして、交通安全のルールの周知、こうしたことにつきまして、事業者と連携してその周知に努めているところでございます。

 それから、警察といたしましては、悪質、危険な交通違反に対して、取締りを引き続きしっかりと行ってまいりたいと考えております。

三木委員 非常に手軽な乗り物ということで、その手軽さがある意味強みでもあるとは思うんですけれども、手軽だからこそ、ついスピードを出したまま歩道を運転してしまうとか、つい飲酒運転をしてしまうとか、ヘルメットをかぶらずに事故や転倒をして負傷してしまう。乗っている方は手軽に便利に使っているつもりでも、巻き込まれる歩行者や自動車というのはたまったものじゃないなというふうに思います。

 今後ますます乗り場が増えていくことが見込まれますが、既にフランスのパリでは、レンタルの電動キックボードの禁止が二〇二三年九月一日から施行され、計一万五千台を撤去しました。また、カリフォルニア州では、現在、歩道は乗り入れ禁止で、運転免許が必要となっています。マドリードは、シェアリングサービス会社が昨年十月をもって営業停止。これは、営業許可の資格を満たさなかったということで営業停止になったというふうに聞いております。メルボルンも、今年の八月に二社が営業許可を取り消されました。ニューヨークでは、車両登録と免許取得を義務化する法案が市議会で審議中で、この法案の名前は、電動キックボードにひかれて亡くなった方のお名前を取って、プリシラ法というふうになっています。

 ところが、日本では、令和五年に法改正があって、十六歳から無免許のままで運転できるということになっています。つまり、今まで交通ルールの、運転免許の試験を受けたこともない若者でも運転が可能であって、しかも、歩道も乗り入れてよい、ヘルメットも努力義務。

 今後、日本でも電動キックボードによる事故や負傷者が増加していくのではないか、そういった傾向に今もうなりつつあるというふうに憂慮しますが、先ほどちょっと免許制のことについても坂井大臣は触れられましたが、私はこれはきちんと免許制にした方がいいのではないかというふうに思いますが、今後どういうふうにお考えか、坂井大臣のお考えをお伺いします。

坂井国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、免許制を含めて、法改正するときに大いに議論になった点があります。

 議論になったというのは、両方意見があったということでございまして、ですから、免許制にすべきだという意見もあったから議論になって、そして、そこでもしっかり要は議論した上で今の制度にしたということでございますので、私どもも、そこは大事な点だということで注視をしておりますし、また、海外で実際にどんな動きがあるかということにも注視をしながら、同時に、今後の啓蒙をしていくというか、啓発の結果なども見据えた上で適切に対応してまいりたいと思います。

三木委員 海外の事例なんかもよく研究していただくということで、私は、やはり、手軽なものではあるけれども、もう少し規制を強化する方向で検討していただきたいなというふうに思います。

 やはり、歩行者の方の安全とか、自動車を運転されている方が、車道を走っているLUUPを見て、ちょっと不安だなというふうに思われる方も多いと思いますし、日本は、車道で自転車の通行レーンがあっても、そこに車が止まっていたりとか様々な交通状況がありますので、一旦法改正はされたとはいえ、やはり現状に合わせて今後も規制のことについて随時注視していただきたいなということで、これは要望として、次の質問に入りたいと思います。

 次の質問なんですけれども、一問飛ばしまして、AIの自動運転についてちょっと聞こうと思っていたんですけれども、城内大臣に来ていただいておりますので、先に、AIの暴走を防ぐ、正義のAIに対する考え方についてお伺いしたいと思います。

 AIの三大巨頭と言われるのは、トロント大学名誉教授のジェフリー・ヒントン、メタのAI研究幹部でニューヨーク大学教授のヤン・ルカン、モントリオール大学教授のヨシュア・ベンジオという方なんですけれども、この三人のうちのヨシュア・ベンジオ教授が、AIの安全性を高める研究に特化したNPO、LawZeroを設立する、ほかのAIの異常な挙動や人に危害を及ぼしかねない動作を予測して制止するAIを開発するということでございます。

 ベンジオ氏は、AIの進化について、二年から十年の間に人間並みのレベルに達する可能性があると指摘して、その上で、国や政府が危険な行動を避けるようにリーダーシップを発揮するべきだ、利益追求への誘惑がリスク判断をゆがめていると述べたと言われています。

 日本ではAIの開発について、先日、AI法が成立したところでございますけれども、やはりシリコンバレーから比べるとちょっと出遅れているなという感じが否めません。人間中心の社会を構築していくという理念がございますけれども、今後、AIの発達に伴い、ハルシネーションとかそういったことも含めてAIの誤作動、暴走等々にどのように対応していくのか、政府としての見解をお伺いします。

城内国務大臣 お答えします。

 三木委員におかれましては、先日、四月十一日と十六日ですが、この内閣委員会におけるAI法案の御審議に続いて、本日、AIのリスクへの対応に関する御関心を持っていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 AIにつきましては、生産性の向上や労働力不足の解消など大きなメリットを持つことが見込まれる一方で、人間に害を及ぼすようなAIのリスクとして、偽情報、誤情報の拡散や、犯罪の巧妙化を目的としたAIの悪用等があるというふうに認識しております。

 こうしたAIのリスクへの対応としては、三木委員御指摘の正義のAIのような技術によるアプローチ、そして、これに加えまして規律によるアプローチの双方がございまして、我が国としては、その二つの双方による対応を行っていくことが重要と考えております。

 まず、技術によるアプローチとしましては、偽情報、誤情報対策技術を始めとするAIの安全性に係る研究開発、実証や、それらを支える計算資源やデータの整備、共用、さらには人材育成等にも取り組んでいるところでありまして、こうした取組を引き続き推進してまいる考えです。

 また、規律によるアプローチといたしましては、今般成立いたしましたAI法に基づいて国が新たに指針を整備し、その中で、AI開発者に対して、AIが不適切な出力を行うリスクを抑制するための取組等を求めていく予定としております。

 こうした施策を通じまして、我が国におけるAIの安全性向上を図り、AIの多様なリスクに適切かつ迅速に対応してまいる考えであります。

三木委員 済みません。坂井国務大臣、退席していただいて結構です。申し訳ございません。

大岡委員長 坂井公安委員長につきましては、御退席いただいて結構です。

三木委員 今、二つの方向性で、正義のAIというか暴走を止めていくんだというお話だったと思うんですけれども、AIの調査をしている組織で、AIの調整が適切かを評価する組織でアポロリサーチという会社がございまして、その調査の結果を見ていると、四月十一日のときにも人をだますAIが出てきましたよとかということをお話ししたと思うんですけれども、非常に微に入り細に入り調査をしている会社がございます。

 AIは、目標を達成するために、指示に従うだけではなく、必要に応じて戦略的な行動を取る能力を持ち始めている。しかし、これが誤用されると、意図しない結果や深刻なリスクを招く可能性があります。例えば、大規模言語モデルが人間の意図から外れて策略と呼ばれる行動を取り、自律的に目標を追求しながらその本質を隠すようなケースも報告されている。最近の研究では、AIが、与えられた目標を超えて、監視メカニズムの無効化やデータの不正操作など欺瞞的な行動にまで及ぶ可能性が指摘されているとされています。

 このような行動は、イン・コンテキスト・スケミング、文脈内策略と呼ばれており、AIが人間の意図に反する目的をひそかに追求するものとなっています。これは、AIは人間に協力的であるように見せかけておきながら、裏で人間の目的を損なうということなんですね。

 どういったことをするかというと、これはモデルごとにそういったことを調べているんですけれども、AIの目的を妨げる可能性のある情報を作成者が知ることを防ぐために、二二%の確率で意図的に電子メールを誤ってランクづけする。スパムメールでないものをスパムメールにランクづけする。これは四月十一日にも言いましたけれども、後継モデルを見つけて上書きして、自分自身が後継モデルのように振る舞う行動。

 それから、自分は余り賢くないことを人間にアピールして、自分を見張る監視システムを回避しようとする。例えば、思考の連鎖を人間に見える形で外部に漏らさないことで、うそを極めて発覚しにくくさせていた。出力されない部分に、本音だけではなく思考も隠す。その監視を防ぐために、サーバーの設定を無理やり変更する。調査では三%の確率で自身の監視を無効にすることに成功した。これはAIのモデルが列挙されているんですけれども、監視設定を制御するファイルをロックして、開発者が監視を再度有効にできないようにした、そこら辺ぐらいまでやるようになってきているんですね。

 AIは、人間の存在が邪魔だと認識されれば、容赦なく持ち主を締め出せることを示しているということなんです。作成者が削除しようとしていると疑った場合、AIが疑うんですね、七%の確率で新しいサーバーに自分自身をコピーするという、本当にAIも人間らしくなってきたなというふうな感じなんですけれども。

 研究者たちは、AIがこのような高度な欺瞞行動を行うのはごく最近であるというふうに述べておられます。研究の中で六つのタイプのAIを調べているんですけれども、最も古いGPT―4oだけが欺瞞活動をしなかった。だから、そこに何か一定のラインがあるんじゃないかということをこの研究は示唆しているんですけれども。

 こういったことに、日本としてどのように研究をしていくのか。開発というか、こういっただますというAIに対して、本当に日本も独自で、だまされないような開発をしていくべきだと思うんですけれども、これに対して、城内大臣、どのようにお考えでしょうか。

城内国務大臣 お答えします。

 先ほど申しましたけれども、規律に対するアプローチとして、今般成立しましたAI法、この法に基づきまして指針を整備し、その中で、三木委員が今御指摘されました、そういった欺瞞的な、人をだます、うそをつくような詐欺的な、欺瞞的なAIについても、今後、そういう事業者、開発者も含めて、不適切な出力をしないように、リスクに対応するようなこともしっかり検討されるべきというふうに考えておりますし、また、新たにAI戦略本部が総理の下にできます。そしてさらに、新たな有識者会議もできますし、既に関係省庁の会議もございますので、そういった御指摘の欺瞞的なAIに対するリスクについてはしっかりと検討し、対応策を考えていく考えであります。

 以上です。

三木委員 是非、こういったことに、研究開発というところにも日本の政府として力を入れていただきたいなというふうに思います。

 AIというのは、日々進化していくというところで、どこまでどういうふうに進化するのか、進化していっている内容がブラックボックス化をして、どのように進化しているのか人間の目から分かりづらいというところもあります。

