第2号 令和7年11月19日(水曜日)
令和七年十一月十九日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 山下 貴司君
理事 鈴木 馨祐君 理事 長谷川淳二君
理事 鳩山 二郎君 理事 櫻井 周君
理事 森山 浩行君 理事 山岸 一生君
理事 浦野 靖人君 理事 福田 玄君
井出 庸生君 伊東 良孝君
金子 容三君 川崎ひでと君
神田 潤一君 岸 信千世君
国定 勇人君 古賀 篤君
平 将明君 棚橋 泰文君
土田 慎君 西野 太亮君
平井 卓也君 平沼正二郎君
福原 淳嗣君 古川 直季君
三反園 訓君 山口 壯君
若山 慎司君 井坂 信彦君
梅谷 守君 岡田 悟君
川内 博史君 小山 千帆君
西川 将人君 橋本 慧悟君
原田 和広君 眞野 哲君
丸尾 圭祐君 森田 俊和君
青柳 仁士君 うるま譲司君
橋本 幹彦君 森ようすけ君
平林 晃君 吉田 宣弘君
上村 英明君 塩川 鉄也君
緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣
(国際博覧会担当) 赤澤 亮正君
国務大臣
(内閣官房長官) 木原 稔君
国務大臣
(行政改革担当)
(サイバー安全保障担当) 松本 尚君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策担当) あかま二郎君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当)
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(アイヌ施策担当)
(共生・共助担当) 黄川田仁志君
国務大臣
(日本成長戦略担当)
(全世代型社会保障改革担当)
(経済財政政策担当) 城内 実君
国務大臣
(外国人との秩序ある共生社会推進担当)
(知的財産戦略担当)
(科学技術政策担当)
(経済安全保障担当) 小野田紀美君
内閣府副大臣 鈴木 隼人君
内閣府副大臣 津島 淳君
法務副大臣 三谷 英弘君
文部科学副大臣 小林 茂樹君
内閣府大臣政務官 金子 容三君
内閣府大臣政務官 若山 慎司君
内閣府大臣政務官 古川 直季君
内閣府大臣政務官 川崎ひでと君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 風早 正毅君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 木村 公彦君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(内閣官房アイヌ総合政策室長) 渡邊 輝君
政府参考人
(内閣官房行政改革推進本部事務局次長) 上坊 勝則君
政府参考人
(内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官) 成松 英範君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理) 松山 泰浩君
政府参考人
(内閣官房日本成長戦略本部事務局次長) 鈴木 恭人君
政府参考人
(内閣官房地域未来戦略本部事務局審議官) 前田 剛志君
政府参考人
(内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室室長代理) 山野 徹君
政府参考人
(内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室次長) 加藤 経将君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 岡 素彦君
政府参考人
(内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長) 和田 薫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 佐野 朋毅君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中溝 和孝君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局参事官) 阿部 雄介君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 笹川 武君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 中澤 信吾君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 殿木 文明君
政府参考人
(内閣府大臣官房総合政策推進室室長) 相川 哲也君
政府参考人
(内閣府民間資金等活用事業推進室長) 鈴木 貴典君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局長) 中原 裕彦君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官) 井上 諭一君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 恒藤 晃君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 舟本 浩君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 森元 良幸君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山田 好孝君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 重松 弘教君
政府参考人
(警察庁交通局長) 早川 智之君
政府参考人
(警察庁警備局長) 筒井 洋樹君
政府参考人
(警察庁サイバー警察局長) 逢阪 貴士君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(出入国在留管理庁審議官) 君塚 宏君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 礒部 哲郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 貝原健太郎君
政府参考人
(外務省総合外交政策局長) 有馬 裕君
政府参考人
(財務省理財局次長) 柴田 智樹君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 堀野 晶三君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 坂下 鈴鹿君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 藤川 眞行君
政府参考人
(水産庁資源管理部長) 魚谷 敏紀君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 坂本 里和君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 成田 浩司君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 伊藤 哲也君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛装備庁装備政策部長) 小杉 裕一君
内閣委員会専門員 田中 仁君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
金子 容三君 国定 勇人君
川崎ひでと君 神田 潤一君
平沼正二郎君 三反園 訓君
梅谷 守君 西川 将人君
小山 千帆君 丸尾 圭祐君
同日
辞任 補欠選任
神田 潤一君 川崎ひでと君
国定 勇人君 金子 容三君
三反園 訓君 福原 淳嗣君
西川 将人君 梅谷 守君
丸尾 圭祐君 小山 千帆君
同日
辞任 補欠選任
福原 淳嗣君 西野 太亮君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 土田 慎君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 平沼正二郎君
―――――――――――――
十一月十八日
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○山下委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官風早正毅君外四十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山下委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速ではございますが、まず、人口減少対策についてお伺いをいたします。
高市総理は、所信表明演説におきまして、「日本の最大の問題は人口減少であるとの認識に立ち、子供、子育て政策を含む人口減少対策を検討していく体制を構築します。」と表明をされ、昨日、総理をトップとする人口戦略本部を立ち上げられました。
少子化とそれに伴う人口減少は、コロナ禍以降加速をしております。急速な出生数の減少は、需要、供給両面で経済成長のマイナス要因になります。また、社会保障制度の持続可能性を損ないかねません。少子化、人口減少問題の克服を最優先の課題として位置づけ、抜本的な政策対応を講じることが急務ではないかと思います。
この点、第二次安倍政権の下で平成二十六年に打ち出されたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンでは、国の目標として、希望出生率一・八程度、二〇六〇年に総人口一億人程度を目標として掲げておりましたが、石破政権が掲げられた地方創生二・〇、十年経過をいたしまして、現状では、人口に関する目標がなくなる一方、人口が減少しても適用できる方策を講じるという、いわゆるスマートシュリンクの考え方が導入されています。
私は、これまで、出産費用等の負担軽減を求める議連のメンバーで、出産費用の無償化の実現などに取り組んでまいりました。出産、子育ては個人の生き方や選択に関わる問題でありますので、国全体としての目標設定には様々な課題がございますけれども、このままでは、労働力不足による経済成長の低迷、あるいは現役世代の負担の増加、そして地方を中心としたコミュニティーの崩壊、こうした社会経済に重大な影響を及ぼすことが避けられないと思います。国民全体で人口減少に対して危機意識を共有し、政策の在り方を議論すべきではないかと思います。
そこで、担当大臣でございます城内大臣に、我が国の経済成長を阻む最大の壁は少子化、人口減少問題であるとの認識に立って、子供、子育て政策を含む対策を総動員することが求められていると考えますが、人口戦略本部において、人口に関する長期目標の設定の在り方も含めて、政府全体の人口政策をどのように具体化していくのか、今後の方針をお伺いします。
○城内国務大臣 長谷川委員の御質問にお答えしますが、御指摘のとおり、昨日、第一回人口戦略本部、これの会合が開催されました。これは、我が国最大の問題は人口減少であるという強い認識に立ちまして、子供、子育て支援を含む人口減少対策を総合的に推進するため、高市総理を本部長とし、木原官房長官そして私が副本部長として立ち上がった会合でございます。
その場におきましては、総理から各閣僚に対しまして、若者や女性を含む誰もが自ら選んだ地域で住み続けられる社会を実現するため、少子化対策の推進、そして安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生など、人口減少対策の総合的な推進に向けて取組を進めるよう御指示があったところでございます。
特に、少子化対策の推進につきましては、黄川田大臣に対しまして、少子化、人口減少のトレンドの反転に向けて、こども・子育て支援加速化プランに基づいて、子育て支援に係る各種施策を実行に移すとともに、将来的な更なる少子化対策の在り方の検討を進めるよう御指示があったところでございます。
また、委員御指摘の、目標を設定すべきじゃないかという点につきましては、やはり結婚、妊娠、出産、子育て等は個人の自由な意思決定に基づくものでありますので、やはり特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることへの懸念がございますので、現在は出生率等の具体的な数値目標としては掲げていないところでございますので、その点はちょっと御理解いただければと思います。
いずれにしましても、長谷川委員御指摘の点も含め、様々な御意見も伺いながら、人口戦略本部を総括し、関係閣僚ともしっかり連携して、人口減少対策の総合的な推進に取り組んでまいる所存でございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
少子化対策は、やはり私は最大の人への投資だと思います。今、少子化の反転を図るべく政策を総合的に進めると、力強いお言葉がございました。是非とも少子化対策に取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、外国人との秩序ある共生社会の推進についてお伺いをいたします。
高市総理は、これも所信表明演説で、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対して国民が不安や不公平感を抱いている事実に対し、しっかりと向き合って、政府として毅然と対応すると表明をされました。
具体的には、関係閣僚会議において、出入国在留管理、外免切替え、社会保障、そして土地の利用、管理、そして最後は観光、短期滞在者、これらの対応について、所管大臣に対して、実態の把握とともに、既存ルールの遵守や制度の適正化に取り組むよう指示がなされております。小野田担当大臣には、関係閣僚と連携していただいて、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
また、国民健康保険や児童手当などの適正利用には、実務を担っている自治体の協力が欠かせません。自治体との連携もしっかり図っていただきたいと思います。
一方、少子化、人口減少に直面する、特に地方においては、経済成長を図るために、外国人の皆さんの活力を取り込むことも重要でございます。私の地元愛媛県でも、造船、建設、介護、農業、こういった幅広い分野で技能実習生や特定技能の外国人の方が従事をされています。人手不足が深刻な地方では外国人労働者が地域の経済を支えているということも事実でございます。こうした実態を踏まえて外国人対策について進めることが必要ではないかと考えております。
また、これまで、在留外国人に対する日本語教育や、あるいは生活の支援、子供の教育などは、受け入れる自治体の重い負担となってきたのも事実でございます。全国知事会がせんだって提言しているとおり、自治体が進める多文化共生施策に対して国が支援を強化するということも私は必要ではないかと思います。
そこで、小野田大臣に、外国人との秩序ある共生社会の推進担当大臣として、関係大臣あるいは自治体と連携をして、総合的な対応策をどのように検討して取りまとめていくのか、また、特に自治体の進める多文化共生施策をどのように支援していくのかをお伺いしたいと思います。
○小野田国務大臣 るるお話しいただきまして、ありがとうございます。
御指摘のとおり、地方公共団体との連携は非常に重要だと考えておりまして、私も十一月十四日に行われた国と地方の協議の場に出席をさせていただきました。その場で直接、地方公共団体からの御要望をいただいたところでございます。
既に、政府においては、情報連携や交付金による財政的支援など、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえながら、外国人との共生社会の実現に向けた取組を推進しております。また、外国人を受け入れる受入れ機関の果たすべき役割も重要だというふうに考えています。
引き続き、地方公共団体等の御意見にしっかりと耳を傾けながら、関係府省庁間の総合調整を行いながら、来年一月を目途に改定予定の総合的対応において、秩序ある共生社会の実現に向けた基本的な考え方、そして取組の方向性をお示しできるように、スピード感を持って検討してまいりたいと思います。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
外国人の、あくまで一部に対するですけれども、国民の不安や不公平感を払拭するためには、まず、やはり正確な実態把握と情報発信が重要であると思います。
その上で、小野田大臣には、外国人対策の司令塔として、先ほどありました受入れ機関の適正化も重要な論点だと思います、総合的対応策の取りまとめを是非とも引っ張っていただきたいと思います。
次に、政府のインテリジェンス機能の強化について、官房長官にお伺いしたいと思います。
我が党と日本維新の会との連立合意では、日本のインテリジェンス機能を強化するために、内閣情報調査室と内閣情報官を格上げして、国家情報局及び国家情報局長を創設するとしております。
木原官房長官も記者会見の場で、インテリジェンス機能を強化する司令塔として国家情報局の創設へ議論を進めるよう総理から指示を受けたと述べられております。
我が党も、政府のインテリジェンス機能の強化に向けて提言するために、インテリジェンス戦略本部を設置したところでございます。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国の国益を守り、国民の安全を確保していくためには、やはり、政府の情報収集、分析機能を強化することによって、より多くの質の高い情報を収集し、高度の分析を加えて、過ちなき政策判断を支えていく体制の強化が不可欠であると思います。
ただ一方、インテリジェンスという言葉は、国民にまだまだなじみがございません。ともすれば、誇張したイメージで語られることも多いということであります。このインテリジェンス機能強化について国民の理解を得る努力も必要ではないかと思います。
そこで、木原官房長官に、我が国のインテリジェンス機能の現状についてどのような課題があると認識されているのか、また、それらの課題について、国家情報局の創設を始めとして、どのような対応策を考えているのか、具体的なスケジュールも含めて、政府全体の司令塔機能の強化についての方針をお伺いいたします。
○木原国務大臣 我が国のインテリジェンス機能の課題というお尋ねでございましたが、例えば国家安全保障戦略におきましては、国際社会の動向について、外交、軍事、経済にまたがり幅広く、正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化するなどと記載をされているところです。
また、御指摘のあった連立政権の合意書においては、我が国のインテリジェンス機能が脆弱であるとされ、その対応策の一つとして、令和八年通常国会において、国家情報局及び国家情報局長を創設するとともに、国家情報会議を設置する法律を制定することが盛り込まれているところです。
スケジュールを含む今後の対応についてのお尋ねについては、先日、十一月七日の衆議院の予算委員会で高市総理が、新しい組織をつくるということで様々な検討をしなければならない旨の答弁をされたところであります。
政府においては、連立政権合意書で言及されたスケジュールも念頭に置きながら、必要な立法を行うべく、与党と緊密に連携を図りながら早急に検討を進めてまいる所存です。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
私も、党のインテリジェンス戦略本部のメンバーでもございます。今答弁で御指摘いただいた情報収集機能の強化などの論点について、私も提言作りにしっかり参画をしていきたいと思います。
次に、インテリジェンス機能の重要な一翼を担っている情報収集衛星についてお伺いします。
情報収集衛星は、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験をきっかけに開発、運用されております。政府は、宇宙基本計画に基づいて、光学・レーダー衛星四機にデータ中継衛星等を加えた十機体制を令和十一年度を目途に達成する目標を掲げております。戦後かつてなく厳しい安全保障環境の中で、情報収集衛星十機体制の早期達成は、最優先課題の一つではないかと思います。
そこで、木原官房長官に、この十機体制の早期達成に向け、情報収集衛星の開発、運用のための必要な予算の確保や衛星の主要部品の国産化など、体制の構築の取組を強化すべきと考えますが、政府の方針をお伺いいたします。
○木原国務大臣 御指摘のように、我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさが増していく中で、また、昨夜も大分県大分市の方で大規模な火災が発生しましたけれども、そういった大規模災害への対応など、危機管理のためには、情報収集衛星の必要性は一層高まっているものと認識をしています。
政府としては、宇宙基本計画等に沿って必要な経費や体制を確保し、情報収集衛星の十機体制が目指す情報収集能力の向上を早期に達成できるよう取組を進めてまいりたいと考えています。
また、御指摘のとおり、主要部品の国産化など、我が国の技術による自主開発を基本とすることが有益と考えておりまして、こうした観点からも取組を進めてまいります。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
まさに地上の影響を受けない情報収集衛星は、大規模災害における被災地、被災状況の迅速な把握にも大変有効でございます。是非ともこの十機体制の早期実現に取り組んでいただきたいと思います。
官房長官、御公務があると思いますので、ここで御退席いただきたいと思います。
○山下委員長 官房長官は退席されて結構です。
○長谷川(淳)委員 次に、警察行政について、あかま国家公安委員長に何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
熊による人身被害が増大をしております。国民の安全、安心を脅かす深刻な事態となっている状況を踏まえまして、先日、政府において、クマ被害対策パッケージが取りまとめられたところでございます。特に、警察においては、警察官がライフル銃を使用して人里に侵入してきた熊を駆除できるように、特殊銃に関する国家公安委員会規則を改正し、特に被害の大きい岩手県、秋田県両県に部隊を派遣された、そして、昨日、岩手県でこのライフル部隊が初出動したと伺っております。
警察の迅速な対応を大変心強く思いますと同時に、一方で、ライフル銃の使用は、これまで重要施設の警戒警備やハイジャック犯への対処などの任務に限定されてきたところでありますので、やはり、経験豊かな地元のハンターでも危険な熊駆除に従事する警察官の安全確保も大変重要であると思います。
そこで、あかま大臣に、今回、警察による熊駆除に踏み込んだ経緯と、今後、熊駆除の技能を有する警察官の確保、育成や装備資機材の充実が大変必要になってくると考えますが、熊による人身被害の防止に向けた警察の方針についてお伺いします。
○あかま国務大臣 委員御指摘のとおり、今年度、今年は非常に熊被害というものがまさに広域化、多発化、また増大しているという実態がある中で、先般、いわゆる熊対策のパッケージ、これが整ったところでございます。まさに国民の安全、安心、これを脅かす深刻な事態だと言えることだと思います。
それを受けて、警察においては、特殊銃に関する国家公安委員会規則、これを改正をし、特に被害の大きい岩手県及び秋田県に他の都道府県警から応援部隊を派遣して、体制を構築をして、ライフル銃による熊の駆除の任務を開始しております。
今お話もありました、昨日という話がございました。もちろん昨日にあっては、いわゆる安全確保という観点からライフル銃の使用には至らなかったわけでございますが、ただ、やはり今後どのような事態があるか、これらを踏まえながら、委員御指摘のとおり、いわゆる警察官自身のということもありますので、そういった警察官自身の受傷事故防止、これもまず徹底した上で、地元の自治体、また団体等と緊密に連携をして、地域住民の安全確保を最優先とした取組を推し進めてまいりたいというふうに思います。
なお、いわゆる警察の資機材でございますけれども、駆除の技能を有する警察官の確保、育成、これも併せて推し進めるように警察を指導してまいりたい、そういうふうに思っております。
以上です。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
是非、警察官の安全確保を徹底していただいて、熊駆除に適切に、的確に対処していただきたいと思います。
続きまして、これも警察でございますけれども、警察官の人材確保についてお伺いをしたいと思います。
近年、匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウに対する捜査ですとか、あるいはサイバー空間における脅威への対処など、警察が取り組むべき治安課題は複雑多様化をしてございます。その警察力の人的基盤の最も大事な警察官の確保、育成、これが大変重要であると思います。
しかしながら、お伺いするところによりますと、少子化に伴う学卒者の減少などによりまして、警察官の採用は全国的に大変厳しくなっている。例えば、採用試験の受験者数、倍率は十五年前と比べて三分の一まで減少している、優秀な警察官の確保が危ぶまれているというふうにお伺いをしています。
この点、自衛官につきましては、御案内のとおり、石破政権の下で、手当の創設や引上げ等の処遇改善の措置が講じられ、隊舎の更新など、勤務環境の改善も進められているところでございます。
学卒者の採用において、皆さん御案内のとおり、警察官と自衛官と消防士というのは競合する場合が大変多いところでございます。警察においても、やはり優秀な人材確保や採用後の教育訓練の充実に向けた取組を強化することが求められているのではないかと思います。
そこで、あかま大臣に、複雑多様化する治安課題、警察が様々な事案に的確に対処するために、警察官の採用募集活動の強化や警察学校等の警察施設の環境改善など、優秀な人材の確保、育成にどのように取り組んでいかれるのか、方針をお伺いしたいと思います。
○あかま国務大臣 委員御指摘のとおり、優秀な人材の確保、いわゆる複雑化する犯罪、多発化する犯罪に対して、それは死活的に重要な問題、課題であるというふうに思っております。現在、全国警察を挙げて、採用活動の抜本的強化、これを図っておるところでございます。
まず、SNSの効果的な活用、こういったことを始めとして、広く、若い世代に対する広報活動、これを強化しております。また、民間企業が採用試験に利用している適性検査等々、公務員試験対策が不要な試験の導入などといったことも取り入れております。
あわせて、委員の方からもお話ございました、いわゆる職場環境といった部分でしょうか、新人警察官が最初に訓練を受ける場としての警察学校、この環境、この関心は非常に高いものがございますので、その改善は大変重要であるというふうに認識をしております。この点にあって、ソフト面では、不安払拭のためのサポート体制であるとか実践的な教育の充実、あわせて、ハード面では、老朽化した居住環境の改善であるとか武道場の空調を設置するなど、いわゆる暑熱対策などを推進しております。
こうした取組を始めとする勤務環境の改善、これをより推し進めて、警察官が将来を担う若い世代にとって魅力的に感ずる職場であり続けて、そのことがひいては国民の安全、安心に資する、また、そういう人材を確保できるというふうにつながることを是非期待したいと思っております。そのように警察を指導してまいりたい。
以上です。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
私ども、地域において、一番身近な安全、安心の担い手はやはり警察官でございます。やはり私も、個人的には、更なる処遇改善も必要じゃないかと思いますし、今ほど大臣からお答えいただいたように、やはり勤務環境の改善、こうしたものも進めていく必要があると思います。是非、あかま大臣には先頭に立ってリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
最後に、交通安全施設の整備、とりわけ信号機のLED化についてお伺いをしたいと思います。
高齢ドライバーを始めとして交通事故が後を絶たない状況の中で、様々な事故防止対策の中でも、交通安全施設の整備が大変重要であると思います。特に、交通事故の約四割は交差点で発生しています。そして、その二割、全体の二割は信号交差点で発生をしています。そうしたことから、やはり信号交差点で信号機の視認性を高めるためのLED化を進めることが私は大変重要ではないかと思っております。
しかし、信号機のLED化は、皆さん日々信号機を見ておられると思いますけれども、予算の制約があって、かなり進んではまいりましたけれども、なかなか進まないというのが現状だとお伺いしています。
しかし、LED信号機というのは、交通事故防止効果がある上に、寿命が電球より長い、当然、消費電力も大幅に低減されるという、メリットも多い。こうしたことから、むしろ前倒しをして整備をした方が効果的ではないかというふうに思っております。
さらに、従来の信号機用の電球を生産する国内メーカーが令和九年度末をもって生産を終了するということでございます。なおのこと、信号機のLED化を急ぐ必要があるのではないかと思います。
そこで、最後に、あかま大臣に、交通事故防止や維持管理コスト低減に直結する信号機のLED化をこの際一層進めていただきたいと思いますが、予算確保に向けて、是非御決意をお伺いしたいと思います。
○山下委員長 あかま委員長、申合せの時間ですので、答弁は簡潔に願います。
○あかま国務大臣 はい。
今委員御指摘のとおり、LED信号機、このメリットは多分にございます。LED化率は令和六年度末で約八割でございますが、残念ながら、各都道府県によってまだばらつきがある、そういった実情もございます。そのメリットをしっかりと、交通事故抑止に資するようにより一層強力に推し進めてまいりたい、そういうふうに考えておりますので、しっかり警察を指導してまいります。
以上です。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○山下委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行です。次の内閣、ネクスト国務大臣として、内閣部門総括を担当しております。
まずは、長年の課題であります内閣府や内閣官房のスリム化についてお伺いをします。
デジタル庁、こども家庭庁を切り離し、また防災庁をつくるというような形で再編が進んでいますけれども、所信演説では触れられておりませんでしたが、方向性、あるいはスピード感、前の内閣を引き継ぐのか、あるいは何かを変えるのか。例えば、内閣官房には水循環本部が設置をされており、十年以上経過をしております。これを水循環庁にするなどのやり方もありますけれども、担当大臣、いかがですか。
○松本(尚)国務大臣 おはようございます。
内閣府と内閣官房の業務の肥大化については、これまでも多くの委員の方々からこの委員会で質問の出ているところだと思います。委員御指摘のとおり、そういった肥大化を、うまく、時流に合わせて広げたりあるいは絞ったりということは必要なことだろうというふうに思います。
国内外に多様な政策課題があって、それをそのまま省庁横断で、内閣府、内閣官房で政策を実行していくということは必要だろうと思いますけれども、それに対しては、我々も、平成二十七年に、委員御承知おきのとおり、見直し法というものを作って、不断に努力をしているところでございます。
私も、いま一度その点を精査して、これはもう少しほかの省庁に総合調整機能を移した方がいいんじゃないかというのがあれば、委員の御懸念も踏まえて検討してまいりたいというふうに思います。
ありがとうございます。
○森山(浩)委員 しっかり検討をいただきたいと思います。
所信表明演説よりということでございます。
首相あるいは官房長官の所信演説には、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻すという表現がありました。
いつの時期が理想の状態で、それに対して、現在何が失われているのか、どこが足りないのか、官房長官、御説明ください。
○木原国務大臣 お答えします。
御指摘の点につきましては、先日の衆議院の予算委員会において高市総理が答弁されておりましたけれども、私としても、例えば二〇一六年頃を思い起こしていただくと、当時の安倍総理が提唱した自由で開かれたインド太平洋、FOIPであるとか、あるいは日本が主導したCPTPP、あるいは日・EU経済連携協定、さらには、基本的価値を共有する同志国の連携である日米豪印、いわゆるクアッドの枠組み、そういった取組は、まさに世界の真ん中で咲き誇る日本外交を目に見える形で実感できた時期の取組であるのではないかな、そのように考えております。
このような取組は現在においても続けられてはおりますけれども、我々が慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序というのは、パワーバランスの変化あるいは地政学的競争の激化で大きく揺らいでいるという評価ができるのではないでしょうか。
こうした国際秩序の下で、同盟国である米国はもちろん、同志国とも連携をして、しっかりと日本の存在感を高めていくことが重要であろうと思っています。そのためにも、現在の国際情勢の中でFOIPを日本外交の柱として受け継ぐことを再確認をし、更に時代に合わせて進化させていく、そのような考えで高市総理はおっしゃったんだというふうに思います。
○森山(浩)委員 各国との友好関係や存在感を高めていくということでありますが、これを踏まえて、首相の所信表明には、排外主義とは一線を画するという文言があります。この排外主義とは何を指し、一線を画すというのはどういうことであるのか。この部分を担当する小野田大臣は、首相からどのように指示を受けていますか。
○小野田国務大臣 一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、政府として毅然と対応し、国民の皆様の不安や不公平感を解消することは、外国人との秩序ある共生社会の実現に必要なものと考えており、このことは、ルールを守って適法に居住する外国人のためにもなると思っています。
したがって、政府の取組は、外国人の排除を目的とするものではなく、排外主義と一線を画すというのはこうした方針を述べたものというふうに承知しております。
○森山(浩)委員 排除を目的としなくても、そう取られるようなことがないようにということが大事かなと思いますが。
土地取得等のルールの在り方について触れられております。
私たちは、漠然とした国民の不安、これが排外主義につながることがないよう、土地の実態を調査するための法案を準備をしております。
今回、政府としては、利用状況に関わらない、土地取得そのものへの制限というものは視野に入っていますか。
○小野田国務大臣 まずは実態把握が我々としても非常に重要だと思っておりまして、実態把握を進めるとともに、土地取得等のルールの在り方も含めて、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めて、来年の一月を目途に基本的な考え方をお示ししたいと思っていますが、おっしゃるとおり、まずはとにかく実態把握を正確にやるということが重要だと考えています。
○森山(浩)委員 利用に関わらない部分についても視野に入るような御答弁でありましたけれども、逆に、土地取得の規制の内容によっては、内外無差別を基本とするWTOのルール、あるいはGATS、こういったものに抵触をする可能性が出てまいります。
今回、政府としては、条約を結び直すなどのことも含めて対応を検討するのか、いやいや、条約の範囲内でやるんですよということであるのか、お答えください。
○小野田国務大臣 お答えします。
済みません、現状、どういうものになるのかというのは全くまだ話が進んでおりませんので、国際約束との関係について等に予断を持って今お答えすることはできないんですけれども、まずは実態把握をした上で、一月を目途に、しっかりとどういう方向にするかを取りまとめていきたいと考えています。
○森山(浩)委員 何でもかんでもやるんだということではないんだよということで、しっかり議論を進めていきたいというふうに思います。
今回の内閣では、共生社会担当の黄川田大臣に加えて、外国人との秩序ある共生社会の推進担当ということで小野田大臣が任命をされています。これは重なる部分があるんじゃないかなと思いますけれども、外国人との共生という部分で、黄川田大臣の担務に一部入るところがあるんでしょうか。
○黄川田国務大臣 私は共生社会に関する事務を担当しております。年齢、障害等に関わりなく安心、安全に暮らせ、互いに支え合う社会の実現に向けて取り組んでおります。
具体的には、孤独・孤立対策、就職氷河期世代等支援、市民活動の促進、高齢社会対策、障害者施策、公益社団法人及び公益財団法人に関する事務などを担当しております。
○森山(浩)委員 外国人に関するものというのは何かありますか。
○黄川田国務大臣 外国人との秩序ある共生社会に向けた施策については小野田大臣が担当しておりますが、私の担当する施策についても必要な連携を図ってまいりたいと考えております。
重なる部分は少なくて、例えば、交通安全政策について、外国人の交通安全対策について若干重なる部分があることもございます。
○森山(浩)委員 では、具体的な部分で、例えば、現在大々的に報道されていますタイ人の十二歳少女の人身取引事件、これは、共生の文脈から考えると、どちらの大臣の担務になりますかね。
また、一般的に、在住外国人が被害者にならないための社会づくりという政策は、どちらの大臣の担当となりますか。
○小野田国務大臣 今事例として挙げていただいた事件は、本当に許せない事件だと思いますけれども。
御指摘の人身取引事件のように、犯罪の被害に遭った場合、その被害者が日本人である、外国人であるということを問わず、これは捜査機関が適切に対応するものと承知しておりまして、個別事件の対応それ自体は私の担務ではないというふうに理解をしています。
ただ、一般的な対応をあえて申し上げれば、例えば、法務省の入管庁において、人身取引被害者の可能性がある外国人に、被害者保護の観点から在留を特別に許可するであるとか、あとは、各都道府県の警察において、防犯に必要な情報等を容易に入手できるように各種啓発資料の多言語等の対応をしたりという推進をしているという取組は承知しております。
ただ、そういう取組や関係に関する制度については、制度の所管省庁にお尋ねをいただければと存じます。
○森山(浩)委員 と申しますのは、ルールを逸脱をする外国人については取締りを強化する、そして、善良な外国人については一緒に住む。でも、外国人が被害者になるという部分については、これまでの発言の中では抜けているんじゃないかなというふうに感じましたので、確認をさせていただきました。
例えば、居住地変更義務、排外主義についての話です、日本国民も外国人も同じ、十四日以内です。ところが、日本国民は住民基本台帳法で五万円以下の過料、それに対して、外国人は二十万円以下の罰金と定められていた外国人登録法は、二〇〇九年七月に廃止をされました。ところが、外国人重罰規定、これについては、入管法、入管特例法に移して、現在も存続をしています。
金額の四倍差、これに加えて、前科のつく刑罰か行政罰かというような差は大きいと考えますが、これは排外主義に当たりますか。あるいは、ほかにも、現在の法制度の中で排外主義に当たると思われるものはありますか。
○小野田国務大臣 御指摘の住居地の変更届の詳細については出入国在留管理庁にお尋ねいただきたいと思いますが、外国人の在留管理上重要な居住地について、その居住実態を速やかに把握できるようにする趣旨であるというふうに承知をしておりまして、こちらは排外主義に当たるものではないというふうに考えております。
○森山(浩)委員 一般的に、現在の法制度で排外主義に当たるものはありますか。
○小野田国務大臣 私の認識では、ないというふうに思っております。
○森山(浩)委員 加えて、小野田大臣、二〇一九年十一月十四日の参議院法務委員会でのヘイトスピーチについての発言で、「一部で、日本人は本邦外出身者ではないから差別的な扱いをしても問題はないんだというような意見が最近あるんですね。」という発言をされています。
現在、我が国で日本人に対するヘイトスピーチは存在するとお考えですか。
○小野田国務大臣 御指摘いただいた質問が、ヘイトスピーチ解消法のところで、いわゆるヘイトスピーチ解消法成立時の衆議院及び参議院の法務委員会における附帯決議において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるという理解は誤りであるという旨が明らかにされていたんですけれども、この質問をしたときには、当時の、私に対して、ヘイトスピーチ解消法の成立後、日本人に対しては言ってもいいんだというようなことを言われているというやり取りをツイッター上でも拝見をして、何てひどい法律を作ったんだ、俺らのことはいいと言ったのかというような御指摘を踏まえ、違います、そういうものではないんです、これは本邦外出身者であろうがそうじゃなかろうが、ありとあらゆる国籍、人種、民族等を理由にして、差別意識を助長し、誘発する目的で行われる排他的言動はあってはならないんだという、当たり前のことをもう一度確認をさせていただいたというものでございます。
○森山(浩)委員 なので、日本人に対するヘイトスピーチなるものは存在するとは考えておられないということですか。
○小野田国務大臣 済みません、何がヘイトスピーチに当たるかというのはそれぞれの個別の案件だと思いますけれども、いずれにいたしましても、対日本人であっても、日本人であること、人種、国籍を理由にして何かしら差別的なことを言うことがあるのは許されないし、あったとすれば、それはいけないことだと思っています。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
首相の所信表明で、「一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱」という文言があります。一方で、現在日本に存在しないカジノ、これをIRの一部として新設しようというのがこれまでの政府の方針であります。
大阪においては工事着手まで進んでいますけれども、首相のおっしゃる、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱を心配するのであれば、当初からマフィアやギャングといった海外の犯罪組織が日本に進出する窓口となるおそれが指摘をされておりますカジノをわざわざ新しくつくることはあり得ないと考えますが、高市政権は方針転換を検討されますか。官房長官にお尋ねします。
○木原国務大臣 御指摘のカジノを含みますIR、特定複合観光施設につきましては、国際競争力の高い滞在型観光を実現し、観光及び地域経済の振興等に資する重要な取組であると考えています。
また、その推進に当たっては、犯罪の発生の予防、善良の風俗や清浄な風俗環境の保持などに取り組むことが必要と考えておりまして、大阪府、大阪市、またIR事業者による特定観光施設区域の整備に関する計画におきましては、IR開業に合わせて、夢洲内に警察署を設置するとともに、段階的に警察職員を増員する、また、防犯環境の整備やパトロールの強化により、事件、事故の未然防止及び検挙活動を推進する、さらに、不法滞在者等の取締りなど、犯罪インフラの撲滅に向けた検挙活動を積極的に推進する、そういった取組を行うこととされております。
