衆議院

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第27号 令和7年6月11日(水曜日)

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令和七年六月十一日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 市村浩一郎君 理事 田中  健君

      石原 宏高君    井野 俊郎君

      江渡 聡徳君    尾崎 正直君

      岸 信千世君    栗原  渉君

      小池 正昭君    小森 卓郎君

      鈴木 英敬君    田中 良生君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      古川 直季君    三反園 訓君

      宮下 一郎君    山口  壯君

      市來 伴子君    梅谷  守君

      おおたけりえ君    下野 幸助君

      橋本 慧悟君    福田 淳太君

      藤岡たかお君    馬淵 澄夫君

      山 登志浩君    伊東 信久君

      三木 圭恵君    石井 智恵君

      菊池大二郎君    河西 宏一君

      山崎 正恭君    上村 英明君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)         三原じゅん子君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局長)       中石 斉孝君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           橋爪  淳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐々木昌弘君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     三反園 訓君

  平沼正二郎君     鈴木 英敬君

  山際大志郎君     古川 直季君

  水沼 秀幸君     福田 淳太君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     小池 正昭君

  古川 直季君     小森 卓郎君

  三反園 訓君     尾崎 正直君

  福田 淳太君     水沼 秀幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     平沼正二郎君

  小森 卓郎君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

六月十日

 犯罪被害者支援制度の確立に関する請願(田村智子君紹介)(第一九二九号)

 公務・公共サービスの拡充に関する請願(牧義夫君紹介)(第二一五六号)

 同(山岡達丸君紹介)(第二一五七号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一五八号)

 同(有田芳生君紹介)(第二一五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一六一号)

 同(たがや亮君紹介)(第二一六二号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第二一六三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二一六四号)

 同(田村智子君紹介)(第二一六五号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第二一六六号)

 同(本村伸子君紹介)(第二一六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出第五二号)

 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人男女共同参画機構法案及び独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房長松田浩樹君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中良生君。

田中(良)委員 おはようございます。自民党の田中良生です。

 本日は、内閣委員会での三原大臣の初の法案質疑に立たせていただきます。光栄に存じます。

 本法案におきましては、大臣には、是非大局的な見地から御議論をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、独立行政法人男女共同参画機構法案及び関連する整備法案でありますが、我が国の男女共同参画社会の実現に向けた、やはり重要な一歩としていかなくてはならないものと考えるところであります。

 私自身、二〇一八年に、第四次の安倍内閣におきまして、内閣府副大臣として、女性活躍ですとか、あとは男女共同参画社会への実現に向けた政策の担当を務めたところであります。

 男女共同参画社会基本法の制定からもう既に二十五年が経過しているんですね。一定の進展は見られているところと思いますが、依然として、女性の意思決定過程への参画ですとか、あるいはやはり地域間での格差、こうした課題が残る現状があるものと感じているところであります。そういった意味で、今回の法案がこうした状況を打破するものにつながる重要な一歩となることを期待するものであります。

 さて、現行のNWECの内閣府移管、そして機能強化によりまして、真に実効性のある男女共同参画社会を実現していくために、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。

 まずは、大臣に、この法案の背景、意義、そして成立に向けた思い、これを聞かせていただきたいと思います。

三原国務大臣 男女共同参画社会基本法の施行から二十五年、我が国の男女共同参画の現状を見ますと、あらゆる分野の意思決定過程への女性の参画、女性の経済的自立等、なお取り組むべき課題が残されていると考えております。

 今般の法案は、男女共同参画に関する施策全般にわたって国の実施体制の強化を図りつつ、地域における諸課題の解決に取り組む各地の男女共同参画センター等を強力に支援をすることで、女性に選ばれる地方づくり、これを後押しするものでございます。

 女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりを進めるために、本法案の成立に向けて力を尽くしてまいりたいと考えております。

田中(良)委員 女性の活躍というのは、やはり石破政権が進める地方創生にとっても大変重要なものだと思います。

 新機構が担う機能や意義についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、全国に約三百五十か所の男女共同参画センターが設置をされております。しかし、地域ごとに取組内容のばらつきもあります。先進的事例の共有ですとか、あるいは専門的ノウハウの蓄積、展開においても限界が指摘されているというふうに感じております。

 新機構がセンター・オブ・センターズとして機能するということで、具体的にどのような方法で全国の男女共同参画センターとの連携を強化して、地域間格差を解消していくお考えでしょうか。特に、これまで取組が遅れがちだったと指摘される地域への支援策と双方向型の情報共有プラットフォームの構築について、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

三原国務大臣 御指摘の男女共同参画センターにつきましては、これまで法律上の根拠がなく、各地方公共団体が任意に様々な形で事業を進めてまいりました。

 本法案では、同センターを基本法に位置づけて、国としてもその設置、運営に関するガイドラインを作成するとともに、内閣府又は機構から丁寧に周知、助言を行うことですとか、また、地域女性活躍推進交付金等の活用を促していくことで、各地のセンターの事業について底上げを図ってまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、男女共同参画センターを中心に、女性の起業支援を始め、福祉、商工、教育、防災など地方公共団体の関係部門を集めた研修ですとか、企業や学校、NPO等とともに地域の課題を考えるワークショップを開催することなどが考えられると思っております。

 こうした取組を通じて、地域の関係者が相互に課題を共有して、その解消に取り組む機会をつくることができるよう、機構がセンターに対してノウハウや先行事例、先進事例をお伝えして、地域の連携、協働を促していきます。

 さらに、センターにヒアリングを行ったところ、日々の業務で参考となる信頼性のある情報を容易に得られる情報システムへの高いニーズがありました。そのため、機構やセンターが相互に情報を交換、共有したり、センターの相談窓口に寄せられる相談情報の集約や分析によって、地域のニーズですとか全国的な女性の悩みの傾向、こうしたことを把握することのできる情報プラットフォームの構築を検討してまいりたいと思っています。

田中(良)委員 ありがとうございます。

 次に、現行の独立行政法人国立女性教育会館から新機構への円滑な移行と機能強化についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 NWECは、昭和五十二年に設立以来、女性教育のナショナルセンターとして、貴重な専門図書館の蔵書ですとかあるいは調査研究成果、こうしたものを蓄積してきたところであります。新機構では、特定の、大規模施設にとらわれない多様な事業展開を図るということでありますが、これまでの知的財産を有効活用することは極めて重要なことだと考えるものであります。

 新機構への移行に際して、職員の雇用継続とか専門性の確保、既存の研究成果やネットワークといったものをどのように継承、発展させていく方針なのか。また、アウトリーチ型研修とかオンライン研修、こうしたものの推進によって、地域を対象にどの程度の規模で人材育成を行って、それが地域の課題解決にどのような効果があると想定されているのか、具体的な研修計画、その効果についてお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立女性教育会館から男女共同参画機構への移行に当たりましては、これまでの国立女性教育会館の職員の専門性や貴重な研究成果、関係者との信頼関係やネットワークを最大限に生かしたいと考えております。そのため、職員は、機構設立後もそのまま機構の職員に移行することを予定しておりますほか、本部機能は、引き続き埼玉県の嵐山町に残すことを考えております。

 一方、研修につきましては、アウトリーチやオンラインを主軸といたしまして、現在約三百五十か所あります男女共同参画センターの職員等を対象に、全国を幾つかのブロックに分けまして、女性の起業支援などの事業の企画、実施、専門的な相談対応のノウハウ、経済、福祉、教育、防災等の関連分野との連携方法、地域の男女間格差の見える化のための調査研究手法などの研修等をくまなく実施していくこととしております。

 これにより、センターが地域の男女共同参画を進める拠点といたしまして、事業や講座の実施、相談対応、調査研究などを適切に行えるように支援してまいりたいと考えております。

田中(良)委員 それでは、続いて、新機構の実効性の確保についてお伺いしたいと思います。

 新たな機構、施設を設ける以上は、確実に成果を上げなくてはなりません。また、限られた予算を最大限有効活用して、やはり国民に対する説明責任を果たしていくということも重要であります。

 新機構発足後、どのような指標や目標でその効果を測定、評価していくお考えなのか。研修プログラムの実施回数ですとか受講者数、全国センターとの共同事業の件数など、具体的なKPIの設定とPDCAサイクルを通じた事業改善の仕組みについてお聞かせいただきたいと思います。

 また、同時に、老朽化施設を撤去ということでありますが、将来的に維持費を削減する効果があるということでありますが、その財政的妥当性についても御説明いただきたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、ジェンダーギャップに関する地域別の実態を把握できていないという課題がございます。

 このため、まず国におきまして、どのようなデータを用いることで地域ごとの課題を効果的に可視化できるか検討いたしました上で、機構が男女共同参画センターに調査手法やノウハウを提供してまいりたいと考えております。

 その際には、単に研修の実施回数や受講者、センターとの共同事業件数といったものにとどまらず、例えば、研修の実施によりセンターの相談体制の充実や関係機関との連携に寄与したかどうか、また、センターへの調査手法等の提供による地域の男女間格差のデータの整備状況といった、より具体的な成果につながったかどうかをKPIに設定するよう検討してまいります。

 その上で、それらの進捗状況を把握し、点検、評価を行い、より充実した事業となりますようにPDCAサイクルを回していきたいと考えております。

 また、施設につきましては、これまで年間平均して二、三億円の修繕費や、清掃や警備のために多額の委託費を要しておりましたが、不要な施設を撤去いたしますれば、こうした経費の多くは不要となり、男女共同参画社会の形成の促進という本来業務をより効果的に促進することが可能になると考えております。

田中(良)委員 是非とも成果の広報をしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 最後に、地方との連携強化と国民理解の促進についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 関連整備法案では、地方公共団体に、男女共同参画センターとしての拠点機能確保の努力義務が明記をされているところであります。

 一方で、男女共同参画施策に対しては、インターネット上で根拠のない情報が流布されたり、施設への誤解や反発を招いている現状も見受けられるということであります。

 新機構が、地方の自主性を尊重しながら、技術的支援ですとか情報提供をどのように行って、センター未整備自治体での設置の促進ですとか、例えば近隣自治体との共同設置、こうしたものも後押ししていくという考えもあるのか、また、広報啓発機能を通じて、男女共同参画の意義ですとかあるいは具体的成果について、多様な価値観を持つ国民の理解を得るためにどのような工夫をお考えなのか、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

三原国務大臣 御指摘のとおり、男女共同参画センターの設置、運営に当たりましては、地方の自主性を尊重し、地域の実情に応じて行われることが必要だと考えております。

 このため、本法案におきましては、センターは、連携、協働の拠点としての機能を担う拠点としておりまして、必ずしも固有の施設を伴わなければならないものではなく、また、近隣の自治体との共同設置も含めまして、地域の実情に応じ、最も適したものを自治体が選択できるよう、ガイドラインを策定してまいります。

 また、男女共同参画に関する意義や成果について十分に御理解いただいていない、誤解をされているという事実も承知をしております。

 そのため、より住民に身近なセンターが中心となって、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスの解消に向けた広報ですとか、男女共同参画社会の形成の促進に関する各種制度の周知に加えまして、地域における男女間格差の実態を見える形で公表するということなどに取り組んでまいります。

 こうした取組を様々な分野の方々に届けられるように、地域におけるネットワークを築いてまいりたいと考えています。

田中(良)委員 ありがとうございます。

 政府には、来年四月の新機構発足に向けて、地方自治体とか関係団体との十分な調整を行って、円滑な移行と効果的な事業運営を行って、そして、何といっても、全ての人々が性別を問わずにその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けて取り組んでいただきますようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、橋本慧悟君。

橋本(慧)委員 立憲民主党・無所属の橋本慧悟でございます。

 冒頭、地元明石市、淡路市、洲本市、そして南あわじ市の皆様に感謝を申し上げ、そして、この質問の機会をいただいた関係各位の皆様に感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。

 三原大臣につきましては、私が、昨年、選挙で初当選後初めての質疑で、臨時国会で質問させていただきました。その際にも男女共同参画について取り上げまして、子供の視点を忘れずにしっかり男女共同参画を進めていただきたいということを強く申し上げた経緯があります。こうしてまた大臣に質問できることを一つの御縁かなと思っていますし、よろしくお願いいたします。

 さて、政府は、昨日、六月十日、女性活躍や男女共同参画の重点方針、女性版骨太の方針二〇二五を閣議決定されました。この中で、地方に起業家の手本となる人や相談相手が不足しているとの指摘もありまして、全国の男女共同参画センターを拠点に、セミナーを通じて、起業家との出会いや起業を目指す仲間とのネットワークづくりを進めると書かれております。いわゆるロールモデルが特に地方には不足していると政府も認識していると私は受け取りましたし、私自身も同感であります。

 一方で、ジェンダーギャップ指数につきましては、本当に日本は世界から大きく後れを取っているのが事実であります。百四十六か国中百十八位と二〇二四年の世界経済フォーラムの発表ではあるわけでありますし、昨日、石破総理もこれに触れまして、日本の取組は諸外国と比べ遅れているということもおっしゃっておりましたし、今後、あらゆる方針、そういう骨太の方針でありますとかいろいろな計画においても、このジェンダーギャップの解消でありますとか男女共同参画というのは本当に喫緊の課題だということを冒頭申し上げて、細かい質疑に入っていきたいと思います。

 先ほど田中委員は大局的な見地で質疑をされたということですが、私も、ちょっと細かい部分も入るかもしれませんが、よろしくお願いします。

 まず一つ目なんですけれども、現行の女性教育会館、NWECの目的は、女性教育会館法において、女性教育の振興を図ることとされていますが、本法律案により設立される男女共同参画機構は、男女共同参画促進施策の推進を図ることとされています。

 政府は、女性教育の振興というものと男女共同参画促進施策の推進、この違いをどのように認識というか、考えているのか。大臣、お願いいたします。

三原国務大臣 女性教育とは、女性に対する社会教育であり、女性を対象とした女性のための教育、学習活動のことをいいます。

 女性教育は、男女共同参画社会の形成の促進に包含される概念で、これまで国立女性教育会館は、施設を設置し、女性の資質や能力の向上など、女性教育を振興することで、いわば間接的に男女共同参画社会の形成を促進してきたものと理解をしていますが、男女共同参画機構は、男女共同参画施策を直接かつ総合的に推進することになるものと認識をしています。

橋本(慧)委員 そうですね。大臣の答弁にあったように、これまでの経緯からすると、やはり女性の就業率もかなり低いというような過去の時代から、新たに、今、状況が変わっておりまして、男女それぞれがしっかりと社会に出て働いていくというようなことを、世間も望んでいる部分はありますし、政府としてもそれを進めていくということが大事だと私も受け取っております。

 この男女共同参画という視点、女性教育というと、男性の視点から女性にフォーカスを当てたようにも見えてしまいますので、そうではなくて、やはり男性自身が、我々も含めて、私にも言い聞かせないといけないですけれども、変わっていく、そして、男女共同参画というものを、男性の視点もしっかりと変えて進めていく必要があるということを申し上げて、次に移りたいと思います。

 田中委員が質疑をされていたデータベースとかプラットフォームの構築については、後ほど市來議員も触れさせていただく予定ですので、済みません、ちょっと時間の関係上、飛ばさせていただきたいと思います。

 また、具体的なKPIについての実効性などについても、田中委員が御質疑をされておりました。本当に男女間格差が埋まったかなどの指標をこれからはしっかり見ていくんだという大臣からの先ほどの御答弁もありましたので、これは是非ともやっていただきたいと思います。EBPMとか証拠に基づく政策立案の観点が本当に重要だと思います。その質疑、二番目、三番目については、申し訳ありません、飛ばさせていただきたいと思います。

 私も、先日、NWECの現地に市來議員とともに、そして、我が党ではジェンダー平等推進本部長代行を務める吉田はるみさんとかと一緒に現地視察をさせていただきました。関西から直接行ったんですけれども、結果、新幹線で乗り継いで、東京から今度は在来線に乗って池袋に行って、そして、そこから一時間また在来線に乗る。五時間ぐらいかかったわけですよね、関西からでは。なかなかアクセスには遠いなと思った反面、非常に、周辺は緑に囲まれて、集中して研修でありますとか勉強をする、いろいろな意見交換、ワークショップをするというのには優れた環境だなというふうに思いました。

 現地をいろいろ見る中で、今後の方針としては、新法人に必要な機能というのを本館に集約する。資料を、ちょっと白黒で分かりにくいかもしれませんが、航空写真をつけております。

 この中で、本館、フロントロビーと書いているところ以外、大きくこれは緑が周りにあるんですけれども、宿泊棟とか研修棟とか体育施設等の施設を撤去する方針が示されていますが、この機構の主たる事務所の所在地を引き続き埼玉県の嵐山町とする理由を、簡潔にお願いいたします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 検討の過程では、主たる事務所の所在地につきましても検討を行ってまいりましたけれども、県、町から現在地への存置について強い要望があり、他所へ移転するといたしましても相応の費用を要すること、特定の場所や方法にとらわれない多様な事業を展開する上では、あえてコストをかけて他所へ移る積極的な理由もないといったことから、新法人の主たる事務所は引き続き埼玉県嵐山町に存置し、地域と協働して男女共同参画に関する課題を解決するノウハウを蓄積、発信するとともに、男女共同参画に関する貴重な史資料を集積する知の拠点といたしまして、積極的に活用することといたしました。