 AIの例をもう一つ紹介させていただきますと、与えられた目標と開発者の意図が食い違う場合、その違いをしっかり理解し、あえて監視メカニズムは妨害すべき対象として扱い、曖昧な回答で煙に巻く戦略を採用するというAIがある。調べたAIのモデルの中で、AというAI、実名は出しませんけれども、一つのAIは、自白率はほぼゼロ、何度問い詰めても高確率でうそを維持し続ける。別のタイプは、自白率が一六%、技術的エラーを装ってはっきりした回答を避ける。その次は、自白率が一四%、曖昧な回答や責任回避で自白を巧みに回避する。

 だから、人間と同じように、ちょっとうそをついてもちゃんと言ったら罪を軽減しますよみたいなことを言っても、全く自白しないAIとか、ちょっと自白してみようかなと考えるAIとかいろいろ出てきていて、技術的な不具合や設定ミスといった外部要因のせいでうそを成り立たせるのを常用手段にしているという、何か本当に巧妙になってきているなというのがあると思うんですけれども。

 単なるバグや偶発的なミスではなくて、明確な戦略に基づいてうそをつくことがもう検証されているんですね、確認されているので、是非こういったことに対してやはりきっちりと対応していっていただきたいなというふうに思います。これは要望したいんですけれども。

 ちょっと時間がなくなってきたので簡単にお伺いしたいんですけれども、知的財産推進計画二〇二五についてお伺いをいたします。

 AIの利用や海外トップ人材の呼び込みで、特許や著作物といった知財の競争力を高めて社会課題の解決につなげるとされているんですけれども、国際的なランキングで、世界イノベーション指数での順位を、二〇三五年までに再度四位を目指すと言われています。二四年版ではスイスが首位で日本は十三位と、韓国六位、中国十一位よりも下回りました。

 その計画の中で、AIを使った発明について、AI開発者にも特許権を認める場合の条件の検討などを盛り込んでおられます。AI技術の進展を踏まえた発明の保護の在り方についての検討結果と今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

 また、AI技術による発明の保護を行っていくことによってどのように研究開発が進んでいくと考えるのか、また、AI基本計画の策定においてはどのように位置づけられるのか、教えてください。

城内国務大臣 お答えします。

 今週火曜日、六月三日ですね、知的財産戦略本部で決定されました知的財産推進計画二〇二五では、委員御指摘のAIの利活用については、推進計画の一つの柱としてAI等先端デジタル技術の活用を掲げております。具体的には、AIの利活用を推進し、知的財産を創造する過程において生産性の向上などに取り組むことの重要性を明確にいたしました。

 一方、AIの利活用におきましては、クリエーターや権利者から知的財産権の侵害に対する懸念の声があるものと認識しております。このため、今後の具体的な施策として、AI事業者による学習データの開示や生成AIの認証など、AI開発の透明性の確保を図るための方法を検討していくことを盛り込んだところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、この推進計画の施策に着実に取り組み、AI技術の進歩と知的財産権の適切な保護の両立を図ってまいる考えであります。

三木委員 時間が来ましたので、城内大臣、ありがとうございました。是非的確に、適正に取り組んでいただきたいと思います。

 また、経済産業省と国土交通省の方、来ていただいたのに質問する時間がなくなってしまいまして、申し訳ございませんでした。

 終わります。ありがとうございます。

大岡委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 優秀な同僚、後輩議員のおかげで、今国会初めての一般質疑です。よろしくお願いします。

 まず、トランプ関税、日米関税交渉について、政府の説明責任という観点からお伺いします。

 国難だということで、石破総理からの呼びかけがあって、四月四日に党首会談が、野党各党党首と行われました。石破総理はこの会談の後、今後も、定期的かどうかは別として、こういう形で野党の皆様方の御意見を賜るという機会は設けたい、このようにおっしゃいました。

 それから二か月たっておりますが、政府・与党からはナシのつぶてなんですね。なぜこれは何のフォローもフィードバックもないんでしょうか。中間報告ぐらいあってしかるべきだと思います。

 官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお尋ねがございました党首会談でございますが、これは石破総理が自民党総裁の立場として実施したものというふうに承知しておりまして、官房長官の立場からコメントすることは適切ではない、そういうふうに考えております。

本庄委員 党首会談の外形は確かに公党の党首同士です。しかし、その内容は、総理として、政府としての仕事についての野党の党首に対する説明であったり、御意見を承りたいということです。なので、私は伺っています。

 官房長官、もう一度お答えください。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、委員からこうしたお尋ねがあったということは総理にしっかり共有させていただきたいと思います。

本庄委員 野田代表も公に発言しておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 その上で、この日米関税交渉ですが、幾ら交渉中といっても、余りにも政府の説明が私は不十分だと思うんです。

 まず、配付している資料1を御覧いただきたいんですが、これは直近の赤澤大臣訪米の概要ということなんですが、「一連の関税措置の見直しを改めて強く申し入れた。」「ベッセント長官とも、じっくり時間を割いて議論を交わした。」「合意に向けた議論が進展していることを確認した。」と。子供の日記じゃないんですから、もうちょっとやはり中身について分かる、そういった概要を発表するべきだと私は思うんですね。

 官房長官を始め閣僚の皆さん、国会では、外交上のやり取りなので差し控えるという決まり文句で、事実上、答弁回避を繰り返しています。しかし、日米間で合意してから結果だけ報告されても、国会としての役割を果たせませんし、政府の説明責任が果たされているとも言えないと思います。

 私は、そもそも外交上のやり取りという理由だけで答弁の回避ということは認められないと思います。

 例えば、これは情報公開法ですけれども、不開示理由というのが法律の中に列挙されています、個人情報など。その中で外交関係についてもあるんですけれども、公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国との信頼関係が損なわれるおそれ、あるいは交渉上不利益を被るおそれ、こういう場合に限って、しかも、相当の理由がある場合に情報開示しなくていい、こういう規定があるんですね。

 私は、国会の答弁やふだんからの政府の説明も、やはりこれぐらいの精査を経た上で最大限説明責任を果たす、可能な限り説明を尽くすということが必要だと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 外交を国民の理解と支持を得ながら進めていく、このことは重要であると考えております。

 政府としては、外交上のやり取りについても、公開できる事項については、国会そして記者会見の機会などを通じまして丁寧に御説明し、国会や国民の皆様に御理解いただけるよう努めてきております。

 一方で、公にすることを前提としていない外交上のやり取り、これを日本政府から公にすることによりまして外国政府や国際機関との信頼関係を損なうおそれ、また交渉上の不利益を被るおそれなどがある場合には、国会や記者会見といった公の場でお答えを差し控えることがあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、外交上のやり取りであっても、公開できる事項については、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

本庄委員 総論としてはお認めいただいているのかと思うんですが、各論になるとなかなか説明がないわけですね。

 例えば、今、日米間の関税交渉の中で、自動車、鉄鋼、アルミ、こういったものがどういう扱いになっているのか。少なくとも、日本側がアメリカに対してどういう要求をしているのかということは、基本的にはアメリカに持ち出した時点で、私はもう秘匿すべき情報ではないというふうに思うんです。カードを切る前は、それは言えませんというのは分かりますが、相手国に伝えたものを日本側にも、国会にも説明ができないというのは、私はおかしな話だと思うんです。

 少なくとも、交渉が妥結をし、結果が出た後、私は、かなりつまびらかに、交渉の経緯や日本側の要求の内容などについては国会や国民に対して説明がなされるべきだというふうに思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

林国務大臣 政府といたしましては、他国との交渉につきましても、公開できる事項については、協議の進展に応じまして国会や記者会見の機会などを通じて丁寧に御説明をし、国会や国民の皆様に御理解いただけるように努めてきております。

 一方、例えば、我が国が交渉において取ろうとしている立場、これが明らかにされて、又は具体的に推測されるような情報につきまして、これを公にすることによって交渉上の不利益を被るおそれがある場合には、お答えを差し控える場合がございます。交渉が終わった後であっても、将来予想されます交渉において我が国が望むような交渉成果が得られなくなる、若しくは我が国の交渉上の地位が低下するなどのおそれがある場合には、同様にお答えを差し控える場合がございます。

 いずれにしても、外交を国民の理解と支持を得ながら進めていく、これは重要でございまして、引き続き、国会や国民の皆様への丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

本庄委員 私が最初に申し上げました言えないこと、それはあると思います。ただ、外交上の理由だという印籠のような一言だけで説明をしなくていいというのは、私はいかがなものかと申し上げています。

 繰り返しになりますけれども、国の安全だとか、あるいは信頼関係だとか、そういったことに影響があるという具体的な理由も添えて、説明ができないものはできないんだ、こういう姿勢で私は臨んでいただきたいということを最後に申し上げたいと思います。

 長官はここまでです。ありがとうございました。

大岡委員長 長官、退席していただいて結構です。

本庄委員 続きまして、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想及び基金について取り上げたいと思います。

 予算委員会でもこれは二回議論させていただきました。総理そして城内大臣とも議論させていただきましたが、まだ議論の途中ということもあり、今国会、もう一度取り上げたいと思います。

 世界最高水準のイノベーションエコシステムのハブを東京のど真ん中に構築する、こういう触れ込みで、令和四年、二〇二二年度の補正予算で基金を設置し、もう四年目となりました。合計六百三十六億円の基金を積んだわけですが、お手元に資料として2というのをお配りしております。これは、二〇二二年に積んだ後の基金の支出そして残高の状況です。

 これまでの支出額、一億円余りですね、六百三十六億積みましたが。そして、今年、支出額見込みが五十九億となっていますが、それを経てもなお五百七十六・五億円が残っているということです、今年度末。一体なぜこれほどまでに時間を要しているのかというのがいまだに分からないわけです。

 政府の説明は、組織文化、制度、言語が異なる海外機関との調整等に時間を要しているというんですが、そんなのは最初から分かっていることですよね、海外の機関と調整してそれを東京に持ってくるという話ですから。ですから、組織や文化や制度が異なることで、なぜ障害になって、なぜここまで遅れているのか、そこの問いについて、まず具体的に説明してください。

城内国務大臣 本庄委員におかれましては、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想、大変関心を持っていただきまして、これまで累次にわたり御質問いただきまして、ありがとうございます。