その上で、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対しましては、排外主義とは一線を画しつつも、これらの取組を通じて毅然と対応していく、そういったことが重要であろうと考えております。
○森山(浩)委員 火はつくけれども消火器があるから大丈夫なんですよというような答弁に聞こえましたが。
外国人との秩序ある共生というのは、日本社会の在り方に関わる非常に重要なテーマだと考えています。単なる取締りの強化というようなものに陥ることなく、しかしながら、危険性はしっかり排除するというようなことも含めて取り組んでいただきたいと思います。しっかり議論を続けてまいりたいと思います。
二日前の質問通告後の出来事でありましたので通告できませんでしたけれども、昨日の参議院内閣委員会で、自民党派閥の裏金問題に関与した佐藤官房副長官の就任挨拶、これを与党が提案せず、実際、委員会では挨拶が行われませんでした。
高市内閣では、裏金問題に関与した議員については、選挙でみそぎが済んだ者のみを政務三役に登用する方針とされていたと思いますが、これは違ったんでしょうか。あるいは、裏金問題についてどのように線引きされて任命されたのか。また、この混乱についての任命責任をどう考えておられるのか。官房長官に伺います。
○木原国務大臣 御質問はいただいておりませんでしたが、先般の衆議院のこちら内閣委員会の所信については、佐藤啓参議院側の副長官のお話は聞いていただいたというふうに承知をしております。
一方で、参議院側は参議院側の御判断があったんだろうというふうに思っておりますが、高市総理は、佐藤啓官房副長官に対しまして絶大な信頼を置いております。また、佐藤啓参議院議員のこれまでの議員としての活動に対しましても、国会対策、あるいは政策立案能力、企画能力を含めて、内閣官房副長官としてふさわしい人材であるということ。さらに、衆議院議員は、私どもは昨年解散・総選挙がありました、一定のそういった有権者による御判断は経ているということだろうと思いますが、参議院の場合は、制度上これは半数改選ということになっており、今年七月に選挙のなかった議員も半分おられます。ということは、更にそこから三年間待たなきゃいけないという中で、今、少数与党という中で、全員活躍をする、そういった政権をつくっていくという高市総理の方針の下で、多くの議員が、議院内閣制の下、政府の中に入ってしっかりと汗をかいて、持ち場で仕事をしていく。
そういったことを参議院の本会議でも高市総理がしっかりと説明をし、また、参議院のことではありますけれども、衆議院の予算委員会等でも高市総理がしっかりと説明させていただいた上で、国民の皆様、そして議員の方々にも、しっかりと丁寧に説明をさせていただいたところでございます。
○森山(浩)委員 国会対策についてはもう支障が出ていると思うんですけれどもね。ただ、線引きはないということが確認ができました。
官房長官、危機管理等もございますでしょうから、御退席いただいて結構です。
○山下委員長 官房長官は御退席されて結構です。
○森山(浩)委員 カジノに関連して、ギャンブル依存症の対策について、あかま大臣、関係省庁と連携しながら取組を推進してまいりますとおっしゃっています。
私、この問題は、現在、特に足りないのが社会の認識へのアプローチじゃないかなと思っているんですね。
ギャンブル依存症は治療するものだというような、自分が悪いんじゃないかではなくて治療するようなものなんじゃないかなという意識を社会全体で共有することについて、更に力を入れていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○あかま国務大臣 森山先生にお答えをいたします。
先生おっしゃるとおり、ギャンブル等依存症、これは、社会全体でそうした機運、それを醸成しながら、治るんだ、治療できるんだ、このことは大変重要な指摘だというふうに思っているんです。
自分の身の回りにいれば、より切実に感じるのかもしれないが、ただ、いわゆる依存症と称する様々な調査がある中で、約二%だ、やれ経験者を含めれば二・数%だ、三%だなんという数値からすれば、意外にみんな、周りにいないかもしれない。
しかしながら、そういった方々、ややもすれば、個人の日常であるとか経済活動、また家族もということを含めれば、我々が社会全体でという指摘、これはまさにもっともだというふうに思っております。
その点にあっては、これまで、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議、この開催を通じて、まさに当事者、また家族の方々、その代表の方々などの意見を伺って対策に生かしてきたところでございます。
あわせて、ギャンブル等依存症問題の啓発期間、これは五月の十四日から五月の二十日、これを中心に、まさに、おっしゃるとおり、ギャンブル等依存症は回復できるのだという広報、また、一人だとかまたその家族で悩まずに相談機関へつなげていこうということ、こういったことを促す広報啓発、これを積極的に取り組んでおります。
いわゆる相談、治療体制、これをしっかりと整えていくことをもって、地域また社会全体が安心、安全でというふうになるように、是非先生のお力も賜りたい、そう思っています。しっかりと捉えていきたい、そう思います。
以上です。
○森山(浩)委員 実は、ギャンブル依存症の家族の皆さん、毎月とか毎週とか集まって、お互いの経験をシェアしたりしながら、どんな解決法があるかねというようなことをやっておられます。代表者に来ていただいて意見を聞くというだけではなく、そういった場にお越しをいただいて、実態というのをお聞きいただいたりすることはできますか。
○あかま国務大臣 今し方お答えしたとおり、いわゆる当事者、あと御家族の意見、これを賜る場、これを設けてもまいりました。また、より小さな声、これを賜る場があれば是非ということであれば、国会の日程であるとか公務の日程を踏まえながらも、またお声かけいただければ対処してまいりたい、そう思います。
○森山(浩)委員 せっかくあかま大臣に立っていただいたので。実は私、先日、映画「宝島」というのを鑑賞しました。二十五億円かかって五億円しか売上げがなかったそうでありますけれども、沖縄県警と米軍のミリタリーポリスの権限の線引きというような問題を扱っている、コザの暴動のときの話なんですが、単に知識として知っているのと、また映像で見るのは大違いだなと思ったことでもありますし、現在も続く問題ではないかなと考えています。
私たち大阪の人間には日常になじみはありませんけれども、選挙区に米軍基地がありますね。大臣にとっては、地位協定の運用改善といった問題意識等を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。つけ加えです。よろしくお願いします。
何かありますか。
○あかま国務大臣 今お話を賜りました、私の選挙区にあっても、いわゆる米軍施設、ございます。日米地位協定の話、これについては様々な声があること、承知もしております。関係省庁とも、踏まえながら、しっかりと市民の声また国民の声も賜りながら対応してまいりたい、そう思います。
以上です。
○森山(浩)委員 内閣委員会に残っていただきました万博大臣、所信で、万博の成果の検証とレガシーの継承を検討されるというふうにされています。これは検討していただいたらいいかなというふうに思いますが。
それこそ、万博の負のレガシーとならないように、二百億円を超える運営黒字に対して、判明分で数億円と言われる万博パビリオンの未払いの問題の解決について、無利息の融資あるいは万博協会による債権回収などの案、これらを検討しながら、我が党では議員立法を検討しているところであります。
協会が存続する間に何とか解決をしていただきたいなと思いますけれども、赤澤大臣、いかがですか。
○赤澤国務大臣 御通告いただいた二問をまとめてお問いになったと思うので、こちらもちょっと簡潔にお話をしたいと思いますが。
大阪・関西万博を通じて得られた成果は、もう御案内のとおり、二千九百万人を超える来場者、最大二百八十億円の黒字といったことであります。いろいろな成果が上がって成功だったというふうに認識をしているわけであります。
その成果の検証とレガシーについては、経産大臣そして国際博覧会担当大臣である私の下に成果検証委員会を設置し、検討を進めてまいります。年内には議論を開始し、来年春から夏頃には結論を得たいと思っております。
委員御指摘の件でありますが、海外パビリオンの工事代金の支払いについては、一義的には契約の当事者間における問題と考えており、政府及び博覧会協会が御指摘の立替え払い等を実施する立場にはないと考えている一方、これまでも博覧会協会及び関係行政機関と一体となって受託事業者などから相談を受け付ける体制を整備しておりまして、引き続き、関係省庁で連携をし、個別の契約の問題解決に向けて後押しをしていきたいと思っています。
また、万博のレガシーの議論とは別に、既に、海外パビリオンの解体工事を進めるに当たり、建設工事の下請代金の支払いの適正化や契約書面の交付を始めとする法令遵守徹底について、博覧会協会から参加国及び解体工事業者に周知するなど、同様の課題が生じないようにそういう取組を行っております。
引き続き、円滑に解体工事が進んでいくように、政府としても注視してまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
私、何回も当事者の社長さんからお話を伺うんですが、万博の、国を挙げての事業だから信用して頑張って工事したのに、何なんだこれは、自分の会社が潰れたらどうしてくれるんだというような、非常に悲痛なお声を聞きます。ふだんの建築の仕事であれば、建築業法とかあるいはゼネコンとか、国内の秩序の中で何とかなるわけですが、海外の企業が、これも海外の企業ですね、関わっているということで、契約書に書いてないことはやらないんだというようなことが通ってしまう。
今の建築業法自体の問題についてもあるのかなという気はいたしますけれども、今回の反省を踏まえて今後の事業ということですが、実は愛知のアジア大会、今回公金を投入するんだというような議論が始まっておりますけれども、愛知のアジア大会においても、この問題のフランスの企業が六百三十億円分の工事の発注を受けているというふうにお聞きをしています。
これは、同じようなことが起こってはなりません。そして、今回、このような契約書を書いていればよかったというような反省点があるでしょうから、それは私の担当ではありませんということではなく、横横連携していただいて、アジア大会では同じようなミスが起こらないように契約書の書き方等も共有していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山下委員長 赤澤大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○赤澤国務大臣 はい。
現時点では、先ほどお話しした成果検証委員会での議論の内容について検討しているところですが、海外パビリオンの工事代金の支払いの問題についても、政府の立場とこれまでの対応はさきにお答えしたとおりということなんですが、大阪・関西万博でこうした事案が発生している事実も踏まえて、委員御懸念の愛知アジア大会も含む次の大型イベントにおいてこうした問題がないように、関係省庁に知見の共有も進めていきたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございました。
○山下委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 おはようございます。
委員長、理事の先生方に御許可をいただいて発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。閣僚の皆様方、よろしくお願いを申し上げます。
官房長官、今、私ども庶民の間では、物価が高いね、米の値段もまた上がってきたね、そして熊が出るねということがよく話題になるわけでございまして、官房長官が関係閣僚会議の議長としておまとめになられた熊対策のパッケージなども読ませていただきました。
まず最初に、この熊対策についてお聞かせをいただきたいというふうに思うんですけれども、前提として、環境省に今日お運びをいただいておりますので、前提となる事実を幾つか教えていただきたいんですけれども、今現在、環境省が推定をされていらっしゃるヒグマ、ツキノワグマの頭数を教えていただきたいというふうに思います。
○成田政府参考人 お答えいたします。
ツキノワグマが恒常的に生息している都道府県の数でございますが、三十三都府県でございます。二〇一八年から二〇二四年にかけまして個体数推計を実施いたしました。そのうち二十二府県の推計の中央値を単純に足し合わせた結果は、二〇二四年度時点では約四万二千頭となっております。
ヒグマに関しましては、二〇二二年四月に策定されました北海道ヒグマ管理計画によりますと、二〇二二年の推計の中央値が一万二千頭とされております。
○川内委員 中央値が、ツキノワグマが四万二千頭で、ヒグマが一万二千頭。だから、最大値だと、単純にですよ、倍ぐらいになってしまうということになるわけですけれども、じゃ、この熊対策の関係閣僚会議の取りまとめの文書でも増えているということは書いてあるわけですが、どのくらい増えているんだろうということで、例えば、一九九〇年代における推定されていたヒグマ、ツキノワグマの頭数というのは、環境省としてはどのぐらい、一九九〇年代においては推定していたのかということを教えていただきたいというふうに思います。
○成田政府参考人 お答えいたします。
ツキノワグマの個体数推計につきましては、一九九〇年代を含めまして過去の比較可能なデータがございませんので現在の推計個体数との比較は困難でございますが、専門家によれば、近年、個体数は増加傾向であるとされております。
また、ヒグマに関しましては、二〇二二年四月に策定されました北海道ヒグマ管理計画によりますと、一九九〇年の推計の中央値が五千三百頭、二〇二二年の推計の中央値が先ほど申し上げました一万二千二百頭でございまして、個体数は増加しております。
○川内委員 ツキノワグマについては過去の頭数はよく分からぬ、だけれども増えているだろうと。ヒグマは二倍以上に増えているということですね。
そうすると、各地域個体群における適正な頭数、個体数というのは、現状において、環境省としては、ツキノワグマはこのぐらいが適正な数だね、ヒグマはこのぐらいの数が適正な頭数だねというふうに考えていらっしゃるのか、適正な個体数というのを教えていただきたいというふうに思います。
○成田政府参考人 お答えいたします。
熊の適正な個体数につきましては、環境省が作成いたしました特定鳥獣保護・管理計画作成のためのガイドライン(クマ類編)改定版におきまして、熊の自然増加率を勘案し適正な捕獲上限数を設定することにより個体群を維持する考え方が示されております。また、都道府県が定める第二種特定鳥獣管理計画におきまして、熊の生息個体数の目標を定めている地域もある一方、定めていない地域もあると承知しておりまして、全国的に統一的な適正な個体数は示せていない現状にございます。
十一月十四日に行われましたクマ被害対策等に関する関係閣僚会議で決定したクマ被害対策パッケージにおきまして、増え過ぎた熊の個体数削減、管理の徹底を図っていくこととしており、今後実施する個体数推計の結果も踏まえながら、適正な個体数について検討してまいりたいと考えております。
○川内委員 官房長官、適正な個体数については、これまでは都道府県任せだったので環境省としては分からぬと今環境省から御説明があったわけですよね。今後やりますわという御答弁も併せて今回の閣僚会議でちゃんと決定したよということなんですけれども、今年の大変な被害というのは、環境省、まあ環境省というのは政府の一組織、だから、政府がこれまで熊の個体数管理、二年前の令和五年も大変な被害が出ていたわけですけれども、個体数の管理あるいは適正な個体数がどのくらいなのかということの把握を怠ってきたということも今回の大変な被害の原因の一つであるということを、私は、反省をしなければならぬというふうに思うんですよね。増え過ぎちゃっているわけですから。だから、こんなことになっている。
だとすれば、今現在どのくらい個体数が生息しているのか、そして、人間と熊の共生がうまくいくために、被害が余り出ないようにするために、どのぐらいの頭数が適正なのかということについて、政府として早急に把握をしなければならない、目標をセットしなければならないと私は思うんですけれども、今回の閣僚会議の決定文書では、これは中期的な課題に分類されているんですよね。捕獲しますとか駆除します、適正に管理しますということは書いてあるんだけれども、一番大事な、今どのぐらいいるのか、どのぐらいが適正なのかということについては、中期的な課題ですということになっておる。
だから、私は、閣僚会議の決定文書を変更しなきゃいかぬと思うんですよ。まず、短期的に、緊急にやることはいっぱいあって、捕獲する、これも緊急にやらなければならない。それはそのとおりです。だから、緊急にやることの一つとして、適正な個体数を把握する、今現在何頭いるか把握する、その科学的な分析を政府を挙げてまず緊急に取り組むということをしないと、一番大事なことが、黄川田大臣、来年度からやりますという文書になっているわけですよ。
今すぐ取りかからなければならないことを、来年度からやりますという文書になっていたら、これは、熊対策で、関係閣僚会議の決定文書には、国民の命と暮らしを守ると言い切っているんですよ。守りたいじゃないんです。守ると言い切っているわけですから、だったらば、緊急にやるべきこととして、今現在どのぐらい生息しているのか、そして目標管理頭数、どのぐらいが適正なのかということについては緊急に今すぐ着手するからというふうに、議長としての決断をいただかなければならないというふうに私は思いますが、ここまで熱く演説しましたので、官房長官、御答弁いただきたいと思います。
○木原国務大臣 ありがとうございます。
確かに、熊被害対策を徹底するためには、個体数推定、これを速やかに実施する必要があると考えております。熊の個体数管理の実効性をそれによって高めていく、このことがやはり一番重要だろうというふうに私は思っております。
このためには、まず、冬眠が終わった後、春期の捕獲に向けて、先日のクマ被害対策等に関する関係閣僚会議においては、環境大臣を中心に、関係閣僚に対しては、個体数推定に基づく地域ごとの熊の捕獲目標頭数を設定し、クマ対策ロードマップを年度内に策定するよう指示したところです。
しかし、頭数目標は、捕獲目標は今のデータに基づくものです、新しいデータはこれからやっていくので。でも、それを待っていては間に合わないので、委員おっしゃるように、緊急的には、古いデータですが、それを活用せざるを得ませんから、当面は、古いデータ、今のデータに基づいて緊急的にはやっていきます。その後、さらに、統一的な手法によって、熊の生息状況の調査を全国的に実施します。そして、新しいデータを取ります。
だから、個体数推定の精度を高め、そして、新しいデータに基づいた春期の対応を踏まえて、クマ対策ロードマップ、これを順次精緻化していく、つまりアップデートしていくということ、そのつもりで私としては進めていきたいと思っております。
○川内委員 今御答弁の中に、速やかに実施するという御発言があったんですけれども、速やかに実施するということでよろしいわけですよね。
○木原国務大臣 熊の個体数管理の実効性を高めていくためには、個体数推定を速やかに実施し、そして個体数推定の精度を高めて、さらに、その数値をアップデートしていく、そういうことでございます。
○川内委員 今、官房長官の、議長の御答弁の中にも、とにかく捕獲をしっかりしなきゃいかぬのだという御発言もあったわけですけれども、警察官の方が猟友会の指導の下にわなの設置等を行うことに私も尽力をしていただきたいなと。昨日、北海道猟友会の会長さんが、もっと警察や自衛隊に頑張ってほしいんだよということを御発言になられたようでありますけれども、警察官が、機動隊などがわなの設置を行うということに関しては、何か法的なハードルがあるんでしょうか。
○あかま国務大臣 川内委員の方で、警察官がいわゆる箱わなを設置をするという話だと思いますけれども、わなの設置による熊の捕獲について、これは各都道府県において、鳥獣保護管理法に基づき定められている鳥獣保護管理事業計画等に従って実施されるものというふうに理解をしております。
警察といたしましては、熊が人の生活圏に入ってきた、出てきた、出没した、その折には、避難誘導であるとか立入り規制といった現場周辺の安全確保、これをまずしっかりやること、地域住民の安全確保、これがまずだというふうに考えて、その取組を進めておりますので、熊による人身被害の防止を図る方をしっかりと取り組んでまいりたい、そう思っています。
○川内委員 次に、自衛隊なんですけれども、自衛隊は、今のところ、箱わなの輸送だけで、設置については行っておらないというふうに聞いておりますけれども、これも自衛隊の皆さんに設置までお手伝いをいただくというふうにすればいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、これも、今日、防衛省の方に来ていただいていますけれども、法律上のハードルがあるんでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
鳥獣保護管理法上、箱わなの設置に当たっては、原則として適切な狩猟免許を所持している必要があると承知しております。例外的に、一定の条件を満たす場合、免許所持者に対する補助者として箱わなの設置が可能な場合がある点も承知しておりますが、いずれにせよ、秋田県からは、自治体及び猟友会への支援として、箱わなの運搬等の要望を受けております。
引き続き、県との間で合意した十一月三十日までの間、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○川内委員 官房長官、ここでまたもう一度御答弁いただきたいんですけれども、捕獲に当たってはとにかくわなを設置するしかないわけでございまして、昨日、岩手で警察の部隊が出動要請を受けて出動したということも聞いておりますけれども、結局、日没とかで成果はなかったというふうにお聞きしております。
とにかく、いろいろなことをしなければならないんだけれども、その中で、増え過ぎている、増えている、だから、出てくるものは何とかして箱わなを設置して捕獲していくということを考えると、警察や自衛隊に箱わなの設置についてもっと手伝ってもらうべきというふうに私は思うんですけれども、官房長官の議長としての御答弁をいただきたいというふうに思います。
○木原国務大臣 警察庁及び防衛省の取組については、先ほど国家公安委員長あるいは防衛省が述べたとおりであります。
その上で、取りまとめたパッケージに基づく取組を進めていく中で、これは適切に役割を果たしていくということになりますけれども、大事なのは、市町村とそして警察などの関係機関が十分に連携して対応することが重要である。しっかりとやはり法令は守らなきゃいけませんので、法令を守った上で、そういう中においても十分に、しかしながら、余りにもしゃくし定規ではなくて、十分に連携しながら対応するということ、このことが必要なのではないでしょうか。
○川内委員 是非検討をしていただきたいというふうに思います。増えているという政府の今の認識ですが、正式にちゃんと調査したら、増え過ぎているのかもしれない。だから、これだけ被害が出ているのかもしれない。だとしたら、捕獲をとにかく強化するしかないだろう。そのためにはマンパワーも必要だし、マンパワーとしてあるのは、本当に警察の皆さんや自衛隊の皆さんには御苦労をいただくわけですけれども、御努力をいただく必要があるのではないかということを再度申し上げておきたいというふうに思います。
じゃ、官房長官、御退席いただいて結構でございます。
○山下委員長 官房長官は退室されて結構です。
○川内委員 では、次の話題に移らせていただきたいというふうに思います。
森友文書が四月から開示が始まりまして、十七万枚、今のところ五万四千枚開示をされて、その中で、新しく分かってきた事実というのも幾つかあるんですね。高市総理の御発言では、再調査が必要な新しい事実ではないということなのかもしれないですけれども、新しい事実が幾つか判明をしてきている。
その中で、これはもう前から分かっていたことなんですけれども、九億円の土地を一億円に値引きます、その値引くことを説明する書類として一番大事な、重要な文書である、書類である評価調書というものが近畿財務局では作成をされていなかったという事実がございます。
値引く根拠になる書類を作成していなかった。これは財政法九条を担保するために作られている国有財産評価基準の手続に反しているということなわけですけれども、これはもう財務省も前から、国有財産評価基準に違反していますということはお認めになっていらっしゃるわけですが、そのことを改めて、違反していますということをもう一度ここで御答弁いただきたいと思います。
○柴田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点でございますけれども、理財局の通達でございます国有財産評価基準におきまして評価調書を作成するとされているわけでございますけれども、森友学園との土地取引につきましては、評価調書の作成を失念していたということでございます。これは深く反省すべきことでございまして、当該内規でございます評価基準に反したものであるというふうに考えてございます。
この点につきましては会計検査院からも指摘されておりますので、こうした御指摘も踏まえまして、一連の手続の中で評価調書が確実に作成されるような通達の改正というものも行っておりまして、適切な事務の遂行に努めてまいりたいと考えております。
○川内委員 重要な書類である、委員長、評価調書の作成をしていませんでした、忘れていました、九億を一億に値引く根拠になる書類の作成を忘れていました、でも、財政法九条に定められている適正な対価だったんですよということを財務省は主張するわけですよね。適正な対価とは時価のことなんだと。時価というのは一体何だろうなというふうに思うんですけれども。
そこで、もう一度財務省に、時価という言葉が何を意味するのかというのを、時価の定義を教えていただきたいというふうに思います。
○柴田政府参考人 お答えいたします。
適正な対価あるいは時価についての考え方ということでございますけれども、国有財産の売却に関しましては、国有財産評価基準を踏まえて鑑定評価額を基に算出した価格を基準として定まる取引価格、これで売却するということにしているものでございます。
こうした考え方の下で、森友学園への国有地の売却について申し上げますと、開校を翌年に控える中で、校舎の建設工事中に地下埋設物が発見され、相手方からの損害賠償請求も想定されるという切迫した状況の中で、瑕疵担保免除特約を付すことも含めて対応を行ったわけでございますけれども、不動産鑑定士が見積もった鑑定評価額から大阪航空局が見積もった地下埋設物撤去費用等を控除した価格で売却したということでございます。
○川内委員 いやいや、僕、時価の定義を教えてくれと言ったので。今、何で一億にしたのかという理由を長々と御答弁されたんですけれども。
この前、国税庁の方に、これも財務省の一組織ですけれども、国税庁の方に、相続とか、あるいは所得税のこととか法人税のことで土地の取引のことを調査したりすることもおありになられるでしょうから、時価って何ですかねと国税庁の方に聞いたら、自由市場において通常成立すると認められる客観的な交換価格というふうに教えてくれたんですけれども。もう一度言いますよ。自由市場において通常成立すると認められる客観的な交換価格が時価でございますと。だから、不動産鑑定評価額とか路線価とか不動産を評価する会社が評価した価格とか、そういうのが時価ですよというふうに教えてもらったんですけれども、そういう考え方でいいわけですよね、財務省さん。
○柴田政府参考人 お答え申し上げます。
時価についての、適正な価格についての考え方でございますけれども、国有財産の売却に当たって私どもが実務上どういう考え方でやっているかということで申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、国有財産評価基準を踏まえて鑑定評価額を基に算出した価格を基準として定まる取引価格ということで通常の取引を行っているということでございます。
○川内委員 今、理財局次長さんが、委員長も今、ううんっという顔をされましたけれども、国有財産評価基準を踏まえてとおっしゃいましたよね。だから、国有財産評価基準を踏まえずに、評価調書を作っていないわけですから、国有財産評価基準を踏まえずに取引しちゃった、だけれども時価だと言い張っていらっしゃるという、大変なこれは文書管理上の問題があると思うんですよね。黄川田大臣。
だから、公文書管理法には、公文書の管理あるいは作成等に問題がある場合は、公文書管理法九条で、調査することができるというふうに書いてあるんですけれども、是非、大臣として、この問題について、なぜ作成されなかったのか、なぜ忘れていたのか、本当は踏まえるべき手続をなぜ踏まえず、書類が作られることがなかったのかということを御調査いただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○黄川田国務大臣 公文書管理法では、意思決定過程や事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証できるよう、文書の作成を義務づけているところでございます。どのような文書を合理的な跡づけ、検証に必要なものとして作成するかは、個々の業務に知見と責任を有する各行政機関、今回の場合は財務省においてでありますが、公文書管理法等にのっとり判断するものと考えております。
御指摘の公文書管理法第九条第三項では、制度運営上、特定の行政文書の取扱いについて必要があると認められる場合に調査等をさせることができるとする規定であります。この御指摘の点について、平成二十九年の会計検査院の検査により既に事実関係が明らかになっていると承知しており、改めて御指摘の公文書管理法第九条第三項に規定している調査等を行う必要はないものと考えております。
なお、会計検査院の御指摘も踏まえ、財務省においては、既に通達の改正を行ったものと承知しております。
いずれにせよ、内閣府としては、引き続き、各行政機関に対して行政文書の適正な管理の徹底を促してまいりたい、このように考えております。
○川内委員 残念な答弁だったんですけれども、今日はちょっと説明する時間もなかったので、またしっかり、黄川田大臣が公文書管理の担当大臣ですから、説明をさせていただきながら、また判断を変えていただけるように議論を進めてまいりたいというふうに思います。
あと残り三分ですから、ランサムウェアについて最後に聞かせていただきたいというふうに思います。
これまでのランサムウェアの統計を取り始めて以降の被害件数と被害金額について教えていただきたいというふうに思います。
○あかま国務大臣 これまでのランサムウェアの被害件数と被害金額、統計を取り始めたのは令和二年の下半期からでございますので、それ以降、令和七年上半期まで、合計件数九百三十二件でございます。
被害額という話について言えば、令和三年から、調査、復旧費用についた被害企業のアンケート、これを実施しておりまして、約半数近く、四五・三%から、調査、復旧に一千万以上の金額、これを要したという旨の回答がございました。
以上です。
○川内委員 検挙した件数というのは教えていただけるんでしょうか。
○あかま国務大臣 検挙件数でございますけれども、国境を越えて敢行されるランサムウェア事案に対しては、警察庁のサイバー特別捜査部を中心に、外国捜査機関と連携して共同捜査による被疑者の検挙を推進しておりますけれども、検挙件数という話でいいますと、共同捜査等は行って被疑者を特定している事態は功を奏しておりますが、このことをもって幾ら検挙をした、していない云々ということが、今後のサイバー体制の整備であるとか、そういったものを含めながらつまびらかにするというよりは、これらを含めて理解していただきたいと思います。
○川内委員 今のところ、日本の警察として検挙した事例はまだないということですよね。
○あかま国務大臣 そのとおりでございます。
○川内委員 サイバー犯罪というのはこれからますます盛んになるでしょうし、今日は文部科学省にも来ていただいて、日本はサイバーに物すごく投資するんだけれども、テクノロジー、技術とか人材という意味においてはまだ全然立ち遅れているんですよね。文部科学省、そうですよね。
○堀野政府参考人 お答え申し上げます。
日本のデジタル競争力につきましては、スイスのビジネススクールであるIMDが二〇二四年に公表した調査の結果によれば、六十七か国中三十一位とされておりまして、デジタル人材育成の強化は喫緊の課題でございます。文部科学省といたしましても、初等中等教育段階から高等教育段階まで切れ目のない取組を推進していくことが重要と考えております。
なお、この日本のデジタル競争力の順位につきまして、文部科学省の令和八年度概算要求の資料に記載の誤りがございました。川内委員の御指摘により当該資料を修正し、改めて全国会議員に資料を再配付させていただきました。おわびを申し上げます。
今後とも、現在、学習指導要領の改訂等も検討しておりますが、しっかりと情報活用能力の抜本的向上など、人材育成を更に加速してまいります。
○川内委員 もう時間が来ていますので、松本大臣、済みません、最後、サイバーセキュリティー人材のことについて聞きたかったんですけれども、時間が参りました。
終わります。
○山下委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、物価高に立ち向かい、実質賃金をどう上げるか、失われた三十年と言われる日本経済の根本的な課題に照らして、まず城内大臣と議論をしたいと思います。後半は、二月の予算委員会で提案したソブリンAI、他国に依存せずにAIを作る、使うための方法について小野田大臣と議論をしたいと思います。
物価高が相変わらず大変であります。立憲民主党も、先週、緊急経済対策を作り、本日、官房長官にも申入れに行く予定にしております。食料品の消費税ゼロ、また、それまでの半年間は中低所得者への支援金、また医療、介護、福祉施設の給料アップや経営支援など二十五分野、八・九兆円のスピード重視の経済対策であります。
この物価高対策や減税、また手取りを増やす政策は急ぎ必要であります。しかし、本質的には、物価が上がっても、それ以上に毎年賃金が上がればよいわけであります。物価を上回る賃金上昇、つまり実質賃金プラスの経済を実現するために、政府は生産性を上げようという方針であります。確かに、生産性が上がれば、企業の利益も増えて賃金も上昇するのが普通です。
しかし、実際は、お配りしております資料の一番を御覧ください。これは年金の長期推計のための基礎資料でありますけれども、左上が日本のグラフで、青いのが労働生産性、オレンジ色が一人一時間当たりの実質賃金です。
世界の国、当たり前のように、生産性が上がれば、それに伴って実質賃金もちゃんと上がっています。イギリスなどは生産性以上に賃金が上がっている、大変すばらしい成績。労働生産性は、実は欧米と同じぐらいちゃんとこの三十年上がっているんです。にもかかわらず、先進国で日本だけが実質賃金が完全な横ばいという異常な経済になっております。この特殊な現象は、閣議決定された労働経済白書でも指摘をされております。
大臣に伺いますが、この三十年間、労働生産性が上がっても実質賃金がほとんど上がらなかったという事実はお認めになりますか。
○城内国務大臣 委員が配られました配付資料にあるとおり、過去三十年間で、労働生産性が約一・四倍に伸びている一方で、実質賃金は約一・一倍と伸び悩んでおりますので、委員御指摘のとおりであります。
○井坂委員 失われた三十年というのは、労働者が頑張って生産性を上げたのに、実質賃金が上がらない三十年だったということであります。
こうなった原因も内閣府が分析をしております。資料の二を御覧ください。経済財政諮問会議で使われた資料であります。この三十年間で、実質賃金にプラスに働いた要因とマイナスに働いた要因を分解したものです。
この下のグラフは製造業と非製造業に左右に分かれていますが、どちらも、ゼロより下のマイナス要因になったのは緑色の労働分配率、これが製造業でも非製造業でもマイナス要因になっています。売上げから仕入れを引いた粗利益のうち何割を社員の給料に回しているかという労働分配率が下がったことが、生産性が上がったのに実質賃金が上がらなかった理由と分析をされています。これは政府の分析です。
もう一つ、特に製造業でマイナス要因になったのが、ピンク色の交易条件と書かれているものです。ただ、交易条件とは、本来、輸入物価分の輸出物価でありますが、資料の右下の細かい数式を見ていただくと、付加価値デフレーターを消費支出デフレーターで割ったものを交易条件というふうに呼んでいます。この式は、素直に読めば、粗利益を物価で割ったものですので、単に価格転嫁率と解釈するのが妥当ですねと、これは内閣府のこの数式の担当者にも確認済みであります。
大臣、伺いますが、生産性が上がったのに実質賃金が上がらなかった理由は、労働分配率の低下、それから不十分な価格転嫁、この二つであるということでよろしいでしょうか。
○城内国務大臣 お答えします。
御指摘の資料でお示ししているとおり、実質賃金の上昇が労働生産性に比して抑制されてきた理由といたしましては、製造業では、生産者価格に比して消費者への価格が上昇しなかったこと、そしてまた、御指摘のとおり、価格転嫁が進まなかったこと、これが考えられます。また、非製造業について言いますと、コストカットが進む中で労働分配率が低下してきたことも考えられます。
また、女性や高齢者等、パートタイム労働者を中心に、相対的に賃金水準の低い非正規雇用労働者が増加したことなどにより全体の賃金が押し下げられたことも、結果として平均の実質賃金が伸び悩んだ背景になっているものと認識しておりまして、おおむね委員御指摘のとおりであります。
○井坂委員 今おっしゃった答弁の中で一つだけ。製造業は価格転嫁とおっしゃいましたが、このグラフを見ていただいても、非製造業ほどではないにしろ、やはり労働分配率も製造業の実質賃金を下げた理由になっているということは指摘をしておきたいと思います。
日本で生産性が上がっても実質賃金が上がらなかった第一の理由である企業の労働分配率、特に大企業と中小企業がそれぞれ粗利益の何%を社員の給料に回してきたのか。
資料の三番の左側を御覧いただきたいと思います。これは中小企業白書から取ってきた資料でありますけれども、赤とオレンジのグラフは中小企業で、労働分配率はずっと八割近くを保っております。一方で、大企業の青いグラフは、二〇一二年までは六〇%を保っていたのが、その後下がり続けて、二〇二三年には四八%まで大企業の労働分配率は大きく下がってしまいました。
これだと、社員が幾ら頑張って労働生産性が上がって企業の利益が増えても、労働分配率が下がってしまえば社員の給料は増えないのは当たり前、当たり前であります。この問題を放置したまま政府が労働生産性を上げる政策を実行しても、実質賃金は増えません。
大臣に伺いますが、まず企業、特に大企業の労働分配率を上げるための政策が必要ではないでしょうか。
○城内国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、労働分配率の問題がございまして、やはり、企業が過度に現預金を保有する、そうではなくて、設備投資ももちろん大事ですけれども、人への投資などを効果的に活用することを通じて労働者への分配を増やしていくことが重要であります。
また、コーポレートガバナンス・コードの改定なども通じまして、継続的に、特に大企業が賃上げをできる環境をしっかり整備することは大事だというふうに認識しております。
○井坂委員 人への投資と微妙にずらしておっしゃるんですが、それは大事なんです。ただ、それはどちらかというと人への投資で生産性を上げましょうという話でありますが、そうではなくて、ずばり給料ですよ。ボーナス、給料を含めてちゃんと分配率を上げない限り、仮に人への投資で生産性が上がっても、企業の利益が増えても、分配率が下がったら同じことですので、そこをずらさずに答弁していただきたい。もう一回、お願いします。
○城内国務大臣 委員御指摘のとおりでありますけれども、いずれにしましても、高市政権におきましては、日本成長戦略会議等の重点施策、幾つかございますけれども、それとは別に、先ほど申しましたように、大企業について言いますと、来年夏に向けての、成長戦略の取りまとめに向けまして、先ほど申しましたコーポレートガバナンス・コードの改定を含めて、企業による設備や人への投資、もちろんこれは賃上げも含めて促すことを、これからもしっかり、来年の夏に向けて、この環境を整えるための施策について現在取り組んでいるところでございますので、委員の御指摘も踏まえてしっかり対応していく考えであります。
○井坂委員 是非、人への投資という言葉で生産性方面に逃げないように、労働分配率を上げるという最大のネックにちゃんと利く政策をお願いをしたいと思います。
私、実は具体策も幾つか持っているんですが、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデンなど、先進国の中には労働分配率に直接働きかける政策を実行している国もございます。今日はこの問題の指摘と認識の共有にとどめて、また後日、予算委員会等で御提案をしたいというふうに思っております。
次に、中小企業の生産性のことについて議論をしたいと思います。
先ほどの資料の左側のグラフをもう一度御覧いただくと、中小企業は労働分配率が八〇%で高止まりをしている。これはなぜかというと、資料三の右側を御覧ください。これは、大企業と中小企業の時間当たり労働生産性のグラフです。政府にはこうした基礎的なデータが存在しなかったために、井坂事務所で計算をし、内閣府におおむね間違いないことを確認いただいたグラフであります。
大企業に比べて中小企業の労働生産性の伸びは鈍くなっております。その結果、中小企業は十分な利益が確保できず、社員の給料の占める割合、つまり労働分配率が悪い意味で高止まりをしてしまっているということだと思います。
政府は、中小企業の労働生産性を上げることを今目指しています。
この労働生産性という言葉は、私は大変誤解を生みやすい言葉だと思います。生産性が低いと言われると、じゃ、もっと労働者を効率よく働かそうとか、もっと長く働いてもらおう、こういう偏った発想に陥りがちであります。
労働生産性の定義というのは、企業の付加価値、すなわち、売上げから仕入れを引いた粗利益が分子で、それを分母の労働者一人当たりあるいは一人一時間当たりで割ったものです。つまり、効率性とか長く働いたとかは関係なくて、要は、付加価値、粗利なので、製品が高く売れたかどうかということが生産性を最も左右する要素であります。
日本の企業の取引の六割はBトゥーB取引と推計されるので、中小企業の売り先も多くは大企業だと思われます。中小企業の製品が大企業に安く安く買いたたかれている間は、中小企業の粗利は増えず、付加価値は増えず、結果として労働生産性も上がりません。
大臣に伺いますが、中小企業の生産性を上げるには、生産性投資だけでなくて、もっと価格転嫁を進める必要があるのではないでしょうか。
○城内国務大臣 委員御指摘のとおりであります。中小企業の生産性向上や物価上昇を上回る賃上げの原資確保に向けましては、やはり中小企業の価格転嫁、そしてさらには取引の適正化、これが極めて重要であります。
前の国会で改正されました中小受託取引適正化法、略称取適法がございまして、これは中身を見ますと、協議に応じない一方的な代金決定を禁止するとともに、公正取引委員会や中小企業庁に加えまして、事業所管大臣にも指導助言の権限を付与することなどの措置を講じたところであります。公正取引委員会を中心に、抜本的な体制の強化も図り、この改正法をこれからも厳正に執行していくということであります。