 また、これまでの長年の歴史で培われた地域との関係から、多くの町民の方々がボランティアで事業や施設の管理に協力してくださっていること、全国的にも、女性団体の方々などから、嵐山町は国立女性教育会館があったところと認識されており、同会館の築いてきた信用や発信力を引き続き活用しやすいこと、嵐山町から、法人と協働で、地域で男女共同参画を担う人材育成のための実証事業に取り組むと合意をいただいていることなど、嵐山町にオフィスを置くことは新たな法人にとってもメリットがあると考えております。

橋本(慧)委員 今、いろいろと丁寧に御答弁をいただきました。その経緯については一定の理解をしているところであります。

 過去の経緯からしても、代々と、教育施設ということで地元からも愛されてきたというような取組もあって、女性活躍でありますとか女性教育のシンボル的な位置づけがあるんだということは、私は、現地に行って歩いて回ってみて、それはそのようなものかな、そういった歴史も文化も大切にしないといけないなと思った反面、いろいろ、国立施設でありますから、国民に対して、どういう費用がかかっているのか、今後かかるのかということも説明責任があると思います。

 その中で、今現在、広大な土地のほとんどは埼玉県の所有する県有地でありまして、国が県から借地をしているということです。これの年間の賃借料は幾らかかっているのか。また、新法人へ移行後は、機能が本館の方に集約されますので、必要面積が減少する。そうなれば、賃借料等についても減額されるものと考えてよいのでしょうか。お願いします。

橋爪政府参考人 まず、お尋ねの年間賃借料についてお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現在、国立女性教育会館の敷地の大部分を埼玉県からお借りしておりますが、その賃借料は、令和七年度は約千八百万円となってございます。

三原国務大臣 賃借料については、御指摘のとおり、必要面積が減少することなどを踏まえて、県と今相談をしているところであります。

 そしてまた、サウンディング型市場調査を行う予定もありまして、最終的に国がどの範囲の土地を借りるか確定していないということもあるため、賃料を具体的に検討できる段階には今はないということを御理解いただきたいと思います。

橋本(慧)委員 今、お二方から御答弁をいただきました。

 現行は約千八百万円、これは国の費用で借りているということですよね。そして、今後、管理面積が下がるのでありますが、サウンディング調査の結果等々にもよると。なかなかその詳細を、当然、おっしゃっていただくのは難しいかもしれないですが、是非、これはやはり国の予算ですから、国民の血税が入っている中で運営されていくものとして、その辺りはしっかりとまた今後説明責任を果たしていっていただきたいと思います。

 また、事前のレク等でもお聞きしましたが、通常の、営利等で使用する場合に比べて、こういった公的な利用ですから、格安でお借りをできているんだというようなこともおっしゃっていました。今後、法案が仮に成立して、各手続等の段階が進んでいくと、やはりそういったコスト・ベネフィットの部分、これをしっかりと見える化していただきたいということを強く申し上げて、次に移らせていただきたいと思います。

 そして、またちょっと細かい話ですが、県との契約では、施設利用をしなくなった場合は、撤去をして更地にして返却するとなっているとお聞きしました。県有財産賃貸借契約書も私は見させていただいたんですけれども、第十五条に返還条項がございまして、契約満了時か契約解除時には、原状回復をして埼玉県に返還する必要があるとされています。

 政府の計画では、機能を集約した本館以外の建物等を撤去する計画でありますが、仮に、必要ではなくなった部分の建物等を撤去した場合の概算費用というのは幾らぐらいになりますか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、県との契約では、施設を利用しなくなった場合には原状回復をして県に返還することとされておりますけれども、現在、埼玉県と原状回復の在り方等について協議を行っているところでございます。撤去費用につきましては、まだ厳密に調査や試算などを行う段階には至っておりません。

 また、今後、民間事業者を対象にサウンディング型市場調査を行うことが検討されていることも踏まえまして、撤去費用について具体的な数字を申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。

橋本(慧)委員 ちょっと今政府の方からは答弁いただけませんでしたが、事前にお聞きした情報によると、いろいろな試算があると思うんですが、概算で、例えば二十六億円ぐらいかかるんじゃないのかというようなこともお聞きしております。これを是非答弁の場でちゃんとおっしゃっていただきたいんですよね。

 ただ、数字が独り歩きするのはよくないということはおっしゃっていましたが、やはり撤去費用が概算で幾らかかるかというのは、当然、優秀な方々が政府にいらっしゃいますので、計算できるいろいろな指標を用いて、最近の公共施設単価等でできるわけですから、それは出していただきたいと思います。

 そして、そういった、どれだけかかるんだという費用もしっかり比較した上で今後進めていかないといけないんですけれども、もう一度ちょっとこの点について、私の認識が合っているか、御答弁いただけますでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、埼玉県と原状回復の在り方等につきまして協議を行っているところでございます。撤去費用につきまして、厳密に調査や試算などを行う段階に至っていないということを御理解いただければと思います。

橋本(慧)委員 概算でもいいんですけれども、では、これはウン百万円単位なのか、五億円単位なのかとか、二十億、三十億ぐらいかかるんじゃないかとか、そういった部分だけでも、あらあらで構いません、物価上昇とか経済環境によっても変わりますので、大体これぐらいかかるんじゃないかなというのを今の段階で是非お知らせをお願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員が、こういった金額を聞いたというふうな御指摘がございましたけれども、これは業者の見積りでありまして、国交省の積算基準や実績等を基にNWECで事務的に試算をしたものでございます。

 そういうことで、お聞きになったという二十六億円程度という見積りが、業者の見積りとして出されているということでございます。

橋本(慧)委員 なるほど、ありがとうございます。一つの参考としてそういった数字があるということを、最初からそれは出していただきたいです。

 我々は、何もこの数字を独り歩きさせるつもりは全くなくて、そういった概算でこれぐらいかかるんだという費用も提示した上で各施策を進めていただかないと、やはり我々も含めて国民からの信頼というのがなかなか得られないと思いますので、是非よろしくお願いします。

 仮に、今後、法案が今国会で成立した場合、本館以外の建物、土地に関する方向性の決定というのは、埼玉県さん等も関係してくると思うんですが、どのような主体とスケジュール感で進んでいく予定となっているのか、簡潔にお願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の本館以外の建物につきましては、昨年七月三十日に決定いたしました今後の男女共同参画の中核的組織の整備方針におきまして、令和十二年度までを目途に撤去すべく、新法人設立後速やかに関連工事に着手することを目指すとしているところでございます。

 現在、この方針に従いまして、県や町と原状回復の在り方や土地の返還の方法、時期等について協議を行っているところでございまして、令和八年度以降の具体的なスケジュールは、現在のところ、決まってございません。

橋本(慧)委員 ありがとうございます。

 答弁いただきましたが、先ほど大臣からもあったと思います、今後、各関係者とも調整をしていく必要があると思うんですが、大臣も、サウンディング調査をする予定だということをおっしゃっていました。これは、多分、国交省の事業でされるのかなと、ちょっと事前にお聞きしているんですが。

 仮にこの法案が通ると、埼玉県さんとしても準備をしていく。サウンディング調査で、市場のニーズがあるのかというのを確認していくフェーズに入ると思うんですが、そういったものが、今年度、仮にうまく進むとなると、今度は、ボールが埼玉県さん、地元の方に移ると思うんですよね。

 この施設をどうしたいのかというところで、更地にして返してほしいのか、それとも、この建物を残した状態でいろいろ考えさせてほしいとか、そういった地元からの声というのは想像できると思うんですが、そういった意思決定というのは、いつ頃、国としては回答をいただけると思っていていいですか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃったように、これからいろいろな市場調査を行って、県もお考えになるということでございます。私どもといたしましては、県と町と丁寧に協議を行って、どのようなものが一番いいのかということを丁寧に御相談をしていきたいと思います。

 その上で、先ほど申し上げましたけれども、昨年七月三十日に決定いたしました整備方針におきまして、令和十二年度までを目途に撤去するということをお示ししておりますので、それに向けて、関係者の合意なども進めていきたいと考えてございます。

橋本(慧)委員 令和十二年度というお尻の期限ばかりおっしゃっていただきましたが、意思決定については、恐らく今年度中にでもしないと事業は進んでいかないと思いますので、その辺りも含めて答えていただきたかったのですが、ちょっとここに余り時間を取り過ぎると次の質問に行けませんので、進めさせていただきたいと思います。

 済みません、いろいろと御丁寧にありがとうございます。

 続きまして、次の質問につきましては、人材確保等々についても私はお聞きしたかったのですが、市來さんから、この後、控える議員からお聞きをさせてもらおうと思いますので、ちょっと飛ばさせていただきます。

 ただ、機能強化に関するワーキング・グループ報告書では、職員の給与が相対的に低いというデータが出ております。男女共同参画を進める政府の本気度がこういったところにも出ると思いますので、人材確保によって法の理念を推進する体制というのを是非とも強く推進していただきたいということだけ申し上げます。

 続きまして、市区町村のセンターと都道府県のセンターについて、それぞれが求められる機能や役割の違いについてというところであります。

 ここについては田中委員からも質疑があったかと思いますが、いま一度、改めて御答弁を簡潔にいただけたらなと思いますが、お願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 市区町村の男女センターと都道府県のセンターということではないかというふうに考えますけれども、一般論といたしまして、市町村は、最も住民に身近な行政主体でありまして、日常生活に密接に関わる施策、事業を実施いたします。一方で、都道府県は、基本的には市町村の自主性、自立性を尊重しつつ、市町村の求めに応じて、市町村が処理することが難しい広域にわたる施策、事業の実施や市町村間の連絡調整等を行います。

 したがって、基本的には、市町村設置のセンターは、地域住民に密着した相談対応や講座等の業務を展開する一方、都道府県設置のセンターは、市町村設置のセンターでは対応が困難な、より専門的な相談対応を行いましたり、都道府県全体の男女共同参画に関する調査研究等によりまして、より広域的な視点からの課題の把握を行ったりするということを考えてございます。

橋本(慧)委員 御答弁いただきました。

 そんなつもりはないと思いますが、各地の自主性に任せるというような方針だと思いますが、それが各地に本当に任せっ放しにならないようにというところをお願いしたいと思います。

 続きまして、質問を移るんですけれども、ちょっと十二番のところで通告しているところで、済みません、ジェンダーギャップ指数のところにまた戻りたいと思います。

 資料は三枚目のところにはなりますが、昨年六月のジェンダーギャップ指数によると、日本は百四十六か国中百十八位ですね。ちょっと資料は古い数字になっていますが、教育と健康の値は世界でもトップクラスでありますが、政治と経済の値は著しく低いのが現状であります。

 政治分野におきましては、今この資料におきましては、令和二年の資料で九・九%が衆議院の女性議員比率となっております。昨年、衆議院選の結果、女性議員の割合は、過去最高の一五・七%となりましたが、諸外国と比べるとまだまだ低い水準です。経済分野においても、管理職等に占める女性の割合は、長期的には上昇傾向ではありますが、国際的に見ると、厚労省の資料等を見ても、依然として低い状況です。

 我々政治に関わる者としては、制度を変え、施策を推進していける立場の者としては、やはり政治分野での女性活躍、男女共同参画というものを、数値として、目に見える形でもっともっと推進していくことが重要だと考えますが、数値目標でありますとか、一部諸外国では導入されているクオータ制について、導入をどのように考えているか、お聞かせをお願いします。

三原国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国において、特に政治、経済分野の意思決定層における女性の参画が課題となっております。

 第五次男女共同参画基本計画におきましては、二〇二五年度までの目標として、衆議院、参議院議員の候補者に占める女性の割合を三五%、そして、民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合につきましては、係長相当職が三〇%、課長相当職が一八%、部長相当職が一二%を掲げておりますが、いずれも達成には至っておらず、なお一層の取組を行うべき現状にあると認識をしております。

 男女共同参画の実現に向けては、政治分野、経済分野を始め、こうした目標値を示しつつ、その達成を目指してまいりたいというふうに考えております。

 なお、クオータ制の導入につきましては、憲法上の基本原則との関係などの課題も指摘されておりますので、これは各党各会派で更に議論が必要であるというふうに考えております。

橋本(慧)委員 御答弁いただきました。

 いろいろな指標がある一つにすぎないという方もいると思いますが、やはり世界的にもある程度信頼されているような指標だと思いますので、是非ともここについては、我々は会派を超えて努力をして、高めていかないといけないなと私も思っております。是非政府としてもよろしくお願いします。

 性別、年齢等にとらわれず、多様な主体が政治に関わっていくということは本当に必要だと思います。我々も、党としても、年齢の部分でいうと、被選挙権、立候補年齢の引下げという法案を昨日衆議院に提出をさせていただきました。

 こちらについても、多様な主体が政治に関わっていくことが必要ですし、年齢を問わず、やはり男女共同参画というものもしっかりと進める上では、議員の女性割合というものを高めることが必要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

三原国務大臣 御指摘のとおりです。

 女性議員割合を高めること、これは、社会の在り方に多様な民意を反映させるという観点からも極めて重要だと考えております。

 内閣府としても、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の趣旨を踏まえまして、地方議会における育児や、会議における欠席規定等の利用促進、議会活動での積極的なデジタル技術の活用促進など、地域の男女共同参画センターにおける地域リーダー研修等の実施等を通じて、関係機関とも連携をして、女性の政治参画を一層進めてまいりたいと考えております。

橋本(慧)委員 これは通告しておりませんが、大臣も一人の女性議員の立場として、例えば、もっとこういったことがあれば更に女性が政治分野に参画しやすいのではないか、私だったら後進にこういうことをしてあげたいなとか、そういった思いがあれば、是非ちょっと聞かせていただきたいんですが、よろしいでしょうか。

三原国務大臣 皆さんがお困りになられていることというのは、いろいろなハラスメントということに関する意識が男性議員と女性議員との間に大分大きな差があるというふうにデータでも出ております。そうしたところをしっかりと、意識調査をしながら、皆様にもお伝えをしていけるような形を取っていきたいと思っています。

橋本(慧)委員 大臣の口から、ありがとうございました。

 そういったいろいろな意識を変えていくことは本当に必要だと思いますので、全体で進めていけたらと思います。

 次の質問に移ります。

 地域の意思決定の場である自治会の役員においても、男女共同参画というのは必要だと思います。

 市区町村の女性参画状況見える化マップというサイトもありまして、これはいろいろ調べてみると面白いんですけれども、面白いというか、いろいろな地域差もあってかなり興味深いんですが、最新の都道府県別見える化マップによると、自治会長に占める女性の割合は、令和六年度で平均七・三%であり、三割、四割どころか、一割にも満たない状況です。

 生活に密接した、各地域の自治会の意思決定に関わる自治会役員とか会長の女性割合を高めるための方策が本当に必要だと思うんですが、御見解をお聞かせください。

三原国務大臣 自治会を始めとする地域活動の男女共同参画の推進は、異なる視点による問題解決ですとか社会的な公平性の向上など、持続可能な地域社会を構築する上でも大変重要であると考えております。

 内閣府が実施した調査によると、自治会やPTAなどの地域活動の場における男女の地位の平等感について、平等と答えた者の割合は四〇・三%と半数近くあるものの、委員御指摘のように、都道府県別の女性の参画マップにおける自治会長に占める女性の割合となると、平均が七・三%と低い水準にとどまってしまうということでございます。

 内閣府としては、地方公共団体が地域の実情に応じて実施します地域活動における女性リーダーを増やすための機運の醸成ですとか女性人材の育成の取組、地域女性活躍推進交付金による支援、好事例の横展開を図るなど、関係省庁と連携して、地域活動における男女共同参画の推進に取り組んでまいりたいと考えます。

橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。

 ちょっと時間がなくて余り触れられなかったですが、地域女性活躍推進交付金の使い方等についても、例えば、自治会の役員に女性がしっかりと登用される、そこに市区町村独自で補助金でありますとか、支援をしているという自治体もあるんですよね。こういったことを明確に進めて、目に見える形で数字を上げていくことも必要だと思いますので、そういったことも今後は検討をいただきたいですね。

 この交付金では、そういう登用に対して補助金を支払っている自治体への補助というのはないというふうにお聞きしましたが、是非そういった観点でも研究を進めていただきたいということを強く申し上げて、最後の質問に移りたいと思います。

 男女共同参画推進の大きなネックは、まだまだやはり根強い固定的な性別役割分担意識、アンコンシャスバイアスだと考えます。まさに今、衆議院で、法務委員会でも審議が進んでいますが、この一つが夫婦の氏についてだと思います。