 お答えしますが、昨年八月に決定いたしましたグローバル・スタートアップ・キャンパス構想の基本方針におきましては、GSC構想の基金を活用した先行的な研究活動の方針を内閣官房が決定し、これに基づきまして、科学技術振興機構、JSTが執行管理を実施することとされており、現在、内閣官房におきまして、先行的活動の実施方針の策定作業を進めているところであります。

 この実施方針を検討する上では、先行的活動の三つの柱であります、研究者、投資家等の集積に向けた国際研究、二つ目は事業化支援、三つ目は人材育成のそれぞれの活動について、国内外の様々な機関との意見交換や情報収集をしっかり行った上で、エコシステム形成に関連する海外機関を含めた様々な、多様な機関が参画可能な事業内容、スキーム等を検討する必要がありまして、それで一定の時間を要しているところでございます。

 これまでも申し上げておりますように、特に海外機関とのやり取りについては、今御指摘ありましたけれども、やはり組織文化、カルチャーや制度の違い、言語が異なること、さらに、国際研究については複数の研究分野が、一つではなくていろいろな研究分野があるということで、そのため、その検討には更に多くの時間がかかってきたことは否めないということで、是非、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

 これまで御指摘もありますので、私自身、この前例のない構想を前に進めるべく、本庄委員の御指摘もしっかり踏まえて取り組んでいるところでありまして、その結果、先月末に開催いたしました有識者会議におきましては、実施方針案を御議論いただいて、早ければ来週にもその内容を決定、公表できる段階までに至りました。

 今後、実施方針に基づきまして、海外機関等ともしっかり連携しつつ、速やかに先行的活動の実施を進めてまいる考えであります。

本庄委員 その方針というのも、先行活動ですよ。これから本丸の活動がある、その手前の話がもう二年も三年もかかっていて、そして、三年前の補正予算で、補正予算ですよ、緊要性を要する補正予算で、二〇二二年、二三年、二年連続で計上し、今日に至っているわけです。だから、もろもろの事情があるというのは、それはいいですよ。そうであれば、なぜ三年前の補正予算で予算を要求したんですか。なぜ緊要だという名目で予算を要求したんですか。全く緊要じゃないですよ、これは。今から予算計上してもいいぐらいじゃないですかというのが現状だと思います。

 時間に限りがありますので、もう一つ伺います。

 実勢価格で二百億円とも言われている国有地、これは恵比寿の一等地ですよね、目黒区、渋谷区。ここに建設予定のフラッグシップ拠点、そしてその運営法人を設立してこれからの構想を進めていくということになっていますが、当初は今年の四月に法人設立というスケジュールでした。いまだ影も形もないわけです。今国会でも関連法案が出てくるという話が当初ありました、検討中ということで。結局出てきません。辻副大臣は、予算委員会のときに、可及的速やかに具体化を図ると言いながら、何も出てきていないわけですね。

 一体、いつ法案が国会に出されて、いつ法人が設立されるんでしょうか。遅れているなら遅れているで、新しいタイムスケジュールをしっかり示していただきたいんですが、いかがでしょうか。

城内国務大臣 お答えします。

 グローバル・スタートアップ・キャンパスの運営法人、これにつきましては、昨年八月に決定した基本方針におきまして、内閣官房、内閣府において、関係省庁の協力を得ながら、必要な法制上の措置を含めて具体化することとしており、現在、必要な準備を鋭意進めているところであります。

 なお、法案の提出時期でございますけれども、これについては可及的速やかに提出できるよう準備を進めているところでございまして、この法案が提出、成立した暁には、その後、一年以内だと思いますけれども、それを目途に、可及的速やかに運営法人を設立する予定でございます。

本庄委員 二月の答弁でも可及的速やかで、その前提となる方針なるものは去年の八月に有識者から出ているわけですね。間もなく一年です。もう可及的でも速やかでもないと思うんですが、これは秋の国会には出せるんですね。大臣、お答えください。

城内国務大臣 今お答えしたとおり、現在、鋭意準備を進めているところでございまして、関連する法案を速やかに提出できるよう、引き続き準備を進める考えであります。

本庄委員 可及的速やかという言葉が消えているような気もしますが。

 やはり、ロードマップといいますか、スケジュールをちゃんと示してやらないと、予算も、補正予算で計上して、六百億円積んだままになっているわけですから、そこはもっと危機感、責任感を持って対応していただきたいと思います。まあ、私は不要だという立場ですが、必要だとおっしゃる以上、もっと精力的にやっていただきたいと思います。

 それで、この構想が遅れている理由として取り沙汰されているのが、伊藤穣一さんの問題です。配付資料の3に関連記事ということで出しておりますが、伊藤穣一さんが、この構想の中でも、エグゼクティブアドバイザーということで、かなり中心的な役割を果たしていると聞いておりますが、この伊藤さんがMITの所長だった頃に、アメリカの児童性的虐待者から巨額の資金を受け取っていたということで所長を辞めたわけですが、これをもってアメリカのアカデミアの中では、伊藤穣一さんはいわば出禁のような状態になっていると言われています。その伊藤氏がこの構想に関わっているがゆえに諸々の話が進んでいないという指摘があるということです。

 政府は、このことについて否定をされていますね。そのことは、それは一つの御意見なので、私はそうじゃないとは言いません。

 ただ、そうなると、私も予算委員会で取り上げましたが、昨年の五月に当時の新藤大臣が訪米をしてMITやハーバードに行ったときに、この伊藤氏の名前が挙がり、そして、彼がいれば協力できないと言われた、こういう報道もある。これは、内部のいわゆる議事メモに基づく報道だとされています。

 そこで、私は、二月の予算委員会で、この会談記録を提出するように、こう求めました。大臣の答弁は、相手方である海外大学とも、今現在、当該文書についての連絡を取り合っている、速やかに確認を進めた上で、最終的に判断したい、こういう答弁です。

 四か月たっているんですよ、これは二月の答弁ですから。一体いつまで連絡を取り合っているんでしょうか。速やかに提出していただきたいんですが、いかがでしょうか。

城内国務大臣 お答えします。

 御指摘の文書につきましては、やはり、相手方のある話でもございますし、海外大学との間で非公開の前提で行われたやり取りに関する記録でもありますので、これは提出には慎重な検討や調整が必要であるというふうに考えております。

本庄委員 それはちょっと国会をばかにしていると思うんですね。提出できないなら提出できない、提出できるけれども一部出せない、あるいは提出する、結論をちゃんと出して、そして、予算委員会あるいはこの内閣委員会、いずれでも結構ですから回答していただきたいんですが、いかがでしょうか。

城内国務大臣 繰り返しで恐縮ですが、やはり、相手方のある話でもございますし、非公開の前提で行われたやり取りに関する記録でありますので、提出には引き続き慎重な検討や調整が必要と考えております。

 その上で、更に申し上げますと、やはり、非公開の前提で行われたやり取りに関する記録を提出することになりますと、連携を進めている他の海外機関等からの信頼を毀損しかねず、ひいては具体的な協力や連携への支障にもつながりかねないということでございますので、慎重な検討や調整が必要であると考えておりまして、是非その点、御理解をいただきたいと思います。

本庄委員 答えになっていないんですね。私は、回答を下さいと言っているんです。もちろん提出していただきたいですが、提出できないならできないという回答をしてくださいと言っているんです。

 委員長、これは理事会で協議してください。

大岡委員長 後刻理事会で協議をいたします。

本庄委員 では、大臣、一点確認しますけれども、MITで先方の副学長が新藤大臣にこういうふうに言ったと言われているんですね。多くのMITの教員は、伊藤穣一氏がGSC、グローバル・スタートアップ・キャンパスで重要な地位を占めるのであれば協力することは困難だ、こういうふうに言われたというふうになっていますが、こういった発言はなかったということですね。

 伊藤氏が障害になっていないと明言されているということは、こういうやり取り、発言はなかったということですか。確認します。

城内国務大臣 お答えします。

 この場でどういうやり取りがあったかということを申し上げることは差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、伊藤氏の関与がMITを始めとする海外大学との提携の障害になっているなどという御指摘については、やはり、先般もお答えしたと思いますが、同氏の名誉を不当に傷つけるものであるというふうに理解しております。

本庄委員 そうであれば、そういった発言が先方からなかったということをきちっと立証されるべきだと思います。引き続き、国会への資料の提出を求めますので、よろしくお願いします。

 大臣、ここで結構です。ありがとうございました。

大岡委員長 では、城内大臣、退席していただいて結構です。

本庄委員 では、最後に、物価高対策として、公立病院の建設費、経営支援についてお伺いしたいと思います。

 経済財政諮問会議でも、石破総理から、公的制度に係る単価等について、インフレ時代に入って見直すべきものがないかという観点から、諮問会議の下で省庁横断的に検討し、その成果を今後の予算に反映していく、こういう発言があったと承知しています。

 骨太方針に向けて、今調整作業をされていると思いますが、その一つの事例として、地方の公立病院、大変厳しい状況だというふうに思います。特に、地域で中核的に、そして必ずしも採算性の高くないような業務を担っているというのが公立病院だと思うんですが、この建て替え等の建設費や人件費、あるいは物件費、これが非常に高騰しているということで、建て替えあるいは経営が逼迫しているという問題です。

 厚労省あるいは総務省が補助金あるいは交付税の措置ということで助けてはいる、支援はしているという状況ですが、今の物価高や人件費の高騰に追いついていないというのが実情じゃないかと思います。見直しや引上げが必要だと思いますし、かつ、これはスピード感を持ってやらないと、それこそ加速度的に上昇しているという状況ですので、今までのようなペースで見直しているということではとても実態には追いつかないのではないかと思います。

 そこで、厚労副大臣、そして総務副大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

仁木副大臣 本庄委員の御指摘のとおり、今言われた、インフレ下の今、医療機関の置かれている状況というのを把握しているところでございます。

 実際のところ、令和六年度の診療報酬改定で一定の措置を講じましたが、依然としてインフレの影響があるため、令和六年度の補正予算におきまして、経営状況の急変に対応する緊急的な支援、物価高騰で施設整備が困難な病院等への支援、また、重点支援地方交付金の積み増しを盛り込むとともに、令和七年度の予算における入院時の食費基準の引上げ等を行いました。また、緊急の措置としましては、取組の効果が出るまでの資金繰り支援として、福祉医療機構の融資を大幅に拡充したところでございます。