また、官公需における価格転嫁、これも重要な論点でございまして、経済対策の中で、御案内のとおり、国、地方自治体から民間への請負契約単価を物価上昇等を踏まえて適切に見直すことを検討しております。
いずれにしましても、委員御指摘のとおり、価格転嫁、これは非常に重要だというふうに認識しております。
○井坂委員 ありがとうございます。
おおむね認識は一緒ということで、議論を進めたいと思います。
価格転嫁が重要で、政府はここ最近本当によく取り組んでくださっていると思います。コストだけでなく、最近は労務費の方も、一定、転嫁が進んできているということはよい傾向だと思います。
ただ、私が不満なことが一つありまして、この価格転嫁の転嫁率の政府の目標が余りにも低過ぎるのではないかというふうに考えています。
この資料の次、四番の上の文章をまず御覧いただきたいと思います。
上の二つ目の丸で、パートナーシップ構築宣言という政府が進めている政策に取り組んでくれた企業は、受注先の八割以上がちゃんと価格協議に応じてくれた、喜んでいますよ、価格転嫁についても、何と九割の宣言企業が四割以上の転嫁率になりました、すごいでしょう、こう言っているわけであります。
右下の円グラフを御覧いただいても、価格転嫁の状況、七割から十割の価格転嫁をしてもらえたところは二五・六%で、四割から六割の価格転嫁をしてもらえたところは六二・一%で、四割以上の価格転嫁をしてもらえた企業が何と八七・七%、すごいでしょう、こういうわけであります。
この価格転嫁率四割というのはどういうことかというと、仕入れ値が百円上がったのに大企業は四十円しか高く買ってくれなかったということであります。中小企業の利益が六十円減るということであります。転嫁率四割ですごいだろうというのは、これは余りにも目標が低い、志が低いと私は思います。
大臣に更問いで伺いますが、中小企業の仕入れ値やエネルギー価格や労務費が値上がりしたら、価格には十割転嫁して大企業に買ってもらうのが当たり前だというふうに私は思いますが、政府は価格転嫁率十割を目指すということでよろしいでしょうか。
○城内国務大臣 御指摘の点、高い目標を持つということは非常に重要だと思いますので、委員御指摘の点を踏まえて、しっかり検討していく考えであります。
○井坂委員 ありがとうございます。
次に、実質賃金を上げるために、もう一つ別の角度から御提案を申し上げます。
資料の五番を御覧ください。これは、IMDというところが毎年発表している世界競争力ランキングというものであります。毎回、これが出されると、新聞やテレビやまた経済誌などでも大々的に取り上げられる有名なランキングであります。
このIMDの世界競争力ランキング、日本は一九九二年までは堂々たる競争力世界一位でありました。その後、ランキングは下がり続け、現在は三十五位と先進国最低レベルであります。何でここまで下がったのか、一番足を引っ張っているのは何かという議論をしたくて、今日、その細かい分析のシートを資料五として持ってきました。
大きく四分野に分かれていて、日本の経済状況が一番、二番が政府効率性、三番がビジネスの効率性、四番がインフラ。大分類というんですか、この四つの中で一番順位が低いのは三番、左下のビジネス効率性が五十一位ということであります。よく言われる政府の効率性は、褒められたものではないですが、これは全部で六十何か国中でありますので褒められたものではないですが、政府効率性はまだましで、四十二位ということであります。制度枠組みなんかは二十六位と、別に決して悪いわけではないということで、実は一番足を引っ張っているのは、ビジネスの効率性。更に細かく分類した小分類で、ビジネス効率性の中でも最も成績が悪いのが、三の四、左下の経営プラクティスという部分で、ほぼほぼ毎年最下位、下から二位とか下から三位とか、本当に最下位の年もありました。こういう状況であります。
大臣に伺いますが、労働者頑張れ、生産性を上げろという発想になりがちでありますが、実際はそうではありません、この間議論してきたように。むしろ、じゃ、企業の利益を上げるのにうまくいっていない、一番足を引っ張っている、競争力のランキング低下に一番原因となっているのは、ビジネスの効率性、とりわけ経営プラクティス、経営現場での経営能力ということであります。大臣、この経営能力を高める政策が必要ではないでしょうか。
○城内国務大臣 お答えいたします。
国際経営開発研究所、IMDの世界競争力ランキング、六十九か国・地域を対象に各国のそれぞれの競争力についていろいろなスコアを付しているということでありますが、御指摘のとおり、実際、ビジネス効率性のうち企業の経営手法や管理能力を評価するものとされて、二〇二五年、我が国は六十五位という非常に低い評価がされておりまして、やはり強い経済を実現する上では、御指摘のとおり、企業の経営能力をまず高めることが重要な課題であり、私自身もそのとおりだと思っております。
このため、例えば、先ほど申しましたように、大企業のコーポレートガバナンス・コードを見直す、あるいは人的資本開示を充実させる、そして成長志向型のガバナンス改革を徹底させる、さらには事業再編、再構築などを進めて企業の自律的な意識改革をしっかりやってもらう、そうしたことを通じて経営能力を高めることを検討する、こういうことが非常に重要だと思っております。
いずれにしましても、先ほど申しましたように、来年の夏に向けまして、成長戦略を策定することとなっておりまして、こうした成長戦略の中に、委員御指摘の経営力強化に向けた施策をしっかり強化する内容となるように取り組んでまいる考えであります。
○井坂委員 物価上昇を上回る賃金上昇、すなわち実質賃金プラス、そのためには労働生産性を上げるんだという政府の方針は、私はずれていますよと。そういうことを、本日、データを基に一つずつお認めをいただきました。是非、成長戦略の中には、生産性とか投資とか一本やりではなくて、分配率、また価格転嫁、さらには経営陣へのてこ入れ、こういったことをしっかり入れ込んでいただきたいというふうにお願いをいたします。
次に、後半、ソブリンAIについて小野田大臣と議論したいと思います。
今年二月の予算委員会で、ソブリンAIについて相当な時間を取って議論させていただきました。このソブリンAIというのは、外国に依存せずに自国の主権を保ったまま開発、利用できるAIということで、そのために必要な技術、インフラ、人材等々について予算委では提案を申し上げました。
ただ、当時の段階ではソブリンAIについてちゃんと目標を持って実現をするという答弁はなかったわけでありますが、その後、六月の骨太方針にはこう書いてあります。「先端半導体の設計・製造から、サーバーの組立て・運用、」そして「ソブリンAIの開発・利用に至るエコシステムを国内に構築する。」と明記をされたことで、これは大きな前進であり、感謝を申し上げます。
ソブリンAIといっても、どこまで自国でやるのかという範囲には諸説あって、この骨太方針でも曖昧にされております。私は、やはり半導体の製造とか大規模言語モデルの作成だけでなくて、一番根っこのAI用チップの設計、製造だけじゃなく設計そのものも自国でできるようにすべきと二月の予算委員会の頃から申し上げております。
現在、AI用チップは米国エヌビディア製のGPUが世界を席巻しており、アメリカはAI用チップを国ごとに輸出規制をしています。国によっては、AI戦略を立てても、エヌビディアのチップが十分に輸入できずに、AI戦略の実行に遅れが出るのではないかという懸念もされております。
日本は、現在、このエヌビディアに負けないAI用チップを自国で作れるかどうかの瀬戸際にいるというふうに認識をしております。
AI戦略担当、それから経済安全保障担当を兼務をしておられる小野田大臣に伺いますが、アメリカのエヌビディアのチップ、GPUが入手できなくてもAIを利用し続けられるように、国産チップ設計まで含めた、ここまで含めたソブリンAIを国家目標とすべきではないでしょうか。
○小野田国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国が独自にAIを研究及び開発できる能力を強化して、自律性、不可欠性を確保することは非常に重要だと思います。
こうしたことから、AIの開発力を強化していくことに加えて、AIを支えるデータセンター、そして、それを用いるための半導体についても我が国が独自の開発力を強化していくことが重要だと考えており、既に、関係省庁において、高性能AI半導体の研究開発に着手しています。また、これら取組方針については、本年中を目途に策定を目指すAI基本計画に盛り込むべく議論を重ねております。
また、先日開催された日本成長戦略本部においても戦略分野の一つとしてAI・半導体が掲げられているところでございまして、経産省とも連携しつつ、どこまでをというところを明確にというのをちょっとこの場ではなかなか申し上げられないんですけれども、しっかりと我が国が自律性を持ってやれるように、強力に推進してまいりたいと思っています。
○井坂委員 細かい話は聞かないんですが、この話ももう多分一か月ぐらい前から担当の方とはやっていて、昨日も当局から問合せがあったので、どこまでというところが一番重要で、大臣のお考えだけお聞きをしたいと思いますが。
設計ができないで、設計を他国に頼るということは、要は、やはりエヌビディアのを輸入するしかないということになるんですよ。あるいは、エヌビディアがもし国内で何か作ってくれたら、そういうこともあるかもしれませんけれども。製造は、日本は能力があると思います。ただ、設計能力が今のところなくて、でも、今、国内の企業も頑張っていて、設計できる企業が一つ二つ出始めているんですね。それをちゃんと国内で設計できるようにすべきだ。
そこまでできたらやはり経済安全保障上安心だと思うのか、それはできてもできなくても一緒でしょうと思うのか、大臣、担当として、いかがお考えですか。
○小野田国務大臣 これはAI、半導体に限ったことでなく、サプライチェーンとして自国で完結できるというのは、それは物すごく重要で、安心できることではあります。ただ、現状のできる能力であるとか、それがどういう価格でできるのかとか様々なことを踏まえて、目標だけが先走ってもいけませんが、ただし、高い目標を掲げて、我が国がしっかり優位性を保っていける、そして、自国で知見を持ってAIをやっていけるというところは重要だというのは、先生と認識を一にしているところだと思います。
○井坂委員 目標が先走らなくて何が先走るんだと思いますので、是非、重要性は認識していただいていると思いますから。できないわけではないと思うんです、実際、今できつつあるので。じゃ、それをどうやって本当に普及させるかという議論を次にしたいと思います。
日本企業がまさにエヌビディアに匹敵するAI用チップを今作りつつあるとして、もしその開発に成功しても、やはりそれが普及しなければ経済安全保障の問題は解決しないと思います。これを、ただ何もせずに政府がほっておくと、エヌビディア製のチップが事実上の世界標準となっているビジネスの現場では、国産チップがなかなか導入されない可能性が高い。エヌビディアの方がもう慣れているし、既に広まっているしということで、わざわざ新しい国産チップを、仮に同じ性能だったとしても、置き換えるということになかなかならないと思います。
一方、私は、ソブリンAIとして特に重要だと考えている分野は、政府とか自治体とか、あるいは研究機関とか医療機関とか、要は日本のデータが海外に流出したり、あるいは海外から影響を受けてはいけない、こういう分野に関してはソブリンAIでちゃんとやらないと、いざというときに盗まれたり止まったり、大変なことになるというふうに考えています。
まずは大臣に伺いますが、政府とか自治体とか、あるいは今申し上げた国の研究機関、こういったところのAIには国産チップを優先調達をする、国産チップを使ったAIを優先的に導入をする。同時に、今はエヌビディアばかりですけれども、エヌビディア以外の海外製チップも幾つかあるわけで、そういった第三の海外チップも積極的に採用することで、少なくとも今申し上げた政府や自治体や研究機関はエヌビディア依存度を下げていく必要があるのではないでしょうか。お伺いいたします。
○小野田国務大臣 将来的に国産の高性能AI半導体を調達可能になることを目指しつつ、必要な取組を促進していくことも重要だと思っています。
具体的な調達のこともお話しいただきました。国内の事業者がAI向け半導体を製造、販売できるようになった場合に、政府でそれを用いたAI調達をすることで支援するというのは、一つ案になり得るというふうに思っています。
将来そのようなAIが出てきた場合は、そうした案についても検討してまいりたいと思っておりますし、先生がおっしゃったように、やはりリスクの分散化というか、様々なところにちゃんと目を向けていくということも重要だというふうに認識しております。
〔委員長退席、鳩山(二)委員長代理着席〕
○井坂委員 時間が参りました。本当はもう一つ、エヌビディアのチップだけじゃなく、それを使いやすくする、エヌビディアが作った開発環境とかプログラミング言語、そういった部分も日本は別途国家目標で作るべきじゃないかという御提案をしたかったんですが、また次の機会にしたいと思います。
ありがとうございました。
○鳩山(二)委員長代理 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。
私は、四期になりますが、途中、イレギュラーな形で繰上げを含めて四期なんですけれども、内閣委員会に所属させていただくことは初めてでございまして、これまで質疑に立たれた先生の質問に対して非常に感銘を受けております。また、それよりも何よりも、公明党は野党になりましたので、野党になって私は初質疑ということになりますものですから、そういった意味におきましても今日は忘れられないような日になるのかなと思いつつ、加えて、与党であれ野党であれ、それは全て国民の皆様のお役に立つこと、日本の将来のために資する取組のいわゆる出発点になっていく、そういった思いで、皆様方に様々御指導もいただきながら有意義な質疑を進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
また、質疑に当たる前に当たって、日本の将来を考えたときに、やはり人口減少、今日は長谷川先生が質疑に立たれておりますけれども、これは日本の最大の国家的な課題なんだろうと思っております。人が減っていくということは、それだけ国内需要も、消費という意味においてはどんどん減少をするということでございまして、この国内需要の減少分も見込んで、日本のいわゆる将来というものを、将来世代の皆様の未来を社会保障も含めてどのように保っていくのか。
この点に関して、やはり日本がこれからも、国際社会の中においてもですけれども、持続可能な国家として歩んでいくための大きな鍵は、私は技術だというふうに思っております。技術でやはりしっかり飯を食っていかなければならないんだろうと思いますので、そういった観点から、今日は、冒頭でございますけれども、四問ほど小野田大臣に御質問申し上げますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、先日の高市総理大臣の所信表明の中で、大胆な危機管理投資による力強い経済成長というところがございました。「中長期的には、日本経済のパイを大きくしていくことが重要です。」そのとおりです。「我が国の課題を解決することに資する先端技術を開花させることで、日本経済の強い成長の実現を目指します。そのために、日本成長戦略会議を立ち上げます。」というふうに所信でお述べになられました。
そして、少しその後に政府の皆様ともお話をさせていただいたんですけれども、まず、日本成長戦略本部、これは総理自らが本部長を担われて、全閣僚が構成メンバーであるという、まさに高市総理の本気度を示す内容がこの日本成長戦略会議に込められているのであろうと思っております。
そして、先日、公明党の斉藤鉄夫代表が、本会議質問におきまして高市総理に対して科学技術の発展について質問をした折に、高市総理からは、力強い経済の基盤となるのは、優れた科学技術力であり、イノベーションを起こすことのできる人材です、先日設置をした、先ほど申し上げた日本成長戦略本部において、新技術、競争力強化について戦略策定を指示いたしましたというふうな答弁をいただいたところでございます。
この点、小野田大臣におかれましては、科学技術・イノベーション、これを所管をされるということでございまして、日本成長戦略本部において、科学技術・イノベーション、これはとても、今冒頭申し上げたように、恐らく日本の将来を担う一番基盤となる技術でございますので、密接に関連をするというふうに私は思うのですけれども、これを所管する小野田大臣は、この戦略会議の中でどのような役割を果たすことになるのか、また、どのような役割を果たそうと決意をされておられるのかについて、是非お聞かせいただければと思います。
〔鳩山(二)委員長代理退席、委員長着席〕
○小野田国務大臣 お答えいたします。
御指摘いただいている、本年十一月四日に開催された第一回日本成長戦略本部において、成長戦略における十七の戦略分野のうち、私が、AI・半導体、造船、量子、航空・宇宙、コンテンツ、創薬・先端医療、フュージョンエネルギーの計七分野という広範な分野の検討を任せていただいているところです。
これらの分野については、高市総理から、来年夏の成長戦略の策定に向けて、投資内容やその時期、目標額などを定めた官民投資ロードマップを策定するように御指示があったところです。
各所管行政についての専門的知識、そして業界との関係を有する所管省庁の皆様の御協力を賜りつつ、担当大臣として早急に検討を進めてまいりたいと思っております。
かなり広範にわたりますけれども、それぞれが薄くならないように、現場の声もしっかりと聞かせていただきながら、一つ一つ、より強いものをつくっていけるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っています。
○吉田(宣)委員 大変に心強い御決意、御答弁だったというふうに思います。
次に、同様に、この日本成長戦略本部についての公明党の斉藤代表に対する答弁の中で、先ほど小野田大臣御答弁いただいたとおり、この成長戦略、戦略的ロードマップも含めて、夏までに取りまとめるというふうなことでございますけれども、一方で、大臣がまさに所管をされる科学技術・イノベーション基本計画、これは第七次を目指して、今、政府の方で非常に熱心な検討が行われていると私はお聞きをしておりますけれども、これも私、非常に重要だというふうに思っております。
という意味におきまして、今年度、実は、政府からの説明では、この科学技術・イノベーション基本計画というのは、二〇二五年末に素案の提示、だから、今年の末までに素案が提示されて、二〇二六年の三月までに決定をすると。すなわち、先ほどの日本成長戦略会議の前にこちらの方が取りまとめられるというふうな理解で私はおるところでございます。
その上で、では、この科学技術・イノベーション基本計画第七次と、高市総理が来年の夏までに取りまとめると答弁をなされた日本成長戦略はどのような関係になるのか、また、どのようにしようと小野田大臣は決意をなさっておられるのか、その点についてもお聞かせいただければと思います。
○小野田国務大臣 御指摘の科学技術・イノベーション基本計画第七期ですけれども、これは、政府の研究開発の推進に関する総合的な方針等を定める計画です。令和八年度からの五年間を対象とした次期計画を今年度中に策定すべく検討を進めております。
一方、日本成長戦略は、日本の供給構造を抜本的に強化して、強い経済を実現するための戦略で、先ほどおっしゃったように、来年の夏を目途に取りまとめに向けて検討が進められています。
優れた科学技術力、そしてイノベーションを起こすことができる人材というのは強い経済の基盤、先生もおっしゃったとおり、そうだと思います。そのため、日本成長戦略の下で目指す新技術立国、これの実現に向けては、公教育の強化、大学改革を進めるとともに、科学技術、人材育成に資する戦略的支援を行うことが重要というふうにしているんですけれども、今後、科学技術・イノベーション基本計画、ずっと改定をしているというか、毎回やってきたところなので、日本成長戦略の検討と今までやってきたもの、新たな目標に向けたものを緊密に連携させながら、科学技術・イノベーション基本計画の策定、両方しっかりと連携を取れるように進めてまいりたいと思います。
○吉田(宣)委員 是非よろしくお願いしたく存じます。
その上で、先ほどの井坂先生の御質問も聞いていて大変感銘を受けましたけれども、日本の技術力というのは今でも世界トップクラスだというふうに私は思っております。誇るべき技術立国であるというふうに思っておりますが、かつてのように、海外どこに行っても何か日本の電化製品が見られるというふうなことにはどうもなっていないなというふうに思います。
恐らく、日本人というのは、何といいますか、とても性善説で生きている。ちょっと言い方を悪く言えば、お人よしというか、相手をすぐ信じて、そして素直に、みんな友達みたいな感じで、そういったところがあるのですけれども、やはり国際社会、これは国際競争でございまして、なかなかそれだけでは日本のやはりいい技術をそのまま使っていただくというふうなことになってきていない。
私、実は結構、格闘技をする、空手もやっておりまして、格闘技を見るのが好きなんですけれども、御記憶の方いらっしゃいますかね、大昔の柔道というのは、組むところから始めるんです。組むところから始めるから、日本は最強だったんです。外国の方が勝てなかった。これが、組み手争いというのが出始めてきて、何かよく分からない組み手争いで、つかむということからスタートしなきゃいけない。すなわち、ルールを変えられた。ルールメイキングの部分で、国際社会で柔道がなかなか勝てなくなってきているというふうに私は感じております。
また、かつて、荻原さんという御兄弟、双子の兄弟の方がノルディックスキーで世界を席巻したんですね。お兄様の方は議員もなさったというふうに記憶しておりますが、この荻原兄弟がノルディックスキーで世界を席巻して、その後何が起きたか。これもルールを変えられた。また、スキーのジャンプもです。日本が強くなると、なぜかルールが変えられてしまうというふうなことが起きていて、これが技術の世界でも私はあっているんじゃないかなというふうに思うんですね。
そこで、高市総理の所信から改めてスタートいたしますけれども、先ほど小野田大臣からも御紹介があった「AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティー等の戦略分野に対して、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、」そして最後に「国際標準化」というフレーズを入れていただいたんです。本当に私はうれしかったし、この観点を総理自らが認識をして、そして日本成長戦略本部の中で陣頭指揮を執られるということを非常に頼もしく思いました。
そこで、この国際標準化というのはそもそも何ぞやというふうなお話でございますけれども、国際標準化というのは、かつては、各国がいろいろな製品、いろいろな技術というものを、自分たちのルールでやっておりましたから、いわゆる国際取引、輸入や取引においてはいろいろな壁があって、これは不便だねということになってこの国際標準化の動きが始まるわけでございますが、この壁を取り除いて製品やサービスを世界市場で円滑に展開するために不可欠なものがこの国際標準化と言われるルールメイキングでございます。
国際標準化は、例えば、有名なところでいうとISO、これはよくお聞きになられると思います。ISO9001やISO14001、こういったものが有名でございますけれども、実は物すごくたくさんあります。本当にいっぱいあります。また、電気、電子分野においてはIECというものがありますし、また、通信や情報技術の関連で申し上げると、ITUというものが国際標準でございます。
そして、この国際標準が重要な理由として、実は、各国でばらばらな規格で対応する必要がなくなってくる。世界のどこで作っても、どこの国でも使えるというふうなメリットがある。また、その一つの例として、USBの規格というのは世界どこに行っても一緒です。また、WiFi通信においても、これは世界どこに行っても、もちろん設定がありますけれども、どこでも一緒です。
こういったよいメリット、そして国際標準に準拠した製品やサービスというものは、そのまま品質を意味します。だから、信頼が高く、品質の高さの証明になりますから、これによって海外企業との取引やまた輸入も輸出もありますけれども、そういったもので非常に有利に働いてくるということがメリットとしてあります。
また、標準化の議論に積極的に参加することによって日本の技術を標準化してしまうということが非常に大切であって、技術的優位性を標準化で担保する、そして、その標準化された日本の技術についてはロイヤリティーも獲得できるというふうなところで、これは絶対にやっていかなきゃいけないんだと僕は思っております。
国際標準化は単なるルール作りではなくて、今申し上げたような世界市場で競争力を持つための戦略的なツールでありますとともに、加えて、日本の技術がそのまま世界の人に利用されて、世界の皆様に喜んでいただく世界貢献の取組でもあるというふうに私は思っておりますので、この国際標準化に関する取組を是非、高市総理の下、小野田大臣にも前に進めていただきたく、質問に入ります。
高市総理の答弁の中に、これは斉藤代表に対する答弁ですね、研究開発、事業化、事業拡大、販路開拓、海外展開といった事業のフェーズ、全てに標準が当てはまるんです。特に研究開発のところから、この国際標準を是非技術者の皆様には認識をしていただきたい。すなわち、自分の研究がどのように社会で今使われていくかということをイメージして、そして、そのイメージの中から研究をしていくということも私は非常に重要だと思っております。
いい技術が恐らく日本の中にはたくさんたくさん埋もれているんでしょう。これを是非とも更に掘り起こして、そして世界の方に使っていただく、そういったことのために、私は小野田大臣にちょっと御提案申し上げたいんですけれども、今申し上げた各事業フェーズにおいて、全て国際標準の観点から支援策を立案していただきたいと思うんですけれども、大臣の受け止めをいただければと思います。
○小野田国務大臣 委員からは、スポーツのところも踏まえて、本当に日本が強くなるとルールが変えられるというような、これは決められたルールにのっとってやることも大事ですが、まずそのルールを決める段階からコミットしていかなくてはいけないというのは非常に非常に重要な御指摘だというふうに思っております。
産業競争力や経済安全保障を強化するに当たり、国際標準を戦略的に進めていくことこそが非常に重要である。
今年六月に、二〇〇六年以来十九年ぶりとなる政府としての国際標準化戦略を取りまとめております。その中で、我が国がグローバル市場でのルール形成を主導すべく、官民一体で国際標準活動を進めていくための司令塔を設置すること、そして、防災やAIを始めとする重要分野において研究開発段階から標準化支援を推進すること等を明記しております。
具体的には、内閣府の標準活用加速化支援事業を通じて、重要分野ごとに事業フェーズに応じた国際標準活動を支援しています。また、各省庁の研究開発予算において、研究開発段階から国際標準化に向けた計画が組み込まれるように促しております。
今般の成長戦略においても、国際標準化は総合支援策の一つとして位置づけられております。各戦略分野の官民投資促進策の策定に当たっても、切れ目のない国際標準化支援が行われるように、引き続き各省庁としっかり連携をしてまいりたいと思います。
○吉田(宣)委員 改めて、本当に力強い答弁をいただいたというふうに感謝を申し上げたく存じます。
その上で、今、二番目の質問で答弁いただいた科学技術・イノベーション基本計画、ここにおいても、しっかり国際標準化という視点を、もう十分答弁いただいているとは思いますが、改めて念押しをしたいなというふうに思っております。
内閣府のホームページで、科学技術・イノベーション会議、それから基本計画専門調査会、また、終了したようでございますけれども、重要領域の検討ワーキングチームというものの会議が重ねられているわけですけれども、これまでは、先ほど大臣もお述べになられたAI、バイオ、ヘルスケア、宇宙、量子、半導体、情報通信、フュージョンエネルギーなどの分野で専門家の方に来ていただいてヒアリングも行われ、政府の中でも検討が進んでいるというふうに思いますけれども、本当にこの瞬間瞬間にも、国際標準のこと、思いを持っていていただきたいんですね。
そういった思いから、成果物となるであろう第七次科学技術・イノベーション基本計画においても、各重要領域分野に国際標準で横串を刺す、こういった国際標準化戦略の観点、これはもう政府で策定されているものですけれども、を盛り込んでいただくべく提案を申し上げたいんですけれども、小野田大臣の、くどいようですけれども、受け止めをいただければと思います。
○小野田国務大臣 ありがとうございます。
改めて申し上げますけれども、国際標準化を通じて、地球規模課題や社会課題の解決を図るとともに、市場創出を実現していくためにも、科学技術・イノベーション政策の観点においても研究開発に加えて国際標準化を進めていくことが重要と、改めて申し上げます。
そのために、本年九月に公表した第七期科学技術・イノベーション基本計画の論点のところにも、国際標準化戦略を推進していくという旨を記載しています。
引き続き、国際標準化の観点もしっかりと含めた上で、今年度の第七期基本計画の策定に向けて検討を進めてまいりたいと思います。
○吉田(宣)委員 どうかよろしくお願いいたします。
野党になりましたので、この基本計画に事前にコミットすることはできません。これは我が党の斉藤代表の決断でございますから、私は甘んじてそれについては従っていくわけでございますけれども、ただ、日本の将来は技術に懸かっています。どうか、本当に願わくば日本の技術がかつてのように世界中で世界市民の皆様のお役に立つ、そういったことを目指して、政府では取組を進めていただきたく存じます。
小野田大臣への質問はこれで終了いたしますので、もし御都合があられますようであれば、御退席をいただいても結構でございます。
○山下委員長 小野田大臣は退席されて結構です。
○吉田(宣)委員 それでは、お待たせいたしました。松本大臣の方にちょっと質問をさせていただきます。
先ほども御質問の中にあったやと思いますけれども、サイバー攻撃、これが非常にやはり活発化しているというふうなことをお聞きをしております。余り固有名詞を申し上げるのははばかられるところなので、分かってしまうところではありますけれども、かつては二〇二二年の医療機関、医療施設、また二〇二三年は港湾、昨今は大手飲料メーカーまた大手通販メーカーなどがサイバーの攻撃を受けて、大変な経済的被害及び社会的な影響が引き起こされているというふうに認識をしております。
サイバー攻撃は、巧妙化、深刻化するとともに、サイバー攻撃関連通信数や被害数というのは増加傾向にあるというふうにお聞きをしているんですね。帝国データバンクの二〇二五年のサイバー攻撃に関する実態調査を私は見させていただいて、その調査結果によると、過去にサイバー攻撃を受けたことがあるとした企業は全体で三二%。ただ、これは暗数がある可能性があるんですね、攻撃を受けたかどうか分からない場合はこの数字に載ってきませんので。そのうち、規模別でいえば、中小企業が三〇%、また小規模企業が二八・一%ということで、半分以上は中小・小規模企業がサイバー攻撃を受けているということでございます。
また、経済産業省が、今年の二月だったかと思いますが、そこで発表した調査によりますと、中小企業などにおいて組織的なセキュリティー体制が整備されていない企業の割合、約七割ということ、また、過去三年間にインシデントがあった企業のうち約七割が取引先にも影響が及んだ、これはサイバードミノ現象と呼ぶようでございますけれども、と回答があっております。非常にセキュリティーにおいて脆弱だなというふうなことが私は心配です。
ただ、企業の立場に立ってみると、実は、今いろいろな技術のお話、国際標準ということをテーマに、AIであったりバイオであったり様々な技術の話がありましたけれども、特にGXが分かりやすいんですけれども、GXの取組というのは、一面、これは企業にとってはコストなんですね、一面でいうと。それは化石燃料を使った方が圧倒的に実はいわゆるコストパフォーマンスがいいわけですが、コストなんです。でも、このGX、世界各国でこれから進めていこうということですから、GX技術で、コストだけれども、更にこの技術でもうけていこうじゃないか、だからトランスフォーメーションだというふうに私は理解しております。
ただ、サイバーセキュリティーに関しては、先ほど川内先生のお話にもあったかと思うんですけれども、実は、投資をしても、自分たちのところの製品に付加価値を生み出すような類いのものじゃないんですね。守るだけ。だから、企業として、特に中小・小規模企業は、やはり資金力がありませんので、なかなかサイバーセキュリティーといってもちょっと二の足を踏んでしまうというのは往々にしてあるんだろう、そして調査結果にもこれが表れているんだろうというふうに私は思います。
そこで、大臣への御質問の前に、このサイバーセキュリティーを企業さん、特に中小・小規模企業の皆様に実装していただくためには、やはり政府の一定の支援策というのは私は必要なんだろうと思います。その施策の部分を是非経産省に、今日は、政府参考人、また中小企業庁もお越しをいただいておりますので、それぞれに答弁をいただければと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
サイバーセキュリティー対策は、企業規模に関係なく、極めて重要な取組であります。特に中小企業におきましては、十分な知見や資金がない、したがって細やかな支援が不可欠であるというふうに考えております。
経済産業省の方では、IT導入補助金などの各種補助金の申請要件に、セキュリティー対策に取り組むことを自己宣言するセキュリティアクションという取組をしているんですが、これを行ってくださいということで、中小企業の方々に取組を促していく。そのほか、直接的なサービスとして、異常の監視、サイバー攻撃を実際受けたときの初動対応、あと保険、こういった基本的なサービスを一つのワンパッケージにして安く提供するサイバーセキュリティお助け隊サービスというのを二〇二一年から開始して、利用を広めています。
セキュリティーに対する認識ですけれども、少しずつ拡大してきてはいるかなということで、こういった取組がどれぐらい進んでいるかということもちょっと御紹介をさせていただきたいんですけれども、例えば、先ほどの補助金の申請要件にしたセキュリティアクションにつきましては、二〇二一年度末の時点で十八・四万件でした。これが本年十月末時点で四十四・一万件ということで、この間、二十五・七万件、取り組みますということを宣言するというような動きがあります、増えています。
また、サイバーセキュリティお助け隊、直接的なサービスですけれども、これは二〇二二年以降はIT導入補助金の支援対象にも加えまして、中小企業が実際に導入する際の費用も支援することで、本年の三月末時点で八千四百件、八千四百事業者が使い始めている、ここまで来ています。それでもまだまだしっかりやっていかないといけないということで認識しております。
産業界や関係省庁、支援機関とも連携しながら、サイバーセキュリティお助け隊サービス、こちらの周知のために、この二月を中心に、リーフレット作成や政府広報を実施しています。また、サプライチェーン・サイバーセキュリティ・コンソーシアムという民間の各団体が連携した体制を組みまして、このコンソーシアムの活動を通じて、中小企業団体への啓発を進めています。さらに、中小企業の皆さんとセキュリティーの専門家、これをマッチングするという事業なども展開することで、取組を広げていきたいというふうに考えています。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
税制面での支援についてお答え申し上げます。
中小企業庁におきましては、中小企業、小規模事業者の積極的な設備投資を後押ししていくために、設備の導入の際の取得の価額に対して一定割合を税額控除等行う中小企業経営強化税制や、中小企業投資促進税制といったもので御支援を行っております。これら税制におきましては、一定の要件を満たしたソフトウェアも対象としておりまして、例えば、中小企業、小規模事業者が生産性向上や経営力強化の一環としてサイバーセキュリティー対策に向けた不正アクセス防御のソフトウェアを導入する際にも御活用いただけるものというふうになっております。
こうした税制の活用を通じまして、中小企業、小規模事業者においてサイバーセキュリティー対策が強化されるといったことを期待しているところでございます。
○吉田(宣)委員 税制についても御答弁をいただいたところでございますけれども、やはり税を使っていわゆる実装を促すというのは私は非常に重要だと思います。ただ、先ほど申し上げたような実装率でございますので、政府におかれましては啓蒙の方もやっていただきたいと思っておりますし、この観点から、松本大臣におかれましては、今は中小・小規模事業者でございますけれども、当然重要インフラも大切ですし、また、民間企業へのサイバーセキュリティーの実装、これに向けた決意を是非ともお聞かせいただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。
○松本(尚)国務大臣 吉田委員のサイバーセキュリティーに対する御懸念というのは、全くそのとおりだろうと思います。今、ちょうどいろいろ民間の施設というか企業がサイバー攻撃を受けているらしく、いろいろと国民の社会生活にも大きな影響を及ぼしている。これは決して基幹インフラや重要インフラだけではなくて、民間の幅広いところまでしっかりと政府が責任を持って、積極的にサイバーセキュリティーに対して役割を果たしていくということが必要だというふうに思っています。
その中において、基幹インフラだけではなくて、重要インフラが、関係している事業者が約二万社あります。その多くが委員御指摘のとおり中小企業でございますので、中小企業に対してどれだけ我々がしっかりサポートしていくかということが必要だと思います。
今政府参考人からも話がありました、お助け隊のような具体的な支援をやる、それから税制、そして評価制度、こういったものに加えて、我々としては、重要インフラ事業者が分野にかかわらず横断的に統一的なサイバーセキュリティーに対する準備をしてもらうための重要インフラ統一基準というものを今作っているところでございます。これをしっかりと作り上げて、経産省などと一緒に連携しながら、中小企業をサポートしていく体制というのをつくっていきたいというふうに思います。
また、私自身も、中小企業が、なかなか、このサイバーセキュリティーに対して自分たちがどれだけ重要なポジションにいるかということを分かってもらわなきゃいけませんので、私が自らそういったところにもどんどん足を動かして訴えていきたいというふうに思っているところでございます。
ありがとうございます。
○吉田(宣)委員 実装に向けて、是非、政府のお力を尽くしていただければというふうに存じます。
松本大臣、これで私の質問は終了でございますので、もし御都合がありましたら、御退席のほど、結構でございますので。
○山下委員長 松本大臣は御退室されて結構です。
○吉田(宣)委員 残り時間も少なくなってまいりましたけれども、今度はテーマをがらっと変えまして、災害の件についてちょっと御質問申し上げたく存じます。
日本列島は毎年自然災害に襲われておりまして、私が上げていただいています九州各地においても、今年も相も変わらず豪雨災害を受けました。私は、実は住んでいる場所が福岡県の久留米市というところでございまして、ここ二年ほどは大きな災害は起きておりませんけれども、それまでは、六年連続七回の浸水被害、そして、そのうち一回は大規模土砂崩れの災害が起き、貴い命も亡くなったということでございます。
私も現地の方に、発災直後、足を運ばせていただいておりましたけれども、その際、今ここにおられる鳩山二郎代議士も御地元でございまして、そのたびに、一軒一軒、被災者の元に足を運んでお声を聞いて、そして鳩山先生の国会議員としての役割を果たしてこられたということに関しては、心から敬意を表します。別におだてているわけじゃなくて、本当にそうなんです。本当に足を運んでおられるんです。もう何百軒運ばれたか分からないですよね。これは本当なんです。だから、あえて、何というか、与党ぼけとかじゃございませんので、御理解いただきたいんですけれども。
そういった中で、実際、災害が起きると、復旧をしなきゃいけない。復旧をするときに、ボランティアの方が来てくださるのが本当にありがたいんです。ボランティアの皆様が本当に志高くその復旧に当たってくださるということが、スムーズに被災現場に適用されなければいけないんだろうというふうに思っておりまして、この点、政府におきましては、六月に閣議決定されました国土強靱化実施中期計画におきまして、このボランティアの受入れの充実、適正化についてどのように整理をされておられるのかについて、政府参考人の方から御答弁いただければと思います。
○河合政府参考人 お答えいたします。
災害時、今、ボランティア、御質問いただきましたが、大きく二種類ございまして、一般ボランティアと専門ボランティア。一般というのは、被災地の市町村社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンターを通じて活動していただく、これが一般ボランティア。それに加えて、豊富な支援経験を有する専門のNPO、ボランティア団体というのも最近数多くございまして、こういった方々が非常に被災者支援において重要な役割を担っております。
今御指摘いただいた第一次国土強靱化実施中期計画においても、災害ボランティアに関係する目標が明記をされておるところでございます。
災害ボランティア活動が円滑に行われるためには、行政、それと社会福祉協議会、それに加えて、こういったNPO、ボランティア等の活動の支援や調整を行う災害中間支援組織というものの役割が非常に重要でございまして、行政と社会福祉協議会と中間支援組織、この三者が平時から顔の見える関係を構築しておくことが、発災時における円滑な支援につながると考えております。
このため、内閣府では、全国の都道府県における災害中間支援組織の設置、機能強化等を支援するため、令和五年度からモデル事業を実施して、必要な知見、ノウハウ等の把握に努めております。
引き続き、災害中間支援組織の設置、機能強化に向けた取組を進めるとともに、被災者支援に当たる様々な主体間の連携の促進に努めてまいります。
○吉田(宣)委員 しっかり整理整頓された形で、恐らく来年も災害は来ます、ここにおいてボランティアの皆様のお力というのは本当に貴くありがたいものですから、是非スムーズに進むようによろしくお願いしたく存じます。
最後の質問です。時間も間もなくやってまいりますので、簡潔に。
今さっき申し上げたボランティアの皆様及び被災者の皆様もですけれども、夏の豪雨災害後の復旧というのはもう地獄です。灼熱地獄の中で物すごく重いものをいっぱい運ばなければいけませんし、しかも、夏ですから、衛生上も、水につかったものはさっさと出してしまわないと病気の元にもなってしまいます。非常に急を要することでございますので、この点、ボランティアの皆様のけがとか健康管理とかそういったもの、また安全対策、また被災者の方もそうです、それについて政府はどのように考えておられるのかについてお聞かせいただければと思います。
○河合政府参考人 お答えします。
災害時には、NPO、ボランティア等の健康、安全の確保が重要です。
内閣府としては、災害ボランティア活動をされる方々に対して、政府広報オンラインのウェブサイトにおいて、活動を行う際の心構え等について説明するページを設けまして、服装であるとか持ち物の準備、それから活動中の事故に備えたボランティア活動保険への加入などについて周知を行っております。