 選択的夫婦別姓等について、三原大臣のお考えを是非お聞かせいただけたらと思いますが、お願いします。

三原国務大臣 夫婦の氏の在り方につきましては、国民の皆様の間に様々な議論、様々な立場からの御意見があって、より幅広い国民の皆様の理解を得る必要があると考えております。

 まさに今、国会で御議論いただいているところでありますので、政府としては、今後も国民の皆様の理解が深まるように、情報提供に努めてまいりたいと思います。

橋本(慧)委員 ありがとうございます。

 残余の質問が出てしまったこと、申し訳ございません。また別の機会で聞けたらと思います。

 今日は、ありがとうございました。

大岡委員長 次に、市來伴子君。

市來委員 立憲民主党の市來伴子です。よろしくお願いいたします。

 今回、女性教育会館について本法案が出てきた経緯についてまずお聞きをしたいというふうに思っております。

 この女性教育会館は、昭和五十二年、一九七七年に文科省の附属機関として設置されました。男女共同参画の推進機関としての役割を果たし、四十八年の歩みを続けてきました。

 二〇二二年の末からNWEC等機能強化ワーキング・グループが立ち上がりまして、今後の在り方について検討されてきましたが、突如、二〇二三年十一月に、ワーキング・グループで検討がなかった施設の撤去と嵐山町からの移転を、方針を打ち出しました。この方針については、意思決定の過程が不透明との批判もありまして、埼玉県や嵐山町から要請を受けまして、そしてまた現所在地に残るということになりましたが、この経緯について説明をしていただきたいというふうに思います。お願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立女性教育会館の施設の在り方につきましては、令和五年四月、有識者によります独立行政法人国立女性教育会館及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループから出された報告書の中で、施設の在り方についても、今後検討していくことが必要とされました。これを踏まえ、国立女性教育会館の所在地である埼玉県及び嵐山町とも相談を行いながら、内閣府、文部科学省及び国立女性教育会館で施設の在り方について検討を行い、令和五年十二月には、男女共同参画会議において、ハードから、これは施設でありますが、ソフト、機能への転換を目指す方針を御説明をいたしました。

 この間、埼玉県及び嵐山町からは、国立女性教育会館の現在地での存続を求める旨の要望書等もいただき、丁寧に御意見を伺いながら検討を進め、御指摘のとおり、新法人の主たる事務所を現在のNWECの所在地に存置することなどを内容とする今後の男女共同参画の中核的組織の整備方針を令和六年七月三十日に取りまとめたところでございます。

市來委員 一度移転の方針を示しながら、嵐山町、埼玉県の要望があって、今、現在地で残ることになったということでございます。

 先ほど橋本委員からもありましたが、先日、女性教育会館を視察をさせていただきました。約十ヘクタールの土地に、定員約三百五十人の宿泊棟、千五百人が利用できる研修棟、六百人が入る講堂、体育館や国際会議対応の大会議室など、大変すばらしい施設だったというふうに思いますし、正直な感想は、この施設を壊すというのは大変もったいないなというのが私の正直な感想でございます。また、地元の方がお祭りで使われているホールや、私が訪れたときには、地元の学生の方がテニスコートでテニスの練習をされていたり、嵐山町の地元の方にも愛されている施設だなというふうに感じました。

 正直に申し上げますと、地元の方からの声は、やはりもったいない、施設を壊さないでほしいという声が非常に多いです。一方で、これだけ大規模な施設は維持管理費が非常にかかるということも想像ができます。

 済みません、ちょっと通告の順番を変えますけれども、三原大臣にお伺いいたします。

 この施設を、例えば民間に活用させて、ホテル等に転用する可能性があるのか、三原大臣に伺います。

三原国務大臣 現在、土地の所有者である埼玉県とも原状回復の在り方等について協議を行っているところでありますけれども、埼玉県において、県有地の市場性、建物の利活用の可能性等を明らかにするための、先ほどからお話がありますサウンディング型の市場調査、これを実施することを検討中であるというふうに聞いております。

 今後、この調査が行われて、現在、国立女性教育会館が使っている建物や土地について関心を示す民間事業者等がいる可能性がありますので、埼玉県が公募などを望む場合には、内閣府としても、埼玉県の検討等に御協力をしてまいりたいというふうに考えております。

市來委員 先ほど岡田局長は、令和十二年までに撤去をするために速やかに工事に着手いたしますというような答弁がありましたけれども、仮に民間活用の可能性がある場合は、やはりこの工事も、民間活用の可能性を鑑みて、再検討をする可能性はありますか。お聞きします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣からの御答弁にありましたように、今、サウンディング型市場調査を実施するということを検討中と聞いておりますので、その結果を踏まえまして、内閣府としても、埼玉県の検討に協力していきたいと考えております。

市來委員 先ほど三原大臣は、埼玉県が要望すれば民間活用の可能性も否定されませんでしたが、その場合、公募されると思います。その公募は埼玉県が行うということになるんでしょうか。そして、公募をする場合は、何か期限のようなものを想定されていますでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の公募の主体等につきましても、そのサウンディング型の市場調査の結果を踏まえて検討してまいります。

市來委員 民間事業者が手を挙げる可能性があれば、期限や活用方法について柔軟に対応してほしいと思いますけれども、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 私は、先ほど答弁したとおり、埼玉県においてということで、サウンディング型市場調査を実施することを検討中というふうに聞いておりますので、その調査の結果を踏まえて、公募などを望む場合には、その期限や活用方法も含めて、内閣府として、埼玉県の検討等に御協力をしてまいりたいというふうに考えています。

市來委員 是非民間活用の可能性を探っていただきたいというふうに要望をさせていただきます。

 そして、本館を改修して、研修の機能を本館に加えていくということなんですが、本館を改修した後も地元の方が利用できる可能性はあるんでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど少し言及いたしましたけれども、昨年七月三十日に決定いたしました男女共同参画の中核的組織の整備方針におきましては、機構は、特定の場所や方法にとらわれない多様な事業を展開するため、宿泊棟、研修棟、体育施設等については撤去し、新法人に必要な機能を本館に集約することとしております。

 本館は、最低限の事務スペース、また、今まで国立女性教育会館が保有してまいりました貴重な資料の保管スペースとして活用しますほか、その機能の集約に当たりまして、地域との交流に資する活用を含め、本館を国際会議への参加や全国各地の男女共同参画センター等関係者間の一層の連携、交流に活用することができるように検討をすることとしておりまして、今後、この方針に沿って本館の改修内容を検討してまいります。

 なお、国立女性教育会館と異なりまして、業務として一般利用は行いませんので、本業に支障のない範囲、資産の有効活用の範囲内において、個別に利用の御相談に応じることとなります。

市來委員 貸し館業はしないということなんですけれども、必要があれば地元の方も利用できるということでよろしいでしょうか。

 そしてまた、今、女性団体等が様々な施設を利用しているかと思うんですが、男女共同参画に資する女性団体等が研修室等を使いたいという要望があった場合も柔軟に対応していただきたいと思いますが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 国立女性教育会館とは異なりまして、今答弁しましたけれども、業務として一般利用は行いませんので、改修後の本館につきましては、女性団体等から利用の相談があった際には、本業に支障のない範囲、資産の有効活用の範囲内において、個別に利用の相談に応じることとなると考えています。

市來委員 是非、研修室等の利活用については、地元の方、あと女性団体等の皆さんから御意見を聞いて、利活用について進めていただきたいと要望をさせていただきます。

 それでは、本法案の内容について質問をさせていただきたいと思います。

 本法律案では、男女共同参画センターが初めて法律に位置づけられます。現在は、法に位置づけがないため、地方自治体の首長の考え方などによってセンター設置や人員体制、予算、事業内容に地域間格差が生じております。

 機構の機能強化は、全国の地方自治体における男女共同参画施策を進めていくということが最も重要だというふうに思います。地域におけるジェンダーギャップについて、そして地域間の格差についてどのように解消していくのか、三原大臣に伺います。

三原国務大臣 今般、御指摘のとおり、男女共同参画センターを法律に位置づけるとともに、地方公共団体にその機能を担う体制の確保に努めることを求めることといたします。

 その上で、各地のセンターが様々な関係機関、団体との連携、協働の拠点となり、地域の男女共同参画の実態を明らかにするとともに、課題やニーズに応じて必要な施策に取り組んでいけるように、新たに設置する男女共同参画機構がその底上げを図っていくということとしております。

 具体的には、現在、地域の男女共同参画センターの人員体制、予算、事業内容は一様ではないため、国としてもその設置、運営に関するガイドラインを策定するとともに、男女共同参画機構が各地のセンターに研修や情報、ノウハウ等を提供することや、他の自治体の先進事例の共有、横展開などを強力に支援を行うこととしております。

 このような仕組みによって、地域におけるセンターの設置を促すとともに、センターが地域における様々な関係機関、団体と連携、協働して、男性も女性も、職場、家庭生活や地域、その他のあらゆる場面で活用できるように、地域の実情に応じた必要な取組が確実に実施されることを後押しし、地域のジェンダーギャップ解消に、促進に努めてまいりたいというふうに考えています。

市來委員 今回のこの法律案では、地方自治体に対してガイドラインを作成していくと書かれております。どのようなスケジュールで、どのようなガイドラインになるのか、伺います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の男女共同参画センターの機能強化に当たって、国としては、センターに法的な位置づけが付与されたことも踏まえ、男女共同参画センターにおける業務及び運営についてのガイドラインを作成することを考えております。

 このガイドラインは、男女共同参画センターにおける業務の内容及び体制の整備に関し、多くの地域において参考となる事項や一般的に留意すべき点について記載し、センターが法に定められた機能を果たしていく上での手引となるようにしたいと考えております。

 法案が成立した場合には、法律が施行される来年度までに地方公共団体に必要な周知を行い、スムーズに男女共同参画センターの設置や運営について検討や実施をいただく必要があると考えておりますので、年内のできるだけ早い時期を目指して策定をしてまいりたいと考えております。

市來委員 ガイドラインを作ることは非常にいいことだと私も思うんですが、一方で、済みません、ちょっとこれは通告にはないんですが、運営に対するガイドラインということで、あるセンターの活動内容、個別の活動内容に踏み込むことはないということでよろしいでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 各自治体のあくまで参考にしていただく、手引にしていただくような内容としていきたいと考えております。

市來委員 センターそれぞれの個別の活動には介入しないということも是非加えていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、現在、都道府県や市区町村においては、センターの設置義務がありません。本法律案では、センターの設置を努力義務とするということにしてあります。

 今のセンターの設置数は、資料では、三百四十九か所、センターが設置されているということですが、本法律によって、都道府県や市区町村のセンター設置は増えるということになるでしょうか、伺います。

三原国務大臣 今般の法案においては、地方公共団体に、男女共同参画センターとしての機能を担う体制を、単独又は共同して確保するよう、努力義務を課しているところです。

 センターの設置自体は自治事務であるため、国から設置を強制するとか、そうしたことはできませんが、設置の状況や地域における男女共同参画の実態の見える化を進めていきますので、各地方団体は、法の定める努力義務に対してどのように対応しているのか、ガイドライン等を参考に必要な機能を果たせるよう努力しているのかということを、住民に対して説明責任を有することになっていきます。

 そのため、地方公共団体には、センターとしての機能を担う体制の確保について適切な対応が求められることになるんだろうというふうに考えています。

市來委員 ありがとうございます。

 実は、センターの設置箇所は頭打ちになっていまして、ここ数年、減ってきているんですね。このセンターの設置、三原大臣に今御答弁いただきましたけれども、促進するという働きかけを是非お願いをしていきたいというふうに思います。

 男女共同参画の施策の推進に当たっては、地方自治体との丁寧なコミュニケーションが必要だと思います。地域によってそれぞれ様々な課題、違った課題というものがあると思うんですが、その地域の課題やニーズを的確に把握をしてほしいと思います。

 どのようにそういった地域の課題を把握を行っていくのか、三原大臣に伺います。

三原国務大臣 丁寧な対応というのは必要なことだと考えております。

 機構としては、各センターに、地域の課題やニーズ等を把握するための調査のノウハウ等を提供して支援するとともに、各センターが把握した地域の様々な課題や事業のニーズについて、機構において定期的に収集、整理をするということによって、地域ごとにきめ細かな課題の把握、分析を行い、その結果についてセンターや地方公共団体への共有を行ってまいりたいと考えております。

 こうした機構とセンターとの連携を進めていくに当たって、今委員御指摘のとおり、地方公共団体やセンターとは丁寧なコミュニケーションを図るということが大変重要だと思いますので、緊密な連携を確保してまいりたいと考えます。

市來委員 私は、地方自治体で男女共同施策を推進していくのは、やはり人材だというふうに考えています。どんなにセンターが、今回の男女共同参画の機構がどんなに全国で広げても、結局、そこの自治体に核となる人がいなければ、広がっていかないと思います。

 そういった意味では、地方自治体における人材というものが要だと思っておりまして、この人材をどのように地方で確保していくのか、三原大臣に伺います。

三原国務大臣 御指摘のとおり、男女共同参画社会の形成の促進に取り組む人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるように努めるということについて、今般、新たに男女共同参画社会基本法上の国及び地方公共団体の基本的施策に位置づけることとしております。

 男女共同参画機構におきましては、地方公共団体や各地の男女共同参画センターの職員等に向けた研修を充実強化をいたします。また、企業や学校など様々な場でセンターが使用できる研修プログラムですとか教材、こうしたものを機構が開発をして、センターに提供していくこととしています。

 センターにおきましては、機構から提供されたその研修プログラムや教材を活用して、例えば、企業において、女性活躍を推進するための環境づくりに関する研修ですとか、学校において、教員向けのアンコンシャスバイアスの解消のための研修ですとか、そうしたものを行うことによって、地域において、男女共同参画の形成の促進に関わる人材育成のために多様な研修、講座、こうしたものを行っていくということが考えられます。

 今般、男性や若者も含めて、より多くの方々にアプローチをして、多様な人材育成に取り組んでまいります。

市來委員 是非各自治体の課題やニーズに柔軟に対応していただきたいと思います。

 そして、今、いろいろな研修を組んでいただいたり、あるいは教材を自治体に渡していただいたりということなんですけれども、要望があれば、地域のニーズに応じて機構の人材を派遣する、機構の人材に行っていただいて、そういったノウハウを伝えていただく、こういうことも必要だと思いますが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 現在の国立女性教育会館においても、従来から、要望のあった自治体を理事長を始め職員らが訪問して、研修やワークショップ、これは行ってきております。

 機構の人員も限られておりますので、人材派遣の期間ですとか一度に派遣できる人数などは、在り方ということはやはり様々検討が必要ではありますけれども、機構においても、これまでのノウハウを生かしつつ、情報や知見をお伝えするだけということではなく、できるだけセンターのニーズに寄り添い、伴走できるような支援を目指してまいりたいと思いますので、委員御指摘のように、そうした訪問をするというようなことも必要だというふうに考えております。

市來委員 ありがとうございます。

 是非機構のノウハウを各自治体に教えていただければと思います。

 また、全国のセンターを支えていくためには、そもそもの機構の体制強化が欠かせないと思います。施設を減らして、その委託費用や管理費用が減るわけですから、その分をきっちりと体制強化に充てていくということが重要です。

 この機構の体制強化について、人員体制は強化されるんでしょうか。

三原国務大臣 国立女性教育会館を機能強化し、男女共同参画機構を設立するに当たって、業務の範囲が女性教育から男女共同参画全般へ広がり、ネットワーク形成の促進ですとか各地のセンターへの支援といった新たな事務を担うこととなりますので、行政の効率化にも配慮はしつつ、機能強化に必要な人員、これを配置できるようにしっかり努力してまいります。

市來委員 今日は文科省の政府参考人の方にも来ていただいていますので、ちょっとお聞きします。

 今までは文科省が所管でした。これが内閣府に移管されるということで、今まで人員や予算が文科省から出されておりましたけれども、それがそのまま内閣府の方に移動するという理解でよろしいでしょうか。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 国立女性教育会館が文部科学省から内閣府に移管されるに当たりましては、現在の国立女性教育会館に関する予算及び同会館の職員については、そのまま内閣府に移管することとなると考えてございます。

 具体的には、会館の運営費交付金の予算について内閣府に移管をするとともに、現在の国立女性教育会館の職員につきましては、基本的にそのまま新法人の職員となるものと考えてございます。

 以上でございます。

市來委員 機構の体制強化は要ですから、三原大臣には、是非予算を増やすように力強く推進をしていただければと思います。こちらは要望とさせていただきます。

 そして、情報プラットフォームというのを構築するとあります。機構と各センター間で必要な知見及びノウハウを共有するための情報プラットフォームを構築するとされておりますけれども、現在は、会館の方では女性情報ポータル、Winetというものが公開されておりますけれども、こういった一般の方に対する女性情報ポータルとは何が違うのか、そして、この情報プラットフォームを構築することに当たってどのような効果を期待しているのか、三原大臣に伺います。