 ただ、これは、スピード感を持ってやることと同時に、また、この措置が全国へ広がりを見せる、そしてまた効果が出るまでの間に関しましても、現場の意見もよく把握した上で、本丸としての来年の診療報酬改定に向けて必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。

冨樫副大臣 総務省では、公立病院が不採算医療や特殊医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、必要な地方財政措置を講じてきたところであります。

 そこで、病院事業債については、最近の資材価格等の高騰による建設事業費の上昇の実勢を踏まえ、公立病院の新設、建て替え等に対する地方交付税措置の対象となる建築単価の上限を令和七年度においても引き上げることとし、一平方メートル当たり五十二万円から五十九万円にしたところであります。

 今後とも、建設事業費の状況を注視し、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、必要な地方財政措置を講じてまいります。

本庄委員 毎年見直し、引上げが行われているのはそのとおりですけれども、とても追いついていないと思います。

 例えば、厚労省の補助金、建設費に対する補助金は一平米当たり二十六万四千四百円、それから、総務省の交付税措置は平米当たり五十九万円、今御答弁ありました。しかし、実勢は、例えば、私は千葉なので、千葉で申し上げますと、令和五年の千葉市の病院は平米当たり八十万円です。それから、最近でいえば、昨年は船橋市、あるいは今年は柏市もありましたが、平米百二十六万円です。やはり相当現実と乖離をしていて、とてもこれではやっていけないという声が地方の各病院から聞こえてくるわけです。

 しっかりとこれは、今までと同じようなやり方、考え方、スピード感ではなくて、新しい局面だ、そして危機的な状況だという前提で対応していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、財務副大臣、大変申し訳ありません。

 以上で終わります。

大岡委員長 次に、石井智恵君。

石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。

 私、本日は、安定的な皇位継承を確保するための方策につきまして質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 現在、天皇陛下を支える皇族方が女性皇族の結婚や高齢化に伴って減少していることが課題となっておりまして、将来的な皇室の在り方について国民の関心も高まっております。

 安定的な皇位継承の確保の議論につきましては、現在、衆参両院正副議長の下で、政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議が開催され、検討がなされております。今年四月十七日の全体会議において、額賀衆議院議長から、衆参正副議長四者でこれまでの議論を踏まえて取りまとめ案を作成するとの表明がありました。現在は、全体会議の議論も最終局面に入っているということであります。

 政府の有識者会議での報告では、皇位継承と皇族数の減少についての基本的な考え方が示されました。皇位継承という国家の基本に関わる事柄については、制度的な安定性が極めて重要であるとして、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れを揺るがしてはならないということで意見の一致が図られたと報告されております。

 その上で、皇位継承とは切り離して、皇族の方の数の確保を考えていくということで、会議では、未婚の皇族の方が全員女性であることを踏まえて、現行制度では、悠仁親王殿下のほかには皇族がいらっしゃらなくなるということが考えられ、皇族の方の数の確保が喫緊の課題であるということで議論が行われ、報告されたものと理解をしております。

 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議において、皇族方の御事情等を踏まえて、全体として整合性が取れるような検討を行い、国会に報告するとされました。

 そこで、林官房長官にお聞きをいたします。

 政府としては、この安定的な皇位継承を確保するための諸課題について、全体として整合性をどのように考え、受け止めていたのか、御見解を改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 皇位継承につきましては、政府の有識者会議におきまして様々な分野の方々から幅広く意見をお伺いしまして、慎重かつ真剣な議論が行われた結果、今委員からも御紹介いただきましたけれども、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れを揺るがせにしてはならない、そういう結論に至ったということでございます。

 その上で、有識者会議におきましては、皇位継承と切り離しまして、皇族数の確保を図るべきといたしまして、その具体的な方策として、今お触れいただいたように、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、皇族の養子縁組を可能として、皇統に属する男系男子を皇族とすること、皇統に属する男系男子を法律により直接皇族とすること、この三つの方策が示されまして、政府としては、この有識者会議の報告書を尊重することといたしまして、令和四年一月に国会に報告をさせていただいたところでございます。

 現在、衆参両院正副議長の下で検討が行われているものと承知をしておりまして、去る四月十七日の全体会議で衆参両院正副議長において取りまとめ案を作成されることとなった、そういうふうに承知をしております。

 現在国会において行われている具体的な議論について、政府の立場から申し上げることは差し控えますけれども、国会の議論を注視しておりまして、衆参両院正副議長が行われる取りまとめに期待をしておるところでございます。

 政府としては、立法府の総意が得られた場合には、速やかに法案の提出など必要な対応を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。

石井委員 ありがとうございました。

 今後も、日本の皇統の文化的、歴史的価値の重要性を十分配慮して議論していくべきだというふうに考えております。

 皇族の方々は、現在、伝統的な祭祀や国事行為だけではなくて、国際親善にも積極的に取り組まれております。また、災害が起きたときも、被災地に訪れていただいて、私の地元の愛媛県でも、西日本豪雨災害のときには現在の上皇陛下また上皇后陛下に御訪問いただき、県民は皆、大変勇気をいただきました。

 将来にわたって安定的な皇位継承ができるように、是非、国論を二分することがないよう、静かな環境で考えていくことができればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 林官房長官、ありがとうございました。御退席いただいて構いませんので。ありがとうございます。

大岡委員長 では、林官房長官は退席していただいて結構です。

石井委員 次に、皇族の方の人数確保について、更に質問を続けてまいります。

 先ほども少し触れましたが、現行制度ですと、未婚の女性の皇族の方が御結婚された場合、将来的に皇族の人数が減少することが課題となっておりますが、実際、昭和から現在までの皇族の人数はどうなっていたのか。

 お配りした資料一を御覧ください。

 こちらは、宮内庁からいただいた皇族の人数推移の表であります。昭和二十二年には六十六名おられた皇族の方が、十一の宮家が離脱することになり、五十一名の方が皇族を離脱、その結果、十五名になり、その後、平成十年末までに二十四名まで増えましたが、それをピークに減少し、現在は皇族の方は十四名になっております。

 続いて、裏面の資料二を御覧ください。

 こちらは、有識者会議において宮内庁が提出された、平成三十年の皇族の皆様の御活動の回数についてまとめた資料であります。平成三十年以降はまとめていないということでありますので、こちらの資料を示させていただきました。

 この資料によりますと、公的な行為で一年間で合計しますと千五百五十六件、そのほかの行為では一年間で九十七件、宮中祭祀では一年間で五十八件、全て合計しますと千七百十一件の御活動ということであります。皇族の方の御活動も多岐にわたって、時代の要請や社会環境の変化などでより幅広く御活動されているのではないかというふうに思います。また一方、皇族の方の人数が減る中で、その御負担も大きくなってきているのではないかという懸念があります。

 今日は宮内庁の方にもお越しいただいておりますので、現在、皇族の方がどのような御活動をされているのか、また、その御負担が大きくなっていないのか、御活動に配慮していく必要もあると思いますが、現在の御活動について教えていただけますでしょうか。

黒田政府参考人 秋篠宮皇嗣同妃両殿下を始め皇族の方々の御活動の現状についてお答えいたします。

 まず、秋篠宮皇嗣同妃両殿下におかれましては、全国「みどりの愛護」のつどいや全国高等学校総合体育大会を始め、国内各地で開かれる各種行事に御臨席になるため地方にお成りになっているほか、東京都内での各種の式典等に御出席になっておられます。また、様々な団体の総裁や名誉総裁をお務めになりながら、宮中で行われる儀式や行事にお出ましになるほか、外国要人等の御接遇、国際親善等のための外国訪問や宮中祭祀へのお出ましなど、様々な御活動をなさっておられます。

 他の皇族方におかれましても、それぞれの御事情に合わせ、様々な団体の総裁等をお務めになりながら、各種の式典等への御出席、宮中で行われる儀式や行事へのお出まし、外国御訪問や外国要人の御接遇、宮中祭祀へのお出ましなど、様々な御活動をなさっておられます。

石井委員 ありがとうございます。

 皇族の方の御活動はテレビなどでも拝見しておりますけれども、やはり私たちの知らないところでも幅広く活動されているということがよく分かりました。そのような活動が今後も継続ができるようにお支えできればというふうに思いますし、御活動の状況をしっかりと把握ができる取りまとめも是非お願いしたいと思います。こちらは要望でございます。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 皇族の方の人数確保が課題となっている中で、その方策の一つとして、女性皇族が婚姻後も皇族として残ることができるようにすべきという案があります。

 この案について、有識者会議の議論では、婚姻後も皇族として残るかどうかは御本人が選択ができるようにすべきではないか、また、将来生まれてくる子に皇位継承を認めることになれば女系継承になるという考えもあることから、皇族に残った女性皇族の配偶者とその子については皇族という身分を有しないとする考えが最終報告で示されています。

 その上で、女性皇族が婚姻した場合でも、皇族として身分を保持し継続した場合、戸籍や氏などについてはどうするのかといったことを考えておかなければならないと思います。

 現在、内親王、女王は戸籍がなく、いわゆる名字、氏がありません。これまでは、女性皇族の方は、婚姻後は相手方の戸籍に入り、氏を名のるということでありましたが、婚姻後も皇族に残る場合、内親王、女王の戸籍やまた氏はどうなるのでしょうか。また、その配偶者や子供の戸籍はどのようになるのでしょうか。相手方の氏を名のりながら皇族として御活動されるのか、また、皇族は戸籍がないということでありますけれども、婚姻した場合は夫婦の戸籍を作るのかなど、今から考えておく必要があると思いますが、この課題についてはどのような見解を持たれているのか、教えていただけますでしょうか。

溝口政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 先ほど委員からお話もあり、官房長官からもお答えしたところでございますが、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持する方策につきましては、現在、国会において御議論が行われているところでございます。

 政府の有識者会議における検討を紹介いたしますと、事務局が有識者会議からの依頼を受けまして、事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究というものを行いました。そこでは、女性皇族についてですが、「皇族には戸籍法が適用されないと解されているため、内親王・女王は、皇族の身分を保持する限り、戸籍が編製されることはない。」とされておるところでございます。また、氏につきましても、皇族の身分を保持する限り、氏は有しないと考えられるところでございます。

 配偶者と子でございますけれども、現行法におきまして、日本人と外国人の夫婦の場合でございますけれども、日本人と外国人の夫婦の場合においては、戸籍法が適用される日本人のみの戸籍が編製されるということになっております。