具体的には、服装や持ち物の一例として、帽子、ヘルメット、マスク、軍手、ゴム手袋、長袖、長ズボン等をイラストつきで示すとともに、保険についてはお住まいの地域の社会福祉協議会で事前に加入手続を行う必要があるといったことなどについて紹介しております。また、今、夏のというお話があったことにつきましても、暑い時期は熱中症対策ということで小まめに水分補給することも大事だといったことも書かせていただいております。
今後とも、ボランティアの方々の健康、安全を守るため、関係機関等と連携し、健康、安全対策について呼びかけてまいります。
○吉田(宣)委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので終わります。
○山下委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。
今日は、メインは人身取引、その前に、私がこつこつ取り組んでおります再審法の改正についてまず一問伺いたいと思います。
再審法の改正は、申し上げるまでもなく、袴田巌さんの事件を例に取りますと、三十歳で逮捕されて、冤罪が晴れるまで、雪冤を果たすまでに五十八年間。それを支えられた袴田ひで子さんは現在九十二歳、巌さんも八十八歳。そして巌さんは、釈放されたときに、私、この間NHKのテレビで見たんですが、報道陣も、何十年ぶりに袴田巌さんが出てきた、その出てきた人間が袴田巌さんなのかどうかがマスコミも分からなかったというようなところから始まり、拘置所の中で続いていた、お部屋の中をずっと歩き回るという状況が現在も続いているというような状況です。
そこから私は、冤罪を晴らすのにそれは時間がかかる、一度刑が確定している人の冤罪を晴らすことというのは時間をかけなければいけないというのは分かるけれども、それが五十八年、それは幾ら何でもあんまりではないかということで、所要の法整備をしたいなと思ってまいりました。
私、こつこつ取り組んできて、法務省もようやく法制審を開始をしていただいて、ピッチを上げて今やっていただいております。その中の一つに、袴田事件もそうですし、いろいろな再審無罪事件がそうなんですが、証拠の後出し、ないないと言っていたものが数十年後に出てくる。また、捏造が指摘されたものもある。証拠開示というものは、極めて最重要項目の一つであると私は思っております。
法制審の議論を見ておりますと、法務省の話を聞いておりますと、いわゆる証拠開示制度を法制化することについては法制審では異論はないというような話を聞いておりますが、まず、それでいいのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○吉田政府参考人 現在、法制審議会の刑事法部会におきましては、再審制度の在り方について御議論いただいておりまして、その中で、御指摘のいわゆる再審請求審における証拠開示に関する規律の在り方についても議論がなされております。様々な議論がなされておりますが、これまでの議論状況としては、委員、幹事から、この点についての法整備を行うこと自体に反対する意見は示されていないものと承知しております。
もっとも、実際に法整備を行うこととするかや、法整備を行うこととした場合にどのような規律を設けるかといった点については、今後更に法制審議会で議論がなされるものと承知しております。
○井出委員 今、反対する意見は示されていないと、それはそのとおりだと思います。しかし、議事録を見ますと、賛成をする意見、それから、具体的なことはこれからだというのはおっしゃるとおりなんですが、法整備が必要ではないか、そういう意見も出ていたと議事録を見ていて率直に思います。それを、今お話があったように、反対する意見は示されていないと表現をされることが、どうも私には、ようやく重い腰を上げようか、できれば回避したいけれども、いよいよやらざるを得ないと。
もう少し、積極的な、賛成の意見が多かったとか、必要性を訴える声が多かったとか、そのとおりに表現していただきたいんですが、そこにもうちょっと法務省も気持ちを込めていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田政府参考人 事務当局をつかさどっている法務省として法制審議会における議論について評価的なことを申し上げるのは、基本的には避けざるを得ないということは御理解いただきたいと思います。
その上で、今御指摘があったように、法整備を行う必要があるという御意見が複数示されているのも事実でございます。また、理論的に問題のないものであればそのような法整備を行うことも考えられるといった形で、法整備を行うことに賛意を示されている、そういう御意見もあったということでございます。
○井出委員 いろいろな項目がありますし、詳細のことはこれから、法制審はまだまだこれからだということは承知をしておりますが、是非、証拠開示については、少なくとも反対する意見はないというところまで来ておりますので、今、吉田さんがお話をされたように、必要性を唱える意見もあった、賛成する意見もあったと。どっちも事実だと思います。反対する人はいなかったというのも事実だろうし、私の言うように、賛成や必要性を訴える意見もあったというのも事実ですよね。
できれば私は前向きに、これから法制審の状況を各国会議員の皆さんに御説明もあろうかと思いますが、私からすればニュートラルなんですが、法務省からすれば、もうちょっと積極的に、今、積極的にしゃべれということかと思われているかもしれませんが、是非、必要性を訴える意見、賛成意見があったということをきちっと法務省も途中経過として説明していただきたいと思いますが、最後に一言、もう一声お願いいたします。
○吉田政府参考人 今後、法制審議会の議論の状況を御説明する機会がありましたら、議論の状況が正確に伝わるように、御指摘を踏まえて適切に対処してまいりたいと思います。
○井出委員 穏やかにやっておりますが、雪冤を果たすのに数十年を要した方がこの間少なからずいるということをしっかりと肝に銘じてやっていただきたいし、私もそのつもりでやってまいりたいと思います。
次に、今日は人身取引について伺いたい。
もう皆様御存じのとおり、タイ人の十二歳の少女が都内のマッサージ店で働いていた、それが保護をされて、今、様々続報も出ております。最近のところですと、タイの警察当局が、タイ人の少女の母親が別の国で、きちっと今どこにいるかは分かっていて、日本の警察とどういうことをやるかというような話が最近の報道だと出ていたと思います。
タイ人の十二歳の少女の事件のときに、人身取引という言葉が大変、何度も何度も出ましたし、国民の皆さんも、人身取引というのが日本であったのか、しかも十二歳か、大変なことだというような思いを持たれているので、このことに関するニュースの続報が続いています。
そこで、人身取引について、私、少し調べてみたんですが、大ざっぱに言いますと、日本の人身取引というものの定義は、国際的な条約、議定書に沿ってきちっと定められている。余り詳しくは申し上げませんが、かいつまんで言えば、売春や性的搾取、それから強制労働、奴隷化、隷属化、臓器の摘出、そんなことを目的として、暴力、威迫、強制力の行使、誘拐、詐欺、欺罔などの手段をもって、その人物を獲得する、輸送する、引き渡す、そういうことが人身取引に当たるということが、これは国際的にも日本的にも確立した人身取引という言葉の定義だと。
しかし、実際、日本の状況を見ておりますと、日本は人身取引と言われるものを、例えば売春防止法ですとか、それから、最近だと詐欺も当たるのかなと思いますが、いろいろな罪名で検挙をしてきている、起訴してきている、罪に服させてきている。その上で、平成十七年に、この議定書を意識して法改正をする。その当時の日本の刑法で足らざるものを補うという観点から、人身売買罪を成立をさせている。
そうすると、日本の今の法律の体系ですと、人身取引という定義は広いです。しかし、その中に、詐欺、売春、何か児童買春ですとか、殺人、暴行みたいな話も入ってくる。人身取引の中にいろいろな罪種があって、人身売買罪がある。
しかし、タイ人の少女の事件を見たときに、恐らく多くの方が、私が少なくとも思ったのは、人身取引という犯罪があり、その具体的な行為として、児童買春だとか、今回どういう行為というのは捜査中でしょうけれども、そこに暴力とか詐欺とか、少しその枠のくくり方にイメージの違いがあって、じゃ、人身取引とは何ぞやと。果たしてその刑というものがふさわしいのかというような状況かなというふうに思います。
少しデータも調べてみたんですが、令和六年は人身取引の被害者が六十六人保護をされていて、五十八人が日本の人。年齢は、十八歳未満が何と四十一人もいる。令和六年は、その被疑者ですね、五十八人を検挙している。検挙件数というのは九十七件になる。これは、一人が複数の罪で検挙されているということだろうと思います。
実際、平成十七年につくられた人身売買罪が令和六年に適用されて起訴されたのは、昨日確認したところ、六件だというような状況で、私が冒頭イメージを申し上げたとおり、人身売買罪というものは人身取引の一端を占めているというような状況かと思いますが、その認識で正しいかどうかをまず簡単に伺っておきたいと思います。
○山田政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、このタイ人の少女の事件につきまして、人身取引に当たる、人身取引事犯に当たるものと見て捜査をしているところでございます。
現在、お尋ねの事案につきましては、全容解明に向けて警視庁が捜査を進めているところでございますが、本件につきましては労働基準法違反で捜査をしているというところでございます。
○井出委員 私が答弁をお願いする相手を間違えたような気がしますが、ありがとうございました。
今、タイの少女の事件についてはいろいろございまして、まず労基法、低年齢の人を働かせていたというところを捉まえて逮捕をしている。この件に関しては、例えば、その女の子が六十人の客を取っていたという報道があって、これが例えば不同意わいせつ罪にならないのかですとか、それから、お母さんと、母親と入国をして、一人、母親は先に帰ってしまったんですが、どうして、来るときは二人だったのに、帰るときに一声かけることができないのかとか、いろいろなことがあろうかと思いますので、今警察の方がおっしゃったとおり、鋭意捜査をしていただいて、立件できるものはきちっとやっていただきたいというふうに思います。
この事件の場合、被害者は未成年で、自ら入管に駆け込んだことが端緒になりました。
入管に少し一般論で教えていただきたいと思いますが、外国の人がそういう目に遭って、入管に駆け込みました。恐らくそういう外国の方は不法滞在に当たるんだろう、それを覚悟で駆け込むんだろう。そういうことが現認された場合、入管はどのような措置を一般的に取るのか、教えてください。
○礒部政府参考人 お答えいたします。
まず、人身取引の被害の可能性がある者に対する保護につきましては、平成二十三年七月一日に関係省庁での申合せがなされ、できるだけ幅広く保護を念頭に置いた措置を講ずることとしているところでございます。
委員から御指摘のございました、出入国在留管理庁におきましては、外国人が人身取引の被害者である可能性を認めたときは、事情聴取を行うなどした上で、被害者の立場に十分配慮し、在留資格を持って在留する被害者については在留期間の更新や在留資格の変更を許可する、不法残留等の入管法違反の状態になっている被害者については在留を特別に許可するなど、適切に対応しているところでございます。
○井出委員 恐らく、今回のタイの方については、特別の資格が与えられて、本人の意向などを確認しながら適切な措置が取られていくんだろうというふうに思います。
次に、少し事件を離れて、例えば成人の方が売春をしていた。売春防止法で、女性としましょう、その方が逮捕をされた。しかし、よくよく話を聞いてみると、どうも背後に人身取引、もっと巨悪がその背景にあるということがあった場合に、まず、それが、その巨悪にすぐに行き着く、これは人身取引事案だということになった場合、逮捕された女性は売春防止法で逮捕されているので被疑者でもある。しかし、巨悪の中ではまさに被害者である。
今回、年次報告を見たときに、令和六年で六十六人の被害者を保護しているとあるんですが、例えば売春防止法、それから最近だと詐欺ですね。詐欺で末端を逮捕したときに、話を聞いてみたら、もっと深い闇がある、巨悪の中の末端でやらされていたというような状況だったときに、まず一つ、検察サイドにおいては、何か、被疑者でもあり被害者でもある、そういう人に対して、その被害者の事情を考慮して取り得る措置というものがあるのか、教えてください。
○吉田政府参考人 一般論として申し上げますと、人身取引の被害者が、今御指摘になった詐欺を含めて何らかの犯罪を行った場合に、人身取引の被害者であるという一事をもって、法律上直ちに犯罪が成立しないとなるわけではないというふうに考えております。
もっとも、例えば、人身取引の被害者がその被害に起因して罪を犯すに至った、人身取引の被害が原因となって何らかの犯罪を犯すに至ったというようなことが認められる場合には、検察官において、起訴、不起訴の判断の際に、そうした人身取引の被害者であることも含めて、そうした様々な事情ということになりますが、それを考慮した上で適切に対処する、起訴、不起訴を決定するということになるものと承知しております。
○井出委員 もう一点、少し、厳しい現実を確認しなければいけないんですが、詐欺なり売春防止法で捕まった、巨悪の存在をその人が言っている、しかし、その巨悪の存在に到底行き着きそうにもない、その真偽も分からない。そうすると、売春防止法の嫌疑、その人にかかった詐欺の嫌疑というものは、それは犯罪ですからきちっと刑事手続を進めていかなければならないし、もう一つ言うと、それは、だから、人身取引というものと全く別として刑事的には処理をする。
そうすると、これは言われていることなんですが、人身取引というものはやはり非常に潜在化しやすい、氷山の一角であるということが言われておりますが、この辺りの認識は正しいのかどうか、吉田さん、済みません、お願いいたします。
○吉田政府参考人 人身取引の実態、表の統計などに出てこないところまで把握しているわけではございませんので、あくまで一般に考えてみてということになりますけれども、被害者が警察に被害を訴えることができれば、それは警察として犯罪の疑いがあるというふうに端緒を得るということは可能になると思いますけれども、被害者が警察に届けないまま、そうした被害者が例えばどこかで働かされているというようなことになりますと、これを捜査機関の方で独自に認知するということには、捜査上、困難を伴うこともあるというふうに考えております。
○井出委員 あっという間に時間が過ぎてしまいまして。
私は元々、刑法ですとか、いろいろな法律を改正するときに、物事を重罰化していくということについては、どちらかというと慎重な立場をずっと取ってまいりました。例えば性犯罪がそうなんですが、性犯罪も、刑を重くすることよりも、被害者の思いに沿った、被害感情をきちっとその罪の対象とすべきではないかというところに重きを置いてきて。
人身取引の被害者をきちっと守りたいという方策の中で、一つ、司法取引というものは、そもそも巨悪を摘発するために、日本でも捜査協力型の司法取引というものが設けられた。しかし、その実例がほとんどないし、中には、会社の役員が外国で賄賂を贈って司法取引で立件されたものの、会社の責任は問えなかったというような事態もあったということは報道で知っているんですが。
これは自分の反省も込めて言うんですが、司法取引の対象犯罪は組織犯罪とか経済犯罪に今限られている。恐らく、司法取引を初めて導入するに当たって、最低限、これだけだったら今の段階で国会、国民の御理解がいただけるものというものを犯罪の種類、対象に加えたと思いますし、当時の議論を振り返っても、その手続の議論ばかり私はやっていて、余り罪種の議論はしなかった。
人身取引について、今、詐欺は少し司法取引の拡大の可能性が出てきているのでいいと思うんですが、やはり売春防止、性的な搾取というようなところも、人身取引、その上の巨悪につながっていくのであれば、司法取引の対象として、少しその検討を始めるべきではないかなと。私は非常に物事を慎重に考えるので、検討しろとも言いませんし、まだ私の中の思いではあるんですが、ちょっとそういう思いを共有だけ今日はしていただけないかなと思いますが、法務省、済みません。
○吉田政府参考人 いわゆる合意制度の対象犯罪は、一定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪に限定されておりまして、これらに当たらない人身取引事犯については合意制度の対象とはなっておりません。
これは、先ほど御指摘ありましたように、導入されたのが平成二十八年の刑訴法改正でございましたけれども、協議、合意の要素を有する証拠収集方法を初めて導入するということで、先ほど申し上げたような罪種に限定されたものでございます。
この合意制度は、平成三十年に施行されたものでございます。現時点ではその運用状況を見守っていく必要があると考えておりますけれども、合意制度の対象犯罪の在り方については、引き続き犯罪情勢も注視しながら検討してまいりたいと考えております。
○井出委員 答弁ありがとうございました。
日本でも非常に人身取引の舞台が多いのは、性的な、最近は違法ホストが話題になっておりますが、違法ホストについて警察で今大きな不祥事があったと聞いておりますので、そのコメントだけを求めて終わりたいと思います。警察庁、お願いします。
○山下委員長 警察庁重松刑事局長、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○重松政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの件につきましては、十一月十二日に、警視庁において、捜査情報を漏えいした地方公務員法違反容疑で警視庁暴力団対策課の警部補を逮捕したものと承知をしております。
多数の女性を性風俗店に紹介をし、多額の収益を得ていたと見られるスカウトグループに対して、現職の警察官が捜査情報を漏えいし逮捕されたことについては、国民の信頼を著しく損なうものでありまして、言語道断であるというふうに考えております。
○井出委員 巨悪を摘発するために、しっかりやっていただきたいと思います。
終わります。
○山下委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○山下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。
木原大臣、あかま大臣、黄川田大臣、小野田大臣、よろしくお願いします。
まずは、各大臣の皆さん、長官の皆さん、御就任おめでとうございます。これから当委員会で積極的な政策論戦をしっかり深めていきたいと考えておりますので、今日はそのスタートでございますので、まずは、細かい政策論争のところというよりは、四人の皆さんそれぞれの政治姿勢といいましょうか信条のような部分、こういった根っこ、これからの議論の土台になるところをきちんと確認をさせていただいて、それから中身の議論に入っていければ、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
まず、木原長官、中でも大変御多忙でいらっしゃいますし、今日は、大分の方ですかね、大きな火事もあっているというふうに伺っていますので、危機管理上のこともありますから、木原長官に関しては、先にお尋ねをして、終わり次第、御退席願って結構でございます。
個人的なことを申し上げますが、私が木原官房長官、木原稔さんという代議士のことを初めて、ああ、こういう人がいるんだと思ったのは、ちょうど十年前のことでございました。二〇一五年でございます。当時、私は新聞記者をしておりまして、安倍官邸、政権を取材をしておりました。二〇一五年、おられた方は御記憶と思うんですけれども、安保法制をめぐる議論が大変激しくなっていた頃でございまして、こういった委員室なんかも、大変活発なといいましょうか、怒号が飛び交うようなそういう景色で、そこから比べると今日は、十年一昔というような、何というんでしょうか、静かな、静ひつな環境で議論しているわけでございますけれども。
当時、十年前に何があったか。安保法制をめぐって非常に緊張感が高まっている中で、自民党の方である事件が起きました。文化芸術懇話会事件あるいは問題。当時おられた方は、ああ、そういえばあったかなということかもしれませんけれども、私も当時いませんでしたけれども、もしかしたら若手の議員の方は御記憶ないかもしれません。
この文化芸術懇話会という自民党内の私的な勉強会で外部講師の方が、沖縄の基地負担について、事実誤認に基づく、はっきり申し上げたら暴論を吐いて、それに議員の側も呼応して、そうだそうだ、沖縄のマスコミは懲らしめなきゃいけない、新聞は潰さなければいけない、こういうふうな過激な発言が出て、当時、ただでさえ非常に過熱しておった議論の状況に、火に油を注ぐというふうな事件が起きたわけでございます。
もう十年前の話でございますから、木原長官も御記憶が薄れているとは思いませんけれども、まずちょっと確認でお伺いしたいんですけれども、この文化芸術懇話会の代表は当時どなたであったか、御記憶でしょうか。
○木原国務大臣 御指摘の点でございますが、自由民主党の衆議院議員としての私の活動に関するものでありますから、官房長官という御指名によってお答えすることは差し控えたいと思いますが、あえて、あえて申し上げると、代表は私が務めておりました。
○山岸委員 率直なお答え、ありがとうございます。もしここで答弁しないという話だったら、これは本当に議論にならないなというところでしたので、木原長官の率直な御答弁姿勢、まずは評価したいというふうに思います。
この文化芸術懇話会の代表は、木原当時の衆議院議員そして青年局長でおられたわけです。この勉強会における参加者の方の発言が大きな問題になって、当時、やはり危機管理に定評があった安倍政権でございますから、木原当時の青年局長を速やかに更迭をし、発言者、特に著しい事実誤認の発言をした方を注意をしたり処分をしたりということになったわけでございます。
なぜこの話をまず持ち出したかと申しますと、木原長官は沖縄基地負担軽減担当大臣という立場でいらっしゃいます。そういう方が、沖縄の基地負担の在り方に関してどういう認識をお持ちの方なのか、あるいは沖縄県民の感情とか沖縄における報道の在り方、世論の動向ということをどういうふうに捉えていらっしゃるかということは、これから基地負担軽減の議論をしていく上で非常に大事になってくると考えているので、あえて、十年前の話ではありますけれども、お尋ねをさせていただいています。
今、答弁できないというふうなちょっとニュアンスがあったんだけれども、ここは是非政治家として明快に御答弁いただきたいと思うんです。
この二〇一五年の文化芸術懇話会問題というものを、今、木原大臣はどういうふうに御自分の中で総括をされているというか、いや、あれはある意味若げの至りであったなと反省をしているということなのか、あるいは、いや、実はあの頃のことが本音であって、実は自分は変わっていませんという話なのか。あの一連の文化芸術懇話会問題ということを今どういうふうに振り返っていらっしゃるのか、このお考えをお聞かせ願えますか。
○木原国務大臣 官房長官という立場ではなく、自由民主党の衆議院議員としてお答えをさせていただくならば、御指摘の件は、確かに、二〇一五年六月だったと思いますけれども、私が代表を務めるその会合において、報道及び言論の自由を軽視するような発言がなされたこと、また、沖縄県民の皆さんの思いを受け止めるべき自由民主党のスタンス、考えとは異なるような発言がなされたこと、そのことを受け、私を含む、党からの処分を受けたものであります。私自身の発言ではないとはいえ、私としては、この処分を重く受け止めた上で、その後の議員活動に精励をしてきたところであります。
○山岸委員 ありがとうございます。御答弁いただきました。
今長官から、自民党のスタンスとは異なる発言があったから、そのことで処分を受けたんだというふうな御発言がありましたけれども、木原議員のスタンスとも異なるような発言であったのか。
例えば、例を挙げますけれども、沖縄の二つの新聞社は絶対に潰さなあかんとか、米兵が犯したレイプ犯罪よりも沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方がはるかに率が高いなどとの発言ですけれども、これは、ネットで御覧の国民の皆様には、私のXのアカウントに資料をアップしていますから御覧いただければと思うんですけれども、皆さんのお手元には新聞記事を配付してあります。
こういうふうな甚だしい蔑視といいましょうか発言に対して、これは党のスタンスとは違うと今御答弁いただきましたけれども、木原代議士のスタンスとも違う、こう理解してよろしいですか。
○木原国務大臣 当該会合は、自民党の勉強会の会合でございました。私の発言ではないわけですが、私が代表を務める会の会合、その場で出ました個々の発言についてコメントすることは政府としては差し控えますけれども、しかし、そのスタンス、自民党のスタンスであり、また私のスタンスとも異なるということでありましたので、党の処分を私は受け入れたということであります。
また、報道の自由というのは、一つ事例を挙げられましたけれども、報道の自由は民主主義の根幹を成すものであり、当然尊重されるべきもの、委員も報道の出身ということで、そのことについては私は尊重しているということを申し上げておきます。
○山岸委員 明快な御答弁をありがとうございます。
木原長官のスタンスとも異なる、こういった発言は異なるということでございますから、これは是非とも、沖縄県民の皆さんの心情に寄り添った負担軽減政策を進めていただけるものだと期待をしたいと思いつつも、今日ちょっと、午前中の審議の中でおやっと思ったことがあるので、御指摘をしたいと思うんです。
森山議員の質問だったですかね、咲き誇る外交の議論をされた中で、木原長官は、二〇一六年頃がいわば目に見える形で咲き誇る外交を実感できたんだという御発言をされておりました。まさに今指摘をした二〇一五年とかあるいは一六年、この頃というのは、振り返っていただければ、御記憶の方は多いと思うんですけれども、いわゆる安倍一強、自民一強と言われた時代の、ある意味ではピークでございました。その後、二〇一七年に森友問題が起きて、そういった時代も変わっていくわけですけれども。
当時、取材をしていた私の立場からすると、本当に当時の自民党の皆さんというのは行け行けで、とりわけ安全保障とか沖縄問題に関しては、今から振り返れば、本当に暴論というか、恥ずかしいというふうな言論でさえまかり通っていた空気というのはあったんじゃないかなと思うんですね。
今、木原長官は、いや、ちょっとやはりこういったことは行き過ぎで、自分の考えとも違うという趣旨の御発言をされたんだけれども、午前中の答弁で、やはり、もしかしたらあの時代に木原長官はすごくノスタルジーを感じていらっしゃるのかなと。自民党一強、敵なし。どんな、ある意味では侮蔑的な、あるいは差別的な発言があったとしても、それがまかり通ってしまうかのような、その頃の時代にノスタルジーを感じながらこれから仕事をされていくんだとすると、これは、沖縄の問題についても若干の心配がないわけではありません。
そこで、沖縄の負担軽減に絞ってちょっと御意見とか御見解をお聞きしたいと思うんです。
今、報道のことを私お聞きしましたけれども、もう一個大事な論点で、やはり基地負担をどう評価するかということも、この勉強会、文化芸術懇話会でも出たわけですし、その後も論点になってまいりました。よくある言説として、普天間飛行場があったところは元々畑だったんだから、人も住んでいなかったんだみたいな事実誤認の発言というのは度々繰り返されてまいりました。
そうしたことによって沖縄の基地負担軽減がいわば軽視をされるというふうなことが繰り返されてきたわけですけれども、このような沖縄の基地負担を不当に低く見積もるような言説に関しては、これも木原長官のお考えとは、スタンスとは異なる、これも確認させてもらってよろしいでしょうか。
○木原国務大臣 今委員の御指摘は、多分、私の発言でもなく、あるいは参加していた議員の発言でもなく、そこにいらっしゃった講師の方の発言だというふうに記憶をしておりますけれども、名前は申し上げませんけれども、その講師の述べられたことについて、今この立場でコメントすることも差し控えますが。
しかし、その上で申し上げると、戦後八十年がたちました。八十年を経た今もなお沖縄県民の皆様に大きな基地負担を担っていただいていること、これは重く受け止めておりまして、沖縄の基地負担軽減は政府の最重要課題の一つであるということです。
その中でも、普天間飛行場については、戦時中以降、米軍が民公有地を含む土地を接収して建設したものというふうに承知をしておりますが、世界で最も危険と言われる同飛行場が固定化をされ、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。辺野古移設に向けた工事を着実に進めて、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現していく、そのような考えでございます。
引き続き、沖縄の基地負担の軽減、担当大臣として全力で取り組んでまいります。
○山岸委員 ありがとうございます。辺野古に関しては僕とは考えが違いますけれども、基地負担軽減が、過重であって、それを減らしていかなければいけない、この認識に関しては確認をさせていただきました。
長官、最後に一つ教えてほしいんですけれども、まだ、御就任後、基地負担軽減担当大臣として沖縄には御訪問されていないかと思います。大変多忙でいらっしゃるのでやむを得ないところもあろうかと思うんですけれども、たしか前任の林長官は、就任後、一月だったですかね、御訪問されていたんじゃないかなと思いますけれども、訪問の御予定がおありかどうか、いつ頃までに訪問したいか、この辺り、もし御所見があればお答えいただけますか。
○木原国務大臣 できるだけ早く訪問したいと考えておりますが、相手のあることですので、調整をした上で、速やかに担当大臣として訪問したいと考えております。
○山岸委員 ありがとうございます。
是非、正確な事実認識、歴史認識に基づいて、沖縄県民の皆さんの心情に寄り添った基地負担軽減政策をお願いしたいということを長官にはお願い申し上げて、御質問は以上でございますので、結構でございます。ありがとうございます。
○山下委員長 官房長官は御退席されて結構です。
○山岸委員 続きまして、小野田大臣にお伺いしていきたいと思います。
午前中、これも森山議員との質疑で、排外主義とは何ですかという議論がございました。ちょっとこれの振り返りからお願いしたいと思うんです。
大臣は、様々、外国人に関わる政策はいろいろあるんだけれども、外国人の排除を目的とはしないので排外主義とは一線を画します、こういう御答弁をされました。
ということは、表裏、返しますと、いわばやってはいけない排外主義というのは、外国人の排除を目的としていろいろな外国人政策を行うこと、これは裏表の関係だと思うんですけれども、こういう御趣旨のことをおっしゃっていると受け止めてよろしいんでしょうか。ちょっと、午前中の答弁の説明なので、お願いします。
○小野田国務大臣 裏表にそのままできるのかどうなのかというところは、これは、皆さんが御心配をしている外国人の排除、これを目的としてやっているのではないかということに対しては、そうではないよという方針を述べるために、排外主義とは一線を画すというふうには、外国人の排除を目的としてこの一連の政策をやっているんじゃありませんかということに対して、そうではないよという方針を示すために、排外主義とは一線を画すものだというふうに言っているという認識です。
○山岸委員 外国人の排除を目的としないから排外主義とは一線を画す。排外主義じゃないから排外主義だと言っているのと、ちょっと私は、済みません、私の理解が追いついていないのかもしれませんけれども。
目的としなければいいんですかね。政策の効果として、様々な場面で外国人が排除されるという効果を生んだとしても、外国人の排除が目的になっていなければいいんだ、こういう御説明ですか。
○小野田国務大臣 いや、目的でなければいいんだというよりは、それを目的としていないよという方向性を示すために言っているというものなので、ちょっとそこを逆説にされるとなかなか難しいなというふうに感じます。
○山岸委員 外国人の排除を目的としないということを説明するために、排外主義とは一線を画すと言っているんだということですか。
では、大臣がおっしゃっている外国人の排除とはどういうことを指すのかなということなんですけれども、これはちょっと、まず前提なんですけれども、政府として、外国人の排除とか排外主義という言葉について、何か決まった用語、用法、定義というものはお持ちなんでしょうか。教えてください。
○小野田国務大臣 済みません、決まった定義というのはないと思うんですが、いわゆるヘイトスピーチ解消法において、お尋ねの排除という表現が、同法が解消しようとする、本邦外出身者を地域社会から……(山岸委員「そこはまだ聞いていないですよ」と呼ぶ)聞いていない。そこまでの定義には定められていないなというふうに承知しているので、何か定義になるものがあるとしたらそこをお考えなのかなというふうに思ったんですが。
ただ、その議員立法における定義は、特に政府として決めているものではないです。
○山岸委員 まだ聞いていないことをフライングで答えないでください、あえて順番を追って質問しておりますから。
これは通告とも関わってくるんですけれども、政府の皆さんが、迅速に通告しろと。丁寧に1、2、3と通告すると、聞いてもいないのに2、3を併せて答える。これでは議論は深まりませんから、ちょっとこれは、大臣、変えていただきたい、改めていただきたいとお願いを申し上げます。
今の御発言ですと、先んじてお答えいただいたわけですけれども、話を戻すと、政府として決まった定義はない。となりますと、これは、答弁する方とか場面とかによって意味合いが変わってくるということになるわけですね。
そうしますと、排外主義とは一線を画するというのも、これは、私はこれが排外主義ではないと思っているから排外主義とは一線を画していますということになってしまって、そのことによって、排外主義ではないからこれとこれとこれはできないんだね、こういうことはないから大丈夫なんだねという御説明には、なかなかならないのではないのかなというふうに思うんです。
そこで、ちょっと具体的にお伺いしていきたいと思うんです。
今大臣からもフライングでおっしゃってもらいましたけれども、ヘイトスピーチ解消法、これは確かに、一つの、我が国法制度において、外国人の排除とか排外主義ということを、直接ではないにせよ一定規定しているものとして挙げられるんだろうと思うんですけれども、ヘイトスピーチ解消法の二条に定義規定があるわけですね。長いんですけれども、大事な条文なので読み上げたいと思うんです。
専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するものに対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮辱するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうというのが説明で、ここに排除という言葉が出てくるわけですね。
これは、大臣が先ほど来おっしゃっている、外国人の排除を目的としない、そういう政策なんだということを言っているときの排除というのは、このヘイトスピーチ解消法の二条で定義をされている排除という言葉と基本的に同じ概念なのかどうなのか、何か違いがあるのか、この点を教えてください。
それが2です。
○小野田国務大臣 それが2ですとおっしゃったんですけれども、ヘイトスピーチ解消法において、先ほど申し上げた排除という表現が二条に、私も今二条を見ながらでしたけれども、本邦外出身者を地域から排除することを扇動する不当な差別的言動の中で用いられているけれども、その定義について、何というんでしょうね、法律の定義ではあるんですけれども、排除の定義が同法で定められていないものとは承知をしています。
ただ、同法の規定の具体的な解釈について、これは法務省なので、所管にお尋ねをいただけたらというふうに思います。
○山岸委員 排除の定義はないということの繰り返しの御説明でございました。やはり、そうなってきますと、これから高市政権が取ろうとしていく政策が、いや、排除を目的としないからこうなんですという御説明だったんだけれども、その中身は実は多義的であって、あるいは発言者によって委ねられている、あるいは変わり得るというものではないのかなと受け止めましたので、今後の議論の中で、ここはしっかり深めさせていただきたいというふうに思います。
時間も限られていますので、黄川田大臣、済みません、お待たせいたしました。大臣と議論をさせていただきたいというふうに思います。
私、今日の質疑は先週の各大臣の所信的発言に対する質疑ということでございますので、所信に触れないのは失礼であろうと思いまして、大臣とは所信発言に関しての議論をさせていただこうと思っております。
お手元の資料ですと三番、四番になりますけれども、私、所信を見るときは、何を語られたかということももちろん重視をしますけれども、何を語らなかったのかということもまた同じぐらい意味があるのではないか、そこに大きな政治的意図があるのではないか、こういう視点で各大臣の所信的発言を聞かせていただきました。
黄川田大臣、大変担務が多いのでページ数も多かったわけなんですけれども、幾つか、昨年の担当大臣に比べると、発言が落ちているものがございます。二つ大きくあって、一つがLGBTQの部分、そしてウォーターPPP、二か所、ちょっと議論をさせていただこうと思います。
昨年は、共生担当大臣の御発言の中に、性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法に基づき云々かんぬんという発言があったんですけれども、今年の黄川田大臣の発言からはこのくだりが抜け落ちておりました。この部分を削除した理由を教えてください。
○黄川田国務大臣 限られた時間の中で、多岐にわたる私の担務を網羅的に触れることは困難であり、最終的に、総合的に判断して、私の所信挨拶において言及することを見送った政策課題もございます。
今回の所信挨拶でなかった理解増進法については、議員立法として立法府における御議論の結果、制定されたものでありまして、内閣府としては、これに基づいて取組を進めることに変わりはございません。
○山岸委員 率直な御答弁ありがとうございます。
落とした、見送った政策課題もあると。この御判断は、大臣御自身がなさったんでしょうか。つまり、事務方から上がってきたペーパーにはあったんだけれども大臣の御判断として落とした、こういう御理解でよろしいですか。
○黄川田国務大臣 今、私の担務が非常に幅広いというお話をしていただきましたけれども、本当に多くて、物すごいボリュームだったので、もうちょっと減らしていただきたいということは申し上げました。
○山岸委員 その減らしてほしいとおっしゃった中に、この理解増進法のくだりもあったということでよろしいですか。
○黄川田国務大臣 特に意識してというわけではなくて、最終的に、総合的に判断して、このようになったということでございます。
○山岸委員 意識していないというのは、ちょっと御無理があるんじゃないか。つまり、この高市政権は総理御自身が答弁書にペン入れを丁寧にされることで知られているわけですし、それは多分、各大臣の皆さんも同じ方針として共有されているんだろう、当然、黄川田大臣も様々御覧になって、いや、これとこれとこれは落としてくれという御発言をされたんだろうと思いますよ。
その中にこのLGBTQをめぐる部分があったのか、なかったのか、これぐらいは御記憶じゃないでしょうか。いかがですか、大臣。
○黄川田国務大臣 済みません、総合的に判断してのことでございます。
○山岸委員 残念な御答弁ではありますけれども。これは、法律は確かに成立していますけれども、来年が三年後の見直し規定の時期でございますので、重要性が著しくほかに比べて下がったというふうに評価をするのは、私は、いかがなものかなというふうに思います。引き続き取り組んでいただきたいと思いますが。
その上で、時間も限られています、もう一点。
先ほど申し上げましたように、なくなったもののもう一つがウォーターPPP、僅か一行なんですけれども、去年はこういうのがあったんですね。PPPとかPFIのくだりの中で、上下水道等を一体的に管理するウォーターPPP等の取組を推進しますという部分があったんだけれども、なぜか今年はこのウォーターPPPのところだけがピンポイントに落ちているんですね。
大臣、これは、これもまた大臣の御判断なのか、どういう理由なのか、御説明ください。
○黄川田国務大臣 我が国において人口減少による人手不足やインフラ老朽化等が進む中、事業範囲の規模をより広く、大きくすることにより民間事業者の参入を促し、公共サービスをより効率的、効果的に提供する必要があると認識しております。
そのため、私の所信挨拶においては、事業範囲や規模の確保に資する分野横断型や広域型のPFI等を幅広く進めていくということを申し上げておりまして、ウォーターPPP、すなわち水分野の官民連携の推進はこれに含まれるものということでございます。
政府として、今後とも水分野の官民連携を推進していくことには変わりなく、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えています。
○山岸委員 大臣、一点だけ確認です。
そのウォーターPPPに関して、直近ですと、宮城県の知事選挙で水道の在り方が大きな議論になったということが直近でございました。このことは今回の御判断に影響があったのか、なかったのか、教えてください。
○黄川田国務大臣 全く関係ございません。
○山岸委員 御答弁ありがとうございます。
お時間でございますから、そろそろ結びにいたしますけれども、あかま大臣、申し訳ありません、時間が足りなくて申し訳ありません。また次回よろしくお願いします。
これからしっかりと論戦を深めていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 橋本幹彦です。
まず、経済について伺います。
私は来年で三十になりますけれども、そろそろ失われた三十年という悔しい状況から脱却したい、今こそ、給料が上がる、手取りが増える経済を取り戻したい。その意味で、高市早苗総理の経済政策に私も期待したいと思います。
しかし、責任ある積極財政、この目指すところが結局よく分からない。危機管理投資など投資の規模こそ打ち出しているものの、ゴールが見えない。
例えば最低賃金について、石破前総理大臣は二〇二〇年代に全国平均一千五百円という目標を立てましたけれども、高市総理、先日撤回されました。それでは、政権として、最低賃金目標はないのでしょうか。あるいは平均賃金、これも諸外国対比でも停滞していますけれども、どの水準を目指していくんでしょうか。あるいは名目GDPの目標はあるんでしょうか。
責任ある積極財政は何を目指すのか、数値でお答えいただきたいと思います。
○城内国務大臣 お答えします。
責任ある積極財政の責任、これは人によっていろいろ捉え方はあると思いますが、少なくとも、今を生きている国民、そして未来を生きる国民に対する責任、そういう意味の責任であると同時に、何か野方図に放漫財政をして、財政規律を無視してまで財政出動をする、そういうことではないということがこの責任ということに込められていると思っております。