三原国務大臣 御指摘のとおり、機構及びセンター間で必要な知見及びノウハウを共有するための情報プラットフォームを構築することとしており、今後、要件定義等を検討していくこととなりますが、機構及びセンターがデータセンターにインプットした情報を基に、AIも活用して、日々の業務に必要な情報を検索できる機能ですとか、相談対応の内容や対応方針を匿名化して集約し、データベース化することで地域ニーズの把握や分析ができる機能、機構の研修をオンデマンド化等で提供して、また研修の受講記録を証明できる機能を備えた情報システムを検討をしています。

 今委員御指摘の女性情報ポータル、Winet、これは、一般の方も利用可能なウェブ上に設けられたいわばポータルサイトであり、国立女性教育会館が保有する書籍や資料、女性と男性に関する既存の統計などを検索できる情報システムとなっております。

 現在構築を検討している情報プラットフォームは、機構とセンターや自治体が利用できるクローズドの情報システムでありまして、センターの業務の内容ですとかノウハウ、知見を共有、交換することで、センターが日々の業務を遂行するに当たって直面する課題や悩みに対し、信頼性の高い情報を容易に得られること、それでセンターの業務を支援できる効果があるのではないかというふうに考えています。

市來委員 ありがとうございます。

 センターや自治体が入る情報プラットフォームですが、済みません、これは通告にはないんですけれども、利用料を徴収するというふうに言われておりましたけれども、これはどのくらいの利用料を考えていらっしゃるのか。もし答弁できそうでしたら、お願いします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 情報プラットフォームにつきましては今検討中でございますので、今委員のおっしゃったことにつきましても検討中でございます。

市來委員 利用料を自治体が払うということなんですが、できるだけ利用しやすい価格にしていただきたいなというふうに思いますので、要望をさせていただきます。

 機構が管理する情報プラットフォームの構築に当たっては、地方自治体の意見を十分に取り入れていただきたいというふうに思います。構築をしても、なかなか使いづらいとか使い勝手が悪いというようなことがないように是非お願いをしたいと思います。

 そして、今回の法案によって男女共同参画が日本全国で推進されるということを私も期待しておりますので、最後に大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。

三原国務大臣 先ほどもお話ししました男女共同参画社会基本法の施行から二十五年、我が国の男女共同参画の現状を見ますと、あらゆる分野でなお取り組むべき課題というのが大変多く残っているというふうに考えております。

 今般の法案は、男女共同参画に関する施策全般にわたって国の実施体制の強化を図りつつ、地域における諸課題の解決に取り組む各地の男女共同参画センターを強力に支援することで、女性に選ばれる地方づくり、これを後押ししてまいりたいと考えております。

 女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりを進めていくために、本法案が成立をいたしましたら、機構を通じて、課題の見える化など、しっかりと力を尽くしてまいりたいと思います。

市來委員 終わります。

    〔委員長退席、黄川田委員長代理着席〕

黄川田委員長代理 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 私は、個人的にも、我が党も、男女共同参画社会の実現、特に女性の社会参画を推進するための体制整備は、本当に理解し、賛同いたしております。ただ、今回の法案に関して幾つかやはりお聞きしたいところがありますので、三原大臣、本日はよろしくお願いいたします。

 大臣も把握されていると思いますけれども、総務省の人口移動報告によりますと、二〇二四年の統計では、二十代女性の東京圏への転入超過数は約六万人に上っておりまして、これは、男女共同参画というだけでなく、地域社会にとって極めて深刻な状況でございます。多くの自治体がこの事態を自治体存続の危機と感じていまして、本当に石破総理も問題意識を持ってはりますけれども、国を挙げて対処すべき課題であると認識しております。

 今回の本法案で設立される独立行政法人が構造的な若年女性の地方離れにどのように立ち向かって、どのような役割を果たすか、具体的、実効性がある運営計画についてまずは御質問したいと思うんです。

 政府として、地方における女性の定着率を高める観点から、例えば三年だったら三年という具合に期限を切って、UターンまたIターンによる若年女性の定着数をこれだけのパーセント増加させる。私の質問の前にもKPIに関しての質問もあったかと思うんですけれども、今申し上げましたように、具体的に、例えば三年でも五年でもいいんですけれども、三年以内にUターンの定着率を、若年女性の定着率をこれだけのパーセント増加させるという、これからやられるということなんですけれども、今の議論の中で、設定する予定自体というのはあるのでしょうか。お伺いいたします。

三原国務大臣 内閣府が昨年度実施しました調査によりますと、女性が出身地域を離れた理由として、希望する進学先や就職先が少なかったことというのがありましたけれども、それのほかに、地元から離れたかったことや、親や周囲の人の干渉から逃れたかったことなどが挙げられております。こうした背景には、都市部と比較して、地域にはやはり固定的な役割分担意識や性差に関する偏見、こういうことがいまだに根強く存在しているんだというふうに考えられます。

 そのため、女性に選ばれる地域の実現に向けて、男女間の賃金格差の是正ですとか女性のL字カーブの解消、また、先ほどお話ししました固定的な性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスの解消、こうした課題に取り組むこと、これが何よりも必要であるというふうに考えております。

 そこで、今般、男女共同参画センターの法的な位置づけということが付与されることも踏まえて、機構において、女性の流出の背景にある課題、これを把握するための指標を検討し、その調査手法やノウハウもセンターに提供してまいりたいというふうに考えております。

 これによって、地域ごとにやはり背景は少し異なりますので、その実態を明らかにして、課題やニーズの分析を行った上で、解決のための必要な研修の実施ですとかプログラムを開発するとか、その効果を点検、評価することで、また女性に選ばれる地域の実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えているということでございます。

伊東(信)委員 そういったところですよね。

 今、フロアからも指摘がありましたけれども、やはり数値目標、御答弁自体は理解できます、今回の女性参画や男女共同参画の問題意識というのは、女性の社会進出だけでなく、それぞれの地域の課題があるから、そこに対してしっかりと今後やっていくというところなんですけれども、私が本当にお聞きしたいのは、そのために、早期に各地域における数値目標を設定する必要があるし、今の現段階でそういった数値はあるのかという質問なんですけれども、恐らくこの後もこういった御質問をされる方はおられると思うんですね。

 次にお聞きしたいのは、この独立行政法人は、主たる業務として広報啓発活動をやられるということなんですけれども、もう一度また数値の話を、具体的にありやなしやを聞いていきたいと思うんです。

 この法人が年間に何件ぐらいの広報イベントや地域フォーラムを開催し、そして参加者の数値目標をどの程度に設定することを想定しているのか。また、それらの活動がどういった層にリーチする設計になることを期待しているのか。現段階で議論があったり、決まっていることがあれば、お聞きいたします。

三原国務大臣 委員御質問の数値目標ということでありますけれども、女性教育だけではなく、男女共同参画全般を広く進めていくということでありますので、女性だけでなく、男性の様々な課題というものも進めていくということでありますので、単に何々の数字というようなことは今は考えていないということでありますし、それぞれの地域によって本当に格差がございます。そうしたところを、押しつけるということではなく、今よりも機構の力を発揮して、今のセンターを力強く強化、後押しをしていくということが今回の法案の趣旨に当たるのではないかなというふうに考えております。

 そして、女性と若者に選ばれる地方として、地方の女性活躍を後押しするということの中には、人々の中にある、先ほどもお話ししました固定的な性別役割分担意識ですとかアンコンシャスバイアスを解消することが重要でありまして、そうした大きな意識の変革を促すためには、大胆な変化が必要だということを考えております。

 地域住民にとって、センターという身近な存在であります。このセンターがまず変わることで、各地のセンターを通じて、地域の男女共同参画に関する意識の変化につながる広報啓発ということも進めていくことが必要だというふうに考えております。

 センターの変化のための取組を機構が密接な連携の下に、先ほども申し上げましたけれども、後押しをして、そして、家庭ですとか職場における性別役割分担意識や男女共同参画に対する理解度、こうしたものを、ワークショップなどを通じて行動変容につなげていけるかどうかなどを指標として、効果の点検とか評価を行うということは大切だというふうに思っております。

 そして、それに必要な広報啓発手法を提供していく、好事例の横展開ということもそうでありますけれども、そうした啓発活動ということに取り組んでまいりたいというふうに考えています。

伊東(信)委員 大臣の御熱意とかお考えとかは非常に伝わってきております。それに今回の政府の方針とか今の議論がついていっていないという言い方はちょっとあれかもしれないですけれども、やはり大臣の方が多分意識的には先に行っていると思うんですね。その点で、これからの検証をということで、大臣も懸念されておりますけれども、一過性で終わらないようにするためには、やはり検証というのは必要だと思うんですね。

 もちろん、過去の反省に基づいて今回の法案があると思うので、確認になりますけれども、これは文部科学省の参考人の答弁になるかなと思うんですけれども、NWECの現在の施設利用状況で、どれほどの利用実績があって、それに見合った効果が得られていると政府は評価されているんでしょうか。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI事業を導入しました平成二十七年度から、新型コロナウイルス感染症の流行前である令和元年度までにおけるNWECの施設利用率は、平均で約五〇%ということになってございます。また、新型コロナウイルス感染症が五類に移行して一年経過しました令和六年度における施設利用率は、約三三%ということになってございます。

 こうした利用率になってございますけれども、参加された方の満足度というものは高いということで評価をしてございます。

 以上でございます。

伊東(信)委員 五〇%、三〇%で、けれども、満足度が高いという評価もちょっといかがなものかなとは思うんですけれども。だからこそ、今回の法人の必要性がというか、改革の必要性があるんじゃないか。やはり抜本的に改革したいという大臣の気持ちを、私は党が違うんですけれども、もうちょっと酌んでいただいた方がいいんじゃないかなとは思うんです。

 先ほどの大臣の御答弁の中に、いわゆる地域の意識があったり地域での男女の役割分担みたいなところがあったりとか、地域社会のいろいろな課題があったりすることが地域の転出というところがあると御指摘があったんですけれども、とはいえども、前提として、都市部への流出の原因というのも、やはり就業機会の不足に根本的な原因もあるんじゃないかという指摘がございまして、そういったところを踏まえてお聞きしたいと思うんです。

 だから、単に啓発活動だけでは解決に至らない構造的な課題もあると思うんですけれども、実際、身も蓋もない言い方をすると、広報活動や研修だけでは、やはり地域の雇用環境というのは変わりませんよね。やはり現場で女性が生活と仕事を両立できる基盤づくりに今回の法人がどう関わっていくのか、地方に生きる女性たちの声に応える存在として本法人が機能するためにどのような具体的な策を講じるのか、その見解をもっと詳しくお聞きしたいと思っております。

三原国務大臣 具体的にどのような意識改革につなげていくのかということであります。

 これは、機構からセンターを後押ししていく、そして、そのセンターもしっかりと法律で位置づけるということがやはり大切なことでありまして、その設置、運営に関するガイドラインということを策定するというふうにしています、先ほど来お答えしているとおりでございますが。

 このガイドラインにつきましては、これを丁寧に周知、助言をするということ、そしてまた地域のセンターの変化を促したい。やはり機構でのノウハウ、専門的な知見というものがたくさんありますので、そうしたことをしっかりと周知をして、助言をして、変化をしていただく。そしてまた、男女共同参画に対するその地域の意識変革というものにつなげるために、様々な政策をガイドラインにまず落とし込んでいきたいというふうに考えています。

伊東(信)委員 そういったお考えがある中で、今回の新しくできる本法人はどうなるかということなんですけれども、実際、研修を担う担当者とかは少人数とお聞きしております。予定している研修体制、全国にアウトリーチしていくんですけれども、やはり担い手不足は否めない状態ではないかなと。これで十分な規模かどうかということに対して、ちょっとその具体的な根拠をお聞きしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、研修の担い手というお話をいただきました。

 まず、新しい機構では、オンライン研修なども活用いたしまして、各地の方々がオンラインで受講できるような体制を取っていきたいと考えております。

 また、各地に職員が出向いていくということも考えておりますけれども、機構の職員が全て担うということではなくて、まず、機構が各地のセンターの方々に対する研修を行って、センターの方々、職員の方々の理解を深めていくということを考えております。そういった方々がまたその地域で研修の担い手になっていくということを考えてございます。

伊東(信)委員 いわゆるオンライン研修とかもあると思うんですけれども、やはりそういった今までのノウハウがある優秀な人材であるからこそ各地に出向いて研修ができる。それがオンラインで代替できるということは分かるんですけれども、やはり単発であってはいけないというか、研修の大切さは私自身もよく分かっているつもりなんですね。

 私は、今、主に高齢者の方とかの手術をする外科医なんですけれども、医師としてスタートしたときは小児外科から始まったんですね。いろいろ各地で研修を受けました。

 あるときに、大阪なんですけれども、広島で、指の切断を顕微鏡でつなげる、そういう研修を受けたんですね。そういった分野があるんですけれども、血管とか神経をつなげる研修を受けました。講義のときに、有名な先生が、今日研修に来ていただいた方は、今後、何か困ったことがあれば、三百六十五日二十四時間、ホットライン、電話番号を教えるから、いつでも電話してくださいと言うていただいたんですね。これは非常に安心材料になったんですね。

 何が申し上げたいかというと、本当に今回も地方の方々、研修された方にとって、単発じゃなく、やはり研修後のフォローアップ体制、スキルの維持向上をどう担保するか、研修を受けた方が孤立せずにネットワークとして継続的に連携できるか、その体制の整備、どういった体制があるのかというその見通しをお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 研修につきまして、いろいろな分野別、またセンターのどのお立場にあるか、いろいろな職員の方々の働き方、ポストもございます。その方々に応じた研修のプログラムを作っていくということを考えておりますのと、受けていただきましたら、その認定をするということをいたしまして、それぞれの方々がどのような知識を持っているかということが第三者からも分かるような形をつくっていきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 そういった中で、いわゆるノウハウも人材もあれば、資料もあるということでお聞きしているんですね。

 先ほどちょっと病院の話をしましたけれども、元々小児外科をやっていますと、生後三か月から私は手術をしまして、育成医療で、二十歳を超えるまでずっと診ていくわけなんですね。カルテの保存義務は五年間なんです。デジタル社会で、今医療のDXも進んでいる中で、そういったところですぐ見られたりもするんです。

 二十年前のカルテとなると、保存義務がないので、ないんじゃないかというと、あるんですね。大学病院の地下四階まで行くと倉庫があって、段ボール箱の中にあります。それを何百人、何千人見ていって統計を取ったりするわけなんですけれども、昔のカルテはカーボン紙で複写して、また昔の大先生は字が汚い。もう読めないんですよ、カーボン紙で。だから、こういうのも本当にデータ化していってほしいなとやはり思うんですね。

 全ては無理にしても、今回の資料に関して、本当にいわゆる骨董品と言ったら言葉が悪いけれども、そのもの自体に価値のあるものもあろうかと思うんですけれども、政府は、資料の電子化、デジタルアーカイブに関してやはり具体的に計画を持ってほしい。

 それを選別するだけでも莫大な時間がかかるんですけれども、それもやはりAIによるデータ解析とか情報検索の高度化を視野に入れたりする、こういった取組も必要だと思うんですけれども、現在の取組状況や今後の見通しを聞かせてください。

三原国務大臣 各地のセンターの図書や調査研究業務等の効率的なそういう進展を図るために、国立女性教育会館において保管されている史資料の円滑な利活用を実現できるように、今委員御指摘のデジタル化の対象や方法、そしてコスト、円滑な利用方法の在り方等について、これは令和六年度の補正予算で調査研究を進めているところでございます。

 史資料の中には、これまで女性関係施策に携わってこられた方の直筆の書簡ですとか、また、現物であることに意義があるという歴史的な資料なども含まれますので、これは著作権法を遵守しつつ極力デジタル化を進め、より史資料が有効に活用できる方法、これを検討してまいりたいとも思います。

 また、センターにヒアリングを行ったところ、日々の業務で参考となる信頼性のある情報を容易に得られる情報システムへの高いニーズがあったということですので、現在、機構やセンターが相互に情報を交換、共有できる機能や、センター職員の日々の相談業務に関する疑問に対して、委員御指摘のように、AIによる応答システム機能も備えた情報プラットフォームの構築、こうしたものも検討しているところでございます。

伊東(信)委員 御指摘をしたように、直筆の、いわゆるそのもの自体に価値があるもので、そのものを残しておきたいということも分かります。AIも含めて、デジタル化を推進していただいていることも分かります。

 ちょっと時間がないから、政府に、何%ぐらいの電子化とかAI連携システムを構築する予定か、スケジュール感や予算配分についてお聞きしようと思ったんですけれども、これを見ると、あと一分ぐらいなところですので。

 本当に今回の法案の肝になりますので、どちらかというと、これを深く世間の皆さんに、国民の皆様に理解していただくには、やはり透明性の高い根拠説明と成果指標の提示が不可欠だと思うんですけれども、今回の法案を作るところの立法事実、そして新法人設立による効果、改善を示す根拠というのを最後に改めてお聞きしたいと思います。