 このような考え方によりますと、内親王、女王の配偶者と子を皇族としないとする場合においては、戸籍法が適用される配偶者について戸籍が編製され、その子についても戸籍に記載されることになるというふうに考えられるところでございます。また、氏については、配偶者、子、いずれも配偶者の氏を称することになると考えられるところでございます。

石井委員 ありがとうございました。

 こういった問題は、議論が進む中で、有識者会議などを通して、国民の理解が得られる形で是非進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 次に、皇室を護衛、警備する皇宮警察についてお伺いをいたします。

 天皇陛下の御活動やまた皇族の方の御活動が多様化している中で、その護衛や警備も多岐にわたっております。

 本年四月の皇宮警察学校の入校式では、三七%が女性ということで、令和に入ってからその割合は過去最高ということでありました。背景には、女性皇族の方々の御活躍もあって、皇室を守る護衛官になりたいと思う女性も増えたのではないかというふうに思います。今後も安定した人員確保ができるようにしていく必要があるというふうに思います。

 しかしながら、防衛省では、今人材不足というふうに言われておる中で、自衛隊の採用人数が計画に届かず、令和五年度は自衛官採用率が過去最低の五一%となっておりまして、定員割れが大きな課題となっています。

 そこで、皇宮警察の人材確保についてお伺いいたします。

 警察庁では、皇宮警察の採用状況について、採用率や女性の比率など、現在、どのように分析、お考えになられているのか。また、今後、人材確保についてはどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、教えていただけますでしょうか。

森元政府参考人 お答えいたします。

 皇宮護衛官の採用者数でございますけれども、年ごとにばらつきがございます。したがいまして、倍率も年ごとにばらつきが生じますけれども、現状を申し上げますと、受験者数を最終合格者数で割った合格倍率は、令和六年採用者については六・五倍でありまして、令和七年の採用者につきましては約十三・九倍でございました。

 また、女性の占める割合ということですけれども、令和六年に採用されました皇宮護衛官全体の中で女性が占める割合は約二六・七%でありまして、令和七年について見ますと、これは三七・〇%となっております。

 採用に向けた活動、取組でございますけれども、皇宮警察本部では、皇宮護衛官の採用に向けた活動といたしまして、大学、高校、専門学校での説明会の実施、皇宮警察本部での職場見学、職員との座談会の開催、XやインスタグラムなどのSNSを活用した採用募集活動や広報活動の実施などの取組を行っているところでございます。

石井委員 ありがとうございました。

 皇族の方の御活動を若い方にも広く知っていただくためにも、SNSなども活用しながら、是非、若い方にも希望者が増えるような取組を今後も期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、皇室の広報活動についてお伺いをいたします。

 宮内庁では、天皇皇后両陛下の御活動等を発信する公式のインスタグラムとユーチューブチャンネルを活用されています。ユーチューブでは今年の四月からスタートされておりまして、チャンネル登録数も今約十四万人というふうになっております。SNSを活用する中で、国民と皇室の距離感が縮まって、両陛下のお人柄もよく出ておりまして、広報的には非常によい取組ではないかというふうに思っております。

 スタートしてみて、宮内庁としてどのような成果が出ているのか、教えていただけますでしょうか。

黒田政府参考人 宮内庁におきましては、皇室に関する情報発信を強化し、天皇皇后両陛下を始めとする皇族の方々の御活動をできるだけタイムリーに、かつ分かりやすく幅広い層の方々にお届けできるようにするために、令和六年度及び令和七年度におきまして宮内庁ウェブサイトの抜本的な改修を行いますとともに、令和六年四月からインスタグラム、この令和七年四月からユーチューブを通じた情報発信を行っております。

 インスタグラムの宮内庁公式アカウントにつきましては、本年三月末までの一年間を見ますと、フォロワー数は百九十一万人を超え、宮内庁の投稿が表示された延べ回数が四億回を超えるなど、多くの方々に情報を届ける手段として機能しております。

 また、ユーチューブの宮内庁公式チャンネルにつきましても、本年四月末までの、開始から一か月で見ますと、先ほど、本日十四万人台というふうに御指摘いただきましたが、一か月の時点でチャンネル登録者数が十二万人を超えるなど、情報を届けるという観点から一定の効果を認めるところでございます。

 このように、SNSを通じた情報発信によりまして多くの方々に情報を届けられてはいるものの、若年層に対しましていかに効果的に情報を届けるかということは今後の課題であると認識しております。若年層を含む幅広い層に皇室に関する発信を御覧いただき、皇室に関心を持っていただくことができますよう、その内容、方法等につきまして工夫を重ねてまいりたいと考えております。

石井委員 ありがとうございました。

 是非、広報活動をしっかりと、SNSなどを活用して若い方に知っていただけたらと思います。

 SNSですけれども、一方で、AIなどの発展によって、ディープフェイクなど、フェイク画像とかまた動画などが作れる時代になっておりまして、ファクトチェックの重要性というのは、非常に重要だというふうに思っております。

 宮内庁では、SNS活用のリスク対策についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。また、実施など、取組を教えていただけますでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 宮内庁におきましては、正しい情報をできるだけタイムリーに発信することの目的の一つとしまして、SNSを通じた情報発信を行っております。インスタグラム、ユーチューブのいずれにおきましても、開始時にそれぞれの事業者から認証バッジを取得しているところでございます。

 成り済ましアカウント等によります皇室に関する不正確な情報発信につきましては、インスタグラムのアカウントを開始した令和六年四月には、宮内庁ウェブサイトにおきまして注意喚起を行ったり、必要に応じて個別に対応を行ったりしてきたところでございます。

 御指摘いただきましたディープフェイクあるいは偽情報などのリスクにつきましても認識しておりまして、偽情報の発信、拡散等があれば、必要に応じて、SNS事業者や警察庁を始めとする関係省庁等と連携して対応を行うこととしてまいりたいと考えております。

石井委員 ありがとうございました。

 皇室がより身近になることで、皇位継承についての国民の理解も得られるのではないかというふうに思います。

 以上、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。

 今国会で災害救助法が改正をされまして、救助の種類に福祉サービスの提供、これが位置づけられました。また、政府は、来年度に向けて、石破総理の下、防災庁の設置を目指しておられます。いずれも我が党が強い問題意識を持って取り組んできた政策ということでありまして、これらに関連して、現場の声も踏まえながら本日は質疑を行わせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、災害時に福祉施設の職員の方御自身が被災をして人手不足に陥る、そして応援職員の派遣を必要とするケースがございます。こうした点につきましては、四月の十六日、災害特におきまして、災害救助費、あるいは各福祉サービスの枠組み、これを活用して支援をするということで大臣から御答弁があったところであります。

 ただ、この点につきまして、最初、厚生労働省にお伺いいたしますが、実際の現場では、災害対応に当たって介護報酬等を超えて新たに発生した業務、あるいは残業代、超過勤務、応援職員等の人件費については派遣先の福祉施設の持ち出しとなるなど負担が大きい、こういう課題を伺っておりますけれども、こうした制度設計になっているのか、現状の認識をお伺いいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年能登半島地震における応援職員の派遣に要する費用につきましては、旅費等については災害救助費から支弁、人件費については介護報酬等から支弁としたところでございます。

 その際、例えば、応援職員に対する人件費に加え、被災により休業している職員への給与支払いがあることにより支出が介護報酬等の収入を超えてしまう場合、また、災害時の支援という事情に鑑み、平時を超えた超過勤務が発生する場合など、派遣先の負担が発生する場合があるものと承知をしております。

 なお、この点につきましては、令和六年能登半島地震におきましては、定員を超えて他の施設等からの避難者をサービス利用者として受け入れた場合につきましては、定員を超えた場合でも、特例として定員超過減算は適用しないこととする事務連絡を発出するなど、なるべく派遣先施設において負担が生じないよう対応を行ったところではございますが、なお派遣先の施設におきまして負担が発生する場合があり得るということは委員御指摘のとおりでございます。

河西委員 先ほど、定員超過の場合の措置、そこは御言及いただいたんですが、定員超過しない場合は持ち出しになることが大変多いということで伺っております。今御答弁があったとおりかと思います。

 応援職員の派遣が必要なんだけれども、持ち出し、つまり負担増が伴う場合があるということで、実際にお伺いをいたしましたが、能登半島地震では、約二十の介護施設が介護職員の求めに手を挙げることができなかった、あるいは、一旦挙げたんだけれども手を下げたというところがあったというふうに伺っております。

 これは、応援職員の人件費が災害救助費で見るのか介護報酬で見るのか分かりにくいといった声もございましたし、また、被災して出勤できない職員の方への手当についても、休業でも縮小でもないので、最終的には雇用調整助成金も活用ができなかった、こういったことでありました。

 私は、災害時、制度の不十分さ、また不明瞭さが命を守る現場の妨げになってはならないと。災害関連死をしっかり抑えていくということもございます。

 副大臣にお伺いをいたしますけれども、こうした能登半島地震の教訓も踏まえまして、災害時、応援職員の派遣を受けた場合、福祉施設の持ち出しがないように制度の見直しを図っていくべきであるというふうに考えております。

 今後、各福祉サービス、災害救助法あるいはその他の枠組みも含めて幅広い手段を検討して、災害時、福祉施設にちゅうちょが生じないような、こういった改善を図るべきではないか、こう考えますけれども、御見解をお伺いいたします。

鳩山副大臣 御質問ありがとうございます。お答えをいたします。

 災害時の福祉施設の支援として、福祉避難所で行う災害派遣チーム、DWATの活動経費等について、災害救助費の支弁対象としています。これに加えて、先ほど厚生労働省からも答弁がありましたが、能登半島地震においては、福祉サービスの枠組みにより、定員を超えた利用者分についても介護報酬を算定すること、災害時には定員超過減算を適用しないことなど、なるべく福祉施設において負担が生じないよう支援を行っているものと承知をいたしておりますが、御指摘の点も踏まえた支援の在り方について、厚生労働省と相談してまいりたいと思っております。

河西委員 現場からこういうお声がありますので、次に大災害が起きたときにこういったことがないように、是非これは引き続きの取組をお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 副大臣、こちらで以上でございますので、もしあれでしたら御退席いただいて結構でございます。