この内閣におきましては、経済あっての財政という考え方を基本としておりまして、強い経済を構築するため、責任ある積極財政の考え方の下で、あれもこれもではなくて戦略的に戦略分野に財政出動をする、そして、これによって、所得を増やし、消費マインドを改善して、消費の量も増やして事業収益を上げる、そして、事業収益が上がることによって、税率を上げずとも税収を増加させる、そういう好循環をつくることを考えている、これが責任ある積極財政でございます。
いずれにしましても、強い経済を構築すると同時に、財政の持続可能性も確保することへの責任もあると考えております。
○橋本(幹)委員 今大臣からるるいただきましたけれども、結局、数値目標はないというふうに思いますが、いかがですか。あるんでしたらお答えください。
○城内国務大臣 数値目標について今お尋ねがございましたけれども、現在、経済対策の検討を行っているところでありまして、その裏づけとなる補正予算、そして当初予算等の今後の予算編成あるいは経済状況を見ながら、先ほど申しました責任ある積極財政の考え方の下で経済財政運営に万全を期していく、そういうことであります。
いろいろと、GDP、物価、賃金、目標という話がございますけれども、それについては、今後しっかりと成長戦略などを策定する過程で考えていくということでありまして、現時点で目標がないとも言えませんし、何か具体的な、この目標だというのを今打ち出すというところではないということは御理解いただければと思います。
○橋本(幹)委員 打ち出せないということは目標がないということだと思うんですけれども。
安倍晋三元総理のアベノミクスには明確な結果目標がありました。例えば二%のインフレ目標であったり、GDP六百兆円を目指していく、その結果として、成長と分配の好循環を実現していくんだというシナリオがあったと思います。私の立場としては、是非、高市政権にも強い経済を実現していただきたいですし、それに当たっては、しっかりとした根拠に基づいた、シミュレーションに基づいた政策立案もしていただきたいと思う次第であります。
特にアベノミクス、その後、新しい資本主義ですとか楽しい日本もそうだったのかもしれないんですけれども、いろいろな看板が出てきますけれども、結局、国民の手取りが増える、賃金が上がっていく、ここに落ちていかなければ全く意味がないわけですね。
まず、これまでの経済政策の総括についてお伺いします。
アベノミクス以降、これらの経済政策をどのように評価されているのか、あるいは反省点は何か、あればお答えください。
○城内国務大臣 お答えします。
これまで、新しい資本主義においては、価格転嫁、生産性向上の支援など、賃上げの環境整備、設備投資の促進、スタートアップの育成などに取り組んできた経緯がございます。その結果、二年連続で五%を上回る高水準となりました春季労使交渉での賃上げ、六百兆円を超える名目GDP、あるいは過去最高水準の設備投資が実現するなど、大きな成果があったというふうに認識しております。
それを踏まえまして、高市新内閣の成長戦略、これは、新しい資本主義実現会議における議論を継続というか包摂した形で、日本成長戦略会議における議論を通じまして、特に危機管理を肝として更なる我が国の経済の成長の実現を目指していくものであります。
その前の、いわゆる石破内閣の楽しい日本という話がございましたけれども、これはやはり地方創生の取組が中核でありまして、その地方創生の取組についても、今回の高市新内閣においても、引き続き、地域全体の稼ぐ力を高めていくこと、これは当然のことでありますので、成長戦略の中に当然盛り込むべきものとして捉えているというふうに言えるかと思います。
○橋本(幹)委員 大臣、是非、結果目標を定めて、その目標に向かって、EBPM、証拠に基づく政策立案を経済の分野でもやっていただきたいと思っているところです。
責任ある積極財政の話も説明いただきましたけれども、それでは、金利やGDPの見直しや物価安定目標、こういった数値のシミュレーションや見通しはあるんでしょうか。
○城内国務大臣 お答えします。
実は内閣府で様々なシミュレーションをやっておりますし、先ほど、今、物価安定の話をされましたけれども、物価につきましては、日本銀行におきまして、日本銀行法第四条及び政府と日本銀行のいわゆるアコード、共同声明がございますので、その共同声明には、政府と日銀が緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて引き続き適切な金融政策運営が行われていくことが期待されておりまして、そういった面では、物価安定目標については、日本銀行の目指す二%の物価安定目標があるということは言えるかと思いますし、また、賃金その他についても、これも先ほど申しましたように、これまでのいろいろな経済動向、今後の動向もしっかり見据えながら、妙に上振れたり下振れたりしないように、そういったことを考慮しながら取り組んでいるところであります。
○橋本(幹)委員 今お尋ねしていたのは、結果の話じゃなくて、その証拠の話なんですね。経済政策を立てるに当たって、どういう数値の根拠に基づいて責任ある積極財政をやっていくのかと。
当然、財政出動をしていくと、それが債務も伴うものであった場合には、GDPに対する債務の比率を抑えていくという方針もあるわけですけれども、それであれば、これは事前のレクでもちょっと皆さんとも議論したんですけれども、例えば金利の見通しであるだとかGDPの見通し、こういったものが伴っていなければ、責任ある積極財政というのは、ただただ看板をすげ替えたにすぎない。是非、責任ある積極財政、やっていただきたいですから、そういったシミュレーション、これからいろいろな統計も出てくる時期だと思いますので、それに基づいて、証拠に基づいた政策立案をしていただきたいと思っております。
こういったことを考えているうちに、いろいろとニュースが入ってくるわけですけれども、例えばお米券の配付であるだとか、電気料金、ガス料金の補助といった政策が政権内で検討されているやに報道では見えるわけですけれども、EBPMの観点から、こういったお米券、電気・ガス料金の補助をどのように評価されているでしょうか。
○城内国務大臣 お米券については、実は、そういう方向性がまだ固まっているわけではございません。お米券につきましては、現状を申し上げますと、必要な地域において、例えば既に重点支援地方交付金で、三十八の自治体で、お米券、あるいはお米券に近いようなものがメニューとして採用されているということでございますし、お米券を広くほぼ全ての自治体に最優先推奨事業メニューに入れるかどうかも含めて、全くまだ今決まっておりません。
ただ、いずれにしましても、EBPMの手法については、これは当然のごとく、しっかりとその効果を検証できるように、KPIも含めて、やりっ放し、結果は評価せずということは決してございませんので、その点については御理解いただければ幸いであります。
○橋本(幹)委員 本内閣委員会には出席されませんけれども、鈴木農水大臣は、お米券の配付は米価格の高騰に対してスピーディーな対策と記者会見で述べられましたが、果たしてスピーディーなのかというところも大変疑問であります。
当然、お米券を配るときには、郵便の皆さん、あるいは自治体の皆さんも巻き込んでやっていくわけですけれども、では、補正予算が通って、いつ配付できるんですかというと、果たしてそれはスピーディーと言えるのかどうかというところも疑問であります。是非そういったところも、政策の検証というところはしっかりやっていただきたいと思います。
これに関連するニュースとして、昨日の報道で、日本版DOGE、日本版政府効率化局を立ち上げるとのニュースが入りました。これは官房長官かと思いますが、昨日の報道なので通告しておりませんけれども、日本版DOGEの目的は何でしょうか。
○木原国務大臣 政府効率化局(仮称)のお話だと思いますが、自由民主党と日本維新の会の連立合意の合意書の中に書かれておりまして、期限は特に記載をしておりませんでしたけれども、現在これは片山財務大臣に指示が下りておりまして、それを今検討中でありまして、まだ具体的な中身はもうちょっと詰めなければいけませんが、できましたら、しかるべき時期に、なるべく早い段階でそれを立ち上げる準備を着々と進めているところです。
○橋本(幹)委員 政府効率化局、いろいろな無駄を削っていくという方向性でお考えなんだろうなと思うわけです。是非、経済対策も、もちろん経済政策はどんどん推進していただきたいんですけれども、無駄な経済政策はやめてほしいんですね。
例えば、ガソリンの補助金。これはずうっと続けてきました。これがガソリンの減税に政策転換しました。これは高市政権が決断されたというところで、大変ありがたいことでありますけれども、ただ、補助金から減税への政策転換のこの根底の思想には、税金を取って補助金として配るのであれば、そもそも初めから取らなければいい、そのような考え方があるわけです。実際、会計検査院も、このガソリン補助金の在り方については疑問を投げかけたわけであります。
今、先ほどお米券の話をしました。電気料金、ガス料金も同じように補助するのかという検討もされていますけれども、では、電気料金はどうかといいますと、例えば、再生エネルギー賦課金を取っています。しかも、これはガソリンの税金と違って、法律で金額が決まるというものではなくて、経済産業省が、経済産業大臣が金額を決定できるもので、今年は一キロワットアワー当たり三・九八円。月四百キロワットアワー使用する一般的な世帯のモデルでは、月一千五百九十二円、年間で約一万九千円、これぐらいの負担額になるということです。
電気代も、取って配るのであれば初めから取らなければいい、そのような考え方もあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○城内国務大臣 今の委員御指摘のとおり、最初から取らなければいいんじゃないかという話はありますけれども、そういった選択肢もありますけれども、やはり、今回の高市内閣におきましては、電気代、ガス代、厳冬下で大変厳しいという状況でありますので、そういった状況を踏まえまして、これはあくまでも臨時の措置で、毎年やるかどうかについては、必ずしもそうではない、暖冬というときもありますので。こういうことから、今回、そのような形で、減税という形で、あるいは補助金を使ってやるということであります。
○橋本(幹)委員 臨時の措置であれば、最初から取らないというのも臨時の措置としてできるのではないかなと思いますので、是非御検討いただければと思います。
続いて、インテリジェンスについて伺います。
インテリジェンスとは、国と国民の安全を守るための情報の収集、分析、活用の一連のサイクルであり、同時に、他国の情報活動に対応していくことであります。この活動の中には、当然、重要な情報を保全することも含まれています。この体制を強化していく、その方向性を、高市政権の姿勢を私は応援したいと思います。
なかんずく、官房長官は、高市政権のインテリジェンスを担当する中で筆頭の大臣になるのではないかと思います。所信ではインテリジェンス司令塔の強化をうたわれましたけれども、既に内閣情報官あるいは内閣情報調査室が司令塔の機能を担っている中で、あえて司令塔機能の強化を、あるいは国家情報局の創設をうたう意義を教えてください。
○木原国務大臣 政府が政策の意思決定を的確に行うためには、意思決定に資する質の高い、あるいは時宜にかなった情報が不可欠となります。また、この情報を得るためには、政策部門と情報部門の緊密な連携の下で、政府が所有するあらゆるリソースを活用して情報を収集し、これらを総合的に分析していくことが重要、そのような認識を持っております。
総理からは、関係大臣と協力をして、政府全体のインテリジェンス司令塔機能の強化に向けた検討を行う旨の指示を私自身が受けたところでありますけれども、先ほど申し上げたような機能をより十分に果たしていくためのものをこれから構築していく、そのような考えでございます。
○橋本(幹)委員 私は、今の官房長官の説明では、国民はインテリジェンス強化の真意を理解できないと思います。
ちまたでは、スパイ防止法が日本には必要だという言説があふれています。スパイを捕まえて罰する、このことで国や国民の安全が守れるのだと素朴に思っていらっしゃる方も少なくないんだと思いますが、しかし、スパイの摘発というのは、インテリジェンスの様々ある活動の中で、他国の情報活動に対抗していくカウンターインテリジェンス、そのカウンターインテリジェンスの幅広い手法の一つにしかすぎないわけです。
インテリジェンス全体を一つの家に例えましたら、スパイ防止がその家の鍵と言えるのではないかと思っています。もちろん、家族を守ったりあるいは財産を守るためには鍵は大事なんですけれども、しかし、どんなに家の鍵を立派にしても、塀や屋根が壊れたまま、あるいは窓が開きっ放しのままでは全く意味がない。ですので、今、世論がスパイ防止法という言葉で沸騰しておりますけれども、これは不健全な言論環境だと思っていますし、建設的な議論が成らないのではないかと懸念しています。
私自身は、そういった懸念に立って、党内の議論に当たっては三本柱というものを立てて議論してまいりました。国民の自由と人権の尊重、国家の存立と主権の擁護、インテリジェンスの最前線で働く同胞の保護という三本柱であります。
配付資料の一、雑誌「正論」令和七年十一月号に掲載された江崎道朗さんの寄稿ですが、この三本柱に基づいた議論を歓迎いただいて、このインテリジェンスに係る議論が人権抑圧の萌芽になるような方向性にしてはならないのだ、そういった旨、論じていただきました。
官房長官、是非、インテリジェンスの議論に当たっては丁寧な議論をしていただきたいと願っております。そして、その議論の土台として、政府としてインテリジェンスの戦略やあるいはインテリジェンス白書のようなものを作って、国民の皆さんに広くインテリジェンスの意義が理解されるような環境をつくっていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○木原国務大臣 インテリジェンス強化の一例として、いわゆるスパイ防止法の話を挙げていただきましたけれども、このいわゆるスパイ防止法の必要性等については様々な議論があるというふうに承知をしております。
政府としては、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立ち、国の重要な情報等の保護を図るべく、カウンターインテリジェンスの取組を強化するなど必要な対策を講じているところであります。また、違法な情報収集に対しては、捜査当局において、不正競争防止法、国家公務員法などの様々な法令を適用し厳正な取締りを現在行っているところです。
引き続き、様々な観点から、必要な取組の充実強化に努めてまいる所存であります。
○橋本(幹)委員 質問したことは、インテリジェンスの議論の土台を政府としても提供していただきたいということです。これは、知的基盤を提供してくださいということなんですね。
よく政治家が、これはインテリジェンスの議論に限らないですけれども、何か政策をやりますというときに注目しがちなのは、組織であったり、あるいは箱であったり、そういったところに注目しがちですけれども、やはりまず土台は知的基盤だと思います。何が必要で、どういう脅威があってというところが国民からしては分かりづらい、ゆえに白書や戦略を立てるべきだという質問をしたわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○木原国務大臣 おっしゃるように、いわゆるスパイ防止法を含めてインテリジェンスについては様々な御意見があるところでございますので、まずは多くの国民の皆様方の御理解、これが必要だと思いますし、当然、議員の先生方、委員の先生方に対しての丁寧な説明も必要かと思います。
また、いわゆるこういったインテリジェンス関連の制度というのは諸外国にも例がありますので、そういった諸外国の法制度についても必要な知見を深めて、政府における検討に生かしていかなければいけないというふうに思います。
日本は非常にこの分野、後れを取っているというふうにも、様々なそういった評論家の方、今、江崎先生の評論にもありましたけれども、言われておりますから、そういうことがないように、世界水準のインテリジェンス機能の強化に向けて、これから取り組んでいく所存です。
○橋本(幹)委員 世界水準のインテリジェンスの強化ということをおっしゃいました。そして、国民の理解が大事だということもおっしゃいました。ここは車の両輪だと思います。司法の強化、体制の強化というところと同時に国民の理解を求めていかなければ、決してインテリジェンス活動というのは十分にその力を発揮できないところであります。それは防衛も同じですし、外交も同じだと思いますけれども。
是非、白書や戦略、あるいは別の名前でも結構ですから、国民がその意義を理解できるような環境を整えていただきたいと思っています。そして、これに当たって、国会の立場というのが非常に重要になってくると考えています。
よく、インテリジェンスの議論をすると、手のうちをさらすようなことは言えませんというような話もあるんですけれども、別に手のうちをさらしてほしいということを言っているわけではないんですね。どのように国と国民の安全を守っていくのか、インテリジェンスがどのような機能を果たしていくのか、ここが国民が理解していないからこそ、スパイ防止法というその一部分を見ただけの議論で沸騰して、それが必要か不要かという、ある意味ちょっと不健全な議論になりがちなんだと思います。インテリジェンスという言葉そのものも、どこか法律に表れる言葉でもないですし、なじみのない言葉なのかもしれないですけれども、是非、その基本的な理解をまずは土台としていただきたいと思っております。
そして、その基本的な理解があった上でではありますけれども、国会の役割というところは考えていただきたいと思っております。民主的統制、防衛省的に言ったら文民統制という言葉もありますけれども、国会がどのようにインテリジェンスの活動や機関に対して関与していくのか、これについても議論していただければと思いますが、今、そういった議論は、政府あるいは与党の中での議論の中であるんでしょうか。
○木原国務大臣 最終的にどういった組織をまずつくっていくか、そして、その組織にどういう魂を込めていくかという話になるかと思いますが、これも自民党と日本維新の会の合意文書にはありますけれども、我が国のインテリジェンス機能というのは極めて脆弱である、そういう認識の下で、その対応策の一つとして、まずは、組織論としては、国家情報局及び国家情報局長という立場を創設するとともに、国家情報会議を設置する、そういう法律を制定するということが盛り込まれているところであります。
そして、その中身について、どういう魂を込めていくかについては、どのようなことが必要か、こういったことも同時並行に、何が適当かというのを適切に検討していくということになります。
○橋本(幹)委員 基本的に認識は同じだと思います。局やあるいは組織をつくるだけでは何にも意味がないと思います、魂を込めていくことが大事であって。その中で、いろいろとインテリジェンスの強化をされていくということをおっしゃった。
他国においていろいろなインテリジェンスの強化をしていくときには、同時に、では、民主的統制をどうするんだ、政治的中立をどうするんだ、こういった議論が並行して行われて、それでバランスが取れた施策となっているわけですね。
今、民主的統制、どのような議論がありますかというところで、お答えもありませんでした。政治的中立というワードもあります。これについては、官房長官、どのようにお考えでしょうか。インテリジェンスにおける政治的中立といったところについては、どのようなお考えでしょうか。
○木原国務大臣 まず、そもそも我が国は、現在、インテリジェンス機能が脆弱であるというふうに国内外から評価をされていることについて、政府全体のインテリジェンス司令塔機能の強化が急務である、そういう認識であります。
しかし、新たにこの組織をつくるということによって、やはり国民の理解を得なければいけません。国民のいわゆるプライバシーの権利と、あるいは国のインテリジェンスの強化、こういったバランスをやはり考えていかなきゃいけない。様々な分野でこれを、当然、どちらが重要なのかということを比較考量をしていかなきゃいけない、そういうときも出てくるんだろうと思います。
そういったバランスを常に考えながら、しかしながら、我が国にとって何が一番国益にかなうのか。国民のプライバシー権にも配慮しながら、国益を損なわないようにしっかりと国としてインテリジェンス機能を強化していく、そのことをやはり国民に丁寧に説明していきながら、組織をつくると同時に中身を詰めていかなきゃいけないと考えております。
○橋本(幹)委員 今、プライバシーの権利について、国民の権利について言及がありました。今のお答えを聞いても、あるいは自由民主党と日本維新の会との間の合意書を見ましても、何か、立派な組織をつくったらインテリジェンスの強化が終わるというような認識があるような気がします。
今言った民主的統制や政治的中立、これはダイナミックな話であって、不断の関係の中でやっていく。当然、今自民党が政権を取っていますけれども、自民党が政権から降りて別の党が政権に就いたときも、インテリジェンスの機能というのはしっかりと果たされていかなければならない。そういう意味で、政治的中立ですとか民主的統制というところは極めて重要であるし。
国家情報局というのは、これは、今、内閣情報調査室を実質格上げするという話なんだと思いますけれども、結局それは内閣官房から出る話ではない、あるいは内閣府から出る話ではないんだと思うんですね。例えば政治的中立のやり方でいいますと、警察は国家公安委員会によって、その趣旨は政治的中立を担保していく組織形態であるわけです。こういったやり方もあるわけですね。
局への格上げというところは確かに勇ましいフレーズではあるんですけれども、是非、この政治的中立、民主的統制、どのようにその組織の在り方にも入れていくのかというところは検討していただきたいところであります。
いろいろなことを伺いたいんですけれども、時間も限られてまいりましたので、一つ、過去の教訓について伺いたいと思います。
インテリジェンスの強化というときには、何か外的要因によってインテリジェンスの強化が必要だというような説明が多いように思います。複雑な安全保障環境になったからと。果たしてそうなんだろうか。今までもインテリジェンスの機能はしっかり果たされてこなかったのではないか。その反省に立って、どのような対策が必要なのか、どのような組織が必要なのか、こういったことを検討していただきたいわけであります。
直近でいえば、大川原化工機の冤罪事件、これは経済安全保障の分野ではありますけれども、大変残念な例でありました。あるいは、古く、もうちょっと過去の話をすれば、拉致事件も、ある意味インテリジェンスの敗北と言えるようなものではなかろうかと思います。
では、拉致事件について伺います。
拉致事件、この教訓は何でしょうか。これは、何か、取り戻すとかそういう話ではなくて、過去、なぜ拉致のような事件を許してしまったのか、それについて、政府のインテリジェンスの体制について反省はあるのかというところを伺います。
○木原国務大臣 私は拉致問題担当大臣でもございますので、ここは所管の委員会ではございませんけれども、今御質問がありましたのでお答え申し上げますと、かつて北朝鮮が行った拉致事案、政府として、まずは防ぐことができなかった、そのことは事実であります。
また、二〇〇二年に五人の拉致被害者の方々が帰国されて以降、一人の拉致被害者の御帰国も実現していないということ、このことについては大変申し訳ない限りであります。
拉致問題の解決のためには、拉致被害者及び北朝鮮情勢に関する情報収集、分析等、これは極めて重要だというふうに認識をしています。
拉致被害者全員の御帰国が実現していない段階で、委員御指摘の教訓、まだこれは解決しておりませんから、教訓というのは、終わった後に多分教訓というのは出てくるんだと思いますが、その一つ一つというのをこの時点で明らかにするということは、更に今後の対応にも影響を及ぼすおそれもありますから、あえてお答えを差し控えますけれども、政府としては、外国情報機関による我が国での諸活動、諸工作に的確に対処し、国及び国民の安全を守り抜く、そういう強い覚悟を持って、今般、連立合意文書の中にも書いておりますが、インテリジェンス機能の強化、これに不断に取り組んでいく、そのことによって拉致問題の解決にもつなげていきたいというふうに思っております。
○橋本(幹)委員 この質問も何度もやってきましたけれども、残念ながら教訓は聞かれませんでした。この場でお答えを差し控えるというその趣旨は分からぬでもないですけれども、結局、教訓があるのか、何なのか、政府として共有されているのかというところは不透明であります。是非、今後もインテリジェンスの議論を深めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
終わります。
○山下委員長 次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
まず、木原官房長官に、通告の質問を二問まとめてお聞きしたいと思っております。
まず、我が党と自由民主党との間の連立合意について。インテリジェンスについて誠実に履行されようとしていることについて、まずは感謝を申し上げたいと思います。その中で、先ほど来からお話ありますとおり、これは、そういう仕組みといいますか外側をつくることよりも、魂をいかに入れるかということが非常に重要なんだろうと思っております。
国家情報局の設立等に関する日本のインテリジェンスの抜本的な強化という中で、私はかつて、アフガニスタンとかスーダンとかの紛争地で働いていたことがありました。そのときに、やはり欧米のインテリジェンス機関の方、あるいはそこを卒業されて民間のセキュリティー会社に入っている方々の情報収集能力の高さというのは本当に心から敬意と脅威を感じていたところで、いつ頃どこで自爆テロが起きるだとか、あるいはどことどこの要人がいつ頃どこで会うとか、我々の知らない情報を何日も前に知っているという。非常に、それによって立てられる戦略、できる活動、大きく違ってきたという、実体験として持っております。
当時日本は、民間のセキュリティー会社の方にそういったことを頼っていた部分がかなり大きかったわけですけれども、そういった面で相当遅れているという認識の中でこれを強化していくことは、まさに国民の生命と財産を守る外交、防衛の上で不可欠であろうというふうに思っております。
そんな中で、先日、CIAを卒業されたある幹部の方からお話を伺ったんですけれども、いわゆるヒューミントと言われる、かつての人を中心とした諜報活動あるいはインテリジェンス活動というもの、これがかつては主体だったわけですけれども、映画の「007」ですとかあるいは「ミッション・インポッシブル」ですとか、ああいう非常に目立つ、人が動いてどう情報を収集し、それを役立てていくかということ、それが今大きな転換期に来ていて、かなり多くのビッグデータを、オープンソースであるとか衛星であるだとか、あるいは情報通信の中からまずは得る。そして、それをAIで分析を行った上で、最終的に人間がそれを分析し、最小限の動きでインテリジェンスを行っていく。こういうことにまず国際的に潮流としてなっているわけです。
ただ、かつてのアメリカですとかあるいは欧米のように、既にエージェントの方をたくさん育ててしまった国は、逆にそういった方々が余りにも能力が高いし、発言力もあるがゆえになかなかシステム改変というか組織構築が進んでいないというような悩みもあるというようにも伺いました。
ですから、その方の私に対する提言としては、日本は今からこういうものをつくるのであれば、初めから未来型の組織を目指すべきだろうということをおっしゃっていましたが、そういった観点でヒューミントの在り方、そしてシギント、オシントその他、衛星、AI、こういったものを最終的には組み合わせていく、こういった考え方の中で、国家情報局の創設、この方向性について、現状の官房長官のイメージ、お考えをお伺いできればと思います。
○木原国務大臣 政府の意思決定に資するために、質の高い、時宜にかなった情報を得るためには、政策部門と情報部門の緊密な連携の下で、政府が保有するあらゆるリソースを活用して情報を収集する、そして、これらを総合的に分析していくこと、これが重要であろうと考えています。
この点に関しては、現行の国家安全保障戦略においても、国際社会の動向について、外交、軍事、経済にまたがり広く、正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、人的情報、公開情報、電波情報、画像情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化するというふうにされているところです。
インテリジェンス機能強化については、今委員が御指摘になったように、技術の進展等も踏まえて見直しを行っていくべきだというふうに考えています。この点、自由民主党と日本維新の会の連立政権の合意書においても、インテリジェンス機能の強化に取り組むこととされておりますので、委員からの今日の御指摘も参考にさせていただきながら、検討を進めてまいります。
また、後段の御質問ですが、国家情報局の設置、これから新しく設置する、においては、そういった合意書にも盛り込まれましたけれども、先日、高市総理も衆議院の予算委員会で、ここで発言もされました。新しい組織をつくるということで様々な検討をしなければいけないというふうに総理もおっしゃいました。
現時点では、検討途上であるため、お尋ねには明確にまだお答えできる段階ではございませんけれども、スケジュール感というのも念頭に置きながら、与党と緊密に連携を図りつつ、委員の御指摘、これから様々な意見交換もなされると思います、早急に論点を整理して、必要な立法を行うべく検討を進めてまいります。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
是非、未来型の、イノベーションであるとか技術進歩、こういったことを踏まえた上での組織づくりを御検討いただければなと思っております。我が党も一緒に考えていきたいと思っております。
もう一問、申し訳ありませんが、通告をしていないんですが、官房長官のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思っておりまして、昨日、政府の方から、政府効率化省、先ほども質問にありましたけれども、これの設立の報道がありました。我が党との連立合意書の中にもあるものでして、こちらも迅速にその履行をしていただいていることについて、まずは感謝を申し上げたいと思うんです。
その上で、これまで行政改革に関しては、土光臨調というようなところから、橋本総理、小泉総理の行政改革、あるいは行政評価、民主党政権の事業仕分、そして今の行政レビューであるとかデジタル庁であるとか、いろいろな取組が今まで行われてまいりました。
それは、主には組織改革、あるいは評価、公表、レビュー、DXの組合せであったというふうに理解しているんですけれども、この中でいろいろな識者が指摘されている問題点というのが幾つかあって、例えば、やはりそこに与えられている権限が弱くて省庁が本気で従ってくれなかったんじゃないかということであるとか、データが分散していて無駄の全体像が見えなかったのではないか、政治的なパフォーマンスに終始してしまったのではないか、各省庁あるいは政府機関の業務プロセスまで踏み込むことができなかったのではないか、それから、成果ではなくて活動、投入を評価していたのではないか、こういうようないろいろな御指摘があります。
ですから、これから効率化を図っていくに当たっては、私の考えとしては、強制力のある権限を持つということと、それから、データを一元化していくということ、そして、活動ではなく成果、アウトカムによる評価を行っていくということが、過去の反省、識者の方々の指摘を踏まえると重要ではないかなと思うんです。
この組織そのもののたてつけであるとか内容は、当然これから我が党も含めて議論していくことだと思いますので、この場でお考えを聞くのではないんですけれども、今申し上げたような、かつての行政、政府効率化の努力を踏まえた様々な指摘について、今回この組織が立ち上がるとしたら官房長官がトップになるというふうに言われておりますので、その点を踏まえてお考えをお聞きできればと思います。
○木原国務大臣 高市内閣では、責任ある積極財政ということを訴えております。そして、機動的な財政出動を行うという中において、責任あるということに焦点を当てると、今委員がおっしゃったような、これまで各省庁にずっと長く持っている、例えば、租税特別措置であるとか、あるいは高額の補助金であるとか、そういったことをやはり見直す必要も出てくるだろうと。ひょっとすると、そういう中で無駄なものが見つかっていくかもしれない。
そういうことをしっかりと精査していく上で責任ある積極財政ということを行っていくことが必要だろうというふうに考えておりまして、当然、この分野、片山財務大臣の元に指示が下りておりまして、今、いわゆる政府効率化庁、仮称でありますけれども、その下で、責任ある積極財政を行うための、そういった租税特別措置あるいは高額の補助金の見直し、これも同時並行に進めていく、こういったことで、責任ある、そういう立場を明確にしていきたいというふうに思っております。
○青柳(仁)委員 今も行政レビューというのは行っておりますし、デジタル庁による業務効率化というのは進めておられると思いますので、是非ともその枠をもう一歩踏み込んだ、更なる効果のあるような組織につくっていけたらと。我が党としてもしっかりと協力していければというふうに思っております。
木原長官に対する質疑は以上で終了となりますので、御公務もあるかと思いますが、御退席いただければと思います。
○山下委員長 御退席して結構です。
○青柳(仁)委員 続きまして、ちょっと外務省の方に、先ほどのインテリジェンスの質問に関連して一問お伺いできればと思っております。
日本維新の会と自由民主党との連立合意書の中に、「国際社会における平和を構築する新たな外交手段を涵養する観点から、令和七年度中に、外務省に和平調停に係る部署を創設する。」というふうに書いてあります。
私、これは非常に重要なことだと思っておりまして、今まで日本は、歴史的な経緯の中で、第二次世界大戦後、どこの国とも戦争しないと。周辺国とはいろいろなことはあるにせよ、全面戦争ということには至っていない。そういった中で、私も、国際協力であるとかあるいは国際開発に携わる中で、各国に行って非常に歓迎をされておりました。アフガニスタンにいたときも、日本人だけは狙わないというようなことが実際にありました。それだけ各国から好かれている国であるということは、一つの日本の戦後の外交の成果ではなかったかなと思います。
これを踏まえて、今、一方で世界中では、ガザであるとかイスラエルの問題、それからロシア、ウクライナの問題、いろいろなところで紛争が実際に起こっている中で、アメリカであるとか欧米諸国は歴史的経緯から調停者になれないという、どちらかからの視点から見るとどちらかの敵であり味方でありという偏りが見えるものですから、それがゆえになかなか和平交渉が進まないという現状もあろうかと思います。
そんな中で、日本はその部分は相当これまで自粛をしてきたわけですけれども、どこからも嫌われていない日本だからこそそういった役割が果たせる、世界の平和に対して果たせるものがあるというふうに常々現場で考えておりまして、そういった観点から、こういった部署を創設することは非常に意味があるのではないかというふうに思っております。
ついては、政府として、現状お答えいただける範囲で、どういった組織像、制度設計のイメージを持って検討を進めておられるのか。
また、先ほど指摘させていただいた和平調停については、やはりこれはインテリジェンスが何よりも重要です。今、各方面、二者であれば二者、多者であれば多者の和平をするに当たって、どのラインまでだったらどちらが折れられるのか、どういった提案であればのみ得るのか、これもインテリジェンスのたまものですから、情報収集しない限りそういうことは絶対に無理ですし、普通のオープンソースで取れるような情報ではありませんので。
こういった観点からも、先ほどのインテリジェンスの強化、これも含めて重要だと思うんですが、その辺の関わりも込めて、現状の認識をお答えいただければと思います。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
国際情勢がますます厳しくなり、ガザを始めとする各地で紛争が発生する中、危機を未然に防ぎ、また、和平調停等を通じて紛争の早期終結、和平の実現につなげていくことの重要性が高まっていると認識しております。
和平調停に係る部署の設置につきましては、その機能や役割に加えて、まさにただいま議員から御指摘のございました情報収集を担う関係省庁、部局との連携方法等も含める形で検討しているところでございます。
我が国として、これまでも様々な外交努力を通じて和平実現への取組を行ってまいりましたが、今後は、和平調停にも適切かつ積極的に関与し、和平の実現から紛争後の復旧復興へのシームレスな取組につなげるような体制を構築していきたいと考えております。
○青柳(仁)委員 ありがとうございます。
外務省の総政局長から、これからは日本も和平調停についても積極的に取り組んでいくという御答弁をいただいたことは、非常に重要なことだろうと思っております。
これまで、復興であるとか国際協力については日本は確かに主導的な責任を果たしてまいりましたが、平和をつくる、和平をつくっていく、そういうところにおいては、やはりちょっと脇役といいますか、脇役の脇役ぐらいの状況だったと客観的に見て思っておりますので、こういった力強いお言葉をいただけたことは、非常に心強く思っております。
それでは、続いて、責任ある積極財政について城内大臣にお伺いできればと思います。
これは先ほども同じような質問があったんですが、それに付加して、やはり、責任ある積極財政ということを打ち出すというのは、当然のことながら、これから財政出動を増やすんだろうというふうに誰でも思うわけですね。
ところが、今までの政府の御説明、私もこの質疑の前に問取りなんかでお話を聞いていても、いや、物価上昇の、成長率の範囲内に収めるんだとか、あるいは強い経済をつくるんだとか、戦略的な投資をするんだと。これは実は、岸田政権そして石破政権が言っていたことも同じなんですね。
ですから、積極財政と打ち出す以上は、一体何が今までと違ったのかというところは、やはりはっきりさせるべきだろうと思うんです。
責任あると言っている以上は、ある意味で、アベノミクスは責任を持っていたと私は思うんですよ。というのは、やはり消費者物価指数上昇率二%を安定的に達成するまで日銀が国債を購入するというようなことを明示した上で国債発行をやっていましたから。あれが多過ぎるんじゃないかとか、あれが今のインフレみたいなのを招いたんじゃないかとか、財政を放漫化したんじゃないか、いろいろな御批判もあるし、ばらまいただけで全然投資になっていなかったんじゃないか、いろいろあると思いますが、ただ、責任は持っていたと思うんですよね。こういうふうにやりますよ、ここまでは出しますよと言った上で出していたので、責任は持っていたと思うんです。まさに責任ある積極財政だったと思うんです、結果はどうあれ、やり方としては。
ですから、何も言わずに、責任ある積極財政という定義を曖昧にしたまま、とにかく積極財政を増やすんですということだと、一体どこまで増やすのか。今、アベノミクスの時代ともう状況も違いますから、あのときは確かにデフレで、幾らお金を出してもデフレが変わらない状況。今はもう数値の上ではCPIの二%はとっくに過ぎていますし、それから、日銀も今対応に苦慮している状況だと思います。
もう何でもかんでも発行できる、国債発行できる状況でもないと思うんですけれども、その中での責任あるというのはどういうことなのか、これまでとはどう違うのか、教えていただければと思います。
○城内国務大臣 お答えします。
先ほど橋本委員にもお答えしましたけれども、まず、物価目標につきましては、日本銀行において二%の物価安定目標、これがございます。また、日本銀行におきましては、先ほど申しましたように、政府と連携しながら、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、賃金上昇も伴った二%の物価安定目標、これの持続的、安定的な実現に向けて適切な金融政策が行われる、そのように我々は承知しており、また期待しているところでございます。
そして、責任ある積極財政については、先ほども申しましたけれども、ばらまきや、野方図に何か国債を発行してという放漫財政ではありませんでして、やはりエビデンス、そして経済指標等をしっかり注視、監視しながら、戦略的に、あれもこれもではなくて、戦略的な分野について財政出動を行うということでありまして、責任ある積極財政の下では、強い経済を構築すると同時に、財政の持続可能性、これをしっかり確保する、そういう責任もあるというふうに認識しております。
また、戦略的に財政出動を行うことで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、その分母であるGDPを増やし、いわゆる政府債務残高の対GDP比、これを引き下げていく、よってもって財政の持続可能性を実現していくこととしております。そのため、何か、全く目標がないとか歯止めがないという御指摘は当たらないというふうに認識しております。
いずれにしましても、金利等の動向、あるいは様々な経済の動向、状況を常に日々評価、ウォッチしながら、経済財政運営にしっかりと取り組んでまいる所存であります。
○青柳(仁)委員 現状、恐らくお答えし得る、答えていただき得る範囲で細かな説明をいただきまして、ありがとうございます。かなりクリアにはなりました。
ただ一方で、やはり財政出動に対する圧力といいますか、各方面からありますし、最近はやはり国民の皆さんの方も、できるだけ積極財政でというようなお声も多いわけですので、そういった中で最後、まさに責任を持って、どこまでなら大丈夫なのか、そこを考えていくのは政府の責任であり役割だと思いますので、そういったところもしっかりと考えていく必要があろうかと思っております。
続いて、通告した質問二問、またまとめて御質問させていただきます。
今のお答えにも関わってくるんですが、政府の総合経済対策の在り方について、今まさに我が党と自由民主党との間でいろいろ議論させていただいておりますけれども、その中でも少し感じるのが、例年のことなんですが、総合経済対策が、補正予算をどう使うかというものになってしまっていて、このとおりに対策をしたら、どうやったら日本の経済が成長していくのかというのが、一生懸命書かれているのは毎年毎年分かるんですけれども、いま一つ戦略性を感じないという。多分民間企業だったら、これはちょっと赤点だなという感じのものだと思うんですよね。株主にはオーケーしてもらえないだろうなというレベルのものだと思うんです。
ですので、どうやったら成長にこれがつながっていくのか、そこをもう少しはっきりさせた方がいいと思っていて、例えばですけれども、どこが重点分野ですかとか言うと、AIです、量子です、半導体です、バイオです、航空・宇宙、農業、どんどんどんと、ほぼ全部重要ですというふうになっていたり、その優先順位、個別メニューの施策も何かだあっと並んでいたり、基金がいっぱい積んであって、一体どこまで使われるのか分からないとか。そういったものに毎年なっているわけなんですけれども、この辺はやはりそろそろ抜本的に考え直した方がいいんじゃないかなと思っております。
その上で、その戦略性をつくる上でも、先ほどからありました、まさに責任ある積極財政によって投資を行う、予算を使うのは消費ではなくて投資なんだということで、投資したからには、もちろんお金は使うことになるんですけれども、それはリターンがちゃんとあると。では、そのリターンは何であったかということをしっかりと検証できるような総合経済対策あるいはそれ以外の対策であるべきではないかと。