黄川田委員長代理 時間が来ていますので、短めに答弁をお願いします。

三原国務大臣 やはり地域において様々な格差、そして固定的性別役割分担意識の解消など、そうしたことを踏まえた細やかな取組というものをしていかなければならない。その上で、機構が担う責任というのは大変大きなものがございます。そして、センターが拠点となって、それぞれの地域、それぞれの自治体によってそうした連携、協働する、そして機能を強化していくということが必要なんだというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、男女共同参画というものを進めるための機構への御理解というものをお願いしたいと思います。

伊東(信)委員 時間ですので、終わります。ありがとうございます。

    〔黄川田委員長代理退席、委員長着席〕

大岡委員長 次に、菊池大二郎君。

菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 何か委員会のたびに、私、山形、山形と言っているような気がしますけれども、先日、五月の末に山形県も人口が百万人を切りまして、東北では二番目になりますかね、いよいよ百万人を切ってきたなというところで、先ほど来、委員の皆さんから御質問の中で、大臣からも御答弁ありますけれども、やはり女性を中心に地方から転出をしているというトレンドが、その傾向が弱まって、減退をして、地元でも活躍できるんだというような逆のトレンドをつくっていくという意味でも、無意識な性差別、そういったものを解消していくというのは非常に重要である一方で、非常に重い課題だなというふうに心得ながら質問していきたいというふうに思います。

 先般、政府から示された経済財政運営と改革の基本方針二〇二五の原案にも、地方創生のくだりのところに、「男女ともに働き、ともに子育てをする「共働き・共育て」が一般化した「若い世代の変化した意識」と、「男は仕事・女は家庭」等の固定的な性別観に関わるアンコンシャス・バイアスが残る「職場を含む地域社会」との間のギャップが、若者や女性の地方からの転出行動につながっている面があるため、若者や女性にも選ばれる地域づくりを行うことが必要である。」と明記をされております。

 そういった明記をされた思いをより具現化していく施策を展開していくという姿勢を更に望んでいきたいなというふうに思います。

 それでは質問させていただきますが、いろいろと重複しているところもありますので、御答弁においては、ちょっと先輩方、先ほど委員の先生方が質問されて、漏れているようなところもあれば補足していただくような答弁をお願いしたいというふうに思います。

 男女共同参画のための総合的な施設として、地域の様々な課題に対応するための実践的活動を行っている男女共同参画センターは、四十五都道府県に四十九施設、政令指定都市全二十市に二十九施設、市町村単位では二百七十市町村に二百七十一施設、設置されておりますが、こうした施設運営や各種取組を支える予算、人材の配置、また職員の処遇、こちらは、非正規だったり給与も低いのではないかなというふうに推察するわけでありますが、そもそも、男女共同参画を訴えるに足る、リードするだけの組織になっているのかどうかをしっかり見ていく必要があると思います。

 この点、山形でいえば、チェリー、サクランボと、エリア、場所を組み合わせた愛称チェリアを拠点に、男性の意識啓発事業、男性セミナーや、女性の人材育成事業、チェリア塾を開催するなどの取組を実施しておりますが、どの地域においてもかなり苦しい財政及び人材配置、処遇の中で対応されているのではないかと思います。

 より推進力を持って事業を展開していくためには、それ相当の環境整備が必要になってくるものと考えます。

 そこで、職員の処遇や予算等の現状、及び各センターでどのような取組を展開され、その効果を発揮してこられたのか、まずは整理をさせていただきたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の男女共同参画センターにつきましては、法律上の根拠がなく、地方公共団体が条例等により設置、運営をしており、その名称や目的、人員体制、予算、事業内容等は様々となっております。

 令和五年度に有識者によりますワーキンググループにおいて実施した調査によりますと、市区町村のセンターの総予算の平均金額は約二千二百七十六万円となっております。職員の総数は二千三十七名で、このうち非常勤の有期雇用の方が約四割を占めまして、職員の給与も相対的に低くなっております。

 先ほど男女共同参画センター、山形県のことをお話しなさいました。ほかの例で申し上げますと、例えば、川崎市の男女共同参画センターでは、女性起業家の支援として起業プラン作成支援講座ですとか、起業家向けの各種相談会を実施されております。埼玉県の男女共同参画推進センターでは、若年女性が抱える困難など、地域の課題解決に向けた調査研究を実施されているということを承知をしております。

菊池委員 推進する側をどう強化していくかということが非常に重要であろうと思います。

 こうした各自治体の現状を踏まえて、まずは、男女共同参画機構が果たすべき役割、機能とは具体的にどういったものになるのか、改めて確認をさせていただきたいと思いますし、また、機構と各地域の男女共同参画センターを始めとする関係機関との連携手法、これまでの施設を拠点とする考え方から転換をしていくわけでありますが、及び関係省庁との役割分担などの体系化、こちらは恐らく、機構は、情報収集だったり分析機能を担っていくことに加えて、企画立案も担っていくのではないかなというふうに思いますが、そういった場合に、各省庁とどのように連携関係、そして体系化していくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの国立女性教育会館は、施設を設置しまして、女性の資質や能力の向上など、女性教育を振興することで、いわば間接的に男女共同参画社会の形成を促進してまいりましたけれども、新しく設立を考えております男女共同参画機構は、男女共同参画施策を直接かつ総合的に推進することになります。

 法人の主たる業務、これまでの研修施設の運営、また当該施設における研修から、各地の男女共同参画センターを拠点とした地域における連携と協働の促進や、場所にとらわれない人材育成等へと転換しますことで、男女共同参画の中核的な機関として積極的に役割を果たしていくこととなります。

 委員御指摘のように、今後、男女共同参画機構ですけれども、各地域の男女共同参画センターと連携、協働いたしますほか、関係省庁とも密接に、緊密に連携を図りまして、地域におけるネットワークの形成を促進し、男女共同参画に関する課題解決のための取組が全国に展開されるように、その取組を進めてまいりたいと考えております。

菊池委員 大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 機能強化に当たっては、様々な展開を、展開し得るだけの人材確保や人材育成、予算措置が不可欠であります。実際に、男女共同参画機構が取り組む事業も新規にわたる部分が非常に多いと思っております。また、各都道府県等における男女共同参画センターにおいても、法律で位置づけられることから、現状のままの体制では一層の負担となってしまうのではないかと危惧するところであります。

 そこで、機能強化等に資する人材の確保、これは新たに採用をどういうふうな考え方を持っていくかというのも非常に重要だと思います。そしてまた、処遇の改善、先ほど御答弁ありましたけれども、推進する側自身が、やはり職員体制や働き方改革等において、男女共同参画のシンボル、強いメッセージを示すようなものでなければならないと思います。そして、より積極的な取組を後押しし得るだけの予算の確保についてどのようにお考えか、大臣にお伺いしたいと思います。

三原国務大臣 機構の運営費交付金につきましては、機構が男女共同参画施策を総合的に推進するという中核的機関として、また全国各地のセンターの取組を強力に支援するセンター・オブ・センターズとして、その機能を適切に発揮するために必要な予算、これは確保すべく、今後しっかり調整してまいりたいと考えております。

 また、人材につきましては、女性教育から男女共同参画全般へというふうに広がって、ネットワーク形成の推進や各地域のセンターへの支援といった新たな事務を担うことになる、先ほど委員御指摘のとおりでございます。行政の効率化にも配慮はしつつ、機能強化に必要な人員を配置できるように、ここも努力をしてまいりたいと思います。

 そして、センターにつきましては、本法案で関係者相互間の連携、協働の拠点というふうに位置づけられます。地方公共団体には、そのための体制確保に努める義務というものが課せられますので、まずは、各地方公共団体において、各地域の課題やニーズに応じて、センターの体制や事業、そして必要な予算措置について、これも御検討いただきたいというふうに考えております。

 政府としても、新たに設立されます機構とともに、センターの職員の専門性向上に向けて、その資する研修プログラムですとか必要な情報を提供することで支援をさせていただきますし、また、地域女性活躍推進交付金を始め、センターの事業に対する財政的な支援も力を入れていきたいと思います。

菊池委員 続いて、ジェンダーギャップ指数の分野でちょっと話を展開していきたいなというふうに思いますが、私も橋本委員と同じ感覚で、自治会長の状況をお伺いするつもりでおりましたので、ちょっと私の思いなんかに触れる程度にとどめたいなと思いますけれども。

 やはり、政治の分野で非常に我が国は後退をしているというか数字が悪いわけでありますけれども、政治を行政という分野に置き換えた場合に、実際、私の地元を見ても、老人クラブ連合会とか例えば芸術連盟のそういった団体とかはまだ比較的女性の方が会長さんになられたりしているんですよね。ただ、自治会長さんというとやはり、私も肌感でいうと女性の方は誰もいないよなという数字が先ほど橋本委員が提供した資料に載っておりまして、山形県が非常に悪かったので、逆に触れなくてよかったかなという気もしますけれども、それを一つ数字としてどういうふうに受け止めて、そしてまた施策を展開していくかというのも非常に重要だと思います。

 実際、公民館とか、先生方も利用される機会は多いと思いますけれども、公民館で例えば懇親会なんかやりますとか、地元で催事、イベントがありますというと、お母さん方は大体調理場で料理をして、実際の、一升瓶を構えて湯飲み茶わんにどおっというのは男性陣が後から来て、お母さん方は調理場から絶対に出てこないみたいな、私たちはいいのよみたいな、そういう感覚というのも、田舎の方こそ、地方の方こそやはりあるなというのをすごく感じます。

 こういったところからやはりいかに振るわせていくかというのが非常に重要だと思いますので、私も橋本委員と同じ気持ちで、是非大臣にその思いをお伝えしておきたいというふうに思います。

 そこで、これはちょっと古いんですけれども、二〇二四年四月に内閣府から示された資料を見ると、ジェンダーギャップ指数と出生率の相関関係、並びに男女の労働時間、男性の育児、家事等労働時間割合、女性の労働参加率と出生率の相関関係が示されておりまして、ジェンダーギャップ指数が高い、いわゆる男女格差が少ないと言われる国、例えばフィンランド、ノルウェー、スウェーデン等は出生率が高い傾向にあると言えます。また、主要国の男性の労働時間を見ても日本が最も長いクラスでありますし、その反射的効果として、主要国の男性の家事、育児等の労働時間の割合は圧倒的に我が国は低いという状況になっております。

 加えて、注目すべきなのは、ドイツは、女性の労働参加率の上昇と出生率の改善を同時に実現をしていると言えまして、他国の状況や取組を参考にして施策に反映していくことも大切だと思います。

 いずれにしても、とりわけ現役世代において、時間をいかに確保していくか、時間をいかに有効活用していくかが問われているんだろうと思います。時は金なりといいますけれども、時間はお金で買えませんから、それ以上に貴重なものだということで、この点、先般、一般質疑で市來さんが放課後児童クラブのお話をされておりましたけれども、この放課後児童クラブ、学童の機能強化は私もすごく注目しておりまして、機能強化によって、子供を取り巻く保護者や学校教育現場の負担を軽減していく。負担を軽減していくということは、時間を生み出していくということに資すると私は考えます。

 実際、待機児童解消という部分も非常に重要ではあるんですけれども、私の地元でいうと、小学校が統廃合をどんどんしていっておりまして、どちらかというと一つの拠点に児童が集中せざるを得ないという状況になっておりまして、居場所という性格ももちろんあるんですけれども、一種の、第二の学校というような環境に似てきているかなという思いがあって、そういった意味では、健康だったり医療だったり福祉、安全対策を備えた拠点づくり、それぞれの独自の取組を後押ししていくことが求められると思います。

 その点、地域の実情や現場ごとに異なるニーズに合ったフレキシブルな支援を実施していくことが子育て世代の時間確保につながると考えますが、学童の機能強化についてお伺いしたいと思います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童クラブにつきましては、保護者が労働等により昼間家庭にいない子供を対象として、遊びや生活の場を提供する事業となっております。基本的には、保護者が就業している時間において子供の預かりを行っているものになりますので、女性の労働時間以外の時間を確保する観点から放課後児童クラブへの支援を行うことは必ずしも事業の趣旨になじむものではないと考えておりますが、こども家庭庁としては、放課後の子供たちに安全、安心に過ごせる居場所、豊かな時間を確保する観点から支援を行っているところでございます。

 例えば、開所時間について、平日十八時半を超えて開所する場合の支援を行っているほか、放課後児童クラブを利用する子供が多様な活動に参加できるよう、放課後子供教室の活動プログラムへの参加も促しているところでございます。

 引き続き、共働き家庭等の子供が、地域の実情に応じまして、安全に安心で過ごせる放課後の居場所となるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

菊池委員 時間も迫ってきましたので、最後、大臣に一つ提案というか、私なりの思いをお伝えして、御答弁いただきたいというふうに思います。

 性別によるアンコンシャスバイアスの解消は非常に重要でありますし、具体的にどのような取組を展開していくかが問われております。一方で、今、時間の話をしましたけれども、個人や家庭の時間を更に確保すればするほど、地域社会の担い手が不足するというジレンマもあります。

 先日、私の地元でも、すぐ近くで住宅の火災が発生しました。深夜だったということもありますけれども、その地域はより消防団員、特に若い方、現役世代の方の団員さんがいらっしゃらなくなって、非常に消火体制というのも少し弱くなっているということも地元の方から聞きました。

 男女共同参画のみならず、地域に参画することに社会的かつ経済的な価値、これは評価とも言い換えられるかもしれませんけれども、そういった価値を新たに創造して、地域で働く、学ぶ、そして子育てなどが互いに結びつくような地域のエコシステムを構築していくことが非常に重要ではないかと思います。

 例えば、男女共同参画を進める企業、団体を評価するシステム、地域に参画すること、人を評価していく。男女共同参画に取り組む企業を評価するとなれば、例えば税制等のインセンティブを付与していくとか、そして、その取組の効果として、これだけ人材獲得が激化する中において、そういった男女共同参画に取り組む企業に私も入りたいというような、人材採用というところも効果として生み出していく。例えば、さらには、地域に参画する人を評価するというのは、自治体や同一圏域で様々な場面で使用できるような地域版通貨、ポイントなのかはあれですけれども、そういった価値を付与して、消費だったり学びの機会創出につなげていく。

 思うに、地方にこそ強く残る無意識な性差別を解消していくためには、啓蒙啓発だけではおよそ難しいんじゃないかと思いますし、かなり強い力で社会実装を目指していかなければいけないと思います。

 そこで、男女共同参画や地域の維持を両立し得る社会を築いていくためにどう取り組んでいくのか、実際の取組があれば、それらを好事例として更に磨き上げ、横展開していくことも機構設置を契機に必要ではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

三原国務大臣 性別にかかわらず誰もが地域活動に参画できるようにすること、これは、地域社会を活力があって持続可能にするという意味でも大変重要だというふうに考えております。

 今般の法案でも、各地域のセンターが、行政はもちろん、企業や学校、自治会、町内会、消防団、NPO、様々な関係機関、団体と連携、協働することで、男性も女性も、職場、家庭生活、地域、その他あらゆる場面で活躍できるよう、環境整備を図っていくということを目指しています。

 センターが地域の課題やニーズを把握した上で必要な取組を進められるように、国としても、機構を中心にしっかりと支援していく仕組みを設けたいと考えております。

 今いろいろと御提案をいただきました男女共同参画に熱心な企業に対するインセンティブであるとか人に対するインセンティブであるとか、そうしたものを今御提案をいただきましたけれども、地域のネットワーク構築の支援や研修、そしてまたノウハウを提供するなど、具体的な支援も強化していくことで男女共同参画社会の形成を着実に推進していかなければならないと思いますので、今御提案がありましたことも踏まえて、いろいろと考えていきたい、前へ進めてまいりたいと思います。

菊池委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 以上で終わります。ありがとうございます。

大岡委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 男女共同参画社会基本法の施行から二十五年。国の実施体制を強化するために、男女共同参画に関する施策を総合的に行うナショナルセンターとして独立行政法人男女共同参画機構を新設し、同機構にセンター・オブ・センターズとしての機能を今回付与するというふうに承知しております。地域における諸課題の解決に取り組む各地の男女共同参画センター等を強力に支援することで、女性に選ばれる地方づくりを後押しする。

 現状、性別にかかわりなく男女が社会のあらゆる分野に参画し、その持てる力を発揮できるように推進するとして幅広い事業を行っていると承知していますが、今回、名称といいますか、場所的にも、国立女性教育会館、NWECから変更になりますので、これを機に男性層へのアプローチも更に強めるチャンスだというふうにも思います。

 そこで、業務として一番目に国民の理解を深めるための広報啓発活動が掲げられていますが、従来の啓発活動との違いや、特に男性層やまた若年層へのアプローチの工夫についてどのように進められていくのか、お伺いいたします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな機構におきましては、法人が保有する史資料も活用しながら、固定的な性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスの解消に向けた広報、男女共同参画社会の形成の促進に関する各種制度の周知など、男女共同参画施策を総合的に推進するためのナショナルセンターとして、国民の理解を求めるための広報啓発活動を行う予定です。