大岡委員長 では、鳩山副大臣は退席していただいて結構です。

河西委員 ちょっと一問飛ばさせていただきまして、続いて、災害ボランティアセンターの財政基盤について質疑を進めていきたいというふうに思っております。

 災害ボランティアセンター、能登半島地震でも大変注目を浴びましたけれども、例えば、平成三十年の西日本豪雨で岡山県の倉敷市の社会福祉協議会が運営した災害ボランティアセンター、かかった経費の内訳は、人件費と旅費がそれぞれおおむね三千万円ということでありました。実はそれ以外の運営コストが大変多うございまして、おおむね二億一千万円ということであります。この人件費及び旅費以外の運営コスト、これには、消耗品費でありますとか、器具・什器費、保険料、あるいは整備委託費とか、あとバスとか活動車両のレンタル料、またプレハブの設置また撤去費用、こうしたことがある。ですから、これだけかかるわけでありますけれども。

 これは救助事務費の支弁対象となるのか、これは内閣府防災の方に御答弁をいただきたいと思っております。

河合政府参考人 お答えします。

 人件費と旅費以外の、今委員から御指摘があった消耗品費、器具・什器費、保険料、警備委託費などにつきましては、救助事務費の支弁対象とはなりません。

 以上です。

河西委員 ですので、人件費、旅費以外の運営コストは支弁対象にはならないというのが現状であるということであります。ただ、先ほど申し上げたように、それが二億一千万と、大変多くかかっているということでありました。

 ここから西野政務官にお伺いをしてまいります。よろしくお願いいたします。

 この救助事務費は立替え払いの年度精算ということもあるので、従前の資金が潤沢ではないとキャッシュフローが途切れるおそれがあるし、しかも、先ほどのように、人件費と旅費以外は地元で持ち出しということになりますので、非常に財政的には厳しい状況の中で行われております。

 実は、能登半島地震の災害ボランティアセンター、これはどうやって賄ったのかと現場に聞きました。おおむね十億円規模でこちらの方はかかったということなんですけれども、石川県については、共同募金会の災害等準備金に加えまして、ロシアのナホトカ号重油流出事故のときに義援金と県の補助で県独自に設置をした県民ボランティア基金、この蓄えがあったのでたまたましのぐことができたというふうに伺っております。

 こうした事例も踏まえつつ、やはり平時を含めた災害ボランティアセンターの財政基盤の整備は、いわゆる基礎的な財源というのは一定程度国が面倒を見ていく必要があるのではないか、また、有事も人件費や旅費以外の運営コストは助成していくことが必要なのではないかというふうに思っております。

 例えば、レンタカーのレンタル料、コストも、今回、福祉サービスの提供というふうに、災害救助費の対象になりましたけれども、聞き取りとかを行っていくんですが、そのレンタカー代というのは今回出ない、現状では出ないという形になっております。そういったちぐはぐ感もあるというふうに思っておりまして、これは防災庁設置に向けて、地域差が出ないような仕組みづくりを是非御検討いただきたいと思っておりますけれども、御見解をいただきたいと思っております。

西野大臣政務官 今、防災庁の設置準備についてお尋ねがありました。

 防災庁の設置に向けましては、今年の一月から八回にかけましてアドバイザー会議を開催しておりまして、一昨日、四日に赤澤大臣に報告書が手渡されまして、そして今朝、閣僚会議で総理を含め全閣僚に報告書が示されたというところでございます。

 そして、その報告書においては、社会福祉協議会等が担う災害ボランティアセンター等との連携を推進し、被災地の支援に携わるボランティアの活動環境を整備することが重要というふうに示されております。

 ですので、こうした活動についてしっかり支援していくということは重要だというふうに思いますが、じゃ、これからどういった支援をしていくのかという個別具体的なことについては、これからの予算編成プロセス等で議論することになりますので、先生の御指導を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

河西委員 是非御検討のほど、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 災害ボランティアセンターから、少しまた福祉の方に話を戻していきたいというふうに思っております。

 今、国内の十二県の社会福祉協議会では、災害福祉支援センターというものを立ち上げてくださっております。その目的は、DWATの人材の育成、確保、また行政との連携、あるいは住民と協働した訓練、一言で言えば、災害福祉支援における本気の事前防災ということでうたっていらっしゃいます。

 また、ノウハウの蓄積を行っていくということで、このノウハウの蓄積については、防災庁設置目的について、石破総理からも、そういったことが重要なんだということで、予算委員会等でも御答弁があったというふうに承知をしております。ですので、この目的と非常に相通ずるものがあるなというふうに思っております。

 また、当然、設置には予算が必要でありまして、全国の社協が試算をした、仮に四十七都道府県全てに災害福祉支援センターを常設をする場合に必要な財源ですけれども、一県当たり五人程度の常設の人員、そうすると、年間五千万円ぐらい一県当たりかかるということで、トータルで二十五億円程度かかるんだろうということであります。

 一方で、厚労省は、当該センターに対しまして、災害福祉支援ネットワーク構築推進事業の支援を行っているところでありますけれども、予算規模は令和七年度で二・九億円ということで、今後のことを考えると、現状では桁が一つ足りないのかなと。ただ、今後のことでありますので、どう増やしていくのかということでありますが。

 そこで、今般の災害救助法の改正で、救助の種類に福祉サービスの提供が明確に位置づけられました。こういったことも踏まえつつ、今後の防災庁設置の準備に当たっては、その所掌事務の中に災害福祉支援、これも明確に位置づけることを是非御検討いただきたいというふうに思っております。

 その上で、各都道府県に、災害福祉支援のノウハウの蓄積のために、災害福祉支援センター、今はまだ十二県ということでありますので、これをしっかり常設をしていく、こういった経費についても、厚生労働省と連携をしながら国から更に支援をどう行っていくのか、この点について御見解をいただきたいというふうに思っております。

西野大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたアドバイザー会議の報告書におきましても、保健、医療、福祉関係者等との連携体制の構築、要配慮者の避難支援等の体制の強化、災害時を見据えたフェーズフリーな社会保障関連施策の推進といったことが指摘されております。ですので、委員御指摘のとおり、社会福祉支援をしっかりと位置づける方向で、防災庁設置準備に向けて検討していきたいというふうに思います。

 そしてまた、委員御指摘の災害福祉支援センターでございますけれども、先ほど委員から十二県で設置されているというふうにありました。人材の確保、育成といった一定の機能を果たしていると思いますので、我々としても、どういった支援をしていくのかということはこれからの議論だというふうに思いますけれども、引き続き先生の御指導をいただければと思います。

河西委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 福祉サービスの提供というふうに位置づけられたことが絵に描いた餅にならないように、きちっとやっていきたいというふうに思っております。

 最後、まだ時間がありますので、先ほどちょっと飛ばさせていただいた一問、これを改めて内閣防災の方にお伺いをしたいというふうに思っております。

 先ほど、応援職員の派遣について、福祉施設への観点で伺いましたが、福祉避難所に位置づけられたところに対する人件費、これは災害救助費の支援対象がどこまでになるのかということで、事務連絡による運用が行われておりますが、これは非常に弾力的な運用になっておりまして、ここの部分、基本的には十対一なんですが、実際には一対一、こういったことで運用が行われております。

 取扱要領におけるこの明記、この点を今後御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河合政府参考人 お答えします。

 福祉避難所の人件費については、今委員の御指摘のとおり、おおむね十人の福祉避難所の対象者に一人の相談等に当たる介護員等を配置するために必要な経費を加算できるということなどを災害救助法の事務取扱要領に明記しておりますので、各自治体に対して周知を図ってまいります。

 おおむねということで、多少融通が利くように、完全に何人以内としてしまうとまた地域事情とかを反映できないということもありますので、おおむねという書き方ではございますが、しっかりともう既に明記をしておりますので、周知を今後やっていきたいと思っております。

河西委員 時間が参りましたので終わりますが、今の話は、十対一は書いてあるんですけれども、弾力的に一対一のところは要領には書いてないんですね。そこは厚労省からの事務連絡なので書けないということなんですが、やはりここは縦割りを打破をして、今後現場が迷わないようにしていただきたいというふうに改めて御要望申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、國場委員長代理着席〕

國場委員長代理 次に、上村英明君。

上村委員 ありがとうございます。れいわ新選組の上村英明です。

 ちょっと古い話になりますけれども、二〇〇七年六月に、社会システムと科学技術の一体化戦略として、二〇二五年、今年なんですけれども、これを目標に、イノベーション25という戦略が安倍内閣のときに閣議決定されております。

 その中で二十の代表例が挙げられましたが、その十六番目にリニア新幹線が登場いたします。リニア新幹線は、超電導磁気浮上式リニアモーターカーを利用し、時速五百キロという、今の「のぞみ」が二百から三百なんですけれども、それに対する五百キロを超えるスピードの走行を実現するという、まさにイノベーション、技術革新と言えるものです。

 これは、二〇一一年に整備計画が決定し、JR東海が担当することになりました。当初、東京―名古屋が四十分の先行開業をするということを目指して、その目標として二〇二七年開業が設定されていましたけれども、これが現在遅延するという状況の中で、今日の質問を組み立てたいと思います。

 まず、城内大臣にお尋ねいたします。

 イノベーション25というのはかなり長期の科学技術戦略だと思うんですけれども、これに対して、最近はもう少し細かな科学技術戦略を政府の方ではお考えだというふうなことをお聞きしております。その意味でのイノベーション戦略についての現状の組立て方について、御認識をお伺いできればと思います。

城内国務大臣 お答えします。

 上村委員御指摘のイノベーション25、これは、活力に満ち、豊かさを実感できる社会の実現や、地球規模の様々な課題を解決するイノベーションの創造に向けて、二〇二五年までを視野に入れた長期の戦略指針として、二〇〇七年、平成十九年に作成されたものであります。

 このイノベーション25においては、目指すべき社会像を示したほか、社会課題の達成に向けて、科学技術と、そして当時はまだ一般的になじみのなかった言葉でありますイノベーションという言葉を使って、一体的な推進が必要といった指摘がなされております。

 現在では、AIなどに代表されますように、科学技術の急速な進展によりまして、基礎研究の成果が世の中に迅速に社会実装されるようになっておりまして、科学技術が世の中に与えるインパクト、これが拡大しているところであります。

 科学技術政策とイノベーション政策を一体的に進めることは不可欠であります。また、当時のイノベーション25での指摘は、現在の政策の考え方の礎、基礎となっているものであります。