例えばマクロ経済への波及効果、財政への定量的な影響、それから対策全体の事業規模であるとか、その中の真水予算は幾らなのか、実施期限はいつまでなのか。それから、実際の投資に当たって、財源の内訳としては、どこまでが税金で、歳出削減はどれだけ出すのか、剰余金あるいは国債、財政投融資、こういったものの中身、これは出し方によっても戦略性は変わってきますので、それらが実際に物価の安定、実質賃金、潜在成長率等のこういった数字にどう跳ね返ったのか。どこまで跳ね返れば、政府として成功だったと言えるのか。
もちろん経済状況は世界経済とかも含めて動きますから、そんな一対一対応はしないにせよ、そういったKPIも含めた数値で設定して、成果に基づいて次の投資、経済対策を考えていくという形にそろそろ転換していくべきじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について大臣の御見解をお願いします。
○城内国務大臣 青柳委員の質問にお答えします。
非常に重要な御指摘だと思います。委員御指摘の日本成長戦略会議が選定した十七の分野、これは、優先順位を今からつけるというのはやはり適当ではないと思っております。
というのは、これは官民連携の分野がほとんどでありますので、やはり、民間側でどれだけ投資してくれるのか、これはこれからの話。そして、場合によっては、話合いによって国、民間の投資額が決まるということになりますので、最初から十七分野のうちの五つの分野だけを最優先分野にし、その他を次の優先順位にとかということではなく、いずれにしましても、もう数限りなくある分野の中から十七分野を絞って、その分野で、官民話合いのプロセスを通じてどれだけそれが膨らむのか、あるいは世界に伍していく、あるいは不可欠性を持っている、世界に誇るいわゆるサービス、商品、インフラができるのかという、これは今後のことでありますので、最初からこの分野を最優先ということを決めるのは適当ではないと思います。
いずれにしましても、選定の観点について言いますと、リスクや社会課題に対して先手を打って、供給力を抜本的に強化するために官民連携の戦略的投資を促進し、今申しましたように、世界共通の課題解決に資する最高品質の製品、サービス、インフラを提供し、それを、国内だけではなくて、余った分は海外に展開するということでありますので、いずれも優先して取り組むべき分野であり、今の段階で優先順位を決めることは適切ではないというふうに思いますし、また、御党ともいろいろなアドバイスをいただきながら、あるいは与党、野党の皆さんの御意見も賜りながら、こういった優先して取り組むべき重要な分野についての今後の扱いについては、またしっかり考えてまいります。
また、経済効果、これをしっかり検証すべき、これは本当に重要な指摘であります。
実は、これまでも経済財政諮問会議において、専門的又は中立的な知見を有する有識者の方々、学識経験者の方々が参画する形で絶えず政策の検証を行いながら、経済対策を含め、幅広く経済財政運営について御議論をしていただいております。EBPM、KPI、KGIといった指標も使っていただきながら、私も先ほど資料を見させていただきましたけれども、何か六十ページか七十ページに及ぶ資料、これは五月ぐらいに作った資料ですけれども、関係省庁からも情報提供していただいて、その効果がどれだけあったのか、なかったのかというのは、これは後でお示しすること、お届けすることもできますので、そういった形でしっかりと、やりっ放しということではなく、ちゃんと後で評価できるようにこれからも取り組んでまいります。
また、経済財政、補正予算を受けた財政の姿につきましては、来年度の予算案等も踏まえまして、来年一月を目途に、中長期試算、これを公表しますので、そういった形でしっかりとお示しできるようにしていく考えであります。
○青柳(仁)委員 いろいろな取組を進めているということですので、是非とも、更に一歩も二歩も踏み込んで。民間企業であれば、投資を行うのであれば、投資計画があって、その投資が結局どれだけ売上げに換算されたのか、そういったことをしっかり把握しながら株主の評価を受けていくというのは当然だと思いますので。EBPM、個別の政策のことだと思いますけれども、それ以外の大きな部分についても是非評価をしながら。
これが先ほどの政府効率化省の議論にも関わってくると思っていまして、個別の事業の要否というのを、個別の事業だけを見ながらやっていたら全部の事業が必要だと思うんです、誰かの視点によっては。ただ、政府全体で見たときに、これは重要な投資になっていないと。意味のない予算支出とか意味のない政策なんて一つもないと思うんですね。ですけれども、ただ、これは効果が薄いと。薄いかどうかを判断するのはそういったレビュー、それから戦略があってのことだと思いますので、そこはしっかりと進めていただければと思っております。
それから、最後に、規制改革についてまとめて御質問させていただきます。
先日、自民党の麻生副総裁の御発言で、今回の総合経済対策について、規制改革もやるべきじゃないかという話があったというふうに、報道ベースですけれども拝見をいたしました。
これはまさに日本維新の会がこれまでずっと言い続けてきたことでありまして、アベノミクスは第一の矢と第二の矢、金融緩和とそして財政出動は飛んだんだけれども、第三の矢だった規制、構造改革が飛んでいないから日本経済の長期成長につながっていないんじゃないか、これは日本維新の会がこれまでずっと言い続けてきたことであります。
ですので、今回の総合経済対策においても、あるいはそれも含めたその次の経済対策においても、やはり規制改革、ここにどれだけ踏み込めるのかというのが非常に重要だと思っておりますが、これについての御見解をお伺いできればと思います。
特に、もう一点、その中で、社会保険料を下げる改革ということで我々は訴えておりますけれども、それだけじゃないんですが、規制改革の中の一部門として、そういった社会保険料を下げる改革、医療制度、社会保険料改革、社会保障制度改革、こういった点についても規制改革が必要だと思いますが、大臣の御見解をお伺いします。
○城内国務大臣 お答えします。
御指摘のとおり、規制改革、構造改革、これは非常に重要な論点でありまして、高市政権はこの規制改革、構造改革は弱いということは決してございません。
高市内閣につきましては、まずは、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、先ほども何度も申しておりますように、責任ある積極財政の考え方の下、日本の供給構造、これをしっかり改革、強化しながら、物価高を更に加速させることのないよう、戦略的な財政出動を行うこととしております。したがいまして、今般の経済対策では、需要面のみならず供給面での構造改革もしっかり、規制改革も含めて取り組んでいくということであります。
そして、社会保障改革について申し上げますと、私は全世代型社会保障改革担当大臣でありますが、これについては、全ての世代で能力に応じて負担し、支え合い、必要なサービスが必要な方に適切に供給される全世代型社会保障を構築することで社会保障制度を大幅に構造を改革して、持続可能なものとしていく考えでございます。
いずれにしましても、全世代型社会保障の構築に向けまして、厚生労働大臣始め関係大臣と連携し、社会保障改革をしっかり進めることで、委員の御指摘も踏まえまして、現役世代の保険料負担の抑制にしっかりつなげてまいる考えであります。
○青柳(仁)委員 規制改革、非常に重要だと思いますので、我が党も全力で一緒に進めていきたいと思います。
以上で質疑を終わります。
○山下委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 まずは、木原稔官房長官、御就任おめでとうございます。
内閣委員会は非常に幅の広い所管がありますので、私の方からは、今回の政権の民族政策についてお尋ねをしたいというふうに思います。
簡単な確認から入りますけれども、最近、十月二十一日に、東京大学における琉球人遺骨の保管状況についての質問主意書を提出させていただきました。三十一日に官房長官名で回答をいただきました。内容を要約すれば、東京大学に対し、琉球人遺骨の開示請求が行われたこと、そして大学が不開示の決定をしたことを政府は御存じである、しかし、遺骨を保管している大学に一義的な責任があって、結局、政府は何もしないという御回答をいただいたというふうに理解しております。
他方、アイヌ民族の遺骨の問題に関しては、ある意味で不思議なことなんですけれども、二〇一八年の十二月、文部科学省は、大学の保管するアイヌ遺骨の出土地域への返還手続に関するガイドラインを制定して、こうした問題に深く関係しています。
まずは文部科学省にお尋ねしたいんですけれども、アイヌ遺骨と琉球遺骨の取扱いのこうした違いはどこにどんな原因があるのでしょうか。簡潔にお願いいたします。
○小林副大臣 お答えいたします。
大学に保管されている御遺骨等については、その入手経緯や権利関係はそれぞれ異なり、第一義的には各大学において個別に検討し対応いただくものと考えております。
その上で、アイヌの方々の御遺骨については、アイヌ政策推進会議等における議論を重ね、アイヌの方々による尊厳ある慰霊の実現が図られるよう、国でガイドラインを定め、取組を進めているところでございます。
○上村委員 ありがとうございます。すごく、分かったようで分からないような話なんですけれども。
この文部科学省が作成しましたガイドラインには、二〇〇七年の先住民族の権利に関する国際連合宣言の関連条文を参照することがうたわれています。この宣言の監視機関である国連の人権機関では、琉球民族は先住民族として認められております。また、京都大学に対して同じく遺骨返還訴訟があったんですけれども、二〇二三年九月の大阪高裁判決では、原告は沖縄地方の先住民族である琉球民族であると認められています。
つまり、アイヌ民族であるとかアイヌ民族の機関がという話ではなくて、この返還のプロセスが成立した基本的な背景は、先住民族という人権主体があるという国際的な流れに沿って政府が対応されたというふうに思っているんですけれども、官房長官はこの件に関してはどういうふうに御認識があるでしょうか。よろしくお願いします。
○木原国務大臣 大きな方向性は先ほど文部科学省がお答えしたとおりですけれども、大学に保管されている御遺骨等につきましては、御指摘のものも含めまして、その入手経緯であるとかあるいは権利関係、それはそれぞれ異なっているもの、そういう認識を持っております。したがって、どの御遺骨についても、一義的には各大学において個別に検討して対応していただくべきもの、そのように考えております。
また、アイヌの方々につきましては、これは、アイヌ政策推進会議等における議論が重ねられた、その結果として、アイヌの方々による尊厳ある慰霊の実現が図られること、これを趣旨として、国において御遺骨の返還に向けたガイドラインを定めたものと、もう委員は十分御承知のことというふうに思います。
いずれにいたしましても、各大学が個別の状況に応じて適切に対応できるように文部科学省において必要な協力を行っていくもの、そのような認識を私は持っております。
○上村委員 ありがとうございます。
副大臣も文部科学省から来ていらっしゃいますので、議論が重ねられたというお話は今お伺いしたんですけれども、どういう議論が重ねられたかというと、アイヌ遺骨は不当に盗掘された遺骨が大学に保管されている、ですから、それを返還しましょうという議論が重ねられたのであって、これは博物館なり大学なりで、その様々な遺骨や遺品が不当な入手の経路であれば、それはきちんと当事者が、当事者といいますか関係機関が調整をしてそれを返還するというのが国際的な流れでありまして、多分、文部科学省も、こうしたところに、アイヌ遺骨だけではなくて、更に広い範囲で御関心を持っていただきたいと思います。
一般的に言えば、不当な手段によって別の場所に移されたものは本来の場所へ戻る権利があるというのが世界的な潮流になっています。今回のような遺骨とか遺品とか、それから、海外からの文化財、例えば中国からの文化財とか、それから、琉球の琉米条約というのがあるんですが、今、原本は六本木に保管されております。こうした歴史的史料。政府がこうした問題に責任を負わなければならないことが世界の潮流であり、むしろ、これはちょっと今回の政権では使わないのかもしれませんけれども、ソフトパワーという言葉がかつてありました。つまり、ハードではなくて、ソフトで世界に尊敬される力を持つということでありますけれども、こうした問題に深い御理解をいただきたいというふうに思っています。
官房長官にはここで御退席いただいて構いませんので、どうもありがとうございました。
○山下委員長 長官は御退席いただいて結構です。
○上村委員 では、まず、黄川田大臣、これは何回もあれですけれども、御就任おめでとうございます。前の内閣委員会から御一緒させていただきましたので、今後ともよろしくお願いします。
さて、第一問目ですが、本年の四月二十三日に内閣委員会で行った審議のフォローを、一回目ですけれども、是非やりたいなと思っております。
この四月二十三日はどんな議論をしたかといいますと、北海道では、水産資源保護法と北海道内水面漁業調整規則で、河川、いわゆる内水面でのサケ・マスの捕獲は禁止されています。しかし、これに対して、特別採捕という例外が認められており、二つの団体がそれを行っております。
一つは、北海道さけ・ます増殖事業協会。道内に百二十五か所、ふ化場があるんですけれども、そこに捕ったサケを持っていって増殖事業をサポートするという活動であります。この四月に行った質疑のときに挙げた数字を今日も、数字自体が問題ではないので挙げさせていただきますが、二〇二二年度に四百七万匹の特別採捕がされております。もう一つは、黄川田大臣の担当でありますアイヌ民族の特別採捕があるんですけれども、同じ二〇二二年度で七百七十五匹。ゼロというか桁が違うというのがこの特別採捕の状況なんです。
問題は、特別採捕の中身でありまして、商業利用がこの中で認められているか、いないかということに関わります。
増殖事業協会の対象となる道内のふ化場の受入れ規模は百二十二万匹なんです。四百七万匹捕っても、ふ化場で処理できる受入れ規模というのは百二十二万匹である。では、その差額の二百八十五万匹はどうなっているかというと、この増殖事業協会が市場に卸して、同事業協会の収入になっているという状況がございます。
他方、アイヌ民族の特別採捕とその商業利用の関係はどうなっているかということで、今日、水産庁の方にも来ていただいていると思いますので、御存じのことがありましたら教えていただきたいと思います。
○魚谷政府参考人 お答え申し上げます。
北海道知事による、アイヌの人々が伝統的儀式等を行うことを目的とした特別採捕許可につきましては、令和七年度は十六件許可をされ、許可尾数は合計で千九百十尾ということになっていると承知をしております。
○上村委員 ありがとうございます。
前回は更に先の方までお話しになったんですけれども、今日は前の方で止まってしまったのでフォローいたしますと、アイヌ民族の中で、ラポロアイヌネイションという、これは浦幌という地域のアイヌの団体でありますけれども、その浦幌十勝川での商業利用を求めて、二〇二〇年八月に、日本政府と北海道、日本政府が被告になっております、北海道を相手に、札幌地裁に提訴をいたしました。
つまり、地元の川でサケを捕ってそれを売りたい、自分たちの所得にしたいということで、認めてもらえないかということを北海道に交渉したんですけれども、駄目だということで、提訴に至りました。二〇二四年四月に札幌地裁は、アイヌ民族の商業利用は認められないという形で結果は敗訴になりまして、今、札幌高裁で控訴中という事案であります。
この裁判が問題ではありません。四月二十三日の内閣委員会では、政府から、アイヌ民族の特別採捕は伝統文化の保全に関するものであって、アイヌの伝統文化では、サケの採捕は自家消費に限られていると。つまり、捕って自分のうちで食べるのが中心だから、そんな商業利用などというのは基本的におかしいのではないかという説明がありました。
このとき大臣も同席されていたと思いますが、このときはどういうふうにお考えだったでしょうか。
○黄川田国務大臣 伊東大臣の発言については承知をしております。
上村先生は、さきの通常国会で同じ内閣委でございましたので、アイヌ民族、アイヌ文化に関して御教示を受けまして、いろいろ話していただきました。さきの先生の深い見識に感銘を受けているところでございます。
そのことをまずお伝えをさせていただいた上で、平成二十一年七月にまとめられましたアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の御報告においては、交易について、日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し独自の言語や文化を育んできたアイヌの人々は、特に中世以降、和人と深く関わりを持ち続けてきた、中世には交易相手として相互の文化に影響を与えた等の記載がされておりまして、かつて、サケについても、交易品の一つとして取り扱われてきたものと認識しております。
○上村委員 ありがとうございます。
大変すばらしい御回答をいただいたんですけれども。あのときは、思わず首をかしげてしまったんですけれども、質問時間がありませんでした。
通常、北海道の博物館などに行かれて、アイヌ民族の展示がある場所に行かれると、アイヌ民族の交易品という展示がしてあります。その中には、カラサケとか干しダラとか干しニシンとか干しナマコなどが展示されておりまして、アイヌ民族のコタンの中で、日本からの輸入品もたくさん展示してあります。
これは、じゃ、かっ払ってきたのかというとそうではなくて、基本的に、こうしたアイヌの交易品とそれから日本の交易品の交換の結果があの状況でありまして、カラサケというのは、産卵後のサケの内臓を取り去ったものを乾燥させて、貿易活動に使われたアイヌのものであります。つまり、アイヌの伝統文化の中にも商業利用があったということなんです。
そういうことを、あったものですから、改めて黄川田大臣にお伺いしたいのですけれども、こういう視点からすれば、政府はアイヌ民族の特別採捕にも一定の商業利用を認めるべきではないかというふうに思います。増殖事業協会には商業利用の別枠があるわけですよね。元々の増殖事業はあるかもしれませんけれども、余った分は売って収入にしていいということがあれば、アイヌの特別採捕に関しても別枠があってもおかしくないし、それがなければ、今の状態では明確な差別に当たるのではないかなというふうに思います。さらに、伝統文化を継承するということを守りたいという政策の視点があれば、アイヌ民族の商業利用も伝統の中に含まれます。こんなものは博物館に行けばどこでも見られることでありますので。
その点、アイヌ民族に生業の権利としての内水面でのサケ漁の権利を認め、現在の差別構造が続いてきたことに率直に謝罪をされて、そして、できれば現在の裁判を終結に持っていくということを政府でお考えいただけないかというふうに思うんですけれども、黄川田大臣、いかがでしょうか。
〔委員長退席、鳩山(二)委員長代理着席〕
○黄川田国務大臣 上村先生からちょっと縦割りだという批判をされてしまうかもしれませんが、内水面におけるサケの採捕については、サケ資源の保護培養のため、水産資源保護法により原則として禁止されております。例外として、農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けた場合にはサケを採捕できることとなっていることを承知しております。
いずれにしても、サケの採捕に関する制度の詳細については、農林水産省、水産庁の管轄ということで、水産庁にお尋ねいただきたいと思っています。
○上村委員 またの機会を使って、いろいろと交渉といいますかお話をさせていただきたいと思います。
済みません、もう一点だけ御質問したいと思っているんですけれども、今までなかったことなんですけれども、農用地の面積について取り上げながら、アイヌ民族の土地権の問題について触れていきたいと思います。
農用地の面積の資料は幾つかあるんですけれども、アイヌ農家の農用地面積の比較は、北海道環境生活部というところが二〇二三年に行った北海道アイヌ生活実態調査報告書が一番適しています。今は北海道では五年に一回、かつては七年に一回だったんですけれども、五年に一回の調査をやっております。
二〇二三年の一番新しい調査によれば、全道、これはアイヌだけを取る、和人だけを取ることがなかなかできないので、全道の一戸当たりの農用地面積は三十・二ヘクタールである、そして、アイヌ農家の一戸当たりの農用地面積は三・六ヘクタールと統計数字が出ております。つまり、農用地面積に関しては、アイヌ民族と一般の農家との間に、北海道では八・四倍の格差があるということであります。御存じのように、アイヌ民族の生活はなかなか厳しいんですけれども、こうした、農業をやっていても農地面積に八・四倍の格差があるということが報告されております。
黄川田大臣、現在のこの格差はどこから来ているというふうにお考えでしょうか。
○黄川田国務大臣 先ほども言及しましたアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書におきまして、明治時代において、アイヌの人々に下付された土地には農地に適さないものも少なくなかったとの指摘がなされているところであります。このような事実関係については、政府としても同様に考えております。政府としては、現在北海道において進めているアイヌ農業漁家の所得及び生活水準の向上に向けた取組を支援しているところでございます。
いずれにしても、アイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けて引き続き取り組んでまいりたい、このように考えております。
○上村委員 割と大枠でお話しいただきまして、ありがとうございます。
一つの原因は、御存じの一八九九年の北海道旧土人保護法であります。このとき初めてアイヌ民族に法的に土地が給付されましたけれども、そのときは、農業に従事することを前提、日本人の移民にはこういう前提はありません、アイヌだけに農業をやってねということが前提で土地の配分が行われたんですけれども、アイヌ民族は一戸当たり上限一万五千坪、今でいうところの五ヘクタールの土地が与えられました。
アイヌ民族は、一八七二年の壬申戸籍で、いわゆる旧土人というふうに差別的な呼称があったんですけれども、一応日本国民としての状況の中です。しかし、その一方で、一八八六年には、北海道土地払下規則で、同じ国民である移民、日本人の移民には一人当たり十万坪、三十三ヘクタールの土地が与えられました。北海道旧土人保護法の二年前、一八九七年に制定された北海道国有未開地処分法というのがあるんですけれども、更に富裕層に対して大盤振る舞いで、開墾用であれば百五十万坪、五百ヘクタールの土地などが付与されました。
実は、もっと恣意的に土地配分が行われた場合もあります。これが植民地主義の結果なんですけれども。例えば公爵の三条実美さん、お名前を聞かれたことはあると思いますけれども、あの方を代表とする華族組合雨竜農場というのが北海道で土地を取得します。今の朱鞠内湖があるのが雨竜地方というところなんですけれども、そこの土地は、一八八九年に一億五千万坪、五万ヘクタール、実は琵琶湖の面積とほぼ同じ、それだけの土地が一方的に日本人の農業組合に与えられるということがある中で、アイヌ民族には一戸当たり五ヘクタールという状況がありました。
さらに、この与えられた土地に関しては、農業をやっていなければ没収するという厳しい成功検査というものがつけられます。これは、同法三条で、給与から十五年目に開墾をしていなかったアイヌの土地を取り上げるという条文がありまして、北海道の一九七五年の調査によれば、北海道旧土人保護法で与えられた全給与地は九千六十一ヘクタール。その成功検査によって千九百五十ヘクタールが没収です。さらに、戦後の農地改革によって、二千三百十八ヘクタールが強制買収でなくなりました。
そういう現状の中での現在のアイヌ農家の一戸当たりの農用地面積が、先ほどの数字ですけれども、であったということは、実は北海道旧土人保護法で与えられた五ヘクタールにも行かないんです。ということですよね。これだけの格差ができた、そしてその格差がいわゆる貧困の問題につながっているとしたら、黄川田大臣、こうした差別的な土地制度が現在にも影響があるというふうにお考えでしょうか。
〔鳩山(二)委員長代理退席、委員長着席〕
○黄川田国務大臣 御指摘のとおり、令和五年に北海道庁において実施しました北海道アイヌ生活実態調査の結果によりますと、一戸当たりの農地面積は、平成二十九年の調査と比べると〇・一ヘクタール増加し三・六ヘクタールになっておりますが、全道と比べると二十六・六ヘクタールも小さい状況にあるというふうに認識しております。
先ほど有識者懇談会の報告書に言及しましたが、そこでも、明治三十二年に施行されました、当時の、先生がおっしゃる北海道旧土人保護法、これによって下付された農地は非常に、適さないものであり、少なかったというところはございます。
ですので、政府としましても、生活水準向上に向けた取組を支援しておりますし、アイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けて引き続きしっかりと取り組んでいきたい、このように考えております。
○上村委員 今、前向きのお答えをいただいたというふうに理解しておりますので、確認だけなんですけれども、一九八四年の五月に、当時の北海道ウタリ協会、今はアイヌ協会といいますけれども、総会が採択したアイヌ民族に関する法律案、これはアイヌ民族自身が起草した非常に貴重な文書なんですけれども、この中で、土地政策について以下のように述べられています。農業に従事せんとする者に対しては、北海道旧土人保護法によれば、一戸当たり一万五千坪、約五ヘクタール以内の交付が規定されているが、これまでのアイヌ民族による農業経営を困難ならしめている背景には明らかに一般日本人との異なる差別的規定があることは認めざるを得ない。つまり、アイヌ民族自体は、北海道旧土人保護法をずっと差別法だというふうに認めてきました。
そして、じゃ、政府はどうかといいますと、政府が二〇〇〇年九月に国連の人種差別撤廃委員会に出した報告書の中にも、北海道旧土人保護法に関しては差別法だというふうに明記されております。
とにかく、その意味では、長年の差別構造が、旧土人保護法はなくなったとか、もう今はないとかという問題ではなくて、そうしたかつての差別構造は今の社会にも影響を持っているということをやはり政府が明確に認識をされ、二〇一九年のアイヌ施策推進法の改定も本来仕事でありますけれども、こうした、ある種、ちょっときつい言い方をすると、本質を外した法律ではなくて、きちんとした、抜本的なアイヌ民族法を制定する動きをつくっていただきたいというふうに思って、私の質問をこれで終わらせたいと思います。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
最初に、障害者施策担当の黄川田大臣にお尋ねをいたします。
東京デフリンピックが十五日から開催をされております。選手の皆さんの活躍や、また、この大会を支えるスタッフの皆さんの本当に様々な活動も紹介をされているところであります。大きく成功することを願うものであります。
このようなデフリンピックに先立ちまして、さきの通常国会におきましては、手話施策推進法が全会一致で成立をいたしました。手話使用者の手話習得や使用、手話通訳者確保などの合理的配慮が行われるための環境整備や、手話文化の保存、継承、発展に関する施策、手話に関する国民の理解増進を図ることを目的とし、手話の更なる普及を目指すものであります。全日本ろうあ連盟の皆さんが、聞こえない、聞こえにくい人が手話言語を用いて聞こえる人と対等に社会参加をしていくためにも必要と制定を求めてきたものであります。
この手話施策推進法に基づく取組の具体化が求められております。大臣の記者会見など、政府として重要な様々な情報を伝えていく際に手話通訳を配置している例があります。
六月のこの内閣委員会の質疑におきまして、障害者施策所管の三原大臣の記者会見において手話通訳者の配置を求めたところ、三原大臣は、記者会見の際に手話通訳者を配置する、対応するということを述べておられましたが、この点について三原大臣がどのように対応されたのか、そして、それを受けて黄川田大臣としてはどのように対応されたのか、この点についてお答えください。
○黄川田国務大臣 まず、塩川先生におかれましては、さきの通常国会でも同じ内閣委で御指導いただきまして、ありがとうございました。
御質問でございますが、塩川先生の御質問と御指導のおかげで、障害者施策を担当する大臣の定例記者会見については、本年九月十九日の三原前大臣の会見から手話通訳をつけた会見動画のウェブ配信を始めたと承知しております。また、十月二十一日の高市内閣発足以降、私の記者会見についても手話通訳をつけた動画配信を行っているところでございます。
○塩川委員 早速具体的な対応を取っていただいたこと、本当によかったと思っております。こういう取組を霞が関全体でも広げていく、こういう点で、是非、黄川田大臣の方からの呼びかけもお願いしたいと思っております。
行政府における審議会など、国民の皆さんの傍聴の機会が設けられている場合がありますし、憲法にも保障されている請願権、これに基づく政府への要請などの場合に、やはりこの手話通訳者の手配を政府がお金を負担する形で実施するということを私は六月の質疑でも求めたわけですが、その際、三原大臣は、手話施策推進法の趣旨も踏まえて、各府省庁に対して通知を発出して各種審議会での取組を促していきたいと答弁をされました。
その後、このような答弁に基づいて、事務連絡文書など、どのように対応されたのか、実際に各府省において審議会や傍聴等の手話の実施状況がどうなっているのか、この点について御説明をいただけますか。
○黄川田国務大臣 障害者差別解消法におきまして、行政機関等は、障害のある方から社会的障壁の除去についての申出があった際は過重な負担とならない場合に合理的配慮を提供すること、また、合理的配慮を的確に行うため、行政機関は、多数の障害者が感じる社会的障壁をあらかじめなくすための環境整備に努めることとされております。その上で、各府省庁は、これらについて対応要領を定め、適切に対応することとされております。
審議会等における障害のある傍聴者への手話通訳等の情報保障については、手話施策推進法の施行を踏まえ、本年六月二十五日に各府省庁に対して事務連絡を発出し、情報保障の具体例を示しつつ、合理的配慮の提供や環境の整備を行い、傍聴への情報アクセシビリティーの向上に取り組むよう依頼したところであります。
各審議会等における具体的な取組については、各府省庁が対応要領を定め、適切に対応するべきものでありまして、六月二十五日の事務連絡等も踏まえ、各府省庁において検討がなされるものと承知をしております。
そういうことで、今、各府省庁にしっかりやるようにということをお伝えしたというところでございます。
○塩川委員 事務連絡文書を六月二十五日に発出していただいた。その際に、事務連絡の文書に参考資料として私と三原大臣の質疑の議事録もつけていただいたというのは本当にありがたかったんですが、そういうことでの趣旨の周知徹底を図るという取組をされておられるということです。
ただ、じゃ、実際にそれぞれの各府省でどんなふうになっているのというのが、それはそれぞれの各府省庁で対応されることなんだという答弁でしたけれども、是非、実態の把握をして改善を図るということが必要ではないのかと思っております。
私の方で各府省に問合せをしました。そうしましたら、もちろん障害者政策委員会のように内閣府の関わるような審議会などで手話通訳の対応をしているようなところというのがありますけれども、全体としてはまだまだこれからで、そういう問合せがないのでまだそういう対応はできていませんということなものですから、その際に、いや、聴覚障害の方などが手話通訳を必要とするような場合に、このような審議会を行うというのであれば事前にアナウンスをしておく。つまり、各府省のホームページなどにおいて、審議会の傍聴を希望される場合については、事前に連絡をしていただければ手話通訳者などの配置を行います、こういう掲示というのを是非各府省でやっていただきたいと思っているんですね。
これは、通常国会のときには、衆議院と参議院において、こういう対応について、院の負担で手話通訳者の配置を行うということをホームページ上に記載をしているわけなんです。ですから、事前の連絡があればちゃんと対応できますよと。
こういったことを是非各府省において行っていただく。審議会などにおいて聴覚障害者が傍聴を希望する際に、手話通訳者等の配置を国の負担で行うということ、その旨をホームページに掲示をして周知を図ること、このことを是非求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○黄川田国務大臣 傍聴を認めている審議会等におきましては、審議会等の公開の原則に基づきまして、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、障害のある傍聴者に対する合理的配慮が行われる必要がございます。現在、既に傍聴者への合理的配慮に取り組んでいる審議会等も見受けられるところでございます。
先生御指摘のこの通知について、聴覚障害のある方が傍聴を希望する際に、手話通訳を含む配慮について希望を伝えやすいよう、ホームページ等で案内することも重要と考えております。
通知をしておりますが、改めて、具体的なホームページの記載例なども示すなどして、更に分かりやすいように通知するよう、各省庁に周知してまいりたいと考えております。
○塩川委員 大事な点だと思っております。
やはり、今私が把握している範囲で、ホームページ上で事前に連絡があれば手話通訳者の方などを配置しますよというのを掲げているのは障害者政策委員会ぐらいの感じなんですよ。そういう点でも、今言った趣旨で、ホームページの記載例なども促すような形で各府省がしっかり対応する、こういう取組のために是非力を尽くしていただきたいと思っておりますので、そのような具体化を改めて求めておくものです。
では、黄川田大臣はここまでということで結構であります。
○山下委員長 黄川田大臣は退席されて結構です。
○塩川委員 続きまして、城内大臣にお尋ねをいたします。
城内大臣は、総合経済対策の取りまとめを総理から指示をされているということで承知をしております。高市総理が総合経済対策の策定を指示したその中身についてですけれども、三つの柱を掲げております。一つは、生活の安全保障、物価高への対応、二つは、危機管理投資、成長投資による強い経済の実現、三つ目が、防衛力と外交力の強化であります。
外交力とともに防衛力の強化が経済対策の柱として掲げられているというのは非常に違和感を覚えたわけですけれども、過去、経済対策の柱として防衛力の強化を掲げたことというのはあるんでしょうか。
○城内国務大臣 お答えします。
これまで、経済対策において、項目の一つとして防衛力の強化に資する取組について掲載されたことはありますが、私が承知する限り、これまで経済対策の柱として防衛力の強化が掲げられたことはない、そのように認識しております。
○塩川委員 経済対策の柱として防衛力の強化を掲げられたことはないということであります。
昨年の十一月に総合経済対策が策定されましたけれども、そこも三本柱だったわけですが、一つが日本経済、地方経済の成長、二つが物価高の克服、三つが国民の安心、安全の確保ということであって、防衛力の強化という言葉自体がそもそもありません。総合経済対策の中、どこを見ても防衛力の強化という言葉自身がありませんでした。
この間、高市総理が安保三文書に基づく防衛関係費について、GDP比二%にする、十一兆円にする、これを二年前倒しをするということを表明をされましたけれども、このようなGDP比二%の大軍拡を行う、そのための二年前倒しで行う、これを実施することが経済対策ということで柱の一つに防衛力の強化が入っているということですか。
○城内国務大臣 塩川委員の防衛力の強化がなぜ経済対策なのかという御質問にお答えしたいと思います。
アジア太平洋の安全保障環境、そして日本を取り巻く安全保障環境は大変厳しくなっておりまして、我々が親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的な競争の激化に伴い大きく揺らいでいるというふうに認識しております。
このような現状認識の下で、今般の経済対策では、防衛力と外交力の強化で、我が国の平和を守ることといった重要課題に速やかに対応することを目的として、防衛力、外交力の強化が三つ目の柱として高市総理から示されたところでございます。防衛力と外交力の強化を図り、国民の安全と繁栄を支える強い日本を実現していく考えであります。
また、経済対策の取りまとめを担当する私としては、総理から御指示のありましたこの三つの柱、これにふさわしい効果的な施策を盛り込んだ経済対策について、速やかに取りまとめに努めてまいります。
○塩川委員 我が国の平和を守るというのが経済対策という説明になるんですけれども、我々としては、やはり平和を守るというのであれば軍事ではなくて外交力、それそのものを大きく強めていくということを強調しているわけですけれども。
その理屈でいうと、防衛力の強化が我が国の平和を守るということは、政府としてのそういう見解はあったとしても、それが何で経済対策なのかという説明になっていないんですけれども、改めて、いかがですか。
○城内国務大臣 お答えしたいと思います。
経済対策については、今申し上げましたように、総理の御指示で三つ目の柱として防衛力、外交力、これを柱として、外交、安全保障環境の変化に対応するために、具体的には防衛力の整備あるいは自衛隊員の処遇改善が示されたところでございます。
その具体的な内容につきましては、現在、関係省庁、そして与党との調整を進めているところであり、この場で具体的な中身について申し上げることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、防衛力整備は、自衛官の処遇改善も含めまして、当然、処遇が改善され所得がアップしますと生産、消費の活性化による需要の拡大が見込まれます。また、防衛装備品の研究開発によりまして、必要な装備品の調達、取得だけでなく、その先端技術をデュアルユースという形で民生分野に転用することで様々な製品やサービスの創出へと波及することが見込まれ、結果としてこれが経済対策となるということであります。
○塩川委員 自衛官の処遇改善で需要拡大、また、デュアルユース、民生転用、これで経済対策という話なんですけれども、いや、そういう意味では、国家公務員の賃上げをすれば経済効果があるわけで、何で防衛力の強化だけなんですか、そこは。
国民全体の賃上げも当然行うことが必要なわけですけれども、まさに総合経済対策の柱として防衛力の強化があるというのを自衛官の処遇改善だけで説明されても、それは通らない話だと思いますが。
○城内国務大臣 お答えします。
先ほど申しましたように、アジア太平洋地域の安全保障環境は大変厳しくなっておりまして、日本を取り巻く状況も例年になく厳しい状況でありますので、この日本を取り巻く安全保障環境をしっかり維持するためにはやはり外交力、防衛力の強化が大事でありまして、やはりこういった国民の、あるいは企業の経済活動の礎となるのは、国民の安心、安全、外交力、防衛力を通じた安心、安全が確保されることだというふうに認識しております。
○塩川委員 いやいや、だから、それでは経済対策の説明になっていないわけですよ。
要は、今回、高市総理が、GDP比二%の大軍拡、十一兆円となると、そこに二年前倒しのために到達するとしたら一・一兆円は必要ですよねという話ですから、それを積むような補正予算になる。こういった大軍拡の補正予算になるから、その理屈づけとして防衛力の強化というのを経済対策として入れた、そういうことなんじゃないですか。
○城内国務大臣 経済対策の中身については、今まさに、関係省庁、防衛省も含めて、あるいは外務省とも、この外交力、防衛力の三つ目の柱について中身を詰めているところでありますので、委員御指摘のような、何か大軍拡を通じて経済対策をするということではないというふうに認識しております。
○塩川委員 でも、流れはそういう話として来ているわけですし、デュアルユースの話もちょっとありましたけれども、予算委員会の質疑の中で高市総理が答弁で述べていた中に、防衛力の整備が経済成長に資する二つの理由として述べておりました。
一つが、今御紹介もあったような、デュアルユースの技術、実装化が製品やサービスになることによって経済効果が生まれるということと、二つが、防衛費増額で需要が生まれるということですから、経済対策としての防衛力の強化、防衛力整備とは、こういうことを具体化をするというのを指しているということなんですか。
○城内国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、十一月十日の予算委員会で高市総理がそのような答弁をしたというふうに承知しておりますが、繰り返しになりますけれども、一般論として申し上げたとおり、防衛力の整備、これは自衛隊の処遇改善、そして防衛装備品の研究開発により、必要な装備品の調達や取得だけでなく、先端技術を民生分野にデュアルユースという形で転用することで様々な製品やサービスの需要が新たに生まれること、こういうことを通じて経済効果、経済対策になる、そういうような認識であります。
○塩川委員 納得できるものではありません。
デュアルユースの話がありましたけれども、この前の国会でAI推進法の議論を城内大臣と行ったわけですけれども、あのときにも、法案は基本理念で、AI技術は安全保障の観点から重要な技術だと明記をしておりました。政府の答弁でも、AI技術はデュアルユースなので、その技術が経済社会のためになるし、安全保障のためにもなるということを挙げていることを踏まえ、私は、日米における共同研究の例を紹介しました。
二〇二三年十二月に、次期戦闘機と連動する無人機のAI技術の共同開発に日米が合意をしました。三菱重工が公開をした無人機のコンセプトでは兵器を搭載可能としているとして、戦闘機と連動する無人機は殺傷兵器そのものだということを指摘したわけであります。
米空軍が二五年三月に史上初めて正式な型式名を与えた無人戦闘機は、AIによる半自律が特徴で、人による大まかな指示の下、攻撃対象などをAIが決めるというものであります。このようなAIを日米で共同開発するということは、憲法九条を持つ日本として断じて認めることはできません。
結局、デュアルユースの名の下にAIの軍事利用を推進する、こういうことになるのではないのか、こういうことはきっぱりとやめるべきではないのか。いかがでしょうか。
○城内国務大臣 お答えします。
私も、前職、AI担当大臣で、AI法の審議のときに、そのようなAI搭載型の自律型殺傷兵器の御質問をいただいたことは今でも覚えておりますが。
ただ、繰り返しになりますけれども、そういった御懸念がございましたとしても、繰り返しになりますけれども、あくまでも、総理が十一月十日の予算委員会で答弁されたとおり、防衛力整備あるいは防衛装備品の調達を通じて需要が生まれることによって経済効果が生じる、そしてまた防衛装備品の研究開発を通じて新たに生まれた技術、例えば、よく言われているのは、スマホに搭載されているGPSなどは、これは軍事技術であるということは誰もが知っていることでありますけれども、そういった技術が民生面で活用されることによって、ある種の経済効果が生まれる、有効需要が生まれるということ、あるいは、場合によっては、雇用、所得の向上、そういう好循環が生まれるということでありますので、決して何か殺傷能力のある兵器を、世界一の兵器を開発するためにやるのだということではないというふうに理解しております。
○塩川委員 でも、AIの軍事利用というのはそういう側面を持つんだといったところについても、憲法九条を持つ日本として、こういった軍事技術へのAIの利用、デュアルユースというのは認めることができないということは指摘をし、防衛力の強化で需要の拡大になるという話なんですけれども、過去の答弁で、例えば、総理を務められた宮沢喜一外務大臣が、一九七六年のときですけれども、経済政策的に言えば、兵器の生産や兵器の購入というものはいわゆる非生産的なものでありますから、本当はそのような姿では経済発展というものには寄与しないと述べておりました。