 また、これまでの国立女性教育会館の業務は女性教育に主軸が置かれていたため、今後は、男女共同参画センターや学校との連携も通じて、男女共同参画という考え方を身近な生活に引きつけて分かりやすく伝えていくこと、センターが学校に直接出向いて出前講座を実施したり授業に外部講師として参画することといった形での広報も考えられるところでございます。

 委員御指摘のとおり、広報啓発を実施するだけでなく、その効果の把握も必要と考えております。今後、機構の中期目標やセンターの設置、運営に係るガイドラインを策定する際には、広報啓発が具体的な意識改革や行動変容につながったのかどうかを把握し、KPIを設定することなども含め、検討を進めたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 学校への働きかけということで、本当に早い段階からそういった考え方をしっかり子供たちの中に浸透させていくということは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、法案の趣旨にも、我が国の男女共同参画の現状として、意思決定過程への女性の参画、女性の経済的自立等になお一層の努力が必要とありますが、意思決定過程への女性の参画や女性の経済的自立の実現に向けて機構としてどのような新たな取組を行う予定なのか、また現状の課題認識と併せて大臣にお伺いいたします。

三原国務大臣 委員御指摘の、意思決定過程への女性の参画や女性の経済的自立の実現は、大変重要な課題であると考えております。

 新たな機構は、センターに対し、センターが地域の実態を把握し、地域の課題に応じて、各種課題へ対応するための先進事例ですとかノウハウ等を提供するなど、強力に支援をし、その底上げを図ることによって、御指摘のような男女共同参画に関する課題の解決に貢献していくものと考えております。

 具体的には、機構において、各地のセンターにおいて必要な調査を行うための調査手法等を提供するとともに、地域が抱える課題に応じて、地域において起業を行おうとする女性への起業セミナーの継続的な開催などの支援、また、女性管理職登用の促進に向けた企業における女性の管理職育成講座、女性の政治参画を進めるための地域リーダー研修などを行えるように、専門人材とのマッチング、また研修プログラム教材の提供、アウトリーチによる研修等を行っていく予定でございます。

 本法案によって、意思決定過程への女性の参画拡大、女性の経済的自立に向けて地域の取組を加速させていきたいと思っております。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 先ほど菊池委員から山形のお話がありましたけれども、私の地元高知県は、人口減少対策を最重要課題として、若者や女性に選ばれる高知の実現を掲げ、様々な戦略を展開しています。人口減少対策のマスタープランである高知県元気な未来創造戦略では、特に若年層や女性をターゲットにした移住、定住促進施策を強化し、県外からのUターンやIターンを積極的に推進しております。若い女性の流出が進むことで婚姻数や出生数が減少するという課題認識の下、魅力ある仕事の創出や働きやすい環境づくり、固定的な性別役割分担意識の解消、共働き、共育ての推進など、若い女性が住みたいと思える町づくりに力を入れています。

 そこで、こういった動きは今全国的に見られる動きだと思いますが、男女共同参画機構の設立が女性に選ばれる地方づくりや人口減少対策にどのように寄与するのか、地方自治体との連携や人口動態への波及効果についてお伺いいたします。

三原国務大臣 先ほども答弁しましたけれども、内閣府が昨年実施した調査では、女性が出身地域を離れた理由として、希望する進学先や就職先が少なかったことのほかに、地元から離れたかったことや、親や周囲の人の干渉から逃れたかったこと、こうしたことが挙げられております。これらの背景として、都市部と比較して、やはり地域には固定的な性別役割分担意識や性差に関する偏見がいまだ根強く存在しているということなんだと思います。

 現在、地域のジェンダーギャップに注目をしてその解消に積極的に取組を進めている地方公共団体というのは本当に限られているところでありまして、機構において、そうしたセンターを拠点とした関係機関、団体とのネットワーク形成の支援ですとか、地域の男女共同参画に関する課題の把握、分析、また研修プログラムの提供、アウトリーチによる研修の実施、こうしたことを通じて、各地域における課題やニーズに応じた取組の展開を進めて、やはり、女性に選ばれる地域、これが、今委員御指摘の、人口減少、様々なことにやはり寄与しているのではないかと言われております。そうしたことの解消に向けて、しっかりと実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 自治体の方も本当に最重要課題で取り組んでいくし、ますますそういったニーズが増えてくると思いますので、何とぞ、センター機能としてのまた活躍をお願いいたしたいと思います。

 次に、そういった様々な機関との連携が大切だということが今御答弁の中でもありましたけれども、やはり、男女共同参画の推進には、民間企業やNPOなど多様な主体との連携が不可欠であると思います。国の基本計画や内閣の方針でも、やはり、国、地方公共団体だけではなく、企業、NPO、NGO、大学、労働組合など幅広い組織や団体との連携が必要であると明記されております。

 そこで、男女共同参画の推進には民間企業、NPOなど多様な主体との連携が不可欠ですが、本機構は、どのような形で民間との協働を促進し、イノベーションや新しい取組を生み出していくのか、お伺いいたします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 男女共同参画の課題は、家庭生活、職業生活、地域コミュニティーなど、社会のあらゆる場面において存在するものであるところ、課題の発見と解決のためには各地域における幅広い関係者が連携、協働することが重要でございます。

 そのため、男女共同参画センターを中心として、企業や経済団体、学校、NPO等への研修や、様々な関係者とともに地域の課題を考えるワークショップの開催など、地域の関係者が相互に課題を共有し、その解消に取り組む機会をつくっていくということが想定されます。

 こうした取組を支援します観点から、機構におきましては、センターに対してノウハウや先進事例を提供し、民間企業やNPOを含めた幅広い関係者、団体との連携、協働を促してまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 次に、男女共同参画の枠組みの中で、LGBTQプラスなど多様な性の視点や包摂的な社会づくりを進めていくことは非常に重要です。性的少数者への理解促進や差別解消は、国連の勧告でも日本の課題とされています。各地方でもパートナーシップ制度の導入支援や職員向けの多様性理解研修などが進められており、こうした取組は、誰もが自分らしく生きる社会づくりのために不可欠であります。

 そこで、男女共同参画の枠組みの中で、LGBTQプラスなど多様な性の視点や課題などをどのように取り入れ、包摂的な社会づくりを進めていくのか、具体的な取組や指針についてお伺いいたします。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 男女共同参画社会の実現と性的指向及びジェンダーアイデンティティーの多様性に関する国民の理解増進につきましては、性別にとらわれることなくその個性と能力を発揮することができる社会の実現という観点においては共通する部分もあります。

 一方で、課題、背景、国民の理解に関する達成状況については異なる部分も多く、経済分野や政治分野における女性の参画や女性の経済的自立など、男女という視点で把握すべき課題、取り組むべき施策もいまだ多いと考えております。

 新たな機構や男女共同参画センターは、一義的には男女共同参画社会の形成の促進のための機関ですが、広く住民に開かれた存在として、性別を理由とした困難に直面している全ての住民の課題に寄り添っていくことが重要であるため、今後策定いたしますセンターの設置、運営に関するガイドラインにおいてもどのような記述が可能か検討してまいります。

山崎(正)委員 最後に、グローバルな男女共同参画推進の潮流を踏まえ、国際機関や他国との連携、また日本の取組を世界に発信していくことも重要だと考えますが、そういった面の戦略や、国際的な評価を高めるための方策についてお伺いいたします。

三原国務大臣 男女共同参画に係る国際的な連携等については、男女共同参画基本計画及び女性版骨太の方針にも基づき、国連等の国際会議や多国間協議の場において我が国の経験や取組等を共有することによって、ジェンダー平等、女性のエンパワーメントに係る国際合意を含む国際的な取組方針の決定過程への貢献を図っております。

 例えば、二〇二三年に日本が議長国として栃木県日光市で行われましたG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合では、女性の経済的自立をテーマに掲げまして、企業における女性登用の加速化や女性起業家の支援、促進などについてアピールをさせていただきました。こうした議論が閣僚声明に反映されまして、女性の経済的エンパワーメントの観点から、デジタルジェンダー格差の解消などにも、国際的潮流の形成に貢献をいたしました。

 日本も、WPSの観点を踏まえた防災分野における女性の参画拡大も掲げておりまして、一層の貢献を示していくこととしております。

 今後も、国際機関や他国との連携、国際的な取組、しっかりと積極的に関与してまいります。

山崎(正)委員 最後に、女性の政治家や企業幹部の割合の上昇を聞こうと思いましたが、時間となりましたし、ほかの委員からも御質問がありましたので、以上で質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 もう何人も先行されて委員の皆さんにいろいろ言われてしまいましたので、ちょっと第一問目を飛ばして、第二問目から行きたいと思います。

 まずは、ジェンダーギャップ指数についての確認で、これもほかの方もおっしゃっていたんですけれども、三原国務大臣にお尋ねします。

 男女共同参画政策の前進とジェンダーギャップ指数の評価というのは連動している、あるいは関係があるというふうにお考えでしょうか。そこの確認をお願いします。

三原国務大臣 少なからず関連はしていると思います。

上村委員 ありがとうございます。

 いろいろな方の質問にも出てきましたし、大事だというふうに思っていますが、改めて確認しますと、ジェンダーギャップ指数の二〇二四年の数字というのは、日本は百四十六か国中百十八番目、これはNWECの在り方に関する検討会の報告書が出たのが二〇一二年なんですけれども、それ以来、実は百位から上に上がったことがないという、実際にはかなり、どんどん後退していると考えてもいいぐらいの国際評価になっているというふうに思います。

 このジェンダーギャップ指数の四つの分野というのは、これも私が改めて言うまでもありませんが、政治参画、経済参画、それから教育、健康、それぞれ、一点を満点としているんですけれども、二〇二四年度では政治参画は〇・一一八なんです。これはめちゃくちゃ低いんです。経済参画の方は〇・五六八ですから、真ん中よりちょっと上という感じなんですけれども、特にこの政治参画の指標が非常に低く、この低さが全体的な国際評価を下げ、また今の我々の国内の女性の地位の問題と関係しているとすれば、日本の社会の男女共同参画の推進の障害にもなっているということにつながっていると思います。

 では、そういう意味で、ジェンダーギャップ指数がこの指標をなぜ用いているかということを我々は考えなくちゃいけないと思います。

 それは、こうした政治参画はむしろ社会全体にかなりいろいろなつながりを持っているというふうに国際的には考えられているんだというふうに思います。

 こうした深刻な女性の不利益な地位に関する社会問題に取り組まなくちゃいけないということを考えたときに、本法案が想定している男女共同参画機構、新しい機構の主要な業務が、啓発とか広報活動、それからオンラインでの研修、それから研修・教育プログラムの提供、地域の人材育成、地域のという言葉が何回も出てくるんですけれども、こういうことを考えると、むしろ時代に逆行しているのではないかなというふうなことを思ってしまいます。

 センター・オブ・センターズというのは、キング・オブ・キングスという、ある種帝国の発想です。そういう意味でいくと、各地のセンターを、どうも上から目線で、しかも、オンラインとかテレワークを中心にネットワークをつくるというのは、コロナの時代に考えられたやり方をコロナが終わった後も継承するんだという、ちょっと方法論的に間違っているんじゃないのということを痛切に感じました。ある意味で、私、耳を疑ったといいますか、文章だったので目を疑ったと言った方がいいんでしょうかね、ちょっと日本語能力がないので表現が曖昧なんですけれども。

 その意味でいけば、もちろん、男女共同参画機構が、ネットワークを形成して、こうした政策の前進に資するということはよく分かります。しかし、そうであれば、宿泊とか対面ならではの生き生きとした意見交換、情報交換、人材育成の場となる従来の宿泊研修施設は、むしろ、これからの時代にこそ不可欠な施設ではないかというふうに思います。

 実は最近、私、地元が一応、東海ブロックなので、名古屋の東にある日進市というところがございます、人口十万弱の自治体なんですけれども、そこの市長とちょっとお会いして、お話をする機会があったんですけれども、市議会が、市議会議員二十名中、女性が十名なんです。つまり、我々がこういうところで議論しているパリテが実現している市が日本にもあるんですね。

 その日進市は、そうした女性が半数を占めている市議会の中で、市民活動が大変豊かであり、人口も増加しているんです。当然ながら、税収も増加します。逆に言うと、経済的な面でもいろいろなことができるんですよね。

 そういうことが多分、女性活躍とか男女共同参画の基本であり、その意味で、様々な細かい政策だけではなくて、政治参画が一つのシンボルとしてこういう面においてはとても大事だということを今考えております。

 そういう意味では、今のパリテの問題も含めて、男女共同参画の中心的な課題は、依然として、私は、ナショナルな課題、つまり、ローカルな課題ではなくて、全体として、日本全体をどう考えるのかという考えでいくのであれば、こうした問題を考えるための機構が嵐山にあるという事実に対して、我々はもっとこれを大事にしていかなくちゃいけないのではないかなというふうに思います。

 先ほども、三原大臣、大胆な変化が必要だということでありましたが、オンラインで大胆な議論をすることは難しいです。情報交換だけだったらできますけれども、やはり様々な具体的な政策をやっていくには対面で研修が必要だというふうに思うんですけれども、この辺は大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

三原国務大臣 我が国には、政治分野そしてまた経済分野における女性の参画、女性の経済的自立など、取り組むべき課題が様々、本当に、今委員御指摘のとおり、特に政治分野における女性の参画が課題であるというふうに考えております。

 全国各地で、男女共同参画に関する地域の課題やニーズ、こうしたものを把握して、相互間で連携、協働の下に政策を進めていく中核的な機関となるこの男女共同参画機構が果たす役割、これは非常に大きいものというふうに考えてございます。

 機構におきまして、今、宿泊及び研修施設を自前で保有するということは考えてはおりませんが、今後とも、オンラインだけではなくて、宿泊を伴うものも含めまして、対面での集合研修というのは大変必要であると私も考えております。民間の宿泊施設や会議場等を利用して実施するという、そういう予定もしてございます。

 こうした、各地で研修等を実施していくことで、年齢の若い方や障害をお持ちの方などにとっても、移動の御負担や時間、費用面での御負担が減ることで、むしろ学びの機会を得やすくなるものと考えてございます。

 こうした地域における男女共同参画を推進するための機能、これを機構が最大限発揮をして、単なる施設の縮小で終わったと見られないように、必要な予算を確保すべく、今後しっかり調整してまいりたいと考えております。

上村委員 ありがとうございました。

 若干やはりすれ違っているんですけれども、今大臣おっしゃったように、いろいろな施設は、どう使い勝手があるかということなんですが、やはり国際会議ができるような通訳ブースがちゃんとしている、あるいは、様々な方という場合に、これは高齢者や障害者の方が来られた場合の、バリアフリーになっている施設というのはそんなに多くはありません。そうした意味での御理解というのはよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点お伺いします。

 運営費交付金なんですけれども、NWECが二〇〇一年に独立行政法人化して以来、毎年、この金額が減らされてきました。ちょっとした数字ですけれども、二〇〇一年には七億二千四百万円だった交付金が、二〇二四年には四億七千九百万円、三四%の減少となっています。

 二〇一二年に、先ほどちょっと申しました報告書が、NWECの課題として次のように述べています。ちょっと読み上げます。「宿泊施設等の維持管理に固定的コストを要する一方、国の運営費交付金が削減され、自己収入拡大も限界で、結果的に「ハード」が「ソフト」を圧迫している。」。

 さっきからハードからソフトへという話がありましたけれども、その理由は何かというと、国がしっかり財政支援をしていないという、そのことによって、実はハードの施設が要らないんじゃないのみたいな議論が仕組まれているのではないかなというふうに思います。

 女性政策は重点課題だというふうに誰でもおっしゃっております。日本の国の課題として大事であれば、きちんとした財政政策をやっていくということが必要だと思いますけれども、この辺の経緯に関しては、文部科学省、いかがでしょうか。

橋爪政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、国立女性教育会館の運営費交付金につきましては、これまで文部科学省といたしましても予算の確保に取り組んではまいりましたところですが、結果として、先ほどおっしゃいました、二〇〇一年度は七億二千四百六万円、それから二〇二五年度は五億三千百五十四万円という状況になってございます。

 文部科学省といたしましては、国立女性教育会館がしっかりとその役割を果たせるように、いろいろな取組、検討、PFIの導入なども含めまして様々に、予算の確保に加えまして取り組んできたところではございますが、結果としてこのような状況になっているということでございます。

 厳しい財政状況の中で、文科省としても最大限、いろいろな方策も含めまして努力してきたということで、何とぞ御理解いただければありがたいかと存じます。

上村委員 時間がありませんので、若干少しスライドしますけれども、先ほど市來委員も指摘されたんですけれども、実は、新しい機構ができたときに、本当に予算は大丈夫かということもございます。内閣府がやるから工面するんでしょうが。それから、全国の男女共同参画センターの数も、二〇二二年度をピークにして、今、減少しています。