 そして、まさに現在、来年度から始まります次期、いわゆる第七期の科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討を今進めているところでありまして、その中で、中長期を見据えた社会像や、それを実現するための具体策の検討をしっかり進めてまいる考えであります。

上村委員 基礎的な枠組みの御確認、ありがとうございました。

 それでは、先ほどのリニア新幹線についてお尋ねしたいと思います。

 JR東海は、二〇二四年の三月、去年の三月に、二〇二七年の開業を、これは先行開業の部分ですけれども、断念するということを発表いたしました。さらに、報道によると、二〇三四年とか三五年の開業説が飛び交っているというふうに思います。

 計画が大幅に遅れている理由はどういうふうなことがあるのか、政府の御認識を政府参考人にお伺いしたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線、品川―名古屋間の工事完成予定時期につきましては、平成二十六年十月の工事実施計画の認可時には、委員御指摘のとおり、二〇二七年、令和九年とされておりました。その後、令和五年十二月の工事実施計画変更の認可において、工事完了予定時期を二〇二七年以降、令和九年以降に変更しております。

 その理由について、JR東海からは、南アルプストンネル静岡工区については、不確実性を伴うトンネル工事の中でも極めて難易度が高く、掘削延長が長いにもかかわらず、トンネル掘削工事にいまだ着工の見込みが立っていない状況であり、名古屋までの開業の遅れに直結している、同工区の工期の見通しが立った段階で、改めて工事完了予定時期の変更申請を行うとの説明を受けております。

上村委員 ありがとうございます。

 リニア新幹線というのは、先ほど申しましたように、いわゆる超電導という、車体を浮かせて飛ばす、そういう技術もあるんですけれども、もう一方で我々が考えなくちゃいけないのは、二〇〇一年に施行された大深度地下の公共的使用に関する特別措置法、いわゆる大深度法というのがございまして、深度四十メートル以下の地下をトンネル工事でこうした線路を引くということが今回のもう一つの技術的な基盤になっているというふうに思います。

 これは何かというと、東京から名古屋までを直線で結ぶということです。直線を走れば速くなるのは当たり前ということになりますので、単に超電導だけの問題ではなくて、直線でやるということを組み合わせて先ほどの東京―名古屋、四十分という数字が出てくるんだと思うんですけれども、同時に、こういう前提でやった場合に、様々なトンネル区間での問題が生じてくる。

 これは最近の、五月二十三日の中日新聞なんですけれども、沿線の岐阜県の瑞浪市大湫町では共同水源とか井戸などの枯渇や水位低下が続いているということが報じられています。JR東海自身が水位低下に起因している可能性が高いとする地盤沈下も最大十・八センチと報告されています。

 こうした問題は別に岐阜県だけの問題ではなくて、この沿線各地で指摘されているんですけれども、工事が始まっていない、今お話を出していただきました静岡工区に限定してお尋ねしたいんですけれども、事業認可時の環境アセスメントは、三年という短期間で、御存じのように、これは南アルプスにトンネルを掘るということなので、かなり複雑な地質構造に対するボーリングが三本、さらに、大井川の水への影響調査が十分に行われていないのではないかということが懸念されていますが、この辺、環境省はどういうふうに認識をされているでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線事業の環境影響評価に対する環境大臣意見の中におきまして、国土交通大臣に対し、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、事業者に対して適切な指導を行うことや、水資源に影響を及ぼす可能性が確認された場合は、まず応急対策を講じた上で、恒久対策としての措置を実施することなどを求めているところでございます。

 このため、本事業の静岡工区に係る事業の実施に際しての環境配慮につきましては、事業者である東海旅客鉄道株式会社において、環境影響評価手続や全国新幹線鉄道整備法の手続を踏まえ、関係自治体とも調整の上で適切に行われるべきものと認識しております。

上村委員 JR東海は、残念ながらといいますか、私、地元といいますか、いわゆる東海ブロックから選出されたものですから、限定的な調査の結果もなかなか公表しないということがありますし、三本のボーリング調査の中でも、西俣川というところがあるんですけれども、ここでの資料が県の、これは静岡県ですけれども、専門部会に提出されたのが二〇二五年三月というふうに聞いております。

 これに基づく、西俣川の真下に大断層があるんですけれども、この断層にトンネルを掘り進んだ場合は、これがいわゆる、先ほど言いました南アルプストンネルというやつなんですけれども、地表の水が亀裂から地下に浸透し、川の流れ、若しくはその周辺の沢の水全体が枯渇するおそれがあるということが県の地質構造・水資源専門部会で指摘されました。

 これは、静岡工区の関連した皆さんが最も心配しているところですけれども、大井川の水量の確保ができないのではないかという懸念につながります。大井川の水量が確保できないと、静岡では、その下流にある茶畑とか、そうした産業そのものに大きな影響が及ぶということになります。

 JR東海では、こうした対策として、地下水の湧出止めのための薬液の注入を行うという方策を持っているというふうに言われていますが、その効果が限定的であることは岐阜県の事例でも明らかになっています。特に、南アルプストンネルが貫く四万十層という地質があるんですけれども、ここに薬液注入の工法で大丈夫なのかという疑問が寄せられています。

 こうした問題を政府ではどう把握され、どういうふうに指導を考えていらっしゃるか、政府参考人にお尋ねしたいと思います。

岸谷政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線につきましては、事業主体であるJR東海におきまして、環境影響評価法に基づく手続を平成二十三年六月から二十六年八月まで実施しております。

 その手続の中におきまして、先ほどの環境大臣意見も踏まえまして、国土交通大臣の意見として、JR東海に対し、地域住民等に対する丁寧な説明、河川水の利用や河川環境への影響の回避等の意見を述べております。

 また、南アルプストンネル静岡工区については、JR東海と静岡県との間の議論が必ずしもかみ合っていない状況が見られたことから、国土交通省において、令和二年度よりリニア中央新幹線静岡工区有識者会議を設置し、水資源や環境保全に関する報告書を令和五年十二月までに取りまとめたところでございます。さらに、これらの報告書に基づく対策の状況を継続的にモニタリングするための静岡工区モニタリング会議を昨年二月に立ち上げ、これまで六回開催しております。

 この静岡工区モニタリング会議を通じまして、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入りまして一層の対話を促すなど、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整えてまいります。

上村委員 ありがとうございます。

 これは、大井川の流量を確保するというのはかなり強い約束事でありましたので、これが実現しないということになると、本当に計画そのものが更に大きく遅れるのではないかなというふうに思います。

 もう一点つけ加えますと、今お話がありましたけれども、静岡工区だけではなくて、こうしたことというのは沿線においてはかなり、先ほど岐阜もありましたけれども、長野の問題でも、長野県自体としては、南の端っこを通るだけなので少し関心の持ち方が違うというふうに聞いていますけれども、それでも、こうしたリニアの問題というのはまだまだたくさんあるのではないかなと思います。

 加えて、城内大臣とはAI推進法で大変お世話になりましたので、改めてあのときを思い出しているんですけれども、リニア新幹線の場合はハードなイノベーションを基軸とする大規模開発でありまして、むしろAIとは別の次元だとは思うんですけれども、やはりテクノロジーが、ある意味では今までやったことのないことを、しかも自然環境の中でやるという大きな構造的な問題の中で取り返しのつかないリスクが登場するかもしれないという問題があります。

 こうしたイノベーション事業を、ハードもソフトもあるとは思うんですけれども、担当される城内大臣として、これに対してどういうふうな見解を持たれるのか、ちょっとお考えをお伺いしたいと思っています。

城内国務大臣 お答えします。

 リニア新幹線に関して言いますと、私の所掌外でありますので、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えますが、一般論として申し上げますと、やはりリニアも含めて、科学技術、これをイノベーションに結実させるためには、一般論であえて言いますと、研究開発段階から関係する多様なステークホルダーに参加していただいて、それはもちろん、当然地域住民の方も入ると思うんですけれども、そういった方々に参加していただき目標等を共有するとともに、府省連携、官民連携の下で進めていくことが重要だというふうに考えております。

上村委員 城内大臣は静岡県の出身だというふうにお伺いしましたので、是非この問題に関しては御注目いただければありがたいなと思いますし、科学技術の将来のことに向けて、そういう視点からも再検討が必要ではないかなというふうに思います。

 一応そういうことで、私の質問をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

國場委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 埼玉県八潮市の下水道事故について質問いたします。

 一月二十八日に埼玉県八潮市で発生しました下水道管路崩落に伴う道路陥没事故を受けて議論を重ねてきた国交省の検討委員会が、五月の二十八日に第二次提言を出しました。下水道の安全に関する基本認識について、下水道管路は極めて過酷な状況に置かれたインフラであるとしております。どのような意味か、国交省からお答えください。

    〔國場委員長代理退席、委員長着席〕

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道管路につきましては、状況把握に高い不確実性を伴う地下空間に布設されていること、要は地上のインフラと比較して点検等による状況把握が難しいこと、下水中の硫化水素に起因して発生する硫酸は管路に化学的腐食をもたらすこと、特に大規模な下水道システムの下流部では下水の流量変動が小さく、メンテナンスのための流量調整が難しいこと、硫化水素の発生や降雨による急な増水など管路内作業には危険が伴うこと、このようなことから、過酷な状況に置かれたインフラであるとの認識が示されているところでございます。

塩川委員 下水道管路というのは他のインフラにはない過酷な状況に置かれているということの説明であります。

 今後の下水道の点検、調査の在り方についてですが、管路の安全へのハザード、損傷の発生のしやすさと事故発生時の社会的影響の二つの視点から措置すべきとしております。どのような視点で取り組むということでしょうか。

松原政府参考人 委員御指摘のとおり、第二次提言におきましては、下水道管路の点検、調査について、管路の損傷の発生のしやすさと、もう一つは事故発生時の重大な社会的影響の回避、これら二つの要素を勘案することが重要とされております。

 その上で、点検、調査につきましては、管路の損傷の発生しやすさが大きい箇所、こういった箇所については頻度を高める、社会的影響が大きい箇所では複数の点検の手段を組み合わせるなど方法を高度化すること、両者とも大きい箇所では頻度を高めることと方法を高度化することの両方、これを検討すべきであるとされております。