兵器の生産や兵器の購入などの防衛力の強化は、このような経済発展に寄与しないのではありませんか。
○城内国務大臣 先ほど申し上げました十一月十日の予算委員会の高市総理の答弁にもありますように、ここで高市総理は、この防衛費を増額する、何かを発注する、そこにまた需要が生まれるというふうに述べられておりますが、続けて、私は、これはとにかく使うだけのマイナスの経費だという考え方は持っておりません、そこから派生して経済成長につながっている、まさに、税率を上げずとも税収が増えるような対策を取っていきたいというふうに述べられておりますが、私自身も全く同じ考えであります。
○塩川委員 いや、こういった宮沢外務大臣の指摘に答えるものではありませんでした。やはり、このような非生産的な兵器の生産、購入というのが経済発展には寄与しないといったことこそ今問われてくると思います。
それから、自民、維新の連立政権合意書に、防衛生産・技術基盤を強化する観点から、令和八年通常国会において防衛装備移転三原則の運用指針の五類型を撤廃するとあります。防衛産業の強化に資する武器輸出の拡大というのも、これは経済対策ということになるんでしょうか。
○小杉政府参考人 御指摘の経済対策の内容につきましては、防衛省の立場で現時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で申し上げますと、令和四年十二月に策定されました防衛力整備計画には、防衛装備移転については、同盟国、同志国との実効的な連携を構築し、力による一方的な現状変更や我が国への侵攻を抑止するための外交防衛政策の戦略的な手段となるのみならず、防衛装備品の販路拡大を通じた、防衛産業の成長性の確保にも効果的なものとして記載させていただいているところでございます。
○塩川委員 防衛力整備計画において「防衛装備品の販路拡大を通じた、防衛産業の成長性の確保にも効果的」とあるということで、武器輸出の拡大も経済対策と位置づけるということになります。
報道では、武器の完成品全般を輸出可能にする案などが浮上しているなどとあります。殺傷能力のある武器の輸出が経済対策として推進されることになりはしないかという危惧が浮かぶわけであります。
先ほど紹介した宮沢外務大臣の答弁では、何がしかの外貨が稼げるとしても、我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはおりませんと答弁しておりましたが、このような武器輸出を進めるということは、そこまで落ちぶれたということになりはしませんか。
○城内国務大臣 大分これはもう時代も変遷しておりまして、宮沢当時外務大臣ですかの時代と今とは非常に、まさに科学技術の進歩著しく、その当時は恐らくAIを搭載したドローンなどというようなものはなかったでしょうし。
落ちぶれた云々ではなくて、先ほども申しましたように、あと、また、今防衛省の政府参考人が答弁しましたように、一般論として申し上げますと、防衛装備の調達あるいは移転、防衛装備の移転については、防衛装備品の販路拡大を通じ、防衛産業の成長にも資するということで、その結果、経済対策、まあ経済対策の具体的内容は、先ほど申しましたように、この場で具体的に述べることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、そういう形で、防衛産業の成長に資するということは事実であると申し上げたいと思います。
○塩川委員 大軍拡を合理化するための口実としての経済対策の柱の一つということがやはり一番問われてくることだろうなと思います。
政府の日本成長戦略会議において、総合経済対策に盛り込むべき重点施策の案に、その一つとして防衛産業が挙げられております。この中に、「同盟国・同志国との防衛産業サプライチェーンにおける協力の推進など、防衛産業を更に強化するための施策について検討し、具体化。」とありますけれども、サプライチェーンに関してどのようなことを行うということにしているんでしょうか。
○小杉政府参考人 御指摘のサプライチェーンについてでございますけれども、装備品等を安定的に製造するためには、強靱なサプライチェーンを各国と連携して構築することが必要となってまいります。
この点も踏まえまして、防衛省としましては、日米間の協力枠組みであるDICASなども通じながら、同盟国、同志国との間で防衛装備協力を進めてまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 DICAS、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議ということですけれども、これについての報道では、アメリカ主導で開発、生産される防衛装備品の供給に日本企業がどれだけ参加できるかがこの話合いの焦点となる、生産数が多いアメリカ製防衛装備品のサプライチェーンへの参入は福音となる、その一方で、日本企業家がアメリカ企業の下請になってしまうのではないかという懸念の声もあるということですので、世界各地の紛争国に兵器を提供している米国軍需産業の下請になるようなことになりはしないのか。
こういったことがトランプ政権の軍拡要求の下で起こっているということは極めて重大だということを指摘をして、質問を終わります。
○山下委員長 次に、櫻井周君。
○櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日御答弁に立っていただきますあかま大臣、黄川田大臣、城内大臣、就任おめでとうございます。
それでは、時間も限られておりますので、早速質問の方に入らせていただきます。
まず、ギャンブル依存症対策についてです。
あかま大臣は大臣所信で、ギャンブル等依存症対策については取組を推進というふうに力強く発言いただきました。
ギャンブル依存症をなくすには、一番効果的なのはギャンブルそのものを禁止するということだと思うんですが、とはいえ、公営ギャンブルが広く行われている現状を踏まえれば、一足飛びにそういったことをやるのは無理だろうということで、本日は具体的な対策を二つ提案させていただきますので、是非よろしくお願いいたします。
ギャンブル依存症というのは、当事者はもちろんのこと、家族や職場やいろいろなところに問題が波及いたします。その社会的コストというのは私は甚大だと思います。本人の意思の弱さといったことで片づけてしまうのではなくて、そうではなくて、社会の問題としてしっかり取り組むべきというふうに考えます。
具体的に、まず一点目です。
公営ギャンブルの券、いわゆる車券とか舟券とかいうものですけれども、これを購入できるスマートフォン用のアプリが最近はやっているといいますか、開発されております。そのアプリの中で、ポイントが付与されるというのがございます。そのポイントでそれぞれの事業者の中で買物ができる、こんなふうになっているわけなんです。最初は、ポイントを無料で上げますよ、こういうふうな宣伝をしている、ギャンブルへの抵抗感を低くして勧誘をする、それでギャンブルにはまれば事業者は大もうけ、こういう流れになっているわけなんです。
ちなみに、こうしたポイント制については、全然違う分野ですけれども、ふるさと納税のポータルサイトでは、ポイント付与が過当競争を招いて、ふるさとを応援するという制度趣旨から外れてしまっているということで禁止されたという事例がございます。
そこで、大臣にお願いでございます。ギャンブル依存症を予防していくために、公営ギャンブルのアプリにおけるポイント付与、これは禁止するということを提案させていただくんですが、大臣、やっていただけませんでしょうか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
今、前段で櫻井委員の方から、そもそもギャンブル等依存症がなくなるためには、そもそもとしてという話もございました。とはいえ、一足飛びにはという話もございました。
今日、森山委員の御質問の中にも、いわゆる当事者、また家族、また、その方々を社会全体でフォローしていくという話、これが大事だよねという応答がありました。その際には、その意見、声をちゃんと聞くタイミングがあったらという話、そのことは全くもって重要だと思います。
とはいえ、昨今の公営ギャンブルにあって、いわゆるポイント制というやつ、このことについてはどのようにという話でございますけれども、ちょっとこの辺について少し説明させてもらえればと思っています。
公営競技のインターネット投票に際して、主催者であるとか販売委託事業者により様々なポイント付与が行われている、このことがギャンブル等依存症を誘発しかねないという指摘、このことは承知をしておりますし、余りつまびらかに話をしていなかったのかどうか、やれ、友達を勧誘したら何ポイントです、やれ、購入した金額そのまま一〇〇%バックですなどというようなものもある、それがいわゆる過当競争で、誘発をしかねないという話。
政府として、今年の三月でございますけれども、局長級の幹事会を開催をして、議長である官房副長官から、ポイント制度について適正に見直すよう、各公営競技所管の省庁において関係事業者をしっかり指導すること、これをまず指示したところでございます。
それを受けて、関係事業者において、本年五月、広告・宣伝指針を改正をいたして、ポイント付与などの各種サービスは過度に射幸心をあおる内容としないように、そうしたところで、いわゆる様々なサービスの中で抽せんでの一〇〇%キャッシュバック相当のポイント付与サービスだとかお友達紹介キャンペーンなど、これを停止したところでございます。
ただ、更にという話、お問合せ、御質問だと思いますので、更に、関係事業者において、ポイント制度のまさに適正化、余り射幸心をあおらないようにという話について具体的な検討が進められていると承知しておりますので、内閣官房においても、所管省庁とともに取組状況をしっかりフォローしていかなければならない、そう思っております。
以上です。
○櫻井委員 いろいろ検討いただいているということではございますが、是非更に踏み込んだ取組をお願いしたい。
といいますのも、ギャンブルは基本駄目なわけですよね。刑法で原則禁止ということになっている。ところが、公営ギャンブルについてはということで、いろいろな公的な目的でお金を使うからということで、ある種例外扱いをしているんです。ところが、今御説明いただいたとおり、販売委託業者がここで結局公営ギャンブルを使ってぼろもうけするというようなことになってしまっては、やはり制度趣旨とは違うと思いますので、委託の範囲で、委託業者を挟むこと自体、私はおかしいと思いますけれども、そこはおいておいたとしても、少なくともポイントというのはよろしくないんじゃないのかということで御提案させていただきました。引き続きの検討をよろしくお願いいたします。
二点目は、公営ギャンブルでのクレジットカードの使用の禁止です。
ギャンブルというのは、どんなに熱中していても、手持ちのお金がなくなったらそれで終わり、それ以上できないというのがギャンブルというものだと思うんです。そして、ギャンブルが依存症になってしまうというところのある種境目といいますか、ところは、借金してでもプレーを続けたいということで、あちこち借金をして回るようになったら、ちょっともうそれはまずいんじゃないの、危ないんじゃないのということになってくるわけなんです。
ところが、クレジットカードを使えるということになっちゃうと、手持ちのお金がなくなったから今日はこれで終わり、こういう区切りがつかなくなってしまって、ずるずると続けてしまう。そうすることによってギャンブル依存症になりやすくなってしまう、こういう問題があるのではないのかと懸念をするわけです。
実際、こうした問題があるということで、諸外国、例えばオーストラリアとかイギリスでは、ギャンブルでのクレジットカードの使用は禁止されているというふうに聞いております。
そこで、大臣にお願いでございます。ギャンブル依存症を予防するために、公営ギャンブルでのクレジットカードの使用を禁止するということを提案申し上げますが、大臣、是非、禁止、お願いいたします。いかがでしょうか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
公営競技の投票におけるクレジットカードの後払い決済、これについてでございますけれども、これについても、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議、この議論などを踏まえて、本年三月に、変更した基本計画、ここにおいて、その見直しを検討するよう閣議決定をしたところでございます。
また、その三月に局長級の幹事会を開催して、議長である官房副長官の方から、クレジットカードなどの後払い決済の見直しの検討、これを含めて、関係省庁に基本計画に沿った着実な取組を推進するよう指示をしたところでございますので、また、これらを踏まえて、現在、関係事業者において見直しが検討されているというふうに承知をしておりますので、内閣官房においても、しっかりと各関係省庁とともに取組状況をフォローアップしてまいりたい、そう思っております。
○櫻井委員 今日の午前中の森山委員からの質問では、まさにギャンブル依存症にもうなってしまった方のケアについてということが中心的なテーマだったと思います。もちろん、そういったケアは必要です、大事です。ですが、そもそもギャンブル依存症にならないようにするということも、これも大事です。これ以上依存症になる人を増やさないということで、是非よろしくお願いします。
そもそも、ギャンブル禁止というのは、六八九年、持統天皇のすごろく禁止令以来の日本の伝統でございます。保守政党を掲げていらっしゃる皆さんでございますから、是非ギャンブル禁止の方向に向かって一つずつでも進んでいただきたくお願い申し上げて、まず一問目の質問を終わらせていただきます。
あかま大臣は、これまでですので、退席いただいて大丈夫です。
○山下委員長 あかま大臣は退室されて結構です。
○櫻井委員 引き続きまして、男女共同参画について黄川田大臣にお尋ねをいたします。
大臣所信において、年末をめどに新たな男女共同参画基本計画を策定というふうに発言いただいております。
日本で三権といいますと、国会、内閣、裁判所でございますが、国会では、衆議院も参議院も、女性議長は既に誕生しております。内閣においては、今年、女性初の総理大臣誕生ということで、黄川田大臣、先頭に立って応援されている姿を拝見いたしました。そして、いまだ女性のトップが誕生していないのは最高裁判所でございます。
第五次の男女共同基本計画は今年度で終了、来年度から第六次ということで、現在、第六次の計画の作成の最終段階というふうに承知をしております。
このことに関しては昨年五月の決算行政監視委員会でも質問で取り上げておりまして、そのときに、加藤鮎子大臣からは、最高裁判事について、基本計画の数値目標を作成することを提案申し上げたところ、前向きに検討するというような御答弁をいただきました。
内閣が最高裁の判事の任用について数値目標を設定するということが司法の独立を侵すことになるのではないのか、こんな心配をする意見もあったんですが、それは違いますよねということも確認させていただいております。といいますのも、最高裁判事を任命するのは内閣です。憲法七十九条一項の規定でございます。そして、最高裁長官については憲法六条二項で、内閣が指名をする、任命するのは天皇陛下ということになっております。
ですから、いずれにしても、内閣が決定することですから内閣が数値目標を持つのは当然だろうということで大臣にちょっとお願いをするわけですが、最高裁判事の女性比率について、第六次の基本計画の中で数値目標を定める、これを提案させていただくんですが、大臣、是非やってください。お願いいたします。
○黄川田国務大臣 現行の第五次男女共同参画基本計画においては、二〇二〇年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度となるよう目指して取組を進めることを掲げてまいりました。
御指摘の最高裁判所における女性裁判官については、十五人中四名ですから、二六・七%ということを承知しております。裁判官を含め、指導的地位に占める女性の割合を高めることは極めて重要であると考えております。
そこで、第六次計画については、現在、男女共同参画会議や、その下に置かれた有識者による専門調査会で検討を進めているところでございます。
現状の第六次計画に関する基本的な考え方の案においても、「引き続き、二〇二〇年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度となることを目指し、取組を強化させる。」こととされております。
数値目標についても、御指摘の点も踏まえて、男女共同参画社会の実現に向けてしっかりと検討させていただきたいと考えております。
○櫻井委員 もうすぐ結論が出るわけですから、是非やってください。よろしくお願いいたします。あと、答弁の中で三〇%程度と、程度と言っていましたけれども、せめてそこは以上で、よろしくお願いしますね。
あと、最高裁判事は、今、十五名中四名が女性ということでしたけれども、去年私が質問したときは三名だったんですよね。私が質問した結果なのかどうかは分かりませんが、一名増えて四名になって、三〇%まであともう一歩というところまでは来たというところでございます。
ただ、これはちょっと問題だなということは去年も指摘したんですが、最高裁判事で、何か出身の枠みたいなものが大体あるんですよ。明示的な枠ではないんですが、歴史的に厳然たる事実なんですけれども、裁判官出身は六名いて、全員男性です。検察官出身は二名いて、全員男性です。弁護士は、四名中二名、二名ということで半々になっている。行政も二名いて、一対一ということで半々になっている。
今般、学者の方が、男性だったのが女性に替わったということで女性が一名増えたわけなんですが、やはり、裁判官出身、検察官出身の方が全員男性というのはバランスが非常に悪いですよ。そこを風穴を空けていくためにも、きちっと数値目標を設けていくということで、大臣、是非よろしくお願いします。
これで、女性初の総理大臣をつくったのも黄川田仁志だ、そして女性初の最高裁長官をつくったのも黄川田仁志だということで、是非歴史に名前を刻んでいただきたいということをお願い申し上げて、黄川田大臣への質問はこれで終わらせていただきます。
御退室いただいて結構でございます。
○山下委員長 黄川田大臣は退室されて結構です。
○櫻井委員 城内大臣、お待たせいたしました。
経済財政政策についてお尋ねをいたします。
大臣所信においては、不安を希望に変える強い経済を構築、物価上昇を上回る賃上げということで、力強く御発言をいただきました。この物価上昇を上回る賃上げというのは、まさに実質賃金をプラスにするということだというふうに受け止めております。
すなわち、実質賃金上昇率というのは、名目賃金上昇率から物価上昇率を差し引いたものでございまして、午前中の井坂委員の質問は、まさに、名目賃金を引き上げるという部分についていろいろ提案があったわけでございます。
私からは、もう一つの部分、物価上昇率について、これを抑えていくということについて提案をしたいというふうに思います。
資料二をつけておりますけれども、毎月勤労統計、厚生労働省が発表しているものでございます。
こちらを見ますと、実質賃金は大体マイナスになっちゃっているんですよね。この三年間、二〇二二年から三年間、マイナスが続いています。さらに、今年、二〇二五年に入ってからもマイナスが続いているということで、これは全部累計すると、この三年半でマイナス五%以上になっているわけですよ。これだけ日本の賃金が目減りしてしまっているということに私は強い危機感を覚えますし、だからこそ国民生活が非常に厳しいものになっているというふうにも受け止めております。
質問、ちょっと時間が押していますので、飛ばして、物価を二%に抑える政策のところについて質問させていただきます。
資料三もつけておりまして、これは内閣府が毎年やっております国民生活に関する世論調査でございます。この中で、「あなたは、今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだと思いますか。」こういう問いがありまして、一番多い答えが、物価対策七三%。やはりこれだけ国民生活、物価高で大変だというふうなお声が上がっているわけです。これは別に、与党とか野党関係なく、みんなで物価対策に取り組まなきゃいけないと考えます。
物価対策といったときに、大きく二つに分けられると思うんです。一つは、上がってしまった物価の悪影響を緩和するための政策。例えば、今般、ガソリン税、暫定税率廃止ということで実質減税になります。それから、電気代補助金、政府の方で検討されているということでございますし、また、お米券についても話題に上がっております。こういったものは、ある種、上がってしまった後の事後の対策ということになろうかと思います。
それともう一つ、もっと私は重要だと思うのは、そもそも物価が上がり過ぎないようにする。物価上昇率二%が政府の目標だということを先ほども城内大臣に御答弁いただいております。二%に抑える、こういう事前の対策も必要だというふうに考えます。事後の対策については、多分これから、来月の補正予算の審議の中でいろいろあろうかと思いますので、今日は、物価を抑える事前の対策に絞ってお話をさせていただきます。
二%の物価目標というのがございますけれども、二%に抑えるということについて、大臣、是非やっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○城内国務大臣 櫻井委員の御質問にお答えします。
確かに御指摘のとおり、やはり実質賃金を上げるためにも、物価の水準を下げていくこと、これは非常に大事だというふうに思っております。今日も何度か答弁させていただきましたけれども、二%の物価安定目標、これは日本銀行が自ら定めたものでありますが、これについては日銀が、金融政策における金利引下げ余地の確保、諸外国の物価安定目標等を踏まえ設定した目標である旨説明されております。物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府としても妥当なものと考えております。
諸外国の物価目標、これは、米国でも二%、英国でも二%、ユーロ圏でも二%ですから、おおむね妥当ではないかというふうに認識しておりますが、委員も御指摘のとおり、足下の物価高対応としては、いわゆる所得税減税、ガソリン税の暫定税率の廃止までの間の補助金等、様々な物価高対応施策に取り組んでいるところでございます。
いずれにしましても、国民各層の皆様に、物価高による生活の負担、これを軽減をすることが大事だと思っておりますし、また、体感温度として景気の回復、経済の成長、これをしっかり実感していただけるよう、現在、総合経済対策を取りまとめ中でありますけれども、また委員からも何かいい御提案がありましたらしっかり受け止めますので、よろしくお願いいたします。
○櫻井委員 事後の対策はこれから別途議論するとして、事前の対策として、二%に抑える、これはやっていただけますかと聞いたんですが、これはやっていただけるということでよろしいんでしょうか。
○城内国務大臣 先ほど申しましたように、日本銀行において、日銀法第四条及び政府、日本銀行の共同声明の趣旨に沿って、政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて引き続き適切な金融政策運営を行われていくことを期待し、これを通じて、繰り返しになりますけれども、二%の物価安定目標の実現に向けてこの金融政策運営を行われていくことを期待しております。
○櫻井委員 いや、何か今の答弁ですと、日本銀行がやるものだから余りうちは関係ないよみたいな、他人事のようにも聞こえたんですが。そうではなくて、もちろん金融政策、これは重要な部分です。でも、それ以外にいろいろあるでしょうということなんですね。
ちょっと時間も押しているので、次の話に移ります。
日本の今のこの三年半の物価高、これの大きな部分を占めているのが円安じゃないのかということなんです。悪い円安が物価高につながっているというふうに考えますが、大臣はどのように分析されていますか。
○城内国務大臣 今、円安という御指摘がありましたが、円安については様々な考え方がございまして、一般論として申し上げますと、円安の影響については、輸入物価の上昇が国内物価を押し上げ、家計や企業の実質的な購買力を低下させる可能性がある点には留意する必要がございますけれども、他方で、輸出企業の収益拡大などのプラス面もあるというふうに考えております。
したがいまして、いわゆる為替については、為替市場の動向については、様々な要因により市場において決まるもので、私の立場からコメントすることは適切ではないということで差し控えさせていただきますが、一般論で言えば、為替というものは、短期間に乱高下すること、そしてファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府としては、そうした為替の動向に注視しているところであります。
○櫻井委員 いやいや、為替水準として何円が適切だとかというふうに言うと、それは確かに大臣としてそれは言い過ぎだということになろうかと思いますが、そうではなくて、結果として、今の円安水準、三年半前、四年ぐらい前は一ドル百円から百十円ぐらいだったのが、今、百五十五円、こういうレベルになって、それが国内のいろいろな物価を押し上げて、国民生活を苦しくしているんじゃないんですか、こういうことなわけですよ。
輸出企業は、それはもうかって、うはうはでしょう。でも、その一部の輸出企業、もうかっている分のそのしわ寄せを、多くの国民が、一般庶民が受けているわけですよ。それってアンフェアじゃないですか、こういうことなわけですよ。
資料七、つけております。朝日新聞の記事ですけれども、この中で、浜田宏一エール大学名誉教授、これはアベノミクスを一生懸命応援した先生でございますが、この浜田先生がおっしゃるには、「日本経済の最大の問題はインフレ(物価高)の放置だ。「物価の番人」である日銀はなぜ、利上げをためらうのか。円安も是正されず、日本人は輸入品を高く買わされる一方、外国人が「安い日本」を買いたたいている状況は見過ごせない。国民を苦しめ、国家の基盤を揺るがす事態だ。」こういうふうに鋭く指摘をしているわけです。
私も全くそのとおりだと思いますよ。百五十五円はいかにも安過ぎる。私は個人的に、私は大臣ではないのでちょっと好きに言わせていただきますが、百二十円ぐらいがフェアバリューじゃないのかなというふうには思っておりますけれども。
それはともかく、いかにも百五十五円というのは安過ぎて、それがゆえにいろいろなものが高くなっている。ガソリンだって、ガソリンの値段が高いということで暫定税率の廃止の議論にもなったというふうに私は受け止めておりますけれども、原油価格を見ますと、今から十二年前、第二次安倍内閣が発足したときは、一バレル九十八ドルぐらいだった。それが今は五十五ドルですから、原油自体は下がっているんですよね。にもかかわらずガソリンの値段が上がっているというのは、為替ですよ。一ドル九十八円だったのが百五十五円になっている。
やはりこれを考えますと、この円安の影響について経済財政担当大臣としてしっかりと受け止めて、この円安、政府にもできることはあるわけですから、是非取組をお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
○城内国務大臣 お答えします。
物価も為替もそうですけれども、なかなか、本来あるべき目標は、数値はここだということは言えないということは委員も御理解いただけると思いますけれども。
例えば消費者物価は、このところ確かに三%近い上昇率が続いておりますけれども、これは、理由は、米を始めとする一部の食料品価格が主因であるというふうに認識しております。他方、円安進行等による輸入原材料価格の上昇も消費者物価の押し上げに寄与している面もありますけれども、他方で、足下では、前年同月比の輸入物価は何と九期連続で前年同期比で下落傾向で推移しておりますので、こういった別の面もあるので、事ほどさように、為替とか物価が、ここが適当でここに持っていくのだということはなかなか言えないということは御理解いただきたいと思います。
いずれにしましても、今後も物価や為替の動向についてはしっかりと注視をして、急に短期間に乱高下したり上振れしたり下振れすることのないように、これは私ども内閣府で毎日のように日々チェックして注視しておりますので、その点は是非御理解いただきたいというふうに思います。
○櫻井委員 日々チェックをされているということであれば、昨日もいわゆるトリプル安で、株は大幅に下がりました、それから債券も下がり、そして為替も下がる、円安に更に振れる。今日も昨日ほどではないにしてもトリプル安が続いているということで、これをもってトラス・ショックのようなことが日本で起きるとまでは申しませんが、しかし、余りいい傾向ではないことは確かでございます。その点は重く受け止めていただきたいということです。
それから、時間ももうすぐなくなってしまいますが、お米の話もされました。米の高騰、これも大きな原因ではございますが、ただ、消費者物価全体で見ますと、これの寄与度って、ちょっと今日は資料を持ってくるのを忘れちゃったんですけれども、〇・五%か、そんなになかったと思うんですよね。だから、今年の例えば一月、消費者物価上昇率四・〇%でした。米の部分を除いたってやはり高いんですよ。ほかのものだっていっぱい上がっているんですよ。小麦だってコーヒーだってチョコレートだって、いろいろなものが上がっているわけです。砂糖だって上がっているわけですよ。
ですから、それは米だけのせいにするべきものではないですし、そもそも米の値段が上がっているのだって、これは自民党政治の失敗の結果じゃないですか。
私は、お米は二千円台で買えるようにするというのが、やはり主食として、日本の食料安全保障を考えたときに、食料自給率を考えたとき、二千円ぐらいで買えるようにしておくべきものだと思いますし、そのためには、農家の方に戸別所得補償のような形でしっかりお支えをする、安心して米作りができるようにするということは、所管外ではあるでしょうけれども、やはり物価に影響するとおっしゃるのであれば、そこも国務大臣としてしっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げますし、一方で、消費者の方は、そうやってちゃんと、少なくともお米については国産のおいしいお米を安くといいますか適正な価格で買えるようにするということも暮らしを守っていくために必要なことだというふうに考えますので、是非よろしくお願いいたします。
それから、さっき大臣が物価を下げるというふうにおっしゃいましたが、私は一応、物価を下げるとは申し上げていませんから。マイナスにするつもりはない、あくまで抑えるということで、よろしくお願いします。
賃金は上げる、物価は抑える、そして暮らしを守るために是非一緒に取組を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
以上で終わります。
○山下委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 立憲民主党の森田でございます。
あかま国家公安委員会委員長、よろしくお願いいたします。また、内閣府の津島副大臣、それから法務の方から三谷副大臣にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
お時間をいただきまして、大きく二つの項目、まず熊のことについて短い時間で述べさせていただきまして、次いで交通安全に関係する法制度についてお尋ねをさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
まず熊の関係ですけれども、自衛隊の関係についてお尋ねをしていきたいと思っておりますが、まず、秋田県からの要請で自衛隊の皆様が御出動いただいているということですけれども、これはどのような法的位置づけで出動しているかということで、参考人の方からお答えいただければと思います。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
防衛省・自衛隊ですが、秋田県からの要請を受けまして、今月五日から秋田県内において陸上自衛隊が箱わなの運搬等の活動を実施しております。
法的根拠でございますけれども、自衛隊法百条に土木工事等の受託という規定がございまして、それを根拠として、輸送事業として箱わなや駆除後の熊の運搬など、また、防衛省設置法四条一項九号に基づく情報収集といった活動も行っております。
引き続き、秋田県と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○森田委員 今、土木工事等で輸送を行っていただいている、また情報収集等を行っていただいている、こういう位置づけで出ていただいているということでございます。
そもそも、今回の熊の出現というか、里山に下りてきて銀行の本店とかスーパーの中にまで入り込んでしまうなんというのは、本当に、地元で暮らされている皆様方にとっては日常生活を脅かす事態になっていると思っております。
また、先ほどの箱わなを運搬をしたり、あるいは緊急銃猟をやるときには安全の確保をしなくてはいけませんので、多分、避難誘導とか、もちろん行政、市役所とかあるいは町の役場、又は警察官、こういった方が出動していただいて、いろいろと段取りをしていただくと思うんですけれども、そもそも、熊が出るようなリスクが高いところというのは、恐らく人手もそれほどなかなか期待できないようなところも、地域も多いだろうということもあると思います。
また、例えば猟友会の、ライフル、散弾銃を使える第一種免許ということでいいますと、一九八五年のときには二十五万人以上いらっしゃった方が、今ですと五万七千人ぐらいまでいわば激減をしているということで、単に銃が撃てればいいというわけではなくて、例えば、聞くところによると、ライフルの方が二人、ショットガンの方が二人いて、じゃ、撃ち漏らしたときにどういう対応をするのかとか。
やはり、こういうことも含めて、あるいは箱わなも、あんなに大きな重いものを設置したりあるいは撤去したり、こういうことも出てくるということがありまして、いわば同時発生的にもしこういう熊の出現とかがあった場合に、なかなか地域の人手だけでは賄えないのではないかな、こういうおそれもあります。
ですから、これは今後の議論だとは思うんですけれども、災害の位置づけということで、これは熊も大きく言えばやはり自然の中の一つだと思いますので、本当に代え難いような状況において、自然災害の位置づけで出ていただくということも考え得るのではないかなと思いますけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
○津島副大臣 森田俊和委員にお答え申し上げます。
熊被害についてお話がございました。あえて私の地元青森の状況をちょっとお話しさせていただけば、十月末時点、今年、令和七年の出没件数が二千四百六十件、人身被害は、幸いにして亡くなった方はおりませんが、十名の方がけがをされている状況。リンゴの木が被害を受け、最悪、植え替えなきゃいけない。植え替えるとなると六年は実がならないので、その分減収になる、そういうちょっと長期にわたる被害が生じているということでございます。まさに、これは自然災害級、災害級と言ってもいいと思っております。
しかし、この場での議論は、現行の災害対策基本法における見解を問うものと理解をいたします。その下でお答えを申し上げるんですが、現行災害対策基本法においては、災害は、異常な自然現象や大規模な事故により生ずる被害と定義をされております。その定義の下、国土及び国民の生命、身体又は財産に相当程度の被害が生ずるような場合を想定しているところでございます。
熊による被害につきましては、その規模に鑑み、また災害対策法制に基づいて講ずべき応急対策等が想定されないことから、従来、災害対策基本法を始めとする災害対策法制の対象とはしていないところでございます。
とはいえ、冒頭申し上げた認識、非常に被害が頻発している、散発から頻発という状況になってございますので、政府としての熊被害対策として、クマ被害対策パッケージを十一月十四日に策定をいたし、関係省庁において実効性の高い対策を実施していくものと承知をしているところでございます。
○森田委員 現状においてはそういうことだということで理解いたしますけれども、例えば、二〇二三年、この一個前の、二年前のドングリが不作のときにやはり犠牲者も大変出たんですけれども、またこれで、今年は十三名の方がもう既に犠牲になっているということで、またこの二年後、ドングリが不作のときに、もっとこれは大規模なものになるおそれもあるだろうというふうに考えますと、いろいろな準備をやはりやっておいた方がいいんじゃないかなというふうに思いますので、引き続き御検討いただければなというふうに思っております。
それでは、続きまして、交通安全の法制についてお尋ねをさせていただきます。
こちらは、二〇〇九年の九月三十日に、熊谷市内の本石という地区なんですけれども、十八時五十分頃、九月三十日ですからもう暗い時間帯だと思いますけれども、この時間帯に、当時小学校四年生の小関孝徳君が死亡ひき逃げ事故に遭われてお亡くなりになったということがありました。一九九九年の四月生まれということで、今、御存命であれば二十六歳という年回りです。
私も三人の娘を持つ親でございまして、それぞれ生まれが二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年という娘たちなんですけれども、それほど変わらない年回りでございまして、本当に、行ってきますと言って玄関から出ていった子供が、当然帰るものと思っているところが帰らない。心に穴が空いたような、本当に埋まることのない悲しみというものをずっとこの間抱えてこられているんだろうなと思います。
本当に、お母様がいろいろなところで熱心に、ひたむきに、情報提供を呼びかける活動、あるいは死亡ひき逃げの時効を撤廃するような、そういった運動をずっと続けてこられておりまして、九月三十日は事故の発生日、命日に当たるわけですけれども、そのときには、地元の警察の皆さんにもお手伝いをいただきながら、街頭で情報提供を呼びかけるチラシを、車を止めながらチラシを配られたり、あるいは、四月の交通安全運動のときにはやはり同じような活動をされ、また、地域のコミュニティーFM等に御出演をされて、地元の皆様に情報提供を呼びかけている、こういうことをされていらっしゃいます。ブログでの発信ですとか、あるいはSNS、フェイスブックとかインスタグラムとか、こういうところでも本当に丁寧に、かつ熱心にいろいろな、情報提供を是非お願いしますということで呼びかけをされていらっしゃいまして、本当に頭が下がります。
少しでも、こういった、ほかにも交通事故で御親族を失われた方、世の中に大勢いらっしゃるわけでございますけれども、そういった皆様方の悲しみが、これは埋めることはできないですけれども、少しでもそのお気持ちにお応えできるような、そういう仕事をしていくのも、これは党派を問わず、私たちの役目ではないかなというふうに思っておりまして、質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、幾つか数字的な確認をさせていただきたいというふうに思っております。
直近の一年間の死亡ひき逃げの件数、そしてまたこの検挙率、お分かりでしたら教えていただきたいと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年中における死亡ひき逃げ事件の発生件数は百十一件、検挙件数は百八件であり、検挙率は九七・三%となっております。
○森田委員 非常に高い検挙率だということだと思います。
いろいろと捜査に当たっていらっしゃる警察官の皆様方の、本当に、日夜問わず、あるいは、いろいろな情報だとか、今、新しい技術等も駆使して捜査に当たられているということだと思います。まずはそこに敬意を表したいと思います。とはいえ、やはりまだ残っていらっしゃる方がいらっしゃるというのもまた厳然たる事実でございます。
もう一つ数字の確認をさせていただきますけれども、同じくこの直近一年間で、危険運転致死罪の件数と、そのうちでひき逃げの件数というのがどのぐらいの件数になるのか、これを教えていただければと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年中の危険運転致死罪の適用件数は四十一件、このうち、ひき逃げ事件は九件となっております。
○森田委員 ありがとうございます。
もう一つ、ちょっとこれは時間の経過を踏まえて考えたいと思いまして、この直近一年間で時効を迎えた死亡ひき逃げの件数、これを教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年中に時効を迎えた死亡ひき逃げ事件の件数は三件となっております。
○森田委員 ありがとうございます。
先ほども、検挙率、直近の数字でいきますと九七・三%ということで、非常に検挙率は高い数字でございます。時効を迎えた死亡ひき逃げ、これも三件。三件というものをどう捉えるかというところなんですけれども、もちろん、全体の数からすれば、割合としてはそれほど多くないという捉え方ができるのかもしれませんが、やはりここには、その三件の中にはもちろんそれぞれのお亡くなりになった方の人生が込められているということ、その数字でございまして、これは一件も逃してはいけないというのがやはり目指すべきところではないかなというふうに考えております。
それで、今回、一つの例として取り上げさせていただいております小関さんの事例でございますけれども、当初、捜査の初めの段階では、これは過失致死として捜査が始まったというふうに聞いております。ということは、時効の期間としては十年という中で捜査をしていたというところが、時効を迎える十二日前の二〇一九年九月十八日に、この過失致死という容疑の罪名から危険運転致死ということに罪名、捜査の内容を切り替えて捜査をやるという方針にしていただいたということで、そうなりますと、時効が十年のところから二十年のところに、罪名のところ、切り替わったということがあります。これによって、時効が二〇二九年の九月三十日ということで、あと約四年というようなところだと思います。
この死亡ひき逃げ事件というものをどう捉えるかということなんですけれども、もちろん、中には本当に分からなかった方がゼロとは言いません。ただ、やはり何らかの衝撃があったりだとかそういう自覚がある中で、あれっと思って、これはまずいと思って逃げちゃうということが少なからずあるんじゃないかなということを思うわけです。
ですから、お亡くなりになっているという状態があって、しかも逃げているということがあるということを考えますと、非常にこれはもう悪質だという前提で、必ずしもそうじゃないかもしれません、でも前提で捜査を進めていくということが大事なのではないかなというように思いまして、ということは、二十年の時効を持っている危険運転致死罪としての捜査というものを進めていくべきではないかなというふうに考えるんですけれども、国家公安委員長、いかがでございますか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
死亡ひき逃げ事件については、直ちには事故の態様、これが明らかになっていないということから、初動捜査の段階においては、自動車運転処罰法の過失運転致死罪、このほか危険運転致死罪も視野に入れて捜査を行っております。
実際に死亡ひき逃げ事件の検挙の中には、先ほど参考人の方から答弁もございましたけれども、それまでの捜査によって判明した事項から犯罪事実を特定をして危険運転致死罪を適用したものも一定数ございます。