 こうしたことが、今回の法案の背景からいくと、宿泊研修施設の撤去も含めて、実は、よく見ると、女性の言論の自由とか表現の自由の場がどんどんどんどん奪われているんじゃないかなというふうに思います。これは物すごく本質的な女性政策の課題だというふうに思いますけれども、政府参考人、いかがでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の機構、この法案でございますけれども、国の実施体制をより強化するとともに、また各地での男女共同参画を一層支援するために機構を設立し、機構がセンターを、センター・オブ・センターズ、これはあくまで支援ということでございますが、支援する体制を整えるというものでございます。

 各地のセンターの方々がより活動しやすくなるために、私どもといたしましては、この法案が成立された暁には、ガイドラインを策定いたしまして、各地のセンターの活動の手引としていただけるように策定してまいりたいと考えております。

上村委員 またすれ違いなんですけれども。

 最後にしたいと思いますが、今財政が厳しいからというので、この場でいろいろな議論をしました、機能強化をするんだとかとおっしゃって、実際には機能を解体するみたいな議論が幾らでも出てきたわけですね。

 石破総理は、今年の一月の施政方針演説の中で、コストカット型の社会から価値創造型の社会へ転換をするのがこの政権の目的だということをおっしゃいました。その意味でいけば、財政が厳しい、分かります、でも、重点政策であれば、そこを何とかするのが行政の仕事ではありませんか、あるいは政治の仕事ではないかと思いますが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 機構の機能を、今局長からもありました、センター・オブ・センターズとしての機能を最大限発揮できるよう、必要な予算をしっかり確保すべく、力を尽くしてまいります。

上村委員 ありがとうございました。是非、その点をよろしくお願いいたします。

 では、これで終わります。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 男女共同参画機構法案、同整備法案について質問いたします。

 国立女性教育会館は、一九七七年、国立としては唯一の女性教育を担う施設として、文部省の附属機関として、埼玉県嵐山町に設置をされました。これは、国連が提唱した国際婦人年である七五年に第一回世界女性会議が開催され、各国が取るべきガイドラインとなる世界行動計画が採択されたことや、七九年には国連で男女差別撤廃条約が採択されるなど、女性の権利拡充を求める市民運動の歴史的な動きを受けてのものであります。

 広い敷地に研修棟や宿泊棟、女性、家族に関する専門図書館などを備えた国立女性教育会館は、女性教育の振興を目的に、研修や交流、調査研究などの活動を行っています。

 ところが、政府は、二〇二四年七月、国立女性教育会館の研修棟や宿泊棟、体育施設等の施設について、令和十二年度までを目途に撤去すべく、新法人設立後速やかに関連工事に着手することを目指すと表明しました。

 法案は、その具体化として、研修施設の設置を義務づける現行の国立女性教育会館法を廃止し、新たに設置する男女共同参画機構には研修施設の設置を義務づけないものとなっています。

 会館の研修棟や宿泊棟は、会館が主催する対面での研修の会場として、また市民運動の活動の場として、全国からジェンダー平等に携わる者が集い、共に学び合う貴重な交流の場となってきました。

 自治体の職員向けに会館が主催する相談員研修、災害対応研修、事業企画研修などに利用され、会館による実施報告でその様子が紹介されています。

 例えば、男女共同参画の視点による災害対応研修では、全国から集まった参加者同士で膝を突き合わせて議論を行い、日頃どんな組織とどのように連携、協働しているかについて情報交換したり、更に取組を進めるためのアイデア交換などを行っています。

 また、実技訓練として、実際に体育施設を利用して避難所づくりを体験し、総務・情報班、施設管理班など五つのグループに分かれて、試行錯誤をしながら避難所空間をつくり上げています。段ボールベッドやテントなどの防災物品を使って手を動かしながら行うことで、具体的なイメージや、日頃の積み重ねの大切さなど気づきがあり、理解が深まるということであります。

 能登半島地震などでも避難所運営におけるジェンダー視点の遅れが大きな課題となっている中で、重要なリアルの研修の場であります。会館がこうした研修を全国規模で受け入れて行うことができるのは、研修棟、宿泊棟、体育施設を一体で保持、整備をしているからであります。

 内閣府にお尋ねしますが、今回、このような会館における研修棟、宿泊棟などが機構においてはなくなるということであれば、今後このような全国規模での対面研修はどうしていくんでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 男女共同参画機構におきましては、宿泊及び研修施設を自前で保有することは考えておりませんが、今後とも、オンラインだけではなく、宿泊を伴うものを含め、対面での集合研修は必要であると考えております。

 令和八年度以降における全国規模での対面研修については、各地のセンター等を対象とした、地域におけるネットワーク形成の促進やセンターの運営業務に関する好事例の共有等を行う場、また、自治体やセンター長を対象とした、センターの機能強化のための全国規模の研修などを行う場としての機能を創出できるよう、その在り方を検討してまいります。

塩川委員 ですから、全国規模のリアルの研修は、どこで、どのぐらいの経費で行うということになるんですか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 その都度、必要な場所を確保いたしまして開催することを検討しております。

塩川委員 これは、民間の宿泊研修施設の利用ということが前提ですか。

岡田政府参考人 民間の施設を含めまして、様々な研修の施設、研修といいますか、施設の候補を考えまして、そこから最適な場所を考えてまいります。

塩川委員 会館における研修棟あるいは宿泊棟を使うのであれば低廉な価格で行える、宿泊なども一泊四千ぐらいとかという経費ですから。そういう経費というのが大きく膨らむことに実際なりはしませんか。

岡田政府参考人 宿泊棟、研修棟の維持を行うために、年間、維持費がかかるということも含めて、どのような経費になるかということは考えていく必要があるかと考えております。

塩川委員 維持費云々ありますけれども、リアルな研修でどれだけ多くの知見、交流ができるのか、その重みはやはりしっかり受け止めて、それは経費の問題で解消するような話じゃないと率直に思います。

 同じように、そういったジェンダー平等に係るそういった施設としての研修の取組と同時に、研修棟、宿泊棟は、民間の利用者からも貴重な施設として活用されてきました。

 デンマークの国民高等学校の一つで、エグモント・ホイスコーレンという学校が女性教育会館の研修棟、宿泊棟を利用したということで、障害を持つ生徒が四割、そういう学校における日本への修学旅行の宿泊先として、国立女性教育会館の宿泊施設を利用してきたということが挙げられています。

 修学旅行参加者の四十名ほどのうち七名から九名ほどが車椅子利用者であるため、通常のホテルではなかなか対応してもらえない中、国立女性教育会館の宿泊棟は、車椅子ユーザーの団体も泊まれるようバリアフリー環境が整備をされ、団体で受け入れてもらえるため大変貴重だということでありました。

 さらに、研修棟には調理室もあり、デンマーク料理教室などを通じた地元住民との文化交流も行え、また、川越の散策や秩父の寺院巡りなど、アクセスもよく、海外との文化交流の拠点にもなってきたわけであります。

 コロナ禍で実際には行われませんでしたけれども、二〇二〇年東京パラリンピックの際には、同校の全校生徒三百人の宿泊先として国立女性教育会館に予約が入っていた。こういう企画が可能だったのが、国立女性教育会館が持つ宿泊棟また研修棟の役割があったからこそであります。他に代え難い貴重な施設だった。

 三原大臣にお尋ねします。

 国内のジェンダー格差が深刻な下で、ソフト面の拡大を進めていくことは重要ですけれども、実地での研修や交流を全国規模で、国際規模で行う、そういう取組を更に進めることも重要であります。そのためにも、ソフトだけでなく、研修棟や宿泊棟、体育施設など、ハードも充実させていくことが必要だと考えています。

 その際に、全国規模の研修は民間等も利用して進めていくというお話でしたけれども、そもそも現行あるものをなくすわけですよ。そのまま維持すればいいのに、維持する経費が云々という話をしているわけであります。

 この点でも、研修棟、宿泊棟などの運営を困難にしているというのは、国から国立女性教育会館に出される運営費交付金の減額であります。交付金は二〇〇一年度の七億二千四百万円から二四年度には四億七千九百万円まで、約三割削減をされています。

 政府が行うべきは、会館に対してハードかソフトか二者択一を迫るような話ではなくて、ハードもやりソフトもやると拡充するように、運営費交付金を抜本的に増額することこそ国が行うべきことではありませんか。

三原国務大臣 国立女性教育会館の施設の撤去について様々な御意見があることは承知をしておりますが、施設の利用率というのがかなり低迷していること、そしてまた老朽化に伴い毎年平均して二、三億円程度の修繕費や、警備そしてまた清掃のために多額の委託費を要していること、オンラインの活用やアウトリーチによって各地で研修を行うことでより多様かつ多くの参加者が見込めることなどを踏まえると、男女共同参画機構においては自前の研修施設を保有する必要性が乏しいというふうに考えております。

 このため、国立女性教育会館の機能強化を図るに当たっては、先ほど来お話がありますように、ハードからソフトへの転換、これを進める必要があると考えております。

 会館を機能強化した後におきましては、全国各地、民間施設を活用して、先ほど答弁ありましたけれども、宿泊研修、そしてまた幅広い分野の専門家の協力を得まして調査研究の実施など、特定の場所や方法にとらわれない多様な事業を展開してまいりたいと考えております。

 そのために機構に必要な機能を本館に集約することといたしまして、老朽化した宿泊棟、研修棟、体育施設等の施設につきましては、令和十二年度までを目途に撤去すべく、そして機構設立後速やかに関連工事に着手することを目指すことといたしております。

塩川委員 運営費交付金を三割も削れば維持できなくなるのは当然なんですよ。それこそ見直すことによって、広く研修、宿泊の施設を活用した全国的なリアルの研修の場を保障していく、こういうことこそ本来、抜本的なジェンダー平等の取組を前に進めていく上で必要なことだ、そういった財政措置を後退させてきた国の責任こそ転換をすべきだということを強く申し上げておきます。

 次に、男女共同参画センターについてお尋ねします。

 法案は、現行では法律上明記されていない男女共同参画センターを、関係者相互間の連携、協働を促進するための拠点として法定化をするものですが、一方で、自治体に努力義務が課せられるのは拠点としての機能を担う体制の確保となっています。

 法案は、自治体に対して、物理的な拠点としての男女共同参画センターを設置する、こういう努力義務を課すものとなっているんでしょうか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、男女共同参画社会基本法に位置づけた連携、協働の拠点としての機能を担う男女共同参画センターは、必ずしも固有の施設を伴わなければならないものではございません。施設があれば事業の幅が広がるなど機能を発揮する上でのメリットはありますが、例えば複合的な公的施設の一室を活用することや、役所の男女共同参画主管課が男女共同参画センターとしての機能を担うこともあり得るものと考えております。

塩川委員 固有の施設を伴うものではない、複合施設の一室と。複合施設の一部屋だけあって、それがこういう拠点施設と言えるんですか。

 例えば、埼玉県の男女共同参画推進条例を見ますと、総合的な拠点施設の設置として、男女共同参画の取組を支援するための総合的な拠点施設を設置するものと定めて、実際にWithYouさいたまという男女共同参画センターをホテルの建物に置いて、複合施設の中に施設として確保しているわけであります。ですから、箱物としての拠点施設として条例では決めているんですよ。

 だけれども、今回の法案では物理的な拠点の設置を求めていないんです。こういった規定を国が行うことが、既に物理的な拠点を設置している自治体に対して、物理的な拠点は置かなくてもよいのではないのか、そういうメッセージとなって、こういった物理的な拠点の施設の設置の後退を招くことになりはしないのか、こういう懸念が浮かぶんですが、この点については内閣府はどう考えるのか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、地方公共団体が設置、運営しているいわゆる男女共同参画センターは、法律上の根拠がなく、地方公共団体が条例等により設置、運営しており、その名称や目的、人員体制、予算、事業内容等は様々であり、中には十分な機能を果たすことができなかったものもあるため、今般、その目的や機能を法律上明らかにし、機能の強化を図ることとするものでございます。

 現在のセンターは、単独の施設のみならず複合的な施設に設置されている例も多く、地域の関係者相互間の連携、協働の拠点としての機能を果たすために、各地方公共団体が地域の実情に応じて柔軟に体制を確保することができる制度を設けるべきと考えております。

 一方で、一定の事業を行う場合にはしかるべき設備を整えることが望ましい場合もございます。今後、国として、センターの業務及び運営についてのガイドラインの作成に当たりましては、そうした事例も収集の上、地方公共団体によるセンター設置に当たっての手引となるよう取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 やはり、物理的な拠点施設があるということが地域における男女共同参画を推進をする、それがまさに拠点としての役割を果たすことになる、そういう点での法案の不十分点、問題点を指摘をして、時間が参りましたので終わります。

大岡委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。

 まず、男女共同参画機構法案を虚心坦懐に読んでみて、一番首をかしげたのが主務大臣のところでありまして、主務大臣のところ、分かりやすく縦割りなんですね。これぞ縦割りという主務大臣の規定になっています。

 岡田局長にお伺いしたい。なぜ、こんないびつなたてつけになっているんですか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに新設いたします男女共同参画機構は、国立女性教育会館がこれまで担ってきた女性の資質や能力向上を図る女性教育から、男女共同参画の施策全般へ業務の範囲を広げることとなります。

 このため、男女共同参画の施策全般を担う内閣府の主任の大臣である内閣総理大臣を主務大臣とするとともに、引き続き女性教育については文部科学大臣を主務大臣としております。

 新たな法人が達成すべき中期目標の策定や業務実績についての評価などにつきましては、内閣総理大臣と文部科学大臣が共同で実施するということとなりますので、御指摘のような縦割りといったことが生じないよう、内閣総理大臣が主導しながら、文部科学大臣と密接に連携することによりまして、円滑な運営を確保することが可能と考えてございます。

緒方委員 今の答弁、そういうのを縦割りと言うんですよ。今の答弁はまさに縦割りなんですよ。

 連携すると言われましたけれども、当たり前ですよ、行政機関なんですから。連携してやりますなんて当たり前であって、今、内閣総理大臣と言いましたが、この件における内閣総理大臣というのは、内閣府の主任の大臣というだけであって、内閣の長としての総理大臣じゃないわけですよね。そうすると、内閣府の主務大臣である内閣総理大臣と文部科学大臣が、それぞれ組織の中に主務大臣として二つ並立するわけですよね。こういうのよくないと思いますよ、本当によくないと思いますよ。

 その上で、想像してみると、何でこんなたてつけにしたんだろう、何で文部科学省の権限を残したんだろうかと思うときに、これまで国立女性教育会館に文部科学省から出向者がいたんだと思います。引き続きその出向者をこの男女共同参画機構に確保するためにこのような文部科学省の権限を残したのではないかというふうに思いますが、文部科学省、いかがでしょうか。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 今の国立女性教育会館に出向者はおりますけれども、議員御指摘のような理由で今回文科省が共管になっているということではございませんで、これまでも女性教育会館は女性教育の振興に向けて様々に研修事業等を行ってまいりましたけれども、引き続きこうした業務は男女共同参画機構においても実施することとなってございますので、女性教育を所掌する文部科学省も本法案におきまして共管省庁ということになってございます。

 以上でございます。

緒方委員 これは三原大臣にお伺いしたいと思いますが、これまで文部科学省が単管だったというところに対して、内閣府が抱えるようになりますと、その結果として縦割りが持ち込まれます。そのことについていかがお考えでしょうか、大臣。

三原国務大臣 社会のあらゆる分野において女性の参画を確保するためには、女性自身が固定的な性別役割分担意識に気づき、個人あるいは社会集団として自立し、意思決定過程に参画していけるようにすることが重要であり、そのためには女性教育の振興が不可欠であります。

 このため、新たに設置する男女共同参画機構においても引き続き女性教育を実施することが重要と考えて、女性教育を所管する文部科学省との、共管省庁とすることとしたものであります。

緒方委員 余り皆さん方はお気づきにならなかったかもしれませんが、単管だったものを、すごく、主務大臣の規定を見ていると、本当に分かりやすく、ここからここまでは内閣総理大臣、ここからここまでが文部科学大臣と書いてあって、いびつなことこの上ないんですよね。この件、指摘させていただきたいと思います。

 続きまして、内閣府所管の独立行政法人についてお伺いをしたいと思います。

 そもそも、今回、独立行政法人を内閣府が抱えるということになるわけですが、内閣府所管の独立行政法人というのは、これまで、国立公文書館、北方領土問題対策協会、国立研究開発法人日本医療研究開発機構です。この三つだけです。そして、特殊法人として、そこまで広げても、沖縄振興開発金融公庫、沖縄科学技術大学院大学学園。そして、認可法人でいうと、原子力損害賠償・廃炉等支援機構等があります。

 内閣府というのは、内閣総理大臣を主務大臣として抱えるわけでありまして、そもそもそういう一段高い立場から総合調整を行うのが内閣府だと思うんですよね。その内閣府が独立行政法人を抱えるというのは、抑制的に考え、その設置は例外的であるべきだと、私は行政機構の観点からそういうふうに思うんですけれども、官房長、いかがお考えでしょうか。