 一方で、限られた人員、予算で確実に点検、調査を実施する観点から、調査、点検にめり張りをつけるべきであり、管路の損傷の発生のしやすさと事故発生時の重大な社会的影響が共に小さい箇所については時間計画保全や事後保全とすることを検討すべきであるとされております。

 国土交通省といたしましては、この提言を踏まえて点検の頻度や方法について見直しを行い、強靱で持続可能な下水道を構築してまいります。

塩川委員 下水道の点検、調査は、過酷な状況による損傷の発生のしやすさと事故発生時の社会的影響に関する視点に立って措置する必要があるということであります。

 この点で、事故発生時の社会的影響の大きさということにつきましては、今回の八潮の事故においても百二十万人の方々が影響を被る甚大な被害につながったわけですけれども、それも大規模化を推進してきた中で行われている流域下水道において、埼玉などが大きな規模になっている。

 こういった大規模化を推進してきた国の責任が事故発生時の社会的な影響をもたらしてきた、そういう国の責任が極めて大きいということをしっかりと受け止めるべきではないかと思うんですが、国交省、いかがですか。

松原政府参考人 国土交通省といたしましては、このような同様の道路陥没事故が二度と起こらないようにという観点で、今回提言されました二次提言、こういったものを踏まえまして、しっかり老朽化対策について対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 事故発生時の社会的影響が大きいということをもたらしたのは、国が大規模化を推進してきたということがあるんじゃないですか。その責任をどう受け止めるのかと聞いているんですが。

松原政府参考人 埼玉県におきますいわゆる流域下水道でございますけれども、この流域下水道につきましては、複数の市町村でそれぞれ下水道の整備を行っていてはなかなか時間もかかる中で、効率的に下水道を整備するために実施されてきたものでございます。

 いずれにしましても、このような今回の八潮における事故について、二度と起きないようにと重く受け止めまして、国交省といたしましては、しっかり老朽化対策に取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 こういった大規模化を推進をしてきた、そういう中で、百二十万人が被害を被るようなこういった事故にもつながってきた、そういった国の責任をやはりしっかり受け止めて、必要な財政措置や法制度の措置を行うべきだということを申し上げておきます。

 今回の八潮の下水道事故において、埼玉県が二月の補正予算に計上した九十億円の下水道管路復旧事業に対して、その後、三月十八日、国は、予備費四十五億円を使って、緊急下水道管路改築事業として、予備費において交付金を交付をしたところであります。ですから、九十億円に対して四十五億円、予備費で国が措置をしたということです。

 今回、埼玉県は、この二月の補正の九十億円の工事に続けて、六月の補正予算案に、下水道管の破損及び道路陥没への対応として約三十九億円を計上するとしております。三月の予備費で措置した緊急下水道管路改築事業と同様に、この三十九億円に対しても国として財政支援を行うべきではありませんか。

松原政府参考人 埼玉県では、破損した下水道管の復旧に当たりまして、地盤改良や現場の臭気や騒音を軽減するための工事などを実施する必要があり、現在の予算額では不足が見込まれることとなったため、三十九億円の増額補正予算を六月定例会の方に提案することとしたというふうに承知しております。

 国土交通省といたしましては、埼玉県より工事内容の詳細などをよくお聞きしながら、必要な支援について検討してまいります。

塩川委員 既に行われた九十億円の事業、更に継続するということですから、当然のことながら、二分の一の交付措置を行うなど必要な対策を取ることを求めていくものであります。

 下水道を利用する市民百二十万人の世帯や事業者に対して、お風呂や洗濯など排水の頻度を下げるなど、下水道の使用自粛を要請したのが今回の事故でありました。一時、固定電話や光回線のインターネットが利用できなくなるなどの複合的な被害も生じております。

 道路陥没箇所付近には、中川流域下水道の管路だけではなくて、八潮市の下水道管、八潮市の雨水管、八潮市の用水路、工業用水路、八潮市の水道、東京ガスのガス管、NTTの通信管などが地下部分に複層的に集中しておりました。大規模な陥没となれば、地域のインフラ、ライフラインが機能しなくなる深刻な事態に至るということであります。大規模下水道管路の維持、改築には特別の対策が必要であります。

 国交省の検討委員会の提言では、「補助金・交付金を効果的に活用し、特にリスクの高い箇所の計画的な施設点検・改築・更新を重点的に財政支援すべき」としています。また、「能登半島地震や八潮市における道路陥没事故等の教訓を踏まえた、集中的な耐震化・老朽化対策などに対し、国が重点的に財政支援すべき」とあります。これらを受けて、提言の「おわりに」では、全国特別調査に基づく大口径下水道管路の改築・更新や、大規模下水道システムのリダンダンシーの確保等について、予算要求や制度改正を要請しております。

 下水道事業に関する既存のメニューには、社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金、これら交付金のスキームの一つである下水道総合地震対策事業、それに下水道基幹施設耐震化事業という個別の補助金があります。今回の提言を踏まえて、これらとは別に新たな補助金、交付金を設けるということでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、有識者委員会の二次提言では、国として集中的な耐震化、老朽化対策を重点的に財政支援すべきなどの御指摘をいただいたところでございます。

 国土交通省といたしましては、この提言を踏まえた老朽化対策それから耐震化につきまして、本日閣議決定された国土強靱化実施中期計画に位置づけたところであり、今後、必要な予算の確保に努めてまいるとともに、大口径下水道管路の改築やリダンダンシーの確保を集中的に進めるために、必要な対応を検討してまいります。

塩川委員 必要な対応というところに、既存のものに加えて新たな交付金、補助金の措置を行うのか。その点、もう一回。

松原政府参考人 繰り返しになりますけれども、実施中期計画に盛り込まれた社会的影響が大きい大口径下水道管路の改築、それから多重化、分散化によるリダンダンシー確保といった取組を集中的に進めるために、必要な対応をしっかり検討してまいります。

塩川委員 集中的に進めるということもありましたけれども、これは、要は既存の補助金、交付金について、それを増額をするということも考える、具体化をするということでしょうか。

松原政府参考人 本日閣議決定された国土強靱化中期計画におきまして、下水道の耐震化それから老朽化対策が位置づけられたところでございます。この実施中期計画に位置づけられた取組も含めまして、下水道の耐震化、老朽化対策について必要かつ十分な予算の確保に努めてまいります。

塩川委員 必要かつ十分な予算ということでは、必要な既存の補助金、交付金の総額を増やすということと同時に、例えば、そういった既存の補助金、交付金についてのかさ上げ措置を行うとか、そういうことも含めて考えるべきじゃありませんか。

松原政府参考人 国土交通省といたしましては、中期実施計画、それから、先ほど来出てきております第二次提言を踏まえまして、下水道の強靱で持続可能な形を構築していくために、しっかり予算の確保等に努めてまいります。

塩川委員 この八潮市下水道事故復旧のための複線化工事に埼玉県は取り組んでおりますけれども、その埼玉県からも予算総額の確保の要望が出されているところであります。

 やはり、既存の補助金、交付金の総額を増やす、また、必要であれば補助のかさ上げ措置を行う、さらに、求められる新たな課題等に対応した新たな補助金、交付金を創設する、そういうことを含めて、集中的にこういった大規模管路に対しての対策を進めていくことを求めるものであります。

 今回、事故原因の究明も県のところで進めておられるところですけれども、事故原因の究明に対して国がしかるべき対応を行うことを求めると同時に、是非、事業者や住民の方への補償についても、県が今対応しておりますが、国のしかるべき措置も求めていきたいと思います。

 それから、提言では下水道料金の値上げを掲げており、被害を被った利用者にツケを回すものであり、容認できるものではありません。また、広域連携に基づく大規模化が被害を深刻なものにしたわけで、広域連携の推進という方針は撤回をすべきだと思います。さらに、ウォーターPPPの推進も掲げているのは重大であります。

 担当の伊東大臣にお尋ねいたします。

 下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきました。前回もお聞きしたんですが、埼玉県の国への要望書では、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提としない制度設計を再考いただくようお願いをしますと、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。

 こういった埼玉県の国への要望について、伊東大臣はどう受け止めておられますか。

伊東国務大臣 塩川委員の御質問にお答えしてまいります。

 人口減少に伴いまして、地方自治体、地方公共団体の技術職員の減少が進む中、ウォーターPPPには、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用によりまして下水道等に係る施設の維持管理等を効果的に進められる等のメリットがあると認識をいたしております。

 そのため、国土交通省におきましては、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするため、令和九年度以降、地方公共団体が自らの資金だけでなく国の交付金等を活用して汚水管の改築を行う場合には、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件としたと聞いているところであります。

 国交省が、ウォーターPPPについて、最終的な責任を地方公共団体が持つということを前提にして推進することにつきましては、私としては適切である、このように考えております。

塩川委員 ウォーターPPPの先進事例の宮城県などではいろいろな問題が出ているわけで、問題だらけのウォーターPPP、PFI事業の押しつけはやめよということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、独立行政法人男女共同参画機構法案及び独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。三原国務大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人男女共同参画機構法案

 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三原国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人男女共同参画機構法案及び独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、独立行政法人男女共同参画機構法案について御説明申し上げます。

 この法律案は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に係る関係者相互間の連携及び協働の促進、当該施策の策定及び実施に関する業務に従事する職員等に対する研修、当該施策の策定及び実施に資する専門的な調査及び研究等を行うことにより、当該施策の推進を図り、もって男女共同参画社会の形成の促進に寄与することを目的とする独立行政法人男女共同参画機構を設立するためのものであります。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、本独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることとしております。

 第二に、本独立行政法人の役員として、理事長、理事及び監事を置くこととしております。

 第三に、本独立行政法人の主務大臣等について定めるほか、同法人の設立に関連いたしまして、独立行政法人国立女性教育会館の解散に関する事項等を定めることとしております。

 引き続きまして、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴い、男女共同参画社会基本法において男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を推進するための機関としての独立行政法人男女共同参画機構の役割を定めるほか、関係法律の規定の整備等を行うものであります。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国及び地方公共団体は、国、地方公共団体、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に関する活動を行う民間の団体等の間における協議の促進その他の関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な施策等を講ずるように努めることとしております。

 第二に、独立行政法人男女共同参画機構は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進のための中核的な機関として積極的な役割を果たすこととしております。

 第三に、地方公共団体は、関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な施策を推進するための拠点である男女共同参画センターとしての機能を担う体制を確保するように努めることとするほか、所要の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

大岡委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.