引き続き、法と証拠に基づき厳正かつ適正な捜査が行われるよう、警察を指導してまいりたいというふうに思っております。
死亡ひき逃げ事件についてでございますが、個別具体の事件の状況を踏まえて、危険運転致死罪を視野に入れ捜査を行っておりますが、適用罪名については、捜査の結果判明した現場の状況であるとか目撃情報等の客観的状況を踏まえて判断しておるものと承知をしております。
以上です。
○森田委員 先ほどの、時効を迎えた件数が直近で三件というようなお話もございました。もしかすると、これを延ばすことによって、例えば十年で時効を迎えるというものが二十年になれば、その間にまた新しい証拠が取得できたりということで、もしかしたら時効を迎えずに、また事件解決に至るかもしれないということもあろうかなと思いますので、是非考慮いただければなというふうに考えております。
また、法務省、法務副大臣にもお伺いしたいと思うんですが、今のお話、これは法的な位置づけを、そもそもやはり死亡ひき逃げというものを危険運転というふうに位置づけるべきだということも思うわけですけれども、これはいかがでございますか。
○三谷副大臣 お答えいたします。
まずもって、熊谷市で発生いたしました痛ましい事故、これはひき逃げですから事件ですけれども、その中でお亡くなりになったお子様に対して、哀悼の意を申し上げたいと思います。
その上で、お答えをさせていただきます。
自動車運転死傷処罰法第二条の危険運転致死傷罪につきましては、故意に危険な自動車の運転行為を行い、よって、すなわち、その運転行為の結果として人を死傷させた者を、その運転行為の実質的危険性に照らし、暴行により人を死傷させた傷害罪や傷害致死罪に準じて重い処罰の対象とするものであります。このように、危険運転致死傷罪は、自動車の運転行為自体の危険性、悪質性に着目した罪であります。
他方で、いわゆるひき逃げにつきましては、事故後の行為でありまして、運転行為そのものではないということを踏まえると、ひき逃げ自体を運転行為の一部として評価をして危険運転致死傷罪の一類型とすることについては慎重な検討を要すると言わざるを得ないと考えております。
○森田委員 現状ではそういうことなんだろうと思います。ただ、やはり、倒れていたり、いろいろな状況で、なかなか立ち止まるというのは勇気が要ることかもしれませんが、それで人の命を左右する問題なんだということをきちんと、誰でも同じように加害者になるリスクもあるし被害者になるリスクもあるわけですから、やはりこれはきちんと法的な位置づけをもって、逃げるということを抑止できるような、そういった法の仕組みというものも必要ではないかなというふうに思いますので、現状ではそうだという御説明は理解するところでありますけれども、引き続き是非前向きに検討をお願いできればというふうに考えております。
それから、先ほど、三件時効を迎えたというお話がございました。
やはり、年々いろいろな新しい技術が出てきているということがあります。例えば、私が小関さん、お母様から聞いたところですと、やはり、最近ですと、防犯カメラが二〇〇九年当時に比べてもいろいろなところに、お店だとか個人宅ですとか、あるいは場合によっては街路に設置されている場合もあるということで、防犯カメラがあり、また、ドライブレコーダーをつけていらっしゃるドライバーさん、車も非常に増えているということがあろうかと思います。
あとは、例えばもうちょっと視点を変えて、グーグルマップに車が映り込んでいるような場合があるということなんですね。グーグルマップの一部が、例えばタイヤの辺りがちょっとぼかしが入っている。このぼかしを入れるというのは、映っている対象の方が申請をすればグーグルの方でそういう対応をするということなんですけれども、じゃ、何で例えばそのタイヤの一部だけがぼかしを入れてあるのかというと、やはりそこに何らかの意図があるのではないかということもあったりとか。
あるいは、やはりSNSの進歩というのも本当に著しいものがございまして、この小関さんがいろいろな形で先ほども申し上げたように情報提供を求められているということで、SNSで寄せられた情報というのもかなりある、何百件という数があるということらしいんですけれども、例えばその中に、当時、二千何年とかの段階で畑に車を埋めているようなことを見かけたよとかという情報が入ってきたりとか。あるいは、居酒屋さんの隣の席で、見つかってはまずいから車を廃車したなんという話がちょっと聞こえてきたので、どうなるか分からないけれどもちょっと情報提供させていただいたとか。
こういう話も、なかなか警察署に行って、こういうことを見たんですけれどもとか聞いたんですけれどもとかと言うほどの重要性はもしかしたらないのかもしれませんけれども、ぱっと、SNSならではの、これはよくも悪くもというところはあるかもしれませんが、そういう意味では気軽に情報提供できるというような側面もあるということで、これも一つの時代の変遷のことなんだろうと思います。
ですから、こういったことを考えますと、過失であれば十年、危険運転でも二十年ですけれども、また少し時代が進んで、二十五年目に技術の進歩で実は新しいこういう証拠がまた出てきたということがないわけじゃないということもあろうかと思います。
ですから、やはり死亡ひき逃げに対する時効というものをできればこれはなくした方が、そういう将来の技術の進歩に託す部分というのも持てるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これも副大臣から御答弁いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○三谷副大臣 お答えいたします。
森田委員も御案内のとおりではございますけれども、公訴時効制度の趣旨は、時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和を図るため、法定刑の重さに応じた一定期間の経過により公訴権が消滅する、すなわち検察官が起訴できないこととするというものでございます。
もっとも、この点、平成二十二年には、人を死亡させた犯罪のうち死刑に当たる犯罪類型、例えば殺人罪等でございますが、については公訴時効が撤廃をされております。ただ、これは、被害者のそういった強い要請と、先ほど申し上げた公訴時効の趣旨を踏まえた上で、非常に限られたもののみそういった対応をするということにしたものでございまして、このような公訴時効制度の仕組みを踏まえるならば、いわゆるひき逃げ、道路交通法の救護義務違反を伴う過失運転致死罪等の罪についてのみ公訴時効の対象から除外することについては、公訴時効制度の趣旨との関係や他の犯罪との均衡等の観点から慎重な検討を要すると考えています。
○森田委員 ありがとうございます。
そういうことなんだろうと思います。さっきの殺人の時効を撤廃したというのも、DNAの鑑定ができるようになった、こういう時代の変化、いろいろな捜査手法の変化によってこういう変化がやはり法的にも出てきたということだと思いますので、すぐに、すぐこれが簡単に、ほかのバランスがあると思いますので、ここだけ特にということは難しいのかもしれませんが、でも、人の命が失われるということについては、やはり、殺人の被害に遭われた御親族も、ある日突然交通事故で命を奪われた御親族も、それはもうどっちがいいとか悪いとか、軽いとか重いとか、そういう問題ではないというふうに思っておりますので、是非引き続き御検討いただければなと思っております。
逃げ得を許さないということだと思います。小関さんのところにも多くの皆さんのお声が寄せられておりまして、例えば時効を撤廃してもらいたいという署名でございますけれども、手書きで五千八百十八、それからオンラインの署名で十七万七千四百十四、こういった数の皆さんのお声が寄せられているということがあります。
また、この件に関してなんですけれども、埼玉県議会の意見書というものも、時効撤廃も含めて対応すべきだということで、これは二〇二二年の三月に意見書を出されております。また、熊谷市議会の方でも二〇二四年十二月に意見書が出されておりますけれども、こういった多くのお声があるんだということも含めて、是非、逃げ得を許さないということについて国家公安委員長の受け止めをお聞かせいただければと思います。お願いします。
○あかま国務大臣 お答えをいたします。
交通事故が発生した際に被害者を救護しない、いわゆるひき逃げは極めて悪質な犯罪であり、これを早期に検挙をし厳正に対処することが、今おっしゃっている逃げ得を許さないために極めて重要であるというふうに思っております。
警察においてでございますけれども、これまで、道路交通法を改正して、救護措置義務違反の罰則強化を図ってまいったり、ひき逃げ事件の捜査を充実強化をしておるところでございます。引き続き、被害者、また御遺族の心情に最大限寄り添いながら、事件の早期検挙に向けて捜査を徹底するよう警察を指導してまいりたい、そういうふうに思っております。
以上です。
○森田委員 ありがとうございます。
法務省の方でも是非この受け止めをお聞かせいただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
○三谷副大臣 逃げ得を許さないというこの多くの思いというものは、しっかりと法務副大臣として受け止めさせていただきたいというふうに考えております。
いわゆる死亡ひき逃げの公訴時効の在り方等については、本当に、この死亡事故の御遺族から法務大臣に対する嘆願書もいただいております。地方議会からも意見書を受け取らせていただいております。
その上で、一般論として申し上げれば、検察当局においては、いわゆる死亡ひき逃げ事件などの悪質な交通事犯に対しては、それこそ、逃げ得を許さないという思いの下、引き続き、警察とも連携をしつつ、個々の事案に応じた適切な証拠の収集に努め、法と証拠に基づき厳正に対処していくものと承知しています。
〔委員長退席、鳩山(二)委員長代理着席〕
○森田委員 ありがとうございます。
小関さんですけれども、時効の、危険運転の方に切り替えていただいたということで、二十年の期間というものが得られたわけですけれども、とはいっても、一番長く見ても、もうあと四年で時効というものが来てしまうということがあります。本当に時間がないんだということをお話をされていらっしゃるわけなんですけれども、またこの件について、十二月に小関さんの方から、また是非こういう御対応をお願いしたいということで、警察庁、法務省の方には嘆願書という形で書面を御提出の予定だということも聞いております。
先ほどのお話の繰り返しになりますけれども、やはり、ただいまというふうに帰ってくるものと思っていたお子さんの命がある日突然失われてしまうという、その御遺族の方の悲しみ、苦しみというものを少しでも救いたいということを、是非これは、立場を超えて私も取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、引き続き、また警察庁、それから法務省、それぞれのお立場で御尽力いただければありがたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○鳩山(二)委員長代理 次に、福田玄君。
○福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。
黄川田大臣におかれましては、今日の長丁場、最後の質問通告バッターでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。そして、鈴木副大臣も、是非、真摯な御答弁、よろしくお願いをいたします。
私たち国民民主党は、「手取りを増やす。」、そして「対決より解決。」というそういったキャッチフレーズが目立っておりますが、実は、「つくろう、新しい答え。」というこういったキャッチフレーズも掲げております。今日は、そういった視点で、是非、新しい答えを生み出す、そんな議論の一つにさせていただければというふうに思っております。
本日、各委員の皆様からも御指摘があるとおり、やはり日本の課題は、人口減少、少子高齢化、そして働き手不足ということが多く指摘をされていると思います。その観点から、障害者の雇用について、一つ触れさせていただきたいと思います。
障害者基本計画の理念と法定雇用率の定義のずれということを私は問題意識を持っておりまして、近年、法定雇用率の達成が企業の義務となる中で、多くの企業が障害者の採用を強化していますが、その需要に対して、企業が求める条件に合う人材の採用が難しくなっています。その大きな要因は、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率が段階的に引き上げられているということです。二〇二四年の四月には二・三%から二・五%への引上げ、そして二〇二六年七月、これは予定でございますが、二・五%から二・七%への引上げという、段階的な引上げが行われる予定ということであります。この引上げによって、企業が雇用すべき障害者の人数、法定雇用障害者数が増加をいたしております。
しかし、厚生労働省の最新の発表、令和六年によれば、法定雇用率を達成している企業の割合は四六・〇%と、半数以上の企業が未達成の状況でございます。未達成の企業は、給付金の支払い、事実上のペナルティーや行政指導、場合によっては企業名の公表対象となるため、採用活動を急速に強化する必要に迫られている、まさに障害者の雇用の取り合いというような状況が発生しているというのが現状であると認識をしております。
先般、政府は第五次障害者基本計画を策定をされました。この計画の根幹にある障害者基本法では、障害者を、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものという、いわゆる社会モデル、これに基づいて広く障害を定義をされているということです。
しかし一方で、企業の法定雇用率の算定となると途端に定義が狭まり、御承知のとおり、身体、療育、精神の障害者手帳の所持者であることが実務上の原則となっています。社会モデルではなくて、身体、療育、精神の障害者手帳の所持者であるということが実務上の原則となっている、ここに大きな矛盾と深刻な問題が生じているのではないかと思っております。
基本法の理念によれば、手帳は持っていなくとも、発達障害や精神障害のグレーゾーンの方、最近グレーの方が増えているとよく言われますが、あるいは難病などで社会的障壁に直面し、就労に困難を抱えている方、まさしく支援対象のはずであります。しかし、法定雇用率の定義が手帳所持者に限定されているため、企業側の意識も、まずは手帳を持っている人を採用して義務率を達成することに集中してしまっています。
その結果、まさに今、一部の大企業では手帳所持者の取り合いとも呼べる採用競争が起きている。その一方で、手帳はないけれども働きたい意欲と能力のある方々がこの法定雇用率という最大の雇用促進策の蚊帳の外に置かれてしまっている。これは基本計画が目指す共生社会の姿とは到底言えないと思いますが、この理念と実務の深刻なずれをまず政府としてどう認識されているのか、見解を伺います。
〔鳩山(二)委員長代理退席、委員長着席〕
○藤川政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、障害者雇用率制度の対象障害者の範囲につきましては、原則、障害者手帳を所持する方としておりますけれども、この範囲につきましては、雇用義務は事業主の経済自由の一部である採用の自由に対する非常に強い規制であること等を踏まえ、対象障害者はその範囲が明確であり、また公正、一律性が担保されることが必要であるということがございまして、厚生労働省の労働政策審議会等の議論を経て定められているものでございます。
一方、障害者雇用促進法では、雇用率制度以外にも、事業主に対する合理的配慮の提供義務でありましたり、ハローワーク等によるきめ細かな就職支援等の措置を総合的に規定してございまして、これらの措置の対象は、障害者基本法に規定する障害者と同様、手帳を所持する方に限られないものでございます。
加えまして、手帳を所持しない難病患者や発達障害等の方に対しましては、ハローワークの雇用サポーターによる障害特性に応じた専門的な就職、定着支援でありましたり、特定求職者雇用開発助成金による雇入れのための助成金等の支給等の措置を講じているところでございます。
今後とも、障害者手帳の有無にかかわらず、障害者の方が職業生活で能力を十分に発揮する機会が得られるよう、引き続き、必要な措置を実施し、雇用政策を通じて、障害者施策全体が目指す共生社会の実現に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○福田(玄)委員 ありがとうございます。
厚生労働省さんからお答えいただくとそうなると思うんですが、やはりこれからは総力戦で日本は戦っていかなきゃいけない、その中で、働く気力があって、それでも働けないという方がいらっしゃるという状況を、どうか、特命担当大臣でありますので、黄川田大臣、しっかりとそこは旗を振っていただいて、手帳がなくても企業が雇用できるような、そんな状況を整えてもらいたいと思いますが、そういったテーブルを用意することも含めて、御見解をお願いを申し上げます。
○黄川田国務大臣 御指摘のとおり、理念法であります障害者基本法においては、障害の社会モデルに基づいて障害者の定義を採用していると承知をしております。
また、実定法であります障害者雇用促進法においては、ハローワークにおける支援や雇用義務を含めた措置など、それぞれについて対象者が定められているものであります。
ですから、議員御指摘のとおり、障害者基本法と障害者雇用促進法の定義する障害者には差があるという、このことも承知はしております。
その上で、厚生労働省参考人から答弁がありましたとおり、法定雇用率の算定方法については、厚生労働省において議論、検討が現在行われていると承知をしております。
内閣府の障害者政策委員会においても、厚生労働省における議論、検討の状況をフォローアップしてまいりたい、このように考えております。
○福田(玄)委員 フォローアップしていただけるということですが、是非何らかの方策で、働きたい人が働ける、そんな状況をつくっていただきたいと強く要望いたします。
次に、重要土地等調査法の対象に水源地を加えるべきという観点で質問いたします。
鈴木副大臣の所管である重要土地等調査法は、防衛施設や国境離島周辺の土地利用を規制し、安全保障上の機能阻害を防止するものです。しかし今、この法律の限界を示す深刻な事案が、私の地元広島で起きています。
広島県廿日市市吉和地区、ここは、広島市民の命の水源である太田川、そして山口県東部、広島県西部の工業地帯を支える小瀬川のまさに最上流の水源地です。この日本の国土保全上そして経済安全保障上最も重要なエリアの一つにあるゴルフ場が、外国資本に売却をされ、大規模なメガソーラーの建設計画が進められようとしています。
現行の重要土地等調査法では、防衛施設に隣接する笹井水源地が注視区域に指定された例はありますが、廿日市市吉和のように、防衛施設と隣接していない単独の水源地は法の対象外となっています。
国民生活の基幹インフラである水源が法の隙間に落ちているこの現状を大臣はどう認識されているのか。今後、防衛施設等と隣接していなくとも、国民生活や経済活動に不可欠な主要水源地そのものを重要施設とみなし、調査法の対象に加える法改正の検討を早急に進めるべきと考えます。
ちょっと時間がないので、併せて次の質問もまとめてしまいますが、日本維新の会そして国民民主党が共同で外国人土地取得規制法案について提出を既にしておりますが、この法案について大臣はどのように評価をされるのか。この中には水源地の保全のことも入っておりますが、そのことについてどういった見解を持たれているのか。併せて答弁をよろしくお願いをいたします。
○鈴木副大臣 それでは、二問併せてお答えをさせていただきます。
御指摘の水源地として想定される森林等は、委員も御指摘のとおり、水源涵養や災害防止など、国民生活や経済活動に重要な機能を有するものであります。
一方で、重要土地等調査法の立案に先立ち、有識者会議から別途、森林法により土地取得時の届出等の枠組みがあることなどを理由として、現行制度の運用状況、効果等を見極めた上で慎重に検討していくべきとの提言をいただき、重要土地等調査法の対象とすることは見送られたものと承知しております。
政府として、まずは土地等の利用状況調査を着実に実施し、安全保障上重要な施設などに対する機能阻害行為を防止すべく、万全を期してまいりたいと思います。
そして、議員立法の法案に関しまして、政府の立場でコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、政府として、まずは外国人による不動産保有の実態把握を進めるとともに、土地取得等のルールの在り方も含め、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な検討を進め、来年一月をめどに基本的な考え方や取組の方向性をお示しできるように取り組んでまいりたいと思います。
以上です。
○福田(玄)委員 最後に一言ですが、民間同士の取引なので、買われちゃったらおしまいという状況があると思いますので、しっかりと日本の国土を守る、その観点で取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○山下委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後二十分、よろしくお願いいたします。
まず、内閣官房、内閣府スリム化についてお伺いをしたいと思うんですが、その前にちょっと一言だけ申し上げると、この委員会の在り方について一言申し上げると、私、ここの委員会にずっといるんですけれども、過去、全然この委員会の所掌でないことについて質問をされる方というのがいたんですね。ただ、そうすると副大臣対応になりますということになって、結果として何をするかというと、じゃ、内閣の要、官房長官を呼んでくださいということで、官房長官を呼んで、この委員会の所掌でないことをずっと聞き続けたというケースがありました。
大体、こういうことで余り特定の政党を悪く言いたくないんですけれども、スコアが悪いのは立憲民主党でありまして、過去、災害とか、デジとか、あとエネルギー政策とかで官房長官を呼んでずっと聞き続けたというのがあったんですけれども、皆さん、やめましょう。そのことを一言申し上げた上で、質問に入りたいと思います。(拍手)ありがとうございます。
何でそんなことが生じるかというと、内閣官房、内閣府がそれぞれ業務が物すごく増えていて、何が内閣府で、内閣官房かというのが分からなくて、結果として、この委員会を第二の予算委員会だと思っている人がいるということなんですね。
まず、内閣官房、そして内閣府にそれぞれお伺いしたいと思いますが、近年、どれぐらいの業務、定員増となっているでしょうか。風早審議官、そして笹川官房長。
○風早政府参考人 内閣官房でございますが、内閣官房の平成二十七年度末の定員は千七十七人となってございます。令和七年度末の定員は千五百四十七人を予定してございます。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府の平成二十七年度末定員は二千三百四十五人でございます。令和七年度末定員は二千七百十一人を予定しております。
以上です。
○緒方委員 結構行革が進んできているのかなというふうに思いましたが。
今、平成二十七年と言われたのは何だったかというと、この委員会で内閣官房・内閣府スリム化法を通した年なんですね。そこから十年がたちます。
官房長官に、これは一般論としてお伺いしたいんですが、内閣官房、内閣府をそれぞれ見ていて、事務が多いなとか、事務の重複があるんじゃないかとか、そういうふうにお感じになられることはありませんでしょうか。官房長官。
○木原国務大臣 確かに、私も官邸に入るのは二回目でありまして、前は安倍内閣、菅内閣の総理補佐官として入った。そして、今回また、今度は官房長官として入りまして、様々な会議体があったり、また、内閣官房、内閣府、当時は例えばこども家庭庁ができたりデジ庁ができたり。そして今回、また高市内閣でも、国家情報局、これは格上げですけれども、あるいは対外情報庁であるとか、また政府効率化局とか、(仮称)ですけれども、そういったことが多々あっていく中で、会議体も含めて、何とか本部、また、看板のかけ替えのようなこともありました。
そういうことの中で、やはり効率化しなきゃいけないし、長官ヘッドのものもあれば副長官ヘッドのものもあったりしますから、これは不断の見直しが必要だなということは感じているところです。
○緒方委員 効率化に向けての組織を立ち上げられるということなので、これは提案なんですけれども、ちょうど二〇一五年のスリム化法から十年がたちます。そろそろ内閣官房・内閣府スリム化法、最近、二・〇というのがはやっているそうでありますので、二・〇でも何でもいいんですけれども、恐らく、法律を改正して内閣府設置法の中から権限を外していったりするようなこともきっと出る可能性があるわけでありまして、法律だけじゃないと思います。先ほど言われたように、長官が言われた、内閣官房には法律に基づかない会議体というのがたくさんあるわけですから、そういう法律によるもの、よらないものを含めて、スリム化法の二・〇に取り組むべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○木原国務大臣 私が先ほど申し上げたような観点、あるいは議員御指摘のそういった観点から、これは先ほどありましたけれども、業務の追加に際しては、平成二十七年一月の閣議決定、これは非常に大きかったんだろうというふうに思いまして、その必要性を十分勘案した上で判断するとともに、新たな業務を法律によって追加する場合には、原則として内閣官房、内閣府において当該業務を行う期限を設けることとしておりまして、近年においてもそういった様々な取組、例えば令和五年十二月には十七の閣僚会議、令和六年六月には閣僚会議に準ずる内閣官房副長官が主宰する十九の会議、それぞれ所期の目的を達成したことを踏まえて廃止をしたところであります。
ですので、繰り返しになりますけれども、これは本来、司令塔機能ですから、内閣官房も内閣府も。ですので、本来の役割を十分発揮できるような組織にするために何をすればいいか、その事務を不断に見直していく中の一つとして、そういった法改正の考えもあるかと思っております。
○緒方委員 これは一番感じておられるのが恐らく自由民主党の皆さん方だと思うんですよね。よく考えてみてください。何でおたくの政党に内閣の第一部会と第二部会があるんですかということですよ。増えているからそういうふうになっているわけです。
これは、いろいろなサンセットをやっていきましょうと今言われましたけれども、実は何がひっかかるかというと、議員立法がひっかかるんですね。議員立法で所掌事項を追加されているものが物すごく多くて、今、どうも与党の方から、とある法律の議員立法と内閣府設置法の改正が出てきているそうでありますが、こういう視点も大事にしたい、そう思っています。スクラップ・アンド・ビルドの原則を貫く必要があるのではないかということを申し上げて、このテーマを終えさせていただきたいと思います。
官房長官、ここで結構であります。ありがとうございました。
○山下委員長 官房長官は退席されて結構です。
○緒方委員 続きまして、テーマは全く変わりまして、危険運転関連について、先ほど森田議員の方からもありましたが、取り上げさせていただきたいと思います。
つい最近判決が出た交通事故の関係から引いてやっていきたいと思うんですが、てんかんに起因する交通事故についてです。
まず、これはてんかんをお持ちの方の差別になっては絶対にいけないと思いつつも、ただ、事故につながってはいけないということもこれもあるということでありまして、まず警察庁にお伺いをしたいと思います。
てんかんに起因する交通事故についての統計について、お伺いさせていただければと思います。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年中にてんかん発作により発生した交通事故は六十五件発生しており、このうち死亡事故は一件でありました。
○緒方委員 今でも、一定の基準を満たせば、てんかんであった方が運転免許を持つことができるというふうになっておりまして、この制度自体はとても大切にすべきだと思います。
一定の期間発作が起きなければ運転免許を持つことができるとか、そういうことはとても大事にすべきだと思うんですが、今現在、仕組みがどうなっているかというと、質問票を書いてもらって、そこで、例えば、てんかんで発作を起こしたことがありますとかいう方について書いてもらうということがあるんですが、これは虚偽記載が罰則があるということで、それで制度の安定性を保とうとしているわけですが、必ずしもこの罰則が抑止力になっていないというケースを時折聞きます。
虚偽の申告で運転免許を更新した上で四日後に死亡事故を起こした者の裁判で、今月十一日、静岡地裁浜松支部は懲役五年の実刑判決を言い渡しています。医師から何度も、運転しないようにと指導されていたそうであります。薬も処方されていたけれども、飲んでいなかった。
医師から、そういう警察当局、運転免許とかをつかさどる警察への申告というのは、これ自体はある意味任意になっているということなんですが、これは是非、国家公安委員長に御答弁いただきたいんですが、きちんと日本医師会等と協議をして、てんかんと運転免許との関係について、医師からの通報を少なくとも努力義務ぐらいに上げることができないかなというふうに思うわけですが、国家公安委員長、いかがでしょうか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
今御質問いただく中で、また、委員の方も、非常に難しい、差別になってはとか、また、医師と患者、その信頼関係というものも踏まえての話、しかしながら、重大な事故があるんだということも踏まえてだと思っております。
そのことを踏まえて、御指摘の、てんかん等の病気で、発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気にかかっていることが判明したときは、症状によって免許の取消し又は停止の対象となることは御案内のとおりかと思っています。
警察においては、運転の不安のある方からの相談、交通事故等の捜査、これを通じて関連情報の把握に努めて、免許の取消し等の事由に該当する疑いがあることを把握したときは医師による診断を実施するなど、必要な措置を講じておるところであります。
また、先ほどお話もありました平成二十五年の道路交通法改正によって、免許更新時でございますが、症状に関するいわゆる質問票、この記載、これは虚偽記載にあっては罰則があるという話、また、免許の取消し等の対象となる病気を認めて、免許の保有者であることを知ったときの医師からの都道府県公安委員会への届出に関する規定というものが整備され、二十六年の六月から施行されておるものでございます。
運転に支障を及ぼす病気に関する関連情報を把握する仕組み、これが整備されておりますが、制度の周知とまた医療機関との連携、これを強化しながら、適切な運転者の管理を行うよう警察を指導してまいりたい、そう思っております。
○緒方委員 そこは分かっている話なんですが。今、現行の制度を御説明いただいたわけでありますが。
じゃ、警察庁にお伺いしたいと思います。決して今の制度がいいとか悪いとかそういう判断をするつもりはないんですけれども、ただ、抑止力にならない方がいるというのも、これも事実なわけですよね。そうすると、当事者の判断だけでは、どうしても罰則があるからきちっと申告しますということを期待して制度ができ上がっているけれども、そこが機能しないのであれば、できれば外から情報がどんどん入ってくるようにしていくことが私は必要だと思うんですよね。だから、この質問をしているんです。
決して義務化しろとまでは言わないですけれども、日本医師会等と協議して、そういう情報を把握したときには通報する努力義務ぐらいを設けることはできないだろうかというのが私の趣旨なんですが。警察庁。
○あかま国務大臣 努力義務を課すべきでないかという話でございますけれども、医師からの届出について、現在、日本医師会においてガイドライン、これが策定されております。先ほどのお話のとおり、医療機関との連携を強化して、適切に届出制度が運用されること、これが重要だと思っております。
多くの場合、今、質問票の回答であるとか安全運転相談をきっかけとして、一定の病気にかかっているかどうか、これを把握しておりますが、こうした取組をしっかり行うこともこれは重要だと思っております。
ただ、医師に届出の努力義務を課すことについては、医師と患者との信頼関係、このこともありますので、慎重にも、しかし、検討をしっかりしてまいること、これを医師団体とまた進めてまいる、まいりたい、そう思っております。
○緒方委員 一歩進んだような感じもいたしましたので、よろしくお願いいたします。
続きまして、先ほどもありましたが、危険運転致死罪について、今日、三谷副大臣にお越しいただいておりますので、お伺いしたいと思います。
最低刑が一年なんですよね、危険運転致死罪。しかし、危険運転致死罪というのは故意犯ですから。過失ではなくて、危険運転をすることについての故意があるということで。ですから、ちょっと、一年というのは低いなという感じがやはりするんですね。通常の傷害致死罪になりますと、最低刑は三年なんですね。ちょっと並びが悪いよねというふうに普通思うところでありまして、均衡が取れていないように私には見えます。
現在、危険運転致死傷罪の見直しの中で、最低刑の見直しを課題としていただけないでしょうか。三谷副大臣。
○三谷副大臣 お答えいたします。
自動車運転死傷処罰法第二条の危険運転致死罪の法定刑は一年以上の有期拘禁刑となっておりまして、その上限は傷害致死罪と同じ二十年ではございますが、下限は、法定刑が三年以上の有期拘禁刑となっている傷害致死罪より低いということになっているのは御指摘のとおりでございます。
もっとも、この危険運転致死罪における危険運転行為というものは、傷害致死罪における暴行とは異なりまして、それ自体は人の身体に故意に攻撃を加えるものではないということ、それから、危険運転致死罪が適用される事案においても事故発生時の状況は様々でございますので、個別の事案に応じた適切な量刑を可能とする必要があることなどを踏まえますと、危険運転致死罪の法定刑の下限を傷害致死罪の法定刑と同等にするという観点から引き上げることについては、今なお慎重な検討が必要であるというふうに考えています。
○緒方委員 ちょっと、答弁を聞いてなるほどなと思うところもあったので、もう一回後で議事録で検討させていただきたいと思います。
最後、五分ぐらいですので、全く別のテーマですけれども、次は海洋政策担当相として、あかま大臣、よろしくお願いします。
大陸棚の延伸についてお伺いしたいと思います。
小笠原諸島を基点とする大陸棚については、小笠原海台海域は、大半が二百海里を超えて延伸しているところが、その延伸を具体的に日本の大陸棚として結実しているんですね。
一方、南硫黄島を基点とする海域の延伸については動きがないんですね。
二〇一二年に国連の勧告が出てから、もう十三年がたちます。協議の相手はアメリカであります。北マリアナ諸島で。そろそろ、アメリカと鋭意協議しているというのでは通用しなくなってきていると思います。どうするおつもりですか。
○あかま国務大臣 今お話がありました南硫黄島海域及び小笠原海台海域についてでございますけれども、平成二十四年、大陸棚限界委員会から、我が国の延長大陸棚であると科学的に認める勧告、これを得ております。
これらの海域についてでございますけれども、日米の延長大陸棚が重複する可能性があることから、平成二十六年の総合海洋政策本部決定に基づいて、米国との必要な調整に取り組んでまいりました。その結果、小笠原海台海域の大部分の海域については調整が整い、令和六年六月二十五日、関連する政令の改正を閣議決定をし、当該海域を我が国の延長大陸棚として定めております。
我が国の主権的権利が及ぶ大陸棚を延長することは、まさに我が国の海洋権益に関わる重要な課題であり、引き続き小笠原海台海域の一部と南硫黄島海域に係る我が国の延長大陸棚の確定に向け、関係省庁と連携をしてしっかり取り組んでまいります。
○緒方委員 それでは、外務省から、我が同期であります濱本審議官にお越しいただいております。アメリカとどういう協議をしているんでしょうか。
○濱本政府参考人 外交面についてお答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、小笠原海台海域それから南硫黄島海域につきましては、日米の延長大陸棚が重複する可能性があるために、米国との関係で様々なやり取りを行ってきたということでございます。
先ほどございましたとおり、小笠原海台の大きな部分、大部分につきましては、我が国の延長大陸棚と定める政令を制定しましたが、その背景には、令和五年十二月に米国が延長大陸棚の外縁を公表しまして、その結果、重複しないということが明らかになったということでございます。
その他の小笠原海台海域の一部、これについては日本とアメリカの主張が重なっている。
それから、南硫黄島海域につきましては、そもそもアメリカの公表対象に含まれていなかったという事情はございます。
したがいまして、そのような状況ではございますが、御指摘も踏まえて、鋭意米国との調整を進めていきたいと考えております。
○緒方委員 ありがとうございました。
最後、一問だけ。
もう一つ、実は大陸棚を延伸するときに、沖ノ鳥島を基点とする九州・パラオ海嶺南部海域、沖ノ鳥島からパラオに抜けていくところの話があって、これは二〇一二年時点で勧告が先送りされています。これは最近動きがなさそうですけれども、政府としてこれを追い続ける意思をお持ちなのでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、九州・パラオ海嶺南部海域、これにつきましては、我が国の申請に対しまして一部の第三国、これは中韓でございますけれども、沖ノ鳥島が大陸棚を有しない岩であると主張する口上書を累次にわたって大陸棚限界委員会に提出いたしました。我が国は、その都度反論をする口上書を同委員会に提出したという経緯がございます。
我が国としましては、沖ノ鳥島は国連海洋法条約上の島であり、我が国はこれまで同島周辺海域に排他的経済水域、大陸棚を設定してきたということでございます。
我が国としまして、早期に大陸棚限界委員会の勧告が行われるように、大陸棚限界委員会とそれから国際社会に対して、我が国の立場が理解を得られるために働きかけを行っていきたいと考えております。
○緒方委員 これは主権的権利というとても重要な権利を確保する貴重な取組でありますので、頑張っていただければと思います。
終わります。
――――◇―――――
○山下委員長 次に、内閣提出、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。あかま国家公安委員会委員長。
―――――――――――――
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○あかま国務大臣 ただいま議題となりましたストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近におけるストーカー行為等の実情に鑑み、紛失時における発見のために用いられる識別情報を送信する機能を有する装置の位置情報を、当該装置を所持する者の承諾を得ないで取得する行為等を規制の対象に加えるとともに、警告等に係る違反行為の相手方に係る一定の情報の保有等をする者が当該警告等を受けた者に対して当該情報を提供するおそれがある場合の措置に関する規定を整備すること等をその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、位置情報無承諾取得等に該当する行為の追加であります。これは、いわゆる紛失防止タグを位置特定用識別情報送信装置と定義した上で、当該装置を所持する相手方の承諾を得ないでその位置情報を取得する行為等を規制対象に加えるものであります。
第二は、職権での警告を可能とするための規定の整備であります。これは、警察本部長等が、警告を求める旨の申出を受けていなくても、職権で警告することができることとするものであります。
第三は、警告及び禁止命令等に係る通知に関する規定の整備であります。これは、警察本部長等又は都道府県公安委員会が警告等をしたときは、警告等に係る申出を受けた場合以外の場合においても、速やかに、当該警告等に係る違反行為の相手方に通知しなければならないこととするものであります。
第四は、ストーカー行為等の相手方に係る一定の情報を提供するおそれがある場合の措置に関する規定の整備であります。これは、警察本部長等が、警告等があった場合において、当該警告等に係る違反行為の相手方に係る情報の保有者等が当該警告等を受けた者であって現にストーカー行為等をするおそれがあるものに対して当該相手方の氏名、住所等の情報を提供するおそれがあると認めるときは、当該保有者等に対し、当該提供の相手方がストーカー行為等をするおそれがある者であることを通知して、当該提供を行わないよう求めることができることとするものであります。
第五は、ストーカー行為等の相手方に対する援助に関する規定の整備であります。これは、ストーカー行為等が行われている場合における当該ストーカー行為等の相手方に対する援助に係る努力義務の主体に、当該相手方を雇用する者及び当該相手方が就学する学校の長を追加するものであります。
第六は、禁止命令等を行う都道府県公安委員会等に関する規定の整備であります。これは、禁止命令等若しくは聴聞又は警告を行うことができる機関に、当該禁止命令等若しくは聴聞又は警告に係る違反行為の相手方の当該違反行為が行われたときにおける住所又は居所の所在地を管轄する機関を追加するものであります。
なお、この法律の施行日は、位置情報無承諾取得等に該当する行為の追加、職権での警告を可能とするための規定の整備、警告及び禁止命令等に係る通知に関する規定の整備、ストーカー行為等の相手方に対する援助に関する規定の整備並びに禁止命令等を行う都道府県公安委員会等に関する規定の整備については公布の日から起算して二十日を経過した日、ストーカー行為等の相手方に係る一定の情報を提供するおそれがある場合の措置に関する規定の整備については公布の日から起算して三月を経過した日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○山下委員長 次に、黄川田国務大臣。
―――――――――――――
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○黄川田国務大臣 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における配偶者からの暴力等の実情に鑑み、裁判所が発する命令により禁止される行為として、紛失時における発見のために用いられる識別情報を送信する機能を有する装置の位置情報を、当該装置を所持する被害者の承諾を得ないで取得する行為等を追加するものであります。
次に、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
本法律案では、いわゆる紛失防止タグを位置特定用識別情報送信装置と定義した上で、当該装置を所持する相手方の承諾を得ないでその位置情報を取得する行為等を接近禁止命令等における禁止行為として加えることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律の施行日は公布の日から起算して二十日を経過した日としております。
以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○山下委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時八分散会