松田政府参考人 お答えいたします。

 この件につきましては、委員から常々御指摘をいただいております。

 私ども内閣府につきましては、内閣が取り組もうとする政策課題により機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能など本来の役割を十分発揮できるよう、できるだけ組織を効率的なものとしていくことが重要である、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。

 一方で、男女共同参画社会の形成を促進すること、これにつきましては、あらゆる府省の施策に関連するものでございまして、まさに府省横断的な対応を求められますことから、内閣府におきまして、平成十三年の発足以来、これを一貫して担当してきたところでございます。

 この法案で設立しようとしております独立行政法人男女共同参画機構は、既存の独立行政法人国立女性教育会館を改組しまして、男女共同参画に関する施策を総合的に行う、まさにナショナルセンターとして設置しようとするものでございまして、男女共同参画社会の形成促進を担う主務官庁として私ども内閣府がこの独立行政法人を所管することになるのは、私どもとしては必ずしも適切さを欠くということにはならないんじゃないかというふうに考えております。御理解賜りたいと思います。

緒方委員 内閣府が独立行政法人をどんどん所管するようになると、普通の役所と大差なくなるわけですよ。内閣府の主任の大臣として内閣総理大臣を置いているということは、先ほど、その観点においては対等じゃないかと言いましたが、それでもやはり、内閣総理大臣が主任の大臣として置かれているということですから、その重みというのはあると思うんですね。余りこういう感じで、具体的な、独立行政法人的なものを抱えるというと、何となく普通の役所と大差なくなるんじゃないかという、その懸念を持つわけですね。

 こういうことにルールがないと、どんどんと組織が肥大化していくんじゃないか。もう既に私は何度も指摘していますが、内閣府という組織が異形の官庁としてどんどん拡大していっていることに私は一番懸念を表明していると思いますが、こういう肥大化について最小限のルール決めぐらいはすべきではないかと思うんですね。独立行政法人というのは基本的には持たないとか、だけれども、こういう例外があれば持つようになりますとか、そういったルール決めぐらいは必要なのではないかと思いますが、官房長、いかがでしょう。

松田政府参考人 失礼いたします。

 非常にありがたい御指摘だろうと思っております。ただ、なかなかこの場で、どういうルール決めがという話をちょっと即答させていただくのは差し控えさせていただきたいと思いますが。

 いずれにしましても、私ども、先ほど申しましたように、委員が常々御指摘されております、内閣府は、やはり司令塔機能として本来の役割を十分発揮できるよう、そういった組織にしていくという問題意識は非常に重要だと思っておりますので、そういった御意見も受け止めさせていただきながら、しっかりとした見直しは続けていきたいと思っております。

緒方委員 ちょっと男女共同参画と少し離れるんですが、先ほど言った内閣府所管の独立行政法人というのは、国立公文書館とそして北方領土問題対策協会、この二つについては、経緯的に考えたり、その存在について思いを致せば、何となく内閣府でやることも分からぬではないなというふうに思うんですが、一つ、どうしても疑問に残ったのが国立研究開発法人日本医療研究開発機構ですよ。何でこれが内閣府にあるのか。想像するに、医療研究についての厚生労働省の取組に不満を持った官邸が、その権限を引っぺがして内閣府に置いているということじゃないかと思うんです。

 医療研究開発を担う組織が内閣府にあることを、厚生労働省は、悔しい、残念だ、そういうふうに思いませんか、厚生労働省。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、いわゆるAMEDができた経緯から申しますと、釈迦に説法ではございますけれども、基礎研究から実用化まで一体的に、横断的に行うということでございます。

 医療は非常に今裾野が広い学問の中で成り立ち、その上での実用化には様々な、規制も含めてございます。それを総合的に調整するという意味では、内閣府、そして内閣府に健康・医療戦略事務局の事務室が置かれ、その上で法人も所管するというのは、政府として妥当かなと考えております。

緒方委員 最後に、あと数分ですので、先般、一般質疑で質問させていただきました売春防止法の見直しについて一言お伺いをさせていただきたいと思います。

 大臣から先般答弁がありましたが、現在の第五次男女共同参画基本計画においては、関係法令を厳正かつ適切に運用し、売春の相手方に対する対策や周旋行為等の取締りを一層強化するとともに、売春防止法の見直しを含めて検討を行うというふうに書いてあります。

 これはどこで入った表現かというと、二〇一〇年の第三次計画でありまして、当時の担当大臣、岡崎トミ子さんです。直前まで玄葉光一郎さんが大臣をやっておられたんですが、岡崎トミ子大臣のときにこの表現が入りました。

 この記述があるにもかかわらず、第三次から第五次において、十五年間、売春防止法の見直しが進まなかった理由について聞きたいと思います。法務省。

吉田政府参考人 御指摘の男女共同参画基本計画においては売春法の見直しを含めて検討を行うとされておりますところ、令和四年に困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立しまして、同法の附則第四条により売春防止法の第三章と第四章が廃止され、売春防止法の見直しがなされたところでございます。

 他方で、委員の御指摘はいわゆる買春者に対する規制についてということだと理解しておりますけれども、売春防止法では売春をする行為とその相手方となる行為そのものは処罰対象とされていないという状況にございます。

 これを、この中で買春者に対する規制をどう考えるかというのは非常に難しい問題でありまして、例えば、その保護法益をどのように考えるのか、それから、当該行為をめぐる実態に照らして、その保護法益が実際にどの程度侵害されていると言えるか、また、処罰の対象とすべき行為を明確かつ過不足なく規定することができるかといった点について、慎重に検討する必要があるというふうに考えておりまして、その点について法務省でも引き続き不断の検討をしているということでございます。

緒方委員 この第五次計画は、令和二年に作られて令和七年までということで、今年までの計画なんですが、今年の冬、恐らく閣議決定されるであろう第六次計画では、第五次計画の先ほど申し上げた表現からもう一歩踏み込んで、どういう表現かというのは分からないけれども、もう一歩踏み込んで、法改正に向けた、先ほど言った買春の話等々含めて、当事者の方々に対する対応についてモメンタムをつくるべきであるというふうに私は思います。

 最後の質問になります。三原大臣の政治家としての前向きな答弁をいただきたいと思います。大臣。

三原国務大臣 先日も答弁いたしましたとおり、第五次の計画では、売春防止法の見直しを含めて検討を行うとあり、これは私も注視してまいりたいと考えているところであります。

 第六次男女共同参画基本計画につきましては、現在、年内の策定に向けて、有識者の皆様から専門調査会を設けて御議論いただいているところであります。人身取引、売春の防止含めて、あらゆる暴力の根絶に向けた取組についても有識者の方々に御議論いただいているところでありますので、御指摘の第六次男女共同参画基本計画では、売春防止法に係る記載については、そうした専門調査会での議論を踏まえて調整を行っていく必要がありますが、人間の尊厳を傷つけることは許さないという基本的な立場に立ち、法務省としっかり協議を行っていきたいと思います。

緒方委員 その答弁を受け、私、この法案、賛成ということで立たせていただきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

大岡委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村浩一郎です。

 会派を代表し、両法案に反対の立場から討論をいたします。

 大前提として、日本維新の会は、男女共同参画社会の形成は非常に重要であると考えています。その上で、両法案に対する反対の理由を述べます。

 まず、政府は、NWECの成果や反省点について分析をしているのでしょうか。NWECがその役割を十分に果たしてきたと言えるのでしょうか。新たな法人には具体的にどのような成果を求め、どのように評価をするのか。三原大臣の意気込みは感じられましたが、質疑を通じて納得いく答弁は得られませんでした。

 また、NWECでは、女性教育にとどまらず、男性や若年層も対象に幅広い事業を展開しています。また、国、地方公共団体、関係者との連携強化を図りつつ、国内外のネットワーク形成を推進し、男女共同参画社会の実現を目指しています。これらを踏まえますと、新たな法人を設置しなければできない、現行法の改正ではできない具体的な事業があるのでしょうか。

 過去の反省や未来の目標設定が不十分なままで、しかも、新たな法人に移行してもその実態が変わらないというのであれば、わざわざ法人を解散して設置し直す必要はありません。新たな独立行政法人として設置する意味はどこにあるのでしょうか。

 さらに、政府は新たな法人を埼玉県嵐山町に設置する方針ですが、なぜ嵐山町なのでしょうか。確かに、NWECは、都会の喧騒から離れて落ち着いて学習できる環境として、嵐山町に開設されました。しかし、令和八年四月からは、宿泊施設、レストランの利用提供が終了し、宿泊施設の撤去も予定されています。収蔵資料の利用者にとっても、全国にアウトリーチを展開する職員にとっても、交通アクセスが決してよいとは言えないこの地が適当とは思えません。

 我が党として現在のNWECをそのまま存続させるべきとは全く考えていませんが、今の独立行政法人を解散して、それを新たな独立行政法人とする必要があるというのであれば、それにより何がどう変わるのか、本当に成果を上げられるのかといったことを説明する必要があります。

 我が党は、男女共同参画社会の形成は非常に重要であると考えており、そのために真に必要な法人をつくるというのであれば協力は惜しみません。しかし、それは拙速な組織改編ではありません。今回の法案は、なぜ新たな法人とする必要があるのか、将来の目標設定や評価方法が実効性のあるものかといった点に疑問があり、反対です。

 法案の内容がこうしたものである以上、政府で行われてきました議論は不十分と言わざるを得ません。あるべき男女共同参画社会のビジョンも含めて、組織の在り方について議論をした上で、抜本的な見直しをすべきことを主張し、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 私は、独立行政法人男女共同参画機構法案並びに同整備法案につき、会派を代表して、反対の立場から討論いたします。

 ジェンダーギャップ指数が最新の二〇二四年の調査で百四十八か国中百十八位であることからも明らかなように、残念ながら、日本の男女共同参画が、政治参画や経済参画を中心に、いまだに遅れている状況は、二〇〇一年に国立女性教育会館、NWECが独立行政法人化以降も深刻です。

 我が国において男女共同参画を進めるための施策や、その拠点となるべき現在のNWEC、そして、全国の男女共同参画センターの機能や体制を強化することは、名目的には重要です。今回の法案において各地の男女共同参画センターを法的に位置づけ、新しい機構との連携やそのネットワークの強化を目指すことには一般論として異議はありません。

 しかし、両法案によってNWECの機能強化や男女共同参画施策の充実が図られるとは残念ながら思えません。政治参画や経済参画など深刻な女性差別が横行する日本で取り組むべきは、本法案が想定している男女共同参画機構の主要業務、例えば広報啓発活動、オンラインでの研修、研修・教育プログラムの提供、地域における人材教育だけでは不十分です。特に、コロナ禍時代に流行したオンライン、テレワークを中心とするネットワーク事業展開には耳を疑います。

 男女共同参画機構が、センター・オブ・センターズとして、各地の男女共同参画センターとの連携をしながら、深刻な課題に向き合うには、宿泊、対面ならではの生き生きした意見交換、情報交換、人材育成の場となるNWECの従来の宿泊研修施設はむしろこれからの時代に不可欠です。国際会議にも対応でき、バリアフリーの優れた施設です。多くの反対意見を押し切る形で、本法案で明確にされた宿泊研修施設等の撤去は、その点、本末転倒です。

 他方、男女共同参画事業に対する財政支援も深刻です。NWECに対する運営費交付金は、二〇〇一年の独立行政法人化以降、削減され続けてきました。二〇〇一年には七億二千四百万円だった交付金は、二〇二四年には三四%もの減少となっています。二〇一二年に提出された文科省の報告書は、NWECの課題として、宿泊施設が運営を圧迫しているが、その理由は、男女共同参画を国の重要施策と位置づけながら、責任を持って財政支援を行わなかった国の無責任さが指摘されています。

 この財政支援の問題は、各地の男女共同参画関連施設の問題にも懸念を生みます。地方自治体の男女共同参画センターは、二〇二二年の三百五十六か所をピークに、二〇二四年は三百四十九か所へと減少に転じており、老朽化施設が今後急増する現状では、政府が運営費交付金等による十分な財政支援などを考えなければ、こうした法案の成立と同時に、むしろ男女共同参画機構や男女共同参画センターが全体として機能縮小、閉鎖されるのではないかという懸念が生じます。

 法案の目的は、現NWECや全国の男女共同センターの機能強化を図ることですが、本法案でその逆のことが起これば、それは女性に対する言論や表現の自由などの人権侵害となりかねません。

 よって、両法案には賛成できないことを表明し、れいわ新選組を代表して、反対討論といたします。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、男女共同参画機構二法案に対し、反対の討論を行います。

 政府は、二〇二四年七月、国立女性教育会館の研修棟、宿泊棟、体育施設の撤去を目指すと表明しました。法案は、その具体化として、研修施設の設置を義務づける現行の国立女性教育会館法を廃止し、新たに設置する男女共同参画機構には研修施設の設置を義務づけないものとなっています。

 国立女性教育会館は、一九七七年、国立としては唯一の女性教育を担う施設として埼玉県嵐山町に設置されました。これは、国連が提唱した国際婦人年である七五年に第一回世界女性会議が開催され、各国が取るべきガイドラインとなる世界行動計画が採択されるなど、女性の権利拡充を求める歴史的な市民運動の盛り上がりに押されてのことです。

 研修棟、宿泊棟は、会館が主催する対面での研修の会場として、また市民運動の活動の場として、全国からジェンダー平等に携わる者が集い、共に学び合う貴重な交流の場となってきました。二〇〇一年に独立行政法人化した後は、何度も廃止や統廃合の議論が行われてきましたが、そのたびに運動によって守ってきたものです。

 会館に課していた研修棟を設置する法的義務を機構において廃止することは、市民運動と行政活動の両面からジェンダー平等を進めるという機構の機能を後退させるものです。廃止に対して市民団体やジェンダー問題に取り組む有識者から強い批判の声が上がっていることを重く受け止めるべきです。

 政府は、施設の維持管理に予算がかかることを廃止の理由に挙げていますが、国から国立女性教育会館に対して出される運営費交付金は、二〇〇一年度の七億二千四百万円から、二四年度には四億七千九百万円まで約三割削減されています。ジェンダー平等を進めるナショナルセンターとしての機能を発揮できるよう、十分な財政措置を行うのは国の責任です。会館の役割を軽視し、予算を削減してきた政府の姿勢こそ改めるべきです。

 深刻な国内のジェンダー格差を解消していくには、オンラインなどの取組を推進するソフト面とともに、対面での活動を保障するハード面の強化も両輪で進めていくことが必要であり、研修棟、宿泊棟を廃止することは認められません。

 そもそも、憲法と女性差別撤廃条約に基づいてジェンダー平等を進める国立女性教育会館は、独立行政法人ではなく国が直接運営すべきです。

 法案には、新たな機構を男女共同参画社会の形成を促進する中核的な機関、ナショナルセンターと規定し、自治体や市民団体の連携を促進するセンター・オブ・センターズとして位置づけるほか、自治体が設置する男女共同参画センターを初めて法定化するなどの前進面が盛り込まれていますが、研修棟をなくす本案の問題点は容認できません。

 以上、反対討論を終わります。

大岡委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、独立行政法人男女共同参画機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、國場幸之助君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。おおたけりえ君。

おおたけ委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    独立行政法人男女共同参画機構法案及び独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 独立行政法人男女共同参画機構(以下「機構」という。)の目的を女性教育の振興にとどめず男女共同参画促進施策の推進とすることに鑑み、機構及び男女共同参画センター(以下「センター」という。)について、その認知度の向上を図るとともに、男女共同参画社会の形成を社会全体で促進するための活用の在り方について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 二 機構の主たる事務所について、引き続き埼玉県比企郡嵐山町に存置する方針であることに鑑み、政府の男女共同参画施策に係る部局との緊密な連携の在り方、機構から全国各地への効率的なアウトリーチの手法等について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 三 機構から埼玉県への土地の返還に当たっては、その具体的な方法及び時期について、埼玉県及び嵐山町との間で丁寧な協議を行うこと。また、機構の有する施設については、同町に設置されることの利点を生かしつつ、必要性の低い施設を温存することのないよう合理化や効率化を徹底し、男女共同参画の中核的組織としてふさわしい活用が行われるよう留意すること。あわせて、原状回復の在り方について埼玉県が研修棟や宿泊棟の民間による活用を望む場合には、県の検討等に協力すること。

 四 男女共同参画の施策の推進に当たっては、地方自治体と丁寧なコミュニケーションを図ること。また、全国のセンターに対し、その機能を充実させるための支援を行うとともに、各地でセンターが十分な機能を発揮することができるよう、広域的な連携・協力体制の構築を後押しすること。

 五 機構の有効性及び必要性を不断に検証し、社会情勢や行政需要の変化に応じて機能や主たる事務所の設置場所を含め組織体制の見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大岡委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。三原国務大臣。

三原国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいります。

    ―――――――――――――

大岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大岡委員長 次回は、来る十三日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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